とある暗殺者の一方通行 (戸塚うさぎ)
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アサシン アクセラレータ

駄文


高級ホテルは時として金持ちの住居になる。金さえ払えば部屋の掃除はもちろん、様々なサービスを受けることが出来る。

この男、ジョーラ・ビッジャッオもその一人。彼はギャングの幹部であり、部下にヤクを裁かせ儲けている。彼を殺せるものはこの街にはいない。街を支配するボスを後ろ盾に持ち、多数の凄腕の部下を常に率いているからだ。そんな彼はでっぷりとした体を震わせながらホテルのエレベーターに乗っていた。エレベーターから出るとカメラの前で止まる。

「俺だ。開けろ」

するとカメラのマイクから返事がした。

「もうちょい顔をよく見せてくだせえ」

急いでいるというのに融通がきかない部下に舌打ちしながらカメラを睨みつける。

ピー 電子音が鳴り自室のドアが開けられた。

「遅かったじゃない」

「すまない。すぐやろう」

赤色のドレスを着た娼婦が部屋の奥から出てきた。ジョーラは女の腰に手を回しベッドに連れて行く。

「1時間誰も部屋に入れるな」

「ルームサービスもですかい?」

「当たり前だ!」

どいつもこいつも腕は良いのに空気が読めない馬鹿ばかりで頭が痛くなる。

部屋の外に5人、部屋の中に3人の部下を警備させている。部屋の外はエレベーターと非常階段がありエレベーター前に一人、非常階段に一人、別室にこの階の監視カメラを使っている一人、ベランダに二人いる。

「ジョーラの兄貴の奴、幹部のルブラ・ガトーの縄張りでやらかしたらしいぜ」

「しかもさっきホテルの支配人に部屋にだれか近づかせたら殺すって言ってやがったな」

「俺たちも殺されるんじゃね、転職時かあ」

部屋にいる三人の部下たちが酒を飲みながら話している。ジョーラは女に夢中なのでサボっているのだ。

『おい、サボってないで仕事しろ。定期連絡だ、こちら異常なし』

『カメラも異常ねえ』

『外も同じだ』

「あいよ、ご苦労さん」

それぞれが無線機を使用して連絡をよこした。部下の一人、マックスは耳元の無線機を使って返答した。

マックスは内心安心していた。ギャング同士はお互いの縄張りを侵してはいけない。これは暗黙のルールであり破った場合どんな報復が来るか分からない。ジョーラのミスでこちらも心中になるなんてまっぴらだった。だが報復してくるということは相手もそれなりの覚悟が必要だ。あいにくこちら側には数々の戦争に参加し功績を挙げている兵隊8人。部屋の外から侵入したら蜂の巣、ベランダからの侵入も出来ない、部屋に外からグレネードを打つにしてもここはホテルの最上階、同じ高さのビルもないし、ヘリコプターで来て事を大きくするほどルブラ・ガトーも頭が悪くない。そんなことをしてジョーラを暗殺失敗すればボスの顔に泥を塗りこの街にいられなくなる。しかしマックスは酒を飲んでも不安は拭えなかった。マックスの勘が危険信号を鳴らしている。

