アーランドに転生したのでエスティさんをヒロインにしたい (血濡れの人形)
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プロローグのようなもの

~近くの森~

 

皆さん初めまして、シルド・フォン・シュヴァルツラングと申します。

何を言っているんだお前と言われるかもしれませんが、転生者です。

なんでこうなったのか、それは数十年ほど前にさかのぼります。

 

~回想~

 

「いやぁ、アーランドシリーズって前から気になってたけど、やってみると楽しいもんだな」

そう、あれはアーランドシリーズの三作目、メルルのアトリエをトロコンして、最新作出るルルアの方をやろうとしたときの話だ。突如目の前が白くかすみ、気が付くと目の前におじいさんが立っていた。

「いやぁ、マジメンゴ、部下がうっかり君のことやっちゃってさぁ☆」

思わず顔面をぶん殴った俺は悪くないと思う。ついでに首捕まえて地面?に叩き付けたけどまあいいよネ!

「すんませんでした。まじめにやります・・・コホン、このたびは、部下のせいで大変申し訳ないことをした」

そう言って頭を下げる爺、聞いた話によると一応神らしい。何で一応って、信じられるわけないでしょ、普通。

「お詫びとして、好きな世界に行く権利と特典を一つ差し上げます」

と言われたので、とりあえず思いついたように言ってみる。

「アーランドの世界で、エスティさんと同年代、特典は成長補正で、速度と防御高めでお願いします」

「あいわかった。ならとっとと行ってくれ」

次の瞬間、突如空いた穴にそのまま落ちて行ってしまうのだった。やはり、殴ったのが失敗だったのだろうか・・・

 

~回想終了~

 

それからなんやかんやあり、この地、アーランド王国で騎士をすることになり、無事にエスティさんとも結婚を果たしました。さて、そんな俺は今・・・

「エスティが俺を待ってんだ!とっとと戻りやがれジオ!」

「仮にも自国の王にその口調はどうなのかね!?」

「エスティ以外は全員下ですぅ!あいつが早く戻ってきてといった以上、即座に帰るんだよ!」

「ぬお!」

うちの国の王様捕まえに来てます。とりあえず確保したから戻ってエスティに抱きつこう。後ろから勢いよく。

「ん?そこにいるのはシルドじゃないか。ちょっと実験につきあいたまえ」

「絶対にNOだよこのイカレ錬金術師が!おまえは師匠からもう少し色々学んでろや!」

なんていいながら逃げる。その後ろから道具使って追いかけてくるイカレ錬金術師、そう、こいつこそロロナの師匠と悪名高きアストリッド・ゼクセスその人である。こいつの師匠からのつながりで、薬の実験などを(強制的に)手伝わされている。絶対関わりたくないので、ジオを捕まえた近くの森から全力で街に帰るこいつのせいで薬が効かなくなり、回復がまともにできなくなっているのだ。これ以上ダメージ喰らってたまるもんか。

 

~アーランド王国 城内~

 

なんとか巻いてやったぜ。トラベルゲートの応用とかで隣に瞬間移動してきたときは思わず頬引き攣らせたが、まあ逃げ切れたんでセーフ。大臣に王を縛り上げた状態で渡し、すぐに受付裏に移動。書類とまとめ終わり、一息ついてるエスティに抱きつき、持ち上げてぐるぐる回る。

「うわっ、ちょ、シルド!?キャァッ」

かわいい悲鳴が聞こえたので、降ろして後ろから抱きしめる。髪の毛からするいい香りに、さっきまでの逃走の疲れがなくなっている気がしてくる。

「国王捕まえたよ。そのあとにアストリッドに追いかけられて散々な目にあったよぉ」

「あぁ、それで急に抱き着いてきたわけね。はぁ、いきなりだったからびっくりしたじゃない。次からせめて一声かけなさい」

そういいながら頭を撫でてくれるエスティに感謝。これであと十年は戦える。

「おにぃちゃん、なんでえすてぃさんにだきついてるの?」

固まった。なぜこの場にこの子がいるのだろう・・・

「俺としてはミミが一人でここにいることに疑問を覚えるのだが・・・」

六歳でしょマイシスター。一人でこんなところに来るのはあまりよろしくないのでは?

「ひとりじゃないもん!あかあさまだっていっしょなんだから!」

それを聞いた直後の俺の動きは早かった。何事もなかったかのように抱きつくのをやめ、エスティの斜め後ろに移動。笑みを浮かべて何もなかった風を装う。

「シルド?後でお話があります」

なお母には見られていた模様。oh、これは叱られるやつですねぇ・・・まぁとりあえず、そんなこんなで僕は、なにかと幸せに暮らしています。




息抜きとして投稿するので更新はもう一つよりさらに不定期になります。失踪は多分しません。


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アトリエから来た少女(原作開始の合図)

~アーランド王国 城内 受付~

 

「ん?いったいどうしたんだ?そこ行く少女よ」

なんて声をかけた俺は、視線の先にいるピンクの服をした少女にそう話しかける。そう、最初の主人公こと、ロロナちゃんである。ずいぶん昔の記憶ゆえにあいまいだが、エスティが本来話しかけるところなのだろう。しかし、いま彼女は別件で受付を離れている。キャベツ祭りがどうとか言ってたからそこらへんだろう。

「ふぇ!?えぇえっと、顔が怖い人に呼ばれてやってきたのですが・・・」

うん、間違いはなさそうだ。今日ステルクが少し疲れた表情をしていた理由もこれだろう。というわけで案内することにする。

「あぁ、ステルクだな。案内するからついてきてくれ」

そういって、受付の近くの扉を開け、その先にいる騎士に声をかける。

「お呼びだぞ色男、ほれ、あそこに立ってる騎士だろ、君が言っていたのは」

「先輩!いい加減色男呼びはやめてください!」

そう言いかえしてきたのは、警備中に子供に泣かれることで有名な俺の後輩兼弟子のステルクだ。

「まあそんなことはどうでもいいから、とりあえず呼んだ理由を話してやれよ」

「どうでもよくなど!・・・はぁ、まぁいい。それで、私は店主に来るようにと伝えたと思うのだが?」

ロロナの方を向いてそういったあたりで、俺は受け付けの方に戻ることにする。エスティがそろそろ戻ってくるころだろうし。

「そんじゃ、俺は受け付けに戻るわ」

そこまで言い、扉を閉め、そのまま受付に戻る。

「あら?あなたが私がいないここから離れてるなんて珍しいわね」

ちょうどエスティが戻ってきていたので、ロロナのことを説明する。

「なるほどねぇ、なんだか疲れていたのはそういうことだったの」

なんて話していると、扉が開き、ロロナが出てくる。その姿は、ひどく落ち込んでいるように見える。もっとも、彼女はこちらに気が付く様子もなく、そのまま城から出て行ったのだった。

「ずいぶんと落ち込んでたな。っと、そろそろ警備の時間だ。少し見回りをしてくる」

「はいはい、王様が逃げだしたら連絡行くようにしておくから、連絡があったらいつも通りお願いね」

そんな連絡がこようもんなら次は地面に埋めるか、なんて考えつつ、おでこにキスしてから見回りに向かう。職人通りから広場まで行って、そのあとぐるりと回り門の方へ行き、門番に差し入れを入れた後にまた受付に戻・・・

「シルド先輩、国王が逃げだしました」

「ぶっ殺すぞあの野郎」

近くにいた人がギョっとこちらを見るが、それを無視してどの方向に行ったのかを聞く。

「シュテル高地!?あぁくそ、何であそこに行こうとしてんだあれは!ていうか、あそこって一日で行ける距離だっけ!?」

王様をアレ呼ばわりしたあたりで、伝令の視線が少し鋭くなったが、理由を知っているせいで同情の視線も送られてくる。

「それが、かのアストリッド・ゼクセスが協力して、そっくりの人形を設置していたらしく、大臣ですら気が付かなかったらしいです。あと、エスティ先輩から伝言です。『一回までなら埋めてよし、できれば早く帰ってくるように』とのことです」

「わかった。んじゃあちょっと走るかねぇ」

俺はそういいながら剣をシュテル高地の方へ投げ、門から外に出ると、足に雷を纏わせる。次の瞬間、俺は雷になった。

 

~シュテル高地~

 

「ここまで逃げれば大丈夫だろうか?さすがの彼もここまではそう簡単にはこれまい」

「オ・マ・タ・セ☆」

直後発生する衝撃、地面に街で投げていた大剣が突き刺さる。ジオが後ろを向くころには、とてもイイ笑顔を浮かべ、剣の腹を振り下ろすシルドの姿が。

ガゴン

頭に一撃いれられ、一瞬ひるむ。その隙に頭をつかまれ、腹に拳が突き刺さる。腕をつかみ、勢いよく地面に叩き付け、胴体をつかみ逆さで持ち上げ、ジャンプした後に思いきり地面に投げつける。犬神家な感じで行動停止したジオをまるで野菜を畑からとるような動きで引き抜き、剣と一緒に担ぐと、そのままその場を後にした。




原作主人公とはあまりかかわらない模様。この後エスティに抱きついて、受付で膝枕してもらっていた。


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ミミちゃんとうさぷに、それと劇

~シュヴァルツラング家 庭~

 

「うさちゃんだ~!」

『ぷに~♪』

突然だが、うちではとあるペットを飼っている。ペットというかモンスターというか、まあ飼っている。いや、正確には今日飼い始めたのだが。そいつは、白い半球体にバニーがつけてそうなウサミミを装着した生物、そう、うさぷにである。ミミの遊び相手にちょうどいいと思って一匹ほど拾ってきた。というか、こいつからすり寄ってきたのだが。

「でも、わざわざ妹ちゃんのために王様と大臣脅してまでモンスターを連れてくるなんてね。さすがの私も聞いた時は驚いたわよ?」

「馬鹿を言うな。脅してなんていないどころか、責任がこちら持ちなら好きにしろと言われただけだ。それに俺だって、あのうさぷにが攻撃を一切せずにすり寄ってきたなんてことがなければ、こんなところまで連れてはこないさ」

そのときは本当に驚いたものだ。まさか普通なら全力で逃げ出すか、突然攻撃を仕掛けてくるのに、剣を構えていた俺の肩に乗ってすりすりとすりついてくるとは思ってなかったからな。

「うわわ!あははっ!速い速い!」

「あれ放っておいていいの?」

「楽しそうだしいいんじゃないかな?うさぷにライダー」

少し目を離したらうさぷにの上にミミが乗っかって、バランスを取りながらうさぷにを走らせていた。

「そろそろ仕事の時間だな。受付に戻るぞ。クーデリア嬢に受付を押し付けてここにいるんだ。そろそろ戻らねば文句を言われてしまう」

「あー、それもそうね。それじゃあミミちゃん、お姉ちゃんたちお仕事に行ってくるから、ちゃんとに留守番してるのよ?」

ちょうどミミがこちらに来た時に、エスティがそう話しかける。ミミは少し悲しそうな顔をした後、何かに気が付いたように表情を明るくして、

「わたしもおねえちゃんたちのしごとみる!」

『ぷにぷにぃ!』

といってくる。うさぷにも何かを期待するようにこちらを見つめてくる。どちらも思わず目を覆いたくなる程度には輝いているように見える。

「はぁ、しょうがない、かな。エスティ、ミミたちも連れて行こうか」

「そうね。仕事って言っても、書類整理とかしかないでしょうし」

「ほんとう!?やったぁ!」

『ぷぅにぃ!』

いつの間にあんな仲良くなったのだろうか、なんて考えつつ、俺たちは城に向かって歩き始めるのだった。

 

~アーランド王国 広場~

 

広場のあたりまで来たところで、何やら人だかりが見える。何かに熱中するように集まっている人々の真ん中で、一人の少女が二つの人形を操り、劇のようなものを開いていた。おそらくリオネラだろう。それに気が付いたミミとうさぷにも、そちらの方向に視線を向け、見えなかったのだろう。ミミはうさぷにに乗っかったまま集団の真ん中に移動を始める。って、

「ミミ、ちょっとストップ!」

といって、ミミとうさぷにを回収、自分の頭の上に乗せる。うさぷにがうまくバランスを取ってくれるので、ミミはその上から中心の劇を見始める。

「危なかったわねぇ、その子があそこの中心に入る前でよかったわ。きっとみんな驚いて、もしかしたら攻撃しちゃうかもだしね」

「あぁ、うちの妹と一緒だといっても、モンスターであることに変わりはないからな」

もっとも、俺の上の一人と一匹はこの話を聞かず、劇の方に集中しているようなのだが。

なんて話していると、劇が終わり、中心にいた少女はおひねりをもら

「え?」

うことなく、そのまま走ってその場から立ち去ってしまった。先ほど少女がいた場所には何かが落ちている。俺はうさぷにとミミを下ろすと、人が少なくなったところで落ちているものを拾おうとする。しかし、それより前に倒れているピンクの服の少女を見つけ、とりあえず声をかけることにした。

「大丈夫か?いったい何があったのかは知らんが、そんなところで倒れていると危ないぞ?」

なんていいつつ相手のことを見る。つい最近受付で見かけた少女だった。そう、ロロナである。しかし疑問が一つ。いまは六月、たしかさきほど彼女(リオネラ)とロロナが出会うのは九月のはずなのだ。まあここが現実の世界になって、本来のお話から割とずれ始めている時点で、何が起こってもおかしくはあるまい。

「うぅ、ありがとうございます。実は後ろから押されちゃって・・・」

「そ、そうか。それは災難だったな」

「本当ですよぅ・・・あれ?あそこ、何か落ちてる」

彼女はそういうと、落ちていたものを拾う。

「これは・・・お財布?何でこんなものが落ちてるんだろう。もしかして、さっきの女の子が落としていったのかな?」

「シルド、そろそろ行かないと本格的に時間がないわ」

「うわほんとだ。それじゃあな」

何かを考え込んでいる彼女を背に、俺たちは再び城に向けて歩き出すのだった。




このあと受付に戻ったらクーデリアにとても怒られた。ちなみにだが、うさぷには小さな子供たちの人気者になり、ミミちゃんはそんな子供たちと一緒にうさぷにと遊ぶ姿が時々見られるようになったという。


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訓練風景(ステルクは強制参加だから)

実は強化されてる騎士メンバーな話


~アーランド王国 城内 特殊訓練場~

 

ここは、本来存在しない訓練場。ある一人の青年の存在が作り出した、原作(本来のお話)には存在しない区画。そこで、今日も訓練が開かれていた・・・

「今日は対グリフォン系統モンスターの訓練を行う!ここにグリフォン、キメラホーク、ストームビースト、ブラックファング、ブラッドエイク、グリフォニアン、夜の魔獣を用意した!貴公らにはこれらをどちらかが全滅するまで倒してもらう!では初めにグリフォンからだ!」

そういって、ハルモニウム製の檻からグリフォンを出す。とはいえ、この訓練にまともについてこれるものなどそうはいない。が、これも幾度となく行われた所業なのだ。もはや全員慣れたもので、息を切らす者はいるが、傷一つなくグリフォンを討伐する。

「ほい次ぃ」

しかしもはや慈悲などない。疲れ切っているものがいる中に、キメラホークを放つ。ここにきて被弾者が少しだけ増え、三分の一ほどがぼろぼろになる。立っているものがいるので続行、追撃と言わんがばかりにストームビーストを二体投下する。ぼろぼろのものを助けるために何人かがかばいに回るため、全体的に多くが傷つき始める。どうにか倒すが、それでもまともな戦力として扱えるのは多くいっても全体の五分の一ほどだろう。しかしこれらを単独で捕まえてきた彼には関係がない。さらにブラックファングを投下する。直後の出来事だ。訓練場内でバチリという音とともに、剣が一閃、ブラックファングを弾き飛ばした。この訓練の提案者であるシルドの唯一の弟子、ステルクである。完全にステルクの方へ意識が言ったブラックファングに、まるで時間稼ぎをするような戦い方を見せるステルク。彼のおかげで、周辺の息が上がっていた騎士たちも体勢を立て直す。そこから始まる猛撃、ブラックファングが倒れる。が、代わりにステルクの息が上がってしまっていた。そこにブラッドエイクを三体投下、あっという間に全滅してしまった騎士たちの代わりに、シルドがすべてを駆除する。

「今日の訓練はここまで!今日の訓練を生かし、『護って戦う』ことを忘れない事!では解散!」

そこまで言って、エレキシル剤で周辺の騎士たちの傷を治し帰らせたシルドのもとに、エスティがやってくる。

「さて、あの子たちの訓練はここまで!続いて、私たちの訓練(・・・・・・)を始めましょう?」

「あぁ、モンスターどもを放つぞ」

言うが早いか、グリフォニアン、夜の魔獣、さらに、フランプファイルなどが計六十体現れる。そんな光景に軽く笑みを浮かべ、二人は武器を持って向かっていくのであった。




なお、モンスターの素材は檻作成の協力者であるアストリッドのコンテナの者になった模様。肉は騎士たちの配給などに使われることとなった。
この訓練が原因で初期加入時のステルクさんの初期加入レベルは35だったらしい。
ちなみにエスティさんはレベル45加入である。

最後の二人での光景を見た一般騎士の反応

「あれはもう人間の動きじゃないだろ。やっぱり騎士団長は人間ではなかったのではないだろうか・・・火のブレス受けて服にすら被害が出てないし、むしろブレスごとドラゴンとか切り裂いてるし」

と、フランプファイルと夜の魔獣を通常攻撃で即死させている光景を見て一言。


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エスティがついていくことになったらしい

あれ?気が付いたら今日だけで四話目です。


~アーランド王国 ロロナのアトリエ~

 

「というわけで俺もついて言っていいですか?」

「何がというわけなんですか!?」

エスティが次の探索についていくと聞き、思わずここにきてこんな話を始めてしまった。突然すぎて話についていけなかったらしい。

「エスティが君と一緒に探索に行くと聞いてついな。はっきり言って、一週間以上エスティがいなかったら死ぬ自身が俺にはある」

まえに二日ほどいなくなってからは、帰ってきたエスティや周辺にいた騎士仲間、大臣、果てにはあの国王まで心配する程度に衰弱していた。そのことから考えても、一週間もエスティがいなければ、俺はしおれ果てて死ぬだろう。

「うぇ!?そこまでですか!?」

「その通りだろうな」

突然現れるアストリッドがそういう。こいつもその時の俺のことを知っている一人だ。あのときのアストリッドの反応は思い返せば楽しいが、それ以上につらくなるので思い出さないことにしている。

「師匠!?なんでここに!?」

「それはまぁ、もともとここは私のアトリエで、今は弟子のアトリエだ。まぁそんなことはどうでもいい。いいかロロナ、絶対にエスティ嬢を連れ出すときはこいつを、こいつを連れ出すときはエスティ嬢を連れて行くようにしろ。出なければ、最悪アーランドが滅びかねん」

なかなかに失礼なことを言うものだ。別に滅ぼすなんてことはしない。ひっそりと人目につかないところで息絶えるだけだ。

「そこまで大事になるんですか!?というか、いったいこの人って何者なんですか!?」

そこまで言われて思い出す。そういえば俺自己紹介してないや、と。

「あぁ、すまない。俺はシルド・フォン・シュヴァルツラング。この国の騎士団長をしている。ついでに、君が時々連れて行っているステルクの師匠だ」

そこまで言ったあたりで、ロロナが固まってしまう。嫌な予感がした俺は、一度耳をふさぐことにした。直後、

「え、えぇぇぇ~!」

という声が、街に響き渡った。

 

~数分後~

 

「落ち着いたかな?」

「はい、すみません。突然叫んじゃって」

取り乱していた彼女がそう答えたあたりで、ようやく落ち着いたのだとほっとする。

「まぁ、それほど取り乱すようなことでもあるまい。ほんの少しだけ剣が強くて、書類仕事が得意なだけだ」

「冗談だろう?それと、貴様はまだいってないこともあるだろう?なぁ、兄弟子殿」

「変なことを言うな妹弟子が。お前には錬金術で勝てない以上、これ以上錬金術をやる予定などないさ」

「よくもまぁぬけぬけと。賢者の石を独学で作るやつが言うようなことだとは到底思えんな」

またショートしてしまった様子のロロナは、言い合いをしているシルドとアストリッドをぼんやりと眺めるのだった。




というわけでエスティが参加するときだけ特別参戦するようになったシルド(レベル50+特殊装備 (エスティ)雇用金額一万)、この世界ではロロナ含め六人パーティーで活動してまいります。


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金額設定高すぎたかな?(むしろ安い方だと自覚しなさいよ)

まさかの一日にして五話目。今日はこれ以上更新しない・・・と思う


~アーランド王国 城内 受付~

 

「こないな」

「こないわねぇ」

くだんの騒動から一週間ほどたった日の話である。

「高すぎたのかね?雇用金額」

「安い方よ。軍事目的とかであなた一人動かすだけで、本当なら国家予算の四分の一は必要なんだから」

エスティがそんな風に言ってくるが、そうでもないと思う。なにせ、

「さすがにそれは冗談が過ぎるだろ。高々ドラゴンを片手でたたき殺す程度しかできない男にそれはないぜ」

ギゼラさんとかならやりかねん。あと成長したメルヴィアさんもやるだろう。

「はぁ、どうにかしてその認識を治さないと、また大変なことになりそうね・・・まぁ、国家予算の四分の一は言い過ぎかもだけど、あなた一人の給料ってかなり高いのよ?」

エスティとそんな話をしながら、書類を片付けていくと、一つだけ妙に分厚い書類を見つけた。

「ん?何でこれだけまとめてあるんだ?」

「あぁ、それ、たった一人の女性によって発生した諸々の事件のまとめよ。ほら、少し前に騎士団の方にも話が出てたでしょう?」

そういわれて少し考えてみると案外すぐに思い出せた。ちょうど少し前に考えていた人のことだ。

「あぁ、橋とか遺跡壊したり、モンスターを街中で連れ回したりしていたっていう例の」

といいつつ、書類に目を通していく。俺が今見ているのは騎士団の書類なので、俺が見て問題がある物ではない。

「そっ、それで、貴方を行かせるべきかどうかって話になって、いろいろと話した末にその書類があなたのところに来たってことは」

「あぁ、これ、俺に行くように書いてあるわ」

話を聞いている時点で嫌な予感がしていたのに、そこにはもうすでに急ぎ向かうように書いてある。こういっては悪いが、心が折れそうだ。『現在地不明のため調査と同時に進行せよ』とか書いてあるし・・・しょうがない、

