魔法×転生×ハンター(仮) (世界の疲労者)
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序章

まだまだ転生の冒頭部分になるので話としては全く進んでいません。


生まれてきてごめんなさい

俺は何度この言葉を言っただろうか

実の母に疎まれ、捨てられ

父には愛情を貰えず、いないものとされる

暴力こそなかったが育児放棄が当たり前、ご飯もほとんどなかった

 

その環境が児童保護の施設に連れていかれて変わったがどうでも良かった

ただ、俺は死にたくなかった

施設は最低限の生きる環境をくれた、それだけでいい

 

***********

 

「優人君、君に紹介したい人がいます」

施設の先生がこう言ってきた

紹介したい人

先生がこういう話し方をする時は養子縁組の希望がきている時だ

「はい?私がですか?」

同室のかわいい子や賢い子達が頭によぎる

俺は正直、問題児だ

中身じゃなくて見た目がだが

視力が悪い訳じゃないのに細目で睨み付ける様な目

子供なのに白髪

身体中に不自然に大きな黒い斑点が多数ある

斑点は病気とかではないが生まれつきらしい

「お相手の方は見た目で君をどうとは思わないですよ?会ってみてはどうでしょうか?」

穏やかに話す先生には他意は感じられない

これでも一応先生には感謝している

俺が生きていけてるのはほとんどこの人のお陰だから

ここでそのまま断るという選択肢はないだろう

 

***********

 

部屋に入ると小柄でサングラスかけた男性がいた

ソファーに腰かけながらこちらに向いている

「やぁようこそ、ちょっとお話しようね」

声が響いて聞こえる

変な感じがする

それに初対面の胡散臭いおっさんにこんな事言われてはいそうですかと言える奴は少ないだろう

養子にかこつけて変な趣味でもあるのかもしれない

もしくは暴力をうけるかもしれない

どちらにしろ断れば問題ないだろうが

「申し訳ありませんが施設の生活に満足してますので養子の話はお断りします」

我ながら子供っぽさのない返事だとは思うが波風立てる必要もないのでこれでいい

後は無難な挨拶でもして帰れば元の生活に戻るだろう

「ハハハ、養子の話じゃないんだ」

「君は死んじゃったしね」

「事故にあったの覚えてる?」

複数の言葉と共に今いた部屋が消えた

「え?ひっ」

足場も消えて、何故か浮かんでる様な感覚

体がふるえる

歯がガチガチと音を立てる

恐怖が襲ってくる

思い出した

養子縁組の相手先に会いに行く途中

ビルの建設現場付近を通った時

突然の爆発音と飛んできた建材

衝撃と痛み

体が冷たくなっていく感覚

「君は死んでる、これは前提」

目の前の男は座ったまま浮いてるという奇妙な格好のまま話を続ける

「普通は死者の魂って次の生への糧、つまりよくある輪廻の輪に組み込まれるのさ」

「でも君の生きたいって気持ちが意外と大きすぎて次の生が産まれない」

「だから話をしようと思ってね」

「おとなしく死を受け入れる気ある?」

「それともずっとここで魂のままでいる?」

目の前の男が話しているのだとは思うが声がいたる所から反響して聞こえる

考えがまとまらない

死んだ?

生きたい

誰が?

生きたい

俺が?

生きたい

死を受け入れる?

生きたい

死んだまま?

生きたい

生きたい

何故?

生きたい

生きたい

生きたい

生きたい

生きたい

 

「もう一度生きたいかい?」

はっとして男をみる

サングラスで目は見えないが口許が笑ってる

「もう一度生をあげてもいいよ」

「ちゃんと生きて、ちゃんと死んで」

「次の生への糧となるならね」

そこでまた意識がとだえた

 

***********

 

「彼、どうなるかね?」

「まぁ生きる力はあげとくよ」

「大きな糧になると良いね」

 

『希望は…彼なら大丈夫でしょう』

 




よくある死亡→神様?→転生を書かせてもらいました


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魔法使い

序章に引き続き、原作介入までの序盤部分ですね。


気がついたら元の部屋のソファーで寝ていた

さっきの男もいない

夢を見ていたのだろうか

「ふぅ、生きてるか」

安堵のため息

「縁起の悪い夢だ、疲れてるのかな?」

起きて改めて回りを見渡しても特に変わった様子もない

何もすることもないのでテーブルにあったジュースを飲もうとしたら扉が開いた

 ガチャ

入って来たのは先生…じゃなかった

「あら起きたの?体は大丈夫?」

全く知らないおばさんがいた

 

**********

 

