先輩はるのん (ゼロ少佐)
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1話

ひゃっはろ〜と声が聞こえてくる

あぁこの声はあの人か

 

1年前入学式の日に事故にあった

その車に乗っていたのは同級生の雪ノ下雪乃

であった。それは後から知ったことだが

事故にあって数日後に雪ノ下雪乃の姉の雪ノ下陽乃が

謝罪に来た。その時に総武高の先輩で1つ上だと知った。

 

最初謝罪に来た時に、あの人の外骨格を見破ってしまった。これが終わりの始まりだった。

 

陽乃さんはスタイルが良く強化外骨格を付けた陽乃さんは人当たりがよくて人気がある。

 

そんな陽乃さんに気に入られた俺は 全校生徒から妬まれる事となってしまった。

あの人はスキンシップが過ぎる。抱きついてきたり、腕組んだり繋いだりと周りから見れば恋人にも見える

そんな行為を何度も目立つ所でされた

 

おかげでおれはぼっちライフを送ることとなったのだ

 

まぁ多分そんな事無くてもぼっちだろうけど

 

八幡「おはようございます陽乃さん」

 

挨拶を返す無視したら何されるか分からない

陽乃さんの方を向くとニコニコしながら

近寄ってきた

 

陽乃「陽乃でいいのに〜私と比企谷君の仲でしょ?」

 

俺と陽乃さんの仲?別に良くも悪くもないと言う感じだ。おもちゃと飼い主位の距離だ

 

八幡「…別に親しい仲でもないでょ」

 

陽乃「後輩くんが冷たい〜」

 

わざとらしく泣き真似する

本当にあざとい

だがそういう所が可愛いと思ってしまう自分がいる

 

陽乃「今あざと可愛いって思ったでしょ?」

 

八幡「さらっと心読まないで下さい怖いんで」

 

いつもこうだ、何かを考えるとすぐに心を読まれる

少し仕返ししてみよう

 

八幡「陽乃さんが可愛いからいけないんですよ」

 

少し照れ気味に言ってみる

この1年間こういう事は全く言ってこなかったので

どういう反応するか楽しみだ

 

陽乃「か、可愛い!?う、うんありがとね?」

 

物凄くあたふたしてた。

陽乃さんなら男の人から可愛いだとか

よく言われるだろうに

 

そんなこんなで下駄箱に着いた

 

陽乃「じゃあね比企谷君」

 

八幡「うす」

 

軽く会釈し互いに別々の教室に向かう

 

 

 

昼休み

 

八幡「グーグー」

 

コンコンとドアをならし

2年F組の教室のドアを開ける

 

陽乃「ごめんねー比企谷君居るかな?」

 

比企谷?だれそれ?みたいな声が聞こえてくる

相変わらずだな比企谷君は

 

隼人「陽乃さん比企谷ならそこで寝てますよ」

 

隼人が教えに来てくれた

この子面白くないからあんまり好きじゃないんだよね

家の関係で関わってはいるけど

 

陽乃「ありがと、隼人 比企谷君ー!起きて!」

 

体を揺する

そうすると、んっと声を出しながら目を開ける

 

八幡「陽乃さん?」

 

陽乃「そうだよ♪お昼食べいこ?」

 

そういい彼の手を引っ張り教室を出る

教室を出る時に

 

なんであんな奴が

ヒキタニクンっべー

とか聞こえてきた

 

誰も彼の良さに気がついてないんだろう

いや、1人隼人のグループにいる巨乳の子は別っぽいな

 

八幡「ちょ!陽乃さん何処に行くんですか?」

 

陽乃「ん?君のベストプレイスだよ?」

 

何で知ってるんだ見たいな顔で見られた

君の事ならなんでも知ってるんだよ?

 

八幡「あの、パン買えてないんですが…」

 

陽乃「心配しなくていいよ、比企谷君の分も作ってきたから」

 

少し驚いたような顔をしていた

相変わらず可愛いんだから

 

八幡「ありがとうございます…」

 

2人で弁当を食べ

何気ない話をする

 

八幡「それで?そろそろ本題に入ってもいいんじゃないですか?」

 

バレていた。彼の観察眼は本当に凄い

尊敬してしまう程に

 

陽乃「そうだね、君?奉仕部って知ってる?」

 

八幡「いえ、知らないです」

 

そうして私は語り出す

奉仕部の存在に妹の事

そうして彼に奉仕部に入って欲しいとお願いする

 

八幡「お断りします。俺にメリットなんてありませんし」

 

断られるとは思っていた…だけど少し悲しいかな

 

陽乃「そっか、ごめんね…」

 

八幡「陽乃さんもそういう顔するんですね、驚きました」

 

あれ今私どんな表情だったんだろ

まぁいっか

 

陽乃「それじゃ私教室に戻るね じゃあね比企谷君」

 

八幡「はい、弁当美味しかったですよ」

 

この子は不意打ちが上手いんだから…

 

 

 

放課後

 

俺は国語の教科担当の先生に呼び出されていた

 

それで作文の内容で怒られとある部室に連れてこられた

 

平塚「雪ノ下、今日からここの新入部員の比企谷だ」

 

新入部員?それに雪ノ下という名前…こいつが陽乃さんの妹か

 

雪乃「必要ありません。私一人で充分ですので

それにこんな目の腐った男と一緒に居ると身の危険を

感じます」

 

最初からひどい言いっぷりだなコイツ

久々に絶許ノートを更新だな

 

平塚「その点は大丈夫だ、コイツのリスクリターン能力は人並み以上だ。自分が不利になるような事はしないだろう」

 

雪乃「ですが…」

 

平塚「なら、君に依頼をしよう、この比企谷の腐った性根をこの部活で矯正してくれ」

 

おいおい、勝手に話が進んでいくぞ

 

雪乃「分かりました。いいでしょう」

 

あ、やっぱりこうなるのね

先生は直ぐに出ていくし

 

雪乃「そうだ、比企谷君。ここは何部だと思う?」

 

普通の人なら文芸部だと思うだろ

部室に1人で本を読んでいる少女

特に特殊なものもないからな

 

八幡「分かった、奉仕部だろ」

 

言い当てた、まぁ昼休みに存在知ったんだがな

 

雪乃「驚いたわ、知っていたの?」

 

八幡「まぁな たまたま知る機会があっただけだ」

 

雪乃「そう…」

 

つまらなそうに口を尖らせる

 

雪乃「それはそうと席に着いたらどう?」

 

そう言われ椅子を後ろから持ってきて座る

 

特に会話もせずに時間だけが過ぎていく

そんな時にドアが開いた

 

陽乃「ひゃっはろ〜!雪乃ちゃん!」

 

雪乃「姉さんノックを それに特に依頼もしないのだから来ないで頂戴」

 

姉に対しても冷たいのな

 

陽乃「雪乃ちゃんが冷たいよ〜」

 

そう言いながら部屋を見渡す

するとそこには彼の姿があった

 

陽乃「比企谷君!?どうしてここに?」

 

驚いた。先程断られたばかりだったので

諦めていたがそこに彼はいた

 

八幡「平塚先生に無理やり…」

 

そういう事か静ちゃんナイス!

 

雪乃「姉さん、こんなヒキガエル君と知り合いなのかしら?」

 

陽乃「そうだよ〜私の恋人だよ♪」ダキッ

 

八幡「抱きついて来ないでください!それに恋人じゃないから!」

 

雪乃「姉さん、離れなさい見てて不愉快だわ」

 

イライラしているかのように見える

 

八幡「ふーっ助かった」

 

陽乃「あ、いっけない今日家の用事あるんだった!!

じゃあね比企谷君!また来るね!」

 

そう言い残し部室を去っていった

 

雪乃「貴方、姉さんにどんな脅しをしたのかしら?」

 

脅し?なんの事だ

 

八幡「は?脅してなんかねーよ、あの人が勝手に

くっ付いて来るんだよ」

 

本当だ他意はない

 

雪乃「そう…まぁ貴方がどうなろうが関係ないし

別にいいわ。今日はもう帰りましょう、もうすぐ下校時刻ですし。先に帰っていいわよ 片付けはしておくから」

 

そう言われ俺は部室を出る

これからこんな生活が続くのか…

胃薬買っておくか

 



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2話

奉仕部に入ってから何日経ったであろうか

最初は棘のある罵倒をしてきたり、陽乃さんがくっ付いてきたりと散々な目にあったが、最近は少し落ち着いてきた。

 

というか、陽乃さんが雪ノ下に説教してからだな

確か死んで詫びなさい 目腐り谷君と雪ノ下が俺に言った時に陽乃さんが怒ったのだ。

 

本気で怒っていた。冗談でも言っていい事と悪い事があると説教していた。

それから雪ノ下は少し俺に優しくなった。

 

陽乃さんも苦労してたんだろうな。雪ノ下のあの性格に

それを自分でなく他人に言った事に怒ったんだろう

あの人もちゃんとお姉ちゃんやってんだな

 

雪乃「比企谷君紅茶のおかわりはどうかしら?」

 

八幡「おう、頼む」

 

雪乃「いえ」

 

ティーカップを渡し紅茶を注いでもらう

 

雪乃「ここに置いとくわよ」

 

八幡「おう、ありがとな」

 

前みたいな気まずさは消えた

ただ互いに本を読み少しお話して

帰るという日々を送っている

 

コンコン

 

「あのー?平塚先生から聞いたんですけど、奉仕部ってここですか?」

 

1人の女子が入ってくる

 

雪乃「えぇそうよ…貴方はF組の由比ヶ浜さんね」

 

結衣「うん、えっと雪ノ下さんだよね?J組の」

 

何でお前ら知ってんだ

初対面だろ多分

 

結衣「それとー え!?比企谷君!」

 

何で俺の事も知ってるんですか?

あれそういえばさっきF組って雪ノ下が言っていたな

 

雪乃「誠に遺憾ながら彼も奉仕部の一員よ」

 

八幡「だそうだ、俺に出来ることがあるかは知らんが

一応部員だからな 手伝える事があれば手伝うぞ」

 

こうして由比ヶ浜のクッキー作りが始まってしまった

 

結果は散々だった。

どうしたらあんな事になるの!?

 

結衣「あちゃー やっぱ駄目かー」

 

雪乃「そのようね、一からレシピを見直しましょう」

 

そういい、今度は雪ノ下が横について付きっきりで教える 今度は大丈夫そうだ…

そんな事は無かった

 

どうして!?

 

八幡「おい、雪ノ下お前もちゃんと見ていたんだろ?」

 

雪乃「えぇ、途中まで完璧だったわ なのに何故?」

 

おいおい、雪ノ下でもお手上げかよ

ある意味才能だぞそれ

 

このままでは由比ヶ浜のやる気がなくなってしまう

どうすれば…

 

八幡「なぁ、由比ヶ浜…食べて欲しい人が居るんだろ?それならその人の事を思って、美味しくできるように基本に忠実に作ってみたらどうだ。下手なアレンジもせず、普通のクッキーを」

 

結衣「えー それじゃつまんないじゃん」

 

これだからアホの子は

 

雪乃「比企谷君の言う通りかも知れないわね

基本ができるようになってから いろいろアレンジしてみましょ」

 

結衣「うん…分かった」

 

我ながら似合わない事を言ったな

普段リア充爆発しろだとか思ってる俺が

誰かの為を思って作れだなんて…

 

そうして出来上がったクッキーはとてもシンプルだが

上手くできていた

 

結衣「ヒッキー!できたよ!ほら!」

 

由比ヶ浜がこっちに迫ってくる

や、やめろその豊満な物を押し付けないでくれ

 

八幡「お、おぉ良かったな それとヒッキー言うな」

 

こうして無事依頼を解決することができた

ついでに俺も空いた時間でクッキー焼いたが

我ながらいい出来だった。雪ノ下には意外ねと言われ

由比ヶ浜にはヒッキーの方が上手いのなんか腹立つ

って言われた。

 

余ったクッキーを幾つか袋に詰めて持って帰る

マイラブリーエンジェル小町の為に

 

そんな時にとある人に見つかった

 

陽乃「あー比企谷君だ!ひゃっはろ〜」

 

八幡「うす」

 

陽乃「あれ?比企谷君何かいい匂いする

ねぇねぇクッキーでも焼いたの?」

 

何でバレるんだ この人の嗅覚はどうなってるんだ

 

八幡「そうですよ」

 

まぁいっかいっぱい余ったし少し陽乃さんにもあげるか

 

八幡「少し食べます?」

 

陽乃「うん!比企谷君の手作りだ〜」

 

そういいながらクッキーを掴む

 

陽乃「わぁ バターのいい匂いがする いただきまーす」

 

サクッと音を立て 口の中に入っていく

 

陽乃「んっ!美味しい!バターの甘さが引き立ってて

比企谷君って料理できるんだー!」

 

満面の笑みで問いかけてくる

多分外骨格とかではない素の陽乃さんだ

 

八幡「まぁ、多少は」

 

陽乃「もう一個貰うね〜」

 

そういいヒョイっと掴み口の中に放り込む

こういう少女っぽい陽乃さんの姿は好きだ

普段からこうしていればいいのに

 

八幡「あんま食べ過ぎないで下さいね、小町の分もあるので」

 

陽乃「うん!分かった」

 

そういえば陽乃さんは生徒会長だったな

この時間に学校に居るって事は 生徒会の仕事か

 

八幡「紅茶あるけど、飲みます?」

 

さっき自販機で買った紅茶を取り出す

なんでマッ缶じゃないかって?

流石に甘いものと甘いものはな

 

陽乃「ありがと〜 幸せ〜」

 

 

 

なんやかんやでそのまま陽乃さんと2人で帰ることになった

 

陽乃「ありがとね比企谷君 美味しかったよ

おかげで疲れも吹っ飛んじゃった」

 

八幡「いえ、それ程でも」

 

陽乃「比企谷君のそういう謙虚な所お姉さん好きだなー」

 

そうやってまたからかってくる

この人はスイッチのオンオフが早い

 

八幡「…俺も好きですよ、そういう自分が」

 

へぇ〜とニコニコしながらこっちを覗き込んでくる

 

八幡「じゃあ俺こっちなので また」

 

陽乃「じゃあね!比企谷君!また明日」

 

そういい互いに自分の帰路に着く

たまにはこういうのも悪くないかもしれない



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3話

由比ヶ浜の依頼を解決して、数日が経った

あれから特に依頼もなく、ただ本を読んで

たまに陽乃さんの生徒会の仕事の手伝いをし

という生活が続いた。雪ノ下は姉さんの仕事の手伝い

なんてしなくていいと言われたが、正式に俺に依頼という形になってしまった。

 

そんなある日

 

由比ヶ浜がまたやってきた

 

雪乃「お久しぶりね由比ヶ浜さん、なんの用かしら?」

 

やっはろー!とバカっぽい挨拶をし部屋に入ってきた

 

結衣「依頼じゃないの、奉仕部に入部しようと思って

2人の感じを見てたら楽しそうだなーと思ったんだけど、駄目かな?」

 

ウルウルと上目遣いで雪ノ下の方を見ている

 

雪乃「別にいいのだけれど、比企谷君は?」

 

八幡「別にいいんじゃねえの?」

 

結衣「本当?ありがとう!ゆきのん!」

 

由比ヶ浜が雪ノ下に抱きついてる

これがゆるゆりという奴か

 

雪乃「ちょっと由比ヶ浜さん、離れて頂戴」

 

雪ノ下は暑苦しそうにしながらも どこか楽しそうな表情をしていた

 

こうして奉仕部に仲間が増えたのであった

 

結衣「あ、そうだ!2人にクッキー焼いてきたの!」

 

ビクッと肩が震える

まさか1人でか? 雪ノ下の方を見ると体を震わせていた

おい、まじか

 

結衣「これゆきのんの分ね!少し失敗したけど 多分大丈夫だよ!」

 

失敗したものを人に渡すのはどうかと思うよ

 

雪乃「え、えぇ ありがと」

 

結衣「そ、それと…」

 

モジモジしだした こいつどうした?

 

結衣「ついでにヒッキーにも!」

 

八幡「おぉ サンキュな」

 

うん、黒い 少しってより大分焦げてるな

 

八幡「いただく前にマッ缶買ってくるわ」

 

多分苦いだろ、そう思いマッ缶を買いに行く

 

雪ノ下そんな目で見るな 諦めてお前も食え

 

雪乃「では、私も紅茶でもイレヨウカシラ」

 

結衣「うん!」

 

由比ヶ浜は満面の笑みで微笑む

悪気がないのがまた罪深い

そんなこんなでマッ缶を買い部室に戻る

 

そこには燃え尽きた後の雪ノ下の姿があった

 

結衣「ヒッキーおかえり ゆきのんクッキー食べて紅茶飲んだら寝ちゃった ゆきのんも子供っぽい所あるんだね」

 

多分寝てるんじゃなくて気を失ってるんだと思うよ由比ヶ浜さん。

 

俺と覚悟を決めクッキーを食べ始める

物凄い苦さだ…口に広がる前にマッ缶を含み

一気に食べる

 

八幡「ぁう…ま、まぁまぁだったぞ」ぜぇせぇ

 

結衣「今度はもっと練習してから持ってくるね!」

 

持ってくる前に味見しろ!

 

八幡「あ、あぁ」

 

やばい意識が遠のいてきた。

これが走馬灯って奴か…小町…すまん

お兄ちゃんここまでのようだ

 

バタリ

 

机に倒れ込む

そこで意識がなくなった

 

 

 

んっ、ここは?部室?何故私は寝ていたのかしら…

教室を見渡すと眠ってる比企谷君の姿があった

 

雪乃「起きなさい比企谷君」

 

彼に呼びかけるが返事はない

少しずつ思い出してきたわ

確か由比ヶ浜さんが…

そっか彼もあれを食べてしまったのね

 

下校時刻まで時間があるわ

まだ寝かせておきましょう

 

 

…キ……クン

 

ヒキ…ヤクン

 

「比企谷君!」

 

声が聞こえてくる

 

雪乃「やっと起きたのね、比企谷君」

 

八幡「雪ノ下…あれここは 奉仕部…そっか俺生きてたんだな」

 

雪乃「えぇ、私たちは生きているのよ…」

 

あぁ雪ノ下も大変だったろうな

 

雪乃「そろそろ完全下校時刻よ帰りましょ」

 

八幡「あぁ…そうだな」

 

そういい部室を出る

 

雪乃「それじゃまた明日会いましょ」

 

八幡「あぁ またな」

 

 




今回は陽乃要素はありません!
次回にはちゃんと入れるので
では!


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4話

奉仕部にとある依頼が来た

その依頼主は同じクラスの戸塚だ

どうも、うちのテニス部が弱小らしくて

自分が強くなって皆を引っ張っていきたいらしい

 

戸塚「それで、依頼受けて貰えるかな?」

 

雪乃「えぇ受けましょう」

 

戸塚「ありがとう!雪ノ下さん それに由比ヶ浜さんに比企谷君も」

 

八幡「おぉ」

 

受けてみるのは良かったが

最初に雪ノ下が練習メニューを考えた

だが雪ノ下の練習メニューでは

戸塚が壊れてしまう

 

そこで俺が頼ったのは陽乃さんだった

雪ノ下は嫌がっていたが、手詰まりだったので

仕方なく頼んでみた

 

陽乃「あはは、雪乃ちゃんプロじゃないんだからこの練習メニューはちょっと…」

 

雪乃「そうは言われても…初めてで分からないし

姉さんに任せるわ」

 

悔しそうに姉に託す雪ノ下

 

陽乃「それじゃあ ますばストレッチしてから

テニスコートランニング水分補給してから球出しね」

 

的確な指示を出す 無理のないように休憩も挟み

体力付けにテニスの技術も両方上げていく

 

雪ノ下の練習メニューはただひたすら

体を鍛えるだけのメニューだったので

こちらの方がやりがいもあるだろう

 

陽乃「はい、じゃあ次は対人練習

雪乃ちゃんこういう風にやるんだよ」

 

雪乃「えぇ、分かったわ」

 

そんな時にテニスコートの外から声が聞こえてきた

葉山グループの連中だ

 

以下略(原作と同じノリで試合になりました

 

隼人「行くよヒキタニ君」

 

そういいサーブをする葉山

なんとかくらいつけたが

相手には三浦がいる

どうしたものか

 

そうしてあっさり俺と由比ヶ浜ペアは4ゲーム取られてしまった。それに加え由比ヶ浜は怪我をしてしまった

 

そこで俺は最終奥義土下座に出ようとしたが陽乃さんに止められた。

 

陽乃「比企谷君、私がが浜ちゃんの代わりに出るよ」

 

雪乃「姉さん!これは奉仕部の問題よ!私が出るわ!」

 

陽乃「雪乃ちゃんの体力で6ゲーム奪える?」

 

耳の傍で陽乃さんが雪ノ下に何か言っている

 

雪乃「分かったわ姉さんに任せるわ」

 

そういい陽乃さんが入ってくる

 

隼人「陽乃さんかそれでも手加減しないよ!」

 

陽乃「比企谷君頑張ろうね♪」

 

八幡「はい」

 

そこから怒涛の反撃にでた

陽乃さんの動きは県選抜の三浦より上手かった

 

ゲーム!雪ノ下比企谷ペア!5ゲームトゥ4

勝ち越しだ 後1ゲームで俺達の勝ちだ

 

そして次は俺のサーブだ

 

15:0

15:15

30:15

 

後2ポイントだ

だがそんな時に悲劇が起きた

 

三浦がスマッシュしたボールを取ろうとした陽乃さんが

コートに入ってた小石に躓きそのまま足首にボールが直撃してしまった

 

八幡「陽乃さん!!」

 

雪乃「姉さん!」

 

陽乃「ったぁ〜」

 

顔を歪めさせている

そりゃそうだあの強烈なスマッシュを直に当たったんだ

 

陽乃「たはは〜ごめんね、比企谷君…動けないや」

 

陽乃さんの肩を持ち ベンチに連れていく

 

陽乃「どうしよっか…」

 

陽乃さんが珍しく困り果てている

そんな時にビューと風が吹いた

 

あ、この風は…

 

八幡「任せてください あと2ポイント俺が決めます」

 

雪乃「無茶よ いくら運動神経がいいとはいっても

三浦さんには敵わないわ」

 

陽乃「私も雪乃ちゃんと同じよ 比企谷君…君の実力では」

 

八幡「俺らが負けたらテニス部にも迷惑がかかる事なんて百も承知だ」

 

雪乃「なら!」

 

陽乃「比企谷君信じてもいいんだね?」

 

陽乃さんが雪ノ下の言葉を遮り俺に聞く

 

八幡「はい 戸塚の為にも絶対に負けません」

 

 

 

コートに俺一人で立つと

 

三浦「はー?ヒキオ1人でかあーしらに勝てると思ってるの?」

 

隼人「1人だろうが手加減しないよ!」

 

やる気充分だなおい

 

ゲームが再開され俺は空高くにサーブを放つ

アウトにならないように調整しながら

 

三浦「ラッキー!ミスショットやし!」

 

隼人「遠慮なく行かせてもらうよ!」

 

相手コートでボールがバウンドし葉山はそれを打とうとした

 

八幡「この時間の風は突然突風に変わる」

 

ビュー!と強い風がいきなり吹きボールが流されていく

 

葉山が落下地点に先につきボールを打とうとする

 

八幡「その風はもう一度吹く」

 

次は向かい風がおこり 葉山はボールに触れる事なく得点する

 

40:30 マッチポイント!

