アクア「私が女神…ですか?」 (黒巛清流)
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わ、私が女神…ですか

R18の話も書いてみたかったと供述しており…。




「…え?あれ?」

 

ふと気が付くと私は謎の空間にいた。周りを見てみるとチェス盤のような白黒の市松模様の床が広がり、壁も天井も無いように見える薄暗い空、私が座っているのは玉座のような大きな椅子、なんだこれと思ったと同時に気づく

 

「私の手じゃない…?」

 

びっくりするぐらい綺麗な白い肌、コスプレのような青い服に視界の端に見える青色の髪

というかスカート短い…!恥ずかしい…!

なんで私この姿になってるんだろう…だ、誰かいないのかな…?

 

やたらお菓子の袋やら漫画本が散乱しているので椅子から降りて軽く片付けてから辺りを見渡してみると椅子の裏手に扉があったのでゆっくりと開けてみる。

開けてみると必死に何かの書類を整理している白髪の少女がいた、とてつもない美少女だ。

その少女は半泣きになりながら必死に手を動かしており私に気がつくとこちらへと駆け寄ってきた。

 

「アクア先輩!もう私に仕事を押し付けるのは止めてください!女神ならちゃんと仕事してください!」

 

アクア…?それが私の名前?というか…

 

「私が女神…ですか?」

「…へ?」

 

私がおかしいことに気づいたらしいこの子と向かい合って情報をまとめることにした。

 

「えっと…とりあえず私はアクアという水を司る女神でありあなたは運を司る女神エリス。そしてあなたは私の後輩にあたると…」

「えっと…はい…」

「どうかしましたか?」

 

小首をかしげるとエリス(変な感じがするので呼び捨てでいいと言われた)は困ったような顔をする。

 

「いえ、えっと…本来のアクア先輩の性格とだいぶ違うので違和感が…」

「え…あの…本来の私ってどうだったんでしょうか…?」

 

話を聞いてみるとあまりにもあまりな話を聞いて頭を抱える

 

とんでもない穀潰しではないか…自分は楽なことばかりして仕事はほとんどエリスに押し付けるなんて…

と私はエリスが必死に整理していた書類を手に取る元々の知能も有しているのかこの何かの記号にしか見えない文字も読むことが出来る。

 

「すみません、どのようなことをするのか教えていただいてもいいですか?正直なぜこんな姿になったのか分かりませんが…出来る限り自分の仕事を行います。」

 

約数か月間、エリスから仕事を学び転生の導きを行う

いままでの分を返すぞ!と意気込んで働いていたらエリスにワーカホリックになっているので休んでください!!!と言われてしまった。この転生の導きが終わったら休むから...

 

「ではこの魔剣グラムを授けます。しかしこれは与えられた力でありあなたの力ではありません。欲望のままに力を振るってはいけません。ミツルギキョウヤさん、そのことをゆめゆめお忘れなきよう」

「はい!女神様!」

 

主人公のような人を送りほっと息をつく御剣響夜って凄い名前だね。本名なんだ

人の話を少し聞かない節がありそうだったから忠告しておいたけど大丈夫だろうか

 

あのヤクザみたいな白髪にダークレッドのスーツ来た人も怖かったなぁ身長も二m近くあったのにまだ未成年とは、とりあえず何もいらねぇって言ってたけど持ってた拳銃を無限弾にしたっけ。まさか出会い頭に銃向けられるとは思ってなかった。えっとオ、オル...しまった名前ド忘れしちゃった。

 

「アクア先輩!」

「ひゃいっ!」

 

考え事をしていると後ろにエリスが立っていた。腰に手を当ててご立腹のようである。

 

「今日こそは休んでもらいますからね!三ヶ月もずっと働きっぱなしなんですから!休みの日も勝手に出てきてましたし!」

「え、で、でもいままでの分を取り返そうと...」

「それにしても働きすぎです!もう一ヶ月先の仕事まで終わってます!!」

 

といわれて職場から叩き出されてしまった。

エリスも仕事がほとんどないらしく私の休暇に付き合ってくれるらしい。そういえばと私はガラスに映る自分の姿を見る。

 

働くことにしてから私は姿をかなり変えた。よくわからなかった髪形はハーフアップと呼ばれる髪形へと変わりスカートも膝下5cmほどへと変わっている。だって凄く短かったし...

スカートのヒラヒラもなくなってプリーツスカートのようだ。肩も長袖の服に変わってるし大分イメージと違うだろう。エリスも凄い清楚ですと褒めてくれた。

 

「...休みって、何をしたらいいのでしょう」

「その台詞が出てる時点でもうだめだと思います」

 

エリスはため息を吐きながら喫茶店へと行くことにしてくれた。歩いていると扉がいくつも並んでいる通路に着いてしまい通路の真ん中には机があり、一人の男性が新聞を広げて座っていた。

 

「あ、紫さんこんにちは。アクア先輩、こちらは紫さんです。会ったことはなかったですよね」

「・・・(片手をあげる)」

「あ、こんにちは...ってエリス、道間違えてませんか?」

 

そういうとエリスはてへへと笑い来た道を戻り出す。どうやら本当に間違えたようだ。

次はちゃんと間違えずに喫茶店へと到着し席に座る。

 

「所でそろそろ何か思い出せましたか?」

「...いえ、まだ何も」

 

エリスの言葉に私は顔を曇らせた。

【アクア】ではなく【私】の記憶のことである。

いまわかっていることは

・地球の人間の女であったこと

・少なくとも高校生以上であったこと

・学力的には秀才であったこと

・きちんとした人間であったこと

ぐらいである、いわゆる意味記憶と呼ばれるものはあるのだがエピソード記憶がほとんどないのだ。

エリスや私の権限で調べても【私】と思われる人物はなし、【私】は一体なんなんだろうか

 

「それに【私】が【アクア】さんという方の体を乗っ取っているのもあれですし…」

「それは別に問題ないです」

 

え、体のっとっているのに?

確かにこの体のアクアって人だいぶあれでしたけど、部屋お菓子のゴミと漫画本だらけでしたけど

そういえば部屋は丸ごと掃除しました、いまでは普通の女の子の部屋とエリスに言われました。

 

「そういえばアクア先輩またスタイル良くなっていません?」

「え?そうですかね…?生活習慣は確かに変わりましたが…」

 

仕事はいっぱいしてるけど定時になると仕事場からたたき出されるのですぐにストレッチして寝ている。

食べるものも普通に健康的な料理を食べているので体付きもだいぶ変わったかもしれない、女神だから体が不調になることは少ないと言われているけど。

 

そのまま雑談を続けているとエリスと二人で転生者を送っている世界についての話になった。

お金の単位はエリスとなっているとか、1エリスが1円という単位とか一万エリスのお札を見せてもらったり

午後からはまたエリスはお仕事に戻るそうだけど。

 

「ねぇエリス、その書類もうしばらくしたら閉め切りではありませんでしたか…?」

「え…あぁっ!?」

 

エリスは急いで書類を確認するがそれと同時に転生の間へ人が来る連絡が来た

 

「あわわわわわっ!」

「…ふぅ、エリス。転生の間には私が行きます。エリスは書類を片付けてください」

「で、でも…」

「構いませんよ、そんなに時間はかかりませんし」

 

私が受けることにすると手元に書類が届く、えっと…

 

「年齢は16歳で…名前は佐藤和真さんですか」




ちょこっとだけ混ざるクロスオーバーのような登場キャラ

・オルガ・イツカ(鉄血のオルフェンズ)
ダークレッドのスーツの転生者、多分冒険者してる
・紫さん(ドリフターズ)
同業者、二人の先輩にあたる


次も思いついたら書く


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いざ、異世界へ

少しだけカズマを強化しました。

最初は普通に車に轢かれることにことにしようと思いましたが
流石に別キャラになりそうだったので止めました。

日刊ランキングで3位になってました。
これは驚き

運営さんにクロスオーバーってタグ付けろと怒られてしまった...あと何のタグとかいるかな...


転生の間に入り、椅子に座って少し待つと一人転送されてきた。緑色のジャージを着たそんなに悪くはない顔立ちをした青年である。彼は目を覚ますと辺りを見渡し私を見つけた。

 

 

「ようこそ死後の世界へ。私はアクア、あなたに新たな道を案内する女神です」

 

 

 

カズマside

 

ある日、死んだ俺は女神を見た。

 

見惚れるって言うのはこういうことを言うのだろうと俺は思った。

見た目は俺と同じぐらいか少し上ぐらい、こちらに微笑みかけている彼女…アクアという神は俺に選択肢をくれた。

 

永遠の日向ぼっこと言われている天国に行く道

全てを忘れて新しく転生する道

特典という力をもらって異世界へと行く道

 

話を聞いているとどうやら彼女は俺に異世界に行ってほしいらしい。

正直、俺としてもそっちがいい。魔王を倒せば願いが叶うらしいし

あ、そういえば…

 

「俺が助けた女の子はどうなりました?」

 

俺は何気なしに尋ねたんだが彼女は冷や汗をだらだらと流す。え…

 

「まさか…」

「い、いえっ!無事です!多少怪我はしましたが無事です!」

「それならなんで…」

「えっと…えっと…えっと…き、気分を害されないでくださいね…?」

 

その話を聞いた俺は思わず顔を手で覆う。なんて…ことだ

 

「すみません…私は何と声をかけていいのか…」

 

車かと思ったらトラクターで轢かれたと思ったらショック死で相手どころか家族にすら…

 

「げ…元気出してください!」

 

その優しさがつらい…他にも異世界に行けば活躍できますよなど様々な慰めをしてくれた。

俺は落ち込みながらも特典の書いてある本をめくる。

聞いたことのある武器とか身体強化とか魔眼とか色々あるんだな…あ、魔剣グラムってやつには『SOLD OUT』って赤い印鑑が打ってある。誰か使ったっていうことかね。

 

「あの…ここに書いている特典じゃないとだめなんですか?」

「あ、いいえ。思いついて実現可能でしたらこちらで作成してからお渡しします。ですが生態系を大きく壊すようなものを生み出すことや多数の他者を操るようなもの。何でも産み出せる力などはダメです」

「そうなんですか...」

「以前は良かったのですが新しい生命を産み出したり大量殺戮兵器を産み出したものがいまして...」

 

以前にはそんな奴がいたのか…やっぱり剣か?でも遠距離の銃でも…それとも銃とか

でも超能力みたいなのも憧れる……………ふと俺は悪い考えを思いついた。

 

「あの…一ついいっすか?」

「はいっ!」

 

このときの選択を俺は一生忘れないであろう

この選択肢を選ばなければ、俺は一生惨めな生活をしていたかもしれない

 

「あなたを選ぶことが出来ますか?」

「はい!分かりました………へ?」

 

アクアさんは目を点にする、するとわたわたと慌てだした。

 

「え、わ、私ですか。ど、どうしましょう…ぜ、前例がなくてわかりません…え、エリスに聞かないと…」

「問題ありませんよ」

 

すると光る魔法陣のようなものが現れて天使のような人が来た。

彼女が手を振ると俺とアクアさんの足元に光る魔法陣が現れて俺とアクアさんの体がかすかに浮く

 

 

「え、あっ、天使さん。聞きたいことが…ってえぇっ!?い、いいんですか!?確認取らなくていいんですか!?そもそもカズマさんはまだそれに決める訳じゃっ」

「あとはこちらにお任せください。それでは佐藤和真さん、あなたが魔王を討ち取る勇者となれることを祈っています……あなたの異世界冒険者生活に祝福を」

「あっそれは私の台詞ではっ!えっ、えいっ!」

 

俺が驚きでなにも話せなくなってる間にアクアさんはこちらに手を振るう、すると光が飛び俺の胸の中に入った。

 

その瞬間、俺の視界は真っ白に染まった




補足
・天使ちゃん
あまり人の話を聞かなかった子、問答無用で転送させた。のちにエリスに大激怒され上司からは減給を言い渡される。

・謎の光
何も持たずにいくカズマを流石にダメだと思いとある特典をアクアが女神権限で無理やり渡した、多分バレたら怒られる。

・カズマまともに見えない?
原作だと序盤はまだ普通だったしアクアにバカにされてから少しずつ壊れていったんじゃないかと思ったので


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冒険者になるために!

感想もらえるとすごくうれしい
感想は原動力になります。

分かりやすく言うともっといっぱい感想頂戴(ド直球)

そういえば別の方の話で知ったのですがこのすばの先行上映会の際に潤さんが「カズマはアクア達に悩まされなければ普通の優しい子」らしいのでこのカズマはまちがいではない…?

前に買ったはずのこのすば本が見つからないので記憶を頼りに書きます。
ミスってたらすみません


「お…おぉ…ここが異世界か…すげぇ…獣人にエルフまでいる…」

 

カズマが地面に降り立つとそのような感想を述べる。

そんな中アクアは頭を抱えていた。

 

「あぁ…エリスは大丈夫かしら…私の分の仕事も押し付けられたりしてないでしょうか…」

「…(さっきの天使に文句はないんだ)」

 

カズマは落ち込んでるアクアの方を見て頬を掻きながら申し訳なさそうに言う

 

「あー、なんか悪い。いやなら戻ってもらってもいいから…」

「残念ながらそう簡単に戻ることは出来ないのです。私はあなたの特典として同行することになりました。これからよろしくお願いします。カズマさん」

「えっ、あっ、よっ、よろしくアクアさん」

「アクア、で大丈夫ですよ。戦闘力はそんなに高くはありませんが役には立てると思います」

 

色々と紆余曲折はあったがカズマ達は冒険者ギルドへと向かうことになった。

といっても二人とも道が分からないので他の人に聞きながら向かうことになるのだが

 

 

 

 

 

 

 

いかつい男性に道を教えられて着いた先には酒場と一体化したような所へと到着した。

どうやらここが冒険者ギルドらしい。

私がきょろきょろと辺りを見渡していると受付にいる女性が声をかけてくれた。

その声に反応しカズマさんが受付に向かう。

 

「アクセルへようこそ、本日はどのようなご用件でしょうか?」

「あっ、えっと…冒険者になりたいんですけど…」

「冒険者の登録ですね、登録料におひとり様千エリスかかります」

 

えっ、お金必要なの?

 

「…あの、お金持ってます?」

「…えっと…ちょっと待ってください」

 

私は服の中をまさぐる、えっと…何か入っていないかな…

ポケットを探ると一枚の紙が指先にあたる。ん?なんでしょう…

 

出してみるとそれは一万エリスの紙幣だった………あっ!前にエリスにお金見せてもらった後返すの忘れてました!!!!!

