人類最強守護者が現れたそうですよ? (オーファン)
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人類最強守護者が現れたそうですよ?

リハビリ作品です。
もう何年もやっていなかったから書くのにめちゃくちゃ四苦八苦しました


 

 

「さあやってきました!第一回ッ、チキチキ転生タアァァイム!!司会は私、********が務めさせていただきます。さあ皆さん拍手ぅうう、イエーイ!!」

 

 「あなた方7名にはこれより私の主導のもと、転生してとある課題を達成してもらいます。制限時間は死ぬまで!やり直しは死ななければ何度だって可。でもぶっちゃけて言うと超難関なんで一発勝負が当たり前という気概で挑戦してください」

 

 「おやおや、困惑していますね。文句も言いたいかもしれません、でもそんなものは受け付けません。私が求めているのは課題へのやる気と質問オンリーです。詰まんねぇ文句垂らす奴は萎えるんでやめてください。・・・・お、そこのあなたは質問ですか。ええ、構いませんよどんと来なさい」

 

 「選ばれた理由?なるほど、それは答えましょう。ぶっちゃけいうとあなた方が選ばれた理由はただ一つの共通点によるものです」

 

 「わからない?いえいえ、あなた方には得てして素晴らしいものを持っています。それは・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「全員が一つの目的以外のことを容易く切り捨てられる才能ですよ」

 

 

 

 

 「素晴らしいと思いませんか?普通はあれがしたい、これがしたいと目先のものに振り回されて優柔不断な人間なのに、たった一つの目的のために全てを捨てられる」

 「あなたたちは素晴らしい狂人だ。狂人の鏡といってもいい」

 

 「一人は素晴らしい軍人だった。勝利のためなら人質ごと殺し、部下はおろか自分の命すら平気で投げ捨てた」

 「一人は素晴らしい科学者だった。真実を追い求め、家族はおろか友人も恋人もつくらず、娯楽には一切触れない誰よりも詰まらない人生を遂げた」

 「一人は素晴らしい宗教家だった。自分の信仰のもとに平気で人を殺し、罪悪感なんてものを一切感じなかった」

 

 「あなた方7人は選ばれたのですよ。()()()()を変えるための戦士として。人類のための防衛装置、悪しき異形共を滅ぼすための暴力装置」

 「わかりましたか?つまりあなた方は戦うのです。戦って戦って戦い続けるのです。その過程で幸せになるのを許しましょう、あらゆる罪業も異形になら許しましょう。なんなら異形と愛を育んだってかまいません。殺すのに愛するというのもおかしいですがね」

 

 「ほかに質問は?・・・・・・ふむ、課題ですか。それは後で話しますよ、よれよりも決めなきゃいけないことがありますので」

 

 「他には・・・いないようですね。ではここで本題!あなた方には個別に力を与えます。よくあるサブカルの中にある能力や技術をです。まあ、鍛えることが前提ですので悪しからず♡」

 「ではこの箱の中にあるくじから一枚ずつお選びください。それがあなたの力になりますので、使い方は脳にインプットしておきますよ」

 

 

 

 「全員引きましたね?それでは拝見・・・。ぶ、ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!!これはいい。運命とでもいうのでしょうか?実にマッチしていますね素晴らしい」

 

 「では課題の発表と行きましょう。といってもシンプルなものですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「課題は・・・神と決闘して勝利し、人類を守らせること」

 

 

 

 「厳しいですか?・・・おやおや、皆さんやる気が出てきてますえぇ、いい蛮勇です。対戦相手は此方で決めさせていただきますよ?あっ、ちなみになんでこんな課題にしたのかというと実はこの漫画に最近はハマっていましてね♡この終●のワル●ューレというのに」

 

 「なので、神への挑戦権を手に入れたらそれぞれタイマン勝負仕掛けてください。向こうの神もきっと興奮するでしょうから」

 「ちなみにあなた方の名前等は、力のもととなった方の名前や容姿となりますので。・・・では発表しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「第一使徒 項羽 対戦相手は帝釈天」

 

  「第二使徒 藍染惣右介 対戦相手はオーディン」

 

  「第三使徒 ラオウ 対戦相手はルー」

 

  「第四使徒 アレクサンドル・アンデルセン 対戦相手はアヌビス」

 

  「第五使徒 石川五右衛門 対戦相手は須佐之男命」

 

  「第六使徒 ミハエル・ヴィットマン 対戦相手はシヴァ」

 

  「第七使徒 クリストファー・ヴァルゼライド 対戦相手はゼウス」

 

  「以上の7対7の対戦を勝ち抜くこと私は心の底から祈っていますよ。それでは、良き生を」

 

 

 

 

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 それは神々の間にだけ流れた信じがたい噂だった。

 

 ”曰く神に挑戦する者が現れた”と。

 ”曰く神器(セイクリッド・ギア)も持たないただの人間だ”と。

 

 曰く、曰く、曰くとその話は一時神の間ではホットワードになっていた。そして実際にその戦いが行われることが真実だとわかるとさらに沸いた。

 

