ハイスクールD×D 僕は人畜無害なんです。 (絵画(あーと))
しおりを挟む

第零章。人畜無害の日常。
第一話 プロローグなんです。


初めまして、あーと。と申します。

いやぁ、ソウルイーター読んでたらクロナかっこよすぎてついつい書きたくなっちゃいました(=゚ω゚)

もしよかったら読んでください、ではでは。


 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……!」

 

 

 

 

 良い子も悪い子も、そして大人も眠る深い深い夜。

 空にはまんまるなお月様がポツリと浮かんでいた。

 

 

 

 薄暗い森の中で一人の男性が何かから逃げるように息絶え絶えに走っていた。

 

 

 

 肩から背中にかけて切り裂かれた様な傷があり、今もまだ血が流れ出ている。

 

 

 

 

「糞! 何で……何で俺がこんな目に!」

 

 

 

 

 一昨日受けた依頼。

 依頼主から聞いた話では簡単な依頼の筈だった。

 

 

 

 一匹の男のはぐれ悪魔を殺す。

 たったそれだけの依頼。

 それで大量の報酬金が出されると言うのだ。

 よく連んでいる連中も羨ましそうに自分を見ていたのも覚えている。

 

 

 

 よく考えたらこんな依頼可笑しいに決まってる!ただのはぐれ悪魔一匹にあんな金払うはずがない!酒さえ入っていなければ……そう考えるがすぐさま頭の隅に追いやる。

 

 

 

 今はあの化け物から逃げることに集中しなければ、じゃないとーー

 

 

 

 

「“Στριγκλιά(スクリーチ) α”」

 《ピギァアアアアァァァァアァァァアアァアアアアア

 ア!!!!!!》

 

 

 

 

 静かだった森に雄叫びに近いような甲高い悲鳴が響き渡る。

 

 

 

 逃げていた男の声ではない、甲高い、耳を劈くような叫び声。

 

 

 

 

「グペェッ!?」

 

 

 

 

 瞬間、男は後ろから放たれた何かの衝撃でその身を空に弾き飛ばされた。

 

 

 

 

「ぐ……がぁ……ぁ……」

 

 

「よかったぁ……手加減はしたんだけど……まだ死んでないよね?ほら、僕って結構強い感じだからさ、手加減しないとすぐみんな死んじゃうんだ。本当に悲しいよ」

 

 

「ば、化け物が……ぁ……!」

 

 

 

 

 男の後方にあった木の陰から一人の男ーーいや少年が歩いてくる。

 

 

 

 桃色の髪を肩まで伸ばした中性的な容姿の少年だ。どちらかというと女性的、と言えるような容姿だが。

 

 

 

 右手に墨汁をぶちまけたような黒い剣を持ち、その剣をもつ右腕を左手で抑えている。

 剣の切っ先は何かを求めるようにカタカタと震えていた。

 

 

 

 

「化け物なんて酷いな。いったい僕のどこが化け物って言うんだよ。ほら?どこからどうみても人畜無害な一般人だろ? それに僕からしたら君の方がよっぽど化け物だと思うよ?いきなり後ろから飛び出してきて、首を切り落とそうと狙って来るなんてさ?びっくりして避けれなかったよ……。今もまだ痛いんだよ?ほら、皮が切れてちゃってさ、ちょっと血が滲んでる。僕って血が苦手なんだよねぇ、ほら赤色って人間は本能的に恐怖するっていうじゃん?って言っても僕の血は赤くないんだけどね。」

 

 

 

 

 狂ったように言葉を少年は吐き続け、やがて思い出したかのように男に向き直る。

 

 

 

 

「そうそう!忘れるところだったよ!僕は君に聞きたいことがあるんだ。これを聞かなきゃ君を追いかけた意味がなくなっちゃう。それに、勿論答えてくれるよね?あ、もしかして攻撃したこと怒ってるの?それは諦めてよ、君から攻撃してきて僕が反撃した。立派な正当防衛だよ。だから君が負ってるその程度の傷は許して欲しいね。それに話してくれたら自由にしてあげるよ?ほら、こうみえて僕は優しいんだ!あの程度の攻撃ならイタズラってことにしてあげてもいい!それとも……まぁ、いいや、とりあえず教えてよーー

 

 ーー誰からの依頼だ?」

 

 

 

 

 さっきまでヘラヘラと笑っていた表情を一転、少年の顔から表情が抜け落ちる。

 スゥーーッと右手に持っている剣を男の首元に持っていく。

 

 

 

 

「わ、わかった!は、話す!は、話すから助けてくれ!」

 

 

「ほら、落ち着いて、話したら自由にしてあげるってさっきから言ってるでしょ?依頼者の名前を言ったら君は自由になれる。さぁ、教えて?」

 

 

「きょ、教会だ!教会からの依頼なんだ!はぐれ悪魔が一匹いるから殺してこい、報酬は弾むぞって……」

 

 

 

 

 これで許してくれるだろ? そう呟きながら泣き崩れそうな笑顔を少年に向け、男は生に縋り付く。

 既に涙と血で彼の顔はぐちゃぐちゃだった。

 

 

 

 

「そっかぁ、教会、かぁ……。ありがとね、これで君は自由だ!僕に情報を教えてくれた対価だからね。僕は約束は守る男なんだよ。しっかりと自由にしてあげる!」

 

 

「あ、ありがーー」

 

 

「じゃあ、死ね」

 

 

 

 

 黒い剣が振り降ろされた。頭蓋骨を砕き、脳に突き刺さる。こうして一人の男の人生があっけなく終わった。

 

 

 

 

「よかったね、自由になれて。これで君を縛るものは何もなくなった!安心して逝くといいよ。僕はまだそっちにいかないけど……いつか会えるといいね!それまでバイバイ……って言ってももう聞こえてないか。折角知り合えたのに名前聞き忘れちゃったな、こんな事なら名前くらい聞いとけば良かったよ」

