さくら荘のペットな彼女と錬鉄の英雄 (あるにき)
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プロローグ
第1話 召喚


私は今、いわゆる誘拐をうけている。

場所は具体的にはわからないけれど、どこかの倉庫。

今までの人生でしてきたことといえば絵を描いてきたことだけれど、思いつきに外に出てみれば…

 

私の心は今ひとつの感情に支配されている。

 

——————————恐怖

 

その感情の名は恐怖

死の恐怖。まだやりたいことが残ってる。リタにパソコンのやり方を教わっている途中だし、それが終わったら漫画を描きたい。

 

「これで身代金を要求すりゃ借金も返せるぜ」

 

「あぁ、これでオレたちゃ自由だ!」

 

私を誘拐した2人の痩せ型男と太った男。

何やら話している。

身代金目当てらしい

なら…命まで取られることはないのかもしれない、と少し気が楽になる。

しかしそんな想いもつかの間

私は絶望に直面する。

 

「にして、この女…かなりかわいいよな…」

 

「かなり、なんでもじゃねぇよ…へへへっ」

 

男達が下衆な笑みを浮かべる

 

「この上玉…ヤっちまってもいいよなぁ?」

 

「??!!」

 

先程とは全く違う意味での恐怖。

死、ではなく女性として大切なものを失う、ある意味で身の危険。

 

「〜〜!!」

 

私は今縛られているので身動きも取れなければ声を上げることもできない。

 

嫌だ、嫌だ、嫌だ

 

 

「へへへ、嬢ちゃん。あんまし抵抗するんじゃねぇぞ?抵抗すると…わかるよなぁ?」

 

鳥肌がたち、変な汗が出てきた。

 

男達が私に向かって滲み寄ってきた。嫌だ。

誰か…

 

「———」

 

全てを覚悟するかのように目を瞑る。しかし思考の片隅でこんなことみ考えてしまう。

 

誰か……………たすけて

そう願った瞬間、右手の甲に痛みを感じる。そして、倉庫の自分が縛られている柱の少し後ろが光った。

 

「あ?なんだ?!」

 

「どうなってんだ?!」

 

その輝きはどんどん増していきやがては目を凝らすほどのまばゆいものとなり倉庫全体を光で覆う。

 

 

 

 

光が消えたと思えば私の目の前にしたのは紅い外套の騎士だった。

 

—————————————————————————

 

エミヤシロウは『座』にて次なる呼び出しを待っている。

いや、彼自身は自分のことをハズレだと考えているため呼び出されたくない、と考えているのかもしれない。

 

しかし、彼の思いなど汲むこともなく、彼に呼び出しがかかった。

 

「——まったく、私を呼び出すとは、飛んだ物好きもいたものだ。」

 

彼はやれやれ、とでもいうように肩をすくめ、呼び出しに応じることにした。

 

「いったいどんなマスターなのか…」

 

まぁ、呼ばれ方からにはできることをするさ と

彼は自身を呼び出したマスターのもとに向かうのだった

 

———————————————————————

 

「サーヴァント・アーチャー。召喚に応じ参上した。」

 

私が呼び出された場所は…どうやらここは倉庫のようだ。

 

縛られた少女が1人。それを囲む男2人。

いかにもアレな状況である。

 

「ふむ…どうやらこちらの少女が我がマスターのようだが…」

 

そう言いながら少女の口を塞いでいたテープを痛くないように、丁寧に剥がす。

 

「怪我はないかね?」

 

この国はわからないが、彼女の見た目から察するにおそらくイギリスあたりか。英語で話しかけた。少女の髪の色は金。染めたような有機的な色ではなく天然のものだとわかる。

それと少女のとても整っていて可愛い、綺麗そのどちらにも当てはまるような容姿。普通の男であればこの子と一緒に居られるだけでも幸せなものだろう。

 

「だ、大丈夫よ。…それより貴方は」

 

「ん?私かね。先も言ったとおり私はアーチャーだ。どうやら魔術師ではないようだし、聖杯戦争に巻き込まれた一般人なのだろう、君は。

私の存在も含めてのその話はまた後ほど。まったく、私はどうしてこう通常の召喚というものに恵まれないのかね…

それより今は——」

 

私は少女の目をまっすぐ見据え

 

「私は君の味方だ。君が願うのであれば私にできるその限りを尽くそう。まだ状況も理解できないだろうが、まずはその証明に。マスター、指示を。この男どもを片付けるなぞ、私には容易いことだ。」

 

少女の願いを聞こう。

少女はこの危機的状況に置いて唯一の救いであるところの私に願いをこう。

 

「たすけて」

 

「了解した」

 

私は彼女に背を向け、男達に向き直る

 

「悪いが。お前たちのような下賎な輩にはマスターに触れてもらいたくない。なによりマスターの指示なのでね。少しの間眠ってもらうぞ」

 

「………はぁ?!ふざけてんじゃねぇぞ!!さっきから何言ってるのかワカンねぇんだよ!」

 

「そうだ!もしてめぇが邪魔するってんなら…」

 

男の片方がナイフを取り出す。

 

「死ねっ!!!」

 

そう言った男はナイフを振りかぶり私を刺そうとする。

しかし、

 

「全く…私たち英霊をたかが一般人が殺せると思うなよ?」

 

それは一瞬だ。

私はナイフを振りかぶった男の振りかぶった方の腕を片手で押さえつけナイフを取り上げ、左足で男の脇腹をひと蹴り。そのままもう1人とも6メートルほど先の壁にぶつかり気を失う。

 

「ふぅ、こんなものか。存外、手加減というものは難しい」

 

「驚いたわ…貴方とても力が強いのね」

 

「その発言は少しズレているような気がするが…そうだ、大事なことを忘れていた。」

 

「大事なこと?」

 

「あぁ、マスター。君の名を聞いても?」

 

私はそう尋ねると。

少女は

 

「椎名ましろ。好きなものはバームクーヘン」

 

「ふむ、では今度作ってやろう。」

 

「え?貴方バームクーヘンが作れるの?貴方もしかしてバームクーヘンの神さま?」

 

「……なるほど実に個性的だ。いわゆる天然というやつなのだろう。私は神ではないよ。別段なんの逸話も残さなかった無名の英雄だよ。」

 

「そうなの…よくわからないわ。」

 

「まぁ、そうだろう。あとでそれは詳しく話す。それより今は寝たまえ、マスター。気が滅入っていることだろう。少しだったら起こすよ」

 

「そう、ありがとう……じゃぁ…」

 

「あぁ、おやすみ」

 

それが私とそのマスター。椎名ましろとの出会いだった。

 

 




よければコメントください。


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序章 ペットな少女と、家政婦さんがさくら荘にやって来ました
原作開始に至るまで その1


続きます。コメントありがとうございます!
活力にして頑張ります!


それから少女——椎名ましろをマスターとし聖杯戦争に参加する…はずだったのだが、問題が起きた。

まず、他のサーヴァントが召喚されていない。これ自体は私が一番最初に召喚されたと考えれば納得できるが、私が彼女に呼び出されてからおよそ2年が経過している。それでもなお他のサーヴァントが召喚されないということは、そもそも聖杯戦争がによって、——つまりは聖杯による召喚ではないのではないか、と考えられる。

根拠はひとつ。

サーヴァントは本来なら召喚の際、聖杯によってその時代に適用するための知識が与えられる。しかし今回それがなかったのだ。

どうやら私の生前となんら変わらないようなので特に支障もなかったが。

また、マスターの魔力量、魔術回路の本数は圧倒的でまず間違いなく魔術師の世界においてイレギュラーレベルだった。

しかし、たとえ聖杯戦争による召喚でなくとも呼ばれた以上、捨てられる時まではサーヴァントとしての役目を果たそう。

 

そして問題その2

 

彼女はいわゆるアトリエ暮らしの画家、なのだが同じアトリエに住んでいるのは全員女子。

霊体化すれば問題は無いには無いが、女子だけという理由に少々目のやり場に困る格好をする輩もいたため霊体化して常に一緒にいる、というのば断念。

妥協案として、アトリエの掃除洗濯、料理などをする使用人の職についた。無論国籍を取得(偽装)して正式なルートを通って就職した。

基本的にマスターは常にアトリエで絵を描いていたのでアトリエで働くというのは都合が良かった。マスターとの仲も良好で嫌われたりすることもなく、むしろそれなりに好意をもって接してくれている自覚がある。(ちなみにここでも女難の力は健在である)

とりあえず問題その2は解決。

 

問題その3

 

彼女は画家で、その絵の才能は折り紙つきだ。なんでも生物を描けば「本物よりも本物らしい」なんて言われている。我がマスターながらに鼻が高い話ではあるが…彼女の私生活はおよそ全て絵に捧げられたもので、絵以外のことは壊滅的にできないのだ。掃除洗濯料理全て無理。1人で着替えることもままならない。

 

私の血が騒いだ。このままではダメだと。

そして私は彼女にこう言ったのだ。

 

『別に…身の回りの世話を全てやってしまっても…構わんのだろう?』

 

『リタがやってくれてるわ』

 

『なにっ?!』

 

というような会話があった。

そしてそのリタ。リタ・エインズワースと一緒にましろの世話をするようになった。(とはいえ私には使用人としての仕事もあるのだが)