『おいエレベーター内のカメラの映像が消えた。誰か来るぞ警戒しろ』

『蜂の巣にしてやるぜ』

「油断するな、応援を一人行かせる」

『分かった。だがもう来るぜ、エレベーターのランプが最上階まで一直線だ』

「もしかしたら迷った客かもしれない。銃口向けて追い出せ」

『おう。ちょうど来たぜ・・・中に誰もいない?隠れてやがんのか?調べてみよう』

「おい待て!」

ズドン マックスが静止した瞬間銃撃が無線機越しに聞こえた。

「応答しろ!」

『・・・・』

「くっ!お前ら様子を見に行け!俺は兄貴に逃げるよう説得する!」

指示された二人はエレベーターに向かった。

『おい!死んでるぜ』

『ちょっと待てエレベーターの非情口が開いて・・・』

ズドン!ズドン! 銃声が聞こえエレベーターの様子を見に行った二人の無線が聞こえなくなった。

「兄貴!侵入者だ!今すぐ逃げるぞ!」

「そんなの蹴散らせ!こっちは忙しいんだ!」

「俺の勘で分かるんだ!奴は危険だ!監視カメラから安全な道を選んで逃げるぞ!」

ジョーラに無理やりバスローブを着せ部屋から出て別室に移動する。

カメラ室に入ると監視していた男が死んでいた。全てのカメラの映像は消えていた。

「おい!お前ら何してたんだ!」

「今は黙っててくれ兄貴!おい!非常階段どうだ?」

『足音がする。一人みたいだ。奴もこっちに気づいてるのか近づいて来ねえ』

「分かった俺も行くから待ってろ!ベランダ班はそのまま待機だ!」

『了解』

「兄貴!ピストル渡すんで自室に戻っててくだせえ!こっちで片付けてくる!」

「おう頼んだぞ!」

マックスは非常階段に向かった。

「クソ!?また殺されてやがる!」

非常階段を警備していた男は首を切られ死んでいた。危険信号がさらに鳴っていく。マックスはあたりを警戒した。

ーーーどこに隠れてる!?

ガタン 階段下から音が聞こえた。慎重に覗き込む。

ーーー誰もいない

ズドン 背後から銃声が聞こえた時はもう遅かった。

 

××××××

 

ジョーラ・ビッジャッオは焦っていた。金に目が眩んでルブラ・ガトーの縄張りで商売をしたのが間違いだったと後悔していた。

「ボスにバレないように片付けなければ」

ジョーラはベッドの上で震えながら呟いた。

ズガンズガンズガン 突然ベランダの方からマシンガンの音が鳴った。寝室と外を隔てる壁も打ち砕かれ穴だらけになった。

「はあはあはあ」

ジョーラは間一髪で逃れた。そのまま自室の武器室に向かう。

「こんなピストルじゃ無理だ!へへへこいつで殺してやる!」

両手にマシンガンを構え自室から出口にベランダに行った。

「死ね!」

ズドドトドドドドドドド 先ほど穴を開けられた壁に向かって連写した。

カチカチ 全弾打って球切れを起こした。

「死んだか?」

「動くな」

「!?」

背後からジョーラのクビにナイフが当てられた。

「武器を捨てろ」

がしゃん ジョーラは武器を捨てた。

「お前、ルブラの手先か?」

「答える義理は無ェ」

「命だけは助けてくれ」

「それを決めるのは俺じゃない」

すると目の前を娼婦の女が通った。

「私帰ってもいいかしら?」

「帰れ。俺は女子供を殺さない」

「ジョーラ楽しかったわ」

ジョーラは動けず目だけで別れを告げた。

「お前はこの電話の相手と話すだけでいい」

「ルブラか?」

「話せば分かる」

プルルルルル ジョーラは背後の暗殺者に電話を耳に押さえつけられた。

『ジョーラか』

「ボ・・ス・・!?」

『今回の件はやってくれたな。こっちもサツと揉めたくねえのよ。・・・だから大ごとにはしない、質問に答えろ。・・・ルブラの縄張りで稼いでる奴の名前を言え」

「・・・マーク・ミーヤ。裏ではサソリと呼ばれてる」

「確かか?」

「ああ嘘じゃない」

「次はお前にナイフを突き刺してる男に変われ」

「おいボスが替われって」

背後の男は何度か相槌を打つと電話を切った。

「お前のボスから伝言だ。30秒後ろを振り向かず数えたら街から出て行け」

「ああ」

ジョーラは命が助かった安堵感で復讐など考えなかった。ボスを敵に回せば街の中では生きていけないことはわかっていた。

ジョーラは首元のナイフが離れた後もおとなしく動かず30秒後背後には何もいなかった。

 

××××××

 

