ゼロの使い魔×ダークサイダーズ お試し短編 (蜜柑ブタ)
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お試し短編

ウォーとルイズの出会い編。


なぜか、カオスフォーム状態で召喚されたウォーさん。


2019/02/19
 ちょい、足し。


 

 

 学院から離れた、春風吹く、草原に、凄まじい咆吼が轟いた。

 

 赤黒く燃えさかるようなオーラをまとった巨体。

 

 背中に生えるコウモリのような翼。

 

 何度目かの爆発によって空いた穴から這い出る際に、振り下ろされた前足?、いや、腕が、地面に叩き付けられ、地面を揺らした。

 

 春の使い魔召喚の儀式の場は、一瞬にしてパニックとなった。

 

 それは、強いて言うなら、竜だった。

 

 それもただの竜ではない。前記に記載したように、体に赤黒く燃えるようなオーラを纏っており、近づけば何人であろうとも焼き付くさんとばかりである。

 

 最後の…、否、いまだに使い魔を召喚できず何度目かの大爆発を起こして、ついに、この赤黒い竜のような存在を喚んでしまったらしい、少女、ルイズは、完全に腰を抜かして、尻餅をつき、失禁までしていた。

 

 ズシン、ズシンっと、たくましい腕と足で穴から出てきたその竜は、腹を引きずりながら、やがて離れた位置にルイズにゆっくりと近づいていく。

 

 監督役として召喚の儀式の場を見ていたコルベールは、教え子である生徒を守るため、自分に注意が行くよう魔法を放つ。

 

 炎を纏っているようにも見える竜に、自身が得意とする炎が効くとは思えないが、何もしないよりは遙かにマシだと炎の蛇を放った。

 

 瞳のない、青白いだけの目がコルベールに向けられたような気がした。

 

「ミス・ヴァリエール! 逃げなさい!」

 

 見るからに強大な存在である竜に杖を向け、自分が相手をすると言わんばかりに構えるコルベールに向け、竜が腹を地面に擦りつけながら、ゆっくりと方向転換を始めた。

 

 しかし、それでもルイズは、動けない。ガタガタとただただ震えていた。それほどに、自分が召喚してしまった竜が恐ろしかったのだ。

 

 ルイズの横を通り過ぎていく竜の尻尾が、ブンッとルイズに振られた。

 

「ルイズ!」

 

 それをキュルケという赤毛の同級生が庇い、間一髪で頭上を尻尾が通り過ぎた。

 

「しっかりなさい! コントラクトサーヴァントよ!」

「で…、でも…。」

「このままじゃミスタ・コルベールが死ぬわよ!?」

「っ…。」

「タバサ!」

「うん。」

 タバサが自身の使い魔である風竜を呼び、怯えすくむ風竜を叱咤してルイズを咥えさせ、強大な赤黒い竜に向けて飛んだ。

 

「わ、我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え。我の使い魔となせ!」

 

 赤黒い竜の前に落とされたルイズは、早口で呪文を唱え、赤黒い竜の口先に唇を押し当てた。

 

 

 その瞬間、凄まじい光と共に、ルーン文字のような、紋章のような光が竜の周りに七つ出現して、竜の体に焼き付くように張り付いた。

 竜は、苦悶の鳴き声を上げ、ブルブルと体を震わせ、やがて、ドドドンッ!っと地面に倒れ込んだ。

「なんて、ムチャのことを!」

「結果オーライですわ。」

 怒るコルベールに、キュルケがそう言った。

 すると……。

「あっ!」

 竜の体がみるみるうちに小さくなり、やがて、赤い布地が見え……そして、ついには、大柄な人間らしき姿に変じてしまった。

「うそ…?」

「……う、ぐ…。」

 ルイズが驚いていると、元、竜である、大柄な人間が呻いた。

 やがて、ゆっくりとその人物が頭を押さえながら起き上がった。

 男だった。

 まるで、傭兵のような荒っぽさを感じさせる鎧と、頭に被っている赤い布地の頭巾の横から垂れている髪の毛らしき長い毛は、白銀に光っている。

 目を開くと…、そこには瞳はなく、ただただ青白いだけだった。

「……どこだ、ここは…?」

「あんた…。」

「お前は…誰だ?」

「わ、私は……、ルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。」

「長い。」

「はあ!?」

 吐き捨てるように言われ、ルイズは、たまらず声を上げた。

「で? てめぇはなんだ? ここはどこだ?」

「あんたねぇ! こっちが名乗ったんだから、あんたも名前を名乗りなさいよ! 人に物を聞く態度じゃないわ!」

「……。」

「なに? なんとか言いなさいよ。」

「…………………ウォーだ。」

「ウォー? それがあんたの…。」

「で? ここは、どこだ?」

「あ…あんた!!」

 

