テイルズオブチェイン (シュウ名刀醜血桜)
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キャラクター設定&プロローグ
キャラクター設定


この小説は色々なテイルズの世界をオリ主が往き来して
色々な世界を救ったりします。

小説を書くのは得意じゃないですし誤字脱字があるかもしれませんですが精一杯頑張るので、是非良かったら見ていって下さい。


《柳生志保》兎道高校に通うごく普通の黒髪ショートヘアの女子高校生

ある日学校に通う通学路で子供を庇い車に跳ねられて死亡し神様に出会いドヂな神様の手違いで腕輪を貰ったタイミングでテイルズの世界に送られてしまった。

だが、持ち前の明るさで歴代主人公や、その仲間達と時にはその敵達と、徐々に絆を深めて行き旅をする

 

《腕輪(パンドラ)》神様から貰った

右手に付いた虹色の謎の腕輪

神様曰く「凄い役に立つし便利な物」だそうだ

実際の所この腕輪で世界を行き来したりするがこの腕輪の真の能力は、絆を深めた人物や生物などの武器や技を腕輪が記録、再現、コピーしそれを志保に装着、技を出させるという物である。再現、コピーをしてもそれは所詮模造品に過ぎないので威力は、ラナの強さによって強くなっていくその為当初は、敵を倒すのにも苦労するが徐々に本来の持ち主に近づいていく。

本来の持ち主の物と少し形が違ったり、その人とは違う形で武器が作られる時があるがそれは志保の為に志保に使いやすいように現代武器風にパンドラが変換アレンジしているからである。

パンドラの武器をコピー、再現する能力は止まる事を知らず、絆を結べば、ほぼ無限大に能力や技が増えるので人なっこい志保にあった物である。

絆を結び新しい武器が出て来る時はパンドラが金色に光り、ラナの頭の中に、その武器のイメージと使い方を浮かばせる。

武器の取り出し方はガンブレードと同じでその武器を念じる事により目の前に出現させる。

 

《神様》

自称美しい女神様

本来は違う人間を死なせる筈が間違えて志保を死なせてしまった。

その責任を上司にとらされて志保を腕輪をあげてテイルズオブの世界に送ったのだがドジを踏んでしまい肉体を強くする特典を与える前に送ってしまった。

志保に対して何かを隠しているようで、

その事を志保が聞くと話を逸らしたり別の話題に切り替える。

はたしてその何かとは一体何の事なのか?………

《ラナ》

テイルズオブの世界での志保の名前であり、志保が名前を聞かれた際に異世界で自分の名前はおかしく思われると思った志保が、とっさに思いついた名前を言った事からこの様に呼ばれることになる。

当初はとっさに名乗ったこともあり反応が遅れる事もあったが、徐々に慣れ、気に入って名乗ってく事になる。

髪の色は生前とは違い、黒髪から茶色に変わっている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

《ナイトメア》

突如としてラナの前に現れた狐の仮面を被った謎の女。

性格は、冷たく、自分の目的の為なら手段を選ばない。

使う剣技や武器、体格などはラナに似ており、

様々な世界でラナやテイルズオブの人間と会い敵対する事になる。

そしてラナと同じ腕輪《パンドラ》を左腕に付けている。

果たしてその正体と目的は……?

 

 

【挿絵表示】

 

 

《ガンブレード》

転生する時に女神から貰った武器であり

ラナが好んで使う銃剣。

取っ手の部分にトリガーが付いており、

一回引くと単発で弾が、間隔をあけないで、二回引くと散弾になる為、近距離は

基本散弾で、遠距離は単発で対象している。

普段はパンドラの中に仕舞っており、

ラナが必要な時に念じる事により目の前に出現する。

 

《時話町》

志保が生前住んでいた田舎町でおり犯罪は少なく人口も少ない町であり、町の

中心部にはタワーが建っており、町の開発が徐々に進んでいる。

 




次はプロローグで、その次の本編最初の行く世界はベルセリアの世界に行こうかな~と思いますので、
お楽しみにしていただけたら嬉しいです

それでは次の更新で

髪の色を変更しました


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プロローグ

基本的に志保(ラナ)の視点で物語が進みます。



私は、桐生志保は、至って普通の時話町女子高校に通う高校2年生だ。そんな私のごくありふれた日常は、音を立てて崩れ去った。

 

「ふああ今日も学校疲れたな。」

と何時ものように独りで電車に乗って家に帰ろうとすると駅のホームで、

「誰か助けて下さい!!」

という声が聞こえてきてその声の方を、

見ると小さな女の子が電車の線路に落ちていて、

脚を怪我しているようで母親は、パニックになっており、ひたすら助けを求めているようだった。

だが駅にいる皆は、助けようにも、皆轢かれるのを怖がって誰も助けたがらない。

 

そんな人達を尻目に私は、迷わず線路に降りて女の子を抱えると、後ろから電車の音が聞こえた。

「急いで!!早く!」

女の子を先にホームに上げて

(よし!自分もホームに)

 

そう思った瞬間、私の目の前には電車が、接近していた。

それが私が見た最後の光景だった。

 

 

「ここは?」

次に意識を戻したらそこは、周りがただひたすら白い場所だった。

下は透き通るような水が広がっており、

とてもこの世の光景ではなかった。

(そっか私は……あの時に死んじゃったのか…でも私独りの命で多分、あの女の子が助かったんなら良かったな。)

と冷静に状況を理解すると、女性の声が聞こえてきた。

『そうだよ貴方はあの女の子を庇って亡くなってしまったんだよ。』

「誰!?」

驚いて声の方を振り返ると白いドレスのような服を着た、美しい女性が居た。

『私は女神です。貴方は…その…私の手違いで死んでしまいました本当に申し訳ございません。』

と突然女神と言う女性に謝られた。

「え!?何!?何!?なんか色々な状況が掴めないんだけど一から説明してくれる?」

そう私が言うと女神様?は、頷いて状況を説明し始めた。

まず本来は、同じ町の同名の志保という

女性が亡くなるのを間違えて私を手違いで殺してしまい、その責任を上司に取ってこいと言われて、取るためにこの場所に連れてきたこと。

それからあの母娘は、無事に助かったことを教えて貰った。

(良かった!あの親子が助かってて!)

そう思ってると、女神?は驚いたような顔をして

『あ、貴方は自分の命よりも他の命を心配しているのですか?後悔はしてないのですか?』

そう聞かれたので私は迷わずに、

「当然だよ!私なんかの命で助かったんならそれで私は嬉しいんだよ!だから後悔はしてないよ!」

そう笑顔で返すと、女神様?は

『だからこそあの子は、この世界の貴方に全てを託したのですね』

「何の話?」

『ああいえこっちの独り言です。』

「なら良いんだけど…(本当は気なるんだけど聞くと多分誤魔化されるから聞かなかったことにしよう)」

そういう会話をしていると女神様?は

『コホンそろそろ本題に入ります!貴方には色々なテイルズオブの世界に行って貰います!!』

「あの……テイルズオブて何ですか?」

そう女神様?に聞くと驚いたように

『貴方、まさか知らないんですかゲームですよ!ゲーム!』

「ゲーム?(そんなゲームなかったような…?)」

そう思ってると女神様?は私の体を触った。

触った瞬間、私の体が光った。

「うわ!眩しい!!」

少しずつ光が収まっていき光が消えた時には、私の体が自分の体とは、違う感触がしていた。

(私の体じゃないみたい)

そう思ってると女神様?は、

『貴方の体を違う世界で生きていけるように造り変えています。まだ途中ですが、鏡で姿を見ますか?』

「見て良いですか?」

『良いですよ。』

そう言われると女神様?の手に手鏡が

出てきてそれを受け取り顔を確認する。

「うわ!凄い髪の色が変わってる!」

そう私の髪の色が黒色から甘栗色に変わっていた。

服装は上は制服から動きやすい黒いコートに白地のシャツに下はスカートから茶色いズボンに、

右手には、虹色の腕輪が、靴は学校に履いて行っていた黒地のシューズから、紅いブーツになっていた。

「ありがとう!凄く可愛いし気に入った!

本当に神様だったんだね!」

そう言うと女神様は苦笑を浮かべながら

『信じてなかったんですね。まあ、仕方ないですけど』

そう言うと右手に付いた腕輪を見ながら

『さあその腕輪の説明に入りたいのですが良いですか?』

「うん!分かったよ。」

『この腕輪はパンドラといって私が貴方の為に造った物でその腕輪で色々な世界を巡れるようにしてあります。それと武器なども腕輪に念じれば念じた武器が出てきます。そして、その世界の人と絆を結ぶとその人物の力や武器を再現して自動的に造ります。出来た時は、腕輪が光り、貴方の頭にその武器や力のイメージが湧くでしょう。』

そう言うと私の前にケースを出して

『さあ開けてみなさい私からの旅立ちのプレゼントです。』

ケースを開けてみると刀身が銀色の紅いバラのレリーフが彫ってある歪な形のした剣が入っていた。

『これは銃剣《ガンブレード》です。

トリガーを一回引くと単発で弾が、二回間を開かないで引くと散弾になるので、

使い分けて使って下さいね。』

「うん!分かった何から何までありがとう。所で武器のしまい方はどうするの?」

『何も持たないイメージをすれば消えますよ。』

そう聞いた私は早速、目をつぶり、

(消えろ!)

そう思うとガンブレードは、光と共に消えた。

「本当だ!消えた!」

そう言ってると、女神様は何時の間にかにあった扉を指さして、

『さあ行きなさい最初だけは特別に世界の扉を開いてあげます。次からは腕輪が導いてくれるでしょう。さあ、そこをくぐれば、テイルズオブの何処かの世界に行けます。』

「ありがとう!もう会うこともないと思うけど元気でね!」

 

 

私はもう一回礼を言うと扉を潜って新しい世界に向かっていった。

これが私の不思議な冒険の始まりだった




次からは本格的に物語が始まりますので楽しみに待っててくれれば嬉しいです。
それでは次の更新でまた


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ベルセリア編
ベルベット達との出会い… そして始まる長い旅


やっと書けた~と言うわけでテイルズオブチェインベルセリア編の始まりです。


(何?ここ?)

 

私が、扉を潜るとそこは、薄暗い牢獄の

ような所に立っていた。

まず、私は、周囲を確認しながら、(まず出口を探さなくちゃ!)

そう考えて、出口を探して歩いていると、近くを巡回していたと思う、一人の衛兵?に見つかってしまった。

 

「!?なんだ貴様は!脱獄者か!?捕らえろ!!」

「ま、待って下さい!!私はただ出口を聞きたいんです。争う気はないんです!!」

そう言うと、その衛兵は私の話など聞かずに      

「嘘つけ!!お前もあの囚人を捕まえていた牢を開けた女の仲間だろッ!?」

そう言って衛兵?は槍で刺してきたので、私は、槍を後転で回避しながら、起き上がった直後にガンブレードを出して、槍を弾いて、体制が崩れた衛兵?の首に、ガンブレードを突きつけた。

 

「ハァ、ハァ、もう降参して下さい!」

「何だ!?殺さないのか?」

「だから言ったじゃないですか?私はただ出口の場所を聞きたいんです。」

そう言うと衛兵?は笑いながら

「出口を教えた所で出られねぇよ!!」

「な、何故ですか!?」

「ここは監獄島タイタニアってなミッドガンド聖導王国の領内に存在する、四方を全てが海と断崖絶壁で囲まれてる、全体が監獄になってる島なんだよ!だから、船でも手に入れないと出れねぇんだよ!!」

 

所々、聞いたことも無い、場所や地名が出てきて、私は改めてこの場所が私の死ぬ前までいた、世界ではないことが分かった。

(よしこの衛兵見たいな人に色々な事を質問したりしてこれからどうするか決めよう。)

 

そう考えている私は、考える事に夢中で、衛兵?が体制を整えて、持ち直した槍を構えて、私に振り下ろされるのに反応できなかった。

「死ねェェ!!」

「!?」

 

 

ドシャ!!

という音がした瞬間、衛兵?の後ろからナイフ?のような小型の剣で背中を貫かれていた。

 

「ギャアァァ!!!」

「い、一体何が起きたの?」

状況を理解できないでいると、倒れた衛兵?の方に何人かの人達がいた。

その内の髪が膝で髪を三つ編みにしている服がボロボロで露出度が高い女性が話しかけてきた。

「大丈夫?」

「だ、大丈夫です。ありがとうございます!あ、あの~貴方のお名前は伺って良いですか?」

何故かこの人が怖く感じた私は見た感じ年が近そうな彼女に敬語を使ってしまった。

すると彼女は、顎に片手を当てて考え始めてしまった。

「あ、あの……どうかしたんですか?」

 

そう聞くと同じく、後ろにいた魔女?っぽい帽子と服装をした女性と、背中に太刀を背負った服装から見ていかにも武士と思うような人達に近寄られて、

話しかけられた。

 

「何気にすることはなかろうてそれより、儂はお主に興味が湧いてきたぞ~♪」

「応!お前のさっき持ってた剣見たことも聞いたこともないなちょっと持たしてくれないか?」

 

そう言われたので仕方なくガンブレードを出して剣士の方に見せた。

するとマジマジと見ながら

 

「俺の知らない剣だ。なあ!今度俺と斬り合ってくれよ!!」

「何でですか!?戦う理由がないでしょ!!」

そう言うと剣士は、首をかしげながら

「剣士なら剣を持つ人間と戦ってみたいだろ?」

そんな返答に呆れながら

「分かりましたよ!!今度やりましょう。」

「応!約束だ!」

そんなやり取りをしてると、魔女?から

「そういえば、お主、名前はなんて言うんじゃ?」

「ああ私は、きr(し、しまった!名前考えてなかった。)」

そこまで言った私は気づいてしまった。そう私はこの世界での名前は考えていたかったのだ。

(ど、どうする!?どうする!?流石に生前の名前はまずいし!!うーん何にしよう。)

 

そう思い、名前を考えていると頭の中に何故かラナという名前が浮かんできた。

(ライナも違うしうーん~そうだ!ラナ!

ラナなら怪しまれない!)

「私はラナです。宜しく。」

そう言いながら頭を下げて私は

(あ、怪しまれてないよね。)

と考えていたが二人からは

「儂こそは八紘四海を股にかけ、ドラゴンも笑う大魔法使いマギルゥと言うんじゃ

まあ本名は長いから略称で呼んどくれ♪」

と魔女?もといマギルゥが名乗ると剣士の方が

「応!じゃあ次は俺だな!俺はロクロウ・ランゲツまあ、気安くロクロウって呼んでくれ!」

剣士ことロクロウにも名前を教えてもらった時に、考えていた女性が、私に対して顔を向けてこう言った。

 

 

 

「あたしはベルベット・クラウ貴方はあたし達の囮としてあたしの復讐の旅に、付いてきなさい。」

 

 

それが私と、この女性…ベルベット・クラウとの出会いだった。

 




次からは本格的に物語が始まりますので見て下さった方
初めて見て下さった方も次回も宜しくお願いします。


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監獄島からの脱獄前編

今回から本格的に物語か進んできます。
(今回も説明が多いかもしれませんが)


「………はぁ!?」

私はベルベットクラウから言われた囮という言葉に対してつい声を出してしまった。

(いやいや一緒に脱出しようとかじゃなく囮って…)

 

 

そんな事を考えているとベルベットクラウが

「何よ?なんか問題でもあるかしら?」

と聞いてきたので私はベルベットクラウに対して話を聞いてくれそうにない雰囲気がしたので

「いえ何でもないですベルベットクラウさん」

と言った。

 

 

するとベルベットクラウさんは

私を見て無愛想にこう言った。

「いちいちフルネームで長ったらしいから呼ばないで今度からはベルベットで良いから」

「うん分かったよ!宜しく!ベルベット」

など喋りながら私達は歩いているとマギルゥとロクロウが私達とは別行動を取って別々に監視塔に向かった方が対魔士?や兵士に見つかりにくくなると提案をして別行動を取ることにした。

 

 

 

私は話の中に出てきた対魔士?という言葉が気になってベルベットに聞くことにした。

「ねぇベルベット対魔士て何?」

と聞くとベルベットはこれまた無愛想に

「別に囮のあんたには関係ない」

と言われたので聞くことを諦めようとした時、隣にいた赤い髪をして目隠しをした綺麗な女性が

「対魔士とは高い霊応力を持つ聖戦士達のことです。聖寮という組織を持っていて、聖隷というを使役しているんです。それして対魔士の使命は、民衆を襲う業魔を倒すことを共通の使命として、英雄的な存在として尊敬されているんですよ。」

と説明された。

「ありがとうございます!!えーと」

(どうしよう名前を聞いていなかった。)

と考えていると、赤い髪をした女性が再び口を開いて、

「私の名はシアリーズと申します因みに私も聖隷なのですよどうか宜しくお願いいたします。」

と自己紹介をしてくれた。

 

 

その後ベルベットとシアリーズさんと道を進んでいると港の門は対魔士達に寄って固められている事が分かったのでシアリーズさんが船を止めてあるという島の裏手に塔から向かうことになったので道を進んで梯子を登ろうとすると後ろから足音がした。振り返ってみるとそこには

「暴動はほぼ鎮圧した!お前達も逃がさん!」

対魔士と二人の兵士がいた。

 

 

「はぁ仕方ないわね」

そうベルベットが言うと手に付けた武器と足技を織り交ぜてあっという間に二人の兵士を倒したがその後ろを対魔士が狙っていた。

「死ねェェェ!!」

と大剣を振り下ろした瞬間。

「竜神楽!」

というシアリーズさんの言葉と同時に火が小さな渦を出して対魔士を焼きつくした。

「大丈夫ですか!?」

「大丈夫よこの程度どうってことないわ」

とシアリーズさんとベルベットが会話をしているのを見ながら私は心の中で、

 

(やっぱり凄いな二人とも)

と考えているとベルベットが、塔から外周道に出ると言い梯子を登り始めたので付いていくと塔の上に出た。

 

だが、外は雨が降っていて塔から下を見てもとても降りれるような高さではなかった。

 

 

 

 

 

 




まず一言約2ヶ月放置してスミマセンでした!
リアルで忙しかったりモチベーションが上がらず納得のいくものが書けませんでしたが、それでも投稿はやめないので投稿が遅れた時は気長に待っていてくださるとありがたいです。


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監獄塔からの脱出中編

相変わらずの誤字や脱字があるかもしれません


どうにか崖から降りる方法を考えていると、シアリーズさんが口を開いて状況を説明し始めた。

 

 

 

「道が崩れてしまっている。これではロープも役には……」

 

 

 

(確かにシアリーズさんの言うとおり降りれそうには………!?)

 

 

 

そう考えているとベルベットの包帯をしている手からまるで人ではない異形の爪のようなモノが現れた。

 

 

 

「…………」

 

 

 

少しベルベットが自分の腕(?)を見た後に一歩前に踏み出した所を、シアリーズさんが驚きながら

 

 

 

「まさか……!?いくらあなたでも――」

 

 

 

無理だと言おうとしたときにベルベットが思い出すように口を開いた。

 

 

 

「あの子が落とされた祠ほどじゃない。」

 

となにかを吐き出すかのように言った。その言葉に私は、

 

 

 

(あの子?もしかしてベルベットはその子の為に何かしようとしている?)

 

 

 

そう考えているとベルベットが下に向けて飛んだ。

 

「私も一緒に行きます!!」

 

シアリーズさんにそう言うと後に続くように私も下に飛び降りた。

 

 

 

「「はぁぁっ!」」

 

 

 

私とベルベットが二人同時に叫ぶとベルベットは腕で、私はガンブレードを崖に突き刺し衝撃を殺してながら降りた。

 

私は上手く受け身を取れたのだが、ベルベットは、途中で吹き飛ばされてしまった。

 

「ベルベット?大丈夫?」

 

私は肩に怪我を負って立ち上がりにくそうなベルベットに、手を貸して、引き起こそうとするとベルベットはゆっくりと私を睨みながら立ち上がり、吐き捨てるように

 

「あんたに心配される必要はない」

 

冷徹で冷静に言われた。

 

(やっぱり私の扱いは仲間ではないんだ。)

 

そう思っていると、何時の間にか降りてきていたシアリーズさんが何時の間にか手を怪我していた私とベルベットの傷ついた肩に両手で触れると白色の光が出て強くなっていくたび痛みが引いていくのを感じていた。

 

そして完全に回復するとベルベットに話をし始め

 

た。

 

「……強いのですね。まるで;誓約;のよう」

 

 

 

(誓約?なんだそれ?)

 

そう私が思っていると、シアリーズさんが私の方を見て誓約について教えてくれた。

 

 

 

(なるほど言動に枷をかけて特別力を得ることをそういうのか……)

 

それを聞いていたベルベットがシアリーズさんに対して強めな口調で、

 

「呪いね」

 

と言うと足を動かして進み出したので私とシアリーズさんは後ろから付いていく形で追いかけた。

 

 

 

 

 

それから扉を開けて真っ直ぐ進みつづけていると、私にむかってシアリーズさんが真剣な表情で、

 

「ラナ、貴女にどうしても頼みたい事があるのですが聞いて貰えますか?」

 

 

 

「私に出来る範囲でしたら聞きますよ。」

 

 

 

そう返答するとシアリーズさんがベルベットの復讐の相手アルトリウスという男について、そして祠に落とされた弟(名前は私がアルトリウスについて考えていたから聞き逃してしまった)について色々と教えてくれた。

 

(確かに復讐したい気持ちは分かるでもその旅が終わったらどうするつもりなの……ベルベット?)

 

それを聞いた私は、思わずそう考えてしまった。

 

 

 

「それと頼み事というのは、もしも私に何かがあったらベルベットの事を気にかけて助けて貰ってよろしいでしょうか?」

 

 

 

「良いですけど…何故赤の他人の私に?」

 

そう私が言うと私を見ながら何処か懐かしそうに

 

 

 

「貴女に何処か普通の村娘だったベルベットに似ている所を感じるのです。もしかしたら今のベルベットを変える事が出来るかもしれない…私はそんな気がして仕方がないのです。…頼めますか?ベルベットの事を?」

 

そう聞かれたので私は笑顔で、

 

 

 

「分かりました!何があっても最後までベルベットの味方でいます。それに友達にもなりたいですから」

 

そう返すとシアリーズさんは笑いながら、

 

 

 

「ありがとうございます。………妹の事は任せましたよラナ。」

 

(?)「ねぇシアリーズさん今なんて「ボサッとしないで行くわよ」!?はい!」

 

最後の言葉が聞き取れなかったので聞こうとするとベルベットに声をかけられシアリーズさんと急いでベルベットの元へ向かった。

 

 

 

「このまま進むと表の港に出てしまいますが……?」

 

進んでいる方向を確認していたシアリーズさんがベルベットに聞くと私たちの方に振り向きながら

 

 

 

「侵入を察知された以上、あんたの船は見つかったと考えるべきよ。ここは裏をかいて表を抜く!」

 

 

 

そう言うと走って進み出したので、私達は黙って走って付いていく。

 

階段を降りて、扉を開けて道なりに進んでいると広間に出た。

 

 

 

「港はこの先ね。」

 

ベルベットが走りながらそう言うと

 

 

 

「そこまでだ!」

 

二人の聖隷の真ん中に、明らかに上の対魔士と思える金髪目が緑色で身なりが整っており

 

少し幼さそうな顔つきの少年?がいた。

 

その少年?の顔を見たシアリーズさんは、驚きながら、

 

「オスカー……一等対魔士が、この島に派遣されていたなんて」

「驚いた、シアリーズ。君が賊に協力していたとはまさかアルトリウス様の命なのか?」

 

そう少年?ことオスカーはシアリーズさんに向けて言った。

シアリーズさんは真っ直ぐに

「……いいえ、私の意思です。」

そう言うとオスカーはあり得ないという顔をしながら

「聖隷が意思とはねどうやら君を操っている者がいるようだ。そこの業魔かそれともそこの少女かまあどっちも倒させて貰う!」

そう言い終わるとベルベットが構え始めた。

それを見たシアリーズさんはベルベットを向きながら戦闘は一等対魔士は格がちがうので止すように言ったのだが真っ直ぐにオスカーを見ながら

「もう小細工はきかない第一、こいつに勝てないのなら、先に進んでも意味がないわ。」

と言った。

それを聞いたオスカーはベルベットを同じように真っ直ぐに見ながら腰に構えた剣に手を当てながら私達を見ながら困ったように

「業魔とはいえ女性。そして隣にいる甘栗色の髪の女性貴女は恐らく人間だろうが業魔に加担しているのならば仕方がない……礼は尽くさせてもらうよ」

そう言うと腰にある剣を抜き構えながら名乗った。

「我が名は、ミッドガンド聖導王国聖寮一等対魔士オスカードラゴニア…そちらは?」

そう聞かれた私の方は、

(……えーとどう答えようか?)

そう悩んで助けを求めるようにベルベットの方を見ると

「………」

(ただひたすらに黙ってる~ああもう)

助けは期待できないと分かった私はオスカーに向き合いながらガンブレードを出して構えながら

「私の名は志……!?じゃなくてラナまあ宜しく」そう名乗り終わるとオスカーは名前を直した私を不思議そうに見ながら

「?まあ良いラナ……それと無礼な業魔と覚えておこう」そう言うと剣を私達に向け戦闘が始まった。

戦闘が始まるとベルベットが、

「まとめて戦って隙を見せて襲われるのはまずいわまず一体一で撃破していくのが賢明よ!」

 

というベルベットの指示があり一体一で戦い始めた。

私はオスカーと距離をとり、隙を見つけてそこをガンブレードでつく形で斬り合っていると、

 

ガキン

 

「あ…!?しまった!?」

オスカーの剣に弾かれる形でガンブレードが弾かれ体制を崩してしまった。

「隙あり!タイガーファング!」

オスカーが飛びながら体制を崩した私に斬りかかれ(もう駄目だ!私はまた死ぬんだろうな…)

そう死を悟り目を閉じている

(あれ……!?)

何時までたっても痛みをこないそう思い恐る恐る目を開けるとそこにはオスカーの攻撃を受け止めているベルベットが見えた。

 

「何してるの?隙を見せないようにと言ったでしょ!?」

「ごめんベルベット…ありがとう」

そう言うと何時の間にかオスカーが二人の聖隷の元にいて呟くようにこちらを見ながら

「……流石に手強いな。聖隷の1、2体は潰す覚悟が要るか」

と言うと右の聖隷の方を見るとオスカーの右に居た聖隷が杖で魔法を唱えこちらに攻撃を仕掛けてきた。

「「ッッッ!?」」

私達は間一髪横に回転して回避した、だが、

左側に居た聖隷が避けるのを見越していたかのようにベルベットの手を掴んで抑えて付けてた。

 

「!!」

再び右側に居た聖隷が今度は仲間の聖隷ごと攻撃を仕掛けるがベルベットは聖隷の押さえつけを振りほどき頭を踏んで上に上がった。

「ギャーッ!!」

魔法をモロに喰らった聖隷は消えてしまった。

それを見たシアリーズさんが聖隷の意思を無視した非常な扱いをしたオスカーに向かって声を荒げ

た。

「なんということを!」

「非常の戦いは非常をもって制すべし」

と誰かの教え?を口にしながらベルベットの方へ、走り、斬りかかる。

 

ベルベットはまるでその言葉を何度も聞いた事があるような感じで、

「それがあんた達の理よね」

そう言うとオスカーと斬り合い始める。

すると魔法を唱えていた聖隷が頭を抱え苦しみ始めた。

「いけない!」

その状態を知っているシアリーズさんが慌てて止めようとするが聖隷に黒い闇が包まれて姿が人からドラゴンに変わっていた。

 

その姿を見たベルベットは驚いきながら

「聖隷が業魔病に!?」

またその姿を見たオスカーはなんとか制御しようもするも

「くっ!制御が出来ない!」

そう言ってるとドラゴンの業魔はオスカー達を見ると風を起こして聖隷ごと壁に叩きつけてしまった。

 

「グァァァ!!」

 

「大丈夫ですか!?」

私はそう言いながら駆け寄りオスカーの胸に耳を当てて心臓の音を確認した。

(心臓は動いている大丈夫だ!)「!?ベルベット!」

安心したもつかの間ベルベットに今にもドラゴンが襲いかかろうとしていた。

ベルベットは構えて応戦しようとするが……

 

「ベルベット!!!あああーっ!!」

割って入ったシアリーズさんが爪で斬られてしまった。

「ギャーッッッ!」

が倒れながら火の魔法をドラゴンに放ちドラゴンは倒れた。

それを見たベルベットの顔は驚いていたがすぐに倒れたシアリーズさんを支えた。

 

「シアリーズ!!」

と声をかけるもシアリーズさんは変わらないまたは少しかすれた声でベルベットに自分を喰べるように言った。

「何を言って……?」

「私の体には命をささげることを枷にした契約がかかっています私を喰らって力を手に入れてください。;前に進むための力;を」

「どうして……?」

ベルベットがそう聞くとシアリーズさんは少し口から血を流しながら答えた。

「私にの心にもあるのです。貴女と同じ、消したくても消えない炎が」

そう言うと茶色い櫛を出して持ちながらあるような感じで、

 

「だから許せない……凍てついた世界も……人も……」

そう言うと少しベルベットにもつれかかりながら

「結構、面倒な女なのですよ」

そう言うと時間がないのか急かすように

「早く……!私の命が尽きないうちに……!」

ベルベットは覚悟を決めて異形の手を出して、シアリーズさんの顔を手で掴みながら

「礼も謝罪も言わないから」

と言うとシアリーズさんは覚悟を決めた真剣な眼差しで

「必要ありません。私の望みも――」

そこまで言うと付けていた仮面が割れ何処かベルベットと似た目が見えた。

「同じ……ですから」

「!!?」

何かに気付いたベルベットの手を掴み最後に

「大好きだった。貴女たちとアーサーと過ごしたあの日々が」

涙が一粒ベルベットを写しながらこぼれた。

 

 

「うぁぁああ~~~っっ!!!」

 

 

《ゴキャ》

 

 

と潰れる音がしたのを最後に力をなくした手がゆっくりとベルベット手を離れた。

 

瞬間それは火となりベルベットの異形の手と私の腕輪に吸収された。

 

そして私の手にはシアリーズさんが持っていた櫛のような札があり目を閉じるとシアリーズさんの力を感じられた。

 

《頼みましたよラナ……短い間でしたがありがとう》

 

 

シアリーズさんの声が確かに聞こえたような気がした。

 

 

そして後ろ見るとドラゴンが羽ばたいていた。

 

「……どけ。さもないとお前も喰らうっ!!」

 

そう言うとベルベットはドラゴンに向かい走り出した。

「私も一緒に戦う!!」

そう言いながら私も後に続くように戦闘に加わった。

「そこだ!喰いつくす!」

と言いベルベットは異形の手でドラゴンの皮膚を食べさせてドラゴンの力を吸収した。

「紅火刃!!」

そして吸収した力を手の刀で打ち返した。

それを何時の間にか起きて見ていたオスカーは驚きながら、

「喰らった力を打ち返した!」こんな業魔がいるのか」

 

 

と驚愕していたのを尻目に私もシアリーズさんから貰い受けた力で戦っていた。

(えーっと確かこうやって手に火を出すイメージで)「くらえ竜神楽!!」「!?」

と櫛のような札にイメージを加えて力を溜めて、ドラゴンに向けて放出した。それを見たベルベットは驚きこちらを一瞬見たがすぐに戦闘に戻った。「トドメ!ファランクス・レイド!!」

そして怒涛の攻撃の後弱った隙を見逃さずに必殺の一撃を食らわせた。

 

「グガォォ!!」

流石にそれを食らったドラゴンは《ドガン》という音と共に倒れた。

 

ヒューン

 

「ガハァ……ウゥ!!」

と同時にオスカーの聖隷が風をベルベットに放ち吹き飛ばした。

 

「悪く思うなお前のような強力な業魔を世に放つわけにはいかない!」

 

「……ベルベットよ、あたしの名前。アルトリウスに告げなさい」

と言うと倒したドラゴンを異形の手で喰らいながらその光景に驚くオスカーを見ながら

「あたしはベルベット・クラウ。業魔も、聖隷

も、対魔士も喰らい尽くす―」

そう宣言したそして自らを喰魔と言いオスカーに火炎を浴びせた。

「うぁぁああ!!」

(少しだけでも回復を!)「オスカーさん!」

食らったオスカーはたまらず顔を抑えて苦しんでいるのを私は見ていられなくなり櫛のような札で、シアリーズさんのように顔に触れて回復をしてあげた。

そして聖隷が駆け寄ると魔法で消えていった。

 

 




後編は明日か明後日にはあげたいと思うので宜しくお願いします。



6/25ご指摘により同じ文章が続いていた部分を削除いたしました。
ご指摘ありがとうございます。


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監獄塔からの脱出後編

お待たせいたしました。後編です。ここからベルベットの復讐の旅……それに介入するラナの物語が始まります。
これから先の展開もある程度考えていますのでどうか良かったら最後まで見ていただけるとありがたいです。


「ねぇあんた何で、あの対魔士の傷を回復したの?」

 

さっきのオスカーを回復したのを見ていたベルベットに何故かと聞かれた。

 

「へ?えーとそのー」(せっかく綺麗な顔をしているのに火傷の跡が残ったら可哀想だからとか言ったらなんか言われそうだし正直に言わない方が……いやいやそれはそれで……)

 

返答に困り、考えていると横の扉が開き、見慣れた二人が見えた。

 

「ほほ~う!よさ気なトコ出れたわ。いやはや、塔から飛び降りた時は死ぬかと思ったわい。」

「お前は突然きて、俺に負ぶさっていただけだろう。」

そう言い終わった後に二人組こと、マギルゥとロクロウがこちらに気づいてこちらに向かって歩き始めた。

 

「おう、お前達は!無事だったのか!」

 

(良かった!返答に困っていたのを二人のお陰で誤魔化せそう!)「ロクロウとマギルゥも無事だったんだn「ちょっと話はまだ終わってないんだけど」え?」

 

勢いで誤魔化そうと思ったのだがベルベットに首根っこを掴まれ、誤魔化せなかった。

 

「どうしても理由を言わなきゃ駄目ですか?」

そう聞くとベルベットは面倒くさくなったのか

私に目を合わせて

「もう良いわ…理由はもう聞かないただ次に同じ事をしたら……どうなるかは分かってるでしょうね。」

「分かりました。」

そう返答した。瞬間にマギルゥが割って入ってきた。

「堅苦しい話はもう止めて、今は急いで逃げんと、暴れ回っておった囚人どもは、ほとんど制圧されたようじゃしの。」

「港はこの先よ。手伝って」

そうベルベットは言うと一人港の方に向かい歩き出した。ので私達もそれに続くように歩きだした。

 

 

外に出ると4人で乗るのにはあまりにも大きい船があった。

外の雨を見てマギルゥが両膝を女の子座りにして座りながら若干演技の入ったように

「天気もご機嫌ナナメじゃよ~」

それを無視してロクロウが空を見上げながら外洋は荒れる事を言うとベルベットがロクロウの方を見て船に詳しいのか聞くとロクロウは頭を掻きながら

「いや。帆と舵の基本を知ってるくらいだが。」

それを聞いたベルベットはロクロウに船の操縦を頼んだ。

 

「素人だけで船をだす気か?」

 

それを聞いていたマギルゥがベルベットに難しいと言ったのだがロクロウが何やら背中に刺している大剣;號嵐;の礼だと船を出してくれることにしたのだが、

マギルゥがこんな天気では方角が分からなくなる

と聞くとベルベットが口を開いて船にはどうやら羅針盤というものがありそれで分かると言い船に乗り込んだ。

ロクロウもそれに続くように船に乗り込もうとベルベットについていく。私もついていこうとすると何時の間にか座っていたマギルゥが立ち上がりながら呟くように言ったのが聞こえた。

「牢のコヤシか、魚のエサか……ま、どーでもいいがの」

「……?マギルゥ?その言葉なんか意味があるの?」

そう聞くと私の目を首を左右に振りながら、

「うんにゃ何でもありゃせんわい!気にするな。」

(?)「うん……分かったよ。」

 

軽くマギルゥは言って二人で船に乗り込み港を出た。

 

 

 

 




次の話は個人的に好きなキャラの彼も出てくるので恐らくは早めに投稿出来ると思いますので宜しくお願いします。
またロクロウが號嵐を持っているタイミングが違うのは主人公が来てしまったせいでベルセリア本編とは違うタイミングでベルベットが號嵐をロクロウに渡しているからと捉えて貰いたいです。


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不思議な少年

今日は早めに仕事が終わったから続きを早めに書けました。



あの後私達は、船を闇雲に出していたが嵐の影響で船は壊れ、どこだか分からない所に付き、降りた時体力が尽き、皆雪の上に倒れていた。

 

(うーんここは……?雪が降っているし凄く寒い何か羽織る物がもう一枚欲しいな。)

 

私は誰よりも先に起きて、一人、この後にどうするか考えた。

 

(えーと人を呼ぶにしても多分監獄塔で暴れたから手配されてるから目立つ行動は出来ないし……

うーん……!?)

 

そう考えてるとこちらに向かって、金髪でアホ毛

が立った目が虚ろな小さい男の子が近づいてきて私に向かって心配するような声で

「大丈夫?」

「う、うん大丈夫だよ。」

そう答えると「良かった。」と言うと、ベルベットとの方を向きしゃがみ込んで、ベルベットの背中を触る。

するとシアリーズさんが回復するときと同じ光が出てきて、傷が回復しているようだった。

そして、光が収まると同時にベルベットが目を覚ました。

「ベルベット……大丈夫?」

そんな私の声に反応するよりも目の前の少年を見て驚くように声をあげた。

「ライ…フ……!?聖隷!?」

ベルベットの発した声に驚いて、近くに落ちていた羅針盤を持って逃げようとした所を偶然鳥の業魔と狼のような業魔に見つかってしまった。

「あっ!」

「下がって!」

ベルベットは少年を守るように前に出ると業魔の相手をし始めた。

「ベルベット!鳥の業魔は私に任せて、ベルベットは狼の方を!」

そう言うとベルベットは、何も言わずに、狼の業魔を蹴りなどで鳥の業魔と少年と距離を取らせて戦い始めた。

「さてと、私もやりますかね!」

軽く自分に気合いを入れるように言いながら私もガンブレードをパンドラから出して戦い始めたが、やはりガンブレードでは素早く動く鳥の業魔は捉えられない。

(ならシアリーズさんから貰った力で…!?)

そう思い、櫛のような札をパンドラから櫛のような札を出そうとした時頭に使い方のイメージと声がした。

 

 

――我が名はエウメニデス我が力存分に使え――

 

(今のは一体……?いや今は考えている暇はない!)

私は思考を途中で投げ出して目の前の鳥の業魔にエウメニデスを出して戦いに戻った。

 

私は竜神楽を連続で打ち、鳥の業魔の動きを制限して、体制を崩して、隙をつき、ガンブレードで斬る作戦にした。

 

「竜神楽!!」

 

ジュワッッ!!

 

「ッッッ!?ガァァ!!!」

 

(今だっ!)「喰らえ!!!うりゃぁぁッ!!」

 

 

 

ザシュ!!

 

「グゴギャァァァ!!」

 

 

断末魔をあげて鳥の業魔は消滅した。

 

 

(やっと倒した。……そうだベルベットの方は?)「ベルベット!!」

叫んでベルベットの方を見るとベルベットは華麗な足技で狼の業魔を追い詰めていた。

 

そして狼の業魔を異形の手で喰らってその力を剣に宿して必殺の一撃を叩き込んだ。

 

「逃しはしない!!インフェルノ・ブルーッ!」

 

ベルベットは飛び上がりながら地面の狼の業魔に向けて剣を振る。

すると剣を振った方向に蒼い炎が出て来て狼の業魔を燃え包み込み、耐えきれなくなった狼の業魔は断末魔をあげて燃え尽きた。

 

「グォォォォ!!」

 

 

それから少し時間がたち、炎が消えたのを確認したベルベットは異形の手で狼の業魔を喰らった。

それを何時の間にか起きて見ていたロクロウとベルベットが喰らった所を間近で見ていたマギルゥは、普段のような声で口を開いた。

「むは~、業魔を喰らうとは!なんともエグイやつじゃの~。」

 

同じく黙って見ていたロクロウが申し訳なさそうに口を開いた。

 

「すまん。

武器があれば力になれたんだが」

 

「その背中の武器では戦わないの…?」

 

その言葉を聞いたベルベットは背中に背負ってる號嵐で

戦わないのかと聞いた。すると、ロクロウは真剣な顔付きで、

「いや、號嵐は使えん。話すと長くなるんだが――」

そこまで言うとベルベットは後ろを見てさっきの子はどこに行ったのか聞くと、マギルゥが頭を組みながらこまいのが、ピューと逃げていったらしいそこまで聞くとベルベットが私達に向かって口を開いた。

 

「……逃げていいわよ。あんた達も……」

「まだ恩を返してない。受けた恩は必ず返すのが俺の信条だ。」

そうロクロウは言った。マギルゥの方は困ったように口を開いた。

「まず逃げるにしても、ここが何処か確かめんと。儂らは哀れな遭難者じゃろ?」

「…………」

何やらベルベットはさっきの子が気になるようだ。

「どうしましょうか?当てもなくこの寒い中を歩くのは危険ですよ。」

そう言うとロクロウは落ちていた紙を拾い上げ確認してこちらに見せてくる。

それは地図で恐らくさっきの子が落としていった物だとベルベットは言い、地図を見て、この場所についてロクロウと話始めた。

 

「どうやらここはノースガンド領らしいな。」

「ノースガンド領……つまり船を修理しないとミッドガンド領にある王都にはいけないって事か。」

「ローグレスにどんな用があるんだ?」

「………」

ロクロウは少しにやけて腕で顎を触りながら脱獄してでも行きたい用なんだよなと聞くとマギルゥがクシャミをした。

「へぷしょいっ!」

「マギルゥ…私に唾飛んだんだけど……」

「それはスマンスマンそれよりも何処かに温かいスープと心が温まる小話はないかのう?」

「近くにヘラヴィーサという街があるはずだ。小話は知らんが、メシも船大工もそこで探せるだろ。」

地図を見ていたロクロウが町が近くにあることを言うと、私達は雪原から歩いてヘラヴィーサに向かうことにした。

 

その道中、マギルゥがベルベットに気になる事を話始めた。

「ベルベットは、さっきの坊と知り合いなのかえ?何やら呼びかけえおったろ?」

「別に。

聖隷に知り合いなんていないわ、もう」

「もう……のう」

「何?」

「なにもマギもないが、あの坊は変わっておったのー」

それを聞いていたロクロウも会話に参加してきた。

「確かにな。

命令にないのに回復術で業魔を助けやがった。」

「オマケに羅針盤を盗んでいきおった。

対魔士に従う聖隷のくせに、我欲のある奴じゃわー」

「こっちもあいつの地図を奪ったまったからな

。」

「いやはや悪党ばかりじゃなー、儂以外は。」

そうマギルゥが言った言葉に、少し頭にきた私はマギルゥに対してムッとしたまま話しかけた。

「同じにしないで下さい!私は何もやっていないでしょ!」

そう言うとマギルゥもロクロウも不思議そうにこっちを見て正論を言ってきた。

「いやあのな監獄塔から脱獄した時にお前もいたから共犯者だぞ。」

「そうそうそもそも業魔達と一緒にいてなおかつ対魔士も倒してしまっては……もはや言い逃れは出来ないぞぅ。」

(次会った時にはあの時は正当防衛だからやりました!と言うか……いや多分それでも……)

 

「話は終わりよ!……見えたわよ。」

 

そんな会話をしながら進んでいるとベルベットが会話を中断させられて静かになった。

会話を中断させた。ベルベットが指を指す方向には何時の間にかにもう町が見えてきた。




次の話ではヘラヴィーサでの話ですがラナが少し酷い目に遭うかもしれません。

ではまた次回をお楽しみに~それではマギンプイ


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聖寮対魔士テレサ

今回の軽いあらすじ町に着いたラナ達だったのだが……船が出せない!?
果たしてその理由とは…?


そして展開上ラナが酷い目にあうのは2話後位になってしまいました。次回予告を見てくださった方を裏切る形になり申し訳ありません


町に着いた私達は、軽い食事を取り、取り敢えず別々に情報収集をするために離れて行動することにした。

 

(そうは言ったものの何も考えなしに歩くのは……?)

 

そんなことを考えて一人歩いていると武具屋の前にロクロウがいた。

 

「何してるの?」

「うん?、応!ラナか、たまたま良さそうな武具屋を見つけてな見ていた所だ、どうだ一緒に見るか?」

「い、いや良いかな所で他の二人は?」

「二人は船大工を探しに行ったぞ。」

「ありがとう!」

 

ロクロウに感謝し私は、道なりを進んで船大工を探しているらしいベルベット達と合流することにした。

 

そして少し前に進んでいると船乗り達と喋っている、ベルベット達を見つけた。

ベルベット達と一緒に船乗りの話を聞いていると後ろから声をかけられた。

 

「商船組合は業務を停止しているのです。」

 

後ろを振り返るとさっきの男の子にもう一人の男の子それから耳に青いイヤリングを付けた対魔士の服を着た女性が立っていた。

「なんなの?あんたは?」

そうベルベットが聞くと女性が口を開いて名を言った。

「聖寮対魔士テレサ…以後お見知りおきを。」

「テレサ様……」

「二号。口をきいていいと許可しましたか?」

「………」

さっきの男の子がテレサに話しかけようとするのを許可をしていないという理由で止めた。

それを光景を見て私はなんとも言えない気持ちになった。

(聖隷と対魔士ていうのは奴隷と主人に近いんだな……)

聖隷と対魔士の関係について考えていると船乗り達が自分達の罰は何時まで続くのか、そしてダイルという人(?)がやったことだから許して欲しいと懇願したのだがテレサはそのダイルという者が炎石の密輸を行っているのを放置した組合にも連帯責任を負ってもらっているという事だった。

そしてそのダイルをテレサ達対魔士が捉えて処罰し、その後事件が解決すれば営業は再開出来るそうだ。

 

テレサはそこまで話すと薄着のベルベットを見て寒くはないのか聞いた。それを聞いたベルベットは下を向き何時もとは違う弱々しい声で南方から着いたばかりでノースガンド領が寒いとは知らなかったとわざとらしく最期にくしゃみをしながら言った。

(多分怪しまれてるから誤魔化すための演技だ。)

私はなんとなくそう思っていると女性が体を冷やしてはいけないと言いその場を去った。

それを座って見ていたマギルゥは、笑いながら立ち聖寮のやり方を見てギャグを入れながら状況を理解した感じだった。

 

そして事情は分かった私達は武具屋にいたロクロウを連れ戻して、ダイルという奴を捕まえるべく、船乗り達から教えてもらった郊外にあるダイルの故郷の小さな村に向かうことにした。

 




投稿が遅れてしまい申し訳ございませんでした。
次回は早めに投稿したいと思うのでよろしくお願いします。


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変わった対魔士エレノアとの出会い

最近暑くなってきて本格的に夏が来たと感じてきて嫌になってきました。


私達がダイルを探して町を出て少し時間が経った時に、ロクロウが周りの雪を見ながらベルベットと何処までも氷と雪ばかりなのと、ヘソを出してて冷えないのかと聞いていたのを聞いて私は気になっていた事をベルベットに聞いた。

 

「ねぇベルベットてさ、さっきもあの対魔士テレサと喋ってた時にさ寒がってた演技してたけどさ本当に寒くないの?」

「別に…寒くなんてないわ……それと、ロクロウアンタ…何処見ている訳?」

気になっていた事を聞くと、何時ものように愛想がない感じで、答えてくれた。

何処を見てると聞かれたロクロウはというとこちらも何時もの様子で、そんなつもりはなかったと言った。そして無視できない事をベルベットと話し始めた。

 

「そうか。お前は、まだ恥じらいとか、そういう感情がまだ残ってるんだな。」

「それってどういうことなの?ロクロウ?」

「業魔っていうのは俺が思ってる感じだと人間らしい部分が時間が経つたびになくなっていくんだ。俺は現に人間らしい感覚が大分なくなってる。まあ根っこの部分は変わらないけどな後心水が旨いのも、ありがたいしな。どうだ?ラナも飲むか?」

「まあ、機会があったらね。(そういえば未成年だったけど…この世界では多分年齢制限とかないだろうし…まあ大丈夫でしょ。)

「応!約束だ。」

私がそう聞くとロクロウは何時もの調子で私に言った。それと心水を飲む約束もしてしまった。

その話を聞いてベルベットは口に手を当てて考えていた。

だが少しだけ考えていただけですぐに返事をして、ダイルの故郷の方へ足を向けて、歩き始めた。

 

それから少し経った所に門があり、そこには、旅商人達が並んでおり、対魔士達が門の警備をしていた。

それを見たロクロウは、通行証が必要な事を言い下手に通ろうとすると捕まるなり、戦うなりして後々面倒くさい事になるから通らないようにしようと言って、ベルベットも接触は避けたいから目立たないようにすると言うとゆっくりと警備を通り抜けた。

 

更に進んだ先に、綺麗な花が咲いていた。

 

「お、こんな所に花が咲いてる。健気だなぁ。」

「そうだね綺麗だね……ベルベット?」

ベルベットを見たら歯を食いしばりながらまるで親の仇のようにその花を見ていた。

「どうしたのベルベットd「…プリンセシア…」知ってるの?」

花について聞くとベルベットは自分の姉さんの大好きだった花だと言いこの花の出来事を思い出しているのか目を閉じて数分間そのままでいた。

そして目を開け、また歯を食いしばり、聞こえにくい小さい声で一言、言った。

 

「よくもあんな嘘を…」

(ベルベット……)

それの呟きを聞いて私がどう返答すれば良いのか悩んでると、ロクロウが花言葉はあるのかベルベットに聞いた。

ベルベットはその花見ないまま吐き捨てるかのように裏切りだと伝えて花を背に歩いて去っていた。

ベルベットを慌てて追いかける追い付くとマギルゥが寒いし面倒くさくなったから町に戻ると自分勝手に言うとすたこらさっさと、町に戻っていった。それをベルベットに言うと好きにさせとけと言うので特に気にしないことした。

(まあマギルゥなら大丈夫でしょ。)

今の私はこう考えていたがここで引き留めなかったことにより後に更に面倒くさことになるのをまだ知らなかった。

 

そうこうして門にたどり着き開けるとピンク色のツインテールの対魔士の服を着て槍を持った女性が業魔を狩っていた。

狩っている女性を見たロクロウがダイルがやられたのではないかと心配するがトカゲの業魔ではないことをベルベットがダイルであることを否定した。

 

こちらの気配に気づいた対魔士が振り向くと目に微かに涙の後があった。

目の涙の後が気になったのかベルベットが聞くと、現実を噛みしめていただけと言い聖寮が警備を放棄しているせいで業魔の被害が絶えない事そして全域を守る戦力がないこと、そして辺境に住むのが聖寮の規則に沿わない人々なのが事実と言い今の状況を非常と認めてこれが最善の理だと話した。

話の内容を聞いていたベルベットはあたしに言い訳されても困ると言い、適当に促してなんとかこの場を去ろうとした時に対魔士が反論してきた。

 

「言い訳では――!聖寮巡査官、一等対魔士エレノア・ヒュームです。御用件は?」

「ヘラヴィーザで人を殺して逃げた業魔の話を聞いたんだけど」

対魔士…エレノアさんに聞かれたベルベットは情報を聞き出すチャンスと思ったのかエレノアさんにダイルの話を聞き出そうとダイルの事を名前を伏せてエレノアさんに聞いた。

ダイルの話を聞いたエレノアさんは聞き込みはしたけど手がかりが掴めてないが業魔は必ず討ち取ると決意の揺らがないと言わんばかりの正義感溢れる真っ直ぐな目でこちらを見て言った。その言葉を聴いた私は、

(この人対魔士なのに変わってるな。)

何故だかそう思ってしまった。

そんなことを思ってると何時の間にかに、エレノアさんは去っていた。

それを木の陰から見ていた子供がおびえた様子でこちらを見ていたので何もしないと言うと近づいてきて業魔に食べられなくて良かったと言ったのを聞いて私達はダイルの居場所が分かるかもしれないと思い私はしゃがみ込み目線を合わせて子供に聞いた。

 

「ねぇ誰にも言わないからお姉さん達にその業魔の事を教えてくれないかな?」

 

そう聞くと少し考えて私の腕を引っ張り少しベルベット達から離れて、耳打ちして教えてくれた。

「うん、良いよ一緒にあの怖いお兄さんとお姉さんよりに何されるか分からないから教えたくないんだけどお姉さんは優しそうだから教えてあげる。」

(ベルベットとロクロウが怖いか確かに知らないと怖いかもな~)

そんなことを思っていると子供は村にはいなく、ここから北の洞窟にいることを教えてもらった。それをベルベット達に怖がってること以外を教えて洞窟に向かうことにした。




また遅れて申し訳ございません。理由としては私情がありごだごだして書けませんでしたが落ち着いたので次の更新は2日3日を予定しております。
では次の更新でマギンプィ♪


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北の洞窟に向かう為の最終準備

前に言っていたラナが酷い目にあうのはもう少し先になりそうです


 

「あっ!そうだベルベット!ロクロウ!これさっきの子供から貰ったんだけど私は食べないからあげる。」

さっきの子供と別れて少し進んだ時、私はさっきの子供から話の後に林檎を2個貰っていたことを思い出し、林檎をベルベットとロクロウに投げ渡した。

二人は、それを受け取ると対魔士は余り信頼されていないのは意外だと話をしながら林檎を齧る。

ロクロウは旨そうにしていたが、ベルベットは、口に含んだまま顔を強張らせたまま何回も咀嚼していた。

「大丈夫!?ベルベット!もしかして林檎嫌いだった…」

2分位たってもずっと咀嚼し飲み込まないベルベットを心配して声をかけると何でもない、気にするなと言われたので気にしないことにして北の洞窟に引き続き向かうことにした。

 

更に時間が少し経ち、目の前の門を開けると村に着いた。

地図で見てみるとこの村はピアズレイという村だということが分かった。

私が地図で確認し終わり、地図を閉じてしまっていると、ベルベット達が聖寮の巡査官の話をしていた。

何でもロクロウが言うには、王国の各地を回り、業魔対策の状況確認と、対魔士の行動を改めたりする精鋭の事をそう呼ぶらしい。

(まあ民衆にあれこれ我慢させてる以上は、裏はないとアピールしたいのかもしれないかもね。)

そう私が思っていると、ベルベットはそんなのを置いてる時点で白ではないと言ってるものだと言うと、ロクロウは逆にそっちの方が誠実っていう考えもあることと、理想だけでは世界は変えられないから巡査官は泣いたんじゃないかと言っていた。

「ま、女の涙ってのは、簡単に信じるもんじゃないがな。」

(確かにそうかもしれないね私も女だけども。)

とロクロウが最期に言った言葉に対して私も心の中で共感してるとベルベットの方はキョトンとした感じでいた。

「ま、ただの一般論さ。」

そう言うとロクロウは準備があるからと言うと村のどこかへ行ってしまった。

「うん。分かったよ。」(でも私はいつかベルベットと………そんな事を考えるのは後にしよう。)

私は考えていた事をひとまず胸の奥にしまい、町で完全には出来なかった準備をする為に足を進めた。

(まずは私の考えているダイル討伐の為の作戦に必要な油と松明と火打ち石、ナイフを道具屋なりで買おうかな~「うん?」

そう作戦を考えて道具屋を見つけると道具屋の店長と客がさっき会ったエレノアさんの噂話をしていた。

耳を澄ませて聞いてみると対魔士の中でも変わり者らしく何でも聖寮に反感を持っている人に対しても大真面目に聞き込みをしていたらしい。

(やっぱり話をした感じ真面目そうだったもんな。)

エレノアさんの事を考えていたらその話は終わっていた。

 

そして油と松明と火打ち石、それからナイフを道具屋で買い、ベルベット達と合流して、門を開けて北の洞窟に向かおうとすると、老人に声をかけられた。

「……待て。孫が世話になったようだな。」

「脅してたんじゃないわよ。」

「分かってる。お前達は、旅を続けるんだろ?これを持ってけ。ささやかな礼だ。」

脅したように思ったから声をかれられたと思っていると違うようでお礼を言いに来たようで孫を助けた礼で携帯用の調理器具やら皿やら食材やらを貰った。

「本当に貰って良いんですか?」

一応確認の為に聞くと老人はどうせ使わなくなったものと多く買ってしまった皿や食材だから気にするなと言われたのでお言葉に甘えて貰うことにした。

 

そうして誰が作るかと話になり、本当に誰も作らないようなら私が作ろうと発言しようとするとベルベットが作ると言ってくれたので任せることにした。

 

「……料理出来たわよ。一応味は大丈夫だと思うわ…。」

少し経ち、ベルベットが料理が出来たことを知らせに来てくれた。

皿を覗いて見ると見たことない色の美味しそうなソーセージとブロッコリーとカリフラワーが盛り付けており食欲がそそられ自然と箸が進みあっという間になくなっていた。

「よし、腹ごしらえは出来たな!」

「そうだね。(少し足らなかったけど)」

食べ終わっていたロクロウが準備が万全なことを言い私も万全なことを言いベルベットの方を見るとベルベットは浮かない顔をしていた。

「………」

「どうしたのベルベット?料理普通に美味しかったよ。」

「違うわよそうじゃなくて……」

「?」

料理の味がおかしいから浮かない顔をしてるのかと思い美味しかったことを伝えるとどうやら違うらしい。

「一つ聞いて良いか?」

その会話を終わって少ししてロクロウがずっと気になっていた事をベルベットに聞いた。

「好きにしなさい。アイツについては答えないけど。」

「さっきの話だがな…もしかしてお前味を感じないのか?」

「ちゃんと分かるわよ…血の味だけはね。」

(!?やっぱりそうなんじゃないかと少し思っていたんだけどやっぱりなのか…)

私は林檎をベルベットが食べたときになんとなくだけど味を感じないのではないのかと思ってたんだけど今のロクロウの言葉に対するベルベットの返答で本当に味がしないのが分かった。

それからベルベットは業魔なってから普通の食べ物を食べたのは初めてだと言うと、気になったロクロウが何を食べていたんだと聞くとロクロウを睨みながら監獄にいたから分かるでしょと強く言うとロクロウはすまなかったと言うと気にしなくて良いそういう業魔なんだと良い料理はレシピがあればつくれるし味はどうだって良いただ今の力を維持できればそれで良いと言った。

 

ベルベットとロクロウの話が終わり、門を開きやっと村を出て、落ちている使えそうなものや金になりそうなものを拾い、洞窟へ向かう道中、襲ってきた業魔を狩り、食べれそうな所を剥ぎ取る。

 

そうしてやっと洞窟についた私達はダイルを討伐しに洞窟へと入った。

 

 

 




少し予定と遅れましたが早めに投稿できました。
次回は少し長めに買いて投稿する予定なので少し時間が空くかもしれません。


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ダイル討伐失敗!?そしてダイルとの交渉

書きたい事がありすぎて悩んで遅れてしまった


 

「で、ダイルはどこに居るんだろうね。」

「うーむ分からんぞ、そもそも業魔はそんな犬みたいにお互いの場所が分かったら苦労はせん。」

「そうだよね。」

洞窟に入ったのは、良いのだが肝心の場所が分からないので本当になんとなくだが同じ業魔のロクロウなら分かるかもしれないと思い聞いてみたのだがやはり分からないらしい。

「何無駄話をしてるの?そんな暇があったらダイルを探す事に集中しなさい!」

「うん分かったよ。」

(そうだった対魔士もダイルを探してるもし先に討伐されたらこっちの目的が果たせなくなっちゃう忘れるところだった。)

「ありがとうねベルベット。」

「な、何で礼を言うのよ?私は別に何もしてないんだけど…」

(あっ、しまったつい思った事を口に出してしまった。「いや何でもないよベルベット。」

「……?まあそんな事はもう良いわ取り敢えずダイルを探して捕まえに行くわよ。」

「うん!」

そうして少し進むと甲殻類?に似た業魔が現れ鋏のような腕で切り掛かってきた。

(!?これは避けられない!?)

不意を突かれた私は避けられない事を悟りガンブレードを出そうとするも間に合わず、

(直撃するッッ!!)