 

と声が響く

周りはシーンとしていた

信じられないものでも見るように

 

葉山「何だ今のボール…」

 

三浦「はぁ!?あんなのあり?」

 

そういいながらも次のレシーブの為に位置に着く三浦

 

あ、この時間だ 毎日この時間だけが吹く追い風

 

八幡「はぁっ!青春なんてクソくらえ!」

 

ラケットの側面にボールを当て

高く打ち上げる

 

そのボールはワンバウンドし、高く高く飛び上がっていく、そしてフェンスを越して行った

 

バランスを崩した三浦は葉山に抱き抱えるように支えられていた

 

ゲームセット!

 

奉仕部の勝利だ…だが歓声は葉山たちの方に向けられていた

 

八幡「勝ったぞ…」

 

戸塚「八幡!ありがと!」

 

雪乃「比企谷君…貴方の勝ちよただ」

 

八幡「試合に勝って勝負に負けたって感じか」

 

雪乃「えぇ」

 

陽乃さんの方を向く

 

陽乃「比企谷君…ナイスファイトだったよ」

 

八幡「ありがとうございます」

 

立とうとした陽乃さんがよろめく

 

陽乃「っとと ごめんね、ありがと」

 

陽乃さんを支えて

 

八幡「勝てたのは陽乃さんのおかげですよ」

 

陽乃「ふふ、比企谷君は謙虚だねー

君は本当に面白いよ」

 

こんな時まで強く見せようとしなくても

 

八幡「いいから、保健室行きますよ

雪ノ下、由比ヶ浜後は任せた」

 

雪乃「えぇ」

 

結衣「ヒッキー!かっこよかったよ!

後はこっちでなんとかしとくから!」

 

あの場を2人に任せ2人で保健室に向かう

 

保健室にて

 

八幡「先生居ませんね

とりあえずそこに医療箱あるので手当しますね」

 

陽乃「比企谷君…ありがとね…

………ごめんね お姉さん肝心な所で役に立たなくて」

 

悔しそうに呟く

 

八幡「…」

 

陽乃「こんな姿見せたら失望されちゃうよね…

雪乃ちゃんには体力ないから私が出るといったのに

このザマだもん」

 

八幡「陽乃さん…そんな事言わないで下さい。

貴方は確かに途中から試合できませんでしたが

それでも、ラストゲームまで繋いでくれたのは

陽乃さんじゃないですか。テニス部でもない貴方が

県選抜に選ばれた人をあそこまで圧倒して…

かっこよかったですよ」

 

陽乃「(今、優しくされたら泣きそうになっちゃうじゃない…私もまだまだだな…悔しくて 辛くてもう)」

 

八幡「いいですよ、好きなだけ使って下さい」

 

そう言うと陽乃さんは胸の中で泣き出した

彼女が普段誰にも見せない姿。

いつも、完璧なこの人の弱い姿

 

こんな事言っていいのか分からないが…

物凄く魅力的だった。

 

その日保健室に先生が戻ってこなかった

 

平塚「ふふっ青春してるな

あの陽乃までも変えてしまうのか比企谷は」

 

平塚「だが、なんだあの!イチャイチャした雰囲気は!羨ましい!」

 

そんな事を言いながら保健室の先生に

今は戻らないように伝え

去っていった

 

 

 

陽乃「ありがと もう大丈夫だよ」

 

八幡「…そうですか 良かったです」

 

陽乃「それで比企谷君話があるんだけどいいかな?」

 

彼女は真剣な顔で言ってきた

 

八幡「…はい」




少し原作と違う点などありますが
ご了承ください


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5話

俺に話があると彼女はそう言った

彼女とは雪ノ下陽乃 俺の1つ上で

生徒会長で3年連続全教科1位で

雪ノ下建設令嬢の雪ノ下陽乃だ

 

陽乃「私ね、もう残り時間が少ないの…

この意味分かるよね?」

 

残り時間…そうかもうすぐ卒業

ううん、それだけじゃない

早ければ大学に入ってからはお見合いなどが

始まるかもしれない 親に無理やり結婚させられるかもしれない そんな焦りが彼女にはあるのだろう

 

八幡「……はい」

 

陽乃「ごめんね、本当は真っ直ぐ伝えたかったんだけどね そんな余裕もうないの

比企谷君、貴方の事が好きです 私と付き合って下さい」

 

人生初めての告白だ(相手からされるの)

だが、それにはとんでもない重さを含んでいた

彼女の人生そのものが天秤に置かれている

その意味が俺には理解できた

 

八幡「…俺なんかが釣り合うわけ無いじゃないですか

雪ノ下家に太刀打ち出来るほど大きい男ではありません」

 

陽乃「うん、知ってる でも家とか関係ない

八幡とならどこにでも逃げる」

 

八幡「……」

 

陽乃「言い方変えようか 私と結婚して下さい」

 

さっきより言葉が重くなる

俺は多分陽乃さんの事が好きだ

彼女も俺の事を好きと言ってくれた

本来ならそれだけで充分だった

だけど、今回は意味が違いすぎる

この選択1つで人生が変わる

大事な選択だ

 

八幡「すみません、俺は陽乃さんの事が大好きですが、結婚となると重みが違いすぎます。

俺の気持ちだけではどうもできません

自分の気持ちに整理をつけて両親と相談します

最悪海外に逃げることも」

 

陽乃「ありがと、待ってるから」

 

そういい彼女は部屋を出ていく

1人取り残された俺は少し時間をおき

保健室を出ていった

 

 

テニスコートに戻ると戸塚がいた

戸塚にお礼を言われ

2人で奉仕部の部室に向かった

 

その際に

 

戸塚「八幡?何かあったの?様子が変だよ」

 

そう言われた

俺は何でもない大丈夫だといい

その話を終わらせた

 

部室の前につき ドアを開ける

 

するとそこには着替え途中の3人がいた

 

結衣「ヒッキーの変態!スケベ!」

 

そんな事を言われたような気がする

そしてテニスラケットが俺に向けて投げられたが

俺はそれを難なくキャッチしてしまった

 

八幡「すまん、着替え終わったら呼んでくれ」

 

そう言い残し部屋を出る

 

雪ノ下side

 

彼に着替えを覗かれて怒ろうと思ったが、

彼の表情を見るとそんな事はできなかった

彼の目を見ると物凄く怖かった

心ここに在らずという感じだったし

目が据わっていた

 

もしかして姉さんが何かしたのかしら?

 

雪乃「姉さん、比企谷君に何をしたの?」

 

すると姉さんは肩をビクッと震わせていた

 

陽乃「雪乃ちゃん人聞き悪いよ〜ただ手当して

少しお話しただけだよ」

 

嘘だ、いや嘘ではない ただ本当の事を言ってないだけだ

 

雪乃「姉さんでも比企谷君を壊したら許さないわ」

 

そう実の姉を睨みつける

別に彼の事が好きだとかそういうのではない

彼は私にとって必要な存在だったからだ

私に無いものを持っている彼が

 

陽乃「うん、分かってる」

 

らしくない返事だ

だけどこれ以上追求はしなかった

 

陽乃side

 

比企谷君やっぱ凄い迷ってるな

それもそうだ、人生がかかってるんだから

私だって1年ほど掛かったんだもの

 

彼と出会いそして、彼に見破られ

おもしろいと思って近づいた

 

彼は雪ノ下家の陽乃じゃなく雪ノ下陽乃として私を見てくれた。初めてだった。こんな醜くて恐ろしい自分を肯定してくれた。それだけで惚れるには充分だった

それからも彼は素の私のいい所をたくさん教えてくれた。彼と一緒に居ると本当の自分で居られる

その心地良さが好きになった

 

それでも私は雪ノ下家の長女だ

この現実が私の恋路を邪魔する

 

そんな事を考えていたら雪乃ちゃんに

比企谷君を壊さないでと言われた

壊すつもり何てない 絶対に壊させない

だけど、その私が今壊しそうになっていた

 

私の愛の重さが 家の権力が

彼を押し潰そうとしていた

 

私は彼を信じることしかできない

だから私は彼を信じる

彼の決める決断で後悔はしないと心に誓う

 

結衣

さっきのゆきのんの言葉どういう意味だろう?

ヒッキーを壊す?私にはよく分かんないや

でも部屋に入ってきた時のヒッキー

いつもと雰囲気違ってた何かあったのかな?

 

 

雪ノ下に着替えが終わったと言われ部室に戻る

 

戸塚「みんな本当にありがとう!もしあのまま三浦さん達が入ってきていたらどうなっていたか分からなかった。」

 

八幡「おう、気にすんな」

 

結衣「そうだよ!友達でしょ!」

 

みんなそれぞれ戸塚に励ましの言葉を掛けていた

その後おのおのの教室に戻り午後の勉強に励んだ

 

 

 




あれ?昼休み長くない?と思った方
本当にすみません、ご都合主義です


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6話

家に帰ると小町がひょっこり顔を出しでてきた

 

小町「お兄ちゃんおかえり〜!小町にする?小町にする?それとも小町〜?」

 

全部小町じゃねぇか

 

八幡「じゃあ小町で」

 

小町「じゃあ早く着替えてきて!ご飯食べよー」

 

多分最初からその選択肢しか無かっただろ

だが可愛いから許す

 

部屋着に着替え小町とふたりでご飯を食べる

八幡「なぁ、小町」

 

小町「なぁに?お兄ちゃん」

 

八幡「俺が、結婚するって言ったらどう思う?」

 

小町「」

 

ん?反応がないぞフリーズしてしまった

そりゃごみぃちゃんからいきなり結婚の話されたら

そうなるか

 

八幡「小町ちゃん、そろそろ現実に戻ってきて」

 

小町「はっ! もうお兄ちゃん!変な冗談言わないでよ〜ビックリしたじゃん」

 

八幡「陽乃さんって覚えてるか?1年前に事故の時に来た人」

 

小町「あーあの美人のお姉さんか

その人がどったの?」

 

八幡「その人に告白された」

 

小町「え、え?ええぇえ!?」

 

そこから事の成り行きを説明した

 

小町「そっか、小町達の事は気にしなくていいよ

お兄ちゃんがしたいように決めればいいと思う

だってお兄ちゃんの人生何だから…」

 

八幡「そっか、ありがとな」

 

よく出来た妹だ いつもこの駄目な兄を支えてくれる

自慢の妹だ

 

後は俺だけか

俺は陽乃さんとどうなりたいのか考える

 

考えても、考えても分からない…

いや、自信が無いだけなのかもしれない

 

そして気がついた時には夏休みに入っていた

 

それまでに依頼は数件あった

川崎の件は俺がスカラシップを進め

葉山グループの問題も、葉山本人を孤立させて

問題を解決させた

 

学校ではなるべく陽乃さんの事を考えないようにしていた。そのおかげで雪ノ下や由比ヶ浜とはいつも通りに過ごせていた。

 

小町「お兄ちゃん〜平塚先生が電話でろだってさ

スマホ見てないの?」

 

スマホ?そういえば部屋に置きっぱにしてたな

全然気が付かなかった

 

八幡「すまん、部屋に置いてて気が付かなかったわ」

 

小町「そっか、早めに連絡しなよ〜」

 

そういい、自分の部屋に戻っていく

俺はリビングで何をするでもなく

ただゴロゴロしていた

 

部屋に戻りスマホを開く

 

八幡「なんだ、この着信とメールの数は…」

 

とりあえず電話をかけてみた

 

平塚「もしもし、やっとでたか」

 

八幡「すみません、部屋にスマホを放置していたので

気が付きませんでした」

 

平塚「そうか、ならいいのだが… ごほん

夏休みの奉仕部の活動だ 詳細はメールに書いてある

朝10時に駅にこい じゃあな」

 

一方的に話して切りやがった

 

これ行かなかったらめっちゃ怒られるよな…

とりあえずメール確認してみるか

 

 

 

長いし!怖いよ!

比企谷君?実は見てるんでしょ?って

怖すぎるよ!

 

結局行く事となり 小町もさそわれていたので

声を掛ける

 

 

 

次の日

集まった面子は

平塚先生、雪ノ下、由比ヶ浜、俺、小町、陽乃さんだった

平塚先生の車に乗り千葉村に向かう

 

八幡「陽乃さん受験生ですよね?大丈夫なんですか?」

 

陽乃「なぁーに比企谷君?心配してくれてるの?

それとも、私が居るのがお邪魔だったかな?」

 

おぉ笑顔が怖い

 

八幡「まぁ、進路先が国立の理系って聞いてたので

勉強しなくてもいいのかな?と」

 

陽乃「あーそれなら心配ないよ〜私なら余裕

で合格できるから、それに!息抜きも大切でしょ」

 

確かにこの人なら余裕で合格できそうだ

それに息抜きだって必要だ

 

八幡「そうですね」

 

陽乃「それで比企谷君」

 

八幡「何ですか?」

 

陽乃「私との結婚の件考えてくれた?」

 

ニコッと笑いながらとんでもない爆弾を落としていきやがった

 

キキィィーーー!!と音がして

車を一時停止させた

 

平塚「陽乃どういう事だ!!」

 

雪乃「姉さん!?冗談にしては質が悪いわよ」

 

結衣「そうですよ、ヒッキーとけ、結婚なんて…」

 

陽乃「ごめん、ごめん少しからかっただけだよ〜

比企谷君も気にしないで」

 

雪ノ下と由比ヶ浜は少々複雑そうな顔をしていた

相変わらず陽乃さんはニコニコしていて

平塚先生は「結婚したい」と終始呟いていた

そうしてるうちに千葉村に到着した

 



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7話

千葉村に着いて間もなくすると

葉山グループの面々と戸塚が居た

あぁ戸塚会いたかったよ!

 

 

雪乃「彼らは?」

 

平塚「あぁ、私がサポートとして呼んだんだ」

 

戸塚「八幡!久しぶり!」

 

戸塚可愛い 戸塚可愛いとつかわいい

 

八幡「よぉ戸塚今日も可愛いな」

 

おっと本音が出てしまった

 

戸塚「可愛いって僕は男の子だよ!」

 

隼人「やぁ、雪ノ下さんそれに陽乃さんも」

 

陽乃「久しぶり隼人」

 

おのおの挨拶をし終え平塚先生が説明をしだす

そして小学生の前で紹介され

千葉村のお手伝いをしていた

 

雪乃「ねぇ、比企谷君」

 

八幡「あぁ」

 

雪ノ下が俺に話しかけたと思えばその視線の先に

一人の少女が居た。

 

周りの子を見てみると、多分あの子はハブられている

葉山も同じ事を気付いたのか

その少女に近づいていく

 

隼人「やぁ、チェックポイントは見つかったかい?」

 

「まだ」

 

隼人「そっかじゃあ皆で一緒に探そうか」

 

そういい彼女と同じ班員の子がいる場所に連れていき

一緒に探そうと提案している

 

八幡「あれじゃ逆効果だ…」

 

雪乃「そうね」

 

雪ノ下も肯定する

葉山がやってる事は意味が無い

いや、悪化させることだ…本人は気付いてないのだろ

 

陽乃「あれだから隼人は面白くないんだよね」

 

陽乃さんも見ていたのか

 

八幡「昔からなんですか?」

 

陽乃「そうだよー それも前にそれをやっていた相手が雪乃ちゃんなの」

 

そうか、だから雪ノ下はあそこまで葉山を毛嫌いしているのだろう

 

そこからしばらくその子を観察していた

 

 

 

ご飯作りになり 皆がカレーを作り出す

その際に俺と雪ノ下はその場を抜け2人で話している

遠目でその子を見てみると

 

隼人「カレー好き?」

 

あの子に話しかけていた

 

「別に」

 

冷静に答えその場を去っていった

そんな中由比ヶ浜はカレーに何を入れるかで

はしゃいでる というか桃はないだろ

 

八幡「バカ……」

 

「本当、バカばっか」

 

隣には例のあの子がいた

 

「でも、あなた達2人は違う気がする ねぇ名前は?」

 

中々の観察眼だ 褒めてやりたい

 

雪乃「あら?名前を名乗るなら自分から名乗るんじゃないのかしら?」

 

鶴見「鶴見留美…」

 

八幡「比企谷八幡だ」

 

雪乃「雪ノ下雪乃よ」

 

陽乃「ひゃっはろー!雪ノ下陽乃だよ」

 

ひょこっと陽乃さんが出てくる

 

鶴見「雪ノ下さん…陽乃さんはまた違う気がする

そこにいる皆とも、八幡と雪乃さんとも」

 

こいつ気がついているのか?

 

陽乃「どう違うのかな?」

 

ニコニコしながら問う

 

鶴見「冷たい感じがするの ううん、八幡と雪乃さん以外の人には冷たく感じる」

 

よく見てるな だが冷たいんじゃない興味が無いだけなんだよ

 

陽乃「半分正解半分不正解かな」

 

鶴見「そう」

 

陽乃「留美ちゃんはあっちにいる子達とは違うのかな?」

 

鶴見「違う…あいつら本当に馬鹿なの 取り繕った会話しかしないし、馬鹿みたいにはしゃぐだけで でも1番のバカは私」

 

そこで理由を尋ねて真相を聞く

元々仲良くしていて、いつも誰かひとりがいじめられていた。その時たまたま私と仲の良かった子が標的になった。でも私は見捨ててしまった

そして自分の番が来たのだと

 

鶴見「どうせ中学になれば

新しく友達を作ればいい」

 

八幡「それは違うな、中学に行っても同じ小学校の奴ら半分、違う地区の奴ら半分だが、結局今と何も変わらなくなる。同じ小学校だった奴らに 違う中学の奴が加わるだけだ」

 

留美「そう…結局そうなのね」

 

この世界はぼっちには生きにくいのかもしれない

改めてそう思う

 

陽乃「そろそろ戻ろっか」

 

陽乃さんがそういい皆戻っていく

 

 

 

全ての工程が終わった後皆を集め話し合う

その時に雪ノ下が決定的な発言をした

葉山には無理だと

 

三浦が文句を言ったが論破されてしまった

陽乃さんも雪ノ下と同意見だった

そこで陽乃さんが俺に無茶振りしてきた

 

陽乃「でも、1人だけ解決出来る案を考えられる人が居るよ 比企谷君がね」

 

この人はどうして俺に…

そこで俺は次の日の肝試しを利用し

関係を壊してしまう提案をする

 

誰一人として拒否はしなかったが 頭を抱えていた

その中陽乃さんだけは流石比企谷君と褒めてくれた

 

そして俺が考えた策を実行した

結果的には良かったのかもしれない

皆が皆を裏切り、鶴見が全員を助けた

 

そうして千葉村の奉仕部活動は終わりを迎えた

 

 

 

 

川遊び編

 

ある程度の準備が終わり 川で遊んでいる

 

雪乃「あら、比企谷君も来たのね」

 

八幡「まぁな 一応水着持ってきたし、戸塚も居るしな」

 

戸塚マジで最高 戸塚結婚しよ

 

平塚「お、比企谷〜中々いい体してるじゃないか」

 

そう言いながら体を触ってくる

 

八幡「や、やめてください先生…!」

 

ちらっと先生の方を見る

 

やればできるじゃないですか

 

陽乃「比企谷君ー!」

 

後ろから抱きつかれた

あぁいい匂い柔らかい柔らかいすべすべしてる

 

比企谷君「は、陽乃さん…離れて」

 

陽乃「えー しょうがないな〜」

 

そういい離れてくれる

陽乃さんの方を向くと

 

八幡「……」

 

陽乃「え?どうしたの?おーい比企谷君?」

 

目の前で手を振る陽乃さん

 

八幡「……はっ!すみません見惚れてました

あまりにも綺麗で」

 

陽乃「へっ!?/// も、もうお姉さんをからかっちゃ駄目だよ」

 

思った事を言っただけなんですが

 

平塚「そ、その比企谷と陽乃は付き合ってるのか?

前々から思ってたのだが距離感も他の人より近いしな」

 

陽乃「もう静ちゃんそんなんじゃないよ〜」

 

結衣「確かに、ヒッキーも陽乃さんだけ名前で呼んでるし」

 

八幡「そ、それは雪ノ下と区別するためだ

他意はない」

 

雪乃「あら、それじゃ年上の姉さんより同級生の私の方が名前で呼びやすいんじゃないかしら?」

 

なんか面倒な事になってきた

 

戸塚「あはは大変だね八幡」

 

あぁ戸塚なんて可愛いんだ結婚しよ

 

八幡「戸塚結婚しよ」

 

戸塚「も、もう僕男の子だよ〜」

 

これは男じゃなかったらOKだったのか!?

 

海老名「トツハチキター!」ぶしゃぁーー

 

三浦「擬態しろし」

 

雪ノ下姉妹は何か言い合ってるし

他は他ではしゃいでるし

まとまりねーな だがそんなのもいいかもしれない



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8話

すみません!!
間違えてほかの所に貼ってました!


