許嫁と幼馴染と同級生と後輩 虹ヶ咲学園編 (kikukiri)
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桜の木の下で

『許嫁と幼馴染と同級生と後輩』の過去編および虹ヶ咲学園編のスタートです!本編がある程度進んできたので始動する事にしました!

さて、この虹ヶ咲学園編何ですが重要な注意点があります。ちゃんと読んでいただきたいと思います。

※虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のメンバーに対して確率されたイメージがない方も多いと思います。アニメ化されているわけでも、正式に漫画化されているわけでもないので…情報が比較的少ないです。そんな中で書いていくので僕の勝手なイメージをどんどんぶっ込んでいきます。この先いろいろ食い違う部分が多々でると思います。あらかじめご了承ください。読む場合はそこを理解した上で読んでください。




 

桜が満開に咲く季節に虹ヶ咲学園へと入学した

 

入学初日は入学式にクラスへの自己紹介程度で終わり、午前11時で放課後となった。校内から校外まで至るところで部活の勧誘が行われていた。この学園は人数も多く部活も割と盛んで勧誘はしつこい様子が見受けられた。校門を通ったら間違いなく勧誘に引っかかる事は明白だった。「はぁ…」とため息を一つついて人気のなさそうな場所を探す事にした

 

本日は雲一つない快晴。このお日さまの下で新入生は期待と不安に目を輝かせ、在校生も同様だ。この暖かいお日さまの下にいる人たちが輝いて見えた。実際にはいろいろ抱えてたり、悩んでる人もいるのだろう。

でも僕には全員輝いて見えた。まるで自分が一番不幸だなんて…傲慢な考えが頭を支配しそうになる。そんな頭を横に振って歩みを進めるとやだて大きな桜の木が目の前に現れた

 

「こんな目立たない場所に…」

 

学校の真横の庭に大きな桜の木が一本あった。各教室からも見えないような絶妙な位置にひっそりと咲いていた桜があった。お日さまの暖かさと輝きから逃げるようにさまよっていたら桜があった。

 

偶然…というよりは運命と思いたい。だって僕の逃げ場所として待っていてくれたかの様に存在しているのだから。そんな都合のいい自己解釈をして桜の木陰へと身を移し、寝っ転がった

 

勧誘が終わるまでここでやり過ごそう。孤独に咲く桜の下でそう決めた僕はスマホを取り出してゲームでもしようかと思ったが…いざ画面を開くとやる気が失せた。眠気が襲ってきたのだ。ここ最近心が晴れないせいかよく眠れない日々が続いていたからか、はたまた春の暖かさが眠気を誘ったのか…眠くなって意識が遠く

 

やがて何も考えられなくなり、僕の意識は完全に事切れて眠りについた____

 

 

 

 

××××××××××××

 

 

 

『暗い…』

 

暗い…暗い中で真っ逆さまに落ちて行く感覚

 

『どうしあの娘ばっかり』

『あの娘との思い出何て消してあげる』

『こんな物…壊してやる!』

 

最悪の言葉が頭に響く。僕の心をすり減らす言葉がこだまする。最悪の言葉を聞きながら僕は落ちて行く。

暗い暗い闇の底へと沈んでゆく……

 

ただひたすら落ちてゆく中不安げな表情でこちらを振り向く梨子の姿が、ダイヤ姉が、鞠莉姉が、かな姉が…頭にビジョンとして浮かんでるのか、目に写ってるのかわからない形で現れる。僕が最も大事したいと思っていた人達が何とも形容しがたい形で現れる。その顔が遠のくのを感じながら落ち続ける…無意識に手を伸ばしているも誰もこの手を掴めない。掴んではくれない……

 

ここまで落ちていつも気づく。胸くそ悪い最悪の夢だと……このまま落ち続けて、いずれ目が覚める____

 

夢だと気がつくと白昼夢の様な感覚へと変わる。早く起きろと心が叫ぶ。しかしそんな意識とは裏腹に目は覚めない。そしてふと気がつくと目が覚めているのがいつものパターン。この暗い世界を永遠に落ち続けながらただ目が覚めるのを黙って待つしかない。ここ最近見るようになった悪夢だ…光のない悪夢

 

 

 

 

 

 

 

ただ…ただ……落ちてゆくだけ_________

 

 

 

 

 

 

 

落ちてゆくだけのはずだった____

 

 

 

 

 

 

 

 

不意に浮遊感を感じた

 

 

 

