けものフレンズR Re:memory (如月 刹那)
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ぷろろーぐ
初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はまた見てくださってありがとうございます。
前に衝動的にけものフレンズ2のアンチに近い作品を書きましたが、呪詛兄貴の作品によって、浄化されたため、この作品の投稿に至りました。
なるべく優しい世界を書いていきたいですが、恐らくシリアスに近い感じになっていく可能性も否定できないので、それらが苦手な方はブラウザバックを推奨致します。
それでもいいという方は、どうぞゆっくりしていってください!
どこかであたしを呼ぶ声が聞こえる
とても懐かしくなるような声だ
しかし、自分の頭の中には靄ばかり纏っていて、そこへ至る要素が残っていない
その声が聞こえるたびに、不思議と暖かい感情に包まれていくのに
頭の片隅に粉々になっている、記憶の残滓を拾い上げていく
———あたしは思い出せる日が来るだろうか
———その頃、パークのとある場所にて
「センちゃーん、本当にこの辺なのー?」
「情報通りならここが
「でも、それって最近パークに広がってる噂だよねぇ?情報源も分からないし、割と怪しいと思うんだけど」
「それに関しては博士さん達にも聞きましたので信頼できると思います。なによりあの子———」
などと呑気に話していたら、突然の大きな揺れが起こり、オオセンザンコウのセンとオオアルマジロのアルマーは地面に伏せて、身を庇った。
しばらくすると揺れは収まり、二匹は立ち上がる。
「……ここ、最近多いよね。このじしん?って言うの」
「そうですね。恐らく、最近セルリアンの活動が活発になっているのと関係ありそうですけど」
「それこそ考えすぎだよー」
「そうだといいのですが……」
二匹は探索をしていき、施設の奥に入っていくと、二匹が見たことないような寝床が複数ある場所に行き着いた。
「これは何でしょう?巣でしょうか?」
「でも硬いよ、これ」
「こちらに紙がたくさん置いてありますけど……文字が書いてありますね。私達は文字読めませんし、博士達に持っていきましょう」
そんなことをしていると、喋り声以外静かだった周りにピキっと不慣れな音がして、更に何かを叩く音が聞こえ、二匹は音がした方を見た。
そこには先程まで変哲もなかった寝床らしきものにヒビが入り、ドンドンと大きくなっていく。
「ちょちょちょ!?これやばいんじゃない!?」
「とりあえず様子を見ましょう……!」
センは警戒し、アルマーは体を丸めた体制を取る。
ヒビが完全に割れて、中からサンドスターの輝きが漏れてきた。
「んんっ……?」
先程まで夢を見ていた気がするけれど、その記憶はサッパリと消えていた。とても重要なことなはずなのに、思い出せなかった。
意識が覚醒していき、体を動かしてみるが、手や足が壁のような物に当たって自由に動かすことは不可能だった。だが、目の前から微かな光が差し込んでいた為、試しに窮屈ながらも手を動かし、叩いてみた。
その行動が功を奏し、目の前のヒビが割れていって、真っ暗だったところに大量の光が流れ込んできた。
「わっ……」
眩しく感じて目を手で覆った。徐々に慣らしていき手を退けると、そこには2人の人がこちらを覗き込んでいた。いきなりのことでビックリしてしまい、相手からの声がかかってくるまで、そのまま硬直してしまった。
「えっと、大丈夫?」
「起き上がれますか?」
「あ、はい。ありがとうございます」
2人が差し伸べてくれたを手を掴んでそのまま上半身を起こしていき、周りへと視線を向けてどんな状況かを把握する。
と思ったが、そもそも自分自身のことも思い出せない。
そんな自分に気を遣ってくれたのか、2人が自己紹介を始めてくれた。
「私の名前はオオセンザンコウのセンです。こちらはオオアルマジロのアルマーさん」
「よろしくー」
とりあえず、自分が寝ていたところから立ち上がり、お辞儀をしながら挨拶をする。
「あ……よろしくお願いします。あたしは……ごめんなさい。名前が思い出せないんです」
「あらら、それは困ったね」
「何か手かがりになるようなものがあるといいのですが。でも、恐らくヒトですよね」
「ヒト……」
その言葉には聞き覚えがあった。少しでも手がかりが欲しい。その思いで、今一度、自分が寝ていたところを見てみるとそこには2つの物が置いてあった。
「これはなんでしょうか……?」
「うーん?自分達には分からないですね。これはとしょかんに……いや、この時間帯なら依頼主の方に行った方がいいですかね」
「丁度、この時間なら来てるんじゃないかなぁ?」
2人がしばらく相談して結果、どうやら結論が出たようだ。不安が顔に出てしまっていたのか、こちらに優しく笑いかけてきてくれた。
「では、決まりですね。付いてきてください」
「私達が知ってる中で、1番のものしりに尋ねにいこう!」
センさんが落ち着いて先導して、アルマーさんが元気づけるようにしてくれるお陰で、段々と安心していき、少しだけハッキリした声で返事をした。
「……はい!」
「アライさんは見たのだ!フレンズそっくりのセルリアンだったのだ!」
「最近は問題が山積みなのです。噂話なら今度にするのです」
「かばんも出かけてるので、私達も忙しいのです。フェネックもちゃんと見ててほしいのですよ」
「いやー、まさかハグれた時にそんなことが起こるなんてねー。でもあながち間違いじゃないかもよー?」
「確かに最近はおかしいことが多いのです!これでは安心してカレーを食べられないのです!」
「博士、安心するのです。そんなこと言いながら毎日食べているのですよ」
「かばんさんが帰ってきたからまたお話しにしようか、アライさん」
「分かったのだ!かばんさんを待つのだ!」
ここまで見て頂き、ありがとうございます!
