敗れ去った夢の先で (一辻梨)
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終わりと始まり

うちは一族が報われなさ過ぎて辛い……


マダラを筆頭に幸せになって欲しいと思って書いた。誰かうちは一族救済のの二次作書いて下さい。描くのでもいいので。


 

 

 

陽の光が差し、仰向けに倒れた男とその側に腰掛けた男がいた。

 

 

 

「ガキの頃、

 

お前は『俺たちは忍でいつ死ぬかもわからぬ』と言った。

 

 

 

互いに死なぬ方法があるとすれば敵同士腹の中を見せ合って、

兄弟の杯を酌み交わすしかねぇと

 

 

だがもう互いに死ぬ。

 

 

 

今なら、

 

 

 

ただ戦友として酒を酌み交わせる。」

 

 

 

もはや、目も見えず触覚も鈍くなっていたが遠退く意識の中で友の声は確かに聞こえていた。

 

 

 

 

「……戦友…か…

 

 

まあ…それなら…俺たちも……」

 

 

 

方や夢破れ、方や夢を未来に託し繋がっている。

 

きっと、自分が行く先は友や遠く先に行った弟とは違って地獄だろう。

 

酒を酌み交わせると言ってくれた、ことは何処か嬉しかったが。

 

 

眠る様に薄れゆく意識の中で永遠の眠りにつく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眼を開けた先に

写ったのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

塀に囲まれた屋敷の和式の一室。

 

 

「サスケ、眠いのか?」

 

聞き覚えのない声に顔を上げると頭を撫でる幼い少年がいた。どことなく、うちは一族の顔立ちのような気がする。見知らぬ顔だが、知らない人ではないような気がする。

 

 

 

 

「なんでもないよ、にいさん」

 

 

声が、違う。幼い子供の声で口から滑るように言葉を紡いだ。

 

 

「イタチー、ちょっと手伝ってくれるー?」

 

自分から出た言葉に戸惑っていると違う部屋から女の声が聞こえ、額に指を押し当てて困ったように微笑まれた。

 

「許せ、サスケ。母さんが呼んでる。また後でな」

 

 

まるで弟に言い聞かせるように言われ、縁側からその少年は足早に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうことだ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポツリと溢れた言葉は、子供部屋に虚しく響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—————————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……わけがわからん…」

 

 

 

桟橋から川面には幼い少年の姿が座り俯いている姿が浮かんでいた。

 

否、幼いのは見た目だけ。

中身は100に近いジジイのはずなのだ。

少なくとも、永遠の眠りについたときは全盛期のガタイが良かったが、こんなヒョロい砂利では無かったはず。

 

 

 

そう、自分は戦友と酒を酌み交わすと話して死んだはずだった。一度ならず、2度めの死。

 

 

一度死んだことがあるのだ、その感覚は間違いなく死んだと分かっていた。

 

 

それなのに、弟であるイズナに——、似た顔をした確か、自分を倒した片方、同族のサスケという男なのだ。

 

しかも、木ノ葉隠れの里。

うちは一族なのだ。

 

状況把握のためにさまざまなことを聞き耳を立てたり、調べた。

 

 

誰も彼も、自分を“サスケ”と呼ぶ。父は族長のうちはフガク、母はうちはミコト。

兄はうちはイタチ。

 

恐らく、自分がサスケになのだろうとも分かる。

だが、なぜこの様な状況になっているのかが理解不能だ。

幻術でも夢でもない。

 

自分の都合の良いような夢である無限月読でもなさそうだ。

 

第一、この男の子供の頃になるなど理解ができない。

 

この身体から見るに過去であろうと検討をつけた。

 

火影岩ですら四つしかない。五代目と名乗っていた軟弱な柱間の孫の顔岩がないのだ。それに三代目様が今の火影だと話を聞いた。

 

 

 

打つ手なしか、とため息を吐こうとした時誰か背後にいるのに気が付き、振り向きながら川の方へ飛び退き、水面に片膝を着きながら構えた。

 

 

 

「あいかわずか。

 

 

うしろにたたれるのがにがてぞ」

 

 

 

金髪碧眼に両頬に三本の痣。しかし、話し方が———

 

 

 

 

 

「はしらまァ!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

 

 

「つまり、よくわからんがおまえはうずまきナルトでおれはうちはサスケというじゃりになった、と」

 

「いろいろためしたんだがの。げんじゅつでもないし、サルもこころなしかえどてんせいのときよりもわかいんぞ」

 

結論。

 

 

よく分からん。

 

 

 

 

柱間もとりあえずあの時よりも過去ということだけはわかった。

少なくとも、本来というのも変だが俺が死んで数年後の年辺りと検討はついた。

 

 

柱間曰く、ナルトは柱間の。

サスケは俺の生まれ変わりみたいなものだったと、六道仙人が言ってたそうだ。

 

 

そんな感じはしていた。

 

 

 

 

まあ、縁が無いわけではないからか納得のいく人物に憑依というか成り代わっていることだけは確かだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おまえとオレ、たしかにここにいる。すくなくともこれはゆめではないのはたしかなことだ。」

 

 

夕陽が照らす、穏やかな陽射しの中で柱間は腕を組み頷いた。

 

 

 

「そうだな、

 

 

いまのからだではさけをかわすことはできんが、いつかかわそうぞ!

 

 

ともとして、はらわたをみせあっておなじかまをくらうのもいっきょうぞ!」

 

 

 

 

その和かでありながら豪快な笑みにあまり変わっていないと感じる。

 

 

 

「あいかわらずだな。

 

だが、それもいいな…」

 

 

その返答にうんうんと言わんばかりに柱間は頷いた。

 

 

「あらためて、

 

 

もと“せんじゅはしらま”こと

 

 

 

“うずまきナルト”だ。これからよろしくな!」

 

 

柱間…いや、ナルトは右手の人差し指と中指を出したいわゆる和解の印を差し出した。

 

かつてのことを流し、仲直りしようという意図であると分かった。

 

友にもう一度なろうと、彼は言っているのだ。

 

 

「フッ……

 

 

もと“うちはマダラ”の

 

“うちはサスケ”だ。こっちこそよろしくたのむ」

 

 

 

左手でナルト同様に印を差し出し、握る。

昔から忍の印。

 

 

 

 

決して許されないことを行ったと思う。

 

 

 

 

柱間の夢はまだ続いていく。

 

 

 

俺の夢は破れた、ならば—————

 

 

 

 

 

「サスケ!」「ナルト」

 

 

 

 

 

互いに名前を呼ばれ、その方方に顔を向けた。

 

 

 

 

 

「帰りが遅いから心配したぞ。母さんも待ってる。

 

 

 

…友達か?」

 

 

「あ、うん。そうだよ」

 

 

口から流れるように出る言葉は恐らくサスケ本来の言葉なのだろうか。

そして驚いたような顔をするな、柱間ァ!

 

 

「ナルトよ、友達か?」

 

 

「そうなんだよ、じっちゃん!オレのともだちだ!」

 

 

おまえも大概だろ!そして三代目火影はほうほう、と目を緩めて嬉しそうにしてからしゃがんで、これからナルトを宜しくのう。と言われた。言われなくとも仲良くするつもりだ。

 

 

 

 

「じゃあな、サスケ!」

 

 

「またな、ナルト」

 

 

 

 

互いに別れを告げ互いに家路に着いた。

イタチに手を引かれて帰るのはどことなく暖かな気持ちになった。イズナの手を引いた幼い頃の記憶が心に浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは少年が火影になる物語ではない。

かつての火影とその友が再び歩む物語である。

 

 



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忍者学校(アカデミー)への入学

スイッチ買ってナルスト1から攻略中。Sランクのカカシ先生とサブのガイ先生強すぎ。諦めてノーマルストーリーから進めてるけどまだ中忍試験予選。木ノ葉崩しまで攻略したいけど時間の無さに泣ける。呪印千鳥とか鳳仙火とか楽しい。ぶっちゃけマダラのいる3したいけど、ストーリー通りに進めたいせいでまだ遠い夢…ストーリー全部したら4買いたい。


 

 

 

俺がうちはサスケとなり、柱間がうずまきナルトとしての日々はあっという間に過ぎて忍者学校(アカデミー)へと入学した。

 

 

かつては二人揃えば地形を変える絵師泣かせと言われていたが、今となってはチャクラや身体能力が年相応にしか扱えず悪戦苦闘。

 

うちは一族は精神エネルギー寄りの隠遁が得意な一族だからか、成長して身体が出来上がっていくと身体エネルギーが成長と共に増えていき自然とチャクラを多く練れるようになる。

 

 

写輪眼は精神の負荷によって開眼するのだが、その負荷が魂に刻まれているのか須佐能乎や輪廻眼にもできた。このあたりは穢土転生の感覚に近いようで写輪眼、万華鏡写輪眼、輪廻眼と切り替えることができた。しかし、チャクラが足らず僅かな時間で解けてしまった。要成長ということだ。

 

 

一方、柱間ことナルトは…九尾が封印されているからか本来のチャクラも膨大なはずが練り難いらしく術の発動の難易度が高いらしい。それでも発動できる柱間はやはり、桁違いだ。

 

 

 

 

むしろ人間なのか疑いたくなる。

 

俺が全盛期なら渡り合えるのはコイツぐらいだが、短期決戦に持ち込むしか勝ち目はない。

 

 

 

「しかし、感慨深いものぞ。

 

昔二人で話したことがまさか自分自身で体験するとは…」

 

 

 

 

 

喜色満面の笑身を浮かべ意気揚々としているナルト(柱間)

 

 

柱間が見たかった、夢の橋架け。子供を死なせないために訓練するための教育機関。

 

俺は誰かに任せることなどできなかった。幼くして死んだ兄弟。そして若くして死んだイズナ。

 

 

俺はそんな因果が許せるはずなど無く、ただ一人先走った。背後に立たれるのが嫌な俺は誰かに任せれず、ただただその因果を壊すべく暗躍した。人形のように人を操り、蜘蛛の糸のように策を張り巡らせた。全て俺の手でしなければ気が済まなかった。

 

 

誰かに任せるなど、人を信じることができなかった。

 

 

弟しか信じていなかったのかもしれない。唯一の繋がりで、柱間との繋がりをあの日あの河原で家族のために断ち切ってしまったから他の繋がりなど脆く感じてしまうようになったのだろう。

 

その弟すら失って、何もかも信じられなくなり残ったのは弟に託された瞳力だけ。力だけしか信じれず、千手に裏切られると疑って疑って。

柱間が裏切るはずも無いのに、腑を見せ合っていたのに戦を無くすために動いていたと知っていたのに。

 

 

たった一人の腕では届かないと分かっていたのに、それを自分だけで行うとしていた。

 

 

誰もそんな思想に付いて行けないところまで来てしまったのだ、俺は。一族の誰もが俺を見放すはずだ。

 

皆、戦に疲弊していたのだ。柱間によってようやく手に入れた平穏。憎き相手だとしても愛する人が、子が死なないならば受け入れるべき同盟だったのだ。

 

まだ見ぬ先を裏切りを恐れて、人を信じれないあまりにこの同盟から離反するべきだと。力で他国をも抑え込み、畏怖されれば誰も争いなど起こさないとばかりに思って柱間のように互いの腑を見せ合おうとしなかった。

 

 

今更ながら俺は気付くのが遅過ぎる。いつも間に合わない。失ってから嘆く。

 

 

 

「まあ、オレたち自体がイレギュラーみてぇなモンだろう。今は一介の生徒になったんだ。砂利に合わせれるとは思わんが…この時代の知識を得るのには最適だ」

 

 

今こそ取り零さないために。得られるものは何であろうと得るつもりだ。

 

 

「まだ自分もガキだろうにそう言って…

 

それもそうだ、俺たちの知識では年代が違う。擦り合わせが大事だろう。

そういえば、サスケの保護者は誰が来るのだ?」

 

 

 

「父さんだ。別に来なくとも平気だが、兄さんが気を使ってな。」

 

 

いい歳過ぎたジジイにとってはどうでもいい行事なのだが、イタチが納得しなかったのだ。

 

自分が暗部に入隊するというのに、休んでまでして来ようとした。

 

 

優秀なイタチを里とのパイプ役に仕立て上げようとしているのは分かっている。少なくとも聡い子だ。

若いというのにこの歳で感情皺ができてしまうほどに思い悩んでいるのだ。

自分もそうだったが、うちは一族というのは弟想いが多い。特に長兄であれば余計に。

 

 

父親が期待してくれているのは分かっていても、自分よりも弟を優先させたいと思うのだ。

 

 

 

“別に大したことじゃないから来なくてもいいよ”

 

 

 

そこはかと無く、やんわりと入学式程度気にしなくてもいいと断ったのだが、

 

 

“いや…、忍者学校(アカデミー)の入学式は保護者が付いていくのが通例だ。父さん、オレが行くよ”

 

 

 

暗部入隊というそんな大事な日にもかかわらず、弟を優先するイタチに対してフガクはため息をついてイタチの暗部入隊の方を諦めて俺の入学式に来ることになったのだ。

 

 

ハァ…とため息をつくとニヤニヤとナルトは笑う。

地味な冷やかしだろう。

 

 

 

「愛されとるの。気恥ずかしいのか?」

 

 

 

「そんなんじゃねーよ。

 

ったく、行くぞナルト。

 

長ったらしい話聞かなきゃなんねーんだからな」

 

 

今回の入学生徒の大半が並んでいる。

壇上前には火影や中忍教師が並び、生徒たちに並ぶように声かけをしている。

 

 

さっさと行こうと適当に最後尾に混じった。

 

ナルトも慌てて並びに入り、丁度真横に滑り込んだ。

 

 

「まだ直っとらんのか…」

 

 

周りに気が付かれないように唇だけ小さく動かして、話しかけられた。若干呆れているようで最後尾に並んだ意図に気付いたようだ。

 

「癖というものは死んでも治らんから癖なのだ」

 

「開き直ってどうするんだ」

 

 

これだからお前は…とこめかみに手で押さえていた。

 

 

これでも直そうとサスケになってからでも努力してんだからな!

 

後で月読説教だ!

 

 

 

ナルトがブルっと震えて腕を摩っていたのは余談だ。

 

 

 

 

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————————

 

 

 

 

「話長すぎたんぞ…途中から殆ど聞いてなかったけど」

 

 

「話半分だな。

 

天気の話から生徒に対しての心得までは聞いていたが」

 

 

はあ゛あ゛ぁ゛ぁ゛息を吐き、と顔が死んでるナルトに気持ちが分からんでもないが、流石に衆目の中でそんな様を見せるわけにもいかない。

 

膝を抱えてしゃがみ込んだナルトに肩を叩いて教室に向かわなければならないので急かす。

白くなるなよ、こんなところで。

 

 

 

大人たちがナルトを見て、ヒソヒソと話している。

 

 

 

 

 

「何で忍者学校(アカデミー)に入学してるのかしら」「火影様も何を考えているのやら」

 

 

 

 

舌打ちを一つして、疲れているナルトに声をかける。

 

 

 

「ほら、早く行くぞ。

 

 

後で久しぶりに水切りしねーか?

 

忍者学校(アカデミー)が終わったら暇だろ?」

 

 

 

それを聞いたナルトはバッと顔を上げて立ち上がると肩を掴んできた。

 

 

「本当か!?嬉しいぞ!

 

修行修行とほぼ毎日言ってるお前が誘ってくれるなんてな!」

 

 

本当だと返すと、やったー!と嬉しそうにキラキラと顔を輝かせた。

 

 

こうしてはいられないとばかりに、教室へ向かうべく人混みから避けるべく人の間をすり抜け、壁を足場にして走っている。

 

 

 

「待て、ナルト!」

 

 

原因を作ったのは俺とはいえ、元気だ。

 

何かやらかしそうで放っておけない無いので追いかける。

 

 

 

全く、ガキかよ。

 

 

壁を走っているのを周囲が驚いていたが普通にこの年でできるのは普通なはずだったが、入学初日に壁を走るのは目立つのだろう。

 

 

後日、知った話だがこの時代ではこの年齢でのチャクラコントロールはあまり教えられていないそうだ。時代の流れって不思議だ。

 

 

 

 

「よしっ、一番!サスケは遅いな」

 

 

 

指定された教室に最初に着いたナルトに拳骨を一発食らわす。

 

 

 

「痛っ、何するんぞ!」

 

 

「そりゃ最初に走り出したんだから一着になるだろーが。

 

そんなにはしゃいでガキかよ、てめーは」

 

 

 

子供だぞ、と胸を張ったナルトにもう一発叩いておいた。

 

 

 

お前、孫いたぐらいの爺さんだろうが。

何でこう…落ち着きが無いのだろうか。

 

 

 

ジジイとジジイがはしゃいでる姿を想像してしまい、ちょっと落ち込みそうになる。

身体はガキ身体はガキだと暗示をかける。

ちょっとばかり、衝撃が強すぎた。

 

 

 

 

「大丈夫か…?

