俺の暗殺教室 (鬼如月)
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名簿の時間 藤原 葵

ネタバレ含みます。ご注意を。
なお、完全に裏設定となり小説内に登場しない設定もあるかもしれませんがご了承ください。


名簿 第7話時点

 

名前:藤原(ふじわら) (あおい)

出席番号 E-27

誕生日 10月5日

年齢  14歳:第9話 観光の時間時点

身長 176cm

体重 63kg

血液型 O型

座席位置    一番後ろの左(窓側)から三番目、奥田の後ろでカルマの隣に位置する

得意科目 数学、理科

苦手科目 英語、家庭科

趣味、特技 TRPG、将棋、読書、ゲームetc...

所属部活(過去) 将棋部

好きな食べ物 軍艦寿司、甘味

将来の目標 決めていない

好きなもの かわいいもの、日本神話、オカルト関連

百億円獲得できたら 貯金

座右の銘    面倒くさいは万物に勝る

好きな動物   ホッキョクギツネ

皆に内緒なこと ベッドにぬいぐるみが数個置いてあること

コンプレックス 女性みたいな名前をしていること

得意技     投げナイフ

性格      面倒臭がり

親友      倉橋陽菜乃、竹林孝太郎、赤羽カルマ、潮田渚

志望校     決めていない

学業成績 一学期中間テストのE組男子2位(E組総合2位 / 学年総合39位)

暗殺成績 ナイフ術男子1位(E組のナイフ総合1位):第9話 観光の時間時点

        射撃術男子ランク外(E組の射撃術総合ランク外):第9話 観光の時間時点

分類      個人主義が強い生徒達

CVイメージ 山口勝平さん

見た目イメージ 七夜志貴を少し穏やかにした感じ

 

学業成績(詳細)

 

第一回定期テスト(一学期中間)

 

英語:68

国語:80

数学:98

理科:94

社会:82

 

総合:422,E組2位,学年39位

 

第二回定期テスト(一学期期末)

 

英語:

国語:

数学:

理科:

社会:

 

総合:,E組位

 

第三回定期テスト(二学期中間)

 

英語:

国語:

数学:

理科:

社会:

 

総合:,E組位

 

第四回定期テスト(二学期期末)

 

英語:

国語:

数学:

理科:

社会:

 

総合:,E組位

 

家族構成 父:大学教授

     母:元システムエンジニア

     兄弟姉妹:年の離れた兄が一人。大学准教授

E組転入理由 理事長室に置いてある表彰盾を破壊したため

 

 

中学3年5月に椚ヶ丘中学校に転入。

奇想天外な発想力の持ち主で、個人主義が強い生徒に分類されるが、比較的チームワークを重視する暗殺を行う。

倉橋の幼馴染で、彼の介入により実は倉橋の成績、暗殺技術は大幅に上がっている。多くの趣味を持つが、すぐ飽きることが多い。

・以外にかわいいものが好き

・竹林とは中学2年生のときに友人を繋ぎとして知り合っている。

 

追記(2021/10/16)

後々使う予定の無いであろう設定をいくつか削除しました。

また、この設定資料は今後話の展開により記載内容が変化することがあります。ご了承ください。



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第1話 始まりの時間

椚ヶ丘中学校。

全国屈指の名門校であり、ハーバード卒の完璧超人、浅野學峯が理事長を務める中高一貫校だ。

 

そんなすごい中学校に俺は運よく転校できた...できたのだが...

 

 

 

転校手続きで理事長室を訪れた時。理事長が来るまで待たされていたのだが、理事長室にお置いてあった様々な私物。それらへの好奇心でつい...

 

「遅れてしまってすまない、君が転入生の―――

 

ガシャン!...と、足元で何かが割れる音がした。ギギギ、と錆付いた機械のように声がした方へ顔を向けると...

 

―――来て早々だが、君のクラスはE組で決定したよ、おめでとう」

 

 

 

 

(――まさか表彰盾を落とすとはなぁ...)

 

そんなことを考えながら歩いていると、煌びやかな本校舎が見えてきた。

が、そこには入らず、その先にある山へ向かって歩いていく。

 

理事長から言われた"E組"。この椚ヶ丘中学校にはE組という劣等生、暴力沙汰を起こした生徒等が入れられるクラスで、本校舎から隔離された廃校舎で授業を受けなければいけなく待遇も最悪らしい。折角名門校に転校できたのに...辛いなぁ...