「なんか分からないけど…、すっごいの喚んだわね。」

「……。」

「タバサ?」

「嫌な…予感がする。」

 タバサは、ウォーと名乗った、男の体に浮き上がる、七つの紋章のような光を見て自身の杖を握りしめた。

 

 

 

 それが、始まり。

 少女と、世界の破滅を告げる騎士の一人の出会いであった。

 

 

 そして彼らは知らない。

 ウォーの召喚が実は仕組まれたことであり、実現したことに高笑いをあげた伝説上の人物がいたことを……。

 

 

 




これ書いた当初…、どうやってキスさせようって悩みました。
で、結局、キュルケとタバサの協力で成功したということにしました。

ウォーの体に浮かぶ光る七つの紋章は、使い魔のルーンではありません。
ネタバレになるので、言えませんが、強いて言うなら、ウォーの記憶と力を抑えこんでいます。破られると、大変なことになります。


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現時点で決めている登場人物設定など

あくまで、現時点での設定なので、変更その他、あるかも。


◇ゼロ魔の世界でのダークサイダーズサイドの勢力図

・天界、魔界、焦炎評議会。そしてゼロ魔の世界であるハルケギニア→第三の王国。

・表向きは、焦炎評議会が定めた七つの封印によって終末戦争は起こらない状態になっている。

・6千年前にブリミルと焦炎評議会の間に闘争があり、6千年後のルイズ達の時代に問題が持ち込まれて、大惨事に発展していく。

・天使、および悪魔は、封印によって人間界への行き来は通常はできないが、何かしらの儀式などで呼ばれた場合などは例外とする。それ以外では干渉はできない。

・封印が解かれるタイミングは、人間達が終末戦争で戦えるだけの力を身につけた時とされる。

・焦炎評議会の定めた封印が解かれた時、終末戦争による調和を邪魔する者を容赦なく排除するのが四騎士達。封印が解かれない限りは現世へ現れないはずだが……?

 

 

 

 

 

 

◇ゼロ魔でのキャラ設定など

・ルイズ

 自分の系統が虚無であることを知らなかったばかりに今回一番の被害者で世界滅亡レベルの加害者になる不運。

 ただでさえゼロと蔑まれていたのに四騎士の一人ウォー(レッドライダー)を春の使い魔召喚儀式で呼んでしまう。しかもルイズの攻撃特化の虚無の爆発魔法の影響かウォーが記憶喪失&力をすべて封印された状態になってしまったので呼び出した瞬間に世界で暴れ回るという大惨事だけは防げたのでこれだけはラッキーである。

 

 

 

・ウォー

 焦炎評議会に従っていた四騎士のひとり。第二の騎士(レッドライダー)。

 ウォーは二番目の騎士だが四人の中では、実は、一番若い(四人の中では歴史が浅い。古いのは四番目のデスなのだがウォーが次男でデスが末っ子ということになっていてデスもウォーを兄と呼んでいる)。

 ルイズに召喚された時なぜかカオスフォーム形態だったが、ルイズとコントラクトサーヴァントを結んだ途端、全身に七つのルーンのような模様を刻まれて名前以外の記憶と剣の使い方すらままならないほど弱体化した。しかし記憶喪失ではあるが元々の性格と闘争心はそのままである。

 2メートル以上は軽くある巨体に見るかに強そうなガチムチな体系。目は青白い白目部分しかなく、瞳部分がないことや左腕が右腕よりも大きいなどの特徴から種族不明の亜人とルイズ達ハルゲニアの人間達から思われる。

 あとカオスフォーム形態がドラゴンに似ているのでドラゴンに関係があるのかもっとも思われる。

 身につけている衣服と鎧は着脱不可。頭に被っているフードもどんな強風でも爆風でも外れない。こめかみ辺りからはみ出てる長い銀色の髪の毛はサラツヤ(笑)。

 デイテクト・マジックでウォーの性質を調べようとすると魔法が弾かれてしまうことや、カオスフォームを使う直後と解いた後に体が一瞬だけ青いエネルギーに分解されるような現象が見られることから、ウォーは生物ではなく、天使や悪魔や精霊などと同じ意思を持つエネルギーである。また四騎士という神クラスの霊的な存在であることからハルケギニアの魔法がほとんど効き目がない。(秘宝の眠りの鐘などが効かないなど)

 口が悪いが、戦士として紳士な一面はあり、誇りや掟に忠実でそれを貶される世界を敵に回してでも復讐しに行くほど凄まじく怒り、執念深い。そのため自分を騙したり、馬鹿にされたり、偉そうに権力ばかりを主張する相手が大嫌い。

 なので傲慢な貴族が多いハルケギニアは、彼にとって地雷の宝庫といえる。

 

 

 

・ウォッチャー

 焦炎評議会からの使者で、ルイズとウォーの前に現れた際に監視者であることを名乗る。

 原作同様、口が悪く挑発的なためいちいち癇に障る奴と周りから思われる。

 ウォーの腕にとりついたため、ウォーを監視するために来たのかと思われたが本当は……?