千葉村の合宿を無事に終え

学校に帰ってきた

葉山達は別ルートで先に帰り

俺達は平塚先生の車で帰ってきた

 

陽乃「んーっ!楽しかったね比企谷君」

 

彼女はグッと体を伸ばしながら

こちらに話しかけてきた

 

八幡「そうですね、俺としては家でゴロゴロしながら、ゲーム見てたかったですが」

 

陽乃「相変わらずだな君は〜」

 

結衣「ゆきのん!これからどっか食べいかない?」

 

雪乃「ごめんなさい、今日は家でゆっくり休みたいの

また今度でいいかしら?」

 

結衣「そっか!じゃあまた連絡するね」

 

話をしていると学校の前に黒塗りの高級車が止まった

中から人が出てきて陽乃さんと雪ノ下の方を向く

 

陽乃「どうしたの?迎えなんて呼んでないんだけど」

 

「奥様がお呼びしております」

 

雪乃「母さんが?私は行かないわ

姉さんだけで充分でしょ」

 

陽乃「えー雪乃ちゃん冷たい」

 

「いえ、二人とも連れてくるように言われております」

 

陽乃「分かった。じゃあね比企谷君!静ちゃんにが浜ちゃんも」

 

雪乃「はぁ… さよなら比企谷君それに由比ヶ浜さんも」

 

そう言い車に乗り込む

そして車が発進されこの場を去っていった

 

結衣「ねぇ、ヒッキーあの車」

 

八幡「あぁ だが同じモノかどうかは分からないけどな」

 

 

 

そうして由比ヶ浜とも別れ小町と2人で家に帰る

そうして、数週間が経った

 

アザレアを咲かせて〜

 

小町「お兄ちゃん電話鳴ってるよー」

 

八幡「おぉ」

 

スマホを取りに行き

誰からの着信かを見る

 

雪ノ下陽乃

 

千葉村以降1度も連絡を取っていなかった

いつもなら、暇だって言って電話やりメールなりしてくるのだが最近はピタッと止まっていた

 

八幡「もしもし」

 

陽乃「あ!比企谷君ー!出るのおそーい」

 

八幡「すみません、スマホを傍において無かったので」

 

彼女はそっかそれなら仕方ないねと言い

本題に入る

 

陽乃「比企谷君今日の夜空いてる?」

 

今夜?特に用事は無いが

 

八幡「忙しいですよ」

 

陽乃「そっか、残念だけど比企谷君には1週間絶食してもらわないとね」

 

何か恐ろしい事が聞こえたような確か絶食とか

ん?絶食?どういうこと?

 

八幡「どういう事ですか?」

 

陽乃「小町ちゃんにね比企谷君が暇かどうか聞いてたの。それでねもし比企谷君が断ったら1週間何も食べさせないって言ってたんだ〜」

 

おい、小町どういう事だ 確かに陽乃さんと小町は仲がいいが普通そこまでするか!?

 

八幡「分かりました。空いてます

だから、ご飯だけは」

 

我ながら情けない

だが、プライドなんて捨ててやる

 

陽乃「それじゃ○○駅に6時に来てね!」

 

駅に6時か…

 

その後小町に目一杯おめかしさせられて駅に向かった…何で伊達メガネとか付けなきゃならんのだ

 

約束の時間の30分程前に到着した

 

八幡「少し早く来すぎたな…」

 

周りからジロジロ見られている 特に女子から…

小町からはお兄ちゃんカッコイイよ!って言われたが

身内補正入ってたろうしな

 

というかそんな不審者に見えるか?

近くを通る人殆どこっちをチラッと見ていくぞ

 

陽乃「比企谷君ー!」

 

タッタッタッと小走りで陽乃さんがこちらにやってくる

浴衣姿でいつもと違う雰囲気で凄く魅力的だ

 

八幡「うっす」

 

目の前に来ると陽乃さんが俺の顔を見て呆然としている

そんなに酷いかな?

 

八幡「陽乃さん?」

 

陽乃「ふぇっ!?何かな比企谷君」

 

八幡「浴衣姿似合ってますよ」

 

小町から陽乃さんが来た時に絶対に服を褒めろと言われたので実行してみた どんな反応するだろう

 

陽乃「へっ あ、ありがとう///」

 

顔が凄く赤くなっていく

 

陽乃「比企谷君も似合ってるよ、一瞬誰だか分かんなかったよ」

 

八幡「そうっすか?周りからジロジロ見られるからそんなに変なのかと思ってました」

 

実際男からは冷たい目で見られたしな

 

陽乃「そ、それは比企谷君がカッコイイからだよ」ごにょごにょ

 

何かごにょごにょ言ってるが聞こえない

まぁいいや

 

八幡「陽乃さん、この時間に呼び出したって事は祭りに行くんでしょ?人が多くなる前に行きましょ」

 

陽乃「え、あ…うん」

 

どうしたんだろう?陽乃さん調子悪いのかな

いつもより口数少ないし からかってもこないし

俺としては静かでいいんだが

 

ギュッ

 

陽乃「比企谷君!?」

 

八幡「人多いからはぐれますよ」

 

できるだけ意識しないようにして歩いて行く

 

陽乃「ひぅ///」

 

俯いてしまった恥ずかしかったか?

でもいつも人前で抱きついてくるような人が

恥ずかしがるわけないか

 

特に話すことも無く

そのまま手を繋いだまま祭りの会場に向かっていった



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9話

祭りの会場にやってきた

周りは物凄くガヤガヤしていて

人で溢れかえっている

屋台も大繁盛だろう

もう花火に向けブルーシートを引く人も居る位だ

 

陽乃「ごめんね、比企谷君ちょっとそこで待ってて」

 

そこと言うのは関係者以外立ち入り禁止エリアだった

今日の陽乃さんは雪ノ下家の代表として来てる為

挨拶回りをしに行くようだ

 

八幡「…分かりました」

 

そういい席に着く

ここは人が少なくて落ち着く

それに景色も綺麗だ

 

陽乃「比企谷君ー!お待たせ!」

 

数分程座ってたら陽乃さんが戻ってきた

挨拶回りはもう終わったのだろうか?

 

八幡「お疲れ様です」

 

陽乃「それじゃ、屋台でも回ろっか」

 

八幡「はい」

 

手を繋ぎ2人で歩き始める

周りからの視線は痛いがそんなのは気にしてなかった

今は陽乃さんと2人でこうしていたかったから

 

八幡「陽乃さんそろそろ」

 

陽乃「そうだね」

 

主語が抜けていても会話が成立する

そんな相手は陽乃さん以外いない

凄く心地が良い…

そんな事を思いながら

花火を見るためさっきの関係者席に向かう

 

「あれー?比企谷じゃん!久しぶり!!」

 

懐かしい声が聞こえてきた

懐かしいと言ったが別にいい思い出ではない

 

八幡「…うす」

 

「反応うすっ!もしかして私の事忘れたの?」

 

八幡「覚えてるよ…折本…」

 

折本「何だちゃんと覚えてるじゃん ウケる」

 

八幡「ウケねぇよ」

 

陽乃「えっとその子は?」

 

八幡「中学時代の同級生ですよ」

 

折本が陽乃さんの存在に気がつき

手を繋いでる事に驚く

 

折本「もしかして比企谷の彼女さん?」

 

陽乃「彼女ではないかなー ねぇ比企谷君私は比企谷君の何だろうね?」

 

八幡「友達の姉、または先輩だろ」

 

陽乃「そそ、そんな感じ」

 

折本「だよね!比企谷に彼女とか有り得ないし」

 

有り得なくて悪かったな

 

折本「そうそう、昔比企谷に告白された事あるんですよね〜」

 

やめろ…その話はやめてくれ

 

陽乃「へぇーそうなんだ 比企谷君ってこういう子がタイプなの?」

 

八幡「……別に」

 

折本「別にってww見た目は良くなったけど

中身全然変わってないね ウケるw」

 

陽乃「別にウケる所はないと思うけどなー」

 

陽乃さんの雰囲気が変わった

久しぶりに見る魔王としての風格だ

 

陽乃「折本ちゃんだっけ?君は比企谷君の何を知ってるの?」

 

陽乃「比企谷君はねこう見えても結構モテるんだよ

私が知ってるだけでも3人…いや4人は比企谷君に想いを寄せている子が居るんだよ」

折本「へぇー比企谷モテモテじゃん でもその子達も別に可愛いという訳でも無いんでしょ?」

 

こいつ失礼な…てか俺に想いを寄せている人が4人?

1人は陽乃さんとしても…

 

陽乃「それが全員折本ちゃんより美少女なんだよね〜

比企谷君には教えないけどほら」

 

スマホを折本に見せている

何故か折本は信じられないような顔をしていた

 

折本「良かったじゃん比企谷

こんな可愛い子にモテて」

 

顔を引き攣らせながらその場を去っていった

全く迷惑なやつだ

 

陽乃「邪魔者も居なくなった事だし行こっか比企谷君」

 

八幡「そうですね」

 

ギュッと手を握り歩き出す

2人で席に着くと

 

ヒュ〜〜〜〜

 

バンバン

 

花火が上がりだした

 

八幡「綺麗ですね」

 

陽乃「ん?私が?」

 

八幡「陽乃さんも凄く魅力的ですよ

ですが今は花火の事ですね」

 

陽乃「素直に私って行ってくれればいいのに…」ムスッ

 

仕方ないじゃないか捻くれてるのだから

 

八幡「陽乃さん 少し前に俺に結婚して欲しいって言いましたよね」

 

陽乃「…うん言ったよ」

 

八幡「あれから色々考えました。陽乃さんの事、家族の事、これからの事…そして自分の事…」

 

八幡「もし、雪ノ下家から逃げる事になったら

俺たち多分苦しい生活しますよね…」

 

陽乃「…ぅん」

八幡「正直俺は耐えられる気がしません」

 

陽乃「……」

 

八幡「俺の答え聞いてくれますか?」

 

陽乃「っ… うん…言って……」

 

はぁーっと深呼吸し

 

八幡「んっ」

 

陽乃「ッ!?」

 

口付けをした

周りは花火に夢中でこちらの事なんて

気が付いてない 花火もバンバンなっている

 

陽乃「ひ、比企谷君!?」

 

唇を離すと陽乃さんは驚いていた

 

八幡「これが、俺の気持ちです こんな俺で良ければ

あなたの隣にずっと居させて下さい」

 

陽乃「わ、私で良かったの?」ポロポロ

 

八幡「貴方の隣に居たいんです」

 

陽乃「これから大変になるし それに私面倒な女よ」

 

八幡「覚悟の上です」

 

陽乃「それに、比企谷君が他の女子と話すだけでも嫉妬しちゃうよ」

 

八幡「そんなに卑下にしなくていいんですよ

俺が選んだんですから」

 

陽乃「…ありがと」ポロポロ

 

いつしか誰かが言っていたような気がする

 

ーーこんなレプリカはいらない

 

もし、逃げで陽乃さん以外を選んでも

幸せなんてなかったと思う

 

ーー本物と呼べるものだけでいい

 

本物…それが何なのか分からない

だが、俺にとって陽乃さんは本物と呼べるもの

だと思う

 

ーー探しに行くんだそこへ

 

探したさ、まるで白色のたんぽぽのように

見つけるのが困難な彼女を

 

陽乃「は、八幡…」

 

八幡「陽乃…」

 

花火に彩られながらキスをした

何度も何度も私は、俺はここに居るんだと

証明するように何度も啄んだ

 

 

 

「うわぁはるさん大人〜」

 

「ヒッキー取られちゃった…」

 

「最初から勝ち目なんて無かったのよ…

私達と出会う前からもしかしたら両想いだったの

かもしれないのだから」

 

八幡「は、陽乃 あっちに」

 

キスをやめ陽乃にあいつらの存在を教える

 

陽乃「んっ え!?雪乃ちゃんにが浜ちゃん!?

それにあっちにはめぐりも!」

 

めぐり…城廻先輩の事だ

彼女も陽乃さんと同級生で生徒会副会長をしている

 

そんな事よりもだ

 

八幡「おい、出歯亀3人組」

 

雪乃「見つかってしまったわ…」

 

結衣「出っ歯カメ?何それ」

 

雪乃「出歯亀よ」

 

由比ヶ浜は出歯亀が分かっていないご様子だ

 

めぐり「見つかっちゃった〜」

 

陽乃「めぐり来てたのね」

 

めぐり「いやーはるさんアツアツでしたね〜

前々から仲がいいなーとは思ってたんだけど」

 

陽乃「アツアツって…そんなんじゃ///」

 

二人の世界に入り込んでいたから

いつからこの3人が見ていたのか分からないが

告白の瞬間だけは見られてない事を願おう

人に見られるとか黒歴史確定だし




次回はが浜ちゃんと雪乃sideです


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10話

由比ヶ浜さんに誘われ2人で祭りに来た

正直に言うと今日は来たくなかった…

それは姉、雪ノ下陽乃に遭遇する可能性が高いからだ

姉さんは多分雪ノ下家の代表として来ているだろう

私にはそんな事はできない。

社交性もそこまでなく、コミュニケーションを取るのが精一杯の私では

 

昔、私はそんな姉さんに憧れていた

だけど今は違う。少し前に彼が私に…

 

お前はお前のままでいい 嘘も虚言も吐かない

雪ノ下雪乃のままで それがお前だろ

 

あの時位かしら比企谷君を気に仕出したのは

 

ピンポーン

 

由比ヶ浜さんが家に来たようだ

 

雪乃「今開けるわ」

 

ロビーにあるドアのロックを開ける

 

結衣「やっはろー!」

 

雪乃「こんにちは由比ヶ浜さん」

 

いつもとは違う格好をしている由比ヶ浜さん

を見て少し驚いた

 

いつもはバカっぽい感じだが浴衣を着た彼女は

物凄く清純な感じがした

髪の毛も簪で留め落ち着きのあるような感じだ

 

雪乃「由比ヶ浜さん似合ってるわよ」

 

結衣「ありがとゆきのん!ゆきのんも似合ってるよ」

 

雪乃「ありがとう」

 

夕方まで家で時間を潰し

6時前くらいに家を出た

 

駅に着くと人で溢れかえっていた

どうしてこう人が多いのかしら

周りを見るとどこもリア充ばっかで

 

そんな中比企谷君らしき人を遠目だが見かけたようなきがした

 

だが人並みに呑まれ直ぐに見失ってしまった

 

雪乃「由比ヶ浜さん」

 

結衣「ゆきのん!あっちにヒッキー居たよ!!」

 

やっぱり見間違いでは無かったみたい

だけど人混みを嫌う彼がどうして

 

結衣「よく見えなかったけど隣に誰か居て

手を繋いでるように見えた…」

 

彼が誰かと手を繋ぐ…あれだけ人を避けていた彼が

 

雪乃「流石に見間違いじゃないかしら」

 

信じたくない…彼が誰かのものになるなんて

その場所には私が居たいから

 

結衣「そ、そうだよねーあははびっくりしたー…」

 

彼女もきっと比企谷君に想いを寄せていると思う

 

私も…短い時間だったが彼の優しさに当てられて

彼の魅力に惹かれたのだ

曲がっていながらも強い意志を持ち

言い訳しながらもやる事はちゃんとやり

私達には思いつかない方法で人を助ける

そんな彼が好きだ

そんな彼をもっと知りたい

 

だけど彼にはライバルが多い

由比ヶ浜さんに私…それに多分姉さんも

そしてこの前の川崎さんの件で多分彼女も…

 

それに城廻先輩とも仲がいいようだし

 

雪乃「はぁ…」

 

つい溜息が出てしまった

彼は本当に凄いと思う

ルックスは普通位で性格もパッと見いい訳でもないのに

こんなにも魅力的なのだから

それに比べわたしは…

 

結衣「ゆきのんどうしたの?」

 

雪乃「い、いえ何でもないわ 行きましょ」

 

結衣「うん!」

 

それから花火が始まるまで比企谷君を見つける事が出来なかった。

花火が始まり一応姉さんに挨拶しようと思って

来賓席に向かって行った。その時信じられない

光景が目の前にあった。

そう姉さんと比企谷君がキスをしていたのだ

 

雪乃「う、嘘…どうして…」

 

私は選ばれなかったのだ

由比ヶ浜さんも今にも泣きそうな顔をしていた

 

胸が物凄く痛くなってきた

それに耐えられずに頭の中で言い訳を始めた

 

結衣「あんなヒッキーの顔今まで見た事ないよ…」

 

今の比企谷君の顔を見ると物凄く幸せそうな

優しい顔をしていた。

私達には見せた事のない表情だ

 

結衣「ヒッキー幸せそうだね」

 

雪乃「…そうね」

 

私の初恋は振られる事もなく終わってしまった

 



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11話

今俺は雪ノ下邸に来ている

何故ここに居るかって?俺が聞きたいわ!

 

祭りの日に俺と陽乃がキスをしているのを

陽乃の母親の友人に目撃され 母親に伝わってしまったらしい…

あんなところでするんじゃなかった

まだ心の準備も出来てないのに

 

というか都築さん何でそんなにうれしそうなんですか!!

さっきからニコニコして さっき「陽乃お嬢様を選んでくれてありがとう」なんて言われたぞ!?

 

雪ノ下は雪ノ下でこっちを睨みつけてくるし

胃に穴が空きそう…

 

陽乃…陽乃は何処に居るんだ…

 

今俺は1人で客間に座っている

雪ノ下とは廊下ですれ違い…罵倒され

そしてなにか言おうとすると睨まれたのだ…

怖いよゆきのん怖いよ

 

はるのんか戸塚…小町でもいいや

誰でもいいから会いたいよ〜

 

トントン

 

八幡「はい」

 

「失礼するよ」

 

黒色のスーツを身にまとった男性がやってきた

 

「君が比企谷君か…話は陽乃から聞いているよ」

 

陽乃?執事ではないのか

いやまさか…お義父さん!?

 

「失礼、私は陽乃の父親だよ。」

 

八幡「こ、ここんにちは比企谷八幡と申します」

 

「ははは、そんな固くならなくていいよ」

 

八幡「は、はい」

 

「そうだな、お義父さんって呼んでくれてもいいんだぞ?」

 

いやいや!気が早すぎるでしょ!

 

「いやぁ一昨日いきなり陽乃に彼氏が出来たって聞いて驚いたよ あの陽乃が惚れる男が居るだなんて思ってもいなかったから」

 

どういう事だ?陽乃が惚れる男が居ない?

 

八幡「あのどういう事でしょうか?」

 

「ん?君は気がついてないのかね?」

 

八幡「あの、完璧すぎる外骨格の事ですか?

それとも魔王とも思わせるあの中身の事ですか?」

 

「はははっ凄いな君は!外面だけでなく内面まで知っているのか!」

 

八幡「まぁ、初見で見破りましたし…」

 

「もしかして君はサトリか何かかな?」

 

八幡「いえ、ボッチ故に人間観察が得意なだけですよ」

 

「その捻くれよう俺は好きだな」

 

似たような言葉を昔聞いた事がある

それは確か陽乃から言われたんだ

やはりこの人は陽乃の父親なんだな

 

「どうだ?陽乃は怖いか?」

 

八幡「えぇ怖いですよ ですがそれ以上に陽乃さんの事が好きなので」

 

「君は面白いな 雪乃や陽乃が惚れるのも頷ける」

 

ん?雪ノ下?

雪ノ下が俺を?

 

八幡「ちょ、ちょっと待ってください

雪ノ下が俺をってどういう事ですか」

 

「おや、気付いて無かったのか?雪乃があそこまで人に打ち解けるのは君だけだよ。それに親から見ても君に恋してると分かったのだが」

 

マジかよ…全然気が付かなかった…

じゃああの罵倒が照れ隠しとしたら……可愛い

 

「比企谷君、私は君を歓迎するよ これからも娘の事よろしく頼むよ」

 

そういい部屋を出ていった

気さくな人だった…動きも全然読めなかったし

それにあの人の腹の中も…

下手したら陽乃さんより黒いぞ…

 

「比企谷様こちらへ」

 

都築さんが呼びに来た

ここで話すわけではないのか…

言われるがままについて行き

1つの部屋の前に到着した

 

「比企谷様こちらへどうぞ」

 

ドアを開けられ部屋に入るとそこには

 

「八幡君!陽乃さん!婚約おめでとー!」

 

パンパンパンとクラッカーが鳴っている

 

八幡「え?婚約?」

 

陽乃「あはは…ごめんね八幡 お母さんたら私に彼氏が出来た事知ったらはしゃいじゃって…」

 

なるほどそれでか…お義父さんも歓迎してくれていたし都築さんも…

 

小町「お兄ちゃん!おめでとー!」

 

そこには小町とお袋に親父も居た

 

八幡「仕事は?」

 

「お前の大事な日だ有給使ってきた!

それに八幡よくあんな可愛い子捕まえたな!」

 

「本当よね…結婚どころか誰かと交際する事すらままならないと思ってたのだけどその心配はいらなかったようね」

 

うん、ちょっと待とうか いくらなんでも準備良過ぎない? だって花火大会2日後だよ?今日は8月31日だよ!!

 

 



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12話

あれから酔っ払い共に絡まれ(親父たち)

母親達に何処が好きなのか…何処を惚れたのかとか聞かれて、今までの関係やらいろいろ吐かされた

途中で雪ノ下が何で私を選んでくれなかったの!

って言い寄られた時は流石に焦った

陽乃が居なかったらそのまま襲われてたかもしれない

それ程迫力があった

 

雪ノ下本当に俺の事好きだったんだな…

なんか申し訳なく感じる…あいつの気持ちに

気が付いて上げてたら…

 

でも気がついたからって 俺は雪ノ下を選ぶのか?