俺は森の中で意識を失っていたらしい

それを見つけたおばさんが自宅に連れ帰ってきたと言っていた

体の斑点を見て怪我人と勘違いしたとも言われた

そして俺は身寄りのない子としてお世話になってる

あれから2年経った

ここでの生活で解ったことはいくつかある

まずここが元の世界ではないこと

言葉は通じているが文字も違うし、日本もその他の国も存在しないみたいだ

ちなみに今いる地域はドーレという港町

それと俺自身の体の事

体力や筋力がかなり高くなってる

拾ってくれたおばさん、リリさんにお世話になっているのだが家の手伝い含めて雑用をやっている

最初はリリさんも子供のできる手伝いなんてたかが知れてるとは思っていたみたいだがけっこう重い荷物でも普通に持てた

店のお使いで酒瓶5ケースとかを担げた時は自分が驚いたくらいだ

しかも成長してるのか今では体力筋力共に町一番だと思う位にはなってる

 

そして…異能力

 

 

***********

 

まだこの世界にきて一月位の頃

リリさんと一緒にドーレ近くの山に向かった

知人が暮らしていると言っていた

着いてしまうと特にすることもなく、リリさんが話をしている間に森の方に入ってしまった

子供の気まぐれというのか…

そしてキツネグマに遭遇した

 ゴオォォーー

 グルルルゥ

 バキッバキバキバキ

 グォォォーーーーー

巨大な野獣の接近と近くの木々を薙ぎ倒す凶悪な牙に足がすくんですぐに逃げる事ができなかった

目の前にいるキツネグマになすすべもなく食い殺される

その予想される未来に絶望より心の声が勝った

「死にたくない!死ねない!」

恐怖で押し潰されそうな中叫んだ

俺が最後の希望

 シャバドゥビタッチヘーンシーン

 シャバドゥビタッチヘーンシーン

 フレイム・プリーズ

 ヒーヒーヒーヒーヒー

何故そうしたかはわからないが体が勝手に動いていた

いきなり装着されたベルトに指輪

流れるような動作でベルトに指輪をかざす

赤い円陣形の模様が体を通過して

俺は変身した

 

***********

 

この異能力にはちょっと見覚えがあった

施設にいたときは自分もだがまわりはみんな子供

日曜日の朝から施設の子供は全員TVの前

【仮面ライダーウィザード】

俺は別に好きで見てた訳じゃないので内容はうる覚えだ

同室の子達が見てたのを一緒に見てたくらいだから

魔法使いの仮面ライダー

冗談みたいな異能力

肉体的な事も確かに凄いことだが…

まぁありえない成長でもないと思う…たぶん

でもこれはあきらかに常軌を逸してる

しかも使うとかなり疲れる

あの日もキツネグマを倒した瞬間に疲労感で倒れた

目を覚ましたら、また部屋にいてかなり怒られた

リリさんが探しに来てくれて倒れた俺を運んでくれたらしい

キツネグマの死体の側で倒れてたからかなり心配をかけたみたいで申し訳ない

 

今はだいたい一時間位維持できるようになったし、その後もいきなり倒れたりしなくはなったけど…

 




そんなに強くない主人公にする予定です。
【仮面ライダーウィザード】の能力って原作100%だとチートになりえるので。


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別れと始まり

物語がそろそろ動き出します。
原作感が全然ないのに3話目です。


俺は家を出る事にした

とりあえず今後の目的も決めている

ハンター試験…

これに合格できれば俺でも身分証明ができたり、いろいろと優遇されるらしい

難関中の難関と言われる試験らしいが俺には魔法があるから大丈夫だと思う

それに落ちたら落ちたでも困らない

この町を離れる事には変わらないのだから

別に家を追い出された訳ではない

ここでの生活も2年も経つとリリさんと俺はかなり家族のような関係に近づいていた

元々外面は良かった方なので見た目はともかくトラブルらしいトラブルもなかったのだが…

それでも安心感と信頼は得ようと思って得られるものではなかった

施設でもそれは同じだった

先生はいたが俺を個で見ていたのではなくて群で見てた

同室の子供達にもずっと気味悪がられていた

でもリリさんは見知らぬ俺を助けただけでなく

時には心配したり

時には怒ったり

一緒にご飯を食べたり

体調を崩せば看病をしてくれたり

はじめての経験だった

だから大切だった

だからこそ気づいた

「ねぇリリさん?最近何かおかしいよね?」

リリさんが山の知人宅から帰ってきた日に意を決して聞いてみた

「それに私の方を見て考え事してるみたいだけど…やっぱり迷惑かけてるよね?」

たぶん今の俺なら一人で生きてく事もできるとは思う

リリさんが困っているなら出ていくのは問題ない

「何を言ってるの!?」

リリさんは怒っている

でも知ってる

「私の事で町でいろいろ言われてるんでしょ?」

何処から来たかわからない

目付きの悪い気持ち悪い体をした子供

魔獣が化けてる

直接言われてはない

きっとリリさんが守ってくれていたんだと思う

それでも限界があるんだろう

予想できる事だ

俺だけじゃなく、今後はリリさんも標的になりつつあるのだろうと

「だから出て「だめ!行かせない」

抱きしめられた

「引っ越そうか」

 