 

 

 

 

落ちずに止まってる背中から…落ちゆく場所から暖かい光が差し込んで来た________

 

 

 

 

 

 

 

×××××××××××

 

 

 

 

 

「おはよう。ねぇ…どうして泣いてたの?」

 

 

 

暖かい光を感じた時、目が覚めた。目を開くとそこには一人の女の子が写った。まだ寝ぼけ気味の頭では状況を整理しきれず、ほぼ反射的に口が動く

 

 

「君は……?」

 

 

「私は上原歩夢、さっきもクラスで自己紹介したよ?柴優奈くん」

 

 

クラス?クラスというと…目の前にいる女の子は今日顔を合わせた新しいクラスメイトか。少しずつハッキリしてゆく意識の中で状況を整理しきる。今の体制……

 

 

「どうして膝枕してるんだい?」

「……君が泣いてたから」

 

泣いてた?…彼女に言われてハッとなり、自分が泣いてる事に気がつく。慌てて袖で涙を拭おうとすると頰に何かが当たる感触を感じた

 

「目…瞑ってて」

「……」

 

優しげな表情をする彼女に言いわれるがまま目を瞑ると彼女はハンカチで僕の涙を拭いてくれた。優しい手つきでそっと…そっと拭いてくれた

 

「いいよ」

「……ありがとう」

「どういたしまして」

 

なんだかよくわからないけどとりあえずお礼を言って起き上がろうすると彼女に肩を軽く押され、制される

 

「起き上がらなくていいよ。このままお話しよ?」

「………わかった」

 

なんだかわからない状況…膝枕された状態で話が進む事になってしまった。本当によくわからないけど彼女に逆らおうとは思えない自分がいる

 

「…どうして泣いてたの?怖い夢でも見てたの?」

「……うん…ずっと……闇に向かって永遠に落ちて行くだけの夢…」

「嫌な夢だね」

「……最近よく見るんだ…光さす事ない世界で……気がついたら起きてる。それの繰り返しだよ」

「…何かあったの?」

 

……何で何だろうね?初対面なのに…女の子なのにこの娘になら話てもいいかと一瞬だけ思った。しかし本当に一瞬だけだ。話すつもりなんてない。こんな面白くもない話をする必要がない。それに話したくない。話ても…意味なんてない

 

「………話たくない」

「そっか、じゃあ今は話さなくてもいいよ。話たくなったら話を聞かせてよ」

「…そんな日が来ればいいんだけどね」

 

そんな日が来ればいい……それは思う。自分が前に進める日が来ればいいと思う。でも今は進めない。進む意志を持てない。正しさや理性よりも心が、感情が、過去が僕と言う人間を支配する。頭の片隅では分かっている。いや、本当は心も知ってる筈なのだ。

でも正しさを認められない。一度歪んだ価値観を元に戻す術を知りたい。知りたいけどそんな術などないと思う

 

思考も心も理性も感情も全てが矛盾していてぐちゃぐちゃになってる。答えのない自問自答を永遠に繰り返すだけ…

 

 

「…そんな日が来ないとダメだよ」

「………」

 

そう言いいながら僕の顔を見つめる上原さん。その表情はどこか悲しげで不安げだ。でも僕はこれ以上何かを話そうという気にはなれず、僕は上原さんの膝から頭を離して立ち上がり振り向く

 

「もうそろそろ帰るよ……膝まくらありがとう。お陰で少しだけ…少しだけ心地よく眠れた気がする」

「…ううん。どういたしまして」

「それじゃ…」

 

そう言って上原さんに背を向け、その場を立ち去ろうとした時____

 

「また明日ね…」

「………」

 

一瞬足が止まった。でも彼女に何の返事も返さずに歩を進めだす。「また明日」と言われてもこれ以上関わらない方がいいと思うから。僕と一緒にいる時間何て彼女にとって無価値だろう。

 

 

 

こんな矛盾して…壊れ始めてる僕に関わる必要ない

 

 

 

 

 





いかがでしたでしょうか?質問、感想お待ちしてます。感想書くついでに推しメン教えてくれたら嬉しいです!ちなみに僕の推しメンは桜坂しずくちゃんです!


