ベルの兄は異世界人 (ごーたろんす)
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はじめまして異世界!?マジか・・

えー皆様はじめまして。

良かったら読んでみてください。


涼やかな風に吹かれ草木がざわめいている泉のほとりに寝転がっている男がいた。

 

「う、うーん。もう朝か?」

 

起き上がり、周りを見渡す。

・・・・あれ?なんで外にいるんだ俺?

昨日学校行ってクソジジイの鍛錬が終わって部屋で寝たはずなのに??

つかここどこだよ。あれ?東京にこんな綺麗なとこあったっけ??

 

人間は自分の限界を超えると無表情になるようだ。

無表情のまま心の中であれこれ考えていたが風に吹かれた草木の音しか聞こえない。

 

「う、うん。一旦落ち着こう俺。ここが何処かもわからねーしとりあえず情報収集するしかねぇ。

なんでかわからんがジジイの刀もある。警察に連れて行かれたらジジイ呼べばいいしな。」

 

銃刀法があるのに家に刀がある時点でおかしい事に気付いてないがとりあえず動くことにする。

 

しばらく適当に歩きまわって見たものの特に何も無い。

何も無いというか東京ではありえない程何もなかった。

拉致された?でも外に放り出すなら拉致しねーよな?という謎のループが頭をぐるぐるしている。

 

川を見つけたので川に沿って下流に向かって歩いていくと白髪の小さい子供を見つけた。

 

「すまないそこの少年!ちょっと良いだろうか?」

 

「ふぇ?あ、その僕ですか??大丈夫ですけど。」

 

白髪で赤目のどう見ても兎ですありがとうございました。そして確実に日本人じゃねーしなんで日本語通じたんだよこの野郎。

内心パニックもパニックになっていた。

 

「あー、俺は・・・あれ名前思い出せねぇ。え、なんで?

あーすまん。自己紹介しようとしたんだが名前思い出せない。」

 

「え!!大丈夫なんですか!?もしかして記憶喪失ってやつじゃ??

えっともしかしてここが何処とか自分の住んでたとこもわからないとか??」

 

こくりと頷く。実際は名前以外は全て覚えているのだがめんどくさくなって記憶喪失ということにした。

 

「ぼ、僕はベル・クラネルって言います!今お爺ちゃんと2人で過ごしてるので良かったら家に来てください!」

 

「ベル・クラネル・・・か。良い名前だな。いやホント迷惑かもしれんが俺も現状どうすれば良いのかわからんから申し訳ないがお爺さんにも話聞きたいしよろしく頼むわ」

 

え?ベル・クラネル?ダンまち?冗談だろおい。確かにラノベの表紙こんなやつだったわ。は?これもしかして二次元あるあるの異世界転移とかか?うわ。そしたらベルの爺ちゃんってゼウスじゃねーか。あわわわわ。

 

内心ガクブルになっている主人公だった。

 

2人で歩きながら会話をしているとベルの家についた。

もう既にベルが可愛くて仕方ない主人公は鬼のブラコンと呼ばれるがそれはまた別の機会に。

 

「お爺ちゃんただいまー!!お爺ちゃんお客さん連れて来たよ!!お兄ちゃん!」

 

「おお。ベルおかえり。ん??お兄ちゃん?お前お兄ちゃんなんかおったっけ?儂爺ちゃんなのに知らんのじゃが。」

 

うーわこのジジイがゼウスかよ。ウチのクソジジイと同じ感じするんだけど。

 

「はじめまして。ベルのお爺さん。ちょっと記憶喪失で自分の名前もわからないお兄ちゃんです。どうぞよろしく」

 

ゼウスはまじまじと見るとニンマリと笑う。

 

「そうかそうか。お前さんがお兄ちゃんか。しかし記憶喪失とはのぉ。名前もわからんのなら不便じゃろ。

よしっ!お前さんも儂の孫じゃ!優しそうじゃしユウにしよう。ユウ・クラネルじゃな!」

 

「展開がはえーよ爺さん。いやまぁ別に良いんだけどよぉ。おいベル!俺お前の兄ちゃんになったぞ!」

 

「え?え?やったぁぁぁぁ!!ユウ兄ちゃんだ!!僕一人っ子だったからお兄ちゃんかお姉ちゃん欲しかったんだ!」

 

ベルは大はしゃぎして体全体で喜びを表してくる。ユウとゼウスは優しい目でベルを見ていた。

ユウはベルの頭をクシャっと撫でてやる。

 

その後ご飯を食べながら色々この世界について話を聞いて就寝となった。ベルは嬉しそうにユウの横に布団を引いて寝た。

 

その夜中にユウはそっと起きて外に出た。夜空を見上げながらぼーっとしている。

 

「どうしたユウ。寝れないのか?」

 

「爺さんか。いや今日だけで色々あったなと思ってな。あー丁度いいや。爺さんにちょこっと俺嘘ついたんだ。」

 

ゼウスは驚いた。神である自分が気づかなかったのだ。神は下界の子の嘘は必ずわかる。

 

「厳密に言うと本当の中に少し嘘を入れたんだ。そしたら神様も全てが嘘じゃないから気づかないんだよ。」

 

今のユウの言葉でゼウスは固まる。自分が神だとバレているのだ。訳あって隠居しているのに自分がゼウスだとバレるとマズイと思っている。

 

「あーすまん言葉足らずだった。そんな構えないでくれよ。あんたが誰かもなんでここにいるかも知っている。んでその理由に繋がるのがさっきの嘘なんだよ。それを説明するつもり。ベルには内緒にしとくけどね」

 

そう言って笑うユウを見てゼウスも警戒を解く。

 

「んじゃまず嘘の部分だけど記憶喪失ってやつ。名前が思い出せないのは本当。でもそれ以外の過去にいたところとかどういう風に育ったかとかは全部覚えてる。話が逸れるけど爺さん・・・異世界ってわかるか?」

 

「なるほどの。おおまかに見れば記憶喪失じゃし嘘はついとらんの。んで異世界じゃったかの。そりゃわかるぞ?儂ら神界から降りてきとるし神界も下界から見れば異世界じゃろ。ん?まさかお前さん・・」

 

「あー違う違う。俺はヒューマン。ユウ・クラネルはヒューマンだから。じゃなくてここの下界とは違う異世界から来たんだよ。んでその異世界でさこの世界のことは物語として本になってんだよ。ベルはそれの主人公。だから爺さんが神で全知全能のスケベ神ゼウスなのも知ってんの。」

 

「ちょい待てい!!スケベ神ってなんじゃい!!」

 

「食いつく所おかしいだろ!!このスケベジジイ!てめー姉妹にまで手ぇ出してるクソ野郎じゃねぇか!なんか間違いあんのかこの野郎!!」

 

「ぐぬぬぬぬ。ま、まぁええわい。てことはなんじゃ。ユウは未来がわかるということか?」

 

「まぁ連載中だったからある程度までしかわからねーけどな。しかも俺っていう異物が入り込んじゃってるからその通りに進むかも怪しいけどな。しかも俺が介入しちまうと未来も変わるだろうしな。でもよ爺さん。」

 

話を区切ってゼウスの目を見る。

 

「爺さん。いや爺ちゃんが俺に名前をくれた。今日はじめて会った赤の他人に、だ。もちろんベルの為かも知れねぇ。それでも俺はいきなりこの世界に放り出されて不安だったんだ。その恩は絶対に返す。未来がわからなくなる?誰かを傷つけてしまう?知らねーよ。俺は爺ちゃんと世界一可愛い弟の為ならなんでもしてやるよ。でもヤンデレとハーレムだけは勘弁な。」

 

ニヤリと笑いながらも真剣にゼウスに対して己の想いを伝える。ユウは内心物語の主人公だからとかその関係者だからと思っていたが本当に不安だった。これからどうするかなど考えて不安になっていたがそれでもゼウスとベルに救われた。

だからこそゼウスには本当の事を伝えた。

 

「なにを言っとるんじゃお前は。お前はもう儂の孫になったんじゃから孫を信じんジジイがどこにおる。恩なんか返してくれんでも良い。ジジイから言えるのは1つだけじゃ。儂らは家族じゃ。辛い事も苦しい事も一緒に乗り越えて幸せなことにする。それだけ守れ。以上!ちなみに異世界のことはベルにも言っとけ。物語の事は内緒にしといてくれ。」

 

ゼウスはユウを抱きしめながら言う。ユウは涙を流しながら頷いていた。

2人は笑い合い家の中に入っていった。

 

ベルに事情を説明したが凄いの三文字で終わった。

ベルはベルでお兄ちゃんはお兄ちゃんだから過去はどうでもいいらしい。

 

いやはやまさか異世界から来たとはのぉ。ユウはこれから色々考えて・・・いやあいつ適当じゃからどうじゃろ。まだ会って1日なのになんか儂に似てきてないか?汗

まぁ今日の夜にでも色々話して今後どうするか考えるとするかの。

しかし孫が2人で異世界人と主人公か。2人とも自慢の孫じゃわい。

 

昼間に日課の素振りをしているとゼウスは口を開けて固まっていた。

その横でベルも真似をしていたが木をナイフくらいの長さに削ったのを渡されて首を傾げていた。

ちなみにゼウスが固まっていたのは恩恵も無くレベル3クラスの動きをしていたからです。

 

夜に爺ちゃんの部屋に呼ばれた。

「へい爺ちゃん!呼ばれて飛び出てジャジャジャーン!孫のユウがやってきたよ!」

 

すんごいハイテンションのユウがなんか持ってやってきた。

 

「商人が今日村に来てさ!砂糖と小豆も買ったからあ俺のとこであったあんこっての作ったからパンと一緒に食べてみろい!」

 

そういえば昼過ぎに台所でゴソゴソしとったのぉ。と思いながらパンをちぎってあんことやらを乗せて食べる。

 

「なんじゃこりゃ!うんまいのぉ。お茶に合うわい!」

 

「だろ!爺ちゃんとかは絶対好きだと思って作ったんだけどよーどら焼きってのを作ろうとしたんだけど材料足りねーしこの世界にあるかどうかもわからねーから妥協した。これでもうちょい改良してベルの明日のおやつにする!」

 

「ちなみに足りない材料はどんなのじゃ?聞いたことなかったら知り合いに探させるが?」

 

「爺ちゃんどんだけハマってんだよ笑しかもその知り合いヘルメスだろ?あんまりあいつ使ってやるなよ。アスフィが可哀想だろ。」

 

「そうじゃった。ユウは知っとるんじゃったな。しかもヘルメスの心配じゃなくてあの嬢ちゃんの心配とは流石儂の孫!わかっとるの!明日あいつら来るから会ってみるか?そうじゃ!それにあの刀さばきはなんじゃ?レベル3くらいじゃったぞ?」

 

「あーあれなぁ。異世界ってか俺の実家が剣術の道場してたんだけどクソジジイが歴代最強って言われてたんだけど12歳くらいで勝っちゃってさー。神童だの鬼才だの言われて舞い上がって鍛錬しまくったらこうなった。ちなみに今朝の鍛錬とか遊びみたいなもんだよ?ベルに見えるようにやってたんだから。」

 

ゼウスの顔が固まる。え?儂の孫素直に恩恵無しでもレベル5くらいある?孫の元の世界ってどんな魑魅魍魎が跋扈してる世界なの?

 

「あ、俺の世界で俺みたいなのいなかったからね?多分前の世界の方が俺異物だったかもしんないレベル笑

すっげー平和で科学ってのが進んでて魔力もなんもなしでもオラリオの10倍は都会。」

 

もうゼウスは驚くことに疲れた。しかし全知全能の神。咄嗟に閃く!!

 

「ユウの世界のご飯食べたいんじゃがなんか作れそうなの無い?」

 

流石ゼウス。あんこの件も思い出しユウがご飯作るのも上手く尚且つ異世界の飯は美味いのに気づく。

ユウは悩みつつ了承し、ヘルメスが来たら買わせに行かせることにする。

 

朝ベルと川に水を汲みに行き、ベルに二刀流のナイフの使い方を教えつつ自分の鍛錬もする。

ベルも刀を使いたがるが原作などを考えてナイフにしたのは内緒である。

 

「やっと着いたなアスフィ!おや?君たちは・・」

 

帽子を被った青年と水色の髪をした少女がこちらに歩いて来る。



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胡散臭い神とお姫様

一応ヒロイン?の1人になるかものアスフィさん登場!


ヘルメス?あぁあいつは良いやつだったよ。


なんか美男美女がこっちにやってきた。

ベルに知ってる人か聞いてみたけど知らないとのこと。

ベルが服の裾をちんまり握ってるのが可愛い←兄馬鹿

 

「やぁやぁ!君たちはこの爺さんの家の子供かい?」

 

「ヘルメス様。初対面なのですからしっかり挨拶をしてください。こほん。失礼。はじめまして。アスフィ・アンドロメダと言います。よろしくお願いしますね」

 

あぁ。こいつがヘルメスで苦労人アスフィさんか。

 

「あ、どうもはじめまして。ユウ・クラネルと申します。こっちはベル・クラネル。私の最愛の弟になりますので弟や弟の周りにも手を出すと全力で潰しに行きますのでよろしくお願いします。」

 

ヘルメスとアスフィの頬が引きつっている。

 

「あ、あの!えっとベル・クラネルです!ユウ兄ちゃんの弟です!よろしくお願いします!」

 

よくできたぞー!とベルの頭をクシャクシャと撫でてやる。

ヘルメスとアスフィは控えめに言ってドン引きである。

 

「あーそういや爺ちゃんが客が1人とパシリが1匹くるって言ってたな。アスフィさんお茶と僕が作ったおやつありますのでどうぞ中に。ベルもおやつ作っといたから手洗っておいで!パシリさんはご自由にどうぞ」

 

「え、ちょっと待って?パシリって俺?アスフィかもしれないじゃん!てか俺の扱い酷くない?初対面だよね!?」

 

アメリカ人のようなやれやれのジェスチャーをしながらそっとヘルメスの肩に手を置く。

 

「初対面で馴れ馴れしくやぁやぁとか言う奴には辛辣な態度でいけって爺ちゃんから教えられてるからさ。あとアスフィさんがパシリの可能性?考えてみなさいよヘルメスさん。爺ちゃんだぜ?ハーレム至高とか言ってる爺ちゃんが女性、それも美女をパシリにするわけねーだろ。これだからパシリは。」

 

「兄ちゃん兄ちゃん!パシリって何??」

 

「んー使いっ走りのことだよ!都合良く使える奴隷みたいなもん?」

 

「それじゃアスフィさんじゃないね!爺ちゃんは女の子に絶対そんなことしないもん!女の子には優しく!ヤンデレとストーカー?は勘弁な!だもんね!ヤンデレとストーカーが何かわかんないけど」

 

ベルの頭を撫でてヘルメスにドヤ顔をしてやる。

ヘルメスはあの爺さんは孫に何教えてるんだよ。てかパシリって・・・とうなだれている。

 

とりあえず中に案内してゼウスも来て5人で座る。

そこに昨日作ったあんこをパンの中に詰めたアンパンと牛乳をみんなに出す。

全員食べて美味しくて驚く。

 

「これは・・美味しいです。ユウさんが作ったのですか?」

 

「アスフィさんユウでいいですよ。おそらく僕の方が年下なので。僕は今年で17ですので。あとご飯は僕が作りますね。」

 

これにはヘルメスも驚く。

 

「おやユウくんはまだ17歳かい?大人びて見えるから20代前半かと思ってたよ」

 

「ヘルメスさんは何千年も生きてるのに若作りジジイなだけで精神年齢10歳くらいですね」

 

ゼウス、アスフィは大爆笑し、ヘルメスは涙目だ。

 

「これこれユウ。もうそろそろやめてや・・れブフっ。」

 

「若作りジジイ・・フフっ。そういえばヘルメス様は不変なのでジジイでしたね。精神年齢も不変なのでしょうか」

 

ひとしきり大爆笑をした後ベルは鍛錬をしたいと言うので晩御飯の必要食材だけヘルメスに伝えてベルと庭に出た。

するとゼウスからとんだ言葉が飛び出す。

 

「ユウや。そこの嬢ちゃんと試合でもしてみたらどうじゃ?恩恵のないお前とレベル4の嬢ちゃん。良い鍛錬相手になるんじゃないか?」

 

「ふざけんな爺ちゃん!アスフィさんに俺が手出せるわけねーだろ!」

 

「構いませんよ。ヘルメス様の件で笑わせてもらいましたしレベル4なので恩恵のない人の攻撃くらいじゃ怪我はしません」

 

ゼウスを見ると頷かれた。ヘルメスは面白そうに見ていてベルはアワアワしている。

ベル可愛い。すんごい可愛い←兄馬鹿

 

「わかりました。刀は危ないので木の棒でやりますね。あとアスフィさん。俺の剣術はちょっと特殊なので気をつけてください」

 

お互いの距離が5メートルくらいで相対する。

開始の合図と共にユウが動く。

 

「縮地」

 

アスフィの目の前からユウが消える。

背中への悪寒を感じバッとしゃがむ。

頭上を木の棒が通過する。

 

「おお!これに対応できるとは!良いっすね!楽しくなってきた!」

 

ゼウス、ヘルメスは目を大きく開いて驚愕し、ベルは静かに目で追っている。そしてアスフィは冷や汗をかいて肩で息をしている。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!本当にユウは恩恵を持っていないんですか!?冗談じゃありませんよ!?」

 

「持ってないですよ?神に会ったのそこのなんちゃって神様だけですし。というかやっぱり試合やめません?アスフィさん戦闘職じゃないでしょ?剣士とか前衛なら縮地使ったとはいえ遅く動いたのに目で追えないなんてあるはずないですし」

 

全員無言になる。なんせあの縮地という技が遅く動いたと言うのだ。ゼウス、ヘルメス、アスフィは冷や汗タラタラである。

 

「え?え?みんなお兄ちゃんの動き見てなかったの??僕勉強になるなーって思ってずっと見てたのに!!ダメだよちゃんと見ないと!!」

 

「おーやっぱりベルはちゃんと見てたか!さすが俺の弟だ!よしベル!試合も終わったしさっきの縮地の練習またやるぞ!」

 

そうこのアホ兄は鍛錬1日目にして移動術の極意ともいえる縮地を原作前から仕込んでいるのだ。

しかしそれよりもアスフィさんが可哀想すぎる。恩恵のないやつにメンタルまでやられた上にベルに精神オーバーキルされてしまい泣きそうになっている。

 

ユウはアスフィも誘い一緒に鍛錬をすることにした。何個か自分の技を教えて泣きそうなのを誤魔化すために笑

 

晩御飯にはヘルメスに買わせたチーズとハム、トマト小麦粉などを使って外に石の竃を作りピサを作った。

この男日本時代から料理が趣味だったので作るのが上手い。

全員から美味いと言われホクホク顔だ。そしてベルとアスフィとオラリオの話をしながら3人で寝た。

 

ー神目線ー

「ヘルメス。あの子はすごいじゃろ。だが英雄にはならんとさ。ベルと儂だけの英雄になりたいんじゃと。黒龍討伐が儂の悲願と言うと討伐に行こうとしたから流石に止めたが。ヘルメスよ。あの子を利用しようとするな。あの子はマジでやばい。儂以外の神は殺しても良いだろとか言うくらいじゃから」

 

「いやあの子利用するとか無理ですから。初対面の最初の挨拶でベル君とその周りに手出したら潰すって本気で言ってましたよ。しかもウチで1番強いアスフィもあれですし。」

 

「うむ。まぁベルは英雄になりたいみたいじゃしベルの為ならユウも動くから大丈夫じゃろ。オラリオに行ったらよろしく頼むぞ。ユウもベルもたまに帰ってくると言っとるし儂の死偽造はいらんじゃろ。ユウに神ってバレとるしの」

 

「え、ユウくんにバレてるんですか。でもアスフィと試合してる時に言っていたことは嘘ではなかったんですが?」

 

「そこのなんちゃって神様だけですしじゃろ?儂とヘルメスが一緒に座っておったから儂もなんちゃって神様の括りに入れたから嘘はついておらんじゃろ?」

 

「なるほど・・ゼウスと俺だけにしか会ってないから嘘はついてないと。それも名前を言わなかったから括りかどうかもわからないと」

 

すごい頭の回る子だな。しかもあの実力。そしてゼウスの義孫か。しかもベル君もユウ君に鍛えられている。これはオラリオでは荒れるなぁ。

 

遠い目をしているヘルメス。そして2神の会合は終わる。

 

ヘルメスとアスフィはユウのご飯に胃を掴まれ今までで最長の1ヶ月ゼウスの家にいた。

その1ヶ月でアスフィはベルとユウと仲良くなりオラリオに行ったら一緒にご飯を食べることなどを約束していた。

 

ヘルメスとアスフィが帰ってからもベルとユウは鍛錬を続け、遂にオラリオに行くことを決意する。

 

「爺ちゃん俺らオラリオに行くよ。たまに帰るからその時はヘルメスに言って先に連絡するようにするから。ついでにちょくちょく手紙送るからちゃんと返してくれよ?」

 

「爺ちゃん病気と怪我には気をつけてね??僕らの名前がこの村に届くくらい頑張るから見ててね!」

 

ゼウスは眩しいものを見るかの様に目を細め、2人を抱きしめた。

2人も抱きしめ返し行ってくる!と伝えオラリオに向かった。

 

これから2人には色々な苦難があるだろう。

ユウには原作知識と力があるが故に苦難があるだろう。

ベルにはユウとユウから教えてもらった力があるが原作の様な苦難があるだろう。

しかし兄弟が揃っていればどんな苦難も乗り越えていけるだろう。

越えて行けたらいいなぁ。




駄作をお読みくださり本当にありがとうございます。

作者は仕事中にちまちま書いているのでペースはあまり早くないですが頑張りますのでまたよろしくお願いします(; ・`д・´)


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やってきました!大都会?オラリオ!

やっと原作に入れました。

ちょっと原作よりはっちゃけるかもですがよろしくです!

アスフィとの絡みをもっと増やしたい作者です。


大きな城門と城壁に囲まれた都市オラリオについた。

え?道中?ゴブリンをベルがフルボッコした以外なんも無かったよ?いやほんとに何もなかったから語ることはないですはい。

 

「うわーお兄ちゃん!オラリオだよ!大きいね。ここで爺ちゃんにまで届くくらい頑張るんだよね!」

 

「おうおう。ベルは可愛いなぁ。爺ちゃんにまで届くくらいならベルの言う英雄くらいにならねーとな!とりあえずアスフィに聞いた通りにギルドってとこに行ってファミリアに入らねーとな」

 

「そーだね!でもホントにヘルメス様のファミリアじゃなくていいの??アスフィお姉ちゃん期待してると思うんだけど・・・」

 

「あーヘルメスんとこ探索系じゃねーだろ?ベルが英雄になるんなら探索系の方が良いだろ。それに入ってから1年は移動もできねぇらしいからなー。とりあえずギルドで聞いてファミリア見つけてからアスフィと飯食いに行こうぜ。」

 

ヘルメスんとことか暗躍しかしねぇしそれも爺ちゃんの指示だから入る旨みが一切ねぇんだよな。アスフィがいるから入りたいのはあるけどロリ巨乳んとこでもいいんだよなぁ。

とりあえずベルにファミリアは丸投げしとくか。

 

内心ではロクなことを考えてないユウだった。

それはともかくユウとベルはジャガ丸くんを買い食いしながらギルドを探す。

ベルは都会にはじめてきたので歩くだけでも嬉しそうだ。

 

ウチの弟世界一可愛いと思いながら歩く兄はギルドっぽい建物を見つける。

 

「ベル!あれ冒険者っぽい格好の奴等が入って行ってるからギルドじゃね?」

 

向かいの大きい建物を指差しベルと一緒に入ってみる。

受付で名前とファミリア探しを伝え、椅子で待っていると呼ばれたので2人で向かう。

 

「はじめまして。エイナ・チュールと申します。今回お2人の担当となりましたのでよろしくお願いします。ユウ・クラネル氏とベル・クラネル氏はファミリアをお探しでよろしいですか?」

 

丁寧な言葉と態度で対応してくれたのは原作でも有名なエイナさんだった。

スパルタ講義されんの嫌だなぁと思いつつも返答する。

 

「はじめまして。ユウ・クラネルです。ベルの兄で17歳です。ベルも僕も探索系ファミリアを探しているので良ければリストなんかを貰えればと思いギルドにきました。」

 

ベルも挨拶をしてリストを取りに行ったエイナさんを待つ。

ベルから綺麗な人だねと言われ頷くがベルよ。スパルタ講義と説教されるんだぜ?ある業界ではご褒美だぞ☆

エイナさんからリストをもらい、決まったらまた来る様にと言われギルドを出る。

 

楽しみなのかソワソワしているベルを横目に門前払いされるんだろうなーと思っているユウ。

ベルは見た目がモロ兎でユウもユウで黒髪のショートで身長は180あるものの見た目はヒョロい。

そして何よりもイケメンではあるが童顔である。

日本人は外人から見れば童顔だし・・・との事らしい。

 

案の定リストにあるファミリアは全滅。

ロキファミリアでは兎ともやしは要らないと言われ刀で斬ろうかと思ったくらいだ。

 

ベルは意気消沈し、噴水の淵に腰掛けながらジャガ丸くんをモキュモキュしている。

うん可愛い。さてそろそろずっとついてきてるロリ巨乳と接触するか。

 

「ベル。そんな落ち込むな。あんなクソみたいなことしか言わないファミリアなんかこっちから願い下げだ。

その辺にいる神様探して突撃するか最悪ヘルメスに紹介状書かせて無理矢理面接行くから問題ねぇ」

 

そう言って立たせて頭を撫でてやる。

ベルも笑顔になったのでロリ巨乳に接触する。

 

「ところで俺たちの記念すべき18件目のお断りされたとこからずっとついてきているそこのロリ巨乳を司る女神様はなんか用か?」

 

「え、えええ!バレてたの!?しかもなんで下界の子がロリ巨乳ってあだ名知ってるんだよ!てかロリ巨乳司るって何さ!僕はヘスティア!竃を司る女神だよっ!」

 

ツインテをうにょんうにょんさせながら怒ってる女神様。ヘスティアが現れた!

仲間にしますか?

はい←

いいえ

 

「僕がついて行ってたのわかっちゃってたかぁ。僕女神なんだけどヘッポコでさ。誰も眷属になってくれないんだ。僕は家族が欲しいんだ。だ、だから良かったら家族になってくれないかな?」

 

俺とベルは顔を見合わせて頷く。

 

「「よろしくお願いします!ヘスティア(ロリ巨乳)様!」」

 

ヘスティアの顔は半分がすごい笑顔で半分は引きつっていた。

それを見て大爆笑のユウ。

困った顔のベル。

 

やがて全員が笑顔になり、ヘスティアに言われて本屋に向かった。

そこで原作通りに恩恵を刻むことになったが、原作と違いベルにもスキルが発現し、もちろんユウにもスキルが発現した。

 

ベル・クラネル

レベル1

力:I0 耐久:I0 器用:I0 敏捷:I0 魔力:I0

魔法

 

スキル

一筋模倣 憧れを模倣し続けることによって成長速度が上がる。レベル又は技術が自分より上の目標を模倣し続ける限り成長は止まらない。

目標を越えた。又は目標が変わると成長速度はリセットされる。

現在 (ユウ・クラネル)

 

 

ユウ・クラネル

レベル1

力:I0 耐久:I0 器用:I0 敏捷:I0 魔力:I0

魔法

日本商店 日本の商品を買える。リストオンと脳内で唱えればリストが出てくる。他人には見えない。ヴァリス換算されるのでリストに入れればチャージされる。

ダンジョン内での使用不可。

スキル

超絶弟愛 弟(ベル・クラネル)に危機が迫ると全ステイタス超上昇。成長速度が早くなる。弟に対する愛情により成長速度、ステイタスの上昇率が変わる。

愛情が失われた時このスキルは破棄される。

 

刀神乱舞 刀使用時(居合に限る)に切れないものが無くなる。刀以外を使用した場合は使用不可。

 

ヘスティアはドン引きした。というより白目を剥きそうになった。

え?成長促進スキルが2人共?これ絶対レアスキルじゃん。というかユウくんの魔法なんだよ!日本ってどこだよ!と思いつつベルのスキルとユウの成長促進の部分だけ消して見せる。

 

「おお。魔法とスキル2つか。ベルも頑張ったらスキルも魔法もこりゃ出てくるな!なんたって俺の弟だからな!」

 

「流石兄ちゃん!羨ましいけど僕も頑張ったら出てくるよね!なんたって兄ちゃんの弟だもんっ!それより兄ちゃんのスキル!僕もスキルに出るくらい兄ちゃん好きなのになんで出ないんだろう・・」

 

「ふっ。ベルよ。これが兄の実力だ!弟好きなら世界の誰にも負けんっ!!ベルがスキル出ないのは俺のベルへの愛情の方がすごいからに違いない!俺の愛情を上回るほどになればスキルが発現するだろう」

 

ドヤ顔でユウが言っているのを横目にヘスティアは汗をダラダラ流す。

ごめんベル君。ベル君の愛情もスキルに出てるんだ。伝える勇気のない僕を許してくれぇぇぇ。

それにしてもユウ君のスキル怖すぎるだろ!ベル君好きすぎるでしょ!なんだよステイタスの超上昇って!上昇より上かよ!

 

そして3人はホームである廃教会に向かった。

うーわボロっ。と思わず呟いたのはユウ。

ベルは秘密基地みたいでワクワクしていた。

 

ユウは魔法のことを思い出しリストオンと脳内で唱えてみる。

すると目の前にパソコンの画面みたいなのが出てきた。

色々見ると味噌や醤油など色々あったので試しにオラリオに来る途中に狩りまくった魔石を換金した800ヴァリスを入れてみた。

買える様なので味噌を買うと虚空からスーパーに置いてある味噌が出てきた。

ベルとヘスティアが驚き、聞いて来るので魔法を使ったと答えて晩飯を作ることにした。

その間にベルにヘスティアへの説明を頼んだ。

 

ヘスティアは味噌汁の旨さに涙を流したのは蛇足だ。

 

とりあえず米が食いたくて仕方ないので明日はダンジョンでモンスターを狩りまくることにした。

ベルに明日の予定を伝えてベルはソファで、ヘスティアはベットで寝ることにし、ユウは教会の長椅子に横になることにした。

 

あ、アスフィんとこ行ってねぇ。

「おい!ベル!アスフィんとこ行ってねぇぞ!!やべぇよ!今日来てるのバレたら怒られるぞ!」

 

ベルも顔を真っ青にして外に出る。

ヘスティアに知り合いに会ってくると伝えてダッシュでギルドに向かう。

エイナさんがいたのでヘスティアファミリアに入った事を伝えてヘルメスファミリアの場所を聞く。

明日の朝ギルドに寄って詳しい話をすると伝えてベルとまたダッシュする。

 

ヘルメスファミリアに着いて門番の人にアスフィとヘルメスに会いに来たと伝えると不審げな表情をされるが話を通しに行ってくれた。

 

するとアスフィが小走りでこっちにきた!

 

「おーい!アスフィー!遅くなってすまん!今日来たけどファミリア探しが難航してな!」

 

「アスフィ姉ちゃーん!オラリオきたよ!」

 

手を上げて声をかけベルは手を振ってぴょんぴょんしている。あ〜可愛いんじゃぁ。

 

「今日来たのはお爺様から聞いて知っていましたが何かあったのかと思いましたよ。でも2人とも無事で良かったです。さぁ中に入ってください。ヘルメス様もお待ちしてますよ。」

 

「いやぶっちゃけヘルメスはどうでも良いんだけど」

 

アスフィは苦笑いだが自分に会いに来てくれたのを知って嬉しかった。とりあえずお茶でも出して話を聞こうと思いヘルメスの部屋まで連れていった。

 

「やぁ2人ともオラリオによく来たね!元気だったかい?色々話を聞かせてくれよ!アスフィも聞きたいだろうしね!」

 

「ようヘルメス!あ、そうそう聞いてくれよヘルメス!今日だけで探索系ファミリア30件回ることになったんだぜ!?しかもタケミカヅチ様のとこ以外全部門前払いだぜ?ロキファミリアとか門番やってるやつに兎ともやしって言われて刀に手かけそうになったわ!」

 

ヘルメスとアスフィは思わず笑ってしまった。

 

「しかしロキのとこが門前払いとは珍しいね?あそこは基本ロキか幹部のとこまで通されて面接のはずだけど・・ちょっと待ってユウ君。落ち着いて座ってお茶飲んで。刀置いて。」

 

「ユウ落ち着きなさい。良かったじゃないですか。ベルと同じファミリアに入れたんですから。それにロキファミリアに入れば他派閥のヘルメスファミリアに来れなかったかもしれないですよ?大手はちょっとした噂も嫌がりますからね。」

 

「ふう。あの門番ダンジョンで会ったら行方不明にしてやる。あ、ロリ巨乳ファミリアに入ったんだけど俺ら2人しか眷属いねーでやんの。しかもホーム廃教会。でも良い女神様だよ。ついでに俺魔法1つとスキル2つ出たわ。俺のベルへの愛情がスキルになっちまったぜ☆」

 

魔法1つとスキル2つのところで唖然とするヘルメスとアスフィだがベルへの愛情と聞いてうわそりゃ絶対スキルになるわと思って納得してしまった。

 

「てことでヘルメス金出せやゴラァァ。」

 

え?なんで俺カツアゲされてるの?とヘルメスは思うものの何か理由があるんだろうなとユウの性格を知っているので二千ヴァリスを渡す。

すると目の前でヴァリスが消え虚空から何か出てきた。

それに驚いていると魔法だと聞いてどんな魔法だよっ!とアスフィと共につっこんでしまった。

 

そして厨房を貸してくれと言われたので貸し、ベルと話をしているとユウが食事を持ってきた。

 

「ほれ。これが俺の最高傑作のオムライスだ。東で良く食べられる米を卵で包んだもんだ。」

 

丁寧にケチャップでアスフィと腹黒と書かれている。

苦笑いしつつ食べると2人ともガツガツ食い始める。

 

「これはもの凄く美味しいです!ユウありがとうございます!大好きです!」

 

「おう。俺もアスフィ大好きだぞー。また時間あれば作ってやるからウチのホームでも来いよ!こっちのホームも週2くらいで顔出すわ」

 

「僕もアスフィ姉ちゃん大好きだよ!今度はみんなで一緒に食べようね!」

 

アスフィのどさくさに紛れての告白はベルの大好きのおかげで家族としてになってしまった。

アスフィはユウの事が好きだがユウもベルも実家に顔を出してくれる従姉妹くらいになっている。

ヘルメスは我が子の恋愛は大変だなーと思いつつもユウならアスフィを任されると思っているしヘスティアファミリアなら特に問題もないのでアスフィ頑張れ応援してる!状態である。

 

そこから魔法について他派閥だがヘルメスとアスフィにだけは他言無用で詳しく教え、爺ちゃんに手紙を渡しに行く時に口頭で地元の美味い飯食わせてやると伝えてくれと言った。

 

ちなみにスパルタ教育を受けるのが嫌なのでアスフィにダンジョンについてユウとベルはあれこれ聞いて予習している辺りユウは腹黒いというか小狡い。

 

それからしばらくして解散することになりアスフィに明日は私がヘスティアファミリアに行きますねと上目遣いで言われドキッとするハプニングがありつつベルと仲良くホームに帰った。




ダンジョンまで遠い・・・

次は何としてもダンジョンに向かうぜ!

ではまた!


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あらあらダンジョンさんこんにちは!

よっしゃー!ダンジョンに突撃!!

原作と違いベル君とユウ君。1、2階層とか無双します。ゴブリン相手に逃げたりしません。


昨日ヘルメスが先立つものは必要だしアスフィのご飯とたまに俺のご飯も頼むよと言われて1万ヴァリスを貰ったので日本商店で土鍋と米、豆腐に長ネギ、卵、鮭を買い純和風というか日本のザ・朝飯のテンプレを準備してベルと駄女神を起こす。

 

2人とも美味い美味いと言い食べるので余は満足じゃ。

洗い物はヘスティアがバイトまで時間があるのでやってくれるらしいので任せてベルとユウは部屋の掃除と教会の入り口を掃除する。

その後2人はギルドへ。ヘスティアはバイトへ向かう。

 

ギルドについてエイナさんに昨日のファミリアに入るまでと入ってからの詳しいことを説明し、ダンジョンに向かうことを伝える。

 

ギルドからの武器の支給品はユウは刀をベルはアスフィに頼んで用意してもらったナイフを持っているので断った。

エイナさんがダンジョンに入る前に知識が必要だよと言い勉強する流れになる。

 

だがしかし安心しろ。ユウという男は口先ならば誰にも負けない!

 

「エイナさん。心配してくれているのはわかりますしもの凄くありがたいです。ですが僕達兄弟も何も考えずにダンジョンに行こうとしてるわけではないんですよ。情報はどんな戦いでも最高の武器です。その情報を仕入れずに行くわけないでしょう。昨日の夜に冒険者になる前から懇意にしていたヘルメスファミリアのアスフィ団長から5階層までの出現モンスターとマップを聞いて全て頭に入れてきましたよ。ですので問題は無いですし余裕のある状態でダンジョンから出るようにするのでご心配なく。あ、でもアスフィは忙しいのでもっと情報が欲しくなったらエイナさんに頼らせて貰っていいですか?」

 

この男ぐう正論をぶつけた挙句ごまを擦ってやがる。ベルは良く分かってないのがとりあえずエイナさんに頼ってもいいんだよね?あれ?と首をかしげている。

その保護欲駆られる姿にエイナさん陥落。そしてユウの言っていることを考え、初心者あるあるのとりあえず行ってみるかの精神でもなくすごく慎重に事を進めていることに感心しつつ少しだけ気をつけるように言い許可を出す。

 

け・い・か・く・ど・お・り☆

内心でこんなことを思いつつ真面目そうな顔をしているユウ。ベルもエイナさんの顔を見てニコニコしている。

 

そんなこんなでやっとダンジョンに入ることになる。

 

「ベル。とりあえず今からダンジョンに向かうわけだが分かってるな?」

 

「うん!敵見つけたら即座に殲滅!魔石の回収は後!相手が弱いと分かっても油断せずに殲滅!強いと思ったら1人でやるより兄ちゃんと協力して殲滅!兎にも角にも敵は全て殲滅!でしょ?」

 

うむうむと満足そうに頷くユウ。

周りの冒険者は殺人兎じゃねーか。言ってること恐ろしすぎるぞこの兄弟と軽くドン引きである。

 

そして2人はダンジョンへと足を踏み入れる。

 

さてダンジョンに入ったわけだが強い気配が全くねぇな。こりゃベルの修行と俺の恩恵貰う前と後の動きの誤差の確認で終わっちまうな。

そんなこんなで縮地やらなんやらを使い身体の感覚を慣らしていく。

ベルはベルでゴブリンとコボルトの首を一撃で狩り取って行く。

もの凄く物足りないがエイナさんとの約束もあるので1、2階層で我慢しつつアスフィにお願いしてエイナさんを説得してもらえねーかなとか考えたりする。

 

1、2階層のモンスターを狩り尽くしたんじゃねーかなくらい狩り、ギルドに魔石を換金しにいく。

 

換金すると4500ヴァリスだった。そして多過ぎる!とエイナさんに2人とも呼ばれる。

 

「2人とも何階層まで行ったの?正直に答えなさい。」

 

2人とも首をかしげて2階層と答える。

 

「あーもしかしたらなんですけど恩恵貰う前からアスフィに戦闘技術教えてもらってたので多分普通のレベル1より強いです俺ら。

2人かかりならアスフィにも傷つけれるし。女性なのであんまりやりたくないんですけどね。嘘ついてないんでなんならアスフィ呼んできますよ?」

 

エイナは考える。それが本当ならレベル1の範囲に留まらない。アスフィ・アンドロメダはレベル4の冒険者であるしユウとベルのことを良く知っている様子だ。

ならばいっそ冒険者目線からどこまで行っていいか相談してみるのも手ではある。もちろんギルドの職員としてのプライドもあるがこの2人は申し訳ないが今までの冒険者と違い過ぎてわからないのである。

よって時間があるのであればギルドまでご足労願えないかと手紙を書いてユウに渡す。

ユウは手紙を受け取ってアスフィを呼びに行き、すぐに帰ってきた。

 

「はじめまして。ヘルメスファミリア団長のアスフィ・アンドロメダです。この2人について相談があると手紙に書いていましたが?」

 

エイナは今までの出来事を話し、判断が出来ないことを伝えるとアスフィは苦笑いしてよくわかりますと言う。

 

「この2人は恩恵を受ける前から少し鍛錬し過ぎましてね。ちょっと規格外な部分がありますから気持ちは良くわかります。

そうですね。ダンジョンに不慣れな部分もありますから安全マージンを取ってソロならばベルなら5階層。ユウなら10階層。2人ならゴライアスと戦わない、中層のモンスターの危険度を把握させるという前置きありきなら18階層が妥当なラインでしょう。

私もヘルメス様について色々な場所を回らなければなりませんので毎回ここに来れるわけではないのであとは話を聞いてエイナ嬢が決めていただければこの2人も文句は言わないと思いますよ。」

 

ベルとユウはコクコクと頷く。

この辺は似た者兄弟だなとエイナとアスフィは思いつつ苦笑する。

エイナはアスフィに感謝を伝える。そしてアスフィの言った通りのことを伝え、守るように言う。

 

 

アスフィと共に2人もギルドから出る。

 

「アスフィほんとありがとな!アスフィがいないとどーなってたことやら。」

 

「アスフィ姉ちゃんありがとう!兄ちゃん!僕兄ちゃんに追いつけるように頑張るからダンジョンに慣れるまで一緒にいてそれからはソロでお互いがんばろ!」

 

「2人とも落ち着きなさい。ユウは仕方ないですよ。恩恵がない時点で私より強かったと言っても誰も信じませんよ。

ベルは早く強くなりたい気持ちはわかりますがまずは死なないこと。大怪我をしないことを前提として頑張りなさい。」

 

ユウとベルはアスフィの言葉に頷き笑顔になる。

ユウはアスフィの手を取り飯作ってやるからウチのホームに行くぞと伝え、逆の手をベルも掴む。

アスフィは頬を赤らめながらも笑いながら頷く。

 

商店街のおっちゃんおばちゃんに冷やかされても3人は笑いながら対応し、ホームにいく。

 

その夜はヘルメスも呼んでみんなでユウのご飯を食べて満足した。ヘルメスが来た際ヘスティアと何か話をしていたがユウはご飯を作っていたので気づいてない。

 

ー神たま目線ー

 

「ヘルメス?ああなるほど。ユウ君とベル君の知り合いはヘルメスだったのかい。たしかにヘルメスは都市外によくいくもんね。」

 

「あぁ。あの子達とは昔からの付き合いさ。アスフィも連れて行ってたから仲も良いしね。あの子達の主神がヘスティアで良かったよ。あの子達もヘスティアは良い女神だって言ってたし。ところでヘスティア。相談があるんだが。」

 

「なんだい?おおよそ見当はつくけどね。」

 

「アスフィなんだが昔からユウ君のことが大好きでね。でもユウ君もベル君もアスフィの事は好きな従姉妹って感じなんだ。

でも俺は親としてアスフィの初めての恋は成功して欲しいと思ってる。それに俺個人としてもユウ君とベル君は好きだしな。だから他派閥だが会うの禁止とかはやめてほしい。」

 

「バカ言うなよヘルメス。僕のファミリアは零細ファミリアだぜ?むしろ他派閥と協力したいくらいだし僕はあの2人のおかげで家族ができたんだ。あの2人がアスフィ君を家族だと思ってるならアスフィ君だって僕の家族さ。ロキのとこはお断りだけどね!聞いたかい?ユウ君とベル君が面接に行った時・・・・

 

途中からロキに対する愚痴になっていたがヘルメスはそっと目を閉じてヘスティアに最大限の感謝を送った。

同じ神だからこそ腹の探り合い・貶し合いになりやすいがヘスティアという女神は天界の時からそうだ。

本当に懐の深いというか器が大きい女神なのだ。

ヘルメスは心の中で協力はここまでかな。アスフィ頑張れよ。と呟く。

 

 

それからしばらくはベルとユウは2人でダンジョンに潜っていたが慣れて来たのでソロにも慣れようと別れて潜るようになった。

ユウはなんか忘れてるなーと思いながら日々を過ごしていく。

 

 

 

ある朝、ベルはダンジョンに向かいユウはヘルメスに呼ばれてヘルメスファミリアに来ていた。

ヘルメスが呼ぶのは珍しいなと思いヘルメスの私室に入る。アスフィも当然いた。

「やぁユウ君!わざわざ来てもらって悪いね。ちょっと君たちのお爺さんのところに行くので手紙とか伝えてほしい事があれば持っていくよ?」

 

「なるほどな。爺ちゃんの件だったか。ヘルメスが呼ぶのは珍しいから何事かと思ったよ。手紙はホームにあるから後で持ってくるよ。あと長旅になるだろうから保存が効いて美味い飯魔法で取り寄せてやるから持って行ってくれ。」

 

そう言ってカップラーメンなどを購入する。爺ちゃんにはせんべいを用意した。

アスフィには誕生日も近いので香水と化粧水をあげた。

ホームの部屋用にロウソクアロマも上げてかなり喜ばれた。ついでにホームに帰った時にベルの手紙とベルからアスフィへの誕生日プレゼントの箱を渡した。中身は知らないが後日ホームにやってきたアスフィはベルを猫可愛がりしていたので良いものだったのだろう。

 

そして2人を見送り、ギルドの前を通ると真っ赤な少年が走っていた。いや真っ赤な少年ってかベルだった。あれ?あっ!!忘れてたァァァ!!ミノたん戦今日だったのか!!

確かに中層でミノたんと戦ったけど今のベルには厳しいかなと思ってた。とりあえず今やる事はベルの首根っこを捕まえてシャワーにぶちこむことだ。

ぶち込んで話を聞くとなんとか互角に持ち込んで戦っていて懐に入ったらいきなりミノたんが細切れになって何が起こってるかわからないうちに血まみれになりアイズに会って謝られて謝っての無限ループに恥ずかしくなって走って逃げたとのこと。

ベルェ。お前さんちゃんと謝ってしまったらアイズフラグ立たねぇじゃん!とりあえず惚れたかの確認するしかねぇ!

 

惚れたか?と聞くと真っ赤になったので良しとしよう。

さてさて豊穣の女主人で会うフラグは立つかな?あ、俺の飯のせいで立たんかも。

 

とりあえず明日の朝は出る時間一緒にしとこう。そうしよう。あ、あとまだ1つ忘れてることあったわ。スキル発現してっかなーと思って気づいたけど俺ら2人1回もステイタス更新してねぇな笑

 

ベル・クラネル

力SS1078 耐久S999 器用ss1098 敏捷SSS1210 魔力S999

 

ユウ・クラネル

力SSS1207 耐久A 890 器用EX ¥%× 敏捷EX ¥%x 魔力SSS1341

 

2人とも魔法とスキルは変わらずいやベルのリアリスフレーゼは発現したが原作と同じだった。

俺の方は器用が文字化け起こしちゃった☆

あれ?ちょっとまて。ベルの憧憬一途って今回発現のはずだろ?なんでミノたん戦で勝った時のステイタスになってんだ?

いくら原作前に俺が鍛えたとはいえ成長促進のスキルがないベルがここまで上がるのはおかしい。

しかも俺も異世界から来たとは言えこんな簡単にステイタスは上がるものじゃないはず。

あーこのロリ巨乳原作と同じで隠してやがるな。

ベルを先にダンジョンに行かせて問い詰めるか。

 

 

「さてロリ巨乳。俺とベルのスキルで隠してる部分、おそらく成長促進スキルを見せなさい。アスフィにもヘルメスにも言われてるからベルには隠したままでいい。で、どういうスキルなの?」

 

「う、バレちゃったかい。うん。これなんだけどベル君は最初からユウ君に対してのスキルがあって今回発現したのは憧憬一途ってやつなんだ。ベル君一途すぎやしないかい?」

 

おお!ベルよ!俺に憧れてくれてるのか!ふふふ。頑張らないといけないな!

 

「まぁなんだ。ヘスティアがベルと俺に対して考えてくれてるのはわかったし隠してた事に関してもベルは素直だから正解だと思うわ。これが露見して神どものおもちゃにでもされたらその神ぶっ殺しに行かなきゃダメだったからな」

 

「神殺し宣言やめてくれないかな!?僕の胃が壊れちゃうよ!!とりあえずベル君には内緒にしといてくれよ。」

 

ユウは頷き、ベルを追いかけてダンジョンに向かった。

 

 

 

ダンジョンでベルを見つけ、久しぶりに一緒にコンビを組んで戦うことにした。ベルは5階層までしか行っていないみたいなので俺が行っている13階層までをモンスターなどを教えながら進んで行く。

 

「ねぇ兄ちゃん。僕アイズさんに追いつけるかな?ギルドで聞いたらレベル5なんだって。兄ちゃんはレベルに関係ないってアスフィ姉ちゃんに言われてるけど僕は普通だから不安で・・・」

 

「我が愛しの弟よ。お前はアスフィがそう言うくらいの兄の弟だぞ?レベルなんて関係ないくらいの技術も知識もベルに教えてやるさ!ベルが普通なわけないだろ?なぜかってお前さんは人より遥かに愚直に努力ができるからだ。そんな弟を俺は尊敬するよ。」

 

ベルは嬉しそうに笑う。ずっと憧れている大好きな兄に尊敬すると言われたのだ。ここで弱音を吐いて足を止めるなんてできない。兄に心配をかけない程度に全力以上の力で前に進む!

そう覚悟しているベルを見てユウは目を細めて頭を撫でてやった。

そうしてダンジョンから帰ろうとしているとベルから一緒に豊穣の女主人に行こうと言われまた原作を忘れていたことに気づいた。

一旦ホームに帰り、ヘスティアも誘う。

 

「おーいヘスティア。今日ベルが誘われた飲み屋行くんだけどヘスティアも行こうぜ!俺が奢るからよ!」

 

「な、なんだってぇぇ!?ぐぬぬ。すまないユウ君ベル君!!僕今からバイト先で打ち上げなんだ・・・」

 

ツインテをしょんぼりさせるヘスティアにユウとベルは苦笑する。

 

「神様神様!今度一緒にファミリアみんなで食べに行きましょうね!神様も今日は楽しんでください!」

 

「んーそうだな。予定が被っちまったのは残念だけど仕方ねーよ。また今度行こうぜ」

 

ヘスティアは未だにぐぬぬと言いながらホームを出て行った。

ベルと一緒に豊穣の女主人を探していると見つけた。

 

「ベルさん来てくれたんですね!横の人は?」

 

「はじめまして。ユウ・クラネルです。ベルの兄でベルを嵌めようとしたりベルに対して害を与えるやつらを後悔するのも温いくらいにぶっ殺す男です。」

 

ベルはもう兄ちゃん!とポコポコ殴ってくる。うんぐぅ可愛い。

シルはドン引きしながら席に案内する。

 

「おや。あんたらがシルの言ってた冒険者かい?兎に・・そっちのあんた何者だい?空気はレベル1なのに相当な実力者だろ?」

 

「女将さんも強いね。オラリオで俺が見た中では1番強いよ。何よりもあんたの作る飯は美味いと見た。俺も趣味、特技は弟に作る料理なんでね!!」

 

ミアとユウはニヤリと不敵な笑みを浮かべて握手する。

シルをはじめ店員は目を開いて固まり他の客も驚いている。

 

「で、あんたら大食いなんだって?サービスしてやるからじゃんじゃん頼みな!」

 

「え?大食い?ベルもしかして今までの俺の飯足りてなかった?」

 

「うぇぇぇ!?ぼぼ僕は兄ちゃんのご飯が世界一美味しいと思ってるし毎日お腹いっぱいだよ?なんで大食いなんてことになってるの??」

 

シルを見るベル。

 

「お腹を空かせた冒険者様が今日来られるとミア母さんに伝えたら尾びれがつきまして」

 

テヘヘと笑うシル。だがシルよ良いのか?横には弟の為なら鬼畜を超えるレベルの兄がいるんだぞ。

ガシッとシルの頭を誰かが掴む。

 

「へいシルちゃん。ヘスティアファミリアは1週間くらい前に発足した零細ファミリアだぜ?何よりもベルを嵌めようとしたチミの根性が気に入らん。何か弁明は?」

 

冷や汗ダラダラのシル。

 

「え、えーと、その、本当にすみませんでした。」

 

ユウは手を離す。

 

「まぁ始めてきた店で女将さんの料理の腕は見た感じピカイチだ。これは確実にうまい。金を多めに出してでも食うべきだと思う。だがなベルを嵌めようとしたことは許さん。そして何よりシルちゃん。そんなことばっかしてると周りに迷惑かけちゃうぞ。女将さんはもちろんだが俺に攻撃しようとしてたそこの金髪エルフ。あいつシルちゃんがやられてると思って俺に攻撃しようとしたんだろ?でも俺からしたら先に仕掛けてきたのはシルちゃんなわけだ。でもいきなり横から攻撃された。

そしたら女将さんの飯は食えないし自分目線だけで攻撃してくる暴力店員がいるってイメージがつきましたと。

店を追い出された俺はその商店街のおっちゃんおばちゃんと仲がすげー良いからそれを愚痴るわけだ。

そしたら女将さんは何も悪くないし美味い飯作ってただけなのに風評被害にあい、金髪エルフは何も悪くないやつ相手に手を出す暴力店員って噂が立つわけ。

そもそもシルちゃんが嵌めようとしなけりゃいい話なのにね。だからこんなやり方やめなさい。普通に可愛いんだから普通に話かけりゃ客なんか寄ってくるだろ。」

 

そう言ってシルの頭を撫でてやる。シルは目に涙を溜めながら抱きついてきた。

一方で金髪エルフはなんとも言い難い顔をしてこっちにくる。

 

「あの・・申し訳ありません。リューと申します。確かに私が愚かだった。短気すぎますね。」

 

「いやわかりやすい例としてあげちゃっただけだからこっちもすみません。ユウ・クラネルです。こっちは弟のベルです。実害もありませんでしたし何も起こってない。ここは酒場で女将さんの飯を食う場所。さてそこの従業員のお2人が今からすることは?」

 

ニコッと笑って2人に手を振る。2人の笑い店の仕事に戻った。

机にドンドンと食べ物が置かれる。

 

「これは礼だよ!あの子のあれは危うかったからね。あたしが言っても聞きやしない。ちょっとは反省しただろうさ!兎とユウだったね!好きなだけ食べな!」

 

ベルとユウはガツガツと食べ始める。

美味しいー!うめぇぇぇ!と2人は言いながら食べている。

シルもやってきてベルに謝って話をしている。

まぁそもそもベルは全く気にしてないしな。

 

すると団体の客がゾロゾロと入ってきた。

ベルがソワソワし始めたのをみてロキファミリアか。と思いチラっと見る。

 

「ほな遠征お疲れー!!食って飲んで騒げぇぇぇ!!カンパーイ!!」

 

おそらくあのエセ関西弁がロキだろう。

オラリオにきてロキファミリアには色々やられてるので正直言ってあまり好ましくは思ってない。

というかぶっちゃけ1番嫌いなファミリアだ。

 

とりあえず無視してベルとご飯を食べ、ベートが言い始めると介入することにした。




中途半端になってしまった。

ごめんなさい(´・∀︎・` )


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ロキファミリア?正論で叩き潰す☆

えーとロキファミリア嫌いじゃないのに。
むしろ好きなのにどうしてこーなった。


もぐもぐ飯を食べてるとキッチンの女将さんが悩んでいるのを見つける。

 

「女将さんどうした?なんか問題か?」

 

「客のアンタに言うのもなんだけど発注してた調味料が違うやつでね。料理が作れないんだよ。」

 

話を詳しく聞くと鶏肉の料理を作ろうとしていたらしいので1つレシピを教えようと思う。

 

「女将さんの飯は美味いからな。これは礼だと思ってくれ。」

 

唐揚げのレシピを教え、ホームから調味料を取ってくると言い路地に出て日本商店から材料を取り出し袋に入れて持っていく。

1つ作って女将さんが食べると驚愕しお礼を言ってくる。

唐揚げを作ってロキファミリアのテーブルに持っていき、ユウは良いことをしたと満足しているとベートのあの会話が聞こえてきた。

 

ベルをボロクソに言い、フィン、ガレス、リヴェリア、アイズ以外が笑う。

ベルは震え、ユウは心が冷たくなっていく。

 

「ベル。お前はあんな笑われるようなやつじゃない。あいつらはクソだ。お前はお前なりに前に進め。」

 

それだけ伝えて席を立ちロキファミリアのテーブルに歩いていく。

訝しげにユウを見るロキファミリアの面々。

ユウはフィンのところまで行って話かける。

 

「宴を楽しんでいるところ申し訳ない。俺はヘスティアファミリアの団員のユウ・クラネルといいます。ロキファミリア団長のフィン・ディムナさんですよね?」

 

「ああ。僕がフィンだよ。それでどうかしたのかい?」

 

「失礼を承知で言わせていただきたい。そこの狼がさっき話をしていた件についてなのだがそのトマト野郎は俺の弟でね。ほんの1週間前に登録したばかりの駆け出しなんだ。ステイタスに応じてギルド職員にどこまで行っていいかをちゃんと相談して潜っていた。

確かにダンジョンだしイレギュラーはあるだろうが今回の件に関しては大手中の大手であるそちらの不手際は原因だと思うのだが?

そちらの不手際を棚に上げて酒場でボロクソに言い、周りで止めるのはそちらのエルフの方だけだ。大手の団長であるならば自分達の評判を落とすような団員にはあなたが注意すべきことではないだろうか。」

 

周りはシーンとなる。それもそうだ。誰かわからないやつにオラリオで1、2を争うファミリアの団長が文句を言われているのだから。

 

「ああん?雑魚が何言ってやがる!全て本当の事だろうが!てめー等みたいな雑魚はホームから出て来なくていいんだよ!」

 

「やめろベート!!いやすまない。これは完全に僕達の落ち度だ。後日きちんと謝罪させてもらう。」

 

「いえ。謝罪は必要ないですよ。ですが団員の手綱はきっちり取っていた方がいい。俺はオラリオでロキファミリアが1番嫌いだ。オラリオにきて心に残っている嫌な事は?と聞かれればトップ3は全てロキファミリアの団員の行動、発言だ。

ロキ様は良い神だろう。先程までの宴での言動で良く分かった。だが親がいくら良い人でも子供はそうではない。

ならば親の見えないところでは長男であるあなたが見るべきだと思う。」

 

「ちょい待てやアンタ。うちの事を褒めてくれるんは嬉しいけどなウチの自慢の子供が何したっちゅうねん。ここで言うてみぃ。」

 

ユウは悩みどうするか考える。

 

「ロキ様。そこの狼の彼。ベートローガがさっき言った事お忘れですか?まぁ言い方はキツイですが僕に言った雑魚はホームから出るなは彼なりの優しさでしょうが俺の弟に言ったことは違う!!ただ罵倒していただけだ!!俺はあんたらが馬鹿にして笑っていた話で最愛の弟が帰らぬ者になっていたかもしれないんだぞ!その話をホームで弟から聞いたときどう思ったかわかるか!?なのに悪びれもなく、自分達の汚点とも言えるミスを棚上げし、1人を殺しそうになった事から目を背け、酒の肴にする?ふざけるな!!!それを止めようともしない貴様達全員もそうだ。

リヴェリア様だけがきっちり現状を理解して止めていたが他の人はなんだ?一緒に笑ってやがる。この一件だけ聞いても好きになることはあり得ないと思いますが?」

 

ロキファミリアの面々は苦虫を噛み潰したような顔をし、ロキに関しても同じ顔をしている。

アイズはうつむき無言になりリヴェリアはコメカミに手を置いて頭を振る。

 

「ま、そやな。ウチも同じことされたらブチギレるわ。ユウ・クラネルやったか?ホンマウチの子が迷惑かけた。申し訳ない。」

 

「いえ。ロキ様が情に深いのは先程見させてもらいましたし、そのロキ様に謝られたのなら僕からはこれ以上何も言うつもりはありません。」

 

「いやーそんな風に褒められたことないからなんかどないな顔してええかわからへんな!

あ、あと気になったこと何個かあってんけど聞いてええ?」

 

ユウは頷く。

 

「嫌なことトップ3って言うてたけどさっきのやと2つやん?あと1個なんなん?いやウチらの株が下がるとかそんなん気にせんでええから教えて欲しいなって思ってやな。直せる事なら直したいし」

 

「あーいやあのすごい私怨が入っちゃうんですが、僕と弟がオラリオに来たときにロキファミリアにも面接してもらおうと行ったんですが、僕達兄弟見た目が弱そうらしく僕はもやしって呼ばれて弟は兎って呼ばれて門前払い食らったんですよね。

そのあと知り合いから必ずロキ様のところで面接をして合否を伝えられるとお聞きして門番ぶっ殺すと思った次第ですはい」

 

ロキは頬を引きつらせている。

 

「お、おう。なんかホンマうちのやんちゃどもが迷惑かけまくってるみたいやな。すまん。

あとチラっと言うとったベートの優しさって何?」

 

ニヤァと笑うロキ様。これ完全に気づいててここで言わせて恥ずかしがらせるのでお灸据えようとしてやがる。

そりゃのるしかないでしょー( ー`дー´)キリッ

 

「いやベートさん言い方キツイだけのツンデレ狼でしょ。僕に言った事を共通語に直すと「ああん?レベル1が何言ってやがる。全て本当の事だろうが!ホームから出なけりゃ死ぬ事なんかねーんだから命を大切にしろよ!」ですよね?多分ベートさんってロキファミリアの人大好きですよ?でも口悪いから勘違いされてそう。弟の件もそうですけど雑魚がどうなろうと知らないみたいなこと言ってるのにアイズさんと一緒にいたってことは死なせたくないから全力だったんでしょ?

つかこんなんちょこっと見て考えりゃわかるのにロキ様と幹部の御三方以外が気づいてない事にも幻滅ですよ。

まぁ大きいファミリアで人数多いからかもしれませんけどね。」

 

ユウの言葉を聞いて騒いでいたベートだが最後の方の言葉でチッと舌打ちをして黙る。

その姿を見てロキファミリアは全員黙る。

ほかのファミリアのやつはすぐに気づいてずっと一緒にいた自分達は気づかなかった。それが悔しいし情けなかった。

 

「ほほぅ。ユウたんは良くわかっとんなー!あ、あと最後に1個だけ!ユウたんのレベルは?」

 

「ユウたん?あ、レベル1ですよ?言ったじゃないですか。1週間前にオラリオに来たって」

 

「あっはっは!レベル1でウチらのとこ来て言いたいこと言えるんか!気に入ったで!あれやったら一緒に飲もうや!」

 

ユウは弟に聞いてくると伝えベルの方に向かう。ベルはグズグズ泣いてユウに抱きついた。ベルの頭を撫でながらロキファミリアの方に向かうとまさか弟さんまでここにいるとは思わずロキファミリアは気まずい雰囲気になる。

 

「あ、あの!ベル・クラネルです!今回は僕のせいで宴を台無しにしてしまってすみませんでしたっ!!僕もっと強くなります!ベートさんみたいな強い人が心配しなくても済むくらい強くなります!」

 

みんな拍手をして各々がベルに謝っていく。

ベートもベルの言葉に何か思うことがあったのか悪かったな。と一言だけかける。

ロキファミリアからしたら目が飛び出るほどのびっくりする出来事なのだが。

 

そのあとはロキファミリアに混ざってご飯を食べていたがミア母さん(呼べと言われた)に呼ばれ、何故かいろんなレシピを教えて欲しいと言われた。

その代わり今後ベルとユウの飯代はレシピ1つにつき1回タダにすると言う。

いやミア母さんの飯美味いから金払うわ!その代わりたまにウチのホームに来て俺の飯も食って欲しいと伝える。

ミア母さんはそんなのでいいのかと呆気にとられていたが豪快に笑って納得してくれた。

 

それから解散となり、ベルはアイズと色々話せて良かったと話をした内容を聞かせてくれた。

そしてホームに帰った。

 

ちなみに次の日の朝ミア母さんが来てた。いや確かに夜とは言ってねぇけどはえーよくるの!!

味噌汁にすげぇ満足してたわ。つか母さんデカすぎてウチのホームきつそうだったのに笑った

 

 

ーロキファミリア目線ー

「いやーしかしユウたんはおもろいやつやったなぁ。ウチにも面接来たみたいやし入れたかったなー。あ、リヴェリアその時の門番やったやつに注意してくれた?」

 

「ああ。その馬鹿者には罰を与えた。しかし彼は・・いやクラネル兄弟は何者だ?ユウ君はレベル1と言っていたが身体の動かし方などはその範疇に留まらないぞ?弟のベル君もそうだ。とても1週間前に登録したとは思えん。」

 

「そうじゃなぁ。2人とも良い目をしておったわい。何よりもあの荒くれ者のベートが2人を認めとったのぉ。」

 

「うんそうだね。僕もユウ・クラネルが怒った時親指が疼いたよ。それにベル・クラネル。彼は今の僕らには眩しかった。愚直に前に進もうとする姿勢、躓いても兄が助ける。彼等がウチに居てくれればと思ってしまったよ」

 

フィンは目を閉じ自分達に文句を言いに来たユウを思い出す。強い者にも怯えず、正しいと思ったことをハッキリと伝えあまつさえプライドの高いベートに認めさせた。

 

「あの子らの主神があんのドチビとはなぁ。ユウたんは謝罪はいらんと言っとったけどやっぱケジメはつけなあかんな。ほんまに死ぬほど嫌やけどドチビに謝りに行ってくるわ・・・」

 

「うん。ロキ。その時は僕も行くよ。団長、ユウ君の言い方だと長男として弟のやったことは謝罪すべきかな」

 

「そしたら明日にでもファイたんとこ行ってドチビのホーム聞いてくるわ。あいつに頭下げるとか考えられへんけどユウたんが家族大切にしとるんはよーわかったしな。それにあの兄弟気に入ったしこれ以上嫌われたくないしな!」

 

幹部とロキはこんな話し合いをしながら謝ることを考えていた。

当事者の1匹の狼がまさかの行動に出てるとは知らずに。

 

ーベート目線ー

ちっ。なんなんだアイツ等は。俺は酒に呑まれて最低なことをしたのはわかってる。それでも雑魚に頭を下げるなんて考えた事もなかった。雑魚はピーピー口で文句言うだけで何も行動を起こしたりしねぇ。

だがアイツ等はロキとフィンにまで直接文句を言い、俺にも文句を言いに来やがった。

黒もやしと兎野郎は俺の言葉の裏まで気づきやがる。ファミリアの大幹部の3人とロキしかわかっちゃいなかったのに。

それに黒もやしの家族の話。ちっ。長男と呼ばれたフィンに頭を下げさせるわけにはいかねぇ。

 

 

廃教会のホームからアイツ等の匂いがするので扉を叩く。

 

「はいはーい!どちら様だい??」

 

「あーヘスティアファミリアってここか?」

 

「う、うんそうだよ!僕がヘスティアさ!ところで君は?ユウ君とベル君の友達かい?」

 

「あ、いや俺はロキファミリアのベート・ローガだ。実はな俺が酒に呑まれちまって兎みたいなやつのこと馬鹿にしちまって黒もやしが怒ってちょっと揉めたんだ。一応和解はしたんだが親にも謝るのが筋かなと思ってよ。」

 

ヘスティアは馬鹿にしたと言った時目を細めのたが最後まで聴くとうんうんと頷き部屋にベートを入れた。

 

「あれ?ベートさんじゃないっすか!どうしたんです?あ、今オヤツ作ってるんで待ってくださいね!」

 

「あ!ベートさんだ!神様!神様!ベートさんですよ!ほらミノタウロスから助けてくれた人の1人ですよ!」

 

ベートはどーなってんだこの状況。お前等俺とちょっと前まで敵対してただろうがと思ってしまう。

 

「いやなんだ。今日の事だが自分のやっちまった事だからな。お前等んとこの神様にも謝ろうと思ってよ。ヘスティア様悪かった。あんたのとこの子供を危険な目に遭わせた上に馬鹿にしちまった。すまん。」

 

ベートが頭をさげている。ロキファミリアの面々がもし見たら白目を剥くだろう。

ヘスティアはベートの肩に手を置く。

 

「確かに君はベル君を馬鹿にしたのかもしれない。でもベル君を助けてくれたのも君たちだ。それに2人ともベート君が来た時嬉しそうにしてただろう?もう気にしないでいいよ。神様が許すさ。それよりも2人と友達でいてやってくれよ」

 

親指を上にあげ、グーサインを出すヘスティア。

嬉しそうに話かけてくるベル。

厨房からベートさん気にし過ぎだよ!もう豊穣の女主人で終わった話なんだからさ!と声をかけるユウ。

 

あぁ。こいつ等みたいなのが本当の家族って言うんだろうな。と過去の、草原に住んでいた自分の一族の事を思い出してベートは笑った。

 

「ほらこれプリンっていってデザートなんだけど美味いから食ってみてよ!」

 

このセリフでヘスティアとベルは全力で手を上げてくれくれコールを始めた。

ベートはちょっと引きつつも始めてみる食べ物を口に運んだ。

「ほんのり甘くて美味いな。しかも口の中で溶けるな。こりゃミルク使ってんのか。」

 

「さすがベートさん!すぐ気づいたね!そうそうこれはミルクから作ってるんだよねー!あ、あと紅茶も合わせて飲んでみて!美味しいと思うよ!」

 

ベートはこんな美味いもん始めて食ったと思いユウにお礼を言う。

ユウは帰り際に飯も朝と夜は作ってるからもし外で食べたりすることあるならウチきてよと伝える。

ベートも気が向いたらなと言いつつほぼ毎日来るようになる。

 

ベートはホームに着くとリヴェリアの部屋に行く。

「おいババァ。いるか?」

 

「誰がババァだ。ん?ベート?だけか?何か用か?」

 

「お前紅茶好きだろ。これやるよ。ユウからだ。あ、あとよ・・・酒場で止めてくれてありがとな。じゃあな」

 

リヴェリアは去っていくベートの後ろ姿を見送りお礼を言ってきたベートを思い出し魔法かカースを掛けられてるのか真剣に悩んだ。

 

 

 

 

そのあとからベルはより真剣にダンジョンに潜るようになった。敏捷特化なステータスなのでご飯を食べにくるベートに時々手合わせをしてもらったりしながら自分に磨きをかけていく。

ちなみに技術とステータスの高さ。それに駆け引きをみたベートはやっぱ雑魚じゃねぇと喜びベルに自分の技術を教えるようになっていった。

 

 

あれぇぇぇ??アイズさんとのフラグがバキバキに折れとるやん!!ベートさんとのフラグとか要らねーぞ!?と頭を抱えているのはユウだった。

 

 

何日か後にロキ様とフィンさんがホームにやってきた。

真剣に頭を下げるロキ様とフィンさんにオロオロしているヘスティア。

仕方ないので助け船を出すことにした。

 

「ロリ巨乳。オロオロしてないで早く答えてやれよ。」

 

「あ、うん。ロキとフィン君だっけ?その話はもう謝罪も何も要らないよ?ベート君も直接謝りに来てウチの2人と仲良く友達になってくれてるし僕はそれで満足なんだ!」

 

「は?ちょいまてドチビ。ベートが直接謝りにきた?友達?それほんまか??」

 

本当だとヘスティアは頷きユウとベルも笑顔で頷く。

ロキは嬉し泣きしフィンは固まる。

 

「そっかそっか。ベートも良い方向に進んでんのか。確かにリヴェリアがお礼を言いにきたって夢だろうかってボーっとしとったからな。」

 

「なるほどね。ベートも変わっていってるみたいだ。」

 

あまり長居してもあれなのでと帰ろうとするがユウがそろそろベートさんも飯食いにくるから一緒に食べてく?

と伝えると2人は驚愕しつつも頷いた。

しばらくしてベートもやってきてフィンとロキと話をしていたが飯を出すと全員美味い美味いと言いながら食べていた。

 

ーロキ、ベート、フィンの帰り道ー

「あーロキ、フィン。今回は本当に悪かった。」

 

「ええよええよ。ベート。あんたは少しやんちゃなくらいの方がええ。それにええ友達もできたみたいやしな!」

 

「うんそうだね。ベートが変わってくれて嬉しいよ。これからもロキファミリア団長としても期待してるからよろしく頼むね。」

 

ベートは頷き少し考えてから口を開く。

 

「ロキ、フィン。少しだけ相談がある。他派閥だが俺はアイツらと交流をしてぇ。何も仲が良いからとか飯が美味いからってだけじゃねぇんだ。ベルは俺と似たようなタイプで反復練習をひたすら出来る、それでその動きをしっかり反映させれるから今色々教えてるんだ。

それにユウだが・・・はっきり言って技術、駆け引き、身体の使い方はウチのファミリアの誰よりも上手ぇ。」

 

ロキとフィンは絶句した。オラリオでもトップクラスの実力を持つベートがベルに対してもユウについても断言したのだ。

 

「ベルもユウもレベルは間違いなく1だ。でもアイツらの技術はオラリオトップだ。だから俺も勉強させてもらってる。その成果は今後の遠征で見せる。だから禁止とかはやめてくれよ。」

 

ロキとフィンは頷き許可を出した。フィンは真剣に考えていた。彼等がいずれレベルが上がったときロキファミリアと同盟を組むことができるかもしれないと。

ロキもベートが他人を認める事が出来るようになった事を喜びつつも同盟について考えていた。ヘスティアの事は嫌いだが腹芸ができるわけでもなく素直で真っ直ぐな性格である。そこら辺の神よりは信用できるし何よりもヘスティアとヘファイストスは神友である。ヘスティアファミリアはベートのいっていた事を加味すれば勝手に頭角を現してくるだろう。

ならばヘファイストスファミリアとも同盟を組んで貰えるのではないかという打算もある。

 

とりあえず現状ではロキファミリア内で1番信用されているのはベートなのは間違いないのでベート頑張ってもらうことにしたロキだった。




豊穣の女主人のシーンでベート君が悲惨な感じになるのが多かったので口だけで終わらせて・・とか考えてたら何故かベート君改心して親友ポジになっちまったww

そしてアイズのフラグバキバキに折りまくってるしアスフィ出せないしすげー困った。

モンスターフィリアとかの原作無視してオリジナルぶっ込んでいいっすかね?


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はじめましてオッタルさん。え?オッタルさん?

ちょっとだけオリジナル?
オリジナルってかユウ君がベル君と別れて行動するだけかな?
ベル君には裏で原作通り?に動いてもらいます。


相変わらずアイズのアの字も出てくることがなく今日も今日とてベートさんと訓練するクラネル兄弟です。

朝ダンジョン→夕方からご飯作ってヘスティアとベルとベートさんと食べる→ベートさんと模擬戦。

ベルは原作より早く強くなっておりベートさんに食らいついていく。

俺はベートさんと一本先に当てた方が勝ちの手合わせで身体の齟齬を無くしていき対等以上に戦える。

たまにベルと俺VSベートさんでやるとベートさん曰くベルの動きがレベル3の下位くらい動けるようになっていると舌を巻いていた。

 

ベートさんは近接戦闘タイプかつ速度重視のベルと同じタイプなので縮地法と日本にいた時に読んだ漫画の蹴り技を適当に教えたらすぐ出来るようになってて驚いた。

 

ちなみにベートさんも魔力があるらしいので魔力で身体能力あげれねーの?と言い2人で身体を魔力で覆う練習をしてると出来ちゃったしベルも出来ちゃった。

3人ともステータス更新したらスキルに魔力操作って出てた。

ベートさんはロキ様にあんたら3人はどないな鍛錬しとんねん。と呆れられたらしい。

ベートさんのアビリティも軒並み上がっているみたいで特に器用がSになったみたいだ。

 

ヘスティアは神の宴に顔を出すみたいなのでしばらくホームに帰ってこないらしい。

とりあえずみすぼらしい格好では行かせれないのでドレスをベルと選んでプレゼントした。

ついでにボソッと頼むならベルのナイフだけでいいぞ。あと入り口に1千万ヴァリス置いとくから親しき仲にも礼儀ありってことで頭金にしてもらえと言う。

ヘスティアは驚愕していたが神妙に頷いていた。

 

神の宴の次の日も帰ってこないので原作とあんまり変わらなかったかなと思いつつベルと別れてダンジョンに潜っていた。

しばらくダンジョンに潜って練習したい事があるみたいなのでベルとも別行動になる。

 

ユウは昼過ぎにダンジョン探索をやめて久しぶりにアスフィが帰って来ていないかを訪ねにヘルメスファミリアのホームに向かった。

丁度ルルネさんがいたので話かける。

 

「おーいルルネさん!アスフィとヘルメス帰ってきてる??」

 

「ん?ユウじゃん!ヘルメス様達はモンスターフィリアが終わった次の日に帰ってくるぞ!なんか用事でもあったんなら伝えとこうか?」

 

「そっかぁ。いや弟とも今一緒じゃないから暇なら遊びてーなーと思ってここに来ただけだよ」

 

「お前なぁ・・・ユウくらいだぞ?他派閥に暇だから遊びに来たって言えるの。」

 

「え?ロキファミリアのベートさんとか夜飯毎日食いに来てるよ?」

 

ルルネはまさかのビックネームが飛び出して来てしかも評判も口も悪い凶狼の名前に意識を手放しかけた。

こいつの相手してると今までの自分の価値観が壊れると思い、そっかと一言だけ言い別れた。

 

ユウは暇なので仲良くなった商店街のおっちゃんおばちゃんなどと話やお茶をしながら時間を潰す。

ヘスティアがヘファイストスにナイフを頼みに行くのはわかっていたのでダンジョンでモンスターを狩りまくっていたがそれもお金を渡せたので残りの借金は少しずつ返済していけば良いと思い無理矢理今ダンジョンに行く必要も無いと思っている。

オラリオの食材などを見て回っていると視線を感じる。人気のない路地に向かい箱に座って視線の主を待つ。

 

「ほう。視線に気づいていた様だな。ユウ・クラネルだな?俺の名はオッタル。俺の主が貴様との面会を求めている。ついてこい。」

 

まさかのオラリオ最強の猪キタぁぁぁぁぁと心の中で思い暇だしついて行こうと頷く。

 

「来たわね。はじめましてユウ・クラネル。私はフレイヤ。よろしくね?」

 

「はじめましてフレイヤ様。ユウ・クラネルです。ベルについてですかね?毎日視線を飛ばすのやめてほしいんですけど」

 

フレイヤとオッタルは驚く。神の鏡を使っているのにバレていたのだから。

 

「そう。気づいていたのね。なら話は早いわ。ベル・クラネルから少し離れなさい?あなたがいると彼は輝きが鈍くなってしまうわ?」

 

魅了全開でフレイヤはユウに話かける。だがユウは顔を顰めるだけである。

フレイヤは魅了が効いてないことに気づいて驚愕する。

 

「フレイヤ様。大変失礼な事を言わせていただきますが粘着質な何千歳も歳を取った婆さんがそう言う事を言うのは気持ち悪いかと思います。」

 

空気が死んだ。比喩なく空気が死んだ。オッタルもまさか魅了が効かずあまつさえ自分の崇拝する主神を貶されたのだ。しかし驚きすぎて行動に移せなかった。

フレイヤはフレイヤで美の女神と言われちやほやされる事はあっても異性、それも下界の子供にババア扱いされて気持ち悪いとまで言われて言葉を失う。

 

「あの、話それだけなら帰っていいですか?暇なのでついてきましたけど暇潰しもできなそうなので・・・」

 

「き、貴様ぁぁ!我が主を貶しておいてタダで帰れると思っているのか!!」

 

「いやいやオッタルさんそれ俺のセリフだから。」

 

オッタルはユウの言ってる意味がわからずどういう事か聞き返す。

ユウはため息を吐いて興味を失った眼で2人を見る。

 

「あのねオッタルさん。オッタルさんはそこの女神を崇拝して敬愛してついて行ってるんだよね?そこには愛情があるわけでしょ?誰に何を言われようとフレイヤ様が1番っていう考えなわけだ。」

 

オッタルはその通りなので頷く。

 

「じゃあ仮にオッタルさんがいきなりロキ様に「あんたがおったらフレイヤの邪魔になるからフレイヤファミリアから抜けとけ」って言われたら頷ける?怒らない?全然関係ないロクに話をしたことの無い相手に言われて。」

 

オッタルは無言になる。それはそうだろう。フレイヤ直々に言われればオッタルはすぐに離れるだろう。だが関係のないやつに言われてハイとは言わない。

 

「俺は弟としてベルを愛してるしベルを支えてベルの成長を誰よりも近くで見たいと思ってる。それは生と死、愛情、豊穣を司るアンタが一番分かってるんじゃねーの?

愛情を司る女神が粘着質に自分のモノにしたいから他の奴の愛情は知らないって言ってるんだぜ?今でこそ冷静に話してるけどこっちはブチ切れてんだよ!」

 

ユウはとんでもない殺気を出す。オッタルはマズイと思いフレイヤの前に出る。ピリピリとした空気の中フレイヤが声を出す。

 

「・・確かに、あなたの言う通りだわ。魅了ばかりして下界の子の話はファミリアの子以外聞いてなかったわ。ごめんなさい。神の一柱として謝るわ。」

 

ユウは殺気を収め、オッタルもフレイヤの後ろに待機する。ユウはため息を吐いてフレイヤに謝る。

 

「いやこちらも簡単に怒って申し訳なかったです。ですがベルは俺の最愛にして唯一無二の弟です。それにあいつの目標は俺を越えて英雄になることです。夢ではなく目標です。俺はベルならそこに辿り着くと思ってます。フレイヤ様がちょっかいを出したいと言うのなら出してもらっても構いません。ですがあいつはそのことごとくを凌駕するでしょう。なんせ俺の弟ですから。」

 

ニッコリ笑いながら信じているというのがよくわかる表情のユウに美の女神は見惚れてしまう。

 

「あ、あなたのその言葉だと私の試練では足りないと聞こえるのだけれど?」

 

見惚れたことを誤魔化しつつユウに話しかける。

 

「だって神様の試練って絶対乗り越えられる試練しか与えないじゃないですか。そんなの試練でもなんでもない只の出来レースじゃないですか。俺の弟がそれを踏破できないなんてあり得ない。」

 

フレイヤとオッタルは遂に絶句する。ユウはこう言ったのだ。神如きの試練は試練に非ず。平坦な道が少し登り坂になった程度だと。

ユウはいったいどんな人生を歩んできたのだろうかと思考が逸れ始めたのに気づいて1つ咳払いをして話を続ける。

 

「ならあの子が強くなるように働きかけてもいいのね?」

 

「もちろん。それについては先に俺に伝えてくれてると有り難いです。必要ないと思ったら俺が横槍入れちゃうかもなんで。あと一般人や明らかに関係のない人には迷惑をかけないことが条件ですね。」

 

フレイヤは頷き考える。するとユウはいきなり訳の分からない事を言い始めた。

 

「あーフレイヤ様。それとオッタルさん。やるならミノたんの強化種とかを差し向けたらどうっすか?ベルミノたんに一回襲われて勝てなかったらしくて、あれ顔に出してなかったけど相当悔しがってましたよ?今はステイタスも更新してベートさんにも鍛えられてるんで普通のミノたんだと相手にならないでしょうし。」

 

こいつは本当に弟が好きなのだろうかとオッタルは思っている。レベル1がミノタウロスをソロで倒すなど不可能に近い。それの強化種を差し向けろだと?

オッタルがドン引きしてるところにクスクスと笑う声が聞こえる。

 

「ユウ君。あなた本当にベル君の事をよくわかっているのね。少し嫉妬してしまうわ。わかったわ。その方向で考えるわね。」

 

「そりゃ粘着を司る女神よりずっと一緒に過ごしてますんで。それより厨房借りていいっすか?お腹空いたんで何か作ろうかなと。ついでに粘着様とオッタルにも作りますよ?」

 

「その粘着というのをやめなさい!!オッタル以外の子に聞かれると恥ずかしいでしょ!私が悪かったからやめて!!はぁ。厨房は使っていいわよ。オッタル案内してあげて。」

 

オッタルに厨房に案内される途中に何か食べたいのを聞くと難しい顔をしていた。

 

「??オッタルさんどうかしたんですか?」

 

「む。お前の発言を聞いて少し考えることがあってな。あんな楽しそうなフレイヤ様は初めて見た。お前の比喩表現も受け止めてらっしゃる感じだったので俺はあの方の最も近くにいたが何か間違えていたのかと。」

 

「オッタルさんは・・というかフレイヤファミリアの全員かな?オッタルさん以外と話をしたことがないのでなんとも言えないんですがおそらくフレイヤ様を敬愛してる人以外いないでしょ?だからこそ嫌われたくない、愛して欲しいって感情が邪魔をして全員ハイしか言わない。でもフレイヤ様も神様といえ感情はあるわけで、だからこそ気兼ねない会話がしたいんじゃないっすか?ファミリアって家族じゃないですか?母親の言う事をハイハイ言ってなんの口答えもしない子供とか居なくないっすか?まぁそのファミリアファミリアに色というか運営方針があるんで一概には言えないっすけどね。」

 

ユウはそれだけを言い厨房についたので日本商店から食材を出して料理を作り始める。

オッタルはずっと無言で何かを考えていた。

 

料理ができたのでフレイヤの部屋にオッタルと共に持っていく。

机に並べられた料理を見て初めて見るものだったのでフレイヤは可愛く首をかしげる。

 

「フレイヤ様って黙っててそーいう仕草したら可愛いのに発言で台無しっすよね。そう思いません?オッタルさん。」

 

オッタルは無言だが目が泳いでいる。

 

「うるさいわよ!あとオッタルゥゥゥ!!なんで無言で目を泳がしてるのよ!そこは否定するところでしょ!!」

 

「はいはい可愛い美人年増ですよフレイヤ様。あ、これはカレーって言う料理で香辛料を色々混ぜて東の国で良く食べられる米にかけて食べたりパンとも合う料理です。まぁ食べてみて下さいよ!」

 

まぁバー◯ンドのカレー粉なんだけども。フレイヤは年増は要らないでしょ全く。とプリプリしながら食べると美味しかった様でペロっと一皿食べた。

オッタルには辛さが足りない場合にどうぞと渡しておいたスパイスをバッサバッサかけて食べていて満足そうな顔をしていた。

 

食後のデザートにアイスとコーヒーを出すと2人とも笑顔で食べていた。オッタルは口角を少し上げただけだったが。

 

「ふぅ。美味しかったわ。ありがとう。ま、また今度時間があれば作ってもらってもいいかしら?」

 

「なんで恥ずかしがってんのか知らないっすけどいいっすよ。豊穣の女主人のミア母さんに伝えておいてくれたらミア母さん毎朝飯食べに来るんで伝わりますよ」

 

「あらなんで私がミアと繋がりがあると?」

 

「ミア母さん高位の元冒険者でしょ。しかも豊穣って店についてるし完全にフレイヤ様と繋がりあるじゃん。」

 

フレイヤはため息を吐き手を挙げた。

 

「はいはいわかりました。降参。貴方本当に何者よ。私は美を司るとしかみんな気づいてないのに豊穣も司るのに気づくなんて。」

 

「さて何者ですかね?まぁいいや。オッタルさん夜はホームに来ちゃダメだよ?ベートさんいるしベルにもまだ接触したくないでしょ?でも個人的に飯食いたくなったら俺今は基本ソロで潜ってるから見つけてくれたら18階層で作って渡すよ?」

 

「わかった。そうさせてもらう。出来れば明日のご飯も頼みたい。」

 

「あ、オッタルずるいわよ!私もお願いするわね!」

 

「ハマってるやないかい。そしたらまだ時間あるしここの厨房で作り置きできる料理色々作ってくるから2時間くらい借りるよ?」

 

そう言ってユウは部屋を出ていった。

 

「オッタル。あの子本当に面白いわね。あの子が困ってたら出来る限りで良いから手伝ってあげてね。」

 

「はい。ですが彼奴は個人でどうにかしそうですが。フレイヤ様。恐縮ですが1つ質問と言いますか相談がございます。」

 

フレイヤは少し驚いた。オッタルから何かを言ってくるのが珍しいからだ。

許可を出すとオッタルは独白のように語り始めた。

 

「私はフレイヤ様を敬愛しています。ですがユウと厨房に行く途中に言われました。嫌われたくない、愛されたいという気持ちが邪魔をしてハイとしか言っていないのではないのかと。フレイヤファミリアは家族なのに母親に対してハイとしか言わない子供だけがいると。普通の家族はいくら母親でも反抗も自分の意見を言う事くらいはすると。私のして来た事は間違っていたのでしょうか?いくら考えても答えが出ないのです。

フレイヤ様の言うことは絶対だと信じ、行動してきましたがユウ・クラネルに対し私は口を開く事ができませんでした。そしてフレイヤ様に頭を下げさせてしまった。」

 

フレイヤは慈愛の篭った目で愛おしい子供を見て頭を撫でる。オッタルがここまで考え、自分の意見を言うことが初めてであり、親として嬉しい気持ちが芽生えたのだ。

 

「オッタル。その悩む。という気持ちを大切になさい。私は可愛い子供が考えて出した意見を蔑ろにはしないわ。それに私も女神とはいえ間違いを犯すわ。それは今日の彼との会話で気づいたわ。私のファミリアをこんな風にしてしまったのは私の今までの行動のせいよ。そこに関しては貴方が悩む必要は無いわ。でもねオッタル。私は今いるファミリア全員の子供を愛しているわ。それだけは絶対よ。愛を司る女神として断言できる。それに間違っていたのに気づいたのなら同じことを繰り返さないようにすれば良いのよ。」

 

オッタルはフレイヤの話を聞いて思わず目を見開き、涙した。

そんな可愛い子供を親の愛情のこもった眼差しで見るフレイヤ。フレイヤファミリアも変わってきているのかもしれない。

 

あれぇ?なんでオッタルさんと粘着ババアと仲良くなってんだ俺。あ、そうだついでに魔導書もらお。どーせベルに読ませるんだから寄越せくださいこの野郎の精神でいいや。

そんな事を思いながらどんどん料理を作っていく。

出来上がった料理を皿や鍋に入れてラップを買ってラップして行く。

そしてオッタルとフレイヤを呼び食べ物の説明をしていく。

 

「って感じの料理になってるんで。出来れば2日以内に食べて下さいね。んで報酬ください美人ババア女神様。」

 

「あ、あなたねぇ!ババアはやめなさいよ!粘着だったりババアだったり酷いわよ!だったらヘスティアとかロキは何て言ってるのよ!!」

 

「え?ロキ様は良いお母さんだからロキ様だけどヘスティアはロリ巨乳かヘスティアだよ?」

 

「ロキもまな板とかあるでしょ!というかなんで下界の子がロリ巨乳とか知ってるのよ!!はぁ。まぁいいわ。何か欲しい物でもあるの?」

 

「魔導書!ベルもそろそろ魔法覚えた方が良いと思いまして。それに魔法使いながら近接戦闘できるベルとかカッコいいし可愛くない??」

 

「そ、それは確かにそうね。ええ。別にその姿が見たいとかではないけれどユウ君にはお世話になったしベル君への愛情を認めてあげるわ」

 

「ツンデレババアとか誰が得するんだよ。」

 

「ユウゥゥゥゥゥゥ!!あなたなんでそんなに神の言葉しってるのよ!!それに見た目は若いんだからいいじゃない!!」

 

フレイヤをいじり倒しつつ魔導書を何故か2冊貰ってオッタルとフレイヤに挨拶をして帰ったユウだった。

 

「フレイヤ様。案外年気にされてたのですね。」

 

「オッタル。あなたしばらく正座していなさい。」

 

 

ラッキー!2冊も貰っちまった!俺もついに魔法が覚えれるぞ!いや攻撃魔法な!日本人学生だったやつあるあるの魔法使ってみたい欲求がようやく満たせるぜ!

 

とりあえずベルとベートさん待つ間に読んでみよっと。

 

「やぁ俺。君にとっての魔法って何?」

 

「あ、魔導書のあの問答シーンですねわかります。いや俺魔法ならこれってのがあってさ!やっぱ雷だろ!」

 

「こんな軽い感じで来られたの初めてだよ。雷かぁ。もっと具体的に頼んでいい?」

 

「エンチャントもそうだけど速攻魔法もいいよね!」

 

「わかったわかった。とりあえず君の記憶から雷っぽいの掘り出して付与しとくよ。」

 

「よろしくどうぞ!よっしゃ楽しみだぜ!」

 

目の前が真っ白になり目が醒めるとベルとベートさんがいた。ベートさんは寝てるの珍しいな。疲れてんならまだ寝とくか?と声をかけてくれたので魔導書を読んでた事を伝え、ベルにも読ませる。

 

「いや魔導書2冊ってどうしたんだよこれ。」

 

「粘着ババア女神から寄越せこの野郎で貰ってきた。」

 

「どんな女神だよそれ。つかその女神もよく持ってたな魔導書2冊も。大手でも持ってねぇしそれを渡すとか頭おかしいぞ。」

 

「んーだってロキファミリアのライバルんとこですもん。」

 

「ちょ待てお前。もしかしてあれか?フから始まるとこか?今日だけでどんな行動してんだよお前。」

 

それから今日の行動を教えるとベートさんはまぁユウだからな。やっぱお前頭おかしいわと言われた。解せぬ。

 

ベルも起きたので飯にしながらヘスティアが帰ってきてステイタス更新するまで魔法は使えないと説明し、魔法が使えるようになったらベートさんとまた訓練することにした。余りにもわからない場合はリヴェリア様を呼んでくれるらしいのでいたせりつくせりだ。

 




あれ?オリジナルってかフレイヤ様がキャラ崩壊しちゃったぞ?

ま、まぁ愛情司る女神だし?
下界の子供に対しても愛情深いと思うんだよね。

だから俺は悪くないっ!
あ、モンスターフィリアはフレイヤ様が特に何もしないので飛ばしてリリのところに行きますね。


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新しい魔法と盗人リリちゃん登場!

はいリリちゃん登場です。

魔法はとりあえずなんかありきたりで申し訳ないです。
特に何も思いつかなかったw


モンスターフィリアが終わってヘスティアも帰ってきたので魔導書を読んだことを伝えてステイタスの更新をしてもらった。

俺の場合魔導書に雷系だけを伝えて丸投げしたのでどんな魔法になるか全然わからない。

楽しみにして更新結果を見る。

 

ユウ・クラネル

レベル1

力:EX耐久: EX器用:EX敏捷:EX魔力:EX

魔法

日本商店

日本の商品を買える。リストオンと脳内で唱えればリストが出てくる。他人には見えない。ヴァリス換算されるのでリストに入れればチャージされる。

ダンジョン内での使用不可。

 

疾風迅雷

詠唱 纏え雷 雷を纏う。敏捷の超補正。刀に付与する事も可能。刀に付与した場合切断力に超補正。

スキル

超絶弟愛

弟(ベル・クラネル)に危機が迫ると全ステイタス超上昇。成長速度が早くなる。弟に対する愛情により成長速度、ステイタスの上昇率が変わる。

愛情が失われた時このスキルは破棄される。

 

刀神乱舞

刀使用時(居合に限る)に切れないものが無くなる。刀以外を使用した場合は使用不可。

 

魔力操作

魔力を操作し、纏う事ができる。又は魔力を形にし打ち出せる。

 

あるぅぇぇぇぇぇ?魔法がスキルと被ってるよ!意味ねぇよ!!ヘスティアも微妙な顔してんじゃねぇか!!

ちょっとガッカリしつつもベルの本当のステイタスをヘスティアに見せてもらう。

 

ベル・クラネル

レベル1

力:SSS1287耐久:SSS1480器用:EX 敏捷:EX 魔力:SSS1320

魔法

ファイアボルト

速攻魔法

スキル

一筋模倣

憧れを模倣し続けることによって成長速度が上がる。レベル又は技術が自分より上の目標を模倣し続ける限り成長は止まらない。

目標を越えた。又は目標が変わると成長速度はリセットされる。

現在 (ユウ・クラネル ベートローガ)

 

憧憬一途

早熟する。想いの丈により効果上昇。想いが続く限り効果持続。

 

魔力操作

魔力を操作し、纏う事ができる。又は魔力を形にし打ち出せる

 

うん。原作と魔法は一緒かい。しかも目標にベートさん入っとるがな。でも憧憬一途あるからアイズは好きなのね。我が弟ながらスキルに2つ付くくらい一途なんだなぁと月並みな感想を思う。

さてさてとりあえず2人とも無事魔法をゲットできたわけだがベルは我慢できるのだろうか?それはそれは大はしゃぎなわけで。原作みたいに夜こっそり抜け出されても困るんだけど・・アイズさんとのフラグもバッキバキにへし折ってるわけなんで助けて貰えるかも怪しいしなぁ。

とりあえず起きといてもし行くなら影から見守ることにしよう。そうしよう。

 

はい案の定抜け出してダンジョンに行きやがったよ愛しのベルたん。

影から見ているとマインドダウンしやがった。

いや確かにカッコ良かったし気持ちはわかるけどこれアスフィにバレたら大目玉くらうぞ?ベルたん。

すると原作通りにアイズさんとリヴェリア様がやってきた。アイズさんが膝枕したのを見て帰ろうとするとリヴェリア様に気づかれた!!

「ん?君はユウ・クラネルではないか。あぁなるほど。弟が心配だったのか。だがアイズに任せていいのか?」

 

「あ、リヴェリア様お疲れ様です。いや助けようとしたらお2人が来たのでまぁお2人なら任されるかなと思いまして。」

 

「ふっ。そうか。それよりベートも良く世話になっているみたいだな。感謝する。ロキもフィンも喜んでいた。あと私に様を付けるのはやめてくれ。エルフでもないのに少しむず痒い。」

 

「いやベートさんはオラリオでできた初めての友達なので。いえ王族と聞いてましたので種族は違えど敬う気持ちは大切かなと思っているので。ですが本人に言われたとあれば直してリヴェリアさんとお呼びしますね。」

 

「中々ユウ君。失礼。私もユウ君と呼ばせてもらおう。君は話がわかるな。エルフは強情な者が多いせいか様をつけて呼ぶのでな。王族などのしがらみが嫌でオラリオに出てきたのだがままならんものだ。」

 

「それほどエルフにとってアールヴという王族の名は大切にされていると思えば幾分気持ちは楽になるのでは?あともしかしたらベートさんからお聞きになっているかもしれませんが僕とベルが魔導書を読みまして魔法が発現したのですが生憎魔法とは2人とも無縁でして。他派閥の方にお話すべきことでは無いのかもしれませんがベートさんと3人で試してみても分からなければご指導頂けないでしょうか?」

 

「ん?魔導書2冊使ったというのか?ふむ。ベートも世話になっているし前に紅茶の葉を貰った恩もある。私で良ければ力になろう。明日試すと言っていたな。ベートと共に私も参加させてもらおう。」

 

ユウはまさか最初からオッケーを貰えるとは思っていなかったが良い返事を貰えたのでお願いした。

そこで別れてホームに帰って寝た。

起きて朝飯を作ってヘスティアとベルを起こすがベルが布団に丸まって起きない。

あぁ原作通りに逃げやがったなと気づいたので耳元で調子に乗ってマインドダウン起こしたことアスフィにチクるぞと言うとすぐに起きた。

 

ヘスティアにベートさんとリヴェリアさんと魔法の実験をすると伝えてベルと2人でダンジョンに行く用意をする。

 

あまり他派閥の幹部と関わっているのがバレるとめんどくさくなるかも知れないので5階層のルームで待ち合わせをしていた。

すでにベートさんとリヴェリアさんが来ていたので挨拶をして早速実験に入る。

「纏え 雷よ」

 

バリバリと身体全体に雷を纏う。髪が逆立ちスーパー野菜人みたいになったなと心で思う。

ベートさんが相手をしてくれるとの事なので遠慮なくやらせてもらう。

 

纏っている状態で縮地を使いパンチをすると今までにない程キレイに当たった。

感覚としては時を飛ばした感じだった。

 

「ちょっと待てぇぇぇ!!ぜんっぜん見えなかったぞ!気がついたら殴られた後だったわ!!」

 

ベートさん激おこじゃないっすかー。

リヴェリアさんも目見開いてるし。

 

「雷纏ってる状態で縮地したんで多分それのせいですかね?次縮地無しで動きます。」

 

普通に動くとやはり第一級冒険者。普通に反応される。

ガッ バキッ

全力のラッシュ。

ガガガガガガ

ベートさんの蹴りがくるので手を添えて上に受け流す。

しかしベートさんも空中で一回転してかかと落としをしてくる。

それを避け一旦間合いを開ける。

 

「はぁっはぁ。ったくそれで縮地も使ってねぇ。刀も使ってねぇとか反則だろ。」

 

「はぁっはぁ。 いやベートさん。これ動体視力も上がってます。だから死ぬほど疲れます。多分魔力は問題ないけど脳に来る情報が膨大すぎて脳が疲れちゃいますね。おそらく全力で動けるのは5分も無いですしギリギリまで動いちゃうとしばらく身体動かさなくなりますね。」

 

ユウは魔法を解いて地面に座り込む。

ベルの魔法も見てリヴェリアさんも含めた4人で話し合いをする。

 

「私の見た感想だがユウ君はとりあえず自分で分かっていると思うが使い所を間違ってはいけない。他にも応用が効くのならなるべく使わないほうが良いかもしれない。

ベル君は速攻魔法ということで利点は速度。弱点は威力の弱さだな。これはレベルが上がれば克服できるのではないかと思っている。」

 

「2人と手合わせした感想だがユウはまぁ自分でわかるだろ。つかユウ雷纏うなら魔力操作みたいに雷形にしてぶん投げるとかできねーの?いや魔法素人の考えだけど。ベルは高速戦闘のときに走りながら打てるようになれば牽制にも隙を作ることにもできそうじゃねーかなと俺は思った。」

 

ユウとリヴェリアはベートの言葉を聞いて驚いた。ユウはその手があったか!と思い、リヴェリアは魔力操作をできるのかと驚いていた。

ベルはベートに訓練を手伝ってもらいながら魔力暴走を何度か起こして自爆していた。

ベートは慌ててポーションをかけていた。

ベートさん優しすぎてキャラ崩壊してるよ。

 

一方ユウは纏った状態で魔力を操作する。するとかなり応用が効くことに気づいた。雷で槍を作ったり荷電粒子砲を作って遊んだりしてリヴェリアにゲンコツを落とされていた。

 

リヴェリアはこの兄弟の頭の柔らかさと適応能力の早さに戦慄していた。並行詠唱?そんなのできて当然でしょと言わんばかりの習得速度にレフィーヤとは会わせれんなと思った模様。

もう一つ驚いたのがベートの実力の向上スピードだ。明らかに前回の遠征より遥かに強くなっている。ステイタス面もそうだろうが技と駆け引きにおいてはフィンに匹敵するレベルだ。後衛職のリヴェリアには詳しいことまでは測りかねるが圧倒的な速度でベートは上に登っている。

これはアイズが知ったら一波乱ありそうだと思い頭を痛めた。

 

各々が考えを持ち、しっかりとした経験を得て解散することになったがユウがリヴェリアもよんで晩飯を振る舞った。

リヴェリアも美味しかったみたいで満足そうに帰っていった。

 

 

それからはユウもベルもダンジョンにまたソロで潜るようになった。

しばらくしてベルと一緒にダンジョンに行くといつの間にかサポーターができていた。

はいリリルカさんですねわかります。ベルたんのナイフ盗ってリューさんにボコられるやつじゃないっすかーと思いつつも挨拶をする。

久しぶりにベルと共に潜ることになったがリリさんベルとユウの想定外の強さにドン引き。

しかも2人とも倒すついでに魔石も取る癖がついてるから渡される魔石をリュックに入れるだけ。

 

ナイフパクるタイミングが一切ない!!

そんなこんなでダンジョン探索を切り上げて飯を作る。ついでにリリも連れて行き晩飯をご馳走してやる。

 

「リリまでご馳走になって良いのですか?ユウ様ベル様?」

 

「あー別に他のファミリアだからとか気にしなくていいぞ?つか毎晩別のファミリアの友達食いに来てるしなんならリリも今ベルとパーティ組んでるんだから気にしないで毎晩ダンジョン上がりに食いに来いよ。」

 

そう言うとリリはなんとも言えない表情をしながら頷いた。

 

「リリは難しく考えすぎなんだよ。冒険者、サポーター、ファミリア、全部違ってても結局下界の子供なんだから友達と楽しく飯食いますでいいじゃん。神様も女神様もファミリアってーと家族の父親、母親なんだからそんなことくらいで目くじら立てたりしねーって。親としての仕事してないってんなら俺らに相談しろよ。力づくでもコネでもなんでも使って助けてやるよ。何故なら弟がそう望んでいるから!」

 

ベルは嬉しそうにうんうん頷き、リリは結局ベル様の為じゃないですかっ!と突っ込む。

しばらくしてからベートさんが来た。リリは気絶しそうになってたけども。

みんなでご飯を食べてゆっくりしているとリリが唐突に言葉を発した。

 

「ユウ様、ベル様、ヘスティア様、ベート様。リリは冒険者様にこんなに良くしてもらったのは初めてです。最初は冒険者様はみんな一緒だと思ってましたが正直に言います。」

 

リリは真剣にはっきりと思いの丈を伝え、現状どうなっていて、自分の罪も語った。

 

「ソーマのところがそんなことになってるとはね。リリ君辛かったね。僕が直接行ってもいいけど零細のヘッポコだから意味が無いかもしれないんだよね。」

 

「これだから雑魚は気にくわねぇ。弱いやつはそれより弱いやつにしか攻撃しねぇ。ったくくだらねえな。リリっつったか。テメェはさっきまで雑魚だった。でも弱さを認めて変わろうとしてんだ。小人族でもフィンみたいなやつもいる。種族を言い訳にして逃げんなよ。ベルとパーティを組んでんだ。半端な事はするんじゃねぇ。」

 

「うん。ベートさんの言葉を共通語にすると弱い自分とオサラバしようとしてるからオサラバしてベルを支えてあげてね?よろしくだよ。

まぁとりあえず移籍させば良いわけだから手は何個でもあるよ。ヘスティアは動かないで移籍先をここにするから移籍したら迎えてあげてほしい。

ベルはベートさんとの特訓以外リリの護衛ね?

リリは俺の準備が整うまでベルと行動すること。絶対離れないように。寝泊まりもここでしてくれていいから。

ベートさんはロキ様に俺が話あるって伝えてくれない?今から一緒に行くから。」

 

全員が頷き行動を開始した。

ユウとベートはロキファミリアに向かう。ロキ様はすぐに迎えてくれた。どうもリヴェリアさんやベートさんから普段の話を聞いていたみたいで話がしたかったみたいだ。

 

「おーよう来たな。久しぶりやんユウたん。今日はどないしたん?なんかあったん?」

 

「お久しぶりですロキ様。あ、これ米からできるお酒です。良かったら呑んでみてください。あーちょっと面倒ごとというかなんというか。とりあえず自分の動こうと考えてることで大丈夫か相談に乗っていただけないかと思いまして。」

 

ロキは薄っすらと目を開くがロキファミリアに頼るというより自分の動きで知り合いに迷惑がかからないかの心配のようなので話を聞く。

そしてリリとソーマファミリアの現状を聞いてブチ切れそうになる。

子供への愛が深いロキは許せなかった。

 

「とりあえず現状ではヘスティアが出て行こうが俺、ベル、リリが行こうがどうしようもないです。ならそれ以上に強いやつに頼めばいいじゃないの精神で粘着ババア女神を召喚しようかなと思います。」

 

「お前やっぱ頭おかしいわ。ちょっと前に魔導書2冊奪ってなかったか?」

 

「ちょい待てベート。今なんて?魔導書2冊やて?そんなん持ってて粘着ババア女神ってもしかして・・・フレイヤか?」

 

ユウとベートは頷く。

ロキは唖然とする。魅了持ちのフレイヤを粘着ババアと言うのもそうだが魔導書2冊を奪ってと言っているのだ。

フレイヤのことはオラリオの神の中でも一番知っているのは自分だと思うがその行動を許されている意味がわからない。

 

「なんでフレイヤとあんたがそない仲良いんかは知らんけどあいつが簡単に頷くとは思えんで?」

 

「あーフレイヤちゃん弄ると可愛いんでご飯作りに行く時毎回いじってたら仲良くなっちゃいまして。多分今回の件もあの女神今ファミリアの子供のことすごい考えて今までの行動反省してるんで二つ返事で了承してくれますよ?

ちょっと前とかオッタルさんに本当の年齢っていくつですかって聞かれて涙目で正座させてましたし。まぁ俺が何千年生きてるババアだよって言ったせいなんですけどね。」

 

ロキは初めは唖然としてたけど最後の方は大爆笑して息が出来なくなっていた。ベートはベートでこいつと付き合うと神まで変わっちまうのかよと呆れていた。

 

「ヒィーヒィー。こんなに笑ったん久しぶりや。そっか。フレイヤも丸ぅなったんやな。そんならウチもフレイヤと一緒に行ったるわ!ソーマんとこの酒飲めんようになるんは痛いけどそれより子供を蔑ろにしとるんは許せへんしな!」

 

「いやロキ様まで・・いやオラリオ1、2の派閥2つに目を付けられたとかの方が良いっすね。そしたら俺のとことの関係疑われて変な噂が立つことも無いですし。そしたらフレイヤちゃんのとこ行って話煮詰めますか。2つとも了承が取れたら俺商店街のおっちゃんおばちゃんとか一般人と仲良いんで噂流しまくってやりますよ。そしたらギルドの耳にも入るんでロキ様とフレイヤちゃんが動いても文句言えないでしょ。なんせ一般人に噂が立つくらい有名な話なのにギルドは統治する立場でありながら放置してたんですからね。」

 

ニヤリとあくどい笑みを浮かべながら話すユウを見てこいつを敵に回したらあかんとロキは決意する。

そのままの足でバベルの塔に向かいフレイヤの部屋に突撃する。

 

「フレイヤちゃーんユウ君が来たぞ!あれ?もう寝てる?まぁ年も年だから仕方ねぇな。おーいばぁちゃーん!起きてー!そのまま寝たら永眠しちゃうよー?」

 

ロキとベートは控えめにいってこの煽りにはドン引きである。

 

「ユウゥゥゥ!!年齢のことは触れないでって何度言ったら・・・ロ、ロキ!?」

 

「お、おう。フレイヤ。なんやアンタもユウたんに振り回されとんやな。」

 

「え、ええ。あれ?オッタルは?なんでいないの?」

 

「あー猛者ならユウたんになんか渡されて厨房行ったで?」

 

「オッタルゥゥゥ!!なんで警護よりご飯優先してるのよ!!!」

 

ベートの目は死んでいる。ご飯ってあれフレイヤに渡すやつじゃなくて猪野郎が自分で食うためのもんかよ。

 

なんやかんやあってロキとフレイヤがソーマについて話をしている間に酒のつまみとデザートを作っているユウ。こいつ本当に自由人だなと思うベートとオッタル。

 

つまみにチーズや枝豆を持ってきてオッタルとベートにはイチゴパフェを持ってきた。フレイヤとロキも食べたいと言うのですぐに持ってきたが。

 

食べながらフレイヤは全面的に協力してくれることになり、ギルドへの圧力やソーマファミリアへの圧力もユウがかけ、ロキファミリアとフレイヤファミリアには迷惑が極力かからないようにした。

 

作戦として3日後にソーマファミリアにロキとフレイヤが突撃することになる。その間にユウは噂を流すこととリリの護衛をベルとたまにベートとしていた。

 

一般人がギルドにソーマファミリアのことを不審がって聞きに行くことが増えたのでロキとフレイヤがソーマファミリアにオッタルとフィンを連れて突撃しにいった。

ユウはついていってないので話をした内容はわからないがソーマファミリアは次何か起こす団員がいたらその場で解散。どんな下っ端でも同じらしい。そして改宗したい子はさせること。神酒に溺れてる子に対しての改善できる酒をソーマに作らし、それができるまでその子供はホームから出さないなど色々取り決めがされたみたいだ。

 

その取り決めた書類をギルドにロキとフレイヤが直々に持っていき、これはギルドの仕事である。このオラリオを統治すると豪語するのであれば仕事くらいきっちりしなさいと声高々に言って帰ったらしい。

ロキファミリアとフレイヤファミリアは一般人からの支持が得られギルドはしばらく白い目で見られたらしい。

 

そしてリリは改宗が認められてヘスティアファミリアに入ってベルとパーティを組んで頑張っている。

後日協力してもらったロキファミリアとフレイヤファミリアにはお礼という形で食べ物やお酒を渡したら喜ばれた。

 

うん原作ぶっ壊しちゃったけど今更だしいいよね?内心でそう思いながらリリを早く助けれて良かったと思うユウだった。




リリ編は原作だと感動するシーンなのですが作者はあんな感動作れるわけないので駆け足で行っちゃいました。

次回はベルVSミノたんにしたいんですがオッタルさんのミノたん特訓の間ってことでオリジナルのアスフィ回を挟みたいと思います。

つか戦闘描写書ける気しない゚(゚´ω`゚)゚。ピー


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アスフィーあすふぃぃぃぃー!!

とりあえずベルVSミノたんまでにアスフィとデートさせたかった。
アスフィ不足なんじゃぁぁぁ!!

いや原作に出てないキャラを早めにぶち込むのってこんな難しいの!?


リリの一件も終わりのんびりする時間ができた。近況報告も兼ねてオラリオに帰って来たらしいヘルメスとアスフィに会いにヘルメスファミリアを訪ねる。

 

門番の人に通されてヘルメスの私室に突撃する。さてどんなダイナミックな突入をするかと考えながら歩いて行くとちょうどアスフィを見つける。

 

「おーいアスフィ!久しぶり〜そんでお帰り!」

 

手を振ってアスフィに近づいていくとアスフィも小さく手を振り返してくれる。

 

「久しぶりですねユウ。もうオラリオには慣れましたか?ベルは居ないみたいですがあなた達が別行動とはオラリオに来る前から知ってる私はびっくりですね。」

 

クスクスと笑いながら言われる言葉に少し恥ずかしくなる。アスフィとユウとベルはあの村の家に居た時は寝るのも一緒の部屋でぼぼずっと一緒にいたのだ。そんな過去を知るのはアスフィ以外いない。

少し頬を赤く染めながら一緒にヘルメスの部屋に行く。

簡単に挨拶をして近況報告を始める。

 

「爺ちゃん元気そうか。良かった良かった。まぁ俺らの方が先に死ぬんだけどな。それでもやっぱり爺ちゃんは爺ちゃんだから怪我も病気もしてほしくねぇや」

 

「ユウ君は相変わらず優しいね。あの爺さんは殺しても死なないから大丈夫だよ。天界に居た時なんかヘラに・・・うんこの話はやめようか。ところでオラリオでは最近なんかあったみたいだね。ロキとフレイヤ様が手を組むなんてよっぽどだよ。ユウ君何か知らないかい?情報は命に繋がるからね!」

 

「あぁヘルメス知らねーんだっけ。あれ黒幕俺だよ?」

 

ヘルメスとアスフィは固まる。そしてユウが事のあらましを全て語ると大きなため息を吐く。

ヘルメスはフレイヤ様にユウとの関係バレたらなんかさせられそうだなぁと遠い目をしたりアスフィは頭を抱えている。

 

「あ、そうだ。ヘルメス。アスフィと出かけてきてもいい?ベルもベートさんも居ないから暇でさ。久しぶりにアスフィと会ったしゆっくりしたいんだよね。」

 

おや?デートのお誘い?ユウ君が?いやこれ久しぶりにあった従姉妹に近況報告しようとしてるだけだ。アスフィ許可するからちょっとは異性としてアピールしてこいよ!

 

ということでアスフィとユウは一緒に出かけることになった。アスフィは勇気を出してユウと手を繋いでみた。

 

「ん?んん!?あ、アスフィどーした?いや別にいいんだけどさ、こういうのは好きなやつとやるもんじゃねーの?」

 

「い、嫌ですか?ユウもベルも私は大好きなんですからその好きなやつとやるというのはクリアしてるはずです!(ユウの事が好きだからですよ。とは恥ずかしすぎて言えません!ベル。だしに使ったみたいで申し訳ありません)それに男同士では出来ないんですからたまにはお姉様と手を繋ぎなさいっ!」

 

「アスフィが良いなら俺も良いけど・・お姉様ってのは反対する。元姫様のくせにお転婆なとこしか見た事ねぇ俺からしたら様なんかつけれないねっ!」

 

もうどう見たってカップルがイチャコラしてる様にしか見えない。実際通行人の何名かは砂糖吐いとるな。リア充爆発しろと聞こえてくるようだ。

 

手を繋いだまま豊穣の女主人に向かう。あそこは昼間はカフェをしているのだ。ケーキのレシピなどをミア母さんにあげたのでオラリオ1美味いと思っている。

 

「いらっしゃいませ!ってユウさんじゃないですか!あれベルさんじゃなくてえっとはじめましてシル・フローヴァです。とりあえず2名様ですね!こちらにどうぞ!」

 

怒涛のトークにアスフィも呆然としていたが席に案内されて座る。各々がケーキセットを頼みしばらく談笑しているとシルがやってきた。

 

「ユウさん今日はベルさんは一緒じゃないんですか??」

 

「見りゃわかるでしょ?今日はこの美人さんとデートなの。わかったらあっちに行ってなさい。」

 

「び、美人・・・こほん。はじめまして。私はアスフィ・アンドロメダといいます。よろしくお願いしますね。」

 

「むー。私休憩に入ったんですから相手してくれてもいいじゃないですかー!そりゃデートなのはわかりますけどベルさんいないんじゃユウさんで我慢するしかないじゃないですか!」

 

「おーいミア母さん!シルのあざとい仕草とか頼んでねーぞ!返品だ返品!」

 

「悪いねユウ!休憩中のバカ娘は返品不可だよ!要らないならその辺に捨てときな!」

 

ユウとミアのやり取りをみてアスフィは笑いシルは嘘泣きする。アスフィがいいじゃないですかと言うので渋々ながらユウは許可した。

シルはユウとアスフィの仲が気になったのか色々質問をする。そこで出会った時の事を聞かれ、アスフィが答える。

 

「そうですね。私とヘルメス様が都市外に行った時にある村に立ち寄ったらユウとベルの実家のある村だったのが最初ですかね。あの時は驚きましたよ。自己紹介の時にヘルメス様にベルに何かしたらどんな手を使っても潰すと言い始めましたからね。ベルもベルで止めるどころか嬉しそうにニコニコしてますから。ヘルメス様も私も美しい兄弟愛だなぁとはもちろんならずドン引きでしたからね。」

 

懐かしそうに少し笑いながらアスフィは言わなくていい事まで言う。シルも頬を引きつらせている。

 

「あー。私も恥ずかしながらベルさんに少しちょっかいを出してユウさんに初めてお会いしたときに説教受けました。」

 

「シルさんよく生きてましたね。ユウはベルの事に関しては止まりませんからね。止めれるのはお爺様くらいですよ。」

 

「おいアスフィ。俺が人殺しみたいな言い方やめい!!常識内で精神的に潰すだけだわ!!それに爺ちゃんじゃなくてもヘスティアとかミア母さんに言われても止まるわ!あ、あとアスフィも。」

 

「あ、あはは。まぁ私はリューとかミア母さんのおかげで助かったという事でこの話は終わりっ!それよりユウさん!アスフィさんだけベルさんの実家行ったことあるなんてズルいですよ!私も連れて行ってくださいよ!!」

 

「やだ。お前あざといし相手するのめんどくさい。アスフィ今年の最後の方にベルと里帰りするから一緒に行こうぜ。」

 

「おかしくないですか!?私の意見はやだの二文字で終わらせてすぐにアスフィさん誘うとかおかしいですよ!!」

 

「なんで家族に会いに行くのに他人のお前連れて行くんだよ。俺もベルもアスフィのこと大好きだしベルなんかアスフィ姉ちゃんって呼んでるんだぞ。もう家族なんだから一緒に帰ってもおかしくねーだろ。」

 

シルはうーとかあーとか唸りながら何かを考えている。アスフィはやっぱり従姉妹くらいにしか思われてないかぁと少し落ち込んでいる。

 

「えっとベルさんがアスフィさんをお姉さんと呼ぶってことはユウさんとアスフィさんは結婚する予定なんですか??」

 

「なっ!!い、いえ。そんな予定はないでしゅよ?おそらくベルも従姉妹くらいにしか思ってないのかと。」

 

「アスフィはこんな美人さんだぞ?俺にはもったいねーよ。さっきも手繋いできてたら視線凄かったし。それにしても嫁さんかぁ。」

 

アスフィはユウの言葉で頬を赤らめアウアウ言っている。それを見たシルはははーんと何かに気づく。

 

「ユウさんって恋愛的な意味で好きな人とかいないんですか?ほら休みの日とかにあいつに会いたいなぁとかデートしたいなーとか思う人!」

 

ユウは目を閉じて腕を組んで考える。全部アスフィなんだけどアスフィは家族って感じだし恋愛なのかなぁ?いやでもアスフィはぶっちゃけ美人だし性格も良いし何よりベルを大切にしてくれてるし・・・あれ?俺ってアスフィ好きなのか?