 

ガギィン

私の目の前で鈍い音がして反射的に目を閉じてしまった私が目を開けるとそこにはロクロウが二つの小太刀で受け止めていた。

「ラナ!大丈夫か?」

「大丈夫!ありがとねロクロウ。」

「応!気にするな…それに俺も早く戦いたくて仕方なかったんだ…ベルベットッ!コイツは俺が貰うけど良いよな!」

「好きにすれば……」

「応!なら好きにさせて貰う…ラナ!お前も手を出すなよ。」

「うん。」

私達が了承したのを聞くとロクロウは嬉しそうな笑みを浮かべて、業魔に斬りかかった。

「グギャォォ」

「好きにさせんッッ捉えられまいッッ!」

(戦ってるロクロウって初めて見たけどなんか生き生きとしてるな…)

本来のロクロウはこんな感じの業魔なんだと考えていると尻尾の部分を引き千切られ業魔が息絶えていた。

「なんか業魔を倒すのが早いねロクロウ。」

「…そうでもしないとアイツに勝てないからな。」

(アイツ?)「ねぇロクロウアイツてd「二人とも静かに!対魔士が来たッ!隠れるわよ!」

ロクロウが言っていた人?について聞こうと思ったのだがベルベットに複数の対魔士が来た事を聞くと直ぐに隠れて様子を伺った。

「この洞窟に業魔はいる!対魔士の誇りにかけて討伐せよ!」

「「了解」」

〔見たところ5人ぐらいだなで、どうするんだベルベット?〕

〔その為の囮よ…アンタ囮になって奴らを引き付けなさい!倒しても構わないわというより寧ろ倒して来なさい!〕

そうコッチを向きベルベットは私に囮になるように言った。

(なんかもう言っても行かされるんだろうな……)

そう思った私は諦めベルベット達に先で合流する事を言うと彼らの前に出た。

「ん!?なんだ貴様は、一般人か?この洞窟は危険だ早く離れなさい!」

「貴方達には悪いけど先には進ませない!」

「仕方がない実力行使する!」

ガンブレードをパンドラから出し、剣先を向けながら言うと私に向かって、5人が一斉に襲ってきた。

「当たらないよッと」

ドドドドッッ

「「ギャァ」」

向かってきた5人の内3人にガンブレードを3回引き3発を発射し対魔士に銃弾を撃ち当てた。

「馬鹿な特攻隊がこんなにもアッサリとやられるとは……貴様対魔士にこんな事をして許されると思っているのか!?」

「先に仕掛けてきたのは貴方達の方でしょ?私はただ正当防衛をしただけなんだけど…」

「黙れッッ!」

ガギィンッッ

「ッッ!?危ないなもう人が話してるのに斬りかかるなんて…まして女の子を斬るのはダメじゃないかな?」

「黙れ!黙れ!黙れッッ!」

ガギィン ガッキ ガギィンッッ

(もうダメだこの人達話聞いてくれない)

そうガンブレードで少し大柄の男の対魔士の剣を受け止めながら話し合いが通じないと悟ると油の臭いが臭ってきた。

(近くに油がある……これは使えるかもしれない。)

油を使った作戦を立てた私は、距離を置いて対魔士達を油がある方へ誘導した。

(もうちょっとで「ッッ!!今だ!くらえっっ竜神楽ッッ!」

「どこ向いて打っている……!?しまっtギャァ熱い熱い熱いィィィ」

「ハァハァ何とか勝てた。」

見事に油に竜神楽を当てて燃やす作戦が上手くいき対魔士は燃えていく。

(それにしても二人とも仲間がやられて逆上していなかったらもし冷静だったら私が負けていた。危険な賭けだったけれども成功して良かった。後は戦いの最中に見つけたこの油に付いている僅かな足跡を辿って、ベルベット達の元に向かおう。)

油に僅かな足跡が残っておりそれを頼りにしてベルベット達の元に向かった。

 

少し歩くと見覚えのある背中を見つけて声をかける。

「ハァハァベルベットッッ!」

「対魔士は倒してきたんでしょうね。」

「うん!倒したよ。」

「そう……行くわよ。」

ベルベット達と合流しまた3人で足を揃えてダイルの元へ向かった。

 

「ロクロウ、アンタの剣捌きはさすがね。」

「いや、まだまだだ。この程度じゃー」

先に進みながら話すベルベットに、剣捌きを褒められたロクロウは、自分の拳を見て自分の腕がまだまだだと謙遜しつつ言った。

(そんな事はないと思うんだけどな…)

それを聞いた私はそんな事を思った。

「アンタってどんな業魔なの?」

「夜叉だよ。戦いの鬼神だ。」

そう聞くとロクロウは何時もとは違った鋭い目で答えた。

「戦いの鬼神……どうりで」

「ベルベットこそ、なんなんだ?随分と変わった業魔みたいだが……」

「喰魔よ」

「喰魔?聞いたこともないがどういう業魔なんだ?」

「敵を喰って力に変える化け物。それ以外は知らない。」

「ふうむ……女で、敵を喰らうというとー

オニババの一種かな。」

「はぁ?」

そうベルベットをロクロウが茶化すとロクロウを本気で睨んだ。それを見たロクロウはそれっぽかったと言ったが私も、

(確かにそれっぽいかな。まあ本人には言えないけども…)

「それよりさベルベットはどこの流派なの?」

それを雰囲気を変えるようにベルベットに剣技について聞いてみた。

「確かに気になるな誰に教わったんだ?」

「我流よ」

「それにしては太刀筋も良いし、基本もきちんとしてる。それなのに蹴り技をいきなり使うのが面白い。」

「だから、我流って言ってるでしょ。」

(そうなのかな…?なんか嘘をついてる感じはするんだよなぁ…まあ今は聞かないでおくかな。)

「アンタこそなんなのその二刀流?;命の太刀;とやらを抜きもしないで」

「抜かないから良いのさ」

「……は?それも、ランゲツ流の教えってヤツ?」

「応、「借りたものは返す」ー全てはその為にある」

「わけわからない……」

(なんだかんだいって私から見たら普通にベルベットも女の子なんだな多分年も私と近いだろうし。)

そんなやり取りをしている二人を見てそんな事を思っていた。

 

少し進み、ロクロウがベルベットに先程の味がしないことに対する質問した。

「お前、前に味がしないと言ったが匂いはどうなんだ?」

「なんで?」

「味覚ってのは嗅覚とセットみたいなもんだ。鼻をつまんで食うと、味がわからなくなるだろ。」

(確かにロクロウの言うとうりだ。)

「……匂いは、人間だった頃よりも敏感かもね。アンタは違うの?」

「俺も五感は鋭敏になってる。しかし、匂いがするのに味がしない、か。ううむ……お前は、自分の事を喰魔と言ったが、随分と寂しい食生活だな。」

「そう言うアンタは、何食べてるのよ?」

「主に心水だな」

「飲み物じゃない。寂しいのはアンタもでしょ……まあここにいる中でまともな人間なのはこの子だけだわね。」

「確かにラナは人間だものなぁ…どうだ?いっそのことお前も業魔になるって言うのは?」

「い、いや遠慮しとくよ。」

 

そうこう話して進んでいくと、油の川があり、そこに見慣れた服装の人が沈んでいた。

 

「対魔士?」

「うっかり落ちたのか?」

そう二人が話していると足を音が聞こえた。

その方を振り向くとトカゲの業魔が唸り声をあげこちらを睨んでいた。

 

「ウガゥ!!」

「こいつに落とされたか!!」

そうベルベットが言うとトカゲの業魔ことダイルが襲ってきた。

 

「こいつが例の殺人犯だな!」

「ヘラヴィーザのクソ野郎共が!俺を狩りに来やがったのか!」

「そのようね!ッ紅火刃ッッ!」

「グォァッッ!!」

ダイルとの話が最後まで聞かずベルベットは、火を纏った刺突刃でダイルの言葉ごと身体を切り裂いた。

「喰らい尽くすッッ!!インフェルノブルー!」

怯んだ隙を逃さずにダイルの肩に異形の腕を突っ込んで力を奪うとベルベットは飛び蒼い炎でダイルを焼き尽くした。

 

「まだ死ねねぇ……ヤツらに復讐するまでは…!」

火が消えて膝をついたダイルがまるで復讐するべき相手かのようにこちらを睨む。

「復讐?」

その言葉が気になったベルベットが聞くとダイルは説明し始めた。

(成る程責任を押し付けられたと言うわけか…確かに冷静に考えると一人では船は仕切れないかな。)

その話を聞いて考えているとベルベットがいきなりダイルの尻尾を斬った。

「ギャァ何するんだ!?」

「尻尾を届けて、アンタは死んだと報告する。そうすれば、対魔士も警戒を解くはず。」

「どうしてだ?」

「こっちの都合よ。ひとつは、船を修理する為で、あたし達が出発した後、騒動を起こして追っ手を足止めしてくれたら好都合。」

「………そういうことならご期待に応えるぜヤツらに一泡吹かせられるしな。」

 

(確かにベルベットの言うとうり都合が良くなるしそれにダイルを殺さなくて済むからこれで良いかな。)

 

交渉が終わり私達は、ヘラヴィーザに戻る事にした。




また遅れてしまい申し訳ございません。
次の話は遂にテレサとの対決の予定になっております。
それでは次回でお会いしましょう〜マギンプイ


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ヘラヴィーザからの脱出前編

あけましておめでとうございます(かなり遅いですが)
プライベートが忙しくあまり時間が取れずに書くのが遅れてしまい申し訳ございません。



 

あれからダイルの尻尾を何故かベルベットに渡されて、私が、パンドラに仕舞い、洞窟を出て雪原を越えてヘラヴィーザに向かう最中に、何故私が持つことになったのか、ベルベットに聞くことにした。

 

「ねぇ?ベルベット何で私が持たせようと思ったの?」

 

「それは、アンタのその武器とかを仕舞える不思議な腕輪みたいなモノに仕舞えるかもと思ったから。」

 

「でも仕舞える保証はなかったんでしょ?」

 

「まあ、そうねでも見た感じ、武器を出したり仕舞ったり出来るなら尻尾位仕舞えると思ったから渡したの因みに仕舞えなかったらそのまま持って貰おうと思ってたわ。」

(怖。)

素っ気なく尻尾を持てというベルベットに少し怖くなった所でヘラヴィーザに着いた。

 

「でも倉庫のほこり臭い所から出入りするのは不便だよね。」

 

「い~や俺もベルベットも気にならんぞ。」

 

「そうねというか多分業魔はそういう感覚もないんでしょ?」

 

「応!ただそれを言うならベルベットもだがな。」

 

「だから私は業魔じゃなく喰魔だって……もう良いわ好きに呼びなさい。」

 

(面倒臭くなったんだベルベット)

 

そんなことを話ながらヘラヴィーザを歩きながら話していると若いカップルが私に、話しかけてきた。

「ここ何年かは、白い雪が降ってお互い助かるわね。」

 

「雪が白いのは当然じゃないんですか?」

 

「ブー。ヘラヴィーザでは当たり前じゃないのよよ風向きと火山の調子によっては、火山灰が混ざった灰色の雪が降ることがあるのよ。」

 

「近くに火山なんてあったか?」

 

話を聞いていたロクロウが聞くとお姉さんは北を指差しながら北の方だけどミッドガルガンド王国内で一番大きな火山だからと説明してくれた。

炎石という物もその火山事、キララウス火山でしか取れないという話を聞いていたロクロウがベルベットに火山を見たことがあるのか?と興味本位で聞いたらベルベットはやはりというかなんというか興味も見た経験もないと無愛想に答えて先に足を進めた。

歩いていると唐突にベルベットに肩を掴まれて誰にも聴かれないように小声で喋りかけてきた。

〔痛っ!どうしたの?ベルベット?〕

 

〔力を入れすぎて済まなかったわね。私達はこれからダイルを倒した事を商船の組合長に報告するけども怪しまれたときに口振りを合わせてくれないかしら?その方が信憑性があると思われるしね。後その腕輪からダイルの尻尾を見られないように出して私に渡して。〕

 

〔分かったよ〕

 

小声でバレそうになったときの打ち合わせをした後に商船組合長にベルベットに言われたとおりに尻尾を出してベルベットに渡してベルベットは商船組合長に話しかけた。

「これはダイルの尻尾!?アンタ……アイツを殺ったのか!?」

 

「タールの沼にはまって死んでるのを見つけたの。尻尾しか持ち帰れなかったわ。」

 

「本当……か?」

 

「本当ですよ私も手伝ってこの町にどうにか、尻尾を斬って運んだんですよ。」

 

「これでも疑うの?まあ疑うのは自由だけど嘘でも業魔の体を持ってこれる奴がいる?」

 

「……確かに。」

 

「じゃあ、船の修理をお願い。」

 

「そうはいかん。テレサ様から正式な許可が下らないと」

 

「急いでって言ってるの。密輸の真犯人がバレたら営業停止じゃ済まないでしょ。」

 

ベルベットは低い声で脅しで取引をしてそれを商船組合長はその取引を呑み船大工は手配するから浜辺で落ち合おうと言って作業に戻った。

 

「おい、ベルベット。良い機会だから武具屋で装備を強化していこうぜ。」

 

「装備を強化?」

 

ロクロウに提案されてベルベットが知らない素振りを見せてロクロウが聞くと故郷ではやってなかったから知らないと言うと尚更丁度良いと言い私とベルベットの手を片手ずつ掴み引っ張り具屋に向かった。

 

「ちょ……あんたって、結構強引よね!?」

 

(それよりも私はこの状況が恥ずかしい)

 

そう引っ張れながら武具屋に向かってるので回りの目線が痛く感じて恥ずかしくなってきていた一方のベルベットはそう言うと引っ張り走りながら少しだけ首をこちらに向きロクロウは笑顔で

 

「応!押しの弱い男はモテないからな♪」

 

(それは関係あるのかな?)

 

「恐らくないわよ。」

 

「何で考えてることが分かったの!?ベルベット!?」

 

「ラナ……アンタて…自分が思ってる以上に考えてることが読みやすいのよ。」

 

「確かに顔に出やすいかもな。」

 

(そうなんだ)

 

言いつつ武具屋に入り二人は強化して貰って外に出たがどうやら私のガンブレードも強化してもらおうと思い二人の武器と一緒に出したが店長曰くこの世界の物質を使って造られてないらしく強化出来ない、良い物だから大事に使えと言われ返された。

 

(ま、女神様から貰った物だからか。)

 

心の内で自己完結し納得させているとロクロウが両手を腰に当て自慢するように武器の強化について分かったと言って大まかの説明をしてくれた。後、何回かやってコツを覚えるとハマるという事も聞いた。

 

「ま、押しの弱い男がモテないように、戦いの準備を怠る奴に、勝利はないからな。」

 

(取り敢えず私が武器について話すとややこしくなるから黙っておこう。)

 

「ラナ?聴いてたか?なんか上の空だったが…」

 

「あ、あ~うん聴いてたよ。」

 

「……?なら良いのだが」

 

船に向かってる時に私が気になった事を二人に聞くことになった。

 

「ねえ二人とも船の修理はなんとかなるけど航海士を探した方が良いんじゃない?また難波したら嫌だし」

 

二人に提案すると二人とも腕を組み考えた結果私が船を操船する事になった。

 

「何で私が操船するていう流れになるんですか!?おかしいじゃないですか!?」

 

「俺達だけでなんとかせにゃならない上俺は前の通り出しベルベットは出来ないときたならばラナお前がやるしかないんだよ。」

 

「あ~分かりましたよ私がなんとかやってみますよ!」

 

「頼んだわよ。」

 

(あ~フリーの航海士とかどっかにいないのかな~まあそんな都合の良いことは起きないか。)

 

それから何やかんやで船着場に向かう最中にロクロウがベルベットに海岸で襲ってきた業魔が何故ベルベットが殺したら戻ったのか聴いたのだが結局死体がどうなろうが意味がないと良い話が終わった。話が終わり少しして船に着いたがまたトラブルが発生した。どうやら;竜骨;という物が壊れており新しい船を買った方が良いと言われ直せないなら良いと言われ私達は一旦ヘラヴィーザに戻ることにした。

 

その道中で商船組合長に会いどうやら聖寮から街に告知があり業魔を街に呼び込もうとした魔女の公開処刑があることその手はあの時会ったテレサという対魔士が使う手であることと今のうちに逃げた方が良いと言われ三人で相談することにした。

 

「魔女って……マギルゥだよな?」

 

「聖寮に気付かれたわね。抜け道も見つかったと思った方がいい。」

 

「船の手配ももう無理だね。どうする?ベルベット?」

 

「これはむしろ好都合ね。船を奪い取りに行くわよ。」

 

「奪うって……ヘラヴィーザの船をか?こっちは三人だぞ。」

 

「まだ協力できる奴がいる。」

 

「もしかしてダイルか?」

 

「アイツは航海士だって言っていた。仲間に出来れば一石二鳥よ。」

 

「そうかもしれんが……マギルゥはどうする?」

 

「……それは聖寮次第ね。」

 

(ッ!マギルゥ!)

 

その言葉を聴いた私はどんどんいけない方に妄想して考え込んでしまった。

 

「大丈夫だ!奴らきっと俺達が来るまでマギルゥは生かして置くだろうさそれにもし業魔に関係のないものを処刑したとあれば対魔士全般が疑われる、だから俺達が来るまでは殺しはしないさ。だから安心してマギルゥを助けるためにダイルの洞窟に行こうぜ。まあ俺はそこまでマギルゥの事は知らないから助けたいとは思わんのだがお前をほっといたら勝手に対魔士に突っ込んで死にかねん、まあ死なれたら2つの約束を果たせなくなるしな!できる限りなら言ってくれれば、手助けするぞ。」

 

「……ロクロウ!ありがとう!」

 

「応!」

 

私の様子見たロクロウが心配しロクロウなりに励ましてくれた。

 

「もう話は終わったかしら?じゃあ行くわよ。」

 

私達はもう一度ダイルの洞窟に足を進めた。

 




続きは早めに投稿する予定ですので楽しみに待っていて貰えると嬉しいです!


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ヘラヴィーザからの脱出中編

前回の大まかなあらすじ

船が壊れ出航出来ないベルベット達は船を奪うことを思いつくその為にダイルに協力を求めるのだが…?




「アンタにこれを渡すのを忘れてたわ。ラナ!」

 

「……これは茶色の羽織?こんなのどうしたの?ベルベット?」

 

ダイルの洞窟に向かう途中に必ず通ることになる

ダイルの故郷の村ビアズレイに入った辺りでベルベットに茶色の羽織を投げ渡された。

これはどうしたのか?とベルベットに聞くとこちらを見ずに素っ気ない態度で、答えた

 

「今の戦力的にアンタは欠かせない存在なの。

だから普通の人間であるアンタは風邪なんか引かれて戦力をダウンさせるわけにいかないだから倒した業魔の毛皮でそれを作ってみたわ。

感謝なんか良いわよ。別に。」

 

「ベルベット!ありがとう!」

 

「だから感謝するなって言ってるでしょ!」

 

「うん。」

 

「まあそう言うなよベルベット!その位の礼は受けてもバチは当たらんぞ!」

 

「ロクロウ!アンタは黙ってなさい!」

 

「へいへい分かりましたよ。」

 

「さ!無駄話はここまでにして着いたわよ洞窟に。」

 

「取り敢えずラナ、お前羽織を羽織ったらどうだ?それ位なら待つぞ。」

 

「ロクロウ……アンタ勝手に……まあ良いわとっとと羽織りなさい!入るわよ!」

 

 

「お前って徹底してるよなぁ。」

 

洞窟に入って少し歩いているとロクロウがベルベットに感心するように話しかけた。

 

「何が?」

 

「行動がだよ。ダイルを利用し、商船組合長を脅し、マギルゥを見捨てる……自覚してるだろ?」

 

(やっぱりベルベットはマギルゥを見捨てるつもりなんだ……)

 

「別に見捨ててない。気にしてないだけよ。」

 

「……やっぱり徹底してるな。」

 

「よく分からない奴だけど、マギルゥは、そう簡単には殺せないわよ。第一アイツは、こっちの手の内を全部聖寮にバラしてるはず。」

 

「……それはそうかもな。」

 

「だからアイツも知らない手札が必要なのよ。

例えば;死んだはずの業魔;……とかね。」

 

「後、手札といえばラナもかもなアイツの前では監獄島でしかラナはマギルゥの前じゃ戦っていない。だから手の内を全部は明かしていないと思うんだがな。」

 

「確かにそうね。」

 

(それは次の戦いはメインを張れという事かな?)

 

そんな会話を聞きながら前に進んでるとロクロウが二つの小太刀を磨き始めた。

 

 

「さて、刃をもうひと研ぎして、仕上げておくか。」

 

「………」

 

(ベルベット?どうかしたのかな?)

 

そう思ってるとロクロウがこちらを見ながら二つの小太刀を持ちながら話しかけてきた。

 

「二人とも武器の手入れはしてるのか?

何なら一緒に研いでやるぞ?」

 

「いい……命綱を気安く他人に預けるなと教わったから。」

 

「応、なかなかいい師匠に巡り合ったんだな。」

 

「……ッッッ!」

 

その言葉を聞くとベルベットは歯を下唇で思いっきり噛み締め明らかな怒りの表情を浮かべていた。

 

 

 

「俺が研ぐ必要はないが手入れは小まめにしておけよ。教えるまでもないだろうが、研いだ後は、グローブ油を塗って、羊毛で拭くようにな。」

 

「……それも、教わったわ。」

 

(……ベルベット)

 

 

それから気まずい雰囲気のまま特に強い敵も現れずに進むと前にダイルと会った場所についた。

 

(ダイルは?居た!)

 

先ほどに会ったときと同じ場所におり話しかけようとするとこちらの気配に気付いたのか振り向き気配の正体が私達と気付くと困惑しながら話しかけてきた。

 

「何で戻ってきやがった?」

 

「事情が変わった。アンタの襲撃に手を貸すわ。」

 

「ふん、随分と勝手言うじゃねぇか。」

 

「仕方ないでしょ。業魔なんだから」

 

「くははははっ!ちげぇねぇ!業魔になって初めて笑ったぜ。だが良いのか?自殺行為だぞ。」

 

「そうならない策戦がある。」

 

「今対魔士達は、人質をとってアタシを街に誘い込もうとしている。」

 

「なら、倉庫に通じる抜け道から攻め込めばー」

 

「多分ですけど敵はそこで待ち伏せしてるんですよ。」

 

「本当か?人間の嬢ちゃん!」

 

「アタシもそう思うわ恐らくだけども。」

 

「まあアンタが言うなら信じるさ

で、どう攻める?」

 

「だから逆を突いて正面から斬り込む。」

 

「そんなのが策か!?」

 

(確かに策戦なんかじゃない!)

 

 

「正面は囮よ。敵を正面に集めた所で別働隊が抜け道から港を襲い、船を確保する。正面から切り抜けた隊と合流して、船から脱出する。

アンタには操船を頼みたい。」

 

「……一つ聞かせろ。誰が正面から攻める?」

 

「もちろんアタシがよ。」

 

「いいだろう。決行は?」

 

「明日。それまで一休みさせてもらえる?」

 

「お好きなように。タールのベットの寝心地は最高だぜ!」

 

それから私達は明日まで束の間の休息をする事になった。

 

「なあ?人間の姉ちゃん聞きてぇ事があるんだがちょっと良いか?」

 

布団に入ろうとした時にダイルに話しかけられた。

 

「何でしょう?」

 

「いやなその……何で人間の姉ちゃんが業魔二人と旅をしてるのかが、聞きたくてよもし良かったら教えてくれるか?」

 

それから私はダイルさんに別の世界から来たことを旨く省いて説明した。すると高笑いをあげて笑い出した。

 

「な、何がおかしいんですか?」

 

「ハハハッ!いやな、いざというときの保存用の食糧と思ってたが無理矢理旅に連れられたのか。」

 

「まあでも自分の意思でここにいますからね。」

 

「そうなのか……まあ、あの女にこれから付いていくなら用心した方が良いぜ色々とな。」

 

「……ダイルさん!心配してくれてありがとうございます!」

 

「よせよせ!そんなの言われるガラじゃないしな

それに俺は業魔だからな。」

 

「そんなの関係ないですよ。それにダイルさんもロクロウもベルベットも心は人間じゃないですか。今は理解されなかったとしても必ず業魔でも心があることを理解してくれる人が現れると思いますよ。」

 

その言葉を聞くとダイルさんは目を開きあり得ないような顔でこちらを見てきた。

 

「……?何です?感に触ることでも言いましたか?そしたら謝ります!済みませんでした!」

 

「いいや違うんだよ嬢ちゃん俺が驚いたのは、業魔になってからずっと化け物扱いされてきたからお世辞でも人間だと言われて嬉しかっただけだ。いつかそんな人が現れると信じることにするよ。ありがとうな。」

 

「いえいえ。礼なんて良いですよ。」

 

(やっぱり…業魔も業魔で苦労してるんだな。)

 

「さ!何を話してるか分からんがそろそろ寝るぞ

というよりベルベットはもう寝てるがな。」

 

「ロクロウ!うん!お休み!ダイルさんもお休みなさい!」

 

そう言いベットのシーツを掛けて深い眠りに落ちた。

 

 

 

 

「は~あ!よく寝た!」

 

ベットから起き上がり回りを見渡すとダイルさんは見当たらず、ロクロウはもう起きていて座禅を組み瞑想していた。

 

(邪魔しないようにしないと…そうだベルベットは?)

 

ベルベットを探すとまだ寝ており声をかけようと下がベルベットの唇が微かに動いていた。

 

(何か言ってる?)

 

「……アル………ライフィ………」

 

(アル?ライフィ?人の名前かな?もしかしてアリトリウスていう人の?)

 

「ッッ!………何やってんのよ?アンタ……。」

 

耳を近づけているとベルベットが跳ねるように起き上がりそれにビックリして足が滑って転けてしまった。

 

「ビックリした~!いやねベルベットを起こそうと思って声かけようと顔を近づけたら起き上がっててビックリして転けちゃっただけ。」

 

「あっそう。」

 

「それよりもベルベット大丈夫か?酷くうなされていたぞ。」

 

「平気。何でもないわ。」

 

(ベルベットの声が何時もより弱々しい無理してるのかな?何か助けになりたいんだけど私には今はどうすることも出来ない。)

 

「……付き合わなくても恨まないわよ。別に」

 

「そうはいかん。お前が死んだら恩が返せない。」

 

「変わってるわね。」

 

(まあ確かに変わってるかな。)

 

「そうかな。だが、俺は;こう;なんだ。」

 

(誇らしく言われてもね。)

 

「ベルベット……アルトリウスて誰だ?」

 

 

そう思ってるとロクロウがアルトリウスにベルベットについて聞こうとしていた。

 

「……仇よ。弟の」

 

「準備はすんだ。ダイルは出口で待ってるはずだ。」

 

「……出発しましょう。」

 

(多分これ以上はベルベット本人から信頼されないと聞けないかな。)

 

そう思いつつ足を進めて、私達は船を奪い取りに向かった

 




早く投稿でき私が一番驚いております。
次回は約8ヶ月ぶりの戦闘になります。


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ヘラヴィーザからの脱出後編

今回は書きたいこと書いたら何時もよりも多めに書けた。(ただし戦闘シーンがお粗末になってしまった。)


「よく休めたか?」

 

「おかげでね。;アレ;の準備は?」

 

(?;アレ;?何だろ?)

 

「バッチリだ。名前、まだ聞いてなかったな。」

 

「ベルベットよ。」

 

「生き延びたら一緒に出航しようぜ、ベルベット。死んだら墓に名を刻んでやる。」

 

「口の悪い奴。」

 

(それよりも死んだらなんて後が不安になるから言わないで欲しかった。)

 

「はっはっは!それゃ元からだ!」

 

(元からなんだ…)

 

「じゃあ、行くか。ヘラヴィーザを襲撃に!」

 

 

「そういえばあの羅針盤を持って逃げた少年、何処行っちまったんだろうな?」

 

「多分ヘラヴィーザでしょ。聖隷は対魔士に使役されてるんだから。」

 

「となると、襲撃の時に出くわすかもな。」

 

(!?あの子が?出来れば戦いたくない……)

 

「ラナアンタ助けて貰ったから戦えないとか言わないわよね。」

 

「そ、そんなこと無い。」

 

「まあ俺は、立ちはだかるなら斬るだけだ。だが……」

 

「ただ……?」

 

「礼を言うのを忘れないようにしなきゃな。」

 

(そっかあの時私が起きる前より早くあの子は皆を治療してたのか……。)

 

「……そうね。」

 

「お前は心は痛まないのか?」

 

「……別に。聖隷はあまり美味しくないって思っただけよ。」

 

「ほう、聖隷は不味いのか。一つ賢くなった。」

 

(……それよりベルベットが持ってた腕輪みたいなのってもしかしてあの子の……?)

 

「何考えてるのかは知らないけども今考えるなら先に進んで船を奪ってから考えなさい。」

 

「う、うん……。」

 

「まず途中の村に寄って準備を更に強化して行くわよ!」

 

「応!備えあれば憂い無しとも言うしな!」

 

 

それから私は村で、念の為に道具屋で、色々な薬を買ってベルベット達に分けて先に進んだ。

 

村を出てヘラヴィーザの門に着くと対魔士が二人門番をしており簡単には入れないようになっていた。そしてこちらの顔を見た二人の門番はお互いに顔を見てうなずき、一人は槍を、もう一人は剣を持ち、こちらに槍を向け警戒しながらこちらを睨みながら驚いたように話しかけてきた。

 

「お前達はッッ!!」

 

「そっちの目論見道り、来てやったわよ!」

 

「ここで始末しろッッ!!」

 

(ここは二人に任せて私は、後ろから援護しますかね。)

 

二人が特攻するのを何となく分かった私は、エウメニデスを出して、竜神楽で援護しようと出そうとした瞬間。

 

 

ガガキッ!

 

とお互いに武器と武器がぶつかり合い鈍い音を鳴らしながらもロクロウとベルベットが二人係で攻めていくのを見た私は、エウメニデスをパンドラに仕舞い腰に手を当て終わるのを待った。

(これはまあ私の出番は無さそうですかね。あ~それにしても寒い~!なんか暖かい物が飲みたくなってくる!)

 

そんな下らない事を思っていると既に戦闘が終わり、私を置いて門を開けて進もうとするベルベット達が見えた。

 

「ち、ちょっと置いて行かないでよ!」

 

「置いて行くも何も声を掛けても返事をしなかったから先に行くと伝えて行こうとしただけだ。」

 

(そんなに考え事してたかな…?私………?)

 

「さっさと開けて行くわよ!時間は待ってくれないんだから!」

 

(確かにベルベットの言うとおり時間は待ってくれない!)「うん!行こう!」

 

門を開けてヘラヴィーザに入ると人っ子一人居なかった。

 

「街人を避難させている。やっぱり罠か…。」

 

(良かった!これで対魔士との戦いに街の人を巻き込まなくて済む!)

 

 

街人を避難させていると推測をたてたベルベットの言葉を信じて前に進むと対魔士達が私達を取り囲むように包囲しており、横の協会を見ると久し振りに見るマギルゥと船が壊れた時に治療してくれた男の子、それと隣に同じ服を着た男の子、そして階段の上でマギルゥの隣にいるのはあの時私達が会った一等対魔士事、テレサが居た。

 

「おお、まさか助けに来てくれるとは~!お主、意外にいい業魔だったんじゃな~♪」

 

こちらを確認したマギルゥが何時もの調子で、明るくこちらに話しかけてきた。

 

(マギルゥ……状況理解できてるのかな?)

 

「マギルゥッ!出来ればそこからh「貴女が監獄島から脱した業魔ですか?」

 

 

 

(私が話してる最中なのにな……)

 

「だったら?」

 

「オスカーを傷つけた罪!楽に死ねると思うな!」

 

「っていじけてる暇なんかないよね!!」

 

恐らく錫杖を構えてこちらに向け敵意を向けられてようやくいじけてる暇などないことを悟りパンドラからガンブレードを構え戦闘態勢に入る他の皆も既に武器を持ち構えていつ攻撃がきても良いように身構える。

 

「かかってきなさい!対魔士共!」

 

「義により助太刀する!」

 

「その女の左手に注意しなさい!」

 

「まずは私から先手を打たせて貰います!」

 

ドドドドッッ!

 

「「ギャアァァァァ!!!」」

 

「ッッ!数が多いッ!」

 

最初に言ったベルベットの挑発を受けて私達を囲んでいた敵が一斉に襲ってきたのを確認してガンブレードの引き金を2回引き正面の対魔士達に散弾を当てたがそれでも人数が多く全員には当たらなかった。

 

「気を付けろ!奴の剣は銃弾も撃てるぞ!まず奴から片づけろ!」

 

「剣から銃弾を撃つ甘栗色の髪の女……もしかしてオスカーの言っていた!!」

 

(?さっきからテレサさんがブツブツと独り言を

「イカン!ラナァァ!」「ッ!?」

 

「隙をみせたな!死ねェェ!!」

 

(殺されるッッ!)

 

と思ったその時だった。

 

ゴォォォ!!

 

目の前に炎が突然現れて襲ってきた一人の対魔士を襲い焼かれた対魔士は断末魔もあげることなく死んでいった。

 

(!?一体誰が……っ!?)

 

 

 

横を見るとその炎を撃った人物の正体に皆が驚いた。

 

「君は……!?何で!?」

 

「実験体2号ッッ!アナタ一体何をしているのですかッッ!?」

 

そこにいたのはこちらに両手を伸ばしている実験体2号だった。

 

「隙アリよッ!喰らい尽くすッ!飛燕連脚!トドメ!!アンヴィバレンツ!!」

 

「こちらもいくぞ!壱の型・香焔!!」

 

 

「「ゥオァァ!!!」」

 

こちらに気を取られている敵を今度はベルベット達が隙を突き、ベルベットは腕で喰らい蹴りの隙を赦さない脚の連続蹴りで浮かせて、喰魔の腕を荒々しく地面にこすりつけながら相手に鉤爪型の衝撃波を複数飛ばし倒し、それに合わせる形でロクロウが焔の弾を作り出し相手に当てて衝撃波の方に吹き飛ばし二人の対魔士は衝撃波に当たり消滅した。

 

「どうした、その程度か!」

 

「業魔二人と人間一人ぐらい止めてみろ!」

 

「私もまだまだいけますよ!!」

 

「貴様ら…!対魔士を舐めるなよ!」

 

「いくわよ!今度は私とロクロウが先陣をきるからアンタはそれに合わせなさい!」

 

 

「うん!行くよ!二人とも!」

 

そういうとベルベットはとロクロウは真っ先に敵の方へ駆けていった。それを確認した私は今度こそ竜神楽で援護するべくエウメニデスを出して構えた。

 

横を見るとベルベットが敵を蹴り上げているのが見え上げるのと同時に竜神楽で燃やし尽くした。

 

「あれは?まさか竜神楽!?シアリーズ様だけの技なかったのですか!?」

 

「さぁね私に聞かれても分からないわ。まあアイツも私の復讐の為に利用するって決めてるからッッ!」

 

こちらの技に気を取られた対魔士にベルベットが容赦なく蹴りを撃ちこみ吹き飛ばす。

 

「グハァァァ!!」

 

「さあ次に斬られたいのはどいつだ!」

 

「おのれ!全対魔士を集結させよ!」

 

(!?全対魔士なんか来られたら流石の私達でも勝てなくなる!?)

 

「……よし!」

 

(ベルベット?)

 

「攻めを緩めるな!一気に押し込め!」

 

「耐えろよ、ベルベット!ラナ!」

 

「うん!」

 

「アンタこそね!」

 

 

「まだ押し寄せてくるんですかっ!多すぎますよいくら何でも!」

 

「それでもやるしかないのよ!私達は!」

 

「そうだぞ手を動かすより腕を動かして対魔士を出来る限り倒せ!!」

 

 

あれからそれからもう数え切れないほどの対魔士を倒し皆息が上がってしまいどうしようもなくなってしまった。

 

 

「「はぁ……はぁ……」」

 

(不味い……!ベルベットもロクロウももう限界だ!私が何とかしないと……!だけどもう私も限界に……!)

 

「大した生命力ですが、直ぐに後悔させてあげましょう!……2号!今度は必ず甘栗色の髪の彼女を狙いなさい」

そうテレサが声を掛けると2号の両手を私に突き出しその両手からが火が現れてこちらに向けて放たれる。

 

「ぐぅぅ……!」

 

それに当たって私は受け身を取れずにまともに吹き飛ばされてしまった。

 

「自分で私達にトドメをさせないのか?臆病者」

 

「挑発には乗りません。オマエの左手は油断ならない。」

 

「それに汚らわしい業魔の処理に聖隷を使うのは当然でしょう!」

 

 

 

「じゃあ私も道具を使うわ;炎石;に;硫黄;と;油;」

 

その言葉を聴いたベルベットは少し笑いながら答えた。

 

「それ……爆発する」

 

 

ドゴォォォン!!!

 

と実験体2号が答えたと同時に倉庫の方から派手な音がして火が上がった。

 

「貴様、倉庫の;炎石;を!?ッッ!?グゥ!」

 

言い終わる前にベルベットが接近してテレサを蹴り飛ばした。

 

「ロクロウ!」

 

「承知!」

 

「ちょっと!二人とも!」

 

「こらー!儂も連れてけー!」

 

 

港に着くと船が燃えていた。ただ一つを除いて。

 

「出航準備は出来てるぜ!」

 

「ダイルさん!!危ない!」

 

「グォ!!」

 

火の玉がダイルさんに当たりダイルさんは船から落ちてしまった。

 

火の玉が飛んできた方向を見ると怒りに燃えるテレサと実験体の二人が居た。

 

 

「逃がさない………お前だけは!行きなさい!一号!ニ号!」

 

そうして戦闘が始まり二人は魔法を唱えそれに合わせテレサが近接攻撃や魔法での遠距離攻撃を仕掛けてきた。

 

(酷い聖隷とはまだ幼い彼らに危害を加えるわけには……)

 

 

「ラナ!どうしたの!?手が止まってるわよ!攻撃の手を緩めない!殺されたいの!」

 

「ベルベット…でも私は…」

 

「戦えないなら離れて見てたって構わないわ!ただ離れるつもりがないなら今は戦いなさい!」

 

(ごめんね二人とも!)「竜神楽ッッ!」

 

「「………ウォァ……!」

 

(しまった!やり過ぎた!!)「大丈夫!?」

 

そう言って駆け寄ると二人とも声を揃え『………大丈夫。』と言ってきたので安心した。

 

(ベルベット達は!?)

 

そうベルベット達の方を見るとテレサが片膝をついて息を切らしておりどちらが勝ったか明白だった。

 

「大丈夫!?ベルベット!ロクロウ!」

 

「応!なんとかな……。」

 

「大丈夫だから静かにしなさい!」

 

そんなやり取りをしているとテレサがこちらを睨みつけ2号に対して信じられない事を命じた。

 

 

「一等対魔士テレサの名において命じます。やりなさい!2号っ!」

 

(何をさせる気なの!?この状況に置いての命令はまさか……)

 

と考え、こちらが全員攻撃に備え身構えていると、此方に走ってきた2号が火の玉を作り出しながら向かってきた。

 

「そやつ自爆するつもりじゃぞ!」

 

(不味い!!)

 

 

ゴォォォ!!ジュゥゥゥ!!

 

 

「………え?」

 

「大丈夫だよ死ななくても良いんだよ。」

 

「ラナお主まさか…奴を押さえ込み全部の魔力を自分にぶつけさせ体の中で爆発させたのか!?」

 

「まあね、一か八かだったけど成功して良かった……。」

 

 

(あれ……?意識が遠く……なって…)

 

 

私の意識はそこで途切れかけなんと地面に倒れてる体を起こそうとした時誰かに体を持たれる感覚があった。

 

(……ロクロウ……)

 

薄れいく意識の中で、波の音を感じるのを最期に私の意識は完全に途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最近ベルセリアの二次アイテムを買いまくっていたらいつの間に残高ピンチに……(泣)


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死神?アイゼンとの出会い!

書いてる内にいつの間にか一番自分の中で字数が多い回になってしまった。




「………ここは?」

 

体が揺れる感覚で目が覚め、私はまずは、被せてあった布団を剥ぎ外に出るとそこには大海原が見えた。

 

「……綺麗。」

 

と見とれていると船から外を覗いてる小さな背中が見えた。

 

「何やってるの?」

 

「…………海を見てるの………ごめんね……僕のせいで……」

 

「これ位大丈夫!それよりも生きてて良かったよ!」

 

大丈夫な事を伝えると2号は、また海を見るのに戻ってしまった。

 

それから少し歩き、船の後ろにある階段を昇ると、船の舵を取っているダイルさんとそれを見ているロクロウ、それとベルベットが居た。

 

「……アンタ。もう動いても大丈夫なの?」

 

「大丈夫だと思う……多分……。」

 

「ま、ベルベット!そう言えるなら大丈夫さ!それより全く手が足りん!急いで方角を確認して倉庫の荷も固定しないとな、取り敢えず帆は張ってベルベットに確認して貰ってロープも結んだんだが……」

 

「起きたか!嬢ちゃん!時間があるならベルベットから羅針盤を受け取って方角を確認して、ロクロウにそれを伝えてくれ!」

 

「分かりました!でもその前にマギルゥと喋りたいんですけど何処にいますか?」

 

「多分だけど船の船首らへんにいると思うわよ。」

 

「ありがとう!ベルベット!」

 

それから船首に歩くと、魔女の後ろ姿が見えた。

 

(……マギルゥ?何してるのかな?)

 

「ねぇマギr「おぅラナではないか~♪もう起きても大丈夫なのかぇ~♪」大丈夫だけど…」

 

「それにしてもお主無茶しおるの。お主がやった魔力を体に止めて体内で爆発させる…あれは余程体内で魔力を留めるて圧縮し拡散させる技術がないと出来ん代物じゃそれを咄嗟でやれるお主に流石の儂もビックリしたわい!因みに失敗すると体が爆発し跡形もなくなるところじゃったな。良かったの~成功して」

 

(そうなんだ…そんなに難しいんだ……何で私は出来たんだろ。)

 

(あ、そうだベルベットから羅針盤を受け取ってなかった。さっきの舵の場所らへんにいるのかな?)

 

少し下らない話をマギルゥとして羅針盤をベルベットから羅針盤を受け取ろうと後ろ向くと羅針盤を持ってるベルベットとそれを眺めてる2号が見え走って向かった。

 

「ベルベット~!その羅針盤貸して!」

 

「貸すって言ってもアンタ見れるの?」

 

「ええっとこうやって上に持って!」

 

「多分……違うと思うわよ……」

 

「じゃあ!ベルベットやってみてよ!」

 

「私も分からないわよ……困ったわね…」

 

「二人とも…違うよ。持ち方。」

 

どうやって羅針盤を見れば良いのかベルベットと模索していたら船を見ていた2号が私達に羅針盤の支える部分を指を指しながら声を掛けてきた。

 

「船が揺れても大丈夫な工夫。」

 

「……ふぅん。」

 

「そうなんだ!教えてくれてありがとう!」

 

「ラナー!ベルベットー!大丈夫かー!」

 

「問題ないよ!ロクロウ!」

 

船の舵場から此方に声を掛けてきたロクロウに大丈夫な事を伝えるとベルベットが彼に名前を聞いていた。

 

「アンタ……名前は?」

 

「……2号。」

 

「じゃなくて、本当の名前。あるんでしょ?」

 

それを聞いた彼は小さな首を振り名前はないと返答する。

 

(道具に名前はいらないか…じゃあ名前を付けてあげようかな……て、ベルベット?)

 

そう考え名前を付けてあげようと考えようとするとベルベットが羅針盤を彼に見せた。

 

 

「持ってみる?」

 

そういうと一回持とうとして両手をあげるが下ろし命令ならば持つと言った。

 

「どうしたいか聞いてるんだけど?」

 

「答えるのが……命令?」

 

「……そうよね。命令すれば自爆だってするのが、アンタ達。」

 

「それが聖隷。」

 

「チッ!やっぱり道具か。なら余計な口きかないで。」

 

それを聞いたベルベットは舌打ちして吐き捨てるように言った。

 

「…………」

 

「大丈夫だよ!ベルベットはあんな感じなんだから気にしないで!それに私は道具なんて思ってないからね!」

 

首を下に向けベルベットの言葉に傷ついたのか黙ってしまった彼に私はそう思っていないことを伝えるとか細い声で「……励ましてくれてありがとう…でも事実だから……」というとまた船から海を見始めた。

 

(これ以上何も言わないでそっとしておこう……。)

 

 

バゴーン!!バキバキバキッッ!!

 

(何ッッ!!?船が!!揺れて!!)

 

船が凄い衝撃と共に揺れ、砲撃された後方を見ると、旗が4つある特徴的な見た目の海賊船があった。

 

「あの旗は……まさか『アイフリード海賊団』!?」

 

「バッチリ狙いをつけられとるぞ。海の上でやり合うのはちとヤバそうじゃの。」

 

(でもこのままだと船も保たない!!どうすれば……)

 

「陸に着けて!陸で迎え撃つ!」

 

ベルベットの言うとおりにし、急遽、船を陸に着け私達は、アイフリード海賊団を迎え撃つ事にした。

 

陸に降りると直ぐに追い付かれ、人数の数の問題もあり、囲まれてしまった。

 

「うっはー!本当に業魔の集団だ。これは使えるかもな。」

 

(彼の話し方を聞くに敵意がないように思えるのだけども信じて良いものか……)

 

海賊団の内の金髪の少しおちゃらけたような青年が業魔と知って敵意がないように話しかけてきた事を不思議に思っているとその後ろから黄色がかかった金の髪をして黒のスーツのような服の男が出て来て相手は自分だと言った。

「2号命令よコイツを蹴散らせ!!」

 

それを聴いたライフィセットが頷き紙のような武器を魔力を纏わせて投げつけると彼の足下から尖った鍾乳洞のような岩が突き出して、彼を守った。

 

「聖隷!?」

 

そう驚き言ったベルベットの言葉を聴いた彼が呟くように自身を;死神;と言い、此方に向かって武器を持たずに此方に素早く踏み込み殴りかかってきた。

 

(ッ!動きが速い!まともに接近戦をしたらやられるッ!)

 

「何なの、コイツは!」

 

「聖隷が海賊をやっているのか!?」

 

「二人の剣使いに双刀に紙葉……ペンデュラム使いはいないようだな。」

 

(ペンデュラム使い?いや今はそれよりなんとか彼を倒さないと!!)

 

それを何とか避けて、ガンブレードを出して応戦していたのだが、恐らく誰かを指していると思われる言葉が引っ掛かったが今は戦うしかないと思い集中し直して彼の方を向いた。

 

 

「……合格だ。力を貸せ。」

 

それからある程度斬り、打撃を躱しを繰り返し均衡が同じになったときに彼が距離をあけ自分達は合格だと言った。

 

「は?随分勝手な言い草ね。」

 

「ヘラヴィーザを燃やした奴らほどじゃない。」

 

 

「知ってて試したのか!」

 

「ついでに助けてもいる。あのまま進めば;ヴィーティガンの海門;につぶされていた。」

 

「あんたらミッドガンド領に向かってるんだろ?それには、この先の海峡を通らなきゃならない。けどそこは王国の要塞が封鎖しているんだ。文字道理;巨大な門;でね。」

 

「そんな要塞が……」

 

「事実なら借りが出来たな。」

 

「俺達も海門を抜けたいが、戦力が足りない。協力しろ。」

 

(なるほどだからこんな強引にでも私達の手も借りたかったてことか。)

 

「海賊の言うことを真に受けるほど馬鹿じゃない。」

 

「自分の目で確かめるか?良いだろう、命を捨てるのも自由だ。」

 

「何じゃ、断っても良いのか?」

 

「お前達はお前達で、俺達は俺達でやる。それだけの事だ。」

 

「けど副長独りじゃ!やっぱり俺達も一緒に。」

 

「足手まといだ。お前らは、計画通りにバンエルティア号を動かせ。」

 

そう言い残すと彼は独りで島の先に行ってしまった。

 

(やっぱり独りじゃ危険だ!追わないと!)

 

 

「ベルベット!ちょっと行ってくるね!」

 

「……勝手にすれば私達はここにいるわよ。それと何をするかは知らないけど置いてかれても知らないなら。」

 

「うん!」

 

その言葉を聴いて私は、彼の後を追いかけて行くことにした。

 

 

「はぁ!はぁ!やっと見つけた!」

 

あれからかなり歩き見つけた洞窟の中に入り進むと、彼がいた。

 

「……!お前だけか。」

 

「そうだけど…駄目だった?」

 

「いや駄目なんかじゃないただお前の仲間は来てないのかと思っただけだ。」

 

「あー多分来ないとr「おーいラナー!」って!?何で来ているの!?皆!?」

 

「別にアンタの後を追いかけるつもりなんてなかったわよただ…2号がアンタが居なくなってから直ぐに急に立ち上がって勝手に奥に行ったから皆で仕方なく連れ戻しに追いかけてきたらアンタがいたって、だけよ。」

 

(あー成る程つまり私はオマケと…ショックだけどま、いっか!)

 

そう驚いているとベルベットが呆れたように2号を見ながら説明をし、納得した。

 

 

「なら丁度良いな……改めて聞く海賊を信じる気になったか?」

 

「まさか。けど、要塞を抜けた後、王都まで船と船員を貸してくれるなら協力してもいい。」

 

「……いいだろう。が、こっちも一つ言っておく事がある。」

 

(?コイン?)

 

そういうと彼はポケットからコインを出し、指で上に弾き、片手でキャッチし、此方に見せると死神の顔が写っていた。

 

「俺は、周囲に不幸をもたらす;死神の呪い;にかかってる。千回振っても;裏;しか出ないほどの悪運だ。要塞を抜けようとした時も、五人犠牲が出た。同行すれば、何が起こるか分からんぞ。」

 

「何故、そんな不利な情報を教えるの?」

 

「業魔も、理不尽に死にたくはないだろう。知った上で来るなら自己責任と言うことだ。」

 

「どうでも良いわ。そんなこと。」

 

「名は?」

 

「ベルベット。;これ;は2号。」

 

「…………」

 

「俺はロクロウ。よろしくな!」

 

「私はきr……!じゃなくてラナですよろしくです。」(危なかった本名を言うところだった!)

 

「……アイゼンだ。」

 

 

「要塞を攻略する策があるんでしょ。聞かせて。」

 

「結論から言えば、ヴィーティガンの守備は完璧だ。海から攻めても、落とせない。」

 

「いや……なら、同時に攻めれば。」

 

そのベルベットの言葉をアイゼンは頷きながらバンエルティア号で攻撃をかけ、警備部隊を海峡から引きずり出しその隙に私達が要塞に進入して海門を開きそして艦隊を振り切ったバンエルティア号に拾ってもらって駆け抜けるという作戦になった。

 

「一つ間違えれば全滅だな。」

 

「けど、間違えなければ勝ち目はある。」

 

「死神同伴でか……」

 

「というよりマギルゥの姿が見えないんだけど…どうしたの?」

 

「ああマギルゥなら手伝う気はないとか言ってどっかに言ったぞ。」

 

「それ大丈夫なの?」

 

「まあ何とかなるだろアイツなら。」

 

「なら良いんだけど……」

 

「策戦はもう始まってる。行くぞ。要塞の入り口は洞窟を抜けた先だ。」

 

そう言い先を行くアイゼンと一緒に洞窟の奥に脚を進めた。

 

 

 

 

 

 




次の投稿は仕事が忙しくなりそうなので少し遅れそうです。ですが出来る限り早めに投稿したいと思います。


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ヴィーティガンへの侵入

前は2000文字書けるかどうかだったのに5000文字近く書けること自分に少し成長を感じた

ということで続きです!


それから私達は更に奥に脚を進めると上まで複雑に絡みついているツタが道を塞いでおり、進行出来なくなっていた。

 

「凄いツタ……絡み合って千切れない。」

 

「ベルベットそのツタどうにかして燃やせないかな。」

 

「アンタの竜神楽に任せるわ。」

 

「いや…そんな事をしなくてもこれで何とかなる。」

 

そう言ったアイゼンが懐から着火剤を出して見せた。

 

「こんな所で火を使って平気?」

 

「普通は平気じゃない。だが俺達は業魔と聖隷だ。」

 

(私は人間なんだけどな……)

 

「……ああ、普通じゃなかったわね。」

 

「あ、あの私は普通の人間なんだけど…忘れてる……。」

 

「いいや、ラナお前は業魔と聖隷と一緒に旅をしている時点でもうそれはまともな人間じゃないぞ。」

 

「いやいやいや!私は普通?ですよ!」

 

「……自分で疑問に思ってるじゃない…ハァじゃあアンタ少し離れて見てなさい。」

 

「……人間ていうのは何かと不便だな。」

「もういくわよ!」

 

そういうとベルベットは着火剤で火を付けてツタを燃やして私達は先に進んだ。

 

 

それから私達は前を向いて歩いていると2号の姿が無く、私が後ろを向くと歩く足を止めて何かを見ていた。

 

(はぐれたりしないで良かった~てっきり敵に襲われたのかと思ったよ。)

 

 

「少年、随分と大人しいな。具合でも悪いんじゃないのか?」

 

「元々こうよ。2号は。」

 

「やめろよ!2号なんて呼び方可哀想だろ。」

 

「アンタの名前の意味は?」

 

「兄弟の六番目でロクロウだが。」

 

「それと同じよ。」

 

「同じじゃないだろう。」

 

「ちょっと…皆何でこの子を置いていくの?」

 

 

 

そう皆の方に振り向いた瞬間後ろに気配を感じ振り向くと蠍のような業魔が2号を襲おうとしていた。

 

「ッ!危ない!!」

 

「……………あ…………!!」

 

 

(間に合えッ!)

 

 

 

2号に蠍のような業魔の尻尾が刺さろうとしたその時私の横を掠めて尖った土の槍が蠍のような業魔に刺さり死滅した。

 

「ありがと!アイゼン!」

 

その感謝の言葉を首だけ私に向けて聴くとアイゼンは前を見て敵を警戒しに戻った。

 

(素直じゃないな。)「そうだ!大丈夫?怪我はない?」

 

「………大丈夫………ありがとう。」

 

「大丈夫か、少年!」

 

「何で声をあげないの!ラナとアイゼンが気付くのが遅れてたら、アンタ死んでたのよ!」

 

「……命令だから。『口をきくな』って……」

 

 

「あれは違うっ!あんたは……なんでそんな!」

 

「ベルベット!落ち着いて!」

 

 

その言葉を聴いたベルベットは2号の両肩を両手で掴みより声を荒げて言ったのを聞き私は強引にベルベットを引き剥がし落ち着くように諭した。

 

「ラナの言うとおりだ落ち着け、ベルベット!」

 

「……お前、対魔士に使役されてたのか?」

 

それまでずっと黙り此方を見ていたアイゼンが2号に聞いた。

 

「…………うん。」

 

「やはりそうか……こいつは;意志;を封じられているんだ。……本来、聖隷は人間と同じ心を持つ存在だ。だが、対魔士共は強制的に聖隷の意志を封じ込めている。道具として使うためにな。」

 

「ずっとこのままなの?」

 

「分からん。対魔士の配下から脱した聖隷は初めて見た。」

 

(前例がないから分からないのか…。よし!決めた!)

 

「じゃあ私が、君が心が解放されて道具じゃなくて一人で決断できる子になるまで一緒に居てあげる!」

 

「………何で抱き締めてるの?……」

 

「うーんとね抱き締めたくなったから!じゃ駄目かな?」

 

「……それが命令なら……。」

 

「だからそういうのはそういうのは無し!」

 

「……うん。」

 

「ならばよろしい!これから何かあったらラナお姉ちゃんに言いなさい!!」

 

(私だけでもこの子の味方になってあげなきゃ!この子がちゃんとした意志を持って生きれるようにしてあげなきゃ!)

 

 

 

「そうだぞ!少年!何もラナだけじゃなくて困ったことがあればここにいる誰にでも言ったって良いんだぞ!」

 

「……うん。」

 

(ロクロウ!……ありがとう。)

 

そう密かに自分だけでもちゃんとした意志のある子にしようと考えていた私の気持ちが分かったのか、ロクロウが相談してくれても構わないと言うそのロクロウのその優しさに私は助けられた。

 

 

「そういえばアイゼン、対魔士に意思を封じられてるって言ってたよな。」

 

「ああ。本来は人間同様、それぞれが自我を持つ存在として、ずっとこの地で生きてきた。

俺達の存在を知覚出来るのは、対魔士のように霊応力が強い、一部の人間だったが……」

 

「あの『降臨の日』に変わったんだな。」

 

(『降臨の日』…少しシアリーズさんとの会話で出て来たベルベットの全てが変わってしまった日……) 

 

「聖隷は並の人間達にも見えるようになり、意思を奪われ、命令道理に動く道具とされた。業魔に対抗する術を得たと人間共は喜び、アルトリウスの奇跡だと謡えたが聖隷はモノじゃない。」

 

「聖隷はモノじゃない……」

 

「そうだよ君もモノなんかじゃないんだよ一人の命を持った人間と同じ生き物なんだから自由に生きて良いんだよ!」

 

「いやモノよ。」

 

 

「?」

 

(ベルベット?)

 

「アルトリウスにとっては、聖隷も業魔も人間も皆、御大層な;理;を実現するための道具でしかない………モノにしか見えないのよ……弟すら……」

 

(……ベルベット……)

 

 

それから更に先に進むと亀の甲羅を背負った少年がいた。

 

(何……?あれ?)

 

「トータス、トータス」

 

「……亀の業魔?」

 

「いいえ、業魔じゃないっすよ。オイラは;ホワイトかめにん;っす。驚かせてしまって恐縮っす。」

 

(白……っていうことは黒もいるのかな……)

 

「業魔じゃないなら聖隷か?」

 

「いえ、;かめにん;は;かめにん;っす!もろもらのご不審はごもっともっすが、これ以上の追求は、どうかご勘弁頂きたいっす!」

 

「お、応……これはご丁寧に。」

 

「恐縮っす~。」

 

それから横から話を聴いていたアイゼンからかめにんの説明を聞き遣り手の武器商人で自分達のような稼業には重宝するとの事らしい。

 

 

「行商人か。…役には立ちそうね。」

 

「……まことに申し訳ないっすが、辺境の商売は、何かと手間賃がかかりまして……」

 

「それはそっちの都合でしょ?」

 

「う……確かにそうっすが……」

 

「素直に認めたわね。じゃあ、通常価格で手を打ってあげるわ。」

 

「感謝の印に『お客様の笑顔』って奴をやっとくか。にっ♪」

 

「きょ、恐縮っす……」

 

(脅して値切った……それは怖いよね…かめにん強く生きてね……)

 

「ははは!凄い値切りだったな、ベルベット!」

 

「当たり前の交渉よ。喰い殺して品を奪うよりましでしょ?」

 

(確かに……でもベルベット断ったら喰ってたな…多分…)

 

「……お前、死神より恐ろしいな。」

 

「かめにん…」

 

「あんな変な奴がいるなんて世界は広いよなぁ、少年!」

 

「……うん。」

 

(良かった少しは返事をしてくれるようになってくれて。)

 

「ふっ……あっちも俺達を見て同じ事を思ってるだろうさ。」

 

「業魔と聖隷と死神と人間の一行……か。」

 

(なんか私だけ場違いな気がしてきた…)

 

「……でしょうね。」

 

「かめにんてなんなんだ?」

 

「名前の通り、かめにんだ。」

 

「だから、なんなんだ?」

 

「かめにんは、かめにんだ。行商が得意な種族だと考えれば良い。」

 

「ま、ウミガメみたいな甲羅を背負ってたし、名は体を表すって奴か。おれは六番目でロクロウだしな。」

 

 

「僕は二番目の使役聖隷だから、2号……」

 

「それは名前じゃない、ただの称号だ。」

 

「………?」

 

「いい加減、少年にも名前を付けてやらんとなぁ。」

 

 

「……僕の、名前……」

 

(確かに名前2号じゃ呼びずらいから……うーん……だぁ~もう良い名前が思い付かない~!)

 

「………」

 

「ベルベット?どうしたの?もしかして名前考えたの?」

 

「……別に、ただ見てただけよ。」

 

「そっか。」

 

 

それから更に歩き外が見えてくるとアイゼンがコインを出して見ていた。

 

「………」

 

 

「アイフリード海賊団の副長は妙な験を担ぐのね。」

 

「癖みたいなモノだ。どうせ裏しか出ない。」

 

「その金貨って、何処の国のモノなんだ?表は女神、裏は死神なんてのは、初めて見た。」

 

「裏側は厳密には死神じゃない。これは『魔王ダオス』だ。」

 

 

「なんかどっかで聞いたような名前だな。」

 

「……女神マーテルと……魔王ダオス……『ラグナロック』第765章『ユグドラシル』戦記より。」

 

「ほう、よく知ってるな。これは異国の古代遺跡から発掘されたカーラーン金貨と呼ばれる紙幣だ。」

 

「へぇ、随分と珍しいものなんだな。」

 

「アンタ、本が好きなの?」

 

「好き……?テレサ様の部屋にたくさん本があって僕はいつも本を読んでた……『ラグナロック』は神話時代の戦記で何回も読んだ……」

 

「そっかじゃあ今度色んな本の話を私に教えてよ。約束だよ。」

 

「……約束?……」

 

「うん約束!」

 

「それにしても、そんなに珍しいコインロッカー、何処で手に入れたの?」

 

「話せば長くなるが……」

 

「ならいい」

 

「因みにさっきはコインで何を決めたんだ?」

 

「……今話すような事でもない。」

 

「そうか、余計な詮索だったな、すまん!」

 

それから私達は外に出て道中敵を倒しながらアイゼンの後をついていくと警備がいない扉が見えアイゼンがそれを見て止まった。

 

「……?どうしたんだ?押して入らないのか?」

 

「待て、調べた状況と違う。」

 

そう言い終わると風が吹き葉っぱが飛び扉に当たると電撃のようなもので消し炭になった。

 

「結界が張られているのか。」

 

「警備を変えやがったな。」

 

「成る程ね。さっきの蠍や、この結界がアンタが言ってた死神の不幸ってわけか。」

 

「……この程度で済めば良いんだがな。」

 

「正面突破は厳しいと思うけど…どう攻めるの?」

 

「崖を降りた先に建設時に使われた搬入口があるはずだ。そっちを探る。」

 

 

「あれが搬入口か。こっちには警備がいるわね。」

 

それから私達は崖を下り搬入口に着いたのだがやはり警備がおり、私達は岩陰に隠れて様子を窺っていた。

 

「どうするんだ?」

 

「つまり結界はないってことね。行くわよ!」

 

 

「だめ……その人はー!」

 

「気を付けろ、そいつは!」

 

先にいき戦闘に入ろうとしたその時のアイゼンと2号が声をあげ私達は足を止める。すると此方に気づいた警備が頭を抱え声に出来ないような悲鳴を上げて体に闇が纏わり付き業魔に変わった。

 

(業魔に変わった!)

