Muv-Luv Altanaitibe トータル( ´艸`)クリップス (caose)
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エボルトは異世界へと行く。

 最終回を少しもじりました。


 ここは何処かの世界。

 その世界には次元を超えた地球と元々あった地球の間に膜のような世界があり

そこでは二体の生命体が戦っている。

 一人は赤と青のツートンカラーを半々にしたような人型。

 そしてもう一人は赤紫入りの人型のエイリアン。

 ツートンカラーの人間は桐生 戦兎が纏う「仮面ライダー ビルド 

ラビット&タンクフォーム」

 そしてこのエイリアンはあらゆる星々を食い荒らし地球を乗っ取ろうと考えたブラッド族の一人「エボルト」

 戦兎はエボルトのエネルギーを使ってパンドラボックスがない、つまりエボルトが存在しなかった世界を創造しようとしていた。

 対してエボルトは自身のネックだった長距離移動に伴うエネルギー不足を解消できるワープ能力を手に入れるために・・・。

 お互いにある片や信念を、片や野望を夢見て信念戦っていた。

 戦いの中戦兎は黄金と銀のフルボトルを差した。

 本来フルボトルは生物と非生物のフルボトルを使うことで使用でき相性によっては

無類の力を発揮するのだが戦兎が使ったのは・・・黄金のラビットフルボトルと銀色のドラゴンフルボトルと本来は使用できないはずの二つが・・・使用できた。

 『ラビット!!ドラゴン!!ベストマッチ!!!』

 黄金と銀色のツートンカラーとなったビルドは勝利を確信しフレミングの法則を

模ってこう言った。

 「勝利の法則は・・・決まった!!」

 戦兎はビルドドライバーのボルテックレバーを思いっきり回して空へと高く飛んだ。

 それはここまでの間に喪った大切な人たちの願いとドラゴンフルボトルの所有者でもあった「万丈 龍我」の強い願いがビルドに勝利を与えようとするように。

 そして直線状にエボルトが入ったと同時にボルテックフィニッシュが決まった。

 「ハーーーーーーーー!!!これで最後だ!!!」

 そして直撃したエボルトは地面に蹴られながら、落とされながらこう叫んだ。

 「この俺が負けるというのか!?そんなことあってたまるか!!

人間のくせにーーー!!!」

 エボルトはこの瞬間こう思っていた。

 何でこいつらはここまで戦えるのかを?

 人間は力に恐れを抱きそれに従順になる生き物だと思ったのに・・・。

 『心火燃やし尽くして・・・凍り付きな。』

 『この国の為に!!』

 『難波会長の仇―ー!!』

 『俺は俺だ!!』

 ・・・なんでそんなことの為に戦う?

 『ラブ&ピースこそが・・・仮面ライダーだ』

 ・・・そういえばこいつらと一緒に(石動の中で)どんちゃん騒ぎしてた頃が一番・・・楽しかったなー。

 ジーニアスの時に言われた感情・・・それは・・・楽しいという心がエボルトが最後に感じた心であった。

 そして大爆発が起き・・・エボルトは消滅した。

 

 

 「(・・・ここ何処だ?)」

 エボルトは現在の状況に違和感を感じていた。

 あの時消滅したはずの自分がなぜ意思をもっているのかを・・・

 すると誰かが来る感じがした。

 よく見ると小さな男の子がこっちを見ていた。

 「(あんだガキか~~。驚かせやがって・・・。)」

 するとその子供は自分を・・・ひょいっと持ち上げた。

 「(は!!ちょっと待てよおい!!俺そんなに軽いかって・・・ああおれ流体になっているのか。それなら納得・・・)」

 「ママ―。面白い箱見つけたよー。」

 「(え!?箱って・・・まさか・・・。)」

 エボルトは嫌な予感がした。

 もしかしたらそれはと思いながら聞き耳を立てていると・・・

 「あらそんなのどこにあったの?」

 「すぐそこの山に。」

 「誰かが忘れたって・・・わけじゃないけど何かしらこの箱の模様?

見たことないわね。」

 「(おいおいおいおい・・・まさかそれって・・・、)」

 エボルトは冷や汗をかいていた。

 何せその箱は・・・

 「こんな黒い箱はアメリカにないわね。」

 「(ハイ確信した!!これパンドラボックスかよーーー!!!)」

 またここかよと思いながらも子供とその母親はそれを持って家路についた。

 ・・・それこそ世界を作り替える程のエネルギーを持った箱と知らずに。

 ・・・中にあるのが最悪な生命体と気づかずに・・・。

 「帰りましょ。ユウヤ。」

 「うん。ママ。」

 ・・・ユウヤ・ブリッジスはそれを持ちかえってしまった。

 それが自分の未来と仲間たちの・・・色々とヤバい展開になると知らずに・・・。




 これはとてもとてもおおきな・・・あいとゆうきと・・・笑いと性格崩壊をもたらすおはなしである。


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箱の解放

 その箱にあるのは希望か・・・絶望か。


あの後エボルトが入っているパンドラボックスを拾ったユウヤはと言うと母親である「ミラ・ブリッジス」が一時預かってから自分が使うことにした。

 如何やら箱の中身が気になるらしいのだが開け方が分からなかったためユウヤに

返したのだ。

 しかし開けることが出来ず精々置物しか有効活用していなかったのだ。

 ・・・それから暫く経って・・・。

 「(・・・あ!!今何時だ!?)」

 暇すぎて寝ていたエボルトはこの住人に関して観察をしていた。

 「(先ず俺を拾ったのはユウヤって餓鬼で、その母親がミラって名前の様だな。・・・しかし何で親父がいねえんだ。・・・って言うか入る奴等は大抵見ないようにしているメイドみたいな女共かよく喚く爺ぐらいじゃねえか。)」

 正直言ってワンパターンになり始めてこう思っていた。

 「(あーーあ、外出てえしコーヒー作りてえなあーー・・・。)」

 お前が作るコーヒー飲んだ奴がヤバいことになるでしょうがと何処かの世界に飛んで行った自称天才物理学者が喚くのが聞こえた。

 するとこの部屋の主であるユウヤが戻ってきた。

 その時の表情は目が真っ赤になってよく見れば殴られた跡があるように見えた。

 ここ最近はこういう状況が続いているため流石のエボルトも何かあったのかと思っていた。

 「(毎度毎度、人間って言うのは面倒くせー生き物だよなー。何があっても家じゃあ大丈夫だって言ってるらしいが俺の前じゃあよく泣いているし耳障り

なんだよなー。)」

 するとエボルトは頭の中で何かが閃いた。

 「(こりゃあ・・・いけるかもなーー。)」

 そしてエボルトは何とかできないかとテレパシー感覚でユウヤの頭に響かせるようにした。(最近出来るように練習していた。)

 『(おい坊主・・・。)』

 「!?誰?」

 ユウヤは頭の中で声がすることに驚くとエボルトはさらにこう言った。

 『(俺は今お前の真ん前にいるぜ。)』

 「真ん前って・・・?」

 『(お前の眼の前にある箱からだよ。)』

 ユウヤはそう言ってパンドラボックスの方を見た。

 「これからか?」

 『そうそう、そいつから出してくれねえか?』

 然しユウヤはこう答えた。

 「でも開け方知らないよ。」

 『(俺が教えてやるからその通りにしろ。)』

 そう言われてユウヤは言われるがまま箱にある模様からパンドラボックスを

操作した。

 

 

 

 そして数分後・・・。

 

 

 「開いたーー!!」

 ユウヤは開いたことに喜んでいるとエボルトはこう考えていた。

 「(よしよし良いぞ~~。後はこの餓鬼に憑りついて外にヒャッハーぜ!!イ―ーハーーー!!)」

 エボルトが喜んでいる中ユウヤがパンドラボックスを開けるとその中に

入っていたのは・・・。

 「うわーー!!おもちゃだーー!!」

 『へっ?』

 ユウヤの視界に映ったものは大量の色鮮やかな小さな容器であった。

 他にもベルトやゼリーのようなものと銃みたいのが入っていた。

 「(もしかして今の俺って・・・。)」

 嫌な予感がしたのでユウヤにテレパシーで聞いた。

 『なあ坊主・・・何が入っていたんだ?』

 するとユウヤはこう答えた。

 「玩具みたいなベルトと・・・銃と・・・いろんな色の小っちゃい

容器みたいなの。」

 そしてエボルトは最悪な状況に気づいた。

 そう・・・今の自分は・・・。

 コブラフルボトルの中にいるのだ。

 「(ウソダドンドコドーン!!)」

 まだまだエボルトの災難は続くようであった。




 次回はようやく登場させる予定です。


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テンパると大事なこと忘れる。

 フルボトルになってしまったエボルトの明日はいかに?


現在の自分の状況を理解したエボルトはと言うと・・・。

 「Orz・・・。」 

 両手を地(?)に着いて落ち込んでいた。

 「(何でよりにもよってフルボトルなんだよ・・・俺が何したんだよ。)」

 いやお前結構色々やらかしてるから。

 「(・・・ベルナージューー!!お前が仕組んだのかーーー!!!)」

 大声でそう言っているエボルトであったが外ではと言うと・・・。

 

 

 

 『ラビット!!ドラゴン!!』

 「うわー面白ーい!!」

 ベルトにフルボトル差して遊んでいた。

 まあレバーを回していないだけまだましであったが・・・。

 周りにはネビュラスチームガンやビートクローザー、マグマナックルと言った物が

散乱していた。

 そしてフルボトルの中にいるエボルトはと言うと・・・。

 

 

 

 「(よし・・・起きちまったことは仕方ねえからこれからの事考えるか。)」

 やっと立ち直ったエボルトは作戦を変える必要性に気づいてある賭けを思いついた。

 「(正直これって賭けだしなあ・・・前に人間社会に(石動に憑依していた時)入っていた時に読んだ絵本だから確率は低いがやる価値はあるな。)」

 思い立ったが吉日とエボルトはテレパシーでユウヤにある指示をした。

 

 

 

 『おい坊主、聞こえるか?』

 「・・・あ、さっきの人。」

 ユウヤはエボルトに気づくとエボルトはユウヤにこう言った。

 『お前箱の中で銃みたいの見なかったか?』

 するとユウヤはこう答えた。

 「うんあるよ。・・・二つくらい。」

 『(二つ?)どんな奴だ?』

 エボルトは同じ奴かなと思って聞いた。

 「う~~んとね・・・赤いのと青いのがあるよ。」

 するとエボルトはある事を思い出した。

 「(あ、そういえば難波チルドレンが使っていたカイザーシステムも俺のと同じ奴だったな。)」

 それを思い出したエボルトはユウヤにこう言った。

 『よし小僧。下のカートリッジを見ろ。』

 「?カートリッジ?」

 無論アメリカ人であってもまだ幼いユウヤにとってそれが何処かなのか

分からなかった。

 『銃の持ち手が二つあるだろ?その一番前の奴だ。』

 「え~~と・・・これか。」

 『そうそうそんでそいつの穴が一つだけのやつな。』

 「あったけどこれ如何するの?」

 ユウヤはエボルトに聞くとエボルトはこう言った。

 『そん中に≪コブラ≫って無かったか?赤い奴??』

 「赤いの・・・此れかな?」

 そう言うとユウヤはコブラフルボトルを手に取った。

 『そうそれだよそれ!!そいつを振ってくれねえか?』

 「振るの?」

 『そう、思いっきり!!』

 しかしこの時エボルトはある事を忘れていた。

 自分もフルボトルの中にいるため思いっきり振ったらどうなるかを・・・。

 そしてそれを思い出した瞬間エボルトはユウヤに慌ててこう言った。

 『まった、今のん・・・。』

 「えい!!」

 『おぎゃあああああああ!!!!!!』

 現在のエボルトは正しく洗濯機の中に洗われる服のような感じであろう。

 そして振り終わるとユウヤはエボルトにこう聞いた。

 「ねえ?これ如何するの?」

 しかしエボルトは振られた衝撃で目を回しているとユウヤはそれを穴に差した。

 すると銃は電子音声でこう言った。

 【コ・コ・コブラ!!】

 「うわっ!!」

 ビックリしたユウヤはそのままトリガーを引くと赤い煙が出てきたのだ。

 「へ!?何!?何!?」

 ユウヤは訳が分からなかったので銃を放り投げると煙はどんどんと形作っていった。

 赤い宇宙服のような服を着て・・・

 頭頂部には煙突のような突起物

 目のバイザーはコブラを模したようなディティールが施された

 嘗てエボルトが最初に使っていた姿・・・[ブラッドスターク]がそこにいた。

 「よっしゃああ!!ふっか・・・。」

 「?」

 ユウヤはエボルトが言いかけたのを気にするとエボルトは下向いて・・・

赤黒い煙を・・・口からはいた。

 「おろろろろろろろろろろろろろ。」

 「・・・大丈夫?」

 何気なくユウヤは背中を擦っている姿は本当に侵略者なのか分からなかった。




 ・・・あんだけ振りャあそうなるわな。


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自分の正体

 現在エボルトは「アラジン」に出てくるランプの精みたいに上半身しかありません。


「あーー。スッキリしたぜ。」

 「って言うかおじさん誰?」

 さっき迄吐いていたエボルトが復活した瞬間ユウヤが突然何者かと聞いて来たのだ。

 それを聞くとエボルトはユウヤにこう言い返した。

 「おいおい坊主?人に正体聞く前にはまず自分から名乗るのが礼儀だぞ。」

 するとユウヤはムッとした顔でこう言った。

 「ユウヤ・ブリッジス」

 そしてやっとエボルトはユウヤに自己紹介した。

 「俺様はブラッドスターク、好きなことは人間観察とコーヒーを作る事。」

 そしてエボルトはこう続けた。

 「ああそれと俺ブラッド族っつう宇宙人な。」

 その言葉にユウヤは驚いた。

 「う、う、宇宙人ーーーー!!!」

 するとユウヤは近くにあったもう一丁のネビュラスチームガンを手に取って

こう言った。

 「お前何しにここに来たんだ!!BETAみたいに僕たちを殺しに来たのか!!??」

 すると下から声が聞こえた。

 「ユウヤーー。何があったの!?」

 「ママ来ちゃダメだよ!!宇宙人がいるんだ!!」

 「宇宙人?何言ってんのって・・・きゃーーー!!!」

 金髪で髪の長い女性がユウヤの部屋に来るとエボルトに驚いた。

 するとその女性はユウヤを体で覆わせるとエボルトにこう言った。

 「お願いです!!私はどうなってもいいからこの子だけは見逃してください!!」

 「ママ何言ってんだよ!!俺がママを守るんだ。」

 何だかなーーと思いながらエボルトは二人にある事を聞いた。

 「なあよ・・・BETAって何だ?」

 「「What?」」

 二人はぽかんとした表情でこう聞いた。

 「えっと・・・あなた違うんですか?」

 「お前宇宙人って言ったんだろ?」

 するとエボルトはこう返した。

 「坊主の言った言葉は真実だがお前ら殺しても何も得になんねえし、それに俺はBETAじゃなくてブラッド族だって言ってるだろ。」

 それを聞くと女性の方はへたっと倒れるように床に座るがユウヤの方は

まだ警戒していた。

 「じゃあなんでここにいるの?」

 それにエボルトはこう答えた。

 「なあここって日本じゃねえのか?」

 するとユウヤはエボルトに近づいて大きく声を上げてこう言った。

 「今日本って言った?」

 「ああ言ったが・・・。」

 するとユウヤはエボルトにこう聞いた。

 「じゃあさ、僕のパパ何処にいるか分からない!!??」

 「は、パパ?」

 すると女性がユウヤの所に行くとこう言った。

 「この子の父親は日本人何ですけどその・・・。」

 途中で言い淀むとエボルトはこう返した。

 「ああ坊主、俺はお前の父ちゃん知らねえしそれについちゃあもう少し大きくなってから母ちゃんに聞きな。」

 「・・・うん・・・。」

 ユウヤは小さく返事をしたのを見てから本題に入った。

 「それじゃあよ、まずそのBETAって奴から始めてくれや。俺も情報を

公開するからよ。」

 「ええ分かったわ。」

 この時人類史上初めての宇宙人との対話が始まった。




 宇宙人との対話ってこれが初めてじゃなかったっけ?


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説明交換

 お互いの世界についての説明です。


「BETA、人類に敵対的な異星起源種の略で1967年に月面基地を襲撃、その後1973年に中国のウイグル自治区に降下して二十年の間にユーラシア大陸の95%がそいつらの物になって1974年にカナダに降下したときにはこれでもかってくらいに核弾頭ぶち込んだ結果連中を全滅した代わりにカナダの半分が死の土地になる。・・・

って何だこりゃ。」

 エボルトはユウヤの母親から聞いた情報を元に簡単に纏めた。

 「更に言えば連中をぶちのめすために戦術歩行戦闘機、略して戦術機が台頭するって何のSF映画だこれ?ロボットに乗って戦うってパシフィック○ムじゃあるめえし。」

 どこぞの2作品目に入った映画のタイトルを呟くがユウヤがエボルトに

こう言い返した。

 「いやあんた程じゃないよ。」

 そしてユウヤの母親がこう言った。

 「ええと・・・貴方はブラックホールを疑似的に形成して星のエネルギーを食べて

生きる「ブラッド族」って言う地球外生命体で火星を滅ぼそうとした際にその星の

女王である「ベルナージュ」によって貴方は死にかけたけどそこのパンドラボックスに意識を移して生き延びて、長い間眠りについたって・・・私達からすればそれこそ

SF映画みたいよ。」

 火星に文明がある時点でね。と続けた後更に頭の痛い内容が出てきた。

 「そして・・・貴方の時間で1996年に火星調査機が来たから貴方はそれに乗って地球に密入国してそのMISS万丈って言う女性科学者に入り込んだけどその人が

赤ちゃんを産んだことで失敗してまた気を失った・・・。ちょっと繊細なのね貴方。」

 まあなとエボルトは胸を張るがユウヤの母親は頭を抱えたまま続けた。

 「それで・・・2009年に石動って言う日本人の宇宙飛行士があなたの入ったパンドラボックスを触った瞬間貴方は彼に憑依して再び地球に密入国した。・・・よく

諦めなかったわね。」

 「神様って奴の導きかもな。」

 「貴方の願いを叶える神様ってどんな神様よ。拝んでみたいわ。」

 エボルトの言葉にユウヤの母親はツッコミをした。

 「そして・・・貴方はパンドラボックスを起動させようとするもスカイウォールって言う壁を作る位になった後自分の体の元となっているそこのエボルドライバーを

使用できるようにするために葛城 忍って言う科学者と手を組んでライダーシステムを計画して発動する間の十年間・・・つまり2019年まで息を潜めて発動した後は自分が記憶を消して放置した葛城 忍改め桐生 戦兎と自分の細胞データから産まれた

万丈 龍我とその仲間達を利用して復活するもあと一歩ってところで

桐生 戦兎によって消された・・・って言う事?」

 「まあ幾つか端折っているがそんなところだろうな。」

 ユウヤの母親はその情報を聞いた後自分は夢を見ているのかと思いたかったが

目の前にいる宇宙人と周りにある武器のような物がそれを証明している。

 そしてユウヤの母親はエボルトにこう聞いた。

 「貴方は・・・地球を滅ぼしたいの?」

 

 

 




 エボルトがこの世界で出す答えとは一体?


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エボルトから見た人類

 その答えの意味するものとは


「貴方は地球を滅ぼしたいの?」

 その言葉にエボルトは鼻で笑いながらこう言った。

 「はっ、何言ってるんだよ。俺はこの星にいる人間共の色々な表情をするさまが好きなんだよ。それにこんなに俺が楽しめる場所なんて他になかったしな。」

 エボルトはこれまでも別世界の地球で色んな人間に会っているせいか人間らしさが

身に着いたのである。

 「それが真実としても何でここでも自分が好き勝手出来るのかって思えるの?」

 現在地球はBETAによって危機的状況にも関わらず何故そう思えるのかを聞いた。

 「おいおいじゃあ俺も聞くがよ・・・どうして人間共は手を取り合わねえんだ?」

 「!!」

 ユウヤの母親はその言葉を聞くとそれは確信に近いと思ったからだ。

 「第一によ、最初の月の戦闘の時点で危険が分かるんだからその時点で

何とかすりゃあユーラシア大陸は殆ど失っていねえ筈なのに国の利権に目が眩んだ現実を軽く見た馬鹿共のせいでそうなったんだしな。」

 嘗ての難波重工の会長も国全体の利益よりも自分の利益と保身のために

ライダーシステムやガーディアンの生産をしていたのだ。

 更にエボルトはこう言った。

 「それにバレオロゴス作戦だっけ・・・たった4機しか帰還出来なくって大勢の連中と心中して手に入れたのは巣の中の通路だけって何やってんだよ?人類の為って思うんだったらよ自分の機体で体当たりして自爆すりゃ取り戻せたってことなのに命惜しさでデータ持ってトンズラしてよ、それで奴らに勝てるのかって話だよ。」

 そしてエボルトはユウヤを見てこう言った。

 「それに坊主の傷なんて只『日本人ってだけで何でいじめるの?』何て・・・

結局人間何てのはな手前の作った物差しでしか測ることしねえし手前の勝手な理屈で世の中決めちまう者なんだよ!!」

 「・・・。」

 ユウヤの母親はその言葉に何も言えなかった。

 何もかもが合っているからだ・・・。

 「俺はよ・・・いろんな連中に会ったがあいつらみてえのは初めてだったな。」

 そしてエボルトは彼らを思い出した。

 「育ててくれた奴の恩義の為に戦う連中。」

 難波チルドレンとして難波会長に忠誠を誓った鷲尾 風と雷、内海 成彰

 「国の為に人生捧げるような爺さんにその息子。」

 嘗ては仲違いしても心の中では同じ場所を見ていた氷室親子

 「仲間の為だとか家族の為だとか言って自分を犠牲にする連中。」

 自分の守りたいものの為に戦う猿渡 一海や黄羽、青羽、赤羽。

 「手前が化け物にもかかわらずそれでも人間共と一緒に戦う馬鹿。」

 愛する人を失いそれでも仲間の為に戦う万丈 龍我

 「手前の正体がとんでもない奴でもあほな夢の為に闘う自称天才科学者。」

 自分の正体やその罪に苦悩しても周りの支えで立ち上がってきた桐生 戦兎

 「そんな連中を見ているせいか俺様も人間みたいになり始めたのかねぇ、

暇だし付き合うか。」

 それが何のことやらユウヤの母親は分からなかったがユウヤに近寄ってこう聞いた。

 「坊主・・・お前強くなりたいか?」




 その甘言は天使か悪魔か?


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そして年月は経ち

 あれから幾数年。


 狭い部屋・・・

 所々にある機械・・・

 目の前に広がるのは砂嵐・・・

 「(・・・何もねえとはまさにこのことだな。」

 「阿保言うな。こういうのも俺達衛士にとって必要な訓練なんだよ。」

 「(けどなあーー。こう暇じゃ何もすることが起きねえよ。それに・・・。)」

 映像を見ると所々角ばった旧世代のエイリアンのような物が見えた。

 「(こんな対人戦特化型の奴を完成する意味なんてあるのかよ?

このご時世によ。)」

 「こんなって・・・一応軍の最新型だぜ。こいつが完成すりゃ他の機体に

乗れるんだぞ。」

 「(お偉いさんは何考えているのやら?)」

 すると映像込みの通信が入ってきた。

 『こちらレックス1。レックス3、調子はどうだ?』

 映ったのは青年の一回り年上の男性だった。

 「こちらレックス3、機体は上々、・・・だけどこんなの完成させる意味って

あるんですか?此間あんだけブラック・ウィドウに負けたくせに。」

 『まそう言うな。お偉いさんはこいつを完成させてBETA戦後を有利に進めようって

言う魂胆なんだろうよ。』

 「それでもあいつの方がよっぽどマシだと思うんですよね。設計思想の一部でも

使えや良いのに。」

 すると他から通信が来た。

 青年と同い年くらいの男性だった。

 『軍隊なんて所詮は兵器会社の請負みたいなもんだよ。自分が作ったものよりも

高性能な奴を使いたくないんだろうな。』

 するとまた通信が来た。

 もう一人の青年と同じぐらいのブロンドヘヤーの女性だった。

 『ま、ユウヤの言葉には同意を得るわ。あの機体の肩部担架ユニットぐらいつけてもこの機体の優位性を損なうことないんだし。』

 するとさっきの男性が三人にこう言った。

 『おしゃべりはその辺にしてそろそろ戻るぞ。この砂嵐の中じゃ

ステルス飛行試験なんてあってないような物だ。』

 『『『了解!!!』』』

 それぞれが戻る中ある青年がもう一人のこう聞いた。

 「そういえばクゼ、お前シャロンに尻敷かれてるらしいじゃねえか?情けねえぜ。

そんなんだからスコア負けしちまうんだよ。」

 するともう一人の青年レオン・クゼが通信でこう怒鳴った。

 『それとスコアとどんな関係があるって言うか!!誰だ!?そんなこと

言った奴は!!??』

 「ヴィンセント。」

 『あの軽薄ヤローーー!!』

 すると女性の・・・シャロン・エイムがこう聞いた。

 『そんなことよりユウヤも早く相手見つけたほうが良いわよ。

あなた人気あるんだし。』

 すると青年・・・ユウヤ・ブリッジスがこう言った。

 「阿保言うなよ。俺みたいな戦術機馬鹿と付き合いたい奴なんていやしねえよ。」

 そう言って通信を切るとユウヤの頭の中から声が聞こえた。

 「(確かにお前の戦術機に対する熱愛ぶりには呆れて物が言えねえよ。

ミラさんが早く孫の顔が見たいって言う日が来ちまうぞ。)」

 するとユウヤはそれにこう言った。

 「黙ってろエボルト。お前は俺の親父かっつうの。」

 「(少なくとも保護者だな。)」

 「・・・・然しもう十年以上なんだな。お前といるの。」

 「(もうそんなに経つか。)」

 

 

 

 「坊主?力欲しくねえか?」

 エボルトは未だ幼かったユウヤにそう聞くとユウヤの母親ミラ・ブリッジスが

こう言った。

 「この子に貴方みたいな力は必要ありません!!」

 そう言いながらユウヤを抱きしめるとエボルトはこう言った。

 「だがなあ奥さん。差別にも偏見にも勝つには力が必要だぜ。今の坊主に必要なのはそんな逆境を覆せるほどの力だぜ。それに力がありゃ家族を守れるぜ?」

 それを聞いたユウヤはエボルトにこう聞いた。

 「・・・チカラさえあったらママを守れるの?」

 「ユウヤ!!」

 ユウヤの言葉にミラは止めようとするがエボルトはこう言った。

 「ああ・・・だがな坊主。力とは言っても色んな力があるぜ?権力すらも潰す力、

守る力、力ってのは本質、つまり自分が欲しかった力を見誤無けりゃいけねえぜ。」

 それでもほしいかと聞いたエボルトにユウヤはこう言った。

 「僕はママを守れるぐらいの・・・自分が日本人とアメリカ人のハーフだって誇り

持てるぐらい強くなりたい!!」

 「するとエボルトは笑いながらこう言った。

 「クックックックッ・・・ハハハハハハ!!良いねぇ!良いねェ!!やっぱ人間はこうじゃなきゃ面白くねぇ!!契約だ坊主!!俺様がお前を強くさせてやるから

俺様にお前を見せつけろ!!!」

 お互いが握手を交わした瞬間契約は成立した。

 

 

 

 「(あれからお前の夢の中で特訓させたり武器の使い方を教えて、16ぐらいには

ビルドドライバーが使えるぐらいのハザードレベルになったしな。)」

 「お前が微量のネビュラスガスを寝てる最中に打ち込み続けるからだろうが。」

 「(ま、それに俺様のおかげでミラさんは病気から復活したんだから

良いだろう。)」

 「それについては礼を言うぜ。エボルト。・・・ありがとな。」

 ユウヤは最後に小さく礼を言うと後ろから・・・何か大きな音が聞こえた。

 「何だ?」

 すると遥か後ろから砂煙が微妙に見えた。

 「ありゃあ一体?」

 すると隊長機から通信が来た。

 『レックス分隊各機。後で司令部に報告するぞ。』

 『『『了解』』』

 --ぼきっ!!--

 「(ん?)」

 「どうしたエボルト。」

 エボルトが何か音がしたのでユウヤはそれを聞いた。

 「(いやなんか・・・折れたような音が・・・気のせいか。)」

 「何じゃそりゃ。」

 そして彼らは基地に帰投した後どうやらあそこで崖崩れが起こったことが

報告された。




 ナニが折れたでしょうか?


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原作のちょい前

 もうすぐだぞーー。


あれからもユウヤはリック・スヴェン大尉の指揮下の下でF-22「ラプター」の

テストをしながら夢の中でエボルトとの特訓をしたりして過ごしている中ある情報が一緒にこの基地で勤務して「ラプター」の整備をしている整備士

「ヴィンセント・ローブェル」がある噂を食堂でコーヒー(自作ブレンド)を

飲んでいるユウヤとレオン、シャロンとしていた。

 「XFJ計画?」

 コーヒーを飲みながらユウヤはその計画の名前を口にした。

 「そ、XFJ計画。日本の戦術機≪不知火≫の改良計画にアメリカのボーイング社が

立候補してなそれをアラスカでやるらしいんだよ。」

 するとレオンがその土地についてこう口にした。

 「アラスカって確かソ連の難民救済って名目で分割譲渡してなかったか?」

 数十年にも渡るBETA戦争で膨れ上がった難民を受け入れるため幾つかの国では国土の分割譲渡をする代わりに難民の中から衛士を育てさせて前線で戦わせるという悪循環があると言う噂がある。

 それを聞いたエボルトは前にこう言っていた。

 「(ま、ようは自分の国の土地借金として貸してやるから代償は手前の国民の血で

賄えってことだろ。)」

 食料とかが死人が増えりゃあその分自分の国の人間に行き渡るからなと

付け加えてもいた。

 それを思い出していたユウヤはそう言う事言ってたなと思いながらコーヒーを

啜っている中シャロンがこうも言っていた。

 「確かにアラスカの一部はソ連の領有地になっているけどそれは一部分でまだ

こっち側のが多いわよ。それに機体の改良にそこを指定するなんて日本も

『フェニックス構想』に興味を示したのかしら?」

 「フェニックス構想」とは最前線において現役の第二世代戦術機の改修計画であり

最前線からトップランクの衛士が集ってお互いに切磋琢磨して機体を完成させるという目的があるがエボルト曰くその計画をこう揶揄した。

 「(ようはお互いを仮想敵として蟲毒のように喰らい合わせてしのぎ削って

スパイしろってことだろ。)」

 それどう考えても共食いじゃねと思ってたりすると基地のアナウンスが鳴った。

 『ユウヤ・ブリッジス少尉、至急リック・スヴェン大尉の部屋に出頭されたし。』

 繰り返すと聞いた後ユウヤは席から立ち上がって移動した。

 その際にレオンとシャロンがこう言った。

 「お、何かアホナことしたのか?」

 「女を部屋にいれたとか?」

 「シャロンそれ冗談でもやめろよな。」

 シャロンの言葉に即座に否定した後ユウヤはリック・スヴェン大尉のいる部屋にへと向かった。

 

 

 

 「ユウヤ・ブリッジス、入ります!!」

 「ああユウヤ。そこに座れ。」

 はっと言って着席するとリック・スヴェン大尉はユウヤにこう聞いた。

 「ブリッジス、確かお前近接戦闘は軍の中でも指折りなようだな。」

 「ええー、まあ。」

 ユウヤはエボルトとの特訓の際にある近接戦闘の訓練を積んでいるせいか、ナイフ戦での成績は中々高いものである。

 するとユウヤはリック・スヴェン大尉にこう聞いた。

 「あの自分が呼ばれた目的って・・・まさか日本との合同開発とかじゃあ・・・。」

 するとリック・スヴェン大尉はユウヤにこう言った。

 「ああそうだそのまさかだユウヤ。ボーイング社からの強い要望と日本軍の

機体事情を鑑みた結果らしい。」

 後お前の国籍とかだなと言った瞬間ユウヤははーと溜息をつくと

リック・スヴェン大尉はユウヤにこう言った。

 「ま、お前の対人戦の戦績とラプターの試験に伴う結果から選ばれたんだ。

対BETA戦機と言ってもやることは変わらないんだ、分るよなユウヤ?」

 ユウヤはその言葉にはいと力強く答えるとリック・スヴェン大尉はユウヤにこう

指示を出した。

 「ユウヤ・ブリッジス少尉!!一か月後、貴官はヴィンセント・ローヴェル技術軍曹と共にアラスカに出向せよ!!以上!!」

 頑張れよとリック・スヴェン大尉が言うとユウヤは力強く返した。

 「はっ!ユウヤ・ブリッジス少尉!!拝命仕りました!!」




 後ちょいだーーー!!!


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飛行機での一幕

 やっと原作に入った。


あの後ユウヤはレオン達にXFJ計画の参加する際のテストパイロットに決まった事を

報告した後ヴィンセントも一緒だと告げたが如何やら本人は前々から

内定されていたらしくあまり驚かなかった。

 そしてリック・スヴェン大尉と一緒に送迎会として近くの酒場で飲み明かした。

 そして次の日ユウヤとヴィンセントを乗せた国連軍の超大型輸送機

「An-225 ムリ―ヤ」でアラスカにへと向かった。

 その中でユウヤは日本の戦術機に関する資料を読んでいた。

 「どうだユウヤ、その資料使えるだろ?」

 「ああ、然しこんな古い資料よく手に入れられたな。」

 その資料はヴィンセントが軍の資料庫からコピーしたものである。

 「まあな、丁度よく当時留学していた日本人のレポートがあったからな。」

 「日本人?」

 ヴィンセントの言葉にユウヤは疑問視した。

 何で日本人がアメリカに留学してまで戦術機を開発したがっていたのかを。

 するとヴィンセントはこう返した。

 「さあな?そのレポートを書いたやつの名前が何故か潰されていてな、

俺も誰かわからねえんだよ。」

 そう言う言葉を聞きながらユウヤはその資料を読んでいるとヴィンセントが

窓の景色を見てこう言った。

 「そろそろ着くぜって・・・何もねえなアラスカは。」

 眼下に広がるのはBETA支配権ではお目にかかれない大自然であった。

 するとユウヤはヴィンセントにこう言った。

 「ばーか、グルームレイク基地なんて砂と岩しかねえとこだろ。そこに比べたら

ここは未だ色が充実してるよ。」

 それもそうだなと返すとヴィンセントはユウヤにこう聞いた。

 「でもよ、夏にはキングサーモン。冬にはオーロラが見れるからそれを考えたら

楽しくてしょうがねえよ。」

 するとユウヤはヴィンセントにこう言った。

 「そうか・・・なら夏にはお前を雁字搦めに縛ってグリズリーの生餌に、冬には全身水濡れで外に投げ捨ててやるよ。」

 それも縛るがなと言うとヴィンセントはこう続けた。

 「そうそう、俺様にかかればグリズリーだって寄ってって・・・俺見殺しにする気かユウヤ!!って冬にそんなことすれば人間アイスキャンデーになって春まで放置されるって事!!??」

 肩を揺らしながらそう問いただすとユウヤは無言で生温かい笑顔を向けると

ヴィンセントはこう言った。

 「いやそれだけはやめてくれよなユウヤ君。いやユウヤ様お願いだからしないで

ください!!」

 そう土下座しながら懇願するヴィンセントにユウヤは笑いながらも冗談だよと

答えた。

 「全くお前の冗談は心臓に悪いぜ。お前前に日本人のハーフだからって睨まれた連中全員裸一丁にさせて走らせた後その写真をばらまいて除隊させた連中がいる

ぐらいだからな。」 

 そう言うとユウヤはこう返した。

 「はっ、戦術機での模擬演習で無様に負けた腹いせに仕返しをしようとした

連中が悪いのさ。」

 そう悪びれも無く言うユウヤにヴィンセントは本人の努力を知っているのかそうかと返すとランディングアプローチで推力を抑えていたエンジンが唸りを上げて機体を

震わせた。

 「何だ!!再アプローチか?」

 「俺ちょっと前に行ってくる!!」

 「お、おいユウヤ!?」

 そしてユウヤは嫌な顔をして操縦室にへと向かった。




 次回はその原因が分かります。


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原因迄の間

 ユウヤ達の飛行機がそうなった原因編です。


ユウヤ達がここに来る10分前・・・

 「今日は君たちに特別任務がある!!」

 アラスカ基地にあるブリーフィングルームの一角にてサングラスを付けた男性が

そう言った。

 その周りに座っているのはラテン系のイタリア人男性「ヴァレリオ・ジアコーザ」

 彫刻のような容姿をもつ北欧系のスウェ―デン人女性「ステラ・ブルーメル」

 小柄で色黒なアジア系のネパール人「タリサ・マナンダル」

 そして広報官の隣にいるのが彼らをまとめる『アルゴス試験小隊』隊長にして

タリサと同じアジア系のトルコ人にして地元では英雄と呼ばれていた

「イブラヒム・ドゥ―ル」

 そしてこのグラサンは国連の広報官である。

 「ここは君たちが知っているようにあらゆる国の人間が民族、宗教、思想をも

超越してBETAから奪われた国土を取り戻すため日々奮闘しており、尚且つこのアラスカユーコン基地では東西の両陣営が手を取り合っているという人類大同団結の

象徴である!!」

 広報官の言葉には全員え~~と思っていた。

 実際はソ連の上層部である純潔のロシア人を守るために仕方なくアメリカに貸しを

作る形でここにいるだけである。

 そしてアメリカも無料で貸しているだけではない。

 そう遠くない未来にBETAがアメリカ本土に来た時に備えての防衛線を敷くために

貸したものであり駄目になればとある方法で葬ると言った裏の目的があった。

 要は表向きには仲良く握手しているがもう片方の手ではお互い武器を持ち、

両脚はお互いに蹴り合っているのだ。

 そんなことも知らないのかと思っていると広報官はある提案を口にした。

 「それでだ!!東西の戦術機をこのアラスカの大自然をバックに撮影したのだ!!」

 そう言うと広報官はタリサにこう言った。

 「君がなりたまえ!!タリサ・マナンダル少尉!」

 「はっ!!??何で自分なんです。」

 タリサは自分よりもステラを選べよと言うと広報官はこう返した。

 「ソ連軍の方は白人が殆んどでな。そうなると違う肌の人間が必要になるからだ。」

 そう言う事情とイブラヒム中尉の命令で渋々と受諾した。

 そして戦術機の所まで行くとソ連軍の二人の衛士がそこにいた。

 二人ともまだ年が若く年長の方は十代後半ぐらいに見えるがもう片方は

まだ十代前半の少女であった。

 これにはソ連のお国事情がある。

 ソ連では十歳近くになると親から無理やり切り離して党の忠誠心を植え付けて

死を恐れない軍隊を作っておりその対象は殆どが非ロシア人が占めており一部を

除いては正規ロシア人は後方に存在している。

 髪の色から姉妹だという事が分かりそして年齢から自分と大差ないなと思いタリサは近づいてこう言った。

 「おーい。お前らソ連の衛士だろ?」

 「「??」」

 二人が振り向くとタリサは二人にこう言った。

 「あたしアルゴス試験小隊のタリサ・マナンダルって言うんだ。よろしくな。」

 そう言って手を差し伸べると年長の方がタリサの手を・・・払いのけてこう言った。

 「二度と私達に近寄るな。」

 「なっ!!」

 年長の方の言葉にタリサが怒りを露わに仕掛けるともう一人の方から声がしてそれを見ると・・・。

 「くすくす。」

 笑っていたのだ。

 そして撮影開始するぞと言われそれぞれ・・・特にタリサが怒った表情で機体に

向かって搭乗した後ニヤッとある事を考えた。

 撮影用に配備されたC-130が自身が搭乗するF-15E「ストライク・イーグル」をこの基地で構想されている「フェニックス構想」のひとつである「プロミネンス計画」で開発された改良機F-15ACTV「アクティブ・イーグル」とソ連が独自開発した

複座席用戦術機Suー37UB「チェルミナートル」のみとなり撮影開始直前にタリサは

ある事をした。

 それは「チェルミナートル」の背後から攻撃用のレーダーを照射してロックオンするという脅しを思いついたのだ。

 そしてそれを実行しようとしたその時タリサの顔がニヤついた顔から引き締まった。

 突然「チェルミナートル」が視界から消えたのだ。

 「チェルミナートル」の大きさは各部にスラスターを増設した

「アクティブ・イーグル」よりも大型である為見失う事が無いと思っていたが

レーダーが「チェルミナートル」に気づいたときには自身が攻撃レーダーに

捕まったのだ。

 それも火器管制が実戦モードであるという警告ダイアログというおまけ付きで。

 「ちぃっ!!」

 タリサの衛士としての本能がそうさせたのかどうかわからないが反射的に回避行動をとり、そのまま「チェルミナートル」の後ろについて格闘戦に映ろうとするとまたもやレーダーやセンサーからも消えたと思ったらまた自身の後ろにつくという

鼬ごっこ的状況になっていた。

 それから10分以上続くと管制官から応答が出た。

 「アルゴス3!直ちに指定座標に帰投せよ!!模擬戦闘の許可は下りてない!!!」

 そしてタリサは怒鳴るような口調でこう返した。

 「知るかボケっ!あっちは本気で殺そうとしてるんだ!!ちょっとは黙ってろ!!」

 そう言って通信を切ると演習場を横断するという禁止事項を破りながらも

身を隠すことが出来る都市をイメージした射撃場へと向かった。

 その先には新しい仲間が来ることを知らずに。




 次回は会合編です。


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赤き蛇の叱責

 誰だ・・・俺を怒らせたのは?


 そして現在・・・

 ユウヤは操縦室にへと駆け込むと・・・。

 「くそっ!!何処のどいつだ!!こんな所まで戦術機出しやがって!!」

 「メーデー!メーデー!戦術機がこちらに来ている!!至急指示を出してくれ!!」

 パイロットの一人が愚痴りながら操縦し、もう一人が管制塔に指示を仰いでいる中、周りの機器から警戒警報から衝突回避勧告にへと変わった。

 パイロット達は顔面蒼白して操縦桿を目一杯引いて機体を最大推力で上昇させて

躱そうとしようとした。 

 「(おいおいこりゃやべえな。)」

 エボルトがユウヤの中でそう言うとユウヤは耳から聞こえる爆音である事に

気づいた。

 「この音は・・・格闘戦機動(ドッグファイト)かよ!!」

 何処の馬鹿だよと思いながらもユウヤはある事を考えていた。

 「(ドッグファイトは三次元機動で動きやがるから動き方ひとつでこっちは

オジャン!然も後ろからっつうおまけ付きだから下手に軌道変更しても

木端微塵!!)」

 この時ユウヤは戦術機のスラスターの爆音と接近している戦術機二機の軌道から

最良と最悪の方を選び更にその爆音の強さから答えを瞬時に導いた。

 「ヤバい!!高度を上げるとぶつかっちまうぞ!!このまま滑走路迄一直線に

突っ込め!!」

 そう言ってユウヤはパイロットの操縦桿を持っている手を押した。

 「「「--!!」」」

 一瞬の間に輸送機の外装が剥がれ落ちるぐらいの轟音と振動が輸送機コクピットの

真上を通り過ぎた。

 すると「アクティブ・イーグル」と「チェルミナートル」が姿を現した瞬間ユウヤの中にいるエボルトがテレパシーで大声を上げてこう言った。

 「(テメエエラ喧嘩してえんなら余所でやれやゴラーーー!!!)」

 濃厚な殺気と一緒に放出した。

 さっき通り過ぎた二機の戦術機に向かって。

 

 

 

 「くおのーーー!!!」

 タリサの体中に汗が大量に噴き出していた。

 機体の状況を見ると燃料が心許なく然も脈拍が危険レベルに達しようとしていた。

 しかし後方の「チェルミナートル」は依然と後方にぴったりと張り付いておりこのままではやられると思ったタリサは奥の手を繰り出そうとした。

 「これならどうだーー!!」

 「アクティブ・イーグル」に搭載されている腰と背面部のスラスターが噴射した瞬間腰のスラスターは逆に、右肩のは左に滑らすように、左肩のは前に向けさせて制御噴射するその機動はまるで風に舞う木の葉のようだった。

 これこそタリサの奥の手でありオリジナルコンビネーション機動「ククリナイフ」と呼ばれるものである。

 「よっしゃああ!!って・・・え。」

 然し彼女の思惑とは裏腹に未だ「チェルミナートル」が後方に張り付いていたのだ。

 「バカナ・・・。」

 タリサはそれに茫然するあまりユウヤ達が乗っている輸送機に気づかずにいた。

 

 

 

 なんだ・・・もう終わりか。

 退屈しのぎにもならないお前にはもう生きている意味なんてない・・・

 ああ・・・もう殺していいなんてなんて素敵なんだろう・・・。

 これが『嬉しい』っていう感情なんだ。

 よし・・・36mmで少しずつ体と命を奪ってやろう・・・!

 --死ネッ、ウスn・・・

 「(テメエエラ喧嘩してえんなら余所でやれやゴラーーー!!!)」

 「「「ひっ!!」」」

 彼女たちはエボルトから放たれる殺気に恐怖した。

 そして意識を取り戻したタリサは彼女達の機体が止まったということにほっとすると同時に根源的な『恐怖』を体験した。

 これまで感じたことも無い生物が持つ『恐怖』

 絶対強者から逃げきれないときに出る『恐怖』を感じたからだ。

 タリサはそれを感じたまま体をぎゅっと抱きしめていた。

 自身の震えを押し殺すかのように・・・。

 

 

 

 「怖いよクリスカ・・・怖いよーー。」

 「だ、大丈夫よイーニァ。大丈夫だから。」

 小柄な少女ーーイーニァが先程の殺気で泣きじゃくっているのを相方の女性ーー

クリスカが抱きしめながらイーニァを落ち着かせようとするも自身も同じであった。

 イーニァを撫でている両手が震えており冷や汗を掻いていたのだ。

 「何なんだ・・・アレハ?」

 クリスカはそれが何なのかと思い周りを見渡すとそこに一機の輸送機があった。

 「まさかあそこから?」

 クリスカはそう思いながらも輸送機を見続けていた。

 これが物語の始まりでありユウヤ、クリスカ、イーニァそして日本から向かっている女性を巻き込んだ物語だとは知る者は誰もいない。




 エボルト「やっと俺様の台詞キターーーーーー!!!」
 ユウヤ「お前二話分台詞なかったもんな。」


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自身の紹介

 第一印象は大事。


あの後ユウヤとヴィンセントは司令部前の空港に着陸して軍用四区で向かうと自分達が所属する試験部隊「アルゴス試験小隊」の隊長である「イブラヒム・ドーゥル中尉」がいた。

 ユウヤとヴィンセントは敬礼してこう言った。

 「ユウヤ・ブリッジス少尉、現時刻をもって着任致します!!」

 「同じくヴィンセン・ローウェル軍曹、現時刻を持って着任致します!!」

 するとイブラヒムがユウヤ達の前に出てこう言った。

 「貴様らが米国から来た助っ人だな。私が君達の所属する試験小隊

『アルゴス試験小隊』の隊長である『イブラヒム・ドゥ―ルである!!」

 すると一呼吸置くと少し苦笑いでこう言った。

 「まあ、転任早々厄介ごとに巻き込まれたそうだが・・・。」

 それを聞くとユウヤはあの戦術機のことかと思っているとイブラヒムは手を出して

ニカッと笑ってこう言った。

 「ようこそ開発の最前線ーー『ユーコン基地』へ!!」

 

 

 

 その後ヴィンセントはそのまま整備所へと。

 ユウヤはイブラヒムと一緒にブリーフィングルームへと行った。

 そこに入ると3人の衛士でもあるヴァレリオ・ジアコーザ

                ステラ・ブルーメル

 そして少しばつが悪そうな顔をしているタリサ・マナンダルが席に座っていた。

 するとイブラヒムは全員に向かってユウヤを紹介した。

 「本日付で編入となったアメリカ合衆国陸軍戦技研部隊所属だったユウヤ・ブリッジス少尉だ・・・何とも頼もしいエリート衛士だがよほど日頃の行いが良かったのかこんな最果ての地へと飛ばされてしまったがどんなことしたらそうなるんだ、少尉?」

 するとユウヤはそれにこう答えた。

 「えーーと・・・近接戦が馬鹿に高いことと国籍がハーフである事が表向きで実際は金持ちのボンボンの息子が乗っていた戦術機の「イーグル」を

「フリーダム・ファイター」でぼっこぼこにした後全裸で走らせたことかな?」

 「「「「はあ?????」」」」

 全員が目を点にして言うとユウヤはこうも言った。

 「いや、戦術機でボコボコにした後ハーフだからって言って集団で向かってきた連中を倒した後パンツ一丁で走らせてその写真を基地にばら撒いたことかなあ?」

 「「「「・・・・・。」」」」

 「あれ違うか?それとも・・・。」

 ユウヤは色々とあった悪行(?)を語っているとヴァレリオが途端に笑い出した。

 「あっはははははは!!こりゃおもしれえ奴が入ったな!!」

 するとステラ・ブルーメルがこう言った。

 「確かに、アメリカから来る衛士って聞くからどんな嫌な奴かと思ったら

格好面白そうじゃない。」  

 そしてイブラヒムも笑いながらこう言った。

 「これまでの衛士の中でもとんでもない問題児だなお前は、だがそれでこそ

ここに来る価値があるという事だ。衛士としての才能もそうだがその負けん気の強さも十二分だな。ようこそ『アルゴス試験小隊』へ!!」

 そう言う中でタリサだけ何だか恨みのような目つきで見ていた。

 




 イブラヒム「他に何したんだ?」
 ユウヤ「えーーと・・・白人至上主義な教官を股間に蹴り食らわして
一発退場させたりホモな整備士を顔面パンチした後関節技食らわして骨を砕いたり
ビッチな女性衛士に言葉で精神折りまくって退役させたり・・・。」
 イブラヒム「・・・・(こりゃとんでもない問題児だな)。」


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仲間の紹介

 相手を知ってこそ自身が知れる。


「さてと、君の度重なる武勇伝はまた何処かで聞くとしてだ、そろそろ自己紹介を

始めようか。」

 「お、やっとか。」

 イブラヒムがユウヤの自己紹介を切り上げて他のメンバーの自己紹介を始めると

言うとヴァレリオは待ってましたといったばかりの表情を見せた。

 「左側で座っているのはイタリア軍から派遣されたヴァレリオ・ジアコーザ少尉。」

 「よろしくなトップガン。お前の色々な悪戯酒の肴に丁度良さそうだ。」

 陽気な口調でユウヤに酒を誘おうとするとイブラヒムはこう付け加えた。

 「こんな感じで女たらしなところがあるが機体制御と状況把握能力が高いことから

イタリアでは「ガンインターセプト」同格の立ち位置についていたんだ。」

 イブラヒムがユウヤにそう言うとユウヤは女たらしだなと思っていた評価を上方修正した。

 「ガンインターセプト」と言えばあらゆるレンジに対応しているだけでなく時には

司令官としての役回りもしなければならないと言う側面を持っており前線では

重要な立場にある。

 「中央にいるのがスウェーデン軍所属のステラ・ブルーメル少尉だ。」

 「よろしくね。ユウヤ。楽しくなりそうね。」

 ユウヤに対して親愛の言葉としてそう言うとユウヤもよろしくと声をかけた。

 「彼女の美しさに見とれるなよブリッジス少尉、彼女の射撃センスはこの隊どころか他の実験小隊の中でもトップクラスだからな。」

 「あらお上手ですね隊長。」

 そう言われながらもユウヤのいた戦技研でもシャロンも射撃センスが高く

「山猫」と言う異名持ちがいるためどれくらい凄いのか分からないのである。

 「君も知っているだろう?スウェーデンの『白豹』と言う狙撃手を、

彼女がそれだ。」

 「え!この人が!!」

 イブラヒムの言葉にユウヤも驚いていた。

 スウェーデンの『白豹』といえば寸分たがわずレーザー級を狙い撃ちし

その射撃能力の高さと機体のカラーリングからそう言う二つ名がついたのだ。

 「そして右側にいるのが君も因縁があるネパール軍のタリサ・マナンダル少尉だ。」

 「・・・よ。」

 タリサは不機嫌感丸出しに言うとユウヤは?出してこう聞いた。

 「あの中尉、自分はこいつとは初対面何ですが?」

 そう言うとイブラヒムはこう付け加えた。

 「君がここに来る前に遭遇した戦術機の一機がこいつの乗っていた奴だ。」

 茶色の方なと言うとユウヤはそれを思い出した。

 あの時輸送機に当たりそうになった戦術機の事を。

 「ああー。あれねって・・・お前かよ!!危なかったぞ!!」

 最悪全員照り焼きチキンだったぞと言うとタリサはプイっとそっぽを向いた。

 「おいてめえ・・・。」

 「まあ、待て小隊。」

 そう言うとイブラヒムはユウヤにこう耳打ちした。

 「タリサは今回の広報の責任という事で減給と始末書、今回の輸送機に関しては

反省文と同じく始末書とパイロットの慰謝料等で済ますらしいが我が実験小隊も

それなりのペナルティを課されていてな、苛立ってるんだ。」

 すまんなと言うとイブラヒムがユウヤにこう言った。

 「まあ俺の紹介はここに来る前に済ましているしな、所属はトルコ軍だ。」

 そう言い切った後ユウヤは席に座るのを確認すると全員にこう言った。

 「それでは本題を話そうか。」




 エボルト「(あの黒ちびドウヤッテヤロウカ。)」
 ユウヤ「穏便にしろよ。」
 タリサの紹介の時の一幕


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歓迎会?