 

 

「ふぅ、それにしても教会かぁ……嫌だなぁ、あそこに行くと白服共が襲ってくるんだよ、僕は無害な一般人なのに嫌になっちゃうよね。それに僕は白色は嫌いなんだよ、なんかほら……純白アピール?僕は綺麗ですよー……みたいな。血まで真っ黒に染まりきってる僕への当てつけかっての。あーヤダヤダ、教会も天使も大嫌いだよ」

 

 

 

 

 口元についた血を舐めとり、それでもとれない血を服の裾で拭い取る。そして手に持つ黒の剣を消す。

 

 

 

 

「また襲われるのも怖いし、ちょっと教会にいって挨拶してみようかな。初めまして、僕は無害な人間ですよー……って。面倒臭いけどしょうがないよね、僕はもう誰とも関わりたくないんだ。」

 

 

 

 

 そうして少年ーー“SS級はぐれ悪魔”ーークロナは協会へと歩みを進め始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんなのクロナじゃない…書いてて思いましたが性格は違うんです、なんかペラペラ喋っちゃう子なんです。

あと、技名が現代ギリシャ文字なのはかっこいいからです
作者の厨二病とでも思ってください

感想…くれるとうれしいな(チラッ

ではいつになるかわかりませんが次回あいましょう、ばいばい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 森の中で迷子になったんです。

皆様、こんばんわ。

お気に入り、感想ありがとうございます!

なんとか同じ日に出来上がったんで

では、どつぞ。


 

 

 

 

 

「どうしよ……道、迷っちゃったかな……?」

 

 

 歩き始めて約10分ほど経った頃だろうか、クロナはそう呟いた。

 森の中は木の葉の隙間から覗く月の光のおかげで少し前が見えるだけだ、その先は闇に染まっている。

 夜目が効く悪魔でも少し離れると何も見えなくなってしまうような暗さだった。

 

 

 正しく前に進めるかどうかさえ怪しいこの場所で、何も考えずに突き進めば迷子になるに決まっている。

 

 

 そして、一つ言うのであれば……クロナに自覚がないだけで、既にクロナは数日前からこの森の中で迷子になっている。

 

 

 “SS級はぐれ悪魔”であるクロナは、悪魔だけでなく天使や教会の者にもそれなりに容姿を知られている。

 そんな悪魔が森の中で数日前に入った後もウロウロと徘徊しているのだ、討伐依頼も出るだろう。

 やはりその事にも本人は気がついてないが。

 

 

 

「あれれぇ……? ここってさっきも通らなかったっけ? 僕本気で迷子になっちゃったのかな……? こんなことなら歩かないで初めから飛んどけばよかったよ……」

 

 

 

 はぁ……と、溜息を吐いて近くにある切り株に腰を下ろす。

 

 

 

「あぁあ……迷子になるんだったらもっとあの男の人と話しとけばよかったよ。誰とも会話出来ないのって寂しいんだよねぇ……あ、そう言えばあの子も寂しがり屋だったなぁ……」

 

 

 

 懐かしい。

 母親から初めて与えられた、クロナの初めてのお友達。

 古い記憶思い出そうと珍しく口を閉じ、記憶の海に溺れていく。

 

 

 

「きゃぁあぁああっ!?」

 

 

 

 ふと……そんな叫び声で目が覚めた。

 丁度良い、今の人に教会のある村の場所を聞こう。

 そう思い切り株から腰を上げ、声の聞こえた方へと足を進める。

 

 

 声の聞こえた場所には片腕から血を流している女性と1匹の大狼、そして数匹の狼が女性を囲っていた。

 

 

 きっとあの大狼が群れの主なのだろう。

 こちらに気づき唸り声を上げて威嚇してきた。

 

 

 

「狼さん狼さん、僕ちょっとそこのおねぇさんに聞きたい事あるんだよね!少しだけ話していいかな?」

 

 

 

 勿論、ただの野生動物である狼に人間の言葉が通じるはずがない。

 

 

 こちらに敵意があると思ったのか、群れの1匹がクロナに飛びかかり首に噛み付いた。

 

 

 ガリガリガリガリ…ッ!

 

 

 まるで硬いものでも噛み付いたかのような音がし、クロナの首から数滴の“黒血”が空に舞い……狼の頭を貫いた。

 

 

 

「 “Αγκάθι μαύρο αίμα(ブラッディ・ニードル)”」

 

「ギャウッ!?」

 

 

 

 そのまま“黒血”の針によって地面に頭を縫い付けられた狼はもがき、苦しんでいたがやがて動かなくなった。

 

 

 その光景に唖然とする女性、そして後退りをするように後ろに下がっていく狼達……そして狼たちが逃げ去りその場にはクロナと女性だけが残された。

 

 

 

「あらら?狼さん達逃げちゃった。ったく酷いなぁ、仲間一匹見殺しにして逃げちゃうなんて、そんなんじゃーーー

 

「あ、あの!」

 

「ん?ああ」

 

 

 

 今の今までそこに女性が居たことを忘れてたクロナだったが、聞きたいことがあったんだ、と思い出し女性に向き直る。

 

 

 

「あ、あの!助けていただきありがとうございました!」

 

「いやいや、気にしないでいいよ。僕も君に聞きたいことがあってさ、それで助けたんだよ。それにたまたま近くに居ただけだしね。」

 

「それでも!私が命を救ってくれたのは貴方です!本当にありがとうございました!あ、そ、それで聞きたいことってなんですか?私にわかることなら何でもお答えします!」

 

 

 

 勢い良く頭を下げる女性。

 

 

 

「いやいやぁ、丁度よかった!僕この近くの教会がある村を探してるんだよね!ちょっとそこの場所教えてくれないかな?」

 

「教会ですか?教会のある村なら…私の村にはありませんけど、私の村の近くにある隣村に教会がありますよ」

 