旧学園都市第七学区にある割烹「門」 、夫婦二人で経営している小さな店でメニューはなく頼まれれば何でも美味しく作る店。その真ん中のテーブル席に座る黒いニット帽を被り黒いコートを羽織り黒いチョーカーをつけた男、肌は白く目つきは隈があるせいでさらに悪く目の色は赤い。彼の名前はアクセラレータ。そして向かいの席には金髪サングラスにアロハシャツを着た男、土御門元春。

「おーい舞花、こいつにブラックコーヒー持って来てくれ」

「土御門ブラックはやめろォ。・・・ミルクはねェか?」

「はは、やっぱりミルク持ってきてくれー!・・・変わったな」

「互いにな」

「あれから20年経ったんだにゃー」

「ああ」

20年前、学園都市が崩壊した。原因は学生の9割が学園都市を離れたからだった。第三次世界大戦を皮切りに色々な問題が学園都市で浮上し生徒や親族が安心して暮らせる環境がなくなった。統括理事長だったアレイスターは時代の流れだと悟り学園都市を手から離した。学園都市の最先端技術は外部に公開される前に全て消された。超能力は大人になるにつれなくなり現在、学園都市第1位だったアクセラレータはベクトル変換ではなくベクトル感知まで落ちた。レベル5だった者たちは多少能力を持っているが他の元生徒たちは完全に能力は消えていた。力の衰えた学園都市を日本政府や海外の資産家、研究者また隠れ家にちょうどいいと思った裏社会の人間たちが学園都市を支配していった。

「どうぞ」

「サンキュー」

アクセラレータはミルクを一気に飲む。

「はあ、土御門ォ。仕事の裏事情は聞かねェが今回の件は大丈夫なのかァ?」

「安心しろこれは完全にボスからの命令だ。ジョーラの敵討ちなんて来ないぜい」

「ならいいが」

奥の席に老人が座っている。彼は目深にベレー帽を被りずっと下を向いている。

「今回も貯金か?」

「ああ頼む」

「次の仕事も頼むぜ」

「分かった」

アクセラレータは店を出て帰路を行く。街並みな昔よりも寂れてどこを見ても浮浪者やギャング、物をねだる子供、売り子の少女たちが多種多様な人種がいた。

アクセラレータの仕事は暗殺だ。だから目立たないようにいつも色物のメガネをかけて目つきを見て喧嘩を売ってくる奴らから避けている。家は少し高い家賃のマンションの一室。階段を上りながらアクセラレータは思い出していた。20年前、確かに彼に家族と呼べる人たちがいた。しかし月日が流れアクセラレータは再び一人で暮らすようになり土御門から依頼される仕事をこなしている。ほとんどか殺しの依頼だった。今でも彼の心の中にはラストオーダーという少女がいる。彼女を思い出すたびに湧き上がる抑えられない感情。もっと一緒にいたかった。そんな感じで自分の部屋の階に上がると一人の少女が踊り場に座っていた。アクセラレータはその少女を見て固まった。なぜならその12,3歳くらいの少女はラストオーダーに似ていてさらにたばこをすっていたから

 

 

 

 

 

 