 

「ボサッとするな!来るぞ!構えろ!」

 

「!!うん!」

 

業魔になったのに驚いているといつの間にか二人がこっちには来ておりロクロウとベルベットが武器で斬りかかっており戦闘が始まっていた。

 

「いきなり業魔になりやがった!」

 

「どういう不運よ!?」

 

「というか不運という次元の問題じゃないじゃないですか!?アイゼンさん!?」

 

「……だから言っただろう。」

 

(それよりも早くコイツを倒さないと!)

 

「そこよ!飛燕連脚!」

 

「くらえ!弐の型・醍地!」

 

「蹂躙しろ!ウィンドランス!」

 

「白黒混ざれ!シェイドブライド!」

 

「これでもくらえ!竜神楽!」

 

業魔達は一人はベルベットが空に上げもう一体はロクロウが罠のようなモノを印(?)を切り相手の目の前に設置しそれに触れ二人とも空に浮く

浮いたところをアイゼンは魔法で作った風の槍を、

2号は途中で混ざる白の弾と黒と弾を、そして私はエウメニデスを出して竜神楽を打ち込む。それに当たった業魔達は消え去った。

「警備が業魔病に罹ってるとはな。これも死神の力か?」

 

「……まあな。」

 

「けど、突っ込んでたら危なかった。止めてくれて助かったわ。」

 

そうアイゼンにベルベットが礼を言うと2号の方を見ながら気が付いたのはコイツだと言った。

 

「…………。」

 

「これからも、しっかり警戒頼むわよ。死神が一緒なんだから。」

 

「………?」

 

「喋っても良いって事だよ。」

 

「警戒はしっかり。」

 

(素直じゃないね……ベルベットも。)

 

 

 

 

 

 

 

そして先に行ってしまったアイゼンとベルベットを追いかけて私達は要塞の中に入っていった。

 

 

 

 




内部の話は仕事が忙しく書けていないので取り敢えず進入まで上げました。
続きも書いている途中なのでもう少し待って頂けると嬉しいです!


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海門要塞・ヴォーティガン内部…ローグレスへ…

集中して書きたいことを書いていたら寝れなくなってしまった


「ううむ、要塞中に業魔がいるようだな。」

 

私達が扉を開き中に入るとかなりの数の業魔が徘徊していた。

 

「まさかアイゼン、お前が業魔病の原因じゃないだろうな?」

 

「……いや。偶然蔓延した所に俺達が来たんだ…死神がの道連れとはこういう事だ。悪く思うな。」

 

「むしろ好都合ね。敵は組織的な対応が出来なくなっている。」

 

「こっちは少数だ。確かに乱戦の方が有利に立ち回れるな。」

 

「………」

 

「?アイゼン?どうかしたの?」

 

「……いや何でもない。」

 

「それよりもアイゼン、海門を開くにはどうすればいいの?」

 

「開閉装置は、海門の上部にあるはずだ。それを起動して、合図の狼煙を上げる。」

 

「了解。海門の上ね。」

 

 

「おい、船が残ってるぞ!」

 

「戦艦だ。マズいな。」

 

それから私達は要塞の入り口奥を業魔を倒して進み扉を開ける。するとロクロウが戦艦が残ってることに気づき私達は戦艦に人がいる可能性を考えて見付からないように慎重に動くことにした。

 

 

「それにしても海門要塞か……海峡ごと鉄の門でふさいじまうなんて、聖寮もとんでもないモノを作りやがるな。」

 

「少し前までは、こんなの考えられなかったのに。」

 

「聖隷を道具として使えば、造作もないことだ。」

 

「聖隷は、業魔を斬る刃にもなれば、鉄を鍛える金槌にもなるっていうわけだな。」

 

「そうやって聖寮や王国は、自分達の力の大きさを民衆に知らしめてるのよ。逆らうな、従えってね。」

 

「胸糞悪い話だ。」

 

「むなくそわるい……」

 

「全くだわ。」

 

 

それから私達は道を進み梯子を登るすると、登り切った私達の方に衛兵(?)が慌てた様子で走ってきた。

 

「!?」

 

(え?何?何?何?ど、どうすれば!?)

 

そう悩んでいると―

 

「フン!」

 

「ブホォァァ!!」

 

アイゼンが不意打ちで殴った。

 

(ひ、酷い!)

 

 

「この扉から海門に出られるはずだが、鍵がかかってるようだな。」

 

「ベルベット!?」

 

「!?」

 

突然ベルベットが喰魔の腕で扉を殴るだが扉には傷一つも付いていなかった。

 

「壊すのは無理か。」

 

「侵入者ども!ワシの要塞をよくも―」

 

(よくアイゼンに不意打ちで殴られたのにこんなに早く起ち上がれるな……)

 

「扉の鍵は何処?」

 

「ワシは誇りあるミッドガンド騎士だ!業魔なぞに屈するものか!」

 

 

「……俺がこの世で一番むかつくのは、生き方を他人に曲げられることだ。」

 

(アイゼン?)

 

「自分の舵は自分の意志で取る。そうでなければ本当の意味で;生きている;とは言えないからだ。」

 

「自分の舵……」

 

「いかにも!この要塞を死守するのがワシの生き様だ!」

 

「だが、それには、どんな結果も受け入れる覚悟が要る。」

 

 

「2号!見ない方が良い!」

 

これから起こることを何となく分かった私は2号よ目を咄嗟に両手で抑えてアイゼンの行動を見せないようにした。

 

「ふん!」

 

「グゥゥゥ!」

 

(やっぱり!)

 

私が思った通り、アイゼンはミッドガンド騎士腕で殴り後ろを向かせてそのまま拘束して壁に押しつけた。

 

「お前の覚悟が本物かどうか、試させてもらうぞ!」

 

「ッッ!!いぎゃぁぁぁっ!」

 

(今の音は完全に腕が折れた!)

 

アイゼンは腕を拘束したまま強引に伸ばし負った。そして二本目も折ろうとするとミッドガンド兵士は簡単に情報を吐いた。

 

「ま、待て!鍵は、扉の奥にある管理室だっ!」

 

「はぁ……もう一つ。戦艦のある船着き場は何処だ?」

 

「正面の階段を進んだ先です!」

 

(潔いな…なんかここまで来ると……)

 

「分かった。」

 

そう言ってアイゼンは拘束を解いて正面を向かせると殴りミッドガンド騎士の意識を奪った。

 

「……ねぇそろそろ手を離して。」

 

「あっ!ごめんごめん!」

 

「……手間をかけたわね。」

 

「単なる適材適所だ。鍵も必要だが、戦艦も潰すぞ。バルエルティア号が迎撃される前にな。」

 

「だな。管理室か船着き場か、どっちに舵を取る?」

 

「………管理室を探すわよ。」

 

「………うん。」

 

 

「アイゼン、中々良い喧嘩っぷりだったな。」

 

「お前のキレっぷりほどじゃない。」

 

「お仲間には剣で戦う奴も多そうだったが、アンタは剣は使わないのか?」

 

「生憎だがな、死神の呪いっていう奴は、俺に関わるモノなら何でもちょっかいを出しやがる。鞘から抜いただけで折れたり、敵にトドメを刺そうとした瞬間に刀身が抜けて飛んでいったりもした。命を賭けて戦うときには、あまりにも信用ならん。身体一つで戦うのが、一番ましだ。」

 

「アンタほど肝の据わった奴なら、面白い勝負が出来たのにな。剣士じゃなくて残念だぜ。」

 

「剣抜きでも面白い勝負が出来るぞ。お前の剣と俺の呪い……試してみるか?」

 

「その時が来たらな。斬られても恨みっこ無しだぜ。」

 

「……それは俺の台詞だ。」

 

 

(良かった喧嘩にならないで…)

 

そんな会話を聴いたり話したりして上の方に昇ると開かない分厚い扉があった。

 

「……開かない。中から鍵がかかってる。」

 

「かなり分厚い扉だ。ここが管理室なんじゃないのか?」

 

「恐らくそうね。他に入り口は……」

 

「窓はあるが、鉄格子がかかってるな。」

 

「独立した建物のようだ。周囲をくまなく回ってみよう。」

 

それから私達は手分けをして周囲を調べると、建物に生えてたツタの下の鉄格子が嗄れておりベルベットに知らせると喰魔の腕で強引に壊し私達は中に入った。

 

「ここが管理室のようね。手分けして鍵を探すわよ。」

 

「俺達は奥の部屋を探す。」

 

「じゃあ私はもう一つの扉の奥に入って調べてみます。」

 

そう言って私は皆と離れて鍵を探すために行動を取ることにした。

 

(それにしても何というかここまで色々あったな……そうだ!そういえばあの子の名前を考えながら鍵を探すことにしよう!)

 

外を眺めながら彼の名前を考えながら探していると奥の扉から恐らく見回りをしていた対魔士が二人来た。

 

 

「ッッ!!誰だ!貴様は!」

 

「い、いや違うんです私は決して鍵を探してるとかじゃないですから見逃して貰えないでしょうか?」

 

「鍵だと……もしやお前あの業魔達の仲間だな!コイツを捕らえろ!」

 

「ま、やっぱりそうなりますよね!」

 

見逃してくれない事が分かった私は、ガンブレードをパンドラから出して構える。

 

「コイツを喰らえ!」

 

「おおっと危ない!危ない!」

 

相手の火の弾を除けながら空中でガンブレードの引き金を一回引き銃弾を撃ち対魔士の一人を倒した。

 

「どうします?貴方もやりますか?」

 

「こ、これは手に負えない!仕方ない…この事をアルトリウス様に報告しなければ!」

 

「あ、ちょっと……消えちゃった……そうだ!もうこっちには鍵がないだろうからベルベット達と合流しよう!」

 

もう一人にガンブレードを突き付けると対魔士から光が溢れだし逃げてしまったのでベルベット達と合流する事にした。

 

私が合流するとロクロウが2号の頭を覗き込んでいた―

 

「どれどれ……おお、結構腫れてるな。コイツは痛いだろう。」

 

「……二人とも何やってるの?」

 

「おお、ラナかいやな少年が羅針盤を落として頭に当たってたんこぶが出来たらしいから見ているんだ。」

 

 

 

「そうなの?大丈夫?」

 

「うん大丈夫だよ……生きてるし……」

 

「痛みも生きてる証だと言いたいのか?」

 

「ベルベットが、教えてくれた……」

 

「………」

 

「よし、じゃあ、俺がそのタンコブを押してやる。」

 

「!…えっ…えっ…」

 

「止めなよ!ロクロウ!」

 

「ははは、冗談だって。」

 

「馬鹿やってないで、急ぐわよ!」

 

(なんか彼さっきよりも生き生きとしてる気がする…気のせいかな。まあともかく無事で良かった。)

 

「…行くぞ!次は戦艦を落とすぞ。」

 

 

「………」

 

それから進んでいると彼が羅針盤を持って嬉しそうに眺めてた。

 

「その羅針盤どうしたの?」

 

「鍵のある部屋で見つけたんだ。」

 

「随分気に入ったようだな。だが、今は羅針盤はカバンに入れておけ。」

 

「……カバンに入れる。」

 

 

「そうだ。見た所作りがしっかりしてるし、良いカバンじゃないか。」

 

「…マウリッツ織り。」

 

「マウリッツ織りってなんだ?ラナお前知ってるか?」

 

「…ごめんちょっと分からない。」

 

「ダンダラチュラという蜘蛛から採った動物繊維を織った上質な生地だ。品位あるほのかな艶、赤子の肌の如き滑らかな手触り、軽くて伸びもあり、通気性にも耐久性にも優れてる。だが、それだけではない。特質すべきなのは、この生地のもつ衝撃吸収力でー」

 

「アンタ、色々と詳しいんだな。」

 

(…詳しすぎると思う。)

 

「知識と経験の裏付けが、宝の目利きに役立つ。奪った宝を何でもかんでも積み込めば、船が傾くからな。」

 

「成る程なぁ。」

 

「というわけで、羅針盤を入れておくには、そのカバンは最適だ。」

 

「ちゃんと仕舞っておきなさい。大切なモノなんでしょ?」

 

「……うん。」

 

そんな会話をしながら先に進むと落石が道を塞いでいた―

 

「ちっ……落石か。管理がなってないわね。」

 

「流石にこの岩を自力で壊すのは無理だな。」

 

 

 

「しっかし、本当に不運が続くんだな。」

 

ロクロウはアイゼンを見て若干の嫌味を込めて言う。

 

「まあな。」

 

「……なんだろうと、この先に進まなきゃならない。岩をどかす方法を探すわよ。」

 

 

それから私達は少し戻り別の道に行き上に行くと押したら落ちそうな岩があり下を見て調べてみると、さっきの通れなかった岩の上にあった。

 

(これで多分行ける!)

 

それから岩を押して通れなかった道を通りひたすら前に進むと一人の対魔士が扉の前に居て、道を塞いでいた。

 

「一等対魔士!?」

 

「船着き場はその先だな。通してもらうぞ。」

 

「貴様達は侵入者か?……いや、どうでもいいか…業魔に関わるモノは、全て斬り伏せる。我が;ランゲツ;流の剣でな!」

 

「……どけ、アイゼン!」

 

「お前こそ下がれ。コイツは俺がやる…」

 

「いいや、;これ;は俺の獲物だ。」

 

そう言いロクロウは前に出て構える。

 

すると、一等対魔士は剣を掲げるすると―猪と巨大な鼠のようなモノが出て来た。

 

 

 

「邪魔をするなら斬る!」

 

「てめぇ、死神を舐めるなよ!」

 

それから大したこともなくアイゼンとロクロウ二人によって猪と巨大な鼠のようなモノは消滅し一等対魔士も膝をついて肩で息をしていた。

 

「時間がない。お前達は戦艦を潰せ!」

 

「ロクロウ、そいつはまだ―」

 

「ああ、まだ力を残してる!」

 

「……行くぞ!」

 

「先に皆は行って!私は後から行くから!」

 

「……ラナ!」

 

「大丈夫だから。」

 

そう私が言うとロクロウと私を除く皆が先に進んだ―

 

「誰からランゲツ流を習った?」

 

「……聖寮特等対魔士シグレ様だ。」

 

「嘘をつけ。アイツが弟子なんかとるか。暇つぶしに2、3個技をおしえだけだろ?で、同じ技で叩き潰された。」

 

「う…うぉぉぉっ!!」

 

それからロクロウは軽々と技を使わずに単純な力で対魔士を倒した。

 

「……この程度じゃ修行にならんな。だが奴の居場所は分かった。」

 

 

(奴って…シグレって人?でも今はそれよりもロクロウの技を見て思った私はもっと強くなりたい!だからロクロウのランゲツ流を覚えたい!)

 

そう思った私は駄目元でロクロウに話しかけた。

 

「ねぇロクロウ?」

 

「うん?どうしたラナ?」

 

「もし良かったらだけどさその…私にランゲツ流を少しでも良いから教えてくれる?」

 

その言葉を聞くとロクロウは悩み始めた―

 

「じ、じゃあ良いんだごめんね!なんか悩ませちゃって……」

 

「良いぞ!別に!」

 

「え?良いの?そういうのはその…一子相伝とかじゃないの?」

 

「いやなそういうので悩んでたんじゃなくてどう教えようかと悩んでただけだ…俺、人に教えるの得意じゃないしな!」

 

「じゃあ私がロクロウの戦闘の技を見て盗み取るとかじゃ駄目かな?」

 

その言葉を聞くとロクロウは笑い転げた。

 

「な、何で笑うんですか?」

 

「ははは!いやなランゲツ流の歴史でもそうやって学んだ奴がいなかったからさ面白くてな!ははは!…まあラナ何となくだがお前なら出来そうだ…それにラナが強くなったら斬り合う楽しみも増えるしな!」

 

(それで良いんだ……というか自分で強くして戦うって何というか本当に強い奴と斬り合うのが好きなんだな…)

 

「何やってるのよ?」

 

そうこう話してると何時の間にかベルベット達が居た。

 

「応!俺の目的も聖寮になったぞ。恩返しも出来るし、丁度良いな!」

 

「……あ!」

 

「アンタがやったの?」

 

「ん?マズかったか?」

 

「…別に。」

 

「死神の連れには丁度いい」

 

それから開かなかった扉を開けて進んでいると爆音がしそれがバンエルティア号が近づいている合図だと分かった私達はさっきよりも急いで更に進み途中海門にある左右の仕掛けを手分けして引き、先に進み空が見えるほど昇るとさっきアイゼンが殴った男が黒いオーラを足に纏わせて此方を睨みつけた。

 

「好きにはさせんぞ……ここはワシの……ワシの要塞だぁぁっ!!」

 

そう叫び出すと門を背中に背負った業魔に変貌し、2号に突撃した。

 

(私の場所からは間に合わないっ!)

 

「ッッ!!ク!」

 

「ああっ……!」

 

ベルベットが間一髪の所を引っ張りよせ助け出した。

 

「行くわよ構えなさい!」

 

 

(でもこんなのをどうして倒したら……)

 

「私に良い考えがあるわ…」

 

そう悩んでいるとベルベットが倒す方法を見つけたから自分一人に任せてくれと言った。

 

「皆!ベルベットから離れて!」

 

そう言うと皆がベルベットから距離を起き離れていった―

 

「よし離れたわね…行くわよ!飛燕連脚!双幻脚!そこだ!喰らい尽くす!逃しはしない!ジェット・ブリザード!容赦しない!『消えない傷を!刻んで果てろ!リーサル・ペイン』!!」

 

(す、凄い……!)

 

ベルベットの怒涛とも言える攻撃で為す術もなく業魔は消え去った。

 

倒し終わり下を見るすると―船着き場に大量の業魔が居た―

 

(あんな量の業魔どうすれば…)  

 

「船着き場は業魔の巣だ。あれじゃ、船に乗り込まれちまうな。」

 

とその時―後方爆発音がした。

 

「ちっ、時間がない。」

 

「アイゼン、船に止まらずに海門を抜けられるように指示できる?」

 

「それなら船は助かるが、俺達はどうする?」

 

「この真下を通る船に飛び移る。」

 

 

「お…おう!?」

 

「それしかないでしょ。アイゼン、なんとか合図をー」

 

「必要ない。バンエルティア号は海門を突っ切る!」

 

「伝えなくても?」

 

「俺も同じ策を考えた。アイフリード海賊団の流儀だ。」

 

(…どんな流儀なの…)

 

 

それから船に落ちて乗り込もうとしたその時―2号が業魔の近くに落ちてしまってた羅針盤を拾っていてそれをまだ息のあった業魔が2号の目の前で見境なく暴れ、それに巻き込まれた2号が吹き飛ばされて落ちようとしていた―

 

「ッッ!!ベルベット!!」

 

「言われなくても分かってるわ!」

 

業魔を無視して二人で2号助けるを走り出す―

 

 

「ッッ!!ライフィセット!!!」

 

「ウァァァッッ!」

 

「ッ!全く、アンタは!」

 

「ごめんなさい!」

 

(良かった間に合った…!)

 

ベルベットが落ちる寸前で手を掴み支えていると久しぶりに聴いた声が聞こえた。

 

 

 

「大当たりぃ~っ!!」

 

「マギルゥ!」

 

「さっすが儂じゃのー♪」

 

「行くわよ!」

 

「うわァァァ」

 

ベルベットは彼の手を掴みながら下に降り私もそれに続くように降りて船に着地した。

 

「「はぁはぁ」」

 

「お見事!」

 

「まずは命の恩人への感謝が欲しいのう?」

 

「いやいや、触るなって言ったのに大砲いじって暴発させたんでしょ!」

 

「そ~じゃが、あれは良い暴発じゃよ~」

 

 

「……ごめんなさい。」

 

その言葉を聞くとベルベット膝をついて何時もより優しい声でー

 

「ちゃんと持っておきなさない。そんなに大事なら。」

 

「貸せ。進路を出す。」

 

「………」

 

2号は一瞬アイゼンの方を向いたがそっぽを向いてしまった。

 

「……ならお前が羅針盤を見ろ。」

 

 

 

「……うん!」

 

(良かったね…)

 

「ただし、読み間違えたらサメの餌にするからな。」

 

「!?」

 

「しっかりね!」

 

「あの……『ライフィセット』って?」

 

「……名前よ。アンタの」

 

「僕の名前……ライフィセット。」

 

(……私も決めようとしてたんだけどな…名前)

 

「海峡を抜けるぞ。進路を取れ、ライフィセット!」

 

「うん!進路は……ローグレス!」

 

私達は2号改めてライフィセットと共にローグレスへ船を進めた。

 

 

ラナ達がローグレスへ船を進めたのとほぼ同時刻ローグレスにてー

髪型は銀の長髪で、ポニーテールのようにして束ねている玉座に座る男にラナにやられ帰還した対魔士が報告していた。

 

「…そうかご苦労だった」

 

「ハッ!では!」

 

対魔士は立ち上がり頭を下げると踵を返して部屋から居なくなった。

 

それから少し男は落ち着いていると少し声が高く聴きようには女性に聞き間違えるような少年の声が話しかけてきた。

 

「ねぇアーサー兄さんさっきの会話に出て来たお姉ちゃんと一緒に居る女の子てどういう子なの?」

 

「……なんだ聞き耳を立てていたのか?」

 

「聞くつもりはなかったんだよただ最近暇でさ面白いことがないかと思って歩いていたらたまたまアーサー兄さんに報告しようとしてる奴が見えたからさ。」

 

「そうか…」

 

そうアーサーと呼ばれた男が聞くと少年は少し考えて彼に聞いた。

 

「……そうだアーサー兄さん!そろそろお姉ちゃん達ローグレスに来るよね。」

 

「…恐らくな。」

 

「その時にさどうにかしてお姉ちゃん達と一緒に居る女の子を別行動にさせるように出来ないかな?」

 

 

「俺が式典に出るということはベルベットは必ず情報を掴んでくる、だが…その女の子を孤立させることは難しいぞ…」

 

そう聞くと何かを思い付いたように少年は扉に向かった。

 

「ねぇアーサー兄さん!牢屋に捕まえてる業魔を何匹か借りるよ!後その子の特徴を可能な限り教えて。」

 

「それは構わないが……何をする気だ?」

 

 

「その子と会いに行ってくる!」

 

その後ラナについて可能な限りを聞くと少年はライフィセットに似た顔で笑顔でそう答えて扉から出て行った。

 

 




次回少し彼の登場が早いですが彼とラナが接触します!

因みに彼とは会話にある通りベルセリアをやったことがある人なら分かるでしょう彼です!

ラナの武器の設定をずっと考えていたのですが各編で武器が全部が出たタイミングで設定を出したいと思います!


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ベルベットに似た少年

ベルベットのハト真似を聴いたときに可愛くて悶えてしまったのは私だけではないと思う。


(ここがローグレスの近くの港か…)

 

それから何事もなく私達は港に、付き船着き場に船を停船させて、降りた。

 

「いやぁ、新鮮だな!真面に港に着けた。」

 

(…確かに前は酷かったもんね…)

 

「坊や、良かったのー。サメの餌にならずにすんで。」

 

「うん、良かった。」

 

「もう!マギルゥもからかうの止めなよ!」

 

「それよりも良いの?海賊船がこんなに堂々と」

 

そうこうしているとアイゼンが一人の男の人と話し始め、ベルベットがアイゼンに海賊船が堂々と留まっていたら良いのかと聞くと大丈夫だと言うと彼との会話に戻ったのでその言葉を信じる事にした。

 

「北の海はいかがでしたか、アイゼン副長?」

 

「ヘラヴィーサと;海門要塞;が沈んだ。当分、ノースガンド領の流通は大混乱するはずだ。」

 

「それは耳よりな。早速手を打たせていただきます。」

 

「と言うことは船長の手がかりがあったと?」

 

その言葉を聞くとアイゼンは、何時しなく真剣な顔付きで彼に聞いた。

 

「はい。大分前の噂ですが、アイフリード船長は、タイタニア島に送られたとか。」

 

「対魔士が管理する監獄島だな。分かった、行ってみよう。」

 

「何時も通り、我が社の商船として停泊届を出しておきましたが、お気をつけて。ローグレスで盛大な式典があるせいで、ここも人目が多くなっておりますので。」

 

「成る程。情報が;船止め;の見返りって訳だな。」

 

その話を黙って聴いていたロクロウが納得したように言う。するとライフィセットが首を傾げながら一緒にいたマギルゥとベルベットに見返りについて聴こうとしていた―

 

「情報が……見返り?」

 

「最新情報をいち早く教えてやれば、商人は稼げる機会を得られるでしょ。」

 

「……!だから、海賊でもかばってくれる。」

 

「アイゼン達は、あちこちの港にこういうコネをもっているんだろうな。」

 

「聖寮の規律でも、人の;欲;までは縛りきれんという事じゃ。」

 

「……そうなんだ。」

 

それから此方に話し終えて帰ってきたアイゼンに対してベルベットが自分達は監獄島に居たがアイフリードはそこに居ずメルキオルというお爺さんの対魔士が連れ出した事を告げるとアイフリードについてアイゼンがどういう人物なのか話を始めた―

 

「……海賊バン・アイフリードは、俺達の船長だ。アイツの失踪には、聖寮の上層部が絡んでるようだな。」

 

 

「その本部とやらは王都にあるのかの?」

 

その話を聴いていたマギルゥが王都の場所を聞くとその場所を見たことがあるライフィセットが王都のローグレス離宮にあると言った。

 

「ベルベットの目的も;そこ;にいる男だろう?」

 

「…目的は同じというわけだな。」

 

「謝らないわよ。巻き込んでも。」

   

「それは此方の台詞だ。」

 

「そういえば私達が乗ってた船はどうしたの?」

 

そう私がアイゼンに聞くとどうやらアイゼン達の仲間が乗り込んでどうにか海門要塞を抜けれたということを言った。そしてベルベットに対して;探索船;として使わせてもらうことを言うと勝手に乗ってきたモノだから好きにしろと良い船についての会話は終わった。

 

 

「報告!偵察部隊が、強力な業魔を発見!」

 

色々な買い物や話を聴きながら街道に続く門へ行くと対魔士達が強力な業魔を発見したと言う話を伝達しているのを目撃した。

 

「警戒レベル;甲;と判定しました!」

 

(…?;甲;ってなんだろ?)

 

「了解。聖寮に;甲殻警戒業魔;として登録を要請する。近隣に非常警報を発令せよ!」

 

「ハッ!」

 

そう言い立ち去っていく対魔士を見てベルベット管理とやらも大したことないという―

 

 

「ふん、王都の近くでも業魔が暴れているなんて聖寮の管理とやらも大したことないわね。」

 

「アイゼン、;甲殻警戒業魔;ってなんだ?」

 

(それは私も気になる事だ。)

 

「聖寮が特別手配した業魔だ。最新の情報では、各地に十数体確認されてる。」

 

「ほう、手強そうだな。」

 

「ロクロウて強い敵と戦うの楽しみにしてるよね。」

 

「まぁな。」

 

「行くわよ。くずぐずしてると聖寮の警備が強まるわ。」

 

そのベルベットの言葉を聴き私達は門を開け、街道を進む事にした。

 

 

それから少し歩いているとロクロウがマギルゥに歩きながら話しかけようとしていたので首を捻って聞いてみることにした―

 

「お前何でまた戻ってきたんだ?」

 

「主らが寂しがると思ってのー」

 

「全然寂しくないけど。」

 

「裏切り者を探すとか言ってたのはどうなった?」

 

(裏切り者?誰かに裏切られたのかな?)

 

「取り逃がした……手がかりもない。」

 

その言葉を聞いたベルベットが魔女なんだから魔法で探せばいいと言うとマギルゥが笑顔で魔法は自分と裏切り者の二人三脚方式だから発動出来ないと言った。

 

(…何というか不便だな~)

 

「成る程つまり共犯者ありのペテン魔法というわけだな。」

 

「違うわい!!」

 

「その裏切り者を探す手伝いはしないわよ。」

 

「バナナで釘が打てるほどの冷たさじゃのー」

 

「そんなバナナがあったら見てみたいかも…」

 

「いやいやラナ!それは例え話であって本当には打てないぞ。それよりもそいつの他に仲間は居ないのか?」

 

「はて……おらぬのー」

 

その言葉を鵜呑みにしてしまった私にロクロウはツッコミそれよりもその仲間以外にいないのか聞くと少し考えるような素振りをして頭に人指し指を指しながら答えた。

 

「帰りたい故郷はないのか?」

 

「ないのぉ……」

 

「魔法の他に、やりたいことはないのか?」

 

「ないのぉ……」

 

そんなやり取りをしているとずっと黙ってたライフィセットが小さく声を上げた。

 

「あ……」

 

「どうした、ライフィセット」

 

「うん……マギルゥの話聞いてたらなんだか胸がモゾモゾして……鼻がつんとした……」

 

「友も、居場所も、目的もない空っぽの人生を送る魔女を、お前は憐れだと感じたんだ。」

 

「憐れ……?」

 

「相手を可哀想と思う気持ちの事だ。」

 

「……マギルゥは憐れ……」

 

「そういう目で儂を見るでない~!そしてお主ら儂を置いていくな~」

 

その目線に気付いたマギルゥがライフィセットを見ながら叫ぶ。そんなマギルゥを置いて先に進んだ。

 

 

「わぁ……あの壁……凄く大きい」

 

(…確かに大きい。)

 

それから私達は真っ直ぐに道を歩き橋を通った当たりで目の前に巨大な門と城壁が立っていた。

 

「この門を超えるとこの国の王都ローグレスだ。巨大な城壁で街を囲み、業魔の侵入を防いでいる。」

 

「聖寮をこき使う事によって、人は身の丈以上の文明を手に入れたのじゃよ。」

 

「あ!マギルゥやっと追い付いたんだね!何かしてたの?」

 

「追い付くも何も遅れたのは、お主らが置いていくからじゃ!」

 

 

「初めてじゃないだろ、ライフィセット?」

 

「前にも来たことがあるけど、その時は、僕は今みたいじゃなかったから……」

 

そう私がマギルゥをからかっているとライフィセットが自分はこの景色を見たことがないと言っていた。その言葉を聞いてロクロウは何か気が付いたように言う―

 

「そうか。対魔士に使役させている聖隷は、景色を見ることもままならないんだな。」

 

「次にままならなくなるのは、儂らじゃがのー」

 

「……?」

 

「王家も聖寮の本部にある国の中枢じゃ。王国兵も対魔士もあちこちで見張っておる。儂ら悪党にとっては、居場所のない街じゃ。」

 

「居場所なんていらない。アルトリウスの居所さえ分かれば、それで良い。」

 

 

 

それから私達は門の前に立ちどうしようか悩んでいるとアイゼンが堂々と門に向かっていった。

 

「ちょっと!アイゼン!大丈夫なの?」

 

そう私がなんの策もなく行くアイゼンに聞くと此方を振り返りながら―

 

「全員を調べるものじゃない。自然に躱すぞ。」

 

というのでアイゼンを信じ、皆で入り口近くまで行くことにした。

 

 

 

(よし!何事なく行けた。)

 

そう安心して歩いていると後ろから先程の衛兵に声を掛けられた―

 

「そこの黒コートの女と甘栗髪の女。;手形;を見せて貰おう。」

 

「ええと……」

 

(どうしよう?そんなの持ってない…こうなったらベルベット!なんとか誤魔化して!)

 

「どうした?聖寮が旅人に発行する;通行手形;だ。」

 

(どうしよう……え?)

 

それを黙って見ていたマギルゥがいきなり―

 

 

「……おりゃ!」

 

「!?」

 

―ベルベットの頭を叩いたそして言葉を続けた―

 

「この未熟者!奇術師見習いの基本は、ニッコリ笑顔と教えたじゃろーが!」

 

「奇術師?」

 

「イカにも!ご覧の通りクセ者揃いの我が一座。その名も;マギルゥ奇術団;と称しまする~♪」

 

「………」

 

それを聞いたベルベットがマギルゥを見て無言で睨みつけていた。

 

 

(ベルベット!頼むよ!ここで話を合わせないと私達捕まっちゃう!)

 

「式典の余興か?」

 

「タコにもその通り!いやはや、我が馬鹿弟子達が失礼いたしました。ほれ、兵士様の御不審を解くのじゃ。お前達の得意芸、ハトをだしてみせよ!」

 

「「はぁ!?」」

 

「済みません、師匠……仕込みを忘れました。」

 

その言葉に思わず私達二人は声を荒げてしまった。だがベルベットはマギルゥを見て直ぐに頭を下げながら仕込みを忘れた事を謝罪した。

 

(……!?成る程!そういう設定ね!)

 

その話に私も合わせることにした。

 

「済みません私もです師匠…」

 

「な、な、なんと情けない奴じゃ!芸の道をイカに心得ておるか~!」

 

「待て……こんな所でハトを出されても困る。」

 

(良かった~助かった~)

 

と安心しベルベットと二人で顔を合わせて安堵しているとマギルゥが―

 

「いいや、勘弁できませぬ!お詫びにハトのモノマネをせいっ!」

 

―更に事態をややこしくした―

 

(……マギルゥ!?何考えてるの!?ベルベットは!?)

 

そう思いベルベットの方を向くと―

 

「………ッッ!」

 

マギルゥに対して殺気を出して睨んでた。その殺気に気が付かないのかマギルゥは一言一言威圧しながら急かした。

 

「ハ・ト・マ・ネ!」

 

(…もう完全にキレてるよベルベット。)

 

そう思っているとベルベットが口に手を当ててハトの口を真似しながら―

 

「ポッポ……」

 

―ハトの真似をした―

 

(ベルベット…可愛い!)

 

そしてその個人的に破壊力の強い真似を私が聞き可愛いと思っているとマギルゥはその真似を待っていたのか腕を振るすると紙吹雪と共にハトが舞った。

 

「「おおお~!」」

 

「斯様に泣く子も笑うマギルゥ奇術団!ローグレスの皆様に御挨拶の一席でございました~♪」

 

「分かった。その黒コートの女は良い…だがその甘栗髪の女は少し残ってもらう!」

 

「何故じゃ?此奴も我が;マギルゥ奇術団;に必要なのじゃ!どうしても駄目かの~」

 

「いやまだこの女は信用できな-うん?どうした?そんなに慌てて急用か?だったら後に-何!?本当か!?」

 

「ああ!本当だ!その女はアルトリウス様から見つけ次第に;通行手形;を確認せずに直ぐに門を通せとの命だそうだ!」

 

そうマギルゥが理由を聞くと他の衛兵が慌てたように走ってきて二人で話し始めた。そして此方を向き-

 

「…だそうだ今の話通り甘栗髪の女!理由は分からんがアルトリウス様がお前を通せとの命が出ていらっしゃる!今回限りは不問にして通せとの命に従い通す事にする!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「お前達もこんな所に何時までもいるな!さっさと散れ!」

 

「かしこまり~♪」

 

 

 

 

「ははは!中々の手口だったな、マギルゥ!」

 

「あんな子ども騙しは、今回限りポッポ~」

 

「………」

 

「おお、怖い怖いポッポ~……」

 

「だからといって私の後ろに来ないでください。」

 

ふと横を見るとライフィセットが未だに上を見ていたので訳を聞いてみることにした。

 

「?どうしたの?ライフィセット?」

 

「ハト、凄かった。」

 

「その子供騙しで入れた。王都も大したことないわね。」

 

「それだけ守りに自信があるんじゃろうて。ライフィセット、王都の戦力を知っておるか?」

 

いつの間にか私の横にいたマギルゥがライフィセットに聞くとライフィセットは対魔士の人数と守備兵士について話し始めた-

 

「王都に配備された対魔士さ……対魔士は千人以上。守備兵士は二個師団。」

 

「……流石は王都だな。油断ではなく余裕と見るべきだろう。」

 

(千人以上は多いからなんとか分断する手を考えた方が良いかな…)

 

「そういえばラナ、お主…何故アルトリウスに捜されておるのじゃ?」

 

「な、何故って!そ、それは私が聞きたいですよ!」

 

と思っているとマギルゥがさっきの警備の者に言われたアルトリウスに何故捜されているか聞かれたのだが身に覚えがないので曖昧な答えで返してしまった。

 

「確かにラナはただの人間だ…何故アルトリウスが捜すのかは見当がつかないな。」

 

「ま、どうでも良いわ…最悪コイツを囮にすればあの男も現れるだろうから……」

 

 

「そんな事より民衆がニコニコなのも納得じゃの。業魔に怯えまくっておった数年前とは大違いじゃわー」

 

「デカい式典があると言ってたしな。そんな余裕があるほど、ここは平和なんだろ。」

 

「……その平和は……ラフィの……」

 

「………ベルベット?」

 

 

 

そのベルベットの呟きをライフィセットにはどう響いたのか今の私は知るよしもなかった。

 

 

それからかなり歩くと前方に街の人達が集まって城壁と扉の前でミッドガンドの名前を呼び讃えていた。

 

「「ミッドガンド!!ミッドガンド!!ミッドガンド!!ミッドガンド!!」」

 

「凄い歓声じゃのう。躾が行き届いておるわ。」

 

それからミッドガンド聖導王国第一王子パーシバルという人の演説が始まりどう侵入するかを考えているとベルベットが壁を指を指して昇る案を出した。

 

「昇るのはいいが、ここで襲うのは無謀―」

 

その言葉を最期までロクロウが言うよりも前に―

 

「誰あろう……アルトリウス・コールブランドである!」

 

その名前をベルベットが聞いた矢先―

 

「!!」

 

階段を昇り走り出してしまった。

 

「ッッ!ベルベット!皆はここに居て!私が連れ戻してくる!」

 

私はアルトリウスの元へと行ったベルベットを止めるために後を追いかけた―

 

 

 

(何処行ったの!?ベルベット!!)

 

それから直ぐ追いかけたのだがベルベットの姿を見失ってしまった。

 

(一旦皆の元に戻ろう……)

 

そう思い戻ろうとすると―

 

 

(ッ!あれは!?業魔!?なんでこんな所に!?)

 

3匹程の業魔が金髪の白い服を着た少年を襲おうとしているのが見えた―

 

「き、キミッ!危ない!」

 

(間に合え!!)

 

私は咄嗟にガンブレードを出してスライディングをしながら少年を抱きかかえつつ業魔の一体に向かって斬りつけた。すると業魔はその一撃で呆気なく消滅した。

 

(何時もより手応えがなかった…いやそれよりも!)

 

「危なかった!!キミ!怪我はない!?」

 

手応えのなさより少年に怪我がないか聞くと、少年は冷静に「大丈夫だよ…」と答えると少し離れた場所に歩いて移動した。

 

(ん?この子何処かで見たような……それよりも今は残りの業魔を倒さないと!)

 

少年の姿を見た私は少年を既視感を覚えたがそれよりも先に業魔を倒す事にした。

 

 

(まずは飛んでいる飛蝗?型の業魔から倒した方が良いかな…飛蝗だから多分火に弱いはず!)

 

そう思いエウメニデスを出して対処する事にした。

 

(ずっと考えていた…竜神楽だけじゃ駄目だって…)

 

「これこそが私だけの新技!喰らえ!龍狼!」

 

エウメニデスを上に降り勢いよく地面に叩く―

すると地面から炎で出来た龍と狼が飛び出し勢いよく飛蝗?の業魔に食らい付くと飛蝗?の業魔は為す術もなく食い千切れ消え去った。それを確認した龍と狼は陽炎となって消えていった。

 

(次はコイツか!)

 

深呼吸をしてサイ?の業魔にパンドラにエウメニデスを戻しガンブレードを持ち向き合う。

 

(コイツは恐らくサイの業魔!一撃でも食らうと致命傷になりかねない!なら!)

 

「これでも喰らっとけ!ガンルーレット!」

 

サイ?の業魔の突進を避けながら回転しながら四方八方にガンブレードをトリガーを何回も引きまくり四方八方に撃ち込みまくる―

 

(今だ!)「いっけぇぇ!!」

 

私の合図で四方八方に撃ち込まれた弾が相手に向かい間髪開けずに次々と当たっていったそれを全て受けてしまったサイ?の業魔は地面倒れ動かなくなった。

 

「もう大丈夫だよ!」

 

それを確認した私は隠れていた少年に声を掛けた。すると少年は隠れていた場所から出て来て私に興味が湧いたのか話し掛けてきた―

 

「凄いね。お姉ちゃん。あんな強そうな業魔を一人で倒すなんてさ…もしかして対魔士なの?」 

 

「…いや違うかな。そういう君は?何してるの?」

 

「僕?僕はねお義兄さんが式典に出て暇だからここで時間を潰してたんだ。そしたらさっきの業魔に襲われて…」

 

「ああそんなに辛いなら無理して話そうとしなくて良いよ!」

 

「おい!こっちだ!……これは!?業魔!?一体誰が……」

 

そう話してると騒ぎを聞き付けたのか対魔士達が現れた。

 

(対魔士!?ベルベット達の為にも見つかる訳には行かない!)

 

「お姉ちゃん!こっち!」

 

そう思い逃げようとすると少年に引っ張られ走りなんとか対魔士達から逃げられた。

 

 

 

「ハァ!ハァ!あ、ありがとう!お陰で逃げられたよ!」

 

「…何でお姉ちゃんは対魔士から逃げているの?」

 

「そ、それは…その…」

 

「ああ答えたくないなら良いよ別に答えなくて。」

 

それから落ち着いた所で二人で座り少年の顔を見るとさっきの既視感を感じた理由が分かった。

 

(やっぱりこの子ベルベットとライフィセットに似てる…)

 

そう覗き込んでると少年が不思議そうな顔で私に何で顔を見たのか理由を聞いてきた―

 

「どうしたの?お姉ちゃん!なんか僕の顔に付いてる?」

 

「い、いや何でもないよ!」

 

「……?」

 

(そうだ!ベルベットを捜さないと!!)

 

「ごめんね!キミ!私捜してる人が居るからこの辺で!」

 

そう言い離れようとすると―

 

「もうちょっとだけ話をしようよ!お姉ちゃん。」

 

引き留められてしまった―

 

「で、でも」

 

「じゃあお姉ちゃんがここに居るって対魔士を呼ぶよそれでも良いの?」

 

(そ、それは困る!)

 

「…分かったよ。少しだけね!」

 

そう少年に脅され私だけではなく皆に迷惑がかかると思い少年の話し相手になることにした。

 

 

「ねぇお姉ちゃんってさ…兄弟とかは居るの?」

 

「うん?どうしたの?急に?」

 

「いやね僕のお姉ちゃんがお義兄さんの事が憎いと言っててね。お姉ちゃんの兄弟とはどうなのかなと思ってね。」

 

(兄弟か、それは……!?)

 

少年に兄弟がいるか聞かれた途端頭が響くように痛んだ―

 

「大丈夫?お姉ちゃん?」

 

「だ、大丈夫だよ!」

 

「なら良いんだけど…それよりお姉ちゃん!面白い腕輪をしてるね!触って良い?」

 

「うん良いよ!」

 

その言葉を聞くと少年はパンドラに触り何回か触ると「…成る程。」と言うと手を離した。

 

「触らしてくれてありがと!」

 

「いやいや礼を言われる事はないよ!」

 

「じゃあお礼にこれをあげる!」

 

そう言って少年はポケットから指輪のようなものを渡した。

 

「これは…指輪?」

 

「うん!と言っても僕でも買える安物だけどね!」

 

「じゃあ、有難く貰っておくよ。ありがと!」

 

そう言って指輪をパンドラに仕舞うと頭の中で見たことのない武器のイメージと前にも声が響いてきた。

 

 

--僕の名はアポカリプスていうんだ。ま、僕の力を使いこなしてみなよ--

 

(…これは?いやそれよりも今のはエウメニデスの時と同じ……)

 

そう考えていると遠くに皆が集まってるのが見えた。その中にはベルベットの姿もあった-

 

(…!?ベルベット!?良かった皆が見つけてくれたんだ。)

 

 

「ごめんね!私捜してる人を見つけたから行くね!じゃあね!気を付けて帰るんだよ!」

 

「うん!あ、お姉ちゃん!名前は?」

 

「私はラナって言うの!また見失っちゃう!じゃあね!元気でね!」

 

そう言って少年と別れベルベット達の方へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「あ~面白かった~。」

 

ラナが離れて少し経った後少年がサイの業魔の前に立っていた。

 

「やっぱ食事を与えないで衰弱した業魔じゃ駄目か~まあ予想はついていたけどね。それにしてもラナお姉ちゃんか…」

 

そう少年がラナの名を呟くとサイの業魔が立ち上がり少年を襲うが-

 

「よくやったね。でも、お前はもう用済みだよ。」

 

少年が振り向いた瞬間ガラスのようにヒビが入り崩れ去り跡形もなく消え去った-

 

「それにしてもあの;腕輪;を触った時、中に『セリカお姉ちゃん』の力も感じた。ていうことは僕の力の一部も……ハハ!楽しくなってきた!」

 

業魔を消したことよりも少年にはラナの方が興味があるらしく先程の少年のからは考えられないような顔をして狂ったように笑っていた。

 

「念の為に僕の力を込めた指輪を渡しておいたから何時でも場所が分かるからまた会いに行こうかな!楽しみにしていてね。『ラナお姉ちゃん』」

 

この場にはいないラナに言い、満面の笑みを浮かべて少年は消えた-

 

 




ラナといた少年-一体何フィセットなんだ?

そして彼に渡された力とシアリーズに託された力が今後の物語にどう影響を及ぼすのか……次回もお楽しみに!


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『迷い』、『優しさ』、そして、『決意』

ライフィセットがお腹を空くシーンを書いていたら同じタイミングでお腹がなってしまい仕方なくカップ麺を食してしまった…


「……導師アルトリウス。あれがお前の標的か。」

 

(私は彼を助けるのに忙しくて見ていないんだけどね…)

 

あれから私は急いでベルベット達に合流すると、私が居ない時の話をしていたので状況を整理するために話を黙って聴くことにした。

 

「いきなり飛びかかるかと、ヒヤヒヤワクワクしたわい。」

 

「それじゃ無駄死にでしょ。;理;と;意志;の剣が要るのよ。……アイツを殺す為には。」

 

 

「アルトリウス様を……殺す……」

 

そのベルベットの言葉を聞いたライフィセットは何とも言えないような暗い表情で呟くと目を伏せて黙ってしまった。

 

「手堅くてつまらんの~そろそろ、儂はおいとまするかの。名残惜しいじゃろうが、捜し物があるのでな。」

 

「お好きにどーぞ。」

 

「…さよなら。」

 

「じゃあの。皆の大願成就、七転八倒を祈ってるぞ♪」

 

ベルベットとライフィセットに別れの言葉を言われたマギルゥは適当な態度で私達の目的が達成する事を祈っている事を伝えると何処かに行ってしまった。

 

「そんな事より敵は導師様とやらだ。姿を隠すような相手ではない。じっくり行こうぜ。」

 

「奴の後ろにいた爺がメルキオルだな?」

 

「そう。」

 

マギルゥが居なくなったというのにそんな些細な事など気にしないような態度でロクロウがじっくり行った方が良いと言うと、アイゼンが恐らくさっき見たお爺さんはメルキオルなのかとライフィセットに確認をしてライフィセットが頷くと情報収集をしてアルトリウス達の隙を突く作戦を提案したのだが話を黙って聴いていたロクロウがアイゼンにどうやって探るのかを聞いていたー

 

「と言っても、王国の最重要人物だ。探るにしても手掛かりがないとな。」

 

(確かにロクロウの言うとおり簡単には会えないどうすれば…)

 

「アイゼン、王都に裏の知り合いはいないの?船着場の時みたいな。」

 

「内陸には疎いが……アイフリードが懇意にしていた闇ギルドがあったはずだ。バスカヴィルという爺が仕切ってて、確か、王都の酒場が窓口だと。」

 

「闇ギルド……そんなものがあるのか?」

 

 

とベルベット達と話し闇ギルドに向かおうというその時ー

 

「わっ!?」

 

ライフィセットのお腹が鳴ったー

 

「ははは、とにかく酒場へ行ってみよう。腹ごしらえはできるだろ。」

 

「そうね。」

 

 

それから私達は情報を仕入れるために闇ギルドに向かうことにした。

 

 

「あの式典、導師のお披露目の場だけあって、対魔士軍団勢揃いだったな。」

 

 

「お前がおってる奴はいたのか?」

 

「いや……ああいう場に、澄まし顔で並ぶ奴じゃない。」

 

歩いて話をしているとロクロウが式典のにいた対魔士のをしているのを聴いていたアイゼンが、追っている人は居るのかと聞くと、どうやらそういう場には居ない人物らしい。

 

「聖寮の上位対魔士なんだろ?」

 

と聞くとロクロウは素っ気なく「アイツには関係ない」と言うとアイゼンも軽く返して話は終わった。そして次はアルトリウスについてベルベットに聞こうとしていたー

 

「ところで、ベルベット、あの導師様は右手に怪我でもしているのか?」

 

「アイツは昔、大怪我を負って……利き腕は使えない。」

 

「やっぱりな。」

 

(見ただけでそれが分かるの?でも剣士は利き腕が使えないとどうにもならないんじゃ…)

 

「でも、左腕だけでも超一流よ。」

 

「動きを見れば分かる。体に無駄な力みがなく、ぶれもないし、意識も丹田に置かれてたからな。」

 

「?タンデンて何?」

 

「腹の底……臍下から指二本ぶんくらいのあたり、全身の気が集まる場所だと聞いたことがある。」

 

(へぇ~そんな場所があるんだ~アイゼンに今度分からない単語とか聞こうかな。)

 

ロクロウがベルベットと会話していると丹田という言葉が気になったライフィセットがアイゼンに意味を聞いていた。その説明を聴いていた私はアイゼンが本当に物知りで今度分からないことがあったら教えてもらおうと思ってる最中にも会話は続いていた。

 

「何より、殺気を微塵も感じさせない癖に、何処にも隙がない……あの導師様は、強い。」

 

「………」

 

「アイツがアルトリウスの傍に居る理由は、おそらく……俺もアイツを斬りたくなってきたぜ!」

 

 

それから暫くして私達が噴水がある広場を通るとアルトリウスを崇めている信者の声が聞こえ私達は思わず足を止めたー

 

 

「導師!民を救い導く救世主!まさにアルトリウス様に相応しい称号よね。私は信じるわ。導師アルトリウス様がいれば、きっとこの大厄災の時代を乗り越えられるって。」

 

「導師……アルトリウス……」

 

「随分御大層な状号だなぁ。」

 

「アルトリウスは、既にミッドガンドにおける聖俗の実権を掌握していたがこの名を得たことで、既存の権力構造を超えた民衆の;希望そのもの;になったと言っても良い。」

 

(その;希望;を私達は殺しに行く…)

 

「手強い処じゃないな。」

 

「それでも……戦うの?」

 

「当然よ。導師だろうが、神様だろうが、野良犬だろうが………アイツが仇なのは変わらないわ。」

 

(ベルベット…私は何が正しいのか…分からなくなってきたよ…)

 

私が迷っているとベルベットが私の肩を抱き此方の目を覗きながら言ったー

 

「…やっぱりね。」

 

「ベルベット!?どうしたの!?」

 

 

「…アンタが悩んでいる時の顔、私のお姉ちゃんに似ているのよ。大方の予想だけどアンタ、アイツとアタシのどっちが正しいか分からなくなったんでしょ?」

 

「…そうだけど」

 

「私は弟の復讐をする…それは変わらないわ。でもねアンタは私の復讐には関係ない…だから私についていくことが辛かったら何時でも私達から離れて生きなさい。」

 

そう言ってベルベットは先に闇ギルドの中に入っていった皆を追い掛けて闇ギルドの建物に入っていった。

 

(…ベルベットは私の思ってたとおりやっぱり優しいんだね。)

 

その言葉を聞いた私はベルベットはこの大厄災の時代に巻き込まれてしまった一人の私と歳の近い普通の優しい女の子なんだと思っただからこそー

 

(私はベルベットの心の支えになりたい!)

 

と心の中で決意を新たにして私はベルベットを追い掛け、闇ギルドの中に入った。

 

 




今回は仕事が忙しくあまり小説に時間を割くことが出来ず短めですが次回は恐らく早めに投稿できると思いますので次回をお楽しみに!


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闇ギルドでの依頼前編

私が闇ギルドの中に入ると皆が食事をしながら自分を待っていたかのように待っていた。

 

「遅いぞ!ラナ!」

 

「ごめん遅れた。」

 

「まあ良いさ、とりあえず目的だったバスカヴィルはもう捕まって処刑されたらしいで次の目的がアルトリウスの行動予定を知るために闇ギルドの依頼を3つ受けることになった。ここまでがお前が居ない時に話した話だ。」

 

「うん!ありがとねアイゼン!」

 

遅れた事をロクロウに言われそれについて謝るとアイゼンが次の行く場所について説明してくれた。

 

「まずは物資の破壊から行くわよ。」

 

それから3つの依頼中のベルベットが最初に向かう事を決めたのはゼクソン港に行って物資を破壊するという依頼だった。

「これを持っていって。通行手形よ勿論偽装のねまず見破れる者はいないはずだから持っていって頂戴。」

 

(良かった~また鳩の真似とかこれでしなくて済む~)

 

と私はここを仕切っているお年寄りのお婆さんに渡された通行手形を見て安心してこれからの旅で恥ずかしい思いをしなくても済むことに安堵していた。

少しマギルゥの方を見ると恐らく面白いことが一つ減ったのが嫌だったのかしょぼくれていた。

 

「今日はもう疲れたでしょ?今晩は宿をサービスするわ依頼は明日からになさいな。」

 

 

それから私は外に出て適当に涼んで闇ギルドの中に戻るとロクロウが酒を飲んでおり更に見るとアイゼンとお婆さんが二人で話していたので咄嗟に隠れて話を聴くことにした。

 

「……分かったわ。アイフリード船長の行方ね。船長には借りがあるの。この件に関しては、情報が入ったら無条件で教えるわ。」

 

「頼む。アイツが失踪した現場にはペンデュラムが落ちていた。それにどうやら特等対魔士メルキオルも絡んでるようだ。」

 

それを伝えると酒を持ちロクロウの方に行き一緒に話し始めた。

 

(アイゼンにもやっぱり戦う理由があるんだ…それに比べて私は…ベルベットに言われたとおり何が正義が分からなくなっている…こんなので一緒に居ても良いのかな…)

 

と悩んでいるとー

 

 

「!?誰だ!?」

 

(!?ば、バレた)

 

「は、ハハハ黙って聴いて誰にも言わないつもりだったんだけどな~バレちゃったか。」

 

「ラナか…なら大丈夫だなどうだ?お前も一緒に酒でも飲みながら話そうぜ!」

 

「分かりました。」

 

とロクロウに言われたので二人の間に座り話をすることにした。

 

「なあお前は何でベルベットに付いていく事にしたんだ?」

 

「うん?だから恩返しだよ。アイツには刀の在処を教えてもらった恩があってだなー」

 

「業魔が恩だと?ふ、笑わせるな。」

 

「海賊をやってる聖隷の方が冗談だろ。」

 

 

(な、なんだろ凄くこの場にいたくなくなる空気が流れてる気がする。)

 

と少し雰囲気に流され適当にお酒を飲んで話を聞いていると一触即発な雰囲気が流れ始め逃げようとも考えたのだが最も二人の話を聴いていたいので聞いていた。

 

「まあ、なんにせよ、俺達は理からはみ出したハグレ者だ。こんな理が仕切る世の中じゃ、ハグレ者は、俺みたいに開き直って化け物になるか、さもなきゃー」

 

「俺達のようにハグレ者同士でつるむしかないだろうな。」

 

(…多分私は入っていないと願いたい。)

 

「だろ?なのにベルベットは、一人で世界に牙をむいた。なかなか出来る事じゃない。あいつの;強さ;の正体が何なのか……俺はそれに興味があるんだ。」

 

「つまるところ自分のためか。」

 

「ああそれとラナだな。」

 

「!?私ですか?」

 

「応!お前の;強さ;にも興味がある。」

 

「俺も自分の為に戦っているという点では同じだな。聖寮の理による支配に抵抗するため意志と力のもった仲間が欲しい。だがアイフリード海賊団の馬鹿な流儀に付き合えるのは、同等の馬鹿だけだ。」

 

(もしかして私も馬鹿なのかな?)

 

「ベルベットが聞いたら怒るぞ。」

 

(確かに怒るな…ベルベットなら)

 

「褒めてるんだ。そんな馬鹿は滅多にいない。」

 

「……そうか。お前達の船長も、そういう人間なんだな。」

 

「ああ、アイフリードこそ、立派な馬鹿野郎さ。」

 

そんな会話を続けているうちに眠くなったので二人に別れを告げて私は寝ることにした。

 

 

 

そして次の日私はあろう事か寝遅れてしまい皆はもう居なかった。

 

(マズい!こんな時に寝遅れるなんて最悪!今から行って追い付くかな?)

 

と悩んでいるとギルドのお婆さんに話し掛けられた。

 

「伝言を預かっているわ。『貴方を起きるのは待てないから先に行ってるわ。起きたらすぐに来なさい!』だそうよ。」

 

「!ありがとう!お婆さん!」

 

お婆さんに感謝して私は急いで後を追い掛けた。

 

 

 

(居た!)

 

それから走ってセグソン港まで行くとベルベット達と前にあった対魔士エレノアさんが戦っていた。

 

「やっと来たわね!遅いわよ!」

 

「ごめんベルベット。エレノアさんは私に任せて!ベルベット達は対魔士を。」

 

「ッッ!貴方は何故人間なのに業魔達に加担するのですか?」

 

「決めたんだ私はどっちが正義が分からないけどそれでも私はそれを確かめる為にベルベット達と共に行くってそれが私の決めた道だから。」

 

そうあり得ないモノを見て私が加担するのを信じられないエレノアさんに私ははっきりと言った。

 

「これで止め!!喰い尽くす!」

 

とベルベット達の方を見ると終わっていた。

 

「聖隷なしでまだやる気?」

 

「!?まさか倉庫に火を!?災厄の中で、人々が築きあげたものをどうして……どうして壊せるのですか!」

 

「……人間じゃないからよ」

 

「許しません!業魔!」

 

そう言って手を上に上げるすると光が出てきた。

 

「コイツ、まだ聖隷を!?」

 

と身構えて警戒しているとシルクハットをかぶり頭にリボンが乗っておりコウモリの羽が生えた生物が出てきた。

 

「エレノア様は、僕が守るフよ~!かかってこいでフ~!」

 

「……可愛い」

 

(私もそう思うよライフィセット。でもなんか場違いすぎる。)

 

「そ、そうでフか~?」

 

その姿を確認した皆が警戒を解くとー

 

「見ぃつけだぞぉぉぉ……」

 

「このバットなお声は~!?」

 

と私もその声の方角を見るとー

 

「裏切り者ビエンフー!珍妙にお縄につけ~いっ!」

 

(!?マギルゥ?)