…えっと…エリス今度返しますので…お借りします

 

「あ、ありました。一万エリス」

「はい、ありがとうございます。では登録についてご説明します」

 

と、いうわけで冒険者カードについての説明がされた。

身分証明書のようなものと一緒なんですね、レベルにステータス…ゲームみたい

早速ワクワクしてるカズマさんが冒険者カードに触れる。

カードがかすかに光ると文字が浮かび上がった…

 

「は、サトウ…カズマさんですね…えっと…筋力…生命力…魔力…どれも普通ですね」

 

受付の人は少し申し訳なさそうな声で告げる

 

「あら、幸運は非常に高い…ですが幸運はあまり冒険者には必要なくて…ど、どうしましょう…これですと基本職の《冒険者》しか…」

「え…えっと…」

「で、ですがレベルアップで転職が出来ますが全ての職業のスキルが使えますので…あ、お受け取りします」

 

私は何か声をかけようと思ったが思いつけず言葉を詰まらせる。

私が所持していた冒険者カードが光り、受付の人がそれを受け取る。

落ち込んでいるカズマさんに声をかけようとすると受付の人は大きな声を上げた。

 

「何者ですかあなたはっ!すべてのステータスが平均値を大幅に超えています!!!魔力の値がとんでもないです!幸運だけは平均値ですが…これでしたらすべての上級職になれますよ!」

「そ、そうなんですか…」

 

カズマさんをちらりとみるとさらに落ち込んでいた。

えっと…

 

「では…《アークプリースト》でお願いします。支援と回復職でしたよね…?」

「はいっ、ではカズマさんは…《冒険者》ということで…」

 

 

 

 

 

 

 

ということで冒険者登録は終わったわけですけど。問題は資金です。

先ほど冒険者登録が終わった後のおつりの8000エリスしかありません。

 

「これでは粗悪品のロングソード一本買うのがやっとですね…」

「それでもいいんじゃないのか?初級モンスターは弱いって聞くし」

「それでも装備は多少しっかりしたほうが良いですよ。冒険に早く行きたいかもですが初級モンスターでも毎年死者が出るほどのモンスターですし」

「マジか…」

 

と、いうことでバイトをすることになった。

カズマさんは土木系の仕事。私はギルドの酒場での給仕に決まった、しばらくは馬小屋生活だけど仕方ない

 

「そういえばそろそろお話しておくことがあります、こちらに来る時にカズマさんの胸に光が入ったのを覚えてますか?」

「んん?あぁ、そういえばあったな」

「あれは私が送った特典です」

「え?でも俺の特典は…」

 

カズマさんは私に指を向ける、元々は私が特典でしたし当然でしょう

ですが私は自分で行動できるものですし特典としてはあまり役に立たないんですよ

 

「ですので私が独断でカズマさんに特典を送りました、内緒にしてくださいね?」

「お、おぉ…と、ところでどんな特典なんだ?」

「簡単に言いますと上限解放ですね」

「上限解放?」

「えぇっと…ゲームで例えますと普通の人はレベル99が限界でそれ以上レベルを上げることは出来ませんがカズマさんは100でも200でも1000でもいくらでもレベルを上げることが出来ます。成長限界がないんです」

 

それを聞くとカズマさんは顎に手を当てる

 

「つまり努力をやめない限りいくらでも強くなれるってことか?」

「はい、そういうことになりますね。急いでいたのでそのような特典しか…」

「い、いやっ。くれただけでもありがたいって!」

 

ある程度会話すると共同浴場で合流することにして互いの職場へと向かった




・アクアって知性低くて幸運最低じゃなかった?
知性は【私】の効果、勤勉なので高くなった。
幸運はエリスと友好関係を気づいたためエリスの加護により少し向上

最初のエッッ!シーンは多分デュラハン戦後

次回はめぐみん合流まで出来たらいいなぁ…


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巨大カエルの討伐

ラノベ一巻の流れを軽く考えたけど
カズマが勇者してる


「いらっしゃいませー!」

 

酒場の少し露出の多い制服を着て注文の品をテーブルに運ぶ。

うーん、なんでスカートこんなに短いし胸元がすごくあいているんだろう。

凄く、すごく恥ずかしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アクアちゃん、休憩入っていいよー」

「はい、ではまた少し失礼しますね」

「彼氏さんとゆっくりしてきていいからねー」

「で、ですからカズマさんは彼氏ではなくってっ!」

 

職場の同僚の冗談を受けながら少し大きめのバスケットを持ち酒場を出る。

向かうところはカズマさんが働いている外壁作業場。近くに来ると親方さんが出迎えてくれた。

 

「おうっ、アクアの嬢ちゃん。カズマならそこで待ってるぜ」

「今日もお邪魔させていただきます」

「おっ、アクア。今日もありがとう」

「はい、お待たせしました」

 

休憩所につくとカズマさんがお茶を用意して待ってくれていたので近くに座る

お腹の鳴るカズマさんに笑いかけながらバスケットからサンドイッチを取り出す。

体力仕事のためボリュームのある大きなお肉を挟んだお腹にたまるものである。

 

「おっ、新入り。今日も彼女の弁当か?」

「か、彼女ではなくてですね!私はカズマさんの仲間というか!」

 

 

 

 

そんなこんなで仕事を始めて2ヶ月

ようやく資金がたまったので装備を整え冒険へと向かうことにしたのだ。

仕事をやめるときにとても引き留められましたが時々手伝うのでと言ったらしぶしぶ許してくれました。

 

 

 

 

 

 

「よしっ、と中々様になってるんじゃないか」

「はいっ、とてもお似合いですよ」

 

俺は急所を守る胸当てやローブのような防具を身にまとい腰にはショートソードを差している。ロングソードもいいかと思ったけどこちらの方が軽くて扱いやすかったのだ。服装はジャージだけどまぁ仕方がない

 

「それにしてもアクアはそれでよかったのか?」

 

装備は俺にお金をかけたからアクアの装備はないようなものなのだが、どうやらアクアが今着ている服が魔力補助などついているらしく無理に装備を変えるよりもこのままが良いとのこと

武器はロングボウ、元々あるスキルの補助によりこういうのが使いやすいらしい。

そして胸当て…なのだが

 

「なぁアクア?なんで胸当てを買ったんだ?防具は必要ないとか言っていたが」

「えっあっ…そ、その…」

 

そういうとアクアはその並みよりは大きい胸を押さえて赤面をして恥ずかしがる

 

「そ…その…胸当てをしないと…弓を使うときに…胸が…」

「えっ…あっ…そ、その…すまん」

 

ごめんね童貞だし弓道の経験ないから知らなかったわ!!!!

二人で赤面しながら俺達はクエストの目的地に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああああああああ!!! 助けてくれアクアああああああああ!」

「ま、待ってください!《パワード》!…伏せてください!」

 

巨大なカエル、ジャイアントトードに追われているカズマは急いで逃げながらもアクアの射線に誘導する

そしてアクアの声と共に大きく横っ飛びで逃げると同時にアクアが矢を飛ばす。

支援魔法により強化された矢はかすかな衝撃波を生み出しながらジャイアントトードの頭部を貫く。

頭部を貫かれたジャイアントトードは地面に伏せる。どうやら倒すことが出来たようだ。

 

「やったやりましたよカズマさん!次は動きを鈍くしてみますのでカズマさんも倒してみまぷぎゅっ」

「アクアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!???」

 

後ろに迫っていたジャイアントトードに気づかなかったアクアは食われてしまい、カズマはショートソードを抜いてジャイアントトードに向かって走り出した。

 

 

 

 

 

「うぅっ…気持ち悪いです…」

「今日はもう帰ろうか…クエストは三日もあるし。仲間を募ったほうが良いかもしれない」

「そうですね…今日はもうお風呂に入りたいです…」

 

涙目の私を引き連れ大衆浴場へと向かい、汚れを落とした後に酒場へと向かう

倒したカエル2体の引き取り価格は一体5000エリス、カズマさんの土木作業の給料と同じらしいです。

それにしてもこのカエルのから揚げ少し硬いですけどおいしいですね…

 

「それにしても駆け出しでろくに装備も整っていない俺達に仲間になってくれるやつとかいるのか?」

「うーん、私の職業のアークプリーストですが。回復支援でとても高い性能を誇るんですよ。回復職が少ないので必要性は高いと思うんです」

「でも俺と同じような下級職が来てもなぁ…」

「ではいっそのこと上級職限定と書いてみますか?」

 

私は募集の紙に「上級職のみ募集しています」と書いてみる

カズマさんは来るのか…?というもっともなツッコミをするがお試しですよと言って張り出してみる。

今日はもう来ないだろうしということで馬小屋に行き、今日のところは休むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

馬小屋にて就寝しようとして少し経った頃、俺は目を覚ます。

今日のクエストで少し昂っていたみたいだ、それもそうかなと自分で納得する。

自分より大きな生き物を自分で殺したのだ。本来なら吐いてもおかしくない、転生すると少しそういうのは抑えられるんだろうか

と薄目を開けると視界の端に淡い光が見えたので視線を向ける。

 

するとアクアが窓から見える月に向かい、両手を胸に当て祈りのようなものを捧げていた。

淡い青の光がアクアの体をわずかに光らせており、こういうのを見るとアクアが女神だったことを再認識する。

普段のアクアは良くも悪くも普通の女の子といった感じであり、今日唐揚げを頬張る彼女は年下にも見えた。

 

「(でもなんというか…アクアに向かって性欲はわかないんだよなぁ…)」

 

神聖が強すぎるというか綺麗すぎて汚せないというか…

というか何をしているのだろう…見た目は神に祈りをささげるようなポーズだが…

 

「……よしっと…あら?カズマさん、起こしてしまいましたか?」

「ん?あぁ、なんとなく寝付けなくなっただけだ。ところで何をしていたんだ?」

「えっと…私の教徒に神託を…」

 

神託…神のお告げみたいなやつだったか…そういえばアクシズ教っていうのがいるんだったな。

周りからの評判は散々だったけど最近はなんか少しずつましになってるとか聞いたような…

 

「もしかして最近アクシズ教がまともになってきたのは」

「えっと…話を聞くとちょっとあれでしたので…」

 

話を聞くと定期的に神託を行っているらしい、熱心だな。

俺は明日も早いし早めに寝たほうが良いぞと言って毛布をかぶりなおす。

 

俺は今日アクアが食われたことを思い出す。

俺も…少しは強くなった方がいいかもしれないな…




少し駆け足気味になりました。
めぐみんは次回だ…

よく考えたけどこれダグネス味方になるかなこれ


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仲間を増やしてみる

なろうの方でオリジナル小説を書き始めたので少し投稿の期間が空き始めると思います。

あと原作読んだら引きずられて書けなくなったので少し間を開けました。



「…来ないですね」

 

半日ほどギルドの片隅のテーブルで待ってみたが人っ子一人来る気配はない。

他のパーティを見てみると人が来てクエストに行ったりしているのだがこちらには来ない、張り紙は見ているのだが冒険者カードを見るとこちらに申し訳なさそうな顔をしながら去っていく

 

「やっぱりハードルが高すぎたのかね、目的は魔王討伐とはいえ上級職だけは流石に無理があったか」

「…そうですね…そもそも初心者の町アクセルで何を言ってるんだって話ですよね。では書き直して…」

 

と、私が席を立とうとすると

 

「冒険者募集の張り紙を見てきたのですがここでよかったのでしょうか…?」

 

12~3歳ほどに見える片目を眼帯で隠した少女は突然マントを翻し

 

「我が名はめぐみん! アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者…!」

「…冷やかしに来たのか?」

「ち、ちがわい!」

 

カズマさんが思わず突っ込むと少女は可愛らしく否定する。すると突然ふらりと膝をつく

私が思わず少女に駆け寄ると少女は可愛らしくお腹を鳴らしながら告げる。

 

「すみません…図々しいお願いですが三日も何も食べてなくて…何か食べさせていただけませんか…?」

 

私は急いで注文を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ええっと、つまりめぐみんさんは紅魔族という生まれつき高い魔力と知性を持った魔法のエキスパートで紅い眼と私達からすると変わった名前が特徴です」

 

めぐみんさんが食事をしている間に冒険者カードを見せてもらい、カズマさんに紅魔族についての説明をする。

カズマさんは顎に手を当てながらめぐみんさんの冒険者カードを眺めている。

 

「変わった名前とは失礼な。私からすれば他の皆さんの方が変わった名前してますよ」

「とりあえず爆裂魔法…だっけ?それ見せてもらえるのか?」

「爆裂魔法はとても強力な魔法なのでこの辺で使うのは危険ですね。使うのでしたら昨日の平原に行くのが良いでしょう」

 

私の言葉を聞くとめぐみんさんはとても乗り気になったのでジャイアントトードの平原へと向かうことにした。

それにしてもエリスは爆裂魔法は威力は高いけどポイントも消費魔力も高いネタ魔法と聞いていたのですが…私の魔力でしたら3~4発は撃てるといわれましたがめぐみんさんに撃てる魔力はあるのでしょうか…?

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ!」

「よしっ!ナイスだアクア!」

 

めぐみんさんが爆裂魔法を撃つのに少しかかるらしく私とカズマさんは近くにいるカエルを倒していた。

中々難しい詠唱が聞こえるなか私はカズマさんが引き付けた敵を射抜き、時折トドメをカズマさんに譲る。

めぐみんさんがこちらに視線をちらっと向け合図をしたのでカズマさんに手を振りこちらへと呼ぶ。カズマさんがこちらへと戻ると同時、めぐみんさんは2~3体カエルが固まっている所へと杖を向けた。

 

『エクスプロージョンッ!!!』

 

閃光、爆音、衝撃

視界を埋め尽くす白と共に体を揺らす衝撃と音に思わず顔を手でかばう。閃光が消え静寂が訪れ覆っていた手をどかすと地面には大きなクレーターが空いており、ジャイアントトードの姿はどこにもなかった。

 

「すっげー…これが魔法か…」

「これが爆裂魔法…すごい威力です…」

 

爆裂魔法の威力に驚いていると地面がもそりと動き複数のジャイアントトードが姿を現した、どうやら先ほどの爆発で地面で眠っていた個体が起きたらしい。

でも出てきている動きはだいぶ遅い、十分立て直せる。

 

「めぐみん!いったん距離を取ってから攻撃を…!」

 

カズマさんと同時にめぐみんさんの方を振り向くとめぐみんさんが地面に伏していた。

 

「ふふふ…我が爆裂魔法は威力も消費魔力も絶大…つまり魔力枯渇で体力まで持っていかれましたので身動き一つとれません…あ、やばいです食われます。すいません、ちょっと助け…ひゃあっ…!?」

「めっ、めぐみんさんっ!?い、いま助けます」

「ちょっとアクア後ろにカエルいるって!」

「えっ、あっ、ぷぎゅっ」

「アクアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!?」

 

その後、カズマさんがなんとかジャイアントトード2体を倒し。合計7体のクエストクリアとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…ぬるぬるして生臭いです…」

「…カエルの口の中って臭いけどいい感じに温かいんですね」

「聞きたくなかったわそんな情報」

 

めぐみんさんがカズマさんに背負ってもらいながら公衆浴場へと向かう道中、そのような会話を続ける。

 

「めぐみんさんは動けないでしょうし先に行って空いているか見てきますね」

「あぁ、頼むわ」

 

先に公衆浴場へと向かってめぐみんさんのために椅子などを用意してもらい、再度カズマさんの所へと向かうと

 

「よーし分かった! めぐみんこれからよろしくな!!」

 

と、カズマさんが勢い良く叫んだ。

めぐみんさんをパーティに入れるんですねっ、よかった。

 

「カズマさん、めぐみんさんをパーティーに入れるんですね…よかった…」

「え、あっ、アクア…その…だな」

「仲間が増えることはいいことですからね、カズマさんがもしかしたらめぐみんさんはパーティーに入れないというかもしれないと不安だったんです…」

「その…だな」

「明日はどうしましょうか…これから先がもっと楽しみですねっ、では先に行って待ってますね!」

「あ、アクアァァァァァッ!?」

 

カズマさんがこちらへと手を伸ばしていますが私はそれよりも嬉しくてささっと公衆浴場へと向かってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

その後

 

 

「…アクアって胸結構大きいですよね」

「えっ、そ、そうですかね…?」

「ほらっ、手に収まらないじゃないですかっ!」

「ひゃあっ!」




本当にお久しぶりです、前書きにも書きましたがなろうにてオリジナルの小説投稿を始めました。

TS転生物ですね、飽き性な自分ですがこちらも頑張って話を作っていきたいです。
令和からもよろしくお願いします。


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スキルとクリス

ダクネス加入は正直アクアがいませんしカットしてもよかったのですが
さわりを少し書きます。そのままクリス登場までいこうかなと


「…あら?」

 

ジャイアントトードの討伐後、依頼達成をカズマさんに任せて私はめぐみんさんを宿へと運んだ帰り、今日は何を食べようかと考えてギルドへと向かうとカズマさんが女騎士に詰め寄られていた。

 

金髪碧眼の後ろで髪をくくった私よりも少し背の高い美女

彼女は一枚の紙を持ちながらカズマさんに詰め寄っている、見た感じあの紙は私の書いたメンバー募集の紙だと思う。

 

もしかして新たなパーティー参加希望者だろうか…?