 エボルト「(これって歓迎されてんのかよ?)」


 「それでは、本題についてだがこの基地全体で行っている『フェニックス構想』

に基づく数々の実証試験が認められたこともあり日本とアメリカの共同開発計画

 通称『XFJ計画』に協力することとなった。それに伴い専任パイロットに推薦された

ブリッジス少尉が配属されたわけであるが・・・。」

 イブラヒムが全員を見まわしてこう言った。

 「諸君らも知っていると思うが極東のBETA戦最前線でもある日本が欲しているのは

あらゆる衛士が使いやすくてかつこの機体『不知火』の根本的開発に協力してくれる

ような技術と才覚が必要なんだがそれを新米にやらすのかと思う面々もちらほらといるわけで。」

 そしてイブラヒムはある事を提案した。

 「それらを解決する為に且つ信頼関係を築くためにここにいる衛士・・・俺を除いた四人で演習を行うものとする。『CASE:47』を実行する。」

 すると全員に緊張が走った。

 戦術機を扱うことに対してBETAだけではなく対人戦もこなさなければならないのだ。

 然もこのケースは「戦術機を使用する対テロリスト戦を想定したカリキュラム」で

あるがこれは各国でも採用されている汎用対人類戦術訓練プログラムの一つであり

エレメントつまり二人一組による廃墟市街戦である。

 「(おいおいそんな簡単に戦術機って手に入るのかよ?スクラップから取りに行くとしてもそこはBETA共の巣窟だぜ。)」

 態々食べられに行くのと同じじゃねえかとエボルトがユウヤの中でそう言うと

ユウヤはエボルトにこう答えた。

 「それだけじゃあねえぜ。軍に変装して仲間を内部に入れて戦術機を盗むって

やり方や型落ちして使わなくなった戦術機の部品をアンダーグラウンド経由で買う

なんてやり方もあるぜ。」

 「(それでも売るにしたって相当金掛かるんじゃあねえのか戦術機ってよ?それに軍に変装って・・・ああ避難民の奴使えりゃ何とかなるな。)」

 BETAによって国から逃げた難民の中には宗教による暗示めいたことをしてそうさせる人間がこの世界にも存在している。

 実際に「難民解放戦線」と言うグループでもそれをしており彼ら曰く

 「BETAは神の御使いである!!」と言う事を宣伝しているがそれを聞いたエボルトはこう呟いたらしい。

 「(神様のって・・・神様あんなに口デカいか?)」

 それ宇宙人のお前が言うなとユウヤはエボルトにそうツッコミいれたそうだ。

 イブラヒムはその間も内容を説明した。

 「想定される戦域はー光線級(レーザー)が存在するBETA支配地域より170㎞

離れた市街地で飛行高度は制限し装備は前衛がAH3、後衛がAH6であり両軍ともコマンドポストは壊滅しておりオープン回線はジャミングされているため使用できず戦域データリンクは僚機とのアクセスのみとする。勝利条件はリーダー機の撃墜だが異論のある者はいるか?」

 AHとは対人戦用の装備であり妨害電波発生装置や光学機器欺瞞システムもこれに

該当される。

 イブラヒムの問いに全員が無言を貫いているためイブラヒムはこう言った。

 「それではーーチーム分けと行きますか。」




 エボルト「(どう考えても虐めじゃねえ?)」
 ユウヤ「三対一なんてよくあったろ。」


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チーム編成

 エボルト「(チームって俺も入っているよな?)」
 ユウヤ「いやお前違うだろ。(宇宙人ってだけでアウトだろ)」


 「それではチーム分けについてだが先ずAチームージアコーザ少尉とマナンダル少尉、Bチームがブレーメル少尉とブリッジス少尉、尚Aがマナンダル少尉、Bがブリッジス少尉がチームリーダーとする。」

 イブラヒムを除いて全員が、無論ユウヤも驚いていた。

 チームリーダーとするなら経験値のあるステラが適任だと思っていたからだ。

 さらにイブラヒムがユウヤに向けてこう言った。

 「それとブリッジス少尉には私に代わって『アクティブ・イーグル』一号機に乗ってもらう事とする。」

 「「「な!!」」」

 「ちょっと待ってください!!イブラヒム中尉!!」

 イブラヒムの言葉に全員が驚く中タリサがイブラヒムに向かって立ち上がって

抗議してきた。

 「何だね?マナンダル少尉。何か異議があれば聞くが?」

 イブラヒムは無表情でそう聞くとタリサは少し恐怖を感じて押し戻されるように

座ってこう言った。

 「いえ・・・その・・・どうしてあいつが隊長の機体をと思いまして。」

 小さな声でそう言うとイブラヒムは全員に向かってこう言った。

 「『XFJ計画』が始まればブリッジス少尉のポジションは私の後継として就くことになっていてな、私は今後指揮所に入って指示を出すことになっているのでその予行練習も兼ねているのだ。」

 「え・・・。」

 タリサの顔が一瞬俯くとユウヤを見て睨みつけた。

 それを見たユウヤはは~と溜息つきながらこう思っていた。

 「≪おいおい、八つ当たりするなよ。然し決まっていたこととは言えこれじゃあまるで敬愛する隊長のポジションを奪った新参者の名を騙った悪役(ヒール)じゃねえかよ。≫」

 ユウヤはそう思っているとエボルトが笑いながらこう言った。

 「(ま、良いじゃねえかユウヤ。ヒールにはヒールなりにやり方で戦えばいいが同じ『イーグル』とはいえあの機体はちょっと色物だぜユウヤ~。)」

 どう考えてもじゃじゃ馬だぜあれはと言うとユウヤもそれに同意した。

 「確かにあの機体はちらっと見たぐらいだがスラスターを多分背面にも

増設していると思うけど担架ユニットも取り外されていると思うから攻撃の手段が

少なさそうだな。」

 そう思っている中イブラヒムはブリッジスにこう聞いた。

 「ブリッジス少尉、米軍ではAH戦演習は通常訓練に組み込まれているそうだな。」

 「はい、中尉。」

 するとイブラヒムは全員に向かってこう言った。

 「貴様ら聞いたな。トップガン仕込みのテクニック、たっぷり学ばせてもらえよ。」

 「トップガンwwwww」

 「誰が学ぶかってんだ。後方の癖に。」

 「あはははは・・・。」

 「・・・大丈夫なのかここ?」

 ヴァレリオは笑いのツボにはまりタリサはぶつくさと文句を言いステラは失笑する中ユウヤは心の中で大丈夫なのかこの部隊と思っていた。

 そしてエボルトはこう思っていた。

 「(さてと・・・面白くなりそうだな。)」

 




 次回は色々とあります。


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下準備

 先ずは下地を整える。


 「それでは一三二五に完全装備してハンガーに集合するがステラ、ブリッジス少尉をそこまで案内させてくれ。」

 「了解しました。」

 イブラヒムが全員に向かってそう言うとステラにユウヤを案内させるように頼んだ。

 そしてユウヤと共にハンガーにへと向かう中ユウヤはステラにこう声をかけた。

 「なあ、ブルーメル少尉、ちょっといいか?」

 ユウヤがステラにそう言うとステラは真っ先にこう答えた。

 「もしかして私が態とあなたを撃墜したり手を抜いたりしないか

心配なんでしょう?」

 「!!・・・まあな。」

 何故ユウヤがそう聞こうとするのかと言うとイブラヒムは小隊全体に信頼されており自分がそのポジションを奪ったため最悪三対一での戦いも視野に置かなければならなかったのだ。

 これまでも同じような対決が幾度もあったが今回の場合は経験豊富な面々が

揃っており正直言えば負ける確率が高いこともあり最悪は奥の手を使わなければならないという状況になってしまうかもしれないがそうなると更に面倒なことになる為

それだけは避けたい所なのだ。

 「大丈夫よユウヤ、そんなこと気にすることも無いわよ・・・って言えば嘘に

なるかもね。」

 「・・・やっぱりな。」

 ステラの言葉にユウヤは肩を落とすがステラはこう続けた。

 「あなたがどれだけの腕かわからないし隊長のポジションに相応しいかどうかは

不透明だけど、隊長が貴方を信頼するか否かはこの試験にかかっているからね。」

 そしてステラはこう締めくくった。

 「それに私、負けず嫌いだもの。」

 「成程な。」

 最後の言葉にユウヤは少し笑うと後ろから声が聞こえた。

 「おいお前!!」

 「・・・ユウヤ、少し待ってましょうか?」

 ステラが溜息つきながらそう言うとユウヤはこう答えた。

 「じゃあ・・・わりぃな。」

 そう言って後ろを振り向くと腕組をしたタリサが怒り乍らこう言った。

 「私は認めねえぞ!!隊長の代わりに一番機に乗るなんて絶対認めねえからな!!」

 「≪好かれてるなイブラヒム中尉。≫」

 ユウヤはタリサやステラの言葉でどれだけ信頼されているのかが分かってきた。

 自分ももしリック大尉のポジションが他の人間だったらもしかしたらタリサみたいになるんだろうなと思っているとタリサは更にこう言った。

 「何だよ?何か言って見せろよ!!この後方のヤンキーが!!」

 「・・・。」

 然しユウヤは腕時計の時間と着座調整に必要な時間配分を確認した後更にもう一言

考えていた。

 「何無視してんだよ手前!!やんのかコラ!!」

 「それじゃあお前が乗るか?一号機?」

 「・・・は?」

 ユウヤの言葉にタリサがぼやけているとユウヤはこう続けた。

 「俺はあれに乗った事が一度もねえし機体特性が分からない奴よりも使い慣れた奴が丁度あるからお互いそれでどうだ?」

 タリサはユウヤの言葉に何か企んでるんじゃないかと思っているがそれに

ヴァレリオが割って入った。

 「確かにそれも良いし、お互い使い慣れた機体で優劣決めるのも一興だな。」

 俺もそれに賛成と言った後ブリーフィングルームから出るとタリサはユウヤを見て

こう言った。

 「ま、まあそこまで言うなら取り替えてやってもて良いが仕方なくだぞ!

仕方なく!!わかったな!!」

 「はいはい、分かってるって。」

 ユウヤは少しウザそうな声で口調でそう言うとタリサがこう言った。

 「よしそれじゃあお礼言えよ!」

 「は?」

 意味わかんねえと思いそのまま立ち去ろうとするとタリサがさらにこう言った。

 「おい言えよ!!お礼言えーーー!!!」

 するとユウヤはタリサにこう返した。

 「おいお前・・・そう言う奴って大体・・・雑魚キャラだぞ。」

 「ざ・・・雑魚!!」

 そう言った後ユウヤは踵を返してステラの下に向かうがその間タリサが何か喚いていたがそのままシカトして立ち去る中ステラは少し笑ってこう言った。

 「あなたあれ態とでしょう。自分に標的向けさせるために。」

 ステラはユウヤの目論見を言うとユウヤはステラに笑いながらこう返した。

 「分かるか?ああ言う奴程挑発乗せやすいんだよ。」

 それにとユウヤが言うとステラは何と聞いてこう答えた。

 「もう始まってんだよ。対人戦はな。」




 準備を整ってから出撃。


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上官との対話

 その言葉はどういう意味を持つか


 ユウヤはステラにハンガーを案内された後衛士用の着換え室に行くとヴァレリオが

既に着替え終えようとしていた。

 ヴァレリオはユウヤを見るとにっこりと笑ってこう言った。

 「ようよう、流石トップガン!タリサに喧嘩売った挙句にあんな返し言葉を出すとは中々だなあ。」

 如何やらヴァレリオはあの時のユウヤの言葉を何処かで聞いていたようだ。

 「トップガンって俺はそんなに強くねえよ。それに対人戦の基本は相手の心理を

読んで利用するのが鉄則だろう。」

 向こうで大尉やあいつに耳に胼胝ができるぐらいに聞かされたからなと追加で言うとヴァレリオは出入り口付近でこう言った。

 「頑張れよユウヤ。最初っから撃墜されたら肩透かしだからな。」

 そう言って出て行くとユウヤはこう返した。

 「そっちこそ気を付けることだな・・・マカロニ。」

 

 

 

 部屋から出て国連軍制式強化装備の動作点検しながら「ストライク・イーグル」の前に止まっている整備車両のタラップに行くとその前にイブラヒムが立っていた。

 ユウヤがイブラヒムに敬礼しようとすると手を前に出してこう言った。

 「時間があまりないし俺はそう言うのが嫌いな性分だから省略してくれ

ブリッジス少尉」

 「あ・・・はい!!」

 するとイブラヒムはユウヤにこう聞いた。

 「君は何故私の機体に乗らなかったのだ?それについて聞きたいだけだ。」

 如何やらイブラヒムはユウヤが自身の機体に乗らない理由を聞こうとしたのだ。

 「それは・・・先ずはマナンダル少尉ですかね。」

 「タリサがか?」

 そしてユウヤはこう続けた。

 「あいつこう言ったんです。『私は認めねえぞ!!隊長の代わりに一番機に乗るなんて絶対認めねえからな!!』って・・・。」

 「あのバカは・・・。」

 イブラヒムが頭を抱えるとユウヤはこう続けた。

 「俺にも信頼する上官がいます。もし同じことがあったら同じような事言ってたかもしれないので、・・・それにイブラヒム中尉を慕ってくれる連中が結構いるんで今後の軋轢を緩和しようと思いまして。」

 イブラヒムはその言葉に少し恥ずかしいのか頬を掻くとユウヤにこう聞いた。

 「他には?」

 するとユウヤはこう返した。

 「正直初めて乗るにしても俺にとってあの強化モジュールはデッドウエイト何でお互い使いこなした奴を使って優劣決めようと思ったんです。」

 その言葉にイブラヒムは二かっと笑ってこう言った。

 「ここまであいつにお膳立てして負けたら格好悪いぞブリッジス少尉。」

 するとユウヤはイブラヒムにこう返した。

 「・・・絶対勝ってきます。」

 そう言ってユウヤは「ストライク・イーグル」にへと向かった。




 次回はヴィンセントとの言葉です。


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ヴィンセントとの会話。

 ヴィンセントの会話だけです。


「ストライク・イーグル」に行くとそのコックピットブロックでヴィンセントが機体のチェックをしていた。

 「おーーーい、ヴィンセント。」

 ユウヤが大声でそう言うとヴィンセントが上から手を振って答えてくれた。

 ユウヤは「ストライク・イーグル」のコックピットに着くや否や内部で機体チェックをし始めた。

 するとヴィンセントがヘッドセットのレシーバーからこう声をかけていた。

 『どうだユウヤ、機体の調子はよー。?』

 ヴィンセントがそう言うとユウヤはこう返した。

 「問題ねえよ、ヴィンセント。然しまさか着任早々色んな事が起きるよなー。」

 俺って何かあるのかな~~。と言うとヴィンセントがこう言った。

 『だよなー。輸送機に乗っていたら戦術機のドッグファイトに巻き込まれたと

思ったら今度は対人演習とお前といると色んな事が起きるぜ。』

 それおれのせいじゃねえだろと言うとエボルトはこう答えた。

 「(いや、お前色々と厄介ごとが立て続けに在り過ぎだろう。一回お祓いして

もらえよ。)」

 キリスト教と仏教ってどっちがお祓いに向いてるんだろうなと言う疑問に関して

ユウヤは知らねえよと返した。

 『それにしてもよユウヤ、お前らしいやり方だよな。あの「アクティブ・イーグル」譲ってお前は使い慣れたそいつだもんな。』

 丁度隣を見るとタリサが機体に乗り込もうとする際にこっちに向けて中指を上に

指差すとそのまま機体の中に入っていった。

 そしてヴィンセントはユウヤにこう聞いた。

 『なあよ、どうしてあの機体じゃないんだ?どうせ「不知火」に搭乗する時には「ボーイング社」のカスタムした奴にも乗るんだから今のうちに慣れておけば

よかったんじゃねえのか?』

 するとユウヤはこう返した。

 「阿保言うなヴィンセント、あの機体の強化モジュールは俺からしたらお荷物同然

だしあんな変則機動するような奴使いたくねえよ。」

 真っ当な奴が使いやすいよと言うとヴィンセントはある事を思い出した。

 『そういやボーイング社ってどんなカスタムするんだろうな?』

 「知らねえよ。でも第三世代の戦術機なら「ブラック・ウィドー」みたいになるんじゃねえか?」

 とんでもない設計思想をしたなが付くがなと言うとヴィンセントはこう言った。

 『そういやよ、ボーイング社のハイネマンって知ってるよな?』

 「あの戦術機の生みの親のか?」

 そうそうとヴィンセントがそう言うとユウヤはこう言った。

 「そういやあのレポートを作ったやつもハイネマン所属だったな。」

 『そうそう、でもそいつとんでもなくてよー。昔第二世代機の設計データの一部を

ソ連に横流ししたって噂があったんだがよ証拠不十分で釈放されたなあ。』

 「マジかよ・・・。」

 ユウヤが呆れながらそう言うとデータが機体に流れ込むとヴィンセントがユウヤに

こう聞いた。 

 『どうだ?』

 「すげーぜヴィンセント!すべての項目の補正誤差がコンマ0.1以内

じゃねえか。」

 通常他の衛士が使った機体を使う際、機体側のコンピューターとの誤差でほんのちょっとの誤差でも影響され、しかもこの機体は他数名が使っていたにも拘らずヴィンセントはそれを相殺するのに僅か二時間弱で終わらせたのだった。

 『ユウヤ、あいつにお前の強さ見せてやれ!!』

 「・・・・勿論だ!!」




 次回は初戦闘です。


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その状況の裏で。

 戦闘開始とは言えないなあ。


 試合開始と同時にユウヤとステラは情報収集で周りを索敵しているが向こうも同じで索敵しているのか硬直状態にへと至ろうとしていた。

 市街戦演習場のビルは戦術機が余裕で隠れる程の代物であり時々ユウヤは戦術機を

匍匐前進したりして移動する中こう思っていた。

 「≪市街戦で最も必要な要素は移動だ。単に移動する時でも跳躍や高速飛行すれば音響欺瞞筒(ノイズメーカー)の無駄遣いになっちまうし極静穏モードで移動しても機体の即応性が下がっちまっていきなり敵と遭遇してアウトになっちまうことがよくあるからな・・・匍匐前進考えて実行したときは意外にいけると思ったんだけどなー。)」

 因みに機体を整備したヴィンセントはこれを聞いた後こう言ったらしい。

 「・・・お前バカダロ。」

 その際にアイアンクローをぶちかまして黙らせた。

 それをしながらユウヤが移動する状況をイブラヒムがモニターで見ているが流石の本人も戦術機が匍匐前進する様を見て隊員が見ている前で大きく顎を開けてこう言った。

 「・・・ブリッジス少尉は問題児だけじゃなくとんでもない思考回路を持っている

ようだな。」

 流石に呆れて物も言えないものだが隣にいる二人の内一人が笑いながらこう言った。

 「ハハハハハ、まさか戦術機をこのように運用して市街地戦に挑むとはいやはや

アメリカ軍の衛士にしては奇抜な発想を思いつきますねえ。」

 この老人こそ「プロミネンス構想」の第一人者であり今回の「XFJ計画」の設計技術の最高責任者である「フランク・ハイネマン」と言ってその才能はたった一人で戦術機を設定・開発が出来る程の天才である。

 そんな彼でもこのように戦術機を使う事に驚きながらも笑っていたのであった。

 するとイブラヒムは彼にこう聞いた。

 「確かに開発衛士に必要な発想力を持っているのが分かりましたがまさかこんな使い方を思い出すとは考えたこともありませんよ。」

 然しハイネマンはこれに対するメリットとデメリットを話した。

 「このやり方の対してのメリットはスラスターを使わないことによる音響の極力な

制限方でしょうね。恐らく彼は戦術機を人間の延長として認識していてそれを実践しているのでしょうがデメリットとしては攻撃の制限ですね。戦術機の担架ユニットにおける砲狙撃戦が前方の敵しか対応できなくなっていますから多対一では間違いなく不利になるでしょうね。」

 そう言うともう一人の人間がこう言った。

 「ハイネマン教授、我々が求めているのは奇抜な発想ではなく機体の発想転換に対応できて尚且つ接近戦にも対応できる衛士です。正直彼で大丈夫なのか疑問でしか

ありません。」

 そう言うとハイネマンはこう返した。

 「確かにそうですが私はそれだけではなくあらゆる状況にも対応できる衛士と

合わせてこそ最高の機体となると思っていますよ。」

 そしてハイネマンはこう締めくくった。

 「それにあなたの国では『人馬一体』と言うコンセプトがあるでしょう。そういう風に機体との相性が良い人間じゃなきゃ機体は十全に発揮できないんですよ。分かりますね・・・篁中尉。」

 そこにいたのは腰にまでかかる長い黒髪の国連軍制服を着た女性軍人であった。

 彼女こそが今回の「XFJ計画」の為に渡米した開発主任であり・・・この後色んな意味で巻き込まれる「篁 唯依」である。




 次回こそ!!


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戦闘開始。

 やっと戦闘回です。


 ユウヤがもう何度目か分からない十字路に差し掛かるとエボルトがこう言った。

 「(これで6回目の十字路かよ。奴さん達仕掛ける気あるのかよ~~。)」

 意外にちゃんと数えていた。(暇だから)

 そしてユウヤは機体のマニピュレーターの甲をかざした。

 戦術機にはメインであるコックピットと直結している赤外線カメラと両腕の

マニピュレーター内部にあるサブカメラがありそれで状況を把握するのである。

 それで曲がり角の向こう側を確認しようとすると複数のウィンドから警告信号が

出てきた。

 音響センサーがタリサ達を捕らえたのだろうがユウヤは未だ動かなかった。

 音響センサーが捕らえたのは駆動音であるがそれはデータリンクした僚機の複合センサーによる三角測量を用いているため候補の一つとして認識しただけである。

 然もビルは音響を反響させて正確な位置が分かりにくいのである。

 ユウヤはコンサートホールにへと機体を動かしてホールの陰に潜むとある事を

考えていた。

 するとエボルトがユウヤにこう聞いた。

 「(お前もしかしてあいつらの考えをトレースしているのかよ?)」

 「当たり前だろエボルト、対人戦で重要なのは相手の印象を読んでどのように攻めるのかを考えるのが基礎だぜ。」

 ユウヤがそう答えるとエボルトはこう言った。

 「(恐らくあのイタリア人はタリサって奴のお目付けも兼ねて援護すらタイプで、

あのガキは性格上お得意の距離での戦いを所望するタイプだろうな。)」

 「まあ確かにな、あのヴァレリオって奴はイブラヒム中尉の言葉からあらゆることが出来るとなるとタリサは性格上〈突撃前衛〔ストーム・バンガード〕〉タイプだから

今回は遠距離戦でサポート側に回るとなると・・・奴らがそれをする場所は・・・

ここと・・・ここだな。」

 それはビルの間と間の一方通行級の幅しかないところと逆に広い十字路周辺を選び

その中から近くて確実な場所をリストアップするとそこまでスラスターを噴かして

行くとそこに遠隔操作式の発煙筒を置いてまた向かうと言った単調な行動を

繰り返していった後ポイントが確実に見通せるビルの陰に潜むと暫くしてある機体が

慎重な動きでやってきた。

 複合センサーから出た機種はと言うと・・・。

 「『ストライク・イーグル』ってことは・・・あいつか。」

 そう言うと先にばら撒いた発煙筒の半分を着火させてヴァレリオの機体を

飲み込ませるもヴァレリオは瞬時に制動しながら牽制射撃をしながら近くのビルの陰に潜みこむも・・・。

 「ほいっと。」

 そこからまた煙幕が出て直ぐに出るとそこからユウヤは何発か射撃するも

ヴァレリオはそれを冷静に判断して今度は二つ通り過ぎたビルに入るも・・・。

 「はずれ。」

 又もや煙幕が立ち上った。

 「またかよーー。」

 今度はそのままビルの奥に入り込んだことを確認したユウヤはステラいこう伝えた。

 「アルゴス4、ピザの配達人が路地に入ったから丁重に案内してやってくれ。」

 『アルゴス4了解って・・・まさかここまであなたの思い通りな展開に

なるとはねぇ。』

 「ああ全くだ、タリサならまだしもあいつもだからな。つうかこの作戦ってあんまり意味ないと思ってたんだがなあ。」

 

 

 煙幕を使う少し前

 『え、反応があった。』

 「ああ、だから少し作戦を伝えてえんだ。」

 ユウヤの作戦と聞いてステラは無言で頷くとユウヤはこう言った。

 「まず俺が煙幕を道の幾つかと路地裏に均等に置くから煙幕が二、三回出たら通信してくれ。んでタリサだったらそのまま俺が何とかする・・・でヴァレリオだったら

あんたが相手をしてくれ。」

 フィールドは俺が整えるからよと言った後ステラは了解と返して通信を終えると

ユウヤは煙幕筒を手に持ってこう言った。

 「ま、少し色を加えるがな。」

 その時のユウヤの顔は悪戯する子供のような顔であった。

 

 

 

 そしてユウヤは今度は自分に煙幕を噴射させてビルの間から十字路に入って少し低いビルに匍匐前進して移動しようかと思った瞬間・・・警告音が鳴り始めた。

 「やっと来たか!!クソガキ!!」

 ユウヤは犬歯が見えるようにニヤッと笑うとタリサが本来は禁止されている

オープン回線を使ってこう叫んだ。

 「手前はあたしがぶっ潰す!!」

 そう言いながらペイント弾を撃ちまくるもユウヤは低いビルを諦めて再びビルの陰に忍び込んだ。

 「逃げんなよ!!このヤンキーが!!」

 それでも尚撃ちまくるタリサだったがユウヤは素知らぬ顔で背面部の銃を使って撃ちまくるもタリサはそれを余裕で避けた。

 「当たるかよ!!」

 そういった瞬間・・・ビルの屋上から煙幕が出てきた。

 「な、何だー!!」

 タリサはびっくりしてそのまま上に向かうとそれを見た。

 幾つもの煙幕筒が屋上にあったのだ。

 「畜生卑怯だぞ!!堂々と戦えよ!!」

 「いやだね。」

 タリサの言葉にユウヤは嫌味たっぷりで答えた後ユウヤはそのまま最初にいた

コンサートホールに向かった後残弾の確認と同時に短刀を手に取ってこう考えていた。

 「≪今のタリサの奴はイブラヒム中尉のデータが邪魔して上手く使いこなしてねぇと考えると・・・攻めるのは・・・。≫」

 ユウヤはある事を思い着いた瞬間タリサがユウヤの頭上から覆いかぶさるように

短刀を突き立てようとした瞬間ユウヤは・・・。

 「あらよ。」

 突撃銃をタリサ目掛けて投げ始めたのだ。

 「おわアブね!!」

 タリサは短刀で叩き落した瞬間ユウヤは既に消えていた。

 煙幕も付けて・・・。

 「もお!!いい加減にしろよな!!」

 今度はジャミング付きで何処にいるのか把握できなかったのだ。

 そう普通なら・・・。

 突然タリサの機体が何か衝撃を感じた。

 「うわ!!」

 その瞬間赤外線センサーが機能不全に陥ったことと右手が使用停止になった事が報告されるとイブラヒムからある事が伝えられた。

 『アルゴス2、機体状況からこれ以上の戦闘が不可能と見て撃墜判定とみなす。』

 「・・っ・・・なっ!!」

 すると煙幕が晴れてきたのでコックピットから降りてよく見ると・・・。

 首元と機体の右腕の付け根に短刀を刺した・・・ユウヤの機体がそこにいた。

 「これにて状況終了!全機作戦開始位置まで後退せよ。」

 「・・・そんなウソダーーー!!!」

 タリサの悔しい声が天に突く勢いとほぼ同時にイブラヒムの撤退指令が出た。

 




 戦い終わりて地固まる。


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あだ名

 心分かり合えばわだかまりは解ける


あの後ユウヤ達は訓練終了後編隊を組んで匍匐巡行をしていた。

 演習場や射撃場は他の試験小隊も使っているため許可なく横断することが

出来ないのだ。(タリサの場合はそれによるペナルティも含まれている。)

 出撃した際の殺伐とした雰囲気がなくなり各々が今回の演習について反省点を

話し合っていた。

 特にヴァレリオはユウヤにあの後何があったのかを話していた。

 「お前が煙幕で俺を袋小路に追いやったとステラの長距離射撃に苦戦してさあ、牽制しながら離れようとしたら今度はジャミング付き煙幕で身動きが取れなくなってさ、

晴れた瞬間ステラが目の前で構えていたからよ、撃たれるって思った瞬間に・・・。」

 ヴァレリオはタリサの方を向いてこう言った。

 「こいつが撃墜されたって分かったから命拾いしたぜーー。」

 するとタリサが大声でこう言った。

 「うるせえぞ、VG!!お前だってやられてるじゃねえかよ!!」

 タリサの言葉にヴァレリオはサラっとこう返した。

 「お前みたいに得意な近接戦で負ける奴に言われたくねえよ。」

 それに反応したタリサがさらに怒って言っている中ヴァレリオはユウヤにこう

聞いた。

 「そういやよユウヤ、あんな作戦何時考えたんだ?普通ステラが腕利きと言えよ、実力が分からねえ奴に相手を託すって中々考えねえぞ。」

 大抵は自分一人でやる奴ばかりだからなと聞くとユウヤはこう答えた。

 「まず初めに最初のチーム分けの後の会話かな。口調からどう言う奴か

わかったからな。」

 「へええ、それでどういうのがわかったのかしら?」

 ユウヤの言葉にステラが聞くとこう返した。

 「こいつは一時の感情で動く程単調じゃねえし、命令に対して確実に聞くだけじゃなくどういう風にすれば勝てるのかを把握できる奴と思ったからな。」

 それを聞いてステラはありがとうと答えるとユウヤはヴァレリオびこう聞いた。

 「それよりもマカロニ、お前のあの煙幕の時の目隠し起動制御

(ブラインドマニューバー)も流石だったぜ。」

 「・・・マカロニって・・・俺の事か?」

 「ああ、そうだ。」

 ユウヤはいつもの癖で隊の人間にニックネーム付ける癖が出てしまったようだ。

 因みにシャロンは「ペルシャ」、レオンは「グラサン」、ヴィンセントは「軽口」と昔はこう言っていたのだ。

 するとヴァレリオはユウヤにこう言った。

 「よせよユウヤ、俺の事は『VG』って呼んでくれよ。ヴァレリオのVとジアコーザのGでな?」

 「分かった。じゃあこれからよろしくなVG」

 「おおよろしくなユウヤ。」

 如何やらこちらは何とかなったようだが突如ステラとタリサがこう聞いた。

 「じゃあ私は?」

 ステラが聞くとユウヤはこう返した。

 「ステラはパッと見て彫刻って思ったんだ。」

 「彫刻?」

 ステラはその意味を聞いた。

 「なんつうかこう・・・彫刻に出てくる女性の像みたいに綺麗だなあと思ってな。」

 「あらありがとう。」

 「じゃああたしは?」

 タリサが聞くとユウヤはこう返した。

 「ああ、チョビ。」

 「・・・・・・チョビ・・・・・私のどこを見てだごらああ!!」

 突如タリサが大声を出すとユウヤはこう返した。

 「態度とか言動が小物っぽいからチョビ。」

 ザコよりか良いだろと言うとタリサは顎が外れるくらい大きく開けているとステラとヴァレリオが・・・噴き出した。

 「「ぶふっ!!」」

 そして二人とも笑い出した。

 「態度とかwwww言葉がwww小物ってwwwwwww.]

 「(´;ω;`)ブワッハハハハハハは( *´艸`)やめてくれ!!腹痛くて操縦

ミスりそ!!」

 二人が大笑いする中タリサは顔を真っ赤にしてこう言った。

 「手前ら笑うんじゃねぇってなんつうあだ名付けてんだ手前!!」

 「いやお前が言えって言ったからだろ。」

 タリサの言葉にユウヤがしれっと言うとヴァレリオがこう言った。

 「プププププ・・・似合ってるぜ・・・チョビ。・・・ダハ( ̄∇ ̄;)ハッハッハハハハハハ!!」

 二重の意味でなと付け加えて通信を切るがタリサは更にこう言った。

 「テメエエラ!!覚えてろよーーー!!!」

 この日からタリサは『チョビ』と言うあだ名が試験小隊全員に認知された

瞬間であった。




 ユウヤ「因みにエボルトは精霊もどき」
 エボルト「(いやおれ宇宙人だけどな!!)」


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そして出会う。

 その出会いは定めかそれとも・・・


 タリサを弄っているアルゴス試験小隊は通過中の演習場から複数の飛行物体が

接近してくるのに気付いた。

 「お、UFOか?」

 ユウヤが冗談半分でそう言った。

 「イヤ何言ってんだよお前違うって。」

 その言葉にVGがツッコムとステラがその正体を明かした。

 「二時方向から標的機(ドローン)が28、戦術機が1、接近してくる戦術機は・・

ソ連軍の戦術機『Suー37UBジュラーブリク』。」

 「ソ連軍って・・・あああ!!この機体!!」

 ユウヤは網膜ディスプレイで表示された三図面を見て大声を上げた。

 その機体は嘗てユウヤ達が乗っていた輸送機に激突しそうになった機体の

一機だからだ。

 「おいタリサ、お友達がこっちに来てるぜ。挨拶しなくていいのかよ?」

 「---うるせえぞ、VG!!」

 ヴァレリオが冗談半分でタリサにそう言うとタリサは怒りながらそう答えた。

 あの騒動の後タリサが先に仕掛けようとしていたことが露見して

次の実戦演習の際にはアルゴス試験小隊は最前線に立つようにと言うペナルティが

隊全体で課せられたこともあったのでユウヤに八つ当たりしようと思ってまたぼろ負けしたので正直あの事を思い出したくもないのだ。

 するとステラがタリサに助け舟を出した。

 「あの『チェルミナートル』に乗っているのが

『紅の姉妹(スカーレット・ツイン)』が乗っているとは限らないわよ。」

 そう言うとユウヤはヴァレリオにこう聞いた。

 「『スカーレット・ツイン』って何だ、VG?」

 それにヴァレリオはこう答えた。

 「ああ、あの『チェルミナートル』に乗っている二人組の衛士の仇名だよ。この間の模擬試合でアフリカ連合にたった一機で全滅させてな、その時に付いた機体のオイルが返り血に見えたことから付けられた仇名さ。」

 ユウヤはヴァレリオの言葉に驚いていた。

 たった一機で隊を全滅させるとなると余程経験豊富か本物の天才なんじゃないかと思っているとエボルトはユウヤにこう言った。

 「(いやあいつらは他の人間とはちげえ何か別のもんが入っているように

思えるがな。)」

 「何だよその別のもんって?」

 ユウヤはエボルトにそう聞くとエボルトは少し溜めてこう言った。

 「(・・・ネビュラガス。)」

 「は!!」

 「(それに近い物かもしれないぜ~~。)」

 「何じゃそれ?」

 ユウヤはエボルトの言葉に疑問を抱くとヴァレリオがこう言った。

 「アルゴス3よりCP(コマンドポスト)、次の演習に備えて記録を録りたいので許可お願いま~す。」

 ヴァレリオの馬鹿にしたような言葉に対してコマンドポストにいるイブラヒムが

こう返した。

 「了解した。但し演習場には入るなよ。」

 そしてヴァレリオが演習場に向かうとユウヤはヴァレリオにこう聞いた。

 「アルゴス1、随伴を志願したい、どうぞ。」

 するとヴァレリオがこう返した。

 「いいぜ、相棒。」

 そして二機はそのまま演習場にへと向かった。




 そして演習場へと続く。


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演習場へレッツゴー

出会いはもうすぐ


ユウヤとヴァレリオは演習場E-92エリアから千メートル近く離れた緩衝地帯に

着陸して「チェルミナートル」の空中機動を撮影しているが二人とも茫然と見ていた。

 空中を縦横無尽に飛ぶドローンを相手にとてもではないが的確すぎて恐怖するほどの命中率でドローンを撃ち落とすではなく・・・破壊していた。

 衝撃のみでドローンを破壊しているようだがそれだけ正確に対象の重心点に

着弾させているのだ。

 ユウヤはヴァレリオにこう聞いた。

 「なあよヴァレリオ、・・・あれ出来るか?」

 するとヴァレリオは有無を言わずにこう返した。

 「いやいや(ヾノ・∀・`)ムリムリ!!幾ら何でもあれ程の命中率を維持するってどんだけの

集中力が必要か考えたことあるか?俺でも開始5分でばてるってのに十分維持するなんて

本業のステラでも無理だっつうの!!」

 ヴァレリオは手を振りながらそう説明するとユウヤはエボルトが言っていた何かしらの投与の可能性を本格的に疑い始めた。

 「≪エボルトが言っていたのが本当だとしても一体どんな薬何だよ?もしソ連軍がそれを作っていたら全員とんでもない一流兵士が出来上がっちまうつうの!!≫」

 ユウヤはソ連軍がどんな薬をキメテいるのか気がかりでありもしそれが本当なら

最悪なシナリオが出てきそうだからである。

 するとドローンの動きがいきなり変わったのだ。

 単機で飛んでいたかと思えば急に複数になって纏まったかと思えば殆ど同時に別々の方向に逃げて行ったりと正直言えば何の試験なのか”?”マークが出てしまうくらい

だからだ。

 「(あれって対人戦って言うよりBETAを想定してるんじゃねえのか?)」

 「は、BETAって将来的にならまだしもこのご時世に空飛べるBETAっているのかよ?」

 そんなのがいたら人類は終わりだなと言うとエボルトはこう返した。

 「(ちっちっちっ、違うなあユウヤ。良いか上空のドローンを陸にいるBETAって例えて自分達がいるのが地面の上だとしたらどう思うよ?)」

 「・・・成程な、あいつらは二次元での戦闘を三次元にして状況対応をスムーズに行う訓練をしてるって事だな。」

 ユウヤの答えにエボルトはこう答えた。

 「(正解だユウヤ、あいつらはそうやって指揮能力を高めようとしているのさ。)」

 エボルトの言葉にユウヤは成程と答えるとその間にチェルミナートルが燃料タンクをパージするところを見た。

 それにヴァレリオはある事を言った。

 「もしかしてあいつら・・・ここで着陸する気か!?」

 それを聞いたユウヤは二述べもなくジャンプユニットの補助ロケットを点火して飛び立った。

 「ちょ、ユウヤ!!」




次回で会います。


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出会い  クリスカ、イーニァサイド

 クリスカとイーニァからの目線。


 その少し前・・・。

 「チェルミナートル」の衛士「クリスカ・ビャーチェノア」と

「イーニァ・シェスチナ」は「ジュラーブリク」に搭乗して試験を受けていた。

 それは不規則に飛翔するドローンを撃ち落とすものだがそれを三時間以上続けているのだ。

 更にさっき迄タリサとドッグファイトをしていた際の負荷も重なり正直言えばそれにおける疲労でテストスケジュールでの悪影響を及ぼしているのだ。

 然し彼女達の顔色を見ると何か強迫観念みたいなものを感じざれる

負えないものである。

 そして暫くするとモニター越しでコマンドポストから指示が出た。

 「イーダル1に次ぐ。通常カリキュラムD終了後、プラーフカを使用し、再度Dで比較計測を行うー以上だ。」

 「イーダル1、了解。」

 カリキュラムが再スタートするとさっきよりも複雑になり彼女達の疲労は

特にクリスカがイーニァの負担を減らそうとスローっぽくしているが限界に達したのか一瞬、集中力が途切れた。

 それはコンマ数秒ほどだったがその間に四十機程のドローンをロストするという結果となり画面からコマンドポスト士官が苦々しい表情でこう言った。

 「プログラムを再スタートする。現座標で着陸待機せよ。」

 クリスカは自分のミスでやり直しになることでイーニァの負担が増えることに自己嫌悪する中、イーニァがクリスカにこう聞いた。

 「クリスカ・・・いっちゃうよ!!ぜんぶあてようよう!!」

 そう言うとクリスカはこう答えた。

 「ごめんなさいイーニァ・・・私のせいで最初になっちゃって。」

 そう言うとイーニァはクリスカにこう言った。

 「ダメだよ!まだまにあうよ!」

 そしてこう意味深に言った。

 「わたしたちそのためにうまれたのに!いやだよう!わたしたちいらなくなっちゃうのはいやだよう!・・・いや・・・いやだよう!!」

 「!・・・イーニァ。」

 そして暫く考えるとクリスカは操縦桿を引いてストットルを解放した。

 「イーダル1よりコマンドポスト!カリキュラムを続行します!!・・・行こう。イーニァ。」

 「・・・うん!」

 

 

 

 そして現在・・・

 クリスカとイーニァは体力と精神力が限界に達している中ドローンを

撃ち落としていた。

 残りは三機。

 最も効率の良いルートでも一機逃すことになるのでクリスカはイーニァを見ると

イーニァはこう言った。

 「だいじょうぶ!」

 それを聞いたクリスカは捻じれを入れた超高G旋回と同時に腰の補助スラスターと

ジャンプユニットを逆向きにした有り得ない多角形ターンの中イーニァは二機撃ち落とすが残りの一機が緩衝地帯ぎりぎりの場所にある為クリスカは着陸分の推進剤以外を全て放棄して機体を軽くすると同時に再加速してドローンのすぐ近くにへと近づいた。

 そして最後のドローンを撃ち落としてイーニァは笑顔になるが突如機体が

揺れ始めた。

 再加速した際にスラスターが言う事を聞かなくなったのだ。

 それにより一時停止したことにより機体はそのまま緩衝地帯を越え、

地面に激突しようとしていた。

 「クリスカ!!」

 イーニァが怖がっているような声でそう聞くとクリスカは成すすべ無しと諦め始めた瞬間レーダーから戦術機がこちらに来るのが見えた。

 「『ストライク・イーグル』!」

 するとその機体は「ジュラーブリク」の真ん前に移動すると機体を抱きかかえて

そのまま地面にぶつかりそうになった。

 「!!」

 クリスカはもうだめだと思った瞬間、「ストライク・イーグル」のスラスターが

爆発のような音を出した。

 そして土煙が周りを噴き上げる中そこにいたのは・・・。

 押し倒されるように倒れている「ジュラーブリク」と・・・

 押し倒している「ストライク・イーグル」がそこにあった。




 次はユウヤサイド


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静かな会迎

 これが始まり


 ユウヤは機体の状況と距離を見て最悪の状況をシュミレートしてジャンプユニットを吹かすと案の定の墜落フラグであった為、ユウヤは「ジュラーブリク」の

コックピットとスピードを合わせた。

 「(おいおいユウヤよ、まさかこのデカブツを浮かせる気じゃねーだろうな?)」

 どっかのニュータイプみたいに「ガン○ムは伊達じゃない!!」とか

言うんじゃねえよな。とエボルトが冗談交じりでそう聞くとユウヤはニヤリと笑ったのでエボルトはこう言った。

 「(マジでヤル気なのか!?)」

 そう驚きながらも地上がすぐそこまで近づき始めるとユウヤはスラスターを最大出力に調整して地面すれすれのところでスラスターを噴かした。

 ドン!と言った瞬間土煙が舞い、土煙が晴れると「ジュラーブリク」と

「ストライク・イーグル」が無傷の状態でそこにいた。

 「おい、大丈夫か?ユウヤ!!」

 ヴァレリオがそう聞くとユウヤがこう答えた。

 「おおう、大丈夫だ。少しスラスターを無茶して一時的にダウンしちまったがな。」

 ユウヤの答えにヴァレリオはほっとしている中ユウヤはある物を出した。

 「(おいおいユウヤ、スチームガンを出して何する気だ?)」

 エボルトがそう聞くとユウヤはこう答えた。

 「万が一に出会って早々撃たれたくないんだよ。同じ人間とは言え東側の・・・

社会主義国家だからな。」

 そう言ってユウヤは「ストライク・イーグル」のコックピットから出て

「ジュラーブリク」に移るとユウヤは「ジュラーブリク」を見てこう考えた。

 「≪こうデカいと本当に単座型なのか疑いたくなるぜ。単座型なら重要な電子機器が

機体内部に集中していることになるからな。・・・弁償とかないよな。≫」

 最後ちょっと財布の紐的な想像をするがそれで済めば良いような状況である。

 ユウヤは「ジュラーブリク」のコックピットブロックにある操作パネルから緊急事態に備えてのコードを入力するとコックピットブロックの開閉口が開いた。

 ユウヤは恐る恐る中を見た。

 「≪多分俺よりも年上の女かもしれないな・・・ゴリラみたいな連中だったら

即刻閉めよ。≫」

 見た目で判断するなよとツッコミ入れるところだが残念ながらそのような人間が

いない為それは出来ないようだ。

 そしてユウヤが内部を見るとそこで見たのは・・・。

 「・・・こいつらが『スカーレット・ツイン』か?」

 「(こりゃたまげたもんだな。)」

 ユウヤとエボルトはクリスカとイーニァを見て驚いた。

 ユウヤよりも年下でありながらもあれ程のアクロバティックな訓練をしていたことにびっくりしたからだ。

 ユウヤはイーニァの操縦桿の操作パネルにある救難信号を送った後クリスカと

イーニァを機体から出すことにした。

 ユウヤはイーニァを抱きかかえるとこんなに小さいのにあれだけの実力を持っていることに驚くがユウヤはある事を考えた。

 「≪もしかしたらこいつタリサと同じような感じか?≫」

 年齢的にと思いながらもユウヤは「ジュラーブリク」の足元に置くことにした。

 そしてクリスカを抱きかかえて同じように置くとユウヤはヴァレリオに通信した。

 「VG,ちょっと悪いがイブラヒム中尉に連絡してくれないか?」

 「もうしたよ、今、イブラヒム中尉が自分の『アクティブ・イーグル』でこっちに

向かってるってさ。」

 ユウヤはヴァレリオの答えにほっとして失神した二人を見ながら「ジュラーブリク」を見ていた。

 二人が起きるまでの間・・・。




 そして今物語が動き出す。


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話して。

 お互いの第一印象って大切だよな。


 「・・・ううん。」

 クリスカは目が覚めると何があったのかを思い出そうとした。

 「(私は確か・・・イーニァと実験をして・・・ドローンを追いかけて・・・!)」

 クリスカは急いで起きると隣でイーニァがスヤスヤと眠っているのがわかり

ほっとするが隣に「ストライク・イーグル」がいることが分かりクリスカの警戒心が高まる中「ジュラーブリク」の足元から人影が写ったので持っている銃を出そうとするもそれもなくなっておりどうしようとする中その人間が出てきた。

 「お、目が覚めたか?」

 その人間はユウヤであった。

 機体のチェックをしながらも時々二人を見ていたのだ。

 「誰だ貴様は?目的は何だ?」

 クリスカは冷たそうな表情をして聞くとユウヤはこう答えた。

 「恩人に対してなんつう上から目線・・・俺はユウヤ・ブリッジス、アメリカ軍戦技研からユーコン基地のアルゴス試験小隊に配属された衛士だ。」

 そしてユウヤはクリスカにこう言った。

 「それとお前らが演習しているところを見ている中でお前らが堕ち始めたから

救出した。」

 はい終わりと言うがクリスカは警戒を続けていた。

 西側陣営は低俗で退廃した快楽追及主義者だと教えられており損得勘定無しで

動くなどあり得ないと思っている中ユウヤは後方を見るとイブラヒム中尉の

『アクティブ・イーグル』が見えたことによりユウヤはクリスカにこう言った。

 「隊長がもうすぐこっちに来るからそしたら機体を持って演習場に行くから

相方が起きたらそう伝えとけよ。」

 ユウヤはクリスカにそう言って後ろを向くと大型の銃が目に入りそれを奪おうと

身構えるとユウヤはクリスカにこう続けた。

 「ああそれと後ろから襲うなんてことはしないようにな。」

 「!!」

 クリスカは何故自分の考えが分かったのか恐怖するとユウヤはイブラヒム中尉の

通信を受けていた。 

 「すいません中尉、機体のスラスターが駄目になりました。」

 『分かった、レーダーではもうすぐソ連の戦術機がこちらに来るように

なっているから我々は貴様を救出するが・・・俺の叱りと報告書の前に医務局に行って精密検査受けて来い。いいな。」

 「了解しました。」

 ユウヤは溜息交じりでマジかよと思いながらも承諾して自身の機体に乗ろうとするとユウヤはクリスカにこう聞いた。

 「そういやお前何て名前だ?」

 ユウヤはそう聞くがクリスカはイーニァ抱きかかえてそのまま「ジュラーブリク」に乗り込んだ。

 その後ユウヤはヴァレリオとイブラヒム中尉と帰還し、クリスカ達はソ連の戦術機と一緒に基地へと帰った。

 これが長い長い日々の始まりになるとはこの当時、誰も想像しなかった。




 エボルト「(ちぇっ、面白くねえの。)」


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いざ挨拶。

 挨拶はちゃんとするべし。


 次の日の朝、前日ユウヤはあの演習場でのことでイブラヒム中尉から小言を言われ

医務局での精密検査と報告書を纏めて自身の部屋で寝た後ある所に来ていた。

「ユウヤ・ブリッジス少尉、出頭致しました。」

 「同じくヴィンセント・ローウェル軍曹、出頭致しました。」

 ユウヤとヴィンセントは現在ある執務室にいる。

 この部屋にいるのは二人以外にもう三人いた。

 ソファーの上にいるのは黒縁の眼鏡をした高齢の白人男性と長い黒髪の国連軍の若い女性士官が座っており奥の机の窓の前にいる恰幅のいい白人男性と若い金髪の白人女性がそこにいた。

 ユウヤは何でここにいるのかと考えている中エボルトがユウヤにこう言った。

 「(恐らく演習場でのソ連の嬢ちゃん達についてじゃねえか?助けるためとは

言えよ、無断で演習場に入っちまったんだからよ。)」

 マジかよとユウヤはそう思っていると窓を見ていた男性がユウヤ達に向かって

こう言った。

 「転任早々ご苦労なことが絶えなかったようだな、ユウヤ・ブリッジス少尉。」

 「はっ!!」

 するとその男性はユウヤに向けてこう言った。

 「然しアメリカ軍とはこうまで硬い連中ばかりなのかね?

ヴィンセント・ローウェル軍曹?」

 「??」

 ヴィンセントはいきなりそう言われえたので何がなんなのか分からなかった。

 「この基地に来る連中は皆荒くれ者が多くてな、過剰な形式をするという

無駄なことは比較的しないようにしている。特にテストパイロットにおいて求められるものは技術と結果だ。それがあるからこそ合理的に仕事をこなせるのだ。」

 そう言うとユウヤはある事を直感した。

 「≪恐らくこの人もテストパイロットだったんだ。だから伝統とかルールよりも現場に応じて柔軟に対応しろと言ってんのか。≫」

 そしてその男性が自分の名前を出した。

 「自己紹介が遅れたな。私が『プロミネンス計画』の責任者である

【クラウス・ハルトウィック】階級は大佐だ。そこに座ってくれたまえ。」 

 そしてユウヤ達が座った後ユウヤはクラウスに袋に入っているものを出した。

 「あ、大佐。これつまらないものですがどうぞ。」

 そう言ってユウヤはある袋を渡した。

 クラウスはそれを開けるとその正体を言った。

 「ほう、コーヒー豆か。それも天然物とは中々いい物を出したな。」

 「趣味なものなので。」

 クラウスはユウヤにそう言ってユウヤはあり大抵なことで答えた。

 するとユウヤは立ち上がってこう言った。

 「こいつは俺がブレンドした奴何で俺が淹れてきます。」

 「おお、そうか。それじゃあ君が帰ってきたら計画について説明しよう。」

 「了解しました。」

 そしてユウヤは女性に促されるまま給湯室に案内されて出て行った。




 次は計画について。


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自己紹介

 エボルト「(よ、おらエボルト!)」
 ユウヤ「何やってんだよお前?」


 「ほう、これは中々イケるなあ。」

 「これは確かに良い塩梅ですねぇ。」

 「これが天然物・・・。」

 上からクラウスとソファーに座っていた男女がユウヤの淹れたコーヒーを

飲んだところ好評であった。

 そしてユウヤとヴィンセントも飲んでいた。

 そしてクラウスは一端コーヒーを机の上に置くとこう言った。

 「さてと良いコーヒーを飲んでお互い緊張が解れたと思うので自己紹介を

しようか。」

 クラウスはそう言うと男性の方から自己紹介した。

 「彼は今回の計画の技術顧問である『フランク・ハイネマン』氏だ。」

 「ハイネマンです。民間企業からの出向ですが貴方方と共に働けることを光栄に

思います。」

 ハイネマンはそう言うとユウヤに対して右手を差し出すとユウヤも一度敬礼してから彼の手を握るとハイネマンは両手を使って大きく上下に振った。

 「貴方は大変優秀な衛士と聞いていますし先程の模擬演習も見事な物でした。

期待してますよ。」

 「ありがとうございます。」

 ユウヤはハイネマンの笑顔を見て何か企んでるんじゃないかと思っているが

それはあまり表に出さないようにしようと考えた。

 「そして彼女が日本側の開発主任の『ユイ・タカムラ』中尉だ。」

 そう言うと女性の方はその顔立ちに不似合いな私情を一切排除したかのような冷たい表情でユウヤを見ていた。

 だがユウヤは別の考えをしていた。

 「≪開発主任ってことはこいつも衛士ってことだよな。・・・俺よりも年下なのに

上官ってどんな死線くぐりゃそこまで行けるんだ?≫」

 そう思っている中クラウスはユウヤにこう聞いた。

 「ところでブリッジス少尉は『XFJ計画』についてどの程度の知識を

持っているのかね?」

 ユウヤはそれを聞くとある事を考えていた。

 「≪それ聞くって・・・大体わかってる人間が聞くってことはこの計画がどれだけ重要にしてるっかってことだよな?≫」

 そしてユウヤはこう答えた。

 「確か『プロミネンス計画』の技術交流支援プロジェクトの一環で第三世代機

『不知火』を米国企業の協力で強化改修するって言うのが・・・表向きでしたよね?」

 「そうだ。」

 「ですがその実日本側で次期主力機に関して国産開発主義者と外国機導入主義者との対立に伴い両者の折衷案で今回の計画が立案されたと聞きますが正直な所どちらも・・言っていいでしょうか?」

 ユウヤの問いにクラウスはユウヤにこう返した。

 「構わないぞ。私が許す。」

 そう聞くとユウヤはある事を口にした。

 「正直な所・・・阿保らしいと思いました。」

 「なっ!!」

 タカムラ中尉が立ち上がろうとするとクラウスがそれを手で御して座らせた。

 「何故そう思うのかね?ユウヤ・ブリッジス少尉。」

 その問いにユウヤはこう答えた。

 「簡単な事です、今対BETA戦の最前線で欲しい機体は何です?国産機ですか?外国機ですか?私の見解ですが今前線の部隊が欲しいのは高性能な新型じゃなくて

部隊の生還率が高い兵装とそれを十全に扱える機体だと思うのです。」

 「!!」

 タカムラ中尉はその答えに目から鱗であった。

 国産に目を奪われがちであったが本当に前線に必要な事は生存率を格段に上げることのできる兵装とそれを確実に扱うことが出来る機体が重要だという事だ。

 「例えるなら戦車部隊ですが戦術機に集中しすぎて戦車用の兵装があまりにも

お粗末すぎます。アメリカ軍が使っている『A-10 アヴェンジャー』の下半身を

キャタピラにするか大型キャノンを搭載して脚部は排除して固定砲台として配備するという計画を自分はしたことがあります。」

 まあダメ出しくらされましたけどねと言うが全員が茫然していた。

 戦術機を砲台として使用するなど考えることすらしなかったのだ。

 更に言えばタカムラ中尉はそれにも気づけなかった自分が恥ずかしかった。

 戦車部隊にまで意識を割かなかったことで本来なら生きながらえている人間を見殺ししてしまっていたからだ。

 「それに戦術機ですが日本の機体・・・『不知火』はまあある程度の情報は

開示された部分を見ましたがあれはどちらかと言えば見た目は良い機体ですが中身、

それも機体の出力があまりにも高すぎてますからあれで新兵が使うのはあまりにも

酷だろうと思いましたよ。それなら第二世代機を量産して間違っている部分を調整してから配備したほうがまだ良かったと思いますが。」

 タカムラ中尉はそれに対しては確かにと思っていた。

 「不知火」は世界初の第三世代機として世に出したが改良する点が大量に在り、然も改良機も酷い状況になってしまったからだ。

 「それと自分からすれば上層部の意識にも問題点があります。最前線で戦っている

連中からすればどうでもいいようなことをあーだこーだ言いまくって先の

『明星〔ルシファー]作戦』でBETAが日本の本土から消えたとか言えまだ一つ

残っているのに派閥争い何てする余裕があるのかと文句を言いたいところですよ。」

 それに関してはクラウスも同意見であった。

 嘗て西ドイツと東ドイツが対立していた時も同じような状況があったのだ。

 幾ら統一して難民政権が出来てもまずは根幹をどうかしなければならないと

思ったからだ。

 「以上ですが何か問題点はありますか?」

 そう聞くとハイネマンはこう言った。

 「いやいや君の視点は中々ユニークだと思いましたよ。確かに戦車部隊は元々

衛士適性試験で落とされたり前線の怪我とかで移動するケースがありますから

機体の再利用と考えるなら『ファントム』や『フリーダムファイター』を使うというのも一つの手ですな。」

 「それに上層部に関しては私も若い時に思っていたことだ。目の前にいる

バケモノ共を一掃しなければいけない時に何をしてるんだと思ったことがあるし、

政治家の横やりで犠牲者が出てしまったこともある。」

 「我々が本当に戦わなければならないのは内側にある人間の心なのでしょうね。」

 タカムラ中尉の言葉はここにいる全員に重しのように圧し掛かってきた。

 いつの世も敵は外からだけではないのだと悲しく思ってしまうからだ。




 敵は外だけとは限らない。


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初対面。

 新しい相棒に会います。


 ユウヤの色んな意見で意識が消沈してしまいユウヤの隣にいるヴィンセントは

居た堪れないなと思い冷め始めたコーヒーを飲み直していた。

 するとクラウスは全員にこう言った。

 「さてと、色々と彼の意見もあったわけだが脱線してしまっているため話を

元に戻すか。」

 「あ、はい。」

 その言葉にタカムラ中尉が返事して全員がクラウスに目を向けるとクラウスは

ユウヤ達に向けてこう言った。

 「それでは今回の計画の要になる奴を見せよう。着いてきたまえ。」

 そう言ってクラウスは執務室の扉にへと向かった。

 

 

 

 彼ら司令部裏にある地下数十メートルにあるハンガーへと向かうとそこには何重ものゲートを潜って、掌紋や網膜、パスワード認証、認識番号の照会等、

「プロミネンス計画」の最高責任者であるクラウスでさえ顔パスが許されなかった辺りこの先にある機体がどれだけ重要なのかとユウヤは少し嫌な予感がしていた。

 そしてユウヤは心の中でこう思っていた。

 「≪一体どんな機体があるんだ。『不知火』は開発が成功して6年以上経つって

言うのにこのセキュリティーは異常だろおい。≫」

 するとエボルトがユウヤにこう言った。

 「(もしかしたらアメリカの軍連中に知られたくねえヤバい技術を搭載してるんじゃねえか?)」

 それを聞いたユウヤはまさかなと思いながらも進んで行く様を見て地獄の入り口に

足を踏み入れようとしてるんじゃないかと思った。

 まあユウヤ達は知らないだろうがこのハンガーに格納されているのは機密レベルが

最高ランクの物が多く存在しており強ちエボルトの予想は正しいのかもしれない。

 そしてやっと目的の場所に着いたようだがそこは隔壁で仕切られたブロックの中で最も奥に存在し、灯りは非常灯の紅い光だけだった。

 するとそれも消えた瞬間ばっと明かりが照らされた。

 「うわっ!」

 「(グワーッ眼がーー!!眼がーー!!)」

 某大佐のような叫び声を言っていたエボルトをシカトしたユウヤは明かりが目に慣れるのを待ってゆっくりと開けるとそこにあったのは・・・。

 「おい見ろ!!ユウヤ!!」

 ヴィンセントが興奮した様子で指さすとそこには通常よりも小さくスマートな

機体だった。

 「これが『不知火』か~~。・・・あれ?これってよく見たら米国製のパーツがあるなあ。」

 ヴィンセントがそう言って近づくとハイネマンは嬉しそうにこう言った。

 「ほう・・流石ですねぇ。そうです、そうなんですよ。この機体にはね・・・。」

 何やらハイネマンとヴィンセントが熱く語り合っているがユウヤは別の所に

目を付けた。

 「≪ん?この機体所々埃や汚れがあるなあ。それにこの寂れ方、どう考えても新品じゃねえよなあ。まさか日本でお払い箱になった奴を?・・・いやまさか、それでも

この感じから見ると相当昔!!≫」

 ユウヤはあらゆる可能性を考える中エボルトが言っていたことを思い出した。

 (「(もしかしたらアメリカの軍連中に知られたくねえヤバい技術を搭載してるんじゃねえか?)」)

 するとユウヤはある事を思い出した。

 それは寂れ具合と埃の大きさを考えるとぴったり合うからだ。

 「≪確かボーイング社って『ブラック・ウィドー』を開発してたなあ・・・そんで確か試作モデルが何機かあって完成した二機を除いて残りはその後解体されて・・!!≫」

 ユウヤはある事を考え付いた瞬間冷や汗を掻きながらギギギと錆びた

ロボットのように首をハイネマンに向けて動かした。

 そしてユウヤはまさかなと思いながらもう一度その機体を見るとユウヤは心の中で

こう祈った。

 「≪どうか思い過ごしでありますように・・・。≫」

 それは儚く消えることとなるだとうと知らずに祈ったユウヤであった。




 ユウヤ「(どうか間違いでありますように!!)」
 エボルト「(無駄じゃね?)」


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推理

 エボルト「(犯人はお前だ!!)」
 ユウヤ「そうそうそこの全身黒タイツねえ。」



 「何か質問はないか?ブリッジス少尉。」

 タカムラ中尉は事務的な堅い口調で聞くがユウヤは逆にフランクにこう言った。

 「いえ、今のところは・・・って言えば良いんですかね?あれで?」

 それは「XFJ計画」の全体ブリーフィングの事であった。

 出席していたのはユウヤとタカムラ中尉、小隊長であるイブラヒム中尉、技術顧問のハイネマンとヴィンセントを含んだ十数人のスタッフで有ったがユウヤは恐らく自分は客なんだなあと思いながらもあのハンガーで見た機体の出所を気にしながらも

頭から振り払うということを繰り返していた。

 ユウヤは前もって貰った「不知火」のスペック(簡易版)を持っていたため

貰ったのは帝国からの仕様要求と大雑把な開発スケジュールぐらいであり

更に嫌な予感が募り始めた。

 「なら質問しろ、ブリッジス少尉。」

 まるで機械みたいだなとユウヤはそう思っているとユウヤは質問した。

 「ずっと思っていること何ですが・・・一対一で話せませんかね?」

 それを聞いて集まっていたスタッフが何事かと思うとタカムラ中尉はユウヤを

見てこう言った。

 「機密事項に関することか?ブリッジス少尉。」

 少し顔色が変わったタカムラ中尉を見た後ユウヤはこう返した。

 「はい、中尉。」

 それをスパッと返したことにタカムラ中尉は少し考えてこう言った。

 「駄目だ。許可できない。」

 首を横に振って答えたのでユウヤはそれを見た後ハイネマンをちらっと見て

こう返した。

 「了解しました、中尉。以上です。」

 そしてイブラヒム中尉がユウヤにこう言った。

 「二時間後に小隊ブリーフィングがあるから備えろ。」

 そう言って出て行くと同時にユウヤも出ようとするとタカムラ中尉がユウヤにこう言った。

 「--待て、ブリッジス少尉。」

 「?何でしょうか?中尉。」

 そう言ってユウヤは足を止めるとタカムラ中尉がこう聞いた。

 「こうして一対一になったので質問に答えよう。」

 ユウヤはタカムラ中尉が全員いなくなった事を確認して聞いた。

 「機密事項についてだが何が聞きたかった?」

 それを聞くとユウヤは一息入れてこう言った。

 「単刀直入に聞きます。あれはYF-23『ブラック・ウィドー』のパーツですか?」

 「!!」

 ユウヤの問いは正に確信を突いたことであると同時にこの状況に納得した。

 もし迂闊に全員のいる前で聞いていたら小隊全員が動揺するからだ。

 タカムラ中尉は姿勢を正して一呼吸入れるとこう続けた。

 「どうしてそうだと言い切れる?違うかもしれんぞ。」

 するとユウヤは指を三本突き出してこう答えた。

 「先ずはあの機体の寂れ具合と埃です。あの寂れ方はどう考えても本国から

持って来たにしてはお粗末すぎます。そうだとしたら既に帝国は末期状態だと

思うからです。となるとあれは最低でも半年は誰も触っていないこととなり埃が

その証拠です。」

 「二つ目はそーなると何処に死蔵されていたかです。日本なら名古屋の港と言う

線もありますがそれでは可笑しいです。だって最悪のことを考えたら全機出撃

させている可能性が高いですから。そうなると残りはアメリカの何処かとなって兵器を最も死蔵するのに最適なのは『ボーイング社』。そしてここにはハイネマンがいて

三つ目に繋がります。」

 「三つ目は彼の噂です。彼は嘗てソ連に『チェルミナートル』の試作機データを

秘密裏に渡した疑いがありますしそれに司令部の裏側は厳重に管理されているから

発見されるリスクが低いからです。」

 タカムラ中尉は三つ目に対してこう反論した。

 「三つ目に関しては不確定要素が多いぞ、ブリッジス少尉。もしかしたらここで開発した奴かもしれんぞ?」

 そう言うとユウヤはこう返した。

 「噂と言うのは僅かに本当のことが記されています。自分はその中で確率の高い物を選んだまでです。」

 そう言うとユウヤはタカムラ中尉に敬礼してこう締めた。

 「それでは自分はブリーフィングがあるので失礼します。」

 そう言って出て言った後タカムラ中尉は床に座り込んでこう言った。

 今まで見せたことのない焦燥した顔をしていた。

 「何なんだあの男は?勘が良いでは済まない次元じゃないぞ。」

 タカムラ中尉はユウヤの勘に恐怖していた。




 次は仮の相棒の説明です。


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何でだよ!!

