S666の情報回収作戦 (ソルジャーODST)
しおりを挟む
輸送機内の最終ブリーフィング
とはいえ、普通のドルフロ作品ではないのですいません。 かなりぶっ飛んだ(原型もある意味ぶっ飛んでる)主人公になる予定です。後書きにてこの主人公について少し触れたいと思います。
誤字脱字等は注意したつもりですが見つけられましたら、お手数ですが報告頂けますと助かります。
高度3,000mを飛行する輸送機内で、全体に青みがかり、右上腕部には黄色の帯が腕章のように塗られた装甲を身に纏う兵士が機内の座席に座っていた。
彼は目的地へ向かう道中であった。そんな彼に機内のスピーカーから声が掛かる。
「
スピーカーから聞こえる声は、30代後半くらいの男性の声だった。
「
返す声もスピーカーの声とほぼ同じ年代の声に聞こえる。
彼は自慢のヘルメットの状態を確認しながら今回の作戦に関して思うところを言う。
「今回は緊急を要する。だからこそ君に直接出向いてもらう訳だ。高度3,000mからの紐無しバンジーができる奴は
「せめてパラシュートくらい用意して頂けないですかね?」
彼の装甲服背中側にはパラシュートどころか何らかの減速する手段が一切見当たらない。
「撃ち落されるのが容易に想像できることに装備を回す余裕は、残念ながらウチには無い。それに君の重量ではパラシュートは意味が無かろう」
「俺…というか
「先ほども言ったが今回は急を要する上に、リトライは不可能な任務なのでな。代替手段なんぞ考えている暇があったら1秒でも早く君を落とした方がいい」
「落とすって言ったな!?実際そうだからなんも言えないがさすがにクルものがあるぞ!?」
彼は顔を上げてスピーカーに向けて抗議の声を上げた。
作戦の概要は出発前に聞いているとはいえ、しぶしぶ納得した以上これは言っておかなければならなかったのだろう。
内心では「
彼にとって重要なことは
「
パイロットを務めている自立人形から通信が入る。
スピーカーからの声が今まで聞こえていたものよりも低くそして機械的になった。
「さて、S666。作戦の最終確認だ。今回の目的は、E06地区にて鉄血の奇襲・包囲を受けた戦術人形2個小隊の救出だ。
「本来ならばこの戦術人形達は切り捨てられるハズだったが今回の作戦行動中に戦略的に重要な『情報』を入手しており、何としても回収する必要がある」
「件の小隊と通信が不安定になってからすでに4時間が経過している。一刻の猶予も無いと判断し貴官の投入が決定された」
「今回の作戦に於ける最優先目標は『情報』だ。極論、戦術人形の部隊が文字通り全滅しても構わん。『情報』を必ず手に入れ撤収せよ」
「これに伴い、あらゆる手段の使用及びそれに伴う被害を容認する。もう一度言っておこう、
「イエッサー。あらゆる物・状況・装備を利用して『情報』を回収。どうにかして包囲をぶち破り撤収。市街地や人形部隊の被害は考慮する必要は無いってことだな」
そう答えながら青い装甲を身に纏った兵士はヘルメットを持ったまま、輸送機後方にあるハッチへ歩いていく。ハッチの手前に着くと左手のヘルメットを一度正面から見て頷き。それを装着した。
彼の背中にはどういう仕組かDMR―M395ディジグネイテッド・マークスマン・ライフル―が張り付き、Mk.23にサプレッサーを取り付けたタイプをホルスターに入れて右の大腿部に装着している。
「
パイロットが告げる。
「S666、作戦の成功を期待する」
指揮官の声が響く。
「了解した。ではコールサイン
ハッチが開き彼はゆっくりと歩いていく。そして、ハッチの縁にたどり着いた時パイロットから通信が入った。
「
「さーて、
では、前書きにも書きましたがこの主人公について少々。
この主人公はわかる人なら分かる可能性があるのですが、SPARTANという存在です。HALOシリーズと呼ばれるFPSゲームにて「マスターチーフ」というキャラがいるのですが、そのキャラの所属部隊というかほぼ同じような存在と言いますか……。まぁ、詳しく知りたかったらググッて下さい(丸投げ
一応そのSPARTANの第二世代であるSPARTANⅡである設定です。
ちなみにS666は転生ではなく、とある出来事に巻き込まれてドルフロ世界に転移してきました。なので元の世界(HALOの世界)にいた時の記憶・経験だけではなく装備を持っています。というかそれを前提にしないとアクション書けないorz
彼は本来存在しないハズのSPARTANでしたがなんだかんだで他のSPARTAN達にも認めてもらっている兵士です。ですが本来の指揮系統から離れ衛星軌道上からの降下部隊「ODST」と共に行動することが多かったためセリフ等はODSTの影響を受けています。
さて、これ以上書くのは後書きとしてどうかとも思うので(初投稿ではダメかなーと)ここで締めたいと思います。
もしもこれを読んで頂ける方が居られたのなら大変嬉しくそしてありがたく思います。
どれだけ書けるかわかりませんがこれから頑張ります。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
降下~作戦開始
アイデアが少しずつしか浮かばず時間がかかってしまいました。
それと、1話は三人称でしたが今回は一人称になっています。
メインは一人称で、幕間などは三人称でいきたいと思います(いくとは言ってない
かぶったヘルメットにHUD(ヘッドアップディスプレイ)が表示されていることを確認してから、輸送機を飛び降りる。常人の精神ではできないことだろう。
なにせパラシュートといった安全に着地するための装備を、ぱっと見は一切装着せずに飛び降りたのだから。
こんなことをするのは地面に真っ赤な花を咲かせて死にたい自殺志願者くらいなものだ。
わざわざそんなことをするスキモノがいるとは思えないが。
高度3,000mから真っ逆さまに落ちていく。高度は低いがHALO降下(高高度降下低高度開傘)に近いといえば近い。
まあ、低高度開傘はしないけどな。この
前例はいくつかあるし、ある意味
ちょいと心配なのは知ってる前例の高度よりも俺の方が少し高いことだ。
最悪、アーマーロックを使えばいけると思うけどなー。
そんなことを考えながら目的地へ落ちていく。もうあと少しで地面だ。
タイミングを見て……、3、2、1、今!
