ダンジョンで彼に出会うのは間違っているだろうか (melu-)
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プロローグ

はじめまして

今まで書いてみたいなと思って手を出してこなかった二次創作小説。
長いことひまができそうなので書いてみることにしました。
いろんな方の小説を読ましていただいてきたのですが、やっぱり自分で書くとなると
すごい難しいですね。((語彙力



では、始まりです。


これは、三人の眷属と一人の少年が紡ぐ、【眷属の物語(ファミリアミィス)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが下界か~」

 

今、一柱の神が迷宮都市(オラリオ)に降り立った。

 

「おもろいこと、はよう起きひんかな~」

 

朱色の髪を揺らし、両手を頭の後ろで組みながら彼女は、神ロキは、つぶやく。

 

「まずは、おもろい子見つけて、眷属にして、眷属をふやして、、、」

 

ブツブツ呟きながらオラリオの街中を歩く。

眷属を求めて。

 

 

 

 

 

「うわっ!あの子めっちゃ可愛いやん!眷属になってくれへんかな!」

 

一人のヒューマンを見つけて走り出す

 

「おぉーい!そこのカワイ子ちゃん!そう!そこのキミ!ウチの眷属になってくれへんか~!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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とある町

活気を失った町。そこの中心に一人の少年が立っていた。

 

「僕は必ずパルゥムの光となる。フィアナの名に誓って。」

 

その少年は目に(生きる気力)を失った同胞に向かって言った。

 

「そのために僕は、『フィン・ディムナ』は、名をあげないといけない。」

 

同胞がちゃんと彼の話を聞いているかはわからない。

だが、彼は続ける。

 

「だから僕は行く、、」

 

 

 

 

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とある村

 

「もっと強いやつはおらんのかぁ!」

 

一人のドワーフが叫んだ。

円形に配置した縄の中、極東に伝わる相撲という文化ににた決闘をしていた。

彼が強すぎて誰も円の中に入ることができない中、

村長がその男に叫んだ。

 

「ガレスよ!かの町へ行け!そこならおぬしが求める強者がおるじゃろう!」

 

ガレスと呼ばれたドワーフは

 

「かの町?..あぁ、あそこかぁ。確かにあそこなら

ワシより強い者がごまんとおるじゃろう。」

 

そして彼は決意する。

 

「行くか!、、」

 

 

 

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とある森

 

一人の美しいエルフが深めのフードをかぶり、歩いていた。

 

「みなには悪いと思うが、、」

 

そう呟きながら、彼女は自分が今まで住んでいた城から遠ざかっていた。

今頃、使用人たちは慌てふためいているところだろう。

 

「だが、私はもっとこの世のことを知りたい。私は、

リヴェリア・リヨス・アールヴは、知に飢えている。」

 

彼女の目は爛々と輝いていた。

 

「あの町なら私が知らないことが山ほどあるだろう。

行くか、、、」

 

 

 

 

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いずれ家族となる彼らは

まったく同じ時刻、寸分の狂いなく同じ言葉を放つ

 

 

 

 

 

「「「オラリオへ」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界のどこか、、、

一人の少年が目覚める。

 

めぐり合うべき人たちを求めて、、、

 

 

「ここは、、?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




始まりってこんな感じでいいんですかね?
やっぱり日本語ムズカシ-



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初めての眷属

一人称視点で書きたいのに、、


駄文すぎて、お目汚しになってしまう。






では、始まりです


「ここがオラリオか。」

 

少年、フィンはつぶやく。

 

「まずは、眷属になって神の恩恵(ファルナ)をもらわないと。」

 

彼は自分の故郷である程度はオラリオ(冒険者、神の恩恵、ダンジョンなど)について調べてきた。

 

「僕がパルゥムの光になるためには、この世界の中心であるオラリオで名をあげて、パルゥムでも強者に成りうることを

世界の種族に知らしめなければならない。」

 

そう、この思考は若きパルゥム、が少なからず抱くものだ。

しかし、それを成し遂げるにはどれほどの時間と努力、精神(メンタル)が必要とするか、はかり知れない。

 

「まずは、神を探さないと。そして確かめないといけないことがある、、」

 

フィンは歩き始める。

運命という道をたどりながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはロキが下界に降り立ってから3日たった日のこと

 

「あぁーーーーー、誰もウチの眷属になってくれへん。なんでやーー!!」

 

それはロキ(へんたい)だからである。

会うたび会うたび、痴漢を繰り返す彼女に驚きビンタを繰り出す子どもたち(被害者)

そんな彼女が路地裏の人たちにコッソリ呼ばれていること。

 

絶壁(無乳)のひがみ】  【朱色のオヤジ】   etc.

 

散々である。もう、神として見られていない。

 

 

 

「さっきの子で76人めやでぇ。なんでなん!?ウチなんかした?」

 

変なことしかしていない。誰もがそう思った。

ロキがひとりで頭を抱えながらいると、後ろから声がした

 

「独り言中すまない。神よ。」

 

今まで誰かから話しかけられることがなかったのでビックリしながら振り向くと、

そこには、金髪のパルゥムの少年が立っていた。

 

「? どないしたん?」

 

「神、あなたに聞きたいことがある。」

 

少年は真剣な眼差しでそう告げた。

 

「ウチは最近ここ(下界)に降りてきたばっかやから答えれることは少ないで。」

 

「構わない。僕が聞きたいことは、天界でのことだ。」

 

ロキはその細めた目を薄っすら開け、纏う雰囲気を変えた。

神威をそれほど出してもいないにもかかわらず、ロキを神と見抜いたこと。

またロキの天界での行いは決して良いことばかりではないので、自然に警戒してしまった。

 

「ほぅ?なんや言うてみぃ。」

 

少年は神の纏う神威に少し気おされながらも、少年は問う。

 

「プライベートな事は聞かない。聞くのは一柱の神についてだ。」

 

ロキは変わらない態度で少年の話を聞く。

 

 

「フィアナという神は天界、もしくは下界にいるのか?」

 

 

ロキは少し考えてから答えた。

 

「ウチはなぁ、うえ(天界)におるころは、そこらじゅうの神にちょっかいかけてたけど、

そないな名前の神はウチの周りには居いひんかったなぁ。」

 

少年の質問が自分の警戒とは全く関係の無いことだったので警戒を解きながら答える。

少年はうつむきロキに聞こえるか聞こえないかの大きさで呟く。

 

「そうか、、やっぱりか。、、、僕がなるしかないんだ、、」

 

「?」

 

ロキはそんな少年の様子に首をかしげる。

 

「いや、何でもないよ。ありがとう。僕の質問に答えてくれて。」

 

その少年は顔をあげそう言った。

そして、その瞳は神であるロキの心を穿った。

 

(なんやこの子の目は!!真っすぐで綺麗な瞳しとんなぁ。神やから分かるけど、神じゃなくても分かりそうなぐらい決意に満ちとる!おもろそうな子見つけてもうたわ!)

 

ロキがそう少し固まっている間に、少年は告げる。

 

「このお礼はどこかでするよ。それでは、僕は行くよ。」

 

少年がロキに背を向けて歩きだす。

そこでようやくロキが動き出す。

 

「ちょぉぉぉっとまってやぁ!」

 

少年が振り向き「?」を浮かべる。

 

「お礼する言うたよな!?いつかなんていつ来るかわからへん!今お礼してや!」

 

「、、、、いったい何をしたらいいんだい?」

 

「それはな、、、ウチの眷属になってや!」

 

少年が驚く。そして黙考。

 

「、、、、構わないが、むしろ願ったり叶ったりだが、僕にはこのオラリオで成すべき、目的がある。

それを理解してくれる神を探していたんだが。」

 

「おお!なんや!言うてみぃ!」

 

「僕はフィアナに代わるパルゥムの希望の光になる。うえ(天界)から見ていたならわかるだろう?

今パルゥムが衰退していることを。」

 

「せやな。」

 

先ほどと同じ瞳に見入るロキは少しの相槌しかうてない。

 

「パルゥムには(未来)を導く()が必要なんだ。僕はその光になるためには手段を問わない。この僕の道を邪魔しないというのなら喜んでお礼しよう。」

 

ロキはその瞳を見ながら即答する。

 

「あぁ!邪魔なんかせえへん!むしろ手伝うわ!あんたのその道をつくるのを!」

 

少年は苦笑して言う

 

「そんなあっさり受け止めてくれるんだね。今までいろんな神に馬鹿にされてきたことが、馬鹿らしくなってきたよ。」

 

その言葉を聞いてロキは憤慨した。

 

「おぉう!?誰やこんな真っすぐな子を馬鹿にしたやつは!!血祭りにあげたるわ!」

 

 

 

 

 

 

こうして、ロキの初めての眷属ができたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あ、フィンの名前ロキに教えてない。


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家族《ファミリア》


一人称頑張ります。
フィンの口調難しい。











では、始まりです


「そーいや、名前聞いとらんかったなぁ」

 

唐突に僕の主神が声を出す

今は彼女が無料(タダ)で住まわしてもらっているという、宿に行くところだ

その途中振り向きざまにそう言った

 

「そうだね、まだ言ってなかったね。

僕の名前は フィン『フィン・ディムナ』だ」

 

「フィン、、フィン・ディムナか。よし!覚えたで!

ほんでウチの名前やったな。ウチの名前は 『ロキ』!

ロキたんって呼んでくれてもええんやで!」

 

僕の主神、神ロキはその朱色の髪を嬉しそうに振り回しながらそう言った

僕は苦笑して

 

「いや、やめておくよ神ロキ、そんな訳の分からない呼び方はしないでおくよ」

 

そう言うと彼女は、頬を膨らませて

 

「なんや!訳分らんって!まぁええわ。せやけど、ウチのことは、ロキ でええでな。

神ロキなんてじゃ堅苦しくてしゃーないわ」

 

そう言われたので、遠慮なく呼ばしてもらおう

 

「分かったよ。ロキ。で、神の恩恵(ファルナ)はその宿でくれるのかい?」

 

僕が、神の眷属になるうえで一番楽しみ?というか、興味を持っていたことだ。

すると彼女は頷きながら、一軒の建物を指さす

 

「せや。あの建物がウチが住んでる宿や。あそこで恩恵刻むで~」

 

すると、その宿の男性に

 

「おっさーん、今日も宿借りるで~」

 

「おぉー、構わんぞ、いつか返してくれるんじゃろ?

お?その子がお主の眷属か?」

 

いつか返すなんて、あいまいな表現で僕の主神は宿を借りてたのか、、

それは、返すつもりがない人が言うことだぞ。

と、心の中で、自分のことをだいぶ棚に上げて思った。

 

「はい。僕がロキの最初の眷属です。フィンといいます

いつも主神が大変お世話になっております」

 

「おぉーおぉー、礼儀正しいこっちゃ。この時代に珍しいのぉ」

 

「?」

 

僕が疑問を浮かべていると、ロキが

 

「まぁ、その辺は恩恵刻むときに教えたるわー」

 

そう言って、宿の中に入っていった

僕もそれに従って入っていく

 

 

 

 

 

 

僕たちは一つの部屋に入ると、すぐに

 

「よっしゃ服脱いでや!」

 

僕は部屋の隅に退避してロキを警戒した。

 

そりゃあもう凄い目つきで

 

「ちがうちがう!そんな怖い目で見んといてや!

恩恵刻むんや!」

 

僕は変わらず鋭い目つきでロキを睨む

 

「ホンマやて!背中に神の血(イコル)を刻むんや!

それと襲うならかわいい女の子にかぎる!」

 

最後のロキの言葉にドン引きしながら

僕はまだ少し警戒して服を脱いだ

 

「よっしゃ!じゃあ刻むで!」

 

僕はロキに背を向けて椅子に座り、ロキは小さな針を取り出した

 

そして自分の指にそっと突き刺し、血を流した

 

ロキの指が僕の背中を真っすぐ滑り落ちる

 

その瞬間僕の中で何かが起こった

言葉では上手く言い表せないが、何かが目覚めたような、、

 

そんな言い知れない衝撃に思わず身震いをしていると

 

「ん?どないしたんや?」

 

「いや、何でもないよ。続けてもらって構わない」

 

「そうか?まぁ、もう終わったんやけどな」

 

そう言って、僕の後ろから離れる

 

「もう終わったのかい?案外早いね」

 

ウチら(神々)の血を子どもたちに与えるだけやでな~」

 

「そうかい。でもこれで僕は神ロキの眷属であるフィン・ディムナということだね」

 

そう言うとロキは嬉しそうに

 

「せやで!これでウチらは家族(ファミリア)や!」

 

そしてニコニコしながら続ける

 

「家族なら情報共有は大事やな!」

 

そう言って、語りだした

 

彼女が天界で見てきたことを

 

 

 

・今のオラリオはゼウスファミリア、ヘラファミリアの二強であること

・ロキはそれにちょっかいを出したくて降りてきたこと

闇派閥(イヴィルス)が蔓延る今のオラリオは治安が悪いこと

・宿のおじさんが言っていた時代とはこのことで、今は孤児などが多く、まともに育つ人が少ないこと

・そしてダンジョンの様子がおかしいということ

 

 

 

「うえから見てて分かることはこんくらいかなぁ

そういう訳やから、ダンジョンでも、オラリオでも気を付けてな~」

 

ダンジョンの様子がおかしい?

 

僕が知る限り、ダンジョンは遥か昔から神ウラノスが祈祷を捧げていて、抑えていると聞いていたんだけど。

 

神ウラノスの身に何かあった?ダンジョンが今さら抵抗を始めた?外部からの影響か?

 

、、、考えても仕方がないか

 

今の僕は弱い

 

何が起きているか分かったところで、何もできない

 

闇派閥(イヴィルス)に対抗できるほど強くない

 

家族(ロキ)を守れるほど力を持っていない

 

パルゥムの光なれるほど僕はまだ輝けない

 

 

まずは、強くなることから始めないと何も変わらない

 

「、、、僕は強くなる」

 

ロキに向かって強い覚悟を持って言う

 

ただ、それだけをロキに伝える

 

 

 

 

背中にある強い熱を感じながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




短くてごめんなさい

はやく、オリ主を出したいけど
ガレス達を先に出さないと、、

なかなか、ダンジョンに潜れない。
次はフィン団長初めてのソロ探索の予定です。


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ダンジョン

この時代はまだパルゥムがすっごく弱いって思われている時代ですね

ここからフィン団長は成り上がったと思うとすごいですね








では、始まりです


ロキに恩恵をもらった後、ギルドに行きファミリアと冒険者登録をしに一人で来た

 

ギルドの受付に行き

 

「ファミリアと冒険者の登録をしたいんだけど」

 

と伝えると、ヒューマンの女性は少し驚きながら、

 

「かしこまりました。ではこちらの書類にファミリア名と冒険者様のお名前をご記入ください」

 

と何枚かの紙を取り出した

 

僕は言われた通りに紙に共通語(コイネー)で記入していく

 

「ロキファミリア、、フィン様ですね。ファミリアの系統は探索系でよろしいですか?」

 

「あぁ」

 

こんな、感じにいろいろ聞かれた

 

やはりこの時代闇派閥(イヴィルス)との区別をしっかりするために沢山の情報をきかれた

 

まあ、出来立てほやほやのファミリアに情報もなにもないんだけど

 

「では、フィン様担当のアドバイザーをお呼びいたします。」

 

そう言ってスタスタと歩いて行った

 

「やっぱり、(パルゥム)が冒険者になるのはおかしいのかな」

 

苦笑しながらそう一人呟き、彼女の驚いた顔を思い出す

 

僕の担当アドバイザーを待つ間多くの冒険者が僕を見て

 

 

「ふん、あんな小さなガキがが冒険者ねぇ」

 

「あぁ~、ヤダヤダ。あんな弱っちい種族が冒険者なんて」

 

「パルゥムはサポーターでもしてっろての」

 

 

そんな声が聞こえてくる

 

なぜこんなにパルゥムが疎まれているか

 

それは、僕の目的とも関係することだ

 

遥か昔、神々が下界に降り立つ前、パルゥムは今のように蔑まれてなかった

 

今より断然勢いがあり各地でも名を馳せるパルゥムは少なくなかった

 

僕たちパルゥムの心、精神を支えていたのはフィアナという神の存在だった

 

フィアナは、パルゥムを率いて数々の戦を勝利に導いてきた女神だった

 

そう、()()()のだ

 

神々が娯楽を求めてこの下界に降りてきた後パルゥムは衝撃の事実を知った

 

『天界にフィアナという神はいない』

 

この事実は、パルゥムの心を蝕み衰退へと追いやったのだ

 

これまで、心の支えにしてきた女神がいない、当時のパルゥムには受け入れがたい話だっただろう

 

心のよりどころを失ったパルゥムはどんどん弱体し、今に至る

 

何をするにも気力がなく、すべてを諦めた目で観る

 

僕はそんな現状を打破すべくフィアナに代わる光になると覚悟してこのオラリオにやってきたのだ

 

 

今のパルゥムは弱い

 

心も、力も、何もかも

 

だから、僕が彼らを導くのだ

 

 

そう決意を新たにしたところで

 

「お待たせしました~」

 

一人の猫人(キャットピープル)の女性が走ってやってきた

 

黒い大きな瞳に彼女の髪はロキのものより紅く秋に咲く紅葉を彷彿とさせた

 

綺麗だな、それが彼女に対する第一印象だった

 

ギルドの顔である受付係はやっぱり見目麗しい人が多いようだ

 

そして彼女は肩を上下させながら

 

「始めまして!私はモミジと言います!今日からあなたの担当アドバイザーです!よろしくね!」

 

見た目通りの名前だねと思い、なかなかの元気に少し戸惑いながら

 

「フィン・ディムナだ。よろしく」

 

そう告げた

 

すると、彼女はまだ少し肩を動かしながら

 

「よし!フィンくん、よろしくね!これからビシバシダンジョンのこと教えてあげるからね~」

 

そう言って、いきなり個室に連れ込まれた

 

凄い元気な子だな~

 

最初はそう思っていた、そう元気ではあった

 

 

ただ、、

 

 

「あれ?コボルトってなに?おいしいの?」

 

 

バカだった

 

 

軽く自己紹介をした後、早速ダンジョンについて教えてる!と意気込んでいたが

 

「えぇっ!ゴブリンって群れるの!?」

 

もう、世紀末である

 

もはや、一般常識も怪しいかもしれない、そう思いながら

 

「キミ、よくギルドに入れたね」

 

思わず凄い失礼なことを言ってしまった

 

するとモミジは、

 

「ぶぅ~、だって今日が初めてのお仕事なんだもん!しょうがないじゃないじゃん!」

 

まさかとは思っていたが、やっぱりそうだった

 

小生意気なパルゥムには知識もない新人がちょうどいいと、そうギルドは判断したのだ

 

現在治安が悪いこのオラリオ、学区に通う人々は少なくギルドも人不足であるのは承知している

 

だが、新人冒険者に新人アドバイザーをペアにするにしても、知識がないとすぐに冒険者が死んでしまう

 

それを分かっていてギルドはモミジを僕におくったのだ

 

それに、新人同士だとアドバイザーも育たない

 

モミジもよく扱われていない、そういうことになる

 

僕はそんなギルドの思惑を裏切るべく、モミジとともにダンジョンについて学習した

 

最も僕は最低限の知識は持っている

 

上層の危険なモンスターについてはそこそこの知識はあるつもりだ

 

だが、横でモミジは

 

「えぇっ!ダンジョンの壁って傷ついたら勝手になおるの!?」

 

相変わらずである

 

だが、パルゥムである僕を蔑むようなことは言わない

 

それすらも、知識がないのか、そんなことを気にしていないのか

 

どちらにせよ、僕にとってモミジはこのオラリオでロキの次に接しやすい人になった

 

 

 

 

 

しばらくして、、、

 

 

 

 

 

「それじゃあ、僕はダンジョンに行ってくるよ。キミよりはるかに知識はあるからね、

武器はいくつか借りれるんだよね?」

 

そう言うと、モミジは頬を膨らませて

 

「なんでそういうこと言うかなぁー、フィンくんがダンジョンに行っている間に、ダンジョンのことぜーんぶ覚えておくからね!

それと武器は借りれるよ!破損しない限り、無償で貸し出ししてるみたいだよ!とってくるね!」

 

そう言って、走って行ってしまった

 

「無償とはまた優しいね」

 

そうひとり呟く

 

モミジがいなくなった部屋は少し寂しく感じられた

 

「彼女はきっといい人になるだろうね」

 

今は知識が少ないが、人当たりがよく元気だから、きっといいアドバイザーになるだろう

 

そのためには、僕が頑張らないと。今のままではモミジはギルドにいいように使われて終わってしまう

 

僕が彼女のおかげで強くなれれば、きっとモミジの良さに気づくだろう

 

そんなことを、考えていると

 

「おまたせー!」

 

モミジが武器の入ったカートを押しながらやってきた

 

「そういえば、フィンくん何の武器使うの?」

 

パルゥムが使う武器、いや使える武器は決まっている

 

この小さな体で戦況を有利に進めていくには、リーチのある武器が必要だ

 

まぁ、短剣で細かく動いて手数で圧倒するのもアリだと思うけど

 

今のステイタスでは、そんなに速く動けない

 

なら選択肢は一つだ

 

「ん?僕は槍を使うよ」

 

そう言って、カートから一本の槍を取り出す

 

さすがに貸し出し品なので一級品というわけにはいかない

 

使い込まれた後のボロボロの持ち手、傷だらけの刃、

 

「まぁ、無償だしこんなもんか。貸してくれるだけありがたいね」

 

「そうだよ~、ちゃんと大事に使ってあげてね~。聞いたところによると、この武器たちは亡くなった冒険者の持ち物らしいから」

 

それを聞いて先ほどの発言を少し後悔した

 

丁寧とはいかないが大切に使おう、そう思った

 

「じゃあ、行ってくるね。しっかり勉強しておくんだよ。帰ってきたらテストするからね」

 

「分かった!絶対百点取るから見ててね!」

 

しっぽをブンブン振り回しながらそう意気込むモミジに苦笑して

 

これじゃあどっちがアドバイザーかわからないねと思いながら歩きだす

 

ロキには冒険者登録をした後にダンジョンに潜ってくることは伝えてある

 

そして、僕は記念すべきダンジョン初探索に足を踏み入れた

 

 

 

 

 

 

 

 

今の僕の持ち物は、パルゥム用に作られたバッグと今は亡き冒険者の槍

 

それと、心臓を守る胸当てだ

 

ずいぶんと軽装ではあるがこれで何とかなると僕は思っている

 

なぜかって?それは僕の町の周りには森があってそこにゴブリン退治に何回も行っていたからだ

 

外のモンスターはダンジョンのオリジナルのモンスターとは比べ物にもならないくらい弱いのはしているが、

 

僕もファルナをもらって多少は強くなっている

 

戦い方は覚えているので、群れで来ても大丈夫だ

 

すると早速ゴブリンが2匹見えた

 

向こうはまだ僕に気づいていない

 

なら、、

 

「先手必勝、、!」

 

そう呟き、走り出す

 

ファルナをもらってから走ったことがなかったので、この凄い加速に驚きつつゴブリンに向かって疾駆する

 

ようやく僕に気づいたゴブリン、その距離3メートル

 

「遅い!」

 

そう叫び、左の1匹の頭を槍で貫く

 

加速された槍はしっかりゴブリンの頭を貫き、絶命させた

 

仲間がやられたことに気づいたもう片方のゴブリンが「キィー!」と叫びながら爪を振り上げる

 

僕は槍を引き抜き、その引き抜きざまに槍を横に振りぬきゴブリンの腕を斬りつける

 

腕を斬られたゴブリンは驚き一歩下がる

 

僕はその隙を逃さず、槍を上段に構えて

 

「せやっ!」

 

真っすぐ振り下ろした

 

振り下ろされた穂先はゴブリンの左肩から腰にかけて赤い切り傷をつくった

 

「ギャー!」

 

断末魔をあげ2匹目のゴブリンは息絶えた

 

「ふう、腕は鈍ってないようだね」

 

そう呟き魔石の回収作業に移る

 

このダンジョンのモンスターからとれた魔石が僕たち冒険者の収入源だ

 

魔石鑑定所で売ることができ、何ヴァリスかと交換してくれる

 

ほかにもドロップアイテムも冒険者の大切な収入源だ

 

この辺のことは、地上に戻ってから考えよう

 

そう思い次の獲物を探し求め歩きだす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何十匹ほど屠った後、一度地上に戻ることにした

 

魔石鑑定所で魔石を鑑定してもらった後(700ヴァリスほどだった)モミジのところへ向かう

 

「あ!お帰り~。どうだった?初めての探索は?」

 

僕を見つけて嬉しそうに話し始めるモミジ

 

「まあまあかな、それよりダンジョンのことは覚えたかい?」

 

そう言うと、しっぽを振り回しながら

 

「ちゃーんと全部覚えたよ!もう完璧だからね!」

 

そう言うモミジ

 

面白くなった僕は

 

「じゃあ、一問でも間違えたら今度何かおごってね」

 

「むっ!いいよ!絶対間違えないから!

それと、百点だったらフィンくんが私に何かおごってね!」

 

「分かったよ。じゃあいくよ?」

 

なんか、かわいい顔が台無しなへんな戦闘態勢をとりながら

 

「よし!こい!」

 

と叫ぶモミジ

 

「じゃあ、10問するからね。

1問め  モンスターはどのようにして生まれますか?」

 

「う~ん」と唸るモミジ

 

え?そんな難しい?