「エスティ、今夜家帰ったらいつものお願いしてもいいか?」

「あぁ、割と面倒くさい依頼だったのね・・・それじゃあ、早く仕事終わらせちゃいましょう。あれ、長時間やってると足痺れるのよねぇ」

「こんな依頼があるたびにすまんな。少し書類を回せ。その方が早く終われるだろうしな」

「助かるわ。王国祭の話もあるらしいから、これが終わった後にもう少し時間がかかっちゃうけど、その間待っててね」

「あぁ、そういえばそんな話があると俺も聞いたな・・・俺も出るように言われていたし、仕方がない。その話が終わった後にしてもらうとしよう」

むしろあの話し合い、俺らは参加する必要ないんじゃないだろうか、と思いながらも、早く帰るために書類にペンを走らせるのだった。




~近くで聞いていたロロナの反応~

「あ、あの二人、一体何をするんだろう」
と、顔を赤くしている姿が確認された。

ちなみに帰ってからしばらくの間、シルドはエスティに膝枕してもらっていた。頭を撫でられている間は至福の時、とは本人の談。


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VS原作三強戦

デキチャッタヨ。というわけで投下


~ネーベル湖畔 湖底近くの島~

 

どうしてこうなったのだろう、と、心から思う。あれから一日がたち、周辺を全力で走り回り、俺はギゼラさんを見つけることに成功した。そう、そこまではよかったのだ。ただ想定外だったのは、その近くにジオ(うちの王様)アストリッド(妹弟子な変態錬金術師)がいたことだろう。

「きたな」

「今日こそは勝たせてもらおう」

「あんたがシルドってやつかい?なら、一勝負頼もうかね!」

ついでに、三人に同時に戦闘を申し込まれたことだろう。とりあえず思う。どうしてこうなった?と。しかし、しかしだ。条件を付ければ受けてもよくないだろうか。ということで、戦闘を受ける前に条件を付けることにした。

「アストリッドは俺に妙な薬を使わない事、ジオは最低限の仕事をする事、ギゼラさんはあまり建物を破壊しないことを条件にその勝負を受けましょう。あとギゼラさん、それとは別件であなたには一度城まで来ていただきます」

といったところ、とりあえず了承はもらえた。嘘ついたら暗黒水を飲んでもらうことにしよう。

「時間がもったいない。まとめて来い、全員の自信をたたき折っちゃる」

まあこれが原因だったのだろう。変な挑発しなければよかったと今更ながらに思う。それからだ。この小さな島で発生した戦闘が、のちに詩人たちに語り継がれるような羽目になるだなんて、当事者全員が考えても見なかったことだろう。目の前に飛んでくる黒い小型の爆弾。通称N/Aと呼ばれるそれを、左手で衝撃を与えずに取り、相手に高速で投げ返す。その背後に、小型のナイフを仕込み、相手の中心で爆発するように仕込む。その間に魔力を使い、氷を使って会場を広げる。左右、互いに当たらないように飛んできた斬撃を前に跳び回避し、背後にいる二人にテラフラムの半分ほどの威力の爆弾を置き、爆発させアストリッドの前に移動する。爆風と脚力、雷の力で増幅させられた速度でアストリッドの前に跳ぶと、剣に毒、猛毒、睡眠の魔力を流し、さらに氷の魔力で長さを伸ばす。地面ごと抉るように一閃。アストリッドは短距離移動で回避するが、今の一撃で島の半分は一時的に使えない程度に氷漬けになった。その氷の壁を使い、そのまま駆け上がる。下でジオが攻撃をしていたが、現在俺がいるのはそのジオの頭上。頭を踏みつけ、N/Aをばらまき、おまけでヒンメルシュテルンとダイオクラフトを設置。精霊石を砕き精霊を召喚し、たたかう魔剣を起動、ジオを追いかけるように指示を出し、目の前で剣を振り下ろそうとしているギゼラさんの武器に合わせるように武器を振るう。どうにか剣をはじき、口の中にエアドロップを叩き込み、全身を氷漬けにして湖に投げ込む。なにやら悲鳴が聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。とりあえず、これでギゼラさんは無力化できたはずだ。いや、背後からジオのうめき声が聞こえたので、きっとジオも倒れたことだろう。あとはアストリッドだけだが、あいつはどうにも隠れるのがうまい。ので、全力であぶりだすことにした。炎を周辺にばらまき少しだけ違和感を感じたところを斬りつける。といったところでアストリッドが移動したのだろう。空間に歪みが生まれる。ので、その空間の歪みの状態から大体どの程度の距離を移動したのかを逆算、トラベルゲートを多重解放して爆弾を投下、うまく起動しなかったエリアに素手で爆弾を投下。この時に、睡眠の魔力を込めるのを忘れてはいけない。

「なにっ!?・・・すぅ」

これで三人目だ。しっかしまぁ・・・

「ここまで苦戦させられるのは困るな。一度鍛えなおすか」

そういって、俺は全員を回収して国に戻るのだった。




その後、帰り際にロロナ達とあって、ジオとかアストリッドを抱えてる光景に驚かれたり、お付きのクーデリアが怒りかけたあたりでジオを預け、ロロナにはアストリッドを抱えさせ、一緒に護衛していたリオネラとかステルクと一緒に街に帰ったという。ギゼラさんはさすがに自分で運んだ。帰った時のエスティの顔が怖かった、とは本人の談


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一年の終わり、キャベツ祭り

~近くの森 キャベツ祭り会場近く~

 

王国祭の時が来た。このときの騎士団の主な仕事は、周辺の警備、または一定範囲内の魔物の駆除である。ということで、罠を張り巡らせ終えた俺は、のんびりとエスティの近くで警備ができるのだ。というかここら辺の敵なら下っ端でも無傷で倒せるようなものばかりだ。出る幕はおそらくないだろう。

『伝令!西の方角に黒いドラゴンの姿が発見されました!討伐をお願いします!』

そういやドラゴンと戦わせてねぇわ。てかなんでこんなところに出てくんだよくそトカゲが・・・

「ちょっと行ってくるわ。今日はドラゴンステーキだな」

「わかったわ。怪我しない程度に頑張ってね」

というわけで西に向けて走っていく。空を飛んでいる影が見えた気がしたので、そちらに向けて走りながら短剣を投げる。しばらく走っていると、影が地面に落ちるのが確認できた。まぁ、もうすでに近くにいるので、その影の正体がドラゴンなのは知っているのだが。ていうか、なんでここに黒ドラゴンがいるわけ?君、もっと北の方に住んでるやつでしょう?なんて思ったが、まあ今更気にはしない。見れば、翼が片方なくなっている。これが原因で落ちたのだろう。やったの俺だけど。落ちた衝撃でうめいていたので、とりあえず首を切り落とすことにした。首と胴体が分かれたので、首は袋に、胴体はそのまま運んでいく・・・のは少し面倒なので、おとなしく空飛ぶ絨毯の上に乗せ、運んでもらうことにした。周辺の木を破壊しないように、木よりも高く飛んでもらっているため、時々上から血が落ちてくる。面倒くさいので、傷口に秘密バックでふたをすることにした。コンテナの中には竜の血が大量に入ることだろう。

「ふぅ、このくらいで平気かな?うぅ、かごの中身が全部キャベツだよ・・・」

そんな風に運んでいたら、かごいっぱいのキャベツを持ったロロナが、なぜかすぐ近くの森からできた。

「ロロナよ、ここは会場内ではないぞ?ほれ、向こうの会場へ戻れ」

「うぇ?本当ですか!?うぅ、そんなに歩き回ったわけじゃないのに・・・というか、シルドさんこそどうしてここに?それに、上に浮かんでるドラゴンは一体?」

どうやら気が付かれたようだ。まぁ、ごまかす必要もないだろうということで、素直に話すことにした。とはいっても、詳しくではないが。

「簡単に言えば、警備していた騎士の報告で上がったコレを倒して、帰ってる最中といったところだな」

「へぇ~、って、これを一人でですか?」

なにやら頬を引き攣らせながら聞いてくるロロナ。まぁ、普通に考えたらこんな反応にもなるだろう。こんな奴を単独で殺すなんて、今のところは俺くらいしか聞いたことないし。

「こんなこと話してていいのか?そろそろ終了時間だろ?」

「え?あっうそ!本当だ!あわわ、急いで戻らないと!」

というわけで、そのまま二人で戻ることにしたのだった。




よく出る食材ドラゴンの肉。この後祭り会場の全員でドラゴンステーキでパーティした。
なお、ロロナは無事にキャベツ娘になった模様。


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年明け、寝て起きたら女体化していたって話

~アーランド王国 シュヴァルツラング家 シルドの部屋~

 

目が覚める。起き上がり、体を伸ばす。蒼い長い髪が体を撫で・・・待ておかしいぞ。長い髪ってなんだおい!はっ、まて、一回落ち着くんだ俺、前にも、一度だけ俺はこんな風になったことがあるだろう!?そん時の犯人は何て言ってたかを思い出すんだ!

『私の趣味趣向にあっている・・・だと!?あの薬、もう少し量産するべきか・・・改良も加えねばなるまい』

よし、落ち着いた。原因もわかった。あいつ埋めようそうしよう。だが、それよりも先にするべきことがある。寝起きだし、着替えないとなぁ・・・はぁ。

 

~着替え中~

 

前回の反省を生かし、もしものためととっておいてよかった。男がつけてても違和感のない黒いローブ、いつもより少しだけ大きいシャツにいつものズボン。とりあえずこれで、外に行っても問題はなさそうだ。

「シルド様、そろそろ朝食の時間でございますが、いかがいたしましょうか?」

メイドがそう扉越しに訪ねてくるが、変に声を出すと確実にばれるだろう。そして、ばれると母様たちが少し面倒なことになる。なので、こんな時のための道具でこの場をしのぐことにする。

『すまないが、急ぎでなければいけなくなった。なので、すまないが朝食は用意しないでくれて構わない』

そう、錬金術で作った、ボイスレコーダーのようなものだ!着替えも自分でするから、メイドたちは基本入ってこない。これで遠慮なくここから移動できるというものだ。

「え?妹さま?どうかなされ」

ガチャリ

「おにぃちゃん!いまおんなのこのすがたになってるってあすとりっどおねぇさまがいってたのってほんとう!?」

「トラベルゲート!」

‣シルド は 逃げ出した

 

~アーランド王国 ロロナのアトリエ~

 

「アストリッドはどこだぁ」

「ひぃっ」

突然現れた俺に驚き、ロロナがおびえたような様子を見せる。まあ気にしない方向でいく。

「グランドマスターは現在外出中です。ただ、貴方様に伝言がございます。『今日一日で効果が切れる様に設定しておいた、たった一日耐えるだけだぞ?一週間でないことを喜ぶんだなぁ!』とのことです」

ホムちゃんがそう答えたのに、どこか頭が痛くなったような気がした。

「あんのやろぅ、次あったらただじゃおかねぇ・・・はぁ、仕事行くか・・・」

そういって、残念ながら存在してしまっている仕事を片付けるため、俺は城に向かうのだった。

 

~アーランド王国 城内 受付~

 

「そこのお前、これから先は関係者以外立ち入り禁止だ」

まあこうなるよね。はぁ、どうにか通れないもんかねぇ・・・

「どうかしたの?って・・・またやられたの?シルド」

「・・・そうだよ。俺が寝ている隙にな」

俺の名前をエスティが呼んだあたりで、何かありえないようなものを見るように声をかけてきた騎士がこちら見てくる。

「お前はこの姿の俺を見るのは初めてだったな。この姿は一時的なものだ。今日が終われば元通り、何事もなかったかのように元の姿に戻るそうだ。この元凶曰く、な」

とはいっても、前回見たことがあるのは家族にエスティ、ステルク、ジオ、大臣、大臣の息子のトリスタン、あと張本人のアストリッドに、アストリッドの師匠、目の前でその薬を飲まされたところを見た、または仕事の都合上会わなければならなかった騎士仲間だ。

「そういうわけだ、できれば人に合わないように仕事を終わらせたい。あまり人に話してくれるなよ」

そこまで言って、受付の裏から、近くの扉を抜ける。そこが俺の執務室になっている。本当ならもう少し高いところにあるのを、ジオがここに変えてくれたものだ。

「今日の分の書類は・・・よかった、そんなに多くないな。さっさと終わらせて・・・俺の家に帰るか」

正確には俺とエスティで買った一軒家だ。あそこなら他の誰も入ってこれまい。そう思い、書類にサインをしていくのだった。




なお、帰ってきたエスティに着せ替え人形のように扱われた模様

ちなみに女体化時点の外見は、オンリーセンスオンラインという作品に登場するセイというキャラの髪の毛を蒼くした姿である。


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うさっぷににしてやんよ

~アーランド王国 シュヴァルツラング家 庭~

 

「だんだん大きくなってきたよな。うさぷに」

「そうねぇ、ミミちゃんの成長に合わせるようにだんだんと大きくなっていってるわねぇ・・・」

書類仕事ができるように鍛え上げた騎士連中に仕事を任せた(押し付けた)俺たちは、そんなことを呟いていた。実はあまりない休暇だが、何かやる予定などはない。ので、うさぷにライダーとなったミミを眺めつつ、クッキーや紅茶(どちらも錬金術製)を飲む。バランスがうまく取れるようになったからか、危なげなくうさぷにを乗りこなすミミには、正直驚きを隠せないでいる。それに加え、この頃は、

『おにいさまたちといっしょにはたらくの!』

といって、木の棒を槍のように持ち始めている。きっと彼女は、後の世にうさぷにライダーとして名を馳せるだろう。などとくだらないことを考えつつ、のんびりと過ごす。ふと吹いてきた風が心地よく、日の光のおかげで適度に暖かい。少し眠気に襲われる。横にいるエスティを見ると、彼女も少し眠いのか、目を細めていた。その時だ。突然、どこからか湧いて出たうさぷにの群れに飲まれる。突然すぎて反応できずにいると、ミミのとても楽しそうな声と、腹部への衝撃で完全に目が覚める。見ると、エスティも一緒に流され、俺の腹の上に流されたらしい。

「とうっ!」

そこへ追撃と言わんがばかりに、ジャンプしたミミが足から落ちてくる。気が付くと、先ほど周辺にいたうさぷには消え、うちで飼っているうさぷにが、どこか楽しそうに鳴いているのが見える。

「ゴフッ」

さすがに小学校低学年並みの体重を腹部で受け、まともに意識を保っていられるほど俺は強くはない。そうして、俺の意識は落ちていくのだった。

 

~数分後~

 

目が覚めると、頭の上に違和感を覚える。こう、何か存在していなかったものが急に表れたというか、生えたというか、まあそんな感じだ。触ってみると、ぷにぷに玉を触った時のような感触が返ってくる。周りを見ると、エスティとミミの頭の上にも、それぞれ耳が生えていた。どちらも白い、まるでうさぷにのような耳である。そして、うさぷにはなぜかサイズが少しだけ小さくなっている。とりあえずこれだけは言わねばなるまい。

「エスティ、それ以上寝てるとそのかわいいウサミミ揉みまくるよ?」

そういったらすぐに起きられてしまった。とても残念である。というのも、先ほど触ってみて気が付いたのだが、この耳は一時的に俺たちの神経とつながっているのか、くすぐったいような感覚に襲われたのだ。これを心行くまで揉みまくった後の、エスティの顔を見てみたかったのだが、起きられてしまっては仕方がない。とりあえず戻してもらうことにした。

「や~!」

『ぷにぃ~!』

全力で拒否られました。残念。




この後時間の許す限り遊んだら元に戻してもらえたらしい。

Q.なんで耳消しちゃったの?
A.俺以外がエスティのウサミミ姿を見ることを許すことはできないから


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時は流れて武闘大会

途中の話が何にも思いつかなかったでござる。


~アーランド王国 武闘大会会場 外壁部~

 

やぁ、とある事情からこんなところで試合を眺めさせられているシルドだよ。といっても、提案を受けたのは俺だし、まあ仕方ないよネ!というわけで、眼下で行われている決勝戦の決着を見届けたところで、中心より比較的手前側に武器が落ちるように投げる。この時、音を出さないようできるだけ注意をする。そして現れるマスク・ド・G。始まる戦闘。そして慈悲のない爆弾の雨!ロロナとジオの戦闘シーンとか、まあ原作通りだったといえばきっとわかるだろう。知ってる人ならきっと。ということで、ここからが俺の出番だ。ということで、役になりきるために般若のお面を装着。飲み物を飲み、のどの状態を整える。

『ハッハッハッハッハ!汝らの闘争心!大変美味であったわ!』

そういって、先ほど投げた剣が落ちてくる手前に向かって飛び降りる。ついでにジオを全力で、今までの恨みを込めて蹴り飛ばす。ちなみに今は全力の裏声だ。声では俺がだれなのかわからないくらいの完成度はある。代わりに俺ののどが死ぬがな!

『では続いて、強者の血と肉、そして魂をいただこう!』

純粋な魔力を放出し、周辺に風をまき散らす。

『我が名はマスク・ド・オーガ!仮面に宿りし悪魔なり!』

そこまで言ったところで、上空から剣が落ちてくる。煙を巻き上げ突き刺さったそれを、片手で引き抜く。

『さぁ、この体がなじむまでの間、全力で抗って見せるがいい!』

そういって俺は、突然の事態に頭の処理が追いついていないロロナに斬りかかる。

ガキンッ!

それを防ぐように現れる一人の騎士。ステルクが、俺に向かって呼びかけてくる。

「あなたは何をやっているんだ!その程度の悪魔にやられるほど、我が騎士団の団長は甘くないだろう!」

もっともである。しかし、エスティからの依頼だ。全力でやらせてもらう。

『ほう?貴様、この体の持ち主の知り合いか!しかし残念だったな!こやつの魂はすでに喰らい尽くしてやったわ!ここにいるのはただの抜け殻、そして、その抜け殻に宿る我のみよ!』

そういって、ステルクの剣を弾き飛ばし、追撃として剣を振り下ろす。ステルクは咄嗟に後ろに跳ぶと、ロロナを抱きかかえて横に跳ぶ。ちょうどその方向に武器が飛んでいき、そのまま突き刺さる。

『さぁこい!ここで貴様がそこな少女とともに死ぬか、それとも我を殺すのか、好きな方を選ばせてやろう!とはいっても、おとなしく殺されてやるつもりもないがなぁ!』

一歩、ステルクに向けて踏み出す。そこまで言って、ようやく状況が理解できたのだろうか。横からロロナが爆弾を投げて行動の妨害をしてくる。ので、後ろにステップして攻撃範囲から逃れる。

『フム、我が前に立つ勇士は貴様らだけか?っ!?』

ソンナコトハナカッタ。真後ろに現れる爆弾、上空から飛来する武器を片手に持った女性、先ほど吹き飛ばしたはずのジオの攻撃。ほぼ同時に放たれたそれらを、トラベルゲートで回避する。

『飛び込み参加をするときは、ひと声かけるのが礼儀であろう。そんなことも知らんのか貴様らは・・・』

「はっ!魔物相手にそんな礼儀を通す理由もないね!」

「まったくだな。早くその体をもとの持ち主に返してもらおうか」

「彼のお説教がなければ、私もつい脱走したくなるのでね。ストッパーにいなくなられると、さすがの私も困るのだよ」

とりあえずジオはいつも脱走してるくせによく言うと心の底から思う。ていうか、そんなこと毎回されてるから俺だって困ってるんだけど・・・

『よい、よいぞ、楽しくなってきた!あと数分ほどで調整が終わる。それまでに我を倒せるかな?』

終わるのは調整ではなく俺ののどだ。できれば早く倒してくれることを祈る。ので、もう一つ演技をすることにする。

「やらせるかよ!あぁくっそ、こんな簡単に奪われるとか考えてもいなかったが、全力で抵抗させてもらうからな!」

『なに!?貴様、さきほど我が食い尽くしたはず!』

「ハッ!俺がエスティおいていけるかってんだよ!なめんなこの糞仮面が!」

『えぇい!だが、弱体化した今の貴様程度、こやつらを相手にしながらでも殺せるわ!』

「やってみろや!てめぇの力半分はもらっていくぞ!」

こんな感じの一人芝居を行った後に、自分の力を調整する(毒で)。おかげで剣を地面に落とすことになった。

『ぬぅ!小賢しい真似を!しかし、いくら力が半分になろうが関係ない!こやつら程度、小太刀一本で十分よ!』

「お前ら!こいつの本体は仮面だ!この仮面さえ破壊できればあとは俺が何とかする!頼ん・・・ぞ・・・」

そうして、俺対三強+原作勢の戦闘が始まった。




ちなみに原作勢は一人芝居しているうちに降りてきた模様。続きはできれば今日中にあげます。


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武闘大会 2

前回の続き


~アーランド王国 武闘大会会場~

 

とはいえ、身体能力が半分になっているこの状況、割と真面目にシャレになっていない。いやまぁ、負けないといけないからいいのだけれども。というわけで、ギゼラさんの攻撃はまともに受けず、できるだけ受け流すようにする。爆発物がどんどん飛んできたり、銃弾も飛んできていたりするが、よけられる範囲でよけていく。仮面が少しずつけづられていっているが、まだ破壊までは至っていない。

『フハハハハ!この程度では我は殺せんぞ!もっと全力でかかってくるがよい!』

「力が半分になってるってのは本当らしいけど、その分攻撃を流すのがうまくなってないかい?」

「彼の技術は一級品だよ。何度も戦った私だから断言できるが、まともに傷を与えられた覚えがないほどに受け流す技術が高い。そこからの追撃などにも十分に注意したまえ、あれを食らえば最後、意識か命、どちらかが確実に奪われるぞ!」