正直、キャラがブレたり、口調が変だったりしないか内心ビクビクしております。こちらは連載していく予定なので、頑張って完結まで目指したいと思います。
息抜きの息抜きをしたりして、どんどん小説投稿が増えていますが、まあ、恐らく、多分、きっと大丈夫でしょう。
けものフレンズを見ている方はたくさんいると思うので、どこかここが変だ!とかおかしい!とか思ったりすれば、どうぞアドバイス、ご指摘のほどをよろしくお願いします!
誤字脱字もあれば修正していきますので、そちらも発見次第、修正していきます。
では、次回もお楽しみに!
目次 感想へのリンク しおりを挟む
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だいいちわ 【であい】
お待たせいたしました。比較的早めにあげることが、出来たと思います。ケムリクサ最終話で呪詛兄貴が浄化されて喜ばしいことですね。かくいう私も少し物足りなさはありましたが(多分11話が凄すぎた)とても満足のいく最後でした。円盤早く届いて(切実)
では、ごゆっくりお楽しみください。
「さて、着きましたよ!」
「道中セルリアンに遭遇しなかったのは運が良かったね」
「ここは……」
自分が眠っていた場所から徒歩で30分程度。そこは沢山のおうちが並んでいる光景が広がっていた。頭の中がチクリと痛む。見覚えがないはずなのに、掠れた何かが頭をよぎる。
あたしはここを知っている…………?
そんなことを考えてボーっとしていると、一つのおうちから自分と同じ〈ヒト〉らしき
「あれ?貴方は……?」
「初めまして。ボクはこのジャパリパークのパークガイドのかばんって言います。貴方は何のフレンズさんですか?」
優しそうな顔でこちらに自己紹介してくれたこの人はかばんさんと言うらしい。こちらも自己紹介しようと思ったが、自分でも分かってることが少ないため、曖昧な返事となってしまう。
「えっと、恐らくヒト……だと思います。名前は、その……分かりません……。何も覚えていないんです……」
「名前が……」
かばんさんはその言葉を聞いて驚いていた。その後すぐにその表情を引っ込めて、こちらを安心させるように優しく笑いかけてきてくれた。
「じゃあ、名前を知るのが先ですね。アルマーさんとセンさん、何か施設で発見できたものはありますか?」
「この書類がそうです」
「あとその子が持ってるそれ!」
アルマーさんが指を指した先はあたしが持っている、寝ている自分の近くに置かれていた2つの物だった。1つはバッグと分かるが、もう一つの方は使い道がさっぱり分からない。
「これはスケッチブックですね」
———スケッチブック。
その言葉を聞いた瞬間、頭の中でカチッと何かがハマった気がした。そしてスケッチブックの使い方を思い出す。
「絵を描くためのもの……」
「もしかして何か思い出しました?」
「かばん……さんがスケッチブックって言ったら自然とそれが絵を描くためのものだって頭に思い浮かびました」
「なるほど。では中身を確認しても大丈夫ですか?」
あたしはそれに同意する。ページをめくっていくがどのページも何も書かれておらず、全て白紙だった。
「どのページも真っ白ですね……。これで最後のページっぽいけど」
最後のページがめくられた。そこには掠れてはいるが、文字が書かれていた。
「なまえ、と……もえ?」
「ともえさんですか。いい名前ですね!」
自分がその名前で呼ばれていた実感がわかないが、ここに書いてある通りなら自分の名前はともえなのだろう。
名前を確認できたところで、さっきかばんさんが出てきた家の中から1人のフレンズが出てきた。そのフレンズはこちらに気づくと、目を輝かせながら向かってきた。
「もしかして貴方……〈ヒト〉ですか?」
「はい、そうだと思います」
「……っ!会いたかったぁ!!」
そのフレンズは勢いのままに抱きついてきた。その感触はとても心地よく、心が満たされるような気がした。
———ピキリという音が頭の中で響いて、また何かがハマった。
「……すごく気持ちいい」
「わふぅ〜。わたしの名前はイエイヌです!ずっと……ずっとヒトが来るのを待っていたんです!!」