見た感じ騎士、クルセイダーでしょうか。まだ上級限定にしてましたし

私達のパーティーは前衛不足でしたしよかったのかもしれません、カズマさんが紹介するまで楽しみにしておきましょう。今日は……ハンバーグ風なものを作ってみましょうか。

 

 

 

 

 

 

「ところでアクア、聞きたいんだが冒険者のスキル習得ってどうするんだ?」

 

ジャイアントトードの討伐の翌日、カズマさんが私にスキルのことについて聞いてきた。

 

「えっと…カズマさんは冒険者でしたね。本来はカードに習得可能なスキルというところから習得するのですが、冒険者の場合はほかの職業の方からスキルを見せてもらうんです。例えばこうして…『ヒール』」

 

私がヒールを空うちしてカズマさんに『ヒール』を見せる。

するとカズマさんは自分のカードを確認し、おっ という表情を見せた。

 

「おっ、本当に追加されているな」

「『ヒール』は便利なので覚えておいて損はないと思いますよ、冒険者は少しポイントはかかってしまいますが最初に受付で聞いた通り全てのスキルを使えるようになりますから」

「…つまりめぐみんに教えてもらえば俺も爆裂魔法が使えるようになるってわけか」

「その通りです!!」

 

唐揚げを頬張っていためぐみんさんは口元を汚しながら勢いよく席を立ったのでとりあえず口元をハンカチで拭く。

 

「その通りですよカズm あ、ありがとうございます。 ごほん、冒険者はアークウィザード以外で唯一爆裂魔法が使える職業です! さぁさぁさぁ! 一緒に爆裂道を歩みましょう!」

「落ち着けロリっ子! というかいまポイント4しかないんだがこれでとれるもんなのか!?」

「ロ、ロリっ子…」

 

私は頬に手を当てて思い出す…

 

「確か…10や20じゃ利かないと思いますよ。十年ぐらい一切ポイントを使わずにため続ければもしかしたら使えるようになるかもしれませんね…まぁ魔力強化とかしないとめぐみんさんのように倒れてしまうと思いますが」

「待てるかそんなの」

「ロリっ子…」

「よしよし」

 

めぐみんさんが落ち込んでしまったので頭を撫でると目を細めて気持ちよさそうにしていた。猫みたい。

 

「それと何故か、私の習得可能スキルに『宴会芸』というものが全部習得可能なんですけど。どういうことでしょうか…」

「なんだそのスキル」

 

本当になんでしょう。

 

「あっはっは! 面白いね君! 君があのカズマくんか! 有能なスキルを探しているんだったら盗賊スキルなんてどうだい?」

 

 

声がして隣を見ると昨日見た騎士さんと銀髪の少女がいた。服装的に盗賊だろうか?

というか…んー?どこかで…んー???

 

私がじーっと少女を見ていると少女はなんだか焦りだしてカズマさんにスキルを教えるとカズマさんを連れて裏庭へと向かった。

 

「アクアアクア、どうしました?あの人をじっと見ていたような気がしますが…」

「んと…どこかで会ったような…知り合いに似ているような…そんな気がしまして」

 

私が首をひねっているとめぐみんさんがこてんと首をかしげて聞いてきたので答える。

うーん、どこかで…もうちょっとで何かが出て来そうな…

 

「そういえばアクア、昨日借りていた一万エリス。クエスト報酬が入ったので返しますね」

 

………んん?何か分かりそうだった気が?

 

 

 

十数分後カズマさんと涙目のクリスさん(というらしい)が戻ってきた。

どうやらスティールを教えてもらったそうだけどそれでクリスさんの下着をはぎ取ってしまったらしい。

でもカズマさんも申し訳なさそうな顔してましたので故意ではないと思うのですが...

 

それとカズマさんがクリスがやたら厳しかったと言っていました。何か見定めるような目をしていたと言ったらしいです。スティールは危険なスキルですし教えていいか見定めていたのでしょうか。




次回はキャベツかな
カズマとクリスの話も要望があれば

亀にするかキャベツにするかで悩みましたがキャベツの方が分かりやすいですかね。


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キャベツが飛んできた

話の入りが面倒な時にはアクアが何故か退席してたりします。



カズマさんのスティールが女性の下着を剥ぎ取ってしまうということを聞き、カズマさんに私にも使ってみてくださいと言ってみました。ちなみにクリスさんは下着を取り返すとカズマさんに財布を返して涙目で去っていきました。

 

「あ、アクア! やめておいた方がいいですよ! 確かにアクアのスカートは長いですが流石に不味いです!」

「アクア、使う俺が言うのもなんだがやめておいた方がいいと思うぞ。下手するとスカートとか上着とか剥ぎ取ってしまうかもしれないしな...」

 

うっ、そう言われると少し決心が鈍りますが二言はありません!

 

「ど、どうぞ! 二言はありません!」

「くっ、何も言うなよ……スティール!!!」

 

カズマさんの手が光り出すと同時に私の髪がはらりとほどけてストレートになった。

頭に手を当ててみると髪留めがなくなっており、カズマさんの手に髪留めが現れていた。

 

「あれ?」

「髪留め…ですね?」

 

私は少し考えてカズマさんがクリスさんに対してスティールしたときの状況を聞くと財布を取られたらしく怒りに身を任せたら下着が取れたらしい。そのことから感情によって取れるものが変化するということになった。確かにその後めぐみんさんがカズマさんに対して煽りをして下着をスティールされていた。

 

その瞬間、ダクネスさんと言われていた女騎士さんがバンとテーブルを叩いて立ち上がった。

発言を聞くと私をもっといじめてほしいとのことだった。えっと…そういう趣味の方なんでしょうか…?

カズマさんに視線を向けてみるとカズマさんはゆっくりと首を横に振り、めぐみんさんからは耳をふさがれた。

 

「あの…めぐみんさん」

「聞いちゃだめです」

 

ある程度ダクネスさんが熱く語っていたらしくしばらくすると私の耳からめぐみんさんの手が外れ、めぐみんさんとカズマさんがげんなりとした声を上げていると突然警報が鳴り響いた。

 

 

「緊急クエスト! 緊急クエスト! 街の中にいる冒険者の各員は至急冒険者ギルドに集まってください! 繰り返します! 街の中にいる冒険者の各員は至急冒険者ギルドに集まってください!」

 

とアナウンスも響きました。そういえばエリスから聞いたそろそろキャベツの収穫時期でしたか。キャベツが空を飛ぶってすごいですね…初めて聞いたときはとても驚きました。

この世界のこと知らないカズマさんにキャベツの説明をしつつ説明を受けて街中へと向かう。

カズマさんはなんでキャベツと死闘を…とか言ってましたね…まぁ、冒険をしにこの世界に来たのにキャベツと戦うのは流石に気落ちしても仕方ないですね。

 

 

 

 

 

 

 

「ほっ!と」

 

矢をキャベツをへと命中させてキャベツを倒す、これだけでだいぶ経験値になるらしい。傷が多いと買取価格が多少減るらしいけど、矢の傷ぐらいなら変わらないとのこと。中にはレタスもあるらしくそっちは値段が低いらしい。他の冒険者も武器で切ったり素手でつかんだりして思い思いにキャベツを取っている。

 

「うおおあああああああああああああああああああっ!」

 

パンパンパンと銃声が鳴り響きそっちを見るとダークレッドのスーツを着た男性が銃を撃っていた。

あの人はもしかして私が送った転生者の方では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでキャベツ討伐が終わって街中ではキャベツ料理がふるまわれていた。

この野菜炒めものすごくおいしいですね。レベルも上がりましたしいい時期に来ました。

それとダクネスさんが仲間になったようです、めぐみんさんにまた耳をふさがれていたのでよく聞き取れませんでしたが何かを熱く語っていたそうです。

 

冒険者にアークプリーストにアークウィザードにクルセイダー、中々豪華な面子です。

私も頑張らないといけませんね




1500文字ぐらいでおさめるのでスナック感覚で読んでいただけると幸いです。
これ以上長くするともっと時間がかかる(休みの日に無理やり時間を割いて書いているので)


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リッチー…ですか…!

ウィズはこの世界線だと幸せなのかもしれない

それと全く関係ないですがこのアクアは原作よりも生活がきっちりしてるのでとてもスタイルとかが良くなっています。
女神は不変?私の作品ではそうなんですってことで一つ


カズマさんがスキルで魔法を覚えたらしい。レベルが8になってスキルポイントが4ポイント手に入ったらしい。そして『片手剣』と『初級魔法』で1ポイントずつ消費して残りの2ポイントは貯めておくのこと、そしてある程度資金もあるのでカズマさんが装備を新調するようにしたらしい。

 

と、言うわけで

 

「二人で出かけるのも久しぶりですね」

「そういえばそうだな、最近はめぐみんかダクネスがいたし」

 

二人で並んで武具ショップに向かっていた。まるでデートのようだが行っている場所が武具ショップだと色気ないなぁ…

そんなことを思っているとカズマさんが声をかけてきた。

 

「なぁアクア、今回も俺の装備だけでいいのか? アクアの装備ってその胸当てと羽衣だけだろ?ずっと着てるし」

 

私の装備はここに来る前に着ていた膝下5cmほどの濃い青のプリーツスカートに長袖の濃紺のシャツ、そこに胸当てと羽衣である。パッと見で軽装ですし。

リフレッシュの魔法が使えるのでいつでも清潔にはしてますけど…

 

「胸当てはともかくこの羽衣はあらゆる状態異常を受けず強力な耐久力と様々な魔法がかかった神具なんですよ……そうですね、生活に困ったら売りましょうか。3年以上は生活できると思いますよ」

「待て待て待て待てッ!? それって前女神である証みたいな物って言ってなかったか!? 売っちゃダメだろ!」

 

そんなこんなで

 

 

 

 

 

「ほう、だいぶいい装備になったな」

「剣もかなりいいのになりましたね、だいぶ冒険者らしくなりました」

 

カズマさんの格好にダクネスさんとめぐみんさんが感想を述べる。

今のカズマさんの格好はこの世界の服に革製の胸当て、金属製の籠手と脛当て、そして緑のケープのようなマントを羽織っている。いわゆる軽装というやつだ、武装も片刃の剣を一本に盾を持たず魔法を併用する魔法剣士で行くようだ。

それと私にも青いマントをいただいた、カズマさんと同じデザインのマントである。お揃いだ、嬉しい。

新調してみたら試してみたくなるわけでカズマさんもクエストに行きたいようであった。

 

「そうだな、ジャイアントトードが繁殖期だしそれを…」

「「カエルはやめよう(いやです)!!」」

 

もう食べられるのは嫌です、ダクネスさんは乗り気みたいですが…

 

「そういえばダクネスも鎧が戻ってきてないみたいだしな…」

 

むっ、カズマさん。私服姿のダクネスさんの胸元をちらちら見ています。

確かにダクネスさんは着やせするタイプみたいでしたし美人ですしスタイルもいいですし…

…私もそこそこはあるのに

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の話題でプリーストはレベルが上げにくいので共同墓地に沸くアンデットモンスターの討伐をすることになった。

 

ゲームでもよくあるのだがアンデット系のモンスターには回復魔法や浄化魔法が効くのでプリーストのレベルを上げる場合はアンデットを倒すことが多い。

というわけで今私達は共同墓地の近くでキャンプをしています。カズマさんの初級魔法の使い方を見ると大分臨機応変に力を使えるようです。

 

それにしても…

 

「カズマさん、目標のモンスターってゾンビメーカーでしたよね?」

「ん? あぁそうだけど?」

 

でも…この感じは…

 

「この感覚は…ゾンビメーカーよりも強い何かが…」

「お、おいおい。勘弁してくれよ…」

 

警戒しながら敵感知を持つカズマさんを先頭に墓地へと向かうと…

 

「おいおい、1、2…4、5…まだまだいるぞ」

「えぇっ、おかしいですよ! 確かゾンビメーカーの取り巻きは2、3体って習いました!」

 

めぐみんさんがそう叫ぶと墓地の中心に大きな円形の魔方陣と幻想的な青い光が見える。

その魔方陣の隣には黒いローブの人影が見えた。

 

 

「ーッ! 『セイクリッドソウル・フランベルジュ』!!」

 

私はローブの正体に気付くとカズマさんより前に出ると聖属性の魔力で構成した刀身が波打つ剣を作り出した。冷や汗が頬を伝う、どうしてこんな所に...!

 

「あれはリッチーです! 気を付けてください!」

「リッチー!? アンデットの最上級モンスターではないですか!!」

「何かを召喚しようとしているのかもしれません!!! 気を付けてください!」

 

私達が構えているとリッチーがこちらをゆっくり振り向いた。

 

「…あれ? ウィズ…さん?」

「か、カズマさん…?」

「「「・・・へ?」」」

 

カズマさん、知り合い…ですか?




やっと一巻の半分
あとはミツルギ編とベルディア編だけ

ベルディア編から大きく原作とは変わります。
簡潔に言うと勇者してます、そしてベルディア後にようやくR18話が出来ます。
8話も投稿してR18話0とは…しかも13~4話辺りでようやくといったレベル…

大丈夫かなぁ…


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ウィズと浄化魔法

ベルディア編を大幅改変するのでミツルギ編とベルディア編を入れ替えます。
ミツルギ君を活躍させるか悩み中


どうやらカズマさんとこのリッチー…ウィズさんは知り合いのようだ。

だけどもリッチーという上位種であるため警戒を解くことは出来ない、現に聖属性の魔力で固めた剣は未だに解除していない。

 

「えっと…ウィズは町のマジックアイテム屋を営んでいてな、時折商売のことを聞いたり教えたりしてたんだ」

「ま、街に時折現れる気配はあなただったんですか…!人に紛れて探りにくかったのですが…まさかリッチーとは…!」

 

私が戦々恐々としているとカズマさんが疑問に思ったように声を上げる。

 

「そういえばウィズ、なんでこんなところにいるんだ?」

「あっ、はい。ここでは私は魂を天に還そうとしていまして、この魔方陣もそのためのものです」

 

改めて魔方陣を見てみると確かにそれ用の魔方陣だ。おまけに聖属性はなくリッチーなどアンデットにはダメージが入らないタイプのものである。

そしてウィズさんは失礼ですねとフードを取った…むっ、美女。カズマさんまたですか、また綺麗な女性ですか。女神にも嫉妬というのがあるんですよ?

 

話を聞くとウィズさんが良い…人?ということが分かったが、なぜウィズさんがしていたのだろうか?

 

 

「その…この街のプリーストさん達は拝金主義…といいますか、お金がない人達は後回しというか…」

 

その言葉を聞き私は涙を流す、本当に…本当にこの街のアクシズ教と来たら…!(アクセルに所属しているプリーストはアクシズ教徒が7~8割を占めている)

その墓地の魂を天に還す仕事は私が引き継ぐことにした、アンデットが出るとなると街も困るだろうし。

帰りながらウィズさんが街にいるとかこの街の警備はどうなっているのかという話をしていると、めぐみんさんがほっとしたように呟く。

 

「でも穏便に済んでよかったです。いくらアクアがいるといってもリッチーが相手でしたらアクアやダクネスはともかく私とカズマは間違いなく死んでいたでしょうね」

「私も物理攻撃には強いが魔法防御などはそんなに高いわけではない、私も危なかっただろうな」

 

ちなみに冒険者であるカズマさんにウィズさんがリッチーのスキルを教えてもらうらしくその時はついてきてくれとカズマさんに言われました、まぁ元々ついて行く予定でしたしいいですけど。

そう言っているとダクネスさんがぽつりと言った。

 

「そういえばゾンビメーカーの討伐はどうなったんだ?」

 

 

 

 

クエストは失敗となりました。

 

 

 

 

 

キャベツクエストから数日後、報酬を受け取ってめぐみんさんやダクネスさんは杖や鎧を新調したようだった。めぐみんさんが杖に頬ずりしている。

カズマさんは百万近くも稼いだらしく分割しなくていいのかといっていたが私はカズマさんほど稼げていないのでカズマさんが一方的に損するだけなので生活に必要な費用だけをいただいた。残ったお金で拠点が欲しいらしい

根無し草が基本の冒険者は定住するための拠点を持たないのだが、馬小屋生活にはそろそろ嫌らしく宿よりは拠点が欲しいとのこと。まだいいところは見つかってないらしいが…

 

「そういえばカズマさん馬小屋で時折ゴソゴソしていましたし寝づらかったのですね」

「へぁっ!? そ、そうだな! やっぱりベッドで寝たいもんな!」

 

どうしたんですかカズマさん、急に取り乱したりして。

 

その後新しい武器や防具を試したいとめぐみんさんとダクネスさんが依頼を受けようと言ったが、最近魔王軍幹部がこの辺に来たらしく、弱い魔物は隠れてしまったようで高難易度の依頼しか残ってなかったらしい。

初心者の街になんで…とカズマさんも呟いていた。

 

数日後

カズマさんがめぐみんさんを連れてどこかに出かけて行っている間私はとある依頼を見つけた。

カズマさん達の帰宅後、その依頼を見せる。

 

「湖の浄化?」

「はい、この街の水源の一つにもなっている湖なのですが水質が悪くなっているらしくブルータルアリゲーターが住み着いたらしいです。この水源を利用するところの人達が困っているのでぜひ解決したいのですが…」

「そういえばアクアは浄化が使えると言ってましたね。でもブルータルアリゲーターはだいぶ強力な魔物ですよ」

「そうだな、私はともかく三人は一撃で死ぬぐらいには強い」

「…ちなみに浄化にはどのぐらいかかるんだ?」

「えっと…6時間ぐらいです」

 

流石に初心者がこのモンスターに挑むのは難しいかとあきらめかけていると、カズマさんがふと呟く。

 

「そういえば浄化ってどうするんだ?」

「へ? 小規模でしたら呪文を唱える程度で済みますが大きな湖ですと水に手を触れて浄化魔法をかける必要があります」

 

すると何かを思いついたかのような表情をする

 

「いい方法を思いついたんだがアクア、やってみるか?」

 

私はその方法を聞くとうなずいた。




・原作では半日の浄化魔法
新生アクア様は信仰も本人の人格も徳が高いので強くなっている。
多分ウィズにも勝てるかもしれない

・ゴソゴソ
このアクア様は本当に寝ずらかったと思っている

・アクアとアンデット
なんか一緒にいるともやもやむかむかする感じ

・お金
アクアは原作では5万ほどでしたがこっちでは2~30万ほど稼いでます


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ミツルギさんと団長

読者は即座に察していたけど実は名前の出ていなかった例の彼がいよいよ本筋に登場!
びっくりするぐらいに筆が乗った、こんなに早くかけたの久しぶり


ウィズ遭遇後
カ「そういえばアクア、剣を魔力で作ってたけど剣も扱えるのか?」
ア「? 剣だけではなく槍も籠手もメイスもクローも短剣も全て弓と同じぐらい扱えますよ?」
カ「え、つよっ...」


「何だか紅茶のティーバッグにでもなった気分ですね」

 

緑のジャケットを着た人達に運んでもらった鋼鉄製の檻の中で正座をしながら私はポツリと呟いた。

視界に見える湖は確かに濁って淀んでいる。

 

カズマさんの作戦を聞くと壊されない檻の中から浄化魔法を使い、湖を綺麗にするというもの。流石に非人道的なためどうするか悩んでいたらしいが私はそれを承諾、私が水に触れているだけでも浄化は可能ですし1日以上水の中にいても呼吸には困りませんので、水の中にいるのは心地よいですし乾かそうと思えば一瞬で乾きますし。

 

「でも檻的にはこれから売られる希少モンスターの気分でしょうか」

「いや結構のほほんとしてるな」

 

女性を檻に閉じ込めるということをしているからか少し申し訳なさそうな顔をしているカズマさんですが私自身が了承していますし気にしなくてもいいのですが...