 

戸惑う僕

 

そして

 

「分かった!冒険者が外から連れてくるんだ!」

 

自信満々にそう答えるモミジ

 

はい。世紀末。ビックリ仰天。知能がゴブリンより低いんじゃないか。

 

すっごい失礼なことを思ってしまったことをいったい誰が止められるというのだろう

 

「えぇっ!キミホントに勉強してたのかい!?」

 

「してたよ!ちゃんとこれ読んでたよ!」

 

そう言って見せてくれたのは

 

『ゴブリンでも分かる、ダンジョンについて。その1』

 

「いやなにこれ!もっとマシな本なかったの!?それにこれが分からなかったらキミゴブリンよりバカだよ!?」

 

驚きすぎて思わず大きな声が出てしまった

 

「えぇっ!ホントに!?私ゴブリンよりバカなの!?

どうしよう!フィンくんたすけて!」

 

 

 

 

 

前途多難である。

 

 

 

 

 




オリ主登場はまだまだ先になると思います

フィンくん感情表現難しいね

モミジはオリキャラです

おバカさんにフィンくんの感情をもっと引き出してほしいですね






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2人目

ガレスさん登場

どうやって、お仲間にするか、悩みました








では、始まりです


モミジとのやり取りをおえた後僕は宿に戻った

 

ロキに初めてのステイタス更新をしてもらうためだ

 

宿につくと

 

「おぉ~、ロキの眷属か。ロキとの部屋は好きに使ってもらって構わんぞ。

沢山稼げるようになったらゆっくり返してくれや」

 

と、宿のおじさんに言われた

 

どうやら彼は、ずいぶんと優しいらしい

 

この時代に、ましてやパルゥムの僕にも普通に接してくれる

 

「ご親切にどうもありがとうございます。必ずこの恩は返します」

 

そう、頭を下げて伝えた

 

本当に感謝している。この宿がなかったら僕たちはどこに住んでいたのか分からない

 

「いいってことよ!おもしろそうなやつに賭けるのが年寄りの役目だろぉ」

 

そう言って「ガハハハ!」と快活に笑う

 

僕はもう一度お辞儀をして部屋へと向かう

 

部屋に入ると、

 

「お帰り~!」

 

ロキが突っ込んできた

 

僕はスッと躱してドアを閉めた

 

バゴォン!!

 

「げふぅっ!?」

 

ロキがドアをぶち抜きそうな勢いで顔からぶつかった

 

「うわ~。痛そう」

 

のんきに僕は言う

 

ロキは鼻をおさえながら

 

「おかしいやん!何でよけんの!?」

 

「いやぁ、危険を感じたからつい、ね?」

 

軽くウィンクしながらそう言うと

 

「ぐっ!あかん、目覚めそうや、、」

 

声が小さくて聞こえなかったが、構わず

 

「ステイタスの更新をしてくれるかい?

少しは上がると思うんだけど」

 

ロキは跳ね起きて

 

「よっしゃ!まかしとき!」

 

そう言って手をワキワキし始めた

 

「変なことしたら、斬るからね」

 

服を脱ぎ背中をロキに見せる

 

「分かってるって!じゃあ始めるで~」

 

針を取り出し、指に刺し血を流す

 

僕の背中を真っすぐ縦になぞる

 

「まぁ、最初はこんなもんかな~」

 

そう言って共通語(コイネー)になおした僕のステイタスが書かれた紙を渡してくれる

 

 

 

フィン・ディムナ

 

Lv.1

 

力: I 0 → I 10

 

耐久: I 0 → I 4

 

器用: I 0 → I 12

 

敏捷: I 0 → I 12

 

魔力: I 0 → I 0

 

 

《魔法》

 

 

《スキル》

 

 

 

 

ステイタスがそう簡単に上がるものではないことは知っているが

 

やはり、期待値のほうが勝ってしまうのは仕方がないことだろう

 

トータル38かぁ、、

 

パルゥムの戦い方ではやはり耐久の伸びはよろしくないのは分かっていた

 

「地道に伸ばしていくしかないか、、」

 

するとロキが優しく

 

「せやで~、焦らんでもダンジョンは逃げやへんからな~」

 

全くその通りだ、今の僕の、いや、僕たち(ロキファミリア)の課題は家族を増やすことだ

 

僕一人ではやはりやれることが限られてくる、地上でもダンジョンでも

 

「そうだね。まずは仲間を集めて安定した収入を得て。それからだね、冒険(無茶)をするのは」

 

そう、焦りはしないが僕は急ぐ

 

はやく強くならないと、僕は何も守れない

 

()()()()()()()

 

 

 

「明日から、仲間を探しに行くよ。いい人がいるといいね」

 

そう言って僕は寝る準備を始める

 

ロキの心配そうな目に気づかないまま

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉー、ここがオラリオか!

どんな強いやつがいるか楽しみじゃわい!」

 

一人のドワーフ、ガレス・ランドロックがオラリオにやってきた

 

まずはファミリアに入らねばいかんのぉ

 

そう思い、故郷の村とは違う町の新鮮な雰囲気を感じながら歩き始める

 

初めから、強いところに入るのもアリだとは思うが、やっぱり「下剋上」というのか?

 

そういうのも楽しそうじゃのぉ

 

これから出会うであろう強者に期待しながら歩き続ける

 

「なら、ギルドでできたばかりのファミリアを聞くのがいいじゃろう」

 

そう呟き、オラリオの中心にそびえるバベルの塔に向かう

 

 

 

 

 

 

 

ギルドに到着するやいなや、赤髪のキャットピープルの受付嬢に

 

「嬢さんや、ワシはファミリアを探しておるんじゃが最近できたファミリアを教えてくれんかのぉ」

 

すると赤髪の彼女はニコッと笑いながら

 

「こんにちはっ!ええ!ありますよ!ちょうど昨日できたばかりのファミリアが!

えぇーとですねー、、、」

 

個人情報ダダ漏れである。ギルドの職員としてあるまじき行為である

 

まぁ、ガレスは全く気にしていなかったが

 

「ロキファミリア、、フィン・ディムナか、、

よし!覚えたぞ!」

 

「ファミリアには入れたらまたここにきてねー」

 

「おぉ、ありがとうな」

 

赤髪の彼女と別れの挨拶をして教えてもらった宿に向かう

 

 

 

「ここか、、」

 

教えてもらった宿の前についた、すると中から金髪のパルゥムの少年が出てきた

 

ガレスは赤髪の受付嬢から聞いていた「金髪」の特徴を思い出し彼がフィン・ディムナであることに気づいた

 

が、パルゥムであることに少々驚いた

 

「おぬし!ロキファミリアのフィン・ディムナか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は宿を出たとたんに、声をかけられた

 

「おぬし!ロキファミリアのフィン・ディムナか!?」

 

声のほうを見るとそこには一人のドワーフが立っていた

 

「ん、そうだよ。君は誰だい?」

 

(パルゥム)に声をかける人は珍しい

またそれがドワーフとなればなおさら

 

「ワシはガレス・ランドロック。今日オラリオにきてファミリアを探しているところじゃ」

 

彼、ガレスはそう言ってこちらに歩み寄ってきた

 

その体は僕の何倍もあり、その筋肉をみるにドワーフの中でも相当強い人なんだろうなと思った

 

恩恵をもらうと見た目がすべてではないけどね

 

「そうかい、それで僕たちのファミリアに入りたいと、、?」

 

ありえないと思ったが、彼が声をかけてきた時の言葉を考えたらそう思わざるをえない

 

「おぉ、そのつもりじゃ。ワシは強いやつを求めてオラリオに来た。

だが、最初から強いファミリアに入るのは面白くないと思ってな。

だから最初は出来立てのファミリアから初めて強くなっていこうと思ってたのじゃ」

 

ガレスは熱を込めてそう語る

 

「じゃが、、」

 

顎に手をあてて、考え込む

 

「お主はパルゥム、パルゥムは弱い

そのパルゥムが何を目指して冒険者のになった?」

 

僕はガレスに好感がもてる

 

僕に普通に話してくれてその上パルゥムであることを正面から考えてくれている

 

強さを求めるところには共感も持てる

 

だから、僕の身に余る願いを伝える

 

「僕もガレスと同じだ。強さを求めてこのオラリオに来た

パルゥムを復興させるためにね」

 

そして、ガレスの顔を見据えて

 

「僕はこのオラリオで頂点を目指す」

 

ガレスは目を見開いて

 

「ガッハッハッハ!!面白い!

パルゥムがそんな大層なことを目指すか!

フィンよ!自分が何を言っておるのかわかっているのか!」

 

「当たり前だ。僕はこれでも男だからね」

 

すると、また大きく笑い出し

 

「気に入ったぞ!フィンよワシをお主のファミリアに入れてくれ!

お主と共に頂点を目指そうぞ!!」

 

 

 

 

 

こうしてロキファミリアに二2人目の眷属がやってきたのでした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!フィンくん!それとこの前のおじさん!」

 

僕とガレスはロキに恩恵をもらったあと一晩過ごした

 

ガレスは酒豪でロキもなかなか酒に強かった

 

この調子でいくと僕が故郷から持ってきたお金がすぐ底をつく

 

はやくダンジョンで稼げるようにならないと

 

そう思い、ガレスとともにダンジョンに潜る前にギルドに来た

 

「やぁ、モミジ、しっかり勉強はしているかい?」

 

相変わらずそのシッポを振り回して

 

「もっちろん!もうフィンくんにも負けないからね!」

 

横でのけ者にされていたガレスが

 

「なんじゃ、お主ら知り合いじゃったのか」

 

とぼやいた

 

 

 

 

 

 

 

 

モミジと軽く話したあと僕らはダンジョンに向かった

 

今日のダンジョンは人が少ない

 

むしろいないと言ったほうがいいかもしれない

 

ダンジョンの構造的に一階層が一番小さいので

 

戦闘音が聞こえてこないのは珍しい

 

まぁ、別にいいか

 

僕たちの経験値(エクセリア)もかせげるしね

 

そう思い隣のガレスを見上げる

 

「ガレスは斧を使うんだね」

 

ガレスがもっているのはドワーフがよく使う大きな斧だった

 

「そうじゃ、これで何が来てもぶった切ったるわい」

 

僕らは談笑しながらダンジョンの中を進む

 

やっぱりガレスは僕に普通に接してくれる

 

凄いやりやすい

 

その瞬間僕の親指がうずいた

 

「?」

 

僕は自分の親指を見つめる

 

何かイヤな予感がする

 

そう

 

そんなのんきなことを考えていてダンジョンが見逃すはずがない

 

いくら一階層といえど僕は2回目ガレスに関しては初めての探索

 

危機感が、知識が足りなさ過ぎた

 

「ん?行き止まりじゃな。戻るか」

 

ガレスのその言葉が合図のように

 

 

ピシッ

 

 

ダンジョンの壁が割れた

 

そう、このルームは一階層の中でもモンスターが生まれやすく

 

駆け出しの冒険者が近づいていい場所ではなかった

 

瞬く間にルームはモンスターでいっぱいになり

 

出口からもモンスターが湧き脱出は不可能となってしまった

 

「なんじゃ!?これは!ダンジョンっていうのはいつもこんなに賑やかなのか!?」

 

焦ったガレスの声が聞こえる

 

そりゃそうだ、初めての探索でこんなの見たら誰だって焦る

 

実際僕も焦っている

 

ステイタス的には僕たちのほうが勝っているがなんせ数が数だ

 

ルームにいるのはゴブリンとコボルトだけと思っていたが

 

よくよく見ると入口の所に色の違うゴブリンが一匹混じっている

 

ルームの外からも続々とモンスターがやってくる

 

一階層ではゴブリンとコボルトしか湧かないのじゃなかったのかよ!

 

確かにゴブリンだけど色がちがうじゃないか!

 

焦りからか、言葉が荒くなっていく

 

「ガレス!ゴブリンはひっかきに、コボルトは噛みつきに気をつけろ!

あとあの奥にいる色が違うゴブリンがリーダーだ!あいつをやれば退路が開けるはず!」

 

ガレスは覚悟を決め、斧を握る力を強めて

 

「分かった!ワシの初陣がこんなに楽しい状況になるとはな!好きなだけ暴れてやる!」

 

僕はニヤリと笑う

 

きっと1人だったら早々に心が折れかけていただろう

 

だけど2人という事実が僕の不安を飛ばしてくれた

 

僕は大きく息を吸って

 

「行くぞっ!!」

 

2人そろって駆け出す

 

 

 

まだ2人は出会ったばかり、連携も何もない

 

お互いに目の前の敵を蹴散らしていく

 

小さな金色の少年は床や壁を駆け抜け一突き一突き的確に急所を貫いていく

 

大きな斧を振り回す屈強な戦士は細かい攻撃を受けながらもその豪快な一振りで敵を薙ぎ払う

 

槍と斧の二重奏

 

知らず知らず互いの背中を守るように戦う

 

そんな2人の顔には笑みが浮かんでいた

 

まるで昔からの戦友のように

 

 

 

 

「ハァッ!」

 

僕が突き出した槍は今日何十回目かのゴブリンの額を貫いた

 

「はぁ、、はぁ、、」

 

周りを見渡すとおびただしい数のモンスターの死体が転がっている

 

悪臭を放ち、胸の魔石をさらけ出し息絶えている

 

ガレスのほうを見ると

 

「ウォォ!!」

 

斧を無造作に振り回し、周りのモンスターをはじき飛ばす

 

ガレスの体はいくつもの傷ができていた

 

ドワーフならではの素の耐久が高いおかげであんな無茶苦茶な戦いができるんだ

 

僕らの周りにはほとんど敵がいない

 

ホントは数を減らして撤退するつもりだったが

 

あまりに数が多かったのでそんな暇がなく思うままに屠っていたらほとんどいなくなっていた

 

「残るはあの色違いと、取り巻きじゃな」

 

そう、残るはあのリーダーと思われる色違いのゴブリンたちだけ

 

あの色違いは頭がいいのか仲間の死体から角や爪をはぎ取り隙を見つけてはこっちに投げてくる

 

今までのような戦い方じゃすぐには倒せない、むしろこちらが大ダメージをもらうかもしれない

 

「ガレス、まず取り巻きを倒してそれからあの色違いをたたこう」

 

「よっしゃ、ワシが蹴散らしたるわ。フィンよお主がやつのとどめをさせ」

 

「分かった、じゃ行くよ」

 

僕らは残りに向かって走り出す

 

向こうは色違いが角や爪をこちらに投げて、取り巻きがそれに乗じて突進してくる

 

「あぁ!この爪鬱陶しいのぅ!」

 

そう言ってガレスは斧をふるう

 

その瞬間色違いが笑った、そんな気がした

 

ガレスが斧をふるい飛んできた爪を叩き落した瞬間

 

ガレスの横で死んでいたはずのゴブリンが4匹起き上がりガレスに飛び掛かる

 

斧を振り切った状態で避けることもできないガレスはゴブリンにつかまり身動きが取れなくなった

 

「ガレス!!」

 

それに気づいた僕はガレスの元へ行こうとしたときに取り巻きが僕の周りに陣取る

 

残りの何匹かは無防備なガレスの元へ向かう

 

「くっ!邪魔だぁぁ!」

 

僕は砲声し槍を真横に薙ぎ払い無理やり道を作る

 

「今行くっ!」

 

ガレスのほうへ駆け出す

 

しかし間に合わない

 

僕がガレスのところにたどり着くより先に取り巻きがガレスを襲うだろう

 

ガレスは飛び掛かってきたゴブリンをようやく一匹はがしたところだ

 

このままじゃガレスがっ、、

 

そして取り巻きがガレスに攻撃をしようとした、その瞬間

 

僕の親指がまた強くうずいた

 

何かと共鳴するように

 

そして

 

「「「ギッ!」」」

 

ガレスの周りのゴブリンがすべて吹き飛んだ

 

「なっ!?」

 

僕は驚きを隠せなかった

 

絶体絶命だと思われていたガレスも驚いている

 

あの色違いも口が開いている

 

「何が起こったんだ?」

 

誰もこの状況を理解できない

 

吹き飛んだゴブリンはすべて魔石を射抜かれており灰になっていた

 

その周りには氷がわずかに落ちていた

 

「フィン!何をボーっとしておる!何が起きたか分からんが今のうちにあいつを倒すぞ!」

 

そう言ってガレスは走り出す

 

そうだ、何が起きたかは分からないが今は目の前の敵を倒すことが最優先

 

取り巻きがいなくなった色違いは

 

「シャアァ!!」

 

と叫び突進してきた

 

僕とガレスは無言で目を合わせて同時にそれぞれの武器を振りかざし

 

「「そりゃぁ!!」」

 

投擲

 

色違いは僕たちがまさか武器を投げてくるとは思わず

 

驚き止まろうとする

 

だが、もう遅い

 

僕の槍が色違いの頭を貫き、ガレスの斧が体を2つに分けた

 

断末魔をあげる暇もなく色違いのゴブリンは絶命した

 

「「よっしゃぁ!!」」

 

僕たちはまた同時に声をあげた

 

ルームはゴブリンとコボルトの死体で溢れかえっていた

 

僕は魔石を回収しようと思ったがやっぱりさすがに疲れたみたいだ

 

地面にへたり込む

 

「さすがに疲れたよ、ガレスはすごいね。よくそんなに傷を受けて立ってられるね」

 

ガレスは胸を張って

 

「当たり前じゃ、お主とは鍛え方が違うんじゃ

しっかし、さすがにゴブリンどもに捕まえられたときは危ないと思ったぞ」

 

「そうだね、確かにあれは危なかったね。一体誰が僕たちを助けてくれたんだろうね」

 

するとガレスは

 

()()なのか?一階層にワシら以外の冒険者はおらんと思っていたが、

それにこんな奥のルームに」

 

確かに今日のダンジョンはあまりにも人が少なすぎた

 

ましてや、氷が落ちていたとなると魔法かもしれない

 

駆け出しが魔法を使えるのはごく一部だけだ

 

一体何が僕たちを助けてくれたのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕たちはその後魔石やドロップアイテムをできるだけ持ち帰りギルドに行った

 

「お帰り~、、ってガレス!なにその傷!フィンくんもケガしてるじゃない!」

 

ギルドにつくと早速モミジに捕まった

 

「大変大変!ちょっとギルドの医療機関でポーションもらってくるから待ってて!」

 

そう言って走り出だす

 

「元気な子じゃのぅ」

 

「そうだね」

 

僕たちはモミジの帰りを待つ間に換金をすました

 

昨日の僕のソロ探索とは比べ物にならない額が手に入った

 

特に色違いのドロップアイテムとその魔石(少し普通の魔石より黄色かった)が高い値で取引された

 

ちょうど換金が終わった時に

 

「はいこれ!ポーションだよ!はやく飲んで!」

 

勢いよくガレスと僕にポーションを一つずつ渡しせかしてくる

 

「ありがとう」

 

ポーションを飲むと疲れ切った体が回復して傷が塞がっていく

 

半分だけ飲み残りは隣でポーションを飲むガレスの特に酷い傷口にかけていく

 

「おぉ、すまんの」

 

ガレスの体もみるみるうちに回復していく

 

落ち着いたところで僕はモミジに聞く

 

「そういえば今日のダンジョンは人が少なかったんだけどどうしてか分かるかい?」

 

すると、モミジは「あっ!」と言って

 

「フィンくんたちに言うの忘れてた!

今日朝のギルドの会議で『一階層に謎のゴブリンの目撃情報が入ったから駆け出しの冒険者は注意してください』って連絡があったんだった!」

 

「そうだったんだね、、」

 

なるほど、、相変わらずモミジの頭には敵わないよ

 

頭を押さえて僕はやれやれと思う

 

しかし、『ゴブリン』だけか、、

 

僕はあの氷のことを思い出しながらガレスとともにギルドを後にした

 

 

 

 




ガレスさんこんにちはということで
どうやって仲間にしようか悩みました

原作で語られていないと思っております

なので完全にオリジナルです



次は今作のヒロイン(予定)が登場です

最初からママキャラなのかな?
ツンデレでいこうかな?

どっちにしても表現するのが難しいね!


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3人目

リヴェリアママ登場!

これで古参がそろったのでやっとオリ主出せるかな?

ママもどうやって仲間にするか悩みましたね







では、始まりです


ギルドを出た後僕らは宿に戻った

 

宿につくと

 

「お帰り~、ん?どないしたん服もボロボロで泥だらけやないか」

 

ロキが出迎えてくれた

 

「んー、その説明は後でもいいかい?まずはシャワーを浴びたいな」

 

そう言って僕とガレスは交代でシャワーを浴びた

 

その後僕とガレスはロキにステイタスを更新してもらいながら今日の出来事を話した

 

 

 

「はぁ~、そんなことがあったんか。よう無事やったな~」

 

ロキが僕の背中をなぞる

 

「1人だったら間違いなく危なかったよ」

 

ガレスは笑いながら

 

「ワシも危なかったぞ、じゃが何じゃったのかあの氷は」

 

そう、ガレスを助けてくれた氷の謎は解けないままだった

 

「まぁ、とりあえずそれは置いといて2人ともステイタス更新終わったぞ~」

 

そしてステイタスが書かれた紙を渡してくれた

 

 

 

フィン・ディムナ

 

 

 

Lv.1

 

 

 

力: I 10 → I 84

 

 

 

耐久: I 4 → I 42

 

 

 

器用: I 12 → I 92

 

 

 

敏捷: I 12 → H 101

 

 

 

魔力: I 0 → I 0

 

 

 

 

 

《魔法》

 

 

 

 

 

《スキル》

 

 

 

 

けっこう伸びたと思う

 

あれだけの数と戦うとさすがに2回目の更新ということもあってなかなか伸びた

 

トータル281かぁ

 

 

 

 

 

ガレス・ランドロック

 

 

 

Lv.1

 

 

 

力: I 0 → I 89

 

 

 

耐久: I 0 → I 80

 

 

 

器用: I 0 → I 32

 

 

 

敏捷: I 0 → I 21

 

 

 

魔力: I 0 → I 0

 

 

 

 

 

《魔法》

 

 

 

 

 

《スキル》

 

 

 

トータル222

 

ガレスもだいぶ伸びた

 

初めての探索であんな数に囲まれたらさすがに伸びないとおかしいか

 

「よし!じゃあ今日はガレスの初めての探索お疲れ様会としてパーッとするぞ~!」

 

「よっしゃ!今日も飲み比べするか?ロキ」

 

この光景昨日もみた気がするよ、、、

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

 

 

 

 

 

 

「ここがオラリオか」

 

私は1人呟く

 

フードをより深くかぶり、バベルの塔を見上げる

 

「ここにこの世界の知が集まっているのか」

 

私はこの世の森羅万象を知りたい

 

そしてこの世界の謎であるダンジョンの秘密を、未知を

 

そのためには強くあらんこと、自ら行動できる力をもたねば

 

故郷の森とは全く違う風景を眺めながら歩く

 

「しかし、ここはどこだ、、?」

 

町の風景を眺めながら歩いているとどうやら迷子になってしまったようだ

 

とりあえずあの高くそびえるバベルの塔へ向かおうとしていたのだが

 

『ダイタロス通り』なる道に入ってからというもの全く出れなくなってしまった

 

バベルの塔に向かって進もうにも道が途切れたり、分かれ道に分かれ道といった具合に全く分からなくなってしまった

 

「先ほどから強い視線を感じるが、、姿は見えないな、、」

 

迷い始めてから少しした後から途切れ途切れではあるが視線を感じる

 

果たしてそれはここの住民のものなのか、それとも、、

 

そんなことを考えているとまた行き止まりにきてしまった

 

「はぁ、まったくここは迷路か何かか?」

 

来た道へ引き返そうとしたとき

 

「まったく、ここは迷路か何かなのか?ワシにはさっぱりじゃ」

 

「そうだね、僕もオラリオにこんなところがあるなんてびっくりだよ」

 

そんな話声が聞こえてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、ここは迷路か何かなのか?ワシにはさっぱりじゃ」

 

「そうだね、僕もオラリオにこんなところがあるなんてびっくりだよ」

 

僕らは迷子になっていた、現在進行形で

 

昨日のダンジョンでのイレギュラーを乗り越えた後一晩がたち、ロキに

 

「昨日はだいぶ疲れたやろうから、今日はダンジョン探索はナシや。ゆっくり休みや」

 

と言われた

 

確かに昨日の疲れはまだ残っている

 

ここで無茶をして死んでしまったら元も子もない

 

だから今日一日はガレスと2人でオラリオを探索することにしたのだ

 

いろいろな所を回っているうちに僕たちは『ダイタロス通り』に迷い込んでしまったのだ

 

ひたすら歩き続けること数刻、そろそろしんどくなってきたところで僕らはフードをかぶった人を見つけた

 

「?君ここ(ダイタロス通り)に住んでいる人かい?もしそうだったら道を教えてくれないかな」

 

するとその人はこちらを見ず

 

「いや、私はここに住んでいない。私も道を教えてもらいたいところだった」

 

澄んだ女性の声だった

 

「だが、聞くところお前たちも迷っているところみたいだな」

 

そう言って歩き出す

 

「では私は行くぞ。こんなところに留まっていてもここから出られるわけではないからな」

 

僕たちの横を通り過ぎるとき、彼女の顔と耳が見えた

 

美しい顔立ちに尖った耳、エルフだ

 

「お前さんや、一つ提案なんじゃがワシらとともに出口を探さんかのぅ?

