東方 幻武伝 (幻想的クリスタル)
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第1章「謎の男達」

(はじめに)
閲覧いただきありがとうございます、FFと同時に龍が如くがとにかく好きなので勢いに任せて書いてみました(笑)
龍が如くシリーズやキムタクが如くの要素も入れてみたくとにかく龍が如く風に紅魔軍メインのお話にしてます、そういったのが大丈夫な人は緩く読んでいただけると幸いです、小説はまだまだ初心者なのでお手柔らかにお願いします


__忘れ去られた世界 幻想郷、この世界では様々な忘れ去られたものが幻想入りをしてくる、しかし、幻想郷が一つとは限らない、これはその別の幻想郷の話……__

 

 __とある路地裏の小さな広場、そこにいるのはチャイナ服の女性が1人と、それを逃げられないように囲む男達3人組がいた

 「なぁ姉ちゃん、いいじゃねぇか、俺らと楽しもうぜ、別に何もしねぇからよ?」

 真ん中のリーダーらしき男が壁に手を当てつつナンパをし、そのセリフの後に残りのふたりがヘラヘラと笑って彼女の体を舐めるように見ている

 「……」

 「何黙ってんだよ、もしかしていいって返事か?へへっ」

 「……はぁ…」

 彼女は少しだけため息を漏らす

 「あぁ?」

 その後彼女はリーダーらしき男を睨みつける

 「んだぁ?その目は、舐めんじゃねぇぞ!」

 男は彼女の頬に向かって手を振るった___

 

 ___路地裏の広場には血が飛び散っていた、そして壁際には顔から鼻血を出し、目が腫れ上がりアザも見えてぐったりしてる 男達がいた

 「ハァ……ハァ……!」

 辛そうに息を荒らげる男を見下す彼女

 「なんで…こんなに……!?」

 「…喧嘩を売る相手を間違えましたね」

 静かに彼女は口を開け上記を述べると男の財布に手を伸ばし、財布から現金を取り投げ捨てるように財布だけ返却をした

 「ちょうど飲み代が少なくて助かりましたよ」

 男達を尻目にその場から去ろうと振り向き彼女は歩き出す

 「ま、待って、俺のかね__」

 グシャッ!という音と共に彼女は男の顔面を踏みつけて路地裏から出て行った__

 

 __太陽は沈んですっかり夜になり町に明かりが灯る、そんな人里に1人で静かに待つメイド

 「おい、あれってさ…」

 「あぁ…紅魔館のメイド長である十六夜咲夜さんじゃないか…?」

 道を歩く者達が咲夜に目線を向ける、彼女は気にもせずある人物を待っていた

 数分後、その人物は現れた

 「お待たせしました!メイド長!」

 「遅いわよ美鈴、あとその呼び方は仕事の時だけって言ってるでしょ」

 「あ、そうでしたね」

 先程ナンパ男達を黙らせてきた女性である

 「お、おい、あっちはまさか…!」

 「あぁ…紅魔館の門番を務めてる紅美鈴さんだよ!」

 すごい所に出くわしたと村人達は珍しいものでも見たかのように呆気に取られている

 「さ、行きましょう、と言うかあなた…ちょっと血なまぐさいわよ…?」

 「あ…あれ?顔洗ったはずなんですがね…?」

 「…また変なのに絡まれたのね…」

 やれやれとため息をつくメイドに苦笑いしつつ頭をかいてる門番

 「す、すみません…で、でも飲み代が少し浮きましたので!」

 「目つけられたら面倒よ」

 「う…そ、そうですが…」

 「まぁいいわ、久しぶりに2人で飲むんだし、どこかいい場所ないかしらね」

 2人の予定が同時に空いたプライベート、本当に久しぶりであり、何軒か回る前提で話を2人で進めていく

 「じゃあまずはいつものところに行きましょうか」

 「えぇ、でもいきなり潰れないでよ?」

 「もちろんですよ、咲夜さんこそ私に世話にならないでくださいね?」

 互いにクスクス笑いながら行きつけの屋台へ歩き出す

 提灯や街灯で照らされた淡い明かり、ちらほら見える村人達、賑やかな雰囲気な道を横に並んで歩く2人、もう既に酔って歩いてる者達も見える、そんなのを気にせず少し人気が消えた道で最初の屋台に到着する、ミスティア・ローラレイが経営する小さな移動式屋台である、ポツンとした小さな屋台にひとつの提灯が辺りを照らして存在感を出している