 

「何かあったらすぐに叫ぶのだぞ、すぐに鎖を引っ張るからな」

 

ダクネスさんがそう言いながら大きな鎖を持ち上げる。あの鎖だけでもそこそこ重そうですが...

 

そんなこんなで湖の端にぽちゃーん。6時間ほど待機である。

 

 

一時間ほど経つと私の周囲の水が綺麗になっていることが分かる。離れた所にいるカズマさん達もそれを見ながらおぉーと言う声をあげていた。

 

あの、カズマさん。仕方ないかもしれませんがトイレについて話すのは恥ずかしいので止めていただけないでしょうか、私は耳もいいんですよ。あぁ、めぐみんさん。そんな昔のアイドルのようなことを言われても...

 

 

「ひっ...」

 

更に数時間後、私の檻の周りをアリゲーター達が囲む。カズマさん達が鎖を引こうとするがそれを手で制す。

このままではこの水源を使う人が困ってしまいますし何より途中で投げ出すのは...!

 

ですが早く終わらせたい!

 

「ぴゅっ『ピュリフィケーション』!」

 

私は檻の周りをアリゲーター達に食い付かれながら浄化魔法を連発した。

 

 

 

 

 

5時間後

魔法を連発した私は本来より一時間早く終わらせることが出来、カズマさん達に引き上げてもらう。

 

「アクア、もう大丈夫だから出て来てもいいぞ」

 

カズマさんが優しく言ってくれたが

 

「す、すみません...こ、腰が抜けて立てません...」

 

泣きながらぺたんと座り込みカズマさん達に告げる。そのまま街へと向かうことになった。

 

 

 

行きと同じく緑のジャケットを着た人達に運んでもらいながら街へと入る。カズマさんがおんぶをしようと持ちかけてくれたが流石に辛いだろうし断っていた。街にも入ったし抜けた腰もそろそろ大丈夫だろうと立ち上がろうとすると

 

「めっ、女神様っ!? 何をしていらっしゃるのですかっ! そんなところで!」

 

一目で高品質と分かる装備を着た青年が私が入っていた檻の鉄格子をいとも簡単に曲げてしまった。緑ジャケットの人が唖然とした表情をしている。

 

その青年は私にさあどうぞといわんばかりに手を伸ばすがその間にダクネスさんが入る。

 

「おい、私の仲間に馴れ馴れしく触るな。貴様は何者だ」

「ダクネスさん…」

 

守ってくれたダクネスさんはまさに騎士といった感じであり、とてもかっこよかった。

そうすると青年は自分は厄介ごとには巻き込まれたくないんだけど仕方がないと言ったように溜息を吐く。あ、ダクネスさんとカズマさんに額に青筋が見える。

 

巻き込まれてというか関わったのはあなた…ミツルギさんからなのですが…

 

「おい、アクア。知り合いか? 女神様と言ってたし」

「…はい、カズマさんより前に転生させた方です。魔剣グラムをお渡ししてこの世界に送ったのですが…その…なんというか…真っすぐすぎるというか自分が正しいと信じているというか…」

「分かった、妄想と信念が高すぎる奴なんだな」

 

私はうなだれる。本当に申し訳ございません。ちゃんと言っていたのですが…

そのあと彼は自己紹介をしてソードマスターになったとか37レベルになったとか…

そして私が檻にいた事情を聞いたのだが…

 

それを聞いたミツルギさんはカズマさんの胸倉を掴み上げた。

 

「-ッ!」

 

チリッと魔力が揺らぐ、とっさにめぐみんさんが腕をつかみ落ち着かせてくれた。最近カズマさんのことになると感情が揺らぎやすくなる。気を付けないと…

 

「ミツルギさん、その件に関して私が望んだことです。発案はカズマさんですがカズマさんは実行するのを躊躇していられました」

「アクア様、いまの扱いはどう考えても不当です。第一今はどこに寝泊まりを…」

 

初対面のカズマさんに言いたい放題ですね。私のことをカズマさんよりも知らないのに。

私が今は馬小屋で寝ていることを告げるとカズマさんの胸倉を掴んだ手に力が籠められる。

 

「おい、いい加減手を離せ。アクアとは知り合いらしいが初対面のカズマに対して礼儀知らずにもほどがあるだろう」

 

ダクネスさんが珍しく怒っていた。ダクネスさんはとても礼儀作法がしっかりしていますしどこかのお嬢様とかでしょうか。

そう思いながら爆裂魔法の詠唱をしようとしているめぐみんさんを止める。皆さんはミツルギさんの礼儀知らずな態度にだいぶイライラしているらしい。

 

すると次はめぐみんさんやダクネスさんに目線が動き、二人を褒めたたえた上でカズマさんを貶す。

カズマさんは気になったことがあったのか私に耳打ちする。

 

「なぁアクア、この世界の冒険者は馬小屋で寝泊まりは基本と聞いたのだがこいつはなんで怒っているんだ?」

「彼には転生特典で魔剣グラムを授けたので恐らく最初から高難易度のクエストを攻略したりお金に困ることはなかったのでしょう……与えられた力を過信するなと教えたはずなのですがね…」

 

少なくとも彼よりは一から頑張ってきたカズマさんの方が立派である。平和と正義を謳うだけではどうにもならないのだ。その後に私達女性陣三人は彼のパーティーに勧誘された、ナチュラルにカズマさんをハブったりしているし正直私の好感度は最低である。めぐみんさんやダクネスさんもいい印象は抱いていないようだ。勝手に話を進めたり自分の提案が正しいと思っていることに不満があるそうだ。

 

私はカズマさんの服の裾を引っ張る。

 

「カズマさん、もうギルドに行きましょう。こう言ってはなんですがあまり関わらないほうがいいかと…」

「満場一致であなたのパーティーにはいきたくないそうです。クエストの完了報告があるのでそれでは…」

 

と、カズマさんは言うがミツルギさんはどかない。人の話を聞いてください…

その後、カズマさんに私を賭けて決闘だ。と勝手に話を進める。ただでさえ低い好感度がさらに下がっていく気がします。

 

「カズマさん…」

「安心しろ、必ず勝つ」

「カズマさん…!」

 

思わず胸が高鳴る、しかしカズマさんと彼では大きな差があります。どうやって勝つのでしょうか…

 

「では行くぞっ!」

「おらよっ!」

「うわっ!?」

 

決闘が開始した瞬間、カズマさんはショートソードを彼に向かってぶん投げた。

完全に虚を突かれたが流石高レベル冒険者、すぐに剣を抜いて弾く。カズマさんはそのままミツルギさんに向かって走り出した。

 

「虚を突いたつもりだろうが残念だったな!」

「カズマ!」

「カズマさんっ!」

「『クリエイト・アース』」

 

私達が迫る剣に声を上げるとカズマさんは右手にサラサラとした土を生み出す。あれは初級魔法の…

 

「はぁっ!」

「『ウィンドブレス』!」

「なっ、ぐあぁっ!」

 

剣を振り下ろそうと上段に振りかぶってがら空きになった彼の顔にカズマさんはウィンドブレスで目つぶしをした。めぐみんさんが初級魔法をあそこまで使いこなしていることに驚く、ミツルギさんは思わず目を押さえて後退すると同時にカズマさんが拳を振りかぶった。

 

「『スティール』ッッッ!!!」

「なっ!?」

 

カズマさんがスティールを発動した瞬間ミツルギさんの手から魔剣グラムが消えカズマさんの右手に現れた。

そのまま振りかぶった腕を思いっきり振り下ろし、剣の腹でミツルギさんの頭を渾身の力で思いっきり殴った。

 

 

 

 

「卑怯者! 卑怯者卑怯者卑怯者ーっ!」

「あんた最低! 最低よ! 正々堂々と戦いなさい!」

 

ミツルギさんの仲間からの罵声が飛び交う中、カズマさんは魔剣グラムを貰うと宣言する。

でもその剣は彼にしか扱えずカズマさんが使っても丈夫な剣と伝えるとカズマさんはがっかりとしてしまう。申し訳ありません。私が何か武器を持ち出せていたら…

ちなみにカズマさんはその剣を売ることにしたそうです。大丈夫だと思います、一度力を失ってみるのも大事だと思います。

 

そのままギルドに行こうとすると仲間の二人が通せんぼし、武器を構えた。一触即発と言った空気になった瞬間。

 

「そこまでだッッ!!!」

 

力強い声がそこに響く、声のした方を見るとギルドの方向。つまり仲間の二人の後ろにその人物は立っていた。

白い逆立った髪にダークレッドのスーツ、2mほどはある高身長。

 

「話は聞かせてもらった! 正式な決闘ではなく元々その倒されたやつが無理やり持ち掛けたらしいな。それに高レベルのソードマスターが低レベルの冒険者に決闘を持ちかけること自体が卑怯じゃないか?」

 

その発言に二人はぐっと言葉に詰まる、なんか文句はあるかと言うと二人はミツルギさんを連れてどこかへと去っていった。カズマさんは助けてくれたと言っても高身長の怖い顔立ちの人に少し怖がっているのかそっと声をかけた。

 

「あ、あの…あなたは…」

「おっと、悪いな。自己紹介がまだだったか」

 

檻を運んで来た緑ジャケットを着たウサギ耳の女性と黒髪の男性がそばに控えながら男性は言った。

 

「俺はオルガ・イツカ。鉄華団の団長だ」




・鉄華団
アクセルにあるボランティアのような集団
ギルドの手伝い(今回の檻の運搬など)がメインの活動。
来るもの拒まずで現在人数は三桁レベルの組織になっている
基本的に報酬は孤児や生活に困っている団員に支給される。

団長 オルガ・イツカ
鉄華団を作った人、冒険者でもあり職業は『冒険者』だが純粋に地力が高い
銃とソードメイスを使う

副団長 狼耳の女獣人(まだ名無し)
オルガと鉄華団創設前にパーティを組んでいた。オルガに惚れている。
黒い軍服のようなものを着た銀髪の刀使い





次回はオルガさんとの会話を終えてベルディア編に移行します
それとタグに『オルガ・イツカ』を追加しました


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鉄で出来た華の団

今回は前話のこまごましたのまとめです

あとミツルギ君…すまない…!
君だって助けたい…君だってまともにしたい…!
だが…! すまない…!


「えっ、オルガさんも転生者なんですか?」

「オルガでいいぜ、年もそんな変わんねぇだろ」

 

カズマさんがこちらをみたので彼は19歳ですと伝えると嘘だろ!? って顔をしていた。

彼は転生した後仲間を見つけて冒険をしてある程度お金を集めると仲間と相談して鉄華団を作ったらしい、どうせならと鉄華団のアジトへと招待してもらえた。

 

「おう、今帰ったぞ」

 

オルガさんが扉を開けると「おかえりなさいっ!」と色んなところから声が聞こえた、そのまま一つの部屋を開けると狼耳のとても綺麗な女性が書類整理をしていた。

その女性はこちらに気づくとクールな表情を変えて笑顔で言う。

 

「オルガっ! 帰ってたの!」

 

尻尾をぶんぶん振り回しながら立ち上がるが私達の姿を見つけるとピシっと固まり、ごほんと咳ばらいをすると顔つきをキリっとさせる。

 

「お帰りなさいませオルガ団長、書類整理は済んでおります」

「お、おぅ。あぁっと…副団長のエルーンだ」

「エルーンと申します。よろしく」

 

腰に刀を差した軍服の女性はそういってお辞儀をした。

な、なんというかオルガさんのことが好きなんですね…

 

オルガさんとの顔合わせはそんな感じだった。転生者のよしみで何かあったら言ってくれ。だそうです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの…本当によろしいんでしょうか…?」

「構わないって言ってたしいいのではないでしょうか? 壊したのはあの男ですし」

「うむ、アクアは少し優しすぎるぞ」

 

私とめぐみんさんとダクネスさんの三人はギルドでシャワシャワというものを飲んでいた、凄い...シャワシャワします。現在は水の浄化の依頼の報告も終わり、ギルドから報酬をもらったところである。その数分後、魔剣グラムを売りに行っていたカズマさんが戻ってきました。耐久性がとても高く業物だったため五十万エリスで売れたそうです。

 

なお、壊した檻の弁償で二十万エリスもするそうなのだが壊したのがミツルギさんと鉄華団の方々が証言してくださったので弁償はミツルギさん持ちになるようで私にはそのまま三十万エリスを報酬としていただきました。

そのお金で現在は遅めの昼食を取っているのですがめぐみんさんは相変わらずよく食べますね。成長期なのでしょうか。

 

「結構稼いだしそろそろ家を買うのを本格的に検討してもいいかもな、どこかにいいところはないものか」

「うむ、賃貸ならまだしも買うとなると300万エリスでは精々小さな家が精いっぱいだろうな」

「そういえば少し郊外にある屋敷が売りに出されてましたね。8000万エリスでしたけど」

 

しばらくはまだ馬小屋生活になりそうですね。

 

「ここにいたのかっ! サトウカズマ!」

 

するとギルドの入り口からミツルギさんが教えてないはずのカズマさんのフルネームを叫びながら飛び込んできた。私達のテーブルを叩くと叫ながらカズマさんの悪意のある見方をしたような事実を叫ぶ、間違いではないのですが…何とも言えませんね。

 

ちなみにダクネスさんが「クリス…」と額に手が当てていた。

そして魔剣を返してくれとかいい剣を買ってあげてもいいとかその上さらに私をパーティに誘ってきました、もう剣は売った後なのですが。

 

それに...

 

「私を勝手に景品にした上にいい剣を買うから返してくれとは流石に虫がよすぎると思いますが」

「めっ、女神様! 別にあなたを安く見たわけでは…!」

「それに、あの剣を授けたときに私は言ったはずです」

 

ゆっくりと席から立ちあがり、ミツルギさんに面と向かう。私は少し怒っているせいか体から魔力が漏れ、淡く輝きだした。

 

「『これは与えられた力でありあなたの力ではありません。欲望のままに力を振るってはいけません』と、いまのあなたはなんですか? 下位の職業である冒険者に決闘を挑み、そしてグラムを奪われたら決闘の内容も放り投げて返してくれ。あまり、こういうことは言いたくないのですが…失望しました」

「う…あ…」

「魔剣はすでに売ってしまった後です。取り戻したいのでしたらすぐに店を回れば見つかるかもしれませんよ」

 

私がそういうともう話すことはないという感じで席に着く、もうミツルギさんの方も見ていない。

 

「う…うわあああああああああああああああああああああああ!」

 

少し経つとミツルギさんは叫びながらギルドから出て行った。彼があそこから立ち直れるかは…彼次第ですね。

視線をめぐみんさんとダクネスさんに戻すと二人はぽかんとした顔をしていた。

 

「どうかしましたか?」

「いや…アクアが女神と呼ばれていたから気になってな」

「先ほどの放出された魔力もびっくりするぐらい清らかでした…もしかして本当に水の女神の…」

 

ど、どうしましょう…どうごまかせば…!