アーマーに付いているスラスターを使って減速と姿勢制御を行う。これでも普通なら地面に叩き付けられて死ぬだろう。
だが
着地地点はなるべく障害物の多い位置を狙う。ついでに鉄血の上にでも降りてやろうかと思いつつもさすがにそう上手くはいかないか。
「よいしょっとォ!」
掛け声とともに体のバネとアーマー内の衝撃吸収ゲルでほとんどの衝撃を緩和しつつ、即座に戦闘を開始する。
ここは戦場、立ち止まったら死あるのみだ。経験上、さすがに空から何かが降ってきたら多少は混乱するだろうが向こうさんは思考がかなりシンプルなAIだ。混乱しても復活が早い。
味方以外は全て敵が向こうさんの根底にあるイコール、降ってきたのが何であろうと動くのならばそれは敵。ほれ見ろさっそく歓迎のクラッカーが鳴っていやがる。
俺は近くの廃墟や車の残骸を利用して射線を切りつつ、しかし反撃はせずに目的の戦術人形部隊を探す。弾薬はあまり持ってきていないし、こいつはとっておきとも言える銃だからな。無駄撃ちは避けないとダメだ。おっと、予想よりも落ちた位置が良かったらしくすぐにそれらしき人影を見つけることができた。
「おーい!そこの!グリフィンの部隊か!?」
戦場でこんな大声を上げるのは馬鹿のすることなんだが、今回はなりふり構っている暇なんぞない。俺は敵のことを無視して声を掛ける。通信コードを教えてもらえていたら、声を掛ける必要は無いんだけどな。所属が違うからしょうがない。
「あなたは!?」
戦術人形部隊の生き残りから返事が返ってくる。これまた戦場のセオリーでは新兵でもやらないことだ。位置がばれて集中砲火を浴びるからな。と言っても、もうすでに砲火を浴びてるから関係ないとばかりに彼女たちは叫んでいるのだが。
「グリフィン本部の指示で文字通りに飛んできた!残念ながら君たちの救援が目的ってワケじゃないけどな!」
「あのデータが目的ね!それならこの子と一緒に行って!」
隊長格と思われる人形の後ろから小柄な女の子が出てくる。
赤いベレー帽、フリルのついた黒いワンピース、背中で目立つのは赤い大きなリボン。銀髪か白髪か悩むほど綺麗な髪をしたその女の子はこう名乗る。
「MP5です。せ、背が小さいからって甘く見ないでくださいね!」
MP5と名乗る少女は右手に同じ名の銃を持ち、タイミングを見計らってこちらへ向かって走り出した。慌てた俺はDMRを構えて彼女を視界に入れようとしていた敵に向かって撃つ。風穴を開けた敵は
「今、そのライフルで撃ったんですよね?対物ライフルみたいな威力してませんか?」
「おう。この見てくれだが一応
俺の横に滑り込んできたMP5が鉄血の方を警戒しながら俺に聞いてくる。
ホント、この銃の設計開発した奴には感謝しかない。何回この銃に助けられたことか。さすがにハンターの楯は抜けなかったが胴体の装甲は撃ちぬいてやったこともある。
「で?君がこっちへ来たということはだ。どこかへ移動する必要があるワケだよな。いくつかその理由は考えられるのだけれど。まず1つ目は君がそのデータを持っている。だから俺と一緒に脱出する。2つ目はデータはここではなく違う場所にある、またはもう一つの部隊が持っているためそこまでの道案内。それとも……」
「2つ目が正解です。私たちはオトリ兼
「ああ、もう後が無いからか。それに君は小柄で素早く移動するのに問題無さげだしな」
「はい。ってそのことちょっとは気にしているんですよ?確かに戦場で素早く動けるのはいいことなんですけどね……」
名乗る時にも言っていたなぁ。悪いこととは一概に言えないのだが、本人的には気になっているのだろう。
その時カツンッと音が聞こえ、直後に煙幕が俺たちを包んだ。向かいの人形達が投げてくれたのだろう。とっとと行けという意味もありそうだ。
俺はヘルメットに搭載されているサーマルビジョンを起動し後ろを覗いた。どうやら敵さんはこちらを見失ったようだ。連中のAIが雑魚で助かる
「っと、こんなことを喋っている場合ではありません。急いで第一小隊と合流しないと……」
「ちょっといいかい?君たちは包囲されていたんだ。脱出できないから俺が放り込まれたワケだが、その第一小隊には脱出する当てがあるのか?」
質問しつつ走り出したMP5の背中を追った。もしも脱出する当てがあるのだとしたら俺が命張ってまで来た意味が無いような。
「あるらしいのですが、どうも苦戦しているらしいです」
「敵にか?」
「いえ、起動がどうとか言っていました」
「起動か……。乗り物か、それともこの都市になにか隠された道でもあるのか……」
「わかりません。とにかく最後の通信があった場所へ急ぎましょう」
MP5が走る速度を上げた。ちょっと待って少しはこっちの方も見てくれるかな!?その速度ちょっと普通じゃないよ!?俺は追いつけるけどさ!もうちょっと手加減してくれないかな!普通の人よりは速いけど、疲れないわけじゃないし息もしてるんだぞ俺は!もしかして人形の類とでも思われてる?