 

「で、出た~」

 

(あ、帰っちゃった。)

 

とマギルゥの姿を確認したビエンフーはエレノアに帰ってしまった。

 

「こ、こら!戦いなさい!」

 

とギャグ的な展開になっていると騒ぎに気付いた人達が火事に気づき始めていた。

 

「火が回る時間は稼いだ。逃げるわよ。」

 

「お前も来い!」

 

「は~な~せ~魔女攫い~!!」

 

 

 

 

とロクロウに担がれて暴れているマギルゥを見ながら逃げるようにこの場から立ち去った。

 

 

 

 

 




本当に申し訳ございませんでした。

言い訳させて貰いますと仕事が忙しかったのと引っ越しで忙しく書く暇がなく大幅に遅れてしまいました。

少し時間が取れそうなのででこれからちょっとずつリハビリをかねて書いていきたいと思いますので宜しくお願いします。


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闇ギルドでの依頼後編

ベルベット達がギルドを出る少し前にてー

 

ラナが助けた少年とアーサーと呼ばれた男性が玉座のある王室で喋っていた。

 

「ねえねえアーサー兄さん!ラナお姉ちゃんに会ったらねやっぱり僕の思った通りの人だったよ!」

 

「……そうか俺はもうその話しかお前から聴いていないと思うのだが気のせいか?」

 

「あ~そんな話をしてたらまた会いたくなってきたな~もう会いに行こうかな~」

 

「少し位我慢しろ。全くお前という奴は「失礼します!」……何ベルベット達がギルドに?」

 

と我慢できなくなり今にも会いに行こうとする彼の元に都合良くベルベット達が決して表向きではないギルドに立ち入ったと言う情報が彼らの元に届けられた。

 

「成る程な恐らくはそのギルドで私の動きを掴んで殺しに来るつもりなんだろうな。面白い!おい!」

 

「は!何でしょうか?アルトリウス様?」

 

「この件は特に何もするなと対魔士達全員に伝えとけ!良いな。」

 

「は!分かりました。ではこれで。」

 

そう言伝を頼まれた対魔士が姿を消すとそれと同時に姿を消していた少年が彼に聞いた。

 

「ねぇアーサー兄さん何で姉さん達に何もしないの?情報を掴んだら絶対に兄さんを殺しに来るのに。」

 

「それだからだよ。ベルベット達がここに私を殺しに来るのを分かっていれば幾らでも対策が練れるし仕掛けられるからな。」

 

「どうでも良いけどさラナお姉ちゃんだけは危害を加えないでよね。」

 

「ふ、分かってるさ。所でこれからお前はどうするんだ。」

 

と聞くと少年は振り返りながらー

 

「ラナお姉ちゃんとまた遊びたいからさアーサー兄さん適当に業魔を放って適当に人を選んでギルドに依頼を送ってよ。後の準備は僕がやるからさ。」

 

と年相応の笑いを見せながら恐ろしいことを言った。

 

「……分かった。良いだろう。だがそのラナって子が一人で来るとは限らないだろ。」

 

「大丈夫だよその点は僕の感じた通りのラナお姉ちゃんだったら必ず一人で来る…僕には何となく分かるんだ。」

 

「……そうか。分かった。手配しておこう。」

 

「ありがとう!アーサー兄さん!」

 

と言うと少年はドアを勢い良く開けて、準備をしに出掛けた。

 

「ふふふ、待っててね!ラナお姉ちゃん!」

 

狂気とも言える笑みを浮かべながらー

 

 

 

そして現在、私達は、なんとか追っ手を振り切り港を外に出て一息ついていた。

 

「ふう……なんとか逃げ切れたな。」

 

「よよよ……無念じゃよ~せっかくアイツを追い詰めたのに。」

 

「マギルゥ。暑苦しいから離れてくれる?」

 

「まあ、居場所が分かったからよしとするかの♪」

 

 

といつの間にかロクロウに降ろされ私に抱きつきながら悔しがっているマギルゥを離れるように言うと軽く無視されたがすぐに離れて笑顔で考えを切り替えていた。

 

と今まで黙っていたベルベットがあのビエンフーとかいう聖隷を捜していたのかと聞くとマギルゥは自分の乙女心を傷つけた憎さあまって可愛さ全開のノルミンと言う種族らしい。そして悪い笑みを浮かべながらー

 

「ふふふ、捕まえたらどうしてくれようか~」

 

と捕まえた後の事を考え笑いながら歩き始めた。

 

それを見たロクロウとライフィセットは分からないとは言っていたがベルベットが分からなくて良いからと言うと話題が終わった。

 

「さてとローグレスに戻って報告に行くわよ。」

 

とベルベットが言うとおり寄り道をせずに来た道を戻りローグレスに戻った。

 

 

ローグレスの門をくぐりローグレスに入るとアイゼンがエレノアについて何かあったのかと聞いてきた。

 

「エレノアという対魔士と何か因縁があるのか?」

 

「ノースガンドで初めて会った時にアイツが泣いていたのをベルベットが茶化したんだー涙目対魔士ってな。」

 

「対魔士が何故泣く?」

 

「;全;を守るためには;個;の犠牲も良しとするアルトリウスの;理;に後ろめたさを感じたんでしょ。甘ちゃんなのよ。」

 

「…それであれだけやれるのか。一等対魔士の肩書は伊達じゃないようだな。」

 

 

「……?」

 

「油断はするな、という話だ。」

 

そして少し歩くとロクロウがアイゼンにビエンフーは本当に聖隷なのかと聞くとどうやらアイゼンとは違う種類らしい。ならば対マギルゥは対魔士なのかと聞くとベルベットが監獄塔に捕まっていたことを考えると聖寮から弾き出されたかと推測するとどうやらアイゼンがマギルゥがただのペテン師かと言った後聖隷さえいれば奇術ごっこ位は出来ることを話していた。

 

(そうなんだ。)

 

「そして王都に来て分かった。聖寮ーそして導師アルトリウスは、思っていた以上に支配力を増しているな。」

 

「王国そのものって感じだな。何より民主の支持が圧倒的だ。」

 

(確かに王都に来てからアルトリウスの話を聞くたびに神様のように崇められてるのかと思う。)

 

「人類の救世主、導師様か。」

 

「更に気になるのが、アルトリウスが『聖主カノヌシの加護をもたらす』と言っていたことだ。」

 

「聖主……教会が祀ってる神様よね?演説でも言っていたけど、本当にそんな力どうにか出来るの?」

 

「分からん。俺達聖隷にとっても聖主は、話しか聞いたことのない伝説上の存在だ。しかも演説では;五番目の聖主カノヌシ;と言っていた。聖主は、地水火風を司る四柱のはずなんだが……」

 

「いいわ。アルトリウスの言葉にとらわれる過ぎると奴の術中にはまる危険がある。アイツは聖人なんかじゃない。目的の為ならどんなことだってする男よ。神様をどうこうできる訳はないわ。」

 

「奴らを甘く見るなよ。」

 

「甘くなんて見ていない。だから闇ギルドの力を借りて追い詰めるのよ……アイツを確実に殺す為にね。」

 

それから少し歩き私達は闇ギルドに戻り港での事を報告した。

 

「港では一騒動あったようね?けど、目的を果たせたなら問題ないわ。」

 

そして次の依頼のメンディという学者を捜しに行こうとすると闇ギルドのドアが勢い良く開けられ中に男性が入ってきた。

 

「どうしたのですか?」

 

「そ、それが町外れで子供達が業魔に襲われてるんだ!」

 

とお婆さんが聞くとその男は息を切らせながら伝えた。

 

「それはマズいわね…アンタ達はメンディを捜しなさい。こっちは何とかするわ。」

 

「いや私が行きます……ベルベット良いよね?」

 

そう聞くとベルベットは、「…勝手にすれば」と言いメンディを捜す為の準備に取りかかった。

 

「おい!待っているつもりはないが早く終わらせてこいよ……それと死ぬなよ。」

 

「アイゼン……ありがとう!行ってきます!」

 

とアイゼンに感謝して私は子供達を助けに闇ギルドを飛び出して町外れに急いで向かった。

 

 

(確か情報にあった通りならこの辺に……)「!居た!」

 

そして町外れに向かうと狼の業魔と龍の業魔に今にも襲われそうな子供達がいた。

 

「もう大丈夫!ここは私が何とかするから逃げて!」

 

と私が業魔にガンブレードで射撃しながら隙を作り子供達を逃がしていった。

 

「ありがとうお姉ちゃん!」

 

(ん?この声確か前にも……)「!?危ない!!」

 

「きゃあ!」

 

と助けた子供達の中に聴いたことのある声がして少し思考してると女の子とが狼の業魔に咬まれそうになっており咄嗟に飛び出して女の子を庇ったのだが腕を咬まれてしまった。

 

「大丈夫?」

 

「でもお姉ちゃん……腕が!?」

 

「心配しないで!早くこの場を離れて!」

 

と強く言うと女の子は一度振り向きこの場を離れていった。

 

(さあてと…どうするかな?)

 

「決めた!来い!アポカリプス!」

 

少し考えこの状況で一番適している四つの花びらがついたレイピア、アポカリプスを呼び出した。

 

「まずはこれ!喰らえ!流桜!」

 

アポカリプスを標準を付けないでやたらめったら振りまくるーすると振った先から桜の花びらが出て私の周りに留まった。

 

「まだまだ!!次はこれ!水龍!」

 

アポカリプスの四枚の花びらを軽く触れるーするとアポカリプスの切っ先がから水が溢れ地面に刺すーすると水の龍が狼の業魔に向かい下半身を喰らうもすぐ再生した。

 

「次はこれだ!グランドグラビディ!」

 

更に狼の業魔の攻撃を躱しながら違うアポカリプスの花びらに触れるすると岩や石が浮くアポカリプスの剣先を龍の業魔に向けると一斉に射出された。

 

「グァウウ!!」

 

(よし!効いてる!)

 

「これで最期だ!!豪炎業風!!!」

 

最期にアポカリプスの押していない最期の花びらの二つに触れアポカリプスを振り回すーと風が吹き荒れ竜巻となり地面が裂け炎が溢れ混ざり合うー混ざり合った竜巻を一気に、二体の業魔にぶつけると跡形もなく消滅した。

 

 

「フゥ~終わった。」

 

と一息突くと後ろから近づいてくる人影が見えた。

 

私が振り向くと光に包まれそこに居たのはあの時会ったベルベットに似た子だったー

 

「また会ったね!ラナお姉ちゃん!」

 

「君は……あの時の」

 

「そ、僕だよ!」

 

「もしかして…さっきの子供達の中にさ君もいたの?」

 

と聞くと少年は笑って私に言ったー

 

「うん!居たよ!」

 

「…怖くなかったの?」

 

「ラナお姉ちゃんが助けに来るのが何となく分かったから怖くなかったよ!」

 

「そうなんだ。でも私だって何時でも来れるって訳じゃないんだよ。」

 

「分かってるよ!」

 

「所でここは何処なの?見た所普通じゃないんだけど…」

 

と少年にに聞くと少年は笑顔でー

 

「ここ?ここはね時間の流れの違う空間だよ。僕が作ってラナお姉ちゃんを連れてきたんだ。」

 

と信じられない事を言った。

 

「ごめんねどうしてもラナお姉ちゃんと二人きりで喋りたくてさ!怒らないでね。」

 

「そんな事が出来るなんて君は一体何者なの?」

 

「ん?ん~神様?」

 

(え!?か、神様!?)「じ、冗談だよね!」

 

と焦って聞くと少年は少し肩で笑って「冗談だよ!」と言った。

 

「な、なんだ冗談か……ビックリしたよ。」

 

(でも普通の人間じゃないよね……もしかして聖隷?かな?)

 

と考えていると少年に顔を覗かれていた。

 

「ねぇ大丈夫?ラナお姉ちゃん?」

 

「大丈夫だよ。」

 

それから私達は下らない話で盛り上がり時間があっという間に過ぎていった。

 

「さぁてとそろそろ行かないと……ここ出してもらって良いかな?」

 

「もう行っちゃうの?」

 

帰ろうとするとしょぼくれてしまった。

 

「じゃあ約束しよう?」

 

「約束?」

 

「うん!また君と会って困っていたら絶対に私が助けてあげる!」

 

「……本当に?」

 

「うん!約束だよ!」

 

「うん!」

 

と約束の証に握手すると私の体が光に包まれ始めた。

 

(あ!そうだ名前聞いてなかった。)

 

「ねえ名前を教えて貰って良いかな?」

 

「良いよ!僕はライフィセット!ラフィーって呼んで!」

 

 

(!?ライフィセット!?)「もしかして君は!?」

 

 

と聴こうとすると同時に元の場所に戻ってきた。 

 

 

「もしかして彼はベルベットの……今は考えてるよりもギルドに戻らなきゃ!」

 

と急いでギルドに戻ることにした。

 

 

「ハァハァまだ皆居たんだ!」

 

ギルドに戻るとベルベット達が皆居たので間に合ったと思っていたがー

 

「ラナ!無事だったんだ!一日半位行方が分からなかったから心配だったんだよ!」

 

ライフィセットの一言で自分が一日半彼……ラフィと喋っていた事を知った。

 

 

 

 

それと同時期ー王都にてー

 

「ねぇアーサー兄さん!ラナお姉ちゃん来てくれたよ!」

 

「…そうか良かったな。」

 

「後ね僕が思った通りの;力;も持っていたよ!」

 

「成る程なシアリーズの……その話は後だな。とりあえずお前は休め。恐らくだが空間を弄って無理して彼女と喋ったんだろ?」

 

「うん!凄く疲れたから休むね!」

 

と言うとライフィセットは闇に消えていった。

 

 

 

 




次回も早く投稿できたら良いな~(願望)


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ローグレス離宮への潜入前編

 

(あれからそんなに時間が経っているの!?そうだ依頼がどうなったか、聴かないと。)「ねぇベルベット次は何処に向かうの?」

 

とライフィセットの言葉に時間がかなり経っている事に驚いたもののそれよりも次の目的を聴く方が重要だと思いベルベットに聴いた所どうやら依頼は全て終わっておりアルトリウスの居場所もダーナ街道の北にある聖寮の新神殿『聖主の御座』という所に籠もる予定ということが分かったらしい。どうやら聖主カノヌシの遷座儀式というモノを行ってるらしく厳粛の儀式故につくのはメルキオル達数人の高位対魔士だけらしい。

 

ただ御座の手前には厳重な検問が敷かれているらしくそれを破るのは無理らしくそれを通る為の;鍵;を見つけるために闇ギルドの仲間が鍵について調べているという情報を教えてくれたのだがその件は別会計でその代金の為にミッドガンドの;教会大司祭ギデオン;と言う人物の暗殺を頼まれた所に私が帰ってきたらしい。

 

「でもさベルベット、大司祭を殺す理由はあるんでしょ?」

 

と聞くとどうやら;赤聖水;という麻薬に近い中毒性のある薬をばらまいておりそれの影響で彼らにも被害が出ておりその為に排除しろという内容だった。

 

(成る程それは確かに排除しないと危険かもね。)

 

とベルベットの話を整理しているとー

 

「……貴方も合格よ。」

 

と闇ギルドの元締めであるお婆さんが言った。

 

「合格?」

 

とお婆さんに聞くと申し訳無さそうな顔をしながら謝られた。

 

「御免なさいね貴方を試すような真似をして、でも咄嗟に依頼とは関係ない子供達の事を聞いて飛び出して行くような子は剣を振り回すだけの人ではない……それが私、ダバサ・バスカウィルがいえ、私達;血翅蝶;が貴方を信じて合格を渡す理由よ。」

 

「ありがとう!タバサさん!」

 

「とりあえず貴方にも記章を渡すわ。これを;血翅蝶;のスカーフを付けている仲間に見せれば手を貸してくれるわ。」

 

「うん!分かった!何から何までありがとう!タバサさん。」

 

そう言ってタバサさんは記章を受け取り礼を改めて言うと大司祭が一人になる夜まで街で準備をして闇ギルドで休むことにした。

 

 

 

(ここは!?)

 

 

眼が覚めるとそこには業魔の腕で何かを食べているベルベットの姿があった。

 

「もっと……もっと……もっと!」

 

と譫言のように言葉を繰り返し何かを食べ続けるベルベットだがー

 

「!?うぁぁぁああっ!!」

 

その食べていた物いや者の正体に気付いて後退りした。

 

(あれは!?ラフィと……私!?)

 

そう地面に転がり食べられていたのは恐らくベルベットの弟であるライフィセットと……私だった。

 

「違うの……!そんなつもりじゃなかった!けど、お腹が空いて……お腹が空いて……」

 

(…ベルベットもしかしたら今までずっと誰かを食べたいというのを我慢してきたのかな……)

 

と私が思っていると私の横に髪を結びシアリーズに似た聖寮の服を着た男が立っていた。

 

(……彼がアルトリウス。)

 

「病で消えゆく弟の命で、姉が長らえるなら、その行為には;理;がある。我慢しなくていいんだ、ベルベット。」

 

とベルベットに優しい言葉を掛けて笑顔でライフィセットと私を食べるように言った。

 

「い……や……嫌だあぁぁぁぁっ!!」

 

とベルベットが頭を抱え絶叫したのと同時に私の意識が現実に引き戻された。

 

「ッッッ!!ハァハァ!……今のがアルトリウス。」

 

と眼が覚めたのと同時にベルベットも勢い良く跳ね起きた。そしてー

 

「ああああ~~っっっ!!聞くもんかっ!お前の言うことなんかっ!」

 

「あ……あ……」

 

「ッ!ライフィセット!!」

 

ライフィセットの首を絞めた。

 

「落ち着いて!ベルベット!ライフィセットが死んじゃう!」

 

「!!」

 

と私の声を聞くと驚きながら首を絞めていた手を離した。

 

「あんた……どうして……?」

 

「ベルベットが……うなされてた……から……」

 

と言うライフィセットに何故だか私にはラフィが重なって見えた。

 

「気安く近寄るな!あたしが業魔って分かってるでしょ!」

 

「ごめんなさ……い……」

 

と強くベルベットは言うとライフィセットが泣きながら謝り出て行ってしまった。

 

「くそっ……!」

 

(こんな時なんて言葉を掛ければいいんだろう?私には分からないよ……)

 

と言葉を出そうと考えているとー

 

「寝ても覚めても悪夢の続きー;モノ;は石をぶつけると壊れるが、気持ちをぶつけると;イキモノ;になる。扱うにも捨てるにも;モノ;の方が楽じゃぞ?」

 

といつの間にかいたマギルゥが此方を振り返りながら言った。

 

「何が言いたい?」

 

「休憩はお終いという事じゃよ。お出掛けの時間じゃ♪」

 

(…マギルゥ私は今一番マギルゥの事が分からないよ……でもマギルゥの事を理解できないからこそマギルゥがどういう人間なのか知りたいな。)

 

とマギルゥの事を不安視しながらも私は最と知りたいと思いながら街の外に出た。

 

 

「………」

 

やっぱりライフィセットはベルベットの事が怖いのかベルベットを見ると私の背中に隠れてしまった。

 

「…………」

 

ベルベットもベルベットで一瞬だけ此方を見たが直ぐに目を逸らしてしまった。

 

「むふふ、間に合って良かったわい。」

 

「あんたも来る気?」

 

「お主らとおれば、ビエンフーを使う女対魔士が現れるぞよ~とマギルゥ占いに出たのでな。」

 

「当たるのか、それ?」

 

「儂は昔、王城に入ったことがある。一緒だと便利かもじゃぞ?」

 

「邪魔したら捨てていくわよ。」

 

「敵の本拠地だ。警備は堅いぞ。」

 

「けど、闇はあるはず。赤いスカーフを付けた兵士を捜すわよ。」

 

 

それから私達は地下道の近くにいる;血翅蝶;のスカーフを付けた兵士を見つけて手形を見せ地下道に入り王城の離宮へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




来週は仕事が忙しくもしかしたら更新頻度が下がるかもしれませんですが投稿は辞めるつもりはないので次回の更新をお楽しみに!


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ローグレス離宮への潜入後編

それから私達は業魔を倒しながら地下通路の中を歩いて進んでいたー

 

(この場所少し暗い…今は正面からしか来ていないけど敵に襲われたら奇襲を受けるかもしれない…それだけは避けないと…)

 

と思い歩いているとー

 

「あ!?」

 

(!?ライフィセット!?)

 

ライフィセットにぶつかってしまいライフィセットが体制を崩して転んでしまう所を間一髪でベルベットに支えられ転ばずに済んだ。

 

「……あ……」

 

だが起きた時の事もあってかベルベットはライフィセットに何も言わずに前に進んでしまった。そんなライフィセットにマギルゥがニヤニヤしながら近づいてー

 

「気をつけい、坊。水の中には巨大鰐がおるのでのー」

 

 

と近くの水辺を見て更に怖がることを言った。

 

「ワニ……?」

 

「ちょっとマギルゥ!!余りライフィセットを怖がらせないでよね!」

 

と私がマギルゥに言うとライフィセットは「大丈夫だよ!ラナ!」と私が心配しているのを気遣ってかそう言いそれを聴いた私は安心した。

 

「大丈夫だライフィセット鰐の好物は魔女だ。」

 

「!!」

 

「さぁ行くぞ。マギルゥ以外は足下注意でな。」

 

「暗殺に向かう雰囲気じゃないわね。」

 

(……確かにこれに関してはベルベットの言うとおりだな。)

 

と腕を組みながら呟いたベルベットの言葉を聞き心の中で同意した。

 

 

それから私達が王都の地下道を通っていると話は;血翅蝶;の話になっていた。

 

「こんな道を知っているなんて、やっぱり;血翅蝶;て凄いんだね。」

 

「その情報を活かすための仲間が城の中にまでいるんだから、大したもんだ。」

 

「王国全土に支部を置き、犬や猫さえも情報集めに使うノウハウを持っているという話だ。」

 

「儂も聞いたことがある。連中は仲間の死体すら無駄にはせんとな。」

 

(…まさかマギルゥライフィセットをまた怖がらせるんじゃ…)

 

「仲間の死体……!?」

 

「その昔、城に忍び込んだ;血翅蝶;の男が警備兵に追われ、この地下道に逃げ込んだそうじゃ。男は水に潜って追手をやり過ごそうとしたが……バ~クバクバク~ッ!」

 

「!!」

 

(やっぱりそうだった!!)

 

と私が思った通りマギルゥは、鰐の真似をしてライフィセットを脅かした。

 

「程なくして鰐に喰われた男の腕だけがお堀に流れ着いた。それを見て、;血翅蝶;の連中は二つの情報を得たという。」

 

「二つ……?」

 

「一つは人が通れる地下道の存在。もう一つは……鰐料理がこの街でも作れる事。鰐の肉は人の血で揉むと柔らかくジューシーになり、マーボーカレーには最高に合うそうじゃて。」

 

「……僕が食べたのは!!」

 

(もう我慢が出来ない!マギルゥを止めないと!)

 

とこれ以上あること無いことをマギルゥに言わせる前に止めようとするとー

 

「へぇ、そんなに美味しいんなら、試してみようかしら。嘘しか言わない魔女の血で。」

 

顔は笑っているが眼が笑ってないベルベットがマギルゥの後ろに立っていた。

 

「俺も食ってみたいな。」

 

「戦力ダウンにはならん。」

 

と黙って聴いていたロクロウとアイゼンが笑いながらマジなのか分からない冗談をマギルゥに言った。

 

「……坊の緊張を解く為の可愛いジョークじゃて。」

 

「ウソ……なんだよね?」

 

「鰐というのは真っ赤な嘘じゃがのう、坊が食うたマーボーカレーには人食いナマズのー」

 

とまた反省せずにジョークを言おうとしたマギルゥの脇腹にー

 

「………」

 

ベルベットの鋭い肘が深く入りマギルゥはドポンと言う音を地下道に響かせて水の中に落ちていった。

 

「行くわよ。」

 

「うん。」

 

「こら~ッ!この魔女殺し~ッッ!!」

 

 

と今マギルゥを仕方なく引き上げて私達は地下道の道を次々と進んでいった。

 

 

「業魔から市民を守る為の城塞都市じゃというに王家の足下に業魔がおるとは、聖寮の怠慢じゃ!」

 

と進んでいた私達だがマギルゥの言った事を聞き流せずに脚を止めた。

 

「確かに、聖寮にしては脇の甘い警備だよな。巨大な防壁で街を囲って、その内を守るって言うのが、王国と聖寮の対業魔政策だもんな。」

 

(そんな政策があるんだ。)

 

「壁の内側で発生した業魔にとって、外に逃げるのは容易じゃないとも言える。」

 

「王宮は広いし、建物も大きいから、隠れる場所も沢山ある。取水口を通り抜けるのは業魔にとって難しい事じゃないよね。」

 

「その位の事は、聖寮も分かっておろう。むしろ、誘い込んで一網打尽にすればよかろう。」

 

「業魔の存在に気づきながら放置してる?でも、そんな理由なんて……」

 

「さぱらんのぉー」

 

 

それから更に私達は道に迷ったりもしたが無事マギルゥ占いのお陰(?)で梯子を登り進んでいくと図書室に出た。

 

「図書室……?こんな所に出るなんて。」

 

「わぁ……!」

 

とベルベットが図書室に出たことを驚いている横でライフィセットが目を輝かせお宝の山を見るように図書室を見ていた。

 

「ほほう、流石は王城の書庫じゃ。珍本が揃っておるのう。」

 

とマギルゥが本を触ると本棚が横にずれて別の本棚が出てきた。

 

「古代語の本!」

 

「読めるのか?」

 

「ううん。でも僕……」

 

「暗殺には必要ないものね。」

 

とベルベットが言い皆がベルベットの方へ振り返るもベルベットは無言で本棚に近寄り一つだけ色が違うボロボロの本を持ちー

 

「え……?」

 

ライフィセットに渡した。

 

「欲しいなら持っていけばいい。いい子ぶっても仕方ないわよ。業魔に協力してるんだから。」

 

「お前なぁ……もうちょっと素直に優しく出来ないのか?」

 

(確かに素直になったら良いのに。)

 

「人を殺しに来てるのに?無茶言わないで。」

 

と言いベルベットは、図書室の出口を探しに行った。

 

「そんなボロでいいのか?もっと高そうな本もあるぞ?」

 

とライフィセットにマギルゥが言うとライフィセットは頭を振ってこれがいいことをマギルゥに伝えてベルベットの後を追った。

 

(良かったね…ライフィセット。)

 

とライフィセットの気持ちを何となくだけど感じた私はそう思い続いて付いていった。

 

そして図書室を出ると道が二つに分かれていた。

 

 

「さて、マギルゥ。礼拝堂はどっち?」

 

とベルベットが道をマギルゥに聞くとマギルゥは惚けた感じでどっちか分からないというジェスチャーをした。

 

「ちょっとマギルゥ!ちゃんと教えなさい!」

 

「儂は王城に入ったとは言ったが詳しいとは言っておらん。」

 

「あたしは言ったわよ。邪魔をしたら捨ててくって」

 

「まずはゴミ箱を探さんとの~」

 

「……当てにしたあたしが馬鹿だった。」

 

「そうそう肩の力を抜け。さすれば道はおのずと見えてくるモノじゃ♪」

 

 

というやり取りを繰り返し何とかマギルゥに道を聞かせてもらったりして私達はギデオンの元へたどり着いた。

 

 

「あんたがギデオン?」

 

とベルベットが祈りをしている人物に聞くと私達の方を向き祈りを邪魔されたのを怒っているのか怒りながら何者なのかと聞いてきた。

 

「先に聞いたのはこっちよ。」

 

「無礼な。だが、業魔ならば当然か。」

 

「!!」

 

とベルベットが驚いているとー

 

「そこまでです!!」

 

とさっきまでは居なかったはずのエレノアさんが対魔士を数人連れて此方を睨んでいた。

 

「待ち伏せか。」

 

「これも死神の力か?それともあの婆さんに売られたかな?」

 

「調べたのね?;赤聖水;の元締めが大司祭だって。」

 

「そう。貴方達が起こした事件の関連を洗って、ギデオン大司祭の元へいきつきました。」

 

「知った上で守るの?」

 

とベルベットが聞くとエレノアさんはー

 

「……処罰は聖寮が厳正に下します。」

 

と言った。のだがギデオン大司祭は納得が出来ずに自らがどれ程便宜を図ったか分かっているのかと言うとー

 

「ベルベットとラナや、そやつをどちらかが追い詰めてくれたら、良いことが起こるかもじゃぞー」

 

とマギルゥは私達に言い離れていった。

 

「外野は黙ってなさい。」

 

と言うと同時にどちらがギデオン大司祭を連れて行くかこの場で殺すか決める戦いが始まった。

 

 

始まったと同時にベルベットは対魔士に一気に近づきー

 

「双幻脚!!崩牙襲!!喰らい尽くす!!トドメ!!アンヴィバレンツ!!うぁぁぁぁ!!」

 

 

対魔士を初段で蹴り上げ左に蹴り落とし更に空中から地面への急襲で蹴り着地と同時に続け様に足払いで浮いた所を業魔の腕で捕食し勢いよく業魔の腕で三回切り裂き爪形の衝撃波を飛ばし数人の対魔士を吹き飛ばし倒した。

 

「くっ!そ、そんな不意打ちに近いとはいえこれだけの人数がたった一人に!!」

 

とエレノアさんが驚いているのを見てベルベットが後ろに引くとー

 

「風迅剣!!鎧通し!!これで最期だ!!緋閃!!」

 

近くに居たはずのロクロウが一気に間合いを詰め鋭い突きで対魔士を斬りつけ続けて対魔士の鎧に短剣を触れさせそこに短剣を重ね衝撃を飛ばし鎧を砕きふきとばした。衝撃で倒れ起き上がろうとしている対魔士に一気に踏み込みながら切り裂くと対魔士は消えていった。

 

「ま、こんなもんだろ。」

 

「業魔共め!!対魔士を舐めるなよ!!」

 

と怒り狂いロクロウとベルベットに対魔士達が襲いかかろうとするがー

 

 

「白黒混ざれ!!シェイドブライト!重圧砕け!ジルクラッカー!!これで終わり!!奮起(ふんき)!!」

 

と横からライフィセットが光と闇の弾を交わらせながら飛ばし対魔士が吹き飛び光になって消える。それを確認して別の対魔士に腕を向けると向けられた対魔士の地面から地割れが起こり対魔士達が地面に叩きつけられる。恐らく重力を弄られ動けなくなっている対魔士達にライフィセットが力を込めたであろう紙葉を対魔士達の上に放り投げゆっくり落ち、対魔士達の身体に紙葉が触れた瞬間大爆発が置き、それが収まると対魔士達は消えていた。

 

「ふっ!やるな!!ライフィセット!!此方も負けてられん!!」

 

ライフィセットを見て熱くなったのかアイゼンが残りの対魔士に突っ込んでいくー

 

 

「処断(クライム)!!拍子(ダンディスト)!!消えちまいな!!冬木立(クラスター)!!」

 

アイゼンが近づきながら拳を正面に手刀をスナップさせながら繰り出すと、真空破が生まれ対魔士に向かう。それに合わせてアイゼンが距離を更に詰め相手の近くで腰を落とし、空振りの正拳突きを放つとそこに圧縮された空気が生まれて相手に打ち出された。それをくらった対魔士は吹き飛びはしなかったが体制が崩れた。体制が崩れた対魔士をアイゼンは見逃さず大きくスウェイすると拳に冷気が出て、その拳を固め、そのままフックで殴り抜ける。そして最初に放った真空破が対魔士を飲み込み真空破が収まると対魔士は消えていた。

 

(……私の出番無かったな。)

 

と出番の無さに一人、不敵されてるとー

 

「エレノア様!!」

 

と増援が前と後ろに現れて挟み撃ちの形となってしまった。

 

「ちぃっ、増援か。」

 

とロクロウが言いながらアイゼンと突撃するが対魔士が火球を用意しており二人向かいに放たれ二人が煙に包まれて見えなくなってしまったー

 

(ッッ!!二人とも!!)

 

対魔士が放った火球が当たってやられたのではないかと思った私の横に対魔士が放った火球を間一髪で避けながら此方に戻った二人がいた。

 

「良かった!二人共!!」

 

「飛び道具は向こうの方が上か!」

 

「頭を潰せ!」

 

とアイゼンが此方を見て言うのを聞いたベルベットと私はー

 

「分かってる!!」

 

(私も一緒に!!)

 

エレノアさんに向かい私はガンブレードをベルベットは業魔の腕を出しエレノアさんを倒すために脇目も触れずに向かっていった。

 

「くっ!!」

 

「エレノア様を虐めるなでフ~!」

 

「「邪魔!!」」

 

「ビエ~~……!?」

 

途中に出てきたビエンフーを私はガンブレードでベルベットは業魔の爪で斬りつけ吹き飛ばした。

 

そして吹き飛んだビエンフーはー

 

「ワァ~!!」

 

「会いたかったぞ~ビエンフー♪よくも儂から逃げてくれたのう。」

 

とライフィセットに受け止められ無事を得たと思った束の間その後ろには彼(?)にとっての悪魔がいた。

 

「マ、マ、マギルゥ姐さん~!?」

 

「元鞘に戻って貰うぞ。七つ目の森に生まれし一族よ。今、再び契りを交わし我が悶々たる祈念、混沌を極めし一滴とならん。覚えよ、汝に与える;真名を!『フューシィ=カス』。」

 

「ビエ~ン!そ~バット!」

 

と驚いた彼(?)を掴み契約の魔法(?)を唱えるとビエンフーは魔方陣に触れた瞬間光となり消えてしまった。

 

「ふっふっふ……みなぎってきた~!」

 

「この力は対魔士!?」

 

「ちが~う儂こそは乾坤宇天を玩具にし、鬼をもおちょくる大魔法使いー」

 

と言いながらマギルゥは回転しながら腕から水を出し後ろにいた対魔士を複数倒してー

 

「あ、マギルゥ姐さんと覚えておけ~い!!」

 

歌舞伎の見栄のように名乗り上げた。

 

「人のみで業魔に味方するとは……恥を知りなさい!!」

 

「じゃそうじゃよ~ラナよ~お主も人じゃからの~」

 

と黙ってエレノアさんの言葉を聴いていたマギルゥは、私に向けて言った。

 

「私はそのもう弁解できないから手遅れかもしれないかな。」

 

「そうじゃな~ベルベットと共にもう色々と悪いこともしてるしの~」

 

「そんな私達がそういう関係みたいに言わないでよ!!」

 

「ん~そうじゃないのかぇ~♪お前達~。」

 

と今度は私をからかい始めたマギルゥを止めるとベルベットが此方に向けてー

 

「黙ってなさい!!次が来るわよ!!」

 

と叫ぶのを聞き振り返ると対魔士が槍や剣を向けて此方に向かってきていた。

 

(どうしよう!?)

 

と私が悩んでいるとマギルゥが此方に近づいてきて耳打ちしてきたー

 

(お主、火の魔法を出せ出来れば強い奴をな~)

 

(……分かった信じてるからねマギルゥ!)

 

とマギルゥの言葉に乗り私はエウメニデスを出してマギルゥの言うとおりー

 

「行くよ!龍狼!!」

 

とエウメデスを上に上げて地面を叩くとラフィを助けた時と同じように火で造られた龍と狼が出てきた。

 

「!?龍と狼!?対魔士でもないのになんて火力なの!?」

 

と驚いているエレノアさんを見てマギルゥはー

 

「もう一つオマケじゃよ♪」

 

と言い両腕を振るうと龍には雷が狼には風が纏わられた。

 

「「風を纏いし狼よ!!雷を纏いし龍よ!!我が敵を討てィ!!雷龍風狼!!」」

 

とマギルゥに合わせて対魔士達に手を振りかざすと雷を纏った龍が対魔士達に纏わり付き体で絞めると雷が流そこに狼が上から入ると巨大な雷を纏った炎の竜巻が吹き荒れ対魔士達を消し去った。

 

「そ、そんな!?ぐぅぅえ!!」

 

(ベルベット!?)

 

と全てが終わって近くを見るとそこには女性など関係ないと言わんばかりの容赦のない腹パンをベルベットがエレノアさんにかましてエレノアさんが女性の声とは思えない声を上げて倒れ込むところが眼に映った。

 

「ま、待ってくれ!全て聖寮の為にやったことなのだ。神殿建立の費用が要ると言われて、それで赤聖水を……勝手に製造量を増やしたのは悪かった!だが、それもワシなりの救済のつもりだった。話し合おう。誰に頼まれた?被害者か?医者共か?それともー」

 

 

とベルベットにギデオン大司祭は後ろに下がりながら自分は救済の為にやり話し合うことを言うがー

 

「まさかアルトリウスか!!」

 

「!!」

 

「やはりそうか!!アルトリウスめ!!私を消して闇に葬り去るつもりか!!おのれ……!私がどれ程援助してやったと……」

 

「……いかん!」

 

と予想外の名前を聞いたベルベットが驚きで止まったのをアルトリウスが命令したのだと勘違いした大司祭は闇を放ちながら業魔に変わった。

 

「ベルベット!!」

 

「救世主面の若造がぁぁ~~ッ!」

 

とベルベットを心配し近づいてきたライフィセットを斬りつけようとするもー

 

「ぐッッ!!」

 

(ベルベット!!)

 

「消されてたまるかっ!!」

 

と言うと扉から外に出て逃げ出した。

 

「くっ……ぼさっとしないで。死んだら本は読めないわよ。」 

 

「ベルベット……こそ…」

 

と言い回復してあげていた所をマギルゥが追わないと逃げられると言うと直ぐに追い掛けることにした。

 

 

「グギャアア!!」

 

「コイツは何?」

 

追い掛けてきた私達が見たの結界を張られて出れなくなっている色々な動物が合成された見た目の業魔とその業魔に喰われている大司祭だった。

 

(コイツは今の疲れている私達にはキツいかも……)

 

とどうするべきか悩んでいるとー

 

「業魔が……人に戻った……!?それにこの業魔は!」

 

といつの間にか私達の後ろにエレノアさんがいて信じられないモノを見るような目で業魔と亡くなっている大司祭を見ていた。

 

「聖寮がこの業魔を捕まえてるって事か!」

 

「この結界……前にも何処かで……」

 

「何はともあれ依頼は果たせたの。結果的にじゃが。」

 

「……そうね。報告に戻るわよ。」

 

と私達が戻ろうとするとー

 

「大司祭に何を……!?それにこの業魔は一体……!?」

 

この状況に混乱しながらも此方に槍を向けるとエレノアさんが居た。

 

「知らないし興味も無い。」

 

「巫山戯るな!!」

 

とベルベットが無関心に言うとエレノアは感情的な声で返したのだがベルベットは対魔士の力が無い状態では私には勝てないと言い私達は出てこうとしたのだがー

 

「何で貴方はこんな業魔なんかと付いていくんですか!?私には貴方の考えていることが分かりません!!貴方は前に会った時にどっちが正義か分からないから見極めるために業魔の傍に居るとこれを見てもそう言えるんですか!?」

 

と私の存在を否定するような怒りが込められた言葉を私に投げかけた。

 

「今日私は、聖寮の所にはこんな業魔を管理している所を見てアルトリウスも、もしかしたらエレノアさん達がの思う絶対的正義では無いと思ったんだ。だからエレノアさんも自分でアルトリウスの言うその正義が正しいか確認してみたらどうかな。」

 

と私がエレノアさんに言うと先に行ったはずのベルベットが私の言葉に続いて口を開いた。

 

「ラナの言うとおりだわ。アンタはアルトリウスのやった事を何も知らないだからこそアルトリウスの言う正義は正しいと思ってる……そんなのは正義とは呼ばないわ本当の正義って言うのは自分が覚悟して例え否定されようがそれを一生背負うモノの事を言うのよ……私みたいにね。それにどっちか正義か見極めるために私達と居るラナの方が疑問を抱き始めてるアンタよりは自分の正義を貫いてると思うわよ。」

 

「!?わ、私は!!……」

 

(……ベルベット)

 

 

「さぁ行くわよ!ラナ。」

 

 

「……うん。」

 

 

と言い私は何も言えないでいたエレノアさんを尻目にベルベットと一緒に行き出口に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はまた近い内に投稿します


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聖主の御座へ前編

次回は今週中に投稿しなきゃ!!(使命感)


それから私とベルベットは離宮を道を辿り入り口まで戻ると先に外に出ていた皆が待っていた。

 

「やっと来たかラナ、それとベルベット!それにしても中々盛り沢山な夜だったな。」

 

「気を抜くな。まだ夜は終わっていないぞ。」

 

それから私達は警戒しながら;血翅蝶;に戻っているとロクロウがどうやって聖隷を奪ったのかマギルゥに聞くとマギルゥはビエンフーを掴みながらー

 

「元々ビエンフーは、儂の聖隷なのじゃ。それを裏切って家出しよってからに」

 

「うう……マギルゥ姉さんの聖隷遣いのバッドさに耐えかねたんでフ…… 」

 

(それは分かる気がする……)

 

「流離っていた所をエレノア様に拾われたんでフ……エレノア様は優しかったんでフよ〜……」

 

「そうかそうか。今の発言を含めて、どうお仕置きしてくれようかのう〜♪」

 

とマギルゥは言いながらもビエンフーに悪い顔をしながら指でほっぺに勢いよく押し付けていた。

 

(というかいう前からもうやってたから最初っから仕置きするつもりだったんだろうな…強く生きてねビエンフー)

 

と泣いてるビエンフーとお仕置きしているマギルゥにベルベットが対魔士なのかと聞くとマギルゥは魔術師とおちゃらけながら答え少し怒りながら問い詰めようとするもロクロウに止められてその話は打ち切られた。

 

それから私達は無言でただただ歩いて;血翅蝶;に戻ると中にはタバサさんがおりもう依頼を果たしていたことを知っており、そしてアルトリウスの居る結界を抜けるにはAランクの聖隷が四人いれば抜けれるということだった。

 

(4人の聖隷か……そう簡単に見つかるかな。)

 

と私が悩んでるとー

 

「こう見えても僕はAランクなのでフよー!」

 

とビエンフーが出てきて自慢げに言ったのを聞きアイゼンにライフィセットもAランクだということをロクロウから聴き後1人だけだと言い希望が見え始めているとマギルゥが面倒くさいと言い、立ち去ろうとするがベルベットがビエンフーだけは置いていけとビエンフーだけ引き止めると儂も協力するがそれ相応の頼み方があると言ってきた。

 

「礼儀がなっとらんのー。そこは『御同行して下さい、マギルゥ様』じゃろ?」

 

「頼んだら来てくれるの?導師を襲う場に。」

 

「頼まれ方次第ではの。導師と業魔の決闘なぞ、滅多にない見世物じゃし。」

 

(やっぱりマギルゥとベルベットじゃこうなるよね。)

 

「ラナお姉さんマギルゥ姉さんはこういう人なのでフ………」

 

とビエンフーに私の考えていることを察されてマギルゥの性格を言われ協力は難しい事を私が悩んでいる所を黙って見ていたライフィセットが立ち上がりー

 

「僕、皆に一緒にきて欲しい……です。お願い……します。」

 

「ライフィセット……」

 

とマギルゥに頭を下げて頼むライフィセットと何故か私を交互に見てマギルゥが口を開いた。

 

「そこまで頼まれたら仕方ない。坊のその気持ちの為にも、もうしばらく付き合うとするかの〜♪」

 

「そ、その気持ちって何のこ、事?」

 

とライフィセットがマギルゥに動揺した様子で聞くとマギルゥは顔をにやけさせライフィセットに私にとっても想像してないことを言った。

 

「惚けんでえぇ坊お主は、ラナの事が好きなんじゃろ?」

 

「そ、そ、そ、そんな事ない!!」

 

とマギルゥに言われ顔を真っ赤にして否定しているライフィセットに私も少し顔が赤くなる感じがした。

 

(そ、そうだったんだ全然気付かなかった。)

 

「もしかしてラナよお主もしかして其方の方面は初心なのか?」

 

「ひ、人の心の中を読まないでよ!!」

 

と心の中を読んでからかってくるマギルゥをつい大きな声を上げて怒るとマギルゥは軽いステップを踏みながら「これから弄るネタが増えたわい♪」と言いながら部屋に戻っていった。

 

(全くマギルゥたら冗談キツいよそれにしてもライフィセットはほ、本当に私の事す、好きなのかな?)

 

と思ってライフィセットの方を見るとさっきの事は気にしてない感じでアイゼンとロクロウと話していたので戻ろうとするとふと視線を感じ、その方を見るとー

 

「…………」

 

「ベ、ベルベット何で睨んでるの?」

 

「……別に」

 

と私に言うとベルベットはタバサさんに近づき記章を返そうとするが身内としての援助を受けれるという事を聞き救世主を殺そうとしている私達の援助をするということはいずれ狙われる警告をし、部屋に戻ろうとするとー

 

「待て、ベルベット。」

 

といつの間にやら話を終えてコイントスをしていたアイゼンに声をかけられ私とベルベットは視点を向けるとー

 

「おやまー」

 

「無理もない長い夜だったからな。」

 

ライフィセットがテーブルにうつ伏せになり寝ていた。

 

それの姿を見たベルベットは援助を頼めるかタバサさんに聞くと勿論だと良い私とベルベットでライフィセットを部屋の一室に運び、その後マギルゥやアイゼンにライフィセットが落ち着ける様に私もベルベットとライフィセットといるようにと言われ、私は、ベルベットの許可を得て一緒の部屋で寝る事にした。

 

それから最初に私が起き、その少し後で、ベルベットが起きてもう少し後にライフィセットが起きてきた。

 

 

「起きたわね。」

 

「ごめんなさい……」

 

「別に良いわ。眠くなるのも、お腹がすくのも自然な事よ。……食べたりしないって。」

 

「昨日の怪我……は?痛いのも……自然な事だと思う。」

 

「平気よ。こんなの。」

 

「強いんだね、ベルベットは。」

 

とライフィセットに言われるとベルベットは目を背けて仇を打つ為には強くなければならないと小声で言うとライフィセットにも聞こえていたらしくライフィセットが聴こうとするもベルベットはもう出発すると良い一足先に出て行ってしまった。

 

「やっと来おったか爽やかな朝じゃな〜♪ライフィセット、ラナよ。ついでに裏切り者もお仕置きして気分が良いわい〜♪」

 

「ビエ〜ン……みっちりしすぎでフよ〜……」

 

「鍵を殺さないでよ。」

 

「其方も、この先、坊を食べないじゃろうな?何せ坊は;鍵;じゃからな。」

 

「………分かってるわよ。」

 

「じゃが、相手は導師と聖主。導師は兎も角、聖主とは世界を創った神様じゃぞ。戦って勝てると思うのかえ?」

 

「聖主なんて偽物に決まってる。アルトリウスは民衆を操る為に神話を利用したのよ本当に神様なら、業魔病くらいどうにか出来るはずでしょ?」

 

とベルベットは少し苦しそうな顔で言うとアイゼンも目を背けてしまった。

 

「カノヌシは存在しないっていうのか?」

 

「……ううん。カノヌシと呼ばれている;なにか;はいる。特殊な術で聖隷を降臨させた聖隷が。」

 

「言い切るのう。」

 

「3年前にこの目で見た。」

 

「ほほう、神様じゃないなら勝ち目はありそうじゃの。」

 

「勿論よ。第一、狙いはアルトリウス。それ以外はどうでも良いわ。」

 

「アルトリウス様は……弟の仇……」

 

(弟って……やっぱりラフィの事なのかな?嫌でもまさかとは思うけどラフィは三年前死んだんじゃなくてそのカノヌシていう聖隷になっていたとしたら……)

 

とラフィの事を思い出し推測をしているとー

 

「なにしてるの?早く行くわよ。」

 

「あ、うん。」(今はまだ推測に過ぎないから皆には黙っておこう。)

 

と私は考えを胸にしまいまずはダーナ街道を進んだ先の山の中にある;聖主の御座;を目指し(更に道での検問の対魔士の聖隷を奪い)襲撃計画を練る為にアイフリード海賊団の連絡を受け取る為に私達はゼクソン港で合流する事にしゼクソン港へと向かった。

 

 

 

 

 

ゼクソン港に向かい始めるラナ達と同刻;聖主の御座;にてー

 

 

 

 

「アルトリウス様!!準備出来ました!!」

 

「大分早いな……分かった。もう下がって良い。」

 

「は!!」

 

「これで私の望む穢れなどない世界を創れる。」

 

とアルトリウスは自分に暗示をかけるように呟くと後ろに気配を感じ剣を抜くもそこに居たのはー

 

「どう?アーサー兄さん?順調?」

 

「……何故ここに来た?」

 

アルトリウスがそう聞くとラフィは「だって感じたんだ。」と呟きアルトリウスの隣に立つ。

 

「何を感じたんだ?」

 

「ラナお姉ちゃんの腕輪の中にある僕の力がこっちに向かってる事が分かったんだ。だからラナお姉ちゃんにもう一回会いに来た。」

 

「そうか……だがベルベットには見つかるなよ。」

 

「分かってるよだからここにくる途中で人を騙して負の感情を沸かせて大量の業魔を作ってきた。ラナお姉ちゃんに会う為にね。」

 

「……そうか。」

 

「でもねすごく大変だったんだよ僕の言う事をある程度聞いてラナお姉ちゃんを殺さないようにできれば傷もつけないように気絶させてその後は聖寮に連れて行くよ……所でアーサー兄さん頼んでいた服は出来た?」

 

「ああ出来てるよ。」

 

「それなら良かった!!その後も大丈夫だよね?」

 

「ああお前の望みどおりラナは、欠番の特等対魔士マギラニカに変わる特等対魔士になってもらう……最悪従わなければベルベット達には死んでもらうと脅してでもな。」

 

「そうだね!!あ〜楽しみだなこれからずっとお姉ちゃんと入れると思うとさ。」

 

「楽しみなのは良いが……此方の計画も忘れるなよ。」

 

「分かってる。分かってる。念のためにもう一回準備してくるね。」

 

とラフィはアルトリウスに言い無数の業魔達と共に闇の中に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遅くなってしまい申し訳ございませんでした。

携帯が壊れてしまい買い替えてやっと投稿できました。

次回は前書きにも書いたとおり今週に投稿する予定なのでよろしくお願いします。


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聖主の御座へ後編

遅れてしまい申し訳ございません!!




そして私達はゼクソン港へ向かって足を進めているとライフィセットが下を向いて歩いておりそれに気づいたロクロウが心配し、声を掛けた。

 

「どうかしたのか、ライフィセット?元気がないみたいだが。」

 

「いつものことじゃろーが。」

 

「お前は引っ込んでろ。」

 

「ロクロウは業魔の剣士。アイゼンは聖隷の死神。マギルゥは変な魔女。ラナは多分普通の人間。でも僕は……なんなんだろう?」

 

「ふむう……哲学的な質問だな。」

 

「お主は、ベルベットの道具で非常食じゃろ?」

 

「こら!マギルゥ!ライフィセットにそんな言い方しない!!」

 

「そう言われた……テレサ様にも;道具;って。でも僕は……生きてる。」

 

「そうかライフィセットは自分が何なのか、気になり始めていたんだな。なら答えはひとつだ。『自分で決めろ』」

 

「……え?」

 

「自分で決めて良いんだ。どうしたいのか全部。」

 

「それが;生きる;ということだ。お前の舵は、お前の手の中にある。」

 

「僕の舵……自分で……」

 

「悩めば良い。それも生きてる証だ。」

 

「答えを出すまでは守ってやるよ。お前の術には、世話になってるからな。」

 

「ラナも僕の事と一緒に居てくれる?」

 

「うん!勿論だよもし舵を見失っても私がライフィセットを支えてあげる!だから自分の思ったままに、ライフィセットは進んで良いんだよ。」

 

「ラナ……うん!分かった!ありがとうねラナ。」

 

「本当にお主ラナの事が好きなんじゃな〜見てるこっちが胸焼けしそうじゃわい。それよりも気をつけい。ラナはともかく言っとるのは業魔と死神じゃからな。」

 

「邪悪な魔女もとり憑いてるしな。」

 

と話しているとかなり前の方にいたベルベットから置いていくと言われて急いで後を追った。

 

 

それから私達はベルベットに合流してゼクソン港へと着き偵察部隊と合流し情報を交換しようとしたのだがまだ検問から情報が来ないらしく暫く待つ事となり私達は一旦散らばり買い物や食事などの小休止をする事にした。

 

 

(もうすっかり夕暮れだなぁこんなに買い物もしてしまってパンドラに入って良かった〜……あそこに居るのはベルベットとライフィセット?声を掛けてみよっかな。)

 

と思い声を掛けようとしたのだが口を出せる空気ではなかったので気付かれないように近づいて話を聴くことにした。

 

「海が好きなのね。」

 

「海……波は……怖い。後サメや変な魚も……でも、凄く大きくて、不思議で……あの先に何があるのかなって考えると−ドキドキする。」

 

「……私の弟も海が好きだった。」

 

「ベルベットの弟……も?」

 

(そうなんだ。)

 

「岬で、良く海を見てた。潮風は体が冷えるからって叱っても全然言う事聞かなくて−」

 

と優しい声で振り向き言葉を続けるベルベットの眼を見た私は−

 

「アンタも、この子と同じように思っていたんだね。」

 

(べ、ベルベット!?)

 

一瞬、ほんの一瞬だが眼に底知れない絶望と哀しみが映っている気がした。

 

「羅針盤……買ってあげたかったな……旅だってさせてあげたかった……」

 

(ベルベット……)

 

ほんの少しだけどベルベットの本音を聴けた気がした。とその時に間が悪く偵察が戻ってきたとロクロウが叫びながら此方を向いて言ってきた。

 

「ライフィセット……アンタはそこに居るラナと残って良いのよ?」

 

(いっ?バレてる!?)

 

「!!僕は……」

 

と手に持ってる林檎と私、それにベルベットを見てハッキリとした声で−

 

「ベルベットと一緒に行く。」

 

と言うとベルベットは一言返しロクロウ達の居る門へと進んでいった。私はライフィセットに行こうと声を掛け門へ向かおうとしたのだが−

 

「うん!ラナお姉ちゃん!」

 

そのライフィセットの言葉を聴いた私はライフィセットとラフィがブレては重なりを繰り返してライフィセットの顔が見え、幻覚だと思い眼を瞑りもう一度見るとそれはおさまっていた。

 

「ど、どうしたの?ラナ?体調悪いの?」

 

「だ、大丈夫だよ!行こうライフィセット!」

 

「う、うん。でも無理はしないでね。」

 

「分かってるよ!」

 

と2人で向かうとどうやら検問がペンデュラムを使う聖隷に襲われてるらしくそのペンデュラム使いの聖隷はアイフリード海賊団の船長が行方不明になった時にあった武器らしくアイゼンはそれを聞き先に行ってしまったらしい。私達はアイゼンを追いかけてこの混乱に乗じて更に戦況をかき回しながらその聖隷を利用して突破して行く事にし、先に進んだ。

 

 

 

先に進むとアイゼンと銀髪の胸に爪の傷のある青年(?)が闘っていた。

 

 

「やるじゃないの。何者だい?」

 

「死神アイゼン。アイフリード海賊団の副長だ。」

 

「アイフリードの身内か!こりゃ、また楽しめそうだ!」

 

「……やはり、お前がアイフリードをやったのか。」

 

「いいねぇ……いい気合いだ!」

 

「落ち着きなさい、アイゼン!コイツは聖隷で、聖寮を襲った。協力すれば結界を通れるわ。」

 

とベルベットが青年とアイゼンに説得

しようとするが−

 

「つまらねぇ理屈言うなって。」

 

「俺は俺のやり方でケジメはつける!」

 

「「邪魔するな!!」」

 

と一蹴されて頭に来たらしいベルベットは歯を一度食い縛り−

 

「そう。じゃあ、アタシもアタシのやり方でやらせてもらうわ。」

 

(ま、まさかベルベット……2人ともやる気じゃ……)

 

と考えてるとベルベットに「ライフィセットは任せたわよ!」と私に言うとベルベットは−

 

(や、やっぱりそうだった。)

 

2人に向かい突撃して行ってしまった。

 

「わ、ワシらも後に続くんじゃ!!」

 

「言われるまでもない!ラナはライフィセットを頼む!」

 

「うん!分かったよ!」

 

とライフィセットを任されて数分後モノの見事に2人とも倒された。

 

 

「はは……おもしれぇな、あんた。この結界を開けてどうする気なんだ?」

 

「導士を殺す。」

 

「ひゅ〜♪そいつはスゲェ!」

 

「コイツは本気だぜ。」

 

「……わーった。喧嘩に勝ったのはあんただ。どうすりゃいいんだい?」

 

と青年が聞くとマギルゥの前にビエンフーが前に出てきた。

 

 

「では、聖隷のお歴々!結界の前に〜♪」

 

と言うマギルゥの合図(?)でライフィセットが手を結界に当てると結界が弾けて消えた。

 

「後は任せたぜ。その方が、対魔士どもの慌て顔が見れそうだ。」

 

と去ろうとするが−

 

「待て。まだ肝心なことを聞いてねぇ。」

 

「それ以上はやめておこうぜ、アイゼン。命のやりとりになっちまう。」

 

「!!何者だ、お前は?」

 

「風のザビータ。ただの喧嘩屋さ。」

 

とアイゼンに引き止められ自分の名を名乗って今度こそ去ろうとし歩き私とすれ違った瞬間−

 

「ふん!」

 

風を纏わせた拳で思いっきり殴りかかってきた。

 

 

「な、何をするんですか……!!」

 

「悪い悪いでも俺の感が当たったな。」

 

と反応が間に合いギリギリのところで拳を受け止めた私を見てそう言った。

 

「感?何のことですか?」

 

「簡単なことよ嬢ちゃんアンタここに居る誰よりもいずれ強くなるって思ってな、女性に手をあげるのは気がすまねえが試させてもらったがやっぱりそうだ。じゃあな嬢ちゃん!次は俺とも喧嘩しような!」

 

と今度こそ風と共に消えていった。

 

「結界は開いたわ。追うなら止めないけど。」

 

とベルベットがアイゼンに聞くとメルキオルの方が近いからという理由でついてくることになった。

 

 

そして私達は聖隷術という仕掛けを解きつつも前に進みかなり長い階段を少し遅れて登り切ると先に着いていたロクロウがアルトリウスの使う技についてベルベットに聞いていた。

 

「ベルベット。アルトリウスはどんな技を使うんだ?」

 

「左手一本で振るう長刀よ。それにシアリーズっていう火を操る聖隷。けど……ソイツはもう殺した。」

 

「ソイツの代わりに、カノヌシを名乗る聖隷を使役しているのか。」

 

「おそらく。けど、ソイツがシアリーズ以上の連携をとれるとは思えない。」

 

(ベルベット多分私の推測が正しいならカノヌシは……)

 

言い出せない私を置いて話が進んでいると−

 

 

「む!見ろ!大量の業魔だぞ!!」

 

(な、何あれ!?数十いや100体……いやもっと居る!?)

 

私達が来た階段の道を埋め尽くす程の業魔がそこに居た。

 

「どうする?ベルベット?こんな奴らを相手にしてる時間はないぞ!!」

 

「ッッッ!!分かってるわよ!!今考えてるわ!!」

 

と考えてる皆に向かって私は−

 

 

「皆は先に行って……此処は私が何とかするから。」

 

「ラナ……アンタ!!」

 

と言い振り向いて業魔の群れに行こうとすると−

 

「ラ、ライフィセット!?どうしたの?」

 

「嫌だ、駄目だよ。行っちゃ、行ったら幾らラナでも死んじゃうよ……」

 

とライフィセットが小さい体で私の腰に両手を回してその小さい手からは信じられない程の力を込めて私が行かないように止めていた。

 

「ねぇベルベット、もしも私が帰って来れなかったらさライフィセットをよろしくね……」

 

「……ッ!!行くわよ!!皆!!」

 

「応!!感謝する!!ラナ!!」

 

「済まねぇ!ラナ!!お互い悪運が強く生きれたらまた会おう!!」

 

(ありがとう……皆……)

 

そしてベルベットは強引に私の腰からライフィセットを離し抱えて此方を振り向かずに進んだ。

 

「嫌だ……嫌だよ……ラナ!!ラナァァァ!!」

 

ライフィセットの叫ぶ声が扉が閉ざされ聴こえなくなった瞬間−

 

 

「さぁて始めますかね!!」

 

私の引けない戦いが始まった。

 

 

 

「とりあえずまずはこれでも喰らえ!!ガンルーレット!!」

 

ガンブレードを出し逆手に持ちながら回転し四方八方に駒の様に回りながら業魔の群れに向かって乱射し、群れの中の鼠の業魔数体と蛇の業魔数体、それとダイルさんにとは色が違う蜥蜴の業魔が数体消しとんだ。

 

(こんなにあっさり……?案外柔らかい?)「今は気にしてる暇なんてない!!次はこれ!!炎龍風龍水龍土龍!!」

 

アポカプリプスの花びら4枚を覆い隠す様に触れて花びらを勢いよくちぎりアポカプリプスを地面に刺す−するとそれぞれの属性を纏った龍が水辺や地面や木が燃え上がり飛び出て業魔の群れに向かいその口や体で喰らい潰していった。

 

 

(まだいるの……もう私は……)

 

それでも減らない業魔の群れに絶望しかけてるがベルベット達が扉の中におり私が此処で諦めたらベルベットが窮地に落ちることを思い出しなんとか立ち直れた。

 

(それでもこの数……どうすれば良い……考えろ……)

 

それから少し考え私は−

 

「一か八かだけどやるしかない!!」

 

そう言いながらアポカプリプスを遠くに投げつけて業魔を数体倒しその隙にパンドラから買い込んでいた油、炎石に瓶に入った硫黄を全部空に投げるそして−

 

「……いくよ」

 

エウメニデスとガンブレードを出し、空に向かってエウメデスの火を込めた銃弾やエウメデスで有りったけの炎を出して次々と辺り一面が私の身体を巻き込みながら爆発した。

 

 

 

 

(た、倒した?でもベルベットからもらった羽織破れちゃったな……)

 

 

爆発が収まり、何とか生きていた私がベルベットに貰った茶色の羽織が破れて使い物にならなくなってしまったことで今後はどうしようかと考えようとした私の眼に−

 

 

「う、嘘……」

 

倒した業魔とは違う業魔の群れが私に向かってきた。

 

「あ、あれ……か、身体が動かな−」

 

と立ち上がろうとするが倒れてしまい、意識も消えようとしていた。

 

(私はまだやらなきゃ……ごめん……ベルベット……ごめんライフィセット……)

 

2人に止めれなかった事を謝罪したと同時に私の意識は完全に途切れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

ラナが倒れた10分ほど後−

 

 

1人の業魔が倒れているラナを連れ去らおうとするがそれを何体の業魔達が次々と誰がラナを連れ食糧又は苗床にしようと決める為に業魔同士の戦いが始まっていた。

 

「グフフフ馬鹿な知能足りん業魔共め!この女はオれサまが貰った。うン!?な、ナんダ?コノカンじは?」

 

そんな中1人のまだ自我が多少ある業魔がラナを拐おうとし担ごうとした瞬間後ろから殺気が感じられ振り向くと−

 

 

「お前みたいな業魔如きがラナお姉ちゃんを汚して良いとでも思ってるのか?」

 

「ッ!!」

 

後ろに立っていたラフィに手に持っていたアポカリプスで斬り飛ばされ呻き声もあげる間も無く殺された。

 

「全くラナお姉ちゃんを汚していいのは僕だけなんだから何を勘違いしたらそうなるのか分からないね。」

 

 

と言いながらラフィはラナを風の魔法で持ち上げてお姫様抱っこで抱き抱え跳ぼうとすると−

 

「ああまだ居たなそういえば。」

 

 

飛び立たせない様に業魔達がラフィの前に立ち上がった。

 

 

「とりあえずさ僕とラナお姉ちゃんの邪魔だからさ早く消えてくれないかな?早くラナお姉ちゃんの治療もしなきゃいけないし何より2人だけの時間が欲しいんだよ僕は。」

 

と業魔の群れに言うも業魔達はお構いなしにラフィに襲いかかるも−

 

 

「忠告はしたよ。」

 

と言うとラナを下ろし風の魔法で覆いドーム型の空間を造るとアプカリプスを思いっきり業魔の群れに向かってやたらめったら斬りまくるとアプカリプスの斬った空気が衝撃波となり業魔の群れは跡形もなく消え去った。

 

 

「邪魔なこの羽織は捨ててっとあ、忘れてた後この武器も戻してっと、よし!!さぁてと僕達の場所に行こっかラナお姉ちゃん♪」

 

と言いラナのボロボロの羽織を爆発した焦げ跡がある場所に放り投げてパンドラにアプカリプスを戻し、ラナを改めて風の魔法で持ち上げてお姫様抱っこをすると光となって消えてった。

 




次は恐らくですが少し原作から外れますのでご了承下さい


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特等対魔士ラナ・クラウ誕生?