 

山道を登っていく内に、徐々に息が上がってきた。これから毎日この山を登るんだから体力つけるようにしないとな。

 

またしばらく歩くと開けた場所に出て、少し先に木造のボロい校舎が見えてきた。噂に聞いていたよりも綺麗だな、知り合いからは台風が来たら潰れそうな程だった、と聞いていたのだが。

 

「取りあえず教職員の方々に挨拶をしておこう。手続きは済んでいるはずだし」

 

ということで校舎に入って職員室へ向かう。途中でE組の生徒らしき人とすれ違ったが、まずは職員室だと考え軽い会釈だけに留める。

 

職員室に着き、ノックをして戸を開ける。

 

「失礼します」

 

そう言って軽く頭を下げると、中にいた筋肉質で整った顔立ちをした男性が近づいてくる。

 

「君が今日転校してきた藤原君か。来て早々申し訳ないが、少し話を聞いてもらいたいのだが、大丈夫か」

 

ええ、大丈夫です。と返すと、職員室の中にいた金髪の美女が男性に声をかける。

 

「ちょっとカラスマ。自己紹介くらいしたらどうなの?名前もわからないんじゃそのボウヤも大変でしょう。ねぇ?ちなみに私はイリーナ。イリーナ・イェラビッチよ。気軽にイリーナ先生でいいわ」

 

これからよろしくお願いします、イリーナ先生と返したら、何故かとても感動しているような顔になった。小声で「久しぶりにビッチ先生以外で呼ばれた...!」とか言っている気がするけど聞こえない。聞こえないったら聞こえない。

 

「自己紹介が遅れてすまない。私はE組の体育教師の烏間だ。単刀直入に言うが――――君にある怪物の暗殺をして欲しい!!」

 

え、と思わず口から声が出る。

暗殺?怪物?この人はただの体育教師じゃ?などの疑問が頭の中を埋め尽くす。

 

「成功報酬は百億円だ」

「やります。やらせてください」

 

即答だった。自分でも呆れるほどに。即答に戸惑いながらも、烏間先生は言葉を続ける。

 

「その怪物がどういう姿かは見てもらうのが早いのだが....む、来たか」

 

そう烏間先生が言ったすぐ後に、職員室の窓から強い風が入ってきた。思わず顔を腕で隠す。腕をどけると、2mを超える巨大な怪物が窓に座っていた。顔は黄色いゴムボールのようで、来ている服には三日月の刺繍が施された大きなネクタイ、服からは冒涜的な触手が何本も生えている。なんだこいつは。いあいあでふたぐんな タ コ (クトゥルフ)か? タ コ (クトゥルフ)なのか?

 

「こいつが君の暗殺対象である怪物だ。ちなみに君の担任でもある」

 

そう烏間先生が言うと、黄色いタコは俺の方へ近づいてきた。

 

「ヌルフフフフフ、初めまして藤原君。私がE組の担任である、殺せんせーです。君の暗殺、期待していますよ!」

 

...何がなんだかよくわからないが、取りあえず挨拶と自己紹介だけは返しておく。

 

「初めまして。本日E組行きになりました、藤原 葵と申します。これからよろしくおねがいします、殺せんせー?」

 

 

その後E組生徒に俺を紹介するために殺せんせーと職員室を出て、教室へ向かっていたのだが、向かう途中に殺せんせーのスピードがマッハ20ということを知った。

 

 

......マッハ20のタコを殺せって?

 

 

 

 

 

――――俺の暗殺教室が始まる。



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第2話 転入の時間

 

キーンコーンカーンコーン....チャイムの音が鳴る。

 

その音を聞いた殺せんせーは俺に教室のドアの前に待機しておくように言い、教室の中に入っていった。

起立という声が教室から聞こえ、好奇心から教室内をちらりと見てみる。二度見した。E組全員が銃を持っている。殺せんせーの暗殺に使うというエアガン、俺も貰ったが、クラス全員が構えていると異様な光景に思える。

 

「気を付け!!」

 

声が上がると全員が殺せんせーへと狙いを定める。

 

 

「れーーーい!!」

 

殺せんせーへの発砲。その銃の数合計二十六丁。殺せんせーの大きさから考えれば結構当たりそうな気もするが...

 

「発砲したままで結構ですので出欠を取ります、磯貝君」

 

...どの弾も命中していない。全ての弾を避けている。どう避けているかは解らないが、途轍もない速さを持つことは理解できた。

 

出欠も最後の方になり、生徒の照準もぶれて来ているのがわかる。殺せんせーにも油断の表情が...なんだあれ。顔が緑の縞々模様になってやがる。絶対嘗め腐ってるだろアレ!

