Primal Apocalypse-プライマル アポカリプス (てゐと)
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第一話 常識的な非常識?

初めましての方は初めまして。「てゐと」と申します。最近ブロマガからハーメルンに引っ越してきました。今回から始まるのは私が昔考えた物語を全て一つにした世界のお話。皆さんの中にも所謂「黒歴史ノート」というものがあると思います。これはそんな黒歴史ノートの一つが生み出した世界。これを見て色んな事を皆さんに感じてほしいと思って書いてます。「私にもそういうのあったなぁ」「へぇ、面白い設定だな」「つまらないけど楽しそうだな」とかポジティブな感想もネガティブな感想も万人それぞれ。色んな事を感じてほしいです。それではお楽しみください


この物語は

オリジナルストーリー

 

元々は独立した物語の集合体

 

オリジナル設定

 

オリジナルウルトラマン、およびオリジナル怪獣

 

当然のように戦闘描写

 

ギャグとシリアスの酷い混ぜ方

 

キャラによって生じる強弱

 

オリジナルロボット

 

ウルトラマンは物語の都合上初代からゼロまでしかいません

世界観は初代からゼロ(ベリアル銀河帝国まで。ウルトラマンサーガは世界観が違いすぎるので外しました)まで本来パラレルであるネオフロンティアなども時系列順に地続き。ですが“ウルトラマンダイナがいるのにティガが存在する“。“本来アニメ作品であるジョーニアスやスコットがいる“など全てが原作通りに進んだというわけではありません。例えばティガの場合。ガタノゾーアを撃破した後消滅していません。防衛チームもメンバーは違うもののほぼ全てが解散していません。なので科学特捜隊とGAYS。GUTSとスーパーGUTSが共存していたりします。早い話がウルトラファンが一度は考えた事のある全部盛りのパラレルワールドです

 

はじめましての方を思いっきりはたき落とす情報量

 

活字を見てぐっすり寝たい人推奨

 

 

この物語は限りなく現実に近いフィクションです。

 

以上の要素が大丈夫な方はこのままご覧ください。それではどうぞ( ・∀・)つ旦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは…とある少年が残した夢の跡地…。ここでは様々な物語が生まれた。ある物語は時代外れの怪盗達が現代に挑戦状を叩きつけ。またある物語は光の巨人達が地球や宇宙の平和を守るために戦う。そして…その物語達が存在する中で全ての始まりと呼ばれる物語。だがそれらも時の流れによって古き記憶として埃を被っていった。

 

 

 

…現代。突如として物語が一つになり始めた。互いの設定が融合し、一部の設定を削除するまでに物語があわさなった…これからあなたの目は、あなたの体を離れ、この不思議な物語の中へ入っていくのです…

 

 

「Primal Apocalypse-プライマル アポカリプス」

 

 

 

 

 

 

「うぅっん…」

眠い…。そう思う時は大概寝るときか起きた時だ、夢は夢のままがいい。そんなワガママが現実に誘うのかもしれない。だから後5分もしない内にうるさく鳴り響く目覚まし時計の事も忘れて布団に潜り込む。

暖かい…。もぞもぞと摩擦を起こして暖かさをさらに高める。だが…すぐに目覚まし時計が冷たく起きろと鳴る。

「うるさいなぁっ…むにゃぁ…」

ガチン!強く手を叩きつけて布団から出る。幸いエアコンが効いてるから暖かいが乾燥して喉が痛い。私はすばやくパッパと朝支度を済ませると開閉のたびにカランカランと音の鳴るドアを開ける

衣理「いってきます!」

私の名前は澪岸 衣理(みおぎし いのり)。今日から高校生になります!…とはいっても転入先の高校は昨日が入学式。かなり強引な転入だと我ながら思う。

衣理「…。よし、がんばる…!っと地図は…」

そう言いながら私は携帯電話を取り出して地図を開けようとする。だが…

衣理「あれ?調子悪いのかなー…?」

なかなか繋がらない。それどころか突如携帯電話の充電マークが点灯し始めた

 

 

ゴゴゴ…

 

 

衣理「うわっ!地震…?」

突然揺れる風景と地面。あぁ…なるほど、いつものか、とりあえず逃げなきゃ…

私はそう思うとまずはぐるりと周りを見渡す。すると真正面。といってもかなり遠くの地面からコンクリートを割いて巨大な生物…そう。「怪獣」が現れた…

 

 

怪獣データ

電線怪獣 ヴォルテ

本来は電気と金属が大好物のおとなしい怪獣だが人間の携帯電話や電波塔などがヴォルテの放つ威嚇電波を受信してしまうために都市部で暴れまわる!

 

 

衣理「うわっ…あっちって学校…!?」

怪獣が出現した場所は私が転入する学校が近くにある。かなり本末転倒な話だが学校には怪獣や宇宙人による攻撃をある程度無効化するバリアフィールドの設置が防衛軍から義務付けられており、私の通う学校も当然搭載されている。まぁ早い話が…「安全のために危険地帯に行く」という海外映画では死亡フラグ同然の事を私はやらなければならなくなった…最悪だ…

衣理「こんな日に限って…!あぁ!もう!」

とにかく走らなきゃとダッシュする私。その時、怪獣がこっちを睨んだ!

ヴォルテ「ゴアアアアッ!!!」

衣理「っ!やばっ!!」

怪獣がこっちに走ってくる!逃げようとするけど足がこんなときに限って震えて動かない…圧倒的な恐怖心に体が鉛を付けたように動けなくなる

衣理「誰か…助けてっ!!」

ヴォルテ「ゴアアアアッ!!!」

ドシン!ドシン!と地なりが響く。その時…私の真上を何かが走り通った!

衣理「えっ…!?」

それは怪獣と組み合うと強烈なパンチで怪獣を退ける!そして…そのヒーローは…ウルトラマンブレイブは振り向いて私に頷いた

衣理「あっ…ありがとー!」

お礼言うと走り出す私の後ろで戦いが始まる。ウルトラマンブレイブが電線怪獣ヴォルテを激しくパンチや蹴りで攻め立て、腹部への蹴りがその巨体をドスドスと後退させ、ダメージを与えていく!

ヴォルテ「ゴアアアアッ!!!」

だが負けじと肩の電柱から電撃を放つヴォルテ。ブレイブはそれを回避しようとするが避けきれず命中!膝を着くが素早く手からの手裏剣のような光弾がヴォルテを一瞬怯ませ、その隙にブレイブは走り、詰め寄って肩の電柱を掴む!

ブレイブ「デュッ…!シャッ!!」

なんとか電撃の発生源である肩の電柱を壊そうとするが逆に放電されて大きく痺れるブレイブ。ヴォルテはそれを見ると長いケーブルのような尻尾でブレイブにダメージを与え、そのままコンセントに酷似した手の甲で引っ掻き、蹴りでブレイブを劣勢へ追い込む!

ブレイブ「ダァッ…!」

ティウン!ティウン!。甲高い音でブレイブの胸にある青いランプが赤く点滅し始めた。ウルトラマンブレイブは地球上では約3分間しかその巨体を維持できない。もしその輝きを失った時。それは彼の死を意味するのだ…

ヴォルテ「グルル…!」

ブレイブ「シュアッ…!!」

あきらめる素振りなど無く。ブレイブは勇敢にヴォルテに戦意を向け続ける。だがこのままでは敗北してしまうことを彼もわかっていた

ブレイブ「(どうする…?何か弱点のようなものがあれば…)」

残り少ない時間ですばやく敵を再三観察する。だが…実のところウルトラマンブレイブは勇気はあるが実力が低く。地球での戦闘もこれが四度目だったりするルーキー…いや、素人ウルトラマンなのだ

ブレイブ「(…!頭の小さな電柱…。もしかしてあそこか…?)」

胸の前で腕をクロスさせ、力をタメて勢いよく真横に広げる!すると両手からカッター状の光の刃が飛び出し、ヴォルテの頭にはえている小さな電柱を切断した!これには面を食らったのか苦しむヴォルテ。実はヴォルテの頭に触角としてはえている小さな電柱は神経の塊…人間で言えば爪を二枚同時に剥がされるのと同等。形容しがたいぐらいに暴れるほどに肉体的&精神的ダメージがヴォルテを襲う!その隙をブレイブは見逃さなかった!

ブレイブ「ゼアッ!デェェアっ!!」

両足を掴むとそのまま持ち上げ、大きく回転!ジャイアントスイングで遠くへ投げつける!

ヴォルテ「ゴ…ゴアッ…!!」

満身創痍のヴォルテは少し後ろに下がるもブレイブから目を離さず威嚇を続ける…

ブレイブ「シュアッ!」

お互いに一歩も引かない。そしてブレイブは胸の前で腕をクロスさせ、左腕を回しながら前へ、右腕を斜め後ろに伸ばして光が尾を引く。そのまま右腕を大きく回転させながら前の方へ縦に、左腕を一度上に上げながら右手の後ろから十字を作って必殺技のブレニューム光線を…!

ブレイブ「グッ…アアッ…」

放てなかった…。エネルギーが底をつきかけているのか膝をついて倒れそうになるブレイブ。そう…本来、ウルトラマンが最も気にするべきタイムリミットにまだブレイブは慣れていないのだ…!そのため攻撃にも力が入りすぎ、緊張感なども相まってすぐにエネルギーも使い果たしてしまい、ウルトラマンブレイブは未だに一人で怪獣に勝利したことがない…

ブレイブ「(くっ…!後一歩なのに…!)」

???「(ブレイブ。君は良く頑張った、後は私に任せてくれ。今、再び変身できる時間になった)」

ブレイブ「(わかりました…後は…お願いします…)」

テレパシーで誰かと会話をするとブレイブはスゥーッと徐々に透明になり消えていく。それと交代するように一筋の光がヴォルテの目の前に立ちはだかった!

ヴォルテ「…!?」

それは…慈愛の勇者…ウルトラマンコスモス…!

コスモス「ハッ!」

新しい敵と見たのかヴォルテは攻撃をしようとするが体が動かずその場で倒れ込んでしまう。それを見たコスモスはヴォルテへ光線を浴びせる。敵意を消し去り、心あるもの全てとわかりあえる奇跡…フルムーンレクトを…!

ヴォルテ「ゴ…ゴアッ…?」

その光線を浴び、優しさに包まれたヴォルテは再び立ち上がる。しかしその目に敵意は無く。コスモスは続けて右掌をつきだしてコスモフォース放ち、ヴォルテの痛みと傷を治し、そのまま続けてエナジーシュートでヴォルテにエネルギーを与える…。空腹が満たされたヴォルテはコスモスの事を見ると大人しく振り替えり、地面に大穴を開けながら帰って行った…

コスモス「フウゥ…」

軽く頷くとコスモスもまた透明になって消えていく…

 

 

 

衣理「はぁっ!はぁっ!っー…これ3分間の出来事とか絶対に嘘だっ…!」

ひーひー言いながらなんとか学校へたどり着く衣理、これで休校なら嬉しかった所だが怪獣災害にもレベルがあるらしく、今回はほとんど被害が無く。死傷者もゼロとの事だ。本当に運が良い。普通なら何百人と当たり前のように死んでいく。しかもそれが一昔前だとニュースに名前が並んでいたらしい。特に戦後間もない昭和にその傾向は強かったらしく。私の亡くなったお爺ちゃんやお婆ちゃんも怪獣災害で多くの友達や知り合いを亡くしたという話を小さい頃から聞かされていた。…亡くなる直前に寿命で死ぬのが幸せだって言われたっけ…

 

 

「ほいよ、それじゃあ教室行こうか。緊張しなくても連中だって昨日出会った奴等ばっかさね、すぐ溶け込めるよ」

衣理「はい、ありがとうございます。えっと…」

崎谷「崎谷 杏菜(さきたに あんな)だ、担当は生物。言っとくがまだ21だ。飛び級して19ん時にはここに勤めてる」

軽く着こなしたスーツの上に大きく袖を捲った白衣を羽織っている。…結構ラフなのだろうか…。制服が比較的真面目っぽいデザインをしているからか校内では浮いているようにも思える

崎谷「しっかし災難だったな、初日で怪獣災害に巻き込まれるなんて、無事でよかったよ」

衣理「ウルトラマンのおかげです。来てくれなかったら私は今…」

崎谷「ま、なんにせよ遅刻は免除されるし今日は第二次怪獣災害を危惧して午前で学校終わるしいいんじゃない?学生なら嬉しいだろ?」

にししと笑う崎谷先生。まぁ…嬉しいには嬉しいかもしれない。大人になると学生の頃と時間の過ぎる早さが変わるとも言う。だからこその忠告なのかもしれない。「できるうちに好きなことをやれ」そう言われてるように感じた

 

そうこう会話をしてるうちに教室に着く。崎谷先生は「ちょっと待ってな」というと横引き式のドアを足で蹴り開けると「うるっせぇぞ!てめぇら怪獣よりうるせぇ!」と怒鳴りながらガヤガヤと騒ぐ教室に押し入り、主導権を握った

崎谷「えっーとな、ちょっといざこざがあって昨日来れなかった子だ、改めて挨拶するぞ。入ってきな!」

ビクッと背筋が伸びる。そして崎谷先生が蹴り開けた場所を通って教壇に立つ。緊張する私を他所に崎谷先生は素早く綺麗な字で黒板に私の名前を書き綴る。…先生、よく澪(みお)なんて漢字スラスラ書けますね…。

衣理「澪岸 衣理です!よろしくお願いします!」

パチパチと拍手が響く。そして調子の良い男子や女子から質問が飛んでくるが即座に崎谷先生がチョークをデコピンで飛ばして黙らせる

崎谷「てめぇらぁーっ!私は二日酔いなんだよっ!質問は一人一つまで!二つ目からは追加料金払いなっ!それと!もし、いじめなんてやったらただじゃおかないからな!わーったか!わからん奴は手ぇあげな!私の権限でオール2にすっからな!」

即座に静まる教室。先生は「よろしい。じゃあ手ぇ挙げるの早かった雉列から質問していいぞ」と言うと青い髪の女子が「はーい」と立ち上がる。…先生、あれだけの挙手があったのに誰が一番早かったかちゃんと見てたんだ…。すごいや

円(まどか)「どこから来たの?ここら辺はまだ慣れてないの?」

衣理「えっと…」

そわそわと先生に助けを求めてチラッと見るが先生はフッと笑いながら「答えてやりな、大丈夫だよ」と首を動かす。

衣理「出身は東京です。この…大阪に来たのはつい最近で…」

崎谷「理由は親の転勤に巻き込まれたそうだ、まぁ仲良くしてやってくれや。それと雉列」

円「はい?」

崎谷「質問は一人一つまでっつったろーが、追加料金、500円払いな」

円「鬼!悪魔!あれは言葉のあやってやつですよ!」

崎谷「雉列。因みに言葉のあやってなんて意味か言ってみな」

円「(?)とか(!)つけても同じ文章ってことですよね?」

崎谷「たわけ、廊下に片足で立ってろ。ただしくは着飾った言い回しのことだボケ」

円「そこまで言わなくてもっ!」

ガーンと涙目になりながら渋々廊下に行く雉列さん。…なんだか後味悪いや…

崎谷「他、廊下立ちたい奴はいるか?」

「質問じゃねぇのかよっ!!」

「んなやつぁいねーよ!!」

などの罵詈雑言が飛び交う…。なるほど、この崎谷先生はかなりの策士だ、"昨日が入学式だったのに"もうすでに生徒のペースを握っている。自分が生徒と親しみやすいようにやや横暴だがキャラを確立させてるのはすごいことだ、生徒との信頼関係を築く術を心得ているというか…とにかくすごい。

崎谷「それじゃああそこ、み…。夏目古川の隣がお前の席だ。よーし!それじゃあ雉列!戻ってこい!」

指定された席に座ると右隣にいる黒髪の子に挨拶をする。…が特に無感情なのか軽く頷かれただけだ、一方で左隣にいるのがさっき廊下に立たされた雉列さんだ

衣理「えっと…雉列さん?で合ってる…?」

円「あぁ。よろしくな、それと名字呼びは嫌いなんだ、円って呼んでくれ」

衣理「えっと…円…さん」

円「呼び捨てで良いって、かたっくるしいのも嫌いなんだよ」

衣理「円…。あっ、その、もしよかったら私のことも…」

円「なんだよ?衣理」

見透かされたのかにししと笑う。それに私も応えるようにクスっと笑う

 

ビュン!! スコーン!!

 

崎谷「そこ、朝礼はまだ終わってねぇぞ」

今度は私と円にチョークがヒット。…先生…どうやって黒板から見ても真横向いてた私達の眉間にチョーク飛ばせるんですか…?おまけにすごい痛い

崎谷「重要なお知らせの前に言っておくが、先生はPDC(ダーツの世界大会)優勝してるからな。お前らがどこ向いてても眉間に当てれる自信がある。デコに印鑑圧せる窪み作られたくなかったらメリハリをつけな、お前ら高校生はもう大人のスタートラインを嫌でも見なきゃいけねーんだしよ、今のうちにどこに出ても恥ずかしくない作法を身に付けろ、そうすりゃ生きてるうちに役に立つ。さて、重要なお知らせだが、高校生になって間もないお前らには申し訳ないんだが最近ここらで電車のドアにマフラーが挟まったり、自動車の巻き込み事故からなる二次災害。加えて今朝もだが相変わらず怪獣災害も頻発に起こっている。通学中は気を付けるように。そして誰かが事故に合いそうな要因持ちだったばあい、注意の呼び掛けも頼む。先生たちも残業代もらってる有無に関わらずボランティアでやってる。んじゃこんなもんか、それじゃあ朝礼終わり。長々とお疲れさん。」

とんとんと資料らしきものを片付けると早々と教室を出る先生。…なんだか色々すごい人だ…

 

 

衣理「えっと一時間目は…」

???「生物…」

その声は右から聞こえた。そう。夏目古川さんからだ

衣理「ありがとう。夏目古川さん」

未来(みき)「…いいえ」

無口だがいい人だ…よかった。…そういえば生物は崎谷先生の科目だ、時間は…。あれ?もう始まってる時間だ

未来「澪岸さん…。自習だよ…。」

私の考えを読んだように夏目古川さんが「自習」と書かれた黒板を指差す。…先生。いつの間に書いたんですか…

円「ねぇ、衣理、衣理」

つんつんと円が呼び掛ける。その顔は何かを企んでいるような顔だ

円「さっきさ、崎谷先生が言ってた事件、放課後に調査してみない?」

衣理「えっ…!?そ…そんなのダメだよ…だいたい事故になんて簡単に出会えるはず…」

円「違うよ、「事故」じゃなくて「事件」だよ」

衣理「どういうこと?」

円「衣理は「死鬼」って知ってる?」

聞いたことがない。私が首を横に振ると円は携帯電話の画面を見せてきた

円「この大阪には過去に鬼が住んでいたんだ。だけど遥か昔…平安時代から江戸にかけて様々な武将や武士がこの地に巣食う鬼を退治して地獄へ追放した。そんな伝説があるんだ」

衣理「それは聞いたことがあるような…たしか江戸時代が始まる直前に最後の鬼を退治したとか…」

円「うんうん。だけどそれには続きがあって、季節崩れしときが我ら「死鬼」となりて蘇りしときなりって死に際に言ったともされてるんだ、そして近年、季節がまるでずれたように崩れかけてる…。暖かい冬に豪雨の夏、もしこれが本当ならここ最近の事故はその復活した死鬼が引き起こした事件になるかもしれないんだよ」

衣理「かなりオカルトチックだね…」

ちょっと引き気味になるが妙な納得を覚える自分がいたのも事実だった。そして興味を持った自分も…

円「…実はさ、昨日。ここの入学式が遅れたんだ」

いきなり雰囲気が変わる円、その目はかなり真剣な目をしている

円「あたしの親戚がさ…別のクラスにいるんだけど…その子がさ…さっき言ってたマフラーを巻き込んで電車が誤発車した事件の被害者…。友達の落とし物を取ろうとして。…その時に私は目の前で見たんだ、他の人がなんて言おうと…」

衣理「…なにを…みたの…?」

円「…人じゃない…明らかに人間の手じゃない…そう…言うなれば…鬼のような手…。それがその子のマフラーを電車のドアに挟まるように引っ張ったのを…!」

衣理「っー…!?」

円が携帯電話の写真で見せたのは…ほんの少しだけど…写っていた…明らかに人間の手ではない手が女の子のマフラーを掴んでいた写真だった…!

円「かなりギリギリだったけど…写せた。これは自然現象でも事故でもない。その真実を知りたい。お願い、昨日、色んな人をあたってみたけどみんな信じてくれない。…当然かもしれないけど…」

私は…その円の悲しそうな目を見ると…自然と体が動いていた

衣理「…やろう」

円「え…」

衣理「その事故…いや、事件。暴いてみよう。私も情報集めてみる」

円「衣理…それ…マジで言ってくれてる…?」

衣理「もちろん!私は友達のためならいくらでも頑張れる。そう…誓ったから…」

 

 

未来「…」

 

 

それから私は休み時間や帰り道で情報収集に勤しんだ。どんな些細なことでもいい。ただ…力になりたかった、友達の力に…

円「うーん…やっぱりそう簡単には見つかんないかぁ…」

衣理「まだまだ、もしかしたらどこかで…」

キュルルルッ!!ガシャン!!

円「なっ…今のは…!?」

音のする方を見ると…薄暗い夕方の今でもわかるくらいの黒煙が吹き上がっていた

衣理「行こう!」

円「あっちょっと!」

 

 

 

衣理「っ!大丈夫ですかっ!?」

そこでは…黒のリムジンが電柱にぶつかって煙を吹いていた、今にも爆発しそうな雰囲気が一瞬足を巣組ませる

衣理「…がんばれ…!がんばれ…!がんばれっ!!」

自分を奮い立たせるとドアをガチャガチャと手当たり次第に開けようとするがどれも開かない。次の手段と散らばった電柱の欠片を手にヒビの入ったフロントガラスを割ろうと何度も何度も欠片と拳を打ち付ける!

衣理「ぐっ…!」

欠片が掌に食い込んで血が滲み出す。その痛みを圧し殺してさらに力強くフロントガラスを叩きつける!いつ爆発するかわからない焦りと恐怖心が衣理に汗をかかせる

パリィン!

衣理「割れたっ!」

かなり頑丈なフロントガラスを砕き割り、制服が破けることも厭わずにドアのロックを解除すると運転士さんを急いで外に連れ出す

円「おい!衣理っ!なんてムチャを…!」

衣理「ごめん円っ!この人お願い!」

円「あっ!おい!」

ボロボロの制服のままリムジンへ走る衣理、そして後部席のドアを開ける!案の定そこにはまだ人が一人残っていた

衣理「死なせないっ!誰も…!」

気を失っていたのは同い年くらいの少女。衣理は同じように肩を貸して急いで車から離れる!

衣理「間に合えっ!!」

渾身の力を込めて少女を庇うと車が爆発!その爆風で衣理は吹き飛ばされる!だが少女を守るために衣理は決して力を緩めなかった…!

衣理「うぐっ…!」

頭部を強く打ち、頭から血を流す衣理に円が駆け寄る。「バカ野郎!!」と怒鳴りながら涙が流れる

円「あんた!死んだらどうすんだよ!命は…あたしらも…ウルトラマンだって一つしか持ってねぇんだぞ!?もっと大切にしろよっ!!」

衣理「円…。この子…。大丈夫…?」

円「衣理…。あんたはバカ野郎だよ…なんでこんなんなっても他人の事を優先できるんだ…?」

衣理「だって…人が死んだら…その人を知ってる誰かが笑顔を…失っちゃうから…」

そう笑顔で言うと衣理は立ち上がる。円はただバカ野郎となんども衣理の胸を叩く…

???「あーぁ!面白くない!」

突然の声に衣理と円はビクッと驚く。その声は…燃え盛る車から聞こえたからだ…

???「面白くねぇぜ、せっかく俺が人間どもを成敗してたってのによ、邪魔しやがって、ガキが」

衣理「え…あ…嘘…。鬼…?」

炎の中から出てきたその姿は…まさしく鬼と呼ぶにふさわしい。頭に生えた角と和服。豪腕に腰に酒瓶。

???「てめぇだろ、俺の事をソコソコ嗅ぎ回ってた人間ってのは。ガキは帰って茶漬けでも食ってろや」

衣理「えぇ…。確かにあなたを探してた…あなたでしょ…!たくさんの命を奪ったり弄んだのは!」

螺巻鬼(ねじまき)「あなたあなたうるせぇなぁ、俺にゃあ螺巻鬼っつー名前があるんだよ。まぁいい、愚痴は地獄で聞こうかい。三途の川で待ち合わせようぜ」

円「衣理!逃げて!!」

バチバチと真っ黒い球が衣理の顔の真横を裂いていく。その後ろで爆発。つまり直撃していたなら円や助けた人たちまで巻き込んでしまう。なぜか運良く…いや、偶然に助けられた。遠くない近くで地響き。その揺れに彼女たちは助けられたのだ

衣理「ウ…ウルトラマン…ティガ…」

螺巻鬼「チッ、光の戦士かよ。邪魔しやがって…。今度は外さねぇ、ションベン漏らす前にお袋の顔でも思い出すんだな。後悔するなら時を恨めや、俺達が復活した今をな…!」

すぐ近くで戦うウルトラマンティガを他所に螺巻鬼は再びバチバチと音をたてて真っ黒い球を放とうとしていた…!衣理はぎゅうっと握り拳を作って勇気を振り絞るとせめて自分以外を巻き込むまいと距離を作るために走り出した!

衣理「諦めないっ…!最後までっ!!」

螺巻鬼「言ってろ」

球が放たれた瞬間。燃え盛る車の中から。赤い光が走る衣理を包み込んだ…!

バシュッ!!

螺巻鬼「人間ごときが、鬼に逆らいやがって…。…なにっ!?」

その攻撃は…効いていなかった…。それどころか狙い済ませた相手の姿が赤い光に包まれていた

螺巻鬼「な…なにかのまぐれか土地神が生きてやがったのか!?いや…そんなはずは…」

 

 

衣理「この光は…」

赤い光の中、衣理は不可思議な体験をしていた

???(もし…もし…聞こえますか…?)

衣理「えっ…なに…?」

???(安心して…私はあなたの味方です。今、あなたは選ばれました。右腕にある腕輪で今こそ鬼と戦う力を授かるのです…)

衣理「あなたは…」

???(今は…明かせません。いずれその時が来たならば…あなたに全てを明かしましょう…。さぁ…!早く…!あなたの大切なものを守るために…!)

衣理「すぅーっ…。これ以上…誰かを…友達を…傷つけさせるものかーーっ!!!」

大きく叫ぶと右腕のブレスレットが輝く!そしてブレスレットは正面に右腕をかかげ、左腕と合わせて十字を作る!

衣理「努力変身!!」

そしてそのまま腕を胸の前に下ろすと全身が光り、降り下げた両手、両腕、肩、胸元と順を追って足までサイバーチックなアーマーが衣理を包み込む。そして顔の前で掌を左から右に移動させると頭を防護するヘルメットが出現!目元は半透明だ。そして最後に彼女の髪型、ツインテールのようにエネルギーがヘルメットから放出!おさげを作り出し、放出したエネルギーが全身に赤い色を付けていく…!そして光が晴れ、その姿が現実のものとなる

衣理「どんな時でも諦めない!不屈の努力は赤い色!ガンバレッド!!」

螺巻鬼「な…なんだっ!?変身しやがった…!?」

衣理「わわっ!?なにこれ!?」

その姿に衣理自身も驚いている。深紅の装甲を纏いし勇者、そう…ガンバルンジャーの姿に…!

螺巻鬼「こけおどしかこの野郎!!くらいやがれっ!」

衣理「だああっ!!」

ガキィン!!

螺巻鬼「うおおおっ!!?!?」

なんと殴りかかった螺巻鬼が大きく吹き飛ばされた!一方で防御のために腕を出しただけの衣理は全くの無傷だ

衣理「こ…これなら戦えるっ!」

螺巻鬼「なめるなぁあっ!!」

怒り心頭の螺巻鬼は燃え盛る車を能力でねじ曲げ、燃える螺旋に変えて衣理に投げつける!

衣理「そんなものでっ!!」

片手で弾き飛ばすと今度は螺巻鬼を殴り飛ばす!!歯が数本抜け、顔面が歪むぐらいの衝撃に吹き飛ばされた螺巻鬼はただ唖然とするしかなかった

螺巻鬼「こんな…こんなガキごときに…!!この俺がやられるだと…」

わなわなと手が震える。恐怖心ではない。プライドを踏みにじられた感覚は…螺巻鬼にとって許しがたいものだった!

螺巻鬼「ふざけるなよ…こんなことあってたまるかよ!」

酒瓶を開け、中身をゴクゴクと一気飲みする螺巻鬼…。その姿は徐々に大きさを増していく…

螺巻鬼「調子乗ってんじゃねぇぞ…この…ガキャァっっ!!!」

その大きさは…なんと4~50m相当…。さすがにウルトラマンティガも相手取っていた炎魔戦士キリエロイドだけでなく、螺巻鬼の方にも警戒を向ける

螺巻鬼「潰してやらあっ!死ねぇっ!」

巨大化した螺巻鬼の足による踏みつけが私たち目掛けて実行される。だが寸前でそれを察知したウルトラマンティガによる飛び蹴りが炸裂!螺巻鬼は体制を崩して倒れてしまった

衣理「今のうちに避難しよう!」

円「ちょっと待って衣理、私状況飲み込めてないんだけどってなにそのパワー!?」

軽々と円たち三人を担ぎ上げると私は学校の方まで力をためて一気にジャンプした!

衣理「えちょっと高いいいっ!!?」

だが…実を言うと私は高所恐怖症だ、せいぜい屋根程度だろうと飛んだら余裕で数千メートル離れた学校近くまではるか上空を通って着いてしまった

円「つ…次は快適な空の旅をお願い…」

衣理「ど…努力するね…おえっぷ…」

二人して酔って完全にダウン。私は変身を解除してから円と共に運転士さんと女の子を背負って学校へ避難したのだった。だけど…今の私は知らない。これが…全ての始まりであることなど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

闇の一夜を越えた衣理達は助けた少女と友達になる。だがその少女へ現代の怪盗が挑戦状を叩きつけてきた!友達を助けるために衣理達は怪盗と対峙する…!そしてまたしても夜の街に光と影が交差する…

次回。Primal Apocalypse 第二話 深紅の夜桜







お疲れ様でした。これは始まりです。ですが…「本当の始まり」ではありません。では楽しく続きを書いていきます。少しでも興味を持ってもらえたなら幸いです。


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第二話 深紅の夜桜

こんにちは、毎度作業スイッチを入れるのが苦手です。それではどうぞ


この物語は限りなく現実に近いフィクションです。

 

 

 

 

 

 

前回までのあらすじ

 

高校生となった主人公、澪岸 衣理(みおぎし いのり)は転入早々怪獣災害に襲われ、ウルトラマンブレイブとウルトラマンコスモスによって救われた。その後、学校や近隣地域で続出する「何かが巻き込まれる怪事件」によって親戚を傷つけられた少女、雉列 円(きじれつ まどか)と友達になり、一緒に事件を調査した、そこで事故にあったリムジンから運転士と一人の少女を衣理は勇気を振り絞ってかろうじて助け出す。そこに「螺巻鬼(ねじまき)」と名乗る死鬼が現れ、成敗と称して衣理たちに襲いかかる!そして突如現れた光によって衣理は「ガンバレッド」に変身。ウルトラマンティガの助けもあってどうにかその場を離れることができた…

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンティガ「チャッ!」

現在、ウルトラマンティガは劣勢だ、元は炎魔戦士 キリエロイドと戦っていた彼は衣理たちを踏み潰そうと巨大化した螺巻鬼とも対峙していた

螺巻鬼「ウルトラマンティガ…か、てめぇが二面鬼を倒した奴だな?だがよ…」

地面に手を突き刺すと巨大なこん棒を取り出し、豪快に振り回してティガを指差す

螺巻鬼「俺はアイツみたいにゃぁいかねぇぜ…!覚悟しな!」

キリエロイド「キリイッ!(邪魔をするな!ウルトラマンティガは我々キリエルが倒す!)」

今一度戦いが始まった!こん棒による振りかぶりを軽快なジャンプでかわすとティガは螺巻鬼をキックで蹴り飛ばし、続いて襲いかかるキリエロイドとすばやい格闘の応酬に入った。

 

ウルトラマンティガ「(くっ!以前より強い…!)」

キリエロイド「(当たり前だ!貴様が邪神と戦った後、我々は宇宙で新たに力を手に入れた!この力でウルトラマンティガ!貴様を倒してこの地球を我らキリエルの民のものにするのだ!!)」

ティガを蹴って距離を離すとキリエロイドは手からの炎「獄炎弾」でティガを痛め付ける。だがすぐに空中からレーザーがキリエロイドを攻撃する。ウルトラマンティガと共に戦う防衛チーム「GUTS」のガッツウイング1号と2号による援護射撃だ。ティガは頷くとGUTSの援護を受けながらキリエロイドと螺巻鬼に立ち向かっていく!

 

 

 

 

 

 

 

 

???「やはり出たか、死鬼め…!桜庭!行けるか?」

 

???「はい、この子も行けるって言ってます!」

 

???「よし。桜庭、お前の相手は死鬼だ、もう片方の白黒の奴はウルトラマンに任せろ。」

???「了解です!」

「誤差修正、カタパルト、オールグリーン」

「五番、八番、九番ゲート。解放!」

「射出準備完了しました!」

???「行け!桜庭!」

春姫「ガイアーディアンHS!桜庭 春姫(さくらば はるひ)!コンディション・グリーン!!」

体高48m、重量207tの巨体が急上昇式のリフトから勢い良く地上を目指す!スラリとしたシルエットに桜色のボディ。どこかイルカを思わせる形のした頭部。肘に付いている突起は目と思われる部位と体のラインを流れる線と同じく青、それは近づきつつある地上を察してか上を向いて構えをとる

 

 

 

衣理「わわわっ!?地震!?」

円「すごい揺れってか真下…!?」

なんと学校の運動場から四本の柱が生え、その中から丸い巨大なハッチが地砂をかき分け姿を現し、開いたその場所から真上に何かが飛び出す…。そう、これこそが地球が産み出した守護神。季節を司る機械天使。…その名もガイアーディアン…!!