***********

 

「これも試すか」

 コネクト・プリーズ

魔法陣から出てくるバイク

「名前忘れたけどバイクまで出るのは便利だな」

乗れるのかが心配だけど後で練習しよう

 

 ドライバーオン

 シャバドゥビタッチヘーンシーン

 シャバドゥビタッチヘーンシーン

 フレイム・ドラゴン

 ボウボウボウボウボウ

「な!?く、解除」

いきなり目眩がした

急激な疲労感が襲う

「ハァー、ハァー、しんどい」

かなり体力を持っていかれたようだ

TVの内容を思い出して順番に試していたのだが

確かに普通の変身でも疲れたけど大した事なかった

だが今使ったドラゴンの指輪は無理だ

持って1分というところか

TVでは確かかなり強かったはずだけど使いこなせなければ意味ない

「よっこらしょ、これはしばらく封印だな」

ため息をつきながら地面に腰を下ろす

「結局使えるのは4つの変身と11個の魔法、3体の召喚だけか」

まぁ本来ありえない力がこれだけ使えればすごいと思う

この力があれば死ぬこともないだろう

他にも役に立つはずだから少しでも鍛えておいた方がいいかもしれない

「もう少し練習しとくか」

 

ーなぁ聞いたか?ー

ーあいつだろ?リリさんの所のガキー

ーあぁ、猟師のおっちゃんがあいつの腕が大きくなったの見たってー

ー実は俺も見たー

ーえ?ホントかよ?どんな感じなんだ?ー

ー銃みたいなのを撃ってたんだが普通の弾じゃなかったー

ー武器まで持ってんのか、怖いなー

ーそれと姿が変わったんだよー

ー変わった!?ー

ーそ、それって人に化けた魔獣なんじゃないか?ー

ー……………ー

 

人に見られていた

人の口に戸はたてられない

そして人は勝手に俺に恐怖した

 

***********

 

「ここじゃなくても生活できるし、どうせなら都会の街にでも行く?」

抱きしめながらそう言うリリさんに俺の答えは決まっていた

「ごめん、リリさん」

そっと離れた

離れないと決心が鈍りそうだから

「リリさん、今までありがとうございます」

泣いていた

「私、いや俺が一緒にいたら、リリさんを危険な目に合わせると思う」

泣いてるのは俺なのかリリさんなのか

「俺は親がいないから、これがそうなのかはわからないけど…リリさんがお母さんなら良いと思った」

きっと二人ともだ

「いつか戻ってくる…その時はその…母さんと呼んでいい?」

もう一度抱きしめられた

「ユウ…あなたは今までもこれからも大事な息子よ」

温かかった…

 




次からはハンター試験ですね。
原作キャラはどこからにしようか迷い中です。


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選択と旅立ち

やっと原作キャラ登場
主人公の絡みはどうなる


 ドキドキ

 ドキドキ

「ドキドキ2択クイィィーズ!!」

これが何度目かは忘れたけど毎回驚かせる必要あるのか疑問だ

「お前たち…あの一本杉を目指してんだろ?」

 

***********

 

俺が山の一本杉に向かったのはリリさんが教えてくれたからだ

山にいたリリさんの知人はハンター試験のナビゲーターをしてるらしい

ハンター試験は試験会場にたどり着くだけでも困難なはずなんだが俺は運が良かった

道も分かるし会場までは大丈夫だろう

そんな事を考えているといきなり声をかけられた

「お前の事は聞いとるよ」

目の前に立ち、俺を通せんぼする老婆と変なマスクを着けたやつら

「ここを通る為には本来はあるクイズに答えて正解しなくてはいけない」

もしかして道中にも試験官がいるのか?

けっこう面倒だな

「ではそのクイズを出して貰えますか?」

いつもの外面モードで話す

余計なトラブルを避ける為にフードを深くかぶり手足も見えないようにしているので怪しい風体なのはしょうがないが

「ユウだろ?リリの息子の」

一瞬知り合いかとは考えたが多分違うだろう

町の噂をある程度聞いてるのだろうか…

「そうですが?まさか素通りして良いとかですか?」

場合によっては別の道から行くしかないのかもしれない

「今は通せないよ、もちろんここ以外の道を使ったら即失格とする」

こちらの考えを先読みされたかのように言ってくる婆さん

ちょっとイラッとくる

「力づくで通れっていうなら相手になるけど?」

睨み付けながらゆっくりと近づいていく

 ザワザワ

婆さん以外のやつらが慌ただしくなっている

「無理矢理通っても失格とする」

足を止める

どうしろって言うつもりだ?