 

 

 

それはそうと、嬉しかったぞ。お前から水切り誘ってくれて」

 

 

 

ナルトははにかみ、嬉しそうにしている。

どうやら、俺からの誘いは普段は手合わせが多い上に遊びなどが滅多にないらしい。

 

 

むしろ遊びと言われても思い浮かばんのだが。

 

 

そんなことよりも術に関しての本や修行の方がいつも有意義だと感じてるのだが…

 

 

まあ、子供らしくは無いだろう。

 

道徳に関する本とか読まされるけど忍に必要なのだろうかと訝しんでしまうのは末期だろう。

 

 

 

ゾロゾロと他の生徒や保護者が教室に入ってくる。

 

もちろん父さんも来たが、どうやら担任の先生らしき人と話し込んでいたようだ。

 

 

 

 

適当な席に座り、明日からの準備物などを特に保護者に対して説明され子供に対しては明日は座学であることや自己紹介を考えて来るようにプリントを配布された。

 

 

平仮名でなまえ、とかすきなもの。とか。ガキ扱いかよ、と思ったけどガキだった…

 

 

 

「いやはや、流石はフガクさんの息子ですね。

 

入学試験は同率で主席ですよ」

 

 

「ええ、イタチ同様に親として誇らしいです」

 

 

 

説明会を終え、鞄に配布プリントを入れて教室から出たところで父さんと教師が話し込んでいた。

社交辞令地味ているがイタチを引き合いに出すのはやめた方がいいと思う。俺じゃなければ性格歪むぞ。

 

 

 

「もう歪みようねーほど拗らしてるからな」

 

 

「言うな…分かりきっていることだ」

 

 

 

ナルトによるジト目からのツッコミは的確すぎる。

何で俺はあんな…救世主やら俺が最強やらほざいていたんだろう。

 

過去を振り返ってみるとこう、

 

 

中二病?というヤツを患っていたんだろうか。

 

ナルト(柱間)に肩をポンと置かれてやけに口元を緩め、眉尻を下げて口を開いた。なんだ、この嫌な予感は…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「安心するんぞ。元からうちは一族は中二病要素高いから」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うちはを舐めるなよナルト!今から白黒つけてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナルトを殴り、ブチ切れた。

ゴン!と石を叩いたような音だが、コイツはこれくらいで死ぬはずもないから大丈夫だ。

 

 

 

例えコブができようともすぐに治るのはズルいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

襟首を引っ張り、引きずりながら父さんを横切りながら一応声をかけておく。

 

 

 

 

「父さん、ちょっとナルトと白黒つけてくる。

 

試験が同率だったからさ。

 

あ、夕方には帰るから」

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ああ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕飯はナルト君連れて来なさい」

 

 

若干ポカンとしていたが、しばらくせずに状況が把握できたらしく、正気に戻った。

流石に現役の忍は状況把握も早いようで何よりだ。

 

 

 

「分かった」

 

 

 

 

首だけ振り返りながら、頷いて返す。

 

 

 

 

 

「く、首が締まる…」

 

 

 

 

 

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河原での水切りは決着が着かず、結局は忍組手で体術のみでやって2勝2敗で夕方になってしまった。

月読は流石にやったけど、普通の忍なら精神崩壊とか写輪眼でできるけど頑丈なんだよな、月読で壊れないヤツは稀だし。

 

 

 

 

 

「いやー、久しぶりに水切りしたが腕は落ちてなかったな。

 

 

だがやはり持てる石が小さいのはな…」

 

 

「仕方ねーだろ、手が小さいんだからよ。

 

 

あー、稲荷かおかかおむすびだと良いんだが」

 

 

烏がカァカァと鳴いて山の方へと向かっている。

 

夕陽を後にしながらうちはの塀を越えて集落へと入る。

 

 

他族がうちはを恐れるあまりの政策とはいえ、いささかやり過ぎな気もする。

 

 

 

かつては捨てられたとはいえ、流石に同情を禁じ得ない政策だ。

 

これだから扉間とその弟子は嫌いだ。卑劣の系譜は受け継がれているし。

 

 

 

 

「オレはきのこ雑炊がいいんだが、サスケの母上の料理は美味しいからな」

 

 

 

玄関の引き戸を開けて、鞄を置いてついでに声もかけておいた。

 

 

 

「ただいま。母さん、ナルトは連れてきたからちょっと土落としたら入るから」

 

 

 

「はーい、手も洗って来てね。

 

ご飯もうすぐだから」

 

 

組手をしたせいで砂埃などが着いて、流石にそのまま入るのは憚れた。砂を叩いて適当に落とし、サンダルを脱いで中へと入る。

 

 

昔は草鞋で脱ぐのに時間がかかったとしみじみ思った。

 

 

ちなみに、赤飯だったのは残念だった。

美味しかったが。昨日食べたからダメだと困ったように言われた。稲荷寿司美味しいのにな。

 

 

 

 

代わりに明日の弁当はおかかおむすびを入れておくと言われてナルトから肘でつつかれニヤニヤとされた。

 

 

 

 

ナルトは母さんの亡くなった友人の息子だからか気にかけてくれている。九尾の人柱力とか気にせず俺とナルトがいることを厭わずいることには感謝の限りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなた…」

 

 

 

 

「うむ…」

 

 

 

 

母さんに声をかけられて、ゴホンと父さんは咳払いを一つするとジッと見つめてきた。どうやら何か促されたようだ。

 

 

 

 

「サスケ…、入学試験は良くやったな。

 

このままイタチのように頑張りなさい。

 

 

 

 

 

それで、何か…欲しいものはないか?」

 

 

 

 

どうやら、入学祝いを与えたいようだった。

 

これは困った。特に強請るようなもので欲しいものはない。

 

 

なんの不自由もないし、手裏剣や苦無は母さんが修行だといえばよく渡してくれる。

 

助け船を仰ぐべくイタチに視線を向けると微笑まれた。

 

 

「サスケは普段からおねだりが無いからな。

 

父さんは、たまには何か欲しいものをあげたいんだよ。」

 

 

 

 

欲しいもの、か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父さん、俺は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の言葉に家族の皆は目を丸くしていたがナルトはやっぱりかと察していたらしくニヨニヨしていた。




週一更新目指して頑張ります。


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木ノ葉の影

東京駅の地下のキャラスト、ジャンプのナルトコーナー行ってきました。イタチ兄さんとサスケのグッズを主に買ってきました。人混み凄かったです。ナルトはやはり海外でも人気なのだと思い知りました。

イタチ真伝買いに行ってから次話を完成させます。


では、どうぞ


 

 

 

木の葉が舞った。

 

二人が距離を詰め、互いに腕がぶつかり合った瞬間に勢いのあまり風が舞い上がった。

風というよりも衝撃波といったところか幼い少年達の間から発せられた。

 

 

ググ…と押し合って鬩ぎ合う右手をそのままに、左手を素早く鋭く突き刺すように振う。

 

 

ナルトは迫り来る左手を当然のごとく弾いて逸らした。

 

 

迫合いを終え、互いにザッと一歩だけ下がると再びほぼ同じタイミングで腕や足を仕掛ける。

 

 

 

 

ガスガツと刹那に音が奏でられ、拳や腕、足など交わされる攻防は眼を閉じる暇すら惜しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

どれほど打ち合っただろうか。拮抗し合う体術に差など殆どない。

 

 

 

 

 

 

 

 

やがてナルトは右手を握りしめて大きく振るうが一瞬で見切り、首を逸らして避けたと同時に足払いを仕掛けられる。

 

 

 

わざと目に付くように大きく振りかぶったのは陽動で、これも寸前のところで足払いを飛び上がって避け、振りかぶられて飛び上がった拍子に近くにあった右腕を左手で掴み両足で蹴りを入れた。

 

 

 

この反撃の仕方に予想をしていなかったのかナルトは眼を見開くや否や避けれないと判断して左腕でガードをしつつも勢いを受け流すように身体を捻り、掴まれた腕を顎を目掛けて再び振るう。

 

 

 

掴んだままの右腕のせいで空中に留まったままでは態勢を立て直すことはままならず、ギリギリで顔を逸らして顎に軽く掠り、何とかまともに入ることを防げた。

 

 

 

受け流されたもののその腕を足場にして腕から手を離してバク転を行い、後方へと距離を取り着地の勢いを逃すようにしゃがみ、その間にナルトは態勢を立て直すと距離を詰めてかかと落としを行う。が、それを見越して両腕がクロスして防ぎつつも勢いをそのままにしてクロスを緩めてナルトが足を地面にへと流し着地する寸前に大腿二頭筋と四頭筋の間に拳を当てる。

 

 

あまり勢いはないが筋肉の覆われない、筋膜の薄い場所で直に神経に痛みが行きやすく一瞬とはいえ態勢を崩し、顔を顰めつつもナルトは崩しかけた態勢をすぐさま立て直そうとする。

 

 

クロスを緩めた片手を着いて、足で一閃して両足を刈り取った。

 

 

地に着く場所が無くなり前のめりに倒れんできたのを追撃しないわけにはいかない。

 

 

もちろんそこで油断する相手ではないが一手一手を互いに読み合い、避けたり受け流したりと寸前で防いだりと攻防が目間苦しく変わる。

 

 

そこからの蹴り上げはうまく入り、先ほどまでガツ、ガスとぶつかり合いや擦れ合う音だったのがゴスッ…と余韻を残すような音が響く。

 

 

 

 

「ガハッ…!

 

 

……捕まえたぞ!」

 

 

腹から一気に抜けてくの字になって一瞬浮き上がったと思えば、蹴り上げた足を掴み両足をしっかりと地面に着けて不敵に笑った。

 

 

これはマズいと蹴り上げた足を戻そうとするが、両手でしっかりと掴まれたのかビクともしない。

片足だけでバランスが取れないわけではないが力を込め難いのは確かだ。

 

 

「クッ…てめぇ、離せよ!」

 

 

 

「離せと言って離すバカはいねー…こともないんだぞ」

 

 

噛みつくよう吠えたらムカつくような言葉を吐くのかと思いきや力一杯に腕を振るって吹き飛ばしてきた。当然、幼いとはいえ互いに忍で力はあるので軽々と飛ばせるのだ。

 

 

「さて、さっきの仕返しだ!」

 

 

 

飛ばされている途中に追いつき、追撃だとばかりに腹に拳をぶつけられた。

 

 

「ガフッ」

 

 

足を踏みしめ、力一杯に振るわれた一撃は重かったようでまともに耐えきれずに後方の木に背をぶつけた。

 

 

 

 

まともに入ったせいで起き上がるが鎧も何もないせいで結構痛い。

 

顰めつつも、

まだ戦えるためナルトに走ろうとするが——————————

 

 

「そこまで!勝者はナルトだ!」

 

 

…そういえば、これは二人だけの組み手ではなく、授業の一環としての忍組手だった。

 

 

熱くなり過ぎて、忘れていたが。

 

 

 

思い出してくると、痛みが鮮明になり始めて座り込んだ。

ナルトが近寄り、和解の印を差し出してきた。

 

 

 

「立てるか?今回はオレの勝ちだ」

 

 

 

「立てるわ!あークソ!今度は俺が勝つからな!」

 

 

 

膝に手をついて立ち上がり、和解の印を強引にするとガハハッと笑われたが蹴り上げは効いていたらしくイタタタとすぐに体を丸めた。

 

よく見れば組み手の間に怪我をしていたらしくナルトの顔や手足には血が滲んだり青アザが既にできていた。

もちろん、自分の体のあちこちにもできていたがかすり傷程度だった。

 

ナルトと違って寝る頃には瘡蓋ができるだろうが忍術を使っていればこんな程度に終わらず地面を、辺りを削っていただろう。

 

 

「あー、ナルトとサスケみたいにやるのは難しいかもしれんが二人のように真剣に取り組んで」

 

 

 

そう、これは授業中だったのだ。

しかし、二人で熱中していたせいで終業のチャイムが鳴ってしまった。担任の先生の言葉の途中で。

 

 

あちゃーとナルトは頭をかいて困ったように笑うが、この程度で終わった方が珍しいと腕を組んでフンと息をついた。

 

 

俺は悪くない。

 

 

 

むしろ俺とナルトに最初に選んだ担任の落ち度だ。

見本になると思ったか?残念だが忍以下のヤツが見ても見本にはならんぞ。

 

元火影とそのライバルの手合わせでは忍術無しの縛りプレイでも高度過ぎるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ以降、組み手の授業では他の人からするようになったが俺とナルトは実力のあまり、他の子供では相手にならないせいで組むことすら憚れ逆にナルトとしか組めずに卒業を迎えることになるのはまだ知らない。

 

 

 

 

 

—————————————————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりなー、子供の身体じゃ筋肉が足りて無いんだぞ」

 

 

「いや、やはりリーチも違うからな。

 

 

最初の頃と比べると慣れてはきたが成長過程ですぐ変わるから日頃から組み手はしておいた方がいいな」

 

 

 

互いに今回の組み手の改善点を出し合っていく中、論点がズレてやっぱり大人の身体がいいという話になってきた。

 

ナルトはハッと思いついたように相槌を打った。ロクなこと思いついてねーよな?

 

 

「名付けて、大人変化里歩きの術だ!」

 

「ネーミングセンスの欠片もねーな!普通に大人に変化するだけでいいじゃねーか!」

 

 

アホかよ、とツッコミを終えるとため息をついた。

 

 

ボフン、と近くで変化の術をしたらしく煙に包まれたナルト。

 

晴れた先には懐かしい、柱間(ナルト)の姿だった。

 

 

 

「これでどうだ?」

 

 

「結局大人じゃなくて前世の姿かよ!」

 

 

 

ニカッと笑われたが大人の姿というよりもかつての姿でがっくりした。

まあ、一番想像しやすい姿ではある。

 

確かに忍界大戦のひと時の間に見たこの身体の青年期の姿よりも見慣れた姿のほうがしやすいだろう。

 

ほらほらお前も、と誘われ仕方なしにうちはマダラ本来の姿になった。

あの時代の、うちは一族の正装。

普段着としても使っていることが多かったソレ。

 

 

黒地に長い髪の下に隠れた家紋。

 

 

ナルトの方は袴に羽織と千手の若年寄なども多く着こなしていたそれを着ていた。アカデミーのカバンを肩からかけているせいで違和感が凄いが。

 

 

一先ず、慣れた姿なせいか歩くことには違和感がなく普通に自宅に荷物を置きに帰った。

 

母さんは今日は少し遅く、父さんはいつも通り遅いのだろう。

 

 

 

そう、慣れた感覚のせいで違和感なんて無い。

 

 

 

 

 

普通に歩いてしまったのだ…

 

 

 

 

 

「おお、サスケ(マダラ)これから甘いものでも食べに行かんか?」

 

 

「フン、ナルト(柱間)お前は夕飯は入るのか?」

 

 

ガハハハと笑うせいで余計に目立つナルト。

 

そう、途中で気がつくべきだったのだ。

 

 

方や忍の神と謳われた初代火影という皆の憧れ。

 

 

 

もう方や災厄と謳われた九尾を操った抜け忍の里の裏切り者という里の逆賊。

 

 

 

ナルトがいつも奇異の目で見られているせいで、それと付き合うために普段から人の目を気にしない。

 

 

そう、簡単に言うと里が一時的に混乱に陥った。

 

完成度高いというか元々の名前がそのままなせいで呼ばれても反応してしまう。

 

 

 

感知系ではない人は分からない。

しかもその時代に生きていた人も年老いていて、ボケて蘇った!とばかりに騒ぐ。

 

当然若い部類も当人たちを知らないから余計に。

 

 

感知系はなんとなく変化と分かるが術の精度が二人とも高すぎて何とも言えないのだ。違和感のなさに。

 

 

 

普通に違和感なく接してしまうので、いつものようにナルトを水晶から覗いた三代目火影こと猿飛ヒルゼンは度肝を抜かした。

 

 

 

「え、え?どういうことじゃ…?」

 

 

 

気配に聡いサスケはちらりと見られていることに気付いて振り返ったが敵意がないと知るや否、ナルトの歩調に合わせた。

 

 

 

普段は厭われるナルトだがこの姿だと何もなく、道すがらで前を見ていなかった少年がサスケにぶつかり倒れてしまったが起こしてあげると悪人ヅラはやはり怖かったらしく、泣いてしまった。

 

それをナルトは慰めた。

 

「男の子なのだ、泣いていては女子にか弱く見られてしまうぞ?

 

かっこよくありたいのならば堂々として、ぶつかったことを謝ると良いぞ」

 

 

「あ、おじさん…ぶつかってごめんなさい…」

 

 

「いや、前を見ていなかった俺も悪い。

 

 

すまなかったな。謝れて偉いぞ」

 

 

フッと口元が緩んで頭を撫でた。

イズナや他の弟にもこうしていたなと懐かしく思いながら立ち上がった。

 

 

「悪人ヅラでもいい奴はいるんぞ。怖がっていてはダメだぞ」

 

「はーい!おじさんたちありがとう!」

 

 

ナルトは貶しているのかよく分からないことを口に出していた、なんだろこの差。

 

 

 

ナルトは物腰柔らかいせいか子供に好かれることが多かった気がする。

 

 

 

 

 

次の日から初代とマダラが出没すると里では噂が飛び交い、下手にかつての姿になるもんではないと学んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また変化して歩きたいんだぞ」

 

「誰がするか!」

 






〜その日のうちは一家〜


「ただいま」
「お邪魔します!」

「!?」
「!⁉︎」
「!!!??!」

「ど、どちら様?」「え、え?」

「何故写輪眼?」
「どこか変かのー?」

「サ、サスケとナルト君…か?」

「「どこからどう見てもそうだろ?」」
「「「初代様とマダラ様かと」」」

「「え?」」

そこでようやく変化したままだと気付いて術を解く。

「忘れていたのー」
「すっかりな」

のほほんとしているが術の精度が高過ぎて写輪眼をもってしてようやく分かった。流石は俺の子となるフガクとミコト。成長しているなと感心したイタチ。次の日から広まった噂に流石2人、と嬉しい模様。親バカの図が完成。


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うちはへの密謀

お気に入り数が100越えて震えた先日。感想とか評価とか凄く嬉しいです。モチベ上げるためにナルトアニソン聞いてます。マジで神曲多くていいよね!おおすすめエンディングは虹と言葉のいらない約束。




















…理由は分かるな?
では、本編へ


木々がうねり、こちらに向かって突き刺さっていくのを、跳び退いて避けながら瞳を一度閉じて見開いた。

 

 

チャクラを目に込め、直巴の万華鏡を目に写して青い上半身の骸骨を作り出した。未完成の須佐能乎だが、チャクラの消費や肉体へのダメージを軽減するには仕方ない。

 

 

ナルトも樹海を作れないわけではないがそれもまたチャクラの消費が激しい上に封印が邪魔をしてせっかく練ったチャクラが霧散してしまう。さしずめ、樹木降誕といったところか。

 

 

あー、狡いとばかりにナルトは木の上でパンっと両手を合わせると緑の隈取りを作りさあこれでどうだとばかりに攻め立ててくる。この未完成の須佐能乎でも普通の術は通さないのだが、仙人モードになった木遁は強く外殻にヒビが入った。

 

 

 

最初は基本的な性質変化の術だったのに気付けばとっておきの普通の忍では扱えきれない術を使っていた。そろそろ切りやめないと白熱し過ぎてこの演習場は使えなくなってしまう。

 

 

 

自ら須佐能乎を解いてふぅ、と息を吐いた。

 

 

 

「ここまでにしておこうナルト。

 

 

そろそろ土遁で地面を均しておかんと騒ぎになる」

 

 

 

「いいところではあるが、それは妥当だしな」

 

 

仕方ないと肩を落とし眉尻を下げ頷かれ、木遁を解除して木を無くすと手早く互いに印を組んで地均しをしていく。そして最後にナルトが草を生やして終わりだ。

 

 

 

本気になると山は崩れて地を割いて谷を作りかねない。

 

 

 

「ところで、そろそろ出てこないか」

「うむ、その程度の隠行では察知できんわけではないぞ」

 

 

 

 

途中からじっとこちらを見てくる気配があった。驚きのあまり、一度気配が滲んだというべきなのだろうが慌てて隠れても違和感しかないし視線を感じていた。

 

 

 

俺は元来の神経質による違和感、ナルトは膨大なチャクラと仙術による気配探知。

 

 

 

感知タイプでは無いがそちらもできないわけではない戦闘タイプではある。

 

 

 

しばらくすると森の陰から1人の男が出てきた。

 

 

 

「誰かうちはの演習場で戦っているとは思って邪魔してはいけないから見ていたんだが、まさかイタチの弟だなんてな。それに気付かれてたとは…」

 

 

あーオレこれでも強い方なんだが、と肩を竦めて男は困ったように笑った。男といったがまだ少年といった方が正しいだろう。

 

 

声変わりしている途中なのか中性的な声が裏返っていたりしているが成長期特有のものだと分かる。オレはあんまり変わらないんだろうが。

 

 

 

目の前の男は一度見たことがある気はする。

うーん、と首を傾げたが分からない。

 

 

 

ハッとして、相槌をうって呟いた。

 

 

 

 

「そうか、カガミの小僧に似てるのか」

 

 

 

 

 

うちはには珍しいうねった癖っ毛。大抵はツンツンかサラサラに別れるのだ。

 

 

それに真面目でありながら人懐っこそうな顔立ち。そっくりだ。

 

 

 

 

「サスケはオレの爺さんの知っているのか?」

 

 

 

 

あっ、やらかした。肘でナルトにせっつかれて顔が引きつった。

 

 

 

「俺らの正体がバレたらどうするんぞ!