その途中、リタの抱えている闇に気づいてしまった。闇がどんなものかはさておき、私はあえてそれに触れず、放置することにした。理由はその闇は私ではなく彼女、ましろが解決すべき問題だ。私がやるのも良いがそれではマスターにもリタにもためにはならんだろう。今のマスターにどうこうできる問題ではないし、時間が解決してくれるものではない。第1リタはましろにその感情を、闇をさらけ出す気は無いようだ。いつ爆発するのか分からない爆弾のようだと思い、それ言ったら睨まれたのを覚えている。とりあえず私は、彼女たちの成長を見守ろうと思う。また、マスターはリタにパソコンの使い方を習っていたが、空いた時間に私も教えることにした。なに、録画の仕方を教えたら吹き飛ばしてくるような野蛮なことはないので楽な仕事ではあった。それとアトリエ内に一室を借りていてそこで生活しているのだが、サーヴァントには睡眠など必要ないにせよせっかく眠ることのできる設備を提供してもらっているのだが勿体無いような気もして、毎日基本的には毎日にしっかり寝ている。それと起きたらワイシャツ一枚だったり裸だったりするマスターが私の布団に忍び込んでいるのが悩みの種だ。そこで寝なければいいのではないかと思いそれはそれで彼女が心配するので甘んじてそれを受け入れている。

彼女はパソコンを使って漫画を描いていたらしく、日本の漫画雑誌に連載も決まった。しばらくして彼女は日本に留学することとなった。

 

 

——————————————————————

 

あの日。誘拐事件から救ってくれた紅い外套の男の名は、バームクーヘン神…じゃなくて、エミヤシロウというらしい。

なんでも彼は聖杯戦争というもののために召喚されたはずの英霊というものらしい。彼から聖杯戦争についてあれこれ聞くことができた。

なんでも、万能の願望機を巡って過去の英雄たちが覇を競い合う殺し合い。

その勝者にはすべての願いを叶える権利が与えられるのだとか。過去の英雄たちのことをサーヴァント、あるいは英霊と呼び、それには7つの役割がある。

 

セイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーサー。

それにエスクトラクラスがあるらしい。

 

でも、私はその殺し合いに参加するわけでもないらしい。なぜだか分からないけど他のサーヴァントは召喚されていないらしい。つまり私はものすごく強くて、身の回りのお世話をしてくれて料理上手なオカン(サーヴァント)をタダでゲットしたみたい。

彼は、どういう訳か国籍を取得して、アトリエの使用人として働いている。

エプロンと三角巾姿が似合いすぎていた。

次に、彼がどんな英雄なのかを聞いた。私はエミヤシロウなどという英雄の名前を聞いたことがなかった。そういえば逸話を残していない、と会った時に言っていたことからもっと分からなくなった。それで聞いてみたのに彼は…

 

『いずれ分かるよ。なにせ私と契約し魔力のパスが繋がっている。つまり、私の記憶を夢で見るかもしれないということだからな』

 

意味がよく分からなかったけど、2年一緒にいてよく分かった。一週間に一回ぐらいに夢を見るようになった。その夢は夢なのにこれが夢じゃないとすぐ理解できる、明晰夢だ。誰かの記憶だとすぐに分かった。

 

 

あぁ、これがシロウの記憶なのだと。

 

戦場だ。

命なんて容易く葬られる。地獄としか言えない状況だった。

その中に彼はいた。両手白と黒の剣を構え、戦場を走っている。

彼はたくさんの命を救い。たくさんの命を奪い。たくさんの命を——見捨てた。

仕方のないことだと思った。でも、それでも彼はたしかに人々を救っている。いくら見捨てた人がいるとは言えせめて助けた命には感謝されるべきことをしていたと思う。

しかし、彼にかけられたのはそんなものではなかった。

 

なぜ助けなかったのかと

 

なぜ殺してしまったのかと

 

なぜ見捨てたのかと

 

もう何回もこの夢を見ているせいでよく分からなくなってしまったけれど、最初の方は感謝もあったのかもしれない。人を助けるために死後の平穏すらも売り渡しているのだ。感謝され、英雄ともてはやされていた。でも最初はの話だ。

やがて彼の心は蔓延していき、ただただ無感情に人を助ける存在になっていた。でもそんな彼に与えられた結末は———争いの張本人を押し付けられ、死刑。

 

彼の生き方は歪だと思う。

自分より他人が大切。その考えはいいものだけど、度が過ぎていた。それはまるであらゆる物事の判断基準に自分が入っていないようだった。極端に言ってしまえば自己犠牲。

自分の死で誰かが助かるのなら彼は喜んで自らの命を差し出す。それは彼の生前の死際ですらそうだった。

死後、英霊となっても彼がやることは変わらない。ただ殺す。殺して殺して殺しつくす。

でも、なぜ彼がこんな歪な生き方をしてしまったのかよくわからない。一般人では到底できることじゃない。戦いの時の彼の顔にはなんだが、強迫観念のようなものに突き動かされているように思った。

私はそれが知りたくて。

彼と一緒に居たくて。

私は今日もバームクーヘン神のベットに忍び込む。

 

—————————————————————

彼女が留学するにあたって私も日本に行かねばならないのだが、彼女はすでにさくら荘という学生寮で暮らすことが決まっているらしい。

マスターがそこで暮らす以上、私も出来れば学校関係者となってそこで暮らせる、あるいは入っても問題ない立場にならなければいけない。

私とマスターの表向きの関係は、世話係としてのものだ。周り公認ではあったが彼女の後を追って一緒に日本行くのはまずい気がする。そこで私はアトリエでの仕事を辞め、イギリスでのエミヤシロウは失踪したことにし、日本にて新たな国籍を取得(偽装)した。

そして私は上手いことマスターの通う学校の関係者となれた。

 

私の仕事は————————




アンケート機能なんてあるのかよく分からないのでここで皆さんにアンケートを取りたいです。
エミヤの職についてです。

エミヤ、教師になる

エミヤ食堂(学食)オープン

どっちがいいでしょうか?コメントにて意見をお願いします。まじで


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原作開始に至るまで その2

こんにちわ
エミヤが食堂のオカンとしてちゃんと働く描写を書くのは次ぐらいからです。ぐらい


俺の名前は神田空太。

スイコー普通科2年。ルックスも普通。頭も普通。特出すること何もなし。

変わったことといえば、『さくら荘』という変人の巣窟に住んでいることである。ペット禁止の一般寮で最近まで暮らして居たが、猫を拾い飼い始めてしまったことが学校にバレ、猫の貰い手を探すという名目でさくら荘にやってきた。ちなみに猫はそのあと6匹追加された。

そんな俺の当面の目標は、最近なぜか一階の男子寮の突き当たり一番奥の元々行き止まりだった場所に何故か一室作られていたこのさくら荘を脱出することである。

 

———————————————————

 

今日の朝も起きたら猫の尻。次に美少女の尻。それだけでは得した気分ではあったのだが、見た尻の持ち主が問題だった。

 

上井草美咲

美術科3年。設定、絵コンテ、作画に編集全て1人でこなしたアニメが商品化されて大ヒット。

彼女は宇宙人だ。きっと人間じゃない何かだ。と思うほど頭のネジが外れている。

俺が先生に頼まれて(押し付けられ)さくら荘の看板を直して居た最中にも『肉欲の世界に旅立とう!!』と周りに人がいるのにも関わらず大声で騒がれ、

そんなことをしている合間に

 

三鷹仁

普通科3年。美咲先輩のアニメの脚本を担当した男。

彼が車に乗って帰ってきたと思えば

車の運転手の女性と

 

『また…連絡するから』

と言って運転手とキス。

高校生にあるまじきまはらせ朝帰り!!

彼が帰ってきたと思えば、先ほど言った先生。

 

千石千尋

美術教師。さくら荘の監視要員。ちなみに、現在レベル30越え。絶賛婚活中。…なんてことを考えていたら、

 

『29歳と15ヶ月よ!』

と頬を引っ張られた。エスパーやん。

そうするとスマホに連絡があり

 

『件名:五月蝿い

差出人:赤坂龍之介

ただいま龍之介様は、

S社よりご依頼を受けましたサウンド圧縮用のミドルウェア開発を行っている真っ最中にございます。

 

 

 

邪魔すると

ウイルスとか送っちゃうぞ(笑)

 

-メイドちゃんより』

 

赤坂龍之介

普通科2年生にして既に企業と契約しているプログラマー。

独自開発した、自動メール返信プログラム、AIのメイドちゃんが唯一の外界との架け橋となる。ちなみに、彼に最初に言った部屋のことを聞いて見たところ、赤坂以外全員が出ているときに何かを作るような音が聞こえ、あっという間に終わったらしい。数時間後、風呂に入るために部屋を出たら新しい部屋が作られていたのだとか。ほかのみんなも知らないらしい。

話を戻すが、

 

この変人と一緒にしただけで通行人の同じ学校の女生徒に怖がられて逃げられ、心にダメージを負った。

ちなみにこれ、入学式の日である。

俺は2年なので入学するわけではないが。

看板が治ったことを千尋先生に報告しに職員室に行ったところ外国人の女の子…小学生低学年程度の年齢の女の子をさくら荘で預かるという。…いやあんなところで預かるなんてふざけてる。教育上よろしくないな。それともう1人。さくら荘は一般寮とちがい基本的に掃除、料理、買い物、ゴミ捨ての全てを自分たちでやっている。当番制にしてはいるが。それを気にして学校側にさくら荘で料理を作りたいと直談判した、学校関係者がいたらしく、生徒ではないがその人も新しく暮らすらしい。何者だ?変人匂いがする。俺はそのまま待ち合わせの駅前に向かうために学校を出る。