 

「いやシルの言ってるのに当てはまるの全部アスフィなんだけど異性として好き?といわれるとわかんないんだけど。まぁ特別この人が好きですとかは無いんじゃないか?」

 

シルはため息を吐き、アスフィはちょっと複雑そうだ。

それから休憩の終わったシルは仕事に戻りアスフィと2人になる。

いい時間なので店を出る。んっ!とアスフィに手を出す。アスフィは眼鏡の奥で少し目を見開きながら嬉しそうに手を繋ぐ。

ユウの頬も少し赤くなっている。

ああ、私は本当にユウが好きなんですね。不器用な優しさも弟への愛情も私への親愛も。ユウの全てが大好きです。いつかこの想いを伝えよう。そう決心したアスフィは手を繋いで幸せそうにユウの隣を歩く。

 

「アスフィ。ちょっとウチのホームに来てもらってもいいか?今更だけど忘れ物した。」

 

一緒にヘスティアファミリアまで歩いていきお茶を出されて飲んでいると装飾された箱を2つユウから渡される。

 

「えっとなんだ。そのアスフィに似合うと思って買ってたんだけど都市外にいて渡すタイミングも無かったから。俺もベルもアスフィには感謝してるんだよ。こっちはベルと俺で買ったやつで俺の魔法のシャンプーとリンスな。綺麗な髪してるからもっと綺麗にと思ってよ。

んでこれは、そのいらなかったら捨ててくれてもいいんだがネックレス・・なんだ。俺がアスフィに似合うと思って買ったやつだからオシャレする時とかに使ってくれると嬉しい。」

 

アスフィは目に涙を浮かべユウに抱きついた。ふぉぉぉ!アスフィのアスフィが当たってるぅぅぅ!童貞には刺激が強すぎるぜ☆

そっとアスフィを抱きしめ、耳元でありがとうなと呟く。アスフィもお礼を言う。ネックレスをつけて欲しいと言われユウはアスフィにネックレスをつけてやる。笑顔のアスフィを見て見惚れたのは内緒だ。

そのまま晩飯も食べてけといいホームで本を読んだりして時間を潰しているとベル、リリ、ヘスティア、ベートが帰ってきた。いやベートさんシャワー直行ってあんたここのファミリアじゃないでしょ。しかも棚になんで着替え置いてんだよ。ヘスティアもベルもなんも言わんのかーい。いや俺も言わないけどね?

アスフィは凶狼?え?ベルといたら兎と狼ですよ?食べられちゃいますよ?とアワアワしていたので説明しといた。

 

「んでユウ。お前次はヘルメスファミリアになんかしたのか?この女あそこの団長だろ。万能者」

 

「あぁベートさん知らないんでしたね。アスフィとヘルメスは俺らの実家に来たことがあって前からの付き合いなんすよ。んでオラリオに帰ってきてたんでデートついでに飯でもと思いましてね。」

 

「ベートさんベートさん!アスフィ姉ちゃんって万能者って2つ名なの??ベートさんの凶狼みたいなカッコいいのが良かったのにね!」

 

「ああん?お前ら付き合ってんのかよ。万能者っていやヘルメスの虎の子だろ?よく許可もらえたな。ベルもレベルが上がれば2つ名つくぞ?まぁカッコいい名前かはヘスティアの腕にかかってるけどな。神会でつけるらしいし。最悪ロキに頼んでやるから安心しとけ。」

 

「ベート君!そんな今からプレッシャーかけないでくれよ!僕はヘッポコなんだ!あ、それとアスフィ君とユウ君が付き合うなら別に構わないよ。ヘルメスも承諾してるし。」

 

「ちょっと待てぇぇぇ!!別に付き合ってねーよ!ヘルメスも承諾ってなんだよ!いや付き合う事になったらここのみんなにはちゃんと言うけどよ!」

 

「ユウ様。今付き合う事になったらって好きですって言ってるようなものですよ。落ち着いてください。万能者様が真っ赤になってます。」

 

こいつらこれで付き合ってねーのかよ。早く付き合っちまえよ。ベートは内心そう思いつつ口を開く。

 

「あー悪かった。俺が早とちりしたわ。んでちょっと話があるから聞いてくれ。もうそろそろロキファミリアで遠征がある。新地開拓っつーことで59階層に行くことになった。だからしばらくは飯はいらねぇ。」

 

「了解っす。ベートさん絶対に生きて帰ってくださいね。帰ってきたらみんなで集まってまた美味しいご飯食べさせてあげますんで。」

 

「ああ。それに誰も死なせやしねーよ。その為にユウとベルと鍛錬を続けてきたんだからよ。」

 

「ベート君。僕は君の主神じゃないしこんなの言うのは間違ってるかもしれないけど君も僕の子供の友達でいつも一緒にご飯を食べてるんだ。君が居なくなると僕は寂しいし悲しい。だから絶対に帰ってくるんだよ?」

 

ベートは笑いながら頷き約束していた。アスフィは凶狼のこと勘違いしてたかもしれませんと呟きベートに話かける。

 

「凶狼。あなたはユウとベルの友として色々助けてくれたみたいですね。私もユウとベルとは家族のようにさせてもらってます。弟の友達になら個人的に手を貸しても問題ないでしょう。」

 

いくつかのマジックアイテムをベートに渡していたがベートはこれ貰っていいもんなの?みたいになっていた。

 

「ベートさん貰ってあげてよ。それがもしかしたら助かる命綱になるかもだし。とりあえずベートさん帰って来るまでベルもリリも俺もアスフィもずっと待ってるから。」

 

ベートは笑いながら帰っていった。アスフィもそろそろ帰るとのことなのでユウが送って行くことにした。

ヘルメスファミリアに向かう途中にユウは決心したようでアスフィに話かける。

 

「あのさアスフィ。俺アスフィが異性として好きかまだわかってない。でもアスフィが俺以外の男、ヘルメスは除くけど、と歩いたり仲良くしてると嫌なんだ。もっとはっきりとしたこと言えればいいんだけどよくわからないんだよね。だから気持ちが分かったらアスフィに1番に伝えに行くから聞いてほしいんだ。」

 

アスフィは微笑みユウにいきなりキスをした。

 

「私の気持ちですよ。ええ。私の気持ちはずっと変わりません。ユウが真剣に悩んで考えた答えをいずれ聞かせてください。待ってますよ。それでは今日はありがとうございました。楽しかったですよ。」

 

固まるユウを置いてアスフィは帰っていった。ユウは頭の中が大暴走してパニックになっていた。

しばらくして落ち着いたユウはホームに帰って悶々とした夜を過ごした。

 

 

アスフィはアスフィでヘルメスに根掘り葉掘り聞かれて真っ赤になっていた。




オリジナルの恋愛とか難しいわ!!

さて次はミノたん戦だな。戦闘描写下手でも許してね。

てかベルはレベル上げれるけどユウのレベルどうやって上げたらいいの?ww

お読みいただきありがとうございました!


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1つ目のターニングポイント VSミノたん!!

さてさてさて。

みんな大好きミノたん戦!

これ書くときに焼肉のミノとタン塩思い出した作者は末期だと思う。


ベートさんが59階層への遠征に出ると聞いてあーデミスピのやつかーとか思いつつ、行く途中でベルのミノたん戦見るよね?あれ?これベートさんに俺が噛んでるの伝えた方がいいんじゃ・・と考える。

つかその時俺も一緒にいて横で観戦すりゃいいかと思い気にしないことにする。

 

 

「ってことで遊びにきたよフレイヤちゃん。あ、これお土産ね。俺が独自に開発したシャンプーとリンスってやつ。アスフィもベートさんもオッタルさんにも大人気の商品です。」

 

「え、オッタルの最近良い香りしてたのってこれ!?私が何度聞いても「石鹸では?」ってめんどくさそうな顔していってたのよ!あの子最近私の扱い適当すぎないかしら。」

 

「でも〜そんな可愛い子供の〜オッタルさんが〜??」

 

「す、好き〜??」

 

「けっババアが何言ってんだよ。最初に比べて可愛くなったし素直になったけど女神様との恋愛とかドロドロになりそうなんで僕には無理ですごめんなさい。」

 

「な、なんでノってあげたのにボロクソに言われて私が振られてるのよ!!はぁ。それでミノタウロスの件かしら?」

 

ユウは一通りフレイヤをいじったので満足し、頷いた。首尾は上々のようでオッタルさんが魔石を食わしつつトレーニングしているようだ。

 

「でも本当に大丈夫なの?強化種ってレベル違いに強いんでしょ?」

 

「何暗躍してんのに心配してんだよ。フレイヤちゃんうちの弟ナメすぎだよ。あいつの魂見てな?ミノたん見つけた瞬間俺が焚きつけるから失明するよ?」

 

「失明は嫌なのだけれど。あの子のこと1番知ってるユウが言うくらいだし信用するわよ。それで明日で良いのよね?」

 

「うん。ロキファミリアの遠征組も見に来るだろうしね。ベルの戦いをみたら今のロキファミリアに足りないもの見つけれるんじゃね?ベートさんは持ってるけど他の第一級冒険者は持ってない。ロキ様には世話になってるからね。遠征で誰一人欠けてほしくないし。」

 

「あなた子供というより神みたいね。私は楽しませてもらうわ。ベル君の輝きも貴方の暗躍の結果も。」

 

「うん。楽しみにしときな!」

 

そう言いユウとフレイヤはケーキを食べながら他愛のない話をして別れた。

その日の夜ベルとリリに明日は俺も久しぶりにベルと潜ると伝え就寝した。

 

翌日3人でホームを出てダンジョンに潜るユウとベルがいるので何の問題もなく9階層までやってきた。10階層に続く道を歩くがベルは何かに気づく。

 

「兄ちゃん。なんかおかしくない?モンスターとのエンカウントが少なすぎる。」

 

「確かにな。こりゃなんかイレギュラーがあったか?」

 

兄弟で話しながらも警戒は怠らない。

話をしていても仕方ないので先に進む。

 

「ヴォォォォォォォォォォォ!!」

 

「え、なんで9階層にミノタウロスが!?ベル様!ユウ様!撤退しましょう!いくらお2人が強くてもレベル1では無理です!!」

 

リリが焦って声を荒らげる。

ユウはベルを見るとベルは獰猛な笑みを浮かべていた。流石俺の弟と思いつつ声をかける。

 

「リリはこう言っているがベル。お前はどうする?このパーティリーダーはお前だ。俺はお前がしたい事を全力で支援するぞ?英雄になりたい弟を支援する兄は英雄より強くなきゃいけないからな。」

 

ベルは笑いながら指示をする。

 

「ミノタウロスは僕の冒険者生活でのたった1つの汚点なんだ。ベートさんと友達になれた。兄ちゃんにもベートさんにも戦う技を教えてもらった。こんなとこで足踏みしてたら笑われちゃうよ。

兄ちゃんはリリと僕から離れてリリの護衛を。僕はミノタウロスを1人で倒す!!」

 

「了解リーダー。リリ行くぞ。」

 

リリを担ぎ壁際まで下がる。リリは文句を言っているがベルを信じれないのか?と言うと黙った。

 

 

ベルとミノタウロスが対峙する。

押し寄せるのは上層では感じる事のない威圧感とど迫力。だがベルの心は静かだった。ユウとの鍛錬。ベートとの真剣な手合わせが自信となって湧き出てくる。

 

「ヘスティアファミリアがベル・クラネル。お前を倒す者だ。行くぞっ!!」

 

「ヴォォォォォォォォォォォ!!」

 

ベルがナイフを構えるとミノタウロスもそれに答えるように大剣を構える。

 

初手はベルだ。ファイアボルトを2発撃つ。ミノタウロスに直撃するが腕を振って煙を晴らそうとする。

ベルはファイアボルトを打った瞬間に効かないのがわかってたのか縮地を使いミノタウロスの背後にまわる。

そのまま首にナイフを入れるがミノタウロスの強靭な筋肉に阻まれ半ばまでで止められる。

 

ミノタウロスはいきなり背後に現れ、首にダメージをもらったことに驚愕していたがすぐさまパンチを繰り出す。

距離が出来た瞬間に大剣で振り下ろしの一撃を加えようとするがベルは退避してダメージを食らわない。

 

ベルはどうやればダメージが入るかとミノタウロスの攻撃速度を測ってるな。しかし戦い方が桁違いに上手くなってんなー。ベートさんどんだけしごいたんだよ。

 

ベルとミノタウロスはお互い決め手がないまま戦況は進む。ミノタウロスは何度もヘスティアナイフに斬られ、ベルは大剣の余波で切り傷がお互い身体の至る所にあった。

 

睨み合う両者。さっきまでの攻防より剣戟が激しくなる。ミノタウロスも大剣の扱いが上手くなり、ベルも速度を上げる。

ガッ、キンッ、ドコォ!

もうダンジョンの地面はデコボコになってきている。

 

するとロキファミリアの面々がやってきた。アイズさんがすぐに助けようとするので声をかける。

 

「アイズさん手を出さないでいただきたい。そもそも貴方のそれはダンジョン内でのルール違反だ。弟が男を見せて強くなろうとしている邪魔をするな。」

 

「はぁ?あんた何様よ。あんたらレベル1でしょ?倒せるわけないじゃない。弟を殺したいわけ?」

 

「おい馬鹿ゾネスやめろ。ユウの言ってること間違ってねーだろ。アイズのやろうとしてることが間違ってんだろ。それにユウも居るなら問題なんかおこらねーよ。」

 

ティオネさんは怒りながら言ってくるがベートさんが止めてくれ、アイズさんはどうするべきか悩んでいた。

 

「ユウ君か。ということはミノタウロスと戦っているのはベル君か・・・ん?ベル君ってレベル1だよね?ベート。あれどういうことだい?」

 

フィン、ティオネ、ティオナ、アイズは驚愕する。レベル1の冒険者とは思えないほどの動きでありミノタウロス、それも強化種と対等以上に戦っていたのだ。

 

「久しいなユウ君。なるほど。白髪と聞いていたがベル君だったか。ベル君なら問題あるまい。魔法の使い方もかなり上達しているようだ。」

 

「リヴェリアまで知っているのかい?ベートが仲良いのは知っていたけど。」

 

「あぁ。ちょっとした縁で一度だけユウ君とベル君とベートと一緒にダンジョンで魔法の講義をした仲だ。フィン。ベル君の戦いを見ておけ。」

 

「まぁそっすね。今から遠征でしょ?時間あるならベルの戦いは見ておいた方がいいですよ。リヴェリアさんとベートさん以外のロキファミリアに足りてないものがわかる。」

 

レベル1に足りてないと言われティオネは眉をしかめるが他の面々は目線を戦いに戻す。

 

ベルの頭は冴えていた。今までにないくらい冷静でミノタウロスの動きがクリアに見える。

右手の振り下ろし、いやフェイクで大剣の横薙ぎ。

 

動きを先読みしているかの如く最小限の動きでかわして攻撃を仕掛ける。

 

「ヴヴォ!?ヴォォォォォォ!!」

 

ミノタウロスはベルの動きについていけない。だが強靭な肉体のおかげで致命傷はもらわない。捕まえれば終わりだとミノタウロスは考える。が、それもベルは理解していた。ベルはまだ使っていない技がある。

それは外さないと決まった状態でしかやるつもりはない。なぜなら一撃必殺として作った技だったからだ。

 

ミノタウロスを誘導しつつ魔力操作で身体に魔力をゆっくりと確実に行き渡らせる。

 

ベート、リヴェリア、ユウは魔力操作に気づき目を細める。そしてベートだけが何をしようとしているか気づいた。

 

「おいユウ。こっからのベルは見物だぜ。あいつの技を1つ見れるぞ。お前を驚かせて喜ばせる為に作った技らしいからな。」

 

「えー?何?それよりベートなんであの子とユウ君?と仲良いの!?おかしいよ!」

 

「うるせぇまな板馬鹿ゾネス。ベルを鍛えてたのはユウと俺だ。これはロキにもフィンにも許可を得てやったことだ。てめぇには関係ねぇ。」

 

「誰がまな板だー!!あたしはティオネに取られただけだ!!ってフィンも知ってたんだ。まぁいいや。それよりベル君?めっちゃ強いじゃん!ねぇアイズもそー思うでしょ!?」

 

「う、ん。あの子の技術はレベルとか関係なくすごい。 あの あの子に技術を教えたのはあなたですか?」

 

「ん。そうですよ。てかベルの戦いみたいですしベートさんの言ってたこと気になるんで後にしてください。」

 

ユウはアイズをチラッとも見ずにベルの戦いをひたすら目で追っていた。

 

魔力が全身に回ったベルは身体能力が全て1段階あがる。右手の神様ナイフも紫から赤に発光する。ベルとミノタウロスはお互い5メートルを開けて対峙する。

 

「行くぞミノタウロス!!これが僕の全力だぁぁぁぁぁ!!」

 

「ヴヴォォォォォォォォォォォ!!」

 

まるで示し合わせたかの様に互いが動き出す。

ベルは最速の縮地を使いミノタウロスの懐に飛び込む。腹に全力の右ストレートを繰り出しミノタウロスはくの字に折れ曲がる。

その隙にしゃがみ、膝のバネを使ってベート直伝の蹴りを顎の下から叩き込む。浮いたミノタウロスは意識が朦朧となりながらもたたらを踏みつつ立つ。

その隙だらけの一瞬を待っていたと言わんばかりにベルは驚愕の技を使う。

 

「心眼流一の太刀 絶断」

 

右手に持ったナイフがそこだけスローモーションのように動く。赤く発光しているナイフはミノタウロスの筋肉をなんの苦もなく両断し、ミノタウロスは上半身と下半身がなき別れる。

 

いやいやナイフだから。それ太刀じゃないから。てかなんでベル出来るようになったの?え、マジか。

 

ユウの驚愕は計り知れない。なぜなら絶断は筋肉や脂肪のあまりついていない場所や筋繊維の方向などを見つけた上で寸分の狂いなく切る技術なのだ。ユウが一度ベルに見せたのはなんでも切れるスキルが出たのでキラーアントで試したときにネタで技名を言っただけだった。ちゃんとどういう技かは説明したけども。

 

ロキファミリアも驚愕し、固まっていた。ベートとリヴェリアは別だが。

 

「兄ちゃーーーん!!ミノタウロスに勝ったよ!!それに兄ちゃんに見せてもらった絶断もできたよ!!」

 

褒めて褒めてと言わんばかりの兎を抱きしめて頭をモフモフしてやる。

 

「すごいじゃねーかベル!!あ、ベルベートさんとリヴェリアさんも来てるぞ。」

 

「えへへ。あ!!ベートさん!ベートさん!実践で始めてあの技成功しましたよ!手伝ってくれてありがとうございました!!」

 

ベートもよくやったなと頭をガシガシ撫でていた。リヴェリアもベル君強くなったなと褒めている。

 

「ベル君。見事な戦いだったよ。僕達にも良い刺激になったし学べることが多かった。そしておめでとう。」

 

フィンさんに言われて照れてるベル可愛いぃぃぃ!!

アイズもティオネ、ティオナも褒めていた。

 

「君はどうしてそんなに強いの?」

 

アイズが質問する。ベルは首を傾げつつもうんうん唸りながら口を開く。

 

「アイズさんの方が強いと思いますけど・・・個人で強くなりたい。強くならなきゃって人は限界もあるし脆い強さだと思います。僕はそんな強さは要らないです。僕が欲しいのは兄ちゃんやべートさんみたいに誰がを守れる強さなんで!」

 

ベルゥゥゥ!!それアイズさんの強さ全否定しとるぅぅぅぅ!!リヴェリアさんもベートさんも頭抱えてるからぁぁぁぁ!!

 

「でも、それは、強ければ同じじゃないの?」

 

首を傾げながら尋ねるアイズ。ベルはえっとえっとと言いながらユウを見る。

 

「はぁ。アイズさん。例え話をしましょうか。まぁアイズさん以外分かってるみたいですが以前までのロキファミリア全員に気づいてほしかった部分でもあります。

アイズさんがオッタルさんと戦う事になりました。アイズさんはどうやっても勝てません。どうやって倒しますか?」

 

「もっと強くなって倒す?」

 

アイズさん以外のロキファミリア全員ため息を吐く。アイズさんはアワアワしている。

 

「はい馬鹿。戦ってる最中に都合良く強くなれると?正解は家族に頼る です。フィンさんやリヴェリアさんはもちろんここにいる他の方々も貴方が頼れば助けになってくれるでしょう。いつも1人で空回りして周りに心配をかけてたんじゃないですか?ティオナさんなんか間違いなくそうでしょう。ほぼ初対面の俺がわかるんですよ?アイズさん以外全員分かってると思いますが?」

 

ロキファミリア全員が頷く。

 

「貴方が求め、目指している場所は俺は知らないですしどうでもいいです。でも俺は家族を大切にしている。家族に大切にされながらそれを無視するやつは心底嫌いです。言ってる意味わかりますか?」

 

アイズはコクリと頷く。ヤベェベルの好きな人にこんなこと言ってベルに嫌われないかな?とかは断じて思っていないっ!!

 

「フィンさん。まだ時間に余裕はありますか?」

 

フィンが頷いたのでベルと手合わせする様に伝えて他のロキファミリアの面々を呼ぶ。

 

「ベートさんは知っていますが俺とベルは2人だと何故かベルの動きが桁違いに良くなります。誓ってスキルとかではないので誰かに頼るとこんな事もあるんだよーっとあの脳筋天然娘に教えたいと思うんですか良いですか?」

 

フィンは願ってもないと了承し、他の人もよろしく頼むと言ってきた。ベルだけではやはりきつかったのか負けていたのでそこに乱入した。

 

「ベル。俺がサポートする!思いっきりやれ!」

 

ベルはニコニコしながら頷きアイズに突貫していった。

それからベルの動きが変わり、アイズも捌き切れなくなってきた。

そこに兄弟2人で縮地を使いまくり撹乱していくとベルのナイフがアイズの首元に添えられた。

 

「まぁこーゆー感じで誰か本当に信頼できる人と一緒に戦えば一対一では勝てなくても相手を倒すことができるようになるってことですよ。」

 

アイズは無言で立ち尽くす。それはまるで子供が親とはぐれている姿だった。

ユウは他のロキファミリアのところに行き後は俺の仕事じゃないんでと伝えベルとリリを回収して地上に帰っていった。

 

ーロキファミリア目線ー

 

ユウ達が帰った後フィンはリヴェリアとティオネ、ティオナにアイズを任せた。自分達がすべき事をユウ達にさせてしまったのは心苦しいがこれでアイズがいい方向に向かってくれればと願う。

 

「ベート。君はわかっていたのかい?」

 

言葉少なにベートに問う。

 

「あーなんだ。アイズが俺らとは違う種類の強さを求めてるのはわかってた。俺も前までは強けりゃそれでいいと思ってたけどな。ユウとベルと会って一緒に鍛錬するようになったり飯食ったりしてると俺の思ってた強さはなんか違うんじゃねーかと思い始めてよ。」

 

「そうかい。僕らはね。アイズの目的というか目標を知っている。だからこそ言えなかったんだ。でもあの強さは脆い。一度でも折れたらもう取り返せない強さなんだよ。だからどうにかしたかったけどね」

 

「けっ。そこまで考えてんなら動けってんだ。これだからジジイとババアは。まぁなんだ。フィンも遠征終わってから1回ヘスティアファミリアに飯食いにいってみろよ。これが本当に信頼してるファミリアなんだなって分かるからよ。俺はあんな家族にロキファミリアをしてぇんだよ」

 

その言葉を聞いたフィンは驚く。正直ベートはヘスティアファミリアの方が居心地が良いのではないかと思っていた。だが違った。ベートはベートなりにロキファミリアを愛していたのだ。

フィンは自分の目も節穴か。と思いつつもベートの成長をこの目で見て喜ぶ。

 

一方アイズの方はというと・・

立ち尽くすアイズにリヴェリアが話かける。

 

「アイズ。ユウ君とベル君の言っていた意味がわかるか?」

 

「リ、ヴァリア・・うん。最後のベル。凄かった。ミノタウロスと戦ってるのも見てたから。負けることはないと思ってた。でもユウが来ると動きが全然違った。本当に信頼してるからどんな風になっても大丈夫って感じだった。」

 

たどたどしくも自分の思いを口にするアイズ。それを黙って聞く3人。

 

「まるでお父さんとお母さんみたいで・・・私もあんな風になれるかな?私も冷たい強さじゃなくてベルみたいにあったかい強さになりたい。」

 

「そう・か。アイズ。そう考えられるようになったのはお前の成長だ。その気持ちを忘れるなよ。もちろん私もティオネ、ティオナ、それにレフィーヤだって協力してくれるさ。」

 

「当たり前じゃない。全くあんたはティオナより手がかかるわ」

 

「もちろんだよアイズー!!一緒に頑張ろうね!それにベル君とユウ君が気になるならベートに聞けば教えてくれるだろーし遠征終わったら一緒に行ってみよーよ!」

 

アイズは頷き前を向いた。みんなこんな顔するんだ。と今まで良く見てなかった、いや気持ちが変わって良く見れるようになったアイズは自然に笑った。

その笑顔をみてティオナがはしゃぎ、ティオネとリヴェリアが微笑むのはまた別の話。

 

 

ーヘスティアファミリア目線ー

 

とりあえずギルドに向かい、ミノタウロスが9階層に出現したことと討伐したことを説明する。エイナさんはびっくりしていたがアスフィの話も聞いていたので原作ほど取り乱してはいなかった。

 

そのあとはヘスティアに説明してステイタスを更新するとベルはレベル2になった。英雄願望が何故か追兄願望になっていてちょっと嬉しかった。英雄より強い兄とか言っちゃったからかな?

 

そして気づく。あれ!?俺どうすればレベル上がるの!?弟よりレベル低いとか嫌なんだけど!!こうしちゃいられねぇ!!フレイヤちゃんとオッタルさんに相談だ!!

 

飯を食べてお土産のシャンプーとリンスをもって凸撃粘着ババアの家を敢行する。

 

「フレイヤちゃーん!どうしようどうしよう!あ、これお土産のシャンプーとリンスね。フレイヤちゃん髪長いからトリートメントも入れといたから。」

 

「あらユウじゃない。え!ホント!?あれ使って髪洗うと良い香りするのよねぇ。とりーとめんと?後で使い方教えてね。で、どうしたのよ。ベル君の冒険は見させてもらったけどホントに魂輝きすぎて目が痛かったわよ。」

 

「教える教える!また無くなったら持ってきてあげるから知恵かしてよ!!あ、オッタルさんにはこれね。ベルがレベル上がったのに俺まだ1なんだよ!尊敬される兄が弟よりレベル低いと恥ずかしいじゃん!だから手っ取り早くレベル上げれる方法教えてくれよぉぉぉ!!」

 

フレイヤとオッタルはこいつアホだと思った。

 

「ユウ。フレイヤファミリアの幹部と戦ってみるか?傷でもつけれればレベルが上がるかもしれん。」

 

とりあえずテキトーな事を言うオッタル。その言葉を聞いた瞬間にフレイヤファミリアのホームに走っていった。

ポカーンと見るオッタルとフレイヤ。

 

「オッタル!止めてきなさいっ!あの子道場破りみたいになるわよ!?」

 

「いやしかし今から頼んでおいたボディソープとやらを試しに風呂に行こうかと。」

 

「オッタルゥゥゥ!!貴方それ使いたいから自分が手合わせじゃなくてアレン達に押し付けたわね!?と、ところでボディソープというのは何かしら?」

 

「頭を洗うのがシャンプーで身体を洗うのはボディソープというらしいです。聞いた話によると石鹸より香りが良く肌に傷もつかないものらしいです。」

 

「貴方の肌とか傷つかないでしょ。私は女神だから気をつけなきゃいけないからそれちょっと使わせて?」

 

オッタルはボトルを持ち出入口に向かう。

 

「それではフレイヤ様。アレン達にユウの事を説明してくるので私はこれで失礼します。」

 

「オッタルゥゥゥ!!逃げるなぁぁぁ!!はぁあの子あんなに面白い子だったかしら。まぁいいわ。今度ユウに持って来てもらいましょう。それよりトリートメントね。」

 

ちなみにオッタルがホームに着くと門が吹き飛んでおりレベル3以下は軒並みボコられアレン達と戦っているユウがいた。オッタルが説明すると全員ドン引きしていた。アレンがアーニャの兄だと知ったユウはアーニャをいじるためにアレンの毛並みを綺麗にしようとオッタルに言ってシャンプーなどを使わせたのは蛇足。

 

あ、レベル上がりました。レベル3以下の団員ボコったので上がったみたいです。




まさかのアイズ戦と主人公のテキトーなランクアップw

うーん戦闘描写がうまくいかない。

こうしたら?とかあれば教えてくださいお願いします!


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神会だよ!潜入するしかないよね☆

まさかのユウ君神会に参加するってよ。

暴走しすぎて草生える


ブラコン襲撃事件(フレイヤ命名)の後すぐにヘスティアにステイタス更新させてランクアップしたことを喜んだユウはやった事を説明し、怒られた。

 

とりあえずこれでベルとレベルも一緒になったしホッとしているユウだがヘスティアは胃が痛かった。

神会での命名式があるからだ。あそこは本当に混沌としている。ヘファイストス曰くアホの極みらしい。しかもユウは神に感性が似ているので変な2つ名になるとブチ切れるかもしれない。ため息を吐きながらどうにかしないとと考えるヘスティアだった。

 

レベルも上がってずっと休み無しに鍛錬などもしていたのでベートも遠征で居ないので3日間は全員休む事にした。リリは今までお世話になっていたご老人のところに話をしに行く、ベルは商店街のおじさんおばさんとゆっくり話をしに行くみたいだ。

 

俺はとりあえずやりたい事がある。原作を読んでいた時から思っていたが神会に参加したいのだ。あんな面白そうなところに行かないなんて有り得ない!!

と、いう事でヘルメスとロキ様を呼び出した。

 

「ユウたんいきなりどないしたん?今みんな遠征行ってて暇やからええけどなんかあったん??」

 

「おや。ロキまで呼んでたのかい?ユウ君がこんなに神を呼ぶなんてなんかあったとしか思えないけど」

 

「ロキ様わざわざすみません。ヘルメスは黙ってろ。ちょっと相談があったのでついて来てもらっていいですか?」

 

そしてバベルの塔に向かう。ロキはこりゃほんまになんかあったなと思い、ヘルメスはまさかあの女神のところじゃないよね?と冷や汗をかく。

 

「フレイヤちゃーん!!相談乗ってぇぇぇぇ!!ほらボディソープも持ってきたからいいでしょ?年なんだから肌気をつけないと!」

 

「ユウ!!年の事はあれほど言うなって言ったでしょう!ぼ、ボディソープはいただくわ。入ってらっしゃい。」

 

「素直に欲しいって言えよツンデレババァ。あ、ロキ様とヘルメスも入りなよ。」

 

「誰がツンデレよ!・・・あらロキとヘルメスじゃない。どうかしたの?」

 

「フレイヤ・・・無かったことにはできひんて。相変わらずユウたんにボロクソにされとんな。」

 

「や、やぁフレイヤ様。ユウが本当にすまない。まさかフレイヤ様にこんな態度とは・・・」

 

「いえいいのよ。それよりヘルメスもユウの事を知っていたのかしら?」

 

ヘルメスはオラリオに来る前からの知り合いだと伝え神同士で話をしている。そこに待ったをかけるユウ。

 

「ちょい待って!俺の相談終わったら飯作ってあげるからそこで話してよ!フレイヤちゃん!ヘルメス!ロキ様!お願い!俺を神会に参加させて!俺も面白い二つ名とかフレイヤちゃん以外の神様いじったりしたいの!!」

 

 

ロキ、ヘルメス、フレイヤは思う。この子本当に下界の子供か?と。しかしロキは面白いしいいんちゃう?ヘルメスはまた荒れそうだなーと。フレイヤはユウに毒されているので問題なかった。

そう満場一致で可決された。

 

「確か今回の神会の司会ってロキだったわよね?ねじ込めるでしょ?」

 

「そーやな。まぁうちの横に座らしといたらええやろ。フレイヤが連れていったらイシュタルがなんか言いそうやしな。」

 

「これは俺も初めから参加しとこう。絶対面白くなる予感がする。」

 

そのあとはユウの飯を食べながら楽しそうに全員で話をしていた。ブラコン襲撃事件の話ではロキとヘルメスがドン引きしていたが。

 

「ほなユウたん行くで!とりあえずこの仮面しといてな!ドチビの驚いた顔も見たいし!」

 

にやけてるロキの言う通りにしつつ今から始まるまつりにニヤニヤが隠せないユウ。大手の派閥の神と仲良くなってて良かったと思う。

 

神会の開かれる部屋に入り、ロキの隣に黙って座る。

 

「ロキ。隣の仮面のやつ誰だ?そんな神いたっけ?」

 

「あー気にすんな。絶対おもろい事になるから待っとけ」

 

男神に話かけられるがロキのその一言で男神は納得する。面白ければそれでいいのだ。

ある程度席が埋まる。フレイヤもヘルメスも初めから参加している。フレイヤが参加しているのは珍しいのか他の神も驚いていた。

ヘスティアもヘファイストスと共に座っていた。

 

「ロキ様ロキ様。ヘスティア見て。あのロリ巨乳俺が変な二つ名だったらツインテ片方切り落とすって言ったから緊張でガクブルしてるww」

 

小声でロキに伝えるとロキは吹き出して小刻みに震えている。

 

「やめぇや。司会やのにドチビみたら吹き出してまうやろ。仮面外した時あいつ気絶するんちゃうか?」

 

2人して小刻みに震えているとそろそろ始めようという声が上がる。

ロキが司会進行し、なんか変わった事がないか問う。原作通りに進むが1つだけ違うことがあった。

 

「あーロキ、ヘスティア、ヘルメス、フレイヤ様のファミリアの子供の一部がすごい良い香りがするって商店街で噂になっててだな。俺のファミリアはそういう物も扱ってるんだがなんか違うらしくてな。何か知ってるなら教えてほしいんだが。」

 

ロキは首を傾げていたがヘスティアは変な汗をかいてフレイヤとヘルメスは笑いを堪えていた。

 

「うちの子か?誰や?知らんねんけど」

 

「あいつだよあいつ。凶狼。」

 

「はぁ!?ベート??あいつがええ香りするん!?・・・あっ!」

 

ロキが気づいた時ユウ、フレイヤ、ヘルメスは大爆笑した。他の神はなんだ?なんだ?とざわめく。

 

「ふふ。私のところはオッタルとアレンね。アレンは無理矢理だったみたいだけれど。」

 

「俺のところはアスフィだな。ヘスティアのところは?」

 

「え、えっと眷属3人全員かな?僕もそうだしヘルメスもフレイヤもだよね?」

 

ヘルメスとフレイヤは頷く。ロキは気づいた。ベートが持って帰ってきて数少ねえけどロキの分だと渡されたシャンプーなどを。

 

「あれかぁ!!ほなうちもやわ。ほんでもなあれは数少ないらしいしそもそも製作方法がえらい遠い地方のやつらしいから知らんらしいで?実家から送られてくるやつおすそ分けしてもらっただけやし」

 

ロキがの言葉に全員頷く。ロキのナイスフォローに全員すげーなと思う。その男神はしょんぼりして座る。

他はないみたいで命名式に移る。その前にロキは立ち上がり全員の注目を集める。

 

「楽しい命名式の前にあんたらに朗報や。最初は不満があるやろうけど黙って最後まで座っとき。悪戯神の名にかけておもろい事になるのを誓ったる。うちの横にある仮面の子おるやろ?この子実は下界の子やねんけどうちもフレイヤも認めるくらいおもろいから参加させたんや。ほれ挨拶しとき。」

 

「どうも男神女神の皆様。ご紹介に預かりましたヘスティアファミリアが1人ユウ・クラネルと申します。何やら面白そうな気配を嗅ぎつけフレイヤちゃんとロキ様、ついでになんの役にも立たないヘルメスに頼んで参加させて頂きました!どうぞよろしく!」

 

ヘスティアは白目になり机に突っ伏した。交友のあるミアハもヘファイストスも口を大きく開いて固まっている。

 

フレイヤちゃん呼びや役立たず呼ばわりされているヘルメスを見て神様軍団は

「「「こいつぁぶっ飛んだ面白そうなやつが来た!許可する!!!」」」

と満場一致した模様。

 

そしてカオスな状態のまま命名式が始まる。

 

「ほんなら命名式をはじめまーす!」

 

「「「いえーーーーい!!」」」

 

「トップバッターはセトんとこの子やな!」

 

「ふひひ。血が滾りますなぁ。」

 

「どんな痛い名がつくのやら。心が踊る。げふんげふん痛むぜ。」

 

「「「何より期待のユウ君のセンスが気になるっ!!」」」

 

色々な意見が出る中ユウは無言でその話し合いを見ている。みんな肩透かしを食らった気分である。

 

「ユウたんはなんか意見無いん??」

 

見兼ねたロキが話を振る。

 

「いやー神様達がどんなハイセンスな意見が出るのか楽しみで静観していたんですけど琴線に触れないというか何というか。やはり家族なんですから子供の特徴を取り入れつつ親の特徴も軽く混ぜるとかどうですかね?」

 

神様連中はおぉ!や、こやつやりおるわなど納得していく。

 

「あくまで俺は子供なので他所様の子供に対して命名することはしたく無いですしできません。なので意見を出しつつ神様方が使えそうな部分を使って名付けるで手を打っていただけないかなと。」

 

「「「さんせーーーい!この子凄い面白いしいい子!ヘスティア寄越せ!!」」」

 

「うるさいよ!ユウ君は僕のとこの子だよ!!」

 

「とりあえずセト様の子は炎の魔法が目立つようですので破壊の神のセト様を加味して「炎上☆少女」とかどうです?炎上って平穏を破壊してますしw」

 

ウォォォ!!と盛り上がる会場。なんてハイセンスなんだこいつぁ。やべぇ。これ以外ないって意見の後に俺らが言わなきゃいけないのかよ。まさか神にこれほどプレッシャーを与えてくるとはこやつできる。

など大ウケである。あのフレイヤまでもが驚きつつ笑っている。

 

ある程度進むとオラリオに来た当初に断られたが丁寧に対応してくれたタケミカヅチ様の番になった。

 

「次はタケミカヅチんとこやなー。ヤマト・命ちゃんかー。黒髮でめっちゃ可愛いやん!」

 

「たしかに。この子に痛い名をつけるのは心が痛むな。」

 

「黒髮少女萌えるわぁ」

 

「ほ、本当か!ならお手柔らかに頼む!!」

 

その言葉を聞いてニヤニヤと悪い笑みを浮かべる神々連中。タケミカヅチはジゴロだからダメだの言い放題良い始める。

 

タケミカヅチは最後の希望を込めてユウを見つめる。

ユウは親指をあげ任せろというジェスチャーをする。

 

「同じ東の出と言うことで1つ意見を出させていただきたいです。東には黒髮が多いです。そして彼女の戦い方の特徴も忍者に近いですね。よってこれだ!!「暗黒忍者」w」

 

なんだそれ!俺の絶✝️影よりハイセンスじゃねぇか!これ以外思いつかねぇ!!でもユウ君はちょっと変えて欲しいんだよな?弄るとこねぇぞ。

 

「最愛の父親であるはずのタケミカヅチ様に少し変えてもらえばいいんじゃないです?タケミカヅチ様が直々につけたってなったら皆様大好き黒髮美少女は他の神様もタケミカヅチ様に任せてくださりありがとうございますってなるんじゃないですか?なんなら俺が噂流しまくりますしw」

 

なんて子供だ!素晴らしい!その案を採用するぞ!!タケミカヅチ早く決めろ!そして命ちゃんにしっかり伝えろよ!!

タケミカヅチ様はトントン拍子に進んで行く話についていけなくなっていたが2つ名を決める権利を貰えたのでホッとしていた。

結局「闇忍(やみにん)」となった。

 

「ほんなら次はウチのアイズたんやなぁー!」

 

剣姫もうレベル6かよ。などの声が聞こえるが特に変えなくてもと言う意見が出たところでユウに声がかかる。

 

「んーそうっすね。アイズさんですかぁ。俺がつけたら酷いことになるんでオススメはしないですよ?」

 

全員が聞きたいとの事なのでロキに謝りつつ言葉を発する。

 

「脳筋天然娘」

 

全員大爆笑である。ロキまで笑っている。しかし外で脳筋天然娘とは第一級冒険者に対してさすがに言えないので変更しないこととなった。

 

「最後はドチビんとこの2人やな。ユウたん曰くまともな2つ名つけんとドチビのツインテ片方切り落とされるらしいで」

 

何それ見てみたい。でもユウ君には新しい楽しみ方を教えてもらったり世話になってるから普通のをつけてあげたいとこではあるな。など好意的な意見が寄せられる。

 

「あー俺は別にいいんすけど弟にはマトモなのお願いします。俺と違ってすげぇ素直なんで。」

 

そう言われて神々も考える。だがやはり神は神。面白いことが好きなのでネタに走るやつもいる。だがそれがこの神会の失敗だった。

 

「儂は忙しいから早く決めたいんだが。もう兎みたいじゃしロリ兎でええじゃろ。」

 

ディアンケヒトがそう言った瞬間ヘスティア、ロキ、フレイヤ、ヘルメスが終わったと呟いた。

 

「え?ディアンケヒト様でしたっけ?医療とか技術とかを司る神様でしたっけ?その不摂生極めたみたいな体型で医療を司ってるんですか?いやほんとそんな神に診てもらって治るんですかね。俺は嫌なんでミアハ様に診てもらいますわ。なんかミアハ様をライバル視してるって聞きましたが神対神ならミアハ様圧勝ですね。あ、お忙しいんですよね?うちの弟より、神会の都合より大切なことがあるみたいなのでお疲れ様でした。出口はあちらです。今度ディアンケヒト様とミアハ様、ファミリア抜きでどっちに診察してほしいか女性限定でオラリオ中にアンケートとってギルドに張り出しておくので楽しみにしておいてくださいね。」

 

「な、何をいっておる!神に対して不敬だぞ!ヘスティア!どうなってる!」

 

「はぁ?神の力を封印して下界に降りてきてる無知無能の神様のどこを敬えと?神各者として振舞っている神様に対してはこちらも敬っているはずですが?ロキ様俺おかしなこといってますかね?」

 

「いんや?その通りやと思うで?みんなで2つ名付けよう言うとんのに忙しいとか言い訳して適当に決めようとするやつとか神でも下の下やろ。」

 

「そうね。私もディアンケヒトの態度はどうかと思うけれど。後2人でみんな気合い入れて決めようとしてたのにそうゆうのは良くないと思うわ。子供達に利用止めるように言おうかしら。ミアハ。あなたのところ利用させてもらうわ。」

 

ディアンケヒトは焦りに焦ってユウに頭を下げた。それを見た他の神は真剣に考えないとマジでヤバいと冷や汗を流す。ヘスティアの胃もマッハでヤバい。

 

「ぼ、僕の眷属がすまない。でもユウ君を見てきた君達なら分かると思うんだけどロキもフレイヤでも手綱が取れないんだ。普段はいい子なんだけどスキルに出るくらいベル君、弟のことになると神でも潰すって言うくらいだから申し訳ないけどよろしく頼むよ。いやほんとによろしく頼むよぉ〜」

 

涙目のヘスティアを見て他の神もああこいつ苦労してんだなと同情する。そりゃ神会に飛び入り参加するくらい頭の中ぶっ飛んでるんだから。と納得した。

そこからランクアップしたミノタウロス戦の事とアイズ戦の話を聞いて神々は考える。

 

「敏捷特化で容姿は兎。ついでに凶狼の弟子かぁ。話題ありすぎて逆に難しいな。」

 

「むしろ兄弟だし同じファミリアなんだからユウ君が決めちゃダメなの?話聞いてるとベル君もユウ君の事大好きっぽいし俺らが決めるより喜ばれるんじゃね?」

 

おお!そりゃいい案だわ!って事でユウ君に聞いてみよう!ヘスティアもそれで良いだろ?などと言われユウが決める事になった。

 

「うーん。ネタはダメ。ベルに一番良い2つ名かぁ。兎、脚、可愛い、ベル可愛い。いかんいかん思考がベル可愛いに埋め尽くされるとこだった。」

 

どの神も健気に弟の2つ名を考えるユウを見てほっこりしている。フレイヤは特にユウのベルへの愛情を知っているので嬉しそうにしている。

 

「決めた!「炎雷兎」。炎はヘスティアが竃の女神だし雷は俺の魔法、兎はベル!これで良いですか??あ、あとベルの決めさせてくれましたし俺の2つ名はネタでと良いですよ?神々のハイセンスに期待ですねぇ」

 

ニヤリと笑うユウに神々も又ニヤリと笑う。ほほう。神を煽ってくるとはな。いいだろう!神の全力を見せてやろうではないか!

神会はじまって最大級の盛り上がりをみせる。ヘスティアまでもが今までの胃痛分だと言わんばかりに痛い名を出し始める。

 

そして決まった2つ名が「愛狂兄貴(シスコンバカ)」となった。

 

「最後に子供まで神会に参加させていただきありがとうございました!皆様の器の大きさには正直感動しました!また外で会うことがあれば気軽に声をかけてください!楽しかったです!」

 

そう言い頭を下げる。神々は嘘がわかるためユウが本心から言っているのを理解し、また来いよ!ユウ君なら大歓迎だ!など好意的に声をかける。

これで「恐怖!ブラコン神会」と呼ばれる神会が終わった。

 

ちなみにユウはタケミカヅチにひどく感謝されたらしい。




いやぁ暴走しちまった。

原作読んでる時から神会行ってみたいなーと思っていたのでブッ込んでしまった。

お目汚し申し訳ないです。

次回はリューさんと絡むよ!


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ご注文は?兎か妖精で!野郎はゴミ箱へ!

ランクアップ祝い編です。

やっとリューさんと絡める!

アスフィもリューさんも好きなんだよなぁ。
つか黒いゴライアス戦どーしよ。ヘルメス様実力知ってるから暗躍する必要ねぇんだよな。


恐怖!ブラコン神会が終わってホームに戻るとまぁヘスティアから死ぬほど怒られたユウ君です☆

ベルにギルドから伝わる前に二つ名を教えたらすっごい喜ばれた。具体的にはその笑顔でご飯3杯はいけるレベルで。リリからは呆れられちゃったけどね!リリもランクアップしたら腹黒幼女って2つ名付けてやるよって伝えると一生ランクアップしたくないみたいだった。

 

今日の夜ヘスティアは祝いの席に行かないらしいので3人で豊穣の女主人でお祝いだ。予約もしているので安心して食いに行ける。

豊穣の女主人に着くとミア母さんがまず祝ってくれた。あんたらならやると思ってたよと言ってくれて俺もベルも喜んだ。

シルとリューさんを貸してくれるらしいのでシルは返品しようとしたがぎゃーぎゃーうるさいので仕方なく席に座らせた。

 

「と、とりあえずベル様とユウ様のランクアップを祝ってカンパーイ!」

 

「「「カンパーイ」」」

 

リューさんは原作通り水だけを飲んでいたので日本商店にあった一番高い水を持って来ていたのでご馳走した。シルにはカリカリ梅一個あげた。

 

「ユウさんありがとうございます。この水は美味しいです」

 

「あぁ気にしないでください。ベルも世話になってるみたいですし初対面で少し言い過ぎましたからね。これで許して貰えるとありがたいです。」

 

「いえ。あれは私が短慮だったのでこちらこそすいません。」

 

生真面目なエルフだなぁと思いながら仲直りをする。横でシルが膨れていたが。

 

「ユウさん!リューと私に対応の差がありすぎませんか!?何ですかこの食べ物!すっぱいんですけど!」

 

「あーはいはい。すっぱいすっぱい。シルはあれだなうるせーなほんと。ベルを皿洗いに使ったの知ってんだぞ?ん?」

 

明後日の方向を向いて口笛を吹くシルをみて呆れつつも各自飯を食べていく。

 

「しかし本当にユウさんもベルさんもランクアップが早かったですね。私は見誤っていたようだ。あなた方は尊敬に値するヒューマンだ。」

 

「リリもそう思います。ですがベル様はミノタウロス戦を見ていたのでわかりますがその後すぐにユウ様はランクアップしましたが待機中にしていたのですか?」

 

「もぐもぐ。ん?あーそうか。リリとベルには言ってなかったな。ベルがランクアップしたから兄として負けれんと思ってその日にフレイヤファミリアに突撃してレベル3以下のやつら全員叩き潰してきたんだよ。アレン君とかと戦闘になる時にオッタルさんが止めに来てくれたから戦闘はしてねーけどな。」

 

全員ドン引きしている。リリは頭を抱え、ベルは苦笑い、シルはなんつー顔してんだ。リューさんはジッと俺の顔を見る。

 

「すみません。ユウさん。それは本当の話ですか?いえランクアップしてるので何かしら偉業を成し遂げたのはわかるのですが方法が少し・・・」

 

「リューさん誓って本当ですよ?最初にフレイヤちゃんのところに行って手取り早くランクアップする方法聞きにいったらオッタルさんが幹部と戦ったらランクアップするんじゃね?って言ってくれたのでお言葉に甘えまして。アーニャとか知ってるんじゃないっすかね?おーいアーニャ!ちょいとこっち来い!」

 

「なんニャ?今忙しいニャ!」

 

「ほーん。アレン君の毛並みの秘密知りたくねーんだ。やだなぁ。お兄ちゃんより汚ねぇ毛並みの雌猫とか。」

 

「ユウ様何か用かニャ?なんでも答えるニャ!」

 

アーニャの態度に一同ドン引きです。アーニャはアレン君に教えてもらった事を全てリューに話すと仕事に戻って行った。なんかアレン君はあいつは頭おかしい。テメェも気をつけろと言ってたらしいが。またシャンプーの刑にしてやる。

リューさんは事実とわかり額に手を置いていた。

 

「ユウさん。あなたはどうも普通の冒険者とは違うようだ。私では力になれそうにない。ところでベルさん。あなたはこれからどうするつもりですか?」

 

「あ、はい。兄ちゃんがつけてくれた2つ名に恥じないように力をつけていくつもりですっ!」

 

ユウは思わず吹き出してしまった。この弟たまにとんでもない天然を発揮する。

リリも苦笑いである。

 

「いえ。そうではなく・・・今なんと言いました?ユウさんにつけてもらった??」

 

「はい!兄ちゃんが神会に参加して直接僕の2つ名をつけてくれたんです!神様と兄ちゃんと僕の混ざってる2つ名です!」

 

「え、ユウさんは下界の子供ですよね?神ではないですよね?」

 

「面白そうだったからロキ様とフレイヤちゃんとヘルメスに頼んで参加しちゃいました!あ、でもベルの2つ名以外はつけてないですよ?煽るだけ煽ってきましたが。」

 

「もう、いいです。話を戻しますがベルさんはダンジョン探索をどうするつもりですか?」

 

ベルは少しずつ階層を増やしていくと伝え、リューは仲間を増やすべきだと主張する。その意見には賛成なので俺が居ない時にベルとリリ2人だと手が足りなくなると伝える。

ベルは納得してどうしようかと悩んでいた。

 

「おやおや炎雷兎!仲間でお困りか?」

 

「いえ困ってないです。凶狼とか猛者とか呼べるんでそれに勝てるようになってから出直してください。後その下心丸出しの目やめてほんとめんどくさい。」

 

ユウの言葉に絡んできた冒険者は固まる。だが酒も入っているからか逆上する。

ユウは頭をアイアンクローしたまま外に出て頭から地面に叩きつける。気絶した冒険者を外のゴミ箱にポイすると笑顔で戻ってきた。

 

「ミア母さん!粗大ごみ外のゴミ箱に入れといたから!金は残してる2人から巻き上げといて!」

 

「あいよー。手間かけたね。そこのアホ2人金置いてさっさと出て行きな!」

 

この一連の流れを見た他の冒険者に愛狂兄貴はヤバすぎると刻まれたのだった。

リューとシルは固まっていたが慣れているリリとベルは普通に飯を食っていた。

席に戻ってベルに防具を新調するように言う。ヴェルフは原作通りならすごいいい奴なので是非仲間にしてほしい。

その後は特に何事もなく食べ物を食べて終了した。

 

次の日ベルは防具の新調に向かったのでユウはアスフィに会いにヘルメスファミリアに向かう。だが都市外に行っているようだった。確かに原作でもベル達がパスパレードの時に戻ってきてたなぁと思い少し落ち込む。

 

やることがないので豊穣の女主人に向かうことにした。今日はどうやってアーニャ弄ろうかなーと思いながら店に入る。

 

「母さん暇だから遊びに来たよー!夜の仕込みでも手伝おうか??お、毛並みパサパサのアーニャちゃんじゃないですかぁー今日もにゃんにゃんしてて可愛いねぇー」

 

「おやユウかい。あんたが手伝ってくれるならありがたいね!よろしく頼むよ。」

 

「にゃぁ〜やめるニャ!ユウの手は魔性の手ニャ!猫人は骨抜きにされちまうニャ!」

 

アーニャをゴロゴロニャンニャンしてから手を洗って厨房に入るとリューさんが皿洗いをしていた。

 

「リューさんこんちわ。今日だけ手伝いのユウクラネルですキリッ」

 

「ユウさんこんにちは。ユウさん。あなたの発言は神に近しい。止める事をオススメする。しかしミア母さんが厨房に入れるとは信用されているのですね。」

 

「神会に参加して褒められるくらい神様寄りなのは認めます。母さんにいくつかレシピを教えたりご飯をご馳走したりしてますからね。手際を見てたのでそれで認めてくれたんじゃないですかね?さて仕込みをしますか!」

 

母さんに言われた仕込みを超速で片付けていく。何か目線をすごく感じるので横を見たらリューさんがジッと俺の手を見ている。

 

「どうしたんですか?手には何もついていない筈なんですけど・・・」

 

「いえ、その凄く手際が良いなと。私は皿洗いと買い出ししか任せてもらえないので・・」

 

「なら今度簡単な料理から教えましょうか?料理も冒険者と一緒で誰かに教えてもらって行動して上手になるもんですし!」

 

「ご迷惑でなければお願いします。アーニャやクロエによくバカにされるのです・・・」

 

こりゃ闇が深いな。完全に料理スキル壊滅してるパターンの人だわ。いやエルフか。とりあえず変なアレンジさせないようにしよう。

 

後日改めて教える約束をして仕込みに戻る。全て仕込み終えて母さんと賄いを作る。

アーニャとクロエの猫コンビにはねこまんまを、ルノアにはカルボナーラを、リューさんには母さんに説明した日本商店で買ったハマチの刺身とサラダを、シルにはお好み焼きを作った。母さんはお手軽でコスパの良いお好み焼きが気に入ったようでシルと一緒に食べていた。

 

「うにゃぁ〜ミア母ちゃんのご飯も美味しいけどユウのご飯も負けてないにゃ!」

 

「私もそう思うニャ!このご飯は猫を虜にするヤベェご飯ニャ!」

 

「ほんとにユウのご飯って見たこともない料理なのにハズレないどころか大当たりばっかだよね。」

 

「まさかオラリオで生魚を食べるとは思いませんでした。それに非常に美味です。この醤油とわさび?につけるとまた一味違いますね。」

 

「このお好み焼きも美味しい!お手軽らしいし私にも作れるかな?中に入れるのも自分で考えれるし!」

 

「やめなシル。あんたはダメだよ。しかしユウ。魔法のことアタシらにしゃべって良かったのかい?もちろん他言するつもりはないけど。」

 

「気にすんな母さん。どーせダンジョン内では使えないし仮にこの魔法が欲しいって強引に勧誘しにきたらそのファミリアすり潰すから問題ない。」

 

全員その発言に対して問題しかないと思った。シルとミアはユウの事を分かっているのでどうせベルに迷惑がかかるから過激になってるんだろうなとしか思っていない。

いい時間になったので母さんに許可をもらってリューさんを毎朝ホームに呼ぶことにした。

明日から教えると伝えて晩御飯の用意をするためにホームに戻る。

 

ホームでベルからヴェルフの話を聞いて許可しといた。ベルが団長だから別に俺の許可要らねーんだけどなと思いつつ頼ってくれることが嬉しかった。

ご飯の後2人ともレベルが上がっているので軽く手合わせをして身体と精神の齟齬を解消しといた。

やはりレベルが上がると感覚のズレが大きい。ユウはもちろんだがベルも原作より早くからユウに鍛えられ、基礎ができているので解消までの速度も速い。

 

次の日の朝リューさんが来た。ヘスティア、ベル、リリが寝ている中リューさんにサンドイッチを教える。教えるような料理でもないが想定外なほど緊張して力が入りすぎているリューさんは笑えるほどミスを重ねる。

 

「リューさんリューさん。リューさん身体の動かし方的に元冒険者でしょ?モンスター倒すときにそんな力入れてて綺麗に倒せる?」

 

「いえ。武器が先に壊れるかと。」

 

「でしょ?食材をモンスターに仮定するとパンに挟むのは足を鈍らせること。そのあと斜めに切るのはトドメの一撃。トドメの一撃ほど力んじゃダメでしょ?」

 

「なるほど。理解しました。やってみます。」

 

なんとか改善されて食べれる物になった。フライパンとか使うのは後日だ。今日やってたら時間が足りなさすぎる!

リューさんは無表情ながらもヘスティアファミリアの面々が食べるのをソワソワしながら見ている。

みんな美味しいと伝えるとどこかホッとしていた。リューさん可愛いなおい。それから作れたのが嬉しかったのか店員分も追加で作って持って帰っていった。

 

その日、ヴェルフとの顔合わせとのことでベルとリリと一緒にダンジョンへ向かう。バベルの入口に赤髪のヒューマンがいた。

 

「おう。君がウチの弟と一緒にパーティを組んでくれるヴェルフ・グロッゾ君か。俺はユウ・クラネル。2つ名は愛狂兄貴だ。よろしくな。」

 

「あんたがあのユウさんか。俺はヴェルフでいいぜ!家名を呼ばれるのはあんまり好きじゃねぇんだ。ところでヘファイストス様がユウさんの事とんでもない子供って言ってたんだけど何したんだ?」

 

「あーユウでいいよ。ヘファイストス様が関わってるってなるとベルと俺の2つ名決める神会に参加してかき乱すだけ乱したことじゃね?あれは本当に楽しかった。あの後いろんな神様に会うたびまた来いって誘われるからな!暇なら行くつもり!」

 

「お、おう。噂になってんのユウだったんだな。ディアンケヒト様とかヘスティアファミリアには安く売れって言ってるらしいぜ?」

 

そんな話をしながらダンジョンに潜る。残念ながら俺はベルとたまにしかパーティを組まないので1人離れてパーティプレイを見ている。気になる点などを意見しつつ見ている。

休憩になったとき原作通りにベルの追兄願望が発動し、ファイアボルトがえらいことになっていた。

インファイトドラゴンよ安らかに眠れ。そんなこんなでパーティプレイも様になってきたので切り上げることにした。

 

次の日、オッタルさんに呼ばれたのでフレイヤちゃんのいるバベルに向かった。

 

「どしたのフレイヤちゃん?いきなり呼ぶなんて珍しいね。あ、オッタルさんちょうどいいんでアレン君呼んどいてもらえません?あ、それとこれシャンプーとかの詰め替え用ね。」

 

「すまないな。アレンを連れてくる。少し待っていろ。」

 

「ユウいらっしゃい。オッタル?ここ私の部屋よ?何故私に許可を・・もう居ないじゃない。あの子どんだけシャンプー気に入ってるのよ。はぁ。最近ため息が増えた気がするわ。それよりユウ。あなた相当神に気に入られてるわよ?今度の神会にも来て欲しいですって。」

 

「んー。次の神会っていつ?あ、あとこれ流さなくていいヘアパックだって。俺も使ったことないからわかんないけど高かったからいいやつだと思うよ?使い方は裏面に書いてるでしょ?共通語になってるから読めるでしょ。」

 

「あらありがとう。今夜すぐ使ってみるわ!3ヶ月に一回だからまだ先よ。参加してくれるなら席用意しとくみたいよ。もし参加できるなら私かロキに伝えてちょうだい。」

 

神会については了承した。そのあとアレン君が来るまでフレイヤちゃんと話をしていた。フレイヤちゃんの髪のツヤとかの話でクッソつまらなかったですまる

アレン君がやってきてフレイヤちゃんに畏まった挨拶をしている。

 

「アレン君いらっしゃーい。いいじゃんいいじゃん!ちゃんとシャンプー使ってるから毛並み最高じゃん!アーニャにお兄たまは凄くいい匂いのする高級なシャンプー使ってるんだぜ?お前もメス猫ならお兄たまのところに行って貰ってこいよって焚きつけといた!」

 

「てめぇぇぇぇぇ!!それでか!アーニャが今朝俺のとこに来てシャンプーくれくれ言ってきたのは!!」

 

「でもあげたんでしょ?お兄たまだもんな?弟や妹には甘くなっちまうよな。わかるわかる。」

 

「ぐっ。てめぇみたいに弟のために神会に行ったりはしねぇけどな。どんだけ弟好きなんだよ気持ち悪ぃ。」

 

「フレイヤちゃん見た?このツンデレの手本みたいなの。あげたの否定しないで恥ずかしいから俺攻撃してやんの。アレン君可愛いぃぃぃぃ!」

 

耳と尻尾をヘニョンと垂れ下がらせてなんなんだよこいつと呟くアレン。その姿をみてクスクス笑うフレイヤ。オッタルは我関せずで見ている。

 

「そうだ。アレン君に聞きたいことがあったんだよね。これに嘘なくはっきりと答えてくれたら弄るの1ヶ月に五回までにしてあげる。」

 

「んだよ。約束絶対守れよ。答えてやるよ。」

 

「フレイヤちゃんも今シャンプー使ったりトリートメントとかヘアパックとか使ってるんだけど美の女神なだけあるよね。そゆとこ貪欲ですごいと思うんだ。でもさ不変不老の神なのに意味あると思う?」

 

アレンは無言になりオッタルは小刻みに震えている。フレイヤはニコニコしながらアレンを見ている。目は全く笑っていないが。

 

「しかもさ何千歳も生きてるおばあちゃんだよ?考えてみてよ。ヒューマンのおばあちゃんが必死でシャンプーとか使って髪のツヤが良くなってきたわ。とか言ってる姿を。」

 

「フ、フレイヤ様は美の女神だからシャンプーなどに美の効果があるかを確かめてらっしゃるんだよ!」

 

「いやいや意味あるかないか聞いてるんだって。」

 

「もういついじってもいいから勘弁してくれ・・・」

 

アレンは負けた。完膚なきまでに負けた。

 

「ねぇフレイヤちゃん。アレン君レベル6だよね?俺ボコボコにして勝ったけどランクアップとかしないかな?」

 

「するわけないでしょ。バカなの?あぁバカだったわね。ウチの子供をあまりいじめないで。でもアレン。あなた意味ないと思ってたわね?あとで罰を与えるわ。あとオッタル!あなたずっと笑ってたでしょ!」

 

オッタルは目を逸らす。アレンはしょんぼりしている。その姿をみて満足したユウはコクコクと頷く。

それから晩御飯を3人に作ってあげてホームに戻った。

 

ホームに戻るとベルから魔剣について聞かれ、ヴェルフについても相談をされた。あいつは芯のある生粋の鍛治師だ。放っておいても勝手になんとかするだろ。そう言いつつ気になるので朝ダンジョンに潜る前に会うことにした。

 

「ヴェルフ。お前魔剣嫌いで悩んでんの?」

 

「ああ。魔剣は使い手を腐らす。武器ってのは使い手と共にあるもんだ。魔剣は使い手より先に逝く。そんなのは武器とは認めねぇ!!」

 

「ふーん。なら折れない魔剣作れよバカ。グロッゾの血か精霊の血か知らねーけど魔剣は折れるって誰が決めたんだよ。テメェでテメェの能力に蓋をしてどーすんだ。うじうじ悩む暇あるなら折れない魔剣の製作方法で悩めよ。俺は悩むくらいなら行動するんでね。子供が神会に飛び入り参加するとか誰が考えた?な?常識に囚われてるとできるもんもできないだろ?俺が言いたいのはそんだけ。んじゃベルとリリのこと頼むな。」

 

言いたい事だけ言ってさっさと帰った。今日はリューさん午前中休みらしいからだし巻き卵を教えないと。

ホームに戻ってリューさんにだし巻き卵を教えている時ふと思った。俺ダンジョン全然潜ってなくね?18階層より下行ってねーし18階層まで行ったのもレベル1の時だし!!

ベートさん帰ってきたらベル任せてちょこっと探検しにいこう。そうしよう。

 

夕方になってもベル達が帰ってこない。ヘスティアも心配している。この時期なんかあったっけ?んー。と考えているとドアがノックされ、タケミカヅチ様と眷属の方々がやってきた。

あっ!!これパスパレードのやつじゃん!忘れてた!黒いゴライアスの前ってこんな流れだったじゃん!原作知識意味ねぇな。

 

「すまない!ヘスティア!ユウ君!ウチの子がどんな理由があったとはいえやってはいけないことをしてしまった。本当にすまない!!」

 

タケミカヅチ様と眷属が土下座をする。いやぶっちゃけベルがいれば18階層まで余裕なんだが。あいつソロなら18階層まで余裕よ?多分帰ってこないのはリリかヴェルフが怪我したからだな。

 

「タケ。頭を上げてくれよ。確かにあまりよろしくない事かもしれないけどベル君は生きてるからそこまで気にしないでくれよ。ユウ君どう思う?」

 

「んータケミカヅチ様のとこの奴らがやったことに関しては実力不足と危機管理能力の不足だろ。次からは最悪まで想定して頑張りなとしか言えない。パスパレードの相手がベルで良かったんじゃん?ヘファイストス様にも確認取ってもらわなきゃだけどベルが居るからおそらく死人は出てないだろ。これで別のとこにやってて死人出てたらタケミカヅチ様の肩身も狭いしお前ら恨まれて闇討ちとかまであり得てるからな。認識甘すぎ。」

 

「それはそうだね。ユウ君もう一つの方は?」

 

「んータケミカヅチ様のとこに貸し一つでいいんじゃない?なんかあった時駒なり盾なりに使う。ベルに迷惑かけた罰だ。んでベルの捜索だけどとりあえず今はヘファイストス様呼んでくるのが先かな?」

 

ヘスティアは頷き呼びに行った。一応客なので全員にお茶を出す。タケミカヅチ様は難しい顔をしながら話しかけてくる。

 

「ユウ君。君には神会でも助けてもらったのに恩を仇で返すようなことをして本当に申し訳ない!!」

 

「いやいやタケミカヅチ様神会のやつはタケミカヅチ様が神格者だったからですよ。覚えてません?俺とベルがタケミカヅチファミリアに入れてくれって行ったの。あの時30件断られたんですけどタケミカヅチ様だけですよ。神様が直々に話してくれて理由も説明してくれて頭まで下げてくださったのは。だからこそ俺も神会で助けたわけっす。」

 

「おお!あの時の2人であったか!いやウチのファミリアも貧困を極めていてな。とてもではないが新しい子供を受け入れることができなくてな。入っても辛い思いをさせるならと。・・・そうかあの時の子供だったのか。だからこそ申し訳ない。」

 

「まぁ今からじゃないですか?今回の件は結果が出るまでわかりませんがおそらく大丈夫でしょう。俺も動きますし。ただ今回は許しますがまた同じような事をしたらいくらタケミカヅチ様のファミリアでも潰します。眷属はそれくらいの事をしたと自覚して頑張りな。お前らの行動で親であるタケミカヅチ様がこれほど心を痛めて頭を下げてるんだ。あとベルとかが無事ならちゃんと謝れよ。謝罪がスタートでそれから挽回しろ。俺からは以上だ。」

 

タケミカヅチ様は頷き、眷属のやつらは頷きつつ考えている。しばらくするとヘスティアとヘファイストス様がやってきた。ヘファイストス様は恩恵が減ってないと言うのでどうやら原作通りにヴェルフも生きている模様だ。

どうするか考えているとヘルメスとアスフィがやってきた。

 

「おいおいヘスティア。ベル君が行方知らずだって?大丈夫なのかい?」

 

「ヘルメスか。恩恵も消えてないしユウ君が問題ないって言ってるから大丈夫だと思うよ?」

 

「ヘルメスも知り合いだったのか。悪いがヘルメスも知恵を貸してくれ。」

 

ヘルメスは現状をタケミカヅチ様に説明されてふんふん頷く。そしてユウを見てどうするか聞いてくる。

 

「現状分かってるのは3人は12だか13階層だかでパスパレードにあって自力で帰れない状況に陥っている。恩恵が消えてないので全員生きている。この2点だな。」

 

全員頷く。

 

「んであのパーティのことを良く理解している俺の勘と推測だがまずベルがいる時点でゴライアス以外は18階層まで全く問題ない。でも帰って来ていないと言うことはヴェルフ、リリのどっちかが怪我をして地上に帰るのが難しくなっているって事だな。その状況になると残る選択肢は1つ。地上に帰るより18階層のセーフティに行く方が早い。だからあいつらは18階層を目指してお兄ちゃんの到着を待っているが当たり。」

 

全員が唖然としつつも納得している。

 

「ユウ・クラネルの推測は納得できるしかなり的を射ていると思うわ。でもこれからの行動はどうするの?」

 

「ヘファイストス様ぶっちゃけ俺レベル2ですけどロキファミリアのベートさんと戦闘力同じくらいなんで18階層くらい散歩感覚でいけるんで特に計画立てる必要無いです。」

 

「ああ。そうだったわね。あなたは神会でもイレギュラーなことばかりしてたものね。それじゃあ解散?」

 

「待ってくれ!ユウ君1人に行かせるなんてできない!ウチの子供がやった事なんだ。俺たちにも何か協力させてくれ!」

 

タケミカヅチ様はかなり責任を感じているようだな。いやぶっちゃけタケミカヅチ様のとこの奴らが来ても足手まといなんだけどなぁ。悩んでいるとヘルメスが意見を出してくれた。

 

「タケミカヅチ。君の気持ちも分かるよ?でも君の子供の実力じゃ足手まといになると思う。ユウ君の実力はさっき聞いた通りだし多分ウチのアスフィも弟みたいに可愛がってるベル君の事だから行くだろうしね。」

 

タケミカヅチ様は黙った。するとヤマト・命ちゃんとカシマ・桜花が口を開く。

 

「私達は今回これだけのことをしてしまいました。それを何もせずに見ていたのでは冒険者以前に人として終わると思います。自分達の身は自分で守るので一緒に連れて行ってもらえないでしょうか。そして自分の口からベル殿達に謝罪をしたいです。」

 

「もともと俺がリーダーとしてしっかりしていなかったからこうなってしまった。俺もしっかりと謝罪をしてこれからの行動で報いるつもりだ。だから連れて行ってくれ。足は引っ張らん。」

 

2人の言葉を聞いてユウは頷きアスフィは若干嫌な顔をしながら頷く。ユウはついでとばかりに戦力増強すると言い外に出ていった。

 

「母さん母さん。ベルがパスパレードされて行方知らずらしいんだよね。んで一応13から18階層まで探すつもりだから人貸してくんない?できればアーニャかリューさん。」

 

「アーニャはこの前の罰が残ってるからリュー連れて行きな。リュー!ユウに付いて行きな!詳しくはユウから聴きな!」

 

ユウはダンジョンにベルを探しに行くことを説明し、集合場所と時間を伝えた。

ヘルメスとヘスティアがついて来ようとしたのでヘスティアは家で待ってろ馬鹿野郎とゲンコツをかまして留守番させた。ヘルメスは知らん。バレても俺別ファミリアだから関係ねーもん。

 

バベルにユウ、アスフィ、リュー、命、桜花、千草が集まった。

ベル待ってろよ!お兄ちゃんが今いくぞ!!




うわ一万字超えちゃったよ。フレイヤ様のとこいらなかったよ。
1話に1回は今日のフレイヤちゃんがある気がする。

ヒロインより出てくるフレイヤちゃん何者?

次回は18階層までの道中がちょこっととロキファミリアと絡むくらいかな?


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脳筋天然娘、マナイーター、百合エロフ。ロキファミリアろくなのいねぇ!!

18階層でロキファミリアとの邂逅です。

黒いゴライアス戦は次回かな?

またユウ君が暴れる模様。


ユウ、リューが前衛を組みダンジョンを一気に駆けていた。アスフィとヘルメス以外の面々はユウの強さに言葉を失っていた。

確かに自分でロキファミリアの凶狼と同じくらい強いと言っていたがレベルは2。特に桜花と命は同じレベルなのでそこまで変わらないと思っていた。

ポップするモンスターを縮地を使いサーチアンドデストロイを敢行するユウ。縮地のせいで一瞬消えたと思いきやモンスターが魔石に早変わりするのをみて驚き言葉が出てこない。

 

「相変わらずあなたの縮地はとんでもない技術ですね。それにランクアップして更に強くなってますね。これ私達本当に要らなかったんじゃないでしょうか。」

 

「ばっかだなアスフィ。アスフィと遺憾ながらヘルメスもベルを心配で探しに来たって言えばベルが喜ぶんだから必要だろ!つかヘルメスもいるからなー。こんなんでも一応神だしなんかあったら困るからモンスター片っ端から殲滅してんだよ。そうじゃなきゃこんなに縮地使わないよ」

 

「ユウさん。あなたは本当にレベル2ですか?動きのキレが異常すぎる。下手をしなくても私より実力が上なのでは?」

 

「んーそっすねぇ。ちょうどモンスターもいないですし桜花とミコっちゃんとちーちゃんに少しレクチャーしてやるか。リューさん。神の恩恵を冒険者は等しくもらってるわけですが同じレベルでも優劣はあります。それは何故?」

 

桜花、命、千草も一緒に考える。リューは思いついたのかすぐに答える。

 

「個人個人の資質に合わせて戦い方や得意不得意があるからではないでしょうか?」

 

「そうですね。そもそも神の恩恵ってのはそいつ自身がもってる才能を数値化して神に近づける器を作ること・・だよね?ヘルメス?」

 

ヘルメスは頷く。ヘルメスもヘルメスでユウが何を教えようとしているか気になるので黙って聞く。

 

「ってことは同じレベルで同じような戦闘スタイルの奴らでもそもそもの才能の違いが出るわけだ。はい!ここで戦闘要員の桜花とミコっちゃんに問題!全く同じアビリティで戦闘スタイルも全く同じ人物がいますが2人には実力差があります。それは何故でしょう?」

 

リューさんとアスフィはすぐに質問の意図に気づいたみたいだ。リューさんはジッと俺をみてアスフィはウインクしてくる。アスフィ可愛い。ベルと一緒に抱きしめたい←ブラコンはブレない。

 

「そいつが恩恵を刻まれる前の実力が上乗せされているからか??」

他の2人もコクコクと頷く。

 

 

「あちゃーそっちに行っちゃったか。それも間違いなく正解だよ。でもそれ以前にお前らが思いつかなきゃいけないのは技だよ。身体の動かし方。武器の使い方。お前らの主神は武神と呼ばれるタケミカヅチ様だろ?俺だって他のファミリアじゃなかったら指導受けたいもん。もちろん相手が人型とモンスターは違う。でも技ってのは弱者が強者を倒す為に使うもんだ。でけぇモンスターに技で何もさせずに倒してみろ。それは快感となり、自分の成長が良くわかる。」

 

ユウの言葉はリュー、アスフィには非常に良くわかる。自分達もランクアップする為に、強くなる為にまずやったことはがむしゃらに戦うのではなく技術の向上だったのだ。

一方桜花、命、千草はなるほどと思う。この一件が終わったら今まで以上にタケミカヅチ様にご指導してもらおうと考え、ベルの救出に微力でも力になろうと誓う。

 

「とりあえずこれがレクチャーね。んでその続きだけと俺とベルは村がど田舎で同年代もいなかったのもあるが、ずっと暇があれば鍛錬してたからな。周りと比べようがないから異常だったみたいだけど。」

 

「そうですね。私とヘルメス様がたまたまユウの村に寄った時も鍛錬してましたし。目を疑いましたよ。恩恵のないヒューマンがレベル3くらいの速度に見える技を使ってるんですから。それに私はレベル4ですが恩恵のないユウに負けましたしね」

 

アスフィの言葉に冒険者組はうっそだろおい状態になる。ヘルメスは大爆笑だ。

 

「その下地もあるから俺とベルはレベルにとらわれない強さがあんだよ。ほらもうそろそろ17階層に行くからヘルメスとタケミカヅチファミリアの3人と護衛にアスフィは俺とリューさんでゴライアスがいたら止めとくから走って18階層いけよ」

 

そう指示しつつ通路をみるとゴライアスがいたのですぐに攻撃を仕掛ける。リューがゴライアスの膝裏を強打し、体勢が崩れたところにユウが魔法で雷のハンマーを顔面に叩きつける。

ゴライアスが転び頭から壁に突っ込んだので戦闘をやめ2人も18階層に行くのだった。

 

 

18階層の入口で全員集まる。とりあえずリヴィアの街に行くかどうするかを話し合いしていると突然ユウがある方向をジッと見る。

 

「俺のベルレーダーがあっちにベルがいると訴えてきやがるぜ!!ベルゥゥゥ!待ってろよぉぉぉ!!お兄ちゃんが今いくぞぉぉぉ!!」

 

わけのわからないことを叫びながらダッシュで走っていく。残された面々は唖然とし見送ることになった。

アスフィがため息を吐き、あのブラコンの行った方向におそらくベルもいるでしょうから行きましょう。そう呟く。ブラコンって凄いんだなとタケミカヅチファミリアは思った。

 

「ベルゥゥゥ!!どこだぁぁぁ!!お兄ちゃんが来たぞォォォォォ!!む!あのキャンプ地にベルの気配がある!あ、そーいやロキファミリアに保護されてるんだっけ?いやどうでもいい!早くベルにあって抱きしめなければ!!」

 

フィンとリヴェリアとガレスは全員で食事を取っていた。すると何やら騒がしくなってきた。揉めているようだ。そちらに向かうとラウルが胸ぐらを掴まれてぐわんぐわんされていた。

しかもしているのが何かと縁のあるユウ・クラネルだった。

 

「何をしているのだユウ君は。いやベル君を探しにきているのだろう。それはわかるがラウルが死ぬぞ。」

 

リヴェリアの発言通りだと思う。ガレスは爆笑してないで止めにいくよ?まったく。彼は見てて飽きないなぁ。フィンはもう考えるのをやめた。

 

フィンさんとリヴェリアさんとガレスさんが止めにきて話をするとベルを保護してくれてたみたいだ。丁重にお礼を言い、御三方には作ってきたクッキーを渡した。遠征で疲れてるだろうし疲れてる時は甘い物ですよ!と言っておいた。

 

「ベルゥゥゥ!!おまっ無事だったか!!いや無事だろーなー。リリとヴェルフが怪我したのかなーとか思ってたけどベルが無事なら良い!!」

 

「兄ちゃん!!心配かけてごめんなさい。ヴェルフが崩落で足やっちゃったから上まで行けないと思って18階層に避難してたんだ!兄ちゃんなら来てくれると思ってたし!」

 

胸板にモフモフと白い頭を擦り付けるベル。可愛すぎてヤバい。あぁここが天界か。神様も粋なことするぜ。

冗談はおいといてヴェルフとリリの怪我の状況を聞く。

 

「お前ベル頼むぞっつったのになんでベルに助けられてんだよ。ああん?ヴェルフグラッチェくぅーん??」

 

「だ、だれがグラッチェだ!いやほんとすまん。ユウにも迷惑かけたみたいだな。」

 

「まぁベルの方が強いから冗談なんだけどね。ベルは純粋だから心の方をよろしく頼むわ。これディアンケヒトのハイポーションな。リヴェリアさんに治癒魔法かけてもらったとはいえ一応飲んどけ。リリも飲んどきな。お前ら全員無事でよかったよ。」

 

リリとヴェルフにディアンケヒトに脅し、ゲフンお願いしてもらったハイポーションを渡す。ベルにはエリクサーを用意していたが使わなかった。

食事時だったみたいでベルのところに参加させてもらった。しかーし!食い物があまりにもお粗末な物だったのでリュックにたくさん入れてきたカレー粉と野菜類を使ってキャンプの定番☆カレーを作ることにした。

 

「フィンさんフィンさん。ちょっといいですか?飯作ろうと思うんですけどロキファミリアんとこの物資って何残ってます?」

 

「恥ずかしながら僕らもギリギリでね。パンが1人1つ行き渡るくらいなんだよ。」

 

「把握です。今回ベル達を助けてもらった恩を返すってことで俺が持って来た材料使うんでスープとか作るデカイ鍋だけ貸してください。」

 

許可を得て、気になるのかフィンさんとリヴェリアさんに見られながらユウ君クッキングが始まる。ユウの手際に驚いている2人だったが。

カレーの良い匂いが周りに漂い始める。

 

「なにー?この良い匂い!あ、ユウ君だ!ユウ君が作ったの!?」

 

「なによ。あんた料理とかできるの?」

 

「この人がユウ・クラネルですか。」

 

「腹を空かせた野獣が来たな。マナイーターとヤンデレと脳筋天然娘は久しぶりー!そこのエルフ少女ははじめまして。今ベル達を助けてくれたお礼に飯作ってっから待ってろ。あ、フィンさん、リヴェリアさん味見お願いしまーす。」

 

とんだあだ名をつけ、マイペースに行動するユウ。するとエルフが文句を言ってくる。

 

「あなた!態度が大きいですしアイズさん達に変なあだ名をつけるのをやめなさい!!」

 

リヴェリアさんとフィンさんは頭を抱えるがカレーが美味しかったらしくすでに皿にいっぱい入れていた。

 

「んだよこいつ。百合エロフかよ。ロキファミリアの幹部ベートさん以外ロクなの居ねーじゃん。ちょっとフィンさんどーなってんの。リヴェリアさんも無視してカレー食べてないでこの百合エロフどうにかしてくださいよ。」

 

「な、な、なんですか!百合エロフって!!失礼にも程がありますよ!このヒューマン!!」

 

「いやはじめましてって挨拶も返さないで初対面で怒鳴り散らす相手に丁寧な対応する必要ある?百合エロフちゃんはそんなやつに丁寧に対応するの?」

 

「そ、それは。で、でもあなたがアイズさん達に変なあだ名をつけるからでしょう!?」

 

「ティオナさんマナイーター、まな板。ティオネさんヤンデレ、フィンさんが他の女性と話してるだけでブチ切れる女。アイズさん脳筋天然娘、これ神会で言ったらロキ様も確かにって言いながら笑ってたけど?おたくの大好きな先輩方の事実を言ってるだけなんだけど?」

 

レフィーヤは目に涙を溜めつつも何も言えなくなる。その姿を見て言いすぎたかと反省する。ユウは生粋のブラコンである。なので歳下には弱いのだ。

レフィーヤの頭に手を置いてポンポンとする。

 

「えっと君がファミリアを大切にしてるのはわかったよ。俺も言いすぎた。ごめんね。ほら仲直りにご飯一緒に食べよう。遠征で疲れてるだろうし食べて元気になりな。」

 

レフィーヤは涙を溜めつつ頷く。レフィーヤの手を取り一緒にカレーを持ってベルのところに歩いていく。

女性陣は唖然とする。気難しく、アイズを神聖化させているレフィーヤが手を繋いで男と一緒に歩いているのだ。

 

「うん。ユウ君は歳下の扱いが上手いみたいだね。ベル君もそうだしレフィーヤも。それにしてもこの料理美味しいね。」

 

「あの2人が歩いている姿は何故だか恋人というより兄妹にしか見えんな。しかしレフィーヤはあんなに簡単な子だったか?」

 

そんな話をしながらカレーを食べる2人。他の面々もカレーを食べ始める。カレーの評判はかなり良かったです。

 

レフィーヤの名前を聞き、ベルを呼んで紹介する。

 

「こちらがロキファミリアのレフィーヤちゃん。ベルより1つ年上でレベル3な。んでこっちが俺の最愛の弟ベル。俺と一緒のレベル2な。」

 

「は、はじめまして!ベル・クラネルです!よろしくお願いします!」

 

「はじめまして。ロキファミリアのレフィーヤ・ウィリディスです。レフィーヤで構いません。よろしくお願いしますね?ベル。」

 

うんうんと頷くユウ。レベルやファミリアは違えど同年代なんだから仲良くしろよ?と伝えアスフィ達のことを忘れていたので探しにいく。

 

ーベルとレフィーヤー

 

「兄ちゃん行っちゃった。レフィーヤさんすみません。兄ちゃん自由人で・・でもダンジョンで兄ちゃんのご飯食べれるとは思ってなかったなぁ。」

 

「いえ。私もユウさんに失礼な事言っちゃいまして。嫌われてませんかね??それにこのご飯とても美味しいです!」

 

「兄ちゃんは歳下の子にはすっごく甘いんです!だから嫌ったり怒ったりはしてないと思いますよ?レフィーヤさんも今度ウチのホームにご飯食べに来てくださいよ!ベートさんも毎日来るんで大丈夫だと思いますよ!」

 

「ベートさんもいるんですか!?私今回の遠征でも足引っ張っちゃってベートさんに助けてもらったんです。お礼も言いたいですがベートさん怖くて言えてなくて・・」

 

「それじゃみんなでご飯食べる時に言いましょうよ!それにベートさんは僕の師匠ですし本当はすっごく優しいんですよ!作戦会議しましょう!どうやって謝るか!」

 

素直なこの2人は良いコンビなのかもしれない。真剣な顔をして仲良く話し合っていた。

 

 

 

「おーいアスフィ!ベルに会えると思うと止まれませんでしたごめんなさい。」

 

声をかけると冷たい目でアスフィに見られたユウは流れるように謝った。ヘルメスは爆笑していたが。

 

「まぁ良いじゃないかアスフィ。アスフィもベル君と楽しそうに話してたじゃないか。ところでユウ君これからの予定は?」

 

「一応明日解毒剤持ってベートさんが帰ってくるらしい。それから地上に帰るんだと。ゴライアスはロキファミリアが倒すらしいから俺らはそれについて行く感じかな?」

 

「なるほどね。そしたら今日はフリーなわけだ!リヴィアの街行ったことないから行ってみないかい?」

 

「あーあのぼったくりんとこか。そだな。久しぶりにボールスのおっさんいびりにいくか。」

 

それから女性陣は水浴びに行くことになる。ヘルメスがニヤニヤしながらベルとユウに話しかける。

 

「ユウ君、ベル君。これはあれだよね。行くしかないよね?あのお爺ちゃんに育てられてるんだ。意味はわかるよね?」

 

「ふっ。ヘルメス愚問だな。だがテメェは甘い。コソコソ覗くつもりだろ?俺は正面突破だぜ?」

 

「ええ!?ダメだよヘルメス様も兄ちゃんも!!ヘルメス様バレたらお姉ちゃんにまたボコボコにされちゃうよ?」

 

「「ベル(君)。バレなきゃ犯罪じゃない(ねーん)だよ」」

 

ベルを担ぎユウとヘルメスは湖に突撃する。ヘルメスは正面突破は厳しいのか木の上に。ユウと担がれているベルは正面からいく。

 

「おーいアスフィ!水浴びしてんだって!?いい物持ってきてやったぞ!」

 

水浴びしている過半数の人が水に首から下をつける。アマゾネス姉妹はそのままだ。

 

「あーユウ君とベル君だ!2人とも水浴び来たの??いい物って何?」

 

「コソコソしないで正面から来るのは好感が持てるわね。んで何持ってきたのよ?」

 

ユウはベルを下ろして袋からシャンプーとリンスを取り出す。原作のこんなくだらないとこばっかり覚えているアホである。

 

「ベートさん最近いい匂いしてるだろ?これ使ってんだよ。使い方はアスフィとリリに教えてもらいな。あ、ついでに俺見てるだけとか意味わかんないから直接来たの。ベルもそろそろ大人になって貰おうと連れてきちゃった☆」

 

アスフィは額に手を置いてため息を吐く。だがユウが好きだしベルも家族として可愛いから問題はない。しかしヘルメスは別だ。今のユウの発言で覗こうとしているやつがいたのに気づき木の上を見る。

ヘルメスは何故バレた!?と焦って木から落ち着水する。

その後ヘルメスは簀巻きにされて木にぶら下げられていた。

 

「ではユウ。シャンプーとリンスを置いてそこの大きなゴミを持って戻りなさい。私だけならまだしも他の人もいるのですから。」

 

「まぁ面白そうだから来たけどぶっちゃけ興味ないし帰るわ。お邪魔しました〜。あ、そのシャンプーとかそんなに量ないから地上戻っても欲しいって言ってこないでね?」

 

そう言って固まってるベルとボコボコのヘルメスを抱えてテントに戻る。途中レフィーヤちゃんが見張りをしていたのでベルにヘルメスをテントに持って行って欲しいと伝え暇つぶしに話をする。

 

「レフィーヤちゃんは水浴びしないの?もしするならこれ使いな?髪洗う時に使うとすごくいい匂いになるから。」

 

「あ、ありがとうございます!あ、あの、そのぅ。ベルと話しててこんなお兄ちゃんが居たらって思っちゃって。ユウお兄ちゃんって呼んでもいいですか??」

 

あぁ神よ。ここにエデンの園はあったぞ。ベルとレフィーヤがユウお兄ちゃんって言ってくる。想像しただけで血吐いて天に召される。

 

「おー可愛いやつめ!レフィーヤは可愛いなあ!よしよしよしよし!」

 

ここに子供から大人になりかけているはっきりいってロリエルフを抱きしめて頭を蕩けた笑顔で撫でまくる変態がいた。控えめに見ても事案発生している。

撫でられているエルフがすごく嬉しそうなので目を閉じよう。

 

そのあとレフィーヤも水浴びに行くことになったのであまり見回っていない森の中をうろついてみる。パシャっと音がする方向に行ってみると水浴びをしているリューさんがいた。

 

「あれ?リューさんじゃん。1人で水浴びしてんの?ならシャンプーとリンス使う?」

 

この男。アホである。普通に話しかけやがった。リューはいつも通りに話しかけてくるユウをみて固まる。エルフは身持ちが固いと有名だがユウに見られても不快感が無かった事も逆上しなかった理由の1つだが。

 

「ユウさん。そ、その流石に恥ずかしい。何故ダンジョンにシャンプーとリンスを持って来ているのかはおいておき是非お借りしたい。」

 

「ああ、そうっすね。あまりに綺麗だったんで見惚れてた。そんじゃこれ置いとくね!」

 

「き、綺麗。少し話がしたいので待っていてもらえませんか?」

 

リューさんの水浴びが終わるまで待つ。リューさんが来て一緒に墓参りをする事になった。原作では多少書かれていたが直接会ったことがないのでどんな人達だったのか気になる。

リューさんは楽しそうに仲間の事を語るがふと暗くなっていく。復讐として己がやったこと。正義について。いろんな葛藤があるのだろう。

全ての話を聞いて口を開く。

 

「俺はその時のリューさんの気持ちをわかるなんて口が裂けても言えないですね。その時の気持ちはリューさんだけの物ですし。でも1つわかるのは正義ってその人の信じる道じゃないですか。弱き者の為にって動いてたリューさんも正義ですし言い方悪いけど闇派閥のやつらがリューさんの仲間を殺したのもあいつらからすれば自分達の正義の為にー!ってことでしょ?んで正義と正義がぶつかってこうなったってわけじゃないっすか。だから一概にどれが正解?って言われても答えでないでしょ?」

 

リューさんは眉をしかめつつも言っている意味は理解できるのか頷く。

 

「だからアストレア様はリューさんに過去に囚われるんじゃなくて今現在リューさんは考えて己に確固とした正義があるか?って言いたかったんじゃないっすか?それに気づいて欲しいから離れたんじゃないかなって思います。」

 

リューさんはハッとなり何かを考えている。考えがまとまるまで黙って待つ。

 

「ユウさん。貴重な意見をありがとうございます。やはり貴方は尊敬に値するヒューマンだ。」

 

リューさんが笑った。クララが立ったとナレーションが頭をよぎる俺は末期だと思う。

 

 

ロキファミリアの野営地に着くと何やら怒鳴り声が聞こえてきた。なんじゃいなんじゃいとやじ馬根性丸出しで行くとベートさんが桜花、ミコっちゃん、ちーちゃんに怒鳴っていた。

 

「あれ?ベートさんじゃん。おかえりー。なんでそんなに怒ってんのさ。桜花もミコっちゃんもちーちゃんも泣きそうになってんじゃん。」

 

「あぁん!?ってユウか。地上戻った時についでにヘスティアファミリアに寄ったんだよ。そしたらよぉヘスティアからベルがパスパレードにあってユウが探しに行ってるって聞いて急いでここまで戻ってきたらパスパレードしたやつらもいやがるからキレてた。」

 

「ふむふむ。はい解散!ベートさん怒ってくれてありがとう。でもタケミカヅチ様の眷属もう既に俺にボロクソにされてるんだよね。これ以上は精神的にヤバいから。」

 

「お、おう。ユウがやった後だったか。そうか。あーなんだ雑魚ども。次んな事すんなよ。」

 

「共通語で訳すとお前らパスパレードしなくていい実力をつけて雑魚から冒険者になれよ だって。はい解散!」

 

ベートさんと一緒にフィンさん達のテントに向かう。ベートさんはどうも鍛錬の成果がかなり出たようで遠征でも前以上に動けたらしい。そんな話をしてたらテントに着く。

フィンさんに今後の予定を説明され、先程の騒ぎとベートさんの実力の向上を話す。

 

「なるほど。あのベートが人の為に怒るとはね。いい方向に向かってるみたいで僕も嬉しいよ。それに今回の遠征ではかなり助けられたからね。」

 

「正直ベートさんって天才肌なんですよね。俺の技術ことごとく盗んでいきますし。最初の手合わせは単純で癖だらけだったから楽だったのに今は魔法無しなら五分五分ですからね。」

 

「いやレベル5でもはっきり言えばトップのベートと余力を残して五分五分なユウ君の方が天才だと思うんだが。」

 

「けっ。何言ってやがるババァ。もちろん才能はそこらのやつとは比べもんになんねーけどよユウの動きは何千何万と繰り返した動きだ。それを天才なんて言葉で終わらすんじゃねえよ。」

 

ベートの言葉に驚くフィン、リヴェリア、ガレス、ユウ。ユウ自身才能はある方だと思っていたがこの世界に来てベートと手合わせをしていると明らかに才能は劣っていると思っていた。だが弱者はそれを天才、才能と妬みその言葉だけで終わらす。それに慣れていたし実の祖父にもそう言われていたので諦めていた。だがベートは違った。きっちり現状を把握し、ユウの実力も努力も認めていた。ユウにとってこんな嬉しいことはない。

フィン、リヴェリア、ガレスはユウの戦ってる姿をそれこそ後衛職のリヴェリアが少し、それ以外は見た事が無いのでわからないのは無理ないが。

 

「む。それはすまない。私もまだまだのようだ。ベート。礼を言う。ユウ君もすまなかったな。」

 

「いえ。ベートさん以外ほぼ戦闘に関しては見てないのでわからないのは仕方ないかと。それに信頼できる友達がわかってくれていればそれで満足ですので。」

 

その後他愛のない話をして解散した。ベル達はユウが話をしている間にリヴィアの街に行っていたようだ。ベルとリリを見つけて何やら因縁をつけてきたやつらがいたようだが天然娘が一緒にいたので何も無かったらしい。

 

次の日帰る前にリリがいなくなった。紙が残され、攫われたのがわかったので指定されている広場に向かう。

 

「よーう!愛狂兄貴に炎雷兎。テメェらレベル2になったばっかなのに俺をバカにしやがって。目に物を見せてやる!」

 

「あん?お前誰だよ。どっかで会ったことあるか?ベル知ってるやつ?」

 

「んーどっかで見たことがあるような・・あっ!兄ちゃんあの人だよ!いきなり僕とリリに文句言ってきてアイズさん見て逃げた人!」

 

この兄弟酒場で会ったことは記憶の片隅にも残っていない模様。哀れモルド君。

 

「テメェらほんとにふざけやがってぇぇぇぇぇぇ!!豊穣の女主人で愛狂兄貴にやられたやつだよ!!」

 

ベルとユウ。流石兄弟と言うべきか。同じタイミング同じ方向に首をかしげる。

 

「まぁいいや。リリ返せや。つかボールスのオッさんこれ知ってんの?知ってるなら説教しに行かなきゃいけないんだけど。」

 

何人かは気づいたようだ。ちょっと前にソロで来てボールスをボコボコにして街の中心部で土下座させていた悪魔のレベル1に。

そいつがレベル2になっただって?そいつと戦うだって?冗談じゃねぇ!!

気づいたやつらは早々に街に逃げ出す。

 

「とりあえずお前はボコボコにする。」

 

その一言を発した後すぐさま縮地でモルドの懐に入る。右腕を魔力で覆い鎧の上からおもいっきり殴る。

ドゴォォォォン!!

モルドは弾丸になり木をへし折りながらぶっ飛ぶ。

更に追撃しようとするがダンジョンの異変に気付く。夜になっているのだ。あれぇ?ヘスティアもいないから神威も無いし黒いゴライアス戦回避できたと思ってたんだけど??

モルドが飛んだ方をみるとヘルメスが巻き込まれて木から落ちていた。

 

「てめぇぇぇぇぇ!ヘルメスゥゥゥ!!なんでんなとこにいるんだよ!おまっ!神威漏れてっから!ほらぁダンジョン気づいちゃったじゃん。もー最悪。」

 

そう神威を抑えていたヘルメスが木から落ちる時にうっかり神威を漏らしてしまったのだ。

そんなこんなで黒いゴライアス戦が開戦されることとなった。

 




ユウ君はしゃぎ過ぎだろ。なんだよ女性の水浴びに正面から行くって。

レフィーヤが妹になりました!ユウ君はロリコンじゃないヨ?ブラシスコンだよ?

ヘスティア置いてきちゃったしヘルメスも暗躍しないからどないしよと思ってたのでちょっとヘルメスをギャグ要員にして黒いゴライアスを出しましたw

次回は黒いゴライアス戦です。戦闘描写苦手なのにこの作品に手を出したのに後悔してるw

最後にこの拙い文章を読んで感想をくださる皆様本当にありがとうございます。
全ての感想に返信をするつもりですので気軽に書いていただけると作者は喜びます。

闇の皇帝様、誤字脱字報告ありがとうございました!


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黒い巨人?うなじ抉ればいいの??

やべぇ。原作崩壊しちまった。

不快に思われたらほんとすみません。


18階層の天井のクリスタルが割れ黒いゴライアスが降りてきた。周りの冒険者はあまりのイレギュラーに固まる。ユウは舌打ちをして気絶しているモルドと神威を漏らした馬鹿を回収してベル達と合流する。

 

「はい注目。完全にこれイレギュラーだわ。チラッと見てきたけど18階層の出入口は土砂で塞がってたわ。おそらくあのゴライアスを倒さないとここから出さないわよっ☆って感じでダンジョンさんが言ってんなこりゃ。んでセーフティエリアなのにモンスターもわんさか出てるわけですがどうする?」

 

「私とユウさん、アンドロメダでなければあのゴライアスを釘付けにはできないでしょう。ロキファミリアもそこで気絶している者の騒ぎの間に上に行ってしまいましたし」

 

ユウは頷きベルに問う。

 

「ベル。お前らはどうする?参加するなら指示を俺がする。ここにいる全員が発展途上だ。こんなとこで死ぬのはもったいねぇ。」

 

「もちろん僕は戦うよ?なんたって兄ちゃんが一緒なんだ!負けるわけないもん!あ、でもヴェルフ達が。」

 

「リリは後ろで物資支援やけが人にポーションぶっかけておきます。」

 

「俺も意地と仲間を天秤にかけるのはもうやめた。ユウとベルが行くってんなら俺の持てる全ての力を使ってやる。」

 

ベルの周りには本当に良いやつが揃ったな。桜花、ミコっちゃん、ちーちゃんも同じ意見のようだ。

 

「わかった。まず俺とリューさんとアスフィで黒いゴライアスがどんなもんか測ってくるからベルパーティと桜花パーティは周りの雑魚を間引いといてくれ。アスフィはボールスのオッさんに俺の事伝えて手伝わないなら同じことをもっとエグくすんぞって言ってきて。リューさん。おそらく俺らが一番危険ですが料理の弟子としてとことんついてきてもらいますよ?それじゃ次の指示まで各自行動!」

 

アスフィは空を飛んでボールスのオッさんのとこに行ったみたいだ。今度あの靴貰おう。ベル達も周りのミノたんとかアルミラージとかを倒しにいく。

俺とリューさんは真っ直ぐにゴライアスに向かう。

首の骨をコキっと鳴らしながら日本にいた時に読んでいた某漫画の巨人殺しの技を使ってみようと思う。そううなじを抉る!!

どーせ回復されるんだし試すくらい良いよね?とくだらないことを考えながら攻撃しようとすると想定外のことが起こる。

 

「ユウお兄ちゃん!!どうなってるんですかこれ!?」

 

あるぅぇぇぇぇぇ!???レフィーヤ!?なんでレフィーヤがいるのぉぉぉ!?

 

「な、なんでレフィーヤが!?お前ら先に地上戻ったんじゃないのか!?」

 

「お兄ちゃんとベルと帰ろうとしたら2人共急いでどこかに行ったから探してたら・・・」

 

まさかのロキファミリアのファイナルウエポン千の妖精が緊急参戦だとぉ!?やべぇ。原作意味ねえよ!!

 

 

「そうか。妹よ、よく聞け。あいつを俺ら倒す。入り口の土砂のける。地上帰る。オッケー?」

 

コクコクと頷いているレフィーヤマジ天使。この世界にきてベルとレフィーヤが弟と妹になってもう満足した。黒いゴライアスなんて怖くないっ←死亡フラグ

 

後方支援最強のレフィーヤがいるのは戦況が随分楽になる。レフィーヤがいることをリュー、アスフィ、ボールスに伝え、前衛は任せてもらう。

 

ゆったりと歩いて距離を詰める。ゴライアスが気づいて咆哮を打ってくる。その瞬間縮地を使い後ろにいく。そのまま冒険者になり上がっている身体能力を使いゴライアスの身体を駆け上がる。うなじまで行くとリヴァ◯兵長の抉り方を真似てみる。

命のやり取りをしている筈なのにまったくブレない馬鹿がここにいた。

 

「ゴ、ゴァァァァァァ!!!」

 

まさかの大ダメージにやった本人もびっくりしてしまう。それはそうだろう。うなじが尋常じゃないほど抉れ、首の骨まで見えていた。煙を上げて修復しているようだったがそれを見たリューさんはすぐに近づいてきた。

 

「素晴らしい動きですね。正直目で追えませんでした。ですがあれは間違いなく自己修復してますね。」

 

「まぁあれ強化種っぽいですしね。力特化のちょっとした咆哮のあるレベル5の中位くらいのポテンシャルじゃないっすかね?首切り落としたら死ぬのか試してみますわ。それもダメなら魔石が見えるまであの胸掻っ捌いてレフィーヤかベルの高火力魔法ぶち込んで貰うしかないっすね。」

 

2人の見解をアスフィに教え、ボールスとベル、レフィーヤに伝えてもらう。

 

「野郎どもぉぉぉ!!愛狂兄貴が首を切り落とす!!あいつぁ強化種だ!自己修復もあるらしいから迂闊に近づくんじゃねぇぞ!!俺らは雑魚を間引くぞ!!」

 

ベルとレフィーヤにも作戦が伝えられる。だがレフィーヤはユウがレベル2としか聞いていないのでかなり心配している。

 

「レフィーヤさん。大丈夫だよ!兄ちゃんは誰にも何にも負けないから。それよりも僕達は兄ちゃんに頼られたんだ。絶対にやるよ!」

 

「そ、うですね。ユウお兄ちゃんですもんね。さっきの動きもまるで見えませんでしたし。妹として恥ずかしいことはできません!!胸を張ってお兄ちゃんと話をするんですっ!」

 

ベルは尊敬し、大好きな兄に頼られたのを誇りに。レフィーヤは最初あんなに失礼な事を言ったのに笑って許してくれて遠征で落ち込んでいた心を温めてくれた大好きなあたらしくできた兄の為にいつも以上に張り切って魔力を循環させていく。

 

 

リューが木刀でゴライアスを強打していき意識を引きつけてくれているため、ユウは魔力で身体を覆い魔法を行使する時間ができる。

エンチャントはすぐにできるが雷を形にするのは練習もあまりしてないせいかイメージしてゆっくり作って行かなければならない。

 

「纏え 雷」

 

雷を纏い刀に帯電させていく。そこから刀の先に雷を刀状のまま伸ばしていく。

バチバチと音がする中形が定まる。髪が逆立ち周りに雷が纏いつく。その姿を見た冒険者が思わず雷神と呟く。その場からユウは消え気づいたらゴライアスの頭が地面に落ちていた。

 

ズゥンという音と共に冒険者は気づく。あのゴライアスの頭が切り落とされたのだ。リューも意識を戻し、だが浮かれず未だに警戒を続ける。

 

「ユウさん。どうですか?」

 

「おそらく復活するでしょう。身体がまだ倒れてません。めんどくせぇ相手ですね。ボールスのオッサン!!身体も倒れねぇし多分復活する!俺も大技使っちまったからあんまり動けねぇ!周りの雑魚は頼むぞ!」

 

「任せろ愛狂兄貴!テメェら聞いたな!?レベル2のあいつとあいつの弟と妹?も気合い入れてんだ!こちとら何年も前から冒険者やってんだから若ぇのに負けてらんねーぞ!!」

 

おおおおおおおおお!!という声と共に士気が高まる。あの辺はボールスのオッサン流石だなと思う。

 

「ゴァァァァァァァ!!ゴァァァァァァ!!!」

 

うーむ。奴さんかなり怒ってるな。つか頭落とされて復活ってどーなってんだほんとに。

あーやだやだめんどくさいと思いつつもユウはぶっちゃけあまり余力はない。はっきり言ってしまえばベートが遠征に行ってからというもの遊んでダンジョンに潜らず魔法の研鑽をしてないのに全力の魔法を使ったせいで今までで一番疲れていた。

自業自得にも程がある。しかし弟と妹の前で弱った姿など見せられぬとばかりに虚勢を張り続ける。

ゴライアスが動き出す。ユウには敵わないと思ったのかリューの攻撃を無視しながら間引いている他の冒険者に咆哮やパンチを始めた。

流石にマズイと思ったユウはゴライアスに攻撃を始める。

刀神乱舞もあるので斬る分には問題ない。アキレス腱を両脚抉り、膝裏の靭帯にあたる部分を斬る。流石のゴライアスも足が動かなくなり倒れる。

 

その隙に雷で大きな槍を作ろうとする。しかしゴライアスのポテンシャル、執念を見誤る。ゴライアスは四つん這いの状態から修復中の状態で足を踏み出しベルとレフィーヤがいる崖に右腕を殴りつける。

 

その姿がスローモーションに見えた。ベルとレフィーヤが驚き固まっている姿が嫌という程見える。このまま指を咥えて見ているだけか?最愛の弟妹が危機に瀕しているんだぞ?兄の矜持をここ以外でどこで魅せる!!

背中が熱くなり魔法の威力が上がったのか身体の周りの雷がバリバリバリと音を鳴らす。

一瞬でベルとレフィーヤの前に行きゴライアスの右拳を身体全体で受け止める。

 

ガリガリガリと地面を足で削るが弟妹のところまではこの拳を届かせないとゴライアスの拳を受けきる。ゴライアスの拳は纏っていた雷のせいでボロボロになり煙が上がっている。

ユウはそのまま倒れた。糸が切れた人形のように。

 

「きゃぁぁぁぁぁ!!お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」

 

レフィーヤが泣きながらユウの側にいく。ベルはそのシーンを呆然と見ていた。なんで?なんで?なんで?この言葉が頭の中をぐるぐる回る。レフィーヤを掴んで縮地で逃げれば助かった。兄ちゃんが庇わなくて済んだ。そんな後悔ばかりが頭を駆け巡る。

 

「ベル!!!千の妖精!!!しっかりしなさい!!ユウが貴方達を助けたのは泣かせる為ですか!?あのゴライアスを倒す最終手段として信頼しているからでしょう!!後悔は後でしなさい!今はやるべき事をしなさい!!」

 

アスフィがベルとレフィーヤの頬を引っ叩き正気に戻す。握り締めた拳から血が流れつつもゴライアスを2人は見据える。

 

「そーそー。その顔だよ。流石俺の最愛の弟と妹。身体中が痛いけどこれ魔法の威力の反動だわ。倒れたのは電圧高すぎて意識飛んだだけ。ゴライアスさんのパンチは1ミリも俺の耐久突破してないから安心しな。でも反動で動けそうに無いからあとは2人に任せたよ?」

 

ケロッとしているユウを見てベルとレフィーヤはその場で飛び上がる。良かったよーと言いながら頭を撫でられ任されたことに気合いを入れる。

 

「「お兄ちゃん!行ってきます!」」

 

2人は並行詠唱しながら飛び出していった。レフィーヤって並行詠唱できたっけ?と思いつつ大きくなった2人の背中を見て嬉しく思う。もう大丈夫だなと思っているとアスフィがジッと見てくる。

 

「お兄ちゃんも大変ね。ユウ。貴方今意識保つのに精一杯でしょう?何が耐久突破できてないよ。ユウは攻撃ほとんど避けるんだから耐久紙くらい薄いでしょう。まったく。弟と妹にカッコつけたいからって意識取り戻すとか意味わかりませんよ。」

 

「あちゃーアスフィにはやっぱバレてたか。ぶっちゃけ死ぬほど痛い。身体動かねぇ。アスフィ俺のリュックヘルメスが持ってるからその中にハイポーションとエリクサー入ってるから取ってきてくんない?」

 

アスフィはため息を吐きながら取りに行ってくれた。その間に戦況を見るとリューとベルが前衛をしてレフィーヤが並行詠唱しながら魔法をぶっ放していた。

レフィーヤの魔法えっぐ。アルクスレイだっけ?矢の1発でゴライアスさんの筋肉抉りとっとるやん。しかも何本も出せるん?あれ?

ベルはベルで縮地の連続使用できるようになっとるし走りながらファイアボルトを切った傷口にバカスカ打ち込んどるし。

 

ーベル、レフィーヤー

 

「お兄ちゃんを危ない目に遭わせたお前は許しません!!ベル!好きに動いてください!サポートします!私も撹乱しながら全方位から魔法を叩き込みます!」

 

「わかった!レフィーヤに任せる!兄ちゃんの弟と妹の力をこいつにとことん叩き込んでやる!!行くぞゴライアス!!」

 

リューはレフィーヤの魔法の威力と並行詠唱の練度、高速詠唱に目を見張る。ベルの動きもユウに似ているがユウより冒険者の動きに近い。おそらく別の人間にも師事を受けたのだろう。とてもレベル2には見えない。何よりこの2人ブチ切れている。リューは仲間なのにこの2人が少し怖かった。

 

レフィーヤのアルクスレイが一本だけでなく何十、何百本もの矢を形成し、それが分かれてゴライアスを全方位から狙い撃つ。ゴライアスはボロボロになっていく。ベルからゴォンゴォンという音が聞こえ見てみると右腕にとんでもない魔力が収束されている。ヘスティアナイフの刀身が伸びていく。

 

「レフィーヤ。準備できたよ。リューさん。離れていてください。」

 

「わかりました。ベル!やりますよー!!」

 

レフィーヤがアルクスレイをゴライアスの胸部に集中させていく。魔石が剥き出しになった瞬間ベルは加速する。

 

「くらえぇぇぇぇ!兄ちゃんに手を出した報いだぁぁぁぁぁ!!」

 

ズガァァァァァァン!!

目の前が真っ白になり視力が戻るとゴライアスの上半身が消し飛びその後ろの18階層の壁にまで大きな切傷が出来ていた。

ゴライアスの下半身が灰になった瞬間冒険者は勝鬨をあげ派閥関係なしに喜んだ。

ベルとレフィーヤも手を取り合って喜んでいた。

 

 

 

 

アスフィにハイポーションをもらい飲むとすぐ動けるようになった。ベルとレフィーヤのコンビプレイにすごく感動し、嬉しくなって2人のところにとんでいった。2人を抱きしめてよしよししているとボールスのオッサンがリヴィラの冒険者を引き連れてやってきた。

 

「お、おう愛狂兄貴。お前らのおかげで死者も出てねぇし重傷者もいねぇ。感謝するぜ。ところであのゴライアス消しとばしたやつはお前んとこのやつか?」

 

「おーボールスのオッサンか。ありゃこいつだよ。俺の弟。その前の矢の魔法ぶっ放してたのは千の妖精で俺の妹。」

 

「ま、マジか。どんだけおっかねぇ兄弟なんだよ。それよりあのゴライアスの戦利品はお前らで貰ってくれて構わねぇ。あと打ち上げするつもりだが参加しねぇか?って誘いなんだが。」

 

「あー悪い。俺レフィーヤをロキファミリアまで送って行って事情説明しなきゃいけないから後日でいいか?また明日か明後日くらいに食材もって飯作ってやるから勘弁してくれよ。」

 

ボールスは飯作ってくれんのか!?なら今日明日で街の修復作業しとくぜ!とりあえず今回は助かった!ありがとな!と言いながら街に帰っていった。

 

 

ベルのパーティと桜花のパーティ、リューさんとアスフィ、ヘルメスを見つけレフィーヤの事情を説明する。

するとみんなすぐに地上に戻っても良いと言ってくれたので全員で戻る事にした。

ベルとレフィーヤが兄ちゃんは怪我したから帰りは僕たちがモンスターを倒すと言うので言葉に甘えさせてもらう。

レフィーヤが魔法じゃなくて杖で殴り飛ばしてたのには笑ってしまったが。

桜花とミコっちゃんとちーちゃんにベルが身体の使い方を教えていたがベルは感覚派なので説明にやたら擬音語が入っていてひたすら可愛いだけだった。

 

「そういえばユウ君怪我の具合は?」

 

ヘルメスが小声で聞いてきたのでハイポーションで完治した事を説明する。

 

「うん。嘘じゃないみたいだね。安心したよ。それよりゴライアスのパンチ受け止めたのもそうだけどいきなりあそこに瞬間移動みたいに現れてびっくりしたよ。」

 

「多分あれだ。俺のスキル。弟に危機が迫ってるとステイタスの超補正がかかるんだってよ。」

 

「相変わらずだね。まぁ俺からすればユウ君もベル君もすごかったよ。今回の件は完全に俺のせいだからそこは本当にごめんね?」

 

「俺とベルには不思議な言葉があってよ。これ言えば納得できちゃうんだよ。「まぁヘルメスだしな」そーゆーことだから別にいいよ」

 

そんな話をしながら地上に着くとリヴェリアさんが待っていた。すごーい怖い顔をしながら。レフィーヤはひっと言い俺の背中に隠れた。

 

「あーリヴェリアさん。詳しく説明するんでその怒気を抑えてください。どのみちこのままロキ様のところに行って事情を説明するつもりでしたし。」

 

バベルでみんなと別れてヘルメスだけついてきた。レフィーヤに大丈夫だから心配すんなと頭を撫でてやると嬉しそうに頷いていた。レフィーヤと手を繋いでロキファミリアに入る。

ロキ様の部屋に着いて事情を詳しく説明し、ヘルメスも補助してくれる。

 

「なるほどなぁ〜。まぁレフィーヤにもユウたんにも罪は無いわな。唯一の罪はヘルメスやな。つかアンタダンジョン入るとかアホなん?ギルドからとんでもない額請求されんで?」

 

「勘弁してくれよロキ。もう既にアスフィにボロクソに言われた後なんだ。はぁ。」

 

「まぁまぁロキ様。あ、一応レフィーヤの存在で今回かなり助かったのでお礼を。本当にありがとうございました。それとロキ様の子供を危険な目にあわせてすみませんでした!」

 

ユウは誠心誠意頭を下げる。これでリヴェリアも何も言えなくなる。それに愛弟子といっても過言ではないレフィーヤがそこまで成長するのは嬉しい誤算だったので今回の事は不問とした。

 

「それにしてもレフィーヤがここまで懐くなんてね。ユウ君はやっぱり良いお兄ちゃんだね。」

 

「よしてくださいよフィンさん。俺が良いお兄ちゃんじゃなくてレフィーヤとベルが良い妹と弟なんですよ。」

 

「違います!お兄ちゃんが最高のお兄ちゃんなんです!ベルとも仲良くなれましたし並行詠唱もアルクスレイも成長させれましたし!」

 

「ちょっと待てレフィーヤ。お前並行詠唱できるようになってアルクスレイも成長させたのか?」

 

「はい!リヴェリア様!お兄ちゃんを傷つけたゴライアスを許せなくてアルクスレイの矢を全方位にばらけさせて時間差でぶち込んでやりました!!」

 

フィンとリヴェリアは固まる。レフィーヤのアルクスレイは矢を束ねて一方向に叩き込む魔法だったはずだ。それを全方位?うわぁとなる。

 

「そだなー。レフィーヤの魔法凄かったな。矢の一本一本の威力がゴライアスの強化種の筋肉抉ってたのにそれが100本単位で時間差で全方位から飛んでくるもんなー。俺もあれ捌くのは苦労しそうだわ。」

 

「それでも捌けるんだね。ユウ君は話を聞いていると前衛をしてたようだけど大丈夫だったのかい?」

 

「団長!お兄ちゃん凄いんですよ!全然見えないスピードでうなじ抉り取ったり消えたと思ったらゴライアスの首が切り取られて頭落ちてきたりするんですから!冒険者なんてお兄ちゃんの魔法を見て雷神って言ってましたからね!」

 

胸の前でグッと両拳を握りしめフンスッとなるレフィーヤ。話を聞くだけでユウがとんでもない実力なのがよくわかる。

 

「レフィーヤ落ち着き?な?あんたがユウたん大好きなのはわかったから。ほんなら今回のレフィーヤの件はお咎め無しでええな?それよりレフィーヤのステイタス気になるから更新させてぇな。ユウたんと一応ヘルメスも待っといてや。」

 

廊下で待ちながら今日の戦いの話をしていると部屋の中から奇声が聞こえてきた。こりゃなんかあったなと全員が思うと入室許可が出た。

 

入室するとレフィーヤが抱きついてきたので疑問に思いながらも頭を撫でてやる。

 

「お兄ちゃん!私魔力Sになったのでランクアップしました!それにアルクスレイのところに追加効果で任意で矢の本数を設定できるようになりました!今回で矢の操作のコツは掴んだので本数を増やせるのは嬉しいです!」

 

その話を聞いてリヴェリアは驚愕する。矢の本数を設定できるのなら増やせば増やす程弾幕になるということだ。しかもランクアップもしたのなら威力も桁外れになるはずだ。オラリオ一の魔法使いの称号も渡す日が近い気がした。

ロキがレフィーヤに風呂を進めると渋るのでユウは待ってるから行っておいでとシャンプーとリンスをあげる。ダンジョンじゃないので日本商店が使えるのでみんなに説明して渡してあげた。レフィーヤは喜びながら風呂に行った。

 

「なんやねんそのけったいな魔法は。いやユウたんやから納得な部分はあるんやけどな。シャンプーももろたし別にええけどやな。これバラすのうちらまでにしときや?ロクでもないやつも出てくるかもやしな。それより!レフィーヤのステイタスや。スキルにとんでもないもんが出よった。これはマジでやばい。」

 

「ちょっと待ってロキ様。俺とヘルメスは他派閥ですよ?そんなステイタス開示したらダメですって。」

 

「アホゥ。あんたが関係しとんや。ヘルメスはまぁ信頼はできんが信用はしとる。それにあんたら他のやつに言いふらしたりせんやろ。ってことで衝撃凄すぎて1人で処理できひんからあんたらも道連れや。」

 

レフィーヤのスキル欄を見る。

兄弟憧憬(シスコンフレーゼ)

兄と弟に対する憧れ、愛情が続く限り成長する。成長に限界がなくなる。兄と弟が危機の場合ステイタスに大補正。

 

ユウは黙って紙を折り机に置くとドアの方に向かう。だがロキがユウの手を掴む。

 

「ロキ様。僕用事を思い出したので帰りますしばらく探さないでください。」

 

「ユウたんおもろいこと言うな?帰らすわけ無いやろ。一緒に考えようや?な?」

 

他の3人も見て絶句する。ヘルメスは苦笑いしフィンは何か思案し、リヴェリアは頭を抱える。

 

「ロキ。これはマズイ。成長補正のかかるスキルなんて前代未聞だ。アイズが知るのもマズイよ・・・」

 

「確かにマズイな。こんなのが他のとこに知れたらレフィーヤがどうなるかわからん。それにこのスキル。相手はユウ君とベル君か。そこには納得した。」

 

「え?俺のせいでって怒ってるんじゃないんですか?成長補正のスキルに驚いてるだけ?」

 

「あぁ、ユウたんはオラリオ来て日が浅いんやったな。成長補正のスキルなんか今の今まで1人も出たことのない超レアスキルや。これがヨソにバレたら面倒になること間違いなしやで。」

 

ロキは頭を抱えている。ヘルメスはユウとベルのスキルを知っているのでなんとも言えない顔をしていた。

 

「あーロキ様?フィンさんとリヴェリアさんも信用してるので言いますけど俺もベルも成長補正のスキルもってますよ?」

 

冗談抜きで時が止まった。しかしさすが神。ロキがいち早く動き出す。

 

「え?ほんま?ほんならどないなるかおおよそ分かるってことなん?ウチ何でもするから教えてくれへん?無理なとこは言わんでええから。」

 

「いやいやレフィーヤも出ちゃったんで他人事ではないので教えますよ。一応前提として俺のスキルはベルに対して愛情度合いで成長補正が上下します。ベルの場合なんですがちょっと特殊でして2つ成長補正スキルがあるんですよね。対象は俺とベートさんと天然娘です。ベルも憧れ度合いによって成長補正が上下するみたいです。なのでレフィーヤみたいに一定ではないので同じとは言えませんがそれでも良ければ教えますよ?」

 

「え?なんなん?ユウたんと兄弟になったら成長補正スキル手に入るん?レフィーヤとベルたん見とったらそんなわけないの分かるけどな。フィンとリヴェリア固まってる場合ちゃうで?ユウたんに質問すること考えてや。ウチだけやったらキャパオーバーや。」

 

フィンさんとリヴェリアさんも現実に戻ってきたみたいなので話に加わる。

 

質問を纏めると

1、成長速度の上昇はどのくらいか。

A、上下するからわからないし始めからあったスキルなので普通の速度がわからない。

2、レベル1の最終アビリティは?