 

「なわけないだろ、だったらなんで俺と一緒にいるんだ。本当に女神ならなんで俺なんかと一緒にいるんだ」

「そ…そうですよね! ごめんなさいアクア! 変な想像をしてしまいました!」

「あぁ、よく考えたら建てられている女神アクアの銅像とも違う姿だからな」

 

どうにかごまかせました。ちょっとうかつすぎましたね…

 

 

 

 

 

 

 

『緊急! 緊急! 全冒険者の皆さんは直ちに武装し! 正門の前に集まってくださいっ!』

 

その時、街に広がる放送が響いた




ちょっと今回は取っ散らかってます。
書きたいことを箇条書きに書いたらこうなりました。
次回から大きく話が変わるので少し投稿が空きます。

あとオルガ団長出したら感想にライドがいっぱい湧いてて笑う。
そして評価で一気に低評価が付けられている。
ちなみにオルガ団長は名前アリのサブレギュラー以下の立ち位置です。
ネタ要員に使うのは普通に勿体ないよね。キボウノハナーもないです

・エルーン
鉄華団副団長 二十歳前後
狼耳の女性、イメージは軍服で日本刀のグラブルヘルエス。
クールキャラだけどオルガの前ではデレデレである。


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首なしの黒騎士、襲来

3時間で文字0からここまで書けるとは…
原作アリだと以外と頑張ればいけるのか…?

それとここから大きく変わります


緊急アナウンスを聞いた私達は装備を整えて正門へと向かった。

正門へと到着するとそこで威圧感を放つモンスターに私達は思わず息を飲む。

 

 

デュラハン

 

死の宣告を行い、絶望を与える首なし騎士。

正門に立つ漆黒の鎧を着た騎士は己の首を抱えながらくぐもった、それでいてそこから響くような声が放たれる。

 

「私はこの近くの城に来た魔王軍幹部の者だ」

 

その声の強い敵意に後ずさる者も何名かいた、デュラハンはそのまま言葉を続ける。

 

「毎日我が城に爆裂魔法を撃ちこんでいる愚か者は誰だ?」

 

爆…裂…魔法?

デュラハンのその声に私、というか私達は一気にめぐみんさんの方を見る。

めぐみんさんは冷や汗をだらだらと流し私の隣にいるカズマさんも冷や汗をだらだらと流していた。あ、あのカズマさん。もしかして毎日めぐみんさんを連れて背負って帰っていましたがもしかして…

 

めぐみんさんはものすごく嫌そうな顔をすると前に向かって歩き出し冒険者達が道を開けた、二人が対峙する位置まで来たので私達はめぐみんさんの後ろに着く、一応セイクリッドウェポンは使用して私の手の中にあるが剣の腕前は精々上の下。剣のみを使う本職には敵わない、デュラハンは資料も少なく弱点もそこまで詳しくはない。どうすれば…。

 

「貴様がそうか、その年で爆裂魔法を使えるのは素直に感嘆するがなぜこのような嫌がらせじみたことをする? 放置しておけば毎日毎日…貴様はなんだ?」

「…っ。わ、我が名はめぐみんっ! アークウィザードにして、爆裂魔法を操る者!」

「…ほう、貴様。その名は紅魔族か。なら爆裂魔法が使えることにも納得できる。ここには調査にあの城へと滞在している。もう二度とあの城に爆裂魔法を使わないなら貴様らと敵対しない。魔に堕ちたが元は騎士だ、敵対せぬものは切らぬし約束は守ろう」

 

それにめぐみんさんは怒りを露にしながら叫ぶ。

 

「調査が何ですか!!! あなたがあの城に居座っているせいでこちとら仕事が全然ないんですよ! こちらには対アンデットのスペシャリストがいるんですからね!」

 

とめぐみんさんは私に丸投げする。まぁ元々そのつもりでしたが。

と私はめぐみんさんよりも前に立つ、そして構えた。するとデュラハンはまじまじと私の方を見てほう…と声を上げる。

 

「アークプリーストか、対策も取っているしこの街の低レベルのアークプリーストに後れを取るつもりはなかったが…これは」

「-ッ!」

 

不意に警戒が解け、私から少し視線を逸らした瞬間。私はデュラハンに右手を向ける。

範囲を最小限に…! 威力と濃度を上げる…!

 

「『セイクリッド・ターンアンデット』!!」

「むっ!」

 

私がそう声を上げると同時にデュラハンが大きく馬ごと体を逸らす。そしてジュッという音と共に肩に僅かながらのダメージを与えた。くっ…かすっただけですか…!

 

「・・・」

 

デュラハンはその肩を見つめぐるりと回し何かをぶつぶつと呟く、すると肩は黒い瘴気のようなものが現れて肩の傷が治った。

 

「・・・不可解だ」

 

デュラハンは首をわずかに傾ける。

 

「確かに私は神聖魔法に弱い、だが魔王様の加護により神聖魔法に対して強い抵抗を持っている。だがかすっただけでこのような傷が出来た。この街のレベルでは考えられるほどの神聖さがある。貴様は何者だ? いや、この魔力…貴様は」

 

デュラハンはしばらく何事かぶつぶつ呟いているが先ほどのせいか警戒が解かれていない。先ほどのように魔法を撃つことは出来ないだろう。

そしてデュラハンは固まっている私達を見てニヤリと笑った気がした。

 

「このような神力を持つ貴様にはこれは効かぬだろうが…そうだな、貴様は仲間思いのようだ。ここは一つ、紅魔の娘を苦しめてやろう!」

「-ッ! めぐみんさん逃げて!」

「『我がベルディアの名に置いて命ずる! 汝に死の宣告を』!」

 

デュラハンがめぐみんさんに左手の人差し指を向ける。しかしその瞬間、ダクネスさんがめぐみんさんの襟首を掴みめぐみんさんを自身の後ろに隠した。

 

「なっ! ダ、ダクネス!?」

 

めぐみんさんが叫ぶ中ダクネスさんの体が一瞬赤黒く染まる。そして首元に黒い痣のような模様が現れた。その痣の周りには7つの文字のような跡が現れる。

 

「だ、ダクネス!? 大丈夫ですか!? 痛いところとかないですか!?」

「お、おい! 大丈夫か!?」

「か、体は何ともないが…」

 

ダクネスさんは自らの両手を握りなおしながら答える。

 

「多少予定が狂ったが貴様らはこのような方法が利くだろう。その女騎士は一週間後。その文字がすべて消えた時に死ぬ。その呪いを解きたければ私を倒すほかない。ブレイクスペルなどで破壊すればそいつの命すら破壊される。私は城の最上階で待っているぞ。ではさらばだ」

 

とデュラハンはマントを翻し去ろうとする。

 

「逃がすかァッ!」

 

その瞬間カズマさんがショートソードを抜いて、ベルディアに迫る。無理ですカズマさん! むやみに近づいては…!

 

「『次元歩法(ディメンジョンムーヴ)』」

 

カズマさんがデュラハンを切ろうとするとき、デュラハンの姿がぶれ。剣が外れる。

そしてカズマさんは腕で軽く払われた。

 

「ぐぅっ!」

「…仲間の危機に即座に行動にうつれる勇気は認めよう。だが、貴様では実力不足だ」

 

そういいながら今度こそデュラハンは去っていった。

 

 

突然のことに私達は動くことは出来なかった、するとめぐみんさんが青い顔をしながらふらふらとどこかへ向かおうとする。

 

「おい、どこへ行く気だ。何をする気だ」

 

軽く痣の出来た顔をさすりながらめぐみんさんの肩を掴む、めぐみんさんはそれに抵抗するように足に力を込めながら振り向かずに言う。

 

「こ、今回は私の責任です。わ、私が城まで行って。あいつを倒してきます。だ、大丈夫です。爆裂魔法があればすぐに倒せますよ」

「…強がるなら足の震えを止めてからいえ…人のことは言えないが」

 

そういうカズマさんの手は震えていた、私の手も震えている。

恐怖、動けなかった自分自身への怒り。様々な感情が渦巻く。

 

「だが、行くなら俺も行く。あれが幹部の城だって気づかなかった俺もマヌケだし、お前なら雑魚に魔法を使って終わりだからな」

「…私ももちろん行きますよ。私がもう少ししっかり動けていたら今回のようなことにはならなかったかもしれません」

「ふっ、私ももちろん同行するぞ。自分のことだしな」

 

私達がそう結束を高めていると横から声がかかる。

 

「待ちな」

「お、オルガさん…?」

 

振り向くとオルガさんとエルーンさん、そして緑ジャケットを着た鉄華団の面々がそろっていた。

 

「今から行くのは危険だ。装備やアイテム、それにレベルも圧倒的に足りてない」

「で、でもオルガさん。早くいかないと」

「だが急いで行っても犬死するだけだ。あと7日はある、その間にするべきことがあるだろう?」

「するべきこと…?」

 

私達が声を上げるとオルガさんは二カッとした笑みを浮かべて言う

 

「これから四日間、一気にお前らのランクを上げる」




オルガ兄貴、まさかの師匠枠

そして物語の大型改変、ベルディアの強キャラ感アップ、カズマさんの勇者の片鱗
城への冒険。色々とどうなるのか楽しみですね。

この展開へもっていくためにブレイクスペルの対策として高ランクの死の宣告を使用したということにしました。最初アクアはブレイクスペルを忘れていたって設定にしようと思ったけどそれだとアクアが戦犯過ぎるのでこういうことに


次回は修行編からベルディアの城突入まで行けたらいいかなと


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修行、そして城へ

二週間ほど放置して申し訳ありません。
ちょっとダンまちの一話短編物を書いてまして…
そして先週はちょっと土日両方とも遊んでまして遅くなっていました。

オリジナル展開は難しい。
ベルディアの城編は多分2~3話で終わると思います。
そして一巻のエピローグでいったん連載は終わるかも、別のも書きたいので


「力任せに振るなと言ってるだろう! 力で振るのではなく体を使って振れ!」

「はい!」

 

私はエルーンさんと打ちあうカズマさんを少し離れたところからオルガさんと眺めていた。

エルーンさんは刀を使い片手でカズマさんと打ちあっている。カズマさんはぎりぎりといった表情だがエルーンさんは余裕といった表情だ

 

「エルーンさん、とてもお強いですね…」

「元々はルーンナイトって言うルーン魔術を使う騎士だったんだが今はソードマスターになっている。ルーン魔術による応用が利く最高の攻撃力を持つ剣士だ」

 

ルーンナイトはルーン魔術という特殊な魔法を使う剣士だ。

ルーンによる身体強化を使い戦う特殊な騎士だ。魔術をメインに使うが剣術に長けておりそれでソードマスターの攻撃力が重なればかなりの戦力となるだろう。

 

 

「だいぶレベルも高そうですね」

「あぁ、少なくとも40は超えている。俺と出会った時から強かった」

「そういえば元はオルガさんとパーティを組んでいたんでしたっけ」

 

オルガさんは職業冒険者であり。一人では厳しいと早々に仲間を集め、その時に来たのがエルーンさんだったらしい。その時点でだいぶレベルが高かったらしいがなぜ仲間になってくれたかはいまだに教えてくれないとか。

 

「ここまで!」

「…だぁっ!」

 

エルーンさんが剣を下ろすとカズマさんが息を吐いて腰を下ろす。私としてはすぐにでも駆け寄っていきたいところだけど…

 

「おい、少し乱れているぞ」

「あ、す、すいません」

 

オルガさんに言われて手の中にある魔力の球体の形を元に戻す。今私が行っているのは魔力の制御、これの目的は魔力の質の向上を上げることが目的で同じ魔力で威力がかなり変わる。

 

「にしても驚いたなぁ…まさか女神さんがこっちの世界に来ているとは思わなかったぜ」

「色々ありまして…実は…」

 

 

 

 

 

 

 

「…ほぉん、そりゃ大変だったな。でも後悔はしてなさそうだ」

「そう…ですね、辛いことも多いですが楽しいことも多いです。ダクネスさんには悪いのですが…私、すごくワクワクしてるんです」

 

こういうことを思ってはいけないのに…冒険心というか。ワクワクしてしょうがない、ダクネスさんは苦しんでいるかもしれないのに…

 

「いいんじゃねぇの、どうせ冒険者なんて死ぬか生きるかだ。ダクネスってやつもそれは覚悟してるだろ」

 

オルガさんはそうなんでもないように呟くと二ッと笑う

 

「ま、最高の結果にするためにこうして頑張ってんだ。おらっ、次の段階に行くぞ」

「…はいっ!」

 

 

 

 

私は魔力、カズマさんは戦闘技術のように足りないものを伸ばしたり元から高いものを上げたりとめぐみんさんとダクネスさんもそのようにしているようで内容は分からないが時折オルガさんに報告が来る。

 

「そういやぁ女神さん…いや、アクアって呼んだ方がいいんだったか。アクアも剣を使うって言ってたか?」

「あ、いえ。基本は弓を使っています。けど今回は剣を使った方がいいかと」

「複数の武器を扱えるってわけか、じゃあちっと模擬戦でもしてみるか?」

 

そういってオルガさんが武器を取り出したので私も了承してセイクリッドウェポンを取り出す。

その後、数回打ち合ったがオルガさんもかなり強かった。ソードメイスって言うかなり重い武器だったし。剣なのかハンマーなのか分かりませんでしたがオルガさんに合った武器だと思います。

 

そして修行最終日

私たち全員のレベルが10以上上がりました、前よりもだいぶ強く成れたと思います。

ただカズマさんがオルガさんに一つ何かのスキルを教わったようで何度もそのスキルを練習したと言ってました。

 

「今日で終わりだ、明日はしっかり休んであのベルディアってやつに挑むぞ」

「はいっ!」

 

疲れてボロボロになったので共同浴場に入りギルドで遅めの夕食を取っていた。

 

「いよいよか…」

「ふふふ…爆裂魔法のコントロールもだいぶ上がりましたよ。これなら室内でも撃てます…!」

「とりあえず明日は体をしっかりと休めましょう、いざというときに動けないといけませんからね」

 

 

そしてこれまでの修行内容について話していると出入り口がざわざわし始め、視線を向けるとボロボロの装備を着たミツルギさんがいた。

 

「見つけました、アクア様」

「…ミツルギさん」

 

私達がミツルギさんを見て思わず身構えるとミツルギさんは魔剣グラムを私の前に置き、膝を地面につけた。

そしてそのまま額に頭を打ち付けるように土下座をする。

 

「サトウカズマ、今までの無礼な行動を謝罪する…! すまなかった…!」

 

突然の謝罪に面食らっているとミツルギさんはさらに言葉を続ける。

 

「グラムを失い、戦い始めてから気づきました。俺はずっとグラムに頼りっぱなしだったということに…普通の剣でこれまで軽く倒していた相手に苦戦してこのざまです」

「今更虫が良い話だとは思います。ですがデュラハンの話を聞いて、居ても立ってもいられませんでした…どうか、俺にもう一度チャンスをいただけませんか…!」

 

後ろを見てみると彼を見守るパーティらしき人物が様変わりしていた。盗賊らしき男性、弓兵らしきエルフの少女、魔術師らしき女性。前の二人はいなくなっていた。

 

「グラムは…もう必要ありません、勝手ですがお返しします…」

「顔を上げてください」

 

私はゆっくりと語りかけるとミツルギさんは何を言われてもよいという覚悟を決めた顔をしながら上げる。

彼が戻って来た時点で回答は決まっていた。正直期待以上の態度で驚いたのも大きいけど。

 

「…今度は信じさせてくださいね」

「………ハイッ!」

 

ミツルギさんが再度カズマさん達に謝り、オルガさんに自己紹介などを済ませる。

翌日は特筆することはないがオルガさんが装備品やアイテムを集めてくれており、それの分配をしてくれていた。

私にも籠手のようなバックラーをいただいた。

 

そして当日

 

私達の前にオルガさん、隣にはエルーンさんが立っていた。私達の周りにはミツルギさんや他の鉄華団の人達がいる。

 

「明日俺達はベルディアの城へと向かう」

「会ったやつは知っているだろうが、ベルディアは強い」

「それに確実に罠があるだろう、だが俺らは罠ごと噛み砕くまでだ!」

「鉄華団の初の大仕事だ! カズマ達をしっかりとサポートしろよ! 覚悟はいいか!」

 

『オォ!!!』

 

「よぉしおまえらァ! 気ィを引き締めていくぞォ!」

 

私達はベルディアの城へと向かった.