多分それは無かった…陽乃と出会ってなければ有り得たかもしれないが そんなのは幻想でしかない

 

陽乃「八幡ー!」

 

後ろの方から陽乃の声が聞こえる

 

陽乃「あ、ここに居たんだ いつの間にか消えてたからびっくりしちゃったよ」

 

そう、あの雰囲気に疲れ 都築さんに頼み

ベランダに来ていたのだ。

 

八幡「すみません、少し疲れたので」

 

陽乃「仕方ないよ、八幡こういうの慣れてないでしょ?それに苦手だろうし」

 

俺の事をよく分かってくれているじゃないか

 

八幡「それでも、こうやって祝って貰えるのは素直に嬉しいものですよ」

 

自分でも意外な事を言ったと思った

 

陽乃「へぇー少し意外だな〜八幡がそういう事言うなんて」

 

八幡「自分でも驚いてますよ」

 

陽乃「そういえばさっき、雪乃ちゃんに言い寄られてたよね 」

 

ギクッ

 

八幡「あ、あれは陽乃が助けてくれたじゃ無いですか」

 

陽乃「ん?助けたつもりなんてないよ ただ比企谷君が契約違反しないようにって言いに言っただけだし」

 

契約って…まぁ悪魔と契約しているようなもんか

 

陽乃「あ!今失礼な事考えたでしょ!契約違反だ!」

 

八幡「じゃあ契約違反した罰を貰わないといけませんね」

 

へっ?と彼女は驚いていた

さすがにこの返しは読めなかったのだろう

 

陽乃「うん、そうだね それじゃ比企谷君に1つ命令します 優しくキスして」

 

えっ?キス

 

八幡「分かりました…目を瞑って下さい」

 

覚悟を決め目を瞑るように呼びかける

 

八幡「陽乃………んっ……」

 

陽乃「んっ」

 

唇を重ね離すことなく抱きしめる

彼女を抱きしめると物凄く甘いいい匂いがして頭がクラクラする。理性を総動員して性欲を抑え込み

キスを堪能する

 

どれくらい時間が経っただろうか

数分?いや10数分ほどキスをしていた

 

離す時陽乃は寂しそうな顔をしていたが直ぐに元に戻った。

 

八幡「俺が好きなのは陽乃だけだからな」

 

陽乃「…ずるいよ///」

 

もう一度キスをし、部屋に戻って行った

 

小町「アツアツでしたね」ニコニコ

 

陽乃「なっ!小町ちゃん!?」

 

雪乃「義兄さん私ともしましょう

これから家族になるのだから 平気よ」

 

八幡「うるせぇ、それにまだ義兄じゃねぇ!

この出歯亀Sisters」

 

何十分も戻らない俺達も悪いが覗き見は予想外だった

もう完全に二人きりの時以外しないでおこうかな

 

そのまま部屋に戻ると皆こちらを見てニヤニヤしていた

は?どうしたんだこいつら

 

陽乃「は、八幡…あれ」グイッ

 

袖を引っ張られ 陽乃の視線の先にあるモニターを見ると…俺達がキスしている時の映像が流れていた

 

八幡「都築さん!図ったな!」

 

「いえ、私はカメラのないベランダにお連れしたとは言っていませんよ」ニコ

 

確かにそうだが普通子供の情事とか見るか!?

 

もうやだ…この家族…

その後SAN値を削られながら一日をすごしたのであった

 

 



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13話

今日は始業式だ…長い夏休みを終え

またあの地獄のような学校生活が始まる

朝早く起き、学校に向かい 勉強する

放課後になるまで1人で過ごし

その後奉仕部に向かう

それを毎日繰り返すだけの筈だった

 

陽乃「八幡おはよー朝ごはんできてるよ」

 

朝起きたらリビングに陽乃が居た

 

八幡「何でお前が家に居るんだ?」ゴシゴシ

 

目を擦り夢でない事を確認する

 

陽乃「それはね八幡に会いたかったから」キャピ

 

八幡「あざとい」

 

朝からこのテンションは疲れるな…

もう一眠りしたい

 

陽乃「むぅーあざとくないよ」

 

ふくれ顔可愛いなこいつ

 

八幡「ほら、朝飯食べようぜ」

 

陽乃「そうだね」

 

あれ小町が居ない…どういう事だ?

 

八幡「おい、陽乃小町見てないか?」

 

陽乃「小町ちゃんなら私が来たら二度寝しに部屋に戻ったよ?中学生はもう数日夏休みあるからって」

 

なるほどそれで小町の姿が見れなかったのか…無念

 

陽乃「あんまり呑気に食べてると遅刻しちゃうぞ」

 

こっちがボーッと食べていたらもう陽乃は食べ終わり片付けをしていた

 

八幡「そうだな、流石に初日から遅刻したら

アラサー教師から鉄拳くらいそうだし」

 

言わずとも分かると思うが平塚先生の事だ

 

朝飯を食べ終え 制服に着替え家に出る

 

八幡「なんで後ろに乗ってんだ」

 

陽乃「だって歩いても遅刻しちゃうし」

 

確かにこの時間で徒歩で向かえば遅刻するだろうな

 

八幡「いや、車は?朝はどうやってきた?」

 

陽乃「都築に頼んだ」

 

八幡「じゃあ学校も…」

 

陽乃「ダーメ 八幡の後ろに乗りたいの」

 

俺がチャリに跨いだら後ろからギュッて抱きしめてきた

 

八幡「ほぅわっ!」

 

背中に2つの大きなメロンが…柔らかい いい匂い

クラクラしてきた…って駄目だ煩悩退散

 

八幡「捕まっとけよ」

 

陽乃「うん!」

 

学校の少し手前で陽乃を下ろし学校までは徒歩で向かった。流石に二人乗りで行くと怒られるからだ。

 

それは良かったんだが…

 

ナンデアンナヤツガ ソノバショカワレ リアジュウバクハツシロ

ア-オレラノユキノシタサンガ ユウザイシケイ コロセコロセ!!

 

いや、後半怖いよ

陽乃が腕に抱きついて歩いてるので

他の生徒からの視線が痛い…

メガネ持ってきてるから後でつけよ

顔バレしたくないし

 

駐輪場に着きチャリを停め、メガネを装着する

 

陽乃「八幡眼鏡かけると雰囲気変わるよね

クール系っぽい」

 

そうなのか?よく分からんが変な目で見られないのなら良いだろう

 

下駄箱で陽乃と別れ教室に向かう

 

結衣「ヒッキー!やっはろー!」

 

八幡「うす」

 

結衣「ぁぅ……(メガネ掛けてるヒッキーカッコよすぎ…どうしよう胸がキュンキュンしちゃう)」

 

八幡「どうした?」

 

急に俯いてどうしたんだこいつ?

 

結衣「う、ううん!何でもないよ!さっ教室行こ!」

 

教室に着いたらクラスの奴らから誰だこいつ?みたいな目で見られた…すごく怖いよ視線痛いよ…

 

自分の席に着くとトップカースト軍団が騒ぎ始めた

 

三浦「ちょっと待って!あれヒキオ!?うそっ!」

 

隼人「お、おお落ち着くんだ優美子… き、きっとあれは幻なんだ」

 

いやお前が落ち着けよ

 

戸部「っべー!ヒキタニ君やっべー!」

 

大岡 大和「それな」

 

海老名「ヒ、ヒキタニ君…ぐふふふふ」

 

三浦「結衣…あれってヒキオよね?」

 

結衣「うん、私も驚いたよ…メガネ付けただけであんなに雰囲気変わるなんて///」

 

その後色んな奴に絡まれた

しまいには同じクラスのやつに自己紹介されたし…

何メガネ掛けたらそんなにイケメンになるの?

 

少し落ち着いて来たと思ったら国語の授業で平塚先生が来て、俺の顔を一目見たら信じられないものを見るような顔をしていた。

いや、酷くないですか流石に

 

 

 

昼休み

 

陽乃「比企谷君居るかな?」

 

陽乃がやってきた だが俺は4時間目からずっと寝続けていたので昼休みになっていることすら知らなかった。

眠ってるから仕方ないよね?

 

隼人「陽乃さん、比企谷ならそこの席で寝てますよ」

 

葉山にありがとって言ってタタタとこちらにやってきた

 

陽乃「起きろ〜」

 

体を揺すられたが一向に起きる気配がない

 

耳元に口を近づけ息を吹きかけてきやがった

 

八幡「ひうっ!? え?陽乃?あ、もう昼休みか」

 

陽乃「八幡昼ごはん食べいこ!」

 

ギュッと腕を掴んで連れていかれてしまった

クラスの奴らは完全に固まっており

俺らが部屋を出た瞬間喧騒に変わってしまった

 

隼人「比企谷、君って奴は…」

 

戸部「今のってそー言うことだよね!っわーヒキタニ君と生徒会長ができてたとかやっべー」

 

大和 大岡「それな(だな)」

 

結衣「」

 

三浦「結衣大丈夫?」

 

結衣「」

 

海老名「結衣が気絶してる!?」

他のクラスの奴らも何かガヤガヤ言っていた

 

陽乃「楽しいね八幡」

 

この人は本当に俺の周りを引っ掻き回して行く

だけど、それはそれで楽しいかもしれない

 




一旦ここで区切って
次は雪ノ下八幡の方を執筆しようと思っています
一応こちらも連載は続ける予定ですが
もしかしたらあと1話で完結するかもしれません


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14話

昼休みに陽乃から連れ去られ

お昼ご飯を食べ

教室に戻ると 何人かが俺のそばに集まってきた

 

「比企谷!生徒会長とどういう関係なんだ!?」

 

「比企谷君!連絡先教えて交換しよ!」

 

「ヒキタニ君!パないっしょ!」

 

「ハヤハチが…裏切り者め…」

 

「ヒッキー!ちゃんと説明するし!」

 

落ち着け落ち着け 一気に言われてもわからん

 

八幡「あ、えっと…その陽乃、雪ノ下生徒会長とは交際している」

 

オー!とかなんでお前みたいなやつが!とか

俺らの生徒会長がぁ!とか悲痛の叫びを上げている

お前らあの人の裏の顔知らないだろ

俺以外のやつが耐えられるわけない

 

結衣「い、いつからなの!?千葉村の時はまだだったじゃん!」

 

八幡「告白されたのは…テニスの案件があった日だ

返事をしたのは花火大会だが」

 

我ながら随分長い間またせたと思っている

 

結衣「じゃあ千葉村の時…先生の車で結婚どうのこうのって話は?」

 

八幡「あれは、半分本当だった…告白された日に

もし、雪ノ下家の事で交際を認められなかったら2人でどこか遠くに逃げて結婚しようって言われた」

 

結衣「そう…だったんだ あはは陽乃さんには敵わないや」

 

八幡「由比ヶ浜…」

 

シーンとなった

周りも俺らの会話を聞いていて

事の重さを理解してしまったらしい

まぁ雪ノ下家が出てきてるからね

 

結衣「それで、陽乃さんのお母さんはヒッキーの事どう思ってるの?」

 

八幡「そ、それは…」

 

結衣「言いたくないなら言わなくてもいいんだよ!」

 

八幡「めっちゃ好かれてる…陽乃の両親に捻くれた性格がツボにハマったらしくて…」

 

へ、へぇーと声を漏らし

呆れたような眼差しでこっちを見てくる

 

結衣「心配して損しちゃった」

 

戸部「でもでも!っべーしょ!高校生のうちから婚約とか!それも相手があんな美人なんてヒキタニ君まじ勝ち組っしょ!」

 

八幡「いや、それは…あれ?何で先生来てないんだ?もう授業中だろ」

 

もう時計の針は昼休みの時間を大幅にすぎており

授業が始まっているはずの時間だった

 

隼人「先生ならそこで丸くなってるよ」

 

葉山が指を指す方向を見ると

椅子の上で体操座りをし顔を埋めている平塚先生の姿があった

 

平塚「ううっ、結婚したい」

 

誰か貰ってあげて!!

 

八幡「あの、先生…」

 

平塚「うるさい!!リア充が婚約までしやがって!裏切り者!」

 

あーこれアカンやつだ

 

平塚「比企谷はこっち側の人間だと思ってたのに…」

 

さすがにそれは酷くね?

いや、俺自体モテるだなんて思ってなかったけど

やっぱ陽乃と出会ったのが大きかったんだな

 

結局その時間は各々自主勉して終わった

 

放課後

 

私はため息をつきながら部室に向かった

私の大好きな彼の隣にはもうあの人が居座っている

勝ち目なんてない…彼が彼女を選んだのだから

結衣「はぁ…もっとアピールしたりしたら良かったのかな」

 

そんな事を呟いてしまう

私だってヒッキーとイチャイチャしたかった

一緒に買い物行ったりデートしたりキスしたり

他にも色々と

 

でもそれは叶わぬ夢となった

 

部室の前に着くと声が聞こえてきた

 

八幡「陽乃!?」

 

ガタン!と大きな音が聞こえてきた

椅子でも倒れたのだろうか

それに陽乃さんも来ているのか

 

陽乃「んっ…八幡ー八幡…」

 

一体何があったのだろうか?

心配になりドアを開ける

八幡「ぷはっ… 由比ヶ浜!?違うんだこれは!」

 

そこには陽乃さんに押し倒され

キスをしている2人の姿があった

 

結衣「何が違うの?ヒッキー」

 

八幡「え、えっと…」

 

陽乃「あはは…私が我慢できずに押し倒しちゃった」テヘ

 

結衣「ここは学校ですよ」

陽乃「知ってるよだから、キスまでしかしてないし

互いが18歳になるまで清い関係で居ると約束したしね」

 

結衣「これのどこが清い関係なんですか!?」

 

八幡「落ち着け由比ヶ浜…こんな所でキスしてたのは悪かったがこのままじゃ埒が明かない」

 

結衣「う、うん」

 

雪乃「あら、こんにちは由比ヶ浜さん来ていたのね」

 

結衣「や、やっはろーゆきのん」

 

やっとまともな人に会えた

ゆきのんが居てよかった

 

雪乃「それと兄さんそこの年増なんかより私とどこか行きましょう、きっと私の方が姉さんより楽しませて上げられるわ」

 

前言撤回ゆきのんも毒されていた!

 

陽乃「雪乃ちゃん…今なんて言ったのかな?」ゴゴゴ

 

雪乃「ひ、ひぃぃ 比企谷君助けて」

 

ヒッキーの後ろに回り抱きつくゆきのん

いいな私もしてみたい…

いいややっちゃえ

 

横から抱きついてみた

 

結衣「どうヒッキー?柔らかいでしょ?」

 

八幡「お、おぉ」

 

陽乃「あぁ!離れなさい!八幡は私のなんだから!」

 

無理やり私とゆきのんを引き剥がし涙目で訴えてきた

 

陽乃「八幡を取らないで!!」

 

少し…いやかなり可愛かった

こんな陽乃さんの姿初めて見た、

 

八幡「そんな、心配しなくてもいいですよ…俺が好きなのは陽乃なんだから」

 

彼が優しく囁いている

いいなー私もされたい

考えただけで、胸がキュンキュンする

 

こうして騒がしい日が終わったのであった



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15話

陽乃「よしっ!八幡!旅行行こう!」

 

陽乃さんが突然そんな事を言ってきた

 

八幡「は?あんた受験生でしょ、それに夏休みも終わって長期休暇なんてないので無理です」

 

時期は9月半ば

まだまだ外は暑く陽の光が容赦なく突き刺さる夏の真っ最中だ

 

陽乃「なんと!今年はシルバーウィークがあるのです!そこを見計らってどこか旅行行こうよ!」

 

確かに今年は数年ぶりのシルバーウィークがある

 

八幡「いやいや、受験勉強どうするんですか?」

 

陽乃「そんなのしなくてもへーきへーき!

この私だよ?」

 

ぐっその言葉だけで納得出来てしまう

なんて恐ろしい人なんだ

 

八幡「そ、それに旅行に行ったら陽乃さんに桜舞い散る夜に別れを告げられそうなので!」

 

自分でも何を言っているか分からなかった

そもそも桜は春だし 今夏だし

 

陽乃「あははっ!!何それw」

 

良かったウケたみたいだ

 

陽乃「何それ〜相変わらず八幡は面白いな〜

それにお母さんだって私達の事認めてるんだからそれは無いよ あっちと違って」

 

この人分かっていやがる!

あのストーリーを!

※やはり俺が雪ノ下さんを好きなのは間違っている

より

 

八幡「そ、そうですよね…」

 

陽乃「そんなに私と旅行行くの嫌?」ウルウル

 

うっその上目遣いは反則だ

断れるはずがない

 

八幡「…行きましょう でもお金が…」

 

陽乃「大丈夫!大丈夫私が出すから!」

 

えーそれ男としてどうなのかな

 

陽乃「こういう時くらいしか雪ノ下の力は役に立たないからね!」

 

ドヤってるけどえげつないこと言ってるからね

 

八幡「日程はシルバーウィークとして、何処に行きますか?」

 

陽乃「どうしよっか…八幡はどこか行きたいことある?」

 

八幡「ぱっとは思いつきませんね 少し考えてみます」

 

陽乃「分かった じゃあそろそろ教室戻るね またね八幡」

 

手をひらひらしながら教室を出ていった

そう2人でこんな話をしていたがここは!2年F組の教室なんだ!!

 

平塚「ひ〜き〜が〜や〜!教室でイチャイチャするなどとどういうことか!!」

 

めっちゃ私怨入ってるじゃねぇか

早く貰ってあげて!

 

「そうだそうだー!教室でイチャイチャするなー!」

 

「なんであんなやつが…生徒会長ぉー!!」

 

「ヒッキーと陽乃さんが」ブツブツ

 

八幡「いや、イチャイチャなんて それにあれは陽乃さんが急にやって来て」

 

平塚「言い訳無用!衝撃のぉ!」

 

八幡「待って!話せば分かり合える筈だ!」

 

平塚「お前がそれを言うな! 「話し合えれば分かり合える。そんなのは傲慢だ」と言っていただろう!ファーストブリット!」

 

八幡「げふぅ!!何故それを…」ガクッ

 

平塚「ふぅースっとしたぜ」

 

理不尽…

 

「先生ないわー」

 

「普通本気で殴るか…」

 

「暴力教師…」

 

人前であんな盛大に殴るからだ

 

隼人「比企谷!大丈夫か!」

 

何故お前がくるんだ

そこははるのんだろ

いや、怖いからやっぱいいな

 

平塚「いや、私は」オロオロ

 

ハヤハチキタ-!!!

 

ギタイシロシ

 

ヒキタニクンダイジョウブカナ?

 

などと声が聞こえてきた

 

八幡「あ、あぁなんとかな」

 

隼人「よかった、保健室行くかい?」

 

そっかこいつらは俺が殴られたのを見た事ないのか

だから、こんなに心配してくれているのか

 

八幡「いい、平気だ それにもうすぐ授業始まるだろ」

そういい1人で立ち上がる

 

平塚「す、すまん比企谷…」

 

八幡「別にいいですよ慣れてますし」

 

あっ!やべ失語だった

「ちょ!ちょっと待ってよ!慣れてるってどういうこと!?」

 

ほら、近くにいたやつが聞いてしまった

 

八幡「ほ、ほら俺ってこういう性格だから 平塚先生がよく指導してくれてたんだよ」

 

「性格がどうこうって!殴っていい理由にはならないよね!」

 

それは確かに…でもこのままじゃ先生の立場が危ういな

どうしたものか…

 

センセイサイテ- ソンナヒトダッタンダ

 

八幡「お前らの勝手なイメージを押し付けてんじゃねぇ!確かに手を出すのは早いし それは悪いことかもいれない!だがな平塚先生はいつも正しく成長出来るようにサポートしてくれた!どうすればいいかわからない時に答えじゃなくヒントをくれた 自分で成長出来るように そんないい先生をお前達の勝手な価値観で汚すな!」

 

気がついた時には叫んでいた

クラスの奴らは唖然としていた

 

やっちまったな…どう収集つければいいんだ

 

隼人「ほら、皆席に着こう もう授業が始まるよ」

 

葉山が言い終わると共にチャイムがなった

あいつこういう時使えるな

 

平塚「ひ、比企谷…ありがと 助かったよ」

 

八幡「いえ、俺は俺がしたいようにしただけなので」

 

そういい席に戻った

 

 



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16話

陽乃「いやぁー!八幡本当に最高!」ゲラゲラ

 

八幡「もう、辞めてください 恥ずかしくて死にたいので」

 

放課後になり部室に向かっていると陽乃さんに呼び止められた…そして休み時間にあった事を知っていた…

どこからその情報手に入れたんだよ…

 

陽乃「えー 八幡は間違った事してないし

それにカッコイイと思うんだけどなー(静ちゃんも多分八幡の事好きになってるかもだし)」

 

八幡「もう、掘り返さないで下さい…

次の休み時間なんて男子共からヒューヒキタニ君カッコイイ〜って弄られたんですから」

 

陽乃「あははっまぁそうなるよね

あ、でも八幡が静ちゃんを庇って無かったら

私怒り狂ってたと思うよ〜 八幡の事殴ったんだから」

 

確かにこの人ならやりかねない

幾ら陽乃さんが平塚先生の事を気に入っていたとしても俺に手を出した人は八つ裂きにされそう…

どれだけ愛されてるんだよ…怖いよ

 

八幡「んじゃ、俺はここで」

 

陽乃「じゃあね 生徒会の仕事終わったらそっち行くから」

 

八幡「分かりました」

 

陽乃「あ、そうそう文化祭の実行委員になってね

私生徒会長だから参加しなくちゃいけないし」

 

八幡「…考えておきます」

 

その後由比ヶ浜と雪ノ下から弄られたのは言うまでもないだろう

 

 

 

次の日

 

担任「では文化祭の実行委員を決めようと思う

男女1人ずつだ誰かやりたい奴はおるか?」

 

そう担任が言うと誰も手を挙げなかった

そりゃそうだこんな面倒事誰もしたくないだろう

 

そんな中俺はスっと手を挙げた

普段なら絶対に嫌だが…ならなかったら陽乃から…

考えただけで身体が震えてくる

 

担任「おっ、男子は比企谷がやってくれるか

後は女子だ誰かいないか?」

 

いくら俺がメガネ男子になって周りの評判が良くなったとしても、葉山と違い女子がはいはーい!って名乗り出てこないよな

 

と思っていると

 

「はい!私がやります」

 

由比ヶ浜が手を挙げていた

 

担任「由比ヶ浜か 他にやりたいって奴は居らんか?居ないならこの2人で決定するぞ」

 

そのまま誰も異論を唱えずに俺ら2人で決定した

 

結衣「えへへ、よろしくねヒッキー」

 

八幡「…お、おう」

 

担任「活動するのはシルバーウィーク明けだからな

よろしく頼むぞ」

 

文化祭の活動開始はシルバーウィーク明けか

それなら旅行の方も問題ないな

 

その後旅行のプランは決まったらしく

シルバーウィーク当日まで何処に行くか教えてくれなかった

 

 

 

陽乃「八幡!おはよう ささっ早く車乗って!」

 

旅行当日彼女は車で家の前まで来ていた

運転してるのは都築さんだよ

いつもありがとうございます

 

八幡「おはようございます陽乃さん

それに都築さんも」

 

都築さんはこちらをちらっと見て会釈した

この人の寡黙な感じ好きだな

男として憧れる

 

そんな事を考えていたら車が発信した

 

八幡「それで何処に旅行するんですか?