 

…それと学校を出る際、購買の近くに新しいスペースができていた。今までこんなところにスペースなんてなかったことから新しく建設したのだろう。

 

『エミヤ食堂』

 

と書いてある暖簾があったような気がする。

もともとこの学校には購買はあっても学食はなかったはずなのだが…

 

商店街を通り、駅に向かう。

途中肉屋でコロッケをもらいそれを食べながら少女を待つ。ちなみにもう1人の方は学校から地図をもらっているそうでもうさくら荘に向かっているらしい。

肉屋のおっちゃんに言われたことが頭の中で再生される

 

『男子にはやらなきゃいけねー時があんだよ!』

俺が寮暮らししている理由は両親と妹が福岡に引っ越してしまったからだ。俺が残った理由なんて特になくって…

やらないといけないこと…そんなの俺には…

 

ベンチに座るとコロッケに桜の花びらが乗っかり、親父たちについて行っても良かったかもな、と言いながら花びらをつかもうとすると、風が起き花びらが舞う。

舞った方向に顔を向けると金髪ロングのとても綺麗な女の子が目に入った——写真の子だ、とすぐに分かった。

写真の三倍は年のある同じスイコーの女生徒服を着た彼女はなんだかとても綺麗で人形のようだなと感じた。

彼女に話しかけてると第一声、こう聞かれた。

 

『ねぇ、あなたは、何色になりたい?』

 

質問の意図なんてわからなかったし、何より考えたことなんてなかった。考えたことがないとなら考えろという。

将来のことはまだ未定だけど、今の俺は玉虫色だ。そう答えて俺は逆に同じ質問をしてみる。

聞いて見たら彼女を考えたことがなかったようだ。意味わからん。でも俺と同じように今の色を答えてくれた。

 

 

それで納得した。名前と同じだ、と。

それを伝えるとなぜ私の名前を知ってるの?みたいな顔をされたので状況説明。俺の名前と千尋先生に言われて迎えに着たこと。

伝えると彼女は

 

『空太…空太っていいね。音が綺麗。私、す………言ったらいけないんだった』

 

意味がわからなかったので尋ねると

 

『シロウがいってたもの。好きとかそういう言葉は、あまりおいそれと使ってはいけないって。いうならせめて友人としての好きか、恋人としての好き。それぐらいにしておけ。でないと勘違いされてるぞ。って、シロウが言えることでもないような気がしたけど』

 

な、なるほど、常識のある人だ。こんな可愛い子がおいそれといろんな人に好きなんていった日には、何が起きるかわからない。

その人に感謝しつつ、俺も言われて見たかったとちょっぴり思う。しかし最後の方が気になるがそれはさておき、彼女を連れてさくら荘に行こう

 

———————————————————

 

私の仕事についてだが、それは———学食の料理人だ。

ここまでの経緯を話そう。

 

私の単独行動のスキルがEXになっていた。

 

これはつまりマスターの魔力補給がなくても存命できるということだ。本来であれば数日程度存命できるスキルなのだがEXになるとそもそも魔力補給が必要無くなるとは…

そういえばあの金ピカもマスターの元を離れ好き勝手していたな。

しかし、流石に宝具使用時には魔力供給が必要になるが。

おそらくマスターの魔力量がものすごいからであろう。ステータスもかなり上がっている。幸運以外は。しかしEXのスキルが2つとは(執事)いよいよ聖杯戦争ではあり得ない。それはさておき

上がったステータスの中でも単独行動がずば抜けていたのは都合がいい。

これにより私はマスターの元を少し離れ(とはいえやはり心配で毎日念話、または電話でお小言を言っていたが)、日本に行き、国籍を取得(偽装)調理師の免許を取得(こっちは普通に)し、マスターの通うこととなっている水明芸術大学附属高校にうまく(中略)取り次ぎ、学校内に学食を作ることとなった。いろいろと手続きなどはあったがそれを早々に終わらせ、春休み中にも学校に来ている教職員に挨拶や差し入れを作り。空いた時間に学食建設の手伝いをしながらマスターの住むこととなっているさくら荘について質問をした。

なんでもそこは変人の巣窟と言われているようで監視要員として住んでいる千石千尋という教師ですら問題児の部類らしい。はじめどうやってここで暮らせるように話を進めようかとも思ったがどうやらかなりのオンボロ家屋らしく、おまけに一般寮と違って料理、掃除、買い物、ゴミ捨て全て生徒にやらせているらしい。生徒たちが住まう学校側の施設で自炊させるのはいかがなものか、と。いくら食費を払っているとはいえ、これはまずいのではないか、と。あくまでも、喧嘩を売ったわけではなく、提案としてだ。それに古い施設だと壊れるものも多いだろう。そっちの問題はどうなのか、と。

 

結果的に私が全て引き受けた。

直談判という形ではあるが、概ね学校から頼まれたと言っても差し支えない。狙ってやったことだが、うまく言ってよかったと安心していた。しかし、問題が起きた。さくら荘でこれから暮らすには男子部屋の数が足りないというのだ。

そこで春休みの間に新しく部屋を作ることとなった。しかし、改装するほどのお金もないらしいので自分で作ることとなった。自分でつくる、と学校の校長に伝えるとその方が都合がいいからか、あっさり許可をもらった。(一応エミヤには資格がある)とはいえエミヤも資源は投影で作ったものを使用するため実質ゼロ円なのである。

 

そして今、エミヤはさくら荘の前にいる。

部屋を作るために一度きたがその時は1人部屋の中にいたようだが他には誰もいなかった。

ともあれ今日から彼とそのマスター、椎名ましろはここで暮らすわけだが、かれこれ彼らは1ヶ月ぶりの再会である。そもそもマスターの元を長時間離れるなどサーヴァントとしてあるまじきことではあるのだ。これは腕によりを掛けてバームクーヘンを作ってやらねばと、考えながらエミヤ、日本においても衛宮士郎はさくら荘の玄関をくぐるのだった。

 




作者はルビの振り方とかよくわかっていないので基本使わないです。ちなみにここでいう原作開始はアニメ版1話が終わるまでです
誤字の指摘や感想。お待ちしています。
評価なんてしてくれると嬉しいです(欲望丸出し)
コメントください


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原作開始に至るまで その3 さくら荘にやってきた

申し訳ございません!!
エミヤ食堂が出てくるのはおそらく原作アニメ2話あたりからです!


「さくら荘へよーーーこそーーーー!!!」

 

軽快な挨拶とともに始まった歓迎パーティー。

 

「さぁさぁ、今日はねぎま鍋だ!はいドーーーーン!!」

 

「「「「いっただっきまーーす」」」」

 

「さぁさぁ、食べて食べてましろん、えみやん。さくら荘ではお祝い事では鍋パーティーって決まってるんだよ♪」

 

「ありがとう。しかしいいのか?本来私はここで家事をするために来たようなものなのだ。鍋ぐらいであれば私が作ったぞ?」

 

「いいのいいの!今日は2人の歓迎会なんだからね!」

 

あの後さくら荘に入ってみたら頭のネジが数本飛んでいそうな宇宙人、もとい上井草美咲に出迎えられ、三鷹仁、千石千尋に挨拶をし、親睦を深めた。それと赤坂龍之介にも挨拶をしようとしたが、どうやら引きこもりらしく彼の部屋は出入り禁止らしい。だが、三鷹仁から教えてもらった赤坂龍之介のメールアドレスに挨拶の文を送信すると、メイドちゃんなるものから返信がきた。しかしそのメールの差出人は赤坂龍之介となっているためそういう趣味の人間かと納得し掛けたところで三鷹仁から説明があった。なんでも、彼の作った自動メール返信プログラム、AIのメイドちゃんだという話を聞いた。『仕事の邪魔をしたり勝手に部屋に入ればウイルスとか送っちゃうぞ(笑)』

などと言われたがましろがマスターとなった今投影魔術のスキルもかなり上がっている。携帯ぐらいなら作れるだろう自信がある。それに引きこもりでは食生活など不安があるため頻繁に出入りしようど考えている。完全にオカンである。

そうこうしているうちに帰ってきたのが神田空太。変人の巣窟と言われているさくら荘に唯一の平凡な男らしい。そして彼と一緒に帰ってきた女。そう、マスターである。彼女は私を見るなり私に飛びついてきて久しぶり、会いたかった、などと言ってくれる。相変わらず無表情ではあるがどことなく嬉しいそうにしていてくれている。やはり此度のマスターは素晴らしい。1ヶ月ぶりの再会というだけでこんなに喜んでくれるのであればサーヴァント冥利に尽きる。

私は彼女の頭を撫で、ありがとうと微笑み返す。マスターは私の胸に顔を埋め、少し経ってから離れる。

それをみた神田空太は唖然としていたが

そしてさくら荘内全員に共通して言えることだが(千石千尋を覗く)、私やマスターが今日ここに引っ越してくることを知らなかったようだ。

私はマスターは簡単に自己紹介を済ませ(とはいえ私は神田空太以外には済ませていたのだが)、鍋パーティーが始まり今に至る。

 