試験もしない

退く事もできない

かといって強行突破も不可となると…

「それはハンター試験を諦めろと?」

 

***********

 

三人組の受験者は2択クイズを沈黙で正解した

いや、1人激昂して婆さんに攻撃を仕掛けた奴がいたが

スーツ姿の男の一撃を猫目の青年が受け止めた

「なぜ止める!?」

「落ち着けレオリオ!」

「せっかくの合格を棒にふる気か?」

レオリオと呼ばれた男が疑問に顔を歪めた

そろそろいいだろう

「話の途中ですがちょっといいですか?」

婆さんの後ろから声をかける

「!?君は?」

青年がこちらを向く

「はい、私はユウといいます。クイズに正解したあなた方と一緒に会場に向かう予定の者です」

これが俺に与えられた課題

というよりも運の要素が大きい

通過者がいたら一緒に行く

もし1人も該当者がいなければ失格

「あなた方は正解しました…沈黙!それが正しい答えです」

スーツの男は信じられないというような顔をしてる

「このクイズに正解なんてありません!しかし回答は2択、つまり答えられないという沈黙しかないのです」

青年の方は気づいていたみたいだがあえて説明する

 ギギギギギ

「道はこっちだよ」

隠し扉があいて婆さんが促した

「ユウ、この子達と一緒に行きな」

「わかりました、では行きましょう」

先を歩くが後ろで少年が唸っている

「うーんダメだ!どうしても答えがでないや」

今まで一言も話していなかった少年

俺と同じ位の年か

「ハハハ、まだ考えてたのかよ!もういいんだぜ!」

「でもどちらを選んでも正解じゃないけどどちらか必ず選ばなくちゃならない時…どうする?」

少年の言葉に衝撃を受けた!

考えても見なかった

確かに…

いつかあるかもしれない別れ道

母さん…

 

***********

 

「あの子は行ったよ」

「…ありがとう母さん」

私は三年前のハンター試験で息子を失っている

遺体すら戻ってこなかった

だからあの子が私の所に来たときは息子の代わりという気持ちも確かにあった

でも今はあの子が息子とはっきり言える

そんなあの子に…ユウに私は酷い事をした

母さんに頼んで通常とは違う課題にした

できればあの子には試験を受けてほしくない

二度も息子を失いたくないから

そんな気持ちだった

失格になればそのまま戻ってくるだろうとも思った

母さんが言った

あの子を信じられないのかと

お前の息子だろうと

私はバカな母親ね

ユウは大丈夫

いつか帰ってくると言った

私はあの子を待っていればいい

 




今回も原作キャラはほとんど絡みなしでした
オリキャラである主人公を原作にどう馴染ませるかはこれからの内容次第になってしまうかもしれません
次回はちゃんと会話させたいな


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ナビゲーター

話自体はあまり進みません
今回はまだ先の話を書くための布石の話になります


「で、お前さんは誰なんだ?」

暗い道のりを歩くなかでスーツ姿の男…レオリオが問いかける

「先ほど名乗った通り、名前はユウです…あなた方と同じ試験受験者ですよ」

話ながらも歩調を落とす気はない

あくまでも課題を通過する為に一緒にいるだけだから

「おれはゴン!ねぇ、君はクイズに正解したの?」

少年…ゴンは俺に興味があるみたいだ

「いいえ…あなた方が通過しなければ私は通過できない状態でした」

悪意を感じないので答えられる事には答えておく

「君はどうして?いやすまない、私はクラピカという」

俺の姿に不審がり近付いて来なかった青年…クラピカ

「クイズをしなかった理由は簡単ですよ…私が地元民なのでクイズが課題にならなかっただけです」

聞きたい事が予想できたので答える

「ここはツラを隠してるやつばかりなのか?」

レオリオはさっきのマスクのやつらの事を言っているのだろう

「怪しい風体なのは申し訳ありませんが私は素顔を晒すのが好きではないのです」

俺の言葉にクラピカが何かを考えるような素振りを見せるが気にしない事にする

「ナビゲーターの方も顔見知り程度ですが知っています。課題の内容まではわかりませんが…」

 

***********

 

「やっと着いたぜ」

ナビゲーターの夫婦の家に着いたのはいいが…

灯りが消えてる?