 

 

 

・ブリミル

 改悪予定キャラ。

 ルイズ達の時代ではすでに始祖と呼ばれるほど神格化された伝説のメイジ。

 

 

 

 

 

※気分と思いつきなどで変更します。

あと増えたりします。

 




天界・魔界・焦炎評議会(ウォー含む四騎士所属)と、人間が暮らす第三の王国の四勢力が存在する。

終末戦争が、過去に起こりかけたことがあるという伝承にも伝わっていない出来事が、ハルケギニアで起こっているという設定です。



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SS1 弱体化、そして……

お試し短編、その2。


vsギーシュ。


右腕と右足が切断されます。注意。


 

 ルイズは、あきれ返っていた。

 っと…いうのも。

 

「あんた、そんなぶっとい剣持ってるくせに、使い方が分からないってどういうことよ?」

「知らん。」

 

 ウォーの見かけ倒しな弱さに呆れたのだ。

 2メートルはありそうな巨体ではあるが、非力で、背中に背負っていた剣をとりあえず握ってみても、落とすぐらいだ。

 しかも剣を所持しているにもかかわらず、その使い方すら覚えていないらしかった。

 覚えていたのは、たった一つ。

 

 名前だけだ。

 

 コルベールは、ウォーの今の外見や、人型になる前の姿から、未知の亜人の一種ではないかと分析しており、ウォーが名前以外を失っているのは、ルイズの失敗魔法による影響があるのではとルイズに言った。

 人型になる前の強大な竜の姿について、ウォーに聞いてみても、覚えていないらしく、コントラクトサーヴァントの段階で、何かしらの弊害が起こってしまったのではないかと見られている。

 ルイズは、失望と同時に、ウォーに対して申し訳なくなった。

 見るからに戦士である彼から名前以外を奪った可能性を。

 そんな風になってしまったウォーの噂はあっという間に学院中に広まり、端から見ても、ウォーが苛立っているのをルイズは感じた。

「気に入らねぇな。」

 自分が見かけ倒し状態なのは認めてはいるものの、それが理由で馬鹿にされ、ちょっかいを出されるのは気にくわないらしい。

 ルイズとしても、なんとかしてやりたいが、ウォーの本来の力や、あの竜の姿を戻す方法がいまだ分からないため、歯がみするしかなかった。

 使い魔召喚の儀式から、後日。

 ルイズが目を離した隙に、ウォーがいなくなった。

 慌てて探していると、広場の方でなにやら騒ぎが起こっていた。

 慌てて近くにいたメイドに聞くと、ギーシュとその取り巻き達が魔法でウォーを攻撃し、憤慨したウォーが足下に作られた氷で足を滑らせこけたのを、彼らが笑い、そして見ていた他の生徒達も笑ったのだそうだ。

 怒りにブルブル震えたウォーが剣を抜いて、ギーシュに向けたため、ギーシュは遊び半分のつもりで決闘として受け入れ、広場にウォーを連れてきてこの騒ぎだ。

 このままでは、ウォーがサンドバックにされてしまう!

 青ざめたルイズが生徒達の人だかりをかき分けてウォーを助けようとしたが、逆に押し出され、ウォーとギーシュの戦いの場に放り出されてしまった。

「おや、君のご主人様が助けに入ったじゃないかい。」

「や、やめて! ウォーを傷つけないで!」

「それはできないよ。なにせ彼は僕に決闘を申し込んだんだからね。受けるのが礼儀というものさ。」

「邪魔すんな!」

「なによ! 剣ひとつ持ち上げられないくせに、なんで喧嘩を売るのよ! 今すぐ謝って!」

「うるせぇ!」

「さあ、決闘を始めようじゃないか。僕はメイジだ。だから魔法を使うよ?」

「…それがどうした?」

「その勇気は買うよ。いや、無謀か? まあどっちでもいいさ。」

 そう言って、ギーシュは、ワルキューレ達を錬成した。

 ワルキューレ達があっという間にウォーを取り囲み、殴ろうと拳を振るった。

 ガキンッ!

