荒野の音速の翼たち~蒼空遠く~ (疾風海軍陸戦隊)
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プロローグ

ジリジリジリー!!

 

日本の航空自衛隊のとある基地で突如警報が鳴り響く。すると格納庫から二機の戦闘機がスクランブル発進をした。

その戦闘機の名はF2戦闘機。航空自衛隊の戦闘機で「平成の零戦」の異名を持つ支援戦闘機だ。ただ、このF2戦闘機はA型でも複座のB型でもない新しい派生型のC型である。

この派生型C型は対空戦重視の機体で武装も対艦ミサイルではなく対空ミサイルが備え付けられていた。また塗装も従来の洋上迷彩ではなくF15Jと同じく灰色の塗装であった。そしてそのF2の尾翼にはかつて第二次大戦で活躍した加藤隼戦闘隊で有名な第64戦隊と同じ白い矢印の印と胴体に赤鷲のマークがついていた

 

「おい、これで何度目のスクランブルなんだよ?」

 

「そうぼやくな。菅野これも仕事だ」

 

「わかってるよ。でもこう毎日はさすがに飽き飽きだよ」

 

と、飛びだった二機のF2戦闘機のパイロットがそう話し合う。ヘルメットで顔は見えないが一人は男性の声で。もう一人は女性のパイロットの声であった。まず二人のことを紹介しよう。先頭に飛んでいるF2戦闘機のパイロットの名は加藤健。空自の一等空尉であり、その後ろに飛んでいるF2の女性パイロットの名は菅野奈緒で三等空尉でであり。二人ともまだ若きパイロットである。

 

「エンジンの音~轟々と~」

 

『一尉。またいつもの歌ですか?まったく先祖が加藤隼戦闘隊の隊長、軍神加藤建夫だからって・・・・・』

 

「いいじゃないかよ。この歌好きなんだから」

 

『まあ、私もラバウル航空隊の次に好きな歌だから別にいいんすけど・・・・・・・次は私がラバウル航空隊を歌いますからね?』

 

「アハハh、了解。三尉」

 

と、そんな他愛のない話をしていると、基地から連絡を受けた空域に到着する

 

「そろそろ、会敵するはずだが・・・・・・」

 

「確かにおかしいですね?それにレーダーには何の反応もないし・・・・」

 

「もしかして観測班が誤認したのか?渡り鳥の大群と間違えて?」

 

「バカ。そんなはずないだろ?」

 

 菅野の言葉に加藤がため息交じりにそう言い、

 

「仕方がない。もう少しだけ探索しよう。もしかしたらステルスかもしれないしな」

 

「了解」

 

と、そう言いニ機の戦闘機はしばらく報告のあった空域を飛び。辺りには真っ青な青空に下は分厚くまるで海みたいに広がる白い雲の上を飛行していた。そして加藤は

 

「これだけ飛行しても見つからないとは・・・・・・こちらソードウィング01。基地管制塔応答してくれ」

 

無線で地上基地に呼びかけるが応答がない

 

「おい、基地管制塔応答しろ!・・・・・・ダメだ繋がらない。もしかして故障・・・・・いや、菅野機と交信できているから故障じゃないな・・・・・菅野。そっちはどうだ?」

 

「応答してください。こちら02・・・・・・・・ダメです応答がありません」

 

「まったくどうなっていやがる?領空侵犯した飛行機が見当たらないと思ったら基地との交信もできないなんてな・・・・・・」

 

加藤は今の状況がどうなっているか分からなかった。ただわかっていることは基地との連絡が取れないということだ。

 

「一体どうなっている・・・・・・無線が繋がらないなんてな・・・・・」

 

『一尉!?』

 

「どうした菅野?」

 

『ぜ、前方!前方の空に穴が開いています!!』

 

「穴ぁ!?お前疲れているんじゃないか?」

 

「本当に空に穴が開いているんですよ!見てください!!」

 

菅野の言葉に俺は菅野の言われた方向を見る。すると・・・・・

 

「なんだと・・・・・!?」

 

確かに菅野の言った通り、俺たちの目も前に穴らしきものがあった。

 

『何でしょうか・・・・一尉』

 

「わからない・・・・・とにかく無線が使えない以上。ここは戻って報告するぞ!」

 

『了解!』

 

そう言い俺たちは基地に戻ろうと反転しようとするが・・・・・・

 

『っ!?一尉!操縦桿が動きません!!』

 

「こっちもだ!?何かに吸い寄せられているかのようだぜ!!」

 

操縦桿が重く機体を反転することができない

 

『加藤一尉!このままだとあの穴に吸い込まれます!!』

 

「わかってる!何とかして機体を反転させるんだ!!」

 

俺と菅野は必死に期待を反転させようと操縦桿を動かすが操縦桿はピクリとも動かない。そして俺たちの乗るF2戦闘機はどんどん穴の方へと向かってゆく

 

「い、一尉。ぶつかります!!!」

 

「く、くっそぉー!!」

 

俺たちはそのまま突如現れた謎の穴に吸い込まれるのであった。

 

 

 



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異空の荒野

「くそ!舵が動かない!!」

 

「どうなっているんだ!?このままだと空中分解するぞ!?」

 

突如現れた謎の穴に吸い込まれた俺たちは今穴の中を飛んでいた。穴の中は真っ暗だったのだがまるで台風の中を飛んでいるみたいに大きく揺れところどころ雷のなる音が鳴り響き。コックピット内では警報が鳴り響く。確かに菅野の言う通りこのままだと空中分解する恐れがあった。すると俺たちの目の前に一筋の光が見えた

 

「一尉。光が見えます!!」

 

「ああ、どうやら出口らしいな」

 

俺がそう言った瞬間光の穴が大きくなり俺と菅野の乗るF2は光りの穴へと吸い込まれ、光が収まるとどこかの空を飛んでいた

 

「・・・・元に戻ったのか?」

 

「・・・・そう見たい・・・・ですね?」

 

俺と菅野は穴から脱出できてひとまず安心する

 

「ソードウィング02。機体に異常はないか?」

 

「大丈夫ですレーダーも燃料も武装もピンピンしています。01の機体は?」

 

「俺のも大丈夫だ・・・・・とりあえず、基地に無線をしないとな・・・・」

 

とそう言い俺は無線で基地に呼びかけるがノイズ音しか聞こえない

 

「だめだ…あの時と同じように無線が使えない・・・・・」

 

「こっちも同じです・・・・・それにしてもここはどこなんでしょうか?」

 

「わからん。とにかく雲の上じゃあわからない。降下しよう」

 

「了解」

 

そう言い俺たちの乗るF2は降下し始める。雲の中を進む中菅野は

 

「01。先ほどの空・・・・・・夜でしたね?」

 

「ああ、そうだな俺たちが基地からスクランブル発進したのは朝早くだ。とてもじゃないがおかしい」

 

と俺たちは穴から出て空の様子がおかしかったことに気が付く。先ほど俺たちが発進したのは午前6時くらい。だが先ほど空を見たら月と星が輝く真っ暗な夜の天候であった。そんな長時間飛んでいられるわけがない。そんな中俺たちは雲を突き抜けるとまたもや信じられない光景を目にする

 

「なっ!?ここはグランドキャニオンか!?」

 

「嘘でしょ荒野がいっぱい!?」

 

俺たちの目にしたものはいつも見る日本の街の風景ではなくアメリカのグランドキャニオンらの崖や荒野が広がっていた

 

「い、一尉・・・・私たちもしかしてアメリカに・・・・」

 

「馬鹿!そんなわけあるか!日本までどのくらいの距離があると思っているんだ!もし仮にそうだったら米軍機がこちらに来ていて無線で知らせてくるはずだぞ!」

 

俺と菅野は知らない風景に困惑する。あの穴に遭遇してからおかしなことばかりだ。

 

「一尉・・・・私は夢でも見ているのでしょうか?もし夢だったら早く目が覚めて、基地に帰ってシャワー浴びたいです・・・・」

 

「俺も同感だ俺も基地に帰ってコーヒーでも飲みたいところだが、これは夢じゃない現実だ・・・・・さっきGPSで場所を確認しようとしたが表示されない。それどころか衛星が使えない・・・・」

 

「それは悪夢ですね・・・・」

 

「ああ、だがレーダーだけ使えるだけましだ・・・・・・」

 

「たしかに・・・・・・ん?」

 

「どうした菅野?」

 

「レーダーに無数の何かが反応しました」

 

「なんだって?ミサイルか?」

 

「いえ、速度は100。ミサイルにしては遅すぎます。恐らく小型のセスナ機かと・・・・それだけではありません。その小型機の所に大型の飛行物体の反応があります」

 

「なんだと?」

 

菅野の無線に俺は自分のレーダーを確認すると。確かに菅野の言った通りレーダには無数の小型飛行物体が大きな飛行物体に接近しているのが見えた

 

「この小型はともかく大型の奴はなんだ?爆撃機か?いや、爆撃機にしては大きいな・・・・」

 

「わかりません・・・・・レーダーだけでは何とも・・・・・」

 

「仕方がない。こうなったら、ちょっと確認しに行くか?」

 

「了解」

 

俺と菅野は高度を上げてその飛行物体が何なのか確認しに行く。そして高度一万くらいにあがると菅野が

 

「01。小型の飛行物体を目視にて発見!」

 

「あれか・・・・・菅野。お前は俺より目がいい。なんなのかわかるか?」

 

菅野は隊の中では目がいいことで評判で一キロ離れた小さな看板でも読めるというのが自慢だ。すると菅野は・・・

 

「はい。信じられないと思いますが・・・・」

 

「なんだ?何を見た?」

 

「はい。旧海軍の零戦が10機」

 

「何が10機だって!?」

 

「旧日本海軍の零戦です!新品同様で太平洋戦争前期の明灰緑色の塗装で飛んでいます。骨董品ですよ」

 

「なんで零戦が複数飛んでいるんだ?航空イベントか?」

 

「真夜中に高度4千で飛ぶイベントがどこにありますか!?それに国籍マークも変です」

 

「マークが変?」

 

「はい。翼や胴体についているのは日本の日の丸ではなく何かのゆるキャラみたいなマークをしています」

 

「・・・・・」

 

俺は菅野の言葉に頭が痛くなった。それは菅野も同じだろう・・・・なぜ70年前の戦闘機が飛んでいるのか理解ができない。もしかしてタイムスリップかと思ったが先ほど菅野が言う国籍マークが日の丸じゃないとするとタイムスリップの類ではない・・・・すると零戦が何かに向かっているのが見え俺はその方向を見ると

 

「あれは・・・・・・飛行船か?」

 

俺が目にした大型機の正体は巨大な飛行船であった。なんであんな大きな飛行船が飛んでいるのか不思議に思っていると

 

「一尉!零戦が数機の戦闘機と交戦!」

 

「なんだと!?交戦しているのはなんだ?」

 

「はい。青い塗装でずんぐりした形を見ると・・・・・大きさからしてF4Fだと思います。でも、その機体の国籍マークも星ではありません・・・・あ、また一機F4Fが零戦に撃墜されています!一尉!突入しますか?」

 

「待て!状況がわからないのに飛び出してどうする!」

 

「ですがこのままでは・・・・・・・あ、零戦が落ちました」

 

「なに!?F4Fが撃墜したのか?」

 

「いえ……あの機体は・・・・・・」

 

と菅野は目を凝らしてみて零戦を落とした期待を見ると目を見開き

 

「隼です!!旧陸軍の一式戦闘機隼です!!」

 

「何、隼!?」

 

俺は下で行われている空戦を見ると確かに隼らしき戦闘機が零戦と戦っているのが見えた。

 