俺は先祖帰りだってじいちゃんには言っておるのだぞ」

 

 

「それ無理がありすぎだろ。

たしかにうずまきは千手の遠縁だが。万華鏡は説明できねーよ!」

 

 

 

木遁が使えるのは現に使えていると説明しているようだ。

 

 

 

写輪眼を開眼している者はある程度実力があるのも分かるが、いくらなんでも開眼が早すぎるのだ。

まあ、イタチという例外を除いてだが。俺でも12ぐらいだったし。

 

 

 

「マダラよ、流石に無理すぎるのでは「だからってそっちで呼んだらややこしいだろ柱間ァ!って、あ……」

 

 

 

 

 

や、やらかしたァァァアアアアア!!

 

 

 

 

「マダラに、柱間?…まさか、」

 

 

 

、、完全にやってしまった…

助け船を出してもらおうにもナルトは謀には向かない実直な性格。補佐役がいなけば政治には向かない。

 

 

リーダーや交渉役には向いているが後ろめたいことを取り仕切る卑劣がいなければならない。

 

 

うちは一族はエリート一族と謳われるほど、情を消して任務に従事する頭の回転が速い者が多い。そのせいで暗いことを考え出すと止まらなくなるが。

 

 

 

「カガミの孫。説明してやるからここを離れるぞ。

 

これ以上人が増えたらややこしい。」

 

 

 

ピースを与えてしまった。

散りばめられたヒントから探られるのは面倒だ。いっそのことこちらの計画に巻き込んだほうがいい。

 

 

 

 

 

本来ならばもっと遠くに受信機を置いてもできるものだが、4つ置いて簡易的な四赤陽陣もどきを作り上げた。大体の底辺の一辺が1キロ未満程度のを柱間の木遁分身で運び、チャクラ供給源にさせてもらう。

 

人柱力の時なら六赤陽陣も作れるが、今はチャクラも心許ない上に輪廻眼を長時間するのは疲弊と眼の負担がかかり過ぎる。

 

 

 

「さてとどこから話そうか…」

「サスケ、まずは疑問から答える方が一番早いんぞ」

 

 

 

 

戸惑いを隠せないカガミの孫ことシスイ。

まさか、こんな子供が高度な忍術を扱って頭が混乱しているようだった。

 

 

 

 

「じゃあ、お前たちは何者なんだ?」

 

 

 

「うちはサスケだ。と言っても、説得力が無いな。かつては、終末の谷で相争った男の記憶を持っている。といえばいいか」

 

 

「まあ、第4次忍界大戦の記憶があるがの」

 

 

ナルト、その補足は正しいがややこしくなる。

 

 

 

「つまり…、初代様とマダラ様の記憶を持っている、と?第四次忍界大戦…はいつか起きるのか。」

 

一つ一つ情報を吟味しているようで、質問を真剣にしている。戯言とすれば信じるに値しない話だが、一先ずは嘘は言わずに真実のみを伝えた方がいいようだ。

 

 

 

「そうだ、俺が死んだ後とはいえ後ろで糸を操っていた。まさか大戦が起こるとは予想していなかったがな。俺や柱間は穢土転生という術で蘇った。敵対していたが。」

 

 

 

マダラという証拠は見せた方が早い。

写輪眼から万華鏡を開き直巴模様を浮かべた。

 

ナルトは軽く木を生やして 木遁使いであると軽く見せた。

 

若くして写輪眼ならあり得なくもないが写輪眼の上位である万華鏡ならばあり得なさ過ぎて信憑性は高い。更に木遁など、近代では柱間しか持ち得なかった血継限界。

 

ふむ、と顎を触って逡巡した後に頷きシスイは顔を上げた。

 

 

「穢土転生というのは二代目様が考案したと聞いたことはある。サスケ、そのお前が穢土転生されるまでの経緯を説明してくれ。どう暗躍していたのか」

 

 

 

「長い話になる。俺は…」

 

 

 

 

 

「終末の谷で柱間に敗れ、目に仕込んだイザナギによって死を免れ、墓から抜け出した。」

 

 

 

当時は主に土葬が主流。燃やすことなどあまりなかった。血継限界のうちは一族でも随一と言われ、うちはを調べ尽くそうとした扉間が特に俺を調べない訳が無いと踏んでの一か八かの賭けだったがその賭けに勝った。

 

 

「あの闘いは雌雄を決する為でもあり、柱間の血肉の手に入れるためでもあった。

 

あの碑文に書かれた輪廻眼を開眼するには必要なことだった。裏から多方面での情報を集めていたがやがて俺は年老いた時、輪廻眼を開眼した。老いた俺には無限月読を行うための尾獣を集めるなど到底敵うわけがない。」

 

 

ドン引きするな柱間。確かにお前の身体、食い千切ったけども。アレはそういうことだったのかと今更ながら納得するな。シスイは俺たちの反応を観察しているようだが、気にせず話を進める。

 

 

 

「ある男を利用し、尾獣を集めさせていつか蘇えさせるようにして眠りについた。俺はチャクラ体である意思をゼツという生命エネルギー体に憑依させ、黒ゼツを作った。

 

俺の意思と思っていた黒ゼツに見張らせてな。

 

 

全てはうちはの碑文に書かれた無限月読のために。

 

 

千手の力を得た時、輪廻眼は開かれる。

輪廻眼と尾獣を集めれば世界を一つにする、争いもない世へ誘う無限月読が行える。

 

万華鏡写輪眼ではそのように碑文が読める。

 

 

夢であれば因果も争いもない世界になると信じてな。」

 

ピクリと碑文の一文を言った時にシスイは眉を顰めた。どうやら碑文のことに心当たりがあるようで眼の色を変えた。

 

「そしてその利用していた男は、穢土転生を操る者と協力して俺を蘇らせた。

 

その男と俺は協力というよりも互いに無限月読という目的のために利用し合って輪廻眼を持ってしてその男を黒ゼツによって操り、輪廻天生を行わせて蘇った」

 

 

 

輪廻眼は破壊と創造を司る瞳。おとぎ話であるが有名な話だ。

 

六道仙人は輪廻眼を持ってして尾獣を創りだしたのだと。

 

 

 

 

「輪廻眼を両目に携えていたが2人の青年に破れた。

輪廻眼の開眼は画策されたある女を復活させるためだったのだと、その時初めて知った」

 

 

 

 

「どうやらうちはの祖は黒ゼツに利用され、俺たちもうちはの碑文を書き換えられて踊らされていた」

 

 

 

本来とは違った意味になっているのだと黒ゼツは語っていた。

それを伝えるとシスイは動揺していた。どこか非現実的なことに信憑性のあるものが混ぜられると疑心暗鬼に陥ってしまう。まあ、俺主観ではあるが実話だ。

 

 

「俺はその女に身体を乗っ取られた。

黒ゼツは俺の意思ではなく、その女の意思。

 

 

無限月読の本来の目的はチャクラを神樹に、その女に還元するものだった…」

 

 

理想の世界になどさせなかった。そして、俺を倒した二人の青年によってその女は封印されて俺は女に根刮ぎ力を奪われたせいで死んだのだと語った。簡単にまとめたらこういうことを語った。

 

 

「俺は、争いのない世界という“結果”だけを求めた。誰かと手を取り合うことを行わずにな。

 

 

先の九尾事件も俺が死んだ後のことではあるが…俺が示唆したようなものだ。全てはこのうちはマダラによって作り出された犠牲だ。

 

 

 

過去の清算こそ、俺が行うべき役目」

 

 

 

 

 

 

 

こと木ノ葉でのうちはの原罪こそ、オレが齎したもの。

里と離別をしたからこその蟠りは残り、禍根となる。

 

 

 

「お前も分かっているだろう、うちはと里。

 

本来ならば里の一つとして考えるべきものを別け隔ていることを。

 

 

 

 

 

このままでは」

 

 

 

「(マダラは…サスケは嘘は語っていない。この歳で語るには詳しすぎるし、何よりそんな表情で語るには年齢が幼すぎる。怒りを抑えた目で、自嘲するような目で語るには噛み合わない。第一、普段からのサスケは兄や親を慕っているように見える。演技と言ってしまえば一蹴できるが、サスケの語りにナルトの反応も噛み合っていた。俺が読める碑文もほぼ同じだ。作り話には思えない)

 

 

 

里、一族の間で血が流れるかもしれない…か。

 

俺は、それを危惧しているんだ。

このままではクーデターが起こり得る。

 

 

 

幼いお前を巻き込みたくはなかったんだが、その眼は大人達に知られては利用されかねない。

利用されるとは思えないが、万が一のことも考えるとな。

 

 

 

 

すまない…例え前世があのうちはマダラだとしても年下に頼むべきではないかもしれない…!

 

 

 

頼む、力を貸してくれ!イタチと俺だけで動くつもりだが、クーデターを防ぎたいんだ。

 

 

 

 

この里を、うちはの名を守らせてくれ!」

 

 

一族の中でも密かに伝えられる万華鏡写輪眼。

それを知っていてなお、頭を下げてまで頼み込んで一族と里のために動こうとしている。

 

 

フッと口から息が漏れた。

怪訝そうにシスイは顔を上げ、ナルトもこちらを伺った。

 

「構わんさ。一族だけでなく、里を愛することをかつて柱間は俺に望んでいた。

 

俺にはその時、できなかったが…シスイは一族の垣根を超えて愛することができる。

 

初めから協力するつもりだ。

 

 

俺はこれでも一族の長だったからな、一族の言葉に耳を傾けんわけではない。

 

それに言っただろう、これはオレの罪だ。清算するには少ないが、手を尽くす」

 

 

死ぬまで俺ができそうになかったことをいとも簡単にしている。

きっと、シスイは一族のためだけでなく里のためなら命でも投げ出すだろう。イズナは俺や一族のためなら何でも差し出すような子だった。うちは一族は愛する何かのためならなんだってする。

 

イズナは俺に目を託して一族を俺に守らせようとした。そんな危うさをシスイには感じる。

俺が———————

 

 

 

 

「サスケもシスイとやらも二人して独走はよすんだぞ。

うちはだけの問題ではない、元はといえば扉間にうちはを隔離するなと言い聞かせれんかった俺も悪いんだ。

 

なんなら、俺も手伝わせて欲しいんだぞ!」

 

 

 

そうだ、俺は一人ではない。

ナルトの言葉にハッとした。一族は結束も高いが個人の技量が高いがあまり、自分だけでできると考えて孤軍奮闘することが多い。

千手は質より量。手と手を取り合うがために自分にできる限られたことを行い、できないなら他者から協力を仰ぐ。

 

着眼点が違うからこそ、俺たちから見えないことを見れるものがある。

 

 

「お前には敵わんな…ナルト」

 

困ったように笑って見つめると、そうか?と首を傾げていた。シスイは、そういう考えもあるかと呟いて、恐らく着眼点に関して俺と同じように考えているのだと察した。

 

一族では似通った考え方が多いのかもしれない。

 

 

「ところで、シスイは…

 

どう止めるつもりだ?」

 

 

 

若干言いにくそうにしているのはここにナルトがいるからだろうか。

 

 

「安心しろ。こいつはアホそうだが、口は堅い。一応は元火影だ」

 

 

またの名をポンコツともいう。

ちょっと…いやちゃんと頭も回るが、バカはバカでも底抜けのバカだから口は滑らない。俺の名前は滑ったが。

 

 

 

俺の場合は100年弱ほど柱間と呼んでいた。

柱間も約半世紀は俺のことをマダラと呼んでいたんだ、多少は仕方ないとは思う。

 

シスイは躊躇いがちではあったが意を決して口を開いた。

 

 

「俺の万華鏡写輪眼の固有瞳術、別天神(コトアマツカミ)。それを使えば誰にも気付かれずに操ることができる。飽くまでも最終手段だが…」

 

 

思考誘導に分類される幻術や催眠術。写輪眼自体の能力は術の見切りだが、その過程において相手のチャクラを見切りそれを乱すことにより幻術や催眠術を使用できる。

 

写輪眼による幻術や催眠術は完全に目を合わす個対個向き。恐らく多くのものに術に嵌めるのは向かない。それも万華鏡ならば尚更、失明のリスクがある。

 

「あまり奥の手を話すな。

確かにお前にとっては最終手段かもしれんが…

 

特に万華鏡において、その眼を用いれば使えない道理はない。

イズナに託されて捨てた、殆ど見えないに等しくなった俺の瞳ですら己が手にしようとする者もいた。

 

眼に関しては可能な限り秘匿しろ」

 

 

「ああ、分かってるさ。

 

 

 

…託された?奪ったのではなく…?」

 

 

しっかり頷きながらも何か変だったのだろうか?託されたと言ったことに疑問を持っているようだった。

 

 

「“オレの眼が兄さんの眼になる。この眼を託すから…この眼で一族を、頼んだ”……そう、言われた…。

 

……扉間の刀傷が元でイズナは死んだ。この遺言でなければ、俺は決して弟の遺体に手など出さん。」

 

 

弟の死体を辱めるなど、死んでも嫌だ。尤も、遺言に従った俺も俺だが。どのような手をしてでも力を欲した俺だが、元を辿れば弟を守るために力を手に入れたかったのだ。遠く古い記憶、最後の弟までも守れなかった。静かに眼を瞑り、追憶する。

 

 

 

「マダラは弟想いの優しい男なんぞ!顔が厳ついが…」

 

ナルト、お前は一言余計だ。

 

 

「…つまり、死した後に託されたんだな。伝承の方は歪められていたか。

 

里抜けした男として繋がらないからこそ、力を求めた恐ろしい男と扱いたかったのか…それとも持ち得た力を妬んでそう噂を流したのか…

 

(弟想い、か。うちはには弟想いが多いな。納得できるが。 贖罪に関しては嘘ではなさそうだな、信頼はできそうだ)

 

どちらにしろ、真実は奇なりということか」

 

 

独り言のように呟くと、シスイは覚悟を決めたらしく俺と眼を合わせた。うちはは瞳術の使い手。目を合わせることは基本的に憚られる行為だ。相手を油断して幻術に嵌められる可能性があるため、写輪眼を持つもの同士は信頼していない限り合わせることをしない。

 

 

リスクを伴おうともこちらを見据えたのだ。こちらからも逸らすわけにはいかない。

 

 

「サスケなら、どうする?俺たちは火影様や上層部にかけあっているんだが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだな…まず」

 

 

 

 

伊達に半世紀以上に渡り、忍界を暗躍した訳ではない。外道も外道の手法さえ、思い浮かぶがそれはそれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思う存分話し合い、俺は口角を上げてナルトは困ったようにお前らしいと肩を竦めながらも笑い、シスイは納得したように頷いた。

 

 

 

 

 




〜過去語り中〜

サスケ「イザナギでー」

ナルト(。・ω・。)フムフム

シスイ(`・ω・´)フム

サスケ「血肉を」

ナルトΣ(゚д゚lll)アレハ ソノタメニクイチギッタノカ..!

シスイ( ゚д゚)マジカ

サスケ「碑文が」

ナルトΣ(-᷅_-᷄๑)ソウカカレテイルノカ

シスイΣ(`・ω・ ´)ナニッ!

〜策謀後〜

サスケ(。-∀-)<お前ら顔騒がしいな

ナルトΣ(・□・;)マジデ

シスイσ(^_^;)オレモカ 

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子守童子(中身はジジイ)と爆弾発言

木ノ葉隠れの里ってマダラが付けたよね?
そして三代目って里に肖って木の葉丸って名前にしたよね?

マダラ→(ヒルゼン)→木の葉丸っていう方程式が成り立つ。ぶっちゃけると寒気がした。


女の人は何故か爆弾発言が多い気がする。男であってもありますけども。いつ投下されるかわからないから余計に怖い。感情のままに話すのは控えよう。時に知りたくないことを知る発言でorzって内心なることがあるよね。




ここは病院の一角にある子供預かり場の近く。

 

 

 

「にいちゃん、にいちゃんつぎはぼくをおんぶ!」

「ずる〜い、わたしもだっこ!」

「ちがうもん!いまからにんじゃごっこだよ!」

「えー、おままごとじゃないの〜?」

 

 

 

 

背中には幼い子を背負い、両腕に2人だっこして周りにはせがむ子までいる。

 

それにされるがままにされているが自分もまだ子供と言える年齢なのだが…

 

 

「どうしてこうなった…?」

 

 

 

ナルトは爆笑して腹を抱えて崩れ落ちた。

微笑ましそうに見守る爺婆までいるんだが、本当に分からないんだが。

 

 

 

 

 

 

——————————————————

 

 

 

 

 

ことの始まりは母さんが通院するついでに病院に来たことから始まる。定期検診と聞いた。

 

 

待合所でボーッとしていたところ、迷子が涙を我慢してキョロキョロしていたのを見つけた。

どうやら看護師らは人手が足りないのか出払っていたので仕方なしに話しかけた。

 

 

「なあ、お前どうしたんだ?」

 

 

 

膝を少し曲げて上に手を置き、顔を近付け話しかけると、顔を合わせると耐えきれなかったのか涙がポロポロと溢れポツリポツリと言葉を紡いでいく。

 

 

「おかーしゃんに、

みんなとね…あそんでまっててねって、

いわれたのに、

あいたくなってね、まよったの。

 

 

 

やくそく、やぶっちゃったの…」

 

 

相槌を打ちながら、ふと思い出した。

行きしなに子供預かり所と見かけ、そこに何人かの子供や看護師やら下忍らしき人がガキを見ていたのを思い出した。

 

 

 

「じゃあ、今から戻るか?俺が連れて行ってやる」

 

 

 

不安でいっぱいという顔を綻ばせて、ほんと!?と嬉しそうにした。本当だと言うと飛び跳ねてホントにホント!?と聞き返され頷き本当に本当だ、と答えるとヤッター!とクルクルと回る。気が早いのは子供ならではだと思う。

 

 

「という訳だ母さん、連れて行ってくるぞ」

 

 

「分かったわ。私は診察してもらってくるから、行ってきなさい」

 

 

 

 

クスクスと笑って頷かれ、女の子をおんぶさせて預かり所へと連れて行った。キョロキョロと女の子はあたりを見回し、背中から下ろした。

 

 

「ここで間違いないか?」

 

 

「うん!ここだよ!おかーしゃんまだいない…」

 

 

 

「大丈夫だ、ちゃんと戻ると言ったのなら来るだろう。

 

ここで待ってたら、偉いぞ?」

 

 

よしよしと頭を撫でると、そうかなぁ…と呟いて不安そうな顔を少し見上げて気持ちいいのか目を細めていた。

 

 

 

「じゃあな、俺は戻る…どうした?」

 

 

踵を返して戻ろうとすると長袖端をぎゅっと引っ張られ、顔を向けた。やはり不安なのかそれとも人恋しさなのかジッと見つめている。

 

こういう時は…と、女の子を抱っこして大丈夫だ、俺はここだと笑いかけた。

いきなりのことでびっくりしていたが顔を赤らめて嬉しそうにしていた。

 

 

それを下ろすと、他の子が俺が構ってくれると思ったのだろうか引っ張られ強張られ始め抱っこやらおんぶやらと逃げるのも憚られてしていくうちに背中や両腕に幼い子(自分もあんまり離れてないはずだが)を持ち、囲まれていた。

 

 

「よっ、サスケ!お前も病院か?