 「空いてるかしら?」

 「あれ?お二人さんいらっしゃいませ!二人でいるなんて珍しいですね?」

 「えぇ、久しぶりのオフだからね」

 「ビールでいいですか?」

 「えぇ、お願いするわ」

 暖簾を捲り常連の話し方をするとそのまま席に2人が着く、席の前には今の時期ではとても美味しいであろうグツグツと軽く煮立って湯気が軽く舞うおでんがある

 「あ、私大根と牛スジとはんぺんと餅巾着お願いします!」

 「いきなりそんなに食べて大丈夫なの?」

 「二人で食べればわけないですよ!」

 「なんで私も食べる前提なのよ…」

 と言いつつミスティアは毎度!と元気に言いながら、先にジョッキに入れたビールが2つ、2人の前に置かれた

 「じゃあ…」

 メイド長がジョッキを持ち門番の方に向け

 「はい」

 門番もジョッキを持ち互いに向き合い

 「乾杯!」

 カンっとジョッキ同士がぶつかる音が響き、門番はすぐにビールをグイグイ飲んでいく

 「ぷっはー!!やっぱこれですよこれ!」

 半分ほど飲んだところで上機嫌なのかジョッキを置きつつ大きめの声で嬉しそうな門番

 「そんなに一気に飲んだらすぐ酔うわよ?」

 そう言いつつこちらも半分ほど飲んでゆっくりとジョッキを置いている

 「よく働いた後のビールはこうじゃないと!」

 「ほとんど寝てんじゃないの」

 「今日はしっかり働きましたよ!」

 「チンピラ狩りに?」

 「もー!違いますよ!」

 二人の会話をクスクス笑いながら聞き入るミスティア、頼まれたおでんの具をお皿に乗せて2人の前に差し出す

 「そう言えば最近多くないですか?」

 モグモグと餅巾着を食べながら門番がメイド長に話す

 「何が?」

 「おほほはひほおおはへふほ」

 「食べてから喋んなさいよ」

 「んっく、男達の多さですよ」

 「そうね、普通ならこんなにいないのに」

 「幻想郷の母は何してるんでしょうかね?」

 そこにミスティアが話に割り込む

 「多分…冬眠中なのでは…?」

 「あ、そう言えば…」

 「それでも不思議よ」

 「?」

 2人はメイド長の方を見る

 「あの人がスキマを悪用するとは思えないし、スキマを活用できる人間もいないはず」

 「…確かに」

 「他の誰かが悪用してるのか、はたまた人口が増えただけか、どっちも考えにくいけどね」

 「でもあんなに無礼な男の人ばっかりいるんでしょうか?」

 「さぁね、とにかく今日はそれも忘れましょう」

 「そうですね、ビールお代わりください!」

 いつの間にか2人のジョッキは空に、すぐに2杯目が出される

 __数時間後、それなりに飲んだ2人は次の店に行こうと話が決まった

 「ご馳走様です!」

 「毎度ありがとうございましたー!」

 お勘定を済ませると次は寄ったことないお店で飲もうと決めていた

 人里近くに戻り開いてる店を物色して行く、そんな時だった

 「こ、困ります!やめてください!」

 「うるせぇ!文句あんのかコラァ!」

 「ひ、ひぃ!!」

 何やら怒鳴り声に2人が気付く、どうやら酔っ払った巨漢の男が暴れてるようで

 「この酒が不味かったから金返せって言ってるだけだろうが!あぁっ!?」

 「そ、そんなこと言われましても…お客さんさっきまでガブガブ飲んでましたし…」

 「てめぇ、いっぺん痛い目見ねぇとわかんねぇみてぇだなぁ!?」

 「ひいいい!!!」

 店主が暴行を受けそうになったその時にメイド長が止めに入った

 「ちょっと」

 「あぁ!?なんだてめぇ!」

 「さっきからうるさいし見苦しいんですけど」

 「んだとぉ!?」

 「酔っ払ってるからか知りませんが頭を冷やした方がいいのでは?氷水くらいくれるでしょうし」

 「クソアマァ…俺を舐めてんのか!」

 「哀れだから教えてあげてるだけです」

 「てめぇ!女だからって黙ってたらつけあがりやがって!!」

 「ずっと喋ってましたが?」

 「うるせぇ!調子乗ってんじゃねぇぞオラァ!」

 頭に血が上った巨漢の男がメイド長に掴みかかる

 しかしそんな遅い掴みかかりは彼女には通用しなかった、体が軽い分素早く動ける彼女はすぐさま横に逸れながら巨漢の男の後ろを取る、そのまま後頭部に向かって一回転しつつ右足の回し蹴りをぶち込む

 「……っ!?」

 巨漢の男は何も言えず何が起こったかも分からず、ただ脳が揺れてドサッと音と共に気を失ってしまった

 「はぁ…酔いが覚めちゃったじゃない」

 「いやぁ〜さすがです!一撃なんて!」

 「酔っ払ってるし大したことないわ、邪魔だからそこら辺に置いてきて頂戴」

 「分かりました!」

 門番は頼まれた通り巨漢の男を引っ張っていきそこら辺の路地裏に放置してきた

 「あ、あの…!」

 「はい」

 「た、助けてくれてありがとうございます!」

 「たまたま近くを通っただけです、お気になさらず」

 「い、いえ!そ、それよりもお礼を!先程酔いが覚めたと言ってましたので、こちらで無料でお酒を提供させて頂きます!」

 「無料で…いや、でも…」

 「気にしないでください!もちろんお連れの方も一緒に大丈夫ですので!」

 「……分かりました、そこまで言ってくださるのであればお言葉に甘えさせていただきます」

 「良かった!では、すぐお店片付けるのでお待ちください!」

 店主はそのまま自分の店に戻っていき、その間に門番が戻ってくる、門番にタダで飲めることを伝えると"飲み代が浮きましたね!"と伝えつつ小さく笑いながら店内の片付けが終わり2人だけの貸し切り状態にしたお店に入っていく…

 

 ……誰かがその2人を監視しているとも知らずに

 

 



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第2章「奇妙な仕事」

__正午、昨日のオフの日からようやく頭痛が収まった門番、おかげで居眠りはせずに済んだが軽く飲みすぎたせいでの頭痛はキツイものである

 今日も特に異常はない、そう思いのんびりしておこう、そう思った時だった、メイド長が門番の元へ来た

 「珍しいですね、起きているなんて」

 「あ、メイド長…どうかされましたか?」

 「えぇ、私と貴女に依頼があるってお嬢様からお聞きしたの、悪いけど一緒に来てもらいます」

 「はい、分かりました」

 昨日の夜とは口調が違う、仕事中は言葉遣いにも気を付けているからである、それよりも門番はやはり気になるようである、粗相をした覚えは無いし何か深刻な問題でも起きたのだろうか、内心不安になりつつもメイド長の後について行き紅魔館の主、レミリア・スカーレットが居られる玉座の前の扉に着く、メイド長が軽くノックをし、中から小さく「どうぞ」と聞こえるとメイド長は「失礼します」と挨拶をしながら扉を開け中に、門番もメイド長の後に入り扉を閉める、赤いカーペットの先に椅子に座り二人を見ている黒い翼を持つ見た目が幼き女性、彼女がレミリア・スカーレットである、2人は主の方を向くと90度にお辞儀をし、その後主の近くに寄る

 「いきなり呼び出してすまないな、門番」

 玉座に座ったまま門番の方を向き主らしき喋り方をする

 「いえ、それよりも…お話とは…?」

 「咲夜から聞いているとは思うが2人には仕事をしてもらう」

 「…まだ私も仕事内容は存じませんが」

 「私から伝えた方がわかりやすいだろうと思ったからな」

 「そんなに深刻な…?」

 「いや、そこまで深刻ではないが…ただ…少し変わった仕事なんだ」

 主も少し言葉を濁す感じに話す

 「その仕事と言うのが、2人にある指定の場所へ向かって見張りをして欲しいという依頼なんだ」

 一瞬理解が遅れたが、ただの見張りの依頼である、しかし確かにおかしい、見張りと言ってもなぜ自身達なのか、それにただ見張るだけならそこら辺の人間でも連れていけばいいじゃないか、そんな疑問が頭をよぎる

 「私も最初は断ろうとは思ったんだがそれなりの謝礼もあるようだ、最近は金銭的にもあまり余裕が無いからな、面倒だとは思うが頼まれて欲しい」

 「お任せ下さい、すぐにでも?」

 「構わない、頼んだ」

 「行きましょう、美鈴」

 「は、はい!それでは行ってまいります!」

 確かに昨日も飲み代が少し浮いたとはいえ少し使いすぎていた部分もあった、反省しつつ金稼ぎのために行くことを決めて主に深くお辞儀をして部屋を出るともう一度扉の前で頭を下げ、特に支度は必要は無いなと思いながら二人ともそのまま指定された場所まで向かっていく__

 