 

顔が非常にムカつくのでドアの隙間からの射撃を試みる。狙うのは触手の先、先生の注意が前から来る弾に向かっている内に...

 

 

 

 

 

――気配を殺す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――引き金に指をかけ構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――今だッ!!

 

パチュン!!...と、小さな音が鳴った。

 

思わずといった風に皆が動きを止める。殺せんせーすらも。皆の視線は殺せんせーの横の床、確かにある触手の肉片が落ちていた。

 

殺せんせーがこちらを見る。ニッコリとした笑顔で返す。先生も笑顔で返す。

 

 

「...と、取りあえず出欠を続けましょう!」

 

と、先生の言葉で生徒達は我に帰り、一斉射撃を再開する。

 

 

少しして出欠をとり終わり、皆が散らかっているBB弾を片付けようとするが、先生が止める。

 

「今日は転入生が来ています。では藤原君、入って挨拶を」

 

そう言われ、俺はドアを開けて教卓まで歩いていく。さっきはあまり確認していなかったが、知り合いもちらほらいるようだ。教卓に立ち、にこやかに笑いながら挨拶をする。

 

藤原(ふじわら) (あおい)です。趣味は読書、好きなものは狐。これからよろしくお願いします、E組の皆さん!」

 

 

「あ、先程の命中弾は藤原君が撃ったものです。これから一緒に暗殺も勉学も楽しんでいきましょう」

 

...皆からの視線が痛い。偶然当たっただけなのに....

 

気を取り直して自分の席を先生に聞くと、一番後ろの右から三番目と言われたので、その席に座ると、隣にいた赤髪の男子に話しかけられた。

 

「俺は赤羽 カルマ。よろしく、藤原君」

 

ああ、と声を上げる。

 

「こちらこそよろしく。あと君付けはしなくて良いし気軽に葵で呼んでくれ。赤羽」

 

こっちもカルマでいいよーと手をひらひらさせながら言うので、わかったよ、カルマと返しておく。

 

「挨拶も終わったので、BB弾を片付けてHRを始めましょう。あ、それと藤原君、授業中の発砲は駄目ですからね。勉強の妨げになるので」

 

はーい、と返事をすると、満足そうに頷いてBB弾の片付けに取り掛かった。最初の授業はと....数学か。得意分野だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「めっちゃ解りやすい...!」

 

感動だ。あんなに面倒くさかった証明がこんな簡単に書けるなんて。今までの俺にハイキックをぶちかましてやりたいよ。

 

「ねぇねぇ、あーちゃん!」

 

授業が終わり、感動していると、横から声をかけられる。

 

振り向くと、橙髪のゆるふわ女子が笑顔で話しかけてきていた。

 

 

倉橋 陽菜乃。

 

この学校での数少ない知り合いの一人で、小学校が同じで親友、と呼べる間柄である。

 

 

「ああ、陽菜乃か。殺せんせーの授業がわかりやすくてな」

 

そう答えると、陽菜乃が目を輝かせる。

 

「だよね!殺せんせーのお陰で成績どんどん上がっちゃうなー!」

 

と、陽菜乃が楽しげに話すが、ふととある疑問が浮かぶ。

ん?と俺が首をかしげると、陽菜乃は気がついたのか顔を青ざめる。

 

「陽菜乃。俺はお前が椚ヶ丘高校に行った後でも勉強を教えていたし、勉強するように言ったはずなんだが...?何故E組(ここ)にいる?」

 

あははーと乾いた笑い声を上げる陽菜乃。こいつ...勉強してなかったのか。

 

「まあまあ。倉橋さんと葵って知り合いなんだね」

 

カルマが助け舟を出す。チッ、陽菜乃との話は後にしよう。

小学校が一緒で仲がよかったと話すと急にカルマがニヤニヤし始めた。何だよ。

 

「いやぁ?なんでもないよ?」

 

はぁ。興が削がれたので席を立ち、このクラスのもう一人の知り合いの方へ歩いて行く。

 

「よぉ、竹林。お前もE組だったんだな」

 

「僕には君がE組だったことに意外性を感じるがね...葵」

 

 

竹林 孝太郎。

 