イエイヌは嬉しさのあまり涙を流している。ともえはそれを優しく抱きとめて、頭を撫でてあげる。
「私の名前はともえだよ。よろしくね、イエイヌちゃん」
「ともえさん……ともえさん!えへへ、よろしくお願いします!」
「よかったですね、イエイヌさん」
「かばんさんもずっと様子を見にきてくださり、ありがとうございます!アルマーさんとセンさんもここまで連れてきてくださってありがとうございます!こちらはお礼です!」
イエイヌちゃんは一旦、私から離れて、アルマーさんとセンさんに食べ物みたいなものを渡していた。
「別にいいのにー。でもありがとう!貰っておくね!」
「はい!さて、わたしはともえさんと色々とお話ししたいです!」
そう言って再びこちらを向き、尻尾を全力で振り、駆け寄ってきた。それを見て、自然と笑みが零れる。
「ともえさんも緊張がとけました?」
かばんさんの不意の言葉に顔を赤くして、慌ててしまう。
「あ、その……」
「随分と雰囲気が柔らかくなったので。記憶がなくて目覚めたばっかりみたいなのでイエイヌさんとの触れ合いが丁度よかったみたいですね」
確かに自分は目覚めてから不安な気持ちばかりだったので緊張していた———と思う。今度はしっかりと笑顔を向けてかばんさんに返事をする。
「……はい!心配してくれてありがとうございます!」
「ふふっ、ボクにもそんな固くならなくて大丈夫ですよ?」
「えっ、でもさっきパークガイドって言ってたから偉いヒトだと思ったんですけど……」
「いえ!パークガイドと言っても、暫定というか代理のようなものなので……。気にしなくても問題ないです!」
「じゃあ、かばんちゃんって呼んでも……いいかな?」
「うん!よろしくね、ともえちゃん!」
「かばんさんだけともえさんと話しててずるいです!わたしももっと構ってください!」
イエイヌちゃんが顔を擦り寄せてくる。その気持ち良さにまた笑みが出てくる。ずっとしてもらいたいぐらいだ。
「では、本当はともえちゃんを案内したいところですけど、積もる話もありそうですし、とりあえずボクはとしょかん、というよりはけんきゅうじょに戻りますね。アルマーさんとセンさんはどうします?」
「仕事も終わりましたからね。何か手伝うことがあるなら手伝いますよ」
「なら、付いてきてもらえるとありがたいです。ちょっと調べることもできたので。では、ともえちゃん、イエイヌさん、また会いましょう!」
「うん!またね!」
「また遊びに来てくださーい!」
かばんはそのまま立ち去っていく。アルマーとセンもそれに続いていき、2人はそれを見送った。
「3人とも行ってしまいましたし、おうちの中でお話ししましょう!」
「じゃあ、おじゃまします!」
2人はお互いに笑顔を向けて、家の中に入っていく。
———その2人に忍び寄る影に気付く者は誰もいないまま。
「わぁ……」
「どうぞ!ゆっくりしていってください!」
家の中はベッドや鏡、机や椅子などが置いてあり、イエイヌはともえを机の方に案内して、紅茶を振る舞う。机に差し出された紅茶をともえはゆっくりと飲んでいく。
「美味しい!」
「心を落ち着ける時はこれを飲むといいらしいですよ。気に入ってくださってよかったです!」
「イエイヌちゃんは、いつもここで何をしてるの?」
その言葉を聞いてイエイヌは表情を暗くする。ともえはそのイエイヌを不安げに見つめる。
「……ずっと、ここでヒトを待っていたんです。かばんさんがよく様子を見にきてくれたので、あまり寂しくはなかったのですが……。それでも何かが足りない気がして。でも、ともえさんを見た瞬間に思ったんです!わたしはこの人を待っていたんだって!」
暗い表情から一転、パァと明るい笑顔を向ける。ともえとしてはイエイヌの明るい表情を見ると、温かい気持ちになれるので、力になれるのなら嬉しい限りだ。
「イエイヌちゃんが元気になれるならよかったよ。でも、あたしは目覚めたばかりで、記憶がぼんやりしてるからどうしようか悩んでるんだ」
「なら、ともえさんがしたいこととかないですか?わたし、なんでもしますよ!」
「ありがとう、イエイヌちゃん。あたしのしたいことかぁ」