対魔士編始まります。

聖寮本部内部はオリジナルの構造になります。


(此処はカプセル?)

 

業魔の群れを前にして倒れてしまい、意識を失った私が眼を覚ますとカプセルの様なモノに入れられていた。

 

 

(此処が何処だか分からないけど早く出てベルベット達と合流しなきゃ……)

 

私はどうにかして脱出する為にまず周りを見渡すと−

 

(あ、あれは私!?)

 

髪の色だけが違うもう1人の私がそこに居た。

 

 

「ッッッ!?ハァハァゆ、夢!?」

 

今度こそ眼を覚ますと知らない部屋で寝かされていた。

 

 

(此処は何処なんだろう?兎も角此処から出なくっちゃ!!)

 

痛む身体を抑えながらなんとか起き上がり部屋の扉を開けようとすると−

 

 

「あ、やっと起きたんだラナお姉ちゃん♪」

 

とラフィが皿の乗ったお盆を持って部屋に入ってきた。

 

「ラ、ラフィ!?何で此処に!?」

 

「何でって僕がこの場所まで連れてきたから居るんだよ。」

 

「そうなんだありがとう!ねぇラフィ業魔の群れはどうなったの?」

 

と礼を言いラフィに業魔の群れがどうなったか聞くとラフィは此方を見ながら笑顔で−

 

「僕が全部倒したよ。」

 

と衝撃的な事を言った。

 

 

(あの業魔の群れを!?やっぱり私の想像どうりならラフィて……)

 

私はこの機会にずっと聴きたい事をラフィに聴くことにした。

 

「ね、ねぇラフィてもしかしてベルベットの……?」

 

聴こうと口を開く私をラフィは私の唇に人差し指を当てて遮り小悪魔的な笑みで−

 

「今はな〜いしょ♪」

 

笑顔で言った。

 

「所で此処は何処なの?ラフィ?」

 

「此処はね王都ローグレスの聖寮本部の一室だよ。」

 

強引に聞いても答えてくれないだろうと思い自分が何処に居るのか聞くとラフィは衝撃的な場所の名前を言った。

 

「え?へ!?え?ほ、本部!?」

 

「困惑してるラナお姉ちゃんも可愛いな♪」

 

「じゃなくて何で此処に連れてきたの?」

 

ラフィに聴くとラフィは窓のドアに腰をかけて指を鳴らす。すると白い服が現れた。

 

「コレを着て見て。ラナお姉ちゃん。」

 

私にその服を渡した。

 

マジマジと服を見てみると紋章が広がっており4方向に赤色と青色と緑色と黄色の球の様なモノが埋め込められてるデザインの刺繍が入っているのが見えラフィに刺繍が気になった私は尋ねてみることにした。

 

「この紋章と刺繍は?分かる?ラフィ?」

 

「この紋章はねアーサー義兄さんが導師の象徴にする予定の紋章の候補なんだって。それとこの色は僕が言った色なんだ。因みにこの色は『カノヌシ』を覗く聖主の象徴する属性の色なんだ。」

 

「へぇそうなんッッッ!?」

 

とその言葉を聴いた瞬間私の前に紺色のシャツを着てその上に私の持っている服と似た白いマントを羽織った焦げ目の茶色の髪の青年が目の前に立っていた。

 

「き、君は一体!?」

 

聴こうとすると綺麗な緑色の眼で此方を静かに見ていた。

 

(綺麗な眼……)

 

見惚れていると彼はゆっくりと口を開いた。

 

「ラナ、俺は『彼女達が愛し、そして憎み繋げたこの時代』を『マオテラス』と一緒に『ヘルダルフ』を浄化して世界を未だ残ってる業魔や『憑魔』になってしまった人達救って『災厄の時代』を終わらせる。ラナ、最期まで一緒に戦ってくれる?」

 

(か、彼は一体誰なんだろう?もしかして『この時代よりも後の導師』なのかな?)

 

彼について考えてるとパンドラが光り私の口も私の意思とは関係なく動いた−

 

(く、口が勝手に!?)

 

「私も最期まで一緒にいるよだから『スレイ』一緒に世界を救おう。」

 

私の口から私の意志とは関係なく発せられた言葉を聴くと『スレイ』と呼ばれた青年は微笑み私に近づき−

 

「ありがとう!ラナ……」

 

感謝の言葉を伝えると消えていった。

 

 

(さ、さっきのは幻?)

 

「大丈夫?ラナお姉ちゃん?水持ってきたから飲んで落ち着いて。」

 

「大丈夫だよラフィ。ありがとう。」

 

ラフィが持ってたコップに入った水を飲み息を吸い込み落ち着いたのを確認したラフィは−

 

「取り敢えずアーサー義兄さんが上の階の部屋で待ってるからアーサー義兄さんの所に対魔士に場所を聞いて行って。僕は此処では存在を知られちゃいけないから隠れるけどラナお姉ちゃんと一緒にいるから安心してね。それと僕の呼び方はラフィじゃなくてラフィーだよ。」

 

言うと姿が薄れて消えてしまった。

 

(取り敢えずこの服を着て−)

 

服を着ようとすると消えたはずのラフィーが現れた。

 

「忘れてた!この部屋はラナお姉ちゃんが使って良いってさ。今度こそじゃあね〜また会おうね〜ラナお姉ちゃん♪」

 

言うと今度こそ姿が薄れて消えてしまった。

 

(取り敢えずアルトリウスの所に向かわないと……)

 

ラフィーが置いていった服を着てアルトリウスの所へ向かった。

 

 

 

 

「……やっと来たか。」

 

「済みません!遅れてしまって!!」

 

(大分遅れてしまった。)

 

此処の建物の構造が独特で対魔士達に場所を聴いて来ても大分遅れてしまった。

 

「まあ良い……担当直入に言うラナよ。お前には特等対魔士になってもらう。」

 

「え?何で私なんかが、特等対魔士何ですか?」

 

聞くとアルトリウスは少し顔を歪め理由を話し始めた。

 

「お前は『カノヌシの体』である『彼』と交流し、『彼』の欠落していた『心』を生み出してしまった。更にお前はその『腕輪』に『彼』の力を受け取った事によってどういうわけか、本来なら有り得ない私の他の『2人目のカノヌシの契約者』になってしまった。」

 

「ッ!?」

 

その事実は私にとって衝撃的なものだった。

 

「そ、それはなんとか出来ないんですか?」

 

「それは厳しいな。『心』がないままならまだしも今の『カノヌシ』は『心』が芽生えてる。最近は私の言うことも聞かなくなってる。仮に唯一言う事を聴く君に頼んで説得した上で方法も分からず無理矢理に、君から力を取ろうとすると最悪2人とも消滅しかねない事がメルキオルの極秘の調べで分かった。だから君には『カノヌシ』の制御の為の対魔士になって欲しいと言う私の考えで此処に来て貰い対魔士にさせるという『カノヌシ』の案に乗る事にしたんだ。まあ建前は永久欠番の特等対魔士のマギラニカの代わりという体でだがな。」

 

「そうなんですか……」

 

 

「勿論だが、『カノヌシ』を制御する装置を作ったら君はベルベット達の元に帰って良い……『アルトリウス』の名の下に約束しよう。どうだろうか?引き受けてもらえるか?」

 

 

「良いですよ私も貴方の言う;正義;というものを見たかったので。」

 

部屋から立ち去ろうとする私にアルトリウスが予想外の質問をしてきた−

 

「そういえばだがラナ、お前は苗字はないのか?」

 

「!?みょ、苗字ですか?」

 

(苗字は考えてなかった〜コレは苗字が無いと言ったら疑われるよね……多分だけど……ええと良い苗字はなんかあったっけ?)

 

その質問に焦って苗字を考えようとするとアルトリウスが懐かしい光景を見てるかの様に眼を細め優しい口調で助け舟を出してくれた。

 

「ラナ、お前は、手違いで監獄島に収監され、ベルベットに見つけられ一緒に行動しており私が調べ、亡き妻『セリカ』の遺言通りに極秘に対魔士にしていたという事にする。よってお前の名前は対魔士の時は特等対魔士ラナ・クラウとなるがこの案で良いか?」

 

「良いんですけど……聞かないんですか?私の名乗れない理由を。」

 

そう聴くとアルトリウスは−

 

「人は誰しも秘密を持って生きている。だからこそ、その秘密を話せない気持ちは分かるからこそ私は自分から話さない限り聞きはしない。明日はオスカーとテレサに頼んでこの場所の案内を頼んである。案内で大体の事はそれで分かる。明後日からは随時指示を出させる様にする。今日はもう遅いゆっくり休んで明日に備えてくれ。頼んだぞ!特等対魔士ラナ・クラウよ。」

 

「分かりました。」

 

部屋を出て自室に戻ろうとすると−

 

「最後に一つ聴きたい君は『何故鳥を空を飛ぶと思う?』」

 

とアルトリウスに聴かれたので私はアルトリウスの方を振り向いて−

 

「鳥はその人生で学んだ事を次の世代に伝える為に羽ばたいて大切なモノを伝えていく為に飛ぶと私は思います。」

 

自分なりの答えを言うとアルトリウスは笑い「やっぱり似ているな『セリカ』に」と一言呟くと後ろにある本を取り読み始めた。

 

(何で笑ったんだろう?ま、気にしない方が良いよね。)

 

本を読むアルトリウスに一礼し、部屋を出て与えられた部屋に戻り休む事にした。

 




次回はオスカーとテレサと聖寮案内の予定です。そして次回ラナがあの自由奔放の特等対魔士に襲撃される!?

次回をお楽しみに!!

11月27日追記ヘルダルフの名前を間違えていたので直しました


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対魔士としての初指令。

オリジナル編って考えて描くの難しいな


(うう〜んもう朝か……早いな……っ!?)

 

窓から差し込んだ太陽の光で目覚めた私が眼を開けるとそこには−

 

(ラ、ラフィー!?い、いつの間に部屋に!?)

 

いつの間にか同じ布団でラフィーが猫の様に丸まって寝ていた。

 

(と、取り敢えず起こさない方が良いかな?)

 

と思い起こさない様に布団から出ようとするが−

 

「まだオスカーとテレサは来ないからギリギリまで寝てようよラナお姉ちゃん♪」

 

「!?」

 

起きていたラフィーに、手を掴まれて引き寄せられて布団の中に引き込まれた。

 

「は、離して!ラフィー!もう準備しないと…」

 

と言うもラフィーは、「だ〜め」と言いながら私の腰を掴み抱き寄せた。

 

「だってさ、もうちょっとしたらさ、オスカー達が呼びに来てラナとは少しの間とはいえ会えなくなるからさ。今の内に成分補給しないと♪」

 

と言うと笑顔で更に力を込めて抱き締めて寝ようとするラフィーを見て私は

(こうしてると、何処にでも居る普通の男の子なんだな〜)「仕方ないなぁ少しだけだよ。」

 

「うん♪」

 

と少しの時間だけラフィーと共に布団の中で過ごす事にした。

 

 

そしてそれから数分後に私は対魔士の服を着て、オスカーとテレサを待っているとラフィーが布団からいき良いよく起き上がり私に「じゃあ何かあったら呼んでねラナお姉ちゃん。」と一言言うと、消えていった。その少し後に部屋が開きオスカーとテレサが部屋に入ってきた。

 

「おはようございます。ラナ、体調は万全ですか?」

 

「万全ですよ。」

 

「そうですか……それでは昨日にアルトリウス様から聞いていらしてると思いますが今日は貴方に聖寮の中を案内致しますのでしっかりと場所を覚えて聖寮の為に尽くして下さいね。」

 

「ハイ!分かりました。」

 

「貴方も行くわよ。オスカー。」

 

「分かりました!姉上!」

 

早速私の部屋を出て、オスカーとテレサによる案内が始まった。

 

(姉上?もしかしてオスカーとテレサって……)

 

オスカーがテレサの事を姉上と呼んだ事が気になり聞いてみる事にした。

 

 

「ねぇオスカーもしかしてオスカーとテレサってさ……姉弟なの?」

 

「あ、ええ、そうですよ。」

 

「でもさオスカーとテレサって何となくなんだけど……あんまり血の繋がりを感じないんだよね……顔も良く見ると似てるけどなんかちょっと違うしさ。」

 

「それは……その「それはですね私は、オスカーの異母姉だからですよ。」姉上!!」

 

とテレサが言葉の詰まったオスカーの代わりに答えるとオスカーが声を荒げ、テレサに何かを訴える眼を向けた。その視線を見て私は話を切り上げようとしたのだがテレサが口を開きオスカーと自分の事を語り出した−

 

「良いのですよオスカー。ラナは聞いてもドラゴニア家の人の様に私達を無下に扱う事はないと私は思います。」

 

「で、ですが姉上!」

 

「仮にラナがそういう人間ならば貴方の傷を治したりなどしない……オスカー貴方自身が一番分かってると思ってましたが違うのですか?」

 

テレサにそう言われてオスカーは「そうですね……」と言い一歩下がるのをテレサは確認すると此方を向き真剣な表情で話し始めた−

 

「まず私は、オスカーの父つまり名族貴族であるドラゴニア家の当主と身分の低い妾の間に産まれた子であり先程も言った通りオスカーにとっては義姉なのです。私が産まれると妾である母は、屋敷に呼び込まれ、それまでの人生では考えれない幸せな気持ちで過ごしていました。私もそんな母と父が好きでした。ですが私が成長するにつれて父やオスカーの母は、オスカーや私よりも、長男であり次期当主であるもう1人の兄の事しか見なくなり更に私の母もそんな時期に亡くなってしまい、私はただの使用人の1人として扱われる事になり誰も私の事を父の娘と見なくなり私が死の道を選ぼうとした時ただ1人だけそうオスカーだけは私の事を姉上と呼び慕ってくれ私の弱った心を支えてくれたおかげでドラゴニア家で過ごす事が何とかでき更にそれから少し時間が経ちオスカーがドラゴニア家の意向で聖寮の入団させる事にし、私もそれを追いかけて聖寮に入り今に至る訳です。」

 

「………」

 

その話を聞いた私は顔から止めどなく涙が溢れて溢れてしかたなくなってしまった。

 

そんな私を見てオスカーは自身のズボンのポケットから布を出すと私の涙を拭き取り−

 

「やっぱりラナ、貴方は僕が思った通り優しい人で良かった。それと伝えるのが遅くなりましたがあの時治療をしてもらってありがとう。この恩は一生忘れない。」

 

「やっぱりラナ貴方だったんですね。オスカーを監獄島で治療した女性というのは……私からもお礼します。ありがとう。ラナ……」

 

とオスカーとテレサから溢れるばかりの気持ちが篭っている感謝の言葉で礼を言われた。

 

 

 

 

「……落ち着きましたか?ラナ?」

 

「ええ……済みません。もう大丈夫です。」

 

「では改めて行きましょう。」

 

「はい!」

 

それから数分後に落ち着きを取り戻した。私は改めて聖寮内部を案内してもらう事にした。

 

部屋から少し歩き階段を降り一階に行きすぐ曲がると左右の部屋があり左の扉を開けるとそこには包丁で肉を捌いたり食器を運んでいる人や座っている人が見えた。

 

 

「此方が食堂で対魔士達が交代で各地で取ってきた食料で食事を作り食事をする場所です。」

 

「因みに姉上の作る食事は美味しいんですよ。今度ラナも機会があったら是非とも食べて欲しい。」

 

「うん!機会があったr「まぁ!オスカーたらお世辞が相変わらず上手いですね!」

 

「姉上の料理が美味いのは当たり前ですよ!」

 

と私をそっちのけに仲睦ましく会話をしている2人を見て私は−

 

(本当に仲の良い姉弟なんだな……というかテレサてこんな風に明るく笑う人だっけ?なんか意外だな……)

 

と2人に初対面で抱いていた印象が少し変わった。

 

 

落ち着きを取り戻したテレサが右の扉を開けるとそこには対魔士達が椅子に座り真剣な表情で本を読んでいたのが眼に映った。

 

「先程は取り乱してしまい申し訳ない……此方の部屋が図書室になっており対魔士である限り自由に入り調べられる場所になり主に業魔についてもしくはこのローグレスの歴史を調べる時に利用する事が多い場所です。」

 

「此方にはいつもは部屋に篭りっきりのメルキオル様が顔を出す事もある珍しい場所でもあるんですよ。」

 

(じゃあメルキオルと会うチャンスがあるとしたら部屋かこの図書室だけなのか……)

 

とメルキオルと話せる場所に目星をつけてながら考え歩いていると大分テレサ達と距離が開いてしまい急いで追いかける事にした。

 

 

それから通路を通り別の建物に扉を開けて入るとそこには対魔士達が寝ていたり剣を振るっていた。

 

 

「此方が二等対魔士達が生活している場所で、二等対魔士は食事の時以外は此処で生活しています。」

 

「そうなんだ。」

 

そしてそれから通路を通り戻り階段を上がり私の部屋を通り過ぎて一番端っこの扉を開あけるとそこは対魔士達が木刀や聖隷を出し模擬戦を行なっていた。

 

 

「此処は一等対魔士や特等対魔士が模擬戦を行う事が出来る部屋で主に訓練様に使われてますね。」

 

「へぇ〜そうなんだね。」

 

「今此処には「オスカー様!テレサ様!アルトリウス様から急用につき至急部屋に向かう様にとの命令が」……分かった。今向かう。申し訳ないのですがアルトリウス様に呼ばれてしまいましたので此処で稽古を観て僕達が来るのを待っていて下さい。案内の続きは戻ってきたからにしましょう。さあ行きましょう!姉上!」

 

と言い2人とも部屋を出て急いで向かってしまった。

 

(とはいえ此処で来るまでずっとただ観てるわけにもいかないしなぁ)

 

と私が観ながら次の行動について考えてると−

 

「……………」

 

(うん?あの人なんで私の事を見てるんだろ?)

 

視線を感じその視線の方見るとそこには上半身が肩以外は裸で白とオレンジの和服を着た黒髪の額の部分がオールバックで肩に猫を乗せた男の対魔士が睨む様に私を見ていた。

 

(なんかあの人何処となくロクロウに似てる様な……)

 

と私が思っているとその男の対魔士が姿を消した−

 

(ッッッ!?あれ何処に……ッッッ!?)

 

と周囲を確認すると後ろに殺気を感じ咄嗟にガンブレードを出し後ろに振り払うと何かに当たる感触がし振り向くとそこには−

 

「ヒュ〜中々やるじゃねぇの!嬢ちゃんよ!!」

 

「……何のつもりですか?」

 

さっきまで遠くにいたはずの男が後ろにおり手に持っていた木刀でガンブレードを防いでいた。

 

「いや〜久しぶりに帰ってきてよ。今訓練してる奴らがな中々根性がなくてよ。もう部屋から出ようとした時によオスカーとテレサそれと、お嬢ちゃんが見えてよ。お嬢ちゃんから何か不思議な感じがしてな。思わず試してみたくなったんだ。ま、許してくれや。」

 

と殺気を収めケラケラと笑いながら木刀を離して言った彼の言葉を聴いて私は−

 

(本当に殺されるかと思った。)

 

と密かに思っていると−

 

「よし決めた!お嬢ちゃん!!俺の弟子になれよ!お前さんならきっと良い線行くと思うぜ。」

 

とやけに気に入られてしまった。

 

「弟子って何をするm「貴方ね〜幾らなんでも本人の意思を無視して弟子しようとするのはないんじゃない?そう思わないかしらそこの名も知らぬお嬢さん?」ね、猫が喋った。」

 

「ああ分かってるって!確かに本人の気持ちは必要だわな。悪りぃなムルジム。俺はシグレ、特等対魔士のシグレ・ランゲツだ。そしてコイツが俺の相棒のムルジムだ。お嬢さんの名は?」

 

その名を聞いた私は−

 

(シグレ・ランゲツって確かロクロウのお兄さんの名前じゃ……この人が……ロクロウのお兄さん……確かに似てる。ロクロウに。)「私は今日から聖寮に所属する事になった特等対魔士のラナ・クラウです。宜しくお願いします。」

 

「ふ〜ん特等対魔士ねぇ〜ま、組む機会でもあったら宜しく頼むわ。」

 

と挨拶をして部屋を出ようとするとさっきまで訓練をつけていた対魔士達が引き止めにきた。

 

「今日はもう終わりですか?明日も訓練をt「いや俺もうお前らに教える気微塵もないから……」……え?」

 

「というか興味がなくなった。悪りぃな後勝手にやってくれや。それよりも興味があるのは……ラナ、お前さんだ。」

 

と、言いながら私に剣を向けながら再び殺気を込め私に剣を振ろうと間合いを詰めようとすると−

 

「何をしている?」

 

「チッ!!此処までか……」

 

アルトリウスがテレサとオスカーを連れて入ってきており片手でシグレさんの剣を止めていた。

 

「で何の様だよ。何も用もなく俺の前にくるの事はないだろ?」

 

「フ、まあな。テレサとオスカーには言ったが今回お前とラナには4人で行ってもらいたい場所がある。」

 

「場所ね……俺は興味が湧く所じゃなきゃアンタの命令でも行かねぇぞ。」

 

 

とあくまでも行く気が湧かないシグレさんが命令断ろうとするとアルトリウスはそれを見越していたのか−

 

「まあ聴けブリギット渓谷に異国の刀を使う刀狩りの業魔が出没してるという情報を得てな。幾人の対魔士を派遣したのだが皆が遺体で見つかり聖寮も放ってはおけぬ存在になった。オスカー、テレサ、ラナ、それとシグレお前達には何人かの一等対魔士達と二等対魔士達と共に現地に行きその刀狩りを倒してもらいたい。勿論行かないというならこの任務は他の者に任せる事になるが……」

 

と刀狩りの業魔の話を聞いた矢先シグレは笑みを浮かべながら飛び上がり−

 

「よっしゃ!最近強え奴と戦ってないから腕が鈍ってしょうがなかったんだ。行ってやるぜ。」

 

と言い恐らく準備をしに部屋を出て行ってしまった。

 

(私も街に出て買い物をしたりして準備をしないと……)

 

と部屋を出て準備をしようとすると−

 

「ラナ!お前に聖隷を与えよう。……来い!」

 

(私はいらないんだけどな。)

 

とアルトリウスに引き止められ気が進まないけれど仕方なく聖隷を連れて行こうとすると−

 

 

「宜しくねラナお姉ちゃん♪」

 

そこには髪型がライフィセットの様にアホ毛が立っており服も違うラフィーが立っていた。

 

 

「な、何で何ですか?」

 

とアルトリウスに聞くとアルトリウスは苦虫を噛み潰したような顔をし、私に近づき私だけに聴こえるように小声で−

 

「私が用意した聖隷はその…偶然用があり部屋にいた『彼』がこんな奴とラナお姉ちゃんを一緒に居させたくないとタダを捏ねてしまってその場で消してしまったんだ。それで僕が代わりにバレない様に聖隷のフリをすると言ってこうなってしまった。許してくれ……」

 

とアルトリウスから聞いた私は−

 

(……この人も苦労してるな……)

 

と同情しているとオスカー達が船に乗ろうとしているのが窓から見えた。

 

(ど、どうしよう!急いで行かなきゃ!)

 

とアルトリウスに一礼して部屋から出て行こうとすると−

 

「ラナお姉ちゃん!僕の方に!」

 

「ど、どうしたの!?ってうわぁ!!」

 

とラフィーに呼ばれたので近づくと窓を開け私の身体を抱き締めながら窓から勢いよく飛び降りた。

 

(死ぬ!この高さは死んじゃう!)

 

と死を覚悟していると地面ギリギリでラフィーの背中から4つの翼が生えてゆっくりと着地した。

 

(生きていて良かった〜)「ありがとう!ラフィー!でも次からはちゃんと言ってからやってじゃないと私の心臓が止まっちゃうから。」

 

「うん。分かった!出来る限りは言うようにするね。それよりも行こ!ラナお姉ちゃん♪」

 

と無事に着地した私はラフィーと一緒にオスカー達のいる船に乗りブリギット渓谷にいる刀狩りを討伐するという対魔士の初任務に心配もあるが船の舵をブリギット渓谷に向け出発した。

 




次の話では本編と絡めたオリジナルストーリーをやるつもりですのでお楽しみに〜


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対魔士としての初任務

どうしてもやりたかったことをやってしまった……後悔はしていない。


「あの〜オスカー様、テレサ様失礼ですが……このお方は誰でしょうか?」

 

「そうでした……忘れていました。ラナ……ご挨拶を是非してもらっても宜しいでしょうか?」

 

(そっか、自己紹介するのすっかり忘れてた。)

 

と船に乗りラフィーに服の裾を引っ張られ周りの飛び跳ねる魚や海を一緒に見ていると1人の対魔士が見慣れない私がいる事を気になったのか、オスカーとテレサに私について聴こうとしていたのを見た私はまだ自己紹介していないのを思い出し、自己紹介する事にした。

 

「私は昨日から聖寮に来た特等対魔士のラナ・クラウです。皆さん、宜しくお願いします。」

 

と自己紹介すると肩にムウジムを乗せたシグレさんが此方に近づき私の肩を掴み特等対魔士と言う言葉を聴き驚いている対魔士に−

 

「因みにラナはアルトリウスの亡くなった奥さんの妹なんだってよ。つまりラナはアルトリウスの義妹て事になる訳だ。何でもラナは、死んだ奥さんから任された大事な義妹らしいぜ。そんなラナに何かあったら、お前ら全員、アルトリウスに斬られちまうかもな。」

 

「「!?ア、アルトリウス様の義妹!?」」

 

と何処で知ったのか、分からないが、私の対魔士内での素性を語り笑いながら語るとそこに居たオスカーやテレサを含めた対魔士達が私の素性を聴くと更に驚いた。

 

 

「ほ、本当なのですか?本当にアルトリウス様の義妹なのですか?」

 

「それは本当の事なのですか!?シグレ様ッ!!」

 

とオスカー達も信じられないのか、声を荒げながらシグレさんに聞くがシグレさんは「さぁな。そこに居るラナ本人に聴いてみたらどうだ?」と言うと船に乗っている全員が私に詰め寄り私に次々言葉をかけ始めた。

 

 

「皆さん!落ち着いて下さい!!」

 

と詰め寄ったオスカーやテレサを含めた対魔士達に落ち着く様に周りに大声で叫ぶと徐々に落ち着いていき、完全に落ち着いたタイミングで私は私の素性について喋る事にした。

 

 

(アルトリウスとベルベットの事を義兄さん、お姉ちゃんて言った方が信憑性はあるよね。)「まず私は確かにアルトリウス……いや、義兄さんの妹です。」

 

「じゃあ何故あの時、監獄島に居たのですか?」

 

「あの時、監獄島に居たのは故郷の村を離れていて、村に戻ったら対魔士に業魔と勘違いをされて収監されて助けを待っていたらそこにお姉ちゃんがやって来て助けてくれて、一緒に行動してました。」

 

「成る程、つまりその時に僕は、会ったのか……」

 

「そうだね……その時にオスカーに会ってるね……そしてローグレスに来たという情報を義兄さんが得て私を保護してもうこの世にいないお姉ちゃんの遺言が書いていた手紙に従って特等対魔士になった……という訳です。」

 

と話すと皆が納得して、この話は終わり対魔士達やオスカーとテレサはこの場を離れてそれぞれ別の事をし始めた。

 

 

(ふう……やっと終わった〜それにしてもよく疑われなかったな……)

 

と嘘がばれなかった事をホッとしていると−

 

「…………」

 

ラフィーが私に向かって睨んでいた。

 

 

「ど、どうしたの?ラフィー?」

 

「………別に。」

 

「別にって顔じゃないけど……どうかしたの?」

 

「じゃあ一つ聞くけどさ、僕の事忘れて皆と話してたでしょ?」

 

「そんな事はないよ。」

 

と言うとラフィーは私に顔を近づけて−

 

「ラナお姉ちゃんは僕のモノだから他の醜い人間風情と話しちゃ駄目だよ……ラナお姉ちゃんも穢れちゃうから……」

 

と私を抱き締めながら私にそう言うと顔を私の身体にすり寄せて蹲まり「誰にも渡さない……」と呟くと私の身体を離れ何時もの様な笑顔で「もう大丈夫!!」と言うと海の方を眺め始めた。

 

(本当に大丈夫かな?)

 

「そんな事よりもさ、見てみてよラナお姉ちゃん!!やっぱり海って良いよね!岬で景色を見るよりもやっぱり船で見る景色の方が綺麗だよね。」

 

と心配する私の手を掴み海の景色が綺麗だと眼を煌めかせながら私に言った。

 

「ラフィーは海が好きなの?」

 

「うん!昔は身体も弱くて岬で海を眺めるだけで航海に必要な羅針盤も持ってなかったんだけどさ。ずっと布団の中で海に行く事を考えててね……いつか羅針盤を買って海に行くんだ!って思ってた事があってね。だから今海を眺めているだけでも凄い嬉しいんだ。勿論今でも羅針盤は欲しいんだけどね……」

 

「そっか。じゃあ今度羅針盤を私が買ってあげる。」

 

「本当に?」

 

「本当だよ!」(値段は高そうだけど……まあ多分買えるよね……)

 

「ありがとう!!ラナお姉ちゃん♪今度一緒に2人で船で旅に出ようね。」

 

「うん!買ったら一緒に行こう!!」

 

と私が言うとラフィーは笑顔で「うん!約束だよ!ラナお姉ちゃん♪」と言い完全に機嫌が治った。

 

(それにしても私を睨んでいる時の表情……ベルベットに似ていたな……)

 

とラフィーにベルベットと似た部分を感じていると対魔士の1人が私の方に来て「ラナ様!!ブリギット渓谷にそろそろ着きます!そろそろご準備を!!」と声を掛けられ準備をする事にしたのだがふとラフィーの事が気になり聞く事にした。

 

「ラフィーてさ他の人に存在をバレちゃいけないんだよね?対魔士達には誤魔化したけど……もしもベルベット達に鉢合わせたらどうするの?」

 

「ああその事なら大丈夫だよ。ラナお姉ちゃん。僕はこうするから。」

 

と言い私の身体に手を当てるとラフィーが光に包まれて私の身体に光が当たると私の身体の中に光が吸収された。

 

「ラ、ラフィー!?何処に行ったの!?」

 

と焦りラフィーを声を出して探すが−

 

《僕はここに居るよ。》

 

と姿の見えないラフィーの声が私の耳に聴こえてきた。

 

「ど、何処に居るの?ラフィー?」

 

と聴くとラフィーは−

 

《ラナお姉ちゃんの身体の中に居るよ。》

 

とさも出来て当然の様に言ってのけた。

 

「わ、私の中にってどうやって……」

 

《ラナお姉ちゃんは僕の契約者だからね。というかラナお姉ちゃんかアーサー兄さんしかこんなこと出来ないんだけどね。》

 

「つまり契約者の私だからこうやって入れるって事だよね。」

 

《大体は合ってるかな。まあ身体とかには害はないから気にしないで。》

 

「というかラフィーとどうやって喋ってるのか気になるんだけど……」

 

《ラナお姉ちゃんの心に直接喋ってるんだよ。だからラナお姉ちゃんが心で僕に話しかける事も出来るよ。》

 

と言ったので試しにやってみる事にした。

 

(ラフィー聴こえてる?)

 

《うん♪聴こえてるよ♪》

 

(確かにこっちの方が周りに聞かれる心配もないから安心だね。)

 

《そうだね。そろそろ着くよ。行こ!ラナお姉ちゃん♪》

 

(うん!行こう!!)

 

と船を見えにくい場所につけて、ブリギット渓谷に着いた私とラフィーは、一足先に降りていた対魔士達やシグレさんの後に続いて降りて上陸した。

 

 

上陸すると業魔がウヨウヨとしているのが見え一匹の業魔が此方に気づきそれに続く形で何体もの業魔が私達に目掛けて襲ってきた。

 

「さぁてと狩るか!!」

 

とシグレさんが走り刀の柄で鳥の業魔を叩き落とし、先陣を切り業魔の集団に突っ込んで行き豪快に刀を抜かずに業魔を叩き、弾き潰して業魔の攻撃を掻い潜りながら口元に笑みを浮かべ業魔を倒していき、シグレさんの姿が業魔の中に消え見えなくなっていった。

 

(後先考えないで敵を倒す所はロクロウにやっぱり似てるなぁ……)

 

《来るよ!!ラナお姉ちゃん!!》

 

「私も行かないとね!!」

 

とシグレさんに負けずに気合を入れガンブレードを出して私も業魔達に突っ込み戦いを始めた。

 

「踊り狂え!!ガンバースト!!」

 

ガンブレードを魔女の様な箒に乗った業魔に向かい勢いよく突き刺しガンブレードのトリガーを二回引き突き刺した状態で散弾を数発撃ちガンブレードを引き抜く。すると業魔は箒から落ち上半身を爪で引っ掻き苦しみ始め数秒後に体内から爆発し消滅した。

 

「火の龍よ!!この剣に力を与邪魔する敵を斬り燃やせ!火龍飛翔斬!!」

 

 

巨漢の業魔に向かいながらアポカプリプスを出して花びらに触れ火を纏わせアポカプリプスを上に投げ飛ばしガンブレードを出し空に飛びアポカプリプスをキャッチして、地面に向かってアポカプリプスを投げつけるとアポカプリプスから火が噴き、龍の形になると巨漢の業魔に向かい巨漢の業魔の肉を喰らい空に上がりガンブレードに吸収させるとそのエネルギーを纏ったガンブレードで一気に地面に向かい加速し斬り下ろすと巨漢の業魔は内部から爆発して消え去った。

 

《じゃあ次は僕の番かな!ラナお姉ちゃん少し借りるよ!!》

 

(え……ラフィー!?)

 

とラフィーが言うと私の身体から紙葉が現れ私の身体が勝手に動き始めた。

 

「重圧砕け!ジルクラッカー!!漆黒渦巻き軟泥捕えよ!!ヴォイドラグーン!これで終わりだ!!爪牙連なり裂傷乱れよ!ダークネスファング!」

 

複数の空を飛んでいる業魔にライフィセットと同じく腕を向けるとライフィセットのとは明らかに規模が違う地割れが起き空を飛んでいた業魔達は全員叩き落とされ何とか飛び上がろうと羽でもがくが起き上がれないのを確認し地面に両手を当てると泡が湧き立つ漆黒の沼が現れ業魔達を飲み込み引きずり込まれる所に両手を業魔達に向けると色がない牙の様な衝撃波が次々と紙葉と共に業魔達を襲い業魔達は跡形もなく消滅した。

 

《ふう……まぁこんなもんだね。ラナお姉ちゃんが観てくれてるからちょっと本気出しちゃった。》

 

(い、今ので全力じゃないの!?)

 

《うん♪そうだよ。まだまだこんなモノじゃないよ。いつかラナお姉ちゃんに見せてあげるよ。僕の全力をさ!》

 

(うん。楽しみにしてるよ。)

 

「此方は終わりました。シグレ様。」

 

とあらかた業魔が片付くと別の業魔の所に行っていたのか、オスカーとテレサが私とシグレさんに話しかけてきた。

 

「応!其方も終わったのか?」

 

「ええ。シグレ様終わったのですが……その…言いにくいのですが…刀狩りの業魔は倒したのですが……倒す前に『俺は対魔士達をやってない!やったのは俺の弟の刀斬りの奴の方だ!!』と言うものでしたから念のためどちらが強いかと聴いたら此方が倒した刀狩りの兄の方が強いらしいです……本当に申し訳ございません!」

 

とオスカーが言った事をシグレさんは聴くと「んだよ。じゃあ興味はもうねぇな。」と言い退散しようとすると私達の崖の下から声が聞こえ下を見るとそこには恐らくオスカーが言っていた刀斬りの業魔と−

 

(ッッッ!?べ、ベルベット!?)

 

何故かエレノアさんと行動を共にし刀斬りの業魔と戦ってるベルベット達が見えた。

 

「あ〜エレノアか。アイツ裏切ったのかね〜それとも業魔に捕まったのか……まあ俺にはどっちでも良いか。て事でラナ、俺は暇潰しにここの辺りの業魔を潰して遊んでるわ。来るんなら構わねぇぞ。オスカーとテレサはアルトリウスに帰って報告してくれ。」

 

「シグレ様!!」

 

と何人かの対魔士を連れてシグレさんは何処かに行ってしまった。

 

シグレさんとオスカーとテレサが居なくなり私は1人で(まあラフィーもいるけど)ベルベット達の事を観ながら考え事をしていた。

 

(ベルベット達は私の事を心配してるのかな……多分してないだろうけど……ベルベット達にとって今でも私は囮なのかな……そう思われてたら少し寂しいなぁ……)

 

と思ってると静かだったラフィーが口を開いた−

 

 

《……許さない》

 

(ラ、ラフィー?どうしたの?)

 

《ラナお姉ちゃんを苦しめて自分達は楽しそうに笑ってるアイツらは許さない。》

 

(私は大丈夫だよ!)

 

《嘘だよね……ラナお姉ちゃんと繋がっている僕には分かるんだ……本当は寂しいんでしょ?囮と思われているのが嫌なんでしょ?何より仲間だと思われたいんでしょ?》

 

(確かにそうかもしれないね……でも良いんだ。私はこれで……)

 

《ラナお姉ちゃんが良いと思っても僕は許さないよ!!アイツらの事を。》

 

(でもラフィーにどうにか出来るわけじゃないでしょ?ベルベット達と会うわけに行かないしさ。)

 

と聴くといきなり私の身体から光が溢れて光が収まると隣にアルトリウスの服に似た紋章がある服を着てハイヒールの様な靴を履いたラフィーが立っていた。

 

「どうしたの?ラフィー?何かあった?」

 

「いや良い案を思いついたんだよ。ラナお姉ちゃんは僕の身体に手で触ってそのままでいて。」

 

「……?こうで良いの?」

 

「うん良いよ。ラナお姉ちゃん♪そのままね。」

 

とラフィーの身体に触れそのままでいるとラフィーが私の肩を掴み口を開けて私の肩に噛み付いた。

 

「ッ!い、痛い!!」

 

「このままで居て!!ラナお姉ちゃん!!動くと危ない!!」

 

と肩を噛まれた痛みから逃れる為に動こうとするがラフィーに押さえつけられてそのままラフィーの口から黒と白色の液体の様なものが溢れ私の身体の傷から送り込まれるとラフィーと私の身体から闇が溢れ始める。

 

「ラフィー!!」

 

とラフィーを心配し声を掛けると「大丈夫!!もうちょっとで……」と言った瞬間私の身体から溢れていた闇が消えラフィーと私を光が包み込み私の意識は闇に消えた。

 

私が目覚めると目の前の景色が見えるが身体を何度動かそうとするが私の意思では動かなくなっていた。

 

《な、何が起きたの?》

 

と私が状況が飲み込めないでいると−

 

 

「「こうなったんだよ」」

 

と私の口が勝手に開きラフィーと私の声が重なり困惑している私に答えた。

 

《ラフィーなの!?》

 

「「うん♪そうだよ。僕だよ。」」

 

《何がどうなってるの?》

 

と聴くとラフィーは−

 

「「今の僕は、僕の身体と、魂が、ラナお姉ちゃんと融合した状態なんだよ。僕がラナお姉ちゃんの身体を操っていてラナお姉ちゃんは、ラナお姉ちゃんの身体の中に心だけある状態になってるんだよ。まあさっきまでの僕みたいな感じと捉えて。ちなみにこれはアーサー兄さんが研究している『神衣』ていう奴なんだけどまだまだ未完成でね。ま、僕と一つになってるって考えてくれれば良いと思うよ♪」」

 

今の私は知る由はなかったがこれが聖寮の開発中の切り札でもあり、そして『後の時代の導師』の使う『神衣』が初めて使用された瞬間であった。

 

 

《成る程……で私は元に戻れるの?》

 

「「僕が離れたいと思えば離れれるよ……ただ離れるのはアイツらにラナお姉ちゃんと同じぐらいの苦しみを与えてからね。」」

 

《私が何を言ってもやるんだよね……ベルベット達は殺さないでね》

 

「「うん♪分かってるよ♪でも行く前にラナお姉ちゃんに一回身体の主導権を渡すね。」」

 

《なんで?》

 

「「今のラナお姉ちゃん凄く綺麗だからラナお姉ちゃんにも観て欲しいからさ。」」

 

と言うと私の身体が私の意志で動く様になりじっくり観てみると私の髪の色が甘栗色からラフィーの様な綺麗な薄い金髪になっており、髪の長さもショートヘアーから伸びておりラフィーの様な髪型になっていた。私の服もラフィーから貰った対魔士の服に紋章が伸び身体中を巡っていた。靴をハイヒールの様なものになっており、そして上半身と頭の上には魔法陣が薄く展開されていた。

 

《そろそろ良いかな?》

 

「あ、うん!大丈だよ。もう一回言うけどやり過ぎないでね……」

 

と言い交代すると神衣した私の身体を使ったラフィーは(私は普通にラフィーと呼ぶことにする。)羽を背中から出現させ−

 

 

「「分かってるよ♪さぁて行こうかな……醜い穢れを消しに……」」

 

 

ベルベット達の後を追いかけその羽を羽ばたかせ後を追いかけた。




次回ベルベット達対ラナ(ラフィー)が激突します。

ベルベット達に勝ち目はあるのか……!?

次回もお楽しみに。


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ベルベット達との戦い

遅れてしまい申し訳ないです!!


それから空を飛び数分ベルベット達を探すと街の外れの港でシグレさんと数人の対魔士そしてベルベット達が今にも戦いに入ろうとしている所が眼に映った。

 

「「見つけた!!」」

 

とベルベット達を見つけたラフィーは笑みを浮かべ地面に向かい急降下し勢いよく着地した。

 

「「!?」」

 

「「あ、痛てて……」」

 

《大丈夫!?ラフィー?》

 

「「大丈夫!大丈夫!!」」

 

と心配し声を掛けると無事だとラフィーの声がし、安心していると着地した衝撃で巻き上がった煙が晴れるとベルベット達と眼があった。

 

「アンタ……本当にラナ?何処で何をs「ラナァ!!」フィー!!近づいちゃ駄目!!」

 

とベルベットが此方に確認するがそれを遮りライフィセットが此方に向かって走って来たのをラフィーは見ると笑顔で左手をライフィセットに向け−

 

「「白黒混ざれ!!シェイドブライト!!」」

 

《!?ラフィー!?》

 

光と闇の弾を飛ばした。

 

「フィー!!避けて!!」

 

とベルベットが叫ぶが此方に走り向かっていたライフィセットは止まらずに当たるかと思われた寸前横から射線へ割り込んだ槍による突きで掻き消された。

 

 

「大丈夫ですか?ライフィセット?」

 

「うん……助かったよ。エレノア…」

 

「フィー……良かった。ラナ!!アンタ今何をしたのか分かってるの!!」

 

とライフィセットが助かった事を安堵したベルベットが此方を睨み声を荒げ此方に聴くが−

 

「「別にそんな奴の命なんてどうだって良い。」」

 

「ッッ!!ラナァァァ!!」

 

「落ち着け!ベルベット!!」

 

「そ、そうです!!落ち着いて下さい!!ベルベット!!」

 

と冷たく言うラフィーにベルベットが怒りながら刺突剣で此方に向かって怒りに任せて攻撃しようとするがロクロウとエレノアさんに止められた。

 

そんなベルベットを見ながらシグレさんはムウジムと私の今の状態について話していた。

 

「なぁムウジムあれは本当に嬢ちゃんだと思うか?」

 

「いやシグレ……彼女から聖隷の気配を感じるわ。」

 

「だよなぁじゃあ此処は嬢ちゃんと聖隷の強さを見せてもらおうか。お~い!!ラナ〜お前さんに任せるわ!!特等対魔士と聖隷の強さを俺に見せてみろ!!」

 

と手を出さない事を言い刀を背中に背負い壁に寄りかかるのを見たラフィーは−

 

 

「「さぁてお許しも出たところで遊ぼうか♪直ぐには倒れないでよね♪」」

 

とガンブレードを出してベルベット達に向け乱射し始めた。

 

「ど、どう言う事ですか?シグレ様?特等対魔士はアルトリウス様とシグレ様二人しかいないのでは無いのですか?」

 

「お前が裏切った後にアルトリウスに連れてこられて特等対魔士になったんだよ。まあお前が知らなくても無理はねぇ……それより自分の心配をしたらどうだ?」

 

とエレノアさんが弾丸を避けながら帰ろうとしていたシグレさんに聴くとシグレさんがエレノアさんに自分の心配をする様に声を掛けた瞬間−

 

「「隙あり!!」」

 

「!?」

 

エレノアさんの頬をいつの間にか接近していたラフィーの振るったガンブレードが掠った。

 

「このままじゃ埒があかんぞ!!」

 

「ベルベット!!こうなったらライフィセットには辛いかもしれんがもうラナを殺すしかないぞ!!」

 

「分かってるわよ!!何か方法がないか探してんのよ!!」

 

といつの間にか元の位置に戻りガンブレードで乱射し向かってきている弾を避けながらベルベットが考えているとアイゼンが「確かめたい事がある」と言い弾丸の雨をステップで避けながら近づきその右拳を振り下ろしてきた。

 

「ふん!!」

 

「「おっと!!危ないなァ」」

 

が簡単に避けられ小指が頬を掠めただけで大したダメージにもならずそのまま回し蹴りでベルベット達の方へ吹き飛ばされてしまった。

 

「……で確かめたい事ていうのは確かめられたの?」

 

「ああ……小指がラナに触れた時ラナの中にかなり強い聖隷の気配が感じた。ほぼ間違いなくラナはその聖隷に操られてる。ここからは俺の推測だがラナを気絶させ、その聖隷をどうにか出せればラナを殺さずにすむかもしれん!!」

 

「……簡単に言ってくれるのぅ。」

 

「……成る程ね!!簡単な話じゃない!!」

 

「「悪いけど同じ手は僕には通じないよ!!」」

 

とベルベットが此方に向かって弾丸が当たりつつも向かってくるのを見たラフィーがガンブレードを振るがそれを読んでいたベルベットは股をスライディングで通り過ぎて右腕で急ブレーキをかけ、後ろに回り込んで起き上がりラフィーの身体を羽交い締めで抑えエレノアさんとライフィセットに声を掛けた。

 

 

「今よ!!フィー!!エレノア!!」

 

「はい!!いきます!!裂駆槍!!」

 

「うん!!無鋼!!(むこう)」

 

と隙を突きエレノアさんは槍の長さを活かした突きを、ライフィセットは紙葉を鋭くし投げつけるが−

 

「「やっぱり甘いなぁ」」

 

「っな!!」

 

「ベルベット!!」

 

当たる寸前に羽交い締めをされている筈のラフィーの身体から紙葉が舞い姿を消した。

 

「奴め!何処にいきおった!?」

 

「探せ!!短期間で遠くには行けん筈だ!!」

 

とベルベット達は姿を消したラフィーを探していると−

 

「「こっち、こっち、こっちだよ♪」」

 

「!?ベルベットォォ!!後ろォォォ!!」

 

「チッ!!水蛇葬!!飛燕連脚!!これで終わらせる!!裂甲刃!!」

 

と辛うじてライフィセットの声でベルベットの後ろにいたラフィーに反応しベルベットは後方に飛びその反動でスライディングをくらわせようとするがラフィーには避けられてしまい続け様に二連の回し蹴りを当てようとするが全く同じ動きで弾き落とされ、弾き落とすのをある程度見越していたベルベットが刺突剣で多段の斬撃を繰り出すが−

 

「「……無駄だよ。円連脚!!(えんれんきゃく)」」

 

 

多段の斬撃を逆さになりながら躱し、そのまま両脚を180度広げカウンターで両脚でプロペラの様に脚を回転しながら攻撃する。

 

 

「ッ!!」

 

最初は防いでいたベルベットだったが全てを受けきれず徐々に体制を崩してしまいそこに−

 

「「え〜い♪」」

 

「ッッ!!しまっ!!!」

 

体制を戻したラフィーの身体の捻りを加えた上段回し蹴りがベルベットの首に当たり鈍い音を立てて吹き飛んだ。

 

 

「ベルベットォォォ!!」

 

「「結構飛んだなぁ〜まぁ喰魔だから大丈夫か。良かったね!お姉ちゃん達!!お姉ちゃん達がくらっていたら死んでたかもよ。」」

 

「……お姉ちゃんと言われるのは悪い気がしないが喜んでもいられんのぅ…お主もそうは思わんか?エレノア?それはそうとお主、何かこの状況を打開できる策はないのか?」

 

「……そうですね。策はあるにはあるのですが成功するかどうかは…何よりラナの身体が耐えきれるかは……」

 

「「何をしようとしているかは分からないけど隙があり過ぎだよ!!」」

 

蹴り飛ばしかなりの距離を吹き飛んだベルベットを見て冷や汗をかきながらマギルゥがエレノアさんに策があるかと聞くと、エレノアさんがマギルゥに自身の策について話そうとするが、ラフィーの猛攻により話すこともままならない状況になってしまっているとエレノアさんとマギルゥに振り下ろされるはずだったガンブレードが拳と二刀の短剣に防がれた−

 

「悪いがラナ!!俺達と少し遊んで貰おうか!!」

 

「お前らは今の内にその策とやらの準備をしろ!!」

 

「お主達……済まぬ!!エレノア!!それと坊!!お主達取り敢えず奴との距離を空けるぞ!!」

 

「は、はい!!」

 

「うん!!」

 

と言い三人は距離を空けるために走っていった。

 

 

「「………」」

 

「今三人を仕留めるチャンスがあったと思うが良いのか?」

 

「「良いよ。どうせ何をやっても君達は僕には勝てないしね。」」

 

黙ってマギルゥ達が距離を空けたのを見ていた事に疑問を持ったアイゼンが理由を聞くとラフィーは余裕をもってそう答えた。

 

「行くぞ!!遅れるなよ!!ロクロウ!!」

 

「応!!」

 

2人がラフィーにそれぞれ構え向かおうとすると−

 

「ちょっと待ちなさい!!アタシも行くわ。」

 

「「ベルベット!!」」

 

「「お姉ちゃんもタフだね。普通の人なら首が折れててもおかしくないのにさ」」

 

吹き飛ばされたベルベットがいつの間にか2人の横におり刺突剣と業魔の腕を構えていた。

 

「本当は使いたくなかったけどもうこの腕で行くしかないわ。アンタ達も全力を出し切りなさいよ!!」

 

「応!!」

 

「勿論だ。」

 

「行くわよ!!」

 

「「いつでも来なよ。」」

 

「まずは俺から行く!!風迅剣!!朧舞!!六の型・黒霧!!(くろむ)瞬撃必倒!この距離なら!外しはせん!零の型・破空!煙撒き!!続け!!アイゼン!!」

 

「……任せろ!!サヴァイブロード!!隙だらけだ!燃えろ!ドラゴニックドライブ!!摩天楼!!(スタレイバー)ウィンドランス!!一歩詰める!!スプリットステップ!!覚悟はいいか?躱せるもんなら、躱してみな!ウェイストレス・メイヘム!ベルベット!!」

 

「分かってるわよッッッ!!グリーバススラッシュ!!陰昴流!!裂甲刃!!紅火刃!!空破絶掌撃!!(くうはぜっしょうげき)喰らい尽くす!!アンヴィバレンツ!!容赦しない!一撃じゃ生温い!絶破... 滅衝撃!!」

 

「「ッッッ!?」」

 

ラフィーの挑発をラフィーの隙と取ったのか、三人が脇見もふらず走り息があった連携攻撃で流石のラフィーでも堪らずエレノアさん達の方へと吹き飛ばされたのだが−

 

 

「「中々やるね!!お姉ちゃん達。少しは効いたけどそんな付け焼き刃の連携じゃ僕は倒せないよ。」」

 

「「「!?なっ!?」」」

 

「ば、馬鹿なあれだけの技を食らっても尚無傷じゃと……」

 

吹き飛んだ時に巻き上がり身体に付いた埃を片手で軽く払いながら何事もなかった様にラフィーは立ち上がった。そして−

 

 

「「悪いけどお姉ちゃんの借りるね!!」」

 

「っ!?い、いつの間に!?」

 

一瞬で何かの準備をしようとしていたエレノアさんに近づき、手に持ってる槍を奪いとり手で触れながらラフィーは眼を閉じる。するとパンドラが光を放ちその光が収まると同時にさっきまでは持っていなかったエレノアさんの槍に形の似た色のない槍がラフィーの左手に握られていた。

 

 

「ぶ、武器をコピーしおったじゃと!?」

 

「コイツ……ただの聖隷じゃない!?」

 

「「さぁてと……じゃ!反撃といこうかな!!」」

 

「ッッ!?来るわよ!!」

 

ラフィーは槍を構えベルベット達の方へと背中の羽を出し羽ばたかせその威力を利用して加速して突撃しベルベット達の寸前で止まり加速の勢いでスピードと力が乗った重い槍術を次々と休ませる暇もなく次々と繰り出してベルベット達を壁際へと追い詰めた。

 

「「これで終わりだよ!!お姉ちゃん達!!」」

 

そのままラフィーは槍でベルベットを突こうとするが−

 

「終わりなのはアンタの方よ!!アイゼン!!ロクロウ!!飛ぶわよ!!」

 

「応!」

 

「ああ!」

 

ベルベットの言葉を聞いた2人が先に飛びその場を離れたのを確認し、ベルベットも続き飛ぶと同時にラフィーの周辺一帯がフィ、エレノア、マギルゥが形成、展開した巨大な魔法陣に覆われ、ラフィーはその中へ閉じ込められてしまった。

 

「引っかかりおったな!!コイツはワシら三人の魔力で出来た動けば溜め込んだ魔法が一気にお主の方へ向かう攻防一体の大結界じゃぁ!!ベルベット達が大分時間を稼いでくれたお陰でワシらにもどれぐらいの量があるか分からん!!ま、くらうのが嫌ならばとっととラナの体から出ていけぃ!!」

 

魔法陣に外側から両腕で触れて魔法陣を維持しているマギルゥが維持したまま私の身体から出ていくように警告するがラフィーは苦笑し周りを見渡し−

 

「「へぇ〜これが作戦て奴なのかな?でも残念だね。この程度の精度の結界じゃラナお姉ちゃんの身体を使っている僕は止められない。」」

 

《だ、大丈夫なの!?ラフィー!?見た感じなんかヤバそうだけど……》

 

「「大丈夫だよ!!ラナお姉ちゃん!!ま!見ててよ!!僕のカッコいい所をさ!!」」

 

心配する私にガッツポーズしながら軽く言うとラフィーは−

 

「「せ~の突撃~♪」」

 

「なっ!?」

 

「!?な、正気か!?」

 

結界のど真ん中目掛け勢いよく走り出した。

 

 

「「さぁてと!じゃ行きますか!!」」

 

結界中央まで走ると急ブレーキをかけて止まったラフィーに対して全方角から無慈悲にも前や後ろが見えなくなる程の魔法の弾幕が覆い尽くしたのも束の間ラフィーも弾幕に呑まれやられると思ったのだが−

 

 

「「〜♪」」

 

「なっ!?こんな事あ、ありえん!!」

 

「槍で捌いてる!?」

 

ラフィーは鼻歌を口ずさみながらその場で踊るようなステップと共に槍を回し自身目掛け飛んでくる全ての魔法を次々と消し、時には結界に向かって弾き飛ばして当てていった。そして−

 

「「此処が一番脆いな……よし!!行っけぇぇ!!」」

 

全弾無傷で槍で魔法を掻き消し、時には弾き返しつつ魔法を弾き消した際に魔法が当たりヒビの入った結界の比較的脆い部分を観察しながら槍を片手での持ち替えながら更に押し寄せてくる魔法を片手で槍を回しながら魔法を弾きつつ、パンドラからガンブレードを片手に取り出しそのまま勢いよく槍投げのようにヒビに向かって投げると結界がガラスの様に砕け散りベルベット達の驚く顔が見えた。

 

「「まぁ作戦自体はいい線いってたんだけどね。でも神如き力を持つ僕にはこんな小細工は通じないよ。」」

 

 

「マギルゥ……アンタまだ何かないの?例えばアイツの鼻をへし折れる何かは?」

 

「期待を裏切る様で済まんがアレが今の儂の最大の技じゃ……つまりお手上げというわけじゃ……残念だがの……」

 

「「もう奥の手も無いようだね……じゃこっちから次は仕掛けるんだけどさ……最後に聞きたいことがあるんだけどさ其処の黒髪の業魔のお姉ちゃんは僕に見覚えはある?例えば僕の声とか雰囲気とかさ。」」

 

「お主達もしや知り合いか?」

 

「馬鹿言わないでアンタなんか知らないわよ。」

 

「「………!!」」

 

《ラフィー?悲しいの?苦しいんならもう無理しなくても……》

 

ベルベットに指を指して質問を投げかけるとベルベットの質問の答えを聴いたラフィーはベルベット達から身体を背けながら少し悲しそうな表情で項垂れ、私にラフィーの悲しい、苦しいという感情が流れきた私はラフィーを心配し声を掛けるがラフィーは「「大丈夫だよ!」」と笑顔を作りながら言うとベルベット達の方を憤怒の表情を浮かべながら向き−

 

「「……期待した僕が馬鹿だった。もういいや……この一撃でお前ら全員終わらせるから。」」

 

「っ!?ふ、雰囲気が変わった!?来るわよ!!皆!!」

 

憤怒の表情を見たベルベット達は警戒するも−

 

「「警戒したってもう遅い!!宇宙にありし幾万幾千の星々よ!!逆らう者を一掃せよ!!降り注げ!!メテオスォーム!!」

 

「雲が!?」

 

ラフィーがベルベット達が身構えるよりも先に詠唱を唱えると、空に異変がおき、一人先に異変に気づき空を見上げたエレノアさんに続く形で空を見上げるとそこには−

 

「「ッッ!?」」

 

《アレは……い、隕石!?》

 

無数の隕石がベルベット達の元へ降り注いだ。

 

「「……………」」

 

「「ハハハ!!これが僕とラナお姉ちゃんの力だよ!!お前ら如きが力を合わせたって僕達には勝てないんだよ。」」

 

《み、皆!!》

 

「「さぁ!!帰ろ!ラナお姉ちゃん!!」」

 

隕石が全て降り注ぎ、隕石になすすべもなく全て直撃したベルベット達が気を失ったのを確認したラフィーは翼を出し飛んで帰ろうとするが−

 

 

「ま、待て!ラナをラナを返せ!!」

 

《ラ、ライフィセット!!》

 

「「!?お、お前!!離せ!!」」

 

唯一気絶していなかったライフィセットがラフィーの脚にしがみつきそれをラフィーは払おうと脚を動かすが、離れぬようにライフィセットは更に力を込めてしがみつく。

 

「嫌だ!!絶対に離さない!!お前が誰だかは分からない……分からないけど此処でお前を逃したら二度とラナを助けられない!!だから僕は離す訳にはいかないんだァァァ!!」

 

「「お前!!いい加減に!!!」」

 

ラフィーは苛立ちながら魔法を撃とうと片手をライフィセットに構えるが突如ライフィセットの身体から白い炎が噴き出し始め炎が次々とパンドラの中に吸収され始めた。

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

「「こ、コイツ!!僕とラナお姉ちゃんの契約を上書きして自分と契約させる事によってラナお姉ちゃんの中にいる僕の力を奪い取って僕の存在そのものを消す気か!?もう半分浸食されて契約が上書きされてる!!こ、このままだとま、不味い!!ラナお姉ちゃんの身体から離れないと!!」」

 

ライフィセットが次々と力を吸収していくの危ういと判断したラフィーの身体が光始め光が収まると私の身体がから光の玉が現れラフィーが離れていく感覚を感じた。

 

《また会おうね♪ラナお姉ちゃん♪》

 

私の目の前の私の身体から分離した光の玉からラフィーの声が聞こえると光の玉は私の頬に軽く触れそのまま光の球は何処かへ飛び去ってしまった。

 

 

「大丈夫!?ラナ?」

 

「もう大丈夫だよありがとライフィセット……!?」

 

 

私に近づいてきたライフィセットに違和感を感じ目を凝らしよく見てみると、ライフィセットの身長が伸び服も黒いパーカーの様な服を着て顔つきも成長したライフィセットが其処にいた。

 

「ラ、ライフィセット!?だよね?」

 

「?ぼ、僕だけど、どうかした?」

 

「こ、これ見て!!」

 

「?………!?こ、これが僕!?」

 

手鏡を見せると鏡に写る自分の姿にライフィセットは激しく動転した。

 

「だ、大丈夫!?ライフィセット!?」

 

動転したライフィセットが心配で声を掛けるとライフィセットは「……なんで成長したのか分からないけどこれでベルベットとラナに子供として見られなくなる……よし!!」と恐らく心の中で思っているつもりのことを嬉しさで思いっきり声に出てるのを敢えて何も言わず笑顔で黙って聞いていると−

 

「ラナ!!大丈夫か!!」

 

「あ、ロクロウ!!皆!!」

 

「ちょっと待てテメェ誰だ?」

 

「「!?」」

 

ベルベット以外の皆が駆け寄ってきたがライフィセットの姿を見るなり警戒し始める。

 

「ぼ、僕だよ!アイゼン!!ライフィセットだよ!!」

 

「「!?ラ、ライフィセット!?」」

 

成長したライフィセットに皆が驚き私よりもライフィセットに駆け寄りると顔をマジマジと見始めた。

 

「は、恥ずかしいよ!!」

 

「確かに坊の面影はあるのぅ。」

 

「はい!!確かにありますね!!」

 

「この旅で一番驚いたかもしれん。」

 

「でも良かったじゃないか!!ライフィセット!!これでちゃんとベルベットに異性として意識してもらえるかもな。」

 

「ロ、ロクロウ〜」

 

皆成長したライフィセットを見てそれぞれ述べた後観察しながら見ていると−

 

「………」

 

「あ、あの、そのベ、ベルベット?」

 

いつも間にか近くにいたベルベットが少し頬を赤らめじっとライフィセットを見ていた。

 

「どうしたのかぇ!!ベルベット!!もしや成長した坊に見惚れていたのか~」

 

「~!?そ、そんな訳ないでしょ!!た、確かにか、カッコいいとお、思うけど……」

 

「その点はベルベットと同意見です!!成長しただけでも驚きですがまさかこんなにカッコよくなるとは予想外ですね!!」

 

「あ、あのぅわ、私もい、居るんだけども〜」

 

「「!?ら、ラナ!?」」

 

ベルベット達女性陣は成長したライフィセットについての感想を言い合ったりからかったりしており存在を忘れ去られた私が呟くとやっと私に気づいた。

 

 

「本当にラナお前なのか?」

 

「正真正銘の私だよ。」

 

私が答えるとアイゼンが私の頬に軽く片手で触れる。

 

「大丈夫だ。もうラナの中に聖隷の気配は無い……もう心配はない。」

 

「そ、そういえばシグレ様は?何処に?」

 

「恐らくだがアイツは混乱に乗じて帰ったんだろうよ。」

 

「そ、それなら良いのですが……」

 

いつの間にやら姿の消えたシグレさんの安否について話していると話の話題はライフィセットの事に変わった。

 

「所でライフィセットはずっとこのままなのか?」

 

「いや俺の推測なのだが奴の力を吸収した事が原因でそれに耐えうる為奴から吸収した力で無意識的に成長させたんだろう。だがその力も少しずつ消えていき一日二日で元に戻るだろうな。」

 

「そ、そうなんだ……なんか残念だなぁ。」

 

ライフィセットが何故だか残念がってると−

 

 

「……良かった。」

 

「何が良かったんじゃ?ベルベットや?お主……もしや坊がいい男になって他の女にモテる事を危惧していたんのかぇ?」

 

軽く息を吐くベルベットにマギルゥが横から顔を出したままふざけて言うと途端にベルベットはあたふたと慌て始めた。

 

「そ、そんな訳、な、無いわ。断じてある訳無い!!そもそも私がフィの一番なんだからある訳ないでしょ。」

 

「冗談で言ったんじゃが……」

 

「……当たってましたね。」

 

「と、兎に角皆船に乗りなさい!!行くわよ!!」

 

「私に怒ったり恨んだりしてないの?ベルベット?」

 

皆が船に乗り込んでいく中ベルベットに聴くとベルベットは此方を見て「アンタがアルトリウスやあの『聖隷』に利用されてた事はなんとなく分かってるわ。だからアンタのせいじゃ無いわ。だがら皆も多分気にして無いわ。」と言うと船に乗り込んで行った。

 

(ベルベット……ありがとう。)

 

ベルベットに心の中で感謝をしたがどうしても皆へ心の中の罪悪感拭いきれないまま私も続き船に乗り込んだ。




これでオリジナル編は一旦終わり次から本編に戻ります。


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奇病壊賊病を治せ!