この時代一人で歩くのはなかなか危険だぞ」

 

ガレスは彼女の種族に気づいていない、親切で今のを口にしたのだろう

 

だが、彼女(エルフ)からしたらガレス(ドワーフ)はいけ好かない種族だ

 

こんな些細なおせっかいで対立するほど、種族間の溝は深い

 

僕たち(パルゥム)がこの世で邪魔者扱いされるように

 

案の定

 

「ふっ、野蛮なドワーフに心配されるなど私も落ちたものだな」

 

そのまま歩いていく

 

「なんじゃその態度は、人がせっかく心配してやっているというのに」

 

ガレスは憤慨した様子でそっぽを向く

 

僕は苦笑いしながら

 

「ガレスの言うとおりだよ、今の世の中物騒だからね。(エルフ)みたいな人が歩いていたら連れ去られてもおかしくないよ?」

 

「うるさい、卑小なパルゥムが私に話しかけるな。私は1人で大丈夫だ」

 

そう吐き捨てて歩いていき、じきに見えなくなってしまった

 

「ずいぶん嫌われたものだね、種族が違うだけでどうしてそこまで言えるのだろうね」

 

「あやつがエルフと分かっておったらワシも話しかけんでいたわい

あんな頭が固いやつらのことなぞ知らんわい」

 

相変わらず怒っているみたいだ

 

「まぁ、僕らも行こうかはやく出口を見つけないと夜になっちゃうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったくなんだったんだ、あのおせっかいなドワーフとパルゥムは」

 

先ほど出会った2人を思い出しながら歩く

 

高潔なエルフは粗雑なドワーフと矮小なパルゥムをきらう

 

種族間での価値観の違いによる一種の差別だ

 

その点、フィン(パルゥム)ガレス(ドワーフ)は死地をともに乗り越えたこともあってか価値観にはとらわれていない

 

だが初対面のリヴェリアにとっては厳しいことだった

 

だが

 

「しかし、世界を知りたいと言っておきながらこのざまか、、」

 

そう、この世の中を知る中でエルフだけと接していくわけにはいかない

 

早めに多種族との交流にも慣れておかないといけない

 

そんなことを考えているうちに今日何回目かの行き止まりに出会った

 

「はぁ、まったくここはいったい何なんだ?故郷の森より迷う」

 

振り返り足を一歩踏み出した、その瞬間だった

 

「ウヒヒヒ、こんなところに可愛いエルフが一人。迷子の妖精さんかなぁ?」

 

そんな下品な声が後ろから聞こえた

 

「何者だ!?」

 

振り向いた時にはすでに遅く、私はとらえられていた

 

三人の男に囲まれ私は縄で体を縛られ、口も猿轡をされてしまった

 

わけが分からず必死に暴れて抵抗していると

 

「ウヒヒヒ、暴れんなって。今からたっぷり可愛がってやるからよう」

 

そう言って一人が私の頬を撫でてきた

 

エルフは認めた者にしか肌の接触を許さない

 

私は屈辱と嫌悪の眼差しで男を睨む

 

「おぉー、こえぇー。まぁいつまでそんな顔ができるかなぁ」

 

男三人は黒ずくめだった、感じていた視線はこいつらのものだったのか?

 

そんな冷静な思考とは裏腹に三人組は私を連れて歩き出す

 

「さっき迷ってたパルゥムのガキとドワーフのジジィとはち会う前にさっさとずらかるぞ」

 

先頭のリーダーらしき男が言う

 

あの二人がこの状況を見たら私を助けてくれるだろうか?

 

先ほど初対面にもかかわらず酷いことを言ってしまった

 

向こうは私と出口を探そうとしてくれていたのに

 

そもそもあの時私が彼らとともに行けばすくなくともこんな状況にはなっていなかった

 

そんな後悔をした

 

その時だった

 

冷たい風が吹き、今日のオラリオは晴れであるのにもかかわらず冷たい雪、いや(ひょう)が降ったのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕たちは彼女と別れたあとひたすら迷子だった

 

ただただ迷子だった

 

いくら何でもそれは言い過ぎだろう、くどい、と思うだろう

 

そう、そうなんだ、もう絶望的なまでに彼は、ガレスは運がなかった

 

僕たちはガレスの行きたい方向に行くことに決めた

 

念のため一度来たところは分かるように、地面の砂利を『#』の形にしていた

 

するとどうだろう、ガレスの行く先行く先、『#』は書いてあるところばかりだった

 

右に曲がって、左に曲がって、階段を上って、降りて、、、

 

また『#』

 

しかも明らかに周りの風景は、先ほど来た場所

 

ガレスの顔を見るともうすんごい怒ってた

 

「なんじゃ!!ここの道は実は全部『#』が書いてあるんじゃなかろうか!?」

 

そんなわけない

 

だが今の僕にはそんな野暮なことを言う勇気はない

 

「そうなんじゃないかな?」

 

こう言うしかないのだ

 

そんな時だった

 

冷たい風が僕とガレスの間を通り抜け、雹が降り始めたのは

 

「なんじゃこれは?こんな天気に雹じゃと?」

 

先ほどまで怒っていたガレスにはちょうどいい冷却だろう

 

そんなのんきなことを考えていると

 

「フィンよ、この風の元へ行ってみんか?何かあるかもしれんぞ」

 

風はたくさんある通路の中から一つの道から吹いてきている

 

「そうだね。このままガレスの無い運を頼るよりいいかもね」

 

いつかの時のように親指が疼く

 

僕は風に向かって歩き出す、自分が地雷を踏んだとも知らずに

 

「誰の運が無いじゃとぉ~?」

 

「あ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ!?この風!」

 

「知るかよ!」

 

男たちが騒ぎ始めた

 

そりゃそうだろう、こんな天気に局地的に雹だなんてどうかしてる

 

しかも、時間がたつにつれて強まっている

 

まるで、発生源が近づいてくるように

 

「はやく行くぞ!」

 

私を乱暴に担ぎ走り出す男たち

 

衝撃と吹き付ける風でフードが取れる

 

視界が広がり前を向いた時だった

 

「止まれ」

 

先頭のリーダーが止まりそう告げる

 

目を凝らすと奥には人影が見える

 

その人から風が吹きつけてくるように

 

「だれだ、貴様は?」

 

リーダーが一歩前に出て暗剣を抜刀し威嚇する

 

前の人は全く動じずただ一言を口にした

 

 

 

凍れ(フロウズ)

 

 

 

その瞬間吹き付ける風が一層強く、冷たくなった

 

一番後ろで抱えられている私の、まつ毛や、髪の毛までもが凍り、吐く息は白くなる

 

一番前の男はもろにその風を浴び、凍ってしまっている

 

ほかの二人も

 

「さみぃ、、なんだこいつ!」

 

「はやく逃げるぞ!」

 

その時だった

 

「あっ!さっきのエルフじゃないかい?」

 

「あの時の生意気な、小娘か」

 

パルゥムとドワーフの二人組が現れたのは

 

「くそぉっ!さっきの迷子の二人組だ!」

 

「こうなったらやるしかねぇ、やっちまえ!」

 

私を道端に放り捨て、暗器を構え彼らに突進する

 

だが

 

「なんじゃ、お主ら。ファルナをもらっておらんのか?」

 

そう言ってドワーフが一人を軽く蹴飛ばし

 

「そうみたいだね、これなら昨日のゴブリンのほうが強いね」

 

パルゥムが、黒ずくめの男が放った暗器を軽くよけ足払いをかける

 

「まぁ、見たところ。闇派閥(イヴィルス)の下っ端っぽいし、人さらいの現行犯だし、ギルドに突き出そうか」

 

そう言って私から紐をほどき気絶している男たちに縄をかけていく

 

「君もギルドに行くかい?それとも一人でまたここを迷っていくかい?」

 

そう言って倒れている私に手を差し伸べてくれる

 

「、、、、、、、、あぁ、すまない」

 

恥ずかしさと、申し訳なさと、エルフの矜持、いろんなものが混ざり私の手はなかなか前に出なかったが

 

ようやく手を出すことができた

 

 

 

 

 

 

 

それから私たちはギルドに向かった

 

私を助けてくれた謎の人影はいつの間にかいなくなっていた

 

凍った男は、そのまま連れて行った

 

男たちを捕らえてからはすんなり出口を見つけられた

 

まるで私たちが出会うのを待っていたかのように

 

道中私は謝罪をした

 

ドワーフの壮年、ガレスは

 

「あいかわらず、エルフは頭が固いのぅ

謝罪じゃなくて、『ありがとう』の一言も言えんのか」

 

パルゥムの少年、フィンは

 

「まぁ、無事でよかったよ。君もここ(オラリオ)に来たばかりなら気を付けたほうがいいよ」

 

そう言って私の言葉を受けてくれた

 

ギルドにつき、フィンの言う通り男たちは闇派閥(イヴィルス)の下っ端だった

 

凍っていた男は二つ名もちの、Lv.2だった

 

もしこの男が凍っていなかったらフィンたちは危なかっただろう

 

しかし、Lv.2を行動不能にするほどの力をもつ人物がなぜ私を?

 

気まぐれだろうか?

 

なんにせよ助けてもらったことには礼を言いたかった

 

 

 

その後ギルドの快活な少女モミジのすすめや、フィンたちの

 

「一人は危ないし、未知を求めるのは賛同する、まだ発展途上だけど僕たちのファミリアに入らないかい?」

 

という言葉を受け、私はロキファミリアに入ることになった

 

主神ロキのセクハラには本気で殴ってしまったが楽しい生活になると思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当によかったの?」

 

 

「うん、まだいいよ」

 

 

「ふーん、いつがいいのか分からないけど私は君の言うとおりにするよ」

 

 

「ごめん、ありがとう」

 

 

「なんで謝るのさ」

 

 

「いや、なんで僕と一緒にいてくれるのかなって」

 

 

「そんなの決まってるじゃんか」

 

 

「?」

 

 

「私は君だからだよ」

 




なんかこうじゃ無い感凄い

古参三人組は昔仲が悪かったみたいですけど私のお話ではそれほど険悪ではないように
書いていきたいと思います

お話短くて申し訳ないです

次は、三人での探索をしていく予定です


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イレギュラー

三人でのダンジョン探索です

リヴェリアさんって最初から魔法持ってたんでしょうか?








では、始まりです


とある酒場にて

 

 

「いやぁ、ウチの家族も全員で4人なんかぁ

フィンが来てくれてからはやいなぁ。ウチの頑張りはなんやったんや」

 

そう言ってロキは酒瓶を振り上げ一息に飲み干す

 

フィンは神を1人と数えていいものかと疑問に思ったが、そんなことは口にしない

 

「しかし、さすがにこの人数であの宿にいつまでもお世話になるわけにはいかないよ」

 

「そうじゃな、そろそろファミリアとしてしっかり動きはじめんと何もできんぞ」

 

「あぁ、まずは資金を調達し、衣食住を確立しないとな」

 

フィン、ガレス、リヴェリアの順で言葉を交わす

 

今はロキファミリア全員で家族会議という名の宴会を開いているところだ

 

ロキはすっかり出来上がっており、ガレスは樽からそのまま飲んでいる

 

リヴェリアは水しか飲まず、フィンは軽いものを飲んでいる

 

「やっぱり、ダンジョンに潜ってお金を稼ぐところからだね」

 

そう言ってフィンはべろんべろんのロキのほうを見る

 

「ロキ、僕たちがダンジョンに行っている間にギルドで立地の良い物件を探しておいてくれないか?」

 

「おっしゃ、任せとき。その代わりしっかり稼いで来てや、けど無理せん程度にな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リヴェリアがロキファミリアに入ってから数週間がたった

 

その眷属たちは何度かダンジョンに潜り、お互いの戦闘スタイルを理解し連携をとれるようにしていった

 

しかし、そう簡単にはいかず、特にガレス(ドワーフ)リヴェリア(エルフ)が対立する

 

「お主は頭が固いと何度も言うておるじゃろう!どうしてワシの邪魔になることばかりする!」

 

「うるさい!貴様が無茶な戦いをしてるからだろう!それではフィンの負担が大きくなるだろう!」

 

間に挟まれたフィンは「ハハハ、、」と苦笑いを零す

 

彼らの戦闘スタイルはフィンとリヴェリアが索敵をし、接敵後ガレスがその耐久を活かし敵陣に突っ込み、

 

それに死角からフィンが撹乱、隙ができたところをガレスが斧で叩き込み、状況に応じてリヴェリアが杖術で相手取る

 

また、あまりにも敵が多いときはリヴェリアの攻撃魔法【ヴィン・フィンブルヴェトル】で一掃する

 

およそ、そこらのLv.1ではできない連携をしているがリヴェリアには不満がたえない

 

だが、順調にファミリアの資金は増えてきている

 

まだ、宿をお借りしている身ではあるが稼いだお金で宿代はしっかり返せるまでにはなった

 

 

 

 

 

 

 

ある日のダンジョン探索

 

 

 

 

「この6階層も慣れたものだな」

 

そう言ってウォーシャドウを屠るリヴェリア

 

6階層から現れ始める【新米殺し】と呼ばれるモンスターを杖術だけで簡単にいなす

 

「そうだね、でも油断は禁物だよ」

 

2匹のウォーシャドウを相手取っていたフィンはその手に持った槍で2匹を薙ぎ払う

 

今までフィンは防戦一方だったが突然攻撃に移ったので、ウォーシャドウたちは驚きたたらを踏む

 

大きな隙ができた片方のウォーシャドウの皿のような目に鋭い突きが入り絶命させる

 

ようやくたたらを踏み終えたもう1匹はその鋭いかぎづめを振り上げ後ろからフィンに襲い掛かる

 

そんなことには気づいているフィン振り向きざまに石突を突き出しウォーシャドウの不意をつく

 

またもやたたらを踏まされたウォーシャドウは次の瞬間フィンの槍によってその体を2つに分けた

 

刃についた血を振り払い、「ふぅ」と息をつくフィンは

 

「まぁ、物足りなくなってきたのは否定しないよ」

 

ちらりとガレスのほうを見ると「ウォォ!!」と叫びながら数匹のフロッグ・シューターちぎっては投げちぎっては投げている

 

リヴェリアと一緒にウォーシャドウの胸から魔石を取り出しながら

 

「そろそろ、7階層に行くのもいいかもしれないね」

 

7階層からは甲殻がとても固く瀕死になると仲間を呼ぶフェロモンを出すキラーアントが出てくる

 

ほかにも集団で襲い掛かってくるニードルラビットや、毒状態を引き起こす鱗粉をまき散らすパープル・モスなどが現れる

 

「あぁ、それ相応の準備をしてから行くべきだろうな」

 

そう言って立ち上がったリヴェリアは魔石をバックバッグにしまう

 

ガレスのほうはすでに終わっており、魔石すら粉々にしていた

 

「貴様!魔石を砕いてどうする!ファミリアの資金にならないだろう!」

 

ガレスは振り向き、両手をあげ首を振り

 

「いいじゃろう、別に。その分敵を蹴散らせばいいだろうに」

 

そう言ってお互いに顔を「プイッ」と背ける

 

(あいかわらずだね、、)

 

いつものように苦笑いを浮かべながら5階層に向かう階段へ歩き出す

 

「今日はとりあえず戻ろうか」

 

足を踏み出した瞬間、親指にまたあの()()がした

 

「!?」

 

フィンは足を止め自分の親指を見る

 

「どうしたんじゃ?」 「どうした?」

 

2人がフィンが足を止めたことに疑問に思い口にする

 

「いや、親指の疼きが止まらない。何か嫌な予感がする」

 

(今回の疼きはホントに嫌な感じだ)

 

「「?」」

 

ガレスとリヴェリアは()()()()というだけでフィンが足を止めることに違和感を覚え

 

「ダンジョンで嫌な予感などいつでもしているだろう、今さらそんなこと気にしたって仕方がないぞ」

 

「そうじゃ、そんなもんワシが蹴散らしちゃるわい」

 

と言い放ち2人は歩き出す

 

しかし、フィンの嫌な予感は的中した

 

 

 「グォォォォ!!」

 

 

「ドドドドドドド、、」 と凄まじい音が6階層の奥からだんだん近づいてくる

 

 

「「「!?」」」

 

 

モンスターの重なる声に驚き3人は急いで振り向く

 

後ろを振り向くと、6階層にいるモンスターのほとんどだろうか、大量のモンスターが押し寄せてきた

 

まるで何かから逃げるように

 

「なんじゃこいつら!?」

 

斧を構え、驚きを口にするガレス

 

「しるか!とにかく逃げるぞ!この量を相手していたらキリがない!」

 

そう言って足早に5階層の階段に向かって走り出すリヴェリア

 

「おい!フィン!何してる!早く逃げるぞ!」

 

圧倒的な物量を前にフィンは一歩も動かないでいた

 

(こいつらが逃げている理由、それがきっと疼きの正体だ)

 

槍を地面に突き刺し、フィンは叫ぶ

 

「ガレス!リヴェリア!こいつらは何かから逃げてきている!僕たちはそいつから逃げることはかなわないだろう。だから僕たちはそいつを迎え撃つ!!」

 

フィンがそう叫んでいる間に、ウォーシャドウやフロッグ・シューターが次々と倒れていく

 

その体を貫いていたのは、極彩色の触手のようなものだった

 

「くっ!どうやらそのようだな、逃げるのが遅すぎた」

 

何の前触れもなく現れたそいつにリヴェリアは苦渋に満ちた顔をする

 

それは、数々のモンスターを蹂躙し、その魔石を喰らいこちらへ向かってくる

 

「強化種か、、!」

 

杖を構えリヴェリアがはその美しい顔をさらにゆがめる

 

ようやく見えてきた本体、その姿は一見ゴブリン少し大きくなったようで、いわゆるオークのようだが

 

体のつくりが違っていた

 

手はすべて触手になっており十の触手がひしめき合っている

 

また、顔の半分は花のような模様が広がっており、オークの表情を蝕んでいた

 

口からはよだれと血が垂れており、近づいてくるにつれ悪臭がたちこめる

 

そして一番目を引くのは、その胸にさらけ出された黄みがかかった魔石である

 

 

「グォォォォ、、」

 

 

先ほどの雄たけびとは違い苦しそうな声をあげるオーク

 

「なんじゃあいつは!?こんなやつ初めて見たぞ!」

 

「あぁ、誰も見たことがないだろうね。こんなやつが一度でも現れてたら目撃報告が多数上がるはずだからね」

 

この前の色違いのゴブリンのようなものと同じだろうと思うが、強さは段違いだろう

 

「リヴェリア!すぐに詠唱に入ってくれ!君の魔法じゃないと倒せない!」

 

「分かった!」

 

フィンの指示によってすぐさま詠唱に入るリヴェリア

 

あの、オークの化け物によって大量のモンスターは全滅している

 

(やつに注意しておけば、リヴェリアに被害は出ない)

 

「ガレス!二人でやつの気を引くんだ!行くぞ!」

 

「よっしゃ!あやつが魔法を打つ前にワシか粉々にしてやるわ!」

 

2人は走り出し左右から攻め入る

 

しかし、次の瞬間この場にいる全員が驚くことが起きた

 

左右から攻撃をする2人を完全に無視し、一直線に詠唱をしているリヴェリアに向かって走り出すオーク

 

「グォォォォ!!」

 

「なっ!?」

 

オークが繰り出した触手攻撃によってリヴェリアの詠唱が中断され、薙ぎ払われた触手がリヴェリアの横腹を深く殴る

 

 「ドッ!」

 

そのまま吹き飛ばされたリヴェリアは壁に衝突し動かなくなった

 

「「リヴェリア!!」」

 

まったく動かないリヴェリアに焦りを感じつつ、これ以上追撃させないように後ろから襲い掛かるフィンとガレス

 

フィンの突きを見えていないのに躱すオーク

 

そのままフィンは槍を薙ぎ払い、オークを後退させる

 

そこへ斧を振りかぶった状態のガレスが待っており重い一撃を喰らわせる予定だった

 

しかしガレスの元へやってきたオークはそのまま触手を伸ばしガレスへと放つ

 

「ぐっ!」

 

間一髪で避けたガレスはそのまま斧を振り下ろし触手へ叩き込む

 

「ギャァア!!」

 

奇声を発し切断された触手を引っ込め抑える仕草をするオーク

 

その隙をつきフィンが死角から急接近する

 

オークはフィンを完全に見失いその背中に槍による一突きを深々と受ける

 

「!?」

 

驚いたオークはそのまま前進しフィンたちから間合いをとり、怒り狂ったように叫んだ

 

「ギャオォオォ!!!」

 

見ると、ガレスによって斬られたはずの触手がニュルニュルと伸び元の長さまで戻っていた

 

「っ!やっぱり無駄か。触手が伸び縮みしている時点で何となく察していたが、、」

 

フィンはまだ疼く親指を噛みオークを観察する

 

「どうするんじゃ!フィン!このままじゃ埒が明かんぞ」

 

焦りと苛立ちからかガレスはいつもより大きな声で叫ぶ

 

「そうだね、弱点はおそらくあの魔石だろうね。それと僕たちに見向きもせず詠唱中のリヴェリアに突っ込んだことや

魔石を喰らっていたことから、魔力に敏感なようだね」

 

冷静に分析しているように見えるが内心は非常に焦っている

 

(まずいな、、リヴェリアが起きない、、一刻も早く地上に戻って手当をしないと。それにリヴェリアがいないと僕たちには決定打(魔法)がない。あの触手の猛攻のなか魔石を壊すのは厳しいだろう、、)

 

そんなことを考えている間にオークの触手は完全に伸びきり、フィンがあたえた傷も塞がってしまっていた

 

「そうじゃ!魔石が欲しいなら、ワシらがくれてやればいいんじゃ!魔石で気を紛らわしたところにやつの胸をたたく!」

 

そう言って腰に結び付けてあった魔石が入ったポーチを取り外す

 

(確かに、それはアリだがもし魔石を摂取されこれ以上強くなってしまったらもうLv.1の僕たちには対処できなくなる)

 

フィンも腰からポーチを取り出し

 

「ここが正念場か、、」

 

魔石を手に持ちガレスに向かって叫ぶ

 

「ガレス!合図したら魔石をすべてやつの手前に投げる!最初で最後のチャンスだ!絶対逃すなよ!」

 

「分かっとる!任せておけ!」

 

オークはこちらの様子を窺っており動かないでいる

 

「今だ!」

 

魔石の入った袋がオークの目の前に落ちた瞬間ガレスとフィンは左右に分かれ疾駆する

 

オークは魔石の入った袋をその触手で持ち上げ器用に開ける

 

そしてそれを口に運ぼうとした瞬間ガレスの斧が、フィンの槍が、胸の魔石を粉々にした、、、はずだった

 

いつかの色違いのゴブリンのようにオークは「ニタァ」と笑い触手を左右に薙ぎ払った

 

「「!?」」

 

反撃がくることを予想していなかった2人はまったく反応できず先ほどのリヴェリア同様吹き飛ばされ壁に激突した

 

「「ぐっ!」」

 

気絶するまでとはいかないが、しばらくは行動できないダメージを負ってしまった

 

「っ!、、モンスターが不意打ちじゃと!?しかも今のはなかなかじゃ、、」

 

耐久が高いため辛うじて動けるガレスに対して手足がピクリとも動かないフィン

 

(なんだこの一撃の重さは、、!Lv.1の僕たちじゃ勝てないのか、、!)

 

血を吐きながら滲む視界の先に見えたのは雄たけびを上げながら魔石を喰らうオークの姿だった

 

「、、まずい、このままじゃ、、勝ち目は、、ない、」

 

先ほどの一撃でこのざまだ、もう次をくらったら体が二分されてしまうだろう

 

魔石を貪るオークはこちらに目もくれない

 

今の僕たちが攻撃できない状態にあることを分かっているんだ

 

(僕はここで死ぬのか、、?)