「あ、メールきた」

 

神田空太は赤坂龍之介からきた、もといメイドちゃんからきたメールを声に出して読む。

それを聞いて千石千尋が反応する

 

「ねぎまなのに?まだけってこと?」

 

などと談笑していれば、神田空太がマスターが美術科2年に編入することに驚いていた。これでも我がマスターは世界的な天才画家だ。少し意外だったのだろう。まぁ、生活破綻者ではあるが。

などと考えていれば、三鷹仁が神田空太の耳元に顔を寄せ他には聞こえないような声で

 

「そうだなぁ、俺の見立てでは身長は162センチ、体じゅぎゃふんっ!」

 

「え、ど、どうしたんですか、仁さん!」

 

危ない。マスターの個人情報を本人の知らないところで拡散されるところだった。第1我がマスターにそのような下賎な視線を向けるなど…まったくエロガキめ

 

「仁さんっ?!」

 

「仁、どうした?!仁!気絶してる…」

 

「三鷹?!あんたかっなり情けない顔で伸びてるわよ…」

 

「仁は…なんで倒されたの?シロウに」

 

「「「「え?これ衛宮さん(えみやん、衛宮)がやったの?」」」」

 

「ああ、我がマス…ましろを視姦しようとしていてな。少し眠ってもらった。」

 

「視姦って、これだから三鷹は…」

 

どうやら理解はあるようだこの問題教師。生徒に手を出したら問答無用、なんてタイプじゃなくてよかった。神田空太も流石に今のは止められても仕方がない、と言った感じに呆れている。

 

「視姦だと?!聞き捨てならん!断じてならん!!」

 

そんなことつゆ知らずひさびさにあったためか少し甘えて来るましろ。

 

「食べさせて」

 

「まったく君は…ほらねぎでいいか?食べ方は気をつけろよ?」

 

伸びた仁を除いてみんなでまた騒ぎ始めた。少したち、みんなも落ち着いた頃、三鷹仁も復活した。

 

「ではこれからあたしが作成したましろん&えみやん歓迎アニメを上映するんだも〜〜ん」

 

「え、いつの間に作ったんですか?!てか椎名や衛宮さんが来ること知ってたんですか?」

 

「スイッチオン!!」

 

神田空太の言葉を全て無視して、テレビの前まで行き、リモコンでスイッチを押す。すると宇宙で戦っているウサギだの鳥だののアニメーションを流されて、その映像にまったくあっていないセリフを上井草美咲がいう。

 

「まっっしろぉ〜〜ん〜、えっみやんん〜〜、君たちがさくら荘に来るのをまっていたんだよぉぉぉ〜!#/@&(効果音)これからもずっとっ〜なかよくしてねぇぇぇ〜!*€#(効果音)」

 

最後は爆発で終わったそのアニメはまったく言葉と内容が一致していなかった。

 

「びっくりするぐらい内容とセリフがあってないわね…」

 

「どこがましろちゃん&衛宮さん歓迎アニメだよ。ただ新作のラッシュチェックしたいだけだろ」

 

「そうともいう!さぁ、どっか気になったところは?!」

 

と、私の方を指差して言ってきた。

困ったな私はアニメなどほとんどわからないのだが…

 

「…まぁ、素人の私がいうことなどあてにかならんだろうが…、どことなく爆発するタイミングは早いような気がしたな。」

 

正直に答える。

すると視姦魔…もとい三鷹仁が

 

「お、いい着目点ですね、衛宮さん。美咲、最後の爆発のタイミングだけど、あれ四コマほどずらせないか?」

 

「だよねだよね、ちょっと早いよね。中割りたすかー」

 

専門的な話が始まり2人についていけなくなる。それは他のみんなもそう見たいだ。

 

「あー、ありゃダメね。あれ始まっちゃったら」

 

どうやらざらにあることらしい。

 

「いつもふざけた奴らだけど、ものづくりに関しちゃ紳士よねぇ」

 

それを聞いて神田空太がバツの悪そうな顔をし、目を背けマスターの方を見るが、数秒目があってから視線を逸らされる。

…そうか、なるほど彼だけがこの場における『凡人』なのだな。おそらく彼には目標だって決まっていないのだろう。だから何かに真摯に取り組める彼女らが眩しいのだろう。私の青年期とはまた違って難儀なものだな。

そういえば、と神田空太が私に質問してきた。

 

「あ、衛宮さん。もしかして椎名と面識あるんですか?」




コメントが来なかったことで萎え気味。コメントが欲しい。できればプラス方面の


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原作開始に至るまで その4 歓迎会の話

こんばんは
コメントが来なくて悲しいひとです。
ちなみに作者はfgoでエミヤの宝具5です。
今回は短めです。


「あ、衛宮さん。もしかして椎名と面識あるんですか?」

 

「む、どうしてそう思う?」

 

「いや、だってさっき椎名が衛宮さんに抱きついていましたし、さっきも食べさせてもらってしてましたし、付き合ってるのかな〜って」

 

「面識があるのか、から恋人とは飛躍しているぞ、神田空太。」

 

やはり誤魔化しきれんか。

 

「前に一度、イギリスにいった時にな」

 

適当にいってごまかす。

 

「へぇ、イギリスにいったことあるんですね。」

 

「てかえみやん!あ〜んとかしてもらってたの!?あたしの知らぬ合間に!けしからん!」

 

「ほぉ、衛宮さん、なかなかやりますねぇ」

 

「ちっ、従姉妹にも男がいるのに…」

 

三者三様。様々な感想が送られる。

1人、嫉妬が込められていたような気がするが…

 

「だいたいましろは生活破綻者よ?そこんとこ知ってるの?」

 

「生活破綻者?」

 

「ああ知んないんだっけ?こいつ絵以外のおよそ全てのことがダメダメなのよ」

 

「えぇ?絵って椎名、美術科なんですか?」

 

「そうよ、美術科2年に編入って感じね」

 

「………そうなんですか。でも生活破綻者ってそんないうほどなんですか?」

 

「そうだな。ま、それはそれで可愛い気もするが」

 

冗談ではあるのだろうがやはり三鷹仁にはマスターの身の危険を感じる。

 

「ましろんそんな属性もってたの?留学生金髪ロング無表情生活破綻者属性?盛ったな〜」

 

「持ったかどうかは知らんが、ましろのそれはよく理解している。……あぁ、良くな」

 

ああ、よく理解しているとも。ただでさえ女子ばかりのアトリエにおいて一番男子に対する警戒心がなくってな…………

最初の方、部屋の片付けに入ればまず裸。自分で服を着ようとしない。その日着る服からパンツまで選んでいた私の苦労はなりのものだ。

少したって私が少し慣れてきたと思えば、逆にマスターの方が羞恥心というものを知り始めたようで、彼女の部屋に入ったときちょうど彼女が裸でいて、服を着せてやろうとしたら真っ赤にして、それこそ林檎みたいに赤くして、枕で叩かれたのを覚えていた。そのくせ、私のペットには忍び込んでくる。ほぼ裸で

 

「そう……アンタも苦労してんのね」

 

一息ついて、千石千尋は私にこういった。

 

「じゃ、ましろの世話、頼んだわよ」

 

「もとよりそのつもりだ。任せたまえ、朝起こすのはもちろん。学校の送り迎え、部屋の掃除、全て私がやろう。むしろマス…ましろのあの破綻っぷりで下着など、ましてや裸などどこの馬の骨とも知らない男に見られた日には…」

 

「お、苦労してるって割には乗り気ね。どことなくオカン臭がするけども…そっちの方が楽だからいいけど、でもアンタ、食堂の方もあるでしょ?」

 

「食堂?なんですかそれ」

 

「神田アンタ知らないの?この学校、今年から食堂できたのよ」

 

「「「ええ?!」」」

 

「ま、珍しいことではあるんだけどね。春休みの間に作ったのよ。切り盛りするのはそこの衛宮士郎ってやつ。ああ安心しなさい。職員室に出されたこいつの差し入れくそうまかったから。むしろ明日からそれが毎日食えんのよ?ラッキーじゃん」

 

「えみやん料理上手なの!?すっごい難しくて強いのつくれる!?」

 

「料理に弱い強いもないぞ。だがそれなりに世界のいろいろなところに行ったことがあってな。」

 

そんなたわいのない話をしながらその日を終えた。私が部屋を新しく作ったというのには流石に驚かれたが、サーヴァントの力をもってすればあの程度造作もあるまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

なお次の日朝起きれば案の定ましろが忍び込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

なおその現場をたまたま目撃してしまった神田空太には眠ってもらった。

 

 

 

三人称

しばらくして神田空太を起こして食堂オープン初日ということもあって仕込みもしていないので、流石に学生と同じ時間にいくことはできなかったが、マスターを起こし、パンツを選び、ブラジャーを選び、制服を着せ、髪を溶かす。シロウはましろの髪の毛をいじるのが癖になっていた節がある。なんとなーく、いろいろな髪型にしてみたりなんとなーく、溶かしてみたり。

しかし、マスターの顔ではどんな髪型でも似合うがマスターの素晴らしさを最大限発揮するのは飾り気のないストレートか…などと考えていたりする。

ちなみに、ましろはもう既に漫画を描いており、担当編集もいる。昨日も徹夜していたらしい。余談だがましろは漫画を描くとき眼が変わる。まるでそれしか目に入らない、それ以外のことすべてを知って遮断しているかのように。普段の眠そうな目とは違い力強い、少し怖いレベルの眼に。

しばらくして空太にましろをまかせ一足先にさくら荘を出たシロウ。

のちにエミヤ食堂のオカン。背中で語る漢。などと言われることとなるシロウは知らない。

ましろと一緒に登校することとなった空太の苦労を…




次回ぐらいにエミヤ食堂できます。


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2人は馴染み始めます
エミヤ食堂、オープン!