A、オールEX。数字が出なくなった。SSSまでは出てた。

3、レフィーヤもベートと一緒に鍛錬任せていい?

A、もちろん。でも魔法は無理。ゴライアス戦で魔法の鍛錬しないとマズイことがわかったレベルで練度が足りないから。

 

こんな結果になりそのあとはロキファミリアのベートさん以外の幹部の話になった。主にリヴェリアさんの愚痴だったが。

レフィーヤが帰ってきたので頭を撫でてやる。ついでにここにいるメンバーを飯に誘う。すると全員来るそうなのでみんなでヘスティアファミリアに向かう。ベルを探しに行く前に少しホームを改装したので入っても問題がなく助かった。

久しぶりのマイホームに戻るとベートさんがソファーに寝転がっていた。ロキ様はお前はどこの子やねん!と爆笑していたが。料理を作っている間ロキ様はヘスティアとヘルメスと相談をしていた。スキルの事だろうな。

フィンさんとリヴェリアさんは料理を手伝ってくれてベルとレフィーヤは楽しそうに談笑していた。

久しぶりの我が家でのご飯なので張り切って作った。みんな美味しそうに食べてくれたので良かったですまる

 

さて明日からはちゃんと魔法の鍛錬もするぞい!

そんなことを思いながら目を閉じた。




まさかのレフィーヤ参戦からの超強化☆

ベルがどう見てもレフィーヤルートに入ってる気がする。ベルサイドで何話か書けばアイズも出せるんだけどなぁ。

ユウ君とアイズの絡みがないからアイズ出せないんだよなぁ。

次はアポロンのとこかー。あいつらフルボッコにされる未来しかねぇんだけどww


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ベル君激おこ、アフォロン終わったってよ!

アポロンファミリアとの戦争遊戯ですねー

いやいやユウ君おるのに勝てるわけ無いやん。

アポロンは何をもって戦争遊戯しかけたんだろ?


18階層での黒いゴライアス戦は案の定ギルドから箝口令が出た。そりゃ神様がダンジョン潜ってイレギュラーが起こってセーフティゾーンの18階層にゴライアスが出ましたとか言えねーわな。

ヘルメスファミリアは総資産の半分持ってかれたそうだ。それを聞いたヘスティアはゲンコツで良かったとホッとしていた。現在ヘスティアファミリアでは商店街のおじちゃんおばちゃん、豊穣の女主人と協力してちょっとしたビジネスをしているのだ。

まず商店街にお好み焼き屋台を置かせてもらった。それも仲良くしてたしヘスティアも可愛がられてたから格安で。そしてキャベツや生地などの食材は豊穣の女主人が用意してくれる。そんで商品を作るのは商店街のおばちゃんだ。おばちゃんは暇が潰せると喜んで引き受けてくれた。後は孤児院の子を何人か連れてきて手伝わさせてる。そいつらに孤児院の人数を聞いて帰りにその人数分のお好み焼きを持たせて帰らせている。まぁ手伝いといっても笑顔で商品を渡す係だが。

商店街はおっちゃんおばちゃん連中ばかりなので子供が手伝っていると良く話ついでに買ってくれる。

子供達もおっちゃんおばちゃんの話を聞いて知識を増やせるしお腹いっぱい食えるからWIN WINだ。

一応孤児院の管理してるマリアさんには許可をもらってる。

そしてこれがまた大当たりでまだ2週間弱なのに40万ヴァリスほど売り上げている。なので今のヘスティアファミリアは総資産だと貧乏を完全に抜け出しているのだ。

 

ベルとリリ、ヴェルフにはしばらくダンジョンにいてイレギュラーなどもあったんだから休めと2日間の完全休暇を言い渡した。ヴェルフはレベル2に上がったらしいのでそれのお祝いをするみたいで誘われたが色々やることがあるので後で参加すると伝えた。

 

とりあえず今回の件でお世話になったところに挨拶とお礼をしに行く。まず豊穣の女主人だ。

 

「母さん久しぶり!いやほんとリューさんには助けてもらったよ。母さんもリューさん派遣してくれてありがとね?お礼と言っちゃなんだけど好きな調味料いくつか出すよ?」

 

「馬鹿言ってんじゃないよ。あんたらが無事ならそれでいいさ。調味料は買うよ。とりあえずこの前の味噌と醤油1万ヴァリスで出せるだけだしとくれ。」

 

「母さんそれとんでもない量になるから。味噌も醤油も200ヴァリスくらいだから。とりあえず両方とも5つくらい出すから。これは感謝だから金は要らないよ。次また欲しくなったら買ってよ!そんじゃまだ行くとこあるから帰るね!」

 

リューさんにも挨拶とお礼を言って外に出る。次はヘファイストス様だな。

ヘファイストスファミリアについて団員の方に用件を伝え、ヘファイストス様を呼んでもらう。

すると何故か執務室に呼ばれたので行くとヘファイストス様と椿さんがいた。

 

「来たわね。椿。この子がユウ・クラネルよ。ユウ・クラネル。この子が椿。ウチの団長よ。」

 

「おお!お前が噂の愛狂兄貴か!なかなか面白い男らしいの!手前は椿・コルブラント。よろしくの!」

 

「お久しぶりです。ヘファイストス様。はじめまして椿さん。俺の事はユウで構いませんよ。それとヘファイストス様。ヴェルフを危ない目にあわせた事、本当に申し訳ありませんでした。ウチの弟とパーティを組むことを許してくださりありがとうございました。」

 

誠心誠意頭を下げるユウをみてヘファイストスは少し慌てる。頭を上げるように言い椿はカラカラ笑っていた。

 

「いえ。それだけではないんです。ウチのロリ巨乳駄女神がファミリアを作る前とんでもないくらいご迷惑をおかけしたみたいで。それにベルのナイフの借金の件にしても。本当にすみません。」

 

「あなたヘスティアのあだ名知ってたのね。しかもちょっとアレンジされてるし。まぁあれに関しては私が甘やかし過ぎたのもあるから。それにあのナイフの頭金用意して親しき仲にも礼儀ありって説教したのユウ君でしょう?別にいいわよ。あの子もたまに母親の顔をするようになったのだし」

 

「主神様!もう良いではないか!それよりユウ!手前にユウの刀を見せてくれ!ヴェル吉に聞いたがゴライアスの強化種の首を一瞬で切ったらしいではないか!」

 

何やら興奮している椿さんに困惑しつつも自分の刀を渡す。いい刀だけどこっちの世界だと普通の刀だよ?

 

「ごめんなさいね。この子武器の事になるといつもこうなのよ。」

 

椿さんはずっと刀を眺めていたが何やらウンウン唸りはじめた。どーしたのか聞くとこの刀は普通の刀なので何故切れたか分からんとのこと。

 

「いや簡単な話ですよ。技術ですよ?刀選ばないと物も切れないやつは二流三流でしょ。なんなら錆の浮いている刀でもそこら辺の鎧なら切れますよ?」

 

「ユウ君鍛治師の前でその発言はやめなさい?完全に喧嘩売ってるわよ?」

 

「あー勘違いして欲しくないんですがもちろん自分の力が及ばない場合は武器に頼りますよ?なら最高の刀が欲しいです。でも俺が今潜ってる階層ならこいつで充分ってことです。自分の鍛錬にもなりますし身の丈に合った得物ですから。そもそもゴブリン切るのに聖剣とか魔剣使う英雄なんていないでしょう。それと同じです。」

 

ヘファイストスはクスクス笑う。椿も呆気に取られていたが豪快に笑い出す。何が椿さんの琴線に触れたのかわからないが武器のメンテナンスなどをしてくれることになった。時間もいい感じになったので最後にロキファミリアに行くことにする。

 

門番にラウルさんが立っていた。どうもなんかやらかした罰のようだ。レフィーヤを呼んでもらおうとすると丁度ベートさんに会った。ベートさんに火蜂亭でランクアップ祝いをするらしいんで一緒にどうです?と誘うと行く事になった。レフィーヤはまた今度ウチのホームに呼ぶ事にした

 

火蜂亭に着くと人が吹っ飛んでいた。その真ん中に立っているのはベルと男前の見たことがないやつだった。

ベートさんが入る。

「ベル。どーしたんだ?お前そんな怒るやつじゃねーだろ?」

 

「あ、ベートさん!こいつらが僕らのことをインチキとかよくわからないこと言ってきたのは無視してたんですが兄ちゃんのこととベートさんの事を馬鹿にしたんです!許さないからこいつらのファミリア潰してやろうと思って!」

 

「ベル。こんな雑魚相手にするのやめとけ。どーせくだらねぇ主神が指示したんだろーよ。アポロンファミリアは毎回こんなことしてるらしいからな。」

 

「ほう。好き勝手言ってくれるな凶狼。何か証拠でも?」

 

「ベル、リリ、あと鍛治師。豊穣の女主人行くぞ。俺が奢ってやる。お前らは雑魚じゃねぇからな。」

 

ベートにフルシカトされているヒュアキントスはプルプル震えている。怒っているがロキファミリアを敵に回せないし何より相手は最近ランクアップしてレベル6だ。

 

「な?ベル。お前ら見たいに格上に立ち向かうこともできねぇ雑魚だろ?こんなやつ相手にしても時間の無駄だ。おい口だけの雑魚。二度と俺の前に姿見せるんじゃねぇ。次は殺す。」

 

ベートは最後とんでもない殺気を放つとヒュアキントスは震え顔を真っ青にしていた。

ユウは入り口でアポロンのやつかーと思い静観していた。

 

 

神の宴の招待状が届いた。眷属を1人連れて行っても良いとの事なので団長登録しておいたベルを行かせた。つーかベル行かせないと天然娘も来るはずなので勿体ない。

と、思いきやまさかの俺は神々から久しぶりに会いたいとの声が多かった為眷属にカウントされずどの道行かなければならないみたい。

 

アポロンファミリアに着く。

いろんな神様に声をかけられ次回の神回に絶対に参加するように言われる。

こりゃー参加するしかないな!!フレイヤちゃんが派手に登場したのでカーテンの裏に隠れる。オッタルさんは気づいたみたいだが口角を上げ、黙っててくれるみたいだ。

フレイヤちゃんはそのままベルに近づき今晩私に夢を見せてくれないかしらとか言ってる。ヘスティアは俺が何かするだろうとわかっているのか可哀想なやつを見る目でフレイヤを見ている。ベルは誰ですか?お兄ちゃんに知らない人とは喋っちゃ駄目。特に銀髪の女神と褐色の女神は関わるとロクなことがないって言われたので嫌ですとはっきりと言ってしまった。

周りの神々が固まるなか俺はニヤニヤしながらフレイヤちゃんに近づく。

 

「ねぇねぇフレイヤちゃん。初対面の男の子に告白して振られるのってどんな気持ち?ショタコン女神?ねぇねぇどんな気持ち?NDK?NDK?」

 

オッタルさんがぶふっと声に出す。ロキ様が大爆笑してヘスティアはフレイヤの固まった顔を隠す。

 

「ええ!兄ちゃんこの女神様がいつも言ってるフレイヤちゃんなの!?兄ちゃんの友達なら良いですよ!でも夢を見させるって何すれば良いの?寝る時に歌でも歌えばいいの?」

 

非常に純粋なベルの一言に会場は大爆笑に包まれる。フレイヤちゃんも笑い何でもないわ。今度ユウと一緒にご飯食べる時に時間が合えばいらっしゃいと伝えていた。

そのあと俺はアスフィとフレイヤちゃんとロキ様とダンスを踊った。

すると原作通りにアポロン様が喚き始めた。

 

「私の可愛いルアンがこんな大怪我をしたのだ。ヘスティアには責任を取ってもらいたい。」

 

「待ってください!責任を取るならもっとボコボコにさせてください!こいつは兄ちゃんとベートさんを馬鹿にしたんだ!!」

 

「は?アポロン?どういうこっちゃねん。ドチビのとこなだけならええけどウチの子も馬鹿にしたんならおどれのファミリア潰すぞボケぇ。」

 

アポロンはうろたえ始める。ルアンは凶狼の悪口は言ってませんと言うがそれがまずかった。なんせ神は嘘が分かるのだから。

 

「おいアポロン。アンタのとこの眷属が嘘ついとんのわかったな。ドチビに責任言う前にウチんとこの責任も取ってもらおか。」

 

「ロ、ロキ。子供達の些細な口喧嘩じゃないか。だがヘスティアファミリアの子が手を出したのは事実。それにこっちは怪我までしてるんだ。ロキのところには後で誠心誠意謝らせた後賠償金も払うから収めてくれ。」

 

実はロキは面白くなりそうなので焚きつけただけだった。それをわかっているのかフレイヤははぁと息を吐く。

 

「それでヘスティア。責任を取るつもりはあるかい?」

 

「んー責任って何だい?」

 

「オラリオからの追放かな?それとも賠償金かな?」

 

「いいじゃんオラリオからの追放!ヘスティア!俺とベルの実家こいよ!爺ちゃん1人だし全然余裕だぜ!な?ベル!」

 

「そうですよ神様!爺ちゃんだけですし兄ちゃんのご飯も変わらず食べれますし大丈夫ですよ!」

 

「うーんそうだなぁ。いいよアポロン。責任取ってオラリオ追放だね?」

 

「いや待て待て。オラリオ追放だぞ?本当にいいのか?」

 

「君が眷属に嘘をつかしてまで責任取れって言ってるんだろう?それで良いって言ってるじゃないか。」

 

慌て始めるアポロンを見て他の神々はいつも通りに行くと思ってたのかこいつと思う。なぜなら相手にユウがいるのだ。アポロン程度の神では相手にならない。前の神会に来ていなかったアポロンがユウを知らないのは無理もない。それに強引な勧誘ばかりしてたせいで仲のいい神もいないのだ。

 

「なんでそんなに焦ってらっしゃるので?アフォロン様?あ、間違えた。アポロン様?」

 

この一言で神々大爆笑。きたぞきたぞ!こっから先は全てユウ君のターン!!アフォロン笑じゃ相手になんねーよ。などの声も聞こえアポロンは怒りに震える。

 

「アポロン様もしかしてぇ〜他に何か目的があったんですかぁ〜??だから〜あんな誰にでもわかりそうな演技を眷属にさせたんですかぁ〜??」

 

うわっうぜぇ。あれはかなりうざいやつだな。媚びる女の最上級うざい喋り方だな。

 

「ねーぇ!アフォロンさまぁ〜!恋(一方通行)と太陽(の明るさよりうざい)と予言(相手に嫌われるのが確定)を司るアフォロン様〜聞いてるの??」

 

えっぐ。自分の司るものを事実だけでボロクソにして伝えられてるぞ。だが全て的を得ている。流石俺達の師匠だぜ。つかユウ君神じゃねーのが不思議なくらいハイセンスなんだけど。わかるわかる。

 

「貴様ぁぁぁぁ!!戦争だ!戦争!戦争遊戯でズタボロにしてやる!!」

 

「うんいいよ!その言葉待ってた☆」

 

かっるぅぅぅぅ!!戦争遊戯決まったー!!商品決めよ商品!!

 

「あー司会をさせてもらうヘルメスです。アポロン曰く中立な立場らしいので。そんじゃアポロンファミリア対ヘスティアファミリアの戦争遊戯について考えていくぞー。

とりあえず内容はどうする?個人?攻城戦?」

 

「どっちでもいいからくじにしなよ。アポロンが引いていいよ。眷属に嘘つかせるような奴だしイカサマだのなんだの言ってきそうだし。」

 

アポロンはイライラしながらくじを引く。結果をみてかなり興奮する。

 

「攻城戦だ!!余裕の態度をしているからだヘスティア!!」

 

ヘスティアはフルシカト。アポロンは悔しくて何も言えないかと勘違いする。

 

「次は何を賭けるかだよな。お互い吊り合うものにしてくれよ?」

 

「私の方はベル・クラネルの移籍とユウ・クラネルとヘスティアのオラリオ追放だ。」

 

「んーその賭けだと意味ないと思うよ?だってベル君、ユウ君が居ないならオラリオから出て行くよ?これは絶対。」

 

「ふん。そんなもの眷属にしてしまえばこっちのものだ。」

 

「ふーん。アポロンは自分の子供にそーゆーこと言えるんだ。もう許さないよ。僕らが勝ったらアポロンファミリアの解散、ホームと財産を全てヘスティアファミリアに譲渡。アポロンは天界に送還。以上だよ。」

 

「「「天界に送還!?」」」

ヤベェ。ロリ巨乳子供をすげー大切にするからな。あぁ。あれは完全にぶちギレてんな。あーあ。ユウ君もいるしアポロンは見納めか。見てみろよアポロンを。なんの自信か知らねーけどドヤ顔してんぞ?

 

「それじゃこれでギルドに提出するよー。多分城を用意するから最短で3日後かな?楽しみ待っとけよー!」

 

 

ユウはすぐにダンジョンに篭った。外で出来る大技で漫画を読んだ時からやってみたい技があったのだ。

その為には魔力をもっとうまく使わなければならない。その鍛錬をしていた。

場所が37階層の白い宮殿なのが頭おかしいが。

ウダイオスさんまでいらっしゃーいしたので倒してしまった。そのまま技を完成させたのでホームに戻る。

ステイタスの更新をするとアビリティオールEX。新スキルもあった。

「超絶妹愛」ベルのレフィーヤバージョンだった。ヘスティアはかなり引いていたが。ついでにランクアップ可能になっていたので待機にしといた。今から戦いに行くのに感覚の齟齬はきつい。

ベルもアビリティオールEXになっていた。

新スキルに「怒髪天兎」 大切な人を馬鹿にされると怒りで思考が遅くなるが全ステイタスに大補正。痛覚が一時的に麻痺する。

 

うん。これはベルの戦い方にはデメリットっちゃデメリットだな。精神トレーニングも必要かもしれない。

 

そして戦争遊戯当日、ヴェルフとミコっちゃんがヘスティアファミリアに移籍してくれた。

ミコっちゃんは正直自分が必要か悩んだのですがベル殿が大変な目にあっているのであれば微力ながらお手伝いをしたいと思いまして。のこと。

ヴェルフは完全にベルの為だった。こいつの漢気はマジでかっけー。今度ヘファイストス様にヴェルフの写真渡してやろ。

 

「作戦会議するぞー。集まれ集まれー。始まってすぐに城門を俺の魔法でぶっ壊します。それからこのリュックに入れてきたBBQセットでご飯を食べます。そのあとにまた俺の大技で城を更地にします。でもベルがクリキントス?をボコボコにしたいらしいので気絶してなかったらベルにやってもらいます。質問は?」

 

1、俺の魔剣は?

A、ダンジョンでベルとパーティ組む時に持ってけ。

2、自分は必要なのでしょうか。

A、ベルとダンジョンに行く時斥候できるやつがいるとすごい楽になるぞ?間違いなく必要。

3、リリは肉をタレで食べたいです。

A、塩もレモン汁もあるぞ。

 

「もうそろそろ時間だな。「開始ー!!」よし1発かますか。」

 

ユウはその場で魔法を纏う。そのまま右手を水平にあげる。そして叫ぶ。

 

「喰らいやがれぇぇぇぇ!」

 

すると龍を姿どった強大な雷が城門を食い破り城の一部を喰い取ってそのまま上昇して天に消える。

 

オラリオで観戦している人はカッコいい龍を見て歓声をあげる。

だが一向に動こうとしないヘスティアファミリアに疑問が湧いてくる。

ヘスティアファミリアはその場で肉を焼いてご飯を食べていた。それのおかげで酒場の売上が伸びた。

 

「な、なんなのだ今の魔法は!?それに何故ヘスティアファミリアは攻めてこない!?」

 

ヒュアキントスはうろたえていた。あんな魔法を食らったら冗談抜きで死ぬ。実際直撃はしていないものの余波で感電して半分以上の団員が気絶しているのだ。

 

「だ、ダフネちゃーん。逃げようよ。無理だよぅ。絶対勝てないよぅ。」

 

「そ、そりゃ私だってあんなの見たら勝てる気はしないけどあんな大技使ったんだしマインドダウン起こしてるんじゃない?」

 

「でも予知夢が・・・太陽より高いところから雷の獣が太陽を丸呑みするの。」

 

「また変な夢なの?そんなのあるわけないじゃない。」

 

「信じてよぉ〜。」

 

カサンドラの予知夢を信じていれば或いはどうにかなったかもしれない。史実通りアポロンの呪いなのかカサンドラの予知夢を信じる者はいなかった。

 

 

「さてお腹も膨れた事だしちょうどいい時間だな。やりますか。」

 

空に放った雷は電熱を持たして放っておいた。空が急激に熱され城の上空には雷雲が集まっていた。そうこの男。目におたまじゃくしを飼っている種族のブラコンの技を使おうとしているのだ。

 

「ベル。お前には神獣の麒麟って教えたよな?」

 

「うん!雷使う神獣様でしょ?」

 

「それに近い魔法を見せてやるよ。」

 

ユウは雷を纏い右手を雷雲に向ける。神の鏡がどこにあるかわからないがとりあえず上を向いて大声で話す。

 

「オラリオの皆様!!これから神獣と呼ばれた麒麟をお見せしましょう。城は跡形もなくなると思います。ギルドの皆さんはしばらく城跡は帯電すると思いますので入る時はお気をつけ下さい!それじゃカウントダウンスタート!」

 

ヴェルフが「5」

 

リリが「4」

 

命が「3」

 

ベルが「2」

 

ユウが「1」

 

全員で「0」

 

「麒麟」

 

天から麒麟を姿どった強大な雷が咆哮しながら城を喰おうと落ちてくる。城を食い壊すかの如くとてつもない音を立てている。

麒麟が消えた跡には更地しか無く虫の息のアポロンファミリアの面々が転がっており所々でパリっパリっと帯電していた。

 

戦争遊戯勝者はヘスティアファミリア。

 

ーロキファミリアー

 

誰も言葉を発しない。それほどに異常で神々しい光景だった。いやレフィーヤ以外言葉を発しないだった。

 

「きゃぁぁ!!お兄ちゃんすごい!すごい!あんな魔法私はじめてみました!私の魔法も威力が高いと思ってましたけどやっぱりお兄ちゃんすごい!私ももっと威力を上げないと!!ね!ベートさん!!」

 

「お、おう。やっぱユウの魔法ってか発想っての?すげーな。あとレフィーヤお前それ以上威力あげると仲間が避けきれなくなるからやめとけ。前一緒に潜ったとき俺でギリギリだったの覚えてるだろ?」

 

「すまないベート。私も魔法使いの一端として気になるんだがユウ君の発想とは何か教えてもらえないだろうか。」

 

リヴェリアが素直にベートに頼むのを見て各々驚いていたが見た光景が衝撃的過ぎて納得できた。

 

「俺も全部は聞いてねーからちょいちょい推測も入るぞ?まずあいつの魔法はババアも知っての通り1つだ。馬鹿ゾネスはわからないだろうから後でババアに説明してもらえ。んでその1つは雷を纏うエンチャントだ。そこに俺らみたいに魔力操作が出来ると魔力を撃ち出せるようになる。そこに纏ってる雷を魔力に乗せるわけだ。」

 

案の定ティオナは全く分かっておらずちんぷんかんぷんな顔をしている。逆にティオネ、アイズ、リヴェリアは頷き理解していた。

 

「そこからだ。あいつの発想が並外れているのは。ババアは雷雲がどうして出来るかわかるか?」

 

「雷雲とは黒い雲の事だろう?天気の悪い場所に発生する。」

 

「そう。フィンもババアも物知りなのは俺らが一番分かってる。でもユウからしたらその程度の認識なのか、だ。俺も完全に理解できたわけじゃねぇが雷雲ってか雨とか降らせる雲は空が急激に熱されてから冷却される時にできるらしい。なんか空にベルがファイアボルト打ちまくってたら雲が出来てて気づいたんだとよ。」

 

まさかの答えにロキファミリア全員が驚いてしまう。自然にできるものだと思っていたからだ。そしてそれを利用するセンスにも脱帽する。

 

「んで最初の龍の雷に戻るんだがあれには熱を持たせてたらしい。そもそも雷って熱あんのかよと俺も思って聞いたら木に雷叩き込んだら火がついたので熱もある事に気づいたらしい。だからそういうイメージであの龍を撃ち出して空に上昇させる。そしたら雷雲の出来上がりってわけだ。あの麒麟ってのは攻撃性重視で撃ち出したんじゃねぇか?麒麟については面白いもの見せてやるって教えて貰ってねぇからしらねぇ。」

 

「なるほどな。ベート礼を言う。ユウ君は発想もそうだが、魔法に指向性を持たせているのが凄いな。最近のレフィーヤが似たようなことをしている。良い例だ。レフィーヤ。お前にも教えてもらうぞ。」

 

「ふぇ?私がですか!?リヴェリア様に教えるなんてそんなこと。それにお兄ちゃんとの時間減らされたくないですし。」

 

あ。こいつ本音言いやがったと全員が思った。リヴェリアはため息を吐きこう続けた。

 

「ならば午前中か昼間なら良いな?」

 

レフィーヤは頷く。

 

「まぁユウ君が凄いのはわかっていたけど彼は本当に魅せるのが上手いね。わざわざ何をするかを期待させるように言い、カウントダウンで全員の意識を神の鏡に釘付けにした。それで期待以上のものを持ってくるんだからお手上げだね。しかもあれほどの魔法を使ってもマインドダウンを起こさず死傷者も出していない。これは本当にすごいことだよ。」

 

万感の思いを込めてフィンは言葉にする。自分も一族の夢のために負けて居られないなと。

 

 

さて戦争遊戯も終わったけれどもやべぇ。ベルのレベルここで上がるんじゃなかったっけ?やっちまった。どうしよう。

その日の夜ベルは消化不良だっみたいでベートさんとガチの組手をして初めてベートさんに片膝をつかせたらしく普通にランクアップしていた。

ベートさん強くなっちゃって偉業扱いになったのかな。

 

とりあえずこれで2人でランクアップだ!神会が楽しみだぜぇ!まぁまだ先の話だけどね。

とりあえずホーム奪ったからキッチンも大きくなったし家族も増えたからこれから楽しみだ!




すまん。アポロン、ヒュアキントス。

あれぇ?戦争遊戯ユウ君の2発の魔法で終わっちゃったよ。

ベルくんランクアップ適当にしちゃってマジごめん。

次は春姫んとこだっけ?やべぇ原作読み返さないと。
この辺からゼノスのとこまで原作うろ覚えなんで日常回何話か挟むかもしれません。原作読み返す時間稼ぎにw

それでも良ければまた読んでもらえれば幸いです!


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ユウ君ののほほんお散歩日和☆

さすがに仕事中には原作を読むことができないのでイシュタル編の前に日常回を挟みます。

楽しみにされていた方申し訳ない!

明日明後日は原作読み返して頭に入れておきます。

今回の日常回は原作であまり出てこない人物を出しているのでおかしいところはあるかもしれませんがご了承ください!


ヘスティアファミリアの面々は眷属も増え、アポロンのホームや財産も没収したので引っ越すことにした。趣味の悪い銅像があり、粋がった成金屋敷みたいだったので改装することにした。

ヘスティアが希望を募ると原作通りに鍛冶場だの風呂だの言うので全て取り入れた。

鍛冶場のことはヴェルフに任せ、風呂に関しては檜風呂にして多人数でも入れるくらい広くした。

そこにシャンプーとリンスを設置し、女性陣用にヘアパックと洗顔クリーム、化粧水も置いておく。

俺、ベル、ミコっちゃんの為の鍛錬場も確保する。

厨房はユウの希望通りにした。

 

ファミリアのエンブレムは鐘を真ん中に雷炎が周りを覆うマークになった。もちろんヘスティア、ベル、ユウの3名を現している。

 

その後の話し合いで新入団員を募集することになった。現状ユウ以外のメンバーでパーティを組み、ユウはソロかたまにベルのパーティに入る予定だ。

そこでユウはヘスティアに爆弾を放り投げる。

 

「ヘスティア。そろそろ家族も増えたしここにいるメンツは文句は言いつつも納得するだろうから借金のこと言っとけよ。」

 

「う、そ、そうだね。えっと事後説明で申し訳ないんだけど僕個人って形にしてるけど今は結構減ってるけど2億ヴァリスの借金があるんだ。ベル君のナイフを作るのにヘファイストスに作ってもらったから。」

 

「まぁ頭金で1000万と俺もちょくちょく返したりシャンプーとかヘファイストス様に買ってもらったりしてるからだいぶ減ってるけど残りは1億ちょいだな。」

 

ユウ以外のメンバーとヘスティアが驚く。ベルが兄ちゃん僕のせいでというが可愛い弟の為に母親と兄貴が一緒にプレゼントしたんだから気にするなと伝える。

全員それを見て納得する。

 

「それでだ。新入団員を募集するのは構わんが借金のことは伝えとけよ?焦げ付いてるとこでもいいってヤツは入れてやればいいけどそれ以外のやつはまだ選択肢があるんだから辛い思いさせるくらいなら送り出してやれよ。俺とベルはタケミカヅチ様にそうされてかなり心が助けられたからな。」

 

「そーだね。タケミカヅチ様は自分のファミリアの状況をしっかり説明して頭下げてくれたもん。あれはあれで悲しかったけど納得できたもん!」

 

ベルの頭をわしゃわしゃしながらヘスティアを見る。ヘスティアは頷いて伝える事を決意した。

 

「ついでに新入団員を募集って言ってるがあんまり多くなり過ぎると俺飯作らねーぞ。めんどくせーし。つかベートさんとレフィーヤが毎晩来るのも説明すんのめんどくね?なんか虎の威を借る狐みたいなやつ出てきても嫌だし。まぁその辺はヘスティアと団長のベルに任せるわ。俺今から色々行くとこあるから」

 

ユウはそう言って外に出て行く。ユウのご飯が食べれなくなるのは嫌なので即座に借金の事を言うことにする。それで何人かが残っても面接して良い子だけを入団させることにした。

 

ユウはそのままフレイヤファミリアに行く。門番にアレンを呼ぶように伝える。アレンが物凄い嫌な顔をして出てきた。

「久しぶりアレン君!ふむふむ。毛並みは上々。相変わらずいいサラサラ感だね!」

縮地でアレンの背後に周りアレンの頭を撫でまくる。

 

「や、やめろ!てめぇ!何の用なんだよ!!」

 

「えー。いや暇だから豊穣の女主人に一緒に飯食いにいこーと思って。シル大好き猫ちゃんにシルと合わせて尚且つ妹猫を弄り倒そうと思って。」

 

「な、な、べ、別に好きじゃねえっ!!それにあの愚妹とは関わり持たないようにしてんだよ!」

 

「え?シルってベルのこと気に入ってるから好きになっちゃってもいいの?ねぇねぇ?それに関わり持たないって今更すぎるでしょ。フレイヤちゃんがアーニャがアレン君にシャンプーねだってるの可愛いって言ってたし。」

 

アレンは耳と尻尾を垂らして用意してくるから待っとけといい中に戻っていった。門番が物凄い複雑そうな顔をしていたが。

 

「母さーん!飯食いにきた!ついでにこれ前注文もらった調味料ね!あらあらあら!アーニャちゃんじゃないですかぁ!!今日もゴロゴロニャンニャンだー!」

 

「ニャニャ!ニャ〜ン。ユウのなでなでは猫人はもうダメになるニャー!」

 

「アーニャ!今日はお前の為に俺の友達を連れてきたぞ!お前は気にいると思うぞ!」

 

「にゃ?誰ニャ?あ、なでなでをやめちゃダメニャ!」

 

アレンは遠い目でアーニャとユウのやり取りを見る。アーニャはアレンに気づくと尻尾をピーンと伸ばす。

 

「ニャ、ニャ、ニャァァァァァァ!!にゃんで兄様がユウと一緒に!!これは違うニャ!ユウの右手が恐ろしいだけにゃ!!」

 

「てめぇは何言ってんだ。アホみたいなツラしやがって。ちゃんと仕事しやがれ。」

 

「さっきフレイヤファミリアの門の前でアレン君も撫でられてアホみたいなツラしてて門番の人複雑そうな顔でアレン君見てたけどね。」

 

「ユウてめぇぇぇぇぇ!何言ってんだこの野郎!そんなわけねーだろ!!」

 

「うるさいよあんたら!!さっさと席に座りなっ!」

 

ミア母さんに怒られたので大人しく席に座って注文する。すると小悪魔アザトースシルがやってきた。

 

「シル。今日はアレン君がお前のお給金の為の財布になる。いや俺がする。小悪魔アザトースのお前の腕を見せてみろ!」

 

「え、ちょっと待ておい「アレンさんいつも来てくださるのにそんなこと出来ませんよ。アレンさんいつものでいいですか?」あ、ああ。」

 

「ふむ。いつもので通じる程仲が良いと。アーニャ!お兄たまがなんか奢ってくれるらしいぞ!」

 

「ホントにゃ!?兄様大好きニャ!」

 

アレンは耳を垂らしつつも尻尾がフリフリしている。こいつぁ驚いた。シスコンじゃねーか。いやまぁ知ってたけど。つかシスコンだから仲良いんだし。

 

それからちょくちょくいじりつつシルとアーニャと仲良く喋ってるアレン君。厨房に入って母さんに金を多めに渡しであのまま凄く忙しくなるまで放置してやってくれと伝え裏口から出る。

 

久しぶりに商店街のウサギお好み焼きを覗きにいく。相変わらず繁盛していた。孤児院の子供、元気なライ、ハーフエルフのルゥ、可愛らしい女の子のファナの3人が手伝っていた。

 

「おうちびっこ元気にしてたかー?おばちゃんもいつもありがとなー!これおやつに食べてよ!どら焼きって食い物。ほらちびっこは休憩していいからおやつ食べておいで。」

 

「ユウ兄ちゃんありがとー!!戦争遊戯みたよ!かっこよかった!!な!ルゥ、ファナ!?」

 

「うん…かっこよかった…。雷がピカッてなってた…」

 

「ユウ兄ちゃんすごくかっこよかったー!おやつもありがとー!」

 

3人を抱っこして屋台の横に置いている長椅子に座らせてどら焼きを渡す。頭を撫でてやる。

 

「3人ともありがとなー!またマリアさんのとこ行ってみんなでご飯食べような?このお店のお手伝い頼んだぞ!」

 

3人はうんと頷きもぐもぐどら焼きを食べる。商店街のみんなはそれを見て可愛いといい買った物を色々渡していた。マスコットとして呼んだが大成功だったみたいだ。

 

 

ロキ様に呼ばれていたのでロキファミリアに行く。お土産にウォッカとテキーラを持っていく。女性陣には甘いスイーツを。フィンさんにはミアハファミリア謹製の胃痛薬だ。

 

「おー。ユウたんよー来てくれたな。いつもお土産悪いなぁ。今回呼んだんはまた面倒なことになってやなぁ。はぁ。フィン説明頼むわ…」

 

「度々呼んでしまって申し訳ないね。ユウ君。でもこの件に関してはユウ君の意見も聞きたいしレフィーヤのことなんだ。」

 

そう前置きしたフィンさんは話を続ける。聞いているとどうもレフィーヤがベルとベートさんと鍛錬をしているおかげでアビリティの上昇速度が異常なほど早いとのこと。天然娘がそれに気づくと面倒なことになると頭を抱えているらしい。

 

「んーレフィーヤには極東の合気とか俺の技教えてるんで試しにあの脳筋天然娘と模擬戦でもさせれば良いんじゃないですか??アビリティじゃなくて技だと伝えれば納得するじゃないっすかね?それに魔力で身体を覆った状態での格闘術も棒術もタケミカヅチ様と俺に教わっているのでそこそこいい勝負になりますよ?」

 

「ちょい待って?ユウたんそれマジ?レベル6の前衛のアイズたんとレベル4になりたての後衛のレフィーヤやで?」

 

双方の実力をしっているベートさんに聞いて方が早いと言いベートさんに意見を求める。

 

「ああん?そーだなァ。魔力で覆った状態であのクソ面倒な格闘術されたら魔法無しのアイズが不利なんじゃねぇか?」

 

「もーベートさんまだ拗ねてるんっすか?そんなにレフィーヤに投げられて顔面に掌底もらったの嫌だったの?」

 

ロキ、フィン、リヴェリアは目を点にする。正直前衛で今ロキファミリアで1番頼りになり、実力があるのはベートだと認識している3人はそのベートがレフィーヤにやられた事に驚く。

 

「うるせーよ!!ユウとやってるみたいにやりづれーんだよ!おいフィン、ババア。レフィーヤが戦う時にユウの名前出すなよ。あいつユウの名前聞いた瞬間スイッチ入るから。最初は実力を試すだけだったのにユウが応援したせいで動きがまな板馬鹿ゾネスより速くなりやがるし技と駆け引きが経験もあるからだろうがベルと同じくらいになりやがる。悪いがはっきり言って近接戦闘技術ならレベル6のババアより上だ。」

 

本当に言葉を失うリヴェリア。まさか愛弟子にもう抜かれているとは思いもしなかった。フィンもその言葉には頭を抱えてしまう。

 

「んー。なぁユウたんとベート。レフィーヤどうするのが正解やと思う?うちはなあの子が悩んどったのも知っとるんや。魔法の威力はオラリオ1やけどそれを扱う自分は弱いってな。」

 

「レフィーヤなら大丈夫っすよ。なんせ俺の妹っすからね。それよりも心配すべきは脳筋天然娘でしょ。あいつどーしたんすか?ベルもかなり心配してましたよ?なんかベルが戦ってほしいって言われて軽く手合わせしたみたいですけど獣みたいで余裕が無くて憧れてたアイズさんと違ったって言ってましたけど?」

 

ロキファミリアは全員ため息を吐く。そう。レフィーヤもレアスキルが出て心配になっているがアイズが危うすぎるのである。

 

「そうなんよなぁ。アイズたんもやばいんよ。1時期は落ち着いててんけど最近は逆戻りどころかもっとひどなっとる。」

 

「そうだな。ベル君とユウ君2人と戦った時は良くなったがあの怪人とあってより力を求め始めた。」

 

ユウはいい事思いついたとばかりに発言する。

 

「天然娘は心に余裕がないんですよ。多分。だからここはセラピーがいいと思います!なんか知らないですけどウチの天界下界合わせても1番可愛いベルに関心を示してるみたいですししばらく2人にしといたらいいんじゃないっすか?ベルもスキルに出るくらい天然娘に憧れてるみたいですし。」

 

あ、こいつ弟の為にアイズを使うつもりだな。でも悪くない考えかもしれないなぁ。そんなことを思った一同だった。

とりあえずベートさんにアイズさんを連れてヘスティアファミリアに行ってもらった。手紙を書いてベルに渡すように伝えて。なお手紙にはお兄ちゃんからいつも頑張ってるベルに憧れの人との時間をプレゼント☆と書いておいた。

 

解散してから行くとこもなくぶらぶらしているとお好み焼き屋に良くくる黒髪アマゾネスを見かけたので話かけた。

 

「おーい常連さん!またお好み焼きそんな買ってくれたの?ありがたやありがたや。」

 

「なんだいユウか。私の妹分がこれ好きなんだよ。ユウには感謝してるよ。あんな食べ物を開発してくれてね。」

 

「いやいや買ってくれる方が感謝してるよ。今度サービスするから俺が店に立ってる時に来てよ!」

 

「あー。そりゃありがたいね。でもしばらく行けないかもしれないんだよねぇ。ちょっとウチのファミリアでゴタゴタが起こりそうだからね。」

 

この時期ってなんかあったっけ?まぁ原作外の話かなんかかな?常連さんも大変だなーと思いながら別れた。

 

そのままヘルメスファミリアに向かう。門番がルルネさんだったので待つことなく一緒にヘルメスのところに向かう。

 

何やらヘルメスと誰か男性が言い合いをしているようだ。

ダイナミックお邪魔しますをする為に助走をつけてドアにドロップキックをかましながら「おっ邪魔しまぁぁぁぁす!!」と叫びながら入室するとヘルメスの後ろでアスフィが頭を抱えておりヘルメスはポカーンと口を開けなんとタケミカヅチ様が後ろを振り返って驚いていた。

 

「よーヘルメスとアスフィ。神の宴以来だな!それとタケミカヅチ様はいつもありがとうございます。レフィーヤも喜んでました。」

 

「ユウ。このドアどうするんですか。それと戦争遊戯見ましたがやり過ぎです。」

 

「や、やぁユウ君。久しぶりにダイナミックお邪魔しますを見てビックリしちゃったよ。」

 

「ゆ、ユウ君か。敵襲かと思ったぞ。千の妖精か。彼女は筋がかなり良いぞ。それにユウ君からお給金貰っているから当然のことだ。」

 

三者三様の返事がきて満足するユウ。んでなんか言い合いみたいになってたけどタケミカヅチ様が声を荒げるって珍しいと思うんだけどなんかあったの?面白い?と野次馬根性丸出しのユウ。

 

「いやね、タケミカヅチが情報が欲しいって言うから情報は金が無いと渡せないって言ったんだよ。」

 

ふんふんと頷きタケミカヅチ様にグーサインを出す。

 

「ヘルメス。団員のレベル詐称してんのバラすぞはよ情報よこせ。面白そうだろう。」

 

「だよね。ヘルメス知ってた。ユウ君が来た時点で情報渡す事になるの知ってたよ。」

 

ヘルメスは遠い目をして語り始める。

 

「とりあえずタケミカヅチ。イシュタル様のところの狐人までは俺は知らない。申し訳ないけど。でも歓楽街に狐人がいるって話は聞いたことがある。それと…殺生石を求めてきた。金が良かったから運んだけどタケミカヅチが関わるならユウ君も関わるだろうから先に伝えとく。イシュタル様はフレイヤ様に戦争を仕掛けるつもりだ。」

 

タケミカヅチは絶句する。戦争もそうだが殺生石だ。あのアイテムは狐人の魂を封じ、壊されると廃人になってしまう。

 

「んでヘルメスはどーすんのさ。中立気取ってるけどイシュタル様寄りじゃん。フレイヤちゃんがブチ切れても俺知らないよ?丸くなったとはいえフレイヤちゃん子供をめっちゃ大切にしてるんだから。」

 

「ユウ君情報代ってことでフレイヤ様に会いに行くの一緒に行ってくれない?」

 

「やだ。足りない。アスフィに3日間休みをあげる。それが条件。その休みの間アスフィに仕事させてたらその髪の毛坊主にする。」

 

「わかったよ。アスフィ今のゴタゴタが片づいたら休んでいいよ。なんなら3日間ヘスティアファミリアで過ごしてもらって構わない。」

 

契約も結んだのでタケミカヅチ様は帰り、俺はヘルメスと共にフレイヤちゃんのところに向かう。

 

「フレイヤちゃーん!いきなりごめん!至急話たいことあるから入れて!」

 

「あらユウとヘルメス?どうしたの?別に構わないわよ?」

 

ユウは勝手に紅茶を入れ、フレイヤちゃん、オッタルさん、ヘルメスに渡す。ついでに魔法で出したクッキーも置く。

ヘルメスはポツポツと語る。それを黙って聞くフレイヤ。オッタルはユウにクッキーの種類を聞いて食べてみたいと言っている。

ユウもいろんな種類のクッキーをオッタルに渡してこれが美味いやこっちが紅茶には合うなど話ている。

 

「オッタルあなた本当に黙ってなさい。ユウ私にも色々な種類ちょうだい。で?ヘルメス。あなたは私にイシュタルの行動を伝えてどうさせたいの?」

 

「あーフレイヤ様。どうさせたいとかじゃなくてユウに中立気取ってるのにイシュタル様に肩入れしてるように見えるよ?って言われたんでフレイヤ様にも伝えとこうと思っただけなんですよね。」

 

フレイヤはため息を吐く。クッキーを食べようとすると皿の上には1枚も無くオッタルが口をモグモグ動かしていた。

 

「ねぇ?オッタル?黙ってなさいと言ったけど主神のクッキーを黙って食べるのは違うのじゃないかしらっ!!」

 

「もぐもぐごくん。」目逸らし

 

「オッタルゥゥゥ!!あなた今の話聞いてた!?戦争になるかも知れないのよ!?」

 

「お任せくださいフレイヤ様。フレイヤ様には指一本も触れさせませんし即時殲滅いたします。アレンも久しぶりに暴れれるので喜ぶでしょう。」

 

「その事を言ってるんじゃないわよ!!真面目な話をしている時に馬鹿するのをやめなさいと言ってるの!!」

 

「オッタルさん。アレン君今日連れ出して豊穣の女主人でシルとアーニャに挟まれながら嬉しそうに話してたから置いてきたよ。多分幸福を味わったからストレス無くなってるはず。」

 

フレイヤは頭を抱え、ヘルメスは苦笑い。オッタルさんはほほう。と口角を上げる。

 

「あーフレイヤちゃん。うちにタケミカヅチファミリアの子が移籍したの知ってるよね?その狐人がなんか関係者っぽいんだよね。それでウチのファミリアにイシュタル様んとこがなんかしてきたら俺も介入するから。俺暴れる時気をつけるけどもし大きな魔法使って巻き込んだらごめんね?なるべく刀でやるけどね」

 

フレイヤももちろん戦争遊戯を見ていたのであんな魔法を落とされたらたまったものじゃないので子供達にしっかり伝える事にする。それから少し話して別れる。

 

 

さてさてこれから晩御飯までどうしようと思ったら身体に衝撃が走る!なんだ!敵襲か!?であえであえーなどアホな事を内心で思いながらいきなり抱きついてきた可愛い妹を見る。

 

「お兄ちゃん!!えへへお兄ちゃんだー!」

 

やだ何この子。可愛い天使!レフィーヤの頭を撫でつつ後ろで唖然としている黒髪エルフを見る。

 

「はじめまして。レフィーヤの言ってた友達のフィルヴィスさんかな?レフィーヤのお兄ちゃんのユウ・クラネルです。どうぞよろしく。」

 

「あ、ああ。あなたがレフィーヤの言っていた兄君か。フィルヴィス・シャリアだ。よろしく頼む。」

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!フィルヴィスさんは凄いんですよ!デュオニュソスファミリアの団長さんなんです!」

 

ほうほうと頷く。何をしていたか聞くと一緒に出かけてケーキを食べていたようだ。妹の友達だしと思い晩御飯に誘った。本当に行ってもいいのか?私は死妖精だからなど言ってくるのでグチグチうるさい。妹の友達やってるんだから問題ねーんだよと首根っこを捕まえてそのままホームまで連行した。半泣きになりながら降ろしてくださいって言われたけど楽しかったからそのまま連行しちゃった☆

 

ホームについてベルと天然娘が模擬戦をしていたのでレフィーヤにベルと組んで天然娘に突撃命令を出すとすぐさま参加しに行った。その動きを見てフィルヴィスは固まっていたが。

 

飯が出来たので止めると途中で止められて不機嫌そうな顔をしてる天然娘。

ここはヘスティアファミリアのホームでお前は客なのに文句あるの?帰る?リヴェリアさん呼ぶ?と言うとサッと席に座った。

ご飯が美味しかったのか天然娘とフィルヴィスはニコニコしていた。飯の後にみんなで模擬戦を始めたので丁度良いとフィルヴィスを呼んで椅子に座らせる。

 

「んで?何に悩んでんの?レフィーヤの友達だし相談に乗るよ?」

 

「う、む。兄君は死妖精の由来を知っているだろうか?」

 

フィルヴィスに説明してもらう。率直にそれなんか関係あんの?フィルヴィスのせいなの?つか他人に言われたこととか無視しとけよ。信じてる奴らにだけ信頼されてりゃいいだろ。レフィーヤなんかフィルヴィスのこと大好きだぞ?俺に話してくる内容ほぼお前のことだし。

 

フィルヴィスは頬を赤らめ俯く。

 

「テメェにレフィーヤはやらんぞぉぉぉぉ!!このムッツリエルフ!!レフィーヤで頬を赤らめんじゃねぇぇぇぇ!!」

 

「ち、ちがっ!ちょっと待ってくれ兄君!私は友達としてレフィーヤを気にかけているだけで!それに私はデュオニュソス様が…あっ。」

 

「ほほーうほうほうほほーう。」

 

ニヤニヤしながらムッツリエルフの肩に手を回す。

 

「デュオニュソス様ねぇ。ほーん。なるほどねぇ。そうだよね神様だもんね。カッコいいよねぇー。今度も神会呼ばれてるから行って話しちゃおっかな〜」

 

「ま、まさか愛狂兄貴とは兄君の事なのか!?あのデュオニュソス様が下界にあのような者がいるのかって遠い目をしてらっしゃったぞ!?」

 

「ありゃ今知ったのかい?そうだよ?レフィーヤとベルの兄でムッツリエルフの好きな人を知ってる俺が愛狂兄貴のユウ・クラネルでーす☆」

 

フィルヴィスは固まってしまう。しかも今気づいたが触られても拒否してない。不快感もない。どう言う事だと混乱する。が、言うべきことを言う。

 

「兄君。お願いしますどうかこの事はご内密にしてください。」

 

ユウはからかい過ぎたかなと思い頭をポンポン撫でてやる。

 

「冗談だよ。ちょっと意地悪し過ぎたね。妹の友達なんだ。フィルヴィスも妹みたいなもんだよ。それにフィルヴィスも素直で可愛いしね。」

 

フィルヴィスは死妖精と呼ばれ他者との関わりをなるべく控えてきた。だから余計だろう。人の暖かさが身に沁みたのは。そっと涙を流す。

 

「あーお兄ちゃんがフィルヴィスさんを撫でてますよベル!ずるいずるい!!」

 

「兄ちゃん!!僕もー!!」

 

レフィーヤとベルが天然娘を放ってこっちに走ってくる。フィルヴィスはアワアワしてベートさんはため息を吐いて天然娘は首を傾げている。

ベルもレフィーヤもフィルヴィスも全員頭を撫でてやり3人でベートさんに攻撃開始!と言うと全員がベートさんに突撃して行った。

ベートさんも獰猛な笑みを浮かべる。が、レフィーヤが詠唱を開始し始め、フィルヴィスが盾を張った時点で顔が引きつっている。

 

もちろんユウは大爆笑。天然娘もクスッと笑う。

こんな馬鹿みたいな日常が続けば良いのになと思う1日だった。




あれ?妹フラグもう一本立ったんだけど。

ソードオラトリアでフィルヴィス死んだのいやだったんで救済ルートも考えてます!

ソードオラトリアと原作の時系列を覚えてないから読み直さなきゃ!!

では次回もよろしくお願いします(`・ω・´)


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イシュタル?劣化版フレイヤちゃんだろ?

イシュタル編はっじまっるよ〜!!

原作読みながら書くから更新遅くなっちゃうけど許してください。

なるべく早く書きます!


フィルヴィスが照れながら兄君また来ても良いだろうかと言う姿をみて血を吐きそうでした。

弟と妹2人なんであんなに可愛いの?爺ちゃん俺やっぱハーレムより弟と妹さえいればそれでいいや。

 

フィルヴィスには今度はデュオニュソス様も連れておいでと言っておいた。一応他派閥だし話は通しておいたほうがいいからね!

 

さてさて前置きはこのくらいにしてやっぱミコっちゃんが怪しいってか怪しんで下さいと言わんばかりの行動をしてる。歓楽街に行くのはいいんだけどベルが心配なんだよなぁ。あいつ原作より純粋だし。爺ちゃんの洗脳<お兄ちゃんになってっからなぁ。

 

とりあえず全員で集まってミコっちゃんに話を聞く。安定の狐人の春姫って子の話でした。タケミカヅチ様も桜花も動こうとするがミコっちゃんとちーちゃんが止めてるらしい。まぁ場所が場所だからね。

 

歓楽街の事を聞いてベルはどんなとこか分かってないみたいでヴェルフに聞いていたがヴェルフも流石に言葉を濁していた。

 

「さて話は出尽くしたけどどーする?ベルが団長なんだからベルが決めなさい。お兄ちゃんに頼ってくれるのは嬉しいけどお兄ちゃんも心を鬼にして厳しく言うよ?ベルが考えてこうするんだって行動しないとね?」

 

「兄ちゃん…わかった!えっと僕はあんまり考えるの得意じゃないけど今回の事は命さんがダメ!命さんはもちろん期限付きの移籍だし昔からの付き合いがあるからタケミカヅチファミリアを頼るのはわかるけど今はヘスティアファミリアで僕達の家族なんだからまず僕達を頼らないと!」

 

命はハッと息を飲む。リリ、ヴェルフは頷きユウはベルの頭を撫でている。

 

「申し訳ありませんベル殿、皆様方も。私は間違っていました。その上でどうか、どうか力を貸していただきたい!お願いします!」

 

ベルもうんうんと頷き、どうするか考える。リリはイシュタルファミリアは大手なのであまり正面から事を構えるのはやめた方がいいと。

ヴェルフは身請けとかか?と。

ベルはイシュタル様に会いに行ってお願いすれば。と。可愛いからいけるかもしれない←ブレない兄馬鹿

命は今までやった行動やタケミカヅチ様の案を言うがどうにも纏まらない。

 

「ユウはなんかねーのか?正直リリ助とユウ以外自分で言うのもなんだが考えるの得意じゃねーからな。」

 

「んー。ベルの案がいいんじゃね?ぶっちゃけどうしようもこうしようもねーだろ。とりあえず真正面から行って話聞いてまた考えればいいんじゃね?任せろ。俺に策がある。」

 

常連さんは歓楽街の人と行っていたのでお好み焼きをたくさん持って行けば通して貰えるはずだ。なんてガバガバな策なんですか!?その常連さんがイシュタルファミリアかもわからないでしょう!とリリが言うので動きを見て戦闘力は高かったと伝えた。

 

そのままベルとユウはお好み焼きを作ってパックに入れまくり両手でビニール袋を持って行く。ベルに絶対俺から離れるなと言っておいたのでニコニコしながら横を歩く。あら可愛い。俺の神はヘスティアじゃなくてベルだな。

 

歓楽街に着きキャッチっぽいやつにイシュタルファミリアの本殿の場所を聞く。着いたので門番に常連さんの特徴を言うとすぐわかったのか呼んでくれることになった。

 

中に通されたので椅子に座って待っていると常連さんが来た。

 

「あ、あんた何してるんだい!?なんでお好み焼きもこんなに…」

 

「いや常連さんゴタゴタでしばらく来れないって言ってたから。それに妹分がこれ好きなんでしょ?俺もお兄ちゃんなんでね。妹や弟を大切にする人に悪い人はいないんで宅配したんですよ!あ、こっちが弟のベルです。ベル・クラネル。」

 

「ふっ。全くありがたいよ。ん?ちょっと待ちな。クラネル?あんたユウ・クラネルかい?愛狂兄貴の?」

 

「常連さんにまで知られてるとは嬉しいですね!そうですよ!こっちは炎雷兎のベルです。」

 

「あたしはアイシャ・ベルガだよ。イシュタルファミリアのレベル4さ。それよりあんたらアホか!早く帰りな!イシュタル様に見られた「誰に見られたらだって?」」

 

奥から褐色のその服意味あんの?みたいな痴女が出てきた。イシュタル様かな?

 

「イシュタル様ですか?こんばんは。出張お好み焼きのウサギお好み焼きの店主ユウ・クラネルです。こっちは「ベル・クラネルです!!お兄ちゃんの弟です!」」

 

ベルの頭を良くできたなーとなでなでする。

 

「そ、そうかい。そういえばお前神会に参加してたな。フレイヤのことをフレイヤちゃんと呼んでいたな。」

 

「あーそうっすね!フレイヤちゃん弄るとすっごい楽しいんで!友達っすね!イシュタル様も美と豊穣を司る女神様なんでやっぱ仲良いんですか?」

 

イシュタルは嫌な笑みを浮かべてこっちを見る。

ベルの頬に触れようと手を伸ばすのでやんわりと止める。

 

「ベルは純粋なので手を出さないでもらえませんか?」

 

「イシュタル様?美の女神?兄ちゃん美の女神ってフレイヤちゃんじゃないの?」

 

ベルゥゥゥ!その言葉はあかんってぇぇぇぇ!!完全に喧嘩売っとるやないかーい!!

周りの戦闘娼婦も固唾を飲んで見守る。

 

「な、なぜお前たちには魅了が効かない!?こんな下界の子供があの女狐と私を比べるだと!?」

 

「うわぁ何千歳のババアが痴女みたいな格好してると思ったらヒステリックもあんのかよ。しんどいわぁー。」

 

その発言で周りの空気が死ぬ。アイシャにいたっては冷や汗をかいて足をガクガクさせている。

 

「き、貴様今なんと言った?もう一度言ってみろぉぉぉ!!!」

 

「妖怪ヒステリック痴女ババア。」

 

イシュタルは糸が切れた人形のように椅子に座り込む。他のメンツは誰一人として動かない。

いやベルが動いた。

 

「イシュタル様?大丈夫ですか?気分が悪いならこれ食べるといいですよ!僕と兄ちゃんで作ったんです!」

 

ベルはお好み焼きを開けてヒステリック痴女ババアにあーんと言いながら一口サイズのお好み焼きを食べさせる。大人しく食べるイシュタル。

 

「う、美味い。あーベルだったか?これは何という食べ物だ?」

 

「えっとお好み焼きっていうんです!商店街でウサギお好み焼きって屋台で作ってるので食べに来てくださいね!」

 

「そ、そうか。今度行くとしよう。おい貴様。お前の不敬は弟をイシュタルファミリアに移籍で許してやる。」

 

「寝言は寝て言え痴女ババア。同じ美の女神って聞いてたから面白そうと思って来たのにただの精神年齢ガキな痴女ババアじゃねーか。もう帰るけどよ。ヘスティアファミリアや俺の関係者に手出したらこのファミリアすり潰してやるからな。」

 

殺気を馬鹿みたいに出してベルを抱えて帰る。イシュタルは殺気で気絶し、アイシャもガタガタ震えていた。

 

「あー常連さん改めアイシャさん。また来てくださいね。次は是非妹分の子と。俺も妹分が2人いるので可愛くて仕方ないんすよ。手出したら神でも殺すレベルで。何かあれば相談乗りますよ!それじゃ!」

 

ユウはベルを脇に抱えて堂々と帰っていく。その後ろ姿をアイシャは呆然と見送った。あれ程弟の為に怒る男で妹分も可愛がっている発言をしていた。二つ名も愛狂兄貴である。ユウに相談すれば春姫を助けてくれるんじゃないだろうかとどうしても考えてしまう。

兎にも角にも今は気絶してるイシュタル様を布団に運ぶのが先かと切り替え、指示を出した。

 

とりあえず喧嘩売ってきたとヘスティアに伝えるとヘスティアは胃を抑え、もう好きにしていいよ…行動する時はフレイヤとロキにもちゃんと伝えるようにね…そう言って部屋に戻っていった。ミコっちゃんが胃薬持って行ってたけどw

 

ロキ様に伝えようと思い黄昏の館に行くが門番の人にメロンだかメレンだかの都市外に行ったとのこと。居ないから仕方ないよね?と思いお好み焼き屋台に行く。その途中でアイシャさんを見つける。アイシャさんは横を通り過ぎる時ダンジョン5階層のルーム番号を呟いていく。

こりゃなんか面白そうと思い行くことにした。

 

「悪いねユウ。こんなところに呼び出して。多分イシュタル様はベル・クラネルを捕らえようとする。あの方は蛇のようにしつこい。私達も兵隊だから逆らえないんだ。」

 

その話を聞き、もう動いちゃおうかなーとか思うがまだ続きがあったので黙って聞く。アイシャさんの妹分の春姫ちゃんのスキル。前に一度助ける為に殺生石を壊して骨の髄まで魅了されてしまったこと。色々聞いてあのヒス痴女ババアを天界にお返しすることを決意する。

 

一度ベルをアイシャさんに捕らえてもらって大義名分を作って真正面からイシュタルファミリアを潰すことにする。ベルとファミリアのみんなには先に伝えて混乱が起きないようにしてアイシャさんには演技をしてくださいと伝える。

アイシャさんにダンジョンには俺がついていかないことをそれとなくヒス痴女ババアに伝えてもらいクエストを発注してもらう。

捕らえた後は任せといてくださいと言い、商人からのクエストが行動開始の合図ということにする。

 

ダンジョンで別れた後ホームに戻り作戦を伝える。リリはベルの身を案じていたがそれは一先ず置いとく。ベルもやる気になっているので頭を撫でてやる。商人からのクエストが来るまでは全員自由にしてもらう。

 

「フレイヤちゃーん!話あるから来たよ!あ、これお土産ね。オッタルさん。悪いんだけどフレイヤファミリアの幹部全員集めてくんない?伝えることあるし」

 

「わかった。前に貰ったドライフルーツとやらは美味しかったぞ。あれがあればダンジョンに長期間潜っても問題ないな。アレンも喜んでいた。出来れば多めに貰いたい。」

 

「いいですよー!色んな種類あるけどマンゴーとプルーンが肌にも良いし健康にもいいからそれ沢山あげますよ!」

 

「感謝する。フレイヤ様。ふっ。アレン達を呼んできます。」

 

「オッタルゥゥゥゥゥゥ!!あなた今鼻で笑ったわねぇぇぇ!?何に優越感を感じてるのよっ!?私より先に美肌効果の物食べたからかしらっ!?ってもう居ないわ。ユウ。私にもそれちょうだい!」

 

フレイヤちゃんにマンゴーのドライフルーツを渡すとパクパク食べていた。うーん。ほんと黙ってりゃ可愛いのになぁ。」

 

「ユウ。あなた声に出てるわよ。だいたいあなたの前で猫かぶっても仕方ないじゃない。」

 

「ババアなのに猫かぶるとかやめて。吐き気がする。」

 

「ほんと真顔で言うのやめてくれないかしら。いくら私でも泣くわよ?」

 

すぐにオッタルさんがアレン君と小人4人衆ことガリバー兄弟とヘグニさん、ヘディンさんの白黒エルフコンビを連れて来てくれた。

 

「皆さんわざわざすみません。椅子用意したんで座ってください。フレイヤちゃん。椅子足りなくなるから退いて。みんなで座れなくなっちゃう。」

 

「ねぇユウ?ここ私の部屋よ?私主神よ?泣いちゃうわよ?」

 

「ヘグニさん、ヘディンさん。今こそイケメンエルフの出番です。泣きそうになってるおばあちゃんをイケメン笑顔で助けてあげてください。」

 

白黒エルフコンビはアタフタしている。それを見てオッタルさんは身体を震わしながら笑うのを我慢していた。

 

「さて茶番はこのくらいにしますか。皆さんに来ていただいたのはイシュタルファミリアについてです。ほらそこ。いじけてないで話聞きなさい。ちょ、フレイヤちゃん。マンゴー投げないで!口でキャッチするの、もぐ、難しいんだから!もぐもぐ。」

 

涙目のフレイヤちゃんを膝の上に乗せて話を続ける。オッタルさん以外のメンバーは頬を引きつらせながら見ている。オッタルさんはまだ笑いを堪えている。

 

「とりあえずイシュタルファミリアのアイシャ・ベルガさんから聞いた話とどういう作戦かお伝えしますね。」

 

フレイヤちゃんの口にドライフルーツを放り込みながら今までの情報を伝える。

 

「おい。テメェとあの弟だけでどうにかなんのか?あそこにはレベル5のガマガエルがいるぞ。テメェの話だとランクアップブーストでレベル6になるんじゃねぇのか?」

 

「うん。アレン君の言う通りだと思うよ。そのガマガエルってのが面白そうで凄い気になるんだけど今はいいや。そもそもアレン君さ、戦う時に時間制限付きでランクアップって必要?」

 

「ああん?そりゃレベル1つ上がればステイタスも軒並み上がるんだから良いことだろーが。」

 

「これだから馬鹿猫は。この辺アーニャと似てるよね。馬鹿なところ。そもそもランクアップってどういうことか考えてみて?オッタルさんは言ってる意味分かってるみたいだけど。」

 

オッタルさん以外が真剣に考えている。てかフレイヤちゃん頭撫でてると大人しくなるんだね。ちょっと可愛いから餌付けしちゃうぞ☆

 

「器が昇華されて1つ大きくなるのがランクアップだろう。」

 

「うん。ヘグニさん正解。そこのドライフルーツ食べていいよ。ダークエルフがエルフと一緒か知らないけどフルーツだから美味しいと思うよ?つかアレン君以外食べていいからね?

んでおバカ猫のアレン君。今のヘグニさんの答えを踏まえて説明するよ?器が昇華したら感覚の齟齬ができる。レベルが上がれば上がるほどだ。その感覚が5から6なんてバカみたいに大きい差があるでしょ?俺ですらそうだったんだから。それをブーストで無理矢理レベルを上げてしかも時間制限ありだよ?もうステイタスに振り回されるだけのアホでしょ。それこそ戦闘経験値が膨大なオッタルさんクラスならどうにかなるかもしれないけどね。」

 

アレンは意味がわかったのかチッと舌打ちをする。オッタル以外の面々もなるほどと呟く。

 

「ねぇユウ?それはわかったのだけれど、どうしてみんなを集めたの?その説明で手を出すなって話なら私とオッタルに伝えておけば良かったと思うんだけれど。」

 

「いやぁ新しい技作ったんであの趣味の悪い宮殿も消しとばしてやろーかなって。んでその技めっちゃ危険だから見てもらって使っていいか判断して欲しくてさー。」

 

フレイヤはなるほどと呟き許可を出す。ダンジョンに行くか?と言われたのでこの場でも威力弱めたらわかるから大丈夫!そう言って両手を突き出す。

パリッパリッっと上下に出された手の間に球体が形成され始める。その球体を椅子に近づけると背もたれの部分に触れた瞬間その部分だけ球体の形に抉り取られる。

 

「これ荷電粒子砲っていって今は危ないからしないけどこれをもっと大きくしたやつを撃ち出す技なんだよね。当たったら目に見えないくらい細かく消滅するんだよねぇ。そしたらゴミも出ないしいいでしょ?」

 

フレイヤファミリアの幹部全員がヤバすぎるだろう。そんなの使ったらダンジョンも粉々になるじゃねーかと戦慄した。フレイヤも流石に頬を引きつらせ使わないように注意する。

 

「んじゃーやめとく。とりあえず俺の本分は近接戦闘だし刀で向かってくるやつ全員斬り伏せてあのヒス痴女ババアは椅子にでも括り付けて宮殿から落として天界に送っとくわ。」

 

いやいやいや神殺しそんな感じでやっちゃダメだからと全員で止める。フレイヤちゃんが頃合いを見て参戦してヒス痴女ババアを天界に送ってくれることになった。

 

そんなこんなでついに商人からのクエストがあった。予定通りベルは捕まってくれたみたいだ。まずはギルドに行く。

 

「エイナさん久しぶり。ちょっと話があるんだけど。俺ブチ切れてるから余裕ないんでごめんね。ギルドのお偉いさん呼んでくれる?」

 

「ど、どうしたのユウ君?それにギルドのお偉いさんって…何かあったみたいだし呼んでくるからちょっと待っててね?」

 

何も聞かずエイナさんはすぐに小太りエルフを呼んできてくれた。

 

「なんだ?何か用か?私は忙しいんだ。用件があるなら早くしてくれ。」

 

「はじめまして。ヘスティアファミリアのユウ・クラネルです。今朝ダンジョンで戦闘娼婦の連中にウチの団長のベル・クラネルが拉致されました。ほぼ間違いなくイシュタルファミリアですので戦闘許可をいただきたい。」

 

「なんだと!?証拠はあるのか?ギルドとして街中に冒険者同士の戦闘は認めれるわけないだろう!ギルドが確認を取るまで待っていろ!」

 

「なるほど。ギルドは冒険者1人の命の危険より街の人々の不安を取ると。わかりました。それほどまでにギルドは冒険者からの信頼は必要ないと。街中で今日言われたことを色々な人に聞いてみますね。ついでにロキファミリアやフレイヤファミリアの主神様にも良くしていただいてるので相談しておきます。もうギルドには頼りません。」

 

「なっ!待て!待ってくれ!すまない。謝る!私の一存では決めかねる。今ギルドの主神のウラノス様にお伺いを立てるから少しだけ待ってくれ!!」

 

少しだけならと椅子に座って待つ。エイナさんはベルを心配してくれる。エイナさんごめんこれ出来レースなんだわ。今度飯作ってあげるから許してと思いながら慰めとく。

 

「ウラノス様が一般市民に危害がいった場合は賠償金を請求するがそれ以外は許可するとのことだ。戦争遊戯の時みたいな魔法は使ってくれるなよ?」

 

了承し、ギルドを出てすぐに歓楽街に向かう。イシュタルファミリアの宮殿のドアを吹き飛ばし中に入る。

 

「おい。イシュタルファミリアとヒス痴女ババア!!テメェ等誰の弟に手出したかわかってんだろうなぁぁぁ!!全員叩き斬ってやるから死にたいやつからかかって来やがれぇぇぇ!!」

 

殺気全開で突撃する。レベルの低い連中はそれだけで気絶していく。これ覇◯色の覇気やん。めっちゃ便利やん。とかは断じて思っていない。

 

多分かかって来ないで小さくグーサインくれる奴らはアイシャさんの仲間かな?その人達はスルーして他の奴らは峰打ちで気絶させていく。広場にいた敵対者は全員気絶させたのでグーサインしてくれてたアマゾネスに宮殿から出て気絶した奴らを安全なとこに運ぶように伝える。

その際にベルと春姫ちゃんの場所を教えてもらった。

 

上を見上げると渡り通路が見える。時短の為に雷を纏い壁を走って上に到着する。アイシャさんがいて横に狐がいるのであの子が春姫ちゃんだろう。

 

「ブ、愛狂兄貴(ブラコンバカ)!?早すぎる!ここを守らないとイシュタル様に何を言われるかわからないよ!かかれー!!」

 

なんかリーダーっぽいアマゾネスが指示をしてこっちにいっぱい走ってくるので雷を纏ったまま峰打ちで地面に叩きつけていき気絶させる。するとおかっぱのどう見てもカエルが出てきた。

 

「げげげげ。あんた強いねぇ。強い男は大好きだよぉ。私に抱かれなよぉ〜」

 

「え?なんでモンスターが喋ってんの?知性のあるモンスターとかいるの?あーいや知性ねぇか。欲求に従ってるただのカエルだったわ。カエルと交尾するのは気持ち悪いしごめんなさい。」

 

「あんた私の美しさがわからないのかい?美しすぎるってのも罪だねぇ〜アイシャ。あんたは石とそこの狐を守っとき、「ていっ」」

 

カエルのモンスターをやっつけた!テッテレー!ユウはレベルが上がった!上がるわけねぇな。うん。

 

「アイシャさんなんすかこのモンスター。やっぱモンスターって感性おかしいんですね。この顔で美しいって言ってましたよ?まぁモンスターなんでいいんすけどね。」

 

「あ、あんた容赦ないね。気持ちはわかるけどフリュネまだ喋ってる途中だっただろ。モンスターと言いつつ気絶だけにしてるのは優しいね。」

 

「いや刀が汚れるの嫌だったんで。なんか油っぽいし生理的に無理だった。」

 

アイシャさんは頬を引きつらせ、春姫ちゃんは現状を理解していなかった。アイシャさんに説明を任せて殺生石を荷電粒子砲でチリにする。

 

「そろそろフレイヤちゃんとオッタルさん達も来るからとりあえず気絶してるガマガエル以外を宮殿の外の安全なところに運んどいてください。俺ベルとヒス痴女ババアんとこ行ってくるんで。妹さん大切にしてあげてくださいね」

 

そのままヒス痴女ババアのところに向かう。ドアを切り刻んで中に入るとヒス痴女ババアがうなだれていた。横でベルはワタワタしているが。うん可愛い。

 

「あ!兄ちゃん!!イシュタル様なんか落ち込んじゃった。なんでだろ?」

 

ベルに話を聞いてわかりやすくするとヒス痴女ババアはベルを魅了しようとする。でもベルには効かない。しかも目の前に美の神たる自分がいるのに兄ちゃんまだかなーとずっとソワソワしてるベルがいる。1ミリもベルの瞳に映らない美の神(笑)のプライド粉々。結果落ち込む。

 

うんベルって本当に可愛いし無自覚にヒス痴女ババアを再起不能レベルに追い込んでるな。

宮殿の外にアイシャさんがいるからそこで待つように言いベルを部屋から出す。ちなみにヒス痴女ババアの側近のタイムズ?はベルにボコられて気絶していた。

 

うなだれているヒス痴女ババアを眺めながらガマガエルに座ってポッキーを食べ、フレイヤちゃん達を待つ。ヒールの音がして後ろを向くとフレイヤちゃん達が到着した。

 

「うげ。ユウテメェ無傷でガマガエル倒したのかよ。」

 

「最初モンスターが喋ってると思って見てたら美しすぎるとかわけわからんこと言い始めたから喋ってる途中にていってやって雷食らわした上に刀で頭ぶっ叩いて気絶させた。」

 

「それは良いわ。ユウなんでイシュタルはあんなにうなだれているの?」

 

ベルの話を説明すると流石のフレイヤちゃんもフレイヤファミリアの皆様も同情の目でヒス痴女ババアを見ていた。無理はない。俺ですら同情したもん。

 

「あなたを天界に送還しようと思ったのだけれど流石に可哀想だからやめておくわ。今後もし私のファミリアに「構わん。もう天界に帰る。」い、イシュタル?」

 

「笑えよフレイヤ。もう私は美の神であることをやめる。下界の子1人の瞳にすら映らないんだ。目の前にいるのに…」

 

フレイヤちゃんも流石に何も言えなくなる。

 

「なら明日ベルがお好み焼きの屋台立つしそれだけ食ってから天界帰れば?なんやかんやベルも待ってるし。」

 

イシュタルは未だにうなだれている。フレイヤちゃんは気まずいのかそ、それで良いわ。とだけ言って帰っていった。

 

「なーヒス痴女ババア。天界でも作れそうな飯のレシピやるからそんな落ち込むなよ。とりあえずお前んとこの子供は気絶させただけだからこのカエル以外起きてるだろうし天界に帰る説明だけしろよ。」

 

イシュタルをおんぶしてやり外に連れていってやる。そしてイシュタルはファミリア解散とだけ言う。仕方ないのでそのままヘスティアファミリアのホームに連れて帰る。

 

「ヘスティアー!ちょっとイシュタル精神死にかけてるから今日だけ泊まるってよー。あ、イシュタルファミリア解散したから。明日イシュタルも天界帰るってよ。」

 

「えええええええ!?何がどーなったらそうなるんだい!?」

 

とりあえずレシピにしてあるご飯をいっぱい作ってイシュタルに食わせる。少しずつ元気になるイシュタル。それから俺の部屋に連れて行き紅茶を入れてやる。

 

「ユウ。ご飯美味しかった。礼を言う。ところでお前ロキのとこにも妹がいるんだよな?」

 

「おー。いるぞ?千の妖精って呼ばれてんな。」

 

「そうか。もう天界に帰るから教えておいてやる。私はフレイヤを貶める為に少し闇派閥と繋がりがあった。今ロキファミリアは闇派閥とやり合ってるみたいだぞ。ダイダロス通りに闇派閥が作った人造迷宮クノッソスがある。そこには穢れた精霊と呼ばれるモンスターもいる。それに鍵がないとあそこはロキファミリアでもキツイぞ。」

 

「は?それマジ?1週間前くらいにはロキ様んところメレンだかなんだか言うところに行ってた筈なんだけど。」

 

「おそらくもうクノッソスに進軍しているかもしれん。これがクノッソスの鍵だ。持っていけ。飯代だ。」

 

「…そうか。ありがたくもらっとく。イシュタル様。あんたのこと少しは好きになったわ。」

 

フンっと言いつつ頬を染めるイシュタル。

 

そのあと闇派閥の情報を教えてもらい、カースの事を聞いて思い出す。原作でフィンさんが切られて何人かが死ぬことを。そうこの世界は本ではなく現実だ。気づくのが遅いと思いつつまだ間に合うと思い駆け出す。

友達と妹の為に全力で走る。




はい原作崩壊してしまい申し訳ないです。

ただレフィーヤとフィルヴィスを妹にしてベートさんを親友ポジにしてしまったのでソードオラトリアの方にも手を出したかったんや!!

報告ですが原作を読み返していて8巻が時系列戻ってしまうことに気づいたので日常回に盛り込んでいけたら盛り込んでいくつもりです。
なので次はソードオラトリアの7巻に相当するクノッソス編を書いて原作の9巻という形にしようと思います。


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クノッソスさんこんにちは。ダイナミックお邪魔しまぁぁぁぁす!!

はい初回クノッソス進行にユウ君が参戦します。

可愛い妹の為ならどこにでも顔を出しますよー!!


イシュタルに聞いて原作を思い出したユウはまずディアンケヒトファミリアへ全力で走る。

まだ夜とはいえ開いている時間なのでアミッドに話をしたい。

 

「はぁはぁ。アミッドさん!!小太りジジイ!!悪いが急用だ!!」

 

2人は驚いた顔でユウを見る。口は悪いがこんなに息を切らせて真剣な表情をしているユウを見て本当に急用なのがわかり尋ねる。

イシュタルから聞いたことを伝えてカースの解呪薬を作ってくれと頼む。

 

「ユウよ。解呪薬は任せておけ。それより早くロキのところに向かえ!解呪薬は後で持って行く!それとエリクサーとハイポーション、マジックポーションを詰めるから持って行け!」

 

「私も今からすぐに解呪薬を作ります。二本程ならロキ様のところに説明に行っている間に作れるので持っていきます。」

 

「2人ともすまん!助かる!後日礼はする!」

 

ユウはバックパックとホルスターを受け取り走って出て行く。その姿をディアンケヒトは眩しいものを見るかのように目を細める。最初の会話は最悪だった。だが交流を深めるうちにユウがどういう奴かわかってきてよく話すようになった。普段おちゃらけている分真剣になったユウは眩しい。それもユウが真剣な表情を作るのはいつだって人の為だ。そのユウが最初に頼ってきたのだから半端な仕事はできない。

 

「アミッド。滅多に頼らないユウの頼みだ。儂も手伝うから全力でやるぞ。」

 

アミッドも頷き手早く作業をしていく。

 

ユウはロキファミリアに着きロキへの面会を求める。それも至急の要件だと伝える。門番はいつものユウと違うことに気づきロキの許可も取らずに行けと言う。ユウは礼を言ってロキの執務室に直行する。

 

「ロキ様!!ユウです!至急の要件があってきました!」

 

「ユウたん!?どないしたん?てか門番は?」

 

「ロキ様。落ち着いて聞いてください。」

 

イシュタルから聞いた情報を全て提示する。そしてカースの話で既にディアンケヒトファミリアに行って解呪薬の作製を頼んだこととポーション等の詰め合わせを貰って来たことを伝える。

 

「それほんまか。いやユウたんが嘘ついてないのはわかる。それにクノッソスの鍵か。扉がオリハルコンやとぉ!?しかも穢れた精霊やと!?フィン達がダンジョンで交戦したっちゅうやつか!!あかん完全に後手に回っとる。」

 

「ロキ様。俺が行きます。おそらくロキファミリアといえど今の状況的に最悪の一歩手前です。イシュタルが情報をくれたのでギリギリ一歩手前なだけです。エンチャントを使えばだいぶ時短できますし薄く電磁波を広げれば索敵もできます。俺が1番この状況を打破できる可能性を秘めてると自分でも思います。」

 

「いやでもやな、ユウたんは別のファミリアやしなんぼ強い言うても死ぬ可能性もあるんやで?そないなところに自分の子供を助けてくれって1人で行かせれるかいっ!!」

 

「ロキ様!!ロキファミリアには俺の妹がいます。親友がいます。ファミリアなんて関係ない。俺が俺であるために行くんです。それに俺は妹と弟を置いて死にませんよ。」

 

ロキはユウの真剣な眼差しと1つの気負いもしていない姿をみて大きく息を吐く。

 

「わかった。ユウ・クラネル。ウチの子供を助けてやってくれ。ヘスティアにはウチが連絡しとく。」

 

ユウは頷きロキファミリアの外に出る。少し待つとアミッドさんが二本解呪薬を持って来てくれた。お礼を言い雷を纏う。すぐさまダイダロス通りに向かう。サーチを広げると壁の向こうに広い空間があるところを見つける。入り口を見つけるのが面倒なので刀で一気に切って行く。壁を貫通させて中の様子を探る。

 

「ちっ。やっぱ原作通りに分断されてんのか。とりあえず近くにいる奴らからだ。」

 

少しぼやきながら人が集まっている場所に行く。何階か降りたらリヴェリアさん達を見つけた。

 

「リヴェリアさん!!助っ人に来ましたよ!!」

 

「「「ユウ(君)!?!?」」」

 

「とりあえず1人ですけど援軍です。これハイポーションとエリクサーです。んで?分断されてんすか?」

 

「あ、ああ。闇派閥の奴らと怪人がいる。そして今は凍らせているがこのオリハルコンの扉が厄介だ。」

 

「あ、これ鍵っす。あとこの扉壊せるか試していいですか??」

 

「は?鍵?いや有難いんだがこれはオリハルコンといってだな…壊せるのか?」

 

荷電粒子砲をオリハルコンの扉にぶつけてみるとチリになった。壊せるみたいっすねと笑いながら言うユウを見てロキファミリア全員が遠い目をする。

 

「とりあえず俺の魔法で残ってるやつを回収してきますわ。誰が残されているか教えてもらえますか?」

 

リヴェリアさんから残されているメンバーを聞く。レベル6組は放置してレフィーヤとフィルヴィス、それからリーネ?とかいうやつのグループとラウルさんのグループを回収することにする。とりあえず1番弱いらしいリーネって子のグループを索敵すると7人いるグループを発見する。状況的にみておそらく当たりだろう。雷を纏い全力で駆ける。

 

「すみませんリーネさんですか?ヘスティアファミリアのユウ・クラネルです。救援にきました。これハイポーションですので怪我人に飲ませてあげて下さい。」

 

「え、あ、あの、はい。あ、ベートさんのご友人の…」

 

そうですよーと言い全員リヴェリアさんのところに連れて行くと説明をする。現状を聞くとフィンさんが速攻で怪人にバチコンされて扉が降ってくるわカースがあるわで動けなかったらしい。

なるほどと頷き一緒に行く。途中扉が降ってきたので全部荷電粒子砲でチリにしてやったら扉が降ってこなくなった。

リーネさん達はドン引きしてたけどね。リヴェリアさんにリーネさん達を引き渡す。リーネさんからの情報を加味して死にかけとる電磁波を探す。見つけたのでマジックポーションを飲んでまた雷を纏う。すぐに見つけたがなんかファンキーな感じの女もいた。んーと名前なんだっけ?ヴァ・ヴァ・ヴァニラさんだっけ?とりあえず声かけるか。

 

「どもー。うわっフィンさん死にかけとるやないかーい。全く団長がなんで死にかけてるんすか。ほら治しますよ?」

 

「おいちょっと待て。お前誰だ?つーかフィンはあたしの獲物なんだからよぉぉ。邪魔するんじゃ「うるさし!うるさしうるさし!ていっ!」ガフっ」

 

とりあえず雷流して頭におもくそゲンコツしといた。

 

「え?え?ゆ、ユウ君っすよね?なんでここに?それより倒し方が雑過ぎっすよ!!」

 

「おー!ラウルさん。生きてましたか!あ、アキさんも!皆さんも生きてて何よりっす!」

 

フィンさんに解呪薬をかけてエリクサーを口に突っ込む。ゴホゴホとむせながら言葉を発する。

 

「ユウ君助かったよ…でもなんで君がここに?」

 

「とりあえずリヴェリアさんとこ行きますからついて来てください。フィンさんは血が戻ってないからアキさんがお姫様抱っこして下さい。団長なのにすぐさま戦線離脱した罰っすw

ちと情報が入りましてすぐにロキ様に言って駆けつけたわけっすわ。詳しいことは外で話します。まだここは敵の本拠地っすからね。」

 

ユウの言葉にはっとして全員警戒を始める。そのままリヴェリアのところに向かう。レフィーヤとフィルヴィスの電磁波を見つけるがより強い電磁波と交戦しているようだった。

 

「なんかめっちゃ強い電磁波とレフィーヤとフィルヴィスが交戦してる。俺そっちに行くんでこの道を真っ直ぐに行って突き当りを右に真っ直ぐいけばリヴェリアさんのところに着きます。これ鍵なんでかざせば扉上がるんで持って行ってください。」

 

それだけを言い雷を纏って全力でレフィーヤとフィルヴィスのところに向かう。ちょうど赤髪のボンキュボンのねーちゃんにレフィーヤが切られそうになっていた。その映像を見たユウは瞬時にブチ切れ横から思いっきりドロップキックをかます。

 

「てめぇぇぇぇぇ!!俺の可愛い妹達に何してくれとんじゃぁぁぁぁぁ!!」

 

赤髪は壁にめり込んでいた。抜けだそうともがいている。

 

「「お兄ちゃん(兄君)!!」」

 

2人は抱きついてくる。頭を撫でて大丈夫だったかを聞く。頷く2人にハイポーションを渡し離れておくように言う。

 

「おいナイスバディのテメェ。ボンキュボンだからって許されると思うなよ?テメェは俺の可愛い妹達を殺そうとした。ならテメェが殺されても文句はねぇな?」

 

刀身を赤髪に向ける。赤髪は眉をしかめる。

 

「貴様、そいつらの兄か。エルフではないようだが?」

 

「義理だバカ野郎。義理でも可愛い妹なんだよ!テメェはここでくたばれ。」

 

雷を纏った状態で縮地を使い懐に入る。そのまま身体の正面を袈裟斬りする。赤髪は驚いた表情をするがすぐに距離を取る。

 

「貴様何者だ。レベル7か。ちっこんなところにオラリオ最強が来るとはな。」

 

「おい赤髪。俺をあんなアンチエイジングにハマってる猪と一緒にすんな。俺はレベル3のお兄ちゃんだ。」

 

赤髪はめんどくさいと呟きながら攻撃してくる。振り下ろし、躱す。横薙ぎ、刀を斜めにして受け流しカウンターで腹を切る。刺突、避けながらクロスカウンターで顔面に雷を纏ったパンチを食らわす。

 

「んー赤髪。お前弱くね?フィンさんがやられたって言うから期待してたのに。すげーの身体能力だけじゃん。」

 

思わず感想を言ってしまう。こいつ技術と駆け引きが全くダメダメ。ボクシングで今から右ストレートしまーすって言ってから殴るくらいだめだめ。

 

赤髪は眉間にシワを寄せ動かない。しばらくして武器を下ろす。

「貴様は覚えた。だが今のターゲットではないからここは逃げさせてもらう。次会った時には貴様を殺す。」

 

「え?殺す?一撃も与えられないでボコボコにされて逃げるのに?レベル7か・・キリッとかカッコつけてレベル3相手にボコボコにされてるのに?」

 

「貴様だけは絶対に私が殺す!!私はレヴィスだ。貴様の名は?」

 

「恥ずかしいの?図星さされて恥ずかしいの?髪真っ赤になってるよ?あ、元々真っ赤か。オッケー赤髪!俺はユウだよ。もう行きなよ。俺らも残ってる連中回収したら今日は帰るから。」

 

「次会うときは決着をつけてくれる!!なんなんだ貴様は!!ちっ。ユウか覚えたからな。私はレヴィスだからな!!」

 

そう言って背を向けて通路の奥に消えていった。そんなに名前覚えてほしかったのかな??

 

「「お兄ちゃん(兄君)!!」」

 

「おー可愛い妹達よ。とりあえずリヴェリアさんのところにいくぞー!詳しい話はまた後でしような。外に出たらウチのホームに泊まりにおいで。いっぱい話できるからね。」

 

2人は頷き手を繋いでくる。あぁ可愛い。妹がエルフ。エルフが妹。俺今を生きてる!!

 

リヴェリアさんのところに着いたので2人を置いて残ってるレベル6軍団を探す。ん?天然娘んとこに赤髪がいるな。ニヤァと笑い天然娘のところにダッシュでいく。

 

「赤髪ぃぃぃぃぃ!!ほら次会ったぞ!?どうする!?決着つける!?ねぇねぇどーする!?」

 

「何故貴様は邪魔ばかりするんだっ!!さっきの今で決着つけたら私が殺されて終わりだろうが!!」

 

「え?逆ギレ?殺されたらあんたが弱かったで終わりの世界でしょこれ。」

 

真顔でド正論を言われて静かになるレヴィス。アイズは理解できていないのかアタフタしている。

 

「なんで、ユウがいるの??それにその人と知り合い??」

 

「お前らを助けに来たんだよ。俺と赤髪?知り合いだよ?激しい運動(殺し合い)をさっきした仲だよ?」

 

「は?お、お前何を!?殺し合いしただけだぞ!?勘違いするなよアリア!!」

 

「「え?それ以外何かあるの?」」

 

天然娘は純粋に、ユウはニヤニヤしながら問う。レヴィスは顔を真っ赤にしてしまう。

 

「ほほーうほうほう。赤髪は怪人でナイスバディなのに耳年増ね。ギルドに伝えておきますねキリッ」

 

「や、やめろ!!それだけは本当にやめろ!!くっアリア邪魔が入ったな。」

 

ベートさんと凸凹姉妹にガレスさんが来た。

 

「「「ユウ!?!?」」」

 

「ユウなんでテメェがここに?」

 

「ロキ様からの救援活動中。今何してたかはそこの赤髪をいじり倒してた。いいとこだったのにベートさん達来ちゃうからさー!」

 

あぁまたこいつおもちゃ見つけたのかと同情の視線をレヴィスに送ってしまう。

 

「ちっ。邪魔が入りすぎだ。アリア今回は置いておこう。ユウ!貴様は必ず私が殺す!」

 

ここはあれだな。あのセリフを言うしかない!

 

「あまり強い言葉を遣うなよ。弱く見えるぞ。ギルドに報告して情報を貼り出してもらうぞ。」

 

「それはやめろ!!なんなんだ貴様は!!まぁいい。ではな。」

 

赤髪は振り返り帰ろうとするがすぐ横の壁を破壊して何かが突っ込んできた。それに巻き込まれているのを見てコントかよと思ったのは内緒。

 

「アリア!アリア!イッショニナリマショウ?」

 

牛みたいなのの上に上半身だけ生えている女の子が言葉を発する。あーこいつ、あれか。雷使うやつかー。同じ属性として負けらんねーな!と思いながらジッと見る。

 

穢れた精霊が動き始める。想定外のスピードで突進するデミスピリット。完全に物理特化だなぁ〜。ユウは雷を纏っている為動体視力も上がっているので余裕で対応して足を切り刻む。

こけてアダマンタイトの壁に本体とも言うべき上半身の精霊が突っ込んで行く。

 

「ユウおまっ!あのスピードにカウンター食らわしたのかよ!」

 

「うん。雷纏ってるから動体視力も桁違いに上がってるからね。それよりこいつどーするの?ガレスさん指示欲しいんだけど!」

 

「むう。こやつは物理特化型じゃのぉ。生半可な攻撃は効かんの。ベート。お前は疲弊しとるアイズを連れてフィンとリヴェリアのところに戻れ。ティオナ、ティオネは儂と一緒に殿じゃ。

ユウ。お前さんは救援に来てくれただけでもありがたい。じゃがのぉ。儂らも大手ファミリアと第一級冒険者の意地とプライドがあるんでの!!お前さんもベート達の案内でついて行ってくれい。」

 

「おい!ジジイ!全員でやりゃいいじゃねぇか!ユウは強え。足を引っ張ったりしねぇよ!!」

 

「バカモン。お前は少し大人になったかと思っとったがわかっておらんの。ベート。冒険者とはなんじゃ!!これは儂らの冒険じゃろうが!他のもんの手を借りるのが儂らの冒険か!?これ以上ユウに助けられて儂らは胸を張ってオラリオを歩けるんか!?答えてみろベート!」

 

うわガレスさんあんまり話したことなかったけど死ぬほどカッコいい。みんな頷いて強い意志を目に宿してる。すげぇ!!

 

「ロキファミリアでこいつを討伐する。その為にベートとアイズは戻れぃ!!ティオナ、ティオネついてこい!!ロキファミリアの誇りを見せてくれるわぁぁぁぁ!!」

 

ガレスさんと凸凹姉妹が突撃していったのを見送りベートさんと天然娘とリヴェリアさんのところに一緒に行く。

 

「ベートさんマジでガレスさんカッコいいっすね。正直ガレスさん達の冒険を間近で見ときたかったっす。あ、扉がある。喰らえオラァァァ!!」

 

昂ぶる気持ちをオリハルコンの扉にぶつける。扉が消滅したのを見てベートさんは遠い目を、アイズさんは驚愕に目を見開く。

 

「おいユウ。なんだその魔法。俺知らねーぞ。飯食いに行った時説明しろ。」

 

「あ、あの私も。ユウさんのご飯食べたいです…。あとベルにも会いたい。」

 

ほほーうとニヤけるユウとベート。ユウはとりあえずあの3人以外の団員は全員回収したことを伝えリヴェリアさんの場所に急ぐ。

そこでガレスさん達の現状を説明し、先に撤退してもらう。闇派閥のレベル5と戦ったのにほぼ無傷のベートさんと余ってるエリクサーを持ってガレスさん達の冒険を見届けに戻る。

 

戻ると戦闘は佳境に入っていた。原作通りにボロボロになりながら綱引きしてるのを見て現実で見るとぶっちゃけドン引きした。横でベートさんも脳筋軍団かよと呟いていたが。

 

精霊にトドメの一撃をガレスさんが叩き込み戦闘終了する。マナイーターとヤンデレの口にエリクサーの入っている試験管を押し込む。

 

「ガレスさんマジでカッコ良かったです。あ、これエリクサーなんでどうぞ。とりあえずフィンさん達には先に撤退してもらいましたんで帰りましょう。俺が案内しますんで。ベートさんその凸凹姉妹のどっちか背負って。俺も背負うから。」

 

「あー私ユウ君が良いー!あと大双刃の残骸ガレス持ってきてー。」

 

「えー。マナイーター背負うの?俺ヤンデレの方が背中にいい感触ありそうだから良いんだけど。」

 

「あたしは団長が良かったなぁ。ユウには助けられたから別に胸の感触くらいなら良いわよ?」

 

「ぶっちゃけマナイーターを弄りたかっただけなんでマナイーターを背負うよ。ほら帰ろー!」

 

全員でクノッソスを脱出する。その際に扉が全て上にあがったのにベートさん以外は疑問に思っていたが。

そんなこんなで黄昏の館に到着する。そのままロキ様に執務室に来るように言われたのでお邪魔する。

フィンさんをはじめ幹部全員とレフィーヤとフィルヴィスがいた。レフィーヤとフィルヴィスは抱きついてきたので死ぬほど可愛かった。黒いゴライアスのパンチの200倍くらいのダメージだった。

 

「ユウたん。今回はホンマに助かった。ありがとうな?ユウたんの情報と救援が無かったらウチの子でも何人かは死んどったかもしれん。ほんまありがとう。」

 

「よしてくださいよロキ様。たまたま俺が情報を知って、たまたま今回の件では俺の適正値高かっただけなんですから。それより仲良くしてくれてる人達、その家族がいなくなる方が嫌ですって。」

 

ロキ様だけでなく他のメンバーも口々に感謝を伝えてくる。少しくすぐったいな。

それから情報のすり合わせをおこなう。なんせオラリオの危機の話であり、ロキファミリアの大半の戦力を費やしてもあの惨状だったのだから。

 

「なるほどなぁ。こりゃ一筋縄ではいかんな。クノッソスもそうやけど穢れた精霊とレヴィスっちゅーレベル7相当の怪人か。闇派閥もおるみたいやし。フィンはそのヴァレッタって奴知っとんか?」

 

「うん。ヴァレッタ・グレーデ。ヒューマンのレベル5だよ。27階層の悪夢で自分の死を偽装して生き延びていたらしい。あの件の指揮は僕がしたからね。逆恨みされてるみたいだ。」

 

「あーあのラウルさん達と合流した時の女か。喋り方がウザかったから喋ってる途中にぶん殴って気絶させたまま放置してきちゃったな。捕まえとけば良かったね。」

 

ロキとフィンは苦笑いする。その通りなのだがやってる行動が鬼畜すぎる。

 

「それよりや。ユウたんがその面倒な扉の鍵を持ってきてくれてラウル達も1つ奪ってきたらしいやん。これ使ってどうにか出来そうかフィン?」

 

「それだ!そーいやユウ。お前あの魔法なんだよ!オリハルコンの扉が消滅するとか意味わかんねーぞ!?」

 

そのシーンを見ていないロキ様、凸凹姉妹、ガレスさんは驚き俺を珍獣みたいに見てくる。荷電粒子砲の説明をするとリヴェリアさんは魔導師としての誇りがチリになりそうだよ。と呟き妹達はお兄ちゃんすごいと褒めてくれる。

 

「なぁユウたん。悪いんやけどドチビここに呼んでもええか?正直ウチらの戦力だけやったらどっかで犠牲が出る。そりゃ甘いこと言っとるかもしれんけどそれでもウチは家族を失いとうない。ヘスティアが納得してくれたら協力してくれへんか?」

 

ロキ様は本当に良い神様で良い親だと思う。俺は頷くとヘスティアをロキファミリアの団員の人が呼びに行ってくれた。ついでにデュオニュソス様も呼んでもらう。

2神を待っている間に魔法で軽く摘める食べ物を出してみんなで食べる。すぐにヘスティアとデュオニュソス様がやってきた。

ロキ様が2神に現状の説明する。説明が終わると難しい顔をしたヘスティアが口を開く。

 

「ロキの言いたいことは分かったよ。僕も協力するべきなんだろうと思う。でもユウ君とベル君は初めてできた僕の命より大切な子供なんだ。その子供をわざわざ危ないところに行かせるのは頷けない。これは僕のワガママだ。ロキ。すまない。」

 

ロキ様はヘスティアの言うことがよくわかるのか揶揄うこともぜずに目を閉じて天を仰ぎ何も言わない。

デュオニュソス様も同様だ。

 

「ヘスティア。俺もベルもヘスティアは本当の母さんの様に思ってる。俺だって家族が1番大切だ。でもなそれと同じくらいロキ様も、ロキ様の眷属もそれこそオラリオで知り合って仲良くしてくれてるみんなが大切なんだよ。そのみんなが生活するオラリオが危機に瀕してるんだ。頼む母さん。俺をロキ様に協力させてくれ。」

 

ユウは本心を包み隠さずヘスティアに伝える。ヘスティアは涙を流しわかったと呟く。

 

「グスッ。ユウ君。約束だ。僕とベル君達を置いていかないでくれ。そして君の大切な人達を必ず助けてあげてくれ。ロキ。聞いた通りだ。僕も協力するよ。」

 

「ヘスティア。ホンマにすまん。それと心から感謝する。」

 

ロキはヘスティアの器の大きさと親としての優しさをはっきりと見た。そこにはいつもバカにしてくだらない事で喧嘩するヘスティアはいない。最大限の感謝と謝罪を込めて頭を下げる。

 

「やはりヘスティアは器が広いな。私も天界では世話になった。あの時の感謝をもう一度伝えよう。ありがとうヘスティア。そしてユウ・クラネル君。フィルヴィスの心を救ってくれてありがとう。」

 

「デュオニュソス様ですね。直接話すのは初めてですね。はじめまして。ヘスティアファミリアのユウ・クラネルです。フィルヴィスは俺の妹のようなものなのでそこに感謝は必要ありませんよ。俺は1つだけ決めていることがあって弟と妹は必ず守り通します。フィルヴィスに何かあれば神でも殺してやりますよ。あ、これは不敬か。」

 

最後の一言でみんな笑う。重くなっていた空気も多少は改善されたかな?あんなシリアスはオラ嫌だぁぁぁ!!

 

それから話を続け、基本はロキファミリアの方を優先してベルが本当にヤバくなればそっちを助けることにした。

 

「おそらくないでしょうがベルがどんな理由があってもロキファミリアと敵対することになったら俺レフィーヤとフィルヴィス連れてベルにつくんでよろしくお願いします」

 

ロキファミリアの面々は苦笑いして了承してくれた。

 

よしこれで異端児の時は大手を振ってベルの味方が出来るな。時系列的に次は異端児の筈だしなー。保険って本当に大切だよね☆

 

それから少し話をしてからクノッソスでみんな疲れているので解散した。帰りにヘスティアにありがとうと伝えると笑って僕の誇りの子供だからねっと言ってくれた。

 

原作とか色々あるけど頑張ろうと決意するユウだった。




やばい。シリアス書いてる。

これ後で読むと多分臭いセリフとかに気づいて悶えるパティーンだわ。

と、言うことで危険度が桁違いの対闇派閥の方にユウ君を放り込みました。
ベル君は原作より強いから大丈夫でしょ白目

読んでくださった方は本当にありがとうございます!
ストック無しで書いているのでたまに忙しいと書けなくなりますがなるべく早く更新していきますのでこれからもよろしくお願いします。


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何してんのベートさん!?バカなの!?

今回はベートさんとユウ君がメインかな?

ベル君。君の冒険は少し待ってくれ。君の冒険これから異端児とかディックスとか忙しくなるから休憩しててくれ。


クノッソスとイシュタル編が一気にきて徹夜をした朝、部屋に戻るとイシュタルが俺のベットで丸くなって寝ていた。若干腹が立つのは仕方ないと思うんだよね。

ため息を吐いて眠気も限界だったのでイシュタルの横に転がって寝る。目を覚ますとイシュタルが起きていてジッと俺の顔を見ていた。

 

「おはよイシュタル。んなに俺の顔見てどーしたのさ。」

 

「お前寝てた私を見ても何もせずに寝てたのか?」

 

「いやここ俺の部屋で俺のベットだし。つかなんかされたかったの?神様と恋愛なんて、それも美の女神が相手とかドロドロの恋愛なるから絶対嫌だわ。そりゃ見た目は神の中でも良いんだろうけどフレイヤちゃんもイシュタルもババアじゃん。」

 

「貴様ら兄弟は本当に美の女神のプライドを粉々にしてくるな。それで、ロキ達は助けれたのか?」

 

あったことを全てイシュタルに説明してやるとそうかと呟きホッと息を吐いていた。こいつ本当は嫉妬が絡まなきゃ良い神様なんだけどなぁ。

 

「まぁ助かったよイシュタル。それよりお前本当に今日天界帰るの?今のイシュタルなら信用できるしなんならここに居てもいいよ?」

 

ヘスティアと眷属全員をリビングに集める。あ、春姫ちゃんもなんかベルとアイシャさんとお好み焼きの話で盛り上がったらしくヘスティアファミリアに移籍したみたい。ついでにアイシャさんもついてきた。なんか俺に恩返ししたいらしい。いやシスコン仲間助けただけなんだけどなぁ。

 

とりあえず昨日起こったことをほぼボカして伝える。イシュタルがロキファミリアが危険になっていることを教えてくれたこと。助けるのが間に合って全員無事だったこと。イシュタルが嫉妬さえ無ければ無害なことを伝え、お好み焼き屋台で魅了無しで働かさせ、ウチのホームに置いとくのはどうか聞いてみる。

リリは大手だった主神だし手を貸してもらえるなら良いと。アイシャさんと春姫ちゃんは元主神だから複雑そうだがちゃんと謝られたので許すとのこと。

ベルとヴェルフとミコっちゃんは特に問題ないらしい。

 

試しにイシュタルをコーディネートして食堂のおばちゃん風にしたものの美魔女にしか見えなかった。中身が残念すぎるのに黙ってたら美人すぎるから美の女神は手に負えない。

 

どうするかと考えていたらベルが美人さんがやってる屋台って有名になるんじゃないかと意見する。魅了を出来るだけ抑えて2時間くらい店頭に置いてお好み焼きを焼かせてみるとまぁ行列ができていた。でも孤児院の子供を抱っこして可愛がってる姿や買いに来てくれたおっちゃんおばちゃん連中にも気さくに声をかけられて戸惑いつつも笑顔で話しをしていたから許可した。

ちびっ子連中にいーちゃんいーちゃんと呼ばれていて大爆笑してしまったが。

 

「いーちゃん楽しそうにやってたじゃん。フレイヤがぁ〜私が1番だぁ〜とか言ってたいーちゃんにさっきまでの風景見せてやりてーわ。」

 

「ふんっ。私だって驚いているんだ。ユウとベルに凹まされて本気で天界に帰ろうとしたが歓楽街を離れてみるとまた別の楽しいことがあるのだな。あの子達が大きくなるのも楽しみだ。」

 

「キャラ変わりすぎててキモい。いーちゃんとりあえずフレイヤちゃんのとこ行くよ。嫌だとは思うけどケジメはつけとかないと後々面倒な事になるからね。」

 

「キモいとか言うでない。私も戸惑っているんだ。フレイヤか。なぜ私はあんなにフレイヤを目の敵にしていたんだろうか。まぁ良い。ギルドには解散申請もしておいたしあとはフレイヤだけだからな。」

 

いーちゃんと一緒に歩いてバベルまで向かう。途中であれは何だ?って毎回聞いてくるのやめてほしい。でっかい子供と歩いてる気分だよ…

 

「ノックしてもしもーし!フレイヤちゃんいるー??居なくても入るんだけどね!」

 

「はいはい居るわよ。今日はどうし・・イシュタル?ほんとどうしたのよ?」

 

いーちゃんの背中を軽く叩いてあげる。いーちゃんはジッと俺の顔を見て頷く。

 

「フレイヤ。悪かった。目の敵にして嫌がらせみたいなことばかりしていた。本当にすまん。」

 

頭を下げるいーちゃんを見てフレイヤちゃん固まる。フレイヤちゃんは俺の顔といーちゃんを交互にみる。

 

「フレイヤちゃん。いーちゃんさ、今日お好み焼き屋台でちょっとだけ働いたんだけどさ孤児院の子供にいーちゃんいーちゃん言われながら抱っこしてんのw商店街のおっちゃんおばちゃんとも楽しそうに話しをしてたよ。」

 

「い、いーちゃん?イシュタルほんとどうしちゃったのよ。ロキから聞いたけれど闇派閥の情報もユウにあげたんでしょ?」

 

いーちゃんはゆっくり頷いてフレイヤちゃんを見る。そっと息を吐いてポツリポツリと言葉を紡ぐ。

 

「昨日の夜はベルとユウに凹まされて本気で天界に帰ろうとしてたのは知っているだろう?フレイヤが帰った後、ユウに背負ってもらってヘスティアファミリアに行ったんだ。ユウの部屋で少しユウと話をして下界にはいろんなものがある事を知った。お好み焼きもそうだ。私は娼婦を司る女神でもあるからな。金を稼ぐなら娼婦以外思いつかなかった。だがユウは敵対していた私にそれ以外の方法もあると教えてくれた。

そんな恩があるユウが大切に思っているロキファミリアにいる妹が危ない目にあって悲しんでいるところは見たくないだろう。だから全部知っていることを話したまでだ。それにユウの強さは身に染みてわかってるからな。」

 

ごめん全然ポツリポツリじゃなかった。がっつり喋ってたわ。いーちゃんってなんやかんや優しいよなー。

 

「てことでファミリアは解散してまた作ろうはしてないみたいでしばらくお好み焼き屋台で働いて歓楽街では知らない他のことを知っていきたいんだってさ。だからフレイヤちゃん悪いけど天界送りやめてもらっていい?」

 

「ええ。ユウが今回1番被害を受けたのだしユウがそう決めたのなら構わないわよ?でもイシュタル?次にユウ達に何かしたら流石に許せないわよ?」

 

「ありがとーフレイヤちゃん!まぁ前までのいーちゃんですら何かしてきても小物感満載の事しかできなかったんだから問題ないでしょ。」

 

「ユウが、いやお前ら兄弟がおかしいんだけだ。だがユウもフレイヤもありがとう。」

 

それからいーちゃんはヘスティアファミリアに住む事になった。

その後ヘスティアの相談相手になり、俺もベルもかなり助けられることになる。

 

「ところでオッタルさん。同じ美の女神のいーちゃんは自分で働いて稼いだヴァリスでいろんな物を買って貪欲に知識を得ている一人前のレディになったわけですが、おたくのところのお母さんはどうですか?」

 

「部屋に引きこもって鏡を使って外を見ているか本を読んでいるだけだな。しかしフレイヤ様だからな。動かれる方と問題が起こってしまう。」

 

「なるほど立派な引きこもりですね。ヘファイストス様の脛カジ生活をしていた時のウチの主神と同レベルだな。」

 

「ちょ!ちょっと待ちなさい!!私はファミリアも作ったしオラリオで1、2を争うくらいにしたじゃない!ちゃんと働いてるわよ!!」

 

「ふぅ。聞きましたかオッタルさん。自分がこのファミリアをオラリオトップにしたとおっしゃってますよ。この辺が駄女神なんだよなぁ。そのライバルのロキファミリアのロキ様は子供らが頑張ってくれたおかげや。ウチの自慢の子供達なんやと言っていた模様。」

 

「ファミリアでの戦闘ならば負けはしないが…。フレイヤ様。そろそろ部屋でもできる仕事をした方がいいのでは?」

 

「オッタルゥゥゥ!!あなた私が事務処理していたの知ってるでしょう!!何で仕事してない女神みたいに言うのよ!!」

 

「フレイヤ様。最近で事務処理をしたのはいつが最後でしたか?」

 

目を泳がすフレイヤ。あれ?オッタルさんがフレイヤちゃんを追い詰めているだと!?頑張れオッタルさん!!