そういいながら繰り出される斬撃に合わせるように武器をなぞらせる。少しだけ攻撃を上にそらしながら、その下を潜り抜けて心臓部に向けて拳を振るう。そのとき、横から飛んでくる爆弾が見えたので、ジオの腕をつかんで壁にし、ジオを蹴り飛ばして一気に後ろに下がる。

「なんで爆弾をあんなふうに回避できるんですか!?」

「あいつにはテラフラム程度の攻撃範囲ではなければ傷一つ与えられんぞ!むしろ動作を遮ることすらできるかわからん!」

そういいながら、二人そろって俺を囲むように爆弾を投げてくる。爆風の中から銃弾が飛んでくる。それに合わせるように小太刀で受け流す。

「あぁもう!銃弾を受け流すとかどんな反射神経してるのよ!」

魔力を周辺にゆっくりと流していく。それに気が付いたのだろう。ステルクが大きな声で注意を促す。

「気をつけろ!そろそろ全体に攻撃が来るぞ!」

『注意が遅いなぁ!それ、アイシクルワールド!』

その魔力を一気に凍らせ、地面を凍結させる。これで、素早い動きが売りの人たちは少しだけ動きにくくなるだろう。ジオとかジオとかジオとか。さらに、氷の柱を全員の首にかすらせるように出現させる。

「はっ!あまり私を舐めないでほしいね!」

そういって振り下ろされた剣によって、地面の氷が砕かれ、ついでにこちらにも砕けた氷が襲いかかってくる。その氷をまとめて、一本の剣にする。もう一本同じサイズのものを用意して、ロロナに向けて全力で投擲する。その間に入り込んできたステルクが、その氷を砕く。しかし、俺の使ったそれはそこで止まることはない。地面に落ちた氷の破片が、ステルクの下半身を凍りつかせた。

『追撃と行こうか!』

そんなステルクの目の前に氷の人形を作り出し、下の方から攻撃を仕掛けさせる。その隙をついてきたフライパンの位置が気を何とか回避し、バランスを崩したところに人形が攻撃を仕掛けてくる。顔面を上にたたきあげられ、そこに刺突が突き刺さる。一部仮面が破損した直後に、顔面に突き刺さった拳が完全に仮面を破壊する。頭を連続で揺さぶられた俺は、そのまま意識を失った。




この後エスティにやりすぎと怒られたシルド、依頼通りに動いただけなのにと、少しだけしょんぼりした。あと、砕けた般若の面(品質 120 特性 超クオリティ、一撃必殺、マスタースキル、時空の精の力、エレメントガード)をみて、さらに落ち込んだ。ちなみにだが、ロロナには無事に鉄腕怪力娘の称号が与えられたという。


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部下がトカゲに噛まれました。とりあえず動けないようにしておきます

~アーランド王国 城内 医務室~

 

ステルクが怪我をして帰ってきた。ドラゴンに噛まれたらしい。

「というわけで、うさぷにベットかおとなしくするか選べ」

「おとなしくさせていただきます!」

「うっし、なら他には見えないように魔法の鎖で動けないように縛っとくかね」

「なっ!なぜですか!ヌオッ!」

もちろん、少し目を離すと訓練しようとするからである。ちなみにいうと、実はトラップをそこらじゅうに設置しているため、抜け出そうとするととんでもないことになる。具体的に言うとアストリッドの目の前に強制的に飛ばされるようになっている。地面に埋まった状態で。きっとそのあとは面白おかしく弄繰り回されることだろう。

コンコン

ノックする音が聞こえる。入るように促すと、扉からロロナが現れた。

「いらっしゃい。それじゃ、俺はもう行くよ」

ちなみに魔法の鎖はベットに突き刺して固定させている。今のあいつは小指一つも動かせないだろう。扉を出ると、そこにはニヤニヤと笑みを浮かべるエスティが待っていた。

「どうかしたのか?」

「いえ?ロロナちゃんを送りに来ただけよ?」

「その割には何やら楽しそうな表情を浮かべていたが?」

「ふっ、それはもう当然よ。うちの後輩とよく利用してくれるお得意様のいちゃつきが見れるかもしれないのよ?これを逃がす手はないわ!」

「なるほど、それもそうだな。いまはあいつも腕を動かせない状態にしてきたし、食べさせる光景までなら見れるだろうさ」

そこまでいって、俺たちはこっそりと中をのぞき見ることにした。

「もう!やっぱり動けなくなってるじゃないですか!」

「いやまて!これはさっきまでいた先輩が原因だ!

若干涙目でそういうロロナに、慌てたようにそう言うステルク。ロロナの手元には、ウサギのような形に切られたリンゴが、フォークに刺さった状態で存在していた。近くには、残りのリンゴが皿の上に置いてある。

「いいですから!その傷だって、私の不注意でつけてしまったものですし・・・なので!入院中のお世話は私がします!さぁ!とりあえずこれを食べてください!」

「だから少し待てとむぐっ!」

喋ろうとしていたステルクの口にリンゴが入れられる。突然の出来事に、ステルクは思わずむせる。

シャリシャリ

「・・・甘いな。とてつもなく。だが、しつこいとは感じない」

「師匠が実験で作った甘い林檎ですからね!一度食べたことがある物なので、毒の心配はないです!むしろ、傷が治りやすくなるとか?」

あえて言おう。あいつらには聞こえないだろうが、あえて言おう。

「そのりんごを作ったのは俺だよ・・・それを横から一つだけ残して後もっていきやがったんだよあいつが」

あの時ほど殺意がわいたことなんて片手で数える程度にしかない。残った一つは家の庭で育てられている。来年には実がとれるまで育ちそうである。

「それ、私食べたことないわよね?」

「あぁ、残った一個で木を育ててるからな。来年になったら食えるようになると思うぞ。ちなみに俺も一口だって食べたことはない」

そんなことを話しているうちに、いつの間にかリンゴをすべて食べ終わらせていたロロナは、葡萄の実を差し出していた。

「あ、あれも俺が作ったのだわ。あとでエスティと一緒に食べようと冷蔵庫に入れておいたら、翌日種だけ置いてあったやつ。やっぱりアストリッドが持っていってやがったのか・・・」

「許せないわね。次あの人が返ってきたら全力でお仕置きしましょう」

それから先も、次々と差し出される果物に殺意がわいてくる二人なのであった。




アイテム説明
錬金製リンゴ
品質120
禁断の果実
効果
傷を徐々に癒す
自然回復量増加
特性
治癒者の祝福
天の神の祝福
ゴッドブレシング
シングルボーナス
ファイナルエース

錬金葡萄
品質120
禁断の果実
効果
異常回復(万病に効く・気付け効果・生命の源の合成効果)
一時的に生命力(レベル)アップ
特性配布(本体にかかっている特性を周辺で管理させられているものすべてに反映させる)
特性
不変の効果
劣化無効化
ランクスペシャル
範囲収束
回復のオーラ


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俺の義妹は人見知り(いい加減慣れてほしいのだが・・・)

ごちゃごちゃしてるけど投稿。これが作者の限界です。


~アーランド王国 エアハルト家~

 

今日俺がいるのは、エスティの実家であるエアハルト家の一室。とはいっても、彼女の家族へのあいさつは済ませてあるし、そういった理由でここにきているわけではない。単純に、エスティから妹の人見知り改善に役立ってもらおうと派遣されただけである。ちなみにエスティもちゃんと一緒にいる。今は妹を引っ張り出すためにここにいないだけだ。

「ふえぇぇ、突然部屋から連れ出してなんですかぁ!」

「いいから早くこっちにくる!まったく、部屋にこもってるんじゃないわよ!」

扉が開き、エスティとその妹のフィリーが現れる。ちなみにこれで顔合わせが三回目なフィリーは涙目である。毎度この顔で現れるため、すでにこれ以外の表情を見るのはあきらめている。この子のおかげといっていいのかわからないが、ステルクの気持ちが少しわかった気がした。

「やぁ、少しお邪魔しているよ」

俺がそういうと、驚いた様子でこちらを見た後、全力で部屋から逃げ出そうとする。少し悲しい。

「えぇ!?ちょっとお姉ちゃん!なんでシルドさんがうちにいるの!?」

「あなたのその人見知りを治すためにわざわざ協力してもらってるのよ!わかったらとっとと中に入りなさい!」

そういって中に押し込むエスティと、それから逃れようとするフィリーに、思わず苦笑いを浮かべる。

「毎回そんな反応だと、さすがに悲しくなるなぁ」

いやもうほんと、最初のあいさつのときは気絶されるし、二回目の時は気絶はしなかったけど逃げられるし、今回もこんな感じだし。まぁ、名前とエスティとの関係は知っているので不審者とかみたいな扱いを受けることはなと思うが。

「は、はわわ」

なんて考えていたら、フィリーが涙目のまま固まってしまった。さて、本当にどうしたものか・・・ふむ、

「これはむしろ、人見知りがどうこう言う以前の問題なのではないだろうか?ここまでくると、いっそのこと買い物に連れて行って強制的に人にかかわらせるのがいいと思うのだが」

そこまで言ったあたりで、フィリーの顔は絶望に、エスティの顔はその手があったかと言わんがばかりの驚愕に染まった。

「とはいえ、さすがに一人で行かせるのはまずいだろうから、それをやるならおれかエスティがついていくべきだろうがな。そうしないと、外でステルクにあった時に帰ってこれないだろうし」

そういったあたりで、何となく状況が理解できたのだろう。エスティが苦笑いを浮かべる。

「ま、やるんだとしたら次の休みだな。俺たち二人の休みが重なるのは・・・」

「大体一週間後ね。それじゃあ、そのときにでいいわね」

「え?わ、私?」

「あ、拒否権はないから」

「そんなぁ!」

こうして、一週間後にフィリーの護衛兼買い物デートの予定がたてられたのであった。




というわけで次回、人見知り改善という名の買い物デートです。


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人見知り改善のための買い物

前回に引き続きグダグダです


~アーランド王国 広場~

 

というわけで一週間たちました。流れがわからない人は前回の話を見てくればわかります。はいそこ、メタ発現とか言わない!まあそんなことはいいんですよ。というわけで、今回買うのは食料品と雑貨、つまるところサンライズ食堂とロウとティファの雑貨店が今日の目的地である。イクセルの食堂は後で食事も兼ねていくので、先にロウとティファの雑貨店に向かう。

「「わかったか(わよね)?」」

「は、はぃぃ」

拒否なんてしないよな?と、威圧を出しつつフィリーにそういう俺とエスティ。涙目ながら頷いたことを確認し、移動を開始する。

 

~アーランド王国 ロウとティファの雑貨店~

 

「ここで買うのは傷薬と木材だ。それを取ってレジまで言って、会計を済ませて戻ってくること。まぁ、そんなに時間はかからないだろ。そんじゃ、これがお金な」

そういって、俺は買い物用に分けた財布をフィリーに渡す。

「あ、それと、買ってこれなかったら今日の昼飯はないものだと思えよ?」

「ま、その時は私たちもご飯抜きなんだけどね」

そういったあたりで、フィリーがプルプルと震えだす。これはまずいと思い、その場合の代案を話すことにする。

「ま、その場合はこの後行くところでなんか買って食べながら帰るんだけどな」

「とはいっても、いいものを食べたいならできるだけ頑張りなさいよ?」

「うっ、わ、わかったよぅ・・・うぅ、買うやつ探さないと・・・」

一応荷物持ちをする意味を込めて、フィリーの後ろをついていく。この店では(・・・・・)、無事に買い物が終わらせられそうだ。しかし、それを阻む影が五つ。

「お父さん、またいる」

そう、ロロナのお父さんがここにいることで発生するイベントである。ただし思う。今三年目ですよ?今発生するようなイベントじゃないでしょう!?

「これで私が知ってるだけでも十回目だよね?お母さん、『次はないですよ?』って言ってたじゃん!」

「ひゃぅ」

ロロナの声に驚き、フィリーが動きを止めてしまう。そして俺は、それとは別の意味で驚いていた。え?もうすでに九回もやっていたわけ?この男、よく嫁さんに殺されなかったな。

「いっ」

小指が踏まれる。頼むエスティ、お前の攻撃だけは防御働かないから、できればやめてほしい。おい、そっぽ向いてないでこっち見なさいよ。

「・・・はぁ、とりあえずあいつらほっぽりだすか」

言い争いをしている二人に近づいていく。できるだけ足音を立てないように移動する。周辺の取り巻き三人もうるさいので、ついでに魔法の鎖で両腕を拘束してまとめて引きずっていく。

「お前らうるさい!そういう話は家でやるんだな!こちとら義妹の人見知り治すためにここにきてんのに、こんなことで妨害してんじゃねえってんだ!」

そういって、エスティが開けてくれた扉に向けて全員を投げ飛ばす。エスティが扉を閉め、店は静かになったのだった。

「さて、さっさと買って帰っちまうか。ほれ、あとは会計するだけなんだ。さっさと買って帰るぞ」

「あら?なんだか騒がしいと思ったら、エスティたちだったのね?」

そういって、店の奥からティファナさんが現れる。さすがにうるさくしすぎたかと反省。

「あー、すみません。ちょっとうるさくしすぎましたかね?」

俺がそういうと、ティファナさんは楽しそうに笑みを浮かべ、

「別にいいのよ?だって、にぎやかな方が楽しいじゃない」

と言ってくる。そんなティファナさんに、フィリーが会計のために近寄っていった。

「あ、あの!こ、ここここれくだしゃひ!」

かみっかみである。しかし、何とかいえているのでよしとしよう。

「わかったわ。それじゃあヒーリングサルヴが206コール、アイヒェが5個で100コール、計306コールになります」

「こ、これでお願いしましゅ!」

「・・・はい、ちょうど受け取りました。貴女、エスティがよく言ってた妹さんでしょう?あまり人と話すのが得意ではないと聞いていたのだけれど、案外そうでもないのかしらねぇ?」

そう楽しそうに言うティファナさんに、フィリーは赤面する。そのあと、俺たちはサンライズ食堂に向けて歩き始めるのであった。




なおフィリーは無事?にサンライズ食堂にて気絶した模様。

シ)運が悪かったんだ。まさかステルクが入ってくるとは思ってなかった
エ)まぁ、お昼の時間だったしねぇ・・・


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たまにはのんびりとした休日を(おくれるとは言ってない)

~アーランド王国 シルド・エスティ宅 書庫~

 

今日は半月ぶりの休み。かといって、特別な予定もない俺たち二人は、自宅の中にある書庫で本を読んでいた。とはいえ、実はここにある本は全て暗記する程度には読み込んでいるため、別にここに来る必要はない。まぁ、本独特の香りが好きだからここにいるというのが大半の理由だ。

「おにーさまー!あねーさまー!いっしょにあそびましょー!」

外から聞こえたミミの声に、思わず二人そろって苦笑いを浮かべる。今日休みであることは話していなかったと思うのだが・・・などと考えつつ、エスティとともに外に出るのだった。

 

~アーランド王国 シルド・エスティ宅 庭~

 

突然だが、実はうちの庭はかなり広い。250万コールもかければ当然ともいえるかもしれないが、まあ広い。とはいえ、花壇とかなんて世話できないし、花の種類も考えないといけないようなものは設置できない。家庭菜園なんかもない。あえていうなら木が二本だけ生えている程度だ。あと数ヶ月ほどで実をつけるので、あれも収穫しなければなるまい。と、話が脱線した。まぁ、残ったスペース自体も何か特別あるわけではないの庭(ピザ釜(手作り)とバーベキュー用のセット一式、机や椅子のセット、雨から避難するためのスペースから目をそらしながら)だが、唯一少しだけ大きめにスペースを取っている区画がある。それが訓練用の特殊スペースだ。雨の日でも動けるように少し大きめの家のようになっている。今回ミミに連れられてきたのはその訓練場。ミミに連れられてやってきたうさぷにも、どこかやる気を出しているように見える。

「きょうは、ぼうけんしゃごっこするの!」

「冒険者ごっこ?」

「うん!おにいさまのかいたものがたりにでてくる、ぼうけんしゃってしょくぎょうのひとになりきってたたかうれんしゅうをしてみるの!」

言われて思い出す。昔暇つぶしに書いた絵本を、ミミに読み聞かせていたことと、書いた内容がそんな内容だったことをぼんやりと思いだす。

「おにいさまがてきやく!わたしとおねえさまがぼうけんしゃやくなの!」

「え゛」

「ブフッ!」

エスティがそれを聞いて吹き出していた。え?俺モンスター役?

「え?俺がモンスター役?」

「だってまえのおまつりでかめんつけていろんなひととたたかってたもん!」

oh、あれを見ていたのか・・・仕方がないな、まぁ、そういうことならしかたあるまい。

「まあいいか、それで、ミミは何を使うんだ?」

「やり!」

どうやら原作と同じ武器らしい。そこにどこかほっとした俺いた。

「あとね!うさぷににのってたたかうの!」

そういうところで原作と差をつけちゃったかぁ!まあそうだよね!うまく乗りこなせるならそうするよね!うん!




このあとうさぷにライダーミミとエスティのコンビにフルボッコにされたシルドだった。

シ)嫁と妹の肌に傷がついたらどうすんだよ!そんなことが許されるわけがないだろ!?
エ)それであんなに攻撃に力がこもってなかったのね
ミ)おにいちゃん!またこんどもおねがいね!


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ステルクと食堂で

深夜テンションで書き上げました。たぶん自分で修正することはありません


~アーランド王国 サンライズ食堂~

 

「酒はどれにする?」

「それほど強くないもので頼みます。明日も彼女を手伝うことになっているので」

「あいよ。そんじゃあ、ワインでいいかな?」

そういって、俺はワインを注文する。それの付け合せとして、チーズなども一緒に頼む。

「それで、俺一人を呼び出して、いったい何の用なんだ?つまらなかったら海の方に住んでいるっていうオーツェンカイザーと単独で戦ってもらうことになるんだが」

運ばれてきたチーズをつまみながらそういう。ちなみにその時はきちんと装備を整えてはやるつもりである。属性攻撃無効(原作に存在しない特性)と毎ターン傷を癒す効果があれば平気だろう。

「そのモンスターがどのようなものなのかはわかりませんが、先輩が進めてくるものなので全力で遠慮させていただきます」

「おうわかった。かわりに黒ドラゴン二体の同時討伐してもらうから。このあと」

容赦なんてなかった。きっとこの話し合いが終わった後、特殊訓練場にはステルクの瀕死体が転がっているだろう。

「・・・それで、本題なのですが・・・」

「ほうほう、話してみな?」

もはやこれ以上話すことはあきらめ、おとなしく本題に入ろうとするステルク。これ以上話す時間を延ばす必要のないシルドも、隣の席を少し見た後に、素直に続きを促した。

「「彼女(スケさん)のことを見ていると、なぜだか胸のあたりがドキドキしてしまって・・・!?」」

ちなみに隣の席にいるのはロロナとロロナをここへ連れてきた相談役のエスティである。ロロナがこちらに気が付かなかった理由は、俺が座る直前に周辺に振っておいた魔法薬の効果が原因である。

隠蔽薬

それは、実影の腕輪を主な材料とし、それにさまざまな材料を混ぜた末に完成した特殊な薬。相手の認識をずらし、そこにあるはずのものがまるでないかのように見せる魔法薬である。これの効果時間が少ないのが玉にきずだが、今回のように前もって準備しておくと色々と役に立つ道具である。

「・・・先輩、なぜ彼女がここに?それに、エスティ先輩にも内緒にするようにお願いしたと思うのですが」

「HAHAHA!俺がエスティに隠し事なんてできるわけないじゃん?いつも俺ら見てた君ならわかるでしょうに」

やれやれだぜ、と言わんがばかりの動きをして見せる。ステルクの表情がいつもより少しだけ怖くなった気がする。

「エスティさん!スケさんたちには秘密の相談があるって言ったじゃないですか!」

「やぁねぇ、私たちがいた席のすぐ近くに、偶然、ステルク君とシルドがいただけじゃない」

隣の席も似たような反応のようだ。まぁ、こいつらの相談内容がほぼ同一であるのは、今までごくまれに頼まれていた護衛の中でもなんとなく察していたのだ。

「だってお前たちの相談って、二人そろって恋愛相談だろ?しかも、ステルクはロロナの、ロロナはステルクのことを話すつもりだったんだろうし、面倒くさいのも長ったらしいのもはっきり言って勘弁してほしくてな。もういっそまとめて相談に乗ることにしたんだよ」

「それで、そのことを互いに相談し合った結果、じゃあここで集合にしようかってことになったのさ」

二人が驚いたような表情で互いを見つめるのを見て、俺とエスティはにやりと笑みを浮かべる。

「さてエスティ、あとは若い二人に任せて、俺たちは買い物デートでもして帰るか」

「賛成よ。ほらロロナちゃん!こっちの席に移動!支払いは私たちがやっておくから、きちんと話し合いなさいよ?」

「後ステルク、お前にはこいつをくれてやる。アストリッドが何か言ってきたら渡せばいいさ。それで何とかなるからな」

「「そんじゃ(それじゃ)!俺(私)たちはこの辺で!」」

結局、相談らしい相談を受ける前に、俺とエスティは店を後にするのだった。料理代金にプラスして迷惑料を払ったので、きっと店の店主は納得してくれるだろう。




この後むちゃくちゃ買い物を楽しんだ

隠蔽薬
ド○クエで言うところのせいすい、F○TEとか風に言うならロ○ンさんの顔○ない王みたいな効果が短時間得られる代物。案の定錬金素材の中に賢者の石が紛れ込んでいる。

ステルクに渡した紙
アストリッドの過去の黒歴史集。実はシルドはすでにいろいろなところにこれを流している。まだ世間にさらされていないだけ救いともいえる。持っているのはジオとアストリッドの師匠、製作者であるシルド、シュヴァルツラング家、エアハルト家である。