「おいおい・・・どうなっているんだ?味方同士が戦いあうなんて?聞いたことないぞ?」

 

「わかりませんがあの隼。あの飛行船を守るように戦っています。あの飛行船もしかして民間船では?」

 

「・・・・・」

 

俺はただ黙ってその空戦を見ていると確かに隼はあの大型飛行船を守るように戦っているのが見える。

 

「01・・・いえ一尉。もしあの飛行船が民間船なら助けに行かないと・・・・・」

 

「02、助けに行く・・・・・・それはあの零戦を撃ち落とす。つまり人を殺すことになるぞ?それにだ。俺たちが先制攻撃できないのはお前も知っているだろ?」

 

「はい知っています。ですが私たち自衛隊の任務は一般市民を脅威から守ることです。そのためなら・・・・・」

 

「国や人を守るためなら、仕方なし・・・・・か・・・・・」

 

「はい。私は民間飛行船が攻撃されるのを見て、ただ黙って見過ごすなんてできません。一尉が反対しても私は行くつもりです・・・・・」

 

と俺は菅野の言葉に目をつむり、そして目を開けると隼の防衛網を突破した零戦が飛行船に向けて攻撃したのが見えた。それを見た俺は・・・・・

 

「よし、02。交戦を許可する。万が一の場合の責任はすべて俺が取る。だだし使うのは威嚇用として20ミリ弾だけだ。できるだけ脅して追っ払うぞ」

 

「了解!!」

 

そう言い俺と菅野の機体はその飛行船を襲う零戦へと向かうのであった

 

 

 

 

「空賊の戦闘機こちらに接近!」

 

「おい、勘弁してくれ!?」

 

飛行船の中、レーダーを見た少女がそう言うと艦長?らしき男が慌ててそう言う。すると、先ほどレーダーを見ていた少女が

 

「本線から三時方向新たな機影接近!!」

 

「また新手!?」

 

「不明機、高速で接近数は二機!あと5秒でこちらに来ます!」

 

「おい!それは速すぎだろ!?」

 

「来ます!!」

 

とそう言っうと飛行船の窓から見たこともない戦闘機が接近するのが見えるのであった

 

 

 

 

 

 

「くっ、空賊の分際で!!」

 

零戦を追う隼の搭乗員のエンマがそう言うと背後からすごい音が聞こえる

 

「なんだあの音は?」

 

コトブキ飛行隊の隊長であるレオナがそう言った瞬間背後からものすごい速さで飛んでくる大型の飛行機二機が隼を追い越し、零戦に向かって行くのが見えた。それを見たレオナは

 

「なんだ……あの機体は?」

 

レオナは零戦に向かって行く二機の戦闘機を見て目を丸くし驚くのであった・・・・・

 

 



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平成の零戦vs昭和の零戦

「な、なんだあの飛行機は!?」

 

飛行船を襲撃する空賊の零戦を相手に戦う。用心棒飛行隊コトブキ飛行隊は飛行船を守るため零戦相手に獅子奮迅の戦いをしていた。だが、その包囲網を突破して3機の零戦が飛行船を襲い掛かる。それを阻止しようと零戦を追いかけるのだが、突如背後から見たこともない大型の飛行機がすさまじい音と速さで彼女たちの上空を通過し零戦に向かうのが見えた。

 

「何あれ!?」

 

「すごく速い・・・・・・しかも大きい」

 

「新たな空賊?」

 

「それにしては見たこともないマークをしていますわね?白淵の赤い丸?」

 

コトブキ飛行隊のメンバーが驚く中、飛行船を襲う空賊たちも同様自分たちの機体の上空を走り抜けた戦闘機に驚き目を丸くする。そしてその戦闘機・・・・F2は奇麗な隊列で旋回する。そして空賊が慌てる姿を見た菅野は

 

「どうだ。少しは驚いたでしょ?01もう一度やって脅かしますか?」

 

『02。まずは無線で警告しろ』

 

「零戦に無線がついているわけないでしょ?大戦期の無線は粗悪品で陸軍の戦闘機に比べて海軍の戦闘機、特に零戦は手信号で連携をとっていたらしいですし?」

 

『念のためだ』

 

「はいはい。了解。全く01は真面目だな」

 

と、そう言いうと加藤が無線を取り

 

「こちら日本国航空自衛隊、貴殿らは無抵抗の飛行船を襲撃している!直ちに攻撃を中止し、この空域より離脱せよ。繰り返す!直ちに攻撃を中止し、空域を離脱しなければ発砲する!!』

 

と、そう言うが向こうは応じない。むしろ零戦たちはこちらに向かってくるのが見える

 

「応答がない・・・・・周波数が違うのか?だとすると連絡が取れないのは当たり前か・・・・」

 

『01やっぱ、向こうは無線持っていないんですよ。向こうも私たちに向かってきていますし、とにかく今は追っ払うことにしましょう』

 

「はぁ・・・・・しょうがない。02。もう一度アクロバットをして連中の度肝を抜かすぞ!」

 

「了解!!ソードウィング02エンゲージ!!」

 

「01、エンゲージ」

 

と、そう言いニ機は速度を出し、零戦を振り切り宙返りをし零戦の背後を取る。それを見た零戦のパイロットはいつの間に背後を取られたと思ったら、あっという間に追い越される。それを見た空賊の3機のうち一機は怖くなったのか逃げ出し、もう一機の白い零戦はあまりにも早いF2に驚いて見失ったF2を探すと下の方にいてゼロ戦は急降下しF2に機関砲を放つが速度が違いすぎるため弾丸は当たらない

 

「はっ!飯事やっているような物だな。そんなしょんべん玉が当たるかよ!」

 

『02!遊ぶな。いつまでもここにいるわけにはいかない。威嚇射撃をするぞ』

 

「え!?いいんですか!?」

 

『ただし当てるなよ。あくまで威嚇だからな。俺は赤い零戦に射撃をする。02は白の方だ』

 

「ですが01。当然ながら実戦での射撃は初めてです。万が一当ててしまった場合は・・・・」

 

『それは認めない!俺はお前の腕を信じているぞ』

 

「了解!!」

 

そう言うと菅野機と加藤機は左右に分かれそれぞれの零戦に向かい、菅野機は白零戦の背後を取り

 

「よし後ろをとった。ターゲットロックオン!ソードウィング02。Fox3fire!』

 

そう言いF2から20ミリ弾が発射される。無論発射された弾丸は零戦に当たらず、すぐそばを通り抜ける。それを見た零戦は先ほどの速度に続いてF2の機銃発射速度に驚き、慌てて逃げ出すのであった

 

「よし!威嚇終わり!」

 

菅野がそう言う中、加藤機も赤い零戦に向かっていた

 

「赤い零戦か・・・・・何か昔の漫画でそんなのあったな・・・・」

 

と、そんなことを呟きながら背後を取り

 

「ソードウィング01、Fox3・・・・っ!?」

 

と、そう言い機銃のトリガーを引きかけた瞬間、赤い零戦は突如、急降下し、そしてそのまま去って行った。それを見た加藤は

 

「離脱した?・・・・・・それにあの零戦のパイロット・・・・」

 

加藤はバルカン砲を発射する直前。赤い零戦に乗るパイロットの顔を一瞬だけ見ていた。

 

「女性に見えたが、気のせいかな?まあ、いいか」

 

とそう呟くと菅野機が戻ってきて

 

『01。こちら02、敵の威嚇射撃に成功し相手は逃げて行ったよ。そっちは?」

 

「こちらも同じだ。だが機銃撃つ前に相手は離脱したよ」

 

『そうですか・・・・・・で、この後、どうします?あの隼たち、めっちゃ私たちのこと警戒しながら飛んでいるんですけど?』

 

「これ以上の面倒ごとは御免だ。厄介なことに前に離脱するぞ」

 

「あの飛行船との接触は?」

 

「今のところ状況がつかめないし、あの飛行船が無事なら接触する必要なし。それにそろそろどこかに着陸しないと燃料が切れるぞ」

 

「了解。」

 

と、そう言いニ機はすかさずその空域から離脱する。それを見たコトブキ飛行隊は

 

「あ、あの戦闘機逃げた!追いかける?」

 

「速度が違いすぎる・・・・・追いつけない」

 

「それにあの戦闘機羽衣丸を助けてくれたし・・・・・レオナどうする?」

 

「離脱するなら深追いは無用だ。帰還するぞ」

 

と、そう言いつつレオナは先ほどの戦闘機を見て

 

「何者なんだ・・・・あの二機は?」

 

と、そう呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、加藤たちは

 

「見渡す限り荒野ばかり基地どころか街もない・・・・・・01。どう考えてもここ日本じゃありませんよ」

 

「そうだな。それにアメリカでもない。それにあの大きな飛行船。もしあんなのが浮いていたら今頃ニュースになっているはずだ。それ以前にあの空域に旧日本軍の零戦や隼が飛んで味方同士空中戦しているのもおかしな話だ。それに、塗装や国籍マークもおかしかったしな」

 

『確かにそうですね~よく漫画や小説で陸自が戦国時代に行ったり海自が太平洋戦争にタイムスリップする話はよく聞きますが、私たちの場合はどれも当てはまらないしチンプンカンプンですよ』

 

「それは俺だって同じだ。まったく何がどうなっている」

 

とそうぼやきながら二機は当てもなくしばらく飛んでいると・・・・・

 

『01、2時方向に街らしき建物発見!」

 

「ほんとだ。しかも滑走路までついている。街のすぐ横に滑走路のある所なんて聞いたことあったか?」

 

『さぁ?もしかしたら民間航空会社の滑走路でしょうか?』

 

「とにかく無線で着陸許可を求めて少しの間、借りさせてもらうか」

 

そう言い加藤は無線を取り

 

「こちら航空自衛隊の加藤です。滑走路を借りたいので着陸許可をお願いします」

 

と呼びかけるのだが、やはり応答がない。

 

『応答ありませんね・・・・・降りてもいいってことでしょうか?」

 

「燃料もあんま無いし・・・・仕方がない。管制塔の人には理由は降りて話せばいいか・・・・・」

 

『これ上にバレたら始末書ですね』

 

「始末書で済めばいいんだがな・・・・」

 

と、そう言い降下すると

 

『01、なんか街にいる人たち、驚いた顔をしてますよ?』

 

「まあしょうがない。いきなり空軍の戦闘機が来たら誰だって驚くさ。着陸するぞ」

 

『了解』

 

そう言い俺たちに気は速度を落とし、着陸態勢をとり、そして誤差もなく着陸する

 

「着陸成功。機体異常なし」

 

「02。こちらも異常なし・・・・・・ん?01あそこの倉庫?」

 

「倉庫?」

 

菅野の言葉に加藤は倉庫を見ると

 

「あれって・・・・・九七式戦闘機だな?」

 

「あの零戦と言い、隼と言い、なんで旧日本軍の戦闘機があるんでしょうね?」

 

「さあ?とにかく降りよう」

 

と、そう言い俺たちはコックピットを開けて降りる。そしてヘルメットを脱いで辺りを見渡すと

 

「01・・・・いや、一尉。まるで西部開拓時代のような街ね?」

 

「そうだな・・・・」

 

そう話し合うと複数の人がこちらにやってくる。すると中年の男が

 

「あんたら誰だよ!」

 

「「(へっ!?日本語?)」」

 

俺と菅野はその人物が日本語を話していることに驚くと中年は

 

「おい、黙ってないでなんか言えよ!」

 

「え?ああ、俺たちは日本国航空自衛隊xx基地所属の加藤健一等空尉です」

 

「同じく、菅野奈緒三等空尉です」

 

「ニホンコク?ジエイタイ?聞いたことねえな?」

 

「え?日本と自衛隊を知らない?あんた日本語を話しているのに?」

 

菅野が驚いてそう言うと中年の男が首をかしげ、中年男より若い人が

 

「あんたらさっきから訳の分かんない話をしているけど、空賊じゃないんだな?」

 

「「空賊?」」

 

俺と菅野は訳が分からず首をかしげるとその若い男が

 

「まあいい。訳は後でで聞くから、そこに飛行機おいていると邪魔だ。あそこに空いている倉庫があるからそこに入れてくれ」

 

「あ・・・・はい。感謝します」

 

俺たちは訳が分からず、とにかくF2にまた乗り込み先ほどの男が言った空いた倉庫に入れるため動かすのだった。一方街の人たちは

 

「なんだろあの機体・・・・見たことないな?」

 

「ああ、それにプロペラがない。あれでどうやって飛ぶんだ?」

 

「それにコウクウジエイタイって?聞いたことないな?どこの用心棒だ?」

 

と、加藤たちのF2を見てそう話し合っているのであった



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ラハマ

「えっと・・・・つまりあなた方は空賊じゃないんですね?」

 

あの後、俺と菅野はF2を格納庫にしまった後、とある部屋で町長らしき小太りの男と自警団の団長と名乗る男と話ていた。

 

「はい。そうです。それよりも訊きたいことがあるのですがよろしいですか?」

 

「なんでしょう?」

 

「あなた方は、日本。もしくはアメリカ、イギリス、ドイツといった国の名前をご存知ですか?」

 

「いえ‥‥聞いたことがありません。そもそもあなたたちの乗っていたあの戦闘機ですらラハマでも見たことがありませんから・・・・・」

 

「え!?ジェット機を知らないんですか?」

 

「ジェット機というのか?あれは?プロペラがないがどうやって飛ぶんだ?