 ユウヤ「金って『天下の周り者』って言うけどよ・・・使わなかったら只の紙
なんだよな。」
 エボルト「(コーヒー飲みながら言うお前は金の無駄遣いだろ?)」
 コーヒーをブレンドしながらの話。


 ユウヤはあの後小隊ブリーフィングの為ブリーフィングルームに行っていた。

 そしてブリーフィングルームに着くと既に全員が待機していた。

 そしてユウヤが座って暫くするとタカムラ中尉がやってきた。

 そして一度ユウヤを見た後全員にこう言った。

 「アルゴス試験小隊の皆さま初めまして、私が本計画の為開発主任として出向した『ユイ・タカムラ』。階級は中尉だ。」

 一礼した後その光景を見てVSがひゅーと口笛を吹いた。

 それから同じような内容を話した後ユウヤにこう言った。

 「尚言いそびれたが『不知火・弐型』が組み上がるまでの間貴官には『吹雪』に搭乗してもらう。」

 「フ・・・ブキ・・・?(・・?」

 ユウヤが何それと思っているとイブラヒム中尉がこう補足した。

 「『吹雪』は通称『タイプ97』と呼ばれる『不知火』直系の高等演習機だ。」

 それを聞いてユウヤはこうつぶやいた。

 「へえーー。『不知火』直系のって・・・それも第三世代機ってオチじゃない

ですよね?」

 少し苦笑いで聞くがイブラヒム中尉は首を縦に振ったことでびっくりしながら

こう言った。

 「・・・ちょっと待てーー!!」

 ユウヤは机を叩いてタカムラ中尉に近寄ってきた。

 「な、何だ!?ブリッジス少尉!!」

 タカムラ中尉はユウヤがすぐそこまで近づいたため驚くとユウヤはタカムラ中尉に

こう言った。

 「いや何で第三世代機が二種類もあるんだよ!?おかしいだろ!!確かに

アメリカにも第二世代機が5種類ぐらいあるけどあれは対外輸出の目的で作ったやつが

大半で現役は『ストライク・イーグル』か海兵隊の『スーパー・ホーネット』ぐらい

なのに何でどっちも最新型を最前線に出すんだよおい!!??」

 金がもったいないだろと言うとタカムラ中尉がその疑問にこう答えた。

 「元々『不知火』は発展性を犠牲にしていることもあって色々と武装にも難が

生じていたんだ。それを解消するデータ取りの為に作られたんだが上層部が

第三世代機に速く新兵に慣れさせるために『吹雪』の量産が始まったんだ。」

 そしてタカムラ中尉はこう続けた。

 「それに『吹雪』は実戦でも任務においても重宝されることもあってこう言う実験に使う事になったんだ。」

 するとユウヤはタカムラ中尉にこう聞いた。

 「それじゃあ何で『不知火』を改良することになったんですか?別に『吹雪』を大量生産すれば採算が合うと思うのですが?」

 それは確かにと思った。

 「不知火」ではなく型式が新しくそれなりに汎用性が高い「吹雪」を量産すれば

帝国内部の財布も良くなると思っているからだ。

 「まあ確かに現在我が軍が使っている『七七式』からシフトチェンジする

予定だったがどうしても『不知火』を改良するという人間がいてな、

それで開発局副所長がこの計画を提案してくれたんだ。」

 まあ要は『不知火』を使うか『吹雪』を使うかで国産派のこの二つの派閥の

妥協も兼ねていることである。

 「・・・馬鹿なのか上層部?」

 一辺総入れ替えしたらと心の中で思う中タカムラ中尉はユウヤに一冊のファイルとディスクを見せた。

 「これは『吹雪』の資料だ。一時間の間に目を通すように。」

 ではと言うとタカムラ中尉は退出した。

 そしてユウヤは紙の資料を見るとこう言った。

 「何だ。『不知火』よりもこっちのほうが良いじゃん。」

 こっちの開発にしろよと思いながら資料を読んでいた。




 不知火「俺はそんなにめんどくさくないぞ!!」
 吹雪「でも俺の方が使いやすいじゃねえか?」
 不知火「ぎゃふん!!」


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廊下でのひと時

 相手の情報は確認してねぇ。


 ユウヤが「吹雪」の詳細な資料を見終わった後後ろから何か走ってくるような

音がした。

 「ぐおらーー!!」

 「?」

 ユウヤは声がしたので振り返るとタリサが何だか殺気立った顔でユウヤ目掛けて

走ってきたのだ。

 「歯ー!食いしばれーー!!」

 タリサがジャンプしてユウヤの顔目掛けて殴りかかったのだがユウヤはそれを

ひらりと避けた後持っていた資料を丸めてこう言った。

 「お前がな。」

 スパーンと大きな音を立ててタリサの頭に叩きつけた。

 「プギャー!!」

 そしてそのまま勢いよく尻もちを叩かれるように着いた。

 「いでーー!!何するんだよ!!」

 「それはこっちの台詞だチョビ。何しに来たんだよ。」

 タリサが痛がりながら文句言うのを一蹴して聞いた。

 「手前何で『スカーレットツイン』何か助けるんだよーー!!」

 タリサの言葉にそれのことかと思って納得したのだ。

 タリサと「スカーレットツイン」の関係は基地に帰投する際にVGから聞いた程度だがユウヤはそれを聞くとまあ確かにと思った。

 タリサからすれば「スカーレットツイン」は自分の好意を踏み躙っただけではなく

プライドまですり潰して恥をかかせた存在。

 一方の「スカーレットツイン」も自分たちの価値観とは合わずあらゆる人間を

敵と見做しているのだろうと会話の中でそう感じたのだ。

 するとタリサがユウヤに大声でこう言った。

 「いいか、あいつらはアタシの獲物だぞ!ぜってー譲らねぇからな!!」

 そう言ってぷんすかとハンガーにへと向かった。

 「・・・そう言う態度だから小物だって言われるんじゃねえか?」

 ユウヤは小さな声でそう言っていると後ろから声が聞こえた。

 「んまあしょうがねえよな。散々って言うくらいにやられちまってんだからな。」

 VGがユウヤの隣に立つとユウヤの肩を叩いてこう聞いた。

 「それでどうだった?『スカーレットツイン』を見た感想はよ?」

 そう聞くとユウヤは有りの侭を答えた。

 「先ず初見で見た第一印象は・・・ギャップが強くあったな。」

 「ギャップ?」

 VGが何のことかと思うとユウヤは更にこう言った。

 「あれだけの機動と正確な射撃をあんな俺よりも年下が出来ていたのかよと

思った事だな。俺んとこにもスナイパーはいたけどそいつ俺と同い年だったから

どれだけの修羅場を潜り抜けたかと思ったな。」

 「・・・えーと、他には?」

 VGは少し呆れ顔で聞くとユウヤはこう続けた。

 「その後短髪の方と話したけどどちらかと言えば、全部が敵だと思っている

所だったな。ありゃチームワーク悪いんだろうな。」

 相方を除いてだがなと言うとVGははーと溜息ついてこう言った。

 「そう言う意味じゃねえんだけど・・・まあお前らしいよ。」

 そう言ってVGは立ち去ると思い出したようにユウヤはこう思っていた。

 「ああ、それにあいつら結構美人だったな。」

 VGやヴィンセントがいたら猥談していたであろう言葉を聞いたのは誰もいなかった。




 次回は『吹雪』に搭乗するよ。


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いざ相棒と

「吹雪」の説明です。


 ユウヤは衛士用強化服に着替え終わってハンガーに着くとアルゴス試験小隊の機体の中に真新しい戦術機がそこにあった。

 頭部から後ろ向きに伸びる大型のセンサーマストと、体付きはスマートなのに肩部はごつくよく見たらハンガーに下げるときに使うフックみたいだなあと思った。

 これこそ日本が開発した97式高等演習機「吹雪」(ユウヤ曰く『不知火よりも

扱いやすそう』)である。

 パッと見たら「ストライク・イーグル」みたいな感じだが各部のパーツはそれよりも複雑に構成されていた。

 コックピットのキャットウォークを歩きながら「吹雪」を見ているがユウヤは

少し笑顔になっていた。

 「≪こいつが日本の戦術機か・・・見た目よりもいい機体じゃねえか。こいつが

演習機って言うのが嘘のようだな。≫」

 どうせなら「不知火」と立ち位置変えたほうが良いんじゃねと思いながら

コックピットブロックに着くや否やそこにいたヴィンセントがこう声を掛けた。

 「--全くお前は大概な戦術機馬鹿だよなあ。お前はよ。」

 「うるせえぞ。これから当分の間は使う奴なんだからな。」

 ヴィンセントの呆れたような声色を一蹴してユウヤはそう言った。

 「それじゃあこいつの説明をするぜユウヤ。」

 「おお。」

 するとヴィンセントは真剣な顔つきで説明した。

 「先ずこいつだがこいつは『F-15E ストライク・イーグル』をベースにしているが内部の、それも幾つかの部品が最新型になっていてな、第三世代由縁の多目的兵装を

第一にしたやつさ。」

 「ああやっぱこいつ『イーグル』と同じだったんんだ。」

 ユウヤは何で同じかなと思ったらそう言う意味かと思うとヴィンセントは

こう続けた。

 「それと機体出力だがアメリカの奴とは違って低いから同じようにやろうとしてもスピードがあまり上がらねえからな。」

 ここ注意な。と付け加えた後もこう注意した。

 「それとレーダーだがどうも他の機体とのデータリンクを中心にしているから

単機だとあまり広くねえんだよなあ。」

 するとユウヤはヴィンセントにこう聞いた。

 「周りのレーダーを使って奴らと戦うってことだと思うけどよ、早期警戒にはやっぱ広範囲レーダーが必需品ってことだよなあ。」

 確かにとヴィンセントがそう言うと最後にこう付け加えた。

 「それとコックピットブロックだがこれはアメリカ製の奴だから操縦の心配は

しなくていいがよ、こいつを整備してやっぱ日本製は違うよなあ。いい仕事するぜ。

それに『不知火』に乗る前に演習機で慣れさせるって中尉もちゃんとしてるぜ。」

 そう言うとユウヤはヴィンセントに皮肉たっぷりにこう言った。

 「いい仕事しても上層部が駄目だと無駄遣いだし、あのハイネマンが改修するから

あまり意味ないけどな。」

 魔改造確定だろと言うとヴィンセントは引きつった顔でこう返した。

 「そりゃそうだな、あのハイネマンだし。」

 ヴィンセントの言葉に笑いながらコックピットブロックに入って操作して

こう言った。

 「さてと行くぜ。相棒。」

 その時の「吹雪」のセンサーアイが少し光った気がした。




 次回は演習です。


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演習。

 このユウヤはちゃんと長刀も使えるよ。


今回ユウヤ達が使用する演習訓練場は巨大な岩があり、剥き出しの岩石層が散在し、

主にBETA支配権付近にある前線基地防衛で使用されているのである。

 更に言えば現在ユウヤ達アルゴス試験小隊は包囲陣形を執っている。

 恐らくこれは拠点内部から外部へ向かうBETAを封じ込めるための陣形である。

 ユウヤはBETA戦を体験したことがない為少し後ろ側にいた。

 するとCPから指示が出た。

 『こちらCPより各機へ、JIVES(統合仮想情報演習システムを起動します。

コンディション・レッド(全機即応体制)』

 『アルゴス1了解。』

 『アルゴス2了解ッ!』

 『アルゴス3了~解。』

 『アルゴス4了解。』

 イブラヒムの声に全員が唱和した。

 JIVESとは実機の複合センサーから仮想情報を伝達させることで戦術機の挙動や

損害による制限等を衛士にフィードバックさせ補正させる仮想訓練プログラムでありシュミレーターよりも精度が高い反面BETA戦で退役兵器となったドローンを使って

訓練するため余り頻繁に使えず、贅沢な訓練と位置付けられている。

 

 

 

 戦域図を見たユウヤが第一に思った事は敵性の光源がとんでもない規模で

あったのだ。

 然もまだ後ろには未だ大量に来ているという事を想定すると最早笑うしかない

レベルであろう。

 ・・・そう普通なら。

 「何だ、エボルトの訓練に比べればまだ余裕があるんだな。」

 レーザー級がいりゃもう少し歯ごたえあったなと言うがこいつ何言ってんだと

思いたくなるのだがこれがこいつである。

 『アルゴス1より各機、フォーメーション≪アローヘッド1≫で定速前進!」

 『『『『了解!』』』』

 そして全員がユウヤを起点に前進した。

 

 

 

 「おらどけやダンゴムシ擬きが!!」

 先ずユウヤが最初にやったのは・・・突撃級の足元に少し深いくらいの穴を

銃弾で開けた瞬間それに引っ掛かって転ばすことだった。

 『『『え~~~~!!!』』』

 タリサ達はそれになんじゃそりゃと思った。

 普通突撃級に対しては先ず回避飛行してから後ろを狙うのが常道なのに

それすらもせず生かしたまま転ばしたのだ。

 比較的BETAは生体活動している個体は一度避けるという習性があるのでそれを

利用したのだろうと思うがまさかそれを初っ端からやる人間がいるとは考えも

しないだろう。

 然もユウヤは殺さない程度にナイフで動きを止めてから射撃をしていた。

 だが突撃級はそれでも小さな足をひたすらと動かすところを見る限り健気だなあと思った。

 ・・・まあ同情はしないが。

 タリサ達も倒れた突撃級の後ろで射撃をしていると回り込んでいた要撃級の

前腕がユウヤに襲い掛かってきた。

 『ユウヤ!』

 VGがヤバいぞと言おうとした瞬間・・・ユウヤは担架ユニットに搭載されていた

日本刀を持ってスラスターで再接近して膝蹴りした。

 『・・・は?』

 VGがあっけからん声を出すとそのまま日本刀を要撃級の顔らしきところに刺した。

 「気色わりぃいんだよこのサソリ擬き!!」

 そのまま倒れていく要撃級を余所に刺した日本刀を回収しながら周りにいた戦車級を撃ち落とした。

 「数が多いんだよ蟻んこ共が!!」

 その後もユウヤは広いところでは射撃、狭いところでは日本刀と言った使い方を

しているが何故ユウヤがここまで慣れているのかというと・・・。

 「こんなもんエボルトがやる『ガーディアンやスマッシュ無双』に比べりゃ

まだ易しいぞ!!」

 ・・・これである。

 エボルトは夢の中でユウヤを鍛えていることを知っていると思うがその中で

ガーディアンやスマッシュと戦うケースが幾つかありその中でも現在やっているこの『ガーディアン、スマッシュ無双』は数千体もいる大小問わずのガーディアンや

スマッシュをたった一人で然も階層ごとに強くなるというおまけつきがあり未だ扉前で大苦戦するユウヤにとって言えば・・・。

 「ミサイルとかマシンガンとか特殊能力もねぇBETAとやるなんてこれほど楽なことはねえぞ。」

 数意外わなと付け加えているがまあそれでもなあと思いたくなる。

 因みにユウヤはそれから暫くして撃墜判定を受けた。

 理由は・・・武器を消耗しすぎて使える物がなくなったからだ。




 エボルト「(どうだった?この無双ゲーム?)」
 ユウヤ「・・・・・(屍のように倒れていた。)」ちーーーん。
 エボルト「(まだまだハザードレベル5,9には程遠いな。)」


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やばい出会い。

 令和最初の投稿です。


 ー総合指令部近くの何処かー

 

 

 

 「あー、何で怒るんだっつうの!」

 ユウヤはあの後タカムラ中尉から色々と小言+説教を喰らわされここにいた。

 「ただ単に突撃級コケさせたり要撃級の顔に蹴り食らわしただけであんなに

怒るなっつうの!!」

 『貴様は阿呆か!!どこの世界にBETAの突撃級を転ばせようと考える馬鹿がいる!』

 『ここにいます。』

 『お前以外でだ―ーー!!!』

 ・・・普通はそんなことしないのが常識だぞお前。

 「然も挙句の果てには『お前少し頭の病院に通ったほうが良いぞ』って慰めるような笑顔で言うんじゃなねえっつうの!!!」

 ・・・それは多分アルゴス試験小隊全員の言葉でもあると思うぞ。

 それにあの時見ていた全員が頷くほどだしな。

 「ったくよ、試験って言うのは限界を見極めるためにあるっつうのに

それですら駄目ってどういう試験なら良いんだっつうの!」

 畜生がと不貞腐れるがそんなことすればどの戦術機もポンコツになり果てるぞ。

 何処の変態機動戦士だお前は?

 

 少し未来の日本

 「誰がだゴラ!!」

 「?どうした武!?何か言われたか??」

 「いや冥夜、誰かが俺の事変態機動って言われた気がしてよ。」

 「「「「え?何いまさら????」」」」

 「俺ドンだけだよおい!!??」

 

 現在

 「ん?何かなんたら原子核もったやつっぽいのが見えた気がするが・・・

気のせいか。」

 何故か未来が見えた気がしたがユウヤは気のせいだと思い部屋に戻ろうかなと思うと誰かがこっちを見ているような感じがしたのでそっちの方を向いた。

 「・・・誰だ?」

 ユウヤは持っていたネビュラスチームガンを構えてそれを見るとユウヤは

それをちらっとだが見たことがあった。

 「≪あれ?こいつ確かーー・・・。≫」

 そこにいたのは腰まで届くほどの銀髪の少女だった。

 青いBDUにMc-3ジャケットの国連軍衛士用を着ていたがユウヤはその少女を見て

思い出した。

 「≪あああ。こいつ『ジュラーブリク』に乗っていた奴の相方か。≫」

 するとその少女はユウヤに恐る恐る近づいてこう聞いた。

 「あなたは・・・だーれ?」

 少女はそう聞いた。

 「お嬢ちゃん。人に名前を聞くときは先ず自分からって言うのが礼儀だぞ。」

 ユウヤはそう聞くとエボルトが呆れ声でこう言った。

 「(お前それってよ・・・明らかに誘拐犯が使う言葉だぞ其れ。)」

 若しくは幼女趣味の人間がやる手口だろうと言い、ユウヤはこう返した。

 「≪お前にだけは言われたくねえよ。この宇宙人が。≫」

 そして意識を戻すと少女はこう返した。

 「・・・イーニァ。」

 「イーニァか。俺はユウヤ・ブリッジスだ。」

 お互い自己紹介した後ユウヤはこう聞いた。

 「イーニァ。お姉ちゃんは一緒じゃねえのか?」

 「おねえちゃん?」

 ユウヤの問いにイーニァは首を傾げた。

 「ほらお前の相方で同じ髪の色をした短髪の方。」

 「・・・クリスカ?」

 「いや姉に名前呼びって従妹か何かか?」

 「ううん。」

 ユウヤはイーニァの答えになんじゃそりゃと思っているとイーニァはユウヤをじっと見ていた。

 じーーー。

 「?」

 じーーーー。

 「??」

 じーーーーー。

 「・・・何?」

 じーーーーーーー。

 「・・・いやなんだよこれ!!!」

 ユウヤはイーニァがじっと見つめるのにツッコミを入れるとイーニァはこう返した。

 「・・・わかんない。」

 こてん(首を傾げる音)

 「わかんねえのかよ!!」

 ユウヤは滑って転びかけるとそう大声で言った。

 「いっしょにきて。」

 イーニァはユウヤの手を掴んでそう言った。

 「は?」

 「いっしょにきて。」

 イーニァの問いにユウヤはわけわからんと思うとイーニァは顔を俯いた後・・・

泣きそうな顔でこう言った。

 「・・・いっしょにきて・・・。(;O;)」

 ユウヤはその瞬間ヤバいと思った。

 「≪もしこんな所誰か見た日には俺社会的にヤバくね!?≫」

 そしてユウヤはイーニァをなだめながらこう言った。

 「分かった。分かった。一緒に行くから泣くな。」

 ぱーーーーー(*'ω'*)

 この瞬間ユウヤのイーニァに対する第一印象はこうだった。

 「かわいい顔してかなりの策士。」

 

 

 その後ユウヤはイーニァと一緒に車でその施設(ソ連領のすぐ近く)に車を止めるとイーニァと一緒にその施設に入っていった。

 然しその施設は衛士の居住ブロックとは言い難く何処までも続く白い壁と

それに書かれているキリル文字(ロシア語)があるのだがエボルトはユウヤに

こう聞いた。

 「(おいユウヤ、ここ何だかやべえ場所だぜ。)」

 「≪ああおれもやべえってめちゃするよ。≫」

 とんずら扱いたらこいつが泣いちまうけどなとユウヤはイーニァを見るとイーニァはユウヤの手を放さずそのままある所に着いた。

 そこにあるのは巨大なタンクとロボットアームがあり、近くにはベッドがあるくらいだった。

 もうヤバいが確定だなとエボルトとユウヤがそう思うとイーニァは大声で

こう言った。

 「ただいまミーシャ!!」

 「だ!おい?」

 イーニァはそう言いながらベッドに近寄るとユウヤはネビュラスチームガンを

構える準備をしながらこう言った。

 「ええと・・・初めまして。俺・・・。」

 「ほらミーシャ。」

 「・・・は?」

 ユウヤはそれを見てあっけカランと言った。

 それは歯が剥き出しの黄色い熊のぬいぐるみだったのだ。

 「(≪・・・・センスわりい・・・。≫)」

 ユウヤとエボルトは揃ってそれを見て感想を心の中で言うと後ろから声が聞こえた。

 「--動くな!」

 「ッッ!!」

 ユウヤは後ろを疎かにした自分を恥じながらこう言った。

 「おい待てよ!・・・こいつがどうなっても良いのか!?」

 ユウヤはイーニァを捕まえて首筋にネビュラスチームガンを押し付けた。

 「!!卑怯な。」

 「あれお前あんときの。」

 そこにいたのは『ジュラーブリク』に乗っていたもう一人の衛士だった。

 「あ、クリスカ。」

 イーニァはこの状況においてもマイペースだった。

 「イーニァを下ろせ!!」

 「悪いがこっちも命掛かってんでな。」

 するとエボルトはこう言った。

 「(お前中々ヒール(悪役)が見についてんなア。)」

 それを無視してユウヤはイーニァの耳元でこう言った。

 「〔イーニァ、この銃のバルブを4回回してくれ。〕」

 そう言われてイーニァはそれを回した。

 「スチーム!!」

 その音声が出た瞬間ユウヤはクリスカにこう言った。

 「じゃああばよ。」

 すると銃から赤黒いガスが出てきたのだ。

 「イーニァ!!」

 クリスカは銃を慌てたのか放り投げてイーニァの手を掴もうとした。

 するとガスに触れたクリスカはそのまま飲み込まれた直後電気と共に姿を消した。

 落ちた銃から発砲音が聞こえたのはその後であった。




 これからもよろしくお願いします。


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転送された彼らの来たところは

 前回ユウヤ達が転送した場所についてです。


 とある町の何処か。

 町の裏側にて赤黒い煙が何処からともなく立ち込み始めた。

 初見で見れば火事の煙と誤解して通報しそうになると思われるがこれは

違う煙なのだ。

 中で電流が走っておりそれが光り輝いた瞬間三人の人間が現われた。

 「「「うわっ!!」」」

 そして三人の男女が転んで倒れた。

 一人は黒髪の青年でアメリカ軍の白いジャンバーを羽織っていた。

 そしてその腕には長い銀髪の少女を掴んでおり端から見れば誘拐犯かと

思われかねない。

 そしてその青年の腹の所で倒れている女性も銀髪で肩まで切り揃えたような

感じであった。

 銀髪の二人の然も服の上からもわかるくらいのスタイルをしておりモテない

男性が見れば間違いなく壁を壊すぐらいに叩くであろう。

 「いたたたた・・・おい大丈夫か?」

 「う~~~ん。何とか~~。」

 青年ユウヤが少女イーニァにそう聞くとイーニァは目を回しながら答えた。

 「うう・・・イーニァ!!」

 ユウヤの腹の上で倒れていた女性クリスカが気づいた瞬間イーニァを抱きかかえた。

 「大丈夫イーニァ!何かされなかった!?」

 クリスカはイーニァを抱きしめながら体をチェックしていた。

 そしてユウヤを見るとクリスカは怒り心頭になってこう叫んだ。

 「貴様よくもイーニァを!!」

 そして懐から何かを出そうとするも・・・。

 「・・・無い・・・無い!!・・・銃が無い!!」

 クリスカは銃を探しているとユウヤはクリスカにネビュラスチームガンを向けた。

 「形成逆転だな。」

 銃口をクリスカに向けてそう言うとクリスカは苦虫を潰したような顔で

ユウヤにこう聞いた。

 「あそこで何をしていた?」

 そう聞くとユウヤはクリスカにこう答えた。

 「俺はイーニァと偶然司令部前で出会って暫く立ち話していたらこいつが引っ張ってきたから仕方がなく着いて来てそしてあそこで着いたらお前と鉢合わせに会った。」

 それだけだな。と付け加えるもクリスカは納得していないのかこう聞いた。

 「あの時私達を助けたのはこれが目的だと言えるか?」

 「それは0だな。全くの偶然が引き起こしたものだ。」

 クリスカの問いにユウヤははっきり答えるとユウヤは立ち上がって何処かへ

行こうとした。

 「!!何処へ行く!!」

 クリスカはユウヤにそう聞くとユウヤはこう答えた。

 「ここが何処か分からないといけないからな。下手したらユーコン基地外かも

しれないからな。」

 「なっ!」

 クリスカが驚くとユウヤはそれじゃあなあと言って少し先へ向かおうとした。

 クリスカはどうしようと心の中でそう思っていた。

 自分達はどう考えても逃亡者のレッテルを貼ってしまったようなものだ。

 良くてもイーニァと離れ離れになり最悪はそのまま処刑台という末路が

見えているからだ。

 そしてどうしようかと考える中ユウヤが帰ってくるとクリスカ達を連れ出した。

 「ここが何処かわかったのか?」

 クリスカの問いにユウヤはこう答えた。

 「ああ、ここはまだユーコン基地内部だ。」

 「本当か!?」

 クリスカが少し恐怖してそう聞いた。

 「ああそれもとっておきの場所がな。」

 「?」

 ユウヤの答えにクリスカは疑問を感じていた。

 すると少しずつ明かりが強くなるのを感じ、目を閉じてしばらくして

目を開けるとそこは自分が見たことが無いような世界であった。

 多くの人間が道を行きかい色々と何かを話しているからだ。

 「ここは何処だ?」

 クリスカの問いにユウヤはこう答えた。

 「ここはユーコン基地歓楽街(リルフォート)だ。」




 クリスカ、イーニァの”はじめてのリルフォート”編の始まりの手前


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羽目外そうぜ、

 偶には楽になっていいじゃねえか。
 だって人間何だもの。


 道行く人間が行きかうユーコン基地の夜の街リルフォートとは昼間は居住ブロックに住む研究者や関係者の家族が利用する商業施設があるが夜になればあらゆる衛士が

その日の疲れを癒す酒吞み場として利用されているのだ。

 その中で一際目立つ一行がそこにいた。

 銀髪の女性二人を引きつれる男が一人いるのだ。

 男、ユウヤ・ブリッジスはクリスカとイーニァを連れていた。

 イーニァは初めて見るかのようにワクワクしながら周りを見ていた。

 それとは反対にクリスカはというとユウヤの手を掴みながらもビクビクと

怖がりながら着いていっていた。

 それを見たユウヤはクリスカの印象をこう思っていた。

 「≪始め見た時は狂犬みてえな奴かなって思ったけど実際は借りてきた

猫みてえにおとなしいんだな。≫」

 ユウヤはここの情報を教えた時のことを思い出した。

 

 

 

 「リルフォートだと!!」

 クリスカは驚きながらそう言うとイーニァを抱きしめて離れさせた。

 「何故我々が・・・っじゃなくて私達がここに来ることは断じてあっては

ならないんだ!!」

 「?何でだ??」

 クリスカの言葉にユウヤは疑問を抱いたがクリスカの言葉で納得した。

 「我々は党の許可以外で西側に行くことを禁じられているんだ!お前達のような

低俗で頽廃した快楽追及主義者のようにならない為にな!!!」

 それで納得したのだ。

 ソ連は社会主義であるため党の教えこそ絶対なものだと信じているのだ。

 ユウヤはそれに呆れた顔をしていた。

 確かに楽しいことを追及することに関しては現時点でアメリカがトップであるが

それがいけない事と言うのはどうかと思っていた。

 エボルトによれば同じようなことをして兵士を作り上げた難波重工のトップは自身の利益のために平気で人間を騙していたのだ。

 下の人間が規律よく守っていたとしても上層部がどうなのか分かったもの

じゃないからだ。

 するとクリスカがイーニァを連れて逆方向に向かおうとした。

 「おい、どこに行くんだ?」

 するとクリスカはユウヤに向かってこう言った。

 「我々は基地に戻る。こんな所に長居しては祖国の為にもならないしな。」

 そう言うとユウヤはクリスカにこう言った。

 「戻るって言ってもどうやってだ?ここは道は入り組んでいるしもし衛兵に

見つかればお前ら捕まって結局ばれちまうぞ。」

 「ぐっ!」

 「それに運よく戻っても何て言い訳する気だ?

『テレポートしてリルフォートに行きました。』なんて言った日には精神病棟

一直線だぞ。」

 「ググっ!!」

 ユウヤの言葉にクリスカは正しく何かに貫かれたような感じがしたのだ。

 するとユウヤはクリスカの手を掴んでこう言った。

 「良い考え浮かぶためにもまずは落ち着かせるところが重要だろ。」

 そしてユウヤはこう続けた。

 「それに・・・偶には気分晴らしも兼ねて楽しもうぜ。羽目外しても

誰も咎めねえよ。」

 そう言ってユウヤはクリスカ達と共にリルフォートにへと向かった。




 次回はアニメでお馴染みの彼女が登場!!


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知っている人間の店にも気を付けよ。

 ちょっと色んな意味でユウヤの心がヤバいです。


あの後ユウヤはクリスカ達を連れて街を練り歩いていた。

 イーニァは昼にも来るそうだが夜は外出しないせいか新鮮な表情で周りを見ているがクリスカはユウヤの手を掴みながら移動しており少しほっこりしていると

ユウヤはある店で足を止めた。

 「ここで少し一息入れるか。」

 そこは少しこじんまりしており隣にあるファミリーレストランと共通の場所と

なっていた。

 店には「Polestar」と言う名前であった。

 ユウヤはクリスカ達と店に入っていった。

 「いらっしゃーい。」

 店のバーテンダーの机には赤茶色のウエーブの髪をした女性がいた。

 彼女は「ナタリー・デュクレール」と言い元々はカナダ出身らしいのだが

BETA着陸後に行われた核弾頭一斉投下に伴い難民となってこの街に

移住してきたらしい。

 するとナタリーはクリスカ達を見て少し見惚れていた後ユウヤに近づいて

こう聞いた。

 「ねえねえ、あの子たち何処の子たちよ?あんなに美人で可愛い子たち

今迄見たことないわよ?」

 ユウヤはそれに少し困っていた。

 ソ連から連れてきたなんて信じないだろうし拉致ってきたなんて言った日には

警備員に連絡して下さいと言っているようなものなので暫く考えた結果この答えに

至った。

 「あいつらはついこないだ他の隊に入隊してきた連中で迷子になっていたから

送る手前ここに立ち寄ったんだ。」

 そう言うもナタリーは本当かな?とジト目で見てくるのでユウヤは話を

変えるためナタリーにこう言った。

 「それよりか何か酒と・・・あいつらに適当にジュースとか食べ物をやってくれ。」

 「OK.」

 ナタリーはウインクしてユウヤにはカクテルを、クリスカとイーニァにはジュース(イーニァにはパフェを出した。)

 イーニァはパフェを見てクリスカの方を向いた後クリスカがユウヤの方を向くとユウヤは良いよと頷いた後クリスカもそれに答えるとイーニァは恐る恐るそれを

食べると甘くておいしかったのでイーニァは喜びながら食べていた。

 周りの人間はそれにほっこりしながら酒や食べ物を口にしている中ナタリーは二人を見てこう言った。

 「ああ良いわねぇ。こんなに素材のいい子たちがいると・・・オッといけないわ。」

 じゅるりと涎を飲みながらそう言うがユウヤはそれに一抹の不安がよぎると

ナタリーはある事を思いついた。

 「そうだわ。ユウヤ君ちょっと二人を貸してくれないかしら?悪いようには

し・な・い・か・ら♡」

 「そう言う奴程駄目だって聞いたことあるかオイ(-"-)?」

 ナタリーの言葉にユウヤは待ったを掛けるもナタリーは二人をそのまま裏側に連れて行った。

 「それじゃあ待っててねーー。」

 そういってガチャっと扉を閉めるが声が漏れ出していた。

 「うわー。クリスカちゃんもイーニァちゃんも胸大きいのに腰細くて

羨ましいわね。」

 「え?イーニァちゃんDもあるってクリスカちゃんはFって二人とも

結構あるわねぇ。」

 「「「「「(;゚д゚)ゴクリ…」」」」」

 その言葉を聞いてユウヤ以外の男子連中が生唾飲みながらもユウヤを睨みつけるも

暫くしてナタリーが先に出てきた。

 「さあユウヤ君!いざ・・・ショータイム!!」

 そこに出てきたのは・・・メイドであった。

 「ぶふううううーーーー!!!」

 ユウヤが酒を吐き出すがそれには理由があった。

 二人ともひらひらのヘッドセットをしており服もひらひらが付いているが・・・

色んな意味で際どかった。

 胸元は谷間が見えるようになっておりイーニァの方も見えていた。

 更にスカートも太ももまでが大胆に露出しており二人の容姿を見ると

色んな意味でどうにかなりそうであった。

 するとナタリーが二人の耳元で何か囁いているがユウヤはそれが何なのか

聞き取れなかった。

 するとクリスカとイーニァがユウヤにグイっと顔を近づかせるがユウヤは

二人の胸元を見て少し顔を赤くしていると二人はユウヤに向かってこう言った。

 「「ご主人様♡ご命令くだしゃい♡♡」」

 イーニァは笑顔でクリスカは真顔であるがその言葉を聞いてユウヤは動揺した。

 「いや・・・あのな・・・。」

 するとユウヤの後ろで何やら妬ましさと憎らしさが背後でぶっ刺さるのを感じてこう思っていた。

 「≪取り敢えずこの状況を何とかしてくれ――!!≫」

 まだまだ夜は長い。




 この世界のユウヤは未だ女性関係がそんなにありません。


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悪戯する時はそれを人質とせよ。

 ナタリーの悪戯は悪童。


 「(ユウヤ・・・大丈夫か?)」

 車の中でエボルトがユウヤにそう聞いていた。

 するとユウヤは疲れた様子でこう返した。

 「ああ・・・そう思うんなら何も聞かないでくれよ。エボルト。」

 そう言うとユウヤは後ろにいるクリスカ達の方向を見るとため息が出そうになった。

 「//////」

 「(*'ω'*)」

 イーニァは楽しかったのか嬉しそうにしているがクリスカは顔を真っ赤にして俯いていた。

 「・・・何でこうなったんだよ?」

 

 

 

 ーー数分前ーー

 「「ご主人様♡ご命令くだしゃい♡♡」」

 クリスカとイーニァの台詞により色んな意味で大変な事態になっていた。

 後ろにいる男性陣が正にユウヤを殺しかねないというほどの圧を放っていたのだ。

 二人がユウヤの席の両隣に座ってユウヤを見つめていた。

 ユウヤはこの状況を何とかしてほしいと願っていたがナタリーが二人の耳元に順番に言うと先ずはクリスカがユウヤの前でつまみを持つとユウヤにこう言った。

 「あ~~ん。」

 「は?」

 ユウヤはこのことに少し何してんのと思うがクリスカの行動を見続けていると今度はクリスカがそのつまみを・・・口に加えたのだ。

 「ん。」

 「はい!?」

 今度は口でしてくれと言っているような物だがナタリーは面白がった様子でユウヤにこう言った。

 「あらあらユウヤ君、早くしないともっと大変な事が起きるわよー?」

 「お前かナタリー!!」

 ユウヤは下手人(確信犯)のナタリーを睨みつけた後クリスカの方を見ると

既につまみのチーズが解け始めていたのだ。

 このままでは最悪な展開が待ち構えていると予測したユウヤは恐る恐るそのチーズを加えた。

 「う、旨いか?」

 クリスカがそう聞くが正直味何て分からないのだが取り敢えず無難な方を選んだ。

 「ああ、旨いぞ。」

 「そうか。」

 クリスカがそう言うと・・・また口に今度はサラミを加えようとしていた。

 「いや待て!!それだけは勘弁してくれ!!」

 「む?何故だ?」

 ユウヤがまたやるのかよとストップをかけるもクリスカがそれに納得していないので理由を述べようとしていた。

 するとナタリーがイーニァにユウヤの方に指を向けると・・・そのまま背中に

抱き着いてきた。

 「ユウヤ~~~。」

 「ぐお!!」

 ユウヤはそのままクリスカごと・・・床に激突した。

 そして暫くするとそこにいたのは・・・。

 「・・・えーと。」

 「/////」

 「ぎゅ~~。」

 ユウヤの背中で抱き着いているイーニァ。

 ユウヤに・・・胸を揉まれながら下に倒れているクリスカ。

 その間で現状を把握しようとするユウヤ。

 すると後ろからパシャっとっ音がしたのでユウヤはそれを見ると

そこにいたのは・・・インスタントカメラを持ったナタリーがいた。

 「う~~~ん。良いわね。メイドを囲う衛士の淫らな一枚。何が何だか

分からないのが魅力ね~~。」

 ナタリーは腰をくねくねしながらそう言うとこう続けた。

 「後何枚か撮るからポーズ宜しくね。今度はユウヤの腰の上で一人一枚撮って。」

 「これ以上はやめてくれ~~!!」

 ユウヤはクリスカを押し倒しながらもそう言うがある一言で従わざる追えなかった。

 「この写真アルゴス試験小隊全員に渡そっかな~~?」

 「言う通りにします。」

 その後も色々と写真を撮られるがその後もとんでもないポージングの指示があって

グロッキーになりそうになった。




 ナタリー「クリスカちゃ~~ん。ユウヤ君に胸見せつけるようにお願いねぇ。」
 クリスカ「///・・・分かった。」
 ユウヤ「いやちょっと待てって・・・近い近い!!/////」
 
 

 ナタリー「イーニァちゃ~~ん。もう少し密着( `・∀・´)ノヨロシク。」
 イーニァ「ハ~~い。」
 ユウヤ「≪こいつタリサよりも背低いくせに胸でか!!≫」


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選択

 必ずしもその選択が間違いとは限らない。


 写真撮影(公開処刑)が終わった後ユウヤ達はナタリーの店から出て行くが

イーニァを除いた二人は色々と疲労が溜まっていた。

 ナタリーはと言うと・・・「また来てね~~。」と三人を見送った。

 ユウヤはその後車を取りに行き、二人を基地にへと送るがユウヤはある事を

考えていた。

 「≪さてと・・・どうするかだよな。こいつらを・・・。≫」

 ユウヤはクリスカ達をどうするべきかと考えていた。

 「≪このまま連れて帰らせても何処に行っていたと尋問されてはいオシマイが目に見えてるからなあ。≫」

 最悪殺されることが目に見えるからね。

 「≪それか俺に部屋に泊まらせておくか・・・嫌止めよう。タリサに見つかったら

その場で喧嘩になるしVGやヴィンセントに見つかったらあることない事

振りまかされるし、イブラヒム中尉にどやされるし、問題の先送りにしかならねえ。≫」

 更に言えばタカムラ中尉からも何かと文句を言われ下ろされる危険性が高いしね。

 ユウヤはどうしようかと考えている中エボルトがユウヤにある考えを持ち掛けた。

 「(おいユウヤ、俺に任せてみねえか?)」

 「≪あ?≫」

 「(俺様なら交渉する際に連中の気を引けるもの用意できるからあいつらを何とかして出来るしそれに・・・。)」

 「≪それに・・・?≫」

 エボルトが言い淀むような感じになるとユウヤはそれを聞いた。

 そして出た答えは・・・。

 「(ここ最近外に出れてねえから暇なんだよ!!)」

 「≪・・・アアそう。≫」

 あまりにも自分勝手な理由にユウヤは呆れていたがまあ確かにそうだった。

 「≪そういや最近は変身してねえから外に出してなかったしそれに戦術機にばっか目を向けていたからそりゃストレス溜まるわな。≫」

 ユウヤはその理由を知っているがクリスカ達がいる前で大丈夫なのかと思っていたがエボルトはユウヤにこう言った。

 「(大丈夫だって。こいつらだってリルフォートにいたんだぜ。これがばれたら

あいつらもただじゃ済まねえから黙ってくれるって。)」

 ユウヤは本当かよと思っているがそろそろ基地が見えてきたのでユウヤは一度止めてクリスカ達にこう言った。

 「なあ二人とも・・・ちょっといいか?」

 「「??」」

 ユウヤは二人を見てこう言った。

 「これから起こる事は誰にも話さないでくれよ。」

 「「???」」

 クリスカとイーニァは何がなんなのか分からなかったがユウヤはまた車を走らせると懐に入れていたネビュラスチームガンを出した。

 「!!」

 クリスカは何をするのかと思いイーニァを守ろうとするとユウヤはポケットから赤いフルボトルを出した。

 「・・??」

 クリスカはそれが何なのかと思っているとそれを銃に装填した。

 『コブラ!!』

 「蒸血。」

 『ミストマッチ』

 『コ・・・コ・・・コブラ』

 すると銃から赤黒い煙が立ち込み始めた。

 「またあの煙か!!」

 クリスカは口を塞ぐとそれが見えた。

 煙突のような突起物を持った何かが。

 『ファイヤー!!』

 ピィーと花火が上がるとそれを見てクリスカとイーニァは驚いた。

 ワインレッドの装甲

 コブラを模したバイザーと胸部装甲

 そして人ならざる様な気配

 「アナタハだーれ?」

 イーニァはそう聞くとそれはこう答えた。

 【俺様か?俺様の名前は・・・〈ブラッド・スターク〉だ。】

 そしてスタークはネビュラスチームガンを基地に向けるとこう言った。

 【さてと・・・ショータイムと洒落込もうぜ!!】

 そこから放たれた一発がエボルトの始まりであった。

 




 エボルト「(やっと・・・やっと・・・やっと・・・やっと
変身したぜーーー!!!)」
 ユウヤ「嬉しそうだな。」


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基地での騒動

 エボルトのくそったれな花火の後。


 エボルトが放った一撃はソ連軍の基地手前に当たって大爆発を起こした。

 するとサイレンがけたたましくなり始めた。

 『緊急事態発生!!緊急事態発生!!何者かが基地に強襲!!各戦闘員は銃器を

持って迎撃に移れ!!繰り返す!!』

 「何だこの状況は!!」

 「はっ!!同志中佐!!侵入者かと思われます!!」

 警備兵の一人が恰幅のいい男性に敬礼して答えるが男は苛つかせながらこう聞いた。

 「それがどこの工作員なのかをはっきりさせるのが貴様らの仕事であろう!!」

 そう言った後男はもう一人の男性の方を見た。

 「それでサンダーク中尉。彼女達の居場所もわからず今度はこの状況を貴官は

どう見ている?」

 男が見ている人間は知性溢れているがどこか冷徹な一面を持つ男性がそこにいた。

 彼の名は「イェジ―・サンダーク」と言いソ連軍のエリート部隊「中央戦略開発軍団」と言うエリート部隊に属しており実際は大尉同等の権限を有しているのだ。

 「通常でしたら彼女達は何者かに拉致され、我々が保有する研究資料を奪取する

という目的がセオリーだと思われますが然し・・・。」

 「しかし何だね?」

 サンダーク中尉の言い淀みに男は苛々として聞いていた。

 そしてサンダーク中尉はこう続けた。

 「何故時間差がここまであるかです。本来なら彼女達を拉致した後に研究資料を

奪えば済む話なんですが我々が彼女達を探し始めたのは十分前。その間ですが

恐らく空白時間がそれなりにあるはずなんです。何故その間にそれまでなりを

潜めていたかについて疑問が残るのです。」

 その言葉に男も一緒に考えているとオペレーターから通信が入った。

 「攻撃をしてきたと思われる人間が乗る軍用車が一台接近!!」

 「「!!」」

 二人はそれを聞いて真っ先にモニターを見るとその光景を見るとその下手人の格好に正直言えば・・・何あれと思っていた。

 「・・・何だなあれは?同志中尉。」

 男の言葉にサンダーク中尉は少し苦笑いでこう言った。

 「・・・恐らく最新のスーツか・・・カッコつけでしょうか?」

 流石に誰も答えられなかったがそれが色んな意味で裏切られることとなったのは

直ぐ後の事であった。

 

 

 

 「止まれ!!ここはソ連軍の基地である!!直ちに車を止めて投降せよ!!」

 するとエボルトがネビュラスチームガンを向けてこう言った。

 「イヤだね。」

 そして銃弾はそのまま警備兵の機関銃に命中した。

 「「「「「ぐあ!!!!」」」」」

 そしてそのまま車は検問所を越えて基地の入り口前にて止まった。

 エボルトはクリスカ達に伏せているように言うとエボルトは降りてこう言った。

 「ざっと20人ってところか。まあ・・・リハビリぐらいになるだろう。」

 「貴様!!どこの所属だ!?」

 警備兵の一人がそう聞くとエボルトはこう答えた。

 【俺様か?・・・初めまして・・・『ブラッド・スターク』だ。】

 そしてエボルトは全員に向けてこう言った。

 【俺様を楽しませろよ?ソ連軍の軍人ども!!】




 次回はエボルト無双!!