陽菜乃と同じく数少ない知り合いで、こいつとは以前友人に誘われて友人の友人である竹林とコミケに行った時にアニメの話で意気投合して、それからはよくアニメイトでグッズを購入している。

 

 

 

「君は何故E組に?」

 

ははは...と、今度は俺が乾いた笑いを出す番であった。

 

 

 

 

 

話したら着いてきていた陽菜乃やカルマも含めて爆笑してきやがった。

畜生。あとこっそり聞いてた殺せんせー。アンタも笑うな。教師としてどうなんだよ。

 

 

 

 

 

 

 



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第3話 体育の時間

 

 

「それでは授業を始める」

 

昼休みまでに何とかクラス全員との挨拶を済ませ、最後の授業。

教科は烏間先生担当の体育で、皆ジャージを着て外に出ている。

 

ん?そういえば何で殺せんせーではないんだ?

という疑問が浮かんだので近くにいた竹林に聞いてみると、殺せんせーの授業だと視覚分身を基本技術として要求されるとのこと。そりゃ烏丸先生にチェンジだわ。納得。

 

「先ずはナイフの素振りだ」

 

...というわけで、このE組の体育は、基本的に暗殺技術向上のための体術等の訓練を行うらしい。ナイフを八方向から正しく振るう訓練。ナイフ術の基礎の部分で、これを反復する。

 

1、2、3、4、と、掛け声にあわせてナイフを振るう。できるだけ鋭く、真っ直ぐに。正直体力には自信が無いが、基本を覚える作業は得意な方だ。

 

 

 

しばらくして、烏間先生との模擬戦闘が始まった。ペアを組んでもいいらしいが、俺は初めてなので実力を見ておきたいとのことで、1対1の試合となった。

 

 

「制限時間は3分。その間にナイフを当てれば勝ちだ」

 

なるほど。解りやすい。

 

「了解です。戦い方は自己流で構いませんか?」

 

ああ、との了承の言葉をもらえたので何人かからナイフを借りて2本取り出す。両方とも逆手に持ち、左足を前に出す。体を横に向け、姿勢を低くする。

 

 

 

――――

 

 

 

葵を見ていた前原が呟く。

 

「なんだあの構え...」

 

その言葉につられて何人かが葵の方へ視線を向けるが、集中しているようで葵の反応は無い。

 

「恐らく独学ですねぇ。それにしても無駄の無い、洗練されたスタイルです」

 

皆が振り向くと、殺せんせーがニヤニヤしながら続ける。

 

「アレは格闘術でよく使われる構え方です。例えばブルース・リーのジークンドー、漫画で言えば範馬刃牙の構え方に似ていますねぇ」

 

生徒達が殺せんせーの話を聞いていると葵が動き出す。

 

 

 

「シッ!!」

 

 

 

左手のナイフを振り抜く。烏間先生は体を逸らすことで避けるが、それを見越していた様に左手を引っ込めながら右手のナイフを下から上に振る。

が、それも後ろに少し下がることでそれを回避。

 

葵の慣れた動きに生徒から感心の声が上がるが殺せんせーがたしなめる。

 

「まだ藤原君の攻撃は終わっていませんよ?」

 

その言葉の瞬間、ナイフを上げきった葵が右足を前に出し、そのまま上げたナイフを烏間先生の胸に突き出す。

 

烏間先生はその手を払うことで躱す。

が、その次の瞬間大きく跳んで葵から距離をとった。

 

どうしてあんなに大きく下がったんだ...?そんな疑問は倉橋の言葉で氷解した。

 

「あっ!!あーちゃんの左手!」

 

皆が葵の左手に注目する。

 

「右手の攻撃に注目させている間に左手のナイフを持ち替える。マジックで使われるミスディレクションと同じ原理です...って聞いていますか皆さん!!」

 

殺せんせーの解説が入るが、模擬戦闘に見入っているようで誰も聞いていなかった。

 

 

 

 

――――

 

 

 

右手での攻撃はフェイク。それに注目させておいて左手のナイフを逆手から順手に持ち替えて攻撃。最悪掠るくらいはいけると思ったんだけれども...