今までは日中にしか来たことはなかったけどまだ寝るには早い時間だと思うが

「静かだな…我々以外に受験者は来ていないのか?」

何かあるのかもしれない

「入るぜ」

 ガチャ

メチャクチャに荒らされた室内

倒れている男性

そして

 キルキルキルキル

 ガシャン

戸を開けて中にいたのは…

「な!魔獣!」

こちらが身構えた瞬間に女性を抱えた魔獣が外に飛び出して闇にまぎれた

「ユウ、レオリオ!怪我人を頼む」

「任せとけ!」

俺とレオリオを残し、ゴンとクラピカは森の中を魔獣追跡に向かった

女性を救出しにいくのだろう

こちらも待つ間に男性を助ける

「こんばんは…簡単なご挨拶で申し訳ありませんがまず手当てをしますね」

傷口を確認している隣でレオリオが鞄を開けていろいろな薬を出している

傷口の消毒、体の固定、注射、他にも汚れた所を拭いたりと素人の俺から見ても手際がいい

「レオリオさん?それは?もしかしてお医者様だったのですか?」

見た目と喋り方から軽薄なイメージがあったが意外だ

「まだ卵だよ、それより近くの川から水汲んで来てくれ」

言われるままにしよう

俺ができる事は手伝いくらいしかないみたいだ

「いってきます」

部屋に転がっていた子樽を手に、走ってもと来た道を進んだ

 

***********

 

「妻が…妻を…どうか…」

見た目ほど傷は深くねぇ

出血も直に止まるだろう

チッ…気分が落ちてりゃ治るもんも治らねえじゃねえか

「大丈夫だ!今は俺の仲間二人が助けに行ってる!」

旦那を横にしながら体の下にシーツをひいて痛くないようににする

「奥さんが帰ってきた時に旦那が倒れてたら心配かけるぜ?」

ガラにもねえ事行ってるのはわかってる

一人じゃなかったら言えてねえやコンチクショーが!

 ガタン

ユウが入ってきた

「帰ってきたか、けっこう早か

言い終わる前に木の棒を打ち下ろしてきた

「ユウ、何しやがる!?」

旦那をかばいながらとっさに鞄で受けたが体勢が悪い

「試験のライバルはここで減らした方がいいでしょう?」

ユウの目的は俺か

ならゴン達も狙われるな

「ふざけんじゃねぇ」

押し返す反動でタックルかましながら外に出す

少し間合いがあいたがすぐにユウは向かってくる

「じゃあお前が落ちろ」

俺の返事に上段からの強力な一撃で返してくる

 

***********

 

 ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー

 バインド・コネクト・プリーズ

 ダンッダンダンッ

目標を絡めると同時に取り出したウィザーソードガンの発砲

レオリオと対峙していた俺が持っていた棒に当たって砕け散る

「レオリオさん、大丈夫ですか?」

俺の姿をした者がレオリオを襲っていた

とっさに行動したがまず間違いなく魔獣が俺に成りすましたのだろう

「くっ」

バインドの拘束から抜けようとしていたのを力を込めて黙らせる

念の為、周りを警戒しつつ水をレオリオに手渡した

「ユウ…じゃあこいつはニセモンか!?」

魔獣の俺が姿を戻した

やはりさっきの魔獣だった

確か変幻魔獣【凶狸狐(キリコ)】

「これが課題ですか、ナビゲーターさん?」

レオリオの言葉の返事ではなく小屋に向かって声をかける

そこには怪我をして安静にしているであろう旦那が立っていた

「これ以上するなら本当に怪我させますが良いですか?」

銃を向けつつ聞く

「降参です!すみません、拘束を解いてもらっても良いですか?」

 

***********

 

「刺青から古代スミ族の事に気付き、博学をもって見事私達が夫婦でない事を見破ったクラピカ殿」

「レオリオ殿は正体こそは気づいていませんでしたが応急処置は医者以上に早くて的確、それに妻の身を案じるふりをしていた私に対する力強い励ましの言葉、感動しました」

「それに人間離れした運動能力、魔獣をも見極める観察力を持つゴン殿」

「最後にユウ殿!私達の事に気づく洞察力と魔獣さえ圧倒する戦闘力に恐れ入りました」

俺達の評価らしい

特にレオリオは顔を赤くしてそっぽを向いている

「合格だ!君達4人は責任もって会場まで案内しよう」

キリコが変化して羽を広げ、その足に掴まり空を行く

ザバン市…今回のハンター試験会場に向かうのだろう

遠くに港が見えた

いってきます

 

***********

 