「最後の通信からもう2時間が経ちかけています。もしものことがあったらデータを回収しないと……」
MP5はこちらのことは見えていないようで(背後だから見えてないのは当然だが)そのままの速度で走っていく。
「こんな派手に走って敵に見つからないか?」
「大丈夫!もう少しです!あの路地裏から下水道に下ります!」
「包囲が甘いワケじゃあるまいし、もしかして泳がされてないか俺たち」
あれだけ派手にドンパチやっているのだから全方位で囲まれているハズだ。なのに走り出してからまったく敵を見かけない。道に居なくても廃ビルなどの高所に狙撃手くらい配置するものだが。
「あ、スナイパーなら第二小隊のスプリングフィールドさんが片付けてますよ。あと、敵がいない道を選んで走ってます」
「
動体感知式のレーダーといえば早い。IFF機能(敵味方識別機能)もあるので近距離ならば十分索敵できる。欠点は相手が動いてなければ反応しないことだが。
「一応。距離はおよそ80m程度ですけど。少なくとも動いている鉄血兵はいません」
「隠れて待ち伏せは?」
「上を見てください」
言われて上を見ると空が見える。ドンパチやってても空は青いもんだ。ってそんなこと考えている場合では無い。よく見ると空の一部にズレがあるように見える。これはまさか……。
「光学迷彩を起動したドローンか?」
「正解です。2機だけですけどまだ飛んでいます。ちなみに1機は私たちのルートを先行しています」
「もしかして君が操作を?」
まさかな……とは思う。いや、確かにできなくはないだろう。電脳を持つ彼女たちならば機能に余裕があるのなら拡張ができるだろうからな。だが今は移動中、しかもかなりの速さだ。敵の警戒をしつつ、ドローンも操りながら行動するにはいささか無理があるのではなかろうか。そんな疑問を持っていると彼女は、
「あはは、私じゃなくて私たちの指揮官が操作しています。包囲されてから今までずっと支援してくれていますよ」
「それはなんとまぁ。君たちもかなりやられただろうに」
現時点でも支援を続けているということはだ。かなりの消耗戦になっていることがわかっている。
つまり、自分の部下たちがすり減らされているのを見ているのだ。部下思いな指揮官ならば辛いことだろう。
「辛いと思います。でも、この情報は何としても届けなければならないと……」
「そいつはデータディスクか何かなのか?吸い出して送信することは出来なかったのか?」
「今回は偵察がメインで電子戦に強い子がいなかったんです。なのでネットワークを使って送信できなくて。あ、このマンホールから下りましょう」
「むしろ電子戦に強いヤツを偵察に使うべきだと思うけどな。過ぎたことを言ってもしょうがないが。……先に下りてくれ、後ろを見ておく」
頷いたMP5がマンホールを開けるとドローンが光学迷彩を消しその姿を現してスルッと入っていく。それに続いてMP5も下りていく。ほんの少しの間を置いて中から声が響く
「クリアです!」
一応警戒はしていたが問題無しのようだ。俺も急いで下りる。マンホールを閉めるのは忘れない。
ついでに途中で拾ったグレネードでブービートラップを設置しておく。シンプルで強力なうえに、爆発が聞こえれば侵入されたことがわかる。
たとえ気づかれて解除されたとしてもそれなりに時間はかかる。追われている時にちょっとでも時間を稼げるのは大きなメリットだ。ま、アイツらなら1体を犠牲にして突っ込んでくると思うけどな。
「ここから繋がる施設の中に第一小隊は居ます。警戒しながら急ぎましょう。」
(下水道から繋がるって処理施設しか浮かばないんだが……。ま、どうでもいいか。データ回収が最優先だし)
ドローンがまた光学迷彩を起動して先行していく。下水道は暗い。ヘルメットの簡易ナイトビジョンを起動すると、俺とMP5は地上の時よりも速度を上げて下水道を駆け抜けていった。
登場する戦術人形たちは今のところMP5以外まだ決めていません。というか決めれていません。
アンケートでも設置しようかなと思っています。(設置の仕方がわかりませんが)
一応、出来るだけAR小隊や404小隊(量産モデル?は出るかも)は出すのは避けようと思っています。
メインどころの子達は他の方々が素晴らしい小説をあげられているので、他の子で書きたいなと思っているので。問題はキャラ付けが難しいことですけども(笑)
ご意見・ご感想あればよろしくお願いします。
いつかS666自体の話も書きたいなあ。完全にHALOになるからわかる人少なくなると思いますが。
誤字脱字あれば報告お願いします。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
幕間ーとある基地にて
体のいい時間稼ぎです(笑)本編は少しお待ちくださいな。
時間稼ぎと言いましたが、これを読まれている方の中で「HALO」という作品群を知らない方も居られるかと思いますので(原作をドルフロ扱いにしているため)簡単な解説を幕間で時々していこうかなと。
そのくせ幕間がある意味1番ドルフロ二次創作らしいという。
トンプソンカッコイイ。
後書きで解説及び補足していきます。