 昔なら兎も角、現代では神々はほぼ干渉しない。ましてや、神に挑もうとするなど神代のころにもいなかった。其れゆえだろう。世界中の神話の神々がこの戦いをみたいと考えた。

 中でも各神話の武神・戦神は特に興味をもち、北欧神話やギリシャ神話、須弥山といった英雄を歓迎する勢力のものはなにがなんでも観戦するという気概だった。

 

 余談だが北欧のヴァルキュリアがとても興味を示し、主神に直談判しに行ったこともここに明記しておく。

 

 

 そして、()()()()()()()()発表された時、驚きと嘲笑が起きた。

 ”無理だ” ”勝てるわけがない”と根底にある人類への見下しが見て取れた。

 

 ―――須弥山にて 

 

 「ボスよぉ、ありゃ本当かい?あんたが人間相手に戦うっていうのは」

 「あぁ?なんだ、猿。信じらんねぇっていう顔してんな」

 「当たり前でぇ、ボスが戦うなんて何百いや、何千年ぶりだ?」

 「覚えてねぇな・・・・。だが、いいじゃねえか。あいつは俺が出した課題を突破してきた。なら、その願いに報いるのが神っていうもんだろうが」

 

 

 

 ―――北欧にて

 

 「ふむ、わしに挑む人間がいるとはのぅ。いやはや、長生きはするものじゃな」

 「オーディン様、今回の勝負の会場はギリシャにあるコロッセオを模したステージにて行われるとのことです。・・・約束は、お忘れではありませんよね?」

 「も、もちろんじゃ。ちゃんと側付きとして連れていくわい。お主等、張り切りすぎではないか?」

 「何を言うのですかオーディン様!!ただでさえ勇者候補が少ない今、神に挑もうとするほどの気概を持つ戦士たちに出会う機会をみすみす逃すものなどいません!!」

 「じゃからか。妙にわしにアプローチ掛けたり、仕事を頑張っておるのは」

 「会場に連れて行ってもらえるようにオーディン様からのセクハラに耐えている者もいますからね。其れだけ必死だということです。あとセクハラをやめろ、このエロジジィ!!」

 

 

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 「いよいよだ」

 

 ところ変わって石造りで出来た部屋にて一つのテーブルを囲うように七人の男たちが一杯の酒――各人で好みの酒を持ち寄って――を手に静かに座っていた。

 不敵に笑っていたり、目を閉じて落ち着いたり、笑みを浮かべていたりしていたが()()しているものは誰一人としていなかった。

 

 「いやはや、ずいぶんと掛かりましたね」

 「お互い、どんな容姿なのかわからなかったから探すのに苦労したよ」

 「そうか?俺は正直、こんな時になりゃあ自然と集まると思っていたなぁ」

 「貴様、それで問答無用に私に襲い掛かっていただろう」

 

 だから悪かったって言ってんじゃねえか、と男たちは談笑する。そしてこれまで口を挟まなかった金髪の男が他の六人に問いかけた。

 

 「皆、準備はいいか?」

 

 その問いに返ってきたのは全て肯定だった。

 彼らに迷いはない。怯えもない。ただ己の進むべき道を進むのみ。

 

 「では、勝利を」

 「「「「「「勝利を!!」」」」」」

 

 

 

  

 

 そして、神に挑む者たちの戦いが始まった。

 

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 神々は語る、彼らの物語を。

 

 神々は称える、彼らは本物の英雄であると。

 

 

 

 「HaHaHaHaHaHa!!おいおい楽しいなぁ!こんなに楽しいと思えるのは何時ぶりだおい!」

 「オラオラオラァァア!まだ終わんねぇよ、終わらせてたまるかよぉ!!」

 「そうだぜ小僧、いや項羽!こんなんじゃ足りねぇ。もっと俺を満たしやがれ!!」

 

 

 「ふむ、視覚情報の欺瞞、いや他の感覚もズレが生じておるな。お主の力はもしや相手の五感を騙す力か」

 「やれやれ、まさかこうも早く鏡花水月の力を見破るとは」

 「抜かせ、その力抜きにしても十分な力を持っているではないか」

 「残念ながら、御身のそのグングニルは防ぎようがありませんがね。故に、我が鬼道をもってお相手しましょう」

 

 

 「オオォォォオオ!北斗豪衝破ァァッ!」

 「敵を倒せ、フラガラック!」

 「最終奥義 夢想天征!」

 「勝利を持たらせ、極光・勝利の太陽(ブリューナク)!!」

 

 

 「ああ、迷える魂たちよ。今、汝らを神の御許に送らん。AMEN」

 「魂の解放、いや浄化か。我が魂の攻撃をこうもあしらうとは」

 「暴力を振るっていいのは異教徒と化け物のみ。されど魂を裁く資格は私にはあらず。・・・だが、異教の神よ。貴様を倒す理由は異教の神である、それだけで十分だ!!」

 「来るがよい狂信者!汝の記憶にこのアヌビスの力を刻み込もう!!」

 

 