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アサシン アクセラレータ2

駄文です


アクセラレータは自室の前の階段の踊り場で幻を見たと思った。しかし何度見てもかつて彼と暮らしていたラストオーダーそっくりの少女だった。

彼女はとても退屈そうに踊り場から足を投げ出したばこを吸っていたがアクセラレータに気がつくとそれを慌てて隠した。

「こんにちは」

「やあお嬢さん。学校はどうだった?」

「相変わらず退屈よ。私の名前はエヴァよ、おじさんの名前は?」

「アクセラレータだァ。では良い一日を」

「ありがとう、アクセラレータ。バイバイ」

アクセラレータはエヴァの後ろを通り過ぎ自室のドアの手前で止まり振り返った。

「エヴァ」

「アクセラレータたばこ吸ってたことお父さんに言わないで!お願い、もうやめるから」

「・・・言ったら君の腕のアザが増えるからかァ?」

エヴァの腕には青アザがあった。

「・・・違うわ。これは階段からこの間落ちたのよ・・・約束してくれる?」

「ああ」

アクセラレータはそこで会話を切り上げて自室に入った。そしてすぐにドアノブの鍵穴をくり抜いて作った覗き穴で外を見る。

エヴァはまたたばこを吸い出した。だがアクセラレータのとなりの部屋の扉が開いた瞬間にタバコを踊り場から捨てた。部屋から三人の男たちが出てきた。

「いいか。明日の12時までに俺様のヤクとカネを見つけ出せ!さもないと分かってるな」

最初に出てきた男は金髪のオールバック姿の高級なスーツを着た中肉中背の30代くらい。彼はそれだけ言うと階段を降りていった。

「へい!承知いたしやした!」

次に出てきた男は小太りでスウェットを着た中年はひたすら低姿勢だった。

「オイ、あんまり彼を怒らせるな。これは親切で言ってるんだ、嘘なんかつくんじゃねえぜ」

三人目はガタイのいい27.8歳くらいのジャージ姿の男が小太りに顔を近づけて言った。

「・・・嘘なんかついていやせん」

「・・・チッ。後悔すんなよ」

そう言うとガタイのいい男は階段を降りていった。

小太りの男は二人の男がいなくなったことを確認し小さくくそっと言いエヴァの頭を叩いた。

「痛い!」

「宿題やったのか!?」

「うん」

「なら部屋の掃除しろ!それとたばこは吸うなって前に言ったろ!今度見つけたら半殺しだからな!」

「・・・はい、ごめんなさい」

そう言ってエヴァと小太りの男は部屋に入っていった。

アクセラレータは覗き穴を閉じた。

「俺には関係ねェ」

 

アクセラレータは仕事のカバンをダイニングテーブルに置いた。コートとニット帽を掛ける。コートの下には数々の暗殺器がぶら下がっていた。それを外す。窓から顔を出し、ベランダに出しておいた観葉植物を室内に入れる。アクセラレータのルーティンだ。それからソファに座り肘掛に拳銃を置いて電気を消して寝る。そんな生活を20年近く繰り返してきた。

 

×××××

 



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アサシン アクセラレータ3

駄文です


 

「ねえねえ起きってってミサカはミサカはあなたの耳に囁いてみる」

 

「そんな可愛い起こし方じゃダメダメ、それよりミサカ顔に落書きしたい!」

 

「コラ!気持ちよく寝てるんだから起こすなじゃん!」

 

「あら、でも起きたわよ」

 

騒がしい声で目を開けるとラストオーダー、ミサカワースト、黄泉川、芳川の顔が見えた。

 

「・・・」

 

「ちょっと待ってって起きてすぐ行っちゃうあなたの袖を引っ張ってみたり!」

 

「いやいや止めるならこうやって電極いじればヒャハハハカエルみたいにピストンピクピクしてて受けるー!いて!」

 

「そんくらいにしとくじゃん!まったく!」

 

「ふふ、怒っちゃったかしら」

 

平和すぎる空気から逃げ出したくなるが、俺はこいつらを無視できない。

 

「・・・何だっていうんだァ?」

 

そう言うと四人はニヤニヤしながらこちらを見てくる。

 

「こっちに来てってミサカはミサカはあなたの手を引っ張ってみる」

 

ラストオーダーに手を引かれてリビングに連れられる。

 

するとテーブルの上には豪勢な料理が用意させられていた。

 

パンパンパン 四人はクラッカーを鳴らす!