S666が降下する数時間前――
とある地区のとあるG&K基地にてとある指揮官が机を睨んでいた。正しくは、机の上にあるタブレット型の端末を睨んでいた。
これはE06地区の上空を飛行している光学迷彩搭載型ステルスUAVのカメラから得られている映像をほぼリアルタイムで映していた。
地上で行われている戦闘を見ているその指揮官は、どうしたものかと考えていた。その訳は映像と同じくタブレットに写されている文章が原因である。
その内容は、
『E06地区にて偵察中の部隊が鉄血陣営の作戦計画に関する情報を入手。情報媒体の影響でネットワークを使用しての送信不可』
『該当部隊は隠密行動にて陸路で撤退予定であったが、部隊のオブザーバーが独断でヘリを派遣』
『鉄血警戒部隊がヘリの接近を感知し戦闘に発展。ヘリは撃墜された上で部隊も孤立』
『偵察及び潜入が目的であったため継戦能力に問題有り。部隊のみでの突破は困難』
『該当戦区にはI.O.P社の支社及び併設された簡易工場があるため、車輌等を発見できた場合は部隊の一部が脱出できる可能性有』
『情報回収に関しては別戦力の投入を推奨』
「まったく、自分は有能だと思い込んでいる無能ほどはた迷惑なことは無いな」
この部屋には彼とその副官であるトンプソンしか居ない。ゆえに彼は自分の副官に向けて問いかけていた。
「まぁ、そう言ってやるなよボス。
「むしろ、そこで気づかないことが無能だというのだ。主計業務及び基地運用のオブザーバーとしては優秀なのだが」
「戦闘指揮も現指揮官より自分の方が優秀だ、とか周りに愚痴を言っているらしいぜ」
「適材適所で配置されている事に気づけんのか。
「はっはっは、ボスは相変わらず手厳しいな!」
一見するとどこのギャングなのかと思う見た目と態度のトンプソンと、自分にも他人にも厳しそうで間違いなく堅物だろうと周りから思われているこの指揮官は、周囲から「なぜ相性がいいのかさっぱり分からない」と言われ続けている。
実は指揮官本人もよく分かっていないのだが、共にいると気が楽であり、けれども程よい集中力を維持することができるとしてトンプソンを副官にしていた。臆病とも言える程慎重な自分とは真逆とも言える、豪快な性格であることも好相性だったのかもしれない。
トンプソンはトンプソンで、業務をこなしてさえいればソファーに寝転がっていても(あまり)文句は言われないし、トンプソンが言うシャレにも律儀に付き合ってくれるなど見た目や雰囲気とは意外に違うこの指揮官を気に入っていた。それになんだかんだ言っても所属する戦術人形のことを大事にするこの指揮官ならば自分たちのことを無意味に使い潰したりはしないだろうと彼女は思っていた。
パッと見は不真面目に思うかもしれないがトンプソンは根が真面目であり、自分がボスと認めた者は徹底的にサポートしていく。
そのトンプソンによって記されたタブレット上の文章を再度見てから、指揮官は自分の机の引き出しを開けた。
そこには、電子データでの管理が基本である現在に置いて、紙でまとめられたある報告書がしまわれていた。
「ボス、その資料は……」
「トンプソンは一応見ていたな。
「下手すりゃ単独戦闘だぜ。大丈夫なのかボス?鉄血より厄介かもしれない。何せ
「だが、彼は組織というものの強さを知っている。そしてそこに属した時の利便性と課せられる義務についても知っている。今の彼にとっては
紙の資料を捲りつつ指揮官はトンプソンに説明していく。この作戦で
「信用というものは場合によってある程度は度外視した方がいい時もある。まったく信用できん、というのはさすがに無理だがな。今回は
「だとしてもだぜボス。一般的な戦術人形じゃ奴さんは止められないんじゃないのか?強行的に仲間を助けに行けば……」
「行く意味がない。完治していればまだしも現在治療中だ。本人もヒマでしょうがないと言っていたしな。やるつもりならもう既にやっていてこんな基地にはもう居ないだろう」
資料を捲るのをやめてトンプソンに向き直った指揮官はこう言った。
「単独戦闘は問題ないさ、彼にとってはな。この戦場はまだ彼が経験した地獄ほどじゃないだろうよ」
「ソイツの言ってることを信じればだろ?」
「ならばトンプソンよ。彼のレントゲン図やカルテを見ただろう?アレを見てどう思った?」
「……」
「彼が装着している装甲服もだ。単純な性能でなら正規軍すら相手にならん。アレならE.L.I.Dにも殴り勝てる。私が聞いた限りではアレに匹敵する物はまだ開発できていない」
「そういえば、ソイツらが乗ってたっていうポッドも変わった作りをしてるんだって?」
トンプソンは指揮官から資料を受け取って、ペラペラと捲り目的のページを開く。
「大気圏を突破できる耐熱性能を持ち、低高度まで降下してから機体下部の…これはブースターか?コレで一気に減速、戦闘中の地表に着いたらハッチを吹き飛ばしてドンパチ開始だぁ?これはなんてSFの装備なんだよ」
「技術部曰く、彼の言う通りの性能を持つそうだ。本人はほとんどの宇宙戦艦に搭載されてる一般的な装備の1つだと言っていたがな」
「性能云々はまだしもだ。