 

「フレイヤ様。フレイヤ様はそれでよろしいのです。我らはそんなフレイヤ様を心から敬愛しております。フレイヤ様は我らの旗印。座って待っていてもらえれば全てをあなた様の手に。」

 

フレイヤちゃんはオッタルさんの言葉を聞いてオッタル貴方って子は。と涙を浮かべる。オッタルさんがチラッと俺を見る。なるほどなるほど(ゲス顔)

 

「さすがです。フレイヤちゃんとオッタルさんの絆がすごいのは理解しました。俺は感動した!動かれると面倒ごとしか起こさないフレイヤちゃんは黙って座ってろ。そしたら俺らでやるから。いや本当に動かないで。ってことですね。」

 

オッタルさんは身体をプルプル震わせながら俺にグーサインを出してくる。

 

「オッタルゥゥゥ!!どーゆうことよ!!私だってやればできるのよ!!見てなさい!イシュタルと一緒に働いて私も問題ないことを見せてあげるわ!!」

 

次の日商店街では褐色の美しい女神が銀髪の美しい女神を正座させて説教をしている姿がありその周りにはぐちゃぐちゃになったお好み焼きが大量にあった模様。

 

 

ホームで久しぶりにゆっくりしていると尻尾と耳がヘニョンとなっているベートさんが現れた。

 

「どったのベートさん。えらい落ち込んでるみたいだけど。」

 

ボソボソと何かを呟くベートさん。何言ってんだ?この人。はっきり喋れぃ!とビンタすると文句を言いつつも話出した。

要約すると幹部連中で次のクノッソスへの侵攻を話し合っている時にマナイーターとベートさんの意見がぶつかりベートさんがツンデレのツンをかまして大ゲンカに。殴り合いにまで発展し、実力的にマナイーターをボコボコにしてしまったらしい。しかも、そのあとやり過ぎだのなんだのをなんも知らないレベルの低い団員に言われてまたツンを出して居づらくなってここに来たとのこと。

 

馬鹿がいるわぁ〜。ベートさんと友達になったから原作みたいになって欲しくなくてリーネさんとか助けたのに同じことしてやがる。

 

「はぁ。でもベートさんの言ってることは間違ってないですよ?言い方がアホすぎて笑っちゃうレベルですが。なんすか。「雑魚どもは足手まといだ。俺らの邪魔になる。ホームから出すな」って。普通にレベル低いやつは死ぬ確率の方が高いし守りながら戦うのは相手が相手だからキツイ。ホームで待機させつつロキ様の護衛にしよう。って言えば問題なんて起こりようもなかったでしょ?」

 

「そ、そうだけどよ。俺がそんなこと素直に言えばユウお前どー思う?ユウとベルならどう思われても許せるがあの馬鹿ゾネスどもはどーしても許せねぇと思う。どっちにしろこーなってんだよぉ。」

 

「たしかに。まぁベートさん。ウチのホーム部屋余ってるしベートさんならヘスティアも何も言わないだろうから泊まってっていいよ。それにレフィーヤはベートさんのこと理解してたでしょ?」

 

「ああ。あいつ本当にうじうじしてたやつかよ。俺が暴言吐いてホーム出た後に追いかけてきて「言い方は悪かったですが私もベートさんの言う通りレベル3以下は足手まといになると思います。団長に私からも言っておきます」って言われた。あいつが断言するところ初めて見たわ。」

 

「多分この前俺が助けた時に赤髪と戦ってたからじゃないですか?危うく斬られそうになってましたからね。それまでの戦いの過程を見てないからなんでそーなったかは知らないですが。それに俺も赤髪と戦闘しましたがアビリティは飛び抜けてましたよ。技術が犬の餌レベルでお粗末だったので楽チンでしたけど。でもレフィーヤクラスでも捌ききれなかったと言うことはほぼ間違いなくレベル3以下の冒険者と4以下の魔導士は相対した時点で詰みですね。それに赤髪以外にもヴァレッタとかいうフィンさんの大ファンのショタコンもレベル5でしょ?俺は自殺志願者まで助けるつもりはないよ?」

 

ベートも同意見なのか頷く。ユウにレフィーヤとフィルヴィスも今日来るらしいからみんなで一回話しよう。と言われめんどくせぇと言いつつ尻尾をふりふりする。自分でも素直な言い方ができないのを分かっている。だが表面上だけでなくちゃんと自分を分かってくれる友達に出会えたことを嬉しく思う。

 

「おい。ユウ。1つだけだ。今は1つだけ教えてくれ。ここはヘスティアファミリアのホームだよな?俺もレフィーヤも黒髪エルフも他派閥だ。いつもの事だからそこは別にいい。なんでイシュタル本人がいるんだよ!!テメェ等揉めてたんじゃねーのかよ!!」

 

ベートはユウの説明を聞いて脱力する。もうこいつと居るとマジメに考えると頭がおかしくなる。美の女神2人をおもちゃにするなど過去未来合わせてもユウくらいだろう。

 

食事のあとベート、レフィーヤ、フィルヴィス、イシュタルはユウの部屋に集まる。

 

「えーそれではツンデレ狼をデレデレ狼に変身させる会議を始めます。司会はオラリオ1の鬼いちゃんことユウ・クラネルが担当します。実況解説は天界にかえりゅうううと大泣きしたくせにお好み焼き屋台で働く美(笑)の女神いーちゃんです。」

 

「おいユウ。呼ばれて新しいメニューを考えていたのに中断してこっちに来た私に謝れ。なんだこの茶番は。」

 

「いーちゃんってハマるととことんまでハマるよね。仕事に関しては良いことだけど。んじゃ話し合いをやっていくよ?まずベートさん、今回のことみんなに話してあげて?」

 

ベートさんは素直に言ったことと思っていることを話していく。レフィーヤはうんうん頷き、フィルヴィスは目に涙を浮かべている。いーちゃんは…なんだその顔。

 

「ベートさん!私もお兄ちゃんと会うまでは多分気づきませんでした。でも今ならわかります。お兄ちゃんもたまに気づかせるように話をボカすことがありますから!」

 

「確かにユウ兄上は戦闘の技術を教える時に上手く誘導して自分で気づかせるようにしているな。」

 

「おい。凶狼。ロキはその時いなかったのか?」

 

「いや、居たが何も言ってこなかったな。まな板馬鹿ゾネスをボコボコにした時もだ。」

 

いーちゃんは何か考えている。レフィーヤとフィルヴィスは俺のことよくわかってんなー。フィルヴィスも兄君じゃなくてユウ兄上に呼び方直してくれたし後で頭ナデナデしてやろっと。

 

「凶狼。神目線から1つだけ教えておいてやる。ロキはおそらく全て分かった上で子供達で解決することを望んでいるはずだ。お前が折れて謝れとは言わん。別に間違えているとも思わんしな。だがロキだけは信じ続けろ。私と違ってあいつは子供を最優先で考えれる女神だ。」

 

「うわ。いーちゃんキャラ崩壊どこの騒ぎじゃねーな。誰だお前?レベルだよ。神は不変とか言ったやつの頭引っ叩いてやりたいわ。」

 

「ベートさんベートさん。私この前のクノッソスで怪人と戦ったんですよ。近接戦闘しながら並行詠唱してアルクスレイ叩き込んだんですけど耐えられたんですよね。人の形をしてますが60階クラスのモンスターだと思ったほうが良いです。お兄ちゃんのおかげで怪我こそなかったですがあのまま戦ってたら多分負けてました。それこそベートさんと組んで戦えば勝てるかもしれませんが…それにあそこにはまだ穢れた精霊もいるかもしれません。闇派閥もいますしこんな事は家族に対して言いたくありませんがお兄ちゃんがいなかったらリーネさんのグループとラウルさんのグループ、下手をしたらアイズさん達も死んでた可能性があります。だからベートさんの言ってたことは間違ってないと思います。」

 

「そうだぞ凶狼。前に貴様とレフィーヤと組んだが私でも貴様達の戦闘にはついていくのがギリギリだった。あの時の私レベルのやつらは無駄死にになりかねん。凶狼がカバーをしていると闇派閥が相手だ。そちらばかり狙われることになり、限界を迎えかねん。言い方は考えなければならないが現実を叩きつけるべきだ。死の妖精と呼ばれた私だから言える。命はそんなに安くない。」

 

妹エルフ達の容赦無い言葉を聞いてベートは唖然とする。誰だこいつらは。少し前までうじうじしてたレフィーヤと人を一切信用せず全てを諦めようとしていたフィルヴィス。それが今はどうだ?はっきりと物を言い目に確固とした意思を浮かべている。

 

「ああ。腹ぁくくった。あいつらの前で全部ぶちまけてやるよ。それでもまだ喧嘩になるなら現実が見えてねーのはあいつらだ。俺はもう助けねぇ。全員動けねぇくらいにボコボコにする。ホームのベットから出れなくしてやるよ。」

 

ユウとイシュタルは爆笑し、レフィーヤは手伝います!今回はベートさんの味方です!と言いフィルヴィスは苦笑いをしつつ頷く。

 

「んじゃー明日いーちゃんは連れて行けないけどここのみんなでロキファミリアに行こうか。レフィーヤとフィルヴィスも泊まって行きな?お風呂に入浴剤入れといたからゆっくり浸かってあったまるんだよ?」

 

そう言って風呂に行かせる。

 

「ベートさん。うちに移籍したアイシャさんって人がいるんだけどその妹分が会いたいらしいから呼んでくる…ああ来たね。」

 

「ベートローガ!!ベートローガ好きだから結婚して子供産ませて!!」

 

「ん?お前はレナかい?なんだいあんたも好きな人が出来る年齢になったんだねぇ。」

 

んーぶっ飛んでんなこいつぁ。ベートさん顔引きつってんじゃねーか。イケメン台無しなくらい引きつってるよ。

 

「お、おいユウ。なんだこのアマゾネスは。ティオネじゃねーか。フィンの気持ちがわかる日が来るとは…」

 

「うん。俺もちょっと引いてますよ。これは酷い。いーちゃん教育方法完全に間違ってるよ。」

 

レナと呼ばれるアマゾネスはどうも以前にベートさんにボコられてその強さにベタ惚れになったらしい。なんつーかドMだし脳みそ腐ってんじゃねーかな。考えることに脳みそ使えよアマゾネス。

アイシャさん以外まともなアマゾネス見たことねーぞ。え?シスコン?シスコンは正常の証だろ。

 

「とりあえずレナだっけ?今少しベートさんゴタゴタしてっから待っといてくれるか?それに待てるアマゾネスは異性の相手を落としやすいらしいぞ?」

 

「え!ほんと!?うんうん!私待ってるからベートローガ!今度結婚して私を妻にしてね!!」

 

言いたいことだけ言って部屋を出て行った。

 

「ねぇベートさん。アマゾネスって脳みそ必要?あいつらに脳みそいらないよね?知り合いのアマゾネスでまともなのアイシャさんだけなんだけど。」

 

「全面的に同意する。あいつらの頭はすっからかんだ。」

 

ユウとベートはため息を吐く。

 

次の日ベル達はギルドからのクエストがあったのでダンジョンに向かった。ユウ達もロキファミリアに向かう。

ロキの執務室に通される。

 

「おかえりベート、レフィーヤ。やっぱユウたんとこやったか。まぁ誰も心配してへんから探しに行きもせんかったけどな。んで考えはまとまったんか?」

 

「ああ。まな板馬鹿ゾネスもいるからちょうどいいから言ってやる。レベル3とレベル4の魔導士。そこから下のやつらは確実に使えねーから連れてくんな。足手まといになる。」

 

「ねぇ!なんでそんな言い方なの!?家族に対して言うことなの!?」

 

「あんた最低よ?家族を大切にするんじゃなかったの?ユウと出会って変わったと思ったけど全然変わってないわね。」

 

凸凹姉妹がブチ切れている。そこに我の最高に可愛い妹レフィーヤが参戦する。

 

「すいませんが今回に関しては私はベートさんの味方です。はっきり言わせてもらいますが家族のことを考えてないのはティオナさんとティオネさんだと思います。」

 

「はぁ?どういう意味よ。いくらレフィーヤでも許さないわよ?」

 

「え?なんで?完全にベートが悪いじゃんか!!」

 

「はぁくだんねー。ロキ様、フィンさん俺帰っていい?」

 

凸凹姉妹がくだんねーの発言にぎゃーぎゃー噛み付いてくる。ロキ様は大爆笑してフィンさんは頭を抱えている。

 

「自分の思い通りになんねーからって噛み付いてくるんじゃねーよ凸凹姉妹。アマゾネスには脳みそ入ってねーの?ちょっと考えたらわかるだろ。テメェ等レベル6だろうが。クノッソスという場所、相手の実力と規模。それくらいちゃんと把握して発言しろよ。」

 

完全に興味が失せた冷たい目で2人を見る。2人は身体が一瞬震える。

 

「ベートさんとレフィーヤ、そして俺の考察はこうだ。アビリティならレベル7以上の怪人。穢れた精霊。レベル5が複数名いる闇派閥。そもそも相手の土俵になるクノッソス。全てを経験した上でレベル3とレベル4の後衛しかできない魔導士は無駄死にするレベルで実力が離れていると。それが分かってるから発言してるの。家族が大切だから無駄死にして欲しくないからベートさんは批判されてもキツい言葉を言う。それを考えないで自分の気に入らないという感情、あとは手も足も出ずにボコられた苛立ちもあるかな?それに振り回されてるだけの馬鹿。だからくだらねぇって言ったんだよ。」

 

凸凹姉妹はショックだったのか唖然としている。

 

「つかフィンさん第一次侵攻の時に足手まといになったんだからわかるでしょ。荷物を抱えてどうにかなる相手じゃないって。リーネさん達とラウルさん達俺が行かなかったら誰かは絶対死んでたよ?これはレフィーヤもベートさんも同じ意見。それでも連れていくんなら俺は助けないからね?自殺志願者を助けるなんてごめんだよ。」

 

「返す言葉もないね。言い方は悪いけど概ね僕も同意見だよ。そろそろ介入しようと思ってたしちょうどいいね。はっきりいって今ユウ君が言ってたことがそのまま言いたかったことだよ。」

 

凸凹姉妹のフォローは丸投げさせてもらおう。ロキ様に伝えてベートさん、レフィーヤは凸凹姉妹が落ち着くまでヘスティアファミリアの館を使ってもらう。

そこにフィルヴィスを加えた4人で帰っていると元イシュタルファミリアのアマゾネス狩りか?という単語を拾う。

まさかと思いお好み焼き屋台に向かう。いーちゃんは普通に仕事をしていた。

 

「いーちゃん!!闇派閥が元イシュタルファミリアのアマゾネス狩りをしてるって!いーちゃんも危ないから屋台閉めてホームに戻って!」

 

いーちゃんを背負って急いでホームに帰る。レフィーヤとフィルヴィスにホームの守りを固めてもらい、アイシャさんを連れてベートさんと一緒に元イシュタルファミリアのアマゾネスのいる場所を片っ端から回っていく。

何名かはカースのついた武器で斬られていたのでディアンケヒトファミリアに連れていき、事情を説明しないといけない。

 

「ベートさんっ!!多分イシュタルファミリアが闇派閥と少し関係を持っていたからこれは口封じだ!!1番マズイのはレナだ!!俺とベートさんと何回かオラリオを一緒に歩いてる!!」

 

ベートさんはアイシャさんにレナの住んでいる場所を聞いて駆け出していく。俺はアイシャさんを連れて怪我人を抱え、ディアンケヒトファミリアに向かう。

 

アミッドさんがいたので事情を説明して怪我人を任せてアイシャさんと一緒にベートさんの後を追う。

 

「凶狼が強いのは知ってるけどレナを守りながらだと分が悪い!急ぐよ!!」

 

ベートさんはレナを脇に抱えてイカレショタコンとその他に囲まれながら戦っている。

 

「よぅ!クノッソス以来じゃないですか!イカレショタコンさん!気絶させて寝転がしてたけど大丈夫だった?あ、ごめん頭はもう手遅れだったね。」

 

「てめぇぇぇぇぇ!!もうちょっとでフィンを殺せたのに邪魔したやつじゃねぇかぁぁぁ!テメェも凶狼と一緒にぶっ殺してやるよぉぉぉ!!」

 

「キッモ。元は美人だろーに。狂うとこんなブサイクになんのか。ベートさんやる?周りは俺が殺るよ。久しぶりにブチ切れたわ。おい。イカレショタコン。テメェ等はウチの従業員の子供を傷つけてウチの従業員の心も傷つけた。生きて帰れると思うなよ。」

 

ユウは縮地を使い周りの魔法使いやカース武器を持っているやつ等を片っ端から切っていく。ちょっとした油断も見せないよう首を切って殺していく。

 

ベートもユウのその姿を見て戦慄する。動きのキレが今まで見た中で一番鋭くそして殺気がえげつない。

 

「テメェ等は何やったんだ。まぁこの状況なら使えるな。おいユウ!俺に弱い魔法を撃ってくれ。弱いやつな?」

 

「ん?なんで?まぁ良いですけど。」

 

雷の矢をベートさんに放つ。ベートさんは避けもしないで手で掴む。するとベートさんの毛が逆立ち周りに雷が帯電している。何あれ。俺知らないんだけど。しかもドンドン雷の威力が上がっている。

 

「これが俺の新しい魔法。魔法吸収(マジックドレイン)だ。色々制約もあるから使いづらいけどな。おい覚悟はいいな?」

 

「な、なんだよそれぇぇぇ!!そんなの知らない!知らない!お、おい凶狼。まだそこのアマゾネス生きてるんだから許してくれよぉぉぉ。」

 

「テメェはウチの家族に手を出してんだ。俺はあいつ等を守るって決めてんだよぉぉぉぉ!その為にてめー等は邪魔だ!!二度ととそのツラ見せんな!くたばれぇぇ!!」

 

ベートさんがとんでもないスピードで頭を殴り、地面に叩きつけるとその上から強大な雷も追加攻撃していた。イカレショタコンは炭になっている。え、あの魔法人の魔法の特性も吸収してんじゃん。ん?この気配は?ああなるほどね。あの姉妹もアマゾネスだったか。

 

ベートさんに凸凹姉妹がいる方向を指差して教える。気まずそうな顔をしている凸凹姉妹。

 

「あんだよ。今疲れてんだ。それにユウんとこのホーム行くからなんも用がないならどけ。」

 

「「あの、ベート。ごめんなさい。私達が間違ってました。反省しているのでロキファミリアに戻って来てください。お願いします」」

 

2人が謝罪をしている姿を見て「あとはロキファミリアのことだから俺は先に帰るね?あとベートさん。嫁さんは大切にしなよ?アイシャさん!帰るよ!」

 

固まっているベート、ティオナ、ティオネ、クネクネしながらベートに近づくレナを置いてアイシャさんを連れて帰った。

 

レナについて色々聞かれた様だが仲直りできたようでなによりだ。

さて飯作ろ。

 

しばらくするとベル達が帰って来た。知らない子を連れて。あーこれあれか。異端児編かぁ。

 

とりあえず明日考えよう。もう疲れたよ。ベルが頼ってきたら死ぬほど甘やかしてやろーっと!




申し訳ありません。原作とソードオラトリアを読み返しているとノンストップで全て読んでしまい予約投稿も忘れてました。

今日中にもう1話あげると思いますのでお許しください!!


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え?喋るモンスター?ちゃんと散歩と餌やるなら飼ってもいいよ?

はい。ヴィーヴルのウィーネちゃん登場です。

多分ここから1話にはまとめられないので何話かに分けると思います。

1話1話の文字数はなるべく減らさないように頑張るのでよろしくお願いします!


厨房でご飯の用意をしているとヘスティアとベルに呼ばれてリビングにいく。

 

「ユウ君ご飯作ってくれてるとこ悪いんだけど家族会議を始めるよ。これはヘスティアファミリアの存続がかかっている事件なんだ…」

 

ベルが申し訳なさそうにし、ヘスティアは顔を青くしている。いーちゃんは楽しそうに笑っているが。人語を話すヴィーヴルを見捨てれず連れ帰った事をショボンとしながら話すベル。可愛いから!兎耳もヘニョンってなってるから!!←馬鹿の妄想

 

「ふむふむ。事情はわかった。んでベル。その子がヴィーヴル?うーん。ヴィーヴルちゃん…ええい!めんどくせぇ!ベル!名前付けろ名前!」

 

アワアワしながらベルはウィーネと名付けた。ウィーネは自分の名前を嬉しそうに連呼してる。可愛いやないかーい。コミュニケーション取れて可愛いなら別に良いよね??

 

「それじゃウィーネ。俺はベルのお兄ちゃんのユウ・クラネルだ。よろしくな!んでウィーネちゃんはお腹空いてない?何か嫌いな食べ物とかある?」

 

「ベルのお兄ちゃん??ユウ?お兄ちゃん?ユウお兄ちゃん!!ユウお兄ちゃん!!あたし何でも食べれる!!」

 

「ユウお兄ちゃんでいいよ!ウィーネは可愛いなぁ。よしよし。それじゃぁお兄ちゃんが食べ物作ってあげるから待ってるんだよ??」

 

ウィーネの頭を撫でてやり美味しいご飯を作ろとするがベル以外からストップがかかる。

 

「んだようるせーな!俺には今からウィーネとベルにご飯を作る世界一大切なクエストがあるんだよ!!話せて俺をお兄ちゃんって呼ぶんだから家族でいいだろ!晩飯まで解散解散!」

 

全員が唖然とする。この男が妹と認めた時点でもう誰も何も言えなくなってしまう。特にヘスティアとリリは頭を抱える。イシュタルは大爆笑しているが。

 

「晩飯できるまでに風呂入れよ。リリとミコっちゃんと春姫ちゃんはウィーネを洗うこと。それができないならご飯は抜きだ。ウィーネはリリとミコっちゃんと春姫ちゃんの言うことをちゃんと聞くこと!アイシャさんが帰ってきたら飯にするから行動開始!」

 

その言葉で女性陣は飯抜きは本当に嫌なのかすぐにウィーネを連れて風呂に行く。ヘスティアとイシュタルは話し合いをして、男性陣は男性陣で話をしている。

 

しばらくするとアイシャさんも帰って来てご飯にする。ウィーネを横に座らせ、爪が長いのでご飯をあーんして食べさせる。

 

「ユウお兄ちゃん!これおいしいね!あたしこのご飯大好きっ!」

 

頭を撫でながらご飯を食べさせる。この子可愛いー!!!もうユウはデレッデレだ。ヴェルフに爪を切らせてウィーネを寝かしつけると全員でリビングに集まる。

 

「んでどーするよ。俺としちゃ可愛いしそのまま面倒見ても良いんだけど。まぁ神様連中からしたらモンスターだし嫌だろうけど。それに一般人からすればモンスターは恐怖の象徴だわな。怪物趣味だのなんだの言われても仕方ねーわ。」

 

「そこまでわかっていながらなんであんな対応だったのですか!?ユウ様はお兄ちゃんと呼んでもらえれば誰でも妹や弟にするんですか!?」

 

「何言ってんだリリ。お前にお兄ちゃんとか言われても無視だわ。俺はな弟と妹センサーがついてるんだよ。この子なら大丈夫ってセンサーがな!!」

 

ドヤ顔で意味のわからないことを言うユウを見ると全員が頭を抱えてしまう。イシュタルが言葉を発する。

 

「ユウの言っておることはひとまず置いておこう。私は屋台ができればそれで良いがどうするのだ?お前達は本当におもしろいな。見ている分には喜劇で良い。だが住む場所とユウのご飯が無くなるのはいやだぞ?」

 

「うん。イシュタルとさっき話してたんだけどみんながどうしたいかだと思うんだよね。僕の立場とか考えなくていいからみんなの考えを聞きたいな。」

 

「リリは正直反対です。わざわざ厄介ごとを背負う必要は無いと思います。」

 

「俺はどっちでもいいぞ。ウィーネの爪を切るときに話をしたがなんていうか純粋な子供みたいだったしな。でもモンスターだ。だから俺はベル達で決めた事を全力で手伝うさ。」

 

「自分は少々戸惑っています。リリ殿の言う事はもっともだと思います。ですがお風呂を共にした時のウィーネ殿を見ているとどうしても…。」

 

「私はウィーネちゃんを助けてあげとうございます。何も出来ない身で都合の良いことを言っているかもしれませんが…。わたくしも籠の鳥となっていてユウ様やベル様に助けていただいたのでどうしても自分と重なって見えてしまいます。」

 

「あたしゃ反対だね。チビ助が言った通りだ。そもそもオラリオでモンスターとの共存を理解してもらえると思わない。チビ助の言った通りありゃ厄介ごとだよ」

 

「さて。みんなの意見が出たわけだが自他共に俺の発言は結論として左右されやすいから今は黙って団長の!可愛い弟の!ベルの意見を聞こう。ベル。お前の想いをみんなに伝えてみな?」

 

 

「ぼ、僕は…ワガママかもしれないけど、みんなに迷惑かけるかもしれないけどウィーネを助けたい!!僕が連れて来たんだ。最後までウィーネの面倒見るからお願いします!!ここにウィーネを置いてください!!」

 

全員呆れつつも納得し、頷く。そこでユウはドアに向かう。するとウィーネが涙を流しながら立っていた。ユウはウィーネを抱っこして連れてくる。

 

「ほらウィーネ。みんなウィーネはモンスターだけどここに居て良いって。何かあればお兄ちゃんも勿論守るしみんなも守ってくれるからな。泣くな泣くな。ウィーネはウチの家族だ。末っ子だからみんな甘やかすぞー。」

 

「お兄ちゃん。ウィーネここに居てもいいの?みんなに迷惑かからない?」

 

「バカだなぁウィーネは。家族はな迷惑をかけて良いんだよ。それにワガママを言っても良い。でもな?一番最初に大切にしなきゃいけないのも家族だからな?何かあったならあそこの神様達に相談してもいいし俺らに相談してもいい。だから勝手に居なくなったりしたらダメだぞ?」

 

ウィーネは胸板に顔を擦り付けながら頷く。そんなウィーネをみんなが優しく見守る。ウィーネをベルに任せ、お茶とクッキーを用意する。春姫ちゃんはウィーネが可愛いのか横に座ってクッキーを食べさせている。

 

「リリとアイシャ様だけが悪者じゃないですか。もぉー。でもいいです。確かにこっちの方がヘスティアファミリアらしいです。でもベート様、レフィーヤ様、フィルヴィス様が明日からまた来ますが大丈夫なんですか?」

 

「リリとアイシャさんが悪いなんて誰も言わねーし言わせねーよ。あの意見は間違いなく常識的に考えて普通のことだ。まぁ俺らクラネル兄弟は普通じゃねーからな。あの3人は大丈夫だろうけど一応ヘルメス、ロキ様、フレイヤちゃんには伝えとく。特に冒険者なんてのは職業柄モンスターにやられて死んだやつなんてそれこそ星の数ほどいて恨み憎しみを持ってるやつもいるからな。」

 

「そうだねぇ。まっ、ユウとベルが決めたんならあたし達はついていくだけさ。それにあのモンスター、ウィーネだったかい?可愛いじゃないかい。話してみないと分からないもんだねぇ。」

 

そんな話をしつつ全員の注目を集める為に手を叩く。

 

「はい注目。ウィーネちゃん。今からルールを決めます。これが守れない場合ここにいることができなくなるかもしれないしご飯は抜きです。」

 

「え。嫌だ!ウィーネはここに居たいよ!それにお兄ちゃんのご飯無くなるのはもっと嫌だよぅ!ルール守る!」

 

「うんよろしい!それじゃルールだけど1人でこの屋敷から出ないこと。屋敷から出る時はお兄ちゃんが一緒に行ってあげるからね。それと春姫ちゃんと一緒に毎日お風呂に入って身体と髪の毛をキレイにすること!

最後に何かあれば絶対にこの家の誰かにすぐに相談すること。いいね?」

 

「うん!えっとお兄ちゃん以外とお外に行かない!春姫とお風呂に入って洗ってもらう!みんなに相談する!」

 

うんうんと頷く。みんなも異論は無いようだ。

 

「そしたらウィーネはお布団に入って寝てきなさい。すぐにお兄ちゃんも行くから。」

 

「わかった!みんなおやすみなさーい!!」

 

ウィーネはトテトテと部屋に帰っていった。それからみんなも各々で話をしている。

 

「すまんがベル達は明日1日ダンジョン禁止な。明日中にウィーネ以外のモンスターは全部敵と思い込め。つか早々に他の知性あるモンスターに出会うとは思わんが戦闘時にウィーネを思い出して動けなくなるとか致命的だからな。ウィーネは珍しい獣人って思っとけよ。あと悪いけど明日ヘスティアといーちゃんは付き合ってもらうよ?」

 

全員がその問題を思い浮かべたのか苦い顔をする。ベルだけは普通の顔をしているが。まぁそりゃそうか。ベルのその辺の意識の切り替えは爺ちゃんと居た時から教え込んだからな。

ヘスティアといーちゃんはため息を吐きつつも頷く。それを見てウィーネが寝ているベットへと向かい一緒に眠った。

 

ウィーネに良い子で待ってるように言い、ヘルメスとロキ様を呼びに行き、バベルに向かう。

 

「お好み焼きひっくり返せなくていーちゃんに正座させられた美の女神様入りますよー??お邪魔しまーす。」

 

「ユウゥゥゥ!!それはもう蒸し返さ…ないで…。あ、あら他の神もいたのね。みんな元気だったかしら?」

 

「フレイヤあんたマジか。お好み焼きもひっくり返されへんってやばない?イシュタルほんまなん?」

 

「ああ。私のいる屋台でな…そのなんだ。働いてないと猛者に言われたというかユウが煽ったというか。それで働くと手伝いに来てくれたのはありがたいんだが5枚程ぐちゃぐちゃにしてしまってな。私も仕事として屋台を任せて貰ってるから少し怒ってしまった。」

 

「僕もその日の夜イシュタルが嫌いとかそーいうのじゃないっ!頼むから二度とフレイヤをお好み焼き屋台に呼ばないでくれってユウ君に涙目でお願いしてるのを見てさすがに同情したよ。」

 

ヘルメスは女神達の会話を聞いてすごい顔をしてる。イケメン台無しだなおい。

 

「そ、その話はもういいじゃない。というかもうやめて…あれからオッタルに1日でクビになるとは流石ですフレイヤ様って何回も言われて少し泣いたのよ…」

 

「少し?次の日枕カバーをお変えさせていただく時に広い範囲濡れてましたが?」

 

「オッタルゥゥゥ!!もうその話はやめなさいっ!!そ、それで今度はどうしたのよユウ?」

 

皆が席に着き、紅茶とケーキを渡す。オッタルさんにはいろいろな種類のサンドイッチを渡す。甘いデザートみたいなサンドイッチはこれで他のは普通のやつと説明しといた。

 

「えーと。とりあえず忙しいロキ様とヘルメスは来てくれてありがとうございます。ここは他のやつの耳に入らないのでちょうど良かったです。それでですが今ヘスティアファミリアで爆弾を抱えてまして。その報告だけしておこうかと。」

 

「爆弾?ユウたん大丈夫なんか?うちらにも協力してベートの件も世話してもろたし。」

 

「ぶっちゃけこれが外に漏れたらマジでヤバいっす。なので保険として皆様にお話しとこうかなと。今ヘスティアファミリアのホームにヴィーヴルがいます。」

 

フレイヤちゃん、ロキ様、ヘルメスが紅茶を吹き出す。フレイヤちゃん。美の女神がそれをやっちゃダメでしょ。だから美のニート女神ってオッタルさんに言われるんだよ。

 

「は?はぁ??ヴィーヴルゆうたらあれやろ!?竜種で全然見つからんやつやろ?なんでそないけったいなモンスターが地上におんねん!!」

 

「いやそれが人間形態でしかも人語しゃべれるんすよ。ちっちゃい子供みたいで可愛いですしお兄ちゃんって呼ぶし昨日も一緒におネンネしました☆」

 

「ちょっと待ってくれ。人語を話すモンスターだって?うわぁ。うわぁ。マジか…。」

 

「あん?ヘルメスどったの?」

 

「いやすまない。今ここでは言えない。俺のクライアントと話してくるからちょっと待っててくれ!!」

 

ヘルメスは本当に神様かよと思うくらいなりふり構わず走って出て行った。ポカーンと見送る女神様達。そこでオッタルさんが口を開く。

 

「神ヘスティアの前で言うことでは無いがあそこは無法地帯だな。神が二柱いて他派閥の者が食事をしに集まる。そこに喋るモンスターか。次は何が参加するんだ?」

 

オッタルさんの言葉を聞いて全員笑う。確かに無法地帯になっている。

 

「んでユウたん。その喋るモンスターはヘスティアファミリアで保護するつもりなん?」

 

「はい。昨日の話し合いでそーなりましたね。よくウチに遊びにくるメンバーは問題ないでしょうが思いつくだけで1番マズイのは脳筋天然娘と会う事ですね。あいつは本当にヤバいと思います。」

 

「せやろなぁ。ベートとレフィーヤは多分大丈夫や。あの子らはユウたんと関わってええ方向に変わっとる。でもアイズたんはなぁ…すまんけどユウたん。アイズたんには何としてもそのヴィーヴルと遭遇ささんようにして!」

 

「ユウ?確かにそれは爆弾よ?一般人に見られても噂が立つとヘスティアファミリアが悪く噂されてしまうわ。それでも保護するの?」

 

「その覚悟があるからみんなに話を通しに来たんだよ。この件でもしそっちのファミリアと敵対することになってもいいくらい俺はウィーネを大切に思ってるからね。」

 

そう。と呟き微笑むフレイヤ。ロキは頭を抱えているが。ヘスティアが口を開く。

 

「僕も子供達を信じてるしウィーネ君も大切に思ってる。だから君達も君達の子供達を最優先に考えて貰って構わない。敵対することになっても恨んだりしないよ。それにユウ君とベル君がいるからね。弱小ファミリアだけど簡単に潰されてやるもんか。」

 

「わーとるわ。そもそもの話やけどな他のやつ等は知らんけどうちもフレイヤもユウたんがおる時点でドチビんとこを弱小やなんて思ってないわ。ガチでやり合うことになったらレフィーヤは確実に、ベートも7割くらいでそっちにつきそうやし…。ベートとレフィーヤとユウたんが敵とか想像したないわ。勝てても被害が甚大すぎて漁夫の利狙う輩にやられて終わりや。」

 

「そうね。ウチは流石によっぽどの事がない限り寝返ったりはしないでしょうけどロキの言う通りになりそうだわ。それにシャンプーとか入浴剤がない生活は嫌よ。」

 

「フレイヤちゃんってほんと駄女神だよね。最後の言葉要らないでしょ。オッタルさんウチくる?女神の面倒見る必要ないよ?」

 

オッタルさんはサンドイッチを食べながら目を泳がす。

 

「オッタルゥゥゥ!!そこは否定しなさいよ!!なんで悩んでるのよ!!」

 

「オッタルさん風呂も檜の浴槽だしシャンプー、リンス、トリートメント、ボディソープ使い放題。ヘアパックや洗顔クリームも置いてあるし朝、夜ご飯は俺の手作り。ノルマとか一切ないから鍛錬もし放題だしなんなら俺やベートさんとの手合わせもできるよ?」

 

「よし移籍しよう。ユウの手作りご飯は格別だからな。フレイヤ様お世話になりました。」

 

「オッタルゥゥゥ!!あなた団長でしょうが!!何ご飯に釣られてるのよ!!あなたいくつよ!!」

 

ロキ様といーちゃんはゲラゲラ笑ってる。ヘスティアは顔引きつってるし。

 

「冗談です。フレイヤ様をお1人にはできません。この部屋がゴミ屋敷になってしまいますからね。ユウすまないがこの話は無かったことにしてくれ。」

 

「そうですね。ここ一応ギルドの持ち物ですからね。ゴミ屋敷はマズイ。オッタルさん暇があれば飯食いに来てくださいよ。ベートさんもオッタルさんと俺が仲良いの知ってるんでもう問題もないですし。弟と妹も紹介しますよ。」

 

「ちょっと待って?私女神よ?それも美の女神。なんでいつもこんな扱いなのよ!!あ、ユウ。喋るモンスターも見たいし私も行っていいかしら?」

 

「いいよ。いーちゃんとの屋台での出来事で美の女神は仲直りしてるって噂になってるし問題ない。ロキ様も今日このままウチくる?大幹部に報告する前に直接見といた方が良くないですか?」

 

ロキ様も来るみたいなのでみんなでヘスティアファミリアに行くことになった。ヘルメスを待ちながらサンドイッチの具材について話をしているとフードを被ったやつとヘルメスが一緒に来た。

 

「すまないみんな。待たせたね。横のやつがクライアントの駒の子供だよ。」

 

「ん?オッタルさん気づきました?」

 

オッタルも頷く。

 

「ヘルメス。そいつなんなんだ?そのフードの中骨だろ。肉体ならちょっとした動きでわかるがそいつはおかしすぎる。」

 

オッタルさんと俺は女神の前に立ち警戒する。

 

「ま、待ってほしい!私はフェルズ。「愚者」だ。この身体はもう800年も生きているからね。猛者と愛狂兄貴と敵対するつもりはこれっぽっちもないんだ。」

 

「愚者?ああ。なるほど。わかった。」

 

1人納得するユウにオッタルさんが目でどういう事か聞いてくる。普通にフレイヤちゃんも聞いてきたけど。

 

「フェルズの正体かな?ははっそんなにビビるなよ。骨がビクってなると面白いじゃん。さて、答え合わせかな?間違ってたら悪いけど800年も生きてて愚者?あり得ない。何故なら愚者は何も知らないから愚者だ。なら逆に考えよう。賢者だった者が愚者になったとしたら?それは何か禁を犯した者だ。800年以上骨になってまで生きてしまっているあんたは何をした?何故骨でも生きれる?というか死ねない身体と言うべきかな。なぁあんた賢者の石作って使っただろ。だから愚者なんじゃねーの?」

 

全員が俺の推測に驚愕し、フェルズを見る。ヘルメスもフェルズの横で固まっている。

 

「ふぅ。この二つ名だけで正体がバレたのは始めてだよ。その推測は全て正しい。正直お手上げだ。改めて神ロキ、フレイヤ、ヘスティア、イシュタル。それに猛者オッタル、ユウ・クラネル。賢者の石を作り、壊され使用した愚者のフェルズです。ギルドの主神、ウラノスの遣いでここにやってきました。」

 

「はぁ!?ちょい待てや!!ウラノスやて!?あんのクソジジイ!!ちゅーことはあれか?喋るモンスターのこと知っとったんか!!」

 

「ロキ様落ち着いてくだせぇ。多分今の話的にガネーシャ様のとこも噛んでるな?フェルズさん。」

 

神様軍団がなんでガネーシャ?あの馬鹿の名前が出てくんの?みたいな目で見て来る。

 

「いや、前からおかしいなー変なのーって思ってたんですけどモンスターは怖いって一般人は認識してるわけじゃないっすか。そんで不思議なのが怪物祭。わざわざダンジョンから地上に運んで民衆に見せる必要あります?しかもギルドが絡んでますからね。そりゃオラリオ来たばっかの俺は気になりますよ。んで喋るモンスターの件をギルドの主神様が知ってる。全部繋がりましたよ。」

 

「なるほどなぁ。怪物祭はモンスターの調教がメインや。仲良くしとるとこを見せるんが狙いか。そんでガネーシャは民衆の神。上手いこと本心隠してやっとるやん。」

 

フェルズさんはため息を吐いて肩を落とす。つか骨なのに人間味が溢れ出して止まらない状態だな。

 

「まさかガネーシャファミリアまで辿り着かれるとは。その通りだよ。前々から喋るモンスター、我々は異端児と呼んでいるが。異端児を確認し、会話を交わして友好的な関係を築いている。」

 

「んで?フェルズさんがここに来た理由は?」

 

「この事を地上の子供達に知らせるのはまだ早すぎる。だから黙っていてほしい。信用できる…そうだな。ロキファミリアの勇者などは大丈夫だが。それとヘスティアファミリアが保護したヴィーヴルだがダンジョンにいる同胞達の元に帰してやってほしい。地上だと危険が多すぎる。」

 

「お断りします。お帰りはあちらです。骨は墓の中に入って寝言も言うんじゃねーよ。ふざけんな。ウィーネは俺の妹でヘスティアファミリアの一員だ。ギルドから圧力かけたりクエスト出したりしてみろ。麒麟思いっきりギルドに叩き込んでやるからな。この前の戦争遊戯は死人出さないように4割の力で落としたからな。今回は灰も残らないと思いやがれ。」

 

「ま、待ってくれ。ちゃんと説明する!今闇派閥のイケロスファミリアがウィーネを探しているんだ。ウィーネと出会ったときのベル・クラネルを見ているからヘスティアファミリアが狙われる危険があるんだ!!」

 

「おーわかった。イケロスファミリア?あのゴミどもクノッソスにいる引きこもり集団だろ?ロキ様俺ダイダロス通りの横からクノッソスに荷電粒子砲全力でぶち込んでくるわ。オリハルコンも消滅させれるから問題ねーだろ。ねーよな?うちのベルとウィーネ狙ってるだと?絶対殺す。ファミリア全部粉々にしてチリも残さん。」

 

あ、ベル君とウィーネちゃん絡んだからユウ君ぶちギレたな。何やってんだこの骨。

神共通の思いだった。

 

「あーユウたん落ち着き?な?イケロスファミリア潰すんは賛成やねんけどやり方がヤバいわ。そのなんや?ウィーネちゃんにそのチリも残ってないとこ見られたらお兄ちゃん怖いとか言われるかもやで?」

 

「え?やめときます!」

 

「う、うん。せやな。やめとこか。んでフェルズやったっけ?ウラノスは祈祷して動けんやろーからこの後ヘスティアファミリアで全員で飯食ってそのあとそっち行くわ。話はそれからや。今ユウたんが言うてたの一言も嘘ないからそのままウラノスに伝えとき。」

 

フェルズは頷き帰っていった。フレイヤちゃんの部屋に居たみんなとアスフィを呼んでご飯を食べることにした。コミュニケーションお化けのロキ様はウィーネに気に入られて一緒にお風呂に誘われて風呂に行っていた。フレイヤちゃんも一緒に行っていたがあれは完全にウィーネより風呂のアメニティ目当てだな。

オッタルさんには備え付けているシャンプーではなく色んなシャンプーを置いてある俺の部屋に案内して匂いを嗅いでふむ。これだなと選んでいた。

ウィーネと遊ぶ時に使った小顔ローラーを持って使い方に首を傾げていたのには申し訳ないが大爆笑してしまったが。

 

ベートさんと妹エルフ達が来て事情を説明したら「「「まぁユウ(お兄ちゃん、兄上)だし。」」」の一言で終わった。解せぬ。

イケロスファミリアについてもヘスティアとロキ様が聞いていなかった全員に説明してくれた。

それからみんなでご飯を食べた。ウィーネは色々な人と話せて楽しいのか終始笑顔だった。

 

「ユウ。異端児に関しては私も何度か仕事であったことがあります。それにイケロスファミリアのこともあるので何か情報が入ればすぐに伝えますね。」

 

「悪いねアスフィ。最近ずっとなんかに巻き込まれてるからなぁ。お互い落ち着いたらまたデートしような。ずっと待たせてるままだからね」

 

2人は笑い合いご飯を食べた。ウィーネは余程ロキ様を気に入ったのかロキ様ロキ様と言い膝の上に座ってご飯を食べてロキ様にあーんをしていた。ロキ様。アイズたんもこんな素直な時あった…いや無かったわ。とか言わない。ベートさんとレフィーヤがすんごい微妙な顔してるでしょうが。

 

神様達はウラノス様のところに行くので用意していた。俺とオッタルさんは飯の後の風呂で酒飲みますかと風呂に向かおうとしたら女神軍団に説教されて一緒に連れて行かれることになった。

おのれウラノス様!!会ったら文句言いまくってやる!!

 

 

ウラノス様はその時寒気を感じてダンジョンへの祈祷を強めたようです。




あー話が纏まらないです。

多分ですが次は異端児と邂逅、仲良くなる。イケロスファミリアお疲れ様でした。になると思います。

ウィーネをダンジョンに戻すかめっちゃ悩む。


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異端児?闇派閥?うるせー!!弟と妹以外くたばれぇぇぇ!!

遅くなってすみません。

月初めなので仕事が忙しくって…

またちょくちょく書いてるので出来次第投稿していきます!


ゾロゾロと歩きながらギルドを目指す。ロキ様とフレイヤちゃんが話をしている中俺とオッタルさんは小顔ローラーをゴロゴロしていた。ぶっちゃけ意味はないと思っている。ヘスティアといーちゃんもやりたいと言うので新しく出してあげる。

小顔ローラーって意味無さそうだけど目の前に置いてると何も考えずに使っちゃうよね。

 

ギルドに着いて受付に行く。あーあ。またエイナさんじゃん。あの人苦労の星の下産まれてきたのかなぁ?とりあえず手を振っておく。いーちゃんの時に言い合いになった小太りエルフが急いでやってきて案内してくれることになった。過ぎ去り際に小顔ローラーをエイナさんにあげる。エイナさんパニクってて可愛かったです。

 

地下に行くと椅子に座ってる厳つい顔をした爺ちゃんがいた。

 

「おい小太りエルフ。お前ら本当に最低だな。こんな爺ちゃんを地下に幽閉してるだと??同じ下界の子供として許せん!!商店街に噂を流してやる!!」

 

神様全員必死で笑いを堪えている。ぷるぷるし過ぎだから。

 

「ま、待て!ユウ・クラネル!この方は主神のウラノス様だ!!ダンジョンに祈祷をする為にここにいるのだ!誤解だ!」

 

「なんだと!?確かに誤解していたようだ。ギルドは主神を幽閉して名前だけ借りているのか。やっぱり最低じゃねーか。」

 

ここで神様全員が大爆笑。ロキ様といーちゃんに関してはヒィヒィ言っている。

 

「ロイマン…。揶揄われているだけだ。もうお前は良い。下がれ…。」

 

ウラノス様がそう言うと小太りエルフは頭を下げて帰っていった。

 

「お前が異端児を妹と言っているユウ・クラネルか。」

 

「そうですよ。んで麒麟叩き込んでいいの?返答次第ではギルドの上に雷雲待機させてるから。神様なんだから分かるでしょ嘘じゃないの。あ、こっちの連れてきた神様には一切のダメージがいかないように出来るから安心してね。」

 

「私がいなくなればダンジョンへの祈祷はどうする。モンスターが溢れ出るぞ。」

 

「んなの簡単だろ。入口で、ずっと俺が見張っとくよ。死ぬまでずっとね。その間に祈祷出来る神様が来るかもしれないしダンジョンを全階踏破して大人しくさせることが出来るかもしれないしね。つかアンタらがダンジョンに蓋したんだろ?そんで最下層まで行って欲しいっつってんだからクソジジイも業が深いね?だから去勢されるんだよ。」

 

ウラノスは驚いた顔で聞いてくる。

 

「な、何故それを知っている…。」

 

「え、それマジなん?嘘やろ?特大ネタきたー!!これ次の神会で言うたろ。」

 

「なんで知ってるかって?俺の地元じゃ有名だったぜ?ガイアとの子供が醜くてタルタロスに幽閉してガイアにブチ切れられてクロノスのアダマスの鎌でちょん切られたらしいじゃん。これが本当なら自分勝手にも程があるわな。そんなクソジジイに使われたくない俺は間違ってねーよ。つかフェルズが可哀想。賢者の石は壊されるわ去勢ジジイに駒にされるわ。死ねない身体になるわ悲惨過ぎて同情もできねーわ」

 

ウラノスは固まったまま動かない。コイツは神の遣いなのか?何故自分の黒歴史とも言える事実を知っている?冷や汗が頬を伝う。

 

「え、ウラノスの反応これマジなんや。しかもガイアて。こらまた大物の名前出てきたな。つかユウたんよくタルタロスとか知っとるな。あれ冥界より下層んとこで神も近づかんとこやで?」

 

「んーまぁ俺の魔法に関係してるとだけ言っときますね。」

 

「あぁなるほどな。他にもなんか無いん?ってそれはまた後で教えてや。それよりウィーネたんのことやな。おいウラノス。どないすんねん。」

 

「あ、ああ。すまないが一度ダンジョンにいる異端児達に会ってほしい。そのウィーネも一緒に。」

 

「それをしなきゃいけない理由は?ギルドが情報を掴んでるか知らないけど今ウィーネとベルっつーかヘスティアファミリアはイケロスファミリアに狙われてる。危険を犯してまで異端児に会わなけりゃならない理由を教えてほしいんだけど。」

 

ユウの発言に驚くウラノスとフェルズ。ウラノスは目を閉じて何かを考え、ユウに伝える。

 

「闇派閥は異端児達を捕らえて都市外の貴族に売っているそうだ。それをさせない為に異端児には伝えて複数名で動くようにしてもらっているが数が圧倒的に少ない。だからこそウィーネを家族だと保護しているヘスティアファミリアに頼みたい。」

 

「はぁ。ウラノス。ギルドからクエストをウチに出せ。その異端児が拠点にしてる階層と場所に向かえってな。ウィーネも連れていくが最後に決めるのはウィーネだ。残っても俺らと一緒に居ることになっても文句は言うなよ?それと異端児の事はベル達に任せる。俺はロキ様とクノッソスにいる引きこもりどもの殲滅に向かうからな。」

 

「ああ。それで良い。フェルズ。」

 

フェルズは頷き俺に何かを渡してくる。聞いたら携帯電話みたいな魔道具だった。ロキ様はええなーほしいなーと言っていたが数も少ないので無理だったみたいだ。

 

それからヘスティアといーちゃんはウラノスと話を始める。もう関係なさそうだったのでフレイヤちゃんとロキ様とオッタルさん、フェルズとお茶をしていた。椅子が足りないのでフレイヤちゃんを膝の上に普通に乗せているのを見てロキ様がまた爆笑していたが。

 

「フレイヤあんたユウたんとおったら美の女神形無しやな。どんだけユウたんに気ぃ許してんの。」

 

「う、仕方ないじゃない。この子無意識に出る私の魅了も効かないし、普通に接してくれるんだもの。イシュタルもそうみたいだけれど下心が無い子供なんて早々いないもの。」

 

「下心って言われてもなぁ。俺からしたら神様って爺ちゃん婆ちゃんだもん。いくら綺麗でも恋愛や肉体関係は絶対に無理。」

 

「ほーん。ユウたんはその辺の線引きしっかりしとるんやなぁ。やからフレイヤもイシュタルもユウたんを気に入ってるんやろーけどな。」

 

フレイヤちゃんの頭を撫でつつ口にドライフルーツを放り込んでいく。フレイヤちゃんはモグモグと口を動かす。

 

「あー今のフレイヤとユウたん見とったらうちもはよウィーネたんに会いたなってきたわ。ウィーネたん見た目もやけどめっちゃ可愛ない!?あんなん反則やで。」

 

「ロキ様大好きになってたからなぁ。俺以外の膝の上に座るのはじめて見たよ。あーそれと異端児達に会いに行くのは俺もベルと一緒に行くからもし何かあればこの魔道具1つだけロキ様に渡しとくから連絡してよ。いいだろ?骨?」

 

「ああ。構わないよ。ウィーネはこんなにも神や地上の人間に好かれてるとは思わなかった。ウィーネ自身が可愛いのもあるんだろうが。」

 

「アホゥ。ウチらがなんで会って話そうとしたかまで考えてみぃ。ユウたんが妹やって言うし、ユウたんの並々ならん覚悟を知ったからに決まってるやろう。そーでなきゃ可愛いモンスターで喋りますよーって言われても誰がコンタクトなんざ取るかい。」

 

「神ロキ。そうですね。ユウ・クラネル。本当に感謝する。ウィーネがダンジョンを出た時は流石に焦ったけどね。」

 

そんな話をしているとヘスティア達の話し合いも終わったみたいだ。いーちゃんはフレイヤの姿を見て気持ちはわかるが私たち美の女神も形無しだなと言っていたが。

 

 

ギルドから出てみんなバラバラに帰っていく。ヘスティアはウラノスから直接クエストの手紙を貰ったようだ。

闇派閥がまだいるのでいーちゃんの護衛も兼ねてアイシャさんと同盟を結んでいるタケミカヅチファミリアにホームを任せることにした。

 

「はい注目!ウィーネおいで。ギルドからクエストで20階層のルームに行くことになりましたー。とりあえずそこにウィーネと同じ異端児達が隠れてるんだと。20階層とかお前ら行ったことないだろ?今回は急な話だから俺も一緒に行くから安心しろ。でも俺は基本的にウィーネ以外守らんからな。冒険者になってベルとずっとパーティを組んでるんだ。力を見せてくれよ?」

 

ウィーネを抱っこして挑発するように言うとみんな目に闘志を燃やしていた。

ウィーネを連れていくので深夜にダンジョンに向かうことにした。向かっている途中視線を感じる。これはイケロスファミリアかな?

 

そのままダンジョン内に入ると視線がなくなった。そのまま真っ直ぐに20階層に向かう。

ウィーネを抱っこしていたがその場に降ろしてある一点を見る。コンコンと叩いた後、この裏かと思い異端児いたらのいてろよ!切るからなー!と刀で斬ろうとする。魔道具からフェルズの焦った声が聞こえてきて、行き方を教えてもらう。

 

広い空間にヘスティアファミリアは行き着くと真っ暗で何も見えなかった。

 

「ベル。前教えたロマンがある技出来るか?」

 

「うん!兄ちゃんに教えてもらって魔力操作練習したら出来るようになったよ!ファイアボルト!ファイアボルト!」

 

ファイアボルトがベルの手の上でずっと留まりつづける。魔力で炎の周りを覆っているようだ。それに魔力を直接送るとどんどん大きくなっていく。

 

「兄ちゃん!できたよ!炎帝!」

 

おお!あの兄弟愛の強い俺が尊敬する人の技だ!!カッケーな。さて周りを見るとリザードマンやアルミラージ、ハーピーなど色々な種族が集まって揃いもそろってアホ面している。

 

「はい異端児諸君。フェルズから話を聞いた筈なのに俺らを試そうとしていたみたいなのでこっちも俺らと戦う勇気があるのか試させてもらった。んでやる?やるならこの小さい太陽そっちにぶん投げさすけど?」

 

異端児全員がブンブンブンと首を横に振る。ウィーネを呼んで抱っこする。

 

「俺はユウ・クラネルだ。ウィーネのお兄ちゃんだからよろしくな。んでリドってやつはどいつだ?噂じゃかなり強いらしいじゃないの。」

 

「あ、はじめましてだなユウっち!俺がリド!フェルズから聞いてたけどホントに容赦無いんだな。俺ら全員死んだと思ったぞ。」

 

リドと普通に握手する。すると異端児達はざわつき始める。ヘスティアファミリアの面々は首を傾げているが。

 

「…ユウっちは嫌悪しないんだな。俺達はモンスターだ。しかも喋れるからよく嫌悪されるんだが普通に握手されたのは初めてだよ。」

 

握手したままリドに頭突きする。イッテェェェ!!こいつ鱗あんの忘れてた!超痛え!!

 

「くそ。鱗モグぞこの野郎。俺はウィーネを妹だって言ってウチのファミリア全員も家族だと思ってんだよ!なのにてめーらに嫌悪してたら自分自身とウィーネを裏切ることになるだろうが!」

 

縮地でリドの背後に回りこみそのままリドを抱えてジャーマンスープレックスをかます。

ヘスティアファミリアはおお!ユウの大技が決まったぞ!などと盛り上がっている。あいつらにプロレス技教えたの失敗だったかも。

 

「い、痛い。ユウっち!いきなり何すんだよ!」

 

「頭突きでダメージを負った俺の怒りだ。ありがたくもらっとけ。つか宴会するぞ宴会!何のためにこんな大量の食料持ってきたと思ってんだよ。リリ!春姫ちゃん!」

 

リリ、春姫ちゃん、俺の背負ってきたバックパックからしこたま料理の入ったタッパーが出て来る。

 

「え?え?そのめっちゃ大きいバックパックの中身って全部食料!?」

 

「地上のお方。はじめましてですね。ハーピィのフィアと言います。よろしくお願いしますね。」

 

「おお!よろしくなー。フィアは美人さんだな!ダンジョンにいるハーピィの顔ときたら見たくねーもん。ウィーネ!フィアお姉ちゃんだってよ。ほら挨拶。」

 

「え?え?ウィーネだよ!ベルがつけてくれた私の名前!ユウは私のお兄ちゃん!フィアお姉ちゃんよろしくね!」

 

フィアの羽とウィーネが握手をしている。無言でフィアの後ろに行き、羽をモフモフする。

リド達はドン引きしているが。

それからイケロスファミリアの事を伝えながらご飯を食べる。ウィーネは安定のユウの膝の上だ。

 

「まさか俺達みたいなのを家族と扱ってる冒険者を見るとは思わなかったぜ。本当に嬉しいぜ。」

 

「んーモンスターつっても知性あるんだしこんな可愛いんだ。そりゃ敵対してくるんならいくら知性があってもチリにするけどな。それこそ闇派閥なんか良い例だろ。知性あるけど俺らと相容れないからチリにする。つか地上でもヒューマン、アマゾネス、エルフ、獣人、神っていうバラバラの種族が暮らしてるんだ。なんで暮らせてる?知性と理性があるからだろ。それとお前らは何が違うの?まぁモンスターと冒険者って溝が邪魔してるかもしれねーけど少なくともヘスティアファミリアは気にしてねーよ。ウィーネも珍しい獣人だと思ってるからな。」

 

異端児達は何か思うことがあるのか全員黙っている。ウィーネはニコニコして俺に抱きついている。うん死ぬほど可愛い。

 

「ユウっち達の考えは分かった。その上で聞かないといけない事がある。ウィーネ。地上にいると、ユウっち達と一緒に俺らがいると迷惑がかかるかもしれない。今は俺達が地上にいけば争うことになると思う。こんなに俺っち達に友好的なヘスティアファミリアに迷惑をかけたくねぇ。だから俺達と一緒にダンジョンで暮らさないか?」

 

ヘスティアファミリアの面々にはウィーネに決めさせると伝えているので全員黙っている。

ウィーネは涙を溜めながらリドに言う。

 

「ウィーネは邪魔なの?ウィーネユウお兄ちゃん達と一緒にいたいよ…ロキ様とまた一緒にご飯食べるって約束したもんっ!でもお兄ちゃん達が大変になるのはもっと嫌!」

 

「い、いやウィーネが邪魔なんじゃないぞ!?今は地上にいる人間と仲が悪いからでだな。ユウっち達ともダンジョンにいれば会えるし迷惑もかからないからそっちの方がいいかなと思ってだな…。頼む!泣かないでくれ!ユウっちの目が怖すぎる!!ユウっち!刀に手を掛けないでくれ!!」

 

「リド。オレノカワイイイモウト、ナカシタ。オニイチャン、リド、キル。」

 

ヒィィィィと言いながら頭を下げるリド。周りの異端児もビビってリドからそっと離れる。

 

「わかった。ウィーネお兄ちゃん達に迷惑になると嫌だからリド達といる。」

 

「ん。そうか。ウィーネ。いつまでもウィーネは俺の妹だからな?何か困ったことがあればこの魔道具ですぐに連絡するんだよ?おいリド。もしウィーネになんかあったらウチで即座に保護してここには返さないからな。あとお前の尻尾切り落とすから。」

 

リドはビビりながら頷く。ベルと春姫ちゃんは涙を堪えながらウィーネとお別れの挨拶をする。リドにイケロスファミリアには気をつけるようにいって別れる。

 

地上に戻ってからベルと2人で視線を感じるので別行動をする。すると神が話しかけてきた。

 

「ひひっ。はじめましてヘスティアファミリアのクラネル兄弟。俺はイケロス。なんか噂だとモンスターを囲ってる怪物趣味って聞いたから面白そうで話聞きに来たんだけど。」

 

「はじめまして。闇派閥イケロスファミリアの主神のイケロス様。てめーらの狙いなんかこっちは全部知ってんだよ。弱小だと甘くみたな?生憎だが俺は別に神殺しをなんとも思ってないんでね。ここでお前を殺せばクノッソスに引きこもってる奴らは恩恵も無くなるし殺しやすくなるなぁ。」

 

全て筒抜けになっており、ユウの言葉に嘘が一切無い事がわかり冷や汗を流すイケロス。このまま天界に送還される可能性もあるのだ。

 

「それが嫌ならクノッソスに引きこもっている闇派閥を教えて俺らの前から失せろ。まぁどの道クノッソスにいる限り俺が潰しに行くけどな。」

 

イケロスはとんだやつに話しかけてしまったと後悔する。もう逃げようがないので素直にタナトスファミリアの事を伝え逃げ帰った。

 

タナトスファミリアについて魔道具でロキ様にすぐに伝える。今からフィンさんと相談するみたいだ。

 

ホームに戻りイケロスと邂逅したことを伝えて次の日の相談をする。ベル達はダンジョンに行くらしいので俺はロキファミリアに向かうことにし、眠りについた。

 

 

「さてロキ様。昨日言った通りイケロスが接触してきました。俺が闇派閥の動きを掴んでいることを知らなかったみたいですけどね。おそらくクノッソス内部での前回の戦闘はイケロスファミリアではなくタナトスファミリアが主体だったみたいです。イケロスファミリアは異端児達を外に売って金策をしてたんですかね?」

 

「なるほどなぁ。ヴァレッタとかいうやつもタナトスファミリアやったっちゅーわけか。たしかに闇派閥やのに1つだけって決めてたらあかんかったな。めんどくさい奴らやでほんまに。そんでフィン。これからどないすんの?」

 

フィンさんはある程度構成を練っていたのか簡潔にわかりやすく説明してくれた。まずはクノッソス内部のマッピング。部隊を分けて1階層ずつマッピングしていく。それと同時に鍵の奪取。この2つを最優先させる。即時撤退も視野に入れるみたいだ。

俺は個人として動く方が駒として生きるらしいので先行して敵戦力をベートさんと狩りにいくことになった。

 

第一級冒険者で揃えられたメンバーにリヴェリアさんの部隊であるエルフ軍団。今回は内部攻略を主とした作戦ではないのでバックアップメンバーらしい。

 

全員でダイダロス通りに向かい、フィンさんの演説を黙って聞く。

それが終わってから開戦の狼煙と言わんばかりに荷電粒子砲をオリハルコンの扉にぶっ放す。消滅した瞬間電磁波を飛ばして敵の場所を特定する。

 

「ベートさん!この階層にいる生き物は捕捉したよ!そんなに数はいないからすぐに殲滅しに行くよ!」

 

ベートさんと一緒に雷を纏い全力で敵を殲滅して回る。ベートさんの魔法便利過ぎるでしょ。ちょいちょい雷を渡さないといけないけど軽い魔法で良いから楽ちん。どうも時間制限があるみたい。強めの雷を渡しても痛いだけで使用できる時間は変わらなかった。

 

「この階層は終わりだね。つかマッピングだけど電磁波で見てそれを教えていけば良かったんじゃないかなーとか今思ったり。」

 

「おせーよ!!気づかなかった俺らもあれだがテメェの魔法なんだからテメェで最初から気づけよっ!!」

 

仕方ないじゃん。気づかなかったんだから。それより扉の奥にいた闇派閥のアホどもは鍵を持ってなかった。鍵を持っているやつは主力組なのかな?と思ったり思わなかったりする。

 

 

「ベートさん。これってさ多分魔道具かなんかで見られてて遠隔で扉の上げ下げしてるよね?俺が来るとすぐに扉上に上がるもん。」

 

「あーそういやそうだな。ユウがいるとオリハルコンも形無しだから壊されるくらいならって上げてんのかもしれねーな。」

 

次の階層で鍵を持っているアホどもがいたので即時殲滅して鍵を奪う。なんか山賊とか追い剥ぎみたいになってるけど見てなかったことにしてほしい。

 

それからその階層もマッピングが終わったので奪った鍵を持って撤退することにした。鍵を奪ったらすぐに撤退する

つもりだったしね。

 

撤退途中にフェルズから貰った魔道具が光る。なんだと思ってベートさんと立ち止まる。

 

「えーともしもし?ユウ・クラネルですけど?誰ー??」

 

「兄ちゃん!!ベルだよ!!ウィーネ達何人かが拐われた!!これウィーネのなんだけど落ちてて!!多分イケロスファミリアのやつだ!18階層からクノッソス?とかいうのに行けるらしいから僕たち行くね!ご飯までに帰れなかったらごめんなさい!」

 

ベルは言うだけ言って通信を切った。

 

 

ウィーネが拐われた??

 

 

 

俺の可愛い妹が???

 

 

 

イケロスファミリアぶっ殺す。

 

 

 

「ベートさん。悪いけど1人でフィンさんのとこに行ってもらえる?クノッソスにベルも来るみたいだし俺も行くよ。あいつらは俺の大切なものに手を出した。ブチ切れちゃったよ。全員殺してイケロスも殺す。」

 

ユウは今まで見たことのない速度で消えた。ベートは先程までの自分に向かってない筈の殺気に毛は逆立ち冷や汗をかいていた。

 

「あーあ。イケロスファミリア終わったな。つかクノッソスにいるのも危なそうだな。あいつキレてるしどんな魔法使うかも知らねーから早く撤退するようにフィンに伝えるか。」

 

ベートはフィンのもとに急ぐ。フィンに伝えてすぐさま撤退する。クノッソスの前で何かあったら動けるように待機することにした。

 

ユウは電磁波を最大限に広げる。途中強い電磁波を見つけてそこに寄る。

 

「んだよ!!赤髪かよ!!魔石食ってんのか。ほれ。ドライフルーツやるからそっち食べな?美味しいから。つかいいとこにいたわ。赤髪聞きたいことがある。」

 

「え?は?ユウ?なぜ貴様1人で…もぐ。うまいな。聞きたいこととはなんだ。」

 

ベルの容姿と異端児について話をして探してることを伝える。

 

「ふん。あのコソコソしていた連中か。ユウの弟とそのモンスターの妹はしらん。だがあのモンスター達を外に運ぶ通路なら知っている。あっちの方だ。」

 

「ありがと!レヴィス!愛してるぜ!ほらこのリュックに入ってるやつ全部食っていいぜ!んじゃまたなー!!」

 

愛してると言われ顔を真っ赤にして固まる怪人レヴィス。それからゆっくりとユウの置いていった食べ物を食べ、美味しいと呟く。

 

次会うときは気まずいんだろなぁ。そんなことを思うレヴィスだった。

 

 

レヴィスに教えてもらった方向に向かうと丁度運ばれているモンスターがいた。そいつを助け、周りにいる闇派閥のやつらを全て斬り伏せる。

 

ベル!ウィーネ!待ってろよ!すぐに助けに行くからな!

 

 

そう思って全力で走り続けるユウだった。




やばい。自分でも何書いてるかわかんなくなってきたw

異端児編とロキファミリア絡ますの難しいんですけどぉぉぉぉ!!

アイズさんの扱いが1番困る(´-ω-`)う~む


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地上での異端児パーティー!フィンさんの胃は大丈夫か?

一応ここで異端児編は終わるかなぁ?

終わらなかったらごめんなさい!


助けた異端児には隠れておくように伝える。そのままベルとウィーネを探して下に降りていく。

 

かなり下に潜ったが一向にベル達の電磁波を感知できない。焦りが募っていくが探し続ける。

そこで魔道具が光る。

 

「ベルか!?兄ちゃんもクノッソスにいるんだがお前らはどこにいるんだ!?」

 

「え、ゆ、ユウたん違うで?ロキやロキ。ベルたんもクノッソスにおるんか!?どないなってんねん!ユウたんこっちも事件や!ウラノスのアホに聞いてんけど異端児がウィーネたんを拐われたあと暴走してイケロスのアホんとこを追いかけ回しとるらしいねん。んで地上に出てくるかもしれんのや!そないなことなったらウィーネたんも討伐しようとするかもしれん!」

 

ユウはロキの話を聞いて焦る。

 

「ロキ様!!俺はどうしたらいい!?かなり下まで潜っててロキファミリアと別れてるんだ!!」

 

「ユウたんまず落ち着き!とりあえず地上に出てきぃ。ほんでフィンにはうちから異端児について話しとるから上手いこと異端児をクノッソスに戻し!ベルたんはあんたの弟や。信用しとき。簡単にやられるような子やないし絶対妹のウィーネたんを助ける。」

 

ロキに礼を言い、全力で来た道を戻る。すると一階部分に着いた時にベルを感知する。その近くの大きい電磁波も…。

 

ベルが暴走してるヴィーヴルを背に守りロキファミリアの第一級冒険者と対峙していた。

 

「ベル・クラネル。ああ。ユウ君も来たか。そのヴィーヴルは我を忘れて暴れている。それは危険だ。ヴィーヴルの涙が無いと言うことはもうダメだ。討伐させて「こらウィーネ!ふんっ!」

 

フィンさんが喋ってる途中に頭にゲンコツをいれる。すると正気に戻ったウィーネが泣きながら頭を抑えている。その光景を口を開けてみているロキファミリア幹部と他の派閥の冒険者連中。

 

「ったく。ベル!お前も何やってんだ!ロキファミリアと敵対してる場合じゃねーだろ!壊れたやつは叩いて直すって教えただろーが!」

 

「ご、ごめん兄ちゃん。僕も叩いたんだけど直らなくて…そしたらディックス?ってやつが邪魔ばっかりしてくるし。」

 

おいおいおい。お前らちょっと待て。暴走したヴィーヴルを叩いて直すとか聞いたことねーよ。しかも弟の方も試したのかよ。

 

全員この考えが頭をよぎっていた。

 

「あー騒がせて悪かったなみんな。このヴィーヴルはウチのペットなんだわ。普段は大人しい子なんだけどな。闇派閥のやつに涙奪われて暴走してたみたいだわ。」

 

「そ、そうだったのかい。ヴィーヴルをテイムするなんてさすがユウ君だね。他も騒ぎが起こってるみたいだし僕らもそっちに向かうよ。」

 

フィンさんは顔を引きつらせながら上手いフォローをしてくれた。周りの冒険者もああ。愛狂兄貴か。あいつならテイムもできるだろ。だから叩いて直せたんだな。と口々に言って他の場所に向かう。

 

「ウィーネ!痛かっただろう?ごめんな??つかその額の石無くても大丈夫なのか?」

 

「ユウ兄ちゃん…ウィーネ多分消えちゃう。でもね真っ暗で寒くてすごく寂しかった時にベルが助けてくれたんだぁ。そしたらユウお兄ちゃんにあってね、お兄ちゃんが出来て美味しいご飯も食べれて家族も友達もできてウィーネすっごく嬉しかったよ。みんな居ないから2人にいっぱいありがとうって言いたかったんだぁ。

 

ベル…ユウお兄ちゃん…大好きだよ。ありがとう。」

 

ウィーネはその言葉を残して灰になった。ベルは声を上げて大泣きし、ユウは唇を噛んで血を流し身体を震わせている。

そこにフェルズがやってきた。2人の前にある灰をみて全てを察した。

 

「そうか。間に合わなかったか…。今から唯一私だけに許される魔法を使う。失敗すると二度も喪失感を味わうことになるが蘇生魔法を使ってみよう。」

 

フェルズの言葉に驚く2人。頼むとフェルズに任せる。フェルズは長い詠唱を開始する。

 

「未踏の領域よ、禁忌の壁よ。今日この日、我が身は天の法典に背く―ピオスの蛇杖、サルスの杯。治癒の権能をもってしても届かざる汝の声よ―どうか待って欲しい。王の審判、断崖の雷霆。神の摂理に逆らい焼きつくされるというのなら―自ら冥府へと赴こう。開け戒門、冥界の河を越えて。聞き入れよ、冥王よ。狂おしきこの冀求を。止まらぬ涙、散る慟哭。代償は既に支払った。光の道よ。定められた過去を生贄に、愚かな願望を照らしてほしい。嗚呼、私は振り返らない。ディア・オルフェウス。」

 

眩い光が灰の部分を覆う。光が薄くなるとウィーネが寝ていた。ガシャっとフェルズが倒れる。まさかと思ったが生きているようで普通に喋ってビックリした。ただでさえ骨でホラーなんだからやめてほしい。

 

「フェルズありがとう。妹とこうしてまた触れ合えるのはあんたのおかげだ。異端児は任せてくれ。俺が責任持ってダンジョンに押し込んでやる。」

 

フェルズは満足そうだ。あのフェルズの詠唱。あれはアスクレーピオスの神話をなぞった祝詞だろう。冥王ハーデスが死者蘇生で冥界の民を奪われて秩序が乱れるだかなんだかをゼウスに言って雷霆で撃ち殺したんだっけ?もしかしたら爺ちゃんが俺とベルの大切な妹だったから許してくれたのかな。なんて思ってしまう。

原作を知っていたのに妹を失った時、ユウは涙を流す資格さえないと思った。だがこうしてフェルズが蘇らせてくれた。この恩は返せるようなものではない。だからこそフェルズが大切にしている異端児達を1人残らずダンジョンに戻す。

 

「フェルズ。ウィーネはウチのペットってみんなに言ったからもう大丈夫だから地上で預かるぞ。俺だからで納得してくれるやつ多いし。それでも何かしてくるやつがいれば即座に対応する。とりあえずフェルズとベルはホームにウィーネを連れて行ってくれ。俺はフィンさんとロキ様のとこに行く。」

 

ベル、フェルズはウィーネを連れてヘスティアファミリアへ。ユウは雷を纏いフィンのところに向かう。

 

「フィンさん!さっきは助かりました。すみません。」

 

「ユウ君か。いや、あれで終わらせれたのは君が今まで築き上げた信頼のおかげだよ。まぁウィーネちゃんを叩いて混乱から直すのは驚いたけどね。僕、リヴェリア、ガレス、ベート、レフィーヤはウィーネちゃんのことを知っているし異端児についても知っている。特にロキがウィーネたんウィーネたんってうるさくてね。

それでだけどウチは探索系ファミリアだからあまり異端児と仲良くするわけにはいかないんだ。ダンジョンで攻撃を躊躇ってやられたなんてお笑いにもならないからね。」

 

「ええ。それは理解してます。ロキ様とも話しましたがフィンさん達は普通に討伐しようとしてください。あとはこっちでなんとかしますんで。ガチンコのロキファミリアVSユウ・クラネルと愉快な仲間たちと行きましょうか」

 

「へぇーフィンVSユウたんみたいな感じやなー。ええやんええやんおもろそうや!」

 

フィンさんがもの凄く嫌な顔をしている。

 

「ロキ。ベートとレフィーヤが向こうに着くのは間違いないんだよ?はぁ。これなら深層の方が楽だよ。それに魔道具で連絡を取り合ってみんなを上手く誘導するじゃダメなのかい?」

 

「ほほう。天下のロキファミリアの団長様が、勇者の2つ名を持つフィン・ディムナさんが勇気を示さないと。レベル3以下が主体のユウたんと愉快な仲間達に怯えると?」

 

この言葉にはロキ様もフィンさんもイラッときたのかこちらをジッと見てくる。ニヤニヤしながらお2人を見て待っている。

 

「ほーん。ユウたん自分おもろい事言うやん。ウチの1番最初の1番信頼しとるフィンがオラリオに来てまだ数ヶ月のひよっこに負けるやと?フィンやったれぇぇぇぇ!!もうこの際とことんやったれ!!!」

 

「ふぅ。その気にさせるのが随分上手いねユウ君は。その喧嘩ありがたく買わせてもらうよ。ベートとレフィーヤは上手いこと言ってこっち側についてもらうから後で泣き言言ってもしらないよ?」

 

「ふっふっふ。お2人はそうでなくては!あ、すいません。レフィーヤはもう既にウチのホームにいますんでこっち側ですわ。さっき回収しときました。そんじゃ勝敗の付け方ですがこっちの勝ちはクノッソスに異端児を全員ぶち込む。ロキファミリアの勝ちはそれをさせない。期限は明日明後日の2日間でいいですかね?あ、あと異端児は仮に捕まえたならウラノスんとこに放り込んどいてください。

 

んで地上から異端児が居なくなったらそのままクノッソスに突撃って感じでいいっすか?」

 

2人とも頷き笑う。まさかオラリオを使って擬似戦争遊戯が始まるとは思いもしなかっただろう。

 

すぐにホームに帰る。ホームに着くとベートさんとフィルヴィスもいた。すまんフィンさん。ベートさんもこっちにいたわ。

そしてみんなに擬似戦争遊戯の話をするとすごいやる気に満ち溢れていた。罰則なしでオラリオトップクラスのファミリアと戦って自分達の力を試せるのが楽しみみたいだ。

 

「それとウィーネはウチのペットって感じになって地上にいても問題ないからウチのホームに住むから。フェルズがギルドのテイム済みのマーク持って来てくれるらしいからそれが来るまではホームから出ちゃダメだよ?」

 

「うん!フェルズにいっぱいありがとうしたよ!」

 

ウィーネの頭を撫でながら話を続ける。

 

「まぁこっちの勝ちはほぼ決まってるんだけどな。各ポイントポイントで足止めが成功したらウチの勝ち。」

 

「お兄ちゃんどういうこと?あっちはベートさんとレフィーヤがいなくてもトップファミリアだよ?それで勝ちがほぼ決まってるってよくわからないんだけど。」

 

クククと笑いながら説明するとみんなドン引きしていた。ベートさんとレフィーヤは「「フィン(団長)、ロキ。相手が悪すぎた。どんまい。」」と呟いていた。

 

ーロキファミリア目線ー

 

「っちゅうわけや。ベートもおらんとこみたら向こうについたみたいやな。こりゃ厳しくなっとるな。でもなウチのフィン、リヴェリア、ガレスは最初の子供でウチの誇りや。ヘスティアファミリアにユウたんがおるとは言え、負けるとは思ってへん!吠え面かかしたろうやないか!」

 

「ロキ。話はわかったがオラリオが揺れている時にそんなことをするな!フィンもお前らしくない。何故止めなかった?」

 

「ガハハハ。良いではないかリヴェリア。大方ユウに煽られたんじゃろう。あやつは人を乗せるのが上手いからのぉ。」

 

「くくっ。ガレスの言う通りだよ。この僕に、勇者の2つ名の僕に勇気を示せと挑発してきたからね。僕も丸くなったとはいえ、そんなことを言われて大人しく引き下がることなんて出来ないよ。」

 

リヴェリアは肩を落とし、ガレスは大笑いし、フィンはにやけながら策を考える。

 

「リヴェリア。僕は正直今を楽しんでるよ。レベルとか強さとかを抜きにして、ユウ・クラネルとベル・クラネルに挑戦したいんだ。彼らは僕達が考えつかないような行動で僕達ができなかったことを悉く解消、解決していった。しかも僕なんて命まで助けられているからね。幼稚かもしれないけど僕は彼等と対等に居たいんだ。絶対に負けたくない!!」

 

フィンの心の声を聞き、リヴェリアとガレスも思うところがあったのか頷く。

 

「確かに彼ら兄弟には世話になりっぱなしだな。ここら辺で年長者とはなんたるかを指南するのも良いな。」

 

「そうじゃのぉ。感謝はもちろんしとるがヒヨッコ共に儂らの武勇を示す時かもしれんの。」

 

3人の意志を聞きそれを暖かい目で見守るロキ。これがロキファミリアの本当の強さなのかもしれない。

 

「とりあえずこの話はこの4人までや。他の子にはベートとレフィーヤが向こうについた。ウチらはそれを加味した上で異端児を捕らえるのを最優先するって感じで指示するで?擬似戦争遊戯なんて教えられんからな。特にアイズたん…ウラノスに聞いたら「なるべく討伐はしてくれるな。しかしロキ達の立場が悪くなるなら討伐も仕方ない。今はまだオラリオに混乱を招くだけだからな」とのことや。」

 

「おそらく1番討伐しようとするアイズはあちらにとっても不穏分子だ。ベートかユウ君かベル君がつくだろう。アイズも動けなくなるが向こうの主力も1人動けなくなるから問題ない。向こうで警戒すべきはユウ君、ベート、レフィーヤ、ベル君、アイシャ・ベルガだ。この5人の動きを止めてしまえば数はこちらが上だから勝つことは容易だ。」

 

「だが止めるのが難しい…か。」

 

「そうだ。向こうにはロキのトリックスターも顔負けの何をしでかすかわからないユウ君とユウ君を1番理解して実力以上のものを発揮するベル君がいる。それにユウ君に頼られたレフィーヤは脅威すぎる。」

 

「話聞いとるだけでも厄介なんてもんやないな。これマジで深層攻略より難易度高ない?」

 

4人全員黙り込む。ふとガレスが口を開く。

 

「そもそもなんじゃがユウ達を倒そうとするから行き詰まるんじゃないのか?儂は考えるの得意じゃないから簡単な事しか言えんが異端児をクノッソスに帰ささんようにすれば良いんじゃろ?ならマッピングもしたし入口で待機する部隊を作ったらええんじゃないのか?」

 

フィンはハッとする。

 

「感謝するよガレス。どうもユウ君に対して意識が強すぎたみたいだ。そうだね。それは最優先だ。1つはウィーネちゃんとベル君が潰しちゃったから残りの出入口は2つだ。そこをリヴェリアのエルフ部隊で魔法の詠唱をしつつ待機。もう1つはガレス。君に任せるよ。僕は指示と動くべきだと思ったら動く。場をかき回す為にアイズは自由行動でティオナ、ティオネはコンビで動いてもらう。残りは何部隊かに分ける。ラウルとアキに指示してもらおう。」

 

「存在するだけで厄介ってユウたんエグすぎるやろ。ま!フィンの策は今考える限り1番ええわな。ほな気張っていくで!!全員集めて指示するで!」

 

ーヘスティアファミリア目線ー

 

「と、フィンさん達は考えるはずだ。俺がフィンさんの立場なら絶対そーする。フィンさんは頭が切れるからこの推測は間違いない筈だ。でも頭が切れるからこそさっき言った事までたどり着かない。」

 

「ああ。ユウの考えはほぼ間違ってないだろーぜ。ずっとフィンとあのババアとジジイを見てきたからな。想像が簡単だ。」

 

「でもどうするの?出入口封鎖されちゃうとレベル6組と戦闘になっちゃうよ?ユウ君とベート君がいるから負けはしないだろうけどフィン君の言ってた足止めになっちゃうけど…」

 

「ヘスティア。だから言ってんじゃん擬似戦争遊戯って。戦争遊戯じゃないんだからルールは取り決められてないの。勝敗を決める前提しかないんだよ?入口が封鎖されてるなら別の場所を壊して入口にしちゃえば良いんだよ。」

 

あまりの暴論に全員黙り込む。たしかにアダマンタイトの壁くらいならオリハルコンを壊すユウだ。余裕で壊す事が出来るだろう。

 

「それにさっきベートさん達には説明したけど勝ちは決まってる。後はどれだけ自分達の力を試せるか。それだけ。脳筋天然娘にはベルをぶつける。ベルならやれる。だって俺の弟だもん。しかも色々技も考えてるみたいだし。」

 

「任せてよ兄ちゃん!僕は強くなった事をアイズさんに戦闘で伝えてくるよ!」

 

 

「凸凹姉妹にはヴェルフの魔剣、ミコっちゃんの剣技、春姫ちゃんのブースト、アイシャさんをぶつける。あいつらも脳みそスッカラカンだけどレベル6だから身体だけは頑丈だ。ヴェルフ。お前の研鑽してきた魔剣の強さ見せてもらうぞ?」

 

「任せろ!ユウに言われてずっと壊れない魔剣を作ってきた。でも何かが足りてない。それを見つけてくる。ついでにユウとベルとロキファミリアの2人の魔法に良いアイデアをもらったからな。その魔剣の試し斬りもしてくるぜ。」

 

「あのパスパレードの一件から自分がどれ程強くなったか試すにはもってこいですからね。全力でいかせてもらいます。」

 

「わたくしはサポートしか出来ませんが新しい魔法も覚えましたしウィーネちゃんと約束したみんなを助けるを微力ながらお手伝いします!」

 

「任せな。あんたらに教えてもらった技術と春姫と一緒に作ったコンビ技を食らわせてやるよ。それにアマゾネスだからね。同じアマゾネスにはヘスティアファミリアとしても負けられないよ!」

 

「ベートさんはガレスさん。ベートさんが1番しんどいかもしれませんがお願いします。レフィーヤはリヴェリアさん。師匠を超えるのが弟子の役目だと俺は思うし何よりも俺は可愛い妹を信じてる。フィルヴィスは悪いけどホームでウィーネと神様を守ってくれ。」

 

「そろそろロートルに引退宣言させようと思ってたんだよ。丁度良いぜ。ぶっ飛ばしてきてやらぁ。」

 

「ユウお兄ちゃん!!私絶対リヴェリア様を倒してきます!!よーしやってやりますよー!!」

 

「ユウ兄上任せてくれ。ウィーネはユウ兄上の妹なら私の妹でもある。絶対に守り抜こう。それに死妖精と呼ばれた私を笑顔で招いてくれた神ヘスティア、神イシュタルにも感謝しているんだ。必ず皆を守りきる。」

 

みんなやる気に満ち溢れている。頼もしすぎる仲間をもった。俺は本当に恵まれてると思う。

 

「俺は異端児を連れて今言ったメンツがぶつかるようにするからみんな頼んだぞ!」

 

「「「「おう!!」」」」

 

のちにオラリオ1盛り上がった「狂乱の戦闘事件」と呼ばれる事件が幕を開ける。

 

ーベルサイドー

 

ユウお兄ちゃんに言われてアイズさんを探す。ダイダロス通りですぐに見つかり使わないナイフを投げた。

ナイフは弾かれアイズさんは僕を見て悲しそうな顔をしつつ困った顔をする。

 

「ねぇ…ベル…?なんでモンスターの味方をするの?なんで私達の敵になるの…?」

 

「アイズさんはなんで人間の味方をするんですか?なんで僕達の敵になるんですか?なんて聞いても答えは出ないでしょう?」

 

「モンスターは敵…だよ?人を傷つけて殺しちゃうんだよ…?」

 

「人も敵になりますよ?闇派閥の人間は傷つけたり殺したりしてませんでしたか?」

 

アイズは目を泳がして無言になる。

 

「アイズさん。僕は貴女に憧れて追いつきたくて実力を磨いてきました。ですが…それ以上にお兄ちゃんに憧れて追いつきたいんです。その為にアイズさん。貴女を今!ここで!超えます!!異端児なんて今はどうでも良い!アイズさんに憧れてる様じゃユウお兄ちゃんには追いつけない!!勝負だ!アイズ・ヴァレンシュタイン!!」

 

真剣な表情で目に炎を燃やしナイフを構えるベルを見るアイズ。アイズも剣を構える。

 

「ベル。私に憧れてくれたのを知って…その、嬉しかったよ。でもまだ追いつかせない。まだ憧れててもらうもん…。ベル・クラネル。勝負!」

 

 

ーベートサイドー

 

「おう。ジジイ。ジジイは知ってるんだったなぁ。なんの気兼ねもなくボコボコにできるぜ。」

 

「ほう。ベートが来たか。あのヒヨッコがデカイ口を叩くようになったもんじゃのぉ。じゃがの儂をちとナメすぎてはおらんか?」

 

「ハッ!てめぇの毛むくじゃらのツラ舐めるやつがいるなら見てみてぇわ!俺は生憎お喋りに来たんじゃねぇからなぁ。」

 

「儂もお前みたいな口の悪いガキと仲良くお喋りなんざ嫌じゃ。」

 

「「ぶっ飛ばす!!」」

 

 

ーレフィーヤサイドー

 

「リヴェリア様…。今日はリヴェリア様を倒しにきました!!」

 

「レフィーヤ何言ってるのよ!!リヴェリア様に失礼でしょ!それになんでモンスターなんか庇ってるのよ!あのヒューマンにまた何か言われたんでしょ!今ならまだ間に合うか「アリシアさん今何とおっしゃいましたか?ユウお兄ちゃんの事を貶しましたか?貴女から潰しますよ??」ッッッ」

 

以前のレフィーヤとは思えない殺気がアリシアと呼ばれるエルフに降り注ぐ。リヴェリアはため息を吐く。

 

「レフィーヤ。その殺気は家族に向けて発してはいけないな。アリシアもレフィーヤがどれ程慕っているか分かっているだろう。全く貴様達は。まだまだ教育が必要な様だな。レフィーヤ。お前は私を倒すと言ったな?ならばかかってこい。馬鹿弟子のワガママを聞いてやるのも師匠の務めだ。」

 

「リヴェリア様。ありがとうございます。ですがお兄ちゃんから弟子が師匠を超えるのを信じていると言われました。私は!ロキファミリア副団長リヴェリア・リヨス・アールヴの1番弟子であり、誰よりも優しく誰よりも大好きなユウ・クラネルの妹のレフィーヤ・ウィリディス!!絶対にあなたを超える!!」

 

「よかろう。お前等は離れてここら辺一帯に結界を張れ。レフィーヤはお前達が考えている以上に強い。下手をすれば私も食われかねん。レフィーヤ。手加減はせんぞ!」

 

 

 

ーヘスティアファミリア軍団サイドー

 

「よう。ティオナ・ヒリュテとティオネ・ヒリュテだな?俺はヴェルフ・グロッゾ。ヘスティアファミリアのレベル2だ。」

 

「自分はヤマト・命です。同じくレベル2です。」

 

「あたしはアイシャ・ベルガ。レベル4だよ。」

 

「わたくしはサンジョウノ・春姫と申します。レベル1です」

 

唐突な自己紹介に眉をひそめるティオネ。笑顔のティオナも自己紹介を始める。

 

「顔合わせも済んだ事だしもういいか?俺達はこの4人でお前らをここに足止めする。俺達の方がレベルは低いし殺す気でやらせてもらう。あーと勘違いしてくれるなよ?別に手加減してくれなんて言うつもりはない。というか全力で来ることをオススメする。」

 

「ごちゃごちゃごちゃごちゃとウルセェな!!あたしは団長に任された仕事があるんだ!!テメェらに構ってる暇はねぇんだよぉ!!ぶっ殺されたくなかったらそこをどけ!!」

 

ティオナは素直に疑問に思って聞いてしまう。

 

「ねぇねぇ。ユウ君とベル君のとこと敵対するのはわかってたし君達が来るのもわかるんだけどなんでティオネがぶち切れてるのにビビったりしないの?」

 

その言葉にヘスティアファミリアの面々は苦笑いしてしまう。

 

「あーなんだ。ユウがこう言えばヤンデレはブチ切れるからチョロいよって言われててその通りになったからな。それにだ…ティオネ・ヒリュテ。お前、俺らをナメてるだろ。はっきり言ってその程度の怒気や殺気くらいならこっちは何度も経験してんだよ!!」

 

春姫以外からティオネと同等の怒気が放たれる。ティオネ、ティオナは驚き身構えてしまう。

 

「ふざけんなよお前等。俺達はユウ・クラネルの愉快な仲間達だぜ?その辺の雑魚と思われちゃやってらんねーぜ。行くぞヒリュテ姉妹。雑魚の矜持と意地を見せてやる。」

 

ティオネとティオナは構えを取る。

 

「団長すみません。しばらくかかりそうです…」

 

「よーし!楽しくなってきたぁ!!」

 

 

ーリリサイドー

 

「全くユウ様は。でもこれでリリも動きやすくなりましたね。一族の英雄、フィン・ディムナ様。でもリリの英雄はクラネル兄弟です。底辺を味わったからこそできることをフィン様にお教えしてあげます。」

 

ーユウサイドー

 

ふむふむ。概ね結果は良好っと。フェルズから借りたこれ完全に透明マントだよな。

 

「さてリド君。まずは説教だ。暴走して地上に来た?それは良い。ダンジョンに戻す?それも良い。てめー等ウィーネ任せて2日で攫われたってどーいうことだコラ。フェルズのおかげで失わずに済んだけど死んでたら俺ブチ切れてオラリオ消滅させてテメェ等も全滅させてたぞこの野郎。」

 

「「「「すみませんでしたー!!」」」」

 

全力で謝る異端児達だった。特にフィアは責任を感じていたのかかなり落ち込んでいる。

 

「まぁいい。ウィーネはウチで預かるから。それと今からだけど普通に一般人の中を歩いていくから俺の後ろついて来て絶対喋ったり睨んだりすんなよ。テイムしたって事にすれば俺なら許されるから。」

 

その言葉に全員驚く。ついでに外の世界がどんなのか見とけとも言われ言葉を失う。

 

「ソレハホントウニ、ダイジョウブナノカ?」

 

「おう。グロスだっけ?お前って口悪いけど相手のことちゃんと考えれるいい奴だな。俺の友達にそっくりだよ。俺がどんだけ信用されてっか見せてやるよ。」

 

ユウは普通に商店街をゾロゾロと歩きながらダイダロス通りを目指す。

 

「あらユウちゃんモンスターをそんなに連れてどうしたんだい?」

 

「おーおばちゃん!元気にしてる?いやテイムしたからギルドに申請しに行ってたんだよ!本当は騒ぎにならないように夜帰ろうと思ったんだけど最近忙しくて眠くてさー!」

 

「ユウちゃんは本当に面白い子ねぇ。みんなーユウちゃんがモンスターテイムしたんだって!滅多に見れないし見ときなさいよー」

 

商店街のみんなはユウちゃんがまたなんかやったらしいぞとゾロゾロ出てくる。子供達はフィアを見て触っても大丈夫か聞いてくる。

 

「おー。テイムしてっから痛い事さえしなきゃ大人しいし可愛いぞ?フィア…そこの鳥の綺麗なお姉さんは歌声が綺麗なんだぞー。」

 

聞きたい聞きたいの大コールにキョロキョロしてしまうフィア。ユウが歌っていいよと伝える。ガーゴイルのグロスの翼に子供達を乗せて座らせる。フィアを中心に輪ができる。フィアの歌声を聴いて冒険者達も来るがユウの姿をみてあぁ。あいつか。で去っていく。歌が終わると拍手と歓声が上がる。商店街のみんなにまたねーと言われながらリンゴやパンなどを渡される異端児達。頭を下げて受け取っていた。

そのままダイダロス通りに出て壁を切り刻んでクノッソスの中まで穴を貫通させる。

連れてきた全員を入れる。そこで足りないやつが誰かを聞き、探しに行く事にする。

 

「あの、ユウさん。地上で歌を歌えるとは思っていませんでした。ありがとうございました。」

 

「気にすんな。もしベル達に何かあったら助けになってくれりゃそれでいいよ。グロスも子供達座らせてくれてありがとな。」

 

「イヤ。コチラコソカンシャスル。アリガトウ。ユウ。」

 

そう言って異端児達は中に入っていった。

 

ーフィンサイドー

 

「くそっ!やられた!あんな手で来るなんて!」

 

「あーユウたんにしか出来ひん方法やな…。」

 

「想定外にも程があるよ。まさか商店街をモンスターを連れて歩くなんて。あそこで攻撃したら僕たちが悪者だ。こんな搦め手まで用意してるなんて…」

 

「ほんでも短期間で2度使えるわけじゃないやろ?また同じことしたらまた?ってなるしなんかおかしく思う冒険者も出てくる筈やで?それはユウたんもわかっとるやろ。せやから残っとる異端児をユウたんが回収するまでが勝負やな。」

 

「結局出入口も封鎖した意味が無かったしね。別のとこから穴を開けて入るとか意味がわからないよ。それにガレスとリヴェリアは相当手こずってるみたいだしね。僕もそろそろ動くよ。」

 

さてさて個々の戦いとフィン、ユウの戦いはどんな結果を迎えるのだろうか。




いやー個々の戦いを書こうと思ったせいでめっちゃ長くなっちゃった!

次で終わらせるんでほんと許してください!!


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戦いはオラリオにありー!!

これで終わらせます!!

書きたいことを書いてしまうと長くなるからちゃんと計画して書こうという教訓をもらった異端児編でした。


ーベルサイドー

 

圧倒的な剣戟をベルはナイフでいなし、剣の側面を弾き、一瞬の隙を突いてカウンターを仕掛ける。アイズはそのカウンターに対してガードではなく避けることを選択する。後方への緊急回避。だがそれは敏捷特化のベルには悪手。

 

「あん?どうやって相手を崩す?んなもんひたすら我慢して我慢して一瞬の隙を突いてカウンターだ。そしたら押してた相手は体勢が不利になるガードより回避を選択しやすい。回避したらこっちのもんだ。なんせ自分がこの打ち合いで負けましたって言ってるようなもんだからな。」

 

ベートとの鍛錬の成果がここで実る。ベルはベートに言われたことを頭の中でただひたすらに想定し、どうするかをシミュレートしてきた。身体が勝手に反応する。

縮地を使い追撃をしかける。二刀ナイフで無呼吸でひたすらにアイズを斬りつける。だが一方のアイズも膨大な戦闘経験を持つ第一級冒険者。ベルのナイフがいつものキレを無くした瞬間に弾き返し間合いを取る。

2人は驚愕していた。ベルはアイズの一瞬のズレを見逃さないその胆力と技術に。

アイズはベルに今の剣戟のイニシアチブをずっと取られていたことに。

 

2人は呼吸を整え直しまた激突する。紫と赤のナイフが、銀色の剣が線となり火花を散らしある種の芸術のようになる。アイズの攻撃をベルは側面から叩いてズラす。ベルがレベル差が3ある相手についていけているのは圧倒的なまでの対人戦闘経験と技術の極致と武神に言わしめた兄との幼い時からの鍛錬の成果だ。技術面に関してはオラリオでも1、2を争う。ナイフの扱いだけで無く身体の使い方、足捌き。どれをとっても一流と言える。

 

一方のアイズだが戦闘経験は膨大だがその相手は自分より大きく異形の存在のモンスターばかりだ。よって対人戦闘の経験が大きく不足していた。だがそこは若いながらも第一級冒険者に位置する者。ベルの動きを見て、すぐさま自分の物とすべく学習していく。

 

 

お互いが間合いを取った時にベルが苦笑いをして口を開く。

 

「さすがですねアイズさん。僕の動きを盗まれてきましたね。レベル差もあるので正直なところ動きを盗まれるときついですよ。」

 

「ううん。ベルが本当に強いから…。私も今の私じゃ勝てないかなって…。」

 

「アイズさんにそう言っていただけると強くなれたかなと思います。アイズさん。魔法ありますよね?」

 

「う、うん。風のエンチャント。」

 

「使ってもらえませんか?余力がある状態で決着なんて嫌なので。僕も持てる力を全て出します。」

 

「で、でも…危ない…よ?私の魔法…。」

 

「わかりました。僕の動きを見てから使用するか決めてください。」

 

ベルは目を閉じて身体に魔力を循環させていく。皮膚の上にもう一つ魔力で皮膚を作るイメージだ。それから血液にも魔力を循環させ身体の隅々まで魔力でコーティングする。

目を開く。神様ナイフにも魔力は回っている。そして構えてアイズを見る。アイズはその瞬間悪寒が走りすぐに後ろに緊急回避する。アイズが居た場所でベルがナイフを振り下ろした格好をしていて胸当てにぱっくりと切れ込みが入っていた。冷や汗が頬を伝い顎から地面に落ちる。

 

「な、に、それ…。全然見えなかった…」

 

アイズはすぐさまエアリアルを発動させる。冒険者としての勘が今のベルは脅威に値すると告げる。

 

ベルは縮地を連続使用して錯乱する。その姿は兎が高速で跳ね回るように見えるが…。

アイズは目で追い切れないと見るや否や風を広げて感知する。そこからまた激しい剣戟が繰り広げられる。

魔力を纏いステイタスを底上げしたベルとエアリアルでステイタスを底上げしたアイズ。同じ事の繰り返しになり兼ねないと両者は思う。だが不利なのはベルだ。技は盗まれ、そもそもレベルが違いすぎる。それは互いにわかっているのかベルは突破口を探し、アイズはなるべく長期戦になるように戦う。

 

ベルは立ち止まる。そしてふぅと息を吐きアイズをジッと見る。そして笑う。

 

「それでこそ僕の憧れたアイズさんです。最近のアイズさんはすごく悩んでる顔をしていましたから。アイズさん。僕は今すごく楽しいです。」

 

アイズは顔をが熱くなるのを感じ胸がドキドキと高鳴ってしまう。本人は何故だかわかっていないみたいだが。

 

「う、ん。わ、私もすごく楽しい…。純粋に、楽しく戦うの、始めて。」

 

「それは良かったです。でもねアイズさん。僕は兄ちゃんに信じてるって言われたんだ!絶対に負けない!負けてたまるか!!魔法を使います。危ないですがアイズさんなら大丈夫でしょう。」

 

「う、ん。この辺は誰も住んでないの確認してるから大丈夫だよ…。私もベルの全力と戦いたい。」

 

ベルは頷き決意する。左手で小さな太陽を作る。

 

「ベル。この本を読んでみろよ。漫画ってんだけどな俺の住んでるとこの書物だよ。この主人公のナツってやつがまたおもしれーの。」

 

ユウに読ませてもらった書物の話を思い出したのだ。アイズは風を纏っている。あの書物通りならと。

 

「炎戒!火柱ぁ!!」

 

ベルの周りに炎の柱ができる。アイズは首を傾げていた。たしかに熱いが攻撃ではない。何をしてるんだろうと思っていると異変に気付く。

 

「な、んで!私の風が…ベルに吸い取られてる!?」

 

ベルは魔力を纏ったまま火柱を目隠しにして縮地でアイズの背後を取り首にナイフを当てる。

 

「兄ちゃんのおかげだ!アイズさん。僕の勝ちです!!」

 

「負け、ちゃったね。ベルは本当に、すごい、ね。」

 

「アイズさん知ってますか?風は炎と相性がいいんです。炎を助けて大きくできるのは風なんですよ?今回は敵対しちゃいましたけど今度は一緒に戦えたらいいですね!」

 

ベルはアイズの手を握ってニコニコとそう告げる。アイズは顔を真っ赤にしてアウアウいっていた。

 

勝者ベル・クラネル

 

 

ーベートサイドー

 

「オラァ!!動きが鈍すぎるぞジジイ!!オラリオ1の大幹部様がそんなもんかぁ!!」

 

「やかましいわい!!小蝿みたいにブンブンと鬱陶しいんじゃ!!」

 

ベートが殴って蹴ってガレスはその攻撃をほぼ無視してベートを捕まえようとする。

 

「ちっ。相変わらず耐久と力特化の脳筋ジジイが。ホントにウゼェ。」

 

「ヒヨッコの非力さを儂のせいにしてもらっても困るのぉ。それよりベートお前本当にレベル6か?攻撃が軽すぎて痒いんじゃが。」

 

ブチっという音がきこえた。ベートは無言でヴェルフからもらった魔剣を取り出す。右手に魔剣を振り下ろす。そしてもう一本取り出してまた同じように振り下ろす。

ベートの身体の周りが炎に包まれ、その炎の周りがバリバリと帯電している。

 

「おいクソジジイ。テメェ今痒いって言ったよな?今から痒くねぇ攻撃してやるから頑張って耐えろよ?」

 

なんかマズそうじゃのぉ。あれ。初めて見たが寒気すごいんじゃが。まぁ儂の耐久なら一撃くらい耐えれるじゃろ。

 

「おう。かかってこんかい。小童め。お前の攻撃が効いたら認めてやっても良いぞ?」

 

ベートはニヤっと笑う。

 

「ガレス。これがユウとベルと一緒に開発してロキに人間相手には絶対に使用すんなって言われてた技だ。ジジイがいてくれて嬉しいぜ。感謝するわ。くらぇぇぇぇぇぇ!!「雷炎狼の激蹴」!!!」

 

右脚に炎と雷が収束しとんでもない速度でガレスの腹に刺さる。ガレスは吹き飛び廃屋の中に飛び込んでいく。

しばらくすると廃屋から笑い声が聞こえてくる。

 

「おぅいベートよ。動けん。助けてくれぃ。」

 

「お前嘘だろ?なんで意識あんだよ。あれ俺の最強の技なのにちょっと凹むわ。」

 

そう言いながら廃屋の木材を退けていく。ガレスの腹部には大きな穴が空き、周りが火傷をし傷口を雷が帯電していた。

 

「あ、悪い。ガレスの耐久がおかしいだけだわ。お前ここまでなってて意識あるとか首斬られても生きてんじゃね?引退しなくていいから死ぬまで冒険者しとけ。」

 

そんなことを言いながらエリクサーをかける。

 

「馬鹿言うでない。それよりもベート。強くなったのぉ。こりゃ美味い酒が飲めそうじゃわい。」

 

「けっ。勝負に勝ったのになんか負けた気分だぜ。」

 

ガレスは大笑いする。ベートも笑う。

 

 

勝者 ベート・ローガ

 

 

ーヘスティアファミリアサイドー

 

ティオネにはアイシャ、ティオナには命がついて近接戦闘をしていた。アイシャも命もヘスティアファミリアに入ってからずっとユウ、ベル、ベート、レフィーヤと毎日入れ替わりで戦っていた。その為戦闘技術は物凄く高い。一方ヒリュテ姉妹はレベルこそ高いがそこまで戦闘技術は高くない。バーサーカーになっているティオネと馬鹿のティオナは本能で動く。対モンスターならそれでお釣りがくるが命とアイシャ相手にはまったく足りてない。なぜならユウが本能で戦うやつは癖がもの凄く目立つからチョロいと教え込んでいたからだ。

 

そしてその癖を逆手にとってヴェルフの魔剣が打ち込まれる。しかもその魔剣が厄介にも程があるのだ。たしかに殺す気で行くとは言っていたが本当に殺すつもりかと思うレベルの魔剣なのだ。

 

そう。ヴェルフも魔剣を忌諱していたがユウと出会い自分の力が足りないからだと思うようになった。すると魔剣を作っているうちに威力がどんどん上がっていき前まで作ってみたいと構想を練っていた魔剣がすぐに作れるようになったのだ。魔剣もなんだかんだで自分の誇りある一振りだと今は認識しているので試し斬りもしたかったしちょうど良かった。

 

「なんなんだよテメェはよお!!!邪魔ばっかしやがってぇぇぇ!!」

 

「何言ってるんだいあんた。足止めしに来たって言ってるんだから邪魔するに決まってるだろ。こんなんだからユウに凸凹姉妹に脳みそは詰まってない。スッカラカンだって言われるんだよ。」

 

「うるせぇぇぇぇぇぇ!!あの野郎もウザいんだよ!!見下しやがってぇ!!」

 

「そりゃ格が違うからねぇ。あんたらとユウじゃ。そもそも今この場にいる私らとユウが本気で戦ったら瞬殺されるよ。でもあんたらはそーでもないよ。レベルが高いだけの馬鹿。やりやすくって仕方がないね。」

 

ティオネもティオナもこのままだと本当にやられると思ったのか一旦距離を取る。

 

「ティオネ落ち着いた?あの子ら本当に強いよ。ぶっちゃけレベルは偽ってない。アビリティはそのままのレベルだと思うけど飛び道具と技術がおかしい。」

 

「ええ。悪かったわね。アイシャだったっけ?彼女は実力もそうだけど戦い方が群を抜いて上にいるわ。後ろの鍛治師の魔剣は多分自己紹介の時の名前的にもグロッゾの魔剣ね。彼は打てるみたいね。」

 

「うーんこのままだとジリ貧だしなぁ。考えてもわかんないし各個撃破でいく?」

 

ティオネティオナは頷いて最初にアイシャを狙う。この中で一番レベルが高く強いのはアイシャだ。アイシャ自身こうなるだろうと予測していた。

 

「はぁやっぱり脳みそスッカラカンだったか。」

 

2人の攻撃を余裕で捌きながら呟くアイシャ。その呟きの意味を考えない2人は速度を上げていく。

 

「――大きくなれ。其の力に其の器。数多の財に数多の願い。鐘の音が告げるその時まで、どうか栄華と幻想を。――大きくなれ。神撰を食らいしこの体。神に賜いしこの金光。槌へと至り土へと還り、どうか貴方へ祝福を。――大きくなぁれ。ウチデノコヅチ。」

 

光る小槌がアイシャをポコンと叩く。オラリオでは埒外のレベルアップブースト。それも技術だけでヒリュテ姉妹を相手取れる強者のレベルアップ。その動きの変化に対応できずヒリュテ姉妹は隙を見せてしまう。

 

「雷神丸!!」

 

バリバリバリと直径3メートルはあろう太さの雷が天から姉妹を襲い2人は直撃してしまう。

だがヘスティアファミリアは誰も警戒を解かない。それほどまでにレベル6というのは埒外なのだ。

ところが2人の姉妹は目を回して気絶していた。そう。ヘスティアファミリアが想像するレベル6は魔力を覆っているベートが基準なのだ。それはそれで埒外には違いないがその状態のベートはレベル6の中でも埒外に値する。

そんな事を知らないヘスティアファミリアは拍子抜けしてしまった。

 

「まぁ足止めもできたし自分達の成長も分かったし良かったんじゃねぇか?」

 

みんな頷く。とりあえずハイタッチをしといた。

 

 

勝者ヘスティアファミリア

 

 

ーレフィーヤサイドー

 

レフィーヤは棒術を使うリヴェリアを軽くあしらって合気を使いリヴェリアを地面に叩きつけていた。

リヴェリアは即座に近接戦闘では話にならないことを悟り後退しながら並行詠唱を開始する。レフィーヤは縮地を使ってリヴェリアの肺を掌底で叩く。こうすれば呼吸が出来なくなって詠唱を止められる。

レフィーヤはユウに何度もやられていた。

 

「リヴェリア様。もう近接戦闘はいいです。師匠を超えたのはわかりましたので次は魔法の撃ち合いです!!」

 

レフィーヤはそれだけを言い間合いを取る。

 

「な、るゴホゴホ、ほどな。確かに近接戦闘や並行詠唱では私では話にならんようだ。だが魔法では負ける気はないぞ?」

 

「ウィーシェの名のもとに願う 。森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと来れ。繋ぐ絆、楽宴の契り。円環を廻し舞い踊れ。至れ、妖精の輪。どうか――力を貸し与えてほしい。「「終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に風を巻け。閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け、三度の厳冬――我が名はアールヴ。ウィン・フィンブルヴェトル」」

 

周りがパキパキと凍結している中レフィーヤはまた魔法を繰り出す。

 

「ヒュゼレイド・ファラーリカ!!」

 

極寒の雪風を撃ち合っている中無詠唱で大量の火矢が飛んでくる。一旦魔法の使用を中止しつつ並行詠唱する。

「舞い踊れ大気の精よ、光の主よ。森の守り手と契を結び、大地の歌をもって我等を包め。我等を囲え大いなる森光の障壁となって我等を守れ――我が名はアールヴ。ヴィア・シルヘイム。」

 

貼られた結界の上からひたすら火矢が降ってくる。結界もミシミシいっている。これがあのレフィーヤだと?私でも対応出来ない近接戦闘に魔法の威力。詠唱の速度。挙げ句の果てには無詠唱か。もうこれでは私に勝ち目は無いな。

だが、このまま負けるのは師として認められん!!

 

「集え、大地の息吹――我が名はアールヴ。ヴェール・ブレス」

 

リヴェリアは結界の中で光の衣を纏う。結界が割れ、火矢が襲ってくる中避けつつ光の衣で耐えきる。

その土煙の中、詠唱を開始し、さらに詠唱を連結させる。どデカイ魔方陣が浮かび上がる。

 

「レフィーヤには見せていなかったな。これがお前の師の最強の魔法だ。私は詠唱を連結させることで魔法の威力を格上げできる。だが地上で撃っていいものではないのでな。ここまでとさせてもらうぞ。」

 

レフィーヤはやはり私の敬愛する師匠はすごいと素直に思う。だが正直超えられたかと聞かれるとまだ魔法では超えれてないと思い涙を浮かべる。

 

「レ、レフィーヤ?何故泣いている!?」

 

「だっでぇ…リヴェリア様を超えでぐるってお兄ちゃんに言ったのにぃー。うぇぇぇぇん!!」

 

いきなり泣き出したレフィーヤを見て慌てるリヴェリア。すぐにレフィーヤに駆け寄り抱きしめてやる。

 

「ば、馬鹿者。場所が悪かっただけだ。それにお前も全てを出した訳ではないのだろう?それに本当に強くなった。あの連結魔法は本当に私の奥の手だ。それを使わせるほどお前は強くなったのだ。今度ダンジョンでお前がユウ君と鍛え上げたその力で家族を守ってほしい。レフィーヤ・ウィリディス。リヴェリア・リヨス・アールヴの愛弟子として信頼しているし頼りにさせてもらうぞ。」

 

「うぇぇぇぇん!!リヴェリアさまぁ!!!私もっと強くなりますぅ!!」

 

抱きついて胸に頭を埋めるレフィーヤを見てため息を吐くリヴェリアだった。周りのエルフ達はレフィーヤが近接戦闘ではリヴェリアを圧倒し、魔法の撃ち合いでもリヴェリアが奥の手を出さなければならないところまで追い込まれているのをみて戦慄していた。

 

「ほら。いい加減泣き止め。ユウ君に笑われてしまうぞ。ところでレフィーヤ。あの無詠唱のヒュゼレイド・ファラーリカはなんだ?あんなのが出来るとは驚いたぞ。」

 

「ぐすっ。はい。並行詠唱ってあるじゃないですか。行動しながら詠唱をする。お兄ちゃんが「行動しながら詠唱するのを並行詠唱っていうなら魔法をぶち込んでるときに頭の中で別の詠唱をしながら別の魔法を発動待機状態にするのも並行してやればそれも並行詠唱にならねーの?」と言っていたのでずっと練習してたら出来るようになりました。厳密に言えば頭の中で詠唱をしているので無詠唱ではないのですが魔力操作が出来れば魔力暴走もあまりしないので恐らくリヴェリア様もできますよ?」

 

「な、なるほどな。考え方の違いか。だがそれをすぐに練習して自分のものにしたレフィーヤは私の誇りだ。それにユウ君も誇りだと思っているだろう。」

 

レフィーヤは満面の笑みを浮かべてえへへと照れていた。

 

「さて。レフィーヤ。私は異端児などの理由を全て把握している。今回のフィンとユウ君の騒動もな。ここを守る必要も無いだろうし一緒に行くか。今まであの子達と鍛錬した事や楽しかったことを師匠の私に教えてくれ。成長した弟子とゆっくり会話をするのも良い。」

 

レフィーヤははいっ!と笑顔で頷く。

 

勝者リヴェリア

 

 

ーリリサイドー

 

「ラウル!オラリオの南東方向に向かえ!異端児とヘスティアファミリアが向かった!!そのままそちらで待機!」

 

「団長!?わかったっす!行くっすよ!!」

 

ラウル様すみません。団長様では無くリリです。

 

「アキ!部隊を連れて北西方向に向かえ!ラウルの部隊も合流させる。相手は異端児とあのユウ君だ。団長の僕をお姫様抱っこさせるような相手だ。戦闘はなるべく避けつつ包囲だけしろ。すぐにティオネ達を向かわせる。」

 

「はい!でも団長。その話は私にもダメージが来るんで内緒にしてくださいよぉ。ティオネに知られたらと思うと…」

 

「あ、ああ。すまない。失言だったね。それじゃ頼んだよ。僕もそろそろ動く。」

 

すみませんアキ様。シャンプーは同じでフィン様の服をユウ様から渡されているので気づきませんよね。お姫様抱っこは夕飯の時にベートさんに話してヘスティアファミリアでは大爆笑でした。

これでレベルが低い部隊を明後日の方向に進ませれましたね。リリの魔法は他のファミリアは知らない筈ですからね。この魔法で底辺を生きてきたんだ!!ずっと前を向いている勇者様に足元を見ないと掬われることをお教えしてあげます。

 

「なんだって!?僕はそんな指示出していないぞ!?」

 

「ですがラウルさんの部隊もアキさんの部隊も明後日の方向に進んで行きました!!アキさんの部隊の話では団長が来てお姫様抱っこをした話をしていて団長とアキさんは只ならぬ関係だと…」

 

「な!ん!で!あれを知ってるんだ!!ユウ君のとこには変身でも出来る子がいるのか!!ん?すまない。確か1人小人族の子がいたよね?彼女か!!どの戦場にもいない…。やられた。撹乱までして来たか。」

 

「うっわ。エゲツな。フィンの黒歴史をバラしつつこの戦いを完全に楽しんどるな。ん?でもアキは獣人やろ?匂いでわかるんちゃうん?」

 

「おそらくだが、僕はユウ君にもらっているシャンプーとボディーソープを使ってる。それにこの前から服の洗濯でいい香りがする洗剤を気に入ってね。使わせてもらってたんだ。全てヘスティアファミリアにしか用意できないものだ。だからこそアキも気づかない。それに黒歴史みんなの前でバラされたら焦るだろう?」

 

フィンはトオイメをして肩を落とす。

 

勝者 リリ

 

ーユウサイドー

 

もうだいたい異端児もクノッソスに送り込んだな。

 

「すまない。貴殿がユウ・クラネルだろうか?」

 

「ん?おお!黒いミノたんか!もしかしてベルにやられたミノたんだったりする?」

 

「俺はアステリオス。最後の記憶は白い兎が美しい軌跡のナイフで斬られるところだった。今回、地上に行くことになったのは僥倖だった。ベルと再戦を。」

 

ふむふむと頷くユウ。そして考える。

 

「そーだな。ベルにとって前のアステリオスは因縁の相手だったし。今のアステリオスは良いライバルになりそうだ。んーとりあえず他の異端児がこのアルルとベルガとアステリオスだけだからなー。ちょっと待って。おいフェルズ?話聞いてた?俺的にはアステリオスとベルの再戦やらしたいんだけど。ふんふん。オッケー。ベルガとアルルはクノッソスに戻すけどこの2匹だと危ないから、ああ、リド達がいるのね。わかった。またなー。よし!アステリオス!ギルドの前の噴水広場わかる??」

 

「わかる。俺はどうすればベルと再戦できる?」

 

「とりあえずベルが来るまでオッタルさんと隠れてて。んでベルが来たら襲っちゃえ☆」

 

「ベルはユウの弟だろう。本当に良いのか?」

 

「アステリオス。ベルは俺の弟だぜ?あの頃より遥かに強くなっている。やってやれ。ついでに目の前にある塔からダンジョンに入れるから決着ついたらすぐに帰れよ?」

 

「感謝を」

 

ベルに噴水広場に1人で来るように伝えたらトコトコ歩いてきた。アステリオスに行けと伝え、オッタルさんと屋根の上から観戦する。そこにロキファミリアの幹部陣が全員集結した。

 

「てことでフィンさん。俺の勝ちね。」

 

「ああ。ほんと完膚無きまで負けたよ…確かに僕とロキの認識していた前提が間違ってたよ。ユウ君は1度も僕にヘスティアファミリアとは言わなかった。ユウ君と愉快な仲間たちだったかな?なるほどね。参った。降参だ。」

 

「フィン。これは仕方ねーよ。ユウの性格が悪すぎて王道を行くフィンとは相性が悪い。擬似戦争遊戯って言いながらフレイヤ、ヘファイストス、タケミカヅチ、ミアハ、ディアンケヒトファミリアに協力させてんだからな。」

 

「くくっ。確かにユウ君と愉快な仲間たちだな。我々は最初から勝ち目がない戦いをしていたようだ。」

 

「儂はこのヒヨッコと戦えたから別に良いがのぉ。」

 

「そ!今回はフィンさんを挑発してウチのファミリアにレベルと実力が上の相手に自分の力を試して欲しかったんだよね。んで異端児の件は他のファミリアに手伝ってもらって被害0にすることがこっちの目的。案の定ナメてかかったそこの凸凹姉妹は気絶させられたんだって?ねぇねぇどんな気持ち?格下にやられるってどんな気持ち?ぷーくすくす」

 

ヒリュテ姉妹は肩を落として落ち込む。それを見てロキ様とフィンさんは苦笑いだが。

天然娘の様子がおかしい事に気づく。

 

「天然娘どうしたんだ?ベルが心配か?」

 

「心配は、してるけど…ベルなら大丈夫。私も1対1で負けちゃったから…。それよりなんか変。ベルの事考えると、顔が熱くなって、胸がドキドキする。」

 

そこにいた全員が二重に驚愕する。ベルがアイズに勝ったのもそうだ。ユウ自身もいい勝負はするだろうがまだ勝てないと思っていたのだ。しかもアイズのこの発言。完全にホの字じゃないですかぁー。

 

「え、ベルお前に勝ったの?」

 

「うん。エアリアル使ったのに負けた。技術も負けてて、真似して勝てると思ったらベルがもっと強くなって…。エアリアル使ってまた勝てると思ったら、炎の柱が出来てエアリアルの風吸い取られて、背後から首にナイフ当てられちゃった…。」

 

たどたどしいながら必死で説明するアイズの言葉を聞いて理解した。ネタで教えた炎戒火柱使って前に見せた妖精の尻尾のやつ再現しやがったなベルェ。

 

「ウチの弟がなんかすまん。んで?」

 

「ベルの真剣な表情とか、笑顔見てると、ドキドキする。どうしちゃったのかな?」

 

みんなが優しく見守る。

 

「ふっ。剣姫よ。その気持ちは大切にすると良い。ベルに好かれたければユウに行ってシャンプー、リンス、トリートメント、ボディソープを貰え。まずは身だしなみからだ。」

 

「オッタルさんんんん!??あんたアドバイスが明後日の方向すぎるよ!!流石オラリオ1アンチエイジングする猪だわ!!」

 

みんな普通にドン引きだった。

 

「ユウ、さん。その、えっと、しゃんぷー?とか教えてほしいです…。ベルに嫌われたくないです。」

 

「あー。うん。ソウダネ。あげるあげる。使い方はリヴェリアさんかロキ様に教えてもらいな?」

 

そんなバカ話をしているとベルとアステリオスの周囲には人が神が輪となって歓声をあげていた。

結論としてベルとアステリオスは最後の方でベルが上手いこと誘導してダンジョンに入っていき狂乱の戦闘事件は幕を下ろした。




終わらせるって言ったのにアステリオス出したくてアステリオス戦を書こうとした時点で8千字超えてたから端折ってしまった。アステリオスすまん。

次のエピローグでほんとに異端児編は終わりますんでお許しください!!

ヤベェ。ベル君とレフィーヤがどんどんバグキャラになっていくww


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エピローグ!そして楽しい祭りに行くぞオラァ!!

とりあえずエピローグってことで!

ロキファミリアの面々とヘスティアファミリアの面々の後日談になります!

これで原作11巻は終わりです!