 

俺は注射したんぞ…予防接種とやら…、どうしたんぞそれ?」

 

 

通りがかったらしいナルトに声をかけられ、

状況を見られてしばらく考えていたが納得したようにしていたが、

 

 

 

 

 

 

俺はよく分からず…そして、冒頭に戻る。

 

 

 

 

「簡単、だぞっくく、気に入られ、たんだろ?大家族の、んんっ、お父さんにしか、見えん、…やっぱ無理だ!がはははっ!女にもスカしたお父さんが子煩悩とかっ!」

 

 

 

一発殴ってもいいよな?

 

 

 

 

 

30分ほど囲まれていたが、なんとか気を逸らさせて下忍や看護師の方へ行った隙に抜け出して俺は待合所に戻り、ナルトは三代目と合流して帰った。一楽でラーメンを食べるようだ。

最近ハマってるらしい、ラーメンに。

 

 

 

戻った時、診察が丁度終わったようで母さんは診察室から丁度出てきた。

 

 

「ふふっ、遅かったわね。

もしかして、みんなのお兄ちゃんになったのかしら?」

 

 

ご明察だ。

やはり、母親には敵わない。

 

病院を出るまでムスッとしていたが、先程まで構っていた子がおにいちゃんバイバイ!と手を振られて無視するわけもいかず振り返すと母さんは微笑ましげに見つめていた。

 

 

 

…もう、何も言うまい。

 

 

 

 

夏季休暇に入り、課題をぼちぼちと進めているが精神年齢的に苦痛だ。簡単すぎて。

 

 

ひらがなで書いているのを見ると読みにくい。

アカデミーの教員は大変だなぁとは思いながら当てつけで漢字で回答している。鉛筆は筆と違って書きにくいしな。草書体で書くのに適さんから七面倒でもある。

 

 

時代が違うとこうも変わるのかと感慨深くなる。

 

 

帰る途中で商店街で買い物に付き合って荷物持ちをしてお揚げを買ってもらった。稲荷寿司はお店で買うのもいいが、家で作り味付けするのも悪くない。

 

 

自分で作れるが母さんの味付けも好きだ。すっかりこの一家の一員になっている気がする。身体はもちろんだが、心まで馴染んでいる気がしなくもない。

 

 

 

「そういえば、今日はナルト君と稽古しなくていいの?」

 

 

「ああ、今日は予防接種したから付き合えんらしい。

過度な運動は控えるそうだ」

 

 

「あらそうなの。サスケったら、いつの間にか口調がお父さんそっくりね」

 

 

 

そう答えると、クスクスと優しく笑って見つめられた。

マダラとしての母親の記憶はあまり思い出せなかったが、こんな感じに優しい顔をしていた気もする。言葉遣いに関してだが、ここ数年で口調が元に戻りつつある。

 

 

「そんなことはない…」

 

「すっかり大きくなっちゃって。

イタチもあっという間に大人びてしまったけれど、サスケもそうなのね」

 

 

 

我が子の成長は親にとってはやはり嬉しいことなのだろう。動物と違って成長はゆっくりだから分かりにくいが家族の成長は上の者にとってはやはりどこか愛おしい。

俺が弟たちに対して思っていたように、母さんも父さんも同じなのだろう。

 

 

黙った俺にニコニコと微笑んで優しい視線を向けられ、何を返せばいいか困った。どことなく恥ずかしいような気がした。

 

顔を見せたくないなら先を歩けばいいのかもしれないが、あいにくと背後に立たれるのが嫌だからそうもいかない。逆に背後に行けば心配なのか振り返って止まられるので隣に歩く他なく家路につく他なかった。

 

 

修行をやりに行くのも良かったが、珍しくも気が向かず今日は母さんの手伝いをしたい気分だった。これでも一人で生活していたことが長く、料理を作ることも苦ではない。

 

別に今は兄がいるから独り立ちした時に母さんの料理の味付けを覚えておきたいとかそんなんじゃあない。

 

手から腕まで洗って母さん手製の前掛け…エプロンを身につけまずはお米を研いで炊飯器で時間をセットする。釜よりは味は落ちるが時間をより有効にそして手間なく作れるのはいいことだ。

 

和え物、汁物など野菜の切り方をこと細かく変えながら味付けを教えてもらった。醤油の分量、酒粕など一つ一つ各家庭で違うがやはり味付けの大まかな風味はやはり昔と同じうちはならではの味だ。

 

お米が炊き上がると寿司桶に酢を回し入れ、母さんが混ぜている間に横から団扇で扇ぎ冷ませた。味見でしゃもじについた酢飯をひとつまみして味を確かめ、酢が弱すぎないか味の微調整を加えていく。

 

油揚げは湯揚げし、油抜きをしてから出汁に砂糖や醤油を加えたもので煮たものだ。

 

手馴れた手つきで母さんと一緒に酢飯を油揚げで包み込んで、大皿に完成した稲荷寿司を並べていく。

 

あと少しで全部終わる、というところでガラガラと玄関の引き戸が開いた音がして低い声が聞こえた。恐らく父さんが帰ってきたのだろう。声変わりするとやはり安定した声で響くと思う。兄さんも変わって低音になり思慮深い声になった。漫才(ギャグ)に走りそうな声でもあるが。

 

居間に和え物を運ぶ途中でまた引き戸が開き、居間にへと顔を出したのはやはり兄さんだった。忍びだからか足音が静かだが最近は特に小さい気がする。

 

俺は普段から軽快な足音だと言われるが地面に足をつけて力を踏みしめていないわけではない。

 

筋肉の使い方とチャクラコントロールで調整すれば軽く100メートルなど飛び跳ねることができる。多少の助走は必要だが。

 

「母さん、サスケ。ただいま。

 

今日はサスケも作ってくれたのか…

 

後で運ぶの手伝うよ」

 

 

イタチは目を細めて表情を和らげ、荷物を置きに自室にへと足を向けた。途中で父の部屋の前に通りがかってただいま父さん、という離れているせいで小さいが声が微かに耳についた。

 

 

夕飯の支度を終え、父を母が呼んで上座に座りようやく夕食が食べれる。当たり前だが、父母(上の者)が先に手を付けなければ(下の者)は口を付けてはいけない。

 

族長の頃は同じようにしていたし、マダラであった子供の時もそう躾られた。

 

誇り高い一族だから一族内での格式も高い。

そのせいか同族での結束も高いが。

結束自体は悪いことではないが結束は時に仲間割れの原因にもなる。

 

 

それに他族といたら誇りが高すぎて蔑ろにされていると勘繰ってしまう。

だから里を抜けようと言ったのに…まあ、概要を説明しなかった俺も悪いが。

 

 

稲荷寿司が半分ほど腹に入った頃、父が茶を飲み咳払いした。

無駄に風格があるんだよなぁ、年の割には。

まだ40来てないはずだが。

 

 

 

「ミコト結果は…?」

 

 

「フフ、それはね…」

 

 

 

 

なんの話だろう。今日は健康診断に行っただけだろうに。

 

 

 

「二月よ。明日から休みは取ったわ」

 

 

「よくやった…!」

 

 

「?」

「兄さん何の話か分かるか?」

 

 

「いいや…」

 

 

 

休みをわざわざ取らなければならないこと?それに二月?今から7カ月…?

 

 

 

 

……!?

 

 

 

 

 

 

「サスケも兄さんになるのよ。イタチにとっては二人のね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…弟か?」

 

 

 

「まだ分からないわ。妹かもしれないし弟かもしれない。楽しみね」

 

 

フルフルと身体が震えた。嬉しい。

 

 

嬉しいのだ、

心からそう思うのに何故か————

 

 

「サスケ?」

 

 

ポタポタとズボンに水滴が落ちる。一滴、一滴と白いズボンに斑点ができる。俯いているから余計に。

 

「泣いているのか?

 

 

……いや、…嬉しいのか」

 

「泣いてるわけ、ないだろう?

 

 

嬉しいだけだ」

 

歪んだ視界でイタチが微笑ましそうに見つめてくる。精一杯、笑っているのに。

 

あらあら、と微笑ましげにタオルを母に渡される。泣いてるつもりではないがそれをもらい、後ろを向く。声は上げずにただただ溢れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると落ち着いて食事を再開して稲荷寿司を頬張った。

 

 

母さんの唐突なる爆弾発言は恐ろしい…

父さんですらそこに尻を敷かれている。

 

知っているんだからな、そんな強面でも子煩悩な所とか。弟想いすぎる兄との距離感気にしていると。あんまり零しすぎると母さんの口から出るから気をつけた方がいい。

 

 

「四月に言って七月には三ヶ月…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“俺は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下の兄弟が欲しい…”

 

 

 

 

 

6歳差になるだろう妹か弟。おねだりしたとはいえ、できるのが早すぎないだろうか。

 

子が生まれるのは十月十日ほどと昔から聞く。少なくとも四月なのは確かだ。三ヶ月程、妊娠発覚には必要だと聞く。

 

 

その頃のことを親に聞くのは薮蛇だろう。

 

 

いつの間にとか言いたくもあるが無事に出産できればいいと思う。ここ数年で知ったが出産率は昔よりも少ないが母子が共に健やかなんだと聞いた。昔は肥立ちが悪く、母子が共に死の危険を伴うことが多かった。医療や医療忍術の発展に伴い、そういうことは減ったそうだ。柱間の孫、綱手が特に医療忍術を発展させたのだとか。軟弱だと罵ったことは間違いだったと認識を改めなくもない。

 

安心して十月十日を待っていられるのは悪くない。

 

弟でも、妹でも待ち遠しい。

 

 

「母さん、後で腹を触ってもいいか?」

 

「勿論よ、でも動いてもまだ分からないのよ?」

 

「それでも、だ。ありがとう。」

 

 

 

「後、これから家事の手伝いをお願いすることもあるけどわ。お願いしてもいいかしら」

 

 

 

 

 

 

それくらい、昔よりも時間は取れないが屁でもない。一応精神は成人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、勿論だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ動くことのないお腹に触れて再び視界が歪んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「元気に産まれて来るといい」

 

 

 

心なしか、言葉が震えた気がした。

居間が少し明るい雰囲気になった。

 

 

後で目が充血し、瞼は晴れて風呂の後に慌てて冷ましたのは余談だ。

 

 




登録と評価と感想ありがとうございます!凄く嬉しくて励みになります。コメディとほのぼの目指してるはずなのに、どちらかといえばシリアスに走るのは何故か。コメディになれば、誰も傷つかないはずなのにっ!

そしてこの展開を読まれていたことに伏線が下手で悔しいです。
回収も早いですが出来るだけ投下しつつも回収するようにして更新頑張ります。

ギャグを目指して!(ただしギャグになるとは言っていない)




アンケート設置しました
それと一週間から二週間ほど投稿をお休みさせていただきます
学校が始まり、バイトもあって体調が優れないので安定次第に投稿を再開します


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木ノ葉の根本

お待たせいたしました。
誰も待っていないかもしれませんが、更新再開です。
平成最後の更新です。亀ですが書いていきます


 

 

 

 

 

 秋めいて所々に枯葉のついた木もあるが照葉樹が多い木ノ葉の近隣。

 

その合間を縫うように走り抜ける影があった。

 

森の中で木の枝を足場にしながら疾駆するのは黒髪の年若い少年と青年だった。

 

その内の一人、肩に短刀を差し、木の葉マークが刻まれた額当てを巻いたその青年は汗一つ掻くことなく森を疾駆していた。その隣の少年も額当てこそしていないが着ている黒の服は同じデザインで顔のパーツこそ違うがどちらも涼やかな顔立ちをしていた。

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

二人は目を変え、光が差し混むとはいえ森の中でその眼光は赤く紅く瞬き、視界は緩やかに捉えだす。

 

写輪眼、うちは一族のみ十全に扱える血継限界。

その能力を使い、動き回る敵を見切った。

 

 

雲隠れの忍が部隊が20人以上。

 

シスイとサスケが里を出て3時間ほどした場所にこれ程の数がいることから、待ち伏せされていたと考えるのが妥当だ。隠れ里において、仕事以外での里からの外出は申請が必要だ。抜忍と処され無いためには必要な手続きで事務方と火影のみに目を通されるものだ。

それが漏れたかと自ずと行き当たる。

 

諸国に“瞬身のシスイ”と轟かせる上忍が相手とあってか精鋭として抜擢された者たちなのだろう。

彼らの実力は並の忍の者たちよりもレベルは高いと二人は分かっていた。

それがざっと見渡しても20人以上だ。

 

 

彼らがこんな人数を率いて2人を追っているのか。

思い当たるとすれば、恨みか血継限界目当てか。

 

 

もしくは、里の誰かに売られたか。

 

 

サスケはシスイと共謀して里内部の派閥などを調べた。うちはを良く思っていないのは主に相談役でしかも今や反発が多いため、里の忍だとしてもその数を減らそうと言わんばかりに捨て駒扱いの任務を回される確率が高いのだ。ある程度の犠牲は里とて視野に入れなければいけないがそれをうちはに擦りつけるとは。

 

 

生還するものも少なからずいるからこそ、まだマシだろう。

 

 

まだ子供で下忍未満のアカデミー生とされているため、里外に出るのには中忍以上か親が必要な立場でいくら優秀なアカデミー生だとはいえ、戦力というよりもお荷物として考えられたのだろうか。

 

 

 

 

里内部の裏切りは一考するにしてもまずは目の前の敵を倒さなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は、餌だった。

 

 

 

ある雲隠れの密偵がいた。

他里よりも実力主義である雲隠れの里は多くの血継限界や秘伝忍術を持つ木ノ葉から一つでも多く盗み出して里の強化に当てたかった。自らの犠牲をしてでも里のためにも、弱くて死んだ仲間のためにも、力が必要だった。

 

数年前に日向宗家の娘を攫うのに失敗して忍頭は死に、代わりに族長の遺体を狙ったがあえなく代わりにその双子を影武者とされ、白眼の秘密は手に入らなかった。

 

木ノ葉の名家の出など滅多に顔など出さず秘伝忍術や血継限界については中々手に入らない情報で痺れが切らしそうだったが、思いがけず得たうちは族長の次男坊と上忍とはいえ歳若い幻術の使い手としても有名な男と二人で里の外へ出かけるという情報。しかもアカデミー生という甘ちゃんな下忍にも劣るガキとうちは一族とはいえ、速さがウリな幻術タイプ。子供づれでは護衛対象アリという狩りやすい条件が揃う。 しかもうまくいけばあのうちはの写輪眼が手に入る。

 

 

年若い青少年と幼子。うちはといえどほぼ一対多という後ろから狙える好条件。

 

 

こんな機会など黙って見過ごすわけにもいかない。

里から少し離れ、結界などない増援が望めない程遠くまで来た。

 

 

 

 

 

「追いついたぞ!」

 

「あそこだ!」

 

 

 

まだ幼い面影の少年と細身ながら高身長の青年が黒基調の服をまといながら木々の枝を駆け抜ける姿が見えた。

周辺諸国にも名の知れた一族として持てはやされ、里からもその実力を認めてもらっていたにも関わらず、今ではその実力者揃いで優秀さ故に孤高となり、里に反感を持つ邪魔な一族として蔑まされている。

 

 

 

 

里にとって不穏分子になるくらいなら、情報を売って敵と共倒れするか敵を知るための囮という餌になってしまえ。

悪く言えばそういう考えだ。

 

 

 

そのようなことを時の火影が知れば里想い故に反対してくれたが、あずかり知らぬこの場では意味をなさない。

少年と青年がその不穏因子である人物であったのであれば、ともあれ正しい判断であった。

本来、囮というものは戦力として使えない弱者からいかせるのが定石。

気配を消すのが上手い実力者と組ませて、囮となった者も含めて生還するという選択肢もあるが、今回のような多数対二の状況であるとそれはとてつもないリスクが伴う。囮になどできる状況ではない。

 

 

 

少年らは幼くも、年若くも実力もあるあの一対一では負け無しの戦闘などに長けた写輪眼使いだ。

 

 

シスイが囮となり、サスケを逃すか。

サスケを置いてシスイが逃げるか。

 

 

もしくはシスイが守りながら戦うのか。その実力差がある状況だとその3通りの読みをしていた。緊迫した状況では特に経験のないサスケでは単調に動くだろうと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――まあ、それは誤っていることなのではあるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ね」

 

 

 

正面と死角から二人の刀が襲い掛かってくる。

写輪眼と出くわしたら二人ならば背中を取ることがセオリーだ。

 

いくら年若いとしても舐めてはいけないのが忍の世。

本来ならばこの時点で勝負は決まっている。

 

 

 

大人になりきれていない成長期の終わりに差し掛かる男とまだ年端のいかない子供では力も力量も、そして腕や足のリーチの長さも違う。

状況は明らかに遥かに理不尽というべきだ。

 

 

 