「つまり、そんな真似をしなければならない状態にあった訳だ。彼も彼の装備もE.L.I.Dクラスの化け物と戦える物だ。エネルギーシールド何てものも搭載され、いくらかの電子機器にハッキングも可能。もはや
「……そういえばボスは昔のSF映画が好きだったな」
「むっ!」
いつになく饒舌にそして興奮気味に話す指揮官に向かって、ジト目をサングラスの下から覗かせつつ指揮官が周りには秘密にしている趣味についてツッコむトンプソン。
「……それとは関係ないぞ?ああ、まったく関係ない」
「ボス?こっちを見ながら言ってくれないか?アレか、このSF世界からやってきました感が半端ないヤツの戦いが見たいだけか?実はそうなんだな?」
今までの真面目な雰囲気はどこへやら。夫婦漫才じみたことをしつつ、指揮官が咳払いをして元の話題に戻そうとする。
「ともかくだ。彼ならば単独戦力として私が持ちうる最高戦力だ。彼を投入すれば少なくとも情報は回収できる可能性が高い」
「ボス、さっきの話の続きは後でキッチリ聞かせてもらうからな?……まぁ、たしかに戦術人形を投入するよりも可能性は高いかな」
(ちぃ、見逃してくれないか!)
指揮官は後でどう言い訳したものかと考えつつ、この話をまとめにかかる。
「彼をこの戦場へ投入し情報を回収、その後撤退させる。今回の貧乏くじは彼とこの包囲された部隊の指揮官といったところだな」
「ある意味ボスもだろ?社長直々に情報回収の命令が来たって聞いているけど」
「確かにそうだが私自身の戦力ではないからな。お前たちを失う方が手痛いさ」
「そいつは嬉しいことだが…。で?彼をどうやってここへ送るんだよ」
トンプソンは疑問に思っていたことを聞く。包囲されている所に外から入れるならとっくに部隊は撤退できているだろう。
「ん?ああ、彼には飛んでもらうよ。ウチの虎の子の一つ、輸送機を使う」
「ああ、空挺降下か」
「いや?どちらかというと紐なしバンジーだな」
「は?」
トンプソンは空いた口が塞がらなかった。なんでバンジー?しかも紐なしって…とでも言いたいのだろうが声にならない。
「彼の重みをどうやって止めるんだ。それこそ降下ポッドでも使わなければ無理だろう」
「いやいやいや、そんなことすりゃ地面にぶつかってどこのスプラッター映画だってものになるぞ?」
高所から安全に降りるためにパラシュートがある。それを使わないということはある意味自殺と同じだろう。
言外にそう言いたいトンプソンに対して指揮官は一言で返す。
「大丈夫だろう。あの装甲服で飛び降りたヤツ他にもいるらしいし」
「は?」
説明回と言いながら具体的な名前も設定も出してはいないのですがそこら辺は少しずついきますね。
この物語の導入部分(1話)はさておき、ようやくドルフロ二次創作らしい人物が出ました。トンプソンの尻にひかれる堅物真面目(実は茶目っ気あり)指揮官とかいうのが降臨したので書きました。後半のノリは急に降ってきたので書いた。後悔はしていない。意外にいじりがいがある2人組。スピンオフいける気がする。
で、真面目にいきますとHALOシリーズは「人類とエイリアン連合軍の生存を賭けた戦い」でシンプルに言い表せる世界観です。
んでもってその作品群の本来の主人公であるSPARTAN「マスターチーフ」はSPARTANⅡと呼ばれる存在です。
遺伝的に優れた子供を拉致してきて外科手術して肉体強化(骨格から変えてるとか)。反射神経等も薬剤で強化されており、文字通りのスーパーソルジャーです。生身で200キロ近い物を持ち上げれるとか。
この話の主人公S666はこのSPARTANⅡなのです。なおシエラはSPARTAN達のコールサインです。HALOの主人公はシエラ117(ワンワンセブン)といった感じですね
このSPARTANを支えるのがMJOLNIR(ミョルニル)アーマーです。この話で出てくる「装甲服」ですね。パワーアシストに与圧機能、エイリアン達のエネルギーシールドも搭載というチートなアーマー。これを着けたSPARTANは瞬間的なら60tクラスの戦車も持ち上げれます。
今回の話に出てきた「降下ポッド」は「HEV」と呼ばれる物です。「戦場のド真ん中に降下する」ことが多い部隊「ODST」が使う装備です。「オービタル・ドロップ・ショック・トルーパー」の略称であり、訳すならば「衛星軌道からの降下強襲兵」です(たしか)
戦場のド真ん中(地獄)に降下することから「ヘルジャンパー」とも呼ばれています。
1話の終わりでS666が言っていた「地獄へ降下開始だ」はHALOシリーズの1つ「HALO:ODST」のキャッチコピーをもじってます。
いかん、長すぎる(笑)
後書きが本編の四分の一もあるとかなんの冗談だ(笑)
興味がありましたらHALOシリーズでお調べください。次回はまたS666の視点でお送りします。
誤字脱字、「この解説ちげーよ?」ありましたらよろしくお願いします。情報源的に解説と差異はありますのでご了承ください
追記、感想にてもう少し深く解説をしてもらっています。
よければ皆さん見ていってください。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