「そうなの?良かった良かった!そこの方角教えてくれないかな?ほら、大体この場所から見てどっち側にあるか、とかさ。分かりそう?」

 

「はい!私の村の方角と殆ど一緒なので、向こうから走ってきたから……えーっと……ここから北にあるから、あっちの方です!」

 

 

 

 そう言ってさっきまでクロナが進んできた道から少し逸れた方向を指差す。

 

 

 

「あちゃぁ……そっかぁ……。それだとここからまだ距離がありそうだね。ありがと、この恩は一生忘れないよ。また生きて会えたら何処かで会えたらいいね!」

 

 

 

 そう呟いて。バサァ……ッとこすれるような音を出しながら翼を広げる。

 

 

 

「えっ……?あ……つ、翼……?」

 

「あれ?悪魔が珍しかった?あぁ、そうかそうか君は知らないのか。まぁいいや、覚えとくといいよ、この世界には天使も悪魔もいるんだ」

 

 

 

 突然の事に頭がついて行かないと女性にその一言だけ伝えて空に舞おうとする。

 

 

 

「え?あ、あの!い、行っちゃうんですか?」

 

「ん?あぁ、急いでるからね。どうかしたの?」

 

「い、いえ、あの、その……またここに居ると狼がくるんじゃないかなって…」

 

「そりゃ来るだろうねぇ、だって仲間の狼くんの死体も落ちてるし、僕がいなくなったら…そこの木陰に隠れてるボス狼くん達はまた君を襲うと思うけど……それがどうかしたのかい(・・・・・・・・・・・)?」

 

「え……?」

 

 

 

  振り向くとそこには木の影に隠れながらも彼女の周りを囲むようにして狼たちはこちらの様子を伺っていた。

 先程と状況が何も変わってないことが分かったのか青ざめる女性。

 クロナが行ってしまいここで一人になったら、今度こそ私は……そう考えると先程受けた肩の傷にズキィッ……と痛みが走った。

 

 

 

「ん?ほら答えてよ、どうかしたの?僕は今急いでるんだ。早く教会にいって僕の事をしっかり教えてあげないといけないからね!ほら、頭が悪そうな君にだってこれが重要な事ってくらいわかるでしょ?だからほら、早く、いいの?何もないならもう行っちゃうよ?」

 

「え、嫌……待って!お、お願いします!助けてください!もう嫌ですこんなところ……!狼に食い殺されて死ぬなんて嫌ぁ……!」

 

 

 

 涙を流しながら懇願し、地面にへたりこんでしまう女性……。

 

 

 

「そっかぁ……。嫌だよね、狼さん達に食べられて死ぬのは……。僕も嫌だ、本当は僕もさっき噛みつかれた時怖くて動けなかったんだ……。僕も君と同じ弱い人間、じゃないけど悪魔なんだ。君の気持ちはよく分かる……。こんな暗い森の中で狼に追いかけ回されて、ついに捕まってしまった……。怖いよね、早く逃げたいよね。わかったそんな君の願いを叶えてあげる。でも僕のお願いを一つ聞いて欲しいんだ。」

 

「なんでも聞きます!だからお願ぃ……たすけてぇ……っ!死にたくない……まだ、死にたくないのよぉ!」

 

「じゃあ、餌になって」

 

 

 

 餌になって。餌、つまりは食料だ、食料。狼。狼の餌だ。

 

 

 

「ほら?さっき僕って彼らの仲間の1匹殺しちゃっただろ?正当防衛だから僕は悪くないとしても、彼らの仲間を殺しちゃったのは事実なんだ。これは覆らない。このままでは僕と彼らの友情に溝が出来てしまうんだ!そんなの僕は耐えられない!喧嘩したまま別れるなんて嫌なんだ!だからさ……お願い、餌になってよ。そしたらきっと彼らも許してくれる。」

 

「い、嫌ぁーー

 

 

 

 弾けた。

 クロナの手が一瞬、ぶれたと思ったら女性の頭があった場所が潰れたザクロのように、汚く、そこにあったものはこの世から消えていた。

  力が入らなくなったからか後ろに倒れる女性だったもの。

 

 

 

「あ、ごめん、何か言った?僕急いでるんだよ。今更文句言われても困っちゃう。それに君も非情な現実から逃げたがってたわけだし。あれ?よく考えたら狼さんに餌をあげれて、彼女は逃がしてあげれた。一石二鳥?僕ってば天才!?いやぁ、照れちゃうねぇ……」

 

 

 

  一人でにへらぁと笑うクロナ、そして思い出したかのように。

 

 

 

「って急いでたんだった!狼くんたち!これは食べちゃっていいから!じゃあね!ばいばい!」

 

 

 

 そう一方的に狼達に告げて、空へ旅立って行った。

 

 

 狼達もクロナが飛んで行ったのを確認すると、女性の死体を貪り始めた。

 女性の死体からは血の匂いが酷い、このままでは他の動物も血の匂いに惹かれこの場所にやってくるだろう、その前に食べ切らなければ、そう思い、食いつくそうと貪る。

 

 

 

「あはっ。“Βροχή από μαύρο αίμα(ブラッディ・レイン)”」

 

 

 

 刹那、頭上から“黒血”の暴雨が降り注いだ。餌に群がり一箇所に集まっていた狼達が避けれるはずもなく、地面に縫い付けられて行く。

 

 

 

「忘れてた忘れてた!仲間を見捨てて逃げた君達にも罰を与えないと平等じゃない。駄目だよね。僕ってば不平等とか依怙贔屓とか嫌いなんだよねぇ……あはっ! じゃあね、今度こそバイバイ!」

 

 

 

 一人、そう呟いて今度こそ村へと、空を舞った。

 

 

 

 

 




「私にわかることなら何でもお答えします!」
「何色のパンツ履いてるの?」

こんな主人公だったらこんなに殺伐としなかったのでしょうか?
そしてクロナくん以外まだ生存者がいません、どうしてこうなった。

現在3話が半分ほど出来ています、土曜日くらいには完成するかな?