衣理「って落ちてくるっー!?」

高々に空から落ちてくるガイアーディアン!だが着地音と突風はすれど揺れの一つもなかった。その理由は…!

 

春姫「ふぅっ…危ない危ない、さぁて…バリアも好調だし…。行こうか!君!」

足元にバリアを展開し、そこに着地したのだ。着地の衝撃で校庭の桜が舞い、ガイアーディアンを彩る。そして目と思われる機関を赤に光らせると足元にバリアを展開しながら街を踏まないように死鬼へと走ってジャンプ!バリアを拳に纏わせて急降下しながら殴り付ける!!

螺巻鬼「ぐぼっ!?」

春姫「お前の相手はボク達だよ!」

高らかに指を指し、ガイアーディアンと春姫は挑発してウルトラマンティガから螺巻鬼を引き離した!

螺巻鬼「なめやがって…!このっ!」

 

ガイン!ガン!ガン!ゴワァン!

こん棒による打撃を全て手に纏わせたバリアで無効にするガイアーディアン。

自身の自由落下にもものともしない強固なバリアで攻守ともに優勢に立つとその巨体で軽々と宙を舞う。

春姫「鬼さんこちらっと。よし、だいぶ学校とウルトラマンから引き離せたね。ここらへんならもう避難も終わってるし…気楽に本気出せるねっ!」

 

 

 

 

秋人「GUTS隊の方々。私はSEASON(シーズン。Seasonal Earth Savior Knight。季節と地球を救済する騎士の意)の日輪 秋人(にちりん あきと)です。あの鬼…死鬼は我々にお任せください。あなた方はウルトラマンティガと共に引き続き戦闘をお願いします、ご健闘を」

 

 

 

カラータイマーのなり始めたウルトラマンティガはGUTSと共にキリエロイドと戦い、連携攻撃で徐々に追い詰めていく。旗色が悪いと感じたキリエロイドは足元を爆発させ、爆煙と共に不気味な笑い声を残して姿を消した…。ウルトラマンティガは周囲を警戒すると残り少ない時間にも関わらずガイアーディアンに加勢し始めた!

 

螺巻鬼「うぉっ!あの野郎…逃げやがったのか!」

ウルトラマンティガの乱入に驚く螺巻鬼、その隙をガイアーディアンと春姫は見逃さなかった!

春姫「ヴァリアスラッシュ!!」

エネルギーを凝縮した頑強なバリアをウルトラマンが使用する八つ裂き光輪のように投げつけ、螺巻鬼のこん棒を切り壊す!それに続くようにティガはパワータイプに変身、螺巻鬼の頭が下になるように持ち上げるとウルトラヘッドクラッシャーで思いっきり地面に叩きつける!

螺巻鬼「ぐっ…ちく…しょう…!」

角が折れ、完全にグロッキーにされた螺巻鬼は立ち上がるが…

春姫「トドメっ!」

大きく跳躍するガイアーディアン!そしてバリアを足場にした反動で螺巻鬼めがけて狙いを定める…!螺巻鬼がガイアーディアンに気を取られている隙にティガはパワータイプのままゼペリオン光線を放つ!それと同時にガイアーディアンもバリアを蹴り、螺巻鬼へ跳び蹴りの体勢に入った!

春姫「春風!桜花蹴りいいぃっ!!」

光線が命中すると同時に蹴りが決まり、爆発の瞬間バリアが螺巻鬼を包んだ!そして爆発が消え去った頃、バリアは光る桜の花弁となって美しく舞い散った…

春姫「ふぅっ、秋人さん。これで終わり?」

秋人「あぁ、周囲に死鬼の反応は無い。よくやった」

春姫「それじゃあ回収お願いします」

ピッと通信を切ると春姫は飛び去るウルトラマンティガに手を振ってその姿を見送り、ガイアーディアンのコックピットを優しく撫でる…

春姫「お疲れ様、君のおかげだよ」

外から見たガイアーディアンの目は…戦闘時の赤色とは対照的な優しい青い色になっていた

 

 

 

 

翌日…

 

 

 

衣理「おはよー、円」

円「おはようさん。昨日は…その…ありがとな!」

衣理「ううん。友達として当然のことだもん」

昨日…あの後、私たちは危険が去ったとして各々の自宅へ送還された。火事場泥棒なんてのもいるしどさくさ紛れの人拐いなんてのもあるらしい。その意味では自衛隊の人達が家まで送ってくれるのはすごくありがたい。そして…

衣理「…」

どうやらこのブレスレットは私の意思で出したり消したりできるらしい。今は学校だから消してる。

 

 

 

 

崎谷「おーし、それじゃあ出席取るぞー」

 

 

この世界は変わってる。いやまぁこれが普通の世界なんだけど

 

大昔、ウルトラマンが来る前から怪事件の絶えない世界。人が消えたり死ぬのは当たり前。

 

国民的ヒーローである「仮○ライダー」とか「ガ○ダム」「ポ○モン」なんかは怪獣災害で傷付いた人の事を支えてきた。ウルトラマンと違って現実には存在しないけれど人畜無害な事もあって別のベクトルで好かれてる。

 

みんながみんなウルトラマンの事を好きだとか感謝してるわけじゃない。中には巻き込まれて家族や自分の体の一部を失った人もいた。

 

 

ウルトラマンじゃなくても行方不明者や怪死事件が誰かを襲う。宇宙人の仕業だとか言う人もいるけれど原因は定かでは無い。

 

 

 

もしかしたら昨日の鬼…「死鬼」のせいかもしれない。あの一件は終わったけど。また違う死鬼による事件が起きるかもしれない。私のこの力はそれと戦うため…?

 

 

 

 

お昼頃…

 

 

 

 

 

円「衣理、一緒に昼食べようよ」

衣理「うん。いいよ」

私はそう言って円の机と自分の机を合わせる。そして気になる子へも声をかけてみた

衣理「あの…夏目古川さん。もしよかったら一緒にお昼…食べない?」

そう。私の左隣の席の夏目古川さんだ、物静かな雰囲気と銀縁メガネに片目を隠した黒い髪が綺麗な子だ

未来「…構わないけど…。私、食べるときは無言だよ…」

衣理「それでも大丈夫!一緒に食べることに意味があるんだしさ」

寄せて寄せてと夏目古川さんの席も自分達の席に寄せる。実は彼女からはささやかな気遣いやアドバイスを貰っている。昨日も今日も。だから表には大きく出さないだけでいい人なんだと伝わってくる

未来「…ありがとう」

衣理「ありがとうなんていいよ、友達なら当然でしょ?」

そう言葉を返すと彼女はまたぼそりと呟いた

衣理「?。なんて言ったの?夏目古川さん」

未来「…未来(みき)。私の名前…」

衣理「ぁ…」

私と円は互いの顔を見て頷く

衣理「よろしくね、未来、私の事も衣理って呼んで」

円「私も円って呼んでくれよ。未来」

未来「衣理…。円…。その…よろしく…」

その時。教室のドアが開いて顔に包帯をぐるぐる巻きにしてる女の子が入ってきた。突然の事にざわめく教室、だがその子はどこ吹く風と私の前にやってきた

???「澪岸 衣理さん?」

衣理「え、あ…。はい…」

いきなりフルネームで呼ばれて少し怯んでしまった。なんだろうと思っていたら私はこの子をどこかで見たような気がした

???「昨日はありがとうございます。おかげで助かりました」

衣理「あー!昨日の!リムジン乗ってた!」

そう。包帯のせいで最初はわからなかったが昨日助けた女の子だった

葉百合「葉百合です。紅皇子 葉百合(こうおうじ はゆり)」

その一言に円が飲んでいたスポーツドリンクを吹き出した!

円「ちょっとまっ…!ええっ!?(;゚Д゚)紅皇子って…あの紅皇子…!?」

葉百合「まぁ、ご存知なんですね」

円「ご存知どころか知らない人いないよ!」

衣理「えっと…どちらさま…?」

またしてもその一言に円につられてクラスのみんながずっこける

未来「紅皇子…現在の日本を支える三大企業の一つだよ…」

衣理「え゛っ」

思わず変な声が出る。いやまぁリムジンに一般人が乗ってるわけは無いとして…まさかこの子がそんな大物…!?どうみても包帯のせいで可愛いミイラにしか見えない。ちなみに左目と口以外はほぼ包帯で隠れてる

衣理「あれ…?昨日ってそんな怪我してたっけ…?」

葉百合「これですか?今朝、螺旋階段から転げ落ちてしまって…」

恥ずかしそうにそう言う紅皇子さん。いや、なんで生きてるの?もしかして本物のリビングデッド?

衣理「いやいやいや…私のところ来る前に病院行ったほうが…」

葉百合「幸いこの程度ですんだのでお礼をと~」

円「どゆこと!?この程度の概念ってなに!?」

未来「…理解不能」

葉百合「それで澪岸さん。その…もしよければだけど…」

衣理「お礼なんて…当然のことしただけなのに…」

円「衣理、お礼させてあげなよ。せっかく人を介さず自分で来たんだ。立派だよ」

未来「…。断ったら…紅皇子さんが恥かいちゃうよ…」

衣理「み…みんながそういうなら…」

気恥ずかしく衣理は答える。恐らく誰かに本格的なお礼をされるのが慣れてないのだろうかすごく緊張しているように見える

葉百合「ありがとう!っと…もうこんな時間…。それじゃあ放課後迎えに来るから!」

そう言って手を降りながら彼女は教室から出た。その5秒後!

 

ドタドタガッシャーン!ガン!ゴロゴロ!!ビターン!!

 

全「何の音!?」

 

凄まじい激突音が聞こえて教室から出ると階段の下で頭から血を流してる葉百合がいた

葉百合「大丈夫ー!それじゃあねー!」

 

走り去った葉百合を見た三人はやや顔面蒼白で顔を合わせる

円「これは放課後まで生きてるかが問題だね…」

衣理「いや…まぁ…。…たぶん怪獣災害爆心地でも生きてそうな生命力してるけど…不安だね…」

円「私…嫌だよ…、放課後に霊柩車がスタンバってたら…」

未来「別の車でも葬儀所行きかも…」

衣理「今だから苦笑いだね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後…

 

 

円「まさか怪獣災害で午後の授業潰れるとは予想してなかったな…」

未来「東京に比べるとマシとは聞いてるけど…大阪も大概だね…」

衣理「まったくだよ…。私この学校でちゃんと授業受けれるのか心配になるよ…。…ところで気になったんだけど…聞いてもいい?」

円「おう。なんだい?」

衣理「円たちって大阪生まれ?」

未来「私は違う…。中学2年までは神奈川県で育った…」

円「あたしは大阪だね。どうして?」

衣理「二人とも標準語でしょ?東京から来た私ならともかくとして関西弁じゃないんだって思って」

円「あー、よく言われるかも。あたし…実は将来は東京に行きたくてさ。それで関西弁ってその…誤解招きやすいじゃん?だから標準語使ってるんだよ」

衣理「そうなんだ。何を目指すの?」

円「それは…」

葉百合「澪岸さーん!」

その時。リムジンの窓から紅皇子さんがこっちに手を振っていた。私達も手を振り返してリムジンへ向かう。

葉百合「さっ、乗って乗って!」

恐れ多くリムジンへ乗る私達。うわぁ…なんだか普通の車とはなんか…高級感が…

葉百合「車、出してください」

「かしこまりました。お嬢様」

運転士さんがエンジンをかける。この間の人ではないみたい…

葉百合「改めまして…先日はありがとうございます。おかげで私達は命を救われました」

衣理「いやその…当然のことだし…」

葉百合「まさか選ばれた人がこんな近くにいるなんて思ってもみませんでした」

衣理「え…それ…どう言うこと?」

葉百合「あなたが手首にしてるブレスレットのことです」

未来は頭にはてなを浮かべるが私と円はぎょっとした。嘘…変身してるってバレてる…!?

葉百合「お礼にお話しします。そのブレスレット…エールブレスについて…」

 

 

 

葉百合「そのブレスレットはエールブレス。…とは言っても発見されたのは大阪城の隠し地下室。同室にあった書物には努力と祝福の腕輪と記されていました。これは全部で8つ有り、その全てが私達、紅皇子が現在厳重に所持しています。戦国時代から続く伝記によればエールブレスは死鬼と呼ばれる妖怪や異形の侵略者などを退けた勇者の所有物と伝えられています」

円「そんな骨董品がどうしてまぁ衣理に?」

葉百合「このブレスレットは所有者を失うと次の所有者を自らが決める自我に近いものを持っているとされます。恐らく…どういった状況かはわかりませんが澪岸さんの何かに反応してその一つが宿ったのでしょう…」

それを聞いて昨日を思いだす衣理と円。衣理のほうは深刻そうな顔をしている

衣理「…昨日。私は必死だった…と思う…」

 

 

衣理「目の前の命を、友達の円を助けたくて、ただひたすら必死だった…。そしてあの死鬼の攻撃を自分だけ受けて三人を助けたかった、その時…」

円「エールブレスが衣理に反応した…?」

葉百合「そのエールブレス、出してもらってもいいですか?」

衣理「あ、うん」

隠していたエールブレスを具現させてそれをみんなに見せる。その腕輪をあるラインは薄い赤色。それ以外はほぼ銀白色に包まれている

衣理「あれ?よく見るとなんか昨日と違うかも。昨日はもっと明るい色してたと思う…」

葉百合「と…いうことは…。間違いないですね…」

席の足元を叩くと座席下からアタッシュケースが出現。指紋や目での認証が終わると開いたその中には…

紅皇子「これが…残り七つのエールブレスです」

なんと全て虹色のエールブレスが収納されていた。

未来「…きれい」

円「カラフルだなー…」

葉百合「これは本来の色ではありません。エールブレスは所有者によって色が変化すると言われています。そして力を使っていない休眠中は色が薄くなるとも伝記に記されていました。理由は不明ですが…」

「失礼します、お嬢様。そろそろお着きします」

葉百合「わかりました。…続きは私の家でお話しします。」

窓を見るといつのまにかすごい豪邸の前にいた。そして門を抜けて玄関だと思われる所でリムジンのドアが開いた

 

「「「お帰りなさいませ、葉百合お嬢様。ようこそいらっしゃいました、ご友人の方々」」」

数十人のメイドさんや執事さんが出迎える。それに目が点になる私たちの手を引いて葉百合は歩きだした

葉百合「ただいまです。いつも皆さんありがとうございます」

笑顔で返す葉百合とともに豪邸に入る。が…私達とは育ってきた環境が違うからかやや気後れしてしまう

衣理「すっごいね…なんだか日本じゃないみたい」

円「がっつり大阪だぜ…」

葉百合「こちらです」

案内された部屋に入るとやはり広い…

???「へぇ、葉百合が友達を連れてくるなんて珍しいねぇ」

衣理「ふえっ!?」

突然後ろから聞こえた声に驚く私達。話しかけた赤い髪の女の人は「ごめんごめん」と笑いながら謝る

葉百合「紅(くれない)お姉ちゃん!?」

紅「よっ。元気にしてたかい?」

葉百合「どうしてこっちに?今日はたしか…」

紅「あぁ、知ってのとおり、えげつないスケジュールだったけどさ、今日の「アレ」のせいでほとんどキャンセルだよ」

葉百合「…ごめんなさい」

紅「葉百合のせいじゃないって。来ちゃったもんはしゃーないだろ?」

衣理「紅皇子さん…その人は…?」

紅「おっと、自己紹介が遅れたね、あたしは赤色 紅(せきしき くれない)。葉百合とは従姉妹ってところ。よろしくね。えっと…」

衣理「澪岸 衣理です。こっちは円と未来です」

紅「へぇ。なかなか礼儀良いじゃん?それで?葉百合。どこまで話したんだい?」

葉百合「え゛っ」

紅「やれやれ。こりゃまだ話してないか。あんたらさ、この子が怪我した理由聞いた?」

未来「一応は…」

紅「なら話は早いや。この子は生まれつきとんでもない体質でね。最強の幸運と最凶の不幸を対等に持ってんだよ。たぶんあんたらもこの子に怪我の理由聞いたと思うけど普通の人間なら死んでる。だけど葉百合は"偶然"急所を外して致命傷だけにはならない。そんな体質なのさ」

葉百合「お姉ちゃん…」

紅「大丈夫だよ。この子たちそんなのでビビるような子じゃないみたいだし。っとこんな時間かぁ…よし。それじゃあ行ってくるよ」

葉百合「お願いします…」

堅苦しい挨拶をする葉百合の肩をぽんぽんと叩きながら紅は笑顔で部屋から去っていった…

衣理「その…紅皇子さん。いや、葉百合。私とちゃんとした友達になってくれる?」

葉百合「え…?」

衣理「私…昨日の夜から考えてた。これが夢じゃないなら、この力を使えば。多くの命を助けられるって。あなたは私が初めて救った命…。これからも友達としてあなたを助けたい。だから教えて。この力のこと。そしてさっき紅さんと話してたこと」

葉百合「…わかりました。不思議ですね…前にもこんなことあったみたい」

衣理「まさか、私達出会ったばっかじゃんか」

その受け答えで思わず笑いを起こすと葉百合は目付きを変えて真面目に話を切り出した

葉百合「率直にいいます。その力は…世界を救えます」

 

 

葉百合「これが現在見つかっている資料です。全て大阪城から見つかってます」

円「ってことは…もしかしてこれが…?」

葉百合「はい。恐らくこれが…徳川埋蔵金の正体。と私は思っています」

未来「…思うって…?」

葉百合「実は…徳川家の末裔の方に確認したのですがその方にもわからないと…。確かに徳川家康が江戸幕府創設の際に当時の…戦国時代に選ばれた方々から未来の平和のためにと預けられたと伝わっているらしいのですが…たしかなことはわからないようです」

円「まぁ…預かりものが埋蔵金だなんて言われたら預けた人達がうかばれないよな」

葉百合「それに江戸城からはエールブレスに関する資料は一つも見つからないのです…。どうもこの大阪のみのようで」

衣理「あ…昨日、円が言ってた大阪に鬼が住んでいたって話…。これと繋がるんじゃない?」

未来「…?」

円「その前によ、よくよく考えたら何も知らずに文句の一つも無しに着いてきてくれた未来に説明しようぜ」

 

 

 

 

衣理「ってことなの。わからないことは?」

未来「理解完了…。それなら役にたてるかも…。私のお姉ちゃん…そういうのに精通してるから…」

葉百合「夏目古川さんにもお姉さんがいるのですね」

未来「…知ってるでしょ?」

葉百合「いえ?初耳ですけれど…」

未来「衣理と円はさすがに知ってる…」

衣理「え?」

未来「…担任なのに」

円「は!?もしかして…」

未来「崎谷先生…私の叔母…。だけど年が近いから実質お姉ちゃんとして見てる…」

衣理「うそぉ!?」

未来「私のお母さんとは13歳差…。私とは6才差だね…」

葉百合「私も親戚が多いですけれど…それほど叔父や伯母の年齢が近い方はいませんね…」

未来「…さっきの赤色さんも…今の日本を支える三大企業の一つだよね…」

葉百合「よくご存知なんですね、そうです。紅お姉ちゃんは赤色家の三番目に産まれた後継者、三つ子の長女でもあります。そのため昔から面倒見がよくて人を纏めるのが得意なのです。とても頼りになります」

円「はい、ちょっと待った、脱線しはじめてるぞ。ガールズトークも一旦路線戻そうか」

葉百合「あっ、ごめんなさい。私としたことが…」

恥ずかしそうに焦る葉百合。だがすぐに切り替えて目付きを変える

葉百合「…ということは。死鬼は大阪を中心に活動してるとみて大丈夫そうですね…」

円「あぁ、理由はわからないけれどそういうことだな。」

衣理「人間を成敗するって意味もわかんないよね…謎だぁ…」

未来「…そこは私からお姉ちゃんにお願いしてみる…。後でコピーさえ貰えるなら渡しておく…」

手元の資料を整理しながら死鬼への対策を練る。だが情報はまばらで少ないため最低限「行動を阻止する」という結論に至った

葉百合「…死鬼やエールブレスについては一度ここで話を切りましょう。時間的にも、次が紅お姉ちゃんと話してた内容です」

そう言ってまた別の紙を取り出す葉百合。上質そうな真っ赤な紙には…

衣理「こ…これって…」

 

 

 

拝啓、紅皇子の方へ。

 

 

4月11日。午後九時。そちらの家宝とされるゴールドダイヤモンドを頂きに参ります。

 

 

これは現代に失望した私からの現代へ送る挑戦状である。

 

 

恨むならば私ではなく退屈を与えた現代を恨め。

 

 

 

現代のアルセーヌ・ルパンより

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅「さぁーて…。いよいよだ、身内ん家に盗みに出りゃあ私達は犯人候補から閉め出される…」

???「お姉、準備できてるぞ」

???「私たちの挑戦状…やっぱり十回目の挑戦だと警察とかの気合いの入れようが違うね…」

紅「はっ!甘いよ、あの程度じゃあたしらにゃあ到底敵わないね。あたしたちはアルセーヌ・ルパンの正当後継者!本気で捕まえたいならシャーロック・ホームズか明智小五郎でも連れてきなってんだ!」

???「どっちも実在しないじゃない…」

紅「廃れきった現代にそんなもんいないってことさ、現代は腐ってる。町中死臭だらけだ。人が人を潰しあって誰もが貧乏。そしてそんな人達を踏み台にする奴等を私達は許さない。それが世界であろうと…!」

???「不公平なこの世界。上に立つものも不公平であるべきだ、そうすれば誰もが公平になり、支えあえる」

???「そして私たちの立場も変わればそれは証明となる…。頂点までもが公平であると…」

紅「だからこれは攻撃でも宣戦布告でもなく。不公平を生み出したこの世界への…逆襲だ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

???「…姉さん。それアウト…」

紅「バレなきゃセーフだってのに!これがアウトならこの世にユーモアとパロディーと○魂は存在しねぇーんだよぉっ!!」

???「バカお姉!せめて後ろのところ隠せや!!」

紅「なにが問題だぁっ!?金か銀の違いだろぉ!?」

???「それが問題なんだろーが!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

「現代のアルセーヌ・ルパン」の挑戦に立ち向かう葉百合。友達のために衣理達は立ち向かうことを決心する!だが紅達は巧みに包囲網を潜り抜け、ゴールドダイヤモンドへ近付いていく…。そして衣理は約束のために再びガンバレッドへの変身を試みる!

 

 

次回 Primal Apocalypse 第三話 赤と紅(あか)の衝突

 

 

 

 




お疲れさまでした。次回からは今までの半分ほどのサイズで投稿してみようと思います。感想やブクマもお待ちしております


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第三話 赤と紅(あか)の衝突

こんにちは、真っ赤っ華です。これの投稿日が誕生日です。


紅「さぁて、改めてもう一度作戦を説明するよ、篝、不知火」

篝「あぁ」

不知火「うん…」

紅「今回狙う紅皇子家のビル。普通に知る限りだと一見何も異常は無い。忍び込むのは至難の業だ、だけど実は抜け道が一つだけある。それこそが兄貴のお手伝いさ」

 

篝「兄貴の補佐として潜入、オレとお姉でターゲットを捕捉。不知火がセキュリティを落としてその隙に奪って隠す」

 

不知火「無くなったダイヤを探しててんやわんやしてる所に私が回収…。二人は任務失敗と銘打って成功。ってやつだね…」

 

紅「さっすが我が愛しの妹たち、正念場だかんね!しくじんないでよ!ところでさ…」

篝「なんだ?お姉」

紅「やっぱり隠すなら前だと思うんだけど」

篝「いつまで引きずってんだ!はっ倒すぞ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

衣理「これって…なに?」

円「あんた…ほんっとうに何で知らないんだ…。今世界を騒がせてる怪盗だよ」

 

世間知らずの衣理にツッコミながら円は淡々と説明を始めた

 

円「現代のアルセーヌ・ルパン。数ヶ月前から世界中の様々な高価とされるものを盗んでいる正体不明の人物さ、単独なのか、それとも多人数なのかも不明。狙った獲物は絶対に逃さない」

 

葉百合「さらに盗まれたものは必ず返されているのですが…、返却条件が「募金や孤児院に金を振り込め」「もっと住み良い国にするために土地を安く、給料をあげてやれ」などまるで江戸時代の義賊のような振る舞いをしていて…。国民からの支持も得ているため酷いときは一般人が警察と暴動沙汰になることもあるのです…」

 

円「まぁ簡単に言えば最新の革命家だね、やり口はかなりアウトだけど悪いところだけ停滞してるこの国を変えるためにはこういうのが一番手っ取り早いからね、国のお偉いさんとも繋がりのある金持ち連中を脅迫すれば硬貨とお札でヘンゼルとグレーテルごっこができるよ」

 

葉百合「強制された道しるべ…辿っていけば幸せへ…ということですか…」

 

円「正直言えば今の日本なんてさ、私達が未来を託して歩けるほど信頼できない。そう言う意味ではルパンのやり口は…私は正しいと思う」

 

衣理「…でもさ、誰かに迷惑をかけるのは許せない。ましてや友達にその矛先が向くなら私は戦う」

 

キッとした覚悟の目付き、その衣理を見て円は笑う

 

円「やってやろーよ…。ねぇ葉百合、私達も今夜のルパン撃退の力になりたい。お願い、協力させて、友達として」

葉百合「でもこれは…」

 

衣理「自分の家の問題っていうつもり?それじゃあエールブレスのこと教えてくれたお礼をさせてよ、葉百合だってお礼に来たじゃない。それと同じだよ」

 

未来「…。さっきと同じことを言えば…ここで断ったら…友達が恥かいちゃうよ…」

円「未来、ナイス」

 

葉百合「…わかりました、友達ですものね、よろしくお願いします。衣理、円、未来」

衣理「うん!必ず力になるから!」

 

固く握った手と手、今ここに新たな友情が生まれた…

 

 

 

 

 

 

 

 

春姫「ほへー…まーた怪盗ですよ、秋人さん」

秋人「飽きないものだな、お陰さまでこっちの活動資金にも着手されて割りを食ってることも知らずに…」

 

春姫「あーあ、ほんっとに迷惑ですよねー!」

秋人「いっそガイアーディアンで取っ捕まえてみるか?」

春姫「いいんですかぁ!?」

秋人「いいわけないだろ、それよりも、とっとと整備を終わらせろ、…決戦の日は案外近いかもしれないのだからな…」

 

春姫「はーい、ったく…ガイアーディアンが整備士泣かせなのはどうにかしてほしいなぁ…。ねぇそんなに私以外に触られるの嫌なのー?」

 

ぼやかれると目を真っ青にさせて低い音を出す。どうやら嫌という意思表示のようだ

 

春姫「仕方ないなぁ…まぁその分頑張ってもらうからね、君」

 

 

 

 

 

 

 

???「葉百合様、失礼します」

 

礼儀正しくやや固い挨拶とノックに葉百合は答え、扉が開かれる。そこには赤いスーツを着た青年が立っていた

 

深紅「お久しぶりです」

葉百合「もう、親族なんですから止めてください、深紅兄さん」

深紅「これも仕事です。わかってください。今の私は立場上、一警官なのです。…ところでそちらの方々は?」

葉百合「私の友人たちです。真面目が過ぎると恥じかいちゃいますよ?」

 

深紅「…ふぅ。今だけだぞ。俺は赤色 深紅(せきしき しんく)葉百合とは従兄弟の関係だ、今は社会勉強と規則を正すために警部補として警察で働いている。よろしく」

 

衣理「よ…よろしくお願いします…」

葉百合「ほら、いきなり固い印象与えるから距離を取られるでしょ?」

深紅「他人と距離を取られるのは慣れているさ。それよりいいのか?もうすぐ葉百合も向かわないといけないだろう?」

 

葉百合「はい、それで深紅兄さん。そのー…皆さんにも協力してもらうのですが…」

 

深紅「ダメだ、危険な場所に一般市民は安全のために連れてはいけない。…と言いたいが、葉百合がそう言った時は聞かないからな、条件付きでなら今回だけ特別に許そう」

 

葉百合「ありがとうございます。深紅兄さん」

 

深紅「条件はただ一つ。今回の事件は俺の妹たちも参加する。その妹たちに君達の護衛を任せる。そして君達は緊急時には必ず彼女達の指示に従い、はぐれないことだ。わかったかい?」

 

衣理「はい!ありがとうございます!」

深紅「では部下と妹には話しておく。葉百合と一緒に規定の時間と場所に来てくれ、それと…」

 

円「名刺…ですか?」

深紅「何か困ったことがあったら頼ってほしい。半分は社交辞令みたいなものだが何か力になれることがあるかもしれないからな。それじゃあ」

 

そのまま振り替えって深紅さんは去って行った、本来はフランクなのだろうか、名字が赤色…ってことは紅さんとは兄妹なのかな?

 

葉百合「許可もいただきましたし私たちの方でできることをしましょう」

 

テーブルの一部をスライドさせるとよくある12のパネルが顔を出した。葉百合は手慣れたようにパネルにさわると部屋のカーテンが外からの光を閉ざしてホログラフィーが出てきた。それはビルの形をしているが内部構造までハッキリと描かれている

 

未来「これ…紅皇子グループのビル…?」

葉百合「はい、今回ルパンが定めた物はこのビルの20階にある宝石展示場で厳重に保管されています。写真になりますがこれが私の家…紅皇子家に代々受け継がれてきた宝石。ゴールドダイヤモンドです」

 

衣理「うわっ…すごい…金色のブリリアントカット…?」

葉百合「はい、これは金とダイヤモンドの両方の性質を持ち、共存している世界に一つしかない宝石です。今回のルパンはこれを狙って来てます」

 

円「しっかしこれ…重そうだな…」

葉百合「実は見た目や性質に対してすごく軽いんです。今回はそれが裏目に出てしまっていますが…」

 

未来「偽物とか用意しないの…?」

葉百合「ルパンは恐ろしく目利きがよく、過去に偽物を使った偽装工作は全て見破られています。どうやら実物を目視した時点で気付くとのことで…。確保のためにも泣く泣く本物を使用するしかありません。さらにどれだけ機密に本物を隠しても予告状に挑戦しないのなら予告なしで窃盗して返しすらしないと脅しをかける時も…」

 

 

衣理「なんか話を聞いてるとずれてるよね…」

葉百合「え?」

衣理「なんだか誰かのためなんて大義名分で味方を増やしてさ、本当は自分のためにしか動いてない…私はなぜかそう思えてならないんだよね…」

 

 

 

紅「…わかったようなこと言いやがって…」

篝「…。いくぜ、お姉」

 

 

 

紅「よぉーお!葉百合!さっきぶりだな。兄貴から話は聞いてるよ」

勢いよくテンション高めに紅ともう一人、赤髪の人が入ってきた。やっぱり深紅さんとは兄妹のようだ

 

篝「…。赤色 篝(せきしき かがり)だ、あんたらの護衛を命じられた。よろしく頼む…」

葉百合「篝姉さん。お久しぶりです」

篝「あ、あぁ…」

 

目をそらして握手する篝さん。すごく乗り気じゃないようだ…

 

紅「さぁ、あたしと一緒にルパンに会いたいのは誰かな?大丈夫大丈夫!あたしも篝もそんじょそこらのチンピラ程度なら軽ーく返り討ちにできるからさ、大船に乗った気持ちでいてほしいね」

 

 

葉百合「それじゃあ…私は紅姉さんと一緒に行きます」

衣理「私も紅さんとにしようかな…」

円「構わねぇぜ、どっちでもさ」

未来「左に同じ…」

篝「よろしく、指示だけは適切に聞いてほしい」

円「了解です。お願いします」

 

 

紅「衣理ちゃん…だっけ?よろしくね」

衣理「はい、今日はお願いします」

紅「(あんたにも思い知らせてやるよ…。私達に盗めないものはないってな…!)」

 

 

笑顔を作りながら、紅は心に真っ赤な火を灯す。一見バラバラなように見えるこの三姉妹…。プライドの高さは三人ともとても高い。特に紅は一度自分が決めたことは絶対に曲げない。その強い信念が…眠っていたはずのルパンの血を目覚めさせてしまったのだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衣理「ほえー…高い…」

 

外が見えるエレベーターから夜の街並みが光のアートを作り出していた。この場所こそが紅皇子グループのビル。ルドガータワーと呼ばれる場所だ。

 

葉百合「本当はこんな理由で上りたくはありません。けれど…」

紅「本当に災難だねぇ、次はあたしん家か今宵李(こよいり)ん家かな?」

葉百合「せめて…ここで終わってほしいです。ルパンを説得してでも、両家には手を出してほしくありません…」

 

紅「…。届くといいね、その思い」

 

ぽんぽんと葉百合の頭の上で手を弾ませるとエレベーターのドアが開いた。そこは…見るだけでも目がチカチカするほど多くの宝石が展示されていた

 

紅「いつ来て見てもすっごい場所だね」

篝「…俺はこういうの目が痛くなるから嫌いだ」

未来「私もです…」

 

円「滅多に見れるものじゃないからあたしは好きだな」

紅「おや?葉百合かあたしに言えばいつでもここにタダで連れてきてあげるけど?」

円「マジですか!?」

 

ニヤニヤと笑いながら紅さんが「ほんとだよ」と言うとちょっと遠くから「紅!」と戒める声が届いた

 

深紅「まったく、お前という奴は…。そんな軽々しく言うんじゃない。自分の言葉に責任を持て。そもそもだな、今回はそういった目的ではなくルパン襲撃のためにだな…」

 

紅「兄貴、そういうところが悪いって朱里(しゅり)姉も言ってたぜ?固すぎるんだよ、言動も態度も」

 

深紅「むっ…。話は最後まで聞け。今回のルパン騒動でもしもルパンに関する重要な手がかりを見つけてくれたならば、俺からも推薦しようと言おうしたんだ」

 

確信に触れたのかそれとも隣の部下に弱味を見せたくなかったのか、一応その気はあったのだろうが手のひらを返した。

 

…なるほど、これは俗に言う堅物なんだなと私たちは思った。良く言えば真面目。

 

 

深紅「さて、一応おさらいだ、ルパンはもうじき、ここを何らかの手段で襲撃し、この宝石。紅皇子家の家宝であるゴールドダイヤモンドを奪ってくる。俺達の任務は、それを阻止すること。あくまでもルパン逮捕は二の次だ、そして無いだろうがルパンが自らの手で誰かに傷を負わせたりした場合。紅と篝にも言っているが射殺を許可している」

 

衣理「こ…殺すって…。そんな…」

 

紅「まぁ、大丈夫だよ。ルパンはかなりプライドが高くてね、盗みをした上で誰かに怪我を負わせるのは強盗だって奴には奴なりのルールみたいなもんがあるらしい。その時はたしか事故だったけど盗んだものを返したんだっけ?」

 

深紅「あぁ、その時の標的…。バラージの青い石は確かに返却された。そしてルパン本人から自分の真似事をする輩が蔓延らぬようにとの要望もあってその次に盗まれたオーストラリアで見つかった古代のプレートを返却する条件としてもしも自身が誰かを故意に傷つけたなら殺してほしいと願われたんだ」

 

未来「…。自分の行いには責任感がちゃんと持てているんですね…」

深紅「だが…いたずらに世界を掻き回すのは感心しない。必ず阻止して見せる…」

 

 

 

 

 

深紅「(そうだ…。必ずルパンの悪事を阻止してみせる。そうすればオヤジだって俺のことを認めるはずだ…。赤色家の後継者として…)」

 

 

 

 

 

 

 

篝「…そろそろだぞ、お兄」

深紅「あぁ。総員!ルパンがくるぞっ!!」

「予告時間までカウント入ります!5!4!」

 

不知火「(3…)」

 

篝「(2…)」

 

紅「(1…!)」

 

 

 

 

 

 

???「…。お互いに争う地球人共よ。許せ、これも我が主が望みしこと…」

 

遥か遠く。ルドガータワーが見える名も無きビルの屋上で、黒いローブの男が右手にある何かにカードのようなものを通した…!