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蛇から兎

 オリジナルライダー登場。


 【フハハハハハ!!】

 エボルトは物凄いが付くくらいハイテンションだった。

 これ迄外に出られなかった鬱憤を晴らすかのように・・・警備兵をなぎ倒していた。

 「ぐあ!!!!」

 ある者は殴り飛ばされ。

 「ぐえ!!」

 ある者は蹴りとばされ。

 「うぎゃ!!」

 ある者はネビュラスチームガンで叩き潰されたりとまあ・・・ボコボコに

されていた。

 「な、何ナンダこいつは!!」

 警備兵の一人がそう言いながらマシンガンをエボルトに当てるも・・・傷一つついていなかった。

 ライダーシステムは通常兵器では傷一つ着かず然も再生能力を持つことも出来るため唯一傷付けれることが出来るのもライダーシステムである。

 それを知らない彼らからすれば化け物其の物と呼んでもいいくらい悪夢を見ているのである。

 「もう無理だ!!」

 警備兵の一人がそう言うともう一人の警備兵がその男にこう言った。

 「何を言っている!!ここを通してしまったら我々は党の役目を

果たせないんだぞ!!」

 それにと警備兵が言うとこう続けた。

 「もうすぐ強化外装部隊がここに向かってるから彼らが来るまでここを死守するんだ!!」

 それで我々の勝ちだと言って鼓舞させた後機関銃でエボルトに立ち向かって・・・

そのままぶっ飛ばされた。

 

 

 

 「≪おい、エボルト。少しやり過ぎだろうが!!≫」

 ユウヤがエボルトにそう言うとエボルトはこう返した。

 【おいおい何言ってんだよユウヤ>こいつは俺流のオープニングセレモニー何だぜ?これくらい派手にしなきゃあよ・・・出る者も出ねえぜ。」

 「≪出る物って一体なんだよ?≫」

 ユウヤがエボルトを制止しようとするとエボルトは意味深な言葉を吐いた。

 そして何かが高速でやってくるのをマスク内でのレーダーから感知した。

 【おおっと・・・役者が来たな。】

 そう言うとそこにいたのは・・・巨大なロボットのようなパワードスーツを

身に纏った兵士がいた。

 「貴様が侵入者か。容赦しない!」

 そう言って大型の腕を振るうとエボルトは流石にヤバいと思って下がると後ろの

兵士がチェーンガンを使ってエボルトを撃ち落とそうとした。

 【流石にスペックはガーディアン(初期型)と同程度ってところか。】

 するとエボルトは腰についてあるフルボトル格納機からコブラフルボトルと同じ赤いフルボトルを出して振るとこう言って挑発した。

 【ま、遅けりゃ敵でもねえな。】

 そう言うとエボルトはフルボトルを替えて装填した。

 『ラピッド!!』

 「蒸血」

 『ミストマッチ!!』

 すると又もや赤黒い煙がエボルトの周りを包んだ。

 『ラピッド・・・ラ・・ラピッド!!』

 『ファイアー!!』

 再び火花が散るとそこにいたのは両腕に小型の剣が付いた兎の耳のようなバイザーが付いたライダーが出てきた。

 「な!何なんだアレハ!!」

 兵士の一人がそう言うとエボルトはこう名乗った。

 【仮面ライダージャック・スターク。】

 そして本来の持ち主の決め台詞を吐いた。

 【さあ、実験を始めよう。】




 戦兎「俺のせりふを奪うな!!エボルトーーー!!!」
 エボルト「言ったもん勝ちだぜ♪」


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兎の悪夢

 悪夢は空を舞う。


 「な・・・何だあれは・・・?」

 恰幅の良い男性が顎を大きく開けてそう言った。

 先程迄強化外装部隊が相手していた工作員?が赤黒い煙を立ち込ませると違う赤を

身に纏った兵士が出てきたのだ。

 「あれは何処から来た!!手品の一種じゃないのか!?」

 恰幅のいい男がオペレーターに怒鳴りながら聞くもオペレーターも何が何だか

分からない様子であった。

 するとそれを見ていたサンダーク中尉はオペレーターにこう命令した。

 「直ちに強化外装部隊に奴を捕獲するように伝えろ。出来なくてもやれとな。」

 「り、了解!!」

 サンダーク中尉の命令に恰幅の良い男はサンダーク中尉にこう詰め寄った。

 「気は確かか!!サンダーク中尉!!あんな何者なのか分からない奴など早く殺してしまえば良かろう!!」

 するとサンダーク中尉は恰幅の良い男に向かってこう言った。

 「同志中佐。あれが何なのかはさておいて奴が主謀犯なら彼女達の居場所を

知っている可能性が高いと思われます。奴を拷問してやればどこに行くのかも

検討が付きます。」

 そう言うが恰幅の良い男は少しう~~んと唸っているとオペレーターがこう言った。

 「アンノウン!!強化外装部隊に攻撃を開始しました!!」

 「「!!」」

 二人はそれを聞くや否やモニターを凝視した。

 その戦いを見るために・・・

 

 

 

 

 【仮面ライダージャック・スターク】

 【さあ、実験を始めようか?】

 その言葉を聞いていた強化外装部隊は困惑していた。

 自分達が先程迄戦っていた兵士が別の兵士にすり替わったのだ。

 どういう原理か分からないが全員はお互い顔を見て取り敢えず敵として対処しようと考えて機銃を構えた瞬間・・・一機の強化外装の腕が斬られたのだ。

 「へ?」

 それは鮮やかに然も切れ目に乱れも見当たらなかった。

 そして後ろを振り向くと既にそれがいたのだ。

 「「「「「!!!!!」」」」」

 全員がそれをみて直ぐに攻撃をしようとするも・・・また消えたのだ。

 「また!!・・・ぐあ!!!!」

 今度は他の機体の腕を斬り捨てたのだ。

 それを繰り返しているうちに全員訳が分からなくなり始めたのだ。

 自分達が倒そうとしている敵が分からなくなってきたからだ。

 そしてまた探そうとすると上から音声が聞こえた。

 『フルボトルブレイク!!』

 それを見た瞬間それはこう言った。

 【チャオ~~。】

 そして青い光が見えた瞬間彼らの意識は彼方にへと消えて行った。

 

 

 

 【あんだよ~~。全然準備運動にもならねえじゃねえかよ~~。】

 エボルトはそう思っていた。

 「ジャック・スターク」は「ラピッドフルボトル」の特性であるスピード特化であり両腕に搭載されている「ラピッソード」はそのスピードを生かして相手を切り裂くものであった。

 然しエボルトはこのままいたぶっても面白くねぇと思い脚部の

「ラピッドスプリング」を思いっきり上空に向けて飛ばした後フルボトル格納機から

青いフルボトルを出して装填した。

 『タンク!!』

 そしてバルブを回すとこう言う音声が出てきた。

 『フルボトルブレイク!!』

 そして強化外装部隊に向かってこう言った。

 【チャオ~~。】

 『ブラストスチーム!!』

 青い四角のエネルギー体が出てくると強化外装部隊が一か所に固まり爆発した。

 そしてエボルトは着地してこう言った。

 【まだまだだな。】




 そして悪魔は語る。


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悪魔たちの会話。

 その言葉きくことなかれ。


 「さてと・・・貴様は何者なのだ?」

 ソ連軍の施設の部屋の中・・・二人の人間がそこにいた。

 一人は「イェジ―・サンダーク」

 そしてその真ん前には・・・。

 【それを聞くとなると・・・覚悟は良いようだなおい?】

 エボルトがそこにいた。

 

 

 

 

 あの後エボルトはクリスカ達をカメラに写させるようにしてこう言った。

 【ようソ連軍の諸君。こいつらは俺の元にいるが変な真似しようものなら・・・

どうなるかわかっているよな?】

 その後サンダーク中尉は全員を下げさせるように命令した後自身はエボルトの

 いるところに向かってエボルトをある部屋にへと案内させた。

 それが現在の部屋である。

 クリスカ達はその部屋が見える場所に連れ込まれている。

 そしてエボルトとサンダーク中尉の一対一の話し合いをすることとなった。

 サンダーク中尉はエボルトにこう質問した。

 「先ず第一に貴様は一体何人でここに来た?まさか一人でとは思えないのだがな?」

 通常ならそれが常套であろう。

 基地を襲撃するのに何人がかりでやらなければいけないと思っていることやら。

 特殊部隊であっても10人以上でかかるのが常套であるがここにいる存在は

その常識何て通用しないのだ。

 【は?俺様はずっと一人で行動してるぜ。お前らみたいなのと一緒にするなよ。】

 「!!・・・ほう。」

 サンダーク中尉は一瞬驚くも落ち着いた表情でそう言うが向こうにいる

恰幅の良い男は馬鹿な!!と言って否定していた。

 そしてサンダーク中尉は更にエボルトにこう質問した。

 「第二に貴様の姿形が変わったことについてだがあれはどう説明するのだ?

手品みたいに入れ替わったと言えば納得がいくのだがな?」

 そう言うとエボルトが手をかざすとここに入る前にクリスカ達に渡した

ネビュラスチームガンが突如現れた。

 「な!!!」

 流石のサンダーク中尉もそれには驚いていた。

 予め手渡しされた所を見ているためどういう原理で現れたのか

理解できなかったのだ。

 するとエボルトはその銃についてこう説明した。

 【こいつは『ネビュラスチームガン』って言ってな俺が持っているフルボトルに

応じて能力を引き出したり姿形を自在に変える事が出来るんだぜーー。】

 「フルボトルとは何かね?」

 エボルトが言ったフルボトルについてサンダーク中尉はそう質問するとエボルトは

格納機から一つのフルボトルを出してこう説明した。

 【コイツが『フルボトル』だ。こいつにはあるエネルギーが入っていてな、それを使って変身しているのさ。】

 「ほう・・・それは我々にも使用できるのか?」

 サンダーク中尉はそう聞くがエボルトはこう返した。

 【いや生憎だがこいつを使うには『ネビュラガス』を体内に取り込まさなければ

ならねえが生憎俺しか持ってなくてな。】

 「『ネビュラガス』?それは聞いたことはない代物だな。どのような

効能があるのかね?」 

 サンダーク中尉はそう聞くとエボルトはクックッと笑いながらこう答えた。

 【『ネビュラガス』を浴びれば人間以上の生命力や、身体能力を手に入れることも

出来るが・・・副作用もあるんだなあこれが。】

 そう言うとエボルトは向こうにいる人間目掛けて・・赤い弾丸を射出させた。

 【『ネビュラガス』には『ハザードレベル』っつう抵抗力が足りないと・・・。】

 「ウウウ・・・うぎゃアアアアアアアア!!!」

 そういうと撃たれた人間から赤黒い煙が出始めると・・・今度は黒い粒子が出た瞬間それは消えた。

 【それが足りねえ奴は・・・消滅する。】

 そう言うがサンダーク中尉顔色一つ変えず顎を手に掛けているがエボルトは

ここである事を言った。

 【ああそれとあの嬢ちゃん達は『ハザードレベル』がちゃんと適性値以上だから

使えるぜェ。】

 そしたらサンダーク中尉はエボルトに目線を移すとこう聞いた。

 「・・・何が望みだ?」

 そしてエボルトはサンダーク中尉にこう提案した。

 【なあよサンダーク中尉?・・・俺様と取引しねえかい?】




 その答えは全てを狂わせる。


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夢の事

 夢って何だか変な事多くね?


 『礼節を弁えて、思いやりの心を忘れず、堂々とした謙虚で禁欲・・・っていうより鈍感な人だったけど・・・優しくて厳しい武人のような』

 そういやそれが親父の第一印象(まだあったことすらねえけど)。

 『そんな人になりなさいよ。』

 サムライ。そんな戦士のような称号だった。

 『あ、でもエボルトのようにはなっちゃダメよ。』

 戦士って言ってもあいつみたいになるなって言われたけどな。

 

 

 

 「・・・!!」

 「・・・・!!!」

 ああまた喧嘩してらあ。

 この間エボルトがこのこと聞いたら。

 『それが人間何だよ。会ったことすらねえくせに自分の昔の経験則だけで

判断するから争う。そして阻害しちまう。そんな連中から身を守る術を

学ばせてるんだよ。』

 周りからサルやらジャップやら言われるがエボルトが言った事思い出して

言ったなあ。

 『じゃあこう言ってやれよ。お前らもその猿が先祖なんだから結局自分で自分を馬鹿にしてるんだぜってな。』

 それ言った後何人かに囲まれたなあ。(全員ボコってすっぽんぽんにしてごみ箱にボッシュートしたけど)

 虐められたときは半殺しして従わせたなあ。(先生にも怖がられたが。)

 周りの大人たちはそれ以降何もしなかったなあ。(恐怖心からだけどな。)

 ・・・そういやあこう聞いたなあ。

 『ねえママ。パパってどうして帰ってこないの?』

 それ聞いた後ママこう言ったっけな。

 『どうしても知りたい?』

 『うん』

 それを聞いた後ママの出た言葉。

 俯いて暫く経って出た言葉。

 それは・・・

 『パパはね・・・』

 何か分からなかったのでママの顔を見ようとした瞬間・・・二人の人間の顔になってこう言った。

 「「ご主人様♡ご命令くだしゃい♡♡」」

 

 

 

 

 「違うだろ!!おいごらあ!!!!」

 ユウヤはベッドから起きて大声でそう言った。

 「・・・夢かよ。」

 ユウヤは色んな意味で汗を掻いていたためシャワー室に入ろうとするとある事を思い出した。

 「それでエボルト・・・。あの条件何なんだよ一体。」

 するとエボルトはユウヤにこう言った。

 「(あああれはな・・・あいつらを思っての事だよ。)」

 「あいつらを思ってねぇ。」

 「(ああ、命令違反したこと帳消しするぐらいにいい物が必要だしな。それに)」

 「それに?」

 「(何でもねえよ)」 

 ユウヤはエボルトと話している中昨日の事を思い出した。

 

 

 

 

 【取引と行こうぜェ。サンダーク中尉。】

 エボルトはサンダーク中尉にそう言った。

 「取引とは?」

 【ああ簡単だよ。あの嬢ちゃん達をリルフォートに外出する許可だよ。】

 「・・・は?」

 サンダーク中尉からすればなんじゃそれと言う条件であったがエボルトはさらにこう付け加えた。

 【ああ外出するさいにはユウヤ・ブリッジスが迎えに来た時が必要条件だ。】

 「ユウヤ・ブリッジス・・・。」

 サンダーク中尉はある事を思い出した。

 クリスカ達を助けた衛士の事を。

 「〔こいつはアメリカの諜報員か?いやそれでもあそこまでのテクノロジーを持っているのなら戦術機にも応用されているはずだ。何が目的だ?〕」

 然しサンダーク中尉はこう言う事も考えた。

 「「仮にそうだとしてもこの力を手に入れると考えるならそんなこと

粗末な事だな。〕」

 そしてサンダーク中尉はエボルトにこう言った。

 「良いだろう。お互い良い関係である事を期待しよう。」

 【なら契約成立だな。】

 そしてお互い手を取り合った。

 これにより悪魔との契約が実現したのだ。

 

 

 

 「≪あの後ネビュラガスをケースにぶち込んだ後テレポートしてトンズラシテ今に至るんだよなあ≫」

 ユウヤはエボルトの目的が気になっていたがカレンダーを見てこう思っていた。

 「先ずは目先の成果だな。」




 また大変な一日が始まる。


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マジやべえ

 機体完成までもう少し


 「今度は何だよおい!!」

 コックピット内が赤色に点滅すると同時に耳障りな警告音が鳴り響いた。

 「規定進路から3,6m逸脱ってそれが何だってって痛!!」

 ユウヤは現在ハイブ内の高速侵攻と言うJIVESシュミレーターでやっているが

どうやらハイブの内壁に接触したということでフィードバックされたようだ。

 「なめんなよーーー!!!」

 ユウヤはそれを持ち前のリカバリーで機体の規定進路に戻るといきなり

レーダーが飽和状態になった。

 「飽和ってまさか!!」

 すると下から大量のBETAが出てきた。

 「くそっ!偽装横抗(スリーパー・ドリフト)かよ!!」

 ユウヤは予め飽和状態になったと同時にスラスターを上方に上げるようにしたが更に奥にも二つ山が現われそうになった。

 「オイオイ嘘だろ!!なんの虐めだよ!!」

 如何やらこのルートはスリーパーの密集地帯であり上下からBETAが現われる

設定であろう。

 ユウヤは背面部の120mmの突撃砲を起動させて山頂部の一角を

吹き飛ばした後長刀を使って匍匐飛行しながら近くのBETAを切り払って直進した。

 「チェックポイント3-+4,52」

 レシーバーからコマンドポストにいる人間からの言葉に耳を貸さずユウヤはそのまま薙ぎ払いながら進むもある事に気づいた。

 それは・・・

 「ああまたかよ!!」

 長刀がハイブ当たる回数が増えたのだ。

 ハイブは場所によっては狭い箇所が幾つかあり長刀でも対応できるところが限られて行くのだ。

 ユウヤは仕方がないと思い長刀を・・・ハイブの天井部分に刺しあてた。

 そしてBETAが来るのを見計らい残りの突撃砲を使って長刀目掛けて斉射した。

 するとその攻撃に耐えきれなくなった天井が崩れ始めるとそこにいたBETAも

生き埋めとなった。

 「よっしゃあ!!後は・・・。」

 そして短刀を構えて突撃砲の中で弾が十分に残っているのをもう片方の手に収めるとそのまま突撃していった。

 「おらいくぜ!!バケモノ共がーーー!!!」

 

 

 

 「疲れたーー。」

 「大丈夫かよユウヤ?」

 ほいとヴィンセントがユウヤにミネラルウォーターが入ったパックを差し出してユウヤがそれを飲むのを確認するとヴィンセントはユウヤにこう聞いた。

 「如何だったよ?『不知火』の感想はよ?」

 そう聞くとユウヤは有りの侭を答えた。

 「どうもこうもこいつはトンでもねえじゃじゃ馬だよ。」

 そう言うとヴィンセントはどこがと聞いてユウヤはこう答えた。

 「性能はダントツだがアメリカが搭載させたスラスターを付けるだけでぶれが

大きいし、なにより機体制御が敏感過ぎるから扱いが難しい事この上ないしそれに・・・。」

 「それに?」

 ヴィンセントはその続きを聞こうとした。

 「武器にも問題があるな。特に長刀はハイブの中じゃあ扱いが限られっちまうから

(突撃前衛)ストーム・ヴァンガードからすりゃもう少し広いハイブかこいつの

尺を短くするしか対応策が思いつかねえな。」 

 ユウヤの言葉からヴィンセントもなるほどと思った。

 ハイブは広ければ広いほど攻略する難易度が高く厄介であるがまだ新しい

ハイブは反対に攻略難易度は低いがその代わり狭いところが幾つもある為長刀のような得物には相性が悪いのであろう。

 それならばもう少し短くしてあらゆる状況に対応できるようにしなければこれからの戦いに影響が出るだろう。

 そしてユウヤはヴィンセントに空になったパックを渡して立ち上がった。

 「それじゃあ今日のやつレポートに纏めてくるから調整頼むわ。」

 そう言ってユウヤはタラップから降りるのを確認してヴィンセントは

吹雪の方を見た。

 これから新たに作られる『不知火』の代替え機とは言えここ迄頑張って

くれているためヴィンセントももう少し頑張るかとコンピューターに手を出した。




 まだ不知火は出ません。


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誰かのために

 仲間や家族、愛する者たちの為になるなら。


 「な、・・・何だこの報告書は・・・?」

 「見ての通りです。中尉。」

 タカムラ中尉はユウヤのJIVESでの戦闘データを見た後ユウヤの報告書を

見比べてみるがどれもこれも真っ当とは程遠い物であった。

 「ハイブの天井を長刀で壊して・・・そのまま戦闘に突入・・・2、3度

同じことが起きて戦闘終了時には・・・。」

 「全兵装が空になったのです。」

 タカムラ中尉の言葉にユウヤはしれっと答えるが損害状況も酷いの一言に尽きるのであった。

 「機体頭部は未だしも両腕の関節摩耗が限界値を越え・・・脚部に関しては

右足損傷大で本来なら二度と治らないレベルの機体損傷って・・・。」

 「どうしました中尉?」

 ユウヤは頭を抱えるタカムラ中尉を見て尋ねるとタカムラ中尉は大声でこう言った。

 「貴様はナニしてるのだーーー!!!」

 「はい?」

 ユウヤは何言ってるのか分からなかったのだ。

 「貴様はドウイウ考え方なのか分からないが色々と聞くぞ!!良いな!!」

 「は、はい。」

 ユウヤは尻込みしながら答えるとタカムラ中尉は息を荒立ててこう聞いた。

 「何故長刀をハイブの天井に刺したのだ?」

 「はっ!幾つかスリーパーされたところがあり脆くなっている箇所が確認された為BETAを振り切る時間稼ぎを実行したからであります!」

 ユウヤの言葉に対してはタカムラ中尉は意見が幾つかあった。

 「何故時間稼ぎを実行したんだ?BETA共が突撃して通路が簡単に

開けられるのだぞ?」

 「それでも最初よりかは狭くなりますので連中の数を限りなく減らすことが

出来ます。」

 ユウヤの言葉にはタカムラ中尉は少し考え始めた。

 確かに堅牢であるハイブの内壁は堅いがそれでも弱くなっている部分が

存在している。

 そこを潰しておけばいかにBETAであっても再建には時間がかかるだろうと

思うからだ。

 然しタカムラ中尉自身は納得していなかった。

 「貴様は計画を何だと思っているのだ?」

 正直言えばユウヤがこの計画で「不知火」に乗ること自体納得していないのだ。

 「この計画には我々帝国の未来が掛っているのだ!!」

 「だが来てみれば最高補の戦技研出向だといっても機体をまともに動かすことも

出来ず、真っ当な操縦も出来ない変態ときたものだ!!」

 然も目標水準よりも低いため本来の計画よりも遅れが生じていた。

 「この計画を私物化されることを許すことも出来ないし更に言うなら!!」

 然しこの一言はユウヤをキレさせる言葉となった。

 「前線の者たちが頑張っているからこそ我々はこうして暢気に演習『ごっこ』に興じられのだぞ!!」

 「・・・ごっこだと?」

 突然ユウヤが机を叩きつけてこう言った。

 「何だ?」

 タカムラ中尉は目つきを鋭くするとユウヤはこう言った。

 「俺の事はまだいいぜ。自分の失態で計画に支障が出るからっつう理由ならな。」

 「けどな・・・あんたは戦術機を作る人間にもリスクがあるって分かってんのか?」

 「機体を整備する人間はデータの一つもミスが無いのか入念にチェックしたり

帰ってきた際の損傷状況とかも把握しなきゃいけないし取りこぼしが無いかと

いけねえし俺達テストパイロットだってな自分のテストした機体が突然爆発したり

言うこと聞かずに暴走したりとそういうリスクを背負ってやってるんだよ!!」

 「それにもう一つ言うなら機体の調整もそうだ!こっちの意見を聞かずに推し進めて上から言うだけで実際に乗ったやつの口から出た言葉を聞こうともしない!!

これで戦術機が組み上がるなんて阿保か!!『不知火』の二の舞食って

同じ轍踏むぞ!!」

イブラヒム中尉からも少し遅くしてみないかと進言するも脇目も降らず進行

しているのだ。

 更に言うならば「不知火」は元々対BETA戦に備えて急遽作られた機体だが衛士の要望聞き過ぎたせいでガッチガチになってしまい現在のような状態になってしまったのだ。 「最後に言うがよ!!俺以外にここにいる連中にも同じこと言えるのかよ?」

 「あ・・・。」

 タカムラ中尉は失念していた。

 ここにいるテストパイロットは全員前線から出向しておりテストパイロットになったのも国を奪還したいと願ってきたからである。

 「『演習ごっこ』とかいうけどなあいつらだって本当は仲間のいるところに

いたいのを我慢してまでここにいて戦術機を作ってそれで仲間が一人でも多く救えると信じて血反吐吐く迄頑張ってんだぞ。」

 そしてユウヤはブリーフィングルームの出入り口に向かっていくときこう言い

残した。

 「あんただけじゃねえんだよ。国を思ってんのわよ。」

 そう言ってユウヤは出て行くが残ったのはどうすればよいかと悩むタカムラ中尉であった。




 皆の為に闘おう。


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酒場でのひと時

 酒は飲んでも飲まれるな。


 「ふざけんじゃねえぞ!あのアマ!!」

 タリサはナタリーのバーでユウヤから語られたタカムラ中尉の会話を聞いて怒り心頭だった。

 「『演習ごっこ』だと!!自分達じゃ何も出来なくてアメリカに力借りなきゃ国土もまともに取り戻せなかった癖に『ごっこ』だと!!あたしらみたいに亡国に

墜ちちまった連中の気持ちを考えたことぐらいあるのかっつうの!!」

 タリサは鼻息荒しながら酒を飲んでいるが余計にヒートアップしていた。

 アルゴス試験小隊は国は違えども全員国をBETAに蹂躙されてしまった言わば

難民であるのだ。

 それでもここにいるのは自分達が作った戦術機が味方を守ってくれていると

信じているからだ。

 そしてそれはVGやステラも同じであった。

 「いやー見たかったぜユウヤがキレた瞬間、タカムラ中尉の度肝

抜いたんだろうな。」

 「それにしても彼女だって私達と同じかそれ以上の最悪な状況を見てきたはずなのによく言えるわね。」

 そこにいたら引っ叩いてたわ。と言いながらグラスの酒を飲み干すステラだった。

 そしてユウヤも頭を冷やそうと酒を飲んでいるとまた誰かが入ってくるのが見えた。

 「いらっしゃ~い・・・あらあら久しぶりねぇ。」

 「な!!」

 タリサがその客を見て驚いた。

 そこにいたのはタリサの最も会いたくない天敵ともいえる存在。

 「お邪魔する。」

 「ユウヤ~~。」

 スカーレット・ツインである。

 「よー。クリスカ、イーニァ。お前らも来てたのか?」

 「まあな。」

 その光景にタリサ達は驚いていた。

 ソ連軍はリルフォートに来ること自体が無いのでここに来る所をみたのは

初めてなのだ。

 するとナタリーが二人にこう聞いた。

 「イーニァちゃん。ジュース何がいい?クリスカちゃんも何か飲む?」

 するとイーニァはこう言った。

 「じゃあ・・・あかいの。」

 「はい、イチゴジュースね。クリスカちゃんは?」

 「それじゃあ私は・・・ユウヤが飲んでいるもので?」

 「いや貴方まだ未成年じゃん。ソーダ出しておくねぇ。」

 最早本当にあのスカーレット・ツインなのか怪しくなるところであった。

 タリサはナタリーに、ステラとVGはユウヤに詰め寄った。

 「おいナタリー。あいつら知ってんのかよ?」

 タリサはナタリーにそう聞くとナタリーはこう返した。

 「ええ、知ってるわよ。昨日ユウヤ君達と一緒に来たからね~。」

 「はあ!!ユウヤが!?」

 タリサはユウヤの方を見るとステラとVGがこう聞いた。

 「あの二人とどういう関係よユウヤ?」

 「いつのまにスカーレット・ツインとそんな関係なんだよ?」

 それを聞いてユウヤは少し濁してこう返した。

 「ああ色々と会ってな。イーニァが迷っている所を俺が見つけてな、丁度クリスカもイーニァを探してリルフォートを歩いていたのを見かけたから挨拶がてらにこの店で奢ったんだよ。」

 「「・・・へえーー。」」

 少し疑っているようであった。

 流石にこの店で起きた騒動や仮面ライダーになった事は内密にしなければ

ならなかったのだ。 

 「ああそうだ。クリスカちゃんとイーニァちゃんのメイド服姿写真に収めたんだけど見る?ユウヤ君とのタッグ付きよ~~。」

 「おいちょっとそれはやm・・・。」

 「「「ぜひ見させてください。」」」

 「おいーー!!」

 ユウヤの言葉をタリサ達が打ち消してそれを見た後タリサは何故か角っこで体育座りしていじけていたりステラは微笑ましい表情で見ていたがVGはと言うと・・・。

 「何で俺も誘ってくれなかったんだよユウヤーーー!!!」

 血の涙流しながらそう詰め寄ったらしい。




 悪戯心ここにあり。


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試すか試されるか?

 少し内容が変わっています。


 次の日。

 タカムラ中尉はある懐中時計を手にしていた。

 その場所は自室ではなく衛士用の詰め所であった。

 そして本人の格好もいつもの国連軍の制服ではなく黄色の衛士用の強化服であった。

 彼女は何やら決意したような面持ちで詰め所を出た。

 するとそこにはイブラヒム中尉が壁に背を預けるような感じで立っていた。

 「その様子だと本気でやるようだな?」

 「はい。私は私のやり方で彼を見定めようと思っていますので。」

 ではと敬礼してそのばを立ち去った後それを見ていたイブラヒム中尉は天井を

見るように上を向いた後こうつぶやいた。

 「これを見越したうえでユウヤ・ブリッジス少尉があれを上申したのなら

タカムラ中尉が思っているよりも奴は策士なのかもしれないな。」 

 そう言った後イブラヒム中尉はこう言った。

 「前に進むだけじゃあ解決できないことがあるという事をあの子娘に教えて

やって来いユウヤ・ブリッジス少尉。」

 その独り言を聞いた人間は誰もいなかった。

 

 

 

 

 「さてと、俺も出ますか。」

 アルゴス試験小隊の戦術機三種類四機が発進したのを見送ったヴィンセントは

演習試験を見るためにハンガーに止めている高機動車に乗ってコマンドポストに

向かうこととした。

 だが彼が車両に乗ろうとすると隣のハンガーが慌ただしくなっているのを見て

眉を顰めてこう言った。

 「あそこは確か日本軍のハンガーだったよな。」

 ヴィンセントはある事を思い出した。

 整備兵は仕事柄か気さくで家庭的又は、粗野で博打好きと言った面子が多くいるが

その中にある一団はそれとは違い、服装を整え、雑談に応じず優等生みたいな

印象が強かったのだ。

 これまでこっちには一切関わらなかった彼らが何やら慌ただしくやっているのを見てヴィンセントは近づいて見に行った。

 正面のシャッターから見えたのは今朝方迄保護シートに被されていた機体が

見えたのだ。

 そこにあったのは・・・。

 「おいおい嘘だろこれ・・・。」

 ヴィンセントはその機体を見て驚いていると後ろから気配がするのでそろーと

見ると・・・。

 「何をしている。」

 完全武装の帝国陸軍の警備兵が銃を持って構えていた。

 

 

 

 

 そんなこととは露知らずユウヤ達は演習場に来ていた。

 ユウヤはタリサの「アクティブ・イーグル」とステラの「ストライク・イーグル」を見た後VGの方を向いてこう聞いた。

 「どうだVG、そいつの調子はよ?」

 するとVGはうきうきとしながらこう返した。

 「最高だぜユウヤ。この『吹雪』前に乗った『ストライク・イーグル』よりも

ちゃんとしてるしヴィンセントの整備のおかげで反応が俺好みときたもんだぜ!」

 そうかとユウヤが答えた後もう一度ユウヤはその機体を見た。

 それは嘗て日本の機体をよく知ろうとユウヤが乗っていた「吹雪」であった。

 ユウヤが「不知火・弐型」に乗り換える前にイブラヒム中尉にVGに乗らせてほしいと頼んだのだ。

 無論イブラヒム中尉は最初は乗り気ではなかったが他国の腕のいい衛士が搭乗すればよりその機体のデータが取れるのではないかと上申した後丁度そこにいたハイネマンも賛同しVGに預けることとなった。

 ユウヤ達は自然の地形を活かした場所で大抵は対人戦用の場所であるのだがステラがレーダーであるものを見た。

 「皆気を付けて、無断侵入者よ。」

 「「「!!!」」」

 全員がそれを聞いた後武器を構えた。

 万が一、戦闘になった時を想定しての動きであろう。

 「こちらアルゴス1、正体不明機がって!!!」

 通信をしようとするとノイズが出ており随伴機以外には繋がらなくなった。

 「おいおいこんな時にって冗談だろ。」

 VGは浮ついた顔を引き締めた後全員にこう言った。

 「全機聞いてくれ。俺達はこれより正体不明機と戦闘になるがデータから機体を引き出してくれ。相手がどんな奴か知りたい。」

 そう言った後ユウヤ達はデータを見ているとユウヤのデータに該当する機体が

あった。

 「おいみんn・・・。」

 ユウヤが全員に報告しようとするとそれは湖に降り立った。

 戦術機にしては鮮やかな山吹色の塗装。

 機体は鋭利な刃物みたいに鋭角なパーツが幾つかあり。

 人食い鮫か鎧武者のような顔立ちをしていた。

 そしてユウヤはその機体情報を見た。

 「フガク・ヘビーインダストリアルタイプ00F『タケミカヅチ』」

 「配備開始は2000年の2月・・・ちょっと待てよ?」

 ユウヤのその声に全員が何事かと聞いた。

 「2000年ってこいつって・・・第三世代機か?」

 「まあそうなるな。」

 ユウヤの言葉にVGはそれとなく返すとユウヤは大声でこう言った。

 「何で・・・何で・・・何で・・・何で第三世代機が三種類もあるんだよ

コンチクショーがーーー!!!」

 バカかあいつらはと言うが画面にかかれている近衛軍専用機って書かれている

言葉よりもそっちにつっこみを入れたユウヤであった。




 そりゃあそう言うわな。


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乱戦

 ユウヤの大声の後。


 「全く何で三種類も第三世代機があるんだつうのおかしいだろこれ。三と三で

丁度良いとかそんな理由だったらぶちのめすぞおい。大体同じ国で違う戦術機作る

余裕があるのかよ最前線だろ日本は?ほんとに馬鹿しかいねえのかよ帝国はよ。」

 「おおいユウヤ。ぶつくさ文句垂れるのもわかる気がするがよ少し正面の敵に

集中しよう?な?」

 ユウヤが機体の中で文句を垂らしている中VGはそんなユウヤに集中してくれねと

頼んだ。

 ユウヤは「タケミカヅチ」の方を見ると「タケミカヅチ」が自身の背部担架ユニットに搭載されている長刀を構えた。

 「面白ェ・・・その喧嘩買ってやるぜ!!」

 するとタリサは大声を上げながら「アクティブ・イーグル」の両膝から短刀を両手に構えた。

 本来「アクティブ・イーグル」は元となった「ストライク・イーグル」の

改造機であるため機動砲撃戦が主目的なのだが今回の任務は記録や訓練支援の為

突撃砲等用意している訳でもない。

 持っている短刀も模擬演習用であり唯一使えるのはユウヤの「不知火・弐型」が

持っているスーパーカーポン製ブレードである。

 然しそれでもタリサの士気は高かった。

 自身が得意とする機動近接格闘戦で然も相手はテストパイロットの誇りを侮辱した

恐らく「タカムラ中尉」の可能性が高いことから自身の誇りとここ最近ちゃんとした所見せてないことから意気揚々と挑んだ。

 「どれだけ強ーか知らねえけどな!!」

 タリサは機体を左右に動かして「タケミカヅチ」に接近するが当の機体は全く身動き取らなかった。

 「そんな刀でどう出来るんだってえの!!」

 タリサはそう言いながら短刀を「タケミカヅチ」に当てようとした瞬間・・・

「タケミカヅチ」が長刀を地面に刺して短刀を弾いた。

 「なっ!」

 すると間髪入れずに「アクティブ・イーグル」の腕を右腕で掴んだ瞬間左腕からチェーンブレードを出して機体の中枢部分に刺し込んだ。

 「うあああ!!!」

 そしてそのまま刺し込んだ長刀を抜くとそれを機体に向けて思いっきり刺した。

 「「「なあ!!!」」」

 ユウヤ達はそれを見て驚くとステラが機体を起動させてこう言った。

 「私がタリサを助けるからその間に作戦を考えて!」

 「お、おいステラ!!」

 VGの言葉も虚しくステラは無線を斬った。

 すると「アクティブ・イーグル」は機能停止して座り込むとユウヤはある事を

思い出した。

 ユウヤがVGに「吹雪」を譲渡しようと頼む際に何故イブラヒム中尉と一緒に

ハイネマンがいたのか。

 そして自身が装備している実戦用の長刀。

 そしてこの状況。

 それが一つの答えを導かせた。

 そしてイブラヒム中尉の企みも。

 「・・・全く意地悪いなあイブラヒム中尉はよ。」

 そしてユウヤは「吹雪」の肩に手を当てると接触通信でこう言った。

 「VG、分かったぜ。タカムラ中尉の目的がよ。」

 「・・・何。・・・」

 それを言っている中ユウヤは心の中でタカムラ中尉にこう宣言した。

 「≪良いぜタカムラ中尉。あんたがそのつもりならこっちもそれなりに

やってやるぜ。≫」




 企みはより高みを創る。


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いざ決闘へ。

 ユウヤ「さてと・・・悪巧みといくか。」


「・・・成程ね。イブラヒム中尉もとんでもないこと押し付けるがお前大丈夫なのか?幾ら対人戦には自信があると言ってもよ?」

 VGは作戦を聞いて呆れた様子を漂わせた後ユウヤに確認するとユウヤはこう返した。

 「ああ大丈夫さ。それにちょっと細工してやるさ。( *´艸`)」

 ユウヤは何やら悪い表情を出すとVGは冷や汗垂らしながらこう思った。

 「あははは・・・(タカムラ中尉、ご愁傷様(;´Д`)。」

 同情しねえがなと心の中でそう思った後VGはスラスターを噴かした。

 「それじゃあ行きますか!」

 「おう!!」

 ユウヤとVGはそれぞれ作戦を開始した。

 

 

 

 「〔やはり大したことないか・・・。〕」

 タカムラ中尉は「タケミカヅチ」を操縦しながらそう思っていた。

 世界中の衛士が集う場所とは言え前線から離れていれば腕が鈍ったのかと思い

落胆していた。

 元々タカムラ中尉は「不知火・弐型」のテストパイロットは日本人にすべきだと

意見を出していたが政治的な意味合いでユウヤになったのだ。

 最初は司令部で見たユウヤ・ブリッジスの第一印象は・・・危険な男であることだ。

 常識に捉われない発想力。

 僅かな情報で真実に辿り着ける洞察力。

 そして・・・言い表せないナニカ。

 それがタカムラ中尉にとっては恐怖の対象だったのだ。

 バレれば計画の中止どころか今後の日本の立ち位置も危うくなると考えたのだ。

 だからこそタカムラ中尉はユウヤを落とす為にスケジュール表通りに・・・

彼の成長を無視して実行していた。

 それでもユウヤ・ブリッジスの成長力は凄まじい物でありこのままではいけないと

思い目的をぼかして迄今回の強硬策を思いついたのだ。

 然しそれでも可笑しい状況であった。

 第一に「吹雪」がここにある事。

 あれは「不知火・弐型」の完成に伴いハンガーに格納され明日朝一に帝国に

返すはずなのであった。

 そして何よりも・・・ユウヤ・ブリッジスが動いていないからだ。

 何故動かないのかと気がかりであったが今はステラの「ストライク・イーグル」に

集中していた。

 虚実織り交ぜた近接戦を仕掛けるが彼女の本業はスナイパーであるためやはり

タリサよりも見劣りするため彼女はもう片方の長刀で弾いた後そのまま機体関節部分を切り裂こうとした時アラームがなった。

 『うおおおお!!!』

 それはユウヤ・ブリッジスが「不知火・弐型」に搭載されていた長刀を使って

突撃して来たのだ。

 「・・・やっと来たか。」

 タカムラ中尉はそれを見て構えると・・・。

 「何てな。」

 突如スラスターを右に向けるとそこにいたのは・・・。

 「おらああ!!」

 後ろでVGの乗っている「吹雪」が現われたのだ。

 「何!!??」

 タカムラ中尉は驚愕した。

 ユウヤはVGにIFFを切るように提案したのだ。

 更に自身が前に出てブラインド代わりで突っ込みその隙に入れ替わるという

至ってシンプルな作戦であるが「ラプター」に乗っていたユウヤにとっては

ステルス代わりとしての最良な作戦であった。

 「くっ!」

 タカムラ中尉は何故か躱そうとするもVGはそのまま錐揉みしながら突っ込んだ。

 「どっせーーい!!」

 タカムラ中尉はそのまま躱すとVGはそのままタリサの機体目掛けて一直線に飛んだ。

 そしてタリサを救出した。

 「よっしゃあ!!後は頼んだぜユウヤ!!」

 VGはそのまま立ち去るとユウヤはタカムラ中尉にこう言った。

 「なあよタカムラ中尉。俺が気に入らないなら勝手だがよ・・・仲間まで

手ェ出したんならそれ相応の覚悟してもらうぜ。」

 ユウヤは長刀と短刀の異種二刀流で構えるとタカムラ中尉にこう言った。

 「なあタカムラ中尉。一つ賭けと往かないか?」

 「??」

 「俺が負けたら今後一切あんたの言葉に従うがよ・・・あんたが負けたら!!」

 ユウヤは長刀を「タケミカヅチ」に目掛けるとこう提案した。

 「ナタリーの店でミニスカメイド服になって詫び淹れろやーーー!!!」

 『『『『『・・・・・ハアアアアアアアア!!!!!』』』』』

 無線経由(コマンドポスト含む)でそう言うと全員は色んな意味で驚いていた。

 無論タカムラ中尉は顔を赤くしてこう言った。

 「ふ、ふざけるな!!そんな約束出来るわk・・・。」

 『うおおおお!!!よく言ったぜユウヤーーー!!!』

 タカムラ中尉が何か言いかけた中VGが大声でユウヤにそう言った。

 『そんなの整備兵にも噛ませろよなおい!!』

 「あ、ヴィンセント。」

 如何やらどこか分からないがヴィンセントがどこからか通信してきた。

 『お前らーーー!!!タカムラ中尉のミニスカメイド服見たいかーー!!??』

 『『『『『うおおおお!!!』』』』』

 如何やら整備兵(野郎全員)も乗るようだ。

 ・・・何かいつもよりも多い気がするが。

 『貴様ら何言って・・・。』

 『ユウヤーーー!!!そのアマボッコボコにしてやれーー!!』

 『ユウヤ。ナタリーの店に行くんならお酒も奢らせましょ。』

 タカムラ中尉が止めようとするもタリサとステラによって阻まれた。

 『イブラヒム中尉!!』

 タカムラ中尉はイブラヒム中尉に何とかしてほしいと頼むも・・・。

 「あああ・・・うん。」

 コマンドポストの人員が目付き鋭くさせているためイブラヒム中尉はタカムラ中尉にこう言った。

 「・・・済まないタカムラ中尉。私ではどうすることも出来ん。」

 『そんなーー!!』

 タカムラ中尉は最早味方がいないという現実に打ちのめされる中ユウヤは

タカムラ中尉にこう言った。

 「さてとタカムラ中尉。ここ迄お膳立てしておいて逃げるはナシだぜ?」

 ユウヤが意地悪い笑顔でそう言うとタカムラ中尉は何やら震えながらこう言った。

 「勝てばいいんだ・・・勝てばそんなことせずに済む。」

 そう言いながら長刀を構えた。

 そしてユウヤも長刀を構えた。

 「さてと・・・行くぜタカムラ中尉。」

 「生き恥晒してやるぜーーー!!!」




 次回はタカムラ中尉対ユウヤ。


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決闘の結果

 そして約束は守らせる。


 「タケミカヅチ」の性能は「不知火・弐型」と比べると圧倒的に「タケミカヅチ」に軍配が上がる。

 機体性能、能力、どれを執っても「タケミカヅチ」が強いのだ。

 それに対してユウヤが取った戦闘は此れ迄培った対人戦の経験と自身がこれ迄

エボルト相手に戦った経験値である。

 「そらそら如何したよ?タカムラ中尉!」

 「ええい!ちょこまかと!!」

 ユウヤはタカムラ中尉の剣筋を見極めるため攻勢に出ず守勢に回って見極めていた。

 タカムラ中尉の剣閃を時には長刀で受け、躱し、煽りながら見極めていた。

 「ちぃ!!」

 タカムラ中尉がもう何度か分からないくらいの構えをし直す所を見てユウヤはそれを見切った。

 「≪見えたぜ8回!!≫」

 「(良いか覚えとけユウヤ。人間に限らずだがどんな奴にだって最大回数って

言うのがあるんだ。)」

 「最大回数?」

 ユウヤは嘗てエボルトが教えてくれたことを思い出した。

 「(そうだ。例えるなら拳銃は装填する数によるが最大で9発、ミサイルは一発ずつとまあ一度で何回するかによるがそいつが最も得意とする物における最大回数を只数えるだけでそいつの隙が生まれる。そこを突くことが出来ればまあ落第点ぐらいは

取れるだろ。)」

 「≪剣を上から振りかぶるのに一回、後は左右に二、三回、下から一回と合計8回。

 そこを突く!!≫」

 ユウヤはそこが唯一自分が勝てる場所と自覚していた。

 相手は自分よりも長刀の使い方を熟知した人間。

 ならば小手技を使って戦わなければ互角にやり合えないと思っているユウヤは長刀を構えた。

 それを察知したタカムラ中尉も長刀を構えなおした。

 そしてお互い呼吸を整えた瞬間タカムラ中尉がユウヤに向けてこう言った。

 『--参る!!』

 そして上段からの一撃を与えようとした。

 ユウヤはそれを長刀の橇の部分を活かして往なすが間髪入れずに下から攻撃を

加えた。

 「≪これで2撃目≫」

 ユウヤは太刀筋を見極めるために数を数えていた。

 左右からの攻撃にも対応するもその際にカーポン製の長刀から火花が幾つも飛んだ。

 そして最後の一撃に入った瞬間ユウヤは構えなおした。

 「≪ここだ!!≫」

 ユウヤは8度目の攻撃を躱すとそのまま「タケミカヅチ」の懐に飛び込んだ。

 「そこだあ!!」

 ユウヤは下から袈裟切りを仕掛けて一閃を与えようとするも・・・

それを察知していたのか「タケミカヅチ」は少し遠くに離れようとした。

 『貴様が私の剣筋を見極めようとしたくらいお見通しだ!!』

 タカムラ中尉はそのまま離れようとするとユウヤは大声でこう言った。

 「そんな訳あるかあ!!」

 ユウヤは機体のスラスターを最大噴射すると高速で「タケミカヅチ」に

突っ込んできた。

 「何い!!」

 タカムラ中尉はあまりの事に驚き、構える間もなかった。

 そしてユウヤは長刀の柄の部分を使って「タケミカヅチ」の頭部に一撃を当てた。

 「ぐう!!」

 「タケミカヅチ」の視覚センサーからノイズが走り一瞬何も見えなくなった。

 そして再び映るとそこには・・・。

 『チェックメイト』

 模擬短刀を首筋に、長刀をコックピットに当てていた「不知火・弐型」が

そこにいた。

 「約束守ってもらうぜ。タカムラ中尉。」

 『くう・・・。』

 最早そこにいたのは勝者と敗者であった。

 するとユウヤは機体を起こしてこう言った。

 「ああさっきの約束だけど明日でいいか?」

 『・・・何故だ。』

 タカムラ中尉はユウヤの言動に気になった。

 「いやさ。『不知火・弐型』やあんたの機体の整備とタリサの機体の修理で

今日は多分整備士は地獄を見るからあんたのメイド服見れないからよ。」

 そしてユウヤは小指をぐっと指してこう言った。

 「明日全員の前でやれよ( *´艸`)。」

 『・・・ウソだーーー!!!(;O;)。』

 ユウヤはタカムラ中尉に対して地獄の時間を与えたようであった。




 次回でやっと終わりが見えた。


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逃げるは恥だがそれもあり。

「逃げ恥」面白かったなあ。


「はあ!!大量生産不向きだあ!!」

 あの戦いの後ユウヤはムンクになったタカムラ中尉の乗っている「タケミカヅチ」を引き摺りながら基地に戻った後整備兵は長刀に串刺しにされた

「アクティブ・イーグル」の修理と「タケミカヅチ」、「不知火・弐型」の整備を

行った。

 尚あの後タリサは次の日の事を考えてニヤつく辺り大丈夫であったようだ。

 そして機体の修理が終わった次の日、ユウヤがコーヒー

(ユウヤオリジナルブレンド)を差し入れした時「タケミカヅチ」について

聞いてみたのだ。

 「そ、あの機体の各部には『カーポンエッジ』が幾つも付いているだけじゃあなく、専属整備士1チーム付きでなきゃ整備することが出来ないってさ。然も

コスト度外視だから性能はピカイチだけど大量生産すると国庫が破綻するレベルだから近衛軍でも全員には行き渡ってないらしいぜ。」

 ヴィンセントは目の下に隈が出来ているにも関わらずそう言っていた。

 「然も今回の計画はタカムラ中尉が進言したらしいがイブラヒム中尉は

面白くなかったのかねぇ。少しお灸を据えようと考えていたところにユウヤの進言があったから思いついたらしいぜ。」

 ユウヤは苦笑いしている中タリサ達はにこやかにこう言った。

 「まあ良いじゃねえの。そのおかげでアタシらは旨い酒にありつけるんだからよ。」

 「そうそう。然もタカムラ中尉のメイド服姿拝められるしな。」

 「今回は彼女の自業自得だしね。」

 タリサ、VG、ステラも今回の件について思うところがあるようだ。

 「そういやタカムラ中尉は?昨日の一件で今日のテストは全部キャンセルしてるってのに?」

 ヴィンセントは周りを見るとユウヤは全員にこう言った。

 「おいお前らちょっと手を貸せ。」

 

 

 

 

 「・・・・・・・・・・。(゜.゜)」

 タカムラ中尉は自室で茫然としていた。

 負けたことが尾を引いてるのではない。

 ユウヤとの賭けについて思いだしていた。

 『もし俺が勝ったらナタリーの店でミニスカメイド服になって

詫び淹れろやーーー!!!』

 「・・・どうしよう。」

 タカムラ中尉はそれで困っていたのだ。

 このままでは自分は前にここの雑誌で見たような服を着させられること

間違いなかったのだ。

 そんなことは本人のプライドや近衛の意地が許せなかったが賭けは賭けなのだ。

 破護することも出来ずこのままでは自分は自分で無くなってしまうと思ったからだ。

 そして彼女が出した答えは・・・。

 「逃げよう。」

 まさかの逃亡であった。

 するとタカムラ中尉は自室をこっそりと出た。

 そして通路に見知った人間がいないのを確認しながら外に出た。

 

 

 

 「やっぱり逃げたか。」

 ユウヤはタカムラ中尉の自室に向かわせたタリサの報告を聞いた後ハンガーに向かう最中ユウヤはある少女を見つけるといい考えを思いついてその少女がいる場所に

向かった。




 次回で多分最後。


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そしてどんちゃん騒ぎ

 これでオシマイ。


 タカムラ中尉は脱走して現在リルフォートに来ていた。

 これ迄来ることがなく初めての場所で戸惑っていた。

 「然しこれほど巨大な敷地ともなれば奴らもそう見つかりっこない。」

 現在日が傾き始め周りでは酒場を開く準備をしていた。

 タカムラ中尉は集合時間を予め把握しておりそれまでにもう一度自室に戻るまでの

時間潰しを考えていた。

 するとタカムラ中尉はある少女を見た。

 腰まで届くほどの銀の髪をした少女が何かを食べていた。

 「(?一銭焼きに見えるが中身のあの白は何だ?)」

 タカムラ中尉はそれを見て何だと思うと少女はそれを見て店に行くと同じものを

持ってきてそれをタカムラ中尉にやったのだ。

 「どーぞ。」

 タカムラ中尉は恐る恐るそれを手に取り試食すると・・・電気が体を貫き通すような感触を感じた。

 「(な、何だこれは!!甘い味の中に果物の甘さが足されて甘ったるいのにそれでも食べたいと思うこれは一体!!??)」

 「それは『クレープ』って言う食べ物ですよ。タカムラ中尉。」

 「へーー・・・え?」

 タカムラ中尉は後ろから声がしたので恐る恐る後ろを向くとそこにいたのは・・・

 「よー。タカムラ中尉。」

 旨いかと聞くとタカムラ中尉は(゜.゜)とした顔になってこう聞いた。

 「何故いるんだ?」

 「隠れるんなら人の多い場所と思ったのでそれにイーニァならタカムラ中尉は

警戒しないと高をくくったのでね。」

 そしてユウヤはタカムラ中尉の肩に手を当ててこう言った。

 「早く食べてくださいね。店はこの近くですから。」

 それを聞いたタカムラ中尉は(´Д⊂ヽ涙流しながらクレープを食べた。

 なおこの時の味は少ししょっぱかったそうだ。

 

 

 

 

 「連れてきたぞー。」

 ユウヤはタカムラ中尉を連行する序にクリスカとイーニァを連れて

ナタリーの店に来た。

 「・・・へー。この子がねえーー。」

 ナタリーはユウヤの隣(逃げないようにイーニァが手を引いている。)にいる

タカムラ中尉を見てそう言うと何やら意味深な子になるとこう言った。

 「この子はメイドじゃ駄目よ。」

 『『『『『エーーー!!!』』』』』

 全員がそれを聞いてブーイングして(タカムラ中尉はほっとしている)いると

ナタリーはタカムラ中尉に指さしてこう言った。

 「この子に合うのは・・・バニーよ!!」

 「バニー?」

 タカムラ中尉は何だそれは思うとヴィンセントが持っていたパソコンの画像を

見せるとタカムラ中尉はナタリーにこう言った。

 「ヤメロ・・・そんな服・・・絶対イヤだーーー!!!」

 タカムラ中尉は逃げようとするとナタリーが服を掴んで離さなくするとこう言った。

 「さあ・・・イキマショ。」

 「イヤーーーーー!!!!!」

 そのままバックヤードに連れて行かれるタカムラ中尉はまるでドナドナされる家畜のようであった。

 「あらあらタカムラ中尉。日本人にしては結構あるわね。Eぐらいはあるわね。」

 「何を言って!!」

 「然もこんなに綺麗なスタイル保てるなんてどういう絡繰りか聞かせて

もらうわよ!」

 「ヤメテ!!イヤーーー!!!」

 そんな声が聞こえて数分後に出てきたのは・・・。

 「ウウウウ。(´Д⊂ヽ」

 赤面泣き顔で黄色いバニーを着たタカムラ中尉がそこにいた。

 「それじゃあタカムラ中尉。言ってね。」

 「・・・あい。」

 ナタリーに何やら言われたタカムラ中尉はユウヤ達に近づいてこう言った。

 「この度は・・・皆さんに多大なご迷惑かけてしまって・・・すみません・・・

うさ。」

 『『『『『・・・・・グはっ!!』』』』』

 それを聞いた男性陣は鼻から血を流して(一名除く)嬉しがっている様子であった。

 因みに女性陣はと言うと・・・。

 「( ̄m ̄〃)ぷぷっ!うさだってよ・・・。」

 「ちょっとこれ無理wwwww」

 タリサとステラは床に手を叩きながら笑っていた。

 そしてユウヤはと言うと・・・。

 「何でお前らまでやってんだよ!!」

 「いやこうしろとナタリーが。」

 「きもちいいよー。」

 白と紫のバニーを着たイーニァとクリスカに囲まれながら酒を注がれていた。

(イーニァはユウヤの太ももに座っている。)

 その後もタカムラ中尉は魔女っ子やナース服等の色々な服を着せられるうちに

タカムラ中尉は・・・心を閉ざすことを習得した。

 そしてそんなどんちゃん騒ぎは暫く続く中広報課のコルソン大尉がそれを外で

見てある事を思いついた。

 「これだ。」

 何やらまた嫌な予感がする。




 後日タカムラ中尉は次の日休暇を入れた。
 ・・・傷心を癒すためであった。


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夢を見て・・・それ何?

 2年ぶりに復活しましたーーーーー!!


ー唯依。

 誰?

 ー唯依。

 何処かで・・・聞いた声?

 ー唯依!

 何処だったっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 「唯依!起きて!!」

 「はっ!?」

 ここはと思って唯依が起きたのは・・・何処かの学校。

 そして自分の隣にいる少女を見て・・・驚いた。

 ウエーブがかかった・・・ツインテールの少女。

 「和泉・・・?」

 唯依は何故とそう思っていた。

 何せ彼女は3年前に・・・闘士級に喰われながら死んだところを見たのだ。

 まさかと思って唯依は筆記用具を使って自分の姿を確認しようとして・・・。

 

 

 

 

 

 

 「私だ・・・3年前の。」

 嘗ての自分。

 ショートヘアーであった自分の姿がそこにあった。

 すると和泉がこう言った。

 「どうしたの唯依?未だ寝ぼけてるの?早く起きないと教官から怒られるよ?」

 そう言って机に座った和泉を見て唯依は・・・こう確信した。

 「(ああそうか・・・これは夢なんだ。)」

 そう思ったのだ。

 だが唯依はこうも思っていた。

「(最近はブリッジス少尉のとんでもない行動や・・・あの時の事があったから

心がやさぐれてたんだな)」

 そう思いながら遠い目をしていた唯依はこうも思っていた。

 「(だけどまた・・・皆に会えたのならこんな時ぐらい好きにしても)」

 そう思っている中で唯依は周りを見た。

 (山城さんに志摩子、安芸。皆まだ生きてるんだ・・・神様、夢でも皆に

会えたことに感謝いたします)」

 そう思いながらも・・・授業のベルが鳴った。

 そして教室に・・・嘗ての教官も現れた。

 「(真田教官も御存命・・・ああ、何という良き夢だ。)」

 現実世界ならば間違いなく胃薬待ったなし的な状況が幾つもあったので更に

感慨深くなったのだ。

 そして家に帰れば・・・母親が肉じゃがを作って待ってくれてた。

 そしてそこには・・・父親も。

 こんな夢が永久に続けばいいのにとそう思っていたら・・・サイレンが鳴った。

 「!!BETA!!」

 唯依はそのサイレンを聞いてすぐさまに・・・嵐山に向かった。

 そして強化衛士制服を着て嘗ての愛機『瑞鶴』に搭乗して・・・発進した。

 あの時と同じ編成。

 今度こそはと息巻く唯依であったが・・・機体の網膜映像から

映し出されたのは・・・確かにBETAなのであるが・・・凄い違っていた。

 何せ全てが・・・コスプレみたいな服を着ていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴスロリを着た兵士級。

 日傘を持ってフリル付きドレスを着た闘士級。

 いろんな服をその手に持ちながら・・・色んな意味で芸術的な化粧をした戦車級

 ウエディングドレスを着て花束を持って迫る突撃級

 針と糸を持って何だか・・・オネエみたいな服を着た要撃級

 ハンガーをびっしりと詰めてそこから・・・大量の服を持って現れた要塞級

 目にカラコンを付けて睫毛を付けた光線級

 体を白くしてナース服を着た重光線級

 正直言ったら・・・マジで恐怖だわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イヤああああアアアアアアアア!!」

 『どうしたの唯依!大丈夫!?』

 唯依の断末魔の如き声を聴いて和泉はどうしたのかと聞くが本人は

それどころではなかった。

 現実においてもあの地獄が心に傷を残していることに恐怖したのだ。

 然し・・・コスプレしたBETAがまじかに・・・近づいてきた。

 そして等々・・・戦闘になったのだが・・・・声が聞こえるような感じがした。

 何処から・・・それはもう一つしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 BETAからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さあ!皆!!新しい扉を開かせましょ~~!!」

 「私達がコーディネートしてあげるわ!!」

 「お化粧は任せて~~!!」

 「洋服は如何が良い?」

 「採寸測りたいからそんな武骨で気持ち悪い鉄くずから降りなさ~~い!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 機関銃と剣が振り下ろされる音が聞こえる。

 そんな中で安芸は油断して・・・オネエみたいな突撃級が安芸を押し倒した。

 そして何処からか分からないが・・・触手がにゅるりと現れて安芸は・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何じゃこりゃあああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔女っ娘にチェンジされてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして飛んでいた志摩子はと言うと・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何これ~~!!」

 際どいレースクイーンみたいになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな中で真田教官がある意味で殿を務めてくれたのだが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『やめろ!来るな!俺は男だってナンダその下着って女物じゃ・・・

やめろ・・・やめろ・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『俺は未だ男でいたいんだ―――――――――!‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何やら意味不明な断末魔を上げて・・・通信が途切れた。

 そして・・・京都駅で要塞級にぶつかって・・・2人を探している唯依は

ある物を見てしまった。

 それは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あら~~この子やっぱこう言う格好が似合うのねえ。」

 「これで彼氏もいちころよ~~♡」

 「そう・・・かな?」

 「(和泉ーーーーー!!)」

 何やら闘士級によってコーディネートされた・・・秋らしく森ガールと

呼ばれるようなファッションを着た和泉がそこにいた。

 「・・・何も見なかった。」

 そう言って唯依はそこから離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして唯依は山城を探していくとそこには・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やっぱりこっちかしらね?」

 「いやあ、こっちよね?」

 「髪もしなやかで申し分ないわね。少し結っておきましょ。」

 「化粧は薄化粧ね。素材の味は最大限に生かさなきゃね。」

 「いや、私なんで治療されながら服を着せられているのですか?」

 「(山城さーーーーーーーーーーーーん!!)」

 もう何よこの夢と唯依はそう思いながら・・・離れようとすると

振り向いた先には・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あら、こんにちは。」

 バニーガール服を持っている戦車級がそこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イヤああああアアアアアアアア!!」

 唯依はそれを見て絶叫を上げて後ずさりすると・・・他の戦車級BETA達が

ぞろぞろと来てこう言った。

 「あら?こっちも中々の素材ね?」

 「スタイルは申し分ないから服が選び放題だわ~~。」

 「さあ、皆さん・・・この子を最も綺麗にしましょーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『『『『『『いやっはーーーーーーーーーーー!!』』』』』』

 「イヤああああアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・う~~~ん。」

 そして唯依が今・・・現在いるのは・・・とある部屋の中。

 頭を氷水で冷やされていた。

 すると近くにいた面画面がこう言った。

 先ずはVG

 「全く、篁中尉。ずっと国連制服を上着を取らずにこの炎天下で作業して

熱中症になったらしいぜ?」

 次にタリサ。

 「阿保かこいつ?こんな暑い中だったらアタシですら上脱いでシャツだぞ?」

 次にステラ。

 「取敢えずは涼しいこの部屋で療養ね。全くこの子ったら。」

 そしてイブラヒム。

 「皆もこうならんように自分の体調管理は徹底しておけよ。」

 それを聞いて全員が了解と言うと・・・唯依は魘されながらこう言った。

 「・・・私は・・・」

 「「「「「「「「?」」」」」」」

 「私は絶対に・・・フリルには頭を・・・垂らさんぞ~~~・・・!!」

 「「「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」」」

 正直な所どんな夢を見ているんだと思いたいほどであるのだが突如ユウヤが

鞄から何かを探して・・・とあるものを出した。

 それは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「フリル付きのヘッドセット?」

 タリサがそれを見てそう言うとユウヤはそれを・・・唯依の頭にひっそりと

取り付けた。

 「良し。これで大丈夫だな。」

 「「「「「いやいやいやどこがだよ!!」」」」」」

 それを見てイブラヒム達がそう言ってツッコミを入れるが・・・ユウヤは

近くにいたクリスカとイーニァに向けてこう言った。

 「クリスカ、イーニァ。フルーツジュース作るから手伝ってくれないか?」

 「ジュース!やった~~!!」

 「行きましょ、イーニァ。」

 そう言って3人が出るのを見て各々・・・こう言った。

 ヴィンセント

 「じゃあ俺は機材のチェックっと。」

 VG

 「それじゃあ俺は泳ぎますか。」

 タリサ

 「じゃああたしも付き合うぜ。」

 ステラ

 「私もユウヤの手伝いに行こうかしら?」

 イブラヒム

 「俺は広報官と打ち合わせだな。」

 そう言って全員が部屋から出て行くと・・・唯依はこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「貴様らフリルには絶対に・・・屈せぬぞ~~~~・・・・・!!」

 そう言ったそうだ。




 因みに起きた後唯依は頭についていあるヘッドセットを見て・・・再び絶叫して
気を失いました。


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海だ!砂浜だ!!試験だ!!!