自分のしたいこと。一番に気になっていることは、あたしがなぜあそこで寝ていたのか、その理由が知りたい。記憶がぼんやりとしているから、思い出すこともできないし、気ままにジャパリパークを周ってみるのもいいかもしれない。
それに色々なフレンズに出会って、仲良くなって、絵を描いてみたい。スケッチブックのことを思い出してから無性に絵を描きたくなっている。旅をしながら絵を描くのもありだ。
「よし。まずはイエイヌちゃんの絵を描いてみてもいいかな?」
「えってなんですか?」
「ちょっと待ってね」
ともえは持っているバッグの中から数本のペンを取り出し、スケッチブックに走らせ、色を与えていく。記憶はなくとも、体は憶えているようだ。
「めっちゃ絵になるぅ!」
「と、ともえさん?」
途中から暴走気味に描いて、数十分。ともえはペンを置き、イエイヌに絵を手渡す。
「はい!出来たよ!」
「これは……」
そこに描かれていたのは、笑顔で映って仲良く並んでいるともえとイエイヌだった。その絵にイエイヌは満面の笑みを浮かべる。
「ありがとうございます!わたしのたからものにします!えへへ〜」
そう言って嬉しそうに眺める。ともえとしては、自分の絵でここまで喜んでもらえるなら、描いた甲斐があったというものだ。
「ねぇ、イエイヌちゃん」
「なんでしょうか?」
「あたしね、ジャパリパークを旅して色々な子の絵を描いてみたい!自分の記憶の手がかりも探したいけど、フレンズ達と仲良くできるならそれでいいかなぁって」
「わたしはここでヒトを待つのがしめいでした。でも、ともえさんと出会ってわたしはこの人に会いたかったんだって思いました!」
「一緒に行こう!!」
「はい!!」
1人のヒトと1匹のフレンズはであいを果たす。その道行く先はまだ分からないが、きっと楽しいことでいっぱいだろう———。
「かばんさんって初対面なのにすっかりともえさんと仲良くなりましたね」
「ボク以外で初めてヒトを見ましたから。親近感が湧いちゃったんです」
「そろそろ私たちにも崩してくれていいんだよぉ」
「あはは……。ずっとこの喋り方だから慣れちゃったんですよね。サーバルちゃんと話すとき以外はこの喋り方ですし。それにあの子とは仲良くなったいた方がいいかなって」
「ほう?なにか気になるところが?」
「気になるところというか、違和感……かな?些細なことだとは思いますけどね。なんにせよ帰って、この書類を見てみないと、詳しいことは分からないと思います」
「結構ボロボロだけど読めるのかな、それ」
「……頑張ってみます」
【◼️◼️者◼️0に◼️い◼️】
ここまで見て頂き、ありがとうございます!
ニコニコ大百科などでともえちゃん記事の掲示板を追ったりしていますが、人の創作を見ると、自分の創作魂が燃え上がりますね。色々設定を練って書き上げたくなっちゃいます。
でも私ってプロットとか書いたりする人間じゃなくて、ほぼ勢いで書いているんですよね。そのせいで長年放置された方の小説は設定まで忘れてリメイクするか考えたり、短編のFGOのほうは、私の頭の中の皇女がサボっています。
まあこんな自分ですが、長い目で付き合ってくださるとありがたいです。
とりあえず補足をしますと、かばんちゃんがかばんさんっぽく見えるように文章が書かれているように見えますが、イメージ的にはかばんさんほどではなくかばんちゃん寄りです。ただし、1期の頃よりは少し落ち着いた雰囲気を纏うようになった感じです。でもはしゃぐ時ははしゃぎます。大体がサーバルちゃん達のブレーキ役ですけども。かばんちゃんはミライさんの毛から生まれたフレンズだけど、成長するとカコ博士みたいになりそうですよねぇ。普通にミライさんみたいなパークガイドになってジャパリパークを復興されるのもアリ。
祝詞兄貴が公開したものは設定の一例と言っていたので、その設定の一部を絡めながら、自分風にアレンジしていこうと思います。なのでかばんちゃん達の出番はまだまだあります。メインはともえちゃんサイドですけどね。
質問があればネタバレにならない感じであれば答えていきますし、誤字脱字などがあれば、ご報告いただけると幸いです。
では、次回もお楽しみに!
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