だが、その2人は違った。サスケはギョロギョロと言わんばかりに首を動かさずに眼を動かして狙ってきた正面の敵にへと潜り込み、突いてきた刀をスレスレで躱してその腕を掴み、チャクラで強化したまま首に回し蹴りを食らわせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴキリ、という子気味悪い骨の折れる音が響く。

 

 

 

 

 

 

そしてその突っ込んできた勢いを利用して正面から背後に引っ張り回して自分も半回転回って背後を向くと背後から狙ってきていた敵に目掛けて両足で蹴り飛ばす。

 

 

 

「……っ!?」

 

 

 

まさかの吹っ飛んでくるとは思っていなかったが何とか受け止めた忍は勢いによって後ろへ下がりながら地面にへと着地するはずだった。

蹴り飛ばしてすぐさま枝という足場に着地すると敵を目掛けて飛び跳ね、寸前にへと迫る。

 

 

 

まだ実践をまともに経験していない筈の下忍未満の子供がそのような一流地味た動きをする事に動揺してしまう男。

その隙を、サスケは決して見逃さない。

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

迷わず首を一閃。

 

 

 

先ほど首を折った男の刀を奪い取り、はねたのだ。

血飛沫が上がり、身体から力が抜けて倒れ込む前に敵を足がかりとして木の枝へと跳び移る。

 

 

シスイはというとサスケの実力を計り知れていなかったがために正面の敵がサスケを狙ってきたのに対応できるようにしていたが、サスケが倒して自分を狙ってきた敵を倒すや否や自分要らずで敵に対応できると判断して反応しきれていない手短な敵の懐に入り込むや忍者刀で喉を引き裂き、火遁を浴びせた。

 

 

 

 

悲鳴など上がる前に絶命し、首から血を撒き散らしながら身体は焼け焦げ木の下へ落下してゆく。

 

それを視界の端に捉えながらサスケはその瞳力で敵を見渡し、冷酷に目の中に斬るべき敵を映した。

 

 

 

 

「(この身体においての初の実戦だが、誤差はないな。ナルトと日頃から手合わせしておいて正解だったか。リーチや攻撃の軽さはあるが問題にはならんな)

さあ、次は誰だ?この程度で挑むとは、戦い方というのを知らんのか…」

 

 

緩いと言わんばかりに吐き捨てるのだが、それも当然だろう。まず経験が違う。幼少の頃から戦場に身を置き、命を奪いあってきたマダラ。

忍術も、体術も、あの時代では強いものしか生き残れなかった。そんな人外魔境の戦国時代に生きた伝説、数ある一族でも名高いうちはの長。

そんな人外中の人外、山を崩し谷を作る忍んでるのか忍んでいないとしかいいようのない忍。

つまらなさそうにため息をつくと仕方がないと呟き、不敵に笑った。

 

 

 

 

「手加減してやろうか?本当の闘いを知らん砂利ども」

 

 

 

「…!?

 

サスケ、何を言ってるんだ。本当のことでも言っていいことと悪いことがあるだろう?」

 

 

 

まだ本気ですらないが、それは煽ってるようにしか聞こえない言葉を吐いた。

敵を斬り結びながらシスイも更に無自覚に煽る。一応だがシスイはイタチの兄貴分であり、サスケの兄貴分でいるつもりなのだ。弟に言い聞かせるような言葉をかけただけだった。

一方サスケは、ん?とばかりに首を傾げて見せ、分かっていなかった。

 

 

 

「「「「(((なぜ通常運転してるんだコイツら!?))))」」」」

 

 

 

 

雲隠れの忍達は内心で同じツッコミしてみせたが、それも束の間。油断していると思ったのか襲いかかった忍がいたが一息に撫で殺し、殺気を前にして怯え一つなく軽々と往なすのだ。

 

 

 

「な、なんなんだこれは…!」

 

 

たった二人。

多数でかかっているというのにいとも容易く一人一人と減っていく。

 

 

 

 

 

 まさに、一騎当千の怪物。

 

 

 

 

天才という天才と渡り合える男に、かつては忍の神と渡り合った少年に敵うはずもなかった。

 

 

 

 

ただ相手が悪かった。その一言に尽きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迫り来る死神がごとき二人に、死角から手裏剣を飛ばすが、それは瞳力を持たない者からであって、動くそれらを見ればどう動くのかすら容易く捉えれる。

 

彼らにとっての死角であって、写輪眼の使い手にとっては死角はもはやないようなもの。術の痕跡さえ見抜けるのだ。

 

誰かが投げた苦無を取り、投げ返す。が、敵もまたそれを刀で防いだ。

 

防いだ瞬間のその隙を逃さず、すかさず刀で切り掛かる。

チャクラを纏った刀とぶつかり合うと

パキン、と音を立てて奪った刀が折れ砕けた。

 

 

 

「ぐあっ…!」

 

 

 

半分の辺りで折れた刀を相対するチャクラ刀の男の胸に投擲し、絶命させて砕けた破片の一つを掴みチャクラを纏わせて他の敵の額へと狙う。

 

 

寸前のところで気付いたのか、避けようと顔をズラし、敵の左目にへと吸い込むように突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなはずではなかった、もっと楽にこなせる任務であると思っていた。

雷影の側近である、今し方目に傷を負った男は思っていた。ただ一人の上忍を殺して少年の方を連れ去る、そんな任務だったはずだ。

 

 

 

多くの仲間が血を舞わせ、焼けついて地に伏す。

捕らえるだけだと思っていた少年は次々と仲間を尽殺していく。

 

味方が次々と一人の下忍の少年に次々とやられていく光景を見て、戦慄と焦燥を覚えた。

 

「(何なんだ、こいつは?)

 

到底信じられぬ光景だった。

おそらく身内に甘い木ノ葉で、嫌われ者の一族であろう事くらいは彼も承知である。それ故に男の方は売られた。少年も道連れにして、死ねば徳だと思われていたのだろう。

 

だが……まだ、子供だ。

先の戦争ではこのような子供までもが戦場に駆り出されてしまうのはよくあった。

 

故に、使えると踏んだ。

 

甘い木ノ葉の忍の子供。精神、覚悟共に幼い子供ならば、自分の命惜しさ故に教育すれば楽々里の忍となるだろうと。

 

 

子供が相手ならば殺さずとも血継限界の生きたまま眼を頂く事もできるかもしれないと。木ノ葉には、うちはではないのにも関わらず写輪眼の片目を持った男が使いこなしている。ならば我々でも、と。

 

 

 

 

だが、現実はこれだ。

 

 

前回では遣わした者が弱かったからこそ日向の姫君を連れてこれなかった。ならばもっと強い雲隠れの精鋭ならばイケると考えた。

 

 

だが、たった二人の小童に手も足もでない始末。

 

 

 

一体誰だというのだ、こんな化け物を宗家でも甘やかされていると言ったのは。

 

瞬身の術と幻術の使い手だから、体術はそこまで優れていないと言ったのは。

 

こんな者達を簡単に消してしまえると考えた大馬鹿者は。

特にこの少年の力を見計らう事もできず、売り払ったのならこれ以上に笑えるものはない。

最も、自分たちからしてみれば笑える物ではなかった。

既に幾人もの仲間が葬られている。たった二人に、だ。

雷遁で身体を活性化させて敵を速さで翻弄し、有利に持っていこうにも、“あの眼”の前ではそんな物は何の役にも立たない。むしろ自分たちが不利だ。こうしている間にも、

自分たちは次々と倒れていく。

仲間の命が惜しい訳ではなかった。

何故ならどんな手を使っても里を強くするために忍術の入手が自分たちの本分であり、使命であるのだから。

このままでは、無駄死にするだけだ。

 

このまま写輪眼狙いで襲い掛かっても、こちらが消耗するだけ。

 

 

 

 

 

 

 

「熔遁・護謨壁!て、撤退だ!このままでは全滅する!」

 

 

 

 

 

ゴムによる弾力のある壁を作り出し、一時的になら攻撃を通さない。攻撃の威力を吸収する今となっては命綱の壁だ。

 

 

 

隊長であった男は早急に指示を出し離脱し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—————————————

 

 

—————————

 

 

————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、一体、何…が……?」

 

 

 

 

 

撤退と指示があり、男は共に去るはずだった。

 

 

 

 

後頭部に衝撃が走り、意識を失った。自分はどうやら気絶されたらしいが、運良く生き残ったようだ。

 

 

 

 

辺りを見渡しその有様に、男は驚愕する。

 

刀で斬り裂かれ、腹や首がそこら一帯が血みどろで時に焼き焦げ、人が焼けるタンパク質の焼ける生々しい匂いが染みついている。

 

…この惨状を見るに、任務の失敗も明白。

 

 

 

特に仲間は率先して消そうとシスイを狙っていたが意味などなく消された。

 

 

このままいても立ってもいられず、せめて自らの“主人”に報告だけでもしようと思い、立ち上がろうとするも、

 

突如、頭を掴まれ睨まれてしまった。

 

 

 

「ぐっ……!?」

 

 

 

続いて襲い掛かるのは、血の色ごとき赤。

 

 

 

三つ巴の瞳に、慌てて解の印を組もうとしたがそれよりも早く身体が動かない。

 

 

急いでチャクラを流してしまおうにも乱れすぎて練れそうにもない。

 

 

 

幻術にかかったと分かっても身動きは取れず、息すらまともにできなくなる。

 

 

 

「……!」

 

 

 

目の前が、よくわからない。

 

 

ただ見られていることしか分からない。

 

 

 

目をあけているのか、閉じているのか分からなくなった。

 

 

 

そして、それでも体を必死に動かそうとする。

 

 

 

 

「(なんと、しても、……ダンゾウ、様、に……!)」

 

 

 

 

この男は雲隠れの忍などではなかった。

 

 

木の葉の暗部の養成部門に所属している、「根」の男だった。

 

予め受付を根の者とすり替え、木ノ葉に紛れ込んでいた雲隠れの密偵に情報を流し、雲隠れの部隊に根の者たちは紛れて、シスイを殺してサスケを捕らえて子飼いにするという手筈だった。

アカデミーで誰よりも、イタチに並んで優秀な成績を叩き出したその弟のうちはサスケ。

それに目をつけ、あわよくば自分の駒に。シスイには目を奪い、活用させてもらうという心算だったのだ。

 

その手筈が、どうしてこのような惨状になったのだ。

根の仲間は率先してシスイを狙い、事切れている。かろうじて今生きている自分ですら、身動きが取れず自死ができない。

 

 

 

 男はふと、紅い瞳が二対あったことに思い出した。

 

 

 

馬鹿な、あり得る筈がない、と男は頭の中でそう繰り返す。

 

 

写輪眼の開眼は凡そ下忍以降と言われているのだ。その他の例外なく開眼は白眼と比べ幾度となく戦闘をこなしていくうち開眼すると言われ、開眼したてであれば巴は1つから2つで使い慣れていれば3つになると言われる。

 

 

 

 

実際に開眼しているのだから、戦闘経験が少ないはずで、1つや2つならまだ分かった。

だが、以前から開眼して使い慣らしていたとしか説明がつかないほど、忍を殺めたのだ。

 

 

いくら修練を積もうとも幼子で、根とは違い殺し合いなど表ではできる訳がない。

 

 

忍のことはいえ、人殺しに忌避感を持たず何の感慨も持たないなど倫理観が破綻しているのだ。むしろどことなく嬉々として戦い始め、弱いと断じてつまらなさそうに殺すなど……

 

……そんなのは、真っ当な人間であってたまるか。自分は闇で育ったとはいえ、それでも最初はやはり恐怖はあったのだ。

 

 

(だが、それより……も……)

 

 

 

冷酷な死神が如く、紅い写輪眼が離れない。

 

早く、これから逃れて報告しなければ。

 

 

作戦は失敗。拐かした雲隠れは撤退した。漁夫の利として手に入れようとした少年は忍の雛ではなく、それよりも恐ろしい龍のように猛々しい強者で根の一人としての教育など、呪印など跳ね除けるような怪物だった。

 

「(申し訳、ありません……、ダンゾウさま…)」

 

 

頭の中でグルグルと回っていた思考が、ここで止まった。

 

 

写輪眼がニヤリと笑ったような気がしたがもう、それ以上考えることができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

—————————————

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、壊れたか」

 

 

逃げようとした中で何処と無く違和感があった男を捉え、情報を粗方吐かせた。

 

幻術眼は一族内ではそこそこ(九尾や尾獣程度ならできる)なのだが、催眠眼も他族なら問題ないぐらいにはできる。

 

雲隠れの忍は少数ながら逃してしまった。

熔遁の使い手で、防御系の血継限界では分が悪く弾力のある壁の破壊に些か時間がかかり、数人ながら逃してしまった。

 

遊び過ぎたかと若干の反省はあったが現状の力量把握には持ってこいだった。

 

むしろ、形振り構わず戦っていれば塵殺も容易くできたがシスイを巻き込み兼ねず火遁を使えば一帯が塵に、消し炭になっていただろう。

 

情報を吐かせた忍の後始末をするべく苦無で首を裂き、その男を含めてこの場で殺した忍を一箇所にまとめて火遁を使い、証拠隠滅を図る。

死体からでもどこの相手が殺したかなどある程度の情報が入ることがある。所謂、検死なども行うときがあるそうだ。

こんなところで死体があれば余計に調査が行われる可能性がある。

 

 

ダンゾウという男はうちはの隔絶の道へ誘っているようで、特に今回のことを里に報告すればまたしてもうちはのクーデターがより煽動されるだろう。

 

特殊な力を持つものは良くも悪くも特別視される。うちは一族は独走癖があり、それ故に悪い方向に捉えられてしまう要因になる。

 

一族内ですらその独走でその思想に追いつけなくなることすらあるのだ、他族同士など余計に追いつけなくなる。

 

里と一族の瓦解を避けるべくうちはフガクは隔離されるのを受け入れた。

 

その結果、反抗にひた走るという革命を起こそうという馬鹿げたことになった…

 

 

特にこんな木ノ葉上層部とうちはで蟠りがあるのに、ダンゾウが情報を売っていたということを一族の者に知られてしまえばより激化するのは目に見えている。そのことが分かっていたシスイも痕跡を消すことの重要性が分かっていたため、黙って火遁を見つめていた。

 

 

 

「…何故、木ノ葉の仲間同士で争うんだ。オレは、誰も仲間も失いたくなんてない…戦争が終わって、ようやく得た平和を壊したく無いだけなのにな…」

 

 

 

シスイにとっては木ノ葉の者を、里という身内の者を殺すのはやはり忌避感があった。

というよりも殺し合いなど、人の命を奪い合うことを嫌っていた。戦争とは、命を削り互いに奪い合い、最後に残るのは悲しみと憎しみ。

 

大切なものを失った、その証である万華鏡写輪眼。

 

 

だからこそ、次こそは何も取り零さないように…

 

 

「一族を、子を、死なせないよう守るために最初は考えたものが今では里を守るために切り棄てるのでは本末転倒だ。

 

 

全く、オレもアイツも儘ならん」

 

 

 

 

肩を竦めて溜め息をつくのはこの遣る瀬無いからだ。何事も思うようになど夢や幻想にしかない。思うがままに幻術をかける術があろうとも、それは行き止まりの偽りの平和だけ。繋がりなど全て無くした断ち切られたモノ。

 

 

 

今度こそは繋がりは捨てない、

 

 

 

手と手を真なる意味で繋ぐために、

 

 

 

この先へ__________

 

 

 

 

 

 

「さあ、俺も休んでばかりではいられん。

 

 

今しばらく移動するしかない」

 

 

 

「……ああ、行こう。

 

 

 

 

 

 

案内は頼んだぞ」

 

 

 

 

 

薄暗い森を二人は木々を掻き分け行く。

 

 

 

 

 

先が見えずとも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

止まることは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

できないのだから。

 




長さが毎回安定しませんが、暇潰しにでもなれば幸いです。


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末の弟

弟のアンケートありがとうございました!

では続きをどうぞ


 

 

月明かりが強い日のことだ。

 

窓の外から射し込む月光は夜中にも関わらず廊下を爛々と照らしていた。

 

満月は既に頂点を過ぎて日付は変わり、内心まだか、まだかと待ちかねて一刻一刻が過ぎて行くのを感じていた。

 

 

兄は長期任務で木ノ葉にいない。

父は急用で駆り出されていつ帰るか分からない。

役職があるというのも厄介だと感じていた。

 

 

 

皆が皆、心待ちにしていたはずだがここにいるのはサスケ一人。

今はここ一人で母を待つしかない。

 

 

予定日の前日である夜に産気づいて急ぎ病院に連れて来たがまだ産声は聞こえず、本当ならばフガクが連れて行く手筈だったのだがあいにくと朝に連れ出されて何かあると隣家に頼むといいと言いつけられていたのだが、慌てて自分で連れて来てしまったのだ。

もちろん、病院に行くのは変化して運び込んだのだが。

 

 

 

受付の人には父親と誤解されかけて変化を解いて息子だと説明して3人目だから一人でも大丈夫だと言われて外で待たされている。

 

 

もうすぐ夜明けという空が白み始めた頃、ようやく産声が上がり、元気な泣き声が反響した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして病室に運ばれ、中々泣き止まないサルのような産まれたての赤子がミコトの腕に抱かれていた。

 

 

 

 

「フガクさんは、父さんはまだ来てないのね…」

 

 

「間に合わんかったようだな。

母さんがああやって送り出したから余計にかもしれん」

 

 

二日程休みを取っていたのだが、昨日の昼頃に急な呼び出しで襟足が引っ張られるようにして出て行ったのだ。

 

 

 

 

“大丈夫よ、3人目なのよ?安心して行ってらっしゃい”

 

“…できる限りすぐ戻る。

サスケ、母さんのこと頼んだぞ。何があれば隣の家に頼むといい”

 

 

 

サスケは、はあ…と溜息をついた。

ミコトが赤子をサスケに差し出した。

 

「サスケ、抱っこしてみない?

泣き止まないけれど、あなたみたいにイタチに抱っこされると泣き止むかもしれないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衝撃の事実。

 

 

 

 

兄にあやされていたという記憶はないがどことなく恥ずかしい。いい歳こいたジジイだが、面倒を見てもらっていたとなると顔が上がらないと感じていた。

 

 

 

 

「あなたの弟よ、首はこうして支えてあげてね」

 

 

「ああ、分かっている…」

 

 

 

サスケは恐る恐る産まれたばかりの弟を抱き上げた。

懐かしい、昔はこうして弟たちをあやした。

 

五人兄弟で、

特に末っ子のイズナにはこうやって———

 

 

 

 

 

「……

 

 

…………イズナ」

 

 

 

「ううぅ…ぁう?うー!」

 

 

 

サスケが郷愁の念を抱き、無意識に口からその名前が溢れ出た。

 

抱っこしてから10秒と経たずに泣き止むと笑ってこちらに手を伸ばして来たのだ。

サスケ自身は気付いていないがその名前に反応した。

 

泣き止むのが早いわ!とツッコミをしそうになったが大声で話すと驚いてしまうためにやめてただ静かに見つめ、腕の中にいる赤児はキャキャと笑っている。

 

 

「あらあら、もう名前を付けちゃったの?