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弱さ故の拒絶

先にこっち投稿してしまった。。。。


本日2日目の高校生活、まだ慣れ親しんでない新しいクラスの初々しい話し声が聞こえてくる。

「どこの中学から来たの?」「部活は何やってたの?」「何部に入る?」などと言った会話が耳に聞こえてくるなか、僕にも声を掛けてくる人物がいた

 

「おはよう!」

「…おはよう」

 

昨日失礼な態度を取ったのにも関わらず、彼女…上原さんから明るい笑顔で僕に挨拶をしに来た。

本来ならばこちらも明るく挨拶をするべきなのだろう。しかし、あまり関わるべきではないと思ってるが故に非常に覇気のない声で返してしまった

 

「昨日の夜はよく眠れた?」

「…お世辞にもよく眠れたとは言えないよ。でも、夢を見なかったんだ。そのおかげで少しマシに眠れたような気がする」

「そうなんだ!良かったね!」

「……」

 

微笑みながら言う彼女が眩しいと感じる刹那、朝のチャイムが鳴り響いてHRの時間を知らせる。

上原さんは「また後でね」と言い残して自分の席に戻る。

 

「また後でね…か」

 

関わる必要などない…と言うより関わるべきではないのにな…

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

朝のHRに午前授業と言う名目の様々なオリエンテーションが終わり、本日もお昼頃で放課後となった。

今日も昨日同様に学校のあちらこちらで勧誘に体験入部などが行われており、僕もクラスメイトの女子数人から誘いを受けたものの全部断った。特別興味がないわけじゃないけど…今の僕は部活に行きたいとは思えない。だから教室を出て帰ろうとしたのだけれど

 

 

「柴くん!一緒に部活回って見ない?」

「……」

 

また上原さんに声を掛けられた

 

「悪いけど帰るよ」

「…部活に興味ない?」

「…ないわけじゃない。でも気が向かないんだ。それじゃ」

 

別れの言葉を言い、そのまま上原さんの横を通って帰ろうとしたが

 

「待って!じゃあ私も帰る!」

「…はい?」

「いこ、柴くん」

「いや、部活見に行くんじゃ…」

「うーん…気が向かなくなっちゃった!」

 

上原さんはどうもよくわからない。昨日の事もそうだけど…

 

「…まあ、帰るなら帰るでいいけど」

「うん!じゃあ行こ?」

 

そのまま上原さんと僕は歩みを進め、玄関まで来たのだが…まあ昨日と同じ光景が広がっているのである。

このまま帰ろうと試みる物ならば間違いなく勧誘されるだろう。

それは嫌だな

 

「わぁ…やっぱり凄いね」

「……はぁ…仕方ないか……それじゃ」

 

一つため息混じりに上原さんに別れを告げ、僕は昨日の桜の木へ向かう事にした………のだが

 

「どこ行くの?帰らないの?」

「人混みの中で部活勧誘されたくないんだ。上原さんは帰るんだよね?それじゃ」

 

と僅かに吐き捨て気味でいい、くるりと背を向けたのだが…

 

「待って!どこ行くの?」

「……落ち着けるところ」

「そうなんだ、じゃあ私もついて行こうかな?」

「……なんでそうなるんだい?」

 

一体なんなのだ?この娘は…よく気のある人は声をかけてくるけど、上原さんもそうなのだろうか?

 

「うーん…私も勧誘されたくはないからかな?興味のない部活を見ても仕方ないし」

「…そうかい」

 

まあ、僕も同じ理由なだけ否定できない。しかし、僕はこれ以上彼女といるべきじゃない。まあ、遠回しに伝えても伝わらないだろうからここはひとつ話をしておこう。

それに…もしも僕に気があるならば迷惑だ

 

「昨日の桜の木のある場所まで行こうか」

「うん!」

 

そうして僕らは昨日出会った桜の木までやって来た。

そしてここで伝えよう、僕に関わるなと

 

「相変わらず目立たない場所に咲いてる桜だよね」

「…そうだね」

「なんか…まるで…君の為にあるみたい」

「!?…」

 

妙な発言をするなぁ…俺の心をまるで理解してるかのような発言だ。

まぁ昨日泣いてるとこを見られてしまったみたいだし、それに夢の話もしてしまったから…ほんの少しは察しているのだろうか?

 

「上原さん…あまり僕と関わらない方がいいよ?僕は普通に学校生活を送れる状態じゃない…関わってもいい事なんてないよ」

「……どうしてそんな悲しい事言うの?」

上原さんは悲しそうな表情で問いかける

 

「俺、歪んでるから」

「うーん…それじゃあわからないよ」

「…まあとにかく俺に関わらない方がいい…と言うか関わらないでくれないかい?」

 

うん、これで伝わった筈だ。もうまどろっこしい言い方じゃなくハッキリと告げたんだ。これで関わる事はないはず…

 

「……嫌…かな?だって放って置けないよ…苦しそうにしてる人を放って置けない」

 

苦しそうにしている?放って置けない?まさか…。同情している?