結局最後まで教えてくれませんでしたが」

 

陽乃「んーそれはね着いてからのお楽しみ!

ヒントでは無いけど移動は全部車、都築に頼んでるよ」

 

ニコッとしながらそんな事を言うが

それって2泊3日ずっと運転手として働くってことだよね!?いくらなんでも可哀想だろ

 

こうして2人と1人の運転手の旅行が始まったのであった



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17話

車に乗ってから何時間が経っただろうか…

ちょこちょこパーキングエリアで休憩しながら

だったが朝早く家を出たので

まだお昼になってない

 

陽乃「見てみて!渦潮だよ!」

 

今はどこかの橋を渡っている

橋の下を見てみると渦潮が発生していた

 

八幡「本当ですね、初めて見ました」

 

ん?渦潮だと!?

てことはここは!

 

陽乃「気がついた?」

 

八幡「徳島県ですか?」

 

陽乃「あちゃーそっちを連想しちゃったか おしいね」

 

八幡「他に渦潮が起きる…すみません分かりません個人的に渦潮と言えば鳴門の渦潮なので」

 

陽乃「そっか、それでも徳島県が出てきたのは偉いぞ〜正解はね淡路島でした!!」

 

そっか淡路島からなら鳴門に向かう橋もあるし

渦潮だって…

兵庫県か…初めて来たな

 

八幡「少し意外です、陽乃さんならUSJとか行こうって言うと思ってたんですが」

 

陽乃「それでもいいんだけどね 人が多くてね」

 

なるほどシルバーウィークだし

予約とかも人の多さも尋常ではないのか

 

陽乃「本当はこっとに来るのも新幹線にする予定だったんだよ?でもね予約取れなくて そんな時に都築がね 私でよければ運転しますよ?と言ってくれたの

本当に助かったわ ありがとね都築」

 

都築「いえ、お嬢様のお役に立てるのなら本望ですので」

 

本当にいい人だ

 

陽乃「むぅー」

 

八幡「陽乃さんどうしたんですか?」

 

陽乃「それだよ!何で夏休みの間は陽乃って呼び捨てしてくれたのに今はさん付けなの!!」

 

八幡「あぁ、それはですね 皆の前で呼び捨てで呼ぶのが恥ずかしかっただけなので 」

 

陽乃「なら!今くらいいいじゃん!」

 

八幡「そうですけど、さん付けの方が呼びやすいんですよ」

 

陽乃「だーめお姉さんの二人きり、または外の時は呼び捨てで呼びなさい」

 

八幡「分かったよ…陽乃」イケボ

 

陽乃「ひゃうっ///」

 

八幡「何で貴方が照れてるんですか 呼べって言ったの陽乃さんでしょ!」

 

陽乃「(だだって、あんないい声で呼ばれたら…はぅぅ)///」

 

八幡「陽乃?」

 

陽乃「は、八幡 ちょっと今話しかけないで 結構ヤバいから///」

 

ヤバいってなんだよ…

まぁいっか眠いし一眠りしよ

 

八幡「スースー」

 

陽乃「あれ?八幡?寝ちゃった?」

 

八幡「スースー(まだ寝たフリ)」

 

陽乃「キョロキョロ」

 

陽乃「ペロ」

 

八幡「スー(!!!!????)」

 

陽乃「んっ」チュッ

 

八幡「スースー(///)」

 

陽乃「無抵抗って事は良いんだよね?」

 

え?え?何が?目を開けたいけど今更起きれないよ!

 

陽乃「んっ、大好き…八幡 ジュルッ」

 

あっ舌入れてきた…なんかふわふわする…

こんなキスは初めてだな…

 

八幡「っ!?何してるんですか!」

 

陽乃「ありゃ、起きちゃった」

 

口元を手で抑えながら

 

八幡「それも舌まで入れてきて!運転席に都築さんも居るんですよ!」

 

都築「私の事はお気になさらず」ニヤニヤ

 

八幡「気にしますよ!」

 

陽乃「むぅ、寝てる八幡が悪いの」

 

八幡「だって、陽乃が話しかけないでって言ったから 暇で寝たんですよ」

 

陽乃「私のせいにしないでよ!そとそも無防備に寝るのが悪いの!そんなの私に好きにしてくださいって言ってるようなものでしょ!」

 

八幡「なんでそういう解釈しちゃうんですか!?」

 

こうして波乱の旅行が幕を開けた



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18話

明石海峡大橋を渡り

俺達は淡路島に到着した

 

一旦橋の下で降ろしてもらい風に当たりながら少し休憩していた。

 

陽乃「んー!綺麗だね八幡」

 

体を伸ばし唐突にそんな事を言ってくる

いや、確かに景色は綺麗だけど それよりあんたの

胸の方が気になっちゃったからね

どんだけ大きいんだよ

 

八幡「そうですね」

 

陽乃「今私の胸見てたでしょ!」

 

バレてた…まぁガン見しちゃったからね

仕方ないよね!男なら誰だって見ちゃうよ

 

陽乃「八幡のエッチ」

 

八幡「陽乃が魅力的だから悪いんだ、俺は何も悪くない」

 

陽乃「たはは、そう言われたは困るな〜」

 

陽乃と恋人になって幾つか気付いたことがあった

 

素直に褒めると案外照れたり

結構怖い性格だけど 物凄く優しかったり

あと、案外乙女な所もある

 

後はやっぱ俺以外の人に対しての当たりが怖い…

だって普通に奴隷だとか、都合のいいおもちゃとか言ってるもん…はるのん怖いよ

 

陽乃「それじゃ、お昼食べに行こっか」

 

八幡「そうですね、そろそろお腹も空いてきましたし」

 

現在はもう1時前位で お腹も空いてきた

朝は軽くしか食べてないし ずっと車の移動とはいえ

流石にお腹がすいた

 

都築さんが待っている駐車場に戻り

車に乗った

 

陽乃「んじゃ、例の所によろしくね」

 

例の所?

 

陽乃「ここで問題です!八幡、淡路島の特産品とは?」

 

淡路島…何だっけ…昔なんとなく聞いた事があるようなないような…

 

八幡「………玉ねぎ?」

 

陽乃「正解!!よく分かったね〜偉い偉い」ナデナデ

 

頭を撫でられるのは子供扱いみたいで、いやって思ってたけど、陽乃にされるのは気持ちよくて…安心できるから好き…

 

やべ、少し眠くなってきたかも…いいや寝ちゃえ

どうせ着いたら起こしてくれるだろうし

 

そうして陽乃の膝に自分の頭を起き 眠りについた

 

 

 

陽乃「ふえっ!?」

 

八幡「スースー」

 

陽乃「寝ちゃった…まぁ朝早かったしね 少しだけ位寝かせてあげなきゃね…」ナデナデ

 

 

 

都築side

 

お嬢様に八幡様…普段はあんなに大人びているのに

こうして二人きりになった時に甘えあったりしている姿を見ると物凄く癒されます…いやぁ眼福眼福

 

陽乃様は今まであんなふうに人に甘えたり

頼ったりしない御方だったから、少し心配でしたが

八幡様とお付き合いなされてからというもの

毎日幸せそうで本当に何よりです。

 

長年雪ノ下家に仕えてきましたが、

今ほど幸せを感じる事はありませんでした

陽乃様が小さい時からずっとお仕えして

きましたので 畏れ多いですが 私にも父性本能のようなものが働いてしまうのですよね。

 

だからこうして、陽乃様が素直になれる御方が現れてくれて私としてはとても喜ばしいです。

 

 

 

そんな事を考えていたら目的地に着きましたね

ではお二人を起こしましょうか

 

振り返るとそこには幸せそうに眠っている

御二方の姿があった

 

パシャパシャ

 

都築「ふふっ、本当に可愛らしい… 八幡様これからも陽乃様の事をお願いしますね」

 

そう呟き2人を起こした

 

 

sideout

 

陽乃「んーっ!良く寝た」

 

八幡「(陽乃の太ももめっちゃ寝心地よかった

今度またしてもらお)」

 

陽乃「それじゃ買いに行こっか!」

 

昼飯を買いに来たのはいいんだけど…

ここどこ?周りに山しかないし

そこに1件の小屋があるだけなんだけど

 

そんな事を思ってたは、陽乃が店の中からでてきた

透明のたっぱを3個を持って

そのうちの1つを都築さんに渡していた

 

陽乃「それじゃ、食べよっか!」

 

車の中に入り割り箸を2つ取り出しこちらに1つ渡してきた。

 

さっきの透明のたっぱの中には

銀紙が入っており、その中には 玉ねぎを丸ごとやいたものがでてきた

 

陽乃「はい、あ〜ん」

 

そう言い玉ねぎを箸で切って俺に食べさせようとしてくる。ん?まるごとの玉ねぎを箸で切れるの?どんだけほくほくなの?

 

八幡「あ、あーん」パクッ

 

ん!?甘い!それに凄くジューシーで

こんな玉ねぎ初めて食べた!

 

陽乃「んっ、美味しい!それに全然辛くないし、むしろ甘いー!」

 

八幡「モグモグ玉ねぎってこんなに美味しかったんだ…」

 

陽乃「だねー 私もこの前調べて知ったんだ〜」

 

わざわざ調べてくれてたんだ

少し嬉しいかも…

 

八幡「そっちには何が入ってるんですか?」

 

開けてない方のトレーに目を移し尋ねてみた

 

陽乃「こっちは玉ねぎの天ぷらが入ってるの、こっち食べ終わってから食べよっ」

 

その後両方とも食べ終え

車が発進された

 

八幡「次はどこに行くんだ?」

 

陽乃「名前くらい聞いた事あるかな?伊弉諾神宮だよ」

 

伊弉諾神宮か…伊弉諾という名はゲームとかで聞くが場所とか歴史とか全然知らないな…

 

陽乃「まぁ、取り敢えず行ってみよー!」

 

伊弉諾神宮に向かってる途中 凄く綺麗な景色が見えた

山の上から見る海の光景は絶系だな

そんな事を思いながら 2人で手を繋ぎ

外の景色を楽しんでいた




遅くなってすみません
ノリと勢いで淡路島にしたせいで
内容をどうするかずっと悩んでました
それと国家試験前だったので

そんなに深く考えずに執筆できる方ばかりやってました


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19話

楽しい時間はさっさと過ぎ去ってしまった。

明日にはもう千葉に帰らなければいけない

そして、明後日にはまた学校に行き

面倒な授業を受け部活に励む

そんな日常が帰ってくる

 

奉仕部で過ごす時間は好きだが

その前にある6時限ある授業が苦痛だ

特に数学…社会に出て使うかもよくわからない

あの計算式やら

あんなのを覚えるのは苦痛でしかない

 

え?そんなのどうでもいいから今どこで何をしているのか教えろって?

 

はいはい、分かりましたよ

今は旅行2日目、観光をし終わりホテルについた所だ

別に今からいやらしいことする訳じゃないぞ?

普通のビジネスホテルだ

 

まぁ、陽乃と相部屋なんだけどね!!

仕方ないじゃん!予約多すぎて一部屋しか取れなかったんだから

 

そんな言い訳をしながらも内心ドキドキしている俺であった。

 

陽乃「ナレーションお疲れ様〜」

 

八幡「っす」

 

あれぇ!?なんでバレた!

そんなに俺の心読みやすいの!?

 

陽乃「うん!だって八幡の事なんでも知ってるからね」

 

八幡「わー嬉しいなー」

 

陽乃「もぅそこは感情込めてよ」ウリウリ

 

ほっぺたをツンツンつついてくる

前から良くしてきたけど、本当にこれやめて欲しい

地味に痛いし…恥ずかしいし

 

八幡「辞めてください」

 

陽乃「あれれ、怒っちゃった?」

 

八幡「」

 

陽乃「もぉ〜」

 

八幡「……」フイッ

 

フイッと顔をそむけた

別に理由なんて無いんだが こうしなければ

いけない気がした

 

陽乃「ねぇ、八幡」

 

そういいながら彼女は俺の後ろに回り込み

抱きついてきた。所謂あすなろ抱きというものだ

あれ?これって男からするもんじゃないの?

 

陽乃「とある1人の少年の話をするね」

 

そう言い彼女は1人の捻くれたボッチの話をし始めた

 

陽乃「その子のね1番好きなところはね〜

やっぱり、私の事をちゃんと雪ノ下陽乃として

見てくれる所なんだよね〜」

 

やっと話が終わった

自分の事を語られるのって

こんなにも恥ずかしいんだ…

 

耳の先っぽまで赤くなり、顔を俯かせていた

 

陽乃「私が大好きで優しい八幡はこんな事で怒ったりしないよ?」ニコッ

 

抱きつかれているため顔は見えないが

物凄くいい笑顔をしているのだと思った

 

八幡「参りました」

 

陽乃「よろしい、それじゃ一緒に寝よっか」

 

腕を離し布団をたくし上げて中に入っていく

地面に足をつき陽乃さんが寝る予定だった

ベッドに向かおうとすると手を掴まれた

 

八幡「あの、離してください」

 

陽乃「一緒に寝るの」

 

八幡「拒否権は?」

 

陽乃「あると思う?」ニコッ

 

八幡「襲われても知りませんよ?」

 

陽乃「八幡ならいーよ」

 

こういう発言する当たり相当信用されてんな

 

陽乃「だって、そんな度胸ないでしょ?」

 

悪い方に信用されてた…

確かにヘタレだけど、俺だって男なんだ!

 

グイッ

 

陽乃「キャッ!?何するの!」

腕を掴み押し倒した

 

八幡「俺なら、いいんですよね?」

 

耳元でそう囁きそして

悪い笑みを浮かべた

 

陽乃「えっ!?」

 

八幡「大好きだ、陽乃…」

そう言い陽乃の唇に顔を近づけていった

 

陽乃「ちょ!ちょっと待って!」

 

ドン

 

陽乃「あっ!」

 

両手で跳ね除けられベッドから落ちてしまった

 

八幡「ってて…」

 

少し悪ふざけし過ぎたか…バチが当たったな

 

陽乃「ご、ごめん 大丈夫?」ウルウル

 

うゎ涙目になってるよ…反省しなきゃな

 

八幡「こっちこそ、すみません…調子に乗りました」

 

頭をぺこりと下げた

 

陽乃「ううん、いいの…八幡も男の子だもんね…私から誘っておいてごめんね?」

 

八幡「謝らなくてもいいんですよ…それに清いお付き合いをするって決めたじゃないですか」

陽乃「うん」

 

そうして、彼女は自分の布団に戻って行った

 

八幡「そんな、しょぼくれないで下さいよ」ナデナデ

 

横になっている陽乃の頭を優しく撫でる

髪の毛がツヤツヤで物凄く肌触りがいい

 

陽乃「だ、だって…もし八幡に嫌われたら」

 

普段はあれだけ引っ掻き回したりして

何か言ってもあっけからんとした様子なのに

今みたいな事があると小心者のように蹲ってしまう

 

まぁ、そこが可愛いんだけどね

 

八幡「そんな事で嫌うくらいなら、はなから付き合ってませんよ」

 

八幡「それに、貴方が思っている以上に俺…陽乃さんの事が大好きですから」

 

本当に俺らしくない…だけどそのギャップが

陽乃さんにはよく効く

こんな事を言っているとそう意識してと

思われるかもしれないが 俺もいっぱいいっぱいだ

恥ずかしくて今にも悶えそうな程に

だけれど大好きな陽乃の為に…

 

陽乃「(こんな時だけ)………バカ」ボソッ

 

八幡「何か言いましたか?」

 

陽乃「何でもないです!私も比企谷君の事が大好きだから!!」

 

耳を真っ赤にしやがら彼女は布団の中に顔まで潜り込ませた



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20話

楽しかった旅行も終わり今日から学校だ

旅行から帰ってきて 家で休もうと思ったが小町に捕まり夜遅くまで土産話をする羽目になってしまった。

 

おかげで寝不足だ…

 

学校では基本的ずっと寝ていた

気がついた時にはもう放課後だった…

由比ヶ浜に起こされなかったらもしかしたら

まだ寝ていたかもしれない…それほどに爆睡してた

 

そんなこんなで奉仕部の部室にたどり着いた

 

八幡「うす」

 

雪乃「こんにちは、比企谷君いつもに増して目が腐っているわよ」

 

八幡「うっせ寝不足なんだよ」

 

雪乃「あら、貴方もなのね…」

 

雪ノ下の目のところを見てみるとほんのりだが隈ができていた。多分陽乃さんに付き合わされたんだろ…ご愁傷さま

 

雪ノ下との話も終わり席に着くと由比ヶ浜がやってきた

 

結衣「やっはろー!!ゆきのん!ついでにヒッキーも」

 

ついでかよ

 

雪乃「こんにちは由比ヶ浜さん」

 

八幡「っす」

 

バタバタと席についたらこちらに体を向け話しかけてきた

 

結衣「ヒッキー!なんで先に行っちゃうの!!」

 

八幡「いや、お前三浦達と話してただろ」

 

結衣「確かにそうだけど!もぅバカ!」

 

八幡「なんでだよ…」

 

それから雪ノ下に紅茶を淹れてもらい和んでいたら、雪ノ下がなにかを思い出したかのようにこちらを見てきた

 

八幡「どうした?」

 

雪乃「い、いえ…なんでもないわ」

 

結衣「どうしたの?ゆきのん」

 

雪乃「ほ、本当になんでもないの…」

 

八幡「そこまで否定されると余計に気になるじゃねぇか」

 

結衣「そうだよ!もし嫌な事じゃないのなら教えて欲しいな」

 

そこから少し考える素振りをしてモジモジしだした

 

雪乃「そ、その比企谷君が姉さんを襲おうとしたって聞いたのだけれど…

えっと姉さんの言葉を鵜呑みにしてる訳ではないのよ?比企谷君がそんな人だったら多分私も由比ヶ浜さんも今頃襲われてる筈なのだし…」

 

結衣「そ、そうだよねーヒッキーにそんな勇気がある訳ないじゃん!」

 

八幡「そ、そうだな」ダラダラ

 

雪乃「そ、そうよね…ごめんなさい比企谷君」

 

八幡「お、おういいんだ」ダラダラ

 

 

 

陽乃「ひゃっはろー!雪乃ちゃんその話は本当だよ〜ね!八幡」

 

八幡「は、陽乃さん!?」

 

結衣「どういう事!ヒッキー!」

 

雪乃「事と場合によっては警察に…」

 

八幡「………本当だよ」

 

雪乃「う、そ」

 

陽乃「あの時の八幡かっこよかったなー

大好きだ、陽乃 って!もう思い出しただけで

興奮しちゃうよ!」

 

八幡「勘弁してください…2人も居るんですから」

 

陽乃「えー!これくらいじゃ仕返し足りないよ〜」

 

やっぱりそうか…旅行中調子に乗って弄りすぎた…

 

八幡「後でいっぱいしてあげますから…」ボソッ

 

陽乃「約束だよ?」

 

八幡「はい」

 

陽乃「それじゃ!生徒会行ってくるね!また後で向かいに来るからね」

 

そうして嵐のような人が去っていった

 

雪乃「手馴れてるのね…あの姉さんを退けるだなんて…いったいコソコソ何を言ったのかしら?」

 

結衣「たしかにー!気になるかも」

 

そこは気にしないでください恥ずかしいので

 

八幡「まぁ、気にするなよ 後今日は先帰ってていいからな、陽乃さん待たないといけないし」

 

雪乃「そう、なら鍵はお願いするわ」

 

結衣「そっか後30分位で下校時刻かー時間経つの早いね」

 

八幡「そうだな…」

 

それ程お前達と居るこの空間が心地いいんだ…

 

下校時刻になると雪ノ下と由比ヶ浜は帰って行った

俺は1人陽乃さんがやってくるのを待った

 

 

 

陽乃「ひゃっはろー!ごめんね待たせた?」

 

八幡「いえ、本読んでたのでべつに」

 

陽乃「そっか、それじゃはじめよっか」

 

え?ここでやんの?