 

俺や菅野の質問に部屋にいた街の人は訳が分からないと言いたいのか首をかしげる。すると菅野が

 

「加藤一尉。やっぱりおかしいですよ。日本、アメリカを知らないうえにジェット機も知らないなんて・・・・・」

 

「ああ・・・・・・町長」

 

「は、はい。なんでしょうか?」

 

「私たちはなんというか遠くから来たもので、あまりここのことを良く知らない。できればこの世界のことを教えてくれないか?」

 

「あ、はい。いいですよ」

 

と、町長は俺たちにここについてのことを教えてくれた。俺たちのいる場所はイジツという世界でその中でここはラハマと呼ばれる街だそうだ。そしてその世界は地下資源に頼って細々と街を作り生きていて。70年くらい前に世界の底が抜けていろいろなものが降ってきた。良いもの悪いものも含めて様々なものが降ってきた後、再び底の穴は閉じられたという。そのなかでもユーハングと呼ばれる者たちのもたらした航空機によって、街の間を空路で結んでの交流が盛んとなる。そして、それを狙う「空賊」も出現し、彼らに対抗するために用心棒である「飛行隊」も組織されるようになったという。そして彼らの街に置いてある飛行機もそのユーハングが残していったものだというのだ。

 

「・・・ということなんです」

 

「うむ・・・・・」

 

町長の言葉に俺と菅野は考えるしぐさをすると、中年の男が

 

「で、お前たちはどうするんだよ?」

 

「そうですね・・・・・我々は今、漂流というか帰る場所がわからない状態にあります」

 

「え?どういうことですか?」

 

「つまり私たち二人は何らかの形で漂流している状態なんです。それでよろしければ帰り道がわかる間でいいんです。ここの滑走路を借りるのとここに住んでもよろしいでしょうか?無論、ただとは言いません。ここの人と同じ働いて借りを返したいと思います」

 

「私からもお願いします」

 

 

と、俺と菅野が頭を下げると

 

「そうします町長?」

 

「別にいいんじゃないかな?この人たち悪い人には見えないし、何よりまだ若いでしょ?そんな二人を荒れ地に放りだすなんてできないよ」

 

「だが町長。素性の知れないよそ者に滑走路を貸すなんて・・・それにあの戦闘機の燃料代誰が出すと思っているんだよ?」

 

「それは無論私が出しますよ。その代わり彼らにも自警団の手伝いをしてもらうのはどうかな団長?」

 

「うむ・・・・確かに彼らの乗る飛行機は今までの飛行機より早いしな・・・・・まあ自警団の手伝い云々は保留として、悪い奴らではなさそうだし滑走路を貸すぐらいなら別にいいぞ」

 

「ほんとですか!」

 

「ああ、団長や町長が言うんなら問題ないだろうし、困った時はお互い様だからな。さて、もう遅いし、お前たち、ご飯食べてないんだろ?酒場に行こうぜ飯おごってやるから」

 

「え!?いいんですか?」

 

「話を聞く限りこことは違うところから来たんだろ?だとすると金持ってないんだろ?別にかまわしねえよ。俺はラハマ自警団第三支部長のトキワギだ」

 

「すみません感謝します」

 

「ありがとうございます」

 

俺と菅野はお礼を言い、町の人につられて酒場でご飯とお酒を飲みながら街の人たちと交流しているうちに少しだけ仲が良くなった。因みに俺と菅野は20超えたばかりで25未満だから酒の飲酒は別に問題ない。

その後俺たち二人は、酒場の上にある誰も使っていない部屋を間借りすることになった。俺はベットに腰掛け、菅野は椅子に座ると

 

「なあ、健さん。この状況どう思いますか?私たちどうやら別世界に来ちゃったみたいですけど・・・・・・」

 

「そうだな・・・・・まあ、何とかなるだろう。帰る方法がない今、俺たちにできることは限られているしな。それよりも少し気になることがある・・・・」

 

「気になることですか?」

 

俺の言葉に菅野は首をかしげると俺は頷き

 

「ああ、さっき街の人が言っていた、ユーハングのことだ・・・・・」

 

「ああ、それですか・・・・確かに変な話ですね。それにそのユーハングが持ち出した飛行機を見ると、おそらくユーハングは・・・」

 

「ああ、おそらく俺らと同じ日本人だろうな。しかもユーハングがやって来たのが70年前。俺たちの時代で言えば第二次大戦のころだ。つまりユーハングは日本人。しかも旧日本軍である可能性がある。だが、不可解なことは第二次大戦ごろに日本軍が異世界に行ったという話は聞いたことがない」

 

「私たちみたいに偶然、飛ばされたとか?」

 

「最初はそう思ったが、戦闘機の数や産業文明の知識をこの世界に教えた後ユーハングたちは穴・・・・つまり元の世界に帰ったと訊く。つまり・・・・」

 

「私たちと状況が違うということ?」

 

「ああ、あの時代は軍による情報規制があったからな。俺たちの知らない裏の歴史で何かあったのだろう・・・・」

 

実際、旧日本軍は核弾頭や殺人光線などの極秘の研究をしていたらしい。もしかしたらその穴というのは異次元ゲートか何かで旧軍は何かの極秘の任務とかの目的でこの世界に来た可能性がある

 

「・・・・・で、これから、どうします健さん」

 

「とにかく今は帰れる方法を探しながらこのラハマで暮らすしかないな」

 

「F2戦闘機はどうします?空賊って言うのが来たら出撃しますか?」

 

「アホ。この世界の燃料が使えるかどうか不明なうえにこの世界じゃミサイル兵器はない。補給が厳しいよ」

 

「でも20ミリ弾なら・・・・」

 

「あれは威嚇用で、すぐに撃ち尽くしちまう。なるべくF2は補給のメドが立つまでは飛び立つことは難しいな・・・・」

 

「そうですね・・・・・・」

 

俺の言葉に俺と菅野はあくびをする

 

「さて…議論はここまでにして寝るか」

 

「そうですね・・・・・言っておきますが一尉。寝込み襲ったらぶん殴りますからね」

 

「しないよ。全く旧海軍のエース、菅野直の血を引く子は怖いな」

 

「何か言いました?」

 

「いいや、なにも。じゃあ、おやすみ」

 

「おやすみなさい」

 

そう言い俺と菅野は明日に備えて寝るのであった。

 

 

 

 

 

「ふぁ~おはよう菅野」

 

「おはよう・・・・」

 

翌朝、俺と菅野はベットから降り着替えると街の外を歩いていた

 

「昨日は寝れたか?」

 

「え、おかげさまで・・・・・・一尉?一つ訊きますが?」

 

「手は出してないから安心しろ」

 

「そうですか」

 

と、そんな話をしながら歩くと頭上から巨大な飛行船が通って行った

 

「菅野あれ・・・・・」

 

「ええ、昨日の飛行船・・・・・・だよな?」

 

俺と菅野が見たその飛行船はこの間、謎の零戦集団に襲われていたあの飛行船だった。すると

 

「おう、二人とも昨日はよく寝れたか?」

 

「あ、トキワギさん。ええおかげさまでぐっすり寝られましたよ」

 

「そうか。それはよかった」

 

「ところでトキワギさん。あの飛行船は・・・・」

 

「え?ああ、オウニ商会の飛行船だよ」

 

「オウニ商会?」

 

「ああ。そうだぜ。物資の輸送を生業とする企業だよ。じゃあ俺は仕事があるから、またな」

 

「あ、ああ。ありがとうございます」

 

俺はトキワギさんに礼を言うと

 

「一尉・・・・会いに行きますか?」

 

「いや、必要ないだろう。それはともかく今日は図書室か本屋に行って元の世界へ戻る方法を探そうか」

 

「それもそうですね」

 

と、そう言い俺たちはまず、帰る方法の手掛かりがないかを探すため、まずは本のある所を探すのであった

 



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手掛かり探し

俺と菅野は元の世界に戻るべく、このラハマで元の世界へ戻る方法を記された本とか情報とか探し、今俺たちはこの街で一番本を置いてある図書館にいるのだったが一つだけ問題があった。それは・・・・・

 

「字が読めね・・・・・菅野お前は?」

 

「私もです・・・・」

 

そう、字が読めないのだ。この世界にある文字は何だか日本語やら英語やらを混ぜたような字で何が何だかわからなかった

 

「日本語で書かれた本もありますけど、これただの小説ですし」

 

菅野が見せたのは日本語で書かれた本で題名は「風立ちぬ」だった。

 

「風立ちぬか・・・・・俺は宮崎駿の作品しか知らん」

 

「私もです・・・・」

 

そう言い菅野は本を戻すと

 

「私はもう少し奥の方を探してきます」

 

「ああ、頼む三尉」

 

そう言うと菅野は奥の方へ行く。

 

「さて、ほかに何か手掛かりになる本はないかな・・・・・」

 

俺は頭を軽く書き、菅野とは反対の方向へ歩く。

 

「それにしても、なかなか見つからないものだな。元に戻る方法を・・・・・・あぁ…まさかこの歳で異世界に行くとは、中学生時代の俺だったら泣いて喜んでたな」

 

そう呟きながらそう言う。そう俺は中学のガキだったころは異世界トリップとかのラノベが大好きで、よく主人公が異世界に召喚されて使い魔として活躍したり、また、タイムスリップしたと思ったら過去の偉人が女の子だったりなどそういう話なんかが大好きでよく寝て起きたら異世界に転移されたとか事故にあって転生とかそういうのを期待していた時期もあった。今思えば恥ずかしい限りだ。

 

「ん?」

 

本棚の隅に言ったところで俺はあるものを見た。それは

 

「ん~あともうちょい・・・・」

 

松葉杖を持った小柄な女の子が本棚の高いところにある本を取ろうとしているのが見えた。俺はその少女のところに行き

 

「何やってんだ?背伸びなんかして?」

 

「あ・・・・あの本を取ろうとしているんだよ。あともうちょっとなんだけどさ!」

 

「踏み台で昇って取った方が早いんじゃないか?」

 