 

「なかなか良い攻撃だったが、まだ甘い。もっとターゲットの動きを予測して動くように」

 

あんなに余裕を持って回避されるとは...自信がなくなってくる。

 

「じゃあちょいと反則臭いですが....ソラァッ!!」

 

持っていた2本のナイフを投げる。烏間先生は2本とも余裕の表情で避けきる。

 

「闇雲に投げただけでは当たらんぞ。相手の意表を....ッ!!」

 

ジャージのポケットから先程借りておいた残りのナイフを取り出す。今あるナイフの本数は10本。2本は出さずに残りの8本を投げつける。同時に。

広範囲に広がるナイフを烏間先生は大きく横に飛ぶことで回避。だがその行動は流石に読める。着地点にナイフを1本投げるが、指でナイフの刃を挟むことで止められる。

 

近付いて最後のナイフで攻撃を仕掛けようとするが、殺せんせーに止められる。

 

「3分経過です。残念ながら、烏間先生の勝ちですねぇ」

 

ニヤニヤしながら言うので、最後のナイフを殺せんせーに向けて投げるが、やっぱり余裕で躱された。畜生。

 

 

 

 

皆のところに戻ると、男子共に囲まれて質問攻めにあった。なんでそんな慣れた動きなのかだとか、動きの参考にした人とかいるのだとか。

 

あーはいはい、ピースピース、と適当に相手をしていると、後ろから触手で肩を叩かれる。

なんですかと返すと、

 

「藤原君は後で話があるので放課後残ってくださいね」

 

と言われた。嫌な予感がする。帰りたいなぁ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




戦闘描写って難しい。

あと葵は真剣白刃取りで当てたというのは納得いかないので殺せんせーが烏間先生の勝ちを宣言したことに納得しています。





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第4話 学力の時間

下校のチャイムも鳴り、生徒達がそれぞれ帰路に着く時間帯。帰っていく皆と別れ、一人職員室へ歩いて行く。

 

 

「殺せんせー、言われたとおり着ましたよっと」

 

失礼しますと一言。椅子に座ってなにかを書いていた黄色いタコがこちらに気づく。

 

「ああ、藤原君。これからテストを行うので、一回教室に行きましょう」

 

…え?テスト?

 

思ってもみなかった言葉に、戸惑いの声が思わず出てしまう。

 

「ええ。藤原君の学力の把握をしておくためです。残って貰うのは申し訳ありませんが」

 

だそうだ。まあこっちもいきなりE組に来たわけだし、そのくらいのことで怒ってもしょうがないだろう。ということで、気にしないように殺せんせーに伝えて、せんせーの後について教室に向かう。

 

「それにしても藤原君。今日は初めての暗殺教室でしたが、クラスの皆さんとは打ち解けられましたか?」

 

と、移動中に殺せんせーが聞いてくる。いやー、と頭を掻きながら返す。

 

「まあ、幼馴染や知り合いがいたことで多少は打ち解けられましたが、まだあまり話せていない人もいて...クラスに馴染むのにはまだ時間がかかりそうです」

 

ハハハーと苦笑いをして答えると、殺せんせーは顔に○の模様を浮かび上がらせながら微笑む。

 

「初日にしては上出来でしょう。まだ君の暗殺教室は始まったばかりです、ゆっくりと、君のペースで馴染んでいってください...っと。つきましたね。ではテストを始めるので席についてください」

 

はーい、と返事をして席に着くと、殺せんせーから一つ目のテストが配られる。って最初から英語か...苦手だ....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や、やっと終わった...」

 

空もすっかり赤に染まった頃、教室内に俺の疲れきった声が響く。だって休憩一教科につき5分だよ!?流石に疲れるって...

 

「お疲れ様です、藤原君。採点はしておくので、結果が知りたければ明日にでも先生に尋ねてくれば教えますが...」

 

「ああ、それは大丈夫です。まだ転校してきたばかりですし、自分の学力程度なら把握しているので」

 

本当はテストのミスを見ると若干憂鬱な気分になるから面倒くさい、というのが理由なのだが。

 

それから軽く殺せんせーと話してから帰らされた。殺せんせーから「もう外も暗くなるので先生が送りましょうか?」と聞いてきたが丁重にお断りしておく。嫌な予感がしたからな。こういうときの予感は大体当たる。たぶん送って貰わないのは正解だろう。

 

「では殺せんせー、また明日」

 

はい、また明日。と返して軽く手を振るせんせーを尻目に教室から出る。そういえばまだ俺って転校初日なのに色々と面倒くさい目に遭ってばかりじゃないかな...家帰ったら寝よ....

 

 

 

 

 

__

 

 

 

 

「ふむ...学力は高い方だと言ってもいいですが....」

 

葵が帰った後。殺せんせーは職員室で葵の受けたテストの採点をしていた。点数は中々に高く、普通に転入していればA組あたりには入れるだろうということがわかる。だが――――

 

(間違っている問題に暗記必須のものが多い。恐らく記憶することが苦手なのでしょう。しかしこれは...)