[テレスドン!]

???「念には念を…。これは地球の言葉だったな…」

[ドレンゲラン!]

???「行け…。この地球に侵略の激鉄を鳴らせ…!」

 

 

 

 

不知火「落とした…」

 

 

フッと電気が消える!窓がないため暗闇同然になった部屋に人のものではない機械音がなる

 

???「やあやあ、ごきげんよう。予告通りゴールドダイヤモンドをもらい受けに来ましたよ」

深紅「ルパン!くそっ!目眩ましか!」

ルパン「とんでもない。助けにきたというのに」

 

深紅「紅!篝!」

嫌な予感を感じた深紅は妹たちに葉百合たちを庇うように合図した、その瞬間

 

ルパン「それではいただくよ」

ピカッ!と凄まじい輝きが暗闇を晴らす。だがそれは明かりと呼ぶにはあまりにも眩しく。警官たちが目を押さえて悶絶することとなった

深紅「くっ…。フラッシュグレネードか…!!君達!無事か!?」

紅「やっべぇ…。目ぇあけてらんねぇんだけど!」

衣理「私はなんとか…」

葉百合「衣理…。変身して…。そうすればルパンはただの人間だから…」

衣理「捕まえられるかも…だよね…!」

葉百合と衣理は手を握っていたため小声で会話し、ルパン確保のためにガンバルンジャーへ変身を促す。その直後

 

ゴゴゴゴ…

 

深紅「こ…この揺れは…!?」

ルパン「むっ…。これは想定外だ、ではお先に…」

 

 

パッと電気が復旧した部屋は一部の警官が目を押さえて悶え、深紅さんたちも目が見えてないようだ

 

 

円「ちょっ!葉百合!ゴールドダイヤモンドが!」

葉百合「あぁっ…!」

衣理「まだ間に合う!」

 

急いで部屋を出ると衣理は再び変身しようとした。だがその場の違和感に気が付いて変身を躊躇った

 

衣理「おかしい…。人が出入りした感じじゃない…。もしかしてルパンは…」

???「キュイイイィ!!」

衣理「っ!?怪獣!、こんなときに…!」

 

 

ビルの外を見ると二体の怪獣が街を破壊しながらこのビルに迫っていた!

 

 

怪獣データ

地底怪獣 テレスドン

頭がカモノハシに似ている頑丈な怪獣だ!体重は13万tと重く、動きも鈍重だが地底では凄まじいスピードで移動するぞ!

 

 

宇宙鉱石怪獣 ドレンゲラン

全身が固い宇宙鉱石で形成されている怪獣で、動きは遅いが口からの火炎や伸縮自在の首を使って遠距離にも対応できるぞ!

 

 

葉百合「衣理っ…。あれは…テレスドンとドレンゲラン!?」

衣理「なに?それ」

 

葉百合「あの怪獣たちのこと。あの黒い首長竜みたいなのがドレンゲラン。もう一体の方がテレスドンっていうの。だけどおかしい…。あのテレスドンは…」

 

ドシンっ!!ズシンっ!!

 

 

衣理「ウルトラマン…!」

葉百合「あのテレスドンは…。アメリカで発見されたほうの個体…!通常種よりも光に強く。固い…!」

 

ルドガータワーを守るように二つの光が形を成す。一方はシンプルな見た目。もう一方は青い目をしている巨人だ

 

葉百合「やはり…。現れたのは過去に同族と戦ったことのあるウルトラマン…。ウルトラマンパワード!ウルトラマンネオス!」

 

 

パワード「シャッ!」

ネオス「ダアッ!」

 

 

???「…。やはりそういう法則か…。だが…後のためにも厄介だが呼び出すしかないか…。一人でも多く。ウルトラマンには消えてもらう…!!」

[タイラント!]

[ドラゴドス!]

 

 

 

 

ネオス「ッ!?(なにっ!?)」

パワード「ヘアッ!?(また脈絡も無く出現した!?)」

タイラント「ギシャァァァ!!」

 

 

容赦なく襲いかかる怪獣たちに対応するネオスとパワード。だが2対4では反撃することもままならない…

 

 

ネオス「(パワード!ぐぁっ!)」

パワード「(ぐおっ!)」

 

ドレンゲランとタイラントの遠距離攻撃に翻弄されるウルトラマンネオス。一方のウルトラマンパワードはテレスドンとドラゴドスの固い体になかなかダメージを与えられず、苦戦を強いられていた

 

衣理「どうしよう…あのままじゃウルトラマンが…」

葉百合「今はルパンを優先させましょう…!大丈夫…。ウルトラマンは…負けませんから!」

 

その葉百合の言葉に呼応するように赤い光の玉が二つ。タイラントとドラゴドスの目の前に立ちはだかり、形を成した!それは…!

 

 

 

ウルトラマンタロウ「(遅くなった。すまない)」

ウルトラマンジョーニアス「(だが、これで頭数は同じだ。いくぞ!)」

誰もが知っているウルトラマンジョーニアス。そしてタロウがここにいる…!

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第四話 混沌を呼ぶ星

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。ちょっとずつ。精神が弱く。脆いので亀さん歩きで頑張っていきます


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第四話 混沌を呼ぶ星  

こんにちは。親しく好きな方が小説辞めるとのことでテンション下がってますがいつか戻ってきてほしいと願ってます。それではどうぞ


衣理「また出てきた…」

葉百合「衣理!あっちは任せて私たちはルパンへ…!」

衣理「うん!…って言ってもどこに…」

 

 

 

 

不知火「…危ない。なかなか良い洞察力してる…」

天井にある通気孔の中。不知火は静かに潜んでいた…

不知火「(電気を落として部屋に侵入…。フラッシュグレネードで目眩ましした後に足跡付けずにこのダクトへ…。後は籠城予定だったけど…。怪獣がでたなら早いところにげる方が勝ちだね…。…紅姉さん…篝姉さん…いい感じに時間稼ぎお願いね…)」

そおっと物音立てずにダクトの中へ消える不知火。一方、衣理は…

 

 

 

 

衣理「上も下も、警官隊が見張ってる以上。どんなに凄腕でもあの短時間に足跡無しは無理だよ…。空でも飛べるわけじゃあるまいし…」

葉百合「こうしてるあいだにもルパンは…」

円「出入口を全部閉じればあいたっ!まだ間に合う!」

そう言ったのはまだ若干目が見えてない円だ

衣理「円!まだ目が見えてないのに…」

円「んなことどうでもいい!葉百合!今すぐ出入口を封鎖して!早く!」

衣理「それ柱だけど…」

葉百合「今はボケてる場合じゃないですね…!わかりました!」

葉百合が緊急スイッチを押すと建物内にブザーが鳴り始める!

 

 

不知火「なっ…!?」

 

 

紅「(うっそぉ…!?)」

 

 

篝「(封鎖…!?この状況で…!?)」

 

 

衣理「って私たちも出られないじゃん!どうするの!?目の前に怪獣もいるのに!!」

円「だからだよ、こんなところで怪獣なんか出たら絶対逃げるしか選択できない。例えば混乱に乗じてこのビルに隠れることも!」

葉百合「それ…花瓶ですけど…」

衣理「確かに…。だけど時間との勝負だよね」

未来「停電にできるってことは…この封鎖状況をアンロックできるかもってこと…?」

衣理「たぶん、そうだと思う。そしてリミットはウルトラマンが怪獣を倒したらかも…」

葉百合「そうなる前にルパンを捕まえましょう。それではお願いします!」

紅「あんたら!待ちな!勝手に行くのは許さないよっだぁ!」

篝「痛って!バカお姉!!」

声を頼りに目が見えてない二人は柱にぶつかって倒れる。そして辺りどころが悪かったのか気を失ってしまった

葉百合「姉さん!」

衣理「ごめんなさい!行こう!みんな!」

それぞれ衣理と円、未来と葉百合。目が見える者と見えない者が手を取り合ってルパン捜索に乗り出した!四人は二手にわかれて階段で上と下を捜索しに行く!その姿が階段から消えたとき…

紅「…。篝、いくよ」

篝「あぁ、お姉」

気絶したふりをした二人が立ち上がって走り出した!もちろん目潰しされていたのも演技によるものだ

紅「不知火。聞こえる?追跡者はあんたに近づいてる。絶対に物音立てたらダメだよ」

篝「お姉、どうする?」

紅「決まってる、こうなりゃ睡眠ガスで寝かせるしかない。予想外すぎるでしょ…。怪獣災害の頻繁といい…、ただのガキどもにギリギリのカーチェイスなんざ趣味じゃねぇんだよ…!クソッ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タロウ「タァァァっ!!」

ジョーニアス「ショワッ!!」

勢いよく空中を舞う二人のウルトラマン。怪獣たちがたじろぐとタイラントに向かってタロウはスワローキック!ジョーニアスは凄まじい気迫で空中から全身と全体重を乗せたニードロップでドラゴドスにダメージを与える!

 

ネオス「テヤァァッ!!」

パワード「シャッ!!」

ピコン!ピコン!

ネオス「(くっ…!時間が…!早く倒さないと…!)」

パワード「(だがこうも乱戦では怪獣たちも個々のダメージが少なく、むやみに光線を撃てば誤射の可能性も出てくる。せめて…!一体だけでも…!)」

ジョーニアス「(こうなれば…!パワード、どれでもいい、怪獣を一体、上空に投げることはできるか?そうすれば私が宇宙の果てまで運びされる)」

パワード「(そう易々とさせてはくれないようだぞ、厳しいものがある。せめて…、どれかが孤立すれば…)」

???(僕らが行きます!)

タロウ「(ダメだ!君たちはまだ…)」

???(タロウ。大丈夫だ、ゾフィー兄さんからの指示でもある)

タロウ「(そういうことなら…!わかりました、お願いします!)」

 

 

 

「ブレーイブ!!」

「ジィィィィヴァっ!!」

「セイントオオォッ!!」

 

 

四つの光が四人のウルトラマンの目の前に降臨!形を成して雄々しく佇む。

 

 

タロウ「(兄さん!)」

初代ウルトラマン「(タロウ。ジョーニアス、パワードにネオス。それぞれ分断して怪獣たちを引き離すぞ!)」

タロウ「(わかりました!ジョーニアス、私たちはドラゴドスへ!)」

ジョーニアス「(了解だ!)」

ウルトラマン「(ブレイブ!私たちはタイラントだ!)」

ブレイブ「(はいっ!)」

パワード「(ジーヴァ!テレスドンへ…!)」

ウルトラマンジーヴァ「(御意!)」

ネオス「(いくぞ!セイント!)」

ウルトラマンセイント「(はい!)」

 

 

 

円「なぁ衣理!本当に上でよかったのかよ」

衣理「たぶん、この状況で逃げるなら上だと思う。ヘリや警察、軍隊が怪獣の出現で注意散漫になってるなら、地上よりよっぽどマシ!」

円「もし下だったら?」

衣理「葉百合と未来を信じる!」

 

 

 

 

 

紅「不知火!付けたな!?」

不知火「おっけー…」

紅「アディオス!いい夢見てろ!」

 

 

 

深紅「全員無事か?!」

「全員命に別状はありません、ただ目潰しがかなり効いたのか半数の視力がいまだ安定した回復もしていません」

深紅「仕方ないな…。無事な警官を半分に分けてビル内を捜索!ここにいるものは視力が回復しだい任務に戻れ!そし…て…」

次々と警官達が倒れていく。深紅は強く意識を持とうとするが…

深紅「いかん…せめて…あの子たちだけでも…!」

最後の力を振り絞って携帯電話を取り出して葉百合へメッセージを送る

深紅「無事で…」

ドサっと倒れる深紅は眠りへと誘われた…

 

 

 

葉百合「深紅兄さんから…?っつ!?睡眠ガス!?」

未来「どこか窓とか開けれるなら…」

葉百合「衣理と円にも伝えないと…!こっちに窓がある部屋が…」

 

 

衣理「睡眠ガスぅ!?」

葉百合「はい!早く屋外へ!それか窓のある部屋へ…!」

衣理「ねぇ!ガンバレッドならこういうのって無効にできたりする!?」

葉百合「わかりません!でも可能性はあるかと!」

衣理「なら…!努力変身!!」

シーン…

衣理「…。あれ?」

円「どうしたよ?」

衣理「変身…できない…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ジーヴァ「ドゥアアアッ!」

ウルトラマンジーヴァが真正面からテレスドンの体を持ち上げる!暴れて離れようとするテレスドンは口から火炎を放とうとした

ジーヴァ「ドゥッ!(やらせん!!)」

ガシッ!ガシッ!っとテレスドンの口と暴れる体を手が掴む!そしてそのまま小さくジャンプしながら地面へ叩きつけて瓦礫が宙を舞う!

ジーヴァ「ドゥア!!」

起き上がったテレスドンが見たジーヴァは…肩と脇あたりから腕が出現しており、まるで阿修羅のように雄々しく構えをとっていた

 

 

ウルトラマンジーヴァ

感情によってスタイルチェンジするウルトラマン。いつもは「マイルスタイル」だが感情が高ぶると「グリースタイル」冷静になると「ティアスタイル」にスタイルチェンジする!さらに腕が最大六本になり、器用かつ物量による攻撃を可能としているが腕が二本の時のほうが腕力や握力は上だったりするぞ!

 

 

パワード「(今だ!)」

ジーヴァの腕によるパンチラッシュ!テレスドンが怯んで後退するとパワードはパワードボムで目潰し!錯乱したテレスドンは手当たり次第に熱線を吐き散らす!その飛び火は他の怪獣にも直撃!さらにはビルの一角を削り取ってしまった!

タイラント「ア゛ア゛ア゛ッ!! 」

背中に熱線を受けたタイラントは激怒!ブレイブとウルトラマンを軽く蹴散らすとドスドスとテレスドンへ向かい、鉄球で殴り飛ばす!

 

???「ッチ…。やはり仲間割れを起こしたか…、使えない怪獣が。まぁいい…、カードは無限に作り出せる。あの程度の怪獣などいつでも替えは作れる。だが…、無駄使いは好ましくないな…」

 

 

 

 

タイラント「ア゛ア゛ア゛ッ!!」

テレスドンを蹴り飛ばしたりアロー光線でボコボコにするとタイラントは鉄球の鞭でテレスドンを捕まえ、ウルトラマンとブレイブに向かって投げ飛ばした!

ウルトラマン「シャッ!!」

ブレイブ「シュアッ!!」

それを飛んで避けるとウルトラマンは八つ裂き光輪を放つ!タイラントはわざとしゃがむと長い尻尾で八つ裂き光輪を払い飛ばして続いて飛び蹴りをしてきたブレイブを背中からの催涙ガスで迎撃!痛々しく地面に落ちたブレイブを蹴り飛ばしてウルトラマンへぶつけた!

 

 

タロウ「(いかんっ!。ジョーニアス!ドラゴドスを地上から引き離してくれ!)」

ジョーニアス「(了解した!)」

タロウ「(皆!タイラントから離れろ!)」

深紅に燃えるタロウ。ジョーニアスは一瞬の隙を見つけてドラゴドスを抱えて空へ飛び去り、暴れまわるタイラントをタロウが抑え込む!

タロウ「ウルトラ…ダイナマイト!!」

ウルトラマン「(タロウ!よせ!)」

タロウ「(うおおおっ!!)」

凄まじい爆発に瓦礫と粉塵が舞い、その威力にウルトラマンたちは周囲のビルに叩きつけられ、衣理たちがいるビルの窓は全て粉砕。おまけに先はどテレスドンが削った場所からビルが破壊され、崩壊しかけている!…だが…、中にいる衣理たちはそんなことを知るよしも無かった…

 

 

ウィーウ!ウィーウ!とカラータイマーを鳴らしながら復活するタロウ。だが限界なのかすぐに倒れて消えていく…

タロウ「後は…お願いします…」

タイラントが倒されるとウルトラマン達と同じく吹き飛ばされたテレスドンとドレンゲランにパワード達は狙いをつけた!

 

 

ネオス「(今だ!セイント!)」

セイント「(はい!)」

パワード「(ジーヴァ!)」

ジーヴァ「(心得た!)」

ウルトラマンセイントが交互に腕をクロスさせ、それを下から横に広げて光の十字架を作り出す。そして握りこぶしを作って腕を曲げ、カラータイマーから放つ光線を光の十字架で増幅して放つ!

それと同時にウルトラマンジーヴァも六本の腕のうち、真ん中の腕をつき出すと腕の間に光球が生成。残りの腕からエネルギーを浴びてその球は徐々に肥大していく!

ネオス「(ネオマグニウム光線!)」

パワード「(メガ・スペシウム光線!)」

セイント「(ホーリーレイズ!)」

ジーヴァ「(イクスパニッシャー!)」

必殺光線がドレンゲランとテレスドンに直撃!二つの爆発がまた瓦礫と粉塵を散らす

ネオス「ダァッ…(くっ…!)」

パワード「(私たちは…ここまでのようだ…すまない…)」

ネオスとパワードが徐々に消え、地上には四人のウルトラマンが残された…

 

 

 

ジョーニアス「ショワッ!!(プラニウム光線!)」

爆音を鳴らしてドラゴドスが爆ぜる。激しい空中戦を制したのはジョーニアスだった

ジョーニアス「(…。今のドラゴドスは…。無人操作…?いや、それにしては反応が素早すぎる。まるで…自我を持っていたかのようだ…。機械のように精密で、生き物のように俊敏な動きの両立はロボット怪獣にはほぼ不可能なはず…)」

ジョーニアスはこの戦いの途中、ずっと抱えていた違和感について考えていた。恐らくこの違和感にタロウとウルトラマンは気がついていた。ネオスとパワードも薄々感じていたかもしれない。先ほど戦ったタイラント、ドラゴドス、ドレンゲランにテレスドン。この四体は本来生息圏も食生も生態も全く異なる。なんならテレスドン以外は宇宙怪獣の類いにふるい分けられるだろう。ドラゴドスに至っては操作タイプのロボット怪獣だ

ジョーニアス「(脈絡もなく出現したにも関わらずあの連携は統率がとれ過ぎている…。普通、あのような統率を取るためには怪獣の中にボスがいるはず…。だがタイラントがテレスドンから攻撃を受けたあと、それを咎める怪獣がいなかった。その仲間割れに乱入もしなかった。むしろ別個で攻撃を続投してたということは…。タイラントではない…。)」

???「(お悩みごとか?ウルトラマンジョーニアス)」

ジョーニアス「(誰だ!)」

???「(カラータイマーがイエローゾーンにも関わらず余裕なのだな)」

 

 

 

 

 

ウルトラマン「(むっ…!)」

ジョーニアス「(ぐっぬ…!)」

ブレイブ「(ジョーニアスさん!)」

???「(U40最強とはこの程度か…。他愛ない)」

ジョーニアス「(みんな…!気を付けろ…!)」

消えゆくジョーニアス。それを見たジーヴァは怒りをあらわす

ジーヴァ「(ハンデ有りで勝ってその態度かよ。俺たちならほぼノーハンデだぜ?やるか?)」

ブレイブ「(…!お前は…!)」

???「(…?)」

ブレイブ「(覚えてないのか…!僕の事を!僕の家族を奪ったくせに!)」

???「(…。覚えなどないな)」

ブレイブ「(僕はお前達の侵略によって故郷を滅ぼされたN87星のウルトラマンだ…!ほんの数ヶ月前だろう!!白々しい!!)」

???「(知らないな。消えゆく者など覚える必要もない)」

ジーヴァ「(なんだと!?)」

セイント「(聞き捨てなりませんね!)」

腕から光の剣を出すと切りかかるウルトラマンセイント!敵はそれを見ると腕で受け止めるが切りつけられた箇所から光が漏れる

???「(貴様…。まさか…)」

セイント「(私はセイント!ウルトラマンセイント!!あなた方のような闇に堕ちた者に強き光!)」

 

 

 

 

ウルトラマンセイント

頭に六本のウルトラホーンを携える戦士で、このウルトラホーンには聖なる力が宿っており、闇に特効を持つ!彼自身も基礎が纏まり、ステータスも高水準。ただし他のウルトラ戦士以上に燃費が悪く、昼間だと約三分。夜だと最大二分半しか行動できないぞ!

 

 

 

シャーン!シャーン!シャーン!

セイント「(っ…く!)」

???「(威勢はいいが時間オーバーのようだな。消える前に我が名を覚えておくがいい)」

 

 

ダークネス「(我が名はウルトラマンダークネス。偉大なる方に仕えし暗黒のウルトラマン)」

 

 

 

 

ウルトラマンダークネス

暗黒に身を染めた黒いウルトラマン。彼ら暗黒のウルトラ戦士は地球上では昼間や光が強いと三分。夜や光が弱いとほぼ無制限で活動ができる。各々の攻撃が通常のウルトラ戦士にとって特効を持ち、昼間でなければ光線も打ち負けないほど強くなる!

 

 

 

ウルトラマンブレイブ「(覚えたぞ…!ウルトラマンダークネスっ!!次はお前が覚える番だ!僕の名はブレイブ!!ウルトラマンブレイブ!!覚えておけ…!この名がお前達を倒す…!ウルトラマンの名だああっ!!)」

 

 

 

 

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第五話 使命とプライドと心と

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。モチベーションを平均にするのが精一杯ですが私は私がやりたいから小説書くのを辞めません。だって自分の書いた小説が好きですもの。いつか共感してもらえたらいいな


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第五話 使命とプライドと心と

こんにちは。がんばります


数分前…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衣理「変身…できない…!?」

円「もう一度やってみなよ!もしかしたら変身ポーズ間違えてたり…」

衣理「うん!努力変身!!」

しかしなにも起こらない。サァーッと冷や汗が衣理の額や頬に垂れる

円「こうなりゃ仕方ない…!逃げるよっ!」

走り出した円を衣理は目一杯追いかける。しかし徐々に距離ができ、衣理は息があがってきた

円「衣理っ!はやくっ!」

衣理「ぜぇ…ちょっと待っ…!円っ…!はやっいっ…!」

そう。決して衣理が遅いのではない。円の走るスピードがめちゃくちゃはやいのだ。

円が青いポニーテールをたなびかせているの一方、桃色のツインテールが力なくへなへなと揺れる衣理。二人の身体能力の差が赤裸々になっていた

円「うわっ!」

いきなりの地響きにビルが揺れる。外ではウルトラマン達が怪獣と戦っている。その余波が襲いかかる!

 

 

 

葉百合「衣理…大丈夫でしょうか…」

未来「変身できないって聞こえた…。そんなことあるの…?」

葉百合「何か変身にはトリガーがあるのかも…。ともかく今はこの状況をどうにかしないと…!」

未来「あ…」

葉百合「あ…あなたはっ…!?」

 

 

 

円「…何の音…?」

衣理「光線…。!!まどかっ!」

ドンッと強く押された円は体制を崩して尻餅をついた、その直後に円と衣理の間に怪獣の熱線が走り、溝を作る

 

円「痛た…。げほっ!げほっっ!!粉塵が…」

瓦礫と埃に視界を潰されてる円は衣理を呼び掛ける。

円「衣理ーっ!聞こえるかぁ!!」

だが返答が無い。外では怪獣が仲間割れをしていた、このお陰で睡眠ガスから逃れることはできたがかなり不味い状況に立たされている

円「向こうがどんな状態かわかんないな…!くそっ!」

イラつきを徐々に落ち着かせて頭の中で自分に言葉をかける。「クールになれ!円!」

 

円「そうだ…、こんな時だからこそ…クールになるんだ!」

徐々に晴れる景色、倒れた衣理を捕捉すると円は後ろに大きく距離を取ってクラウチングスタートの体制に入る

 

円「衣理は…、私を助けてくれた。初対面にも関わらず、信じがたい話を、私を信じてくれた。今度は私が…!衣理を助けるんだ!!」

走り出した円!失敗したら死ぬ。確実に死ぬ!だけども…!友達のために…!

円「衣理!今度は私が!がんばるからぁぁぁぁぁっっ!!!」

その時!青い光が円を包み込んで凄まじい大爆発の衝撃が直撃する刹那!衣理も包み込んで間一髪衝撃を無効にした…!

 

円「と…届いたのか…?!」

後ろを見る。軽く数メートルの溝があり、とても幅跳びで越えられそうにない

円「…。ん?、なんじゃこりゃ!?」

円の姿はガンバレッドと酷似した姿になっていた、違うのは色だ、青色をしている。

円「はぁー…、これがガンバルンジャーってか…。不思議な感じ、なんかこう…力が沸いてくる」

その時、なにかが歪んで軋む音が響いた。同じタイミングでまたしても大きな爆発が起きる!

円「いっそがしいな!ともかく逃げるっ!」

 

 

葉百合「甘く見てました…。まさか窓を全部割られるなんて…」

未来「倒壊してないのがすごいと思う…」

葉百合「ですけどあの黒いウルトラマンが光線を打てばビルに直撃する可能性が…、どうすれば…」

 

 

 

 

 

ダークネス「(4対1…か、悪くはないが分が悪い。こちらも…今できる奥の手を使わせてもらう)」

ブレイブ「(なにをするつもりだ!)」

ダークネス「(抹殺だ)」

ゴロゴロと赤い雷が黒い雲に模様を作る。その雲へダークネスが手を挙げると雷がダークネスへ降り注いだ!

ジーヴァ「(自滅…?いや…違う…!?)」

ダークネス「(ゼットン…!パンドン…!その力…、使わせてもらうぞ!!)」

雷をたどって二つのエネルギーが暗雲へと放たれる!そして黒い塊となって地上に落ちてきた!

ダークネス「(合体魔王獣…ゼッパンドン!!)」

蒼い目にゼットンを模した黄色い部位。全身はパンドンのように赤く、肩が燃えるように競り上がっている。ゼッパンドンは一吠えするとそのままウルトラマンへと歩みを進める。ブレイブ達のことなど知ったことではないと言わんばかりに真横を素通りしていく

ブレイブ「(やらせるかっ!)」

「邪魔だ、どけ」そんな台詞が似合うほどに一蹴されるブレイブ。一方、標的にされてるウルトラマンは堂々といつものファイティングスタイルで迎え撃つ!

 

ダークネス「さあ、三人まとめてかかってくるが良い」

 

 

 

 

 

円「んあ?衣理の携帯か?」

ポケットから取り出すと着信は葉百合からだった、勝手に人の電話に出るのも気が引けるがこの状況ではそうも言っていられない

円「葉百合?私!円だ!」

葉百合「よかった!今どこです?!」

円「わかんね!とりあえずまだビルん中!今は衣理が気絶しちゃってるから担いで走ってる!」

葉百合「そのビルはもうじき崩れるかもしれません!逃げて!」

円「中の人たちは!逃げれたのかよ!?」

葉百合「もうじき全員です!早く!」

円「わかった!」

電話を切ると揺れが二人を襲う!なんと彼女達の後ろからビルは崩落していた

円「走るっ!」

なにも考えることなく足を動かす!円の変身したガンバブルーは即決に言ってしまえば脚力強化。走る早さやキック力が上昇する。だからこそ…

円「走れえええっ!!」

重力に逆らっての壁走り!一気に下へ向かう!

円「なにも考えるなっ…!ここは床だぞ!円!!」

割れた窓を踏まないように鉄骨だけをつたう!

円「行けるっ…!わえっ?!!」

 

 

葉百合「円っ!」

???「あぶない!」

 

 

 

その時

 

円は躓いた

 

体が一回転してそう遠くない地面が見える

 

高まる絶望視、いくらガンバルンジャーでも強度に限界はあるだろう。そう思ってた他人の絵空が自分の身に降りかかろうとしていた

 

 

 

円「衣理だけでもぉぉぉぉっ!!」

 

ぽふっ

 

目を瞑って庇おうとした友人と共になにか地面ではないところに落ちた、よくみるとまだ宙だ、そして赤い地面。

 

円「あっ…!」

 

彼女たちを間一髪救ったのは、深紅の戦士。ウルトラセブンだった

 

セブン「ジュワッ」

 

優しく頷いたセブンはゆっくりと円達を地面へ下ろしてあげた、そして倒壊してきたビルの一角を受け止めてそれも丁寧に人気の無い場所へ下ろすとウルトラマンと対峙するゼッパンドンの背中へアイスラッガーを直撃させる!

 

 

ウルトラマン「ヘアッ!ダアッ!!」

ゼッパンドンが怯んだところに押し蹴り!後退するゼッパンドンへセブンがドロップキック!跳ね返った胸元へウルトラマンの水平チョップが炸裂!これにはたまらずゼッパンドンも横転する

 

ウルトラマン「(すまない、助かった)」

セブン「(いや、ちょうど人命救助をしていたところだ、だが…まさかタロウがウルトラダイナマイトを使うとは思わなくてな…)」

ウルトラマン「(そのお陰で助かったのも事実。あまりタロウを責めないでやってほしい、もう末っ子ではないのだからな)」

セブン「(心配性はまだ治らないようだ、難儀なものだな)」

苦笑するセブン、起き上がるゼッパンドンを見るとすぐに切り替えて立ち向かう!

セブン「(談笑はここまでだ、いくぞ!)」

ウルトラマン「(あぁ!)」

 

 

 

 

 

葉百合「円ーっ!」

円「二人とも!無事だったのか!」

未来「ウルトラセブンが助けてくれた…」

 

 

 

葉百合「あ…あなたはっ…!?」

セブン「私はウルトラセブン。このビルに取り残された人を助けに来た」

未来「…ホンモノ…?」

セブン「もちろん。近隣のビルも私の仲間や防衛チームの皆が救助に当たってる。さぁ行こう!」

 

 

 

未来「というわけ…」

円「セブン…。かっこいいなぁ…!ありがとー!!」

衣理「うっ…。ここは…」

円「気がついたか衣理!」

衣理「円…?うっうえっ!?なにその姿!」

円「どっかの誰かさんを助けようとしたらさ、こうなれたってわけ。差し詰めるなら…。疾風(はやて)の勇気とど根性!瞬く努力は青い色!ガンバブルー!!って感じ?」

キラッっとピースウィンクをして変身解除する円。それを見て衣理は自分のエールブレスを見る

衣理「なんで?なんで変身…」

未来「それについて…もしかしたらだけどわかったかも…」

 

 

 

紅「なんとか成功かね。まったく…ひやひやさせるよ」

篝「今回の条件は…?」

紅「後で決めるよ、ともかく合流だ」

 

 

紅「くぅおおっらぁ!!あんたら!危ないから勝手に行くなって約束しただろ!」

葉百合「紅姉さん!篝姉さん!」

篝「必死に探し回って眠って…爆発で起きて急いで避難した。すごく心配した」

素っ気なく言うがかなり心配をかけたようでみんなで謝礼する。紅さんはぷんぷん怒ってはいるが葉百合の頭をわっしわしと撫でたくっている

深紅「みんな!無事だったか!!」

葉百合「兄さん!」

深紅「よかった…みんなが無事で…。もし死人を出していたら俺は…自分を許せなかった」

葉百合「怪獣災害ですし…兄さんの責任じゃないですよ」

紅「そうだぜ兄貴、それに聞いたところじゃ防衛チームとかウルトラマンが助けてくれたんだろ?持ちつ持たれつって奴だよ」

深紅「すまない…」

篝「悄気る前に、まずここから離れた方がいいんじゃないか?」

近くで戦闘するウルトラマンたちを指差す篝、辺りを見ると防衛チームが陸上兵器や空中戦闘機を配備、まさしく辺りが怪盗事件の現場から戦場に変わる合間が見えている

深紅「それもそうだな…。総員!近隣の安全を確保!一般人の完全な避難を優先!!防衛チームやウルトラマンをサポートするんだ!!紅、篝。お前達は葉百合達を紅皇子家まで送り届けるんだ。頼むぞ」

篝「了解した、いくぞ」

 

 

 

セイント「シャッ…(くっ…!)」

ジーヴァ「(こいつ…さっきの怪獣と比べ物にならねぇな…!)」

三人のウルトラマンはダークネスに一人に格闘で劣っていた。あまりにも強い、だが三人の心は一つだった

ブレイブ「(お前がどんなに強くても諦めない!この地球を…!僕たちの星のようにだけは…させない!!)」

カラータイマーを鳴らしながら戦う三人。特に早い段階からカラータイマーが点滅を始めたセイントはかなりギリギリの戦いを強いられている

セイント「(これ以上の長期戦は不利ですね…!)」

ブレイブ「(なら…!やるよ!みんな!)」

三人が一斉に必殺光線を放つ。しかしダークネスは姿をくらませて光線を避けた

ブレイブ「(どこだ!)」

セイント「(くっ…!ごめんなさい…二人とも…!)」

ジーヴァ「(セイント!)」

一番早くカラータイマーが点滅していたセイントが離脱。するとまたダークネスは姿を表す

ブレイブ「(わざと時間切れを狙ったのか…!)」

ダークネス「(ウルトラマンにとって、防御のある相手は天敵となる。弱点を突いてこその戦いだ)」

もっともであるがウルトラ戦士の天敵と挙げられることの多いゼットンが強いと呼ばれる理由。その一つが防御力だと言われている。光線が通用せず、体術でも引けを取らず、なおかつ数々の超能力は他を圧倒する。現在のこの世界では宇宙警備隊の入隊するための最終テストとして実際ではないがゼットンに勝利することが必須となっているほどだ。

ブレイブ「(それでもウルトラマンか!)」

ダークネス「(だからこそこう戦える。むっ…?)」

ビュンビュンと飛んでくるZATのスカイホエール、コンドル一号によるミサイルの雨霰、陸上メカのビーム攻撃!それがダークネスを急襲した!これは予想外だったのか避けきれず、カラータイマーへ偶然スーパーGUTSのゼレットによるビーム攻撃が直撃した!