あ、最後に、感想で聞かれたんですがクロナくんは転成悪魔です。
そして“黒血”は神器扱い、名前とかももう考えてあります(=゚ω゚)
そして元々神器の所持者じゃないクロナくんが何故か現在所持しています
何故悪魔になったのか、何故所持しているのか、それはまた後々明らかとなる…予定です(汗

では、また会いましょう!ばいばい!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 教会に辿り着いたようです。

いやぁ、一昨日ぶりでしょうか?
なんとか予定どうり土曜に投稿出来ました。

今回は難産&グダグダ&作者すら理解不能な仕上がりでごめんなさい。

短過ぎたので後で少し手直しするかもしれません。

では、どうぞ。





 

 ある村の外れの小高い丘。

 微風になびく色とりどりの花が咲き乱れ、見た者を引き込むような美しさを持っている。

 

 

 そこに一人の悪魔が降り立った。

 

 

 

「ふぅ……。この辺りなら大丈夫かな?」

 

 

 

 そう呟き、辺りを見渡す。花畑があるだけで人は誰もいないようだ。

 

 

 花畑の中にある道を一人、村の入り口に向かって歩いていく。

 

 

 

「あ、あの!」

 

 

 

 道を歩くクロナの背後から呼びかける声。

 

 

 

「えっと……君誰かな?」

 

「あ、す、すいません!ここに人が来るのが珍しかったので……つい……」

 

 

 

 話しかけてしまった。

 そう続ける少女に目を向ける。

 綺麗な金色の髪が傾き始めた太陽に照らされて美しく輝いていた。

 どうやら花に水をやっていたようだ、その手には鉄製のジョウロが握られている。

 

 

 

「ふーん、あ、なら君にちょっと聞いていいかな?僕今教会探してるんだよ、この村にあるって聞いてね、君の着てるそれ、修道服でしょ?ちょっと教会まで案内してくれないかなぁ?」

 

「教会……ですか?」

 

 

 

 少女の顔に少し影が出来る。

 そのことに気づいたクロナだったが特段気にする様子もなく、どう?と返答の催促をしている。

 

 

 

「……わかりました。じゃあついて来て下さい。」

 

「ありがと!いやぁ、助かるよ!森から抜けて来たんだけどここまできて教会の場所を知らないことに気づいてね。自分で探しても良かったんだけど、どうせなら知ってる人に聞いた方がいいでしょ?」

 

「ふふ。なら丁度良かったです、私もちょっと前までは教会に居たんです。これも神のお導きでしょうか?」

 

 

 

 微笑みながらそう言う少女。

 それに微笑み返すクロナ。

 

 

 

「あ、そういえば。お名前、なんて言われるんですか?」

 

「僕?僕はクロナ、苗字は……うん、無いよ。だからクロナって呼んで。」

 

「クロナさんですね、わかりました。私はアーシア・アルジェントって言います……よろしくお願いしますね!」

 

 

 

 その後も幾らか談笑を続け、村に入り教会まで案内してもらう。

 その時どうしても気になったのが村人の少女ーーアーシアに対する態度だ。

 あからさまに敵意を向ける者は少なかったが、大概の人が嫌悪感を示すように一瞥しては顔を歪めてまた自らの作業に戻って行った。

 

 

 

「ありがとう!おかげで助かったよ!ーー

 

「あの!もう私とは関わらない方が……いいと思います……」

 

 

 

 そう言い、いつもの様に続けようと思ったクロナにアーシアがそう告げる。

 話を途中で止められる事を嫌うクロナだったが、何故かこの時はアーシアの言葉に耳を傾けてしまった。

 

 

 

「私は……“魔女”だから……人間だけじゃなくて悪魔も癒してしまう“魔女”。私はその事を後悔したことはないです。だけど私と関わるとクロナさんにまで迷惑をかけてしまうので」

 

 

 

 久しぶりに人と話せて楽しかったです。そう言って走り去って行く少女。悪魔も癒せてしまう事で運命を狂わさせた心優しい少女をクロナは何も言わずに見送り、ただその背中をぼーっと……眺めていた。

 

 

 そして

 

 

 

「気持ち悪い」

 

 

 

 そう呟いた。

 

 

 

「気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。それ(・・)を話したら悪意を向けてくるって思ってるくせに僕には善意を向けたの?自己満足?やめろよ、僕を否定するなよ。皆僕に悪意を向けるってわかってたから殺してきたんだ。そうすれば人と関わりあえるから。僕が殺して、君らが殺される、そうやって嫌われ者の僕は関わりを作り上げて来たんだ」

 

 

 

 俯きながら教会の扉へと歩を進める、そしてそのまま扉に手の平を向けーー

 

 

 

「“Λόγχη του μαύρο αίμα(ブラッディ・ランス)”」

 

 

 

 クロナの右手から溢れ出た“黒血”が巨大な槍を形作っていく。

 所々にもがき、苦しむような表情をした人間の顔が写ってるいる。

 

 

 その巨大な槍が扉を突き破り、中にいる数人の人間を巻き込み、そのまま奥に掲げられていた十字架に突き刺さった。

 

 

 その光景を見た村の住民から悲鳴が上がるが、意に介した様子を見せず教会の中に足を踏み入れ扉を閉める。

 

 

 

「き、貴様!何者だ!?こんな事をして許されると思っているのか!?」

 

 

 

 中にいる神父姿の初老の男性がクロナに向かって叫ぶ。

 

 

 

「貴様……森にいたという悪魔だな!?教会があることを知って襲いに来たのか!?」

 

「煩いよ…“Λεπίδα από μαύρο αίμα(ブラッディ・スライサー)”」

 