 __30分後、人里から少しだけ離れた人気があまりない場所、そこへポツリと一軒家がある、そして依頼人らしき1人の少しヒゲが濃い目の男が出てくる

 「おお、これはこれは紅魔館のメイド長に門番さん!こんな汚いところまでわざわざ御足労頂いて申し訳ない!」

 見た目とは違い礼儀正しそうにヘコヘコ頭を下げながら話をする

 「いえ…それより見張りとは…?」

 「はい、これから私は少し遠出をして使いに出ますのでそれまでの間ここでの見張りをお願いしたくてですね」

 「どうして私たちに?」

 美鈴が疑問に思ったことを聞きだす

 「最近は物騒でしょう?そこら辺のチンピラに頼んだんじゃ信用出来ません、なのでお宅らのような腕も立ち信用出来る方に頼んでるんです」

 「…そんなに何か大切なものが…?」

 「いえ、中に私の息子が寝ておりましてね、もう25にもなるのに働きもせず挙句に病気になりやがるもんですから仕方なく薬を買いに行くんですわ、でも私の方も少し借金がありましてなぁ、もし来られたら敵いません、それで用心棒も兼ねて依頼したわけですわ」

 「メイド長、聞く限り悪い方ではなさそうですし報酬もあるので受けませんか?」

 「そもそも断る理由もないわ、お嬢様直々からだから」

 門番と話したあとヒゲが濃い目の男を見て

 「分かりました、用心棒及び見張りはお受け致します」

 「おお!本当ですか!ありがとうございます!あ、忘れとりました、私"湯田"と申します!では1時間程度で帰ってきますんでよろしくお願いします!」

 承認されるとすぐさま駆け出して買い出しに向かってしまい、二人ともこれくらいの簡単な仕事ならいいだろう、そう思いながら2人共見張りをする

 

 __数分後、本当に何も無い、チンピラどころか動物すら来ない、メイド長は門番の退屈さを少しだけ理解した

 「美鈴、見張り頼んだわ」

 「え?まさかサボるんですか?」

 「いや、この家の息子が気になってね、仕事もしないで親に迷惑ばかりかけて、少しばかり説教してやろうと思ってね」

 「あはは…まぁ病人ですからきつく言い過ぎないように…」

 苦笑いしつつ門番は分かりましたと伝えて見張りを続ける

 一方メイド長は家の中に入る、しかし入った瞬間血なまぐさい臭いがした、病気とは聞いたが風邪とは聞いてない、血でも吐いたのだろうか、そう思いつつ恐る恐る息子がいるであろう目の前の居間に向かう、そしてゆっくりと見るメイド長の目に入ったのは

 口から血を吐き、腹部から大量に血を流して、近くに血塗れのナイフが転がって、血で真っ赤に染った布団、目の前には殺された息子らしき人物がいた

 「………!?」

 またも理解に遅れた、何故目の前に死体が、いつの間に殺されたのか、声を出そうにも出せなかった、それよりも門番にも報せるべきだ、そう思い門番に軽く慌てつつ伝えに行く

 メイド長の話を聞き2人で現場に戻る、そして調査を開始する

 「…本当に死んでますね、でも…」

 息子らしき人物を見るとその日に殺されたのだろう、血がまだ乾いていない、死体に触れずメイド長は腹部を見てお腹を深く刺されてそのまま出血多量で死んだのだろうと分析する、素人目でも分かるがおびただしい量の出血である

 「美鈴、迷いの竹林の医者の所まで行って、とにかくこのままじゃどうしようもないわ」

 「は、はい!でもメイド長は?」

 「犯人がまだ近くにいるかもしれないわ、私が見ておくから、はやく行ってちょうだい」

 「分かりました!くれぐれもお気をつけて!」

 門番は一軒家から走って迷いの竹林まで向かっていく、今から連れてきたところで間に合わないがせめて何かしらの処置はできるだろう、そう思いながらメイド長は凶器となったナイフを拾い眺める、ナイフは刺したばかりなのか血が滴っている、そもそもなぜこの人物は殺されたのか、借金のカタに殺すなんて話はほとんど聞かない、そもそも殺す理由が無いはずだ、そう考えていると…

 「な、な、何してんだおめぇ!!」

 男性の声が聞こえ振り返る、先程買い出しに向かったはずの湯田である

 「湯田さん…?何故…?」

 「さ、財布を忘れたから戻ったんだ…!お前…よくも俺の息子を…!」

 「私…!?待ってください!いきなり犯人扱いですか!?」

 「しらばっくれるんじゃねぇよ!お前が殺したんだろ!」

 軽く震えながらメイド長の右手を指差す、彼女の手には血が滴るナイフが握られていた

 「こ、これは私じゃ…!」

 「う、うるせぇ!ひ、人殺しだぁ!!紅魔のメイドはただの殺人鬼だぁ!!!助けてくれぇ!!」

 湯田は怯えながら大声を出して一目散に人里に逃げていく、10分もすれば村人達が大勢来るだろう、ナイフをその場に捨てつつこのままどう言い訳しても絶対に信用して貰えない、むしろその場で殺されるかもしれない、犯人も原因も分からないままとにかくメイド長は逃げ出した

 

 午後13時30分

 十六夜 咲夜は殺人鬼として知れ渡った




人物紹介

十六夜 咲夜

かつて「ヴァンパイアハンター」として活動していた紅魔館にメイドとして暮らす銀髪の女性

博麗の巫女の代わりに異変を解決をしてきた事もあった

しかし謎の人間が幻想郷に侵入してきてから彼女は紅魔館を去ることに…

それは彼女の生死を巡る引き金になった…


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第3章「濡れ衣」

__紅魔のメイドは殺人鬼、その噂はすぐさま人里全体に伝わる、村人達は恐怖を覚え、大人達はすぐさま子供達を家の中に入れしっかりと戸締りを、1人で行動しないよう厳重に呼びかける、殺人鬼を見つけ次第大声で知らせることと村人全員が知らされた

 

 __その頃、殺人鬼の濡れ衣を着せられたメイド長はとにかく自分の館に戻っていく、人里の近くを通るがもう噂が広がっていた、嫌に空気が重い、怯えてる村人にピリピリした状態、今ここを通れば必ず面倒なことになるだろう、とにかく今は館に戻り主に報告とその後の事を考えなくては、人里から離れて遠回りではあるが見つからないように隠れながら館に戻っていく、アテはあるはずだ、とにかく今は安全を確保しなくてはいけない

 そうこうしてるうちに館の前に着く、いつもと変わらない静けさであるが、まだ門番がいない、早く報せをしつつ門番を探さなくては、そう思いながら館に入り、メイド妖精達が出迎えるが主は居るか問い、直ぐに主の元へ

 「ん?早い帰りだな、咲夜、もう終わったのか?」

 「いえ…それが…」

 「…お前らしくない、なにを慌てている?」

 

 __メイド長は全て話した、依頼人の名前、見張り中に起こった出来事、依頼人の息子が死んでいたこと、濡れ衣を着せられた事、とにかく覚えてる限り全てを話した

 「…そうか、災難だったな」

 「…申し訳ございません」

 「気にするな、文屋もいるだろうし情報を覆す方法なんかあるはずだ、今は部屋で休んでいろ」

 「…はい」

 いきなりの出来事過ぎて軽く混乱していた彼女は主の言葉でホッと肩を下ろし軽く疲労が回復した

 コツコツと靴の音を静かに立てて廊下を歩き、自室が見えた、1度眠って冷静に考えよう、策はあるはずだ、そう思いながら自室のドアが目の前まで来る__

 

 

 ドオオオオオンッ!!!!