 男性陣一同『いや、最後の要らねえだろうが‼!』


 白い砂浜。

 青い海。

 純白の積乱雲。

 そして何よりも・・・何種類もの色が見える花々。

 それを見たVGはこう呟いた。

 「見ろよ・・・世界がビビットカラーで出来てやがる。」

 そう言うとユウヤはこう返した。

 「そうか?俺には高官共の汚らしい欲望で満ち溢れた絵画だな。」

 「(それかこの世で残された最後の理想郷(アヴァロン)ってな。)」

 ユウヤの言葉を聞いてエボルトがそう言った。

 するとVGがこう返した。

 「おいおいおいユウヤよ。そりゃあねえぜ?アラスカで『アクティブイーグル』

育てる為にアラスカに缶詰め状態だった俺らからすればここは天国なんだぜ?」

 VGはそう言って周りを見回した。

 何せ海などアラスカでは見られないのだから。

 アラスカの太陽は照り付けるがそこまで熱くない。

 然しここの太陽はギラギラと照り付けてこの世界を鮮やかにしている。

 するとユウヤは溜息交じりでこう言った。

 「何でこうなったんだろうな?」

 「(それはあのグラサンに聞けよ。)」

 ユウヤの呟きにエボルトはそう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今から六日前。

 「・・・以上が今回の任務概要であるが質問がある奴はいるか?」

 国連軍広報官でもあるネルソンの言葉を聞いてVGが口笛拭こうとすると・・・

ユウヤの肘打ちで止めた。

 「ごひゅ!?」

 「ア、悪い。虫がいてな」

 ユウヤはそう言って視線をVGから逸らした。

 するとイブラヒムがユウヤに向けて親指を見せた。

 如何やらよくやったと言っているようであった。

 するとタリサが露骨な態度でこう言った。

 「耐環境試験はともかくとして・・・また自分が広報任務でありますか?」

 そう言うとネルソンはこう答えた。

 「貴様は先の『事件』でどんだけの被害が出たのか分かるかね?」

 「うぐ。」

 タリサはそれを聞いて胸を貫かれたかのような状況になるとネルソンは

こう続けた。

 「貴様が先の事で遅延させたせいで広報としての任務延期に伴う

雑誌編集の仕直しに機材の運搬代、飛行機代、更に新たにモデルを決める際の

選出等でどんだけの被害総額が出たのか教えてやろうかーーーーー!!」

 「・・・・・・・」

 それを聞いてタリサは青い顔をしていた。

 何せそんだけでも給料何か月分が飛ぶのか予測できないからだ。

 そして小さく席に座るとユウヤがこう聞いた。

 「あのう、宜しいでしょうか?ネルソン広報官。」

 「?何だねブリッジス少尉。」

 ネルソンがサングラスを中指で押すとユウヤはこう答えた。

 「何故マナンダル少尉なのでしょうか?女性でしたらブレーメル少尉や

篁中尉がいるのでそっちにすれば宜しいかと?」

 雑誌受けが宜しいですよと言うとタリサはユウヤに向けてこう言った。

 「おいそれってどういう事だよ!?」

 噛みつくようにそう聞くとユウヤはこう答えた。

 「いや、こんな餓鬼とクリスカ達だと正直な所・・・タリサが負けるのが

目に見えているのでそれだったら塩梅的にと思ったんだが?」

 「それって・・・アタシが小さいって事か!?」

 アアとそう睨むようにそう言うとユウヤは・・・こう答えた。

 「その通りだな。」

 「ちょっとは熟考しろよーーーーーーー!!」

 タリサがそう言ってユウヤ目掛けて殴りかかろうとすると・・・隣に座っていたステラがまあまあと言って止めていた。

 するとネルソンがこう答えた。

 「うむ、それも考えたのだがな・・・。」

 そう言うとネルソンはもう一度グラサンを指で押してこう続けた。

 「貴官も知っていると思われるが最前線であるイギリス、日本、

ソ連においてであるが現在は男性よりも女性の方が多いと言うのは

知っているな?」

 「ええ、篁中尉が俺達よりも年下なのに中尉って聞いた時点で

そんな予感はしていました。」

 ユウヤはそう言って篁中尉を見た。

 現在最前線において圧倒的に多いのが・・・女性である。

 男性は軒並みに戦死したり重症となって帰還して後方任務に就くことが

殆どとなっている。

 「そう、今や女性が戦場において主役となっているケースが多い事。

これが一つ目だ。2つ目はソ連がヨーロッパ奪還を象徴としているためもう片方がアジア人でなければいかんのだ。」

 「それでしたら猶更篁中尉でしょう?アジア人って意味では

丁度宜しいですし。」

 そう言うとネルソンはこう返した。

 「そうしたいのだが彼女はアルゴス試験小隊の一員でない為に除外されているし本人がその気ではないし。」

 「それでしたらこちらの写真を」

 「貴様!何時の間にそれを持っているんだ!!」

 ユウヤはそう言ってネルソンに向けて写真を見せようとすると唯依によって

それはパーとなってしまった。

 そしてネルソンはこう答えた。

 「まあ、思う所もあるかもしれんがそういう意味だ。もう一度やって欲しいのだって言うかしろ。これは既に上層部からの命令だ」

 「え~~~~!!」

 タリサはそう言ってぶー垂れた。

 するとユウヤがこう聞いた。

 「ネルソン広報官!一つ宜しいでしょうか!」

 「何だね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「釣り竿は持ってきて宜しいでしょうか!!」

 「良いぞ!と言うか生きのいい魚が食いたいからノープロブレム!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「「お前が一番楽しそうじゃねえか!!!!!!」」」」」」

 ユウヤとネルソンの言葉を聞いてアルゴス試験小隊+唯依が大声でそう言った。

 何はともあるそうなったのであるが・・・エボルトはこう思っていた。

 「(この状況でそんな企画ねえ・・・楽しくなりそうじゃねえか~~)」

 少しほくそ笑むかのような雰囲気を醸し出していた。




 次回は・・・この続き。


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日陰でゆっくりと

 こんなに暑いんだから・・・ゆっくり休め!!


 「それにしても暑いな、おい。」

 VGはそう言って野外格納庫の日陰にへたり込むと鞄を持っている

ユウヤも同じように座ってこう言った。

 「暑いって・・・コンナ暑さ真夏のグルームレイクやネバダ何かもっと酷いぜ?

グルームレイクはじめじめしているし砂嵐なんかしょっちゅう、ネバダ何て

太陽の光が問答無用に照り付けるもんだからこんな程度でばててたら後が

大変って言うか前線じゃあこんな感じじゃねえのか?」

 ユウヤは前線についての事をVGに向けて聞いた。

 ユウヤは前線の事をよく知らないため気候や状況によって

どのように対応すべきなのかをヴィンセントと共に話し合っている。

 「当たり前だろ?前線じゃああのタコ助共のせいで周辺の気候が変動して

気温が滅茶苦茶下がってたりして冬なんか地獄だぜ!」

 「こんなに暑い所となるとインドかイスラエルとかそんなとこじゃねえの?」

 VGは・・・苦々しくユウヤに向けてそう言って説明した。

 BETAの支配圏は草木が1本も残っていない所が多くあり正に荒野と言っても

しょうがないらしいがそれを聞いたエボルトはこう言っていたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 「可笑しいな?星のエネルギーはあんな連中が来たぐらいで

低くなる訳ねえぜ?」

 「そいつはどういう意味だよエボルト?」

 「良いかユウヤ。俺達『ブラッド』族が星のエネルギーを栄養源にしているのは知っているよな?」

 「まあな。」

 「星のエネルギーは膨大でな。一つの星を喰えば力が得るだけじゃなくて

莫大な生命エネルギーを持てる。」

 「そのエネルギーは数個で銀河を破壊できるほどだからな。」

 「凄えな。」

 「だろ!だからこそ前線の気候が変動するとなると・・・その土地の

生命エネルギーを連中が何かに使っているって感じがするんだよなあ」

 「何かって・・・何だよ?」

 ユウヤがそう聞いてエボルトが発した答えは?・・・

 

 

 

 

 

 

 

 「分からね。」

 「・・・そうかよ。」

 「だがこれだけは言える。奴らの目的が星のエネルギーだったとするなら・・・俺と戦おうなんて良い度胸じゃねえかよ。

ウハハ( ̄∇ ̄;)ハッハッハハッハハッハ!!」

 「・・・戦うって戦うの俺じゃね?」

 ユウヤの呟きにエボルトは・・・聞いてもいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな事を思い出していたユウヤであったがVGは今度はヴィンセントを見て

こう言った。

 「あいつよく働いているよなあ。この暑い陽の光の中で熱心にさ。

アイツって確かプエルトリカン出身だからか?この暑さには慣れっこってか?」

 そう言うとユウヤがこう返した。

 「いや、アイツって確か本土生まれだからそれはねえぜ。」

 「え?っていう事は・・・?」

 「俺と同じで慣らされたんだよ。」

 「成程な。」

 ユウヤの言葉を聞いてVGが頷くとこう続けた。

 「そういやあ今回『武御雷』は持ってきてねえみてえだな?」

 そう言うとユウヤはこう返した。

 「( ̄∇ ̄;)ハッハッハ、既に正式量産されている高価で詰め込みすぎた

戦術機を耐環境試験に持ち込むってどんだけ信頼ねえんだよ♪って言うか

試験すらしてねえってどんだけ末期って話だぜ?」

 ユウヤはそう言ってVGに向けて・・・ニコリと嫌な笑みを浮かばせてそう言うとVGはこう答えた。

 「まあ確かにな。お前との戦闘の後唯依姫滅茶苦茶整備班に謝ってたって言うかその後の酒飲みでやった着せ替え写真撮影で結構キタようだしな。」

 そう言ってVGは唯依が寝ている部屋の方を見ていた。

 「然しまあ熱中症ってどんだけ脱ぎたくなかったんだか?」

 「着せ替え人形宜しくされてたから断固として拒否ってたらしいぜ?

ヴィンセントが教えてくれたぞ?」

 そう言うとユウヤは・・・鞄からジュースを出した。

 「何だそれ?」

 VGがそう聞くとユウヤはこう答えた。

 「ああ、今日ここで作ったフルーツジュース。イーニァとクリスカとステラと

一緒に作った奴で後で整備員に渡そうと思ってたんだ。」

 一つどうだと聞くとVGはありがとうよと言ってもらってそれを飲んだ。

 「く~~!天然物の果物をこんな所でジュースとして飲めるなって

幸せだぜ~~!!」

 そう言ってユウヤに飲み終えたコップを渡すとこう言った。

 「それじゃあおれは・・・偵察に行ってくるぜ~~!!」

 VGはそう言って立ち去って行った。

 そして入れ替わりでヴィンセントが何やら痛がりながら日陰に入った。

 「うへえ・・・日焼け止め塗っててもこれかよ。」

 「お疲れ、ジュースでも飲むか?」

 「おお、サンキュー。」

 ユウヤから貰ったジュースを手に取って飲んでいるとユウヤがこう言った。

 「それにしても大変だな。今回の主役はよ?」

 そう聞くとヴィンセントはこう答えた。

 「まあな、戦術機が天候で使えませんって笑えねえからな。ちゃんと丁寧に

仕上げねえとな。」

 「確かにな、生身でBETA共とやりあえなんて無理だしな。」

 「そうだぜ、だから重要なのにあの広報官ときたらよ~~」

 「『見栄えが良くなるよに作業中でも機体の汚れと着ている作業服の汚れを

落としておけ!!』なんて無理だろうがよ!!此畜生がーーーーー!!」

 ヴィンセントはいらいらしながらそう言うとユウヤがこう言った。

 「ま、今回はリベンジみたいなもんで燃えてるんだろうがな・・・

そいつはねえな。」

 「だろう!機体扱ってるんだから汚れて当然だろうがって

全くヨーーーーー!!」

 そう言うとヴィンセントは立ち上がってこう言った。

 「それじゃあ、俺はあっちに戻っておくよ。仕事は丁寧にそして

パーフェクトにってな。」

 そう言うとヴィンセントは向こうに戻って行った。

 そしてユウヤもジュースを持って整備室に向かった。

 尚このジュースは好評であった。




 次回は・・・覗き?


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何してんの?

 相も変わらずの平常運転。


 「VG・・・今度は何してんだお前?」

 ユウヤはそう言ってVGを見ているがVGの服装がまた・・・変わっていたのだ。

 緑地に鮮やかなハイビスカス模様のアロハシャツを着ていたのだ。

 現在彼らには自由行動が許可されている最中であるのだがそれにしてもと

そう思っていた。

 見た目からして最早只の・・・遊び人であった。

 「あれ?こいつって元っからそう言うタイプだろ?」

 「誰に向かって言ってんだユウヤ?」

 「いや、何でもねえ。」

 ユウヤはそう言って大丈夫かとVGに言われていた。

 するとVGはこう続けた。

 「リゾートにはリゾートの掟があるのさ。出会いもあれば新しい発見もある。」

 「それもう篁中尉とクリスカ達が実践したぞ?」

 「そっちとは違え新しいそれを探し求めに行くんだよ。」

 「新しいものを求めるんなら戦術を考えろ。」

 「堅い奴だなあお前はよ?」

 「寧ろこんなリゾート施設で遊ぼうとするお前の気概に俺は驚いているよ。」

 「そんなんじゃあお前、目の前に咲いている鮮やかな花にも気づかないまま

終わるぜ~~?」

 「それと同じ言葉ヴィンセントも言ってたけど結局結実しなかったぞ。」

 ユウヤはVGの言葉に対してそう答えるが尚もVGはこう返した。

 「言ったろうよ、新しい発見があるってな。日頃目に入らない女でも、

開放感溢れるこのリゾートじゃあ、違う面も見えてくるってな。」

 「見えないね・・・物理的ならイーニァかタリサだな。」

 「いや待て、物理的って確かにあの2人の身長は小さいがよ。イーニァは

タリサ何て屁でもない程の破壊力を持った戦艦が2つもあるじゃねえか?」

 「ああ・・・確かにな。」

 ユウヤはそう言ってタリサとイーニァの水着姿を思い出した。

 確かにどちらかと言えばイーニァはタリサなんて屁でもない程・・・

胸が大きい。

 それにスタイルと相まってどちらかと言えばタリサの年齢は裏で捜査して

実際は10歳にも満たないんじゃないかと思うほどである。

 そしてそう考えていると・・・人影を見てユウヤはあっと言うがVGは

こう続けた。

 「それにタリサってガサツで大雑把でついこの間の広報官活動で

赤っ恥掻いてペナルティも出てるから流石にと思うけどよ、広報官も

阿保だよなあ、俺なら断トツ唯依姫と『スカーレットツイン』を混ぜ合わせて

最前線の麗しき美女を撮影するのにな。」

 「・・・・・」

 「色気のねえ、ガキみたいな神経と体格しているのに酒飲みだけはいっちょ前、お前にも演習で負けてんのに未だ突っかかる。あの性格じゃあガキだって言われも仕方ねえよなあ。」

 「・・・・」

 ユウヤはVGの言葉に対して無言で聞いているとVGがこう聞いた。

 「おいユウヤ。何で喋らねえんだよ!ちょっとはツッコミ入れろよ、

寂しいじゃねえかよ!!」

 そう言うとユウヤは・・・重く口を開けてこう言った。

 「ああそうだな・・・後ろにいる奴に聞いてみろ。」

 「後ろ・・・・まさか。」

 VGはユウヤの言葉を聞いてまさかとそう思って振り向いてみると

そこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よう。」

 「よう・・・タリサ。」

 水着を着たタリサが仁王立ちでそこに立っていた。

 現在のタリサは白のスポーツタイプの水着を着ており褐色の肌を持つ彼女着たら何故だかわからないが・・・良いなと思ってしまう。

 然しタリサは・・・鬼も裸足で逃げるような笑顔をVGに向けると・・・

こう言った。

 「へえ・・・誰が餓鬼っぽくて・・・色気が無くて・・・ガサツだって?」

 「ああ・・いや・・・その。」

 VGはタリサを見て視線を何度か逸らそうとしていると・・・ユウヤが

こう言った。

 「こいつ、タリサなんて見る価値もないって言ってたぜ。」

 「ちょっとユウヤ君!?」

 VGはまさかの裏切りに不味いとそう思っていた。

 このままじゃあ殴り飛ばされると思ったVGがとった行動は・・・これだ。

 「逃げるが勝ちだ!!」

 そう言ってVGが逃げようとしたその時に・・・それは起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、足が滑った~~。」

 「ドバ――――――――――!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 VGの足を引っかけて転ばせたのだ。

 そしてVGは顔を思いっきり顔から転んでしまった。

 「ユウヤ!お前!!」

 VGは恨みの眼でユウヤを睨みつけようとすると・・・ユウヤはこう言った。

 「おい、俺よりも解決しなきゃあいけねえ奴がいるぞ。」

 「ア」 

 VGはそれを聞いて思い出したがもう・・・遅かった。

 「おいおいおい・・・コケるとはどうしたんだよ?VG~~?」

 「あわわわわ。」

 VGはそれを聞いて逃げようと思っていても・・・逃げようとは出来なかった。

 何故かだか・・・金縛りにあったかのような感じになっているのだ。

 そしてタリサはVGの首元を後ろから掴んで・・・ユウヤに向けてこう言った。

 「それじゃあユウヤ。」

 「お・・・おお。」

 「アタシはこれからVGとちょ~~~っと遊んでくるからな♪」

 「わ・・・分かった。」

 「じゃあ・・・逝くか?」

 「ちょっと待てなんかイクの字が違わねえかって助けてくれーーーーー!!」

 VGはユウヤに助けを求め乍ら其の儘・・・引きづられていった。

 それを見たユウヤは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「さてと、釣りにでも行くか?」

 そう言ってコテージに向かって行った。

 尚、釣りをしている最中であるが何故か悲鳴が聞こえたというのは・・・

ユウヤのみの秘密である。




 次回は・・・夕食です。


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飯には雰囲気が必要。

 そのひと手間が重要。


その夜。

 今回は東西試験部隊の親睦会と言う名で行われる宴会である。

 そんな時にステラが段ボール箱を持って現れたのでユウヤがこう聞いた。

 「持つぞ。」

 「あら、良いわよユウヤ。これくらいなら平気よ。」

 そう言うとユウヤはこう返した。

 「馬鹿言うな、こう言う時でも仲間を頼れよ。どんな時だって助け合うのが

当たり前って奴だろ?」

 そう言うとステラはクスクスと笑いながらこう答えた。

 「そう?じゃあお願いしようかしら?」

 そう言って段ボールの一つを渡すとユウヤがステラに向けてこう言った。

 「代わりと言っちゃ悪いけどよ、魚も焼いてくれねえか?今日捕ったばかりの

新鮮な魚だから多分大丈夫たと思うぜ?」

 素潜りもして捕ったしなとそう言ってクーラーボックスを渡すとステラは

こう返した。

 「あらありがとう!合成肉だけだと味気ないって思う人たちが多いから

丁度良かったわ。」

 助かるわと言ってクーラーボックスから色んな魚とか甲殻類を出して捌き始めた。

 「上手いな?」

 「当たり前でしょ?衛士たるもの、あらゆる時でも料理できるように

しなきゃね。」

 ステラがいたずらっ子みたいな表情を浮かべてそう言った。

 そしてステラはユウヤに向けてこう言った。

 「それじゃあユウヤは段ボールにある樹材を組み立ててくれるかしら?」

 「おお。」

 ユウヤはそう言って段ボールから出しているのを見て・・・

中にいるエボルトがこう言った。

 「(これってもしかしてバーベキュー二使う奴なんじゃねえか?)」

 「はあ?バーベキュー・・・」

 ユウヤはそれを聞いて他の箱も開けてみた。

 鉄櫛に金網、炭、バーベキューによく使うコンロ。

 確かにそうであるがユウヤはこう聞いた。

 「なあよステラ、一つ良いか?」

 「ん?」

 「バーベキューするって言ってても合成肉と培養野菜しかねえのに

どうやって?」

 ユウヤはそう聞いた。

 合成肉と培養野菜はどちらかと言えば味に・・・微妙な差異があるのだ。

 それは国連軍の配属になって初めて知ったのだ。

 旨い飯を食う事こそ兵士の活力に良いと言われる筈なのにとそう思っていると

エボルトがこう言ったのを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そいつは決まっているだろう?アメリカしか食えないんだよ。」

 「何でだ?」

 「当たり前だろうが?天然物、養殖物問わずだがそんな事が出来る国がそこしかねえからだ。」

 「最前線の国、避難民を囲い込んでいる国はな、BETA共によって

土地の環境が様変わりしていたり避難民分の飯も確保しなきゃあいけねえから

それを補うためにやあ何かで代用するしかねえんだよ。」

 「だからこその合成物か。」

 「そうだ、覚えとけよユウヤ。アメリカが最前線になっちまったらなあ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんな事も言えなくなっちまうぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それを思い出している時にステラがこう言った。

 「馬鹿ね、気分よ、気分。」 

 「気分?」

 ステラの言葉を聞いて何故と聞くとステラはこう続けた。

 「どんな味気ない食事だって形を変えたり大勢で囲んで食べたりすれば美味しく感じるものなのよ。」

 「・・・そんなものなのか?」

 「そんなもんよ。」

 そう言って食事の準備を始めるステラを横目にしてユウヤは

作業をしている中で・・・何か知っているような声が聞こえた。

 それは・・・。

 「これもまた・・・新しい発見って奴かねえ。」

 「おお、VG。お前今までナニ」

 やってんだと言いかけた所でユウヤは言葉を噤んだ。

 何せ今のVGの顔は・・・酷いものであった。

 顔がお多福のように膨らんでおり、よく見たら痣が無数に刻まれていた。

 序に言えばたん瘤が漫画みたいに連なっているのを見てユウヤは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「ぷ( ´艸`)」

 「良しお前その笑顔は挑戦として受け取るぜ。」

 VGはユウヤの含み笑いを見て拳を握りしめてそう言うとユウヤに詰め寄って

こう言った。

 「手前!タリサがいるんなら何で言わねえんだよ!!」

 そう言うとユウヤはこう答えた。

 「何言ってんだよ?ヒートアップして色々言ったお前にも責任あるぞ?」

 「ふざけんじゃねええぞ!!」

 VGはユウヤに向けて大声で言うとVGはこう続けた。

 「あの後俺はとことんボッコボコにされただけじゃなくてな!これが終わったらナタリーの店に行って酒を奢らなきゃあいけなくなっちまったんだぞ!!

どう責任を取ってくれるんだよおい!!」

 「知らねえよ。って言うか何で俺が怒られるんだよ?お前の自爆だろうが!」

 巻き込むなよとそう言うとVGはユウヤを見て・・・こう呟いた。

 「お前は良いよなー。スカーレットツインと仲良しでさ。」

 「はあ?」

 ユウヤは何言ってんだと思っているがVGはこう続けた。

 「あんなスタイルも申し分ないどころか可愛くて美人何だぜ?タリサとは

真反対の!!」

 「ア」

 「俺はな!餓鬼っぽくて大雑把で大吞のタリサに酒を奢らなきゃ

いけねえんだぞ!!」

 「何が嬉しくてあいつと飲まなきゃあいけねえんだよ!!

俺にもそう言うチャンスが来ても良いとは思わねえかよなあおい!!」

 「・・・・・」

 「え・・・まさか!?」

 VGは自身の訴えをユウヤに向けるがユウヤの無言を見てまさかと思い後ろを

振り向くとそこにいたのは・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・・(*^▽^*)」

 「・・・・・・('Д')」 

 笑顔のタリサとまたかとおもったVGの顔であった。

 「じゃ、バーベキュー迄には戻って来いよ。」

 ユウヤはそう言って作業を開始した。

 

 

 

 

 

 

 その日また・・・断末魔の悲鳴が海に響いた。




 次回はバーベキュー。


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価値観を押し付けんな。

 手前の世界で決めた物差しを相手に強要させるんじゃねえ!!


 その後にタリサは戻ってきたがVGは・・・戻ってこなかった。

 イブラヒム隊長によればVGは何やら重症らしく・・・今回と明日は参加

出来なくなったという報告だ。

 南無三とユウヤはVGがいるであろうコテージに向かってアーメンと言って祈った。

 そしてバーベキューが始まった。

 全員料理をおいしく頂いており特にユウヤが釣った魚を頬張っていた。

 恐らく・・・と言うか間違いなく新鮮な天然物の魚を食することが出来て

嬉しいらしい。

 唯依に至っては魚を見た時にステラにお願いして幾つか貰ってそれで刺身を作って整備士たちに振舞っていた。

 整備士達も久しぶり・・・と言うか初めてであろう、天然物の魚を食べれて

満足しているようであった。

 良かった良かったと思いながらユウヤは焼いた魚を食べた。

 身もしっかりしていて上手いなとそう思っていると・・・近くでクリスカを

見つけた。

 何やらキョロキョロしているようであったので近くに寄ってこう聞いた。

 「どうしたクリスカ?」

 そう聞くとクリスカはこう返した。

 「ああ、ブリッジスか。イーニァを探しているんだが知らないか?」

 「いや、俺の方は見てないぜ。どっかで飯でも食ってんのかな?」

 「そう・・・けどあの子何処に?」

 そう言って心配しているとユウヤがバーベキューから肉とかを持ってきて

こう言った。

 「取敢えずこれやるから持ちながら探そうぜ。近くにいるかもしれねえし」

 「然し・・・私達は命令で」

 「だからこそ、こう言う時にはゆっくり寛げよ。命令だったら遂行するのが

軍人だろ?」

 「それは・・・そうだが。」

 「じゃあ楽しんどけよ。」

 そう言ってお互い離れようとすると・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何だよ!人が折角気を聞かせてやったのに、その態度は!!」

 「・・・いらない。」

 「下手に出てやれば付け上がりやがって!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・いたn」

 「イーニァ!!」

 「あの短期娘は。」

 ユウヤはそう言ってクリスカの後に着いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・ここにきたのはめいれいにしたがっているだけ。にくはたべない。」

 「別に無理に喰え何て言ってないだろ!!」

 少し離れた所でタリサとイーニァが喧嘩をしていた。

 タリサはイーニァに向けて怒り心頭であったがイーニァは何やら真っすぐ

タリサを見つめておりこう続けた。

 「・・・すぐどなるのはこころがよわいから。」

 「ああ・・・何だと?」

 タリサはイーニァの言葉を聞いてどすの効いた声でそう返すがイーニァは

こう続けた。

 「おどかしてもこわくない。あなたはよわいから。」

 「な!?」

 「あなたはよわい。ユウヤよりもこころがよわいから。」

 「それだからまけつづけてる。」

 「・・・・手前!?」

 タリサはそれを聞いた遂に切れてしまったのかどうか分からないが

イーニァ目掛けて殴りかかった。

 全員が息を呑んだその時に・・・ユウヤだけがあるものを見て目を見開いて

驚いた。

 一瞬であるがイーニァの瞳が・・・青から赤に変わった途端にタリサの懐に

入り込んで・・・タリサの腹部に一撃を与えた。

 「ぐぷ。」

 タリサはその攻撃によろめいて倒れ掛った。

 するとイーニァがタリサに向けて・・・冷たくこう言った。

 「ほらね、あなたはわたしよりもよわい。」

 「手前・・・・!!」

 タリサはその言葉を聞いて立ち上がろうとすると・・・ステラがこう言った。

 「もうやめなさいタリサ!相手が悪すぎるわ!!」

 そう言うとステラはこう続けた。

 「第一貴方自分と背の変わらない人間と組手したことあるの!?」

 「そいつは・・・その。」

 ステラの言葉を聞いてタリサは口を噤んだ。

 何せタリサは同世代の中では背が低い人間だ。

 相手できる人間ともなればまた幼いイーニァぐらいの年頃位であろう。

 然もまだ未成熟であることから相手にすらならないであろう。 

 となれば同世代になるのだが大概が背が高い為にタリサ相手では攻撃が

通らないであろう。

 そんなことも相まってタリサは大柄の人間相手でしか通用しない技が

出来上がってしまっているのだ。

 するとイーニァはユウヤとクリスカを見て近づいてこう言った。

 「クリスカ、ユウヤみた!さっきの!?」

 嬉しながらそう聞くとクリスカとユウヤはこう答えた。

 「ええ、とっても良かったわよ。」

 「ああ・・・そうだな。」

 ユウヤは口を濁した感じでそう言った。

 そしてクリスカはステラ達に向かってこう聞いた。

 「これがそちら流の歓迎・・・という奴か?」

 「あら・・・気に障ったかしら?」

 ステラはクリスカの言葉を聞いて少しムッとしたがこう答えた。

 「今回の件は確かに手を出したのはタリサだしイーニァちゃんの場合は

正当防衛で通るわね。」

 けどと言ってこう続けた。

 「そちらもこっちから手を差し伸ばしたのに無碍にした。お互い様じゃない

かしら?」

 「ほお・・・何かしらで難癖付けて罵倒する事が貴様ら流の歓迎と言うのが

理解できた。」

 「貴方達がどう思おうと私達は誠意をもって接しようとしているのよ。

それを理解できないわけじゃないでしょ?何時もユウヤがいるときに

来ているんだから。」

 ステラはそう言ってクリスカを睨みつけるが・・・タリサが横からこう言った。

 「へ!別にいじゃねえかよ!!こんな事ですら楽しめねえ何て寂しい

奴らだぜ!!!」

 それを聞いてユウヤは何言ってんだと思うとユウヤがこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「価値観が違うからじゃねえのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『『『『『!‼!!!』』』』』

 それを聞いて全員が目を見開いてユウヤを見つめるがユウヤはこう続けた。

 「なあよクリスカ。ちょっと良いか?」

 「?」

 「お前は今回の事でどう思う?」

 「・・・何か目的があるように思える。」

 「俺との時は?」

 「貴様の時は・・・純粋に遊んでいたような・・・感じ」

 「命令だからと言ってたけどイーニァはどう思ってるんだ?」

 ユウヤはイーニァにも聞いてみるとイーニァはこう返した。

 「めいれいだからいる。それだけ。」

 それを聞くとステラがこう返した。

 「命令・・・?貴方達の意志はどうなの??それとも、ソ連では意志を

持つことすら許されないのかしら?」

 そう言ったのに対してユウヤはこう言った。

 「あのなあ、お前ら聞いてみるがソ連の価値観とスウェーデン出身のお前の

価値観・・・って言うか内容は同じか?」

 「何よそれ?」

 ステラはそれを聞いてむっとするとユウヤはこう続けた。

 「答えは?」

 それを聞いてこう答えた。

 「・・・無いわね。むしろある事が珍しいわ。」

 「そりゃあそうだろうな。そしてこいつらにもこいつらなりの価値観がある。」

 「国によって価値観が違う事なんて当たり前だ。俺達はそんな中に置いても

BETAを討つことで利害が一致しているけどな・・・一つ言うぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「手前の価値観を他人に押し付けんな。手前の価値観が=世界の常識何て

有り得ねえよ。」

 『『『『『!‼!!!!』』』』』

 それを聞いて目を見開くがユウヤはこう続けた。

 「俺達の価値観は皆違うんだ。国によってな。」

 「だから言うぜ・・・他国の価値観にずけずけ入り込むのはルール違反だ。」

 「手前らの価値観は手前らの物だけどな。過信するな、価値観何て所詮は

その程度だ。」

 「他人の国のことをあーだこーだ言う立場なのかって話だよ。」

 そう言うと全員静かになった。

 自分の価値観は所詮世界から見れば小さなもの。

 それを他人に押し付けんなとそう言っているようであった。

 上から目線のように聞こえるがそれでも・・・聞いてしまった以上は

考え直さなくてはならないことだと誰もがそう思うであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「所でエボルト、一つ良いか?」

 「(ああ・・・何だ?)」

 ユウヤはエボルトに向けてこう聞いた。

 「一瞬だけどイーニァの眼。」

 「(ああ・・・あれは間違いねえよ。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「(あれは・・・ネビュラガスだ)」




 次回は・・・あの企画かな?


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責任

 自分がしでかした責任はちゃんと取れ。


「成程な、それで今の現状と言う訳か。」

 騒ぎを聞きつけたイブラヒムが何故こんなにもしんみりしているのかを

ヴィンセントに対して聞くとそうかとそう言った。

 正直な所イブラヒムから見てもこれは重症だなとそう思った。

 元々の原因だが煽ったイーニァもだが年下に対して喧嘩腰になったタリサにも

非があるなとそう見ていた。

 まあ、ぶっちゃけて言えば両者両成敗と言いたいところであるが

ユウヤの言葉を聞いてしまったためかどうか分からないがどちらも何だか・・・

二の足踏んでいるような感じであったのだ。

 するとイブラヒムが全員に向けてこう言った。

 「今回の食事会は互いに前回の遺恨を水に流すだけではなく互いの国家や

主義主張を無視してBETAに対して一丸になって立ち向かうために

協力しようとするのが目的がある。」

 「国の思想は全員違うだろ?軍における隊律にドクトリン、主義主張、全員違うがただ一つあるのと言えば・・・我々はここにいる殆ど全員がBETAによって

国を追われたり仲間や愛する者達を喪ったと言う共通点だ。」

 「諸君らの中にはソ連に恨みを持つ国家もあるだろう、アメリカに恨みを持つ者もいるであろうが今は!!」

 「互いに手を取りあって協力して欲しいと切に願う。」

 「それとタリサ・マナンダル!!」

 「!!」

 タリサはイブラヒムの声を聴いて姿勢を正すとイブラヒムはこう言った。

 「貴官に足りないのは前回もそうであるが我慢強さと忍耐力、

それと相手の言葉に対して折り合いをつける協調性を持つべきであると

思うのだが意味は分かるか?」

 そう言ってイブラヒムはタリサを睨むとタリサは更に小さくなったかのように

縮み上がった。

 「確かに私は厳命したが嫌がる相手に対してそこまでやれと言うのか?」

 「ですが・・・こいつが先に」

 「それが手を出す理由となると言うのか!!」

 「ひ!!」

 タリサはイブラヒムの大声を聞いて震えあがるとこう続けた。

 「相手に対しては分かったと言って折り合いつけてその場を収めると言う事を

何故しなかった!!」

 「・・・・・」

 「それが貴様の悪い所だ、パーティーをちゃんとしたいと思うならば

これ以上禍根を残すような真似はするな!」

 良いなと言って下がるとオルソン大尉は全員に向けてこう言った。

 「取敢えずであるが貴様らも今回の食事会の真意を学んだと思うので本来ならば再開させたいところであるがこの空気では仕方があるまい。」

 「今回焼いた食べ物を食べた後は最終日にもう一度行うものとする。

その時までには何をどうしたらよいのかを学んでいることであると

切に願っている。」

 そう言うと次の予定を伝えた。

 「明日は整備士以外は全員ビーチで催しを行うが今度こそは・・・何もない事を切に願う。」

 そう言ってオルソン大尉は食事を再開した。

 そして残った全員は取敢えず焼いた分は食べた後、冷蔵庫で冷やして

(魚の刺身はその日のうちに全員食べた。)次に備えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜、ユウヤはエボルトと会話していた。

 「イーニァがあのガスを使ったって事は・・・もしかしてクリスカもか!」

 「(ああ、そうだな。その可能性は十分い高いと思うぜ~~。)」

 「一体どうしてあんなもんをテストパイロットとは言えあいつらに投与するのか全く意味わかんねえよ。」

 何かあったらどうするんだとそう思っているがエボルトはこう思っていた。

 「(多分だがあいつらがいなくなっても大丈夫、詰る所予備が

それなりにいるって事だろうと思うがそんな事・・・いや、待てよ。)」

 まさかなとそう思っているとエボルトはこう言った。

 「(取敢えずは明日に備えて寝とけよ。明日も早いんだからよ。)」

 「おお、分かった。」

 ユウヤはエボルトの言葉を聞いて大人しく寝る事とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それで首尾よく出来ているか?」

 「はい、滞りなく。」

 「よし、これで我々も・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の朝。

 「それでは今日の内容を説明する!」

 オルソン大尉は全員に向けてそう言っているとユウヤがこう聞いた。

 「オルソン大尉、質問があります。」

 「何だね?」

 オルソン大尉はユウヤに向けて何だと聞くとユウヤはこう言った。

 「タリサがいないのですがどうしたのでしょうか?」

 そう聞くとオルソン大尉はこう答えた。

 「マナンダル少尉は昨日の騒動の責任を取ると言う事で自室謹慎としている。」

 「まあ、写真撮影の時には解放されているであろうから心配するな。」

 そう言うとユウヤも了承した。

 そしてオルソン大尉は説明を続けた。

 「今回は前回の時のようなことをなくすためにビーチバレーと

ボートレースをして貰う事となった。」

 「ボートレースではブリッジス少尉と篁中尉が。」

 「げ。」

 唯依はユウヤとコンビを組むことに少し嫌な顔をしているがオルソン大尉はこう続けた。

 「それとスカーレットツインがそうだ。」

 それを聞いてイーニァがクリスカの足にしがみ付いていた。

 「ビーチバレーは残ったメンバーで行う。」

 「ボートレースにおいては向こうの島にフラッグがある為に各々は

それぞれ別々の場所からスタートするように。」

 以上と言うとオルソン大尉は全員を見て・・・大声でこう言った。

 「さあ早く準備しろ!時間は待ってくれないぞ!!」

 そう言うと全員は慌てて準備をした。




 次回は・・・イーニァが嫌がるところから。


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悪意(完全に邪悪)

 意味の通りだよ。


「イヤだよ怖いよクリスカ~~!!」

 「イーニァ、そう言われてもこれは任務なんだから。」

 「どうしたんだお前ら?」

 ユウヤは嫌がるイーニァを宥めるクリスカを見てどうしたんだとそう聞くと

クリスカはこう答えた。

 「ああ、ユウヤ。イーニァが海を見て怖いと言って。」

 「怖い?」

 ユウヤはそれを聞いて何でと思ってクリスカに聞くとクリスカはこう答えた。

 「・・・私達は海など見たことがないんだ。演習でプールを使う事は

あってもな。」

 「成程な。」

 ユウヤはそれを聞いて納得した。

 海を見たことがないイーニァにとって海は只々大きい水の塊だけではなく

大きすぎて・・・怖くなったんだなとそう思っているとユウヤはクリスカに

こう聞いた。

 「そういうお前は如何なんだ?怖くないのか??」

 ユウヤはそう聞くとクリスカはこう答えた。

 「ああ、大丈夫だ。私はな」

 「無理すんなよ、怖くなったら怖いって言っても別に誰も責めはしないん

だからよ。」

 そう言ってさてどうするかと思っていると・・・唯依がオルソン大尉が

こう提言した。

 「大尉、意見具申を。」

 「む、何だね?篁中尉。」

 そう聞くと唯依はこう答えた。

 「イーニァ・シェスチナ少尉の代わりに私が彼女のパートナーになります。」

 「ふむ?その理由は。」

 「彼女は海に対する恐怖心で普段のポテンシャルを発揮することが出来ないと

思われます。その為今回は特例として認めて貰えませんでしょか?」

 そう言うとオルソン大尉は少しううむと考えていた。

 何せ海が苦手と言う衛士は見たことがない為にこんな時の対応を

考えていなかった・・・という表情をしてこう答えた。

 「良し分かった。篁中尉はビャーチェノア少尉のグループに、シェスチナ少尉はビーチバレーのグループに」

 「スミマセン大尉、自分からも意見具申。」

 「今度は何かね?ブリッジス少尉。」

 ユウヤの声を聴いてオルソン大尉は何かねと聞くとユウヤ耳打ちして

こう答えた。

 「イーニァですがダイビング体験させては如何かと思われます。」

 「ダイビング?・・・然し彼女は海に対する恐怖心が。」

 「だからです、海に不時着した時の脱出方法と言ってイーニァには

スキューバダイビングさせて海に慣れさせようと言う寸法です。」

 「となると監視と練習相手は誰にさせるのかね?」

 オルソン大尉はそう言って女性陣の方を見た。

 全員ビーチバレーに参加することになっているためにスタッフの誰かを

使うのかとそう聞くとユウヤはこう答えた。

 「イブラヒム中尉にお願いいたしましょう。タリサの件をちらつかせておけばちゃんとやってくれますよ。」

 ユウヤはオルソン大尉に向けて・・・イヤな笑顔でそう言うと

オルソン大尉も嫌な笑顔でこう返した。

 「ブリッジス少尉、貴官は中々の悪よの~。」

 「いえいえ、大尉程では。」

 ( *´艸`)フフフと2人して悪い笑みを浮かべながら笑っているのを少し

離れているところで見ているヴィンセントはこう呟いた。

 「ありゃあ何か企んでるな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「って言うか何で俺迄担ぎ出されんの!!」

 ヴィンセントはユウヤに向けてそう聞くとこう続けた。

 「俺整備士だぜ!衛士じゃないんだぜ!!何でこんな事になってんだ!!!」

 「俺に聞くなよ、人数不足なんだからって言うか口動かすなら

手とオールを動かせ。」

 ユウヤは・・・ボートの上でそう言ってヴィンセントを諭した。 

 然しヴィンセントは納得いかない様子なのでオールを動かしながらこう続けた。

 「何でイブラヒム中尉は来ねえんだよ!アルゴス試験小隊の一員だろうが!!」

 そう言うとユウヤはこう返した。

 「中尉ならイーニァとスキューバダイビングしているぜ。」

 「何で!!」

 ヴィンセントは何でとそう聞くとユウヤは・・・少し目線を逸らして

こう答えた。

 「タリサの一件があったろ?その謝罪の意味も込めて中尉がイーニァに

海での泳ぎ方を教えてんだよ。」

 序に海に対する苦手意識の克服も兼ねてなとそう言うとヴィンセントは・・・

はは~んと何かを察するとこう続けた。

 「お前オルソン大尉と何か話してたと思えば弱みを使って従わせるように

させたんだろ?」

 そう聞くとユウヤは・・・目を大きく見開いてこう聞いた。

 「何で分かんだ!?」

 「図星かよ!然も最低なやり方だなおい!!」

 「俺はレオンやシャロンと同じでお前のやり方ぐらい分かっているんだぜ?何年お前らとつるんでんだと思ってんだよ?」

 「成程な、だったらこれからはお前にもバレない位に暗躍するべきだな。」

 「いやお前何別の意味で反省してんの!?違うよね俺違ってないよね!!」

 ねえねえとヴィンセントは言い詰める中でユウヤは周りを見ていた。

 そんな中でユウヤはクリスカと唯依が乗っているボートを見て・・・

何か違和感がある事に気づいてしまった。

 「ありゃあ・・・まさか!!」

 そう言うとユウヤはボートからダイビングするかのように海に潜ると

ヴィンセントの近くに出てこう言った。

 「ヴィンセント!クリスカ達の様子が可笑しい!俺はあっちに行ってくるから

お前は陸に戻ってくれ!」

 「何言ってんだよお前!?それだったらこっちで接舷した方が。」

 「馬鹿!この状況を伝えるためだよ!!通信機は八百長封じで向こうだし

発煙筒なんて焚いても見る奴が居なきゃあ意味ネエし取敢えず向こうに

行ってくるから後は頼むぜ!!」

 「おいユウヤ!・・・あのバカ!!」

 ヴィンセントはそう毒づいて・・・陸に戻って行った。




 次回は・・・遭難。


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島に着いて

 海の上ではちゃんと周りを見るように。


「中尉!どうしたーー!!」

 「ブリッジス少尉!?」

 ユウヤは泳いで唯依達の乗っているボートに向かうとそれを見て驚いた。

 あの冷静な篁中尉がここまで狼狽していることに驚いていたがその理由は

直ぐに明らかになった。

 「クリスカ!どうしたんだよおい!!」

 クリスカが力なく横たわっていたのだ。

 眉間に皺を寄せて苦しそうに呼吸が荒くなっているのを見てどうしたんだと

思っているとエボルトがこう言った。

 「(待てよユウヤ、イーニァと同じでこいつも海が怖かったんじゃあ

ないのか?)」

 「【はあ?そんなのある訳・・・・!!】」

 ユウヤはそれを聞いてまさかと思ってこう聞いた。

 「お前まさかイーニァの前でやせ我慢してたのかよ!?」

 そう聞くとクリスカは黙って頷いた。

 「この馬鹿が!!」

 ユウヤはそう言うのを見て唯依がこう聞いた。

 「どういう意味だいブリッジス少尉!一体どういう意味なんだ!!」

 そう聞くとユウヤはこう答えた。

 「こいつもイーニァも海を見たことがないから怖がっていたんだよ!

こんなことだったらイブラヒム中尉の所に残すべきだったぜ!!」

 そう言うとユウヤは周りの環境を見ていた。

 波風が強くなり正直な所戻るのは無理だなと思っているとユウヤは

眼前にある島を見てこう言った。

 「取敢えずはあの島に行くぞ!近いし救難信号出しておけば

明日には救援が来る!」

 「分かった!」

 唯依はユウヤの言葉を聞いてクリスカを楽な体勢にさせ直すと

一緒にオールを漕いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これは想定外の状況です!直ちに救援を!!」

 「必要ない。計画は予定通り進める。」

 「馬鹿な!このまま遭難でもされては計画以前に」

 「案ずるな、何のためにここまでお膳立てしたと思っているんだ?」

 「まさか!?」 

 「分かったのならば安心して我々の事の成り行きを見守ろうではないか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 追い風だったのが幸を奏して何とか着いたユウヤ達は砂浜に

向かって行くのを見てほっとしていた。

 もしも右側にある岩礁ら辺に行っていたら・・・土座衛門であったことで

あろう。

 然し幸運はそう長くは続かなかった。

 押し波と引き波によって陸地迄一向に差が縮まらないのだ。

 するとユウヤはオールの柄の部分を持って海に突き刺して感触を確認して戻すとこう考えた。

 「柄迄の範囲から見て何とか海に入れるし柄の先端が削れていねえとなると

ここには岩がねえって事だな。」

 「(そうだな、これなら直ぐに飛び込んでも大丈夫なようだぜ。)」

 エボルトがそう言うとユウヤは唯依に向けてこう言った。

 「篁中尉!」

 「何だ!!」

 「俺はこれから海に飛び込んでボートを曳くからクリスカを頼む!!」

 「分かった!だが気を付けろよ!!」

 唯依がユウヤに向けてそう言うとユウヤは海に飛び込んでボートを曳いた。

 引き波の時は足を踏ん張らせ、押し波の時には3段飛びするかのように

向かって行くが陸に行けば行く程・・・難易度が高まった。

 それは・・・。

 

 

 

 

 

 

 「ぐお・・・重い。」

 「今何か言ったか・・・・」

 「何でもねえよ!!」

 ユウヤはぎろりと睨みつける唯依を横目にしてそう言った。

 水位が膝を下回るにつれて軍用ボートが重くなっていき引き波によって

加算された重さで脚が笑い始めてきたのだ。

 「もしかして・・・・!!」

 唯依はまさかと言ってユウヤと同じように飛び降りると唯依はこう言った。

 「私が押すから貴様は引っ張れ!」

 「!!・・・了解。」

 ユウヤはそれを聞いて一斉にボートを曳いた。

 「ふんぬう!」

 「んくう・・・!!」

 2人はお互いに息を合わせてボートを砂浜迄曳いた。

 すると篁中尉が・・・倒れこんでしまった。

 「うわ!」

 「おい、大丈夫かよ!?」

 ユウヤがそう言うと唯依はこう答えた。

 「大丈夫だ!心配するな!!」

 そう答えるとユウヤは10mほど離れた椰子の木にローブを括りつけて

固定した瞬間に・・・疲労感が襲い掛かってきた。

 「ハア・・・はあ・・・ハア。」

 ユウヤは膝を衝いて4つんバイになって深呼吸をしていた。

 「大丈夫か!?ブリッジス少尉!!」

 唯依がそう聞くとユウヤはこう答えた。

 「ああ・・・少し時間をくれ・・・中尉はクリスカの方を・・・

見ていてくれ・・・何かで・・・覆った方が良い。」

 そう言うと唯依はこう返した。

 「分かった。だがバッグの中身を見てみたがファストエイドキットの装備が

E規定準拠ではないから大したことが出来るかどうか。」

 そう言って鞄のチェックしている中で唯依はそう答えるとユウヤはこう返した。

 「くそ・・・ちゃんと・・・チェック・・・しとけよ・・・な!」

 そう言うと唯依はこう返した。

 「恐らくであるが最前線ではない事から緩んでいたのであろうな。」

 そう言うと唯依はユウヤに向けてこう言った。

 「立てるか?」

 「ああ・・・何とかな。」

 ユウヤはその言葉を聞いてそう返すと唯依はこう指示を出した。

 「良し、先ずはビャーチェノア少尉の体温を下げない様にするために

洞窟に行って火を焚こう。」

 そう言うとユウヤは立ち上がって周りを見渡してある場所を指さした。

 丁度近い場所にある洞窟であった。

 「あそこなら森に近いしここからも近いから岩場だから一人くらいは

入れると思うぜ。」

 そう言うと唯依は暫く考えてこう言った。

 「そうだな、食料についてはおいおい考えるとして先ずは拠点の確保だな。」

 そう言って2人はクリスカを中心にして肩で持ち上げて移動した。




 荷物のチェックは入念に。


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洞窟迄の道のり

 男は時には・・・無理を通さないといけねえ意地ってもんがあるんよ!


 ユウヤ達は森よりであるが砂浜から近い洞窟に向かっているがこれが一向に

進まないのだ。

 理由は幾つかあるが先ず一つ目は足場である。

 森に入れば確かに雨風は多少なれど防げれるが、足場が非常に悪い為移動に時間が掛るのだがそれだけではない。

 ユウヤ達はサンダルを履いているので普通に見れば大丈夫かの様に見えるが

そうではない。

 サンダルを履いて枯れ枝等を踏んで怪我しかねないし毒虫や毒蛇などに

噛まれるリスクが高いのだ。

 その為草によって適度に砂が固くて安全で歩きやすい場所を選んだのだ。

 然もこれが砂浜を縁取るかのようにある為に何とか助かるのであるが

もう一つ問題があるのだ。

 それは・・・クリスカであった。

 現在2人はクリスカを支えながらの移動であるため僅か数百メートル位の距離が

遥か彼方に思えるほどである。

 ならばネビュラスチームガンを使えば良いんじゃねえかと思うかもしれないが

生憎そんなもんはない。

 今回は只の交流戦でもあったため何も持ってていないのだ。

 そう・・・何も!!