 

 

 右手を振るう。

 初老の神父の首を狙って放たれたその刃は神父を庇い突き飛ばした男の首を斬り飛ばし四散した。

 

 

 

「ッ!?くそォッ!?悪魔祓い(エクソシスト)は前に出ろ!戦えぬ者は下がっていろ!」

 

 

 

 その光景を見た神父が悪魔祓い達に指示を出す。

 

 

 

「魔剣…“奈落” “不浄” “暗黒”…

 

 “Στριγκλιά(スクリーチ) δ”ァ!」

 

 

 

 クロナの背後から二本、黒い腕が生えてくる。生える、という表現はおかしいのかもしれない、正確には“黒血”によって形成された腕が現れる。そして、その腕と右手に三振りの魔剣を持ち……周囲を切り刻んだ。剣が振られる度に悲痛な表情を怨霊の衝撃波が放たれる。

 

 

 ……また頭が落ちた。

 

 

 

「今イライラしてるんだ……だから死んで」

 

 

 

 剣が振られる、その度に教会にいる誰かの首が飛ぶ。

 

 

 最初は戦闘の意思を見せていた悪魔祓い達もいつの間にか皆、逃げ回っていた。

 まるで舞うような動きの斬撃に一人、二人と地に伏せてゆく。

 

 

 数分後、立っていたのはクロナと神父だけだった。

 

 

「ヒィ!?来るな!来るな!来るなあああああ!」

 

「………」

 

 

 ただ無言で距離を詰めるクロナ。

 

 

 その姿を見て神父は教会の扉へと走り出す。

 

 

 

「何故だァ!?何故開かない!?糞ォ!?死にたくない!開け!開けェ!ひーー

 

「そこの扉は内側に開くんだよ……いつも居るのにそんなことも覚えてなかったのかい?」

 

 

 

 そしてまた一輪、教会に咲く花畑に一輪の花が加わった。

 

 

 

 

 

 




今作、初の生き残り!その名もアーシアちゃんです!
でもヒロインにはなりません!イッセーくんとイチャコラしててください。

今回はクロナくんの本心が少し出ましたね。
純粋な善意や、打算のない感情には慣れてない模様です。
だから異物感をかんじて気持ち悪い、ってわけですね。

そして寂しがりやなクロナくんは人との関わりを殺害で作り上げてきたようです、これにも過去が絡まってくる予定です、あくまでも予定です(ここ重要。

では、ばいばい。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終話 ひとりぼっちでした。

この話で導入的な第零章は終了です。

そしてかなりみじかいです、なので早く完成したんですけどね…(汗

いやぁ、厨二文章は書いててたのしいね!

では、どうぞ!


 

 

 

 

 

 真っ赤な御花畑になった教会の椅子にクロナは一人、座っていた。

 

 

 あれから何時間経ったのだろうか?全てが終わったのが昼頃だったが、今は既に月が出てきている。

 

 

 誰か来るかな、そう思っていたが皆、恐れて誰も来ないみたいだ。

 

 

 静かな教会、クロナはその間もずっと座っていた。

 

 

 そこには何時ものようなヘラヘラとした貼り付けたような笑顔など何処にもなく、ただただ濁った瞳を周りの周囲の花に向けていた。

クロナの頭の中に渦巻く、理解出来ないという考え。

 

 

 クロナはどうしてもあの少女ーーアーシアが自分に向けた“何か”がわからなかった。

 

 

 ゆえに感じる心の中の異物感。

 

 

 

「気持ち悪い」

 

 

 

 また一人になってそう呟く。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 誰かに愛される事を知らず、誰かを愛することも知らなかった少年はいつも“嫌われ者”だった。

 

 

 誰にも信用されず、誰かを信じることも知らない少年はいつも“嘘吐き”だった。

 

 

 誰にも理解されず、誰かを理解することも知らない少年はいつかは“殺人鬼”になっていた。

 

 

 誰にも愛されず、誰も愛さず、誰にも信じられず、誰も信じず、誰にも理解されず、誰も理解されなかった少年はどこまでも“嫌われ者”で“嘘吐き”で、ただの“殺人鬼”だった。

 

 

 そんな少年はただの“寂しがりや”だった。“寂しがりや”な少年は誰よりも繋がりを求め、誰よりも繋がることに対して恐れていた。

 

 

 それが少年の中で生まれた矛盾、歪み。捻れ、捻れ、捻れ続けた少年はいつのまにか“寂しい”という感情にまで気がつかなくなっていた。

 

 

  繋がりを求めているのに恐怖する、矛盾。そして一言

 

 

 

『貴方は人を殺せば幸せになれる。絶対よ。』

 

 

 

 そして何も疑問を持たず、殺す、殺す、殺す、ただそれだけ。自分が愛されたくても、自分が信じられたくても、自分が理解されたくても、殺すことで幸せになれると教えられた少年は…殺すことで繋がりを持つ(・・・・・・・・・・・)と教えられた、そう思うようになっていた。

 

 

 そして少年は命を断つ事だけが繋がりだと信じ、それが自らの繋がりを断ち切ってしまっていることに気がつかないまま生きてきた。

 

 

 やはり、そんな少年にはその“何か”が“優しさ”だとは気づけなかった。

 

 

 少年の中に“優しさ”なんてなかったのだから。

 

 

 そしてうまれた“化け物”。

 

 

 

「……そろそろ行こうかな」

 

 

 

 また目的がなくなっちゃったよ。先程の無表情とは一転、苦笑いをしながらそう呟き、クロナは翼をはためかせる。

 

 

 少年の歪み、その中にうまれた小さな違和感。

 

 

 それが少しだけ、少年ですら気がつかないほど少しだけ、少年に変化を与えていった。

 

 

 

 

 




文字数ギリギリ1000越え…

なんとか越えてよかったです。

そしてクロナくんは少し方向修正、あのまま進めても笑ながらやっちゃってる場面しか想像できなかったので…作者に想像力と文才がないだけかもしれませんが(汗

まぁ、でもまだまだ鬼畜キチガイ系男子のままですけどね!