 

フィンの思考が諦めかけた、その時

 

 

「【終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に風を巻け。閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け、三度の厳冬――我が名はアールヴ】」

 

 

美しい歌声が聞こえてきた

 

声のほうを見ると気絶していたリヴェリアが立ち上がっており、杖を地面に突き立て額から血を流しながら詠っていた

 

魔石を貪っていたオークも魔力の流れに気づき顔をあげる

 

魔石によりリヴェリアの詠唱に、魔力の流れに気づけなかったオークは「グゥォォオ!」と声をあげリヴェリアに突進する

 

しかし、すでに詠唱は完成しており、リヴェリアは目を見開き砲声する

 

 

「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」

 

 

その魔法は全てを凍らす吹雪を引き起こし、オークの触手を次々と凍らしていく

 

まるで、そこだけが氷河期になったかのように巨大な氷が発生し気温が一気に下がる

 

壁や床は完全に凍り、銀色の世界が瞬く間に広がった

 

「グ、グォォ、、」

 

触手は完全に動きをとめ、足も動かなくなり次第に体全身が凍てつき動かなくなってしまった

 

これこそが、下界の子供たちがもつ決定打(魔法)、Lv.差を覆し戦況を一変させる力

 

さらに、マジックユーザーであるエルフの魔法は先天性であり基本強力な魔法

 

そんなものをまともにくらえば、いくら強化種とはいえ効かないはずがない

 

「ハァッ、、ハァッ、、」

 

精神力(マインド)を大量に消費し息を荒げるリヴェリア

 

「ナイス!リヴェリア!」

 

フィンはようやく立ち上がりかじかむ手で槍を強く握りしめ氷漬けにされたオークに向かってとどめを刺すため歩き出す

 

しかし、先ほど大量に魔石を喰らったオークのポテンシャルはLv.3に迫っており、その身を震わせ氷を打ち砕こうとしていた

 

「「「!?」」」

 

その場の全員が驚き、フィンとガレスは足早に胸の魔石を目指す

 

徐々にオークから氷が剥がれ落ち、ところどころ皮膚があらわれ触手が伸びてきてフィンとガレスの行く手を阻む

 

「くそっ!」

 

(このままじゃ間に合わない、、)

 

触手を辛うじていなし前に進む2人だったが間に合わない、そう思われた時だった

 

フィンの親指が共鳴するように強く疼いた

 

そして、ダイタロス通りで聞いたあの声が響く

 

 

 

凍れ(フロウズ)

 

 

 

この前の時とは比較にならない寒波がオークを襲い、リヴェリアの魔法を手助けするように氷が覆いかぶさる

 

再びオークは身動きが取れなくなりその身を、時を凍らせた

 

「これは、、」

 

「凄まじい威力じゃ」

 

「こりゃ凄いね」

 

リヴェリアが呟き、ガレスが賞賛し、フィンが苦笑する

 

オークとは違う意味で体の動きを止めていた3人

 

静寂が支配していたこのルームで

 

 

ジャリッ

 

 

と音がした

 

全員が振り向き、目にしたのは

 

ほっそりとした体に中性的な顔立ちの少年だった

 

彼の髪は暗い藍色で、その肩には少年と同じ髪色の、薄い青色の羽が生えた小さな妖精がちょこんと座っていた

 

目を何度かさまよわせた少年は口を開いた

 

 

 

 

「あの、、大丈夫ですか?」

 

 

 

 

 

 

 




はい、引きこもりのオリ主ようやく出てきてくれました

まぁ、ちょっとなんですけどね

リヴェリアさんの魔法はそれぞれ第一階位だけ使えることにしておきます

Lv.1から魔法3つ使えるなんてだいぶすごいですけど、ハイエルフなんで、ってことにしておいてください

きっと、故郷の森で沢山特訓してたんだろうなぁ


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邂逅

やっと出せました、オリ主

いろいろ書きたいことはあるんですが、自分の国語能力の無さに落胆してます

モミジレベルです






では、始まりです


「あの、、大丈夫ですか?」

 

先ほどの詠唱の時の声音とは違う少しおどおどしながらその少年はたずねる

 

フィンたちは足音の正体がモンスターではなかったことに安堵する

 

「あぁ、なんとかね。君のおかげで助かったよ、ありがとう」

 

この魔法がなければフィンたちは氷を破ったオークになすすべなく蹂躙されていただろう

 

ガレスが一歩前に出て疑問を口にする

 

「助けてくれてありがとうな。1つ聞きたいことがあるんじゃが

もしかしなくても以前ダンジョンでワシとフィンを、ダイタロス通りでリヴェリアを助けてくれたのはお主か?」

 

色違いのゴブリンと戦った時確かに今の魔法と同質の氷が落ちていた

 

それに、リヴェリアを助けたあの時の魔法と今の魔法は同一だ

 

その少年は右手で頬をかきながら

 

「うん、そうだけど、、そうじゃないともいえるかな?」

 

曖昧な返事にフィンたちは首をかしげる

 

「それってどういうい、、、」

 

「そんなことより」

 

フィンがその含みのある言い方についてたずねようとした時、少年の肩にいた妖精が羽を動かし飛び立った

 

その容姿は可憐で、彼女の周りにはキラキラとしたダイアモンドダストが舞っていた

 

「今はまず地上に戻ることが先決でしょ。そちらのエルフさんも限界でしょうし」

 

リヴェリアのほうを見ると、オークの一撃と魔力の大量消費により体力も精神力(マインド)も底をつきかけていた

 

「、、そうだね。早く戻ろうか」

 

 

 

 

 

 

 

氷漬けのオークから魔石を回収し僕たちは地上へ戻った

 

途中リヴェリアの限界が来て壁にもたれかかってしまった

 

今回の戦いで一番ダメージが大きいのは彼女だろう

 

しかし、ガレスもフィンも体力的に限界が近いのを理解した少年がリヴェリアに肩を貸した

 

普通エルフは他人との接触を嫌うがこの時のリヴェリアは意識が朦朧としていたので、まったく嫌がるそぶりを見せず少年に体重を預けた

 

その様子を見てガレスとフィンは目を丸くしてから

 

「そうとう限界だったんだね」

 

「そうじゃな」

 

と苦笑していた

 

地上に戻りギルドに事の顛末の報告と治療を受けに行った

 

報告を受けたモミジは急いで上司に報告しに行き、すぐに戻ってきて

 

「今回のことは他言無用だって。上司の上司から言われた」

 

と口にした

 

まぁ、上層にLv.3相当の強化種が出るなんて異例だからしょうがないと思う

 

フィンが報告している間にガレス達は治療を受けに行った

 

ガレス達が治療を受けるそばで少年は顔を曇らせながら佇んでいた

 

その肩にはあの小さな妖精はいない、人目から隠れているようだ

 

治療後、リヴェリアの体調も少し良くなり全員絶対安静を言い渡されいつもの宿に戻り、今に至る

 

 

 

「そーかー、そんなことがあったんかー」

 

ロキの間延びした声が響く

 

ここは、ロキファミリアが借りている宿、もともとそれほど大きくない宿のため二階部分はロキファミリアの団員で占領してしまっている

 

今はそのうちの主神の部屋にロキとフィン、少年、それと妖精がいた

 

ガレスとリヴェリアは自室で休んでいる

 

「じゃあ、お疲れのところ悪いんやけど、現状整理といこうか」

 

そう言って、少年たちのほうを見る

 

「まず、自分らの名前教えてもろてええか?」

 

少年は頷きその口を開く

 

「僕の名前は『リオ』で、彼女が、」

 

「『ルナ』よ。よろしくね」

 

少年と妖精、リオとルナはフィンに向かって続ける

 

「君の名前も聞いていいかな?」

 

「あぁ、そうだね。僕もまだ名乗ってなかったね。僕の名前はフィン、フィン・ディムナだよ。こっちが僕の主神ロキだ」

 

「ロキや。ロキたんって呼んでくれてもええんやで」

 

沈黙が流れる

 

リオとルナは苦笑を浮かべて、どう反応したらいいか迷っている

 

フィンはそんな空気の中

 

「んんっ、、リオ、ルナ。いくつか聞いてもいいかい?」

 

「いいよ」

 

ロキを完全に無視してフィンはたずねる

 

「ダンジョンで聞きそびれた、『そうだけど、そうじゃない』ってどういいう意味だい?僕たちを助けてくれたのはキミだろう?」

 

そう言うと、リオはまた右手で頬をかきながら

 

「そうだけど、、()()()じゃないかな」

 

またしても曖昧な表現にフィンは「?」を浮かべていると

 

「それは、私が説明するわ」

 

リオの肩から空中に飛んだルナが口を開く

 

「確かにあの時詠唱を口にしたのはリオだけどね、魔法を放ったのは私よ」

 

「どういうことだい?」

 

あいかわらず疑問が浮かぶフィンにルナは説明をする

 

「リオはね生まれつきその体に大量の魔力を持っているの。だけどそれを制御できるかって言われると別よ」

 

当の本人はしょんぼりした顔を下に向けている

 

「そこでね、私がリオが溜める魔力を形にして外に放出するってわけよ。まぁ、リオがいないとなせる業じゃないから実質リオがあなたたちを助けたといってもいいんだけど、、」

 

ルナがそう言ってリオのほうを見ると

 

「そんなことないよ、それだったらルナの技術がなかったら僕は魔力暴発(イグニス・ファトゥス)を引き起こしてるよ」

 

「こんな感じなのよ」

 

「理解したよ、キミたちの人柄も多少ね」

 

いつもの苦笑いを浮かべるフィン

 

「で、ホントは一番最初に会った時に聞きたかったことを聞いていいかい?」

 

「いいわよ」

 

「ルナ、キミはどういう存在なんだい?妖精なんて初めて見たよ」

 

「まぁ、普通そうよね。私を見て普通に喋っているあなたたちに最初はびっくりしたわよ」

 

ルナは大きく旋回しながら部屋を飛び回りその羽からキラキラとダイアモンドダストを振りまく

 

「私は下位精霊よ、それとリオのお手伝い役?かしら」

 

「「精霊!?」」

 

ロキとフィンの言葉が部屋に響く

 

「自分普通の子ちゃうと思っとたら、精霊やったんか!?そりゃ雰囲気ちゃうわ」

 

ロキが目を丸くし

 

「精霊がどうして?」

 

フィンが新たな疑問を口にする

 

「答えてあげてもいいけど、その代わり私たちのお願いを聞いてもらえるかしら?」

 

「ん、僕たちにできることなら」

 

命の恩人であるリオたちの頼みを断れるわけがない

 

「私たちがダンジョンに潜る目的はね、モンスターを屠ることじゃないの。」

 

「?」

 

今日何度目かの疑問を浮かべるフィン

 

「私たちの目的はね、、」

 

一つ間を置き、ルナは口を開く

 

 

「リオの記憶を取り戻すこと」

 

 

リオはその言葉に顔を下に向ける

 

ルナはリオの肩に座り隣のリオの頭を撫でる

 

「リオは私と出会う前までの記憶が一つも残ってないの、、、いいえ、正確には記憶の欠片は残っているのかしら。」

 

「それは僕が話すよ、ルナ」

 

ルナに撫でられたままの頭をあげて続けるリオ

 

「僕がルナと出会ったのはダンジョンの中だった、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは、、?」

 

あたりを見回すとそこは薄暗い森の中だった

 

キョロキョロと見回していると

 

ズキッ、と頭が痛んだ

 

「っ!?」

 

不意の痛みに頭を押さえうずくまる

 

瞬間、様々な情景が頭の中をよぎる

 

クリスタルが輝く天井、とてつもなく大きい白い壁が立ちはだかる空間、木々がひしめく場所

 

場面が途切れ途切れすぎて形にならない

 

しかし、一番最後に見えたのは、金髪の男がこちらに向かって何かを言い放ちその手を振り上げたところだった

 

「ハァッ、、ハァッ、、」

 

体中から汗をふきだし、動悸が激しくなる

 

「今のは、、?」

 

思い出そうとしても、頭が痛み思い出せない。が、最後の金髪の男だけは見えてくる

 

「だれなんだ、あいつは?」

 

頭が痛むので思い出すことを放棄して地面に座り込む

 

「いったい、なんなんだ?」

 

そこで、ガサッと音がなった

 

「!?」

 

音のしたほうを見ると、草むらから牛の顔を持つ巨躯が現れた

 

「ヴォォォ!!」

 

「なっ!?」

 

現れたのはミノタウロスだった

 

ずんずんと迫ってくるミノタウロスに原始的な恐怖を覚え座ったまま後退する

 

「く、くるな!」

 

僕ははたから見たら滑稽な体勢で後ろに下がる

 

ミノタウロスが言葉を理解するはずもなく、また理解しても止まるはずがなく

 

追い詰められた獲物をみて獰猛な笑みを浮かべる

 

「ヴォォォ!!」

 

その剛腕を振り上げて獲物を押しつぶそうとする

 

「くるな!!」

 

もう一度大きく叫び、右手を上げた

 

その瞬間右手から放射状の冷気が伸びミノタウロスを包み込む

 

「ヴォ!?」

 

突然の冷気に驚きその身を固めるミノタウロス、そのまま氷に身を包まれ体を動かしたくても動かせなくなってしまった

 

「!?」

 

冷気を放ったことに驚く、しかしミノタウロスを固めた冷気は勢いを緩めず逆にどんどん強くなっていく

 

「っ!止まらない!?」

 

右手が自分の発する冷気に耐えられずに赤くなって、感覚がなくなっていく

 

自分の発する力でやられるなんて馬鹿馬鹿しすぎる

 

だけど、それをおさめるすべを知らない

 

「くっ!なんなんだこの力は!?」

 

自分の知らない力は暴れはじめ、周りの木々をも凍てつかせる

 

すでに氷の彫像となってしまったミノタウロスを放っておき自分の右手を見つめた

 

周りの気温も下がり、吐く息も白くなり体も震えだした

 

自身の体も限界に近づき意識が飛びかけそうになったその時

 

 

「静まれ」

 

 

そんな声が聞こえた

 

瞬間、さっきまでの冷気が嘘のように収まり、辺りは静寂に包まれた

 

「大丈夫?」

 

声がしたほうを見るとそこには、小さな少女が宙に舞っていた

 

その容姿は可憐で思わず息をのむほどの美しさで、さらに目を引くのはその背から生えている薄い青色に輝く羽だった

 

「、、妖精?」

 

先ほどまでの冷気により体はまだ震えていたが、驚きのほうが勝った

 

「、、ええ、そうよ。厳密には違うけれどね。それに喋れるようなら大丈夫そうね」

 

妖精はキラキラしたものを振りまきながらこちらに近づいてくる

 

目の前で器用にホバリングしその小ぶりな口を開く

 

「あなた、さっきの魔法はなに? 全然制御できてないじゃないの」

 

そう言って、僕の凍傷になりかけている右手を見つめる

 

「魔法?今のは僕も知らない力なんだ。」

 

僕がそう言うと

 

「知らない、、?どういうこと、フィネガス」

 

彼女は僕に聞こえない声で何かを呟いた

 

「?」

 

僕が彼女の動きに疑問を覚えていると

 

「何でもないわ。それよりあなた、どうしてこんなところにいるの?」

 

「気が付いたら、ここにいたんだ。どうしてこんなところにいるかこれまでのことが全く思い出せないんだ」

 

すると彼女は眉間にしわを寄せて

 

「思い出せない?あなた自分の名前は分かるの?」

 

僕はその言葉に考え込み、不意に、あの金髪の男が僕に言い放っていた声が蘇る

 

 

 

「リオ!出来損ないはもう用済みだ!」

 

 

 

そこまで思い出したところで頭がズキと痛む

 

「、、リオ、それが僕の名前?」

 

「リオ、ね。私はルナよ。あなたここがどこか分からないのよね」

 

僕はその言葉に頷く

 

「ここはね、ダンジョンよ」

 

「ダンジョン?」

 

「そんなことも忘れちゃったのね、、、」

 

そしてルナは僕の周りを飛び回り始めた

 

「しょうがないわね、私があなたの面倒を見てあげるわ。ここにほっておいたら死んでしまいそうだもの」

 

「いいのかい?ありがとう。、、だけど見ず知らずの僕にどうして?」

 

「どうしてって、、ほっといたら死んでしまいそうな人を見殺しにはできないでしょう」

 

そう言ってルナは僕の目の前で滞空する

 

「まぁ、あなたの記憶が戻るまでよ、基本(妖精)は人前に姿を現さないからね」

 

「分かったよ。じゃあ、これからよろしくお願いします。ルナ」

 

「よろしくね。リオ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

、、こうして僕はルナにこの都市(オラリオ)のことやダンジョンのことを教えてもらいながら記憶を探しているんだ」

 

「フーム」とロキが腕を組み唸っている

 

「それでどうしてダンジョンで記憶が戻ると思っているんだい?」

 

フィンが疑問を一つ口にすると、ルナが答えを返す

 

「それはいくつか理由があるわ。まず、リオが倒れていた場所が18階層だったこと。18階層の森の中だったわ。それにリオの記憶の欠片では大きな壁が出てきたの。それは嘆きの大壁よ。それにね」

 

そこでルナは一度声を止めフィンのほうを見る

 

「あなたたちを襲った色違いのモンスター、あれはリオを狙っているのよ。そんなところに何もないなんてあるわけないじゃない?」

 

フィンはその言葉に驚きを隠せない

 

「最後の理由はダンジョンというよりここ、オラリオなんだけどね」

 

「どういうことだい?」

 

すると、リオが顔をあげてフィンを見つめる

 

「それは君だよ、フィン。君の存在さ。僕の最後の記憶、金髪の男、彼はとても君に似ている。少し違うから君じゃないと思うけどね。それに、ダンジョンで初めて君を見つけた時、頭に何かよぎったんだ『彼が記憶を取り戻すカギになる』ってそんな感じにね」

 

そう言って、リオは手をフィンに向かって手を伸ばす

 

すると、フィンの親指が疼き始めた。ダンジョンの時と同じように、共鳴するように

 

「これは、、あの時と同じ、、」

 

嫌な感じはしない疼きだ

 

フィンはリオの手に自分の右手を重ねる

 

瞬間、リオとフィンの頭に一つの光景が流れる

 

 

とある一つの部屋

 

その中には黒ずくめの人が複数人いた

 

彼らの中心にあるのは奇妙な色、極彩色の色をした花のようなものが蠢いていた

 

そして部屋の隅、そこには鎖につながれたゴブリンや、檻に入れられた様々なモンスターがいた

 

そこで、一人の男の声が聞こえる

 

「ハッハッハ、これで俺らは完璧に近づく!これで彼女は!神をも超える存在に、、!」

 

その男はフードをとりその金色の髪をあらわにする

 

そこで隣の人物が声をあげる

 

「必ず見つけろよ、彼を。彼は出来損ないなんかじゃない。ここに必ず必要な素材だ」

 

そう言ってそのフードをとり翡翠色の髪を肩に落とした

 

 

 

そこでその光景は途切れた

 

「、、今のは?」

 

フィンは目をパチクリさせリオにたずねる

 

「今のはおそらく、僕と君の()()が共鳴して今のを見せたんだろう。きっと僕と君にかかわることだ」

 

フィンは疼きがいまだに収まらない自分の親指を見つめる

 

(僕とリオの共通点?記憶の中に出てきた金髪の男、、まさか()()()が、、)

 

フィンが一人固まっていると

 

「そこで僕たちからのお願いなんだけど、僕たちと一緒に18階層に行ってくれないか?僕が目覚めた後いったん地上に戻ったんだけど、その時はねなぜかモンスターが全然いなかったんだけどね。もう一度18階層に行こうとしたんだけど、僕たちだけの力じゃどうしようもなくてね。特にあの色違いとかね」

 

フィンはそのお願いに断るわけもなく

 

「もちろん、僕も君とのかかわりについて知りたいと思っていたところだし。それにダンジョン探索するうえで戦力が増えるに越したことはないからね」

 

「「ありがとう」」

 

リオとルナは声を合わせて礼を言う

 

そこでフィンは提案を思いついた

 

「リオとルナはどこのファミリアにも属してないんだよね?」

 

「ええ」

 

「うん」

 

「なら僕たちのファミリアに入らないか?一緒に冒険する仲間(家族)として歓迎するよ」

 

そう告げると、

 

「いいのっ!?」

 

とリオは目をキラキラさせて食いついてきた

 

ルナはそんなリオの様子を見て「やれやれ」と手をふっている

 

「僕ダンジョンで見かける冒険者に憧れていたんだ!あの仲間って感じ賑やかで楽しそう!もちろんルナは大切な友達で仲間だけどね!ファミリア、家族って憧れてたんだ!」

 

そこで、ひさしぶりにロキが口を開いた

 

「おうおう、こんなカワイ子ちゃんたちやったらいつでも大歓迎やで!」

 

リオとルナは若干引き目に見ながら

 

「「ありがとうございます」」

 

と声をそろえた

 

 

 

 

 

 

 

フィン・ディムナ

 

Lv.1

 

力: G 231 → E 402

 

耐久: G 217 → F 367

 

器用: G 209 → F 356

 

敏捷: G 223 → E 423

 

魔力: I 0 → I 0

 

 

《魔法》

 

 

 

《スキル》

 

共鳴(レゾナンス)

 

・一定条件下で発動する

 

・発動時、危機察知能力上昇。パーティーメンバーのアビリティ微補正

 

 

 

ガレス・ランドロック

 

Lv.1

 

力: G 256 → E 467

 

耐久: G 261 → E 498

 

器用: G 204 → F 349

 

敏捷: H 198 → G 276

 

魔力: I 0 → I 0

 

 

 

《魔法》

 

 

 

 

 

 

 

 

《スキル》

 

 

 

 

 

 

 

リヴェリア・リヨス・アールヴ

 

Lv.1

 

力: H 188 → G 257

 

耐久: H 147 → F 364

 

器用: G 204 → F 349

 

敏捷: G 258 → F 302

 

魔力: G 265 → E 407

 

 

《魔法》

 

 

 

 

 

【ヴァース・ヴィンドヘイム】

 

 

 

・攻撃魔法

 

 

 

・詠唱連結

 

 

 

・第一階位(ウィン・フィンブルヴェトル)

 

 

 

・第二階位

 

 

 

・第三階位

 

 

 

 

 

【ヴィア・シルヘイム】

 

 

 

・防御魔法

 

 

 

・詠唱連結

 

 

 

・第一階位(リヴ・イルシオ)

 

 

 

・第二階位

 

 

 

・第三階位

 

 

 

 

 

【ヴァン・アルヘイム】

 

 

 

・回復魔法

 

 

 

・詠唱連結

 

 

 

・第一階位(フィル・エルディス)

 

 

 

・第二階位

 

 

 

・第三階位

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《スキル》

 

 

 

妖精王印(アールヴ・レギナ)

 

・魔力のアビリティ強化。自身の魔法円内に存在する同族種の魔法効果を増幅させる。自身の魔法円内で消費された同族種の魔素をマインドに変換して吸収する

 

 

 

 

リオ

 

 

Lv.1

 

力: I 76

 

耐久: I 67

 

器用: I 78

 

敏捷: I 45

 

魔力: D 589

 

 

《魔法》

 

【グレイシア】

 

 

 

・詠唱文【凍れ(フロウズ)

 

 

 

・凍結魔法

 

 

 

・効果範囲内にいるものを凍結させる

 

 

《スキル》

 

 

 

共鳴(レゾナンス)

 

 

 

・一定条件下で発動

 

 

 

・発動時、パーティーメンバーの魔力高補正

 

 

 

 

 

ルナ

 

Lv.1

 

力: I 9

 

耐久: I 6

 

器用: I 12

 

敏捷: I 37

 

魔力: C 675

 

 

《魔法》

 

【リグレイション】

 

 

 

・詠唱文【我が名のもとに集え、敵を駆逐せよ】

 

 

 

・強化魔法

 

 

 

・対象魔法限定

 

 

 

・対象魔法を強化、誘導、消滅、複製、が可能

 

 

 

 

《スキル》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




投稿遅くなって大変申し訳ありませんでした!!