地下道~施設へ
俺とMP5は下水道をひたすら走る。走りながら簡単な自己紹介を済ませる。
ほら、降下してからすぐに移動していたからさ。
にしてもよくいきなり現れた謎の人間(ぱっと見は人形よりもアンドロイドっぽいが)のことをすぐに信用したな。衝撃的な登場をしたとは思うが余計に怪しいと思う。
「噂には聞いていました。人間でありながら私たち人形すら凌駕する身体能力を持つ人が最近グリフィンに入ったって」
「お、いつの間にか俺は有名人か?……昔、海兵隊に珍しがられたのを思い出すな」
ちなみに俺が驚いたのはこの下水道だ。下水道というよりも地下通路が正しそうだが。
下水道は途中まではそれらしい汚さをしていたが、ある地点から急に整備された道に変化した。
ただの下水道だと思っていたが、まるで人が普段から通る道のような見た目だ。ついでにほぼ一本道。違和感なんてレベルじゃない、不審すぎるだろ。
なお、ドローンは途中で遠隔操作が困難になったらしく、同行を断念し地下通路の途中で鉄血が来ないか見張りになってもらった。
走りながら俺はMP5に話しかける。
「この下水道、いくらなんでも綺麗すぎる。途中から普通の地下通路だぜこれは」
「確かにそうですね……。でも、第一小隊からは下水道を行けとしか連絡は無かったのですけど」
とするとこの道は前から使われていたワケか。ご丁寧に本物の下水道につなげてカモフラージュした上でだ。そんなことをするとしたら、どっかの組織もしくは会社が使っていた道って線が濃そうだな。
そういえば……、
「俺への指令書にI.O.Pの施設が残っているとか書いてあったな……。もしかしてこの道はそこへ繋がっているのか?」
「可能性はありますね。でも何で第一小隊はそこに気付いたんだろう……」
「街の地図でも見て施設へ侵入。中で地図とか見て地下道を見つけて連絡してきたんじゃないか?」
「その可能性もありますけど、追撃があるなかでそんな余裕あるのでしょうか」
たしかにそうだ。
追われている時に、街の地図を見るだろうか。いや、そもそも戦術人形が戦場の地図を今さら見るか?
偵察ならば余計に街の作りは覚えるハズだ。
MP5はI.O.Pの施設を知らなかった。つまり、第二小隊は知らなかったワケだ。なんだこの違和感は。
それに確かに第二小隊と合流できれば脱出の可能性は上がるかもしれない。だが同時に敵を連れてきてしまう可能性もある。
今回の場合は第二小隊を囮にして情報を持っている第一小隊のみでの脱出を考えた方が合理的だ。わざわざこの道を通ってこいなんて言う必要はない。
となれば…、
「俺のような情報回収のための増援が来ることを予測して君たちへ連絡していた、か?」
「だとしたら、何でそのことを言わなかったんでしょうか?」
「増援が来る確証がないにしても普通は言うわな。……じゃあ、なんでだ?」
この第一小隊の動きはおかしな点が多すぎる。味方にすら存在が秘匿されている部隊じゃあるまいし。
「なあ、第一小隊は普通の戦術人形の部隊なんだよな?」
「え、そうですよ?いきなりどうしたんですか?」
「いや、もう一つの可能性さ。
「え!?」
この可能性の方が「地図で見つけた」より多少可能性が高いとはいえ、そうだと仮定すると余計に疑問に思う。
なぜ最初から使わなかったんだ?第二小隊ごと入ることもできるだろうし、少なくとも鉄血に
第一小隊は戦闘中に第二小隊から徐々に離れていった。これはMP5から聞いていた。
今回の大まかな流れは、ヘリの墜落から少し経ってから会敵し戦闘へともつれ込んだ。
戦闘の埒が明かないため、情報を持っていた第一小隊は第二小隊に「脱出手段を探す。時間稼ぎを頼む」と離れたそうだ。
その後しばらくしてから第二小隊へ、「下水道の先に居る」という簡潔な連絡があったらしい。
離れてから通信があるまで、この間の足取りは不明。もしその間に
「なぜ第一小隊のみが知っていたのか」という大きすぎる疑問が生まれる。
疑問点は消えずにむしろ増え続けているが、そんなことはお構い無しに走り続けていた俺たちの前にドアが姿を現した。
……正直に言おう大きすぎるだろコレ。乗用車なら余裕で通れるぞ。下水道以外に繋がっている道でもあったのか?車なんて出れるような道は無かったハズだが。
ここまで走ってきた距離は体感で数キロに近い。それほど道を曲がったこともなければ、緩やかなカーブが続いたたわけでもない。記憶の限りでは分かれ道もほぼ無かったハズだ。
なんだここは、なんなんだこの街は。この施設ありきの地下通路しかり、
今回の作戦はウチの指揮官殿も知らない情報が間違いなくある。いや、
ともかく、中へ入らないと話は進まないだろうとドアへMP5と一緒に近づく。反応無し。まぁ、ロックされてますよねー。
「MP5、そっちにインターホンあるか?」
「インターホンは無いですけど、ドア用の端末ならありますね」
「ナイス。その端末は外部アクセスできるやつ?」
「……えーと、あ、ありますね。ケーブルが挿せます」
「運がいいな。さーて、どんなタイプのロックかなー?」
「え?」