え、エミヤ食堂の内容が薄い?そんなことありませんよ…


初登校のましろは空太にものすごい迷惑をかけ、そのせいでその日はさくら荘会議結果、前日にシロウが言ったようにシロウがましろ当番となるが、空太は複雑な顔をしていた。おそらく、さくら荘は出たいがなんの才能も目標もない自分に嫌気がさしていたのだろう。思春期特有のそれだ。ましろがきたことで自分を変えられる、とでも思っていたのかも知れない。しかし、ましろのサーヴァント(オカン)は錬鉄の英雄。かつて正義の味方を目指し、かなった夢に絶望した男。今の空太が彼のお眼鏡に叶うほど優れた人間であれば、譲ることも考えただろうが残念ながら叶わなかったようだ。とはいえ空太の顔を見て妥協案として、「まだ始まったばかりで食堂が忙しいから、明日も同伴してやってくれないか?」と助け舟を出すところさくら荘においてオカンと言われる日も近いかも知れない。シロウの言葉に否定的な発言をしながらも心のどこかで嬉しいそうにしていたのはシロウ以外、誰も気づいていないだろう。

士郎に任された日。「昼は食堂にこい」と言って一足先にさくら荘を出たシロウ。ましろと一緒に登校した空太はましろの買ってもいないコンビニのバームクーヘンを勝手に食べては「シロウのより美味しくない、でも美味しし」なんて呟きながらバームクーヘンを勝手に食べ、あまつさえもう一つ勝手に開けては空太に食べる?と渡してきたりした。店員が同級生の七海であったことから頭を下げてお金を払うことで許してもらえたが、そのあとの「空太がはじめての男子なの」発言は回避できなかった。本来なら「イギリスでは周りは女子ばかりだったから仲良くなった男子は空太がはじめて」という意味だったのだがそれを知らず誤解した七海を止めることはできなかった。この誤解をシロウが知ったら一体空太はどんな目にあうのだろうか。ここで疑問なのだが、ましろの中でシロウはどういった存在なのだろうか。友達ではない。しかしベットに忍び込むような仲、本人はおそらく気づいていないがこれは……

 

————————————————————

 

俺は椎名のせいで昼飯を買えず、水でも飲んで腹を膨らませようとしたがそこで、衛宮さんに食堂に来るように言われていたことを思い出した。お金もないから食べれないが、衛宮さんの料理はすごくうまいと千尋先生が言っていた。…腹減ったなぁ…

 

トボトボと食堂に向かうが、その異変に気づくのは早かった。

食堂が忙しいとは聞いていたが、量が…圧倒的だ。学校の人全員いるのではないかと思うほど人がいる。騒音もかなりのもので、中には鳴き声も聞こえる。焼き飯パンで喜んでいたのが馬鹿みたいだ…と。あぁ、俺も思ったよ。昨日の夜、衛宮さんが作ってくれた鮭のホイル焼きは圧倒的だった…

いままで自炊してきた料理はなんだったのだろうか…

食堂の前に着く。

『エミヤ食堂』と書かれている学食は学校とは少し違いメタリックというか、近未来的なデザインの食堂(カルデアイメージ)

暖簾をくぐり中に入れば、皆が美味しそうにご飯を食べ、人間離れした速度で料理を作る衛宮さんがいた。黒いポロシャツ、黒いズボン。エプロンに三角巾がよく似合っている。よく似合っている。

 

「む、神田空太か。よくぞきた。そこの席はさくら荘のものように開けておいた。千石千尋はもうきているぞ。ましろが迷惑をかけたそうだな。あとで金は払おう。せっかくだ唐揚げ定食でも作ってやろう」

 

「え、でも俺お金ないですよ?」

 

「なに気にするな、そのぐらいの甲斐性はある。」

 

唖然としながら席に座り、千尋先生と少し話した後に、衛宮さんが料理を運んで来る。ちなみに千尋先生はオムレツ。

 

「さあ、食べたまえ。文字どうり腕によりをかけて作った品だ。味ば保障しよう。」

 

「じゃ、じゃあいただきまーす」

 

見た目は普通の唐揚げを一口パッと口に含むと

 

「ッッッ?!」

 

「「うまい!!」」

 

「ってなに勝手に俺の唐揚げ食ってるんですか千尋先生!!」

 

「いいじゃない神田のなんだから」

 

「あんたそれでも教師かっ!」

 

「だいたいなんでアンタ、衛宮におごってもらってんのよ。」

 

「椎名のおやつ代に消えたんですよ!先生椎名の保護責任者でしょ!衛宮さんが払うって言ってくれましたけど、金払ってくださいよ」

 

「あ、そいやアンタ進路調査表出してないんだって?」

 

「話そらそうとしても無駄です。それより椎名——」

 

「あんなの適当に『パイロット』って書いとけばオッケーなのに」

 

「俺は小学生か…」

 

「少しは上井草を見習いなさいよ、けつの穴の小さい男ねぇ」

 

「アレは宇宙人です。人間には真似できません…」

 

「うだうだ言ってないで 進学 の二文字で職員室は安心するわよぉ〜」

 

「それは…」

 

「たかだか進路調査も、アンタを見てると意味があるような気がするわ」

 

「は?普通は無意味ってこと?」

 

「とりあえず進学って書かない生徒を発掘するためにやってんのね、きっと」

 

「とりあえずに続く言葉はビールだけで十分」

 

「は?」

 

「それじゃあね」

 

「………はっ!……見事に話そらされた……」

 

「お疲れのようだが神田空太。早く食べてしまってほしい。冷めてもうまいが、やはりあったかいうちに食べるに越したことはない」

 

「あっと、すみません衛宮さん。…はむっ、うまっ!」

 

やれやれ…と言ったように肩を透かしながら食べる姿を見守る衛宮さんはオカンそのものだったという…

 

なおその間も衛宮さんの料理に唸る声は食堂中に広がっていた。




感想、評価、誤字の指摘など
お待ちしています!!!


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ましろは基本話を聞かない

生きてます


さて、昼の食堂使用時間が終わって仕舞えばあとは次の日の仕込みや掃除でその日の仕事は終わる。

それを終わらせ、マスターの教室まで向かおう。ちなみに、神田空太に頼んだのは朝の付き添いのみだ。ただでさえ職につくためにかなりの時間離れてしまったのだ。近くにいるのならなるべく一緒にいた方がいいだろう。

食堂は生徒用下駄箱、つまり昇降口の近くにある。突き当りをまっすぐ行けば普通科、美術科と左右に分かれている。マスターは美術科なため右に。

学生ではない人間が歩いているため目立つが一応学校では許可を取っているので時に気にせず歩く、横を小走りで通った女子生徒が両手いっぱいに持った本を落としそうになる。その反動でその女子生徒は転びかけるがその寸前、私が女子生徒の腰を軽く押さえ、本をサーヴァントの動体視力をもって全てキャッチした。

 

「怪我はないかね?」

 

「…………はいっ!大丈夫です。それよりその……あ、ありがとう、ございます!」

 

「なに、気にすることはない。私は私にできることをしたまでだ。さ、目的があったんだろう?早くいくといい」

 

「!!!は、はい!」

 

感謝され少しは嬉しかったこともあり笑って答えると女子生徒は真っ赤に赤面し、早歩きで去ってしまった。何かしてしまっただろうか、と考えながらもとりあえずはマスターの教室に向かう。なお、エミヤの人間離れした神キャッチには周りから拍手が、そのあと1人の女子生徒を落とす(本人は気づいていない)行為には妬みの視線が送られたとか

 

その後もいろいろあった。

加湿器が壊れたという声が聞こえ直しに行き、換気扇から変な音がするというので直す。

合わせて、15分程度かかったがもとより早めに向かっていたので丁度ぐらいの時間についた。

美術科は女子が多いため教室の前でマスターを見つけ声をかけると今まで以上に目立った。ちょうどマスターは帰りの支度をしていたが、生憎と誰とも話していない。これは嫌われているなどではなく、どちらかといえばプラスの意味で、だ。高嶺の花というやつだろう。どこぞのあかいあくまを思い出すがあれは作っていたからな。しかし、このプラスがマイナスに変わるのはそう遠い話ではないだろう。なにせマスターは世界的な天才画家だ。美術科には親が画家だったりするものをいるだろうが、マスターはおそらくその親より有名で人気のある画家だ。尊敬が妬みやそこらの感情に変わるのは回避できないだろう。

とりあえずマスターを連れて教室を出る。なんでも今日は担当編集と用事があるらしく、私は学校を出たら霊体化してついていく予定だ。

しかし、「教室で呼ばれるのは少し恥ずかしかった」と若干赤面するマスターはとても可愛らしかった。

学校を出るまでの間、朝の話を聞いていたが、なんでも神田空太の友人の女性に誤解をされたらしい。マスターは要領を得ていないようなので、朝の話を覚えているだけ言ってみてもらうと、神田空太がマスターの初めての相手だと誤解されているらしい。神田空太っ……あとでどうしてくれるか…!