 

 

 ものすごい爆発音と共に彼女の自室が大爆発を起こした、爆風に耐えきれず火傷こそしなかったが吹き飛ばされてしまった、メラメラと燃えあがる自室、誰かが爆弾をしかけたのだろう、一体誰が…?

 その時後ろからたくさんの気配がした、振り向くとそこには大量の体力に自信がありそうな男達、そして

 

 レミリアがいた

 

 「……お嬢…様…?」

 「お前には失望したぞ、咲夜」

 状況が理解できず困惑している彼女を見下し、冷たく話す主

 「お前がまさか食料以外で人を殺すとは…私も流石に信じられない」

 「ですから私は…!」

 「とぼけるな、その短時間で殺せるのはお前くらいだろ、もしくは凄腕の殺し屋か?まぁ私を殺そうとしたお前にも言えるな」

 まさか主までもが疑っていた、このまま彼女は殺されてしまうのか?

 「お前なぞ私が手を下すまでもない、腕利きの用心棒を雇っておいた、お前が逃げそうな場所にもな、もうお前は用済みだ、仮に逃げられたところで損害はない」

 この言葉で彼女は理解した、主は見捨てていないことが、それよりも必死にできる範囲で匿ってくれたのだ

 そして彼女は心の中で感謝をしながら主の背中を見送る、そしてゆっくりと立ち上がると軽く地面を靴でつつく、ここにいる用心棒達を叩きのめす、そして館から脱出する、それが今の彼女の目的である

 「……」

 無言で用心棒達を睨みつける、用心棒達は腕に自信もありこれだけの大人数である、リンチしてしまえば楽勝だろうとタカをくくって油断しきっていた

 「おい殺人鬼さんよぉ、大人しくした方が身のためだぜ__」

 グシャッと音がすると煽ってきた用心棒の1人の顔が潰れたようになりながら鼻血を出して倒れた、メイド長の強力な蹴り1発である

 「て、てめぇ!調子乗ってんじゃねぇ__」

 うるさい口を塞ぐようにまたも強力な蹴りが用心棒の口へ、言葉を最後まで発せずに歯が折れて血が吹き出す

 「クソッタレがァ!ぶっ殺してやるよクソアマぁ!」

 怒り狂った敵達が一斉に襲いかかる、彼女は慌てもせずまずは前方の敵の顔面に蹴りを入れる、その反動を利用して今度は後ろに向かって足を伸ばし敵の腹部を蹴り飛ばす、その間に左右の敵は掴みかかるが蹴る時に姿勢を低くしているので掴みを避けるとそのまま地面に手を置き小さく逆さに屈むと左右両方の敵の顔面に向かって足を伸ばす、ガスッ!と音がすると同時に左右の敵は宙を舞って顔から血を流しながら気を失った

 目の前にいた複数の用心棒を蹴散らすと1番近い曲がり角を曲がる、そこには通せんぼをしている図体がでかい敵

 メイド長は冷静に近寄っていくと図体がデカい敵は持っていた重い椅子を振り下ろす、しかし彼女をパワーで潰すのは難しいだろう、素早く横に逸れるとそのまま通せんぼしていた敵の後頭部を思いっきり蹴りつける、重い椅子を落としふらつきながらも首を横に振って気を保ちながら彼女に掴みかかろうとする、しかしそれよりも彼女の横蹴りが早かった、顔面にもう1発蹴りが入ると無防備になり、腹部に強く蹴りを入れられて後ろのバリケードに激突させられる、通せんぼの敵は気を失いバラバラになったバリケードを通り抜けながら2階へ続く階段へ向かう、階段を降りようとしたその時だった

 「居たぞ!あの女だ!!」

 掛け声と共に用心棒達がまたも現れて階段を駆け上がってくる、それに結構な数である、このままでは時間がかかる、辺りを見てみると先程のバリケードの残骸であろう中は空のドラム缶が近くにあった、きっと物置にでもあったのを引っ張り出したのだろう

 「っらぁっ!」

 掛け声と共に重いドラム缶を階段の方へ向けて蹴り飛ばす、巨大で重量もあるため受け止めるのは困難であるはず

 「うわああああ!?」

 「ぐああっ!!」

 狙い通りドラム缶は用心棒達を倒しながらゴンゴン音を立てて転がっていく、悲鳴が聞こえてる今の内に階段を駆け下りてそのまま突っ切って次の階段を目指す、しかし道中にはまだ敵がいる、どれ程雇ったのか分からないくらいの数である、二人がかりで取り抑えようと試みる敵達に接近するメイド長、1人が腕を大きく広げて掴みにかかるがメイド長は低く屈み掴みを避け、よろけたところで敵の背中を蹴り、壁際へ押し込むとそのまま追撃でドロップキックを放つ、壁に挟まれるのもあってグシャァッ!と潰れる音がすると1人は気を失い、その間にもう1人がバットで彼女の頭を殴ろうとする、しかしそれも無意味に終わる、殴ろうとしたバットはもう手元にない、彼女がバットを遠くに蹴り飛ばしてしまったからだ

 バットを持っていた敵はとにかく力まかせに殴ろうとする、もちろん彼女には無意味である、殴りかかった瞬間に腹部に強いカウンターの蹴りが入り込む、内臓が破裂しそうな程の痛みと共にその場に倒れ込む、道中の敵はこれだけだろうか、先程の階段のところでだいぶ削れたのであろう、この内に出口に向かって突き進む、しかしまたも途中で横のドアからいきなり飛び出した手に服を掴まれて部屋の中に引きずり込まれてしまう、部屋の中には敵が4体、部屋の中も狭く敵達は追い詰めたとニヤニヤと笑っている

 「もう逃げらんねぇぞ!とっ捕まえろ!」

 狭い地形で一斉に敵が逃げ場を無くして迫ってくる、万事休すかと思われたが彼女は余裕だった、彼女は1人に真っ先に向かっていくと相手の腹部に足を当てて登るようにしながらそのまま敵の顎を蹴り上げる、顎を蹴られた敵はそのまま倒れメイド長は宙を舞う、いきなりのアクロバティックな攻撃に唖然としてる敵2体、隙だらけの2人の顔面に両足を開いた彼女のかかと落としがクリーンヒットする、一気に3体を倒し自身を引っ張りこんだ相手の方を振り向く、余裕そうに笑っていたはずの敵は冷や汗をかきながらもやけくそになり殴りかかってくる、もちろん冷静な彼女に突っ込んできたところで意味が無い、すぐさま反撃をされ、顔面に重い蹴りをぶち込まれる、歯が1本折れて口から飛び出しながらドアの方へ吹き飛び、ガシャァっ!!と音と共にドアは壊れ脱出を再開する