書きたいこと、伏線張りたくて調子乗っていろいろ書いてたら何書いてるか分からなくなって、消しての繰り返しです

語彙というか、国語能力欲しいですね

これを初めて、改めて実感しました






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行進

最近ダンまちの映画を見て二期が楽しみすぎる





では、始まりです


僕たちがロキファミリアに入団した後しばらくはダンジョンに潜れなかった

 

理由は二つあった

 

まず、リヴェリアの回復を待っていたこと

 

エルフの彼女はもともと耐久が低く、強化種の一撃でなかなかにダメージを負ってしまったこと

 

その療養に時間を割いたことだった

 

次に、ダンジョンそのものの封鎖だった

 

僕たちがオークの強化種と戦ったあとギルド、特にその上層部はその異変を調べるべく一度ダンジョンへの冒険者の侵入を禁止し、ゼウスファミリアとヘラファミリアの精鋭を送り込んだのだ

 

結果からすると、成果はゼロだった

 

異変の「い」の字もなかったらしい

 

それはおそらく僕がいなかったからだろう、ルナ曰く彼ら(色違い)は僕を狙っているのだから

 

今はパントリーや、深いところで力を溜めているのだろう

 

もう一つ、ダンジョンとは関係ないがフィンが気になることがあると言っていた

 

確か、、

 

「最近闇派閥(イヴィルス)の動きが目立つようになってきた。この前リオが氷漬けにしたやつも闇派閥だよ」

 

そう、オラリオの治安もなかなかに悪いらしい

 

正義を掲げるアストレアファミリアをはじめとした正義派閥とでもいうのだろうか、彼らの尽力によってまだ今のところ大きな被害は出ていない

 

強化種に対抗するにも、闇派閥と戦うにも力がいる、フィンはそう言っていた

 

その時の顔はどこか悲痛に歪んでいた気がする

 

僕が一人思考の海に漂っていると、横からいつもの声が聞こえてきた

 

「ちょっと、リオ。何ボーっとしてるの。あなたも自分が住む家なんだから少しは関心を持ちなさい」

 

「ごめんごめん。僕はこの家いいと思ってるよ」

 

「おっ!わかってるなリオ!ウチが選んだ家が気に入らんわけがないからな!」

 

僕たちは今ロキファミリアの拠点(ホーム)を決めているところだった

 

僕たちが入団する前にロキが拠点候補地を探していたらしい

 

そこは大きめの館だった、外見はこれといって普通の館だったが立地はいい

 

1階はずいぶん広いリビングとキッチン、2階は個室がたくさんある

 

館の形がちょうど「コ」の字になっていて、中庭には鍛錬するのにちょうどいい広さの空きがある

 

僕たち6人で住むには少々大きいとは思うが、ロキは

 

「ええんやええんや、これからもっと家族が増えても困らんやろ!」

 

「ロキ、それはいいんだけど。いくらするんだい?ここは」

 

フィンが多少ひきつった顔でロキにたずねる

 

「ん?あぁ、ローン組ましてもらったから安心せい!自分らがしっかり稼いで来たら、一年で返せる額とだけ言っておくわ」

 

「そうかい、、もう組んじゃったんだね」

 

その傍ら、ガレスとリヴェリアが口論をしていた

 

「ワシがここの部屋じゃ!異論は認めんぞ!」

 

「何を言う!貴様はあの日当たりの悪い部屋で十分だ!」

 

、、なんとまぁ可愛い喧嘩だこと

 

僕は肩に乗っているルナに

 

「楽しいね、ファミリアって」

 

「そうね。賑やかなのはいいことだと思うわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕たちは、騒がしく部屋割りを決めた後ひさしぶりに解禁されたダンジョン探索に行こうとしていた

 

ダンジョンに行く前にギルドに寄って現在のダンジョンの状況を聞きに行くことにした

 

こういった情報収集は大事だ、とリヴェリアが言っていた

 

ギルドにつくとあの赤毛の少女、モミジが瞬時に僕たちを見つけて走ってきた

 

ちなみに彼女とはもう何度か面識はある、ルナはないけど

 

ファミリアの団員登録の時とか、ダンジョンについて何度かフィンたちとたずねたことがある

 

なぜか知識は僕並みに無かったけど

 

ルナについては人目にふれると厄介なことが起きるらしい

 

ロキ曰く

 

「まぁ妖精、ましてや精霊ってなると闇派閥のやつらが黙っとるわけないからなー」

 

らしい

 

そんなことをぼんやり考えていると

 

「ひっさしぶり~!君たちが来てくれたおかげで助かったよ~」

 

と、息を切らしながらモミジがそう言う。その言葉にフィンは

 

「どういうことだい?」

 

定番の疑問を投げかける

 

「いやぁ~、上司がね山ほど仕事投げつけてきてねー、死にかけてたところなんだ」

 

やっぱりそういうことだったらしい

 

フィンはある程度予想できていたようでいつもの苦笑いを浮かべる

 

「モミジや、今のダンジョンはどんな様子なんじゃ?」

 

ガレスが声をあげる

 

するとモミジはそのしっぽをブンブン振り回しながら

 

「ギルドから発表されたように異常は全くないみたいだよ。むしろモンスターがいつもより少なくて取り合いがあるぐらいだって」

 

モンスターが少ないのはおそらく強化種が力を得るためにモンスターたちを喰らっているだろう

 

異常ありありじゃないか

 

 

 

 

 

 

その後僕たちは仕事に戻りたくなくてフィンに抱き着いていたモミジと別れてダンジョンに行った

 

 

 

「、、ひさしぶりじゃな」

 

「そうだね」

 

「次は必ず凍らせる」

 

 

 

ガレス、フィン、リヴェリアの順で真っすぐ前を見据えながら口を開く

 

いつの間にか出てきていたルナは

 

「気合入ってるわね、私たちも頑張らないとね」

 

「そうだね、僕も頑張らないと」

 

こうして気持ちを一つにしたロキファミリア一行はダンジョンを進む

 

 

 

 

6階層

 

とあるルームにて

 

 

ここに至るまでに数々のモンスターを倒してきたが、フィンたちに疲れは全くみえない

 

最後のウォーシャドウを真っ二つにしたガレスは一つ落胆のため息を零す

 

「ここのやつらこんなに骨がなかったかのぅ?」

 

その言葉にフィンはその槍の先についた血を「ビュンっ」と振り払いながら

 

「そうだね、この前の強化種と戦ったおかげで僕たちのステイタスがだいぶ伸びたからね」

 

そう言って魔石を回収し始める

 

その作業は基本フィンとリヴェリアが行っている

 

ガレスが魔石を回収をしないのは、彼がモンスターを抉るときに不器用すぎて何度も魔石を砕いてしまっているからだ

 

そして今日からはリオとルナも魔石回収を手伝っている

 

リオたちは器用なので、回収スピードが格段に上がり早く次の行動に移れるようになったのだ

 

「ともあれ、早く強くなって18階層に行けるようにならないとな」

 

魔石をすべて回収し立ち上がったリヴェリアはほこりを払う

 

リヴェリアとガレスはすでにフィンとロキからリオの記憶について聞いていた

 

2人は命の恩人がそういった状況にあることを聞きフィンと同様に協力的な姿勢をみせた

 

リヴェリアにいたっては

 

「魔法が制御できない?なら私が教えてやろう」

 

と意気込んで本屋で魔法書を読み漁っている

 

リヴェリアと同じく魔石を回収しバックバッグにしまったリオは一つ息をつく

 

「みんなすごいね、僕はもう疲れてきたよ」

 

言葉の通り顔に疲労の色を浮かべているリオ

 

実際フィンたちとリオとルナには大きいステイタスの開きがある(魔力は除くが

 

恩恵を授かったタイミングやモンスターとの直接戦闘経験が全然違うのだ

 

そんな事情はもちろん団員全員が知っているので気をつかってダンジョンを進んでいるがどうしても疲労の差は出てきてしまう

 

「なんじゃ、情けないのぅ。それでも男か」

 

ガレスにそう言われたリオはしゅんとした

 

「まぁ、そう言ってあげないでくれガレス。リオだって頑張ってるんだから」

 

「脳筋の貴様と同じにするな」

 

すかさずフィンとリヴェリアのフォローが入りリオは顔をあげる

 

フィンはその場に腰を下ろし続ける

 

「まぁ、そろそろ休憩(レスト)をはさむべきだとは思っていたからね。これから7階層を攻略するからそれについても話しておきたいしね」

 

そう言って、ルームの壁を魔石回収用のナイフでガリガリと削る

 

この作業はルームで休憩(レスト)とるときに重要な作業だ

 

ダンジョンの壁や床を削ることでダンジョンはモンスターを産み落とすことよりも壁や床の修復を優先しルームはしばらく安地になるのだ

 

慣れた手つきで壁を削るフィンに倣いリオは壁を削り始める

 

一通り壁を削り終えた一行はルームの入り口に目を向けながら7階層進出に向けて会議を始めた

 

団長であるフィンを中心に話が進む

 

「7階層からはモンスターがより群れを成してやってくる。一匹一匹相手に手間取っていたらあっという間に敵の波にのまれてしまう」

 

7階層初出のモンスター

 

甲羅が固くなかなかダメージを与えられず、瀕死になると仲間を呼ぶフェロモンを出すキラーアント

 

天然武器(ネイチャーウェポン)を使い、または投擲してくる角が生えたウサギ、ニードルラビット

 

「そこでだ。僕とガレスが敵を食い止めている間にリヴェリアとリオ、ルナの魔法で敵を殲滅してほしい」

 

フィンは頼もしい魔導士たちのほうを見る

 

6階層までは杖術でいなしてきたリヴェリア

 

「ようやく私の本職だ」

 

しばらくサポーターとして働いてきたリオとルナ

 

「僕にできるかな、、」

 

「きっとできるわ、私がついているもの」

 

今まで、フィン、ガレス、リヴェリア、の3人だったときはリヴェリアの精神力(マインド)や魔法発動のインターバルを考えて7階層進出を先送りにしてきたが、リオとルナが仲間に加わったおかげで一歩踏み出すことができるようになったのだ

 

「その前にワシが全部倒してやるわい」

 

不敵な笑みを浮かべて新たな敵に期待をしているガレス

 

「そうだね、この前の強化種に比べたらって考えるとね。けど油断は禁物だよ」

 

「分かっておるわい」

 

そしてフィンは立ち上がり声をあげる

 

「よし!行こう!」

 

 

 

 

 

 

7階層

 

 

 

「ウウオォ!」

 

ガレスの斧がキラーアントの首をはねとばし絶命させる

 

固く刃が通りにくいといわれていたキラーアントの甲殻を軽々と切り裂けたのはやはり強化種との戦いで得たステイタスの影響だろう

 

しかし軽く30は超えているモンスターを前にガレスとフィンは防戦を強いられていた

 

「リオ!ルナ!まだなのか!」

 

斧を盾にしてキラーアントの突進を防ぎ叫ぶガレス

 

フィンは的確に甲殻の間を槍で射抜き着実に数を減らしていっているが顔は苦渋の色に染められている

 

(数が多い、前衛2人でこの数はしんどいかな)

 

いくらステイタスが伸びているとは言えモンスターに物量で押されるのはキツイところだ

 

後方ではリオとルナが魔力を練り上げその周りでリヴェリアが杖術で2匹のニードルラビットをいなしている

 

魔力の高まりを感じたリヴェリアは前衛に向かって叫んだ

 

「さがれっ!」

 

その声に即座に反応したフィンたちは武器で大きくキラーアントを弾き、戻りざまにリヴェリアが対峙していたニードルラビットを仕留めた

 

 

 

凍れ(フロウズ)!!」

 

 

 

気合の入った詠唱とともにリオは右手を敵の大群に向かって伸ばす

 

そしてその先から極寒の冷気が伸びキラーアントたちを包み込む、さらにダンジョンの壁すらも凍らし産まれかけていたキラーアントすらも固まってしまった

 

一瞬にして銀色の世界になったダンジョンをみてフィンたちは呟いた

 

「あいかわらず凄いね、、」

 

(エルフ)より凄いとはどういことだ」

 

「ガハハハッ!」

 

ガレスにいたっては大声をあげて笑っている

 

「けど、やっぱりルナがいないと制御できないや」

 

そう言って自分の右手を見つめるリオ

 

「地上に戻ったらしっかり教えてやるから覚悟しておけ」

 

リヴェリアはそう言い魔石回収を始めた

 

 

 

 

 

その後しばらくは軽いキラーアントの群れと4~5回遭遇しリヴェリアとリオたちが交互に魔法を撃ち危なげなく撃破した

 

「危なかったのは一番最初だけだったね」

 

パンパンになったバックバッグを背負いながらフィンは話す

 

「そうじゃな、道中これといった変な色のやつもおらなかったしのぅ」

 

「そうだね、今日はそろそろ帰ろうか。魔石もいっぱいだしね」

 

そしてリヴェリアたちのほうを見て

 

精神力(マインド)も多くは残っていないだろう?」

 

と問う

 

「そうだな、撃てて後2発くらいか」

 

「僕も初めのでそこそこ無くなっちゃったから、、」

 

一行は足の向きを変えて、6階層へと向かう

 

そんな様子を影からこっそり見ていた者には気づかないまま

 

 

 

 

 

 

 

 

危なげなく地上に帰還したフィンたちは魔石を換金した後ヴァリスを山分けし、それぞれのやりたいことをするために一度別れた

 

具体的には、ガレスはお酒を飲みに。フィンはモミジとダンジョンについて勉強しに。リオとルナリヴェリアはホームの中庭でリヴェリアが言っていたようにリオの魔法の特訓だ

 

特訓するにあたってリヴェリアがふと疑問に思ったことがあった

 

「ルナ、リオに魔力の扱い方について教えなかったのか?」

 

そう、長いこと一緒にいるルナが先に教えていなかったことが疑問だったのだ

 

「そうね、私も最初はそう思ったけどできないのよ」

 

そう言ってピンと指を1本立てて言葉を続ける

 

(精霊)はね、魔力の捉え方があなた達とは少し違うのよ。何ていえばいいのかしら、、、私は、体外に生成される魔素を使って魔法を起こしているわ。魔素に直接干渉しているの。けど、あなた達は自ら魔力を練り上げてそれを形にして魔法を撃つでしょう?リオはその形にする部分がうまくできないの」

 

くるくる舞いながら説明する

 

「まぁ、私も全部体外の魔素で魔法を使ってるわけではないけど、要領が違うから説明が難しかったのよ。それに基本一緒にいてリオの魔法を形創っているからね、しばらくは必要ないと思っていたの」

 

リオの肩にとまりリヴェリアをみる

 

「分かったかしら?」

 

「ああ、概ね理解した」

 

リヴェリアはリオの顔を見据え

 

「私は故郷で散々魔法について習ってきた。時にはお前のような魔法がうまく使えない者の世話もしたことがある。だから安心して私の教えを覚えるといい」

 

「はいっ!リヴェリア先生!」

 

ピシっと姿勢を正して声をあげるリオ

 

その姿を見てリヴェリアは

 

「先生はやめてくれ、、」

 

と零すのだった

 

 

 

 

 

 

「フィンくーん、これ分かんないよぉー」

 

そう言って、開かれた『ゴブリンでも分かる、ダンジョンについて。その4』に突っ伏すモミジ

 

余談だが、「その10」まである

 

「頼むよ、モミジ。君がしっかりアドバイスしてくれないと僕たちダンジョンでやられちゃうよ」

 

フィンがそう棒台詞で嘆くとガバッと起き上がり

 

「それはヤダ!フィン君にはいなくなってほしくない!」

 

とさらっとうれしいことを言って本を睨むモミジ

 

しかし数秒すると

 

「だめぇ~。この文字読めない~」

 

と言って本日4度目のダウンをした

 

そんな様子を見てフィンは

 

「やれやれ、、」

 

といつもの苦笑を浮かべるのだった

 

 

 

 

 

「この酒はうまいのぅ」

 

1人酒場に入りジョッキで酒をあおるガレス

 

現在空の色は赤く染まり始めガレスのように酒を飲みにくる冒険者は少なくなかった

 

しばらく酒を飲みながら冒険者たちの会話に耳を傾けていると気になる話が聞こえてきた

 

 

「なぁ、この前ダンジョンの封鎖があっただろう?」

 

「あぁ、なんか異変が起きたからってゼウスファミリアとヘラファミリアの団長たちが確認しに行ったんだろう?」

 

「そうなんだよ!しかも上層なんだぜ。そんなとこにやつらが行く必要があると思うか?」

 

「よっぽど、どえらいことが起きてたんじゃねぇの?」

 

「それが!何もなかったんだってよ!」

 

「へぇー、そりゃよかったじゃねえか。何もないほうがいいじゃねえか」

 

「バカ!そんな訳ねえだろう?ギルドの上がもみ消したんだよ!上層にはあまりにもイレギュラーすぎることだったから。ずっとダンジョンを封鎖してるとおかしいから仕方なくダンジョンを開放したんだよ」

 

「なんでそんなことお前知ってるんだ?」

 

「ゼウスファミリアのやつらがしゃべってるの聞いたからだよ!なんとな、上層のパントリーのほとんどが同じような食い散らかした跡が残ってたんだってよ、、変な色の羽根と一緒にな」

 

「へぇー、そりゃこえぇ」

 

「お前!信じてないだろ!」

 

 

ガレスは酒をグイっと飲み干し

 

(変な色、、か)

 

一応気にはしておくべき内容を頭にとめ

 

「おやっさん!同じのもう1つ!」

 

と叫んだのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ、薄暗い部屋の中

 

 

 

 

「ゴル、彼を見つけた」

 

「何?本当か」

 

「ああ、それと一緒に面白いやつが一緒にいたぞ」

 

「?」

 

「それは連れてきてからのお楽しみってことで」

 

暗がりで男二人のそんな会話

 

その間に割って入ったのはけたたましい怪物の雄たけびだった

 

「グゥォォオ!!」

 

ガシャン!と自らを捕らえている檻を揺らし脱出を試みるが檻はビクともしない

 

「まぁ、誰でもいい。リオを手に入れれば俺たちの作戦は完成する。はやく捕まえてこい」

 

手に持つ漆黒の槍でズブっと檻の中のモンスターを黙らせる、ゴルと呼ばれた男

 

「あの日リオを逃がしたのが俺の人生で2番目の失策だな、、」

 

漆黒の槍を握りしめ、声を漏らす

 

「じゃあ、1番は何だい?」

 

「お前が知ってどうする、アーク」

 

「いや、興味本位さ」

 

威嚇するようなゴルの声に両手をあげ肩をすくめるアーク

 

そんなアークを無視し

 

「ああ、もうすぐこのオラリオを俺の、彼女のものに、、!」

 

恍惚の表情を浮かべその部屋の中心、緑のクリスタルが輝くほうを見つめた




最近花粉がひどくて朝からつらい作者です

本来1パーティーはどのくらいのペースでダンジョン攻略するんでしょうか

ベル君たちは早すぎますよね

成長系スキルほしいなーと思ったり


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特訓

やることめっちゃ増えて大変になった作者です


ダンまちの世界で精神力と魔力の違いとは?






では、始まりです


ホームの中庭にて

 

 

「まず、魔力を溜めてみてくれないか?」

 

リヴェリアによるリオの魔法特訓が始まっていた

 

ルナは少し離れたところでリヴェリアやリオが放った魔力を創り変えて遊んでいる

 

「分かった」

 

リオは言われたとおりに魔力を溜め始める

 

しばらくすると、正面に立ったリヴェリアが何度か目をそらしながら「特訓のためだ、、、」とリオには聞こえない声で呟きながらリオに近づく

 

魔力を暴走させないように集中していたリオは接近するリヴェリアに気づかない

 

「、、失礼」

 

バッとリヴェリアがリオの両手をとる

 

「!?」

 

リオは驚きのあまり魔力暴発(イグニスファトゥス)を起こしそうになったが、起きなかった

 

なぜか急に手を握ってきたリヴェリア先生を見ると顔を背けて少し頬を赤らめている

 

ルナに聞いたが本来エルフは多種族との接触を嫌うらしく、今起きていることは結構不思議だ

 

「、、どうしたんですか、先生」

 

すると、顔をそむけたまま

 

「先生と呼ぶのはやめろといっただろう。、、これは魔力の流れを私が抑えるために、仕方なくやっていることだ。、、、さっき魔力暴発(イグニスファトゥス)を起こしそうになっただろう?起きなかったのは私が魔力の流れをコントロールしたからだ」

 

熱くなっている手は、魔力の流れからか、先生の体の熱かわからない

 

「先生が急に手を握ったから魔力暴発(イグニスファトゥス)しそうになったんだよ、、」

 

そうリオが零すとリヴェリアはキッと睨み

 

「、、何か言ったか?」

 

「何でもございません」

 

死期を悟ったような顔で返すリオ

 

「故郷でもこうして魔力をコントロールして徐々に形にしていたのだぞ」

 

そう言って魔力の流れを穏やかにしていく

 

「ほら、自分の好きなように魔法を撃ってみろ」

 

目をつぶり魔力制御に集中するリヴェリア

 

リオは先生の言葉を信じ魔力を開放する

 

(真上に向かって氷柱を飛ばすイメージ、、、)

 

「【凍れ(フロウズ)】」

 

するとリヴェリアとリオの間からこぶし大の氷の渦が発生し突然ビュッと真上に氷柱が出来上がった

 

それは地面にも突き刺さりしっかり自立し、ちょうどリヴェリアの身長の2倍ほ度の高さまで伸びた

 

「!、、先生!できたよ!」

 

ギュっと握ったままの手を強く握りしめ飛び跳ねるリオ

 

「、、あぁ、私も正直驚いている。初めからこんなにうまくいった者はリオが初めてだ」

 

繋いでいる手のことも忘れ氷柱を見上げるリヴェリア

 

自分の思った通りに魔法を発動できて嬉しいリオは

 

「先生!ありがとう!」

 

と顔いっぱいの笑みをリヴェリアに向けた

 

そこでリヴェリアはようやく繋いだままの手を思い出し

 

「いつまで手を握っているんだ!?早く離せ!」

 

慌てててを離しその両手を胸に置く

 

ドキドキと鳴る胸の音を手で感じながら

 

(なんなんだ?懐かしいようなこの感覚は、、?)

 

いつか故郷で感じたような気持ちを感じて困惑が隠せないリヴェリア

 

「、、それが1人でできるようになったら訓練は終わりだな」

 

「分かった!」

 

1度できた感覚を忘れないうちに魔力を溜め始めるリオ

 

早速もう一度魔法を放つ

 

「【凍れ(フロウズ)】!!」

 

地面に向かって勢いよく手を差し出し

 

(氷の小さい山、、!)

 

イメージしたものを出そうと気合を込める

 

しかしできたのは山ではなく小石程度の氷の欠片だった

 

「あれ、、?」

 

さらにそれだけでは終わらずリオの足元から氷の渦が巻き起こりリオの体を纏い始める

 

「うわっ!止まらないよ!先生助けて!」

 

あっという間に手がしもやけになり髪の毛も凍ってしまったリオを見てリヴェリアは

 

(やっぱりそう簡単にいかないか、、)

 

とリオの手を取る

 

すると瞬く間に渦が収まりぶるぶる震えているリオが残った

 

「ふふっ」

 

「先生!何で笑うんだよ!」

 

普段あまり笑わないリヴェリアが珍しく笑った理由はリオの頭にあった

 

渦によって巻きあげられたリオの髪の毛は綺麗に渦を巻きながら凍っており、いわゆるソフトクリームのような髪型になっていたのだ

 

あまりに綺麗にできていたので思わず笑ってしまったのだ

 

「先生!笑いすぎだ、、よ、、、」

 

リオが声をあげて文句を言っているところでフッとリオの意識が飛び、真っすぐリヴェリアに向かって倒れこんだ

 

「リオ!?」

 

急な出来事に対応しきれずそのまま後ろに倒れてしりもちをつくリヴェリア

 

リヴェリアのお腹の上にはパラパラと氷の破片を頭から零しながら気絶したリオの顔があった

 

「、、マインドダウンか」

 

魔法、魔力の使い過ぎで起きるマインドダウン

 

リヴェリアも1度強化種との戦いの後マインドダウンを起こし迷惑をかけた記憶がかすかにある

 

ダンジョンでキラーアントたちを凍らした時から時間を空けず特訓をしたせいで精神力(マインド)、魔力がなくなったんだろう

 

「私の不注意か、、」

 

リヴェリアよりはるかに多い精神力(マインド)を持っているリオだが暴走や先の氷柱といい規格外の魔法を連発していたからマインドダウンしてしまったのだ

 

しばらくリオの頭をお腹の上に乗せたままにしているとルナがやってきて

 

「どうしたの?」

 

とたずねてきた

 

「マインドダウンだ、私の注意不足だ。少し休憩をはさむべきだったな」

 

「仕方ないわ。リオも自分の精神力(マインド)の残量くらい把握できるようにならないといけないわね」

 

夕暮れに染まる空を見上げながらリヴェリアは口を開く

 

「ああ、そうだな。続きは明日にでもしようか」

 

そう言って立ち上がろうとしたリヴェリアだがギュっとリオに体を掴まれ立ち上がれなかった

 

「リオ、離してくれ。早く休みに行くぞ」

 

気絶しているので聞こえるはずないがそうささやきまた立ち上がろうとする

 

しかしリオが掴む力を強めて寝言を呟く

 

「、、いかないで、母さん、、」

 

「「!?」」

 

その言葉にルナとリヴェリアは動きを止める

 

「記憶が、、?」

 

ルナはリオの顔に近づき頬を撫でる

 

リヴェリアはそのパリパリになった髪の毛を崩しながら頭を撫で

 

「私は母さんではないぞ、、」

 

としばらく2人は慈しむようにリオを撫で続けていた

 

 

 

 

 

翌日

 

リオの自室にて

 

「くぁ~、よく寝た」

 

伸びをしながら起き上がったリオ、キョロキョロと辺りを見回しここが自分の部屋だと認識するのに数秒を要した

 

「あれ、なんでここにいるんだろう?」

 

記憶が正しければ最後の記憶はリヴェリア先生との魔法特訓の途中で、、

 

そこまで思い出したところで、モゾっと自分の布団が動いた

 

視線を下げるとそこには、布団の上で丸くなって羽をたたんだルナがすやすやと寝ていた

 

そんな姿をみてルナの頬を軽く撫でる

 

くすぐったそうに身じろぎして眠るルナを見て微笑んでいると

 

「スゥ、、」

 

とルナのものではない寝息が聞こえてきたのでちらっと横を見るとすぐ近くでリヴェリアが椅子に座りながら静かな寝息を立てていた

 

手の届く距離にあるリヴェリアの寝顔、一瞬ためらったがなぜか止められない衝動に身を任せリヴェリアの髪を軽く撫でる

 

その行為は懐かしいようで不思議な感覚に陥り、ずっと撫でていたい気持ちだった

 

「、、リオ」

 

ふと、リヴェリアの口から自分の名前が零れたことに驚きパッと手を離すリオ

 

今思えば、多種族との接触を嫌うエルフにこのようなことをしていいわけなく、今さら激しい自己嫌悪に陥る

 

しかし、リヴェリアの次の寝言によってその気持ちは吹き飛んでしまった

 

「、、アリア、リオ、、」

 

「!?」

 

アリア、確かにリヴェリアはそう言った

 

「、、アリア、リヴェリア」

 

リオはその名前を何度も呟く

 

(僕はこの名前を、この人を知っている、、けどどこで?記憶がなくなる前に会っていた人?)