 

「誕生日おめでとう!!!」

 

この状況にどう反応していいか分からなかった。

 

「あれ?嬉しくないのってミサカはミサカは心配になる」

 

「心の中で泣いてるよ、それよりミサカ早く食べたーい」

 

「ほらほらアクセラレータ早く座るじゃん」

 

「君の戸籍データくらい分からないわけないでしょ」

 

俺は言われるがまま席に座る。目の前にはロウソクを灯したケーキがある。

 

ハッピーバースデートゥーユーと四人が歌う。

 

「ろうそく消す前にお願いするんだよってミサカはミサカは教えてみる」

 

願い?俺の願いはーーー。

 

しかし突然、目の前が強烈な光で覆われた。

 

部屋の中は壊滅的に破壊されていた。料理もケーキも跡形もなかった。

 

「・・・」

 

俺は能力を使い四人への被害をゼロにしていた。

 

「行っちゃやだよってミサカはミサカは!!」

 

「・・・」

 

俺は四人から背を向けて戦場に足を向ける。本当なら爆撃自体を部屋の外へベクトル変換できたはずだった。能力が落ちてきている、以前から実感はしていた。これ以上彼らを守ることは出来ない。俺は分かっていた。だが、こいつらの命を狙ったものたちを殺すことは出来る。もう戻れない場所を振り向かず戦場へ飛んだ。

 

その後、旧学園都市に移り住み土御門を頼りに生活している。

 

××××××

 

朝起きると決まって筋トレをする。その後ミルクを飲み、朝食を食べる。観葉植物の手入れをしベランダに出す。これがアクセラレータの朝のルーティンだった。

 

××××××

 

11時30分

 

エヴァの家族は五人 父マーク・ミーヤと継母アマンダ、義姉ミシェル、義弟マイケル。

 

エヴァはアニメを見ていた。しかし義姉にチャンネルを変えられた。

 

「ちょっと!」

 

「うるさい!トレーニングの時間なのよ!」

 

「私の時間でしょ!私に見せてよ!」

 

「うるさいな!あっち行ってろ!」

 

義姉はリモコンを渡さずテレビを見ながらストレッチを始めた。

 

「トレーニングしたってそのデカケツ小さくなんないわよ!ビッチ!」

 

「なんだとこのガキ!!」

 

「うるさいわね!エヴァ、私お昼ご飯作れないからみんなの分買ってきなさい!!」

 

「・・・はーい」

 

「ふんいい気味」

 

最低な継母に最低な義姉、最低な父。日頃からこんな人たち死ねばいいと思っていた。

 

でも4歳の義弟だけはエヴァの天使だった。

 

「お留守番しててねマイスウィート」

 

「うん!」

 

屈託のない無邪気な笑顔にキスをして家を出た。

 

××××××

 

マーク・ミーヤは不安で心が押しつぶされそうになっていた。

 

「アマンダ」

 

「ハニー後にしてこれから仕事なの」

 

「いいじゃないか」

 

リビングでなっているエクササイズのリズムに合わせてマークは腰を振った。色々な感情が混じり合った行為だった。

 

アマンダは満足したような表情をしていた。マークもこれで心を安定させることができた。

 

「お風呂入るわハニー」

 

「ああ、ゆっくりしててくれ」

 

マークはアマンダにキスをしてこれから来る客の準備をした。

 

××××××

 

11時59分

 

綺麗に整ったオールバックに高級なスーツを着た男、ルブラ・ガトーは懐からカプセルを取り出し歯に加え顔を上げて首を曲げて思いっきり噛んだ。

 

「あグッ、ふぁー。今日も最高だハニー」

 

ガトーは4人の兵隊を率いてマークの部屋の前に立っていた。

 

「時間だ」

 

兵隊たちが部屋に乗り込んだ。風呂から悲鳴が聞こえ、リビングから泣き叫ぶ声が聞こえたがガトーはどうでも良かった。

 

マークを見つけて額に銃口を押し付けて壁に追い詰める。

 

「・・・兄貴、俺は持っていやせん」

 

「いーや、そんなことは重要じゃない。今日の、12時、までに、俺の、カネと、ヤクを、探し出せと言ったんだ。もう、1分過ぎてる。なあ?分かるよな?」

 

「・・・へい」

 

マークはこっそりと壁にかかっているカーテンの隙間に隠していた物を取り出そうとした。

 

ズドン! ガトーはマークが動いた瞬間迷わず引き金を引いた。

 

「コイツ!俺を殺そうとしたのか!この、俺を!なめやがって!」

 