「踏み台が見つからないの!」

 

「じゃあ、探しにに行けばいいんじゃないか?ここは図書館だぞ。踏み台に一つや二つ置いているだろ?」

 

「取りに行っている間に誰かに取られちゃうかもしれないでしょ!だから今ここでとる!」

 

と、必死になって手を伸ばすが届かない。俺は軽いため息をついて

 

「とってやるよ。この本でいいか?」

 

俺は背伸びをして少女が手を伸ばした本を取る、その本はなんか海の生物みたいなゆるキャラが書かれた本でいわゆる絵本ってやつだ。

 

「はい、どうぞ」

 

「あ…ありがとう」

 

俺が渡すと、少女は本を受け取りお礼を言うその顔はすごく嬉しそうな顔であった

 

「その絵本好きなのか?」

 

「うん。「海のウーミ」。これ、小さい頃、兄ちゃんがよく読んでくれたんだ本なんだ。」

 

「そっか、じゃあ大切に読めよ」

 

「ああ、ありがと。じゃあな~」

 

と、そう言い彼女は松葉杖をつきながら笑顔でその場を飛び出していった。

 

「おい、あいつどう見たって脚怪我しているだろ。あんなにはしゃいで飛び出て大丈夫なのか?」

 

俺は苦笑しながら、しばらく俺は菅野と一緒に建物の中にある本という本を読み漁ったが結果は・・・・・

 

「結果は手掛かりなしか・・・・・・」

 

「はい・・・異世界転移のイの字もありませんでした。それ以前に文字が読めなかったのが致命的です」

 

俺と菅野は街の公園にあるベンチに座りため息をつく

 

「そうか・・・・まあ、簡単に方法があれば苦労はしないんだけどな」

 

「そうですね。それと健さん。もう一つ問題が・・・・」

 

「ああ、金のこととF2の燃料だろ?」

 

「ああ、私も健さんも今持っている金は日本の金でこっちの世界のお金は持っていません。いつまでもトキワギさんたちにおごってもらうわけにもいきませんし」

 

「そうだな・・・・・どこかいい働き口も見つけないと。後、ジェットの燃料の確保もだな」

 

「はい。町長の話によればここの燃料は皆レシプロ用のガソリンですから・・・・・」

 

「そう言えばそうだったな・・・・・・」

 

俺と菅野はため息をつく町長の話によればここにあるガソリンは皆、ただのガソリン。俺たちの使っているのはケロシン燃料だしな・・・・・

 

「その前にお金を稼ぐための働き口を探さないといけませんね」

 

「それもそうだな・・・・・今のお金じゃ使い物にならないし」

 

俺は財布から一万円札を取りため息をつくと

 

「あ~どっか珍しいお金とか集めているお金持ちとかが偶然現れたりしないかな~」

 

「おいおい、菅野それはいくら何でもそんな都合よく・・・・・・・」

 

苦笑して俺がそう言うと

 

「ちょっと君たち!!」

 

「「ん?」」

 

急に声を掛けられ俺たちが振り向くと、見るからに金持ち!という雰囲気を漂わせた男性がいた

 

「その珍しい紙幣はどこで手に入れたのかね!ぜひとも売ってはもらえぬだろうか!金額は弾ませてもらう!」

 

「「・・・・え?」」

 

俺と菅野はその男の言葉に目を丸くした。え?何、この人お金持ちを装ったカツアゲする人か?

 

「いや、実は私、珍しいお金を集めるのが趣味、いわゆるコレクターでね。君たちの持っているお金はイツズ中のお金を見てきた私でも見たことがない!だから、ただでとは言わない!払えるだけの金額を払うからそれを譲ってはくれないか!?」

 

「「・・・・・・・・」」

 

この時、俺と菅野はこう思った

 

「「(なんというご都合主義だ・・・・・)」」

 

その後、俺たちはその男の家に招かれ俺たちの持っているお金とこの世界のお金を交換することができた。交換してもらた金額はかなりの金額であった

 

「じゃあ、また珍しいお金が手に入ったら寄ってきてくれ」

 

「「は、はぁ・・・・・」」

 

その男の家を出た後、俺と菅野は

 

「ま、まあ・・・・とりあえずお金は手に入ったな」

 

「そうですね・・・・・それよりもこんなに都合のいいことがほんとに起きる物なんですね・・・・」

 

「ああ、現実は小説よりも奇なりとはこのことを言うんだな・・・・・後の問題は燃料だがそれは後々考えよう。さて菅野。日も暮れてきたし飯でも食べに行くか」

 

「そうですね。店は昨日トキワギさんと食べに言ったあの店ですか?」

 

「ああ、あそこのカレー美味かったしな。もう一度食べてみたい。菅野は嫌か?」

 

「いえ、実は私もあそこのカレー気に入っていますたので問題ありません」

 

「そっか。じゃあ食べに行くか」

 

「はい」

 

そう言い俺と菅野はカレーの上手いあの店へと向かうのだった。そしてしばらく歩きあの店の前についたんだが、何やら人だかりができていた

 

「なんだろう?あの人だかりは?喧嘩ですかね健さん?」

 

「さぁ?」

 

俺と菅野はとにかくその人だかりに行き、それを見た人に訊いてみると

 

「ああ、なんか自警団の連中とオウニ商会の用心棒をしている飛行機乗りがなんか言い争いをしているんだよ」

 

「オウニ商会というと今朝降りてきたあの飛行船のことだよな?で、用心棒て?

 

「ああ嬢ちゃん、コトブキ飛行隊と言ってな隼を中心とした飛行隊でパイロットは皆女性なんだよ」

 

 「「へ~」」

 

俺と菅野は教えてくれた人にお礼を言い奥へと進むとその中心にトキワギさんと何やら小さい少女が言い争っていた

 

「トキワギさんと言い争っているパイロット若いですね・・・・小学生ぐらいでしょうか?」

 

「ああ・・・・・・ん?あの少女どこかで・・・・?」

 

俺はトキワギさんと言い争いをしている少女に見覚えがあった。だが

 

「はぁ・・・・ちょっと止めに行ってくる」

 

「大丈夫か?私が行くけど?」

 

「菅野の場合すぐに拳が出るだろ?」

 

「そんな。人を喧嘩屋みたいに」

 

「よく言うよ。昔から喧嘩三昧する挙句よく機体を壊してよく始末書を書かされたのはどこの誰かな『菅野デストロイヤー』?」

 

「あれ?そうだったけ?」

 

「まあ、とにかく止めに行くから万が一の場合はお前の拳に頼るよ」

 

「おう、わかったわ」

 

そう言い俺は軽いため息をつき前へと踏み出すのであった。

 

 

 



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コンタクト

「すみませ~ん。ビールお代わり♪」

 

「さすがザラ。ビールをタンクで飲む女の面目躍如ですわね?」

 

加藤と菅野が来る少し前二人の向かっていた酒屋ではオウニ商会の用心棒、コトブキ飛行隊のメンバーが食事をしていた。そしてそのメンバーの一人でキリエの幼馴染であるエンマが副隊長であるザラの飲みっぷりに感心していると

 

「あら、私なんてまだ生ぬるい方よ。みなさいよキリエを」

 

そう言い二人が目にしたものは赤い服を着た少女キリエがパンケーキとカレーを交互に食べる姿があった。それを見たコトブキ飛行隊隊長であるレオナが

 

「パンケーキはデザートであって、最後に食べる物じゃないか?」

 

「根拠ゼロ!」

 

「健康にいい食べ方とされるのはまず野菜から」

 

レオナの言葉にキリエは否定の声を上げ、そしてエンマの隣にいた銀髪の少女ケイトがそう言うと

 

「何言ってるのケイト?まずいものを我慢して食べるより好きなものを美味しく食べるのが一番いいんだよ。美味しく食べる楽しく生きる。これサイコー♪」

 

嬉しそうに言いながらキリエはパンケーキとカレーを食べる。するとザラは苦笑して

 

「確かにダイエットによさそう・・・・・」

 

「でしょ?」

 

「見ているだけで食欲減退。超キリエダイエット」

 

「ヒッドイ!ザラもやってみなよ。甘い辛い甘い辛いのエンドレスだから!」

 

「そうね~人生に絶望したらやってみようかな・・・・どうレオナ」

 

ザラがそう言うとレオナは

 

「キリエ・・・・私は隊員の味覚や食生活にケチをつけるつもりはない。だが仕事の話となれば話は別だ」

 

「え?何のこと?」

 

きょとんとした顔で聞くキリエにレオナは真剣な顔をし

 

「スタンドプレーは慎むように何度も言ったはずだ。命令無視のその結果一時的に行方不明になり周りに心配をかけた」

 

「でもちゃんと帰ってきたし」

 

「偶然と幸運と根性に頼るのはパイロットとして下の下だ!」

 

「うっ・・・・・ごめんレオナ」

 

「聞き飽きた」

 

レオナにぴしゃりと言われキリエはシュンとなり謝るがレオナは呆れてそう返すとケイトが

 

「キリエの総謝罪回数389回。因みにこれは素数」

 

「キリエは技能ではなく、技術だけで操縦してますからね。」

 

「そんな事無いよエンマ!!ちゃんと考えるよ。」

 

「どんな風にですの?」

 

「えっと・・・・頑張るとか?」

 

「それ答えになっていませんわよ」

 

「いいじゃん!それにやばいっといったらチカの方が私よりやばいじゃん!」

 

「人は人だ!比べてどうする! キリエはもう少し仲間と自分の事を考えるように!」

 

「は、はい・・・」

 

キリエの言葉にレオナが叱るとレオナの言葉にキリエは大人しくなるのだったするとそこへ店の店員が現れ

 

「隊長さん。副船長さんから電話だよ?」

 

「ああ、わかった」

 

そう言いうとレオナは席を外すのだった。そしてザラは酒を飲み

 

「ふふ、疾風迅雷のキリエが言うことを訊くのはレオナだけね」

 

と、笑っているとキリエは

 

「そう言えば・・・・あの飛行機はなんだったんだろ?」

 

「あの飛行機って何キリエ?」

 

「ほら、この前羽衣丸が空賊に襲われたとき、羽衣丸を守ったあのグワァーてすごい音を出してたあの飛行機だよ」

 

「ああ、あの飛行機ですか・・・・・」

 

「確かに見たことのない飛行機ね。プロペラもついていなかったし」

 

「私の知る限り見たことのない・・・・・・」

 

「もしかして新しい空賊?」

 

「空賊でしたら羽衣丸を助けるようなことはしないわよ」

 

とキリエたちはこの前の空戦で突如現れたF2戦闘機の話をしていた。するとそこへ席を外していたレオナが戻ってきた。副船長からの電話の内容は臨時の任務の話が入ってきたというのだ

 

「で、どうだ?みんなの意見を訊きたいのだが?」

 

「レオナがやるなら、私もやるわよ。」

 

「私もやる!」

 

「異論はない」 

 

「あのお手当は?」

 

「通常の三倍で支払うそうだ」

 

「あら、素敵なお話です事」

 

皆の言葉にレオナは頷き

 

「よし、合議の結果、コトブキ飛行隊としては決まりだな・・・・ところで皆はさっき何の話をしていたんだ?」

 

「ええ、実はこの前現れた不明機について話していたのよ」

 

「あれか・・・・・」

 

ザラの言葉にレオナがそう呟くと。外から騒ぎ声が聞こえその騒ぎ声を聞いたレオナたちは店の外に出ると・・・・・

 

「なんだとこのガキっ!もう一変言ってみろ!」

 

「はぁ?聞こえなかった?それとも恥ずかしくて聞こえないふりする感じ?大人なのに横入りなんて恥ずかしいもんね!」

 

