BanG Dream! 最強決闘 究極ゼロ (雪風@イグニスター)
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プロローグ

 某都内…今この場所にある公園内には多くの人だかりが出来ていた。その中心には二人の男性。その二人はARDSを使いデュエマを行っていた。

 

 現在のフィールドはこうなっている。

 

 ???

 手札:4

 シールド:3

 マナ:0/8

 フィールド:コッコ・ルピア マグナム・ルピア

 

 おっさん

 手札:2

 シールド:3

 マナ:0/8

 フィールド:轟く侵略レッドゾーン 轟速ザ・マッハ

 

 現在は男…おっさんのターンで相手のシールドは三枚。こんな状態で相手フィールドにはTブレイカーのレッドゾーンが存在していた。

 この戦いを見ていた者は全員おっさんの勝利を確信していた。しかし、相手の男は一切焦りを見せてはおらず、むしろ余裕の表情を浮かべていた。

 《コッコ・ルピア》

 コッコ・ルピア UC(C) 火文明 (3)

クリーチャー:ファイアー・バード 1000

自分のドラゴンの召喚コストを2少なくする。ただし、コストは1以下にならない。

 

 《マグナム・ルピア/クリムゾン・チャージャー》

マグナム・ルピア P 火文明 (3)

クリーチャー:ファイアー・バード 3000

相手が、自身のマナゾーンのカードの枚数よりコストの大きいクリーチャーをバトルゾーンに出した時、そのクリーチャーを破壊する。

クリムゾン・チャージャー P 火文明 (4)

呪文

相手のパワー2000以下のクリーチャーを1体破壊する。

チャージャー(この呪文を唱えた後、墓地に置くかわりに自分のマナゾーンに置く)

 

 《轟く侵略 レッドゾーン》

轟く侵略 レッドゾーン LEG 火文明 (6)

進化クリーチャー:ソニック・コマンド/侵略者 12000

進化-自分の火のクリーチャー1体の上に置く。

侵略-火のコマンド

T・ブレイカー

このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、一番パワーが大きい相手のクリーチャーをすべて破壊する。

 

 《轟速 ザ・マッハ》

轟速 ザ・マッハ R 火文明 (5)

クリーチャー:ソニック・コマンド/侵略者 5000

スピードアタッカー

このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の山札の上から4枚を表向きにする。その中から進化クリーチャーを1体、自分の手札に加えてもよい。残りを好きな順序で山札の一番下に置く。

 

 「此処まで耐えたのは褒めてやる。しかしお前のシールドは残り三枚。そして俺のクリーチャーはTブレイカーのレッドゾーンとスピードアタッカーのザ・マッハの二体。勝負あったな」

 

 おっさんのこの言葉に対し、対戦相手の男は不敵に笑って見せた。

 

 「どうかな?デュエマは最後までやってみないと何が起こるかわからねぇ…。勝ちを確信するのはまだ早いんじゃないか?おっさん」

 

 こんな状況まで追い込まれてもあきらめず、むしろ相手を挑発までしてのけた。おっさんはこの男の強がりだとフンッと鼻で笑い見下した目でこちらを見ながらカードに手を伸ばす。

 

 

 「ならばその強がりも言えなくしてやろう。《轟く侵略 レッドゾーン》でシールドをTブレイク!!」

 

 レッドゾーンの攻撃は無情にも男の最後の三枚のシールドを破壊し、男を守る盾は完全に無くなってしまった。

 

 シールド:3→0

 シールドチェック:×

 

 ???

 手札:4→7

 シールドトリガーも出ずブロッカーもいない勝負は決まった。約一名を除いた周りにいる全ての人たちがそう確信した。

 

 「これで止めだ!!《轟速 ザ・マッハ》でダイレクトアタック!!」

 

 男の宣言によりとどめの一撃は放たれる。しかしそれでもたった一人、勝ちを確信している者がいた。

 

 「──手札の《ボルシャック・ドギラゴン》の革命0トリガー!!」

 「…何ッ!?」

 

 ──他でも無い、対戦相手のこの男のことだ。

 

 《ボルシャック・ドギラゴン》

ボルシャック・ドギラゴン LEG 火文明 (7)