私達は船に乗り次の目的地に向かおうと海を進んでいたのだが一つ問題があった。

 

「次の目的地は南洋諸島イズルトに向おうとしているのだが……ラナ、何故お前とライフィセットはずっと手を繋いでいるんだ?」

 

「私にも分からないよ。ライフィセット?そろそろ離してくれるかな?」

 

「離したら今度こそ二度と会えなくなるかもしれないでしょ……だから嫌だ。」

 

(参ったなぁ)

 

ずっとこの調子でライフィセットが私に手を強く握って離れようとしない。

 

 

「お主が足止めをしていたあの場に皆が戻った時、辺り一面が焼け野原になっておってな、お主の付けていたボロボロの羽織だけがある状況じゃ皆が死んだと思っても無理もないわい。」

 

「そうだな。実際、それでライフィセットとベルベットが少しギクシャクしたからな。」

 

「そ、そうなの?」

 

「そうじゃよ。ベルベットは死んだから忘れろの一点張りでライフィセットは絶対に生きてると言ってお互いに自分の考えを譲らんかったのじゃよ。じゃがそんな態度を取っておった当のベルベット本人も心配しておったんじゃがな。それにしてもラナ、お主は人を引き寄せ狂わせる何かがあるの〜言わばそう!魔性の女じゃな。」

 

「そ、そうかなぁ。」

 

「いや、マギルゥお前の方がどちらかと言うと魔性の女だと思うぞ。」

 

「な、何じゃと!!ワシの何処が魔性なんじゃ!!失礼にも程があるわい!全く。」

 

「じゃあ訂正してあげるわ。アンタは胡散臭い魔女よ。」

 

「尚更酷くなっとるんじゃが!?」

 

「……ハハハ」

 

こんな感じでコントの様な会話をしていると−

 

「……ラナ。」

 

「うん?どうしたの?ライフィ……!?」

 

「「!?」」

 

「お〜や♪お〜や♪」

 

成長して身長差がほぼなくなったライフィセットにぎゅっと抱き締められた。

 

(やっぱり男の子なんだなぁ……じゃなくて!!)

 

「ど、どうしたの?ライフィセット。ちょっと苦しいから離してくれる?」

 

「……嫌だ。ラナが何を言っても絶対に離さない。離したくない。」

 

(ど、どう言ったら離してもらえるの?)

 

「おーいラナこっちを見てみぃ!!」

 

(?マギルゥ?どうし……ッ!?)

 

成長したライフィセットに抱きしめられて私はやっぱり男の子なんだなと改めて思っていたのだが後が怖くなり離してもらう様に頼むと更に強くライフィセットに抱き締められて苦しくなってきた私はどうにかライフィセットから離れてもらおうと考えていた時マギルゥから呼ばれて指差す方を向くと−

 

「………」

 

(ッッッ!?ベルベット!!!)

 

そこには業魔の腕を出し拳を血が出るほどに握り怒りが顔に出るほど怒ってるベルベットの姿が見えた。

 

「ラ、ライフィセット!そろそろ離さないと……」

 

「そ、そうだね。そろそろ離した方が良いかもね……名残惜しいけど……」

 

ライフィセットに離してもらう為に目でベルベットを見ながら言うとライフィセットは視線に気づき離そうとするが−

 

 

「ラナ……これ何?誰にやられたの?」

 

ライフィセットが何時もとは違う低い声で私の首元にあったラフィーに噛まれた傷を睨みながら私に耳元に囁く様に聞いてきた。

 

(ラフィーとの事を知られたら不味いよね。)「こ、これはその……そ、そうちょっと業魔に噛まれちゃってさ。」

 

と我ながら苦しい言い訳で業魔に噛まれたと説明するとライフィセットは「ふぅん」と言うと私の首に触れて傷を治すとベルベット達の方へと戻っていった。

 

(……?どうしたんだろ?ライフィセット?……っと、あれ?気分が悪くなって……)

 

「ラナ?……ちょっとアンタ!!ラナ!!」

 

様子が何時もとは違うライフィセットの事を考えていると急に目眩がし、その様子を見て慌てた様子で駆け寄ってきたベルベットの姿を薄れていく目で見たのを最後に意識を失ってしまった。

 

(ここは……船の中?)

 

目が覚めると目尻に涙を浮かべながら覗き込むライフィセットとその少し離れた所で壁に寄り掛かってベルベットが此方を見ているのが目に入った。

 

(そうか…私、確か船の中で倒れて……)

 

状況を冷静に考えていると−

 

「ラナァ!良かった良かったよ……!!」

 

「へ?うぁっ!!」

 

「ちょっとフィー!!駄目でしょ!ラナはまだ病み上がりなんだから!!」

 

「っ!ごめん……ベルベット。」

 

「フィーちょっとラナと話したいんだけど…良いかしら?後ついでにエレノアを呼んできてくれる?」

 

「う、うん。分かったよ。」

 

ライフィセットに勢いよくまた抱きつかれたが、それを見て一瞬ベルベットは目を顰めたがすぐに戻り冷静に私からライフィセットを離れさせて部屋から出る様に言いライフィセットはその言葉を聴くと「何かあったら呼んでね!」と言うとエレノアさんを呼びに部屋を飛び出していった。

 

「「……」」

 

(く、空気が重い何か喋らないと……そうだベルベットに聞かないと……)

 

「ベルベット……」

 

「……何?」

 

「その…本当に何も聞かないの?」

 

「聞くっていうのはアンタが特等対魔士になった事?それともラナ・クラウと名乗ってアルトリウスの義妹て嘘をついてる事?それなら全部;血翅蝶;からの情報で知ってるわよ。」

 

「!?そこまで知っててなんで!?」

 

「別に裏切ったと思ってないわよ。それとアンタ嘘つくのが下手なのよ…セリカ姉さんみたいにね。だからその…」

 

「?」

 

「〜っ!だから!!いつまでもそうやってウジウジと罪悪感を感じたり1人で抱え込んだりすると皆が心配するから辞めろって言ってるの!!」

 

 

若干顔を紅くしながらベルベットはそう勢い良く言うとそういった言葉を言い慣れてないのかそっぽを向きながら腕を組み顔を逸らしてしまった。

 

「……ありがとうね。ベルベット。」

 

「別に礼を言われる様な事は言ってないわ。…それにアンタだったらもしラフィが生きてたら……」

 

「…?どうしたのベルベット?大丈夫?」

 

目付きが鋭くなったベルベットのことを心配していると勢い良く扉が開きライフィセットとエレノアさんが部屋に入ってきた。

 

「呼んできたよ。」

 

「良かった…無事だったんですね。ベルベット何の用ですか?」

 

「…ええ揃った所で本題に入るわ。」

 

「どうかしたの?ベルベット?とういうか何でエレノアさんも一緒に居るの?」

 

「ああアンタはまずそこからよね。まあエレノアがいる事とこれからする話は関係あるからエレノア説明して。」

 

「え?あ、はい!わかりました。実はですね……」

 

(成る程そんな理由で……)

 

エレノアさんに大事な事以外を省いて説明してもらった所で−

 

「これでラナだけが取り残される事は無くなったわねじゃあ本題に入るわ…話の通りエレノアとフィーは契約して『器』と『主』の関係になったの。でもラナ、アンタと合流してからフィーとの『繋がり』を共有している感覚がするらしいの。」

 

 

「ええ…ベルベットの言う通り『繋がり』がその…『誰か』とライフィセットとの『繋がり』を分け合ってる感覚がするんです。ラナに近づく度その分け合ってる感覚も近くなってるんです。それでその…本来ならあり得ないのですがラナは何か思い当たる節などありますか?」

 

エレノアさんに聞かれ思い返してみると思い当たる節があった。

 

(ラフィーといた時最期にライフィセットの身体から白い炎が噴き出してパンドラに吸収されたのが原因?)

 

「あるみたいね。なら話は早いわ。ラナアンタもライフィセットの『主』になったんだからこれからは絶対に無理はしないで。フィの事を思ってくれるならね。じゃあ話は終わり。いくわよ、フィー!」

 

「あ、うん。」

 

「あ、ちょっと!ベルベット!…行っちゃった…」

 

私の顔を見て思い当たる節があると確信したベルベットはそう言うと私が返事をする前にずっと黙って聞いていたライフィセットを連れて部屋から出ていってしまった。

 

(私も部屋から出よっと。)

 

「あ、忘れてました…ラナ。貴方に話があったんでした。」

 

「?私に?」

 

「はい。貴方にです。」

 

用が済んで部屋から出ようとするとエレノアさんに引き止められた。

 

「話ってなんですか?」

 

「ええっとですね。まず私が此処にいる理由は最初はアルトリウス様からライフィセットを連れ戻す事でした。」

 

「……」(まあそういう風に出るよねアルトリウスさんは…)

 

私はエレノアさんの言葉に驚く事もなく水を差すことなく黙って聞くことにした。

 

「ですが…まだ一緒にいるのは少しだけですがアルトリウス様に聞かされた通りのただ悪い業魔達には思えないんです。だから貴方やベルベットに言われた通りに対魔士から離れてベルベット達と共に戦って対魔士やアルトリウス様の正義が正しいのかを見極めてみることにしました。」

 

「…エレノアさん」

 

エレノアさんの眼からは覚悟が感じられた。

 

「それとさん付けで呼ばないでください!歳も近いと思いますし。それに何よりその…さん付けに慣れてないんですよ。」

 

「…ふふ。改めて宜しくね!エレノア!」

 

「はい!頼りにしてますよ!ラナ!」

 

エレノアとお互いに握手をして、たわいの無い雑談をしながらベルベット達のいる甲板へ向かって行った。

 

 

 

「おやぁ…お主達何をコソコソと喋っておったのじゃぁ?」

 

甲板に戻るとマギルゥが此方の様子を伺うかの様に眼を覗き込んで聞いてきた。

 

「…マギルゥそんなに私達の会話が気になるの?」

 

「当然じゃ!お主達で何か面白そうな事を考えておるかもしれんしな。儂だけ除け者にされてると思うと…オヨヨ。」

 

「面白い事じゃありません!!全く…なんでこうもこの船にはマトモな考えの人がラナくらいしかいないんですか!!もうちょっと常識を保とうとか思わないんですか!!」

 

「そりゃあ俺達は殆どが業魔と聖隷で人間じゃないからなぁ。それよりエレノア…お前とラナの距離が縮まった気がするが…お前達なんかあったのか?」

 

「ロクロウ!!大事な話をしてるんです!!茶化さないで下さい!!…全くもう!!」

 

「アンタ達…そろそろ陸に着くわよ。準備しなさい。それとラナアンタに伝え忘れてたけど…船で壊賊病を発症してる人がいるの…だからそれを治しに行くために少し寄り道するわ。壊賊病については降りながら説明するわ。」

 

「あ…うん。分かったよ。」

 

泣き真似をしてるマギルゥをエレノアが常識が足りないと言いお説教をしようとした所をニヤニヤニヤけながら茶化してきたロクロウにエレノアが怒ってるとベルベットが船の旗から降りてきて準備をする様に促し私達は降りる前の準備をして船を係留しベルベットから壊賊病について説明を受けながら陸へ降りた。

 

「さて、薬屋はどこだ?確か、壊賊病には特効薬があるんだよな。」

 

「;サレトーマ;という野草の花だ。その絞り汁を飲めば、壊賊病は治る。」

 

「今回は大事にならずに済みそうだな。」

 

「安心するのは薬草を手に入れてからよ、」

 

「ああ。行くぞ。」

 

と行こうとすると−

 

「待ってください。感染してる者が街に出たら壊賊病が広まってしまいます。」

 

「案ずるには及ばん。不思議なことに、壊賊病は海の上でしかうつらんのじゃ。空気中の塩分濃度が関係してるとも、海水に潜む微生物のせいとも言われておる。」

 

(そうなんだ。マギルゥて意外と物知りなんだ。)

 

とエレノアが引き止めるがマギルゥが自慢げな顔でそう言うと続く様にアイゼンも広まった例はないと言うとエレノアも安心して納得した。

 

「だが万が一と言うこともある。すぐに戻る。お前達は船で待ってろ。行くぞ。」

 

と先を急ぐ様に言ってしまった。

 

「ほら!行こ?ライフィセット!エレノア!……エレノア?どうしたの?」

 

近くにいたライフィセットとエレノアに急ぐ様に言ったのだがエレノアが歯を噛みながら苦々しい顔になっていたのを見た私が心配して声をかける。

 

「あ、いえ何でもないんです。ただサレトーマを飲むのは……ちょっと……」

 

「エレノア?」

 

「いえ、高熱の病気によく効く薬草なのですが…この世の物とは思えないほど不味いの。;業魔も泣くって;いうくらい。」

 

(例え比喩表現だとしてもベルベットやロクロウが泣くのは想像できないな…)

 

「でも薬だから…死ぬよりイヤ?」

 

「あ……泣き言ではありませんよ。子供の頃の事を思い出しただけです。」

 

(…なんというか乙女だなぁ。)

 

とライフィセットに言われ顔を紅くしながら昔の事を思い出したエレノアを可愛いと思いつつ二人と共にベルベット達の後を追った。

 

「やっと来おったか。それにしてもロクロウめ、エレノア以外は働けなどと言いおって、儂もか弱き乙女じゃというのに…これは明らかな職業差別じゃよ。そうは思わんか?ラナ?」

 

「いやそんな事ないと思うけど…強いていうなら…その…日頃の行いじゃない?」

 

「お主までそんなこと言うのか!これはもう魔女裁判を起こして徹底的に戦ってやる!」

 

「火炙りにされるのは、アンタだけどね。」

 

「あはは。」

 

とマギルゥに愚痴を聞かされて私の返答を聴き更に怒ったマギルゥはなんだか分からない魔女裁判(?)を起こすと言ったのだがベルベットにそう言われるとマギルゥは静かになった。

 

「村に着いたな。だが対魔士がいる様だな。何やら村人と揉めてる様だが…」

 

静かになったマギルゥを連れて村に入ると何やら対魔士達が村の人達に囲まれて怒鳴っている声が聞こえてきた。

 

「……サレトーマに関する情報が欲しいわね。ラナ。アンタ…対魔士に話を聞いてきなさい。私達は少し離れて待ってるわ。」

 

「うん。」

 

とベルベットに言われ向かおうとするが−

 

(対魔士の服着てないと話を聴けないよね。)

 

と服をパンドラから出すと−

 

「!?ふ、服が出た!?」

 

何もない所から服を出した私にエレノアが驚いた。

 

「そういえばアンタはしっかりと見るの初めてよね。」

 

「え、えぇ。」

 

「ま、儂の奇術に比べれば見習い程度じゃがな。」

 

「いえ…その…言い難いのですがラナの方が凄いかと。」

 

「…同意見だ。」

 

「確かにそこのエセ奇術師に比べればラナの方が奇術師ぽいしな。」

 

「オヨヨ〜坊はそんな酷い事は言わんよな!な!」

 

「…多分だけどラナの方が凄いと思うよ。」

 

「皆して儂を傷つけて楽しいか!この鬼!死神!業魔!」

 

「…ハハハ。」

 

「何か聴かれたりしたら適当に流しなさいよ。」

 

変な所で突っかってきたマギルゥを皆がそれぞれの感想を言いそれを聞いたマギルゥが拗ねるのを横目に見て対魔士達の元に向かい話を聞く事にした。

 

 

「繰り返すようだが、その様な事実はない。」

 

「でも、大司祭様はいつまで経っても、お仕事にお戻りになってないっていうじゃないですか?本当は、業魔に襲われたんじゃないかって、王都から来た人が言っていたんです。」

 

「王宮の警備はどの場所よりも厳重だ。業魔が侵入するなどありえない。」

 

「あの…どうかしましたか?」

 

「誰だ!?…あ、貴方は……!?」

 

と私が声を掛けると対魔士達は会話を邪魔されて怒り此方を向くが私の顔と服を見た途端驚いた表情で此方を見てきた。

 

「ちょっとアンタ誰よ!会話の邪魔しないでくれる?」

 

「愚か者!この方を誰だと思われてるんだ!このお方はあの;導師アルトリウス様;の義妹特等対魔士ラナ・クラウ様であらせられるのだぞ。口を慎め。」

 

「「!?」」

 

「取り敢えず槍を下ろしてくれるとありがたいんだけどな。」

 

「ハッ!」

 

対魔士達と同じく会話の邪魔をされて怒る老婆に対して対魔士が槍を向ける何処で知ったのか対魔士内の私の素性を言うとその場にいる村人や子供達全員の注目になり私が対魔士に槍を向けさせるのをやめさせると瞬く間に私の元に人が駆け寄り次々と私に疑問を投げかけ始めた。

 

「大司祭様はいつお仕事にお戻りになられるのですか?本当は業魔に襲われたんじゃないんですか?」

 

「いえ私が今対魔士達に義兄からの伝令を伝えようと王都から来たのですが今、大司祭様は軽い病気を患っておりまして表に出れなくなってしまわれたのですが、伝えるのが遅れてしまいその様な根も葉もない様な噂が流れる事になってしまいました。」

 

「それなら良いのですが……」

 

「万が一業魔の群れが城に押し寄せたらどうするおつもりなんじゃ?」

 

「その点は大丈夫です。王宮を始めその周辺を守る対魔士達は、トップクラスの実力者の精鋭揃いです。もしも業魔が攻めてきた場合に備えて今も訓練を続けておりますのでどうかご安心を。」

 

「ですが巨人の様な業魔が現れたと言う噂が経っておりますが本当なのですか?本当だとしたら幾らその精鋭部隊でも厳しいのではないですか?」

 

「その様な業魔が現れたとなるともっと大きい騒ぎになって私達もここにおらずに王宮や王都に全員直ぐに向かいます。ですがそうではないということはつまりありもしない事実だということです。皆さんが不安になる気持ちも分かりますが、我々対魔士やアルトリウス義兄の発表を信じて冷静に考えて下さい。不安になればそれでこそ混乱状態に陥ればそれこそ業魔に入り込まれてしまいます。ですから安心して待っていてください。」

 

私がそう言うとそれを聞いた村人や子供達は納得してそれぞれの家に戻って行った。

 

 

「…助かりました!ありがとうございます!!」

 

「…適当に言っちゃったんだけど…大丈夫だった?」

 

「取り敢えずは静かになられたので大丈夫だと思います…所でラナ様はなぜ此方に?」

 

(この際だしついでにサレトーマの場所を聞こう。)「あの…ついでに聞きたいんですが連れが壊賊病を患ってしまってサレトーマを探してるんです。けど売ってる場所もしくは生えてる場所を知ってますか?知ってたら教えてほしいのですが…」

 

「成る程…今は店で品切れらしく理由がサレトーマの咲くワァーグ樹林に業魔が出まして聖寮が樹林への立ち入りを禁止しているのです。方角はこの村から東の方にありますが行かれるので?」

 

「分かりました。ありがとうございます。」

 

「ラナ様!行かれるならお気をつけて!」

 

と対魔士達に別れを告げて戻るとベルベット以外の皆が私の事を観察する様に見てきた。

 

「帰ったよ…ってどうしたの?皆?」

 

「お前アルトリウスの義妹だったのか?」

 

「つまりベルベットの妹にもなるわけじゃな。」

 

「何故そんな大事な事を黙ってた。」

 

「ラナはその…姉と一緒に義兄を殺しに行くわけなんですね…」

 

「少し似てるなと思ってたけど…ラナってベルベットの妹だったんだ…知らなかった。」

 

「ちょ!ちょっと皆!落ち着いてよ。」

 

と誤解してる皆を落ち着かせようとすると−

 

「ラナの言う通り落ち着きなさい。ラナは私の妹ではないわ。これはアルトリウスからの指示でそう言ってるだけなの。」

 

「そうベルベットの言う通りだよ。私はベルベットの妹じゃないよ。ベルベットなんで皆知らないの?ベルベットは知ってたよね?」

 

「言うまでもない事だと思ってね。言わなかったのよ。」

 

「そっか。でも次からは言ってね。そう言う大事なことは。」

 

「善処はするわ。」

 

「良し!早速向かうとするか!」

 

「ちぇ!なんじゃ!なんじゃつまらんな!」

 

そう言うとマギルゥ以外は納得していつも通りに戻ったがマギルゥはつまらなそうに足元の小石を蹴りベルベット達の元へ行ってしまった。

 

 

「何してるの?置いてくわよ。ラナ。」

 

「あ、うん。今行く!」

 

 

 

ワァーグ樹林にサレトーマがあると情報を手に入れた私達は壊賊病を治すべくワァーグ樹林へと足を進めた。

 

 




また遅れてしまい申し訳ないです。

仕事が山積みで書く暇がなく仕事が山積みではなくなり書ける時間が戻り投稿頻度も少しは戻せると思うので次回をお楽しみに。


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メルキオルの術中


もっと長く上手く小説を書けるようになりたいなぁ


「あの、ライフィセット、アイゼンが言う死神の呪いってなんなのですか?」

 

「ん?」

 

ワァーグ樹林に向かう途中の橋で姉弟の様に仲良く二人で話しているエレノアとライフィセットの方を振り返るとエレノアがライフィセットに死神の呪いについて聴いていた。

 

「…アイゼンは自分の周りの人達を不幸にする力を持ってるんだって。」

 

「それは…聖隷の特殊な力ですか?」

 

(確かにそこの所どうなんだろ?)

 

エレノアの言葉を聴き私も気に求めてなかった事に疑問に思うと−

 

「ただの不幸ではないぞ。海門要塞では、突然業魔病が大発生したし、海賊団にも、多くの死者が出ておる。」

 

「マ、マギルゥ!いつの間に!」

 

いつの間にか私の横にいたマギルゥが私の肩に顎をのせながらエレノア達に今まで起きた死神の呪いについて思い当たる出来事を言った。

 

「そんな話…にわかには信じられません。」

 

「死神の呪いは本物でフー!!僕がエレノア様から引き剥がされ、マギルゥ姐さんにフん捕まったのも呪いのせいでフー!」

 

「そう…なの?」

 

(いや…多分だけど違うと思うよ…エレノア…)

 

「エレノア様の涙が乾くよう、頬をフーフーした日々が、恋しいでフー。」

 

「エレノア!!そんな事してたの!?」

 

「えっ!?ちょっと……!」

 

「此処でエレノア様に再び会えたのも不思議なご縁改めてエレノア様の元へ……」

 

「好きにするが良い。」

 

「良いんでフか?」

 

「止めはせぬ。乙女の秘密をペラペラ喋る聖隷が欲しいならのー」

 

「結構です!私にはライフィセットという守るべき聖隷がいますから!!」

 

「そんなぁ〜!今はライフィセットに、涙をフーフーしてもらってるんでフーか〜?」

 

「してもらってませんってば!もう、貴方なんて知りません!」

 

「ビエ〜ン……!」

 

(泣いてっちゃった……)

 

エレノアが頬を赤く染めながら否定するとビエンフーは泣きながらどっか行ってしまった。

 

「ふぅ……」

 

とエレノアが困ったように溜息をつくと−

 

「…………」

 

(ベルベット?)

 

「………」

 

「………」

 

ベルベットが何時もより目を細めて此方をジッと見ていた。自然に気づいたエレノアが真顔で見返すと−

 

「………」

 

「…何ですか?」

 

「ライフィセットには、そういう事させないでよ。」

 

「させません!というか、以前もそのようなことは……!」

 

「ああ…!もう!!」

 

「これも死神の呪いかの……」

 

「………ハァ」

 

ライフィセットをエレノアから離して自分の近くに引き寄せてエレノアに言うとエレノアは否定したがベルベットには全く聞き入れられずに話は終わってしまった。

 

 

 

 

「エレノア、気分は悪くない?」

 

「ええ、今の所は大丈夫です。」

 

「なら良いけど、アイゼンの『死神の呪い』は甘く見たら駄目だよ。」

 

「その;呪い;って、本当なんですか?どうしても信じられないのですが……」

 

体調に気遣いつつも死神の呪いを軽く見ちゃ駄目だと言うライフィセットにエレノアはそう聞いてもまだ信じられない様子だった。

 

「そういう事を言っておると、急に腹痛になったり、靴連れしたり、口の中に虫が飛び込んだりするぞ。」

 

「虫……!?」

 

「姉さん、適当な事を言ってエレノア様を怖がらせちゃダメでフ〜!これまでにバンエルティア号を取り締まった海軍の軍艦が四隻も行方不明になってるとかアイゼンが泊まった島の男が業魔病になったとか、肩のぶつかった人が笑いが止まらなくなって死んだとか……」

 

「止めてください。そっちの方が怖いです……」

 

マギルゥが適当な事を言ってマギルゥの言った言葉をビエンフーが訂正するが−

 

「作り話だ。軍艦は七隻、島民は男だけでなく全員、ぶつかった奴は笑いじゃなくしゃっくりだからな。」

 

「ひぇ……っ!?」

 

「こ、怖いでフ〜……!」

 

そう更に訂正したアイゼンに対してエレノアとビエンフーは怯えて少しアイゼンと距離を取ってしまった。

 

「だが、壊賊病に関しては心配いらんだろ。サレトーマの花を絞って飲めば良いんだから。」

 

「花が咲いてれば、ね。」

 

「ああ、それはそうだ。」

 

「嫌な予感がしますね……」

 

そう言うベルベット達の会話を聞いてエレノアは頭を抱えてしまった。

 

「だ、大丈夫だよ。流石にそんな事はないと…思うなぁ……」

 

「…そこはハッキリ大丈夫だと言ってもらいたかったです。」

 

「ごめんね無責任に言って……」

 

「大丈夫です!コレぐらいはなんとでもなります!さあ行きましょう!ラナ!」

 

「う、うん。」(逆に励まされちゃった。)

 

 

歩きながら自信なくそう言って励ます私にエレノアは自信を持っていって欲しかったと言われて無責任な言葉を言ってしまったと謝るがそんな私をエレノアは励まし、結果的に逆に励まされる形となってしまった。

 

 

 

 

 

それから更に歩き森に入ると目の前に蒼い魔法陣が立ち塞がっており道を塞いでいた。

 

「コレは……聖寮が新しく開発した;二重結界;です。」

 

「なるほど。連動する二つの結界か。」

 

「一般人の立ち入りを禁止する為にしては、随分念入りだな。」

 

「……確かに……」

 

ロクロウの一言にエレノアが疑問を抱き考えていると目の前に蒼い紋章の入ったスイッチの様なモノが置いてあるのが見えた。

 

(こんなに直ぐに解く仕掛けが置いてあるなんて怪しい。)「ベルベット!何か仕掛けがあるかもしれないから慎重にね!!」

 

「……分かってるわよ……」

 

ベルベットが私が言った通りに慎重に触れると結界か紅くなり手前の結界が砕けて消える。

 

(……何にもなかった。私の考えて過ぎか……)

 

自分の思い過ごしで良かったと思い進もうとするが−

 

「「!?」」

 

目の前で砕けた筈の結界が蒼色の光を放ち私達を包み込んだ。

 

 

 

(今のは一体!?いやそれより!)「ベルベット!!」

 

光が収まり自分の身体は無事である事を確認して真っ先に最も光の近くにいたベルベットに駆け寄り声をかけるが−

 

「喰らい尽くす!!」

 

「!?」(ど、どうして……)

 

私に向けて業魔の腕を振い攻撃してきた。

 

「どうしたの!?ベルベット!?」

 

業魔の手で次々と攻撃してくるベルベットをなんとかいなし何度も何度もベルベットを呼びかけるが−

 

「うぉぁぁぁッッ!!」

 

(駄目だ…こっちの言葉が聞こえてない……)

 

呼びかけに反応せずにひたすらに叫びながら私を殺す為に業魔の腕を振る。

 

(なんとかベルベットを元に戻さないと…!!)

 

と明らかに普段とは様子がおかしいベルベットを取り押さえようとするが−

 

「ふん!!」

 

「白黒混ざれ!!シェイドブライド!!」

 

「裂駆槍!!続いて下さい!!ロクロウ!!」

 

「応!!朧舞!!」

 

「コレでトドメ!!喰らい尽くす!!アンヴィバレンツ!!」

 

「ガバァ!!」(他の皆まで…)

 

(……訳が分からない。なんで皆…取り敢えず今は逃げないと!!)

 

続く形でマギルゥ以外の全員から攻撃をくらい最後にベルベットの業魔の手で刺され3回切り裂かれた私は血を吐き出しながら脚を引きずり逃走しようとすると−

 

「そこまでだ!!」

 

「対魔士!?」(…もう駄目だ…)

 

無数の対魔士達に囲まれ、絶体絶命の状況に諦め死を受け入れようとするが−

 

「ラナ様!!お逃げ下さい!!此処は我々が!!」

 

「真っ直ぐいけばシグレ様やテレサ様達がおります!!」

 

「邪魔をするなァァァ!!」

 

 

 

私を庇う様にベルベット達に立ち塞がり私の退路を確保してくれた。

 

「…あ、ありがとう…」

 

礼を言い此処を対魔士達に任せて言われた通りに脚を引きずりながら真っ直ぐ逃げる。

 

 

「ハァ!!ハァ!!」(も、もう追って来てないよね…)

 

なんとか脚を引きずり逃走してベルベット達の追って来ていないことを確認すると近くの木に寄り掛かり座り息を整える。

 

(やっぱり思い返してもあの光を浴びてから皆がおかしくなった…あの光は一体…)

 

息を整えながら状況を整理していると−

 

「!?」

 

目の前の木が雷を纏った大剣によって切り裂かれ私に迫る。

 

 

「ご、業魔!?」

 

なんとか交わし目の前を見ると目の前に漆黒の鎧を纏った騎士の業魔が此方を覗き込んでいた。

 

 

(不味い!!視界がボヤけて!!)

 

ガンブレードを構えて業魔の動きを伺うがベルベット達傷付けられた傷から大量に血を流したせいか視界がボヤけて前が見えなくなっており何とかボヤけている視界で戦うが全てを避けきれずに斬撃をくらってしまう。

 

「ハァ!!ハァ!!ゲホッ!!」(このままだと…確実に死ぬ!!)

 

口から大量に吐血しながらどうにか倒す方法を考える。

 

(脚を負傷して思う様に動けないこの状況…相打ち覚悟で相手の一撃の威力を利用してカウンターの一撃を当てるしかない!!)

 

そう考えガンブレードの剣先を業魔の目に向けて構え業魔の攻撃を誘うとそれを隙と捉えたのか業魔は肩に向けて大剣を振り下ろす。その一撃を私は−

 

「ガバァ!!」(コレで私の間合いになった!!)

 

敢えて受け大剣が肩に突き刺さり大量に血が飛び散る。

 

(ッッッ!!!今だァァァ)「ランゲツ流桜花一閃!!」

 

意識が飛びそうになるのをなんとか堪えて逆に肩から斜めに斬り下ろし業魔を真っ二つにし業魔は呻き声をあげて血溜まりに倒れ込み鎧ごと消滅した。

 

 

「ハァ!ハァ!何とか倒した!!ってあれ!?身体が!?」

 

業魔を倒し息を吐くと身体が傾き倒れ込みそうになるが−

 

 

「おっと!!大丈夫か!?お嬢ちゃん!!」

 

「ラナ。貴方この私の腕の肉球が見えるかしら?」

 

「…見えるけどかなりボヤけてる。」

 

「…まだ見えるならまだ大事には至ってはいないようね。もう少し見つけるのが遅れたら出血多量で死んでいたわね。間に合って良かったわ。」

 

「取り敢えず拠点に向かう。拠点に向かえばテレサ辺りが手当て出来るだろよ。」

 

いつの間にか側に居たシグレさんに肩に手を回して倒れそうな私の肩を支え身体を引き起こすとシグレさんの肩から降りたムルジムが私に対して冷静に肉球を見せ見えるか、確認し見えると私が言うとムルジムはひとまずは安心してシグレさんの肩に戻ったのを確認して私の肩を貸し拠点に向かい歩き進み始めた。

 

「…シグレさん。どうして此処に?」

 

「部下から連絡があってな。お嬢ちゃんが仲間達に襲われて傷を負ったまま逃げていたってな。」

 

「そうして向かって追いつくと貴方が私達の任務の討伐対象である業魔と血を流しながら戦ってるんだもの…焦ったわ。」

 

「見てたんならどうして…」

 

「それはな。確かめてたんだよ。」

 

「確かめてたって…何をですか?」

 

「それは…お前に「シグレ!!急がないと本当に死んじゃうわよ。そしたら貴方の考えてる事も出来ないわよ!」あ〜分かってるよ!悪い!お嬢ちゃん!!後で必ず話す!!今は拠点に向かうぞ。」

 

「…はい。分かりました。」

 

肩を借りながら拠点に向けて進むシグレさんに見ていた理由を聴くと脚を止めシグレさんが答えようとするがムルジムが言葉を遮り私の身を案じて急かすとシグレさんは謝り必ず話すと約束して脚を再び動かして拠点に向かって歩き出した。

 

 

 

 

「……着いたわね。」

 

「お〜い!!誰か此処に怪我人がいるんだが治療してくれ〜!!」

 

「どうしたのですかシグレ様…ッ!?ラ、ラナ!?姉上!!大変です!!ラナが!!」

 

「ラナ!?コレは一体……取り敢えず治療を!!」

 

それから五分ぐらい歩いてると簡素なテントが無数に張っている場所に辿り着きシグレさんが無数にあるテント中に聞こえるように叫ぶとオスカーがテントから出て私を見ると慌てて隣のテントに入りテレサを呼ぶと少ししてテレサがテントから顔だけを出して此方を見た瞬間服を急いで整えながら駆け寄りシグレさんの肩から慎重に私の腕を離しそのままゆっくり地面に横たわらせ緑色の光が私を包み込み少しずつ傷を治していく。

 

 

 

 

光に包まれて30分程経ち光が収まると完全に傷が塞がり身体が治っていた。

 

 

「テレサ!!ありがとう!治ったよ!!」

 

「いえいえ大した事はしてませんよ。それよりどうして傷を負ってシグレ様に支えられて此処に?」

 

「ああそれは……」

 

簡単に状況を説明するとシグレさんは「成る程な」と言い一人納得し空を見上げて私に告げた。

 

「そりゃ何時間前にいたメルキオルの爺さんの仕業だな。」

 

「メルキオルさんの?」

 

「ああ…あの爺さんの仕掛けた術にハマったんだろうよ。で、お嬢ちゃんが他の奴らから見たら業魔に見えていたって訳だ。」

 

「成る程…だから…」

 

「でもシグレ…ラナだって;人間;でしょ?業魔のお嬢ちゃんやロクロウや聖隷の坊や達、それにエレノアも掛かっていたのにラナだけが術にかからなかったのはおかしいわよ。」

 

「確かにそうだなぁ。ああ!!頭使って考えんの疲れた!!この話は止めだ!止め!!」

 

シグレさんの言葉を聞きあの時何故私が襲われたのか理由が分かり納得するとムルジムが疑問をぶつけるとシグレさんはめんどくさくなって話を強制的に終了してしまった。

 

 

「それよりもお嬢ちゃんに相談なんだが……」

 

「……?相談って何ですか?」

 

改まった態度で相談事を持ち掛けてくるシグレさんに聞くと−

 

 

 

「あのな嬢ちゃんさえ良ければランゲツ流を学んでみる気はないか?勿論俺が手取り足取り教えるからよ。」

 

「……え?」

 

私にとっては予想外の提案をシグレさんから受けた。

 





お待たせしました!!(待ってくれた方本当に申し訳ありません!!)

次の話も作成中なので早めに投稿できると思います。


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ランゲツ流の修行

あけましておめでとうございます!!

今年も宜しくお願いします!!


「病み上がりのラナには無茶です!!」

 

「そうですよ!!ラナは治ったといえまだ修行出来る身体じゃないんですよ!!」

 

テレサとオスカーが私の身体を心配してシグレさんに修行を止めるように言うが−

 

「お前達にぁ聞いてねぇ!!静かにしててもらえるか?じゃねえと……斬るぞ。」

 

「……分かりました。ですがせめてラナの覚悟を聞いてからにして下さい。」

 

「分かってるよ。」

 

シグレさんは刀を抜きながら本気の殺意を二人に向けると二人は止めても無駄だと思ったのか、それ以上は口にしなかった。

 

「さてとお嬢ちゃん!!どうする?学んでみるかい?」

 

(……答えは決まってる。)「はい!!こちらこそよろしくお願いします!!」

 

止めようとした二人を静かにさせたシグレさんはこちらを向き私に聞きそれに対してこちらも頼むとシグレさんは「ちょっと待ってな」と言い一人テントの中に入り、しばらくして二振りの短刀を持ってテントから出てきた。

 

 

「コレは?」

 

「ああこれはなこっちの鞘が白いのが影光(えいこう)、こっちの鞘が黒いのが闇影(あんえい)ってな。先代シグレが使ってたもんだ。コレを嬢ちゃんにやるわ。」

 

シグレさんはそう言い私の両手に影光と闇影を渡した。

 

 

「何でこんな大事なモノを私に?」

 

「俺の予想だが嬢ちゃん……短刀を持ってないだろ。それとコレはお前さんが使わない俺が持ってるよりこれからランゲツ流を使うことになる嬢ちゃんが持っていた方が良いだろうっていう考えさ。」

 

「な、なら有難く使わせて貰います。」

 

私は使う事に対してそれでも返そうかと戸惑ったがシグレさんの言葉を聴き使う事を決めた。

 

 

「さぁて嬢ちゃんにはランゲツ流を叩き込むわけなんだが、言葉じゃうまく伝えられねぇからな。実戦で教えるわけなんだが、いきなり俺が相手するのは余りにも不公平だと思ってな。相手は俺が用意させてもらう。」

 

 

「分かりました。いつでも大丈夫です。」

 

「それと俺は弟と違って小太刀二刀のランゲツ流はメインじゃない。だから教えられんのは基礎だけだ。後は自分で弟の技を盗むなりして磨いてけ。」

 

「はい!!」

 

 

「おし!!まずはお前からだ!!」

 

 

「はい!!シグレ様!!」

 

私が気合を入れ返事するとシグレさんは納得して自分の部下を呼び出した。

 

 

「まずはコイツからだ。コイツの技を見るなりしてランゲツ流を盗み取ってみろ。」

 

 

「はい!!分かりました!!」

 

 

「お前も相手が特等対魔士だからと言って手加減するなよ。」

 

 

「はっ!!ラナ様……行きます!!無骨!!!」

 

 

そう対魔士にシグレさんが念押しするといきなり私の間合いに詰めて斬撃を繰り出してきたが身体を捻りなんとか躱す。

 

「……危なかった。」

 

「まだまだ!!緋閃!!」

 

「くっ!!」

 

が躱した一瞬の隙に、踏み込まれ斬りつけられ避けきれず私の横腹を短刀が擦り血が流れる。

 

 

(ど、どうすれば……)

 

短刀の間合いに慣れていないのと絶え間ない攻撃に攻撃どころではなく防戦一方になってると−

 

 

「いきなりの実戦はやっぱりキツいわよ。お嬢ちゃんに少しだけでもランゲツ流のコツでも教えてあげたら?」

 

「コツぐらいなら教えられるか。よし!!お嬢ちゃん!!まずは相手の攻撃を躱しながら攻撃を叩き込む事を意識しろ!!」

 

(攻撃を躱しながら……よし!!)

 

「やってみようか!!」

 

頭の中で閃いた事を実行する為に意気込み気合を入れて構えると勢いよく二刀の短刀が振り下ろされるがそれを躱しつつ−

 

「コレでどう!!鎌掛け!!鎧通し!!」

 

「ガバァッッッ!!」

 

右の斬撃を振り素早く後退して左の斬撃で身体を自分の方へと引き寄せ、対魔士の腹に短刀を素早く重ねて衝撃を与え、衝撃を受けた対魔士は吹き飛ばされていった。

 

「やるじゃねぇか!!」

 

「ええ。コツは掴んだみたいね。」

 

(!?しまった!やり過ぎた!!)

 

「だ、大丈夫ですか!!?」

 

シグレさんとムルジムは、共に吹き飛ばされた対魔士に、目も向けずに私の方を見て放った技の威力を見て感心している二人(一匹?)を尻目に対魔士に駆け寄り声を掛ける。

 

「だ、大丈夫です。」

 

「無事で良かった。」

 

「おし!!次は俺が直接試してやる!!」

 

駆け寄った対魔士を引き起こし共にシグレさんの元に向かうといつの間にか刀を抜き腕を振り回して臨戦態勢をとって待ってた。

 

(ハハハ…死なないかな…私…)

 

「行くぞラナ!!」

 

「ハイ!!」

 

私の修業はまだまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラナとシグレの修業が続いているのと同時刻−

 

 

「シグレ様に回収を頼まれた業魔の残骸は此処だよな?」

 

「ああ此処のはずだ。とっとと回収して帰ろうぜ。」

 

二人の対魔士がラナが倒した業魔の破片を回収しようとすると−

 

「ん?な、なぁそこになんか居なかったか?」

 

「あ?何もないだろ?」

 

「そうだよなぁ気の所為だよな。」

 

「本当に大丈夫かぁ〜」

 

一人の対魔士が怯えている対魔士を揶揄うと−

 

「イヤ…気の所為などではない。」

 

目の前に狐の仮面を付けた人物が二人の対魔士の顔を覗き込んでいた。

 

「!?だ、誰だ!?お前!!」

 

「私か?私は…そうだな…敢えて名乗るなら……そうこの世の悪夢とでも言おうか。」

 

「は!?何を言っているんだ?コイツ?頭おかしいんじゃないか。」

 

「取り敢えずコイツをシグレ様に引き渡すぞ。」

 

二人で謎の人物に襲いかかるが−

 

「ふ、愚かだな。こい!!」

 

二人を一笑し左手を振ると左手に付いてる腕輪が光りラナと同じガンブレードらしきモノが握られていた。

 

「ラナ様と同じ!?」

 

「怯むな!!」

 

「「うぉぉぉぉ!!!」」

 

手に持つガンブレードらしきモノに驚く対魔士をもう一人の対魔士が一喝し二人で槍で突こうとするが−

 

「……この程度私が相手をするまでもない。舞い踊れ…ドッペルゲンガー……」

 

「「!?」」

 

ガンブレードらしきモノを投げ地面に突き刺す。すると地面から黒い闇と霧が溢れ狐の仮面を付けた人物と同じ姿をした霧を纏った影が四人現れる。

 

「!?なんだ!?コイツらは!?」

 

「……この程度で良いか…良いぞお前ら……喰らえ……」

 

「た、助け……!!!」

 

対魔士達の助けを求める声は最後まで発せられる事はなく影に喰われ千切られ、地面に引っ張り込まれ闇に飲まれ跡形もなく消えてしまった。

 

「…呆気なかったな…」

 

呟き地面に突き刺さったガンブレードらしきモノを引き抜くと闇も共に消えてしまった。

 

「…さてと私の目的はこれだが…ふむ成る程…コレなら使えるな。」

 

騎士の業魔の破片を拾い一瞥し、腕輪に破片を当てると腕輪が光る。光が収まると破片は消えていた。

 

 

「それにしても…さっきの対魔士が言っていた言葉…まさかとは思うが『あの女』が此処に送り込んだということか……フッ!!面白い…」

 

仮面の下で笑みを浮かべガンブレードらしきモノを振ると闇が溢れて扉を形成する。

 

「会えるのが楽しみだな。『ラナ』」

 

そう呟き扉を開け闇が溢れる中に入ると扉が消え仮面の人物はこの場を去った。

 

 




遅れてしまい申し訳ございません。

やっと設定だけで出ていなかったキャラを出せました。

彼女(彼?)がこれからラナの行く世界の先々で本格的に立ちはだかります。彼女(彼?)の目的とは?そして何故ラナの事を知っているのか?次回も乞うご期待下さい!!


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約束

謎の狐の面をした人物が去ってから数時間後

 

 

「ラナ様!!そろそろ目的の場所に着きますのでご準備を!!」

 

(…そろそろ着くのか……元気かな…ベルベット達……)

 

私は今、対魔士達の船に乗りベルベット達のいるという大陸まで近づいていた。

 

 

遡り数日前の出来事−

 

「ハァ…ハァ…ど、どうですか?シグレさん?」

 

「基礎は中々に様になったじゃねぇか!後は自分でm「シグレ様!!た、大変です!!業魔の回収に向かった対魔士が!!」……そいつは本当か…済まねぇ!!嬢ちゃん!!修業は中断だ!!アルトリウスの所に帰らなきゃ行けなくなっちまった。」

 

「……?は、はい!!分かりました!!ありがとうございます!!」

 

シグレさんと斬り合ってると偵察を任せていた対魔士が慌てた様子で近寄りシグレさんに報告するとシグレさんは驚き荷物をまとめる準備に入り修業は中断された。

 

「ねぇオスカー皆慌ててるけどなんかあったの?」

 

「それはですね…ラナ貴方が倒した業魔の回収に向かわせた対魔士が突然消息を絶ったんです。その件でアルトリウス様がラナ以外の全対魔士達に招集を掛けたんです。」

 

「……?私以外の対魔士全員に?」

 

(何故私以外に……?)

 

「多分だがな…お嬢ちゃんはアルトリウスのお気に入りだからなぁ。犯人だと疑われてないんだろ。」

 

「ええそれに貴方はエレノア達とも行動を共にしてるわ。その件で対魔士全体が怯えていると分かった今、攻め込まれたら如何にアルトリウスといえどもその喉元に刃が届くかも知れないもの。」

 

「…私がベルベット達に言うかも知れないんですよ。なのに何でこんな大事な事を……」

 

「そうね……でも何故か貴方は言わない…そんな気がするのよ……私達は理由は違えど多少なりとも貴方を信頼し始めてる。だから信頼して言ったという理由じゃ納得してもらえないかしら?」

 

「…分かりました。この事はベルベット達には言いません。」

 

ムルジムの真剣な眼差しで本当に自分の事を信頼してくれている事が分かった私は信頼に応えて今聴いた事を自分の胸に仕舞い込みベルベット達には決して話さない事を決めた。

 

 

「よし!!じゃあアルトリウスの所に向かうついでに嬢ちゃんをアイツらの所に送り届けてやるよ!!その方が後々面白くなりそうだしな!」

 

「……!!シグレさん!!あ、ありがとうございます!!」

 

感謝の言葉をし私はシグレさん達の船に乗りベルベット達のいる場所へと船の進路を向け進む事となった。

 

 

 

そして再び現在−

 

「シグレ様!!見えてきました。」

 

「そろそろノーグ温原だな。」

 

(此処にベルベット達が…)

 

業魔が居そうにない程綺麗な湿原の船着場に止めると足場を下ろした。

 

 

「シグレさん、オスカー、テレサ、私は皆が居なかったら死んでいた。本当にありがとう!!」

 

「エレノア達は恐らく此処から真っ直ぐ進んだ先にあるロウライネの塔にいるそしてそこにはメルキオルの爺さんも居るはずだ……用心しろよ。」

 

「気を付けて!!」

 

「また会いましょう!ラナ。」

 

「お達者でラナ様!!」

 

私は対魔士やシグレさん達に頭を下げて先に進もうとしたが−

 

「あぁ〜ちっと待ったお嬢ちゃん。すっかり忘れてたんだけどよコイツも一緒に連れて行ってやってくれ。」

 

(コイツ……?)

 

シグレさんの引き止める声に足を止めて振り向くと−

 

「ラナお姉ちゃん!僕も行くよ!!」

 

そこには私の対魔士の服とお揃いの服を着たライフィセットが立っていた。

 

(ラ、ライフィセット!?いや違う……)「ライフィセットじゃなくて、ラフィーだよね。」

 

「うん!!当たってるよ!!流石だね!ラナお姉ちゃん!!」

 

私がラフィーだと当てるとライフィセットの顔のラフィーは笑顔になり自身の顔に触れる。するとライフィセットの顔が黒い泥に塗れ顔の部分が崩れ落ちラフィーの顔が露わになる。

 

「シグレさんどうして……」

 

「ラナの元に彼を向かわせる……アルトリウスの命令でな。」

 

「伝えるべき事は伝えたからな!!じゃあなラナ!!また会うのを楽しみにしてるぜ!!」

 

「はい!!ありがとうございますシグレさん!!」

 

「そろそろ良いかな……急いで行くよ!!ラナお姉ちゃん!!」

 

「うん!!頼むね!ラフィー!!」

 

ラフィーに行動の全てを任せるとラフィーは私の身体に噛み付き前の様に液体を傷口から流し込み私の身体から闇が溢れ、膨れ上がり暴発し、周囲の生物を業魔化させながら神衣する。

 

「「楽しくなってきた!!」」

 

神衣したラフィーは身体を回転しながら翼を出しながら空に上昇し限界まで上昇したタイミングで6枚の翼を羽ばたかせ風に乗りベルベット達の元に急行すべく空を飛ぶ。

 

 

それから数分後−

 

「「見つけた!!」」

 

私達の飛んでいる下にベルベット達とザビータそれと、少し離れた場所に帽子を被った老人が居た。

 

「「まずはご挨拶かな‼︎」」

 

『待って!!ラフィー!!一般人も居るんだよ!!』

 

少し離れた場所にいる老人もろとも急降下し一撃を加えようとガンブレードを出したラフィーを止めるが

 

「「ん?ああ……ラナお姉ちゃんは知らなかったか…あの老人がメルキオルだよ。」」

 

『え?そうなの?』

 

「「そうそう!!だから思いっきりやっても誰も死なないよ。」」

 

『それでもやりすぎない様に手加減してね。』

 

「「分かってる♪分かってる♪」」

 

軽く頷きながらラフィーはガンブレードを構えて急降下しようとすると−

 

「うわあああっ!!」

 

『!?聖隷や対魔士が!?業魔に!?』

 

メルキオルが部下であろう対魔士や聖隷らに、黒い光弾を飛ばし、それが当たった対魔士や聖隷達は、苦しみ闇に飲まれ闇が晴れると、ドラゴンの業魔へと変貌していた。

 

『ラ、ラフィー!!お願い!!止めて!!』

 

私は身体の主導権を握ってるラフィーにメルキオルを止めるように説得しようとするがー

 

「「メルキオルがいるんだったら……ラナお姉ちゃんの事紹介しよっかな♪♪」」

 

ラフィーはまるで聞く耳を持たずにメルキオルの近くに降下した。

 

「死神の力が連鎖させたか……大した負の影響力だ。」

 

「逃すかよ!!」

 

「「メルキオル!!って…あ、行っちゃった。」」

 

降り立ったラフィーがメルキオルに声を掛けようとするとザビータがラフィーの事を見向きもせず横を通り追いかけて来たのを見ていたメルキオルは踵を返して行ってしまった。

 

 

「「なんだよ〜もう〜紹介したかったのになぁ〜ラナの事をさ!!」」

 

『それよりも!!ラフィー!!あのドラゴン達をどうにか人間に戻してあげれない!?』

 

「「どうして?ラナお姉ちゃんにはアイツらは仲間でも何でもない関係ない奴らでしょ?」」

 

『それでも…それでも私は助けれるなら、助けたい!!お願いラフィー!!手を貸して!!』

 

「「ハァ…本当にお人好しなんだね…ラナお姉ちゃんは…良いよ…他ならぬラナお姉ちゃんの頼みだし今回限り助けてあげる。」」

 

『……!!あ、ありがと!!ラフィー!!』

 

私の頼みを拒んだラフィーに私の想いを伝えると私のお人好し加減に呆れながらも私の頼みを承諾してくれた。

 

「「でも僕がアイツらの前に姿を現したら面倒臭い事になるからなぁ…どうしようかなぁ……!!よし!!」」

 

そう呟きつつも何かを閃いたのかガンブレードを出し腰鞘があるかのように構える。

 

『ラフィー!?何をするつもりなの!?』

 

「「離れた此処から居合で衝撃波を出して業魔の穢れを吸収する。必ず成功するかどうか分からない…僕もやった事がないからどうなるか賭けだけどもやってみる価値はある。」」

 

『うん!!頼んだよ!!ラフィー!!』

 

「「いくよッッ!!醜き汚れ達よ!!この一閃で全て消えろ!!消し飛べ!!アトレッドドライブ!!」」

 

「「!!!?」」

 

 

凄まじいスピードでガンブレードを抜刀し振ると無数のVの字を描いた衝撃が音速を超えたスピードで飛びベルベット達の背後から迫り業魔達のみに当たってく。

 

「「もう一つオマケだよ!!喰らえぇぇ!!」」

 

その様子を見ていたラフィーはダメ押しと言わんばかりにもう一度ガンブレードを腰に当てて構え大きく一閃すると巨大な横長い衝撃波が業魔達を包み込み光が溢れ出す。

 

 

 

 

 

 

『…やったの?ラフィー?』

 

光が収まり状況をラフィーに聞くとー

 

「う、私は生きて……?」

 

「レジェンドワイバーンが!?元に!?」

 

「「何とかなったっぽいね。」」

 

『良かったぁ。』

 

業魔から元の姿に戻った対魔士や聖隷を見て安心していると−

 

「え!?」

 

「!!?フィー!?」

 

『しまった!!もう一体!!』

 

ラフィーの衝撃波が当たっていなかった3体のドラゴンの業魔の内の一体ががフィーに襲おうとするが−

 

 

「大丈夫か?坊主?」

 

「ザビータ!!」

 

間一髪の所でいつの間にかメルキオルを縄で抑えたままこの場にいた放ったザビータの銃撃が当たり業魔が倒れた。

 

「策士策に溺れるってやつだな、ジジイ」

 

「溺れたのはどっちかな?」

 

「?」

 

勝ち誇った笑みを浮かべ銃を突きつけたザビータにメルキオルがベルベット達の方に眼を向け言いザビータが気になり視線を移すと−

 

「はっ!!」

 

「ふっ!!」

 

「…………」

 

「何ッッ!?」

 

「倒れたもう一体は私がやる。」

 

そう言ってベルベットは静かに喰らう為に歩み寄るが−

 

「ッッ!?なっ!!」

 

『ザビータ!?』

 

怒りの表情を露わにしたザビータがメルキオルを突き飛ばして、ベルベットに近寄りワイヤーのようなもので軽くあしらい吹き飛ばす。

 

「レジェンドワイバーンを庇った!?」

 

「あっさり殺しやがって!それが、テメエらの流儀かよ!!そんなお前達の流儀は俺は認められねぇ!!」

 

怒りの感情を顔に表してベルベット達の流儀を否定してレジェンドワイバーンに乗ろうとすると−

 

「素晴らしい。;ジークフリード;まさに求めていた力だ。」

 

高揚したメルキオルの声がし皆が当たりを見渡している中メルキオルは手を叩き光のような物を出してザビータの手の中に握られていた銃を読み取り始める。

 

「何?」

 

「目的は達した。」

 

「何をしやがった!!待ちやがれ!!」

 

「奴らを追うぞ。」

 

「先に行ってなさい…私は野暮用があるから後から行くわ。」

 

「…?分かりました!!」

 

読み取り終わり逃げたメルキオルをザビータが追うのを見たベルベットを除いたアイゼン達はザビータの後ろを追いかける。

 

「「皆行っちゃったね。」」

 

『そうだね』

 

「「僕もそろそろアーサー兄さんの元に戻らないと」」

 

『そうだよね。』

 

「「今神衣を」」

 

「お待ちください。」

 

『!?』

 

「「…メルキオル」」

 

ベルベット以外が去った後隠れて見ていたラフィーが神衣を解こうとすると去ったはずのメルキオルが近くにいた。

 

『何で!?去ったはずじゃ!?』

 

「「ラナお姉ちゃんこれはメルキオルの分身体だよね」」

 

驚く私にラフィーが声を掛けて説明しながらメルキオルに手を伸ばすと触れる事なくすり抜けた。

 

「そうでございます。この娘が貴方の…」

 

「「うん!新たな作り直した世界の女神になるラナお姉ちゃんだよ!!」」

 

『め、女神!?』

 

「そうでございますか。それよりもこの場に来たのはただ一つラナ様の腕輪を解析する為に参上いたしました。」

 

「「……良いよ。」」

 

「では…失礼します。」

 

メルキオルはザビータの銃と同じ様にパンドラを読み取り始め少し経つとパンドラに似た色が無い腕輪がメルキオルの手元に現れた。

 

 

「終わりました。」

 

「「お揃いだ〜」」

 

「お喜びになられたらば何よりでございます。」

 

 

頭を下げるメルキオルを他所にラフィーは、一人跳ね回ったりしてはしゃぐ。

 

『良かったね。ラフィー』

 

「「うん♪」」

 

「アルトリウス様がお呼びです…急ぎお戻りを…」

 

「仕方ないなぁ…じゃあね!ラナお姉ちゃん♪」

 

「うん…じゃあね!!ラフィー!!」

 

神衣を解除したラフィーは私に手を振ると、翼を広げて天井から飛び去っていった。

 

 

(さぁてベルベット達と、どう合流しようかな…)

 

 

そう悩んでると−

 

「…何やってんのよ。」

 

「ベ、ベルベット!?」

 

いつの間にかベルベットが私の顔を覗き込んでいた。

 

「アンタと逸れて皆心配してたのよ。さ、後を追うわよ。」

 

「うん。」

 

歩く脚を揃えてベルベットと共に追いかけようとするが−

 

「下らない友情ゴッコだな…ベルベット・クラウ…」

 

「「!?」」

 

後ろから聞き覚えのない声が聞こえ振り返ると、狐の仮面をつけた人物が佇んでいた。

 

「…アンタは何者?」

 

「私か…私は『悪夢』…いやナイトメアとでも呼んでもらおうか…ベルベット・クラウ…お前の力を奪いにやってきた!!」

 

そう名乗ると同時に、ベルベットに瞬時に近づきパンドラと瓜二つの腕輪が光りガンブレードに似た武器を出し振り下ろす。

 

「!!ベルベット!!危ない!!」

 

「!?くっ!!」

 

間一髪防いだベルベットだが腕から血が噴き出す。

 

「…簡単にはいかないか…まあ良い…奪う機会はまだある…」

 

「ベルベット!!血が!!」

 

血が出て腕を抑えてるベルベットに駆け寄りエウメデスを出し傷を癒そうとするがベルベットに手で遮られ止められる。

 

「私は大丈夫よ…」

 

「でも!!」

 

「そんな弱さでは私どころかアルトリウスも倒せはしない…死にに行くようなものだな…ラナお前の強さでもな…さてそろそろいかなければならない…ではまた他の世界で会おう…ラナ…」

 

(!?あれは……!?)