今回は、あれですね、クロナくんの過去をちらっと出したかったんです。はい。それだけです。ごめんなさい。

じゃあ、今回はここら辺で、また会いましょう、ばいばい!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一章。旧校舎の人畜無害。
第一話 堕天使と遭遇したようです。



お気に入り50越え、総合評価1000越え!本当に嬉しいです!ありがとうございます!!(涙

そして本当にごめんなさい、筆者の勝手でオリキャラを無くした基本オリ主のみに変えるため、第一章を書き直すことにしました

なるべく前に追いつくため、頑張って更新するのでよろしくお願いします。

では、どうぞ




 

 

 

 

 都市部から外れた市街地。

 

 

 人はもう寝静まっているのか、幾つかの街灯が点々と薄暗い夜を照らしているだけだった。

 

 

 そんな真夜中なのにも関わらず、道路を歩いていくひとつの人影。

 

 

 まるで酔っているかのように、あっちへフラフラ、こっちへフラフラと、まるで何かを探し、彷徨うかのように歩いていた。

 

 

 道路を足音もなく歩いていた人影が、突然、歩みを止め、その場に立ち止まった。

 

 

 先程まで下に向けていた顔をガバッと上にあげ、ある一方を眺めたかと思うと、弧を描くようにニィ……と口を歪ませ、呟いた。

 

 

 

「ーーーみぃーつけたぁ……」

 

 

 

 刹那、そこに居たはずの人影が煙に巻かれたかのように消えていた。

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

「…はぁ…はぁ…くそッ…!」

 

 

 

 そこには一人の青年が真夜中の道路を走って逃げていた。

 

 

 逃げていた、というのは可笑しいかもしれない。

 彼が対峙したスーツ姿の男が彼を睨んだだけで、スゥーっと背筋が凍っていくような錯覚に陥り、居ても立っても居られなくなりその場から駆け出してしまったのだ。

 その点では、本能的に逃げ出した、と言ってもいいかもしれない。

 

 

 15分ほど走っていたのだろうか、青年が公園を目の前に走る足を止めた。

 

 

 ーーーー知っている。

 

 

 何故だろうか、青年はこの場所を知っていた。

 一度も来たことがないはずなのに、何故か青年はデジャヴのようなものを感じていた。

 

 

 いや、確かに青年は来たのだ、この場所に。

 この公園に。

 

 

 周りの人が覚えていない、その事実により本人である青年にさえ夢とされた昨日の出来事。

 

 

 青年は一人の少女とデートをしていた。

 そのデートの最後にこの公園に訪れたのだ、そして殺された(・・・・)

 

 

 自らが実際に殺されていたなどと思っているはずもない青年は、奇妙な感覚に引きつられるようにこの公園に足を踏み入れていた。

 

 

 そんな青年の後ろから声をかけてくる存在がいた。

 

 

 

「逃がすと思うか?下級な存在はこれだから困る」

 

 

 

 それは先程のスーツ姿の男だった。

 

 

 先程はなかったはずの漆黒の翼をを背から生やし、青年の頭上を駆け抜けるように飛び越し、目の前に降り立った。

 

 

 明らかな警戒を示す青年に男は言った。

 

 

 

「お前の属している主の名を言え。こんなところでお前たちに邪魔されると迷惑なんでな。こちらとしてもそれなりのーーー

 

 

 

 ふと、スーツ姿の男が考える仕草を見せる。

 

 

 

「ーーーまさか、お前、“ はぐれ”か?主がいないのならば、その困惑している様も説明がつく」

 

 

 

 思考が追いついていない青年を他所に、一人理解したかのような顔で頷くスーツ姿の男。

 

 

 

「ふむ、ある時の気配も仲間の気配もなし。消えるそぶりすら見せない。魔法陣の展開もしない…やはり、お前は“はぐれ”か…ならば殺しても問題はあるまい、が…まさかレイナーレ様がおっしゃっていた“はぐれ悪魔”がこのような者だとはな、兎も角、ここでお前を殺しておけばレイナーレ様の心配事も一つ減るだろう」

 

 

 

 そう言って、スーツ姿の男は青年を嗤い、見下す。

 

 

 そして左の手のひらに光らしきものが集まっていき、やがて槍を形成した。

 

 

 青年が身の危険を感じた時には既に光の槍は青年の腹に突き刺さっていた。

 

 

 

「ぐぅ……ぁ……あぁ……!」

 

「痛かろう?光はお前ら悪魔にとって猛毒だからな。その身に受ければ大きなダメージとなる。しかし……かなりの力を持っていると聞いたのだがな、多少頑丈なようだが…

 …やはり噂は噂、ということか」

 

 

 

 あまりの痛みに悶え苦しむ青年を歩み寄り、スーツ姿の男はそう呟いた。

 

 

 そして次こそは息の根を止めようと、先程より一回り大きい光の槍を作り出し、それを青年に向けたその時。

 

 

 

「がっ!?」

 

「その子に触れないで頂戴」

 

 

 

 光の槍を作り出していた方の手は鮮血に塗れ、力なくだらりと垂れ下がった。

 

 

 

「クッ!……その紅い髪……グレモリー家の者かぁ……!」

 

「リアス・グレモリーよ。ごきげんよう堕ちた天使さん。この子にちょっかいを出すなら、容赦はしないわ」

 

 

 

 そう言って戦闘の構えをとる紅髪の女性ーーリアス・グレモリーはスーツ姿の男を睨んだ。

 

 

 

「……ふふっ、これはこれは。その者はそちらの眷属の者だったのか。この町もそちらの縄張り、というわけだな。まぁいい、今日のことは詫びよう。だが、下僕は放し飼いにしないことだな」