ダークネス「グッ…!(油断したか…)」

暗雲が舞い降り、ダークネスとゼッパンドンを包むとそこに彼らの姿は無く、静寂が戻っていた…

 

 

 

セブン「(逃した…いや、助かったと言うべきか)」

ジーヴァ「(正直…危なかったです。地球人にはなんとお礼を言えば…)」

ウルトラマン「(そんなに気取る必要ないさ、我々は…仲間なのだから)」

ブレイブ「(くっ…!ですが…、僕は悔しいです!仲間を守れず…逃げられて…!)」

セブン「(…ふっ。レオと似ているな)」

ウルトラマン「(ブレイブ、我々にも不可能はある。届かない思いもあれば、守れないものもある)」

セブン「(だが…最後まで諦めず、不可能を可能にする。それが…真のウルトラマンだ、君はそれになればいい)」

ブレイブ「(はいっ…!)」

ジーヴァ「(ブレイブ、次はみんなでアイツに勝とう。力を合わせて!)」

ブレイブ「(あぁ!次は負けない!)」

 

 

結局その日、私たちは現代のアルセーヌ・ルパンに宝石を盗まれた。だが不思議なことに宝石は無条件で返却されたのだった。届いたメッセージには「今回は怪獣災害による不本意な脱出を余儀なくされた。フェアでは無いためゴールドダイヤモンドは無条件でお返しする。いつかまた挑戦状を届ける。現代のアルセーヌ・ルパン」と記してあった。

 

衣理「これって引き分け?」

葉百合「というより…ノーコンテストかと」

円「まぁあの状況じゃあ警察だって追うに追えなかったし怪獣のせいでビルが崩れるのにみんな眠らされてたりで特殊すぎる状況だったしなぁ」

未来「セブンが来なかったら私たちも無事では無かったかも…」

衣理「最高の不幸はビルが崩れて、最高の幸運はウルトラマンが直接助けてくれる…って感じ?」

葉百合「かもしれませんね…」

未来「でも…また来るなら…今度はちゃんと捕まえなきゃね…」

円「今度はアタシがルパンの首根っこ捕まえてきてやるよ!」

葉百合「また皆で行きましょう!もうこんなことしてほしくありませんから…」

衣理「うん。今度こそ、皆で止めよう」

未来「…水を差すところ悪いけれど…」

そこに未来が手をあげる。三人は未来の方を見るとこれから未来が何を話そうとしているのかが大体わかった

未来「衣理が変身できなかった理由…話すね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

未来は衣理たちにエールブレスについての仮説を立てる。そして変身できない真実を知るために衣理たちは葉百合の紹介で今を生きる徳川家康の末裔、徳川家鈴の元へと赴くことに。その会いに行く当日、彼女達のクラスに留学生が現れる

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第六話 参上!徳川親衛隊!

 

 

 

 




お疲れ様でした


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第六話 参上!徳川親衛隊!

こんばんは、モチベーションが大きく上がった


???「…。二つが目覚めましたか…」

???「はい。こうなった以上、あれの復活は免れない可能性が…」

???「かつて、死鬼を退けた英雄たちの末裔の元に、エールブレスは戻ってきませんでした。私もその一人…」

???「家鈴(かりん)様…」

家鈴「気にしなくても良いのです。こうして死鬼が目覚めた中、エールブレスが復活してくれただけでも江戸を離れた大お祖父様の判断は正しかったのです」

その時、木造の廊下からドタドタと騒がしい音が鳴り、部屋の中にいた四人の中、二人が廊下の方へ向く

???「伝令です!家鈴様!」

???「焔(ほむら)!何事か、家鈴様の御前であるぞ」

ギラリと座りながら長槍が廊下から来た人物へ向けられる。向かい側の眼鏡をかけた少女は「ひゃっ!」と臆病な声を上げる

焔「蜻蛉切を向けるな八重(やえ)!危ない!そんなことより家鈴様!紅皇子家より伝令です!」

家鈴「焔、これはメールというのですよ。…まぁ!なんてこと…」

???「ど…どうかしたのですか…?」

家鈴「エールブレスに選ばれた方々が会いに来られるそうです」

???「えー、マジっすか」

焔「なんの用かわかりませんが戦でしょうか?」

家鈴「焔、戦はいけませんよ~。だからその赤備えは仕舞いましょうね」

???「いーつ持って来たの…」

ちょっとチャラい感じの少女が棒飴を舐めながらつっこみをいれた。「むー」と言って少女は赤い鎧を脱いでしまいこむために廊下に出ていった

 

 

 

家鈴「刹那(せつな)」

刹那「はい。家鈴様」

月明かりに照らされて美しい黒髪。さらりふわりと風に髪がなびく

家鈴「心配なのでここへエールブレス保持者が来るまでその保持者を監視するように。お願いしますね。あの件も…」

刹那「はい。服部 刹那(はっとり せつな)我が主の命に従い、行って参ります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衣理「私が変身できなかった理由…?」

未来「衣理は円と一緒だった時。…どうして変身しようとしたの…?」

衣理「それは…。ただ助けたかった、がむしゃらだったしハッキリした事を言えなんて言われたらうまく言えないけど…」

未来「たぶんそれだね…、円も同じだったでしょ…?」

円「んー…確かに、すっごい助けたかったし必死だった」

未来「もしかしたらエールブレスは…ただ選ばれるだけじゃなく…。信念の強さが変身に関わっているのかも…」

円「なるほどね。それじゃあ…ふんっ!!努力変身!!」

衣理「円!?」

円「疾風の勇気とど根性!瞬く努力は青い色!ガンバブルー!!」

葉百合「できちゃった…」

衣理「…!努力変身!!」

シーン…

衣理「どうして…」

円「…。あたしはさ、せっかちだし早とちりだからできたのかも。その…変身ってさ、あたしは重く受け止めちゃうんだよね、ここでやらなきゃ、ダメなんだって…。そう思うと必ず変身しなきゃって…」

衣理「変身するのに必要なのはみんなを護れる力じゃないの?」

葉百合「だからこそ、自分じゃなくて他人の危機に衣理は変身できたんじゃない?きっと円が変身できなかったなら、また衣が変身してたと思うわ」

衣理「…ちょっと不安だよね、そうは言ってくれてもいざ変身できなきゃ私はただの女の子だし…」

未来「まぁ…これは仮説だから…。他にもあるのかもね…」

葉百合「…!。次の日曜日って皆さん空いてる?」

衣理「私は大丈夫。二人は?」

円「行けるよ、問題ない」

未来「右に同じ…」

衣理「どうしたの?」

葉百合「確信に触れるために元所有者の血縁者に直接聞こうと思います。もしかしたら何か知ってるかも…」

未来「それって…まさか…」

葉百合「お察しのとおり、あの徳川家康の正統な血縁者。子孫である徳川家鈴(とくがわ かりん)さんにアポイントを取ります」

円「そんな簡単に取れるのかよ?そもそも日曜日なんて…」

葉百合「取れます。徳川家鈴さんは私たちと同じ学校でひとつ上の学年です」

円「マジかいっ!?うちの学校ってそんなえらい人おったんか!?」

葉百合「おそらくエールブレスの現状も気付いていらっしゃるでしょう。あちら側もこちらとは会いたいはず…っと。後は返信待ちですね」

衣理「なんかすごいことになっちゃってるね…。自分達のことだけど」

円「鬼が現れて怪盗と対峙したと思えば今度は天下人の子孫ときた、まぁウルトラマンとか宇宙人や怪獣が跋扈する現実で言ってもなんというかパンチが無いよな」

未来「そうかもしれないけど…。この件はウルトラマンには頼りきれない…。話に聞いた巨大な鬼から助けてくれたのも…昨日のウルトラセブンも…。偶然居合わせたから助けてくれたにすぎない…」

葉百合「えぇ…。もしもあの時…そう思うときはいくらでもあります。でも自分達の事は自分達で解決しなきゃ、いけませんから…」

衣理「…そうだね。安易に巻き込めないし」

 

 

 

 

 

 

翌日…

 

 

 

 

 

衣理「おはよ、円」

円「オッス。そういや聞いたか?」

衣理「なぁに?よいしょっと…」

円「このクラスに新しい奴が来るらしいよ」

衣理「私が来て一週間もたってないような気がするんだけど…」

円「そっか…、衣理んところはあんま無かったか」

そう言って円は静かに息を吐いた。それに対して衣理はきょとんとした顔で見つめる

衣理「円?」

円「たまによ、あるんだよ。怪獣災害で家とか学校が犠牲になってやむなく別のところにくる奴。その類いじゃねぇかな…。…みたいに…」

衣理「そうなんだ…。ところで円、最後になんて言っ…」

崎谷「席につけー。成績をぶっ殺すぞー」

円「ミンチよりひでぇ脅迫…」

崎谷「今日は転入生だ、澪岸と同じように怪獣災害で入学式が間に合わんかったらしい。入ってきていいぞ!」

???「シッケイシマース!!」

ややおかしな日本語で入ってきたのは黄色い髪に薄茶色のカチューシャでおでこをだした女の子だった

崎谷「長ぇ」

カツカツと黒板に名前を書く先生。ちょっと愚痴が漏れたような気がするが私が書いてたら同じこと言うと思う

サーシャ「サーシャ・マタニティ・ガロン・バロム。ヨロシクデース!」

崎谷「マタニティはロサンゼルスから来た。日本語がまだおぼつかないからしっかり教えてやれ。ちなみに変な日本語教えた奴は国語の成績落として補習授業な。マタニティ。あのピンク髪の変なツインテールの後ろがお前の席だ」

衣理「センセェ!?」

サーシャ「ヨロシク!」

衣理「よろしく、マタニティさん。…?(円…)」

円「(エールブレスが反応してる…どういうことだ…?)」

突如として二人にはわかった。サーシャが近づいたときにエールブレスが少し起動した。

衣理「…(わからないことが多すぎる…変身についても…鬼についても…)」

 

 

 

 

 

サーシャ「ほいっ!」

円「なんのっ!」

未来「右から左へばすばすと…」

衣理「ドッジボールってこんなアクティブだっけ…。もっとゆるゆるしてるイメージが…」

円「やるやんか!サーシャ!!」

サーシャ「Yoo too!!マドカ!!」

お互いに素が出てしまっているくらいに白熱する二人。全く反動しないボールがバスンと痛い音を鳴らして右往左往するさまを脱落した私たちは見守るしかなかった

円「これでっ!!」

サーシャ「Damn it!?」

僅かにずらしたボールがサーシャの腕を掠めて地面をバウンド!円はガッツポーズで喜ぶ

衣理「まだっ!!」

円「えっ、あっ」

サーシャの機転は凄まじかった。バウンドしたボールが地面に落ちる時、それを片手で掴んで隙だらけの円に投げ返したのだ!!

円「ぐえっ!!」

見事に直撃して受け身も取れずアウトになりサーシャの勝ちが決定した

サーシャ「カチマシタネ!?」

衣理「すっごぉい!!サーシャさんすごい!!」

サーシャ「トキマタデース!マドカもgood fight!!」

円「痛てて…ありがとな。すげぇ機転だったよ」

握手する二人、クラスメイトからは拍手が喝采した。それと同時に鐘が鳴り、授業が終わりを告げた

 

 

 

 

 

 

サーシャ「コクゴだけはニガテデース…」

未来「…日本語が怪しいよね」

サーシャ「マドカやミキはウマイデス…jealousy…」

衣理「日本語って私たち日本人でも難しいって言うもん。仕方無いよ」

サーシャ「ソウナンデスカネ…」

円「そういうもんだよ。まぁ頑張ればあたしらより日本語うまくなるって」

サーシャ「ガンバリマス!ワタシはニホンがスキでキタンデス!」

衣理「怪獣災害とかじゃないの?」

サーシャ「うーん…ハンブンはソレデスネ…。ビバリーヒルズがmonsterにオソワレテ…」

円「そっか…。それわかるよ。あたしも…そうだったし…」

衣理「…(円も怪獣災害でなにかあったのかな…)」

サーシャ「アリガトウ…。それでパパがニホンのschoolにカヨッテみるかって…」

未来「…あったね。ビバリーヒルズ…この間、怪獣による襲撃…。って…」

円「ちょっと待て…ビバリーヒルズ…?」

衣理「…?」

円「もしかして有名人…?」

サーシャ「No.ワタシのfamilyはフツウダヨ。シンセキがすごいダケ」

衣理「へぇー。そうなんだ、っと…電話だ。葉百合…?もしもし?葉百合?」

葉百合『衣理?!大変なの!エールブレスが一つ消えて…』

衣理「えっ…!?どこの方角とかわかる?」

葉百合『いいえ…気がついたら無くなっていて…』

衣理「そっか…どうしよう…徳川さんに会いに行くのにエールブレス一個紛失なんて…」

葉百合『もしかしたら所有者を決めて飛んでいってしまったのかも…』

衣理「もしかしたらだね…。その方が幾分か安心だよ」

葉百合『とはいえ…徳川さんに報告はしなければいけませんね…』

円「どったの?」

衣理「エールブレスが一個どこかへ飛んでっちゃったんだって…」

円「マジで…!?それでどうするの…?」

衣理「聞いてみる…。葉百合、どうする…?」

葉百合『予定どおり徳川さんに会いに行きます。幸か不幸か今日でも大丈夫だと言われましたし…。これももしかしたらですが…徳川さんなら何かわかるかも…』

 

 

 

サーシャ「ミキ、イノリたちはなにをハナシテいるのデス?トクガワがナントカ」

未来「…。社会見学に徳川家康の子孫に会いに行く…」

サーシャ「oh…ウラヤマシイ…。アレ?ウラオモテナイでしたっけ…」

未来「うらやましいで有ってるよ…」

サーシャ「ついてイキタイってイッタらダメデスか?」

未来「(つんつん)…衣理…」

衣理「未来?」

未来「サーシャがついてきたいって…」

衣理「…葉百合?カクカクシカジカ…」

葉百合『マルマルバッテン…わかりました、徳川さんには追って連絡します。それで許可が出たなら同行してもいいと思います』

衣理「大丈夫かもだって」

サーシャ「ヤッター!ニホンのテンカビト!!」

 

 

 

 

 

 

 

刹那「…家鈴様。ご連絡です」

家鈴『はい。刹那さん』

刹那「来るのが一人増えます。しかし…その者は奴ではないようです。情報によると今日転入してきたとのこと。バックもアリバイもありますのでお誘いしてもよろしいかと」

家鈴『わかりました。ありがとうございます。引き続き監視をお願いしますね』

刹那「お任せください」

 

 

 

家鈴「…狼藉者はいつの世も…ですか…。天下統一をしても罪人が出ない世の中には…できなかった。貧しさを取り除けなかった。…家康大お祖父様、悲しいですね…」

ぎゅっと握りしめたのは赤い紙。そこに書かれていたのは…

 

 

 

 

 

 

 

拝啓、徳川家鈴様へ

 

 

指定した日にあなたのもっとも大切な徳川の宝をいただきます。

 

 

 

 

 

これは現代に失望した私からの現代へ送る挑戦状である。

 

 

 

 

 

恨むならば私ではなく退屈を与えた現代を恨め。

 

 

 

 

 

 

 

現代のアルセーヌ・ルパンより

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

 

 

同行を許されたサーシャを含めた五人はいよいよ徳川家鈴と面会する。そして語られる伝説…。その裏で暗躍する影…、大阪城を舞台に激震が走る!

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第七話  ネクストサクセサー

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。さあて次々!


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第七話 ネクストサクセサー

こんにちわ。戦国無双2が大好きです


 

 

 

 

 

 

 

サーシャ「ここが大阪城デスネ!?Wao…!」

葉百合「徳川家鈴(とくがわ かりん)さんはあの徳川家康の末裔です。とても我慢強い方で従者の方々にも慕われているんですよ」

衣理「よく承諾してくれたよね。忙しそうなのに」

葉百合「現在は大阪城の一部を一般開放。一応住所はここという扱いになってますね。ちなみに大阪城は過去に怪獣災害によって大破。あの大阪城は一度作り直されてます。今では防衛機能のほかにメテオールも搭載されてます」

衣理「メテオールってもしかして学校とか病院にバリアを張ってくれるアレ?」

葉百合「はい。ちゃんと日本政府とCREW GAYS JAPANの承認さえ取れば緊急時限定で発動がGAYSから許可されるんです。あくまで安全面を強めた量産型タイプなので実際に使われているものと比べると性能は低いですが」

衣理「実際は怪獣相手に使うものだっけ?」

未来「メテオールとは…。地球外技術を使用した科学特捜隊、ウルトラ警備隊、MAT、TAC、ZAT、MAC、UGM、GAYSの地球防衛組織が主に使用する超兵器で地球の危機を何度も救っている…。発展は科学特捜隊とウルトラ警備隊でGAYSがそれをメイン武装として使用…。実績が認められて以降他の防衛組織にも使用されている…ってお姉ちゃんから習った…」

葉百合「その一方。科学警備隊やUMA、W.I.N.R.やGTUSなどはその危険性から使用していない。というのもありますね。さて…。見えてきました。家鈴さんのいらっしゃる離城です」

衣理「(なんで変身できないのか…。明確な何かを知るために来たんだ…。がんばれ…!ファイト…!)」

???「お待ちしておりました。紅皇子様」

サーシャ「ニンジャデスカ!?」

刹那「私は家鈴様の家臣。服部刹那(はっとり せつな)と申します。家鈴様からは出迎えるようにと仰せつかっております」

後頭部から伸びた長いツインテールがさらりと風に揺れる。黒髪に金のツインテール。忍者みたいな登場に反してどこか派手だ

葉百合「ありがとうございます。行きましょう」

 

 

 

 

衣理「服部半蔵の子孫…。ほえー…」

刹那「いえ、私は私です。半蔵爺の血族というだけで…」

円「となると…。後四人。家臣さんたちがいるんですよね?」

一応年上なので敬語で話す私達。だが刹那さんも敬語で対応してくれている

刹那「はい、徳川四天王の末裔が。…着きました。家鈴様!紅皇子様ご一行をお連れしました!」

 

城の廊下や階段を上り、大きな襖の前で刹那さんが報告をすると中から「ご苦労様です。通してください」と綺麗な声が聞こえた

刹那「失礼します」

 

ゆっくりと横に移動し、大きな間を露にする。そこは離れ城の天守閣。大阪の街がミニチュアに見える景色の前。一人の少女が座っていた。私達は少し離れたところで止められ、「ここから先には行かないでください」と言われて用意された座布団に座る

 

家鈴「はじめまして。現徳川家当主、徳川家鈴(とくがわかりん)と申します。お会いしたかったです。澪岸衣理さん。雉列円さん。それと…。夏目古川未来さん」

葉百合「あら、ご存知でしたか?」

家鈴「葉百合さんのお友達ですもの。それにエールブレスの所持者ですし…。ね?」

円「…?家鈴さん。なんで未来のこと見てるんですか?」

家鈴「未来さん。その隠し事はあまり良いものではありませんよ」

未来「…。」

浅くため息を吐くと未来は腕を正面に差し出した。するとその手首にエールブレスが出現した…!

衣理「嘘…。なんで…?!」

葉百合「まさか…。どこかに行ったエールブレス…!」

未来「今朝からなので私にもなにがなにやらです…」

家鈴「えぇ。大丈夫ですとも。なぜあなたたちがここに来たのか。そしてなぜエールブレスが宿ったのか。その真実をお話ししましょう」

サーシャ「エールブレスってナンデス?」

家鈴「あなたはサーシャ・マタニティ・ガロン・バロムさんでしたね。大丈夫です、お話ししますからね。刹那さん」

刹那「はっ、失礼します」

 

 

 

 

 

家鈴「単刀直入に言います。衣理さんが変身できないのは「支える力」が無いからです」

衣理「支える…。力…?」

家鈴「衣理さんが葉百合さんを助けようとしたこと、円さんが衣理さんを助けようとしたこと。その時、お二人はただ助けようとしただけじゃなくその人の力になりたい。そう思いましたね?」

円「…!」

衣理「…。そう…です…」

家鈴「正直でいいんですよ。支えるということは恥ずかしくないですから」

衣理「その…。やっぱり本人を目の前にそういう話をすると…」

円「なーんか気恥ずかしい…よな?あはは…」

家鈴「ふふふ。初々しいですね、さて…。ではエールブレスについて少しお話ししますね」

 

 

家鈴「起源としては、戦国の世に跋扈した死鬼を退治すべく作られた腕輪。それがエールブレスです。我が家に残る書物によると昔はもっとたくさんあったらしいのですが今では八つのみが現存しているとのことです」

葉百合「この五つと衣理達の3つですね」

家鈴「その通りです。その残された八つを先祖様…徳川家康が死鬼を封じ込めて江戸幕府と共に封印されたのです。以前のエールブレスの所持者はそれぞれ…。」

 

 

徳川家康

 

石田三成

 

真田幸村

 

直江兼続

 

伊達政宗

 

毛利元就

 

長宗我部元親

 

島津義弘

 

家鈴「…のものであると伝わってます」

円「へぇ、武田信玄じゃなくて真田幸村なんだ。それに織田信長とか豊臣秀吉とかのじゃないんだね」

家鈴「元々は彼らのものです。図にするとこう伝承していってるようです」

 

 

 

織田信長→豊臣秀吉→石田三成

 

武田信玄→真田幸村

 

上杉謙信→直江兼続

 

 

 

家鈴「島津義弘は島津豊久にエールブレスを託すつもりでしたが関ヶ原で討死したので継承できなかったというのも伝わってます。そしてエールブレスがなぜ、戦国武将たちに宿り、皆さんに継承したのか。それはさっきも言った支える力があるかどうかです」

衣理「支える力なんて…。私はただ助けたかっただけなのに…」

家鈴「助けたい。この言葉だけで沢山の感情があります。慈しみ、対価、欲望に希望。そうですね…。例えばウルトラマンはなぜ人間を助けてくれますか?」

円「…。人間が好きだから?」

家鈴「宇宙の平和もあるでしょうが多くはそれですね。一方で重いものに潰されそうな人を見たとき、ウルトラマンはそれを退けたり持って私達を守ってくれます。でもその場面に人間が出くわしたら?ウルトラマンのようなすごい力があるわけではないから同じような思いでもできることは違いますよね?」

未来「…。ですね、私達だと一緒に頑張ったり踏ん張ったりしかできない…」

家鈴「それが答えです。後は…。あなたたちの思い次第です。私にできることは…それだけです。エールブレスに選ばれなかった私にできることは…」

ぽろぽろと優しい目からこぼれる涙。それを家鈴は袖で拭き取る

家鈴「皆さんにエールブレスが継承されたと知ったとき。私は自分が選ばれればと何度思ったか…!皆さんを危険に去らすわけには行かない…!そう思って武術も磨いて来たのです…。でも…選ばれなかった…」

衣理「決めつけるのは早いです!まだ…」

葉百合「いいえ、家鈴さんは選ばれません…。「エールブレスが拒みました」から…」

サーシャ「ドウユウコトデス?」

葉百合「…衣理。エールブレスを家鈴様へ近づけてみてください」

衣理「えっ…こう…?失礼します」

バチィン!!

衣理「うあっ!?」

葉百合「家鈴さんは適合力が高すぎてエールブレスの性能を引き出しすぎるため拒絶反応を起こされてしまうんです。だから選ばれることがないんです…」

家鈴「悲しいことに元所持者の戦国武将の末裔たちはほとんどこれでして…」

未来「ほとんど…ということは拒絶反応がない人もいるんですね…」

家鈴「えぇ。もっとも…。アホなので渡しませんが」

葉百合「えっとですね…石田三成の末裔である石田七成(いしだ ななりー)さんだけが拒絶反応が無かったのですが…その…。性格に問題がありまして…。それだけなら良かったのですが人付き合いも悪くて…」

円「わかった。もう聞いてるだけでかわいそうだ…」

家鈴「ということなので渡すわけにはいかないんです。まぁ私と違って見限られてる可能性も…」

衣理「関ヶ原で戦ったからか不仲なんですね…」

家鈴「そんなことはありません。ただ向こうから勝手に突っかかっては自滅してるだけです。それに単純で疑い知らずですから…。ふふふ…」

サーシャ「オーゥ…カリンサン怖いデース…」

 

 

 

 

 

 

 

 

七成(ななりー)「おのれ家鈴め…!今日こそは吉音(よしね)様に代わって成敗してくれる…!」

左遠(さえん)「殿、その前に補習を終わらせましょう。戦の用意はそれからです」

継子(けいこ)「七成。家鈴殿は本日客人と約束があるから来るなとのことだ、また日を改めよう」

七成「…。くそっ!吉音様…。お許しください…!この七成…。未だ豊臣の天下を取り戻せず…」

継子「泣かない泣かない。今は目の前に集中だ。これなんか今朝の授業で習っただろ」

七成「覚えがないな…」

左遠「(超小声)殿は寝てましたよ…。夢の中では関ヶ原で圧勝だったとか…」

継子「(超小声)やれやれ…。随分と乾燥した天下餅だな…。まるで画餅だ…」

七成「聞こえてるからな!くっそぉぉ…!みんなして私をこけにして!清樹(きよき)も則波(のりなみ)頭でっかちだのぶっきらぼうだの!おのれぇぇ…!ぐすっ…!」

秋夢(あきゆめ)「わたくしは七成さんのこと尊敬してますよ。ご先祖様は…小早川秀秋は裏切ったから信用されてないと思いますが…」

七成「そんなことはない!ご先祖様が何をしたって秋夢は秋夢だ!私も豊臣の天下を実現させたいからこうして徳川に牙を向いてるのだ。だからご先祖のことなど気にするな!」

秋夢「あぁっ!七成さん…!ありがとうございます…!あ…。ちょっと電話のようなので失礼します。補習、頑張ってくださいね!」

七成「あぁ!よぉしっ!終わらせるぞ!!左遠!継子!力を貸してくれ!」

左遠「どうぞ、電卓です」

継子「そろばんだ、がんばれよ」

七成「素直に教えろよ!そんなもんで高校の数学ができるわけないだろ!!」

 

 

 

 

秋夢「刹那さん。七成さんは今日も頭の中お花畑です。今日も数学の補習を受けてますからそちらには行けないかと」

 

 

 

刹那「了解した。家鈴様には伝えておく。引き続き監視せよ」

携帯をしまうと刹那は息を大きく吸って吐くと制服を脱ぎ始め、次々と鎖帷子や鉄の胸当て、手甲にはちがねを身につけて最後に口元を布で覆った。その姿はまさに忍者

刹那「よし…。徳川四天王!首尾はどうだ」

 

 

 

八重「族を見つけた!数は二人だ」

 

光(ひかる)「動き的に私達を引き付けてます。やたら後方確認が多いです」

焔「おらぁ!逃げんなよ!!この赤備えが怖いのかよ!」

巳奈子(みなこ)「ま、こんな風にわざとおっかけてっからさ、本陣。頼んだよ、刹那」

 

 

 

刹那「わかった。徳川親衛隊!出陣!!」

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

 

家鈴が語る夢。それを叶えるために支える者達。戦国の世から願われ続けた世界。それを受け継ぐ者。誰かを助けるためではなく。共に生きるため。衣理の決意にエールブレスが再び輝く!

 

 

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第八話  安寧の戦

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。戦国無双で一番好きなのは義トリオとガラシャです。家康は初めて選んで初めてストーリークリアしたので思い入れがあります


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第八話 安寧の戦

お久しぶりです。ノートパソコン買いました。買いだめしておいたゲーム(R-18)のほとんどが未対応でしたが私は元気です


不知火「…。っと…」

ぬるりと天井から着地する不知火。糸目に眼鏡という彼女の特徴は仮面によって隠されている。この仮面はガスマスクと同じ仕組みに加えて割れない、外すのは特殊なパスワードを入力しないと物理的に不可能な代物だ

 

 

今、彼女は姉二人に囮になってもらい。自身は隠れて宝物庫を捜索していた。なにせそんじょそこらに情報のあるビルや建物ではなく、歴史溢れる未だに一般開放されていないところから盗みをするのだ。確かなのは城の中に宝がある。それだけだった

 

不知火「姉さんたちが惹き付けてる間に見つけなきゃ…。城の間取り、そこから現在判明していない場所…。隠し部屋を探さなきゃ…!」

不知火は右腕に着けたガントレット型携帯端末を起動させる。仮面もそうなのだがこれら怪盗行為をするために使う道具は自作である。全てはスペアとして教え込まれた知識を用いたもので、彼女たちなりの牙のむきかたでもあった。「自分たちだけでやるなら自分たち以外に共犯を作らない」他人を頼らず自分たちの力だけでやり抜くという強い思いから生まれたものだ

不知火「まずは…、ここから…!」

 

 

 

 

 

 

焔「逃げるなー!卑怯ものー!!」

篝「(るっせぇなぁ…!逃げたくて逃げてんじゃねぇよ…!)」

巳奈子「住居不法侵入、窃盗未遂、ほれほれ、罪が重くなる前に自首しな、お母さんも悲しんでるぞ」

篝「(んなわけねぇだろ…!腹立つ~!!)」

所謂俺っ子である篝は少し無愛想だが根は優しい。だが親に対する反抗心は兄妹の中でも一つ飛び抜けている。巳奈子が冗談で言ったとして彼女にとって親というワードはなによりも勝る侮辱だった

篝「(あいつらがそんな情を持ってるなら見せてほしいぜ…)」

逃げながら心で呟く。彼女たちの両親は厳格で厳しい。特に生まれた時からスペア扱いされてきた三姉妹にとっては恐怖の対象。紅は世渡り上手な所があり、元々天才肌というのもあったためのらりくらりと凌いできた。妹の不知火は言うことにはおとなしく従い、体を動かすこと以外では姉たちに引けをとらない。そして篝は運動が得意で勉学が嫌い(苦手ではない)。三姉妹の中ではもっとも両親に反抗心を出し、家に居ることの少ない父親に変わって教育をしている母親とは特に折り合いが悪い。毎日のように口喧嘩している

篝「(くそっ…!今はんなこと考えてる場合じゃねぇ!)」

頭をふって気を取り直すと時間を見る。もうかれこれ10分は逃げている

篝「(後10分か…。)」

 

 

 

一週間前

紅「ってな感じで警備を引き付けておくからさ、不知火がこっそり盗んで離脱。問題は何分以内に行けそう?」

不知火「20分ほしいかも…。間取り的にそれだけあれば行ける…。前日の外見調査から算出した…」

紅「なるほどね、この離れ城なら20分もあればいけるね、本城の方は壊された後の工事を家のグループが支援したから無いと断言できるし。流石私の妹だ、着眼点がいいね」

篝「そうと決まれば準備だな」

不知火「任せて…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅「警察が来てない…。通報しなかったのか、それとも…」

 

逃げながら怪盗に扮した紅は独り言を呟く。いつもなら何百人と人数がいる。いるからこそ逃げやすかったり誤魔化しが効くのだが今回の大阪城は違った。なんとたった二人しか追いかけてきていない。だがその威圧感にも似た感じのせいか既に逃げきれないのではないかと心に錯覚させる。

光「八重さん!」

八重「無論!」

 

 

八重が力を込めて地面を蹴るような勢いを付けて走り出す。最初こそ変化は無かったが眼にみえる早さで加速し、徐々にその距離を詰めて来た

紅(嘘だろ!?なんで鎧着ながら追い付けるんだよ…!?)