 

思い出そうと頭を抱えるが思い出せるのは、やはりあの金髪の男だけだった

 

頭が痛くなってきたので思い出すのをやめて、自分の頭をもんでいると

 

「、、リオ、起きたのか」

 

リヴェリアが目を覚ました

 

「うん、おはよう。リヴェリア」

 

「あぁ。おはよう」

 

目をこすりながら朝の挨拶を返すリヴェリア

 

「、、ところでどうして僕はここで寝ているのかな?」

 

「リオがマインドダウンしたからだ。昨日のダンジョン探索と特訓で精神力(マインド)を使いすぎたんだ」

 

「そうだったのか、、」と呟きを漏らすリオ

 

「それでだな、今日は1日中、特訓をすることになった」

 

リヴェリア立ち上がりそう告げる

 

「え!ダンジョン探索は?」

 

「それについては昨日のうちにガレスとフィンに伝えてある。今日また、ダンジョンでマインドダウンしても困るしな」

 

「ごめんなさい」

 

「いいんだ、魔法がちゃんと使えるようになれば魔力配分(ペース配分)も分かるようになってくるだろう。実際私も最初はよくマインドダウンしていた」

 

扉に向かって歩き出す

 

「「今日は2人で探索してくるからちゃんと休憩するんだよ」がフィンの伝言だ。が、しっかり今日も特訓するから朝ごはんをちゃんと食べるんだぞ」

 

そう言って部屋を出ていくリヴェリア

 

「、、お母さんみたいだね」

 

奇しくも気絶していた時と似たようなことを口にするリオだった

 

 

 

ルナを起こして1階のリビングに行くとロキがソファに寝転がっていた

 

「おっ!リオたんとルナたんやないかー。おはよう!」

 

僕たちを見つけるとシャキッと飛び起きニコニコしながら挨拶する

 

「「おはようございます」」

 

ペコリとお辞儀をして挨拶を返すリオとルナ

 

「2人は今から朝ごはんか?」

 

「そうです」

 

「ほな一緒に食べよや!フィンとガレスは早うからダンジョンに行ったしリヴェリアは降りてこおへんし」

 

口をとがらせて「1人は暇やで死にそうやわ~」と零すロキ

 

「一緒に食べましょうか、僕が作りますね」

 

キッチンに向かい魔石によって冷却を行っている冷蔵庫を開ける

 

「おっ!?リオたん料理できるんか?」

 

「はい、ルナにいろいろ教えてもらって、大したものは作れないですけど、、」

 

「ちょっと、それじゃ私が大したもの作れないみたいじゃないの」

 

「あ、ごめん」

 

リオとルナが仲睦まじいやり取りを繰り広げる中ロキは

 

「なんでもええ!子どもたちの手料理が食べれるなんて下界でしかできんことやし、楽しみやわ!」

 

 

 

こうしてリオとルナが朝ごはんを作っているころリヴェリアというと、顔を真っ赤にしてベッドで悶えていた

 

(寝顔を見られた、、恥ずかしい)

 

大した理由じゃないがけっこうダメージが大きいらしい

 

(口は空いてなかっただろうか、半分目が明いていたらどうしようか)

 

考えても仕方がないことだが、故郷の同居人だったエルフは凄い寝顔だったのを覚えている

 

相手の名誉のために一言もそのことについて触れなかったが

 

「、、私が朝ごはんを食べずに倒れてしまったら何も言えない」

 

そう言って乱れた髪を直し着替えてリビングへと向かう

 

 

 

リビングには美味しそうな香りが漂っていた

 

「この匂いは、、?」

 

リビングにやってきたリヴェリアはその匂いに驚く

 

「リオたんルナたんスゲ~!!」

 

食卓にはTHE朝食と言わんばかりの味噌汁や目玉焼きなど極東の料理が並んでいた

 

「これらは私の精霊の友達から習ったのよ、極東が好きでね。そこの主な朝ごはんはこんな感じかしら?」

 

テーブルにはしっかりと4食分(ルナの分はちゃんとミニサイズ)でならんでいた

 

「じゃあ、僕リヴェリア呼びに行ってきますね、、ってリヴェリア!二度寝でもしてたの?」

 

「そんなわけないだろう、今日の特訓をどうしようか考えていたんだ」

 

しれっと嘘をつくリヴェリア、目が若干泳いでいるがリオが気づくはずもなく

 

「そうだったんだ、ありがとう。僕のために!」

 

純粋なお礼を述べられ心が痛むリヴェリア

 

食卓の上のホカホカのご飯に目を向けたずねる

 

「そうだよ、僕とルナで作ったんだ。冷めないうちに一緒に食べよう?」

 

2人足りないが家族そろっての朝食が始まった

 

極東ならではの薄い味付けに舌鼓をうち満腹になったロキはそのままソファに寝ころび「うまかったで~」の言葉を最後に寝てしまった

 

「、、だらしない主神ね」

 

思わずルナが零す

 

その言葉にフィンのような苦笑いを浮かべるリオと「やれやれ」とため息を零すリヴェリアだった

 

 

 

 

朝食をすましたあと、手分けして後片付けをして各々の準備ができた後中にはに集合した3人

 

ルナは相変わらず中庭の隅で魔法の精製を楽しんでいる

 

「じゃあ今日は昨日のおさらいからだ」

 

すこしためらいながらも昨日と同じようにリオの手を取り魔法の発動を促すリヴェリア

 

「分かった、、」

 

(今日はどうしような、、そうだ、剣にしよう)

 

大きく息を吸って心を落ち着かせ詠唱を口にする

 

「【凍れ(フロウズ)】」

 

丁寧にイメージした剣はゆっくりと柄からその形を作り始め数舜の後に地面に突き刺さった状態の氷の剣が完成した

 

「昨日よりうまくなってるじゃないか」

 

「しっかり寝たからかな?」

 

その出来に声をあげて褒めるリヴェリア

 

リオによって召喚された剣はその刀身に白銀の冷気を纏いただ静かに鎮座していた

 

「、、なかなか、いい出来じゃない?」

 

「そうだな、抜けるか?」

 

リヴェリアがそう提案しリオは頷き繋いでいる手を離す

 

氷でできた柄にふれ、その冷たさにビクッとしながらも両手で握る

 

力を籠めるとまるで地面に刺さっていなかったような軽さで抜けた

 

「、、よっと、抜けたよ」

 

その手ごたえの無さに驚きつつもその氷剣をかかげる

 

太陽の光をうけ輝く半透明の刀身に目を細めた

 

「綺麗だな、、」

 

思わずそう零すリオ

 

リヴェリアも目を細めてその氷剣を見つめる

 

リオは嬉しそうにおもちゃを買ってもらった子どものように氷剣を振り回す

 

「危ないぞ!リオ!」

 

その瞬間遠心力に耐え切れず、刀身がパキッと真ん中から折れてしまいその先端がリオの腕をかすめた

 

袖が破けリオの腕から切り傷がのぞく

 

「はぁ。言わんこっちゃない」

 

そう言ってリヴェリアはリオの腕をとり回復魔法を唱える

 

「【フィル・エルディス】」

 

軽い傷口だった切り傷は瞬く間に治り、止血した

 

「ごめんなさい、、」

 

端から見ればその光景はイタズラをしてケガをした子どもを叱り、あやす母親のような構図だった

 

半ばから折れた剣はいつの間にか溶けて霧散していた

 

リオはリヴェリアに怒られたことでしょんぼりしてうつむく

 

そんな様子のリオを見てリヴェリアは特訓の続きを促す

 

「ほら、早く続きをするぞ」

 

リオの手をとり魔力の制御を始める

 

「、、うん」

 

リオは反省の色を浮かべ、リヴェリアの手を握る

 

(次は調子に乗らないようにしないと、、)

 

あたたかいリヴェリアの手を握り心を落ち着かせたリオは一つ深呼吸をして魔力を高める

 

「すぅーーー、、、はぁーーー」

 

(イメージは氷の塔、、昨日より大きく、鮮明に)

 

「【凍れ(フロウズ)】」

 

するとリオの右側から冷気の粒が目に見えるように集まり始め徐々に形を成していく

 

気づけばそれはバベルの塔をちょうど小さくしたような精密な作りの小塔が出来ていた

 

「、、できた」

 

あまりの出来の上手さに声が出ないリヴェリア

 

「、、今までまともに魔法を使えなかったやつがここまで正確に?」

 

リヴェリアは記憶が無くなる前のリオはとんでもない魔法使いだったかもしれないと考えた

 

「リオ、次からは1人で魔力を制御してみるんだ」

 

そう言って握っていた手を離し一歩下がる

 

「分かった」

 

 

 

それからしばらくリオとリヴェリアの特訓は続いたのだった

 

 

 

 

 

 

リオとリヴェリアが特訓に集中している間2人が気づかぬうちに居なくなっていたルナ

 

彼女が向かった先は朝食をすました後寝てしまった主神のところだ

 

 

 

「、、ルナたんか」

 

「あら、起きていたの?」

 

「なんかそんな気がしてたわ」

 

「なら、何の話をしに来たかもわかるかしら?」

 

「さぁ、なんのこっちゃ」

 

「、、まぁ、いいわ。私からは神であるあなたに1つ、、いいえ2つ言っておきたいことがあるのよ」

 

「なんや」

 

「リオについてよ。あなたも分かっているように彼は()()()()()

 

「、、自分はどこまで、いや何者や」

 

「最初に言ったでしょ、下位精霊でお手伝いや役よ」

 

「、、そうか」

 

「リオには時間がないのよ。記憶もそうだけど、体もよ」

 

「体?どういうことや」

 

「あなたが思っているより、混じっているのよ」

 

「!、、そういうことか」

 

「そう。もう1つは分かるでしょ」

 

闇派閥(イヴィルス)か、、」

 

「ええ、あなた()に嘘をつける(下界の子)はいない。そこで調べてきてほしいの」

 

「なにをや?」

 

「神バズズについて」

 

「なんでその名前を知ってるんや」

 

「私の故郷は彼に焼かれたわ。それで彼はリオを探している、欲しているのよ」

 

「自分ホンマに何者なんや?」

 

「言ったでしょ、ただの下位精霊よ」

 

「、、分かった、調べてきたる。その代わり、、」

 

「その代わり?」

 

「情報持ってきたら、あんたのことしっかり教えてもらうでな、ルナ」

 

「分かったわ、ロキたん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ、面白そうな色ね、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マインドと魔力の概念の違いがあやふやな今回です


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行進2

インフィニトコンバーテまだですか、、?







では、始まりです


9階層

 

深部にて

 

 

「思っとたよりあっさりしとるのぉ」

 

9階層で数度目となるニードルラビットの群れを倒し、斧を肩に担ぐガレス

 

「そうだね、あっけない感じはするよね」

 

ニードルラビットから魔石を取り出し終わったフィンは立ち上がりバックバッグにそれをしまう

 

「私の特訓のおかげだな」

 

そう言ってリヴェリアはリオのほうを見る

 

「うん、先生のおかげで魔力制御のコツがつかめたよ!」

 

満面の笑みでリヴェリアに返すリオ

 

「ホントよ、私の負担も減ってより魔法の威力が上がったわ」

 

リオの肩でダイアモンドダストを振りまくルナ

 

ロキファミリア一行は着実に力をつけ軽々とモンスターの群れを撃退するまでに至ったのだ

 

 

 

 

まず、リヴェリアとの特訓にて魔力制御を覚え、少しだが自分で攻撃魔法を発動できるようになったリオ

 

その特訓でリオの魔力を制御するにあたり自らの魔力精製速度や精度が上がり格段に魔法の威力が上がったリヴェリア

 

その特訓の傍ら、漏れ出た魔力を使い、周りには遊んでいるようにしか見えないが、高度な魔素変換などを行い技術が上がったルナ

 

魔導士3人が特訓しているので暇を持て余しダンジョンに潜ってたら、なんかキラーアントの群れを1人で捌けるようになったガレス

 

ガレスと同じく暇を持て余し、ダンジョンに潜りニードルラビットの群れの中こちらからは一切攻撃せずニードルラビットの同士討ちにより全滅させたフィン

 

昼寝しすぎて、逆に眠くなりまた寝てしまったロキ

 

ここ数週間でロキファミリアは大きく成長したのだ

 

だがそれは強化種たちにもいえること

 

リオがダンジョンにいなかったのでフィンたちは強化種に襲われなかったが、彼らもまた着実に力を溜めている

 

 

 

7階層から9階層は基本同じようなダンジョンの構造、モンスターなので苦労することなく突破することができた

 

これから探索するのは上層最深部分、10階層から12階層、ダンジョンギミックが出現する場所

 

霧が濃く、仲間ともはぐれやすく、奇襲も受けやすい

 

厄介なモンスターインプの初登場や、中型モンスターであるオーク

 

 

「が、問題なく攻略できると、僕はふんでいる」

 

10階層への階段手前新たな階層進出にむけての会議だ

 

フィンはロキファミリアの仲間を見渡し告げる

 

「頼もしい魔法使いが3人、必ず僕たち前衛が魔法(決定打)まで繋げる」

 

リヴェリア、リオ、ルナは頷き頼もしい小さな戦士を見る

 

「ただ1つイレギュラーがあるとすれば、それは強化種の存在。だがそれすらもはねのけることが可能だと、僕は信じている」

 

これからの未知に負けないように仲間を鼓舞するフィン

 

そのカリスマ性は、一族を復興させ導く(フィアナ)になるという決意からくるものだろうか

 

「リオの記憶を取り戻すためにも僕たちは止まってはいられない」

 

その手にもつ槍を掲げ叫ぶ

 

「行こう!!」

 

 

 

10階層

 

「、、なんにも見えないね」

 

あまりの霧の濃さに思わずつぶやくリオ

 

「そうだな、はぐれないように気をつけろよ」

 

リヴェリアが辺りの警戒を怠らないようにしながら告げる

 

辺りは霧が濃くほとんど先が見えない

 

そんないつモンスターに襲われてもおかしくない状況なのだがさっきから、10階層に足を踏み入れてから、1回もモンスターと遭遇していない

 

それに加えて同業者にも片手で数えるほどの人数としか会っていない

 

モンスターの気配もせず戸惑いを隠せない一行

 

「このままいくと、11階層についてしまうぞ」

 

確かにそれくらい進んでいる

 

「ゼウスファミリアたちがダンジョンを確認してからそこそこ時間が経ったからね」

 

ゼウス、ヘラの両ファミリアの精鋭がダンジョンの異常を確認した時にはまったくもって異常がなかった

 

モンスターの数が少ないとの報告を受けていたがここまで少ないのはどうかしている

 

「やはり、強化種の影響か」

 

「そうだね、これだけモンスターが少ないと、他の冒険者たちもどんどん下に降りていくだろうね」

 

人気もモン気もしない10階層

 

このまま、9階層に引き返すわけにもいかずどうするんだろうとリオが思っていると

 

「、、11階層へ行こう」

 

フィンが切り出した、11階層への進出

 

確かにこのままここにいても、何も得ることはない

 

なら、1つ階層を飛び越えて冒険をするのもいいだろう

 

全員が納得したその瞬間

 

『ゴゴゴゴゴゴ、、、、』

 

大きな揺れが起き、地面に亀裂が走る

 

「なっ!?」

 

揺れと驚愕から全く体を動かせない一同

 

次第にひびは大きな割れ目になり10階層を縦断する

 

その亀裂はちょうどフィンたちの後ろ、9階層、地上へと続く階段の間に大きく深くできた

 

広がり続けていた亀裂はとても冒険者が渡れない距離までになりようやく止まった

 

「なんだったんだ、?」

 

目を丸くしたリヴェリアのその問いは、誰の答えも得られぬまま亀裂の奥底までこだましたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上

 

 

 

『ゴゴゴゴゴゴ、、、、』

 

「なんやっ!?」

 

突然の大きな揺れに腰を抜かすロキ

 

しばらくして収まった揺れは、ダンジョンの上に住むオラリオの住民に大きな不安を与えた

 

ざわつく大通りを通り抜け、小さな路地に入っていくロキ

 

「今のは、、ダンジョンが嘆いとったんか?」

 

自分の役目を果たすために薄暗い路地を淡々と歩き独り言ちる

 

ロキが向かう先は、都市最強のファミリア

 

「あんのジジィに頭下げんのめっちゃ腹立つけど、、、」

 

都市最強の双角、その片割れであるゼウスファミリア

 

その主神に直接会うことは難しいことだが、ロキにはそれが容易にできる

 

「リオとルナのためでもあるし、、」

 

しばらくすると、ようやくたどり着いたゼウスファミリアのホーム

 

まるで城のような大きさの建物に、立派な門

 

「かぁ~~、腹立つわ」

 

王者の貫禄が漂う建物を前にロキは悪態をつく

 

「まぁ、今はええわ。とりあえずはよぅ出てきてもらわんとな」

 

先ほどから門番がロキのことを不審な目で見つめている

 

「門番まで用意しよって。、、ふんっ!」

 

ロキが1つ気合(神威)を入れると

 

『ダッダッダッダッダッ!!』

 

門の向こうから土煙をあげながら走ってくる人影

 

するとキィーと門の隅っこに取り付けられたドアが開き人影がとてつもない勢いでロキの元へやってきた

 

「ゼェ、、ゼェ、、ロキ!貴様何しにきよった!?」

 

そうゼウスある

 

ロキがゼウスを呼ぶのに容易だという理由

 

それは、天界でのロキのお遊戯(殺し合い)である

 

かつて、ロキは数多の神々と戦争を吹っかけてきたヤバイやつなのである

 

こんなところ(下界)まできよって!?ここは戦場じゃないんじゃぞ!」

 

門番はそんな焦っている主神の様子を見て驚いている

 

「まぁーまぁー。そんな怒らんでや。ウチもカワイイ子見つけたからそないな無粋な事せぇへんて」

 

ロキはゼウスの様子をニヤニヤしながら眺める

 

「じゃあお主は何しに来たんじゃ?」

 

ゼウスは天界とは違うロキの雰囲気に驚きつつも疑問を投げる

 

「1つ聞きたいんや」

 

そのニヤニヤを止め薄っすらとその目を開く

 

「神バズズについて」

 

 

 

 

 

 

『ゴゴゴゴゴゴ、、、、』

 

「ウラノス、ダンジョンが」

 

「あぁ、啼いている」

 

ギルド最上層部

 

祈祷の間

 

神ウラノスが祈祷を捧げ、ダンジョンを鎮める場所

 

だが今はダンジョンは暴れている

 

未知の存在を排除するために

 

「これは、、、」

 

 

 

 

 

 

揺れが収まった10階層

 

辺りは瓦礫で溢れかえり先ほどまでの光景とは全くの別物になっていた

 

地上への道は亀裂によってなくなっており、しばらくダンジョンの修復を待たないと帰れなかった

 

「どうする?」

 

またしてもリヴェリアの問いが静かな空間にこだまする

 

「、、11階層へ行こう。何が起きているか見てみないとわからないし、このままいても地上には帰れないしね」

 

返ってきた答えは前進だった

 

こんな異常事態(イレギュラー)の中、探索を続けるのは本来はしない蛮行だが

 

(また、、親指が、、)

 

フィンの親指は、何かを警告するように、または導くように疼いていた

 

 

 

 

11階層

 

入り口

 

「これは、、」

 

ルナの声が新たな階層に響く

 

11階層の光景は、10階層よりも悲惨なそれだった

 

いたるところに地面から山のように突き出た岩塊があり、天井は割れ10階層の天井が見えていた

 

不思議なことに霧はほとんどなく遠くの壁が見渡せた

 

さらに白い体毛のシルバーバックはその胸部から上を何かに噛み千切られたような状態で倒れており

 

ハードアーマードはその強固な甲羅に三本の爪痕を残されて絶命していた

 

「なんじゃこれは、、?」

 

あきらかに異常といえる光景を前に一行は声を失う

 

動くものがない空間、その中で唯一動いている存在を見つける

 

血を流し今にも息絶えそうな冒険者だった

 

「あ!人が、、!」

 

一番最初に気づいたのはリオだった

 

彼我の距離は遠くリオは一目散に走り出す

 

冒険者とリオの行動に気づいたリヴェリアは静止の声をあげ自分も走り出す

 

そこで『ガラっ』っと音がなり

 

「駄目だ、、!くる、な!」

 

冒険者が声をあげ警告する

 

「!?」

 

リオが急停止した瞬間、冒険者の姿はかき消えた

 

いや、飲み込まれた。大きすぎるその口に

 

「なっ、、!」

 

リオの後に続いていたリヴェリアは大きいその存在を見上げる

 

『グチャ、、グチャ、、』

 

ポタ、ポタとその口から滴る血は先ほどまで冒険者がいたところに血だまりをつくっている

 

「あ、ああ、、」

 

岩塊の上から瀕死の冒険者を喰らったのは

 

「、、インファントドラゴン」

 

その自分の名称に反応するように彼の存在は咆哮をあげる

 

『グゥオオオオオ!!!!!』

 

強化種

 

見るからに通常の個体とは違う大きさ

 

全長10Mに及ぶであろう巨躯はところどころ極彩色の斑点がありやはりその顔には花のような模様が広がっていた

 

翼をはためかせ腰の引けたリオの眼前に降り立ち小さき存在を睥睨する

 

「リオ!早く逃げろっ!」

 

まったく余裕のない声でフィンが叫ぶ

 

フィンの親指はこれまでになく疼いて、いや震えていた

 

フィンの声にようやく動きはじめたリオ

 

だがその行動はあまりにも遅かった

 

リオがその身を反転させその場から離脱しようとした瞬間、インファントドラゴンの尾が薙がれリオの脇腹に食い込む

 

ボキボキッ!

 

鳴ってはいけない音が体の中から響き

 

(あ、死んだかも)

 

他人のような感想を抱きリオは吹っ飛ばされた

 

「ガッ!!」

 

壁に衝突し半分体が埋まってしまった

 

「「リオ!!」」

 

リヴェリアとルナの悲痛な叫びが響く

 

果たしてリオの耳に届いているか確認する間もなくリヴェリアは大きな影に覆われた

 

「なっ、、!」

 

気づけば目の前にいたドラゴン

 

さらにその前腕はすでに天高く上っておりあと数舜で潰されてしまう

 

「くっ!」

 

回避は不可能

 

防御を選んだリヴェリアだが、そもそも防御が可能なのか分からない

 

その巨腕が振り下ろされた瞬間ガレスの大戦斧がリヴェリアと腕の間に割って入った

 

「ヌゥン!!!!」

 

鋭く伸びたドラゴンの爪はリヴェリアの鼻の先でギリギリ止まっていた

 

「リヴェリア!早くリオを助けてこい!」

 

フィンがドラゴンに向かって疾駆しながら叫ぶ

 

ルナは後方でリオを気にしながらも詠唱を開始している

 

「何やっとんじゃ!早くいかんか!!」

 

すぐ近く腕を受け止めているガレスからも怒声が聞こえてきた

 

「ッ!分かってる!」

 

現状リオを助けられる(魔法)を持っているのはリヴェリアだ

 

一歩遅れてリヴェリアは走り出す

 

次の瞬間ガレスはドラゴンの腕を地面に落とし、その反動のまま体を回し一撃をドラゴンの指に叩き込む

 

『グオオ、、!』

 

ドラゴンは苦悶の声を漏らし数歩退避する

 

その隙を逃さずフィンが突き出た岩塊を駆け上がり空中に身を投げ出し

 

「ハァァァァァッ!!」

 

槍を投擲

 

寸分の狂いなくドラゴンの右目に飛んだ槍は深々と突き刺さり大きなダメージを与えた

 

立て続けに攻撃を受けたドラゴンは怒りの咆哮をあげた

 

『グゥオオオオオオオオオオオ!!!!!!!』

 

先ほどよりも長く、大きな咆哮は冒険者たちの身をひるませ隙を生ますのには十分だった

 

ガレス、リヴェリアはその足を止め両手で耳をふさぐ

 

ルナは遠くにいたので影響は少なかったが、詠唱のスピードが落ちる

 

フィンは空中で体勢を崩し、避けれる訳の無いドラゴンのはたきをくらう

 

「グハァッ!」

 

重力に加え叩き落とされたフィンは地面に大きなクレーターをつくり血を吐き出す

 

ドラゴンはそのままガレスのほうを向き尾を薙ぎ払う

 

咆哮によって反応が遅れたガレスは先ほどのリオ同様吹き飛ばされた

 

「グハッ!」

 

リオとは逆の壁に衝突するがさすがのタフ(耐久)で意識はある

 

「、、効くのぅ」

 

頭、口、腕と体中から血を噴き出している

 

また、薙ぎ払われた尾の風圧でリヴェリアも吹き飛ばされ、リオの近くの地面へ激突する

 

「アッ、、!」

 

辛くもリオの元へ急ぐリヴェリア

 

そしてドラゴンはその顎を大きく開き火球を放出した

 

それが描く軌道は真っすぐとルナへと向かっていた

 

「ルナ!」

 

ガレスが血を吐き出しながらも心配をする

 

しかし、ルナはニコッと笑い

 

「遅いわよっ!」

 

魔法陣を空中にいくつも展開し叫ぶ

 

「【リグレイション】!」

 

ルナに着弾寸前の火球は、魔法陣に飲み込まれ一度姿を消す

 

すると周りの魔法陣が煌めき、先ほどの数倍の威力の火球が計10個、ドラゴンへと向かう

 

『!?』

 

思いがけない反撃にドラゴンは回避も防御もできずに火球の直撃をもらう

 

ドゴンッ!ドゴンッ!