 

 

 

 私のようなものが散歩がてらに狩ってしまうかもしれぬぞ?そう言って笑うスーツ姿の男。

 

 

 

「ご忠告痛み入るわ。だけどこの町は私の管轄なの、私の邪魔をしたら……その時は容赦なくやらせてもらうわ」

 

「その台詞、そっくりそちらへ返させてもらおうか、グレモリー家の次期党首よ。我が名はドーナシーク。再び見えないことを願う」

 

 

 

 言いたいことは言い切ったのか、スーツ姿の男ーードーナシークは一度だけリアス・グレモリーと青年を睨みつけると翼をはためかせ、飛んで行ってしまった。

 

 

 しかし、その間にも青年の腹の傷からは見るからに危険な量の血が溢れ出ていた。

 

 

 

「あら?気絶してしまうの?確かにこれは少しばかり危険な傷ね……仕方ないわ、貴方、自宅は……気絶してしまったわね……」

 

 

 

 そして、リアス・グレモリーはため息を吐くと、足元に現れた魔法陣へと青年と共に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「……糞ッ!リアス・グレモリーめ……!」

 

 

 

 暗雲立ち込め、月明かりもない暗い空、ドーナシークは一人、先程相対した紅の髪を持つ女の悪魔に罵声を吐いていた。

 

 

 あいつさえ出てこなければあの“はぐれ悪魔”を仕留めれたのに、そう呟こうとして、その矛盾に気がついた。

 

 

 リアス・グレモリーはあの青年の事を自分の眷属と言っていた、ならレイナーレ様が言っていた“はぐれ悪魔”はーー

 

 

 

「ねぇーー

 

 

 

 しかし、考えようとするドーナシークは、彼を呼びかける声によって現実に引き戻された。

 

 

 

「ねぇ……君って堕天使さんでしょ……?この町にさ、アーシアさんって子来てないかな、ほら“魔女”とか“堕ちた聖女”とか呼ばれてる、僕今彼女を探してるんだよね……」

 

 

 

 ドーナシークがそちらを向くと、薄い桃色の髪を肩まで伸ばした中性的な、僕と言っていることから男性だろう。青年がいた。下を向き俯いてるせいでその表情は読めない。

 

 

 しかしその姿を見たとき、直感的な、本能的な、生理的な、嫌悪感、恐怖心によってドーナシークら動けなくなってしまっていた。

 それはまるで先程彼が狩ろうとしていた青年がそうであったかのように、ドーナシークもその姿を見て、恐怖してしまったのだ。

 

 

 見るからに震えている右手には黒く染まった一振りの剣を握っており、その腕を左手でなんとか抑えようとしている。

 

 

 状況が悪かったのだ。プライドの高いドーナシークはそんな青年の姿を見て自身に怯えている、そう思いこんでしまったのだ。

 先程の悪寒も気のせいだろう、私程の堕天使がそこらの“はぐれ悪魔”におびえるはずがない、そう考えて……

 

 

 

「ふむ、お前がレイナーレ様のおっしゃっていた“はぐれ悪魔”か、丁度いい、先程は仕留めれなかったが代わりに貴様をーーー

 

 

 そしてドーナシークはものを言わぬ骸となった。質問に答えていれば良かったのだろうか、いや青年と会ってしまった時点で運命は決まっていたのだ、その死という青年との繋がりから逃れることは出来ない。

 

 

 重力に従って地面に落ちたドーナシークの頭が地面を転がる。

 それを踏み潰し、青年はーークロナは歪な笑顔を作り出す。

 

 

 

「あぁ……また我慢できなかった……殺しちゃった……。どうしてだろう?渇く、渇くんだ、あれからずっと。アーシアさん、君とあってから殺しても、殺しても、どんなに殺しても満たされない、繋がっても、どんなに繋がっても僕の心は渇いたままだ」

 

 

 

 元々はただの癖だった左手で右腕を抑える動作、今はそうしないといけない理由がある。

 

 

 

 

 殺してしまうのだ。

 

 

 

 

 そのつもりがなくても、ただ、渇きにしたがって。

 

 

 

 

「アーシアさん、僕は君をーーー

 

 

 

 

 そしてまた闇に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 




クロナくん更にいっちゃってますね、我慢できない子になっちゃってます

そしてこれこそ自分の書きたかった小説です!(笑

第一章を書き直した理由の詳しくは活動報告に載せてあります

感想等お待ちしております!

では、ばいばい


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 初めてのお話なんです。


皆様、お久しぶりです。

リアルの諸事情とどう進めても原作キャラが死んでしまうという事態から回避するためになんとか、なった…なってない気もしますが形にしました。


では、どうぞ


 

 

 

 

 

 

 

「二度と教会に近づいちゃダメよ」

 

 

 

 

 数日前、とある堕天使に殺されたところをリアス・グレモリーによって助けられ、晴れてオカルト研究部の一員となっていた兵藤 一誠は部室のソファで縮こまっていた。

 

 

 

 いつもは優しいはずの部長がいつになく険しい表情をしている、それだけでも事の重大さが少しは理解できた。

 

 

 

 

「教会は私達悪魔にとって敵地、踏み込めばそれだけで神側と悪魔側の間で問題になるのよ。今回はシスターを送ってあげたあなたの好意を素直に受け止めてくれたみたいだけど……

 

 

 

 

 そこまで話して、一呼吸おく。

 

 

 

 そして若干話しづらそうにしながらも口を開いた。

 

 

 

 

 ーーもしかしたら貴方はまた光の槍で貫かれていたかもしれないわ」

 

 

 

 

 その瞬間、イッセーの頭の中にあの時(・・・)の光景がフラッシュバックしてきた。

 

 

 

 自分の初めての彼女が、名も知らないスーツ姿の男性が、光る槍を振りかぶり、そして……

今はもう無い傷が疼いた。

 