シ)それで、結局あの後どうなったの?
ス)無事に付き合うことになりました。彼女は間違って酒を飲んだので、その酔いの勢いに身を任せて、みたいなところがあったようにも思えましたけど
エ)て言ってるけど、その時の記憶、残ってる?
ロ)はっきり覚えてますよぅ!うぅ、恥ずかしい!というか、若干は酔ってましたけど、それがすべての原因じゃないですよぅだ!
ア)おのれ、あの話をここにきて持ち出されるとは・・・あれさえなければ全力で妨害してやったものを・・・


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知り合い皆でバーベキューを

~アーランド王国 シルド・エスティ宅 庭~

 

今日はみんなを自宅に招いてバーベキューパーティーである。ちなみに招いたメンバーは、騎士団の連中、ジオ、大臣であるメリオダス、大臣の息子のトリスタン、ロロナ、クーデリア、イクセル、アストリッド、リオネラ、ティファナさん、フィリー、ホム、ハゲル、コオル、パメラ、ヘルモルト家、シュヴァルツラング家である。肉は全て特性『生きている』が付いている。あまりの新鮮さに肉が逃げ出すレベルで生きがいい。串に突き刺して強制的に焼いている。時々ビクンビクン串全体が跳ねるが、気にせずに焼いていくとそんなこともなくなるので他の人には気が付かれていない。たれの方も特別性で、醤油やニンニクをベースに製作した少し辛めのたれと、野菜などを細かく切りいれた塩だれがある。ついでにピザ釜の方も使用中だ。一度で五枚まで焼けるので、海の方で仕入れてきた魚やヌシを使ったシーフードピザ、野菜多めな野菜ピザ、チーズメインの(というかチーズしか載っていない)ゴルゴンゾーラピザ、肉メインのピザ、最後にネタ枠としてデザートピザも用意してある。ほかにも、パンなどは夕食前に焼き始めたため、割と多く準備できている。他にもパイやキッシュなどがある。飲み物もビールにワイン、あとネタ枠でスピ○タスが用意されているほか、酒以外にもジュースや水、紅茶なども用意してある。これだけあればさすがに全員おなか一杯になるだろう。残った分はコンテナに入れておけば保存されるので、特にそちらは気にしていない。

「さてと、俺もそろそろ食べますかね」

「そういうと思ってとってきておいたわよ?ほら、あーん」

そういってエスティに差し出されたパイを食べる。

「あむ・・・うん、まあいつも通りの味だな可もなく不可もなく、ってところか」

「みんなからは案外好評よ?特にお酒がね」

それを聞いて、一応注意を出すことにした。

「それはよかった。あ、さすがにないと思うが、水みたいな色の酒は飲むなよ?一般人が飲んだら気絶するような代物だからな」

ドサリ

もっとも、すでに手遅れだったような音が聞こえるのだが・・・そう思い、後ろを振り向く。そこには、顔を真っ赤にしたハゲルさんの姿があった。

「あー、犠牲者はハゲルさんか。しっかし、注意書きは読まなかったのかねぇ?」

「『注意書きは読まなかったのかねぇ』じゃないでしょう!?ちょ、どうすんのよこれ!」

「すぐそこに休憩スペースがあるからそこに寝かしておくよ」

そういって、俺はハゲルさんを担いで休憩スペースまで運ぶ。その隙に一人、件の酒を飲んだ人物がいた。というか、一番飲んではいけない人が飲んでしまったというべきだろう。特にこのような、女子がいる場所では。

「ろ~ろ~な~ちゃ~ん」

「うひゃあ!ちょ!やめ、やめてください!」

そう、酒乱イベントでおなじみ、あのティファナさんである。幸い、ここには男性陣も何人かいるし、きっと止めてくれるに

「何で全員目をそらしてるんですかねぇ!?」

思わず突っ込みを入れた俺は悪くないと思う。とりあえず睡眠の魔力で強制的におねんねいただいた。そんなグダグダなバーベキューだったが、終始、参加者全員は笑顔なのだった。




ちなみにそのあときちんとエスティに叱られた。

質問があったので、主人公の容姿を説明させていただきます。
蒼い髪にエメラルドグリーンの瞳、身長は180cmほどです。女体化した場合は身長はそのままで胸部装甲だけ膨れます。


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最後の護衛(に、なるのかな?)

投稿したと思ったら消えていたので再投稿。見落としてただけだったらその回の話数を書いてくれると助かります。確認でき次第消すので。


~夜の領域 夜の支配者~

 

というわけで今回はデーモンの討伐に呼ばれたシルドだ。今回のメンバーは、ロロナ、クーデリア、イクセル、ステルク、俺、エスティである。つい最近ブラッドエイク二体同時討伐を果たしたステルクがいる時点でオーバーキルだろうに、そこに俺やエスティまで連れてきてるあたり、確実に殺すという意思を感じられる。

「え?先に戦うの俺とエスティだけ?後ついでに誰か前線に出さないの?」

「先輩たちの場合、他に人がいたら連携の邪魔だろうということで、ロロナと相談した結果、二人で戦ってもらうことになりました」

う~ん正論、これには何も言えず、おとなしく従うほかあるまい。実際俺たちについてこれるのなんてこのメンバーの中じゃあギリギリステルクだけだろうし。

「んじゃまぁ、さくっと殺して帰るかね」

「あまり調子に乗らないようにね?いくらあなたが強いからって、何があるかわからないんだから」

「わかってるっての。そんなことより・・・来るぞ!」

俺がそう言うと、黒い光が発生、その中から牛のような骨をかぶった魔物が現れる。ところで唐突だが、俺とエスティが持っている武器の話をしよう。実はこの武器、対デーモン用に用意された武器である。

聖者の剣、品質120。別名を悪魔殺し。武器の効果で魔族特攻が最初から入っているうえ、そこに特性として精霊王の力(原作にはない特性。全属性ダメージと全状態異常付与の効果がある)、魂を食らうモノ(原作にはない特性。対象のレベルダウン、体力と魔力吸収の効果がある)、万能の力(原作にはない特性。全ステータスに+60、属性攻撃無効の効果)、極限破壊(原作にはない特性。攻撃力とスキル威力、クリティカル率が100%アップの効果)、終わらぬ追撃(原作にはない特性。実影の腕輪の数倍えぐい連続攻撃が可能になる。一撃で十回、それをターン消費なしで四回は最低でも行えるうえ、継続ダメージとして徐々に体の端から斬れていくという呪いの効果がある)というクソ使用の武器である。エスティの武器も同一の性能を持っている。ちなみに武器の名前は聖女の双剣。まあなにがいいたいかというと、簡単に言えば相手は死ぬ。それだけだ。敵はあっという間に膝をつき、地面に溶けて行ってしまった。

「ていうか、一撃で死ぬのは想定外だったんだけど」

「こんな頭おかしい武器作ったあなたがそれを言うのかしら・・・まあいいわ。速く帰りましょう。私たちの娘が帰りを待っているわ!」

そういって嬉々として帰り支度を始める二人に、付添できていた三人と、この二人を呼んだロロナは顔を見合わせ、

「・・・ステルクさん、これ、私が倒したって言って報告していいんですかね・・・?」

「・・・私は何も見ていない。それ故、どんな報告であろうと信じるほかあるまい・・・」

「・・・そういうことにしておきなさい。あの二人はもうどうしようもできないわ」

「・・・それには全面的に同意せざるを得ないな。もう俺ら連れてこないであの二人だけでよかったんじゃねえのか?」

こうして、俺たちが呼ばれたデーモン戦は終わり・・・ではなかった。

突如エスティの背後から発生する、デーモンが現れた時と同じような黒い光。そこから現れた葡萄茶(えびちゃ)色に近い色をした服装のデーモンが、エスティの腕をつかみ、首のあたりを柄で一撃、気絶させ、首元に剣を置いた。そのデーモンの正体を、シルドは知っていた。マキナ領域、その中でも変異した土地に住んでいるはずの、本来ここにいないはずの存在。そう、デーモンロードである。もっとも、だからどうしたという話だ。全力を出せばこいつを殺せる、そのことに変わりはないが、首に剣を当てている。この行為が非常にまずかった。前世におけるトラウマ、かつて両親を目の前で殺され、妹の命を助ける代わりに様々な悪行を手伝った末、妹が目の前で殺される光景を見てしまった彼の持っているトラウマを刺激するような光景だったのだ。息が苦しくなる。目の前が少しだけ暗くなった気がする。周辺にいたメンバーがそれに気が付けたのが幸いしたのだろうか、思わず一歩、後ろに下がったそのたった一歩が、彼女たちの生死を分ける境目になったのだ。

「・・・ろす」

小さく聞こえるその声、かちゃりと手に握られた大剣のような片手剣が、少しずつ持ち上がる。大気中の水分は凍り、周辺温度が大幅に下がる。雷が周辺にまき散らされ、蒼い雷を纏った炎が現れる。発生しているエリアから少し離れたロロナ達の息が凍りつく程度に寒くなった気温に、その場にいた全員がさらに離れる。ロロナ達が先ほどまで片足を入れていた場所は、すでに元の床が見えない程度に凍り付いていた。唯一無事なのは、エスティの周辺5ミリだけである。

「殺す、お前は、お前らのような奴は・・・!」

リミットは、あのデーモンが剣を引くまでの間。しかし、それだけあれば充分であった。

バチン!

雷の弾ける音、まるで分裂でもしたように見えるほどの速度で、いや、実際に先ほどいた場所から動いたように見えないほどの速度でデーモンロードの背後に回ったシルドは、そのままデーモンロードの両腕を斬り飛ばす。エスティを片手に抱くと、その場から転移する。デーモンロードも逃げようとでもしているのだろう。黒い光に溶けようとする。しかし、そんなことは許されるわけがない。

「時間ごと凍りつけ、アイシクルクロックロック!」

それで詠唱は終わり、空間ごと凍りつき、逃げようとしていたデーモンロードは姿形をそのままにその場で氷漬けにされていた。しかし、そこで終わるほど彼は優しくはない。

「貴様はそのまま錬金術の素材にしてくれる。もっとも、貴様のような奴がまともなアイテムになれるなんぞと思わないことだな」

そういって、彼は邪魔な氷を破壊し、デーモンロードの氷像だけをコンテナの中に投げ入れたのであった。




ちなみにデーモンロードは壊れたアイテムに無事?ジョブチェンジを果たしました。


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しばらく旅行に行ってきますって書置きしておいたから平気だって!(帰ってきたときは覚悟してくださいね、先輩方)

そういえばこの作品、水着イベントの話一切出て無くない・・・?


~夜の領域~

 

やぁ、バーベキューから割と長い時間がたち、強請った休暇でエスティと小旅行に出ているシルドだよ。もっとも、帰るのは半年後の予定だけれどね!時々雨も降るし、木の方は特別世話をしないで済むだろうと思って決行したこの旅行、当然だが色々と目的がある。その一つがこれだ。

「案外ドラゴンの背中って乗り心地いいんだな。初めて知ったわ」

「本当ね。星も綺麗に見えるし、それほど脅威になるモンスターもいないから、割と楽しいかも」

俺たち二人を乗せてくれるドラゴンの捜索である。これを思いついたのは、ミミがうさぷにライダーをしている光景を見て、何か俺たちにも乗れそうなやつはいないかと考えた結果だ。いろいろとドラゴンが生息している地域を探索した結果、何とか一体だけ見つかったので、こうして乗せてもらっている。もっとも、乗る前にいろいろとやっていた。傷を治したり餌をやったり程度だが、それでなついてくれたのは運が良かったと考えるべきだろう。

「こいつはうちで飼うとして、とりあえず次はどこに行こうか」

「一回帰らなくていいの?そろそろ仕事よね?」

エスティがそういうのも無理はないだろう。実際、とれた休暇は半月ほどだったし。

「まあな。でもまぁ、俺がいないでも回るようにいろいろと根回ししておいたし、もうしばらくは平気だろ」

「んもう、それで文句言われたらどうするつもりよ」

「そもそも俺たちが必要な仕事は今年はもうないはずなんだよ。騎士団が動くような事態もないはずだし。この前、俺だけ休暇の時に、どんなモンスターでも半年はかかる距離の中に、俺やエスティが必要な奴はいなかったしな」

あえて言うならここにいる黒ドラゴンとか、海から出れないオーツェンカイザーくらいだろう。そいつらが来てもいいように、倉庫の中には武器も置いておいたことだし、あそこら辺使えば一般人でもドラゴンを殺せる代物だ。うちの騎士団のメンツが使えばそれの上位種でも殺せるだろう。

「あ、このあともう一か所よる予定があるんだよな」

「そうなの?なら、そっちの方に向かいましょうか」

「あぁ、それじゃあ行こうか。次の目的地は・・・」

 

~月光の森~

 

「グラスちゃん?うちに来るつもりはないかしら?娘として!」

そうエスティが話しかけているのは、グラスエレメント、そう、トトリのアトリエに登場する赤系統の色が多めのモンスターだ。実は割と友好的なモンスターで、寝床にしている月光花を奪われまいと仕方なく応戦しているんだとか。

『でも、月光花の寝床じゃないと私眠れなくて・・・』

「ちょっと面倒くさいがうちでも育てられるぞ?とはいっても、完全に同じとは言えないかもしれないが」

この男、錬金術で好き勝手にいろいろなものを製作しているので、その実験成果として月光花の育成にも一枚かんでるのだ。そのせいで、すでに家の死角には月光花が群生している。

『行かせてください!これ以上戦うのは嫌なんです!』

「わ、わかったから、少し落ち着け。それと、街中で攻撃を使用とか考えるなよ?」

当たり前のことだし、特に心配もしていないが、そう釘を刺しておく。そうすると、キョトンとした表情になった後、

『あたりまえじゃないですか!時々襲い掛かってくる変態さんたちみたいな人たちが相手ならまだしも、敵対してこない相手に攻撃なんて仕掛けませんよ!』

一体彼女に何があったのか、とても気になるところではあったが、おとなしく気にするのはやめた。たぶん詳しく聞いたら負けだと思ったからである。

『あ、もう一つお願いがあるのですが』

「ある程度のことなら聞けるけど、何かしら?」

『妹のジュエルエレメントと、姉のブラッドエレメントも一緒に連れて行ってもらってはダメでしょうか?』

まさかの関係に思わず驚いたが、エレメント同士なので、そういう方向性で繋がりがあってもおかしくないかと思い直す。

「別にかまわないぞ?どこにいるかは知らないから、そこまで案内してくれると助かるが」

一応転生する前にもゲーム内で戦った相手なのでどこにいるかは知ってはいるが、この世界ではあっていないので知らないことにする。

『少し時間がかかりますが、場所は知っているので案内できます』

「時間がかかるってどれくらい?」

エスティがそういうと、グラスエレメントは俺たちの背後にいる黒ドラゴンを見て、

『そこにいるドラゴンさんに乗せてもらって三ヶ月くらいですかね?』

と言ってくる。休暇終了があと五か月ほど、二か所を巡って二人を拾うのに約三か月、そこから帰るのに一か月かかるかかからないかの距離だろうから、まあちょうどいいくらいのタイミングで帰れるだろう。

「二か所まわってそれなら帰れるな」

「えぇ、それじゃあ行きましょうか!」

『グォォォ!』

俺とエスティの言葉に答えるように、黒ドラゴンが咆哮する。そんな黒ドラゴンにまたがり、三人はその場を後にするのだった。




この後無事ジュエルエレメントとブラッドエレメントも拾って自宅に帰宅した。ステルクさんが激怒していたのは言うまでもないだろう。

ス)先輩方、あんな置手紙残されて消えられても困るのですが?
シ)え?何か困るようなことあった?
ス)そういう問題ではないでしょう!まさか半年も返ってこないなんて思わなかったですし、モンスターを連れて帰ってきたことで国の上層部も大騒ぎになってるんですよ!?
エ)私たちの愛娘たちに文句があるなら自分で言いに来なさい!そんな考え叩き直してあげるから!
ス)えぇい!何でこんなに親ばかみたいな風になっているんだこの人たちは!

ちなみに帰ってくるまでの間に親ばかに進化・・・進化?していた。


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え?延長戦あるの?

予定していなかった延長戦開始。たぶんすぐ終わる。


~アーランド王国 シルド・エスティ宅~

 

「え?未来からやってきた?この二人が?」

この世界には延長戦まであるのか・・・なんて考えている俺の目の前に、三人の錬金術師が見える。

「え?この世界のエスティさんって結婚されてるんですか!?うそ!」

「それにロロナちゃ・・・ロロナ先生までご結婚を!?」

とはいっても、どうやら別の未来からの来訪者のようだが。まったく、きちんと自分の世界戦の過去に送れってんだよあの妹弟子は・・・

「逆に、今の話を聞く限りだと、そっちの私達って結婚できてないわけ?」

「え?えぇっと・・・ノーコメントで!」

メルルがそういうが、少し前の話からそのことは理解ができているのだろう。二人ともそろって、どこか遠い目をし始めた。そろそろ本題に移ろう。

「それで、何でここに連れてきたんだ?言っては悪いが、こういうのはお前の師匠の出番だろうに」

いやもうほんと、何で俺のところに来たのかがわからない。俺そんなに錬金術できないよ?せいぜい原作にない特性量産することくらいだよ?

「あ、それなんですが・・・えーっとですね」

ロロナの目が泳ぎ始める。なんだかとても嫌な予感がした。

「師匠が、『こいつらをあいつに合わせたらどんな反応をするのか見てみたいから、ちょっと行ってくるんだ』とかいって、それを終えるまでアトリエに帰れなくって・・・依頼もたまってるから早く帰りたいんですけど、鍵までしまっているせいで中に入ることすらできなくて・・・」

どうやらアストリッドの差し金らしい。仕方がないため、つい最近収穫できるようになったリンゴで作ったアップルパイを出す。セットで出すのはもちろん紅茶だ。今回は時間がなかったので錬金術製だが、そこは許してほしいと思う。今うちには緑茶と麦茶、コーヒーくらいしかないのだ。コーヒーを出すことも考えたが、機材を洗うのが面倒くさいので基本的に二人で飲むようだ。パイを一口食べたトトリとメルルは、目的を忘れて黙々と食べ始めてしまう。そんな時だった。

『お父様!ミミ様が遊びに来ております!』

ジュエルエレメントがそういって部屋に入ってくる。

「え?お父様?ミミ・・・もしかしてミミちゃんのこと!?ていうか、え!?何でここにモンスターが!?」

まぁ、トトリちゃんならそういう反応するよね。実際、自分も倒したはずのモンスターだろうし。

「まぁ、そういう反応になるのはわかっていたがなぁ。うちの愛娘に何か?あ、ジュエル、ミミはここに案内していいぞ」

『わかりました!じゃあ呼んできますね!』

俺の言葉にそう答え、一礼した後、ジュエルエレメントはミミを呼ぶために外に出ていく。トトリとメルルは、そんな光景に驚き固まっていた。

「ていうか、外にいたドラゴンも見ていたはずだよな?何で今更驚いてるんだよ」

俺のその言葉に、トトリが真っ先に反応をしめす。だが、その内容が想定外だった。

「へっ?ドドド、ドラゴンまでいるんですか!?私見ませんでしたよ!?」

どうやらうちの黒ドラゴンは気が付かれすらしなかったらしい。墓穴でも掘った気分だ。周りからもやっちまったなこいつ感あふれる視線が送られてくる。ヤメロ、そんな視線を送ってくるんじゃない!まぁ、そんな話は置いておくとしよう。

「まあいい。それで、俺と顔合わせするって件ならもう十分だと思うが?このあと妹の遊びに付き合わねばならんのだ。もう用がないのであれば帰ってもらえると助かる」

これ以上ここにいられても他におもてなしもできないし、なんて思いながらの発言だ。それに、当初はなされた目的通りなら、別にこれ以上居座る必要もないだろう。するとここで、トトリから思いもよらない、いや、もしかしたらあるかもと思っていたセリフが飛び出してくる。

「あの、もしよければなのですが、小さいころのミミちゃんに合わせてもらったりってできますかね?」

ついでにメルルからも飛んできた。

「あ!私も気になります!小さいころのミミさん!」

というか、君らさっきまでモンスターの話してたのに、ずいぶん切り替え速いね?まあいいけどさ。

「別にかまわん。というか、いい加減俺以外にも俺と同じ役の側がほしいと思っていた所だ。なんだったら遊びにも付き合ってもらおう」

「おにいさま!きょうもぼうけんしゃごっこしましょ!」

そういって、ミミが木製の槍を持って中に入ってくる。すでに臨戦態勢のようだ。ついでに言おう。俺はこの三人を逃がすつもりはない。

「おう!ちょうどこっちの人たちともその話をしていた所だ!今回はモンスター役が三人増えるぞ!」

「「「え?」」」

「そうね、いい加減シルドだけじゃあやられ方がパターン化してきたし、ちょうどいいんじゃないかしら?」

「「「え?」」」

「ほんとう!?おねえさんたちもいっしょにあそんでくれるの?やったー!」

「「「えぇぇぇぇ~!?」」」




この後むちゃくちゃ冒険者ごっこやった。そんでエレメントとミミ、エスティの五人にボコボコにされた。

ト)うさぷにライダーってなに?なんだかミミちゃんがとっても速かったんだけど・・・いつもの二、三倍速かったんだけど!
メ)しかもかわいいから殴れないし!罪悪感湧いちゃうから殴れないし!未来のミミさん知ってるからより一層殴れないし!
ロ)おとなしく倒される選択をした私は悪くないと思う。というか、あの五人に勝てるイメージがわかないんだけど・・・
シ)容赦なく打ちこんでくるから体中痛いんだよな。あ、エレキシル剤つかう?
ロ・ト・メ)お願いします


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久々の追いかけっこ(おまけに長い戦闘を添えて)

うっかり先に投稿してしまった。予約投稿をしわすれるとは不覚を取りました・・・これの前にお話し追加してあります。


~夜の領域~

 

「はっはっは、どこへ行こうというのかね」

「とりあえず君から離れた場所へだね。この頃見当たらなかったから平気かと思ったらこれか!」

やぁ、みんなおなじみ、シルドさんだよ。今はジオとの追いかけっこの最中サ!あえて追いつきそうで追いつかないくらいの速度で移動しているため、普通の人でも認識できると思うよ!