次々とマークに向かって弾を撃った。

 

「兄貴!もう死んでる!」

 

ガタイのいい男がルブラを止めた。

 

「ああくそ!俺のスーツがァ!血で汚れちまってるじゃあねえか!おい!」

 

すると突然マシンガンを打つ音がした。

 

「すまねえ!銃声に驚いて誤射しちまった!」

 

「おいガキが死んでるぞ!ガキを殺すのは嫌だったんだよ!しかもまだ4歳くらいだぜ!」

 

部下たちが騒いでルブラがいる部屋に集まってきた。

 

ガタイのいい男は頭を抱えた。

 

「はあ、なにやってんだあいつら」

 

「興ざめだ。騒ぎが起きる、ザック一人置いてけ」

 

「あいよ」

 

「え?どういう意味?」

 

「誤射したお前はここに残れ」

 

「なんで?」

 

「お前は今回の立役者だ。つまり三人殺した罪で捕まれ」

 

突然の命令に部下の一人は固まってしまった。そいつを無視してルブラとザックは部屋を出て行く。

 

「新しいスーツ買おうぜ!なあ?」

 

「ああ、そうだな新しいのを買えばいいな」

 

××××××

 

エヴァは階段を上がると自宅付近が異常な雰囲気に包まれていた。

 

入り口前で武装した男が女を口説きながら立っていた。

 

「おい止まれ」

 

男に銃口を向けられる。

 

「私、一番奥に住んでるの早く帰らないと」

 

「そうか」

 

あっさりと通されたエヴァは真っ直ぐに自宅を通り過ぎてアクセラレータの部屋の前に立ってノックした。

 

自宅からは家族全員殺され少女が見つからないという男たちの会話が聞こえてきた。

 

「ねえ、入れてお願い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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アサシン アクセラレータ4

駄文です。キャラ崩壊アリ。


「ねえ,入れてお願い」

 

アクセラレータは隣の部屋に武装した男たちが入っていった時点で警戒していた。銃声が鳴り隣人は全員死んだみたいだ。格好を見る限りこの学区を支配しているルブラ•ガトーで間違えない。最初は自分を殺しにきたのかと考えたが,どうやら隣人のヤクの商売人がヘマをしたらしくその罰を与えに来たらしい。アクセラレータは鍵穴を覗いて息を潜めて連中が帰るのを待っていた。しかし予想外のことが起きてピンチになる。

 

ドンドンドン ノックがなる

「早く入れてよお願いだから」

 

昨日会ったエヴァが泣きそうな顔をしてアクセラレータに部屋に入れてくれと言っている。

アクセラレータは静かに唸った。ここで彼女を入れてしまっては奥にいる見張りの男にバレてしまう。そうなったらルブラ•ガトーにバレてもうこの街で暮らす事が出来なくなってしまう。そうなったら今度はラストオーダーに被害が行くだろう。

 

ドンドンドン ノックの音が強くなる

「開けてよ!ねえ開けてったら!」

 

見張りの男が訝しんでこちらに近づいてきた。

ーーーどうする

 

「くそ!何でないんだ!」

「まあまあ,後処理終わったらまた来て探そうぜ」

「おい!お前!12,3歳くらいの少女がまだ帰って来てないんだが,見なかったか?」

「あ,•••いいえ見てません」

「そうか,なら引き上げるぞ」

 

×××××

 

アクセラレータは覗き穴から外を眺めルブラたちが行ったことを確かめて安堵した。ルブラたちがちょうど出て来てくれたおかげで見張りの男から顔を見られずエヴァを部屋に入れる事が出来た。

 

エヴァはダイニングテーブルの椅子に座って現実を受け止めきれないような顔をしていた。

ーーー無理もない家族が殺されたんだ。いくら治安の悪いここに住んでいたとしてもショックが計りしれねェ。しかもまだ普通の子供だァ。

 