 そんな中で重労働をしていると唯依が・・・小さく声を漏らしてよろけた。

 「・・・どうした、大丈夫か!」

 ユウヤはそう聞くが当の本人はすまし顔でこう言った。

 「・・・何でもない。気にするな。」

 「阿保言うな、アンタ・・・右足庇ってるだろう?」

 「!」

 何故分かるんだと唯依がそう思っているとユウヤはこう答えた。

 「いやさ、アンタここに来てから何だか片足庇っているような歩きだったから

もしかしてと思ったんだ。」

 ユウヤはそういってマジかよとそう聞くと唯依はこう返した。

 「ああ・・・波打ち際で砂に足を取られて転んだ時だ。」

 「やっぱあん時か。」

 「(強情だなおい。)」

 エボルトは唯依の行動を見てそう思っているとユウヤがこう聞いた。

 「それで、歩けれるか?」

 そう聞いて唯依はこう返した。

 「最初はそれほどでもなかったんだがな。だが歩いているうちに。」

 そう言うと唯依は申し訳なさそうな顔でユウヤに向けてこう聞いた。

 「・・・一人でも行けるか?」

 「?」

 ユウヤはそれを聞いて国を傾げると唯依はこう続けた。

 「貴様の疲労は相当になっているのは見て分かる。」

 「勝手を言って済まないがここから先は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「俺がおぶるぞ?」

 「はあ!?」

 唯依はユウヤの言葉を聞いて目を見開いて驚くがユウヤはこう続けた。

 「ここまで来たんだ。こうなったら体力持つまでおぶってやるさ。」

 そう言うと唯依はこう反論した。

 「貴様は阿保か!今の体力じゃどう考えても無理だ!諦めて私を」

 「生憎だがアメリカじゃこう教わってんだ。」

 「?」

 「『仲間を決して見放さねえ』ってな。」

 「元々は海兵隊の教えだが衛士でも浸透していてな。何があっても仲間と一緒に戻るって言う願掛けだ。」

 「俺はあんたを絶対に見放さねえよ。」

 「ブリッジス少尉。」

 唯依はユウヤの言葉を聞いて唖然としていた。

 あそこ迄自分はユウヤを追いつめていた(倍返しされたが)のに何故と

そう思っているとユウヤはクリスカを降ろして・・・お姫様抱っこした。

 「!!//////」

 唯依はそれを見て自分ではないのに顔を真っ赤にするとユウヤは背中を

唯依の目の前に向けるとこう言った。

 「ほら、おぶってやるから来いよ。」

 「・・・・」

 「・・・ナニ敬遠しているのか分からねえけど何もしねえよ。」

 本当にとそう言うと唯依は仕方なくであるが・・・ユウヤの背中に摑まった。

 そしてユウヤが立ち上がって歩いて行くとユウヤの後姿を見てこう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 「(ブリッジス少尉の背中・・・父様みたいで・・・暖かい。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてユウヤはクリスカを寝かした後に唯依を洞窟の中で座れる場所に

座らせると・・・ぐてーと倒れてしまった。

 「やっぱ・・・キツイ。」

 「大丈夫か貴様は!!」

 唯依はユウヤに向けてそう聞くがユウヤはぐてーとしながらこう答えた。

 「ああ・・・ちょっと休憩すれば良くなります。」

 「(男の意地って奴だな。全くお前はどうしようもねえな。)」

 ネビュラスチームガンがないのによくもまあとエボルトからの呆れ言葉に対してユウヤは内心でこう返した。

 「【喧しいわ!男にはなさなけりゃあいけねえことぐらいあるんだよ!!】」

 「(それで限界超えちまえば話にならねえな。)」

 あーあー、恥ずかしいねとエボルトは挑発していた。

 するとユウヤは鞄の中から出している唯依に向けてこう聞いた。

 「GPS使えそうですか?」

 「駄目だ、完全に壊れているしキットは役立たずも良い所だな。」

 「・・・後はボートについているビーコンだよりですか。」

 あれも大丈夫なのかよとそう思っているとユウヤはこう言った。

 「取敢えず嵐が収まったら確認して燃やせるもん探して燃やして

キャンプファイヤー宜しくデしましょう。」

 「狼煙か・・・確かに古典的であるが煙の大きさ次第では気づくかも

しれんな。」

 唯依はユウヤの言葉を聞いて成程とそう言っているとユウヤはクリスカについて聞いた。

 「それでそいつは?」

 そう聞くと唯依はこう答えた。

 「取敢えずは呼吸は安定しているが素人判断だからどうなるか予測できん。」

 そう答えるとユウヤはこう言った。

 「取敢えず体力が戻ったらビーコン確認していきますんで交代で寝ましょう。」

 「確かにな、ならまずは貴様からブリッジス少尉。体力を回復しておけ。」

 「了解。」

 そう言うとユウヤは少しと言って寝た。

 それを見た唯依はユウヤに向けてこう言った。

 「取敢えずは・・・ありがとうな。ブリッジス少尉」




 次回はクリスカが目を覚ましてから。


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目覚めて

 クリスカは夢の中でアイツに出会う・・・かも?


「う・・・ん。」

 闇の中でクリスカはあるものを見ていた。

 最初に映りだしたのは巨大な星。

 惑星とも呼ぶものが目の前にあった。

 するとそこが突如・・・幾つもの大爆発を起こしていた。 

 そして風景が変わるとクリスカはあるものを見て目を見開いた。

 「何だあのバケモノは!!」

 そこにいたのはコブラを模したかのような生命体。

 二足歩行で走り回りそれは黒い箱を取ると宇宙に出て・・・星は爆発した。

 その生き物は幾つもの惑星を破壊しながら宇宙を放浪してとある星に降り立った時クリスカは鏡に映るそれの姿を見て驚いた。

 鏡に映るのは自分ではないナニカ。

 全身の殆どが白と黒のローブで覆い、腰にはマントの様な物を身に着けていた。

 そして顔はフェイスマスクを付けており正体は分からないが

角の様な物を生やした・・・自分がそこに写っていた。

 「ウワアアアアアア!!」

 クリスカはそこで目を覚めると目の前に唯依が心配するかのようにそこにいた。

 「ビャーチェノア少尉!大丈夫か!?」

 そう言うとクリスカは目を点にしてこう聞いた。

 「ここは?」

 「洞窟だ!大丈夫なのか!?気分は如何なんだ!!」

 そう聞いているとクリスカはゆっくりとだが上体を起こして自己診断していた。

 「(頭が痛い・・・頭痛か?それに体が重い。)」

 そう思っているとクリスカは唯依に向けてこう聞いた。

 「ここは・・・私は一体?」

 何が起きたんだと聞くと唯依はこう答えた。

 「記憶はあるか?何をどこまで覚えているんだ!?」

 そう聞くとクリスカはこう答えた。

 「軍用のゴムボートに乗って・・・海に出た。」

 「そうだな、それで?」

 「・・・分からない。そこから先はよく。」

 「そうか、だがそこまで覚えているなら安心だな。とにかくまだ起きない様に

横になれ。」

 「・・・私達以外に人は?」

 「ああ、それなら。」

 クリスカの問いを聞いて唯依がユウヤを見てこう答えた。

 「あいつが私達をここまで連れて来てくれたんだ。」

 「ユウヤ・ブリッジスがか?」

 クリスカはそう言って横になって寝ているユウヤを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そうだったのか・・・。如何やら世話になってしまったようだ。」

 「気にしなくていい。礼はブリッジス少尉に言え。私ではここ迄

辿り着けていたのかどうかさえ分からないのだ。」

 天候は貴様のせいではないしなとそう言うと唯依はこう続けた。

 「暫くすれば救助がやってくるはずだ。ボートにはビーコンがあるから

それを軍が拾ってくれたらそれで良し。何かあったら遠慮なく言うと言い。

ブリッジス少尉は起きたらボートの確認に行くと言っているしな。」

 そう言うと唯依は何か思い出したかのようにこう言った。

 「そう言えばだがビャーチェノア少尉とブリッジス少尉とは親しいようであるが2人は何か関係があるのか?」

 そう聞くとクリスカは暫く考えていた。

 ユウヤについてを離すとなると自然にあれを思い出すのだ。

 ワインレッドカラーの装甲を身に纏ったあの姿。

 兵士をまるで子供の戯れの様に相手をし、機械科兵相手に無類の力を出した

あの時の事を。

 だがあの事件は表向きは演習として報告しており喋る事など出来ないのだ。

 これがもし他国に知れ渡ったらどのような印象となるかは目に見えている。

 これを口実に他国が介入するのではないかと言う事を。

 それにネビュラガスも問題だ。

 人知を超えた物質。

 研究者たちはそれを解析して量産できないかと四苦八苦している。

 それだけではない。

 自らは『ブラッドスターク』と呼び『ライダーシステム』に関係する

システムの情報の提供をしてその代わりに自分たちの身の安全の保障と言う

へんてこな要求をする。

 中には『ガーディアン』と呼ばれる無人機システムの情報迄提供し

それを戦術機に生かせるのかどうかという研究をとある機体を使って

研究もしている。

 目的も何もかもが分からない敵とも呼ぶのか味方とも呼ぶのか分からない存在。

 サンダーク中尉は利用価値があると踏んでおりお互いに利用する

関係の状態で在る。

 そういう事も鑑みてクリスカはこう答えた。

 「・・・イーニァが。」

 「シェスチナ少尉?」

 「ああ、イーニァがブリッジス少尉に懐いていてな。

リルフォートに連れて行ってくれてな。」

 「初めてで怖かったが楽しいと言う自分がいた。」

 「だが祖国では今でも同胞たちが必死になって戦っている。」

 「私達だけがのうのうとそう思っていると・・・奴らの仲間がこう言ったのを

今思い出した。」

 「?」

 

 

 

 

 

 

 

 『俺達だって最初はそうだったぜ。慣れなくてな平和な環境に。」

 『けど私達が造った機体や兵器が皆の命を長引かせれるのならと思うと

ここも悪くないんじゃないかなって思うのよ。』

 『それに死んでしまった連中の分まで楽しんであっちに逝った時の土産話に

出来るしな!‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そう言われてあの時は納得できなかったが今ならできる。」

 「彼らも・・・祖国が大事なんだなと。」

 「帰ったら謝らないとな。」 

 クリスカがそう言って笑うのを見て唯依はこう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「(ああ・・・彼女は不器用なだけなんだ。本当は素直な奴なんだなと)」

 そう思っていた。




 次回はユウヤが起きてから。


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企みを知って。

 悪魔が舞い降りた。


 「ふぉわ~~あ。よく寝たぜ。」

 ユウヤがそう言って起きると唯依がこう呟いた。

 「まあ、確かにな。我々2人を担いでいたしその前にボートを

引っ張っていたからな。」

 するとクリスカがこう言って謝った。

 「済まなかったブリッジス!今回は私が倒れたことで皆に迷惑を」

 「ああ、良いよそれくらい。イーニァの手前見栄っぽいものを張りたいって

気持ちはな。」

 「イヤ!私はそんなつもりじゃ」

 「どんな理由があったとしてもだ、お前はイーニァを守りたいって思ったから

嘘ついただけだ。そんで倒れちまったがそれはイーニァの経緯を聞いて

お前は大丈夫だと思っちまった俺の軽い気持ちでこうなった。これは俺のせいだ。」

 「だが!」

 「この話はこれで終わりにするぞ。」

 ユウヤは尚も食い下がろうとするクリスカを見て取敢えず

ここ迄とそう言うとユウヤは唯依に向けてこう言った。

 「中尉、取敢えず俺はボートの様子を見に行ってくるからクリスカの事を

頼みてえんだ。こいつ思いこんじまうとどうしよもねえからな。」

 「・・・了解した。お前も気を付けておけ。風は少し収まり始めたが

それでも用心しておくようにな。」

 「了解。」

 唯依に向けてユウヤは敬礼してそう答えると洞窟から出て行った。

 それを見つけていたクリスカを見て唯依はこう思っていた。

 「(全く・・・どいつもこいつも我儘と言うか心配性だな。)」

 ま、私もその一人かもなと唯依は火を見ながら自嘲していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「【お前もなんだかんだ言ってあの子の事心配してんじゃねえかよ。】」

 「喧しいぞエボルト。あいつ何だかほっておくと迷路に迷い込んだみてえな

顔をしてそうだからな。万が一って事もある。」

 「【ハイハイ、そうしておくぜ。ってユウヤ、何んか気づいてねえか?】」

 「ああ、隠しているが感じるな。」

 「【これも企画なのかねえ?】」

 「そうだったとしたらあのキットは・・・そういう意味かもな。」

 「【あのお嬢ちゃん達にはどういうつもりだ?】」

 「盗聴器使われたらどうしようもねえからあれを使って話す。」

 「【成程な、あれなら盗聴される心配ねえわな。】」

 「【けどどうするんだよユウヤ。ネビュラスチームガンは

コテージの中だぜ。】」

 「ま、何とかするしかねえだろうな。」

 「【その場しのぎってか。】」

 エボルトは呆れてそう言いながらユウヤの視界から出てくる情報を見ていた。

 酷い風であるがそれでも最初よりかは幾分かマシであったのだ。

 そしてユウヤはボートのある方向に向かって行って・・・その光景を見て

目を点にしてしまった。

 「・・・嘘・・・だろ。」

 そう言ってユウヤはまさかと思って万が一に備えて紐を樹に括った時に

付けたオールを見ようと木の後ろを重点的に調べるとそこにあったのは・・・。

 

 

 

 

 

 「・・・やってくれたなおい。」

 ユウヤはそう言って木の陰に隠されていた・・・

オールと切られたローブが見えた。

 するとユウヤは・・・ニヤリと目元に影を差した状態で笑って・・・

こう呟いた。

 「これ考えた連中・・・全員どうしてやろうか~~~。」

 ヒヒヒヒと・・・まるで山姥が旅人をドウヤッテ喰い殺そうかと

考えているような感じであったが・・・ユウヤの足元の影が一瞬であるが

コブラが見えたかのような感じであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何!ボートが流されていただと!!」

 「ああ、これじゃあGPSで俺らを探すのは無理そうだぜ。」 

 ユウヤは唯依に向けてそう報告した。

 何せこれは最悪のシナリオなのだから。

 これで後は救助隊が来るのを待つしかない感じだ。

 それが明日なのか・・・最悪一週間はかかるであろう。

 何せあんな稚拙なキットの作成や通信機を故障させるくらいに酷い基地だ。

 それ以上も覚悟しなければならない。

 するとクリスカは狼狽した様子でユウヤに向けてこう聞いた。

 「ブリッジス、我々はいつ助かるのだ!?ここにいたらイーニァが」

 「大丈夫だクリスカ。助けは必ず来るって。今お前がやることは取敢えず

寝る事だ。今後の事は明日考えるから。」

 そう言ってユウヤはクリスカに寝るように伝えておいてクリスカが寝たのを

確認するとユウヤは唯依に向けて・・・持っている枝でこう書いた。

 『篁中尉、俺達は多分人災に見舞われれている。』

 「?」

 『俺達以外にも人間がいる。それもすぐ近くに。』

 「!!」

 『ここからは手話で会話したいから了承してくれ。』

 唯依はそれを見て頷くとユウヤ達は軍で使う手話でこう話した。

 『一体どういう事だ!』

 《俺達は如何やら何者かの陰謀に巻き込まれた可能性がある。》

 『一体誰が‼』

 《分からねえが取敢えずは重要事項はこれでいきてえからそれで良いか?》

 『分かった。何者かの陰謀が分かったら・・・私にも伝えて欲しい。』

 《?》

 『これを考えた奴を成敗したくてな。』

 《俺も同行して宜しいでしょうか?篁中尉》

 『構わん、ブリッジス少尉。寧ろ貴官の実力を存分に発揮させる許可を

私が取ろう。・・・思いっきり暴れてこい。』

 お互いに手話で語った後・・・2人はイイ笑顔でこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「さあ・・・血祭りタイムだ。」」

 ヒヒヒヒと2人の薄気味悪い笑い声が洞窟に響いた。

 それを見ていたエボルトはこう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 「【こいつらってもしかして・・・同じタイプだったのか?】」 

 同族嫌悪かと思いたいほどであった。




 ああ・・・どんどんと壊れていく。


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ナンパと悪魔の笑み

 ナンパって・・・ユウヤの場合は素でだからな。


 「それではこれより捜索を始める。」

 唯依がそう言ってユウヤとクリスカを見回した。

 この出来事が何者かに仕組まれているという事は明らかでありご丁寧に

切られていたロープを見つけたことからまず間違いなく仕組まれていることだと

発覚したため下手人は早急に殴り飛ばす(上官だったら精神的に追い込ます)で

昨夜の手話会議と朝早くにクリスカと話した筆談(岩で書いた文字)で合意し

ユウヤとクリスカが囮兼実行部隊で唯依が指令と言う感じで収まった。

 「先ずは水源と食料の探索、調達を行う事。(先ずは忍んでいる敵の調査と

脱出する船の確保だ。)」

 唯依は昨夜に決めた隠語をユウヤに向けて話した。

 これは万が一に備えて彼だけが分かるようにしたのだ。

 無論クリスカには分からない様に話している。

 何処からかバレるか分からないからだ。

 「尚探索隊はカリブ海エリアの摂取可能植物のリストを常に携帯する事

(増援が来たら何名かは殺しても構わないから取敢えず船を動かせる

人間数名は残せ)。」

 すると隠語を知らないクリスカは唯依に向けてこう聞いた。

 「篁中尉、宜しいか?」

 「何だ?」

 「捜索隊が私達を発見するまでどの位と予測されているのかを知りたい。」

 「ここはグアドループ基地からそう離れていないはずだから早ければ今日中にでも最悪一週間と言った処だな(ここで待機している馬鹿どもを見つけたら

直ぐにでも占拠するがな)。」

 唯依はそう言って大体の日数(偽りで何時でもボコって発進できる様にする)を

知らせるとそれを聞いてクリスカは何やら頭に付けられている

ヘッドセットらしきものを触れているとユウヤの中にいるエボルトがこう呟いた。

 「【成程な、あいつらやっぱ。】」 

 人間が考えることはみんな同じだねえとそう呟いた。

 「それでは各員行動開始せよ!」

 唯依が大声でそう言うとユウヤに向けて手で招くと耳打ちしてこう言った。

 「取敢えずだが人数的な事も換算しておくが本来ならビャーチェノア少尉は

出向くべきではないと思っていたがお前の言葉を聞いて海ではない場所ならば

大丈夫だとそう思っている。だが万が一の時はよろしく頼むぞ。」

 「了解、篁中尉。そんで・・・(下手人はどうする?)」

 ユウヤは最後に手話でそう聞くと唯依はこう答えた。

 「(下手人は拷問してでも首謀者と関係者の名前を暴露させろ。後の処理は

貴官に一切委ねるがバレない様にしろよ。)」

 「(分かりました・・・さっさと殴り飛ばしたいですよ。)」

 「(まあ待てブリッジス少尉。お楽しみはここからだ。)」

 2人は最終的に山姥の様な笑顔を浮かべているとクリスカがこう聞いた。

 「ブリッジス、来ないのか?」

 「おお!それじゃあ行ってきます中尉!」

 「武運を。」

 お互いにそう言って敬礼した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2人は海側から河を探しているとユウヤがこう聞いた。

 「お前さ、大丈夫か体の調子?」

 「大丈夫だ。もうあの様な失態は起こさん。」

 クリスカがユウヤに向けてそう答えるがユウヤはこう続けた。

 「失態って誰にでも怖いことぐらいあるんだ。海が怖いとかって初めてみりゃあ皆怖いってもんだぜ?俺だってそうだった。」

 「!?・・・そうなのか?」

 「ああ、前にお袋と一緒に海に行った時はこう思ったぜ。」

 「『こんな大きな水があるなんて信じられない』ってな。」

 「だけど慣れちまえばそうじゃなかったし様は慣れって事だよ。」

 「今頃イーニァはちゃんと泳げるようになっている頃だしな。」 

 「え?」

 「俺がイブラヒム中尉に頼んで指導させるようにお願いしたんだ。

これが終わったら今度は俺が教えてやるからな。」

 ユウヤが笑いながらそう言うのを見てクリスカはそうかといって少しだが・・・笑ったのだ。

 するとユウヤがクリスカの笑顔を見てこう言った。

 「お前って・・・笑うと可愛いんだな。」

 「な!何を言っている!!//////」

 クリスカはそれを聞いて顔を赤くすると突如ユウヤが・・・

抱き着き始めたのだ。

 「ユ!ユウヤ!どうしたんだ/////」

 突然のことだったのでクリスカがユウヤを名前でそう呼ぶと次の瞬間にユウヤは足元にある小石を蹴ってそれを手に取ってそれを・・・上にある木に向けて

思いっきり投げた。

 「ぎゃ!?」

 突如木からその声がした途端にそれが・・・墜ちてきたのだ。

 「な!何だ一体!!」

 クリスカがそれを見て驚くとユウヤはクリスカに向けて大丈夫だと

そう言って落ちてきた場所に行くとそこにいたのは・・・。

 「成程な、国連の陸軍特殊部隊か。」

 「痛てて。」

 何やら赤外線ゴーグルを付けた兵士が尻を痛がっているような

感じであったがユウヤはそれを見て・・・・・思いっきり良い笑顔で兵士に向けてこう言った。

 「よう、暇人さん。」

 「へ・・・!!」

 兵士はそれを見て目を思いっきり見開いた。

 何せユウヤの顔がまるで・・・山姥の様であったのだから。

 「さてと・・・首謀者と関係者が誰なのか・・・

ゆっくりと聞かせて貰いたいんだがゆっくりで良いぜ・・・じわじわと

痛めつけてから聞くからさ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「良い顔で泣き叫べや。」

 「ぎゃあああああああアアアアアアアア!!!」

 突如として兵士の悲鳴と断末魔めいた声が無人島に・・・響き渡った。




 次回は制裁。


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阿保の末路

 馬鹿どもに鉄槌を。


 一方、グアドループ基地内部にある一部屋にて。

 「さてと・・・そろそろ哨戒艇を予定の場所に送るために準備するが

よく頑張ってくれたな諸君。」

 「いや、本当っすよ。ユウヤにバレない様にキットの細工するの

面倒だったんですよ。」

 「アタシなんて中尉から怒られてしまってどうするんですか!?」

 一部屋に置いて2人の男性と一人の女性が何かを言いあっていた。

 如何やら一人を除いてはユウヤの事を知っていると言うよりも

こんな事するのは・・・アイツらだけであろう。

 「さて、夕暮れ時には哨戒艇が運よく彼らがいる所に辿り着くと言った

流れになっているが油断は禁物だ!何せ既にイレギュラーが一人いるからな!!

油断せずに最後まで任務を」

 恐らくは責任者であろう人間が言いかけると・・・電話が鳴った。

 「ハイ、こちら広報部・・・あ、ハイ・・・ええ!それは本当で・・・ハイ・・・ハイ。」

 責任者の表情が段々と暗くなっていくのを見て何があったんだと聞くと

責任者は力なくこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「彼らが・・・自力で戻ってきた。」

 「「!!」」

 それを聞いて2人が驚くが責任者はこう続けた。

 「然も特殊部隊の兵士をボッコボコにして人質に取って隣島にある

ヘリをぶん捕ってここに来るそうだ・・・私と話しがしたいと言ってね。」

 「「・・・・・」」

 2人はそれを聞いて顔を青くした。

 間違いなく彼らは怒っているであろうことが・・・考えなくても

分かるのだから。

 間違いなく何かされると確信した彼らはコッソリと部屋から出ようとすると・・責任者が2人の足にしがみ付いてこう言った。

 「頼むーー!!置いてかないでくれーー!!」

 「ちょ!離してくれよ!!」

 「ここにいたらアタシらだって巻き添えくっちまうんだぞーー!!」

 「そこを何とか頼むーー!!私一人で三人の衛士を相手するだ!?女性陣ならば未だしもアメリカ軍において最も悪名高いブリッジス少尉がいるんだぞ!!

どんな目に遭うか分かったもんじゃないんだーー!!」

 「だーー!!それを承知でこの計画持ち掛けたのアンタだろう!?」

 「彼が加わるなんて計算していなかったんだーー!!」

 「だったら猶更腹くくれよ!アタシら迄巻き込むな!!」

 「死ぬなら共だーー!!」

 「「ふざけんなーー!!」」

 何やら言い合いと言うよりも責任のなすりつけ合いというべきか・・・

哀れなものであろう。

 そうこうしている間に・・・外から聞きなれた声が聞こえた。

 「オルソン大尉!先ほどブリッジス少尉達が帰還してきました!」

 「「「!!!」」」

 「尚、そこに・・・私の馬鹿どもが2人ほどおられる筈なので

ここで見張っておきます。・・・貴様ら、覚悟しておけよ。」

 「「「・・・・・・」」」

 3人はそれを聞いて歯をガチガチ鳴らして顔を青くしているがそんなの関係なく男性・・・イブラヒム中尉が扉の前に立っていた。

 確かに只の見張りであろうが・・・彼らから見れば死刑を執行する際に同行する職員に見えてしまうのも仕方あるまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして暫くして・・・。

 「よく戻ったな、2人共。ビャーチェノア少尉に対しては済まなかったな。

後でシェスチナ少尉と遊んで行ってほしい。」

 寂しがっていたからなと外から声が聞こえて3人はヤバいと

そう思っていると・・・扉がゆっくりと開いた。

 そこにいたのは・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よう、手前ら。」

 「待っていたか?」

 鬼の形相をしたユウヤと絶対零度の表情を浮かべたクリスカがそこにいた。

 すると男性・・・VGがユウヤに向けてこう聞いた。

 「なあユウヤ。篁中尉は?」

 「あの人ならステラが医療室に連れて行ったぞ。足を挫いたからな。」

 ああ、それととユウヤがオルソン大尉を見るとオルソン大尉がびくりと震えたがユウヤはこう続けた。

 「中尉から伝言です。『今回の件はハルトウィック大佐に報告しますので・・・覚悟しておいて下さい』との事です。」

 「ぎゃあああああああアアアアアアアア!!」

 オルソン大尉はそれを聞いてムンクの如き表情で末路を感じると女性・・・

タリサがユウヤに向けてこう言った。

 「済まなかったユウヤ!今回の件は特別手当と前の失敗の責任って言われて

仕方なく!!」

 「ああ、手前ズルいぞ!!」

 「うるせえ!こっちは生死が掛って」

 タリサが言いかけるとユウヤが・・・こう言った。

 「そうか・・・成程な・・・・・・・・・それでもギルティ♪」

 「Noooooooooooooo!!」

 タリサはそれを聞いてジャジャジャジャーンと言う音が聞こえるような

感じがしたがそんなの知った事かと言わんばかりにユウヤはクリスカに向けて

こう言った。

 「クリスカ、お前はタリサな。俺はVGだから・・・手を抜くなよ。」

 「ああ・・・手を抜くどころか勢い余って殺しかねないがな。」

 「「ヒィイイイイイイイイイ!!」」

 2人はそう言いながらゴキリゴキリと腕を鳴らして・・・そして2人に向けて

こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「さあ・・・お前の罪を数えろ!!」」

 「「イヤああああああアアアアアアアア!!」」

 ユウヤとクリスカの言葉と同時に2人の悲鳴が基地中に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の撮影は結局だがクリスカとイーニァと・・・代打と言う事で

不承不承ながら唯依に任せることとなった。

 後日3人には以下の処分が下った。

 ヴァレリオ・ジアコーザ。3か月間のリルフォートの酒飲みの際に全額負担。

 タリサ・マナンダル。1か月間(遠征を除いて)の謹慎とナタリーの店での

コスプレ接客。

 オルソン大尉。広報部から倉庫番に左遷。(尚階級は3階級降格)




 因みに撮影が終わった後クリスカはステラに謝罪した後ユウヤと海の泳ぎ方の
マンツーマンレッスンをした。


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演習にて

 あれから幾数日が経った。


 あれから数日後のテストサイト18,第2演習区画、C-55演習場

 今日もユウヤ達は演習をしているがいつもとはメンバーが違っていた。

 「アルゴス1,間もなくチェックポイント3を通過する。

このままならば最短記録更新だな。」

 「了解ですアルゴス0.」

 ユウヤに向けて通信でそう言ったのは・・・イブラヒム中尉である。

 タリサが謹慎中とも相まって人数が不足しているためイブラヒム中尉が

タリサの代わりとなったのでありコールサインは『アルゴス0』となった。

 「【良かったなユウヤ。まあ、コンマ21程度で満足するような

タマじゃあねえだろうがな。】」

 エボルトはその結果に対して辛口評価していると吹雪に搭乗している

VGがユウヤに向けて通信してきた。

 『アルゴス1、悪いがこっちはイッパイイッパイダ。フォーメーションはそっちで維持してくれないか?』

 「了解、アルゴス3。」

 ユウヤはそう答えてスロットルを絞った。

 今回はタイムアタックではなく変則的(機体がてんでバラバラ)4機編成における連携の中において不知火・弐型の実践適性を測る事を目的としている。

 そんな中においてユウヤは機体の警告音と共にクランク状の・・・

ハイブ内部を想定されているであろうメインドリフトを抜けた先に

待ち構えていたのは壁一面に敷き詰められているタンク級であった。

 「うわ、気色悪い!」

 「【右に同じく】」

 エボルトも如何やら同じ気持であったそうだ。

 ユウヤはその光景を見るや否や120mm散弾を選択してこう言いながら

砲撃を行った。

 「汚物は消毒じゃーーーーー!!」

 怒鳴るかのようにユウヤは壁一面にいたタンク級を掃討しつつ飛行起動で移動し

じきに来るであろう仲間達を待っていると噂をすれば影の如く来たのだ。

 「こちらアルゴス1!援護を頼む!!」

 「了解した、アルゴス3は私と援護射撃、アルゴス4は支給された

長刀を使用して接近してくるタンク級を牽制せよ。」

 『『了解!』』

 2人はイブラヒム中尉の命令に答えるや否や即座に行動して対応していた。

 翌々考えたらユウヤがここに着任する前は彼らはイブラヒム中尉の下で

機体開発をしていたので息が合うのは不思議な事ではないなと

ユウヤはそう納得していた。

 するとエボルトが索敵レーダーを見るや否や無数にいるBETAを見て、

推進剤と砲弾の残量を確認してユウヤはこう進言した。

 「こちらアルゴス1,アルゴス0どうぞ!」

 『こちらアルゴス0、何か問題か?』

 「現在の推進剤の量と敵の総数を鑑みてスラスターを使った飛行ではなく

機体脚部を確実に使う走りを提案いたします!」

 『・・・分かった、各機聞いたな!ひとっ走りするぞ!‼』

 『『了解‼!』』

 イブラヒム中尉の言葉を聞いてVG達がそう答えると全機近くの隔壁に

向かってタンク級を掃討しつつアローヘッドワンの陣形で向かって行った。

 『畜生撃ち漏らしたか!‼』

 『フォローは任せて』

 『中尉!正面から敵‼!』

 『任せろ!‼』

 互いにエレメントを組んで対応しつつ前進していった。

 するとまた・・・警告音が鳴り響いた。

 するとエボルトが画面を見てこう呟いた。

 「【オイオイ、こいつはまた結構なお出迎えだな。】」

 そう言うには理由があった。

 何せ進路上にある中規模のホールと呼ばれる空間には軍団規模が

可愛く思える位に膨大な量のBETAがひしめき合っていたのだ。

 「くそ!スラスターは万が一を考えたら

このまま徒歩で向かうしかねえってかよ!!」

 ユウヤはそう毒づきながらBETAの壁を突き進んだ。

 そして出てきた先に待ち構えていたのは・・・地面が見えないほどのBETAが

そこにいた。

 するとイブラヒム中尉がこう進言した。

 『各機、周囲にいるBETAを薙ぎ払いしつつブーストジャンプ。

前面の壁を破壊して突破するぞ!』

 『『『了解‼!』』』

 それを聞いてユウヤ達は全機錐揉みしつつホライゾナルブーストして

前面の壁目掛けて集中砲撃して・・・BETAから出られる場所を作った。

 『このまま突貫!行くぞ!‼』

 『『『了解‼!!』』』

 そう言ってアルゴス試験小隊は更に向こうにへと向かって・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでは今回の試験は終了とする!ご苦労だったな。」

 「「「ありがとうございました!!!」」」

 全員がイブラヒム中尉に向けて敬礼した後に着替えるとユウヤがこう言った。

 「さてと、今日はどうする?」

 そう聞くとステラがこう答えた。

 「そうねえ、ナタリーの店に行かない?お金はVG持ちだし。」

 「いや、やめてくれよ!今月は特に色々とあったから迷惑料とか言って

結構搾り取られて金が無えんだぜ!!」

 VGは泣き顔寸前の表情でそう返した。

 前回の環境耐久試験の際にタリサと広報部のオルソン大尉・・・

いや、オルソン准尉が起こした問題に対する責任ということも相まって

酒を奢らされる羽目になったのだ。

 そのせいで減給で逼迫し始めたVGの財布が今や火の車状態である為正直な所

このままいけば自分は破産するとそう言うとユウヤがこう提案した。

 「それならこの街に確か金貸しがいただろ?そいつらに融通して貰えよ。」

 「そうか!金がないなら借りちまえばってお前ちょっと待て!!

それってマフィアとつながりがあるとかそう言うのじゃないよな!?

もしそうだったら俺内蔵売られるの!!?」

 「大丈夫だ、どちらかと言えば最もホットな最前線に歩兵装備で

送られるだけだ」

 「そうか~~、それなら安心・・・なわけねえだろうが!!

死ぬわそんなの!!」

 「そんじゃあナタリーの店でまたな。」

 「話聞けよ!今日はヤメテ」

 「あら、今月は誰が全額奢ってやるって言ってたかしら?」

 ステラはそう言ってVGの肩をギリギリと・・・締め付けるかのように

掴んでいた。

 それを見てVGは肩を落として・・・力なくこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・アイ。」(;´д`)トホホ

 泣くしかなかった。




 次回は唯依と巌谷との会話から。


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恩人との会話

 恩人の言葉は常に大切だ。


VGがステラの有無を言わさせないその笑顔によって逃げ場なしと悟って

項垂れた様子で歩いているところを唯依は戦術機格納庫の下から見ていた。

 「(部隊の和に気を配るのも指揮官の務めか)」

 そう思いながら唯依は目の前にいる3人の整備士をじっと見つめた。

 唯依の手には写真があるが恐らくは彼らの物であろう。

 そして整備士達の顔を強張っていた。

 何かに怯えるかのような表情であり直立不動の体勢であった。

 そして唯依は溜息交じりで3人に向けてこう言った。

 「・・・今後、より一層に任務に精励する事を期待するが一つだけ聞く。

これのネガは誰が持っているのだ?」

 唯依は鬼の様な表情でそう聞くと整備士達の一人がびくつきながらこう答えた。

 「は!・・・ヴァレリオ少尉が保管されております!!」

 「そうか・・・なら下がれ。」

 「「「は!失礼いたしました!!」」」

 「ああ、それとだが」

 「「「!!!」」」

 「もしこれを他の連中に売ったら・・・分かるよな?」

 「「「ヒィイイイイイイイイイ!!!」」」

 唯依の鬼気迫る笑顔でそう言われて3人は恐怖してその場を動くことが

出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 唯依は士官用の詰め所に入って椅子に腰を下ろして写真を眺めていた。

 それは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ハア・・・もう・・・だから私は・・・!!」

 そう言いながらぎこちない笑顔を浮かべて如何にも素人感丸出しの

ポーズを決めている自分がそこに映っていた。

 黄色のビキニを身に纏い客観的に見て何しているんだと

そう感じてしまうほどである。

 まあ、あの時自分たちを危ない目に遭わせた面々は3人共・・・処罰を大人しく受けているためまあ良いだろうとそう思っているがそれだけではなかった。

 それは・・・。

 「そう言えばブリッジス少尉とビャーチェノア少尉は仲が良いが

どういう関係なのだ?何だか親密であったが。」

 そう、何故アメリカ軍でもあるユウヤがとソ連軍でもあるクリスカが

あそこ迄仲が良いのか疑問なのだ。

 ユウヤ本人は馬が合うからとそう言っているがそれだけではないだろうと

確信しているが証拠がない事に戸惑っている。

 然し当の本人はこの計画にあるとある技術を使用しているんじゃないかと

言う疑惑を持っておりもしこちらの調査がばれたらと思うと恐怖でしかない。

 そんな中で唯依は写真をびりびりに破いてごみ箱に捨てていると

インターコムから通信が来た。

 『篁中尉、日本からの長距離通信です。至急、司令部4階にあられます総合通信センター迄おいで下さい。』

 「分かった、直ぐに向かう。」

 唯依はその言葉に対してそう答えると唯依はこう呟いた。

 「・・・日本から?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 総合通信センターと言うのは他国との通信の際に使用されるもので主に母国との報告に扱われているところである。

 まあここはアメリカ軍でありもし盗聴されたらと思うと気が気でないである。

 そんな中で100インチはあろう大型スクリーンだが衛星経由の通信状態が

酷い様なのでブロックノイズが酷いものであったがそれでも唯依からしたら

知っている人間であった。

 顔の左に上から下まで大きく裂かれている傷が特徴の高官であった。

 『よう、元気にしているか?』

 「巌谷・・・中佐!どうなされたのですか急に‼!』

 まさかと唯依が悪いニュースなのかと身構えていると巌谷は普通にこう答えた。

 『何、久しぶりにお前さんの顔が見たくなってな。ドウダ、

そっちの飯は旨いか?』

 「・・・ハイ?」

 唯依は巌谷が言った言葉に目を点にして数秒後に・・・呆れ交じりで

こう答えた。

 「驚かさないで下さい中佐。私はてっきり、本国で何か重要な事態が

発生したのかと思われましたよ。」

 『何だ、相変わらず固いな。俺はお前さんの親代わりなんだからな?

娘の心配をするのは当たり前だろう?』

 それを聞いて唯依は恥ずかしそうに頬を掻いてこう答えた。

 「は、ありがとうございますお陰様で大過なく過ごしております。」

 『そうか、そいつは良かったよ。何せこんな難題を押し付けてしまって

今更何聞いてんだと思っているようで悪いな。お前さん大変な時には

連絡したところで強がりそうだからこうやって時間を置いたんだが

只の心配しすぎだったようだな。送られた資料によれば順調なようで良かったが

何か・・・ここでしか言えない事とかあるかい?』

 「!!」

 唯依はそれを聞いて目を見開いた。

 彼は経った少しで彼女が何を悩んでいるかを見破ったのだ。

 すると唯依はこう答えた。

 「は、それでは1,2程。」

 『うむ。』

 「先ずはテストパイロットでもあるユウヤ・ブリッジス少尉との

対談の際なんですが。」

 そう言って唯依はユウヤが嘗て上伸した第一世代戦術機を

砲台か戦車にする計画について聞いてみると巌谷はこう答えた。

 『成程な、確かにこれは目から鱗だ。俺も年を取ってしまったな。

そんな簡単な事に気づかないとはな。』

 「いえ、私も同じ気持です。この件についてですが」

 『ああ、俺の方から提案しよう。幸いなことに第一世代戦術機は

こっちに多く配備されているからな。陸軍の機体をそう言う風にして

近衛軍の機体を演習機として回せばいい。リサイクルに丁度良いな。』

 はははと笑っている中で唯依は真剣な表情で巌谷に向けてこう言った。

 「それとですが中佐、こっちが重要です。」

 『?』

 「・・・・・・ブリッジス少尉は我々が造ろうとしている機体を

感づいております。」

 『何…!‼』




 次回は今後の対策について。


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危険な匂い 

 その勘は大事にしておけ。


『こちらの目的が!どういう事だね唯依ちゃん!‼』

 「小父様・・・じゃなかった巌谷中佐落ち着いてください」

 『ああ・・・済まない、何せ急にそんな事を言うもんでつい。』

 「そちらも安全ではありませんので万が一があったらこの計画は」

 『分かっている、彼からのアプローチがあったからね。それで、

どうして分かったんだ?』

 巌谷は一端落ち着いてそう聞くと唯依はこう答えた。

 「彼が言うには第一に機体についていた埃と劣化した部分だそうです。

わが国の現状を想定し機体の安置状況を鑑み、何処で保管されているのかを

推理しました。」

 『ふむ・・・それで次は?』

 「第二に死蔵されていた場所です。わが国を除外すれば

アメリカ本国である事を計算しておりました。」

 『・・・・・』

 「最後にハイネマン自身の噂を統合して考えた結論だと言われておりました。

そこについては不確かな証拠だと言ってはぐらかしましたが

彼のあの勘の良さは正直言って恐怖でした。それに彼の戦術や戦闘能力も異様です。このままでは我々の計画が発覚されるのも時間の」

 『唯依ちゃん、君はパイロットの交代を希望しているんだね?』

 「ハイ!このままでは我々の存続に一定の負荷を」

 『君の言いたいことも分かるがそれは無理なんだ。』

 「何故です?!」

 『今回彼を起用させるように提案したのがハイネマン自身なんだ。』

 「な!!」

 『彼を起用しなければこちらの計画には加わらないと言う脅し付きでね。

それで彼にしたんだ。』

 「一体どうして・・・」

 『分からないが彼には何か考えがあると考えたほうが良い・・・気を付けておけよ唯依ちゃん。』

 「了解!」

 巌谷の言葉と共に唯依は敬礼した直後に通信が切れた。

 「・・・一体何を考えているのだ?」

 唯依はハイネマンに対して疑惑を持ちながらもそう考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふー、唯依ちゃんも大変だな。」

 日本において通信していた巌谷がそう言いながら背伸びをしていた。

 「然しハイネマンも何を考えているのか、バレれば会社だけではなく

自分の立場も危ういはずだ。それだけの危険を顧みずに彼を起用させるには理由があるのか?」

 巌谷はそう言って考えていた。

 何せ本人の進退にも大きく関わるはずなのに何故とそう思っていると

巌谷はとある場所に電話をかけた。

 「ああ、もしもし私だ。情報部に至急問合せしたいんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてアラスカ。

 「ふ~。」

 唯依は息を吐きながら外に出て夕焼けを見ていた。

 日本とは違い視界一杯に広がる自然のパノラマが夕日を美しく映していた。

 そんな中で唯依は内心こう考えていた。

 「(ブリッジス少尉を起用するように言ったのはハイネマン自身・・・彼の噂はアメリカにいる彼がよく知っているはずなのに何故何も言わないんだ?もしかしてあそこ迄勘が良いとは気づかなかったのか?それとも・・・

まさか我が国の弱みを握らせるために態と!!

まさかブリッジス少尉はアメリカが送り込んだスパイか!?

それならあそこ迄の勘の良さも予想が付く!!)」

 違います。素で然もエイリアンによる講習を受けているからです。

 「(となれば厄介だ!このまま計画を進めていたら我が国は其の儘破滅だ!!

直ぐ様に小父様に伝えてこの計画のテストパイロット・・・ダメだ!!

彼以外に適任が思いつかないーー!!)」

 ああもうと思いながら唯依は夕暮れの中頭を掻き毟っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その本人はと言うと・・・。

 「・・・バスを待っていただけなのに何故こうなったんだ?」

 ユウヤはそう呟きながら周りを見ていた。

 右を見れば自分の手を掴んでいるイーニァ。

 左を見れば同じく自分の手を握っているクリスカ。

 「・・・何でこうなったんだ?」

 「【そりゃあお前が誘ったからだろう?】」 

 「(まあ、そうだがな。)」

 エボルトの言葉を聞いて肩を落としながらそう答えるが何で手を繋ぐんだと

そう思っていると・・・イーニァがこう答えた。

 「この間一人で寂しかったから~~。」

 「へえそうなんだって・・・何で俺の考えている事分かるの君!?」

 何て恐ろしい子と少女漫画宜しくの目と稲妻がユウヤを襲った。

 するとクリスカがこう聞いた。

 「どうしたんだブリッジス少尉?」

 「いや・・・何でもってそう云やあ俺お前の事名前で呼ぶけどお前は何で

俺の名前呼ばないんだ?」

 「何を言っている?読んでいるだろう?」

 「そりゃあファーストネームはな、だけど名前を・・・

『ユウヤ』って呼んだことないだろ?」

 「・・・そうだな・・・だが何故それを聞く?」

 「俺達って一緒に飲みに行ったり無人島で遭難したりと一緒の事が

多かったろ?」

 「・・・確かに。」

 「だからさ、もう他人行儀はやめてほしいんだ。俺も名前呼びだからお前もさ」

 ユウヤはそう言って自分のセカンドネームを言わす様にそう聞くが

クリスカは何故かオドオドとしているようすであった。

 「・・・クリスカ?」

 イーニァはどうしたのと思うような顔をしていると暫くしてクリスカは・・・

ユウヤに向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「分かった・・・ユウヤ///////」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クリスカは顔を真っ赤にして・・・そう言うとユウヤはこう返した。

 「イヤなんで顔を赤くするの?こっちも恥ずかしくなりそうなんですけど!!」

 ユウヤはそう言って顔を赤くしながらもリルフォートに向かう事となった。

 道中その光景を見て微笑ましいなと言う視線が3人を貫くのは

暫くしての事である。

 




 次回は酒場で。


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進化の時は未だ来ず

 酒のひと時に重大ニュース!!


「あらいらっしゃーい。」

 店の中でナタリーがグラスを磨きながらそう言った。

 既に飲んでいるステラ達・・・VGは凄いしょげているような感じであるが

自業自得なので知らない様な感じでユウヤ達は注文した。

 「そんじゃあ俺は何時もの。」

 「私は・・・赤いのを。」 

 「私はクリームソーダ。」

 「ハイは~い。ユウヤは何時ものデクリスカちゃんはイチゴジュース、

イーニァちゃんはクリームソーダねえ。タリサ~、お願~~い!!」

 「はーい!!」

 店の向こうからタリサの声が聞こえて暫くすると・・・タリサが現れたが

格好が滅茶苦茶違っているって言うか店の雰囲気と全然合っていない!!

 服装が間違いなく・・・違うからだ。

 フリルがちりばめられていたミニスカスカートのメイド服なのだがそれに+して

黒の猫耳と尻尾がタリサの頭とスカート部分とドッキング!!していたのだ。

 するとそれを見たクリスカは・・・。

 「・・・ぷ(笑)」

 「良し手前毎度来ているがいい度胸しているんじゃねえかよおい!!」

 「済まない・・・何せその・・・その格好が・・・クククク(笑)」

 「畜生がーーー!!あの時にあの野郎と一芝居うたなけりゃあ

良かったーー!!」

 「本当だぜーー!!その所為で俺の財布がもうピンチじゃねえかよーー!!」

 「だからお前直ぐにサラ金に金貸して来いって言っているだろうが?」

 「んな事したら俺は本当に内臓取られるわ!!」

 「大丈夫だろうが?お前衛士なんだし。」

 「何その自信!?いつ死んでも大丈夫ってそう言いたいのかよーー!!」

 「・・・いや、そんな事ねえよ。」(目を逸らして)

 「目を逸らすなーー!!」

 何時もの感じでナタリーの店はこのように賑やかであった。

 因みになぜタリサがナタリーの店でこんな格好をしているのには理由があった。

 謹慎処分をくらわされたのだがソ連側から納得のいく罰をと抗議が入り

当面の間ナタリーの店でアルバイトをさせると同時にユウヤがその時の会議で

こう提言した。

 「でしたらナタリーの店でコスプレさせながら接客したらどうでしょう?」

 そう提言したのでナタリーにそう伝えるとナタリーはタリサを見て・・・

こう言った。

 「そう・・・それなら好きにして良いのよね?」じゅるり

 「ヒィイイイイイイイイイ!!」

 その光景から見て正に肉食獣の如き表情とそれに喰われる前に

逃げようとする草食獣の如き光景であったとユウヤは後にそう語った。

 そしてそれからという物とっかえひっかえで色々と服を着せ替え人形の如く

着替えさせられタリサの精神的ライフがゴリゴリと氷を砕いて行うカキ氷期の如く削られて云っていたのだ。

 そしてタリサはぶつくさ文句言いながらも品を置いて颯爽と立ち去って行った。

 するとクリスカがステラ達を見て・・・会釈するとステラ達も軽く返した。

 あの後クリスカはステラ達に謝ったところ自分たちも

知識不足であったことに謝ってその後は宴会であった。

 え、タリサとVG?・・・ああ、あいつらは仲良く椰子の気に宙づりの刑だよ。

 然も唯依に対して撮影する際には色々と気を使わなければならなかったため

正直な所彼らにとってこの演習は・・・気が気でならなかった。

 だからこそのこの処分なのだ。

 自分たちの苦労を思い知れと言わんばかりの状況である。

 そんな中で飲んでいる(VGは酒ではなく水だが)と遅れてヴィンセントが

やって来たのだ。

 そしてユウヤはこう聞いた。

 「よう、ヴィンセント。今日は遅かったが何かあったのか?」

 ユウヤがそう聞くとヴィンセントはこう答えた。

 「ああ、出がけに試験モジュールが組み直しになるって言うんだが・・・

何故だが聞きたいか?」

 「・・・・。」

 ユウヤは黙って頷くとヴィンセントはにこりと笑顔でこう言った。

 「喜べ、『不知火・弐型』専用設計モジュールの換装日程が決まったゼ。」

 「専用のって・・・ってことは!!」

 「おおよ!今のベースモデルからやっと本物になるんだぜ!!」

 ヴィンセントは胸を張ってそう言うとVGは驚きながらこう返した。

 「はあ!また秘密にしてやがったのかよ~~!!」 

 「そう言うなよ。ちゃんとお前さんの『吹雪』も予備装甲を使って

仕上げてやるからよ。」

 「よっしゃー!」

 VGはやったぜと言って喜んでついつい高い酒を頼んでしまったのだが

そんな光景をシカトしてヴィンセントはこう続けた。

 「然しやっとだな。設計にはボーイング社が『アクティブ・イーグル』を

参考にして設計しているって話だけどあの高性能機が更に凄くなるなんて・・・くー!今からでもワクワクするぜ!!」

 「その分じゃじゃ馬にならねえことを祈るがな。」

 ユウヤはヴィンセントの言葉を聞いてそう返した。

 今までの不知火・弐型ですらじゃじゃ馬であったのに更にかと思ってしまうがヴィンセントはユウヤに向けてこう言った。

 「まあ、換装中は実機試験は休みだろうからシュミレーション演習用の

プログラム作っといてやるがユウヤ、気を抜くんじゃねえぞ~~。」

 「分かってるよ。どんな機体であろうが俺はそいつを当代最強の戦術機に

仕上げてやるさ。あの『武御雷』であろうともな。」

 「そうか・・・頑張れよ相棒!」

 「おおさ!!」

 ユウヤとヴィンセントはお互いにそう言いながらグラスをカチンと合わせた。




 次回はあれに向けての会議。


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聞かれない会談。

 誰も聞いていない話は大体が極秘だ。


 2001年7月13日・日本帝国国防省・第壱開発局第16会議室

 物資不足に追い打ちをかけるかのように部屋の広さに反して蛍光灯の本数が

明らかに足りないのだ。

 最前線国家である事もあってかあらゆる物資が軍に集中的になっているため

幾ら軍であったとしても会議場に迄物資を上げる事など出来なくなっているからだ。

 それに伴い只でさえ侘しい造りの地下会議室がその蛍光灯の少なさにより

悪の秘密結社の様な状況となっていた。

 然もコノ字配列されているフォールディングテーブルによってさらに

その印象が際立っていた。

 そんな部屋の中に於いて場違いにも甚だしい格好の人間が2人ほどいた。

 下座にはラフな態度をした精悍な軍人の巌谷榮二中佐が。

 そして上座にいるのは麻のサマースーツをがっちりと着こなした伊達者・・・

帝国情報省第2課長『鎧 左近』がそこにいた。

 彼が所属する部署は公にも出来ないほどのスパイ組織でもあり表ざたには

出来ない情報を手に入れることが仕事である。

 その中に於いて彼は無傷でその仕事をやり遂げることから裏側の人間に間では

『不死鳥』とも呼ばれる所以となっている。

 そんな彼は巌谷から渡されたプリント天板に書かれている情報を見て・・・

笑いながらこう言った。

 「はっはっはっはっは。・・・これは驚きましたね、いやはや無理難題を

簡単に仰られる辺り流石篁家の血筋とも言えますなあ。」

 彼は芝居がかった口調と勿体ぶった言い回しをしているが

巌谷は何時もの事だからなと諦め交じりの思いでこう続けた。

 「あれとて無理は承知の上だろうと私はそう思っておるのだが・・・

だからこその貴官にご足労を願った訳さ。対外交渉とその調整に於いて

お前さん以上の手合いはこの国には存在しないからな。」

 大抵は死んでしまったからなと巌谷は自嘲君でそう呟いた。

 戦争やスパイ行為が発覚して拷問して殺されたり自決したりとした理由で

人員不足がここでも目立っているからだ。

 「それにお前さんみたいな1級の人間しかやれない仕事なのだ。・・・

この国の為に一肌脱いでほしい!」

 この通りだと言って巌谷は頭を下げると鎧は・・・珍しく慌てた様子で

こう言った。

 「まあ、やれるところまでやってみますが先進機密技術の塊である

試作兵器を国外に持ち出すとなると」

 鎧は困った様な・・・振りをした表情を浮かべると巌谷はこう答えた。

 「ああ、その通りだな。国防省は無論だが外務省も内務省もだろうな。

国防省は俺が何とか出来るが他は・・・お前さんに任すから好きに動いてくれ。」

 巌谷はニヤリと笑いながらそう言いながらこう続けた。

 「例のあれは『横浜の女狐』から持ち込んだ奴だ。

然も心臓部はブラックボックスと言うおまけ付きで我々は一生あの女狐に

頭を下げなければならないという皮肉な話だが

それで他の連中を黙らせることが出来るよな?」

 巌谷は鎧に向けてそう聞いて・・・鎧はこう答えた。

 「やれやれ、仕方ありませんね。ですが中佐。一つ聞きたいことが。」

 「何だ?」

 「大の政治嫌いで有名な貴方がそこまでされる覚悟を決めた理由は・・・

篁家のご息女の為だけではありませんよね?」

 僭越ながらもとそう聞くと巌谷は暫くして・・・こう答えた。

 「この決定は俺にとって『XFJ計画』の分岐路だと思っているんだ。

正面装備の選定程度では済まない程であるがこの選択を間違えれば帝国は

益々国粋主義と言う名の自家中毒の袋孤児に迷い込んでしまい最終的に・・・

この国は自滅するであろう。」

 「これは驚きましたね。斯衛出身の陸軍高級将校とは思えないお言葉ですな。

何処かの誰かさん達にも聞かせたいですなあ。」

 鎧は大げさなリアクションでそう答えると巌谷はこう続けた。

 「だからこそ国際共同開発の小さな成功こそがこの自家中毒を

払拭させる事が出来る最初の一太刀にする。それで国防省を黙らせる。」

 「ですがそうなると『横浜の女狐』の供物は如何様になさいますか?

半端なものでしたら痛い目を見ますが?」

 「それについてはこっちは既に用意している。もう一枚の資料を読んでくれ。」

 「ではでは・・・・。」

 鎧は巌谷の言葉を聞いてどんなものかと確認した後に立ち上がってこう言った。

 「それでは私も動くと致しましょう。ああ、それとこの資料に書かれている

供物ニついてですがそれとは別にもう2つほど。」

 「何だ?

 巌谷は何だと聞くと鎧はこう答えた。

 「はい、一つ目は近々中佐にお願いいたしたいことがありますので

その時にはご協力をお願い致します。」

 「解っているさ、その時には喜んで協力しよう。それで次は?」

 「最近ですがアラスカのソ連軍事施設に於いて何者かが侵入した挙句に

逃げおおせたそうです。」

 「・・・何?」

 巌谷はそれを聞いて目を細めた。

 あの国の軍事施設に侵入した挙句に逃げおおせたとなればこの男以外に

誰がいるんだとそう思っていると鎧は写真を渡してこう言った。

 「それが下手人らしいですよ。それではまた」

 そう言って鎧は音もなく・・・立ち去った。

 巌谷は渡された写真を見た後にそれをマッチの火で燃やした。

 写っていたのはワインレッドの装甲を身に纏った人間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブラッド・スターク本人であった。




 次回はソ連です。


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戦いの匂い

 戦いの匂いがする。


更に日本での会談から2日前のアメリカ合衆国・アラスカ州・ユーコン基地

 この日とある会議が開かれていた。

 出席者は4人。

 ハルトウイック大佐。

 サンダーク中尉

 イブラヒム中尉

 そして唯依のこの4名であった。

 何やら重要な会議に見えるがイブラヒム中尉の顔を見ると・・・

イヤな予感しかしないと感じる程であった。

 何せ憂色を眉間に漂わせていたのだ。

 イブラヒム中尉はサンダーク中尉に向けてこう聞いた。

 「・・・それは決定事項でありますか?」

 「あくまでご提案ですよドゥール中尉。もし良ければ

ご一緒にいませんかというお誘いなのですが?」

 「お誘いねえ。これがソ連の催しと呼ぶのならば悪趣味としか言いようが

ありませぬが?」

 イブラヒム中尉は資料を見てそう言いながらサンダーク中尉を見るが

その言動とは裏腹にもう決定事項である事が明白である。

 その証拠にハルトウィック大佐は窓際の景色を眺めているあたり

最早覆すことなど敵わないであろうと言う事が見て取れる。

 恐らくは既に各方面からの意向、自分たちならハイネマンがボーイング社をも

丸め込んでいるはずだと感づくがそれでもとイブラヒム中尉はこう考えていた。

 「(確かに今のメンツならば何とかなるかもしれんが不安要素は

ブリッジス少尉だ。確かに奴の成長速度は異常でシュミレーションでは

誰よりも長く生き残れるほどだが所詮はシュミレーションだ。

何かがあった時に備えた方法を覚えさせなくてはならないから

それを言い訳にすれば)」

 要はユウヤのBETAとの戦いは未だ不十分だとそう考えているのだ。

 それにもうすぐ『不知火・弐型』の装甲が到着するからそれも口実にすれば

いいんじゃないかとそう考えるとハルトウィック大佐が窓から眼を離して

イブラヒム中尉に向けてこう聞いた。

 「君の意見を聞きたいのだがドゥール中尉。」

 「は。正直な所サンダーク中尉の『要請』は想定外のカリキュラムですので、

我が隊の練度では試験内容そのものに不安が残りますし

それにブリッジス少尉は未経験者です。幾ら我が隊に最前線から来た衛士が

3人いたとしても相応の予備訓練が必要ですしそれに間もなく

『XFJ計画』の根幹となる機体の装甲換装が執り行われます。出来れば

それが終わってからの派遣が望ましいと」

 「・・・ふむ、ならばこれはどうかね?」

 ハルトウイック大佐はそう言ってとある手紙をイブラヒム中尉に手渡すと

イブラヒム中尉は差出人を見て・・・目を大きく開けた。

 「まさか!ボーイング社がこれを許可!・・・然も装甲換装は

戻ってきてからやる様に変更されて・・・!!」

 それを聞いたハルトウイック大佐はイブラヒム中尉に向けてこう言った。

 「それでは宜しいかな?」

 「待って下さい!」

 「何かね篁中尉。」

 そう聞くと唯依はこう答えた。

 「現段階において実戦試験は考慮すべきではありません!