動揺するのも無理はない。こう見えて紅は運動神経はルパンに扮している時同様に抜群で、五人の兄妹の中でも走るのが一番早い。次に早い篝が100mを10秒強で走れる。だからこそ、自信のある足の早さをまさか鎧を着た相手に追い抜かされそうになるとは夢にも思わず一気に焦りが出る

八重「はあぁっ!!」

紅「くっ!」

間一髪マントを裂かれるだけで済んだ紅は自分を落ち着かせて八重を振り切る方法を考える。油断すればまた切りかかって来るため焦りと冷静さをちょうど半分に保ちながら後ろを確認…

紅「い゛っ!?」

後ろを確認した瞬間に八重が投げた蜻蛉切が顔の真横を通ってきた!仮面の下の顔は焦りが高まり、冷静さを取り戻すのがやっとなほど追い込まれる

紅「(やべぇ…!やっぱり徳川に手を出すのは悪手だったか…!?)」

盗むものや場所を決めるのは長女である紅だ。そこに妹の篝や不知火のサポートや意見を合わせて行けると踏んだ時。彼女たちはそれを決行してきた。しかし今回ばかりは警察を呼ばれなかったり八重の足の早さなど読みが外れてばかりだった。

光「相手は疲弊しています…。次期に諦めるでしょう…」

八重の耳元、光が囁く。彼女も鎧を着ていながらかなりの早さだ。もちろんそれに気が付かない紅ではなく自身のリサーチ不足に悔しさを覚えた。そしてまた八重が蜻蛉切を投げたのを見計らって紅は煙幕で姿を眩ませた

紅「(よし、今なら…)ぐあっ!?」

突然弾き飛ばされる紅。尻餅をついて立ち上がると八重と光が武器を突き付けて動けないように言葉なき警告をしていた

紅「!(ドジった…!誰に蹴られた…!?)」

目の前を見るが誰もいない。紅は二人をちらっと見ると今は逃げられないと察して両手を挙げる

八重「刹那。見事だ」

光「さて、おとなしくお縄についてくださいね、泥棒さん」

 

 

 

 

篝「(まだか…不知火…!)うぐっ!?」

時間に気をとられた瞬間。とつぜん篝の足が突然もつれてバランスを崩す。篝にはそれが誰かに足を引っかけられたのだとすぐさま理解できた。篝は両手を床に付け、戻る反動を利用して蹴りを放つ

篝「(食らえ!)」

なにか固いものにかする篝の馬蹴り、その直後に足首を掴まれて投げ飛ばされる

篝「あがっ!?」

軽くバウンドするように床に叩きつけられた篝も姉同様

武器を突きつけられて動きを止められた。しかし紅と違って篝は確かに見逃さなかった、自分を投げ飛ばした相手、そう。徳川親衛隊頭領、服部刹那の姿を

 

刹那「ほら、仲間だろ?」

完全に延びきった不知火をおろす刹那。幸い仮面は外されてはいない。しようとしたかは定かではないが

 

刹那「三人か、警察はこんな少人数に手こずっていたのか」

紅「(くそっ…!)」

刹那「ふふっ、わかるぞ。同じように仮面をつけていてもその下には悔しげな顔が浮かんでいるとな」

 

不敵に笑う刹那は胸元から巻物を取り出す

刹那「そんなお前たちに我が主、家鈴様より言伝を預かっている」

 

 

家鈴「我が宝は我が家臣。徳川家康が言い残した言葉です。私の両親も、祖父母も、それを重んじて生きてきました。そして二度と人間同士が争わない世界にしたい。それが私の夢です。戦争や戦は人間には必要の無い文化です。あれからもう500年以上…もう人間が争いあう事は必要ないはずです…」

衣理「家鈴さん…」

家鈴「湿っぽくなっちゃいましたね、ごめんなさい。ともかく…。残りのエールブレスが誰に行き届くのか、それは誰にもわかりません。ですが…。サーシャさん」

サーシャ「?ナンデショー」

家鈴「つかぬことを伺います。昨日の夢に白いドレスを着た女性が出てきませんでしたか?」

それを聞いて衣理ははっとする。サーシャも一瞬戸惑うと口を開いた

サーシャ「出てキマシタ。白いドレス、銀のティアラ」

円「まるで子供が想像するお姫様そのままだな…」

未来「…それが何か…?」

家鈴「私の夢にも何度かその女性が現れ、そして予言をして去っていくのです。そして昨日も彼女にこう言われました、『エールブレスの選んだ者が集います』と」

衣理「ということは…。葉百合とサーシャが…!?」

葉百合「サーシャさんの可能性はありますね」

円「なんだよ、葉百合は選ばれないって思ってんのか?」

家鈴「一番身近にあるのになにも反応されない。だから自分は選ばれない。そう思ってます?」

葉百合「私の体質的に選ばれない方が良いのかもしれません。それに、誰が選ばれようと私は全力で力になってあげたい。それが今、この地球を脅かす魔の手を退けることに繋がるなら…。私はエールブレスが無くても戦います」

 

 

 

 

刹那「とのことだ、残念だったな、泥棒」

紅「ふっふっふ…。確かに残念だ…。いくら私と言えど人の心までは奪えない。認めよう。完敗だ」

刹那「殊勝だな、もし足掻けば警察につき出していた所だ。我が主は優しい。お前たちが惨めにも抵抗するのであれば最悪殺せと命じられていたがおとなしく撤退するのであれば拘束の上で逃がせとも命じておられた」

刹那が手をあげると四人は紅たちの拘束を解いた

紅「そうか、では主に伝えておいてくれないか?この借りは必ず返すと」

三人は一瞬煙幕を出してその場を立ち去った。周囲を五人が警戒し、完全に気配を感じなくなったとき、刹那は一息ついて仮面を外した

刹那「やっぱ蒸すわー、あっちぃ~」

八重「お前は本当に忍の末裔か?忍耐力が足りんな」

刹那「そりゃ鎧と仮面じゃ違うだろうよ」

先程とうってかわってフランク全快な刹那。パタパタと手で顔を扇ぐ

刹那「まぁなんにせよ任務完了。我ら徳川親衛隊に敵無しってね。家鈴様も今頃エールブレスの所有者と対談を終える頃だろうし」

八重「家鈴様…。エールブレスに拒絶されたことを深く思いすぎておられなければよいのだが…」

光「家鈴様はお優しい反面繊細な心の持ち主ですからね…」

巳奈子「だからあたしらが守んなくちゃね、そのための徳川親衛隊だもんね」

焔「受け継がれて幾百年…。直政爺ちゃんも大切にしてきた赤添えも、八重の蜻蛉切りもその思いを受け継いできたんだもんね!」

刹那「その通り!それじゃあやるか!服部刹那!」

八重「本多八重!!」

光「さっ!酒井光!」

巳奈子「榊原巳奈子ー!」

焔「井伊焔ぁ!!」

刹那「我ら徳川親衛隊!!」

 

 

 

 

刹那「…。決まった…!」

光「刹那さn…」

刹那「羞恥心に関する文句は受け付けてません」

巳奈子「正直ダサいよね」

刹那「ダサくないし!」

焔「私はダサくないと思う!」

刹那「だよねー!」

焔「めっちゃかっこ悪いとは思う!」

刹那「よーし!前言撤回だ!兜脱げ、ツームストンパイルドライバーしてやるから。逃げんな!待てぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅「ちっくしょ…!まんまとしてやられた!流石天下人の子孫ってか…!くそっ!」

篝「俺たちより年下だと聞いてたが…。身体能力が凄まじいな…。鎧を着てあの速さか…」

不知火「成果無し…。私も一瞬で気絶させられた…」

悔しがる三人。ボタン一つでもとの姿に戻ると大阪城に背を向けて歩きだす。途中で黒衣を纏った男とすれ違う

不知火「…。赤いリングの輪っか…?」

紅「不知火ーっ。置いてくぞー」

不知火「あ…。待ってー…」

黒衣の男の手にある物を見た不知火は悪寒を感じながら姉たちと共に去って行った。そして…黒衣の男が人気の無い所にたどり着くと城を見ながら片手に持っている何かを起動させる

???「ダークリングよ…。主の望みを叶えよ…」

[ネオジオモス!!]

???「行け、破壊しろ…。この星に闇をもたらし、我々が生きる星とするために…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衣理「かっ…怪獣…!!」

家鈴「何もないところから突然…。葉百合さん」

葉百合「はい。先日お話しした状態と一致していますね」

円「こっち来てる!逃げなきゃだろ!」

衣理「…ない…」

円「え…?」

衣理「逃げない…!ここで逃げたら…。私はっ!二度とだれも守れず!一生後悔する!!私は…みんなを護る!!それがエールブレスが私に望んだこと!答えてくれた訳!!ウルトラマンみたいに怪獣を倒せなくても大切な人を護ることはできる!絶対に!!」

円「衣理…」

家鈴「衣理さん…!」

衣理「皆は早く安全なところへ!こいつは私が食い止める!!」

未来「…。嫌」

衣理「未来…?」

未来「どうしてエールブレスが私たちを選んだのか。それは誰にもわからない…。衣理が変身できなくなった時。私は…心のどこかで他人事にしていた。でも…。同じ状況になって、衣理の気持ちが、思いが、その重ささえ理解できた…。本当は比べ物にならないくらいの呵責かもしれない。それでも、苦しみを分かち合えた。友達として」

衣理「…未来。ありがとう」

顔に出ずとも深刻で複雑な気持ちの未来。そんな彼女が身の内を曝け出してくれたことが、衣理には救われたような嬉しい気持ちだった

円「おいおい、あたしはさ、バカだし悩んだりはできない。けど、あたしだってガンバブルーだぜ?」

並び立つ三人。もう怪獣はすぐそこにまで歩みを進めていた

刹那「家鈴様!皆さん!!ご無事ですか!?」

家鈴「大丈夫です。行きましょう。大阪城に来ている人達を非難させなくては…!」

葉百合「衣理…。がんばって…!」

衣理「うん!」

 

衣理・円・未来「努力変身!!」

 

赤、青、黒の光が彼女たちを包み込み、その姿にアーマーを装着していく。そして変身が完了した時の衝撃で目前に迫っていたネオジオモスは投げ飛ばされるような勢いで吹き飛ばされた!

???「なにっ…!?なんだ…?あの光は…?」

 

 

衣理「どんな時でも諦めない!不屈の努力は赤い色!ガンバレッド!!」

 

円「疾風の勇気とど根性!瞬く努力は青い色!ガンバブルー!!」

 

未来「思いの強さは頑なに…。吹き抜き貫く努力は黒色…。ガンバブラック…!!」

 

衣理・円・未来「我ら三人力を合わせて地道に努力だ頑張る虹色!!」

 

衣理「努力戦隊!!」

 

衣理・円・未来「ガンバルンジャー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

 

再び変身した衣理。そして円と未来の三人はネオジオモスと対峙する。大切なものを護るために!だが相手はウルトラマンダイナさえも苦戦した怪獣。そして苦戦する三人の前にまた前触れもなくもう一体の怪獣が現れる…!

 

 

 

 

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第九話 地球(ほし)を守る人の思い

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れさまでした。言ってしまうと黒衣の男の持っているものは【この世界に流れ着いた本物のアレ】です。ウルトラマンはゼロまでしか出ません。そう、【ウルトラマンは】


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第九話 地球(ほし)を守る人の思い

こんにちは、年明け最初の本編はこちらになります。今年も改めてよろしくお願いします


 

 

 

 

衣理「行くよ!」

 

三人の人間が怪獣に挑む、無謀にも程があるのが普通だが今の彼女たちはエールブレスによって凄まじい力を持ったガンバルンジャー達だ。ネオジオモスも自身が吹き飛ばされた時にそれを理解したのかこちらに向かう小さな勇者達に狙いを定めている

 

衣理「二人とも!私達がやることは怪獣を倒すことじゃない。時間稼ぎ!」

円「防衛隊やウルトラマンが助けに来るまで家鈴さんの城守ればいいんだろ?」

衣理「そういうこと!私はバリア、円は脚力強化として…」

未来「私の…ガンバブラックの能力は気配遮断と夜限定でワープ能力…」

円「変身するとなぜかわかるんだよな。それならどうするよ…?」

衣理「円は走って蹴って注意を引いてほしい!私と未来で囲む!」

手を繋いだ衣理と未来は走りながらその姿を消していく。残された円は全力で地面を蹴ってジャンプするとネオジオモスの足に飛び蹴りを放つ!

円「挫けろぉっ!!」

ガンバブルーの脚力強化、それはただ足が早くなるだけじゃなく蹴る力自体が強化されている。流石にウルトラマンの威力には届かないがそれでもネオジオモスを挫かせるには充分だった

 

 

 

円「よっしゃぁっ!!頼むぜ衣理!未来!」

 

姿を消している衣理がネオジオモスをドーム状のバリアで包み込んだ!攻撃するもびくともしないバリアに怪獣は暴れる

 

???「邪魔が入ったか」

[グラレーン!!]

即座にスキャンされるカード、リングの中から黒い光が形を成して怪獣となると地面に熱を放出、熱したフライパンのように熱くなった場所から慌てて逃げ出す衣理と未来。未来は相変わらず顔色一つ変えないが衣理にとってはめちゃくちゃ熱いようであわてふためく

衣理「何あれ!?動く溶岩!?」

未来「まずいね…。バリアが…」

衣理が離れ、集中力を切らした事でひび割れたバリアをネオジオモスはいとも容易く破壊する。そして頭から赤色破壊光弾を連射して衣理達を攻撃してきた!

衣理「くぅっ!!あっつうっ…!!」

爆裂する光弾とグラレーンの火炎が加わったことで割れはしないが衣理本人が熱によるダメージを受けて倒れそうになる。だが後ろには家鈴達の居城があり、引くに引けない

衣理「まだ…!…諦めるもんか…!!」

 

 

 

その時!いきなり地面が陥没!!二匹の怪獣は足を掬われ大横転した!!

円「衣理!大丈夫か!?」

未来「息が上がってる…」

衣理「怪獣は…?」

俯いた状態から目の前を見ると倒れている二匹の怪獣。そして…

 

円「もう一体!」

ひょこっと地面から顔を出したのは…。ソドムだった

 

???「野良怪獣か…つくづく邪魔者が揃う…」

 

ネオジオモスとグラレーンは起き上がるとソドムへ攻撃を始めた!防衛本能からそれを迎え撃つソドム。しかしネオジオモスには強気に出れてもグラレーンには自慢の熱も効果がなく、五分五分の勝負になる

 

円「助けたいけどこの熱気じゃ…」

未来「二人とも…、腰のこれって銃じゃない…?」

衣理「あ!初めて気がついたよ…。と、ともかく!これなら…!」

三人は腰のホルスターにあった銃、ガンバレットで怪獣達を攻撃する。効き目は薄いがなにもしないよりマシだ。グラレーンが怯んだ瞬間にソドムの体当たりが炸裂。意図せずの連携にソドムは鳴き声と目配せで感謝しているようだった

衣理「やっぱりあの怪獣は…味方…!」

喜んだのもつかの間、ネオジオモスが衣理たちへ電撃を放つ!光弾と違い速度が早すぎる…。それに気がついた時にはもう目の前だった

衣理「(しまった!間に合わない…!)」

 

 

爆竹が破裂したような音が三人の前で鳴る。おそるおそる目を開けると…壁のような物が目の前にあった

???「大丈夫か?」

隣にはいつからいたのか防衛チームのものと思われる制服を着た男性がいた。その手には何かコンパクトのような物が握られている

衣理「あ…ありがとうございます…」

???「ここは危険だ、避難所へ」

衣理「いえ…、逃げるわけには行かないんです。ウルトラマン達が来るまでは…!」

???「…。なら、安心してくれ。ウルトラマンではないが…」

頷いてそう言うと手に持った物をかかげて彼は叫ぶ

 

 

???「行け!ゴモラ!!」

 

真上から怪獣の雄叫び、壁だと思っていたものは古代怪獣ゴモラの足だった!

 

 

古代怪獣 ゴモラ

 

身長 : 40m  体重 : 2万トン

出身地 : ジョンスン島

必殺技 : 超振動波(ゼロシュート)

 

強力なパワーに加え、ドロップキック

などの軽快なわざもこなす。

ひっさつわざに超振動波をもつ。

 

status アタック    1200

    ディフェンス   800

    スピード   900

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴモラの突進にネオジオモスはバリアで応戦しようとする。だがあまりの破壊力にバリアごとネオジオモスは吹き飛ばされた!その勢いに乗るようにソドムもグラレーンをかちあげて投げ飛ばす!

 

 

 

衣理「すっごい…」

レイ「俺の名はレイ。地球のレイオニクスだ」

衣理「レイオ…ニクス…?」

レイ「怪獣を従える者の事だ。ここは俺に任せてくれ」

口数こそ少ないが協力的なレイに衣理達は顔を合わせ

衣理「あなたを、信じます」

笑顔で何も言うこと無く頷くレイ。すぐに怪獣達の方へ向き直してゴモラを使役し、戦う!

 

 

 

 

 

衣理「もしもし!葉百合?」

葉百合『衣理!大丈夫!?』

衣理「大丈夫!助けが来てくれたからそっちに向かう!」

 

 

 

 

 

 

 

秋人「大阪城でやりあってるのか…。これでは私らは行けないな…」

春姫「転季(てんき)もここまで不安定だとこの子達も力を出しづらいですもんね…。どうします?」

※転季(てんき、死鬼の影響で季節が不安定に変わっていること。ガイアーディアンはそれぞれ対応した季節じゃないと力を充分に発揮できない)

秋人「仕方ない。大阪城は我々を支援してくれている徳川家の居住地でもある。こうなれば…」

 

 

秋人『こちらSEASON、応答しろ』

???「なんだよ、こちとら忙しいんだがな」

秋人『出番だ、お前の機体が必要になった』

???「…。ほぉー?」

秋人『今すぐだ、準備しろ』

 

 

 

春姫「秋人さん、ホントに頼んじゃったんです?」

秋人「不本意だがアイツの腕は確かだ、なんとしても大阪城は死守しなければならない。徳川家への恩と…。死鬼達に渡さないためにもな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイ「ゴモラ!超振動波だ!!」

 

バリアを張らせずネオジオモスに直接超振動波を当てて撃破!一方で互いに決め手がないソドムとグラレーンの戦いは互角。そこにゴモラが加勢する!

 

レイ「ゴモラ!」

???「あなたが地球のレイオニクスですか」

レイ「何っ!?」

突如始まる格闘戦、レイはレイモンに変身しその人ならざるものと対峙する

レイ「貴様!何者だ!!」

アレグリア「失礼、私の名はウルトラマンアレグリア…。ふっふ…」

レイ「ウルトラマン…?そうか、お前たちが闇のウルトラ戦士か!」

アレグリア「その通り、私はダークネス様に仕える者、主の命令であなたを排除しに参りました」

レイ「お前たちのような奴等がウルトラマンを名乗るとはな」

アレグリア「いけませんか?光だけが、地球を守る戦士だけがウルトラマンの名を持つ訳では無いでしょう?」

 

 

 

 

その時、黒と白の光が突如現れ、巨人の姿へと形を変えた。銀と黒のウルトラマンはその手から光を放つ。対象は…グラレーンだ

レイ「あれは…!」

アレグリア「ふっふ、彼はダークネス様に並ぶ闇のウルトラマン、その身にカオスヘッダーと同性質の光を持つ。ウルトラマンカオスです」

なんとグラレーンの体が変化、その姿をカオスグラレーンに変えた…!

レイ「ゴモラ!」

すでに満身創痍のゴモラとソドム。ウルトラマンカオスとカオスグラレーンの攻撃に手も足も出ずに追い詰められる…!そしてゴモラがダメージを受けたことでレイも人間の姿に戻ってしまった

アレグリア「我々の邪魔をするなら消えてもらうまでです。それでは…、さようなら!」

???「させません」

直前で防がれるアレグリアの攻撃。それを止めたのは白いフリルドレスの少女だった

レイ「君は…」

???「今は引いてください。あなたの力はこの世界に必要なものです」

通信から「レイ!遅くなった!」と声がすると上空に四機の戦闘機が飛び交う。そしてカオスグラレーンの足元が光るとその巨体を持ち上げる光の巨人。ウルトラマンダイナが現れた!

カオス「現れたか…!」

???「余所見してんじゃねぇぞパチモン!」

上空から拡声器でも使ったような人の声。その巨大な姿が降り立ち、ウルトラマンカオスへ槍で不意打ちをした!

???「鬼じゃねぇが充分だ、ウルトラマン相手に試運転とはな!」

秋人『おい!くれぐれも…』

???「城を壊すなだろ?任せろよ」

秋人『それをむやみやたらと振り回すなと言ってる!なぜヴァルハランスで行ったんだ!!百舌原!(もずばら)』

隆治(りゅうじ)「他は調整中だ、今すぐ動けるのはコイツだけ、それに他の機体じゃもっと被害が出るぜ?」

秋人『それならやむを得ないか…。もう一度状況説明する。現在大阪城周辺の季節が不安定でガイアーディアンは出撃出来ない。城を壊さずその怪獣とウルトラマンを撃退しろ』

隆治「了解。さあて…!行くぜ!!ウルトラマンダイナさんよ!」

隣り合わせになり腕をクロスにぶつけ合うヴァルハランスとダイナ。勢いにシンパシーを感じているのか互いに敵へ向かう!

 

 

 

 

アレグリア「これはこれは…人間にして人間にあらず。と、言った所ですか」

レイ「人間じゃない…?」

???「時が来ればお話しします。それよりも…」

少女が手で合図をするとレイはバトルナイザーをかざした

レイ「戻れ!ゴモラ!」

光に包まれバトルナイザーへ消えゆくゴモラ、ソドムもそれに乗じて地面に潜っていった

レイ「すまない…!」

一言そう言うとレイは走り去る。アレグリアは笑いながら少女に問いかけた

アレグリア「あなたは何者ですか?その様子ですと我々の目的も知っているのではないですか?」

???「…。交わるはずの無い隣り合わせの世界。私はそれを観るもの。そしてあなた達の目的も知っています。ウルトラマンアレグリア、あなた個人の目的も」

アレグリア「ふふっ、これはこれは…。私はダークネス様に忠誠を誓っているというのに」

???「それは本当のことでしょうね、でも、そこじゃありません」

アレグリア「…。これ以上お話しすると化けの皮を剥がされてしまうかもしれませんね、仕方ありません。ここは退きましょう。あなたの名前をお聞かせ願えますか?」

 

 

 

 

シエスタ「私はシエスタ、夢を司る者です」

アレグリア「シエスタさんですね?覚えましたよ、それではまたお会いしましょう…。ふふっ…」

ワープホールを作り出しその中へ入ったアレグリアは去って行った

 

 

シエスタ「…深く、深く混じりあったこの世界。何故十数年の時を得て再び目覚めたのか。私達の世界は…。私達は、もう眠りについたはずなのに…」

何処からともなく白い花弁が吹雪のように吹き荒れ、シエスタの姿はその場から消え去った…

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

 

 

 

初陣を飾ったヴァルハランスはテレビやネットニュースで早速話題になる。この事に心浮かれた隆治は口を滑らせヴァルハランスの兄弟機の存在を公表してしまう。そんな時またしてもあの三姉妹が狙いをつけた!時を同じくして円の元へ一人の少女が現れた

 

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第十話 夢の行方

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。いよいよ物語の本筋に触れます


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第十話 夢の行方

こんにちは、これを見ているあなたは夢を叶えましたか?もし叶えられなかったのならそれを妨げたのは何ですか?


 

隆治「こんっ…!白黒野郎!!」

ヴァルハランスVSウルトラマンカオスの戦いが大地を揺らす。槍の連擊をかわしてカオスはヴァルハランスのボディをへこませる蹴りを返す!

隆治「ぐあっ!!…いつつ、これがウルトラマンの力か…!」

光と闇の違いはあれどウルトラマンはウルトラマン。かつて地球を守ったヒーローと同等の力を隆治は身をもって感じていた

隆治「クソッ!パワーもスピードも違いすぎる…!弱音は吐きたくねぇが…!」

小さなビルを掴んでヴァルハランスは立ち上がる。その目はまだ光灯り諦めていない

 

 

 

 

一方のウルトラマンダイナはカオスグラレーンと戦っていた。以前にも増して凄まじい熱量とその火炎に苦しめられるダイナ。カラータイマーが青から赤になったタイミングでダイナはその姿を青に変えた

ダイナ「ショワッ!」

カオスグラレーンが吐き出した火炎を吸収。青い炎にして返すとその溶岩の身体に火花を散らせ、大きく仰け反るカオスグラレーン。その瞬間をダイナは見逃さなかった!

 

手首に光が灯り、手のひらに金色の光が渦巻く。それを構えて打ち出すと直撃したカオスグラレーンの身体は歪み、小さなブラックホールのようなものに吸い込まれて消滅した。ウルトラマンダイナ ミラクルタイプの必殺技、レボリウムウェーブだ

ダイナ「ダァッ!!」

ハンドスラッシュでカオスに牽制し、倒れたヴァルハランスを庇うように立ち向かうダイナ。だが時間ももうあまり残されていない

カオス(無駄な事は止めておけ。人間がいくら頑張ろうとも、ウルトラマンがどれだけ居ようとも、この星の破滅は決まっている)

ダイナ(んなことやってみないとわかんねぇだろ!!)

カオスとダイナの技が幾度もぶつかり合う。それを見て隆治は倒れたヴァルハランスを再び動かす…!

隆治「諦めらんねぇよなぁ…!目の前でウルトラマンが戦ってるのに…!俺達人間が弱気でどうすんだ!!立て!ヴァルハランス!!」

不屈の心で立ち上がるヴァルハランス!その魂を込めた拳はカオスのカラータイマーに直撃した!

隆治「ドリルランスフィスト!!」

そのまま回転させて放たれるワイヤーパンチ。カラータイマーを傷つけられたカオスは大きく怯む。ウルトラマンダイナはそのチャンスを見逃さなかった!瞬時に空中へ飛び立ち太陽を背に放たれるシャイニングジャッジ!完全に避けることが出来ず体制を崩し、追撃してきたヴァルハランスに対応が遅れる

隆治「くらえぇっ!!パラディオストローク!!」

狙い済ました槍の一閃!身をかわして肩を透かした一撃だったがカオスを退けるには充分な連携だった

カオス(覚えておくぞ…)

 

その姿をカオスヘッダーの光のように変化させ、ウルトラマンカオスは消えていった…

 

 

隆治「逃がしちまったか…。ま、とりあえず。ありがとよ、ウルトラマンダイナ!」

その声に応えるように力強くサムズアップをするとダイナは空へ飛んでいく。それを見上げる地上ではヴァルハランスの回収作業が始まった

 

 

 

 

隆治「おーおー、集まってんな」

ヴァルハランスからワイヤーで降りる隆治。そこへ作業服を着た数人が走ってきた

隆治「どうよ!初陣にしちゃよくやっただろ?」

北条 上次(ほうじょう じょうじ)「心臓に悪い初陣だったな。ヒヤヒヤしたぞ」

葛西 佐助(かさい さすけ)「まったくだぜ。運が良かったんじゃなくて俺達に感謝しろよな。他に作らせてたら今頃スクラップだぜ?」

東谷 深右(あずまや みう)「ちげぇねぇですわね。でも外見は大丈夫でも中身がほとんどお釈迦ですわよ。早い話が無茶なことしてんじゃねぇですわ。直すの誰だと思ってやがるのですか?」

女南 李下(めみなみ りか)「まぁまぁ。ウルトラマンと戦っても無事だとわかっただけ進歩だわ。ともかくお帰りなさい」

隆治「ただいま」

 

彼らこそ、大阪にそびえる防衛組織が設立させた新時代の整備士、メカニック。強いては防衛隊のパイロットやチームメイトを育成する化学国防高等学校が誇る天才チームレグルスの面々だ。彼らは機械には最強クラスに強く、自作できるものならなんでも作ってしまえるほど

 

ある日、暇を持て余した彼らはSEASONの日輪 秋人に呼び出される。その技術を使って巨大兵器を作ることを交渉され、暇だという理由から全員が承諾。作られたのがこの人型機動格闘兵器。ヴァルハランスという訳だ

 

 

 

隆治「ウルトラマンが敵味方にいる状態で戦えたのは幸先がいいんじゃねぇか?防衛軍は頑なにウルトラマンのデータを寄越すの拒んでるからな」

李下「仕方ないわ。過去にウルトラマンのデータを使用した兵器は何らかの形で宇宙人や怪獣に利用されたため渡すことは出来ないって言われちゃったから」

佐助「知ってるぜ。ドキュメントフォビドゥンだろ?」

上次「それって都市伝説じゃなかったか?」

佐助「いいや、実在するんだな。人類の汚点。地球防衛の大義名分の裏に起こった過ちが」

深右「おそらく人間がウルトラマンの力を利用したってのはイーヴィルティガとゼルガノイド、データはミーモスの事ですわね」

隆治「詳しいな。俺はてんでそこらにゃ興味ねぇからなぁ」

深右「歴史の授業の延長で知っておいて損は無いねぇですわよ。そもそもヴァルハランスの戦闘AIだって過去に現れたロボット怪獣の戦闘データを元にしてんですわよ?キングジョー、ビルガモ、ガメロット、メガザウラ、バイオス、ゴブニュ、グワーム、デスフェイサーにグローカービショップにインペライザー。代表を上げればこんなもんですわ」

佐助「おい。重要なの言ってないだろ」

深右「あぁ。交渉の結果ニセウルトラセブン。ニセウルトラマンジョーニアス。ウルトラマンシャドーのデータも手にいれたので組み込んでますのよ感謝しやがれですわ」

隆治「嘘つけ、交渉してる間にグレーゾーンにハッキングして取ってきただけだろ。お前がやりそうなことだ」

深右「ハッ!取られる方が悪いんですのよ!それに今名前を言った奴等はロボットですわ。ウルトラマンじゃねぇですの!」

会話をしながら歩く五人。作業員に紛れてビルの中に入り、エレベーターでボタンを複数押す。するとそのエレベーターは地下から左、そして下と隠された通路を通ってそのドアを開いた

隆治「おいっす。どうよ」

秋人「大阪城は壊れてなかったから良かったがもう少し穏便に戦え、百舌原。こっちの胆が冷える」

隆治「そりゃ悪かった。で?転季の原因はわかったのかよ?結局死鬼も居なかったしなんかの間違いじゃねぇのか?」

秋人「間違えるものか。季節が正常ならガイアーディアンを向かわせてる」

困り顔で秋人はモニターに映るガイアーディアンを見る。眼を赤や青、緑に黄色と忙しく発光させている。ガイアーディアンは眼の色によって感情の変化がわかり、赤色系が「具合が悪い」「怒っている」青色系が「調子がいい」「落ち着いている」などで、操縦者達も色で識別している。だが…。現在のようにさまざまな色が発光している時は「季節が乱れている」「戦えない」であり。過去にも何度かこのような事があった

隆治「これ録画だろ?」

秋人「さっきまでこの状態だった。私のガイアーディアンも動かなくてな…。いつもは素直な奴なんだが」

隆治「しっかし死活問題だな。こんなの続いたらガイアーディアンはただの厄介者。場所を取るだけなんて言われても反論できなくなっちまう」

春姫「ちょっと?今なんて?」

そこへ怒り顔の春姫がやってきた。的を得た答えではあったがいささか逆鱗に触れたようだ

隆治「怒るなって。悪気とか悪意で言ったわけじゃねぇよ」

春姫「ふんっ。なにさ!」

上次「彼女どうしたんです?(小声)」

秋人「今って本来なら春だろ?アイツ(春姫)のガイアーディアンは適正季節が春なんだ(小声)」

佐助「なるほどなぁ。そりゃ自分の季節なのに厄介者なんて言われりゃ怒るわ(小声)」

春姫「聞こえてますからね!?」

秋人「まぁ待て。厄介者なんかにはならないさ。むしろこれからガイアーディアンもコイツ(隆治)の機体も必須だ」

春姫「どういうことです?」

秋人「季節が安定しない以上、オーバーホールしていたアイツらも呼び出すしかないだろ。それこそ春夏秋冬対処できるように」

???「そういうことだよ」

下駄とパンプスの足音を鳴らして二人の少女が現れた

東雲 夏希(しののめ なつき)「よっ。久しぶり」

今宵李 雪(こよいり ゆき)「お元気そうですね。お二方」

春姫「夏希!雪さん!」

秋人「すまない。不測の事態でお前達の休みを潰してしまった」

雪「お気になさらず。ガイアーディアンは四機しか無いのですから仕方ありません」

夏希「死鬼の動きが活発と聞いてたが予想越えてたな…。あたしらが揃ったからにはいくらかマシにはできるはずだ」

秋人「頼りにさせてもらう。そして紹介しよう。夏と冬の季節に力を出せるガイアーディアンに乗る二人。東雲 夏希と今宵李 雪だ。この二人のガイアーディアンの整備をお前達に任せたい」

隆治「お、呼ばれた本題だな?俺達は科学国防のチームレグルスだ。よろしくな」

夏希「おうよ。あたしの相棒はちょっと気が荒いが頼むよ」

雪「私のガイアーディアンはおとなしい子なので優しくしてあげてくださいね」

隆治「任された!よし!お前ら!ここのクルーと連携してすぐ終わらせるぜ!」

佐助「おー。って言いたいけどよ。生体機械の扱いかた知らねえんだが」

秋人「他人をマッサージする感じでいい。ガイアーディアンは人の感情を読み取れるから注意してくれ」

春姫「すぐに機嫌を悪くして私達以外に触らせてくれなくなるなんてザラにあるし変なことしないでね?」

隆治「故意にやらねぇよ、俺らをなんだと思ってんだ」

突っ掛かる春姫に一言添えると隆治以外の四人は別々のガイアーディアンに向かって行った

 

 

翌日

 

 

秋人「ですのでこのヴァルハランスは陸戦兵器としてウルトラマンや怪獣にも引けを取らず…」

 

隆治「なんでこんなことやってんだが」

李下「最低限の情報を一般公開して正義のプロパガンダにしないと投資家とか市民が賛同してくれないのよ。ヴァルハランスだってタダで動いている訳でもないもの」

深右「制作費や年間機動額を聞いたらここにいる奴等は目玉飛び出て死にやがるかもですわよ」

隆治「繊細が過ぎるよな。あんなのそこら辺の奴等が作れるわきゃねぇし多目に見てくれてもいいじゃねぇか」

佐助「まぁどうでも良いんじゃね?SNSとか見ても批判的なもんは今のところねぇみたいだし。むしろ好意的だぜ?」

隆治達は国防軍が新兵器開発の時に行う兵器説明会に参加させられていた。李下が言った他にも過去に何度も兵器に対する市民の不安や怪獣退治に効果的なのか等、問われることも多かったためだ

秋人「続きまして搭乗者ですが…。百舌原」

上次「隆治。呼ばれてるぞ」

隆治「あいよ」

 

 

 

隆治「あー、初めまして。ヴァルハランスのパイロットやってます。百舌原 隆治です」

淡々と記者の質問を答えていく隆治。答える度に自分たちが認められているという幸福感が積もる

隆治(学園の異端児扱いから一変か…。俺らを見下してた奴等の悔し顔が目に浮かぶぜ…!)