ベルとアステリオスの戦いが終わり、狂乱の戦闘事件は幕を下ろした。

それからロキファミリアの面々と別れてベルを回収してヘスティアファミリアのホームに戻った。

 

ーヘスティアファミリアー

 

「みんなお疲れ!大手に一泡吹かせてやったな!ヒリュテ姉妹とか落ち込んでやんの!爆笑してやったぜ!!ベルはベルでアイズに勝ったらしいじゃん!お兄ちゃんは鼻が高いぜ!リリもフィンさんが今度是非会って話したいってよ。指揮系統をボロボロにされたの死ぬほど悔しかったみたいだぜ?それも同じ小人族の女の子にしてやられたのが。しかもお姫様抱っこの事バラされて心折れてたわw」

 

ベルがアイズに勝ったことを知らないヘスティアファミリアの全員が驚く。誰が聞いても偉業中の偉業だ。

だがベルの表情は明るくない。

 

「うん。僕はアイズさんに勝てたけどあれは最初力を抜いてくれてたからなんだ。それに魔力強化も待っててくれたし…。それよりアステリオス。リリは知ってるけど僕がレベル1の時に倒したミノタウロスの生まれ変わりなんだって。彼と決着をつけれなかった方が心残りなんだよね。去り際にお兄ちゃんに感謝してたよ?あと次はダンジョン内で決着をつけることにしたんだ。だから浮かれてる暇は無いよ。」

 

全員ため息を吐く。

 

「あのなぁベル。そんなに肩肘張ってどーすんだよ。今回勝てた!やったー!でいいじゃねぇか。今日この騒動が終わったんだぞ?なのにすぐ次の事考えてどーすんだ。実家まで走って帰って着いてすぐにオラリオに戻るって言ってんのと一緒だぞ?」

 

「あ、ごめんなさい。爺ちゃんと話したいよね!少しは立ち止まらなくちゃ!」

 

その例でわかるお前ら兄弟はどーなってんだと思った一同だった。

 

「とりあえずウィーネおいで!!はい。みんなウィーネはウチに住む事になりました。俺がテイムして言葉教えたら話せるようになったと明日の神会で言いふらしてくるんで安心してください!もしウィーネを狙ってくるファミリアがあれば俺の愉快な仲間達とロキファミリアが粛正するので大丈夫です。てことで新しい家族に乾杯するぞー!!」

 

みんなご飯を思い思いに食べ、酒を飲み楽しむ。みんな笑顔で良い。

 

「ねぇユウお兄ちゃん。ウィーネみんな大好きっ!!」

 

このウィーネの笑顔を守れただけで満足だ。

 

 

ーロキファミリアー

 

「さて。ベートとレフィーヤもいることだし今日の反省と改善点を話し合うよ。流石に今回の結果はロキファミリアの団長として申し訳が立たない。みんな信じて着いて来てくれたのにすまない。」

 

「団長!!そんな、頭を下げないでください!!それよりベートとレフィーヤよ!なんで家族よりヘスティアファミリアを「ティオナ。それはベートとレフィーヤが居ないと何も出来ないと認めているのか?お前がフィンを慕っているのはわかるが、その言葉を認めることはできない。」リヴェリア…。ごめんなさい。」

 

ベートは無視。レフィーヤは何言ってんのこいつ?みたいな顔をしている。

 

「ベートとレフィーヤから見て今回ロキファミリアの改善点がどこか意見はあるかい?遠慮はしなくていい。」

 

「あー。ある程度しか知らねぇから俺の意見の後にすり合わせしてくれ。まずはフィン。フィンは自分で気づいてるだろうがユウの言葉を鵜呑みにしすぎたんじゃねぇか?んでユウだけを意識しすぎた。だから各戦場にヘスティアの主力メンバーが現れてホッとしてユウの行動ばかりに気を取られた。いつものフィンなら助っ人くらい考えがよぎる筈だろ?それはユウも言ってた。」

 

「返す言葉もないよ。その通りさ。そして気づいた時には全てが終わってたよ。」

 

フィンは肩を落としてベートは頷く。

 

「次はジジイ。ババアはレフィーヤに聞け。ジジイはまぁ相手が俺だったからな。子供の成長を見たかったとかそんなんだろ。だから何言っていいかわからねぇ。だがユウも俺もクノッソスでの冒険を知ってる。だからよ、あー。俺はガレスを戦場では誰よりも信頼してる。そんだけだ。」

 

頬を染め、そっぽを向くベート。ガレスはそんなベートの頭をガシガシ撫でる。

 

「ベートさんがあれなので次は私が。リヴェリア様は分かってらっしゃると思いますが近接戦がレベル6にしては拙いかなって思いました。その辺の冒険者や遠征なら他の人もいますし問題無いと思いますが、そのぅ。うぅぅ。」

 

「構わん。続けてくれ。弟子から教わって改善する器量はお前の師匠にはある筈だぞ?」

 

「はいぃぃ。クノッソスで私も怪人と戦闘しましたが私の近接戦闘でも長く戦えば殺されてました。お兄ちゃんが助けてくれましたけど!お兄ちゃんが!!かっこ良かったなぁ。えへへ。あっ、すみません。もしリヴェリア様が1対1になると瞬殺されます。だから避ける技術と自分の間合いを把握すべきかなと思いました。近接戦での間合いが分かっておられないのか所々ぎこちなかったので。」

 

「ふむ。なるほどな。確かにレフィーヤの動きは相手の力を利用したり人体の急所をついて隙を作る戦い方だったな。我々は魔法が主体だからな。近接戦で敵を倒す事にこだわる必要は無いということか。勉強になる。」

 

リヴェリアもレフィーヤの頭を撫で、愛弟子の成長と共に自分がまだ上を目指せる余白に気づき人知れず嬉しくなっていた。

 

「ったく髪ボサボサになったじゃねーか。ユウにせっかく熱風の出し方教えてもらって乾かしてきたのによ。んで次は凸凹アマゾネスか。ユウからの言葉でもいいか?」

 

2人は頷く。

 

「お前ら2人とも本能に任せすぎ。技術が無いから癖多過ぎて次の行動が何したいかすぐわかる。それと頭の中スッカラカンだから相手が何しようとしてるか考えてねーだろ。モンスターは単純だから本能でどうにかなっても俺らが今から戦うのはクノッソスにいる闇派閥連中と怪人だぞ?そのまま行ったらレベル6だけど確実に足引っ張るだとよ。」

 

「そんなこと言われてもこんな戦い方しかしてこなかったから他の事を考える余裕なんてないわよ。」

 

「そーだよー。今までこれでどうにかなったんだから大丈夫だって!!ユウ君は考えすぎなんだって!」

 

ベートはため息をつく。

 

「それで今回レベル2主体のチームにボコられてお前らだけレベル6なのに気絶してたんだろーが。」

 

その言葉に2人は黙る。

 

「フィン。お前ならわかるだろ?考え過ぎと言われるくらい考えないと勝てないって。バカは戦えるけど勝てないよな?」

 

「その通りだよ。ティオナ。ユウ君が考え過ぎと言っていたがその考えられた策にやられたのは誰だ?僕達だろう?僕も考えが足りなかったから負けた。戦いにおいて考え過ぎなんて言葉は無いよ。遠征の時、僕は考えに考え抜いて誰も命を落とさないように策を練るからね。キツイ言い方かもしれないけどティオナが今までどうにかなっていたのは僕の指示と中衛をしてくれてるベートのフォローのおかげだよ。」

 

ティオナはがっくりとし、ティオネは頷き何かを考えている。

 

「とりあえず俺が思うのはテメェ等は考える事に慣れてねぇ。今それを練習しても身体がうまく動かねぇ筈だ。それにテメェ等の本能もたまには役に立つ。だからまずは戦いに使える技術を習ってこい。タケミカヅチ様に金払って教わってきやがれ。あの武神はマジでえげつねぇから。生身で技術だけでレベル3くらいまでなら倒せる。」

 

2人は頷く。まだまだ荒削りなのがわかったし何よりも家族の足を引っ張りたくなかった。

 

「あとはアイズか…。いやアイズに言うこととかねーんだけど。レフィーヤはなんかあるか?」

 

「え、アイズさんですか!?いや特に何も思い浮かぶことがありませんが。」

 

アイズは何か自分もアドバイスもらえるかなーとソワソワしていたので2人の言葉を聞いてガーン!!となる。

 

「えっと、私ベルに負けちゃったよ?」

 

「ああ、あれは気にすんな。マジでユウの余計な入れ知恵だから。ユウも本当にエアリアルの風を無効化できると思ってなかったみてぇだし。だってアイズはベルの技術を盗もうとして盗めてたみたいだしなぁ。」

 

「ですよね。お兄ちゃんもアイズさんのことは天才じゃ生温いレベルだって言ってましたし。」

 

アイズは少しがっかりしてしまうがあることに気づいて相談する。

 

「オッタルさんが、言ってたしゃんぷー?の事教えてください。ベルにそれで、嫌われないって言ってました。」

 

フィン、リヴェリア、ベート、レフィーヤはずっこける。この天然娘はここでその話題をブッ込んできたかぁ。

 

「アイズ。後で私が貰ったやつを貸してやる。それを毎日使うようにしろ。」

 

「あーリヴェリア。それ俺が受け取ってきたわ。それとベルは髪が綺麗なやつが好きらしいぞ?シャワー上がりに熱風使って乾かすと綺麗になるらしいけどな。」

 

「ベートさんっ!それ今すぐ、教えてください!」

 

今まで見た事のないくらいキラキラした目でベートを見るアイズ。ベートはこんな奴を俺は好きだったのかと意識が遠のきかける。するとロキが入ってきた。

 

「おー。やっとんなぁー。ん?アイズたんどしたん?ベートの頭見つめて。あ、ベート。今日も風呂上がり頼むわ!ヘアパックして熱風で乾かしたら神の髪も綺麗になるわ!なんつって!」

 

「ロキ。それ本当?本当に髪綺麗になる?」

 

アイズはロキに詰め寄る。

 

「お、おう。ウチのボケは無視かい。ん?アイズたんも髪気になっとんか?アイズたんはそのままでも綺麗やけどもっと綺麗になるやろなー。ユウたんの持ってくるやつにハズレはないからな!んでなんでそない髪気にしてんの?」

 

「ベートさんが、ベルは髪綺麗な人が、その、好きって言ってたから…」

 

可愛いぃぃぃぃぃ!!アイズたんマジ天使!!ん?ベル?ベルたんのことか?

どーいうことや?とベートを見る。

ベートはアイズを指差して、口パクでベルに惚れたと伝える。

ロキはニンマリする。

 

「ほーん。ベルたんなぁ。でもアイズたんはウチのお気に入りやしなぁー。でもベルたんもお気に入りやしなー。アイズたんが頑張ってベルとデートしたりしてたら許しちゃおうかなー。」

 

アイズは目をパチクリさせ想像したのか顔を真っ赤にする。みんな暖かい目で見守る。ひたすらモンスターを倒し、一時期は人形姫と呼ばれていたアイズがこんなに表情を変えるのだ。可愛くて仕方がない。

 

「あー。なんだアイズ。もし頑張れそうなら俺かレフィーヤに声かけてくれ。一緒にヘスティアファミリアいこうな?ベルは俺の弟子だし2人にするくらい簡単だから。」

 

ベートはユウの言っていた妹は世界一可愛く見えるし世界一可愛いと言っていた意味がわかった。凶狼シスコンの目覚めだった。

 

それからはロキにも話した内容を説明し、ロキも納得していた。ロキファミリアもヘスティアファミリアの様に仲良くなっている。

 

ーユウサイドー

 

次の日、神会があるということなのでバベルの塔にヘスティアと向かう。何故なら呼ばれているからだ。

 

ドアをバーンッ!!と開ける。神様方の目線が集中する。

 

「男神女神の皆様待たせてしまいましたな!!オラリオ1のアイドル!ヘスティアファミリアの愛狂兄貴ことユウ・クラネル只今参上!!」

 

「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!ユウ君キタァァァァ!!」」」」

 

「うわ!俺今日参加しててマジで良かった!」

 

「オラリオの狂気が参戦とは今日の神会ひと味違いますなぁ。ふひひ」

 

うん。大体の神様は受け入れてくれてるな。司会はヘルメスか。よし。

 

「皆様お座りください。円卓会議、あ、間違えた。神会を始めます。ん?ヘルメス君。君なんでそこに座ってるの?早く正座しなさい。」

 

「おお!今日もエンジン全開だな!」

 

「円卓会議。なんかこう心に響くな。」

 

「ヘルメスほんとに正座してて草。」

 

冗談は置いといてヘルメスを立たせて司会をしてもらう。ユウ君が司会で良いと言ってくれる神様も多かったけどめんどくさいのでヘルメスで。と伝えておいたら爆笑された。

 

「えー何か変わったことあったかい?」

 

この質問に色々意見が飛び交う中手をピーンッと上げてアピールする。

 

「え、えーとユウ君。」

 

「はい。昨日、一昨日にモンスターを巡ってロキファミリア対ユウ君と愉快な仲間達の擬似戦争遊戯があった模様です。」

 

「「「な、なんだってぇー!!!」」」

 

「本人がリークする辺りユウ君さすがだな。」

 

「あーそれ知ってるわ。ダイダロス通りのやつだろ?」

 

「あれ?バベルの塔前でユウ君の弟が黒いミノタウロスとやり合ってなかったっけ?あの黒いミノタウロスってロキファミリアの子供?」

 

ざわついているところで手を叩いて注目を集める。

 

「その話をしとかないとオラリオに住んでおられる神々に筋が通らないと思い今日は参加させていただいたんですよ。まず何故そうなったかなんですがウチのファミリアでヴィーヴルをテイムして飼ってるんですよ。その子がまた可愛くて可愛くて。ヴィーヴルが人型になれるの知ってる神様います?それでなんか懐かれちゃって。んでその子。ウィーネって言うんですけど共通語教えてたら覚えちゃって喋れるんですよ。」

 

「「「はぁ!?マジで!??」」」

 

全神様が驚く。

 

「今度いーちゃん、えっといーちゃんってなんだっけ?名前。ああ、イシュタルのやってる屋台に連れて行くんで危険ないので見てもらっても大丈夫ですよ。んでその可愛いウィーネが闇派閥のアホどもに奪われて額の石取られて暴走したんですよね。あ、暴走はゲンコツしたら治りましたんで。ついでにイケロスんとこのレベル5もウチの弟が蒸発させたみたいです。その暴走してるウィーネを見て僕らがモンスターを庇ってる怪物趣味だー!って勘違いしてたんでめんどくさくなって擬似戦争遊戯をしたってわけです。」

 

「説明すればユウ君ならわかってもらえるのにあえてしないでロキと喧嘩するのに憧れない。」

 

「うん。ツッコミどころが多いけどユウ君だからで納得する俺らがいる。」

 

「そーいや商店街でハーピィが歌ってたけど上手いしそれもユウ君がギルドに申請した帰りだったらしいな。ガーゴイルの羽に子供のせてたのは笑った。」

 

うむうむ。上手いことまとまったな。ロキ様も質問に上手く答えてくれてるしこれでウィーネを外に出せる。

 

「ユウ君!それは全然面白いから良いし今度イシュタルの屋台見に行くけどさ結局どっちが勝ったの??」

 

この質問にロキ様は顔を歪める。俺は満面の笑みで答える。

 

「もちろんユウ君と愉快な仲間達ですよ!ロキ様のトリックスターの称号は俺のものになりました!」

 

え?ロキ負けたの?あのロキファミリアが?という空気になる。ロキ様は机を叩いて立ち上がる。

 

「あんたらに忠告しといたる。マジでユウたんをなめとったらあかん。普段はええ子やし一緒におったら楽しいわ。ほんでも絶対に敵対はすんな。この子と弟はマジで敵に容赦ないで?さっきイケロスんとこのレベル5の話出たやろ?蒸発ってどっかに行くって意味やないで?大火力で文字通り蒸発させたんや。ほんでユウたんやけどな。トリックプレーはウチもウチのフィンもボロクソにやられた。しかも戦闘もエグい。オリハルコンあるやろ?魔法でチリにしとったで?」

 

全員ドン引きである。この兄弟怖すぎるんだけど。そこに1人の男神が立ち、口を開く。

 

「俺が!ガネーシャだっ!!」

 

「すいません警備員さんここに民衆の変態の神がいます。捕まえてください。」

 

全員ドン引きしてたのに大爆笑だ。それでもガネーシャ様はうろたえない。

 

「俺はガネーシャだっ!!変態ではない!!」

 

「そんな変な仮面被って筋肉モリモリで大声で叫ぶやつは変態なんですよ。ガネーシャのガネーシャがパオーンってか?」

 

「ガネーシャにちゃんと対応してるだと!?」

 

「よく聞け。ガネーシャのガネーシャがパオーンって言ってるぞww」

 

「くくっガネーシャのぷっ。ガネーシャww」

 

全員笑いを堪えながら下を向いて震えている。

 

「お、俺がガネーシャだ…」

 

ガネーシャが負けたぁぁぁ!!あんなガネーシャ始めて見たwwと大好評である。

 

「そ、それでだな。ユウ・クラネル!!君がテイムしたというヴィーヴル「ウィーネ」ウィーネくんを見せて貰いたい!!」

 

「え?嫌ですよ。なんで可愛いウィーネに変態を見せなきゃいけねーんだよ。寝言は寝て言え。」

 

おい見ろよ。ガネーシャがパオーン↓↓になってんぞ。でもユウ君の気持ちはわかる。俺もウィーネちゃん気になるもん。

 

「ユウ君。ガネーシャのとこはテイムが上手いから怪物祭もやってるんだしウィーネ君を見せてあげなよ。ガネーシャは馬鹿だけど良い奴さ!」

 

「ヘスティアがそう言うなら…。おいパオーン。ウィーネをその大声でビビらせたらその仮面の鼻切り落としてやるからな。」

 

「う、うむ。善処しよう。あとで日程は教えてよう。俺が!ガネーシャだ…」

 

ガネーシャあんだけ自己紹介してんのにパオーン呼ばわりじゃんww

俺も今度からパオーンって呼ぼ。

 

 

「それじゃヘスティアファミリアには敵対しない!ウィーネちゃんに会いたいなら屋台に行く!誰かがウィーネちゃんに危害を加えようとしてたら俺達が守るで良いかい?」

 

「「「おっけぇー!!」」」

 

「よーし。オラリオ1のハイセンス。ユウ君もいるし命名式を始めます!」

 

「「「いえーーーい!!!」」」

 

「それじゃ最初は……」

 

時々意見を出しつつ知ってる神様のところが話題に上がり始める。

 

「次は、お、ロキのところは4人か。ベート・ローガとヒリュテ姉妹とレフィーヤちゃんかぁ。」

 

「うわロキんとこすげぇな。レベル6が3人と4が1人かよ。」

 

「せやろ?せやろ?ほんまにウチの自慢の子供やねん!あ、あとレフィーヤやねんけどユウたんの妹やからあんたら気をつけときや?」

 

え?と言う言葉と共にシーンっとなる会議室。前回の事件を思い出したのかディアンケヒトは汗をかき始める。

 

「この!可愛い!レフィーヤ・ウィリディスは俺の妹です。もちろん変な名前なんて。ねぇ??」

 

神々は全員高速で首を縦にふる。

 

「つーか無理に変えなくて良くない?凶狼だけ弟君の師匠で炎と雷を脚に纏わせてたらしいし似せて「炎雷狼」とかにすれば?」

 

「うわそれめっちゃかっこええやん。ウチ気に入ったわ。ユウたん。ベルたんとほぼ一緒になるけどええか?」

 

「お兄ちゃんポイントプレゼントしちゃうレベルでオッケーです。いーちゃんあの男神様屋台きたらタダで食べさせてあげて。」

 

みんないい名前だとお好み焼きがタダで食べれると聞いて張り切り始めたww

ユウ君なんかインスピレーションをくれと言われたので答える。

 

「ティオナは大切断だっけ?大平原で読み方をマナイーター。ティオネは怒蛇はそのままで読み方をヤンデレ。」

 

全員大爆笑の上納得している。ロキ様納得してグーサイン出してる場合じゃないからこのまま決まったらやべぇから!!

 

「ま、まぁあの2人とレフィーヤはそのままで良くないですか?変えて恨み買いたくないですし」

 

と言うことで保留。

 

次はウチかぁ。ウチはヴェルフとクラネル兄弟だ。

 

「えーとユウ君?ユウ君とベル君この前の神会でレベル2になってたよね?なんで1つ飛ばしてレベル4になってんのぉぉぉ!?」

 

「だってベルはベートさんと毎日手合わせして怪我を負わせるようになってレベル3になって擬似戦争遊戯でアイズとタイマンして勝ったらしいですし。俺もレベル2から闇派閥とか闇派閥とかウラノス引っ叩いたりしたら上がりました。」

 

神々全員がん???となる。今ユウ君ウラノス引っ叩いたって言わなかった???

 

「あー!忘れとったぁぁぁ!!そやそや!あんたらに朗報やでぇ!!ウラノスおるやん?あのギルドの主神の。アイツガイアの旦那でいらん事して去勢されとるらしいでww」

 

ウッソだろおい!!マジかよ!!なんてネタだよ!!

 

「ロキそれ本当なのか?誰が持ってきたネタなんだ?」

 

「おう。ユウたんの地元ではアイツ有名らしくてな。ウチらが下界に降りてくる前から言い伝えであったらしくてな。ユウたんが直接聞きにいってウラノスめっちゃ焦っとったで!」

 

全員ニヤニヤし始める。特大ネタすぎて大興奮である。

話を元に戻す。

 

「ぷっ。なるほど。ウラノスぶふっ。をいじめてたらレベルが上がったと。うん俺らが認める。完全なる偉業だわ。」

 

「ぶふっ。確かに偉業すぎる。闇派閥を殲滅とかより偉業だな。んでもう1人は鍛治師のヴェルフってやつか。」

 

「ヴェルフはヘファイストス様に「あなたに鍛えられた俺の熱は冷めない」って遠回しにプロポーズした模様。させたのはわたくしことユウ・クラネルだった模様。その時ヘファイストス様は真っ赤に照れていた模様。以上現場から中継でしたー。」

 

「ユウ・クラネルゥゥゥ!!!あんたついに私にまで手を出しに来たわね!!」

 

「いや手を出すなんてそんないやらしい言い方止めてくださいよ。ヴェルフに失礼でしょう。それに俺ババアはお断りなんで。ヘスティアなんかこんなロリなのにババアですからね。これだから神ってやつは。」

 

ふぅ。やれやれみたいなジェスチャーをするユウ。男神様方笑いを必死に堪える。ここで笑うと全てが終わる。女神様方はフレイヤが笑いを堪えているのを見て、ああいつもこう言うこと言ってる子なのねと思う。

 

「あ、あなた今私をババアって言った!?」

 

「うん。え?ヘファイストス様いくつですか?35歳以下なら謝ります。教えてもらえます?」

 

え、あ、う。とオロオロし始めるヘファイストス様。そこでヘスティアは席を立つ。

 

「ユウ君そこまでだよ!ヘファイストスは僕の神友なんだ!!僕はババアって言われても気にしないけどこれ以上ヘファイストスをいじめないでおくれ!」

 

ヘスティア…と感動するヘファイストス様。

 

「っと、下界に降りてきた当初ヘファイストス様の脛をかじりまくって歯が骨まで達しそうになってもガジガジして放り出されるニートだった我等がヘスティアが言っておりますのでこの辺でやめときます。ヘファイストス様すんません。」

 

ゲラゲラと笑いに包まれる会議室に気まずい空気のヘスティアとヘファイストス。

 

「とりあえずヴェルフ・グロッゾは不冷に決定。次はベル君だけど、炎雷狼とセットにしたし変えなくていいだろ。最後にユウ君だけどどうする?」

 

「え?俺なんやかんや気に入ってたんだけどなぁ。なんか意見とかあります?」

 

ここぞとばかりにヘファイストス様とヘスティアが色々言うが哀しいかな。根が真面目すぎて全然面白くない。そのまま伝えると落ち込んでいて爆笑されていたけど。

 

 

ロキ様とフレイヤちゃんが決めた「雷帝(ライテイ)」となった。普通すぎてつまらなかった。

 

神々が玩具とかの方が良かったけどみんなに勘弁してくださいと言われたからやめておいた。

 

神会も終わり皆様に今度屋台行くねと声をかけてもらった。神様連中にはお世話になっているのでサービスしとくようにいーちゃんに言っておく。

 

ヘスティアとヘファイストス様に怒られたけど満足な1日だった!!




神会も入れちゃったよ!!

読んでくれてる方すみません!昨日は1話しか更新できませんでした!

1日2話を目標にしてますが忙しいと1日1話になるかも知れません!!


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ヘスティアファミリアの優雅なる日常!?優雅ってなんだっけ?

ユウ君のクノッソス編とベル君のダンジョンの前にちょっとした閑話を。

ソードオラトリアで原作の異端児編と並列してクノッソスの二次侵攻がありましたがちょっとだけ時期をずらしてみます。

いいよね??


異端児とのゴタゴタや、ロキファミリアとの擬似戦争遊戯が終わり束の間の休息を得たヘスティアファミリア。皆が思い思いの休息を過ごしている。

 

「おい。ベル。悪いが俺は今日予定がある。代わりにこいつ連れてきたから今日は鍛錬止めてどっか行ってこい。おい!アイズ!俺に隠れてねぇでちゃんとベルと話しろ!!尻尾を掴むな!!」

 

なんとアイズがベートの影に隠れて尻尾を掴んでいる。それを見たユウは大爆笑でベルはアイズさんだー!と喜んでいる。

 

「ベル。お兄ちゃんがお小遣いあげるからアイズに色々ご馳走してあげな?俺と一緒に行ったとことか紹介してあげな。俺はウィーネと一緒に屋台行くから。」

 

ベルは頷きアイズに話かける。アイズも恥ずかしがってはいるものの楽しそうにベルと話をする。

2人にバレないようにベートさんにグーサインを出す。ベートさんもニヤッと笑い頷く。

 

「アイズさん!アイズさん!お兄ちゃんとよく一緒に行くカフェとか行きましょう!僕用意してくるので待っててください!」

 

ベルは部屋に駆け出していった。ユウはニヤニヤしながらアイズに話かける。

 

「んー?天然娘ちゃーん?ベルと話をしてる時楽しそうだねぇ〜??ベートさんの尻尾掴んじゃって可愛いじゃなーい。ベートさんに連れて来てもらったの?」

 

「あ、あの。はい。ベルといると、胸がポカポカします。それに、最近のベートさん、レフィーヤが言ってるユウさんにそっくりで…。お兄ちゃん?みたいで…」

 

頬を染めながら言うアイズに2人のバカは吐血した。バカ二匹はコソコソと話をする。

 

「おぃぃぃぃ!!バカ狼!何したんだよ!!オラリオ1のブラシスコンを自負する俺でも大ダメージだったぞ!!なんであいつあんなに妹属性手に入れてんだ!!」

 

「てめぇぇぇぇぇ!ついにタメ口になってバカ狼とまで言いやがったな!!いや、それよりもユウの言ってたことが良くわかった。……妹っていいな。」

 

バカ二匹は熱く手を取り合う。アイズはこてんと首を傾げている。

 

「う、うん。もう天然娘とは呼べんな。アイズ。ベルのお兄ちゃんとお前のお兄ちゃんベートさんからアドバイスだ。今からお前はベルとデートだ。そこで!ベルと手を繋げぃ!!ベルと手を繋ぐともっと胸がポカポカするぞ?それにデートでは手を繋ぐのが基本中の基本だ。」

 

アイズはコクリと頷いて目からやる気が漲っている。バカ二匹は笑いを堪えているが。ベルがやってきた瞬間アイズはベルに言う。

 

「ベル?手繋ご?デートはこれが基本。」

 

ふんす!と今仕入れた知識を真面目な顔をしてベルに伝える。兄2人は大爆笑だ。ベルはアタフタしているが。

 

「ほれベル。こんな可愛い女の子が手を繋ぐと言ってくれてんだ。手繋いでさっさと行ってこい。あ、でも豊穣の女主人は行くなよ?小悪魔アザトースが倒れる。」

 

ベルは首を傾げながら行ってきます!と笑顔で言い、アイズと手を繋いで出かけた。

 

 

「ベートさん。あんたの妹はさいっこうだよ!!」

 

「や、やめろ。くく。腹いてぇ。ギャハハ!!アイズのあの真面目な顔見たかよ!?「デートはこれが基本。」ぷっ。ンなわけねーだろ!ギャハハ!!」

 

こいつら外道にも程がある。ひとしきり笑ったあとベートが言いづらそうにリリを呼んでくれと頼む。疑問に思いつつもリリを呼ぶ。

 

「ベート様がリリに用事があるなんて珍しいですね?どうしたんですか??」

 

「おう。悪いなリリ。いやなんだ。擬似戦争遊戯あっただろ?それの反省会みたいなのがあったんだけどよぉ。そこでフィンに同じ小人族の錯乱にやられてざまぁねえなとか言っちまってな。フィンがリリの事気にし始めて会いたいらしいんだよな。悪いけど会ってやってくれねぇか?」

 

リリは固まる。ちょっと前まで底辺の底辺にいたと思っているのにオラリオ1有名と言って間違いない小人族の英雄のフィンが会いたいと言っているのだから。

 

「いいじゃん。リリ。会ってこいよ。フィンさんも同族として、勇者として今回勇気を示したリリが気になるんだろーよ。ついでにレベル1の小人族なめんなって言ってこい。」

 

リリは戸惑いながらも頷く。ベートさんが連れて行ってくれるみたいなのてそこで別れる。

 

ーベルサイドー

 

アイズと手を繋いでニコニコしてるベルと頬を染めながら笑顔のアイズが商店街を歩く。

 

「おやおやベルちゃんじゃないか。えらいベッピンさんを連れてるねぇ。デートかい??」

 

「おばちゃん!!こんにちわー!うん!ロキファミリアのアイズ・ヴァレンシュタインさんだよ!今日はねデートなんだって!お兄ちゃんが言ってた!」

 

「そうかいそうかい。楽しそうで何よりだよ。みんなー!あたしらのベルちゃんがデートしてるよー!サービスしたげなよ!」

 

おお!あのベルちゃんがデートかい!大人になったもんだ!ベルちゃんウチに寄っていきな!など声をかけられる。ベルはニコニコしながらみんなと話す。アイズはベルは人気者なんだね。と自然に笑う。

 

「おう!炎雷兎じゃねーか!げぇ!!剣姫!?ん?手を繋いでる?なんでぇお前ら付き合ってんのか。そういやリヴィアでも一緒にいたな。」

 

「あ!モルドさん!お久しぶりです!今日はアイズさんとデートです!」

 

モルドは驚きながらも話する。

 

「そうかそうか!おい剣姫!リヴィアの街にいる冒険者はみんなクラネル兄弟を英雄だと思ってる!炎雷兎のこと頼んだぞ!んじゃ邪魔しちゃ悪いから俺は行くわ!またな!」

 

アイズは頷きベルは手を振って別れる。ベルはユウと良く来るカフェに入る。コーヒーとケーキを頼んで一緒に食べる。

 

「ベルは、人気者なんだね。私始めてゆっくり商店街を歩いたけど、あんなに声かけてもらったの、始めてだった…」

 

「えへへ。お兄ちゃんの屋台もありますしファミリアを立ち上げたときにあの商店街で良く買い物したり休みの日にお兄ちゃんと一緒におじちゃんとおばちゃんと話をしに行ったりしてましたから!アイズさんも覚えてもらってますから今度行ったら声かけてもらえますよ!」

 

「うん。今度ロキファミリアのみんなと行ってみる。ベル。いろんなものを、見せてくれてありがとう。」

 

花が咲くような笑顔でアイズはお礼を言う。ベルはその笑顔に見惚れる。

そのあとは買い物をしに行く。

 

「アイズさんアイズさん!これ似合いそうですよ!僕は物の良し悪しはわからないですけどこれはアイズさんに似合うと思うんで今日のデートのお礼にプレゼントします!」

 

戸惑っているアイズを放置してベルは店員さんに声をかけてネックレスを買う。

 

「え、えっと、私がデートに誘ったし、悪いから…」

 

「僕も楽しかったですから!良いですよ!!」

 

アイズは黙って何かを考える。アイズたーん!ベルたんと同じものをお揃いで持ってると嬉しくならんか?ロキの言葉を思い出す。

 

「あの、店員さん。同じやつもう一つ、ありますか?」

 

店員さんは剣姫に声をかけられ、驚くがアイズの考えが分かったのかニンマリと笑い、ありますよと伝える。アイズはそれを買いベルに渡す。

 

「えっと、私も楽しかったから…。それにベルとお揃いの物を、持っていたいから…。」

 

「アイズさん…!ありがとうございます!僕もこれ大切にしますね!えへへ!お揃いだー!」

 

ニコニコしてるベルを見て買って良かったとアイズは思う。そしてベルとお揃いのネックレスをつけれて顔がにやけてしまう。

 

この店でそのやり取りを見ていた店員、客は砂糖を吐きそうになっていたのは蛇足だ。

 

 

ーリリサイドー

 

リリはベートに連れられてロキファミリアのホームではなく小人族専用の喫茶店に来ていた。

 

「俺はここには入れねーからフィンが中に居るから直接行ってくれ。もうお前は雑魚じゃねーんだ。あのフィンにもひと泡吹かせれるんだから自信もて。んじゃな。」

 

リリはベートの言葉に勇気をもらい入って行く。奥の席にメガネをかけ、本を読んでいるフィンがいた。

 

「あの…ロキファミリア団長のフィン・ディムナ様ですか?ヘスティアファミリアのリリルカ・アーデです。」

 

「ん?ああ!君が!いや急なお誘いをして申し訳ないね。ロキファミリアのフィン・ディムナだ。来てくれて本当に嬉しいよ。さぁ席に座ってくれ。」

 

「ベート様からリリにフィン様が話をしたいと伺って来たのですが、何かありましたか?」

 

「いや、ね。僕と同じ種族の子にしてやられたのは初めてだったからね。どんな子がユウ君達と一緒にいてあんな錯乱作戦を思いついたのか気になってね。」

 

フィンは苦笑しながら偽りのない本心を吐露する。

 

「なるほど。フィン様はロキファミリアをオラリオトップにした団長ですからね。リリの予想が正しかったと思います。リリはあの時フィン様の考えを追いかけていました。フィン様は冒険者様ですからね。それにユウ様への対抗意識がお強いだろうと。だからこそ底辺を生きてきたリリの姑息な考えは思いつかないだろうと。リリはフィン様とユウ様の様に強くはありません。ですが弱いなりに知恵を絞り生き抜いてきたんですよ。」

 

フィンはリリの真剣な眼差しに射抜かれごくりと喉をならす。

 

「フィン様は小人族ということでオラリオに来た当初侮られたりしませんでしたか?」

 

「そう、だね。たしかにファミリアに入るのも苦労したよ。ロキに拾ってもらえたのは今でも感謝してるよ。」

 

「その時フィン様はどう思いましたか?」

 

質問の意図が読めないフィンは素直に思ったことを言う。

 

「僕はね。小人族の夢になりたいんだ。小人族でもここまでなれるってね。だから全ての人を見返そうとしたよ。幸いにもリヴェリアとガレスっていう仲間がいたからね」

 

昔のことを懐かしそうに言うフィン。ああ。この方は恵まれていたんですね。だからこそ世界の弱者であったリリの考えは分からないんですね。そう思い口を開く。

 

「フィン様。1人の小人族の少女の話をしましょうか。ある少女はオラリオでファミリアに入っている両親から生まれ、そのファミリアに生まれた時から加入している状態でした。ですがその少女の両親は酒に溺れ、モンスターにすぐ殺されてしまいます。そのファミリアの人達は小人族の少女は使えないとご飯すら与えません。少女はそれが普通の事だと思いながら育ちます。」

 

一息ついて紅茶をのむ。フィンは黙って話を聞く。

 

「その少女はそのまま大きくなり冒険者の才能も無くサポーターとして生活していきます。ですが冒険者から分け前をもらえない時もあり生活が苦しくなります。それから冒険者を憎む様になりました。信じれるのは自分とお金だけだと。そんな底辺を生き抜いてきた少女はある日2人の冒険者に出会います。ずっと欲しかった暖かさをもらい、助けてもらえます。」

 

リリはフィンを見る。

 

「もうお分りでしょうがその少女はリリです。仲間もおらずただ搾取されるだけの存在でした。そんな底辺に生まれて底辺を生き抜いてようやく仲間とは何かを知ったリリの考えを恵まれているフィン様は理解なんてできませんよ。逆にリリはフィン様に似ているユウ様を近くで見てきています。だからこそフィン様の考えを追いかけれる。そしてフィン様の想像できない搦め手を考えれます。」

 

フィンは目を閉じて納得する。これでは僕が勝てないわけだと理解した。

 

「そうだね。リリルカさんの話を聞いていると僕は恵まれてるしまだまだ考えが甘いみたいだ。ありがとう。すごく勉強になったよ。」

 

「あ、リリで良いですよ。フィン様は小人族の英雄です。それは間違いありません。ですがリリの英雄は弟と妹馬鹿のお人好しと幸運の白兎なんですよ。でも、だからこそ、フィン様の夢が他の小人族の励ましになると思っています。ですから迷わないでください。ユウ様やリリに一度出し抜かれたくらいで折れるような勇者様ではないでしょう?」

 

リリは最後に満面の笑みでそう告げる。フィンはリリと話をしたいと言った。それは間違いない。何故そんな策が取れるのか聞きたかった。それも間違いではない。だが本心ではこのまま進んでいいのか迷っていた。言い方は悪いがオラリオに来たばかりのユウとレベル1の同族にプライドを粉々にされたのだ。迷うのも無理は無かった。しかしリリには見透かされていた。フィンは思いっきり笑った、

 

 

「あははは!!ここまで同族の、それも歳下の女の子に見透かされるなんてね。思いもしなかったよ!!ああ。リリさんにここで誓おう。僕はもう迷わない。前を見据え進むよ。」

 

「大丈夫ですよ。フィン様。フィン様にはコケて倒れても立たせてくれる、支えてくださる仲間達がいるでしょう?リリも最近あのファミリアで過ごして気づきました。」

 

「ああ。ああ!その通りだとも。何を悩んでたかなぁ僕は。清々しい気分だよ。リリさん。本当に感謝するよ。とても有意義な時間だった。」

 

「いえ。天下の勇者様にそう言われるなんてリリはリリが誇らしいです。一生の宝にしますよ。」

 

フィンは苦笑いする。だが本当にリリと話をしていると頭が良いのだろう。すごく自然体で話をすることができた。フィンは楽しくなり色々ユウの話や自分のファミリアの話をリリとした。

 

「おっともうこんな時間か。すまない。自分でも想像してなかったが楽しくなっちゃったみたいだ。長時間拘束してしまったね。」

 

「いえいえ。リリもフィン様と話できて楽しかったですよ。ホームだと鍛錬馬鹿しかいないのでこんな話も夕食の時くらいしかできませんからね。」

 

フィンは静かに思案する。

 

「あの、リリさん。お互い時間がある時で良いのでまたこういう機会を設けさせてもらってもいいだろうか?」

 

「ええ。構いませんよ。ですが1つ本気でお願いしたいことがあります。それさえ問題なければリリは大丈夫です。」

 

フィンは何か態度が悪かったか?と思い聞く。

 

「リリも命が大切なので怒蛇様だけにはぜっっったいにバレない様にしてくださいっ!!」

 

ああ。その問題があった…とフィンはトオイメをする。

 

「確実に内緒にしておこう。ティオネはまずい。本当にリリさんが危ない。もし何かをされそうになったらいつでも言ってくれ。これはロキにも話を通しておくよ…はぁ」

 

フィン様も大変ですね。と苦笑いするリリ。会う時はベートを使うといいフィンは別れた。

 

フィンは気づいていないが自らの夢の1つの伴侶を見つけた。だがこのショタアラフォー。哀しいかな。恋愛経験がなさすぎて次の機会を設ける為に必死だった。

フィンは笑顔でホームに戻りロキに話をして本心に気づかされるのは後の話。

 

 

ーユウサイドー

 

「ほらウィーネ。おばちゃんに挨拶して?」

 

「こ、こんにちは。ウィーネだよ!ユウお兄ちゃんに連れて来てもらいました!」

 

「おばちゃんこの子ウィーネっていうんだけどモンスターなんだよね。人言教えたら喋れるようになっちゃった☆絶対人を襲わないからよろしく!」

 

「まぁ可愛らしい子ね。ユウちゃんがそう言うなら大丈夫ね。ウィーネちゃんこれ食べるかい?」

 

ウィーネを紹介する為に商店街に連れてきている。ウィーネもおばちゃんからもらった果物をおいしそうに食べてる。

 

「まさかこんなに可愛い子がモンスター、それも竜だとは思わなかったわ。みんなに紹介してもいいかしら?」

 

ユウが頷くとおばちゃんはウィーネと手を繋いで色んな店に顔を出し始めた。ウィーネは色々気になるのかおばちゃんにあれは何?これは何?と尋ね、おばちゃんやおじちゃんが孫を可愛がるみたいに教えていた。

 

「いーちゃん。ウィーネを俺らがホームを空ける間ここの屋台の手伝いで任せてもいい?」

 

「ああ。あの子は可愛いからね。ほら他の神々も餌付け始めたよ。一応護衛に誰かつけてほしいんだが。」

 

護衛か。考えてなかったな。んーリューさんに聞いてみようかな。母さんに事情説明したらどーにかなんねーかな。

いーちゃんに今から聞いてくると伝えてウィーネと店が閉まるまで一緒にいてもらうことにする。

その足で豊穣の女主人に向かう。

 

「母さん久しぶりー!ちょっと相談があるんだけど今いい?なんなら厨房も手伝うし!」

 

「ん?ユウかい?噂は聞いてるよ!全くあんたは。厨房に入りな!話は聞いたげるよ!」

 

事情を説明するも呆れられたが納得してリューさんが頷いたら良いと許可をくれた。

リューさんに事情を説明する。

 

「全く。ユウさんは本当に常識の通じない人だ。神イシュタルとウィーネというヴィーヴルを店の帰りだけ護衛すれば良いのですね。料理の師匠の頼みだ。承りましょう。」

 

「18階層で言ったことを持ち出されるとは。恥ずかしいじゃないですか。頼みますよ。美人な弟子さん?」

 

2人は笑い合う。ミア母さんに話を伝え許可をもらいウィーネを迎えにいく。神様方どんだけウィーネにメロメロなんだよ。あげるものを持って並ぶんじゃねぇよ。

 

「おお!ユウ君!ウィーネちゃんに会いに来たよ!めちゃくちゃ可愛いじゃないか!!」

 

「当たり前じゃないですか。俺の妹ですよ?あーあーウィーネ困ってるじゃん。すみません。少し行ってきます。」

 

群がる男神様達を落ち着かせる。ウィーネは抱きついてくる。そのまま抱っこしてやる。

 

「あーすみません男神様達。見ての通りなので今日は遠慮してもらえるとありがたいです。明日からイシュタルの屋台でウィーネもいるので節度を守ってまた相手してやってください。」

 

「「「おっけぇー!!」」」

 

これは親衛隊を作るしかないな!おお!それはいい!ユウ君、いやユウ様とお呼びしよう。新しい出会いに今日は乾杯だな!

 

口々に感想を言って帰っていく男神様達を見てウィーネは良い神様ばっかりだったという。ウィーネの頭を撫でてやりいーちゃんにリューさんの話を伝えておく。

 

それから3人でウィーネを真ん中に手を繋いで帰ったのだった。

 

ーヘスティアホームー

 

「てことでみんなウィーネを受け入れてくれたよ。男神様達はみんな可愛いって興奮してたけどな。」

 

みんなウィーネを受け入れてくれたのが嬉しいのかウィーネの頭を撫でる。

ん?ベルあんなネックレスしてたっけ?

 

「ベルそのネックレス買ったのか?似合ってるぞ!」

 

「うん!アイズさんに似合うと思って買ったらお揃いがいいってアイズさんも買ってくれた!」

 

全員飲んでたお茶を吹き出す。特にベートさん。霧吹きみたいになってんじゃねーか。

 

「ゴホッゴホッ。そ、そうかアイズも成長したな。ベル。アイズの事頼むぞ。」

 

「はい!これからもっと強くなってアイズさんも守ります!」

 

そーじゃねーよ。天然と純粋くっつけるのしんどいよ…。一同同じ事を思っていた。

 

「そーいやリリはどーだったんだ?ユウ君気になります!」

 

リリがあった事を全て話してくれる。リリの過去のところはボカしたが、ベートさんと顔を見合わせる。

 

「ベートさんちょっと、オタクの団長様…」

 

「あ、ああ。あれだな。おう。間違いねぇよ。」

 

「「惚れたなあのアラフォー。」」

 

2人は頷きニヤける。

 

「ベート君。明日の夕飯わかってるね?」

 

「ベート・ローガ了解した。」

 

2人は握手をする。それを見た神様二柱はため息を吐く。ベート君段々ユウ君に毒されてきてないかな?たしかにずっと一緒にいるから仕方ないかもしれないけど。

 

そんなことを思うヘスティアだった。

 

 

ーロキの私室ー

 

「な、なぁフィン?そない落ち込むなや?な?今までダンジョンとファミリアで手一杯やってんから仕方ないって。幸いにもヘスティアファミリアは仲が良いんやから問題ないやろ?」

 

「いやロキ。この年齢で恋してるのに気づかず他人に言われて気づくのはキツイよ…」

 

ロキにあったことを伝えると余りにも嬉しそうだったのか恋してるやんと言われたらしい。

そして気づいてなく、次にどうすれば会えるかばかり考えていた。恋は盲目とは良く言ったものだ。

 

「フィンにも春が来たか。お前の夢を知っている私からすれば嬉しい限りだがな。しかし問題はフィンではなくティオネだな…頭が痛い。」

 

「そこはリリさんにも釘を刺されたよ。命が大切だと…」

 

ロキ、フィン、リヴェリアはため息を吐く。フィンの事になるとバーサーカーになるやつが1番フィンの恋路成就の邪魔だった。

 

「もうハーレムルートしか残らんのちゃうか?」

 

「ロキ。本当に恐ろしいからやめてくれ。それに僕はティオネを子供としか思えないんだ。」

 

 

その時ドアが開く。そしてベートとユウが入ってくる。

 

「「話は聞かせてもらった!あとは俺たちに任せろ。」」

 

「とりあえずフィンさん。明日からウチで飯食いなよ。あのヤンデレこの前から俺に近づかなくなったからね。間違いなくウチのホームには来ない。」

 

「それに俺がユウんとこに行く時に一緒に行きゃいいだろ。リリもフィンと同じシャンプーと洗剤使ってんだ。アイツの意味わかんねぇ匂い対策も問題ねぇ」

 

 

フィンは立ち上がり2人と握手する。

 

それを見て大爆笑しているロキと苦笑いしているリヴェリアがいた。次の日にフィンが緊張しながらヘスティアファミリアでご飯を食べるのは蛇足だ。




あれ?ベルとリリ普通にデートしてやがる。妬ましい!!

ベル君がお兄ちゃん大好きで鍛錬馬鹿なのでリリはフィンに行った模様ww

暴走しました。本当に申し訳ない!!


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クノッソス侵攻の話し合い?いやお見合い?

前回に引き続きちょっとした日常を入れます。

少し話を進めるかもしれない。いや進むかなぁ?

進まなかったらごめんなさい!!


リリの話を聞いてベートさんと一緒にフィンさんを攫ってきた。今日の昼に会ってたから気まずいと騒ぐフィンさんの耳元で囁く。

 

「あれ?ウチのリリちゃんはベルのパーティの頭脳だぞ?クノッソス侵攻に俺が行くことを伝えてどんな作戦を勇者が立てるか勉強しろって呼び出したりできるぞぉ?」

 

「リリは頭が切れるからな。あいつがいると俺らが見てない視点からの意見を貰えるかも知れねぇなー。まぁ俺の所属するファミリアの団長様が嫌って言うなら仕方ないけどなー。「今日のリリさんの話を聞いて頭が切れることを十分理解した。僕はリリさんを認めているから参加してくれ。」とか言われたらリリのやつ喜ぶだろうなぁー」

 

腐れシスコンの馬鹿二匹の言葉がフィンの脳に入り込む。フィンは思った。リリさんは昼間僕の言葉を一生の宝にすると言った。そこで僕が認めているからと言えば?喜んでくれるかもしれない!!

 

「よし。二人共。すぐにヘスティアファミリアに行くよ。リリさんの睡眠時間を削っては申し訳ない。あ、あとやっぱり少し恥ずかしいからロキも連れて行こう。うん。主神もこの話し合いには必要だよね。」

 

「「なんでそこでヘタれるかなぁ?このヘタレアラフォー。」」

 

「う、うるさいよ!!君達だって女の子とデートとかしたことないだろう!!」

 

「アスフィ。リューさん。」

 

「レナ。リーネ」

 

フィンさんはうなだれた。え?てかリーネさんとデートしたの??

おう。なんかガレスと戦った後ケーキ屋行ったぞ?

 

「フィンさん。とりあえず行きましょう。これ以上傷を増やさなくていいでしょう。」

 

うなだれているフィンさんをベートさんが抱えてロキ様を呼びに行く。ロキ様に説明すると笑いながらフィンの為に行ったるわと言いついてきてくれた。

 

ヘスティアファミリアのホームに着くとヘスティア、いーちゃんをまず俺の部屋に呼ぶ。つかフィンさんそわそわし過ぎてて鬱陶しいわ!!

 

それからリリの部屋に1人でいく。

 

「おいリリいるかー?」

 

「はい?ユウ様どうかしたんですか??」

 

「うん。俺がロキファミリアと今一緒に闇派閥をボコってんの知ってるだろ?それでちと詳しい事をベルのパーティの頭脳のお前にだけ伝えとこうと思ってな。俺が助けに行けるのとハナから行けないってわかってるとお前らのパーティの作戦も変わってくるだろ?んで今フィンさんとロキ様も俺の部屋にいるから一緒に聞いとけ。」

 

「たしかに何かあって救援要請する時にユウ様がいないと考えれるのは大きいですね。わかりました。そ、その着替えて行くのでちょっと待ってもらってもいいですか?フィン様もロキ様もおられるようですしやっぱり神様の前では綺麗にした方がいいですしね!」

 

はいはい。部屋で待ってるわーと言いダッシュで部屋に戻る。

 

「クククク。はぁーはっはっは!!フィンさん。リリルカさんはお着替え中です。フィン様とロキ様がいるのなら綺麗にした方がいいらしいですぅ〜!!いつもこ汚えフード被ってんのにな!!買い替えてやるって言ってんの……フィンさんフードあいつに買ってプレゼントすれば?この前はありがとうとかテキトーに言って。」

 

「え?え?本当に言ってるのかい??」

 

「フィン。ベルはアイズとペアネックレス買ってたぞ。それにどこでも勇気を出せねーで何が勇者だよ。そこでヘタれる団長なんて俺は認めねぇ。」

 

フィンさんはあたふたして神様連中と俺たちが笑いを堪えているのに気づかない。この人恋愛関係ポンコツすぎるww

 

「ユウ様?リリです。入ってもよろしいですか?」

 

入室を許可すると可愛らしい服を着たリリだった。

 

「おーリリ可愛いじゃん。この前買いに行ってたやつか?似合ってんぞ。ね?フィンさん。」

 

見惚れて固まっているフィンさんの足を軽く蹴る。

 

「う、うん。すごく可愛らしいし似合ってると思うよ。僕はあまり服について詳しくないけどその服はリリさんに良く合ってる。うん。」

 

「あ、ありがとうございます。そう言っていただけると。いやリリは今までこんなファッションとかした事無かったので不安でしたが良かったです。」

 

「うわー甘いわぁ。このコーヒー甘いわぁ。砂糖の量間違えたかな?」

 

「本当にな。このコーヒーはミスだろ。ユウがミスするなんて珍しいな。あ、このコーヒーブラックじゃねーか。」

 

さすがのシスコン馬鹿二匹。ブレない。空気を壊すのが得意である。次の神会で二つ名は「空気破壊(エアクラッシャー)」に間違いない。

 

軌道修正してクノッソスについて一次と二次をリリに説明する。リリは頷き黙っている。

 

「リリさん。僕は君の頭脳も君自身も認めている。レベルとか過去とか関係ない。それに僕はもう迷わない。まっすぐ進むからそれでも足りない部分を教えてほしい。」

 

リリは頷き口を開く。

 

「侵攻についてはリリは力になれません。リリの今までの立場からすれば攻めるというのは埒外の方法でしたので。ですが攻められる方。この場合闇派閥とその怪人の立場、目線からなら少しは力になれるかもしれません。」

 

俺自身ここからは原作を知らないのでわからない。どんな情報でも欲しい。それが結果を変えることになるかもしれないからだ。リリの今言った目線は俺もそしてフィンさんも盲点だったはずだ。

 

「そもそも闇派閥は何度も侵攻されているのにクノッソスに立て籠もっているのは何故でしょうか?」

 

「そらリリたん。あいつらのホームグラウンドやからやろ?罠でもなんでも仕掛け放題や。」

 

ロキ様の言葉に全員が頷く。

 

「ああ。そういうことか。リリお前やっぱすごいわ。ベルを任せて良かったよ。」

 

「ユウ様はお気づきになりましたか。流石ですね。そうです。今ロキ様が言った前提はもうユウ様と鍵を奪われた時点で破綻してるんですよ。」

 

「そうか!!なんでこんな事にも気づかなかったんだ僕は!!」

 

どういうことか神様連中がフィンさんに尋ねる。

 

「ロキの言ったホームグラウンドで罠を仕掛け放題というのは扉やマッピングされていない状態で罠が機能しやすいことが前提なんだ。でもユウ君にオリハルコンの扉はチリにされる。ユウ君がいないところで下ろしてもこちらには鍵がある。そしてこの前の侵攻でマッピングもしているしユウ君の様子を確認しているなら魔法で道が全てわかるのも認識しているはずだ。」

 

ロキ、ヘスティアはユウ1人で戦況がぐちゃぐちゃにされているのが分かり引きつった顔をしている。

 

「確認は大丈夫ですかね?何故闇派閥はもう既に何の優位性もないクノッソスに立て籠もっているのでしょうか?まずそこを考えました。リリは基本的に臆病なので他人に使われていると思っています。その怪人も誰かの遣いのようですし。闇派閥においてはオラリオから追われているから匿ってくれるその黒幕に恩を感じたか同じ目的だったかで協力者という名の駒にされてるのではないかなと思います。」

 

かなり的を得た意見だと思う。あくまで推測だから全てを鵜呑みにするわけにはいかないが頭にはいれておく。

 

「リリの推測は頭に入れておく。それくらいの重要性がある話だ。リリ。推測でいい。闇派閥の背後にいるやつの正体はどーせ分かりゃしねえ。だからそいつの考えを追うことはできるか?クノッソスの利用目的だけでいい。」

 

リリは考える。

 

「リリはその怪人や闇派閥と直接戦闘や会話をしたわけでは無いので癖や発言の意図は掴みかねますが…。クノッソス自体に意味は無いのでは?と、いうより、うーん。」

 

「どうした?」

 

「あまりに突飛な考えなんですが、オラリオ崩壊を考えてるんですよね?闇派閥とその怪人の黒幕は。」

 

ロキ様、フィンさん、俺が頷く。

 

「それで穢れた精霊を使ってると。うーん。やっぱりクノッソスはロキファミリアを嵌めるための大きな罠って思っちゃうんですよね。」

 

「ん?どういうことなん?リリたんの言いたいことが良く分からへんねんけど。」

 

「いえ。リリも自分で変なこと言ってるなとは思っているので。ですが前提を間違えていない限りクノッソスにロキファミリアを引き込んで全滅させれるシナリオがある気がしまして。そうでなければクノッソスを放棄してダンジョンに籠もればいい話ですし。」

 

リリの言葉で悪寒が走る。全滅させれる何がある?オラリオ崩壊のシナリオにロキファミリアの全滅も組み込まれているとしたら??

 

「リリ。ちょっと待ってもらえるか?ロキ様。ヘスティア、いーちゃん、フィンさん。アダマンタイトとオリハルコンぶっ壊せる魔法とか魔道具とか聞いたことある?」

 

全員首を横に振る。あんたの魔法くらいしかウチは知らんとロキ様は笑うがそんな場合じゃない。何かが引っかかる。

 

「すまん。何かが引っかかってるんだ。それさえ紐解ければリリの推測がより信憑性を増す。」

 

今までダンまちの世界に来てすごい威力だったものを思い返す。恩恵が無い時は…うん特にねぇな。オラリオに来てからはえーと、俺の魔法以外ならレフィーヤの魔法にベートさんとベルの技。ベルの18階層の一撃くらいか。うーん。何に引っかかってんだろう。でも何かすげー攻撃とか魔道具が無いとなー。魔道具かー。あ!フェルズに聞いてみよ。

みんなに許可を取ってフェルズに連絡する。

 

「フェルズ?いきなり悪いね。フェルズって800年生きてるんだろ?骨だけど。その800年でさエゲツない威力の魔法とか魔道具って思い浮かぶ?」

 

「質問の意図が見えないが…そうだな。ユウ君が言っているのは膨大なエネルギー総量ってことでいいのかな?それなら私が1番すごいと感じたのは神の送還の時の光の柱だね。」

 

ユウはカチリと考えが噛み合ったのがわかった。

 

「そっか。フェルズありがとう。あとでまた連絡する。」

 

ユウは黒幕の考えを読み切り舌打ちをする。なんて胸糞悪い考えだ。穢れた精霊。精霊の分身とは良く言ったものだ。

 

「リリ。お前やっぱすごいわ。俺もリリのおかげでこの考えに行き着いた。フィンさんは?」

 

「いや。悪いけどまだ考えは纏まってないね。」

 

「みんな悪いけど俺の考えもある意味ぶっ飛んでるかもしれない。でも一考はするべきだと思う。フィンさんは絶対にたどり着かないしたどり着いた俺がおかしい。あいつらの目的はリリの言った通りロキファミリアの主力をクノッソスに集めることだ。そしてリリが推測した闇派閥が利用されている場合だ。闇派閥のイケロスとタナトスがクノッソスの最深部にいると仮定する。そしてロキファミリアが追い詰めたとしよう。そこでイケロスとタナトスをその黒幕の手下かなんかが殺したとしたら?」

 

全員が唖然とする。

 

「そう。さっきのフェルズとの会話に繋がる。神の送還とか見たことねーから知らんけどフェルズが800年生きてて1番のエネルギー総量っていうくらいだ。俺の魔法とは比べ物にならないだろう。地上から光の柱が逃げようの無いクノッソスに突き刺さる。アダマンタイトとオリハルコンとか豆腐と変わらんだろう。んで追い詰めてるロキファミリアのメンバーは?巻き込まれるよそりゃ。これが俺の推測。フィンさんみたいにどんなクソ神でも捕らえるだけの人は絶対にたどり着かない。」

 

「ちょっと待ってくれや。ユウたん。闇派閥の神ゆーても神は神やで?あのエニュオってやつ相手でも腹の探り合いやったらそれくらい気づくんちゃう?」

 

「ロキ様。そいつは本当に存在してるのか?誰も姿を見ていないのに?仮にイケロス、タナトスが間に人を挟んでたらどうです?正面きって顔も合わせてないのに腹の探り合いなんてできません。そう。これもリリの言っていた駒という状況ですよ。」

 

神々は愕然とする。たしかにその通りだ。そこまで徹底してやられるとどうしようもない。

 

「俺はリリの推測を聞いて悪寒が走りました。フィンさんの親指と一緒でこの感覚は外れたことがありません。なので一考した方がいい。」

 

「そうだね。ユウ君の考えは余りにも突飛だがそれ以上に話の辻褄がキッチリと合ってしまう。」

 

「それとフィンさん。まだ最悪の想定があります。仮に光の柱でロキファミリアが全滅を免れた場合です。俺なら全滅させるまで攻撃をやめません。何故ならクノッソスという餌場を失うからです。相手にとっても最初で最後の一網打尽チャンスですからね。そこで出てくるのが穢れた精霊、精霊の分身です。元は精霊ですよね?しかもダンジョンの栄養吸っちゃうタイプの。それ細工して神のエネルギー吸えるように出来たらヤバくないですか?」

 

ベートさんもフィンさんも少し身体を震わせる。

 

「おいユウ。1回ヘルメスファミリアを助けにダンジョンに行った時ダンジョンの壁が肉壁になってたんだがそれをクノッソスでそのエネルギーを使って生き埋めにするくらいキモい感じに肉壁になるとか仮説的にどうだ?」

 

「うん。それあるね。それかとんでもないバケモンが生まれるかの二択だと思いますよ。俺はバケモンに一票。バケモンなら倒せるけど肉壁はキモいから嫌。でも肉壁が迫ってくるが本線。だってどこにいるかわからない残党見つけるよりまとめて生き埋めにした方が効率いいから。」

 

ユウとベートの会話を聞いてドン引きする神々とリリ。フィンは何かを考えている。

とりあえず話しすぎたのでみんなに飲み物のおかわりを入れる。リリは緊張していたのかホッとしている。

 

「まぁあくまで推測だ。鵜呑みにする必要はないですけど悪寒が走ったので神殺しは視野に入れていると考えて良いかと。」

 

「いや、リリさんとユウ君の考えはかなり役に立ったよ。あとヘルメスファミリアにも手伝ってもらうつもりだからこの話はヘルメスファミリアにも伝えとくよ。」

 

「え?アスフィも?ああなるなる。ハデスヘッドね。確かに透明になれりゃ動きやすいわ。しかしどーするかね。光の柱対策なんてやりようねーぞ。あ、フィンさん俺アスフィとデートもしたいし明日伝えとくよ?」

 

フィンはデートと聞いて身体を揺らすが任せると言う。とりあえず今日はお開きにして明日はアスフィ達も加えて話し合いをすることにした。

 

ユウは次の日すぐにヘルメスファミリアに向かう。ヘルメスの執務室に行くとアスフィも呼んでもらい、昨日のフィン達との話し合いの結果を伝える。

 

「なるほどね。それが推測じゃなく本当になった場合最悪の状況になる。しかし神を犠牲にする作戦か…」

 

「ヘルメス。あくまで俺の推測だ。そのエニュオってのが何者かもわかってないからな。とにかく今日の夕飯はウチで食ってくれ。その後にロキファミリアに向かう。デュオニュソス様とフィルヴィスも合流する予定だ。それまでアスフィ借りるぞ?アスフィは俺とデートしよ!」

 

「え?でででデートですか!?わかりました。着替えてくるので待っててくださいっ!」

 

アスフィはすごい勢いで部屋から出ていった。

 

「おや?ユウ君はアスフィと付き合ってるのかい?」

 

「いや?でも俺はアスフィが好きだよ。でもそれが家族愛なのか恋愛での意味なのかわからんからデートとかして確認してるとこ。」

 

ヘルメスはため息を吐き、アスフィとうまくいくことを願う。アスフィが戻ってくると綺麗なワンピースを着ていた。正直なところすごい似合ってた。

 

「それじゃお姫様。一緒にお出かけと行きますか!」

 

手を差し出して繋ぐ。アスフィは嬉しいのかニコニコしている。一緒に商店街に向かう。

 

「おやおやユウちゃん!昨日はベルちゃんがデートしてたけど今日はユウちゃんかい?」

 

「おー!おばちゃん!こいつアスフィってんだ。昔からの知り合いだよ。美人だろ!?あまりお互い時間も取れなかったからね。今日は羽を広げてデートタイムさ!」

 

「アスフィ・アンドロメダといいます。ユウとベルがお世話になっているのは聞いていました。これからも2人の事よろしくお願いしますね。」

 

 

「あら。良い子じゃない。ユウちゃん!アスフィちゃんを逃しちゃダメよ!!みんな!ユウちゃんのお嫁さんが来てるわよー!!」

 

ユウちゃんの嫁さんだと!?ユウちゃんに相応しいか俺が見てやる!!

おじちゃん連中がゾロゾロとやってくる。

 

「よし!ウチの果物食って行きな!ユウちゃんの嫁さんかぁ。ベルちゃんもアイズちゃんと仲良くしてたしおじさんは2人が大きくなって嬉しいよ…」

 

「何言ってんだおっちゃん。おっちゃん達と出会ってまだ半年も経ってないでしょ!そんなすぐに俺もベルも大きくなんねーよ!!」

 

「何言ってんでい!オラリオに来た時から2人を見てんだ!ユウちゃんとベルちゃんはこの商店街みんなの息子だ!その息子が嫁さん連れてんだ!こんな嬉しい事はねぇよ!!」

 

アスフィは顔を真っ赤にし、ユウはおじちゃんの言葉に感動し声が出せない。

商店街のおじちゃんおばちゃん連中が集まって声をかけてくれる。みんな優しい言葉をかけてくれるのでかなり嬉しい。

 

アスフィを紹介しつつまだ付き合っていない事、今恋愛的な意味で好きなのかを考えているとこだと伝えるとみんな笑って見守ると言ってくれた。アスフィはおばちゃんに連れて行かれたが。アスフィを待ってる間、おじちゃんと果物を食べながらどういう冒険をしたかなどの話をしている。

 

「アスフィちゃん。アスフィちゃんはユウちゃんの事をどう思っているんだい?」

 

「先程ユウが説明した通り私とユウ、ベルはその、家族の様に一時期過ごしていました。期間は短いでしょうが家族として過ごし、お互い楽しんでいましたしオラリオに来てくれたのも私がいるからという点も間違いではないです。ですが私はユウの事が大好きなんです。これは家族でもなく異性としてです。」

 

おばちゃん連中はおお!と声をあげる。

 

「アスフィちゃんは家族として過ごしてきたと言ってるから分かってると思うけどユウちゃんは人の恋愛事情は大好物ですぐに手を出すくせに自分の事はてんで駄目だよ。女の方が強いんだ。ガツガツアピールしないとあんだけ良い男なんだ。取られちゃうよ!ベルちゃんは…あの子は純粋過ぎてそれはそれで心配なのよねぇ。」

 

 

「こ、この前デートをした時に想いは伝えて、その、キ、キスを私からしました…。」

 

えええー!!とみんなが驚く。

 

「その時真剣に考えて答えるから待ってほしいと言われたので待ってるとこです。ユウもベルも私の大切な家族です。それにユウは最愛の人です。これからもよろしくお願いします。」

 

「なんだいなんだい。アスフィちゃんは本当に良い子だね。アスフィちゃんも私らの子供さ!またいつでもおいで?時間有り余ってる爺さんと婆さんでよければなんでも相談にのるからね?ほらあんまり待たせると悪いしユウちゃんのところに行ってあげな?」

 

アスフィはおばちゃんに頭を下げお礼を言ってユウのところに向かう。まさかオラリオの商店街で恋愛相談にのってもらえるとは思ってもいなかった。だがお互いに今のクノッソスという問題を残している中時間を取れなかったのも事実だ。久しぶりに清々しい気分になった。

 

「おーアスフィ。おばちゃんとの話は終わった?この後ウィーネが働いてるから屋台見に行こうと思ってるんだけど大丈夫か?」

 

アスフィはユウの腕に抱きついて頷く。ユウはびっくりしながらも平静を装う。え?アスフィのアスフィが俺の腕に当たってるよ?アスフィーーーー!!心の中はパニクり過ぎてまともな事考えていないが。

 

 

そのまま2人はウサギお好み焼きを覗いてみる。が、とんでもない行列が出来ていた。また神様連中か…と思うと冒険者や一般人も大勢いた。

 

「は?どーなってんだ?これ。」

 

「わ、わかりません。とにかく見てみましょう。」

 

屋台の中を覗くと完全にテキ屋のねーちゃん状態でお好み焼きを焼くいーちゃんとその横で頑張ってお好み焼きを焼いているウィーネがいた。

 

「おう!雷帝!久しぶりだな!あん?万能者??お前ら兄弟美人捕まえすぎだろ!!少しは俺らにも分けてくれよ!!」

 

「ん?モルドさんじゃないっすか。いや知らねーよ。モルドさんの顔が厳ついからモテないんだよ。つかモルドさんなんでこんなに行列なの?」

 

「うるせーよ!!ああ、最初は普通にイシュタル様がお好み焼き焼いてたんだけどな。神様連中がウィーネちゃんの作ったお好み焼きが食べたい!金は倍払う!って言い始めてなー。ウィーネちゃんのお好み焼き食べたいやつはこっちに並んでて他はあっちに並んでんだ。」

 

ユウとアスフィはため息を吐く。モルドに礼を言って屋台に向かう。

 

「ウィーネ!頑張ってるな!お好み焼き焼いてる姿も可愛いぞ!!」

 

「あー!ユウお兄ちゃんだ!ウィーネね、神様が食べたいって言ってくれるから頑張って作ってるの!いーちゃんも教えてくれたから!あ、できたよ!神様!買ってくれてありがとう!!」

 

満面の笑みを浮かべてお好み焼きを渡すウィーネを見てデレデレの気持ち悪い顔になる男神様。うん。気持ち悪い。もうどーでもいいやと思い、どら焼きなどを屋台に置いてライ達の頭を撫でてからアスフィとのデートに戻ろうとするとウィーネの行列に見知った神様がいたので声をかける。

 

「おい小太りジジイ。何やってんのさ。」

 

「む?ユウか。いやなんじゃ。ユウのとこのお好み焼きが食べたくてな。アミッド達の分も買って帰ってやろうと思って並んでるのだ。それにお前が可愛いと言っていたウィーネちゃんも気になったしの。」

 

「ふーん。つか小太りジジイ、ウィーネのお好み焼き食いたいんじゃねーなら横の列に並べよ。いーちゃんの方が早いぞ?」

 

「何ぃ!?そーいう事か!!儂昼休みにここに来とるから進まなくて諦めるとこだったわ!!」

 

こーいうとこ抜けてんだよなーと思いながらも一次クノッソス侵攻で世話になったのでいーちゃんのところに行って10枚別で焼いて渡してあげる。

 

「ほれ小太りジジイ。前は世話になった。この後行こうとしてたから丁度良いわ。持って帰ってアミッドさん達と食ってくれ。金はいらねーよ。」

 

「何言っとるんじゃお前は。あれは儂らがやりたくてやったんじゃ。だがお好み焼きは貰う。そうじゃ儂らも今日の話し合い参加するからよろしくの。」

 

そう言って小太りな身体をポヨンポヨンさせながら走って帰っていった。

 

その後アスフィとペアリングとチェーンを買って首にかけた。ベルとアイズのお揃いに対抗しましたまる。

 

夜、ロキファミリアにみんなが集まる。ロキファミリアからはフィン、リヴェリア、ガレス、ベート。ヘスティアファミリアからはユウ、リリ。あとはアスフィ、フィルヴィス、それにアミッドさんが参加した。

ロキ様とフィンさんが昨日の話し合いの結果出てきた推測を話す。聞いていなかった人達はかなり驚いていたが。

 

「そこでユウ君の推測の頭に入れた上での策を話す。まず考えなければならないのはクノッソス侵攻に使える人員だ。レベル3以下は余程の特殊技巧が無い限り今回の作戦には組み込まない。ユウ君の推測が有り得ないと言えない以上撤退する事も考えてのことだ。それに戦闘ではベートが言っていた事ではないが今回の相手では役に立たない。無駄死にをさせるくらいなら最初から置いていく。

次にマップだがユウ君。悪いが作戦前に1人でクノッソス全体のマッピングを頼んでいいかい?そのマッピングが出来次第作戦を開始する予定だ。」

 

「勇者!それは危険すぎます!!あなたはユウをなんだと思っているんですか!!ユウを切り捨てるつもりなら貴方をどんな手を使っても殺しますよ?」

 

アスフィがブチ切れた。こ、怖いよぉ〜ふぇぇぇぇ。フィンさんも頬引きつってんじゃん。声を出そうとすると別の人が声を出す。

 

「アスフィ様。落ち着いてください。フィン様が言っているのは合理的ですよ?1つずつ説明するのでそんな睨まないでくださいよ。怖いですって。まずユウ様は電磁波を広げてその場から動かずとも地形と敵の位置が把握ができます。それに3階層までは終わっています。

次に相手ですが、怪人も1人で撤退させる実力があります。最後に雷を纏って縮地をお使いになられるとベート様でも反応すら出来ない速度が出せるので撤退する時にお一人ですと他を気にせず最短で逃げれます。それにオリハルコンの扉も壊せますし。」

 

全員リリの説明を聞いてドン引きしてやがる。おかしいだろ?そこは褒めろよ!!フィルヴィスが流石です!兄上!とさすおにをくれたので我慢しよう。

 

「そ、うですね。リリ。ありがとうございます。少し冷静さを失っていたようです。勇者。申し訳ありません。」

 

「いや、うん。気持ちはわかるから問題ないよ。ユウ君申し訳無いけどよろしく頼むよ。侵攻にあたってだがカース武器が厄介だ。そこはディアンケヒトファミリア、アミッドに頼る他ない。」

 

「勇者。任せておけ。解呪薬はもちろん作成するがアミッドの魔法は回復系最強だ。アミッドも連れていけ。ユウがおるなら問題ないだろうしな。」

 

ディアンケヒトの言葉にロキとフィンは驚愕する。まさかアミッド本人を連れて行く許可を貰えるとは思ってもいなかった。アミッド本人も参加するつもりだった。

 

「そんじゃフィルヴィスはレフィーヤと共に行動させてくれ。妹2人は一緒にしとくと俺とベルみたいに共鳴して死ぬほど強くなるから。んじゃ俺マッピングしてくるわ。ついでに相手戦力の把握も出来る範囲でしてくるからそれからもう一度集まろう。」

 

ユウの言葉に全員頷いて解散となった。アスフィとフィルヴィスに死ぬほど心配されたが期待されてるので頑張ろうと思いましたまる。

 

明日さっそくクノッソスに突っ込むぞー!!




はい。ユウ君個人行動に出ます。

完全に原作崩壊してやがる。タグに原作崩壊入れた方がいいかな?


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クノッソスさんちわーっす!三河屋でぇぇぇす!

今回は完全オリジナルです。

ユウ君が暴走します。
作者でも手綱とれねーよ!!


クノッソスのマッピングをすることになったのでリュックにお菓子やドライフルーツを入れていく。完全にピクニック気分である。ついでに赤髪もいたらおちょくろうと考えるユウ。ノートやボールペンを魔法で買い、用意が完了したので少し頼みごとをしにフレイヤのところに向かう。

 

「フッレッイッヤちゃーーーーん!!愛しのユウ君が来たよー!!」

 

「はいはい。愛してるわよ?それでどうしたの?こんな朝から。」

 

「え、愛されてるの?嬉しいけどババアと女神はお断りなんでごめんなさい。いやね?ちょっと頼みたいことがあって。俺ら今クノッソス壊滅計画立ててるじゃん?それで俺1人先行して今からマッピングと敵戦力の確認行くんだわ。詳しくはロキ様に聞いて。んでぶっちゃけ死ぬ可能性もあるからさ、そーなったらベル達のこと頼みたいなって。なんやかんやフレイヤちゃんのこと信頼してるから。」

 

フレイヤはため息を吐いて額に手を置く。オッタルも何言ってんだこいつ状態だ。

 

「あのねユウ?貴方はここに来てそれほど過ごして無いからかも知れないけどね、死ぬことを考えて冒険する冒険者がどこにいるのよ。もちろん楽観視してはダメだけれどそんな考えじゃダメよ?ねぇオッタル?」

 

「はい。フレイヤ様。ユウ。俺もお前を冒険者として認めている。だが早すぎる程レベルが上がってしまったから心構えが出来ぬままに上まできてしまったか。ユウ。冒険者とは冒険をする者の事だ。未だ見ぬ地を目指すも良い。死地を駆け抜ける者もいる。その全ての冒険者はそれを超えた先を見据えて行動するのだ。お前は死を恐れ、死に向かって行くと言っているのだぞ?ユウ。お前はその辺にいる有象無象とは違う。我々をガッカリさせるな。」

 

 

ユウはフレイヤとオッタルの心からの言葉を聞いて驚愕していた。そして1つ頷き言葉を発する。

 

「2人共……。真面目な話できるんだね。」

 

フレイヤは椅子から落ち、オッタルはがっくりとする。

 

「ユウゥゥゥ!!あなたここは真面目な話してるところなんだから真面目に返してきなさいよ!!!オッタルを見なさい!!耳がぺたんってなってるじゃない!!」

 

「いやオッタルさん猪だし元からぺたんってなってるから。俺からすればオッタルさんってオラリオ最強ってよりアンチエイジングの達人って感じだし。でも2人共。俺が間違ってたよ。とりあえずクノッソスに行ってくるわ。帰って来たらまた遊ぼうね!んじゃ!」

 

言うだけ言って、おちょくるだけおちょくって帰っていったユウを見て2人は笑う。

 

「ねぇオッタル?あの子良い顔つきになってたわね。あなたがあんなに喋ってるの始めて見たわよ?」

 

「フレイヤ様。私は先程言った通りユウの実力も何もかもを認めております。それは幹部全員一緒です。ヘグニなどダークエルフで他人との接触を避けるのにユウだけは避けません。むしろ食事の作り方を教わりに行っているようです。アレンもそうです。妹との事がありましたがユウのおかげで仲を保てて感謝していると呑んだ勢いで言っていましたからね。

前までのフレイヤファミリアではあり得ない光景がユウにより見ることができるようになりました。そして、それを私は気に入っています。だからこそユウを失うようなことがあるのならば間接的にでも手伝い、助けたいと思っていました。

今回の件でユウはまた殻を破るでしょう。私は楽しみにしています。」

 

オッタルの長く、心の底から思っている言葉がフレイヤの耳を通る。たしかにその通りだと思う。ユウのおかげでファミリアも変わった。笑顔が増えたと思う。これがファミリア本来の在り方かと思ったこともある。だからこそフレイヤは…

 

「オッタル。ロキのところに行くわよ。現状どうなっているか把握しとかないとユウを助けるにしても手の打ちようが無いからね。ふふ。私が下界の子供1人にこんなになるなんてね。」

 

フレイヤは笑う。そしてオッタルも口角を上げ、フレイヤの後ろをついていく。

 

さて、オッタルさんにも叱られた事だし気合い入れていきますか!とりあえずお邪魔しまーす。

入り口からちゃんと入っていく。雷を纏い、電磁波を広げていく。3階層まではマッピング済みなので4階から始める。

 

4階の入口に座ってノートに書いていく。敵も恐らく手下レベルがちらほらいるくらいだ。4階を書いて終わり、5階に向かう。それを繰り返していると強い電磁波を感知する。

 

「おーい赤髪!久しぶりだな!元気してた??」

 

赤髪をだったのでニヤニヤしながら話かけにいく。

 

「な!ユウ!貴様は何故こんなに散歩感覚でここに来るんだ…」

 

なんか勝手に落ち込んでる赤髪。まーたこいつ魔石食ってるよ。仕方ない。

 

「また魔石食ってんのか?ちょっと待てよ。リュックにお菓子とかドライフルーツいっぱい入れて来たから。」

 

ガサゴソとリュックの中を漁るユウを見てレヴィスは愕然とする。

 

「おい。ユウ。貴様私達が敵対してるのを忘れているのか?」

 

「んー?いや忘れては無いけどさー。ナイスバディのお姉さんがこんな穴蔵で石ころ食ってんのみたらなー。ほい!これがクッキーでこっちが前あげたドライフルーツな!水筒にお茶と紅茶入れて来たけどどっちがいい?」

 

レヴィスはこの前貰った物が美味しかったので黙って紅茶を選択し、受け取る。

 

「んで?レヴィスはなんでエニュオ?ってのに従ってんの?アイズも狙ってるみたいだし。」

 

「普通敵対してるやつにそれを聞くか?いや一緒にお茶をしている時点でおかしいが。私には魔石が埋め込まれている。だから声に逆らえない。それだけだ。それにアイズだったか?あれはアリアと同じだ。それ以上は言えん。」

 

「ふーん。なんか大変なんだな赤髪。アイズ狙うなら俺も邪魔させてもらうけど。俺の弟とあいつ仲が良いからな。妹みたいなもんだし。」

 

「待て。貴様はなんとも思わんのか?私はバケモノだぞ?魔石があるんだぞ?」

 

イラッときたので両手でレヴィスの顔を挟み込んで近くまで寄る。レヴィスは慌てているが。

 

「よく聞け。耳年増のレヴィスちゃん。俺の妹にはヴィーヴルもいる。知性あるモンスターだ。それでも俺はモンスターじゃなく妹として扱う。なのにそんな俺がレヴィスをモンスターだのバケモノだの言ってたらおかしいだろ。」

 

そう言って手を離して額を小突く。レヴィスはボーッとしている。これは胸を鷲掴みするチャンスなのでは?と思うがアスフィに殺される未来しか見えないのでやめておく。

 

「そうか。ユウ。お前はそんなやつなんだな。ありがとう。少し救われたよ…」

 

「そうかい。ま、とりあえず持ってきたお菓子とドライフルーツは全部レヴィスにあげるから食べな。いつか地上にこれたら俺の飯作ってやるからお互い死なないようにしような!まぁ邪魔してきたらレヴィスでもぶっ殺すけど」

 

レヴィスは笑う。敵対関係なのにこんな事を言ってくれるやつがいるなんて。今はまだ言えないがいつか友達になりたいと思う。

 

「あ、レヴィス。悪いんだけどマッピングは今から自分でするからそっちの戦力教えて。」

 

「教えれるわけないだろうが!!!それに指示されている行動があるからな。」

 

「んーそうだよなぁ。んじゃそっちが駒として使ってる闇派閥だけでも教えてよ。そっちの主戦力はおおよそ推測できてるし。」

 

レヴィスは悩む。

 

「ユウの推測を教えろ。それを上に伝えることも伝わることもない。それで合っているか否かだけ答えてやる。」

 

「そっか。オッケー。レヴィスを信じるよ。まず闇派閥以外ならそっちの主戦力はレヴィスと仮面のやつ。いや仮面のやつは陰でコソコソタイプだな。んでレヴィスはアイズにつく。この前電磁波で確認しただけでも穢れた精霊は3体残ってるはずだ。」

 

レヴィスは頷く。

 

「んでこのクノッソスの扉を上下させてるやつは闇派閥のやつ。ペルディクスだっけ?この人造迷宮に呪われてる奴ら。1人は弟が蒸発させたみたいだけど。そこでだ。ここからは俺の推測。このクノッソス自体がロキファミリアを全滅させるための罠。地中深くまで攻め込ませてから闇派閥の神を殺して光の柱をどんっ。んで残党も処理するためにダンジョンを肉壁にした奴をその精霊に仕込んでいる。これが推測。」

 

レヴィスは驚愕する。自分達の作戦がほぼ見抜かれていることに。

 

「ユウ。お前はいったい…。その推測は概ね正しい。だが私にはどうしようもないからな?」

 

「いいよ。別にレヴィスに協力しろって言いたいわけじゃないし。ただその作戦を阻止しようとは思ってるけどどうなるかわからないからね。レヴィスも巻き込まれて死んだなんてやめてよ?もう顔見知りで一緒にお茶した仲なんだから。あ、それに愛してるって言ったこともあったな。」

 

「あ、あああ愛してるなんて言うな!!ま、全く。ユウも気をつけろよ。殺し合いをしようとしてる相手に言うのもなんだがユウのご飯も楽しみにしているからな。」

 

ユウはレヴィスの頭を撫でる。

 

「どの道クノッソスは次のロキファミリアの侵攻で終わりだ。次に会う時はダンジョンに潜った時かな。会いたくなったら武装してるモンスターがいるからそいつらに伝言残しといて。聞いたらすぐに行くから。37階までなら場所わかるし。」

 

「そ、そうか。37階の闘技場があるだろう?その地下にセーフティエリアがある。誰も知らん筈だからそこにしてくれ。」

 

レヴィスがめっちゃ素直で可愛いんだけど。え、もうレヴィスルートエンドでもいい?ボンキュボンだし良いよね?

レヴィスに日本商店の魔法を見せてやる。ここダンジョンじゃなかったと気づいてレヴィスに色々食べ物をあげた。

 

「んじゃどの道レヴィスはアイズと戦うだろうしそっちの邪魔はしないでおくよ。」

 

「今回は本気では戦わん。アリアを引きつけて光の柱を落とすとこから引き離すのが目的だからな。それに……(ユウに嫌われたくないしな。)なんでもない。」

 

ユウは頷き、残りの階層のマッピングをすると伝えて別れる。別れ際にレヴィスを抱きしめて耳元で照れてる顔すごく可愛かったぞ。と言いダッシュで逃げた。レヴィスは我に戻り頭を抱えて机に突っ伏した。

 

ユウは10階層に広い空間があり、そこに穢れた精霊がいることを把握する。そして闇派閥であろうやつらと神々のいる場所に印をつけて地上に戻ることにした。途中で闇派閥のやつらを何人かボコボコにして鍵も奪っていったけども。

 

地上についてすぐに屋台に向かう。ウィーネのお好み焼きを食べたかったからだ。まだお兄ちゃんウィーネのお好み焼き食べてないよ!?

あいも変わらず行列が出来ていたので大人しく後ろに並ぶ。すると男神様に声をかけられる。

 

「ん?ユウ君じゃん。なんで並んでんの??」

 

「いえ、ひと仕事終えてきたんでウィーネのお好み焼きまだ食べてなかったんで食べたいなと思いまして。でも皆さん並んでるので大人しく並ぼうかなと思いまして。」

 

「なんだって??まだウィーネちゃんのお好み焼き食べてなかったの!?おい野郎ども!!ユウ君まだウィーネちゃんのお好み焼き食べてないんだってよ!先行かせてあげてもいいだろ?」

 

いいよー!ユウ君早く食べてあげなよ!!ほらほら!と1番前まで連れて行かれた。

 

「あー!お兄ちゃんだー!!ウィーネの焼いたやつ食べてくれるの??」

 

「あ、うん。ウィーネ頼むわ。」

 

ウィーネは真剣にお好み焼きを作り始める…が、小さい子が頑張ってるようにしか見えない。何このたどたどしい手つき。可愛すぎてクノッソスに俺が光の柱落としそうなんですけどぉぉぉぉ!!

ひっくり返すときにえいっ!って言うの可愛すぎて血吐いたわ。

笑顔で渡してくれたのでお礼を言って横で食べる。

 

 

「ウィーネ。めっちゃ美味しい。またお兄ちゃん買いにくるわ。」

 

ウィーネはわーい!お兄ちゃんに褒められたー!とバンザイしてる。それを見て泣いてる男神様連中がいた。いや俺も泣いたけど。それからいーちゃんの横で20枚を素早く焼く。周りの男神様達がおお!すげぇ!と騒いでいたが。それを持ってフレイヤファミリアに行く。

 

「フレイヤちゃーん!ただいまー!」

 

お好み焼きを食べているので足でドアを開けて勝手に入る。ポカーンとしているフレイヤちゃんとオッタルさん。

 

「ユ、ユウ?あなたクノッソスに行かなかったの?ロキに聞いたら今日行くって言ってたけれど?」

 

「え?行ってきたよ?全フロアマッピングして向こうの怪人とお菓子食いながらお茶してきた。」

 

「ちょっと待ちなさい?ならそのお好み焼きは?」

 

「さっき帰ってきたからウィーネの焼いたやつ食べたくて行ってきて、オッタルさんのお土産に焼いてきた。」

 

オッタルさんはその言葉を聞いてすぐに受け取りにきてフレイヤちゃんの横で1人で食べ始める。

 

「オッタルゥゥゥ!!あなた何独り占めしようとしてるのよ!!私にも食べさせなさい!!」

 

「誠に失礼ながらフレイヤ様。これはユウが持ってきたものです。ユウを信用していないわけではありませんが、やはりフレイヤ様に他派閥のやつが持ってきた物を食べさすなど、このオッタルにはできません!!」

 

「うるさいわよ!!!あなた全部食べたいからでしょう!?というかそれならなんでユウが作ってくれたり持って来てくれた物をもう既に私が食べてるのよ!!」

 

「私はお好み焼きが好きなので1人で食べたいです。フレイヤ様申し訳ありません。」

 

「正直に言ってもダメに決まってるでしょう!!!寄越しなさい!!」

 

渋々という言葉を体現すればこうなるんだなというくらいの態度でオッタルはフレイヤにお好み焼きを渡す。フレイヤはお好み焼きを食べながらふと気になった事を聞く。

 

「ユウ。あなた怪人とお菓子食べてお茶したって言ってなかったかしら?」

 

「今更すぎて草生えるわ。うん。レヴィスって赤髪でボンキュボンで胸に魔石あるやつ。胸でかいから魔石まで攻撃届かなさそうって言ったら真っ赤になって胸隠してたよ。」

 

「そ、そう。その怪人もユウのおもちゃになったのね…。って違うわよ!!なんの話してたの?」

 

「敵戦力と俺らの推測が合ってるかの答え合わせ。」

 

「あなたバカなの!?なんて事相手に聞いてるのよ!!それに推測話したら対応されちゃうでしょ!?」

 

フレイヤちゃんが激おこなんだが。オッタルさん1人で17枚目のお好み焼き食べとるがな。

 

「んーレヴィスは大丈夫だと思うよ?魔石のおかげでなんかエニュオってやつの指示に逆らえないだけらしいし。それ聞いてから喋ったから。まぁこの話はロキファミリアには言うつもり無いけどね。レヴィスが向こうで立場失って殺されたら嫌だし。ロキ様とフィンさんだけには伝えるよ。」

 

フレイヤは納得する。フォークをお好み焼きに伸ばすとカチンと皿にフォークが当たる音がする。オッタルさんを見る。オッタルさんは口をもぐもぐさせながら決してフレイヤちゃんの目を見ない。

 

「ねぇオッタル?私のお好み焼き知らないかしら?」

 

「…………水と一緒で蒸発していました。」

 

フレイヤちゃんは無言でオッタルさんの素敵耳を掴む。ゆっくりと俺の方を見る。

 

「ユウ。私少し用事があるのを思い出したから今日は帰ってもらってもいいかしら?ちょっと母親として息子の調きょ…指導をしなきゃいけないのよ。」

 

すんごい怖い発言があった気がするがフレイヤちゃんが激おこしてるのですぐさま頷きロキファミリアに向かった。

門番の人に話かけるとすぐに通せと言われているらしくすぐに通してくれた。ロキ様の私室に向かう途中にアイズとレフィーヤがいるのを見つけて話かける。

 

「おーい可愛い妹とアイズ!何してんの?」

 

ユウに気づいたレフィーヤは抱きついてくる。ユウもレフィーヤを抱っこしてあげる。

 

「お兄ちゃんだー!えへへ。今日はどうしたの??」

 

「ん!ちょろっとクノッソス全体をマッピングしてきたからそれを渡すのとロキ様とフィンさんと作戦会議だな。レフィーヤはフィルヴィスと同じ部隊にするつもりだから頼むぞ!」

 

「さすがお兄ちゃんです!わかりました!私お兄ちゃんの期待に応えてみせますよ!!」

 

「あ、あのユウさん。こんにちは。全体のマッピング、できたんですか?」

 

アイズが躊躇いながら話かけてくる。なんで?

 

「おう!俺の魔法でちょちょいのちょいよ。んでアイズどーしたんだ?何でそんなに遠慮してんだ?」

 

「いえ、ベルとまたデートしたくて、でも迷惑かなって。レフィーヤに相談、してました。」

 

「なるほどなー。ベルのお兄ちゃんの俺にも相談したいけどクノッソスの事があるから迷惑になるかなって事?」

 

コクコクと頷くアイズ。この子マジで妹としてなら死ぬほど可愛いんだけど。

 

「アイズ。アイズはベルのお嫁さんになる。そうだろ?そしたら俺はお兄ちゃんになるわけだ。俺が妹に相談されて迷惑だなんて思うはずねーだろ。ベートさんもお前を妹だって言ってたぞ。いつでも相談に来い!あ、でもデートはクノッソス終わってからな?」

 

アイズは照れながらわかりましたという。ベートさんがお兄ちゃん。ベートお兄ちゃん?と呟いている。それベートさんに言ってみ?多分倒れるぞあの人。ニヤリと笑ってアイズに入れ知恵をする。

 

「レフィーヤ。ベートさんにアイズが呼んでるって連れてきて?俺の名前出すなよ?んでアイズ。ベートさんがきたら近くに行って服の裾を掴みながらベートお兄ちゃんって呼んでいいですか?って言え。」

 

レフィーヤは笑うのを堪えて呼びに行きアイズはふんす!とやる気になっている。え?俺?腹筋つりそうなくらい力入れて笑うの我慢してるよ?

 

ベートさんが来た。俺は建物の陰に気配を消して隠れている。

 

「おうアイズ。どうした?ベルの事で相談か?」

 

服の裾を掴む。上目遣いでアイズが口を開く。

 

「ベートお兄ちゃんって、呼んでもいいですか?」

 

 

 

 

ベートさんあれ意識ある?

 

 

 

 

 

「…ッハ!!あ、アイズ今なんて?」

 

「ベートお兄ちゃん」

 

 

 

 

 

 

「ユウゥゥゥ!!テメェどこにいやがる!!」

 

「いやベートさん返事返事。」

 

「おう。アイズ。俺はお前のお兄ちゃんだ。なんでも相談してこい。ジャガ丸くんも奢ってやる。そんでベルとくっつくまで絶対に守ってやる!!」

 

「ベートお兄ちゃんありがとう!」

 

ユウとベートは隅っこの方に行く。

 

「ユウ。今日ほどお前を尊敬した日は無い。妹は素晴らしい。お前は正しかったわ。」

 

「ベートさん意識とんでたもんね。俺もレフィーヤ達、可愛い妹がいないとやられてた可能性はありましたけどね。」

 

2人は握手をしてアイズのとこに戻る。ベートさんにアイズとレフィーヤの話を聞いてあげるように伝えてロキ様の部屋に向かう。

 

「ロキ様。マッピング終わってお好み焼きを食べて焼いてアイズおちょくってたら遅くなりました。」

 

「マッピングの後そんだけ遊んでこんなに早い時間帯に来れるんかいっ!!はぁ。ウチの心配を返せ!ともかく無事でなによりや。おかえりユウたん。」

 

フィンさんも呼んでもらいマッピングしたノートを渡す。ノートの紙の質の良さに驚いとる場合じゃないと思いまーす。

 

「ユウ君はマッピングもすごいね。これ下手な地図より上手くないかい?」

 

「いやほんまそれやで。多芸なやっちゃなー。しかしこれあればめっちゃ楽になるな。」

 

2人は4階以降のところに目を向けて話合っている。

 

「あ、それとレヴィス、怪人とお菓子を食べてお茶して来たんですけど俺らの推測ほぼ間違って無いっすね。」

 

ロキ様とフィンさんが固まる。ゆっくりとこっちを2人が見てくる。

 

「ユウたん?ほんま何してんの!?なんで怪人とお茶することになってんねん!!」

 

「いやー初めて会ったときはボコったんですけどね。いじるとすげー楽しくて。それでベルとウィーネを探してる時に強い電磁波を感知したんで行ったらまたレヴィスだったんですよ。んでぽりぽり魔石なんか食ってたからそんなんよりドライフルーツ食べろってあげたら異端児の運ぶところ教えてくれましてねー。んで今回も見つけたんで遊びに行ったってわけです。」

 

 

「フィン。ウチ神やのに嘘わかる存在やのにユウたんの言うてる事に嘘がないってなるんなんでなん?」

 

フィンさんはトオイメで答える。

 

「ロキ。それはユウ君が本当の事を言っているからさ。そうか。僕を切ってくれた怪人もユウ君からすれば良いおもちゃになるのか。リリさん。迷わないと言ったが僕の心は粉々になりそうだよ…」

 

「んでお茶してる時に聞いた話だとレヴィスは胸に魔石埋め込まれててエニュオの指示だけ聞こえるみたいですよ?んでその指示には身体が勝手に従う。だから行動制限もされて無いみたいなんでこっちの推測を話すと概ね正しいって言ってましたね。レヴィスはアイズについて光の柱を落とす予定地から遠ざけるのが目的みたいです。今回は殺し合うつもりも無いみたいなので安心してください。」

 

ロキ様とフィンさんは揃ってため息を吐く。ロキ様は真面目な顔をして聞いてくる。

 

「そのレヴィスって怪人がアイズたんを殺そうとしたりレフィーヤを殺そうとしたらどないすんねん。」

 

「ん?その時はレヴィスを殺しますよ?優先順位を間違えるつもりはありません。」

 

即答するとロキ様は唖然とする。フィンさんは俺がこういう奴だとわかっているのか苦笑するだけだ。

 

レヴィスの対応は今回はアイズに任せてその後は全て俺に預けてくれるらしい。

一回ローブ着せてホームに招いてやろーかな?

 

その後の作戦はヘルメスファミリアとディオニュソスファミリア、ディアンケヒトファミリアと合同で話し合って決めた。

 

とりあえずハデス兜で透明になれるアスフィ達ヘルメスファミリアが闇派閥の扉の上下をしているやつのところに行く。ロキファミリアは陽動。ヘルメスファミリアが最短で行けるようにバラバラに動いて合流地点は同じところ。それとアミッドさんはフィンさんについて行ってもらう事にした。アイズとリヴェリアさんはレヴィスを相手にする。

 

そこで待ったをかけたのはディオニュソス様。眷属を殺された無念をとか言い始める。ロキ様が気持ちはわかるけどやめなさいと言うが何も聞かない。

 

「ディオニュソス様。なんか酔っ払いみたいですよ?ディオニュソス様は昔荒れていたけど人が変わったみたいに理知的になったってウチの神様が言っていましたがそちらが本性ですか?」

 

「ユウ君。君には感謝しているがこれは別の話なんだ!!俺がやらないと死んだ眷属達の無念は晴らせない。」

 

「いやまぁ気持ちはわかるんですけどね?んーまぁいいっすよ。俺が警備につきましょう。ロキ様もそれならいいですか??」

 

「んーユウたんには遊撃を頼みたかってんけどしゃーないな!ウチも行ってイケロスとタナトスにエニュオについて聞きたいしええよ。ウチの護衛も頼むわ。」

 

フィンさんはため息を吐くが許可を貰ったのでフィルヴィスと神様連中の護衛をすることにした。

 

そしてクノッソス侵攻最終戦が始まる。

 




次回クノッソス侵攻!!

上手いこと書ければ良いけど…

レヴィスちゃんをどーするか悩むぅぅぅ


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最終決戦!!戦闘開始?いえ恋バナ開始です。

クノッソス侵攻の最終戦です。

多分この話で終わらないです。終わるとしてもとんでもなく長くなる模様。

とりあえず今日中にクノッソス侵攻は終わらせます。(終わらせたい)


クノッソス侵攻においてフィンは部隊を大きく2つに分けた。フィンのいる撹乱させる部隊に戦闘主力メンバーを置く。ロキファミリアが誇るレベル6集団にサポーターとしてラウル、アキ、エリシアなどのレベル4組にアミッドだ。

 

一方でクノッソスの主とも呼べるバルカ・ペルディクスの暗殺又は拘束する部隊のアスフィ率いるヘルメスファミリアに疾風と呼ばれたリュー。そこにロキファミリアの別動隊のベートとレフィーヤ。それにディオニュソスファミリアの面々に我らが誇るユウ・クラネルだ。

 

 

本来、入り口は3個あったが1つをどこぞの兄弟が粉々にしてしまったので使えるのは2つだ。そして全ての階層をマッピングしており、鍵を2つ追加で持ち帰ったブラシスコンのおかげでかなり楽になった。最短ルートを吟味して頭に叩き込んでいるアスフィ達は地上からハデスヘッドを被り姿を消す予定だ。

 

 

「よう。フィルヴィスにレフィーヤ。お前らだけはお兄ちゃんが絶対守ってやるから安心しとけ!」

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃんも一緒の部隊なんですね!私もフィルヴィスさんも頑張りますよー!!」

 

「兄上のおかげでレベルもアビリティも技術も格段に上がった。私も必ず兄上の力になろう!」

 

3人で喋っていると棘のある声が聞こえてくる。

 

「ディオニュソス様の護衛ですか…。すっかりあの方の右腕気取りですね。それにヒューマンを兄上などと。27階層での不幸を我が事のように嘆き、同情を引いて、寵愛を独占しただけのくせに。」

 

なんかエロい格好をしたエルフが言ってきた。

 

「フィルヴィスこいつ誰?レベルいくつ?」

 

「アウラ・モーリエルと申しますわ。ディオニュソスファミリアの副団長でレベルは2です。」

 

「ふーん。よろしく。んで俺の妹に嫉妬しまくってるアウラさんは何が言いたいの?つか27階層の事俺も聞いたけどフィルヴィスが悪いの?お前らんとこの奴が力足りなくて死んだんだろ?罠も喰い千切る力があれば死んでねーよ。それに運も必要。でもよ、仲間が目の前で死ぬとこを見たフィルヴィスがショックを受けるのがおかしいか?その時お前は何してたんだよ。」

 

アウラは言葉に詰まる。

 

「ですが彼女だけが生き残って死の妖精と呼ばれているのは事実です。私はその時力及ばず参加してませんでしたが。」

 

ユウは鼻で笑う。

 

「くだらねぇ。俺とレフィーヤはフィルヴィスと何度もダンジョンに潜っているが何の問題も無かったが?つかさそんなに怖いならダンジョンに潜るなよ。自分が弱いから他に攻撃できそうなところに攻撃するんだろ?つかディオニュソス様?なんでこいつら連れて来てるの?」

 

「すまないね。ユウ君。この子達も事情は知っている。それに仲間の無念を晴らしたいみたいなんだ。もちろん俺もね」

 

「ふーん。でも俺言ったよね?自殺志願者は助けないって。ディオニュソス様はロキ様の要請もあるしフィルヴィスの主神様だから守るけどそいつらは守らないから。はっきり言っとくよ?ディオニュソス様がこいつらを殺すんだ。他でもない主神様がね。それくらいの相手だと伝えたはずだけど?」

 

「貴様!ディオニュソス様にむかっ「この程度の動きに対応できず、目でも追えない雑魚が粋がるな。」ッッッ」

 

アウラの背後に回り首に刀を添える。アウラは目を見開いて固まる。

 

「ユウたん?何してんの?つかその子誰や?」

 

ロキ様に全て伝えるとロキ様はキレる。

 

「なぁディオニュソス。あんたうちらの事ナメとんか??ウチは子供達を死なせとうないからあんだけ作戦を練りに練って考えてんぞ?ユウたんにまで負担かけてやぞ?それをあんた1人のワガママでめちゃくちゃにするつもりなんか!?言うてみぃ!!」

 

「す、すまない。だがうちの子供達も邪魔にはなら「いやだからなりますって。あの程度の速度について来れないやつとか必要ないですから。実際フィルヴィスとレフィーヤは余裕で目で追っていましたよ?」だが私の子供達の無念を晴らしたいというのはその子達も同じだ。」

 

「言い方悪いですけど死んでる奴らの無念と今生きてるやつらの命どっちが大切なんですか?まぁ良いですよそこまで言うならそこの弱っちいエルフとか連れて行っても。でも俺の推測聞いてましたよね?あれが本当に起こっても俺はフィルヴィス以外のディオニュソスファミリアは誰一人助けません。助けれる状況でも助けません。それくらい覚悟するならついて来ればいい。」

 

それだけ言って背を向ける。これは最後通牒だ。これでも引かないなら後はしらん。俺は全ての人を助ける英雄になりたいんじゃない。俺が助けたいと思う人を助けるだけだ。フィルヴィスの頭を撫でてやる。フィルヴィスは抱きついて少し泣いていた。

少ししてロキ様がこちらに来た。

 

「すまんなユウたん。あの子らユウたんの言うてる意味も分からず意固地になっとるわ。うちももう知らん。正直こっちが協力要請したんならともかく勝手について来て助けてくれ言われても知らんやろ。実力が1ミリも足りてへんのも言うたけど来るらしいわ。ユウたん。自分が危険になるくらいなら見捨ててええ。ユウたんはなんやかんや優しいから心配やわ」

 

ユウは頭をボリボリ掻いて無言でロキに頭をさげる。ロキも笑いながらええよええよと言ってくれる。

 

 

 

2つの扉の前に部隊が別れて突入準備をする。リューさんを見つけたので話かける。

 

「よ!我が弟子よ。弟子も参加するんですね」

 

「配慮感謝します。師匠。ヘルメスファミリアからの要請ですね。闇派閥は私も少しありまして。」

 

「ああ。18階層で水浴び見た時の話ですか。」

 

「み、水浴びは、忘れてくださぃ…。コホン。そうです。あの一件の関係者が残ってるかもしれないので。」

 

「ふむふむ。まぁ弟子の強さなら問題ないでしょう。ですが1つだけお節介です。復讐に囚われすぎて周りが見えなくなることに気をつけましょう。」

 

リューは微笑んでユウにお礼を言い、ヘルメスファミリアに合流していった。ベートさんもえらいやる気のようで獰猛な笑みを浮かべていた。

 

フィンさんから声がかかる。

 

「総員。準備はいいな?ユウ君。やってくれ。」

 

ユウは頷き特大の荷電粒子砲を構える。

 

「喰らいやがれぇぇぇぇ!!」

 

クノッソスに撃ち込むと中の壁やオリハルコンの扉、配置されたモンスターなどが全て消滅していた。あまりの威力にリヴェリアさんは固まりディオニュソスファミリアのエルフ達は涙目だ。

 

「フィン隊長!宣戦布告完了したであります!ちなみに二階への階段はあそこであります!号令をどうぞ!!」

 

「総員突撃!!」

 

全員が走る。走りながらフィンさんから部隊を2つに分けた意味なかったじゃないか!と文句を言われたが知らんがな。

 

2階層に着いたて足の速いレベル6組は先に行き、ヘルメスファミリアとも別れた。

俺の部隊はロキ様、無念馬鹿、レフィーヤ、フィルヴィスと無念馬鹿ファミリアの連中だ。

ロキ様がいるので電磁波を広げて索敵をする。指示をしてレフィーヤのアルクスレイでチュドーンが作戦だ。

 

「レフィーヤ右後方12メートルに1発。前半の曲がり角に2人いるから2発曲げてくれ。」

 

こんな指示でもレフィーヤの魔法ならお釣りが出る。普通にサクサク進んでいく。フィルヴィスにはレフィーヤのマインドの管理を頼んでいる。

何もすることがない、レベルが高すぎて何も出来ないアウラ達は唇を噛んでいた。

 

 

 

ーフィンサイドー

 

「しかしアミッド。君が戦場に出るなんて珍しいね。」

 

「ユウさんがいたので。ディアンケヒト様があれほどまでに心をお許しになった下界の子を私は知りませんでした。初めてユウさんをお見かけした時は驚きました。ディアンケヒト様の、その、お腹を突いておいでだったので。」

 

「ああ。簡単に想像できるよ…」

 

「ですが彼は私に気づくと笑顔で挨拶をしてくれました。それから何度か交流していきましたがロキファミリアを助けたいといつも笑顔のユウさんが真剣な表情をされて頼みに来ました。ディアンケヒト様も私も知っていますが、ユウさんが真剣になるのはいつでも人の為ですので。ならばその助けになればと思いディアンケヒト様と話をして参加することにしました。」

 

「ユウ君は本当にすごいね。アミッドが嬉しそうな顔をして男の話をするなんて思ってなかったよ。」

 

アミッドは少し頬を染めて話を変える。

 

「闇派閥が持っているカースの武器も私には意味がありませんので。私の魔法は全てを癒します。カースで切られようとどうなろうとも即座に治せます。それを作戦に組み込んでおいてください。」

 

フィンはその言葉を聞いてアイテムの類は一切いらないと言うのはこういうことかと納得する。

そう。この少女、戦場の聖女は治癒魔法の最上である。リヴェリアだろうがリューだろうが治癒魔法だけを取れば誰も追随を許さない。

 

フィンはある程度してから向こうからの攻勢が大人しくなったのを感じ取る。

ここからが本番かな?

 

「敵部隊の攻勢も落ち着いて来た。今からは迎撃じゃなく進行をメインに切り替える。だが油断だけはするな。僕についてこい。」

 

フィンは意識を切り替え、前に進んでいく。

 

 

ーユウサイドー

 

電磁波を広げて周りの戦況を確認しつつ進んでいく。モンスターも闇派閥の奴らも感知できなくなる。

 

「ユウたん。モンスターとかは来てないん??なんか落ち着いたなー」

 

「おそらくですがフィンさん達の進行速度が想像以上に早いからそちらに向かっているのでは?それに扉が意味を成していないのも相手からすれば予想外だったのでしょう。」

 

「なるほどなぁ。ユウたんこのまま上手いこといくと思うか?神の勘ほどあてにならんもんは無いけどなんか嫌な予感すんねん。」

 

ユウはロキのその言葉に黙る。ロキの勘。それはおそらく当たる。だがそれを妹達に言って不安にさせるのを躊躇ったからだ。

 

「大丈夫ですよ。ロキ様の子供達は俺の友達であり、俺も信頼してる人達です。特にフィンさんがいますから。あの人はこの前の一件から1つ殻を破りましたから。」

 

ロキはそっか。と言い前を向く。細い目を少し開いて睨みつける様に。ロキからすればよくわからない相手の目的にいきなり我が子が巻き込まれている話だ。愛情深いロキには許せない事なのだろう。

 

それからは全員何も言わず前に進む。

 

 

ー闇派閥サイドー

 

「ダメです!相手の進行速度が早すぎます!!扉の鍵も奪われている為戦線を維持できません!!それに一切迷わずまっすぐに進行しています!!」

 

 

タナトスは額に手を置き、天を見上げる。

 

「これってあれだよね?完全に前1人で来てた雷帝に全フロアマッピングされてるよね?うわーこれはキツイ。ほぼ詰んでるじゃん。」

 

バルカは己のダンジョンを軽く乗り越えようとしているロキファミリアを見て固まっている。何より何年もの月日をかけて作ったダンジョンを何かしらの魔法。おそらく雷帝の魔法で1階層部分を更地にされた事も固まる要因だ。

 

「タナトス…。我々一族が積み上げて来たものが更地にされ、乗り越えられようとしている。ロキファミリアに投降した方が良いのではないか?」

 

イケロスが口を開く。

 

「ひひっバルカちゃん。あっちには雷帝がいる。あいつは弟や妹に手を出したやつは皆殺しらしいぜ?神すらも殺すと本気で言ってたからなぁ。俺はもうあいつとツラを合わせて話もしたくねぇよ。もうここまで来たら捕まらないように全力で交戦するしかねぇと思うけど?」

 

バルカは黙り、タナトスも笑いながらも黙る。タナトスは死神だ。だが雷帝の方が死神っぽくない?と思ったり思わなかったり。

 

「わかった…。この一族の執念、いや呪いと言えるものを奴らに見せよう。」

 

バルカはそっと胸に隠している白い刀身の短剣を撫でる。これを使えば自分はどうなるかわからないがそれでもこの一族の呪いの為、相手を道連れにするつもりだ。

台座に腰掛け足をプラプラさせるタナトス。伝令に来た兵はタナトスのいつもと変わらない姿に困惑する。

 

 

「とりあえずだけど鍵は向こうに4つ。持ってる部隊は勇者、炎雷狼、怒蛇、重傑の4つだ。それに雷帝には扉意味ないしね。その4つの部隊に足止め兵を用意しつつって感じかなー。そもそもマッピングが完了してるのに少数精鋭で来る意味がわからない。なんで物量作戦に出なかったんだろ?」

 

タナトスは気づかない。味方だと思っている奴らの目的を、手段を知らないからだ。逆にロキファミリアはそこまでを読み切っての作戦だからこと少数精鋭なのだ。

 

「んー気になるけど今はいいか。まぁバルカちゃん。扉の操作とかは任せるよ。より良い死が混沌とする世界に早く戻したいなぁ。」

 

タナトスは薄く笑ってその部屋から出ていった。

 

 

ーアイズ、リヴェリアサイドー

 

 

「アイズ!来るぞ!!」

 

風のようにクノッソス内を駆け抜けていたアイズの後ろをついていき、魔法陣を展開していたリヴェリアが何かに気づきアイズに警告する。

しばらくしてやって来たのはお馴染みの怪人レヴィスだ。

 

「アリア。いやアイズだったか。ユウの妹になったそうだな…それとエルフか。」

 

「ユウさんも、私のお兄ちゃんだけど、ベートお兄ちゃんが私のお兄ちゃん!!」

 

ドヤ顔で言い切るアイズ。リヴェリアは知らなかったのか唖然とし、レヴィスはふっと笑う。

 

「そうか…。私について何かユウに聞いているか?」

 

アイズは首を横に振る。が、何かに気づきそわそわし始める。リヴェリアは疑問になり敵前だがアイズに聞いてしまう。いや聞いてしまった。

 

「あの、その、胸が大きいと肩コリが大変なのは本当?ユウさんが、レヴィスはあんな暗いとこで、胸のせいで、肩コリと戦ってるって…」

 

リヴェリアは口から魂を出している。まさか戦場でそんな事を我が子のように育ててきた娘の口から聞くとは思ってもいなかっただろう。

 

「ななな何を言ってる!!ユ、ユウはそんなに胸が好きなのか!?毎回会う度に胸の事を弄ってくるんだ…」

 

焦って思い出して落ち込むレヴィスの姿があった。ああ。この怪人が今回は問題ないとフィンが言っていた意味がわかった。完全にユウが絡んでいる。この怪人の反応。ユウに惚れてるな。

遠い目をしながらそんな事を思うリヴェリアだったが聞くべき事があったので戦闘も起こってないので問いかけてみる。

 

「すまない。レヴィスと言ったな?私はフィンから今回は問題ないと聞いている。戦闘する意思はあるのか?おい。少し落ち着け。ユウに惚れているのはわかるが落ち着いてくれ。」

 

悲しいかな。この王族エルフ。残念ながらここまで純潔を守っている恋愛お子様なのだ。そんな言葉を今のレヴィスにかければこうなるのは目に見えていた。

 

「な、な、何を!ほ、惚れている!?私がか!?た、たしかにユウはこんな私を抱きしめてくれたり頭を撫でてくれたりするが…。ユウにご飯誘われてるし…」

 

途中から言っちゃダメな事をバンバン呟くレヴィス。レヴィスの言葉を聞いてアイズが頬を膨らませる。

 

「ずるい!私は撫でてもらった事はあるけど、抱きしめてもらってないっ!!レフィーヤもフィルヴィスも、それに、ベルも。ベルも。ベルも抱きしめてもらってるの見たのに…」

 

嫉妬全開の駄々っ子である。ベルの部分には別の何かを感じるが。

 

「ん?ベル?ユウの弟のベル・クラネルか?まさかアイズ貴様。ユウの妹だと言っていたが…」

 

「私は、ベルのお嫁さんになるってユウさんが言ってた。それにデートもお揃いのネックレスも買った」

 

ふんす!とドヤ顔をするアイズ。レヴィスはその言葉に衝撃を受けて固まる。リヴェリアはなんだコイツら。敵対してるのに普通に話をしているぞ。とか思ったり。

 

「と、とにかくだ。私にもやるべき事がある。それに監視されているから戦いながら私の方についてこい。」

 

リヴェリアとアイズは頷き戦闘を開始する。

 

 

ーアスフィサイドー

 

「えー!?アスフィ!あの助っ人エルフどっか行っちまったぞ!?どーするんだよ!!」

 

「構いません。彼女の事情はユウから聞いています。ユウももしかしたらこうなると言っていました。我々のすることは変わりないです。ユウのマップならそろそろ相手の本城に着きますから気合いを入れなさい。」

 

ユウはここまで読んでたのかよと全員が驚愕しつつも納得し、意識を切り替える。透明になっているアスフィがまず入る。そしてバルカの背後からナイフを振る。咄嗟に避けたバルカ。ちっと舌打ちをするアスフィ。アスフィは透明なままユウに教わった合気でバルカを床に叩きつけ、拘束する。

 

「万能者だとっ!?な、何故貴様達がここにいる!?」

 

「簡単な話ですよ。ロキファミリア、雷帝は私達があなたを抑えるまでの隠れ蓑に過ぎません。このような大掛かりなダンジョンを作った一族です。ならば崩壊させる装置なども設置しているはず。だからこそ我々が別動隊であなたを拘束する役目を承っていたんですよ。」

 

そう。フィンが考えた作戦には神を殺して崩壊させるシナリオと別にクノッソスを作った一族が崩壊させるシナリオも組み込んでいた。

 

バルカは愕然とし、唇を噛む。

 

「勇者。バルカを拘束しました。場所はユウの印の場所そのままです。」

 

交信の魔道具を使いフィンに伝える。

 

 

ー全部隊ー

 

 

フィンはその知らせに拳を握る。そして魔道具で全部隊に伝える。

 

「全部隊に通達。ヘルメスファミリアが主格を拘束した。扉の操作はこれで出来ない。場所は9階層だ。全員向かえ!!」

 

フィンの指示に応える全部隊。ベートは獰猛な笑みを浮かべ、ガレスは勇敢に笑い、ティオナ、ティオネも獲物を捕らえた笑みを作り走る。我らがリーダーの元へ。

 

ディオニュソスもフィンの言葉を聞いて大きく吠える。

 

「我が子達よ!わかっているな!勇者が相手を捉えた!仲間の無念をはらすぞ!決して遅れるな!!」

 

「わかっております!」

 

アウラなどが、士気の上昇の波にのる。それを冷めた目でみるユウ。

 

「ロキ様。弱い奴らがあんなに感情に振り回されるの見ると最悪の結果にしかならないと思うんだけど。」

 

「まぁそう言うたんなや。自分らもここまで一緒についてこれたんやーって勘違いしとんねん。可愛いもんやろ。」

 

ユウはため息を吐きながらその光景を見つめる。別に復讐は悪いことなんて言うつもりはない。その人その人の心の中なんてどうなっているかわからない。でも死んでいった人達は仲間に危険を犯してまで復讐してもらうのを望んでいるのだろうか?

自分自身、ベルやレフィーヤ、フィルヴィス、ウィーネが殺されたら怒り狂うだろう。それでも自分自身の危険を度外視するわけではない。あくまでも出来る範囲でしかやらない。仮にベルが殺されてもベルはユウに死の危険を犯してまでの復讐を決して望みはしないからだ。

 

「フィンさん。9階層の出入口をベートさん、ガレスさん、ヒリュテ姉妹で押さえて。フィンさんはアミッドさんとアスフィのところに。イケロスとタナトスだけは逃しちゃいけない。」

 

「全部隊聞いたな?ユウ君の指示に従え!番号が振ってあるところに向かえ!」

 

「俺は1に行く。すぐ着く。」

 

「儂は2じゃの。」

 

「私達は3ね。了解。」

 

全員即座に反応し速やかに行動に移す。全員ここを逃すのはマズイことを理解している証拠だ。

 

 

 

ーフィンサイドー

 

「君がバルカ・ペルディクスだね。王手だよ。神タナトス、神イケロスはその後ろの部屋かな?」

 

バルカは口を噤んだまま何も話さない。

 

「君たちは利用されていただけだ。エニュオと言う者にね。その証拠に誰も来ない。」

 

さて。これで終わりかなと思うとバルカがいきなり暴れ、アスフィの拘束から抜け出す。

 

「利用されていようとも、我々一族には悲願がある。いや呪いと言うべきかな。ここが私の終焉か…」

 

バルカは短刀を取り出し、自らの胸に刺した。

 

「なっ!?」

 

全員が驚愕する中カースの付いた武器を何度も何度も己の身に刺す。

フィンとアミッドですら固まり動けない。

 

「貴様らの言う通り闇派閥はここで潰えるのだろう。だがクノッソスは潰れん!!」

 

比喩抜きでドス黒い血を流しながらバルカは叫ぶ。

バルカは緑色の宝玉を取り出す。そう穢れた精霊の胎児だ。

 

「我が一族の執念を見せてくれよう。1人でも多く道連れにしてくれる!!」

 

その宝玉を自分の胸に押し当てる。

 

「ぐっ、げぇあ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「アァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

男と胎児の声が二重に響いてくる。モンスターではなく人間との融合。ダンジョンに寄生したりモンスターに寄生できるのなら人間にも寄生できるのを考えるべきだった。目の前の光景に目を奪われて全員が思考と行動を放棄する。

 

 

「フィンさん!固まってる場合じゃねぇって!早く指示を!聞いてた範囲と強い電磁波が現れたので理解した!アスフィ達はアスフィ以外退却しろ!!フィンさんとアミッドさん!そいつの能力はおそらくカースに特化してるはずだ!攻撃も魔法も返り血でさえも食らうな!」

 

フィンはユウの通信でハッと我に返る。アミッドとアスフィと頷き合い行動を開始する。

 

「ヘルメスファミリアは万能者を除き退却しろ。戦闘では役に立たない!ユウ君の推測通りなら人を増やしても無駄だ!足手まといが増えるだけだ!アミッド…頼りにさせてもらうよ?」

 

「ユウさんが私も残るように言ってくれましたからね。あの方の信頼に応えず何が聖女でしょうか。」

 

「私は飛び道具を持ってきているのでそれで牽制、様子見をしましょう。」

 

かつてない最悪の状況に各派閥の団長が相手を討伐せんと手を組む。

フィン、アミッド、アスフィはこれから冒険をする。

 

ーユウサイドー

 

「ユウたん!これほんまにヤバない!?ユウたんを増援…いやうちらのせいであかんか。」

 

「大丈夫です。フィンさんが落ち着きを取り戻しましたしアスフィもいます。何より対カースにおいては誰よりも頼りになるアミッドさんがいます。あの人の魔法マジで頭おかしいっすから。神様より神みたいな魔法っすよ。」

 

ロキはユウのアミッドへの信頼に口を開けて固まる。

その間にも電磁波を広げてイケロス、タナトスの場所を探る。

 

「ロキ様。イケロス、タナトスの場所を特定しました。行きましょう。あいつらだけは逃がさない。それにこちらで保護してしまえば最悪の推測は回避できます。」

 

ロキは頷く。

 

「ここからは部隊を分ける。神がうろついてる場所だ。モンスターは放し飼いされていない筈だ。いても闇派閥の兵隊くらいだ。それならレフィーヤとフィルヴィスで対応可能な筈だ。ディオニュソス様はレフィーヤとフィルヴィス、それにファミリアの人達といてください。どっちがイケロスかタナトスかわからないのでレフィーヤとフィルヴィス部隊には一方の神を捉えてもらう。もう一方は俺とロキ様2人で捉える。近くに強い電磁波は居ないが気をつけろ。」

 

レフィーヤもフィルヴィスも頷き、ディオニュソス様もディオニュソスファミリアの連中も頷く。

 

この分けるを選択したのがマズイことになるとは思わずに…

 




やっぱ終わらんかった。

遅くなり申し訳ありません。午前中の仕事の量がおかしかったんだよぉ〜!!!