MP5がキョトンとしながらコッチをみている。うん、その仕草可愛い。普通の人間がやったらあざとすぎるだろうがな。グリフィンの人形達は可愛い子が多くていっそ心配になるぞ。指揮官の中で何がとは言わんが暴走しているヤツ絶対いるだろ。
普通のスパルタンならこんなことは興味ないだろうが、俺はODSTや他の海兵隊達と長いこと一緒に居すぎてこういった感性も持ってしまった。
だってアイツら美人のねーちゃんの写真とか見せまくってくるしさ。羨ましくなんかないが興味は湧いてしまうわな。
俺達スパルタンは普通の部隊とはどうしても壁ができやすかったから、コッチからその壁を壊していってたんだ。その方が任務がやりやすいと思ったからな、でもなんだかんだで楽しかったな。
……もしかするとスパルタンⅡの中で一番世俗に染まってないか俺。
「ロックの解除、できるんですか?」
MP5の声で我に返った。いかんいかん、今は任務中だ。
「ああ、できるよ。ケーブルタイプならどんなのでもアクセスできる」
「え?そんな道具や機械持ってないように見えますけど……」
「持ってはいないよ。
そう言うと俺は左手内側の手首辺りから装甲服の一部をつまみ、引っ張り出す要領でケーブルを伸ばす。どんなプラグだろうと接続できる万能ハッキングツールだ。敵の施設潜入時に大変お世話になりました。
「その装甲服、そんな機能もあるんですか」
「俺のは特別出来ることが多いように作られているんだ。元々は単独行動することが多い予定だったからな」
MP5が「他にも何か機能があるんじゃないか?」という目で見てきた。
実際はチーフ達の方が少数での行動で、俺は前線でODSTと一緒に
「私達も多少はハッキングできますけど、専用のツールが必要な子も多いです。私もその中の1人ですね」
「電子ロックなら、君たちの電脳のスペックがあれば大抵開けられるだろうな」
「はい。でも時々ウイルストラップとかがあるので恐いですけど」
「たしかにな。電脳がやられれば君たちは実質終わっちまう」
戦術人形であるが故の弱点だな。EMPとかは対策しているんだろうが、まともにくらえばタダでは済むまい。
俺はそんな会話をしながらも端末にケーブルを差し込む。そして、ハッキング開始。
「すまないMP5。周囲の警戒を頼む」
「お任せ下さい!」
ふむふむ、このロックシステム自体はシンプルだ。ロックの解析結果がHUDに表示される。これなら問題無く開けられる。
だが心配なのは……、
「開けたら装甲兵が居ました、なんてのはシャレにならんよなー」
「ちょっ!怖い事言わないでくださいよ!」
「いやー可能性はあるじゃん?」
「そうですけど!」
「出てきたらどうする?」
「あなたを楯にしますね」
「ちょ、MP5さん!?……まあ、ホントに出てきたらそうしてくれ。その時は
MP5が慌てた表情でこちらを向く。
なにか装甲兵が出てくることよりも驚くこと言ったかな?
「こんな至近距離で
「ん?いたってシンプルだよ。
「いやいやいや。接近は遅いですけど、格闘戦の反応は結構速いです!前に私殴られた時避けれませんでしたよ!」
「そうか?前に一度やったが一撃で潰せたぞ?正直、もっと昔に戦ったヤツらの方が硬くて強かったな……」
お、MP5が開いた口が塞がらないって感じだ。
しょうがないじゃないか。あの2体1組で現れて戦車砲にも何発かは耐える
なにせ装甲の上からでも
「……一体どんな敵と戦ってきたんですか?」
「悪いけどそれは秘密さ。つーか言ってもわからんよ」
さて、お話も程々にして中へ入ってみましょうや。
HUDに写されているモーショントラッカーに反応がある。
味方を示す黄色だったらよかったが生憎の赤だ。しかも扉の向こう側すぐ。数は1つか2つ。
「さて、MP5よ。準備はいいかい?開けたら戦闘開始だぜ」
「……え?ほんとにいるんですか?」
「おう居る。1体か2体か…、動いてないだけでもっといるかもな」
「わかりました。少しお待ちください」
そういうとMP5はマガジンの残弾を確認する。
そして、俺の方を向いてこう言った。
「……準備完了。行きましょう!」
「よし、開くぞ」
ドアがゆっくりと左右に開いていく。
開けた先に居たのは2体の
戦闘多めと謳っておきながら、今までまともな戦闘が起きてない……。
次こそは戦闘を!と思いつつもなんとなく探索メインのような……。
戦闘多めタグを外すことを検討中。
というか、書いてる本人が第一小隊のことがわからなくなってきた。
この物語では出さないでおこうと思っている人形達を使えば割とすんなり行くのだけど。(わかる人ならこの時点で誰かわかるかと)
それと、この物語と並行してドルフロ二次らしい作品も書いていきたいと思います。
こっちの更新が遅かったらそちらを進めていますので、生暖かい目で見守っていただければと思います。
今のところメインはこちらですけどね!S666の名前とかいつになったら出すことできるのかしら……
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
施設入口での戦い
扉を開けたらはいこんにちは。装甲兵が目の前に。
さてはS666お前さんフラグメイカーだな?