彼らチームレグルスはその才能を認められず変人集団扱いされていた。それ故に今、ヴァルハランスが完成し、ウルトラマンさえ退けた現状が彼らにとって「自分たちの力を見せつけた」事になったのだ

「今後ヴァルハランスで対処不能な相手が現れた場合どうするのでしょうか?」

だがその質問が隆治の上機嫌と重なり口を滑らせた

隆治「心配はありません。ヴァルハランスには兄妹機が三機います」

ざわつく記者たち。それに焦って秋人がマイクを奪った

秋人「今回の説明会は終了します!ご静聴ありがとうございました!!」

強引に終わらされた説明会。閉じられたカーテンの向こう側。舞台裏では秋人の声が響いた

秋人「極秘情報を生放送でもあるのに漏らして!何を考えている!!」

隆治「そ、そんな怒らなくてもいいじゃねえか…、どのみち言うんだしよ」

秋人「時期とか情報があるんだ!侵略者にでも目をつけられたらどうするつもりだ!過去にプロメテウスがどうなったか忘れたか!!?」

深右「秋人さん。デスフェイサーとヴァルハランス達を同じにしないでほしいですわ。あんな時代遅れで破壊力だけの機体…!」

秋人「同じようになってほしくないからこそ言っているんだ!」

上次「まぁまぁ秋人さん落ち着いて。深右も怒るところが違うぞ」

秋人「もうこうなっては仕方ない…。利用されたりしないことを願うしか…」

しかしその願いは一瞬で打ち砕かれた。翌日に赤い便箋が送られてきたのだ。内容は本日噂の三機をちょうだいしますだった

秋人「さいっあくだ…」

春姫「ガイアーディアンで取っ捕まえますか?」

秋人「はは…。許可さえあれば握り潰してやりたいよ」

虚無感たっぷりの笑顔が哀愁を誘う。日輪 秋人、27歳独身。結婚より仕事を選ぶバリバリのキャリアウーマン。彼女の気苦労は今日も堪えない

 

 

 

 

 

 

 

 

円「うっかり情報漏洩ねぇ」

葉百合「資金援助している私の所も知っていた人は限られていたようで…。本当にうっかりポロリみたいですね…」

未来「こうなったら危ない…。ウルトラマンさえ撃退できる兵器なんて誰もが欲しがる…」

衣理「まさかまた怪盗が」

葉百合「今のところ無いみたいですよ。あったとしても難しいでしょうし(さすが衣理さん。鋭い)」

心に汗をかきながら葉百合は来ていないと言うが実際来ている。だが今回衣理達に実害が無いため関わらせられないのだ。そんな話をしていると前から同い年くらいの同じ制服の少女が早歩きしてきた

???「随分と余裕やな!円!!」

その少女は円の胸ぐらを掴むとそう言いはなった。いつ手が出てもおかしくない喧騒だ

円「落ち着きなよ。私の友達びっくりしちゃってんじゃん」

???「んなもん知るか!なんかとつるんでる暇あるんやったら早よ帰って家継ぐ勉強せぇや!」

円「何回言えばわかる?私は家を継ぐつもりなんか無いって…」

???「ごちゃごちゃぬかすな!」

衣理「ちょ、ちょっとストップ!」

???「邪魔や!引っ込んどけ!」

円「衣理に手ぇ出すなや!」

制止しようとした衣理に怒鳴った少女を円が止める。感情的になったためか素の関西弁が出てしまった

???「チッ…。お前のおとんが呼んどる。着信無視しとるからウチが毎回探せって走らされるんや!ウチにこれ以上迷惑かけんといてんか!」

そう言って少女は去っていった…

未来「今の子って…」

サーシャ「確か…隣のクラスの子デスよ!名前は…」

円「散流無。愛奈 散流無(あたな ちるむ)だよ」

早歩きで去っていくその背中を寂しそうに見つめる円は対称的にそっと歩き、話始めた

円「前にさ、鬼に襲われた親戚の子がいるって衣理に言ったよね?それがあの子なんだ。私と同い年だけど妹のようでいつも私に「デザイナーになりたい」って夢を語ってくれてた。だけどあの子は…、親に自分の夢を語る機会を無くした。元々反対されてたけどそれを押しきるために必死だったんだ。けれど一昨年、説得のために行った学校のオープンキャンパスで怪獣に襲われ、学校はほぼ復帰不可能に。結果は従姉妹である私の右腕に、付き人になるべく同じ学校に行けって強引に通わされてる。私はそんなのいらなかった。あの子が、散流無が幸せならそれでよかった。でも…私と年が一緒だったことが災いしちゃったんだよね」

笑いながら言う円。その表情は悲しそうにも見える

 

 

円「私だって継ぐのが嫌なんだ。家に縛り付けられてうんざりしてる。散流無だってそうなんだ。私なんかを理由に夢をねじ曲げられてやり場のない怒りが私に向いてる。まぁ私の素行もあるんだろうけどさ」

 

 

 

 

 

散流無「なんやあのボケェ!ホンマに家継ぐ気あんのか!?」

怒り心頭でズカズカと歩く散流無。やがて川原付近で足を止めると石の階段に座り込む

散流無「なんでウチ愛奈に生まれたんや…。こんなんやったら普通の家で良かったわ…」

しょぼくれる散流無に差し出される赤い風船。顔を上げると黒い服に黒い帽子をかぶった初老の男性がこちらを笑顔で見ていた

???「はい。お嬢ちゃん」

散流無「あ、あんがと…。でもウチそんな年ちゃうでおっちゃん」

???「悲しむことも、それを励ますことも。年なんか関係ないよ」

その一言で風船を受けとる散流無。男は「隣いいかな?」と一声かけて座り込んだ

???「どうしたのかな?夢を踏みにじられた顔をしているようだね」

散流無「おっちゃん占い師かなんか?」

???「いいや、ただわかるんだ。私は長いことお嬢ちゃんのような人をたくさん見てきた。自分の思い通りにならない人生を変えたいって人達をね。だから私はそんな人達の小さな支えになりたいだけなんだ」

散流無はなぜか不思議とその男を信頼できた。家族でも友達でもないからこそ。自分の思いの内をさらけ出せた。だが散流無は気づいていない。夢を語るにつれてその手に持った風船が黒く染まっていくことに

???「そうかそうか。大変だったね。でも心配はない。君が語り、望んだ夢は、その風船が叶えてくれる」

スーッと立ち上がる散流無。その目は虚ろに、赤く染まっていた

散流無「おっちゃんありがと…。ウチの夢…叶うわ…。おっちゃんの名前教えてくれへん…?きっといつか恩返しするわ…」

最後に残った正気が揺れ動く。その言葉を言うと散流無はばたりと倒れ、黒くなった風船はふわふわと不気味に空へ旅立った

???「あぁ、教えてあげるとも。私の名は、異次元人、ヤプール…!フフハハハ…ハーッハッハッハ!!!」

 

黒衣を纏ったヤプールが笑うと雷雨が突如として現れ、赤い雨が降り始めた

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

 

 

 

 

赤い雨と雷が降る夜に盗まれたヴァルハランスの兄妹達。それと同時に不気味という言葉では生ぬるいその空が突如割れた。次々と現れる超獣達。迎え撃つウルトラ6兄弟。だがその最中再び空が、いや…世界が割れた…!

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第十一話 最厄の悪夢

 

 

 

 




お疲れ様でした。この世界は歴代ウルトラシリーズで起こったほぼすべての出来事が過去に起こっている設定です。でので本来世界が異なるネオフロンティアで起こった出来事の一部もドキュメントフォビドゥンに含まれています。

ちなみにこれは裏設定ですがティガ&ダイナの出来事や怪獣はドキュメントGUTSやS-GUTSではなくドキュメントTPCとして一纏めにされています。



ところで夢っていったい何なんでしょうかね?目標?足枷?それとも自己満足?


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第十一話 最厄の悪夢

こんにちは。夢のために貴方はどれだけの犠牲を払えますか?


散流無「んっ…。ここ…どこや…?」

???「気がついたかい?君は気を失ったんだよ」

散流無「おっちゃん…」

ヤプール「ここは君の楽園だよ。君が何をするも自由。だが…。その前にこの楽園を脅かすものを倒さなければならない。さぁ、君が守るんだ。君がデザインした存在が君を守ってくれる」

染み渡る青空。どこまでも続く草原に綺麗な小川。そこに黒ずくめの男…、ヤプールと散流無はいた。真っ白なキャンパスに指差し、赤い絵の具がついた筆を渡して

散流無「守るんや…。今度こそ自分の道を…」

虚ろな目をしながら受け取った筆で白いキャンパスを染め上げていく。乱暴に、荒々しく。その様子をヤプールは笑いながら見守っていた

 

 

 

 

 

隆治「秋人さん。今のところ怪しい奴は?」

秋人「くまなくチェックしている。まだ制作途中ならどれだけ気が楽だったか…!」

隆治「しょうがねぇだろ。ほぼ完成してるのにバラすには時間が足りねぇし」

秋人「元はと言えばお前のせいだが?」

隆司「うぐっ。まぁまぁ、それにしても我ながらいい考えだろ?」

秋人「予めコックピット内で籠城か。確かにこれなら奴らに一切の隙をみせない」

隆治「上次!深右!佐助!異常はないか!?」

上次「あぁ。出来れば来てほしくないがいつでも来いって奴だ」

深右「私達が丹精込めて造り出したこの子達に手を出すなんて絶対に許さねぇですわ」

佐助「…」

 

隆治「どうした、佐助」

佐助「何かおかしい…。こいつが何かを感じ取っている」

秋人「確かあの機体は…」

隆治「あぁ。周囲の気象情報がわかる…。だが今日は…綺麗な星空だろ?」

佐助「そのはずだが…。なんだ?今まで見たことない数値だ」

その時、後ろのドアが開いて上次たちが走ってきた!

上次「大変だ!隆治!!赤い雨が…!」

隆治「なんでお前ら…!?どっちが…!?」

秋人「取り押さえろ!!機体内も制圧しろ!どちらかが怪盗のはずだ!」

隆治「なんてな!その必要はねぇぜ!」

スイッチを押すとコックピットが開かなくなり、中からシステムを受け付けなくなった

隆治「マヌケが、盗られるってから予め中身に誰か入れるだけなはずねぇだろ。ニセモンども」

上次(搭乗している方)「なぜだ!?」

隆治「俺はお前らが挑戦状を叩きつけたその時からコイツらに四人まとめて行動してろって言っておいたんだよ!なのにてめえらはノコノコと三人で格納庫に足並み揃えて来やがった。つまり!今それに乗ってるのが赤い怪盗ってわけだ!」

かっこつけた瞬間大きな揺れがその場を襲う!秋人がどうした!?と言うと外の様子がモニタリングされた!

隆治「なんだありゃ…」

漆黒の黒雲に稲光、そして…赤い雨…

秋人「これは…!まさか…!!」

 

 

 

 

 

シエスタ「空が…割れる…」

黒い空にヒビが入り、割れ。赤い異次元をバックにいくつもの超獣が舞い降りてきた…!

 

 

秋人「やはりヤプールか!TACとGAYSを待ってる間に街が…!それなら!」

隆治「秋人さん!」

秋人「私が食い止める!その間にヴァルハランスの応急整備!あいつら(怪盗)は生かして逃がすな!以上!!」

隆治「おい!」

 

 

 

秋人「いくら今が逆の季節でも私は…いや、私とこの子もただじっと見るだけなんてできない!!」

「秋人さん!」

秋人「ガイアーディアンAN!発進準備!急げ!!」

「ええっ!?今の季節では!」

秋人「構わん!!あの子も私も思いは同じだ!」

軽いフットワークでノーヘルノーパイロットスーツのままガイアーディアンに乗り込む秋人。現場も秋人を信じているため無茶だとわかっておきながら行動を起こす!

秋人「ウェイク!!」

ブォンという鈍い機動音と共に目が青く光る

秋人「ガイアーディアン秋人機!レディ!!」

 

 

 

 

 

暴れまわる町へ飛び出した秋人のガイアーディアン。特徴的なのがその脚部。まるで理科や生物の授業で使う試験管のような形をしている

秋人「行くぞ!!」

素早く移動しながらの攻撃!パワーは敵わないものの機動力ではこちらが勝っていた

秋人「三体か…」

データベースと照合しながら立ち回る。それぞれ

 

ベロクロン

バキシム

ブロッケン

 

の三体が暴れていた

秋人「上等…!倒せなくても時間稼ぎぐらいは!」

「秋人さん!上!また空が割れます!!」

秋人「なんだと!?」

次々とひび割れる空。それを突き破り何体もの超獣が降り立つ

秋人「バラバにギーゴン…!しかも最近交戦記録のある新種まで…!怨骨超獣ヴォーネイルか…!」

骨だけの恐竜のような体にカマキリのような腕を持つ不気味な姿を震わせるはヴォーネイル。ヤプールが戦争によって亡くなった人の魂と宇宙怪獣を合成して作られた新しい超獣だ

秋人「ぐぅっ!!」

バラバの鞭に手をとられ、ギーゴンの音波攻撃で操縦がままならない所へ他の超獣から総攻撃。原型こそ残っているが圧倒的な数の暴力で戦闘不能になってしまった

秋人「動くんだ!お前を失いたくない!そのためにも!!私のありったけで動いてくれ!!」

???「イエアッ!!テーイッ!!」

空中で何度も回転しながら着地し、超獣軍団を次々と蹴散らしていたのは…。ウルトラマンエースだった…!

エース「ムンッ!!ダアッ!!」

数々の光線を放ち。圧倒的に不利な数に対処するエース。超獣軍団を大きく下がらせるとバーチカルギロチンを繰り出し、それの先端を握ってブーメランのように投げた!これこそネオバーチカルギロチンだ!アイスラッガーのように軌道に沿って飛び交うギロチンは超獣軍団の首を片っ端から撥ね飛ばしていった

エース「シネッ!!」

ウルトラスラッシュを横向けに上空に投げ、そこに向かってパンチレーザー。拡散したパンチレーザーは首をはねられて尚動く超獣軍団を爆殺していった

秋人「ウルトラマン…エース…」

たった一人で六体の超獣軍団は全滅させられた。しかしエースは尚空に向かって威嚇している

エース(前座は片付たぞ…。ヤプール!!姿を表せ!!)

ヤプール(愚かなり…。ウルトラマンエース…!我々の気配を感じてウルトラコンバーターまでつけてくるとはな…)

エース(私だけで貴様を倒すためだ!)

ヤプール(大した自信だな…。では試してやろう。お前たちと人間どもを…!!)

ピシッ。とても小さなヒビが空に現れた

ヤプール(お前達に教えてやろう…。お前たちが命懸けで守ろうなどとほざいている現代がこれだ…!!人は皆、破壊を求めている!苦しいこの世界を!自分にあだなすものを全て壊したいと思っている…!今やこの星に、人間にウルトラマンは不必要なのだよ…!どうしても救いたいのであれば…神にでもなることだな!!)

小さなヒビに大きな亀裂。その次の瞬間。大空が、世界が、割れた…!!

ゾフィー(エース!)

エース(兄さんたち!タロウ!)

ウルトラマン(お前の予想通り。各地に現れた超獣たちは片付けた。しかし…)

タロウ(あれはなんだ…!?)

ジャック(超獣…なのか?)

セブン(油断するな!)

 

ヤプール「さぁ。あれが君の敵だよ。世界を壊そうとする…。君が造り出した作品を破り、燃やし、貶し、泥で踏みつける者たちだ。そんなの許せないだろう?」

散流無「ゆるさ…へん…」

 

割れた世界から落とされたのは一つのタマゴ。そこへ赤い雨が色をつけ、雷がそのタマゴを割った…!

 

ヤプール「素晴らしい…!最高傑作だね。これなら君の敵を蹴散らせるよ。ふっふっふ…」

 

 

割れたタマゴの中から巨大な体が現れる。その超獣は緑の右瞳を開き、そして赤黒い左瞳を輝かせてウルトラ6兄弟に敵視を向ける

エース(気をつけてください!こいつは見たことありません!)

ヤプール「ハッハッハ!!お前たちが知らないのも当然だ!この超獣は我々ヤプールが産み出したのではない!!お前たちが守る等と言っている人間が産み出した!!その名も実現超獣!デッドレア!!」

 

秋人「デッド…レア…」

「秋人さん!カタパルトおろします!離脱を!!」

秋人「すまない!」

ガイアーディアンが離脱したのを確認するとゾフィーが切り込む!それに続いて他の兄弟も散開した

ゾフィー(ヤプール…!お前の思い通りにはさせないぞ!)

ヤプール「威勢がいいな、ゾフィー!なぜ我々が地球人に聞こえるようにテレパシーを拡散させているか理解できないのか?」

格闘戦を挑むも返り討ちに合うウルトラ兄弟たち。離れて光線技を試みるがデッドレアは大きく咆哮!なんと光線技が捻曲がって周囲を破壊していく

エース(光線技は悪手か…!それならば!)

ストップリングで動きを止めるとジャックのブレスレットボムが腹部で爆発!タロウのスワローキックがそれに続く!

セブン(行くぞ!)

ウルトラマンとウルトラセブンによるプロレスのような格闘攻撃で追い詰めるがやはり格闘戦ではデッドレアが圧勝のようで再び蹴散らされてしまう。だが飛び蹴りでゾフィーが距離を詰め、ゼロ距離でスペシウム光線を放つ!そのままM87光線の構えに変えて大きく弾き飛ばした!

ゾフィー(よし!このまま倒しきるぞ!)

ヤプール「やれるものならやってみるがいい!!これを見ろ!!」

周囲のモニターを乗っ取り写し出されたのは額の赤いクリスタル。その中には…眠った状態の散流無がいた…

ウルトラ兄弟(!!)

エース(神戸と同じことを懲りずに…!)

ヤプール「貴様たちがこのデッドレアを倒せばこの少女は死ぬぞ!以前のメビウスインフィニティーのコスモミラクルアタックで同じように救えると思うなよ…?この少女こそがデッドレア!!デッドレアこそこの少女!!現代の人間の心が超獣を産み出したのだよ!ハーッハッハッハ!!」

散流無(ドリーミング…バースト…)

虹色の光が文字通り光線となってウルトラ兄弟を襲う!しかしあまりにもしつこく約二分近くその光線、ドリーミングバーストは降り注いだ。いくら全員がウルトラコンバーターで長期戦を覚悟していたとしてもその猛攻は耐えきれるものではなかった。なにせ反撃もできない。自分達が倒そうとすれば人を殺すことになる。それは人間を愛する彼らウルトラマンにとっては生涯の弱点とも言えるものであった

ヤプール「死ねぇ!ウルトラ兄弟!!」

散流無(アンファウスト…レイズ…)

七色の光線が捻れ合い、ウルトラ兄弟を凪払った。その破壊力に六兄弟は倒れ、その体を透明にしながら消えていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

 

 

ウルトラ兄弟は敗れた。ヤプールがデッドレアの存在をわざと公表したことで人々は「少女一人のためにこれ以上犠牲をだしていいのか」とデッドレアを殺す意見。「少女を殺すなんていけない。何か方法があるはずだ」という意見に別れ、争いが起きてしまった。そんな人間を他所に破壊を繰り返すデッドレア。その時、選ばれし者たちの中に声が届く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第十二話 繋がる夢の欠橋

 

 

 

 




お疲れ様でした。貴方が夢に苦しんだとき、後ろを向いて助けてと言えますか?それを言える誰かがそこにいますか?


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第十二話 繋がる夢の欠橋

こんにちは。毎度ありがとうございます


シエスタ「物語が交わることは想定していました…。ですが…、こんなことが…」

映し出した空間には街を蹂躙するデッドレア。業火に呑まれ、次々と建物が崩れる。瓦礫となった今ではなんの建物かわからない

???「また想定外?多いわね」

シエスタ「氷空さん…!いつから…」

遥 氷空(はるか そら)「今さっき。デッドスパークも一緒」

明星 暁(みょうじょう あかつき)「そう呼んでくれるなよスペードスナイパー。女神様がお困りだぞ」

小綺麗な浮浪者。そう表現できる服装の二人が現れた。とても普通の職についているようには見えない

シエスタ「暁さんも…。正直まだ驚きが隠せません…。こんな私の事を信じてくださるなんて」

氷空「それはこっちのセリフよ。でもなぜかしらね?」

シエスタ「…もしかしたら氷空さんと暁さん。お二人の物語が原因なのかもしれません」

暁「ほぉ?前に言ってた不干渉って奴か」

シエスタ「はい。本来お二人の物語は他の物語とほぼ関わりません。暁さんに至っては所謂外伝とされています。そのため壁が他より厚く出来ているので影響を極端に受けにくい不干渉が強いのでお二人は驚かず、世界が統合された今はすんなり受け入れられるのかと…」

暁「まぁいくら本来の物語とか世界が統合されたとか言われても今が現実だからな。受け入れるしかない」

氷空「そういうことね。現実主義なのよ、きっと」

シエスタ「そのスタンスに助かってます。ところで…」

氷空「あの女の子の叫び声ねじ曲げたみたいな鳴き声してるバケモンのことでしょ?」

シエスタ「はい。あのヤプールの謀略に人々は呑まれ、超獣の足元で意見割れによる争いが起こっています。ウルトラ戦士も手が出せないこの状況…。どうにかしなければこの世界は滅び、物語は…」

暁「…。なぁ女神様、こういう時どうするか知ってるか?今あんたの手元には俺達含めて沢山のカードがある。奴は言うなればブラックジャックの20でチップをかけてやがる。正直勝ち目は一つしかない、それは21を出すことだ。女神様ならそれが出来ると思うが…?」

トランプを巧みに扱って例えを作る暁。ハットをくいっと指で上げて目配せをする

シエスタ「確かにそれは可能でしょう。ですがそれはこの世界の、散らばった物語の均衡を破りかねない行為です…。万が一私が干渉することで皆さんの世界にヒビが入ったら…その世界は二度と元の物語を辿れないでしょう」

氷空「そう言ってももう手遅れだよ。普通に考えてみなさいよ?怪獣が暴れ、それに対してウルトラマンが戦うのはわかるよ、防衛軍だってね。だけどあの巨大なロボットはどう説明つけるんだ?私達は防衛軍内部に精通してるのにその存在を知らなかった。つまり、あのロボットは怪獣じゃない別の何かを撃退するためのものを防衛軍とはまた別の組織が管理してる…。だろ?」

シエスタ「えぇ。正解です。そうですよね…。もう手遅れなら破れかぶれです。今この時だけでも…!」

 

 

 

翌朝

 

デッドレアは朝日が上がると同時に動きが鈍り、朝六時頃には完全に動かなくなった。防衛軍はこのタイミングでデッドレアを包囲、市民を避難所へ誘導していた

 

 

 

 

 

『避難所はこちらです。落ち着いて避難してください。繰り返します…』

 

衣理「あ…!円!」

円「衣理…」

避難所へ向かう途中。二人は偶然にも出会った…

 

衣理「大丈夫じゃないよね…。円すごいげっそりしてる」

円「え?そんなことないって…。やだなぁ…」

衣理「あの散流無って子の事だよね?」

円「わかっちゃうよな…。はは…。っ…なんで…なんでだよ!!なんで散流無が…!」

衣理「円…」

円「夢ぶっ潰されて!鬼に殺されかけて!次はバケモノの体内!?なんなんだよ!?あの子がなにしたんだよ…!神様のバカやろう…!!」

やり場のない怒りが衣理の胸にぶつけられる。そこへ二人の少女が現れた

???「ふぅん?あんたが話に聞いてた円っての?」

円「そう…だけれど?」

???「こんな泣き虫だったのか。そんなのだから散流無があんなことになっちゃったんだよ」

衣理「あなたは?いきなり話し掛けてきて喧嘩腰に」

???「そうよ莉愛(りあ)、そんな言い方って無いと思うわ」

螺吹 莉愛(ねじぶき りあ)「うるさいよ飛鳥(あすか)。私だって話聞いてたぐうたらがこんな様ならここまで口尖らせてないさ」

衣理「あなた…!いい加減に…!」

女南 飛鳥(めみなみ あすか)「言い過ぎよ、謝りなさい」

閉じた目を少し開けて莉愛の肩を持って謝罪を促す飛鳥。莉愛は謝ることなくそっぽ向いて歩きだした

莉愛「円っての。顔面ぐちゃぐちゃになるくらい泣いて悔しいなら散流無を救ってみせなよ。今のあんたはただ何もせず泣き散らしてるだけだよ」

飛鳥は二人に「ごめんなさい」と一礼すると莉愛を追いかけて歩いて行った…

 

 

飛鳥「莉愛!本当に言い過ぎよ!」

莉愛「うっさいな。ああいうその場その場でウジウジしてる奴大嫌いなんだよ。私は」

飛鳥「それは知ってるけど初対面の相手に…」

莉愛「関係ない。言うことは言ってやらなきゃ何も変わらないし」

飛鳥「…。散流無のため?それとも円さんのため?」

莉愛「どっちもだよ」

飛鳥「素直じゃないんだから」

 

 

 

 

『聞こえますか…?』

 

 

 

 

莉愛「!。飛鳥…じゃないよね?」

飛鳥「えぇ。聞こえたわ…莉愛じゃない誰かの声…」

 

 

 

秋人「なんだ…?誰か喋ったか?」

「いえ?秋人さんお疲れなのでは?」

秋人「…。違うな、確かに聞こえた…!」

 

 

 

紅(なに…?誰の声だ…?)

 

 

 

シエスタ『今、私の声が聞こえている人は限られています…。あなたたちの力をお借りしたいのです』

 

 

 

隆治「力ぁ…?力ってなんだ!?答えろ!」

 

 

 

 

シエスタ『力とはあなた方がそれぞれ持っている強大な何かに立ち向かえるもの…。それを結集してあの悪魔を撃退しなければいけません…』

 

 

家鈴「刹那さん。徳川親衛隊を召集してください。陣触れです」

刹那「はい。すぅーっ…起きろぉぉぉお!!陣触れだぁぁぁっ!!」

 

 

 

 

シエスタ『お願いします。皆さんの力を貸してください…!』

 

 

 

それを最後に言葉は途切れ、声が届いた者たちの中へ道標が灯った

 

 

 

 

???「…!「待てよ」」

???「何処に行く気だ?」

???「ゼロさん…。決まってます!今の声に答えに行くんです…!」

ウルトラマンゼロ(人間体)「へっ、止めとけ。今俺達が手を出すのは野暮って奴だぜ。ブレイブ」

ウルトラマンブレイブ(人間体)「ですが…!」

ゼロ「かつて、俺の親父の仲間が残した言葉がある。地球は我々人類、自らの手で守りぬかなければならないんだ…ってな」

ブレイブ「ではなぜ僕達にまで声が…」

ゼロ「今はこんな状況だがよ、本来なら俺達は地球人が力一杯戦い抜き、それでもダメだった時に初めて力を貸すんだよ。つまり…そう言うことだ」

 

 

 

 

 

 

???「さて、どうしよっかな。私としてはこんな苦しみしかない世界は滅んでも良いと思ってるんだけどね」

 

 

 

 

 

???「ふぁ~あ…。どこだい?ここ」

 

 

 

 

シエスタ「っ…はぁ…!まったく!あの人はこの世界でもあいっかわらず風来坊なんですから!!転移させてこないと何処にいるかわかったものじゃないんです!!」

暁「めちゃくちゃ怒ってるな…」

シエスタ「次は別の人を直談判に行ってきます!!どの世界でも世界に勝手に絶望してるひねくれ者さんを!!」

氷空「怖っ…。行くよ暁。女神様の指示通りに」

 

 

 

 

円「…衣理。頼みがあるんだ…」

衣理「うん。良いよ」

円「まだ何も言ってないだろ…?」

衣理「わかるよ。友達だもん。だから…」

円「ありがとう。だからこそ言わせてほしい。頼む、私は散流無を救いたい!力を貸してくれ!」

衣理「もちろん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シエスタ「協力、お願いしますよ…!?本当ですよ…!!」

???「わ、わかったって。そんな怖い顔しないでさ、あはは…」

シエスタ「他のお二人もちゃんと連れてきてくださいよ!?いいですね!?ふぅ…」

???「(寝てないとこうなんだよね…この女神様…)」

シエスタ「だったら寝させてくださいな…?有理香(ゆりか)さん?」

蝶宗我部 有里香(ちょうそかべ ゆりか)「うげっ…超能力者じゃあるまいし思考詠むのは止めてよ」

シエスタ「それはごめんなさい。では再三お願いします」

 

 

有理香「なーんでそんなに必死になるんだか…。シエスタ…お昼寝ってことは…。夢…かな?」

 

 

 

 

氷空「見つけた」

???「んあ?誰だい?」

氷空「女神様にかわってあんたを迎えに来たのさ。錦 椛(にしき もみじ)」

椛「あたしを知ってるのか。きな臭いな」

氷空「私は遥 氷空。初対面で悪いが力を貸してほしい」

椛「別にいいけどぉ…。条件がある」

氷空「なんだ?」

椛「お前、強いだろ?あたしと一発手合わせしてくれよ。あたしは強い奴とやりあうのが大好きでな、やってくれるならその後いくらでも手を貸してやるよ」

氷空「後払いにしてほしいって言ったら?」

椛「前払いに決まってんだろ?」

氷空「…。断っておく、私の本業はスナイパーだ、だから望みに答えられるかわからないぞ」

椛「安心しな。あたしが強いって言った奴が弱かった試しはねぇからさ」

シュルッと棒の先端にある布に付けた紐を解いて布を取るとそこには四つ叉に分かれた矛が姿を露にした

氷空「銃刀法が息をしていないわね」

椛「お互い様だろ?行くぜっ!!」

 

 

シエスタ「はぁぁぁぁーっ…。あんの戦闘狂さん…」

暁「止めてこようか?」

シエスタ「氷空さんに秒で終わらせてほしいとお伝えください…」

暁「氷空!早くそいつを大人しくさせろ!」

 

氷空「簡単に言わないでくれる?こんなのにわざわざ近接してる身にもなりなさいよ」

椛「ナイフ一本でやるじゃないか!あたし相手にそんな小さいので戦えたのはお前が三人目だよ」

氷空「一刻を争うのはわかってるのよ。女々しく口だけで文句言うくらいなら男らしく手伝いに来なさい」

暁『俺が付くまでにはお前なら終わらせるだろ』

氷空「第三者は所詮そうとしか言えないのよ」

 

強引に通信が切れると氷空は椛の攻撃に合わせて跳躍。靴の先で武器を持つ手を蹴った。するとバチィッという音がして椛は矛を手から離してしまった

 

椛(靴先にスタンガンか…!)