 

直撃した直後から煙をあげる

 

ガレスは目を見開き、ポーションを飲みながら行く末を見守る

 

ルナは油断なくドラゴンを見据え、いつでも魔法の再展開ができるように構えている

 

『ゴァアア、、』

 

無傷

 

煙の中から現れたドラゴンの表皮は全くと言っていいほど無傷だった

 

「やっぱりね、、」

 

はなからダメージを期待していなかったルナは魔法を再展開する

 

ドラゴンは声を荒げ、もう一度火球を吐き出す

 

しかし先ほどと同じようにルナの魔法陣に吸い込まれ消滅した

 

「無駄よ」

 

普段とは違う火の粉を纏いながらルナは宙を飛び交う

 

「私の魔法は、この世の魔素すべてが対象よ」

 

『グゥォォオ!』

 

その言葉を理解したわけではないだろうが、ドラゴンは火球を吐き出すのを止める

 

そんなやり取りが行われる中

 

「リオ!起きろ!」

 

リヴェリアがリオの元へ辿り着きその身を抱え込む

 

「ケハッ!」

 

血の塊を口から吐き出し薄っすらとその目を開く

 

「飲めるか!?」

 

ポーションを取り出しリオに浴びせるように飲ませるリヴェリア

 

さらに魔法の詠唱を始め

 

「【フィル・エルディス】」

 

あたたかな森の癒しがリオの体を包み込む

 

かすかに回復したリオは息を荒げながら礼を言う

 

「ハァ、、ハァ、、。ありがとう、、」

 

折れた骨は治らないが、壁と激突した時にできた傷は治っている

 

「無理をするな、しばらく休んでいろ。奴に隙が出来たら、詠唱を開始してくれ」

 

リヴェリアはそれだけ言い渡すと自分もポーションを飲み戦線に戻る

 

「まって、リヴェリア」

 

不意に後ろから呼び止められた

 

「、、なんだ?」

 

「僕に1つ考えがある」

 

怪物の咆哮が轟く中決意を宿した目でリオは、リヴェリアを真っすぐに見つめた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




進みが遅いかもです

ごめんなさい

もっともっと頑張っていい文章を書けるように頑張ります


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記憶

リオのキャラをどこまでブッ飛んだ感じにするか悩んでます



では、始まりです


「僕に1つ考えがある」

 

そう言ったリオの目はどこか懐かしいようでこんな状況にもかかわらず胸が少し苦しくなった

 

キィン!

 

『ゴォアァァ!!』

 

後方ではフィンとガレス、ルナが強化種のインファントドラゴンと激しい攻防を繰り広げている

 

フィンとガレスは、ドラゴンの右側、フィンの槍が突き刺さったままの潰れた右目側を執拗に攻める

 

フィンは予備の短剣を装備し確実にドラゴンの右脚に切り傷を与えている

 

ガレスはそのタフさから多少の、とはいってもかなり大きなダメージだが、攻撃を受けながらも重い一撃を与え

 

ルナは前衛に飛ぶ火球を魔法ですべて回収し魔素に変換し蓄えている

 

 

「このままだとフィンかガレスが耐えられなくなるのは時間の問題だ」

 

確かにフィンの耐久では先ほどの一撃で大きな負担がかかっているだろう

 

「どうするんだ?」

 

「僕たち単体の魔法でやつを倒すのは無理だ。だからみんなの魔法で倒す。まず、1つ上の階層には霧が溜まっている、ドラゴンの熱気で上に逃げた霧だ。それを僕とリヴェリアの魔法で凍らし下に落とす。で、それをルナに増幅、強化してもらうんだ」

 

確かにこの階層の天井は先ほどの揺れでパッカリと割れておりその先には白い靄がかかっている

 

この状況で、血が足りない体でそこまで頭が回るのか

 

静かに戦慄した

 

「、、分かった」

 

時間がないのは事実、私たち一人ひとりの魔法で倒すことができないのも事実だろう

 

リオに肩を貸し、立たせて詠唱を開始する

 

「【終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に--」

 

リオは短文詠唱のため、魔力をひたすらに溜めている

 

(あたたかい、、)

 

リオと体が触れているため、リオから微量の魔力が流れてくる

 

決して嫌なものではなく、リオの使う魔法からは考えられないあたたかさを感じた

 

「、、我が名はアールヴ】」

 

「【凍れ(フロウズ)】」

 

お互いの魔力の高まりを感じながら同時に砲声する

 

「【ウィン・フィンブルヴェトル】!」

 

「【グレイシア】!」

 

いくつにも重なった極寒の冷気はドラゴンの頭をかすめて上へ伸び10階層へと侵入した

 

10階層では急激に冷却された空気が、霧が礫と形を変えて重力に従い落下を開始する

 

「フィン!ガレス!退けっ!」

 

私は前衛2人に声を投げ

 

「、、お願い」

 

リオは虚ろな目でルナに視線を飛ばす

 

「分かったわ」

 

視線に応えるためルナは魔法陣の色をその髪色と同じ淡い藍色に変化させ叫ぶ

 

「【リグレイション】!」

 

フィンとガレスが大きく後退し、それを追いかけようとしたドラゴンの頭上から尋常ではない量の氷の礫が落下しドラゴンの動きを鈍らせる

 

さらにルナの魔法陣もドラゴンの頭上へ形成され、そこを通る氷の礫を拡大かつ複製を行う

 

『ゴアァァァァァァア!!』

 

ただの氷でも量が量だ

 

ズガガガガガガガ!!!

 

激しい音を轟かせながらドラゴンの頭を、体を滅多打ちにする

 

「ハッ!!」

 

ルナは声をあげて魔法陣の色をまた変えた

 

すると魔法陣を通過した氷の礫は形状を変えてツララのような姿になりドラゴンの体に深々と突き刺さる

 

「、、凄い」

 

私は、一魔導士としても、エルフとしてもルナに憧れた

 

「、、ルナは、いつも僕を助けてくれたんだ、、こんな風に」

 

リオがそう呟きがっくりと首をうなだれる

 

途端にリオの重みが増し危うくこけそうになった

 

「マインドダウンか、、」

 

体力的にもきつかっただろう

 

耐久が低いなかよくドラゴンの一撃を受け生きていた

 

それにそんな状況で打開の一策を講じたのも賞賛ものだ

 

静かにその頭を撫でねぎらいの言葉をかける

 

「、、よくやった」

 

永遠とも思える氷の礫の落下が終わりその下には、ドラゴンのものとは思えない残骸が残っていた

 

「終わったか、、」

 

「そうだね」

 

フィンとガレスは尻もちをつくように地面に腰を下ろした

 

ルナは魔法陣を消滅させるとこちらへやってきた

 

「ありがとう、あなたたちが動いてくれなかったらジリ貧だったわ」

 

「ああ、この作戦は全部リオの発案だ、礼ならリオに言ってやれ」

 

ルナと微笑みを交わし合い一息つくために私も腰を下ろそうとした瞬間

 

 

「あーあ、こんなあっさりやられちゃうもんなんかねぇ」

 

 

私たちの誰のものでもない声が響いた

 

「「!」」

 

声の主は、尖った岩塊の先端に立ちこちらを見下ろしていた

 

その男は黒ずくめで目深にかぶったフードのせいで顔は見えず口元だけ辛うじて見える

 

飛び降りた男はドラゴンの死骸の上へ着地した

 

「使えねぇなぁ、やっぱり耐えられないんだなぁ、普通のやつらじゃ」

 

意味の分からないことを呟きながらドラゴンの頭だった部分を蹴り飛ばす

 

「貴様は誰だ、、?」

 

リオを抱きかかえながら、警戒をする

 

フィンたちもそれぞれの獲物を手に取り、静かに囲むように男を見据える

 

「おーおー、姫を守る騎士とは配役が逆じゃないかぁ?リオ?」

 

「!どうしてリオの名前を知っている、、!」

 

警戒を強め鋭い目で睨む

 

ルナはいつでも魔法を発動できるようにすでに詠唱を開始している

 

「怖い怖い。そんな目で睨むなって。俺はただお迎えに上がっただけだよ。そこで寝てる王子様を」

 

男はこちらへ向かって歩いてくる

 

「それ以上近づいたら斬るよ」

 

いつの間にか男の真後ろに移動したフィンが短剣を男の首にあて語気を強める

 

「、、はぁ、迎えに来ただけって言ってるじゃん。危害を加えるつもりはないんだけどなぁ」

 

「得体のしれないやつに仲間を渡すわけないだろう」

 

「ハッ、仲間ねぇ。そいつの正体知ってて言ってんの?」

 

1つ間を置き男は声をあげる

 

 

「そいつは、リオは、()()()()()だよ」

 

 

「「!?」」

 

モンスター?そんなわけないだろう

 

今までともに行動してきた私たちが断言できる

 

「そんな戯言、信じるわけないだろう」

 

1度は衝撃が走ったがロキファミリアは誰もそんなことを信じない

 

「ありゃ、そりゃ残念」

 

男はわざとらしく両手をあげやれやれと振る

 

「どうしても渡してくれない?」

 

「当たり前だ」

 

こんな訳の分からないやつにリオを渡してたまるか

 

「、、じゃあ、力ずくだね」

 

「!」

 

瞬間姿がかき消えフィンは動揺する

 

するとフィンの後ろから男が現れ、フィンを手刀で気絶させた

 

「なっ!?」

 

明らかにフィンのほうが優位な状態だったのに、どうやって!?

 

「おぉぉ!!」

 

ガレスが砲声しながら突進し男をその斧で切り倒そうとするが

 

「そんな大振りあたるわけないだろう?」

 

またしても姿を消した男に斧は空を切り、ガレスは体勢を崩す

 

そしてまたしてもガレスの後方から現れた男は手刀でガレスを沈める

 

レベルが違う、、

 

そんなリヴェリアの心の声を読み取ったかのように

 

「キミたちじゃ俺には勝てないね、なんせレベルが違うんだから」

 

そう言った男の顔には気持ち悪い笑みが張り付いていた

 

「さぁ、ケガする前に渡してもらえると嬉しいんだけど」

 

「渡すわけないだろう!」

 

私は無茶だとわかっていながらも詠唱を開始する

 

「【リグレイション】!」

 

ルナは先に詠唱していたので魔法を発動し、ドラゴンの死骸近くから氷をかき集め魔法陣によって増幅し、発射した

 

「便利な魔法だねぇ、けど意味ないよ」

 

またしても男は姿を消した

 

「っく!」

 

ルナの魔法は標的を見失い、壁に大きな氷の壁画を残した

 

(もうすぐ、詠唱が終わる、、)

 

終わったところで姿を消されてしまっては当てることはできない

 

が、何もできずにやられるのは不本意だ

 

しかし、相手は無情にも私の前に現れた

 

「詠唱がおそいよ」

 

男の腕が後ろへ振りかぶられ、数瞬の後に私は殴られるだろう

 

あまりにも、スローに見えたその状況

 

(ここまでか、、、)

 

しかし、その瞬間私は抱えていたはずの重みがなくなっていることに気づいた

 

「!」

 

私に当たるはずの拳は氷の壁に阻まれていた

 

 

「リヴェリアは、、やらせない、、」

 

 

そこに立っていたのは息も絶え絶えで立っているのがやっとな、、

 

「リオ!!」

 

「おーおー、守られっぱなしの王子様がお目覚めかい?」

 

拳を氷の壁に撃ち込み、血を流す男はニヤリと笑いながらそう言った

 

「、、消え失せろ」

 

リオのその声が響いたとたんに男の足元から氷柱が立ち上ぼり、男を氷の牢に閉じ込めた

 

あまりにも自然な魔法の流れに私はしばし瞠目した

 

「、、リオ?」

 

纏う雰囲気が普段と違うことに気づき首をかしげる

 

「リオ、あなた、、」

 

ルナが心配そうな声で話しかける

 

「、、うん」

 

その時のリオの顔は生涯忘れることはないだろう

 

「、、思い出した。僕がなんで倒れていたかを」

 

リオの顔は、苦痛に歪み今にも泣き出しそうな顔をしていたから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「、、思い出した。僕がなんで倒れていたかを」

 

きっと今の僕は酷い顔をしていただろう

 

(いやなこと、思い出したな、、)

 

リヴェリアとルナは心配そうな目でこちらを見つめてくる

 

「、、そうか。聞きたいことは山ほどあるが取りあえず今は地上に戻ることを優先しよう。」

 

「そうね、ガレスとフィンも早く治療してあげないと」

 

こちらの気持ちを察してくれて、今は何も聞かないでくれる二人にはとても感謝している

 

でも、、

 

「ごめん、僕行けないや」

 

うつむき、言いたくもない言葉を口に出す

 

「どういうことだ?」

 

リヴェリアが戸惑いの声をあげる

 

「ごめん、ホントにごめん。僕のために今まで頑張ってくれたのに」

 

そう、リヴェリアたちが僕のために頑張ってきてくれたからこそ僕は一緒に居ちゃいけないんだ

 

「理由なら、あとで聞く。今は早く安全な場所に、、」

 

「理由なら俺が教えてやっただろう?」

 

声のする方を見るとそこには、氷の牢に閉じ込めたはずの男が牢とは別の離れた場所に立っていた

 

「リオ、てめぇはモンスターだもんな?」

 

「何を言っている!?そんなこと誰も信じないと、、」

 

「そうだよ、僕は正真正銘のモンスター、化け物だよ」

 

「なっ!?」

 

僕は酷い顔をしているだろうから、それをリヴェリアに見せないように下を向く

 

「わかってるじゃねーか。なら早くこいよ、こっち側へ」

 

男は僕を求めてる

 

いや、僕の中の僕を求めてる

 

けど、それはいけないことだって学んだ

 

顔をあげ、男を睨む

 

「僕は二度と君たちのもとへは行かない。絶対に許さない」

 

「、、そうかよ。結局力ずくか」

 

僕はなけなしの魔力をふりしぼり戦いにそなえる

 

「リヴェリア、早くフィンたちを連れて逃げるんだ。僕はもうそっちに行けない」

 

リヴェリアは声を荒げ

 

「何を言ってるんだ!?早く帰るぞ!?」

 

そんな言葉に仲間ってやっぱりよかったな、と感慨を感じていると

 

「余計なこと考えてる暇なんてないぞ?」

 

いつの間にか僕の横に移動してきた男の拳が眼前に迫っていた

 

「もちろん、分かっているよ」

 

とっさに首を捻りかわすが、頬をかすめ軽い傷ができる

 

そのまま、体も捻り地面に手をつき地面から氷柱を無数に出現させる

 

男は姿をけし僕の視界から消えた

 

(どういう魔法だよ)

 

魔力も少ないので、魔法の発生を抑制しできるだけ温存しておく

 

横を見るとリヴェリアたちがガレスとフィンを引っ張って安全な場所まで避難させていた

 

(よかった、このまま帰ってくれたらいいんだけど)

 

先程までの様子だと帰るどころか加勢してくれそうな勢いなんだけど

 

「だから、余計なこと考えてる暇なんてねぇっつってんだろ!」

 

今度は後ろから男が現れ全力の拳を後頭部に受けてしまった

 

実を言うと、もうほとんど動けないんだよね

 

空を飛んでいる間そんなのんきなことを考え、壁に激突した

 

「ケハッ!」

 

血の塊を吐き出しむせた

 

ドラゴンとの一戦でほとんどの魔力と体力をもってかれて立ってるのがやっとなんだ

 

「リオ!」

 

遠くからリヴェリアの声が聞こえた

 

実際どれだけ離れているか分からないがとても遠く感じる

 

(このままだと不味いな~)

 

相変わらず他人のような感想を頭に浮かべこちらにやってくる男を見る

 

「けっ、てこずらせやがって。早く行くぞ、ゴルがお待ちかねだぞ」

 

男の手が僕に伸びた時

 

ゴッ!

 

伸ばされた腕が地面に落ちた

 

「なっ!?」

 

男に残った腕の傷口からは血が吹き出し、僕の目の前に血溜まりをつくった

 

腕がちぎれた理由はすぐ横にいた

 

「こいつは、我が主神が選んだ者だ。貴様に私はしない」

 

頭から生えるちょこんとした獣耳と、その大きな体格は、ボアズのそれだった

 

「、、オッタル」

 

リヴェリアたちに聞いたことがある

 

フィンたちと同時期に設立されたファミリアにもうLv2になった人がいると

 

ギルドには確かに彼のような顔が掲示されていた

 

男は忌々しげにオッタルの顔を睨み付け瞬時に飛び退く

 

オッタルが持つ大剣は血に濡れていた

 

きっと、いや確実にその血は男のものだろう

 

「どうして、貴様が邪魔をする?」

 

男は素早く服の裾を引きちぎり、それを腕に巻き付けて止血をする

 

「言っただろう?フレイヤ様がこいつを気にかけている。フレイヤ様の意思は我らの意思」

 

「ちっ、めんどくせぇ。覚えとけよ」

 

そう言って男は姿をかき消しどこかへ行ってしまった

 

そこで、ちょうど僕の限界も来てしまったようだ

 

遠くからリヴェリアとルナがこちらへ向かってやってくるのが見えた

 

ここで僕の意識は途絶えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、んん、、」

 

目が覚めるとそこはロキファミリアのホームの自室だった

 

(もどってきちゃったのか)

 

横を見るとベッドに突っ伏したリヴェリアがすやすやと寝息をたてていた

 

思わず手を伸ばして髪を撫でたくなったが、そんなことができる手ではないことを思い出した

 

リヴェリアを起こさないようにベッドを抜け出し部屋のドアに手をかける

 

「、、リオ」

 

寝言で僕の名を呼ぶリヴェリアを心苦しくも、放っておきドアを開く

 

廊下に出ると横には腕を組み壁にもたれているフィンが立っていた

 

「やあ、起きたかい」

 

「、、、」

 

「記憶が戻ったんだって?」

 

「うん」

 

「僕たちは君が何者でも構わないよ。もう大切な仲間だから」

 

「!」

 

「ルナから全部聞いたよ。ルナは、君の記憶を全て知ってた」

 

「え、どうして、、」

 

「とりあえず、僕たちがルナから聞いたことを全て君に伝えるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リオは生まれながらにして多量の魔力の持ち主だった

 

幼い頃、両親をなくしたリオはその魔力を付け狙われ闇派閥にとらわれてしまった

 

リオが思い出したのはここから

 

檻に囚われ日々魔力の強化を強制される日々

 

さらに、彼らはモンスターの魔石をリオの体に埋め込んだのだ

 

これがリオが自身をモンスターだと言う理由

 

さらに強化種がリオを狙う理由

 

同種を喰らうことによって強化されていく強化種はリオの魔力に引かれていたのだ

 

しかし、リオは魔石を埋め込まれたことによって体が拒絶反応をおこし、魔法が使えなくなってしまった

 

ここで、リオは金髪の男に役立たずと罵られ放置されてしまった

 

リオは隙を見て逃げ出そうとしたが道を見失い孤独に耐えながら森のなか、18階層の森のなかを歩いていた

 

そこで、多量の魔力と、魔石に体が耐えきれず意識を失ってしまったのだ

 

その後遺症として記憶がイカれてしまった

 

 

 

 

 

「そうルナは言っていたよ」

 

「その通りだよ。だけどどうしてルナが知っているんだい?」

 

「それは本人に聞いてみたらどうだい?」

 

そう言ってフィンは体を壁から離し

 

「もう一度言うよ。僕たちは君が何者でもあっても仲間だよ」

 

そして、スタスタと廊下を歩き去ってしまった

 

バンッ!

 

自室のドアが勢いよく開きリヴェリアが駆け出してきた

 

「ッ!リオ!」

 

僕は訳が分からないままリヴェリアに抱き締められた

 

「、、どうしたの?」

 

「何も言うな、、」

 

僕はただひたすらリヴェリアに抱き締められたまま暫く立ち尽くしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィンがリオに語った記憶は半分に過ぎない

 

リオが本当に失った記憶は、幼き日々の思い出だ

 

 

アリア、リヴェリア、リオ

 

 

この3人で過ごした日々

 

それは遠く昔、まだ世界が平和だった頃

 

彼はまだ思い出せない

 

魔石を埋め込まれたときにこの記憶を抜かれたから

 

大切な思い出を

 

 

 

 




えと、書きたいことが上手にかけない作者です


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回想

今回は、リオの捕らわてたところからです

文章作成力が無さ過ぎて笑えてきました

あたたかい目で読んでください




では、始まりです


リオの記憶が戻った理由は、自分と同種(強化種)と接触し、生命の危機に陥ったため

 

体が生きるために、埋め込まれた魔石の力を使うため魔石を受け入れたから

 

その時リオが思い出した記憶

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ、こんなガキが何の役に立つのかよ?」

 

「そんなの俺にも分かんねぇよ、ボスが連れて来いって言うからとしか」

 

僕が目を覚ましたのは暗い、がたがたと揺れる箱のようなものの中だった

 

外から聞こえてくる男たちの会話

 

「まぁ、全ては彼女のためだ」

 

ギィィーとドアの開く音が聞こえしばらく進む

 

そこで揺れが収まり別の男の声が聞こえた

 

「ご苦労。そこの檻にぶち込んでおけ」

 

「了解です」

 

また揺れが始まり僕は移動していることを感じる

 

不意に光が差し、ひさしぶりの明るさに思わず目を細める

 

「、、、」

 

「おっ、なんだ起きてんのか」

 

そして男は無理やり僕を引きずり出し目の前の鋼鉄の檻へ放り投げた

 

「いたっ、、」

 

体が床に打ち付けられて思わず声を漏らす

 

さらに光のもとに出て気づいたことが

 

自分の体を見下ろすと赤黒い染みが服にいっぱい付いていた

 

「、、!?」

 

当時十代半ばの僕はそれが何か気づき、思わず胃の中のものを吐き出しそうになった

 

「うっ、、」

 

ガシャァン!!

 

不意に檻の入り口が閉められた

 

男はニヤニヤした顔でこちらを見ながら

 

「その血はお前を連れてくるときに、守ろうとしてたオオカミの血だよ」

 

オオカミ、、

 

どうして、、?

 

僕は両親をなくし1人森の中で暮らしていた

 

今まで一度もオオカミなんか見たことなかったけど

 

「まぁ、そのオオカミは途中でいなくなったけどな」

 

見ず知らずの僕を助けようとしてくれたオオカミには感謝する

 

そこで、別の金髪の男がこちらにやってきた

 

無言で睨んでいると

 

「そんな怖い顔で睨むなよ、リオ」

 

!?

 

どうして僕の名前を?

 

睨んでいた目を驚きの目に変えていると

 

「お前の親にはお世話になったからなぁ」

 

下種な笑みを浮かべこちらを見下ろす

 

お父さんとお母さんに、、?

 

「あいつらがいなくなって俺の恨みはどこへもっていこうかと思っていたが、まさか息子がいたとはなぁ」

 

気持ち悪い笑みに思わず後ずさりをするが檻に阻まれて逃げ場はない

 

「これからたっぷり可愛がってやるから覚悟しておけよ」

 

あぁ、これから僕はどうなってしまうのか

 

××××××、×××は無事かな?

 

 

 

 

それから幾日が過ぎた

 

日々魔力を無理やり空になるまで行使され、マインドダウンで意識を失う日々

 

拒否すれば殴られ蹴られ

 

吐きそうになるが、ろくに食事も与えられず吐き出すものがない

 

ある日、僕は大きな広間に連れてこられた

 

 

沢山の黒いローブを着た人がいる

 

僕が広間に入るといっせいにこちらを見た

 

「、、、」

 

何の反応も返さずにただ歩く

 

広間には、大きな緑のクリスタルのような柱が立っていた

 

ぼうっと見上げる僕

 

日々の生活によって感情らしいものを表に出さなくなった亡霊のような僕を見て

 

「けっ、なんだこいつ」

 

「あれがどうやって彼女の役に立つというのだ、、」

 

そんな声が聞こえてくる

 

不意に僕のそばに立つ金髪の男が声を出した

 

「今から儀式を始める!!」

 

そう言って、クリスタルの柱へ向かいあるものを手にして戻ってきた

 

男が手にもっているのは『魔石』だった

 

僕が魔力を行使するときに的とされるのは基本モンスターだった

 

モンスターたちは総じて緑の模様と花のあざのようなものがあった

 

殺さなければ殺されるそんな状況だった

 

魔法、僕が放つ魔法で倒したモンスターは黄色い魔石を落としていなくなった

 

今金髪の男が持っているのはその魔石だった

 

「今からお前に魔石を埋め込む」

 

「、、え?」

 

思わず声が漏れた

 

「お前には彼女のための生贄になってもらう」

 

金髪の男は魔石を宙に放り投げた

 

それは空中で停止する、それと同時に僕の周りの地面が赤く発光した

 

魔法陣?

 

周りの黒ローブたちが詠唱をしている

 

なんだこれ、、?

 

訳の分からない光景に目を丸くしていると

 

目の前に浮いている魔石が淡く発光しだした

 

さらに

 

「ぐっ!?」

 

激しい頭痛に襲われた

 

な、んだこれ、、

 

頭をよぎるのは過去の記憶

 

鳥がさえずる森の中

 

木の上で歌を歌っているのは、、

 

僕と話しながら、ユニコーンの頭を撫でているのは、、

 

 

ブチッ!

 

 

そこで僕の視界はブラックアウトした

 

 

 

 

「ここは、、」

 

目を覚ますとそこは檻の中だった

 

目の前には金髪の男が立っていた

 

「目を覚ましたか、リオ」

 

リオ、、?

 

だれ、、?

 

「、、お前、魔法は使えるのか?」

 

魔法?