 「おいおいおいおいおい、てめぇ何者だ?風を切るは、雷を斬るはってどんな素材でできてんだその刀」

 「下らん。我が斬鉄剣に一切の異能などない。剣の声を聴き、ただ斬るのみ」

 「おうおう言ってくれんじゃねぇか、なら俺も天叢雲剣(とっておき)で相手してやらぁ!!」

 「久々に斬りごたえのあるものが出てきたでござるな」

 

 

 「Briah(創造)――Midgardr Volsunga saga(人世界・終焉変生)

 「対象の破壊、いや死の強制か。随分と物騒な力を持っているね。なら君が対処できなくなるぐらいたくさん創造(作成)しようじゃないか」

 「お前ではない。俺の至高の死はお前を求めていない」

 「そんなこと言うなよ。今から盛大に殺し()するんだからさあぁ!!」

 

 

 「超新星(Metal Nova) 天霆の轟く地平に、闇は無く(ガンマレイ・ケラウノス)

 「儂と同じ天霆(ケラウノス)の名を冠するか。その力、果たして背負うにふさわしいかな?」

 「無論。ただ人々の幸福を、希望を未来の輝きを――守り抜かんと願う限り、俺は無敵だ。来るがいい。明日の光は奪わせん!」

 「よくぞ言った、小僧。ならばその覚悟、偽りでないと証明して見せよ!!」

 

 

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 惜しみない賛辞を、盛大な歓迎を神々は七人の戦士たちに送った。

 戦いが終わってもその熱が冷めることはなく、むしろその熱を冷ますために近くにいる神と喧嘩しだす馬鹿まで現れる始末だった。

 そして、戦士たちを自軍に入れんと画策する神群は多かったこともここに明記しておく。

 

 神々は戦士に敬意を込めてそれぞれに相応しい名を送った。人の身で神を倒す(ここ)まで至った英傑たちに。

 

 

 万象王 項羽

 

 求道王 藍染惣右介

 

 闘王  ラオウ

 

 教王  アレクサンドル・アンデルセン

 

 剣王  石川五右衛門

 

 死王  ミハエル・ヴィットマン

 

 星光王 クリストファー・ヴァルゼライド

 

 

 刮目せよ、異形たち。

 化け物を超えた英雄(化け物)が産声を上げた。人類守護と人類に害を為す存在の悉くを彼らは決して許しはしない。

 

 嘆き、許しを得る時間が過ぎた時、最強の英傑たちが動き出す。

 

 最強にして最新の英傑、人類の頂点と認められし者たち。

 

 人類最強守護者(グランド・チャンピオン)

 

 彼ら7人はそう呼ばれるのだった。

 

 

 



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現れた最強たち

お久しぶりです。この小説は一応原作を知っていることを前提に書いています。一話で終わらせようとところどころ端折っているところがあるのでご理解ください。


 竹製の編み笠を傍らに置き、和服を身に纏った一人の男が竹林の中、大岩の上で瞑想していた。相当の集中をしているのか身じろぎは一切起こさない。人一人いない静かな空間にはただ、動物の声と木々の騒めき、男の呼吸音だけが世界に音を与えていた。精神を落ち着かせるためなのか、別の目的か。男のいる場所は確かに喧噪な現代の世界とは隔絶されていた。

 そこにざっ、と誰かの足音が静寂な世界を脅かした。足音とかすかな呼吸音が、男のほうへとゆっくり近づいて行った。そして、現れた人物が男の顔が分かるほどの距離についたときに、男はようやく眼を開き、言の葉を紡いだ。

 

 「久しいな、鈴蘭。そしてよくぞ、ここへとたどり着いた」

 「はい、お久しゅうございます。五右衛門様」

 

 現れた侵入者はどうやら男の、五右衛門の知り合いだったらしい。五右衛門は姿勢を崩すことなく目線だけを鈴蘭に向けていた。

 

 「拙者がお主に出会って早3年か。時の流れというのも、気づけば早いものよ」

 「あなた様のような人間たちからすればそうなのでしょう。しかし、私は妖怪。人間より長き時を生きるものからすれば3年というのは瞬きのように早く過ぎるものだというのに、あなた様と別れてから今再び会うまでの時はとても長きものでございました。一日千秋というのはあながち間違った表現ではなかったという事でございましょう。再び御目通りが叶ったことをうれしく思います」

 

 相手を立てた、貴人のような扱いに五右衛門は正直むずかゆくなった。前々から何故か妖怪たちからは丁重な扱いを受けていたのだが、これはどうやら神対人の七大決戦後に日本神話最高神の天照大神からの神託によるものらしい。日本神話の神が現世に干渉することは滅多にないのだが、どうやら五右衛門はあるいは世界最強守護者(グランド・チャンピオン)だけは例外なのかもしれない。

 

 「・・・それで、何用でここに参った?以前言ったように拙者の旅路に供回りは不要。お主のしたいように生きればよい」

 「いえ、この身は五右衛門様にお救いしていただいた身。ましてや、意中のお方の傍へ寄らずして五右衛門様の心を仕留められる道理もありません。どこまでもお慕いしております」