確かに彼らは優秀ですがそれでもコンビネーション訓練に於いて

不安要素がありますし急いては事を仕損じると言います。先ずはちゃんと

足元を踏みしめてから行動を」

 「因みに言うがこれは日本政府でも許可は下りているぞ。」

 「日本政府が・・・!まさかそんな!!」

 「既に際は投げられている。これは決定事項である!!」

 「「・・・・・」」

 それを聞いたイブラヒム中尉と唯依は最早言葉を出すことが

出来なくなっていた。

 そしてサンダーク中尉が全員に聞こえるようにこう言った。

 「それではアルゴス試験小隊、イーダル試験小隊の他に欧州、アフリカ、

中近東、アジア地域の4部隊合同となる極東ソビエト戦線での合同運用試験の

実施を宣言したくここに発表いたす次第である。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「くそ!何でこんな急に!!」

 「そういうな篁中尉。私だってそう思うが最早決定事項だ。ならば俺達が出来る最大の行動を見せてやろう。」

 「最大の・・・ですか?」

 唯依は何ですかとイブラヒム中尉に向けて聞くとイブラヒム中尉はこう答えた。

 「派遣部隊を・・・アイツら全員を無事に帰還させることだ!

そのためには今俺達がやれる精一杯の対応をするべきだ!!」

 俺はそう思うなとそう言って部屋から出て言った後唯依は自分が出来る最大限は何かとそう考えていた。

 そしてあるものを思い出したがあれは間違いなく議会があれるどころか

内容次第では巌谷中佐の進退にも大きく関わる事であり自分一人の独断でと

そう思ってしまうがならば他には何だと思った。

 自分が『武御雷』に乗って共に戦うか?

 いや、斯衛の大事な機体を再び戦いに・・・

自分のエゴに皆を付き合わすわけにはいかないとそう考えると後は何だと考え・・最初の案に戻ってしまってこう考えた。

 「最早これしかないか・・・。」

 そう思い唯依はすぐさまに通信室に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「感謝します小父様。」 

 唯依は巌谷からの返信を聞いてそう呟いた。

 内容は成功でなんとかなるとそう書いているがそれでもと思っていた。

 「最早後戻り出来ぬか・・・。」

 そう言って資料の兵装を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 大型の砲台みたいな兵器。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試製99型電磁投射砲のデータを。




 次回はユウヤ達inソ連!


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いざソ連へ。

 そう言えば普通ならばこの時点でロシアに変わっていたんだよな。
  


そして暫くしてソビエト社会主義共和国連邦・カムチャツカ州・アヴァチャ湾・

強襲戦術機揚陸艦ミトロファン・モスカレンコ、上部甲板。

 ユウヤは接岸間近と言う報告を受けて甲板の上に上がったユウヤは鈍色の雲で

覆い尽くされた空を見上げていると・・・何かを感じた。

 「(何だこの感じは!これが最前線かよ!!)」

 そうお思いながら目の前にある景色を眺めていた。

 ソ連が誇る第一級要塞都市《ペトロパブロフスク・カムチャッキー基地》の光景はまさに・・・この世の終わりであった。

 岸壁に揺蕩う茶褐色の水面から沸き上がる橙色の泡。

 散在する濁った水溜まりと劣化した舗装道路。

 錆とタールにくすんだ数々の湾岸設備。

 桟橋に係留されたままの軍用艦の成れの果て。

 そして海からは排水をそのまま流しているのであろう腐った潮の匂いが。

 何よりも海鳥が1匹も見当たらない。

 「【こいつが最前線ねえ。正にこの世の終わりを具現化したような

光景だな。】」

 「(エボルト、お前はこの光景と何かが覆い尽くすかのような感じを

味わった事はあるか?)」

 「【いやねえな。他の星にいたとしてもこんな感じじゃねえ。って言うか

大体俺何も考えずに星ぶっ壊して潰してきたからな。】」

 参考にもならねえよと言ってこう続けた。

 「【それにしてもなんか寒い感じだがここってアラスカよりも緯度が

低いはずだろ?】」

 「(確かに寒いと感じるがどちらかと云やあ突き刺すような感じがするな。)」

 「【BETA共が手当たり次第にぶっ壊しているんだろうなって・・・

可笑しいと思わねえか?】」

 「(?)」

 「【ここ迄ぶっ壊して迄侵略するって大概だぜ?余程奴らの母星は生き物が

住みにくい惑星って事になるぞ?】」

 「(確かにここ迄酷いって言うのもそれなら納得がいくけど環境を

変化させるだけでここまで徹底的にするって言うのも可笑しいな?)」 

 ユウヤはエボルトの言葉を聞いて確かにと考えていた。

 何か考えがあったとしても資源が欲しいと言うならこんな事せずに

特定の資源(水だったら潰す)だけを奪えばいいのにとそう思っていると

エボルトはこう考えていた。

 「【もしかして奴らも俺と同じように?】」

 そう考えていると・・・ヴィンセントが現れた。

 「よう、ユウヤ。こんな所にいたのかよ?」

 そう言いながらユウヤの隣に座ると目の前にある山を見てこう言った。

 「・・・凄い山だよなあ。」

 「ああ・・・あれを見ているとここが最前線って言うのが嘘な位にな。」

 そう呟いていた。

 2人にとって前線は初めての事なのでここが最前線だと言われても

感触がないのだ。

 するとユウヤはヴィンセントに向けてこう聞いた。

 「そういやあお前準備良いのか?こんな所に居てもよ?」

 「俺らの準備はまだまだ先の話さ。先ずは戦術機だよ。」

 ユウヤの問いにヴィンセントは《不知火・弐型』を見ながらそう言うがその時の表情は・・・不機嫌であった。

 「まあ、お前の言いたいことは分かるぜ。お前が一番楽しみにしていたもんな『不知火・弐型』と『吹雪』の換装モジュール。」

 「ああそうだよそうだよ!あいつらの新しくなる雄姿を壱番に見れるのは

俺達整備士なんだぜ!!それなのにいきなり実戦データをとるなんて

ボーイング社は阿保かっツウの!」

 「それお前大声で言うってどんだけ溜まってんだ不満。」

 こいつは帰ったらいの一番に酒を奢らないといけないとユウヤは

そう感じていた。

 するとユウヤはヴィンセントに向けてこう言った。

 「けどまあこいつはチャンスだと俺は思ってんだ。」

 「チャンス?」

 「ああ、戦術機のテストパイロットとして俺は未知の環境に実戦って言う試練を克服して俺達の『不知火・弐型』を最も実績と信頼性を兼ね揃えた機体に

仕上げるってこんなこと言ったらタリサ達に怒られることは間違いないだろうが

こんな降って湧いたような話に乗らないって言うのも可笑しいだろ?」

 「・・・確かにそれ聞いたら連中怒るだろうな。」

 「だろ?篁中尉何てそれだからな・・・クリスカ達も間違いなくだが。」

 「当たり前だろうな。あいつらにとっちゃあここは故郷何だからな。

俺だってもし自分の故郷に向けてそれ言ったら何言ってんだって

ぶん殴っているだろうぜ。」

 「だからお前と一緒ならこんな事言えるのさ。絶対に生き残って

『不知火・弐型』を完成させてやるさ。今の状態であっても

あいつは最強だってな。」

 そう言ってユウヤは『不知火・弐型』を見ているとヴィンセントがこう言った。

 「そうだな、ここでぶー垂れても換装モジュールが届く訳じゃねえな。

俺も最大限の整備をするからさ・・・生き残ろうぜ。」

 「ああ。」

 そう言ってお互いに拳を軽くぶつけあった。

 そんな中に於いて山の向こうでは支援砲撃の音が未だ聞こえていた。

 「まだ向こうは戦闘中か。」

 「一体どんだけのBETAが屯っているんだろうな?」

 ヴィンセントはそう呟きながらそれじゃあなと言って甲板から下に

向かって行った。

 そしてユウヤは一山向こうにある戦場を感じてこう呟いた。

 「・・・一体俺達の敵はどんな奴ら何だろうな。」

 その言葉を聞いて答えるのは・・・海の波音と砲撃の音だけであった。




 たった一つの事象でここ迄変わるとはね。


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来てしまったぜ戦場!

 墜落ら辺があります。


支援砲撃の砲声を聞いているユウヤは後方から聞き慣れた声を声を聴いて

何だと思っているとそこで目にしたのは何時ものメンツであった。

 「よう、VGとタリサじゃねえか?VGはともかくタリサもって何でいるんだ?」

 「阿保言うな!遠征以外は謹慎されているだろうが!!

これからシュミレーションして鈍った感を取り戻しに行くんだ!」

 タリサはユウヤに向けてそう言いながら・・・クシュンとくしゃみをすると

VGが大笑いしながらこう言った。

 「何だ風邪か!?おいおいおい、前線に戻って風邪でお休みなんて

締まらねえぞ?」

 「違えよ!アラスカとは違った寒さを感じるんだよ!!」

 「それって・・・何かに刺されるようなそんな感じか?」

 「まあな・・・お前何かと勘が良いよな。」

 「BETA共が手当たり次第にぶっ壊して真っ平にしちまうからな。

気候が激変しちまってるんだよきっと。」

 VGの言葉を聞いて成程なと納得しているとステラがその光景を見て悲しそうに

こう言った。

 「ユーラシア大陸なんて何処もそうヨ。これが戦場の空気ね。」

 帰ってきちゃったのねとステラがそう呟くとユウヤ以外の面々は確かにと

そう感じていた。

 後方に移動したとはいえ忘れられないほどのこのプレッシャー。

 自分たちは帰ってきたのだとそう感じているようであった。

 すると基地から・・・サイレンが響き渡った。

 「まさか敵襲か!?」

 「【こんな時に強襲とはBETA共も勘が良いのかよ!!】」

 エボルトはそのサイレンを聞いてそう毒づくがタリサ達は何やら見ていた。

 そしてその方角をユウヤも見ると目に映ったのは・・・

第一世代戦術機のような外観を持つソ連製戦術機

『スヴイエル・クラカデール(Mi-24 MkⅢ)』編隊と同じ形を持つ

3機の戦術機が見えた。

 「ありゃあ『MiG-23(チボラシユカ)か?

それとも『MiG-27(アリゲートル)』か?」

 「それにしても3機で小隊を組むって俺らじゃないとなると・・・まさか!」

 ユウヤはまさかと言ってVG達の方を見るとVG達はこう答えた。

 「多分な。あいつらは生き残りだろうな。」

 「元は中隊か・・・最悪大隊規模って可能性もあるぜ。」

 「それにしても情報通りね。普通ならあそこ迄の高高度はとらないわね。」

 ステラがそう言うのを聞いてイブラヒム中尉のブリーフィングを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『これから向かうのはペトロパブロフスク・カムチャツキー基地がある

カムチャツカ半島には大陸からのレーザー照射と言う我々実戦経験者からすれば《ふざけんじゃねえぞこの目ん玉野郎が!》と言いたいくらいの連中がいるのだがここではオホーツク海と半島を2つに分けている2つの山脈が天然の要害として

果たされているため主に戦闘機や爆撃機等における攻撃も可能となっている。またレーザー種も浸透確認されていない事から戦術機による高高度移動も

可能となっているため低空匍匐移動はしなくてもよい場所だ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おい!前から5番目の奴ヤバいぞ!」

 「!!」

 ヴィンセントの言葉を聞いて何だと思っていると・・・指摘した機体が

噴射上昇中に姿勢を崩してしまい躓いて転んでしまったかのように

水平になってしまいスラスターを噴射したまま・・・手負いである隣の機体と

激突してしまったのだ。

 ぶつけた機体は其の儘港湾ビルの死角に落ちていき、ぶつけられた機体は

三軸回転しながら不時着していった。

 そして数瞬後になって・・・音もなく爆炎が立ち上がるのを見て

ユウヤはVG達に向けてこう聞いた。

 「あいつら・・・緊急脱出(ベイルアウト)しなかったのかよ!?」

 するとVG達はこう答えた。

 「ああ、接近戦かなんかで搭乗口のブロックがフレーム事

歪んじまっていたんだろうな。」

 「胸部ブロックにタコ助(要撃級)の一撃を喰らっていたら間違いなくな。」

 「要撃級って・・・あああのサソリのなりそこないか。」

 人面相みたいな顔しているような奴かと言うとVG達はこう返した。

 「そうそうあれ。あいつらの手は固いからな。一撃であの世なんてざらだよ。」

 「・・・初めて見たぜそう言うの。」

 「・・・だな。」

 ユウヤの言葉を聞いてヴィンセントもそう答えた。

 自分たち開発チームも実験中の事故とかで死んだ人間を見送ることなんて

しょっちゅうあったものだ。

 それがグルームレイクであろうがユーコン基地であろうが何処でもだ。

 だが・・・今回だけは違う。

 BETAと言う確実にいる敵によってそれらが奪われる瞬間等

今まで見たことがないからだ。

 するとタリサが有効に向けてこう言った。

 「分かるかユウヤ・・・これが《実戦の空気》って奴だ。」

 「こいつが・・・。」

 ユウヤはそれを聞いてもう一度その空気を感じた。

 肌に突き刺すような寒さと覆い包まれるかのようなプレッシャー。

 そして先ほどの墜落を思い出して・・・ブルリと震えあがった。

 正直な所逃げたくなるような感じであるがそれを鼓舞してこう考えていた。

 「(何考えているんだおれは!ようやく実戦に入れるんだろうが!!

今は何も考えずに教官からの教えでもある〈生き残る事〉を

大前提に考えるべきだろうが!!)」

 そう思いながらユウヤは・・・下唇を噛んでいた。




 次回は基地の説明からです。


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新兵器について

 今回は例のあれが出ます。


 2001年8月3日・ソビエト社会主義共和国連邦カムチャツカ州・

国連軍北極海方面第6軍・ペトロパブロフスク・・カムチャッキー基地・

国連軍方面司令部ビル地下2階・第3ブリーフィングルーム

 

 

 

 

 

 

 

 イブラヒム中尉はこの部屋に於いて今回の試験内容の目的を言っている中で

ユウヤはエボルトと話をしていた。

 「(やっぱあるのか?盗聴器。)」

 「【あああるぜ、そこら辺にな。】」

 それを聞いて流石仮想敵国と思っていた。

 「よって今回の本試験の目的は主にだが『不知火・弐型』と

『アクティブ・イーグル』の実戦における即応性と並行し、

僚機との緊密なコンビネーションにおける問題点の洗い出しであり・・・。」

 「久々の最前線だからイブラヒム中尉気を引き締めてるなあ。」

 「そうなのかVG?」

 「ああ、ま・・・俺もだけどな。」

 VGはそう言って顔をいつもとは違って引き締めているとユウヤがそれをみて

こう言った。

 「お前何時もそんな感じにしたらモテるだろうな。」

 「そうそう俺って普通はチャランポランってどういう意味じゃお前!?」

 「喧しいぞVGって貴様の阿保面は何時も同じであろうが!!」

 「中尉!それって酷くないですか!?」

 VGはイブラヒム中尉の言葉を聞いて酷いと言うがイブラヒム中尉は

お前は何時もの事であろうとバッサリと斬り捨てられた。

 「・・・お前後でポーカーするけど覚えとけよ。」

 「ハイハイ。」

 ユウヤは後ろから聞こえるVGの恨みつらみの小言を聞いて軽く流して

聞き戻しながら周りを見ていた。

 VGやイブラヒム中尉だけじゃない。

 タリサやステラも同じ表情であった。

 つい前までユウヤを除いた衛士全員が最前線で戦っていたのだ。

 ここから感じる空気を肌で感じて体が反応しているのであろうと思っていた。

 そんな中にてマイペースダナと感じるサンダーク中尉と

ハイネマンの姿が見えた。

 「(サンダーク中尉なら未だしも何でアンタも来てんだよ!技術畑だろうがって普通にソ連と話してるし!!)」

 「【やっぱ技術漏洩の噂って強ち嘘じゃねえだろうな。】」

 「(それならあそこ迄普通の話すのも納得だな。)」

 エボルトとユウヤはその考えを話していた。

 するとイブラヒム中尉が全員に向けてこう言った。

 「それでは評価試験スケジュールについてだが篁中尉から追加要請があり

既にここに運ばれている奴について説明があるからブリッジス少尉は

特によく聞くようにな!!」

 「ハ!」

 ユウヤはイブラヒム中尉からの注意に対して綺麗に答えた。

 そしてイブラヒム中尉と変わって唯依が演壇に立つと背後にある

プロジェクターから日本から持ち込まれた新型兵装の三面図や諸元表、

細部の画像などが所狭しと表示された瞬間に・・・先ほどまで不平不満を

呟いていた整備兵達から感嘆の声が響いた。

 「(おいおいおい、あんなもん迄持ち込んだのかよ日本は!!)」

 「【へえ・・・こっちでもあそこ迄の奴は作られてねえな。】」

 エボルトですら感心するほどと言われるそれは・・・こう書かれていた。

 『試製99型電磁投射砲』

 詰る所のレールガンだ。

 然も戦術機用の。

 それを見て周りが驚いていた。

 間違いなく虎の子と言わんばかりの兵器をよく持ち込んだなと感心したり

これが量産できればと希望を持つ者もいた。

 中でもサンダーク中尉にハイネマン、

ヴィンセントは目が飛び出るんじゃないかと思わんばかりの勢いで

それを見ていた。

 すると注意や説明をしていた唯依がこう続けた。

 「尚、『不知火』系統の中で『弐型』以外は既にテストを終えており

運用試験に際しては予期せぬ問題を予測し、考慮した上で柔軟な対処を。」

 「(あ~あ、間違いなく一度使ったらレポート課題だろうな。)」

 「【序に威力次第じゃあスパイがあっちやこっちやら来そうだな。】」

 ユウヤとエボルトはお互いの考えを述べていた。

 何せユウヤの場合はテストパイロットであるため使った際の注意や改良点、

更には機体の相性も考えた上で纏めなければならないため大変なのだが

そうすることで前線の兵士達の生存率が高まるという物である。

 信頼性が低いのならば高めるための努力をする事こそ

テストパイロットの力なのだ。

 無表情である様に見えるステラも苛立ちをあらわにして不満げに

レールガンについての説明を聞くタリサ、退屈そうに辺りを伺うVGも

ブリーフィングの要点を聞いて自分ならば如何使うと考えていることが分かる。

 「(後でポーカーの時に聞いてみよう。)」

 ユウヤはそう考えていた。

 後唯依にも聞いてみようとも考えている。

 恐らくだが彼女も使ったことがあるんじゃないかとそう思っているからだ。

 「尚強化モジュール換装後のレールガンとの適合試験に於いてだが

これもアラスカで後日行うものとするがブリッジス少尉を始め

『アルゴス試験小隊』各員にもシュミレーションでやって貰う事となるから

留意するように。」

 何か質問はと聞くとユウヤはこう聞いた。

 「では自分が、今回虎の子ともいえるこの兵器ですが量産するにあたっての

注意点などはありますか?」

 『‼』

 それを聞いて全員が唯依に向けて目を大きく見開いていた。

 これの量産は祖国奪還と言う目的に最も重要な言葉なのだと

そう思っているからだ。

 すると唯依はこう答えた。

 「無論だ、ブラックボックスされているところがある為先ずは日本で開発されることとなるだろうがそれでも各国に行き届けれるであろうと考えている。」

 それを聞いて分かりましたとユウヤが座った後で全員がざわざわと話していた。

 威力次第では祖国に報告しなければという者や整備できるんだと喜ぶ者、取引を考える者等が話しているのが聞こえた。

 「【こりゃあ大変なことになるぜ~~】」

 エボルトはニヤニヤと笑いながらそう言うのが見えるような感じがした。




 次回は実際に見て。


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レールガンを見て

 レールガン・・・浪漫あるなあ!


「え?レールガンをですか?」

 「そうだ、貴様が最初に使うからな。実際にその目でレールガンを

確かめた方がいいのではないかと思ってな。」

 「へえどういう風の吹き回しなんです?何時もなら俺から逃げるように

遠ざけていたのに。」

 「当たり前だろうが!貴様があの時に阿保な賭けを持ち込まれたせいで

私は良い笑い者だったのだぞ!?」

 唯依はユウヤに向けてあの事を思い出させた。

 あの決闘の際にユウヤから切り出された賭けによって

笑いの種にされていることを告げるもユウヤはああねと言ってこう続けた。

 「良いじゃないですか?あれのおかげで皆と話し合う事が出来ましたし

心の壁が取り払われたと思えば。」

 「あんな心の壁の壊し方があるか――!‼」

 唯依は頭を抱えてそう言うがユウヤはこう続けた。

 「それにあの写真撮影のおかげで写真集を作れたんですから。」

 「作るって・・・まさかあの写真をか!?」

 「ええ、水着写真もありますんで・・・篁中尉の上官と友達と部隊に

配布することが出来ますよ。」

 「やめろーー!!それだけは止めてくれーー!!上官は私にとっては

肉親同然の人だしあんなの部下や母に見られたら私は今後どうやって

帝都に帰った時にどんな顔をすれば良いのだーー!!」

 「普通にすればいい。」

 「出来る訳がなかろうがーー!!」

 唯依は頭に来たようなので怒るがユウヤに対しては暖簾に腕押しだ。

 効果などなくユウヤは立ち上がってこう言った。

 「さてと・・・そんじゃあレールガン見に行きますか。」

 「おい、何故貴様が命令するんだって言うか居場所分かって」

 「・・・写真集。」

 「ここから少し離れたXFJ計画専用になっている第3格納庫に

保管されているからさあ行くぞ!」

 唯依はそう言ってユウヤと共に向かうがその光景の一部始終を見ていた

タリサ達はこう呟いた。

 「篁中尉哀れだな。」

 「そうね、それにしても弱みを握って言う事聞かすなんてユウヤも中々ね。」

 「いやお前ら止めろよって言うかユウヤそんなもん持っていたのか。後で俺にも一口嚙ませるように話ししよう。」

 「貴様ら本当にって言うかブリッジス少尉の上官はよく奴の手綱を

引いていたな。何れ教授を願いたいな。」

 タリサ、ステラ、VG、イブラヒム中尉が揃ってそう言うと唯依に向けて

優しい笑顔で・・・美しい位に敬礼した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして。

 「すげえな、このレールガン。」

 「ああ、私が携わっていた時よりも良い感じだな。」

 唯依と唯依はお互いにそう言うとユウヤは唯依に向けてこう聞いた。

 「え?これをって何時ですか?」

 「ああ、アラスカに転属する前だ。既に実射実験の第二段階と

シュミレーション実証まで進んだところでアラスカに移動となってな。」

 「すげえ・・・レールガンを撃てるなんて。」

 ユウヤは日本は近接型重視じゃなかったんですねとそう言うと唯依は

こう答えた。

 「当たり前だと言いたいところだが何分十分な戦力を

確保できていないというのが現状でな。人数を確保するには遠距離兵装も

必須なんだ。」

 「ああね。」

 ユウヤはそれを聞いて成程なとそう思っていた。

 何せ今のご時世アメリカ以外の何処の国も兵員が圧倒的に足りないと言うのが

現状なのだ。

 それを補い且つ戦力の温存又は拡充を進めるには兵器の近代化が必須なのだ。

 すると唯依はレールガンを見てこう呟いた。

 「私が関わっていた時には冷却系の防御力に問題があったがこいつは

それを改修されているがその分重量が17%ほど増加しているな。」

 「仕方がないですよ。防御力と重量の関係性は全ての機動兵器開発には

宿命的って言うか新素材や新技術が確立されるまではバランス問題が

付いて回るんですからね。」

 まるでストーカーみたいですよと呟きながらユウヤはレールガンを見ていると

唯依に向けてこう聞いた。

 「あのう篁中尉。一つ宜しいでしょうか?」

 「何だ?」

 「こいつって完全に『不知火・弐型』とコンセプトが釣り合いませんよ。空力や重心変化も考えたら本末転倒も良い所ですよ。」

 「!!・・・貴様もそこに気づいたのか?」

 「ええ、もう完全になりふり構っていられないって言うのが

見え隠れしてますね。これなら戦艦と直結させて砲台として使用したほうが

このまま使用しても」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そうか!!」

 「!?」

 「武器を軽くするのではなく其の儘でしかも確実に運用出来るように場所を

変えれば良いだけだったのだ!何でそれをってだが陸上・・・大陸奥深くデ

運用するとなると・・・。」

 唯依は何やらう~んと頭を悩ませていると・・・ユウヤがまたこう呟いた。

 「それだったらこいつその物を分解して使用する時には戦術機

で繋ぎ合わせて使えば。」

 「・・・成程な、銃だって分解してまた使うものな。だがそれでは

冷却系との結合作業をするときに・・・。」

 「だったら戦術機に直接冷却系をとっつければ。」

 「・・・それなら確かに・・・いや、間違いなく使えるはずだ!第一世代の奴をそう言う風に再利用して使えれば・・・!!」

 「あーあ、完全にトリップしているな。」

 説明書読もうかなとユウヤは其の儘座って説明書を読むこととなった。




 意外に誰かの言葉って重要だよな。


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初陣の生存時間

 新兵はとにかく生きることを考えろ!


「・・・ふむ、成程成程この方法ならば!この演習が終わったら早速中佐に

この事を報告しておかなければ!!」

 「やっと終わったか。」

 「【こいつは根っからの開発者のようだな。】」

 あいつを思い出すぜと言ってエボルトはある男を思い出した。

 嘗ては自分の玩具として力を与え、貸して、いつの間にか

自分の考え以上の物を作り上げ、追い込み、仲間達と共に勝利を手に入れた男。

 ・・・桐生 戦兎の事を。

 「【こいつはほっておいても面白い奴を作りそうだからユウヤ経由で

色々と何か手を貸すか。】」

 その方が面白そうだしなと思いながらエボルトはユウヤ視線で

レールガンを見てこう思っていた。

 「【それにしてもこんな奴を作るとはな、人間はやっぱおもしれえなって言いてえところだがこいつに《不知火・弐型》にベストマッチするのかねえ?】」

 そう呟くエボルトであったがそれは確かにである。

 何せ《不知火・弐型》の設計思想は近接格闘と高機動における戦闘能力を

先代よりも向上させたものなのにレールガンを搭載させると

それが生かせないんじゃないかとそう思う次第であった。

 するとそれを感じたユウヤはこう思っていた。

 「(きっとそんだけなりふり構っていられない程切羽詰まっているん

だろうぜ。)」

 「【成程な、こんな餓鬼が衛士やっているんだ。そんだけ国の戦力が

無くなり始めているって事だな。】」

 「(そうだな、そんでこいつをお披露目したって事は)」

 「【既に量産の目途が立ったかそれとも威力を見せつけて各国に売り込みを

かけるって寸法だな。】」

 ま、予想だけどなとユウヤはエボルトに向けてそう呟いた。

 するとユウヤは唯依に向けてこう聞いた。

 「そういやこいつ戦闘中に何かあったらどうするんだ?運ぶって言われても

分解できなさそうだし。」

 どうするんだとそう聞くと唯依は咳払いしてこう答えた。

 「んんん!緊急時についてだが貴様が邪魔だと判断したら投棄しても良いが

ある一点を守って欲しいんだ。」

 「?」

 「こいつには自爆装置が内蔵されているが万が一ブラックボックスが

壊れていなかったら・・・頼む。」

 「ああ、そう云やあ冷戦時代で止まってますもんね。アメリカとソ連って言うかこの時世に未だ引きづりますかねえ?」

 「・・・引きづるから世の中人類団結は夢のまた夢と言われているのだ。」

 「ですけど日本とソ連って同じ状況になっているから万が一があっても友好的なはずでは」

 「それでも万が一に備えてと言う事だ。同じだからと言って

早々仲良く出来んのが人間と言う者だ。」

 唯依はそう言ってレールガンを見ていた。

 するとユウヤは唯依に向けてこう言った。

 「まあ、中尉の立場は理解していますし万が一がない限りは絶対に持って

帰りますよ。」

 データも一緒にとそう言うが唯依はこう続けた。

 「いや、無理にとは言わんしそれにこいつは人間が作った代物だ。

どこかで誰かが作れば標準装備となるだろうが・・・優秀な衛士は

そうはいかないのだ。」

 「?」

 「貴様は《死の8分》を聞いたことがあるか?」

 「はい、陸軍衛士訓練学校の座学で学びましたがあれは第一世代戦術機の重量と当時の戦闘データから導き出されただけで今は第二世代、第三世代機が

主力ですから8分ではなく自分はこう考えています。

《出撃したら帰るまでは初陣》だと自分はそう考えております。」

 「成程な・・・確かにそうだ。私の級友は8分を超えて浮かれたところに

突撃級の体当たりで命を落とした。」

 「・・・・。」

 「だがそれだけではない。第三世代機であってもたった1分で

戦死する者もいた。」

 唯依はそう言うとユウヤに向けてこう言った。

 「私は貴官に命令する。《何があっても驕ることなく敵を倒して戻って来い》!これだが良いな。」

 「了解いたしました中尉!それじゃあ早速シュミレーション訓練で

こいつの使い方を頭に叩き込みに行ってきます!!」

 「ああ・・・頑張れよブリッジス少尉。貴官の・・・

アメリカ軍の砲撃能力をとくと拝見してもらうぞ。」

 「は!必ず倒して見せます!!」

 そう言って出ようとするとユウヤは唯依に向けてこう聞いた。

 「そういえば中尉、一つ聞きたいことが。」

 「何だ?」

 「元々《不知火・弐型》は近接格闘を主としておりますが近接兵装の訓練は

如何ほどに?」

 それを聞いて唯依はそうだなあと考えていた。

 何せ元々この兵装を演習内容に組み込んではいないのだ。

 出来たとしても機体が出来上がった後に本土で行う予定だったのだ。

 だが無理を言った反面どうしようかと考えていると唯依はこう言った

 「そうだな・・・この演習が終わってからといきたいが

換装モジュールを取り付けてからになるから数週間後と言った処だな。」

 「了解致しました!こいつを《武御雷》よりも良い機体に作り上げて

見せます!」

 そう言ってユウヤは今度こそ立ち去るところを見届けた唯依ははああと

ため息ついてこう呟いた。

 「全く・・・小父様と同じ感じの戦術機馬鹿だな。」

 いやもしかしたらと思って唯依はある人を思い出した。

 戦術機について色々と教えてくれた・・・今は亡き父を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「父様。」




 次回はアルゴス試験小隊から。


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アルゴス試験小隊の一幕

 アルゴス試験小隊の面々が主役。


それから3日が経ち。

 衛士詰め所。

 機体調整作業に当たっていたユウヤ達は整備スケジュール上において発生した

半端な空き時間により暇になったためハンガー脇にある殺風景な詰め所で

ポーカーをしながら暇を持て余しているとユウヤがこう言った。

 「俺上がるわ、ちょっと外の空気吸ってくる。」

 「やめとけって、この空気何だか変な感じがするぜ?」

 それを聞いてVGが止めようとするもユウヤはこう続けた。

 「大丈夫だ、近くをぶらぶらする程度だし万が一の際には逃げ切れる自信は

十分だ。」

 そう言ってじゃあなと出て行くのを見てタリサは頭を掻きながらこう呟いた。

 「何かここってさ・・・居心地悪いんだよなあ。」

 それを聞いてVG達もこう続けた。

 「そりゃあ当たり前だぜ、俺らはお邪魔虫に見えるだろうぜ?」

 「それに後方からテスト目的で最前線に来る人達なんて私達だって

信用していないじゃない?」

 「彼らからすれば我々は腰抜けと見ても仕方あるまいな。」

 イブラヒム中尉がそう言うとそう言えばとステラがこう続けた。

 「けどだからと言って非協力的なのもねえ・・・。」

 「あんだ?何かあったのか?」

 VGがそう聞くとステラはこう答えた。

 「情報提供の不足、連絡不徹底、受け入れ態勢の不備、対応の粗雑さ、

現地部隊の態度・・・どれも最悪って言った処ね。」

 「なあよステラ。お前未だ」

 「そうね、前にユウヤにも言われていたけど中々ね。・・・こびりついて

直らない物ね偏見って。」

 ステラはそう言って少し不満そうな表情をしていて・・・無理な笑顔を

浮かべていた。

 嘗てグアドループ基地における懇親会でも一悶着あったあの事を思い出して・・・くすりと含み笑いした。

 「どうしたんだよステラ?」

 「なんかいい事でも思い出したのかよ?」

 タリサとVGが何かあったのかと聞くとステラは2人を見て・・・少し笑い気味でこう言った。

 「ゴメンナサイ、だってあの時2人がボコボコにされて椰子の木に

括りつけられた時の事を思い出してつい。」

 「「アアアアアアアア!!!!!!!‼」」

 それを聞いて断末魔の様な悲鳴を上げるがステラはこう続けた。

 「だってあの時の貴方達の顔凄い酷い光景だったのを思い出してwwwwwwwwww」

 「おいステラ!それ思い出すんじゃねえ!!」

 「って言うかアイツのせいで俺達酷い目見たどころか

ペナルティも課されているんだぜ!!もう絶対バカンスに悪ふざけ何てしねえから速く解放してくれーー!!」

 VGはそう言って頭を抱えているがイブラヒム中尉がこう言った。

 「まあわからんわけでもないな。いきなり現れて程よく終わって

ハイさよならする連中なぞ誰が信用するものかとな。おまけにアフリカ連合の『ドゥーマ小隊』が派手にやらかしてくれたからな。」

 「派手にとは・・・一体何があったんです中尉?」

 ステラがそう聞くとイブラヒム中尉は少し苦々しくこう答えた。

 「小隊全員が実戦未経験でいきなりここで地獄絵図を見せられて

パニックを起こしたのだ。」

 「良いねえアフリカはよ。平和で、その国の衛士もさぞ人道的ですかね?」

 タリサが頭の額を押さえてそう言うとイブラヒム中尉はこう続けた。

 「だろうな、後催眠暗示も薬も使わなかったらしくてな。

全員シェルショックを引き起こして本国に逃げ帰ったそうだ。」

 「結果俺らの風当たりが酷いのはそいつらのせいってことですよね?」

 「ああ、そうだ。全く嫌なものだ。どちらも使わないなど

それでこそ人道的と言うものなのにな。」

 イブラヒム中尉はそう言って頭を抱え、眉を顰めていた。

 これは最前線衛士としてならば当たり前の事であるのに国がそれを使わずに結果他の衛士達に迷惑をかけるどころか前線部隊の足手纏いになると言った

恥を晒したのだ。

 現にアフリカ連合はこれを機に各部隊に最前線に送り込んでこの様な失態を

繰り返させない様にしている。

 と言う話を聞いているが何分噂程度なので信用などこれっぽっちもしていない。

 「それって・・・ユウヤ大丈夫かしら?」

 「「「あ」」」

 ステラの言葉を聞いてイブラヒム中尉達はヤバっと言った表情になっているが

ステラはこう続けた。

 「彼って周囲の状況を把握できるし臆病過ぎない程度に慎重な行動は

出来ているけどなんか・・・問題起こさないと良いんだけど。」

 「「「・・・・・・」」」

 それを聞くと今度は3人共少し顔を青ざめていた。

 もし何かやったとしてもユウヤの事だ、倍返しでし返すと思うが

それが原因で更に状況が悪化した場合を考えて・・・イブラヒム中尉は

全員に向けてこう言った。

 「今すぐにブリッジス少尉を呼び戻せ!まだ近くにいるかもしれん!!」

 「「「了解!!」」」

 それを聞いてステラ達は急いで向かって行くのを見てヴィンセントは

こう呟いた。

 「・・・何があったんだあいつら?」

 ま、俺には関係ないだろうなとそう思いながら仕事を再開するが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お前にも関係あるんだぞヴィンセント。

 ユウヤ関係ともなれな最悪な時にいないお前は役立たず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「誰が役立たずだ誰が!!」




 次回は例の問題行動。


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クリスカとイーニァ。

 例のあの騒動です。


 野外格納庫に囲まれた狭い通路に差し掛かったクリスカは

イーニァと一緒にいる中で気配を感じたクリスカ達は後方を振り向いた。

 そこには数人の見知らぬ・・・若い少年少女達がいた。

 フライングジャケットの胸には赤い五芒星とソ連軍衛士のウイングマークが

付けられていた。

 クリスカとイーニァは前線で戦っている兵士達に向かて敬意をもって接しようと

彼らに振り向くが突如真ん中に立っていた青年が一人二、三歩前に進み出て

顎を上にしてこう言った。

 「お前らがアラスカから来た腰抜け共か?」

 そう言った少年衛士の表情はあからさまな侮辱と敵意で満ち溢れていた。

 何故同胞でもある自分たちに向けてそんな感情を向けているのかと思い

イーニァが怯えていると少年衛士がイーニァの表情を見てだらしなく笑いながら

こう言った。

 「おいねーちゃん、無視してんじゃねーよ。それとも何か?俺達みたいな

野蛮な連中と口聞いちゃあいけねえってママに言われてんのか?あ??」

 ぎゃはははと笑っている少年少女達を見て何のことなのだろうかと思っているが

クリスカは自己紹介をした。

 「私はソビエト陸軍中央戦略開発軍団・331特殊実験開発中隊の

テストパイロット『クリスカ・ビャーチェノア』少尉だ。」

 そう答えるとその衛士は黒い薄笑いを浮かべてこう返した。

 「中央のエリートさんですかあ・・・で、それがどうした?

だから何だって??」

 「私達は祖国の為に戦う同胞・・・なのにお前たちはどうして

我々に敵意を向けるんだ?」

 それを聞いた衛士達一同が失笑してこう言った。

 「同胞だあ・・・調子に乗ってんじゃねえぞ党の雌餓鬼どもが!」

 失笑した衛士が憎悪にも似た怒声を浴びさせると次々に少年少女達が

こう続けた。

 「自分たちだけさっさと逃げやがったくせに何が同胞だクソが!!」

 「散々搾取させやがって!ぶっ殺すぞこのクソアマーー!!」

 「いざとなったら捨て駒みたいに俺達を見捨てるじゃねえか!!」

 それを聞いてクリスカはさらに混乱してこう言った。

 「ま、待ってくれ!お前たちだってソ連軍の」 

 それを聞いて衛士の一人が奥歯を噛みしめて顔を近づけてこう言った。

 「違う・・・お前はロシア軍だ!!」

 「な・・・何を・・・言っているんだ・・・?」

 訳が分からないと言いたげな顔をしているクリスカに向けて更にこう続けた。

 「ソ連軍なんて元からねえんだよ!手前らロシアが押し付けたんだ!!」

 「わ・・・分からない・・・何の事」

 「とぼけてんじゃねえぞごらあ!!お前らがいる部隊はな・・・

ロシア人しか入れねえんだよ!!」

 それを聞いてクリスカは目を丸くしてこう呟いた。

 「ロシア・・・人?」

 「アラスカに逃げたのは殆どがロシア人だろ!!前線で戦っているのは

それ以外のはアタシらみたいな被支配民族何だ!!」

 確かにソ連にはロシア以外にも幾つかの共和国が存在していたがそれらを纏めてソビエト連邦でありソ連軍はそれを守るために彼らは戦っているのではないかと

そう思っていたのが・・・ガラガラと崩れ落ちていく感触を感じた。

 「クリスカ?!大丈夫!!」

 「大丈夫・・・大丈夫よ。」

 そう言いながらもクリスカは何か湿っぽくて重いものが

両肩にのしかかっていくような感じがしている中で声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こいつらどうする?剥いちまうか!?」

 「ああ、金網に縛り付けて8番ハンガー前のフェンスに吊るしておこうぜ!」

 「おい~、332中隊の親父たちに喰わせるぐらいなら先に頂いちまおうぜ!?」

 「(喰わせる・・・頂く・・・一体何の?)」

 クリスカはそれを聞いて混乱していると・・・

衛士達がクリスカとイーニァを引き離そうとした。

 「いやだあ!いやだあ!!クリスカ!?クリスカーー!!」

 「イーニァ!!」

 イーニァが悲鳴を上げると衛士の一人がイーニァを見てこう言った。

 「へえ・・・ちびの癖に結構でかいじゃねえかよ。」

 そう言って衛士の一人がイーニァの頬に・・・舌で舐めず去った。

 「!!・・・貴様あーーー!!」

 それを見た瞬間にクリスカの目が・・・紅く輝き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユウヤの実家。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あら?何かしら?」

 家の中で食事の準備をしているミラが何事かと思ってユウヤの部屋に向かった。

 ユウヤがアメリカ軍に入隊する前にミラが病気で倒れた際に

エボルトによって転送され彼女を北部の病院に送ったのだ。

 南部の病院だと人種差別によって満足な治療が出来ないかもしれないと

感じたからだ。

 それとエボルトのネビュラガスによる少量での治療の結果奇跡的に治る事に

成功したのだ。

 その後彼女は実家を離れて北部に行ったのだ。

 ユウヤの部屋には戦術機の教本と共に・・・嘗て拾ったパンドラボックスが

置かれていた。

 中には未だ相当量のフルボトルと変身グッズが入っているが

その中にある銃型・・・トランススチームガンが震えていた。

 するともう一つ・・・紫色に輝いているフルボトルがそこにあった。

 「一体何が!!」

 ミラは何事だと思ってパンドラボックスを閉めようとした瞬間に・・・

フルボトル毎何処かにへと消えた。

 「一体何が・・・起きようとしているの?」




 次回は・・・変身?


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怒りの変身

 今回は等々・・・クリスカが変身します。


「う・・・ウウウウウウ・・・!!」

 「おいなんだこの女!このガキ見て唸ってるぜ!?」

 「良いんじゃないの?どうせならこいつの前であの子犯すって言うのはドウヨ!」

 「良いね良いね!だったらその間にこの女もストリップさせて」

 少年少女達がそう言っている中でクリスカの瞳は俯かせているので全員見えないが紅く輝いており半裸になったクリスカはあと一剥きにされそうなところで・・・

大声でこう言った。

 

 

 

 

 「イーニァから・・・離れろーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 「「「うわ!?」」

 少年少女達はいきなり強くなったクリスカによって吹き飛ばされると一人が

こう言った。

 「な、何よいきなり何すんのよ!?」

 そう言うがクリスカはこう呟いた。

 「・・・さない。」

 「?」

 「・・・許さない・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イーニァを汚す貴様らを私は許さない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『‼』

 全員はそれを聞いて目を見開いた。

 先ほどまであんなにしおらしい女性がここ迄の殺意を放っているのだから。

 「クリスカ・・・・」

 イーニァはそれを聞いて震えていた。

 まるでクリスカが・・・別のナニカになっていくような感じがしたからだ。

 するとクリスカは右手を上げると突如として・・・武器が現れた。

 「な、何だよあれ!どっからあんなのが!?」

 「流石ロシア人だぜ!最新鋭持ちってか!?」

 「そういやああの紫色の機体もあいつ等だったよな!?」

 「ムカつく奴だよ!!」

 そう言って周りの少年少女達は鉄パイプを持つとクリスカに向けてこう言った。

 「撃ってみなよ!そしたらアンタハ独房送りだ!!アンタを戦場から切り離して赤っ恥晒してやるよ!!」

 そう言って武器を構えるがクリスカは持っている銃を・・・目に光がない状態で見ながらこう呟いた。

 「ああ・・・こいつか。」

 そう言うとクリスカはネビュラスチームガンと左手にあった・・・

紫色のフルボトルを見るや否やそのフルボトルを装填した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『クロコダイル‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・蒸血。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ミストマッチ‼』

 『ク・・・ク・・・クロコダイル‼』

 その音声と共にクリスカは銃口から出てきた紫色のガスに包まれると

ガスの向こう側から・・・とある人影が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ファイヤー‼』

 その音声と共に火花が飛び散っていくが少年少女達はクリスカを見て・・・

こう呟いた。

 「何よあれ・・・?」

 「何だよあれ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「紫色の・・・人?」

 そう呟いたのだが事実状そうである。

 紫色の装甲。

 ワニを模ったバイザーと胸部装甲。

 体に幾つも出ている煙突の様な突起物。

 両腕と両足には口の様な物が付いていた。

 すると・・・紫色の人間が全員を見ると・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大声でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イーニァから・・・離れろーーー!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「【?】」

 「(どうしたんだ?)」

 「どうしたのだブリッジス少尉?」

 唯依はユウヤの反応を見て何だと聞くとユウヤはこう答えた。

 「ああいや、何でもないような・・・あるような。」

 「?」

 ユウヤの答えを聞いて一体何なんだと思いながらも説明を続けた。

 「つまり貴様は冷却剤を肩部に搭載させるべきだと?」

 「ああ、それなら体当たりとかでも起きない限り故障にはならなさそうだし

武器の方は一度分解して戦術機で運べば良いんだが。」

 「そうなると耐久性に問題が出るぞ?」

 「それに備えて砲身は2つ持って行かなきゃあ無理だろうな。」

 「そうなるとコスト問題も・・・。」

 「「う~~ん。」」

 2人はそう考えながらレールガンの改善点を話し合っていた。

 戦艦の方はエネルギー次第では何発も使える為に問題なし。

 分解して運ぶという点についてだが軽量できる反面

コストや耐久性に問題が出る辺りそこに四苦八苦していた。

 そんな事を考えている中でもエボルトはユウヤに向けてこう言った。

 「【なあよユウヤ。ちょっと聞いてくれないか?】」

 「(何だ?)」

 「【お前スチームガン持っているよな?】」

 「(ああ、腰に備えているが何でだよ?)」

 そう聞くとエボルトはユウヤに向けて・・・ニヤニヤと嫌な笑顔でこう言った。

 「【そうか・・・ならよ・・・誰が変身してるんだろうなあ?】」

 「何だと!?」

 「おいどうしたのだブリッジス少尉!?」

 唯依は唐突にどうしたのか驚きながらそう聞くとユウヤは唯依に向けて

こう答えた。

 「悪いがちょっと用事が出来たから悪い!?」

 「え・・ああ・・・まあ良いが気を付けろよ?」

 「済まない!そんじゃあ!!」

 どひゅんと音が出るような感じで走り去るユウヤを見て唯依はこう呟いた。

 「一体・・・何があったのだ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「変身してるってどういう意味だエボルト!」

 「【どういう意味ってそういう意味だ!聞いた通り誰かが変身したんだよ!】」

 「けど変身できる奴なって俺位なもんじゃねえのかよ!!」

 「【いや、お前には話していなかったがネビュラガスを吸った奴で

正気を保っている奴もなれるぜ】」

 「それって・・・まさか!!」

 「【ああ、ご名答だ。・・・もしかしたら感情の起伏が激しくなって

ハザードレベルが変身可能数値になったのかもな。】」 

 「だったらどうやって変身できるんだよ!?」

 「【それは俺は知らねえよ!それよりも早く行くぞ!!】」

 「そのつもりだ!!」

 ユウヤはエボルトの言葉を聞いて・・・腰に備えているスチームガンを

構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 変身したクリスカのいる路地裏迄。




 ライダー紹介は次回に。


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クリスカ対エボルト

 クロコダイル・ドラグーン
 見た目はまんま≪クロコダイルローグ≫の全身に煙突が付いている。
 クリスカがクロコダイルフルボトルで変身した姿。
 全身紫色でその能力は攻撃能力の高さである。
 また、ガントレットと脚部には爪のような武器が内蔵されているため近接格闘が
出来るだけではなく爪を放つことが出来る為中距離戦闘も出来る。


「ああ、クソが!クリスカかイーニァか分からねえけど

どうやって変身しているんだよ!?」

 スマッシュにはなっていないと仮定してだぞと言うとエボルトがこう答えた。

 「【恐らくと思うが何かの感情の起伏が原因でそうなったんじゃねえのか?】」

 怒りとかなと言うが取敢えずとユウヤに向けてこう忠告した。

 「【もしそうなら今の奴はまさに暴走状態って奴だ。

お前の声も聞こえないかも知れねえから気を付けとけよ。】」

 そう言って会話を終わらせると何か・・・声が聞こえた。

 「声・・・あっちか!」

 ユウヤはそう言って路地裏の手前に行くと目にしたのは・・・

とんでもないものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少年少女達をボコボコにして放置したまま少年の胸倉を掴んで何かをしようとする仮面ライダーがいた。

 「くそが!」

 ユウヤはそう毒づくや否やコブラフルボトルをネビュラスチームガンに装填して

直ぐに構えてこう呟いた。

 「蒸血。」

 『コ・・・コ・・・コブラ!‼』

 『ミストマッチ・・・ファイヤー‼!』

 すると突然ネビュラスチームガンからガスがユウヤを覆った次の瞬間に

それは火花と同時に姿を見せた。

 ≪さてと・・・仕事と洒落込みますか。≫

 ブラッドスタークにへと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その数瞬前・・・路地裏は地獄と化していた。

 何と数の上では圧倒的に有利と思われていた自分たちが全滅していたのだ。

 近くにあった鉄パイプで殴った奴がいたが鉄パイプをぐにゃりと

捻じ曲げたと思えばその鉄パイプで殴り飛ばされたり頭を掴まれて

壁にぶつけられて気を失った奴、腕や足をへし折られた者もいれば

内臓がやられたのであろう吐血する者がいた。

 そしてイーニァの頬を舐めていた少年を仮面ライダーにへと姿を変えた

クリスカがそいつの胸倉を掴んでいると少年はクリスカに向けてこう言った。

 「クソが・・・党の・・・腰抜けに・・・!!」

 「覚悟は出来ているか?」

 クリスカは少年に向けてそう呟いた瞬間にクリスカの腕に付けられていた

ガントレットから・・・刃物が出てきた。

 それを少年の頬にこすりつけるかのように摩るとクリスカはこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「死ね。」

 そう言った瞬間に爪のような刃物を高々と掲げた次の瞬間に・・・

後ろから何かが直撃した。

 そして後ろを振り返るとそこにいたのは・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ≪オイオイオイ、こいつは凄いな。パーティーでもやってんのか?