氷空「ふんっ」

 

矛を踏みつけ、勢いを付けて椛の顔を狙って飛び蹴りが炸裂した。それを椛は片手で受け止めていた

 

椛「まさか四叉矛(よつまたほこ)をはたき落とされるなんて驚いた。この勝負はあんたの勝ちだ」

笑って手を離すと地面にめり込んだ矛を片手で引っこ抜いて先端をまた布で括りつけると氷空に手を向けた

椛「久しぶりに熱くなれた。ありがと」

氷空「満足してもらえたようで何より…」

椛「それじゃあ…。錦 椛。義によってあんたに味方するよ」

氷空「ありがたいね。それじゃあ行こうか」

 

 

シエスタ「やっと終わってくれましたか…。それでは行きましょうか…」

暁「御愁傷様」

 

 

 

 

 

 

シエスタの声を聞いたものたちは皆、とある場所を目指していた。そしてそこへ衣理と円が徒歩で到着。そここそ…紅皇子家だった…

 

 

 

 

葉百合「衣理!円さん!」

衣理「葉百合!えっと…。あの人たちは…?」

シエスタ「それについては今から皆さんに説明します」

そこに光と共に舞い降りたのはシエスタだった

 

 

 

 

 

 

シエスタ「皆さん、改めてお初にお目にかかります。私の名はシエスタ。皆さんに声をかけてここに集めたのは私です」

秋人「私は」

シエスタ「日輪 秋人さん。私は皆さんの名前を全て知っています。どういった人なのかも」

葉百合「単刀直入にお聞きします。あなたは何者なのですか?」

シエスタ「ある世界に存在する一人の人間が生み出した世界を見守る者…夢の管理者、それが私です。だけれどその人間は次第に大人になってその夢を思い出に変えて封印しました。そして私も思い出の鍵となって遠い記憶へ…。そうなるはずでした」

家鈴「なるはずだったとはどういうことですか?」

シエスタ「この世界はその思い出が形を変えて甦った世界。時折しか交わらなかった11の物語。それが無理矢理形を変えて一つになってしまったのです」

秋人「簡単に納得できないな…。想像の限界を越えている」

葉百合「この世界が無理矢理作られたというなら何か理由があるはずです。それはいったい…」

シエスタ「ごめんなさい、私にもわからないのです。ただ言えることは二つ。一つは最近までは違和感なく静寂を保っていたこの世界に危機が訪れてたこと。もう一つはこの世界を守るために、今回だけでいい。皆さんの力をお借りしたいんです」

秋人「あの超獣を倒すのか?それなら防衛軍やウルトラマンに…」

シエスタ「ごもっともです。ですが皆さんが今日まで撃退してきた存在は元の世界でも撃退していたものなのです。定められた存在同士がぶつかり合えば破壊と再生の対消滅が起きて世界を傷つけることはない…。ところがあの悪夢は本来のストッパーであるウルトラマンの力さえはね除け、彼らだけでは止められないほど力を増してしまいました。あれを止めるには他の力も借りなくてはならないのです…」

衣理「やろう!」

葉百合「衣理…!」

衣理「私は誰かの大切なものや人を守りたい!それが例えこの世界でも!夢だったとしても!」

シエスタ「衣理さん…。(やはりあなたが…最後だったんですね…)」

秋人「私たちSEASONも出来る限りの力を貸そう。おそらくあなたの声はあの子達(ガイアーディアン)にも聞こえている。そうじゃないか?」

シエスタ「はい。聞こえています。それと先日あなたたちに捕まった人たちにも…。彼女達の力も必要です」

秋人「なにっ…!?」

家鈴「我が徳川もお力になります。兵たちはすでに待機させています」

シエスタ「ありがとうございます。それでは作戦なのですが…」

 

 

 

 

秋人「突貫だな…。しかも一発勝負か…」

家鈴「さらに時間にも限りがあるとなればなおのこと急がなければいけませんね」

衣理「無茶でも何でもやらなきゃ…!でしょ?円」

円「あぁ。もうウジウジ悩んだりしてる時じゃない。散流無は必ず救い出す!」

葉百合「ではシエスタさん。号令を!」

シエスタ「これより皆さんのお力をお借りします。作戦名は…ドリームテイカー!(夢を奪い返すもの)お願いします!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

 

 

 

散々すれ違って来たんだ

いつも思いが合わなかったんだ

同じことを思っているはずなのに

だけど今わかったよ。どうしてなのか

さぁ。目を覚まして

 

 

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第十三話 光指す明日へ

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。シエスタが言ってる事はほぼ全てリアルです。この物語がどういう存在なのか、そのままの意味となります


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第十三話 光指す明日へ

こんにちは。これは奇跡か、それとも


紅「不知火、ロックは解けそうか?」

不知火「後数時間かかる…。セキュリティが固すぎる…」

篝「出たとこでどうする?どうやって逃げる?」

紅「今さっき頭の中に声が聞こえただろ?連中は必ずこのマシンを使おうとする。そうなればどこかで全員が油断するタイミングってやつが生まれる」

不知火「逃げるタイミングは任せるけどあんまりボサッとしてると本当にお縄頂戴するかもね…」

紅「そこは任せなって。さて、逃げるとは別に私らにも使命なんてご立派な物があるならやってやろうじゃんか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

散流無「…」

ヤプール「ふっふっふ…。夢は心地よいようだ」

???「ヤプールよ」

ヤプール「ん?貴様は…。ウルトラマンダークネスか」

ダークネス「我が主からの確認だ、本当に我々の力添えは必要ないのかとな」

ヤプール「あぁ。貴様たち闇のウルトラマンの力無くとも我々ヤプールの力のみでウルトラ戦士を殲滅し、この地球を献上して見せよう」

ダークネス「地球…。か」

ヤプール「不服か?」

ダークネス「この星にそれほどの価値があるのかと思ったまでだ。では我が主にはそう伝えておこう。危機に陥ったとしても自らでどうにかするのだな」

ヤプール「元よりそのつもりよ。自らの力のみでウルトラマンと人間どもを倒してこそ我々ヤプールの悲願は果たされる…!その時を楽しみにしておくといい…!」

 

 

 

アレグリア「よろしかったのですか?ご命令は必ず力になれとの事でしたが」

ダークネス「奴から拒否したのだ。あそこまで大口を叩くのなら事の顛末を見せてもらうまで」

 

 

 

 

 

 

 

衣理「見えてきた!」

防衛組織の車内からデッドレアの寝ている姿を確認する衣理たち。ウルトラマンが手出しできないうえに市民の一部が暴徒と化している以上、彼らに出来ることは少なかったがなにもしないより良いとは隊員全員の意見だった

「俺達が送ってやれるのはここまでだ!がんばれよ!!」

間近まで来ると迫る暴徒を防衛組織の隊員達が抑えてくれた。次第にデッドレアへ進むと目付きの怪しい人達が現れた

「ここまで来るとは…。消えてもらうしかないな」

人々は形を変えてその本性を現した。過去に地球へ侵略行為を働いた宇宙人たちが暴徒を指示していたのだ

衣理「行くよ!」

椛「待った!あんたらは先に行きな。ここはアタシが引き受けた!」

「人間風情が我々にぐあっ!?」

椛「あんま人間なめてたら怪我じゃすまねぇぜ?」

襲いかかったスラン星人の動きを見切っての一撃!他の通路からも悲鳴が聞こえてきた

「何事だ!?」

椛「さぁなんだろうな?行けっ!!」

一人で何十人もの宇宙人をなぎ倒して活路を開く椛!変身しようとした所、後ろから莉愛と飛鳥が前に出てきた

衣理「下がって!危ないから!」

莉愛「下がるわけないだろ。声が聞こえた以上、やるしかない」

飛鳥「私たちも協力します。いくわよ、莉愛」

二人が天に手を挙げると二つの光がそれぞれの手首に形をなした。それは…

円「エールブレス…!?」

莉愛「こんな子供がやりそうなことやりたかないけどさ。変身!」

飛鳥「ワガママ言わない!変身!」

二人は莉愛が白、飛鳥が桃色の光に包まれ中でアーマーを全身に順に装着、最後に形の違うヘルメットを被って変身が完了した

莉愛「これが…」

飛鳥「私たちの役目…」

衣理「私たちもいくよ!」

円「あぁ!」

未来「(コクッ)」

三人「努力変身!」

すぐに姿を変えて並ぶ五人。その状態は完全にテレビ番組のヒーローだ

衣理「名乗りは今回無し!二人とも!よろしくね!」

莉愛「ふん、勝手にすれば?」

飛鳥「今だけでも!」

 

 

 

散流無「ま…どか…」

ヤプール「どうやらまだ心残りがあるようだな…。あの軍団か」

 

 

 

空が割れて超獣軍団が現れる!地上から防衛チームの武器が進行を止めようとするが効き目が薄く、一時しのぎだ。超獣たちはまっすぐ円に狙いを定めて進撃する

シエスタ『円さん!逃げてください!狙いはあなたです!』

円「嘘っ!?」

衣理「円!」

迫る攻撃を防ぐ衣理、前には超獣、後ろには宇宙人軍団。絶体絶命の瞬間だ

莉愛「チッ!手間のかかる!ホワイトダミー!」

湾曲して莉愛の作り出した白い人形に攻撃が集中。すぐに壊れてしまったが衣理の負担を減らすにはちょうど良かった

飛鳥「衣理さん!」

衣理「えっと…」

飛鳥「女南 飛鳥。飛鳥でいいわ」

衣理「体が軽くなっていく…。回復?」

飛鳥「サポート専用なのかもしれないわ。私たちも今さっきの変身だから自分達の力の把握が遅れてるの」

衣理「(なんだろう…。この感覚…。初めてじゃない…)」

未来「衣理…、私のジャミングで少しなら気をそらせれる…。タイミングは任せるから…」

衣理「うん!とは言っても…どうやってあそこまで…」

デッドレアの元までは超獣達が立ちはだかる。こうして話している間にもどんどん距離を詰められている。だがその時、衣理たちの真上を何かが跳んだ!それは一匹の怪獣だった

衣理「あれは…!大阪城で助けてくれた…」

円「ゴモラ!」

軽快な動きと重い一撃で超獣を蹴散らしていくゴモラ。だが次々と空が割れて一匹、また一匹と超獣がどんどん投下されていく

椛「一体にあんな数出すなんざよっぽど自信が無いんだな」

数の力で圧倒する超獣軍団。膝をつくゴモラの後ろからまた巨大な影が飛び出した!鳴き声を轟かせて超獣へ攻撃を食らわせたのは…リドリアスだった。それを皮切りに空から、海から、地底から。地球怪獣達が次々と集まり、超獣軍団へ攻撃を仕掛けにいった!

葉百合「怪獣たちが…」

シエスタ「地球の危機に立ち上がったんです。私たちだけじゃない、怪獣たちは本能的なものであのヤプールの作り出した悪夢の危険性を察知してそれを止めようとしている…」

葉百合「不思議ですね…、いつもは恐怖の対象なのに、今はとても頼もしくて応援したくなります」

シエスタ「地球の怪獣たちが暴れるのは地球のリミッター的役割をしているからです。決して悪ではありません。地球に住む仲間なんです」

古代怪獣ツインテールがバキシムを締め上げ、突如地面が陥没!足をすくわれたバキシムへ地底から現れたグドンが両手の鞭で攻撃!同じようにリドリアスを襲う改造ベムスターにゴルメデが助けに入った!本来敵である関係でも今は関係ない。同じ地球のために彼らは戦っていた

ヤプール「おのれ地球怪獣どもめ!貴様らも超獣へ改造してくれる!!」

怒り狂うヤプールがさらに超獣を送り込もうとするが次元の裂け目が開かない。何事かと空を見ると次元の裂け目が閉じられていた!犯人は地球怪獣の中でも特に特殊な能力を持つエアロヴァイパーの仕業だった

ヤプール「おのれぇぇっ!!起きろ!デッドレア!!」

強制的に覚醒させられたデッドレア。そのデッドレアの前に立ちふさがったのはミズノエノリュウだった

ヤプール「全てを消し飛ばせ!デッドレア!!」

無差別光線をバリアで相殺すると足元を崩して地底から地球怪獣たちがデッドレアを押さえつける!

 

秋人「各機、準備はできたな?」

雪「はい!行けます!」

夏希「こっちもOKだ」

隆治「泥棒ども!変なことすんなよ!」

紅「このような時に無粋な事はしない」

秋人「桜庭!」

春姫「こっちも準備できました!」

秋人「今回試作段階の季節影響を受けないフレームを私たちは装備している。もしもの時は季節柄お前が便りだ、頼んだぞ」

春姫「はい!」

秋人「各機!発進!!」

春姫「ガイアーディアンHS!桜庭 春姫!コンディショングリーン!!」

夏希「ガイアーディアンSN!抜錨!!」

秋人「ウェイク!ガイアーディアン秋人機!レディ!!」

雪「ガイアーディアン雪機、参ります!」

最初にガイアーディアン四機が飛び出すと続けて四つの機体が射出カタパルトに乗った

隆治「ヴァルハランス!出陣!!」

紅「アースエンジェル。降臨(これ言わないと出撃出来ないとかバグだろ)」

篝「レビーシャ、浮上(ちょっとわくわくするな…)」

不知火「ガルスカルーダ、飛翔(改めてシステムが独特ね…まるで…)」

合計八機の機体が地上に立ち並ぶと怪獣を払いのけたデッドレアが咆哮をしながら迫る!

秋人「来るぞ!」

散開して突進をかわすと着地と共に超獣が襲い来る。ガイアーディアンは超獣に比べて軽量のため攻撃をかわしながら反撃。ヴァルハランスは真っ向から槍をさばいて迎撃する

紅「こっちにも来る!」

赤い体に天使の名を持つと思えない程の重武装。ミサイルなどの実弾を主に扱うのが紅が乗ってしまったアースエンジェルだ。ベロクロンがミサイルの雨を降らせる。紅の乗るアースエンジェルは肩や胸部のハッチを開くとこちらもミサイルを放った

紅「(音声発動式なのがムカつく…)ホーミングミサイル!!」

ミサイル同士がぶつかって爆発する。紅はその瞬間も見逃さない

紅「ロケットスマッシャーパンチ!!」

マニピュレータを飛ばして鉄拳攻撃!それに当たって体制を崩した超獣達へ追い討ちが放たれる

紅「アームバルカン!!」

手首を兼ねたミニガンが高速発射。弾が次々と超獣の体を撃ち抜いていく!この時しぶしぶやってた紅はどこか嬉しそうにしていた

篝「ウォーターマグナム!!」

こちらは青い機体カラー。すらりとしたシルエットにイルカをイメージした手首や後頭部のフィンが特徴のレビーシャだ。この機体の特徴は…

篝「飛べるのか…!」

エネルギーが水であり攻撃も水、その水を噴射すれば空も飛べるという機体だ

篝「リップルカッター!」

飛んでくる飛び道具を水の刃で撃ち落とすと強烈な激流を噴射して超獣と距離を開けた

篝「今だ!」

超高速で何かが通り、超獣達をなぎ倒す!その衝撃波は少し遠くの超獣まで吹き飛ばしていた。それこそ不知火の乗ったガルスカルーダがただ加速して通っただけだった

不知火「くっ…!衝撃が…!」

ガルスカルーダ。緑色の機体色と大きなウィングを持つ加速に特化した機体だ。その加速力は瞬間でマッハ9、加速し続ければ青天井という恐るべき性能を持っている

紅「大丈夫!?」

不知火「なんとか…!」

ただの移動で超獣を蹴散らしていくガルスカルーダ。道が再び開けると衣理達が走り抜ける!その光景にヤプールはさらに怒り狂う

ヤプール「おのれぇぇぇっ!!」

デッドレアの攻撃がエアロヴァイパーに当たり、力が弱まった事で超獣を塞き止めていた空のヒビが割れる。そのヒビの中からエースキラー、エースロボット、バキシマム、蟷螂超獣マーディラス(オリジナル超獣)が飛び出す!だがこれ以上の邪魔はさせまいと五匹の怪獣が突如として現れた。それはカプセル怪獣。ミクラス、ウインダム、アギラ、セブンガー、ミラクロンだ。五匹はバキシマムとマーディラスを押し込む形で退けるがエースキラーとエースロボットは衣理達を狙う。そこに飛び蹴りをしながら巨人が現れた

隆治「ダイナ!?」

深右『違げぇですわボケナス!あれはニセウルトラマンダイナ!グレゴール人の化けた偽者ですわ!』

すばやい動きでエースロボットとエースキラーを圧倒するとニセダイナはテレパシーで呼びかけてきた

グレゴール人『急げ。長くは手を貸さない』

それを聞いて走り続ける五人。数々の協力の元デッドレアの近くまでたどり着く

シエスタ『今から私が動きを止めます!その間に散流無さんに呼びかけてください!行きます!』

デッドレアの目の前に単身瞬間移動したシエスタはありったけの力でデッドレアの意識を昏倒させて眠らせる。額のクリスタルが緑に輝き五人が一斉にそこへ飛びかかる!

円「散流無!アタシだ!!迎えに来た!!」

散流無『なんやねん…いまさら!帰れや!!』

眠ったまま周囲へ無差別にテレパシーを投げつける散流無。その嘆きはシエスタにもはるか遠くで待機していた葉百合たちにも届いていた

衣理「散流無さん!私は衣理!あなたと私はなんの繋がりもないけど…!私はあなたを救うために来た!円の力に!あなたを悪夢から解放するために!」

散流無『余計なお世話や!みんななんかいらんねん!ヤプールのおっちゃんだけがウチに居場所をくれたんや!!ウチの夢を叶えてくれるんや!!あんたらにそんなことできるんか!?』

莉愛「るっせーよ!他人から貰った夢で満足してんじゃねぇ!!本気で思うなら叶えてみせろよ!!」

飛鳥「そうよ!確かに私達に散流無の夢を叶える力は無いわ!でも…!支える事はできる!」

未来「確かに貰った夢も魅力的かもしれない…。でも…あなたが本当にそれを望んでいるの…?誰かに敷かれたレールに沿って歩いて…あなたはそれで満足なの…?それがあなたの夢…?」

散流無『ウチの夢…は…、デザイナーになりたかったんや…。でも…家が許してくれへんねや…!そんな奴等はごまんとおる!夢を親に否定されて!よりにもよって一番の理解者に認められへん!そうやって夢が砕かれる奴等と同じになりたくあらへんねん!!』

円「諦めんなよ!一緒に親父を説得する!もうアタシは逃げない!!散流無の夢と向き合う!アタシのために選んでくれた夢なんて思わない!!あんたの夢は!アタシの夢なんだ!!」

散流無「…っ!?なっ、何を今さら…!」

衣理「散流無さん!いや、散流無!!手を伸ばして!!私達はいつでも夢を繋ぐから!!その手を離さない!!私達は…!!仲間で友達だから!!」

散流無「仲間で…友達…」

円「散流無っ!!」

クリスタル越しに手が重なると彼方から虹色の光が散流無の腕に光を宿す。その光はクリスタルをガラスのように砕いた!!

衣理「やったぁ!!」

円「散流無!!」

散流無「円!!」

先に地上へ降りた未来、飛鳥、莉愛は安堵するがすぐに三人に呼びかけた

莉愛「避けろ!!」

シエスタが抑え込んでいたデッドレアが覚醒!光線を乱れ打つ!!それをバリアで防ぐが衝撃で空中を大きく舞う三人。円と散流無が遠くへ飛ばされたしまった

衣理「ダメっ!!」

自分の事を後回しに飛ばされた二人にバリアを張る衣理。背後からはデッドレアの光線が迫っていた!

衣理「え…あ…」

未来「衣理…!」

光線は確実に高さを合わせていた。衣理は驚きつつも目をつぶって祈った

衣理(せめて…!円と散流無だけでも助かって…!!)

凄まじい音と共に光線が空を裂く。その光景に全員が唖然とした。容赦ないその攻撃をしたデッドレアの額の砕けたクリスタルは赤く輝いていた

ヤプール(デッドレア憑依)「目障りなハエめ…!!ようやく一人片付いた!!次はお前達の番だ!!」

???「違うな!次は貴様の番だ!ヤプール!!」

町のあらゆる所から光が狼煙のように輝く。それはヒーロー達が満を持して現れる兆候だった。光の中でその姿は次々と巨大化していく!まずは六つの光がデッドレアの前に立ちはだかった

ヤプール「貴様らはウルトラ六兄弟…!!」

ウルトラマン「ヤプール!お前の企みもここまでだ」

ウルトラセブン「お前はまたしても人間の強さを見誤った!」

帰ってきたウルトラマン「人間は確かに我々からすれば小さく、弱く、そしてどこまでも残酷だ。だがそれに相対する優しさ、強さ、勇気を持っている」

ウルトラマンエース「貴様は夢を踏みにじった!そしてその偽りの夢で支配したと慢心していた!それこそが貴様の敗因だ!!」

ウルトラマンタロウ「夢というものは儚く辛い道程だ!だが夢の先にはまた新しい夢が溢れている!挫けてもいい!挫けて初めて諦めない心を知れるんだ!!」

ゾフィー「我々ウルトラマンも同じだ。宇宙の平和を願い続けている。そして何度敗北しても何度でも立ち上がる!夢を愚弄するお前に我々は幾度も立ち向かう!そして必ず勝利する!!」

 

 

 

 

推されていた地球怪獣を助けるようにまず先陣を切ったのはウルトラマンレオ、アストラ、ウルトラマン80、ユリアンの四人だった!華麗な蹴り技とコンビネーションで超獣達をなぎ倒していく!

 

 

場所は変わって超獣達を空から四人のウルトラマンが強襲!ウルトラマンジョーニアス、ウルトラマンスコット、ウルトラウーマンベス、ウルトラマンチャックが持ち前のパワーで次々と叩きのめす!

 

 

地上から巨大化したグレート、空から光と共に降臨したパワードがその独特なバトルスタイルで超獣を撃退!少し離れてウルトラマンネオスとウルトラセブン21がシンプルかつパワフルに立ち回る!そしてウルトラマンゼアスとウルトラマンナイスも攻撃を受けながらも立ち上がり各個撃破していた

 

 

 

 

衣理「ん…」

衣理は目を開いた。そこは街を一望できるほどの高度だった。確か自分は光線に…

???「間一髪でシタ!」

衣理「サーシャ!?」

衣理を支えて飛んでいたのは変身したサーシャだった。さしづめガンバイエローと言った所だろうか

サーシャ「衣理たちの力になりたい…。そう願ったら変身出来マシタ!」

衣理「ありがとう!それと円たちは…!」

サーシャ「あっ!あそこデス!」

かなりの高度にも関わらずバイザーで位置を把握するサーシャ。地上ではビルをつたって円が散流無をおんぶしながら逃げていた

円「懐かしくない!?昔よくおんぶしてたろ!」

散流無「そないな話しは逃げきってからや!早よ脚動かしいな!」

円「だったら痩せろ!」

散流無「ウチはスレンダーやアホ!!」

そんな会話の最中戦闘の余波で空中に投げ出された二人はスローモーションのような感覚の中で目の前が真っ白になる。目を空けると空中だが何かの上に乗っているようだった。それは…

 

円「ウルトラマンティガ…!」

 

 

散流無「ウルトラマンダイナ…!!」

 

 

降臨した二人の巨人は円と散流無をゆっくり地面へ下ろすと振り向く。迫る超獣、その目の前に2つの光が大地を揺らして舞い降りた!ウルトラマンガイアとウルトラマンアグルだ。四人は並ぶと超獣へ立ち向かっていく!

 

 

 

秋人「各機!まだ行けるな!?」

隆治「あたぼうよ!!」

春姫「ウルトラマンだけに任せっきりじゃ人間じゃない!!」

苦戦しながらも立ち向かうガイアーディアンたちの前に助太刀するべく現れたのはウルトラマンコスモス、ウルトラマンジャスティス、ウルトラマンネクサス、ウルトラマンマックス、ウルトラマンゼノン、ウルトラマンメビウス、ウルトラマンヒカリ、ウルトラマンゼロの八人だ。それぞれが八機のロボットと協力して戦っていく。こうして初代ウルトラマンからウルトラマンゼロまでのウルトラ戦士が揃い踏みした

 

 

衣理「これが…。ウルトラマン…。光の奇跡…!」

 

 

 

 

ヤプール「どれ程数を揃えようとも!!」

ウルトラ兄弟の連携に追い込まれるヤプール。今ヤプールの目の前にはウルトラマン、地球怪獣、人間達が手を取り合っている過去に例を見ないほどの奇跡的光景が広がっていた。デッドレアがいくら強くともこれには敵わない

ゾフィー「みんな!力を貸してくれ!ヤプールを倒すために!」

シエスタ「皆さん!」

秋人「お前達!気持ちを込めろ!きっとこの思いは届く!」

 

ゾフィーの思いが怪獣や人間など種族を越えて響く。人とウルトラ戦士達は光を、怪獣は生命エネルギーをウルトラ6兄弟へ送る!

 

 

 

ヤプール「こ…この光は…!」

 

 

黄金に輝く戦士達。その六つの光はそれぞれ別の形で解き放たれた!ゾフィーは構えがそのままのフルパワーのM87光線。初代ウルトラマンは大きくエネルギーを貯めてギガ・スペシウム光線。ウルトラセブンはプロテクターから全身へエネルギーをチャージしてネオ・ワイドショット。帰ってきたウルトラマンはブレスレットを増幅機としてシネラマショット。ウルトラマンエースは腕を下で交差させ上へ広げる動作をした後に腕を大きく振りかぶってスーパーメタリウム光線。ウルトラマンタロウはウルトラダイナマイトと同じ力の溜めを行うとストリウム光線のシークエンスへ続け、ダイナマイトストリウム光線を放った!

 

 

ヤプール「ぬっ!ぐおおおおっ!!!」

エース「ヤプール!!これで…。止めだっ!!」

ヤプール「やらせんっ!!この程度打ち返してくれる!!」

負けるものかとデッドレアで光線を放つも奇跡が集結したそれら六つの光に敵うこと無くヤプールは暗雲を貫通して大気圏を突破。何処ともわからぬ宇宙の果てまで光線で押されて大爆発。その爆発は地球から目視でき、さらに爆風までもが届いていたのか暗雲を消し去った!地上にはその余韻か春風がふわりと桜の花弁をさらっていった

 

 

衣理「やったぁぁぁぁぁっ!!!」

 

地上では歓喜の声、怪獣達も一度雄叫びをあげると空や海、山から地中へと帰って行き、ウルトラマンたちも空へ飛び去った

春姫「やれやれですね。みんなボロボロですよ」

秋人「終わったのか…。みんな、ご苦労だった」

隆治「ああっ!三機のハッチ空いてんぞ!」

秋人「なっ!?逃げられたか…」

隆治「まだ乗った感想聞いてねぇぞ!!」

秋人「そこではないだろ…」

 

 

 

 

紅「ナイスタイミングだっただろう?」

篝「ギリギリだろ。ともかくしばらくは大人しくしておかなきゃな」

不知火「でもデータは取れた…。これを交渉に使えばもう一回捕まっても逃げれるかもね…」

 

 

 

 

 

散流無「迷惑かけてすんませんでした!!ありがとうございます!!」

秋人「いや、地球と人類を守るのが私たちの本来の責務だ。気にすることじゃない」

椛「さてと…。用がすんだならもう行ってもいいかい?シエスタ」

シエスタ「別件で用がありますので待っててください」

衣理「…。(なんだろ…。私はこの人達のことを知っている…。もっと昔から…。でもいつ出会ったんだろう…?)」

 

 

 

 

 

 

一週間後…

 

 

 

 

 

あれから街に怪獣たちは出現しなくなった。怪盗騒ぎもニュースに出てなくて…、なんだか不思議な気持ちだった。当たり前であったことが当たり前じゃなくなる。喪失感とでもいうのだろうか

 

 

 

あの事件の後に私達、私と円と未来。サーシャに散流無に飛鳥、莉愛、葉百合は改めて友達として交流が増えた。八人で集まって、八人で遊んで、八人でお出掛けしたり八人でお泊まり会もした。なのに…。新鮮味をなぜか感じなかった

 

 

衣理「どうしちゃったんだろう…。私…」

 

公園の池に映る私の顔は自分でも酷いと言えるほど暗くなっていた。溜め息を付いたその時、一人の男性が声をかけてきた

???「すいません。衣理さん…ですよね?」

衣理「あなたは…?」

その男性は周囲を気にして残念そうに口を開いた

勇気「僕は神居 勇気です。もっとも地球での名前ですが…」

衣理「宇宙人…?」

勇気「待ってください!僕は敵ではありません!」

疑う私の頭の中に声が聞こえてきた。すると意識は頭の中に吸い込まれるように見ているものが変わった

衣理「ここは…」

勇気「衣理さんの頭の中です。安心してください、記憶には干渉しません」

そう言って光に包まれた勇気さんはその姿を変えた

ブレイブ「僕はウルトラマンブレイブ。この地球を侵略者から守るためにM78星雲の兄弟星であるN87星雲のウルトラマンです」

衣理「うそ…。これって夢…?」

ブレイブ「そう…。ですね、夢でもあり現実でもあるでしょう」

衣理「それってどういう…」

ブレイブ「…。要件は二つ、一つはこの地球からウルトラ戦士達が去ります」

衣理「えっ!?」

ブレイブ「僕のふるさと、N87星雲はとある存在によって滅亡しました。その存在というのが…。暗黒宇宙大皇帝 エンペラ星人の怨念が具現し生まれたエンペラドラゴンです」

衣理「それが地球に来ると…?」

ブレイブ「わかりません…」

衣理「…?」

ブレイブ「奴は地球に来るはずだったんです…」

衣理「え…?何言ってるの…?」

ブレイブ「ここからが二つ目です。衣理さん。本当に僕を覚えていませんか?」

衣理「覚えてるも何も初対面…」

ブレイブ「…。ではお話ししましょう。この物語のお話しを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンブレイブから話された信じられない真実。それはこの世界を、いや…。この物語の根底からひっくり返すようなものだった。衣理は真実を確かめるためにシエスタを探す

 

 

 

 

次回 Primal Apocalypse 第十四話 もっとも遠くて近い場所

 

 

 




お疲れさまでした。


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第十四話 もっとも遠くて近い場所

 

 

ブレイブ「…。ではお話ししましょう。この物語のお話しを」

衣理「この…物語…?」

ブレイブ「えぇ。今から十数年前。一人の人間がこの世界を想像しました。僕たちはその世界出身です」

衣理「にわかには信じられない…。じゃあこれ全部夢なの?」

ブレイブ「いえ、現実でもあります。ですが実在するしないの曖昧な境界線にいると言えばいいでしょうか…とにかくこの世界はとても不安定な存在なんです」

衣理「なんでそんなことに…」

ブレイブ「僕たちと衣理さんの世界は元々は別の世界だからです。他の世界も混ざっているようで本来交わらない世界が一つになってしまっているんです」

衣理「どうしてそんな話を私に教えてくれるの?」

ブレイブ「…。この世界は間違ってると僕が思ったからです。そして思い出したんです。大切なものを」

衣理「大切なもの…?」

ブレイブ「シエスタさんに会ってください。そうすればあなたも…」

 

 

光に包まれて意識が戻った衣理の前からブレイブは居なくなっていた。衣理は居ても立っても居られず走り出した

 

 

 

衣理「この世界って…。物語って…。そして…記憶って…」

その時、携帯が着信を知らせてきた。衣理は足を止めるとその着信に応じた

衣理「円…。もしもし?」

円『衣理?どこにいるんだ?』

衣理「…。その前に、みんないる?」

円『お?おう、七人いるけど…』

衣理「今から言う場所に皆で来て、お願い」

 

 

 

衣理「…。これで皆を巻き込まずに行けるはず。ごめん…!」

 

 

携帯の電源を切ってまた走り出す衣理。なぜかわからないが自然と足が動いていた

衣理「なんでだろう…。この先にいる気がする…」

???「待った!」

その時、まるで瞬間移動のように目の前に三人の少女が現れた。衣理は少し身構えた

衣理「だ、誰!?」

有理香「敵じゃないさ。私は蝶宗我部 有理香。この間協力してた者だよ。君さ、あの女神様に用事があるんだろ?」

衣理「そ、そうだと言ったら…?」

有理香「私達も実はあの女神様に用があってね、もしよかったら一緒に行こうじゃないか」

燃炎「灰野 燃炎(はいの もえ)よ。よろしくね」

照麗茶「先斗 照麗茶(ぽんと てれさ)。よろしゅう」

有理香「私達はみんな超能力者でね。私がサイコキネシス。燃炎がパイロキネシス。照麗茶がテレポーテーションだ」

衣理「ど、どうも…。どうしてそんな皆さんが女神様…シエスタさんに用が…?」

有理香「どうしてだろうね?それは君も知ってるんじゃない?」

衣理「えっ…」

有理香「さあ、行こう」

 

 

 

 

葉百合「衣理…。電話も繋がらなくなってる」

散流無「充電無くなったんとちゃうやんな?」

莉愛「どうするよ?このまま待つか?」

円「もう少し待って来なかったら皆で探そう」

未来「…。衣理…」

 

 

 

 

 

衣理「ここら辺に感じるものがあったんですが…」

有理香「参ったな…。こんな時あいつらがいれば…」

衣理「あいつら…?」

有理香「私達の知り合いだよ。物探しに特化した超能力者がいたんだ」

衣理「居たって…。まさか…」

有理香「大丈夫。生きてると思うよ、それよかじっとしててね」

肩をポンと叩くと三人は神経を集中。すると照麗茶が目を開いて何処かに一瞬で転移した

衣理「な、なに…!?どこですか!?」

照麗茶「驚かせてしまってごめんなさいな。あたしのテレポーテーションやで」

有理香「居るんでしょ女神様。出てきなよ」

 

暗いその部屋の壁がひび割れ、そのひびから光が漏れて一面を包み込んだ。そして目の前に半透明から色を付けるようにあの女神、シエスタが現れた

 

シエスタ「有理香さんですか…。どなたかと思いましたよ…」

有理香「おやすみ中だったようだけどごめんね。こちとら緊急事態だ」

シエスタ「なんでしょうか…」

有理香「クレアと心が消えた。しかも私達以外覚えてない」

シエスタ「えっ…!?」

衣理「誰ですか…?」

燃炎「私たちの知り合いよ。クレアボイアンス(見通し)を持つクレア・マッケンジーとサイコメトリー(感情察知)を持つ名取 心(なとり こころ)。つい三日前に忽然と消えてしまったの」

シエスタ「そ、そんな…。(小声)ありえません…早すぎる…」

有理香「今なんて言った?ありえないだって?現実に起きてるんだけど」

シエスタ「い、いえ!ありえないと言ったのは…。そ、それにどうして衣理さんが…!?」

完全に目を覚ましたシエスタは目に見えて動揺していた。衣理はそんなシエスタに追い討ちするわけではないが自分の用件を口にした

衣理「私は確かめに来たんです。この世界ってなんなの?この物語って?それに私はいったいなんなの!?」

シエスタはその一件一件に驚きを隠せていなかった。少し考えた後に再び口を開く

シエスタ「わかりました…。まずは有理香さんたちと衣理さん。お二人の用件について答える前にお話しします。この世界について」

 

シエスタ「まず最初に。これはすべて真実です。嘘などではありません。いいですね?では…。今から十数年前。一人の人間がこの世界を想像しました。その世界には複数の物語が生まれました。そして最初に生み出されたのがはぐにっきという八人の少女たちが様々な怪事件を調査。戦国大名が残した腕輪で変身して事件を解決する物語です」

衣理「それって…!」

シエスタ「あなたたちのことです、衣理さん。そして次に作り出されたのがウルトラマン達が宇宙平和を脅かすものたちと戦うウルトラマン超光伝説(ちょうこうでんせつ)です。今現在この世界にはそのシリーズ二作目、ウルトラマン超光伝説Braveryが展開されているようです」

有理香「シリーズね…」

シエスタ「続いて凄腕スナイパーが数々の悪人を暗殺するスペードスナイパー。その続きとも言えるデッドスパーク。その次に三人の怪盗姉妹が暇潰しと鬱憤ばらしに盗みを働く真っ赤っ華三姉妹」

衣理「それって…!あの怪盗のこと!?」

有理香「スペードスナイパーってこの間一緒に君たちのサポートしてたよ。まさか手引きしたのが女神様なんてね」

シエスタ「次に季節変形物語 春夏秋冬シリーズです。死鬼と呼ばれる季節を壊す鬼を倒すために地球が生み出した生体機械ガイアーディアン。そして戦いに疲れたガイアーディアンが休眠している間、天才少年グループが作った四機のマシンが死鬼と戦うディザイアローディという物語。その間に作られたのが徳川家鈴を守るために先祖代々徳川家に仕える家臣の子孫達が奮闘する我ら徳川親衛隊シリーズです」

衣理「家鈴さんもだったんだ…」

シエスタ「まだあります。密かに研究所で実験されてきた超能力者の少女たちが解放。全うな学園生活を送るために頑張る超能力者の居るところ。有理香さんたちのことです。続いて風来坊が世界中の強者と戦う旅をするにしきのとーりシリーズ。そして私…。人の夢に眠る思い。過去や願いなどを迷える人に開示して一時の幸せへ導く物語、ゆりかごのお姫様。これらの物語が全て一つとなってしまったのがこの世界です…」

有理香「一つになるとやっぱりばつが悪かったりする…?」

シエスタ「もう少し細かく言いましょう…。まずウルトラマン超光伝説は全く別の世界線です。彼らは本来、この世界を作った人間の憧れから生まれた存在。こちらの世界には干渉せず、ですがあちらの世界では私達は一般人として暮らしているという設定です。次にはぐにっき、衣理さんたちのお話しです。これと関わりがあるのはウルトラマン超光伝説以外の全部です。ですが時系列が異なります」

衣理「時系列って…。じゃあ今の状況っておかしいってこと?」

シエスタ「ええ、…2008年、はぐにっきが始まる。その一年後、真っ赤っ華三姉妹が活動を開始する。同時期にスペードスナイパーが始まる。そしてその半年後にガイアーディアンが起動。春夏秋冬が始まり、またその一年後にディザイアローディが始まります。衣理さんたちはぐにっきのメンバーが三年生になったタイミングで徳川親衛隊シリーズが始まります。またその半年後には有理香さんたち超能力者の居るところ。卒業後ににしきのとーりシリーズが活動し、私のゆりかごのお姫様はそれら全ての物語に横入りで存在していたというのが正しい時系列です」