 「いや、しかし・・・」

 「それと、今回は須佐之男命様より言伝を預かっております」

 「ほう・・・」

 

 五右衛門の眼の色が変わった。静謐な、達観したような雰囲気から一転。今にも噴火しそうな火山のように感じてしまうほどの荒々しいオーラが周囲を満たしていく。

 

 「・・・して、何と?」

 「では、申し上げます。《最近お前さん、死合が出来てないらしいな?折角だから駒王って場所に行ってみな。そこで少しは練習になるやつがいるぜ。また俺と殺し合いするまで腕磨いとけよ?》とのことです」

 「駒王・・・。何処だ?」

 「案内人としての任も仰せつかっております。私めが案内いたしましょう」

 「助かる」

 「それと、もう一つ伝言が」

 

 キリッとした顔を綻ばせながら、少女のような笑顔で鈴蘭は言った。

 

 「早く私を抱いて一人前の男になれ、とのことです。神様の折角のご神託です。後でぜひとも一夜を共に過ごしましょう」

 

 艶めかしい声で五右衛門の体に己の肢体を密着させる。和服で体の線は分かりにくくなるというのに、それを超えて激しい主張をあげる彼女の女性らしい肉体と人外の妖しき美貌にはなまじ親しいからこそ、五右衛門にはとてもやりづらいものだった。

 

 「・・・・・・・・・か、考えておこう」

 

 五右衛門にはそうとしか言えなかった。闘争、とりわけ剣術においては並ぶものはいないといわれる現代の英雄はどうしようもなく異性には弱いヘタレだった。

 そんな五右衛門をみて何を思ったのか分からないが、ただ鈴蘭は穏やかな笑みを浮かべていた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 駒王学園2年、兵藤一誠は悪魔になってそれほどの月日が経っていないどころかまだ一年も経過していないド新人だ。だというのに身の回りに起こる事件はそこらの木っ端悪魔が遭遇してはいけないレベルのものばかり。自身の不幸に対してもっと疑問を持つべきだというのに彼にはその自覚がなかった。

 そして今宵もまた、大事件に絡まれはじめていた。

 

 

 「それで、教会勢力がこの領地に来た理由は分かったわ。それを踏まえたうえで聞きたいことがあるのだけれど?」

 

 一誠は自身の主、リアス・グレモリーの背後に控えながら主の対面にすわる白のローブを纏った二人組の女性たちをぶしつけに見ていた。柴藤イリナ、ゼノヴィアの二人組は駒王の地に足を踏み入れた理由と一時の間、滞在する理由を説明するために管理者に連絡、許可をもらいに拠点である駒王学園のオカルト部の部室に来たという話だ。

 

 「聖剣が強奪されたのがあのコカビエルが相手だからいうのは分かったわ。だけどそれに対してなぜあなたたち二人だけなのかしら?普通なら教会勢力の部隊を動かすか、少数なら相当の手練れを向かわせるべきだと思うのだけど」

 「先も言ったように今回聖剣奪回に遣わされたのは我々二人だけだ。何か問題でも?」

 「ええ、あるわ。大ありよ」

 

 リアスは剣呑な目で二人を睨んでいた。

 

 「えと、部長、どういう問題があるんですか?」

 「あら、簡単なことですわよ一誠君。コカビエルとは古の大戦を生き抜いた古強者。私たちを含めて挑んだところで返り討ちにされるだけですわ」

 「先も言ったようにこれは我々教会の問題だ。悪魔に借りを作るつもりはない」

 「そうね、そちらがそういうなら私たちも限界まで手を出すつもりはないわ。問題は別のところ、教会勢力の認識に対する疑問ね」

 「リアス?」

 「いい、朱乃?コカビエルは理由は分からないとはいえ、この駒王の地に来た。それを教会勢力は知っていて奪回に来たといのに明らかに実力不足の人間を二人だけ。これではあなたたちの聖剣に対する評価が低いものとしかこちらからは認識できないわ」

 「なっ!?貴様、教会をコケにしているのか!」

 「いいえ、ただ、普通ならそうとしか思えないわ。数で制圧するなら最低でも師団、質で押すなら教会最強戦力とまではいかなくとも近い実力者を出すべきでしょう?」

 「確かに・・・。ではリアス、あなたはどう思っているの?」

 「一番最悪の事態としてはそうね・・・。コカビエルによる被害を装った教会勢力からの侵略。二人は教会はあくまで被害者だとアピールするための捨て駒かしら」

 「なっ・・・!?」

 

 予想外の言葉にリアス以外の全員が絶句していた。目の前の二人など開いた口が塞がらないようだ。

 「部長、まさかそんなこと・・・」

 「アーシア、この世に絶対なんてものはないの。十二分にあり得る話よ」

 「何を馬鹿なことを!我々にそのような意思があると思っているのか!!」

 「逆に聞くわ、何故ないと言い切れるのかしら? エクソシストにとって悪魔は天敵、逆に襲わないほうが不思議だわ」

 「私たちにあなたたちを襲う意思はないわ!」

 「あなたたちの意思は関係ないの。こちらが知りたいのは教会勢力全体の意思。教会上層部はどう考えているのか分からないけど、少なくともあなた達二人は捨て駒扱いされているわね」