「ところでユウ…さっきのは何だ?」

レオリオを助けた時のバインドの事だろう…

あまり他人に話すものではないが仕方ない

「説明しづらいのですが…簡単に言えば魔法です、私は魔法使いですから」

仮面ライダーの事を言っても理解できないだろう

「魔法!?すごい!どんなのできるの?」

ゴンが目を輝かせながら聞いてくる

なんだろう…

今日知り合ったばかりなのにこんな話をするなんて…

試験会場までの供なだけのはずなのに…

この3人…おもしろいな

 




本当はキリコ編は飛ばす予定だったんですがこのままだとゴン達との接点が無さすぎるので入れました。
次回から本試験が始まりますがそろそろ主人公の秘密を解禁していく頃だと考えてます。


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疑惑と本試験

やっと本試験が始まります
キルアとかヒソカを今後どうしていこうか考えてると楽しいです
ちなみにまだほとんど出てないです


「魔法!?すごい!どんなのできるの?」

ゴンの質問に答えた彼は何もない空間から銃を取り出したり、手のひらに明かりを出したりした

他にも火や風なども多少操れるらしい

彼は何者なのか…

ユウ…素顔を隠した受験者

声と体格を見る限りは私よりも少し年下位か…

彼が何者かわからない以上、味方と判断するのは危険だ

 

***********

 

ザバン市についてからナビゲーターにとある定食屋の前に案内された

「まさかこの中に無数のハンター志望者が集まってるなんて言うんじゃねぇだろ?」

4人の意見を代表するかのようにレオリオが言う

「そのまさかさ、ここなら誰もハンター試験の会場だとは思わないだろ?」

ナビゲーターの言葉に4人とも何も反せなかった…

 いらっしゃーい!!ご注文はー?

 ステーキ定食

 …焼き方は?

 弱火でじっくり

 お客さん、奥の部屋へどうぞー

多分合言葉であるやり取りをして奥の部屋に通された

「一万人に一人!本試験にたどり着くまでの倍率さ…新人にしちゃ上出来だ!お前らなら来年も案内してやるぜ」

知ってはいるつもりだったがやはりハンター試験はかなり難易度が高いのだろう…

やはり俺は運が良かったのかもしれない

「言い忘れたがユウ、伝言だ!」

ナビゲーターの言う伝言…云わずもがなリリさんからだろう

「『私はまだ親孝行してもらってない』だってさ、がんばりな」

そう言ってナビゲーターは部屋の外に出ていった

 ガタンッ

 ウィーーーーーーーーーーーーーン

部屋自体がエレベーターになっていたのだろう…下に降りている

途中ゴン、クラピカ、レオリオの三人が何やらハンターについて話をしていたが俺は参加しなかった

さっきの言葉を反芻していた…

 

***********

 

「一体何人くらいいるんだろうね?」

ゴンが呟いた

エレベーターを降りた先は薄暗い地下道だった

既に多くの受験者がいたがその雰囲気から今までとは違うと確かに感じとれた

「君達で406人目だよ」

にこやかな笑顔を浮かべた番号札16番の男が話しかけてきた

「俺はトンパ!新顔だね君達?」

馴れ馴れしく近づきながら挨拶をしてくる

俺はこういうのが好きじゃない…

あの男を思い出すからだ

サングラスをかけた薄笑いの男…

 ぎゃあああぁ

 うでがぁ

いきなり響き渡る絶叫

「気をつけようね☆人にぶつかったらあやまらなくちゃ◆」

そちらを見ると腕がなくなって倒れている受験者の前でピエロ風の服装をした受験者が話していた

あきらかにその受験者だけ周りの連中とは違う

「44番奇術師ヒソカ…去年合格確実と言われながら試験官を半殺しにして失格した奴だ」

やはり思った通り危険な奴のようだ

「奴は去年試験官の他にも多数の受験生を再起不能にしている…極力近寄らねぇ方がいいぜ」

そしてこいつも…

「他にもヤバイ奴はいるからな、俺が教えてやるから安心しな!」

トンパは説明しながら荷物から飲み物を取り出して渡してきた

「お近づきのしるしだ、お互いの健闘を祈ってカンパイだ!」

まず俺が受け取った…

だが俺の後には渡せていない

俺は渡された飲み物を持ったままトンパを見ているからだ

少しずつトンパの顔色が変わって来ている

顔を隠しているので表情が見えないからか

無言のプレッシャーに堪えかねたのか

「な、なんだよ…?」

怯えが入った顔のトンパに一歩近づいて飲み物を返した

「…失せろ」

小声で言ったとたんにトンパが慌てて離れていった…

 

***********

 

先程の飲み物には何か入っていたのだろう

トンパという受験者が近づいて来たときには警戒をしていたがその後の話の流れでつい気を緩めてしまっていた

もし、彼がトンパを追い返していなければ私はその何かを飲んでしまっていたかもしれない…

その場合、我々はハンター試験を受けられたのだろうか

それに先程のナビゲーターの言葉…

彼の反応には不快を感じなかった

彼は敵ではないのかもしれない…今はまだ

ゴンはそう思わないだろう

レオリオも当初に比べると気を許しているようだ

私は彼を、ユウを信じたいのか?警戒して遠ざけたいのか?