 

八幡「ここでですか?」

 

陽乃「うん!もう待ちきれないしね」

 

そういい彼女は俺に抱きついてきた

 

八幡「陽乃……」

 

陽乃「八幡……」

 

顔をそっと近づけて口付けをした

 

八幡「んっ ちゅっ」

 

陽乃「はぁ んっ」

 

何度も何度も啄むようにキスをした

 

八幡「陽乃はキスが好きだな」

 

陽乃「うん、大好きだよ…だって八幡をこんなにもいっぱい感じ取れるんだもん」

 

そう言い口を塞いでくる

今度はディープキスのようだ

 

八幡「んっ ヂュル んぁ」

 

呼吸が苦しくなり唇を離す

 

陽乃「はぁっ……はぁっ」

 

互いに息を荒くし見つめ合うそうして

 

 

 

結衣「ダメーーー!!」

 

八幡&陽乃「えっ?」

 

由比ヶ浜が飛び出てきた



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21話

「ダメーーー!!」

 

「え?」

 

互いの顔を離し見つめあっていたら由比ヶ浜が部室に入ってきた。

 

雪乃「はぁ…貴方達何をしているのかしら?ここは学校よ」

 

由比ヶ浜の後ろから雪ノ下が出てき

ため息混じりでそう言った

 

結衣「そうだよ!それに学校で、そ…その…ぅぅ」

 

由比ヶ浜が言葉を発しようとしていたが途中で顔を赤くし俯いてしまった

 

陽乃「あはは…そうだよね 帰ろっか」

 

一瞬寂しそうな顔をしたが直ぐにいつも通りの陽乃に戻った

 

そこから各々帰路についた

陽乃は時々寂しそうな顔をしながらも

平静を装っていた

 

 

 

家に帰りつき直ぐに部屋に向かい

陽乃に電話を掛けた

 

陽乃「もしもーし八幡から電話掛けてくるなんて珍しいね〜」

 

電話の先からはいつも通りの明るい陽乃の声が聞こえてきた

 

八幡「別に…ただ声が聞きたかっただけですよ」

 

陽乃「それが本当だったら嬉しかったんだけどね〜」

 

八幡「…すみません」

 

陽乃「別に謝らなくていいよ、私も嘘でもそういう事言われたら嬉しいから」

 

八幡「…それで今日はどうしたんですか?」

 

陽乃「……別に、ただ明日から文実の仕事があるからあんまり八幡とくっ付けないなーって思っただけ」

 

八幡「そう…ですか」

 

陽乃「うん、そう」

 

多分違う…いやそれも含まれるのかもしれないけど、それとは別の問題がある

 

陽乃「ごめん、お母さんから呼ばれてるから…切るね」

 

そういい電話を切られた

 

陽乃「言えるわけないじゃん………」

 

それからは特に何も無く日々が過ぎていった

 

文化祭の実行委員として働き 奉仕部は休部

雪ノ下が文化祭実行委員長になり

由比ヶ浜が副委員長になった

 

雪ノ下が仕事が出来すぎた為サボる人が出てきて

一時期は雪ノ下が無茶をする事もあったが

俺がそいつらの共通の敵になって

仕事に駆り立てさせた

 

その事で雪ノ下と由比ヶ浜に怒られたが後悔はしていない。あいつらに余計な負担を掛けたくなかったから

 

陽乃の助力もありながら文化祭は大成功を収める事ができたが…

 

その陽乃とは最近上手く行ってなかった

2人でいる時間も減り 気まづくなり

少しよそよそしくなった

 

 

 

 

八幡「陽乃さん…話があります 後で屋上に来てください」

 

文化祭の最終日…全日程を終え

後は片付けを残すのみとなった

 

俺も陽乃ももう仕事は残っていない

だから呼び出した

 

 

陽乃「なんの用かな?」

ある程度時間が経った頃屋上に陽乃がやってきた

 

八幡「…」

 

陽乃「何で黙ってるの?」

 

八幡「…」

 

陽乃「ねぇ、いい加減にしないと怒るよ

最近の態度だってよそよそしいし」

 

八幡「…何を隠してるんだ?」

 

そう言うと陽乃の顔が引きつった

 

陽乃「なんの事か分からないな」

 

八幡「そうやって、嘘を通し続けるのか?」

 

陽乃「…」

 

八幡「答えてくれよ…俺達の関係は一体何だったんだ」

 

陽乃「ごめん…」

 

八幡「教えてはくれないのか」

 

陽乃「ごめん…」ポロポロ

 

涙を流し始めた

 

八幡「泣くなよ…俺が悪いみたいじゃないか」

 

陽乃「ごめん…」ポロポロ

 

八幡「俺には言えない話なのか?」

 

陽乃「…私ね、今無理やり結婚させられそうになってるの」

 

八幡「結婚!?」



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22話

陽乃が結婚?

どうしてそんなことに…

 

八幡「どうして、そんな事に」

 

陽乃「大手企業の社長さんのバカ息子が私の事を手に入れたいらしいの…お父さんはもちろん反対してくれているんだけど…もし結婚したら雪ノ下建設に多大な援助をすると言ってきて少し大変な事になっているの」

 

陽乃「母は雪ノ下の為に動くかそれとも娘の為に申し入れを断るか物凄く悩んでいるみたい。」

 

あの母親…姉妹には物凄く厳しいけれど…なんやかんやでいい人だからな。家の為か娘の為か…

 

八幡「いつから?」

 

陽乃「直接的にアプローチしてきたのは旅行前から…」

 

八幡「どうして何も…言ってくれなかったんだ」

 

陽乃「だって…言ったら無茶するでしょ」

 

八幡「そんなk」

 

陽乃「そんなことあるよ、君は優しいから」

 

言い返せなかった

もし俺ならと考えていたら動かないわけがなかった。多少無理なやり方でも止めに行ったと思う

 

陽乃「私ね…怖いんだ、、八幡がいつか私のせいで身を滅ぼす結果になりそうで」

 

八幡「俺は、それでも後悔はしない」

 

陽乃「私が嫌なの、だからお願い…今回は私だけの力で何とかするから」

 

八幡「分かった…」

 

本当は分かってなんか居なかった

分かりたくもなかった…好きな人に頼られたいし、困っているのなら助けたい。そう思うのが普通だと思う。だけれど彼女は俺を傷つけたくない、だから自分一人で抱え込もうとしている。自分の非力さに頭にくる。

 

陽乃「うん!そうやって素直に引いてくれる八幡も好きだよ ごめんねこんな辛気臭い話しちゃって」

 

少し時間を空けて陽乃は俺に元気な笑顔を見せてくれた。外面ではなく雪ノ下陽乃の本物の笑顔を

 

八幡「陽乃さん、もし困ったら頼ってくれ…その時は力になる」

 

陽乃「うん、その時はよろしくね」

 

 

 

あれから数日が経ち問題は無事解決したそうだ。陽乃さんがママのんに掛け合い、社長さんにお断りを入れたそうだ。

 

本当に無事に終わって良かった

けれど、次は他の問題が起きると

その時の俺は知る由もなかった

 

 

数日後

 

 

八幡「うーっす」

 

放課後になり俺は奉仕部の部室へ向かった

特に誰にも会うことなく部室までたどり着いた

ドアを開け気だるそうに挨拶をすると

雪ノ下がいつもの席に座り読書をしていた

 

雪乃「こんにちは、比企谷君」

 

八幡「ぉう」

 

雪乃「その…今日、由比ヶ浜さんは来ないらしいわよ 三浦さん達と遊びに行くみたい」

 

八幡「そうなのか」

 

由比ヶ浜が居ない時の部室はいつもこんな感じだ

必要最低限の会話しかせず

互いに読書に耽ける

 

たまに罵りと言うなの言葉遊びをし

時間を過ごす

 

雪乃「比企谷君…最近姉さんとはどうかしら?」

 

八幡「どうって言われてもな…いつも通り楽しく過ごさせてもらってるぞ」

 

雪乃「……いいわね」ボソッ

 

八幡「どうした?何か言ったか?」

 

あまりにも声が小さすぎて聞き取ることが出来なかった

 

雪乃「別に…なんでもないわ」

 

私だって…比企谷君と……

 

雪乃「はぁ…」

 

ついため息をついてしまう

私の初恋と人が姉の彼氏だなんて

好きになったのは2人が付き合う前からだったけれど、その時ですらもう手遅れだったと思う

 

なんやかんやであの二人は仲良かったし…互いに意識していたし…

 

八幡「どうした?体調でも悪いのか?」

 

雪乃「そうね」

 

八幡「大丈夫か?」ピトッ

 

雪乃「!?」

 

昔とは違い俺と雪ノ下の席の距離感はかなり近くなっている。だから、てを伸ばせば彼女に触れる事ができた

自分のデコと雪ノ下のデコの熱を比べた。

 

どうしてこんな事がすっとできたのかは分からない…いや、多分小町で慣れているからだろう。それに雪ノ下はいずれ妹になるのかもしれないしな…

 

八幡「少し熱いな 保健室行くか?」

 

雪乃「い、いえ大丈夫よ…だって私…貴方のそばに居るといつも体温が高くなってしまうから………!!?」

 

言い終わって一息つこうとしたが、自分が無意識に言ってしまった言葉を思い出し顔を赤くする

 

八幡「あー…えっと…」ポリポリ

 

私の事をフォローしようと考えているのが伝わってくる…だけれど私があまりにもストレートに行き過ぎたから比企谷君も言葉に詰まってしまっている…

 

雪乃「言葉の意味をそのまま受け取ってくれて構わないわ…私は異性として比企谷君の事が好きだから。」

 

八幡「ゆ、雪ノ下!?」

 

口をパクパクさせ動揺している

見る見るうちに顔も真っ赤になっていき

茹でたこのようになった

 

面白いわね…もう少しいじってみようかしら

 

雪乃「それと姉さんの事を陽乃と呼ぶのなら私の事も雪乃と読んでくれて構わないのだけれど。それに、遅かれ早かれ呼ぶことになるから今から練習してみてもいいと思うのだけれど」

 

少しやりすぎかしら?でもいつも姉さんからいじられてばっかりだから姉さんの代わりに比企谷君にしてもバチは当たらないわよね?

 

八幡「ゆ、、、ゆ、きの…///」

 

雪乃「何かしら八幡?」

 

何とか余裕の表情で返すことが出来たけれど、好きな人に名前で呼ばれるのって結構嬉しいものなのね…嬉しすぎて胸がはち切れそうだわ

 

八幡「いざ、呼ぶとなると恥ずかしいな」

 

雪乃「そうね、でも私は比企谷君に名前で呼んで貰えるのは嬉しいわよ」

 

でも…どうして私の初恋の相手が姉さんの彼氏…比企谷君なの…そんなの勝ち目があるわけないじゃない

 

もし同じスタートラインからでも姉さんに勝てる気がしないのに

 

八幡「…どうした?今にも泣きそうな顔して」

 

雪乃「えっ?」

 

八幡「おい、本当にどうしたんだ!?」

 

意識を戻すと私の涙は止まらなくなってしまった。自分でもどうしてなのか分からない。いえ、私が彼の事を好きで好きで堪らないから…それなのに手が届かなくて、届いたとしても手に入れてはいけないものだから。それが分かっていながら求めてしまう…それ程までに私は、、彼に依存している…

 

雪乃「比企谷君!…比企谷君!」

 

彼の腕をつかみ顔を俯かせながら涙を流した

 

雪乃「私、、、私!、比企谷君の事が好きなの!ダメだと分かっているのに…どうしても諦められないの!」

 

彼の腕にしがみつきながら愛を叫んだ

彼は私の方を真っ直ぐ見つめながら

私がぶつけている感情に真摯に向きあってくれた

 

そして叫び終わり 縋るように彼の制服をつまみ弱々しく「比企谷君…」と呼びながら泣いていた

 

八幡「ごめんな雪ノ下… お前の気持ちに気づいてやれなくて…」

 

彼は優しくギュッと抱きしめてそう呟いた

それだけでまた私の涙腺は崩壊した

何度も比企谷君と呼び彼の胸に顔を埋めていた

 

 



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23話

泣き疲れた私は比企谷君の胸の中で眠ってしまった。その間彼は私を膝枕し、ずっと頭を撫でていてくれた。

私はこんなにも優しくて大好きな彼に迷惑をかけてしまった。

それなのに、彼は「気にすんな、俺がやりたいからしただけだ」と笑顔で応えてくれた

それだけで私の胸の中は温かくなった

また泣きそうになった。それ程までに嬉しかった

 

でも彼はあくまで私の事を妹扱いしかしてくれなかった。それがどうしようもなく辛かった

 

そうして、顔を上げると

彼がいつも座っている席に姉さんが座っていた

 

陽乃「ごめんね、私全部聞いてたんだ…

部屋に入ろうとしたけど、入れる雰囲気じゃなかったから」

 

八幡「その、なんだ…本人も悪気がある訳じゃないから」

 

そこで比企谷君の言葉を遮った

 

雪乃「別にいいわよ、聞かれても…絶対に姉さんから比企谷君を奪ってみせるから!」

 

陽乃「ふふっ、強くなったね雪乃ちゃん

でも八幡は絶対に上げないから」

 

雪乃「私だって比企谷君を振り向かせて見れるから」

 

そう言い雪ノ下は隣に座っている俺の顔をがしっと両手で押さえつけ、唇を奪ってきた

 

陽乃「なっ!?」

 

八幡「」ポ-

 

雪乃「それじゃ、私は帰るから…またね、八幡♪」

 

八幡「っ……」

 

雪ノ下が居なくなった部室は静寂に包まれた

その間俺は無意識にずっと唇を触っていた

 

陽乃以外の人とした初めてのキス

物凄く柔らかくて心地よかった

 

陽乃「八幡は…私と雪乃ちゃん…どっちの方が好き?」

 

突然陽乃がそんな事を聞いてきた

 

八幡「陽乃に決まってんだろ…」

 

陽乃「なら、なんでいつまでも唇を触ってるの?」

 

八幡「っ…それは」

 

本当に無意識だった

あの感触が忘れられなかった

 

陽乃「八幡、帰ろっか」

 

職員室に鍵を返し

俺と陽乃は学校を出た

 

帰り道

 

陽乃「今日、八幡の家に泊まりいくから」

 

彼女は突然そんな事を言い出した

 

八幡「は?」

 

陽乃「いいよね?」

 

この有無を言わさない感じ久しぶりだな

やっぱ怒ってるのかな

 

八幡「あぁ」

 

 

 

家に帰り、小町に陽乃が泊まりに来ることを伝え部屋に戻った まぁ、明日は土曜日だし別にいっか…

 

そんな事を考えてると陽乃がやってきた

随分早いな…車で来たのか?

 

陽乃「おじゃまします」

 

いつもと違う雰囲気の陽乃に圧倒されながらも部屋に招き入れることができた

 

つーか、怖すぎるよ…小町なんて挨拶したらすぐ逃げ出しちゃったよ

 

 

 

荷物の入ったバックを部屋の隅に置き

ベッドの上に座った

 

陽乃「八幡、キスして」

 

こっちを向いてきたと思ったら

いきなりキスを要求された

 

八幡「あぁ…」

 

陽乃の隣に座り軽くキスをした

 

陽乃「ふふっ」

 

八幡「?」

 

陽乃「ごめんね、八幡…私こんなにも独占欲が強いだなんて知らなかった」

 

キスをした後陽乃は微笑み

謝りだした

 

八幡「謝るのは俺の方だ…不安にさせて悪かった」

 

彼女は一瞬驚いたような表情をした

そして1度瞬きをする間にいつもの笑顔に戻っていた

 

陽乃「えへへ」

 

隣に座る俺を抱きしめて布団の上で横になった

 

八幡「……」

 

陽乃「こうやって、抱きしめてるとすごく落ち着くの…だからもうちょっと我慢してて」

 

顔に豊満な胸を押し付けられていた

だけど、欲情したりはしなかった

心臓の音がバクバク聞こえ

そして、物凄く心地がよかった

 

 

 

 

 

アザレアを咲かせて〜

 

しばらくすると、携帯に電話がかかってきた

 

陽乃「いいよ、出て」

 

俺が行動を起こす前に陽乃が俺を解放し

電話に出る許可をいただいた

 

八幡「…知らない番号だ」

 

ピッ

 

一応知らない番号だったが、念の為出ることにした

 

「もしもし、比企谷君の携帯であってるかしら」

 

八幡「はい、その声は雪ノ下か?」

 

電話がかかってきた相手は雪ノ下であった

 

雪乃「えぇ、そうよ……あの、比企谷君」

 

八幡「なんだ?」

 

雪乃「今日は本当にごめんなさい…いきなりキスしたりして…貴方には姉さんが居るのに もし私のせいで貴方が傷つく事になったら…」

 

八幡「…あんま気にすんな、俺もお前の気持ちに気づいてやれなかったしな」

 

いや、前に雪ノ下の父親から聞いていた…

だけど、俺は何も出来なかった

 

雪乃「…貴方らしいわね そういう所」

八幡「そうか」

 

雪乃「えぇ」

 

八幡「まぁ、あんまり気にするな…俺だって気にしてないから」

 

嘘だ…あの時の感触はまだ覚えている

思い出すだけで体が熱くなる

雪乃「…少しは気にして欲しいのだけれど…一応私のファーストキスだったのだし」

 

ビクッと体が震えた

姿は見えないが とても恥ずかしそうにしている姿が容易に想像出来てしまったから

 

八幡「も、もうその話は終わりにしようぜ…」

 

雪乃「そ、そうね、ではまた来週会いましょう」

八幡「あぁ…」

ピッと電話の切れる音がした

 

陽乃「雪乃ちゃんから?」

 

ベッドの上に座っている陽乃さんが

通話を終えたの確認し、こちらに話しかけてきた

 

八幡「あぁ、いきなりキスしてごめんなさいって」

 

陽乃「雪乃ちゃんがした事はセクハラで訴えられてもおかしくはないからねー」

 

確かにそうだ…相手の合意もなく唇を奪うだなんて

それも付き合ってもないのに

 

八幡「そうっすね、でも俺はあいつに怒ったり何が言うつもりは無いので」

 

陽乃「それは役得だから?」

 

んぐっ!?確かに少しそう思ってたけど

なんでバレた!?

 

陽乃「本当にそう思ってるんだ……最低」

 

八幡「思わない方が失礼ですよ…こんな美少女姉妹に囲まれたら」

 

雪ノ下も陽乃さんも物凄く美人で

ひとつひとつの仕種に見惚れる位だ

 

陽乃「そうかもだけどー 八幡ってもしかして雪乃ちゃんみたいな子がタイプ?」

 

八幡「タイプだけで言うとそうですね、どストライクです。あの守ってあげたい感が半端ないので」

 

陽乃「私は?」

 

八幡「一緒にいて楽しい」

 

陽乃「あー!!私のことは遊びなんだ!」

 

八幡「なんでそうなるんですか!?」

 

陽乃「ぷぷっ.....あはははは!」

 

八幡「なんですか…いきなり笑って」

 

陽乃「ごめんねー、今の必死な顔が面白くて…」

 

はぁ…全くこの人は…

だけどこうやって笑ってもらえるのは嬉しいな

 

 

 

その後飯を食べ、俺、陽乃さんの順で風呂に入り同じ布団で抱き合いながら眠った

 

 



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24話

季節は流れ…たわけでもなく

数日の日々が流れた

 

奉仕部の方は今色々とおかしなことになっている。雪ノ下からは異様な程に優しく接してきたり、不意打ちでちょっかいかけてきたりして、由比ヶ浜は由比ヶ浜でアホながらも、可愛く俺にアピールしようとしている…だけど俺は敢えて言おう「どうしてこうなった!」

 

別に今の環境が嫌って訳では無いが昔の方が良かった…あんまり話をすることは無かったけど、静かに読書して、たまに談笑してって…そんな雰囲気が好きだったのに…今は

 

「ヒッキー!ヒッキー!」

 

「比企谷君!比企谷君!」

 

口を開けば俺の名前を呼び そしてテンション高く俺に構ってくる…

 

八幡「はぁ…」

 

雪乃「あら、疲れてるのかしら?」

 

結衣「あ、そうだ!私がマッサージしてあげる!」

 

八幡「いや、遠慮しとく…」

 

雪乃「そんなこと言わずに…ちゃんと体の疲れは取らないと駄目よ?」

 

その原因がお前らなんだよ!!

 

と叫べるわけもなく…仕方なくマッサージを受けた

 

 

 

八幡「スピー」

 

由比ヶ浜はあれだが雪ノ下のマッサージが想像以上に上手くて気持ちがよかったため、つい寝てしまった

 

雪乃「ふふっ、比企谷君の寝顔って可愛いわね」

 

結衣「本当だね…」

 

結衣「ねぇ、ゆきのん 私達がやってるのって、最低なことだよね…」

 

雪乃「そうね、でもそれしかもう方法は無いじゃない…比企谷君は姉さんにベッタリだから…」

 

結衣「……ヒッキーって今どんな気持ちなのかな?」

 

由比ヶ浜さんが不意にそんなことを言い出した

 

結衣「ヒッキーって優しいから、私達のことを無理に止めようとせずに、自分で抱え込もうとすると思うん」

 

雪乃「……そうね、比企谷君の気持ちを考えたことは無かったわね」

 

雪乃「それでも、私は諦めない…それ位彼の事が好きだから」

 

結衣「あはは、ゆきのんならそう言うと思ってたよ」

 

その後私達は自分たちの席に戻り

読書を始めた

 

 

八幡「んぁ〜あ、あれ、俺寝てたのか?」

 

雪乃「えぇ、気持ちよさそうに眠っていたわよ」

 

首をゴキッとならし自分の席に戻った

 

八幡「わり、依頼とか来てないよな?」

 

結衣「来てないよー」

 

八幡「そっか」

 

こうやって眠ってしまうあたり

俺はこいつらを信用しきっているんだろうな…

 

あれ、こいつらがこういう態度取るの久しぶりだな…最近はずっとベッタリしてきていたからな…

 

でもやっぱ落ち着くし…すごく心地がいい

 

雪乃「比企谷君、人に見せられないほど緩んだ顔しているけど…何かあったのかしら?」

 

人に見せられないほどってどれほどだよ…

逆に見て見たいわ

 

八幡「すまん、つい気が緩んでしまってな」

 

雪乃「分かったのならいいのだけれど」

 

 

その後何事もなく 部活に勤しんだ

下校時刻になり、部活が終了し俺は

生徒会室に向かっていった

 

コンコン

 

八幡「失礼しまーす」

 

めぐり「あ、比企谷君だ〜 どうしたの?」

 

生徒会室に陽乃さんを迎えに行くと

めぐり先輩がこちらにやってきた

 

八幡「あそこで寝ている生徒会長を回収しに来ました」

 

生徒会室に入り部屋を見渡すと

椅子に座ったまま寝ている陽乃さんの

姿があった…

よっぽどお疲れなんだろうな

 

八幡「…あれ、生徒会にこんな子居ましたっけ?」

陽乃さんを起こしに行こうとすると

亜麻色の髪の少女がこちらを見ていた

 

めぐり「えっとね、少し訳ありなんだ 生徒会の子じゃ無いんだけどね」

 

八幡「そうなんすか、そういえばもうすぐ生徒会選挙の季節っすね…1年なんてあっという間だ」

 

めぐり「だねー この1年間比企谷君やはるさんのお陰で楽しめたよ〜」

 

 

 

八幡「陽乃さん、帰りますよ〜」

肩を軽く揺すると腕を上に上げながら

欠伸をし目を覚ました

 

陽乃「え、」

 

そして俺の顔を見ると固まってしまった

 

八幡「…帰りますよ」

 

陽乃「あれ、もう下刻時間?」

 

八幡「はい」

 

陽乃「…あはは私、生徒会室来てからずっと寝てたんだ…」

 

八幡「どうします?今日は車呼びますか?」

 

陽乃「ううん、大丈夫…」

 

陽乃「帰ろっか」

 

八幡「はい」

 

 

 

 

 

「何なんですか!あの夫婦は!?」

 

めぐり「できる弟君が居るとああなるんじゃないかな?」

 

「え、姉弟なんですか?」

 

めぐり「ううん、あの二人付き合ってるけど

まわりから見たら姉弟にしか見えないから」

 

めぐり「まぁまぁ、比企谷君の事はいいから…比企谷君…?そくだ!明日放課後にまた生徒会室に来てくれるかな?」

 

「いいですけど、なにか思いついたんですか?」

 

めぐり「うん!」

 

 

 

 

 

八幡「陽乃さん、あんまり無理しないで下さいよ」

 

陽乃「えー何?心配してくれてるのー?お姉さん嬉しいな〜」

 

八幡「そりゃ、まぁ心配ですよ それにもうすぐ受験だつて控えてますし」

 

照れくさそうにそう言ったが

本当は体調を壊したりしないか心配だった

 

陽乃「まぁ、そうだね… もうすぐ卒業かぁ…寂しいな〜」

 

八幡「陽乃さんなら大学に行ってもすぐ友達出来そうですけどね」

 

陽乃「友達はすぐできるけど八幡と離れ離れになっちゃうから 今のはるの的にポイント高い♪」

 

八幡「最後のが無かったら高かったですね てか、妹の真似しないでください」

 

ポイント高すぎて…カンストしそうですから

 

陽乃「えー?可愛いと思うのに」

 

だからダメなんですよ…

 

八幡「陽乃さんは陽乃さんのままでいいんですよ」

 

陽乃「……ふふっ 八幡らしいね」

 

少し驚いた表情をし

そしていつもみたいにカラカラと笑い始めた

 

陽乃「でもそうやってフラグばっか立てるから今みたいな状況になってるんだよ」

 

うっ…言い返せない

まさかアイツらが俺の事を好きになるだなんて

夢にも思ってなかったし

 

八幡「かもな…」

 

 

 

 

 

夕焼けを眺めながらゆっくりと自転車を押して歩き、ときどき隣にいる陽乃さんと話をし、駅まで歩く…最近はもう電車通に変えようかと思うくらいにほぼ毎日こうして帰っている。

 

陽乃「それじゃまた明日ね」

 

八幡「はい、気を付けて」

 

そこで手を振って別れようとしたら

ブーブーと陽乃さんの携帯がなった

多分メールか何かだろうか

バイブはすぐ収まり、陽乃さんは

その内容を確認していた

スマホを仕舞いこちらを向いた

 

陽乃「八幡、明日家に泊まりこない?」

 

突如そんなことを言い出した



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25話

「明日泊まりに来ない?」

 

八幡「…は?」

 

メールを見終えた彼女から急な申し出が来た

唐突すぎて俺はポカンと口を開け、

間抜けな声を出してしまった

 

陽乃「母さんが、比企谷君と話がしたいって

そのついでに泊まりにおいでって」

 

あの人が俺に話?