 

 リアスが二人に向ける目は極めて冷たい。教会勢力が捨て駒のような扱いを部下にするのは「慈愛」を司るグレモリーの一族の身からすれば不愉快以外の何物でもないだろう。

 

 「我々はこれで失礼する!!再度言っておくが決して関わるな」

 「それじゃあ、一誠君。また今度ね」

 

 ゼノヴィアは怒り心頭で声を荒げながら出て行った。イリナもそれに続いて一誠に名残惜しそうな声をかけ、リアスを睨みながら出て行った。

 

 「どうやら嫌われてしまったようね・・・。朱乃、お兄様に連絡して最悪の状態に備えて頂戴。警戒体制も強化。一般人の被害を最小で食い止めるのよ」

 「よろしいのですかリアス。不干渉でいるはずでは?」

 「最悪な状況を常に想定しておくべきよ。それにあの二人だけでは絶対無理ね。子猫、あなたは優斗の監視をお願い。下手に動かれちゃたまらないわ」

 「了解です。一時的に優斗先輩の家に住んだほうがいいですか?」

 「ええ、お願い。今の優斗は聖剣に対する憎しみが先走って周りが見えていないから怖いのよ」

 「わかりました」

 「そういえば部長、木場は何処に行ったんですか?この場にもいなかったし」

 「ああ、優斗なら・・・」

 

 リアスの近くにあったクローゼットの中に縄で雁字搦め絵にされてトドメと言わんばかりに大量の呪符で身動きが取れない状態で彼はいた。一誠はそんな状態の木場を見て、正直に言うと引いていた。

 

 「ええ・・・。何やったんですか?」

 「この間あなたの家のアルバムを見たでしょ?それ以来聖剣に対する憎しみが再燃してね。その直後に教会からの使者ですもの。絶対に面倒臭くなると思ったからこうしたのだけれど、内容が今の優斗にはドストライク過ぎたわね」

 

 よく見ると木場の眼は血走りながらむごむごと言っている。いや本来ならもっと大声で叫んでいるのかもしれないけど生憎と猿轡のせいで何と言っているのか分からない。部長がため息を付きながら木場の猿轡を外すと同時に木場は叫んだ、いや吠えた。

 

 「部長!!!邪魔をしないでください!みんなの仇が!ここにあるんだ!破壊しないと!!」

 「子猫」

 「えい・・・」

 

 部長が子猫ちゃんの名前を呼んで指パッチンをすると容赦なく後頭部に正拳を叩き込んでいた。ちなみに思わず自分の後頭部までおさえたのは内緒だ。・・・いくらにっくきイケメンでも同情するぜ木場・・・。

 

 「想像以上にひどいわね・・・。子猫、優斗の縄は外さなくていいわ。自宅待機にしときましょう、学校に関してはこちらで何とかするから安心して。プリント提出ぐらいに抑えて見せるわ」

 「了解です」

 「一誠とアーシアも学校以外の外出は控えて頂戴。部室もしばらく封鎖するわ、しばらくは連絡方法はL〇neでも使いましょうか」

 「えと、それでいいんですか?」

 「下手に使い魔でも使うと探知されそうだし、コカビエルもまさか人間の機器を使うとは思っていないでしょう」

 

 何というか一誠が思う悪魔とは程遠く、発想が人間よりというか、とにかくリアスは柔軟な発想をしていた。

 

 「部長さんもよく思いつきますね・・・。私、まだ携帯電話の使い方がよくわからなくて」

 「そのあたりは一誠に教わるといいわよ、アーシア。一誠もお願いね」

 「部長のお願いなら喜んで!!」

 「ええ、おねがいね?」

 

 それじゃあ、今日は解散と部長の声と共に俺たちは帰路についた。子猫ちゃんに米俵のように運ばれる木場の絵面はシュールだったぜ。

 

 

 

 「私、頑張るから。いつか必ず会いに来てくれるわよね?■ ■?」

 

 リアスの小さなつぶやきは一人だけの部室の中で小さく囁かれた。当然のことながら誰の耳にもその言葉が届くことはなかった。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 「ここが、駒王という町か・・・」

 「どうやら何者かが交戦しているようですね」

 

 鈴蘭が五右衛門の後ろから現れると、戦いの気配を感じ取っていた。その視線の先にあるのは現在コカビエル対教会勢力+グレモリー眷属の戦いの舞台となっている駒王学園だった。

 

 「この気配・・・、堕天使と悪魔か」

 「殺すのですか?」

 「拙者はあまり興味がない。アレクサンドルの奴がいたら確実に殺しにかかっていたであろうがな」

 

 事実、五右衛門は基本的に人間に害を為す存在にしか殺したことがない。最も、悪魔をせん滅すべきと思ったら即座に行動するだろうが。

 

 「では往くとしよう」

 「はい」

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 「はあ、はあ、はあ、・・・強すぎる」

 