 青銅製のワルキューレ達の拳が、弾かれた。

「へえ? 鎧を着てるぐらいだから、さすがに頑丈か。これは、いたぶりがいがあるな。」

「っくそったれ!」

 ウォーが無理矢理剣を横へ振った。ワルキューレ達は、ヒョイッとそれを避けた。

 途端に、周りにいる野次馬の生徒達から笑い声があがる。

 振るった反動で体勢を崩したウォーが倒れる。

 ウォーは、ギリッと右腕を握りしめた。

「ウォー!」

「来んじゃねぇ!」

「なによ! 心配しているのに!」

「クソガキどもが……。」

 ユラリとウォーが立ち上がった。

 体に浮かぶ、七つのルーンらしき光の紋章が、ひとつ、揺れていた。それは、まるでウォーの怒りに反応しているかのように。

「やれやれ、主人が能なしのゼロなら、使い魔も能なしか。土下座するなら、まあ勘弁してやらなくもないけど? どうする、馬鹿な能なし君?」

「……………………………………あぁ?」

 

 ブチンッ

 

 ウォーの中で何かがキレた。

 その瞬間、バチンッという放電と共に体にある紋章のひとつがウォーの体か離れて宙に浮いた。

「えっ?」

 ルイズも、ギーシュ達も、野次馬達もそれを見て驚いていると、浮いた紋章が宙で砕け散って消えた。

「誰が……。」

 ウォーが剣を握りしめ、ブオンッと振り上げた。

 ついさっきまで剣の重たさに振り回されていた状態ではない。熟練した戦士のソレだった。

 それに気づいたのは、ルイズだけだった。

「馬鹿な能なしだと?」

「君のことさ。」

「そういや…これは決闘だったな?」

「ああ、そうさ。君が売ってきた決闘さ。」

「そうか…。」

「?」

 確認を取ったウォーが、剣を横へと振った。

 その瞬間、彼を取り囲んでいたワルキューレ達が一刀両断され、破壊された。

 ウォーは、倒れずフードから垂れさせている白銀の髪を翻して構えていた。

「なっ!」

 突然のウォーの変化に、ギーシュは驚愕し、野次馬達もざわついた。

「う…、ウォー?」

 ルイズが恐る恐る声をかける。

「どけ。」

「きゃっ!」

 ルイズをどかし、ウォーが剣を右肩に乗せた状態で、ギーシュに歩み寄り始めた。

 ハッとしたギーシュは、慌てて再びワルキューレを錬成した。今度は武器を持たせている。

 しかしそのワルキューレも、ウォーが剣を振るって破壊した。

「クソガキが……、散々馬鹿にしてくれたな?」

「ひ…、こ、こうさ…、っ?」

 ワルキューレを作る精神力を失ったギーシュが目の前に来たウォーの迫力に、思わず短く悲鳴を上げ、降参しようとした時。

 右腕と右足が消えた。

 いや……、離れた位置に飛んでいった。

「あ…、ぎ…ぎゃあああああああああああ!?」

「うるせぇ!」

 ギーシュの首を掴み、軽々と持ち上げたウォーが怒鳴る。

「ギーシュ!」

「おまえ、ギーシュを離せ!」

 ギーシュの友人達が勇気を出して杖を向け、ウォーに魔法をぶつける。

 しかし、まるで堪えておらず、ギロリッとウォーの青白いだけの目が向けられた。それだけで、ギーシュの友人達は怯えすくんだ。

「これは、決闘だ! なんびとも邪魔立てするじゃねぇ! どっちかが死ぬまでやるんだよ!!」

「やめて! ウォー、やめて!」

「邪魔すんな!」

「お願い! お願い! ギーシュを殺さないで!」

 ルイズが必死にウォーの体にしがみついて、涙と鼻水でグチャグチャの顔で必死に止めようとした。

「……………………………………チッ…。」

 ウォーは、本当に仕方なさそうにギーシュから手を離した。ギーシュは、失血と恐怖により意識を失っていた。

 その後、遅れてきた教師陣がギーシュを搬送し、ウォーは、自分に杖を向けてきた教師陣にも剣を向けようとしたが、その直後、体にある残り六つのルーンが放電し、気絶。そうして倒れたウォーは、鎖や縄で雁字搦めにされ、地下牢に閉じ込められた。

 

 ギーシュは、奇跡的に命を取り留め、また失った右腕と右足もくっつけられた。

 




一つ目の封印破壊。
これにより、剣の使い方と戦い方を思い出したウォー。
でも、残る六つの封印により、ぶっ倒れるウォー。
そして、地下牢に雁字搦めで閉じ込められるウォー。

果たして、怒ったウォーが怒らせてきた相手を生かしてくれるかどうかは、分かりませんが……。



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SS2 学院の決定

連載未予定なのに、アップしている、私……。


人を悪く言うのってラブラブなのを書くのより超難しい……。


 