 

今殺せんせーの目の前にあるテストの科目は数学。点数、の文字の上に100という数字が赤で大きく書かれている。その解答欄は全て計算式で埋め尽くされ、殺せんせーがこっそり混ぜておいた高校生向けの問題も既存の知識のみで考えたのであろうテスト用紙の裏まで続く計算式の後、正しい答えが導かれている。

 

「恐らく頭がよく切れるのでしょう。これからの彼の暗殺が楽しみですねぇ....」

 

殺せんせーがそうつぶやいた瞬間。職員室に強い風が吹いた。その風が収まる頃には、もう職員室はもぬけの殻に...

 

「にゅやっ!...いけません、消灯をし忘れていました」

 

...今度こそ、暗くなった職員室には誰もいなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第5話 刃の時間

 

朝のHRの後、一時間目が始まろうとして教室がシンと静まり返った中、分身した殺せんせーが教壇に立つ。

 

 

「「「「「「さて、始めましょうか」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

――――――......何を?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「学校の中間テストォ?」

 

この椚ヶ丘中学校へ転校して数日、E組のクラスメイトの顔も覚えてきた頃、殺せんせーからテストが迫っていることを知らされる。そういえば転校して忙しかったから気づかなかったがもうそんな時期なのか。

 

俺の言葉に殺せんせーは頷き、テスト対策の説明に入る。どうやら分身を使ってのマンツーマンで行うらしい。ご丁寧に苦手強化が書いてある鉢巻を付けやがって。

ちなみに俺の苦手強化は英語だそうだ。だって単語覚えるの面倒くさいじゃん...

 

 

 

「何で俺だけNARUTOなんだよ!!」

 

「寺坂君は特別コースです。苦手科目が複数ありますからねぇ」

 

 

...どんまい寺坂。

 

 

 

 

 

 

「―――というわけでここはso thatとtoo toの書き換えなので...」

 

殺せんせーの教え方が良いお陰で、文法あたりは大体わかるようになってきた。あとは単語を覚えるのがなぁ...等と考えていると突然先生の顔が大きく歪む。うわなにそれ、怖っ。

 

「急に暗殺しないで下さいカルマ君!!それ避けると残像が全部乱れるんです!!」

 

意外と繊細なんだなこの分身...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「さらに頑張って増えてみました。さぁ、授業開始です」」」」」」」」

 

...中間テスト前日、分身の数が昨日の数倍に増えていた。増えすぎだろ!?なんか残像も雑になってきてるし怖いわ!!

 

それでも流石は殺せんせー。分身は雑でも教え方は丁寧である。というか一人に対して三人って威圧感やべぇな...

 

 

 

 

 

「ぜぇー.....ぜぇー.....ぜぇー.....」

 

このタコ教師、ガス欠である。汗だくで団扇と扇子を扇いでいる。

 

「…流石に相当疲れたみたいだな」と前原。

 

今なら殺れるかな、と呟く中村。さすがに無理じゃないかな...

 

「なんでここまで一生懸命に先生をすんのかね〜」と岡島がぼやく。まあ解らないでもないが、あんな一生懸命『先生』というものを楽しんでいるんだ。多分生徒が大切だからとか教えるのが好きだからだとかだろ――――

  

――――「.....ヌルフフフ、全ては君たちのテストの点を上げるためです。そうすれば...

『殺せんせ〜!!おかげでいい点取れたよ‼︎もう殺せんせーの授業無しじゃいられない‼︎殺すなんて出来ないよ‼︎』

『先生‼︎私達にも勉強を教えて❤︎』 

となって殺される危険も無くなり先生には良い事づくめ」――――

 

――――そんなこと無かった。ただのクソタコだった。タコの代表格である邪神様(クトゥルフ)を見習え。

 

...ってあれ?皆黙っちゃってる。ついにタコ教師に愛想が尽きた?それともまさか実際にそんなことになるとか思っちゃった系?.......まじで?