学校を出たところでバレないように霊体化して担当編集と一緒に歩くマスターの背中を見守る。

なお、彼は今日のことで「美術科棟に現れたブラウニー」「転校生美少女の彼氏」「エミヤ食堂のオカン」といわれるようになっていった。これが本人の耳に届くのはまた別の話。

 

——————————————————————

 

担当編集の名前は飯田 綾乃とうらしい。

 

「綾乃、いつもの車は?」

 

私はてっきり担当編集というぐらいだから要は雇い主みたいなものだろう。

たから敬語を使うものかと思っていたのだが、存外そういう訳でもないらしい。

 

「車検に出してるの」

 

「車検?」

 

「愛しのベイベーとしばしの別れよぉ、辛いわね」

 

「ふーん…」

 

ちなみにマスターは車検がなんだかわかっていないので、話の流れがよくわかっていない。…あとで日本語を教え直す必要があるのだろうか…

 

「椎名さんはどう?イギリスにいるリタさんと離れ離れになって、辛くはない?」

 

「……シロ——」

 

「そう!衛宮さん!彼、行方不明なんですって!私はあったことがなかったけど、大丈夫かしらね…椎名さんは普段から面倒見てもらっていたんでしょ?」

 

「?シロウはい——」

 

『ストップだ、マスター。

私は日本で職につくに当たって、イギリス国籍のままでは難しかったのでな。日本で新しく国籍を偽装したのだ。イギリスでは失踪扱いにしてな。だからマスター、今後私たちの関係は住む場所が同じ、と言っておけ。下手にイギリスの話をしても不審がられるだけだ』

 

「む、わかった——シロウは近くにいるから大丈夫」

 

『なんでさ』

 

なんでさ?!

 

『は、話を聞いていなかったのかマスター?!これを聞いたらリタが飛んでくるぞ?!』

 

「衛宮さん、見つかったの?!り、リタさんに連絡した方がいいんじゃないの?かなり探してたみたいよ!?」

 

『はぁ、マスター。とりあえず、あの作戦でいくぞ』

 

「わかったわ」

 

そういって、私は実体化し、飯田 綾乃に気づかれる前に気絶させた。

 

—————————————————————

 

5分して彼女が目覚めた。

 

「え…?私どうしちゃったのかしら…」

 

「やっと起きたのね、綾乃。」

 

「椎名さん……………え、衛宮さんのこと!連絡入れないと!」

 

「夢よ」

 

「え、いやいや、椎名さんなにを」

 

「夢よ」

 

「ゆ、夢…?」

 

「夢よ」

 

「あ、あはは…私変な夢みてたのかなぁ…」

 

マスターには暗示の魔術を教えている。私はうまく使えないが、使い方の指導はできる。だてに魔術C -ではないのだ。

マスターはこの通りの性格なので隠し事などがうまくはない。ボロが出た時用の魔術だったら人に使うのが始めてなのにやはりうまい。やはりマスターは魔力や魔術回路だけでなく魔術センスも一流か。

ちなみにマスターにはこの魔術しか教えていなく、念のためのマグダラの聖骸布(投影でつくったパチモン)を持たせている。マスターに魔術を教えないのはこちらの世界に来て欲しくないからだ。マスターなら悪用などすることはないだろうが、魔術を用いて誰かを傷つけてしまう可能性だってあるのだ。マスターにはふつうに生きて欲しい。切嗣もこんな気持ちだったのだろうか…

そんなこんなで話しているうちにコンビニの前まで来た。朝、バームクーヘンを買い、そして神田空太のクラスメイトに誤解された場所だとか。

いるかはわからないが、ダメ元でいかせてみると、その人物はバイト中で飯田 綾乃の介入もあり誤解は解けた。あとその店員、方言が地らしい。

 

ちなみにそのときさくら荘に発生した栄光のキャベツロードは空太と仁の前に立ちふさがっていた…

 




ダンまちの方がめっちゃ人気だ


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パンツに恨みでもあるのかっ?!

少しぶりです。
頑張りました、ええとても
…別に長いわけじゃないです


私たちが帰宅した頃には栄光のキャベツロードと三鷹仁の叫び声が聞こえていた

 

「どうしたらこんなことになるのだ?このキャベツロード」

 

「キャベツ料理が食べたいわ」

 

「キャベツ料理か…把握した。しかし、これをやったのは上井草美咲か?さすが宇宙人といったところか…。このキャベツ、いくつか使っても問題なかろう。私は今から料理に入るが、キミはどうする?」

 

私がそう聞くとマスターは思い出したような顔をして

 

「空太に用事があったんだった」

 

「神田空太か…彼奴め、後でどうしてくれるか…」

 

「空太、何かしたの?」

 

「あぁ、したとも。キミと恋人関係という勘違いをされた上にましてや始めてなどとだな…」

 

「シロウ、アレは多分、私が悪かったんだと思うわ。あまり空太を責めないであげて」

 

「…キミがそういうのであればそうしよう。しかし、私は彼のこのは悪い人間だとは思わないが、ああいう優柔不断な人間をキミと付き合わせるなどっ…」

 

「よくわからないけど、なんだか私のことを凄く真剣に考えているような感じがするわ」

 

「あぁ、キミの恋路に文句などいうつもりはないが、仮にそのような相手ができたとしたら私にも紹介したまえ。私直属に見定めてやろう。」

 

「?わかったわ」

 

「ではマスター。私は今度こそ料理に取り掛かろう。キミは神田空太のところに行きたまえ」

 

「うん」

 

そういって私はリビングに、マスターは神田空太の部屋に行った。

 

—————————————————————

 

キャベツロードの件から逃げ出し美咲先輩を仁さんに押し付けて逃げてきたが別に部屋ですることがあるわけでもなく、オンラインゲームをしている。

 

「もたもたしてる暇ないなぁ。俺の常識が侵食される前にさっさとさくら荘を出て行かなくっちゃ………でもそしたら衛宮さんの料理が食えない?いや食堂に行けばいいのか…」

 

ふと、床に置いてあった雑誌が目に入る。

 

『チャンスを見逃さない勇気が大事』

 

そう書かれた雑誌の見開き1ページにはゲームクリエイターとして成功したある人のインタビュー記事が掲載されている。

 

なりたいものが、ないわけじゃない。けど…

 

聞きたいことができたから赤坂にメールしてみることにした。

送ってみるとすぐ赤坂(メイドちゃん)から返信があり

 

『ただ今龍之介様は「プログラマーは毎日8時間は寝るべきだ」という独自の理論に基づき、それはもう夢心地の気分でお休みになられております♪出来ることなら龍之介様に添い寝して差し上げたい♡

メイドちゃんより』

 

「…はぁ…この騒ぎのなかで寝心地って…」

 

メールを聞き終わった後に椎名が俺の部屋に入ってきていたことがわかった。

 

「お、椎名。帰ってきて———」

 

「きて」

 

「へ?」

 

その場は大人しく従い、椎名の部屋まで来ると唐突に

 

「脱いで」

 

「??!!」

 

なにいっちゃってんの、この子!

 

そう言って俺の胸に手を当てて

 

「裸が見たいの」

 

「……ど、どうして見たいんだ…?」

 

俺はとりあえず当然の疑問をぶつけて見た

 

「空太の体が目当て」

 

「答えになってないっ!」

 

「脱いで」

 

「断るっ!」

 

「どうして?」

 

「どうしてって………恥ずかしいだろっ!」

 

恥ずかしいのも理由ではある。しかし俺はぶっちゃけ女性経験がない。童貞だ。経験のない故にどうしたらいいかわからない。てかなに言っちゃってんのこいつ!?

 

「私は恥ずかしくないわ」

 

「俺が恥ずかしいんだよっ?!」

 

ほんとなに考えてるかわからないなこいつっ!

 

「綾乃からのアドバイスよ」

 

「綾乃…?」

 

いや誰だよ

 

「去年、漫画の新人賞に応募して」

 

「お前、賞とったのか?」

 

「落ちた。でも作品を見た綾乃が絵がいいって声をかけてくれた」

 

「あぁ編集者…」

 

つまりその綾乃って人は出版社の人ってことか

 

「綾乃からのアドバイスよ」

 

「またそこから始まるのかよ…!」

 

「繊細な感情表現が」

 

「おお」

 

「難しいようなら」

 

「おお…」

 

なんか馬鹿らしくなってきた…

 

「過激な描写に挑戦してみてはどうかと」

 

「…………はぁ、なるほど。それで男の裸になるわけか。モノによっては少女漫画の方が過激だったりするからなぁ」

 

初めからそういえや!とかもういろいろ疲れたから床に落ちている漫画の原稿を拾い上げならが言った。

 

「私が脱げば……脱ぎたくない」

 

「だろうなっ?!もういいよ!わかったよ!脱げばいいんだろ?!ただし!パンツは脱がんぞ!これが条件だ。」

 

経験もない俺が女の子の前で文字どうり素っ裸なんて無理だ。これが無理なら諦めてもらうしか——

 

「パンツは私が脱ぐわ」

 

「頭おかしいだろぉぉーーーー!!」

 

なんでこいつさっき脱ぐの拒んだくせにパンツ脱ごうとすんだよっ!?パンツに恨みでもあんのかっ!!