いい名前ね。イズナ…確かうちは二大伝説の弟の方ね。

 

名前は後で父さんが付けるって言ってたけれどこの子も嬉しそうだからイズナで決まりね」

 

 

その反応を見たミコトは疲れきった顔に微笑を浮かべて腕を伸ばし、赤ん坊を撫でた。

 

無言でいたつもりが言葉をこぼしていたらしいことに気づき、サスケは罪悪感に苛まれた。

 

 

しかもイズナ、…、

あれほど生前の兄弟に重ねるつもりも無く、

まだ何も知らない新た弟にその名を背負わせてしまうなど…と。

 

 

頭ではどうしようかとぐるぐると思案しながらもあやしているうちに赤ん坊は眠ってしまった。

そこでようやく考えがまとまり、口を開いた。

 

 

 

「母さん、イズナは」

 

 

 

 

丁度口を開いたタイミングでノックと共に扉が開いて看護師とフガクが姿を現した。

 

 

 

「うちはさん、旦那様が来られましたよ」

 

「ミコト!

帰ったら家にいないからまさかとは思っていたが…無事、産まれたのか…?」

 

 

サスケの鼻には微かに血の匂いが届き、その薄さと濃くはないが何か混ざった匂いから匂い消しを行なっているのだけは分かった。

 

 

「ええ、でも…サスケが名前をつけてしまったわ。

 

この子が喜んでね

 

イズナよ、サスケお父さんに見せてあげて。」

 

そんなつもりは、と思って顔を上げフガクの方を見つめるが考える素振りから口を出しを控えた。

 

 

「…、イズナか、悪くない」

 

 

少し拗ねたような間の開き方だったが、すぐに気を取り直して腕の中の息子をを覗いた。

 

 

 

母の言葉に頷いてサスケはイズナを差し出してゆっくりと抱っこしたが、フガクが持つと起きて烈火のごとく泣き出した。

 

 

「サスケそっくりね。

イタチから取り上げた時もこう泣いてたわ」

 

 

ミコトはクスクスと面白おかしそうに笑った。

サスケは慌てて困っている父の腕のイズナに頭を撫で、よびかける。

 

「イズナ、大丈夫だ。

 

お前の父さんだ。怖い人じゃない…」

 

 

「うううううううううぅう…う!」

 

 

呼びかけると撫でている手の親指をギュッと捕まれ、声を落としてサスケの方を見た。

 

生まれたての赤ん坊は白黒にしか見えないはずなのだがしっかりと見つめている。

 

 

じーっと見られて手を離そうとすれば更に泣き声は大きくなる。サスケは既視感を感じ、イズナもこんな感じだったな…と思い起こしていた。

 

 

フガクは溜息をするとサスケにイズナを渡した。

 

するとまたしてもキャキャと嬉しそうにして完全に泣き止んだ。

やはりか、と仕方がないような少しながら落ち込んだような顔をしながら微笑んだ。ミコトもまた、仕方ないように微笑んでいる。

 

 

 

 

「サスケそっくり」「サスケの方がマシだったかもしれんぞ…その上をいきそうだ」

 

 

こんな感じだったのか、俺は!と叫びたい気持ちになって口をぎゅっと噤んだ。

照れ臭いような恥ずかしいような気がしたのだ。

 

 

 

 

生理的笑顔で笑っていたと思われる赤ん坊は産まれてからほとんど泣いていたからか、泣き疲れたのか笑顔のまま眠りについた。サスケは赤児用のべッドに寝かせると、スンと真顔になった。

 

 

眠っているのにコイツ、やばい。

 

そう感じてしまうのはいくら歴戦の忍とはいえ仕方ないだろう。

 

 

 

生まれ持ってチャクラ探知が得意なのかもしれない。

少なくともそういう才能は物心つく前から兆候はある。

単に気配に聡いのか。

 

 

流石にこんな赤ちゃんはやばいと思う、弟だが。

 

 

 

可愛いと思うのだが、早くもブラコンに走っているとはな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや嬉しいが。

 

 

 

 

 

 

 

スヤスヤと眠っているのは普通で、

 

 

 

 

少しばかり変わった赤ん坊だが、悪くない。

 

 

 

 

「早く…大きくなれよ」

 

 

 

頬に手を伸ばし触れるとやはりサスケよりも高い体温で胸が不思議と暖まった。

 

 

 

 

 

 

「また泣いてるわね」「ああ、普段から泣かないがこういうこともあるだろう。いい兄になりそうだ」

 

 

 

 

サスケは目頭が熱くなって目を抑えたが涙が溢れ落ちる。

この歳になると涙腺が弱くなってかなわないと思っていた。

 

多少の情動で涙を流すとは忍として情けない。心なしか感情の振り幅が激しい。

 

 

 

 

“なんてこともない!サスケは人一倍愛情深いからな!”

 

 

 

誰が言ったか愛が重いとか何とか。

 

 

 

友か弟かを選んだ別離で写輪眼、扉間から聞いたらしいが認めたくはないが友愛が深かったのだろうと告げてくれたと嬉々としてナルトは語った。渋々告げたのが眼に浮かぶ。

 

 

 

 

千手において扉間ほどうちはに詳しいものはいないと言われた男だ。その男の兄の言葉だ、信頼できないわけではない。

 

 

 

 

 

 

ただ一番警戒するべき相手なだけだ。

あのイズナに一対一で手傷を負わせたのだ、そこだけは評価している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

顔も見たくないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃からというもの、サスケはアカデミーの記憶が曖昧だ。

それは授業中、寝ていたからだ。

母の退院以後、イズナがそばにいなければ愚図るのだ。

修行に時間を使うために影分身で南賀ノ神社近くの森の中で修行をしていた。

 

家に分身を置いて行くのも良かったのたが、なんとセンサーのように察知して大泣きするのだ。

学校の間は理解しているのか機嫌は悪いが分身を置いておけば少しはマシだが、夕方になると分身でいると火が付いたように泣いてしまう。

自分自身で修行できるのは外が暗い早朝などご飯前に限られてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、この年齢で一種の育児ノイローゼになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

それでも寝ていても、当てられればちゃんと答えて教師にチョークを苦無が如く投げられても反応して定規で跳ね返し、教師の顔スレスレで黒板に返していた時には流石サスケ君!とばかり本人の預かり知らぬ所で女子にモテていた。

 

 

モテるのは眉目秀麗なうちはの宿命である。

 

 

 

殆どの授業を寝ていたとしても実技において、常にナルトと張り合う上にペーパーテストにおいて道徳の授業以外は殆ど満点に近い状態だった。

下手な下忍に比べて知識も技術も上回るので相手になるのはナルトだけ。

 

 

 

教師からしても同級生からしてもとっつきにくい付き合いの悪い生徒だっただろう。

 

ナルトも弟がいることを承知しているからこそ、その付き合いの悪くなったことも理解して早朝の修行は付き合ってくれた。

誤算はナルトが話しかけてくることにより、ナルトを普通の同級生として扱ってくれる者達が、ナルトと同じく何度も話掛けてくることだった。

 

 

 

 

「サスケ君よぉ、今日こそは組み手で倒させてくれよ」「それは無理だ。なぜならサスケは手加減などしないからだ。」「クゥン…」「ゔっ…、それはそうだがよぉ」「メンドクセーことに付き合ってられねーよ、サスケもな。オレたちじゃナルトにも及ばねーんだ」「そうそう!サスケ君はクールでカッコよくて強いのよ!」「う〜ん、先生達もこの前負けてたしねぇ、ボクらとやってもほぼ秒殺だし。あ、ポテチ食べる?」

 

 

 

 

 

どうしてこうなった…?子供同士のコミュニケーションは大人のものとは違い、好奇心旺盛で厄介な上に独特の世界観を持っている。

 

元来、血継限界持ちは閉鎖的な性質を持つ人が多くうちはもまた、会話という会話が少ない、寡黙な者が多い。

楽しむことは全力で楽しむが。

 

 

それはともかく、子供というのは中々諦めが悪く、へこたれない。

どうして彼らは付き合いが悪い自分に話し掛けてくるのだろうか。サスケには、分からなかった。

 

 

「まず、お前たちと俺では土俵が違う」

「んだと!」「まあ落ち着け、何故ならサスケは言葉足らずなところがあるからだ」「ケンカ腰にはサスケはならねーだろうよ」

 

 

 

 

「犬塚は忍犬の使い手。体術や近距離での戦闘よりも忍犬並みの嗅覚を持つという一族だ、追跡や探知向きだ。猪突猛進な性格と忍犬を合わせたコンビによる撹乱におけば近接もおいそれと負けんだろう。

油女は蟲使いだ、気付かれずに敵を倒するのには向いているだろうな。体術は不得手だが、冷静沈着ならば近接が得意な者と組んでサポートするのも一手だ」

 

「だ〜!お袋と同じこと言いやがって!

…へぇ、そんな手もあるのか…」「ふむ、一理あるだろう」

 

「サスケ君サスケ君!私は!私はどう!?」

「そう慌てなくとも分かるだろ?」「んー、ボクらは猪鹿蝶で組まされるからねぇ…分かりやすいとおもうんだけど」

 

「山中は確か伝令に向いたモノだと聞いたことがあるが…その気の強さがあれば仲間と連携するのには心強いな。奈良は影使いだ、捕獲や拘束向きでその頭脳なら策を考えれるだろう。秋道は倍加があったな、陽動にも足止めにも向いている。優しいところが目立つが…それは仲間を思えるだろうな」

 

 

クールそうとかナルトが言っていたからそれで来るのだろうと判断して、寡黙な人間だというイメージを覆すべくとりあえず答えると周りはキャイキャイ盛り上がった。

 

クラスでトップ、ナルト以外は追従を許さないクールな人物が遠く及ばないにしてもちゃんと見ていたことに舞い上がり、これ以降も話しかけられるようになった。

 

 

 

 

家族どころか仲間思いではあるのだ、一応。

 

 

 

ただ…、家族の比重が重いだけで。

 

 

 

 

 

 

 

イズナは思いの外、成長が早くハイハイができるようになるとサスケを掴んで離さないようになった。

 

 

 

ようやくというべきなのか、影分身での二重生活はそこで終わった。

 

 

そういえば、昔もイズナが家にいれば必ず引っ付いていた気もする。

とはいえ、アカデミーが終わるまでの間は不機嫌で分身を置いておこうとすれば本人でないと分かるからなのか、より不機嫌になりご飯も食べなくなるので今では急いで帰るのには変わりない。

 

瞬身で家に戻り続けて来たが、流石にそろそろ言葉を理解し始める頃。ただ甘やかしていても良くないのは分かっている。

 

 

今日は日曜日、久しぶりに昼間に修行に行こうと思ったが、イズナが離れない…、

 

 

 

「イズナ、今から修行に行くんだ。離れてくれ」

「いーやー!にぃしゃんいるー!」

 

 

 

まるで子犬が捨てられたように綴ってくる。

 

やめろ、罪悪感がっ!

 

だが、今日こそは兄として甘やかさないと決めた。

これからアカデミーの時間割も長くなる。

 

 

「兄さんなら、イタチ兄さんがいるだろう?」

 

 

「イタチやー!にいしゃんー!」

 

 

 

やー!と言った瞬間、廊下にいたイタチらしき影がガックリとしたような気配がした。

 

 

 

許せ、兄さん。

 

 

イズナは俺に懐いている、、

 

 

 

 

 

 

 

 

「、…、イズナ、いいか?修行はお前にとっては危ないんだ。

 

お前を守るために強くなりたいんだ。だから、行かせてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

「……や!イズナいく!にいしゃんいく!」

 

 

 

 

 

…ん?いるじゃなくて、行く?

 

 

 

「…ダメだ。俺とずっと一緒にはいられないんだ。イズナは家に」

 

 

 

「やー!イズナいくー!」

 

 

 

ダメだ聞かない。

どうしてこうも言葉を理解できているのにこうもわがままなのか。

母さんにはこうではないらしい。

発達は早いがこうも俺にだけは駄々を捏ねるんだろうか…

 

 

 

 

「イズナ」「い・く!」

 

 

 

 

もうすでに一人で歩けるため、縁側から抜け出されてはひとたまりもない。

既に中忍になっているイタチが目を離すわけはないが何しろ何をし出すか分からない子だ。

 

 

 

 

 

 

 

「…全く仕方のない。

 

兄さんが悪かったな。

術の練習をする。

 

一緒に来てもいいが邪魔はするなよ…?」

 

 

「…!

 

…うん!」

 

結局のところ、弟に甘いうちはである。

 

 

この後、うちは地区のため池に行き水の上に立ちながら龍炎放歌によるチャクラコントロールを行い大小様々な龍が舞った。

 

 

 

 

「にぃしゃん!にぃしゃん!」

「こっちに来るなよ!?絶対だぞ!」

 

 

 

 

 

それを人はフラグという。

 

 

 

 

 

 

「あ゛あ゛!来るなと言っただろう!?」

 

 

 

 

 

 

「ごめんちゃい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだまだサスケの育児の受難は続く…

 

 

 








アンケートの結果、イズナになりました。イズナって飯綱落としって言う管狐(妖怪)使いからきてるんですね。確かに、マダラの目はイズナの目で九尾を操ったから間違いではない…
マダラってタラのことで、タラの子供は白子…共食いは嫌なのか…
すまん、模様みたいな名前だと思ってました!

アンケートはもちろんのこと、感想、評価などありがとうございます。更新ペース保って頑張ります













〜どうでもいい作者のガチ話〜



一歳の頃って、子供は凄いらしい。記憶は無いけど。

生まれて半年ぐらいの頃、歯も生えていないのに焼き鳥(串なし)を食べていたらしい…

親戚に、8ヶ月で歩いた人もいる。だいたい家の一族では一歳超えない子が8割いた。なんなんだ、この個人差とはいえ成長早いのは。(自分は遅くて、2歳近くにようやく)

ちなみに最初に覚えた(7ヶ月)言葉も中々…

自分「にいしゃん!」

親「「!!??」」

ブラコンかよ!?サスケやイズナとかはそう言いそうだけども!?
おしめや哺乳瓶とかしてもらってたらしいけどさ!(親とか大人がしてくれていたと思ってたら違った)
いい兄さんだとは思う。

後半のイズナは親とか親戚から聞いた一歳の誕生日の頃が元ネタ。いや!とか、やー!とか、いく!とか言ってたらしい。言葉の理解ェ。

一歳行かずに歩くの成長早いと言ったら、お前も大概だったと語られた休暇でした…

世知辛ェよ…


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革命の反意

book offでNARUTO全巻買ってきました。初めての大人買いに手が震えました。原作部分はうる覚えだったのでこれで何とか進めれそうです。








 

 

 

 

うちは地区からそう離れていない森の中でイタチとシスイはいつものように2人で修行をしていた。

 

 

どちらかといえば一族と木の葉の間に立つという立場にある二人は修行をする時ぐらいが穏やか時間。

殺伐とした任務やスパイの合間の、穏やかなひと時だった。

 

 

 

 

しかしそれはもう長くは続かないと2人は確信していた。

 

 

 

 

 

うちははもう、止まらないし止まれない。視野狭窄に陥っている。

 

 

 

先日、うちはの会合でクーデターの決行が決まった。決行されるのも時間の問題でもうあまり時間はない。

 

 

 

こうして穏やかな日々を過ごすこともできなくなるだろう。

 

 

 

 

「ハァ、ハァ…ふぅ、どうよ!

今回も俺の勝ち越しだ」

 

 

 

シスイが乱れた息を整え、膝に手を置いた屈んだ姿勢から立ち上がると胸を張った。イタチとシスイの力量は拮抗しているのだが、シスイが弱いわけではなくシスイもまた優秀だ。近い年齢層に他に優れた忍はいない二人は親友でありライバルなのだ。

 

 

 

「ああ、オレの負けだ」

 

 

 

片膝をつきながら息の切れたイタチは、シスイを見上げながら頷いた。落ち着きのあるイタチとどこか幼そうな雰囲気のあるシスイでは年齢が逆に感じることもある。

 

 

まだ背の大きさからシスイの方が年上だと分かるがそれも時間の問題だろう。

 

 

 

2人は中指と人差し指を差し出して和解の印を握り、顔を緩めた。

 

 

 

「やはり、シスイは凄いな」

 

「いいや、イタチの方だろう。あっという間に追いつくからなぁ…

ヒヤヒヤさせられることが何度あったことか」

 

 

「だが、前よりキレが良かったぞ」

 

 

 

 

 

互いが互いに認め合うからこそ、2人して前よりもここが良かったとここが悪かったと改善点などを出し合う。なら次はこうしようと、ああしようと話し合っていく。

 

 

 

 

 

 

 

2人ともが今だけは、

 

 

 

あのことを考えたくなかった。

 

 

 

 

 

 

そう、クーデターのことなんて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、木に囲まれた南賀ノ神社の地下の集会場。

 

 

 

大人達、主に若い衆は里に対する憤りを抱え、その上の年代の者たちもまた里に対する不安を抱えて来るべき計画の日について話し合いを進めていた。最後尾に近い、後方へ座っていたイタチの顔は暗い。シスイもまた不安気な表情だった。

 

 

もうこのままでは一族を止めることはできない。

そうすれば残された手段は、限られてくる。

明日、シスイが三代目達に自分の考えを話しに行く。シスイの万華鏡写輪眼、別天神で一族全体に幻術をかけること。

 

 

 

それが最初、イタチだけに話されたシスイの導き出した答えだった。

 

 

 

しかしそれが上手くいくとは限らない。シスイが優れた幻術使いであることは百も承知。ライバルであり、親友であり、兄貴分だ。

 

 

 

一族の中でも不満が多い者がこの場を支配していた。

会合は始まり、族長である父のフガクが上座に立ち話を始めた。犠牲なく、父の眼を持ってして無血革命を起こすという。

 

 

 

 

「九尾事件を発端とし、かつてのマダラと同一視した我ら一族への排斥。度重なる里の暗部と我らが警務部隊との衝突。

 

 

 

幾度となく疎まれ蔑まれてきた。

 

そう、我らは耐え続けてきたのだ!だが里は変わらない…、」

 

 

 

 

いつもと変わらない前口上に、一族の若い者を筆頭に同意する声が上がる。

 

 

 

 

 

「度重なる辛酸を舐め、焦燥を堪えてきた。

 

 

だからこそ、

 

我らうちは一族は、

 

今こうして立ち上がろうとしている……!」

 

 

 

その言葉に、一族の熱気が高まる。

 

里への憎悪を、一族がいかに優れているのかと口々に声を上げていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に、愚かだ。

 

 

一族、組織、名、…数多のものに執着している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くだらんな」

 

 

 

 

その一声に、バッと一斉に一族の者が集会場の入り口を振り返った。集中していたとはいえ、誰もその気配に気付かなかったのだ。もちろん、俺さえも…

 

 

 

「誰だっ!!」

 

 

父が声を上げ、その影は赤い瞳でこちらを睨んでいた。

その姿に、息を飲んだ。

 

 

 

「サスケ……?」

 

 

入り口の側にいたイタチは思いがけない、弟の名を呼んだ。

一族の者達もサスケの姿を認識して口々に何事だと話している。幼い、大人の半分ほどの身長に誰もが驚きを隠せない。

 

 

 

 

「サスケ、子どものお前が何故こんなところにいる?