アクセラレータはミルクをエヴァに出したが,口を付けずにエヴァは話し始めた。

「私ね,実はこれでもせいせいしてるの。パパは死んだってしょうがないほどのクズだし,継母は本当のママじゃないから私に愛情はなかったし,義姉はいつも私をいじめていたわ。地獄にいくべきだっただわ。みんな死んでスッキリしてるの。•••でもね義弟のマイケルはまだほんの4歳よ,あの子は穢れのない天使だったの!それなのに!アイツらは殺したのよ!アーメン!マイケル,安らかに眠ってね」

 

アクセラレータは話を聞く事しかできなかったし,祈るエヴァの姿をじっと見る事しか出来なかった。その姿はかつてのラストオーダーの姿と重なった。

 

「今日,泊まってもいいかしら?」

「•••」

「まさかと思うけど,家族が殺された少女を見捨てるつもり?」

「いいや,警察に保護してもらえ。その方が安心だァ」

「本気で言ってるの?あの人たち見たでしょ,警察なんかに手に負える相手じゃないわ」

「ここにいたって,同じだ」

「違うわ。なんとなく違う気がするの。•••この鞄かっこいいわね」

ダイニングテーブルにアクセラレータの仕事の鞄が置いてあった。それをエヴァは興味ぶかそうに見る。

「触るんじゃねェ」

アクセラレータは鋭い目つきと静かな怒気を込めて言った。

しかしそれは逆効果だった。エヴァはそれを見てニヤニヤしながら鞄を開けた。中には数々の銃の部品が入っていた。

 

「まあ!あなた!殺し屋だったのね!」

「黙れ。それ以上触るな」

「はーい。ふふふ」

エヴァはいたずらっ子のような表情を浮かべていた。

アクセラレータは鞄をしまいながら言った。

「今日は泊めてやる」

「ありがとうアクセラレータ。でも寂しいおうちね,まるでただ住むだけのおうちだわ。漫画もないしテレビもない」

「そんな事は無ェ。冷蔵庫の中にはミルクはあるし,ベッドだってふかふかだ。それに豚を飼っている」

「豚なんている訳ないわ」

「キッチンで飼ってる。ピットくんっていう名前だ」

「嘘よ。私さっきキッチン見たけどいなかったわ」

「いい子だから人が来ても暴れないんだ。おーいピットくーん」

アクセラレータはキッチンに入っていった。エヴァは本当に豚がいるのかと興味津々にキッチンの方を見た。

するとふごふごとキッチンの奥から豚の鳴き声がするではないか。

そしてキッチンの入口から豚が出てきた。でもそれは本当の豚ではなくて鍋つかみの手袋に豚の顔がプリントされているだけ。アクセラレータはキッチンとダイニングを隔てる壁に隠れて豚の手袋をはめて豚の鳴き声の真似をしていた。

「ふごふご。お嬢ちゃんはじめまして,僕はピットくん。よろしくふごふご」

あの見るからに怖いアクセラレータが豚のなきまねをしている事になんだかおかしくなってしまったエヴァは子供らしく笑い出した。

「あはははっは!うふふふ,はじめましてピットくん。私はエヴァよ」

豚の手袋をはめたアクセラレータはエヴァの方に豚の手袋をはめている手をおかしくクネクネさせながらちかづいた。

「ふごふご,エヴァちゃん,ぼぉくと遊んでくれるかーいふごふご」

「ふふふ,いいわ何をして遊ぶ?」

「ふごふご,じゃー,くすぐり合いだー」

「あはははははは,ははは,や,やめてーくすぐったいー」

エヴァは爆笑してアクセラレータから逃げた。部屋の中でエヴァとアクセラレータは追いかけっこをして笑って騒いで転げ回った。

 

しばらくするとエヴァは疲れたらしく床で寝てしまった。アクセラレータはエヴァをベッドに寝かしつけた。彼は昔こんな日常があったことを久しぶりに思い出していた。

ーーーいいや,俺はひとりでいるべきだァ。明日追い出そう。

彼はいつものようにソファに座りながら拳銃を肘掛けに置き寝た。

 

 



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