 

そう言いナイトメアは私がこの世界に来た時に通った扉に酷似した闇が溢れる扉を開き消えていった。

 

それから数分後−

 

「他の世界って何なの?ラナ?」

 

「それは…その…」

 

私はベルベットに私が何処から来たのか聞かれどう答えようか悩んでいた。

 

 

(どう答えよう…)

 

「ハァ…もう良いわ…でも一つ確信したわ…ラナ…アンタは今は私達と行動しない方が良い。」

 

「……!?何で…!?」

 

「今のままじゃ私もアンタもナイトメアやアルトリウスだって勝てない…それで何となくナイトメアの言葉を聞いて思ったの…アンタはこの世界じゃない他の何処かから来たんだってね。」

 

「…!?それは!?」

 

「そしてその腕輪からシアリーズの力も感じる事から推測するとアンタの力は自分の力じゃなく例えるなら…そう『絆』の力なのよ。だからもっと旅をして強くなりなさい。そして必ず戻ってきなさい。約束よ。」

 

「……ベルベット。うん!!分かった。絶対に強くなって戻ってくる。」

 

--アタシはエリーニュスアンタの力になってあげるわ--

 

ベルベットと硬く握手を交わし約束し、新たな力が芽生えるのを感じるとパンドラが光りを放ち、五人の男女が一人の男に向けて剣を向けているのが描かれた扉が現れる。

 

「フィー達には私から上手く伝えとくわ。お別れね…また会いましょう…ラナ…」

 

「ベルベットこそ元気でね。」

 

ベルベットに別れの言葉を告げて次の世界へ向かう為扉を勢いよく入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 




これから先にラナが次に巡る世界のヒントは扉で分かります。

次回もお楽しみに


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テイルズオブディスティニー/2編
『ソーディアン』


ディスティニー編始まりです。

今回からちょっと描き方を変えてみました。


(此処は……村?)

 

扉を通りたどり着いた先は辺り一体草原に囲まれた小さい村だった。

 

 

(ん?今…パンドラが光った気が…?それにしてものどかな場所だなぁ〜)

 

パンドラが赤と黒に光を放った様な気がし確認するがそんな事はなくいつも通り虹色のままだった。気の所為だと思い周りを眺めながら喉かな雰囲気に流されてつい風に当たっていると−

 

「くっ!!我々セイントガルド兵があんな小僧共に負けるはずが……!!」

 

(……ん?あれは……?)

 

声が聞こえてきた方を見るとそこには黒髪の小柄な少年が金髪の青年と剣を交えておりその後ろには刀身の短い曲刀を持った黒髪のショートカットの女の子と斧を構えた茶髪の女の人が見えた。

 

(事情は知らないけど…あの黒髪の子を助けないと……!!)「大丈夫!?」

 

そう思い私は無勢の黒髪の少年に加勢する為にガンブレードを出して駆け寄るが−

 

「僕の邪魔をするな!!」

 

「ッ!?」

 

黒髪の少年は私に対して怒りの表情を浮かべながら剣を振るが間一髪の所で避け距離を置く。

 

「またセイントガルドの兵士かよ……」

 

〔いや…彼女はセイントガルドの兵士ではないようだ……〕

 

(……ん?今、剣から声が……?)

 

「…だったらあの人は誰なんだ…?」

 

〔それは…ッッ!!スタン!!後ろだ!!〕

 

「隙を見せたな……!!」

 

「………うっ!!」

 

スタンと呼ばれた金髪の少年が飽き飽きとした表情で剣を構えるも、剣から低い声の男性の声が発せられ、剣との会話に夢中になり隙を見せた所を背後に回っていた黒髪の少年の首元への肘打ちによって気絶してしまい兵士達に連れ攫われてしまう。

 

「スタンッッ!!」

 

「ちょっとアンタ…こんな卑怯な真似して……騎士としての誇りとかはないの!!」

 

「……コイツらも連行しろ。」

 

「「はっ!!」」

 

黒髪の少年は黒髪のショートカットの女の子の言葉に耳も貸さずに命令し兵と戦っていた三人が何処かへと連れて行かれた。

 

 

「…改めて聞く……お前は誰だ……?」

 

この場に黒髪の少年と二人だけとなると少年が此方に向き私の素性を聞こうとすると−

 

〔駄目ですよ!!坊ちゃん!!女性には礼儀を持って接しろとあれ程言われてるではありませんか!!〕

 

少年の剣から爽やかな男性の声がし、少年を叱りつける。

 

「お前は黙ってろ!!『シャル』!!」

 

「剣から声が聴こえる……私疲れてるのかな……」

 

「………!?お前……!!今、何と言った……!?」

 

やり取りを聴きながら呟くと少年は私に詰め寄り険しい剣幕で今呟いた言葉について聞いてくる。

 

「ええっと…疲れてる?」

 

「そうじゃない……!!その前だ……!!」

 

「ええっと……剣から声が聴こえる……?」

 

「ッ!!コイツも『ソーディアン』か!?」

 

そう言いつつ剣を構えたが−

 

〔待ってください!!坊ちゃん!!彼女がもし『ソーディアン』ならば先の戦いの時に他の『ソーディアン』の声が聴こえてくる筈です!!〕

 

「……それもそうか……」

 

剣による説得で剣を下げる。

 

(……良かった…。)

 

「だが!!お前は僕に付いて来てもらう!!」

 

「あの…拒否権は……?」

 

「そんなモノあるわけ無いだろ…!!」

 

そう言い強引にガンブレードを消した私の手を引っ張り連れて何処かに向かい脚を進めた。

 

 

 

「……着いたぞ。」

 

(……凄いお屋敷だなぁ……)

 

引っ張られながら村を出て街を超えて歩き歩みを止めるとそこには豪勢な屋敷が立っていた。

 

「あっ……!!もう帰って来たの?『エミリオ』!!……其方の女の人は……?まさか彼女…?」

 

屋敷を開き中に入るとそこには黒髪のお淑やかなメイドが少年を出迎えるが

、後ろにいた私を見て首を傾げながら言う。

 

「違うんだ『マリアン』!!彼女はその…恋人とかではなく…その…任務に出た時に会ってね。理由は言えないけど父に会わせる為に連れて来たんだ。」

 

「ふふ……分かってるわ…エミリオ…少し揶揄っただけよ。」

 

「全く!!僕を揶揄わないでくれ!!」

 

(……姉弟みたいだなぁ)

 

そんな微笑ましいやり取りを見ていると−

 

「そろそろ行った方が良いと思うわよ。ほら彼女待ってるわよ。頑張ってね。」

 

「分かってる……じゃあまた後で……行くぞ……!」

 

「あ!ちょっと!!」

 

マリアンと呼ばれた女性が優しい笑顔で送り出すとエミリオと呼ばれた彼は

私の手を再び手を引っ張り一つの部屋の扉を開ける。

 

「……ヒューゴ様が来るまで此処で待ってろ……良いな!!逃げ出そうとするんじゃ無いぞ……!!」

 

「あっ!!ちょっと!!……行っちゃった……」

 

言うだけ言って扉を勢い良く閉めて何処かに行ってしまった。

 

 

それから数分して扉が開き黒髪を長く伸ばした男性が部屋に入って来た。

 

「待たせてしまい申し訳ない。」

 

男性は部屋に入り私の姿を見ると紳士的な言動で私に謝罪する。

 

(…この人がヒューゴ)「そんな事は無いですよ。」

 

「そう言ってもらえるとありがたいな……マリアン!!」

 

「お呼びでしょうか?ヒューゴ様?」

 

私が気にする必要は無い事を伝えると礼を言いつつ、マリアンさんを呼びつける。

 

「私とこの女性に茶でも淹れてくれ。」

 

「かしこまりました。」

 

呼ばれてから直ぐに部屋に入って来たマリアンさんはヒューゴさんの言いつけを聞くと頭を下げ部屋を出ていった。

 

「さて…お嬢さん。まず名前から聞いても宜しいかな?」

 

「私はラナです。」

 

「ふむ…ラナ…聞いた話によると君は『ソーディアン』の声が聴こえたと聞いたのだが…それは本当か?」

 

「ええ…そうです。」

 

「……剣の腕に自信はあるか?」

 

「使えなくはないですけど…」

 

そう返答するとヒューゴさんは顎を押さえて少し考え口を開いた。

 

「ふむ…ラナ!頼みがあるのだが聞いてもらえるか?」

 

「私に出来ることがあれば何でも聞きますよ。」

 

「頼みというのはもうそろそろ君が会った三人組がリオンに連れられて来る頃合いなのだが…『神の眼』という大事な遺物が保管してあるストレイライズ神殿が何者かに襲われたらしくてな…その三人組とリオンと共に向かってもらえないだろうか?」

 

(何者か…もしかしてナイトメアかも知れない…!)「分かりました。その頼み…承りました。」

 

「ありがとう。」

 

ヒューゴさんは真剣な表情で私に頼み私が頷き承ると頭を下げて礼をした。

 

それから数分して部屋のドアをノックしてマリアンさんが茶器の乗った盆を持って入って来た。

 

 

「ヒューゴ様…お待たせいたしました。」

 

「……さて茶でも飲みながら到着を待とうではないか。」

 

⭐︎

 

のんびりと茶を二人で飲みながら、待っていると外に三人組を連れたエミリオが門の扉を開いて敷地に入ってくるのが見えた。

 

「客が来た様だ。私は出迎えに行く。ラナ…君は此処で待っていてくれ。それとマリアン、例の物の準備を…」

 

「……分かりました。」

 

彼らを出迎える為にヒューゴさんはマリアンさんに何かを申し付けると部屋を出ていき頭を下げて見送ったマリアンさんも立て掛けていた剣を2本共抱えた。

 

 

それから1分か2分経ち、再び部屋の扉が開きヒューゴさんに連れられて四人が続けて入る。

 

「あー!!アンタ!!さっきの!!」

 

「……場所を弁えろ。」

 

入って来た黒髪のショートカットの少女は私を見て指を刺すがエミリオに止められる。

 

「立ち話でもなんだ…椅子を用意した。遠慮なく掛けてくれ。」

 

新たに用意された4つの椅子に三人は腰を掛けるがエミリオだけは腰掛けず、壁を背にして腕を組み、よりかかりながら立っていた。

 

 

「マリアン、例の物を。」

 

その言葉を聴きマリアンさんは新たに茶器入れからコップを4つ取り出して茶を注ぎ、剣を二つ持ちテーブルに置きその場を離れた。

 

〔来るのが遅い!何をぐずぐずしていた!〕

 

「何だよ、その言い草は。」

 

〔ディムロス、少し落ち着いて。みんなは事情を知らないのだから。〕

 

〔……む〕

 

ディムロスと呼ばれた剣が金髪の少年を叱りつけるがもう一つの剣から発せられた女性の声に宥められ黙り込む。

 

 

「文献によれば、ソーディアンは、全部で6本あったと言う。その内の半分が此処に揃った。考えてみれば凄いことだな。」

 

「へぇ、ソーディアンって、他にもまだ三本もあるのか。」

 

「さて。諸君に改めて任務を伝えよう。王都ダリルジェイドの北にある、ストレライズ神殿へ向かってほしい。」

 

「神の眼が無事かどうかを確認し、もしなかったら、取り戻すんですよね。」

 

〔そうだ。これは重大な任務だぞ。〕

 

「分かってるよ。俺が兵士になる為の、チャンスだもんな。」

 

〔そんな事はどうでも良い。〕

 

「どうでも良くない!!人の目標にケチをつけるな!」

 

「……」

 

「私はやるなんて言ってないわ。勝手に話を進めないでくれる?誰かに飼われるのなんて真っ平だわ。ルーティ様を舐めないで欲しいわね。」

 

金髪の少年はやると決めているらしいがルーティと名乗る黒髪の少女はプライドの問題かそれを断ろうとするが−

 

「20万ガルドでどうかね?」

 

「へ?」

 

「任務達成の暁に、払う報酬だよ。仕事と考えれば、納得できんかね?」

 

「……もう一声。」

 

「25万。」

 

「まあ、それだけ出してくれるなら。やっても……良いかな。」

 

(現金だなぁ)

 

ヒューゴさんの交渉術によってルーティは声が震えながらも何度も頷き承諾する。

 

「スタン君の仕官の話も、私から陛下にとりなしてあげよう。だから結果を出してくれたまえ。」

 

「分かりました!任せてください!」

 

「それと彼女…ラナも彼らの監視という意味合いを含めて、旅に同行させる事となった。彼女もソーディアンの資質を秘めているやも知れん人物だ。旅に同行させても足手まといにはならんだろう。」

 

「……!!ヒューゴ様!!僕を信頼してはいないのですか!?」

 

「……『リオン』別にお前を信頼していない訳ではない。だがこれは失敗の許されない任務なのだ。もしもの事が起こってしまうよりも保険を掛けた方が良い…お前なら分かってくれるな。」

 

「……ヒューゴ様がそう言うならば……」

 

(リオン?エミリオじゃないの?)

 

それまで黙っていたエミリオもとい『リオン』が私を連れて行く事に異論を唱えるがヒューゴさんに保険という理由で丸め込まれ『リオン』の方が折れ頷きつつも渋々と納得する。

 

「私は諸君に期待している。頼むぞ。」

 

⭐︎

 

「よぉし!張り切って、なんとか神殿へ行くとするか!」

 

〔ストレライズ神殿だ。名前ぐらい覚えんか。〕

 

「まあなんでも良いよ!行こうぜ!!」

 

そう言ってスタンと呼ばれた少年が張り切り向かおうとするが−

 

「用事を思い出した。少し此処で待っていろ。」

 

そう言ってリオンは用事の為に屋敷の中へと戻っていった。

 

 

「ちぇ!なんだよ…アイツ!ツレない奴…」

 

「そんな事よりもスタン!挨拶よ!挨拶!」

 

スタンがリオンの態度に対して不満な顔でいるとルーティが腕を引っ張り此方に目線を合わせる。

 

 

「ああ!!そうだったな!!俺はスタン!スタン・エルロン!!気軽にスタンって呼んでくれ!!」

 

「私はルーティ・カトレット!!レンズの為なら何処までも。危険を顧みず突っ走る!をモットーにしてるレンズハンターよ!!よろしくね!!」

 

〔そのせいで罠にかかったのは何処の誰だ?〕

 

「うっさいわね!!カッコよく自己紹介してんだから黙ってなさいよ!!」

 

「私はマリー・エージェント…ルーティと一緒にレンズハンター稼業を営んでる。短い間だがよろしく頼む。」

 

「うん!!私はラナ!!宜しくね!!スタン!ルーティ!マリー!それとディムロス!!」

 

「「!?」」

 

〔やはり聴こえていたか。ならば我も返すのが礼儀というもの…我はディムロスよろしく頼む。〕

 

ディムロスの名前を出した途端驚くスタン達とは違い、察しがある程度はついていたのか、冷静にディムロスは挨拶を返してくれた。

 

〔彼の言った事は半信半疑でしたがディムロスの声が聴こえているのが何よりの証拠ですね。私の名前はアトワイトと申します。何卒よろしくお願いしますね…ラナ。〕

 

「うん!よろしくね!!アトワイト!!」

 

アトワイトにも挨拶をすると、いつの間にかリオンが私の側で腕を組み会話を聞いていた。

 

〔いつの間に!!〕

 

「自己紹介は終わったようだな……よし、出発するぞ。」

 

「アンタを待ってたんでしょうが!!」

 

いつの間にか側にいたリオンに対してルーティが突っかかるがリオンはルーティから顔を背けて無視する。

 

 

「まぁまぁ落ち着いて!!」

 

「感じの悪い奴…!」

 

ルーティを私がなんとか宥めるとリオンからマテリアルや宝石、リアライズの事をスタン達に説明しだしてそれを黙って聴き話が終わりストレイライズ神殿に向かうべく屋敷から出ようとすると−

 

 

「待て、ラナ、リオン。渡すものがあったのを忘れていた。これを持って行くがいい。」

 

ヒューゴさんはそう言って私とリオンを引き止めると、二つの袋を私達に渡す。

 

(何だろう?)

 

気になって袋の中身を軽く見るとかなりの量のガルドが入っていた。

 

「「ありがとうございます。」」

 

「ではな。」

 

私とリオンが礼を言うとヒューゴさんは屋敷へと戻っていった。

 

 

「親に敬語を使うのか……俺の家とは全然違うんだな。」

 

「……」

 

その様子を興味深く見ていたスタンが自身の家と比べ言いそれを見たリオンは冷ややかな目で見ていた。

 

⭐︎

 

目的であるストレイライズ神殿に向かうべくまずは街に出て東のダリルシェイドという場所に向かう道中−

 

「リオン、これからよろしくな。剣の事とか、色々おしえてくれよ。」

 

「……何だ、この手は。」

 

「握手。」

 

「勘違いするなよ。お前と僕が、対等の立場だと思うな。それとそこの女!ヒューゴ様のお言葉で付き添うことになったのは認める。だが僕の言う事は必ず聞けよ。」

 

「うん。」

 

「さすが王国期待の客員剣士様ね。下々の者達とは、握手も出来ないってわけ。」

 

私とリオンのやり取りを見ていたルーティが、嫌味ったらしく言うがリオンはそんな言葉を無視して、

 

「さっさと行くぞ。まずは神殿の手前にある、アルメイダの村を目指すぞ。」

 

それだけ言い一人先に向かっていった。

 

〔このメンバーで大丈夫なのか……?〕

 

(…本当に大丈夫かなぁ)

 

ディムロスのこの先の事を心配する声を聴きディムロスと同じ事を思いつつ先に進むことにした。

 

 

それから様々な話をしながら道なりに進むと、栄えている村が見えてきた。

 

 

「やっと見えたか…このまま東に進めば、ストレイライズ神殿がある。早く神の眼の安否を確かめに行くぞ。」

 

それだけ言うとリオンは一人で先に村の中に入っていった。

 

「あ!ちょっと…!待ってよ!!リオン!!……ん?あれは!?」

 

リオンを追いかけようとすると、この世界に不似合いな狐の面を被った人物が私の視界をよぎった。

 

「……ふ。やはり追いかけて来たか……」

 

「ッ!?待て……!!」

 

「ちょっと…!!ラナ!?」

 

どうしてもよぎった人物が気になってしまいルーティの静止も聞かずに人物の後を追いかけていった。

 

「…追いかけて来たか…ご苦労な事だな…」

 

(やっぱり…!気の所為じゃなかった…!)

 

走りながらも此方を振り返った人物は私の思い過ごしなどではなくナイトメアであった。

 

「待て!!ナイトメア!!お前の目的は一体なんだ!!」

 

「…私の目的か…『自分の事』も覚えていないお前に語る事はないな……」

 

「ッ!?お前は私の何を知ってるの!?」

 

私がナイトメアに聞くとナイトメアは走り逃げるのを辞め止まり−

 

「……それは私の事を倒せたら教えてやる。こい……ガンブレード『焔』…!」

 

「ッ!?それは!?」

 

左腕に付いているパンドラとよく似た腕輪からベルベットと共に襲撃された時に使っていたガンブレードと瓜二つだが武器から焔を絶えず出しているガンブレード『焔』と呼ぶ武器を出し、私と同じように構えた。

 

「……本当に倒せば教えてくれると断言出来る…?」

 

「…それはお前次第だ…」

 

「……分かった。必ず約束は守ってよねッ!!」

 

その言葉を区切りにガンブレードを出し斬りかかるが全く同じ軌道で振られたガンブレード『焔』に防がれる。

 

 

「…そんなものか?お前の力は?」

 

「ッ!!ならこれで!!魔王炎撃波!!」

 

防がれたガンブレードを囮にして即座にベルベットの『業魔手』を模した籠手−エリーニュスを出し左手のエリーニュスの薙ぎ払いを囮に、左の足払いを繰り出すも飛び上がられ避けられる。

 

(掛かった!!)「喰らえ!!」

 

避けられるのを予め読み、左足払いを繰り出しその反動で摩擦が生まれ出るのを確認すると喰魔を模した籠手のエリーニュスが溶けて液体となり液体が左脚に絡みつくと具足になり具足で強化した右脚で続け様の回し蹴りを壁に擦り付けるように繰り出し摩擦と逆回転で起きた火花が触れ合い右回し蹴りに炎が纏われ炎が纏われた具足がナイトメアの腹を掠める。

 

「『最古の災禍の顕主』ベルベットの力か…」

 

ナイトメアはエリーニュスを見て埃を払いながら呟いた。

 

「『最古の災禍の顕主』…?貴方…ベルベットの事を知ってるの?」

 

「お前よりは知ってるさ…そんな事より、もっと心配する事があるんじゃないか…?今頃私が創り出した業魔がストレイライズ神殿でリオン達を襲ってる頃だろうしな。」

 

「……!?貴方は一体…!?」

 

「…リオン・マグナス…奴はいずれ『ソーディアン』を裏切りそして自らの命を…教えすぎたかな…ククク…」

 

「ッ!?待て!!」

 

リオンについてあれこれ言うだけ言いガンブレード『焔』を無作為に振ると闇が溢れその中にナイトメアは脚を踏み出し入り込む。追いかけるように入り込もうとするが、その途端に闇が消えナイトメアの姿は何処にもなかった。

 

(それより今はスタンやリオン達の元に向かわないと…!!無事でいて…!!)

 

消えたナイトメアよりも今はスタンやリオン達の身を案じて急いでストレイライズ神殿に向かうべく東に向かいアルメイダの村から飛び出し走りだした。

 

⭐︎

 

「なんなんだよ!!?コイツ!?」

 

「いい加減倒れなさいよ!!この化け物!!」

 

「神よ……」

 

神殿内部に入ると直ぐ下半身が透けて幽霊の様な見た目をした業魔とリオン達が戦ってるのが見えた。

 

(スタン…!リオン…!良かった無事だった…!)「皆!!此処は私に任せて…!!」

 

「「ラナ!!」」

 

「何処で道草を食っていた!!」

 

「貴方は……?一体…?」

 

「取り敢えず説明は後!!」

 

業魔を倒すべくエリーニュスを出し業魔の鉤爪を躱しつつ蹴り上げつつ飛び上がる。

 

「飛燕蓮脚!!」

 

そこから前に回転しつつ急降下する形で威力を乗せた飛び蹴りが業魔の上半身に当たり消滅する。

 

 

「スゲェ…!あの化け物を一撃で!!」

 

「中々やる様だな…!」

 

「ちょっと…!リオン…!!アンタ…ラナに礼ぐらいちゃんと言いなさいよ…!!」

 

「いや良いんだよ…ルーティ」

 

 

ちゃんと礼を言わないリオンに対してルーティが礼を言う様に強く言うがリオンはそっぽを向き無視する。そんな態度を見てルーティがさらに強く言おうとするのを私は今は変わらないと思い止める。

 

「まぁラナがそう言うなら良いんだけど…」

 

「あのぅ…この方は…?」

 

そこまで話してると今まで黙って聴いてた丸眼鏡をかけた緑髪の女性が此方を覗いて私の事をルーティに首を傾げながら聴いてきた。

 

「ああそっか…まだ紹介してなかったわね。彼女の名前はラナ私達『ソーディアン』と一緒に旅をしてる。」

 

「そうなんですね!私はフィリア・フィリスです!!よろしくお願いしますね!!ラナさん!!」

 

「よろしくね!!フィリア!!」

 

「はい!!」

 

フィリアと互いに握手を交わす。

 

 

「挨拶は終わったか…早くダリルシェイドに戻るぞ!」

 

「アンタね…本当に空気読めないわね…もう呆れるわ……」

 

「何で戻るの?」

 

〔ラナに状況を教えながら戻るぞ!!〕

 

「ラナごめん…!!今は時間がないんだ!!ディムロスやリオンの言う通り状況は戻りながら説明する!!」

 

「分かったよ!!」

 

そうして私達は神殿を後にした。

 

⭐︎

 

「……って訳なんだ。だからグレバムを追ってるんだ。」

 

「成る程…それは止めないとね!!」

 

スタンから大体の説明を受けて何故こんなに急いでいるのか納得した。

 

〔スタンと違ってラナは理解が速くて話している此方としても助かるな。〕

 

「それはどう言う事だよ!!ディムロス!!」

 

「お前が馬鹿だと言う事だ…」

 

〔ちょっと!!坊ちゃんいくらなんでもそんな言い方は……〕

 

「俺は馬鹿じゃない!!」

 

「そうやって突っかかる所が馬鹿だと言うんだ。」

 

「だから俺は馬鹿じゃない!!」

 

ディムロスの発言は間を挟んで馬鹿と言ったリオンと馬鹿じゃないと言うスタンの言い争いに発展してしまった。

 

「ちょっと…!!やめなさいよ!!二人とも!!」

 

「なんか微笑ましいですね。」

 

「そうかなぁ?」

 

言い争いを続ける二人に対してルーティが拳骨を打ち込みに行ったのを見たフィリアさんが何処か羨ましいそうに見ていたのを見て私には気持ちが分からず首を傾げその様子を見ていた。

 

⭐︎

 

「…行くぞ…もうこんな事している暇はない…!!」

 

「痛いな〜ルーティ〜次からはもうちょっと優しくやってくれ〜」

 

「ルーティ!!やり過ぎなんじゃ…!」

 

そう言う二人の頭が腫れているのを見て私はやり過ぎだと思いルーティに言うが−

 

「良いの!!良いの!!こんぐらいやっとかないと!!それと男共!!うっさいわね!!拳骨だけで済ませたんだから文句言わない!!」

 

「ふん!!」

 

「はい……わかりました……」

 

 

「ガルバレイスへ行きたい?ちょうど前の船が出たばかりだよ。」

 

〔間に合わなかったか…!〕

 

そうこうして港にたどり着くと運悪くちょうど少し前に船が出た事を知らされた。

 

「その船に大きな荷物を載せなかったか?」

 

「よく知ってるな。やけにでかい奴を、港の人間総出で運び込んだぜ。」

 

「……陛下とヒューゴ様に、事情をご説明してくる。待ってろ。」

 

「あ、ちょっと待ってよ!!リオン!!」

 

自慢げに話をする船員の言葉を聞き少し考え走りヒューゴさん達の元へ向かうリオンを追いかける。

 

「ハァ!!ハァ!!やっと追いついた!!」

 

追いついた先でリオンはヒューゴさんと言い争いをしていた。

 

 

「私の助けは…」

 

「だから何度言わせるんだ!!貴方の助けなど結構!!僕は貴方を頼らずともこの程度の事、一人でやれる!!」

 

〔ぼ、坊ちゃん、なんて言い方を……〕

 

「くっ……」

 

「ちょっと待って!リオン!!」

 

ヒューゴさんに対して隠せぬ苛立ちを抱えた様子で踵を返し王の元へと向かっていってしまった。

 

(追いかけなきゃ…!!)

 

そう思い追いかけようとするが−

 

「待てラナよ!!」

 

「!?ヒューゴさん?」

 

ヒューゴさんに引き止められる。

 

「其方には礼を言わねばと思っていてな。ストレライズ神殿に現れた愚息達がどうにも出来なかった怪物達を倒してくれたそうだな…愚息に代わり感謝する。」

 

そう礼を言い頭を下げる。

 

「そんな頭を下げないで下さい!!」

 

「いやリオン達が君のような女性にした非礼を考えればこれが筋というものだ。」

 

身分など知ったことではないと言わんばかりにそう言いまた深々と頭を下げ直したヒューゴさんを見て−

 

「……分かりました。受け取っておきます。」

 

これ以上は何を言っても筋を通そうとすると思い素直に受け取ることにした。

 

「さて私もそろそろ愚息のフォローに向かわねばならぬのでな…これで失礼するよ…」

 

そう言ってリオンの後を追いヒューゴさんも行ってしまった。

 

(私も後を追おう!!)

 

そう思い駆け足で向かおうとするが−

 

「…また会ったな…ラナ」

 

「!?ナイトメア!?」

 

ナイトメアが後ろから邪魔をする様に話しかけてきた。

 

「…何の用?」

 

「…まあそう警戒するな…別にここではやるつもりは無い。」

 

ナイトメアに対してガンブレードを取り出して斬りかかろうとするがそれを見通されたのか手で制される。

 

「…少し話でもどうだ?聞きたいことがあれば可能な限り答えてやる…」

 

そう言いナイトメアは近くのベンチに腰を掛け此方を見上げるような体制になった。

 

「じゃあ…貴方は誰?何故私を知ってるの?」

 

「…それについては答えられない。」

 

「じゃあリオンが死ぬって言うことは!!」

 

「言葉通りの意味だ。リオンはいずれスタン達『ソーディアン』を裏切る事になる。」

 

「それは何故?」

 

「…さぁな教えられないな。」

 

「じゃあ最後に聞く…貴方の目的は何…?」

 

「それは教えたらつまらないだろ…だから言わないな。」

 

次々と聞いてはみたが自分が望む回答は得られなかった。

 

「じゃあa「そろそろ行くぞ!!」リ、リオン!?何時の間に?」

 

何時の間にかリオンが腕を組み後ろに立っていた。

 

「では私はこれで…」

 

ナイトメアはリオンの事を一瞬見てしリオンが視線を合わせようとすると視線を逸らし去っていった。

 

《何だったんでしょうね?あのお面の人?》

 

「…僕に聞くな。それよりもラナ!!速く港に戻るぞ!!」

 

「あ!ちょっと…!!」

 

リオンに腕を引っ張られる形で私達は港へと戻っていった。

 




私事で申し訳ないのですがプライベートの関係で週1か2回投稿する形となります。

今章から本格的にナイトメアが暗躍する事となります。どう暗躍していくかはお楽しみにしていただけたらなぁと思ってます。




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『世界』


注意!!ちょっとグロい転写が入ってるかも知れません!!


 

リオンに引っ張られて、港に戻るとそこには、客船とも言える立派な船が止まっていた。

 

「お、アンタ!特別船を仕立てるとは。大したコネの持ち主だな。」

 

そう言って船員はリオンの肩を叩き上機嫌で船に乗り込んでいった。

 

(確かに立派な船だな……)

 

船を見て船員と同じ感想を抱いていると−

 

「…どうして僕を……」

 

「ん?どうしたの?リオン?」

 

「ッ!?な、何でもない!!さっさと行くぞ!!」

 

「あっちょっと!!リオン!!」

 

リオンの様子がおかしいのを心配してリオンの顔を覗き込み声を掛けるが、リオンは顔を背けて船に行ってしまった。

 

(私も船に乗り込まなきゃ……ん!?パンドラが…?)

 

船に乗り込もうと脚を進めるとパンドラが黒と紫に光り輝き私を包み込むと私の意識は途切れた。

 

⭐︎

 

(此処は……?何処?)

 

意識が戻ると私は港ではなく、見知らぬ場所に居た。

 

(今までパンドラがこんな二色に光った事なんてなかった。何で此処に来たんだろ?)

 

そう考えてると−

 

「………や………れ!!」

 

「………………や!」

 

(声が!?)

 

微かにスタンとルーティに似た声が聞こえた。

 

(二人もこの場にいるのかも!!)

 

そう思い二人に合流するべく脚を進めた。

 

 

⭐︎

 

「くっ!!やめてくれ!!俺は!!」

 

〔構えろ!!スタン!!他の皆と分断された今ルーティを護れるのはお前だけなんだぞ!!〕

 

「分かってる……!!けど!!」

 

〔貴方もしっかりしなさい!!ルーティ!!〕

 

「……もういやぁ!!見たくない……!!」

 

(やっぱり!!スタン達だ!!加勢しなきゃ!!)「大丈夫!!スタン!!ルーティ!!」

 

加勢すべく飛び出すが−

 

「ラナ!?何で生きて!?」

 

〔『海底洞窟』で死んだはずでは……いや今はそれよりも!!こっちに来るな!!ラナ!!〕

 

「……ラナ。」

 

〔『ミクトラン』!!貴方って人は!!彼女まで!!何処まで死者を冒涜すれば気が済むの!!〕

 

「え?どうしたの?皆?私は生きてるよ!ホラ!!」

 

さも私が死んだ様に話を進めるスタン達に身体を動かして元気であるアピールをしてると−

 

「………ラ………ナ……」

 

(この声はリオン!!)「どうしたの?リオン!!そんなんじゃビックリしないよ。」

 

〔いかん!!振り向くな!!ラナァ!!〕

 

後ろから声がし肩を掴まれその声の主がリオンである事が分かり荒げ声でディムロスが止めるが間に合わず笑顔でリオンの方を向くと−

 

「………コロシテクレ……ボクヲ……ハヤク…」

 

「…………リ!!?」

 

そこには薄黒くくすみ、目も虚ろになって皮膚から骨が見えてるリオンが居た。

 

〔遅かったか……〕

 

「ねぇ!スタン!!リオンはどうしちゃったの?」

 

「リオンは…『海底洞窟』で死んで遺体を『ミクトラン』に無理矢理操られてるんだ。」

 

「……治す方法とかはないの?」

 

「それは……ッ!?ラナァ!!避けろぉぉ!!」

 

「ッッッ!?」

 

スタンの叫び声に反応して身体を横に逸らすとリオンの持っている片手剣による斬り上げが、私がさっきまで居た場所を横切る。躱したと思ったが避けきれずに片頬から血が流れる。リオンは血が流れるのを見逃さず間髪入れずに斬り下ろしを仕掛けてくるがガンブレードを即座に出して受け止める。

が、それを読んでいたのかリオンは腰を落としてタックルを仕掛けようとするが−

 

〔スタン!!〕

 

「ああディムロス!!リオンの虎牙破斬の弱点は分かってる!!」

 

そう言ってリオンのタックルが当たる前にスタンが横から肩でのタックルが当たりリオンは吹き飛ばされ、タックルが当たる事はなかった。

 

「ラナ!!もうリオンを殺すしかない!!辛いのは分かる……だけど!!やるしかないんだよ!!」

 

「……スタン。」(分かったよ……私は…)

 

スタンの言葉を聴き私も覚悟を決める。

 

「……スタン……下がってて……ルーティを頼むね。」

 

〔どうするつもりなんだ?〕

 

「……私が一人でリオンを倒す。」

 

「ッッ!!それはラナが……!!」

 

「皆が苦しい想いをするぐらいなら私が全部背負うから。私にはコレぐらいしか出来無さそうだから……」

 

そう言いスタンから食らったタックルからゆっくりと起き上がっているリオンに向き合う。

 

「………ラ………ナ………」

 

「……ごめんね……リオン……」

 

一言謝りガンブレードを構えるが−

 

「……殺すのか…リオンを?」

 

「……ナイトメア!?」

 

リオンやスタン達の動きがまるで時間が止まったかの様に止まり驚いていると、背後から声がして、声のする方を振り向き観ると、そこにはナイトメアが立っていた。

 

「邪魔をしに来たの?」

 

「……いや『有り得たかも知れない世界』に飛ばされたお前の様子を見に来た。」

 

「『有り得たかも知れない世界』?何それ?」

 

聴き慣れない言葉を言うナイトメアに聴くとナイトメアは頷き−

 

「『有り得たかも知れない世界』は、お前のいた世界もだが本来辿る筈の運命から逸れた時に産まれる世界線の事だ。簡単に言うと平行世界だな。因みにだがベルベットもお前がいる間から辿る筈の運命から着実に逸れているな。」

 

「何でそんな事を知ってて私に教えるの?」

 

「どうせあの胡散臭い神からお前は真実を伝えられないまま旅をしてるんだろ?だから不公平だと思ってな。まあ…親切心からと言っておこう。」

 

(胡散臭い神様?それって?)

 

「そうだお前が思っている人物だ。」

 

ナイトメアの言葉で神様の事を思い出していると思考を見透かされて先に思っている人物を言い当てられた。

 

「リオンは貴方が言っていた通り死ぬしかないの?」

 

話を変えてリオンが死ぬ運命は変えられるのか聴くとナイトメアは少し考えると静かに口を開いた。

 

「……お前が身代わりになって死ねばリオンが死ぬ運命は変わり生きれるな。」

 

「だったらその方法を……「だが」?」

 

「その方法は簡単じゃない。何しろ他人の運命を無理矢理捻じ曲げるんだからな。お前にも何があるかどうなるかは分からない。」

 

「こんな私の命で誰かを救えるんだったら喜んで私は命を捨てる!!それは変わらない!!だから教えて!!」

 

「だったらお前は変わらなくて良い。」

 

「へ?」

 

「そのままリオン達の元に向かって絆を紡げ。それがリオンを救う方法だ。」

 

「うん。ありがとう!!」

 

方法を聴くが楽な道筋ではないと言う事をナイトメアは忠告するが私の決意は変わらない事を伝えると今まで通りに絆を結べと言うナイトメアに礼を言うと−

 

「…そろそろ時間だな。」

 

(!?パンドラが!?)

 

パンドラとナイトメアの左腕にある腕輪が黒と紫に光輝きを増して私達を包み込むと私の意識は再び途切れた。

 

 

⭐︎

 

 

ラナがこの『世界』を去った数日後海底洞窟にて−

 

「この世界はまだゾンビ化される前か……やっと見つけたぞ。リオン・マグナスよ。」

 

崩れ去り海底洞窟の面影も残ってない場所に神官の格好をした女性がリオンの遺体に触れようした瞬間−

 

「……リオン・マグナスを蘇らせるより私を味方にしないか?」

 

女性にナイトメアが声を掛けてそれを止める。

 

「何者だ?」

 

「私はナイトメア…お前が現れるのを待っていた。人手が足りないんだろ?手伝いたいと思ってな。

 

「お前が何故計画を知っているのかは知らんが何故私に協力しようとする?」

 

「私も『絶対的な幸福』て奴を目指していてな。謂わば…そう同じ目的なんだ。目標が同じなら協力して叶えないか?という誘いなんだが…どうだ?」

 

「ふむ……良いだろう。リオン・マグナスよりもお前の方が使えそうだからな。ただし足を引っ張る真似をしたら命はないと思え。」

 

ナイトメアの言葉を聴き女性は少し考え戦力になると思ったのかナイトメアに釘を刺しつつ了承する。

 

「…分かってるさ。」

 

「ならば良い…行くぞ。」

 

ナイトメアが頷くと女性は腕を振ると空間が裂けて街並みが映し出される。

女性は空間が裂けた場所に行こうとすると−

 

「……最後に後一つ条件がある。」

 

ナイトメアは脚を止めて条件がある事を言う。

 

「なんだ?」

 

「それは…………なのだが…出来るな?」

 

「ふ!私を誰だと思ってる!その程度でお前が従うなら喜んでその条件を呑んでやろう。」

 

「なら良い。」

 

女性が条件を受け入れたのを確認したナイトメアは女性の後を突いて行き空間の裂け目に入ると二人が入った後に裂け目が消えこの『世界』は何事もなかった様に時を進めていく事となった。

 





遅れてしまい申し訳ございません!!理由としては一回完成したのですが間違えて書いた文章が全部消えてしまい書き直していた為遅れてしまいました。次回からはちゃんと一週間に1回2回は投稿する予定ですのでよろしくお願いします!!


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『名前』

 

(………ん?此処は?……ッッ!?な、何!?)

 

私が意識を取り戻し状況を把握する為に周りを見渡すとそこには巨大な竜が佇んでいた。

 

「……やっと眼が覚めたか。」

 

「……リオン」

 

状況を飲み込めずにいると、声を掛けられてその声の方に向くと、リオンが近くの柱に背中をつけながら立っていた。

 

「…何で此処にいるの?此処は何処?」

 

「……此処は船の中だ。突然お前が倒れてな。僕は置き去りにするつもりだったんだが……その方が合理的だと言ったと途端スタンの奴が僕を激しく責め立ててな。言う事を無視して担ぎ上げて船に乗せてな。仕方なくお前を連れてきた…という訳だ。礼ならスタンの奴に言うんだな。」

 

〔コレで取り敢えず心配事はなくなりましたね!行きましょう!!坊ちゃん!!〕

 

「…心配してくれたの?」

 

「……別に僕は心配なんぞしてない…ルーティに頼まれて仕方なく見てただけだ。取り敢えず次の目的地に向かう。準備が出来たら直ぐに来い。」

 

リオンは心配などしていないと否定し、必要最低限の事だけを言い部屋を出て行ってしまった。

 

 

 

「ラナ!!」

 

〔起きたか。〕

 

「スタン…ディムロス。」

 

私が船の甲板に出るとスタンが巨大な竜を眺めていたが私に気付いて駆け寄ってきた。

 

「もう大丈夫なのか?」

 

「うん!大丈夫!!心配掛けたね。それとありがとね。」

 

「そうか……良かった〜」

 

〔無事なら良いが…今後は出来るだけ無理はするなよ。〕

 

「肝に銘じておくよ。」

 

私の無事を知り安堵して肩の力を抜くスタンとは対照的に気を抜かずに私に対してディムロスは私の体を気遣い少し強く無理をしない様に言い私は頷き返答する。

 

「もう起きても大丈夫なのかい?ラナ?」

 

「起きたのね。ラナ!」

 

〔倒れた時はどうしようかと思ったけども彼女が無事で何よりだわ。〕

 

「ラナさん!!大丈夫ですか?」

 

「……皆」

 

マリーが私を心配して声を掛けるのを区切りにリオン以外の皆が私に駆け寄ってくる。

 

〔……ふむ!ふむ!眠っている姿も美人じゃったが、喋ってる姿も良いのぅ!〕

 

「ん?」(今、声が……?)

 

ふと私を見定める聞いたのない老人の声が聞こえ辺りを見渡すが誰も居ない。

 

「もう『クレメンテ』直ぐに口説こうとしないでください。」

 

〔いやな…可愛げな女子を見つけるとつい…な口説いてしまうんじゃよ。許しとくれ。フィリアや。〕

 

会話をするフィリアの背中に気絶する前までは無かった巨大な両刃剣が仕舞われていた。

 

(そっか…フィリアも…)「私はラナって言います!!よろしくお願いしますね。クレメンテさん!」

 

〔……!?き、聴こえておったのか?〕

 

〔そうか…まだ言ってはいなかったな。〕

 

「クレメンテ…彼女も『ソーディアン』の声が聴こえて、意思疎通が出来るの…伝えるのが遅れてしまってごめんなさい。」

 

〔……成る程のぅ。ラナよ。此方こそ宜しくの。〕

 

「はい!!」

 

 

フィリアも『ソーディアン』になった事を理解しクレメンテに挨拶をするが声が聴こえてないと思っていたらしく驚くが、フィリアが説明すると直ぐに納得して挨拶を返してくれた。

 

〔良かったですね!!〕

 

(ん?あれは……)

 

「……ふん!」

 

シャルの声が聞こえその声の方を見ると少し離れた所でリオンが私の事を見ていたが私が気付いて視線が合うと不機嫌そうに顔を逸らしてしまった。

 

「何よ。アイツ!本当に感じ悪いわね。ラナはああ言う男には引っかかっちゃ駄目よ。」

 

「うん」(……心配してくれてたんだ)

 

〔コレで何も心配はないな!さぁ!!そろそろ着くぞ!!〕

 

ルーティは変わらずリオンとは分かり合えない雰囲気で私と話をしていたがディムロスの言葉を聴き前を見るとそこには船着場が見えて来た。

 

 

「カルバレイスに着いたぞ。」

 

「あっつ〜〜、何よ此処。本当に……」

 

カルバレイスに着いた私達がまず感じたのは猛暑日の様な暑さだった。

 

(確かに暑い……)

 

「鬱陶しいわね。」

 

「気持ちいいなぁ!」

 

「へ?」

 

「もしもしスタン、本気で言ってる?」

 

「ああ!日差しが強くて最高だよな!く〜〜つ、何だか元気がわいてきた!」

 

「この男、本気だわ……」

 

(……暑さを感じないのもだけどポジティブなのが羨ましい。)

 

ルーティは自分とは正反対の事を言うスタンに対して若干引いて距離を空ける。

 

「け、健康ですね……」

 

それを見ていたフィリアも言葉がそれしか出てこない様子だった。

 

〔これからどうします?坊ちゃん。〕

 

「バルック基金のオフィスに向かう。オベロン社のカルバレイス方面支部だ。」

 

「そこで情報を集めるんだな。」

 

「おい。バルック基金のオフィスは何処にある?」

 

リオンがスタンの言葉を無視して後ろにいた住民に聴くが住民は無視をして何処かへ去って行ってしまった。

 

「済みませーん、道を聞きたいんですが。」

 

冷たく聞いたリオンに対してスタンは明るくフレンドリーにもう一人の住民に聞くがやはり無視をして行ってしまう。

 

「ありゃ、どうしたんだろ。街の人の反応が、冷たい気がする……」

 

「手当たり次第に探す他ないと言う訳か……」

 

住民の態度を見てこれ以上は聞いても無駄だと判断したリオンの言葉通り手当たり次第に効率よく分担して探す事にした。

 

 

「…ねぇリオン聞きたい事があるんだけど聞いても良いかな?」

 

「……僕はお前に構ってる時間などない。」

 

〔ちょっと!!坊ちゃん。〕

 

「貴方は『エミリオ』って呼べば良いの?それとも『リオン』?」

 

『有り得たかも知れない世界』でリオンの結末を見てリオンが一人になるのは危険だと思い勝手にリオンに着いて来た私は聞こうとした事を聞こうとすると無視をして足を進めるがどちらで呼べが良いのかと聞くと-

 

「……僕の事を『エミリオ』と呼ぶな……!」

 

「!?」

 

〔ぼ、坊ちゃん!?〕

 

シャルティエを構え殺意を込めた視線を私に向ける。

 

「……そう呼んで良いのはマリアンだけだ。お前の様な御気楽な現実をろくに知らない女が呼んで良いとでも思ってるのか……!!」

 

〔坊ちゃん!!止めてください!!冷静になって下さい!!今、彼女と争う理由はないでしょ!!〕

 

「……ふん!次にその名で呼んだらお前を問答無用で斬り殺すからな。行くぞ!シャル!!」

 

〔え、ええ。〕

 

(取り敢えず呼び方はリオンで良いかな。)

 

 

シャルに制止されるとリオンは私から顔を逸らしてシャルティエを納めて私に警告して私に目もくれずに進んでいった。

 

それから歩きスタン達と合流し、広場に出ると、周りの建物とは色が違う青色の椰子の木が2本生えている目立つ建物に入るとそこには豪華なソファな座る男性がいた。

 

「久しぶりだ、バルック。」

 

「リオン、よく来てくれた。街の人間に此処の場所を聞いたのか?」

 

「いや、自力でたどり着いた。この街の住人は、礼儀がなっていないな。」

 

「……アンタがそれを言う訳?」

 

リオンは男性ことバルックさんに礼儀がなってない事を言うがルーティが嫌味たらしく呟いた言葉に対して睨みつける。

 

「あ!マリー、見て。向こうに可愛い物があるわよ。」

 

「どこだ?」

 

視線を無視してルーティはマリーに外を指差し可愛い物があると言うとマリーは探しに外へ行ってしまった。

 

 

「ははは。カルバレイスの人々は、余所者に対する警戒心が強いからな。長年の歴史に由来する行動だよ。あまり気にしない事だ。」

 

「歴史とは……?」

 

「ガルバレイスの先祖というのは、大昔にあった戦争の、敗者なのだそうだ。」

 

「天地戦争……ですか?」

 

「そうだ。」

 

〔…………〕

 

(ディムロス?)

 

マリーが探しに行った後ガルバレイスの歴史について語るバルックさんとスタンの会話の中にあった天地戦争という言葉を聞いたディムロスは息を荒げるの聞いた私はディムロスの様子がおかしいのを察する。

 

「どれだけ前の戦争か知らないけど、いつまでもそんな事、気にされてもね。」

 

「それは勝者の理論だな。敗者には敗者の考えがあるのだ。」

 

ルーティの一言をバルックさんは否定せず街の人間にには考えがあると言う。

 

「現にカルバレイスの人々は、他国に比べて生活水準が低い。長年、他国に虐げられてきたせいだ。わだかまりが生じるのは無理はない。私がバルック基金を運営しているのは、ここの人々の暮らしを楽にする為なんだよ。」

 

(人の為を思えて行動できる…凄い人だな。)

 

「バルックさんって凄い人なんですね。そんな考え方が出来るなんて。俺、こんな場所があることすら知りませんでした。」

 

「なに、言うだけならば易いものさ。目標達成まではまだかかるが必ず変えてみたいと思ってるよ。」

 

私が思った事と同じ事をスタンが言うとバルックさんは自分の夢を叶え周りの人を変えていきたいという考えを告げる。

 

「…それはそうと、本題に移ろうか。ヒューゴ様から、連絡も受け取ってる。なんでも神の眼……とやらを、探しているそうだな。」

 

バルックさんは一度咳払いをして本題である神の眼の話を切り出した。

 

「そうなんです。心当たりはありませんか?」

 

「私も人を使って調べてみたのだが、今のところ手がかりはない。カルバレイスに寄港した船を、徹底的に洗わせているのだが。何か情報が手に入ったら、知らせるとしよう。それまでこの街に滞在するといい。」

 

「分かりました。よろしくお願いします!」

 

「任せてくれたまえ。…それにしても驚きだな。」

 

「何がですか?」

 

「リオンが同年代の誰かと、仲良くしてるのを見るのがだよ。」

 

「別に仲間という訳じゃないんです……ちょっと色々な事情があって今は一緒に旅をしているだけです。」

 

「人聞きの悪い事を言うな、バルック。そいつの言う通り今は一緒にいるだけだ。」

 

「スタンの言う通りよ。事情がなければこんな感じの悪い奴とは一緒に居たいとも思わないわ。」

 

「僕も命令されたから仕方なくだ。本来なら、僕一人でも十分だった。」

 

(……リオン)

 

「この際だからハッキリ言っておく!お前達に友情だのは一切感じることはない!!特にスタン!僕はお前の様な図々しくて、能天気で馴れ馴れしい奴が大嫌いだ。」

 

「あ!ちょっと!!リオン!!」

 

手がかりをバルックさんに任せて待っていようとした私達を見て意外そうな感じで私達を見ながら言った一言に対してスタンが聞き返した事によって場の雰囲気が悪くなりリオンはスタンに対して思っている事をぶち撒けて外に出てしまい私もリオンの後を追いかけて外に出た。

 

 

 

それから少し歩くと街の広場から離れた場所にリオンを見つけた。

 

(見つけた。)「お〜い。」

 

リオンを見つけた私は声を掛けようとするが−

 

 

「スタンの奴め。いつもながら腹が立つ。」

 

 

〔坊ちゃん?そんなにスタンを嫌うんですか?それと何故ラナを無視するんです?〕

 

「何故無視をするか……か、それはアイツが大っ嫌いな絆や友情だのを相手の事を考えないで押し付けてくる様な女に見えたからだ。それに……」

 

(それに?)

 

〔それに……なんです?〕

 

「いや……何でもない。スタンの事はシャルも見ていれば分かるだろ。飛行竜での罪と、士官の事で、今回の件を利用して取り入ろうとするのが見え見えだ。皆、僕をヒューゴ様の息子であると言う肩書きでしか見ていないんだ……今まで会ってきた奴らは僕を本当の意味で見ていないんだ…肩書きなしの本来の僕を見てくれたのはマリアンだけだ。」

 

〔……坊ちゃん。〕

 

(……リオン。)

 

咄嗟に隠れて話を聞いてマリアンさんへの想いやリオンの考えてる事が少し聞け最も聞けるんじゃないのかと思い隠れ続けようとすると怪しげな男がリオンに近づいてくる。

 

「誰だ貴様?……と言ったところでここの人間であれば、無駄か。」

 

「お兄さん、探し物があるんだって?そいつの情報なんて欲しくないか?」

 

「情報だと?」

 

〔坊ちゃん、止めましょうよ。見るからに怪しいですよ。〕

 

 

 

リオンが無駄だと言い無視をしようとするが男が言った情報という言葉に反応して聞き返すがシャルは男を怪しいと言い止めるが−

 

「……早速聞かせてもらおう。貴様は何を知ってるんだ?」

 

「ちょっと待ってくれよ。まさか、タダで教えろと?」

 

「ふっ……その通りだな。高い値で買ってやろう。」

 

(リオン!?)

 

〔坊ちゃん!?〕

 

「良いのか、そんな事言って。ガセネタかも知れないぜ。」

 

「貴様の様に善人ぶる事すらしない奴の方が、僕は安心できる。それに、タダで知った情報よりはよほど信頼できるからな。」

 

(……確かにその方が信憑性は高い)

 

「成る程な。安心しなよ。俺の情報はガセじゃねえからよ。」

 

少し考えリオンは男に聞くが男は金を要求してリオンは金を渡して男が耳元で何かを耳打ちすると去って行ってしまった。

 

(なんて言ったんだろうか?)

 

私が男の言った事を考えていると−

 

「……そこに居るのは分かってる。いい加減にコソコソとネズミの様に嗅ぎ回る様に聞き耳を立てるのは止めろ。」

 

「!?」

 

リオンが私が隠れている方を向き私に向かって声を掛け、声を掛けられた私は素直に出て行くことにした。

 

〔ラナさん!?いつの間に?〕

 

「僕達が外に出てからずっとだ。」

 

「…ごめんリオン。聞くつもりはなかったの。」

 

「もう聞いてしまったんだからどうしようもないだろ。次からは聴きたいならコソコソとしないで堂々と近くに来て聞け!!それと…」

 

「……?」

 

「直ぐに謝るのは辞めろ!腹が立つ。」

 

「…ありがとうリオン。」

 

「………フン」

 

それだけ言うとリオンは明後日の方向を腕を組み見るとタイミング良くスタン達が出て来る。

 

「今の人、誰だ?」

 

〔情報屋です。お金を払って、知っている事を聞き出しました。〕

 

〔何か分かったのか?〕

 

〔僕達がやって来る少し前に、神殿関係者の団体が到着したそうです。そいつらは船から大きな荷を降ろし、この国の首都へ向かったとか……〕

 

「それってどう考えても、グレバム一味と神の眼じゃないの。」

 

「でもバルックさんは、何も知らないとおっしゃってましたが。」

 

〔あの男が全ての情報を、握ってるとは限るまい。〕

 

〔うむ。この国の人間が、他所者を、敵視してるなら尚更じゃのう。〕

 

「あんな立派な人なのに……」

 

ここまで情報屋から聞き出した情報を整理と情報についての意見を出し合ってると私はマリーが戻ってきていた事にやっと気づいた。

 

「思い出しました。確か…カルバレイスの首都カルビオラに、神殿の支部があったはずです。」

 

〔そこに神の眼が運び込まれた可能性は、高そうじゃのぉ。〕

 

〔カルビオラは何処にあるのだ?〕

 

〔それも聞いたよ、ここチェリクを出て、北の方角だって。〕

 

(話が上手すぎる気がする。)

 

「行ってみよう!!」

 

そうして私達はグレバムを追いかけて北にあるというカルビオラに向かう事になった。

 




遅くなってしまい済みませんでした。

まず近況報告しますと私事なのですがショックな事が3月中に立て続きに起き小説を書ける状況じゃなく更新が途絶えてしまいましたがなんとか持ち直す事が出来たのでこれからペースは落ちるかも知れませんが書いていきたいと思います。


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カルビオラでの決闘

お待たせしました。やっぱり小説は書いてると楽しいから止められませんね。


それから熱帯気候の中北に歩き続けると少し遠くに村が見えてきた。

 

「ここがカルビオラ?やっと着いたのね。あっつ〜〜。」

 

暑さでルーティが項垂れていると顔を隠した女性が話しかけて来た。

 

「あんた達、旅のもんかい。どっから気なすった?」

 

「チェリクですわ。」

 

「そうかいそうかい。暑い中ご苦労だったわねぇ。」

 

〔急に口調が優しくなったな。〕

 

「ストレイライズ神殿へ行きたいんです。何処にあるか分かりますか?」

 

「ふん、あんなくだらない物。いくらこさえた所で無駄だよ。あたしらにはあたしらの神がいる。余所者の神なんぞに用はない。」

 

「………」

 

「神殿とやらがあるのは街の北さ。でもあんまり関わるんじゃないよ?」

 

「ありがとう、おばさん。」

 

スタンが神殿の場所を聞くが女性はくだらない物と教えるつもりのないと言ったのだがフィリアの困った顔を見ると息を軽く吐き優しい口調に戻って神殿の場所と忠告をして去っていった。

 

「前にアイルツ司教様に、聞いたことがあります。ガルバレイスは独自の信仰が根強くて布教に苦労しているのだとか。」

 

「神様まで、余所者扱いなのか……」

 

「兎に角だ。ごちゃごちゃ言っても探さないとどうにもならないだろうが……」

 

「リオンさんの言う通りまずはグレバムの足取りを掴むためにカルビオラの街にある、ストレイライズ神殿を探しましょう。」

 

「そうだね!!」

 

⭐︎

 

「ストレイライズ神殿ってここかな?」

 

私達が軽く街を歩くと一番奥にある建物にたどり着いた。

 

「ええ間違いありません。」

 

「よし、早速乗り込むか!」

 

〔待て。いきなり飛び込むのは危険だ。〕

 

「そうですね。中の状況がどうなってるか、分かりませんし……」

 

それからフィリアは少し考えると−

 

「私が巡礼者を装って、先に中に入っていますわ。皆さんは夜になってからお越し下さい。裏口の鍵を開けておきます。」

 

「そんな事をして大丈夫なのか?」

 

「巡礼者が各地の神殿に滞在するのは、珍しいことではないですから。昼の間は、見つからない様、大人しくしてますわ。」

 

「無茶はしない様にな。」

 

「はい。ではまた後ほど。」

 

そう言うとフィリアは神殿の中へと入っていった。

 

「さて。あたし達も夜まで、ひと休みってとこ?」

 

「宿屋で待機するとしよう。」

 

(大丈夫かな…心配だな…)

 

フィリアを見送った私達は宿屋に向かい夜を待つ事にした。

 

⭐︎

 

「僕はこれから街の様子を探ってくる。お前達は、夜になるまで此処にいろ。」

 

(一人じゃ危険だ!)「リオン!!私も行くよ!!」

 

「……勝手にしろ。」

 

「うん!じゃあ行ってくるね。」

 

「気をつけて行くのよ。」

 

1人で外に出ようとするリオンを引き留め着いて行くと伝えると返事が返ってきたので返事通り勝手に着いて行く事にした。

 

⭐︎

 

(少し買いすぎちゃったかな…。)

 

「ごめん!!リオン!!待った?」

 

それから街の中を歩いている最中に準備をリオンに許可を得て道具屋で様々な物やスタン達の食べ物を買い合流地点に向かうとリオンは建物の手摺りに両腕をついて街を見ていた。

 

「…なんだその荷物の量は?」

 

「ええっとね…これがスタン達の食料でこれが……」

 

「もう良い…一から説明するな…頭が痛くなってくる。」

 

荷物について聞いてきたリオンに物を出して説明しようとするが…リオンは頭を押さえて物を出さないように言う。言われた私は大人しく荷物をパンドラにしまう事にした。

 

「なんだ…その腕輪は?」

 

「ああ?コレ?これはパンドラって言ってね。神様から貰ったものなんだ。」

 

「…嘘をつくならもっと現実的な嘘をつくんだな。」

 

「嘘じゃないって!!」

 

「…シャル行くぞ。そろそろ夜だ。」

 

〔あ、え、ええ!!行きましょう!!ラナも!!〕

 

「あ!ちょっと!?待ってよ!!リオン!!」

 

リオンにパンドラについて聞かれた私はありのままの出来事を言うがリオンには冗談だと思われ先に宿屋に戻っていった。

 

 

「ぞおーーーーつ!!」

 

「スタン!?」

 

リオンよりも遅れて戻ると何故だかスタンが電撃を見舞われ膝から崩れ倒れた。

 

〔目は覚めたか。〕

 

「うん、覚めた。」

 

(なんで電撃を喰らっても平気なの…?)