 

どうやってこの場所を知った?」

 

 

 

サスケは鼻で笑った。

そんな表情など今までみたことが、なかった。

蔑むような、冷たい眼をこちらに向けていた。赤いと思ったのは、一族の写輪眼だったのだと今更ながら気がついた。

 

 

 

 

 

いつの間に、開眼していたのだ…

 

 

 

 

 

「里に下り、千手に尾を振って残り続けた結果がコレとはやはり俺を見限った者達は間違いであったか。

お前たちがこうでは、貴様らの先祖は選択を誤っていたようだな」

 

 

 

 

集会場に一歩入ると腕を組むサスケは、雰囲気がまるで違っていた。

 

今までみたことがないような風格を持っていた。

 

一体、これは誰なんだ…?

 

 

 

 

「どういう意味だ、サスケ」

 

 

 

「言葉の通りだ。

 

 

 

一族、一族と言う割には何一つ一族を守ってすらいないと言ったのだ」

 

 

冷たい、無機質な声音だった。

 

その頃には写輪眼はいつもの黒真珠のような黒い目に戻っていたが、この場はざわめき出した。

 

 

 

「…何を言い出すかと思えば、子供が戯言を!」

 

 

 

 

集会に出席していた壮年の一人である白髪混じりの男、ヤシロは立ち上がってサスケを掴もうとした。

 

 

 

 

 

 

「ゴハッ!

 

 

…なにっ、!?」

 

 

 

次の瞬間にはズザザと床を滑り倒れ込んでいた。

写輪眼でない状態とはいえ見切りよりも早く、いなして投げ飛ばしたのだ。

近くとはいえ少し離れた場所から見てわかったぐらいに手慣れたように吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

「この程度で多くの戦力を持つ数多の忍を束ねている者に挑もうとは片腹痛いな。

 

油断していても負けるとはそれでもうちはか?」

 

 

 

先に敵意を出していてその対応をしたのが間違いであったのだと、暗に語っている。

 

 

 

過激な若者が次へ次へと立ち上がって殴りつけようと写輪眼を開いてサスケへと向かう。

先ほどの力量から俺が知らない間に強くなったのだと分かったが、それでも弟なのだ守るべく立ち上がろうとするが、誰かが手を引いた。

 

 

振り向けば、その人物に首を横に振られた。

 

 

 

 

「…シスイ?どうして止める」

 

 

訳が、分からなかった。

そうしている間にもこちらも写輪眼になったサスケが、軽々と倒していく。その動きがどこか老練じみていて、どこか今日戦ったシスイの動きに似ていた。

 

今までになくキレが良かった、その動きに。

 

 

父はサスケを見ている。

静観というよりも観察しているように感じた。

 

 

 

分からない、情報があまりにも足りない。

 

 

 

「この程度とはな…緩いぞ。

 

もう少し粘るとは思ったのだが、気のせいだったな」

 

 

酷く、落胆したような声だった。期待していたのにこの程度だったのかと、可哀想な者を見るような眼差しだった。

 

「お前は、一体…」

 

 

その言葉を、誰が言ったのだろうか。

 

この場にいる誰もが同じことを思っていた。サスケがサスケではない。まるで仮面の男の影が過ったが、あの男とは違って威圧感も雰囲気も何もかもが、格上だった…

 

 

なぜだ、あるはずがないのに

 

 

 

 

 

自分を襲ったのは、恐怖だった。

 

 

これは、誰だ…

 

知っているはずなのに知らない—————

 

 

生唾を飲み込んだ。未知とは時に恐怖を与える。

 

それを抑えるすべを知っていても、特に見知った存在だと余計に恐ろしい。

 

 

そして、口を開き———

 

 

「俺はうちはサスケだ。

 

今、この身は確かにそれだけは違いない」

 

 

 

 

その言葉に先ほどまで感じていた恐怖は不思議と霧散して良かったと、どこか安堵した自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、俺はうちはサスケだ。

今の脆弱な一族にとってはそれだけは変わりない。

 

脆かろうと何であろうとも一族だ。

たとえ見捨てられようとも、自らが生まれあの子が愛した一族だ。

 

 

 

 

俺はかつての長としても守らなければならない。

 

 

 

 

「ぐっ、ならばその力を何処で——」

 

 

 

投げ飛ばした若い男衆が顔を上げてこちらに睨みをきかせる。

その程度の瞳力では見切りでもこちらに敵うはずはない。

 

 

 

「そんなことはどうでもいい。

 

 

 

俺はただ言いに来ただけだ」

 

 

その言葉に、こちらにへとより一層視線が強まる。先ほどまで、飛ばされた男にも視線が行っていたが殺してはいないと分かるや否や一挙動に注視されている。密会に乱入してきたのだから当然だろう。

 

「クーデターを白紙に戻せ」

 

 

ざわめきが再び沸き立つ。父の顔は変わらない。いや、むしろ厳しい目になっている。一族の者から向けられる視線はより一層のこと当たりが強い。

 

「お前はまだ何も知らぬから言えるのだ!里は我々から同胞を、権利を、誇りを踏み躙られ奪われてきた!」

 

誰かが一人、吠えた。

お前たちは、そう思うのか。

 

この里に、縛られて育つ者はそう思ってしまうのか。

 

 

「そうは言っても腹に背は変えられんだろう?

 

今の俺のように、俺に下されて這い蹲っている者のように里を力で支配しようとしても反感を持つだろう。違うか?」

 

 

プライドが無駄に高いせいで気にくわないならとことん抗う者が多いのは昔から変わらない。他族より優れているという優越感を一族内では当たり前のように持つ。優れているから上に立つ、其れが真理だと疑わない。強い者が長でなくてはならず、力こそ全てを支配すると思っているのだ。

 

負けたなら腹立たしくも認めるからこそ、下手に出ずに長に従うようになっている。

 

先ほど吹き飛ばした男共も睨みを利かすだけで手を出してこないのだ、力で解決しようとするがそれを解決できないなら受け入れるところがある。腹立たしくも正論だと思ったのだろう、ざわめきは収まった。

 

「力で押さえつけてもただ遺恨が残る。一族が里を押さえつけたとしよう、今度は我らのように他族が反感を持ち、またしても我らのように力で押さえつけられる。

 

それこそ、一族が滅ぶ」

 

思い当たる節があるのか、ぐっと歯をくいしばる者が幾人もいる。

 

しかしそれでも————

 

 

「ならば他にどうしろと言うのだ!

 

現状維持しても、滅びるのは明確だ!」

 

 

 

 

真綿で首を絞めるように確実に削られていく現状には耐えきれないのだ、特に忍として外に出る者は命の削り合いをしているからこそ失うことがどれほど恐ろしいことか。ただでさえ、戦場において忍とは吹けば散るような命であるがゆえにそれ以外で奪われなるものかと。

 

「今は、少し待つときだと俺は思う。もとより警務部隊を一族が取り仕切っているのに下手に政治に手を出せば一族が里を支配しようとしているようにしか見えかねん。政と癒着しているように、な。ただでさえ、我らうちは一族は結束が高いのだからそう捉えられるだろう。

 

 

しかしながら、今では里に認められている者もいる。多少…いや、かなり小さくはあるが歩み寄りではあると俺は思う。

 

ただでさえ、里は疑いをこちらに向けている。ここで不和を起こせばこの歩み寄りさえ無に帰すだろう…、

これ以上は里と離れるならば、他里すらもこの不和を読み里は戦火に巻き込まれ同胞は更に減らすことになる」

 

 

戦争になればさらに人は駆り出され減る。里を襲われれば更にその余地はない。皆まで話さなければ行き着かないようだった。頭の固い者が多いのは、内向的な性質があるからだろう。少なくとも、里の中枢である暗部にイタチは認められた。

 

 

「俺も賛成だ。

 

クーデターの件、取りやめていただきたい。

 

先に不安を持ち、革命を起こそうとするのはわかっています。

 

けれど、失敗した時の皺寄せもまた一族が苦しむ!

 

こちらの歩み寄りも無ければ、里の歩み寄りはないと俺は思う…!」

 

「シスイ…」

 

シスイはその場を立ち、思いをぶつける。一族切っての秀才。頭のキレもまた並外れた者でなく、文武ともに優れて若くして上忍なのだ意見としては筋が通る。

 

「…俺も、その意見に賛成です。

 

里は安寧のためなら、こちらを切り捨てるでしょう。

 

うちはに対する意識を、里を変えるには時間が必要です。

取り急ぎ変革をしても里は一族以外の者も多い。反発が無いわけでは無いでしょう。

 

俺が、必ず里を変えてみせます」

 

 

イタチもまた、思慮深いが決断は早いのだろう。シスイと結託していたのに、シスイはまた別に隠して俺と策謀を練って実行に移した。正直に言えば親友に騙され、衝撃を受けただろう。

俺とシスイが動き、クーデターを止めに入ったのを見て今畳み掛ける時と判断してくれたようだった。

 

 

「私もクーデターには反対です!

何故、里に離叛しないとだめなんですか!?

うちはも里の一部ですよね?」

 

 

「イズミ…?」

 

この集会には写輪眼を開眼していないものは、呼ばれない。一族でも忍として働いているものに限られている。

高齢となり引退した者や、家庭に入り忍を辞めた女、元より忍として働いていない者などは呼ばれない。ゾロゾロと神社の外側に集まった数はここにいる者とあまり変わらない人数だ。地下にへと入ってきた人は限られている。それでも忍の一介として凡その人はチャクラや足音で人が多く集まっているのは分かる。一人、また一人と反対派の意見が述べられていく。

 

「一線から離れた私たちが言うのも間違っているかもしれませんが、うちはもまた里の者ではないのですか?」

 

 

「蟠りがあるのはかつてのことを含めるとありえなくはないでしょう。それでも先人は耐え忍び、里の一員として生きた。

それを無駄にするのは間違っていると思いますぞ」

 

そしてまた老爺がポツリと述べ、目を瞑った。

うちはの生死を別つ場で生きる者達は自分がしなければと思うものが多い。かつての俺もそうだったように。言葉に出さなければ分かりあうこともない。募るばかりの不満もあるが、こちらだってそんな独走する者たちに対して不安が募る。

 

 

「少なくとも、俺は一族の中には反対派がいる。

 

それを一考して欲しいと思い、この場に来た」

 

ジトリと厳しい視線が会合に元より来ていたものたちからこちらに向けられる。当然だろう、この場をかき乱したのだから。謝りなどするつもりもない。ただ必要だと感じたからだ。

 

 

「サスケの言う通りだと俺も思う。警務部隊が追いやられるというなら、俺だって里と繋ぐ。今すぐ変革が起こるという訳ではないが、必ず!少なくとも俺やイタチは中枢に近い…、だから俺からもお願いします!」

 

シスイは頭を下げた。真剣なその声音は地下にビリビリと響き渡った。

父は、フガクはそれを静かに見やった。

眉間に皺を寄せ、悩むように下座の後方である乱入してきた一族の者を続けて見つめた。

 

あと一押し、流れはできた。

 

そして———

 

 

 

「俺は———」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思いがけずイタチが口を開き、言葉を紡いだ。

全ての視線がイタチに集まった。

 

 

「今ある里の安穏を無くすのは惜しいと思っている。ようやく戦争が終わり、仮初めかもしれないがクーデターを起こせば火の元になるのは、目に見えている。

無駄に取り急いでしまえば、里も火の粉を消そうとするのは道理です。里は一族だけではなく、繋がりがあってこそ成り立っているもの。無理矢理一部を認めさせても、矛盾が生じてしまう。

 

認めさせるのではなく、認められてこそだと思っています。

 

シスイや俺が認められるようになるには時間がかかります。それに、警務部隊は確かに忌むべきものと見なすものも少なくありませんが、力を持たない者であれば務まるはずもなく里内の平穏を守っていると言っても過言ではない。

里が警務部隊を良いものと見なすにも時間はかかる。

 

クーデターを起こし、里に認めさせるよりも衆目から認められる方が里に認められると思います。

 

 

クーデターにしても里側の力量が分からなければ厳しいものでしょう。

 

俺は何をするにしても事を急ぎ過ぎるのも良くないと感じました。

 

白紙の方が良いと思いますが、少なくとも時間がまだ必要だと思います」

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞いたフガクが目を瞑り、眉間に更に皺が寄った。

 

 

 

沈黙が支配し、やがて目を開くと同時に口を開いた。

 

 

「お前たちの考えは分かった。

 

 

性急に事を運んでしまえば良いというものでもない、か。

 

反乱に対する反意の意見もまた、うちはの者の意見だ。

 

うちはの長としてその意見も考慮せねばならん。白紙に戻すのは、それもまた性急過ぎる。

 

 

…長くて5年だ。それまでは様子を見よう。九尾事件よりまだ10年程しか経っていない。里の目が厳しいのはまだ仕方ないかもしれんな」

 

 

クーデター派はざわめいたが若年寄の辺りは、10年も15年も変わりないと多少は寛容さを見せた。問題は若衆でざわめいている。近い年代のシスイに勝てるものは少なく、頼りにされていた分、反対派に回れば士気も落ちる。

 

しばらくは事を収めれるだろうか。

 

 

 

 

 

ただ少しだけ、時間はできた。それだけでもマシになったとは思う。

 

まだ一線に出ていないため、里から晒されるレッテルの払拭にはまだ頼りないが自分がすると言ったシスイだ。

 

それにイタチも同様に声を上げた。

 

まだ捨てたものではない。

 

ただ一筋の光明は見えた気はした。

 




難産でした。NARUTOの時系列の矛盾が多いんですよね…改めて見ると。

イタチが暗部に入隊したのはサスケの入学時。その半年後に目に余るイタチの言動にシスイが監視して身投げしたというヤシロさんのお言葉。少なくともイタチ、陣の書から見るに11歳ぐらいなんですよね…サスケと5歳差だから。
アニメ見る限りではシスイとの身長差20センチ以下でシスイの死亡時の身長は180㎝…何だこれ。

サスケの身長13歳で153㎝…兄弟でもこうなのに意味が分からないことになった。イタチは13歳で暗部の分隊長勤めてたから…うん、もう考えることを諦めるしかなかったてばよ!


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息子

ナルスト楽しい…4買ってきてフリーでやったけどヤベェなあれ。

卑劣様で何回自爆したんだろうか…、飛雷神組楽しいな。高速や!


うちは?もちろん少年オビトで鳳仙火や豪火球ぶっ飛ばしてきましたとも。
それに、別天神で近接から嵌めてきた。

サスケが上手く使えない(´;ω;`)

マダラ様のためにストーリー進めないと…では、本編へ




 

月が登った。雲が月を覆い隠していたのを今し方切れ間から光が差し込んでいる。中秋の名月は殊更ながら光が強い。

 

幼いイズナは月を見る前に眠ってしまった。少なくとも今から4時間は目が覚めない。

月見団子もそこそこに風呂に入って月を見ようとしていたが肩にもたれて寝ている。仕方なく抱き上げて一緒の寝室に布団を敷いて寝かせた。

 

寝入った顔を改めて顔を眺めるがそっくりだと思う。自分にも似ているし、何より………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

————あの子の、死に顔に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眠りは死に近いと誰かが言った。確かにそうかもしれない。

ハッとして、手を取るが暖かくて脈は確かに早鐘のように打っている。子供は少し、脈は早いためこれが普通だろう。

安心して掛け布団を首まで掛けて部屋からそっと抜け出し、居間に向かった。

 

 

まだ、寝ていない父は巻物を開いて読んでいる。一方で母は明日の準備で台所を忙しそうにしている。

 

「イズナは…眠ったか」

 

巻物から顔を上げてこちらを一瞥すると、すぐに視線を戻しながら声をかけられた。

その言葉に頷き、

 

 

「父さん、母さん…話がある。」

 

 

父の眉間に寄った皺がより深くなり、顔を上げて巻物は閉じられて机にカタ、と静かな夜に小さく物音を立てて置かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある、未来の話をした。

 

 

 

 

一族が、二人を残して死に絶えた話を。

 

 

一人を犠牲にして蘇り、蘇った男がある者に身体を奪われた。身体を取り憑かれて乗っ取られてしまった男は、犠牲にした一族の男は塵一つ残さずこの世から消え去った未来を。

 

 

 

もう一人の方が友と協力し、憑いた者を封印して蘇った男は再び死に絶えた話を。

 

 

 

 

 

「蘇り死した男の名を、うちはマダラという。

 

 

マダラは元より終末の谷の時、死なずに今から10年ほど前まで生きていた。蘇るために、様々な策を練って」

 

 

「…馬鹿な」

 

 

「マダラは、平和な世を望んだ。

 

弟達のように、理不尽に殺され死ぬ世界を呪い、誰も死なない世界を追い求めた。争いの因果などない世界を。

 

 

一族の存続の為に、先を見据えて里を一族ごと抜けようとして、争いに疲れた一族から見捨てられていても。

 

誰から見捨てられても、誰からもそのやり方を認められなくとも。

 

理解されなくても良かった」

 

 

 

縁側から見える空に浮かぶ月は忌々しくも今日も今日とて月光を地上にもたらし、美しかった。

視線を元に戻し、口を開いた。

 

 

「謝らねばならん。

 

俺の勝手で一族を苦しめた。先の九尾の件、あれは俺が唆したようなものだ。

 

 

 

許せとは烏滸がましい。

 

それに、お前たちの純粋な息子とは言えないだろう。それでもやはり、言っておくべきだと思った。

 

 

ここまで産み、育ててくれたことに感謝している。

 

気に食わないなら煮るなり焼くなり、捨てるなり、殺すなり…何をしてもいい。俺はお前たちの息子を奪った、大罪人…うちはマダラだ」

 

 

目を瞑り、万華鏡写輪眼を開いた。自嘲するように笑い、二人を見つめた。

 

イズナの目ではない今では、永遠の万華鏡写輪眼ではない。輪廻眼にはできるがうちはの眼には見えないだろう。

 

 

うちはらしいものといえば写輪眼、そしてマダラといえば万華鏡写輪眼だろう。あの頃だって、そうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は、本当に優しい子だ。

 

お前が我らを思い、行動したと分かっている…

嫌われ、憎まれる覚悟をしていたと。

 

やり方は違っても、かつてうちはマダラ様だったとしても…、家族の為に涙を流す子供が、オレの子だ。

 

ああ、これで点と線が繋がった」

 

 

「…な、ぜ…」

 

 

フガクは腕を組みながら満足そうに頷いた。

その表情に納得など、いかなかった。

ふわりと、優しい抱擁に包まれた。

 

 

「アナタがどんな子でも、私たちの子よ。

 

フフッ、

 

納得いかないっていう顔ね。

 

 

そうね、サスケはこのことを話さなくても良かった。でも、私たちに打ち明けてくれた。誰にだって、特に忍には特に人に話せない秘密なんて山のようにある。

 

こんなことは特に話せないはずでしょう?