『おい………………………………………、おーい!』

「………………………………………あ?」

 学院の地下牢の中で、全身を鎖や縄で雁字搦めにされて吊るされているウォーがその声で目を覚ました。

『よう。おはようさん。久しぶりだな。』

「…………………なんだ、てめぇ。」

『おっと、忘れちまってるんだな? まあいい。』

 ウォーの目の前には、黒いもやのような姿をした何かがいた。ソレから声が発せられていた。

『おめぇさんにゃ、まだ暴れてもらっちゃ困るからよ。だからおめぇさんの体についた封印を使わせてもらったぜ?』

「あれは、てめぇの仕業か…。」

『け・ど、危うく残りの封印が壊れちまいそうだったからよぉ。あんま多用はできないな。』

「ふういん? それが俺の記憶と力を奪った元凶か…。」

『早い話がそうだけどよ。今すぐ封印を壊されちゃ困るのよ。わりぃね。』

「…………………今すぐ封印を解け。」

『だ・か・ら、封印を壊れちゃ困るって言ってんの。…………………ただし、ちょっとずつならいいぜ?』

「あぁん?」

 ウォーは、わけが分からんと声を漏らした。

『おめぇさんは、いずれ思い出すさ。そしたら、理由も分かる。おっと……、そろそろ”贄(にえ)”候補が来るな、じゃあな。』

「待て!」

 そして黒いモヤが消えた。

 ウォーが舌打ちしたとき、牢屋の鉄格子の向こうに誰か来た。

 

「ウォー…。」

 

「なんだ。ガキか…。」

「私はガキじゃないわ! ルイズよ! それより…、少しは反省したんでしょうね?」

「なにがだ?」

「ギーシュを殺そうとしたことよ!」

「クソガキのことか。それがどうした?」

「私の使い魔が、危うく学院の生徒を殺しそうになったって、みんなから怒られたのよ! あんたのせいだからね!」

「はんっ。好きに言われておけ。」

「あ、あんた…。」

 反省の色などこれっぽっちもない様子のウォーに、ルイズは怒りに震えた。

 

「反省しないなら、殺されても文句はないってことよね?」

 

「も、モンモランシー!?」

 そこへ、巻き毛の金髪の少女が来て、ギッとウォーを睨んだ。

 するとモンモランシーに続いて、復活したばかりのギーシュもやってきた。少し右足を引きずっている。

「クソガキが。また殺されに来たか?」

「はっ! いい有様だな!」

 ギーシュが顔を歪めて笑い、大げさに腕をすくめて見せた。

「あぁん?」

「先生方は、いったいこんな奴の何を恐れているんだ!? たかが図体がデカいだけの亜人ごときに!」

「なに? なにがあったのよ?」

「あんたは、邪魔よ。」

「きゃっ!」

 恐る恐る理由を聞こうとすると、モンモランシーにルイズは突き飛ばされた。

 モンモランシーとギーシュが、牢の中にいるウォーを睨み付ける。しかしウォーは、嘲笑の笑みを浮かべていた。

「…こ、ここが、魔法の封印がされた場所でなければ、ここでおまえを殺してやったものを!」

 ギーシュがウォーの様子に血管を浮かせ、杖をギリギリと握りしめた。

「はんっ。俺に殺されかけておいて、できると思ってるのか?」

「わたくしがいますわ!」

 モンモランシーが杖を向けた。

「クソ娘ごときの力が無いと、ロクに俺に喧嘩を売れないか?」

「い、言わせておけば!」

 

「何をやっている!」

 

 そこへ、教師数名が駆けつけてきた。

「グラモン! モンモランシ! 君達は、この亜人との接触を禁じられたはずだぞ!」

「しかし、納得がいきません!」

「そうです! この亜人を罰するならば、退学処分だなんて…!」

 それを聞いてルイズは目を見開き驚いた。

 自分が知らないところで、学院の上ではそんな話が進んでおり、ウォーに憎しみを抱いているギーシュや、その彼女であるモンモランシーがウォーとの接触を禁じられ、それを破れば退学処分に処される状態になっていたことを。

「それならば、なぜルイズが処分されないのですか!?」

「それは、すべてオールド・オスマンの決定だ! 覆すことはできん! いいからここを出なさい!」

「納得する理由を!!」

「退学になりたいのか! 家の名を汚したいか!」

「っ……。」

 そう言われ、二人は押し黙った。

「ぷっ。」

「ウォー…?」

 すると、牢屋の中にいるウォーが小さく吹いた。

 全員の視線がウォーに集まる。

「結局は、偉ぶるだけの権力が大事なガキ共と、上の顔ばかり伺うだけの能なしか。」

「き、貴様!」

 くっくっ…っと笑いながら言うウォーの言葉に、教師達が怒り杖を抜いた。

「何が違う?」

「う、ウォー! 謝って!」

「ロクに俺を殺せもしないくせに……。」

 次の瞬間、ウォーが自身を雁字搦めにしていた、鎖と縄を破った。

 それに教師達やギーシュとモンモランシーが驚愕していると、ウォーは、牢屋の鉄格子を掴み、ひねりあげて、破壊した。

「この程度のお粗末な牢屋じゃ、この世界の人間共の力もたかが知れている。」

 ルイズは、開いた口が塞がらなくなった。

 地下牢は、時にメイジを閉じ込めておくため、強固な魔法が使えないようにするための封印が施されている。それだけじゃない、もちろんメイジではない者でも破壊できないほど強固な錬金が施されており、こんな簡単には破壊できはずだ。