 

「神殿裏口へさっさと行くぞ。」

 

電撃を喰らっても平然としているスタンに少し驚きつつ準備をして神殿裏口に向かう事にした。

 

⭐︎

 

「お待たせしました。どうぞ中へ。」

 

私達が裏口へ向かいスタンがノックするとフィリアの声が聞こえ扉が開きすんなりと中に入ることができた。

 

「うわ、真っ暗だ。」

 

「今明かりをつけますね。」

 

フィリアさんが少し離れて壁のスイッチを押すと明かりがつき周りが見える様になった。

 

〔中の様子はどうだ。何か分かったことは?〕

 

「グレバムやその一味を、見かける事はありませんでした。ただ……セインガルドの神殿同様、此処にも大聖堂があります。そこから地下の秘密の間へ、通じてるかもしれません。」

 

「よし、調べてみよう。」

 

「見張りの神官が巡回しています。気をつけてくださいね。」

 

それから順調に進んで行くと大聖堂の真ん中に階段があり降りて行くとデカい宝石の様な物と男性がいた。

 

「グレバムですわ!」

 

(あれが…神の眼…そして彼が…グレバム!)

 

「なんだ貴様ら、何処から入った!?…むフィリアか!」

 

「グレバム!もうやめなさい!」

 

「誰に向かってそんな口を利く。偉くなったものだな、フィリア!」

 

「もはやお前に逃げ場はない。覚悟しろ。」

 

「そのソーディアン……!貴様、リオン・マグナスか。貴様が私を追ってくるとは……!そう言う事か。全て飲み込めたぞ。そしてその女がラナというわけか。」

 

「え!?なんで私の名前を!?」

 

「…お前、何を言ってる?」

 

「グレバム!!世界中をモンスターだらけになんか、させない!神の眼を返せ!」

 

「クックック……!アーッハッハッハ!世界中をモンスターだらけか。それも悪くはない。そうとも、何も恐れる必要はない。神の眼を持っているのは私なのだからな。」

 

〔いかん、モンスターを召喚する気だぞ!〕

 

「私こそが、無限の力を有しているのだ!出てよ、バジリスク!!」

 

ディムロスが叫んだと同時にグレバムが腕を振ると魚の様なモンスターが5体出てくる。

 

「こうなったら好きにやらしてもらう。まずは貴様達全員、血祭りだ。」

 

「来るぞッッッ!!」

 

「くっ!ガンブレード!!」

 

私の所にバジリスクが3体襲いかかってくるがガンブレードを出し応戦し斬りつけ銃撃で空へ飛ばす。

 

〔スタン!!〕

 

〔坊ちゃん!!〕

 

「分かってるよ!!」

 

「あぁシャル!!いくぞ!!」

 

「「魔神剣!!」」

 

ディムロスとシャルの声に応え、リオンとスタン、2人が共に同じタイミングでディムロスとシャルティエを振ると剣圧が落ちてきた3体のバジリスクを通り過ぎ3対のバジリスクは真っ二つになり消滅していった。

 

「おい!!スタン!!貴様!!真似をするな!!」

 

「それはこっちのセリフだよ!!」

 

「なんであんた達ってこんな時位合わせようとかないのよ!!マリー!!」

 

「あぁ!!私に任せな!!猛襲剣!!」

 

こんな状況で言い争いをし始めたスタンとリオンを止めに入ったルーティはマリーに任せるとマリーはバジリスクに体当たりを仕掛け吹っ飛ばすとすかさず斧で剣撃を二段叩き込むとバジリスクは消滅した。

 

「流石マリー!!私も負けてられないね!行くわよ!!アトワイト!!」

 

「私もいきます!!頼みます!!クレメンテ!!」

 

〔ええ!!いきましょう!!ルーティ!!〕

 

〔力を貸してやろう!共にゆくぞ!!フィリアや!!〕

 

「スナイプエア!!」

 

「ライトニング!!」

 

ルーティが構えるとバジリスクは飛び上がり空中から襲おうとするがルーティも飛びながら斬り上げフィリアがクレメンテを掲げると曇雲が現れ雷が落ち地面に叩き付け、ルーティは地面に急降下し勢いをつけバジリスクに突きを放ち、刺さったバジリスクは消滅した。

 

⭐︎

 

「やっと終わったか。奴を追いかけ……ッ!?」

 

バジリスクを倒し終わりグレバムの方を見るともうそこには神の眼と彼の姿はなかった。

 

「神の眼がなくなってる!?」

 

「私達が戦ってる間に、グレバムが持ち去ったみたいね。」

 

「逃げられた……せっかく此処まで来たのに……」

 

「おのれ、グレバム……!」

 

〔急いで追いかければ、まだ間に合うかもしれませんよ?〕

 

「行くぞ…!!」

 

「え!?ちょっと待ってよ!?リオン!?」

 

「リオン!!」

 

「待てよ。みんなで一緒に行こう。」

 

「お前達は足手まといだ。必要ない。」

 

「グレバム相手に2人じゃ無理だ。それにラナの意思を無視して勝手に連れてくのかよ!?」

 

「コイツには意思を言う権利などない…僕に黙って従っておけば良いんだ。」

 

〔2人とも、いい加減にしないか。今は言い争いをしてる場合ではない!〕

 

「「………」」

 

その言葉を聞いて私の手を掴み神殿から出ようとするリオンをスタンは引き留めるがお互いの考えの違いからまた言い争いになってしまいディムロスが止めに入り2人ともお互いを睨み黙り込むが、そこに新手のバジリスクが襲いかかっててくる。

 

「2人共!!危ない!!」

 

「「!?」」

 

私の声でリオンとスタンはなんとか初撃は躱したが柱の後ろからバジリスクが10体程湧き出てくる。

 

「くっ、まだモンスターがいたか!ルーティ!フィリア!手伝ってくれ!!」

 

1人でなんとかバジリスク抑え込んでいるマリーがルーティとフィリアを呼び、2人はバジリスクに向かっていく。

 

「スタン!この馬鹿には何を言っても聞く耳を持たないわ!!こっちにきて加勢して!!」

 

「リオン…別にお前が行きたいのならもう止めはしない…だけどひとつだけ約束してくれ…」

 

「…なんだ?」

 

「今の所ソーディアンとは関係のないラナを傷つける事は絶対にするな!!もし傷付けたら俺はお前を許さない!!」

 

「行くぞ!!ラナ!!」

 

スタンの怒りを込めた言葉をリオンは背中を向けて聞き、私の手を引っ張って神殿を出る為脚を進めた。

 

⭐︎

 

「くそっ!あれだけの巨大なレンズだ…運び出すには正面口しかないはず。」

 

〔坊ちゃん、いいんですか!?分かっているでしょ!?あのままじゃスタン達が!〕

 

「ねえ!!リオン!!このままじゃスタン達が殺されちゃうよ!!」

 

「ああ、分かってる。わかっているさ!!しかし、今は神の眼を取り返す事が重要なんだ!!今ならまだグレバムに追いつける。正面口に急ぐぞ。」

 

階段を登り周りを見渡すがグレバムの姿はなくリオンは苛立ちのまま叫ぶがすぐに冷静になり考え入り口に向かおうとするが私達の言葉で一瞬階段を降りようとするが首を何度も迷いを断ち切る為振り自分に言い聞かせる様に何度も呟き正面口に私の手を掴みながら出ると衛兵が倒れていた。

 

「これは!」

 

〔やっぱりグレバムはここから逃げたんですよ。〕

 

「くそ、間に合うか!」

 

急いで街の入り口まで行くがそこにはグレバムの姿はなかった。

 

「何処に行った!!」

 

(完全に見失った…)

 

〔坊ちゃん、戻りましょう。スタン達が心配です。〕

 

「……いや、駄目だ。足手まといを気にしているようでは、この任務に成功はない。」

 

〔え!?〕

 

「今後もきっとこの繰り返しになる。……あいつらは切り捨てだ、シャル。」

 

(そんな!?)

 

〔え、でも……!本当にいいんですか!?〕

 

「待って!!リオン!!」

 

「なんだ…お前の意見は聞くつもりはないぞ。」

 

「悪いけど行かせない!!」

 

それでも切り捨てて行こうとするリオンを私はガンブレードを取り出しリオンを止める為に剣先を向ける。

 

「どう言うつもりだ!?貴様!!」

 

「どうしても行きたいなら此処で私を倒してから行って!!」

 

「…良いだろう。ただし!!僕が勝ったら今後何があろうが黙って付いてきてもらう。」

 

「じゃあ私が勝ったらスタン達の所に戻ってもらうからね。それとそこまで任務に固執する理由を教えて。」

 

「……勝てたらな。」

 

〔ラナ!?坊ちゃん!?〕

 

「お前は静かにしてろ!シャル!!」

 

そうして私とリオンの戦いが始まった。

 

⭐︎

 

「いくよ!!」

 

勢い良くリオンに向かいガンブレードで斬りかかるがシャルで受け止めガンブレードを弾き鋭い突きで突いてくるが、弾かれた勢いで仰け反りなんとか回避する。

 

「…避けたか。」

 

〔坊ちゃん!!ラナ!!止めて下さい!!〕

 

「シャル!黙ってろと言ったはずだ!!」

 

(ガンブレードじゃ間合いを詰めることは出来ても一撃を与えることはできない…よし!)

 

〔武器を変えた!?〕

 

「…なんだと!?」

 

ガンブレードをパンドラに仕舞い代わりに影光と闇影を出し構える。

 

「いくよ!!鎌掛!!」

 

「ッ!!クッ!!」

 

「逃がさない!!懐刀!!」

 

リオンに走り闇影で右の斬撃を繰り出しつつ後退しつつ影光で左から2撃目を繰り出すが空に飛ばれ2撃を避けられるが即座に追いかけて蹴りおろしでリオンを地面に叩き付け交差切りで追撃しようとするが−

 

「調子に乗るな!!飛燕蓮脚!!」

 

「ガッ!!」

 

二段の浮かせ蹴りを空中で無防備のままくらい体制が崩れた所にシャルの斬り下ろし私も地面に叩きつけられてしまう。

 

「これで終わらせる!!魔神剣!!」

 

私が立ち上がるタイミングでトドメを刺すべく剣圧を連続で飛ばす。

 

(これじゃリオンに近づけない…いや)「避けなければ良いんだ!!」

 

無数に飛ばされてくる剣圧を見て息を吐きリオンに向けて走り出す。

 

「な!?」

 

〔ラナ!?〕

 

「これで終わりだよ!!ランゲツ流鎧通し!!」

 

「ッッッ!!!」

 

リオンの身体に両手を当てて短刀を重ね衝撃を与えるとリオンが崩れ落ちる。

 

「これで私の勝ちだね。」

 

「いや!!僕はまだ負けていない!!こんなお気楽に生きてる奴なんかに負けてたまるか!!」

 

リオンはなんとか立ち上がろうとするがよろめき倒れてしまう。

 

〔もう止めて下さい!!お二人共!!これ以上戦うことないじゃないですか!!〕

 

「くっ!!」

 

シャルの言葉を聞きリオンは納得してない様子で渋々シャルと短刀を鞘に戻す。

 

「さあ約束通りなんで任務に固執するか教えて?」

 

「………大切な人の命を握られているからだ。」

 

(大切な人?それって……)

 

〔坊ちゃん!!その事は!?〕

 

「約束だからな…それぐらいは守るさ。」

 

口を開いたリオンをシャルは止めようとするがリオンは約束だからと言って口を開く。

 

「僕はマリアンの命をヒューゴに握られてこの任務を失敗する。もしくはお前が死んでしまったらマリアンは殺されてしまう…だからこの任務だけは失敗出来ないんだ。恐らくヒューゴと争っていた時にお前が喋っていたナイトメアと名乗る者が僕の監視係と言うわけだ。」

 

「そんな…!?」

 

〔ちょっと待ってください!!ナイトメア?そんな奴は僕は知らないですよ!?〕

 

「お前は知らなくて当然だ奴が現れたのはごく最近だからな。それと、ラナ…お前の事はある程度聞いて知っている…流石にその腕輪の事は知らなかったがな。」

 

「そうなんだ…」

 

「ヒューゴに刃を向け逆らう事は容易いがマリアンの命を握られてる以上僕は悔しいが従わざるを得ない。」

 

「じゃあ私も助けるのを手伝うよ!!」

 

〔良かったですね!!坊ちゃん!!〕

 

「……悪いが信じる事は出来ない。ラナがスタン達に言ったら計画が台無しになってしまうからな。」

 

〔……坊ちゃん〕

 

私の言葉に喜ぶシャルとは対照的に私を睨みつけるリオンの言う事も一理あると思いこの件はこれ以上は何も言うつもりはなかった。

 

⭐︎

 

「リオン……最後に聞かせて。」

 

「…なんだ?」

 

「なんで私にそんな大事な事を教えるの?それとナイトメアはヒューゴさんと繋がってるの?」

 

「これ以上ヒューゴに誰かが利用されるのが気に食わないだけだ。それと忠告するとしたらお前もこの件を言うと恐らく真っ先に抹殺されることになる。」

 

「そっか。」

 

「それとナイトメアとヒューゴが何処まで繋がっているか僕には分からないが恐らくヒューゴとは明らかに違う目的で動いているのは間違いない。」

 

「それだけ聞ければ十分だよ。それと…」

 

「……?」

 

「人を信じるっていうのは案外悪いものじゃないよ。私は最期までリオンを信じてるからね。」

 

「………」

 

「さて約束通り助けに行こ!!リオン。」

 

「そこで何をしている!?」

 

「「!?」」

 

助けに行こうとすると声をかけられ振り向くとそこにはバルックさんが武装した兵士を連れて立っていた。

 

「バルック!?」

 

「リオンじゃないか!?やはりカルビオラに来ていたのか。うん?その怪我はどうした?」

 

「お前には関係ないだろ。」

 

「そうか。それで目的のものは見つかったのか?」

 

「……いや、神殿内部で発見したが、隙を突かれて犯人に再び持ち出されてしまった。」

 

「そうか…そういえば、そこのお嬢さん以外のお前といた連中はどうした?」

 

「まだ神殿の中だ。今頃、モンスターと戦ってる。」

 

「お前はこのまま犯人を追いかけるのか?」

 

「そうするつもりだったんだがこの女と約束してしまってな。奴らを助ける事にした。」

 

その言葉を聞くとバルックさんは私とリオンを交互に見て「成る程な。」と頷くと−

 

「よし、そういう事なら。俺も協力しよう。君は犯人を追え。それと、街の外に待機させている傭兵達に連絡して、神殿へ突入させろ。」

 

「分かりました。バルック様は?」

 

「私は傭兵達と共に、リオンの仲間を救出する。お前達は休んでろ。」

 

「お前が動く事はない。僕達だけでなんとかなる。」

 

「馬鹿を言うな!お前達は傷だらけではないか!そんな状態のお前らを放って置けるか。」

 

「なんでだ!!なんでそんな自ら命をなくすかもしれない所に向かえるんだ!!」

 

「確かにお前の言う事も分かる。…が俺の考えは違う。俺は人を助けるのには理由はいらないと考えている。」

 

「理由はいらない……?」

 

「ああ。」

 

そのバルックさんの言葉を聞きリオンは項垂れるが直ぐに顔を上げて−

 

「やはり休む事など出来ない。僕も一緒に行こう。」

 

「私も行きます!!」

 

「そうか…それなら急ぐぞ。言っておくが2人とも傭兵の援護なんて期待するなよ。」

 

「ふん、お前がやられそうになったら僕が助けてやる。」

 

「あ!待って!!リオン!!」

 

そう言って先に急いで神殿に行ってしまう。

 

「君は不思議な子だな。」

 

「へ?どうかしたんですか?バルックさん?」

 

バルックさんと向かっている最中に私を見てバルックさんはいや感心したような顔つきで私の事を見る

 

「いや、母親が死んでから心を閉ざしてしまっていたリオンが少しだが君に心を開いているのがだよ。」

 

「そうなんですか…?」

 

「だが心を開いてもらう為とはいえ斬り合うのはやり過ぎかもしれないな。」

 

「見ていたんですか!?」

 

「ああ…本当は止めるべきだったんだがあそこまで感情を出したリオンは久し振りに見たからな。止めに止められなかった。まあ会話の内容は聞こえなかったがな。」

 

「そうですか…」

 

「もし良かったらリオンの事を頼めるか?出会ったばかりの君頼むのは間違いかもしれないが……」

 

「任せてください!」

 

「ありがとう。そういえば君の名前は聞いてなかったね。なんと呼べば良い?」

 

「私はラナです!!」

 

「そうかこれからもリオンよろしく頼む。ラナ。」

 

「はい!!」

 

⭐︎

 

「遅いぞ!バルック!ラナ!!」

 

遅れて神殿内部へ入ると戦いが終わっておりスタンが倒れていた。

 

「スタン!!大丈夫!?」

 

スタンの身体を引き起こし身体を揺らすが返事がない。

 

(そんなスタン!!まさか!?)

 

最悪の状態が頭の中を過った私は胸に耳をつけて心臓の音を聞こうとすると−

 

「………疲れたぁ。」

 

「ちょっ!?スタン!?」

 

それだけを言って私の身体に寄りかかり寝息を立て始めた。

 

「取り敢えずこの状態では動けないな。こいつが起きるまで待つぞ。」

 

そうして外に運び出すともう日が出ていた。

 

「ちょっと起きなさいよ。スタン。」

 

「ぅ…いつの間にか朝になっていたんだ……そうだ、グレバムは!?」

 

〔逃げられた。〕

 

「間に合わなかったか……」

 

ルーティに揺さぶられ起きたスタンは目を擦り眠そうにして当たりを見渡すがグレバムの居場所を聞くが逃したと知り落ち込み始めた。

 

「スタン君、具合は大丈夫かね。」

 

「バルックさん、どうしてここへ?」

 

「君達がチェリクを出たと聞いてね。心配して後を追ってきたんだ。傭兵部隊を同行させて良かった。神殿内のモンスターは、全て片付けたぞ。」

 

「アンタが倒れた時大変だったんだからね。」

 

「バルックが来てくれなかったら私達も危なかった。」

 

「リオンさんがバルックさんに、神殿に向かう様に頼んでくれたんです。」

 

「リオンが…?」

 

「たまたま私達が街に到着した時リオンとラナと会えたのでね。」

 

「そうだったのか。」

 

「でもビックリしたよ…街に来たなり2人が斬り合っていたのだから本当に気が気じゃなかったよ。」

 

「「!?」」

 

バルックさんの言葉を聞くなり皆が驚き此方に視線を向ける。

 

「よく見たらアンタ達…私達よりもズタボロじゃない!!」

 

「なんて…無茶を…」

 

「でもそのお陰で助かった!ありがとう!ラナ!!リオン!!」

 

「別に僕は助ける気などなかったがこの女と約束したんでな…守っただけだ。それよりもバルック!グレバムの行き先は見つかったか?」

 

「巨大なレンズらしき物体を運ぶ、モンスターの姿が確認されている。そのモンスターはどうやら、ノイシュタット方面へ向かったようだ。」

 

「船で行くしかないか…バルック!船の手配を頼む。」

 

「ああ。了解した。私の権限内で、出来ることは協力しよう。」

 

リオンの言葉に頷き船を手配すべくバルックは去っていった。

 

「僕達はカルバレイス港から出て、ノイシュタットへ向かう。」

 

「よし!皆出発だ!!」

 

リオンとスタンは2人でカルバレイス港へと向かっていってしまった。

 

「ちょっと待ちなさいよ!!アンタ達!!」

 

慌ただしく向かうリオンとスタンを追いかけてまずはカルバレイス港へ向かう事にした。




仕事がひと段落し時間が取れたので急いで書いたのでガバガバな部分があると思いますがそこは多めに見てもらえると嬉しいです。それとリオンの事なのですが基本はリメイクの設定で書いていますがリオンの状況はオリジナルに近い形になっております。その事で今後リオンがどうなっていくのか…そこにも注目して見ていただけたら嬉しいです。


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邂逅

仕事が忙しく中々書く時間がなく遅れてしまい申し訳ないです。次回の更新は早くする予定なので引き続きよろしくお願いします。


私達はリオン達の後を追い掛けてカルバレイス港へと向かうと既に船が用意してあり船に乗り込みノイシュタットへと舵を進める事となった。

 

「またグレバムを、逃してしまいました……」

 

「俺達全員の責任だ。次こそ、絶対に捕まえよう。」

 

「……ええ、そうですね。」

 

「………」

 

(……ん?リオン?)

 

「グレバムって、神殿にいた時は、どんな奴だったの?」

 

「学識があって、信仰心も厚い、とても尊敬できる人物でした。多くの神官が彼を慕い、その下に集まったものでしたが……!そういえば……カルビオラでは、バティスタの姿が見当たりませんでした。」

 

「バティスタって?」

 

「グレバムの側近だった、司祭です。私にとっても先輩に当たるのですが……」

 

フィリアはそこまで言うと顔をうずめて表情が暗くなっていった。

 

「フィリア?」

 

「す、すみません。ついぼーつとしてしまって……」

 

「……」

 

「どうしたんだ?リオン?」

 

「……甲板にいる。」

 

マリーがフィリアに声を掛けると今まで黙っていたリオンはそれだけを言うと甲板に行ってしまった。

 

「ごめん!スタン!私も行ってくる!!」

 

「あ、ああ。」

 

スタンに一言伝えてリオンの後を追いかけ甲板へと向かった。

 

⭐︎

 

(いた…!)

 

甲板へと向かうとリオンは顔色を悪くして首を下に下げてボーッとしていた。

 

〔坊ちゃん、大丈夫ですか?〕

 

「ああ、多分……うぷつ。」

 

「リオン!!大丈夫!?」

 

〔遠くを見てください。ほら、遠くですよ。〕

 

リオンが吐きそうになるのを背中を摩り落ち着かせシャルが遠くを見るように言うとリオンは素直に遠くを見て息を吸ったり吐いたりをする。

 

「はぁはぁ……だいぶ楽になった。」

 

〔本当に良くなったんですか?船室で少し横になりましょうよ。〕

 

「なあシャルそれとラナ…僕は本当に正しいのだろうか?」

 

「ん?何が?」

 

〔どうかしましたか?坊ちゃん?〕

 

「いやヒューゴに従ったままというのが正しいのか…スタン達を見ていると分からなくなるんだ…もしかしたら僕のこの決断は間違っているかもしれないって。」

 

「…実はね私もリオンと同じ様に仲間の中にいたのに裏切ってしまってた時があったんだ…」

 

〔……へ!?〕

 

「………!!!」

 

「でもさその仲間の敵だと思っていた人達も自分なりの信念を持って戦っていた…そうして仲間達やその敵と思っていた人達と関わって思ったのはどっちが正義か悪かなんて人によって変わるものだと私は思うな。」

 

〔……ラナ〕

 

「……そうか」

 

それだけ言うとリオンは部屋へと戻っていた。

 

 

⭐︎

 

リオンに続いて部屋に戻り1時間ほど経った後船が止まりノイシュタットへと着いた。

 

「此処がノイシュタット……フィッツガルドの中心都市ですか。」

 

「俺の故郷、リーネの村も、フィッツガルドにあるんだ。だからって訳じゃないけど……早くグレバムを見つけないと。」

 

「まずはイレーヌの屋敷へ行くぞ。」

 

〔イレーヌというのは、オベロン社の、フィッツガルド方面支部長の事です。〕

 

〔有力な手がかりが得られるとよいが。〕

 

⭐︎

 

「綺麗な町並みですね。新しくて立派な建物が沢山。」

 

「オベロン社の資本が入って、ここ最近で急成長したらしいわよ。」

 

「こんなに発展してるなんて、思いませんでした。もっと……」

 

「田舎だと思っていた訳ね。」

 

「そ、そんな事は。す、すみません、スタンさん。」

 

「別に気にしてないよ……あれ、あいつ……」

 

「スタン!?」

 

周りを見渡して正直な感想を口に出し失礼な事を口に出したとスタンに急いで謝るフィリアだったがスタンは気にしていない事を伝えるが1人の青年がスタンの名前を呼び此方へ歩み寄ってくる。

 

「バッカスじゃないか!」

 

〔誰だ?〕

 

「リーネの村の幼馴染さ。いやあ、偶然だなあ!」

 

「ノイシュタットへ買い出しに来て、お前に会うとは思わなかったぞ!いきなり村を飛び出しやがって。あれから大騒ぎだったんだからな。」

 

「う……そうか……」

 

〔つまり家出か。呆れた奴だ。〕

 

「うるさい。」

 

(スタンらしいな。)

 

「それで、いつ村に戻ってくる気だ?」

 

「……戻るつもりはない。」

 

「…おい。」

 

「俺、どうしても、やらなきゃいけない事があるんだ。詳しい事情は話せないけど……兎に角、今は戻らない。」

 

「お前は一度言い出したら、聞かないからな。だったらせめて、家族に手紙でも書け。リリスちゃん、心配してるぞ。」

 

「……分かった。」

 

「じゃあ、俺は行くからな。」

 

「ああ、元気でな。余計な心配かけたくなくて、グレバムの事黙ってたけど……」

 

〔それで正解だ。〕

 

「マリーの姿が見えないわね。」

 

スタンとバッカスの話を皆が聞いていて気がつくとマリーの姿がなかったのだが直ぐに機嫌良く此方に歩いて戻ってきた。

 

「何処に行ってたの?」

 

「アイスキャンディー屋。」

 

「……なに1人で買い食いしてるのよ。」

 

「美味しかった。」

 

「……さっさとイレーヌの屋敷へ行くぞ。」

 

⭐︎

 

町で情報収集してイレーヌの屋敷の場所が分かり入ると、私たちの姿を見てメイドが奥の階段から降りてきた。

 

「どちら様でしょうか……?あ、もしかして。リオン・マグナス様と、ラナ様、それとそのお連れ様でいらしゃいますか?」

 

「そうだ。イレーヌはいるか?」

 

〔我らに関する情報が、既にある程度伝わっているみたいだな。〕

 

「お嬢様は、所用で出掛けております。すぐに戻るとの事でしたが。」

 

「なら此処で待たせてもらう。」

 

「かしこまりました。」

 

私達は屋敷の中でイレーヌが帰ってくるまで待つ事にした。

 

⭐︎

 

それから1時間程経った。

 

「…イレーヌとかいう人、遅いわね。待ちくたびれたわよ。マリー、アイスキャンディー屋って、何処にあるの?」

 

「街の広場だ。」

 

「ちょっと行って来るわ。じっとしてるのも退屈だし。」

 

「一緒に行こう。」

 

「俺も。アイスキャンディーって、食べた事ないし。」

 

「私も行きますわ。」

 

「リオンとラナはどうする?」

 

「ここでイレーヌを待つ。」

 

「私も待ってるよ。」

 

「そっか、誰かが残らないといけないもんな。なら、2人の分を買ってきてやるよ。」

 

「いらん。大体なんでこの町に来たのかをお前達は忘れてるんじゃないだろうな。」

 

「たまには目的から離れて休む事も大事だと思うけどな。だからリオンも気を張るのはよして一緒に行こう。な?」

 

「それでも僕は行かない。」

 

「何よ…やっぱりノリの良くない奴…ラナはどうするの?」

 

「私はリオンが心配だから残るよ。」

 

「そっ…来たくなったらいつでも来ていいからね。さぁ行くわよ!!」

 

「ルーティ!ありがとう。」

 

ルーティに礼を言うと私の方を向き頷いてルーティ達はアイスキャンディー屋へと向かっていった。

 

⭐︎

 

それから更に一時間程

 

〔誰も帰ってきませんよ、坊ちゃん。〕

 

「シャル、なんだか少し熱くないか?」

 

(そういえば私も少し熱くなってきた。)

 

〔熱いかどうかなんて分かりませんよ、剣ですから。〕

 

「……喉も渇いたな。」

 

「それでは、お茶をお持ちいたしましょうか?」

 

「冷えたものか?」

 

「あ、いえ、すぐにお出しできるのは温かいお茶ぐらいしか……」

 

「そうか。」

 

「冷たいものと言えば、街のアイスキャンディー位しか……」

 

「だが、この家には無いんだろう?」

 

「はい。もし良かったらですが私が急いで買ってまいりますよ。」

 

「待て、家の者が誰も居なくなるのはマズイ。だからと言って、僕達がここを離れてイレーヌと入れ違いになっては困るしな……」

 

「よろしければイレーヌ様がお帰りになられましたら、皆様の事をお伝えし、イレーヌ様には皆様のお帰りを待って頂くのはどうでしょうか?」

 

「それで良いのか?」

 

「はい!大丈夫ですよ!」

 

「ならば少し出ていく事にしよう。」

 

「はい、いってらっしゃいませ。」

 

そうして私達はメイドさんの気遣いによって外でアイスキャンディーを買う事にした。

 

⭐︎

 

「取り敢えずマリーが言っていた広場に向かおうよ。」

 

「ああそうだな。」

 

〔坊ちゃん、坊ちゃん。〕

 

「なんだ。騒々しい。」

 

〔あいすきゃんでぃーってどうな味なんでしょうね。気になっちゃって。〕

 

「そうか……シャルは食べられないんだったな……」

 

「人の姿に戻れないの?」

 

〔ええ。僕の身体はもう1000前程に死んでますから……〕

 

「なんか……ごめん。」

 

〔全然気にしてませんよ!1000年前にもきっとあいすきゃんでぃーに負けない程美味しいモノがありましたから!〕

 

「へぇ〜そう聞くと行ってみたくなってきたな。」

 

〔ははは!それこそ時を超えない限りは無理だと思いますよ!!〕

 

「そうだよね!!」

 

「〔ははは。〕」

 

「何を2人で笑い合っている!探しにいくぞ!!」

 

この時の私は知るよしも無いが、この時は冗談だったが本当にこの世界の時を超える事になるのはほんの少し後の話だった。

 

⭐︎

 

そんなたわいのない話をリオン(主にシャル)と話していると広場に出て周りを見渡すとアイスキャンディーのマークが入った車のようなものを見つけ買う為に前に立ち順番を待ち店員の前まで来る。

 

「いらっしゃいませ。どの味になさいますか?」

 

「………」

 

「お客さん……?」

 

「………」

 

「お客さん!」

 

「あ、いや僕は別に食べたい訳じゃ……」

 

〔坊ちゃん、恥ずかしがってないで買いましょうよ。〕

 

「いや…僕は……」

 

(代わりに頼んであげるかな。)「あの済みません!!アイスキャンディーを二つ下さい!!」

 

「はいよ!!お客さん味はどういたします?」

 

「じゃあ二つともバニラでお願いします!!」

 

「あいよ!!アイスキャンディーバニラ二つ注文入りやした!!」

 

注文してから少し程経ちアイスキャンディーを持ちリオンの所に行くとリオンは考え込む様に立っていた。

 

「どうしたの?リオン?」

 

「あ、いや、広場に先に来ているはずのスタン達の姿を見かけないのはおかしいと思ってな。」

 

(確かに…見かけない…どうかしたのかな…)

 

〔大丈夫ですよ!!スタン達なら!!〕

 

何事も無くアイスキャンディーを食べ終わりスタン達を探そうとすると−

 

「きゃああーーーー!」

 

(!?)

 

「何事だ!!」

 

女性の悲鳴が聴こえ当たりを見回すと女性が一体のモンスターに襲われていた。

 

〔ラナ、坊ちゃん、助けましょう!〕

 

「行こう!リオン!シャル!」

 

「ああ!」

 

女性を助ける為走り出そうとしたその時−

 

「!?」

 

(これは!?)「ッ!リオン!危ない!!」

 

〔ラナ!?〕

 

目の前にナイトメアがベルベットや私を襲撃した闇が溢れる扉が目の前にいきなり現れ扉が開き闇から異形の手が伸びてリオンを捕まえようとするが、咄嗟にリオンを突き飛ばし、突き飛ばした私を掴み扉に入れると同時に闇が溢れる扉がこの世界から消えた。

 

⭐︎

 

「ん………」(此処は…?)

 

扉が閉じ、状況を把握する為に周りを見渡すと無数の砂時計が漂って砂を地面に垂らしている場所に辿り着いた。

 

(兎に角此処を脱出しなきゃ!…でもどうやって?)「う〜ん?どうしよう?」

 

そう考えていると−

 

「余所見なんぞしてるんじゃねぇェェェェェ!!!!」

 

(斧!?)「ッッッ!?避けられな……!!!」

 

獣の様な雄叫びが聞こえる方向を向くといきなり斧が首に向けて振られなんとか避けようとするが通常よりも大きい斧の柄腹に胴体が当たり、吹き飛ばされてしまう。

 

「ハァ…ハァ…!何!?」

 

「チッ!外れたか!運が良いな!!小娘!!」

 

なんとか受身を取り切らした息を整えながら前を見ると長いウェーブの青髪の青と黒を基調のタイツを来ている褐色肌の男性が巨大な斧を肩に担いでいた。

 

「立った所聞くが小娘!!貴様がラナで間違い無いなぁ?」

 

「ええ…そうですけど…「ならば死ねェェい!!!」ッ!?」

 

独特な喋り方で私の名前を聴きそうだと答えた瞬間また斧が首めがけて振り下ろされる。

 

「ちょっと!?話を……」

 

「問答無用!!つべこべ言わずに死ね!死ね!死ねぇえぇィ!!!」

 

(話が通じない!?)「くっ!!ガンブレード!!」

 

「ほう…!やる気になったらしいが…そんな程度の力では俺の前では虫ケラ同然!!」

 

(この人…凄まじい程強い!!私じゃ勝てない…でもココで逃げたらリオン達が殺される。なら私が!!)

 

纏う気配で強さが分かり自分では勝てない事を悟るがリオン達に迫る最悪の事態を考えると逃げるという選択肢はなくなった。

 

「小娘…一つ教えといてやる!俺を前にした時逃げるなどという甘ったれた考えは考えるな!!考えていたならば殺す!!」

 

「そう考えてたんだけど貴方を見てると無理だという事が嫌でも分かるよ…。」

 

「ほぅ…いざぎよさだけは褒めといてやろう。まぁ『英雄スタン』の様にどの道貴様に明日はないがなぁ!!」

 

「貴方スタンを知ってるの!?」

 

「あぁ…俺が殺してやった…もう一人の『英雄ルーティ』も同じ様になぁ!!」

 

(え……?殺した…?ダレヲ?ダレガ?)

 

その言葉を聴いた瞬間私の頭の中が真っ白になり涙が溢れて地面の砂に次々と落ちていく。

 

「まぁそう泣くな。今日の俺は紳士的だ。お前も同じ場所に送ってやる!!」

 

私の身体めがけて斧が振られるが−

 

〔生きる事を諦めるな!!ラナ!!〕

 

「ッ!?貴様は!?」

 

(誰…?)

 

赤い光が私と男性の合間に入り徐々に光が薄れていき青髪の髪の長い別の男性が現れ手に持っている剣で斧を受け止めていた。

 

「久しぶりだな!!バルバトス!!」

 

「やはり貴様かァァァ!!ディムロス!!!」

 

(ディムロス!?)「その声…いやでも、ディムロスなの!?それよりもなんで身体が!?」

 

「それについては後で話す!!まずはこの状況をなんとかするぞ!!」

 

「うん!!」

 

バルバトスと言われた男の言った一言で前を向きディムロスと言われた男性を向きディムロスだと声で分かり確認するが事態が事態なのでバルバトスの方へ何も言わずに向くと次々と青、緑、黒、黄色、紫の光が私とディムロスの前に現れそれぞれの光がディムロスの様に薄れていくと様々な年齢の男女がそれぞれ剣を持ち立っていた。

 

「誰?」

 

「酷いじゃないですか!!ラナ!!僕の事忘れちゃったんですか!?ほら僕ですよ!!」

 

(もしかして!?)「シャル!?」

 

「良かった〜本当に忘れていたらショックでしたよ〜焦りました〜!!」

 

黒の光から現れた爽やかな青年にいきなり迫られ右手を掴まれ片手でブンブンと振りながら自分の事を指差してアピールされ声でシャルと気付くと首を項垂れて息を吐き私の手を何度も叩く。

 

「シャルティエ!!もうお辞めなさい!!ラナだって困ってるでしょ!!」

 

「痛ったぁ!!痛いですよ〜アトワイト大佐〜!!」

 

「アトワイトなの?」

 

「そうですよ…本当に無事で良かった。そして…やはり女性の扱いがなってませんねバルバトス…。」

 

私に名前を呼ばれたアトワイトは頷き私に目を合わせやんわりと笑うとバルバトスに対して睨み付ける。

 

「まぁラナが無事ならば問題は無い。だがまさかお前が生きてるとはな…バルバトス。」

 

「ごめん…本当に誰?」

 

「そうか…俺とハロルドとはまだ会っていないのか…ならば自己紹介が必要だな。俺はイクティノス・マイナード適当に名前を呼んでもらって構わない。」

 

「うん。よろしくね。イクティノス!」

 

「ふ〜む……」

 

イクティノスに自己紹介され軽く握手を交わしているとピンク髪の禍々しい剣を持ったハロルドと言われた女性が腕に着いたパンドラの事を指で突いたり首を傾げたり不思議そうに眺めたりしていた。

 

「あの…何してるんですか?」

 

「いやぁ!!見れば見るほど興味深いね!パンドラの名の通り分解したら厄災が解き放たれるか…それとも希望があるのか…未知すぎて分からない…グフフ!面白い!ラナ!!是非とも私にパンドラのデータを取らさせてくれないか!!」

 

「え?え?」

 

「状況を考えぬか!!ハロルド!!すまんのぉラナ!どうにもハロルドはこういう癖があっての…悪気は無いんじゃが…どうにもな…」

 

「クレメンテ。」

 

「ホホホ気付いてくれたか!最後に話して良かった甲斐があるの〜。」

 

「ハハハ。」

 

「貴様達…俺を舐めてるんじゃねぇェェ!!!」

 

「「!!!」」

 

何が何やら分からない状況で半笑いしてるのと同時にバルバトスは怒りを露わにして鍔迫り合いの状態だった斧を強引に押しディムロスを叩き付けようとするがディムロスは剣を引き後ろに跳び、私の隣に立ち構える。

 

「貴様達の死に場所は此処だァァァ!!」

 

「来るぞ!!!」

 

かつての『ソーディアン』と共に絶対に負ける訳にはいかない『暴斧のバルバトス』との死闘が始まった。

 

 




書いていてラナ一人ではうん!殺されるだけだ(絶望)となったのでかつてのソーディアン達に本来想定していた展開よりも早く登場してもらいました。何故彼等がちゃんと肉体を持っていて助けに来たのかそして彼等は本当にラナの知っている『ディムロス達』なのかは後々という事で!

ではまた次回の更新で会いましょう♪


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バルバトスVSラナ&ソーディアン


お久しぶりです


 

「来るぞ!!」

 

ディムロスの声が掛かり、皆が構えたと同時に正面に居たバルバトスの姿が消える。

 

(何処に……!?)

 

いったのかと探す為に周囲を見渡すが突如、自分の真下から強烈な殺気を感じ、視線を向けるとバルバトスが下から上に斧を振り上げる寸前だった。

 

「俺を前にして余所見とは余裕だな!!」

 

(下!?避けれない!!) 

 

「後ろに下がってください!!」

 

「!!!」

 

「ぬぅぅ!!貴様!!シャルティエェェ!!」

 

「ちょっとラナに気を取られすぎなんじゃないかな?」

 

後方に居たシャルに後ろ襟を掴まれ引っ張られる形で後ろに下がるとほぼ同時に上から下に振り下ろしたシャルの剣がバルバトスの斧の先端を掠め斧の軌道をずらし体勢を崩したバルバトスの下から刃が飛び出しバルバトスを空中へ斬り上げるとシャルは空中へ上げたタイミングで飛び上がり剣で突きを放つが斧の柄で防がれてしまう。

 

「やっぱりそう簡単にはいきませんよね…」

 

「クレメンテ!!頼む!!」

 

「分かっとる!!」

 

「動くなよ!!」

 

「迅雷の剣よ!!サンダーブレード!!」

 

シャルは軽やかなステップで後ろへ下がりつつバルバトスを斬り距離を置くとイクティノスが剣先をバルバトスへ剣先を向けると中心に竜巻が発生しバルバトスを閉じ込める。それを確認したクレメンテさんが剣を砂に突き刺し唱えると竜巻の上から次々とバルバトスに向かって光と落雷が降り注ぎ、バルバトスを襲う。

 

「折角ラナが見てる事じゃしカッコよくいこうかのぅ!!」

 

クレメンテさんは砂に突き立てた自身の剣を抜き、止むことがなく雷の降り注ぐ竜巻に向かって老体とは思えない程素早く走り出し、ある程度バルバトスへと近づきまた剣を地面へと突き立てて竜巻に突入すると、地面に刺さったクレメンテさんの剣から雷が現れ蛇の様に地面を這い竜巻の中に突入しバルバトスに絡みつき拘束し、拘束とほぼ同時に竜巻よりもデカい稲妻を纏った剣が2人の頭上へ現れ、バルバトスの身体へ剣が突き刺さるが、バルバトスはそのままという訳ではなく、そのまま稲妻の剣を両手で抑え身体から引き抜き、そのまま片脚で剣を蹴りその反動で此方へと飛び出し、竜巻と稲妻の剣を躱して私の目の前に降り立った。 

 

「調子に乗るなよ!!死に損ないの老いぼれ風情が!!」

 

「ふ!アレを防ぐとはのぅ!!やはりバルバトス!!簡単にはいかぬの!!」

 

(凄い…ん?)

 

「……………」

 

自身の戦闘レベルとは次元が違う攻防にただただ凄いという言葉しか出てこなかった私がふと視線を向けられてるのを感じ横を見るとディムロスが此方に何かを伝えようと無言で見つめているのに気が付いた。

 

(ディムロス…何を伝えようとしてるの…?)

 

ディムロスの伝えようとしていることは何かを考えているとバルバトスがディムロスに向かい斧を振り下ろし、ディムロスが剣で受け止め、また鍔迫り合いの形になる。

 

「ディムロス…貴様何を企んでる!!何故小娘を助ける!!」

 

「企みなど無い!!ただラナが我々の成せなかった事をスタン達に繋げ叶えてくれる!!そしてスタン達の脅威となる『奴』の企みを止める存在だと信じてるだけだ!!その為なら我々『ソーディアン』は命を賭けてラナを守る!!皆そう決めそしてラナを信じているからこそ此処にいる!!」

 

(…『奴』?)

 

「フン!!少し風が吹けば消えてしまう様なちっぽけなカスのような存在を守る為に命を賭けるとはな!!」

 

「何とでも言え!!」

 

互いに拮抗していた鍔迫り合いだったがディムロスの身体から炎が現れバルバトスの視界を覆う様に顔の前を覆い被さる。

 

「今だ!!ラナ!!ハロルド!!」

 

(やっと分かった!!)「うん!!行くよ!!ハロルド!!」

 

「久しぶりに共同実験と行こうか!!心が躍るねラナ!!」

 

やっとディムロスの意図が分かりガンブレードを構え、自身と同じくディムロスに声を掛けられたハロルドと顔を合わせ頷き合い共にバルバトスの元へ走る。

 

「行くよ!エリーニュス!!」

 

「小賢しい真似を!!」

 

「捕まえた!!」

 

パンドラからエリーニュスを出し手に装着し、バルバトスの方に突き出すとエリーニュスを装備した手が液体状となりエリーニュスが鎖の付いた鉤爪に姿を変えバルバトスへ鉤爪が伸びバルバトスの左手を捕まえると鉤爪と鎖が赤黒く変色、硬化しバルバトスを拘束する。

 

「私の出番だね!!」

 

バルバトスの身体を拘束したのを確認したハロルドが勢いよく走り出しバルバトスの眼前で体勢を低くしながら両脚でブレーキをかけながら剣を構え飛び上がりながら下から斬り上げつつ顔を蹴りその勢いで距離を取る。

 

「ハロルドォォォ!!」

 

(なんて馬鹿力⋯⋯!)「逃がさない!!」

 

「こうなればお前ごと⋯!」

 

(なっ⋯!?)「がっ⋯!」

 

「ッ!?ラナ!?」

 

拘束されている筈のバルバトスがエリーニュスの拘束など関係無しに血塗れのまま進もうとするが更に濃い赤黒く変色、硬化しようとする鎖を厄介に思ったのか私の方を向き私と向き合う形になったバルバトスは腕力任せに鎖を引っ張り始め、鎖を引っ張られた私は歯を食いしばり脚に力を込め何とか踏みとどまろうとするが努力虚しく呆気なくバルバトスに引き寄せられ首を絞められながら持ち上げられる。

 

「貴様にはこのまま奴らが死ぬのを黙って見届けてもらうぞ!!」

 

「離⋯せ⋯!!」

 

持ち上げられたまま両脚をバタつかせ逃れる為に抵抗するが状況は何も変わらない。

 

(このままじゃ皆が⋯!!ん⋯?)

 

「ディムロス!!このままだとラナが⋯!!」

 

「⋯⋯⋯⋯」

 

(シャル⋯!ディムロス⋯!)「そう⋯だよ⋯ね⋯まだ諦め⋯るのは早い⋯よね⋯!」

 

「ん⋯?」

 

シャルやディムロスの方へゆったりと高笑いしながらゆったりと近づくバルバトスの腹に覚悟を決めつつ、ガンブレードの剣先を突き付ける。

 

 

「俺の邪魔をするんじゃねェェ!!」

 

(コレは賭けだ!!)

 

ガンブレードを突き付ける私に対して叫ぶバルバトスを見てこれからやることに対しての覚悟を改めて固め−

 

「いっけぇぇぇぇ!!!!」

 

「!?」

 

ガンブレードの引き金を0距離で何回も闇雲に引きまくると弾丸がまるでガトリングのように発射され、発射された弾丸同士がバルバトスの目の前で次々と追い付き触れ合うと連鎖的に爆発していく。

 

「き  さ  ま ! ! 」

 

「ぐっ!?」

 

だがバルバトスはまず常人なら命を落とすであろう爆撃の中で私の首を絞めてる腕の力が緩まる所か更に力を込め絞める。

 

「死 ね ! !」

 

「「ラナ!!」」

 

「ぐっ…!!がッ!!」(何とか意識を保つんだ!!此処で負けたらスタンやリオンが!!)「まだだ!!まだ終わってない!!」

 

首を絞める力が徐々に強まり意識を失いかけるが拳を握った片方の手で何度も顔を叩きながら意識を何とか保ち、そのまま意識を失わないように顔面を叩きつつ、ガンブレードの引き金を更に早く連続でひたすらに引き爆音が更に激しくなる。

 

「ッッ!!」

 

 

(力が緩んだ!!)「今だぁぁ!!」

 

首を絞める力が僅かに緩んだ瞬間引き金を弾くのと同時に両脚で蹴りを胸板に打ち込み両脚蹴りと爆風の衝撃で吹き飛び何とか距離を取った。

 

「何とか…ハァ、距離を…ハァ、取れた!!」

 

首を絞められてた所為で足らなくなった酸素を身体へ取り込む為に仰向けのまま首だけ口を大きく開き呼吸して息を整える。

 

「大丈夫か!!ラナ!!」

 

「ラナ!!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「大丈夫だよ…ディムロス、シャル、アトワイト。」

 

爆風で吹っ飛んだ私を心配し私の側に誰よりも早く駆け寄った3人が私の安否を知る為に発した声に対して倒れたままの私は痛む身体で唯一動く首だけを3人へ向け返事をすると3人共に胸を撫で下ろしたが、直ぐに切り替え爆風の所為で姿が見えなくなったバルバトスの方を睨みつける。

 

「バルバトスがあの程度でくたばるとは思えん!!皆!!不意打ちに気を付けろ!!」

 

ディムロスの指示通り私を中心に四方を守る様に取り囲み警戒する。

 

「流石はソーディアン共だな…纏めて相手にするのはいくら俺でも分が悪い…」

 

「何処だ!?」

 

「煙の中です!!」

 

シャルの言葉で煙に向かって剣を各々が構え警戒するが一向に襲ってくる気配がしない。

 

「…何のつもりだ?バルバトス?」

 

「もう此処での用は済んだ…俺の目的はその小娘に『楔』を打ち込む事だ…左胸の辺りを見てみろ…」

 

「まさか!?ラナ!!」

 

「身体が…熱い…ッ!!」

 

「待ってください!!男性に女性の身体を見せるわけにはいきません…此処は私に任せて下さい!ハロルド!!頼みますよ。ちょっと失礼しますね…ツッ!?コレは!?」

 

突然身体が熱を持ち息が苦しくなり身体が怠くなり膝をついた私の容態を確認しようとするディムロスをアトワイトが止め頼まれたハロルドが男性陣をバルバトスの監視の為に背を向かせた内に私の服を軽く捲ると見た事のない紋章が浮かんでた。

 

「どうかしたのか!?アトワイト!!」

 

「コレは特殊な晶術です…しかもコレは…ッ!バルバトス!!貴方なんて事を!!」

 

「そうだ!!その晶術は発動者しか解除できない特殊なものだ!!予め言っておくがこの術者は俺じゃない…つまり俺を倒しても無意味だ!お前達が命を懸けて護りたかった小娘は時間と共に内部から自身の魔力に喰い殺されて必ず死ぬ!!精々残り短い余生を楽しむんだな!!ハハハ!!」

 

「バルバトス!!!」

 

高笑いをしながら煙の中のバルバトスの気配はこの世界から消えた。

 

 

⭐︎

 

 

「どうすればラナは助かるんです!?」

 

「私達の今の力ではどうにも…」

 

「ただでさえ今は存在が不安定な所をラナのパンドラの無尽蔵のエネルギーを少々拝借し実体化してるに過ぎん今の我々にはどうしようも無い…」

 

(皆…)「皆!!助けてくれてありがとう!!私ならもう大丈夫だから!!」

 

「「ラナ」」

 

皆を心配させたくなくて身体の痛むのを耐えながら出来るだけ平常に何もないかの様に礼を言う。

 

「無理はなさらないで下さい!!『楔』を刻まれた所為で貴方の体はもう…」

 

「うん。自分の身体の事は自分が分かってる…心配してくれてありがとうアトワイト。」

 

途中で言いにくそうに言葉を途切らせるアトワイトに感謝するとアトワイトは顔を逸らしディムロスに抱き付くとアトワイトの涙がポタポタと溢れだす。

 

「ラナ…本当に済まない。俺…いや俺達はお前を「これ以上自分達を責めたないで…」だが…!!」

 

「それよりもディムロス達はどうやって肉体を持って此処に居るの?」

 

「それは…「私が説明しよう。」!?」

 

ディムロスが詳しく話そうとした時近くの砂時計の中からディムロス達が現れた時と同じ様に光が溢れて消えるとそこに立っていたのは−

 

「貴方は…ヒューゴさん!?」

 

「『君』とは久しぶり…いや『私達』とは初めましてだね…ラナ。」

 

此処に飛ばされる前に会った時とは雰囲気が違うヒューゴさんが立っていた。

 

「………………」

 

「大丈夫よ…ラナ。」

 

「…アトワイト。うん。分かった…」

 

ヒューゴさんのことをガンブレードを出し警戒するが、アトワイトにガンブレードの柄を抑えられて渋々納得し、まずはヒューゴさんの話を聴く事にした。

 

「……まぁ君が私に警戒するのは無理はない…何しろ私は世界を破滅に導いた男なのだからな…。」

 

「世界を破滅に…?どういう事ですか?」

 

「それは俺から説明しよう…!」

 

 

顔を項垂れ皮肉げに笑みを浮かべるヒューゴさんに変わりディムロスが空に手を振ると空に映像が流れ始めた。

 

『いいのだよ、スタン。我らは永く生き過ぎた……』

 

『……………………』

 

(アレって…スタン!?)

 

映像には何処かの施設の様な場所で他のソーディアンが刺されている水晶にディムロスを構え居るスタン達が映し出された。

 

『でやぁぁぁっ!』

 

『今まで世話になったな…』

 

叫びと共にディムロスを水晶に刺しヒビが入り込み壊れる中それぞれが涙を見せる映像にふと違和感を感じた。

 

(シャルだけが刺さってない…?それにリオンがいない⋯?)

 

自身が見た事のあるディムロス達と自分が見た事の無い剣(恐らくハロルドとイクティノス)が水晶に刺さる中唯一シャルだけが刺さっていなかった。

 

「そう…ラナの思った通り僕達だけは『この世界』ではこの場所に辿り付けなかった…」

 

(アレは!?)

 

私の考えを察し先にシャルは答え、ディムロスの映した映像を切り替えると私も見知った姿がスタン達の元へと現れる映像が映し出された。

 

『やはりシャルティエが居なければ世界は救えないか。まぁ分かっていた事だがな。』

 

『貴様!!何者だ!!』

 

(ナイトメア!!)

 

ナイトメアが現れ水晶に手を翳すと水晶にノイズが走りヒビ割れ掛けた水晶が治ってしまった。

 

『神の眼の外郭が!?』

 

『神の眼を治せる人間などこの世界にいるはずがない!!』

 

『後は任せた…バルバトス。』

 

『俺に命令なんぞしてるんじゃねぇ…』

 

神の眼と呼ばれた水晶のヒビを治し,闇が溢れる扉を出現させ中に入り去っていくナイトメアと入れ替わる形でバルバトスが現れる。

 

『バルバトス!?貴様何故生きてる!?』

 

『今から死ぬ貴様らにはそんな事はどうでも良いんだよ!!』

 

『くっ!!』

 

バルバトスにソーディアン達が為す術なく次々と殺されていき全員が死んだ少し後に闇が溢れる扉が消えるのと共に神の目が怪しく光り輝き映像が終わった。

 

(…………)

 

「ラナ?大丈夫ですか?」

 

スタン達の余りにも酷い最後に声も出ずに放心しているとシャルが気遣い声を掛けてくれた。

 

「共に過ごした時間が短いとはいえあんな最後を見せられたら放心しても仕方ない。」

 

「もしかしてディムロス達は私の知ってるディムロス達とはまた違うディムロス達?」

 

「そうだ。」

 

シャルの声である程度冷静になった私が見た映像を通して思ったことを問いとして投げ掛けるとディムロスは頷いた。

 

「それから私達はハロルドが生前研究していた人の魂を光に変える晶術を利用してどうにか『この世界の』バルバトスに取り憑いてただひたすら時を待ち、機を伺っていた。」

 

「それが今だったと?でもなんで私がその…機?なの?」

 

「…?何を言ってる?私達は「ディムロス!!」そうだったな…ラナ『今』のお前は…」

 

(………?)

 

ディムロスが何かを伝えようと口を開くがアトワイトが大声でディムロスの名を呼び言葉を遮るとディムロスは何かに気付いて慌てて口を閉じた。

 

「確かにアトワイトの言う通りそうですね…」

 

「…そうだったな。」

 

「そっか…ラナ、君は…」

 

「???」

 

それぞれがディムロスの言葉を遮ったアトワイトの意図を理解しそれぞれの顔に憂愁の色が浮かぶが私だけは意味を理解出来ず首を傾げる。

 

「ねぇ…?アトワイト…?どういう事…?」

 

「…今の貴女にはきっと理解できないことだと思います。ただ一つだけ信じて欲しいのは私達はこれから貴女がどんな道を辿ろうとも最期まで私達は貴女の味方だという事です。」

 

「うん!!私も最期まで信じてるから!!」

 

アトワイトの言葉に頷くとソーディアン達は私の顔を見て同じ様に頷いた。

 

「…話の続きはそろそろ良いかな?」

 

「す、すみません!!」

 

「いや良いさ…元はと言えば全て私の責任だからね。」

 

「責任…?」

 

「単刀直入に言おう。ラナ、君の出会った私…いや私に取り憑いたミクトランの計画を止める為私の大事な愛息子リオンを無事セインガルドという場所にあるストレイライズ神殿まで警護してくれ!!」

 

「えっ!?」(じゃあルーティとリオンって!?)

 

ヒューゴさんから発せられた言葉に驚きを隠せず驚きのあまり声を上げてしまった。

 

「そうか。ラナ…『今の』君はまだそれも知らないのか…」

 

「そうルーティとリオンは確かに此処に居るヒューゴと血の繋がりがある実の娘と息子よ。」

 

(改めて考えると確かに似てるかも…)

 

「君は本当に変わらないんだな…」

 

「え?」

 

「いや…何でもない。」

 

「???」

 

リオンとルーティの顔を思い浮かべ比べる

 

「話を戻すとリオンはこの旅の最中に訪れる海底神殿で命を落としてしまうのだ。」

 

「っ!?な、何で!?」

 

「正確に言えばマリアンを護る為にリオンは私達を裏切ってミクトランに味方してしまうの。」

 

「そしてその後僕と坊ちゃんはエルレインの力によって蘇りその後ストレイライズ神殿の神の眼にたどり着く筈でした⋯」

 

「待って!!エルレインって誰?」

 

「君が居た時代より18年の未来に現れる人々に絶対の幸福をもたらすことが目的の『聖女』さ」

 

「それだったら悪い人じゃないんじゃ⋯」

 

「そこまでの話だけだとただの善人になるが実際は目的の為なら手段を択ばず、時には非道とも取れる手段で自身の都合の悪い人間を消し、巧みな情報操作で信者を増やしていく非情な狂信者だ。」

 

「しかも奴は自身の目的の為なら犠牲は勿論、時間や歴史を捻じ曲げることも厭わない。」

 

(私やナイトメアみたいに時間を移動できるなんて⋯)

 

「そう⋯彼女やその力を借りているバルバトスは君とは違い世界戦は移動できない代わりに自由にどんな時代や歴史、場所も移動できてしまうんだ。まぁ私的には世界線を移動し旅をしている君の方が実験対象としては大変興味深いけどもね。」

 

「何でその事を!?」

 

何故かハロルドの口から私が異なる世界線から来ているということが発せられ言うつもりの無かった私は驚き焦り周りを見るがディムロス達が特に驚いた様子もなく何も言わない所を見て此処にいる皆が知っているのだと理解した。

 

「皆知ってるんだね⋯私が違う世界から来たってこと⋯」

 

「別に誰かに言うたりはせんから安心せい。」

 

「私達が何故知ってるかは悪いが明かせない⋯だが一つ言えるのはこのまま旅を続ければその『意味』は理解できる筈だ。」

 

「うん!!分かったよ!!」

 

クレメンテさんとイクティノスの言葉に頷きこれ以上は深く詮索しないことにした。

 

 

「それと先程ヒューゴはストレイライズ神殿までリオンを護ってほしいと言ったが我々ソーディアンとしてはラナには出来ることならリオンの命を助けてほしいと思ってる。」

 

「でもそんなことしたらこの世界の歴史が⋯!!」

 

「彼方も歴史をめちゃくちゃにしてるしその点は大丈夫よ。」

 

「ただしスタンやリオンには気づかれてはいけないという事だけは忘れるな。」

 

「後何か注意点とかはあるの?あったら教えてほしいかな。」

 

「注意点というかこれは僕の勝手な想いなんですがやっぱり坊ちゃんには幸せになってほしいんです⋯だから⋯!!」

 

(シャル⋯)「うん!!何があっても必ずリオンは助けるから安心して!!」

 

「ラナ⋯!!」

 

涙を流し私に頼むシャルを見て私は改めて何があったとしても必ずリオンを助けることを心に決めた。

 

「そういえば元の世界に戻るにはどうすればいいの?」

 

「それなら心配ない⋯君が心で戻りたいと思えば戻る為の扉が出るはずだ。」

 

「分かりました!!え~と戻りたい⋯戻りたい⋯」

 

此処からリオン達の元へ戻る方法が分からずヒューゴさん達に聴くとヒューゴさんが戻る方法を教えてくれ言った通り心の中で戻りたいと強く思うと世界を移動する為の扉が現れた。

 

「じゃあ皆⋯そろそろ行くね!!」

 

「気を付け下さい!!」

 

「我々とは暫しのお別れだ⋯さらばだ⋯ラナ。」

 

「ディムロスの言う通り⋯また会いましょう⋯ラナ。」

 

「じゃあ⋯またな⋯ラナ。」

 

「そっちの時代のフィリアによろしくの!!」

 

「じゃあねラナ!!次会ったらパンドラの研究をさせてね~!!」

 

「ラナ!!息子を⋯リオンのことは頼んだぞ!!!」

 

ディムロス達の言葉に頷き、ヒューゴさんの期待に応えるべく頷き私は扉を開け元の世界へと戻っていった。





職を失ったりスランプを抱えたりと色々あり時間が取れずずっと続きが書けてなかったですがようやく時間が取れそうなのでぼちぼち連載を再開したいと思います!!本当に待たせてしまって申し訳ございませんでした!!


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