それでも私達を思って、言ってくれた。それだけでも充分よ。薄々、イタチとはまた違って他とは違った子だって気づいていたもの」

 

隠してはいなかった。話さなかっただけで。

 

だが、それでも

 

 

「俺はお前たちの息子を奪い、一族を捨て、名を汚し、うちはに禍根を残した男だ。本来ならば、うちはサスケは」

 

「同情などでは無い。

 

お前が知る、本来のサスケではなく俺たちのサスケはお前だけだ。

 

一族を捨てたと言ったが、俺は…俺たち歴代の長は伝え聞いている。

 

我らが、マダラ様を捨ててしまったのだ。誰よりも弟を想い、一族を想っていた長を。

 

常に最善を尽くそうとして、先を見据えていた方だったと。今しか見れていなかったのだと、後年に気付かされたとヒカク様方先代の方々は申していた。

 

 

今ではうちはマダラと言えば、一族の中には忌み嫌う者もいるが、恐れ敬う者もいるほどうちはの力の象徴なのだ。

 

 

お前の父ではなく今代の長として、言うなれば

 

よくぞお戻りなされました。捨てた我らを見放さず、此度は一族のために尽力して下さり御礼申し上げます。長としてまとめる身としてもこのままでは里との瓦解が起こり得たところに今の身体は幼子であるのにこの御助力、感謝の限りです」

 

 

何故だ、何故悪くないとばかりに言う。この身体だけはサスケのもの。魂こそ違うのに。

 

乱世の世、戦国時代と今では呼ばれているあの頃に母も、兄も、兄弟を弟を、全てそこに置いてきた。持てる全てを亡くした。

 

最後に残ったのは“力”だけだった。

 

 

 

「ちがう…違う!

俺は感謝などされる謂れはない!

 

 

この禍根は俺が齎らしたものだ!力を求め、里を一族を捨てた!

 

無限月読に真なる平和があると、碑文を再現したがそれは何も無くただアレの依り代となり、駒へと作り変えるものだった!

 

ただ無為に世を荒らすことしか俺にはできない!」

 

抱きしめていた母から押し返して抜け出し、否定した。

そうだ、俺はサスケであってもあの砂利…いや、あの小僧とは違う。優しいものであったと言われても、俺は結局は捨てて壊した。友情を、一族を、里を…

 

一息つき、感情的になり過ぎたと感じて落ち着きを取り戻す。

サスケとなってからずっと考えていたことだ。ずっと否定してきた。

いくらうちはサスケになろうとも、罪は消えるわけでは無い。平和として正しく無い、ただ無為に命を奪うことしかなかった。

 

 

 

「所詮、俺は」

 

再び口を開いて言葉を続けようとしたが、

 

パンッと乾いた音と視界が横にブレた。

叩かれた、のか。

 

 

「いいや、それでもだ。

その罪悪感から否定し、自分を省みずにいる。自分を危ういものと見て、俺たちから遠ざけようとした。

 

守るために突き放させることを望んだのだろうが、それはお前の優しいところだ。

 

お前が歩んだ道は計り知れんだろうが、それでも必死に我らを守ろうとしている。

 

お前が言ったのだろう、“この身は確かにうちはサスケだ”と。

 

 

 

お前が何を成そうと、成したのだろうとかつてが誰であっても—————

 

 

 

 

 

 

俺の子だ。」

 

 

 

 

手を、伸ばされてビクっと後方に身体を反らして逃げようとしたがミコトによってまたしても腕に捉えられ、フガクに頭を撫でられた。

 

 

 

「…話難いことだっただろう。よく、話してくれたな」

 

 

 

不器用に撫でる手は硬くてボコボコしている武骨な忍の手だ。フガクに頭を撫でられるのは初めてのはずなのに、どうしてこんなにも嬉しいくて暖かい………

 

 

 

“よくやりましたね、マダラ”

 

 

 

「ッ!

 

 

 

父、さま…」

 

 

 

 

 

 

…そうだ、父親に撫でられるのはいつもこうだった。

 

何故、忘れていたのだろう。

 

擦り切れた記憶の中にある、それ…

 

 

「ああ、俺はお前の父さんだ」

 

 

 

 

 

 

似ていないのに、面影が重なった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、俺は受け入れたのだろう。かつては捨てた一族に身を置くことを。

 

 

 

誇り高くも優しい一族を。そして、父と母と兄弟といることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サ〜ス〜ケェ〜、どうしたんぞ目腫らして。

 

夜泣きしたのか?その歳で」

 

「…してねぇ」

 

「む、そのだんまりはそうだと肯定しているようなものぞ」

 

「してねぇつってんだろ、このウスラトンカチ!」

 

「必死になって否定はするところはやはりだな!」

 

 

 

「ナルトォ、人の話を聞きやがれェ!夜泣きじゃなくとも俺だって泣くときぐらいあるぞ!」

 

 

「…!

 

そうか、良かったぞ!」

 

 

「お前茶化してんのか!?」

 

 

気付いているのだろうか?いや、気付いていないだろう。子供になって幾年…いつもどこか翳りがあったその顔がどこか晴れやかだということを。元のような力をまだ持っていないからかあれを封印していないからか焦っているようにも見えた、サスケが晴れやかな顔ということを。

 

 

「そんなこと…ないんだぞ?」

 

 

 

「嘘クセェな!」

 

 

耐えきれずに笑うとプッツンと怒り出していつも通りに見えてもどこか違うのだ。

本当に昔に戻ったような気持ちになった。

 

 

 

実際に子供なのだ。これくらいふざけ合うのが普通だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

…だからといって揶揄っただけなのに関節決めるのは間違っていると俺は思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




拙作の今回のマダラ様INサスケが若干?ネガティブなのは愛ゆえにということです。

父は不器用ながら兄であるイタチを想いながらも自分やイズナを気にかけてくれている。母はもちろんのこと家族を包み込むように愛してくれる。

兄は、忙しいのに必死に時間を作っては自分や弟を構おうとしてくれる。

弟のイズナは無垢にも自分に懐いて慕ってくれる。

かつてはこれを夢にしようとしたことで、こんな安寧を亡き者にしようとした。騙されていたとはいえ、平和を望みつつも自分のその非道を許せることはなく愛してしまった。
腹を割って話しておくべきではないのか、そう考えて話したものの自分を否定してほしかった。それが罪であると自分で思うだけでなく、断罪による贖罪を求めた。

こんなに幸せであっていいわけがない、あの遠い日に幸せを置いて夢に求めたのだから、間違っているのだと。


まあフガクさんは厳格でありながら闘争を求めない穏やかな人ですから、イタチの選択を受け入れたぐらいだからどんなサスケでも受け入れそうだと思い暴露させました。ミコトさんもミコトさんで子煩悩ですよね!

むしろマダラ様の人生辿ったら鬱になりそう。うちはの人生も中々に重いと思う…ホント。
愛情重くて弟失って、しかも1人で考え続けると余計に鬱々しくなるのにそれを半世紀やってたマダラ様…

死ぬ間際に夢破れて間違っていたと思い至り、自己嫌悪になると思いこうなりました。

来週は…更新できるか微妙なところです。最低でも二週間以内に浮上します!では!


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火影岩のイタズラ

ギリ2週間?ちょっと越えたけれど何とか書けました…

体調崩して中々書きだめが作れず惨敗。

そんな言い訳よりも、続きをどうぞ!


空は快晴。五大国の一つである木ノ葉隠れは平穏を甘受していた。

 

 

 

そして、木ノ葉隠れの里の一番の象徴である顔岩には、歴代の火影達の顔が作られている。

 

 

 

 

その四つの顔岩は今……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の男によって色付けさせられ、岩から人の相貌が浮き出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「派手になっとるの〜」

 

 

「そんなこと言ってる場合ですか、火影様!」

 

 

若いの〜、と呑気にも自分の顔岩を見やり三代目火影である猿飛ヒルゼンは菅笠をあげて見上げつつも髭を弄った。

 

 

火影屋敷の上では中忍や上忍などが集まり騒めいている。

 

 

「なんてことを…!」

 

 

 

 

色鮮やかになり、よりリアリティを出された顔岩。

 

 

 

今ではモノクロ写真や絵巻でしか残っていない初代や2代目。忍者登録も当時はモノクロだったため、記録上は今もある。

 

もちろんマダラのものもあるがそれは抜忍の方に分類されている。

経歴やら犯罪歴を備考も添えられて残っている。いつ死んだかまでを。

 

 

そこから暗躍していたこと誰も知らないが。

 

 

「どうだ!こんなの誰も真似できんだろう!?」

 

ガハハと大らかに笑っているが皆が頭を抱えた。

 

それもそうだろう…幾らかはデフォルトされているとはいえそっくりな人相。

 

 

立体的になっている顔はまさしく———

 

 

 

 

「ん?

 

お!イルカとサスケか」

 

 

「三代目、申し訳ありません」

 

 

 

「右に同じく…」

 

 

「何やってんだ、授業中だぞ!

 

早く降りてこい!バカもの———!」

 

 

「人が壁から浮き出てるみたいで無駄に気持ち悪いからな!

てか無駄に試すイタズラまだしてんのか

ゴラァ!!」

 

 

今し方火影塔の上に現れ先に怒鳴ったのは担任のうみのイルカ。そして崖の壁面に直立したナルトに飛びかかり踵落としを放つサスケだった。

 

「うおっ、と!卒業前に何か伝説を残すべきだと犬塚のが言って」

 

受け止めつつも反論するナルト。

 

「だからと言ってそのノリでやらかすのは面倒だ!!」

 

 

防がれた反動を利用してサスケは飛び上がり、ナルトにゴチン!と拳骨を叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

縄で縛られ、叩き込まれた拳骨は頭にたん瘤を作らせ、ナルトはツーンとむくれていた。

 

「明日は忍者学校の卒業試験だぞ!お前は候補生の中でもトップクラスの成績だが、猿も木から落ちるように油断していると試験に落ちる可能性だってある!

 

 

外でイタズラしてる場合じゃないだろ

バカヤロー!」

 

「卒業記念に…」

 

うだうだと未だに反省の色が見えないナルト。

プチと、イルカの堪忍袋が遂に切れた。

 

「今日の授業は変化の術の復習テストだ

 

全員並べ———!!!」

 

 

 

「「「「えーっ!!?」」」」

 

 

あまりの唐突なる抜き打ちテスト。コレは十割方でイルカの私情だろう。うだうだとクラスの大半が嫌がっている。担任であり、たまにはこうでもしないとやっていけないのだ。うん。流石にクセの強い学年だったから余計にイルカにも心労がかかっているのだ。

 

 

「先生にそっくりに化けること!!」

 

 

クラスメイトはナルトにお前のせいだと言うものもいれば、

 

「マジでやるとはな」

 

「やると言ったろう?」

 

茶化してくるものもいた。ニシシと企みが成功したように笑った。クスクスと笑い合うのはナルトと正面から話し合える人柄を知っているものだけだ。ムードメーカーの素質があり、周りを和ませるのに長けている人に多い冗談を真面目にやって馬鹿をして面白おかしく話す。

 

 

その時、ナルトは何かを思いついた。

 

 

「よーしィ、見てろよ…」

 

 

 

その時、サスケは背中がゾワリと寒気立った。長年の付き合いだろうか、それとも親友だからか…

 

「変化!!」

 

 

ボフン、と変化によって巻き起こった煙。

 

 

 

 

そこに現れたのは…、

 

 

 

 

 

 

 

「 や ら な い か ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裸のイルカだった。

 

 

 

 

 

 

日頃から焼けているイルカは小麦色だが、流石に中忍なので腹筋はそこそこ割れている。そこに傷の細部まで表現され、まさに芸術的というべきだろうか。

そう、下の方も原寸大で。

 

 

イルカは噴き出した、真っ白になって固まってはいたが。

 

 

クラスの男子もまた、噴き出した。笑い転げた者もいた。

 

これこそ、男のノリというべきか。

 

 

「ガハハハハハ!!

 

名づけて“逆おいろけの術”!」

 

 

ボン!と変化の術を解いたのと同時にナルトの脳天にドロップキックが決まった。

ナルトはすぐ起き上がり犯人を睨みつけた。

 

 

 

「ぐはぁ!?何するんだ!」

 

 

 

「何するんだじゃねーよ、このウスラトンカチ!

公共の場所で何汚ェモンさらしてんだ!

 

しかもお前のじゃねーだろ!?

 

先生の大事な尊厳見せつけんなよ!何そっくりそのまま見せつけてんだよ!

威厳がなくなるだろ!

 

それに、可哀想なモノ見せて恥ずかしいと思わないのか!?今こそ男女別のクラスだがな、公衆の面前でやってみろ、先生が可哀想なことになるだろう!

 

先生の先生が知られてみろよ、モテねーだろ!?」

 

 

いつものごとく、ドロップキックを決めたサスケ。もはやナルトのストッパーといっても過言では無いだろう。

その言葉に、ブスブスとイルカの心が削れていく。汚い、可哀想、モテない…

 

ただ一つだけ言っておかねばならないがサスケはこれでもイルカを擁護している。時に言葉とは、攻め立てる刃にもなり得る。

 

 

「あ、なるほど…」

 

そこでようやく行き着いたのか、相槌を打った。

しかし誰もツッコミを入れないのか、なぜナルトのではないと分かるのか。それにイルカの細部を何故ナルトが知っているのかを……。

 

 

 

 

 

もちろん放課後、ナルトはしっかり怒られた。

 

 

 

 

 

 

 

火影岩の件は、若々しい自分や記憶のように鮮明になった先代達ということもあってお咎め無しということになった。イタズラだが。

 

芸術的なこともあり、里の大半の者が反対しない限りそのままということになった。

 

 

 

 

 

 

無事、アカデミーの卒業試験に受かったナルト達。

 

かといって問題なかったこともなかった。

 

 

何故なら、卒業試験の忍術のお題は“分身の術”。

 

 

ナルトは緊張しまくったせいか、影分身に水分身、木遁分身に普通の分身と多種多用な物を印を僅かな間に組み成功させた。

 

 

このレベルはイルカもドン引きしたのだが、ナルトを“使える”と思って唆したミズキ。封印の書という名の禁術の書を盗ませようとしたが怪しんだナルトにより密告され、敢えなく警務部隊によってお縄となった。

 

吐き出された情報から他の抜け忍と繋がっていたということもあり、更なる拷問が彼には待ち受けている。

 

 

 

 

 

そして __________ 、

 

 

 

 

「今日からめでたく一人前の忍者になったわけだが……」

 

 

 

 

今日は合格者説明会。今の制度上、アカデミーを卒業しても下忍から始まる。その後の戦績で決まるのは昔から変わっていない。

 

どれほど優秀であっても実戦経験が無ければ死は免れない。

下忍を三人一組(スリーマンセル)で組ませ、そこに優秀な大人を一人付けて四人一組(ファーマンセル)の班にする。そして経験を積ませるのだ。

 

子供だけでは死ぬことなどザラにあったあの時代にあったため、特に二人の中では妥当だと感じているが平和慣れした他の子供にとってはそうではないらしい。

 

「班は力が均等になるようにこっちで決めた。」

 

そして、今年の卒業したものの班を一つ一つ述べられていく。

 

 

やがて、その時は来た。

 

 

「じゃ、次。

第七班、春野サクラ…うずまきナルト!それと…うちはサスケ」

 

 

 

 

「しゃーんなろー!」

 

 

雄叫びの如く声を上げたサクラにサスケは驚いた。威勢のいいヤツが同班になった、と。

 

しかしそんなことよりも、

 

 

 

 

「どういうことだ…?

 

 

バランスが悪いぞ」

 

 

班のメンバーが全員言い終わるや否や、サスケは異議ありと声を出した。ナルトもそれは自覚していたらしく大きく頷いた。

流石に二人は自覚済みだ。

 

 

「ああ、それはだな。

 

 

お前たちが過剰戦力で他のやつに釣り合わないし、互いにストッパー役だからな。特にサクラはくノ一クラスではかなり優秀だ。

 

 

本来なら他の者と組ませてもいいんだが特筆過ぎてな…」

 

 

つまり、第七班は戦力においては最高峰の集まり。しかし忍としてはそれだけで決まる訳ではない。

 

忍術、体術だけでなく多種多用な知識や技術を要するのが忍というもの。

 

納得はいかないが、独走癖というべきか組める相手が戦国時代から互いに弟だけだったぐらいなため二人はしぶしぶ了承した。

 

 

 

 

「(やったわ!サスケ君と一緒の班だなんて!チャンスはこれからよ!絶対、振り向かせてやるんだから!)」

 

 

 

そして内心、テンションが上がりまくったサクラ。他と足並み揃えれない成績優秀な問題児二人。

 

 

 

果たして、三人は今後どうなるのか。

 

それは火影もイルカも誰も知らない…




感想評価等ありがとうございます!
体調が良くなり次第に感想の返事をさせていただきます。
早めに次話を仕上げ次第投稿しますが体調により遅くなると思われます。やはり現実の生活の方が優先なので…


咳と頭痛が止まらない。
身体は繊細な現代っ子だしネ。休まず行くことはしてるけどさ。

仕方ない…けど、背後には立たないでくれ…分かってんだろ?
まあ、やられても噛みちぎることはできんが肘鉄ぐらいならやれる!






…血反吐(喀血)出たんだけど、これって病院行かなきゃダメ?


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