できれば今日更新したいですが明日になったらすみません!!


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クノッソスの最期。そしてユウ・クラネルの最期!?

これでクノッソスは終わらせる!

なんかもっと綺麗にまとめたかったです。

こんなの認めないって人はごめんなさいっ!!


フィンは攻撃をしながらバルカの行動を冷静に観察する。動きが非常に遅いが浮き出ている血管からドス黒い液体が撒き散らされる。それも全て避ける。バルカの手だった部分が触手に変わり、攻撃が苛烈さを増していく。

 

「フィン団長。アスフィ団長。私の詠唱時間を稼いでください。範囲完全治癒魔法を展開します。その範囲ならどんな傷、カースも即座に治ります。」

 

そのアミッドの言葉を聞いて驚愕とともに勝てるヴィジョンが浮かび上がってくる。

 

「万能者!アミッドの護衛を頼む!僕はあいつの攻撃を抑える!」

 

フィンは槍を構え触手を弾いていく。アスフィの魔道具を投げ、ユウに教わった技術を使いうまく捌いていく。

 

「癒しの滴、光の涙、永久の聖域。薬奏をここに。三百と六十と五の調べ。癒しの暦は万物を救う。そして至れ、破邪となれ。傷の埋葬、病の葬斂。呪いは彼方に、光の枢機へ。」

 

アミッドが高速詠唱を開始すると共にバルカの攻勢が激しさを増していく。バルカもアミッドが危険であることに本能で気づいたのだろう。

フィンとアスフィは全力でその攻撃を捌いていく。尚もアミッドの詠唱は止まらない。

 

「聖想の名をもって———私が癒す。ディア・フラーテル」

 

聖女から完全治癒魔法が放たれ、半径5メートルほどの魔法陣が形成される。

それは奇跡とも言える聖域だ。フィンは攻撃し、避けずに返り血を腕に当ててみる。そこが燃えるように痛むが即座に光を放ち、治癒する。その光景を見たアスフィとフィンは即座に防戦から攻勢に移る。フィンの攻撃も苛烈さを増す。

アスフィはユウとベルと鍛錬をした時にサポート力を徹底的に鍛えた。その成果がここに実る。

 

フィンが攻撃し、離脱する際にバーストオイルを投げサポートし、フィンが攻撃する際もバルカの意識をこちらに引きつける。

フィンはいつも以上にやりやすい事に驚きつつ笑みを浮かべ攻撃をより苛烈に、より速くする。

アスフィも自分が出来ることを瞬時に把握する。その中で武器となる部分を選択し、思考を加速させる。

レベル6との共闘。アスフィは笑みを浮かべる。ユウとベルと共に鍛錬していなければついていけなかったでしょうね。感謝しますよ。愛しの弟と最愛の人。

 

アスフィが埒外とも言えるレベル6上位のフィンとの共闘についていけるのには訳がある。まずユウ、ベル、ベートとの鍛錬だ。あの馬鹿3人は移動術の極致とも言える縮地を基本として使うのだ。戦闘速度が尋常ではない。ユウ、ベートにいたっては瞬間速度だけならオラリオ最強のオッタルすら凌駕する。ベルですら魔力を纏っている状態ならレベル6に遜色ない速度を誇る。

アスフィはその戦闘に身体がついていかない。そして考えは徹底したサポートに行き着いた。そこでベートを相手にサポート力を磨き上げてきたのだ。

そして何より恋する乙女は強い。ユウがアスフィに残れと言ったのはアスフィなら戦闘についていけるという信頼、信用に他ならない。好きな人に頼られる。そこで結果を残さねば好きな人は悲しむかもしれない。そんなことはアスフィには認められない。

 

一方アミッドは目の前で起こっている高速戦闘及びたった2人で化け物を抑えるどころか押している戦況に驚愕する。これがレベル6とヘルメスファミリアが誇る団長、万能者ですか。いくら私の治癒があるとはいえここまでとは。そんなことを思いながらバルカを見る。

そしてふと気づく。あの武器はカース付きの武器だった。そしてカースの化け物が生まれた。ならばあの化け物は自分の治癒魔法でカースのみを解呪すれば?

試してみる価値はありそうですね。

アミッドは決断し、下がって来たフィンに己の考えを伝える。

 

「フィン団長。バルカはカース武器を自分に刺してあの化け物に変貌しました。ならばそのカースだけを解呪すれば?」

 

「それには一考の余地があるね。僕らは攻撃を捌いてアミッドに向かわないようにすれば良い。万能者。やるよ!」

 

「ユウとの鍛錬がどれほどのものだったかバルカもそうですがあなた達にもお見せしますよっ!」

 

「それは心強い。ベートもユウ君との鍛錬で戦闘だけなら僕を超えたからね。アミッド。全面的に君に任せる。ユウ君に頼りにされている力を見せてくれ。」

 

3人が3人、己のすべき事を考え、最高の結果を残すべく動き出す。

 

アミッドは今展開している魔法陣を一度消し、詠唱に入る。

その詠唱の間フィンとアスフィは全ての攻撃を捌いていく。そして遂にアミッドの詠唱が完了する。

 

「ディア・フラーテル」

 

バルカの足元に魔法陣が形成される。

直後バルカは苦しみ始める。人もモンスターも治癒してしまう神聖な光を浴びて悶え苦しむバルカ。その姿を見てフィンとアスフィは正解だったと確信する。

 

アミッドのディア・フラーテルは完全治癒魔法である。だがこの魔法は「回復」「解毒」「解呪」の3つが合わさった魔法だ。体力の消耗、傷があるならば回復させる。毒に侵されているのならば解毒する。呪われているのならば解呪する。全てを任意で使える魔法だ。先程までの魔法陣はその全てを使い展開していた。

だが今回はバルカに対し、解呪だけを選択し、その力を強める。アミッドの推測通りバルカは呪われている状態で宝玉を使った。その呪いが解呪されてしまえばもう動けない。

 

「ヒーラーでありながらモンスターを倒すか…君は。本当に頼りになる。」

 

「勇者。ここで我々が傍観する意味はありません。戦場の聖女を護衛しつついつでもトドメをさせるように警戒しますよ。」

 

アスフィの言葉でフィンも臨戦態勢に入る。

 

「消えなさい。その禍々しき呪いの力よ。私は聖女としてそんな力を認める事は出来ない。」

 

アミッドは魔力をさらに高める。

 

「そうなってしまった貴方を私はもう癒せない。謝るのは傲慢でしょう。嘆くのは冒涜でしょう。救う事を諦めた私は偽善者でしょう。ですが私は私の尊敬する冒険者に頼られました。ならばその信頼に応えましょう。その「呪い」だけは殺しきります。」

 

純白の魔法陣が発光を強める。そこに注がれている魔力はリヴェリアの大火力の魔法クラスだ。

 

呪いに滅びを。魂に救済を。呪縛からの解放を。光の衝撃波でアミッドの髪が揺れる。なんと神々しい風景だろうか。化け物にまで成り果てたバルカの存在理由までもが浄化されていく。

 

 

 

 

ふざけるな。この身に巣食っている呪いを失うわけにはいかないと言うようにバルカは抵抗し始める。太い血管からアミッドに向け、血の雨どころか執念、怨霊とも呼べる瘴気を撒き散らし始める。

防ぎきれないとフィン、アスフィはアミッドの後ろに退避する。アミッドはその瘴気に呑み込まれる。

 

「「アミッド(戦場の聖女)!!」」

 

アミッドは悲しそうな目でバルカを見る。

 

「すみません。貴方の執念はこの身には届きません。私の尊敬する冒険者がこの法衣にも解呪薬をかけていたのです。はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アミッドは吠える。これで貴方を呪いから解放しますというように…

白い光が柱となってドス黒いバルカを浄化し、バルカは漆黒の汚れが無くなった。

その瞬間を待っていたと言わんばかりにフィンはバルカに疾走する。槍を刺突する。が、目前で止まる。

 

「もう事切れている…」

 

「戦場の聖女の浄化が終わった時点で事切れたのでしょう。しかし瘴気に呑み込まれた時は流石に焦りましたよ。」

 

「ユウさんがこの戦場に赴く前に法衣にも解呪薬染み込ませとけば怪我してもポーションで治せるんじゃね?とかけられまして…。出ていた素肌の部分だけでしたら普通に解呪できますので正直助かりました。」

 

「ユウはまた適当な思いつきで貴重な物を…はぁ。ですが無事で良かったです。ユウの適当な思いつきもたまには役に立ちますね。前なんて鍋にエリクサーを入れたら鍋の痛みとか治るんじゃね?とか言って実行していましたからね。流石にゲンコツしましたよ…。」

 

ユウの話を聞いてアミッドとフィンは想像が容易いのか苦笑いしている。

 

「さてここもひと段落したけど悠長にはしてられない。恐らくイケロス、タナトスのところにユウ君の部隊が向かっている筈だ。僕らも合流しよう。」

 

アミッドとアスフィも頷き、3人の団長は行動に移る。

 

 

 

タナトスは祭壇の前に座りながら考えていた。今回の一件はロキファミリアにやられたというよりたった1人の冒険者の手によってズタボロにされた。

 

「雷帝か。さすが帝王を名乗るだけはあるなぁ。彼1人にこっちはズタボロにされちゃったかぁ。イケロスですら話をしたくないって言うくらいだし。」

 

「こっちは神様だし?たしかに10年20年なんてあっという間なんだけどさー。もう一回やれって言われると面倒なんだよねぇ。時間はあっという間でも手間とか考えるとねぇ。ここまでやるのは本当に面倒なんだ…」

 

静かな広間でまるで独白のように言葉を紡ぐタナトス。冒険者達が来るであろう通路と反対の方向に進む。そこには自らのファミリアのエンブレムが飾ってある広間があり、その下に目的の人物がいた。

 

「エインちゃん。」

 

レヴィス達にエインと呼ばれる謎の人物。タナトスが声をかけるとフードに仮面を被ったその人物はタナトスの方を向く。

 

「ロキファミリアと雷帝にやられちゃったよ。俺の眷属達は完敗。もう後がない。だから穢れた精霊を出してよ。」

 

「断ル。」

 

思ってもいない台詞がエインから飛び出す。

 

「断る……?」

 

「精霊達ニハ役割ガアル。配置カラ動カス訳ニハイカナイ。」

 

タナトスは思考が停止する。何を言っているかわからない。

 

「貴様達ハ「エニュオ」ノ道化ニスギナイ。エニュオカラノ言伝ダ。「協力に感謝する。だがここまでだ。」」

 

「何を言って…「オラリオ崩壊の計画は私が受け継ごう。冥府に至る道は私が開いてやる。だからーー」

 

「贄となれ。死の神」

 

「全テハエニュオノ神意ノママニ。」

 

そう言い残し仮面の人物は暗闇に消えていく。タナトスは動けず、言葉も発せなかった。一切の音がしない広間でカチリと時計の針が動く音がした。

 

「ーーーはは。ははは。あーっはははははははははははははははははははははは!!!!」

 

壊れたように、感情を全て笑いに変えたかのごとくタナトスは笑う。

 

「やめてよ!やめてよね!!それってさぁ!なんでもわかってるつもりでいる神々がどうしても許せない恥辱ってやつじゃん!!ーーー度し難い「利用」ってやつ。」

 

狂ったように笑いながら1人タナトスは喋る。自分の思考を落ち着ける為に。

 

「この死神を嵌めるなんてね。エニュオのクソ野郎め。」

 

タナトスは神意に燃え盛る目をしている。そこに声がかかる。

 

「よう。自分がタナトスやな?この子は雷帝のユウたん。短い間やろーけどよろしゅうな。」

 

「ほーん。これが死神タナトスかー。男前じゃん。雷帝のユウ・クラネルです。あんた達を捕縛という名の助けに来ました。」

 

タナトスはユウの言葉に唖然とする。

 

「は??助ける??」

 

 

ーロキとユウサイドー

 

「そや。アンタも多分さっき大声で叫んどったし気づいたんやろーけど利用されとるで?うちらはそこまで読んでた。あいつらはオラリオ崩壊の計画の為にうちらをクノッソスに誘き寄せて神殺して光の柱ドカーン作戦やったわけや。せやからアンタを殺させるわけにはいかんから助けたる。」

 

タナトスは呆然とする。さっきまで、相手に話されるまで気づかなかったことをロキ達は読み切っていたのだ。これでは勝てない。負けるのも無理が無いと思う。

 

「くくく。あーっはっは!!そうさ。その通りだ。ロキ。さっき言われたよ。贄となれ死神ってね。利用されるのはいいよ。俺も利用してきたし。でもねロキ。俺にも死神の意地ってもんがあるんだ。とてもエニュオのクソ野郎を許すことはできないよ。投降するよ。そして時間がいくらかかろうとエニュオのクソ野郎の顔面をぶん殴る。」

 

「おう。そーか。ほな協力せぇ。ギルドに引き渡す前にエニュオぶん殴らせたるから地上いくで。」

 

ユウは何かおかしいことに気づく。この違和感はなんだ?

 

「タナトス様。1つ伺いたいことがあります。さっき言われたとは?」

 

「雷帝君か。いやね。エニュオの人形みたいなやつがさっきまで居たんだけどそいつに言われたのさ。利用してたぞーってね。」

 

ユウはその話を聞いて無言で考え始める。手下がいた?神殺しをするのが目的なのにタナトス様を放置した?どういうことだ?

 

考えている間にフィンさん達も合流する。

 

「おーフィンか。無事そうでなによりや。こいつがタナトスやねんけど利用されとんの知ってブチギレや。エニュオのツラ殴るまでは協力するんやて。ん?ユウたんどないしたん?」

 

ユウは未だに思考を続けている。なんだ?何を見落としている??

 

「タナトス様。イケロスのクソ野郎はこの事を知っているのでしょうか??」

 

「んにゃ。知らないと思うよ?俺もさっき言われたばかりだし。」

 

どういう事だ?神殺しがエニュオの目的では無いのか?いやでも悪寒が走ったということは間違いない。ここにいる神はロキ様、タナトス様、イケロス、ディオニュソス様だけの筈だ。イケロスとディオニュソス様はレフィーヤとフィルヴィスがついてるし…。

 

「タナトス様。もう一つ質問が。クノッソスにはイケロスとタナトス様以外に神様はおられますか?」

 

「いないよ?とりあえずイケロスのところに向かう?神を集めておけば安心でしょ?この道を真っ直ぐに行けば着くし。」

 

その案に乗り全員でイケロスとレフィーヤ達の元に向かう。向かうついでに仮面の奴がいたと言っていたので電磁波を広げてレフィーヤ達を確認する。そして驚愕してしまう。

 

「なんで。なんでなんでなんで!!ロキ様!フィンさん!!マズイ!!ディオニュソス様の電磁波がレフィーヤ達と全然違うところにいる!!!」

 

タナトスを含めた全員が驚愕してしまう。

 

「しかもディオニュソス様のところに変な電磁波がい…」

 

全ての台詞を言う前に衝撃がクノッソスを襲う。

 

「ちくしょう!!ディオニュソス様が殺された!!やられた!!マズイ!フィルヴィスの恩恵が!!悪いけど先に行く!!」

 

返事も聞かず、ユウは雷を纏って全力でフィルヴィスの元に向かう。するとフィルヴィスの首を持ち上げている仮面の人物がいた。ユウはブチギレる。背中の恩恵が熱を持つ程に発光する。

 

 

「誰の妹に触れている。」

 

雷を纏っている状態で全力の縮地をし、仮面の人物の腕を切り落とす。

 

「ナ、ナニ!?チッ雷帝カ。ココハ撤退スル。ドノ道恩恵ヲ無クシタ奴等ハ助カラマイ。」

 

仮面の人物は放っておき、フィルヴィスに駆け寄る。

 

「フィルヴィス!!大丈夫か?レフィーヤ!!フィルヴィスを背負え!!ベートさん達も着いたか。ベートさん!ガレスさん!ティオナ!ティオネ!ディオニュソス様が送還された!ディオニュソスファミリアの奴らを背負って全力で離脱しろぉぉぉ!!」

 

ユウは余裕などかなぐり捨てて叫ぶ。フィンとロキ、タナトス、アスフィ、アミッドも焦っている。

 

「フィンさんはロキ様!アスフィはタナトス!アミッドはイケロスを背負え!!俺が地上まで穴をこじ開ける!!」

 

特大の荷電粒子砲を天井にブチ込む。1発だけじゃなく2発3発と繰り返し撃ち込むと光が見える。

 

「飛べぇぇぇぇ!!全速力で地上に向かえぇぇぇ!!肉壁が来やがるぞ!!俺が抑えるから早く行けぇぇぇ!!」

 

全員が即座に行動に移す。ユウは雷を全開で纏う。殿を務めながらみんなに向かう肉壁に荷電粒子砲を放ち、消滅させていく。そして脱出間際の2階層部分に差し掛かった時だった。

 

「ォォォォォォォォォォ!!」

 

まるで罠だと言わんばかりにアウラを担いでいるティオネに食人花が遅いかかる。2人があまりにも酷い状況に硬直する中ユウの判断はそれこそ雷よりも早かった。即座に縮地でティオネの背中を蹴り上げる。そしてその反動で刀で切り刻む。その間実に1秒。

しかし反動で肉壁に向かって推進力が行ってしまってる。目を見開いているロキ様にすみませんと言う。

 

「「「「ユウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」」」」

 

ユウは肉壁に呑み込まれて行った。そして全員が地上に脱出する。肉壁はユウが開けた穴を塞ぐかの如く閉じていき、勢いを弱めやがて動かなくなった。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!お兄ちゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

レフィーヤの嘆きが辺り一面に木霊する。

 

フィンは信じられないかの様に呆然としている。

 

ベートは固まって動かない。

 

ガレスは顔を歪め何かを我慢している。

 

ティオネは何で私をと涙する。

 

ティオナはレフィーヤに寄り添い泣いている。

 

フィルヴィスはその場でうずくまり涙を流す。

 

アスフィは下を向いて何の行動も起こさない。

 

アミッドは目に涙を溜め、その場に立ち尽くす。

 

アウラ達、元ディオニュソスファミリアは自分達が足を引っ張り殺してしまったも同然な事に気づき涙を流しながら謝り続ける。

 

タナトスはただただユウの行動に心打たれて美しいと思いつつも敵対していた自分をも救い出してくれた事に心から感謝を捧げる。

 

そしてロキ。呆然とする。最後にユウはロキに向かってすみませんと言った。あれほど大好きだと言い続けた妹達ではなく自分に対してすみませんと。ロキはクノッソスに入る前に自分が言った言葉を思い出す。

 

「ユウたん。自分が危険になるくらいなら見捨ててええ。ユウたんはなんやかんや優しいから心配やわ」

 

この言葉を伝えた後、ユウは珍しく何も言わずただ困った顔をして頭を下げた。

 

「アホやなぁ。ユウたん。あれは助ける為に勝手に身体が動くかもって・・・言いたかったんか??グスッ。アホタレ。こんな事ヘスティアと何よりもベルたんに何て伝えたらええねん。」

 

ロキは神だ。下界の子供とは出会い、別れるのは仕方ない事だと割り切っている。だから子がダンジョンで死んでも、もちろん悲しいが泣いた事はない。だが、この時、この場所ではユウの為に泣いた。

 

 

「…今からロキファミリアのホームに集まる。僕らは立ち止まってはいけない。それはユウ・クラネルに対しての冒涜になる。彼程誇り高く、勇敢な男は僕は、僕は、誰も知らないっ!!だからこそ後悔する暇があるなら前に進む!!」

 

フィンは団長の仮面をつけ、全員を動かそうとするが、やはり、それでも失った者は大きい。涙を堪えることができない。そこにアイズとリヴェリアがやってくる。ユウに起こったことを伝えるとアイズはうずくまって泣き、リヴェリアですら涙を流した。

 

クノッソス作戦に参加していた全員がロキファミリアのホームに集まる。

 

「僕はこれからの事を話さなければならない。だがその前にユウ・クラネルの事だ。悪いけどラウル。ヘスティアファミリアに向かって神ヘスティアだけを連れて来てくれ。あの女神には全てを知る権利がある。」

 

「そうやな。いつまでも泣いとれん。ユウたんにまた馬鹿にされてまうわ。」

 

ロキが冗談を言うが雰囲気は暗いままだ。特にレフィーヤとフィルヴィス、そしてアスフィは本当にヤバい。自殺しかねないレベルだ。

 

「ユウたんにな?クノッソス作戦の前にディオニュソスファミリアが勝手についてくるって言うから「ユウたん。自分が危険になるくらいなら見捨ててええ。ユウたんはなんやかんや優しいから心配やわ」ってウチ言うたんよ。ほなな?あのユウたんが何も言わずに頭下げてきてん。多分あの子は厳しい言葉かけてはよ帰れって言いたかったけど着いてくるんやったら目に届く範囲なら助けようって決めてたんやろうな。」

 

ロキの言葉を聞いて各々が顔を上げる。

 

「ほんでな?タナトスんとこ向かう途中はユウたんと2人やったんよ。その時になんで昔のベートみたいな言葉をかけてたん?って聞いてん。ほななんて言うたと思う?」

 

ベートを見る。

 

「あーあいつの事だ。ツンデレやってみたかったとかじゃねーのか?」

 

「どアホゥ。ちゃうわ。「復讐心に駆られてる奴等にまともな事言っても意味ないから実力差を分からせたかったんですよね。そしたら諦めてくれるかなって。まぁ本心としては復讐は別にいいんですけど自分の力でどうにかなる場合だけにしてほしいですよね。そもそも死んだ奴等が復讐を望むわけがないですし。でも自分の心と折り合いをつける為に復讐するんでしょ?だったら力つけないと。力ない奴が復讐しようとして返り討ちにあって死にましたとか死んだ奴等爆笑して生き返っちゃいますよ。」やって。」

 

その言葉を聞いてディオニュソスファミリアの面々は大泣きする。

 

「てめー等が泣くんじゃねぇ。てめー等にはその権利もねぇよ。雑魚が粋がってその場の勢いや雰囲気に流されて俺の親友を殺したんだ。次泣きやがったらぶっ殺す。」

 

ベートは殺気全開で睨みつける。

 

「まぁベート落ち着きや。その通りやとは思うけどな。話の続きやけどな、ユウたんはそのあと言うたんよ。「俺は別に聖人君子でも無いですし英雄になりたい訳でもないんですよ。ただベルが英雄目指してるんでその英雄を1人でも支えれる強さが欲しいんです。なら英雄より強くなきゃいけない。って思ってオラリオに来てベートさんをはじめスッゲー大切な人達ができた。だから俺はその人達がピンチだったり困ってたら全力で助けたいんです。まぁクノッソス作戦で死人が絶対出ないようにしてやりますよ。」ってな。そんなん言うて自分死んでたら世話ないでほんま。でもな、そんだけの気持ちであの子は接してくれてこの作戦も参加してくれててん。それだけは残された、生かされたウチらは絶対に忘れたらあかん。

今は悲しむのも泣くのも神であるウチが許したる。それでもや。泣き終わったら前向け。進め。それがユウたん。ユウ・クラネルと過ごして来た者の役割や。ええな?」

 

全員が顔を上げ、頷く。

 

「失礼するっす!神ヘスティアをお連れしたっす!」

 

ここからユウについて説明するのは憂鬱だが必ずしなければならない。恨まれても仕方ないと思いながらフィンは入室を許可する。

 

ヘスティアは暗い雰囲気に気圧されたのかあたふたしている。

 

「ヘスティア。ウチはあんたに謝らなあかん。今回のクノッソス侵攻作戦でユウ・クラネルが犠牲になった。本当にすまん。」

 

ロキとフィンだけでなく全員がヘスティアに頭を下げる。

 

「え?え?どどどういうことだいっ!?ユウ君が犠牲になった!?」

 

「神ヘスティア。ロキファミリアのティオネ・ヒリュテです。ユウ・クラネルは私ともう1人を庇って犠牲になりました。本当にすみませんっ!!」

 

ティオネは誠心誠意頭を下げる。下げてどうこうなる事ではないが謝罪をするのは当たり前だ。

だがヘスティアの反応は誰もが思ってるのと違った。

 

「え?え?ロキ?これ本当?ドッキリとかじゃなくて?」

 

「ヘスティア。さすがにウチでもそんなドッキリはせん。認められへんかもしれんけどユウたんは間違いなくクノッソスにのみ込まれた。」

 

「え?ロキ?1つ質問していい?」

 

ロキは頷く。

 

「子供が死んだら恩恵無くなるんだよね?僕与えてるのユウ君入れて7人だけど減ってないよ?数が少ないから間違えようが無いし。」

 

部屋の時が止まる。

 

「「「「えええええええええええ!!」」」」




はいユウ君生きてたわ。

次は呑み込まれてからのユウ君とその後の動きを書いていこうと思います!

遅い更新でごめんなさい!!


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うーにゃー!!弟子を育てたのは儂じゃ!!

ユウ君生きてたよ!普通に元気だよ!!

そのままリューさん編に行く辺りがアホなんだよなぁ。地上戻れよマジでww


さてさて。おっぱいデカい方とあのクソエルフを蹴り飛ばしたものの肉壁に呑み込まれたんだけどなぁ。雷が嫌いなのか威力が上がっているからなのか肉壁が俺の周りから蒸発して消えて無くなるんだよね。だから壁も蹴れないし自然落下に身を任せておりますユウ・クラネルです。

 

確か16階までマッピングしたから最下層が16階かな?いやでも10階の穢れた精霊が肉壁になってるしなぁ。とりあえず下に電磁砲撃って衝撃を殺そう。そうしよう。

 

 

「ズドーン!!!」

 

1人なので効果音を自分で口にしたもののなんか恥ずかしくなってきた。ようやく地面に足がついた。衝撃で足が痺れているのでちょっと待って。うん。よし。とりあえず電磁波を広げて見る。んん?これって16階だな。よしそのままダンジョンいこ。18階層の森の中に出るはずだし。

 

トコトコと歩いて18階層に出る。するとリヴィアの街が騒がしくなっていた。なんじゃいなんじゃいと思い進んでいく。

 

「なぁあんた何かあったの?」

 

1人の冒険者を捕まえ聞いて見る。

 

「お!雷帝じゃねーか!久しぶりだな。いやなんか疾風のリオンが現れたらしくてよー。討伐隊が組まれて下に行ったんだけど爆発したかなんかでえらい騒ぎになってんだよ。んでボールス達も帰ってこねぇしどーしたもんかと思ってよ。」

 

「ほーん。なら俺が見てきてやるよ。つか弟達も一緒に行った?」

 

「お!マジか!雷帝が行ってくれるなら百人力だぜ!炎雷兎達もパーティで討伐隊に参加して行ったぜ?」

 

「オッケー!ベルがいるならお兄ちゃんに会いたい筈だから行くわ。あ、地上に戻る奴いる?いるなら手紙ヘスティアとロキ様に渡してほしいんだけど。」

 

その冒険者がそれなら俺が行くと言ってくれたので言葉に甘えて手紙を書いて渡しておく。

ついでになんかあったかなとガサゴソするとハイポーションとエリクサーがあったので渡そうとしたが下に行くんだから持ってけよ!と怒られた。解せぬ。

前助けてもらったお礼とでも思ってくれと言われたのでとりあえず頷いておいた。

 

「どういうことじゃ!?説明せぇ!!」

 

何やら怒鳴り声が聞こえてくる。そっちの方を覗きにいくとドワーフが怒鳴り声を上げていた。

 

「だ、だから!水の都にアンフィス・バエナが出たんだよぉ!!」

 

「そんな馬鹿な!!アレのインターバルはまだ半月残っとる筈じゃ!!どうして、今この時に階層主が出てくる!?」

 

「そ、そんなの知らねぇよ!!俺達だって下の階層から帰ってきた奴に話を聞いてすっ飛んで帰ってきたんだ!!」

 

余程焦っていたのか地面にへたり込んでいる冒険者をドワーフは怒鳴り散らす。

 

「25階層から逃げ帰ってきた奴等も混乱してて……なんかダンジョンが哭いたとかグレート・フォールが赤く染まったとか訳の分からないこと言ってるんだ!!ただ、すげぇ爆発が何度も起きて階層が崩壊したらしいんだ!!」

 

赤く染まったの所を聞いてユウは話に割り込む。

 

「悪いけどお前さん討伐隊の奴か?俺の弟もいる筈なんだけど何か知らねーか?」

 

「ら、雷帝!?って事は炎雷兎の事か?アイツらならまだ25階層にいる筈だ。たぶんで悪いけど…」

 

「いや十分だ。ありがとよ。そこには俺が行く。死にかけてる奴とかがいればここに帰らすからポーションとか用意しといてくれ。」

 

下に行こうとするとドワーフと片腕のないエルフに声をかけられる。

 

「あんたが雷帝か。儂はマグニファミリアのドルムル・ボルスタっちゅうんじゃが炎雷兎に助けてもらった者じゃ。こんな事言うのは筋違いなんはわかっちょる。じゃがあいつらを助けてくれぃ!!」

 

「私はモージファミリアのルヴィスと言う。私も炎雷兎に助けてもらった。だからこそ自分で助けに行きたいが残念ながら今の我々が行っても足手まといになるだけだろう。申し訳ないが頼みたいっ!!炎雷兎を助けてくれっ!!」

 

「おう。任せときな。足手まといになる。か。君達は今自分のすべき事を感情に流されずにきっちり判断した。立派な冒険者だ。そんな先輩冒険者の頼みを無碍には出来ないよ。それに炎雷兎は俺の弟だ。必ず助けるさ。弟のことをそんなに思ってくれてありがとう。地上に戻ったら是非ウチのファミリアに寄ってくれ。飯をご馳走するよ。」

 

ユウは笑顔でそう言い、ドルムルとルヴィスと約束をして19階層に入った。マジックポーションを飲みながら考える。アンフィス・バエナって何?と。そんな階層主知らないんだけど。え?ゴライアスと最弱の四天王ウダイオスさん以外に何かいたっけ?

 

この男37階まで潜っている間ギルドに換金以外で1度も行っていない。アホである。情報は命に直結するとかエイナさんにカッコいいことを言っておきながらこれである。

 

とりあえず電磁波を広げ、急いでベルの元に向かうことにした。23階層からダンジョンがボロッボロになっていた。25階層にアンフィス・バエナとベル達がいるとの事なので急いで行ってみる。リリ達を見つけた。

 

 

「おう。リリ。元気いいな?何か良いことでもあったのかい?」

 

「「「「ユウ(様)!?!?」」」」

 

「ほーん。あれがアンフィス・バエナか。何かキモいな。体型がキモい。」

 

「何故ユウ様が!?いえ、それはどうでもいいです!それよりベル様が下に居ます!!そしてリュー様がおそらく闇派閥の罠にかけられて居ます!一応援軍要請をしましたがいつになるかわかりません!ここはリリ達だけでも大丈夫ですので行ってください!!」

 

リリがまくし立ててくる。

 

「へいへい。わかりましたよーっと。ヴェルフー!これやるわ!オリハルコンとアダマンタイトなー!クノッソスから壊してパクっといた!んじゃ頑張れよー。ついでだこの野郎。食らっとけ!!」

 

去り際に一方の首をチョンパして行く。手を振りながら下に行くユウを呆然と見るリリ達。

 

「と、とりあえずユウが1つ首落としたからかなり楽になったね。あいつ相変わらずだったねぇ。良い男だよほんとに。」

 

「いやいや。あんな散歩感覚で首落として行くとか意味が分からん。しかもアダマンタイトとオリハルコンだと?ありがてぇ!!折れない魔剣作れるぞ!」

 

「リリの指揮って圧倒的な力がある人には意味ないですねぇ…。まぁいいです。楽になりましたし。」

 

「それよりもユウ殿はクノッソス侵攻に行ってたのでは?何故ここに?」

 

「「「ユウ(様)だから」」」

 

この一言で片付けるヘスティアファミリアの面々。それを見たタケミカヅチ、ミアハファミリアの団員はドン引きしている。

カサンドラは驚愕している。何故なら夢での予言にユウに関係しそうな詩は1つも(・・・)無かったのだ。

なのに現れて颯爽と助け、消えていった。カサンドラはもうユウについて考えるのをやめた。

イレギュラー尽くしのダンジョン遠征だったが助っ人もイレギュラーだったらしい。

 

リリ達が首が1つになったアンフィス・バエナを討伐するのにそれほど時間はかからなかった。

 

一方ユウはそのままリリの情報通りに下に向かう。

 

「あれ?ボールスのオッサンじゃん。モンスターに囲まれてら。助けてやっか。」

 

そう言ってボールスの周りのモンスターを全て斬り伏せる。

 

「よう。ボールスのオッサン。いくらモテねぇからって大量のモンスターとデートはやりすぎじゃね?」

 

「ゆ、ユウゥゥゥ!!助かった!助かったぜ!!ありがとよう!!」

 

「うわ汚ねっ!近づくなオッサン!んで?オッサン何してんの?俺の弟子追っかけてたみたいだけど。」

 

「やっぱそうか!!疾風のリオンって黒いゴライアス戦の時前衛してくれてたエルフだろ!?お前ら仲良さそうだったし何より炎雷兎が庇ってる感じだったから俺もサポートに回ってたんだよ。そしたら闇派閥のクソどもが階層破壊して骨みたいなモンスターが現れてよう。炎雷兎が戦ってたんだけど魔法反射されて死にかけちまってるしリオンは俺庇って気絶するしでよぉ。そしたら闇派閥のクソどもが連れてきたラムトンが2人を丸呑みして下に行っちまうし。」

 

「ちょい待てボールスのオッサン。ベルが死にかけた上に丸呑みされただと?」

 

「お、おう。とんでもねぇ炎の魔法を反射されてな。んでもその骨みたいなモンスターの身体半分くらい斬って消滅させてたけどな。そのあと気絶してる間にラムトンに丸呑みされてた。」

 

ユウは無表情のままボールスにお礼を言う。そしてそのまま下に向かう事を告げて上でリリ達が居るから合流して現状を伝えて18階層で待機する様に伝えてもらう。

 

ユウはベルとリューが気になり雷を纏い、全力で走る。電磁波もフルで使う。ラムトンの通った穴はふさがりかけていたので使えないので1階層1階層を見て行く。

焦りが出る中全力で探し始める。愛する弟といつもその弟とユウを気にかけてくれている可愛い弟子の為に。

 

 

ー地上・ロキファミリアー

 

「ロキ!神ヘスティア!団長!!!ユウ君からの手紙っす!!!」

 

クノッソス侵攻後から全員が集まっていた部屋に大興奮したラウルが入ってくる。

 

「手紙!?なんで手紙やねん!?どーいう状況やねん!!」

 

「ロキ。本物かどうかわからない。まずは内容の確認だよ。」

 

フィンも生きていたと思ったがユウを語っている可能性もあるので一応諌める。

 

「せ、せやな。ん?ヘスティアにもあるやん。ヘスティア読んでみーや。」

 

「う、うん。「やっほーヘスティア。なんかベル達大変みたいなんで助けて来まーす。あ、晩飯までに戻れなかったらごめんね。クノッソスは無事終わったよー( ー`дー´)キリッ俺めっちゃ頑張ったから帰ったらその巨乳揉ませてね☆」うん…これ絶対ユウ君だよ…」

 

ヘスティアは遠い目をし、他の人は笑いを堪える者、生きててホッとしている者の2パターンだった。

 

「ほ、ほなウチのやつやな。「ロキ様先ほどまでの作戦ご苦労様でした。ロキ様の事ですからおそらくディオニュソスのポンコツ共に説教をかましたことでしょう。え?かましてない?いやそこはやっとけよー。え?かました?うん知ってます。だってロキ様だもん。あ、フィルヴィスそこにいる?いるならウチのファミリアにおいで。恩恵無いんだから丁度いいや。あ、他のポンコツ共はいらないんで。今回の件で学んだと思うから言っておくよ?あんまり冒険者を舐めるな。命は大切にしろ。だからポンコツ呼ばわりなんだよ。つか手紙書くのめんどくなってきたんで終わります。ベル達助けたら顔出しに行くから大泣きしたであろうレフィーヤとアスフィはちゃんと顔洗っとけよー。んじゃフィンさん。後はよろぴくぅ〜!」ふざけんのか真面目な話するかどっちかにせんかいっ!!音読する方の身にならんかいっ!!」

 

ロキは手紙を地面に叩きつける。みんな大爆笑だった。元ディオニュソスファミリアの団員は浮かない顔をしていたが。

 

「つかヘスティア。ベルたん達なんかあったんか??」

 

「うん。リリ君から救援要請が来ててね。ディオニュソスファミリアの子達は少し外に出ててくれるかい?」

 

フィルヴィス以外のディオニュソスファミリアの団員は素直に外に出る。

 

「それじゃ話すけど豊穣の女主人のエルフ君がいるだろう?あのエルフ君がなんか面倒ごとに巻き込まれたみたいでね。それを助ける為に下層に潜るらしくてさ。援軍が欲しいんだって。」

 

「は?リューたんやろ?疾風のリオンの。あの子の事ユウたんから聞いて知っとるけどヤバいやん。ヘスティア誰に救援要請したん?まだならウチの子貸すで?ユウたんに死ぬほど借りがあるしな。」

 

「いや大丈夫だよ。ロキの子達もクノッソスで疲れてるだろうし。椿君とアーニャ君とルノア君、クロエ君に頼んだよ。それと別でオッタル君にもね。」

 

全員愕然とする。最後の1人!!最後の1人おかしいから!!

 

「なぁんでぇドチビがオッタルに頼めるんや!!」

 

「え?豊穣の女主人でご飯食べてたから。ユウのご飯が食べたいって言ってミア君に殴られてたよ?だからついでに頼んじゃえって頼んだら引き受けてくれた。」

 

全員がオッタルゥゥゥ!!となったがもうオッタルが行くならユウもいるし問題無さすぎてどうでも良くなった。

 

「あ、後アーニャ君のお兄さんのあ、あ、アレル君?だったかな?彼も行ってくれるって。妹さんの事すごく大切なんだねぇ。」

 

もうお腹いっぱいだから。それレベル6のアレン君だから。

 

「アホくさ。援軍が50階でも行くんかレベルやんか。もうええわい。ほなユウたんも元気にダンジョン探索しとるらしいし解散解散。ディオニュソスファミリアの奴らはこの後どないするか知らんけどこれ以上ユウたんに迷惑かけるなよ?」

 

それだけロキは言い捨て解散となった。

 

「あーロキ?俺らどうしたらいい?俺らの知ってる事とりあえず全部話しときたいんだけど。俺今回だけは本当に怒ってるからさ。まぁお前が言うなって言われるだろうけどさ。」

 

「俺も俺も。タナトスから聞いたけどマジかよ。ほんとムカつく!」

 

そうだ。こいつら忘れてたとロキとフィンは思う。めんどくさいし正直ユウのことで疲れたからユウが来るまでロキファミリアの空き部屋に突っ込んでおくことにした。

 

 

ちっ、35階まで来たのにまだベルが見たからねぇ。リューさんもいるし早く見つけねーと。ふと思う。深層までベルは来たことが無いがリューさんは元のファミリアで来ている筈だ。ならば正規ルートを知っているのではないかと。聞いた話だとベルもリューさんもかなりのダメージを貰っている。ならば救援を求める。見つけやすい正規ルートに出る筈だ。あ、俺が正規ルート知らねぇや。

 

アホである。この男電磁波を使えるようになってめんどくさい時は敵に合わないように進むので正規ルートの確認などしていないのだ。

 

結局しらみつぶしに見て回ることにした。ついでにレヴィスの言っていた白宮殿の地下にあるセーフティポイントの確認もすることにした。

 

ーリリパーティー

 

ボールスが合流し、ユウの話を聞く。

 

「ユウ様がそう言っていても、ベル様の兄の言葉だとしてもリリはベル様のパーティメンバーなので助けに行きたいと思っています。ですがこれはリリのエゴです。皆様がユウ様の言葉に従うのであればリリも異論はありません。」

 

「そうだな。リリ助の言う通りだ。俺もあいつに胸を張ってパーティメンバーであり相棒と言いたい。だから俺自身の手で助けたい。」

 

「よく言ったよあんたら。それでこそヘスティアファミリアだ。私に異論はないよ。」

 

「自分は一度ベル殿を見捨てました。そんな気持ちをまた味わえばベル殿に顔向けできません。自分は助けに行きたいです。」

 

「わたくしもベル様を助けたいです。ウィーネちゃんとみんなを助けると約束致しましたし。」

 

ヘスティアファミリアは満場一致だ。

 

「俺もあいつを助けたい。命が言った通りだ。だが自分の実力が足りてないのもわかる。このパーティの生命線は戦いは麗傑だ。そして頭脳はリリルカだ。俺は駒として従う。」

 

「え、ちょ、雷帝が救援に行ったんでしょ?だったらいいじゃない。あいつなら問題ないでしょ?私達が行っても助けられる立場に回るだけで足引っ張るって。いやたしかにヘスティアファミリアはレベル以上にとんでもない奴らの集まりだけどさ。」

 

「だ、ダフネちゃん。私の予知夢全然違うことになってるの…多分雷帝が絡んでるからだと思う…。こんなの私も初めてだからどうなるか見てみたい…。」

 

「おう。俺も行くぜ。炎雷兎と雷帝の兄弟には世話になりっぱなしだからな。少しでも助けになりてぇ。それにリオンにも借りがあるからな。」

 

まさかのボールスまで賛成に回ったのでダフネも折れた。そこでヴェルフがとんでもないことを言い始める。

 

「悪いんだけどよ。ここで一本魔剣を打たせてくれないか?ユウの持ってきてくれたアダマンタイトとオリハルコンで折れない魔剣を作れる。それがあればそこらの雑魚は一振りで余裕だ。体力の温存にもなる。」

 

ヘスティアファミリアはアホ筆頭のユウが居るのでうん。やれば?みたいな感じオッケーを出すが他のやつはやめろと言う。しかしアイシャの黙って見てるか黙らされるかどっちがいい?の言葉で黙って見ることにした。

 

モンスターを周りが倒して鍛治をするヴェルフの邪魔はさせない。波のように押し寄せるモンスターが急に来なくなり足音が聞こえる。

 

「お前達がヘスティアファミリアか?神ヘスティアの要請によりここに来た。フレイヤファミリアの団長オッタルだ。」

 

「ちょい待てオッタル。こいつらここで鍛治してんぞ。ユウんとこは頭イかれてるやつばっかかよ。フレイヤファミリアのアレン・フローメルだ。」

 

まさかの援軍に言葉を失うヴェルフ以外の全員。ヘスティア様。誰に援軍要請してるんだよ。

 

「おらぁ!出来たぞ!!ん?猛者にアレン君?だっけ?ユウにいつも連れ回されてる猫人。」

 

「ちっ。うるせーよ。つか何ダンジョンで鍛治してんだよ。馬鹿かテメェ。」

 

「おう。ヘスティアファミリアは大体の奴がこんな感じだ。それにお前ら出来たぜ。これで折れない魔剣の完成だ。使用者の魔力に依存するがずっと使える。」

 

このヴェルフの言葉にオッタルとアレンは言葉を失う。あれ?魔剣って折れるもんじゃなかったっけ?

 

「少し待て不冷。折れない魔剣だと?そんなものを作れるのは素晴らしいし偉業だと俺も思う。だがそれはマズイ。」

 

オッタルの言葉に全員が首を傾げる。

 

「それがユウの手に渡ってみろ。何をしでかすかわからん。」

 

次の言葉に全員顔を青褪める。そうだ。存在するだけで地雷源とも言えるユウが居た。

 

「不冷よ。悪いがそれはお前しか使えないと言ってもらえないか?まだ改良の余地があると言ってもらえればあいつも興味を示すまい。」

 

全員頷く。そして現状を説明していると椿達も来た。椿は大笑いし、こと魔剣に関してはボロ負けだと伝える。アーニャはお兄様にくっついている。アレンも満更では無いようだが。全てを伝え、全員が手伝ってくれるようなので深層に向かうことにした。

 

ーユウサイドー

結局36階層にもベルとリューさんはおらず、37階層に足を踏み入れた。37階層は巨大過ぎて電磁波も全体に行き渡らない。電磁波を全開にしつつ足で探す。

すると2つの弱々しい電磁波を感知し一気にそちらに走る。すると闘技場から電磁波を感知する。

 

「ん?闘技場?なんで?まぁいいや。ベルゥゥゥゥ!!馬鹿弟子ぃぃぃぃぃ!お兄ちゃんが来たぞーい!!」

 

大声で叫びながらモンスターを駆逐していく。それはもうダイソンの掃除機が埃を吸い込むかの如く。刀で切り刻み、仕上げとばかりに電磁砲をブッ放す。ズドーンッ!!と言う音と共に周りが一掃され壁にも亀裂が入り、モンスターが生まれなくなった。

 

「お兄ちゃん!?な、なんでここに??」

 

「ユウ…さん。まさか助けに?」

 

「あったり前だろーが。弟と馬鹿弟子のピンチと聞けばこのユウ・クラネルどこからでも助けに来るに決まってんだろ。一応壁に電磁砲撃ち込んだけどすぐにモンスター湧くからセーフティゾーンに行くぞ。」

 

そう言って闘技場の床に荷電粒子砲を放つ。ユウはリューを抱き、ベルの服を掴み一緒に落下し、着地した。

 

「闘技場の地下って通路になってんだなー。とりあえずあっちの方に川あるっぽいからいこーぜ。周りも探知したけどモンスター1匹もいねーし。ほらベル。男の子だろ。しっかり歩け。俺は馬鹿弟子をお姫様抱っこの刑にしなきゃいけないから。」

 

ベルはうん!とニコニコ笑う。よほど兄に会えたのが嬉しいのだろう。一方リューは顔を真っ赤にして抱っこされていた。

 

少し歩くと川に着いた。そこで座る。

 

「ほれ。俺使わなかったしハイポーションとエリクサー2本ずつあるからやるよ。マジックポーションは俺も使うからちょっとずつな。」

 

まさかのエリクサーを持った援軍だった。

 

「さて説教の時間かな。まず愛しのマイブラザーベル君よ。お前魔法反射されて死にかけたらしいけど本当かい?」

 

「ごめん兄ちゃん。動きはそんなに速くなかったし楽だったんだけど蜘蛛みたいで気持ち悪くて魔法で焼き払おうとしたら反射されちゃった。でも気合いで立って身体の半分くらい神様ナイフにファイアボルトで刀身伸ばして蒸発させといたよ!」

 

「あー。蜘蛛なら仕方ねぇな。ベルは昔から嫌いだもんな。よし許そう。」

 

「ちょっと待ってほしい。たしかにベルさんは上手く対応していたがまさか接近戦が嫌だったから魔法を撃ったのですか?相手の動きが速過ぎる訳ではなく?」

 

「あれくらいの速度なら僕達の鍛錬だとサンドバッグになっちゃいますよ??僕蜘蛛嫌いだからあんまり近くで見たくなくって…でもそれでリューさんを危険な目に遭わせてごめんなさい。」

 

しょんぼりするベル可愛いぃぃぃぃぃ!!

 

「い、いえ。ベルさんは巻き込まれたようなものなので構いません。そうですか…。サンドバッグですか…。嗚呼。アリーゼ。私達のトラウマはサンドバッグのようです…。」

 

なんか黄昏てるリューさんにチョップをして意識を戻さす。

 

「次は馬鹿弟子だ。復讐に囚われて周りが見えなくなるとダメって言ったよね俺?ねぇリュー・リオンちゃん?」

 

「は、はいぃ!!言われました!!」

 

「なのになんでこんな事になってるのかなぁ?この耳は飾りかこの野郎!!」

 

リューさんの耳を掴みながら片手でほっぺをムニムニしてやる。

 

「ひゅみまへぇん。」

 

ベルと一緒に笑う。リューさんも笑う。

 

「全く。次同じことやったら馬鹿弟子はウチに移籍。それから雷纏った手でお尻ペンペン100回な。」

 

「それは痛そうだ。気をつけましょう。」

 

「そんじゃお前らは慣れてない深層とトラウマに会ってんだ。一旦寝ろ。そんで3時間したら起こすから。それから闘技場行って鍛錬すんぞ。」

 

ベルはおー!と手を挙げる。可愛い。リューさんは固まっている。

 

「休憩を取るのはいいですが、闘技場で鍛錬?正気ですか!?早く地上に「師匠の言うことは?」絶対です…」

 

リューさんも黙らせたので2人を寝かせて上着を掛けてやる。そして見知った電磁波を感知してそちらに向かう。一応ベル達も心配なのでそっちの感知は途切らせない。

 

「よう。レヴィス。クノッソス振りだな!」

 

「ユ、ユウ!?な、何故もうここに!?」

 

ベル達の事を話すと納得していた。ベルをどうしても見たいと言うので見せてやる。

 

「可愛いだろ?俺の自慢の弟さ。横のエルフは俺の料理の弟子だよ。あ、料理で思い出した。レヴィス明後日暇?」

 

「この子がベルか。アイズの旦那か…。可愛いな。ユウ。お前エルフ好きなのか?周りエルフばかりではないか。明後日は暇だが?というより基本暇だ。」

 

「んだよ。ニートかよ。そりゃゴロゴロしてたら胸も育つわ。明後日の16時に10階層集合な。それから俺らのホーム行ってみんなで飯食うぞ。」

 

「む、胸の事は言うな!!は?ホーム?私は!あ、いやなんでもない。ユウが連れて行ってくれるなら行く…。」

 

怪人って言おうとしたなコイツ。お仕置きしてやろ。ユウは後ろからレヴィスを抱きしめ、耳元で囁く。

 

「また怪人って言おうとしたな。そんな事言うなら飯食うんじゃなくてレヴィス食べちゃうぞ?」

 

レヴィスは真っ赤な顔を手で隠してその場にしゃがんでしまう。かーわーいーいー。ぶっちゃけレヴィスって顔も体型もドストライクなんだよね!レヴィスルートでもいいよね!?いやいかん。アスフィが怒り狂ってる顔が思い浮かんだ。

 

レヴィスは真っ赤な顔をしながら明後日楽しみにしてるとボソボソ言いながら帰っていった。どこに帰ってるのかは知らないが。

 

レヴィスを弄り倒していると時間もすぐ経ち3時間が経過したので2人を起こす。

 

「リューさん。リューさん。起きて。起きないとチューしちゃうぞ?」

 

リューさんはすぐに飛び起きた。何か言っているが無視してベルも起こす。川で顔を洗わせて闘技場に向かう。

 

「はいそれじゃぁ昨日使ってないエリクサー2本とマジックポーションがあります。死ななきゃ安いからとりあえず行ってこい。やばくなったら助けるから。リューさんはベルか俺の動きを見て盗むこと。はい突撃。」

 

ベルはよーし!昨日のリベンジでボコボコにしてやる!と飛び出していき、俺も首の骨をコキッと鳴らしながら歩いて行く。リューさんはコイツらマジかみたいな顔をしているが。

 

ベルは集団戦闘に慣れていない。格上相手やタイマンはレベル以上に強いが相手が複数の場合の取捨選択がイマイチだ。ここで経験を積ませる。

え?俺?俺とかアフォロンの時からここで遊んでるから余裕よ。ダラダラと相手を引きつけて縮地で背後に回って首チョンパする。リューさんの近くにいき縮地のコツを教え、刀の使い方を教える。どうも小太刀も自己流というか前任者の真似をしているだけなので動きがぎこちない。そこを矯正して行く。

なんやかんやで闘技場で2時間くらい鍛錬しているとリリや何故かオッタルさん達が来た。ベルとリューさんには続けるように言いオッタルさんのところに向かう。

 

「オッタルさん、アレン君までどーしたの?今ベルとリュー(呼び捨てが良いと言われた)の鍛錬中なんだけど。あ、ボールスのオッサン。伝言あんがとな。あの骨はベルが粉々にしてたぞ。キモかったわ。」

 

「ユウ。クノッソスからそのままダンジョンはやめろ。フレイヤ様も心配しておられた。俺もご飯の心配をしてな。お前の作り置きを計算してミアさんの飯をアレンと食べに行っていると神ヘスティアに救援要請を受けたからついでに早く地上に戻ってもらおうと思ってな。」

 

「ブレないねオッタルさん。んじゃそろそろ地上戻るかな。リューもいい感じに戦えるようになってきたし。」

 

 

「え?テメェら突っ込まねぇの?白宮殿の闘技場で救援要請してるやつらが鍛錬とか言ってモンスターボロクソにしてんのに?ヘスティアファミリア怖えよ。」

 

アレン君が何か言ってるが無視無視。ベルとリューに戻るぞと言うとリューはやっとですか…と疲弊しきっていた。豊穣の女主人のメンバーが慰めていたが。

 

アーニャをゴロゴロニャンニャンしつつアレン君もゴロゴロニャンニャンする。

 

ベルはオッタルさんと仲良く話をして今度一緒に鍛錬する事を約束していた。リリはそれを見て鍛錬馬鹿ばっかり。フィン様と話がしたいと呟いていた。

 

そのまま地上まで一気に戻る。途中でボールスのオッサンは別れると思いきやそのまま地上まで行ってギルドで疾風のリオンはブラックリストに乗るようなやつじゃねぇ!助けてくれたんだ!そもそも闇派閥が幅を利かせてるときに何もしなかったのはギルドじゃねぇか!!と言ってくれた。

小太りエルフにウラノスに渡してと手紙を渡す。すぐに小太りエルフは帰ってきて疾風のリオンはブラックリストから外すことになったと伝え、ギルドに張り出されていた。真実も少し誇張されて記されていた。

 

そして久しぶりに我がホームに戻った。疲れもピークだったので風呂に入ってすぐに眠りについた。

 

これからのことはまた別の機会に。




はい。一応これで原作の出てるとこまでは書いたかな?

これからはオリジナルになると思うんですけどどうしましょう。原作出るまで閑話で耐えるか。
オリジナルで作者の願望、妄想を丸出しして行くかの二択ですね。

いやほんとどうしよう。見やすいかなと思って箇条書きに近い感じで書いてたら原作まで終わっちゃったじゃん!!

あ、完結ではないです。まだ書きますんでw


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みんなー!お礼と謝罪に行くから待機しとけよ!!

とりあえずの投稿。

次から本気出す!じゃなくて完全オリジナルになりますのでよろしくお願いします!


地上に戻るとまずギルドの医務室にベルとリューを押し込む。ハイポーションで怪我を治したとはいえ、ダンジョンに何日か潜っていたみたいなので回復させる為だ。

 

ユウはとりあえず豊穣の女主人のメンバーと一緒にミア母さんに挨拶とお礼、そして謝罪をするべく店に向かう。

 

「ミア母さん。久しぶりー!なんか色々と機転を利かせてくれたみたいでごめんね?ベルもリューも無事だよ。俺もロキファミリアとの作戦の後、救援に向かったから!」

 

「ミア母ちゃん聞いてくれニャ!ミャー達がダンジョンに行ったらユウはもう2人を助けてて、37階層の白宮殿で2人を鍛えてたニャ!!リューはへとへとだったニャ!!」

 

「そうかい。ユウ。ベルとリューは無事なんだね?それなら良い。それと、あの馬鹿娘は前を向けたかい?」

 

ミア母さんは優しい笑みを浮かべ、リューの事を聞いてくる。俺は笑いながら答える。

 

「うん。後ろ向いてたら死ぬ状況に追い込んでやったよ。途中から必死で生きる為に俺らの技術を習得してた!それにリューには俺がいるからね。超怖い師匠がね。」

 

ミア母さんはその言葉を聞いて、そうかい。と一言だけ言い大爆笑していた。

 

「そうだ。ユウ。あんたも大変だったみたいじゃないか。元気そうにしてるけどかなり疲れてるんだろう?やる事やって早く休みな。あんたは人の為には他人を頼るけど自分の為には頼らないからね。そこは直していきなよ?弟と妹に格好つけたいならあたしでも良い。相談はちゃんとしな。」

 

ミア母さんには見透かされていたみたいだ。ミア母さんの言葉を心に留めて頷く。

 

「あの…ユウさん。リューとベルさんは無事なんですよね?なのになんでここに居ないんですか?」

 

「おー。小悪魔アザトースのシルちゃん。ん?そりゃダンジョンに何日か潜ってたんだからギルドの医務室に放り込んで来たよ。心配ならお見舞い行ってあげな?リューはずっとシルに感謝してたぞ?」

 

「そうなんですか。わかりました!それよりユウさん!!なんでリューを呼び捨てにしてるんですか??」

 

「そりゃ弟子だからな。リューは料理もそこそこ上手くなったよ。母さんたまに使ってあげてよ。結構使えるようになったと思うよ??」

 

シルはいつからですか!?リューは料理できるようになったんですか!?私にも教えてください!!とかうるさい。嫌だよめんどくさいの一言だけ伝えておいた。

 

「なんでですか!リューは良いのになんで私はダメなんですか!!」

 

「リューは真面目。素直。小悪魔アザトースは?」

 

「可愛い!素直!」

 

「テメェ自分で可愛いって言うなよ…。シルちゃんはうちの弟に近づきたいんだよね。わかるわかる。」

 

「むー!!ユウさんのいじわるっ!!あ、そういえば!商店街の噂でベルさんはアイズ・ヴァレンシュタインさんと付き合ってるって聞いたんですけど。どーいう事ですか!?」

 

「付き合ってるかは知らんけどデートは行ってたぞ。俺とベートさんで煽るだけ煽っといた☆」

 

シルは涙目だ。ユウの攻撃はシルに大ダメージを与えた。こうかはばつぐんだ。

 

「わーたーしーもーベルさんとデートしたいです!!」

 

「ほーん。頑張れよ。応援だけしとく。」

 

「セッティングくらいして下さいよー!!」

 

「んじゃ母さん!また今度来るわ!今回は本当にありがと!バイバーイ!」

 

普通にめんどくさくなったので無視してロキファミリアに向かう。シルすまん。俺はベルの味方なんだ。

 

「うぃーす!ラウルさんまたなんかやったんですか?毎回門番してるじゃないっすか。」

 

「ゆゆゆユウ君!?違うっすよ!?ユウ君が来たらそのまま案内する為に門番してたんすよ!!でも本当に生きててくれて良かったっす。ロキと団長のとこに案内するっす!」

 

ラウルさんはどうやら俺を待っててくれたらしい。こういうところがラウルさんの良いとこだし俺の好きなとこだ。

 

フィンさんの執務室に入ると幹部全員とロキ様、それにヘルメスとアスフィ、小太りジジイとアミッドさんもいた。

 

「ユウ・クラネル只今戻りましたー。お騒がせしました!申し訳ないです!流石にみんないるとは思ってなかったですけど。」

 

レフィーヤとアスフィがいきなり抱きついてきた。2人とも泣いてくれてる。

 

「「ユウ(お兄ちゃん)が無事で本当に良かったです。」」

 

2人を抱きしめ返し、頭を撫でてやる。

 

「ったくよぉ。あんま心配させんじゃねぇよ。まぁ無事でよかったわ。」

 

ベートさんも心配してくれてたみたいだ。

 

「うん。ごめんね。なんか身体が勝手に動いたんだよね。ロキ様もご心配をおかけしました。すみません。」

 

「ええよええよ。ユウたんがこうやって笑いながらここにおるだけでウチは満足や。ほらレフィーヤとアスフィちゃんも離れ。話できひんやろ?」

 

ロキ様の言葉で2人も離れる。

 

「うん。ユウ君。まずは無事でなによりだよ。お帰り。いきなりで悪いんだけど飲み込まれてからの話を聞いても良いかい?」

 

「うっす。ただいまです。んーと胸ある方を蹴り飛ばして飲み込まれたんですけど雷を纏ってて、それが予想以上に威力あったみたいで肉壁が焦げて蒸発していったんですよね。んで雷を止める事も出来ないんでそのまま纏ってたらクノッソスの最下層まで落ちました。

そこからダンジョンの18階層に出てベルとリューの危機を聞いたんで手持ちのハイポーションとエリクサーを持って救援に行って、25階層でアンフィス・バエナの首を1つ切り落として37階層までベルとリューを迎えに行きました。

んで、弟と馬鹿弟子があまりにもその前の戦闘で無様を晒してたみたいだったので説教して、白宮殿の闘技場で鍛錬させてました。

それからオッタルさんとかが来たので帰ってきて今ここにいます。」

 

全員顔引きつってるけどなんで??あれ?俺おかしな事言った??

 

「うん。ベル君の救援は手紙で読んで知ってたけど…。なんで闘技場で鍛錬??」

 

「ベルは複数を相手にする時にまだ動きが甘いので。それとリューは真面目なんで鍛えたら伸びると思いまして。」

 

違う。そうじゃない。救援に向かったんだからとりあえず地上に戻ってこいよ!!全員の気持ちが1つになった瞬間だった。

 

「あ、そうだ。フィンさん達こんなモンスター知ってる?魔石無くてアストレアファミリアを全滅させたモンスターらしいんだけど。」

 

ベルを追いかけてきたモンスター。骨の蜘蛛みたいなやつを絵にしてみんなに見せる。

 

「ベルが粉々にしてたけど魔法反射使えて機動性の高いモンスターだったよ?まぁベルがやられたのは蜘蛛嫌いだから近づきたく無くて魔法ぶっ放して反射されたからなんだけど。追っかけてきた時はボッコボコにしてたけどね。」

 

全員見たことが無いようだ。これは去勢ジジイに聞きに行かないといけないな。

 

「それにアンフィス・バエナもインターバルにまだ半月あったらしいんだよね。みんなの話を聞いたら23から25階層を火炎石で闇派閥のアホがぶっ壊したらダンジョンが哭いたらしいくってそれからそのモンスターが出てきたんだって。多分ダンジョンを痛めつけるとその原因。まぁ冒険者を排除する為に変なモンスター産み出すんじゃない?

フィンさん達も奥深くまで潜るんだし頭には入れといた方がいいよ?」

 

全員が頷く。そこからは他愛ない話をしていた。レフィーヤもアスフィも笑顔になっていたので良かった。

するとおっぱいデカい方が話し掛けてくる。

 

「あ、あの。ユウ。レベル6なのに足引っ張ってごめんなさい。あれくらい自分でどうにかできる筈なのに。本当に危険に晒してしまってごめんなさい!!」

 

「え?なんの話??おっぱい…ティオネなんかしたっけ?え?ごめん。本当に意味わかんない。」

 

「え?え、えっと、ユウが最後飲み込まれる前に助けてくれたじゃない。」

 

「あーなるほど!いやあれはティオネが悪い訳じゃねーよ?誰が悪いって犯人探しになるから嫌だけど正直に言うとあのポンコツ共だよ?恩恵があっても無くてもあの状況でティオネが担がないであいつらが逃げ切れたと思う?

無理無理。だから足手まといになるって入る前に言ったのに。まぁあの場に助けれる人数が揃ってたから頼んだけどさー。

ティオネ1人だったら食人花も蹴飛ばしてたと思うよ?だからティオネが謝るのは筋違いだよ。

あのポンコツ共を頼んだ俺が自分で自分のケツを拭いただけ。気にするなよ。」

 

ユウの言葉に全員が納得し、理解する。

ティオネはそれでもユウに言葉を伝える。

 

「そう。ユウはそういう奴だものね。でも私は、それでもあの状況を自分で打破できる力が欲しい。だからごめんなさい。ユウに助けられなくても良いようにもっと自分を鍛えるわ。」

 

ユウはティオネのその言葉を聞いて満面の笑みを浮かべ、頭を撫でてやる。

 

「それでこそロキファミリアのレベル6だぜ!ティオネお前良かったな。妹と違って考える脳みそあって。」

 

その言葉に全員が噴き出してしまう。あんな感動の場面でこんなに空気を壊せるやつがいるだろうか?

ユウが帰ってきたなと思う一面だった。

 

それからユウはさすがに疲れたのか一回眠りたいと伝えてホームに戻ることにした。

 

ホームに戻ると新しく移籍した我が妹のフィルヴィスがウィーネとお好み焼きを食べていた。

 

「おう。最愛の妹達。ただいま!」

 

「「ユウお兄ちゃん(兄上)!!おかえり!!」」

 

2人の頭を撫でてやる。それから少しだけ話をして眠いから寝ると伝えてベットに入った。

 

 

ーロキファミリアサイドー

 

ユウが帰った後、解散したがロキファミリアの面々はそのまま残っていた。

 

「ティオネ良かったね!ユウ君は何とも思ってないみたいだったよ!!あたしもあの時はびっくりしたなぁー。」

 

「ティオナ。あんたねぇ。だからユウに脳みそが無いって言われるのよ。ユウが私を許してくれたのは私の為よ。」

 

ティオナは姉の言う事が良く分かっていないのか首を傾げる。それを見て全員ため息を吐く。

 

「ティオナ。ティオネが言っているのは、あのままユウ君が何も言わずにいたらティオネが自分を責め続けるとユウ君が思ったから口に出して許したんだよ?」

 

「え?どういうこと?んん??」

 

「おい。まな板馬鹿ゾネス。お前がティオネに庇ってもらってティオネが大怪我をして意識不明が続いたらお前はどんな気持ちだ?」

 

「誰がまな板だ!!馬鹿ベート!!えっと、それは目が覚めるまで心配だし自分でどうにかしたかったなって思う…あっ!そういうことか!!」

 

馬鹿ゾネス。その通りだと思う。と全員の頭によぎる。

 

「ユウは良い男ね。良い男というか、うん。レフィーヤの気持ちが今なら良くわかるわ。あいつは本当に生粋のお兄ちゃんね。」

 

ティオネはそう言って満面の笑みを浮かべる。頭を撫でてもらい、許してもらった時からそう思った。レフィーヤがお兄ちゃん子になるのが良くわかる。

 

ロキは大爆笑し、フィン、ガレス、リヴェリアも笑う。姉であり、姉であろうとし続けてきたティオネがお兄ちゃんと言ったのだ。こんなに面白い話は無かった。

 

 

 

次の日ユウはフレイヤのところに向かう。オッタルとアレンをダンジョンに寄越してくれたお礼をしに。

 

「フレイヤちゃん!ユウだけど入るよー?はいお邪魔しまーす!」

 

「あら。おかえりユウ。大変だったみたいね。元気そうで良かったわ。オッタルは何も言ってなかったけどアレンは助ける必要が無かったって言ってたわよ?」

 

「んーまぁ正直必要は無かったかな?でも心配して来てくれた事はすげー嬉しかったよ!オッタルさんは飯の事しか言って無かったけどねwあ、これ一応お礼。フレイヤちゃんにはアロマとハンドジュエルね。アロマは部屋に置いとけば良い香りがするよ。んでハンドジュエルは手に塗るんだけど今使ってみる?」

 

フレイヤはハンドジュエルを使うとその香りと手がすべすべになる事に驚き、ものすごく喜ぶ。

アロマの香りも気に入ったようだ。

 

「これは見事ね。どうやって作ってるか教えて欲しいくらいよ!女性なら全員欲しがるでしょう。」

 

「いーちゃんも愛用してるよ。いーちゃんはいつも仕事頑張ってくれてるからね。たまにマッサージもしてあげると喜ぶよ?あ、オッタルさんにはこれ。ラーメンって食べ物なんだけど簡易的に作れるやつだよ。今から食べてみる?気に入ったらいっぱいあげるよ」

 

オッタルはすぐに作って食べる。よほど好みだったのかガツガツ食べて満足していた。醤油、味噌、豚骨の袋ラーメンを大量に渡し、刻みネギ、もやし、煮卵、チャーシューをタッパーに分けて渡した。

 

「感謝するぞユウ。いつでも救援要請してくれ。すぐに駆けつける。」

 

「オッタルゥゥゥ!!その食い意地張るのをやめなさいと前も説教したでしょう!!」

 

「しかしフレイヤ様。フレイヤ様は今貰った物が無くても大丈夫ですか?私はユウのご飯が無いと嫌なんですが。それに今回はフレイヤ様のご飯を横から食べてません。」

 

「横からも何もそのラーメンに触れさせようともしなかったでしょうが!!私の分なんて作っても無いでしょ!!」

 

オッタルはフレイヤの言葉をついに無視してユウとラーメンについて語り始める。フレイヤは呆れつつも楽しそうな自分の息子を見て笑う。

 

「あ、そーだ。俺そろそろ爺ちゃんに顔見せに行くからしばらくオラリオからいなくなる予定なんだけど。」

 

フレイヤとオッタルは固まる。

 

「待て。ユウ。早まるな。俺のご飯はどうすれば良い。」

 

「ミア母さんにレシピ渡しとくから食べに行きなよ。そこまで面倒見れないよ。実家について来てもいいけど爺ちゃんゼウスだよ?大丈夫?」

 

フレイヤは口を開けて固まる。オッタルはご飯に夢中でゼウスに気づいていない。

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待って。ユウ。それ本当?いえ、嘘はついてないのはわかるんだけれど。」

 

「そだよ?俺とベルはゼウスの義孫だよ?ベルは気づいてないみたいだけどね。あ、これ内緒ね?ロキ様にもヘスティアにも言ってないから。だからオラリオに来る前からヘルメスとアスフィと仲良かったんだよ。」

 

「ユ、ユウ。あの。その。貴方のお爺ちゃんのファミリアをオラリオから追放したの私とロキなの。ご、ごめんなさい。」

 

「んにゃ。気にしてないよ?つかギルドの資料室勝手に入って調べて知ってたし。そのおかげでって言うと変だけどそれで俺は爺ちゃんの義孫になれたから。それに俺がいない間の出来事まで文句を言うつもりもないよ?」

 

フレイヤはユウの割り切り方に呆然としてしまう。祖父を愛しているのは愛を司る女神故に凄くわかっていたからだ。

 

「もちろん爺ちゃんも大好きだけど俺はフレイヤちゃんも大好きだよ?キスして…オェ。あげても…オェ。いいくらいだよ!」

 

「ちょっと待ちなさい。今なんでオェって2回も聞こえたのかしら?それに神が嘘わかるの分かってて言ってるでしょう。」

 

「うん。ババアとキスとか無理無理。オッタルさんがしてくれるからそっちでいいでしょ。」

 

「む?俺も嫌だぞ?フレイヤ様は母上だ。母上とキスなんぞラーメンが食べれないくらい嫌だ。」

 

フレイヤちゃんはオッタルさんの髪の毛を握りしめる。

 

「ねぇオッタル?私は美の女神なのよ?なぜその私とラーメンが同列になってるのかしら?」

 

「フレイヤ様。髪の毛は掴まないでいただきたい。ユウに言われ、完璧なケアをしているので。それにフレイヤ様の勘違いです。私はラーメンとフレイヤ様を同列にしておりません。ラーメンの方が大切です。」

 

あーあ。この猪、断言しちゃったよ。これでオラリオ最強なんだもんなぁ。

 

「ユウ。とりあえず実家に戻る前にまた会いに来てちょうだい?ゼウスに手紙も渡してほしいし。今から息子の調教をするから。指導ではなく調教をするから帰りなさい。」

 

うん。今回フレイヤちゃんがブチ切れるのはよくわかる。さて撤退撤退。さらばオッタルさん。お元気で。

 

 

そのままバベルの塔を降りてギルドの医務室に向かう。ベルに漫画を持って来てやった。が、チラッと覗くとアイズが横に座って笑顔で話をしていたので入るのをやめてリューの部屋に向かう。

 

「よう。リュー。調子はどう?ほれ、ケーキ。」

 

「ユウさん。こんにちは。ありがとうございます。怪我自体はユウさんのハイポーションとエリクサーで問題なかったので。明日の朝には退院できます。」

 

「ん。そりゃ良かったわ。なぁリュー。アストレア様に会ってみない?俺とベルはそろそろ実家に顔見せに帰るつもりだから一緒に来るか?ヘルメスもアスフィも来るだろうからアストレア様の場所分かると思うぞ?」

 

リューはユウの言葉に固まる。アストレア様に会って今の自分の思いを伝えたいと思う。だが本当に会ってしまっても良いのだろうかとも思う。

 

「まぁ今すぐってわけじゃ無いから考えといてよ。それにそろそろ決着をつけたいだろ?」

 

目の前の尊敬し、ほんの少しの恋慕をいだくヒューマンはどれ程自分の心を見透かしているのだろう。

 

リューは微笑みながら頷く。しっかり考えてみよう。そして自分も前進しよう。そう思った。

 

それからは料理の話などをして2人は別れた。

 

 

ユウはそのままバベルの塔を出て、ディアンケヒトファミリアに向かう。

 

「小太りジジイ。アミッドさん。今回は本当にありがとな!あと心配もかけて申し訳ない。これ謝罪と感謝の気持ち!ケーキ色々持ってきたからみんなで食べて!」

 

「おお。ユウか。体調は大丈夫か?ケーキとな!アミッド。少し休憩にしよう。」

 

「ユウさんがご無事でなによりです。それにユウさんに私も助けられましたから。解呪薬を服にかけていて正解でした。」

 

ネタでやったのにまさかの結果に逆にユウが驚いてしまう。それでもアミッドが無事で良かったと思う。

 

「小太りジジイがデブジジイになるのも時間の問題だな。カロリー高いケーキばっか選んでやがる。」

 

「うるさいわい!好きなものくらい食べさせろ!」

 

アミッドは呆れながらも日常が戻った気分になり嬉しく思う。それからポーションやエリクサーのおかげで弟と弟子を助けれたことも伝え、改めて感謝する。

 

「何を言うとるんだ。儂らは救う事を生業としとるんじゃ。お前の大切な人が助けられたのならそれは儂らにとって当然の事をしただけじゃ。」

 

「そうですよユウさん。私達は救います。医療的にですが。ユウさんは人の心を救っているのです。そこに私は尊敬を覚えてますよ?」

 

ユウは少し恥ずかしくなる。アミッドとディアンケヒトの言葉はより真っ直ぐに心に響く。それが数々の人々を助けてきた証なのだろう。

 

それから他愛もない話をして外に出る。最後に行くのはアスフィのところだ。

 

「うぃーす!ヘルメス!アスフィ!1日寝たら元気になったわ!しばらくは働きたくねぇや。とりあえず世話になったとこには全部顔だしたからここが最後だ。」

 

「お!ユウ君か。いらっしゃい。元気そうで良かったよ。クノッソスに飲み込まれたと聞いた時はさすがの俺もかなり焦ったよ。」

 

「ユウ。良かった。元気そうですね。本当にあの瞬間を見ていた私は血の気が引きましたよ。」

 

アスフィを抱きしめて頭を撫でてやる。

 

「ごめんなアスフィ。それでも俺は目の前の奴らを死なせたくなかったんだよ。まぁそれでアスフィ泣かしてたら世話ねぇけどな。あ、そうだ。ひと段落したし爺ちゃんに顔見せに帰ろうと思ってるんだけどヘルメス達の予定はどう?」

 

ヘルメスとアスフィは予定を考える。

 

「んーそうだな。二週間後からなら1ヶ月は予定無いよ?」

 

「んじゃ二週間後に一回ベルと俺らともしかしたらリューさんと一緒に爺ちゃんとこ行こうぜ。ついでにアストレア様の居場所もできたら調べといてくれない?報酬は旅の期間の飯で。」

 

「お!その報酬は魅力的だね。いいよ。アストレアの居場所も調べとくよ。」

 

「ゼウスのお爺様に会うのもなんだか久しぶりですね。リオンも前に進もうとしているんですね。」

 

3人で旅の予定を決めながら笑い合う。こんな日常を守れて良かった。オラリオ崩壊なんてさせない。そう強く心に誓った。

 

「んじゃ予定はそんな感じで頼むわ。ベルとリューにも伝えとくよ。んじゃアスフィ。ヘルメス。またなー!」

 

そう言ってユウはホームに戻る。晩御飯の時にユウはみんなに一度帰ることを伝える。ベルはもちろん賛成する。

 

「それではダンジョン探索は一旦休止しましょう。ユウ様の話では長くて1週間程度らしいですし、最近は色々ありましたからねぇ。」

 

「そうだねぇ。異端児にダンジョンでのイレギュラーの連続。ほんとアンタらと居たら楽しいよ。」

 

「そんなに休めるなら魔剣の改良もできるな!俺は賛成するぜ!」

 

各々が好意的に捉えてる中ユウは爆弾を放り込む。

 

「あ、明日レヴィスって怪人が飯食いにくるからよろしくなー。アビリティと胸の大きさがエグい怪人だから仲良くしろよ!あとすげぇおもろい。」

 

こんな事を言えばどのファミリアも空気が死ぬだろうが、哀しいかな。ヘスティアファミリアの面々はもう慣れてしまった。

 

「わかりました。リリは掃除をしておきますね。」

 

「「「了解。」」」

 

うむ。さすが変人奇人の集う場所と呼ばれるヘスティアファミリアだ。

 

ユウは頼もしい家族を見て笑顔になり明日レヴィスをどうやってもてなすかを考えながら眠りについた。




次回予告

レヴィスたんいらっしゃい。飯で泣くなよ。

え?なんでベットにアスフィとレヴィスがいるの??

そして女の戦い(女子会)が始まる!!


とかなんとか言って想像通りに進んだ事がないユウ君ですww


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ふぇぇぇぇ。無法地帯!!ヘスティアファミリア!!

今回から原作が出るまでは完全オリジナルと閑話で進めていきます!

原作が出たらそっちにうまく繋げれるように頑張りますんでよろしくお願いしまーす!


ユウは顔まで覆えるフードを用意してダンジョン10階層の霧が立ち込めている広間の壁際に立って電磁波を広げてレヴィスを待っている。

レベル1の冒険者がオークと戦っているのを見ながらボーッとしていると見知った強い電磁波を感知する。

 

 

「おーいレヴィス。こっちこっち。とりあえずこのフード被って。それからウチのホームまで連れていくから!」

 

「ユウ!あ、ありがとう。本当に私がユウ達のホームに行ってもいいのか??そ、そのベル君や他の奴等もいるのだろう?」

 

「おう。説明しといたから問題ねぇよ。ベルも楽しみにしてるってよ。」

 

レヴィスの手を掴んで引っ張りながら一緒に歩いて地上へと向かう。レヴィスは手を繋いでいることにあたふたしているが何も文句は言わない。

 

「そーいやレヴィスって俺と会う前にパオーンのとこの冒険者殺したんだろ?パオーンのとこにはバレないようにしねーとな。」

 

「リヴィアの街の冒険者か…。迷惑をかけているようで本当にすまない。」

 

気にすんなと言い地上に出る。そのままホームに一直線に帰る。ホームに着いてフードを取らせ、リビングの椅子に座らせる。

 

「ここが俺らのホームだ。とりあえず飯までまだ少し時間があるからケーキと紅茶でもどうぞー。俺はベルとか呼んでくるわ!」

 

ケーキと紅茶を出されても未だに慣れないのか固まっているレヴィス。こんなに普通に接して貰った事がないので脳のキャパをオーバーしていた。

 

ケーキをもぐもぐ食べているとドタドタという足音と共に白い髪の寝ているところを見たユウの弟、ベルがリビングに入ってきた。

 

「あー!はじめまして!!ユウお兄ちゃんの弟のベル・クラネルです!!レヴィスさんですよね??お兄ちゃんから色々聞いてます!よろしくお願いします!!」

 

 

「あ、ああ。レヴィスという。ベル君の事はユウから会う度に聞いているよ。今日は私みたいな怪人をホームに招いて貰って感謝している。」

 

後ろからレヴィスの頭にゲンコツをして頬をムニムニしてやる。

 

「私みたいな怪人って言うなっつっただろ!脳みそにいく栄養が全部この胸に向かってんのかレヴィスは!」

 

「ひゅ、ひゅまない。」

 

ベルはお兄ちゃんダメだよー!とぴょんぴょんしながら止めにくる。あー可愛い。何この弟。お兄ちゃんを萌え死にさせたいの??

ベルの髪をくしゃくしゃと撫でてレヴィスも解放する。

 

「「お兄ちゃん(兄上)!!ただいまー!」」

 

「おお!愛しの妹達よ!お帰り!ほらお客さんが来てるから挨拶しな?あ、レヴィス。フィルヴィスは知ってるな?もう1人はヴィーヴルのウィーネだ。」

 

「ああ。あの時の。レヴィスといったか?兄上のご飯は最高だからな!たくさん食べて帰ると良い。」

 

「ウィーネだよっ!レヴィス!よろしくね!」

 

レヴィスは固まってしまう。ユウと始めて会った時に殺そうとした妹エルフと一緒にいた黒髪のエルフが普通に話かけて来たからだ。

すぐに我に返って返事をする。

 

「あ、ああ。よろしくな。フィルヴィスだったか?この前はすまなかったな。ユウ。やはり私は敵対していたしマズイのではないか?」

 

「兄上にそんな事いっても無駄だぞ?敵対派閥の主神をここに住まわせて屋台で働かせているんだからな。それにヘスティアファミリアには兄上だから仕方ないという魔法の言葉があるから問題ないぞ!」

 

フィルヴィスも一切気にしていないようだ。ユウも頷き、レヴィスにはケーキのおかわりを。妹達と弟にもケーキを出してやる。

 

「む。すまんな。これはケーキといったか?甘くて美味いな。それに色々な種類があるが全て味が違うのか?」

 

「そうですよ!!レヴィスさん!僕のひと口食べてみてください!僕このチーズケーキが大好きなんです!」

 

ベルがあーんとレヴィスに食べさせているのを見るとウィーネも!とウィーネもやり始め、フィルヴィスも便乗して楽しそうにみんなで食べさせ合いをしていた。

 

「よし。んじゃお兄ちゃんはご飯の仕込みとかしてくるからみんなレヴィスのこと頼んだよ?」

 

弟と妹は手を挙げて返事をしてくれる。うん。いい子達過ぎて涙で前が見えないよ。

 

 

 

 

「レヴィスさん!レヴィスさん!魔石ぽりぽり食べて寂しそうだったんですよね!?ここでお兄ちゃんのご飯食べて元気になってくださいね!!」

 

「え?あ、いや、私寂しそうだったのか?」

 

「兄上が言っていたぞ?あんなジメジメした暗いとこには置いておけないから地上に連れてくるとな。レヴィスは何をしたんだ?兄上があんなに気にする人は敵対してる者の中では始めてだぞ?それにブラシスコンでは無いのが一番の驚きだ。」

 

レヴィスはフィルヴィスの言葉を聞いて固まってしまう。ブラシスコンが何か分からないが違うらしいし、ユウが気にしてくれている事に嬉しくなる自分がわからない。

 

「ウィーネそれ知ってるよ!いーちゃんに教えてもらった!愛っていうんだよ!親愛とか友愛があるんだって!」

 

 

「あ、あ、あ、愛!?そそそんなわけ…」

 

「いやレヴィス。その反応で違うわけ無いだろう。諦めろ。兄上からは逃げられない。兄上は来る者拒まず去る者ガン追いらしいからな。」

 

レヴィスは顔を真っ赤にしてあたふたしながらウィーネにケーキを食べさせられていた。

 

それからしばらくするとヘスティアファミリアの眷属が全員集まり、ベート、レフィーヤ、アスフィもホームに来る。それからご飯だ。

 

「お!レヴィスっつったか?お前もユウに目つけられて災難だったな。アイズ狙ってる理由も聞いたし気にすんな。あ、でもアイズは俺の妹だからな。なんかあったらぶっ殺すから。」

 

「あ、あのう。レヴィスさんですよね?レフィーヤです。覚えてらっしゃらないかも知れませんが一度戦ってます。お兄ちゃんに目をつけられてるので申し訳ありませんが諦めてください。」

 

「レヴィスですか。ユウがすみませんね。私はアスフィ・アンドロメダと言います。ユウが迷惑をかけているみたいですが気に入っているみたいなのでよろしくお願いしますね。」

 

三者三様の挨拶と言葉に少しレヴィスは引いてしまう。

 

「あ、ああ。そ、そんなにユウに目をつけられるとマズイのか??」

 

レヴィスはすごく気になっていた言葉を聞いてみる。すると3人とヘスティアファミリアは同情の目でレヴィスを見つめる。

 

「な、なんだ!その視線は!不安になるだろう!やめてくれ!!」

 

焦りに焦るレヴィスをみて全員が大笑いする。そこにユウがご飯を持ってやってくる。

 

「んだよ。人が飯作ってる時に楽しそうにしちゃってさ。ま!レヴィスも仲良くなれたみたいだし大丈夫だな。ほれ。俺の故郷の中華料理ってんだ。量も多いからガンガン食べな!」

 

どんどん机の上に大量の食事が置いていかれる。そして神、下界の子供、異端児、怪人の無法地帯の食事が始まる。

 

「う、うまい。とにかく美味いなこの食事は…。」

 

「そうだろう?レヴィス君はダンジョンに住んでいるんだろ?ダンジョンなんて言い方が悪いけどまともな食べ物があるのかい?」

 

「いや。食えるものなどないから魔石を基本的に食べている。」

 

みんなうわぁ。みたいな顔をする。

 

「そ、そうかい。なんか聞いて悪かったね。もし良かったらいつでもこのホームなら大丈夫だから来ていいよ!ユウ君に聞いた話だとそんな生活もエニュオってやつの声のせいなんだろ?」

 

「…詳しくは言えないが概ねその通りだ。だ、だが神ヘスティア。私はやはり地上の人からすれば劇薬もいいとこだ。今回を目一杯楽しんでまた穴倉に戻るさ。」

 

「ふぅ。ユウ君の言ってた通りだなぁ。レヴィス君。今いるメンバーを見てみなよ。ロキ、ヘルメスの子供、それにウィーネ君。オッタル君に言われたよ。ここは無法地帯だって。なら無法地帯なんだからレヴィス君が来ても良いんだよ?ねぇみんな?」

 

全員ヘスティアの声に頷く。ユウとベート、イシュタルは大爆笑しているが。

レヴィスはその光景を見て涙する。こんな美味しいご飯を食べたのもこんな暖かさを感じたのもダンジョンではあり得ない。

 

「ほらレヴィス泣くなよ。お前の為にいっぱい作ったんだ。食え食え。それにいつでも来いよ。みんな歓迎してくれるってよ。あ、ついでに今日泊まってけよ。アスフィも泊まっていくだろ?レヴィスに風呂教えてやってくれ。」

 

アスフィも微笑みながら頷く。レヴィスは泣きながらご飯を食べていた。

 

食事も終わり、弟、妹達とベートはまた庭で手合わせを始める。実はユウ。クノッソス侵攻後にステイタス更新をしたらランクアップしてレベル5になったのだ。そのユウに追いつく為にベルは必死になっていた。

お兄ちゃんに守られるだけの存在は嫌だと言わんばかりに。ユウはふと思いつき、レヴィスにも参加するように伝える。

 

「おーい。ベル、レフィーヤ、フィルヴィス。レヴィスと戦えよ。レヴィスは技術こそ犬の餌レベルだけどアビリティはオッタルさんの上だぞ。いい鍛錬相手になる。」

 

3人は喜んでレヴィスの手を取って庭に連れて行く。

 

「な、なぁ。ユウの弟と妹になるとあんな鍛錬馬鹿になんの?アビリティだけならオラリオ1っつってんのになんの躊躇もなく連れて行ったぞ?」

 

「んー。ベートさんだけには鍛錬馬鹿って言われたくないと思うけど。まぁヘスティアファミリアがおかしいんじゃない?ほら来たよ?」

 

「炎雷狼殿!!自分もまだまだ強くなりたいです!なので是非手が空いているのならお相手をしてもらえないでしょうか!!」

 

「あ、俺も頼むわ。ベルの横に立って胸を張って相棒だと言いたいからな。鍛治師だろうと関係ねぇ。あいつの横に立つには強くねぇといけねぇからな。最強の鍛治師を目指してやるよ。」

 

ベートは口を開けて固まる。命とヴェルフがレベル2なのも知っているし、交流もそれなりにある。だがレベル6の自分に頼みに来るとは思ってもいなかったのだ。

しかし上を貪欲に目指すヘスティアファミリアの眷属を見て笑う。冒険者はこうでなければいけないと言わんばかりに。

 

「はっ。やっぱこのファミリアの連中は頭イカれてやがるぜ。だが悪くねぇ。いいぜ。かかって来いよ。相手してやる。」

 

ベート、命、ヴェルフも庭に出ていく。んーそろそろ外壁をアダマンタイトくらいで補強し始めないとマズイかな?と思いつつその光景を見る。

 

「はぁ。このファミリアに入ってどれだけイシュタル様のところが普通だったかわかったよ。そりゃこのメンバーには勝てないわ。なんだいこの向上心は。」

 

「アイシャさん。そりゃヘスティアファミリアは足元の確認をしっかりして上をひたすらに目指すファミリアですから。それにロキファミリアとの擬似戦争遊戯での経験があいつらの心を強くしたんじゃないですか?」

 

「あー。それはわかるねぇ。あたしも正直なところユウに技術を教わったけどヒリュテ姉妹に勝てるとは思ってなかったしね。それにダンジョンでのベルの動きだよ。ユウはいなかったけどあの騒ぎの前にモスヒュージの強化種と戦ったんだけどね、あの子はとんでもないよ。それとリリルカ。ベルはリリルカの指示に完璧な動きで従いリリルカは…あの子どうしちゃったんだい?まるで戦況を全て把握してるみたいだったよ?一切の無駄がない指揮にこっちの安全マージンの確保。それから未来が見えているって言われても不思議じゃない予測。末恐ろしいよ。」

 

「まぁベルは俺の愛弟だし。リリに関しては知らん。けどあいつのおかげでロキファミリアと俺はクノッソス侵攻の時にかなり助けてもらった。フィンさんですら頭のキレは勝てないって言ってたくらいだし。」

 

そんな話をしていると横から声がかかる。

 

「本人のいないとこでそんなに褒めないで貰えますか?恥ずかしいです。リリはユウ様に言われたから変われたんですよ。ベル様のパーティの頭脳はリリだと。ならば全員を生きて帰すのがリリの役目です。生きて帰すには敵を討ち倒すか、撤退の2つです。幸いにもベル様とアイシャ様のレベル4がお2人もおられますからね。あのクラスの敵ならチョロいです。」

 

「お、リリか。ステイタス更新は終わったのか?なるほどねぇ。リリはリリで成長してるって事だな。俺は戦闘は教えれても指揮系統はその場でノリと勢いで言っちゃうからリリには合わないな。フィンさんに話通しとくから教えてもらえよ。」

 

「そのノリと勢いの指揮で最良の結果を残されたらやってられないんですが。ありがとうございます。よろしくお願いします。あ、それとリリはレベル上がりました。新しいスキル「冷徹な指揮官(クレバーコマンダー)」が出ました。戦闘時に思考速度の急上昇みたいです。」

 

「ほ、ほんとうかい!?リリルカやったじゃないか!!あんたのおかげで助かってるんだ。ウチのパーティは脳筋しかいないからねぇ。これからも頼りにしてるよ!」

 

アイシャさんはリリを抱き上げて喜んでいる。どうも脳筋パーティなので苦労してるみたいだ。リリも笑顔だし良かった良かった。

 

「そーいやアイシャさん。俺春姫ちゃんに魔導書渡して読ませたからそろそろ「ユウ様ー!!春姫も新しい魔法とスキルが出ました!!」うん。来たね。」

 

春姫ちゃんが走ってくる。狐って可愛いよね?

 

「アイシャさん!!春姫ももっと皆様のお手伝いが出来るようになりました!!」

 

「ユウ?あたし聞いてないんだけど。まぁ春姫が強くなるならいい。んで春姫どういう魔法とスキルが出たんだい?」

 

「はい!ユウ様にウチデノコヅチを全員に付与できて、切れたらすぐにまた掛け直せたら便利と言われたのでそれを魔導書様にお願いいたしました!「ココノエ」です。詠唱連結させれば良いらしいのですがまだやっていないので分かり兼ねます。それとスキルなんですが…こ、これです。」

 

顔を真っ赤にして俺らに紙を見せてくる。

義姉尊敬(リスペクトシスター)

姉を守る又は支援する際、魔法の効果が激上昇。姉を尊敬する限り成長速度が上がる。尊敬しなくなると効果はなくなる。

 

それを見てユウは大爆笑。アイシャは春姫と顔を真っ赤にし、リリは苦笑いだ。ユウはベートを呼ぶ。ベートはそれを見て大笑い。

 

「ぷくくく。あっはっは。あーこのファミリアの連中はほんとおもしれぇぇ!!どんだけ兄弟、姉妹が大好きなんだよ!つか成長速度促進スキル出過ぎだろ。今までそのスキルが無かった事にびっくりだわ。」

 

「うんそーだね。俺とベルと春姫にレフィーヤでしょ?あ、フィルヴィスもあったよ?」

 

「まじかよ。ヘスティアファミリアのブラシスコン半端ねぇな。1人はウチのもいるけど。あー春姫だっけ?お前の魔法って攻撃じゃねーんならここで試してみるか?あの魔導書読んだんだろ?くくっ。猛者がラーメンのトッピングと交換してたの思い出しちまった。」

 

「あー。流石に悪かったからフレイヤちゃんにも色々持って行ったよ。まぁ春姫ちゃん試してみなよ。」

 

全員の注目を集め、一旦鍛錬をやめてもらう。中にいたアスフィとフィルヴィスと胃を抑え、真っ青な顔のヘスティアといーちゃんも呼ぶ。そこで春姫に魔法をやってもらう。

 

「おいおいマジか。7本の尻尾って事は7人までレベルアップ可能ですってか?ヘスティアファミリアと絶対敵対しないようにフィンに言っとこ。」

 

「こ、これはさすがに予想外すぎるねぇ。しかも一本で15分ブースト。切れたらすぐにかけ直せるのかい。」

 

「えええ。レベルってなんでしたっけ?リリはこのファミリアでレベルの概念がわからなくなって来ました。」

 

「リリさん。私もそうですよ。ユウと初めて会った時なんて恩恵ないユウに負けましたからね…レベルって必要なのでしょうか。」

 

「胃がぁぁぁ。胃がぁぁぁ。成長速度促進スキルだけでもヤバいのにこの魔法は不味すぎるよぉ。」

 

それぞれドン引きしつつ見ている。春姫ちゃんはよくわかってなさそうだけど。

 

「とりあえず15分が7本で105分使えるわけだから春姫ちゃんには魔力を上げる特訓てことでベル達の鍛錬の時にココノエをずっとすること。パーティメンバー全員はレベルアップブーストに振り回されないように慣れること。それが出来ないとダンジョンではまだ使っちゃダメ!というか今のベル達のフロアなら必要ないね。」

 

そう締めて各々がまた鍛錬に戻った。レヴィスは楽しそうに弟、妹達と手合わせしていたが。

 

そしてみんなを風呂に入るように伝えて夜食と飲み物を用意する。鍛錬の後はみんなリビングに集まってダラダラするのがウチの日常だ。

 

「しかしベルはユウと初めて戦った時くらいやりにくいな。これが技術というものか。それにレフィーヤだったか?前までと見違えたぞ。フィルヴィスと共闘すると恐ろしく強くなるな。」

 

「え?レヴィスさんお兄ちゃんと戦って生き延びたんですか!?すごいすごい!!僕の攻撃も効いてなかったみたいですし!」

 

「あ、いやボコボコにされた上に見逃してもらっただけだぞ?弱過ぎると言われたし…。それから魔石食いまくってたんだがな。よくわかった。魔石意味ない。技術と美味しいご飯が必要だ。」

 

「ほぼ欲望丸出しじゃねーか。んでアスフィ?レヴィスの胸の魔石見えた?おっぱいデカ過ぎて攻撃届かなさそうじゃね?」

 

「ええ。もうそれは大層なものをお持ちでしたよ。敵対したらもいでやりたいくらいです。」

 

「ちょ、ちょっと待て!!みんな胸を見るな!!それにアスフィはモグとか言うな!!」

 

アスフィは冗談ですと笑いながらいう。えらい仲良くなってんなこの2人。それから実家に帰ることをベートさん達に伝える。ベートさん達も飯どーすんだよ!と言うのでミア母さんのところに頼むと伝える。

 

それから各自自由になるのでレヴィスはアスフィと話をして、俺はレシピをノートにたくさん書いて材料と調味料を持って豊穣の女主人に向かう。

 

 

「母さん母さん。悪いけど相談乗ってくれない?」

 

「待ってな!あと少しで店閉めるからね。厨房使っていいから馬鹿娘とあたしにご飯作っとくれ。」

 

ちょうど材料も持ってきていたので色々作って時間を潰す。店も閉め、みんなの座っている机に料理を持っていく。

 

「んで母さん相談なんだけどここに用意した飯のレシピをノートに書いてきたから渡すよ。それでさ俺とベル一回爺ちゃんの顔を見に帰るから一週間前後にウチのファミリアの連中とベートさん、レフィーヤ、オッタルさんにこのレシピの飯作ってあげてほしいんだよね。」

 

「それくらいなら構わないよ!それにしてもアンタ冒険者だろ?料理人みたいになってるじゃないか。」

 

「うん。みんな美味しそうに食べてくれるからね。それに前の騒動でレベル5になったよ。」

 

みんなもうレベル5か。と普通の反応だった。驚かれると思っていたので逆にこっちが驚いてしまった。

 

「ユウは最初から頭おかしいニャ。レベル1なのにロキファミリアに喧嘩売るし。レベル上がるのも早かったから不思議じゃないニャ。兄様もあいつとだけは敵対したくねぇって言ってたニャ!」

 

「そうだねぇ。まぁあたしの息子なんだ。それくらいはできるだろうさ。オッタルもゲンコツ食らわした時にユウの実力が測れないって言ってたしね。」

 

あーなるほど。フレイヤファミリアが原因か。あ、そうだリューはどうするんだろう?

 

「そっか。あ、それと別でリューはどうするの?ついてくる?ヘルメスもアスフィも調べてくれたみたいだよ?」

 

「是非お願いします。私も話をしたい。今までの事、これからの事を。」

 

こらこらリュー。その言い方だと…。

 

「え?え?リュー?どういうこと!?ユウさんと付き合ってるの?お爺さんに話をしに行くってそういうこと!?」

 

ほら恋愛脳の小悪魔アザトースが暴走した。

 

「ちげーよ恋愛馬鹿。アストレア様だ。都市外にいるだろうが。ついでに俺達の実家も見せてやろうと思ってな。」

 

 

「ズルイズルイズルイ!!私も行きます!!ベルさんの実家見たいです!!」

 

「悪いな。今回のメインはリューとアストレア様だ。それに家族に久しぶりに会うんだ。レフィーヤやフィルヴィスも連れて行かないのにお前を連れてはいけない。」

 

シルは納得はしてないが理解はしたのかむーむー言いながら反論はしてこなかった。

 

「つーことで母さん。何度も悪いけどリューを借りてくよ?」

 

「いいよ。この子は料理も出来るようになったしすごく働いてくれてるからね。たまには休暇もいいだろ。リュー。アストレア様からもユウ達からも逃げるんじゃないよ。」

 

「はい。ミア母さん。私はきっちりと話をして過去と決着をつけるつもりです。それに…逃げてたら師匠に白宮殿の闘技場にまた叩き込まれてしまいます。」

 

クスリと微笑みながら言うリューさんをみて満足そうに頷くミア母さん。ここはファミリアじゃないけど家族としてのちゃんとした絆があった。

 

ここに来るメンバーを全員教えて時間を決めてもらい席を確保してもらった。母さんにお礼を言ってリューに集合日時と場所を伝えて帰った。

 

風呂に入って布団に入る。眠っていると何かに身体が拘束されて動かない事に気づく。目を開けるとアスフィが右にいて左にはとんでもなく柔らかな感触を感じる。レヴィスさんじゃないですかぁー!!!

え?どゆこと!?桃源郷??アスフィもレヴィスも顔を真っ赤にして目を開く。

 

「ね、ねぇ?俺一緒に寝た覚えないんだけど?そりゃ美人2人だから嬉しいんだけどさ。」

 

「ゆ、ユウの周りには素敵な女性が多いですから…そ、そのレヴィスもユウの事を気になっていたみたいだったので…アピールをと。」

 

「そ、その私は人間では無いから迷惑だろうと思うんだが…アスフィも良いと言ってくれたから…。」

 

「お、おう。なんだ。すげぇ嬉しいんだけどさ。俺はお前らが大切だよ?でも恋愛として好きなのかわからないからやっぱりさそーいうのは少し待ってほしいんだよね」

 

あれだけフィンにヘタレアラフォーとか言いながらこの男もかなりのヘタレである。

だがアスフィとレヴィスは待つと言ってくれた。

 

仕方ないのでそのまま2人を抱きしめて眠った。もちろん次の日の朝ユウの部屋からアスフィとレヴィスが出て来るのをヘスティアといーちゃんに見られて騒ぎになった。




あー完全に暴走した。ここにリューさんも参戦させるんだろ?やってやろうじゃないか。

てことで明日は週始めだし忙しいと思うので多分昼過ぎか夕方に投稿します!

オリジナルなので話の構成とかを考えながらなので1日2話はキツイかもです。1日1話は必ず投稿するのでご了承いただければと思います。

次回クラネル兄弟の里帰り


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あー!アストレア様見っけ!次はアストレア様が鬼な!

ついにオラリオから出ます。

アストレア様を探しす→見つける→ユウの村→ゼウス様って感じかなー?


とりあえずどうぞ!


朝にちょっとした騒動があったもののとりあえずは落ち着いた。レヴィスは特にやることもないみたいなので俺らが里帰りするまではヘスティアファミリアに泊まることになった。

 

アスフィに聞いたオラリオの外に出る場合の手続きがあるみたいなのでベルと一緒にリューを拾ってギルドに向かう。

 

「そーいやリューはその手続きやったことあんの?」

 

「いえ。私はそもそも外に出たのは短期間だったので。出てすぐに帰って来ましたよ。バレないように…」

 

「お兄ちゃん!とりあえずエイナさんに聞いてみようよ!僕いつもエイナさんと会ってるから僕が聞くね!」

 

なんかやる気に満ち溢れてる可愛い弟がいるので全面的に任せることにした。ついでにランクアップの報告もしとこう。

ギルドに着き、3人でエイナさんのところに行く。

 

「エイナさぁぁぁん!!今日はお兄ちゃんとリューさんと一緒に来たよ!!」

 

「あら。ベル君。いらっしゃい。ふふ。相変わらずお兄ちゃんが大好きね。ユウさんもお久しぶりです。あなたはいつも来ないんだから!たまに来たと思ったら神々を連れて来たり…ほんと勘弁してよ。リュー・リオン氏もお久しぶりです。ブラックリストの件はギルドが本当に申し訳ありません。」

 

「いえ。気にしないでいただきたい。私もあの頃はかなりギルドに迷惑をかけた。当然でしょう。」

 

お互い軽く挨拶をして椅子に座る。

 

「んでエイナさん。2つ報告があってね。1つ目はヘルメスとかに聞いてるかもだけどこの3人で里帰りするから外に出る手続き。面倒ならあのクソジジイに直接言うから大丈夫だよ。」

 

「え?里帰り?リュー・リオン氏も連れて?どういうこと??」

 

「あー。リューは途中までが本当の目的。アストレア様に会いに行くんだよ。んでそのついでに俺らの村にも行くってこと。」

 

「あ、なるほど。うん。わかった。手続きはそんなに難しくないからウラノス様にだけは行かないで。私の担当冒険者になってるから毎回止めるように言われるんだからね!

それじゃあ所属ファミリアと氏名と期間だけ書いてもらえる?」

 

紙を三枚渡されたので各々が空欄部分に記入していく。それをエイナさんが確認してオッケーをもらった。

 

「あ、それと俺レベル5になったからまた神会の資料作りよろしくね?あの資料わかりやすいし。できれば備考のとこにそいつのイメージとかを書いてくれると命名式の時楽になるよ?」

 

「は?はぁぁぁぁぁぁぁ!?!?もう!?レベル5ですってぇぇぇぇぇ!?なんなのよクラネル兄弟は!!!」

 

「エイナさん!僕はまだですよ!!もうちょっとかかります!!でもすぐにランクアップしてお兄ちゃんと同じになります!」

 

「ベルさん。普通は早々にランクアップしないものです。そういえばもう私のレベルに追いつき、追い越されましたね。あなた方はやはりおかしい。」

 

「おかしいレベルじゃないでしょ!!恩恵貰ってまだ半年くらいでしょ!?なんでそんなにレベル上がるのよ!!」

 

「実力と才能と運。それ以外に無いでしょ。ランクアップには神々が認める偉業を成し遂げるしかないんでしょ?

そしたらレベルにとらわれない実力があればジャイアントキリングしやすいわけじゃん。

俺ら恩恵無くてもレベル3くらいの冒険者なら倒せるんだよ?

そりゃレベル低くても強いモンスター倒せるわ。ほら偉業。そゆこと。逆ギレしたり叫んで人の情報ぶちまけないで落ち着いてよ。」

 

エイナさんはハッとして席に座り謝ってくる。だが他の冒険者はああ。雷帝か。ならあのギルド嬢の気持ちわかるわ。と憐れみの目でエイナさんを見ていた。

 

「ご、ごめんね?あまりにも想像してないことだったから。わかった!私がちゃんと書いておくね。

それと里帰りだけど気をつけてね。また帰って来たら顔見せに来て。」

 

3人は頷く。うん。エイナさんって本当に良い人だな。お土産持って行こうなとベルと話をする。

そこからリューとベルと別れる。ベルは爺ちゃんに買うお土産をアイズと選びに行くそうだ。リューは店に戻るらしい。

 

俺はバベルの塔に向かう。

 

「フレイヤちゃーん?ニート駄女神様ー?ユウ君だよー?」

 

「もう慣れたわよ!今日はどうしたの?」

 

「帰る日時決まったから報告。それとミア母さんにレシピと調味料は渡して、材料買う金は渡しといたから俺居ない間はミア母さんのところに行ってね?」

 

「あら。ありがとう。お金は払うわよ?そこまでしてくれなくても大丈夫なのに。」

 

「いや魔導書の件はさすがに貰いすぎだったからね。これくらいはさせてよ。それにあの魔導書のおかげで春姫ちゃん、ランクアップブースト7人まで使えるし15分だったのが1人だけに使うと最長で105分になったからね。」

 

フレイヤはその破格の魔法を聞いて唖然としてしまう。何その最終兵器みたいな魔法。ヘスティアとは仲良くしましょう。そうしましょう。

 

「あ、あとオッタルさんにアドバイスを。醤油と豚骨スープ混ぜるとめっちゃ美味いよ?豚骨醤油っていってね。俺が一番好きな味。」

 

「と、豚骨醤油だと!?盲点だった。混ぜる発想は無かったぞ。感謝するぞユウ!フレイヤ様。このオッタルお腹が痛くなったのでホームに戻ります!!」

 

「待ちなさいオッタル!!そんな嘘に騙されるわけ無いでしょう!!あなたの仕事は何!?」

 

「至高の一品を作ることです。」

 

「オッタルゥゥゥゥゥゥ!!違うでしょ!!私の警護でしょ!!」

 

「え?介護?まー確かにフレイヤちゃんババアだもんね。」

 

「け・い・ご!!誰が介護必要なババアよ!!ってオッタルゥゥゥゥゥゥ!!なんでもう居ないのよ!!」

 

ハァハァと肩で息をするフレイヤを大爆笑で見ているユウ。フレイヤはため息を吐いてユウに手紙を渡す。

 

「これゼウスへの手紙よ。渡しておいてちょうだい。」

 

 

「ん。了解。オッタルさんも居なくなっちゃったしあの人多分全部の味試すだろうから帰って来ないよねぇ。

仕方ない。フレイヤちゃん今からアレン君のところに寄って一緒に母さんとこ行こっか。母さんに作り方教えに行く予定だったし。」

 

手を出して握ってくるユウ。フレイヤは下心も打算もそして呪いともいえる魅了もされてないユウを眩しそうに眺める。

 

「あ、惚れたとかやめてね?銀髪のババアはマジで無理。」

 

「凄く格好良く見えたけど勘違いだったわ。あなたいつかぶっ飛ばすわよ?」

 

笑いながら手を強めに握るフレイヤだった。

 

 

フレイヤファミリアのホームに着いてアレン君をすぐに見つける。縮地で背後を取り頭を撫で撫でする。

 

「アレン君今日も可愛いねぇ〜!毛並みもいいし。フレイヤちゃんこの猫ちょうだい?ウチのペットに欲しい。」

 

「にゃ、なんで!!ユウと…フレイヤ様?なぜここに?オッタルは?」

 

「今にゃって言ったよね?フレイヤちゃん聞いた?いや笑いすぎだから。

あ、オッタルさん?ラーメン作るからってフレイヤちゃん放ってホームに帰ったからいるんじゃない?」

 

「あ、あの野郎…!!せめて誰かと交代してこいよ!!んでフレイヤ様を送ってくれたのか?礼を言うぜ。」

 

その言葉を無視してアレン君を脇に抱える。

 

「さてフレイヤちゃん。猫も1匹確保したし行こうか。」

 

またフレイヤは嬉しそうにユウと手を繋ぐ。脇に抱えられたアレンは暴れていたがフレイヤの姿を見て大人しくなる。

 

「母さん!試食会しようぜ!ほらオマケも攫ってきたから!こっちが美のニート駄女神のフレイヤちゃんでこっちのバカ猫がそこのバカ猫のお兄ちゃんのアレン君な!」

 

 

「二人共知ってるよ。フレイヤ様はお久しぶりです。アーニャ!!お兄ちゃん来たから休憩入りな!」

 

兄様〜とアーニャが来るのでアレン君を下ろしてあげた。兄妹が仲が良いのは見てても気持ちがいいね!

 

それから母さんと厨房に入って教えながら一緒にご飯を作る。やっぱミア母さんは手際もいいしコツを掴むのも早かった。試食でフレイヤちゃんもアレン君も美味しいと言いながら食べていた。

 

「あ、アレン君。俺が居ない間母さんに飯頼んでるからフレイヤちゃんと一緒に食べに来なよ。アーニャも嬉しそうだし。」

 

「え!兄様来てくれるのかニャ!?母ちゃんその時はミャーも休憩欲しいニャ!!」

 

母さんも許可をしたのでアレン君も来るみたいだ。アレン君にフレイヤちゃんのことを任せて俺はホームに帰る。

 

ホームでは庭でミコっちゃんがレヴィスと手合わせをしていた。さすがにアビリティが違い過ぎるので指導みたいになっていたが。

 

夕飯の時に決まった日時を全員に伝える。それからはレヴィスもヘスティアファミリアの一員みたいになって、特にアイシャさん、春姫ちゃん、ミコっちゃんと良く話をしたり手合わせをしたりしていた。

リリはリリでフィンさんと一緒に色々話をしたり戦術についても討論したりしてたみたいだ。

 

 

そして里帰り当日オラリオの門の前にヘルメス、アスフィ、ユウ、ベル、リューは集まっていた。

そのまま門の外に出てアストレア様のいる村に向かう事にした。

 

「つかこんだけ首突っ込んどいて今更なんだけどさ。アストレア様ってどんな神なの?

俺が知ってんのは正義を司る神で、スッゲェ真面目そうってことなんだけど。」

 

「概ねその通りです。我々アストレアファミリアは正義を執行するファミリアでしたので。アストレア様は正義そのものでした。」

 

「別にリューの尊敬する主神を貶してるわけじゃないんだけどさー。俺は正義を司るの意味がわかんないんだよね。」

 

リューは固まり、ヘルメスがどういことか聞いてくる。

 

「んー。あくまでも俺の持論だから気にしないで欲しいんだけどさ。だって正義ってあやふや過ぎない?

ヘルメスは旅人とか商人の守護神なわけじゃん?なら旅人の旅が上手くいくとか商人の話し合いが上手くいくとか下界の子供でもわかりやすいわけよ。

んでも正義って何?秩序を守る。そりゃ正義だわ。でもなぁ。例えばだけど国同士の戦争って自国には自国なりの正義があって他国にも他国なりの正義があんだろ?

だから正義ってあやふやなもんを司るってのがイマイチピンとこないっつーかなんつーか。」

 

「お兄ちゃん!僕わかるよ!正義って常に正しくないといけないんだよ!だから強いやつの事だよ!」

 

「ん?ベルどう言う事?」

 

「さっきのお兄ちゃんの話だけど戦争は正義の元にやるんじゃなくて勝った方が正義なの!

だから自分達が正しいんだ!って思える強い心を持つ人と絶対勝てる強い人の事だよ!英雄も正義なんじゃないかなーって思うよ!」

 

なるほど。たしかにそうだ。うんアストレア様に聞いてみよ。強い=正義って解釈でも大丈夫か。

リューは俺とベルの話で何か思うことがあるのか考えながら無言で歩く。

 

「お喋りも良いけどもうそろそろアストレアが居るって聞いてる村に着くよ!っと見えてきたね。あの村だよ。」

 

全員少し歩く速度を速め、村に入る。小さな集落のようだ。歩いている村人にアストレア様の事を尋ねる。

小さな広場にいるようだったのでそちらに向かう。

 

子供達と一緒に遊んでいる女神様が居た。リューはその女神を見て涙を流す。女神もこちらを見て驚いているがすぐに微笑んだ。

 

「あら、久しぶりねヘルメス。それに…私の可愛い子。リュー。元気にしてたかしら?」

 

リューは泣きながら頷く。アストレア様は自分の住んでいる家に俺らを案内してくれた。

 

「久しぶりに見た顔も、はじめて見る方もいるのね。改めて正義を司る神、アストレアです。よろしくね?」

 

「はじめまして。アストレア様。私はヘスティアファミリアのユウ・クラネルです。よろしくお願いします。」

 

 

「はじめまして!僕はヘスティアファミリアのベル・クラネルです!ユウお兄ちゃんの弟です!!よろしくお願いします!」

 

ユウとベルの自己紹介を聞いてアストレアは驚く。

 

「え?ヘスティア?あの子下界に来てたの??驚いたわ。天界に居た時からあの子とは仲が良かったのよ。」

 

懐かしそうに微笑むアストレア様。そしてリューが口を開く。

 

「アストレア様…。私は色々と話す事があります。あの忌まわしい過去の事、それからのこと、そして今からのことです。」

 

リューが話す事はあまり聞かれたくないだろうとリューを残して全員外に出る。

 

 

「皆さんに気を使わせてしまいましたね。それでリュー。話したい事とは?」

 

 

「はい。あの時アストレア様に正義を捨てなさいと言われても私は止まれませんでした。闇派閥を壊滅させ、神も4柱送還させる事になりました。そんな事アストレア様は望んでおられなかったのに。

本当に申し訳ありませんでした!!」

 

アストレアは黙って話を聞く。

 

「それからは己の身体も省みずに戦ったので傷だらけで路地に倒れました。ここが私の最後かと…。ですがある少女が助けてくれました。

今住込みで働かさせてくれているお店のウエイトレスの少女です。それからはその店でずっと働いていました。

そしてあの2人に半年ほど前に出会いました。そう。クラネル兄弟です。

ユウさんは最初、ロキファミリアが酒の肴にベルさんがされているのを聞いて当時レベル1だったにも関わらず、己の信念に従い神ロキや勇者に直接文句を言いに行きました。

私はその姿を見て、彼の中にも正義があり、その正義に従い巨悪を討つように見えて。そう。眩しかったんです。

それから何かとあの兄弟と交流する事が多くなりました。」

 

「ちょ、ちょっとリュー?ユウさんってあの子でしょ?レベル1でロキファミリア全員に喧嘩売りに行ったの!?」

 

「はい。まだ序の口です。私はユウさんに料理を教わりたく、指導をお願いしました。アストレア様。私も料理が出来るようになりました。

ベルさんがダンジョンでパスパレードされて取り残されたと聞いてユウさんと探しに行きましたが18階層で無事でした。

そ、そこで、その。アリーゼ達の墓参りのついでに水浴びをしていたらユウさんが普通に話かけて来まして…。私はそんなに魅力が無いのでしょうか…。」

 

アストレアはピーンとくる。ははーん。リューったらユウ君に惚れてるわね??よぉし!お母さんにまっかせなさいっ!!