歓迎会のよ?≫

 お茶らけた声色で周りを見てそう呟くがクリスカはエボルトに対して

こう言った。

 「何故邪魔をする。」

 ≪そいつら殺すのは簡単だがよ?こんな所でライダーシステムを使うってのは

お門違いだぜ~~。≫

 弱い者いじめにしか見えねえぜって言って近くにいる少女に向けて足で小突いてこう聞いた。

 ≪おいお前、起きれるなら他の連中と一緒に下がりやがれ。≫

 「あぐ・・・あんな奴に・・・・腰抜け風情にーー!!」

 そう言って銃を乱射するが・・・全然効果がなかった。

 「何で・・・!!」

 少女は銃が効かない事に恐怖するがエボルトがこう言った。

 ≪お前らの武器じゃあ勝ち目がねえよ。さっさとかえ!!≫

 そう言いかけた瞬間にエボルトはネビュラスチームガンを構えるや否や

クリスカの攻撃を受け止めるとエボルトがこう聞いた。

 ≪オイオイオイクリスカの嬢ちゃん。そいつはねえじゃねえかよっと!!≫

 そう言いながらエボルトはそれを弾いた後に拳を振りかざして殴り飛ばした。

 「がふ!」

 クリスカは吹き飛ばされるも体勢を整えるや否やガントレットだけではなく

脚部からも折り畳み式の様な爪が現れた。

 「があああああアアアアアアアア!!」

 クリスカは雄たけびを上げると一直線にエボルト目掛けて突進・・・すると

見せかけてジャンプしてかかと落としを仕掛けた。

 ≪おおっと!≫

 エボルトはそれを難なく受け止めて弾き飛ばした次の瞬間に・・・

驚くべきことが起きた。

 ガントレットに装備されていた爪が・・・0距離で放たれたのだ。

 ≪何!?≫

 エボルトはそれを見て驚いた。

 紫色の外見とバイザーから見て『クロコダイルローグ』と同じ近接格闘型かと

高を括っていたのが災いしてしれを受け止めてしまって少しだが弾き飛ばされた。

 ≪へえ・・・ちょっとはやるじゃねえか!?≫

 エボルトはそう呟きながらもどうしようかと考えていた。

 何せ相手はクリスカだ。

 イーニァが隅っこで泣いているのと周りの連中から見て

何かされかけそうなところを助けようとハザードレベルが

急激に上がったんじゃないかと考えているその時にユウヤがこう言った。

 「おい!早く何とかしねえと保安局の様な連中が来るぜ!!」

 早めに蹴りつけてクリスカ達とトンずらこかないととそう言うと

エボルトがこう答えた。

 ≪解ってはいるんだけどな、それでもこの状況となるとな。≫

 そう言って近くにいた少年少女達を見た。

 彼らは這う這うの思いで裏路地から逃げようとしているのだ。

 何とか時間を稼ごうと考えていると・・・ある事を思いついたのだ。

 ≪仕方がねえ・・・正直進まねえけどこれしかねえよなあ。≫

 そう呟いて新しいフルボトルを出してきた。

 ≪ま、・・・何とかなるだろうな。≫

 そう言って・・・青色のフルボトルを握りしめた。




 次回はエボルトが新しい姿になります。


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竜対鰐

 ブラッディクローズ
 見た目は《仮面ライダークローズ》に煙突が付いた感じ。
 格闘戦特化型でその能力は蒼い焔を出しながらの攻撃である。
 ビートクローザーを使った攻撃も可能で近接戦が主体。


《さあてと、ちょっと本領発揮しますか。》

 使いたくなかったけどなとそう言いながらエボルトは新しいフルボトルを

コブラから取り換えてセットした。

 

 

 

 

 

 

 

 『ドラゴン‼』

 《蒸血》

 『ド・・・ド・・・ドラゴン‼!』

 『ミストマッチ‼!』

 ネビュラスチームガンからの音声とともに銃口から青い霧が

ブラッドスタークを覆った。

 『ファイヤー‼』

 するとその音声と花火と共に現れたのは・・・新たな存在であった。

 青い装甲。

 バイザーと胸部にドラゴンのエンブレム

 体中にドラゴンの翼を模った装甲がある。

 《仮面ライダーブラッディクローズ。》

 《今の俺達は・・・負ける気がしねえよなあ!?》

 そう言いながらクリスカ改め《仮面ライダークロコダイルドラグーン》に

向かって格闘戦で戦った。

 嘗て万丈が変身したクローズ同様に格闘戦特化の能力を持っているため

蒼い焔が手足に覆うような感じで殴れるのだ。

 「ちぃい!?」

 クロコダイルドラグーンは毒づきながらも両手足に出ている大型のクローを使って反撃するが・・・突如ブラッディクローズの左手から武器が出てクローを

受け止めた。

 「剣・・・何処から出した!?」

 《さあな。》

 ブラッディクローズはクロコダイルドラグーンの言葉を聞いて

おちゃらけてそう言うが答えは簡単だ。

 戦っている間に転送させただけなのだ。

 剣は『ビートクローザー』。

 これで攻撃しながら銃撃戦も行っているのだ。

 だが軍隊仕込みの格闘技術を取り合わせた戦法を取るのはクリスカも

そうである為正直なところ格闘戦は千日手でしかないのだがブラッディクローズはある事を思い出してコブラフルボトルを・・・ビートクローザーの柄の部分に

セットした。

 そしてビートクローザーの柄部分を引くと・・・音声が流れた。

 『ヒッパーレ!ヒッパーレ!』

 するとブラッディクローズがビートクローザーを思いっきり振った瞬間に・・・エネルギー体のコブラが出現したのだ。

 「!!」

 《そいつと遊んでろ。》

 ブラッディクローズはそう言ってクロコダイルドラグーンから離れると

物陰に隠れるイーニァを見てこう聞いた。

 《ようイーニァ。久しぶりだな。》

 「・・・えぼると?」

 《早々俺様だぜ~~。何があったのか説明してくれるか?》

 「・・・うん。」

 かくかくしかじかタイム中。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《成程なって詰まる話あいつ等が諸悪の根源っていう事か。》

 じゃあほっといても良かったんだなと頭を掻いている中で・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何をしている貴様ら!!」

 『『『!!』』』

 全員はそれを聞いて声の主の方を見るとブラッディクローズがこう呟いた。

 《女か?》

 そう、女性なのだ。

 濃くて茶色に近い金髪。

 スタイルから見て確かに女性。

 そして何よりも体中から滲み出ている・・・オーラが

ブラッディクローズの警戒をホンのちょっとだけ挙げた。

 《誰だあいつは?》

 「貴様ら何があったって何だあのバケモノと不審者共は!!」

 そう言って女性はブラッディクローズとクロコダイルドラグーン、

そしてエネルギー体のコブラを見てそう言うと隣にいる茶色の髪の少女が

拳銃を持ってこう言った。

 「中佐下がって下さい!」

 「待て・・・あれに・・・銃は・・・効かねえ。」

 「何だと!!一体何処の組織だ!?」

 「多分・・・党の・・・連中・・・アラスカから・・・来た連中・・・が」

 「詰まる話あれは党の新型強化衛士服か何かって事か?」

 「多分・・・」

 「じゃああの巨大な蛇は?」

 「あいつ・・・青い奴。」

 「そこの貴様!手を挙げろ!!」

 茶髪の少女が拳銃を構えた様子でブラッディクローズに向けると

ブラッディクローズは・・・ネビュラスチームガンでそれを破壊した。

 「が!馬鹿な!!拳銃を破壊しただと!?」

 《やめときな。そいつ程度で俺は倒せねえよ。》

 「く!」

 茶髪の少女は舌打ちするがブラッディクローズはこう続けた。

 《それと離れておきな。まあ巻き込まれたけりゃあ別に良いけどな。》

 ブラッディクローズはお茶らけた声でそう言いながら

新たにチェーンフルボトルをネビュラスチームガンにセットした後に

ビートクローザーにダイヤモンドフルボトルをセットすると

先ずはビートクローザーの柄を何度も引っ張った。

 『ヒッパーレ!ヒッパーレ!ヒッパーレ!スペシャルチューン!‼』

 《おらあ!》

 ブラッディクローズはビートクローザーを横薙ぎにして振り下ろすと斬撃が・・ダイヤモンドの様に煌きながらコブラ事斬り裂いた。

 「ぐあ!」

 クロコダイルドラグーンはその斬撃に当たって吹き飛ぶと

ネビュラスチームガンにあるバルブを一周させようとしているのを見て

ブラッディクローズも同じように回してこう呟いた。

 《さあてと・・・根性比べって奴だぜ。》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『『フルボトルブレイク!』』

 ネビュラスチームガンから音声が流れたと同時に

クロコダイルドラグーンの両足から紫色のエネルギーが溢れ出るのに対して

ブラッディクローズはネビュラスチームガンから大量の鎖が出てくるが

クロコダイルドラグーンはそれの構わずジャンプして・・・

鎖を蹴りで壊し始めたのだ。

 然しブラッディクローズの後ろから・・・ドラゴンが出てくるとそのドラゴンの口から蒼い焔がブラッディクローズ目掛けて放たれると同時に

ブラッディクローズはその蒼い焔に乗って蹴り始めた。

 紫と蒼のエネルギーが互いに激突したその時に目にしたのは・・・

まばゆかんばかりの光。

 そして耳にするのは・・・ハンガーがそのエネルギーによって破壊されて

崩れ去る音であった。




 そして戦闘が終わり・・。


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戦い終わり

 戦闘終了。


 「《ハアアアアアアアアア!!》」

 ブラッディクローズとクロコダイルドラグーンが互いに蹴りと同時に放たれた

必殺技が激突して・・・周りを巻き込んだ。

 『ウワアアアアアア‼!』

 少年少女達はその爆風の如き衝撃波に体を丸める事しか出来ず女性の方は

少年少女達の盾になろうとするかのように彼らを覆った。

 「クリスカーーー!!」

 イーニァは大声でそう言ったが・・・その爆発と同時にハンガーが左右に

壊れ落ちていった。

 そして砂煙が舞い上がると何人かの兵士が来た。

 「おい!一体何が起こったんだ!?」

 「何の爆発ってああ!機体が埋もれてやがるぞ!!」

 「こっちに負傷者がいるぞ!早く救急室に!!」

 兵士たちが矢継ぎ早に指示を出していると・・・瓦礫と化したハンガーから

ガラリと音が聞こえた。

 「何だ!?」

 兵士たちがマシンガンを構えると出てきたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《ハアア・・・ヤバかったぜ。最悪死ぬところだったぜ。》

 ブラッディクローズであった。

 「な、何者だ貴様は!!」

 《オイオイちょっと待てよ。こっちは戦闘で体が疲れてるしこいつを

おぶって出てきたんだぜ。》

 ブラッディクローズはそう言って背中に背負っている・・・クリスカを

見せつけるとイーニァがクリスカに近づいた。

 「クリスカ!だいじょうぶ!?」

 《大丈夫だぜ。ちょっと初めてのことがあったから疲れただけだ。》

 「ほんとう?」

 《本当本当。だからあんまり心配すんなよ。》

 「貴様は一体誰だ?」

 兵士たちがブラッディクローズに向けてそう聞くとブラッディクローズは

こう答えた。

 《まあそうだな。こいつらの保護者・・・いや、どちらかと言えば只のソ連軍の協力者か?》

 「ソ連軍・・・貴様まさかロシア人の協力者か!!」

 《はあ?・・・まあ人種的に言えばそうかもな?》

 「だったら・・・死ね」

 《阿保か。》

 兵士の一人がマシンガンを構えた瞬間にブラッディクローズは一瞬の速さで

蹴りをかましてそのまま・・・海に迄弾き飛ばした。

 ・・・水面で5回跳ねて。

 《おお、よく飛ぶよく飛ぶ。》

 「貴様ーーー!!」

 《そんなのに効く訳ねえだろうが!!》

 兵士の一人がマシンガンを向けたその時に今度はブラッディクローズは

ビートクローザーでマシンガンを斬り裂いた。

 「な!?」

 《・・・まだやるか?》

 「ひ・・・ひいいいいいいいい!!」

 《素直で良いねエ。》

 ブラッディクローズは逃げる兵士を見てそう呟いてイーニァを肩にカラって

こう言った。

 《そんじゃあ俺は失礼させてもらうぜ。こいつらを家に迄送らなきゃ

いけねえからな。》

 そんじゃなと言ってブラッディクローズが立ち去ろうとすると女性が

こう言った。

 「貴様・・・ここにいる以上は何処の部隊か分からんが

分を弁えとかなければ生き残れんぞ。」

 《弁えろって言われても俺は知らねえよ。分を弁えろっていうのはそっちだぜ?ロシア人だか何だか知らねえがそんな程度で弁えろって言うからお前ら

何時まで経ってもBETAに勝てねえんだよ。》

 「!!」

 「貴様!!」

 女性の副官であろう少女が銃を構えた瞬間に・・・銃が壊された。

 《こんな事で怒るとはな。ちょっとこいつらの精神訓練増やすことを

忠告させとくぜ。》

 痛い目見ないうちになと言うとブラッディクローズはネビュラスチームガンからガスを噴出させてこう言った。

 《それじゃあな、CIAO~~。》

 そう言ってガスと共に・・・消えた。

 「消えた!」

 「一体どこに消えた!」

 「探せ探せ!!」

 兵士達が大慌てで探している中で少女がこう呟いた。

 「そんな程度だと・・・我々の事など知らないくせに!!」

 そう言って怒っているが女性はそれどころではなかった。

 「(あの強化装甲、本当に党が作った奴なのか?それともアメリカ・・・

何れにしたとしても奴が何者なのか次第では

こちらも気を付けなければいかん。)」

 この子達を守るためにはなとそう考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてソ連軍のハンガーにおいて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《とまあそういう事だ。今のクリスカは精神的に不安定な所だから

気を付けておきな。》

 後イーニァにもなとそう言うと目の前にいる男性・・・サンダーク中尉が

こう答えた。

 「分かった。それにしても手土産を持ってきてくれるとは中々だな。」

 《そいつはクリスカが手に入れたもんだ。後の管理はお宅らに任せておくよ。

そいつの設計データは後で送っておくぜ。》

 「!!・・・良いだろう。後日にこれに見合う報酬を与えよう。」

 《そいつは楽しみだ。ソ連は確か紅茶が良いようだからな。ブレンドに

丁度良さそうだぜ。》

 じゃあなと言ってブラッディクローズが消えたのを見てサンダーク中尉は

ネビュラスチームガンを持って・・・空に向けてこう言った。

 「フフフフ・・・奴がどんな目的を持っているかは今は良い。だがこれで・・・П(ペー)-3計画が更に先に進めることとなるだろうな。」

 フフフフ・・・ハハハハハとサンダーク中尉は声高らかに笑っていた。

 それと同時に精神的な事も加味してある事を考えた。

 「そうだ、噂を聞けば奴らに新兵器があると聞いたな。・・・

これを期に聞いてみるか?」

 そう言って彼は部屋に戻った後にある所に電話をかけた。

 その相手は・・・一体何者なのか今は誰も分からない。




 次回はBETA上陸情報。


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三度目の正直

 それは通ずるか否かは・・・全員次第。


 次の日。

 2001年8月8日上陸して5日目 ソビエト社会主義共和国連邦・カムチャツカ州国連北極海方面第6軍 ペトロパブロフスク・カムチャッキー基地 

国連軍方面司令部ビル地下2階 第3ブリーフィングルーム

 「そういやよ聞いたかよユウヤ、昨日の事?」

 「あん?何だ??」

 ユウヤは何だと聞くと聞いてきたVGがこう答えた。

 「何でもヨ、昨日全身プロテクトスーツを着た謎の連中が戦ってソ連用のハンガーを2つとも全壊させたって噂ウワ汚ねえなおい!かかったぞ珈琲!?」

 「ああ・・・済まねえ。」

 ユウヤはそう言って顔面に吹いたコーヒーが諸にかかったVGに対して謝ると

やれやれと言ってVGはこう続けた。

 「そんでな、丁度いたなんて言ったっけな?・・・ああそうそう、

ジャール大隊って言う部隊の何人かが病院送りになって

ここから少し離れた施設に送られたらしいぜ。」

 「へえ・・・そうなんだ~~(やべ!重要な部隊だったらどうしよ!!)」

 「【もうしょうがねえだろう?アイツらクリスカ達をなんかするつもりだったけど返り討ちに遭っちまって仕方がねえって自業自得だって

それに病院程度で済んで良かったじゃねえかよ?俺らがあとちょっと遅かったら

あそこ一帯が本気で血の海だったんだぜ?】」

 「(まあそりゃそうなんだけどさ!そうなんだけどさ!!こんな時に

実戦訓練ってなると俺泣くよ!泣いちゃうよ!!)」

 「【男の泣き顔って見たくねえなあ。って言うかお前泣かす側だろうが?】」

 「(・・・あの時の俺は今アラスカでリゾート中)。」

 「【遊んでるんかい!!】」

 エボルトはユウヤの言葉を聞いて転げ落ちたかのような感じであるが

イブラヒムと・・・何故かサンダーク中尉も現れるとイブラヒムが壇上に立って

全員に向かってこう答えた。

 「諸君聞いてくれ。先ほど早期警戒衛星の観測情報に変化が認められた。」

 『『『『『!‼!!!』』』』』

 それを聞いて全員がざわつくがイブラヒムはこう続けた。

 「今から48時間前だがエヴェンスクハイブとカムチャッカ半島の対岸に位置する旧マガダン州から大量のBETAを確認。続いて18時間前になるが

それらが合流したことにより6時間後にはオホーツク海に来て24~72時間後には

ティギリ地区沿岸へ上陸すると言う事となっているが

我々は現地ソ連軍部隊と共同でこれらの上陸阻止を第一とした

第1回目の実戦訓練となる訳であるがこれにちょっと色を加える事と相成った。」

 「何でしょうか?」

 ユウヤがそう聞くとイブラヒムからサンダーク中尉に変わってこう説明した。

 「ああ、それについては私から説明しよう。これまで我々は何度も

共同作戦を持ち掛けたがそれらは全てお釈迦になった事は知っているだろう?」

 「ああ・・・けどあれは篁中尉の協力も相まって」

 「そうだ、ブリッジス少尉。何とか切り抜けたがあれはあくまでも代案。

本当の意味では成し遂げてはいない。」

 「ああ・・・確かにですね。」

 ユウヤはそれを聞いてそう言えばと思っていた。

 最初は戦術機での写真撮影でタリサがクリスカ達を挑発して危うく

自分らが七面鳥の丸焼きよろしくになりかけたこと。

 そしてつい最近に起きたグアドループ基地での騒動。

 タリサとVGがあの阿保広報官(降格させられて今は倉庫番)の言いなりになって遭難劇場となってしまい、クリスカ達と協力して事なきを得た後に

あの阿保共をしばき倒したあの事件。

 「だからこそ東洋の諺にもある『三度目の正直』に習い我々は今回・・・

アルゴス試験小隊とイーダル試験小隊の2個試験小隊からなる合同演習を

ここに宣言したい。」

 『『『『『!‼!!!』』』』』

 それを聞いて全員は更に驚愕した。

 いや、アルゴス試験小隊チームだけではない、他の試験小隊メンバーですら

同じ気持なのだ。

 アルゴス試験小隊はアメリカ寄り、イーダル試験小隊はソ連側と言った感じで

冷戦時代の敵同士が手を取りあうとなると広報官が聞いたら血の涙を流すくらいに悔しがること間違いないであろうであるが何故今なのかと思っているが

サンダーク中尉はこう続けた。

 「ここにいる全員が同じ気持となっているのは言わずも知れないがとある理由で君たちの護衛を担当する部隊の人数が足りていないらしく

その補充も兼ねてと言う意味であるのだがああ大丈夫だ。イーダル試験小隊は

自分たちの試験はちゃんと行う為君たちに危害は及ばせない。

それに君たちの部隊と合流するのはビャーチェノア少尉達だけだ。」

 「!!」

 ユウヤはそれを聞いて目を見開いて驚いたのだ。

 何せあの騒動でクリスカとイーニァの精神的ショックが心配であったのだが

それを知らないのかよと言わんばかりにユウヤは睨みつけるが

サンダーク中尉はこう続けた。

 「君たちも見知った人間が近くにいれば安心であろう?それではドゥール中尉、後は宜しくお願い致します。」

 「ああ・・・聞いての通りだ!今日から3日間ビャーチェノア少尉達が

滞在することと相まったが・・・何も問題起こすなよ今度こそは!!」

 「(ドゥール中尉・・・完全に釘刺したな。)」

 「【そりゃあ前科があるからな。】」

 ユウヤとエボルトはそう呟きながらVGとタリサを見ると2人はすっと

目を逸らした。

 そしてサンダーク中尉はこう続けた。

 「それでは貴官らの護衛を担当する事なっているのは我が国の中で

一番とも名高い名部隊。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・ジャール大隊だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・嘘だろ?」

 「【マジかよ?】」

 ユウヤとエボルトはまたかよとそう思いながら頭を突っ伏した。




 次回は説明。


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作戦説明

 ここからは作戦内容の説明です。


ユウヤとエボルトはその部隊名を聞いてマジかよと思いながらも

見知った人ではありませんように願掛けするが・・・どうも神様はそういうお願いは聞いてはくれないようだ。

 何せ入ってきたのは・・・女性だった。

 茶髪に近い金髪の妙齢の女性。

 

 

 

 

 

 

 

 「(・・・あの人って嘘だろ~~。)」

 「【ユウヤ、絶対見るなよ。怪しまれるからな。】」

 エボルトが注意して取敢えずと言った感じで視線を彼女から避ける様に前を見た。

 すると女性が自己紹介した。

 「諸君、私が『ジャール大隊』《フィカーツィア・ラトロワ》階級は中佐だ。」

 それを聞いて全員が敬礼すると中佐は興味なさげに答礼すると全員に向けて

着席するように促して全員が座った後背部にある大型スクリーンを

レーザーポインタで指し示して説明した。

 「これが諸君らの実験場となる戦域だ。」

 写っているのはカムチャツカ半島の概略地図と部隊配置、

大まかな戦域区分けが描かれており第二区と呼ばれる場所が

派遣組の場所のようだ。

 東部海岸沿いの北部をクリスカ達を除いたイーダル試験小隊。

 南部を統一中華戦線・暴風(バォフェン)試験小隊。

 中央区にアルゴス試験小隊+クリスカ・イーニァ。

 この面子となっている。

 然しその地形が全員の言葉を容易く奪い去った。

 場所は海岸であるがカムチャツカ半島の中央部を南北に貫く

標高三千メートル超の山々を抱くスレジンヌイ山脈。 

 戦域となるティギリ地区からそこに至るまでにさらに百キロメートルの険しい

山岳丘陵地帯が横たわり中央区画にはオホーツク海に

20キロメートル程半島状に突き出ており、部隊の布陣も同じ長さだった。

 それは只見れば有利に見える反面戦線が瓦解した際には

南北からの挟撃により退路が完全に寸断され確実に包囲殲滅されるであろうことが明白だ。

 するとそれを見たエボルトはこう感じた。

 「【この場所を選ぶって事は上層部の連中、レールガンの回収と一緒にどっかでジャール大隊の連中がやらかしたことを聞いて粛清と同時に俺らの始末も

兼ねてるんじゃねえか?】」

 「(ああ、ヤダヤダ。俺は後ろを気にしながらも戦わなきゃいけねえなんて

嫌な世の中になっちまっているなおい。それがソ連流ってかよ?)」

 「【ま、一石三鳥っていう意味じゃあ中々かもしれねえがもしアホナことを

考えているなら・・・いい加減お前に飽きてきたし他の憑依する人間探すか。】」

 「(手前!本気でそれやったら化けて出てやるぞごら!!)」

 「【は!やってみろやションベン小僧!!】」

 グぬぬぬとお互いに馬鹿な喧嘩をしているがそんな中でラトロワ中佐は

全員に向けて笑顔でこう言った。

 「諸君は実に運がいい!幸いにも今カムチャッカ半島は今周期的な

大規模侵攻繁忙期に入っている。実戦形式の試験はやりたい放題と言う訳だ。」

 「(要は俺らは人出が少ないから手伝えって事だろ?)」

 「【多分だがアフリカの連中が暴走した時に何人かの衛士がカバーしたり

流れ弾に当たって重症又はBETAの腹に収まったんじゃねえか?】」

 「(だから今回の企画をサンダーク中尉が進言したのか。アメリカ軍に

直接頼んで貸し作りたくねえからって露骨に嫌な顔されている所の救援何て

こっちが精神的に参っちまうっツウの。)」

 「【だがやらなきゃあアメリカの連中は間違いなく《G弾》を打ち込むぜ。】」

 「(ああ、あの噂に聞く新兵器ねえって・・・あれって本当に爆弾なのか?

黒い光なんて聞いた事ねえゼ?俺は隊長から遠目から出見たことしか

聞かれてねえけど?)」

 ユウヤの隊長であったレックス曰くであるが

彼は《明星作戦(オペレーション・ルシファー)》で後方支援担当であった際に

撤退した後に黒く光るものを目撃したと話していたが爆弾がそんな風に光るのかと疑ったほどである。

 無論それは全員同じであるがそれだけではない。

 「(環境に何ら問題ないとか人体に問題ないとか言っているけど

あれってデマだろ?そんな願ったりかなったりの爆弾なんて

この世の中作れるわけねえよ。)」

 「【確かにな、・・・黒い光・・・いや待てよ、それならまさか】」

 「(どうしたんだエボルト?】」

 ユウヤは何やら考えているエボルト二向けてそう聞くとエボルトはこう答えた。

 「【いや、何でもねえって説明終わってねえぞ。】」

 ああそうだったなとユウヤはラトロワの方に視線を移した。

 「ではまずは作戦の概要に移る。第一段階は水上艦による爆雷攻撃、

第二段階は上陸地点に対して海上艦艇、地上ロケット部隊による支援砲撃と

航空部隊における航空爆撃に伴う面制圧、第三段階はそれすらも避け切った連中を海岸線から十キロメートルの所に配置されている機甲部隊と戦闘ヘリの直接駆逐でここが第二防衛ラインだ。第四段階は混戦時に伴う我々戦術機部隊の出番であり

この時貴様らがいる場所が第三防衛ラインとなっておりここ迄はセオリー通りだが遺憾なれど貴様らの試験の為に残敵が一定数を下回った際大隊規模のBETA群を

貴様らが実験すると言う子供でも出来る簡単な任務だ。」

 よく覚えておけと言うラトロワ中佐の言葉に何人かの衛士の一人が

歯軋り鳴らしていた。

 こちとらだって最前線経験者だ、アフリカと一緒にするなと

言いたげな表情で一杯の人達がごまんといるのを見てユウヤはこう思っていた。

 「(これって・・・俺に対して言っているよなこれ?)」

 「【さあな。】」




 次回は実戦に向けて。


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コマンドポストにて

 戦いが・・・始まろうとしてる。


 司令部地下12階・戦闘指揮所

 前線部隊の補給と集結拠点としての利便性により最低限の設備(最低限と言うのは戦闘に関わりのないものがないだけ)しかない為に間借りするような感じで

派遣部隊用コマンドポストが配置された。

 その指揮所にお互いにサンダーク中尉とイブラヒム中尉が向かい合うような感じで座っていた。

 そして互いの隣にはハイネマンと唯依が座っていた。

 これは椅子が足りないだけではなく自分が外野側に立つことでより客観的な意見を述べれるんじゃないかと思いこの状況に於いて賛成している。

 するとサンダーク中尉が戦域データ映像を見てこう言った。

 「全部隊及び戦車部隊、ヘリ部隊、ミサイル部隊、艦隊の配置が今先ほど

完了した。後はBETAの上陸を待つだけとなったが果たして」

 「・・・来るかどうかですね。BETAが我々の予測通りに来るのか如何か?」

 「その通りだ。奴らは幾つかの作戦に於いて我々をあざけわらうかのように

すり抜け利用して我々を窮地に追い込ませている。だがしかし貴官らは

これで良いのか?今までは砲撃戦だけで事を済ませていたのに何故?」

 イブラヒム中尉はサンダーク中尉に向かって問いたださんとするかのように

睨みつけていた。

 圧倒的な物量を誇るBETAであるが侵攻ルートが分かれば後は集中砲火で

殲滅できる。

 だがこれは光線級によって阻まれていたがカムチャツカ半島の山々が

天然の要塞の様な役割を果たしているために限定的な場所であるが

航空兵器を用いた爆撃が可能となっている。

 それ故に初期段階から航空兵器を投入出来るからこそソ連軍による

中遠距離攻撃により半島の死守が可能となっているのだが何故試験の為に

この様な綱渡りめいた作戦を立案できるのかと思ってこうも続けた。

 「それに貴官は《チェルミナ―トル》を我々の護衛兼援軍として

派遣してくれたことにも気がかりだ。《不知火・弐型》とあれは同じ

高機動格闘戦型戦術機。密集型と広範囲型と小さな違いはあれど同じ思想で

作られているのだ。だが今回の目的は新型・・・いや、既に実戦検討もされているレールガンの砲撃試験。まさか貴官の目的は三度目の正直による

友好ではなく・・・レールガンの実態と実証実験からなる威力偵察とも言われても仕方がないと思われるがそこの所はどうなんだ?」

 イブラヒム中尉がサンダーク中尉に向けて疑惑の問いをぶつけるがそれは唯依も同じ意見であった。

 レールガンのサンダーク中尉、いや・・・ソ連軍全体がそれを並々ならぬ

興味を抱いているのが明白なのだ。

 目的が威力偵察における情報収集ならアラスカでは暗黙の了解としてアメリカが率先して行っているのだが超法規的における・・・技術の奪取に盗用、妨害、

暗殺、勧誘、あらゆる手を尽くすかもしれない。

 それに備えて相手の出方を伺い、予測或いは掌握することで人的被害を最小限に抑えようとしているのだ。

 するとサンダーク中尉は暫くして・・・こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程・・・確かにその可能性は十分に考えられますが

お忘れではありませんか?我々ユーコン基地に派遣された試験小隊全隊員の目的は次世代機の開発を見据え既存の戦術機の性能向上を模索し、互いに技術、経験、

知識を共有することで共通の敵でもあるBETAに打ち勝つと言う目的があります。」

 そうですよねと聞くとイブラヒム中尉は確かにとそう答えるとサンダーク中尉はこう返した。

 「我々が今回の事を企画したのはそのための一環です。

ソビエト連邦はホスト国としてよりよい環境を国連実験戦闘部隊に提供することで皆様のお力添えとさせて頂いております。」

 それにと言ってサンダーク中尉はこう続けた。

 「わが国では党上層部の政策に反対する者が多くいましてな。

それにより我々のようにアメリカに疎開した人間に対して厄介な因縁を

付けられることがあるにはあるので彼女達には顔なじみのある相手方の下に

置いておいた方が良いではないかと思っているのですが

これで宜しいでしょうか?」

 そう聞くとイブラヒム中尉はそうかとだけ言って目の前に集中した。

 矢張りどこに行ってもこの話題だけは尽きないなと思っているのだ。

 前線から辛くも逃げ延びた人たちは後方の難民キャンプに入るがお偉方は

良いところに住み自分たちはテントの中で環境は最悪と言った感じだ。

 やっかみ事など上げればキリがないしそのために中にはBETAは神のみ使いだと

訳の分からない事を言う《難民救済戦線》などと言った組織が出て中も外も

大変なのだ。

 「(ブリッジス少尉からすれば《そんなことしているから勝てないのに

俺達人間ってバカですよねえ~~》って言いそうだな。)」

 事実ユウヤはRLFの事をそう言う風に思っておりそんな事するのに

力注ぐくらいなら仇でもあるBETAを殲滅するって言う意気込み見せて

軍に入隊して欲しいよなと言っているのだ。

 それは唯依も同じだ。

 国内では受け入れ先が困難な場所も数多くあり今でも避難所で過ごしている

民間人が後を絶たないのだ。

 我々は何とどう戦えばよいのか・・・その自問が未だ全員を苦しめていた。




 多分次回が・・・戦闘かな?


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戦闘準備

 戦いの準備は前段階から。


 2001年8月13日・上陸10日目・ソビエト社会主義共和国連邦・カムチャツカ州

コリャ―ク自治管区・ミリコヴォ地区・ソ連軍ベー04前線補給基地

 ユウヤ達はBETAの襲来に備えて補給基地にて待機しているが

その間何やっていたのかと言うと・・・これだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ツーペアだ!」

 「悪いなタリサ、フルハウス。」

 「あらゴメンねVG、ストレートよ。」

 「ろいやるすとれーとふらっしゅ!」

 「「「また負けた!!」」」

 トランプで遊んでいた。

 然も大体の確率でイーニァが連勝。

 これは流石に年上のメンツとかそういう物が崩壊するとタリサが言うので

尚も挑むが勝ち目無し。

 然もズルが無いようにイーニァには軍服は脱がしているため

イカサマナドはしていない。

 おまけに賭けているのは金であるため今のタリサとVGの財布は

空も同然なのにも関わらずに挑む当たり阿保なのだなと遠目でユウヤは

ジト目で見ながらおろおろしているクリスカと話しをしていた。

 最初はクリスカにべったりだったイーニァも今や打ち解けているあたり

成功しているなと思っているとクリスカがこう聞いた。

 「良いのか?・・・今更だが我々が」

 「良いんじゃねえの?人数不足な訳だしそれに・・・」

 そう言ってユウヤは小声でこう続けた。

 「あれはお前のせいじゃねえよ。一応正当防衛扱いなんだから

バレやしねえって。」

 「ん・・・だが。」

 「兎にも角にもこの話はこれでお終いだな。今はBETAに備えて

心を落ち着かせとけよ。」

 コーヒー飲むかと聞いてユウヤは自作したブレンドコーヒーを渡すとクリスカは苦いなと言いながらこう続けた。

 「何故お前は平常心なのだ?貴様も・・・初陣であろう?」

 そう聞いたのだ。

 クリスカもイーニァも初陣だ。

 正直なところ少しであるが怖いと感じているのにも関わらず何故だと聞くと

ユウヤはこう返した。

 「《案ずるよりも産むがやすし》」

 「?」

 「日本の諺だよ。何事も心配したり何かしようと焦っていると

逆に実力が発揮されねえから今は落ち着いてその時に実力が引き出されるように

しておけって意味さ。今はこの一瞬の安らぎを感じておけよ。

後悔しねえ為にな。」

 そう言ってユウヤはコーヒーを飲んでこう続けた。

 「それに宇宙人って良いっても・・・アイツよりかはマシだろうからな。」

 「あいつ?」

 「何でもねえよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして3日後にその時が来た。

 警戒警報と同時にコンディションレッドが発令されたのでユウヤ達は

実機に乗って準備した。

 「こちらアルゴス1より各機。全機準備良いか?」

 《アルゴス2了解ッ》

 《アルゴス3了~解!》

 《アルゴス4了解》

 《イーダル1クリスカ・ビャーチェノア了解》

 《イーニァ・シェスチナりょうかい》

 全員の声を聴くとユウヤは操縦席の操縦桿を強く握っているとエボルトが

こう言った。

 『落ち着けよユウヤ。深呼吸して周りを見渡し直せ。心を落ち着かせるんだ。』

 それを聞いてユウヤは一度深呼吸して指の関節を解きほぐして

緩ませようとすると網膜には未だタリサのウインドウが開いていたので

こう聞いた。

 「アルゴス2、どうした?トイレか??」

 『違えよ!って言うかお前初陣なのに落ち着いているなあって思ってな。』

 そう呟いているとユウヤはこう返した。

 「別に落ち着いてねえよ。今だって怖えって事はある。」

 『・・・・』

 「けどな、そう思ってても何も解決しねえって事は理解しているから取敢えずは頑張るだけだよ。」

 『そうか・・・お前は間違いなく生き残れそうだな。』

 「知っているか?アメリカの映画じゃあそう言う奴ほど早死にするらしいぜ。」

 『あんだとーーー!!』

 心配しているのにーーー!!とそう言っているとステラが現れてこう言った。

 『大丈夫よユウヤなら。ここ迄落ち着いて初陣に参加する衛士はいないわよ。』

 『そうそう、こいつが慌てふためくなんて早々な事じゃねえ限り

起こらねえよ。』

 続いてVGがそう言うとこう続けた。

 『それに心配するならあっちの方を心配しろよ。同じく初陣何だからさ。』

 『うるせえよ!あいつらは良いんだよ!!何だよアイツら

ちょっとは良い奴らだなあって思っていたのに今日は一言も話さないでさ。』

 タリサがそうぶつくさと呟きながらチェルミナ―トルの方を見ると

ユウヤがウインドウを開いてこう聞いた。

 「おい、大丈夫か?」

 『ああ・・・今は大丈夫だ。問題ない戦闘時には

我々はユウヤと共に待機だと言う事も知っている。』

 『だいじょうぶだよクリスカ』

 『イーニァ?』

 『ユウヤがまもってくれるから。』

 『そう・・・なのか?』

 クリスカがそう聞くとユウヤはこう返した。

 「まあ・・・取敢えずかな。」

 『かー!そう言う時は『俺が皆を守ってやるぜ』って格好良い事

言えねえのかよ!?』

 「生憎だが俺は出来ない事はしない主義だ。」

 『ちぇ。つまらねえの。」

 VGがぶつくさとそう言っているとユウヤは全員に向けてこう言った。

 「それじゃあ手前ら・・・先ずは生き残るぞ!」

 『『『『『了解‼!!!』』』』

 その言葉と同時に全員のウインドウが消えてユウヤは空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは戦場を模っている・・・灰色の雲に覆われた空である。




 戦場に着いて。


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言い争いは外でやれ。

 戦闘は未だです。


そして全機が集結して67分後

 『ーー振動波、異常なし。』

 『ーーソノブイに感無し』

 「・・・単調だな。」

 「【これがこっちの普通なんだろうよ。】」

 ユウヤはそう呟きながら周りを見渡していた。

 大量の戦術機に戦闘ヘリ、戦車、戦艦群が見えているがここ迄やらなければBETAに勝てないと言う現実にユウヤは空恐ろしく・・・感じられなかった。

 「(何せ数なんて何ソレ旨いの?って言う化け物宇宙人がいるからなあ。)」

 「【まあ確かに俺様にかかればあんな連中直ぐに喰って終わりだな。】」

 「(まずそうだけどな。)」

 「【星毎食うから何も問題ねえよ。】」

 寧ろ調味料にすらならねえけどなと呟いている中でユウヤはクリスカ達に

通信してきた。

 「おい、大丈夫か?」

 『ああ・・・イヤ、少し不安があるな。』

 「何か怖いって感じたらステラ・・・タリサもだよなあ。まあ、そうなったらVGも駄目だしあれ?・・・まともに相談できるのってイブラヒム中尉だけか?」

 『おいユウヤ!それってどういう意味だよ!‼』

 突如タリサが通信に割り込むとユウヤはこう続けた。

 「いやさ、ステラはお国柄でそう簡単に拭いきれねえだろうしVGは尻軽だし

タリサは短気だから相談には向いてないって意味で向いているのは

イブラヒム中尉だなあって思っただけ。」

 『おいおいおいユウヤよ!それはないんじゃねえかよーーー!!』

 『まあ言われたらそうかもしれないけどそれでも今は仲間だしね。』

 『って言うかユウヤお前はどうなんだよ!‼』

 「俺は戦場経験0だから説得力皆無。それに俺が相談受けるような人間に

見えるか?」

 『『『・・・・ああね。』』』

 「少しは否定しろよ!」

 アルゴス試験小隊ってもしかして相談役殆どいなくねえかと思っている中で

再び通信が入った。

 それは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『おいいい加減にしろよアメ公が‼』

 『ここは戦場なんだよ!ピクニック気分ならさっさと帰れ!‼』

 「ああ・・・オープンチャンネルでジャール大隊さんが文句言いに来たけど

開口一番に差別用語とは泣けるねえ。」

 ユウヤはため息交じりでそう呟くがタリサ達がこう反論した。

 『うるせえぞ!こっちは今話してるんだから後にしろよ!‼』

 『はあ!?何言ってんだよ!そんなでか物引っ提げて試験なんてするような

道楽連中に付き合わされるこっちの気持ちになれよ!‼』

 『って言うかこっちはアメ公に言ってるんだ!ちびはすっこんでろ!‼』

 『ちびだあ!!手前ら餓鬼の癖に生意気だぞごらあ!‼』

 『誰が餓鬼だ!手前の方が全体的に餓鬼だろうが‼!』

 『誰が餓鬼だごらあ!あたしはもう19だ‼』

 『はあ!!ふざけんじゃねえよ何鯖読んでんのさ!?アンタみたいな奴が

19な訳ないだろう!!精精が10歳そこらでしょうが!‼』

 『ざけんなこのションベン小僧とションベン娘が‼!』

 『手前言ったな!戦場でうっかり撃たれたとしても知らねえぞおい!‼』

 『は!一昨日きやがれってんだ!!こちとらインド戦線の経験者だ!‼』

 『嘘つくなよ貧乳‼』

 『手前・・・良くも言ったな後で覚えとけよククリナイフ

ぶちかましてやる!‼』

 『上等だ!手前の体に酒ぶちかましてマッチで燃やしてやるっツウの!‼』

 「・・・タリサお前年下相手に何喧嘩腰になってんのさ?」

 完全に言い争いだなあと思いながら観戦している中で又もや

ジャール大隊のメンツから通信が来たので面倒だなあと思いながら開くと

こう言った。

 『こっちはいい迷惑なんだぞ!手前みてえな初心者の御守りなんてさ!』

 「そう言うんだったら上層部に直訴して来い。」

 『うぐ!』

 『本当貧乏くじも良いとこだよな。うぜえよ。』

 「じゃあ今すぐ帰れ。」

 『手前‼』

 『ま、流れ弾に当たっておっ死んでくれたら後々楽なんだけどなあ。』

 「その前にBETAに喰われたらどないするん?」

 『・・・・・』

 『おいおい、最後方に引っ込んで動かねえビビり君』

 「こんなデッドウエイト持って動けるか馬鹿。お前もう少し機体の勉強してから出直せ。」

 『ちぃい!!』

 『イヤ分からねえぜ?前から来るかもしれねえしい?』

 「そん時はここの連中お前ら纏めて全滅だからな。」

 『うるせえ!!』

 『ま、初陣であの世逝き』

 「そう言う奴が必ず死ぬって知っているか?」

 『最後まで言わせろ!‼』

 とまあこんな感じなのだがユウヤはこうやって言い返すので

ジャール大隊の面々は一斉に切ろうとするとユウヤがオープン回線で

こう言い返した。

 「ああ、それとだがお前ら人の事言えねえだろうが?

不審者に返り討ちされた挙句に仲間の半分が病院行きになっているとしても

それはお前らの実力不足だからな。その当てつけに俺ら巻き込むな。」

 『『『『『なあ!?』』』』』

 「以上。」

 何やらぎゃんぎゃん言っているのが聞こえるがユウヤは知らんわと

言わんばかりに通信を切った。

 するとタリサが通信でこう言った。

 『アハ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!見たかよアイツらのあの顔!傑作だったな!‼』

 『流石ユウヤだぜ。ああいう返しはお前の十八番だな。』

 『まあそれはそれとしても少し言いすぎなんじゃないの?」

 『確かにな、ああ云われれば何を仕掛けるか分からないぞ?』

 『ユウヤ・・・だいじょうぶ?』

 それぞれがそう言うとユウヤはこう返した。

 「ま、何とかするしかねえよ。BETA共が来る前にそれぞれの武器のチェック

もう一度」

 そう言いかけると同時に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 海に浮かんでいるソノブイの点滅部分が紅くなった。

 

 

 




 戦闘開始。


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戦闘開始

 等々始まった。


『ーー振動波急速に拡大!波形パターンネガティブ!‼』

 『ソノブイに感ありコード991発令!‼』

 通信回線から聞かれた声に全軍が構えた。

 無論それはレールガンを持っているユウヤと同じくそこにいるクリスカ達もだが。

 するとラトロワ中佐の号令が戦場に響き渡った。

 『全機リラクゼーションは終了だ!さっさと主機を戦闘出力に上げろ!‼』

 『『『『『了解‼!!!!』』』』』

 大隊に所属する衛士全員がウインドウを消して言われたとおりに

出力を上げた瞬間に前方に突撃法を構えた。

 「へえ、よく訓練されて・・・いや、この位は最前線からすれば当たり前か。」

 『BETA群、前方距離四千。海上部隊爆雷投下中』

 ステラがいつも通りの声でそう言うとユウヤがこう聞いた。

 「そんじゃあとどれくらいで来ると思う?」

 『そうねえ、あと40秒って所かしら。』

 「だそうだぜクリスカ、イーニァ。ここから始めて帰るまでが初陣だぜ。」

 『ああ、分かってる。』

 『りょ~か~い。』

 そう言うとステラがカウントダウンを始めた瞬間にユウヤは周りの確認を始めた。

 全部隊がBETA群の出現個所に向けて砲撃準備するために微調整し始めた。

 『ステラのカウントダウンって冷たい声だから胃に響くんだよなあ。』

 「それ本人向けて言えよタリサ。後ろから撃たれたいんだったらな。」

 『あら、それは名案ね。』

 『ちょっと待てよ!それだけは勘弁!‼』

 『俺は夜寝る前に羊の子守歌』

 『永遠に眠らせたいの?VG』

 『あ、すんませんでした。』

 アルゴス試験小隊の軽口を聞いたクリスカは何故だと聞くとタリサは

こう答えた。

 『ア、決まってるだろ?もしかしたら隣の奴が死ぬかもしれない戦場だからな。

死ぬ最後の言葉が嫌な声じゃねえようにって事だよ。』

 ま、願掛け何だけどなとタリサは通信を切った。

 『・・・死ぬ前の言葉か。』

 「ああ、だったら俺らも最後になんねえように頑張らねえとな。」

 ユウヤはクリスカ達に向けてそう言った瞬間に

ステラのカウントダウンが0になったと同時にBETAが姿を現した。

 それと同時にBETAに向けて集中砲火し始めたのだ。

 するとどうであろう、BETAが一瞬で肉塊に成り果ててしまったでは

ありませんか。

 然もその攻撃が連続で続くために速い話が出オチキャラみたいな感じに

なってしまったのだ。

 『会いたかったぜ・・・クソ野郎どもが‼!』

 「うわあ・・・VGのキャラが変貌したぞステラ。」

 『あら何言ってるの?私達前線派遣組は大抵BETAに対してはゴミ以下にしか

思ってないんだから。』

 『馬鹿言うなよステラ。ゴミは土に混ぜれば肥料になれるけどよ、

あいつらの体は肥料にもなれねえゴミにも劣るクソどもだろうが‼!』

 如何やらステラもタリサも同じようである為反論無しであった。

 するとVGが戦場を見てこう呟いた。

 『おいおいおい・・・どういう事だよこれ!‼』

 「どうしたんだアルゴス3?」

 『戦車からの砲撃が薄いんだよ!このままじゃあ突破されちまうぞ!』

 「・・・・はあ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 唯依は食い入るようにモニターを見ている中である事に気づいてこう続けた。

 「砲撃が・・・薄い!?」

 「何だと!!」

 それを聞いたイブラヒム中尉が目を見開いてもう一度モニターを見て確かにと

そう言うとイブラヒム中尉はサンダーク中尉に向けてこう聞いた。

 「どういう意味ですかこれは!!機甲部隊との連携もお粗末だし展開も遅いぞ!これでは相当数が打ち漏らしとなるぞ!!」

 そう言いながらサンダーク中尉を問い詰めるとサンダーク中尉は恐らくと言ってこう答えた。

 「実は一月前に地中侵攻があったとここに着いた際に将校がそう言っていたのを聞きましたが・・・!!上層部め、今回の作戦を知っていて尚隠ぺいしたか?」

 サンダーク中尉の読みは当たっていた。

 一月前の地中侵攻の際に機甲部隊が受けた損害が大きかったこともあり

生き残った兵士と各戦線の補充兵、戦闘車両を今回の演習に合わせて無理やり

捻出して宛がわれたのだがたった一月足らずで連携、火力を当時のままにするには圧倒的に時間が足りなかったのだ。

 幾ら最前線からの精鋭をあてがったとしても結局は同じなのだ。

 ところがアラスカにいる共産党本部はその奇襲に伴う損害を記録と共に

秘匿されてしまったがために一部のソビエト軍しか知られてはいない。

 「今回のこの演習、何だか嫌な予感がしていたが勘は

当たってしまったようだ。」

 「ですがサンダーク中尉も知られていなかったとなると目的は一体?」

 イブラヒム中尉と唯依が互いに小さな声でそう言っているとまさかと言って

こう答えた。

 「彼らの目的はレールガンでしょうか?」

 「いや、それはないな。レールガンは急遽仕込むこととなったものだ。

連中がそれを把握するには時間が足りない。」

 「ですがそれならば目的・・・!!」

 唯依はまさかと思ってイブラヒム中尉に向けてこう続けた。

 「矢張り目的はレールガンが大です。」

 「だがそれは」

 「あれを知っているのは帝国軍上層部です。もし彼らの中に

ソ連とパイプを持っている軍官僚がいたとするなら」

 「・・・成程な、それなら合点がいくというものだな。」

 イブラヒム中尉がそれを聞いて成程なと言うと唯依はこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『我々が本当に戦わなければならないのは内側にある

人間の心なのでしょうね。』

 「?何だ篁中尉、その言葉は??」

 「ブリッジス少尉と初めて会った際に私が言った言葉です。

結局のところ人類が結束するには心もあっていないとだめという事で

ブリッジス少尉が言った言葉を私なりに纏めた言葉です。」

 「・・・成程な。」

 確かになと言ってイブラヒム中尉は戦場をモニターで見直すがならば

どうするべきなのかと考えてしまっていたのであった。

 




 次回は再びユウヤサイド。


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ロック〇ーーン!!

 ユウヤ「いや待て何だこのタイトルって言うか俺死ぬの?!ねえ!!」
 エボルト「其れはどうかな?」


 『アルゴス4、どう思うよ?』

 『多分と思うけど・・・数が要求に達していない?』

 「・・・・・」

 ユウヤはタリサとステラの言葉を聞いて戦況確認をするとエボルトがこう答えた。

 「【それだけじゃねえぜ?アイツらの動き、なんかちぐはぐに見えるぜ。】」

 「はあ?」

 ユウヤはエボルトの言葉をクリスカ達やアルゴス試験小隊の面々に伝えると

成程なと言ってVGがこう続けた。

 『多分だけどここにいる機甲部隊って全員とまではいかねえが大半が

他の戦線の連中なんじゃねえの?』

 「ああ、見栄え良くって奴か。」

 『そういう事だ。クリスカ達も覚えておきな。国のメンツを保ちてえ

連中からすりゃあこう言うのは日常茶飯事何だよ。』

 『・・・・・』

 それを聞いてクリスカは何か言いたげな様子であったがユウヤがこう続けた。

 「クリスカ、ジャール1に至急連絡してこう伝えてくれ。」

 『・・・・何だ?』

 「レールガンをぶっ放す!全戦闘部隊を退避させるように伝えてくれ。」

 『!!・・・分かった、伝える。』

 そう言ってクリスカが通信を切るとユウヤは準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ええい!上層部め、役立たずしか派遣しておらぬのか!?」

 ラトロワ中佐がそう言いながらBETA相手に戦闘していた。

 何せ機甲部隊の連携が一部を除いて満足に稼動できておらず正直なところ

ジリ貧とも言えるのだ。

 それに原因はもう一つあった。

 ソレハ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あの子達が抜けた穴が大き過ぎる!」

 そうだ、今のジャール大隊は半数以上がクリスカとイーニァ相手に喧嘩を

吹っ掛けた挙句に参加していた全員が重症となりその為空いた穴が

酷いものなのだ。

 「上層部め!アタシたちを殺す気なのか!!」

 そうお思いながら戦闘を再開していると・・・通信が入った。

 相手は・・・。

 「イーダル1。・・・あの子達か、今は後・・・エエイ何だと言うのだ!!」

 ラトロワ中佐はいらいらしながら通信を開くとバストアップモニターで

クリスカが出てきたので何だと聞くとクリスカはこう答えた。

 『同士中佐、自分はイーダル試験小隊所属の

《クリスカ・ビャーチェノア》です。中佐に対して意見具申の為通信に

入りました。』

 「何だ!支援砲撃ならば十分に」

 『その支援砲撃をこちらも行うとの事でありましてブリッジス少尉から伝言を

預かっておりますので報告を。』

 「何?・・・内容は?」

 『《レールガンをぶっ放す!》だそうです。』

 「何!・・・あの砲台をか?・・・使えるのか??」

 『帝国軍では既に幾度か試験を行っておりシュミレーションも

既にだそうです。』

 「然し・・・分かった。こうなったら死ぬも生きるも貴様らに託すが・・・

坊やに伝えておきな。《へま掛けたらアンタを撃ち殺すぞ!》ってな。」

 『了解‼!』

 クリスカが通信を切ると同時に副隊長でもある少女がこう言った。

 『中佐!信頼できるのですか!!あいつらは後方の』

 「今のままではアタシらは全滅だ。そうなるくらいなら・・・

貴様らを守れるのならば何でもやる!」

 『中佐…。』

 「なあに・・・後はあの坊やのお手並み拝見って奴だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「良し分かった!言質はとった!!これよりレールガンの実験を開始する!」

 ユウヤはそう言って機体の準備を始めた。

 充電率100%

 レールガン内圧力正常

 弾頭装填完了

 「見てろよBETA共・・・射撃はアメリカ軍じゃあ十八番何だよ!」

 「【狙い撃てユウヤーーー!!】」

 「狙い撃つぜーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユウヤの言葉と共にトリガーが弾かれた瞬間に・・・虹色の光輪が

レールガンの放たれた辺りから現れると思いきやBETAの外殻共々破壊され、・・・消滅した。

 然しユウヤは追い打ちと言わんばかりにレールガンを水平に薙ぎ払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『何だよ・・・これ・・・!!』

 『中佐・・・これは一体・・・!』

 あまりの光景に隊員はそう聞くがラトロワ中佐だけはユウヤの機体を見てこう思っていた。

 「(あの坊や、射撃する時にある恐怖感が無かった!普通新人衛士が

戦場に出ると大体がフレンドリーファイアを恐れるのにあの子には

それがなかった・・・とんでもない奴だ。)」

 そう思っているとラトロワ中佐は全隊員に向けてこう言った。

 『全機、再攻撃だ!まだ2割残ってるんだ、喰い尽くせ!‼』

 『『『『『了解‼!』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃のコマンドポストは歓声を上げていた。

 これまで苦汁をなめ啜り、辛酸をなめ、多大な犠牲の中で得るのが引き分け・・いや、敗北だったのに今回は違った。

 損害は僅少、その大半がレールガンによる恩恵だと言う事もあり唯依に対して

感謝の言葉を述べる者が何十人もいて唯依自身は慌てていたが

当の本人はほっとしていた。

 何もなく全員が無事に帰ってくるのに安堵しているからだ。

 するとサンダーク中尉が唯依に向けてこう言った。

 「素晴らしい!この想像以上の戦果に敬意を!!貴方方の技術がBETAに

大きな傷を与えたことに感謝を!!」

 「あ・・・ありがとうございます。」

 唯依はアハハと笑いながら握手を交わすと通信が入った。

 『よう、篁中尉。そっちはお祭りなのか?』

 「ブリッジス少尉か・・・良く頑張ったな。」

 『ああ、レールガンも不知火・弐型も含めてだけど日本の技術は凄いな。」

 「え?」

 『だってこいつが無かったらジャール大隊はやられていたかもしれねえからな。やっぱ凄いよ日本は。』

 「そ・・・そうか。」

 『そんじゃま、無事帰還してくるからそれまで無事でいてくれよ篁中尉。』

 通信終わりと言って通信を切ったユウヤに対して唯依は誇らしげな表情を

浮かべていた。

 それと同時に帝国で行われている例の計画を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・『01式固定砲台とレールガンの改造計画とそれに伴う第二世代の外国戦術機給与』か。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 自己紹介を入れてまた休載します。


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人物紹介2巻まで 

 人物紹介です。


ユウヤ・ブリッジス

 階級は少尉でアメリカ軍所属。

 嘗ては『ラプター』のパイロットを歴任した男で・・・何の因果か

仮面ライダーにもなれる間違いなく性格改変トップの人間。

 幼少期の時にエボルトが入っていた『パンドラボックス』を拾った後に

『エボルト』を解き放ったが仲良くなってしまい現在に至る。

 米軍時代では色んな意味で問題児でありガンつけられたり因縁付いてきた兵士を

これでもかと言わんばかりに精神的、肉体的に追い詰めさせる

ドが付くほどのS野郎。

 日本人とのハーフでもあるがそれがどうしたと言わんばかりに前向きで色々と

慕われている。

 衛士の腕は一流であるがこれもやる事する事掟破りな為上層部も

頭を悩ませていた。

 『エボルト』とのコンタクトの後に戦闘訓練を夢の中でやっているせいか

対人戦闘はずば抜けて優秀で負けなし。

 アラスカ着任後も同様に色々と騒動を起こしたり悪戯を仕出かしたり精神的、

肉体的に相手(下手人)を追い詰めている。

 主立って得意分野は近接格闘戦で剣やナイフ等を主にガンカタと呼ばれる

攻撃手段も持ち合わせている。

 コールナンバーは『アルゴス1』

 ・・・それと開発衛士である事から奇抜なアイディアを連発して上層部を

又もや困らせている。

 

 

 

 

 

 

 クリスカ・ビャーチェノア

 階級は少尉でソ連軍所属

 ソ連軍のメンバーでコールナンバーは『イーダル1』

 ユウヤとはアラスカで事故が起きた際に助けてくれたことが奇縁で

よく一緒にいる。

 特にリルフォートにいるときはユウヤの手を握って一緒に歩くことから周りからデキているのかとトトカルチョしている。

 ユウヤが仮面ライダーである事を知っている人間の一人で自身もなれる。

 ソ連のカムチャッキー基地にてジャール大隊のメンバーに因縁付けられ

相棒でもあり妹のように接しているイーニァが危機に陥りかけた際に

ハザードレベルが急上昇して仮面ライダー『クロコダイルドラグーン』に

変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イーニァ・シェスチナ

 同じく少尉でクリスカと同じ所属

 コールナンバーも一緒なのは機体が複座式であるから。

 同じくユウヤが仮面ライダーに変身するところを見た人間の一人。

 明るく幼い印象で元気いっぱいの少女。

 クリスカと同じくネビュラガスを投与されており体力的には

常人の大人など一瞬で倒せるほど強い。

 尚、ユウヤと一緒にリルフォートに行くことになってからはまるで親子のように付き添っていることがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エボルト

 『仮面ライダー ビルド』の世界からこの世界に現れた宇宙人

 最終決戦時にビルドによって倒された後に何の因果かこの世界に迷ってしまった宇宙人。

 ビルドでの体験からか人間に対して多大な興味を示しユウヤと協力関係にいる。

 性格は快楽主義者で裏で人間を思い通りに操るのを見て楽しむ歪んだ存在。

 変身時は『ブラッドスターク』となる。

 フルボトルはコブラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 篁 唯依

 日本帝国軍人で斯衛軍中尉

 規律正しく若いながらも中尉として活躍しているが頭が固い事から相まって

ユウヤと衝突することも屡々であるが最近は開発に於いての考えを言えるようにはなった。

 嘗てユウヤ相手に実機『武御雷』での戦闘で敗北した際に

コスプレさせられてしまいそれがトラウマとなりフリル系が苦手となった。

 ユウヤの推理力の高さに驚嘆して一時であるが危険だと判断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イブラヒム・ドゥール

 ネパール軍所属で中尉

 嘗ては大尉でありとある任務で降格となったがそれは民間人を

助けるためであったため民間では救世主と呼ばれている。

 アルゴス試験小隊においてもリーダーシップを発揮し曲者揃いの隊員を

率いているがユウヤが加わったことで更に頭が痛い状況と相まった。

 最近では偶に来るイーニァ達にビリヤード等を教えて心の癒しとなっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タリサ・マナンダル

 インド軍所属で少尉

 得意な『ククリナイフ』と呼ばれるアクロバティック戦法を得意としているが

これまでクリスカ達関係で痛い目に遭ってしまい最近ではナタリーの店で

コスプレで働くと言う屈辱を受けている。

 

 

 

 

 

 

 

 ヴァレリオ・ジアコーザ

 イタリア軍所属の少尉で姉がいる。

 飄々とした性格であるが指揮官能力は高く隊のムードメーカーである。

 最近ユウヤ達の遭難に一役買ってしまいタリサ共々罰を喰らってしまい

財布の金がなくなりかけてしまい本気でサラ金に借金しないといけないかもなと

泣き顔である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ステラ・ブルーメル

 スウェーデン所属で少尉

 異名持ちで遠距離狙撃が得意だが腹黒で意外に毒を吐く。

 最近ではクリスカ達と仲良くしようと頑張っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴィンセント・ローズウエル

 ユウヤと同じ部隊出身で整備班

 ユウヤと一緒にいると退屈しないとの理由で何時も攣るんでいる。

 整備班としての実力は優秀で模擬戦の際にはユウヤの機体を完全に

データの洗い出しとフィードバックが出来ると言う腕前

 クリスカ達とも良く酒を飲む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フランク・ハイネマン

 ボーイング社から出向した技術者で『戦術機の父』とも呼ばれている。

 大半の戦術機が彼の設計によるものだが仲には技術流出と言った行為を

平然とやり遂げる度胸も持っている。

 今回のプロジェクトにユウヤを推薦したのは彼であるのだがその理由は

未だ不明。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イエジ―・サンダーク

 ソ連軍所属で中尉

 クリスカ達の上官でエボルトとの取引相手

 互いに利用し利用し合えることを主軸としており裏ではエボルトから貰った

ライダーシステムやネビュラガスで何かしらの計画を考えている。




 再び休載します。


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