「君に逃げ場は用意されていないよ。おとなしく投降することだな」

「えぇい!その眼鏡のような黒いものを外してから言いたまえ!」

ちなみに装備しているのはグラサンである。本来なら見えなくなるところを、わざわざ暗視の効果をつけて見えるようにした。あと服装はスーツ、何でこの装備なのかって?ちょうど別件で入ってた仕事用に準備してたらこんなことが起こったからだよ。グラサンは何となく。そこそこ性能もいいのでもってきたものだ。

黒キ眼鏡 品質120 威圧感がある眼鏡

特性はスピードスター、速度ブースト、速度強化、全能の力、雷鳴の力という、完全追跡用である。弱めに走ってもジオと並走できる程度に速くなる。

「ほい確保」

「グォ!」

ので、全力で走って目の前に移動してから腹部にアタック、ジオは気絶してしまった。残念、彼の冒険はここで終わってしまったのだった。

「・・・帰るか。書類仕事もあるし」

そういって、帰ろうと歩き出した時だった。上空から聞こえる風の音に、急いでその場から離れる。暴風、ジオが飛ばないように押さえつけながら、その風の原因を見る。そこにいたのは、赤い飛竜。シニアドラグーンと呼ばれるそいつは、オルトガラクセンと呼ばれる採取地に生息しているモンスターのはずだった。またこのパターンかよ、いい加減多すぎじゃない?なんて思うが、どちらにしても逃がしてはくれなさそうな雰囲気に、おとなしく秘密バックから武器を取り出す。魔法の鎖でジオを自分の体に縛り、落とさないように固定する。これで体に魔法を纏って移動などできなくなってしまったので、割とできることが減ってしまった。仕方がないので手数を増やすことにしようと思う。

「アイシクルドール」

魔力で作りだした俺のレプリカに、その場でアイテムについている特性を付与する。錬金術とも呼べないお粗末なものだが、いちいち自分で動かすよりはまともに動いてくれるだろう。とりあえず新しい特性なんて製作できないので、防御特化の人形にする。なので、つける特性はこうだ。

アイシクルドール 生きている、ディフェンダー、防御ブースト、防御強化、全能の力

とりあえず即席にしてはいい方だろう。込めた魔力のおかげでそこそこ固いし、周辺の魔力を吸収するように作っているから後はノータッチで大丈夫。なんて考えていると、シニアドラグーンが炎の球を飛ばしてくる。バーンブレスとかいう攻撃だったはずだ。氷の壁を生み出して防ぐ。衝撃で亀裂が走るが、そんなことを言っている場合ではない。続いて飛んでくる、トキシックダーツが壁を貫き、こちらに向かってくる。その攻撃の上に乗り、それを台にして氷の壁に乗り移る。飛んできた雷撃を、雷無効の布を体に巻きつけ無力化する。

「ドール!あいつに向かって戦う魔剣!」

その言葉に従って、アイシクルドールが戦う魔剣を使用。敵の翼に突き刺さるより先に回避されてしまう。しかし、そこは戦う魔剣。相手に向かって追尾し、翼の付け根のあたりに突き刺さると、そこから毒がしたたり落ちた。どうやら毒の効果を与える戦う魔剣だったらしい。一瞬のすき、それをつくように、相手の背後からエスティが現れ、颯爽と首を切り落とす・・・まて、なぜエスティがここに!?

「なんだか嫌な予感がしたのよ。盛大に足を引っ張られたシルドが、大けがして帰ってくるような」

「おっ、何だ今の現状の話をしてるのか」

大けがはしていないが、確かに足は・・・全身にくまなく巻き付いてはいるな、足手まといっていうか拘束具?

「でも、貴方ならあれくらい縛りがあっても倒しきれると思うのよねぇ・・・私でも一撃だったし」

なんて言っているエスティの持っているのは、少し切れ味がいいだけの短刀二本。果たしてこれが、武器以外のアップ効果のせいなのか、レベルが上がりすぎた弊害なのか。残念ながら俺には分からないのであった。




追いかけっこが約五百文字、残りをどうにか埋めようとして描いた方が約千文字、どっちが本体かわからんね。おかげでサブタイを追加することになりました。


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オーツェンカイザー?あぁ、戦うのね(え?俺も?いいけど、すぐ終わることになるよ?)

~深淵の古塔 悪魔階~

 

やぁ、護衛の仕事で深淵の古塔に来ているシルドだよ。この塔に来るのは二度目かな?今回のメンバーは、錬金術師三人衆、ステルク、俺、エスティの六人だね。俺とエスティいらなくない?いる?そう・・・ちなみに、ここに来るまでに戦闘はなかった。ついでに、大型モンスターは全員うちに来ることになったので、あとで家に大きな水場を作ることになってしまった。

「あ、俺とエスティは四人が倒れたら出ることにしよう!そうじゃないと戦闘経験をきちんとつめないだろうしね」

「そうねぇ、私たちに任せっぱなしじゃあ、いざという時に困るだろうし、かといって、あんまり私たちを連れ回すにもお金がかかるでしょうしね」

「「「え゛」」」

「それもそうですね。いざとなったら助けてくれる今のうちに、経験を積ませてもらうとしましょう」

錬金術師三人はともかく、ステルクはやる気満々だ。そんなことを話しながら歩いていると、崖近くに来た時に、下からオーツェンカイザーが現れる。戦闘開始直後、三人が爆弾を投げつける。容赦ねえなあいつら。しかし、それほどダメージが通ったようには見えない。いや、ところどころ焦げたようにも見えるが、案外そうでもない気がする。

『我らのアイドルを奪った貴様らをただで返すわけにはいかん!おとなしく殺されるがよい!』

むしろそんなことを言いながらブレスまではいてきた。まて、普通に話してなかった?アイドル文化も浸透してんの?この世界。

「ちょっとまって!?何でこんなに怒ってへぶぅ!」

「「キャァッ!」」

「ヌオッ!」

速攻四人がやられたわ。しかも次はお前らだからって視線送ってきてるわ。ていうか、さっきの話とっても心当たりがあるんだけど。

「なぁ、あいつが言ってるアイドルってうちのブラッドエレメントのことか?」

「でしょうねぇ、あの子を拾ったのもここだったし」

「そうだよなぁ。なら、あいつも家に招くか」

そんな軽いノリで連れて行くような相手ではない。当然だが、オーツェンカイザーだってただ聞いてはいそうですかといえないし、奪った本人が目の前にいて冷静になれるわけもない。雷や氷のブレスでシルド達を攻撃してはいる。ダメージがあるかどうかといわれれば、まあ回避されている以上ないだろうが。なので、とりあえず事情を話してみることにした。

「あいつは今うちで妹たちとアイドルグループを作ろうとしています(大嘘)。後、俺はあいつの義理の親です」

『ぜひともそちらに行かせてください!』

説明された事情は真実ではなかった。ただそれだけのことなのだ。こんなのにコロッと騙されるこいつもどうかと思うが、きっと言わぬが花というやつだろう。

こうして、オーツェンカイザー討伐は白紙に戻るのだった。というか対象が街に住んだため、もはやだれも何も言えなくなってしまった。今では彼も立派な街の一員である。




人外魔境になりつつあるシルド・エスティ宅、いったいこの主人公の家はどこに向かうのか、作者にもわからなくなってきました。

オ)ところでどうやって運ぶのだ?
シ)この筒の中に入っててもらう。少し窮屈かもしれないが、家につくまでは我慢してくれ
エ)気絶した四人も連れて帰らないとだから、ちょっと面倒よねぇ・・・

アーランド王国に住んでいるモンスター一覧
シュヴァルツラング家
・うさぷに(ぷにの化身サイズ・この頃サイズを好きなように変えられるようになった)
シルド・エスティ宅
・黒ドラゴン(移動に使われることが少なくて落ち込み気味。人の姿になれるようになってからは近所でも有名な子供にやさしいみんなのお兄さんになった)
・ジュエルエレメント(この頃人の姿をとれるようになった)
・グラスエレメント(この頃人の姿をとれるようになった)
・ブラッドエレメント(この頃人の姿をとれるようになった)
・グレートフィッシュ
・ガーディアン
・コバルトスカル
・オーツェンカイザー

記入ミスあったらすみません

感想が送られると作者が泣いて喜びます。そして投稿話数もその日だけ増えます。感想なくって一日投稿話数が一話から増えたら作者の方で事故ってます。つまり昨日は事故が発生した日です。


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ある日のシルド・エスティ宅(アイドルと近所で人気のお兄さん)

感想が来たので投稿


~アーランド王国 シルド・エスティ宅~

 

「だからここは腕を上にあげて決めないと!」

「いや、あえてここはこう!」

「こういうのもよくない?」

「「それだ!」」

オーツェンカイザーに嘘ついたはずなのに、いつの間にか本当のことになりそうです。というか、すでに衣装はできてたし、歌詞もできてた。あとは振付だけらしい。

「すまんが主よ、少々子供たちと遊んでくる。何か用があれば呼びに来てくれ」

「おう、ま、今日は特別どこか行く予定もないし、そのまま遊んでてくれて構わんぞ、クロ」

俺の返事を聞き、そのまま出て行ったのは黒ドラゴンのクロ、帰ってきたら擬人化できるようになっていたうえ、なぜか近所の子供たちに人気だ。ついでに、近所のおばちゃんたちにも人気だ。

「さてと、水場の拡張をもう少し進めないとな」

「それもそうだけど、とりあえず昼食食べましょう。そっちの三人も、いったん片づけてご飯食べちゃいなさーい」

「「「はーい!」」」

ちなみに今日の昼はステーキとパンとスープらしい。ソースは人参をベースに、マッシュポテトを混ぜたものを用意した。

午後からはおれたちも仕事があるので、それを考慮して少し早い時間に食べ始めている。

「そういえばお父様って布作れましたよね?」

ブラッドエレメントこと、レエラがそういってくる。

「確かに作れるが、一体何に使うんだ?衣装はもうできてるんだろう?」

俺のその疑問に、今度はジュエルエレメントことエルが、

「あれとはまた別の衣装作らないと!おんなじ衣装だと飽きられちゃうかもしれないしね!」

といってくる。なるほど、どれなら納得だ。グラスエレメントことグラスは、そんな二人の発言に、どこか申し訳なさそうにしているが、特に気にしなくていいといいながら、グラスの頭をなでる。

「むしろ、私たちは娘がちょっとわがままなくらいがいいんだから。少し旅行に行きたいーとか、こんな服を買ってほしいーとかね。あんまりかまってあげられてないし、そういう我がまま言ってくれた方が私達だって安心するんだから」

「本当にな。むしろ何もわがままがないと、割と不安になるんだよなぁ・・・」

なんていいながら二人で笑みを浮かべると、家の末っ子、エルがとんでもないことを言ってきた。

「じゃあ私、妹がほしい!」

「「ブフッ!」」

当然二人そろって吹き出すことになった。予想していなかった不意打ちである。しかし、二人のそのあとの発言は、

「そ、それは今すぐには無理かなぁ!?」

「もし妹ができるにしても、一年ぐらい後になるぞ?弟かもしれないしな。それでいいんだったら問題ないのだが・・・」

あんがい前向きだった。それはもう前向きだった。義理とはいえ娘を溺愛している彼らが、実の娘ができたとき、どれほど溺愛するのかは、作者にもわからない。




シ)そういえば、布の色ってこんなのがいいみたいなのあったりするのか?
レ)青と白、あと赤と黒でしょうか?それだけあればいろいろ作れますので
グ)お父様、お母様、私は今度、旅行に行きたいです。海の方に!
エ)あらあら、それならプランをきちんと立てないとね。でもよかったわ。グラスもきちんとそういうこと言ってくれて

ちなみにこの話から少し立った日、エスティは長期休暇に入った模様


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俺だけ連れてこられました(すぐ帰るけどね)

まさかのぴったり千文字。(いつも通りまともな戦闘回では)ないです


~マキナ領域・変異 最深層~

 

やぁ、エスティが長期休暇なのに仕事してたり、こんなところまで連れてこられたシルドさんだよ。ここ、デーモンロードがいるから嫌いなんだよねぇ。夜の領域のこと思い出しちゃって。まぁ、そんな今回の戦闘メンバーだけど、俺、錬金術師四人衆、ステルクの六人だ。アイテムゴリ押しが始まる予感だぜぃ。まぁ、俺の場合殴った方が火力でるんだけどね。

「俺いらなくない?なんか前も言った気がするけど、俺いらなくない?」

「無茶をしても助けてもらえるという安心感がほしいんだろうさ。お前がいれば、大抵は何とかなるからな」

アストリッドがそういってくる。俺は安心感より心配の方が強い。エスティとお腹の中の子がである。別に駆除に時間はかからないし、デーモンロードだけなら問題はないのだが、なんだか嫌な予感がしてたまらないのである。そんな風に考えていると、嫌な予感が的中したというべきか、デーモンロードが現れる。ただし、一体ではなく五体ほど。

「容赦ねえなおい。何でそんなにロードクラスがわいてくるんだよ」

「いつぞやかのときに、先輩が一帯を惨殺したところを見られていたのでは?」

「軽くたたき飛ばしただけだっての。まぁいい。さっさと殺して帰るとしよう。この面子なら、守る必要もないしな」

おいお前護衛だろ、最低限守るくらいはしろよ、なんて心の声が聞こえる気がするが、とりあえず無視して武器を取り出す。ちょっと長くしすぎたので、背中に背負った状態だと動けなくなるのだ。

「お前らは少し離れてろ。じゃねえと一緒に斬っちまうからな」

そういって取り出した片手剣・・・片手で持ってるけどこれは両手剣では?・・・まあ片手剣は、二十メートルほどの刀身が光り輝いているものである。普通の手段じゃ取り出せないので、ある程度取り出したら剣を上に振り上げる。秘密バッグが上空に飛んでいくような形で取り出す。

「んじゃとりあえず一撃」

横に薙ぎ払うように振るわれた剣に、デーモンロードはそのまま姿を消滅させたのだった。やはりバグ武器である。そんな光景も、もはや見慣れたものであるステルクやロロナ、アストリッドはどこか呆れたような表情を浮かべ、トトリやメルルはどこか引いていた。

「それじゃあ帰るか。じゃ、俺は先に帰ってるから。あとの護衛は四人がいれば平気だろうしな」

そういってトラベルゲートで帰っていった彼は、どこまで言ってもフリーダムなのであった。




聖者の剣
品質120
別名を悪魔殺し
武器の効果で魔族特攻が最初から入っているうえ、そこに特性として精霊王の力(原作にはない特性。全属性ダメージと全状態異常付与の効果がある)、魂を食らうモノ(原作にはない特性。対象のレベルダウン、体力と魔力吸収の効果がある)、万能の力(原作にはない特性。全ステータスに+60、属性攻撃無効の効果)、極限破壊(原作にはない特性。攻撃力とスキル威力、クリティカル率が100%アップの効果)、終わらぬ追撃(原作にはない特性。実影の腕輪の数倍えぐい連続攻撃が可能になる



悪魔狩りの剣
品質120
別名変異した聖剣
特性は変わらないが、効果に飛来する斬撃の効果が追加されている。


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子供ができました

現在アンケートを実施しています。まだの人はぜひ活動報告からアンケートに参加してくれるとうれしいです。


~シルド・エスティ宅~

 

エスティが長期休暇に入ってしばらくたち、子供ができた。性別は女の子、名前はシエル。俺とエスティの最初の文字に、それでは言いづらい上に名前っぽくないということで、最後にルを追加したのだ。どこか別の世界で神様食べるような職業してそうだが、別にそんな意図があって名付けたわけではない。それはともかく、生まれた女の子は今。

「ぷにぷにしてる!はぅ、指にぎにぎされちゃいました!」

「本当にやわらかいですね。なんだか癖になってしまいます」

「それに、なんだかとてもいいにおいがする気がします。クロ、そこの位置を早く変わってください」

「お前はすでに十分ほど抱っこしていただろうが。次はグラスの番だ」

「ちょっと~?私もそんなに抱っこできてないんですけど?」

エスティたちが取り合っていた。とはいっても、奪い合うような感じではなく、小さく歓喜の声を上げたり、抱っこする順番を話し合ったりしているようだ。小さく叫ぶなんてよくやると思う。ちなみに俺は五分ほど抱っこして満足した。抱っこしている間は至福の時だった。

「騎士団長!王が逃げだしました!」

その報告がなければもっと幸せだった。とりあえずジオは・・・

「お、あいつ埋めよう」

「「「「「いってらっしゃい」」」」」

埋めることにする。全力で。城の前に埋めてきてやる。家族たちの声を背に、俺はジオを探しに行くことにした。

 

~オルトガラクセン 第十階層~

 

オルトガラクセン、その中でもマギハットと呼ばれるモンスターの生息域にその姿はあった。

「ありがとうございますジオさん!」

「なに。別にかまわんよ。いつもなら少しうるさいのも休みになっていたのでね」

「ふぇ?お休みですか?」

そう、家族団欒を妨害してくれたジオである。

「育児休暇だといって、二、三日休暇をよこせと言われてね。仕方なく一週間休みを出してきたから、たぶんしばらくは大丈夫のはずさ」

それもまた事実。しかし、それには一つ問題があったのだ。

「おう、おどれがにげださにゃあ平気だったのぅ」

確かに何事もなければ休みでいられる彼も、それを返上しなくてはならない仕事が存在してしまうことをジオが知らなかった。ただそれだけで発生してしまった悲しい事件。頭をつかまれ、ミシミシと音を立てながら体が浮いていく感覚に襲われるジオ。近くにいたロロナ、少し離れたところにいたトトリやメルルもそれに気が付き、サッっと顔を青くする。ステルクもまたそれに気が付き、頬を引き攣らせた。

「せ、先輩?なぜあなたがここに・・・」

そんなステルクの疑問に答えるように、ゆっくりと顔だけそちらの方に向ける。その目に光はなく、周辺にいる全員に恐怖を与えた。ゴースト系のモンスター、お前らそれでいいのか?

「ステルクなら知っているだろう?コレが逃げだすと俺が動かないといけないことくらい。伝令が来れないところでなければ、絶対にその任が俺のところに来るってこともよ」

「し、しかし、王が彼女を手伝いに行っていることを伝えれば、それも免除されるはずでは?」

その一言に、さらに腕に力が入り、ジオが気絶してしまう。

「それなら俺だって問題視しなかったさ。しかしコレはよりにもよって、一切の報告もせずについてきたんだよ。というわけで、こいつは城の前に埋めてくることに決定した。安心しろ。仮面をつけさせて身分をわかりにくくさせたうえで、エーテルインキで猫髭を追加してさらにわからなくしておいてやるから」

それじゃ、といって、わざわざジオの足を引きづりながら高速で帰っていくシルドに、五人は苦笑いを浮かべるのであった。




その後、僕は悪いことをしましたというプラカードをかけられ、猫の仮面とエーテルインキ製の髭をつけたジオが埋まっているという情報が、上層部に伝えられたという。なおそれを行った本人は、疲れをいやすという名目でエスティに抱きつきながらシエルを抱っこしていたという。


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気が付いたら延長戦二年目

現在アンケート中です。活動報告の欄から投票してくれると助かります


~アーランド王国 城内 受付~

 

子供は娘たちに任せ、仕事に復帰したエスティとともに書類仕事をしているシルドだよ。なんだか王様を埋めたりしたことで上層部に怒られたけれど、特に気にせずに今日も書類を片付けていく。俺の仕事は終わったので、エスティが担当していた受付の書類を半分受け取り、処理していく。

「なんか依頼の難易度、討伐のやつが異様に高くなってないか?」

「周辺の魔物なら騎士たちが処理できるから、そんな騎士たちが相手にできないような敵しか残ってないのよ」

なるほどなと思う。たしかにステルク以外の騎士たちも、一人で通常のドラゴンなら倒せるようになったし、周辺なら敵なしだろう。

「採取依頼が少ないのは、周辺が安全になったからか」

「そうなるわね。だからいまは、調合任務の方が多くなってるのよ」

確かに見てる限り、討伐、採取、調合で、1:1:8ぐらいの割合になっている。俺が調合、提出していいのは、今存在している依頼の中には存在していないようだ。

「俺が作れたら楽なんだがな」

「そんなことしたらヒーリングサルブでも捥げた腕が生えてきたじゃない。昔斬られた傷口に塗り付けたらそこから腕が生えてきたの、忘れたとは言わせないわよ」

「あー、そんなこともあったな。ていうか、ふつうありえないだろ。どこからあんな腕生やせるんだよ」

あの時は驚いたもんだよ。実験で作ったヒーリングサルブで腕が生えてくるんだもん。せいぜい傷がふさがる程度だと思っていたのに、そんなことになるのは想定外もいいところだったもんだ。

「代わりにとんでもなく腹が減ったうえに、今までたまっていたお腹の脂肪が綺麗に無くなったことに、みんな驚いていたけれどね」

もしかして、脂肪とか胃の中身が消費されて生えてきたとか?まさかねぇ・・・

「ちなみに彼、そのあと美人な彼女さん捕まえて結婚したらしいわよ?」

「すさまじいなあいつ。それであいつ一時期異様にやる気になってたのか」

ちなみにそれが、彼らの子供の生まれる一週間ほど前の話である。

「あの時はすごかったぞ?なにせ単独で黒ドラゴンを倒してたからな」

「それ聞いたわ。ぼろぼろだったけど、一回も膝つかなかったんでしょう?彼」

ちなみにあまりに接戦だったので、いつでも飛び入りできるように構えていたが、別にこんなことは言わなくてもよいだろう。

「すみません。この依頼を受けたいんですけど・・・」

そういって話しかけてきたのは、ロロナのアトリエの店主であるロロナ。その手には、大量の依頼が持たれていた。

「別にかまわないが、本当に全部受けるのか?そんなに大量に調合していたら、確実に期限切れの物が出てくるぞ?」

「あ、実際に受けるのは三個くらいで、あとはもうできているものなので大丈夫です」

「そう?なら、確認しちゃうから見せてもらってもいいかしら」

エスティはそういいながら依頼用紙を受け取ると、品質などをすべて確認していく。俺もそれを手伝いつつ、それでも三十分かかる量を何とか確認し終える。

「じゃああとは依頼の受注だな。ナントカの秘薬三つ、妙薬ドラッヘン三つ、エリキシル剤一つの納品だな。それと、さっきの終わらせた依頼の金額がこれだ。うっかりどこかに落とすなんてするなよ?」