店の外では松葉杖を突いた小学生くらいの少女が中年の男と喧嘩していた。そして中年の男は顔を真っ赤にして怒鳴りつけていた

 

「口の利き方に気をつけろ!俺が誰だか分かってる!ラハマ自警団第3支部長のトキワギ様だ!!」

 

「それがどうした!こっちはチカ!コトブキ飛行隊だっ!」

 

そう少女ことチカは言い返すがトキワギたちは嘲笑い

 

「追いはぎ飛行隊?」

 

「違うコトブキ飛行隊だ!」

 

「あばずれ飛行隊か?」

 

「違うコトブキ!わざと間違えているだろ!」

 

「違わねえだろ!金で動くような、すねっからしどもだ!」

 

「そっちこそ、威張り腐るだけの街のお荷物が!!」

 

「どけぇ!!飛行隊なんざ自警団の足元にも及ばねぇんだよ!」

 

「やなこった!!」

 

そう言い襲い掛かるトキワギに対し、チカは巧みによけ、松葉杖を使ってトキワギの足を払いトキワギを転ばす

 

「うわっ!?」

 

「支部長!?」

 

トキワギの仲間がそう言う中それを見ていたレオナたちは

 

「あら、素敵」

 

「チカか!」

 

「まったくもって予想通り」

 

そう言う中、転ばされたトキワギはチカに殴りかかろうとするが・・・・

 

「はい。そこまで」

 

と、そこへ緑の飛行服を着た青年がトキワギさんの腕をつかむ

 

「お、おめえは・・・」

 

「トキワギさん。何をしているんですか?しかもこんな小さな子を特に脚怪我している子を相手に大人げない」

 

「いや、だってこいつが」

 

「なんで言い争ってるかは知りませんけど、店の人にも迷惑が掛かりますし、この辺でやめにしませんか?それに子供に拳を振り上げるなんて大人として恥ずかしいと思いませんか?」

 

「うっ・・・・すまない」

 

青年の言葉にトキワギは気まずそうな顔をし謝り、青年はチカの方へ顔を向け

 

「君も、売り言葉、買い言葉で言い返さない。それに君は脚を・・・・・て君は図書館の時の子か?」

 

「え?・・・・・あ-!!あの時の兄ちゃん!?」

 

チカも驚いてそう言う。そう喧嘩を仲裁したのは加藤であった。そして加藤は少しため息をつき

 

「さて、君はなんでここにいるのかな・・・えっと」

 

「私はチカだよ。えっとねこの店のカレーを食べに来たんだよ。この店のカレー美味しいからさ」

 

「そっか・・・・じゃあ、そのカレー俺が奢ってやろう」

 

「え!?いいの?」

 

「ああ、いいぞ」

 

「やったー!兄ちゃんありがと!」

 

「トキワギさんもこの店で酒を飲むつもりだったんでしょ?一緒に食べませんか?一杯奢りますよ」

 

「え?あ、ああ・・・それは嬉しいがいいのか?」

 

「ええ、昨日奢ってもらった礼です」

 

「そうか。じゃあお言葉に甘えて」

 

「菅野も別にいよな?」

 

「構わないわよ。食事は大勢で食べたほうがおいしいしね」

 

と、そばにいた菅野も頷き俺たちは店に入ろうと階段を登ろうとするとトキワギが

 

「あ、ちょっと待てケン。そこの階段は壊れて・・・・」

 

「え?」

 

その言葉に俺が振り向いた瞬間、脚に賭けた階段が壊れ俺はバランスを崩す

 

「うわっ!?」

 

「健さん!!」

 

「兄ちゃん!?」

 

皆が驚く中、俺はバランスを崩しバランスを保とうとバタバタとするが丁度そこへ店の入り口から出てきた赤い服を着た少女にぶつかる

 

「「うわっ!?」」

 

俺と少女がぶつかった瞬間。少女の持っていた皿の上にあるパンケーキが宙を舞い地面に落ちる

 

「ぱ・・・ぱぱぱぱぱパンケェェーーーーーキッッッッ!!」

 

と、少女は地面に落ちたパンケーキを見て顔を真っ青にして項垂れるがすぐに加藤の方を睨み

 

「私のパンケーキに謝れ!さあ謝れ!今謝ったら許すけど!謝るのか謝らないのかどうだ!そうか謝らないなら・・・・」

 

「えっと・・・ちょっと・」

 

マシンガンのごとく早口で言う少女の剣幕に加藤は動揺すると、彼女の目が光り

 

「こうだぁ!!」

 

「ふぼっ!!」

 

思いっきり顔を蹴り飛ばされ、地面に倒れるのであった

 

「ちょっ!?健さん!!」

 

「兄ちゃん!!」

 

それを見た菅野とチカは倒れて気絶する加藤に寄り添い、チカは揺り起こそうとし、菅野は。

 

「ちょっと、あんた!いきなり蹴り飛ばすなんてどういう神経しているのよ!」

 

「パンケーキの仇だ!」

 

「何訳の分からないことを言っているのよ!」

 

「あんたのそいつの仲間!?ならパンケーキの・・・いや、私の敵だ!」

 

「上等、上等、喧嘩上等よ!自衛隊のパンチをなめないでちょうだい!!」

 

と、先ほど収まりかけていた騒ぎがさらに大きくなるのであった。

 

「あらあら・・・・どうするレオナ?」

 

「はぁ・・・・・とにかく止めてくる」

 

ため息をつきレオナは喧嘩を止めに入るのであった・・・・・

 

 

 



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コンタクト2

久しぶりの投稿です。遅くなってすみませんでした


店の中

 

「だって、レオナが船で騒動を起こしたら、高度何千空里だろうと即刻、叩き落すって言ったから・・・・・」

 

「地上でならОkという意味じゃないんじゃない?」

 

「え?そうなの!?」

 

「と、言うよりチカ。なんであなたがあそこにいたの?まだボルトが入っているはずでしょ?」

 

ザラがそう言うとチカが顔を膨れさせ

 

「だってひどい!」

 

「何が?」

 

「何で5人だけでご飯食べているの!しかもカレーライス!!」

 

チカは頬を膨らませて4人にもう抗議する

 

「だってチカはまだ入院していると思ったんですもの」

 

「診断全治二か月。今日はまだ43日目」

 

「察しろ。退院の日くらい!!」

 

「無理無理無理!!」

 

エンマとケイト、そしてキリエの言葉にチカがそう言いチカは切り絵をじっと見て

 

「・・・・・・・で、キリエ。あんた、兄ちゃんを蹴っ飛ばしたの謝ってよ!」

 

「兄ちゃんって。あの人、チカのお兄さんなんですの?」

 

エンマがそう訊くとチカは首を横に振り

 

「ううん。今朝、あったばかりの人。でも優しいしから私は兄ちゃんって呼んでるの。で、キリエ・・・・・・・」

 

「私は謝んないよ。だってパンケーキ台無しにされたし。蹴られて当然だもん」

 

「パンケーキを頬張りながら言っても説得力ない」

 

「それに、そのパンケーキちゃんと弁償してもらったじゃないの。しかも10枚も」

 

ケイトとザラがそう言う。あの後、台無しにされたパンケーキは健が弁償することで解決となったのだったが、いまだにチカは健を蹴ったことを謝んないキリエに突っかかっていたのだ

 

「・・・・で、キリエ。あんた私がいない間、何機撃墜したの?」

 

「え?ニ機だけど?」

 

「それっぽち~?」

 

「戦線離脱していたチカに言われたくない!それにこの前は変な飛行機に邪魔されたし!」

 

「変な飛行機?何それ?」

 

「それは昨日の夜・・・・・あれ?そう言えばレオナは?」

 

「レオナはあそこであのお兄さんとお話ししているわ」

 

キリエの言葉にザラはある席を指さすと、席にレオナと健と奈緒が座って話をしていた

 

「私の部下が迷惑をかけた。すまない」

 

「いやいや、良いよ。あれは事故だしな」

 

ポニーテールの赤髪の少女レオナが健に謝り健は気にしないと言っていた。そしてレオナは健を蹴り飛ばしたキリエと騒動を起こしたチカをちらっと見ると何やら騒いでいるみたいだ

 

「菅野も別にいいよな?」

 

「私はまだ殴り足りないですが健さんがそう言うのなら。別にいいです・・・・・・」

 

と、腕を組み不満そうな表情をしていた。口ではそう言っているがいまだにキリエの方をじっと睨んでいる

 

「それよりもあなたちは・・・・」

 

「ああ、俺は加藤健。で、こいつが菅野奈緒。まあ他所から来た旅人ってところかな。今はラハマ自警団の人たちに世話になっている者だよ」

 

と、自己紹介する。そしてその後はレオナが再び謝罪した後、仕事があるのか彼女は切り絵たちを連れて店を出て行ったのであった。そして店の中に残った健と奈緒は

 

「さて・・・・・夕食でも取るか。あの騒動で食えなかったし」

 

「そうですね」

 

健は店の人にカレーを注文し、カレーが到着した後、奈緒と一緒に食事をする

 

「・・・・何だ奈緒。まだ怒っているのか?」

 

「いいえ、もうそれについては怒っていませんよ。ただ健さんは人が良すぎます。しかもあの小娘にパンケーキ10枚も奢るなんて」

 

「まあ、彼女のパンケーキを台無しにしたのは事実だからな。それよりも昨日の夜に零戦と交戦していた隼のパイロットがまさかあんなに若いとはな・・・・」

 

「ええ、チカと呼ばれた子も見た目では中学生ぐらい・・・・・他のパイロットも隊長とその副隊長らしき人は私たちと同じくらいか少し下のように見えましたが他の子はどう見てもまだ学生くらいの年齢。私たちの世界でならまだ航空学生の年齢ね」

 

「ああ、そんな彼女らが空賊と言うテロリスト相手に戦うとは俺たちの世界じゃ信じられないことだな」

 

「そうですね・・・・・・・それにしてもここのカレーすごくおいしいですね」

 

「そうだな。これもユーハング・・・・日本から伝わったと店員さんが言ってたな」

 

「ここに来てカレーが食べれるなんて・・・・・・あ、健さん。次パンケーキ食べてもいいですか?」

 

「ああ、いいぞ。全く菅野は甘い物好きだな」

 

「いいじゃないですか。女の子の甘い物好きは常識なんですから」

 

そう言い俺たちはカレーを食べる。そしてその後、トキワギさんもやってきて一緒に酒を飲んだ後、俺たちは酔いつぶれた菅野を運んで店を出るのであった。まあ途中で酔っぱらった菅野に首を絞められるわパイルドライバーを喰らわせるが出いろいろ大変だったが・・・・・

 

 

 

 

 

 

「どうだ?菅野。F2の方は?」

 

翌日俺たちは倉庫に置いてあるF2の整備をしていた。因みにあのコトブキ飛行隊だが、今朝仕事があるためかもう一機の大きな飛行船と一緒に飛びだっていた

 

「そうですね無線の方はこことの周波数に合わせましたから連絡はとれます。20ミリ弾の方は何とかなりますけど。やっぱり・・・・・」

 

「燃料が問題か・・・・・」

 

「はい。やっぱりただのガソリンじゃ無理ですよ健さん」

 

「だよな~。やっぱりここじゃジェット燃料は手に入らないのかな?」

 

と頭を掻きながらそう言う俺。すると

 

「どうかしたんですか?」

 

「ああ、町長さん」

 

そこへ町長さんがやって来た

 

「実はF2の燃料のことなんですが・・・・・・」

 

「燃料?ここの燃料は使えないのかい?」

 

「はい。成分が違うので・・・・・・」

 

「なるほど・・・・で、どんな燃料を使っているんだい?」

 