 

「何も覚えていないのか?」

 

覚えていない、、

 

何もわからない

 

「失敗か」

 

金髪の男の横には翡翠色の髪の男が立っていた

 

「ゴル、どうする」

 

「知らねぇよ、貧弱な体には耐えられなかったんだろう。まったく使えねぇなぁ」

 

ゴルと呼ばれた男は檻を蹴り飛ばし、つばを吐き捨てる

 

「リオ!出来損ないはもう用済みだ!」

 

またしても檻を強く蹴り飛ばし、檻の形状を大きく変えた

 

そして男たちは部屋を出ていった

 

僕に残っていたのは恐怖と酷い倦怠感だった

 

何も知らない、分からない僕はただそこから逃げるためにない頭を使った

 

あ、檻が曲がってて出られそう

 

ゴルが蹴り飛ばした部分は大きく変化しており小柄な僕ならギリギリ抜けられそうだった

 

異様に重く感じる体を引きずりその歪みに向かう

 

「、、ん」

 

ギリギリ抜けることができた

 

しかし通り抜けるときに、歪んで尖った檻に額をかすめたので血が流れてきてしまった

 

ズキズキと痛む額を押さえとりあえず部屋を出る

 

「どこだよ、、ここ」

 

そこは高い天井で薄暗い通路だった

 

「、、、」

 

部屋とは違い壁が岩でできており冷たい空間

 

とりあえず今の男たちにばれないうちに逃げよう

 

しかしどっちに行ったらいいかもわからない状況で今さら恐怖が沸き上がる

 

「まじでここどこなんだよ」

 

不覚にも汚い言葉が口からもれる

 

動き出さないと始まらない

 

音をたてないように、ゆっくりとその通路を歩き出す

 

(こっちだよ、、)

 

「!?」

 

歩き出してすぐに分かれ道に遭遇して頭を悩ませたときだった、誰かの声が聞こえてきたのは

 

「、、誰?」

 

答えは返ってこない

 

誰だよ、ったく

 

(はやく、、)

 

頭に直接語りかけられているようだ

 

「こっちってどっちだよ、、!」

 

恐怖と焦りから気がたっている僕は口が荒くなる

 

(、、せっかく教えてあげてるのに!なによ!そも言い草は!)

 

、、え

 

(あなたを助けてあげようとしてるのに!)

 

ご、ごめんなさい

 

声の急変に驚き思わず足を止める

 

「君は、、誰、ですか、、?」

 

(そんなこといいから!ほら!はやく!)

 

どっちですか、、?

 

そんなのんきなことを考えているうちに

 

「おい!あいつがいないぞ!」

 

「逃げたのか!!」

 

やば、ばれたよ

 

後ろから黒ずくめの男たちの声と走ってくる音がする

 

自分がたてる足音何て気にしないで走り出す

 

「ハァッ、、ハァッ、、」

 

何度か分かれ道に遭遇するも頭に響く声に従い

 

(右!、、次も右よ!)

 

迷路のような岩の通路を駆け抜け黒ずくめの男たちから逃げる

 

額から滴る血が男たちを僕の元へ導いているようで一向に距離は開かない

 

「くそっ、、」

 

またしても汚い言葉が漏れる

 

しばらく走り続けた、が

 

「、、行き止まり?」

 

行きついた先にはおおきな鋼鉄の壁が立ちふさがっていた

 

(、、、)

 

頭からの声は何も聞こえなくなった

 

「おいっ、どうするんだよっ!」

 

後ろを振り向くと黒ずくめの男たちの姿、声はなかった

 

「、、?まいたのかな」

 

この時僕はいつの間にか止まっていた額の血に気づかなかった

 

ゴゴゴゴゴゴ、、、、

 

扉のほうから重いものが動く音がした

 

またまた振り向くと鋼鉄の扉が上に上がっていくところだった

 

すると、地面からどんどん光が伸び僕の体を下から照らしていく

 

扉が全て上がり光が僕の顔を照らした

 

「眩しい、、」

 

そこで僕は1つ違和感に気づいた

 

目の前には光と真逆の影が1本立っていた

 

 

「こんにちは。もう一人の私」

 

 

ドクンッ!!

 

 

そこで僕の記憶は森の中でルナと会ったところまで飛んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが僕の記憶、、」

 

「そうよ。けどあなたはまだすべてを思い出してない、それより以前の記憶を」

 

「、、なんでルナが知っているんだい、そういうことを」

 

「思いだしたら分かるわよ。今伝えても混乱するだけ」」

 

「、、分かった」

 

「よろしい」

 

「今、僕がすることは?」

 

「それは自分で考えなさい、、と言いたいところだけど、あいつらがあなたを狙っていることが分かったからね。無茶ができないわ」

 

「あいつらって、ダンジョンで僕の名前を知ってたやつ?」

 

「そうよ、まずあいつらに対抗できるような力をつけるのよ」

 

「魔法、、」

 

「それとあなたが自分を化け物呼ばわりするその力を使うのよ」

 

「魔石、、?」

 

「ええ、それは今あなたの体と完全にリンクしてるわ。その力が使えるようになれば、Lv差なんてひっくりかえるわよ」

 

「化け物でもいい。僕は記憶を取り戻すために戦うよ」

 

 

 

 

ルナと話したあと一階のリビングへ行くと

 

「おう、調子はもう大丈夫か?」

 

ガレスが声をかけてきた

 

「うん、もう平気だよ。ガレスは?」

 

「ワシはもともと体が強いから一日寝たらなんとでもなるわい」

 

そこへリヴェリアがやってきた

 

「やぁ、先生」

 

「!先生はやめろと、、」

 

「今日からまた僕の魔法特訓をお願いしてもいいかな?」

 

「、、あぁ。もちろんだ。でもどうして急に?」

 

「急なんかじゃないさ。今の僕は焦ってるよ。だってモンスターだけじゃなくて、人にも狙われているんだから」

 

ガレス達はもう僕の記憶についてルナから聞いている

 

「化け物の僕を欲しているなら、化け物の僕で対抗するね」

 

 

 

 

 

 

 

リオはそう言うが、記憶が戻ったら自分はモンスターで狙われているなんて知って気を正常に保っていられるなんて普通じゃない

 

大丈夫だろうか、、

 

この前リオの部屋で目を覚ましベッドにリオがいないことですごく焦ったのはそんなところからだ

 

1人でリオがどこか行ってしまうんじゃないか、そんな懸念が頭をよぎった

 

その後部屋の前にいただけのリオをみて安堵のあまり抱き着いてしまったことは恥ずかしい

 

ただそれだけもうリオは私たちの大切な仲間だということだ

 

たとえモンスターでも彼は仲間だ

 

「そうと決まれば早速やるぞ」

 

「うん!」

 

無邪気な笑顔に微笑みを返し中庭へと歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

「フレイヤ様、よろしかったのですか」

 

「ええ、まだその時ではなかったわ。彼の中に隠れていたものがようやく出てきてくれたようだわ」

 

「?」

 

「あなたには分からないかもね。神の遊びに巻き込まれた子は大変なのよ」

 

「では、私は鍛錬に行ってまいりますゆえどうかお気を付けを」

 

「あら、まじめねぇ」

 

「アレン達には負けられません」

 

「あらあら、あなたも男の子ね」

 

オッタルが去った後フレイヤは1柱

 

バベルの塔の中腹あたり、神々が住まう階層

 

本来子どもらが入ることは許されないが、美の女神の前にルールなどあってないようなものだ

 

「はぁ、いったいどこのどいつが彼をいじめたのかしら」

 

日々子どもたちを観察すること、ある日彼を見つけたのだ

 

「まぁ、ロキのところにいるって分かった時点で様子見を決めたのだけど、、」

 

それに今はゼウスやヘラなど邪魔な神々が多い

 

「まずはオッタルたちに頑張ってもらうしかないわね」

 

艶やかな笑みを浮かべ遠くの空を見つめた

 

 

 

 

 

 

「ゴル、やられたよ」

 

「誰にだ」

 

薄暗い部屋の中クリスタルが怪しげに光る

 

「オッタルだよ。フレイヤファミリアの」

 

ゴルは驚きをあらわにして声をはる

 

「どうしてあの女神が!?」

 

「気に入ったんだろうよ。噂には聞いていたが気に入った男を引き抜くって。最近はおとなしくしていたようだったのに」

 

「神が相手ならこっちも主神様に出張ってもらわないとなぁ」

 

光り輝くクリスタルを眺めその口を歪めた

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロキ、彼はいったい?」

 

「彼は生きる兵器や」

 

「兵器?」

 

ロキの自室で向かい合い言葉を交わすロキとフィン

 

「あれはむかーしに試されてた生体兵器や」

 

「魔石の埋め込みか、、」

 

「ああ、昔は趣味の悪い神が神の恩恵も受けていないただの子に魔石を埋め込んで兵器をつくってたんや。もちろんそんな魔石の力に耐え切れず子どもたちの器は崩壊、死ぬかぐちゃぐちゃのようわからんもんになったんやけどな」

 

「リオは耐えた?」

 

「せや、まれに耐えた子がいるんやそういう子らは魔石を食わされモンスター同様に強化種にされてくんや。自我があるじ状態でな。もちろんその段階で耐えられなくなって暴走するのがほとんどや」

 

「彼は魔石まで食べさせられていないだろう?」

 

「魔石を埋め込んだ時にその多量の魔力と魔石が拒絶反応を起こして魔力が機能しなくなってその副作用で記憶が飛んだんや」

 

「やけに詳しいね」

 

「当たり前や、そんな実験に携わってきた神に直接聞いたからな」

 

「?」

 

「それは言ったらウチがどえらいことになるから言えんけど」

 

「とにかく彼がなんであれ僕らはもう仲間だから、彼を見捨てる気はないよ」

 

「フィン、お前ええ子やなぁ」

 

「フィアナはすべての子どもたちを助けるさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




更新遅れました!!(土下座

誤字訂正ありがとうございます。

お礼の仕方が分からないのでこの場を借りて感謝の意を述べさせていただきます


ぐっちゃぐっちゃの文章ですが気にせず妄想で補填しながら読んでもらえると嬉しいです


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化け物

リオはどんな気持ちでいるのか想像すると複雑でござる





では、始まりです


リヴェリアと中庭にやってきた僕は外の新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む

 

しばらくぶりの空気を堪能した後

 

「先生、まず何をしようか?」

 

「だから先生はやめろと、、、はぁ、何でもいい」

 

リヴェリアはその手を顔にあて、やれやれと首をふる

 

僕はニコニコしながらリヴェリアの言葉を待つ

 

「まずはいつもと同じように魔力の制御からだ」

 

そう言ってこちらに両手を差し伸べてくる

 

僕はその手を握り

 

「、、やっぱり先生の手ってあったかいね」

 

「なっ!!」

 

僕の不意の言葉にリヴェリアは赤面し硬直する

 

「何を馬鹿なこと言ってるんだ!はやくするぞ!」

 

僕はその言葉に従いいつものように魔力を少し開放した

 

そう()()()()()()()

 

ゴォ!!

 

僕とリヴェリアの間に淡い水色の氷の竜巻が生じ爆発した

 

「くっ!」

 

僕が魔力を開放したとたん強大な魔力の奔流がリヴェリアを襲ったのだ

 

繋いでいた手は離れリヴェリアは尻もちをつきその顔を歪める

 

その光景は僕の心を折るには十分だった

 

 

 

「そいつは、リオは、モンスターだよ」

 

 

 

頭の中にはダンジョンで出会った男の声が響く

 

僕がモンスター、、?

 

目の前の光景はその事実を顕著に表しているだろう

 

僕の魔力の奔流で地面は抉れ辺りは僕の氷で覆われていた

 

リヴェリアのほうを見ると氷で頭を切ったのか額から少し血を流している

 

 

 

「化け物の僕を欲しているなら、化け物の僕で対抗するね」

 

 

 

化け物は化け物でしかないんだ

 

先ほどの自分の言葉に辟易とする

 

大切な仲間を傷つけておいてどんな顔でいればいいんだ

 

 

 

「、、やっぱり先生の手ってあったかいね」

 

 

 

じゃあ僕の手は、、?

 

僕の両手は今氷に包まれている

 

冷たい手だ

 

誰とも手を取り合うことができない氷の手

 

僕の瞳から涙があふれ出ようとするが、凍って固まってしまい目尻に氷の粒をつくる

 

涙も流せない僕の体

 

「やっぱり、、僕は、、」

 

僕は凍った地面を割りながらその場を駆け出した

 

「リオッ!」

 

リヴェリアの叫び声が後ろから聞こえてくるが無視する

 

僕は一緒に居られないんだ

 

心のどこかで「違う!そうじゃない」と叫ぶ声を押し殺し僕は駆けた

 

 

 

 

 

 

「リオ、、」

 

私は額の傷を押さえながらリオの小さくなっていく後ろ姿を見つめた

 

やはり、心の中で自分の存在を気にしていたんだろう

 

今のは(魔力の暴発)きっとリオが魔石と完全にリンクしたことによって魔力の大幅な上昇があったからだろう

 

大きすぎる魔力なんてすぐに制御できるわけない

 

今のは事故なんだ

 

そう言いたかったが、リオの顔はとても悲痛に歪んでいて今にも泣きだしそうな顔で、、

 

「やっぱりこうなったわね、、」

 

突然後ろから声が聞こえてきたのでビックリして振り向く

 

「こうなったらもう彼自身の心に、強さに任せるしかないわね」

 

そこにはルナがふわりと浮かびながら言葉を続けていた

 

「ルナ!見ていたのか。はやくリオを探しに行こう!」

 

「無駄よ。今のリオはきっと私たちを拒絶するでしょうね。私たちを想って」

 

私はルナのそんなあっさりした感想に苛立ちを感じて思わず声を荒げる

 

「リオが私を傷つけたのは事故だった!魔力があまりにも大きくなりすぎていたんだ!」

 

「そんなこと冷静に考えたらリオならすぐにわかるわよ」

 

「じゃあ、」

 

「さっきも言ったでしょ。リオの心に任せなさい」

 

「どういうことだ?」

 

「彼の心の中には本物の化け物がいるわ。それに打ち勝てるかが彼の存在を決めるわ」

 

私はわけが分からず困惑する

 

「心の中の化け物?なんだそれは。それにお前はなんでそんなにリオのことを知っているんだ。過去のことも」

 

「、、、私は、ーーー」

 

「なっ!?」

 

ルナが放った言葉は私の驚きを容易に引き出した

 

「だったら、なおさら!」

 

「無駄だって言ってるでしょう。何度言ったら分かるの。あとは彼が自分で何とかするしかないわ」

 

ルナの言葉に私はもう何も返せなくなってしまった

 

「リオ、、」

 

ただ彼の身を案じることしかできなかった

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、、」

 

走り続けた僕は気づいたらバベルの塔の前まで来ていた

 

ダンジョン、、

 

無意識にたどり着いた先、それがダンジョン

 

やっぱり僕は暗い世界に引きこもっているのが正解なんだ

 

僕はためらうことなく歩を進める

 

すれ違う人々はこちらを見てぎょっとした顔をしている

 

不審に思ったけどそんなこと気にしないでダンジョンに向かっていく

 

誰かが僕を呼んでいる気がする

 

それがなになのか大体予想はつく

 

これから僕はどうするんだろう?

 

無意識に動く足を止めないでなぜか朦朧としてきた頭で考える

 

まぁ、いいか。どうせ僕は1人だ

 

辿り着いたダンジョン1階層

 

目の前にはゴブリンが1匹

 

普段ならフィンたちが瞬殺する状況

 

だけど、今は1人

 

僕は手をゴブリンに向け呟く

 

「消えろ、、」

 

それは化け物であるゴブリンに向けて言ったはずなのにどうしてか胸が痛む

 

僕の手から伸びた一筋の氷の線は容赦なくゴブリンの胸を貫き絶命させた

 

そうか、僕は目の前の化け物(ゴブリン)化け物()を重ねてしまったのかもしれない

 

魔石を貫かれて瞬時に灰になったゴブリンを虚ろな目で眺める

 

「1人、、」

 

最近はしばらく1人じゃなかったなぁ

 

戻った記憶では僕は実験されている間は基本1人檻のなかにいた

 

そこを抜けだした後からはルナ2人で冒険してたなぁ

 

それにフィンたちに会って賑やかになった僕の日々

 

それを自分の手で壊すなんてできやしない

 

望んでなったこの1人という状況

 

なんか、ひどく寂しいや

 

化け物である僕は化け物らしくダンジョンにこもるのがお似合いかな

 

自嘲しながらダンジョンの奥へと進む

 

 

 

『お前は1人じゃないぞ、、』

 

 

 

「!!」

 

突然の声に身を固くし警戒する

 

『まぁ、そう固くなるなよ』

 

どこから聞こえてくるかわからない声に警戒しつつ

 

「誰だ!?」

 

と叫ぶ

 

周りには誰もいない

 

聞こえてくる声はどこかから聞こえてくるとかじゃなくて、僕の内側から、、?

 

『俺はずっとお前といたぞ?生まれたときから』

 

生まれた時から?いったい誰なんだ?

 

『邪魔者が()()からいなくなって広く使わせてもらってるぞ?』

 

「ここ?いったいお前は誰でどこにいるんだ!?」

 

『おいおい、そんなことも分かんねぇのかよ。俺は()()だぜ?』

 

途端に頬に激痛が走り思わずその場に膝をつく

 

「ぐぅぅ!?」

 

体から嫌な汗が吹きだし体温が下がっていく

 

周りは僕から出る冷気に影響されどんどん凍っていく

 

「がぁああ!?」

 

頬の痛みから体中に痛みが移り叫んでしまう

 

駄目だこのままじゃモンスターが来たら、、

 

そう思った瞬間に、冷気と叫び声につられてやってきたゴブリンたちが数匹現れた

 

たとえ下級のモンスターでもこの状況で襲われたら、まずい

 

そう思い動こうとしても体が自分のものじゃなくなったかのように動かない

 

『どうしたんだ?俺が助けてやろうか?』

 

そんな声が聞こえた瞬間僕の体の真下から氷の剣山が出現しゴブリンに向かって伸びる

 

伸びた氷はしっかりとゴブリンの胸に突き刺さった

 

さらにそのままゴブリンを氷漬けにしてしまい数匹のゴブリンの彫刻が出来上がった

 

!?

 

僕は何もしていないのに

 

全身に走る激痛に悶えながら頭を働かす

 

『言ったろう。俺はお前だって』

 

氷の剣山はそのまま大きさを増しうずくまる僕の体を押し上げる

 

僕は何がどうなっているか分からないままあまりの激痛に意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

「ウラノス!ダンジョンで異常事態が起きているらしい!」

 

ギルド深部祈祷の間

 

数本のろうそくに囲まれ一人の老神が鎮座している

 

「、、ああ、こちらでも感知している」

 

「上層にて謎の氷漬けのモンスターたちが発見されているらしい」

 

フェルズは大神ウラノスに続ける

 

「、、さらにそれを調査しようとしたバカな新米冒険者も同様の状況で発見されたらしい」

 

ウラノスは静かに目をつむり息を細く吐く

 

「上級冒険者に任せておけばいいものを、、」

 

「至急クエストをだせ。詳細はお前に任せる。ただ原因は生け捕りにしろ」

 

「生け捕り?どうしてだ?」

 

ウラノスはフェルズの問いにゆっくりと答えた

 

「おそらく、この騒動の中心人物は彼らの息子だ」

 

「、、そういうことか。じゃあこの騒動で闇派閥が出張る可能性があるな」

 

「あぁ、ゼウスとヘラ、アストレアに通達を出す。よろしく頼むぞ」

 

「任された」

 

ギルドの裏のトップである彼らの会話はそこにある小さなろうそくの灯の中に消えていった

 

 

 

 

 

 

「おい、このクエストやばくねぇか?」

 

「こんなやつが今ダンジョンにいるのかよ」

 

ギルドのクエストボードの周りには大勢の冒険者がいた

 

その多くの注目を集めているのは数刻前から話題になっている『氷の魔導士』だ

 

ダンジョンですれ違うモンスターを瞬時に凍らし彫刻にして歩き続ける人

 

声をかけても反応はなくある新米の冒険者が不用意にも

 

「おい、てめぇなに無視してんだよ」

 

と絡んだらしい

 

それでも反応がなかった魔導士に新米冒険者は腹がたって剣を抜いて脅した

 

それを見ていた仲間は次に起こった光景を見て腰が抜けてしまった

 

剣を抜いた冒険者を敵とみなしたのか、先ほどまでまったく反応がなかった魔導士だが、氷の礫を不意に出現させそれを冒険者に放ったのだ

 

突然の行動に新米冒険者はなすすべもなく滅多打ちにされ最後には氷漬けにされてしまったのだ

 

その噂の魔導士は着実に階層を下り、ダンジョンの下へと向かっているようだ

 

通った道はすべて氷で覆われ壁や天井すらも氷で覆われているのだった

 

その外見は十代半ばくらいだが目の色は暗く沈んでおり、体中はいたるところが氷で覆われていてまるでローブを着ているような風体だ

 

そして一番の特徴はその頬にある花のような模様だった

 

 

 

「リオ、、、」

 

ロキファミリアはリヴェリアとルナから中庭での出来事をききリオを探すことになったのだ

 

オラリオではリオらしき人物の目撃証言は得られなかったのでダンジョンへ探しに行くところだった

 

たとへリオがそれを拒んでも

 

そこまでにリオはもうロキファミリアの大切な家族だった

 

「このクエスト、明らかにリオのことを指しているよね」

 

「あぁ、この『花のような模様』っちゅうのは強化種に共通して見られたやつじゃろなぁ」

 

私たちクエストボードの前で立ちつくしていた

 

「このままじゃリオがほかの冒険者に捕まえられてしまう。ほかの人たちよりはやくリオに会って連れて帰るんだ」

 

ロキファミリアは1人の家族を連れ戻すためにダンジョンへと足を踏み入れた

 

その様子を影から見られているとも知らずに

 

 

 

 

 

 

「ここは、、?」

 

僕が目を覚ますとそこは真っ白な場所だった

 

遠くも近いも高いも低いも分からないただただ真っ白な世界

 

辺りをキョロキョロと見回すも何も、誰もいない

 

「どこ?」

 

1人呟きを落とした時

 

『やぁ、俺』

 

真後ろから声が聞こえた

 

振り向くとそこには()が立っていた

 

「僕?」

 

『あぁ、お前だよ。俺でもあるがな』

 

もう1人の僕には頬に花のような模様があった

 

僕がもう1人という状況、またこの真っ白な世界に戸惑い首をかしげる

 

「ここは?」

 

先ほどから同じような言葉しか発していない僕に

 

『ここはお前の中だよ。心の中さ』

 

なるほど、道理でさっきまで感じていた激痛もないし体が軽いし、思考もクリアなわけだ

 

『そんなにゆっくりしている暇はないぞ?』

 

「?まったく意味が分からないんだけど。僕はどうしてもう1人の僕としゃべっているんだ?」

 

『まぁいいか。今からお前は俺になるんだから』

 

その瞬間僕の足元から氷のツタが伸び僕の足、体を絡めとる

 

「なっ!?何するんだよ!?」

 

どんどんツタが上ってきて僕は完全に身動きが取れなくなった

 

『言ったろう、俺になるんだって』

 

その言葉の後僕はまたしても意識を手放した

 

 

 

 

と思ったらすぐに目が覚めた

 

ここは、、?

 

ん?声が出ない

 

視界ははっきりしている、ダンジョンだ

 

だけど体は勝手に動くし、声は出せない

 

すると目の前にニードルラビットの群れが現れた

 

ニードルラビット?もうそんな階層に?

 

僕が意識を手放している間に勝手に僕の体は動いていたのか

 

 

『お前は俺になるんだから』

 

 

さっきのもう1人の僕の言葉を思い出し僕は戦慄した

 

そんなことを考えている間にニードルラビットが石斧を投げ飛ばしてきた

 

僕は避けようとするが、体は動かない

 

瞬間僕の体は手を振り上げ石斧の倍の数の氷の礫を飛ばした

 

ニードルラビットはなすすべもなく体を撃ち抜かれ絶命した

 

さらに氷の礫はそのまま床や壁を凍らしニードルラビットすらも氷漬けにした

 

そして僕の体は勝手に歩き出す

 

どうなったんだ僕の体

 

「おいっ!お前!ちょっと待て!」

 

後ろから声がしたので振り向こうとしたが僕の体は無視してスタスタと歩く

 

待て待て無視はよくないぞ

 

「おい!お前もしかして『氷の魔導士』か!?」

 

氷の魔導士?なんだそれ

 

「無視するんじゃねえよ!」

 

ほら怒ってるじゃないか!

 

殺気を感じた僕の体は身をひるがえし避けた

 

何を?

 

飛んできたのは矢だった

 

先ほどまで僕がいた場所に突き刺さっている

 

その矢を放った人物のほうを見ると

 

なっ!

 

オラリオに住んでいる冒険者ならだれでも知っているであろう人物だった

 

、、ゼウスファミリアのエース、Lv4ヘラクレス

 

「おぉ、やっとこっち向いてくれた」

 

こんな人がなんで僕のこと?

 

「まぁ、とりあえず腕の1、2本は覚悟してもらおうかな。『氷の魔導士』」

 

、、、存じ上げませんそんな人

 

何で僕襲われてるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヘラクレスさんはオリキャラです

リオのキャラが崩壊していく今日この頃


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