そう思った時、強烈な不快感が俺を襲った。

理不尽な理由で感じる不快感を抑えきれず、感情任せに口が開く

 

 

「なるほど…有難いけど同情ならいらない。同情されたって何にも変わらない。同情など迷惑だ!もうこれ以上俺に関わるな!」

「っ……」

 

感情任せに怒鳴った。もうそこに理性などなく、ただ不快感を吐き出す様にありのまま全てを口に出した。

上原さんは悲しい表情を一瞬見せて…俯いてしまった。

 

「……」

「…帰ってくれ」

「……」

 

「帰れ!」

 

「っ………」

 

上原さんは声にならない声を出し、俯いたままこの場を走り去って行っていった

 

「…………クソ」

最悪だ!最悪だ!…最悪だ………最悪の気分だ!…俺はどうしてこんなに弱いんだよ……疑うんだよ…信じられないんだよ!

 

「…最悪で最低の気分だ」

 

俺はそのまま倒れ込むように寝転がり、熱い目元を片手で抑えながら意識を闇へと手放した

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

彼と別れてから一目散に走り続けていた。部活の勧誘で声を掛けられても「ごめんなさい!」の一言だけ残して走り続けた。

どこに向かうかも決まってないのに学校を飛び出してしまった。

 

同情なのかな?私のこの想いは…同情じゃないって言いたかった、でも否定できなかった。出会ってまだ二日だよ?彼のことよくわかんないよ……でも…見ちゃったんだもん!泣いて辛そうにしてる姿を!

あんな姿を見て、放って置けないよ!

 

思考が悶々としたまま走り続け、気がついたら帰りの駅まで来てた。

 

「……今日はもう帰ろうかな?」

 

今は思考がまとまらない…今日はとりあえず……あ!…鞄、桜の木の下に置いて来ちゃった…どうしよう!?

 

 




感想あればよろしくお願いします!次も虹ヶ咲学園編を先に投稿するかもしれないです


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温かい手

お久しぶりです。最近忙しくてなかなか投稿できない日々を送っています。本編を含め、楽しみにしてくださってる方々に申し訳ありません。本編はもう少しお待ちください。


ああ…またか

 

暗闇の中をただ落ちていくだけ、底のない奈落へと落ちていくだけ。

もう何回目だろう?一体いつになったら終わるのだろう?いや、そもそも終わりなどあるのだろうか?

 

頭の中では幼馴染達の顔が浮かんでくる。ダイヤ姉、果南姉、鞠莉姉の顔に梨子の顔も…皆んな表情が曇ってる

 

辛いなぁ…でも人など信じられないのだ。人は簡単に人を蹴落とす醜くい生きものだ。ほんと…梨子に嫌がらせを仕掛けた奴らの顔を思い出すと腹が立つ!それと同時に悲しみがこみ上げてくる。

一体どうしてあんな事になってしまったのだろうか?何がいけなかったのだろうか?…自問自答しても答えなどない……悲しみと怒りと喪失感を感じながら…泣きながら闇へと落ち続ける…そのはずだった。

 

落ち続ける中ふと両手に暖かな温もりを感じ、暗い闇から解放された

 

 

 

××××××××××

 

 

 

「……ん」

 

おぼろげな意識の中ゆっくりと目を開けるとそこには眠っている美少女がいた。それも僕の両手を握って眠っていたのだ

 

「…くぅ………くぅ…くぅ…」

 

いや、誰!?何なんだこの状況?…起こして問いただしたいんだけど…気持ちよさそうに寝てるし……それに…

 

「………」

 

多分、夢で感じた温もりはこの人がくれたものだ……尚さら起こす気が失せるというものだ。

そんな事を思っていたら、微かな足音が聞こえてきた。こんな目立たない場所を知っている人がまだいたんだ

 

「彼方ー?起きて…………る?」

「……」

 

妬けにスタイルのいい青い髪の綺麗な姉さんが困惑した表情をし此方を見ていた。まあ、困惑するよね……俺も困惑してる

 