「実はこれなんです」

 

俺は町長にF2に使用する燃料の成分が書かれた紙を渡し町長がそれを見る

 

「う~ん・・・・ガソリンじゃないね・・・・ん?この燃料て」

 

「何か当てがあるんですか?」

 

「え?ああうん。ガドールに住んでいる古い友人が燃料屋をやっていてね。これと似た成分のガソリンを売っていたような気がしたんだけど。確かケロシンだっったけ?」

 

「「っ!?」」

 

町長の言葉に俺と菅野は驚き

 

「おい、菅野・・・・」

 

「ええ、これは見に行く価値はありますね・・・・・町長さん。そのガドールってところはどこにあるんですか?」

 

「え…と。確か・・・・・」

 

と町長さんは地図を出し、ガドールの場所を教えてくれる

 

「どうだ菅野?」

 

「航続的には問題なし。燃料も往復するだけの余裕はまだあります」

 

「武装は?」

 

「先ほど20ミリ弾を詰めた所です。ミサイルは未使用ですから使えます」

 

「よし、なら善は急げだ。町長さん。俺たちその燃料屋の方へ行ってくるよ。菅野!」

 

「おう!」

 

そう言うと菅野は梯子でF2に上る

 

「それじゃあ、向こうの方は私が連絡しますので」

 

「すまない町長さん」

 

「いいですよ。世の中お互いに助け合わないといけませんから」

 

「感謝します」

 

俺は町長に礼を言い、そして町長さんからガドールへの地図をもらって、エンジンを始動し俺たちの乗るF2戦闘機は倉庫から出て、滑走路へと出る

 

「よし!ソードウィング01。テイクオフ!!」

 

『同じくソードウィング02。テイクオフ!!』

 

そう言い二人の乗るF2戦闘機は生きよい良く飛び立ちガドールへと向かって行く。そしてそれを見た町長やトキワギさんそして団長らは

 

「もう見えなくなっちゃいましたね~」

 

「速すぎるだろ。あの戦闘機。バケモンか・・・・・」

 

「しかももすごいエンジン音だ。レシプロより大きいな・・・・・・」

 

と、あぜんとした表情で二機のF2戦闘機を見送るのであった。

 



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ENGAGE

「「遥かなる~蒼空遠く~」」

 

雲一転の無い青空に二機のF2戦闘機が飛んでいた。そしてそのパイロット二人は容器に航空自衛隊の歌である『蒼空遠く』を陽気に歌っていた。

 

「はぁ~平和だな菅野」

 

『そうですね。いつもスクランブル発進ばっかりだったので、こうしてゆっくりと飛ぶのも新鮮でいいですね』

 

操縦手である健と奈緒は無線でそう話していた。すると奈緒は

 

『それよりも健さん』

 

「ん?なんだ?」

 

『今から向かうガドールですが・・・・本当にジェット燃料が手に入りますかね?』

 

「さあな。だがそこに手掛かりがあるなら行くしかないよ。それにじっとあそこにいるよりはいい」

 

『そうですね。仮に手に入らなかったとしてもその時は、ここの飛行機を使えばいいですしね』

 

「そうだな…レシプロ機は訓練時代よく乗っていたからな。万が一手に入らなかったらF2は非常用として、ほかはこの世界の戦闘機を買うか借りてやるしかないな」

 

「紫電改とかあったらいいですね」

 

「菅野は本当に紫電改が好きだな」

 

「そりゃ、私の祖父が最後に乗っていた機体ですから。剣さんはやはり隼ですか?」

 

「そりゃあな。まあそれ以前にまずは最初の任務であるガドールに言って燃料を探そう。レシプロ戦闘機の購入は後程話し合って決めよう」

 

「そうですね」

 

と、そう言い二人はガドールに向かって飛ぶ。そしてしばらく飛んでいると

 

「後、15分で着くな・・・・・・」

 

『はい。それにしても静かですね。聞けばこの世界には空賊がいるという話を聞きましたが・・・・」

 

「なに、たとえ空賊が襲い掛かってきても開いてはレシプロ機。速度で引き離せばいい」

 

「そう言えばそうですね。この世界の飛行機はどれも旧日本軍が残した忘れ物。最速の戦闘機でも疾風の600キロ。こちらはマッハで振り切ればいいですし・・・・・・」

 

「なんだ。菅野。空賊とドッグファイトでもしたいと思っていたのか?」

 

「え?ええ…やっぱり私も自衛官とはいえ戦闘機乗り。やっぱり空中戦とかしてみたいな~って」

 

「あのな・・・・・・レシプロとジェットじゃ勝負にならんだろ」

 

呆れた声で健がそう言う

 

「じゃあ健さんレシプロとレシプロだったら?」

 

「う~んそれは技量に寄るかな…‥‥というより菅野の場合はすぐに機体壊しそうだしな」

 

「え~ソンナコトナイデスヨ?」

 

「おい、なんで片言なんだ?それによく言うよ訓練時代でも今でもお前、よく飛行機をよく壊してただろうが。整備の連中がいつも泣いて言っていたぞ。なあデストロイヤー君?」

 

「その仇名止めてください。私も好きで壊しているわけではないですし何より、この頃は壊してませんよ01」

 

「そりゃそうだ。この世界で部品がない以上壊されたら困るからな」

 

「ぶ~01.ちょっと意地悪ですよ。いくら航空学生時代からの仲だったとはいえ」

 

「いや~悪い悪い。まあ、菅野がドッグファイトをしたいて言う気持ちわからんでもないぞ。俺だってそうさ、けど俺たちは自衛隊員だ。先制攻撃はご法度だ。やるにしても正当な理由がなくちゃな。例えば相手が警告を無視して領内を飛ぶだけではなく街なんかを空襲した場合。もしくは向こうから攻撃した場合だ」

 

「そんなこと学校で習ってますよ。私たちは創立以来それで日本の平和を維持してきたんですから。ですがここは別世界…別に」

 

「だめだ。たとえどこの世界にいてもおれたちは自衛隊だ。元の世界に戻ってきたとき、自衛隊員として何も恥じることもない行動をとってきたと上官に報告したいじゃないか」

 

「それはそうですけど。異世界に行ってきましたなんて上官に言って信じてもらえますかね?下手したら檻付きの病院に入れられそうな気がしますが・・・・・」

 

「たしかにな・・・・でも」

 

「わかってますよ。01の言う通り・・・・・・・ん!?01レーダーに反応!」

 

「空賊か?」

 

「わかりません。レーダーに高度3千に超大型機2機。そしてその周りに複数の小型機・・・・恐らく戦闘機が30機以上いる戦闘機と交戦している模様」

 

「超大型は恐らくラハマから飛び立ったあの飛行船だな・・・・・そしてその交戦している戦闘機の中の数機は・・・・・」

 

「コトブキ飛行隊・・・・・」

 

「その可能性はある。とりあえず高度5千を維持してそこに向かうぞ。02燃料は?」

 

「まだまだ余裕あるわ。それにレーダーに映っている場所ガドールから近いしね。もし相手が空賊であの飛行船を襲ていたら、この前みたいに威嚇するんでしょ?」

 

「そうだ」

 

「警告無視して、威嚇射撃しても止めなかったら撃墜よね?スクランブルのマニュアルでもそうだし」

 

「撃墜は最終手段だ。万が一そうなったら、絶対に人には当てるな。狙うのは翼だけ。いいな?」

 

「了解01」

 

「よし、決まりだ。これからレーダーにうう撃った場所へ向かう。高度は今の5千を維持しておけ」

 

「了解」

 

そう言いニ機はレーダーに映った場所へ向かう。そして数分経つと下の方でラハマで見た巨大な飛行船二機が見えその先には複数の戦闘機が空中戦をしていた

 

「見えた・・・・・あれだな。02飛んでいる戦闘機の種別はわかるか?」

 

そう言うと、02こと菅野は目を細め、下で交戦している戦闘機を見る。加藤も目はいい方なのだが、菅野の目は鷹のように目が良く。長距離先の看板の小文字も見えるぐらいで皆からは『デストロイヤー』の他にとあるアニメの登場人物の固有魔法をとって『ホークアイ』などと呼ばれたりもしている。そして菅野は

 

「肉眼で見るからには・・・・・コトブキ飛行隊の隼以外に塗装は違いますが、一機は銀色の戦闘機・・・・あれは・・・P51Ⅾ・・・・・いや、旧陸軍の三式戦闘機一型とやられている方は二式単座戦闘機鍾馗です」

 

「飛燕に鍾馗か・・・・・またまたレアなのが出たな。02。どっちが空賊だかわかるか?」

 

「現在視認したところコトブキ飛行隊が鍾馗をそっている飛燕を攻撃したのを見るとどうやら飛燕が空賊の用です。しかし今の空賊飛燕はコトブキ飛行隊によって落とされています。これは私たちの出る幕はなさそうですね。飛燕は突っ込みが効きますが格闘戦には不向きな戦闘機ですし隼の機動力なら回り込んで撃ち落とすことは可能でしょう」

 

「まだわからん。思わぬ伏兵が待ち構えてるかもしれない。数十分監視するぞ。それで何もなればガドールに行く」

 

「了解01。それにしてもあのコトブキ飛行隊の戦闘機隊のうちの二機。連携が悪いですね」

 

「ああ、さっきも危うく飛燕に落とされそうになってたな。仲間の助けが無ければ墜とされていたぞ。先頭の戦闘機ちゃんと列機を見ているのか?」

 

そう言いながら下の先頭の様子を監視する二機。すると・・・・

 

「01。先ほどの隼二機の動きが変わりました」

 

「ああ、いきなり息の合った行動に出たな。前に居た飛燕の後ろに張り付き、後ろから追いかけてきたもう1機の飛燕に挟み込まれる態勢をとっているな・・・・お、後ろの隼飛燕を撃ち落とした。いきなりのあの連携・・・・・なかなかだ」

 

「ええ、先ほどよりいい動きですね・・・・・・て、01!?レーダーにあの二機の後ろに3機の飛燕が接近しています!恐らく雲の中に潜んでいます」

 

「向こうは気づいてるか!?」

 

「いいえ、他の仲間も相手が雲に隠れているせいで気づいていないようです」

 

「ちっ!仕方ない。02行くぞ!威嚇射撃して追っ払うぞ!エンゲージ!!」

 

「了解!!02エンゲージ!!」

 

そう言い二機は急降下するのであった

 

 

 

 

一方下の方ではキリエとチカが連係プレイで飛燕を撃墜したのを見てザラが

 

「あの二人、息ぴったりねレオナ」

 

「二人は怒ると思うが、あの二人はああ見えて似た者・・・・・」

 

そうレオナがそう言おうとした瞬間。急にチカとキリエの背後から雲を突き抜け3機の飛燕が飛び出してきた。それを見た瞬間、レオナたちは驚き、すぐに迎撃に向かおうとしたが間に合わない

 

「チカ、キリエ!避けろ背後にまだいるぞ!!」

 

「「えっ!?」」

 

レオナが無線で二人に知らせるが3機の飛燕は二人を背後を取り一斉射撃をしようとした。

 

一方、羽衣丸では

 

「っ!?新たな飛行物体上空から急降下して接近。速度は・・・・・800以上!?」

 

「おいおい、なんだその速度!?」

 

オペレーターの言葉に副艦長がは驚くと、上空からまるで雷のような音が鳴り響く。そしてそこから二機の灰色の大きな戦闘機が太陽を背にしてチカとキリエに襲い掛かろうとする飛燕に発砲する。

 

「っ!?」

 

突然のことに飛燕のパイロットたちは驚き、チカとキリエから離れる。そしてその二機の戦闘機を見たコトブキ飛行隊の隊員たちは

 