進化クリーチャー:メガ・コマンド・ドラゴン/革命軍 12000

革命0トリガー―クリーチャーが自分を攻撃する時、自分のシールドが1枚もなければ、このクリーチャーを手札から見せてもよい。そうしたら、自分の山札の上から1枚目を表向きにする。そのカードが火の進化ではないクリーチャーなら、バトルゾーンに出し、このクリーチャーをその上に置く。

進化-自分の火のクリーチャー1体の上に置く。

T・ブレイカー

このクリーチャーがバトルゾーンに出た時または攻撃する時、相手のクリーチャーを1体選んでもよい。その選んだクリーチャーとこのクリーチャーをバトルさせる。

 

 「クリーチャーが自分に攻撃する時にシールドが一枚もなければ相手にこのカードを見せて発動できる。その効果でデッキの一番上のカードを表にし、そのカードが進化でない火のクリーチャーならばそのクリーチャーを出しこのカードを上に乗せることができる」

 

 攻撃宣言時に発動する効果。カウンターとして発動したその効果は確かに協力ではある。…だが、

 

 「…ククク、ハーハッハッハッ!!そんな運に頼る事しか出来ないとは!!」

 

 そう。これは運だ。しかも状況が状況だけにかなりリスクの高い運試しとなる。しかし男はそれでも笑みを崩さずにおっさんに告げた。

 

 「これは運じゃねぇ。俺はデッキ(こいつら)を信じデッキ(こいつら)は必ず俺に答える!」

 「だったら信じて捲ってみるがいい。そして自らの手で敗北することだな」

 

 おっさんの言葉を最後まで聞き終えると男はデッキの一番上のカードに手を当てて、この言葉を発した。

 

 「革命0トリガー…ロックオン!!」

 

 捲ったカード:《ボルシャック・ドラゴン/決闘者デュエリスト・チャージャー》

 

 「ヒット!!」

 

 《ボルシャック・ドラゴン/決闘者デュエリスト・チャージャー》

ボルシャック・ドラゴン P 火文明 (6)

クリーチャー:アーマード・ドラゴン 6000+

W・ブレイカー

攻撃中、自分の墓地にある火のカード1枚につき、このクリーチャーのパワーを+1000する。

決闘者・チャージャー P 火文明 (3)

呪文

自分の山札の上から3枚を表向きにする。その中から、《ボルシャック》と名前にあるカードをすべて手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。

チャージャー

 

 捲られたカードはツインパクトカードの《ボルシャック・ドラゴン》だった。

 

 「クリーチャーを引き当てただとッ!?」

 「このカードは進化ではない火のクリーチャーの為、そのままバトルゾーンに!来い!相棒!!」

 

 そうしてフィールドの巨大なドラゴンが姿を現した。そしてそのカードは伝説のカードの一枚でもある《ボルシャック・ドラゴン》である為、おっさんはもちろん、周りの人間はざわつき始めた。

 

 「こ、これは、伝説の《ボルシャック・ドラゴン》ッ!!なぜ貴様みたいなガキが持っているッ!!」

 

 男にどなりながら問うが、そんな言葉を男は無視しそのまま続行した。

 

 「相棒よ!今こそ熱く燃え上がり、さらなる力を解き放て!!来い!!《ボルシャック・ドギラゴン》 ッ!!」

 

 《ボルシャック・ドラゴン》の足元から巨大な火柱が出現し、その姿は完全に火柱の中に取り込まれる。だが、少しすると巨大な竜の咆哮とともに手、足、順番に姿を現していき、最後には火柱を手で吹き飛ばしその姿が完全に表れた。

 その姿こそこの状況をひっくり返す男の切り札…《ボルシャック・ドギラゴン》 であった。

 

 ???

 手札:7→6

 

 「こ、これが…いかに伝説のクリーチャーであってもこの状況は…」

 「《ボルシャック・ドギラゴン》 の召喚時効果!相手のクリーチャーを一体選択し、そのままバトルを行う」

 「何だとッ!?」

 「行けッ!!《ボルシャック・ドギラゴン》 ッ!!《轟速 ザ・マッハ》を攻撃ッ!!」

 

 攻撃のために俺に向かって走り出していたザ・マッハだったが、ドギラゴンがその体を捕まえて大地に思いっきり叩きつけた。するとザ・マッハはその体を消滅させていった。

 

 「そ、そんな馬鹿な…」

 

 おっさんはこの状況で今まで勝つ事が出来ていた。なので相手を見下して戦い続けてきた。だが今回はそれが仇となり、最悪の状況を作り出してしまった。もし、ほかのクリーチャーも出していれば…と今考えても既に遅い事である。

 

 「タ、ターンエンド…」

 

 turnchange

 おっさん→???