有理香「じゃあ今は異常って訳だ。なんせどう見ても後半年で卒業しますって雰囲気じゃない」

衣理「というか私、今年の春から高校生なんですが…」

シエスタ「それに加えてそれぞれの物語はシリーズとして関連性を持たない限りはお互いに不干渉です。本当にごく稀に一度きり関わる程度でした。所が今はこの通りです。時系列やいわゆるクロスオーバーもあったものではありません。もはや完全に一つの世界となり、一つの物語になってしまっているのです」

有理香「もしかしてクレア達が消えたのは…」

シエスタ「…」

衣理「…」

有理香「…黙るなよ女神様」

シエスタ「…クレアさんと心さん。お二人の存在…、設定が消されたからです」

有理香はそれを聞くと下を向いて舌打ちをした…

衣理「ま、待ってください!設定が消されたって…」

シエスタ「私も含めて皆さんはこの物語の登場人物です。漫画やアニメのように定められた過去や歩んでいく未来があります。お二人はそれを消されたんです…。だから覚えているのがこの世界と物語にとって特異点である私たちしかいない…」

有理香「どうすれば二人は元に戻る?あんたなら知ってんだろ?」

シエスタ「世界が元の形に戻れば可能性はあります。簡単な話ではありませんが…」

有理香「やり方は?」

シエスタ「わかりません。元々私は皆さんの世界に横入りする形で活動しています。言わば完全にイレギュラーなんです」

衣理「その…。創造した人にお願いしてみるのはどうなんですか?」

シエスタ「それは簡単な話ではありませんね…。世界が違いすぎます。そもそも世界の壁というのはおいそれ誰でも越えられるわけでもありませんし行けない世界もあります。私の横入りでも皆さんの世界限定ですからね」

有理香「面倒くさい話だね…」

シエスタ「方法があるとすれば…。一つ」

とても暗い表情で呟くシエスタ。その目線の先には衣理がいた

シエスタ「その可能性の前に、衣理さん。あなたについてご説明します。ですが正直なことを言うと私は気が進みません。有理香さんたちと違ってこれから先に起こることも含まれているかもしれないからです」

衣理「えっと…。どう言うことになるんですか?」

有理香「明日買う宝くじが外れるって知ってて買う奴はいないってことさ。未来を見聞きしてしまうってのは本来あるべき流れの摂理に反するからね」

シエスタ「衣理さん。それでもあなたは自分が何者なのか聞きたいですか…?その勇気はありますか?」

衣理「…」

 

 

 

 

 

 

 

飛鳥「いた?」

サーシャ「ダメデスね…。見当てりしません…」

散流無「見当たりな」

葉百合「エールブレスもダメみたいですね…」

莉愛「どーこ行ったんだが…。あ…?」

未来「エールブレスが…。光だした…」

円「もしかして衣理の場所まで案内してくれてるのか…!?行こう!みんな!」

 

 

 

 

 

 

衣理「覚悟は…。出来てます…!」

シエスタ「…。わかりました。それでは約束通り、あなたに全てを明かしましょう」

衣理「!!」

 

???(いずれその時が来たならば…あなたに全てを明かしましょう)

 

 

衣理「もしかして…。私が初めて変身した時の声って…!!」

シエスタ「私です。あの時は衣理さんに本来の役割を果たさせるために私という存在を知られるわけには行かなかったのです。知っててイレギュラーというのは難しい立ち位置なのですよ。…衣理さん。まず最初にお伝えすることはあなたは全ての記憶を削除されてこの世界に来ました。そうしなければ行けなかったのでしょう。なにせあなたは私以上に世界に干渉できるのですから」

衣理「えっ…」

シエスタ「実感が湧かないのも無理はありませんね。あなたは…この物語において究極の特異点。もっとも最初に作られたキャラクターでありこの世界の記憶を全て持っているデータベースでもあるのですから」

そう言うとシエスタは衣理の額に指を当てる。その時、衣理は瞳孔を開く…。頭の中に突如として様々な記憶、風景、言葉が雪崩れ込んできた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブレイブ「僕はウルトラマンブレイブだ!!…」

有理香「私達はモルモットなんかじゃない!!…」

未来「どんな勉強でも私の退屈しのぎにはならなかった…」

隆治「動け!アースエンジェル!くそっ!…」

春姫「ここでやらなきゃもっと人が死ぬ!目の前で助け…」

氷空「どうしようも無い奴がいるって知っ…」

散流無「ウチは…!夢を叶えたいです…!」

椛「こうやって死ぬのを望んでいたのかもしれない…」

刹那「お待たせしました家鈴様…」

サーシャ「皆ががいたから、この国が好きになったのかも…」

暁「ロハで死ぬほど安い男に生まれたつもりはねぇよ…」

紅「あんたら親はいつもそうだ!あたし達子供を…」

篝「金持ちに生まれて家出なんてなかなかできることじゃねぇな…」

シエスタ「これが…不幸…」

飛鳥「友達なら守ってあげたい。そう思うことは…」

莉愛「うるっせぇよ!!今更親面すんなよ!!…」

不知火「姉さん達が目立ってくれるから私は静かに下積みができる…」

葉百合「私だってガンバルンジャーなんだから!…」

円「私達、これからもずっと友達で…」

 

衣理「っ!!」

 

 

 

 

最後に見えたのは白黒の景色。学校の階段。屋上。柵の向こうに横並ぶ靴。そこから見下ろした景色に赤い色…

衣理「どうして…。みんな…」

 

 

 

 

 

 

衣理「あああああっっ!!!!??!?どうして!!!??みんな…!!」

燃炎「ちょっ…!大丈夫!?」

有理香「女神様!何したんだ!?」

シエスタ「全てを明かしました。この世界に存在する物語、その本来の過去と未来の全てを」

照麗茶「キャパシティが完全にオーバーしてもうとる…。心壊れてまうで!!」

シエスタ「…」

有理香「もっとやり方があっただろ…!まだ高校生にもなったばかりなんだぞ!!」

シエスタ「では記憶を小出しにしてバラバラに開示すればどうなると思いますか…?もっと酷くなるんですよ…!!記憶に矛盾が生じてもっと酷くなる!!これが衣理さんの望んだ結果なら私はそうせざるを得ないのですよ…!」

有理香「思っていたより不器用な女神様だったんだな…!」

シエスタ「なんとでも言ってくださって結構です。それにこれは賭けでもあるんです。この世界を救うための」

有理香「どういうことだ…?」

シエスタ「衣理さんが全ての記憶を持つことでこの歪んだ世界に確変が起きるかもしれない。私はそう思ったのです」

照麗茶「女神様。ウチら心ちゃんとちゃうねん。自分だけ納得したようなこと言わんと教えてもらえへんやろか?もうあんさんだけの問題やあらへんのや」

 

未来「ここで光が止まってる…」

飛鳥「いや…。何か…そこにあるわ…」 

六つのエールブレスが共鳴すると小さな光の穴が開いた。その穴を覗くと衣理が両ひざをついて両手で頭を押さえている光景が見えた

葉百合「衣理!」

七人の心は一つだった。お互いに手を繋いで小さな光の穴へ一斉にぶつかった!

円「衣理ぃぃぃっ!!」

 

 

シエスタ「そうですね…。では改めて言います。この世界は…近いうちに破滅します」

ガラスが割れたような破裂音と共に光をちりばめて円、未来、サーシャ、散流無、飛鳥、莉愛、そして葉百合が空間の中に転がり込んできた!四人は何事かと驚く

シエスタ「なっ…!皆さん…!?」

莉愛「いって…。なんだここ?」

円「衣理…!おい!大丈夫なの…か…?」

シエスタ「…」

自分達から目を背けようとするシエスタを見ると円は一瞬のうちに変身して殴りかかった!だが見えない壁のようなものに阻まれてシエスタには届かない

円「なにをしたんだ!!あんたは味方じゃなかったのか!?散流無の件は本当に感謝している!仕切れないほどに!だけども!」

シエスタ「待ってください!まずは話を聞いてください!」

散流無「円、まずは話聞こうや」

円「散流無…!」

散流無「落ち着きぃな、ちゃんと説明してくれるんやろ?」

シエスタ「えぇ。貴女達にとっても大切なお話ですから」

 

 

 

 

 

 

 

ブレイブ「衣理さん…。…っ…!?」

雲一つ無い青い空が突如真っ白になった。新品のキャンパスのような白さの中にブレイブは何かを見ていた

ブレイブ「まさか…!衣理さん達を消すつもりなのか…!?」

ブレイブが見ていた所から光が眩しく地上を照らす。白い塗料を一滴落としたように何かが地上へと音もなく落ちてきた、それは…

ブレイブ「くっ!ブレーイブ!!」

 

 

 

 

 

シエスタ「ということなんです…。とても呑み込める内容ではないことは承知なのですが…」

有理香「そんでもって私達はこのお話を聞きに来てたのさ。そこに居合わせたのが衣理ちゃんってわけだ」

飛鳥「そんなことが…」

莉愛「現実味がないよな…。だったらなんで私の人生をこんなんにしたのか聞きたいぐらいだ」

シエスタ「衣理さん…」

酷く衰弱してはいたがどうにか話せるぐらいにまで落ち着いた衣理。記憶の整理をしていた彼女は何かを思い出したようにシエスタに問いかけた

衣理「そ、その…。ウルトラマンブレイブってわかりますよね…?」

シエスタ「えぇ、それが…?」

衣理「そのブレイブから二つの用件を言われたんです…。一つはウルトラマンが地球から去ること、もう一つが自分の事を覚えていないのかって…」

シエスタ「…!?あ、あの、どうして地球から去るって言ったんですか…?」

衣理「確か…エンペラドラゴンが地球に来るはずだったってことだけ…」

シエスタ「…」

これまでにないくらい青ざめるシエスタ。誰が見ても動揺していることが目に見えた

シエスタ「…。合点が行きましたよ…、有理香さん。クレアさんも心さんが消えた一件と関係があります…」

有理香「本当かい!?」

シエスタ「私はとんでもない勘違いをしていました…。設定が消えたり破滅するのは世界が一つになったことによる時系列の崩壊だと思い込んでいていたんです…。でも違ったんです」

照麗茶「んー?でもさっき女神様自分で世界が一つになって破滅するからクレアと心ちゃんが設定消されたって言うたやんな?」

シエスタ「はい。それはこれからお話しすることと繋がります。この世界はおそらく時系列の矛盾を無くすためにパズルのようにピース合わせをしようとしていたんです。例えばウルトラマンが怪獣を倒すというのがウルトラマン超光伝説の元の物語だったとしましょう。しかしこの世界ではそれが何かしらの理由でできず、代わりに季節変形物語春夏秋冬シリーズのロボットたちがそれを倒すと言った形です」

未来「その理論で言うと…赤い怪盗騒ぎに私達が首を突っ込んだことも該当する…?」

シエスタ「はい。該当します。これも推測ではあるのですが最近まではそうして釣り合いが取れていたのでしょう。ですが…。もしその定められた役目が果たせなかった場合…。もしくは過度に世界同士が交わった場合、どうなると思いますか?」

円「それって…。もしかして…」

シエスタ「察しの通りです。この間のヤプールの件、あれがこの世界に一気に亀裂を入れてしまったと私は確信しました」

葉百合「散流無が本来別の物語のキャラクターであるヤプールによって超獣に埋め込まれ…ウルトラマンたちを蹴散らした…。そうなると考えられる亀裂は本来の物語に存在しないイレギュラー、あの超獣、デッドレアの誕生とそれを止めるはずだったウルトラマンたちを倒してしまったから?」

シエスタ「まさにその通りです。そして謝罪になるのですが私が皆さんを召集したのもその一因ではないかと思っています…」

飛鳥「強引に全員が役割を破棄して集まれば確かに一因かもしれないわ、でもそうしないと散流無は助けられなかったしウルトラマンたちも動けなかった、私はそっちの方が悪循環だと思うわ」

シエスタ「そう言ってもらえると自責の念が少し柔まります…。私としても賭けに近かったので…。結果として良かったとは思ってはいますが…」

燃炎「だったらいつまでも悔やんだ顔しない!どうせ人生なんて永遠の二択なんだから」

シエスタ「はい…。ここでちょっとお恥ずかしいんですが…。実は私、先ほどまで眠っていまして…。あれから他におかしなこと起こってませんか?」

有理香「おかしなこと…。私達は特に…」

サーシャ「あれから怪獣が出てきてマセンネ?」

葉百合「死鬼も出現報告がありません」

シエスタ「やはり…。確定ですね」

衣理「シエスタさん…」

シエスタ「私はこの世界が10の物語からなるものだと思ってました。理由はそれぞれ皆さんの存在を感知できたからです。ですがどうやらもう一つ、物語が隠れていたようなのです。その物語の名は…。…!?」

突如振り向いて手をかざすと町中の風景が写し出される。そこに映っていたのは…

 

 

 

 

 

 

ブレイブ「ダアッ!!」

ビルに強く背中を叩きつけられるウルトラマンブレイブは瓦礫が舞い散る白煙の向こうに佇むその存在を睨み付けている。白銀の体、威圧的なシルエットにまるで生物のような純白の翼。機械でできた天使という他無い姿がそこにはあった

 

 

 

 

有理香「な…。なんだ…あれ…?」

シエスタ「あれこそあまりの危険さに私がずっと封印されていたと思っていた存在にして11個目の物語。天心女神 零夢(てんじんめがみ れいむ)より、破械天使(はかいてんし)ゼレーヴです…」

 

 

 

 

 

 

ブレイブ「シャアッ!!」

再び構え直すブレイブ。互いの身長はそこまで変わらず、ゼレーヴが少し高いぐらいだった。そのゼレーヴはまるでゼットンのように不動でブレイブを迎え撃つ

ブレイブ「(くっ…!こうなったら…!)」

エネルギーをカラータイマーに集めると一気に全身に放出。ゼレーヴに組み合う!

ブレイブ「(ブレイブ…!ダイナマイトォォォッ!!!)」

ブレイブを中心に大爆発が起き、その衝撃はシエスタの空間までも揺れ動かす!光の粒子が集まってブレイブの形を再生させるがカラータイマーは点滅していた

ブレイブ「(衣理さん…!逃げてください…!!)」

爆煙の中には…。無傷のゼレーヴがブレイブを見下していた…

 

 

シエスタ「破械天使ゼレーヴ…。触れたものを全て消滅させる全ての物語のハイエンドにいる存在です…」

 

 

 

カラータイマーが激しく点滅してなお立ち上がろうとするブレイブ。ゼレーヴは手を使うことなくブレイブを立ち上がらせると…。そっとその手でブレイブに触れた…、すると予兆も無くまるで最初から存在していなかったかのようにブレイブの姿が綺麗さっぱり消え去った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、定められた物語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第十五話 定められた物語

 

 

 

 

衣理「そ…そんな…。ウルトラマンブレイブが…消えた…」

円「ウルトラマンでも敵わないなんて…」

衣理「ブレイブは!?ウルトラマンブレイブはどうなったの!?」

シエスタ「…。この世界、この物語から…。存在が抹消されました…」

衣理「…」

絶望した顔で膝から崩れ落ちる衣理。そしてすぐ隣にいた照麗茶が急に倒れた

有理香「照麗茶!どうしたんだい!?」

照麗茶「ちょっと無理しすぎたわ…」

ズシーン!!と轟音が鳴って衣理たちは少し浮いた。すぐ後ろにいたのは…

未来「ウルトラマンブレイブ…」

シエスタ「まさか照麗茶さん…!」

照麗茶「とっさやったけど…。触られる寸前にテレポートさせたった…。けども…、この大きさと場所は応えるなぁ…」

ウルトラマンブレイブは倒れたまま光に包まれると人間の姿になった。全身傷だらけだ

ブレイブ「ここは…」

衣理「ウルトラマンブレイブ…!」

ブレイブ「衣理さん…!それにシエスタさんたちまで…」

 

 

 

 

事情説明中…

 

 

 

 

 

ブレイブ「そうでしたか…。ありがとうございます…。うぅっ…」

衣理「どうしてゼレーヴに挑んだの…!?今のあなたじゃ勝てないのに…!」

ブレイブ「ゼレーヴは…。この物語を壊しに来たんです…。だからこの世界の核となる存在を抹消するため、リセットするために封印されていたんです…」

シエスタ「やはり狙いは…」

ブレイブ「はい…。衣理さん。あなたです。あなたが抹消されればこの世界は、この物語は全て消えます…」

衣理「…。シエスタから記憶を受け取って整理してたらなんとなくそうじゃないかって思ってしまったんだよね…。あのゼレーヴには誰も乗ってないの?」

シエスタ「…。おそらく肉体はありません。本来のパイロット…、阿久里 明日夢(あくり あすむ)さんはこの世界には居なかったんです。あのゼレーヴはこの物語を終わらせるためだけに自我でもって動き出した…!」

葉百合「でもここに居れば手出しできないのでは…?なんて虫の良い話は無いみたいですね」

シエスタ「この空間は簡単に言えばテントみたいなものです。今は感知されてませんが見つかればこの空間ごと消されかねません」

サーシャ「じゃあゼレーヴを倒すデスカ?」

ブレイブ「可能性としては…」

衣理「無理だね…」

莉愛「おい、諦めんなよ。狙われてるのは衣理、お前なんだぞ」

衣理「厳密には倒すことはできるかもしれない。けれどここでさっきイレギュラーの話に繋がっちゃうんだ」

シエスタ「私からお伝えします…。ゼレーヴは全ての平行世界で倒された事がないのです。なのでゼレーヴを倒すことはイレギュラーを引き起こしかねせん。しかも質が悪いことにゼレーヴは物語の中核…。つまり主人公です。意図しない敗北による消滅がこの世界にどれだけの影響を引き起こすか秤知れません…」

有理香「つまりゼレーヴを倒してしまうと衣理が消滅するのと同等の…この世界と物語が破滅するかもしれないってことか…」

飛鳥「なら…。そのパイロットさんを乗せてあげたらどうにからないのかしら?」

シエスタ「…!」

莉愛「無茶も休み休みに言えよ。だいたいどうやって…」

シエスタ「いえ…。それなら可能かもしれません…。おそらく明日夢さんはこの世界にはいません。ですがもしかしたらこの世界ではないところには居るかもしれません」

衣理「別のデータフォルダにいるかも…。ってこと?」

シエスタ「機械的に言えばそんな感じです。別の世界から連れてきてゼレーヴに乗せれれば制御できるかもしれません」

円「その間ゼレーヴは好き放題動けるがそれは大丈夫なのか?」

シエスタ「それは…。…」

 

口を紡ぐシエスタ。なす術が一切ないという顔をしている

 

ブレイブ「それは大丈夫みたいです…。来てくださりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼレーヴ「…」

空にキランと一つの輝き。それはすごい速さでゼレーヴの前に立ちはだかった

 

ウルトラマンゼロ「ハアッ!」

 

 

 

ブレイブ「ゼロさん…!」

ゼロ「ブレイブ!こいつは俺に任せろ!」

ブレイブ「ダメです!そのゼレーヴに触れられると消滅してしまうんですよ!!」

ゼロ「なにっ!?」

触れられ火花か散るゼロ。しかし消滅しそうな雰囲気はない

シエスタ「なぜ…!?」

ゼロ「痛ってぇ…!こりゃ消滅とまではいかねぇが迂闊に触られるわけにはいかねぇな…」

衣理「ウルトラマンは元々別の物語だから消滅しようがない…?」

シエスタ「ブレイブさんと違って現実に実際にある存在だから消滅を免れた…。なら今のうちに行ってきます」

その場で眠るシエスタ。今、彼女の意識はこの物語を作り出した者の記憶の中を漂っていた

シエスタ「どうか見つかって…!明日夢さん…!」

 

 

 

ゼロ「デリャアァァァッ!!」

燃え盛る蹴り、ウルトラゼロキックでゼレーヴを退けるゼロ。互角の戦いの中ゼレーヴは動きを止め何もない空間を掴んで引き裂いた。その狭間から鋭く邪悪な黒い爪が引き裂かれた空間を掴み、黄色い目を光らせグワッとこの世界に入ってきた

ゼロ「てめぇ…!まさかベリアルか!?」

ウルトラマンベリアル アトロシアス「まだ青二才の時のか…。まぁいい。遊んでやるぜ、ゼロよぉ」

不敵な笑みでギガバトルナイザーを構えてゼロと対峙するベリアル。その力の差は歴然で軽く捻られるゼロをベリアルは嘲笑いながら足蹴にしていた

ベリアル「どうした?そんなもんかよ?ハッハッハ!!ん?」

間一髪飛んできたものをかわすベリアル。それはアイスラッガーとウルトラスパークだった

ゼロ「親父たち…!なんでここに…!?」

衣理「(私が呼びました。事情は後で、あなたたちの仲間のN87星雲出身のウルトラマン以外ならあのゼレーヴに触られても消滅しません。そしてゼレーヴはおそらくそんなあなた方を恐れている。だから空間をねじ曲げ、別の物語からあなた達に対してもっとも最良となる敵対存在、つまりキラーを召喚してあなた達を倒すつもりなんです)」

ゼロ「だからベリアルの野郎があんな姿で現れやがったんだな?へっ、そうとわかれば話は早いぜ!」

衣理「(ごめんなさい。私にできるのはこれくらいしか…)」

ゼロ「俺達ウルトラマンもお前も神じゃねぇ。お前はできる範囲で俺を助けてくれた。それだけでいいじゃねぇか。ありがとうな」

ゼレーヴはベリアルを呼び出したように次々と現れるウルトラ戦士たちに向かってキラーとなる存在たちを仕向けていく。手始めに初代ウルトラマンにハイパーゼットンを差し向けた

 

 

初代ウルトラマン「へアッ!!」

最初から光線技が有効で無いことを察していたウルトラマンは初めてゼットンと戦い。負けた時の事を思い返していた。あれから鍛え続けた技が今こそ発揮される時が来たのだと!

初代ウルトラマン「ダァッ!!」

全身に力を込めるとなんとウルトラマンの肉体はみるみるうちに筋肉質に。瞬間移動で迫るハイパーゼットンの動きを見抜くとストレートパンチで顔面を歪ませる!倒れた所に馬乗りになるとチョップの連打!ひっくり返すと翼を素手で引きちぎった!グロッキーに立ち上がるハイパーゼットンにすかさずドロップキック!光線技を一切使わずステゴロでハイパーゼットンをボッコボコにしている

 

 

ウルトラセブンはパンドンと戦っていた。昔と違いこちらはフルパワー。倒せ火を吐く大怪獣と言わんばかりに圧倒していた。だが変化は突如現れた。パンドンの頭部が裂け、背中から炎が羽の形となって裂けた頭部から一つの首が露になった

ネオパンドン ヘパイストス「ギャギャァ!!」

ウルトラセブン「ジュッ!?」

ネオパンドンヘパイストスはセブンのエメリウム光線を飛び上がって避けると地上に向かって高熱火炎を吐き散らす!至るところで大爆発を起こして怪獣達の勢いが増す狼煙となった

バット星人グラシエ「ふふっ。帰ってきたウルトラマン。あなたには我が同胞が世話になりましたからね。その借りはここでお返ししましょう!」

 

 

 

ウルトラマンエース「(ヤプール!!またデッドレアか…!)」

ヤプール「安心するが良い、ウルトラマンエース。これからこの夢は悪夢となるのだ…!」

突然白い塗料がかかったように白くなるデッドレア。その内側から黒色の腕が突き破り、中身から這い出てきた。何処と無くデッドレアを洗練した、怪獣とも超人とも言えぬ絶妙な見た目をしている超獣がそこに誕生した

ヤプール「これこそが具現する悪夢…!夢幻泡影超獣!デッドレッドだ!!」

全身に赤いラインが血走るように流れ。ウルトラマンエースと対峙するその姿。明らかにデッドレア以上の存在感がそこに存在している

 

 

 

 

ウルトラマンタロウと戦っているのは胴体にベムスターとツインテールの腹部。そこから伸びる複数の腕。巨大な体躯には様々な怪獣たちのパーツが散見できる。その名はグランドタイラント。ウルトラマンタロウと組み合うとタロウの足元が崩壊する強さで捩じ伏せる。そのすぐ近く。見慣れない怪獣と戦うレオ兄弟がそこにはいた。かつてウルトラマンレオによって破壊されたブラックスターの破片が円盤生物として復活したその姿こそ円盤生物ブラックムーンであった。すべての円盤生物の特徴を併せ持つ力でレオ兄弟とも互角に立ち回るブラックムーン。そこへ横槍を入れる雷が走った。その姿は変わらずとも圧倒的な力を振るうのはギマイラ完全体。そこよりさらに離れた場所では巨大な二体の怪獣、かつてジョーニアスが倒したマクダターがヘラー軍団の怨みの力で強化、復活したダークマクダターと以前戦った時よりさらに巨大に成長していたキングマイラがジョーニアスとウルトラフォースを相手に激闘を繰り広げる

 

 

 

 

 

シエスタ「…!この感じ…。明日夢さん!」

真っ黒の記憶の中、大小様々な白い光の一つに飛び込むシエスタ。その奥に進むにつれて黒い何かが人の形を成してきた

シエスタ「明日夢…。さん…?」

黒い人の形に色がつき、振り返った人物。それが亜久里明日夢だった

明日夢「だれ…?それにここは…」

シエスタ「明日夢さん。あなたの使命はわかりますか?」

明日夢「使命…?えっと…。私は確か…。ゼレーヴと…。世界を…」

シエスタ「えぇ、私は知っています。あなたがあの世界のためにゼレーヴの力を解放したことを」

明日夢「…。なんでなんですか…」

シエスタ「なんでとは…「なんで!」」

ビクッと驚くシエスタ。明日夢の目からは大粒の涙が溢れだしていた

明日夢「なんで私はここにいるんですか!?あなたは私の!何を知っているんですか!?どんな思いで!どんな気持ちでゼレーヴの力を解放したか!どうして知っているかなんてどうでもいい!!あのまま消えたかった…!自分だけじゃない…。世界の全てを消し去ったんですよ…!他人の大切なものも全てを…!!私達の気持ちも理解せずに見てきたなんて言わないでくださいよ!!!」

 

その極大過ぎた神の力を行使してしまったことは世界を消し去り、全てを終えた最後の最期に消えた彼女にとって共に消えることでのみ許されたかもしれない大きすぎる罪悪感。なのになぜか彼女のみが顕現してしまった

シエスタ「ごめんなさい、軽々しく言ってしまって。私の名はシエスタ、あなた達の世界を見守る者です」

明日夢「…。こっちこそごめんなさい。もう知ってると思いますけど私は亜久里明日夢。ゼレーヴに選ばれた者です」

シエスタ「明日夢さん。時間がありません。あなたの力を貸してほしいのです」

明日夢「私の力って…」

シエスタ「ここはとある人間の記憶の中。私達とその物語を作り出した人間の…。そして今、とある世界でゼレーヴが世界を消し去ろうとしているのです。お願いします、ゼレーヴを止めてください」

明日夢「ゼレーヴが…!?確かにゼレーヴには意志があるけれどどうして…」

シエスタ「わかりません…。だからゼレーヴを唯一制御できるあなたの力を貸してほしいのです」

明日夢「わかりました…。連れていってください!ゼレーヴの所に!」

 

 

 

 

 

矢継ぎ早に現れる歴代ウルトラマン達に対して次々とキラーを召喚するゼレーヴ。グレートにゴーデス第三形態。パワードにサイコゼットン。ネオスと21にデビルメンシュハイト。ゼアスとナイスにはウルトラマンシャドー改をぶつける。ゼレーヴは残りのウルトラマンがまだ来ていないにも関わらず一段と巨大な時空の亀裂を発生させて召喚というより強引に残りを呼び出した。その面々たるや邪神ガタノゾーア。クィーンモネラ。根源破滅天使ゾグ完全形態。アルティメットサンドロス。ダークザギ。アークバーサーク。そしてエンペラ星人がアーマードダークネスを身に纏ったアーマードエンペラー。この実際には実現し得ず、またパラレルワールド、マルチバースの異なる存在が一挙に集められたためか空はドス黒く、乱気流が乱れ、至る所に時空の亀裂が発生していた

衣理「このままじゃこの世界は持たない…!」

シエスタ「おはようございます!つれてきました!!」

意識を取り戻したシエスタは光の矢をゼレーヴの胸に放った!ゼレーヴの体内。コックピットに乗り込んだ明日夢は思いを込める。

明日夢「お願い…!ゼレーヴ!止まって!!」

静かに停止し始めるゼレーヴ。しかし突如その目が赤く染まると自らのコックピット部分に何かを放った!

明日夢「きゃあああああっ!!?」

シエスタ「明日夢さん!?」

黒く染まるゼレーヴ。いや、ゼレーヴを騙っていたそれの周囲の時空にヒビが入り、真の姿を露にした

???「待っていた、この時を…」

明日夢の声で響く声。ゼレーヴと酷似したその魔神は、衣理たちの方向を向くと目の光だけで笑うような仕草を見せた

シエスタ「その姿…!まさか…。ゼレーヴと共に封印された…」

???「そうだとも。流石はこのマルチバース全てに干渉することを許された存在。だがお前は全てを知っているわけでない。故に感謝している。元の物語では成し得なかった事をしてくれたのだからな…!」

下から上に上がるようなアングルで照らし出されるその全身。禍々しいがそれ以上に神秘性も兼ね備えているのが不気味な姿をしている

アルティス「改めて自己紹介をしてあげよう。私は虚無魔神ナイトメアアルティス。ゼレーヴの対として生まれた」

衣理「ブレイブさん!行ってください!奴にゼレーヴの万物を消滅させる力はありません!!」

ブレイブ「はい!ブレーイブ!!」

 

 

ブレイブ「シャアッ!!」

アルティス「残念だよ。君と私では力が違いすぎると言うに」

ブレイブ「そんなことはやってみないとわからない!」

組み合う両者。アルティスは重力を感じさせない動きで地面にブレイブを叩きつけると普通から見て逆立ちのような体制でブレイブの攻撃をいなし続ける

アルティス「どうした!それが勇気のウルトラマンか!?」

元のように地上に足をつけて全身から闇のはどうを放ってブレイブを大きく飛ばすアルティス。その飛ばされた先にはクイーンモネラが。腹部にブレイブを取り込もうと触手でブレイブを捕まえた

ブレイブ「くっ!こんなにも時空を歪めてお前は何を臨むんだ!?このままではこの世界は持たないのはわかっているはずだろ!?」

アルティス「かつて一人の人間が作り出したこの不完全な物語達は今やその心の隅で黒歴史として残っているんだよ。見向きもされず不要となったこの物語。私のものにして何が悪いと言うんだ?私のものになるならば、壊れてもまた作り直せば良いじゃないか」

衣理「それが目的…!?」

アルティス「そうとも。私がこの物語たちを掌握するためには君達の存在が邪魔なのだよ。特に君だ、澪岸衣理。君が全ての特異点として覚醒してしまった以上。君を封印するしかなくなってしまった。しかしそれをしようとすると彼等がそれを阻止しようしてくるのだよ無意識にね!」

上空から光で現れたるはティガ、ダイナ、ガイア、アグル。コスモスとジャスティス、ネクサス、マックスとゼノン、そしてメビウスとヒカリ。彼等は自分達の戦うべき相手の元へ行くとそれと対峙し始める

アルティス「君を封印し、全ての現実に生きるウルトラマンを消滅させ、この世界を壊し、理(ことわり)そのものを覆せば全ては私の思うがままになる!そのためにまず私はこの世界の役割をさせないようにデッドレアを作るように歪めた。大変だったよ、眠り姫に察されないように歪めるのはね。そこからは君達がエサに釣られてる間にゼレーヴの仕業に見せかけたり。他の物語のラストエネミーを倒したりね。着実にこの世界を壊していった。そうすれば君達はゼレーヴを消滅させればこの世界が崩落するからと別世界からゼレーヴのパイロットを呼び出してくるだろう。それを取り込んだ今…!私の夢は叶う!虚無でも悪夢でもなく!今度こそ夢が!」

ブレイブ「そうはさせない!」

再びアルティスの前に立ち塞がるブレイブ。アルティスは周囲の違和感を感じる

アルティス「まさか…!」

ブレイブ「そうだ!お前がゼレーヴではない以上!僕達N87星雲のウルトラ戦士たちも今から加勢する!」

ブレイブの隣に降り立ったのはウルトラマンジーヴァとウルトラマンセイント。他のウルトラマンとの激闘にも一風変わった見た目のウルトラマンたちが加勢している

ブレイブ「いくぞっ!!」

アルティス「だからどうした!私とお前たちとて力の差が埋まるわけでもないだろう!!」

三対一でもウルトラマンたちを圧倒するアルティス。ジーヴァとセイントとバリアボールで他の戦闘の最中に飛ばすとブレイブのカラータイマーを狙った!その一撃はブレイブではなく、別のカラータイマーを貫く

???「ぐわっ…!」

ブレイブ「ダークネス…!?どうして僕を庇った!」

ダークネス「勘違いするな…。我が主…、エンペラドラゴン様はこいつに葬られたのだ…。その仇討ちに来ただけのこと…!」

自らも苦しい言い訳だとはわかっているだろう。しかし安易に助けに来たなどとても言いたく無かった

アルティス「消えろ!闇を騙る光の道化が!!」

天に向けて巨大なエネルギー弾と共に打ち出されるダークネス。手を差し伸べるブレイブを見てダークネスは元の世界の記憶を全て思い出していた

ダークネス「後を…頼んだ…」

ブレイブ「ダークネス!!」

上空でエネルギー弾が爆発し、光の粒子となって消え行くダークネス。その光の粒子はブレイブを包み込み、その銀色の体に赤いラインを引いていく

アルティス「その姿は…。なんだ…!?」

ブレイブ?「これは…。お前を許さない思いの姿…!」

闇の力。それを正しく使う光の戦士。その銀と赤の姿はまさにウルトラマン。そう、その名もウルトラマンブレイブ アンリーシュド

ブレイブU「覚悟しろ…!三分でお前倒してやる…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 女神降臨

 

 

 

 

 



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