「あ、あの飛行機は!?この前の!!」

 

レオナはその機体を見て以前夜に羽衣丸を助けた飛行機を見て驚き、チカとキリエは

 

「あ!?あの時の戦闘機!」

 

「え!?何あれ!でかい!?」

 

以前F2を見たキリエは驚き始めてみるF2を見てもっと驚くのだった。そして攻撃された飛燕三機は見たこともない大きな戦闘機を見て怖くなったのか、急いで他の飛燕とともに逃げ出すのであった。それを見たレオナは

 

「逃げたか・・・・・それにしてもあの戦闘機・・・・・」

 

と、ちらっと二機のF2戦闘機を見る。すると無線から・・・・

 

『ザ・・・・聞こえるか?・・・・・ザ・・・・・応答せよ』

 

と無線から周波数が大きいのか大きい声が聞こえレオナはその声はF2に乗るパイロットの物だと確信し無線機を取る

 

「こちらコトブキ飛行隊の隊長のレオナだ。先ほどは仲間を助けてくれて感謝する。貴殿は何者だ?貴殿らは空賊なのか?」

 

と訊くと、

 

『こちら、日本国航空自衛隊、第64戦隊所属の・・・ザー・・・一尉だ。空賊ではない』

 

「(日本国?航空自衛隊?聞いたことない国に聞いたことのない部隊だな?それにイチイ?変わった名前だな?)」

 

名前を名乗るとき雑音が混じりレオナには階級名の一尉しか聞き取れなかった。そると無線から

 

『我々はこの後、急用があるため、これからこの空域を離脱する。縁があればまた会いましょう。幸運を祈るレオナ隊長』

 

と、そう言うと二機のF2は急旋回してものすごい速さで離脱するのであった。そのあまりの速さにレオナたちは唖然とし、そしてレオナは

 

「航空自衛隊・・・・・一体何者だ?それにさっきの無線の声。どこかで聞いたような・・・・・」

 

そう疑問を持ちながら彼女たちは飛行船に戻るのであった。そして羽衣丸の中ですべて見ていたユーリア議員は

 

「あの戦闘機・・・・・いったいなにものかしら?ねえ副館長さん。あなたは。あなた何か知っている?」

 

「え!?い、いえ、二日前に空賊から救ってくれたことしか・・・・」

 

「搭乗員と会わなかったの?」

 

「はい。空賊を追っ払った後、さっきのようにものすごい速さでいなくなってしまったので・・・・」

 

「そう・・・・・あの戦闘機・・・・是非、うちに欲しいわね。それとそれを操るパイロットも」

 

そう言いふっと笑うのであった。

 

 

 

 

だが、この時、彼女たち知らなかった。この後ガドールに着く時、二人と早く再会することに・・・・・

 

 



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ガドールのお銀

「ここがガドールか・・・・」

 

「殺風景ね・・・・なんか私の地元の田舎を思い出すわ」

 

無事にガドールについた健たちはF2戦闘機から降りてそうつぶやく。そして自分たちの戦闘機を見たガドールの人たちは見たこともないジェット機を見て驚いていた。まあそれはそうだろ

 

「・・・・それで大丈夫ですか?F2戦闘機をそのままにして?」

 

「大丈夫だ金払って倉庫を借りてそしてシャッターを閉めて鍵かけたんだから盗まれる心配はないよ」

 

「でも、渡された鍵、百金で売ってそうなくらいのおんぼろでしたよ?誰かに壊される可能性がありますよ?」

 

「・・・・・・可能性はあるな。何だか心配になってきた」

 

「でしょ?」

 

「わかった。なら早く買い物を済ませよう。そうすれば早く戻れる」

 

「あるといいですねジェット燃料」

 

「あってもらわなきゃ困る・・・・・・さて、町長さんにもらった住所によれば・・・・このあたりだな?」

 

 

そう言い二人が付いた場所は何やら古ぼけたガソリンスタンドのようなところだった

 

「健さん。私あんまり疑うのは好きじゃないけどどう見たってただのガソリンスタンドですよね?しかも倒産寸前の?」

 

「失礼なことを言うんじゃない。きっと見た目だけだ。とりあえずあの店の中に入ろう」

 

「え・・ええ」

 

そう言い二人は店に入ると、そこはバーになっていた

 

「ガソリンスタンドなのにバーがある・・・・」

 

「しかも繁盛していますね?」

 

中は繁盛しているみたいで無数のお客さんがいた。みんな酒を飲んだりと楽しそうだった。しかも大半が女性ばっかり・・・・なんというかバーというよりも女子ヤンキーのたまり場みたいなところだった

 

「健さん・・・・私たち店を間違えましたか?」

 

「いいや?町長さんに渡されたこの地図だと確かにここなんだけどな・・・・・・?」

 

と、首をかしげているとバーテンダーの女の子が

 

「・・・・店に入ったなら何か注文しな」

 

「あ、すみません。メニューあるかしら?」

 

菅野がそう訊くと常連らしきパーマの子が

 

「そんなもんあるわけないって」

 

「そう・・・・ところでここはガソリンスタンドみたいだけどここはガソリンを売っているのかしら?私たちはケロシンっていう燃料を買いに来たんだけど?」

 

と菅野がそう訊いた瞬間。その場にいた女性たちがじっと菅野を見る

 

「え?な、なに?」

 

「な、なんかすごい目で睨まれているんだけど?というよりにやけた顔で見られている)」

 

二人が困惑すると、その場にいる客の少女たちが

 

「(ねえ、これはまたカモがやってきたわね~)」

 

「(そうだねまたまた命知らずのチャレンジャーが来たね。これは見ものだわ)」

 

と、小声で話すと健が

 

「俺たちはラハマの町長さんの知り合いがやっているという燃料屋を探しに来たんだ。で、ここにあると聞いてきたんだが、店長はどこだ?できれば話をしたいんだが?」

 

「ただじゃ教えな~い。勝負に勝ったら教えてあげるわよ~」

 

と先ほどのパーマの女性がそう言うと菅野が

 

「勝ったら、燃料のことも教えてくれるんだな?」

 

「・・・・OK」

 

「で、まずは何の勝負をする?」

 

健がそう訊くとモデルみたいにすらりとした体形で水兵のような服の長い髪の女の子がやってきて

 

「そうね~じゃあ、まずは私から。そこのお兄さん。札遊びはお好き?」

 

「まあ、ガキの頃、遊〇王とかポ〇モンとかしょっちゅうやってたが?」

 

「何それ?まあいいわ。ならこれも気に入るわ。かつてユーハングから伝わった遊びの最高位の札遊びで名前はポーカーよ」

 

「ああ、ポーカーか」

 

「あら?知っているの?」

 

「ルールはな。やるのは初めてだけど」

 

「そ、なら話が早いわね。勝負の内容はポーカー。あんたが勝ったら店長とあんたが探しているケシロン燃料のこと教えてあげる。負けたら一番高い酒を買ってもらうわよ。ちなみに私はこの店の副店長のフリントよ」

 

副店長だったんだ・・・・・

 

「まあ、いいか。じゃあ始めよう。俺たちもあまり長居はできないからな」

 

そう言い、俺と副店長さんのポーカー勝負が始まり周りは緊張の空気に包まれる。そして双方の札がそろうと副店長、フリントはふっと笑い

 

「(ふっ・・・自身だけはある田舎者のようね。だけどそんな自信。この店じゃ通用しないわよ。私は生まれてこの方ポーカーに負けたことがない。今まで来た客に高い酒を買わせてきたこの腕、あなどるんじゃないよ!)私は準備できたよ。どうする?何なら特別に交換してあげようか?」

 

「いいや。勝負で構わないよ」

 

「そう…なら!!」

 

フリントは自分のカードを見せる

 

「残念だね~お兄さん。私はフルハウス。つまり私の勝ちね~いや~本当にお兄さん運が悪いわね~」

 

「ああ、確かに運が悪いと言えば悪いな~出撃したのは大晦日。そんでなんか変な穴に吸い込まれたと思ったら全く別の世界で今は帰る方法を相棒とともに苦労しながら探している。まったく世の中、不思議なもんだぜ」

 

「何を言っているの?」

 

「いや、別に・・・・ただ運が悪いのは副店長さんのほうさ」

 

「え?」

 

「ほら」

 

そう言い健はカードを見せると菅野を除く連中が目を丸くし驚き、そしてフリントも驚いた

 

「なっ!なななな!ロイヤルストレートフラッシュ!!!??嘘よ!うそでしょ!65万分の1の確率でしょ!?」

 

「その確率が今だったんだろ?さて・・・勝負は俺の勝ちだ約束は守ってもらおうかな副店長さん?」

 

「ぐっ・・・・・・あんた如何様とかしていないわよね?」

 

「真剣勝負にそんな無粋なことはしないよ」

 

「でも!!」

 

「そこまでよ!!」

 

フリントは勝負に納得いかず件につかみかかろうとすると誰かが呼び止める。するとカウンターのほうでお酒を飲んでいた海賊風のコートと帽子をかぶった女性が座っていた

 

「フリント。この勝負あなたの負けよ。素直に認めなさい。それにしてもお兄さん。なかなかやるわね~フリントはポーカーでは負け知らずだったのよ」

 

「・・・・・君が店長さんか?」

 

「そうよ。この店『イソロク』の店長であり、燃料屋のお銀よ。話はラハマの町長さんからは話は聞いているわ。ケロシン燃料が欲しいんだよね?」

 

「ああ、」

 

「ええ、そうよ」

 

「なら裏の広場にあるから来なさい。あ、フリント店の対応お願いね」

 

「は、はい・・・・」

 

「あ、それとね・・・」

 

とお銀はフリントに近づき耳元で

 

「(次からは如何様する相手は慎重に選びな。それ以前に如何様なんかしたら絶対に許さないわよ。次はないから気をつけなさい)」

 

「ひっ!?は・・・はい」

 

小声でしかも冷たい口調でそう言うとフリントは顔を青くして返事をするのであった

 

 

 

 

 

店の裏側・・・・

 

「すごいな・・・・」

 

「ええ・・・これ全部ケロシン燃料?」

 

お銀に案内され裏の広場に行くとそこには無数の燃料の入ったドラム缶が山住になっておいてあった

 

「ああ、表に置いてあるのはガソリンかオクタンだけどこの裏にあるのは全部ケシロン燃料よ。好きなだけ持っていきな」

 

「え?いいのか?」

 

「うちの収入源は表にあるガソリンと店にある酒と飯さ。十分潤っているし、それ以前にここにある戦闘機や飛行機の燃料と会わないし、正直処分に困っていたんだよ。だから構いはしないさ。その代わりにうちの店に通って酒を飲んでくれればいい」

 

「あかった。ありがとな」

 

「あの町長ほどではないが、困ったときはお互い様だ。燃料は後でトラックに積んで運ぶから今はどのくらいほしいんだ?」

 

「とりあえず、このくらいほしいんだ。俺たちの機体もうすぐ切れそうなん。後予備としてこれくらいラハマに送ってくれるか?」

 

「どれ?」

 

そう言い健はメモをお銀を渡しお銀はそのメモを見ると

 

「OK。このぐらいねそれなら大型トラックを使ったほうがいいわね。すぐに運ぶから格納庫で待てて。それとラハマに送る分は少し時間がかかるから2日待っててくれ」

 

「ああ、わかった。ありがとなお銀」

 

「これからも『イソロク燃料屋』をご贔屓にね。じゃあ私は準備するから」

 

と、そう言い彼女は店に戻る

 

「いい人ですね健さん」

 

「ああ。まあとりあえずジェット燃料は手に入ったな」

 

