LIBERATE 〜紡ぎの物語〜 (鉄鋼人)
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紡-0 「別れから旅立ちへ」

さてはて、初めてオリジナル作品でございます。
とはいうものの、完全なるオリジナルではございません。昔々、うごくメモ帳にて「J.U(ジャスタ)」なる名前で活動していた時、棒人間のRPG作品を中心に作っておりまして。
その時にうごメモで知り合った友人から「リレー形式のRPGでみんなで物語を作りませんか」的なお誘い受けまして。
私面白そうだから引き受けたのは良かったのですが…
結局完結せずうごメモ自体のオンラインサービス終了、3dsなんかは触れずしてサービスが終了しておりました。
しかし、私この作品にすごい好きで…他の作者様のキャラとか設定が面白すぎたため、(このまま廃れさせるの勿体無いなぁ)と思った次第で、この作品打ちました。

さて、前置きが長くなりましたが、それほど愛を持って作るということを知って欲しかったんです。

というわけで、本編(?)どうぞ


…………

 

???(男1)「…本当に行くのか?」

 

???(女)「分かってる?今反乱軍に行くということの意味が…あなたは帝国に裏切り者の刻印を刻まれて、死ぬまで…」

 

???(男2)「…あぁ。そんなこと、重々承知の上だ。だが、もはや俺も()()()()()()()()()()んだ。

それほど帝国は変わってしまった…」

 

彼等の下には多くの墓標が存在していた。

しかしそれらは墓標というにはあまりに粗雑な作りであり、見るからに石に死者の名と没年を刃物で傷を作り書いたような物ばかりである。

…そこは軍人の墓地であった。

ここ、ユーラデル大陸に最大の規模を誇る国「ハイン帝国」が戦争において命を落とした兵を弔う場所であった。

 

現在、ハイン帝国は反乱軍と隣国「スペーテク連邦」との戦争に追われる日々が続いていた。

スペーテク連邦は更なる国土拡大と、実質的なユーラデル大陸の覇権獲得のため。そして、反乱軍はハイン帝国の行政に異議を唱えた者が帝国を止めるべく戦争を仕掛けているのだ。

 

その戦争の犠牲者達に送られた墓標がここに集まっているのだ。ただ戦争の真っ只中であるため、大それた墓標は作らず即席のようなもので死者達を弔っているのだ。

 

そんな墓地の近く、丘の上にて帝国の柱とも言える三人が話していた。

 

圧倒的な剣術と戦略により、来るものを寄せ付けず帝国の兵からも「軍神の再臨」とまで言わせしめた男、ディス。

白のマントを羽織り、光を放つような綺麗な金髪をオールバックにしているが、額にはひとかたまりの前髪が少し垂れ、頰にはバツの傷が残っている。

 

あらゆる魔導を扱う事ができ、かつどんな繊細な魔法でも容易にこなしその気になれば敵に外傷を与えずに内部を破壊、殺す事もできる「魔導の傀儡師」と呼ばれる女大将、ダズ。

 

真っ黒に染まった短髪の髪を、サラリとなびかせ魔導師らしいローブと金の装飾を施された黒のドレスを着ている。

 

そして、魔導と近接戦闘の両方をこなし、カリスマ性と大将らしからぬ前線への参加率の高さより、帝国のほとんどの兵に認められている男、名を「ドクロ」。

大きな肩当をつけており、全身に堅固な鎧を装備している。髪は短髪の黒髪で、鋭い眼光を備えていた。

 

この三人こそハイン帝国の大将として君臨し、ハイン帝国軍を支えている将軍達である。国民達から名付けられたのは「ハイン三骸将(さんがいしょう)」という、敵兵の骸を多く取るにたる人物という意味合いで名付けられた呼び名を受けていた。

 

そんな彼等が只ならぬ空気、表情で過去の仲間たちを見送り会話をしているわけである。

 

ドクロ「…たしかに、もはや今の帝国は昔のような、戦いへの渋りというものが無くなってしまったからな…。

皇帝もまるで人が変わったかのように…」

 

ダズ「ええ…昔はよく街へ赴き、国民達との交流を重んじておられたというのに…今はユーラデル大陸の覇権獲得とその障害の排除のことばかり…」

 

ディス「そうだ…反乱軍は…その事をすでに悟っていたのだろう。…情けないな、俺も今気づいたよ」

 

かくいう2人も、そんな事は薄々気づいていた。

もちろん、皇帝のやり方もそうであるが、反乱軍が着々と力を付け帝国に力を拮抗させているあたり、明らかに国民達にも帝国の変化を感付いた者が増えている。それを感じたのは前線に立っているものなら皆気づいていても不思議ではない。