 

***********

 

 ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ

「ただ今をもって受付時間を終了します、これよりハンター試験を開始します」

長いベルの音と共に現れた紳士の格好をした試験官

その試験官の言葉に空気が緊張した

「ハンター試験は運が悪かったり実力が乏しかったりするとケガをしたり死んだりします、それでも構わないという方のみついて来て下さい」

促されついていく受験者は一人も歩を止めない

無言のままついていく

だがすぐに違和感におそわれた

「おかしいな」

クラピカが呟いた

前の方の受験者達が歩調を速めていく

どんどん速くなる

そしてとうとう回りの受験者達が走り出していた

「申し遅れましたが私、一次試験担当官のサトツと申します。皆様を二次試験会場へ案内します」

試験官の言葉を聞いて理解した

「私について来ること、これが一次試験でございます」

体力持久力テストという内容だろう

たぶん大丈夫だとは思うがいざとなったら魔法を使うか…

 




前話でレオリオ、今回はクラピカをという感じで描写を入れてますが主人公の方もまだ気を許してないのでお互いに仲良くなれてませんね
ゴンは大丈夫だとは思いますが
ここからはちょっとした愚痴ですが…
魔法を使う場面は次に入れます、本当はいっぱい使わせたいんです
だってせっかくの魔法使い設定なのに…
でも使わせ過ぎるとチートになりそう…このジレンマ


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信念とバイク

すみません、ちょっと更新が遅くなりました
年末って忙しいですね♪
今回は魔法使い設定を忘れないようにちゃんと魔法を入れてますので
ウィザードっぽさはまだないですけどね


「レオリオ!ユウ!大丈夫?」

ゴンの言葉にレオリオは無言で親指を立て、俺はうなずく…

既に3〜4時間は走っただろうか?

息があがり、身体中で汗がふきだしている

レオリオも苦しい表情で同じようにしている

だが今の段階でまだ1人の脱落者もいない

ハンター試験がこんなに凄いとは思っていなかった

いや、ハンター試験に集まる受験者すら凄い人達の集まりなんだろう…

一万人に一人

試験会場に到達する倍率…

「くそぉ」

隣を走っていたレオリオが足を止める

肩で大きく息をしてる

それを見た俺の脳裏にも諦めが浮かんだ…

「絶対にハンターになったるんじゃあぁぁ!!うおおおおおお!」

突然の絶叫と共にレオリオが走り出した

気迫、執念、何よりも諦めない未来への希望が顔に出ていた…

それを見て少し自分が恥ずかしくなった…

 

指輪を着けた右手をベルトの部分にかざす

 ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー

 ドレスアップ・プリーズ

服装を変える魔法

魔方陣が現れ、体を通過する

 

今まで俺の格好は全身を覆う様な、顔を隠し、手足も見せない服装だった

俺は肌を見せたくなかった…

他人に怖がられるが嫌だった…

でもここで何もしないで落ちたらきっと後悔すると思った

だから変えた

軽い素材、顔も隠さず、動きやすいような服装に

 

***********

 

先の見えない地下道でさらに階段を上がるようになった

それにさっきよりペースも早くなっているようだ

「レオリオさん、大丈夫ですか?」

あまり俺も他人の事を言える立場ではないが心配で聞いてしまう

「おう!!なりふりかまわなきゃまだまだいけることがわかったからな!ユウ!クラピカ!他人のふりするなら今のうちだぜ!!」

全身汗だくで上半身裸の状態なのに

ちょっと格好いいと思ってしまった…

「レオリオ、ハンターになりたいのは本当に金目当てか?」

隣を走っていたクラピカが唐突に尋ねた

だがレオリオは答えない

「緋の眼…クルタ族が狙われた理由だ…」

緋の眼、クルタ族、世界7大美色、幻影旅団、復讐

クラピカの語る内容は壮絶なものだった

そしてクラピカの覚悟も…

「金持ちの契約ハンターになれば様々な情報を聞き出せる!」

契約ハンター…

雇い主の意にそう仕事を請け負い、自らの誇りを持たない小金目当てのお抱えハンター

「私の誇りなど仲間の苦しみに比べれば意味のないものだ」

クラピカの言葉を黙って聞いていたレオリオと俺

俺の目的は何だ?