 

「....いや、勉強の方はそれなりでいいよな」

 

「...うん、なんたって暗殺すれば賞金百億だし」

 

「「「百億あれば成績悪くてもその後の人生バラ色だしさ」」」

 

さすがにそんなことは無かった。でも正直百億あればいいって考えは危険だよな。一気に大金を手に入れた人なんて大体がろくな人生送ってないって統計が出てるらしいし。

 

まあ百億円は欲しいけどな!!」

 

「声に出てるよあーちゃん...」

 

陽菜乃に白い目で見られた。どうやら声に出ていたらしい。と、それはともかくと先生の方へ目を向けると先生の声色が明らかに変わっていた。何かが先生の機嫌を損ねたらしい...?

 

近くにいたカルマに尋ねると皆は諦めているんだ、との返答がきた。諦めている?何を?なんとなく先生の方にいるやつらが暗い顔をしているような気がする。

 

「――――なるほど、よくわかりました。今の君達には...『暗殺者』の資格がありませんねぇ」

 

殺せんせーの顔に ×印が浮き出る。

 

「全員校庭へ出なさい。烏間先生とイリーナ先生も呼んで下さい」

 

召集をかけられて、俺達は校庭へ集合する。

校庭に着くと、先生は校庭にあるゴールを退かしていた。何をするつもりだのだろうか。そう思っていると先生が口を開く。

 

「イリーナ先生。プロの殺し屋として伺いますが、あなたはいつも仕事をする時...用意するプランは一つですか?」

 

聞かれたイリーナ先生は少し戸惑いながらも答える。

 

「...いいえ。本命のプランなんて思った通り行く事の方が少ないわ。不測の事態ぶ備えて...予備のプランをより綿密に作っておくのが暗殺の基本よ」

 

その答えに満足したのか、殺せんせーはイリーナ先生から視線を外し、烏間先生に質問を投げる。

 

「では次に烏間先生。ナイフ術を生徒に教える時...重要なのは第一撃だけですか?」

 

「.......第一撃は勿論最重要だが、次の動きも大切だ。強敵相手では第一撃は高確率でかわされる。その後の第二撃、第三撃を...いかに高精度で繰り出すかが勝敗を分ける」

 

「結局、何が言いたいん...

「先生方のおっしゃるように、自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる。対して君たちはどうでしょう?『俺らには暗殺があるからそれでいいや』...と考えて勉強の目標を低くしている。

―――それは劣等感の原因から目を背けているだけです」

 

殺せんせーが凄まじい速さで回転していく。

 

「もし先生がこの教室から逃げ去ったら?もし他の殺し屋が先に先生を殺したら?暗殺というよりどころを失った君達には、E組の劣等感しか残らない。...そんな危うい君達に、先生からの警告(アドバイス)です」

 

回転の勢いが増していき、次第に風を巻き起こしていく。バカな。そんなアホみたいな....

 

「第二の刃を持たざる者は...暗殺者を名乗る資格なし!!」

 

風は次第に大きくなり巨大な竜巻へと変わっていく。大きく砂埃が舞い上がり、前が見えなくなる。おもわず目を瞑り、手で顔を覆う。

 

 

殺せんせーが回転を止めた時、学校の校庭は、綺麗さっぱり平らになっていた。

 

 

 

「...校庭に雑草や凸凹が多かったのでね。少し手入れをしておきました。先生は地球を消せる超生物、この一帯を平らにするなど容易いことです。 

―――もしも君たちが自信を持てる第二の刃を示さなければ、相手に価する暗殺者はこの教室にはいないと見なし、校舎ごと平らにして先生は去ります」

 

...その宣告に俺ら生徒だけでなく、烏間先生やイリーナ先生も固唾を飲んで先生を見る。

 

「第二の刃...いつまでに?」

 

潮田が尋ねる。

 

「決まっています。明日です。明日の中間テスト、クラス全員五十位以内を取りなさい」

 

愕然とする。五十位!?俺とかカルマ以外の皆は成績が悪くてE組(ここ)に落とされたんだろ!?大丈夫なのか?

 

「君達の第二の刃は先生が既に育てています。仕事(ミッション)を成功させ、恥じることなく笑顔で胸を張るのです。自分達が暗殺者(アサシン)であり、E組であることに!!」

 

そう触手を広げて締めくくる。大丈夫かなぁ...?