 ようやく1階の階段まで辿り着いた、しかしまたしても階段の先には銃を持ったまま見張りを続ける用心棒、どこから攻撃しても蜂の巣にされる危険性が高い、またドラム缶のような巨大な何かが無いかと辺りを見渡す

 彼女の目に入ったのは、巨大で豪華なシャンデリアである、もちろんそこそこ頑丈な素材で吊られているためぶら下がったところで壊れないだろうが、銃を持つ敵を見て閃いた

 彼女は近くにいた1人の敵に狙いを定める、警戒していた近くの敵は彼女が目に入ると銃を構えた、しかし発砲する前に彼女が顔面を両足で踏みつける、その音に気付いた他の敵が振り向くが、その間にメイド長は先程の敵を踏み台にして高く飛びシャンデリアにしがみつく、ガシャガシャとシャンデリアが激しく揺れ出す

 シャンデリアの上に乗り相手に手招きをして挑発をするメイド長、見張り達は銃を持っているため撃ち落とせと命令すると一斉に彼女に向かって発砲する、もちろんグラグラ揺れておりかつ冷静な彼女には1発も命中しない、そして銃弾はシャンデリアを吊り上げていた吊り具にヒットする、そのまま吊り具は重みに耐えきれず巨大なシャンデリアが落ちてくる

 

 ガッシャアアァァァンッ!!!!

 

 ものすごい音と共にほとんどの見張りは逃げる間もなくシャンデリアに下敷きにされる、運良く逃れた1人は腰を抜かしてしまい、その場を逃げようとするが、グシャッ!と音と共に残りも倒された、シャンデリアが落ちると同時に飛んで避けたメイド長の重い蹴り落としてある、敵を全員蹴散らしたはずである、前には大きなドア、館への出口である

 バンッ!と勢いよくドアを開けて飛び出すメイド長、そのまま門を飛び出して後ろを振り向く

 

 彼女の目の先には、窓から見ている主が映った、主は彼女が無事なのを確認すると何も言わずそのまま奥へと消えてしまう、しかしこれでいい、それよりも今はどこかへ身を隠さなくてはいけない

 「居たぞ!あそこだ!」

 休む暇もなく追加の用心棒が声を出して向かってくる、とにかく逃げるしかないとメイド長は一目散に逃げ出した

 

 __こうして濡れ衣を着せられたメイド長は紅魔館から去って、追っ手から逃げながら疑いを晴らす異変に巻き込まれた




咲夜の戦い方

咲夜は力が少し弱いが持ち前の素早さと足技をマスターしており、相手を蹴りや掴みのみで圧倒していく、体が軽いので吹き飛ばされやすいが足技で彼女の右に出るものはいないだろう


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第4章「消えた信頼者」

__メイド長が殺人鬼と呼ばれ、紅魔館での出来事が起こる前の話

 迷いの竹林を駆け抜けて医者の八意永琳の元へ向かっていく門番、軽く息切れしながらもようやく着き医者の元へ、しかし

 「えぇ!?じゃあ永琳先生は居ないんですか!?」

 「はい…私はてゐと留守番で…」

 「こ、困りました…と、とにかく鈴仙さんでもいいので来てください!」

 「わ、分かりました、てゐ 留守番頼んだわよ」

 長い耳を持ちブレザーの服を着てる彼女、鈴仙・優曇華院・イナバである、聞くところによると永琳は姫と共に旅行に行っていてしばらく帰ってこないだとか、しかし手ぶらでは帰れないため鈴仙も十分な医学はある、慌てながら門番は来た道をもどっていく、鈴仙はとにかく見失わないようにと後を追いかける

 「こっちが近道です!」

 門番は人里の真ん中を突っ切っていく、そして村人の声が入り込む

 「紅魔のメイドは殺人鬼だ!」

 その言葉に門番は足を止める

 「…え…?」

 いきなりメイド長が殺人鬼扱いをされている、何もしてないはずなのに、一体なぜ

 「あの…」

 「え!?は、はい…」

 近くにいた村人に話しかけ、村人は不安なのかオドオドしている

 「その…殺人鬼って…?」

 「し、知らないんですか?今広まってるんですよ…?紅魔館のメイド長は殺人鬼だって…」

 「…どういう事ですか!?」

 村人の肩を掴んで険しい顔になる

 「ひ、ひぃぃ!!」

 村人は怯え切ってガタガタ震えだし

 「なんで咲夜さんが人殺しにならなきゃいけないんですか!」

 「し、知りませんよ!!だ、だってみんな言ってますし!」

 「証拠はあるんですか!」

 「ひ、ひいいい!!!」

 村人は悲鳴をあげながらそのまま門番を振りほどき逃げ出してしまった

 「…一体何が…?」

 門番の肩を叩いて落ち着くように促す鈴仙

 「っ!鈴仙さんすみません!私ちょっと先に行ってますね!」

 「あ!ちょっと!」

 鈴仙を置いて先に先程の依頼された一軒家までもどっていく

 門番は嫌な予感がしていた、猛ダッシュで先程の場所まで戻るとその先には

 村人たちが何人も集まっていた

 メイド長の姿が見当たらない、逃げたのか、捕まったのか

 そんな事を考えていると村人の声が聞こえる

 「急げ!早くあの殺人鬼を捕まえるんだ!そして湯田さんをこっちに!」

 あの依頼人が目に入った、しかし今はどうしようも出来ない、無理に話を聞きに行ったところで取り押さえられるだけである、下手すればその場で殺されるかもしれない、息を潜めつつその場をやり過ごそうとしたその時である

 

 「あ!あ、あれ!あいつは共犯のやつだ!」

 木陰に隠れていたはずだが見つかってしまった、大声で居場所を伝えられ、門番を捕まえるために武器を持った村人達が何人も追いかけ出した、罪も無い村人達を攻撃する訳には行かない、門番は一目散に逃げ出した、今は紅魔館に戻ろう、メイド長も逃げ込んでいるはずだ、そう思った門番は館に向かって走り出す

 

 もう既に信頼者が居なくなった館に

 