ハンターになりたいと思ったのは何の為?

「悪いな…オレの目的はやっぱり金さ!」

レオリオの答えを聞いて違うと思った

俺の生きてきて手に入れた、その中の大切なものにお金で換えれるものがあるとは思えない

「物はもちろん、夢も心も人の命も金次第!買えないもんなんて何もねぇ!!」

クラピカがレオリオを睨む

「金がありゃオレの友達は死ななかった!!」

レオリオの言うお金は自分の為のお金じゃなかった

友人の死、医者への夢

それを聞いたクラピカの顔にも迷いがない

二人とも確固たる目的と信念をもってハンターを目指している

 

***********

 

「二人とも私の体の事は何も聞かないんだね」

あれからクラピカとレオリオは話してはいなかった

もちろん体力を消耗させないためでもあるが…

俺が話すタイミングを待っていてくれたのだろう

「何がだ?」

「黒い模様の事か?」

二人の答えには特に不快な感じは含まれてない

でも…

「気持ち悪く思ったり、怖くないのですか?」

今までずっとそう思われてきた

町でも、施設でも、実の親にも…

「ん?見たとこ特に病気でもないんだろうが!そんな事いちいち気にするかよ」

レオリオはそれが当たり前のように言う

「私は素顔を隠されている方がいやだな」

クラピカも全く気にする素振りが見えない

「レオリオさん、クラピカさん、ありがとう」

素直な感謝の言葉

そういえばリリさん以外でこんなに話せたのは久しぶりかもしれない

「何だよ水くせえな!それよりオレはレオリオだ、『さん』は余計だ」

レオリオの言葉にクラピカもこちらを向いて頷く

「レオリオ、クラピカ、ありがとう」

改めて言った言葉には二人は笑顔で反してくれた

ありがとう…

 

***********

 

思い出した事がある

ずっと使ってなかったから忘れていた

使っていればムダな体力を減らさなかったのに…

「二人どちらか運転免許持ってる?」

バイクを出せば良かったのだ

残念ながら俺はまだ乗れなのだが

「持ってるっぜっ」

息が上がっているがレオリオが答えてくれる

「今さら言うのもなんですが…魔法で乗り物出せるので運転してもらえますか?」

さっきと同じ様に指輪をベルトにかざし、魔方陣を出す

 ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー

 コネクト・プリーズ

現れるバイク

仮面ライダーのバイクだからこれくらいの坂階段なんて平気なはずだ

「って、お前!そんなもんあったらもっと早く出せよ!」

そう言いながらもレオリオはバイクに跨がる

俺もクラピカも後ろに掴まる

いわゆる立ち乗りというやつだ

「運転できないので忘れてました」

俺の言葉に二人は笑う

そして俺も笑う

笑われてるのに笑えるなんて、本当におもしろいな

 

***********

 

「あ!ずりぃ、それ反則じゃねーの?」

先の方に行っていたゴンに追いつくとその隣にいた少年に文句を言われた

「何でですか?」

素直に疑問を口にしてしまう

「何でって、これ持久力テストだろ?」

まぁバイクに乗っている状態なら楽してるように見えるだろう

「違うよ、試験官はついて来いって言っただけだもんね」

ゴンがフォローしてくれる

というかゴンもこの少年もずっと走っているのに平気な顔をしている

身体能力にかなりの差がありそうだ

「テストは原則として持ち込み自由なのだよ!」

「あーはいはい」

さらにクラピカもフォローしてくれて少年は文句を言うのを諦めたようだ

「ゴン、こいつら知り合い?」

「うん友達」

間髪入れず答えるゴンの言葉…

ちょっと嬉しく感じる

友達、そういえばいなかった

もしかして俺って寂しい人間だったのか

「君、年いくつ?…オレ、キルア」

少年は名乗ってこっちを見る

「私はユウです、今年13です」

「「え"」」

俺の返事にゴンとレオリオ、クラピカまで反応した

「もっとおにーさんかと思ってた」

「子供っぽくねぇ」

「すまない、同意見だ」

ふけてみえるのか

少し落ち込むがまぁいい

「お?すねっぷりは子供っぽいぜ」

レオリオ…さっきちょっと格好良いと思ったのに

 

ー見ろ!出口だ!!ー

 

受験生の誰かの声に前を向くと確かに光がさしていた

 




やっと話がのってきました
主人公にもとうとう友達ができたー♪
えー、個人的にレオリオ好きです
レオリオは第2の主人公です、冗談ですが

次回はヒソカが!
さらに久々の変身が!
戦え!希望のヒーロー仮面ライダーウィザード!!


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