 

少し嫌な予感がした。こういう時の俺の予感は嫌ってほど当たる…その俺が危険だと言っている

 

だけれど、行かなければそれはそれで後悔しそうなきも同時にした

 

八幡「…分かりました、明日ですね」

 

陽乃「うん、じゃあまた明日ね〜」

 

彼女はひらひらお手をこちらに振りながら改札の方へ向かっていった

 

 

 

次の日

 

今日も今日とて特に何も無く放課後まで時間が過ぎていった。まるで嵐の前の静けさかの如く

 

 

 

放課後になって奉仕部の部室へ向かった

部室につくと いつも通り雪ノ下が

部室の鍵を開け、席に座っていた

 

雪乃「こんにちは、比企谷君」

 

ニコッとこちらに可愛らしい笑顔を向けた

 

八幡「…うす」

 

席につき、本を取り出したが

何故か集中する事が出来なかった

 

そんな中いつも通り由比ヶ浜が部室にやってきた

「やっはろー!」とテンション高く挨拶してたが俺たちはいつもの調子で挨拶をした

 

そして、暫くすると珍しくコンコンとドアのノック音が聞こえてきた

 

雪乃「どうぞ」

 

 

 

「失礼しまーす」

 

ドアを開けた先には城廻先輩に機能生徒会室に居た子が立っていた

 

雪乃「城廻先輩、どのようなご要件で?」

 

めぐり「えっとね…実は」

 

そこから城廻先輩が、一緒に居た一色いろはという女の子が生徒会長に無理矢理就任させられそうになっている旨を伝えた

 

雪乃「そんな事が……」

 

めぐり「それで、生徒会長に立候補してくれる人を探して欲しいんだけど」

 

結衣「なるほどー」

 

バカの由比ヶ浜は気がついてないが今のこの状況はかなり詰んでいる

 

まず、立候補してくれるやつが居るなら とっくに立候補してるしな

 

八幡「めぐり先輩、今から探しても間に合わないと思います」

 

もし、見つかったとしても 今から代表挨拶など考えても間に合わない可能性が高い

 

来週には生徒会の立候補者が校門や玄関などに立ち宣伝をするのだから

 

めぐり「えー……あっ!そうだ!!」

 

何かを閃いたのか 手をポンと叩き

雪ノ下の方に顔を向けた

 

めぐり「雪ノ下さん!立候補してみない? はるさんの妹さんなら絶対大丈夫だよ!!はるさんが生徒会長の時のイベントは特に盛り上がったし、それにはるさんの指導力に、人の動かし方も上手かったし はるさんの妹なら!」

 

ドン!!!

 

そこで、俺の頭が限界に来てしまい、机を思い切り叩いて立ち上がった

 

八幡「めぐり先輩、いい加減にしてください!今は陽乃さんは関係ないですよね。それに陽乃さんが出来たから雪ノ下なら大丈夫みたいなこじつけも辞めてください。聞いてて不愉快です。雪ノ下は陽乃さんでもないし、陽乃さんのクローンでもない、雪ノ下雪乃なんですから!」

 

俺は息を切らしながら言い切った

頭に血が上り、途中で何を言っているのか

自分でもよくわからなかった

めぐり「…え、えっと、、ごめんね…今日は帰らせてもらうから 比企谷君も雪ノ下さんも嫌な思いさせてごめんなさい」

頭をぺこりと下げ 一色という女の子を連れ

部室を出ていった

 

二人がいなくなった後の部室はとても静かで居心地が悪かった。

 

 

めぐりside

 

生徒会室に戻り、椅子に座り

私は机に顔をうつ伏せた

 

目を閉じるとあの時の怖い表情をし、怒鳴る比企谷君の姿を思い出してしまった

 

めぐり「うっ…ひっぐ…」

 

机にうつ伏せたまま少し泣いていると

はるさんが心配してこちらに駆け寄ってきた

 

陽乃「めぐり、何かあったの?」

 

後ろから肩の上にそっと手を乗せ

優しい言葉をかけてくれた

 

めぐり「はるさーん!!」

 

顔を上げ、はるさんのお腹周りに抱きついた

 

陽乃「よしよし、どうしたの?」

 

めぐり「実は…」

 

さっきあったことを嘘偽りなくはるさんにはなした

 

するとはるさんは大笑いし始めた

 

陽乃「あはははは!八幡がそんな事言ったの!?

私も見たかったな〜」

 

めぐり「もう…からかわないで下さいよ〜ものすごく怖かったんですから…」

 

あの時の比企谷君の目はとても鋭くて

怒っている事がビシビシ伝わってきた

 

陽乃「でも今回はめぐりの自業自得かな」

めぐり「それは分かっているんですけどー そりゃはるさんの妹だから期待しちゃうじゃないですかー」

陽乃「それじゃ、雪乃ちゃんが私の妹じゃ無かったら進めなかったの?」

 

雪ノ下さんがはるさんの妹じゃなかったら…

 

めぐり「進めてました…雪ノ下さんならしっかりしているし…困ったことがあれば比企谷君も由比ヶ浜さんも居るから」

 

陽乃「そういうこと…それに八幡は優しいから…我慢して聞いてる雪乃ちゃんの代わりに怒ってあげたんだよ そうして最悪のケースを避けてくれたのよ」

 

最悪のケース…奉仕部からも見限られ

打つ手がなくなる

 

それに比べたら比企谷君1人に怒られた方がまだマシだったのかもしれない

 

私は頭を冷やし

心の中で1度2人に謝罪し

 

心を入れ替えた



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26話

あれから数時間が経ち、最終下刻時刻になった

特に会話をする事もなく、気まずい雰囲気のまま時間が過ぎてしまった

 

 

雪乃「そろそろ、帰りましょうか」

 

結衣「そうだねー じゃ私はお先に」

 

気まずさに耐えきれなかったのかとてててと走っていった。

 

雪乃「比企谷君、少し待ってて貰えないかしら?」

 

部屋を出ようとすると、雪ノ下に呼び止められた

 

八幡「…分かった」

 

陽乃さんに先に帰るようにメールし、

下駄箱のところで雪ノ下のことを待った

 

陽乃さんからの返信がきて、スマホを開くと

 

「はーい ちゃんと雪乃ちゃんの事を慰めてあげてね〜」

 

全てお見通しかよ…

 

メールを見ていると雪ノ下がやってきた

 

雪乃「お待たせ」

 

八幡「おう、行くか」

 

ゆっくり歩きだし チャリを取り、学校の近くにある公園に向かった

 

 

 

公園につき、ベンチに座ると彼女は人一人分程の距離を置き、隣に座った

 

雪乃「その、さっきはありがとう」

 

さっきというのは多分城廻先輩の件だろう

本人は悪気は無かったのだろうけど、姉の陽乃さんが出来たから雪ノ下にも出来ると勝手に期待し、それを押し付けようとしていた。

 

八幡「…別に、俺がイラついたから起こっただけだ…お前を助けたわけじゃねぇよ」

 

雪乃「それでもよ、私は貴方に救われたの

貴方のお陰で少しは姉さんとの仲は良くなったし、上手くやれるようになったのだけれど、やっぱり姉さんと比べられるのは辛いわね…」

 

俺からすれば陽乃さんも雪ノ下も特に変わらないと思う。だけれど雪ノ下は陽乃さんの弱い所をあまり知らない…雪ノ下にとって陽乃さんは、人を上手く使いこなし、自分自身の能力も高く なんでもそつなくそなす完璧な姉なのだろう。

 

八幡「別にあの人だって完璧じゃねぇよ。昨日なんて生徒会室に行くと爆睡してたし、案外おっちょこちょいだったりするしな」

 

雪乃「それは、貴方の前だけよ…爆睡の件は知らないけれど、姉さんの仮面が剥がれるのはあなたの前以外は殆どないわ」

 

確かにそうかもしれない…だけど今重要なのは陽乃さんがじゃない 雪ノ下の事なんだ

 

あんな事があった後だから仕方ないが今の雪ノ下は陽乃さんのことを少し気にしすぎだ

 

まるで、陽乃さんを目標にして 後ろをついていくだけで、自分と言うものを持っていなかったあの頃のように

 

八幡「今は陽乃さんの事はいいだろ、お前はどうしたいんだ?」

 

雪乃「それは…」

 

次の言葉が出てこずに、顔を俯かせてしまった

 

八幡「生徒会長、やりたいか?」

 

彼女は「え?」と驚いたような顔をし

考え出した

 

雪乃「私は……分からないわ 比企谷君と由比ヶ浜さんと過ごす時間は私にとって有意義なもので この3人の関係を壊したくないのだけれど、生徒会長というものを1度経験するのもいいかもしれないと思う私が居るの」

 

少し困ったような顔をしながら自分の気持ちを明かしていた

 

八幡「それで、いいじゃねぇか」

 

雪乃「えっと、どういうことかしら?」

 

八幡「お前は生徒会長にもなりたいし、俺や由比ヶ浜とも一緒に居たいんだろ?なら両方ともすればいいじゃねぇねぇか」

 

彼女は俺が言っている意味が分かっておらず、頭を悩ませていた

 

八幡「はぁ……俺と由比ヶ浜も巻き込んで生徒会をやればいいだろって言ってんだよ」

 

雪乃「でも…そんな、我儘…」

 

八幡「我儘でいいだろ、お前はもっと自分に素直になれよ」

 

ポンと肩に手を置き俺は自販機に追加の飲み物を買いに行った

 

 

 

その後考えをまとめ終わったのか

すっきりした表情でこちらに向き直った

 

雪乃「比企谷君、今日はありがとね

来週の月曜日にどうするか、貴方にも由比ヶ浜さんにも伝えるわ」

 

八幡「そうか…んじゃ俺はもう帰るわ」

 

雪乃「えぇ、またね比企谷君」

 

そうして彼女は笑顔でお別れの言葉を言いその場を去っていった

 

八幡「んじゃ、俺も家に帰るか」

 

最後に見せた雪ノ下の笑顔を思い出しながら

上機嫌にチャリを漕ぎ始めた

 

今の俺にはこれから起こる事をまだ知るよしも無かった



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27話

家に帰り、着替え前もって準備していた荷物をとり、駅に向かった。今日はままのんから呼び出しをされ、雪ノ下家に泊まることになっていたからだ。

 

駅に着き、電車に乗り

数十分電車に揺られ、駅に着くと

黒塗りの高級車からスーツ姿の男が降りてきた

 

「比企谷様、こちらです」

 

顔の方を見ると、陽乃さんをいつもお迎えする都築さんだった。

 

八幡「お久しぶりです、都築さん」

 

そう言うと都築さんは軽く会釈をし

車の中へ入っていった

 

都築さんに会うのは旅行ぶりだった

たまに、陽乃さんを迎えに来たりするので

顔を合わせることはあったが

こうやって面と向かうのは久しぶりだ

 

俺が都築さんの後に続き、高級車に乗ると

周りにいた人が湧き上がっていた

 

スゲー!あんな車に乗る人初めて見たわ

金もちは違うねぇ

 

と歓声が湧き上がっていた

 

そんな人達に目も昏れることも車は発進して行った

 

 

 

暫く車に揺られ、とある一軒家にたどり着いた

 

八幡「ここに来るのも久しぶりだな…」

 

雪ノ下家に来るのは本当に慣れない

普通の家より2回りほど大きくて

 

家の前には柵が引かれてある

 

 

いかにも高級住宅という感じの家だ

周りの家もそういう感じの家が

ズラっと並んでいる

雪ノ下家があるのはそんな並べの

中でも一際大きい家だった

 

玄関の前に行くと都築さんがドアを開け

俺を家の中に案内した

 

八幡「お、お邪魔します」

 

陽乃「あー!やっと来た〜」

 

待ちくたびれていたのか そんな事を言いながら

こっちに早歩きで歩いてきた

 

八幡「すみません、雪ノ下の事で案外時間がかかってしまったので」

 

陽乃「ちゃんと、雪乃ちゃんのフォローしてくれたんだね…ありがとね」

 

八幡「別にお礼を言われることじゃないですよ、俺がやりたかったからしただけです」

 

あははと彼女は誤魔化すように笑った

 

陽乃「でも、これだけは覚えてて欲しいな…私達姉妹は君が思っている以上に君に助けられてるんだよ」

 

八幡「…はい」

 

少し切なそうな顔をしていたが

持ち前の外骨格ですぐ持ち直した

 

陽乃「ささ、こっちこっち!料理もうできてるから〜」

 

陽乃さんに腕を掴まれ、引っ張られ

客間に連れていかれた

客間に入いると、そこには

豪勢な料理が広がっていた

 

八幡「…すげっ」

 

思わず唾を飲み込んでしまう程だった

 

「お久しぶりです、八幡さん」

 

部屋に入って固まっていると後ろから

女性の声が聞こえてきた

 

その女性とは雪ノ下と陽乃さんのお母さんで

この前の結婚の件で1番動いてくれた恩人だ。

 

八幡「お久しぶりです!」

 

頭を勢いよく下げ挨拶をした

 

八幡「この前の件はありがとうございました」

 

「そうね、雪ノ下としては受けた方が利益はあったのだけれど あの陽乃が初めて私に頭を下げたのだから 母親として娘の頼みを聞いてあげたまでよ」

 

そう言い横を通り過ぎ、席に着いた

 

「「「いただきます」」」

 

それぞれ席につき、ご飯を食べ出した

 

「陽乃、最近八幡さんとはどうなの?」

 

陽乃「どうって言われても… 仲良くしてるよ?」

 

「そう、八幡さん最近陽乃との仲はどうかしら?」

 

八幡「…良好だと思います」

 

唐突にままのんが裏の読めない質問をしてきた

互いに戸惑ったが、至って関係は良好だったのでその旨を伝えた

 

「実はお2人に伝える事があります」

 

改まってこちらを向き直し

 

「2りには少し辛いかもしれないことだけど、陽乃には留学してもらいます」

 

ままのんから唐突に陽乃さんの留学を告げられた

 

 



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28話

「陽乃には留学して貰います」

 

 

 

その言葉は俺たちの胸に強く突き刺さってきた

これからは、2人で楽しく生活出来ると思っていた。同じ時を共有できると思っていた。

 

だけれどそんな幻想はたった一言で塵となってしまった

 

陽乃「ちょっ、ちょっと待ってよ!!なんで急にそれも私に相談もしないで決めるの!」

 

勿論陽乃さんは否定しようとした…だが

 

「雪ノ下家の為です。この前に結婚の話…あれを断る事で雪ノ下家は多大の損額を出しています。今現在のみでは、そこまでですが、数年後数十年後のことを考えると この損額は中々に大きいものです」

 

「それでも、私は貴方の幸せを願いました。だから申し出は断りました。なら、次は貴方が雪ノ下家の為に尽くす番ではないでしょうか?次期当主として、海外で経験を積み、日本へ帰ってくる。」

 

陽乃「そんな、勝手に…」

 

「雪ノ下家だけではないのです。貴方には雪ノ下建設の従業員全員分の責任があるのです」

 

ままのんが言っていることはド正論だった。だから俺は何も口出しする事が出来なかった。理不尽ではない、ただ自分が受け持つ責任をしっかりこなせというものであった

 

「それに、長期休暇はこちらに帰ってきてもよし、今の時代海外にいても連絡が取れる時代…会えなくなるのは寂しいかもしれませんが、それくらい我慢しなさい。それとあなたの実力なら3年あれば帰って来れるでしょ?」

 

それはままのんからの挑戦のようにも聞こえた

陽乃さんの火をつけるため、成長させるために

 

陽乃「…分かった でも2年よ…絶対に2年で帰ってくるわ!」

 

そう言い陽乃さんは部屋を出ていった

客間に残された俺とままのん

少し気まづいふんいきで、動くことが出来なかった

 

「八幡さん、ごめんなさいね…私にはこういうやり方しか出来ませんから」

 

口を1番に開いたのはままのんだった

その表情はどこか柔らかく

いつものあの雰囲気からでは想像しにくい姿であった

 

八幡「いえ、俺は待っているだけなので」

 

「案外1番辛いのは、ただ待つことしか出来ない事なんですよ…」

 

それはよく知っている…役に立つことも出来ずに、ただ事柄がすむまで何もせずに待つのは意外と辛いものだ

 

以前の結婚の件でそれはよく分かった

 

「残りの数ヶ月、陽乃と悔いのないように二人の時間を大切に過ごして下さい」

 

八幡「……はい」

 

そう返事をし俺は部屋を出ていった

食事中に席を立って部屋を出る行為は

世間一般的に礼儀が悪いと言われるものなのだが、今の俺は陽乃さんと一分一秒長く一緒に過ごしたかった

 

 



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29話

客間から廊下にでり、俺は陽乃さんの部屋に向かった。今はこの長い廊下の先にある陽乃さんの部屋が本当に長く、そして遠く感じた

 

無意識ではあったが だんだんと歩くペースは早くなりり、やっとの事で陽乃さんの部屋の前に辿り着いた

 

コンコン

ドアをノックし陽乃さんに声をかけた

 

八幡「陽乃さん、入ってもいいですか?」

 

返事は返ってこなかったが、部屋の中から足音が聞こえ、そしてドアが開かれた

 

八幡「お邪魔します」

 

初めて入る彼女の部屋はとても思春期の女の子とは思えないほど、質素な部屋であった

 

あるものはベッドに本棚、クローゼットに勉強机に 椅子がひとつあるだけだ

 

八幡「陽乃ーーー」

 

名前を呼ぼうとすると 突然唇を陽乃さんの唇によって塞がれ、ベッドに押し倒された

 

八幡「んっ…あっ は、はる んっ ちょっと…待って くるしっ」

 

何度も何度も求めてきて、軽く酸欠状態になってきたので、無理やり陽乃さんを引き剥がした

 

陽乃「あっ…ごめんね苦しかった?」

 

ベッドの上に座り 少し申し訳なさそうにしょぼんとしている陽乃さんがこちらに謝ってきた

 

八幡「えぇ、まさかあんな風に口の中を蹂躙されるとは思ってませんでした」

 

少し皮肉交じりに返したが

俺も陽乃さんも少し笑っていた

 

陽乃「なんか、久しぶりだね…こうやってイチャイチャするの」

 

八幡「そうですね、最近はあまり出来ませんでしたし」

 

陽乃「…」

 

八幡「…」

 

そうして2人は無言で近付き

相手の唇にそっとキスをした

 

さっきの一方的に相手を求めるキスとは違う、2人の思いの入ったキスだった

 

唇を離し、2人は見つめ合い、布団の中に潜り抱き合った

 

そうして2人にとって長い夜が幕を開けた

 

 

 

 

 

翌日

 

昼過ぎに目を覚まし、体を起こすと

全身が悲鳴をあげた

 

八幡「いてて……筋肉痛かよ」

 

陽乃「昨晩は激しかったからね〜私も体が痛いよ」

 

俺よりも先に起きていたのか、布団の中から陽乃さんの声が聞こえてきた

 

あの後2人は互いの愛を確認するかのように、愛し合い、求めあった

 

多くは語らないが、とても素敵で…魅力的な時間だった。こんな幸せを感じてしまってもいいのかと思うほどに…充実した時間であった

 

八幡「とりあえずシャワー浴びましょうか」

 

そうして、陽乃、八幡の順にシャワーを浴び、部屋に戻ってきた

 

戻った時には布団のシーツなども変えられていて、昨日、俺が部屋に入ってきた時と同じ状態になっていた

 

陽乃「おかえり〜 飲み物机の上に置いてるから飲んでいいよ」

 

八幡「ありがとうございます」

 

シャワー上がりの陽乃さん……昨晩の事もあり少し意識してしまう…

陽乃さんの方をむくとつい、視線が下がってしまい、どうしても思い出してしまう

 

陽乃「お姉さんの魅力にやられちゃったのかな〜そんないやらしい目で私の事を見て」

 