紅 美鈴

紅魔館の門番を務める元メイド

共に信頼してる咲夜の良き理解者

謎の人間により咲夜が紅魔館から消えた今、影からサポートを続けていた

しかし、いつか戻る日を待ち望んでいる彼女に知らされたのは信頼した女性の最悪の知らせだった…


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第5章「困惑」

___「はぁっ…はぁっ…!」息を切らしながらとにかく少しでも早く館に到着するために休まずに走り続ける、追手は途中で振りきったので着けられては居ないはず、そう思う門番

 

 そうして走る内に、門番の目の前には紅魔館が映った、そして謎の屈強な男達も目に入った

 「…!?」

 こんな人物達を雇ったという話しも聞かない、状況が読み込めない門番は困惑してその場に留まってしまった、すると

 「…ん?おい、あいつ…」

 1人の人物が門番を見つけ指をさす、他の人物達も指された方を向く

 "ここは逃げよう…!"そう思った門番、しかし体は追い付かなかった、逃げようとする体は動かず、すんなりと男達に囲まれてしまった

 「こいつ、この館の門番じゃないか?」

 「そうだろうな、たしかこいつもあの殺人メイドと一緒にいたんだろ?」

 「だったらこいつを痛めつけて見せしめにすれば殺人メイドも出てくるんじゃないか?」

 門番を囲って自分の信頼者であるメイド長を殺人メイドだの平気で言う男達、その言葉に門番は怒りを覚え出す

 「……殺人メイド…」

 「おいおい、お前まさか知らないとか言わないよな?殺人メイドと仲がいいらしいじゃないか、お前を餌にすれば金がこっちから寄ってくるんだよ、頑丈そうだしバットとかで殴っても大丈夫そうだな」

 一人の男の見下した言い方に普段温厚な門番は血管が切れるような音が聞こえた

 "こっちに来い"そういい手を伸ばす男

 

 「いだだだだだだ!!!?!?」

 

 手を伸ばした瞬間男の悲鳴が響く、門番が腕を掴んでひねったのだ、すごい力で捻ったまま固定する、男は離せというようにもがくが一切動かせない

 「……黙って聞いてたら言いたい放題、もう我慢出来ません、ここで全員倒させていただきます」

 門番は静かに口を開け目付きが鋭くなる、そしてそのまま門番は男の腕を掴んだまま体全体を回転させて男を浮かせて振り回す、体が風圧でおかしくなりそうな勢い、男はそのまま宙を舞い地面に顔面から落ち、グシャッ!と潰れるような音がして地面に血がドロリと広がっていく

 

 圧倒的な力を見せ付けた門番、その力を見た男達は一瞬たじろぎ一歩後ろに下がった

 "怖気付きましたか?"門番はそういい手招きをして挑発をする、その挑発にまんまと引っかかる一人の敵、"舐めんじゃねぇ!"と声を上げながら殴り掛かる

 しかしその手は片手で止めら、その直後バギャッ!とものすごい音が響く、門番の強烈な一撃を顔面にモロに喰らったのだ、その後後ろに吹き飛びながら血を地面に吹き出しつつ転がっていき遠い所で停止する、それによりより威圧効果が現れたのか男達はたじろいだままなかなか攻撃してこなくなった

 後ろから殴ろうとすれば裏拳を軽く当てられた後回し蹴りを側頭部にぶち込まれ地面に頭を強打、頭が軽くへっこんだまま1人は気絶

 2人で一気に殴りかかろうとすれば1人に頭突きを放ち苦しんでる間にもう1人の頭を掴み、頭突きで苦しんでいた方に向かって思いっきり頭同士をぶつけさせる、頭蓋骨が割れそうな程の衝撃に鼻血と血反吐が飛び出しながら2人はダウンする

 1人は掴みを試みた、しかし抱きつくようにしがみつくがものすごい力で一気に剥がされそれと同時に頭を掴まれて地面に強く叩き付けられる、バンッ!と地面に叩き付けられ物凄い音がしながら掴みを試みた1人はピクピクと身体を震わせ虫の息になり

 やけくそになり突っ込んできた1人を力一杯にフックを浴びせる、内臓が破裂しそうな衝撃、たまらず嘔吐を軽くしながら腹部を押さえつつ言葉を発せずにその場に倒れ込む

 

 気付けば残り1人になっていた

 門番はあと一人かと思いながら残った1人を見る

 「う、うわあああああああああああ!!!!!!こ、殺されるぅううううう!!!!た、助けてっ!助けてくれええええええええええええ!!!」

 この世の終わりのような悲鳴を上げながら半泣きになり腰を抜かし、必死の思いで立ち上がった1人は死にものぐるいで森の中へ消えていった…

 

 __門番は息をつき落ち着きを取り戻す、そして主の心配をしてか館の方に目を向ける

 目の前にいたのは主であった

 「お嬢様…?」

 「流石だな、お前にはウォーミングアップにもならなかったか?」

 腕を組みながら門番に澄ました顔で話す

 「……お嬢様、メイド長は…?」

 「……ここではなんだ、こっちに来い」

 主は少し左右を見て誰もいないことを確認すると先導して館に戻って行った……




美鈴の戦い方

美鈴は拳法や力技などパワー寄りな戦いをする
日頃鍛えてるので体力もあり打たれ強く
重い攻撃で相手を粉砕していく、若干スピードが遅いのが難点だが、咲夜が持てないような重い武器も使用できる


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第6章「ホームレス」

あらすじ
 
 咲夜と美鈴は、久しぶりの両者ともオフの日に人里に降りて晩酌を楽しんでいた
 翌日、2人の元へ用心棒の依頼が届く、働きもしないで親に迷惑ばかりかけている病気の息子に説教をするために入った咲夜、しかし目の前にあったのは息子らしき死体であった、美鈴に医者を呼ぶように伝え1人になった咲夜は運が悪く依頼人である湯田に発見され殺人犯と勘違いされてしまう
 慌てて館に戻った咲夜は主に伝えて部屋に戻るが、その部屋は爆発を起こし粉々になり、後ろにいたのは主と用心棒だった、主にも見放されたかと思いきや、ここにいては危険だと判断した主がある程度追っ手の数を減らすためのできる限りの助けだった、それを理解した咲夜は、敵を蹴散らすと紅魔館を飛び出し、間接的にメイドを辞めることとなった


__「くそっ!どこ行きやがった!」

 

 「まだ近くにいるだろ!探すぞ!」

 

 木陰の奥から男達の声が聞こえる、メイド長は足が早く身を隠すのも早かった、追っ手を振り切ったメイド長は今後の生活をどうするかを考え出す

 昨日の飲み会ではトラブルを解決してお金は少し浮いている、数日程度の食事などは確保できるだろう 、財布を開いて財布と相談したメイド長、問題は寝床である、ホテルなんてものは存在しない、人里の宿にはまずは行けないだろうし近寄るのも不可能である、仮に顔を隠したとしてもバレるのは時間の問題である、ならば博麗神社に向かうか?