 リアス、およびその眷属とゼノヴィアはコカビエルの予想以上の強さに呼吸を荒くしながら天に浮かぶ堕天使、コカビエルを睨みつけていた。満身創痍のリアス達に対して一切の手傷を負っていないコカビエル、その戦力差は明白だった。

 

 「面白い、面白いぞ。サーゼクスの妹。貴様の管理能力、戦術は戦争になればさぞ有用なものとなるだろう。だが悲しいかな、異形(われわれ)の世界では時に個が群を上まわる時がある。だが、実に楽しめるものであった」

 「そうね、それはこれで嫌というほど思い知らされたわ。でも、弱い事と逃げる事はイコールじゃないのよ。こういう風なときとかそうね、私は最後まで私の責務を全うするわ」

 「部長・・・」

 

 どこまでも真っすぐに、ひたすらに自身の道を歩み続ける姿が優斗にとっては眩しすぎた。あんな強さがあったら、あんな風に生きることが出来たら僕は死んだみんなに胸を張れたんじゃないかと、今の自分との差を見せつけられて嫌になった。

 

 ああ、あなたに比べて僕はなんて醜い。

 

 かつての仲間を殺したバルパーは死んだ。憎かった聖剣を禁手化で破壊した。みんなの遺志を継ぐことが出来た。けれど、どうしてか心が満たされることはなかった。復讐を遂げた後に残った感情は二つ。

 

 後悔、そして羨望。

 

 後悔は言うまでもない。今までの人生で自分は誰かに与えられてばかりだ。眷属としての生も、悪魔になるまでのわずかな人間としての生も何もかも。木場優斗の今までの生は与えられたものしかない。これではまるで人形ではないか。

 羨望は主であるリアスに対してだった。あのような生き方が、あんな信念が自分に合ったか?いや、無い。なんて眩しい光なんだ。どうすればあなたのようになれる、どうすればあなたと同じ世界が見れる。

 

 「リアス・グレモリー、俺はお前を称賛しよう。その心の強さ、素晴らしい。いったい何が貴様をそこまで突き動かす?」

 「単純なことよ、私には果たしたい約束があるの。その約束を叶えたいと思う心が私の原動力。だからね・・・」

 

 リアスは傷だらけの体で、膝を震わせながらもゆっくりと立ち上がった。その姿に、コカビエルの笑みが深くなってゆく。

 

 「ああ、これほどの闘志、これほどの勇気、何度でも称賛しよう。リアス・グレモリー、お前はまさしく戦士だと。その姿、まさしく我らの宿敵(悪魔)にふさわしい」

 

 だが、とコカビエルは名残惜しそうに言った。

 

 「どうやら、メインゲストがようやく来たらしい」

 

 リアス達はどういう意味なのか分からなかったが、突如、両者の間に黒い穴のようなものが現れた。そこから出てきたのは和服の男。まったく知らない存在の介入にリアス達は自然と警戒心を抱いていた。

 

 「ようこそ、お前の名前を教えてくれ」

 「・・・石川五右衛門」

 

 その名を聞いた瞬間、コカビエルの顔は破顔した。

 

 「そうか、お前が! 人類最強守護者(グランド・チャンピオン)の一人である剣王か!アンデルセンと同じ領域に立つ人間か!!」

 

 アンデルセンは教会に所属しており過激派の人間だ。堕天使幹部なんて存在をみすみす見逃すとは到底思えない。だが見る限りでは、ピンピンしている。 

 

 「なぜ生きている?奴が到底見逃すようには思えないが」

 「何、端から本気で戦ったまでよ。最も、防戦一方で命からがらの離脱だったがな」

 

 コカビエルは光の槍を構えるのに答えるように、五右衛門もまた斬鉄剣を抜いた。

 

 「ならば、アンデルセンを出し抜いた力。この目で見せてもらおう」

 「応とも、ならばこれより先に言葉は不要!!」

 

 

 二人は同時に駆けだし、剣と槍がぶつかったのはすぐのことだった。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 「スッゲエ・・・」

 

 コカビエルと突然現れた石川五右衛門と名乗る男の戦闘を見て一誠にはそれしか言えなかった。派手さのない、剣術と槍術の応酬は一見地味に見えるが、見るものが見ればその逆。恐ろしいまでの技の応酬に戦慄していたかもしれない。あまりよくわかっていない一誠でも何かあると本能的に感じていた。

 

 「そんな、・・・アンデルセン神父から逃げ切っただと・・・。そんなことがあり得るのか!?」

 「アンデルセン神父?」

 「一誠、アンデルセン神父というのは教会最強の祓魔師よ。悪魔、堕天使問わず人類の敵に対して牙をむく狂犬のような男ね。出会ったら逃げるというのが常識だけど、それすら叶わず討伐されるわ」

 

 リアスの説明に一誠はまだ見ぬアレクサンドルという男に対して背筋を部瑠璃と震わせた。

 

 「天使の塵(エンジェルダスト)、首切り判事、執行者(エクスキューター)と様々な呼び名があるけど一番有名なのはあれね、狂信者」

 