そういって、俺はコールの入った袋を渡す。中身を確認したロロナは、

「言われなくてもわかってますよ!」

といって、受付を後にするのだった。




このあと帰ってのんびりした。


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三人でいく!黒い大樹の森で討滅戦

~黒い大樹の森 夢を見せる森付近~

 

やぁ、謎のモンスターの目撃情報があった場所に派遣されたシルドだよ。ちなみにメンバーは俺とエスティとステルク。季節的に暑くなってきたということもあり、俺たち以外の騎士連中がバテ気味なのだ。それと、保険として騎士の中でも一番強いメンバーで、ということらしい。

「例のモンスターが目撃された場所ってのはここか?」

それは、夢を見せる森の一角、というより、少しそこから離れた場所。木々に囲まれ、普通ならだれも出入りしないような場所だ。

「そうですね。しかし、こうやって見ている範囲ではなにかがいるようには見えませんが・・・」

「周辺の草木にも違和感はない・・・まって、なんだかあの木だけおかしくないかしら?」

そうエスティに言われ、そちらの方を見る。確かに一つだけ、大きく木が傷付いていた。

「これは・・・爪痕のようだが、ここらへんには熊なんて出たか?ここまで大きな爪痕になると、相当でかいサイズだぞ」

「熊どころか、ここ最近はウサギ一匹すら発見報告がありませんよ」

そんなステルクの報告に、思わず目を丸くする俺とエスティ。気のせいならよかったが、なんだか嫌な予感がしてたまらなくなってきた。

『ぷにぷにぃ!』

そんな俺たちの目の前に、緑ぷにが一匹だけ現れる。

「何でこんな場所に緑ぷにが?それに、さっきまで気配も・・・っ!」

直感に似た何かに従い、後ろに跳ぶ。ステルクやエスティを見ると、やはり二人とも、緑ぷにから逃げるようにそれぞれ動いていた。

バチュン

そんな音とともに、緑ぷにがはじけ飛び、中から黒いマンドラゴラ、ウィッチローズが現れる。しかし、そこでは止まらない。ウィッチローズの体が二つに割れると、耳ぷにになり、個体数も二体に増えた。咄嗟的に一つ叩き切ろうとするが、そんな耳ぷにがまたはじけ、中からグリフォニアンが現れる。体を縦に二つに斬る。斬った二つがラムウリザードになり、もう一体が大きなクアドラぷにに変化し、ラムウリザードの体色が変化し、バザルトドラゴンになる。巨大クアドラぷにの頭の上に王冠が生えてきて、クアドラぷにぷに王になる。クアドラぷにぷに王ってなんだよ。バサルトドラゴンが巨大化し、全身が黒く染まって黒ドラゴンになる。

「目の前でこんな進化見せられるの、ホント勘弁してほしいんだけど・・・」

とはいっても、進化はそこまでで、それ以上には変化は起こっていない。表面上は、と付くのだが。なにせ、威圧感や魔力量が増えて行っている気配がする。

「とりあえずどんな感じか試してみるか。ところでこいつ、何特攻が刺さるんだ?ぷに、ドラゴン、植物だったら特攻ないしなぁ・・・」

そういいながら、とりあえずぷに特攻とドラゴン特攻の効果がある剣を取り出すシルド。エスティたちも、それぞれ武器を構える。

「とりあえず一撃!」

その声とともに、クアドラぷにぷに王が二つに斬れる。しかし、このままでは先ほどと同じような状況になりかねないので、さらに炎で蒸発させる。そんな中、クアドラぷにぷに王のいた場所に何やら光る物を見つけ、急いで火を消す。確認してみると、ビー玉ほどの黒い結晶だった。二体の黒ドラゴンが、そんな隙をさらしているシルドに襲いかかるが、ステルクとエスティが首を跳ね飛ばし、ステルクが雷で灰も残らないほどに焼きつくし、そのまま姿を消したのだった。

「ところで結局、あのモンスターは何だったんだ?」

「わかりませんが、とりあえず先輩が持っている結晶には見覚えがあります」

「ほう?」

俺がステルクの方を向くと、とても言い辛そうな表情で、

「・・・彼女が・・・アストリッドに押し付けられていました」

と言ってくる。原因が判明したようなもんだろう。

「・・・帰るか。アストリッドしばきに」

「そうね・・・」

「そうしましょう・・・手伝いますから、彼女だけは助けてください」

「わかってるって。しかし、ロロナもずいぶんとまあ巻き込まれ体質だよな・・・」




このあと無茶苦茶アストリッドの後頭部を強打した。ついでに逆さづりにして城の前に飾っておいた。大臣はそれを聞いて胃を痛めた。

シ)まさか原因があいつだったとは・・・
エ)あんな変な物作れるの、錬金術師ぐらいだって考えておくべきだったのよ
ス)すみません。まさか彼女が落としていたとは気が付かなかったもので・・・

そろそろネタがなくなってきたぞい。一回原作は終わりかな!次くらいで!


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無事に帰ったらしい(ところでこれどうにかならない?)

~シルド・エスティ宅 庭~

 

なにやら竜の砂時計を置かせてくれと言われた。うちの庭先に、だ。とりあえず何もないスペースにおいてもらったが、案外でかいなこれ。え?ゲームだと普通に片手で持てるくらいの大きさじゃないの?現実世界だと盾○勇者にでてくる龍○の砂時計みたいな大きさになってるんだけど・・・

「それじゃあ、私たちはこれで」

「聞いた話によると、ずいぶん急に帰ることにしたらしいじゃないか。なにかあったのか?」

俺がそういうと、二人は少しだけ気まずそうな顔をする。そしてメルルが、

「いやぁ、この世界も楽しかったですけど、これ以上いるとうちの世界にいるエスティさんとかロロナちゃ・・・先生にも違和感を覚えかねないので・・・」

と言ってくる。まぁ、原作通りの世界をたどったのなら、確かに違和感を覚えるし、そのうえでこの世界のイメージが定着しようもんなら、向こうで大変な目にあうだろう。おもにエスティ関連で。

「まあそれなら納得だわ」

「そうよねぇ、あ、わかってるとは思うけど、向こうの世界でこっちの私の事、話したら駄目よ?確実に大変な目にあうだろうから」

二人はそれを聞き、壊れた人形のように首を縦に振った。本人たちもよく理解しているらしい。その後、まあ結論から言えば、彼女たち二人は無事に帰っていき、そのあとにまた少しの間帰ってきて、無事につながったことを報告、再度帰っていった。こんな時に言うのもあれだが、疑問に思ったことがある。

「ところでさ。この砂時計、ここに置いておかないとダメなのか?いや、別にそれは構わないんだ。スペースならまだあるから。それ以上に問題なのが、アトリエに現れたやつらを、ここの位置から返した場合、あいつらは無事にアトリエに飛ぶことができたのか?」

座標で飛んでいる場合、この座標にはもともと草木が生い茂っている程度の荒れ地だったし、そんなところに飛んだ場合、無事にアトリエに飛べたのだろうか、とか、もしかして飛ぶ人物が位置まで指定できるのだろうか、とか、そもそもこの砂時計の扱いってどうなるんだろう、とか、まあそんなことばかりが気になってくるわけだ。原作ではそもそも人が持つことのできる程度のサイズだったうえ、あくまで時間を飛ぶ道具、つまり、世界の壁が超えられるとも限らない。この世界(俺のいる世界)あっちの世界(俺のいない世界)が、全く同じ世界ではなく、平行世界と呼ばれるものだった場合、彼女たちは無事に自分たちの世界に戻れたのか。さきほど、

「大丈夫でした!」

と言ってはいたが、それが気になってしまった。

「まぁ、そんなに気にしていても何にもならないわよ。実際に行くわけにもいかないでしょうし」

エスティの言葉にうなずき、とりあえず気にしないことにしておくのだった。



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冒険者になりました(最初っから特殊判定くらってます)

~冒険者ギルド 受付~

 

あれから数年、まあ色々と無かったが、急にジオが、

「明日から共和国になったから」

とか言ってきたり、

「騎士制度もなくすから」

とか言われた程度で、それほど何かあるかけではなかった。王国が共和国に、騎士が冒険者に変わったくらいだ。もっとも、騎士の中でも一部は、冒険者ギルドで時々受付をしているのだが。

「それで、このカードは何?なんかダークネスって書いてあるんだけど」

まぁ、そんなことはいいのだ。これから生活していくお金もあるし、別にいいかとゴロゴロと自堕落に生活してきた。娘たちが作ったアイドルグループの応援や、そのグッズを作ったりして金を稼いでた。今日、そんな俺がここ、冒険者ギルドにいるのは、とある少女に呼ばれたからだ。

「なにって、冒険者のカードでしょうが。あんたなら見ればわかるでしょう?」

まぁ、クーデリア嬢なのだが。突然呼ばれたあげく、いきなり俺とエスティの分の冒険者カードを渡し、そこには先ほども言ったようにランクの欄にダークネスと書かれていた。ギャラクシーじゃないの?とか思うけど、あえて言わないことにする。

「それとそのランクは、あんたとあいつ専用のランクよ。あんたたち二人でその評価、もっとも、どちらも強すぎて、周辺のパーティーでは扱いきれませんよ、っていう意味があるんだけどね」

「なるほどね、それで闇、か。まったく、一般人になんて称号渡すんだが・・・」

「あんたたちが一般人ならこの街の全員は人間以下ってことになるわよ!あんまりふざけたこと言ってるとたまってきてる仕事片っ端からやらせるわよ!?」

クーデリア嬢にそんな風に怒られる。理不尽・・・とはさすがに言えないな、うん。よく考えると色々とやらかしてるし。そんなことをぼんやりと考えていると、周辺の視線がなんだか嫌なものに変わった気がした。

「ふ・・・む、まあいい、とりあえずこれは預かっておこう。特別冒険をするつもりもないが、まあ無いよりはましだろうしな」

そういって、俺が外に出ようとしたあたりで、視線の原因であろう何者かが近づいてきた。もっとも、複数人いるので、何者か達、といったほうが正しいのかもしれないが。

「おいてめぇ、なにもんだか知らんが、どんなズルをしたんだ?」

その中の一人がそう話しかけてくる。面倒くさいやつらに絡まれたもんだと、心の底から思う。

「ズルどころか、俺としてはなくっても構わん扱いなんだがなぁ・・・あえて言うなら、家でドラゴン飼ってたりするぐらいじゃねえか?」

間違ってはいない。もっとも、周辺でそれを知っている奴なんて、もうほとんどいないだろう。一時期噂になりかけたが、それも数週間で止まったし。それゆえか、そいつらはけたケタと笑いながら、口をそろえてありえないだなんだと喚き始める。鬱陶しいことこの上ないが、別に害があるわけではないので無視することにしようとする。

「どうせ、もう一人のやつも同じようにズルしたんだろう?」

その一言がなければ、無視してやってもよかったのだが。まぁ、クーデリア嬢が直前に止めようとしていたようにもみえるが、別にかまいやしないだろう。聞いた話によると、まだ無期限で登録だけしてるやつらが大半だと聞く。それの一匹や二匹程度、間引いても問題あるまい。久々に動かすからだが鈍っていないことを祈りつつ、腹部に向けて武器を振るう。これすら回避できなければ、たぶんぷににも勝てないだろうという程度の威力だ。当然、相手はそれを回避する。ので、少しだけ力を込め、ドラゴンを殺せる程度で武器を振るう。驚いたことに、腹部に傷がつく程度で済んだらしい。次に、フランプファイルを殺せる程度で武器を振る

「そこまでにしておきなさい」

おうとしたあたりで、横から弾丸が飛んできたのでそれを切り落とす。

「ひどいじゃないか、クーデリア嬢。急に撃ってくるだなんて、驚きのあまりついうっかり反撃しかねなかったぞ?」

「それは勘弁してほしいけど、それ以上にあんた、こいつら殺すつもりで武器振ってたでしょう?さすがにギルド内での殺人は見逃せないのよ。後処理が面倒だし」

とりあえずたがいに武器をしまい、やれやれといったような動きをする。

「先に喧嘩を売ったのはこいつらだし、ついうっかり(・・・・・・)死んじゃったらそいつは事故だろ?それに、あの程度の攻撃、躱せないやつが冒険者なんてやってないだろうしな」

「無茶言ってんじゃないわよ。元アーランド王国騎士団長様が、フランプファイルを一撃で殺せる程度の一撃を回避できるのなんて、一部の化け物連中ぐらいよ?」

元アーランド王国騎士団長のあたりで、周辺にいた全員の表情が恐怖に染まった気がするが、きっと気のせいだと思いながら会話を続ける。

「ギゼラさんやジオ、ステルク、一応戦闘向きじゃないけどアストリッドまで避けたんだぞ?それに、家の元騎士団員は全員完全に回避できるうえ、反撃までしてくるぐらいだしな」

「そんな人外魔境でよろしくできるやつらと比べないでくれるかしら?ていうか、なんで自国の元王の名前まで出てくるのよ!」

クーデリア嬢が怒りだす。別に隠すことがないので、正直に言うことにする。

「あれが攻撃しようとしたときに横から飛び出してきたからだよ?おかげできちんと殺しきれなかったんだから、別にそんな怒られるようなことでもないだろう?むしろ悪いのはあっちだっての」

あのときは、魔物の駆除という名目でフランプファイルを殺しに行って、唐突に横から飛び出してきたのだ。幸い、ジオに傷がつくということはなく、代わりにフランプファイルが死ぬこともなかった。

「まあいいや、とりあえずそれのけがは一応治しておいてやるけど、一応登録してるやつらには注意出しておけよ?何か問題が起こった場合、俺が出てくる可能性がある、って」

そこまで言って、俺は冒険者ギルドを後にするのだった。




ちなみに悪口言った冒険者のけがは触れるのも嫌だという理由で粗悪品一歩手前のエリキシル剤が使用されたとか。

アイドルユニット名はここではまだ出ません。出るのは今月の十日以降となります。


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家族旅行?

~アランヤ村付近~

 

というわけでアランヤ村にやってきました。シルドです。え?唐突すぎるだろうって?いや、ずいぶん前(ある日のシルド・エスティ宅(アイドルと近所で人気のお兄さん)参照)に企画してたけど、いろいろとあって今の今まで流れてたから、せっかく冒険者免許もらったし行くことになったのだ。

「あたしと勝負しなさい!」

のだが、どうしてこうなったのだろう。折角だしアランヤ村の方にも少し寄ってみるか、なんて思ってきたのだが、速攻でメルヴィアに喧嘩を売られたのだ。

「唐突だね?俺たちはあくまで家族旅行できただけなんだけど、まさか勝負を申し込まれるなんて思ってもなかったな」

「そりゃあ唐突よ!だってあなた、あのシルドなんでしょう?だったら、一回戦ってみたいじゃない!」

どうやら俺のことを知っているらしい。少し前にふらっといなくなったロロナやステルクが話したのか、それともギゼラさんが原因か。冒険者としてギルドに来て、その時に俺の噂でも聞いたのかもしれない。

「あのギゼラさんを倒したっていう噂、本当かどうか試させてもらうわよ!」

どうやら噂を聞いたらしい。ところで、その噂の大元ってどこなのだろうか?その話を周辺の人間に話した記憶なんてないのだが・・・なんて考えていたら、唐突に大斧が飛んでくる。ジャンプして、その斧の上に乗る。

「いやいや、君気合い入れすぎでしょ。娘たちも見てるんだから、あんま流血とかさせたくないんだよね」

そういって、斧の柄を持って地面に降り、それを回収する。当然、俺も武器など使うつもりはなく、斧を地面に突き刺した。そこで思い出すことが一つ。

(あ、こいつそういえば武器がリミッターしてるやつじゃ・・・)

直後、拳が飛んできた。スレスレで回避し、腕をつかんで地面に叩き付ける。が、なんと両足ついて逆に俺のことを地面に叩き付けようとしてきたので、咄嗟に手を放して投げ飛ばされるように体を動かす。

「あ、それじゃあ私達釣り体験行ってくるから」

エスティたちはそういって、俺を置いて去っていく。とりあえず倒さないと俺も合流できそうにない。一歩横にずれ、飛んできた蹴りを回避する。軸足を蹴りつけ、少しバランスを崩したところで肩に足を引っ掛けてメルヴィアの首に張り付き、頭を両足ではさみ地面に叩き付ける。足をばたつかせているので、とりあえず無事だろう。

「ふぅ、まったく、急に勝負が発生するとは思わなかったわ。一応大丈夫だと思うが、引っこ抜いて傷治しておくか」

そういって俺はメルヴィアを引っこ抜くと、エリキシル剤をつかって傷が残らないように治す。

「うぅ、負けちゃったわー。まさかあんなに強いとは思ってなかったわ」

「これに懲りたら勝負を申し込むはやめてくれ・・・」

まぁ、俺たちの家族旅行はこれからだ、ということにしておくとしよう。




旅行らしいことを一切してない家族旅行。ちなみにメンバーはシルドとエスティ、娘四人にクロです。作中に書いてある通り、もう少しだけある・・・かも?

三人)むぅ~・・・!
エ)お疲れ様シルド。シエルすごかったわよ?一人だけ魚を取り続けて、お姉ちゃん三人がむくれちゃうぐらいには
シ)あぁ、それであんなに頬を膨らませているのか、あの三人は
ク)主よ。体験させてくれた相手が釣り上げた魚を焼いてくれるそうだ

学校始まったので更新速度は落ちると思います。


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旅行とキャンプ、そして第二のぷにライダー

~ローリンヒル~

 

『ぷぅにぃ~♪』

メルヴィアとの戦闘から少し立ち、ローリンヒルにキャンプに来た俺たちは、いや、正確に言うのなら娘のシエルは、ぷにの化身にすり寄られていた。しかも、潰さない様にうまくすり寄っている光景に、思わず俺とエスティは頬を引き攣らせ、レエラ達は目を輝かせ、クロは若干涙目になり、胃を痛めていた。簡単に言うならば、『また家に魔物が増えるのか』であろう。ついでに言うならば、『シエルにすら乗ってもらえなくなるのか』という悲しい気持ちなのだ。何せ主人二人は自分に乗るより走った方が速いし、シルドの妹であるミミに関してはうさぷにに乗り、そも大元が精霊種なレエラ達は空を飛べるから移動に困ることもない。時々気まぐれ程度で乗ってくれるが、メインで乗ってくれるのはあくまでもシエルだけなのだ。そんなシエルもまた、新しくぷにを仲間にしかけている。本格的に家の中で立場がなくなりかねないのだ。まあだからと言って、意見を言えるような立場でもないのだが。

「ぷにぷにきもちいい!・・・でも、のるならくろおにぃちゃんのほうが・・・ぷにぷにぃ・・・」

そんなクロの思いが通じたのか、シエルはぷにの化身とクロに乗ることの二つで悩み始めていた。しばらく悩んでいるうちに、ぷにの化身が姿を変え、足元をすくうようにシエルを自分の上に乗せる。

「ぷに・・・うぅ・・・」

その結果寝っころがる形で全身にぷにぷに感を感じ、そちらの方に流れていく、かと思いきや、それでもまだ悩み続けるシエルを見て、親二人はおとなしくテントの設置に取り掛かり始める。

「そんなに悩むくらいなら、地上を移動するときはそのぷにの化身に乗って、空を飛びたいときはクロに乗ればいいんじゃないかしら?」

グラスのその言葉に、シエルは目を輝かせると、コクコクと頷いた。どうやら話し合いは解決したようである。

「話し合いは終わったかしら?それじゃあ、ごはんの準備手伝ってね」

それを確認したエスティが、設営の終わったテントの横からそう声をかける。時間帯的には、少し遅めの昼食、という感じの時間である。

「うん!・・・あれ?おとうさんたちは?」

ちなみにレエラたちは『前回のリベンジだ(です)(よ)』といって近くに釣りに、シルドはそんな三人の監視をしに行った。今日の夕飯に魚が出るかどうかの分かれ目である。ちなみにエスティは手伝いがいなくなったため、少し遠い眼をしていた。それゆえ、これ以上手伝いを減らさないためにも、話さないことにしている。

「周辺に危険な魔物がいないか見に行ってるわ。すぐ帰ってくるから、気にしないようにしなさい」

そんなエスティの反応を見て、いない理由を理解したのだろう。クロも少しだけ目をそらし、こちらも遠い眼をするのだった。




ちなみに無事釣れませんでした。腹いせに近くにいた島魚を倒して、お土産にしました。

レ)また・・・また一匹も釣れませんでした・・・
シ)あきらめろ、そういうこともある
グ)そうですよ。きっと今回も運がなかっただけですって

あ、何かかいてほしいって意見があれば活動報告へお願いします


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娘たちと二作目主人公

~アーランド共和国 広場~

 

エレメンターズ、それは、アイドル文化なんて欠片もなかったアーランドに突如現れた謎のアイドルグループである。そして、メンバーである三人組の正体は、モンスターなのである!