 

 それも不可能であろう、恐らく村人達が相談に行っているはずだ、行ったところで退治しないにしても協力は望めない、地底にでも逃げ込むか?

 さとり妖怪なら心を読んでくれるだろうが疑り深い、あまり協力的にはならないだろう

 次々とあてが無くなって行きメイド長はため息をつく

 

 なぜこんな事に?

 なぜあの息子は殺されたのか?

 誰が殺したのか?

 目的はなんなのか?

 

 様々な疑問が過ぎる中、メイド長の肩を誰かが叩いた

 「っ!!」

 油断していたメイド長はすぐさま振り向き戦闘態勢を取る

 

 「ちょちょちょっと!わ、私ですよ!!」

 

 月のブレザーを着た長い耳を持つ女性、鈴仙が目の前に立っていた

 

 「…なぜ貴女が?」

 

 「えーっと…それは私の台詞でもあるんですが…」

 

 苦笑い混じりに鈴仙は門番に言われるがままに連れてこられ、急に置いていかれ紅魔館まで向かう途中でメイド長を見つけた事を話した

 

 「…ということで、今度はそちらの番です、そんなに師匠を呼ぶ程何かあったんですか?」

 

 鈴仙は門番から一切事情を聞いていない、そのためメイド長に聞くしかない、メイド長は一旦落ち着くためにも鈴仙に今まであったことを話す

 

 依頼人の息子が殺されていたこと

 自身が殺人犯として追われていること

 館には戻ることが出来なくなったこと

 

 様々なことを聞いた鈴仙は腕を組んで悩んでいる

 「うーん…そうなると寝泊まりすら確保できてないのでは?」

 鈴仙の問いかけにメイド長はゆっくりと頷く

 

 「……なら、うちに泊まりますか?」

 鈴仙の気遣いに、メイド長はすぐに首を横に振る

 

 「…私は追われています、もし見つかれば貴女達にも迷惑が及びます」

 「そんな事は気にしなくても…」

 「私がいるせいで爆発が起きるかもしれませんが?」

 ここまで返された鈴仙は言葉を詰まらせる、多分いくら説得しても首を縦には振らないだろう

 「…でも、ならどこへ…?」

 寝床も無いのならどこに行くのか、それが気になる鈴仙は問いかける

 メイド長は当てがあるわけでは無いので黙り込んでしまった

 

 「……あるわけないですよね」

 鈴仙は呟くように話すと、メイド長は"どちらにせよ、迷惑をかけれません"と伝えて歩き出す、どこに向かうのかと尋ねる鈴仙に

 

 「私に濡れ衣を着せた者を虱潰しに探します」

 と伝える、まずは号外にもしてあるだろう、鴉天狗の所へ

 

 ……と思ったが既に暗い、ここから鴉天狗の元まで行くには妖怪の山をかなり登らなくてはいけない、追っ手から逃げてばかりのメイド長にはかなり酷だろう、今日は諦めるしかないか…そう思いどこか寝床を探すことに、すると鈴仙が手を差し出し、その手には薬があった

 「……せめてこれだけは、私ができるのはこれだけです」

 鈴仙も自分の帰るところに帰らなくてはいけない、泊まる気が無いなら何かしらのサポートをする気でいる鈴仙は、できる限りの手助けをする

 

 「……しかし…」

 「正直、貴女が人殺しするなんて考えられません、私は貴女を信じてるので」

 

 鈴仙はしっかりとした姿勢でメイド長に伝える、メイド長はしばしの沈黙の後、頭を下げつつその薬を受け取る、薬を渡した鈴仙は一礼すると森から一足先に去っていく

 

 忘れかけたが寝床の確保だ、森なら幸い見つかりにくいはず、だが地面にそのまま寝るのは抵抗があるのか、寝床代わりになるものを探す、そこには捨ててあるダンボールや竹の柵の1部などが落ちてあった、何も無いよりマシかと思ったメイド長は、そのゴミを持ち近くの岩場へ、岩や木に囲まれた場所に先程の竹の柵を置きダンボールを敷く、こんな惨めな生活をしたのは何時ぶりだろうか、そんな事を考えつつ明日は鴉天狗の元へ行くことを考える、そのうち疲れていたメイド長は深く眠りに落ちていった……



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第7章「ネズミ」

___ゆっくりと目を覚ますメイド長、辺りが薄暗い、早朝に起きてしまったか?

 否、単に森に囲まれているので光がある程度遮られているだけであった、寝覚めが良くないまま即席の寝床から起き上がる、ふと腹の虫が鳴る、そう言えば昨日から何も食べていないことを思い出した、しかしお金はあっても人里に降りる事は出来ない、どうしたものかと考えているとふと手に何かが当たる、確認してみると包装された塩パンが置いてあった

 誰が置いていったのだろうか?

 毒でも入っているんじゃないか?

 などと考えていたが裏になにか書いてあることに気付き、裏を見ると「今はこれしか渡せませんがめげないで下さいね」とマジックで"鈴仙"と名前が書いてあった、安心して食べれる事を確認したメイド長は鈴仙に感謝しつつその塩パンを食べる、空腹を満たしたメイド長は早速文屋の所へ向かう、今の時間帯なら新聞を発行している所だろう、メイド長を狙う物が居ないことを確認して素早くかつ慎重に向かう__

 

 __「…これで、いいですね」文々。新聞の発行がちょうど終わり一息着く射命丸 文

 「とりあえずは、こうやって話題を逸らすしかないですかね…」

 そのように独り言をブツブツ呟いてる時だった、玄関の前で誰かが立って待っている、声をかけてこないが、射命丸は人影と匂いを確認すると"どうぞ"と告げる

 「失礼します」戸を開けて入ってきたのはメイド長、普通なら驚くはずだが射命丸は驚きもせず"やはり来たんですね"と伝える

 メイド長は顔色ひとつ変えずに文屋に近寄る

 しばし見合ったあとメイド長が口を開く

 「きっと違うんでしょうが一応聞いておきます、私を殺人鬼と流したのは貴女ですか?」

 その言葉を聞き射命丸は予想していたかのようにすぐさま返答する

 「いいえ、違いますよ、メイド長の貴女が簡単に人を殺すはずがありませんから、ただ…… 」

 途中で口篭る射命丸に、メイド長は"ただ…?"と問い詰める、その後再度口を開く射命丸

 「私は書いていませんが…私以外の誰かが書いたのかもしれません」

 書いたのは本人ではないと告げられるとメイド長は

 「…ネズミがいるってこと?」

 と、問いかける、射命丸は頷き"はい、それしかありません"と自信を持って伝える、ただネズミを探すにも時間がかかるだろう、何故なら何人か派遣として雇っていた人間数人達が異変発生とともに煙のように消えてしまったからだ、なのでとりあえずは別の記事を書き話題を逸らす事をしていた事を伝える