「そうですね。じゃあ格納庫に戻りましょう健さん」

 

「そうだな。誰かに盗まれるとまずいからな」

 

 

 

 

一方、格納庫では

 

「ねえ、見た!私のさっきの私の腕前、ダダダッと撃って空賊を撃墜して!!」

 

「チカ、もうそれガドールについてからずっと言っているよね?」

 

「さすがにしつこい・・・・」

 

コトブキ飛行隊のチカとエンマそしてケイトと隣でプチパンケーキを食べているキリエの4人が格納庫の前を歩いていた

 

「それにチカとキリエは最後にあの飛行機に助けられたでしょ?」

 

「そんなことないもん!あれが出てこなければ倒せたし!」

 

「そうだし、それになにあの大きな飛行機!しかもプロペラついていなかったし!」

 

「そうですわね。それに無線で言っていた「コウクウジエイタイ」っていうのも聞きなれませんわね?」

 

「私の知っている中では知らない組織・・・・」

 

「あ~もう!一度ならずに度まで邪魔するなんて!!」

 

と、キリエは道にあった小石を蹴っ飛ばすと小石は格納庫のシャッターの閉まっているところに当る。しかもあたったのはそのシャッターを閉めているカギでカギは壊れ音を立てて落ちる

 

「あっ!やっちゃった・・・・」

 

「キリエ、いけないんだ~」

 

「わざとじゃないもん!でもなんでシャッターなんか閉まっていたんだろう?」

 

「飛行機を閉まっているからに決まっているでしょ?でもどんな飛行機なんでしょう?」

 

「じゃあ、見てみる?」

 

「私も興味ある」

 

「ちょっと。勝手に開けちゃダメでしょ?それにカギを壊しちゃったんだから直さないと」

 

「大丈夫だって、持ち主が戻る前にちらっと見てそして鍵を治してシャッターを閉めればいいだけじゃない」

 

エンマが止める中3人はシャッターを開けて中を覗くとそこには・・・・・

 

「うそっ!?あの時の戦闘機だ!!」

 

中にあったのは二機のF2戦闘機だった。

 

「なんでこんなところにあの戦闘機が・・・・・」

 

エンマがそう言うと・・・・

 

「誰!勝手にシャッターを開けて私たちの愛機に勝手に近づいているのは!!」

 

「「っ!?」」

 

背後から声がし4人は振り向くと、そこには二人の男女がいた。しかもその男女は・・・・

 

「あれ?あなたたちは・・・・・」

 

 



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邂逅、コトブキ飛行隊と航空自衛隊

ケイトとチカとエンマとキリエは格納庫の鍵をうっかり壊してしまい、そしてその格納庫の中に入ってしまう。そして彼女らが見たのは二機のF2戦闘機であった。

4人がイジツにない大型の戦闘機を見て驚いていると、そこへF2のジェット燃料の買い物を終えて戻ってきた航空自衛隊員の加藤健と菅野奈緒が現れるのであった

 

「あんたたちそこで私たちの愛機に何をしているのよ?」

 

「あなたたちはこの前の・・・・?」

 

奈緒が警戒する目でそう言いエンマは二人を見てそう言うとエンマは何か思い出したのかそう言いかけた時

 

「あー!兄ちゃん!」

 

「あの時パンケーキをダメにしたやつ!!」

 

チカとキリエが健を指さしてそう大声で言った

 

「お・・・おう。どうもあの時はすまなかったな・・・・」

 

健は苦笑いしながらそう返事をする。するとケイトが健と奈緒に近づき

 

「あの大型の戦闘機はあなた達の?」

 

無表情で二人に訊くと奈緒が

 

「ええ。そうよ・・・・で、それが何?」

 

「とても興味ある・・・・あの飛行機のこと教えてほしい・・・・」

 

「え・・・とそれは・・・・」

 

健がどう答えればいいか悩んでいると

 

「それよりあんた、この飛行機のパイロットでしょ?何で私の撃墜の邪魔したの!!」

 

と、キリエが健に食って掛かった。それを奈緒が

 

「邪魔って・・・あんた何言っているの?もしかしてさっきの飛燕との戦いのこと?それとも夜の零戦の戦闘のことかしら?」

 

「両方だよ!それになんで私の獲物を奪っただけじゃなくて、撃墜しなかったの!あ、そうかあんた射撃がへたくそなんだね」

 

キリエが挑発的にそう言うと、奈緒の眉間に青筋が出る

 

「へ~面白いこと言うじゃないの。私の腕がへたくそね~だったら飛燕の時、列機の位置を確認せずに勝手に独断で飛んだり、また背後に忍び寄っている敵に気づかなかったのは何処の子娘さんかな?」

 

「ちゃ・・ちゃんとわかってたもん!それにちゃんとまわりはみているし~!」

 

「へ~あやうくもう一機の隼を危険な目に合わせるところだったじゃないの」

 

「なにを!」

 

「なによ?」

 

と、奈緒とキリエは火花を散らしながらにらみ合う。そして健はケイトに質問攻めをされて困っていると・・・・・

 

「キリエ、チカ、ケイトにエンマ。そこで何をしているの?」

 

「4人とも集合時間はとっくに過ぎているぞ!」

 

と、そこへ隊長のレオナと副隊長のザラがやってくるのだった。

 

 

 

 

 

 

「すまない。私の仲間が勝手に・・・・・・」

 

「いや、いや。わざとじゃないんですから構いませんよレオナさん」

 

その後、格納庫のすぐそばに在る喫茶店らしき店で事情を聴いたレオナが健に頭を下げてそう言う。

 

「いいや、壊した鍵は私が弁償しよう。それにあなた達には二回も助けてもらったことだし」

 

「そうですか・・・・」

 

と、健は頷く。健はこの人が貸し借りを作りたがらない人だとわかってこれ以上言うのは止めたのだ。そしてレオナはコホント咳をすると

 

「では改めて、私は私はコトブキ飛行隊の隊長、レオナだ。先ほどの飛燕、さらには夜間に襲ってきた空賊の時は助かった」

 

「いいえ。私たちはあくまで自衛官として集団で民間飛行船を襲っている相手をほおっておくことができなかったので、改めて申し遅れました俺は日本国航空自衛隊第64戦隊所属の加藤健。階級は一等空尉です。そしてこっちが相棒の・・・」

 

「同じく航空自衛隊の菅野奈緒。三等空尉です」

 

とレオナの挨拶に健と奈緒が挨拶をするとレオナは

 

「少しいいか?先ほど日本国とか航空自衛隊と言っていたが、もしかしてあなたたちはユーハングの人間か?」

 

「ユーハング?」

 

ユーハングについては二人は薄々日本のことだと考えていたが、あくまで推測なので彼女自身からユーハングについての情報が知りたかった。そしてレオナはユーハング人について話す

 

「ユーハング人とは70年前、「穴」を通ってこのイジツにやって来て、そして帰っていった人々のことだ。ユーハングとは正式な言葉は「日本軍」と言われている」

 

「「(日本軍・・・・・・やはり)」」

 

レオナの説明により、二人の推測が確信に変わった。そして健は

 

「確かに私たちはあなた達の言うユーハングと呼ばれるところから来た。しかし俺たちは日本軍ではない」

 

「と、言うと?」

 

「日本軍とは1871年から1945年までに我が国、日本にあった軍事組織だ。だが、1945年の第二次世界大戦の敗戦により軍は解体された。そして俺たちはその日本軍が解体されたのちに日本の防衛組織として創設された自衛隊のうちの航空部門にあたる航空自衛隊に所属している」

 

「つまりユーハング人ではあるが組織が違う・・・・そう言うこと?」

 

「まあ、いうなればそうだ」

 

ザラの言葉に健が答える

 

「それで、どういう理由でここに来た?」

 

ケイトが質問すると

 

「俺たちにもさっぱりわからない。所属不明機が領空に侵犯したという連絡を受けて急発進したんだが、突如現れた大きな穴に吸い込まれていつの間にかこの世界に来ていた。つまり俺たちは完全な迷子というわけだ」

 

「迷子って子供じゃないんだから・・・・」

 

健の説明にエンマは呆れてそう言い、そばにいるキリエは大きい戦闘機に載ってるくせに、パイロットは素人なのかと言わんばかりの冷たい目で見ていた。

 

「それで、これからあなたたちはどうするの?」

 

ザラが訊くと奈緒は

 

「私と健さん・・・・・一尉は今、元の世界に帰る方法を探している。もし見つけたらそのまま日本に帰るつもりよ」

 

「見つかるまでその間はどうするの?」

 

「すでにあなたたちは知っていると思いますが。今俺たちはラハマの町長さんの世話になってラハマ自警団の手伝いをしている」

 

「そうですか・・・・」

 

もし当てがなかったら、マダムに相談して保護してもらおうと考えていたのだが、すでに行き場のある彼らにその提案をすることはレオナはできなかった。

するとチカが

 

「ねえ、兄ちゃん。兄ちゃんってユーハングの人なの?」

 

「ああ。そうだよ」

 

「ユーハングには海があるんでしょ? ウーミもいるの?」

 

「ウーミ?…ああ、あの絵本の?」

 

確か…フグのゆるキャラだったようなと健はチカの言っていたウーミというキャラを思い出す

 

「イジツには海はないの?」

 

「はい。大昔にはあったらしいのですが今は枯れちゃって僅かな湖と小さな川が残っているだけですの」

 

「そうなのか・・・どうりで荒野だけだと思ったが・・・・」

 

奈緒の質問にエンマは答える。

 

「それで、ウーミはいるの兄ちゃん?」

 

「そうだな…トラフグとかクサフグは見たことあるがウーミは見たことがないな・・・まあ、でも海はまだまだ解明されていないことが多いいから、たぶん人間の目の届かないところでひっそりと生きているんじゃないか?」

 

健は地下の夢を壊さないようにそう言った。事実、海はまだ未発見なところが多々あり、もしかしたらチカの言っていたウーミなる生物が本当に要るかもしれないと健は少し思ってた。すると今まで黙ってたキリエが

 

「・・・・で、あんたユーハングでの撃墜数は?」

 

「ないよ」

 

「え?ないの!?一機も?」

 

キリエの言葉に健が答えると、その場にいた全員が驚いた

 

「ああ、俺たち航空自衛隊はもとい自衛隊は創立以来一度も他国と戦争をしていない。俺たち空自も模擬戦はあったが、命を懸けた空戦はまだしていないし撃墜もしていない。よって撃墜数は0だ」

 

「じゃあ、素人なの?」

 

「いや、健さんは少なからず腕はいいわよ。アメリカとの合同模擬戦では何度もアメリカ軍の戦闘機の背後を取りキルコールしてたから、模擬戦では無敗だったわ」

 

「でも0なんでしょ?」

 

と奈緒の言葉にキリエは皮肉交じりに言うと二人はまたにらみ合い無言で火花を散らす。その様子にレオナと健は

 

「「(仲良くしろよ。二人とも・・・・・)」」

 

と内心そう思っていると

 

「あ!いたいた。ここにいたのかい!」

 

と店から先ほどの燃料屋イソロクの店長であるお銀さんが入ってきた

 

「ああ、お銀さん。すまない格納庫にいるつもりだったんだけど・・・」

 

「それはいいんだよ。店の中であんたがいるの見たからね」

 

「そうか。それで燃料は?」

 

「二機分、満タンに入れといたよ・・・・・・て、そうじゃなかった!あんたすぐにラハマに戻れ!!」

 

「え?どうしたんだい?」

 

「さっきラハマの町長から電話があったんだ。ラハマが空賊に襲撃されたみたいだぞ!」

 

「「「「っ!?」」」」

 

その言葉に健と奈緒以外にレオナたちも驚くのであった

 



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