 

 

 

「だから教会関係者に関わってはダメ、特に悪魔祓い(エクソシスト)は我々の仇敵。神の祝福を受けている彼らは私達を滅ぼせるほどの力を持っているの、それは死と隣り合わせているのと同義だわ。イッセー」

 

 

「は、はい」

 

 

 

 

 リアスの呼びかけに自らの頭に浮かぶ、嫌な記憶を隅に追いやり慌てて返事をする。

 

 

 その後も悪魔祓いに消された者の末路……それをイッセーにリアスが説明していると姫島 朱乃がリアス達に声をかけた。

 

 

 

 

「部長」

 

 

「あら?朱乃、どうかしたの?」

 

 

「討伐の以来が大公から届きました」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 はぐれ悪魔、という存在がある。

 

 

 

 それは爵位持ちの悪魔に下僕として貰った者が、主を裏切り、逃げ出したり、または主を殺して主なしとなった者が……そう呼ばれる。

 

 

 悪魔の力、それは圧倒的だ。

 

 

 人間など一捻りで殺せてしまうほど。

 

 

 だが、悪魔の中にも力の差というものが存在する。

 

 

 

 

「……なんだよ……これ?」

 

 

 

 

 数分前、血の匂いがする、そう言った小猫の案内でやってきた倉庫。

 

 

 まるでゲームみたいだな、なんて思っていたさっきの自分を殴ってやりたい。

イッセーの中で出来ていたしまっていた生温い、勘違いした悪魔という世界が音を立てて崩れ落ちていく。

 

 

 

 

「……これをやったのは貴方……?」

 

 

「あはっ、これをやったのが僕、だって?違う違う、僕は何もやってないよ!この悪魔くんが僕に飛びかかってきて……気がついたらこんなズタズタになってたんだ、きっと正義のヒーローがやってきて殺してくれたんだね!あぁサインでももらっときたかったなぁ、そうそう会えるものじゃないと思うんだよ正義のヒーローって」

 

 

 

 

 その光景に数々の死体を見てきたリアス達でさえ、顔を青ざめる。

薄暗いおかげで鮮明には見えない、そのことに感謝をする。

 

 

 

 すでに何かわからない肉の塊を蹴り飛ばす、桃色の髪の少年。

 

 

 

 足元に飛んできた肉の塊に小さく、イッセーが小さく声を上げる。

 

 

 

 

「……イッセー、予定変更よ。小猫!イッセーを連れて逃げなさい!」

 

 

「……え、でも……!」

 

 

「いいから!早く逃げるのよ!私達も後から絶対に行くわ!」

 

 

 

 

 決心を固めたように、小猫は一度拳を握りしめ、今だ呆然として動けないイッセーを抱えてその場から走りだした。

 

 

 

 そして小猫とイッセーの姿が見えなくなると、リアスはその桃色の髪の少年ーークロナに向き合う。

 

 

 

 

「随分と優しいのね、わざわざ逃げるのを待ってくれるなんて」

 

 

「いやぁ、今日は気分がいいんだ!この街に僕が探してる人がいるってわかってねぇ、今は壊す気分じゃないんだ、一刻も早くそこに向かいたいんだけどね、ちょっと精神乱れまくりで魔力探知が上手くいかないんだよねぇ……まぁ、でもーー

 

 

 

 

 クロナが右腕を前に掲げ…

 

 

 

 

「“Λόγχη του μαύρο αίμα(ブラッディ・ランス)”」

 

 

「……ッ!?」

 

 

 

 

 クロナの突然の攻撃、地面を風圧で抉りながらリアス達を大槍が襲うが、それを紙一重で躱すリアス達。

 

 

 

 

 ーーまた殺したくなる前に君達を殺しとくことにするよ」

 

 

「祐斗!」

 

 

「はい!」

 

 

 

 

 先程の攻撃から相手(クロナ)は動きを見せない。それを好機に思い、神器である魔剣創造の能力で氷の魔剣を生み出し…首へと斬りかかる。

 

 

 

 

「冷たいなぁ……もう!熱いのと冷たいのは苦手なんだよ、僕」

 

 

 

 

 そういって首に剣を叩きつけたまま驚愕の表情で固まっている木場を右手で薙ぐ。

 

 

 

 ただそれだけ、軽く右手で薙いだだけで木場は自らの魔剣を粉々に砕かれるだけでは済まず、吹き飛ばされ、壁にヒビを残して倒れ伏した。

 

 

 

 

「……思った以上に弱くてびっくりだな、力加減間違えた?殺さずに遊ぼうと思ったんだけど……」

 

 

「祐斗!?」

 

 

 

 

 リアスが悲痛な叫び声をあげると同時に隣に立っていた朱乃の腕から巨大な雷がバチバチと音を立てクロナに放たれた。

 

 

 

 

「びりびりびりびりびりびり!?」

 

 

 

 

 その雷の玉はクロナに直撃し、爆裂しながら白い煙を撒き散らす。

 

 

 

 

「ケホッ……ケホ!……やったかしら?」

 

 

「ざぁーんねん!それはフラグってやつだよ!」

 

 

 

 

 次の瞬間、朱乃の腹部から血で赤黒い染まった黒剣が飛び出ていた。

そして腹部から夥しい量の血を撒き散らしながら地に倒れ伏す。

 

 

 

 悪魔なのですぐに死ぬ、ということはないが、それにしても出血量が多い。

直ぐに止血をしないといけない状態だ。

 

 

 

 立ち尽くし、呆然としているリアスにクロナが声を掛ける。

 

 

 

 

「んー、本当に弱っちぃね、君達。殺すのもつまんないしなー……あ!そうだ!僕の質問に答えれたら見逃してあげるよ!うん、そうしよう!」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 





どうだったでしょうか?

この後、どうなるかは作者の中でも決まっていません。

では、ばいばい


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。