 

 ターンが変わり男のターン。おっさんのシールドは三枚。そして《ボルシャック・ドギラゴン》はTブレイカー。さっきと全く同じ状況を作り出していた。唯一違うのはこの状況を作り出したものである。

 

 「俺のターン、ドロー」

 

 ???

 手札:6→7

 マナ:0/8→8/8

 

 「俺は手札の《ボルシャック・ドラゴン/決闘者デュエリスト・チャージャー》 をマナチャージ」

 

 マナ:8/8→9/9

 

 「フィールドに《コッコ・ルピア》が存在する為、召喚に必要なコストを2軽減し7マナで《ボルシャック・クロス・NEXネックス/ボルシャック英雄譚サーガ》を召喚!!」

 

 マナ:9/9→2/9

 

 《ボルシャック・クロス・NEXネックス/ボルシャック英雄譚サーガ》

ボルシャック・クロス・NEX SR 火文明 (9)

クリーチャー:アーマード・ドラゴン 12000+

スピードアタッカー

パワーアタッカー+5000

T・ブレイカー

誰もコスト4以下のクリーチャーを召喚できない。

ボルシャック英雄譚 SR 火文明 (8)

呪文

自分の山札の上から6枚を見る。その中から、《ボルシャック》と名前にあるドラゴンを好きな数、バトルゾーンに出してもよい。残りを好きな順序で、山札の一番下に置く。

 

 男は更に上級のドラゴンを召喚し、決着をつける。

 

 「バトルだ!!《ボルシャック・ドギラゴン》でシールドをTブレイク!!」

 

 ドギラゴンはそう宣言されると相手のシールドの前まで飛んでゆき、その巨大な右腕ですべてのシールドを破壊した。

 

 おっさん

 シールド:3→0

 シールドチェック:○

 

 「…よし!シールドトリガー《龍脈術 落城の計》を二枚発動!!」

 

 《龍脈術 落城の計》 †

龍脈術 落城の計 C 水文明 (3)

呪文

S・トリガー

バトルゾーンにあるコスト6以下のカードを1枚選び、持ち主の手札に戻す。

 

 「その効果により《マグナム・ルピア》と《コッコ・ルピア》の二体を手札に戻す!!」

 

 フィールドにいた二体のクリーチャーは、呪文の効果で姿を消し男の手札に戻っていった。

 

 「クックック…ハーッハッハッハッ!!これで貴様はバトル終了。デカいドラゴンが存在するが召喚したターンは召喚酔いで攻撃出来ない。これで俺の勝ちだ!!」

 「…いや、勝負は俺の勝ちだ!」

 「ハーッハッハ…は?」

 

 笑っていたおっさんは男のその一言により豆鉄砲を食らったような顔をする。

 

 「《ボルシャック・クロス・NEXネックス》はスピードアタッカー。召喚酔いは発生しない!」

 「な、なんだとオォォッ!!」

 「《ボルシャック・クロス・NEXネックス》ッ!お前の熱い炎で、すべてを焼き尽くせ!!」

 

 《ボルシャック・クロス・NEXネックス》は空高く舞い上がり、その手荷物武器に炎を纏わせておっさんに向かって一閃。すると、刃は届くはずもない、がその武器に宿った炎が激しく燃え上がりながらおっさんに向かって襲いかかった。

 

 「や、やめ…ウワアァァァッ!!

 

 おっさんはそのまま炎に襲われゲームセットとなった。…勿論ARの為傷一つないので読者の皆さんはご安心ください。

 

 「真っ赤に燃えろ一番星!俺より強い奴はいねぇッ!!」

 

 win???

 

 決着がつき、男はおっさんが前の対戦で奪った(・・・)デッキを拾い上げ持ち主の少女に手渡した。

 

 「もう盗られるなよ」

 「うん!ありがとう!お兄ちゃん!!」

 

 そういうと少女はその場から去っていった。周りの人たちは男の勇気ある行動と、その強さをたたえ拍手を送った。

 

 「…拍手なんていらねぇんだけどな

 

 男はそう呟くとそのまま立ち去ろうとした。

 

 「ま、待て!!」

 

 そういって止めたのは先ほどまで戦っていたおっさんだった。

 

 「お前はいったい、何者なんだ!」

 

 おっさんの叫びに男は止まり、振り返りながらこう答えた。

 

 「ゼロ」

 

 それだけ言って男…ゼロは立ち去って行った。




 次回!第一話! 登場!赤き竜だ一番星!!