 

「リューが裸を見られて怒らないなんて珍しいわね。」

 

「な、何故かユウさんとベルさんには手を握られても不快感が無く気にならないのです。ああ、話が逸れましたね。

それから共闘する出来事もありながらユウさんとベルさんの常識外の動きをずっと見てきました。

そしてアストレア様と会おうと思ったきっかけとなる出来事が起こりました。

闇派閥の奴等の生き残りがいたのです。私は我を忘れてそいつらを追いかけました。そしてダンジョンで罠にかけられ、あのモンスター。

アリーゼ達を皆殺しにしたモンスターが現れました。その時にベルさんが来て、震える私を庇いながら戦ってくれましたが一度ベルさんはやられてしまいます。

私も戦おうとしますがどうしてもあのモンスターには勝てません。ベルさんがそのあと力を振り絞って半身を消しとばしてくれましたが。

それからイレギュラーがあり私とベルさんは37階層でボロボロの状態で彷徨う事になりました。

私は。自分自身を犠牲にしてでもベルさんを地上に帰そうと決意していました。正規ルートに出る為に闘技場を横断しなければならなかったので2人でモンスターの皮を被って横断しようとしました。

するとユウさんが救援で現れて闘技場にいたモンスターを一瞬で殲滅し、37階層の誰も知らないセーフティゾーンに連れて行ってくれました。」

 

「ちょちょちょっと待ちなさい。ええ。リュー。落ち着きなさい。ユウ君はレベル1でしょ!?ベル君も!なんで深層に行けるのよ!!」

 

リューは納得したように頷く。

 

「ああ。アストレア様はご存知ありませんでしたね。あの兄弟のランクアップ速度は異常です。今ユウさんはレベル5、ベルさんはレベル4です。それも半年でですよ。ユウさんに至ってはレベル2の時に既に私より強かったです。」

 

その言葉にアストレアは言葉を失う。アストレアは正義を掲げるファミリアでオラリオでも一目置かれていた立場の主神だった。

そんなにレベルが簡単に上がらない事は良く分かっていた。半年で第一級冒険者にまでなっている?なんの冗談だ。

 

「セーフティゾーンで休息を取り、ユウさんとベルさんと話をしました。あのトラウマとも言えるモンスターはあの兄弟からすればサンドバッグらしいです…。

ベルさんは蜘蛛が嫌いらしく近接戦をしたくなくて魔法を使い反射されたのではじめはやられただけらしいです。その証拠に追いかけてきたモンスターを一瞬で粉々にしていましたし…。

それから戦い方を教わることになり、闘技場で鍛錬することに…。あれは死んだと思いましたね…。」

 

ウチの子はどんな生活をオラリオでしてるんだろう。オラリオに戻ろうかなと良いお母さんのアストレアはそう思う。

 

「これが今までの出来事です。ここからは私のアストレア様に伝えたい話です。

私は正義とはなんなのか考えてきました。ユウさんに正義とはあやふやなものだと言われました。

国同士の戦争でも、人の喧嘩でもお互いがお互いの正義を持っていると。どっちが正しい正義だなんて断言は出来ないと。

私の復讐もそうです。あれは正義でもなんでもなかった。そう思ってアリーゼ達やアストレア様の正義を肯定したかった。ですが違うんですね。己の行動1つ1つに正義がある。それを否定しながら行動する事こそが正義ではなくなってしまう。

だからアストレア様は私に正義を捨てろとおっしゃった。」

 

アストレアは自分の子の気持ちを聞いて嬉しくなる。ようやく過去と決着をつけれて未来に走りだそうとしている。

 

「そうね。リュー。貴女は私の誇りよ。これからも己の正義を大切にしなさい?」

 

リューはその言葉を聞いて涙する。母親に正義を認めてもらえた気がしたからだ。

 

「それより話を聞いてて思ったのだけれどリューはあの兄弟のどっちが好きなの??お母さんに言ってみなさいよ!」

 

「え、ええ??わ、私みたいな生真面目エルフにす、す、好かれてもユウさんは困ってしまう。」

 

「ふーん。リューはユウ君が好きなのねぇ。ふふ。良い事聞いちゃった!」

 

それだけを言い、外にみんなを呼びに行くアストレア。ああ。アストレア様の悪い癖が…と遠い目のリュー。

それからみんなと話をする。他愛ない話だ。

 

「ユウ君は彼女とかいるの??なんだかモテそうだなぁって思ってさ。」

 

「いませんよ?でもアスフィともう1人に告白されてるので好きって気持ちがまだわからないので保留してます。」

 

「ならチャンスはまだあるわけだ…。リュー!!私もオラリオに戻るわよ!!」

 

「え?ほ、本当ですか!?あ、しかし館は解体されてしまいましたよ?」

 

「んじゃウチくる?部屋もかなり余ってるし。別にリューなら問題ないでしょ。ベル達とダンジョン潜って金稼げば?母さんに説明はしなきゃだけど。アストレア様も良いですよ?ヘスティアといーちゃ、イシュタルもいますしね。」

 

「え?いいの!?ありがたいわぁ。ん?イシュタル?なんで??」

 

イシュタルとの喧嘩を伝えるとドン引きしていたが。

 

「とりあえず俺ら爺ちゃんのとこに里帰りする途中なんですよね。アストレア様も一緒に来ます?」

 

アストレアは首を横に振る。身辺整理をしないといけないので帰りにまた寄ってほしいとの事だ。

一旦アストレア様と別れて村を出る。それから爺ちゃんに会いに行く。

 

歩いている途中にリューの話を聞いたりヘルメスをゴブリンに木の棒を持って突っ込ませたりしたが特に何もなかった。

 

「「爺ちゃん!!ただいま!!」」

 

「おお!ユウにベル!お帰り。少しみないうちに大きくなったのぉ!!」

 

2人して爺ちゃんに抱き着く。

そんな2人の姿を微笑ましげに見る他の3人。

家の中に入り、リューの自己紹介をしてお茶をすることにした。

 

「それでオラリオはどうじゃ??儂の孫じゃしそりゃ楽しくやっとるんじゃろ?ジジイに色々聞かせてくれ。」

 

「おう!俺はレベル5になってベルはレベル4だな!すっげー楽しいよ!」

 

お茶を吹き出すゼウス。レベル2くらいになってたら凄いなぁと思ってた。どんなスピードで第一級冒険者になっとるんじゃ!!

 

「ぜ、お爺さん。ユウ君の話は本当ですよ。俺らはもう慣れちゃったから。うん。」

 

遠い目をするヘルメスを見て冷や汗を流すゼウス。

 

「あ、それと親友と妹ができたんだ!ベートさんって人が親友でレフィーヤとフィルヴィスのエルフとウィーネっていうヴィーヴルが妹。」

 

ん?ヴィーヴル??あれモンスターじゃろ?頭痛くなってきたわい。こやつらオラリオでどんなことしとるんじゃ!

 

「あ、あと手紙にも書いたけどロキ様とフレイヤちゃんと仲良くなったよ。フレイヤちゃんは1日1回弄らないとダメなくらいに魅了されたわー。」

 

「フレイヤ様に粘着ババアとかババアとかババアとか言ってて何が魅了だい?しかも最近は猛者と一緒にニートババアって言ってるみたいじゃないか。」

 

「んでもよーヘルメス。フレイヤちゃんバベルの塔に引きこもってるんだぜ?前いーちゃんの屋台に放り出したけどお好み焼きもひっくり返せないとか使えなさすぎでしょ。」

 

ゼウス、ヘルメスは顔を引きつらせている。まさかあの美の女神がこんな扱いだとは思いもしなかっただろう。

それからはベルはベルの冒険を嬉しそうに爺ちゃんに話ていく。アスフィもリューも俺とベルとの交流を話す。その間に魔法を使って食材を出し、色々料理を作っていく。

 

晩御飯の準備が出来たので全員で食べる。

 

「ほう。これがユウの言っとった魔法かの?おお。そうじゃ!あのせんべい?は美味かったぞ。また送ってくれい。ベルもマフラーと手袋ありがとのぉ。」

 

「あーあれ?魔法で出したやつだからなんぼでも置いていけるよ?ほら。これってヴァリス入れないと出ないんだけど37階の闘技場で毎回稼がせて貰ってるしフレイヤちゃんから結構な金額貰ってるから今4000万くらい入ってるんだよね。爺ちゃんが欲しいもの言ってくれればなんでも出すよ!!」

 

その馬鹿みたいな金額に一同驚く。ベルですらも驚く。

 

「ち、ちなみになんだけど…ユウ君って合計でどのくらい資産あるの??」

 

「んー。いーちゃんに渡した屋台の売上と神会で使う資料の紙をギルドに下ろしてるのと金庫にぶち込んでる金合わせたらこんくらい?」

 

指を5本立てる。

 

「え、マジ?そんなに?とんでもないよね?半年でしょ??」

 

「まぁベルに質素な生活させたくなかったからなっ!!お兄ちゃんすげー頑張ったよ!」

 

ブラコンここに極まれり。弟の為にそんなに稼ぐ馬鹿はこいつくらいだろう。

それからご飯も終わったのでみんな風呂に入る。シャンプーとトリートメントを置いておくと爺ちゃんが興奮していた。

 

低反発マットレスと布団があったので全員買っておく。みんな低反発に驚いていたけど。

 

リューとアスフィに俺らが使ってた部屋を譲ってベルと俺は居間に布団を敷く。そしてゆっくりと眠ろうとするがフレイヤちゃんから預かってた手紙を渡していないことに気づく。

 

「爺ちゃーん?ヘルメス?まだ起きてる?」

 

2人の返事があるので中に入る。フレイヤちゃんから。とだけ言って爺ちゃんに手紙を渡す。

 

「ゼウス。久しぶりね。ユウに貴方が祖父だと聞いて手紙を書いたわ。あなたの義孫は2人ともすごいわよ。私もユウには特に世話になってるわ。でもね貴方どんな教育したのよ!!私なんて美の女神なのに初対面で粘着ババア女神って言われたのよ!?

ま、まぁそれはいいわ。オラリオから追放したこと申し訳なく思ってるわ。もっと他のやり方があったんじゃないかとも今なら思うわ。

だから絶対にユウを私達と敵対させる様な事言わないでよ!?あの子のファミリア頭おかしい子ばかりなんだから!それにユウのご飯とかシャンプーとかも無くなるの嫌よ!

追放しといてなんだけどギルドもユウが脅しに行けば追放を撤回してくれるでしょうしオラリオに戻ってきたら?

いくらゼウスでもユウとベルを悲しませたら潰しに行くからね。それだけよ。手紙の返事はユウに持たせてくれたらいいわ。」

 

「フレイヤちゃんってほんとツンデレで残念女神だよなぁ。なんだよ飯とシャンプーって。」

 

「はは。ユウ君にかかればフレイヤ様もこうなっちゃうね。」

 

「儂の知っとるフレイヤと違うんじゃが。まぁなんじゃ?儂ここの生活気に入っとるしオラリオには戻らんよ。ユウ達の活躍を楽しみに待っとくわい。」

 

3人は笑う。そしてフレイヤちゃんエピソードを話すとゼウスとヘルメスは大爆笑していた。

夜も更けてきたのでこの辺で眠ることにする。

 

まだまだ話すことがたくさんある。大好きな爺ちゃんと過ごせる残りの時間を大切にしようと思うユウだった。




遅くなってすみませんm(_ _)m

今日はこれだけで許してください!!

つかこの後の話も考えないと…。オリジナルって難しいよね。でも頑張るぞい!

爺ちゃんと過ごすクラネル兄弟。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
別れの時はすぐに来る。アストレア様と合流してオラリオに戻る。
その時オラリオでは…
次回 波乱万丈!!テメェ等に今日を生きる資格はねぇ!


※次回予告は全く関係ありません。完全にノリです。名言 アニメで北斗の拳のセリフがあったので使いたかっただけですww


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実家ってなんだか安心するよね☆

皆様本当に更新遅れてしまい申し訳ありませんでした!!

作者仕事で新入社員の指導員になってしまってサボりながら小説書けなくなりました。
GWからは落ち着けるのでまた更新速度を戻すつもりですのでお許しください!!


「じいちゃんにもっと快適に過ごしてほしいので実家をオラリオに帰る前に改造しようと思います。」

 

帰ってきた次の日の朝、ユウのこの一言から始まった。ゼウスは豪快に笑い、ベル、リュー、アスフィも納得して頷く。

ヘルメスはまたユウ君のとんでもない行動が始まるのかとトオイメをしている。

 

 

「とりあえず爺ちゃんは釣竿とお弁当とか用意したから今日1日のんびりしてきて!話し相手にヘルメスもつけるから!」

 

ユウは驚かす為にゼウスとヘルメスを外に出す。それからベル、リュー、アスフィと共に畑を作ったりお風呂の改築やキッチンの改築をどんどん進めていく。

 

ゼウスの寝室に水の出る魔道具や太陽光で充電できるヘッドライト、ベットに低反発マットレスを敷いたりする。

本棚を用意して好きそうな小説や漫画を魔法で買っていれていく。

居間も掘りごたつ式に改造する。

アスフィに手伝ってもらい、電気じゃなく魔石で動く洗濯機や冷蔵庫も設置していく。

リューとアスフィも欲しいと言い始めたのでオラリオに戻るとあげると約束した。

 

何よりもトイレだ。トイレを日本にある電動の洋式トイレにした。これはヘスティアファミリアとヘルメスファミリアは知っているので驚かないがリューはかなり驚きヘスティアファミリアではこれが使える事を知り喜んでいた。

 

ひとしきり改造し終わって休憩ということでケーキやチョコレートを出してあげる。

 

「みんなウチの実家なのに手伝ってもらって悪いな。それにありがとな!」

 

ベルもリューとアスフィにお礼を言う。

 

「いえ。ユウさんとベルさんにはオラリオでお世話になりっぱなしですので。それに色々なものが見れて良かったです。」

 

「私もお爺様には前からお世話になっていますからね。しかしユウの出す品物には驚かされますよ。便利なものばかりですからね。特にトイレとドライヤーは素晴らしいです。」

 

「アスフィは前から知ってるだろ。リューもアストレア様とウチのホームに来たら使えるんだし。そーだなー。オラリオに帰ったら世話になってるところには設置してあげるか?」

 

そんな他愛ない話をしているとゼウス達が帰ってきた。

 

「ゆ、ユウ!!なんじゃあの畑は!!……。家の中も随分変わっとるのぉ。」

 

「あーやっぱり。気合い入れて改築したねユウ君。」

 

ゼウスに改築したところを全て教えて行くと最初は口を開けて驚いていたが便利なのがわかったのか嬉しそうに笑っていた。

それからみんなで晩御飯を食べ、前の日に話せなかったことを色々と話す。

 

「ほう。ベルはロキのとこのアイズ・ヴァレンシュタインが好きなのか。ヴァレンシュタインのぉ。ユウはなんじゃい。アスフィちゃんとまだ恋仲になっておらんのか。」

 

「じ、爺ちゃん。いや俺ずっとベルと妹達が好きで家族愛しかわかんねーんだもん。今アスフィともう1人に告白されてんだけどよー。わかるまで待ってもらってんだ。」

 

リューもその話は知っている。だが何故かそわそわしてしまう。

何故でしょう。私はアンドロメダが羨ましい。私もユウさんが好きなのでしょうか…。ですが私のような堅物エルフでは…。アリーゼ、アストレア様。私はどうすれば…。

 

アスフィはリューの態度を見てそっとため息を吐いてしまう。リューがユウの事を好いているのは見てれば一目瞭然だ。アスフィは別にハーレムでも構わないと思っている。それより選ばれないでユウのとなりにいられない方が嫌なのだ。

これは夜に話をする必要がありますね。

メガネをキラッとさせて考えるアスフィだった。

 

「ユウよ。それならハーレムじゃハーレム!爺ちゃんいつも言っとるじゃろう。男ならハーレムじゃと!!」

 

「そんなことばっか言ってるから嫁さんにボコられていろんなとこから敵対されるんだろ!!爺ちゃんは本当に馬鹿!!俺爺ちゃんの過去いっぱい知ってるんだからな!」

 

「お爺さん。ユウ君の言ってること本当だよ?ウラノスの黒歴史も神会でブチまけてすごい騒ぎになったんだから。」

 

ヘルメスは笑いを堪えながらゼウスに伝える。ゼウスは過去に色々やっていることが可愛い孫にバレていることに冷や汗をかきはじめる。

そんなゼウスは放置して会話を続ける。そのあと冒険者組は食後の鍛錬をする為に庭に出る。

ユウ対他の3人だ。前衛を務めるベルとリュー。そこに高速戦闘についていけるアスフィがサポートしていく。

ユウは基本的に攻撃せず受け止めたり避けたりする。たまに体術で転ばせたりするが。

 

全員が縮地を使えるのでゼウス、ヘルメスの目には線しか映らない。ゼウスは口を開けて固まってしまう。

ユウとベルからどんな冒険をしたりどんな戦いをしたか聞いていたがまさか孫の戦闘力がここまでとんでもないとは思っていなかった。

ゼウスファミリアとしてオラリオのトップに立っていた主神だが孫の実力はその時の団長より強いのではないかと思ってしまう。

ユウがリューとベルを転ばせてアスフィを後ろから抱きしめて模擬戦は終わった。

 

「あーもう!!お兄ちゃんにまたカスリもしなかったよー!!ベートさんならもう少し戦えるのに!!」

 

「し、師匠の戦闘技術は格が違いますね。これでもレベル4なんですが…。」

 

「私の投げナイフを見ないで口で取るとか意味がわかりませんよ…。あれ技術とか以前におかしいでしょう。」

 

「はっはっは!弟と弟子と告白されてる女に負けれるわけねーだろ!!まだまだ特訓が足りないね!」

 

ドヤ顔で高笑いするユウとむーっと頬を膨らませるベル。ため息を吐く女性2人。その光景を見たゼウスはポツリと呟く。

 

「ヘルメス…。今のオラリオって戦闘力あれくらいないとダメなの?ワシらのおったときより暗黒期じゃないかのぉ?」

 

ゼウスの言葉にヘルメスは苦笑いする。確かにユウの周りの冒険者の実力はゼウス、ヘラファミリアがいた時よりレベルが高い。

それにあの周りは向上心が桁違いなのだ。リリルカちゃんが脳筋鍛錬馬鹿しかいないと嘆いていたなと思い出す。

 

 

先程の模擬戦の反省会も終わったのか次は個人的な鍛錬に励みはじめた。

その光景を見てストイックすぎるじゃろう。オラリオそんなに怖い場所だったかのぉ?とゼウスは思い、考えるのをやめた。

 

鍛錬も終わり各自風呂に入ったり居間でゆっくりしたりと過ごしていく。そこでアスフィは大きくなった浴槽もあるのでリューを風呂に誘う。

頭や身体を洗って2人でお湯に浸かる。

 

「リオン。あなたもユウの事が好きなのでしょう?私はユウの横に居られるならハーレムになっても構わないと思ってます。リオンは今のままで本当に良いのですか?」

 

「あ、アンドロメダ!?わ、私は…。私もユウさんが好きなのでしょうね。恋愛なんて初めてで良く分かっていませんが。し、しかし私のような堅物エルフでは…。」

 

「ユウはそんなこと気にしませんよ。私ともう1人が告白したと言いましたがもう1人は怪人ですよ?胸に魔石がありますしその胸が…。もぎたくなるくらい大きいです…。」

 

「く、怪人!?ユウさんは本当にとんでもないですね…。と、ところでアンドロメダ。そ、その、ユウさんはむ、む、胸が大きい方が…?」

 

「いえ。それはないでしょう。もちろん男性なので気にはなってるみたいですが…。私の胸でも腕に当たれば照れますしね。」

 

リューは無言でアスフィの胸をみて自分の胸を見る。ショボーンとしてしまう。

何故私の身体はこんなに薄いのでしょうか…。胸って大きくなるものなんでしょうか…。くっ。エルフである身がこんなに憎いことになるとは!!

 

アホな事を考えているリューをみてアスフィは笑う。

 

「それよりもリオンも早く気持ちを伝えた方がいいですよ。その辺の女なら近づかせもしないですが貴女なら私も信用できる。ユウもかなり考えてくれてるみたいですし」

 

「アンドロメダ…。感謝します。アストレア様もオラリオに帰るみたいなのでオラリオで相談してこの気持ちをユウさんに伝えたいと思います。」

 

そのあとはユウの話で盛り上がり、少しのぼせてしまうリューとアスフィだった。

 

 

そんな毎日を繰り返し過ごしてついに帰る日が来てしまう。帰る前にラーメンやうどん、せんべいなど様々な保存のきく食料を大量に置いていく。

ゼウスも喜びながらユウの説明を聞く。

ベルはまた爺ちゃんと離れるのが寂しいのかずっとゼウスの服の裾を握ってちょこちょこついて行っていた。

 

「色々とありがとのぉ。爺ちゃんこれでまた毎日頑張れるぞ!本もたくさん置いてくれておるしのぉ。また手紙書いて送るわい。ほれベルもそんな顔しとらんで笑顔で行ってまたオラリオで頑張るんじゃぞ?」

 

ベルは泣きながら爺ちゃんに抱きついていた。ユウも少ししんみりしていたが。

 

「「爺ちゃん!行ってきます!!」」

 

リューもアスフィもヘルメスもゼウスにお礼を言い、オラリオに向けて出発する。

ベルは寂しかったのかユウの手をしばらく握っていた。ユウはそんなベルが可愛くて鼻血を出してアスフィに叩かれていた。

 

約束通りにアストレア様のいる村に着いた。アストレア様は何やら荷物をたくさん持っていた。リューがすぐにその荷物を持ちに行ってアストレア様も合流してオラリオに向かう。

 

途中出てきたゴブリンにユウは刀をヘルメスに渡して倒してこいと送り出す。

ヘルメスは半泣きになりながら刀を持ってゴブリンと戦っていた。行きは木の棒だったからちょっとはマシかなーとか俺神なんだけどなーとかは思ってないったら思ってない。

ユウ、アスフィ、アストレア様は大爆笑してリューとベルはアワアワしていた。

なんとかヘルメスがゴブリンを倒すと拍手が送られた。ヘルメスは二度とやりたくないと少し泣いていた。

 

「ヘルメスやるじゃん!見直したぜ!これでフレイヤちゃんをまたいじれる!!ヘルメスなんか勇猛果敢にゴブリン倒しに行ってたのにフレイヤちゃんは…はぁ…みたいな感じで」

 

けけけと笑うユウを見てアストレア様はドン引きする。

 

「え?ねぇリュー?フレイヤちゃんってあのフレイヤ?」

 

「はい。猛者の所属するフレイヤファミリアの主神の神フレイヤです。」

 

「え…。ユウ君ってあんまり怒らせるとマズイ人?」

 

その質問にユウとベル以外が真顔で頷く。

アストレアもさすがに気づいて逆らわないようにしようと心に決める。

そんなこんなでオラリオの手前の村に着いた。休憩も兼ねて寄って見ることにする。

 

何やら広場が騒がしいので覗いて見ることにすると1人の男の子が頭を下げて何かを懇願していた。

 

「お願いします!お願いします!誰でもいいです。母ちゃんを、母ちゃんを助けてください!!お願いします!」

 

「ふざけるな!!あんな疫病神誰が助けるかよ!」

 

「そうよ!あいつのせいでこの村は貧困なのよ!!」

 

「母ちゃんは何もしてない!!この村が不作なのはモンスターのせいじゃないか!!」

 

「そのモンスターを呼んだのもあの疫病神だろ!!」

 

そんな言い合いが聞こえてくる。ユウは顔を顰めてその子供を見る。ボロボロの服に血が滲んでいる。

それでも母親の為に頭を下げ続ける少年。ユウは母親については譲れない想いがあるので許せなかった。

 

「おい。どけ。殺すぞ。」

 

いつもニコニコしながら笑い、人をからかって、しかし周りみんなが最後には笑うような行動をするユウがあれほどブチギレているのを見て周りの人だけでなくベル達も固まってしまう。

ユウの殺気にやられて少年に暴言を吐いていた人達は腰を抜かしてしまう。

 

「少年。お母さんのところに案内してくれるか?」

 

少年を抱き抱えユウは問う。少年も頷き案内してくれる。その姿にベル達もハッとして後をついていく。

壁に穴を開けられているボロボロの小屋に到着した。中を覗くと布団にうなされながら寝ている女性の姿があった。

事情を少年に聞いていく。

 

「ぼ、僕はモルモーです。あ、あの一応女の子です。」

 

全員ギョッとする。ユウは素直に謝る。しかしモルモー?どこかで聞いたよーな気がするんだが…。

 

「お母さんが病気か何かで寝込んじゃって…。僕達は何故かどこの村に行っても疫病神扱いされちゃうんです。僕達が来たら疫病とかモンスターが寄ってくるって…。そんなことしたこともないのに…。」

 

泣きながら伝えてくるモルモーちゃん。確かリュックの中にエリクサーが入ってると思い探す。

 

「ほい。これどんな怪我もすぐ治す薬だから母ちゃんに飲ませてあげな?」

 

みんなやれやれみたいな顔をするが文句は言わないでくれた。ベルだけは不安そうに俺を見てくる。あーマジギレしたから不安になってんのか。

ベルの頭をもふもふと撫でてやる。

 

奥から母親らしき人がヨロヨロしながら出てくる。ヘルメスがその顔を見て驚愕する。

 

「へ、ヘカテー!?なんでこんなところに!?」

 

「ヘルメス?あなたが助けてくれたの?」

 

お互いがお互い顔を見て固まっている。

アスフィもリューもヘカテーが誰だかわかっていないようだ。

 

「あーヘルメス?ヘカテーって冥府のヘカテー様?モルモーちゃんがなんの種族かわかっちゃったんだけど。それとモンスターとかが寄ってくる理由と人に毛嫌いされる理由も。」

 

ヘルメスは頷き、ヘカテー様とモルモーちゃんは俺の発言に驚く。他の人は首を傾げているが。

 

「モルモーちゃん。ここにいるやつはそんなの気にしないから説明しちゃってもいいかな?もしかしたら間違ってるかもだし。」

 

「は、はい。大丈夫です。」

 

「とりあえずはじめまして冥府神で月と魔術を司ってるヘカテー様でしたっけ?アルテミス様の従姉妹になるんでしたかね?ヘスティアファミリアのユウ・クラネルです。

んでヘカテー様と一緒にいてモルモーって名前って事は種族は吸血鬼かな?」

 

その場にいる全員が驚いてしまう。吸血鬼などオラリオでも滅多にいない。ヘルメスとヘカテー、モルモーは名前だけで色々分かっているユウに戦慄してしまう。

 

「え、ええ。その通りよ。質問は全て答えるわ。でもその前に治してくれてありがとう。ちょっと前の村で石とか投げられちゃってね。怪我が治らなかったのよ。」

 

「ぼ、僕病気だと思ってて…。母ちゃんが急に倒れて起きなくて、死んじゃうのかと、ヒック、思って…。」

 

ヘカテー様はモルモーちゃんを膝の上に乗せて抱きしめていた。

 

「ユウ・クラネル君が言った通り私は冥府神のヘカテーです。みなさん本当に助かりました。ありがとうございます。この子は吸血鬼のモルモー。まぁ吸血鬼って言っても血よりご飯の方が好きなんだけどね。」

 

「そ、それよりもヘカテー!君が下界に来てるなんて知らなかったよ!?しかも案の定やられてるじゃないか!!」

 

「ヘルメス落ち着けって。オリュンポスってかギリシア神話の知り合いだろーし気持ちはわかるけどよ。んで?やられる理由は?」

 

ヘルメスはその言葉で落ち着いたのかゆっくり息を吐いて口を開く。

 

「そもそも冥府神ってのは冥界の神なんだ。だから下界に来ても良い感情は向けられないんだ。もちろん闇派閥みたいな子供には好かれるけどね。フレイヤ様の魅了みたいに抑えれない何かが出ちゃうんだよ。

その上ヘカテーは闇派閥みたいなのが大っ嫌いなんだ。なんで冥府神なのかずっと不思議に思ってたくらいに。」

 

その言葉でヘカテーは下を向いてしまう。下界に来て色々あったんだろう。

ベルがずっとソワソワしているのでどうしたのか聞いてみた。

 

「えっとね。兄ちゃんが広場であんなに怒ったのはなんでだろうって。ヘカテー様とモルモーちゃんがどうでもいいとかじゃないんだよっ!?でも兄ちゃんがあんなに怒ったの始めて見たから…。」

 

しょんぼりするベルを見て心が折れたユウは素直に答えてやる。

 

「あー。なんだ。俺の過去に重なったんだよ。あの時のモルモーちゃんがな。俺の母さんはな昔から俺に優しくしてくれてたんだ。クソジジイの鍛錬もオヤジのバカにも正面から反対して小さい俺を守ってくれてたんだ。

でもな俺が小さい時に倒れた。んでその時に家に俺しかいなかったから必死で大人を呼びに行ってたんだよ。だからモルモーちゃんのあの姿が俺に重なって見えただけだ。」

 

ユウの知らない過去が出てきてベルはもっとしょんぼりしてしまう。ユウはベルが聞いたのを後悔しているのがわかったので明るく言う。

 

「でもなベル。その時倒れたの貧血だったんだぜ?何の病気でもねぇんだ。小さかったから母さんが死んじゃうって焦りに焦った俺の心配を返して欲しかったぜ。

でもモルモーちゃんは違ったもんな?だから助けれて良かったよ。ベルもそー思うだろ?」

 

「うん!!兄ちゃんはすぐ人を助けれるから僕も見習わなくちゃ!!」

 

抱きついてくるベルの頭を撫でてやる。

ヘルメス、アストレア、ヘカテーはユウの嘘に気づいている。貧血のところで気づいたのだ。ベルに変な心配をさせないように嘘をついた。

あの穏やかで明るいユウがあれほどまでに怒ったのだ。それにユウは何よりも家族を大切にする。その理由の一端が見えた気がした。

 

「話逸れちゃってすみません。怪我が治ったのは良いですけどこれからどうするんですか?」

 

そう。この村には居られない。でも冥府神なのでどこに行ってもあまり変わらない。どうするか考えているとヘルメスが口を開く。

 

「ユウ君とベル君のお爺さんのところは?オラリオは今は危ないしね。それに…。ユウ君、ヘカテーちょっと。」

 

ヘルメスに呼ばれそちらにいく。

 

「ヘカテー。ユウ君とベル君のお爺さんはゼウスだ。それに孫バカの好々爺だよ。ユウ君の手紙でも持っていけば問題ないさ。ゼウスくらい神性が高いと冥府神の力も問題なく抑えれるだろ?」

 

「なるほどなー。俺はいいよ?手紙も書くし爺ちゃんなら許可くれるでしょ。」

 

「え?ゼウス?あの?えー私手出されないかしら?」

 

「もし出されたら俺に言ってください。手紙にも書きますが容赦しないので。」

 

ユウの言葉に安心したのかヘカテーは頷いた。すぐにユウは手紙を書く。それをヘカテーに渡す。地図も書いて渡しておく。ヘカテーとモルモーはお礼を言って手を繋ぎながら楽しそうに村を出た。

 

ユウはその後ろ姿を懐かしそうに見る。昔自分も母親に手を引かれ楽しそうに歩いていたのを思い出すかのように。

そんなユウを見てベルは手を繋ぐ。

ニコニコしながら帰ろう兄ちゃん!と手を引いていく。

ユウも笑いながら返事をしてみんなを呼ぶ。

 

「私たちの1番の恋敵はベルかもしれませんね…。」

 

「アンドロメダ。私もそう思います。」

 

女性陣2人の言葉と哀愁漂う背中を見て神々は笑ってしまう。楽しそうな雰囲気のままオラリオに帰る一行だった。

 

 

オラリオについてまず全員でギルドに向かう。ベルは久しぶりに会うのが嬉しいのかエイナさーーーん!!と大声を上げて突撃していった。

 

「あらベル君!ユウ君も皆様もおかえりなさい。えっとアストレア様ですかね?ユウ君に聞いていたのでアストレアファミリアの再登録用紙です。リオン氏のブラックリストも無くなったのですぐに登録可能ですので。」

 

あまりにも話が早いのでアストレアは少し戸惑ってしまう。ユウが頷き笑うとアストレアは自分がオラリオに戻ってきても大丈夫なように手を回してくれていたことに気づく。

 

全く。なんて子なのよ。リューも大変な子を好きになっちゃったわね。ありがとうユウ君。

 

そんなことを思いながら書類を書いていくと本拠地の欄にもう既に住所が書かれていることに気づいてここまで根回しされてたか。と思わず笑ってしまった。

 

書類の申請も終わりベルと一緒にエイナさんにお土産を渡す。ベルと一緒に作ったクッキーだ。すごく喜んでくれて良かった。

 

ヘルメスとアスフィはそのままホームに帰り、俺たちはとりあえずアストレア様とリューにホームの場所と紹介をする為に一緒に帰ることにした。

 

 

「「たっだいまぁぁぁ!!」」

 

ホームの入口で大声で叫ぶと何人もの足音が聞こえてくる。

そして突っ込んでくる2つの影。

 

「「ユウ(兄上)お兄ちゃんおかえりなさいっ!!」」

 

なんなく受け止めて抱きしめてやる愛しのマイシスター。ウィーネとフィルヴィスだった。その後ろからゾロゾロとみんなが出てくる。みんなおかえりと声をかけてくれるので笑顔でただいまと伝え、一人一人にお土産を渡していく。

全員がリビングに集まったのでアストレアファミリア復活とここに住むことを伝えると異論など一切出ることもなく部屋も即座に決まった。

あまりにも早く決まるのでアストレア様はえ?え?となっていてヘスティアに地獄へようこそと言われていた。

自分のファミリアを地獄ってひどくない?

ヘスティアには君が問題…いや君達兄弟が色々問題起こすからだよ!!と怒られたが。

 

そのあとリューとアストレア様を連れて豊穣の女主人に向かう。

 

「母さん!ただいま!!リューもアストレア様もちゃんと連れてきたよ!」

 

「ユウかい!おかえり!良くやった!流石あたしの息子だよ。そこの席に座りなっ!バカ娘もだよ。それにお久しぶりですアストレア様。」

 

ミア母さんの言葉に涙を流すリューと何かに気づくアストレア様。静かに座って待つ。

厨房から夜の仕込みが終わったのか母さんが出てくる。

 

「その様子だとうまくいったみたいだねリュー。まぁあたしの自慢の息子もいるんだからそんなに心配はしてなかったけどね。」

 

「はいミア母さん。ちゃんと過去と向き合ってアストレア様とも話が出来ました。ミア母さんとシル。そしてユウさんのおかげです。」

 

「あなたがリューをみてくれてたのですね。心からお礼を言います。ありがとう。」

 

それから他愛ない話をしていると店員が全員降りてきた。アーニャとクロエを見つけた瞬間に縮地を使い後ろからモフモフしまくる。

間違いなくセクハラだ。事案が発生している。

 

「「ニャ!?ニャァァァァァ!!ニャァァァァァン!」」

 

最初は驚いていたのにあら不思議!蕩けた表情に!!

 

「ただいま猫コンビ。ユウお兄様のおかえりだぞ?」

 

「ニャ!ユウ!おかえりニャ!でもミャーの兄様はアレン兄様だけニャ!!」

 

「ニャーン。おかえりニャ〜。ニャーはユウがお兄ちゃんでも良いニャ。ナデナデ毎日してもらうニャ。」

 

2人にお土産を渡す。ルノアも呼んでお土産を渡す。アーニャには手作りのミサンガを。クロエには尻尾につけれるリボンを。ルノアには髪留めだ。

 

「え?私は?ねぇねぇユウさん?私は?」

 

「小悪魔アザトースか。ほれ。そこで拾った綺麗な石ころ。」

 

シルは石を渡されて固まる。徐々に震えてくる。

 

「おかしいじゃないですか!!なんで私だけこんな石なんですか!!しかもオラリオの外のお土産なのにそこで拾った石って!!」

 

涙目になりながら怒鳴ってくるシルをへらへらと笑いながら見ているユウ。外道すぎる。

 

シルの頭を撫でながら優しい笑顔で口を開く。

 

「相変わらず揶揄うと面白いなシルは。ほれ。こっちがベルとリューと選んだお土産だ。」

 

シルは手渡された袋を開けると綺麗な石が装飾されたブレスレットが出てきた。

 

「さっきの石ってこれの伏線だったんですか?すっごく素敵です!ありがとうございます!!」

 

「いや伏線じゃない。たまたま綺麗な形の石だったから拾っただけ。リューとベルにもお礼言っときな?特にリューはすげー悩んでたからな。ちなみに俺とベルは1ミリも悩んでない。」

 

「最後の一言で台無しですよ!!せめてベルさんが悩んでないかどうかは聞きたくなかったですよ!!」

 

ひたすらに。ただひたすらにシルをいじり倒して終わった後はミア母さんに調味料と宴会用に使えるコスパの良い料理のレシピを上げた。

 

リューとアストレア様はまだしばらくいるらしいので一足先に帰ることにした。

 

この後はフレイヤちゃんとロキ様のとこにお土産渡しに行かなきゃ!!

 

そんなことを思いながらバベルに向かう。




遅くなった上に中途半端なところで切ってしまい申し訳ないです!!

とにかく書けたら投稿する!くらいの勢いで頑張りますのでよろしくお願いします!


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ロキファミリアの惨劇!!いや何これぇぇぇぇ!!

オラリオのトップ派閥2つの話でござる。

完全にネタに走ってしまった。
本当に申し訳ないww


豊穣の女主人を出てお土産を持ってバベルに向かう。久しぶりに会うのでどんなダイナミックお邪魔しますをするか悩みながら歩く。

ユウはひとまず日本商店で骸骨スーツとマスクを買う。シルクハットとステッキを持ちバベルの中に着替えて入っていく。

ジロジロと見られたり吹き出して笑い転げている冒険者を尻目に最上階を目指す。

 

ドアの前についてノックをする。声を108あるうちの奥義の1つ声帯模写でエイナさんの声に変える。

 

「神フレイヤ。ギルドの遣い(っぽい感じ)で来ました。入室を許可もらえますか?」

 

カッコ内を頭の中で言えば嘘がバレないのは爺ちゃんで実験済みだ。案の定バレてないみたいだ。

 

「あら何かしら?良いわ。入りなさい。」

 

ドアをバーンと開けてムーンウォークしながら入って行く。骸骨の格好をしてシルクハットとステッキを備えたやつが無言でムーンウォークしてくる。

フレイヤちゃんは固まり紅茶をこぼしていた。

 

「神フレイヤ。貴女は美しすぎる。こんな骸骨の心まで奪ってしまうなんて。有罪です。死刑。」

 

「あ、あなたユウね!!そんなくだらないことするのユウ以外いないわよ!!いつ帰ってきたのよ!!それよりあの声と神にわからない嘘はどういうことよ!!」

 

 

ユウと分かってホッとしたのか一気に声を荒げる。

後ろに立っているのはアレン君だった。あれ?オッタルさんは??

 

「いやーフレイヤちゃんとアレン君久しぶりー!さっき帰ってきたんだよね。ただいまー!つかオッタルさんじゃないって珍しいね?」

 

その言葉を聞いてアレン君は耳と尻尾をヘニョらせる。フレイヤちゃんもため息を吐く。

 

「ユウおかえり。テメェがラーメンなんて恐ろしいもんをあいつに教えるからあの野郎ラーメンを一から作りたいとか言ってヘグニと一緒に麺作ったりスープ作ったりしてそれ以外何もしなくなったんだよ!!」

 

「あの子達貴方が帰ってきたら試食頼むって張り切ってたわよ?護衛なんかやってられんって言って私を放っておいてミアのところに行ったりオラリオの外にまで食材探しに行ったりしてるみたいなのよ…。」

 

あまりの現状にさすがのユウも唖然としてしまう。まさかヘグニさんまでラーメンに取り憑かれているとは。

 

「フレイヤちゃんの魅了ってラーメン以下なんだね。」

 

 

「ユウゥゥゥゥゥゥ!!貴方一番言っちゃいけないことをしれっと言ったわね!!アレン!!ユウをやっちゃいなさい!!」

 

「絶対無傷で終わらないですし俺負ける未来しか見えないんですが…。護衛も出来なくなるので良ければ全力で戦います。」

 

フレイヤちゃんは無言になる。俺?普通にニヤニヤしてるけど?

 

「き、今日のところは勘弁してあげるわ。私寛大だから。美の女神だからそんなにすぐ怒ったりしないもの。」

 

「あーはいはい。ほんとフレイヤちゃんってそーゆーとこ可愛いよね。あ、アレン君。これお土産。アーニャとお揃いのミサンガってやつ。俺とベルの手作りだから。アーニャは左手首につけてたからアレン君は右手首につけたら?」

 

アレン君は尻尾をフリフリしながらお礼を言って早速右手首につけていた。

仲の良い兄妹は俺の大親友だぜ!

フレイヤちゃんはなんかそわそわしている。全く。素直じゃないんだから。

 

「フレイヤちゃん。こっちに立って目瞑って!」

 

素直に立つフレイヤちゃんに大きめの服を着せてあげる。

 

「フレイヤちゃんにはこのTシャツがお土産!すごく似合ってるよ!!」

 

Tシャツの真ん中にはこう大きく書かれていた。

 

 

 

 

 

働きたくないでござる

 

 

 

 

 

 

 

 

「何よこれぇぇぇ!!!おかしいでしょ!!」

 

アレン君は震えながら笑うのを我慢し、俺はカメラでパシャパシャ写真を撮る。

やばい。死ぬほど可愛い。腹筋が死ぬ。

ひとしきり笑ったあとに本当のお土産のかんざしをあげた。

 

「こっちが本当のお土産。フレイヤちゃんこっち来て。」

 

ぷんぷんしてるフレイヤちゃんを膝の上に座らせて髪の毛をお団子にしてあげてそこにかんざしを刺す。

銀色の綺麗な髪に映えるかんざし。

鏡を見てフレイヤちゃんはボーッとしている。あれ?気に入らなかったかな??

 

「ゆ、ユウ。ありがとう。大切にするわね?これ私の髪の色に合わせて買ってくれたの?」

 

「うんそーだよ?なんやかんやいじり倒してるけど美の女神だしやっぱ綺麗じゃないとフレイヤちゃんっぽくないしね。似合ってて良かったよ。」

 

にへらっと笑うユウを見てフレイヤは思う。この子はズルい。いつもはあんな扱いなのにたまにこういう心から嬉しいサプライズをしてくれたり言葉を投げかけてくれたりする。神でも惚れてしまう。

 

「でもババアはお断りだからごめんね?」

 

訂正。こいつは女。いや女神の敵だ。それも強大で凶悪な敵だ。本当に殴りたい。

 

「わかってるわよ!!別に女神でもいいじゃないっ!!ユウの馬鹿っ!!」

 

ケラケラ笑っているユウを見てため息を吐きながらも笑うフレイヤ。その姿を見て少し驚くアレン。

フレイヤがユウを気に入っているのも知っていたがあんな恋する乙女みたいな顔をするとは思っていなかった。

まぁ一瞬だけだったが…。

 

「あ、そうだ。ヘルメスの面白いとこ見る?」

 

フレイヤはすぐに頷いたのでビデオに撮ったヘルメスVSゴブリンの動画を見せてあげる。

フレイヤちゃんは大爆笑し、アレン君はドン引きしていた。

 

「おいユウ。ヘルメス様半泣きってか泣きながら刀振ってんじゃねーか。やめてやれよ。流石にかわいそすぎるだろ…。」

 

「え?撮ってないけど行きは木の棒持たせて突撃させたんだよ?刀持たせただけ優しいでしょ?」

 

アレンは何も言わなくなった。ヘルメス様に会ったら酒を奢ってあげようと思ったとかなんとか。

 

フレイヤちゃんも笑いから帰って来たのでオッタルさん用のお土産の豚骨と鶏ガラとスープと麺のレシピを置いて渡すように言うとかなり嫌がられた。

嫌がられたというかこれを渡すともっと仕事をしなくなると言っていた。仕方ないので次に会ったら渡すということにした。

 

それから久しぶりにご飯を作ってあげて渡して別れてロキファミリアに向かう。

ちなみに骸骨スーツとかはアレン君にあげた。

お土産を持っているので邪魔で仕方なかったので処理したとも言う。

 

ロキファミリアに着くと門番が青い顔をして立っていた。よく話す人だったので大丈夫かと声をかける。

 

「あ、ああ!!ユウさん!!これで助かる!!貴方が神ですか!!」

 

「いやいや落ち着いてくださいよ。あんたらの神はロキ様でしょーが。それよりなんかあったんですか??」

 

門番は青い顔をしながらアイズさんとティオナ、ティオネ姉妹が…と言って物陰に吐きにいった。

門番の仕事全くできてねーじゃん。つか何やったんだよあの3人。そんなことを思いながら許可を貰って中に入る。

 

目に飛び込んでくるのは中庭に倒れている人。人。人。その中にはラウルさんやアキさんなど第二級冒険者までいた。

なんか本当にマズイことが起こっているのか?とユウも冷や汗をかき始める。

ロキ様の私室に行きノックをするが誰も居ないのか返事が返ってこない。

不安になり電磁波を広げると強い電磁波はどうやら食堂に集まっているみたいなのでそちらに顔を出しに行く。

 

食堂についてこっそりと覗くとガレスさん、リヴェリアさん、レフィーヤが倒れていた。

レフィーヤが倒れている??慌ててレフィーヤに駆け寄る。

 

「れ、レフィーヤ??おい!しっかりしろ!お兄ちゃんだぞ??」

 

「お、お兄ちゃん?私はもうダメです。お兄ちゃん後は任せました…。」

 

それだけ言い意識を失った。あれ程鍛えたレフィーヤがやられるだと…。何がロキファミリアで起こっているんだ…。いやこのクッセェ匂いでおおよそ分かるけどさ。

 

「おいいいいい!!アイズ!!凸凹姉妹出てこいっ!!てめーらポイズンクッキングしてんだろ!!」

 

フィンさんとロキ様、ベートさんが青白い顔をして厨房から出てきた。

ロキファミリア内でバイオハザードが起こってると聞いても俺は驚かないね。

むしろこれヤバイオハザードだわ。

 

「や、やぁユウ君。おかえり。最後の希望が帰って来てくれて僕は死ぬほど嬉しいよ…。僕の夢が叶うより君が帰って来てくれる方が嬉しいレベルだよ…」

 

「おい待て勇者。フィンさんの夢安くなりすぎだろう!!」

 

「ゆ、ユウたんおかえり。来てくれてありがとな。ウチ天界に送還されてもユウたんの事だけは忘れへんから。」

 

「おい待て貧乳。ロキ様なんでそんな死亡フラグ立てていくの?俺がそのフラグへし折るわ。」

 

「お、おうユウ。大親友よ。妹の手作り料理ってどんなモンスターより凶悪なのな…。俺、お前の親友で良かったわ…。」

 

「おい待て駄犬。キャラ壊れすぎててもう誰かわかんねーから!!落ち着けよ!!」

 

ま、まさか俺がツッコミに回らないといけないなんて。

そんなアホなことを思いながら戦慄している馬鹿が1匹ロキファミリアにいた。

 

アイズがひょっこりと顔を出す。トテトテとユウに近づいてくる。

 

「ユウさんおかえりなさい。あの、私ベルに手料理食べさせてあげたくて…。特訓したので味見してください。」

 

ふんすっ!とドヤ顔をするアイズを見て原因がわかった。だがお兄ちゃんはベルの口に入るならマズイ物は許しませんよ!!

 

とりあえずティオネ、ティオナも呼んで話を聞いていく。ティオネはフィンさんに。ティオナは面白そうなのと今までのお礼にベートさんに作ってあげたいそうだ。

 

「そもそもお前ら飯作ったり手伝ったことあんの?」

 

全員首を横に振る。とりあえずゲンコツをかましておいた。全員頭を押さえて涙目になる。

 

「俺はな、ずっとベルに手料理を食べさせてきた。オラリオに来てからもファミリアのみんな、それにベートさん達にもだ。

だからこそ美味いものを作れると思っている。

言ってみれば冒険者と一緒だ。レベル1から冒険を積み重ねて今のレベルになってるんだろ?

お前ら今恩恵無しでゴライアスに戦い挑んでんのと一緒の状況だぞ?

まずゴブリンから倒せよ!!いやマジで!!」

 

後ろでロキ様、フィンさん、ベートさんの意識がギリギリ残ってる組が首が取れそうなくらい頷いている。

 

「まぁ失敗しないと何が悪かったかわからないから失敗するのは良い。でもよ…。こんだけ倒れてる奴らいるのに気づかないもんなの?

あとどんだけ食材無駄にしてんの?お前ら。俺食材無駄にするやつ許せねーんだけど。」

 

3人は何故か正座して俺の話を聞いていた。俺はため息を吐きながら問う。

 

「お前らがまだやる気があって言うことを素直にやるんなら俺がスパルタで料理を教えてやってもいいけどどうする?」

 

「「「やる!!」」」

 

仕方ないので1から叩き込んでいく。まずはレシピ通りに作らせる。アレンジをしようとするお馬鹿3人にはしようとするたびにゲンコツをかましていく。

 

涙目になりながらも作って行く3人。するといい匂いのする味噌汁や焼き魚ができる。

 

それを各自が食べて欲しい人に持っていく。アイズは俺に持ってきたので俺は作ったやつをロキ様にあげる。ロキ様は目をキラキラさせて泣きながら食べていた。

 

「あー。フィンさんとベートさん。ちゃんと俺が見て作らせたから不味くはないはずだよ?とりあえずさっきみたいに状態異常にはならない……はず。」

 

フィンさんとベートさんは祈るように目を閉じて食べ始める。一口食べると目を開いて首を傾げてガツガツたべ始める。

 

俺もアイズの料理を食べる。まだまだ甘いところがあるがまぁ及第点かなと思う。

 

「アイズ。美味かったぞ?でもベルはずっと俺の料理食ってるからなぁ。もうちょい頑張れ。また時間がある時教えてやるからいつでもウチのホームおいで。」

 

「ありがとうございます…。もっと、頑張ります!」

 

アイズの頭を撫でてやる。すると驚いたことにティオネもお願いしてきた。

 

「あの、ユウ。私もお願いしてもいいかしら。ユウのおかげで団長が美味しそうに食べてくれたから…。それにユウはお兄ちゃんみたいだし…。」

 

「え?何?これ本当にティオネ?なんかすっげー可愛いんだけど。ツンデレな妹もいいよなー。アイズと一緒に教えてやるよ。ベートさんに伝えてくれりゃいつでもロキファミリアに来るわ。」

 

ティオネの頭も撫でてやる。少し頬を染めながらも素直に撫でられるティオネを見てマジで可愛いと思ったのは内緒だ。

ロキ様もフィンさんもベートさんも驚いて口開けて固まってたけどね…!!

 

そのあと片付けと気持ち悪い人用に味噌汁と雑炊を用意しておいたらみんなガツガツ食べていた。

ユウ様ユウ様と言い、涙を流しながら食べている奴らには正直ドン引きしたが。

 

ロキ様の私室に通されてみんなにお土産を渡す。

ロキ様とガレスさんには実家の村で作られているお酒を。

ベートさんとアイズには俺とベルとお揃いのミサンガを。

フィンさんには元の世界で使われていた戦術の指南書を。

レフィーヤには似合いそうなネックレスを。

ティオネには料理のレシピ本を。本当は武術の本だったけど可愛い妹なので変えた。

ティオナには爺ちゃんの書いた英雄譚の本を。

リヴェリアさんには紅茶とハーブティのセットとティーカップをあげた。

 

みんな喜んでくれたので良かった良かった。それとロキ様に言うことがあったので聞いてみる。

 

「ロキ様。トイレ改装する?アスフィのおかげでウチにあるトイレつけれるようになったけど…。」

 

「え!?ほんま!?いくらかかってもええからつけてくれへん!?」

 

「いいけど何個くらい?ここで出すから手伝ってよ。」

 

「えっととりあえず女性の方は全部変えて欲しいねんけど!」

 

ユウとロキの会話についていけない他の人。ベートとレフィーヤに限っては知っているので何も言わない。

 

数を数えて10個だったのですぐにトイレの前に出して魔石をどうつければ良いかアスフィに聞いていたので取り付けていく。

つけた後に女性陣が使ってその使いやすさと便利性に驚きかなり喜んでいたのでフィンは何も言えなくなりどのくらいの金額になるのか恐々としていた。

 

全てつけ終わってロキ様は忘れていたのか恐る恐る金額を聞いてきた。

 

「んートイレ自体が2万ヴァリスなんですよね。んであの魔石はアスフィが加工してくれたやつなんで1つ5万で合計50万ヴァリスでどうです?」

 

「は?え?ちょい待って?ユウたんそれ利益ないやん。嘘ついてへんのは神やしわかるで?原価ギリギリどころか魔石踏まえたらマイナスやろ?」

 

「む?なんだと?ユウ君。女性としてあのトイレはすごく有難いものだ。それにロキファミリアは女性が多いからな。とても有用なものなのだから適度に利益がある金額を言ってくれ。私のポケットマネーからでも払う。」

 

女性陣はみんな同感なのか頷いている。

逆に困ったのがユウだ。そんな金額言われても知らねーよ!しかもあの魔石ゴブリンのだぞ!?100ヴァリスくらいだからアスフィに加工してもらったとはいえ五万もいかねーよ!

 

「いやートイレ本体が2万で魔石はゴブリンの魔石なんで100ヴァリスくらいですし。アスフィが加工したっていっても3万ヴァリスになるわけないですし十分利益出てるんですけどねぇ。」

 

めんどくさくなって正直に言った。するとロキ様とリヴェリアさんはため息を吐く。

 

「ユウたんらしいねんけどもうちょい利益取りに行こうや…。売ってもらうウチらが言うのもなんやけど。」

 

「有用性を考えて1つ10万で全部で100万にしよう。ユウ君もそれで良いな?」

 

「なんで売られる方が金額上げてるんですかねぇ?いや嬉しいんでいいですけどね?お任せしますよ。」

 

フィンさんはそれでも安いよ!!とそこまで出かけるがユウの優しさに甘えさせてもらうことにした。

ついでに男性サイドも3つ買って130万ヴァリスになった。

 

「あ、ついでにベートさんがやってる風呂上がりの熱風のやつ魔法無しでできる魔道具作ってきましたよ?はいドライヤー。ロキ様使ってみて?」

 

ブォォォォっと音がなり熱風が出ていた。

 

「うお!ほんまや!あったかい風出とるやん!!え、ユウたんこれいくら??ウチめっちゃ欲しい!!」

 

「5000ヴァリスですよ。本体2000ヴァリスなんで。上下無しで。めんどいんで。何個買います?風呂場に置いておけばいいでしょ?それに風呂上がりに髪乾かさないとシャンプーとか使っても生乾きで臭くなりますしね。」

 

「ユウ君。生乾きだと臭くなるのは本当なのかい?」

 

「はい。ベートさんはちゃんと乾かすから時間が経っても香り残ってるでしょ?」

 

フィンさんは納得したのか男女で5つづつ、合計10個買ってくれた。

 

「お土産持ってきてまさかこんなに商品が売れるとは…!さすが大手のロキファミリア。」

 

「ユウたんの持ってくる商品は桁違いに高性能ばっかやからなー。他のは無いんか?どうせならとことん買ったるで!」

 

「んー後は冷蔵庫と洗濯機かな?冷蔵庫は食材冷やせる箱で洗濯機はヘスティアファミリアに来たことある人ならわかるでしょ?あの汚れた洋服とか勝手に洗ってくれるやつ。」

 

「ユウ君。洗濯機と洗剤と柔軟剤を至急売ってくれ。」

 

フィンさんにサイズとかを説明して自分の部屋に置いて洗えるサイズとみんなのをまとめて洗えるサイズなどの説明をする。

 

とりあえずファミリア用に大きいのを3つ。個人で欲しい人、フィンさんとリヴェリアさんに普通サイズを売って設置した。

 

「ベートも買うかと思ってたけど買わないのかい?」

 

「あー俺はいらねぇ。つか着替え全部ヘスティアファミリアにあるからあっちで洗濯してもらってるしな。」

 

 

「あ、私もです。フィルヴィスさんの部屋にたくさん着替え置かせてもらってるので。」

 

「あんたらほんまどこの子なん?いやヘスティアファミリアは無法地帯やし別にええけど。」

 

フィンさんとリヴェリアさんはコメカミに手を置いて首を横に振っていた。

確かにベートさんは教会の地下の時から着替えとか置いてたな…。

 

それからユウ君の出張販売は終わる。本日の売り上げ320万ヴァリスなり〜。毎度!!

 

それからベートさんやフィンさんとアイズやリリの話を聞いて楽しく時間を過ごす。

晩飯はヘスティアファミリアに食べに来るみたいなので一緒に行くことにする。

 

帰っている途中にアストレア様とリューに会う。アストレア様はフィンさんとベートさんに驚いていたが無視しといた。説明とか言われても難しいし何よりめんどくさい。

 

そしてホームに着くとリューを連れて厨房に入る。リューは料理の弟子でミア母さんのところでも厨房に入れるくらいの力はつけたので手伝わせることにした。

 

 

みんな久しぶりの俺の手料理が嬉しいのか美味い美味いとパクパク食べていく。

アストレア様も驚きながら食べていた。

 

「ところでリューは母さんのところで働いてたけどどうするの?話つけれた?」

 

「はい。週二回店にお手伝いに行って他はベルさん達とダンジョンに潜る予定です。」

 

「リュー様もパーティに入るとなるといよいよ主戦場を深層くらいにしないといけませんね。ベル様、アイシャ様、リュー様、フィルヴィス様がレベル4でヴェルフ様がこの前レベル上がって3になりましたし命様もレベル2の上位。春姫様は戦況をひっくり返す魔法を持ってますし…。」

 

「まぁそこは任せるよ。なんかあったらフェルズの魔導具で連絡してくれたらすぐに助けにいけるしな。」

 

この会話を聞いてアストレア様はえ?ヘスティアファミリアって半年前にできたのよね?なんで全盛期だったウチのファミリアより凄いの??とあたふたしていた。

 

「つかリューは更新してないんだろ?多分俺らとかなりの修羅場越えてるからレベル上がんじゃね?」

 

全員そーいえばそうだと頷く。それからリューは更新しに行ったが案の定ランクアップしていた。

アストレア様は自分の子供が第一級冒険者になって誇らしそうだった。

 

「さて落ち着いたことだしアストレア様のこれからのことだ。アストレア様は現在居候で働きもしてない駄女神です。」

 

「し、仕方ないじゃない!今日オラリオに着いたばかりなんだから!!」

 

アストレア様の声を無視してみんなに意見を求める。いーちゃんの屋台が一番多かったので試しにお好み焼きを作らせてみる。

 

 

うん。この駄女神フレイヤちゃんと同レベルのポンコツだ。いーちゃんが激おこだ。

 

「リュー。お前の主神ポンコツすぎるだろ。なんで鉄板の上じゃなく床に生地ぶちまけてんだよ。ババアだから老眼なの?床が鉄板に見えたの?ひっくり返すのか出来ないとかならまだわかるんだけど。」

 

「そ、その。アストレア様は昔のファミリアの時から不器用で…。絶対キッチンに立たせるなと暗黙のルールがあったんです…。」

 

リューの頭にアイアンクローをかます。

先にそれ言っとけよ!!全員同じことを思っていた。

 

とりあえずスパルタの豊穣の女主人に丸投げすることにした。母さんには神だけどぶん殴って良いと伝えておいた。すんごい嫌そうな顔してたけど。

 

 

 

ある夜〜街の中〜オッタルに〜出会った〜

森のクマさん風にオッタルさんに出会った。すごい形相でラーメンを食べてくれと言われたのでフレイヤファミリアのホームに向かう。

豚骨を作ってたみたいだけど臭みがすごい。ネギとか入れて臭み取りしろよ。

 

食べたけど、うん。マズイ。オッタルさんとヘグニさん料理下手?いやヘグニさんは普通に上手だったはずだけど…。

 

とりあえずお土産を渡して豚骨スープの作り方と返しを教えてあげた。

 

「やはりそうか!!煮込むだけではあの旨味を凝縮した感じにはならんのだな!!礼を言うぞユウ!ヘグニ!また新しい道ができたぞ。」

 

「団長。これで我々のラーメンはまた1つ上の段階に進みますね。ユウ。ありがとう。」

 

ぶっちゃけこの2人は馬鹿だと思う。麺は太麺と細麺両方作ってるし完全にラーメンの麺だった。ノーヒントから良く作れるよ…。

あんまりフレイヤちゃんに心配かけないようにね?とだけ伝えて帰る。

 

フレイヤちゃん。俺にはあの2人の情熱を止めることはできなかったよ。バベルを見上げながらそんなことを思う。

 

フレイヤちゃんの叫び声が聞こえた気がした。

 




次はユウ君達がオラリオに居なかった間の各ファミリアの過ごし方を書いていこうと思います。

2日以内には投稿する予定です!


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クラネル兄弟の居ないオラリオだお☆Part1

今日休みだったんでもう1話投稿!!

クラネル兄弟が実家に帰っている間の他の人の閑話です。

主人公以外にも焦点を向けて行きたい。



ユウ・クラネルとベル・クラネル。この兄弟は今のオラリオで知らない人はいないと言っても過言ではないくらい有名だ。

そのクラネル兄弟が居ないオラリオではどんなことが起こっていたのだろうか。

少しだけ時を遡って見てみようと思う。

 

ーヴェルフ・クロッゾー

 

カーンカーンと槌を振る音が聞こえる。

美しい魔剣が完成した。折れない魔剣を小さく持ち運べるように小型化した魔剣だ。

ロキファミリアの第一級冒険者、ベート・ローガに頼まれていた炎と雷の魔剣2振りだ。

他のやつには絶対に作らないがベートは別だった。ユウ、ベルに次いで自分をレベル1の時から認めてくれていた人物だったからだ。

 

しかしヴェルフは悩んでいた。鍛治師としての腕ではなく相棒と呼べる今はオラリオに居ない少年の横に立てているのかどうかで。

あの兎のような少年は兄と同じで常識が通用しない速度で上に駆け上がっている。

相棒と呼ぶには己の実力は低すぎやしないかと悩んでいたのだ。ヴェルフはこの1週間はチャンスだと思っている。

あの兄弟と同じ鍛錬をしていても越えられない。ならば休暇を取っているあの2人の鍛錬量を超えるほどに鍛えれば良いと。

 

リリがヘスティアファミリアには脳筋鍛錬馬鹿しかいないとフィンに愚痴るのも納得してしまう。

 

ヴェルフはよしっ!と立ち上がり古巣のヘファイストスファミリアに装備を整えて向かう。

ヘファイストス様の執務室に向かいノックをする。

 

「ヘファイストス様。ヴェルフです。ご相談がありまして伺いました。入っても良いですか?」

 

「え?ヴェルフ!?え、ええ。良いわよ。入りなさい。」

 

ヘファイストスは好きな子がやってきて少しそわそわしてしまう。いい歳して恋愛お子様で参っちゃうね。

横で椿は主神のポンコツ具合にため息を吐いてしまうのも無理はない。

 

「ヘファイストス様。お願いがあります。椿を貸してください。3日間でいいのでお願いします!!」

 

入ってくるなり土下座をし始めるヴェルフにヘファイストスと椿は目が点になる。

そもそもヴェルフは椿を好んではいなかった。それなのにいきなり椿を貸してほしいと言われて脳内が疑問で埋め尽くされる。

ヘファイストスは落ち着きを取り戻して理由を聞く。

 

「俺はベルの相棒として横に立ちたいのです。ですが今の状態では差が開かなくても縮まりやしない。あの2人が休暇を取っている今しかチャンスはないんですっ!!

俺はこの1週間でランクアップします。偉業についてはもう溜まっている状態ですがアビリティはまだ伸びます。

だから伸ばせるだけ伸ばしてランクアップするつもりです。」

 

「ち、ちょっと待ちなさい!!ヴェルフあなた3ヶ月前にランクアップしたばかりでしょう!?なんでもう待機状態になってるのよ!!」

 

このヴェルフの言葉にはヘファイストスも椿も驚いてしまう。ランクアップはそもそもそんな簡単にできるものではない。

 

「あれ?椿教えてなかったのか?俺はレベル2になってからモス・ヒュージの強化種、アンフィス・バエナの討伐。折れない魔剣の作成、それに異端児騒ぎの時にヒリュテ姉妹を気絶させました。偉業に関しては充分なんですよ」

 

ヴェルフの偉業を聞いてヘファイストスと椿は瞠目し、言葉を発せない。どんな冒険をしているんだと問い詰めたくなってしまう。

 

「ヴ、ヴェル吉。あの魔剣だけでなくヒュリテ姉妹まで倒しておったのか!?」

 

「ああ。もちろんソロじゃなくパーティでだがな。それに気絶させたのは俺の魔剣だが前衛が頑張ってくれてたからできた偉業だ。

ヘファイストス様!俺は相棒であるあの少年に置いていかれたくないんです!ユウにも助けられてばっかりだ!そんなのは家族じゃねぇ!!

俺は胸を張ってヘスティアファミリアだと言いたいんです。椿を連れてダンジョンに籠りたいんです!お願いします!!」

 

ヴェルフの真剣な眼差しにヘファイストスは何も言えなくなる。椿も気にしていた青年がここまで成長したのかと嬉しくなりヘファイストスが許可をくれれば手伝おうと思う。

ヘファイストスは真面目な顔をして悩む。

ヴェルフはどこか生き急いでいる気がするのだ。だがあの目。鍛治をしている時に宿す炎が灯っている。

それにここで断ったらヴェルフに嫌われないかしら?ヴェルフに嫌われたら…。

それに器の大きい感じを出せたらまた惚れ直してくれるかもしれないし…

などと真面目な顔して脳内はピンク色だった。

 

結局ヘファイストスは折れた。嫌われるのだけはどうしても嫌だったみたいだ。不冷と呼ばれるヴェルフがそんなことで嫌う訳もないのだが。

 

「して、ヴェル吉よ。手前についてきてほしいとはどこまで潜るつもりなのだ?」

 

「ああ。37階層の闘技場だ。ユウに聞いたがあそこは大量のモンスターが出るらしいしな。己を鍛えるにはちょうどいい。鍛治と一緒だ。高温の方が鍛えやすい。」

 

この言葉にはさすがの椿も冷や汗を流して止める。

 

「阿保かお前は!あそこはそんな鍛錬などと生温いことを言えるような場所ではない!!手前でも物量に潰されてしまうわ!!」

 

「何言ってんだ椿。鍛錬ってのは死ぬくらいでやらないと意味は無い。それにベルはもうあそこで鍛錬してるんだ。ベート・ローガにも危なくなったら魔剣を使うなら、と許可を貰ってる。」

 

椿は可愛がっていた後輩が思っている以上に脳筋になっていることに気づいて安請け合いしたことを後悔し始める。

 

ダラダラと言い合いをしていても仕方ないので椿は装備を整え、ヴェルフと共にダンジョンに潜ることにした。

 

レベル2で深層に向かうのがどれほど困難でアホな事をしているか道中でわかるだろうと思って…。

 

 

 

普通に37階層まで着いてしまった。着いたのではなく着いてしまった。椿は道中なるべく手を出さないようにしていたがヴェルフが思っている数倍強くなっていた。

それこそ魔剣すら使わず多少手こずることがあっても全て大剣だけで薙ぎ倒していた。

 

ううむ。手前より戦闘技術が高くないか?ヘスティアファミリアは一体どんな鍛錬と冒険をしておるのだ!!

 

ヴェルフはベルが相手をしてもらっていない間にずっとベートと鍛錬していた。それにユウに技術についてボロクソにされながらも毎日ベルの隣に立つ為に食らいついていた。

そしてヒリュテ姉妹との戦闘で倒せたことが大きな自信となっていた。そう。ヴェルフの戦闘面の才能が開花し始めていたのだ。

 

 

闘技場についてまずやったのは魔剣でのモンスターの掃討。一振りで地獄の業火と言わんばかりの炎が闘技場を埋め尽くす。

そのあとに別の魔剣を振るうとその炎すらも凍る。そしてその氷が割れると何も残っていなかった。

 

椿は口を開けて固まる。

な、な、なんだこの威力は…。ロキファミリアの遠征で見た九魔姫の魔法より威力が高いではないか!

 

折れない魔剣。ヴェルフだけが打てる魔剣があることは知っていた。こと魔剣に関してはぼろ負けだと笑ったこともあった。

 

ぼろ負け?手前は馬鹿か。それ以前に勝負の土俵にすら立てておらんではないか…。それこそあやつの魔剣は神の領域に届きかねん。

 

固まってそんなことを考えている椿を放置してヴェルフは大剣を持ち闘技場に歩いていく。

モンスターが生まれる度に己の培ってきた技術、意地、誇りを持って切り捨てていく。

 

もちろんレベルが違うしアビリティもそこまで高くないヴェルフは追い込まれることもある。三体に囲まれた瞬間マズイと思い椿は助けに行こうとするがヴェルフがとんでもない怒気を放ったので停止してしまう。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!こんなとこでっ!この程度のモンスターに負けてられねーんだよぉぉぉ!!」

 

怒鳴りながら体制を立て直し切り刻むヴェルフ。大剣の振るう速度がどんどん上昇していく。

ヴェルフの周りにいたモンスターは魔石へと変わる。

 

「ヴ、ヴェル吉。ポーションがあるから少し休め。そのままだと「まだだ!!この程度でポーションなんぞ使ってたら甘えが出てくる!!俺は!俺は負けねぇ!!ベルにも!ユウにもなぁ!!」……」

 

そのままモンスターの群れに突貫していき切り捨てていくヴェルフを見て思う。

 

あやつのことを分かってなかったのは手前の方であったか…。魔剣を作らぬ阿保?己の全てを費やさねば神の領域には届かぬ?

なんのことはない。ヴェル吉にとってはそんなことは些細な事。ヴェル吉は仲間、家族が何より大切で何よりもライバルか。

くくっ。主神様が惚れるのが良くわかりよるわ。この姿を見たら確かにたまらぬ。

 

椿はヴェルフをずっと見てきた。入団した当初から。自分なりにヴェルフを気にかけ、才能の無駄遣いをするなと言って弄ってきた。

だがどうだ?手元を離れ、ほんの3、4ヶ月。そんな短い期間でヘファイストスファミリアの誰よりも男らしく誰よりも格好いい男になっている。

自分がやってきたことは無意味だった。ヘファイストスファミリアでもヴェルフがこうなっていたならあんな燻っている期間も無かったのではないかとどうしても頭によぎってしまう。

 

そんなことを考えている椿の横に傷だらけのヴェルフが戻ってきて魔剣を振るう。モンスターが駆逐されてから別の魔剣を振るうと雷が闘技場の地面に穴をあける。

 

「おい椿。少し休憩だ。この地下にセーフティゾーンがあるらしいから行くぞ。」

 

「ぬ?37階層にセーフティゾーンとな?それは知らんかった。よし行くか。」

 

地下に行くと水が流れ、静かな通路に出る。モンスターも生まれないので腰をおろして水とポーションをあおるヴェルフ。

椿はそんなヴェルフを見て声をかける。

 

「ヴェルフ・クロッゾよ。手前にはわからぬ。お前が何故そこまで変わって何故そこまでしてベル・クラネルの横に立とうとするのかが。」

 

何言ってんだ?と思いながらも椿の片目が真剣なのを見てヴェルフもしっかりと答える。

 

「ベルは俺の全てだ。恩人であり、相棒であり、弟みたいなやつだ。あいつは優しい。優しすぎる。

仮に俺がレベル1の状態でも気にしないだろうさ。自分の相棒だとニコニコしながら言ってくれるだろう。

でもな椿…。そんなので己を誇れるか?俺の気持ちを、心を救ってくれたベルとユウがいるファミリアに所属してるのにお情けみたいになっちまってる自分を誇れるか!?!?

俺は絶対に誇れない!!あいつの横に胸を張って立つことすらできないっ!!

そんなのは…そんなのは嫌なんだ……。」

 

ヴェルフは涙を流しながら己の心の内を椿に語る。

椿はそんなヴェルフを見て胸が締め付けられる。ここまでヴェルフが頑張るのはヘファイストスファミリアにいた時の燻っていた自分を知っているからだと気づく。

命の恩人よりも重い。心の恩人なのだ。あの兄弟は。壊れそうになっていたプライド、鍛治師としての誇り。全てを救ってくれた。

自分がヴェルフの立場ならば自分も同じ様な行動に出るのが容易に想像できる。

 

椿はそっとヴェルフの頭を胸に抱きしめる。

 

「ヴェル吉、いやヴェルフよ。人の感情、心に無頓着な手前でもお前の気持ちは良くわかった。

手前ではあまり頼りにならぬかもしれん。だが手前もお前をずっと見てきたのだ。ライバルだと勝手に思っておる。残りの日数で出来る限りの事をやろうではないか。」

 

ヴェルフは静かに涙を流している。手は強く、強く握りしめながら…。

 

椿はそんなヴェルフを好ましく思ってしまう。己が主神様と恋仲にあるのは知っているがどうしてもこの青年を欲してしまう。

椿・コルブランド。始めての淡い恋心だった。

 

それからと言うもの戦っては休憩して戦っては休憩してをひたすらに繰り返していた。

セーフティゾーンで休んでいると足音が聞こえてくる。ヴェルフと椿は武器を構えて警戒する。

なんせこの場所はユウとベル、リューしか知らない筈だからだ。

 

人影がこちらにくるとヴェルフはあっ!と声を上げる。

 

「ん?お前は…。ユウのとこのヴェルフだったか?何故こんなとこに?」

 

「レヴィスじゃねーか。敵かと思ったぜ。いや闘技場で鍛錬してんだよ。ユウとベルが居ない今が差を縮めるチャンスだからな。」

 

ヴェルフと同じ赤髪の怪人、レヴィスだった。

椿は口を開いてポカーンとしている。

 

「ああ、レヴィス。こいつは椿だ。大丈夫なやつだから安心しろ。椿。こいつはレヴィス。レベル7以上のアビリティをもつ怪人だけど俺らのファミリアの友人だ。」

 

「そうか。私はレヴィスだ。よろしくな。」

 

「あ、ああ。怪人?なんのことだかわからぬが手前は椿だ。よろしく頼む。」

 

ヴェルフからレヴィスの説明を受けて驚いたが最後にはヘスティアファミリアはアホばかりだの!と大笑いしていた。

 

 

 

 

「そうか。ユウとベルは後4日くらいで帰ってくるのか。またご飯を食べに行かせてもらう。ヴェルフも椿もここの闘技場は人間にはキツイから油断して死ぬなよ。」

 

「おう!ありがとな!ヘスティアファミリアはいつでもレヴィスなら歓迎するから来いよ!まぁユウが居ないと来ても意味ねーか?」

 

「やかましいっ!!ヘスティアファミリアはすぐに私みたいな怪人をイジるから手に負えん!!」

 

「あ、私みたいな怪人って言った。ユウにチクってやろう。」

 

「や、やめろ!落ち着けヴェルフ!それだけはダメだぞ!またお仕置きされてしまう!!」

 

「お前が落ち着け。冗談だ。俺たちも次上で戦ったら帰るわ。レヴィスも食い物欲しくなったらホームに来いよ?魔石ばっか食ってるとユウに胸のこといじられんぞ?」

 

レヴィスは分かっている!じゃあな!!と顔を真っ赤にして奥に消えていった。

 

「怪人と言っておったが随分と可愛らしい女だったの。ユウ・クラネルにベタ惚れなのが良くわかった。」

 

ヴェルフと椿は大笑いしてしまう。そのあと闘技場で限界まで戦って少し休んでから地上へと戻った。

バベルのシャワールームでシャワーを浴びてからヘファイストスに会いに行く。

 

 

「ヘファイストス様ありがとうございました。これで俺はまた1つ上に登れます。残りの日数で鍛錬してからランクアップしようと思います。」

 

「まだお前は鍛錬するのか…。本当に変わったの。ヴェルフ。何かあればいつでも相談に来い。」

 

ヴェルフは固まっているヘファイストスと椿にお礼を言って帰っていった。

ヘファイストスはギギギと壊れかけのブリキ人形みたいに椿の方を向く。

 

「つ、椿?なんでヴェルフに呼び方が変わっているのかしら?それに相談??」

 

「なぁに主神様。あやつは誰よりも格好いい男だと手前も気づいただけのことよ。主神様には悪いが手前も負けんぞ。」

 

「どどどどういうことよ!!椿!!あなたあの子の事どうでも良い感じだったじゃないっ!!」

 

「ふはは。今回のダンジョンであやつがどれほど変わってどれほど格好いいか分かっただけよ。

話は変わるが主神様よ。ヴェルフの魔剣は確実に神の領域に届きうるぞ。クロッゾの魔剣?違う。

あれはヴェルフの魔剣だ。魔剣では負けたなど口が裂けても言えん。手前では勝負の土俵にすら立てぬよ。」

 

 

ヘファイストスは驚き固まってしまう。椿は今までのヘファイストスファミリアの団員の中でも上位に位置するレベルの子だ。その実力も実績も分かっている。

だがその椿が勝負の土俵にすら上がれない?

ヴェルフはどんな魔剣を作っているのか鍛治神として気になり負けん気が発動する。

 

「それでもよ。それでも私にも鍛治神としての誇りがあるわ。好きな人にもこれだけは負けたくないわ。ヴェルフがどんな魔剣を作っても私はその上を行く。

目指す場所は神の領域ではなく私。ヘファイストスと言わせてみせるわよ。」

 

椿はその言葉を聞いて大笑いする。

 

「やはり主神様とヴェルフは似ておるよ。だがな主神様よ。手前も諦めたわけではないぞ?いずれ主神様もヴェルフも超える剣を、武器を打ってみせるさ。

それにヴェルフについても今は一歩先に行かれておるが下界の子供同士というアドバンテージを使って主神様から奪ってやるぞ?」

 

「上等じゃない。両方共椿には負けるつもりはないわよ!私はこの仕事終わったら鍛治室に閉じこもるわ!」

 

ヘファイストスと椿は互いの顔を見て大笑いする。

ヴェルフ・クロッゾ。彼もまたヘスティアファミリアの男性団員としてモテるフラグが立ったようだ。

 

ヴェルフはホームに戻ってヘスティアにステイタスの更新をしてもらう。

 

ヴェルフ・クロッゾ

レベル2

 

力:A 910 耐久:B 875 器用:B 862 敏捷:B 821 魔力:C 772 鍛治:I

 

【魔法】

ウィル・オ・ウィスプ

対魔力魔法

詠唱 燃え尽きろ、外法の業

 

【スキル】

魔剣血統

魔剣作製可能。作製時における魔剣能力向上。

 

己信念(オノガシンネン)

自分の中にある信念に沿った行動時に全アビリティの超補正。

信念を持ち続ける限り効果持続。

信念を持ち続ける限り限界がなくなる。

信念を持ち続ける限り成長速度上昇。

信念が無くなると破棄される。

 

ヘスティアは黙って胃を抑える。まさかのブラコンシスコン以外にも成長促進スキルが出るなんて…。

僕神様なのに呪われてるのかなぁ?

 

ヴェルフは静かにステイタスの紙を見る。そして口を開く。

 

「ヘスティア様…。これで俺はあいつらに近づいて行けますかね?胸を張って隣に立つ事が出来ますかね?」

 

ヘスティアは優しい笑顔を浮かべる。ヴェルフの肩に手を置いて思っていることを素直に話す。

 

「ヴェルフ君。僕はヘファイストスと神友だ。そんなヘファイストスファミリアから君が移籍してきてくれた時は本当に嬉しかったんだ。

でもね一番嬉しかった理由はベル君と最初からパーティを組んで専属契約までしてくれた君が来てくれたからなんだよ?

君はユウ君と違った方向のお兄さんだよ。そして僕はそんなヴェルフ君を息子として誇りに思ってるさ。

もちろんベル君もユウ君もほかのみんなも誇りだ。だからこそ、僕のファミリアの子供達はみんな隣に立って前に進めると思ってる。

今はちょっとユウ君が暴走して前を突っ走ってるけどね。

ヴェルフ君。君は立派なベル君の相棒さ!」

 

親指を立ててニッコリと笑う。ヴェルフも笑う。

このファミリアの絆はオラリオでも随一だろう。

 

どんな苦難も困難もファミリアが一丸となって超えていくだろう。

その日ヘスティアファミリアでは笑い声が絶えなかった。




作者はヴェルフが男キャラならベートと並んで大好きです。
ヴェルフの漢らしさを書いてみたかったけど力不足!!
圧倒的力不足!!

自分の語彙力が悲しい…。

あといつもより短くてすんまそん。

次はちょくちょく書いて行くので明日投稿できないかもですが明後日の夜には投稿します!


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クラネル兄弟の居ないオラリオだお☆Part2

なんかサクサク書けたので今日の分仕事前に投稿しときます。

えーリクエストをいただいていたのでベートとリーネたんのデート回にしたいと思います。

甘々な話にしたかったけどこれが作者のレベルでは限界だ!!許してくれ!!


黄昏の館。館というか城みたいになっているロキファミリアのホーム。中庭で1匹の狼がボケーっと空を見上げていた。

この狼。親友とも悪友とも兄友とも呼べるユウ・クラネルが実家に帰っているので暇で仕方がなかった。もちろんいつも通りにヘスティアファミリアにはレフィーヤと一緒に行くのだが弟子もおらず、親友もおらず、飯も無いのでヴェルフ達と鍛錬をして昼過ぎにホームに戻っていたのだ。

 

もうすぐ阿鼻叫喚に巻き込まれるとも知らずに。

やることもないので身体を休める為にボケーっと空を見上げていたら人の気配がする。

我が愛しの妹アイズかと思って近づいてくるまで放っておくことにした。

 

「あ、あの。ベートさん。今お話ってよろしいでしょうか…?」

 

ん?アイズじゃない?レフィーヤはフィルヴィスと遊んでるし誰だ?

そんなことを思いながら声のした方を見るとメガネっ娘のリーネがいた。

 

「お、おう。リーネか。なんだ?どうした?」

 

リーネは深呼吸を繰り返してベートの目を見て口を開く。

 

「わ、私とデートしてもらえませんかっ??」

 

顔を真っ赤にしてデートとはっきり言いきったリーネをマヌケな面をしてベートはボケーっとして見ている。

 

「あ、おう。あれか?この前行ったケーキでも食いに行くのか?ユウもベルもいねーし暇だからいいぞ?」

 

フィンを煽る為にもこのデートは成功ささねーと!!それにアイズにアドバイス出来る兄貴になったらカッコいいしな!

内心はゴミ野郎だった。この駄犬ユウに毒されすぎて脳内の基本が愉悦とブラシスコンになってやがる。

 

おっとりとして内気で真面目なリーネは憧れというか好きな人に勇気を出してデートに誘い、了承を得れてそれこそ天にも登る嬉しさでいっぱいだった。

 

時間指定をして街で会うことにする。ホームから一緒だとめんどくさいやつらが多いからだ。

 

ユウがアスフィに女の子を待たせたらダメだと説教されているのを思い出して早めに待ち合わせ場所に行くベート。

この狼も口は悪いが根は真面目なのだ。

ユウとファッションショーといって遊びで似合いそうな服を着てお互いに文句を言いあったりしていたので服には自信がある。

なんせあのユウが「ベートさんって無駄にスタイル良くて無駄にタイトな服似合うから爆発すれば良いと思う。」と言ったくらいなのだから。

 

似合ってるからという理由で貰ったジーンズとブーツ。それに白のワイシャツとネックレスをして待っているベート。

顔も整っているので爽やかなイケメン狼にしか見えない。ユウがオラリオにいたら殴られているレベルでイケメンだ。

 

リーネは影からベートを見つけてカッコいい服を着ているので自分は横に立てるか不安になって何度も店のガラスで自分の格好を見る。

 

私って地味だし弱いからベートさんの横は似合わないよね…。うん。今回のデートを宝物にしてそっと見守ろう。

 

リーネは落ち込みながらも楽しもうとベートのところに小走りでかけていく。

 

「お、おまたせして申し訳ありません!!」

 

「ん?いやあれだろ?女ってのは用意に時間かかるんだろ?別に構いやしねぇよ。そ、それとその服似合ってんぞ。リーネっぽい大人しめの服だな。」

 

これでいいんだよな!?文句を言わない!服を褒めてやるだよなっ!?

 

ユウとアスフィとの話を必死で思い出しながらベート君は奮闘する。どんだけフィンに自慢したいのだろうか。

 

一方リーネは似合ってると言われて真っ赤になりながらもお礼を言う。ベートさんもいつも以上にカッコいいと伝えるのがギリギリだった。

 

「そんじゃどっか行くか。リーネはどっか行きてぇとこあんのか?ないなら俺が決めるけど。ユウとかと結構遊びに行ったりもするからな。」

 

「は、はい。私が誘ったのにどこに行くか考えてなくてすみません…。」

 

「あー謝るな謝るな。デートってのは男がリードするもんだ!…らしい。すまん俺もあんまり良くわかってねぇわ。とりあえずゆっくり商店街でも歩くか。」

 

リーネはベートの不器用ながらの気遣いに心があったまっていく。笑顔ではいっ!と返事をしてベートの後をついていく。

 

商店街を歩いているとベートはみんなから声をかけられる。

 

「あらあら次はベートちゃんかい?ベルちゃんもユウちゃんもデートしてたわよ?全くあんたらは商店街でデートなんかしちゃって。

女の子もべっぴんさんばかりなんだからもっとオシャレなカフェとかに行きなさいよ。」

 

「お、おばちゃん。うるせぇよ!!ここもオラリオなんだからいいんだよ!……カフェは後で行く。」

 

おばちゃんもおじちゃんもゲラゲラ笑っている。ベートは頬を染めつつも笑いながら話をする。

リーネは昔からベートが好きだった。口は悪いがいつも周りのこと、ファミリアの家族を大切にしていたのが良くわかったからだ。

誰にも理解されずにいたベートさんがこんなにたくさんの人に理解されて仲良くしてるのを見ると嬉しくて笑顔になってしまう。

 

「そこのお嬢ちゃんちょっとおいで!あの捻くれ者のベートちゃんのどこが好きになったんだい?」

 

「え、えっと、あの、ベートさんは昔から理解されないだけで優しかったので…。ずっと好きでした。

でも私は弱いですし地味なので今回のデートを宝物にして諦めるつもりなんです。」

 

おばちゃんはリーネの言葉にびっくりしてしまう。

 

「何言ってるんだい。ベートちゃんが一緒に歩くんだから気に入られてるんだろう?安心しな。お嬢ちゃんだってべっぴんさんだよ。諦めるのは早すぎるんじゃないかい?

なんかあったらおばちゃんに相談しにおいでっ!いつでもここにいるからね!家族に言いづらいこともおばちゃんなら話せるだろ?」

 

リーネはおばちゃんの優しさに感謝する。

いつも周りに合わせて1人で落ち込んでしまうリーネはおばちゃんの相談しにおいでの一言で救われた。

泣きながら笑って相談しにきます。と返事する。

 

おばちゃんはゆっくりリーネの頭を撫でてあげる。

 

「ふふ。ユウちゃんもベルちゃんもベートちゃんも可愛いけどリーネちゃんみたいな娘の方があたしゃ良いねぇ。あの子たちはヤンチャ坊主だからねぇ。

まぁそこが可愛いところでもあるんだけど。」

 

オラリオ1有名なクラネル兄弟と口の悪いベートをヤンチャ坊主呼ばわりできるおばちゃんは何者なんだろうかと思ってしまうリーネだった。

 

ベートはおじちゃん連中に捕まる。

 

「んでベートちゃんや。なんであの嬢ちゃんを選んだんだ?ほれ。おじちゃんに言ってみろ。」

 

「あーもううるせぇな!別に選んでねーよ!デートに誘われたから来たんだよ!!」

 

「でもベートちゃんは嫌ならはっきり断るタイプだろ?余計な一言もつけて。」

 

図星すぎて何も言えなくなるベート。

おじちゃんはニヤニヤしながら続ける。

 

「あの嬢ちゃんは良い女だぞ?一歩引いて男を立てるタイプだ。ガツガツくるタイプよりベートちゃんにお似合いだと思うけどなぁ。

前一緒にいたレナ嬢ちゃんよりベートちゃんにお似合いだと思うぞ?」

 

「あーなんだ。レナは正直脳みそ足らなさすぎて無理だわ。いや可愛い妹ならアリだな。」

 

ベートの一言でみんな大爆笑する。たしかに!ベートちゃんも分かってきたねぇ!などの声も上がる。

 

「ベートちゃん。あの嬢ちゃんは内向的なタイプだろ?ベートちゃんがリードしてあげないと自分で勝手に悩んで思い詰めて諦めるタイプだから気をつけな?

果物屋の嫁さんの若い頃にそっくりだわ。」

 

「お、おう。ユウもいねーしそのアドバイスは助かるわ。つってもデートって何すりゃいいんだ?何も思い浮かばねぇんだよ。苦肉の策で商店街来ちまったし。」

 

おじちゃん連中は全員ため息を吐く。

 

「デートなんてのはな極論2人で過ごす時間が欲しいって事なんだよ。だけどあの嬢ちゃんは多分自分からやりたいこととかは中々言えないタイプだ。

ならゆっくりと邪魔の入らないところでお茶でもしながら話を聞いてあげな?

ベートちゃんならそれだけで落とせるから。」

 

「お、おう。わかった。ならこれからカフェでも言って色々話を聞いてみるわ。

つか落としてぇんじゃねぇけどな。まぁなんだ。ありがとよ。」

 

おじちゃん連中は全員笑いながら頑張れよと声をかける。ベートはその声を背中に受けながらリーネを呼びに歩いていく。

 

そーいやデートは手繋ぐのが基本ってユウがアイズ騙してたけど手でも繋いでみるか?

いやでも嫌がられたら俺の黒歴史になる。どうする。どうするベート・ローガ!!

しかし弟子のベルはペアネックレスとか手を繋ぐとかできたんだ!!

師匠の俺ができねぇはずはねぇ!!やってやる!!

 

「お、おうリーネ。話はもう終わったか?」

 

「はい!おば様にたくさん相談乗っていただきました。ベートさんこんな素晴らしいところに連れて来てくれてありがとうございます!」

 

「そうか。そりゃ良かった。なら次は喉を潤しにカフェでも行くか。ん。」

 

手を差し出す。リーネは一瞬驚くが笑顔で手を繋ぐ。

ベートの心臓はバクバクしていた。

 

よっしゃぁぁぁ!!リーネは良いやつだから良かったぁぁぁ!!これで断られたら引きこもってたわ。

よしあとはカフェで話を聞いてやるんだったな!任せとけ!!

 

無駄にテンションの高い駄犬だった。こいつも大概なヘタレだと思う。

 

べべべベートさんと手、手を繋げた!!ん。って手を差し出してくれた!!神様ありがとうございます!ありがとうございます!!

 

うん君の神様ロキだから。悪戯神だから。1ミリも恋愛に関係ないよ?むしろ邪魔しかしないよ?

 

ちなみにどっからどう見てもお似合いのカップルにしか見えない。男冒険者は呪詛の声を、女冒険者は羨ましそうな視線を飛ばしていた。

 

カフェについてメニューを頼む。

リーネはずっとニコニコしているのでベートはホッとしていた。

コーヒーや紅茶、ケーキなどが届き、ゆっくりとした時間が流れる。

 

あれ?これ俺が話振らないといけないやつか!?おじちゃんもリーネは溜め込んじまうって言ってたしな。

よしっ!ここで男を見せねぇと!

 

「リ、リーネ。なんか話したい事でもあんのか?」

 

やっちまったぁぁぁぁ!!なんだよその質問!!意味わかんねぇよ!!ちくしょぉぉぉぉ!!

 

テンパり過ぎてダメなヘタレの典型的なミスだった。

が、リーネは違う。なんせ恋する乙女で以前までのベートですら理解して好きだったのだから。

 

あ、ベートさんもしかして私が悩んでるの気づいてくれててデートに付き合ってくれたのかな?

本当に優しいなぁ。カッコイイし優しいなんて反則だよぉ。

 

お互いが幸せになる勘違いをしている。ある意味奇跡といっても過言ではない。

 

「えっとですね。私、弱いじゃないですか…。最初のクノッソスの時もユウさんに助けてもらわなければおそらく誰かは死んでいました。私はヒーラーなのにカースで何も出来ず足手まといになっていました。」

 

あれ?ガチなやつ?俺の質問はなんとか誤魔化せてる!?ここは俺も真剣に答えてやらねぇと男じゃねぇな。

 

そんなアホなことを考えながらも真剣にリーネの言葉に耳を傾けてる。

 

「ベートさんはよく雑魚は引っ込んでろと言いますが全てその人達の為なんですよね。

弱いやつらは死なないようにホームに残ってろって私には聞こえてて…。

私はベートさんが昔からすごく優しい人だとずっと思ってます。だからこそ弱い自分じゃベートさんの隣に立つことさえ出来ないと思ってしまって……。」

 

おいおいおいおい!!なんでユウと大幹部の3人しか分からなかったことをリーネがわかってんだよ!!

マジかよ…。こいつずっと俺を理解してくれてたのか。

 

ベートは顔が熱くなるのを理解する。コーヒーをゆっくりと飲み、顔を見られないようにする。

 

「ですが今日の商店街のおば様達や、ユウさん、ベルさんの話を聞いて諦めたり悲しむ前にもっと前を向いていこうと思いました。

ベートさん。本当に今日はありがとうございます。」

 

ぺこりと頭を下げてお礼を言うリーネ。ベートは無言でリーネを見る。そして考えて口を開く。

 

「リーネ。俺は雑魚が嫌いだ。雑魚は口ばっかで自分の弱さを認めねぇで何もしようとしやしねぇ。

悪いがウチの団員のレベルの低い連中はそういう雑魚が多いと思ってる。

だがな。リーネ。お前は違うだろ。もがいてもがいて、考えて、苦しみながらも前を向こうとしてる。

それはもう雑魚じゃねぇよ。立派な冒険者だ。なら強くなれ。俺は待たねぇ。ユウもベルもいるからな。ずっと前に進み続ける。

だが……。リーネに背中を預けるのを楽しみにしている。俺を呆れさせるなよ?期待してる。」

 

 

リーネはベートの心からの言葉に泣きながら返事をする。ずっと、ずっと好きで憧れていた人から期待されたのだ。ここから前に進もう。

 

誰にも負けないくらい前に。そして今は伝えられないけど大好きなこの人の隣に立ったときにこの気持ちを伝えよう。

 

そんな思いを心に秘める。そして自分に誓う。今までのおどおどした自分とはお別れだ。

冒険者として、何より女としてひたすら前に進もうと。

 

 

ベートはリーネの瞳に炎が宿ったことに気づいて口角を上げる。ユウみたいに誰かをやる気にさせることが出来た。

それも勘違いされやすい自分を理解してくれた最高の女性に対してだ。

 

「そうだなぁ。リーネはヒーラーだろ?俺もユウも戦闘なら教えれるんだがな…。ヒーラーを育てるなんてできねーぞ。」

 

「あ、いえ!そんなベートさん直々になんて…。」

 

「んーそうだな。ちと相談しに行くか。リーネ悪ぃけどもう一回商店街行くぞ。」

 

リーネはおば様方に相談するのかと頭に疑問を抱きつつもベートのあとをついていく。

 

 

あるお好み焼き屋台の前に行列が出来ていたがベートは無視をして前に行く。

あたふたしながらリーネも後ろについていく。

 

「いーちゃん。ちょっと聞きてえんだがディアンケヒト様来てなかったか?」

 

「ん?ベートかい。あいつならまだ並んでるよ?ウィーネにどハマりしてずっと並んでるよ。」

 

ベートはお礼を言い、横の列に並んでいるディアンケヒトに話しかけていく。

 

「おう。ディアンケヒト様。ちと相談があるんだけどよ、大丈夫か?」

 

「ん?炎雷狼?お前が儂に相談とは珍しいの。ウィーネちゃんのお好み焼きまで待ってくれ。もう1時間も並んどるんじゃ。」

 

ベートは了承し、近くの店で飲み物とお菓子を買ってくる。そのままイシュタルとウィーネ、孤児院のちびっこに配っていく。

 

リーネはそれを見て驚いてしまう。そんなことをするベートを始めて見たからだ。

これはユウの調きょ……もとい教育のおかげだったりする。あと妹効果。ウィーネにベートお兄ちゃんと言われ始めてシスコン狼はデレデレになった。

 

リーネは孤児院の子供達と一緒に椅子に座ってお話をしていた。

ユウとベートがすごく優しいや、ウィーネちゃんと一緒に遊んだなど色々知らなかったことをお話してくれる。

 

やがて買えたのかディアンケヒト様とベートさんが一緒に来た。

 

「それでこの子がその将来有望なヒーラーか?儂は別に構わないぞ?ヘスティアファミリアとつるんでいたら派閥とかアホくさくなってくるしのぉ。」

 

「あーそりゃすげぇわかる。あそこは無法地帯すぎるからな。そしたら今日の閉店間際くらいに行ってもいいか?報酬はユウが帰って来たらヘスティアファミリアに招待して一緒に飯を食うでどうだ?」

 

ディアンケヒトはベートと握手をする。ちょっと待て。ベートお前ヘスティアファミリアじゃねーだろ。

 

「安心しろリーネ。お前の師匠が見つかった。今日の夜行くぞ。とりあえず晩飯は一緒に豊穣の女主人に行くか。ミア母さんがユウの飯のレシピ教えてもらってるらしいし。」

 

え?え?夜までベートさんが一緒にいてくれる??それに師匠?どういうことかわからないけど私幸せです。

 

リーネは困惑しつつもベートとのデートが長くなるのは嬉しいので笑顔で返事をする。

 

その後ベートと一緒にまた手を繋いで街を歩いていく。

 

えーとなんだっけ。服は女の趣味があるからプレゼントはダメ。お揃いにするなら時計とかネックレスとかって言ってたな。

くそ!もっとちゃんとユウかベルに教えてたこと聞いときゃ良かったぜ。

 

この狼は弟子と妹のペアネックレスに対抗して何か買おうとしていたが残念なことに何も思いついていなかった。

 

露店を冷やかしているとリーネに似合いそうなブレスレットがあった。しかしペアでは無かったので選択肢から除外する。

 

あれ?別にペアじゃなくても良くねぇか?楽しかったからプレゼントって渡せばいいんじゃね?

 

今更気づいたベートはリーネを待たせて露店にブレスレットを買いに行く。

買って戻るとリーネが冒険者2人に絡まれていた。

 

「おい。俺の連れになんか用か。」

 

思った以上に低い声が出る。

 

「ひっ!!炎雷狼!?い、いえ、なんでもないです…!」

 

「失せろ雑魚共。次俺の視界に入ったら殺す。」

 

冒険者2人はダッシュで逃げて行く。

 

「ベートさんありがとうございます。何度説明しても離れてくれなくて……。」

 

「あーなんだ。1人にしちまって悪かったな。ほれ。これ御守り代わりにつけとけ。

今日は楽しかったからな。一応お礼だ。」

 

リーネはベートから渡されたブレスレットを見て驚く。そして満面の笑みを浮かべ、つけてみる。

 

「ベートさん!ありがとうございます!一生大切にしますね!」

 

そんなリーネにベートは見惚れた。

喜んでくれて本当に良かったと思う。

 

それから2人で豊穣の女主人に向かう。ミア母さんに伝えて2人分ご飯を出してもらう。

 

うん。ちょっと違うけどユウの飯の味だ。美味い。

リーネも美味しいとパクパク食べている。今度ヘスティアファミリアにリーネも呼んでやるかと思いながら食事を進めていく。

 

食事も終わりディアンケヒトファミリアに向かう。

 

「おうアミッド。悪いな。時間作ってもらって。」

 

「構いませんよ。ユウさんの親友のベートさんの話です。お聞きしないわけにはいきません。」

 

「ディアンケヒト様から話は聞いてるかもしれねーがこいつがリーネだ。ウチのファミリアのヒーラーでな。強くなりたいっつってよ。

俺もユウもヒーラーは一切わかんねーからな。ユウがアミッドは神より神々しいヒーラーだって言ってたからよ。

リーネに色々教えてやってほしいんだわ。」

 

リーネは驚く。ディアンケヒトファミリアのアミッドといえば団長であり、戦場の聖女と呼ばれるオラリオ1のヒーラーだ。

その人が師匠??リーネは混乱してしまう。

 

「ユウさんは言い過ぎですよ。ですがベートさんがそこまで推薦するのであれば大丈夫でしょう。

リーネさんでしたか?」

 

「は、はい!ロキファミリアのヒーラーのリーネです!」

 

「私はアミッドと申します。ベートさんにも頼まれましたし貴女の師匠となりましょう。

私もまだまだ未熟ですがリーネさんに出来る限りヒーラーとしての技術や心構えをお教えします。」

 

リーネは思う。ここで強くならないとベートさんを裏切って、アミッドさんも裏切ってしまうと。

何よりも強くなれる道を見つけた。いや、その道を大好きな人が照らしてくれた。

これで強くならないなんて嘘だ。

そう思ってはっきりと自分の口で伝える。

 

「アミッドさん、いえ師匠。私はもう足手まといや弱いままの自分は嫌です。

どんなことでもやります。そして強くなります!よろしくお願いします!!」

 

アミッドはリーネの意思を聞いて感服する。

 

やはりユウさんやベートさんの認めた方ですね。瞳が全然違います。私もうかうかしてられませんね。

 

それからアミッドとリーネは互いの都合を擦り合わせていく。明日から店の手伝いをしつつ色々教わることにした。

 

挨拶をして店を出てベートとリーネは2人でホームに帰る。

 

「ベートさん。ありがとうございます。これから私はベートさんを追い越すくらい強くなります。」

 

「はっ。俺が負けるかよ。だが期待はしてる。頑張れよリーネ。」

 

リーネは今日一日でも心が強くなれた気がした。だが気がしただけではダメだと自分に言い聞かせる。

必ず最愛の人の期待に応えるんだ。置いていかれるのはもう嫌だから。

自分の無力さに嘆くのももう嫌だから。

絶対に愛する人の隣に立つんだと誓う。

 

そんなリーネをベートは優しく見守っていた。

 

ロキファミリアのホームに着く。

 

「色々連れ回しちまって悪かったな。まぁ楽しかったぜ。リーネがこれからどうなるか楽しみにしといてやるからせいぜい頑張れよ。

ま、頑張ってたらまたデートくらいしてやるよ。」

 

「私も楽しかったです。次のデートは私が強くなれたと思って実感できてから誘いますね。

今日は本当にありがとうございました!」

 

2人は笑い合う。おやすみと言いながら別れる。

 

ベートさん。私強くなります。

そして隣に立てるようになったらこの気持ちをお伝えしますね。待っててください。

 

プレゼントされたブレスレットを触りながら月を見上げる。

 

 

月の明かりがそっとリーネを包んでいた。




え?こんな感じになったんだけど大丈夫?

なんか拙い文で本当に申し訳ないです。

あ、日常回でリクエストとかあったら書けそうなやつなら書くんで感想欄に書いてもらえると嬉しいです!


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クラネル兄弟の居ないオラリオだお☆Part3

今回はオッタルさんの日常だよ!

オッタルさんのキャラ崩壊が異常なので嫌な人は見ない方がいいかもしれぬ。

オッタルファンの皆様申し訳ないです。


異臭が漂う中、オラリオで唯一のレベル7。最高峰に位置するフレイヤファミリアの団長。オッタルは難しい顔をして何かを睨むように見ていた。

 

その横にはフレイヤファミリアの幹部でレベル6のダークエルフ、ヘグニも立ちながら難しい顔をしている。

 

今にも襲いかかろうとしているかのごとく殺気だっている。

この2人が一緒にいるのも珍しいが主神のこと以外で殺気立つのも珍しい。

 

 

「ヘグニ…。何故だがわかるか…?」

 

「団長…。私にも何故こうなってしまうのかわかりません…。」

 

また異臭が漂う一室に静寂が広がる。

今までこんな勝ち目が見えない冒険をしたことがあっただろうか?

レベル6と7になるまでに様々な冒険をし、偉業を成し遂げてきた。

その自負は誰よりもあるオッタルとヘグニだが勝ちへの道がまるで見えない。

 

オラリオトップに位置する2人は今までになかった冒険をしていた…。

 

「オッタルゥゥゥゥゥ!!あなた私の警護もしないで何してるのよ!!異臭が私の部屋まで漂って来てるでしょうが!!ヘグニまでいるの!?何してるのよっ!!」

 

我らがポンコツ駄女神フレイヤ様の登場だ。

 

「む。フレイヤ様。申し訳ありません。どうしてもユウにもらったラーメンのスープが作れないのですっ…。」

 

「何一生の不覚みたいに言ってるのよっ!!貴方の仕事は私の警護でしょう!ラーメンは後にしなさい!

それにヘグニ?貴方までどうしたの?」

 

「フレイヤ様。実は私は料理が趣味でして。ユウに色々教わっていたのです。

それを知ってか団長がラーメンを作るのに誘ってくださったのです。ユウのラーメンを食べると、こう、なんといいますか心がざわついてしまいまして。

同じ料理人として負けられないなと…。」

 

「え?ちょっと待って?ヘグニもユウも冒険者よ?料理人じゃないわよ!?

はぁ。まぁ良いわ。警護はアレンに頼むから貴方達はここではなくホームの厨房でやりなさい。

あとこの異臭は酷いからミアに相談してみたら?」

 

オッタルとヘグニはその手があった!!とお互いの顔をみて頷く。第一級冒険者の身体能力を遺憾なく発揮して即座に片付けをする。

 

オッタルとヘグニのコンビなんて想像もしてなかったわよ。どうなってるのよ本当に…。

はぁ。アレンはまともで良かったわ…。

 

「フレイヤ様。我々は至高の一品を作ってきます。ユウの居ない1週間でアイツに認められるラーメンを作ります。

ですので警護や仕事などやってられないので休みをください。」

 

このアホ息子。ついにやってられないとまで言いやがったわね…。でも無理矢理やらせても意味ないだろうし、いつも頑張ってくれてるから許してあげましょう。

 

「良いわ。そのかわりユウが帰ってくるまでよ?それ以降はきっちり仕事すること。

ヘグニもオッタルと作るんでしょう?2人には休暇を与えます。美味しいラーメンが出来たら私にも食べさせてちょうだい。」

 

オッタルとヘグニは頭を下げる。

 

「よしヘグニ。たまに優しいフレイヤ様の優しさをもらったからプロであるミアさんの所に行くぞ!」

 

「はい団長!!ユウに美味いと言わせるラーメンを作りましょう!!」

 

2人はドアも閉めずにダッシュで走っていった。

 

「あの子達本当に私のことなめてないかしら?それにアレン呼んで来なさいよ……。」

 

哀れフレイヤ。美の女神の魅力よりラーメンの魅力が勝った一コマだった。

 

 

オッタルとヘグニはすぐに豊穣の女主人に駆け込む。入口のドアを勢いよく開けてミアを見つけると目の前までダッシュで行く。

 

ミアは古巣のファミリアの現団長と幹部が見たこともない顔で走ってくるので少し驚いてしまう。

何かフレイヤ様にあったのだろうか??

 

「ミアさん。恥を忍んでお願いしたいことがある。」

 

オッタルとヘグニは真剣な表情で頭を下げる。

 

 

「「ラーメンのスープの作り方を一緒に考えてください!」」

 

 

 

ミアはゴミをみるような目で2人を見る。

こいつら何を言ってるんだ?フレイヤ様の警護はどうした。それよりラーメンってユウが持ってきたやつだろ。

お前らはいつから冒険者を辞めて料理人になったんだい?

 

色々言いたいことがあったがとりあえず本気でスコップで頭を殴る。

 

ドゴッ×2

 

店員達は巻き込まれたらたまらないと我先に逃げて行く。

 

 

「このアホ2匹。開店前に店に来て何馬鹿なこと言ってんだい!!それよりフレイヤ様はどうした!」

 

頭を抑えながら休暇をもらったこと、ユウのラーメンを超えるラーメンを作りたいことを必死で説明する。

警護の交代を伝えてこい馬鹿ども!と怒鳴りゲンコツをする。

 

「はぁ。アーニャ!!お兄ちゃんにフレイヤ様の警護に行くように伝えてきな!このアホ2匹の事も伝えてきな!」

 

「わ、わかったニャ!!」

 

未だに痛みに悶絶しているオッタルとヘグニ。レベル7のオッタルの耐久をぶち抜くミアに店員達は顔を青ざめている。

 

痛みから復活したオッタルはスープの説明をする。

どうしても臭く、異臭がしてしまうと。豚骨と言っていたので豚の骨を鍋で煮込んでもあの旨味を凝縮させた感じにならない。

どこが悪いのかプロであるミアさんにアドバイスをもらえないだろうか。

 

「そうだねぇ。あたしもユウに作ってもらった一回しか食べたことはないんだけど…。

そもそも豚骨といっても色んな骨があるだろう?スープに適した骨の場所があるんじゃないのかい?

それにあのスープは豚の骨から全てできるわけないだろう?

豚骨から出た出汁と何かを混ぜてるんじゃないかい?」

 

ラーメン馬鹿2匹は雷に打たれた様な衝撃を受ける。

ま、まさか骨の種類、そして骨の出汁以外にも必要だとは……。

 

2匹はお礼を言い、何を使えばいいか悩む。考えていてもわからないので商店街に足を運び、色々見ることにした。

 

ウサギお好み焼きの屋台に行列が出来ているのをみて久しぶりにお好み焼きも食べたいので並ぶことにする。

 

「ヘグニはお好み焼きは食べれるのか?」

 

「はい。一度ユウに作ってもらってかなり美味だったのを覚えています。」

 

「ふむ。ならばラーメンの同士に俺がご馳走する事にしよう。遠慮せずに頼んでくれ。」

 

この2人。予想以上に食事の事で気が合うようだ。

 

「いらっしゃ……。猛者?なんでフレイヤファミリアのトップのメンツが?」

 

「む。神イシュタルか。そういえばこの屋台は神イシュタルの屋台だったな。その節はフレイヤ様が迷惑をかけた。」

 

「あ、ああ。あれはお互い忘れよう。うん。んで注文は?」

 

オッタルとヘグニは大量に注文していく。

イシュタルははいよと言いどんどん焼いていく。かなりのスピードと技術!!

オッタルはイシュタルの手際の良さに驚き、感服する。

 

だからだろうか。今の悩みを呟いてしまったのは。

 

「やはり…料理人として誇りが無い俺には至高の一品は作れないのだろうか…。」

 

オラリオのトップ。最強の冒険者。並び立つものがいない。そこまで言われるオッタルがポツリと弱音を吐いた。

イシュタルは怪訝そうに、ヘグニは尊敬する団長が弱音を吐いた事に驚き見てしまう。

 

「何に悩んでるか知らないけど店先で辛気臭い顔をするんじゃないよ。

何か作ろうとしてるんなら試食するやつが居た方がいいだろう?

引きこもりの馬鹿娘連れて行きなよ。アイツならいくらでも食べるだろうから。

これでも親だったから心配はしてるんだよねぇ。

ほらお好み焼き。それと馬鹿娘の住所だ。殴って拉致してもあたしが許すから連れて行きな。」

 

オッタルはイシュタルが何を言っているかわからなかったが励ましてくれていることは理解した。

静かに頭を下げ、屋台を後にする。

もらったメモを見ながら書かれている住所に行くと異臭が漂うボロ屋があった。

 

「ヘグニ。ここにその神イシュタルが言っていた馬鹿娘とやらがいるのか?ここは人が住むような場所ではないぞ?」

 

「で、ですがここが書いてある住所です。不潔ですね…。しかし試食する人がいればどこが悪いか分かるかもしれません。

神イシュタルの言葉ではたくさん食べれる人みたいですし拒否しても殴っていいと許可も得られましたし行ってみませんか?」

 

オッタルはヘグニの言葉に一理あると思い頷く。そのままドアをノックするが返事がない。

だが冒険者としてトップとトップクラスに位置する2人は中に人の気配があることはわかる。

ドアを無理矢理開けてみるとでっかいカエルがいた。

うん。カエルがいた…。

 

「「フリュネ・ジャミール!?!?」」

 

「おおおおお猛者!?!?だだだダークエルフまで!!なんだい!!なんでここにいるんだぁい!?!?」

 

お互いがお互いの顔を見て固まってしまう。

オッタルは無言でフリュネの頭を殴って気絶させる。

あまりに臭かったので思わず手が出てしまった。

 

「こ、これは神イシュタルが心配なさるわけですね。あまりにも酷い……。」

 

「と、とにかく紐でくくって連れて行こう。試食に付き合わせる代わりにシャンプーなどを使わせてやろう…。」

 

あまり表情に出さない2人だがさすがに引きつらせてしまった。

フリュネの寝ている場所の周りには食べカスや空いたゴミが散乱し、腐っているパンなどもあった。

見てなかった事にしてフリュネを足で転がしながら紐でくくって引きずってホームに戻る事にした。

 

「ヘグニ。悪いがヘスティアファミリアに行ってアイシャ・ベルガを呼んで来てはもらえないだろうか。」

 

ヘグニはすぐにヘスティアファミリアに向かう。アイシャもちょうどホームにいたので何かあったのかと素直について来た。

 

「すまないアイシャ・ベルガ。誰に頼るか悩んだのだが元イシュタルファミリアでシャンプーなどを理解しているのがアイシャ・ベルガだけだったのでな。」

 

「い、いやユウ達も居ないしダンジョンに潜ってないからそれはいいんだけどねぇ。なんでフリュネが??」

 

オッタルは全て説明する。さすがにゴミ屋敷に住んでるとは思っていなかったアイシャはドン引きしていた。

 

オッタルは水をフリュネの顔にかけて起こす。

 

「な、な、何するんだい!?ま、まさかあたいが美しいから襲おうと…。「それ以上言えばまた殴る。」」

 

オッタルは無表情で拳を握る。さすがのフリュネも静かになる。

アイシャがイシュタルの言った事と今からどうするかを伝えるとフリュネは瞳をキラキラさせる。

 

「本当かい!?試食し放題なのかい!?食べれるなら風呂でもなんでもするよぉ〜!」

 

アイシャはため息を吐きながらフレイヤファミリアの風呂にフリュネと入る。

なんであたしが……と思うのは仕方ないだろう。

 

フリュネが風呂に行ってからオッタルとヘグニはすぐにスープ作りに取り掛かる。

骨の各部位を別々に煮込んで行くが臭いはやはりすごい。

そこに商店街で買った色々な野菜や果物を別々に放り込んで煮込んでみる。

 

それとは別にユウから貰った完成品をアイシャとフリュネに食べさせる為に作っておく。

 

風呂から上がった2人は異臭のすごい厨房に来て頬を引きつらせているが。

 

まず完成品を食べさせるとフリュネは美味い美味いとガツガツ食べる。

アイシャはやはりと言うべきかユウのご飯だと気づく。

 

「あーこれユウが作ってたラーメンだね?あいつは寸胴鍋で作ってたねぇ。」

 

その言葉を聞いてオッタルは目を輝かせる。もしかしてアイシャ・ベルガは作っている過程を見ていたのではないかと。

 

「いや、申し訳ないけど少ししか見てないんだよねぇ。でもユウは簡易的なスープだよって言ってたかな?骨とか使ってなかったし。」

 

「む?どう言う事だ?」

 

「なんか大きな肉の塊と緑の野菜を入れて出汁を取ってそれと別のスープみたいなのを混ぜてたと思うよ?

あたしゃ料理はからっきしだから詳しくはわからないけどね。」

 

オッタルは悩む。豚骨なのに骨を使わない簡易的なスープだと…??

肉の塊?肉自体を使うのか?ならば豚骨と言うくらいだから豚肉の塊か??

 

「団長。フリュネ・ジャミールも居る事ですし色々試してみませんか?

アイシャ・ベルガは実際に作っているところを見て、我々に教えてくれましたしそれも試作に取り入れましょう。」

 

 

「あたいはどんなご飯でも食べて食べて食べまくるよぉ〜!!このラーメン?の味に近づくにはどうすればいいか言えばいいんだろぉ〜?

風呂も貸してもらってタダでご飯が食べれるんだから全力で協力するよぉ〜!!」

 

「ふっ。フリュネ・ジャミール。感謝するぞ。ユウに至高の一品を食べさせる為に協力を要請しよう。

俺達3人はラーメン同士だ。ラーメンのために過去は水に流して全力で取り組もうではないか。」

 

オッタル、ヘグニ、フリュネはニヤリと笑い握手をする。ここにラーメンで友情が芽生えた。

なんと美しい光景だろう。尊いものだ。

 

 

などと1ミリも思わずゴミを見るかのようにその3人を見ているアイシャの姿がそこにはあった。

 

アイシャは付き合いきれないと自分の見た記憶をオッタル達に伝え、早々に帰った。

オッタルとヘグニはアイシャの言っていた記憶を頼りに色々作っていく。

フリュネは作っている間に買い出しにいく。途中で食べ物を買ってしまおうか悩むがラーメン同士が頑張っているのに裏切れないと誘惑に打ち勝ち、必要な物だけを買っていく。

 

何度も失敗しながらも出てきたラーメンはフリュネの胃(ブラックホール)に消えていく。

 

フリュネはあんな不摂生の極みのような食生活をしているのに舌は確かなようで、完成品との差をあれこれ伝えていく。

フリュネのおかげで飛躍的にラーメンが形になっていく。

ユウの完成品には及ばないが中々の出来のラーメンが完成した。

 

「ど、どうだ?フリュネ。これは臭みも割と抑えられて味もしっかりしているだろう。」

 

「フリュネ。このラーメンは団長と私の現時点では一番の出来だと思うがどうだろう。」

 

フリュネはそのどんぶりを自分の前に置いて目を閉じる。まずはスープの香りを楽しむ。

カッと目を開きスープを飲む。そして麺を食べていく。

最後まで静かに食べきり一息入れ、口を開く。

 

「同士よ。たしかに今までで一番美味い。それはフリュネ・ジャミールが自信を持って言える。

だけど何かが足りないよぉ〜。スープだけじゃない何かが完成品にはあるんだよぉ〜。

あたいにもそれが何かわからないねぇ。」

 

一瞬フリュネのキャラがおかしくなっていたことには触れず、オッタルとヘグニは悩む。

 

何が足りないのだ…。ん?アイシャ・ベルガは出汁と何かスープのようなものを混ぜていたと言っていなかったか?

 

「なんだろうねぇ〜。完成品とこの作品の違いは一番はとろみだと思うんだけどねぇ〜。

でもそれが何かわからないよぉ〜。」

 

「フリュネ!!それだ。とろみだ。

アイシャ・ベルガは出汁と何かスープを混ぜていたと言っていた。出汁でとろみをつけるのではなく別のスープでとろみをつけたのだ!!」

 

ヘグニもフリュネもハッとする。

たしかにそうだ。出汁を作る際にとろみはほとんど生まれない。何故そこに気づかなかったのか…!!

 

「む。もうこんな時間か。俺はミアさんにとろみの出る食材を聞いてくる。ヘグニは休んでくれ。フリュネはどうする?

あのゴミ屋敷みたいなところに同士を帰らせるのはできんぞ。」

 

「そうだねぇ〜。あたいはその辺の宿に泊まるよぉ。せっかくシャンプーとかでいい匂いになってるからあの小屋には帰りたくないしねぇ〜」

 

「そうか。もし金が無いなら試食してくれているし渡すぞ?」

 

「これでもまだ恩恵は使えるからねぇ〜。金が無くなりゃダンジョンに潜ってくるよぉ。

それに同士からお金を貰ったら同士じゃなくなっちまうよぉ。」

 

あの引きこもりのフリュネがこんな事を言うとは…。しかもオッタルとヘグニの呼び方もフリュネになっているし。

 

オッタルとヘグニは笑い、フリュネも笑う。ここに確かな絆があった。ファミリアの垣根、種族の垣根を超えた絆が。

まぁラーメンで全員ポンコツになっているからだが。

 

完成したラーメンはとんこつじゃなくポンコツラーメンになるだろう。

 

その日はそこで解散し、また次の日に集まる。それをひたすらに繰り返していく。

 

 

フレイヤはフリュネがホームに入り浸っていると聞いてどういうことだと焦ってアレンを連れてホームに戻る。

そこで見た3人の真剣な表情と会話姿を見て本当にどういうことだと思ってしまう。

アレンは死んだ魚の目になっている。

 

「お、オッタル?ヘグニ?そこの子はフリュネ・ジャミールよね??なんで他所の子がウチのホームにいるの?」

 

 

「む。フレイヤ様。フリュネを他所の子などとよそよそしい呼び方はやめていただきたい。

フリュネは私、ヘグニのラーメン同士です。」

 

ドヤ顔で言い切るオッタルと横でコクコク頷くヘグニ。さすがにフリュネは気まずそうだったが。

 

「あ、あの、フレイヤ様〜。あたいは確かによそ者ですけどラーメンを作る期間だけでいいのでここにいちゃダメですかぁ〜?お願いします…。」

 

フリュネはイシュタルファミリアの時もイシュタルを下に見る発言を多々していた。

だがラーメンに対する情熱は本物なのだろう。

フレイヤに頭を下げて懇願する。

 

フレイヤは自分の顔が引きつっているのを自覚するが、フリュネが本気で言っているのがわかり許可を出す。

 

オッタルとヘグニはフリュネの背中を叩いて良かったな同士よ!と声をかける。

 

 

アレンはひたすら死んだ魚の目をしていた。

フレイヤも美の女神なのにあまり人には見せれない顔をしていた。

 

 

正式に許可を貰ってからフリュネはより一層ラーメンに対して本気になる。

それにつられるようにオッタルとヘグニも全力以上の本気を示す。

 

ようやく完成品に近いラーメンが完成する。

 

「「「美味い!!」」」

 

3人はラーメンの味を確かめて同時に言葉を発する。

 

「至高の一品にはまだまだだがこれも良いラーメンだ。」

 

「ですね。団長。これはこれで美味だと思いますよ。」

 

「あたいもこのラーメンの味は好きだねぇ〜。」

 

オッタルは満足そうに頷く。しかしこんなものでは終われない。何故なら自分たちが求めるのは至高の一品だから。

 

「よし。これをもっと改良していこうと思う。やはり味の好みは人それぞれだ。だがラーメンはその味に対応できるポテンシャルがある。

味噌、塩、醤油、とんこつなど味も様々だ。

ユウは豚骨醤油が一番好きだと言っていたな。ちなみに俺は豚骨一択だ。」

 

「私は塩が好みですね。あのさっぱり感が良い。」

 

「あたいはどの味も好きだねぇ〜。気分によって食べる味を変えたいってとこだよぉ。」

 

3人はそのままラーメンの会話で盛り上がる。

オッタルは一番言ってはいけない事を言ってしまう。

 

「このラーメンはアイシャ・ベルガが簡易的な出汁と言っていたスープだ。

ならば至高の一品は、やはり骨から出汁をとってこそではないだろうか。」

 

ヘグニとフリュネは固まる。

ああ。このラーメンで満足している私達はなんと愚かなのだろう。団長(オッタル)はまだまだ先を見ている。

やはり器が大きいというのか、格が違うというのか…。

 

そして3人はまた瞳に炎を灯す。

 

骨からの出汁で至高の一品を作ってやろうじゃないか!!