ミツルギさんの救済、ちょっと無理やりですが…君も…君も仲間にしたかったんや…
でもクレメア、フィオはリストラです…もしかしたら出てくるかもだけど…

次もちょっと遅くなるかもです。

あとオルガ団長ちょっと使い過ぎかな、兄貴キャラは使いやすくてついつい使いやすいから使ってしまう。


・カズマ
全体的なステータスアップ、新スキルをいくつか。勇者力アップ
・アクア
魔力の質向上、剣術も少しアップ
・めぐみん
魔力操作向上、建物内でも爆裂魔法が可能に(ただ普通に倒れる)
・ダクネス
防御力超アップ、僅かに剣技アップ

・ミツルギ
戦力超低下、精神面アップ。誠実さアップ
・ミツルギの仲間
ガギル(盗賊)フィーリ(エルフ)ノイン(魔術師)


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攻城戦

お、お久し振りです…


「…来たか」

 

ここはベルディアが滞在している廃城。下が騒々しくなってきたことに気付き、表情を変えずにほくそ笑む。玉座に座りながら、待つ。

 

「来い、冒険者ども…私を楽しませてみせろ」

 

ベルディアが指を鳴らすと床から骸骨の兵士がわらわらと現れ、剣や槍や弓を持ち体をゆらゆらと揺らしながら一目散にと下へと向かっていった。

 

「クックック……フハハハハ...ハーッハッハッハ!!」

 

 

 

 

 

 

『うおおおおおおおおおおっ!』

 

門を開けた途端、奥の方から骸骨兵士がこちらへと駆け。冒険者達は武器を抜き骸骨兵へ応戦する。

武器による金属音や魔法による爆発音が各所から鳴り響いている間を私達は駆けていた。

 

「こ、これからどうするんですか!?」

「お前達は戦うな! 俺達が道を切り開く! 傷一つ付けるんじゃねぇぞ勇者!」

「言われなくとも!」

 

ミツルギさんとオルガさんが前に道を切り開いて後ろをミツルギさんの仲間とエルーンさんが私達を挟む形になりながら上階を目指す。私も弓を強く握りしめ遅れないように走る。

 

「ぐぅっ!」

 

その瞬間、私の隣にいた獣人の男性が骸骨兵に切られ負傷した。

 

「ロージガさん! 『ヒーr』」

「足を止めるなぁ!」

 

オルガさんの声が響き、びくりと体を跳ねさせた。その瞬間、背中に手を当てられる。

 

「俺は大丈夫だ! 先に行け!」

「私が治しますから先へ! 『ヒール』!」

 

獣人の男性にそう背中を押され、間に入ったプリーストの女性が彼にヒールをかけた。

再度私はエルーンさんに連れられ大広間の階段へと向かう、それにしてもミツルギさんもオルガさんも敵を蹴散らしながら走っているのに全く疲れた様子がない。相当鍛えてきたのだろう。

後ろで走っている彼らの仲間も多少息は荒いが表情は変わらない。

 

戦闘が行われている大広間を抜け、階段を駆け上がると先ほどまであんなにいた骸骨兵の姿が見えない。その代わり、二体の大きなミノタウロスが大きな斧を持って立っていた。

 

「デスゼィガガラビザルバグゴソバロボレ」

「ビガラサパボボゼギブボドビバス」

 

そう言葉のようなことを言うと斧を振り、構える。

私達が武器を構えようとするとミツルギさん達が前に出て武器を構える。

 

「ここは僕達に任せてくれ、君達は先に。少しだけ隙を作る」

「…分かった、行くぞ」

 

私達の前に出るミツルギさんの顔は今までよりもしっかりとした『勇者』の顔になっていた。持っている武器もグラムではない、前よりも確実に弱くなっている。なのに大きく見える。

私は自然と笑顔になっていた、剣を構えるミツルギさんに声をかける。

 

「…無事にみんなで帰りましょうね」

「ええ…必ず戻ります……行くぞ! 『踏み出せ、勇者となる一歩を(ヴォルスンガ・サガ)』!!!」

 

ミツルギさんが剣を振るうと大きな衝撃波が飛び、ミノタウロス達を襲う。かなり威力が高いのか二体ともよろける。

 

「今だ!」

「そっちは任せたからな!」

「悔しいが今のお前かっけぇよ!」

 

オルガさんとカズマさんの激励を受けミツルギさんはサムズアップで返す。それに二人もサムズアップで返した。再度先へと進むと一本道で敵の様子はまるで見えない、まるでこちらへと誘っているかのように

 

「全く敵が見当たりませんね」

「誘われているのでしょう…団長、カズマくん。敵感知に反応は?」

「俺は分かんないっす」

「ちーっと先に何かいるな、ベルディアとは違う感じがするが」

 

オルガさんがそういうので私も敵感知に近い魔力探知を使ってみる。

するとベルディアがいる少し前に何かがいた。えっと…

 

「この魔力は…ガーゴイル?」

「ガーゴイル、石像の魔物か…少し面倒だな」

「それもだいぶ強そうです…悪魔レベルはありそうな…」

 

そういって先へと進むとそこにはガーゴイルが鎮座していた。しかしこれは石像と言うよりも…

 

「ロボットじゃねぇか!?」

 

カズマさんの叫び声が聞こえる。そう、見た目はまさしくロボット。前世の知識である『ガンダム』と言うものに少し似ている気がする。ガーゴイルはゴリゴリと石をするような音を鳴らしながら身の丈はある大きなメイスを取り出した。

 

「…我が名はバルバトス。悪魔、バルバトス。ベルディア様の命により貴様らを抹殺する」

 

ガーゴイル…バルバトスが名乗りを上げた瞬間、オルガさんがピクリと反応した。

表情を見ると眉間にしわを寄せており、怒りに顔を歪めている。

 

「…ここは俺がやるよ。エルーン、ついてきてくれるか?」

「団長………ハッ! ついて行きます!」

 

オルガさんはソードメイスを大きく振り、切っ先をバルバトスへと向ける。

 

「…その名はな、お前のもんじゃねぇ。お前が名乗っていいもんじゃねぇんだ。あぁ、分かってる。これがただの八つ当たりだってことはな」

 

そのソードメイスを地面に叩きつけ。

 

「だが、必ずお前をぶっ潰す」

 

その瞬間、オルガさんはバルバトスの目の前にいた。

 

「『菖蒲水仙(アヤメスイセン)

 

ソードメイスを叩きつけるとバルバトスの頭部に花のような形をした衝撃波が走り。バルバトスを壁へと叩きつける。

 

「俺は一度死んだ、今まで担いでいた物もなくなった。かついでる時には気づきはしなかったが全部手元からすべり落ちた時、俺は空っぽになった。こっちに来た時もう二度と担ぎはしねぇと思っていたが…気づいたらまた、担いでた」

 

オルガさんはそういうとソードメイスを肩に担ぐ。

 

「鉄華団は俺達の帰る場所だ、例えもう二度と会えない奴だろうとな…だから、その名を汚すような真似は許さねぇ」

 

するとオルガさんは先に行くように私達を促し、私達はそっちへと向かう。

 

「オルガさん! 無茶はしないでくださいね!」

「そっちもな! 必ず帰るぞ…全員でな! だからお前らはベルディアの所へと走るんだ…止まるんじゃねぇぞ!」

 

ガーゴイルの扉を抜け、いるのは私達四人。私も含めてみんなの表情は硬い。

少し先へと進むと扉の前と着いた、思わず足が止まる。カズマさんは私達の顔を見て、私が頷くと大きく息を吐くと扉へと手をかける。

 

「…まさかな、俺が魔王幹部と戦うことになるなんて思わなかった。冒険者になっても細々と冒険者を続けて遠くで幹部が倒されたって言うのを人伝に聞くぐらいだろうと思っていた」

 

カズマさんの言葉を私達は言葉を挟まず聞く。

 

「…だからか、昨日は手足が震えるし吐いたし怖くて怖くて仕方がなかった。逃げ出したいと何度も思った…でも逃げようとは思わなかった」

 

カズマさんの手が僅かに震える。

 

「まだパーティー組んで短いけどさ。俺、だいぶお前らのこと気に入ってるみたいなんだ。こんな頼りない俺について来てくれてサンキューな…」

「…カズマ、なんで今生の別れみたいなことを言ってるんですか。私達はこれからですよ。これが私達の伝説の第一歩です!」

「その通りだ、呪いにかけられた事なんて屁でもないぞ! 私達はこれからもっと強くなるんだからな!」

 

めぐみんさんとダクネスさんがカズマさんの背中に手を置く。私はカズマさんの手に自らの手を重ねた。

 

「カズマさん、カズマさんは一人ではありません。私達がいます、なので存分に頼ってください。こう見えて私達結構強いんですよ?」

 

そうやって微笑む。重ねていたカズマさんの手はもう、震えていない。

 

「よし…行くぞ!」

 

カズマさんが扉を開けるとそこには玉座に鎮座したベルディアがいた。

ベルディアは私達を視認すると立ち上がる。

 

「来たか…待ちわびたぞ…!」

 

ベルディアが右手をかざすと紫色の炎が収束し、大きな剣となった。それを引き抜き、大きく風を切り裂きながら振るう。

 

「来い、冒険者ども。私を楽しませろ…!」

「行くぞ!」

『はい(ああ)!』

 

カズマさんが剣を抜いてベルディアへと駆けた。




最近感想が来て嬉しかったので投稿しました。
感想来るとつい書きたくなってしまいますね。

次回もいい感じになったら投稿します。


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対 ベルディア戦

久し振りです、コメントが来たので書いてみました。


剣戟の音が響く。

だが打ち合っているというよりはカズマが何とか食らいついているといった方が正しいだろう。カズマは冒険者と言っても剣を持ってまだ半年も経ってない。

それでもなんとついていけているのはダクネスの存在もある。

カズマに剣が迫ると同時に間にダクネスが入り剣を受け止め、その隙間からカズマが剣をベルディアにぶつけていた。だが性能差によるのかロクなダメージが入らない。

 

「くっそ…」

「どうした? その程度か冒険者!」

「危ないカズマっ!」

 

めぐみんは少し離れたところで爆裂魔法のタイミングを見ている。アクアは右手に聖属性の魔力で構成した刀身。カズマと同じロングソードを左手に持ち、右手を構えた。

 

「『セイクリッド・ターンアンデット』!!」

 

ダクネスが間に入れない時はアクアが魔法で攻撃を中断をし、時折剣による攻撃にも入るがすぐにめぐみんを守るために中衛に下がる。

怪我は負っていないが有効打も与えられていない。カズマとダクネスに疲労だけがたまっていく、対するベルディアは疲労らしきものも溜まっている様子はない。

アクアは過去読んだ文献から必死にベルディアの弱点を検索していた。

 

(首なし騎士 デュラハン 死を予言するアンデッド 妖精として扱われるこもとある 乗っている馬はコシュタ・バワー…そういえば…。)

 

「闇より出でて 闇より黒く その怨敵を 薙ぎ払え…『暗黒剣』」

 

ベルディアの剣が黒い炎のようなものを纏う、見るだけで威力が高いことがうかがえる。あれではダクネスでも防ぐことは出来ないだろう。

アクアは右手を銃のようにして構えた、指先には水が高速で回転しながらその場にとどまっている。指の先はベルディアを捉えていた。

そしてその剣がカズマの間に入ったダクネスに迫る、ダクネスもこれは防げないと察したのか顔が強ばった。

 

「『セイクリッドクリエイトウォーター』!!!!!」

 

アクアの指先から高速の水弾が発射される、その水弾はベルディアの片腕を撃ち抜いた。ただの水弾だがこれまでのどの攻撃よりもベルディアはダメージを受けており、暗黒剣は外れ地面へと突き刺さる。

 

「ぐぅっ…」

「…?」

 

カズマはその様子を見ると何かに気付いたかのように両手で握っていた剣を右手の片手持ちに変更する、訓練はしていたから片手持ちでもパフォーマンスは落ちない。

剣をベルディアを当てる寸前、左手を剣を当てる部分へと向けた。

 

「『クリエイトウォーター』」

 

そのまま剣を振り下ろす、すると今までと違う手ごたえをカズマは感じた。切り裂いたといったほうがいいのかもしれない、カズマの剣は鎧を軽く切り裂きベルディアのは軽くうめいた。今までと違う感覚にカズマは気づく。

ベルディアは水に弱い、聖属性を纏ってないこの水でも大きなダメージを与えれた。

 

「弱点は水かっ! それなら…!」

「アクアっ、大きな水魔法をっ…!」

 

アクアに水魔法を頼もうとダクネスが振り返る。

その瞬間、視界からダクネスが消えた。

 

「!?」

 

カズマの眼前には剣を振り切った体勢のベルディア。

近くの壁からものが激突する音が聞こえカズマ達はその壁へと視線が吸い寄せられる。確認するとダクネスが壁に叩きつけられていた、思わず全員の足が止まる。

 

「よそ見とは余裕だな」

「しま…ッ!」

 

眼前に迫っていたベルディアからの一閃、カズマは何とか間に剣を挟み込んだがその剣はへし折られ。地面を2、3度バウンドしアクアの足元に転がる。

 

「が…アァッ…ッ!」

「カズマさんッ! くっ、『ヒール』!」

 

高い能力を持つアクアのヒールによりカズマの傷は治るがカズマは尋常じゃない汗を流しながら右手を確認した。

 

「腕…あるな…ッ? 体…欠けてないな…?」

 

剣を間に挟んでいなければ間違いなく上半身と下半身が分かれていた。いや、むしろ挟んでも五体が残っていたのが奇跡に近い。砕けた剣が衝撃を吸収してくれたようだ。

いままでの剣が嘘のように鋭くなった、恐らく手加減していたのだろう。

 

「私の弱点を知ったようだな、ならばここからは本気を出そう…ッ!」

 

そうだ、ベルディアは片腕に頭を抱えている。その頭をガキリッとはめ込んで両手で剣を構えた。

その瞬間溢れ出す闘気、先ほどまでとは圧が違う。カズマは自らの心が軋む音が聞こえた気がした。

呼吸が乱れる、体が震える。立ち上がれない…力が入らない。アクアが支えようとはしてくれているが体に全く力が入らなかった。ベルディアはゆっくりとこちらに歩いてくる。

 

「これで終わりか…? だとしたら興ざめだ…」

 

動けない

 

殺される

 

死ぬ

 

ベルディアは剣を上段にゆっくりと構える。アクアがかばおうとしてくれているがカズマは動けない。

 

死n

 

「…るぁあっ!!!!」

 

ガキンと言う音と共にダクネスが目の前にいる。鎧はひしゃげており顔色もあまりよくないが震えながらもベルディアの剣を受け止めていた。

 

「ぐ…うぅ…!」

「ほう、まだ立つか…だがもうまともに戦えないだろう」

 

ダクネスの剣は遠くに弾き飛ばされておりダクネスは両腕で何とか剣を受け止めていた。

刃が触れている肩は鎧と服を切り裂き血がにじんでいる。

 

「アクア…カズマを連れて逃げろ」

「ダクネスさんは…」

「大丈夫だ、お前達が逃げるまでの時間は稼げる」

 

ダクネスは不敵な笑みを浮かべるが汗を大量に流しており受け止めている腕は震えている。

あまり長く持ちそうではない…ダクネスは死ぬ気だ。

 

「私は騎士だ…仲間は…必ず守るっ!」

 

カズマの体の震えが消えた。その瞬間、アクアは抱えていたカズマの体重が消え。左手に持っていた剣もなくなっていた。

 

「うおおおおおおおおおっ!!!」

 

カズマだ。

カズマがアクアが持っていた聖属性の魔力剣を手に持ちベルディアへと切りかかったのだ。

ダクネスを後ろに下がらせてベルディアに剣を叩きつけた、流石に聖属性の剣は生身で受け止めるわけにはいかないのか剣を振り上げて止める。

 

「…謎だな、さっきまでの貴様は完全に心が折れていた。なぜ立ち上がれる? なぜ剣を取れる?なぜ振るえる?」

 

先ほどまで震えていたカズマは目に力が戻り剣先も震えていない。

カズマは自分を奮い立たせるように叫んだ。

 

「意地があんだよ! 男の子にはなあッ!!」




ちょっと考えてみた。
頑張れば次回で終わるかな。

これR作品なんだよね…?