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第一章 Poppin'Party結成編
第一話 登場!赤き竜だ一番星!!前編


注意
花咲川、羽丘は共学設定です!


 春。それは始まりの季節。その名の通り今日から彼の通う高校…花咲川学園も入学式である。

 期待が膨らむ中彼は校門を潜り…

 

 「ふわぁ…眠…帰りてぇ…」

 

 …でもなさそうだ。

 

 彼は(みなと)(れい)。今年からこの花咲川学園に通うことになった高校一年生の青年だ。

 彼は大きなあくびをしながら校門を潜ってクラス表の展示されている場所に向かって歩いて行った。

 

 『レイ、眠そうだけど大丈夫か?』

 

 そういって声をかけるのは小さな赤い竜だった。

 

 彼の名はムゲン。レイの相棒でありレイのマジダチの一人…一匹だ。

 彼はレイのカバンの中から小さくそう声をかけるとレイは少し気怠そうに答えた。

 

 「いやぁ、昨日遅くまでデッキ弄ってたのが祟ったのか?物凄く眠いんだが…」

 『完全に自業自得じゃねぇか!親父さんも早く寝ろって言っても寝なかったレイが悪い!』

 

 そうはいってもなぁ…と言いながら歩き続けているとクラス表の展示されている場所についた。

 

 「人が多いな…ムゲン、顔だすなよ」

 『解ってるって。オイラは少し寝る事にするよ』

 

 そう言ってムゲンはカバンの中で眠ってしまった。

 

 ムゲンは訳有ってレイと共に行動を共にしているドラゴンで当然ロボットなどのような類ではない。他の人にもちゃんと認識されるので幽霊でも無い為、普段はこのように一緒に行動を共にするもカバンの中でばれない様にしてもらっている。この事を知っているのは家族と幼馴染の少女一人のみ。

 

 ムゲンが眠ったのを確認するとレイはクラス表を確認するべく移動しようとする。その時だった。

 

 ドンッ

 「キャッ!」

 「うおッ!」

 

 一人の女子生徒とぶつかってしまった。

 レイは何とか倒れずに済んだものの少女はその場に尻餅をついてしまう。レイは慌てて少女に手を伸ばした。

 

 「わ、悪ぃ!怪我無いか!」

 「う、うん!大丈夫だよ」

 

 少女はレイの手を取って立ち上がった。

 

 少女は猫耳のような髪型をしていてリボンの色から察するに同じ一年生なのだろう。

 

 「アンタも新入生か?」

 「うん!私、戸山香澄!君は?」

 「俺は湊零!よろしくな!香澄!」

 

 レイはそう言って手を伸ばす。

 

 「うん!よろしくね、レイ君!」

 

 香澄はそう言いながらレイの手を握った。

 

 ☆

 

 あの後二人で自分達のクラスを確認しようとクラス表を見ている時だった。

 

 「あ、あった!A組だ!」

 

 香澄の声が響き渡り、レイは香澄の方に顔を向けた。

 

 「あったのか?」

 「うん!…あ、レイ君のもあったよ!」

 

 そう言って指をさす香澄。レイはそちらに顔を向けると、A組のクラス表にレイの名前が書かれていた。

 

 「お、あったあった!香澄と同じクラスか!」

 「うん!よろしくね、レイ君!」

 「おう!よろしくな!」

 

 そう言ってレイと香澄は校舎の中に入ろうとした…その時だった。

 

 「レイ!」

 

 後ろから声をかけられた。レイと香澄は振り返ると、そこにいたのは一人の女生徒だった。香澄は首を横に倒し疑問符を浮かべているが、レイはこの人物を知っていた。

 

 「お、沙綾!」

 

 彼女の名は山吹沙綾。やまぶきベーカリーと言うパン屋の娘で、レイもよくそこでパンを買っているので二人は知り合いだった。しかし、理由はそれだけではないのだが…まぁ、今は語る意味もないだろう。

 

 「おはよう!今日から一緒の学校だね!」

 「おう!因みにクラスも一緒だったぜ」

 