「まぁ、かといって何か問題があるわけでもないし、経済的にこっちも助かってるから何も言わないんだけどね」

そういっているのは、ロロナに登場するタントリス、もしくはトリスタンさんである。一度坊主にさせられたが、シルドに頼み込んで増毛剤を作ってもらったことで、定期的にロロナの前に顔を出せるようになったという過去を持つ人物だ。ちなみに元大臣の息子で、仕事柄大臣に会うことの多かったシルドは、時々愚痴を聞かされていたという。

「もしあの子達に手を出そうとしたら手足もぎ取って顔面から地面に埋めるぞ」

「貴方が言うと洒落にならないからやめてほしいな」

ちなみにアイドル活動中は基本監視をしているシルドやエスティに目をつけられている。怪しいことをした直後、彼のどこかしらが体からサヨナラするだろう。

「あ、トトリ、あそこでなんかやってるぜ?」

「え?あ、本当だ!なんだか人が集まってる・・・」

どこかで聞いたような声が聞こえる。何て考えていたら、職人通りの方からトトリ達が現れる。ちょうどそのときには歌い終わり、残念なことにここで終わり、ということはなく、周辺からのアンコールに答える三人。

「それじゃあアンコールに答えてもう一曲歌いますよぉ!『鋼の獣のマーチ』」

ちなみに知られていないが、歌の一つ一つに魔力がこもっており、合唱中にバフがかかったりする。今歌っている歌は防御と速度アップ、種族が獣なら攻撃力上がる歌だったりする。

 

~数分後~

 

歌が終わると、拍手とともにアンコールがかかるが、残念ながら時間的にアウト(場所ごとに何時間いくらと決められている)なので、その事を伝えて解散させるレエラを確認し、こちらもタントリスの監視を終わらせる。これから先は近くに行けるからあまり監視は必要ではないのだ。

「なんだかわかんねぇけど凄かったな!こう、何て言うのかな?力がわいてくるというか・・・」

「ジーノ君も?私もなんだか、あの歌を聞いてると力が溢れてくるような感じがしたんだよね」

なんでだろ?と首をかしげているトトリ達の元に、レエラ達が近寄っていく。

「あなたたち、新しく来たお客様かしら?」

「ふぇ!?あ、はい、今日、冒険者登録をしに来たんです。それで、場所がどこかを探してたら人が集まってるのが見えて・・・」

「あぁ、新しく冒険者になりに来た人だったのね。てっきり錬金術師に会いに来たのかと思ったわ。それなら、こっちの方向とは反対側よ?さっき来た方に戻って、サンライズ食堂って名前の店の奥の方にお城みたいな建物があるの。そこが冒険者ギルドの受付になってるわ」

「本当ですか?ありがとうございます!それじゃあ行ってきますね!」

トトリはそういうと、急いできた道を走っていく。トトリにおいていかれてしまったジーノも、レエラに一礼すると、急いで後を追いかけていく。

「そういえば、ミミも今日冒険者になる許可が下りたって報告に来てたな。原作みたいに喧嘩していないといいんだけど・・・」

なんて考えていたら、いつの間にかレエラ達がいなくなっていることに気が付く。エスティもいないので、おそらくついていったのだろう。

「そういえば、昔に比べてエスティに抱きついてないよなぁ・・・娘ができたからってのもあるんだが・・・」

「主はそんなによく抱きついていたのか?」

「おとぉさま?」

『ぷにぃ?』

そんな独り言に反応するような奴なんていないと思っていたが、クロたちがそう声をかけてきたことで驚く。ちなみにぷにの化身の上に二人は座っていたため、見上げなければいけなかった。

「まあそうだな。一日に五回ぐらい抱きついてたこともある」

あの時は確か、ギゼラさんの起こした問題の解決、アストリッドが起こした問題への対処、脱走したジオの回収、ロロナの起こした問題の解決、原作三強三人衆による呼び出しだっただろうか。とりあえずその時は、ギゼラは村の方に投げて、アストリッドは眼鏡を砕いて、ジオは呪具を使って強制的に机に向かせて働かせたな。丸一日ほど。

「シルド、レエラ達が、『冒険者になって私たちもトトリさんを助けますわ!』とかいって冒険者ギルドを混乱させてるんだけど」

エスティからの報告で、思わず頬を引き攣らせる。

「ち、ちなみにその場にミミはいたか?」

「いたわね。うさぷにまで連れてたもんだから、何も知らない冒険者たちが戦闘しかけそうになってたけど」

ついに頭を抱え始めたシルド。しかし、そうしてるだけで終われないのもまた事実。急いで立ち上がると、冒険者ギルドに向けて駆け出していくのだった。




このあと冒険者ギルド内の一部冒険者VSうさぷにライダーミミ何とかとめることができた模様。

シ)もうあんな場所に突撃するのは勘弁
ク)安心しなさい。あんたの娘の時も同じようなことが起こるでしょうから
エ)ぷにの化身を連れて行かないように話しておかないと駄目ね・・・
ジ)なぁおっさん!俺を弟子にしてくれよ!
ト)ちょっとジーノ君!失礼だよ!?
シ)(・・・これがステルクが体験したであろうおっさん呼びか。少し落ち込みそうになるな・・・)はぁ・・・


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三人娘たちはトトリについていきましたが、あまり日常は変わりません

~アーランド共和国 シルド・エスティ宅 訓練場~

 

レエラ達は一度アランヤ村の方に行ってくるといって、トトリ達と一緒にペーターの馬車で出掛けていった。乗り込む前にペーターが驚いていたり、見送りに来たクーデリアが軽くおこになったりしていたが、それ以外で特に問題らしい問題はない。さて、そんな俺だが、なんで訓練場にいるのかを話そうと思う。

「えい!」

ドパン

「うおっ!?」

シエルの戦闘訓練中なのだ。まだ早いからやめておけと言ったのだが、一度こっそり抜け出して訓練をしようとして、その時に使おうとしていたものが特殊だったため、さすがに見ないわけにもいかず、かといって無理やり止めると最初と同じように内緒で訓練をしかねないため、何かあればすぐに止められるように、きちんと監視することにしたのだ。さて、そんな特殊な武器の名前だが、俗にいうところのショットガンと呼ばれるものである。普通なら持てないであろうそれを軽々と持ち運び、構えるどころか撃つことができるということに驚きを隠せない。正直言うと正気ではないと思う。この世界の子供ってすごいんだなと実感させられた瞬間というやつだ。

「面攻撃だから避けづらいなぁもう!」

ちなみにすでに一時間ほどやっている。それでも息切れ一つしていないシエルに、近くにいるエスティやクロも困惑を隠せないでいた。俺?そんなこと考えるより回避が優先である。一秒間に六回は飛んでくるのだ。ちなみに薬莢は三、いや、六個同時に地面に落ちている。時々バチンとなる音は、おそらく雷か何かを纏っているのだろう。リロードに関しては一度も見た記憶がない。ここにおいてあるのは試作品なうえ、安全性のみが重視されているため、特殊効果が何一つないのにもかかわらず、だ。しかし、ここでは終わらない。

「ついげきなの!」

「え゛」

追撃というよりも、それは追加と言うべきではないだろうか。二丁に増えたショットガンから、同時に十二発、構造どころか衝撃その他を考えてもバクなことをしでかしてくれたシエルに、広がる攻撃範囲。どう考えてもこのままでは回避できないので、強引に突破する。とはいっても、それほど特別というわけでもない。雷の力を応用し、地面に磁力の塊を製作、それに惹かれるように流れてくる弾丸の一つを利用し、全ての弾を弾き飛ばす。なんかどっかの作品にこんなシーンあったよね。ジョ○ョだったかなんだったかに。あんまり覚えてないけど。

「今日はこれまで。あとシエル、頼むから二丁もちはやめてくれ。さすがに心臓に悪いから」

「むぅ・・・しょうがないからきょうはあきらめるの」

いやほんと、これ以上続けると俺が重傷を負いかねん。おかしいな、あれ、あんなに弾速でないはずなんだけど・・・




この後庭の一角にできた果樹園風のエリアでリンゴとかブドウを食べたりして過ごした。

シ)ところであの武器、もう一丁はどこに隠してたんだ?
エ)あの子、ロロナちゃんのところでいらなくなったやつを借りたらしいわよ?
ク)あのポーチの正体はそれか・・・

前もっての注意
次回はクロがメインなのでシルドもエスティも出番はないと思われます。あと、アーランドシリーズ内でこのカップリングいいよってのがあったら活動報告に記入よろしくです。


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クロとレエラ

この手の話は書くのが苦手ですわぁ・・・


~夜の領域 黒竜の住処~

 

「フム、忘れ物はなさそうだな」

俺は、主について行ってからしばらくぶりに、かつての自分の住処に戻ってきていた。というのも、とある事情で置いてきたものをいくつか取りに来たのだ。なぜって?必要になったからというほかあるまい。

「クロ、ここにいたの?」

そう声をかけられ、思わず驚き、肩が跳ねる。頭の中で、なぜ、どうして彼女がここにいるのか疑問に思ってしまう。しかし、それを悟られるわけにはいかない。表情を取り繕い、質問する。

「・・・レエラこそ、なぜここに?たしかトトリ嬢を手伝うためにアランヤ村の方に行ったと聞いたのだが」

そう、彼女、いや、彼女たちはつい最近、アランヤ村出身のトトリ嬢を手伝うために、拠点をわざわざ向こうの村にうつしたのだ。だからこそ、都合がよいと思って今のうちに来たというのに、これでは苦労が水の泡になってしまう。他の二人ならまだよい。別にそっちになら見られても問題のない代物だ。だが、レエラはまずい。彼女だけにはコレ(・・)を見られるわけにはいかないのだ。

「ちょっと気になったことがあったのよ。それで、そのことについてクロに聞こうとしたら、お父様がここにいるって教えてくれたの」

つまり原因は主らしい。残念ながらあの方たちがかかわってしまっては口出しできないため、少し落ち込む程度にリアクションを抑えることにする。すでにあきらめの境地である。

「そうか・・・それで、尋ねたいこととは?」

「それほど大したことでもないわ。ただ、貴方が何か隠し事をしているような気がしたから、何を隠しているのかを聞きたかっただけ」

冷や汗が背中を伝うような感覚に襲われる。よりにもよって隠し事、それも、今この場で持っているコレ(・・)のことを指しているであろうその質問に、言葉に詰まってしまう。心の準備すらさせてくれない世界を軽く恨むが、こればっかりは言っても仕方があるまい。この場でなければつかえたであろう言い訳も、残念ながらここで使うには難しすぎる。状況が悪いのだ。状況が。つまり主を怨めばいいんだな、きっと。あ、なんかそう考えたらどこか落ち着いてきた。よし、とりあえず一応ごまかしてみよう。

「次に子供たちとどんな遊びをするか考えていたんだ」

「それだけならここに来る必要もないでしょう?だってあなた、ここに来る前に家で『アレ(・・)を取りに行くか』みたいなことを言ったって聞いたわよ?そのアレ(・・)があなたの隠し事だと思うのだけれど」

(うっかり呟いたの聞かれてたー!というか、一体誰が聞いてたんだ!?気配はなかったぞ!?)

「ちなみに教えてくれたのはお母様よ」

「奥様が原因ですかちくしょう!」

全力でオコである。ちなみに現実逃避の一環として行っているが、逃避できていないのであまり意味はない。クロは悲しみのあまり地面に穴を掘って埋まり、魔力暴走で自爆したいと思った。ついでに逃げ道も完全にふさがった。なぜなら、

「それで、結局あれって一体何のことなのかしら?もしかして、あなたが今もっているその小さな箱の中身がそうなの?」

そう、手で持っていた小さな箱がばれてしまったのだ。こればっかりはしまっていなかった俺が悪い。

「・・・そうだよ。ちょっとこの箱を取りに来てたんだ」

「へぇ・・・それで、一体何が入っているのかしら?わざわざ取りに来たんだから、大切なものなんでしょう?」

言葉に詰まる。さすがにここで中身を正直に話すわけにもいかない。というかぶっちゃけるとここであったことは忘れてほしい。無理だけど。ついでに言いわけも思いつかないから正直に話すほかない。

「・・・秘密だ、といいたいところだが、きっとレエラのことだから、きっと中身がわかるまで聞いてくるだろう?」

「当然。だって気になって夜も眠れなさそうだもの」

「・・・はぁ、そうだろうと思っていたさ。だからこそ、君がいない間に取りに来たかったというのに・・・いらん迷惑をかけてくれたな、主は・・・いや、まあいい。それで、これの中身だったな」

「そうよ。そんな小さな箱に入れるんだもの、よっぽど大切なものでしょう?」

まったく、こんなことにならないように、彼女の荷物をきちんと確認しておくべきだったか・・・いや、いまさら言っても遅いだろう。後の祭りというやつだ。

「本当ならもう少しまともな場所で見せたかったのだがね。それも、できれば少し落ち着けたときに」

「?」

「そんなに知りたいなら教えよう。これの中身は指輪だ。それも、竜種が別の種族の、人型の異性に送るための特別な指輪。同族に対しては送られることのないこれは、人間たちで言うところの『婚約指輪』、そしてドラゴンたちの間では、同族との決別と、異種族との婚約の意味を込め、『決約の指輪』と呼ばれている。これを異種族に渡したものは、もはや同族として扱われなくなるというある種呪われた指輪だ。さらに、その呪いを確定づけるため、この指輪には送る者の鱗が練りこまれている」

「・・・それで、何でそんな指輪をわざわざこんなところに取りに来たのかしら?」

「なぜ?それこそ決まっている。そうまでしても渡したい相手ができたから、だ」

そう俺が言うと、レエラの肩がびくりと跳ねる。少しだけ、目に涙がたまっているようにも見える。しかし、ここまで言った以上、やめるつもりもない。

「と、言うわけだ。できればレエラが受け取ってくれるとうれしい」

「・・・え?」

「なんだ、さっきまで話してた内容と今の俺の発言で気が付かなかったのか?俺はレエラに婚約を申し込んでるんだよ。恥ずかしいからあんまり言わせないでくれ」

驚いたような表情を浮かべているレエラに、そういう。暗いから見えづらいだろうが、見えているのであればきっと、俺の顔は真っ赤になっていることだろう。言っておいてなんだが、割と恥ずかしいものである。しかし、後悔はしていない。

「・・・え、あ、え・・・あの・・・は、はぃ・・・その・・・えっと・・・喜んで・・・?」

次の瞬間、思わずガッツポーズしそうになったのを抑えた俺はガンバッタと思う。




なお帰ってからめちゃくちゃいじられた模様。

シ)それで、いったいその夜の貴婦人の髪飾りはなんだ?
レ)え?あぁ、これは、クロが私にってプレゼントしてくれたものです
エ)・・・よっぽど好きなのねぇ。まさか、あれを渡す人がシルド以外にいるだなんて思ってなかったわ
ク)それ以上言おうとしたらいくら奥方であろうと容赦せんぞ

夜の貴婦人。形状的には黒薔薇と似通っているため、とりあえずこの世界では黒薔薇の花言葉と同一の扱いを取っている。ちなみに黒薔薇の花言葉は、「憎しみ」「恨み」「あなたはあくまで私のもの」「決して滅びることのない愛」「永遠」の五つ(黒薔薇の5つの花言葉・意味・由来・贈る時の注意点参照)。シルドも実はエスティにこの花を使ったブローチを渡した。

次回は令和記念のキャラ設定です。


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祝令和!というわけでキャラ紹介

あれ?五月になったから令和だよね・・・?というわけで投稿


 シルド・フォン・シュヴァルツラング

 

今作の主人公で転生者。蒼い髪にエメラルドグリーンの瞳、身長は180cmほど。オンリー○ンスオンラインのセイを男にするとイメージしやすいかも。ちなみに女体化するとそのままセイになる。

主武器は片手剣(ステルクさんが持ってるのより少し大きめ)

副武器は短刀、小太刀など軽く、運びやすく、動く邪魔にならないもの四本

特典は成長補正

好きなものはパイ、爆弾、エスティ

嫌いなものは嘘をつく人、片づけ、強い相手

初期加入はトトリのアトリエ基準でレベル50

通常攻撃はフラム並みの攻撃範囲の上、状態異常を付与する効果付き

魔法適正は毒、猛毒、睡眠、炎、雷、氷の六つ。

ステルクの師匠で元王国騎士団長、おまけにアストリッドの兄弟子。実はこいつとエスティが抜けるだけで国の騎士団の大半が機能しなくなる。時々長期休暇を上層部に強請ったりするが、その間の当番表などは作ってあるから何とか許可されていることを彼は知らない。王国騎士時代は胃痛で死にかけたり・・・は、エスティのおかげでなかった。ちなみにこいつが原因で国の騎士団のメンバーは単独で黒ドラゴンまで狩れる程度には強くなり、書類仕事などもできるようになった。前世では両親が目の前で殺され、唯一の肉親である妹のために多くの人を殺し手を血で染め、そのうえで妹を目の前で殺された経歴を持つ。彼のトラウマとなったそれは、刺激すれば生きては帰れないものである。

 

 エスティ・エアハルト

 

今作のヒロイン。規格外が近くにいる影響でかなり強くなった。ちなみに雇用金額はシルド込みで一万。初期加入レベルはトトリのアトリエ基準の50である。

主武器は双剣

副武器は苦無や針、ナイフなどの小型投擲武器

好きなものはシルド

嫌いなものはシルドが暇つぶしでも作ったスピリタスとシュールストレミング

 

 クロ

 

黒ドラゴンが擬人化したもの。黒髪紅目。ドラゴンライダーにあこがれてテイムされたのに乗られることが少なくって少し落ち込み気味。みんなの頼れるお兄さんであり、つい最近レエラの旦那様になった。

好きなものはレエラ

嫌いなものは幸せを邪魔するもの

 

 レエラ

 

ブラッドエレメントがさらに人っぽく変身したもの。銀髪紅目。シルド・エスティ家の長女にしてアイドルグループのリーダー。クロの奥さん。

好きなものはクロ、のんびりと過ごせる時間、妹たち

嫌いなものは侵入者、幸せな時間を邪魔するもの

 

 グラス

 

グラスエレメントがさらに人っぽく変身したもの。紅い髪に桜色の目。シルド・エスティ家の次女にしてアイドル。

好きなものは家族

嫌いなものは侵入者

 

 エル

 

ジュエルエレメントがさらに人っぽく変身したもの。緑の髪に紅目。シルド・エスティ家の三女にしてアイドル。

好きなものは家族

嫌いなものは侵入者

 

 シエル・フォン・シュヴァルツラング

 

シルドとエスティの間に生まれた子供。あの親あってこの子あり、といったところか、ショットガン二丁を一秒に六発、発射口が二か所なので計十二発を撃ち、薬莢が地面に同時に落ちるというとてつもない技を持っている少女というより幼女。

属性は雷

ぷにの化身に乗ったり、クロに乗ったりして移動している姿が時々見られる。トトリのアトリエ開始時点で年齢は五歳ほど。

誕生日は十二月の二十日

外見はエスティと同じ髪色に、シルドと同じエメラルドグリーンの目、髪型はメルル時代のミミといったところであろう。

好きなものは家族、ぷにの化身、クロ

嫌いなものは苦いもの

 

 ミミ・ウリエ・フォン・シュヴァルツラング

 

お母様が生きてるからツンツンすることが少なくなったシルドの妹。うさぷにに乗り、今日も大陸中を駆け回る。

好きなものは風を切る音、キャンプ、家族

嫌いなものは高圧的な態度をとってる人

 

 フィリー・エアハルト

 

色々あって人見知りが多少改善されたエスティの妹。ついでに多少ながら戦えるようになった。ちなみに戦闘は基本拳で行われる。いつもはいている靴の効果で二人に分身できたりするが、別に気にすることでもないだろう。

好きなものは恋愛小説、甘いもの

嫌いなものは目が怖い人

 

 ロロライナ・フリクセル

 

みんなおなじみロロナ先生。原作との違いはステルクと結婚しているという点だろう。

好きなものは錬金術、ステルク、パイ

嫌いなものは錬金術の失敗、極稀に現れる師匠

 

 ステルケンブルク・クラナッハ

 

元王国騎士にして現ランクギャラクシーの冒険者。王を探すよりも妻であるロロナといちゃつくことの方が優先されている。いざとなったらシルドに頼れば何とかなると思っている。

好きなものはロロナ、パイ

嫌いなものはオーツェンカイザー五体同時討伐、無理やり飲まされたスピリタス、問題児

 

 クーデリア・フォン・フォイエルバッハ

 

ロロナの幼馴染にしてシルドが育てた元騎士団員のおかげで時々休めるようになった受付の少女。ちなみにランクギャラクシーの冒険者。

好きなものはロロナ、ロロナの作ったパイ、シルドから送られてくるワイン

嫌いなものは『おいしい水』と称して送られてきたスピリタス

 

 イクセル・ヤーン

 

サンライズ食堂で店長をしている青年。シルドとはあまりかかわらないが、時々酒を仕入れるときに会う。

 

 リオネラ・エインセ

 

原作とあまり変わらないが、仲のいい人見知りの友達が一人だけ増えた

 

 アストリッド・ゼクセス

 

ロロナの師匠にしてシルドの妹弟子。ちなみに師匠はご存命である。時々シルドの家に葡萄や林檎を取りに来ては捕まるを繰り返す。

 

 ホム

 

アストリッドの作りだした人工生命体。極稀に出されるパイのためにアストリッドとともにシルド達の家に侵入している。ちなみにアストリッドが捕まったのを確認するとシルドに報告するのが彼らの仕事である。

 

 ルードヴィック・ジオバンニ・アーランド

 

みんなおなじみの元王様。仕事から抜け出してはシルドにお仕置きを受けていた。おかげといっていいものか、危機感知能力が跳ね上がったという。

 

 ティファナ・ヒルデブランド

 

ロウとティファの雑貨店の店主。治療薬などを下ろしてもらっている都合上、一応面識がある。彼女の店においてある商品は基本的にシルドが下している。旦那の方はご存命だが、作中には出てこない予定。

 

 ハゲル・ボールドネス

 

漢の武器屋の店主。武器を冷やすときに使う水などをシルドから買っていたりする。

 

 パメラ・イービス

 

パメラ屋さんの店主。肉体の製作にシルドがかかわったことで色々と変態的な能力になった。

 

 メリオダス・オルコック

 

逃げた王がよく部屋に放り込まれていた人。残念ながら周辺の人はみな、それが行われるたびに発生する胃痛を理解してはくれなかった。時々息子のことなどをシルドに愚痴っている。

 

 タントリス

 