 そんな地下牢から難なく出てきたウォーに、一部の教師が腰を抜かしていた。

 ギーシュもモンモランシーも、言葉を失っており、よく見ると足が震えていた。

 二人は、学院の決定に大きな不満があったものの、圧倒的なウォーの力を目の当たりにし、今は後悔が強まっているようだ。

 

「やはり、こうなったか…。」

 

「お、オールド・オスマン!?」

「すまぬ…。どうか我らを許してはくれぬか、戦士よ。」

「なんだ、ジジイ。」

 オスマンがウォーに頭下げた。それにルイズ達は驚いた。

「そなたを拘束したのも、我々のメンツのためじゃった。このようなことは、これっきりとするので、どうか、この子らを許してやってはくれぬか?」

「……ったく。殺す気も失せるぜ。」

 頭下げ続けるオスマンの様子に、ウォーが気分を害されたとばかりに、頭を振った。

「そうじゃ…、そなたのこれからのことじゃが、ミス・ヴァリエールを交えて、これから、学院長室でしたいと考えておる。来てはもらえないか…?」

「………いいだろう。」

「有り難き言葉、感謝する。」

 ルイズ達は、ただただ二人のやりとりを見ていることしか出来なかった。

 そして、オスマンはやっと頭を上げ、ウォーと共に来るようルイズに言った。

 ルイズは、ハッとして慌てて返事をした。

 そうして、ギーシュとモンモランシーは、教師達に連れて行かれ、残されたルイズとウォーは、オスマンと共に学院長室に向かった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 学院長室に招かれた、ルイズとウォーは、オスマンと対面する形でソファーに座った。図体がデカいウォーは、少しばかり座りにくそうではあるが…。

「さて、まずは、戦士殿…。あなたのことでじゃが……、我々は、全力をもって元の場所へ帰すことを決定した。」

「えっ!」

 ルイズが驚き思わず声を漏らした。

「ミス・ヴァリエールには、申し訳ないが、この戦士殿を使い魔とし続けるのは辛かろう…?」

「それは……。」

 ルイズは、口ごもり俯いた。

 そして思い出されるのは、学院中から向けられる侮蔑と怒りの目、目、目……。

「本来ならば、メイジは、次なる使い魔を召喚する場合、使い魔が死ななければ次の使い魔を召喚できぬが…。」

「俺に死ねというか?」

「とんでもない!」

 オスマンが降参だと手を上げて首を振った。

「そして…、なぜこの決定をしたのか、その理由じゃが…。鎧とそのマントの上からでも見えておる、その紋章のような物のことじゃ。」

「これか?」

「それは、おそらくは使い魔のルーンではない。」

「えっ!!」

 たまらずルイズが声を上げた。

「あの時、グラモンの倅を殺そうとした、あの時に、そのひとつが壊れていた。途端に、戦士殿が戦う力を取り戻した。つまり……、おそらくは何かしらの封印ということじゃろう。」

「ふういんか…。」

 ウォーは、自分の右手を握ったり開いたりして、あの時の感覚を思い出した。

「なぜ、戦士殿に、そのような物がついてしまったのかは、原因は分からぬ。じゃが、このまま封印の全てが解かれれば……。ミス・ヴァリエール。そなたが召喚した当初のように……。」

「あ……。」

 ルイズは、あの時、あの強大な竜の姿を思い出し青ざめた。

 あの姿こそウォーの真の姿なのだとしたら、すべての封印がなくなればどうなる?

 あの時は、召喚されたばかりのロクに動けなかったと思われるが、もし全盛期の力を取り戻したなら、もう誰にも止められないのではないかと考えたルイズは、汗をかき、ブルブルと震えた。

「理解したようじゃな…。では、戦士殿。これより先、そなたの故郷に帰す目処が立つまで…、できることならば、この学院で過ごしてもらいたいのじゃが…。」

「そりゃ、たいそう退屈だろうな。」

「すまぬ…。」

 オスマンは、心底すまなさそうに頭を下げた。

 

 

 こうして、学院内にウォーに攻撃することを禁じるお触れが出され、特にウォーに対して憎しみを抱いていたギーシュは、唇を噛むこととなる。

 

 

 




オスマンがウォーを恐れているのは、この段階で、確証は得られていないが、ウォーの体についた封印が原因です。
残る六つ……、これが全部壊れると……?


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SS3  ウォーの暇

長らく放っておいてすみません。


なんか、書く気が起きなかったんです。


原作キャラ死亡って、タグ付けた方がいいですかね?