やっぱり短いのかなぁ


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今夜は眠れないようだ

お久しぶりです。忘れてませんか?


辺りも暗くなり猫のあおばやあさひは既にキャットフードを食べ始めている。ちなみに俺たちはまだだ。

そんな中で俺は…パンツ一丁でベットの上に座っている。しかも女子の部屋。なんでも漫画の資料のためだとか。了承してしまった俺も俺だが…めちゃくちゃ恥ずかしい…!

 

そしてその部屋の主人たる椎名ましろは同じくベットに座って、俺の体をジッと見つめている。

 

「………………………」

 

「………………………」

 

俺が恥ずかしさに身悶えていると、先に動いたのは椎名だった。

 

「お、おい」

 

椎名は身を乗り出し俺の上半身を右手でなぞる。まるで感触を確かめるように

 

「動かないで」

 

次に首筋を撫でる

 

「硬くて、重い感じがする…」

 

もう俺の顔は真っ赤だ。声だってろくに出せそうにない。

当然だ。なにせ椎名はとんでもなく可愛いからだ。日本人離れした綺麗な金髪ロング、赤っぽいオレンジの瞳。スリーサイズは仁さんがいいかけて衛宮さんに止められでたが、スタイルだっていい部類な筈だ。そんな女の子に体撫でられれば誰だってオーバーヒートする。しかし、椎名はそんなこと御構い無しに俺の胸に耳を当てる

 

「心臓、動いてる…」

 

「生きてるからなぁぁ」

 

力なく、絞り出すようにしか声が出せない。緊張して心臓バクバク鳴ってる

 

「鼓動が早く鳴ったわ」

 

「誰のせいだ、誰の!」

 

こいつマジか!と思ってしまうレベルだ。自分がどんなことやってるのかなんて自覚ないんだろう。こちとらいろいろ大変なことになってんのに

 

「空太」

 

「なんだよ?!」

 

「抱いて」

 

「出来るかっ!!」

 

ちなみに、ましろはそういう意味で使った訳ではないことを理解してもらいたい。

 

結果、することとなった。俺が横になって椎名が俺の上に馬乗り。これじゃるで…ダメだ。意識したらダメ……

 

「ふぁぁぁぁ」

 

声にならない悲鳴が出る

 

「もっと」

 

腰に手をかけるぐらいだったものの、椎名のもっとの言葉からさらに強くやらないといけないらしい。もうヤケになって、それなりに抱きしめる。

 

「空太」

 

「今度はなんだよ?!」

 

「セックスしたことある?」

 

瞬間、時が止まった。

 

「…………………………………………………………………………………」

 

「空た——————」

 

「ビックリさせんな!!ないよ!!」

 

マジ何考えてるかワカンねぇ!!

 

「いい体なのに」

 

「どーゆう理屈だぁ…」

 

椎名は終始無表情。普通ならとんでもなく緊張する筈だが、椎名という変人には常識は通用しないのか。

 

「体は小、中でサッカーやってたからってだけで…」

 

「今は?」

 

「してないよ!見てればわかるだろ!」

 

「怪我…したの?」

 

「怪我以外にも、辞める理由はいくらでもあるだろっ」

 

「分からないわ」

 

「…………………」

 

本当にわからない。と行った顔で俺を見る。体制が体制なだけに恥ずかしいが、この椎名ましろという少女の前では嘘や隠し事はしなさたくないと思ったから、言うことにした。

 

「目標にならなかったんだよ。特別にうまかったわけでもないし、なんとなく9年間続けてたけど、限界が見えたっていうか……………………それで、さめさんだろうな………」

 

そう、始めたのも、辞めたのも大して理由があったわけじゃない。さめたと言ったが、初めから熱を持って取り組んでいたかもわからない。だから辞めた。

 

「いつのまにか試合に負けても悔しいと思わなくなって、無意識に手を抜くことを覚えたんだ…良くある話だろ……」

 

「もういいわ」

 

そう言って椎名はパソコンに向き合って、デジタルのやつ(名前知らない)で絵を描き始めた。

 

「あの…もしかして、俺このまま…?」

 

無視

構わず漫画を描き続けている。

 

「そうですか…」

 

俺は諦めて、部屋に落ちている漫画の原稿を拾い上げる。………お世辞にも面白いとは言えない

なんてことを思っていれば、

 

「面白くない?」

 

俺の心を読んだ様にそんなことを言ってくる

 

「え、ああいや…その」

 

思っていたことを口に出されてなかなか口が回らない

 

「いいわ。綾乃にも言われたもの」

 

「………」

 

少し、ただぼーっと、漫画を描くのを眺める

 

「処分していいわ」

 

「え?いやでも…」

 

「いいわ、描き直すもの」

 

椎名の机の端には『マンガ新人賞募集要頂』と書かれた紙が置いてある。

 

「あ、また新人賞に応募するのか?」

 

多分そうだろう。〆切がいつだかわからないが、もしかしたら急がないといけない時期かも知れない。

 

「……お前、よっぽど好きなんだな。マンガ描くの」

 

皮肉とかでなく純粋にそう思った。

この雰囲気のまま今日は終わるのかな…と思いながらとりあえず服を着ようと、シャツをつかもうとした瞬間——

 

「服着たらダメよ」

 

「は?」

 

素っ頓狂な声が出てしまった

 

「続き、するのよ」

 

「ちょっとまて、これ以上なにをさせるつもりだっ」

 

「今夜は寝かさないから」

 

「そーゆうセリフはもうちょい色っぽく言えっ!」

 

「今夜は————」

 

「ほう?色っぽく、と言ったか。神田空太」

 

椎名が言葉をいいかけた直後に現れたのは、ましろ当番の、衛宮さん…!

 

「え、いやこの状況はその…」

 

「問答無用だ、たわけ!!貴様、一度ならず二度までも!ええい、八つ裂きにしてくれる!!」

 

「何を怒ってるの、シロウ」

 

「マスター、確かにキミは絵のつもりだったかもしれないが、こいつは違う。確実に別の意味を孕んでキミの手伝いをしていただろう。このタイミングで呼びに着て正解だった!」

 

「はあぁぁ!!や、やめろっ!ちょっと、ガチで殺してきそうな目でこっちみんなっ!!」

 

「我がマス……保護対象にあの様なことして置いて良くもそんな口がきけたものだっ!」

 

今、別の言葉いいかけてなかった?!

んなことより、普通はこんなにおこらねぇよ!数日前にあった女の子のために!

 

「だいたいなんでそんな怒ってんですか!アンタ椎名の彼氏か!」

 

「「?」」

 

思ったこと口に出ちゃったよ?!

 

 

「シロウ、私の彼氏?」

 

どことなく、椎名の目が輝いている様なそうでない様な…

 

「ふむ…彼氏などではないぞ、神田空太」

 

怒りが静まったのか、少し考え込む衛宮さん

 

「私は、ましろの…………………親か」

 

無論実際の親などではないぞ、と付けていう。あーー、納得しちゃうわ。超親目線だ。なんて納得しながら椎名の方を見ると

 

「…………………」

 

「アレ、椎名さん?」

 

まだまだ付き合いの浅い俺では椎名の無表情は良くわからないが、これはなんとなく、不満げというか怒ってるというか……

 

「ま、マス——ましろ?」

 

さっきから変な呼び方を仕掛けているのは気のせいか?

 

「シロウ、空太、出て行って」

 

「「は?」」

 

俺はなんとなる理由は察してしまったが、衛宮さんは本当にわからないといった表情で聞き返す

 

「な、何故だ、ましろ?」

 

「出て行って」

 

「な——」

 

「令呪…使われたい?」

 

れいじゅ、がなんだからわからないが、ものすごく驚いた衛宮さんの顔を見るに凄いものなのだろう

 

「………わかった。では床の原稿だけ回収しておくぞ」

 

諦めて原稿を素早く回収する衛宮さん。

しかし、椎名はそっぽを向いている。

あっという間に原稿を回収した衛宮さんは

 

「では私はいくが、料理はここまで持ってこようか?」

 

そっぽ向く椎名

 

「キミが食べたいと言っていた、キャベツ料理だ」

 

そっぽ向く椎名

 

「…………はぁ。ではお邪魔したな、ましろ」

 

「あ、あぁ…お邪魔……しました………」

 

「「……………………」」

 

部屋の前で男2人。俺は服を着てから外に出た

 

「はぁ、また何かやってしまったのか…私は」

 

「あとで謝ったほうがいいですよ、きっと」

 

てか衛宮さん、自分が地雷踏んだことに気づいてない?すっごい朴念仁なんだな…

 

「その原稿、捨てちゃうんですか?」

 

「そんなわけなかろう?今後必要になるかもしれないからな。ましろのボツ原稿は全て私が所持して保管している」

 

終始オカンな衛宮さんだった。

 

「それじゃ、俺はこれで…」

 

「待て」

 

「??!!」

 

「まだ、説教は終わってなかろう?」

 

ゴゴゴゴゴ…!