原作と同じ。違うところを上げるのであれば、とりあえずきちんと仕事をするようにはなった。悪いことをすればシルドの家に放り込んで訓練してもらうと言ったら治ったらしい。

 

 ギゼラ・ヘルモルト

 

トトリのお母さん。一度アストリッドらとともに共同で問題をおこし、とりあえず一時期おとなしくなった。船を使って移動した記録だけが残り、それ以降の記録が途絶えている。

 

 トトゥーリア・ヘルモルト(原)

 

原作世界から送られてきた未来のトトリちゃん。シルドの家に時々現れては、愚痴をこぼし、果実酒をもらって帰っていく。気苦労は絶えないようだ。ただ、果実酒を飲んだ次の日は多少体調がよくなるらしい。さすがは禁断の果実を使った果実酒である。

 

 メルルリンス・レーデ・アールズ(原)

 

原作世界から送られてきた未来のメルルちゃん。メイドのケイナとともに現れては、紅茶やパイなどを食べて帰っていく。ちなみに、なぜか時々シエルと模擬戦をすることになり、そのたびにぼろぼろになって帰っていく。少しずつ回避できるようになっているので、運動能力は上がっているのだろう。




追加で気になるところがあったらメールか感想の方によろしくです。返せたら返します。


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たまにはこんな一日を

~シルド・エスティ宅 拡張地区 エリア名花畑~

 

「Zzzz」

「スー・・・スー・・・」

「うーむ、見てると少しずつ眠くなってきたぞぅ・・・」

現在シルド達がいるのは、深淵の古塔から色々と連れ帰ってから、手狭になったので新しく拡張した区画、花畑(という名の植物園)の中心部である。ここに植えられている花は、通常の観賞用の花に加え、(賢者の)ハーブのような香草系統に安らぎの花などの調合素材、ついでに実は端っこの方に魔物避けようの捕食草という特殊な植物が設置してある。保険として上空には透明なバリケード兼電撃壁が設置してあったりする。

閑話休題(それは置いておくとしよう)

なぜ彼らがここにいるのか、そう、そこには水たまりより浅く踏みつぶされた直後の草より低い話すらあるか危うい。なんてことはない。ただ外でのんびりとしようかな程度の意味ぐらいだ。ついでにエスティとシエルが寝落ちしているのは、少しクッキーをつまんで紅茶を飲んでいたら、ぬくぬくと気持ちいい太陽の明かりと心地よい風によって適度に涼しくなっていた環境が原因なのである。別にラリホーやスリプルによって眠らされているわけではない。そして、そんな二人のことを見て思わず眠りにつきそうになっているシルドもまた、普通にあり得る話なのだ。ちなみにどれだけ眠かろうとシルドは寝ることが許されない。なぜなら、エスティとシエルに膝枕をしているため、変に動くとおこしてしまうからだ。仕方がないので、シルドは頭をなでながらその寝顔を眺め続けるのであった。

 

 

 

~文字数稼ぎのためにアイテム説明+深淵の古塔から来たモンスターたちの会話~

 

捕食草(ほしょくそう)

 

普段はただの雑草と見分けがつかないように擬態しているが、モンスターが上を通ろうとするとトラバサミのような形状に変形し、対象を捕食する。そこ、パック○フラワーとか言わない。ちなみに射程は十メートルで、普通の無害な動物などは通れるように調整されている。出入り口のみ設置されていない。

 

電撃壁(でんげきへき)

 

透明な壁。モンスターのみを弾くように設定されているため、野鳥などは通れる。また、実は太陽光などもきちんと通す。電流の大きさは、ステルクが丸一日気絶する程度である。

 

 

 

「なぁ、我らがアイドルが冒険者になったって聞いたか?」

「聞いたぞ。なんでも、とある少女の母君を探すのを手伝うためだと言っていた」

「やはりあの方たちはお優しい」

「カワリニ、ワレラトハアマリカカワッテクレナクナッタノダガナ・・・」

「「「言うんじゃない」」」




ちなみにあの後起きたエスティは寝顔を眺められていた事実に顔を赤くしたとか。

エ)忘れて//
シ)無理だな
エ)忘れなさい!でないと・・・恥ずかしいじゃない//
シ)(・・・これが萌えってやつか)コフッ


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(両親からの許可なしで行く!)シエルの冒険

~うに林~

 

うに林、それは、青とか緑のぷにが生活している地域。アーランドの街から徒歩三日はかかるそこに、彼女の姿はあった。

「のしかかるの!」

そう、シルド(スペックバグしちゃってる系)エスティ(バグってるのの近くにいてバグった人)の子供であるシエル(親を超えようとしているバグ娘)と、そんな子をここまで連れてきた(来させられたとも言う)ぷにの化身である。ぷにの化身は頭?にショットガン向けられて脅されただけなので、わりと被害者なのだが。さらに言うなら、シルド達は庭で遊んで来るとしか聞かされていないため、今日中に帰らないと何があるのか怖くって、今からでも全力で帰りたいと思っているのだが。

『ぷににぃ!』

しかし、悲しきかな。逆らえば銃殺刑なのは確実、いや、殺しまではしないだろうが、しばらく動けなくはさせられそうだ。ゆえに、自身の上に乗っている少女を満足させたうえで帰らねばならないのだ。それも、彼女の両親に怪しまれないように、夕飯が始まる、夜七時までにである。全速力で移動に三時間はかかるので、あと五時間しかないのである。それゆえ、許してくれ同胞よ。俺はまだ死にたくない。恨むなら、あのときこの子がまだまともに見えてしまっていた過去の俺を恨んでくれ。

 

~その頃のシルドとエスティ~

 

「一部しか見てないが、シエル・・・まさか、あんな風にあれを使うとは・・・武器は脅しの道具じゃ・・・いや、何も言うまい」

「そしてごめんなさいぷにの化身・・・実はあれ、私たちが弾変えておいたから、中から出るのはコルクなの・・・」

などと話している二人がいるのは、シエル達のいる場所からほんの少し離れた木の上である。実影の腕輪を材料に作り出した幻想の腕輪というアクセサリーで、気配を遮断したりする効果があったりする。あと、範囲攻撃でなければ

攻撃を回避できたりするが、別にそんな効果いらない二人なので、気配を殺す機能と音を殺す機能に特化させている。

閑話休題(それはともかく)

なぜこの二人がここにいるのか、それは、今から一時間ほど前の話になる。まぁ、簡単に言えば街から出る姿がシルド達の元部下に発見されていたのだ。その後、その元部下は彼女の背後を追跡、方向を確認後、急いで二人に知らせに行った、というだけの話なのだが。

「しっかし、コルクも案外威力あったんだな。青ぷにが吹き飛ばされてるし」

「緑ぷにもひるんでるわよねぇ・・・あら?あの黒い袋は何かしら?」

「・・・あかんて、それ、通常の散弾じゃって。どこっから持ってきたそれ。うちで置いてある場所なんて、図書室の仕掛けを動かさないと手に入らないのに・・・」

ちなみにその仕掛けとは、本を手順通りに入れ、中心部の左右の本を抜き、その中に挟まっている紙を水につけて暗号を解読(一日ごとに内容が変わるようにしかけられている)、その暗号が本の題名の一番最初に来ているものをすべて取り外し、空いたスペースを特定のリズムで叩くことで扉が現れる、という仕掛けである。もちろんまだシエルには教えていない知識だ。

「そういえば・・・一度だけ、貴方が書斎に入った後をつけるように書斎に入っていったあの子を見たけれど、もしかしてあの時に手順を覚えたのかしら・・・」

「え?そんなことあったっけ?」

「あら?てっきり気が付いていたけれど無視しているものだと思っていたのだけれど・・・」

エスティのその言葉に、自身が気が付かなかったという事実に戦慄の表情を浮かべるシルド。そんな二人をよそに、シエルによる蹂躙は着々と進んでいくのであった。




先に帰宅したシルド、エスティとシエルの会話

主)それでシエル。君の後ろにいる青、緑ぷには一体どこで連れてきたんだ?
シ)森を散歩してたら偶然遭遇したので仲良くなって帰ってきました!
エ)・・・それで、いったいその子たちをどうしたいのかしら?
シ)お花畑に連れて行きたいです!

とりあえずお花畑にぷに達が住み着くことになった。しばらく暮らしていたら色が変わったり形状が人みたいになったりした。

ネタ募集しています。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=212358&uid=113432

から飛べると思いますので、何か思いついたら意見お願いします。


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酒は飲んでも呑まれるなとはよく言ったものだ

さか☆ゆうさんリクエストありがとうです!書いてみましたが、後半の方グダグダになってます・・・気になるところがあったらメールなどくれるとうれしいです。


~シルド・エスティ宅 寝室~

 

ここは、シルド・エスティ宅の二階、その端にあるシルドとエスティの寝室である。シエルの寝室はきちんと別にあるので気にしないでほしい。まぁ、そんなことはどうでもいいのだ。とりあえず重要なのは、二人が昨夜、酒を飲み、エスティが先に酔いつぶれたという事実だけである。

「おはよう」

「・・・うぅ、なんだか頭が痛いわね・・・昨日寝る前何していたかしら・・・」

そういいながらモゾモゾと起きだしたエスティに、ニヤリと怪しげな笑みを浮かべる。シルドは素面であったため、昨夜の彼女の甘えっぷりをきちんと覚えていたのだ。

「知りたいのか?別にいいが、止めろって言われても止めないぞ?」

もちろん、そんな顔に嫌な予感を覚えるのは必然、当然遠慮しようとするが、まぁ、エスティが顔を赤くするのが見たいシルドがそれを許すはずがない。

「まぁ、拒否権はない。幸い今日は予定もなく、シエルはクロと一緒に街で子供たちと遊びに行っている。なのであの子の世話も心配しなくてよい。さ、とりあえずお酒を飲み始めた直後から話をしようか」

 

~回想~

 

「それじゃ、乾杯」

カンッ

シエルを寝かせた後、二人はリビングでワインを飲んでいた。今日は二人の結婚記念日なのである。

「でも、時間が経つのって本当に速いわよねぇ・・・二十歳になったあたりで肉体の成長が止まったから(シルドが生成した薬が原因)そんなに時間が経ってる気がしないけれど」

「そうだなぁ・・・それに、特別なことなんて特にしていなかったから、より一層そう感じるな」

「それなら普通長く感じるんじゃないかしら?」

そんなエスティの言葉に、シルドはフッっと笑うと、

「当然。お前といる時点で時間の進みは速く感じるものさ。なにせ、仕事があった時はあまり一緒に居られなかったしな」

という。とてもイイ笑顔である。むしろドヤ顔である。まあさすがにドヤ顔は言い過ぎだが。それはそれとして、そんな不意打ちを食らったエスティは、思わず頬を赤く染める。

「んもぅ、不意打ちなんて卑怯よ」

そういいながらワインを飲む彼女に、シルドは思わずクスリと笑う。そんなシルドの反応に、エスティは頬を膨らませる。

「そんな顔しても可愛いだけだぞ?ほら、ワイン注いでやるから」

シルドに言われ、ワイングラスを差し出したエスティ。しかし、その顔は少しだけ背けられている。そんな彼女を見て、ついいたずらしたくなってしまったシルドは、ワイン・・・ではなく、椅子の下においておいたイチゴジュースのウォッカ割(度数25ほど)を取り出し、ワイングラスに流し込む。色は似ているが、匂いを嗅げばわかる違和感なので、きっと気が付くだろう、そう思って入れたものが、そのまま飲み干される。

「あ」

当然こんな反応になるのは必然というものだろう。しかし、それ以上に問題があったのだ。実は彼女、エスティは、仕事の付き合いなどで酒を飲む過程で、ある程度酒に強くなっている。しかし、体質の問題だろうか。彼女はウォッカだけはどうしてもだめなのだ。たとえそれ以上に度数の強い酒を飲んでも大丈夫になっているのに、ウォッカだけは一口飲めば酔ってしまうほどに耐性がない。そんなウォッカを、たとえ多少薄めたとはいえワイングラス一杯分を一気飲みした彼女が、この後どうなるかなど、言うまでもないのだ。

「・・・シルド、抱っこして」

酔いが回ったエスティはとても甘えん坊になる。ついでに記憶も完全ではないながら無くなる。特定の情報をもとに芋づる式で記憶が戻ったりするが、それは今は気にする必要もないだろう。まぁ、そんな彼女も可愛いので、命令通りに自分の上にエスティを乗せた後、腹のあたりに腕を回し、抱きしめる。

「んみゅぅ、温かぃ」

そういいながら俺の胸に顔をすりすりするエスティを見て、思わず頭をなでる。少しの間されるがままであったエスティは、小さく欠伸をした。

「眠いのか?それならベットに運ぶが」

「・・・ん、ちゅれてって」

若干呂律の回っていない彼女に水を飲ませ、そのまま二人の寝室に運ぶ。その間も、俺にすり付くのをやめないので、少しだけ脇をくすぐる。エスティは身をよじらせながら、

「くしゅぐったぃ」

といって、まるで怒ってるのを主張するように頬を膨らませる。寝室につき、ベットに寝かせる。前もって寝巻に着替えていたことに安堵しつつ、俺もそのままベットに横になる。いつもならそこで終わるのだが、今日は一味違っていた。

「んぅ・・・寝る前にちゅ~して」

酔っていたゆえだろうか。いつもなら言わないようなことを言うエスティに少しの間固まるが、寝た姿勢のままキスをする。

「お休み、エスティ」

「おやすみなさぃ、私の旦那様ぁ・・・」

エスティはそういうと、そのまま眠りについた。その穏やかな寝顔を見て、俺も眠りについたのだった。

 

~回想終了~

 

「てことがあった」

「そんなのいつもの私じゃないわ!」

「酔ってたからな!」

堂々とそう言う犯人(シルド)に、エスティの鋭い拳が突き刺さる。当然というべきか、それを行った彼女の顔はあまりの恥かしさで真っ赤だ。紅の染料並みに真っ赤だ。

「いてて、まったく、そう照れることないじゃないか。ねぇ、俺の奥様?」

「ヤメテ!それ以上は本当に無理だからぁ!絶対そんなの素面じゃ言えないからぁ!」

エスティはそう叫び、そのまま毛布に潜りこむのだった。




というわけでリクエストからでした。他にもこんな話を書いてほしい!などありましたら(多分)したのURLから飛べると思いますので、そちらにお願いします。
アトリエ意見箱

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=212358&uid=113432


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フィリーとシエル

フランシス・アルバートさんリクエストありがとうございます!ところで書いたは良いものの、姪と叔母って普通はどういうことしてるんですかね?気になるところがあったらメールなどくれるとうれしいです。


~冒険者ギルド 受付~

 

「フィリーお姉ちゃん!」

そういって勢いよくカウンターを飛び越え、依頼管理所で書類の整理をしていたフィリーの背後から抱きつくシエルに、フィリーはバランスを崩しそうになりながらも、書類を置いてから彼女を降ろす。

「シエルちゃん?今は仕事中なんだから、抱きついてきたらメッ!だよ?」

そういってシエルの鼻先に指を当てながら微笑む彼女。原作をプレイしたあなたなら思うだろう。誰だこいつ、と。

「はーい!」

元気よく両手を振り上げながら笑顔を浮かべるシエルに向かって、フィリーが話しかける。

「それで、今日はどうしたのかな?たしかお姉ちゃんたちは、『今日は庭で昼寝するぞ~!』って言ってたから、探せばすぐ見つかると思うんだけど」

「ううん!今日はフィリーお姉ちゃんに用があってきたの!」

そういってくるシエルに、フィリーは首をかしげる。現在一応仕事中なフィリーとしては、そろそろ仕事に戻らないと、横で驚愕のあまり固まっている先輩が再起動してしまうので、できれば早めに用件を済ませてほしいものであるので、とりあえず要件を話すように促す。

「それで、私に用事って何?緊急じゃないなら、あとこの書類片づけたら他の人と交代だから、そのあとでいいかな?」

そういいながら、先ほど置いた書類に目を向ける。そこには、十枚ほどの書類が置かれていた。

「わかった!じゃあ、すぐそこで待ってるね!」

シエルは大きくうなずきながらそういうと、再びカウンターを飛び越えてフィリーの立っている近くにある柱近くの椅子に座る。と、そこでクーデリアが動き始めた。

「あんた、姪にお姉ちゃんって呼ばれてるの?」

ここで、読者の皆様も少し気になっていたであろうことをクーデリアが尋ねる。それを聞いて、書類を書く手を止め、クーデリアにむけて叫ぶように言い放つ(ように見えるだけで実際はそこまで大きな声ではない)。

「だって!あんなかわいい子に叔母さんって呼ばれるんですよ!?しかもいい笑顔で!言われて思わず膝ついて四つん這いになっちゃったからか、お姉ちゃんからどこか憐れむような視線向けられたんですよ!?」

わりとどうでもいい理由だった。いやまあ、美幼女から笑顔でそんな風に言われたら、心が折れる人もいるかもしれないが。実際、クーデリアはどこか呆れた様子である。

「まあいいわ。とりあえず、その書類は私が片づけておくから、あの子の要件でも聞きに行ってあげなさい。その書類、本来書くべき奴のところに叩き付けに行くから」

そういって、クーデリアは横から書類を回収する。ちなみにだが、その書類を本来書くべき奴ことタントリス・・・トリスタンは、こっそりフィリーの机に書類を数枚紛れ込ませ、自身の仕事を早々に終え、現在は逃亡中である。まるでどこぞの国王みたいなことをしているが、それを知ったシルドによってGPSのようなものが体に(見えないように)埋め込まれていることを彼は知らない。そして、その反応をキャッチし、地図に映し出すアイテムを持っているのが、クーデリアであった。結論からいうなれば、彼は十分後につかまり、椅子に足首、膝、腰を縛りつけられ、上半身には20Kgのおもりが取り付けられた状態で、しばらく囚人並みの扱いを受けていたが、それはどうでもよいことだろう。

閑話休題(とりあえず話をもどそう)

そんなクーデリアを唖然としたような表情で見ながらも、とりあえず先輩が言うなら平気だろうと自身を納得させたフィリーは、更衣室で服を着替えた後、自分を待っているであろうシエルがいる場所に向けて歩き出す。

「ごめんなさい、少し待たせちゃったかな?」

「ううん!全然大丈夫!」

ニコニコしながらそういうシエルに、フィリーは思わず笑みを浮かべる。

「それで、今日は一体どうしたの?てっきりお姉ちゃんたちと一緒にお昼寝するのかと思ってたんだけど」

「えっとね、本当は私が友達と遊ぶ予定だったからお父さんたちは庭でお昼寝するって話だったの!だけど、お友達が急にお出かけする用事ができちゃったみたいで、遊んだ時に食べる予定だったお菓子とかが全部余っちゃって、せっかくだからおうちでお茶会することになったの!それで、フィリーお姉ちゃんも呼ぼうってことで私が来たの!」

そういって、シエルはフィリーの手を引っ張りながら、帰路を急ぐのだった。




え?お茶会の様子?さすがにかける気がしないのでカットですかねぇ・・・


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豆まきの代わりはウニでいいかな?と思った節分の日

2020年2月3日1時 文章追加


~シルド・エスティ宅 庭~

 

今日は節分の日だ。といっても、この世界にはそんな文化はない。まぁ、当たり前といえば当たり前だろう。そして、実は大豆とかも用意するのが面倒だった。てかなかった。ので、今回は別のアトリエに登場するもので代用していこうと思う。

「【ウニ】だ。これを豆だと思って、鬼は外、そして、中に投げ込むのはこれだ。【かぼちゃドール】といって、本来の使用用途とは全く違うように改造した、全自動お掃除人形だ。これなら無害だし、なにより一定時間たったら灰になって消えるから、後処理もあまり気にしなくていい」

「ウニって・・・私が知ってるのは、こんな風に全体が鉄っぽくない、うに林に生えてるようなものだったのだけれど・・・」

「お父さん!私このお人形ほしい!後で頂戴!」

ちなみにこの二つは、たしかシャリーのアトリエで登場するアイテムだったと思う。その前の二つの作品は(作者がまだ)やってないからわからん。

「それはいいが・・・シエル、お前の部屋、そろそろ人形で埋め尽くされるんじゃないか?俺の記憶が正しければ、もうすでにぷにシリーズとリスシリーズ、ヤギシリーズにドラゴンシリーズまで入れてたと思うんだが・・・まあいいか、とりあえず始めるぞ」

 

~豆?まき中~

 

さんざんウニやかぼちゃドールを投げて疲れたのか、椅子の上で舟をこいでいるシエルの前に、海苔巻きを置く。本来は太巻きだが、忘れるな。彼女は六歳の少女である。誰だ、こんな子にショットガンとか見たいな重火器系統渡したやつ。はい、作者です。まあそれは置いておくとして、彼女はまあ同年代に比べれば多少大人びてはいるが、身長も口のサイズもごくごく普通である。太巻きなんて出しても食べずらいだろうからということで、今回は海苔巻きになったのだ。シルドはエスティと自分の分を置くと、席につく。今もどこかでトトリと旅をしている三姉妹は何を食べているのかとふと考えながら、挨拶をして食べ始めるのであった。

 

~以下文字数稼ぎ~

 

【ウニ】

シャリーのアトリエで登場した鉄球。作者はあれをウニとは認めない。てか蹴って使うのかよそれ、と思ったりした。

 

【かぼちゃドール】

魔力消費の代わりに相手にデバフつける例のあれ。シャリーのアトリエのなかで登場したものだが、シルドがいろいろいじくりまわしてル〇バ並みに優秀な掃除機具になった。というより、雑草抜いたり、なんだったら素材採取して物事に分けることまでできる優れもの。ホムちゃんよりのちむちゃんである。報酬がいらない(投げるときになぜか魔力が回復する)のでとても扱いやすい。残った奴は家の前で便利グッズとして売られていた。ちなみに魔力回復の原理は、本来使用される魔力を最初から込めておき、使用時に空気中に霧散する魔力を使用者に譲渡するからである。灰になるのは、魔力が無くなり、形を保てなくなったからである。



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