 そう言ってレイはクラス表を指さす。そこにはA組のクラス表が張り出されており、確かに沙綾の名前が書かれていた。

 

 「本当だ!よろしくね!」

 

 嬉しそうに笑顔を浮かべる沙綾を見てレイも自然と笑みを浮かべていた。

 

 「え…っと」

 

 突然のことに困惑している香澄。それに気づいたレイは香澄の方に向き直り沙綾を紹介した。

 

 「香澄。こいつは山吹沙綾。やまぶきベーカリーっつうパン屋の娘だ!」

 「パン屋さんの?」

 「あぁ!んで、沙綾!こいつは戸山香澄。さっき知り合ったんだ!」

 「成る程。初めまして戸山さん。私は山吹沙綾。レイの言った通りパン屋の娘だよ」

 「パン…成る程!だからいい匂いがしたんだ。パンのにおい!」

 

 ぐぅ…とお腹の鳴る音。それを聞いた沙綾はクスッと笑ってポケットから飴を取り出した。

 

 「食べる?パンじゃないけど」

 

 そう言うと香澄はキラキラと目を輝かせながらありがと~!と言いながら飴を受け取った。

 

 「朝何も食べないで来ちゃったからお腹すいちゃって」

 「おいおい…ちゃんと朝ご飯は食べなきゃ駄目だぜ」

 

 あははと笑う香澄を見て二人はやれやれと首を振った。

 

 ☆

 

 「戸山さんも外部生なの?」

 「香澄でいいよ。妹がここの中等部に通ってて、去年文化祭の時来たら楽しそうだったから…あと制服かわいい」

 「大事。レイは…【SPACE】が近いから?」

 「まあな。羽丘だと学校が終わった後に行くのが面倒でな」

 

 校舎に入った三人は仲良く話をしながら教室に向かって歩いていた。

 

 「沙綾は?」

 「私は内部進学だから今までと何も変わらないかなぁ」

 「違いならあるよ!」

 

 そう言うと香澄は沙綾の前に立って笑顔を向けてこう言った。

 

 「新しい友達ができた!」

 

 沙綾はポカンとするがすぐにクスッと笑う。

 

 「友達認定早いね」

 「えッ!?」

 

 そう言われ香澄は驚くと沙綾がクスクス笑っていた。

 

 「まぁいっか」

 

 そう言ってると三人は教室までたどり着いた。三人はそのまま中に入りそれぞれの机に歩いて行った。

 

 ☆

 

 あの後入学式が始まったが、新入生代表である市ヶ谷有咲が欠席していたため別の人が新入生代表のあいさつを行うことになった。

 

 レイたちはその後クラスに戻りSHLが始まった。

 

 「それでは牛込さん、お願いします」

 「え…あ…う…牛込…りみ…です

 

 牛込と呼ばれた彼女はそれだけ言って席についてしまった。余程恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしていた。

 

 その後も自己紹介が続き、香澄の番となった。

 

 「戸山香澄、15歳です!」

 

 自分のPRを言えとは言われたが年齢まで言う必要はあっただろうか。現に周りの人たちもクスクスと笑っていた。

 

 「私がこの学校に来たのは、楽しそうだったからです。中学は地元の学校だったんですけど、妹がここに通ってて。それで文化祭に来てみたら、皆楽しそうでキラキラしてて、ここしかないって決めました!だから今、すっごくドキドキしてます!」

 

 そこまで言い終わると先生も満足したのか拍手を送る。それにつられたクラスの人たちはみな拍手を送った。

 

 『よく我慢しました香澄。言ってたら怒ってましたよ

 「《/xsmall》さすがに私だって学ぶよ。イアン《/xsmall》」

 

 香澄のカバンの中から何かが香澄に声をかけると香澄も小さく返した。それは僅かの事だったので聞こえた者はいなかった。が、香澄のこの行動を見逃さなかったものが一人だけクラスに存在していた。

 

 「…」

 

 レイだった。

 レイは香澄のその不審な動きからカバンの中に何かがいる事に気が付いた。

 

 「それじゃあ次は湊君。お願いします」

 「…はい!」

 

 自分の番になり一度気にしないようにし勢いよく立ちあがった。

 

 「俺は湊零!趣味はデュエマで、ここに通うことを決めたのもショップが近くだったためだ。これからよろしくな!」

 

 それだけ言うとレイは席に着いた。




次回、後編にてレイVS香澄となります!お楽しみに!


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