なんて文字が見えてきそうなレベルでやばい雰囲気が漂っている。

 

「あーいやその…それじゃっ!」

 

ダッシュで逃げようとしたものの首根っこ捕まれる。

 

「さあ、とりあえず私の部屋に行こうか…神田空太」

 

「ひいぃぃぃぃい!」

 

その日は、別の意味で寝ることはできなかった。

なお、料理を運びに言っても無視され続けていた衛宮さんがいたとかいないとか

 




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お久しぶりです。
遅れてしまいすみません汗


ではどうぞ


夢を見ている。

日本に来て初めてになる、シロウの記憶だ。シロウが先に日本に行ってしまい、イギリスに残されたときには普段一週間ペースで見ていたものが、見れなくなっていた。シロウに聞いたら単独行動の力で魔力のパスを切っていたのが影響らしい。

ともあれこれは記憶だ。夢の中なのに夢を見ているとわかる、明晰夢。

しかし、いつも見ていた戦場の風景ではないことにすぐ気づいた。そもそも室内なのだ。さっきまでさくら荘の自分の部屋で漫画を描いていて日付も変わった所で寝てしまったのだ。

ここは、どこだろう………そんなことを思った。

家がある。イギリスにはない日本家屋の庭だ。今回見ている風景は静かな満月の夜、日本家屋と思しき家の庭に、椎名ましろは立っている。

後ろから、建物の方から声が聞こえてくる。

 

「誰………?」

 

これはシロウの記憶。

つまり、シロウが出てくるはずなのだ。少なくとも今まではエミヤシロウという紅い外套の騎士が傷つきながら、心を殺しながら戦う風景だったはずだ。しかし今回後ろで話している人は2人。どちらもシロウではない。

縁側、という名前だったはず

古き日本家屋には当たり前に備えてある窓辺の席から、二人の人物が浴衣を着て満月を見上げていた。

 一人は壮年と思しき黒髪の男性、一人はまだ少年と言っても良い幼い赤い髪の男の子。

どことなく、シロウに似ているような気がした。

 

『子供の頃、正義の味方に憧れてた』

 

黒髪の男がふと、そんな事を呟いた。

正義の味方。男の子なら憧れるだろう。シロウもその1人だったのだろうか。以前シロウは自分のことを正義の体現者だと言っていた。正義の味方のことかと問うたら、アレは単なる掃除屋だとも。

思えばシロウが何故闘っていたのか、私は知らない。

多くの者を助けたはずなのに貶され、罵倒される。確かにシロウは多くの者を助けた。しかしその裏で少数の人間は見捨てたし、助けられないものは切り捨てた。

それでも、守ったものがあるのだから、せめてそれにぐらい讃えられていいはずのことをしていた筈だ。

そんなこと日が来ることは叶わなかったが…

 

『なんだよそれ、憧れてたって、諦めたのかよ?』

『うん、残念だけどね。正義の味方は期間限定で、大人になると名乗るのが難しくなるんだ』

 

やはり、とましろは確信した。

この男の子はシロウなのだと。

確かに、面影はあるが、肌や瞳、髪の色が全く違うから、この少年がシロウであるとはとても思えない。

 でも、ましろには何となく解かるのだ。この少年は、幼き日のシロウなのだと。何度かシロウの体を漫画の資料にするために触ったこともあるが、見ただけでは骨格すら変わっているように見える。

 

『そっか、それじゃしょうがないな……』

『うん、ホント……しょうがない』

 

どこか不満げな顔の男の子の顔。

そして正義の味方になりたかったと語る男はきっとシロウの父親なのだろう。しかしその顔は何処か死期を悟った鳥を思わせた。

しかし、次の男の子の言葉にましろは衝撃を受けた。

 

『うん、しょうがないから、俺が代わりになってやるよ』

 

「シ……ロウ?」

 

声が震えた。

何故なら今まで見てきた夢のシロウの行動。およそ全てが自己犠牲。確かによく言えば正義の味方だ。先程からの疑問が解けた。解けてしまった。

 

『じいさんは大人だから無理だけど、子供の俺なら大丈夫だろ。任せろって、じいさんの夢は、——————』

 

——きっと形にしてみせるから——

 

『ああ……安心した』

 

「シロウはずっとこの約束のために?」

 

そんなこと。ただの一般人の男の子ができることじゃない。

この約束を生涯守り抜くなんて、正気じゃない。一体どうすればここまで自分を貫けるのか。新たな疑問が芽生えてしまう。

男の方は、静かに息を引き取った。だけど、今のましろにはそれを気にする余裕など無い。

ああ、分かってしまった。分かりたくなかったことだけど、分かってしまった。

この男の子、エミヤシロウ……衛宮士郎は壊れているのだ、と

人としての大切なものを欠落しているのだと

何故ならあんな地獄を約束を守るためのみに進み続けることなんて出来っこない。私はシロウが心底怖くなっていた。しかし、それ以上にある1つの感情が心の中に広がっていた。

やがて目の前の景色は遠のいていく。今から夢が覚めるのだろう。

覚める瞬間一瞬だけ、無限に広がる紅い大地に突き刺さる剣の丘が見えた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたときには涙していたことに気づいた。あのとき心に広がった感情がなんであったかは思い出せない。しかしそれはあったかくて、心地いいものだった気がする。

時間をみればまだ5時。起きるにはまだ早過ぎる時間だ。早起きなんて経験がないし、第一まだ眠くもある。今からシロウのベットに潜り込もうかと考えて、はだけているワイシャツなど気に留めずほぼ半裸で部屋を出る。

 

 

あのとき感じた感情がなんであったのか。本人はまだ知る由も無いが恐らくそれは———————




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朝のひと時

みっっじかいです
いつものことですが


ではどうぞ


目が醒める。時間を見れば6時を指している。

本来サーヴァントに睡眠は必要ないが、こうして寝たり食事をとったりするのは存外気分がいいものだ。そこら辺フリーダムなマスターを毎回引ける代わりにマスターの性格は一捻りも二捻りもあるのだからやはり幸運Eは伊達ではない。

 

もぞ……。

 

はぁ……またか。

布団の中から音がして、布団をめくれば私の腕を抱き枕にして寝ている、我がマスターの姿がある。

この光景はもはや見慣れたものだし、私自身もうすでに容認しつつあることでもある。いくら注意しても辞めないため、寝ているときマスターの気配を感じても気にしないようにしていたら。そのうち本当に気にならなくなってしまった。

とはいえマスター、ましろの裸体に見飽きているわけでない。断じて。

漫画を描いている途中暑くて脱ぎ捨てたりしたのだろう。もはや裾に腕を通しているだけで着ているのか怪しいワイシャツに薄緑色のパンツ。

私はマスターからそっと離れ、朝ごはんを作り終わった後にまた呼びにくればいいかと考えたのだ。ベットから身を退けてましろに布団を被せて、少し頭を撫でる。自身の夢に向かって一生懸命に走るその姿はビジョンこそ明確ではないが凛のような強い人間のソレを感じる

 

「頑張れよマスター……キミが夢を叶えられるよう、私は全力でキミのサポートをしよう。キミの夢はきっと叶う。何故なら、私のような無謀過ぎる夢なぞではないのだから」

 

そしてマスターが気づかないように着替えを済ませて、リビングに出る。

 

「昨夜はもう少しで、お楽しみだったのにね……どんまい後輩くん!」

 

「アレは別にお楽しみとかそういうんじゃないですよ!だいたい途中で保護者(衛宮さん)来たから3時間ぐらい説教を……ってそれを言うなら美咲先輩こそそのキャベツは仁さんに召し上がってもらえなかったんですか?」

 

「ガーーン………それを聞くのかい後輩くん……」

 

口でガーンといいながらガーンという効果音を後ろから出して鬱なオーラを放っている。

神田空太と上井草美咲の会話だ。

 

「あ、ご、ゴミ出して来ますねー」

 

「いや、神田空太。ゴミ出しは私が行こう」

 

空気を察して逃げようとした神田空太を呼び止める。

 

「あ、衛宮さん………」

 

ん? 何か怖がられているように感じるが、ああ、昨日のか。

 

「昨日の件ならばもう水に流そう。私からは何もない。しかし………次同じようなことがあった場合は……」

 

「分かってるんで許してください!!」

 

昨日も若干言い過ぎたような気がしないでもないので、流石にもう追及はしない。

 

「フン……まあよい。私はゴミを出してこよう。朝食はその後に作る」

 

「はーい、いってらっしゃいですー」

 

「行ってくるんだよえみやん! 宇宙を超えて!」

 

神田空太のツッコミがあったようにも感じたが無視だ。

それよりも上井草美咲はかなり真剣に三鷹仁とのことを考えているようだな……。

神田空太こそ気づいていなかったが、一瞬だけ見せた、素で悩んでいる表情。上井草美咲も人の子、というわけか。

そんなことを考えながらエプロンを付けたままさくら荘の外に出て、さくら荘のすぐ脇にあるゴミ置場に向かう。

ちなみに今の格好は黒いワイシャツにジーンズ、左手に腕時計。そしてエプロンという格好だ。本人は知らぬことだが、あたりの通行人や主婦の方々にはイクメンか何かだと勘違いされたらしい。

ゴミ捨て場について、ゴミを置くと、スイコーの学生服を着ている少女と目が合う。

 

「あ、あの人………たしか作業員の……」

 

……私の朝は誤解を解くところから始まるようだ。




年号変わりますねぇ
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