 当然、敵勢力の、しかも最強戦力の情報は把握していた。しかし・・・。

 

 (石川五右衛門なんて聞いたことがない・・・。それに人類最強守護者(グランドチャンピオン)?お兄様なら何か知っているかしら・・・)

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 コカビエルの槍が五右衛門の心臓めがけて一直線に進んでいく。それに対して五右衛門はわずかに体を左にそらし、返しの太刀でコカビエルの首へと刃を滑らせた。

 コカビエルは予想道理といわんばかりに石突を斜めに持ち上げて刃と首の間にぎりぎりで滑り込ませて防いだ。しかし、わずかに槍にひびが入る音をコカビエルは聞き逃さなかった。このまま連撃を入れさせるのはまずいと直感したコカビエルは五右衛門の胴にめがけて前蹴りをを放つが瞬時に刀で防がれてしまった為、蹴りの勢いでそのまま自分を後ろへと飛ばした。

 獲物を消すのは愚の骨頂。槍を右手に持ち、左手にに新たな光の槍を生成していく。当然、五右衛門もその隙をつかない理由はない。全身を脱力させて踏み出し、さらには相手の死角を突く【縮地】を用いることでコカビエルの背後へと強襲していた。

 コカビエルからすれば一瞬で消えたように思うだろう。コカビエルは即座に五右衛門を探そうとするが時すでに遅し。このまま五右衛門の斬鉄剣がコカビエルの首を断つか、と思ったその時だった。

 

 「舐めるな!!!」

 

 コカビエルが取った行動は回避ではなく迎撃。しかも見失った状態だからと右手に持っていた槍を爆散させた。弾けた槍はまるで花火のように散ったが構成していた光はまるで針のような形状をしており、至近距離では間違いなく重傷をおうと感じた五右衛門は攻撃を中断し、回避に移らざるを得なかった。

 

 「ぐ・・・おお・・・」

 

 もちろん、コカビエルもただでは済まない。弾けた光は容赦なくコカビエルの右手をぐちゃぐちゃにし、右わき腹からは血が流れた。五右衛門の攻撃を捨て身の攻撃でよけたとはいえ、あまりにも代償が大きすぎた。

 

 「はは・・・、最高だ」

 

 コカビエルの口から出る言葉は賛辞。嬉しくてたまらない。楽しくてたまらない。自身が捨て身の攻撃じゃないと追いつけない相手がいることがどうしようもなく嬉しくてたまらない。

 ここでフェニックスの涙を使えば仕切り直しに持ち込めるだろう。しかしわざわざ相手の回復を待つ道理なんてない。コカビエルが五右衛門の立場なら容赦なく今、この瞬間も攻撃の手を緩めなかっただろう。

 しかし、五右衛門は追撃をせずに正眼の構えで動かない。僅かな時間とはいえこの間に出来るだけ呼吸を整えた。次に攻撃を仕掛けたのは五右衛門・・・ではなくコカビエルだった。

 

 五右衛門の頭上から光の槍が降り注ぐ。いつの間に準備されていたのだろうか、光の雨が容赦なく五右衛門の命めがけて飛来する。しかし五右衛門は慌てることなく、コカビエルと頭上の槍の雨を見逃さぬために、散眼を用いて右目はコカビエル、左目は頭上の槍の雨を見据えて槍の雨を避けながらもコカビエルを見失うことはなかった。

 

 やがて槍の雨が降り終わるとコカビエルの先までの傷が全快していた。五右衛門が槍の雨で動けない間にコカビエルはフェニックスの涙を呑んでいたのだ。空になった空き瓶を地面にたたきつけ、再び構える。

 

 「貴様、何故こちらが回復している間に攻撃してこなかった?」

 

 先の槍の雨が動きを封じ込めていた? 否、全くの否! 五右衛門は攻撃できなかったのではなく、しなかっただけだ。全力の殺し合いを望むコカビエルにとってはその甘さは不快でしかなった。

 そしてここで五右衛門がようやく口を開いた。

 

 「コカビエル、貴殿の槍を受けてみたかった。よく洗練された太刀筋だ、今は神々に及ばずともいずれ至るかもしれん」

 

 それは五右衛門からの賛辞だった。人類最強守護者(グランドチャンピオン)の中でこと武術に対して五右衛門は最もどん欲だ。そして、武芸者との手合わせは五右衛門にとってはこの上なく楽しい時間だった。

 

 「ふっ・・・、ならばお前を超えて届かせてやろう」

 「失うにはあまりに惜しい・・・。ならば・・・」

 

 再び両者の獲物が交差する。コカビエルが仕掛けるもその全てが五右衛門の刃に防がれる。攻めているのはコカビエル。しかし実際に有利なのは五右衛門のほうだった。

 このままでは埒が明かない。コカビエルは最後の攻勢に出た。

 コカビエルが槍を逆手に持ち、投げの態勢に入る。限界まで槍に力を注ぎ、硬度と威力を底上げする。全身の筋肉にまるでこの瞬間を歓喜するかのように力が入る。コカビエルは直感した。この一投が間違いなく過去最高の攻撃になると。