 

「暇だ。」

 使い魔召喚の儀式から、1週間ほどが経過したが、いまだにウォーを帰す手段は見つかっていない。

 無理もない。

 そもそも、ウォーの種族すら分からず、そしてウォー自身も自分の名前と剣の使い方しか思い出せていないので、八方塞がりもいいところなのだ。

 普通の人間よりも巨体であることから、亜人であることは分かるのだが、ハルケギニアに暮らす亜人を紹介したどの書物にも該当しない。

 第一、鎧自体が体の一部のようになっているので、生理現象というものもないらしい。

 だが、出された食事は、ガツガツ下品に食っているので、食欲はあるらしい。だが、本人曰わく、べつに腹は減らないが、出されたから食ってるだけらしい。つまり、一応、味覚はあるようだ。

 完全に暇を持て余しているウォーは、暇つぶしにもならないが、学院を歩くこともあった。

 すると、学院にいる生徒達は、ビクつくし、ギーシュや、モンモランシー、そしてギーシュの知人達は、睨んでくるし。だが、手を出せばたちまち退学処分というお触れが出ているため、誰も手を出さない。

 なお、手を出した生徒はいた。

 だが、ウォーに魔法が一切効かなかったことや、それを教師に知られたことで退学処分になり、ウォーに手を出したら退学処分のお触れが本物だというのを知らしめただけだった。なおこの件については、ウォーは何も思わなかったようだ。(そもそも魔法が当たったことすら気づいてなかった)

 

 魔法が一切効かなかった。

 これは、魔法主義社会のハルケギニアにおいては、これ以上無いほどの脅威だろう。

 

 学院側も必死だ。アカデミーにでも知られたら、速攻で、研究者達はウォーを研究材料にしたがるに違いない。

 そんなことになれば、確実に大変なことになる。

 まず、ウォーが怒る。

 それによって、ギーシュの一件の時みたいに封印が壊れて、力を取り戻す。

 そして、死人が出る。

 そして、色んな物が破壊される。

 色々と…終わる。

 最悪の未来しか思い浮かばない……。

 ならば、早くウォーを帰そう!っということで、教員達はみんな頑張っている。

 だが成果は、全然ない。

 

「おい、ジジイ。」

「なにかご用かね?」

 オスマンにもとへ、ウォーが来た。

「暇だぞ。」

「それは、申し訳ない…。この学院には娯楽はほとんどないのです。」

「……そういや、町があるとかって、聞いたな。」

「っ! お、お待ちくだされ! まさか…。」

「少しばかり散歩だ。」

 そう言ってウォーは、ドカドカと去って行った。

 残されたオスマンは、ロングビルと共に、固まった。

 だがすぐに我に返って、手が空いている教員達と、ルイズにウォーの監視を伝えた。

「ちょっとぉ、町に行くなんてどういう風の吹き回し?」

「暇だからだ。」

「け、けど、あんた…、メチャクチャ目立つから…。」

「それがなんだ?」

「…うぅ、もう勝手にして! 絡まれても知らないからね!」

「そうなりゃ喧嘩を買うだけだ。むしろその方が少しは暇も潰れるというもの。」

「わ…私も行く!」

「勝手にしろ。」

 そしてウォーの後ろをルイズが追いかけていった。

 離れた場所から教員の何人かがついてきていたが、ウォーは気配を感じていても気にしなかった。

「待って、町まで、馬で行かないと日が暮れちゃうわ。」

「……馬…。」

 しかし、ウォーの体格では普通の馬には乗れない。

 するとウォーは何か考えるように顎に手を置いた。

「………る…。」

「?」

 

 ビシビシ

 

「……ルイン…。いるなら、出てこい。」

 

 すると、地面に穴が空き、黒炎と共に、大きな黒い馬が飛び出してきた。

 

「なに、その馬!?」

「俺の愛馬だが?」

「思い出したの?」

「ああ…。」

 そう言ってルインという馬の方に向いたウォー。ちょうどルイズに背中を向ける形となったが、光っていた印がひとつ消えていた。

 先ほどなにか軋むような音がしたと思ったら、封印のひとつが壊れた音だったらしい。

 ルイズは、青ざめる。

 封印が壊れないよう様子を見るはずだったのに、速攻で壊しててどうする!?

「行くぞ、ルイン。」

 おぞましいほどに凄まじい鳴き声を上げ、ルインがウォーを乗せて走り出した。

「ま、まってぇ!!」

 ルイズも馬を走らせ、慌てて追いかけた。

 

 

 まっ、当然だが当然なのだが。

 

 

 デカい騎士のような亜人が、それよりデカい馬に乗って走ってきたら、そりゃあ、もう…、怪しまれるに決まっている。

 

 城下町に到着する直後には、城下町を守る兵達に囲まれていた。

 

「ああん? なんだてめぇら?」

「お、お待ちください!」

 剣を抜こうとするウォーを制して、ルイズが馬から飛び降りて間に入った。

「なんだね君は?」

「私は、トリステイン魔法学院在学中の、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールでございます! この亜人は、わたくしの知人です! どうか剣を降ろしてください!」