やはり、バレてた…女性の方はそういう目には敏感だと聞いたことはあったけど、やはり本当なのだろうか

 

八幡「ならない方が失礼ですよ…」

 

陽乃「えっ…うん、ありがと?」

 

彼女は戸惑ったような声を上げていた

まぁ、そんな反応されるとは思ってなかったんだろうし、俺もどうしてこんな事をいったのかよく分からなかった

 

だけど、これだけは分かる

俺は、以前よりもっと陽乃さんの事が好きになった



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30話

先日、陽乃さんと甘くてとても心地のいい時間を過ごし…そのままもう一晩陽乃さんの部屋に泊まらせて貰った。流石に2日目は特にこれと言って何も無かったが…陽乃さんと1日中一緒に居ることができてとても幸せだった。

 

だけれどそんな幸せを得ることが出来るのも束の間…日曜日になると明日から学校だという現実を突き刺してくる。

 

俺は日曜日は好きだが苦手だ…何をするにもやる気が出なくなる

 

八幡「はぁ〜」

 

このまま横になっていてもキリがないので大きなあくびをしながら体を起こした

 

今は何時だろうか…

 

隣には気持ちよさそうに寝ている陽乃さんがいるあたり、まだ朝ではなさそうだ

 

ナデナデ

 

寝ている彼女の髪を撫でると、すこし声を出し、またスースーと寝息を立てた

 

こうしてみると、本当に可愛いくて、どうして俺なんかがこんな人と付き合えたのか考えてしまう

 

彼女の想いは本物だったし、疑う気は無いけれど少し考えてしまう

 

頭を撫でるのをやめ、布団に潜ると

隣に寝ている陽乃がこちらに寝返りをし抱きついてきた

 

あぁ柔らかいものがお腹に……

 

「……考えたらダメだ…抑えるんだ…俺は理性の化物だろ」

 

煩悩を退散させ なんとか二度寝することに成功した

 

だけど次目が覚めた時は…陽乃さんの胸の中であった

 

 

 

 

 

 

 

八幡「……陽乃さんって寝相悪いんですね」

 

朝になり目を覚まし 陽乃さんと会話していた

その内容というものは陽乃さんの寝相についてなのだが……

 

陽乃「私も知らなかったよ…だから小さい頃雪乃ちゃんは一緒に寝るのあんなに嫌がっていたのかー」

 

それは、他の理由もあると思いますよ

言わないけど

 

一昨日は疲れ果てて寝たから 特に問題もなかったけど……もし一緒に寝るようになったら色々大変だな

 

八幡「とりあえず、今日はどうしますか?昨日はここでゆっくりしてましたが」

 

彼女はうーんと頭を捻らせ考えていた

 

陽乃「それじゃ少し買い物付き合ってよ」

 

何かを思いついたのかパッと顔を明るくし こちらに買い物を行こうと提案した

 

八幡「いいですよ、最近お出かけもしてませんでしたし」

 

そうして、2人は各々着替えを始めるのであった

 

八幡「あ、ちょっと待ってください着替える服もうないです」

 

元々1泊下する予定が無かったので、服も1式しか持ってきていなかったし、さすがに乾燥機借りるのも…

 

陽乃「あ、大丈夫だよ。八幡がいつでも来れるように 何着か服置いてるから」

 

え…なにそれ聞いてないんだけど

 

陽乃「こっちこっち 空いてる部屋に君用の服何枚か置いてるから」

 

陽乃さんに手を引かれ…そしてひとつの空き部屋に連れてこられた

 

そこで俺のサイズとぴったりの服が置いてあり

その中から適当に選ぼうとすると、陽乃さんに止められコーディネートされてしまった



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31話

*今話はるのんもゆきのんも出てきません


悪い事をすれば説教をされるのは当たり前だ

 

だが、世の中には理不尽なものや、私的な理由、所謂嫉妬心のようなもののせいで起こる、非常に不愉快なものも存在する

 

今の俺の状況はどうだろうか

確かに怒られるような事かもしれない…だけれど

 

途中から愚痴じゃねぇか!

 

 

 

 

 

月曜日になり、いつも通り学校生活を送り、部活に行くはずだったのだが……

 

 

 

平塚「おい比企谷!聞いているのか!」

 

八幡「聞いてますよ」

 

そんな大声で言わなくても聞いてるから…むしろ響き渡ってるから

 

 

 

6限目にあった国語の時間、陽乃さんに貰った指輪を眺めていた

こうして眺めているだけで、幸せな気持ちになれた気がしたからだ

 

でも、ずっと指輪を眺めていると平塚先生に見つかってしまった

 

 

 

昨日

陽乃さんと昼頃からららぽに行き

ランチした後アクセサリーショップに来ていた

 

そこでお世辞にもいい物とは呼べないが指輪を2つ買い、その指輪に互いの名前を彫ってもらった

 

俺が付けているものには「HARUNO」陽乃さんが付けているものには「HACHIMAN」と彫り、それを互いにプレゼントしたのだ

 

今までお揃いのキーホルダーなどはした事が無かったし、陽乃さんが留学しても これを見て互いの事を再確認できるようにたいう事で購入したのだ

 

 

平塚「はぁ…どうして比企谷ですら恋人が居るのに私には居ないんだ……」

 

ちょっと待ってください、その言い方はさすがに酷くありませんか?

 

八幡「ま、まぁ平塚先生ならいつか結婚できますよ………多分」

 

こうしてバレてしまったのは俺が悪いのだが…途中から説教というよりただの愚痴になってしまっている

 

平塚「いいなーその歳で婚約まで済ませてるとか…人生勝ち組みたいなものじゃないか」

 

八幡「勝ち組って…大変なのはこれからじゃないですか」

 

実際もう少しすると陽乃さんと離れ離れになってしまうし

俺も大学に行って少しでも陽乃さんを支えられるようにならないといけないし

 

平塚「…聞いたよ 陽乃、留学するんだろ?」

 

もうこの話は学校にも行っていたのか…

いや当然か…3年のこの時期に急に変更するんだ

すぐ連絡くらいするか

 

八幡「はい…」

 

急に平塚先生の雰囲気が変わり、少し寂しそうな顔をしていた

 

平塚「遠距離恋愛は大変だぞ…会えないって辛さが少しずつ心を蝕んでくるからな」

 

いくら電話でで話せると言っても、実際会って話すのとは全然違う

するはずはないと思ってるけど浮気の心配とか…してしまうだろうし

 

平塚「まぁ、君なら何とかやっていけると思うが 一応言っておこう 腐るなよ」

 

その時の言葉の意味を俺は理解出来なかった

 




お久しぶりです!スマホが壊れて今まで更新できませんでした

もう新しい端末に変えたので 前ほどでは無いですがゆっくりと投稿していこうと思います

これからもよろしくお願いします!!


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32話

平塚先生からのありがたーい説教が終わり

俺は部室に向かった

 

部屋に入ると何故か雪ノ下は少し不機嫌そうな顔をし、由比ヶ浜は苦笑いしていた

 

八幡「何かあったのか?」

 

気になったので雪ノ下に直接尋ねてみたが…

雪ノ下はフンってそっぽを向いてしまった

 

八幡「由比ヶ浜、雪ノ下に何かあったのか?」

 

このままでは仕方が無いので由比ヶ浜に助け舟を出すことにした。こいつなら何とかまとめてくれるかもしれないしな

 

結衣「えっとね、ゆきのん今日は私達に大事な話があるからって張り切ってたんだけど、ヒッキーが全然来ないから拗ねちゃったの」

 

雪乃「ちょっと待って由比ヶ浜さん、前者は認めるとしても後者は…拗ねてなんて居ないわ」

雪ノ下はまだ少し怒ったような口調だったが、反応はしてくれるようなのでまだ良かった

 

雪乃「はぁ…まぁいいわ…それで生徒会の事なのだけれど」

由比ヶ浜はゴクリと唾を飲み、俺は雪ノ下のことを見守っていた

 

雪乃「私、生徒会長…やりたいの」

 

少し声を震わせ、目をうるうるさせながら自分の気持ちを吐き出してくれた

言葉数は少ないものも俺達にはちゃんと雪ノ下の気持ちか響いてきた

 

結衣「うん!いいと思うよ!あっ…でも奉仕部は……」

 

雪乃「そうね、3人で部活を続けるのは少し難しいかもしれないわね」

 

結衣「そんな…」

 

雪乃「だから、2人にお願いしたい事があるの」

 

雪乃「一緒に生徒会に入って貰えないかしら?それと嫌なら嫌と言ってくれて構わないわ」

 

数秒俺たちの周りの音が消えるかの如くしずかになったが、それはすぐに俺が壊した

 

 

八幡「いいんじゃねぇの?少なくとも俺はそう思う」

 

結衣「うん!私も!ちゃんとできるかは不安だけど…」

 

確かに由比ヶ浜に事務系の仕事は向いてないかもしれないが何とかなるだろ…雪ノ下が居るしな

 

雪乃「その時はそこに居る目が腐ってる気持ち悪い人がきっと助けてくれるわよ」

 

八幡「おい!目が腐ってるのは百歩譲っていいとして気持ち悪いは酷いだろ!!」

 

 

八幡「それじゃ、めぐり先輩の所に行くか」

 

これから演説やら手伝ってもらわなきゃいけないしな…まぁ雪ノ下はいいとして問題は俺と由比ヶ浜だな…俺達はこれから投票で勝たなければならない。

 

もし負けたら雪ノ下の決断が意味がなくなってしまう

最悪……陽乃さんの手を借りるか

 

あんまり使いたくはないけど

 

雪乃「えぇ、そうね これから申請やら色々と忙しくなるからね」

 

結衣「そうだね!生徒会室にレッツゴー!!」

 

まぁ、由比ヶ浜は容姿だけで何とかなりそうだな…地味に校内でも人気あるし

 

後は俺だけか……



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33話

人からの信頼を集めるのは簡単ではない。特に自分をアピールするための武器を持たない人は…だからみんな結果で示そうとする。この人なら任せてもいい、この人なら安心出来る、そういうふうに思って貰えるように努力する。それは、学生でも同じだ。信用できない人。信頼できない人に仕事は回ってこない。もし失敗されたら自分の責任になるのだから。

 

何故俺がこんな事を語っているのかというと、俺は生徒会に入れる確率がとてつもなく低いからだ。事前に準備して望んできた応募者、人からの支持を受け代表としてやってきた推薦者。そういう人たちを倒し、生徒会という地位に手に入れなければならない。

 

もし、これが陽乃さんや雪ノ下なら楽勝だろう。知名度は高く、成績優秀、これは評価に入れてもいいものか分からないが容姿も素晴らしい。誰もが投票したくなるような素質を持っている。一方由比ヶ浜はあの天真爛漫とした性格という武器があるのだが、俺にはそういう武器は何も無い。だから真正面からぶつからなければならないのだが…目は腐ってる、コミュ障、陽乃さんの彼氏ということで男どもからは嫌われている。まず、選挙に勝てる見込みなんてあるはずもない。

 

八幡「はぁ…どうしたものか」

 

俺は深いため息をつきながら生徒会室への道のりを歩いていた

 

結衣「ヒッキーどうしたの?浮かない顔して」

 

八幡「別に…つーかお前浮かないなんて言葉知ってたんだな」

 

こいつらに余計な心配かけたくないし、出来ることなら俺一人でなんとかしねーとな

 

結衣「はぁ!?馬鹿にしすぎだし!ねぇゆきのん!」

 

雪乃「ごめんなさい、私も意外だったわ…」

 

雪ノ下の言葉で由比ヶ浜は完全に意気消沈としてしまった。まぁ、素であんな反応されると辛いよな…

 

結衣「あはは…なんで私ってこんなキャラなんだろ…もっと真面目に勉強しておけば良かった……」

 

こちらの方が静かなので放置しておくが、違うなにかが乗りうつってるかの如く、生徒会室に着くまで静かなままだった。

 

コンコン

 

雪乃「失礼します」

 

雪ノ下がコンコンと生徒会室のドアをノックし、部屋に入って行った。俺達もあとをついていくように、生徒会室の中にお邪魔した。

 

陽乃「あれー?雪乃ちゃんじゃんここに来るなんて珍しいね〜」

 

出迎えてくれたのは机に座って何か書類を書いている陽乃さんであった

 

雪乃「姉さん、城廻先輩は?」

 

陽乃「んー?めぐりー?確か一色ちゃんって子と職員室に言ってるよ〜」

 

陽乃さんはこちらをチラッとみたが、すぐ書類の方に目を移し、ペンを走らせていた。

 

雪乃「そう、分かったわ」

 

そう言い終わると雪ノ下はすぐに生徒会室から出ようとしたのだが…

 

陽乃「ちょっと待ちなさい」

 

雪乃「何かしら?こっちはあまり時間が無いのだけれど」

 

陽乃「やるなら、最後までしっかりこなしなさい」

 

雪乃「えぇ、分かっているわ」

 

俺達は姉妹のやり取りを見終えると職員室に向かった。



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34話

生徒会室を後にし俺達は職員室に向かった。職員室のまえにつき、城廻先輩を呼び出す為にドアを開こうとするとこの前の女子の声…えっと、一色さんだったか?の声が聞こえてきた

 

「無理ですよ〜1年で生徒会長なんてぇ〜」

「そう言われてもな…生徒会長が居ないなんて事 学校側としては容認できないんだ。君も被害者なのは分かるが頼むよ」

 

「先生流石にそれは一色さんが可哀想では…」

 

「そう言われても…生徒会長の候補は一色さん以外誰もいないし…」

 

話している内容的に生徒会長の件はまだ片付いて居ないらしい

 

雪乃「失礼します、城廻先輩はいらっしゃいますか?」

 

話の1部を聞いた雪ノ下が職員室に突っ込んで行った。タイミング的にはベストだったし、悪くは無いのだがこっちも心の準備というものが…

 

めぐり「雪ノ下さん?ごめんね、今先生と話しているから後ででいいかな?」

 

雪乃「いえ、その今話している件についてなんです。私が生徒会長に立候補します」

 

めぐり「本当に!?」

 

雪乃「はい、その代わり由比ヶ浜さんと比企谷君も生徒会に立候補させて下さい。もしそれがダメなら私はこの話は無かったことにします」

 

「そ、そんな勝手な事!会長以外の役職はもう埋まっているんだ」

 

ここでさっき城廻先輩と話をしていた先生が乱入してきた。

 

雪乃「でも、まだ選挙はしてませんよね?それなら選挙の場で勝負したらいいと思うのですけれど、違いますかね?」

 

こういう時雪ノ下が居ると楽だな。先生相手でも容赦なく正論をたたき込めることが出来る。

 

「し、しかしだな…」

 

めぐり「私としてはー雪ノ下さんの案の方がいいと思いますよ?公平ですし、選挙の結果が全てなんですから」

 

この後色々議論はしたが雪ノ下とめぐり先輩のお陰で俺たち3人は選挙に出場できることが決まった。

 

だけど、選挙までもう時間がない。大変なのは今からだ

 

 

 

雪乃「では、まず各自推薦者演説をしてもらえる人を探しましょうか…といっても比企谷君に宛はあるのかしら?」

 

先生との話が終わり生徒会室で城廻先輩を混ぜての作戦会議が始まった。それで最初の議題なのだが、ここで1番の難所に当たってしまった。それは推薦人の調達だ。俺も雪ノ下も候補があまりいない…俺が頼めるのは戸塚位か…

 

八幡「一応戸塚に頼もうと思ってる」

 

雪乃「そう、戸塚君…貴方にしては的確じゃない」

 

めぐり「じゃあ私が由比ヶ浜さんか雪ノ下さんの応援演説しよっか?」

 

めぐり先輩に雪ノ下の演説をしてもらったら 後は由比ヶ浜だけ、まぁこいつなら誰かやってくれる人見つけれるだろ、友好関係広いし

 

いろは「あ、あの!私、雪ノ下先輩の応援演説やりたいです!私の代わりにこんな事押し付けてしまって…そのなんて言ったらいいか」

 

雪乃「貴方の代わりでやるわけでは無いわよ、私がやりたかっただけ…それを2人が後押ししてくれたから立候補しただけなのだから、貴方は気にしなくてもいいわ」

 

いろは「ならせめて応援演説だけでもやらせてください!これが私なりのケジメとして」

 

雪乃「…分かったわ 私の応援演説は一色さんに任せるわ」

 

いろは「有難うございます!」

 

強いなコイツ…最初は相手に合わせてうんうん言うだけの昔の由比ヶ浜タイプかと思っていたが 根はしっかりしている もし、こいつが生徒会長になったらなったで面白かったかもな



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35話

その日はとりあえず誰が誰に演説してもらうか決め、解散となったのだが、俺は陽乃さんを待つためそのまま生徒会室に残った。その陽乃さんと言うと延々と書類のようなものに目を通したらサインしたりしていた。こっちには見向きもせず作業をし続けていた。

 

陽乃「ふーっ終わり終わり!!比企谷君紅茶淹れて〜」

 

体を仰け反るほどに伸ばしその豊満な胸を強調するかの如く体を伸ばしていた。こんな姿他のやつに見せてないよな?まぁ陽乃さんなんやかんやで考えてるし大丈夫かな

 

八幡「はいはい、かなり量ありましたね」

 

紅茶を淹れながら陽乃さんに話しかけてみた。

 

陽乃「そうだね〜部活の備品とか申請書とか色々あったからね〜ボールを何個買うとかそんなの一々確認しなくてもいいのにね〜どうせ使えばまた買うんだし」

 

八幡「そうですね、紅茶淹れましたよ」

 

陽乃「ありがと、ねぇ八幡さっきの話聞いてたんだけど…八幡多分落選するよ」

 

まぁ、そりゃそうだろう。俺にはマイナス要素ばかりの俺に投票しようと思うやつなんてもの好きそうそういないだろう

 

八幡「そうですよね…どうしましょうか…」

 

いつものひねくれた答えで解決できる問題ではない…要するに俺の力では今回何も解決できないのだ

 

陽乃「私が演説やろうか?」

 

確かにそうしたら票は増えるだろう。だけどそうしたら陽乃さんのファンの方々や男共は嫉妬して票を入れようとしてくれなさそうだし

 

八幡「上手く行きますかね?」

 

陽乃さんの事だなんとかしてくれそうな気はするが、今回は少し難易度が高すぎる気もする。いくら陽乃さんとはいえ 人の印象を変えるのは難しいだろうし

 

陽乃「上手くいくじゃなく上手く行かせるのよ」

 

八幡「と言われましても俺にはどうしたらいいのか分からないんですが」

 

陽乃「だから、私がやるんだよ」

 

俺には陽乃さんの言っていることが理解出来なかった。それでも陽乃さんになにか秘策があるならそれにかけてみてもいいと思う。なんやかんやで俺たちの生徒会いりは賛成だったし。協力はしてくれそうだし…ただこの忙しい時期に無理して付き合わせるのは彼氏としてどうなんだろうかと考えてしまう。

 

陽乃「八幡、私はね君に無理されるくらいなら頼ってもらいたいの。言わなくても分かってよ」

 

八幡「すみません…あれ、なんでしれっと心読んでるの?」

 

陽乃「そんな事いいから!大船に乗った気持ちでいなさいお姉さんが一肌脱いであげるから!」

 

そう言って彼女は紅茶をグイッと飲み干した



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36話

陽乃さんの生徒会の仕事も終わり俺達は珍しく放課後デートというものをしていた。

 

え?そんなことしてる暇があるかだと?あるわけないだろ…でも陽乃さんが何とかしてくれるらしいからこうやって来ているわけだ。

 

陽乃「八幡、誰と話してるの?」

 

ねぇ、毎回毎回思うけどなんでこの人心読めるの?怖いよ?八幡泣いちゃうよ

 

陽乃「八幡が泣いても需要ないと思うよ」

 

そりゃそうだろうけど…本当に泣きたくなってきた

 

八幡「なんで普通に会話成立してるんですか…」

 

溜息をつきながら陽乃さんの方に向き直り質問を繰り出した。

 

陽乃「なんでって?そりゃ八幡だからだよ。例えば雪乃ちゃんの事だってなんとなーく分かるし予測は出来るけど、ここまでハッキリと分かるのは八幡だけだよ」

一瞬ドキッとしてしまったが、俺の言葉の質問に答えてない事に気が付き平常心を保った

 

八幡「質問の答えになってませんよ」

 

陽乃「まぁまぁ、そんな事よりさ次何処に行くか決めようよ、ここだって君が考えきれなかったから途中寄っただけなんだしさ」

 

そうは言っても部活の終わったあとの放課後、行ける場所なんて限られている。とりあえず駅前の喫茶店に足を運び寛いでいた

 

陽乃「仮にも私の彼氏でしょ、もう少ししっかりしなさい」

仮じゃないとツッコミたかったが、そういう感じでは無かったので頷いてしまった

 

八幡「そうですね、後どれだけ一緒に居られるかも分からないですし」

 

彼女はピクっと体を反応させた、陽乃さんがそういうつもりで言ったわけではないのは分かっている。だけれど、そう捉えるしかなかった。それほどに、俺の心の中にある寂しさが蠢いていた。

 

陽乃「そうだ!雪乃ちゃんの所に行こっか!まだ帰って時間も経ってないだろうし、3人ですき焼きしよ!」

 

そう言い彼女は雪ノ下に電話をしていた。その後一緒にスーパーに行き雪ノ下の家に向かった

 

 

 

 

 

 

 

雪乃「全く貴方達には呆れるわ…あともう少し遅かったら手遅れだったじゃない」

 

陽乃さんに連れられ雪ノ下の部屋に来たのだが、開口一番これであった。彼女の性格上ある意味これは高待遇なのだが、全くもってわかりにくい。もう少し素直になれば可愛いげもあるのに…つーか元々可愛いからこれ以上可愛くなったら反則的か

 

陽乃「比企谷君、怒るよ?」

 

つい、雪ノ下の方を見つめていたら、陽乃さんがお怒りになっていた。そういえばこの人心読めるから今のも全部伝わってるんだよな…やべーよまじ魔王怖いって……あっ

 

陽乃「へぇ、比企谷君は私の事魔王って思ってたんだ〜」

もう呼び方も比企谷君に戻ってるし!マジでどうしよ

 

この後陽乃さんが拗ねてしまい、機嫌をとるのに物凄い体力を使ってしまった



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