 対して五右衛門は斬鉄剣を頭上に掲げ、上段の構えで備える。コカビエルは次の攻撃に全力を注いでくるだろう。それを理解した五右衛門は自身の技をもって迎え撃つことにした。

 

 「神星・導きの羅針盤(アステリズム・コンパス)

 「七の型、天魔轟臨」

 

 放たれた一筋の流星と天を裂かんばかりの豪剣が交差し、わずかな硬直の後に決着はついた。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

「実に良き闘争だったぞ、コカビエルよ」

 

 最後に立っていたのは五右衛門だった。一切の手傷無し、服の袖をわずかに切られるのみという圧倒的勝利を飾っていた。自身の最高の技をもってしてもなお敵わなかった、正真正銘、全力の闘争の果てに死したコカビエルの顔は実に満足げな笑顔だった。闘争の余韻に浸る五右衛門の傍に、五右衛門が通ってきた穴が再び現れる。そこから現れたのは鈴蘭だった。

 

 「お見事でございます、五右衛門様」

 「鈴蘭、頼みがある。この男を・・・」

 

 

 

 

 「これはこれは、どういうことだ?もう終わってしまっていたのか?」

 

 空から現れたのは新たなる闖入者。それに気づいたリアスは声をあげた。

 

 「何者!?」

 「やれやれ、コカビエルの回収に来たというのに一足遅かったか」

 

 天より降り立つは白銀の鎧。白き天龍を身に纏う戦人。

 

 「俺の名はヴァーリ。堕天使陣営(グリゴリ)に所属している白龍皇だ」

 

 天に浮かぶヴァーリは見下ろすとすぐに状況を把握した。

 

 「大方、その男がコカビエルを倒したんだな。俺の宿敵である赤龍帝がこの様とは、何とも無様だな」

 「なんだとテメエ!?」

 

 ヴァーリの上から目線の言葉に疲労困憊の一誠は食って掛かるが一切気にかけない。弱者の遠吠えなどヴァーリにとっては気にする価値もない。

 

 「面白い、面白いぞそこの男。できれば名前を教えてくれ」

 「・・・石川五右衛門」

 「そうか、石川五右衛門・・・。聞いたことがないがその力、実に素晴らしい。ぜひとも・・・」

 

 ヴァーリの背中の翼から出る光が強く輝きだす。五右衛門へ突撃体勢をとり、一直線に奔りだした。その姿時はまるで人間ロケットのようだった。

 

 「試させてくれ!!!」

 

 予期せぬ強者との出会いに興奮を抑えきれずにヴァーリは満面の笑みを浮かべながら突貫する。それに対して突っ込んでくるヴァーリに五右衛門の表情は不快気に歪んだ。

 コカビエルとの闘争の余韻をもっと味わっていたかったというのに、なんと不愉快な。そう思った五右衛門は苛立ちを表すかのように珍しく荒々しい太刀筋で迎撃した。

 

 「・・・・・・・ッッ!?」

 

 声にならぬ痛みが突如ヴァーリを襲った。

 五右衛門は高速で飛んできたヴァーリの鎧の隙間を正確についてダウンさせていた。首は狙っていないが肘、肩、股関節、膝の裏を切りつけ、動きを封じる。五右衛門のあまりの神業にヴァーリは理解することも出来ずに地面に凄まじい音をあげて衝突した。

 

 「無様だな」

 

 五右衛門がヴァーリを見る目は先ほどまでヴァーリが一誠に向けたものと同じだった。かろうじて意識を保っていたヴァーリには五右衛門の言葉を拾えず、自身が何をされたのかを理解することで頭がいっぱいになっていた。

 

 「帰るぞ鈴蘭。ここにもう用はない」

 

 鈴蘭は何も言わずに着物の袖から呪符を取り出して言霊を唱える。すると呪符を中心に黒い渦が現れ、五右衛門たちが現れた時と同じ黒い空間が現れた。

 

 「待ちなさい!!あなたたちは一体何者なの!?」

 

 リアスは少しでも情報を手に入れようと彼らに声をかけた。しかし五右衛門は全く気にする様子もなく黒い空間へと潜り、駒王学園から姿を消した。鈴蘭もそれに続き、こちらはリアス達に一礼して消えていった。

 波乱万丈だった聖剣騒動の戦いはこれにて幕を閉じた。

 

 

 「彼らは一体・・・」

 

 リアス達グレモリー眷属と他2名に謎を残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・あれ?これ学校どうすんだ?」

 

 ボロボロの一誠は目の前の崩壊した校舎に目をやるが・・・。

 

 (やっべ、そういえばあれ俺のドラゴン波のせいだ。・・・どうしよ)

 

 とりあえずどうしようもないので一誠はこれ以上考えるのをやめた。

 

 

 




 リアスをちょっと変えすぎたかな?
 というわけで出てきたのは五右衛門でした。ぶっちゃけ、次話はいつ投稿できるかわかりません。出来たらいいなぁ・・・。
 もし次回を書くとしたらアレクサンドル・アンデルセンを出す予定です。


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