 

それほどまで、ハイン帝国の皇帝は変わってしまったのだった。実際に帝国からも何人かは反乱軍に知らない間に移動しているのだった。

 

しかし帝国の軍人として、規則の中に「裏切りへの処罰:死刑」とまで記載されているほど、裏切り行為を犯罪として重んじている。

故にいくら大将が変化に気づいていても、裏切る事はできなかった。もちろん規則も原因の1つだが、この大将達はここまで育ててくれた帝国の皇帝への恩義があった。そのため裏切るなど以ての外であり、皇帝が正しいと信じ続けるしかなかったのだ。

 

しかし、ディスはもはや堪忍袋の尾が切れたのだろう。

 

ディス「…まるで何かに取り憑かれたかのよう…」

 

ドクロがディスの肩を掴む。

 

ドクロ「貴様ッ…!!いくらなんでも推測の限度が…!」

 

ディス「考えてもみろ!!皇帝が変わられて以降、何故か得体の知れない者達の出入りが多くなっている!

フォルガとかいう新しい参謀長…奴は参戦理由や生い立ちすら語らずにすでに皇帝の側近としているんだぞ!?

明らかに…異常だ!皇帝のやり方が変わって以降な!」

 

ダズ「…!!ディス…あなた…一体何をするつもり…?」

 

ダズはこの言葉で2人を止める。

 

ドクロ「…()()()()()()…何を、するつもりなんだ?ディス…」

 

ディスは、2人の質問を噛み締め下を向き目をつむる。

やがて、改めて決意を固めたかのように顔を引き締め2人に向かう。

 

ディス「…まず、この虐殺軍と化した謎を突き止める。そして…革命を、起こす」

 

ドクロ・ダズ「…」

 

しばらく2人は沈黙する。明らかなる帝国への反乱宣言。帝国軍人としてならばこれを見逃すわけがない。

しかし…

 

ドクロ「…そうか。なら寂しくなるな。俺たちも、兵士たちも。」

 

ダズ「そうね…流石にあなたを止めるのは、骨が折れるし、ね?」

 

ディス「…!止めないのか…?」

 

意外な反応であった。ドクロは微笑む。

 

ドクロ「なんだ、止めて欲しいのか?」

 

ディス「!…フハハッ!いや…ありがとう。2人とも。」

 

ディスは、少し肩の力が抜けたように見えた。流石に彼でさえ緊張していたのだろう。何せ重罪である裏切りを告白したのだから。

 

ドクロ「しかし、なにかあればすぐに俺たちに連絡を寄越せ。無理だけはしてはならん。」

 

ダズ「貴方ほどの実力者が抜けるからね、帝国もすぐ裏切りに気付く…貴方といえど仲間とは戦えないでしょうし…?

できる限りなら力を貸すから。」

 

ディス「…ドクロ…ダズ…何度感謝を述べさせるのか…ありがとう…!!」

 

ダズ「何年アンタ達と付き合ってると思ってんだよ?…っふふ!」

 

帝国で長年大将として務めてきた者達の強固な絆が、そこに紡がれていた。ディスには、今吹いている風すら自分たちを讃えているように感じさえした。

 

ディス「ならば…また、会おう。2人とも。」

 

ドクロ「おう。もちろん生きて、だがな。」

 

ダズ「そのセリフ、嫌な予感しかしないからやめてね?」

 

ドクロ「おっと、あの大いなる魔導師の言葉だ、そうしよう」

 

ディス「ククッ…!あぁ、生きて、な。」

 

ディスはこの場を惜しみながらこの場を去った。出来るだけ見つからなように高速で去ったため、2人はすぐに彼の背中を目で捉えることができなくなった。

 

2人はこの後すぐ帝国本部に戻って行き、数人にこの会話の時間帯の辻褄を合わせるように会話しに行った。

 

 

〜〜これは、紡がれた物語。あらゆるものの意思が、勇気が、悲しみが…物語の連鎖となって、1つの結果に向かっていくのだ。我々はそれをひたすら見守る事しかできない。しかし、もし出来ることがあるのなら…この異世界の平和の為、祈ることくらいだろう…〜〜




いかがでしたか?

いつも通りへっぴりな内容でしたが、これからもちょくちょく描いていくんで、もし目をつけられた方おられれば、是非とも見てって下さいね、私だけでは作らなかった、紡がれた物語を。

それでは、また。


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