「う〜んと、この状況は何?」

「此方が聞きたいです。起きたらこの状況だったので」

「そう…じゃあとりあえず起こしましょうか。彼方!そろそろ起きなさい!もう夕方よ?」

「ん…ん〜……ふぁ〜………ん?……おはよ〜」

 

先輩と思われる人物が眠ってる先輩の肩を揺らして起こした。

すると、寝てた先輩はゆっくりと瞼を開け、眠そうな声で挨拶をしてきた

 

「おはよう、彼方。もう夕方の16時よ…って、それよりこの状況はどう言うこと?」

「ん〜?…気持ちよく眠れた?」

「いや、あの…それより…どうして俺の手、握ってるんですか?」

 

そんな純粋な俺の疑問を述べると返って来た返答は望むものではなかった

 

「だって、泣いていたから」

「…っ………!」

「…私にも妹の遥ちゃんがいるんだけど〜遥ちゃんが悲しんでたり、泣いてたりするとね〜彼方ちゃんが手をぎゅっとしてあげると落ち着くんだって。だから君にもしてあげたんだ」

 

……この人が優しくていい人だというのはよくわかった。しかし、だからと言って赤の他人である俺にここまでするだろうか?どう考えても普通じゃない。

 

それに……どう反応すればいいのかわからない。押し寄せる羞恥心に眠っていた後悔、情けなさに悲しさ、憤りも少しある。

だけど…一番に感じるものは_

 

「優しいんですね…」

「後輩や妹に寄り添うのはお姉ちゃんの役目だよ〜」

 

本当はわかってるし知ってる。世の中悪い人間ばかりで溢れているわけじゃない。ちゃんと温かい人達がいるんだ…今目の前にいる先輩の様に……

 

「ところで〜…無理だったら話さなくてもいいんだけど、何で君は泣いてたの?」

「……」

 

信じてもいいだろうか?……いや、信じるかどうかはさて置き、話してもいいだろうか?いい加減…このままじゃダメなことくらい自分がよくわかってる…わかってる…けど

 

「うーん…その様子じゃ難しいかな〜?」

「……俺、信じる事が出できないんです」

「へ?」

 

先輩の手を少し強引にふりほどき、腰を上げて先輩を見る。先輩は俺が何も話さないと思ったのか驚いた表情をしてる。

ちなみに俺も何か言うつもりはなかったのだけど…何故か僅かばかり口にしていた。それはきっと…

 

「先輩の手、とても温かかったです……ありがとうございました」

 

お礼だけ言って、そのまま俺は桜の下に置いてあったバックを背負って帰ろうとした時、桜の木の横にもう1つ鞄があった。これ、上原さんの鞄じゃ……まぁ取りに戻るだろうしいいか。

 

そう思って帰路に着こうとしたら今度は青髪の先輩が呼び止めた

 

「え?いや、ちょっと!」

「はい?」

「あ、えっと…ごめんなさい。何が何だかんだかで…まだイマイチついて行けてないせいか、つい反射的に呼び止めちゃったわ」

「ま、まあ…気持ちはわかります」

 

まぁ、友達が知らない男の手を握って寝ていたらね…

 

「えーと…とりあえず気をつけて帰ってね。それと…もし、困った事があったら私たちの事を頼ってくれていいからね?私は2年の朝香果林よ。こっちは近衛彼方」

「彼方ちゃんだよ〜よろしくね〜」

「……新入生の柴優奈です。今日はありがとうございました」

 

 

俺は青髪の先輩にお礼を言って今度こそ帰路に向かって歩き出した。

 

 

「…………温かいな」

 

先程振りほどいた手には先輩の温もりが残っていて…時間の経過と共に温もりは冷めていき……酷く切なくなる

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢

 

 

 

「ねえ、彼方」

「ん〜?」

 

「彼…泣いてたんでしょ?」

「うん。彼方ちゃんが~いつも通りお昼寝スポットに来たらあの後輩君がいたんだ~。彼方ちゃんと同じお昼寝スポットで眠るなんて、見る目あるよね~」

 

「いや、まあそうかもしれないけど…なんで泣いてたのかなって」

「さあね〜?信じられないって言ってたけど……きっと簡単な事じゃないと思うよ〜」

 

きっと簡単じゃないよ。だってあんなに苦しそうな顔をしてたんだからね

 




感想等があれば是非よろしくお願いします!
それと本編は頑張って書いてますのでもうしばらくお待ちください。
本当はもう少しいろいろと伝えたい事があったのですがまた今度にします。ではでは


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