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決着

久しぶり


「うおおおおおおおおおっ!!!」

 

金属音を鳴り響かせながらカズマはベルディアへと迫りながら剣を振るう。防がれてはいるが先ほどとは気迫が違う。ほんの僅かだがベルディアも気圧されているようだ。

 

「(…先ほどまでとは剣の勢いが全く違う、何がこいつを変えた?)」

「おらぁっ!」

「(…攻撃に時折『渾身』や『切り返し』が混ぜられている、ただ闇雲に突っ込んでいるわけではない…そして)」

 

「『パワード』『スピードゲイン』『プロテクション』…」

 

「(後方からこの冒険者に向かって支援魔法をかけ続けているアークプリースト、魔力の質が普通のアークプリーストとは違う…なんだ…この魔力は…これはまるで…)」

「はぁっ!」

「…っ!? チッ!」

 

ベルディアは眼前まで迫った剣を弾く、考え事をしていたせいで少し意識がそれたようだ。ベルディアは頭を振って思考を正す、戦いの最中にこれ以上の思考は無粋だと。

アクアはそのまま傍で膝をついているダクネスにもヒールをかけている。

めぐみんはさらに後ろでずっと気を伺っており何かを待っているようだがアクアの魔力が埋め尽くされておりめぐみんの魔力が読み取れない。

 

「あぁっ! 本当につえぇな! 駆け出しの俺らみたいなのが戦う相手じゃねぇな!」

 

だが諦めている様子は一切ない、むしろ剣戟は強くなっている。するとカズマは右手に持った剣を大きく振りかぶった。来るか、とベルディアが剣を低く構えるとカズマが叫んだ。

 

「アクアァッ!」

 

そういうとカズマは振りかぶった剣を…投げた(・・・)

 

「ぬっ!?」

 

ベルディアは虚を突かれるが流石の幹部、低い位置に構えた剣の腹を膝で蹴り上げ。切り上げるように剣を弾いた。

器用に後方に剣を飛ばし、カズマへと向き直る。

 

「自ら武器を捨てるとは愚かな!」

「に見えるよなぁ!?」

「『セイクリッドソウル・バスターソード』!!!!!」

「何ッ!?」

 

カズマはそのまま体を回転させながら両手を剣を持つように構える。するとカズマの手元が光だし巨大なバスターソードが現れた。

重そうにしているがアクアの支援魔法のおかげか持てるようで体を回転するように振り回した。

ベルディアは焦るが何とか剣を合わせるのが間に合い、剣を受け止める。カズマは押しきろうとするが純粋にレベルが足りないのか押しきれない。

 

「ダクネス!」

「あぁっ!」

 

するといつの間にかそばにいたダクネスが吹き飛ばされた剣を拾い。カズマのバスターソードに打ち付け、ダクネスの力でベルディアの剣を押しきる。

 

「くっ!」

 

二人に押されたベルディアはこのままだと剣が弾かれると思ったのか、剣を流しながら後方へと跳んだ。

するとカズマは想定通りと言ったようにニヤリと笑い、叫ぶ。

 

「今だめぐみんっ!」

「はいっ!」

 

すると後方にチリっと感じる魔力反応、ベルディアは後ろを振り向き驚愕の声を上げた。

 

「これはっ!?」

「熱き波濤を受けてみろ! 『エクスプロージョン』!!!」

 

ベルディアの背後に現れる小規模な炎球の爆破、訓練しためぐみんの小規模の爆裂魔法だ。

カズマとダクネスは後方へと下がりバスターソードを捨て新たにロングソードを生み出してもらい手に持つ。

 

「ぐあぁっ!?」

 

背中に爆裂魔法を受けるベルディア、だが範囲を絞ったことによりクリーンヒットせずベルディアの背中に大きな衝撃が走るが致命傷へは至っていない。めぐみんがダウンすると同時にカズマが走り出しベルディアの下へと剣を構える。

 

「ぐっ…舐…めるなァッ!」

 

膝をつきそうになったがベルディアだが気力で持ち直し、カズマに向かって剣を投げつけた。

カズマも流石にベルディアが剣を投げるとは思ってなかったのか顔を驚愕に染める。だが即座に覚悟を決めた顔をして左手を前に出し、迫る剣から目をそらさず。

 

自らの腕で剣を受け止めた(・・・・・・・・・・・・)

 

「ガ…アァッ!」

「カズマさん!! 『セイクリッド・ハイネス・ヒール』!」

 

ベルディアの剣を受け止め、流したがカズマの左腕が半ば千切れかけるほどの傷を受けた。アクアの回復魔法で元には戻ったがカズマの額には汗が浮いてる。

だが足は止めずにベルディアに向かって剣を振るう。

 

「これ…でっ! 終わりだァッ!」

「ちぃっ! 『次元歩法(ディメンジョンムーヴ)』!」

 

ベルディアの姿がぶれ、残像のように後ろへと下がりカズマの剣が空を切る。

だがカズマの目は死んでいない。カズマは剣を中腰に突き刺すように構え踏み込み、とあるスキルを発動させた。

 

「『瞬間加速(イグニッション・ブースト)』」

 

ドンッ

 

という音と共にカズマが加速する。

瞬間加速(イグニッション・ブースト)

エルーンから教わった3秒だけ高速で移動できるスキルだ。

カズマの脳裏に浮かぶのは初めてベルディアと出会った時のこと。

あの時は何も出来ず、持っていた剣を振るい簡単に避けられたあの時。

 

だが、あの時とは違う。カズマは剣を強く握り叫んだ。

 

「今度は逃がさねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

ベルディアの胸部にカズマの剣が突き刺さった。




多分、次の次ぐらいにR話になるよ。

残業と休日出勤が辛いよ。

でも次投稿出来るように頑張るよ


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ベルディア 討伐

お待たせ、女神周りの話を考えてたら少し長くなりました。


からん…っとベルディアの投げた武器が地面を転がる音が静かな部屋に響く。

誰も喋らず、剣を刺したカズマもベルディアも何も言わない。

 

「・・・」

 

やがてベルディアはゆっくりと突き刺された剣をゆっくりと掴み、カズマに問う。

 

「…冒険者よ、名を聞こう」

「…カズマ。冒険者、サトウカズマだ」

「…そうか」

 

ベルディアが手をかざすと投げられた剣が闇に溶け、再度手の中に剣が現れた。

その剣を大きく振りかぶる。

 

「カズマさんっ!!」

 

アクア達が急いで駆け寄ろうとするがカズマは避けようともせずその場に立っていた。ベルディアは振り上げた剣をカズマの横に突き刺す。

 

「よき…戦いだった」

「…こっちは二度とごめんだよ」

「ふっ…そう…か…」

 

ぱたっ、とベルディアの手が地面へと落ち。溶けるように消滅した。

カズマはゆっくりと起き上がると残ったベルディアの剣を手に取る。すると剣は変化していき黒い刀へと変わった。その刀を抜くと刃を見つめながら呟く。

 

「…【冥】って言うのか…お前は」

 

そういうとカズマはいつの間にか腰に差してあった鞘にその刀を納め。アクア達の方に振り向く。

 

「…帰るか!」

「…はいっ! …あれっ?」

「アクアっ!?」

 

アクアはそう言って扉の方を向くがふらりと体勢を崩し、駆け寄ったカズマに抱き留められた。すぐにダクネスが駆け寄り額などに手を当てる。

 

「怪我はないのにどうして…」

「お、恐らくマインドダウンの重症化だと思います。支援魔法やら回復魔法をあれだけ使用してもすぐに倒れないのは凄いことですが…とりあえずは休んでいれば問題ないと思います」

「そ、そうか…とりあえず俺が背負っていくよ」

「ではめぐみんは私が」

 

そうしてカズマ達は部屋を後にした。残した仲間に勝利を報告するために。

 

 

 

 

 

 

…なんだか…ふわふわする。

立っているのか分からない、でもなんだか…懐かしい…?

 

その瞬間、意識がはっきりする。

 

「…あれ」

 

視界に入るのはどこかの一室。

どこかのマンションの一室のようで部屋には生活感のある様子が見て取れる。

だがアクアは唖然としたように呟いた。

 

「ここ…私の部屋だ…」

 

記憶がなくても理解できた不思議な感覚、ここが自分の部屋だと確信が持てた。

何がどこにあるのかは全く理解できないが何故かそう、理解した。

 

「ん~誰か来た? ここって誰か来るの?」

 

しばらく立ち尽くしていると黒い髪を後ろに縛って眼鏡をかけた女性がいた。

特に特徴もなさそうな普通の成人女性、でも私には分かる。彼女は私だ(・・・・・)

彼女はジャージ姿で背中をぼりぼり掻きながら私の姿を見ると驚く。

 

「あれ? 私がいる、なんで?」

「やっぱり…私…なの?」

「んー何か繋がっちゃったのかな? まぁいいわ、転生の影響で知らないようだし説明してあげる」

 

彼女、恐らくアクア本体だろう彼女に話を聞くと以下のことがわかった。

・転生することにしたが私(アクア)にあこがれを持っていた

・特典として元の世界の自室に似た空間を貰った

・そしたら今度はアクアが羨ましいと思った

・互いに入れ替わりたいと思った

・そしたら何かのエラーなのか入れ替わって転生し、私の記憶は飛んでいた

 

「まぁこんなところね、何か質問ある?」

「えっと…入れ替わったことに関しては何もないのですか?」

「うわ、私の声で聴くと変な感じ。最初は驚いたけどここはパソコンも漫画も食べ物も好き放題出来るし最高ね! いいならずっとこうして居たいわ!」

 

じゃ、じゃあ…。

 

「この身体…私が好きに使っても…いいんですか?」

「もちろんよっ! その代わり私も好きにさせてもらうけどね!」

 

その瞬間、私の意識は薄れるように消えていった。

視界で驚く彼女の姿は、ちょっと面白いと思っちゃったけど。

 

 

 

 

「…んっ」

「…おっ、アクア。目が覚めたか」

「カズマさん…?」

 

目を覚ますとカズマさんの背中にいた。横にはダクネスさんとマナボトルを歩きながら飲んでいるめぐみんさんがいた。

ダクネスさんからマナボトルを渡してもらい、飲むと全身の気だるさが抜けていきカズマさんの背中から降りる。

周りにはボロボロのミツルギさんやオルガさんがいる。どうやら今は一階の広間に向かっているようだ。

 

「おっ、起きたな姫さん。体調はどうだい?」

「問題ないですよ…魔力を使いすぎただけなので」

 

広間に出ると骨兵士が崩れたのかプリーストに怪我を治してもらっていた。

オルガさん達が現れるとざわざわしだす。するとカズマさんの背中をオルガさんがぽんっと押した。

 

「行ってこい、今回の主役はお前だ」

「お、おう…」

 

カズマさんが前に出るとざわめきが大きくなる。カズマさんはベルディアから手に入れた刀を抜いて上に掲げて叫んだ。

 

「俺達の…勝ちだっ!!!!!!」

『オォオオォォォォォォォォォォォッッッッ!!!!!!!!!!!!』

 

冒険者たちの雄たけびでこの戦いは終結した。

 

 

古城 ベルディア討伐戦

 

参加冒険者 238名

軽傷    131名

重傷     39名

死者      0名

 

 

 

 

 

 

「ふい~」

 

カズマはとある宿にいた。普段の馬小屋ではなくMVPということでカズマ達に紹介された高級宿だ。

少し前まで宴でアクセル全体で騒いでいた。報酬は流石に量が量のために遅くなるらしいが…、普段は冷静なオルガですら酔っぱらって裏路地で吐いていたぐらいだ。

ベッドに寝ころんで天井を見上げ、懐からカードを取り出す。

討伐に記載されたベルディアの文字、ベルディアから継承した【冥】。大幅に上がったレベル。

 

「俺…本当に…魔王の幹部倒したんだなぁ…」

 

実感がわかないわけではない、ただの引きこもりが異世界で魔王の幹部を倒し。あまつさえ勇者扱いだ。

ぶっちゃけ、あのアクアがいなければ俺はこうはなっていなかっただろう…。

そう思い、まだ宴の続く喧騒を聞きながら俺は寝ることにした。

 

 

 

 

………

 

 

……

 

 

 

…寝れん。

 

目を開ける、時間は恐らく真夜中も過ぎた頃。

…全く眠れん、いやまぁ原因は分かってるけど。

と、俺は自らの下半身に目を向ける。そこにはとても盛り上がったカズマさんのカズマさんがいた。

いや知ってるよ、命の危険を感じると種を残そうと~みたいなあれを。

死に掛けたり左腕千切れかけたり命の危険は滅茶苦茶感じたし。でもこれは怒張しすぎだろ。一向に抑えられる気はしないんだけど。

その瞬間、コンコンっと部屋のドアがノックされる。

俺はびくっと起き上がり布団で腰元を隠しながら体を起こした。

 

「だっ誰だ?」

「私です…カズマさん、少しいいですか?」

「あっ、アクアか…あ、開いてるぞ」

「では…」

 

ドアがガチャリと音をあててパジャマ姿のアクアが枕を持ってそこに立っていた。

表情はちょっと恥ずかしそうであり非常に可愛らしい。

 

「あの…その…今まで一緒に寝ていたせいで…なかなか寝付けなくて…その…一緒に…寝てもいいですか?」

 

そう言ってこてんっと首を傾げる。可愛すぎる…思わず「お、おう…」と言ってしまった。

アクアはトコトコと歩いてきてベッドの端にちょこんと座り、俺の横に寝ころんだ。

ふわりと同じ宿の風呂に入ったはずなのに滅茶苦茶いい匂いがする。カズマさんのカズマさんがさらに凄いことになった気がする。

そのまま背を向けて寝ることになったのだがもちろんの如く寝れぬ。

 

「カズマさん…起きてます?」

「え、あぁ…」

「今回のこと…私はふがいなく思っています。もっと私が強ければ…って」

「それは違うだろ…むしろアクアがいなきゃ何人かは死んでる…言い忘れてたけど…本当に助かったよ。アクア」

「違いますっ! むしろ助けられているのは私の方で…!」

 

アクアがこちらに向き、声を少し荒げるが俺もアクアの方を向き優しい声で伝える。

 

「だったらよ…みんな助けられてるってことでいいんじゃないか。俺も、アクアも、ダクネスも、めぐみんも…みんな、助け合ってる。それでいいんじゃないか」

「…ふふっ、そう…ですね…」

 

そう二人で笑う、そうだ…みんな助けあってるんだよ。俺は一人じゃ何もできないし…これからも助けてくれよ。

 

 

 

それで綺麗に終わればよかったのだが…。

距離が近かったのもあるがカズマさんのカズマさんがアクアの足に当たってしまったのだ。

あっとおもったのもつかの間。

 

「あれ、カズマさん…何か…」

「あっちょっ…」

「…」

「あの…ほら、生命の危機になると種を保存するためにみたいな…」

 

と布団を捲られて見られてしまった。途端に真っ赤に染まるアクアの顔…終わった。

これからどう接していけばいいんだ…と思っていたが。

次言ったセリフの俺は意識が飛んだ。

アクアは顔を極限にまで顔を赤くし、震えるような恥ずかしそうな声で言った。

 

「あ…あの…よ、よかったら……わ、私が…お、お手伝い…し、ましょう…か?」




はい、次ようやくRシーンです。
え、R付けているのにR話に入るまでに18話も!?

というわけでまた次も長くなりそうですけど
待ってくださるとありがたいです。


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☆ ボス戦後の高ぶりを

一話からR-18話に行くまでに4年かかる作品あるってマ?