 「…しかし、仮に噂が過ぎ去っても貴女の濡れ衣が晴れるわけじゃありません、それにそんな悠長な時間はありません、最悪その内殺されてしまいます」

 「…そうでしょうね」

 ある程度の話を聞いたところでメイド長はそのまま後ろを振り向き支社から出て行こうとする

 「何処に行かれるんです?」

 まだ話は終わっていない、デスクから立ち上がりメイド長の後ろに着く

 「情報を集めに行きます」

 「ここらではもう情報は…」

 「地底や天空にでも行けば何かあるはずです」

 確かに射命丸は地底などには探しに向かっていない、しかし地底でも今は安全かは分からない、行くのは危険だと射命丸は止める、しかしメイド長は意志を曲げること無く行く事を決心する

 「……分かりました、そこまで言うのであれば」

 射命丸は止めるのを止め"くれぐれもお気をつけて"と見送りをする

 メイド長はそのまま戸を開け外に出る、するとその先には___

 

 ___大量の若い男性たちが待ち受けていた

 「……これは…?」

 「恐らくこちら側のネズミが仲間に伝えたんでしょう、それにこの人達は最近流れてきた悪事や平気で働く若者達です、多分ですが貴女を殺せとでも命令されたんでしょう」

 メイド長が出てきたのを確認した若者達は待ちわびたかのように喜んでいる、しかしその声には"俺が殺してやるよ!" "女を痛め付けれるなんて最高じゃねぇか!"など粋がっている台詞が飛び交う

 「どうしますか?何かで追っ払って__」

 「必要ありません」

 メイド長は助けは求めず若者達の方へ歩いていく

 「…咲夜さん」

 「こんな奴らに負けていてはお嬢様のメイドなんて務まりません、貴女は被害が出ないようにしていてください」

 メイド長は射命丸に下がるように伝える、射命丸は頷くと羽ばたいて避難していった

 「ははは!おいおい、助けて貰った方がいいんじゃねぇの?」

 1人の若者がメイド長に近寄り舐めた態度で話しかける

 「……」

 「はは!ビビったか?でも俺ら何しようが女とかガキとか痛めつけて殺すのが楽しみなんだよ!しかもあの有名なメイド長と来た!こりゃ全員でマワさねぇといけねぇかもな!」

 若者の言葉に集団はまたもゲラゲラと笑い出す

 「……気が済みましたか?」

 「あ?」

 「礼儀がなっていないようなので物理的に教育してあげましょう、まとめてかかって来て下さい」

 軽く地面を靴でつつく、一切顔色を変えず戦闘態勢を整えた合図だ

 「はっ!余裕ぶっこいてんじゃねぇよクソアマァ!」

 若者が手始めに腹パンを決めに向かう__

 

 __次の瞬間、若者は宙を舞った、顎が数センチズレて鼻から血を吹き出しながらドサッとその場に背中から落ちる、メイド長が体を横に変えつつ身を引くくし高く足を顎に向かって蹴りあげたのだ、顎が変形した若者は苦しむ暇もなく白目を向き気を失う

 他の若者は何が起きたか理解出来ず気絶してる若者とメイド長を交互に見ているだけ、しかしメイド長は足をゆっくりと戻すと"来ないんですか?"と手招きをして挑発をする

 「て、てめぇ!調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

 まんまと挑発に乗った若者達が一気に押し寄せてくる、メイド長はその1人に目を付け、一直線に向かってくる若者の股間を靴の先で蹴り上げる、金的を食らい激痛で足が止まり股間を両手で押さえて悶えて後ろがつっかえてくる、その間にメイド長は金的を当てた若者の顔面に回し蹴りを真正面からぶち当てる

 ぐしゃっ!と音がすると同時に衝撃に耐えきれず歯が折れて口から飛び出しつつ吹き飛んでいき、後ろにいた若者にぶつかる、ぶつかった若者はバランスを崩し数人が崖から落ちていき、また数人は滝の中へ落ちて流されていく

 数は減っていくがまだかなりの人数である、メイド長が構えていると後ろからバットを持った若者が殴りかかってくる、しっかり構えていたメイド長は振り向きざまに顔面に回し蹴りを入れる、若者はバットから手を離して吹き飛んでいき、壁に激突しそのまま気を失ってしまった、落ちてきたバットはメイド長の頭上に落ちてくる、が

 手を伸ばして持ち手を掴んでバットを自分のものに、その瞬間に右にいた若者の足を狙ってスイングする

 バキッ!と強い音がすると同時に若者を強制的に正座させる、若者は痛さのあまり両足を押さえて無抵抗に、その間にメイド長はバットをもう一度構えて若者の前へ"へ?"と声を出すと共に前から気配を感じた若者は顔を上げる、その目先にはバットが目の前に来ていた

 

 グシャァッ!

 と潰れるような音がするとバットで顔面を打たれた若者が衝撃に流されていき血を撒き散らしながら途中で止まる、両方から鼻血を出しつつぐったりした顔で気絶をしてしまい、殴った時に返り血が着いたバットを別の若者の前へ軽く投げ捨てる

 カランカランとバットの音がしつつ、文字通りボコボコにされているのを黙って見ていた若者は足を震わせつつ目の前に捨てられたバットを拾いガタガタ震えながら立ち直す、立ち直した瞬間、目の前にはメイド長が立っていた

 「ひ、ひいぃ!!!」怯えている若者はそのまま腰抜かして尻餅を着く

 尻餅を着いたのを同時に怯えてしまい戦意喪失した若者達は一目散に逃げ始める

 「うわああぁぁ!!」「こ、殺されるぅぅ!!!」

 先程までの余裕さとは180度変わり、我先にと互いに押し倒しつつ逃げ出していく

 「お、おい!置いていくなよ!!!」

 腰を抜かし、逃げ遅れていたバットを持った若者はもう一度メイド長の方を向き直し慌てて立ち上がる

 「く、くそおおお!!!舐めんなあああ!!!」

 我武者羅になった若者がバットを両手で握りその場で振り回しながら近付いてくる、しかし混乱してるのか横に振るだけで足元ががら空きである、メイド長は足が留守なのを見逃さずすかさず足払いをする、見事に足を掬われ空中に無防備に舞う若者、そこからメイド長は追加でその場で飛び上がり片足を伸ばして力を込め逆エビ反り状態になり若者の腹部に狙いを定める

 グジャァッ!とものすごい音と共に腹部を蹴り落とされ全身を地面に叩き付けられる若者、口から血を吐き出し何も言えずそのまま気絶する…

 

 辺りを見渡すと大勢の若者たちはいなくなっていた、怖気付いて逃げ出したらしい

 傷一つ負ってないメイド長は軽く服を叩き汚れを落とす

 「面倒なことになりました…」

 そう呟くとメイド長はネズミ探しに向かった……



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