ドアが開いた瞬間に目に入ったのは2体の鉄血
向こうもこちらに気づいたが、動いたのは俺の方が早いし、速いのも俺だ。
DMRを背中から出すよりも殴った方が今は間違いないと判断し、とりあえず向かって左側を全力で殴る。おー、イージスあんま飛ばないな。
行動不能にもなってないし、さすがは正規軍に卸されていただけはある。
向かって右側のイージスが右手のハンマーというか棍棒というかわからんが、とにかく右腕に取り付けられている武器で殴りかかってきた。
それを左に避けながら、イージスの右腕を掴み思いっきり関節に手刀を食らわす。装甲の継ぎ目と関節部が弱いのはロボの宿命だコノヤロウ。
手刀だけでは切断までいかなかったが間違いなく内部までダメージが通ったようだ、右腕の動きが明らかにおかしいし、左手に持つ盾をこちらに向けてジリジリと後ずさりしている。
おっと、最初にぶっ飛ばした方が立ち上がってきたな。俺も下がりつつ、今度はDMRを背中から取り出して構える。
左側のイージスがコッチを見た(と思う)瞬間に発砲。頭を吹き飛ばす。
つもりだったが右側が盾を使って割り込んできた。
さすがにその盾は撃ち抜けないか?いや、ヒビが入ったな。
続けざまに2発撃ち、同じ場所に当てる。イージスは防げていると判断したのかこちらへ突進するつもりのようだが……。
もう1発撃つ。それは盾を貫通してイージスの左肩に当たり弾かれた。
「抜けたがやっぱ銃だと弾がもったいないな!」
そんなこんなしていると、立ち上がった方がコッチへ突っ込んでくるのが見えた。これ以上時間はかけられない。
そう判断した俺は武器をまた背中へしまい、近い方のイージスつまり右肘にダメージを受けている方へ突っ込む。
そのイージスは突っ込んできた俺に驚いたのか一瞬動きが鈍くなった。その隙を見逃さず、俺はまたそいつの右腕側に回り込み今度は肩を掴みつつ、勢いを殺さずにイージスの後ろへ回り込もうとする。踏み留まろうとするが如何せん俺の方が馬力があった。
そしてその
盾にしたイージスは頭部を真正面から殴られたために機能停止したようだ。……間違いなく俺の頭を潰そうとしてたから当たった位置だな。
図らずも味方に当ててしまったイージスは一歩下がろうとした。
そんな隙を見逃すかよ。
盾にしていたイージスの右肘から先と首根っこの当たりを持ちつつ思いっきり蹴飛ばしてやる。蹴った瞬間に首の方の手を離すと、上手いこと右肘が千切れた状態で本体が無事な方のイージスに飛んでいく。
この距離なら避けられないし、イージスでも十分飛ぶ。
イージス同士が激突し2体とも派手な音とともに床に転がる。
お、動いてた方がちゃんと下になったか。これなら楽だわ。
右肘から先だけになったイージスの腕とそこに装備されている得物を確認する。
もがいているがまだイージスは抜け出せない。
「そう動くなよ……。ま、これでスクラップだと思うがな」
俺はイージスの得物を動いていた方の頭に力任せに叩きつけた。
頭部完全破損。イージスは2体とも機能停止。
確実に機能停止させるために、曲がったイージスの得物で2体の胴体目掛けて突き刺す。勢いを付ければ鈍器も刺さるのさ。
「よっし、とりあえず片付けたっと。……?」
そういえばと振り向くと、開いた口が塞がらないMP5がそこにいた。
「あれ?どうしたよ」
「……装甲兵2体を
「そうか?俺の昔の仲間達なら、皆できると思うぞ」
ようやく閉じた口がまた開きそう、みたいな顔のMP5は頭を振る。
「とにかく本当に装甲兵が出てきた時は焦りましたけど、これで中に入れますね。……中にもいるんだろうなぁ」
「まぁ、居るわな。装甲兵とは限らないけど。ガードだっけか?そっちの方がいると思うんだよな」
「かもしれませんね。まだガードなら私でも倒せるんですけど……」
「また装甲兵が出てきたら俺に任せ時な」
「お任せします」
さーて、ようやく施設の探索スタートだ。何がてく出るのやら……。
いつもより短いですが、戦闘シーンだけでとりあえず切りました。
派手に立ち回らせたかったんですよね。SPARTANなら力技ができるだろうと……。
探索ネタよりも戦闘シーンの方が考えやすかったことは内緒(¯―¯٥)
目次 感想へのリンク しおりを挟む