「わ…ぁ…お、おっきい…」

 

アクアはベッドに腰かけたカズマの足の間に入り地面に座り込んでズボンを押し上げる怒張したモノを赤らんだ顔で見つめていた。カズマは恥ずかしそうに自らのモノを見ているアクアを見るとアクアはおずおずと手を伸ばす。

 

さわっと触れた。

 

「ぅ…ぉ…っ」

 

思わず声が漏れた。アクアは不安そうな顔をするがカズマの顔を見ると顔を喜色に染め、カズマのズボンに手をかけた。

ビィンと効果音がつくかのように飛び出したモノがアクアの眼前に現れる。驚くような顔をしたアクアはそっと壊れやすいものに触れるかのように両手で握った。

 

「わぁっ…すっごく…熱くて…すごい…ニオイ…♡」

「あ、アクア…!」

 

そのままアクアは「たしか…」とゆっくりとカズマのモノをしごく。

つたないがカズマはひんやりとしたアクアの手の感触が刺激になっているのか耐えるような声を上げた。そうしているとにちゃっにちゃっとアクアの手から音が出てきてニオイも濃くなっていく。アクアの表情もだんだんと熱に浮かされたようにぼうっとしていった。

 

「はっ…はっ…はっ…♡」

「う…ぐぅ…射精る…!」

「…へ…? きゃっ!」

 

音が出そうなほどカズマのモノが脈動し、カズマは射精した。

飛び出した白濁がアクアの手を超え、顔へとかかる。

射精し少し硬度を失ったモノからアクアは手を離し顔にかかった精液に触れた。

 

「は…ぁっ…♡ すごい…臭い…♡」

「あ、アクア…悪い…すぐに拭くものを…」

 

そう言って何か拭くものがないかと辺りを見渡すとアクアは自らの手にかかった精液を眺めるとソレに舌を伸ばした。

 

「手ぬぐいでいいか…アクア、これを」

「ぢゅるっ ぢゅるるるるっ!」

 

激しく音を鳴らしながら手に着いた精液を啜り、飲み込んだ。離した手から白い糸がつぅっと伸びる。

アクアの顔は完全に情欲に染まっており上気し荒い呼吸を吐いていた。

 

「あ…アクア…」

「ぁっ…おい…し…」

 

はぁっと熱のこもった息を吐くアクアを見た瞬間、カズマは萎えかけていたモノがビキビキと固くなるのを感じた。

 

「あっ...♡」

 

それを見たアクアは妖艶な笑みを浮かべながら顔を再度モノに近づける。

 

「も…もう一度…します…ね…♡ …ん…ぐぷっ♡」

「うっ…!」

 

アクアがカズマのモノを咥えた。熱のこもった未知の感覚に声を上げる。

 

「---ッ! -ッ!!! ん゙ぅっ♡」

 

一方咥えたアクアは突然全身をガクガクと震わせ、顔を蕩けさせた。辺りに情欲を煽るにおいが立ち込める。アクアはそのままゆっくりと頭を前後させた。

 

「ぢゅるっ♡ ぢゅぼっ♡ ぐっぽっ♡ じゅるっ♡」

「ちょっ…アクア…! いきなり…!」

 

アクアはカズマの腰に抱き着き、口淫を続ける。顔は蕩けきっており、漫画なら目にハートが浮かんでいるかもしれない。アクアがギリギリまでカズマのモノから口を離すと喉奥を突くように飲み込んだ。

 

「うあ゛っ…!」

「ん゙ぶぅ…っ!!!」

 

カズマがアクアの頭を自らの下腹部に押さえつけるように抱え込み射精した。今まで出たことないほどの大量射精、抱え込みながら体を震わせ熱をアクアの喉奥にぶつけた。

 

「ん…ん゙ぐっ…ゴポッ…ゴクッ…!」

「やば…! えぐいぐらい…! 出てる…!」

「ごくっ…んっ…」

「…あっ! わ、悪いアクア…! 大丈…」

 

ちゅぽんっと音を鳴らしながらアクアがカズマのモノから口を離す、口の中に残ったのか。もごもごと口を動かし「ごきゅっ」と喉を鳴らして飲み込む。するとアクアはカズマに見せつけるかのように口をかぱっと開けた。

 

「えへ…♡ 全部…飲んじゃいました…♡」

「え…あ…」

 

口の端に垂れる精液を舌で舐めとる姿…着崩れたパジャマ…汗ばんだ白い肌…。

ビキビキと…二度も射精したはずの自らのモノが固くなるのを感じた。それをみたアクアは艶めかしい目を向けながらゆっくりと立ち上がる。アクアは自らのスカートをゆっくりとたくし上げながら言葉を続けた。

 

「カズマ…さんも…まだ…元気…なんです…よね…♡」

 

たくし上げたスカートの中の下着はびちゃびちゃに液を垂らしており、足元には小さな水たまりが出来ていた。

 

「わ…私も…もう…」

「…ッ! アクアッ!」

「あっ♡」

 

カズマはアクアをベッドへ押し倒した、アクアもされるがままベッドへと倒れ込む。

アクアは頬を赤らめながら自らの服の端を掴み、カズマは息を荒くしながらアクアの下着に手をかけた。

ずるりと下着を脱がしベッド脇に落とす、べちゃっという音が静かな部屋に響いた。

 

「...」

 

そろりとカズマはアクアの秘所へ手を伸ばし指で軽くなぞる。

 

ぐちゅっ

 

「ーッ!?」

 

その瞬間ガクンッとアクアの体が跳ね、カズマの手に何かが噴き付けられた。

 

「はーっ♡ はーっ♡...」

「アクア...いま...」

「さ、触られただけで...♡ イッちゃいましたぁ♡」

「...」

 

その言葉を聞いた瞬間カズマは指を二本アクアの秘所へと差し込み膣をかき回した。

 

「お゛っ゛!?お゛っ♡ あ゛あ゛あ゛っ! イ゛っぐううう゛っ♡♡♡」

 

ぐちゃぐちゃと激しい音が鳴りアクアの口から彼女のものとは思えない獣のような声が漏れ、体を大きく反らし秘所から大量の潮が噴き出した。びくんっと最後に大きく跳ねさせると力なく倒れる。

 

「はっ…♡ あぁ…っ♡」

「アクア」

 

カズマは自分のモノをアクアの秘所へとあてがう痛そうなほど怒張したそれは目の前の女を喰らうのをいまかいまかと待っていた。

アクアはそれを見て頬を赤く染めると手をカズマの背中に回し。

 

「きて...ください♡」

 

と囁いた。

その言葉にカズマは自らのモノを押し込む。

ゆっくり進めようとしたカズマだったが最初の少し硬いところを突破した瞬間、濡れ過ぎていたアクアの秘所へ滑るように勢いがつき。

 

どちゅんっ!

 

そのような音と共に自分の腰とアクアの腰がぱぁんっ! と音を立てながらぴったりとくっついた。

 

「お゛っ゛ごぉ゛!?♡♡♡」

 

その瞬間アクアはおとがいを上げながら全身跳ねさせ、身体中を震わせた。

 

「うおっ! アクア締まっ...!」

 

二度も射精していなければ即座にぶちまけていたかもしれないとアクアの絶頂が収まるまで待つ、名器といっても過言でもないアクアの膣は動いてなくてもやわやわと締めてきてすぐにでもイッてしまいそうだ。

 

「お゛っ゛!?お゛っ♡ あ゛あ゛ぁ゛っ♡ あ゛ぇぁっ゛♡」

 

対するアクアずっと腰をガクガクと跳ねさせており絶頂から降りてこられない様が見てとれた。その姿にカズマは思わず腰を打ち付ける。背中に回されたアクアの手はカズマを抱き寄せようと強くなった。

 

「あ゛っ゛♡あ゛あ゛っ゛カズマさっ! きすっ♡ きすしてくだ...あ゛っ゛♡」

「…ッ!」

「ちゅ、ちゅるる♡ れろぉ♡ んぷぁ♡ えへへ…♡」

「あ…やばっ! もう出…!」

 

カズマがそういって抜こうとするとアクアは足をカズマの腰に絡ませ抱きしめていた腕の力をさらに込めた。

 

「あ、アク…」

「だめです♡ 膣内(ここ)に…♡ 射精し…て♡」

「…ッ! アクアッ! 射精すぞ…!」

 

カズマが勢いよく腰をアクアに打ち付け最奥を貫いた。アクアカズマに抱き着き全身を震わせる。マグマのように熱く粘度の高い精液がドブドプとアクアの子宮を埋め尽くしていく。

一瞬で子宮をパンパンにすると膣道へと溢れ返り膣肉の肉棒を押し出そうとしてくるほどだ。

 

「あへぇ…♡ どくどくって…♡ ん゙ん゙っ♡ じゅるっ♡」

 

大きく痙攣しだらしなく口を開いて舌を突き出しながら声を漏らすアクアの舌を絡めとりキスをする。

舌を離すとアクアはえへへと笑みを見せた。

 

「腰、ガクガクになっちゃいましたぁ♡ カズマさんも…もう限界ですよね?」

 

ピクッ…。

何かカズマの中で反応するものがあった。まだ出来る…まだ…。

 

この雌を喰らいつくしていない

 

膣内から抜いたモノがジワジワと再び熱を取り戻していく、目の前の雌を喰らいつくすために。

挿入っていた時よりもさらに大きく怒張する。

 

「何で!? また…大きくな…」

 

アクアの腰を掴むとドチュンッ!! と音が鳴りそうなほど腰を突きだし最奥を貫く。

カズマは繋がった状態でアクアの背へ手を回して起き上がらせると彼女の足を抱え立ち上がった。

彼女自身の体重がかかり最奥に圧がかかる。

 

「んお゛っ!?♡♡ これダメです♡ 深くてっ…♡♡ 奥までぇ…!!♡♡♡」

 

駅弁の体位で腰を振るとアクアの喘ぎ声がさらに大きくなる。

カズマのモノを咥え込んだ膣内からはゴプゴプと白濁液が溢れ床を汚していく。

 

「まだ終わらないぞ…! このまま…ずっとしてやるからな…!」

「…♡」

 

空が白み始めても部屋には肉のぶつかり合う音と女の嬌声が響き、女の声が大きくなるに連れて肉のぶつかり合う音は激しくなっていった。

やがてその音が聞こえなくなると、二人は気を失うように眠りについた。




アァ…ヤットトウコウデキタ…

アクアさん滅茶苦茶ドスケベになっちゃったけど
まぁ真面目な子が実は…は定番だしいいよね。


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☆ 朝にも逢瀬を/カズマ、家を貰う

感想来たから書いたよ
なんかいつもこれ言ってる気がする。


「ん…」

 

カズマはうすらぼんやりとした中、目を覚ます。

頭は完全に起ききっていない頭でふんわりと考えながら現在状況を把握する。

 

くぽっ…くぷっ…ぐぶっ…

 

「ん…ぇ?」

 

下半身が妙に温かい、下を見ると布団が盛り上がっており上下に動いている。

しばらくそのままいると温かな感触が離れ布団の盛り上がりが大きくなった、するとにゅるんっと言うような感覚と共に下半身に重みと温かな何かに包まれる感覚が襲った。

ゆっくりと上下する布団の端を掴みカズマはゆっくりめくるとそこにはアクアがいた。

 

「ぁっ…あんっ…ぁぁっ…んっ…」

 

すると中でカズマのモノを膣内で愛おしそうに咥えこんでいるアクアと目があった。

 

「あ…アクア…?」

「ぁ…お、朝…おつら…あっ…そう…だった…んっ…ので…」

 

会話を続けながらも腰を振るのをやめないアクア、むしろ気づかれてから腰の振りが激しくなった気がする。パンパンという肉を打ち付ける音とぐちゅずちゅと淫靡な音が部屋に響く、耐えられなくなったカズマが絶頂しようとするタイミングでアクアは昨晩のまぐわった経験からか限界まで腰を落として密着。吐き出される勢いのある射精がアクアの子宮の壁を叩きアクアは背筋を跳ねさせながら絶頂へと至った。

 

「あっ、ぁあっ、ぁあ~~~っ…!」

 

昨日あれほど射精したというのに一切衰えていない射精がとぷどぷと最奥に注がれているのアクアは感じる。近くに他の冒険者がいるかもしれない、もしかしたら隣にめぐみんやダクネスがいるかもしれないことにアクアは仄かな興奮を感じた。アクアは残った子種を搾り取ろうと無意識に腰を上下させカズマは自らのモノを再び怒張させた。

 

アクアは満足したのか身体を弛緩させこちらに倒れ込もうとする。カズマはそんなアクアの腕をつかみそのまま上下を入れ替えた。

 

「…え…あ、れ…?」

 

カズマを見下ろしていた筈なのにいつの間にか見上げていた。そのままカズマはアクアの膝裏に手を差し込み、騎乗位から種付けプレスの体勢に移行した。

 

「あ…かずま…さ…お゛っ!?」

「ほんとに…! アクアは…!」

 

もはやえぐると言っても過言ではないピストンによりアクアの子宮口が潰されるように突かれていた。

アクアの口からも野太い喘ぎ声が出る。

 

「んぉ゛お゛っ!? お、ほぉ゛っ…んあ゛っ! ぁっ…あん、んっ、あぉお゛っ!」

 

どちゅっ、どちゅっ! と尻肉が波打ち嬌声が喉から絞り出される。容赦のない種付けプレスによりアクアは降りれない絶頂へと至りの膣を蠕動させ続けた。

 

「あ、カズマさ…イクっ、イグっイグ──イ、く、ぅ~~~っ!!」

 

おとがいを上げ嬌声を上げるアクアへとトドメのように深く突き刺す動き。先端をねじ込んだ子宮にどびゅるっと音でも出そうなほど精液の塊が吐き出され、アクアは必死に背中に抱き付きながら全身を大きく震えさせ続けた。

 

「ああ゛ぁ~~~頭ばかににゃる……」

 

そのままアクアとカズマはベッドに倒れ込んだ。

 

 

そのまま時間が経ち約一時間後。

 

 

「…」

「…あー、大丈夫か?」

 

アクアはこれほどないといったほど顔を真っ赤にしており顔を手で覆っていた。

アクアの水魔法や清潔にする魔法で体と服やベッドを綺麗にしたがアクアが動かない、いやまぁかなり恥ずかしかったんだろうけど…。

 

「あ…あの…本当に…!」

「だから気にしなくていいって…俺も思わず熱入っちゃったし…」

 

現在時刻は朝を少し過ぎたぐらい流石にそろそろ表に出ないと怪しまれるかもしれない。

とりあえずアクアをなだめて外へと向かうことにした。

 

…アクア、すげぇエッチでよかったな。

 

カズマはぽつりと口に出さずそう思った。

 

 

 

 

 

 

ギルドに向かうとすでに昨日のような飲んだくれが多くカズマとアクアが入るとさらに盛り上がる。

 

「カズマ、アクア。待ってましたよ」

「ずいぶんと遅かったな」

「おぉ! 勇者が来たぜ!」

「早く報酬受け取って来いよ! ここにいるやつはもう全員受け取っているぞ!」

 

と出来上がった冒険者に背中を押されて受付嬢の元へと向かう、受付のお姉さんは笑顔で迎えてくれた。

 

「サトウカズマさんですね、お待ちしておりました。サトウカズマさんのパーティーには特別報酬が出ております」

「特別報酬?」

 

まずはとアクアとめぐみんとダクネスに他の冒険者が持っているような小さな袋を渡した。

俺は? とカズマが首をひねると小切手のようなものがカズマに差し出される。

 

「サトウカズマさんのパーティには魔王軍幹部ベルディアを見事打ち取った功績をたたえて金三億エリスを与えます!」

「「「「さっ!?」」」」

 

思わずカズマ達は言葉を失った。三…億…?

その言葉にめぐみんやダクネス、周りの冒険者が盛り上がる。

 

「凄いですよカズマ! これならもっといい杖が…」

「やったじゃないか! カズマ!」

「すげぇぞ! 俺達にも奢ってくれよ!」

「・・・」

「…? カズマさん?」

 

カズマはその小切手を少し眺めるとふと振り返り近くにいたオルガの元に行き。その小切手をオルガに差し出した。

 

「…なんだ?」

「オルガ、今回のベルディア討伐。鉄華団の力がなければ攻略できなかった。今回の討伐戦でそっちも結構な被害が出たんだろ? だから…これは使ってほしい」

 

しばらく呆けたオルガはふっと笑うとその小切手を受け取った。

 

「これはありがたく受け取らせてもらう。だが貰うだけじゃ流石に困る。何か用意させよう」

「そっか、ありがとう」

 

ということでオルガにカズマは小切手を渡し、その場は終わった。めぐみんは新しい杖が~と悲しんでいたが最終的には納得してた。その後、宴会は三日三晩続きアクシズはお祭り騒ぎカズマ達は二日酔いに悩まされたようだ。

その後、カズマ達のパーティーはオルガに呼び出され。郊外の屋敷に案内された。

 

「あれ…ここって以前話題に出た8000万エリスで売られていたお屋敷では?」

「ベルディアの件で多少値下がりしてな、3億も貰ったもんだし流石にこれぐらいは返したくてな」

 

こうしてカズマ達のパーティは拠点を手に入れたのだ。




ちまちま原作のシーンを引いたり先にしたりしてます

・アクア
ハマった、多分ことあるごとにカズマを誘ったり夜這いしたりする。

・カズマ
まんざらでもない、多分絶倫化した

・めぐみん、ダクネス
多分いつか混ざる


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