「う゛ぁりえーる? もしや、ヴァリエール公爵の?」

「はい! 私は、ラ・ヴァリエール公爵が三女、ルイズでございます!」

 そこから、ルイズは、必死でトリステインの兵達に武器を降ろして欲しいと頼みに頼み、なんとか警戒を解いてもらい、ウォーに手を出さないようお願いした。

 オスマンからもらっていたオスマン印の書状を渡すなど、必死になっているルイズの様子を、剣でポンポンと肩を叩きながら、ルインの上で、ウォーは暇そうに見ていた。

 やがて、兵達が去り、ルイズはヘナヘナと力尽きたように両膝をついた。

「終わったか?」

「ああ、もう! あんたのせいだからね!」

「で?」

「と、とりあえず、許可は下りたけど! なんか乱暴でもしたらすぐ捕まっちゃうわよ!? 国が出てきたらさすがのオールド・オスマンでもどうにもならないわ!」

「俺はどうでもいいがな、国がどうなろうが、あのじじいがどうしようが。」

 ルインから降りたウォー。ルインは、影に吸い込まれて消えた。

「とりあえず、剣は収めて!」

「うっせーな。」

 後ろからついてくるルイズに、ウォーはイライラしながらも剣を収めた。

 

 

 城下町を歩く、ウォー。

 当然だがとんでもなく目立つ。

 デカい、ゴツい。でっかい剣を背負っている。見たこともない亜人。

 すべての要素が怪しさと危険な匂いをさせていた。

 

「おい。」

「な、なに?」

 ふいに立ち止まったウォーが振り向いてルイズを見おろした。

「武器はどこにある?」

「武器屋のこと? ぶ、武器屋なんて…必要?」

「知らねーのか。ま、知らねーなら別にいいがな。」

「知ってるわよ! でも、ちょっとあんたの体格じゃ…。」

「ああん?」

「…行くの?」

「めぼしい店も無いことだしな。」

 ウォーにルイズに案内させ、狭い路地(ウォーがデカい)を進み、武器屋についた。

 

「…らっしゃーい、って、うぉ!」

 

 店主は入り口を狭そうに入ってくるウォーを見て驚いた。

「お、お客さま…、ずいぶんとまあ…素晴らしい体格で…。」

「人間共の武器屋ってのはこんなもんか? 通りと同じでめぼしい物がねぇな。」

 ウォーの言葉に店主は、カチーンと来たのか、素早く店の奥に行き、1本の立派な剣を持ってきた。

「コイツは、どうですかい? うちの店で一番の業物でさぁ。」

「……。」

 ウォーは、机に置かれた剣をジィっと見つめる。

 だが、すぐにフンッと鼻で笑う。

「鋼のひとつも切り落とせないようなナマクラなんざ、いらねぇよ。」

「んな!?」

「チッ…、暇つぶしにもなりゃしねぇな。」

 

『おいおいおい! 言ってくれるじゃねぇか! デカブツ!!』

 

「あん?」

「おい、デル公、黙ってろ!」

「どこだ?」

『ここだ、ここ! デケぇから目も節穴か!?』

「これね。」

 ルイズが剣の束の中から、錆びた長剣を取りだした。

「珍しいわね。インテリジェンスソードなんて。」

『おい、デカブツ! 見てくれだけで判断するたぁ、てめぇ、腕に相当な自信があるってこったな!?』

「……減らず口叩きやがって…。」

 ウォーがデル公と呼ばれた剣を握った。

 するとデル公は、黙り込んだ。

 するとカチカチと剣が振るえだした。

『こ…!』

「ん?」

『コイツ…は……、な、馬鹿な…!?』

 デル公の剣がミシミシと音を立て出す。

『な、ん、で……、お、まえ…が……、この…地上に……!?』

「ああん? 何言ってやがる?」

『うぎぎ、ぎぎ…、ぎぎぎぎぎぎぎぃいいいいいい!!』

 悲鳴ともつかない悲痛な声を上げながら、やがてデル公の刀身がバリーン!っと砕けた。

 その場がシーンっとなった。

「おい。こりゃどうした?」

「さ、さあ? で、デル公? 死んじまったのか? おい?」

「ウォー…なにしたの?」

「知らん。勝手にくたばりやがったみたいだ。」

 ウォーは、そういうと、残った剣の柄を、放り捨てた。

 

 結局、ウォーが気に入る武器は無く、デル公と呼ばれていた喋る剣の弁償代だけを払って店を出たのだった。

 

 

 




デルフリンガー退場。
ウォーの正体には気づいたが、ウォーから流れ込む力(※無意識)に耐えきれず壊れてしまう。


ウォーにかかっている封印は、2つ壊れ、残るは、5つ……。


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