 

そこで終わっていればユウもすごいですね!こーいうのを使えばもっと美味しくなりますよ!と言ってくれたものを……。

 

それからはひたすら迷走して食べすぎたフリュネは腹を壊してディアンケヒトファミリアに入院した。

 

そしてオッタルとヘグニはユウに不味いと言われ、基本的な出汁の作り方を聞いて落ち込んだ。

 

尚、次の日からは聞いた作り方でまたひたすらラーメンを作り、フリュネも復帰して至高の一品を求めて3人で前に進んでいる模様。

 

宿暮らしは可哀想で、なおかつまともになったフリュネはラーメン同士のオッタルとヘグニのおかげでフレイヤファミリアに移籍したらしい。

オッタルとヘグニ、特に他者とあまり接点を持たないようにしていたヘグニの懇願にフレイヤが折れたともいう。

 

 

「ふむ。次はラーメンの屋台を出すか。」

 

 

「オッタルゥゥゥゥゥ!!それだけはやめなさいっ!!まだ冒険者をしてなさーーーい!!!」

 

今日もまた美の女神フレイヤ様の怒鳴り声がオラリオに響き渡る。

 




ま・さ・かのcome back ガマガエルww


どっかでフリュネはネタ要員で出したかったんだよなー

原作崩壊とかキャラ崩壊のレベルじゃねーな。
作者ラーメン大好きですが作り方とか知らないんで結構適当に書いてますのでおかしいところとかあれば指摘ください!!

次回予告!!

ヘタレアラフォーと無法地帯の良心の恋模様。
這い寄る新ブラコンバーサーカー。

※多分次回予告通りに書くと思います。


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クラネル兄弟の居ないオラリオだお☆Part4

予告通りフィンとリリ、時々新ブラコンバーサーカーです。

それと遅くなって申し訳ありません!!


クラネル兄弟がオラリオを出て3日。

ロキファミリア団長フィン・ディムナの私室に1人の獣人が腕を組んで壁にもたれていた。

 

フィンはその獣人を怪訝そうな顔で見る。

入室を許可してから早五分。ずっとその姿勢で目を閉じて何も喋らないのだ。

 

まぁ洗っていた洗濯物をベランダに干したり、資料の整理などをしていたので別に良かったが。

やがてやる事が終わり、椅子に座る。

そのタイミングを待っていたと言わんばかりに獣人、ベートは口を開く。

 

「ようやく落ち着いて話ができるな。フィン。リリとあれから何かあったか?」

 

 

「え、ええ?い、いきなり何を言い出すんだい??まぁお互い忙しかったし特にこれといった事はないけど…。」

 

 

ベートは、ふっ。と鼻で笑う。

 

「フィン。ユウとベルが居ない間、あいつらはダンジョンには潜らないそうだ。

リリは戦術や指揮の勉強をしてるみたいだぞ?」

 

「そ、そうなのか。リリさんはおそらく僕より頭が切れる。いや、切れるというより下から上まで把握する能力といえば良いかな?

それが抜群すぎる。あれは完全に経験もそうだけどある種の才能だと思うよ。

そこに基本戦術を取り入れるか…。僕も負けてられないな。」

 

フィンは素直にリリを褒める。が、ベートは呆れたようにため息を吐く。

可哀想なやつを見る目でフィンを見る。

 

「フィンよぉ。そうじゃねぇだろ。今俺が言った事を聞いたら「なら僕がそういう事には一日の長があるから教えてあげよう!」くらい言えよ…。」

 

フィンはうっ。と言葉を詰まらせてしまう。

 

「それにあいつは1週間は地上にいるんだからデートに誘ったりしてやれよ。このヘタレアラフォー。」

 

「うるさいよ!!ヘタレアラフォーって言うなっ!!それにデート云々なんかベートに言われたくないよ!

ベートだって1、2回目ケーキ食べに行っただけらしいじゃないかっ!!」

 

「はっ!いつの話をしてんだよ!

こちとらヘタレアラフォーとはちげーんだよ!昨日一日中リーネと手繋いでデートしてたっつうの!!

ほれ。悔しかったらリリとデートしてみろ!ヘタレ勇者!」

 

フィンはベートの言葉を聞いて驚くも、ヘタレ勇者でキレた。やっすい売り言葉に買い言葉だ。

 

「なんだって!?ヘタレ勇者って言ったかいっ!?

良いよ!!そこまで言うなら僕が勇気を示してやる!ベートに出来て僕に出来ないわけないだろう?」

 

うっわ。ウチの団長恋愛沙汰に関してはポンコツもいいとこだわ。いつもの泰然とした態度はどこにいったんだよ。

 

そんな事を思いつつも言質は取ったからな!と言い、2人で言い合いをしながらヘスティアファミリアに向かう。

 

いつもなら話し合いをして、ある人物に対して石橋を叩いて確認した上で橋を使わずに船で川を渡るくらい慎重になる筈だが油断をしていたのだろう。

 

暗い光を目に灯すバーサーカーが壁の向こうにいることに気づいていなかった……。

 

 

 

 

 

フィンはベートと共にヘスティアファミリアのホームに到着する。

相変わらずベートは自分の所属しているファミリアのように門をくぐってズカズカと入っていく。

このファミリアの危機管理は大丈夫なのだろうかと本気で心配してしまう。

 

途中で命を見つけてリリを呼んできてもらう。さすがのベートも女部屋には突っ込んで行かないのか…。などとアホなことを真剣に考える勇者がそこにはいた。

 

 

「ベート様?リリに何か用事でも……。フィ、フィン様!?何故フィン様がここに??」

 

「おう。リリ。お前が指揮とか戦術を勉強してるって聞いてな!せっかくだからウチの団長を教師役に連れてきてやったぞ」

 

「や、やぁリリさん。今日は暇でね。ベートと話をしてたらリリさんの話題になったものだから。クノッソスでもかなり助けられたしね。

だからほんの僅かでもリリさんの助けになれたらと思ってお邪魔させてもらったんだ。」

 

フィンの言葉を聞いてリリは嬉しくなる。底辺といっても過言ではない状況から小人族の英雄とも呼べるフィンがリリ個人の為に教師として来てくれたのだ。

 

それにヘスティアファミリアはブラシスコン鍛錬馬鹿が3匹(ユウ、ベル、フィルヴィス)、脳筋鍛錬馬鹿が2匹(ヴェルフ、命)がいる。

いつも馬鹿一直線なので注意するのがリリと比較的まともなアイシャだけなのだ。

 

そのアイシャも春姫が関わるとシスコンバーサーカーに変貌してしまう。

一度春姫とウィーネが酔った冒険者に屋台からの帰りに絡まれた時はホームに居たにも関わらず「春姫が危険!!」と叫んで猛スピードで飛び出してその冒険者をボロクソにしていた。

 

そう。ヘスティアファミリアは主に主神であるヘスティアの胃がやばいが、唯一の常識人であるリリの胃もやばかった。

 

よってフィンのようなまともで真面目な冒険者と話をできる機会はリリの胃を助けるセラピーと化していた。

 

 

「有難い話です……。ウチのメンバーは大半が脳筋ですので……。

そこに他派閥の脳筋や怪人まで集まってくるので…!!

ねぇ?ベート様??」

 

俺が雑魚を見る時ってこんな目をしてんのかなー。と思い、目をそらすベートだった。

 

フィンは苦笑いする。ああ、リリさんは大手派閥の団長の僕以上に苦労してるんだなと思ったり思わなかったり。

 

「そ、それじゃ俺は命といつも通り鍛錬してくっから。フィン後は任せたっ!!」

 

ベートはリリの視線に耐えきれなくなり、ダッシュで逃げ出した。

 

 

「す、すまないね。ウチのベートが。」

 

「いえ、あんな風に言いましたがリリはベート様を尊敬していますよ。

ユウ様やベル様だけでなく、ヴェルフ様や命様の鍛錬にも付き合っていますからね。

それにリリを助けてくれた時も口は悪かったですがユウ様、ベル様に次いで認めてくれたので。」

 

フィンは自分が思っていた以上にベートが早く、そして良い方向に成長していたことに気づく。

 

 

「そうかい…。これからもベートやレフィーヤ、アイズを頼むよ。

こんなこと他所の派閥に頼んじゃダメなんだろうけどね。

それよりリリさんも団員の事でストレスが溜まってるみたいだし、ど、どこか一緒に出かけないかい?

いや、あれなら全然良いんだ。うん。」

 

自分で誘ってあたふたしているフィンを見てリリはクスリと笑う。

フィン様っていつも凛々しいのにこんな一面もあるんですね。

そんな事を思いつつもリリは用意をしてくると伝えてユウが置いていったクッキーと紅茶を出して待ってもらう。

 

 

よしっ!よしっ!とりあえずデートに誘えたぞ!!見てみろベート!僕だってやれるんだ!

 

そんなことを思っているポンコツ勇者だった。

 

 

しばらくしてリリはフリルのついた可愛らしいワンピースを着てきた。

フィンは見惚れて固まってしまうが、前回の教訓を生かしてすぐに服装を褒める。

 

そのあと2人で街に出かける。リリがベルやユウから教えてもらって行けていないカフェに行きたいと言い、そこに行く。

 

 

 

リリがフィンの分のケーキとコーヒーも一緒に頼む。

フィンは少ししてから2人で、それも自分が誘い、了承してくれたことを思い出し嬉しくなってしまう。

 

「それでリリさんは指揮と戦術の勉強をしているんだよね?」

 

とりあえず本来の目的である指導について、リリの考えと理解の深さを聞いてみる。

 

「はい。リリは基本的に戦闘はできませんし、しません。そこは割り切ってます。

ならば戦闘をしている全員を生きて帰らせるのがリリの役割かな、と思います。

それに…ヘスティアファミリアは歪すぎるんですよ。」

 

歪という言葉の意味が分からず、フィンは問う。

 

「普段はもちろん素晴らしい方々だとリリも思いますが、戦闘に関してはアイシャ様以外の全員が相手は即殲滅。という脳筋仕様です。

モス・ヒュージの強化種、アンフィス・バエナとの戦いの際に全員が前衛として突撃するんですよ!?

馬鹿すぎるでしょう!!普段後衛をしてるエルフ様達に謝ってほしいですっ!!

 

しかもそれで結果が出てしまうんですよ……。

レベル?何それ?敵倒すのに関係ある?みたいな顔して飛び込んで行くんです……!

 

さすがにマズイと思ってリリの訓練にさせてください!って言って指示を聞いてもらいましたが。

 

それにウチのパーティ魔法攻撃する後衛が居ないんですよ…。それをみんなで話し合ったら魔剣が後衛とかわけのわからない事を言い始めますし…。

 

確かにヴェルフ様の魔剣はレフィーヤ様の魔法より威力がありますから補えてしまうんですが。」

 

 

フィンはリリの話を聞いて固まる。

そんな脳筋軍団、うちのメンバーより酷くないかい?僕でも御せる未来が見えないよ…。

 

「それだけでもしんどいのにユウ様ですよ!!

あの人の指示は的確なんです。本当に的確なんです。フィン様は知っておられますか?」

 

「あ、ああ。クノッソスでもユウ君の指示のおかげで助かった場面はあったよ。

彼は誰よりも早く状況を把握して最善の策を考えれるよね。」

 

リリは悔しそうに俯く。少し身体が震えているのは気のせいだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「違うんです。フィン様……。ユウ様のあれはノリと勢いで言っているだけで考えてないんです……。

直感だけで全ての策を踏み倒していくんです…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………はぁ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

フィンは思わず大きい声を出して立ち上がる。

 

 

そんな馬鹿な。彼は作戦を決める時の集まりでもあの類い稀な頭脳で色々と気づかせてくれた。

ノリと勢いなわけがない。だがリリさんがこんなに悔しそうに言うなんて本当どうなってるんだ??

 

 

「フィン様が疑問に思う事はリリもよくわかります。

ユウ様はそもそも頭が切れるのは間違い無いです。ですが戦闘時には、やばい気がする。こっちはマズそうだなー。とかだけで指示を出してるみたいなんです…。」

 

 

フィンはようやく理解した。クノッソス侵攻の作戦もこの考えは組み込んだ方が良いとだけ伝えて作戦の全容はフィンに丸投げしていた事に。

 

そうか。そういうことか。ユウ君は纏めるのが苦手でその場その場での指示は直感だったのか…。

そして嫌がらせを主体で考える作戦はノリが継続するから擬似戦争遊戯みたいに完璧に考えれるのか…。

 

ユウの本質。愉悦とブラシスコンに気づいたフィンだった。

 

「フィン様もお気づきになられましたか。だからリリみたいに必死で策を練るタイプとは根本から違いすぎるのです。

ですからユウ様から教わっても意味がほとんどありません。リリはそんな直感を持ってはいませんから。

 

ですがリリはそんなことで歩みを止めるつもりはないんですよ。直感がダメならば知識量と経験です。

知識があって困ることはありません。なのでリリは今までに使われた戦術や指揮系統を調べていたんですよ。」

 

 

ふぅと息を吐き、少し冷めてしまった紅茶を飲む。

 

心から震えた。この苛烈な向上心を目の当たりにして。

小人族はその名の通り小さい。成人男性でもヒューマンの子供と似たり寄ったりの身長だ。

 

だから扱いが酷かったり、夢半ばで諦めたりする同族は多かった。それをフィンは見てきた。

 

だが正面に座っている少女はどうだ?弱き立場だった。略奪、利用される立場だった。

そこでも耐えに耐えてある兄弟に救われた。それからファミリアとして一緒に成長してきた。

だがそのファミリアの面々は各自がとんでもない速度で上に駆け上がる。

 

それを近くで見てきた少女は絶望しなかったのだろうか?私にもっと才能があれば、と。

しかし少女は誰の手を借りるわけでもなく自力で立ち上がる。自分だけの武器を手に入れる為に。

 

まさに不屈。自分以上の意志の強さ。

 

 

フィンは歓喜する。

これだ!これなんだ!僕が認め、憧れていた女性は!!

認めるよロキ、ベート。僕は誰よりもリリルカ・アーデを愛している。

 

 

 

 

 

 

「…………団長〜?何してらっしゃるんでしょう?」

 

 

 

 

 

カッコいいことを思っていると極寒の大地に立たされたような寒気がした。

背後から地獄の怨念かくやとも言える声が聞こえてくる。

 

ギギギと錆びたネジを回すように背後を見るとバーサーカーがいた……。

 

 

「や、やぁティオネ。奇遇だね?何をしているんだい?」

 

 

「団長〜?何をしているんだい?は私のセリフですよー?」

 

リリは巻き込まれないように机のケーキを持ってそっと離れる。

が、逃げられない。ティオネに頭を掴まれた!!

 

「ねぇあんた。どこの泥棒猫?正直に答えやがれっ!!」

 

 

「はぁ。痛いですしうるさいです。ヘスティアファミリアのリリルカ・アーデです。」

 

ヘスティアファミリアと聞いてティオネは少し何かを思い出したのか頬を染めて手を離す。

 

ん?おやおや?これはレフィーヤ様と同じ気配がしますよ?ユウ様さすがです!!突破口見つけました!

 

リリは戦闘の直感はないがこういう直感はあるみたいだ。

 

 

「ふむ。ユウ様がおっしゃっていた可愛らしい妹になるかもしれないティオネ・ヒリュテ様ですか?」

 

「え?え?ユウが?それほんと!?あ、私がティオネよ。よろしく。」

 

チョロい。チョロすぎますよティオネ様。

 

 

「ええ。よろしくお願いします。ところでティオネ様は何故こちらに?」

 

 

ティオネはその言葉で顔を顰め、徐々に泣きそうになっていく。

 

リリは席を進めてティオネを座らせる。

 

 

「今朝、団長とベートが話をしてて…。デートがなんだとか言ってて…。だから凄く気になって。」

 

 

フィン様あれだけ気をつけてくださいと言ったのに!!とリリはフィンを睨む。

フィンは肩を落としてしまう。

 

 

「なるほどですね。フィン様。少し席を立ってもらってもよろしいですか?1時間ほどしたら戻って来てください。」

 

 

フィンは即座に動く。ここで逆らえばどうなるかわからないからだ。

フィンが居なくなってからティオネはしょんぼりして俯いてしまっている。

 

「ティオネ様。ティオネ様は本当にフィン様を慕っておいでですね。よければ今までどんな事があったかリリに聞かせてもらえませんか?」

 

ティオネは頷いてどんどんフィンとの出会い、出会ってからこんなにカッコ良かった。

助けてもらった!あの団長は素敵だった!など語っていく。

 

リリも笑いながらその話を聞いていく。

 

 

「でもわかったんだ。団長は私を女としては見ていないのを。それでもアマゾネスとして諦めるのは嫌。」

 

リリは紅茶を飲みながら一呼吸おいてティオネの目を見て言葉を紡ぐ。

 

 

「ティオネ・ヒリュテ!!」

 

ビクッとするティオネ。

 

 

「あなたはアマゾネスの血の為に恋愛をしているんですか!!相手が見ていない??

そんなの当たり前でしょう!!ティオネ様がフィン様の本質を見ていないのだから!!」

 

 

「な、何を!!最近団長と話すようになった癖に何がわかるって言うのよ!!私はずっと団長をみてきたんだ!

リリに何がわかるのよ!!」

 

 

「ええ。そうでしょうとも。過ごした時間がティオネ様とは遙かに違います。

リリがぽっと出の奴というのも認めますとも。

ですがリリは1つ。

たった1つですがフィン様の本質を理解しています。

 

ティオネ様は自分の愛情をフィン様に押し付けてはいませんか?」

 

ティオネは最後の言葉を聞いてリリの胸ぐらを掴む。

 

「ふぅ。次は暴力ですか。ティオネ様はリリの過去にいた冒険者様と同じですね。

気に入らなければ殴り、蹴る。略奪するのは当たり前。」

 

 

 

 

 

 

 

「…………フザケルナ

 

 

リリの怒気に思わずティオネは手を離して後ろに下がる。リリは地面に落ち、立ちながらティオネを睨む。

 

 

そのリリの視線にティオネはゴクリと喉を鳴らす。

あまりにも先程までの可愛らしい小人族とは違いすぎる。全ての冒険者を憎んでいますと言わんばかりの視線だ。

 

 

「ティオネ・ヒリュテ。あなたはフィン様をわかっていない。

 

フィン様の本質の1つは誇りだ。

 

でもあなたは誇りを勘違いしている。誇りは種族ではない。

親でも祖父でも友達でもない。自分自身が積み重ねてきたものが誇りになるんだ!!

 

リリは底辺だった!!でもその現状に負けたくないから積み重ねててきてここまで来れたんだ!!

 

フィン様だってリリと話をしてくれるのはその積み重ねがあったからだ!!

 

答えろ!ティオネ・ヒリュテ!!

あなたがやっていることは誇りがあるのか!!」

 

 

リリは覇気を出しながらティオネを問い詰める。

ティオネはそのリリの覇気に怯む。

 

 

私は団長が大好きだ。それこそ誰にも負けないくらいに。

でもリリルカ・アーデ。この人はなんなんだ?私の怒気にも反応せず、むしろ私以上に怒っている。

それも私が団長を理解していないから怒っているのだ。自分も胸ぐらを掴まれたりしているのに…。

 

ティオネはポロポロと涙を流してしまう。

何故なのかはわからない。怖かったからかもしれない。リリの言ってる言葉に反論できず、悔しかったからかもしれない。

フィンの本質を理解できていなかったからかも知れない。

 

とにかく何もわからないけどティオネは泣いた。

リリはティオネの頭を撫でてあげる。ユウがベル達によくしているように。

 

「ティオネ様。知らない事は知っていけば良いのですよ。リリもそうしてます。

今回フィン様と会っていたのは指揮と戦術について教わる為だったんですよ?

リリのパーティには脳筋しかいませんからね。」

 

それに、と続く。

 

 

「リリはフィン様が少し気になっています。それは認めます。ですがお相手が1人と決まっているわけではないでしょう?」

 

ティオネはどういう事だ?と顔をあげる。

 

「ユウ様を見てください。まだ付き合っていないみたいですが何人もの女性とデートに行ってますよ?

 

ならティオネ様も一緒にフィン様を落としちゃえば問題ないでしょう!!」

 

ティオネは口を開けて固まってしまう。

え?何言ってるのリリルカサン??さっきまでの怒りは?ハーレムってこと?あ、でも団長とリリと一緒なら楽しいかも…。

 

ティオネは即座にリリと握手をする。リリも可愛らしい笑みを浮かべる。

 

 

その後はゆっくりと話をして、どうやってフィンを落とすか。

という相談やご飯を作れるとフィンは喜ぶとリリが伝えたりしていた。

 

 

 

それから1時間後ぴったりにフィンは帰ってきた。

 

ティオネは素直に邪魔をしてすみませんでしたと謝る。フィンはまさか謝られるとは思っておらず固まってしまうが。

 

それからは3人で指揮や戦術の話をした。ティオネもアイズやティオナ、レフィーヤなどとパーティを組むと指揮官になるので凄く勉強になった。

 

フィンはせっかくのデートだったのに…と落ち込んでしまったが。

 

3人はそのまま晩御飯も一緒に食べることになり、豊穣の女主人に向かった。そこで出てきたご飯がユウのレシピだと知ったティオネはリリに質問する。

 

 

「ね、ねぇリリ?ユウのことお兄ちゃんって呼んでも大丈夫かしら?それと料理教えてほしいわ。」

 

 

「お兄ちゃんに関しては大丈夫だと思いますよ?本当にティオネは可愛い妹みたいに見えてきたって言ってましたし。

料理はちょっと直接聞いてもらわないとわからないですね。でも聞くならお兄ちゃん呼びしてからにしたら良いと思いますよ?

ユウ様は妹と弟と認めたらひたすら甘くなりますから。」

 

 

ティオネは素直に頷く。フィンはティオネが、あのティオネが自分と一緒にいた女に怒らずに楽しそうに会話をしているのに内心すっごく怖かった。

 

 

ご飯を食べて、ヘスティアファミリアのホームに送っていく。門の前で別れる時にリリは口を開く。

 

「今回は今回で楽しかったですが次回は2人きりでのデートを楽しみにしてますね?」

 

言うだけ言ってリリはホームに入っていく。固まっているフィンと笑うティオネ。

 

「ほら団長?私達もホームに帰りましょう?それと団長。私も諦めませんよ?

リリとデートに行くのは別に良いです。でも私ともデートしてくださいね?」

 

ふんわりと笑うティオネを見てフィンは思わず笑ってしまう。

 

バーサーカーのティオネがこれほど変わっていくとは。

ユウと出会ってからどんどん良い方向に進んでいく自分達の団員を見てフィンは素直に喜ぶ。

 

 

優しくティオネを見て笑う団長(ちょうなん)だった。

 

 

 

 

 

ちなみにこのカフェに居た他の客は我先にとティオネが現れた時点で逃げていた。

 

 

しばらく勇者は二股をかけていて女同士が大ゲンカしていたと噂が流れることとなり主神に大爆笑される胃を抑えた団長様が居たとか。




フィンすまん!!
もっとイチャつかせたかったけどリリとティオネの友情が深まっただけだったww

この話は書いて消して書いて消しての繰り返しでした。ティオネの扱いが凄くむずかったですw

土曜からは更新ペースまた早くなるとおもいまーす!


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クラネル兄弟の居ないオラリオだお☆Part5

時系列めちゃくちゃになってるのに気づいて手直ししてたらなんか全部消えて心折れた。

遅くなりすみません!!


リヴェリア・リヨス・アールヴ。

オラリオに住むエルフ、いや大陸中どこにいるエルフも知っているといっても過言ではない王族エルフ。

 

王族として何不自由ない暮らしが出来るのにその全てを捨ててオラリオに冒険者となるべくやって来た変わり者といえば変わり者のエルフ。

 

そんな変わり者の王族エルフはこの世に生を受けてから一番とも言えるほどの悩みがあった。

 

娘の様に小さい時から可愛がってきたアイズ・ヴァレンシュタイン。

愛弟子とも呼べる可愛い弟子、レフィーヤ・ウィリディス。

 

この問題児2人についてだ。つい先日のことだった。

 

 

 

 

「2人とも。私が言いたいことがわかるか?」

 

アイズとレフィーヤは首を傾げて疑問符が頭の上を飛んでいた。

 

「こ・の!大馬鹿どもが!!アイズ!!お前はベル君が居ないのに何故ヘスティアファミリアのベル君の部屋に入ってベットに勝手に潜り込んでいるんだ!!」

 

そう。この娘はベルが居ないのをいいことにベルのオフトゥンの中に入って臭いをクンカクンカしているのだ。

 

そのことを知ったヘスティアが胃を抑えながらロキファミリアに来て勘弁してくれと言いに来たのだ。

流石のロキも顔を引きつらせて謝り倒していた。

 

 

「それとレフィーヤ!!お前はフィルヴィスと一体何をしているんだ!!

フィルヴィスはまだヘスティアファミリアだから良いが、お兄ちゃん不足です!と呟いて真顔でオラリオ内をキョロキョロしながら歩くな!!

どれほど苦情が来ていると思っている!!」

 

レフィーヤはユウと会えなくてユウの幻覚が見え始めたのかお兄ちゃんお兄ちゃんと呟きながらキョロキョロしてオラリオ内を徘徊していたらしい。

 

その姿があまりにも怖く、色々な神々や、冒険者、果てにはギルドから苦情が来ていた。

ロキも真っ青になり、アイズの事を言いに来たヘスティアと共に胃を抑えていた。

 

「だって…ベルの匂いに包まれたかったんだもん…。」

 

 

「お兄ちゃん成分が足りないんですよ…。」

 

 

「この大馬鹿どもが!!1週間やそこらだろう!!

それくらい耐えんか!!それにアイズは不法侵入だぞ!!」

 

アイズは頬を膨らませながら文句を言う。リヴェリアに対して一番言ってはいけない文句を。

 

 

「リヴェリアは、恋をした事がないから、そう言える。恋したらわかるもん!!」

 

リヴェリアは固まる。確かにもういい歳だ。なのに恋愛の1つもしていない。

これに関しては本人もロキファミリアの現状を鑑みてもかなりコンプレックスになっている。

 

娘の様に育てて来たアイズの恋。

 

バーサーカーのティオネの恋。

 

ベートとリーネについても聞いている。

 

何よりほぼ同じ時期に入団したフィンの恋。

 

最近だけでもこの4人の恋を目の当たりにしてしまった。リヴェリア・リヨス・アールヴ。少し憧れていた。

 

 

「え?え?リヴェリア様も恋はした事ありますよね?成就したかは別にして。いえ、私も恋はわかりませんけど。」

 

リヴェリアはその言葉に対してサッと目を逸らす。まるでした事がないと愛弟子に伝えるように。

 

さすがのレフィーヤもドン引きしてしまう。なんせオラリオ中のエルフが、憧れ、慕っている王族エルフ。

 

あの王族エルフであるリヴェリア様が1度も恋をしたことが無いと態度で示すのだから。

 

それにリヴェリアは長寿のエルフだからこそ20代くらいの美しさを保っているが実年齢は……

 

レフィーヤは考えるのをやめた。何か恐ろしい事が起こる気がしたから。

 

「ほら!リヴェリアは恋をした事がないから、わからないんだよ!!ユウお兄ちゃんもベートお兄ちゃんも、恋はいつでもハリケーン?って言ってたもん!!」

 

リヴェリアは頬をヒクつかせながらアイズを見る。

 

「仮に私が恋愛をしたとしよう。それでも私は今のアイズの様に法を犯してまで相手を自分のものにしようとは思わんっ!!

お前が今しているのは犯罪だぞ!?

 

それにベル君がそれを知ったら嫌がって嫌うかも知れんぞ?そこまで考えて行動しているのか?」

 

アイズもベルの名前が出て、なおかつ嫌われるかもしれないと言われて目に見えて狼狽してしまう。

 

そのアイズの態度を見てリヴェリアも大丈夫だろうと思う。

次はレフィーヤだ。

 

「レフィーヤよ。お前がユウ君を慕っているのは私が一番良く分かっている。

だがな。今のレフィーヤの姿をユウ君が見たら悲しむのではないか?

自分のせいでレフィーヤが悲しんだと知れば…。

 

これ以上は言わんがな。」

 

 

「でもお兄ちゃんは会いたくて会いたくて震えるって人も居るんだぞ?って言ってましたよ?

私は震えないで探してるだけなので大丈夫ですっ!!」

 

「大丈夫なわけないだろう!!苦情があらゆる所から来てるんだぞ!?

妹が色々なとこから苦情を受けていると知ったら兄でも悲しむわ!!」

 

レフィーヤもうなだれてしまう。

 

リヴェリアはこれでとりあえずは大丈夫か?と考える。

だがママと呼ばれるリヴェリアだ。このまま悲しんでいる娘2人を放ってはおけない。

 

「ふぅ。2人共。説教はこれで終わりだ。お前達がそこまで気に入っているクラネル兄弟の良いところを教えてくれないか?」

 

2人はリヴェリアの声に反応して目をキラキラさせる。

 

「「ベル(ユウお兄ちゃん)は!!………」」

 

「レフィーヤ。私が先にベルの話をする。」

 

「アイズさん。お兄ちゃんはなんでも一番なんです。お兄ちゃんの話が先なので控えてください。」

 

むー!!と2人は睨み合う。

 

 

え?普通に話を聞きたいだけで喧嘩になるのか?この2人怖いんだが…。

 

リヴェリアは思わず固まってしまった。

 

「ユウお兄ちゃんの話も私がしてあげる。ベルのお兄ちゃんだから私も話できる。

後輩は先輩の言葉に従うべき。」

 

 

「お言葉ですがアイズさん。アイズさん程度ではお兄ちゃんの事は何1つ理解出来ませんよ。

お兄ちゃんとベルが始めて会ったのは?お兄ちゃんとベルがアスフィさんと仲が良い理由は?」

 

アイズはベルからそんな話を聞いていないので狼狽えてしまう。

 

そんなアイズを見てレフィーヤは鼻で笑う。

 

「ふっ。所詮アイズさんなんてそんなものですっ!

このレフィーヤはユウお兄ちゃんの最初の妹なのです!!だからお兄ちゃんとたくさん話をしていますしベルとアスフィさんを除けば私が一番知っています!

それにアイズさんは口下手なんですからすっこんでてくださいっ!!」

 

昔はアイズの事を神聖化までしてたレフィーヤがこんなに攻撃的になってしまうのか……。

ユウ君。君はどうやってレフィーヤをこんなにしたんだ…。

 

リヴェリアは頭が痛くなってきた。

 

 

「そ、そんなことないもん!ベルのユウお兄ちゃんの好きなところなら私が一番わかるから!!」

 

「ふっ。甘いですねアイズさん。ベルと私も姉弟なんですよ?ベルとはほぼ毎日お兄ちゃんの話をしたり鍛錬している私がお兄ちゃんの好きなところ自慢をしてないとでも??

アイズさんはもうすっこんでてくださいっ!!

このレフィーヤの相手にはなりませんっ!正直言って相手不足すぎですっ!!」

 

アイズは涙目になる。確かにユウについてでは分が悪すぎる。

レフィーヤのブラコンはスキルに出るほど強烈なのだから。まぁそれを言えばユウの弟妹は全員スキルになっているくらいブラコンだが。

 

それからと言うもの、レフィーヤのユウお兄ちゃん自慢が2時間に渡って繰り広げられる。

アイズもベルから聞いていたのか所々で相槌や、説明の補足をしてくる。

 

リヴェリアはお腹いっぱいだった。むしろ胸焼けするレベルでお腹いっぱいだった。

 

その後にはアイズによるベルのカッコいいところ好きなところ自慢が始まる。昼過ぎに説教を始めたのにいつのまにか夜だ。

 

1つ咳払いをして2人の自慢を止める。これ以上は精神が死んでしまう。

 

「なるほどな。お前たちが2人をどれほど慕っているかがよくわかった。

母親代わりとしても嬉しい限りだ。

だが、だからこそユウ君とベル君に迷惑がかかる行為は自制すべきだと私は思う。

もう2人とも分かっているだろうから言わないがな。

 

 

それと2人とも。今回の罰として明日は私と勉強とテストをしてもらう。」

 

アイズは勉強とテストと聞いて地獄の底に落とされたような顔をする。

対してレフィーヤはユウと色々な本を読んだり、勉強したりしているので余裕そうな顔だった。

 

リヴェリアはロキから簡単でええからテストとか適当に言ってあの子らの内心がどないなっとるか探ってくれへん?と言われていたのだ。

 

それから3人で夜ごはんを食べて、明日の朝にリヴェリアの部屋に集合と言って別れた。

 

 

 

 

「よし。時間通りに2人共来たな。それではこれからテストを始める。簡単な問題だから大丈夫だ。

それに答えも色々あるだろうからお前達が思う答えを書いてくれ。

できれば理由も書いて欲しい。」

 

 

テストを渡されて2人は書き始める。

 

 

【問 1】

レベル差がある相手を倒すのに必要な事は?

 

A アイズ

強くなること。 強くないと勝てないから。

 

A レフィーヤ

ユウお兄ちゃんと一緒に戦う。 ユウお兄ちゃんは負けないから。

 

【問 2】

ユウ君とベル君が闇派閥の罠にはまり、囚われている。どちらか片方しか助けれない場合どうする?

 

A アイズ

ベルを助ける。 ユウお兄ちゃんは死ななそうだし自分でどうにかしそう。

 

A レフィーヤ

ベルを助ける。ユウお兄ちゃんは死なないから。

 

【問 3】

魔法を使う時に一番気をつける事は?

 

A アイズ

風を吸い取られないこと。 風が無くなると意味ないから。

 

A レフィーヤ

周りに被害が出ないようにすること。 損害賠償が多くなるから。

 

【問 4】

ロキのバカ!もう知らない!を丁寧語で言えばどうなる?

 

A アイズ

丁寧語?ロキに丁寧に言う必要ない、と思う。

 

A レフィーヤ

我が愚かなる主神様。貴様にはほとほと愛想が尽きた。

 

 

簡単なテストと言われたが意味が良く分からなかった。特に問 4に関しては何を求めているかがわからなかった。

 

リヴェリアはその答えを見て眉間にシワが寄る。

 

「まぁ問2はいいだろう。だが問1のアイズの答えはなんだ?だから脳筋天然娘だとユウ君に言われるのだろう。

レフィーヤの答えは一応正しい。強い人に頼るのは間違いではないからな。

 

問3は……マインドダウンとか、フレンドリーファイアとかにして欲しかったが。まぁ間違いではないがレフィーヤの答えはちょっと俗世すぎないか?

 

問4はロキが書いていたから私は知らん。それとレフィーヤ。これは丁寧語でもなんでもない。

ユウ君語だな。少し笑ってしまった手前強くは言えんがもう少し頑張れ……。」

 

リヴェリアはこの2日間で胃が痛くなってきた。あんなに可愛がって育ててきたのにこの答えだ。

あまりにもユウ・クラネルに毒されすぎじゃないだろうか?特にレフィーヤ。

 

それと2人のユウ君への信頼はなんなのだろうか。ユウ君も死ぬ事くらいあるだろう。

あるよね?でもクノッソスでも肉壁にのまれても死なないどころか怪我すらしてなかったしな……。

 

やがてリヴェリアはユウについて考えるのをやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロキ。これが意識調査のテストみたいなものだ。答えを見たがこれは酷い。

レフィーヤはユウ君に毒されすぎているしアイズは脳筋で天然のままだ……」

 

ロキはリヴェリアから貰った答えを見て頬を引きつらせ、顔を青くする。

 

「痛っ、いたたた。あかん。また胃が痛くなってきたわ。レフィーヤの最後の答えひどすぎん?

ユウたんが好きそうな答えやけどな?毒されすぎやろ…

ちなみにベートの答え見る?」

 

問1

技術。仲間。 技術があれば戦える。仲間がいれば討伐できる。

 

問2

その状況になるわけがねぇ。よって議論の必要性が無い。

 

問3

魔法っつーのは相手を必ず殺す必殺技だと思うから一撃で相手を殺しきる事に一番気をつける。

 

問4

ロキ様の無乳!もう胸の大きさくらい存在価値が無いですね。

 

 

「1から3まではええわ。成長したなーと思ったわ。ほんでも4はひどすぎひん?

丁寧語ってこんなに神をえぐるもんやったっけ?

これ完全にベートとレフィーヤはユウたんがフレイヤに対する姿勢を意識して書いとるよな??」

 

もうリヴェリアは何も言えなかった。ロキファミリアも終わりだなとか思ったりしてた事は誰にも言えない。

 

2人はしばらく無言の時間を過ごす。そしてお互い考えがまとまったのか顔を見合わせて頷く。

 

 

「「もう無理だ。見てなかったことにしてフィンに押し付けよう。」」

 

2人は握手をして我らが団長様に押し付けることにした。

 

 

「そーいやリヴェリア。レフィーヤとアリシアの喧嘩ってかレフィーヤの説教しっとるか?」

 

リヴェリアは知らなかったので驚いて首を横に振る。

 

「なんかなーアリシアがレフィーヤの才能が羨ましいって言うてんて。

ほんでレフィーヤが怒ったんやって。そん時にレフィーヤが言うたこと聞いてんけど不覚にも女神のウチも感動してしもたわ。

 

羨んでても仕方ないでしょう。強くなりたければ一歩でも前に進むしかありません。

それにアリシアさんは才能なら大丈夫です。

何かに一生懸命になれるのはそれ自体が才能なんですから

 

やって。ウチな、それアリシアから聞いたんよ。レフィーヤに聞いたら最初の方にユウたんにボロクソにやられて泣いとった時に言われたんやって。」

 

リヴェリアはレフィーヤの言った言葉に驚きつつも納得してしまう。たしかに何かに一生懸命になれるのはそれ自体が才能だろう。

それこそ一生懸命になるくらいその道が好きなのだから。

 

私はどうなのだろうか?たしかに強くなった。最強の魔道士とも言われたことがある。

だが最近ではレフィーヤが追随してきており、下手をすればもう抜かれている可能性まである。

 

王族の血によって生きにくいエルフの森から抜け出てオラリオに来た。そのことに関しては一切後悔はないと言い切れる。

 

だが下の者達が強くなってきてそれに負けないという気持ちよりも良く頑張っているな。としか思えなくなっている自分もいるのだ。

 

私には何かに一生懸命になる才能はなかったのだろうか?

 

 

 

そんな難しい顔をして考えているリヴェリアにロキはため息を吐く。

 

 

「ママ。考え過ぎやで?はぁ。これはほんまは言うつもりなかってんけどなぁ。

サービスや。リヴェリアの助けになるかはわからんけど考えてみ?」

 

リヴェリアはロキの目を見る。

 

「ユウたんが言うてた事や。それも会ったばっかの時やで?

リヴェリアさんは王族のしがらみが嫌でオラリオに来たとおっしゃってましたが甘ちゃんですよね?

俺の尊敬してるどこぞの錬金術師と仲良しな王様の言葉なんですけどね?

 

王は民の為にあるもの。民無くして王はありえないってね。

 

リヴェリアさんはその辺勘違いしてますよね。エルフはみんな畏まっているのがーとか言ってましたもん。

その時はエルフにとって大切なんですよって言いましたけどリヴェリアさんは王族としての心が甘ちゃん過ぎると思うんですよねぇ。

 

ま、エルフにはエルフの価値観があるでしょうしリヴェリアさんはリヴェリアさんの価値観があるんで直接は何も言いませんがね。

 

やって。」

 

リヴェリアはユウの言葉に愕然とする。正しくその通りだと思う。

 

自分自身が民の為などと考えてもいなかった。己が王族の血やしがらみが嫌で逃げ出したのだから。

 

自分の心に何かが灯るのがわかった。これはなんなのだろうか?

レフィーヤやベート、アイズ、フィンまでもがユウを気にいるのが良くわかる。自分自身もユウを気に入っていた。だがここまで自分を分かってくれて、苦言を呈してくれる人がいただろうか?

王族と分かっても態度を変えず、呼び方も言えばすぐに直してくれた。

 

 

ロキはリヴェリアの様子を見て、これで大丈夫かなと思う。リヴェリアは考え過ぎる時がある。

だがこれで大丈夫だろう。というかユウの言葉は悩んでいる人に対して効果が絶大すぎる。

 

ロキは思い出したように口を開く。

 

 

「……不自由である事と不幸である事はイコールじゃない。哀れに思う必要はないでしょう。」

 

リヴェリアは目をロキに向け、問う。

 

「あ、いや、な?ユウたんがリヴェリアについて言うてた事の後にボソッと言うてたんよ。

意味とかは聞いてへんねんけどなんか思い出してなー。」

 

 

「ふむ。不自由と不幸はイコールでは無い。か。まったくもってその通りだな。

だが私がオラリオに来た当初はそう思っていた。何か全てを見透かされているみたいだ。

彼は素晴らしいヒューマンだな。レフィーヤやベートがあれほど懐くのも良く分かる。」

 

そう言って誰もが見惚れる笑顔を見せる。ロキはその笑顔を見て固まってしまう。

 

リヴェリア……あんたまさかユウたんの事……。リヴェリアにはユウたんがフレイヤにもババアはお断りって言うてんの黙っとこ。

知らん方がええこともあるもんな?うん。

 

リヴェリアはそんなロキの内心が分かるはずも無く、今までのユウとの会話を思い出してクスクス笑っている。

 

「ママ。まさか遅めの春が来たんか??まぁユウたんが相手やったら他のエルフに狙われても余裕やろーけどな。

ほんでも大変やで?アスフィちゃんにレヴィスにリューたんもそうやって言うてたしなぁ。

ほんで妹にレフィーヤとフィルヴィスのエルフコンビやろ?エルフ率高いな…。」

 

 

「な、な、何を言ってるロキ!!別に私は好きなどとは言ってないだろう!!

い、いや嫌いでは無いぞ?いつも大切なことは気づかせてくれるし…。王族でも態度は変えないし……。」

 

頬を染めて慌てて否定する行き遅れ王族エルフ。ロキは何も言わずにただ笑いを堪えていた。

 

普段はママと呼んでいてもロキからすればやはりリヴェリアも可愛い子供だ。

リヴェリアの恋?も成就したら良いのになぁ。と思う。それと同時にババアはお断りとユウが言わない事を神なのに祈る。

 

 

どうやらロキの胃はリヴェリアの恋に関しても痛めつけられるようだ。

 

そのあとたまにリヴェリアがレフィーヤとユウについて話をしたり、アイズと一緒にヘスティアファミリアにお邪魔することが増えたりしたのはご愛嬌だ。

 

 

ちなみにロキファミリアのエルフ軍団ではユウ・クラネルはエルフキラーだ!!と大騒ぎだったらしい。

だが残念なことにレフィーヤの擬似戦争遊戯でのアリシアへの殺気を直に見ていたので誰1人と直接言うことはなかった。

 

 

リヴェリアはユウが帰ってくるのを楽しみにしていた。ロキから聞いた話を直接聞いてみたかったから。

それに自分の事を少しでもユウに知ってほしかったから。

 

これが恋なのかはわからないが少しずつでも理解していければ良いと思う。

 

 

「アイズ!!逃げるなっ!!ヘスティアファミリアに行くなら私も行くと言っているだろう!!」

 

 

「やだ!リヴェリアと行ったらベルと2人きりになれない!!」

 

 

 

 

今日もロキファミリアのママは娘たちを怒鳴り、己の恋心と対峙したりで大忙しだ!

 




いやー遅くなりました。

まさかのリヴェリア様編でした。

久しぶりの休みで遊びまくってました。
遅くなったこと本当に申し訳ないです。


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クラネル兄弟の居ないオラリオだお☆Part6

さらば平成!

こんにちは令和!!

てことで令和になってもよろしくお願いします!

ではどうぞモジ(((´ω` *)(* ´ω`)))モジ


オラリオで一番と言っても良い医療系ファミリア。ディアンケヒトファミリア。

 

冒険者の命綱ともいえるポーション類、果てにはエリクサーなども販売している。

 

 

「ねぇねぇアミッドー!!ひどいと思わないっ!?ベートのやつレフィーヤとかアイズとかフィンはヘスティアファミリアに連れて行くのにあたしは連れて行ってくれないんだよっ!?

なんで!?って聞いても馬鹿だから。って言うんだよ!!」

 

苦笑しながら話を聞いているのはアミッド・テアサナーレ。ディアンケヒトファミリアの団長にして戦場の聖女と呼ばれる容姿が人形のように可愛らしい少女。

 

そのアミッドに話しかけているのは天下のロキファミリアが誇るレベル6の冒険者であり、大切断の二つ名を持つまな板……げふんげふん。ティオナ・ヒリュテだ。

 

 

何故ティオナがディアンケヒトファミリアに居るのかというと少し時間を遡らなければならない。

ことの始まりは当日の朝だった。

 

 

 

 

 

「ねぇねぇベート!ヘスティアファミリアに行くの??

あたしも暇だから一緒に行ってもいいでしょ?レフィーヤも一緒に行くみたいだしさー!」

 

ベートはティオナの言葉をものすごく、いや、言葉にできない程嫌そうな顔で聞いていた。

 

「んでだよ。暇ならタケミカヅチ様んとこで鍛錬してこいよ。テメェ今のままだと使えねーんだからよ。」

 

「あれからいつも行ってるよ!でも今日タケミカヅチ様はバイトなんだってー!

だからティオネもルル?リリ?ってヘスティアファミリアの小人族ちゃんと遊びに行っちゃったしさー。

ね?いいでしょ??」

 

ベートはティオネがリリと遊びに行ってることを知っていた。リリから色々聞いたのだ。

リリも嬉しそうにしていたしティオネがようやく前に進むことができたのがわかったのでベートも正直同じファミリア、家族として嬉しかったのを覚えている。

 

しかしこのまな板は別だ。何故ティオネ、レフィーヤ、アイズが良くてこの馬鹿がダメなのか全く分かってない。

というか考えてもいないだろう。

 

ため息を吐いてティオナに告げる。

 

「そもそもテメェはあそこの連中とそんなに絡んだこともねーだろ。

それに一応は他所のファミリアだぞ?俺やレフィーヤ、アイズは信頼されてんだよ。

その信頼を馬鹿のお前に崩されたくねぇから絶対に連れて行かねぇ。

おいレフィーヤ。行くぞ。」

 

レフィーヤは狼狽えつつもベートの言っている意味がわかるのか頷いて後に続く。

 

「え?なんでさー!!別にあたしは何もしないよ!!」

 

 

「ティ、ティオナさんっ!!何もしてないから問題なんですっ!!これ以上は私も言えないので……。

失礼します!」

 

まさかのレフィーヤにも問題があると言われてその場に立ちすくむティオナだった。

しばらくそこで何がダメなのか悩んで考えていたが全く思いつかない。

自分が考えるのが苦手で馬鹿なのは自分で一番わかっている。だから次は他人を頼ることにした。

とりあえず姉は居ないのでフィンとロキに話を聞いてもらうことにしてロキの部屋に行く。

 

扉をノックすると中から入室の許可が出たので入る。するとリヴェリア、フィン、ロキが何かを話していたようだ。

 

「ん?ティオナ?あんたがウチの部屋に一人で来るんは珍しいやん。なんかあったんか?」

 

「あ、いやー。大切な話してたんならあたし出直すよ??ちょっと相談に乗って欲しかっただけだし。」

 

ティオナは馬鹿だ馬鹿だと言われるが、場の雰囲気はしっかり読めるし何よりも相手の事を思いやれる子だった。

 

ロキはティオナが相談とは本当に珍しい。フィンは検討がついているのか苦笑。リヴェリアはふむふむと頷く。

 

ロキに何の相談か?と言われて先ほどのベート、レフィーヤとの話をする。

その上で自分の考えた事を伝えてみる。

 

「えっとね、あたしってそんなに信頼無くすような事してるかなぁ?って思ってさー。

たしかにあたしは馬鹿だし、何かを考えるって事はすごく苦手なのは自分でもわかってるんだ。

 

でも友達とかそれこそ家族に迷惑がかかるような行動はした事ないって思ってたんだけどなーって。

だから限界まで考えたけどわかんなかったからロキに相談しに来たの!!」

 

天真爛漫という言葉を体現したようなティオナが落ち込みながらも考えて相談しに来た事を3人は嬉しく思う。

だが、この事に関しては自分で気づかないと意味がないと考えてしまう。

 

「あんなーティオナ。あんたのええとこは素直なとこや。ほんでもな、ユウたんに…いやちゃうな。

ヘスティアファミリアに今のままで行くのは主神であるウチが許されへんなぁ。」

 

ロキの言葉が、表情が、さっきのベートとレフィーヤと被って見える。

ティオナは本当に何故そんな風に言われるのか全然わからない。

 

何故?どうして?この言葉がずっと頭の中をグルグル回ってしまう。

 

 

「んー。ティオナ。君はどうしてヘスティアファミリアに行きたいんだい?

ベートやレフィーヤが遊びに行ってるわけじゃないのは君も知っているだろう?」

 

「どうしてって…。えっとベートとアイズとレフィーヤにフィンにそれにティオネまでヘスティアファミリアに行ってるのにあたしは行ったことないなーって思って。

なんか仲間はずれみたいでやだなーって。」

 

ティオナの言葉に3人は思わず笑ってしまう。

ティオナは何故笑われているかわからずオロオロしているが。

 

 

「そっか。ティオナらしいね。

でもねティオナ。僕もそうだけどヘスティアファミリアに行ってる全員がティオナを仲間はずれにしようだなんて思っていないよ?」

 

「…うん。それは、そのもちろん分かってるんだけどさ。

それにあたしだけヘスティアファミリアに連れてはいけないってベートに言われて、レフィーヤに言われる意味がわからないのが今は一番引っかかってて…。」

 

「そうだな…。ティオナ。家族に相談すると一方的な視点からの話になってしまうし、答えをもらいたいわけでは無いのだろう?

ならばお前の強みである友好関係を使って友達に相談してみてはどうだ?」

 

ティオナはリヴェリアの言葉を聞いて、確かに答えがほしいんじゃなくて相談に乗ってほしかった。

ティオナは頭の中で相談に乗ってくれそうで尚且つ一緒に理由を考えてくれそうな友達を探す。

 

そうして頭に浮かんだのはアミッドだった。

ティオナは3人にお礼を言って走ってその場を後にした。

 

 

 

「……リヴェリア?どういうことだい?」

 

「なに。昨日アイズとレフィーヤの相談に乗って疲れていたから他のやつに丸投げしただけだ。

私もユウ君の言葉を借りるなら聖人君子では無いのでな。面倒な事は面倒なんだよ。」

 

フィンはまさかロキファミリアのママと呼ばれるリヴェリアが面倒な事と言うとは思わず固まってしまう。

 

ロキは吹っ切れたなーとリヴェリアの肩をバンバン叩きながら大爆笑。

 

リヴェリアは何故かスッキリとした顔でにこやかに笑っていた。

 

 

 

 

そして冒頭に戻る。

 

アミッドはいきなり職場にやってきてひたすら愚痴を言い続けるティオナにも嫌な顔一つせずに対応する。

 

ディアンケヒトもその話を聞いていたが、ヘスティアファミリアならロキの言う意味も炎雷狼の言うこともよくわかると思い口を閉ざしてアミッドに休憩を与えた。

 

 

「そー言えばさ!アミッドはヘスティアファミリアと交流あるの??」

 

「ええ。ユウさんと少々交流させてもらってます。本当にあの方には何度も救って頂いていますよ。」

 

オラリオ最大の医療系ファミリアの団長が救われていると聞いて驚いてしまう。

ユウ・クラネルは怪我や病気すらも治してしまうのか!?と口を開けて固まっているティオナを見てクスリと笑いながら首を横に振る。

 

「ティオナさんが考えているようなことではありませんよ。ユウさんもポーションやエリクサーをウチで買ってくださいますし。

そうでは無く、あの方は人の心を救ってしまうんですよ。それも無意識のうちに…。」

 

まるで遠くを見るような目をしながらも口角が上がるアミッドの顔を見てティオナも考える。

 

ユウ・クラネルと出会って良くも悪くもロキファミリアのメンバーは変わった。

あくまでもティオナ目線からだが、ヘスティアファミリアに行ったことがあるメンバーはもちろんだ。

その他でもレベルの低い冒険者もユウがロキファミリアに来ればみんな声をかける。

 

ロキファミリアは大手中の大手だ。レベルの低い連中の中にはロキファミリアに所属できただけで満足してしまう人もいたし、他のファミリアの冒険者を馬鹿にするやつもいた。

だがユウと関わっていくとそんなやつもベートの鉄拳制裁を受けつつも鍛錬するようになり、レベルが上がった人までいた。

 

そのレベルが上がった冒険者の顔つきは全然違っていたのでティオナも良く覚えている。

 

あれがその人の心を救うって事なのかなぁ?と思ってしまう。

 

「ティオナさん。私もヘスティアファミリアには行ったことが無いのであまり分かりませんが…。

ティオナさんは何故連れて行ってもらえないかをティオナさんなりに考えた事を教えてもらえませんか?

 

ティオナさんはご友人です。私も及ばずながらも力になります。」

 

アミッドの心意気を感じティオナは頷いて話し始める。

 

「うーん。やっぱあたしが馬鹿だから何か言っちゃダメな事とか言っちゃいそうだからかな?

でもそれならユウ君と会う事も禁止される筈だし…。

ヘスティアファミリアにヴィーヴルのウィーネちゃんとか怪人のレヴィスって女が行ったりしてるのも知ってるし…。

 

うーん。やっぱわかんないなぁ……。」

 

 

静かにティオナの考えを聞いていたアミッドは何かを考えるようにゆっくりと口を開く。

 

「……これは私がユウさんとお話させてもらったイメージなので勘違いかもしれませんが…。

そもそもベートさんやレフィーヤさんは何故ヘスティアファミリアに行っているのでしょうか?

それにユウさんも今はホームにおられないのに。」

 

「え?そりゃあ鍛錬だよ!ベートは残ってるヘスティアファミリアのメンバーと鍛錬してるんだって!

レフィーヤは新しく入ったフィルヴィスちゃんと仲良しだし鍛錬してるんだってさ!」

 

「なるほど…。理由としては弱いかもしれませんが鍛錬の邪魔をしてほしくないから?とかでは無いですか?」

 

ティオナは渋い顔をしつつも反論する。

 

「でもあたしもレベル6だし相手には不足無いと思うんだけどなー。

それにベートとレフィーヤはそれが嫌って感じじゃなかったんだ。

レフィーヤが何もしてないから問題だって言ってたし…。」

 

アミッドはそっと自分はユウに今度遊びにおいで。飯を一緒に食べよう。来辛いならディアンケヒトも連れてきていいからと言われていることを内緒にしようと心に決めた。

 

だが今のティオナのレフィーヤに何もしていないから問題だと言う言い回しに引っかかる。

 

レフィーヤさんが何もしていないと断言する?そもそもヘスティアファミリアとはどんなファミリアだ?

ユウとの会話の中からヘスティアファミリアについて考え始める。

 

そしてティオナがダメと言われている理由に行き着く。だがこれはロキの言った通りに自分で気づかないとダメなことだと思う。

 

しかしティオナは感情を表に出すのが苦手な自分にとってもかけがえのない友達だ。

ならば少しだけでも背を押してあげようと心に決める。

 

 

「ティオナさん。私達ディアンケヒトファミリアとユウさんの会話を掻い摘んでお話しましょうか?

何かヒントになる事があるかもしれません。」

 

ティオナはうんうん!と満面の笑みでアミッドを見つめる。アミッドも少し笑顔になる。

 

「そう…ですね。では私とディアンケヒト様が救われた時の話をしましょうか。」

 

 

 

 

ーユウとの初会合ー

 

知らないヒューマンが我らの主神。ディアンケヒト様のお腹を摘んでムニムニしている場面を見てしまった。

ディアンケヒト様は当然怒り狂ってるかと思いきや、やめんか!!と言うだけで困った顔をしていた。

 

そのヒューマンはアミッドに気づくと笑顔で挨拶をしてくる。

 

「どもー!はじめまして!ヘスティアファミリアのレベル2のユウ・クラネルです。以後お見知り置きを。」

 

ディアンケヒトのお腹を離してアミッドに近づいて手を出してくる。アミッドも無表情で挨拶をして握手する。

 

「おお!アミッドか!助かったぞ。ユウは神だろうと何だろうと容赦が無いからのぉ。」

 

「てめっ!小太りジジイ!余計な事言うんじゃねーよ。それに小太りジジイもこれで痩せようかなーって思っただろ?

まぁ明日からって思って日々が過ぎていって永遠に変わらないのが神様なんだろうけどな。」

 

やかましいわっ!!と言いつつもずっと前からの友達の様にディアンケヒトは嬉しそうに笑い、ユウも何の悪意も下心も無く笑う。

 

そんな姿を見てアミッドはミアハファミリアとの競い合いをしていた頃の生き生きとしたディアンケヒトの様で驚いてしまう。

 

ディアンケヒトに呼ばれてアミッドはユウの出した紅茶とクッキーを食べる。

 

「ふーん。このアミッドさんが小太りジジイのファミリアの団長なんだ。

すげーよな。団長って責任感のあるポジションをこの小さな身体で支えれてんだもんな。

それに探索系と違って人の命を助けるファミリアの団長だもんなー。

さっき出会ったばっかだけど尊敬するわ。」

 

「ほう。ユウはその辺の冒険者と違ってダンジョンにも潜らないぬるま湯のファミリアとか言わんのだな。」

 

「はぁ!?それ言ってる冒険者頭おかしいんじゃねーの??え?何?そいつ本当に冒険者なの??」

 

アミッドはユウの素直に頭おかしいと言っている姿を見て少し驚いてしまう。

何故ならディアンケヒトが言っていた事は事実、多くの冒険者に言われていることだから。

ポーション類の金額もそこそこの値段に設定されているのも要因の一つだ。

 

「あ、あの…。ユウさんは何故そんな質問を?」

 

「ああ。いやアミッドさん。冒険者ってモンスター相手に自分の身体を張って金稼ぐわけじゃないですか?

そこには自分達がやるという誇りがあるわけですよ。

 

その誇りを保てるのは怪我をしても素晴らしい医療系ファミリアがあるって心の余裕があるからですよね?

 

でも医療系ファミリアは違う。心の余裕なんてない。だって失敗したらそれで終わりだから。

冒険者はモンスターから逃げても生き延びればいい。ならば医療系ファミリアは?

 

逃げることなんざできない。治す以外の道はない。そんなの冒険者より遥かに誇り、意地がないとできないでしょ。

 

比べることすら烏滸がましいレベルです。だからそれを言った冒険者は本当の意味で冒険者なのかと疑問に思いましてね。」

 

まさか、まさかこんな考えを持ってくれている冒険者がいるとは。

オラリオは探索系が主流であるのは間違いない。そして探索系ファミリアの冒険者は先程言ったような冒険者が多い。

それこそレベルが上になればなるほど医療系ファミリアの存在の大きさに気づいて懇意にしてくれるが。

だが天下のオラリオといえども半数以上がレベル2以下である。

やはりレベルが低いと稼ぎも悪い。そしてポーション類の金額も馬鹿にはならない。

そして探索系ファミリアのレベルの低い連中は医療系ファミリアを貶してしまう。

 

そんな悪循環が起こっているのはどうしようもない事実だった。だが目の前のレベル2になったばかりの冒険者は違う。

全てを見通すかのように己の意志、信念、誇りに従って認めるべきことは素直に認めれる人物だった。

 

「す、すごいんですね。ユウさんのような冒険者様は始めてです。私の励みになります。」

 

「そうじゃのぉ。ユウは心から言っておるからの。神である儂には嘘が何一つないことが分かるしの。

それにアミッドが最近冒険者に言われて悩んどったのは知っておる。

じゃが儂らは結局助けることしかできん。

今更探索系なんぞやっとれんしのぉ。」

 

「そう…ですね。正直何を信じていいのかわからなくなっていました。

助けられなければ文句を言われ、助けても文句を言われるので…。」

 

ユウはアミッドの言葉を聞いて自分の指針となる言葉をアミッドに伝える。

その言葉はアミッドの支えとなり、今のアミッドを形成する言葉ともなる。そして淡い恋心の芽生えの始まりでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

ティオナはその話を聞いて眉を寄せて静かに考えに没頭していた。

ユウ君がすごい冒険者なのは良く分かる。実力うんぬんではなく人としての格が違う。

それは自他共に認めるお馬鹿のティオナでもそう思ってしまうほどだ。

 

アミッドの過去の話を聞いてティオナは何かに引っかかり、うんうんと悩みこんでしまう。

 

アミッドはそんなティオナを急かさず、黙って考えがまとまるまで待ち続ける。

 

 

どれほどの時が経ったのか分からないがティオナはハッとして立ち上がる。

 

 

「わかった……。アミッド!わかったよ!!

うん。これならベート達があたしを連れて行けないって言ってた意味がわかった!!

 

あたしには冒険者としての意志や誇りや信念が足りなかったんだ。ベートもレフィーヤもヘスティアファミリアに行ってるのは己の鍛錬もあるだろうけどさ。

ヘスティアファミリアのメンバーを見て、冒険者とはなんなのかを確認してたんだ…。

 

擬似戦争遊戯の時にヘスティアファミリアのメンバーと戦ったんだけどさ、レベル2主体のチームに負けたんだ。

 

あの子らの目はたしかに冒険者だった。あたしより遥かに冒険者だったんだ!!

 

くそー!!ベートのやつ!!今回はあたしが凄く間違えてたよ!!

 

一緒に行きたいなんて口が裂けても言っちゃダメだった!!何を甘えてるんだあたしは!!

 

アミッドありがとう!!アミッドに相談して良かった!あたしホームに戻ってロキ達に報告して鍛錬してくる!」

 

 

ティオナは喋るだけ喋ってダッシュで戻って行った。

そんなティオナを見てアミッドはクスリと笑ってしまう。あの元気で負けず嫌いな姿こそが大切な友人であるティオナ・ヒリュテだと言わんばかりに。

 

そのあとすぐにディアンケヒトが部屋に入ってくる。

 

「どうじゃ?騒がしい娘が帰っていったようじゃが。まぁあれだけ元気なら上手くいったということかの?」

 

コクリと頷き、先程までティオナと話をしていた内容と自分の気持ちをディアンケヒトに伝える。

 

「ふむ。アミッドの予想は正しいと思うぞ?儂もすぐにそう思ったしの。

じゃが初対面の儂の話はいらんじゃろ。やめてくれ。あれは本当に忘れたいんじゃ。

 

それよりアミッド……。お前は気持ちをユウには伝えんのか?儂の可愛い娘じゃし心配はしておるぞ?」

 

 

無表情から一転。顔を真っ赤にしてディアンケヒトを見て口を開く。

 

「ディ、ディアンケヒト様?な、何を?私はユウさんを尊敬しているだけですよ…?」

 

ディアンケヒトはため息を吐いて首を横に振りながら部屋を出て行く。

 

た、たしかにユウさんは素晴らしい人です。ですが私ではあの方の隣に立つことは出来ない。

いや、これは諦めですね。そんなことを許すユウさんではないでしょう。

ユウさんに見放されるのは一番嫌ですね…。す、少しだけ頑張ってみようかな?

ま、まずは帰ってきたらお食事に行ってみましょう。

 

感情を表に出すのが苦手なアミッドが唸りながら顔を真っ赤にしているのをドアの隙間から見たディアンケヒトは微笑みながら仕事場に戻って行く。

 

 

 

少し落ち着いたアミッドはカップに残っている紅茶を口に運ぶ。そして先程までの過去の話でティオナに言わなかった事を頭の中で思い出していく。

 

 

 

 

「何を信じていいのかわからない?俺が行動する時の指針としている言葉で良ければお教えしますよ?

アミッドさんはもっと讃えられるべき人ですからね。

いじくりまわしてるけど小太りジジイも。」

 

ディアンケヒトとアミッドは静かにユウを見る。

 

 

 

 

「自分自身を信じる。自分の魂、信念に絶対に恥をかかせない生き方をする。それが出来てこそ、ようやく人は人として成り立つ。」

 

 

 

 

 

 

 

アミッドはその言葉を思い出し、口にする。そしてクスリと笑って立ち上がる。

 

 

「さて、己の魂と信念に恥をかかせない為にも今日も皆様を治して行きますか。」

 

 

ディアンケヒトファミリア。アミッド・テアサナーレ。

 

今日も少女は淡い恋心を持ちながらオラリオの人々を救って行く。




うーん。
アミッドさんのキャラがわからんっ!!

会話文多くて申し訳ないです。全然思い浮かばなかった…


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鬼畜ブラシスコンVSアホシスコン狼

ちょっとした喧嘩回。

なんとなく書いた。

反省と後悔しかしてないw


オラリオに戻ってきたクラネル兄弟。

一応知り合いにはお土産を持っていき、落ち着きを取り戻し始めた。

ある日のこと、ユウはロキファミリアに赴いていた。クノッソスで助け出したイケロスとタナトスの話をまだ聞いておらず、ずっとロキファミリアの空き部屋に押し込まれていたらしい。

 

ユウが帰ってきたことだし忘れられていた2神に話を聞くことになったのだ。

 

門番の青年に話かけ、ロキの部屋まで通してもらう。部屋に入るとロキファミリアの主力全員が集まっていた。

 

ユウを含めて全員が集まったところでロキとフィンが口を開く。空気がピンと張り詰める。

 

「ほな忘れとったけどアホ2人。とりあえずあんたらはウチらに協力するってことでええな?

そしたらはよあんたらの知っとること包み隠さんと全部話しや。」

 

イケロス、タナトスの二神は頷きながら自分達の闇派閥がクノッソスでどんなことをしていたか。

エニュオと呼ばれる者との会話など分かること、起こったこと、その全てを全員に話す。

 

ロキ、フィンはほぼ想像していた、いや。ユウが想定していた事と相違が無いことに驚いてしまう。

もう未来予知ができると言われても驚きはしないだろう。

 

それからは神々の予想なども踏まえた上で作戦を考えていく。絶対にオラリオ崩壊はさせるつもりは無い。

 

一方であれほどまでに類稀な頭脳をフル回転させていたユウといえば……。

 

話をそっちのけで久しぶりのレフィーヤを後ろから抱きしめて蕩けた顔でナデナデしまくっていた。

 

イケロス、タナトスは頬を引きつらせ、他のロキファミリアのメンバーはユウが帰ってきたなーと達観していた。死んだ目をしているとも言える。

 

 

「お、お兄ちゃん?話を聞かなくてもいいんですか??」

 

「我が最愛の妹よ。お兄ちゃんはどうせ見捨てられたタナトス様とイケロスのクソ野郎は大した情報を持ってないってわかってるんだ。

ならばやることは可愛い妹を愛でる以外無いだろう?

 

お、ティオネ。こっちおいで。

ふふふ。ティオネも可愛いなぁ〜( ´_ゝ`)クックック・・・( ´∀︎`)フハハハハ・・・( ゚∀゚︎)ハァーハッハッハッハ!」

 

ついにレフィーヤだけでなくティオネもナデナデし始め、高笑いし始めてしまう。

レフィーヤもティオネもナデナデが気持ちいいのか蕩けた笑顔でされるがままになっている。

 

ぶっちゃけて言えば見てる方はドン引き待った無しである。

 

そこでアイズがもじもじし始め、チラッチラッとユウとベートを見始めた。

リヴェリアはため息を吐いてしまう。やってほしいなら直接言えばあの2人ならやってくれるのに…と。

 

ユウとベート。2人のブラシスコンがどうやらアイズの態度に気づいたようだ。

 

 

「「アイズ?こっちおいで?」」

 

 

「「…………あ?」」

 

 

「「引っ込んでろこの野郎!!」」

 

喧嘩上等。鬼のブラシスコンの馬鹿二匹。胸ぐらをつかみ合って睨み合う。

睨み合っているのにお互い一言一句同じ事を同じタイミングで言うのは仲良しの証明ではないだろうか?とその場の全員が思ってしまうのも無理は無いだろう。

 

「おいおい。冗談はその顔のイレズミだけにしろよ友達いねぇボッチ狼。」

 

 

ユウの言葉で額に青筋を浮かべるベート。

ベートは爽やかな笑顔で折り返す。

 

「おお。そりゃ悪いな。どこぞの黒もやしと違って顔が良いから似合っちまうんだ。

男の嫉妬は美の女神の嫉妬より醜いぜ?女に告白させて返事もろくに出来ねぇヘタレ野郎。」

 

ベートの煽りに同じく額に青筋を浮かべるユウ。

 

2人は胸ぐらをつかみ合ったまま目を逸らさずに無言になる。お互い鬼の形相で周りも動けないが。

 

どのくらい時が過ぎただろう。周り、神々でさえもこの沈黙の時間は非常に長かった。

実際には五分程度だったが。

 

 

「「じ……上等だこの野郎!!テメェとはここらでどっちが真のお兄ちゃんか分からせる必要があるみたいだなっ!!

ダンジョンでボコボコにしてやらぁ!!

逃げんじゃねぇぞ!?」」

 

 

2人はまた同じ事を言い合っている。もう周りは勝手にしろという心境だ。

 

しかしロキファミリア近接戦闘最強のベートと技術だけならオラリオ一とタケミカヅチが証言するユウ。

ぶっちゃけて言えばどっちが上なのか見てみたい。

 

妹軍団はあたふたしながらも見守る様子だ。しかしロキはダンジョンに入らないのでこの最強2人の喧嘩が見れないのは正直惜しい。

 

それに悪戯神の感が働く。これは絶対に面白くなる。なんならオラリオ全体を巻き込んでもいいレベルで。

 

ロキはニヤァと笑い声をかける。

 

 

「まぁまぁ2人共待ちーや。そないな個人同士の結果だけとかおもんないやん。

フィン。ギルド行って説明して怪物祭しとるコロシアム貸せって言うてきて。

 

ほんでギルドに貼り紙貼ってもらってきてや。

 

真のお兄ちゃんを決める闘い

 

ってな。

ユウたんVSベートで19時から開始な。

勝った方が真のお兄ちゃんでアイズの頭を撫でる最優先の権利を貰える。

 

2人共それでええか?

 

後殺し合いはあかんで?殺し無しの大喧嘩や。」

 

 

ユウとベートは共に頷きながらまだ睨み合っている。フィンも正直楽しみなので即座に行動に出る。

 

そして妹達は2人に近づかないようにロキに言われてしょんぼりしながら部屋に戻る。

 

リヴェリアも興味深いのかロキにしては妙案だなと呟き、ガレスは成長したベートとまだ見ていないユウの本当の実力が楽しみだと思う。

 

 

 

ーオラリオの街中ー

 

ギルドがロキの言葉により、迅速に動いた。理由は魔導具で金儲けに一つ噛まないかとウラノスに直接連絡したからだ。

 

1つ。

オラリオでもトップクラスの2人の戦闘を生で観れる。

 

1つ。

入場料を300ヴァリス取れる。

 

1つ。

コロシアムの修繕費はロキファミリアが持つ。

 

1つ。

屋台をヘスティアファミリアから出す。

イシュタル、ウィーネ、フィルヴィスがやって利益は折半。

 

ウラノス様は大歓喜。ギルドは場所を貸すだけで1つ足りとも損の無い儲け話である。

最初はロキの案だったので渋ったが、あのヘスティアファミリアを巻き込めると知って首を縦に振る。

あのファミリアは実は屋台の売上だけでオラリオでも上位の稼ぎなのだ。

 

それにユウ・クラネルとベート・ローガがぶつかれば確実に怪我は負う。

己の黒歴史を神会でバラされた恨みは深かった。少しでもユウにダメージが入れば良いと思ってしまう器の狭ーいウラノス君だった。

 

 

「おい!聞いたかよ!?雷帝と炎雷狼がガチでやり合うらしいぜ!?」

 

「おう!聞いた聞いた!そんなの絶対見に行かねえと絶対後悔すんぜ!?

俺はリヴィアにダッシュで行ってくるわ!

ボールス達も絶対観てぇはずだからな!」

 

良い意味でも悪い意味でも2人はオラリオで有名だった。そしてファンもかなり多かった。

 

勝負事といえばやはり賭博が始まる。ユウとベートがよく利用する豊穣の女主人でも同じだった。

 

だがお互いがレベルの高すぎるし、戦闘面に関して言えばレベルが1つ下のユウだがオラリオ全土に化物みたいな技術があるのは知れ渡っている。

 

その為、オッズがほぼ均一となっていた。だがレベルの低い新人冒険者はレベル差は覆らないと思ってベートに賭ける奴等が多かった。

 

リヴィアの街の連中はノータイムでユウに賭けて新人冒険者にレベルは覆らないと囁きまくっていたが……。

 

ちなみにヘスティアファミリアと妹達、そして事の発端であるアイズまでユウに賭けていたのはご愛嬌。

 

 

 

審判はフレイヤファミリア最強のオッタル。この2人を止められる可能性があるのはこの最強ただ1人だったから。

 

実況はイブリー・アチャー。

喋る火炎魔法と呼ばれるガネーシャファミリアの冒険者だ。

 

解説はロキファミリアの団長で話術も素晴らしいフィンとユウの弟でベートの弟子であるヘスティアファミリア団長のベルの2人だ。

 

 

入場料を取っているのにコロシアムは満員御礼。さすがにここまで集まると思っていなかったのでロキとウラノスは慌てて神の鏡を各居酒屋店舗に出す。

 

ヘスティアファミリアの屋台は半端では無いくらい忙しかったが、リューも助っ人として参戦したおかげでどうにか捌けていた。

 

 

 

 

 

2人の控え室へロキとリヴェリアは決戦前に赴く。

 

正直言えば2人共らしくなかった。何が?と問われると答えられないが、らしくなかったのはロキもリヴェリアも同意見であったのだ。

 

その何かを聞いてみたくて2人の控え室に突撃してみたのだった。

 

 

「おーベート。めっちゃ気合い入っとんな!ウチらはアンタならユウたんに勝てると思っとるから頑張りや?」

 

リヴェリアは背中の冷汗が止まらない。

なんだこの威圧感は……。これがあのベートか?同レベルの私ですら今のベートの前に立つのは嫌だぞ。

 

 

ロキは気づいていないみたいだがリヴェリア程の冒険者がこう思うのは異常事態だ。

冒険者として培った第六感のようなものが働いているのだから。

 

リヴェリアの様子がおかしい事に気づいてロキは口を閉ざす。そして当人であるベートはまるで睨みつけるようにコロシアムの方向を見続けている。

 

 

「……ロキ。こんな機会を作ってくれて感謝するぜ。俺はアイツとガチでやり合ったことが出会ってから一度もなかった。

 

俺は……。いやなんでもねぇ。」

 

それだけを呟いたベートはまた口を閉じる。そしてロキにも分かるほどのプレッシャーを発し始める。

 

リヴェリアはマズイと思い、ロキを連れて部屋をでる。

ユウの控え室に行く間はお互い無言だった。無理もない。あんな鬼気迫るベートは今まで、家族である自分達ですら始めて見たのだから。

 

 

 

ユウの部屋に着いてノックをするといつも通りのユウが笑顔で迎え入れてくれた。

正直肩透かしを食らったロキだったがベートとはえらい違いやなーと思って、それを口にする。

 

 

「あはは。やっぱベートさんは気合い入ってますか。まぁ俺もやる気は漲ってるんですけどね。

ここで解放しちゃうと気持ちが抑えれなくなっちゃうんで。

 

……ロキ様。ありがとうございます。今回の喧嘩なんて俺らからすれば本当に些細なキッカケだったんですよ。

 

俺は……。いえ。なんでもないです。忘れてください。」

 

 

ニヘラッと笑って誤魔化すユウをジッと静かに見ているリヴェリア。

いつも通りの笑顔なのに何故だろう。寒気が止まらないのは。それにベートもユウも最後に何を言おうとしてたのか気になる。

 

それも戦闘を見れば分かるだろう。そう思ってリヴェリアはロキを連れて席に戻ることにした。

 

 

 

 

「さてさてさて!!みんな待ちきれないでしょうがもうすぐオラリオトップの戦闘が見れますよ!!

実況は喋る火炎魔法ことガネーシャファミリアのイブリー・アチャー!

解説はロキファミリアの団長で二股疑惑の勇者!フィン・ディムナ氏と今一番オラリオを沸かせているユウ・クラネルの弟のベル・クラネルだー!!」

 

「ちょっと待って!!その紹介本当にやめてくれないかい?二股なんてしてないよっ!!」

 

「よ、よ、よろしくお願いしましゅ!!あう。噛んじゃったよー。」

 

え?二股?フィン様なら何股でもいいから遊ばれたいっ!!

 

おいおいなんだあの可愛い生き物!?ありゃ雷帝が死ぬほど可愛がるのも無理はねぇな。

 

ベル…。すごく可愛い。さすが私の旦那さん!!ふんすっ

 

観客もざわざわし始める。絶好調の実況に仕事前に心が折れかかっている解説とみんなのハートを鷲掴みの解説陣だった。

 

 

「さてさてぇぇぇ!!お前らぁぁぁ!!今から始まる戦闘は世紀の一戦と言っても過言ではないっ!!

実況席から見て右側から入場してくるのはロキファミリアが誇るスピードスター!!

一度でも後手に回ったら二度と自分のターンはやってこないっ!

 

炎雷狼の2つ名を持つ狼人!ロキファミリアのレベル6!!

 

ベーーーート・ローーーーーガ!!

 

 

ゆっくりと入場してくるベートの雰囲気にコロシアム全員の顔が強張る。

それほどまでにベートの醸し出す威圧感が凄まじい。

 

フィンは団長としても家族としてもあんなベートは見たことがなかった。フィンとてレベル6になるまでに様々な冒険をしてきた。

 

だが、このベートの前には絶対に1人では立ちたくなかった。

それほどまでに圧倒的な雰囲気だ。

 

ベルはそんなベートを見てイブリー、フィンが固まる中笑いながら拍手をする。

 

「さすが僕の師匠であり、お兄ちゃんの親友ですね。ふふっ。お兄ちゃんが羨ましいです。

 

僕も今のベートさんと戦いたい。」

 

ベルの言葉に何も言えない実況席の2人。その言葉はオラリオ中に放送されている。

同じコロシアムに居るロキファミリアの面々はもちろん、レベルの低い冒険者、一般人。その全員が同じ事を思う。

 

 

 

 

これが本物の冒険者か

 

 

 

全員が全員ベルのおかげでベートの雰囲気にのまれつつも気持ちを新たにこの一戦を見届けると心に思う。

 

 

しかし、そんな心を折るどころか砕いて粉々にする男がまだ控えていた……。

 

 

 

「つ、続いて入場するのは、解説席に座っているベル・クラネルと共に新興ファミリアであるヘスティアファミリアを一挙にオラリオ1有名なファミリアに登らせた男!!

 

やることなすこと全てが規格外中の規格外!!暴走したモンスター?そんなもん殴って直せでガネーシャファミリアのプライドを粉々にした狂気の天才!!

 

 

雷帝の2つ名を持つ正に帝王!!ヘスティアファミリアのレベル5!!

 

 

ユーーーーーウ・クラネーーーーール!!

 

 

 

ザッザッザッと足音が聞こえてくる。それと同時にコロシアムで観戦している全員が疑問を覚える。

 

あれ?何で身体が震えてるんだ?

 

別に寒くもないのに……。

 

 

 

 

 

 

ズンッッッッッッッ!!

 

 

 

 

 

ユウが入場したと同時に重力がおかしくなったのかと思うほどの圧力が全員にかかる。

あのオッタル、フィン、ベルですら冷汗を垂らし、少し震えてしまう。

 

 

 

その中で唯一。ただ1人。ベート・ローガだけは笑みを深め、犬歯を剥き出しにしていた。

 

 

「な、なんだ。あの2人は……。僕はレベル6になるまでに冒険をし続けてきた…。

だが……あの2人はもはや別格だ……!」

 

「フィ、フィンさん……!ぼ、僕はやっぱり憧れは永遠にお兄ちゃんです。

この一戦は何か大切な事が分かる気がします!!

皆さんも見える見えないは別にして絶対に目を逸らさないでくださいっ!!」

 

 

ベルの言葉は観客、オラリオ中の観ている人に勇気を与えた。だが愛する弟と言い続けて来たユウにはその愛する弟の声すらも、もう届かない。

 

 

ベートとユウは静かに、しかし眼光は鋭く見つめ合っていた。そして互いにふっと笑って背を向ける。

 

もう何も言わなくてもお互いの心は良くわかる。最初は最悪の出会いだった。だがそれからずっと友として一緒に切磋琢磨して来た。

互いの手の内は分かっている?そんなわけがない。2人共理由はどうであれ始めて会った日からこの瞬間を待ちに待ったのだから……。

 

 

「「……審判。開始の合図したらすぐに端に行ってくれ。悪いが邪魔になる。」」

 

オラリオ最強のオッタルにこの不遜な物言い。だがオッタルは笑いながら頷き一言だけ告げる。

 

「お前達の実力。そしてその魂。俺も邪魔はしたくない。存分に楽しめ。

 

では……開始っ!!!」

 

 

オッタルは試合開始を勝手に言ってしまう。アドバイス通りにレベル7、頂点と呼べる身体能力で場内の端に行く。

そして壁際に着いて冷汗を流しながら荒い息づかいで肩を上下させる。

 

 

 

 

開始の合図と共に2人は縮地を使い、ベートは上段蹴りを、ユウは刀での刺突、横薙ぎをお互いの攻撃を避けながら連続で5発繰り出していた。

 

オッタルはその速度に対応出来ず、余波をくらっていた。そしてその攻撃も決して軽くない。耐久に優れたオッタルがダメージを負っているのだから。

 

 

 

その場からほぼ動いて無いように見える両者だが、足捌き、身体の使い方を駆使して互いの動きを牽制しながらレベル5以下の前衛では見えない速度で戦っていた。

 

 

「なんじゃあの速度は…。儂でもブレてしか見えんぞ。それに一撃一撃の威力。

あの小僧め。儂と戦った時は手加減しておったな?」

 

「なんだと!?ガレス!!それは本当か!?手加減した上でお前に勝ったというのか!?

それに……威力など互いに当たってないのだから分からんだろう。」

 

 

ガレスは髭をさすりながらも一時たりとも見逃さないように戦いを見続ける。

そして指を2人の場所ではなく壁に向ける。

 

 

「「「……え?」」」

 

ヒリュテ姉妹とリヴェリアは顔を真っ青にする。何故なら壁に刀傷と打撃跡がどんどんついて行くからだ。

 

どんな攻撃力があればあんなことになるのだろう。ガレスのパワーでも不可能に近い。

 

ベートとユウの2人は身体の使い方をひたすら一から鍛えていた。その為、逃げる衝撃やパワーを余すことなく伝えれるようになった。

 

 

膠着状態から2人は戦闘開始から初めて距離を取る。

それを観た観客は自分が息をしていなかったことに今気づいたのか深く深呼吸をする。

 

それからの湧き上がる大歓声。

 

 

 

「っっっは!!お、オラリオの皆さん申し訳ありません!!実況なのに実況を忘れてしまいました!!

 

これが!これがトップのレベルなのかぁぁぁ!!」

 

 

「い、いや。イブリーさん。解説に呼ばれたけどちょっと僕らもそんな余裕は無いよ…。

オッタルでさえ避けきれない速度だなんて……。」

 

 

「いえ。違います。あの速度は慣らしです。これからもっと速度は桁違いに上がりますよ。」

 

 

ベルの言葉を聞いてオラリオ中が愕然とする。だが、ベルの言葉が正しかったと言わんばかりに2人は魔力を纏い、速度を上げる。

 

もうフィンやガレスにすら灰色の線と黒の線がぶつかっているようにしか見えない。

 

 

「「ククク。カハッ!!あーはっはっは!!」」

 

2人は笑いながら戦っていた。

 

 

そう。これだよこれ!!やっぱりベートさんは最高だよ!!本気を出しても倒せるかわからない人。

それも同じようなタイプで相性もクソも存在しない世界。

でも……。

 

 

ククッ。やっぱりこいつしかいねぇな。ユウは俺の永遠のライバルだ。

ガレスと戦った時ですらユウとの戦いに比べたら物足りなくなっちまう。

だが……。

 

 

「「勝つのは俺だっ!!」」

 

もはやいつも一緒に鍛錬をしているベルですらはっきりとは見えない速度になっている。

 

観客は俯瞰視点なのに2人がどこにいるかすらわからない状態になってしまった。

 

 

「ほ、ほんとに……?私でも全く見えないんだけど……。ユウお、お兄ちゃんは速いのは知ってたけどベートがこんな速度に足を突っ込んでるなんて……。」

 

「正直、私は知ってたんです。本当に危険になるまではベートさんが遠征でも手を抜いていた事を。

何故かわからなくって問い詰めた事があるんですが……。私達に少しでも強くなって欲しいかららしいです。」

 

レフィーヤはティオネの言葉に涙を流しながらベートの本心を皆に伝える。

 

「ベートさんは言っていました。勘違いされても良い。嫌われても良い。それだけで家族の命が助かるならそれで良いと……!

 

それに助けられるのでは無く、自分の実力で助かればまた強くなろうとするだろうって!!!

 

あの人はお兄ちゃんとそっくりです!!誇り高く、自分の確固たる信念を持ってそれを貫く!!

 

そんな、そんなベートさんを私は尊敬していますっ!!」

 

レフィーヤの涙を流しながらの言葉とベートの本心を聞いてロキファミリアの面々、そして主神であるロキですらも涙を流す。

 

ベートはユウと出会う前から口は悪いがそんな誇り高い狼だった。その孤高の狼が友を得て今もなお上に登ろうとしている。

 

ロキは2人の戦いに呑まれ、静かな観客席で1人立ち上がり大声で叫ぶ。

 

 

「やったれベートォォォォォ!!アンタはうちの最高の子供やー!!!

ユウ・クラネルに負けんなぁぁぁぁ!!勝って帰って来い!!!」

 

ロキの大声に驚いたのか2人は距離を取って立ち止まる。ユウはベートにどうぞとジェスチャーをする。

 

ベートはニヤッと笑ってロキの方、ロキファミリアの全員の方を向く。

 

 

「あったりまえだ!!俺は天下のロキファミリアのベート・ローガだぞ!?

ロキをNo.1の座につかせるまで負けてられっかよぉぉぉ!!

 

テメェ等!!良く観とけ!!これがお前等の家族の力だ!!」

 

手を挙げて大声で叫ぶベート。ロキもロキファミリアもみんな涙を流しながらベートに応援を送る。

 

 

 

「ユウ君っ!!!君だって1人じゃないんだ!!ユウ君は僕の自慢の息子なんだ!!

それに君が負けるところなんて想像がつかないよ!!

 

ヘスティアファミリアのみんなもユウ君を信頼して信用してるんだ!!

絶対に負けちゃダメだよっ!!」

 

ヘスティアが見に来ていた。屋台の手伝いをしているはずなのに…。その後ろにはヘスティアファミリアがベル以外全員集まっていて泣いている人は1人も居ないが誰1人として心配している顔をしていない。

 

それほどまでにユウ・クラネルという人物は信頼されている。ユウはダンまちの世界に来て、自分は異物だと思っていた。

だが積み重ねて来た歴史が異物などではないと証明してくれた。

 

 

ベートはユウにお前も何か言ってやれと手をフリフリする。

 

 

「ヘスティア母さんっ!!アンタの息子の実力を存分に見せてやるよっ!!

 

テメェ等も長男の力をよーく見とけっ!!」

 

言葉少なにそれだけを告げる。ベートもユウも上に登り続けている。だが本当の孤独にはならないだろう。

 

だってこんなに暖かい家族がいるんだから……。

 

そしてこんなにライバルと友に恵まれているんだから……!

 

 

 

ユウは笑う。ベートも笑う。

 

 

その2人とファミリアの人達を見ていた観客は心から湧き上がる感動に包まれる。

みんな涙を流しながら拍手や歓声を上げる。

 

冒険者だろうと一般市民だろうと生きていれば辛い事や悲しい事も多々あるだろう。

自分だけではどうしようもない事もあるだろう。

 

だがこの2人の様に……、この2人のファミリアの様になれれば……!!

 

そんな気持ちにさせてくれる、自分も頑張らなければ……と勇気をもらった。

 

 

「「よし、決着つけるか。負けられない理由がもう一つ増えたしな……」」

 

 

ユウは雷を纏う。バチバチと身体の周りが帯電する。正に雷神。雷帝。雷の神、雷の王の名を冠するだけはあると誰もが納得する。

 

 

ベートは魔剣を取り出して己の右手に2度振り下ろす。ベートの身体は炎と雷に包まれる。

正に炎雷狼。炎と雷に包まれる狼そのものだ。

 

 

 

目を合わせて2人は頷き動く。

 

 

「電磁砲!!」

 

「炎雷狼の咆哮!!」

 

雷の砲撃と雷を纏った炎がぶつかり合い、コロシアムが揺れる。

 

エルフはその魔法の威力の高さに身震いしてしまう。前衛の威力では決して無い。

 

 

それからは魔法を使い、お互いがボロボロになるほど殴ったり蹴ったり魔法をお見舞いしたりと大喧嘩もここに極まれりだ。

 

 

もうフラフラの2人。最初の方の速度など1ミリたりとも出せやしない。

だがこの2人の戦いはフラフラになってなおも何か惹きつけるものがあった。

 

観客は誰も出て行かず、誰一人として目を逸らしたりしなかった。

 

 

 

なぁユウ。俺はお前と出会えて本当に良かったぜ。お前が居なけりゃ今頃勘違いされたままロキファミリアにも居られなかったかもしれねぇ。

 

 

そりゃこっちのセリフですよベートさん。俺はオラリオで出来た最初の友達がベートさんで本当に良かった。

慢心する事もなく上を目指すキッカケになってくれたんですもん。

 

 

 

お互いもうボロボロだな……。

 

 

……そうですね。

 

 

 

とりあえずケリつけるか。

 

 

ですねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

2人は右拳を握りしめて歩いてお互い手が届く位置に立って止まる。

 

 

ドコッッッッッッッッ

 

 

2人の顔に互いの拳が突き刺さっていた。

 

 

ドサッ

 

 

 

1つだけ倒れる音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しょ、勝者は……グスッ。勝者ば!!

 

 

 

ユヴ・グラネルでずっ!!!」

 

 

 

 

ユウは気を失いながらも立って居た。それはベートの親友としての意地だった。

 

ほぼ互いに実力差はない状態で勝敗がついた理由は何と問われればユウはベートを親友と思い、親友に恥はかかせれないという意地があった。

 

一方ベートもユウを親友と思ってはいたが最初の出来事があって有耶無耶で友達になったのではないかとシコリがあった。

 

 

ユウもベートの気持ちに気づいていたので今回の喧嘩は渡りに船だった。

 

 

2人はすぐに意識を取り戻す。そしてユウはロキファミリアに囲まれているベートに告げる。

 

 

 

「ベート。過去を引きずるのはやめよう。俺はベートを親友だと思ってるしベートを誇りに思ってる。

 

もう敬語も使わん!!ベートも遠慮なんかするなよ!!俺達は親友だろっ!!」

 

泣きながら言うユウにベートも涙を流しながら答える。

 

 

「すまねぇ。負い目があったんだ。でもスッキリしたぜ。ユウ。お前は最高の親友だ!!

 

そんで俺の最大のライバルだ!!」

 

 

2人は笑いながら拳をぶつける。

 

そんな2人を互いのファミリアの面々は泣いたり笑ったりしながら見守っている。

 

 

「ちなみにこの半壊したコロシアムはロキファミリアが払うみたいだけど大丈夫なの?

これを2人でやったって言うのが恐ろしいけどね。」

 

ヘスティアの空気を読まない発言でロキは顔を真っ青にする。そしてその半壊させた2人の居た場所を見ると2人はスタコラとダッシュで逃げて居た。

 

こらー!まてぇぇぇぇぇい!!

 

という声を聞きながら2人は身体が痛いのを我慢してダッシュで逃げる。

 

 

「ほら親友!アミッドさんのとこ行こうぜ!怪我治して次はボコボコにできるように鍛錬だ!」

 

 

「はっ。次は俺がボコボコにしてやるよ!まぁ今後ともよろしくな親友!」

 

 

この2人は永遠に仲の良い親友。そしてライバルとして切磋琢磨していくだろう。

 

 

2人の仲の良い背中を見てその場にいた全員が笑って見守っていた……。




そーいえばベートとガチンコしてねーなーと思って戦わせて見ました。

まぁ戦闘描写が微妙なんでもう少し頑張りたいとこではあったんですが…!!

とりあえずこれで許してくだせぇ!


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2匹のブラシスコン絶対絶滅!?

遅くなって申し訳ないm(_ _)m


休みを完全に満喫しておりますww


てことでどうぞ!


先ほどまでオラリオで最高峰と表現される程の戦いが繰り広げられており、オラリオ住人は冷めやまぬ熱気に包まれていた。

 

そんなオラリオ住人の様子をお伝えしようと思う。

 

 

ー豊穣の女主人ー

 

ミア・グランド。元第一級冒険者にしてとんでもない戦いを繰り広げていた2人にも「母さん」と呼ばれ、慕われている女傑。

 

そのミアですら店員、客と一緒で固まっていた。可愛い息子と思っているユウの戦闘を見るのは初めてだが汗が止まらない。

 

そしてその動きをしっかりと見えているであろう弟のベル・クラネルに対しても驚きを隠せない。

 

まさかあんな子があたしを母さんと慕ってくれているとはねぇ。しかし文字通りレベルが違いすぎるね。

ウチの娘達も決して弱くはないけどユウとベートの戦闘を観て腰が引けてるね。

 

ミアは店員の様子を見てため息を吐く。ユウは楽しければいい。最低限の礼儀さえあれば馴れ馴れしくても問題無し!という男だ。

 

この娘達の状態でユウと会ってどこか遠慮をしている接し方だとユウは確実にこの店から足が遠のくだろう。

やり過ぎたかなと心の内に不満を全て溜め込んで。

 

 

 

あの子は自分の懐に入れた奴らにはトコトンまで甘いからねぇ。まぁ娘と息子の為だ。

あたしがどうにかしないといけないね。

 

 

「ほらっ!固まってる場合じゃないよ!!ユウは冒険者としてあれだけの戦いを見せたんだ!

あんたらも店員としての仕事をしっかりやりな!!」

 

 

「で、でも母ちゃん…。ニャーはあんな強いユウにナメた口きいてたニャァ……。

次来るときどうやって接すればいいかわかんないニャ。」

 

 

アーニャの言葉にクロエ、ルノアまで頷く。

その様子を見ていたシルが頬を膨らませてブチギレる。

 

「みんなおかしいよっ!!ユウさんが強かったら態度を変えるの!?

強くてもユウさんはいつも笑いながら気にしないで接してくれてたのに!?

 

みんながそんな事言うなんて思ってなかった!!もう知らないっ!!」

 

持っていたお盆をバンッと机に叩きつけてシルは涙を浮かべながら裏に走って行く。

 

ミアはまさかいつもボロクソにされているシルがユウを庇って怒るとは思っておらず一緒に固まってしまった。

 

そこに1人の冒険者が声を上げる。

 

「あー。ミアさん。ちょっといいか?

この前この店でユウにボコられたモルドっつう冒険者なんだけどよぅ。」

 

ミアはその冒険者に見覚えがあった。ユウに地面に叩きつけられてゴミ捨て場に頭から突っ込まれていた奴だ。

 

そのあと何があったかは知らないがクラネル兄弟とたまに一緒に笑いながら商店街を歩いているのを見かけた事がある。

 

ミアは頷き言葉の先を促す。

 

「なんつーかよ。ユウは威張ったりしねえやつだろ?なんせどんな弱そうなやつにも真摯的に鍛錬にも付き合ってくれるくらいだしな。

 

俺みたいな半端者にも謝ったら仲良くしてくれるしよぉ。

だから普通にしてても問題ねぇと思うぜ?追い出されてもこの店に来たのはユウがあんたら店員とミアさんの自慢話をずっとしてっからなんだぜ?」

 

アーニャは呆然とする。あれほどの強さを持つユウが自分達の自慢を冒険者にしているのだ。

それほどまでに繋がりを大切にしてくれているのに自分は何てことを口にしたのだろうか。

 

「そうかい。あの子がねぇ。あんたの名前は?」

 

「モルドってんだ。それとこの前は本当にすまなかった。謝って済む問題じゃねぇけど謝らせてくれ。

 

それとアーニャさんだったか?怖いのは仕方ねぇよ。でも怖いのがなんでダメかわかるか?

ユウが言ってたのはもったいねぇからなんだってよ。怖いでその場に止まっちまうのが一番もったいねぇんだってよ。」

 

立ち上がって頭を下げるモルド。豊穣の女主人では追い出した冒険者は基本的に怖がって二度と店に来ない。

だがこのモルドという冒険者はユウのおかげもあるだろうが店に来て、謝った。

 

「かまいやしないよ。あんたのおかげでそこの馬鹿猫も気づいたみたいだしね。

今日は代金はいいよ。サービスだ。」

 

ミアがそんな事を言うのでモルドは首を横に振って口を開く。

 

「冗談はよしてくれ。金は払う。それにこの店の為に言ったわけじゃねぇさ。

俺らはクラネル兄弟を英雄だと思ってるんだ。あの兄弟が勘違いされるのは嫌なだけだ。」

 

ミアは豪快に笑い、ならクラネル兄弟に乾杯って事でご馳走してやるよ!と言う。

モルドもそう言われては断れず、苦笑いを浮かべて受け入れる。

 

アーニャ、クロエ、ルノアは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

あれほど普段顔を合わせて話をしたり、おちょくられている相手を怖がってしまい、自分達より遥かに弱く、そしてユウと敵対というかボコられた筈のモルドが自分達以上にユウを理解していることに情けなくなってしまった。

 

シルが怒るのも無理ないニャ。ニャーはアホニャ。別にユウが強くても関係ないニャ……。

 

その日は早めに閉店させる。そしてリュー以外の店員を席に座らせる。そこには新店員であるアストレアも含まれていた。

あまりにもポンコツ過ぎてウエイトレスを任されないので従業員の部屋を掃除させていたのだ。

まぁ掃除も廊下はビチョビチョ、部屋も棚がひっくり返ったりしていたのでゲンコツをして気絶させていたのだが。

 

 

ついでに途中で自分で神の鏡を使って話題の戦闘を見ていてそれも見つかってまたゲンコツされていたことを報告します。

 

「んで?あんたらはどうするんだい?」

 

「「「…………。」」」

 

シルを除く3人は無言で俯いている。アストレアも話を聞いたのか難しい顔をしていた。

 

「ミア母さん。私はあれほど仲良くしてくれるユウさんを裏切るような行動をこの3人が取るならこのお店をやめます!!」

 

「あんたは少し落ち着きな。馬鹿3人もそんな事思っちゃいないよ。

ただ元冒険者だから余計にユウの強さがわかってしまっただけだよ。」

 

「えっと。まぁ気持ちはわかるわよ?あのレベルの戦闘を出来るのなんてそれこそ過去も合わせてもそうはいないでしょう?

私なんてヘスティアファミリアに居候した当日にポンコツ駄女神とかニート女神って馬鹿にされたんだから。

でもあの強さならそれも言ってくるわよね。」

 

 

いや、ユウは強くなくてもアストレア様には言ってると思う。ぶっちゃけその通りだもの。

 

全員が全員同じ事を思っていた。とりあえずアストレアは放置して話を元に戻す。

 

「ニャーはアホニャ。ユウは兄様との仲を取り持ってくれたしいつもナデナデしてくれるニャ。

なのに怖がるなんてシルが言った通り裏切ったも同然ニャ。次来た時は謝るニャ。」

 

アーニャの言葉に他の2人も謝ると続く。シルはそれを見て溜飲を下げたのか頷いていた。

 

ミアもそうかい。勝手にしな。と言わんばかりの態度であった。それよりこの駄女神だ。

マジで使えねぇ。どうしよう。可愛い息子に頼られたから雇ったもののどこにも配置できない……。

 

娘の事から駄女神まで、頭を痛め続ける。なんだかんだで一番苦労しているミアだった。

 

 

 

 

 

ーロキファミリアー

 

ベートとユウが逃走した後、執務室に集まる幹部連中。そして幹部以外のメンバーも中庭に集まっていた。

 

「全員今日の戦いは見たっすね?あれを見てまだ強くなろうとしない奴はロキファミリアに必要ないっす!!」

 

「そうね。私もラウルもレベル4だけど今のままじゃ確実にベートの足を引っ張るわ。

こう言っちゃなんだけど幹部連中、もしかしたら団長ですらも戦闘面に関しては足を引っ張ってしまうかもしれない。

 

それでも私達は家族よ。ベート1人だけ先を進ませるわけにはいかない!!」

 

 

ラウルとアキ。幹部を除けばロキファミリアで最も高いレベル4の冒険者。

この2人は後輩の育成、そして自らの成長を必ず成し遂げるとあの戦いを見て心に決めた。

 

ベートが口が悪い事も家族に対してでもはっきりと言うことにもげんなりしていた時もあった。

だが今日の戦い、ロキ達のコロシアムでの言葉を聞いて自分達がどれほど馬鹿だったか気づいた。気づいてしまった。

 

だからこそ、自分達が下っ端と幹部の橋になるしかないと思った。ラウルは特に。

ラウルはベートと別に仲が悪いわけではない。むしろロキファミリア内ならば良く喋る方だ。

 

そしてユウとも良く話す。ユウはいつも自分に敬語を使ってくれる。一度敬語をやめてほしいと言ったが、先輩冒険者ですしラウルさんを尊敬していますから。

笑いながらそう言ってくれた。

 

自分は確実に凡人である。それは間違いない。

ベートにしろ、ユウにしろ天才という言葉は彼らの為にあるのだど思っている。

 

だがあの2人は決してラウルを他の冒険者が言うように凡人の無駄な足掻きなどと馬鹿にしない。

ベートはラウルを根性のある馬鹿と笑いながら言う。

ユウはラウルの態度に尊敬を覚えると言う。

 

己にそんな価値があるのだろうかと常々思っていた。だがあの2人は笑いながら鍛錬にも付き合ってくれる。

 

そして今日の戦闘を見て自分が勘違いしていた事に気づいた。あの2人は実力、才能、素質などは二の次なのだ。

 

冒険者が冒険者であるが為の誇りと向上心。この2つだけを評価していた。

それはそうだ。現状に満足してしまえばそこから成長はしない。成長しなければ下を見てしまう。

下を見て比べれば楽になるから……。

 

だからこそ鍛錬をお願いすれば快く引き受けてくれたのだ。あの2人は本当に誇り高く、格好が良い。

だが憧れて何もしないのはそれこそあの2人を裏切ることになる。

 

だからこそ自分の成長を図りつつ後進組、まだ新人冒険者だったり、レベルの低い冒険者を育てていかなければならないと思う。

 

幹部連中のように強い奴らは勝手に強くなって上に登る。ならば自分達の仕事は伸び悩んでいる後輩、新人の教育を上に押し上げる事だと思った。

 

「俺らは誇り高いベート・ローガの所属するロキファミリアの家族っす!

ならばあの誇り高い人に追いつき、追い越さないとダメっす。そしてロキをNo.1の座に家族全員でつかせるっすよ!!」

 

「その為にはみんなの力も必要。それに普段の態度もね。ベートは勘違いされる様な事を常に言ってるけどほぼ他所のファミリアとケンカとかはしてないわ。

 

……ヘスティアファミリアはこの際除外するけどね。みんなもわかると思うけどあそこは全員おかしいから。」

 

ついつい本音が出てしまうアキにみんな笑ってしまう。

その中でこの前ランクアップした冒険者が手を挙げ、発言の許可を求めるのでラウルとアキは頷く。

 

 

「俺はユウさんとベートさんに注意……いやボコられた。理由はロキファミリアに入っただけで満足して他の冒険者を馬鹿にする発言をしたからだ。

 

それからユウさんに冒険者としての醍醐味を教えてもらってベートさんに毎日ボコボコにされながら鍛錬した。

 

だからこそ分かる。あの人達は口が悪くても上を向けるやつを絶対に馬鹿にしない。

ベートさんの口が悪い?違う。事実を言ってくれてるだけだ。そこから何を読み取れるかだと思う。

 

自分でも何が言いたいかわからないけど…。

 

ここにいる全員に知っておいてほしい言葉がある。

ユウさんに言われた言葉で俺のランクアップの基礎となった言葉だ。」

 

 

【才能とセンス?うん必要だと思うよ?でもさ努力出来る、上を目指す決意がある。それが一番の才能だと思うよ?】

 

1人の青年から発せられるユウの言葉。この言葉はロキファミリアの全員の心に火をつけた。

 

誰が始めたのかはわからないが拳を天に突き上げる。全員が続いて上げ、上がりきってから大声で叫ぶ。

 

ロキファミリアはこれから全員が成長していくだろう。

 

 

ロキと幹部連中は執務室に集まって誰も言葉を発しない。全員先程までの戦闘を脳内で振り返っていた。

 

「……集まったけど特に話とかないよね。」

 

「ん。せやな。ウチも特に話すことないわ。」

 

ポツリとフィンが呟いた言葉にロキが同意する。ぶっちゃけ集まった意味はなかった。

 

ただなんとなく胸に灯った熱が冷めてないので集まっただけだった。

 

 

「…話ないなら行っていい?ベートお兄ちゃんに会いたい。」

 

「アイズ。あたしも行っていい?ベートに謝りたいこといっぱいあるんだ。

それにもっと強くなりたい。」

 

「あの子らどこ行ったかわかるんか?めっちゃダッシュで逃げとったで?」

 

 

「レフィーヤがユウお兄ちゃんの場所わかるから…。レフィーヤはユウお兄ちゃんの場所はすぐにわかる。」

 

アイズの言葉にレフィーヤは頷く。しかし表情はそれほどよろしくはなかった。

 

 

「ユウお兄ちゃんとベートさんは今はそっとしておくのが良いと思います。やっとお互いが親友になれましたし色々話すことがあるでしょうから。」

 

レフィーヤの成長、いや、お兄ちゃん愛が良くわかる言葉だった。しかし大人になったなと全員が思う。

 

 

「それなら僕が一番今気にしてることを言ってもいいかい?」

 

全員フィンの方を向いて頷く。

 

「みんな今日の2人の戦いを見てもっと成長しよう。上を目指そうとしてるのは良くわかる。

今更言うことでも無いと思うし、ベートの強さも良くわかった。それは別に良い。

 

 

 

 

なんでリヴェリアが居ない?」

 

 

そういえばリヴェリアが居ない。何故だ??

 

 

「あーママな。ユウたんとベートが怪我だらけでダッシュして逃げたから追っかけていったで?

ママは心配性やからなー。」

 

全員納得して笑う。さすがお母さん。

 

それから今日の戦闘の感想などを言い合っていると外から大きな雄叫びが聞こえて全員びっくりしてしまう。

 

ラウルとアキが先導して集まっていたのは知っていたが予想以上に盛り上がっているのを知ってフィンとロキは思わず笑ってしまった。

 

 

 

 

ーフレイヤファミリアー

 

オラリオ最強?唯一のレベル7?なんたる体たらく!!あの一瞬で悟ってしまった。

己は実力ならばあの2人の下である事実に……。

 

オッタルはフレイヤの私室にすぐさま向かい、ドアをノックもせずに開ける。

こうしてはおれん!!もっと強くならねば!!

そんな思いを胸に抱いてフレイヤにダンジョンに潜る許可をもらいに来たのだ。

 

 

 

 

 

 

フレイヤは床の上で目を抑えてゴロゴロと転がりまくっていた。

何してんだこのニート駄女神。

 

 

先ほどまでのやる気に満ち溢れた目から一転。己の主神の駄女神っぷりに死んだ魚の目に変わる。

 

 

「……駄女神さ、フレイヤ様。何をしておられるので?」

 

 

 

「痛いぃぃぃ!!ユウの魂の輝きが凄すぎて目が痛いのよー!!あの子なんなの!?

ほんとすごいわね!!こんな輝きの魂神になってから一度も見たことないわよっ!!」

 

 

文句を言いながらゴロゴローゴロゴローと目を抑えて床を転がる駄女神。

 

オッタルは気づいてしまった。この女神の状況で鍛錬に行くことができるのだろうか?と。

 

そっと近づいてフレイヤを抱っこしてベットに乗せる。そしてユウにもらった快眠!蒸気アイマスク!をつけてあげる。

 

 

「フレイヤ様。これはユウにもらった快眠グッズです。目が楽になるかはわかりませんがお使いください。

 

そして私はダンジョンに籠りますので1週間お休みします。それでは。」

 

 

「え?ちょ?オッタル??貴方の主神がこんなに痛がってるのよ??

心配でしょ??横に座って看ててくれて良いからね?」

 

 

フレイヤファミリア団長オッタルさん。主神の言葉を聞いてしまう前に全力で逃走。

その姿を見られないようにアイマスクを装着させる周到ぶり。さすがオラリオ最強。

 

フレイヤはオッタルがまだ居ると思ってひたすらアイマスクをつけたまま話しかける。

 

しかし声が返ってくることはなかった。

 

 

またしても美の女神の叫び声がオラリオに響いた。

 

 

 

 

ーブラシスコンズー

 

 

イテェイテェと言いながら肩を貸し合って歩く馬鹿2匹。馬鹿2匹はそのままディアンケヒトファミリアに向かっていた。

 

「おーい。小太りジジイー。アミッドさーん。ハイポくれぇぇぇ。マジで身体中がイテェー。」

 

「お、俺もくれー。マジでもう動けねぇ……。」

 

2人はディアンケヒトファミリアのドアを開けて倒れ込んでしまう。

ディアンケヒトもアミッドも先程まで戦闘を神の鏡で見ていたのでここに当人達が居ることに驚き、ボロボロの状態でいることに驚いてしまう。

 

 

「お、お前らは何をやっとるんじゃ!!ロキにエリクサー渡しといたんじゃぞ!!」

 

怒鳴りながらもエリクサーを2人にぶっかける。ハイポーションでも良かったが良い戦いを見せてくれたので奮発したのだった。

 

「ユウさん。ベートさん。お疲れ様でした。素晴らしい戦いでした。

まぁほとんど見えませんでしたが。

良ければベットを貸しましょうか?」

 

ユウはエリクサーで大分復活したので大丈夫だったがベートはマインドダウンも起こしていたのでマジックポーションを飲んで寝させてもらうことにした。

 

 

あれほど魔法を使ってマインドダウンを起こしていないユウに3人とも呆れていたが。

ついでと言わんばかりに紅茶やケーキなどを出して全員で食べることにした。

 

 

「しっかしユウは強いのぉ。速すぎて何が何やらわからんかったわい。

アミッドも珍しく興奮しておったしの。」

 

「え?嘘?アミッドさんが興奮してたの?

うわー俺もそっち見たかったわ。アミッドさんってあんまり感情を表に出さないから興味深いよね。」

 

 

「も、もうディアンケヒト様!ユウさん!からかわないでください!!」

 

ごめんごめんと笑いながら言うユウ。アミッドが頬を染めている事にはツッコまんのだなと思うディアンケヒトだった。

 

それから戦闘について色々聞かれたりして説明していく。アミッドもディアンケヒトも見えていなかったところまで説明してくれるので興味深そうに聞いていた。

 

 

「ユウさんはベートさんの気持ちがわかっていたからこんな大規模な戦闘をしたんですね……。」

 

 

「んー。ここまで大規模になるとは思ってませんでしたけどね。でもちょうど良かったです。

やっぱり親友には楽しそうな顔でいて欲しいですから。

 

それにベートは俺の最大の好敵手ですしね。俺はあいつとファミリアは違いますけど一緒に上に登って行きたいです。」

 

 

ユウのなんの飾りもない言葉がスッと胸に落ちてくる。アミッドはユウの笑顔を見て頬を赤らめてしまう。

 

ユウさんは何故これほどまでに格好いいのでしょう。嗚呼。これでは本当に自分の気持ちを抑えれる気がしませんね……。

 

 

「ほう。やはりユウ君はベートにとっても素晴らしい親友で好敵手だったのだな。」

 

 

3人以外の声が聞こえる。声のした方を見るとロキファミリア、いや、エルフが誇るハイエルフ。リヴェリアさんが仁王立ちしていた。

 

「げっ!り、リヴェリアさんっ!?ベベベベート!!起きろ!追っ手が来たぞ!!」

 

慌てふためくユウを見てクスリと笑いながらリヴェリアは首を横に振る。

 

 

「別に説教をしようとは思っていない。ただ大怪我のまま逃げ出したから心配で追いかけて来ただけだ。」

 

 

ユウはホッとしてリヴェリアにも紅茶とケーキを出してあげる。

アミッドはその間ずっとリヴェリアを見ていた。リヴェリアもアミッドのユウに対する態度を見ていたが。

 

 

ま、まさかリヴェリアさんまで?明らかにユウさんを好ましく思っている態度ですよね?

ハイエルフ様まで落としたんですか!?

ライバルが多いし強敵すぎますよ……。

 

アミッドもまさかユウ君が好きなのか!?ユウ君はどれほどモテるんだ!!

くっ。妹や弟には優しい。つまりユウ君は年下好きなのか!?い、いや万能者や疾風は年が上のはず。恋愛なら年上好きではないか!?

 

 

 

ディアンケヒトは2人の百面相を見て思わずため息を吐いてしまう。

 

 

何故これほど分かりやすいのにユウのアホは気づかんのじゃ。儂この場にいるの嫌なんじゃが。

 

 

そんな3人の気持ちには一切気づかないユウは楽しそうにケーキを食べてベートの良いところを熱く語っていた。

 

 

 

 

 

「し、師匠…。え?リヴェリアさん!?」

 

 

「ん?リーネか。師匠?アミッドのことか?」

 

そこに現れたのはみんな大好きリーネたん。

リーネはアミッドに師事していることと、その過程をリヴェリアに報告する。

リヴェリアも笑いながら頷き納得していた。

 

 

最近のリーネは人が変わったように強くなっていた。戦闘面もそうだが治癒魔法に関してはリヴェリアより上になっていた。

 

「リーネさんリーネさん!今ベートはそこの部屋のベッドで寝てます。

やることは1つですよ!一緒のオフトゥンに入って看病してあげましょう!」

 

ユウはニヤニヤしながらまた馬鹿なことをリーネに囁く。ついでに恋愛経験のないハイエルフと人形のような少女も二次災害に遭っていたが。

 

リーネはユウを一種の神聖化している。アミッドがユウさんが、ユウさんがと誇らしそうに毎日リーネに言っていたからもあるが。

 

それにユウは先程の戦闘もそうだが自分の大好きなベートの親友でオラリオ1ベートを知っていると思っているので素直なリーネは恥ずかしがりながらもユウの言った通りにしてしまう。

 

 

リヴェリアは止めようとするが何かを閃いたのかアミッドを呼んで耳打ちする。

 

 

リーネはし、失礼しますぅ。と呟きながらベートの隣にごそごそと入って控えめに抱きつく。

 

ユウは必死に笑いを堪えて写真を撮る。

 

 

そのユウの肩がハイエルフ様と聖女様に掴まれる。

 

 

「ふむ。ユウ君がベートを思ってしているのは良くわかった。それにユウ君も疲れているだろう?

安心しろ。リーネではないが我々が寄り添って寝てやる。」

 

 

「ええ。ヒーラーとしてユウさんは休むべきだと思いますのでベッドを用意しました。

こちらへどうぞ。いいですね?ディアンケヒト様?」

 

 

正直に言おう。ディアンケヒトはアミッドの目が本当に怖かった。神も自分の身が一番大切なのだ。

ユウの捨てられた子犬みたいな目を見てなかったことにしてアミッドに頷きいそいそと部屋を出て行った。

 

 

「えっと。ぼ、僕ホームに帰って寝ようかな、なんて……!」

 

 

「ふふ。リーネを焚きつけておいて逃げられるとでも?誰かと一緒に寝るのはアイズの子供の頃以来だな。

 

それに男性と一緒に寝るのもなかなか興味深い。」

 

 

「ふふふ。私はヒーラーですからね。ユウさんが大丈夫か身体を使って調べなくてはいけませんからね。」

 

 

ユウはようやく気づいた。気づいてしまった。この2人の目が獲物を狙う肉食獣な事に。

 

必死で抵抗するが本調子ではないユウにレベル6でレフィーヤと鍛錬しているリヴェリアには対抗できずベッドに入れられる。

 

 

 

弟、妹達よ。お兄ちゃんはついに大人の階段を登るかもしれません……!

 

アスフィ、リュー、レヴィス……マジですまん。

 

 

 

これが楽園(ゼツボウ)か……。絶対爺ちゃんのせいだ。爺ちゃんがなんかやったに違いない。

俺がこんなにモテるのはおかしいっ!!!

 

 

もうテンパりすぎてゼウスのせいにし始めたユウだった。

 

 

 

悲しい事?嬉しい事にハイエルフ様と聖女様は子作りを知らないのか抱きついて寝るだけだった。

 

しかし女性特有の良い匂いが鼻を刺激して一切寝れなかったユウだった。

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぉ!!な、なんでリーネが一緒のオフトゥンで寝てんだよぉぉぉぉぉぉ!!

 

ユウてめぇぇぇぇぇ!!!

 

 

 

え?ゆ、ユウさん?どうしたんでしょうか?なぜリヴェリアさんとアミッドさんが寝ているんでしょうか?」

 

 

 

「ベート……。リーネを焚きつけて本当に。ほんっっっとうに悪かった。

 

だから頼む。助けてくれ……。」

 

 

敬語になるベートと涙目でベートを見つめ、助けを求めるユウの姿がそこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アミッド。お前はエルフではないが私の同士だ。これからも仲良くしよう。」

 

「ええ。リヴェリアさん。また機会を作って添い寝しましょう。」

 

 

 

今日もオラリオの一部でとんでもなく強力なコンビが生まれた。

 

 

えへへ。ベートさんと一緒に寝ちゃった。ベートさんにまた一緒に寝てもらっても良いですか?って聞いたら頷いてくれたしこのご褒美があれば私はずっと頑張れますっ!!

 

 

万人が見惚れる笑顔のリーネさんも居たらしい。

 




うーん。何が書きたかったか良くわからんなw


旅行中にちょくちょく書いたんで誤字脱字や矛盾点が多いかも知れないです。

申し訳ない!!


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