 

 

 



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第6話 テストの時間

 

 

一学期中間テストの日。E組の生徒達はいつもより一層厳しい面持ちで本校舎へと向かう。どうやら全校生徒が本校舎で受けなければいけないらしく、本校舎の教師が露骨に邪魔をしてくるらしいとはカルマが元E組の卒業生から聞いた談。ここでもまたE組差別かよ...そこまで徹底的に成績を下げたいのか。

 

と、本校舎に着きテストの教室に着くと、既に殆どの人が来ていたようで、扉近くに座っていた竹林が声をかけてきた。

 

「葵....少し遅いんじゃないかい?テスト開始まであと数分じゃないか」

 

「そうか?皆が早すぎるだけだと思うけどな。まあテスト頑張ろうぜ、後で映画でも行くか?fa○eのやつ」

 

「...余裕だね。50位以内なんて朝飯前ってとこかい?勿論行くけどね」

 

行くのかよ。少し棘のある言い方をする竹林に苦笑しながら言葉を返す。

 

「まあなるようになるさ。それにあの(タコ)のことだからどうせいなくなったりは...いや、なんでもない。ほら、本校舎の先生も来たみたいだし早く筆記用具の準備でもしてな」

 

「君が話しかけてきたんじゃないか...」

 

本校舎の先生が教室に入ってきたのを見て、呆れた目でこちらを見てくる竹林から離れ、そそくさと自分の席へと移動する。○ateは楽しみだけどまずはテストに集中しないとな。

 

 

 

 

 

 

 

―――――

 

 

 

...テストは本校舎で受ける決まりであり、僕らE組だけアウェーでの戦いになる。

 

 

 

〈コツコツコツコツ....〉

 

「ヴッヴン!ゲフンゲフン!」

 

 

一時間目のテスト担当である大野先生が教卓の椅子に座り、僕らを監視している。わざとらしく咳払いをしたり、指で机を叩いたり...明らかに僕達の集中を乱そうとしている。

 

「E組だからってカンニングなどするんじゃないぞ。俺達本校舎の教師がしっかり見張ってやるからな~」

 

...テストに集中しよう。

 

 

 

 

 

 

―――――

 

 

俺はテスト返却ではあまり期待しない方だと思う。正直テストの手ごたえでなんとなく点数はわかるし、もはや緊張や期待をしても遅い。つまり諦めている。だが、こんなでもこの椚ヶ丘中学校に転入できたんだ。学年50位くらいは余裕で入れる....はずなのだが.....

 

手ごたえが悪い。それもとてつもなく。普段ならわからない問題なんて一教科に多くて7、8問程度なのだが、今回は全ての教科がそれ(・・)だ。

 

俺でさえ。カルマ程、とまではいかないがこの教室ではトップクラスの俺でさえこの手ごたえ。それが意味することは.....

 

 

 

 

 

 

 

「.....これは一体どういう事でしょうか。公正さを著しく欠くと感じましたが」

 

烏間先生の厳しい声が教室に響く。誰と話しているかは解らないが話の内容的に本校舎の教員だろう。

教室はお通夜状態で、殺せんせーさえも黒板の方を向いて喋らない。

 

「.........伝達ミスなど覚えは無いし、そもそもどう考えても普通じゃない。テスト二日前に...出題範囲を全教科で大幅に変えるなんて」

 

どうやらテスト範囲が変わっていたらしい。E組の奴らは全く聞かされていなかった事実だ。

 

烏間先生が厳しい顔つきのまま電話を切る。抗議は受け付けられなかったらしい。

 

ふむ。....ここまでしてE組を地の底へ這い蹲らせたいか。転校初日に会ったきり、一度も顔を合わせていない理事長の顔が頭に浮かぶ。

 

 

 

「...先生の責任です。この学校の仕組みを甘く見すぎていたようです。...君達に顔向けできません」

 

いつもはイラっとくるくらいにおしゃべりな殺せんせーも今回ばかりは弱々しい。別に殺せんせーが悪いってわけじゃないだろうに。

 

そんなことを考えていると、後ろを向いている殺せんせーに向かって対先生ナイフが投擲される。...ああ、カルマか。

 

「にゅやッ!?」

「いいの~?顔向けできなかったら俺が殺しに来んのも見えないよ?」

 

驚きながら殺せんせーはナイフを回避し、カルマに怒り出す。

 

「カルマ君!!今先生は落ち込んで...!」

「俺問題変わっても関係無いし」

 

怒る殺せんせーを余所にカルマは教卓まで歩いていき、手に持っていた答案用紙を教卓の上に置く。....ッ!ここまでか...!

 

赤羽業。合計点数494点、186人中4位。

 

なんと学年4位。頭が良いことはこれまでの生活で知っていたがここまで点数をとってくるとは先生も予想外だったようで答案を見て固まっている。

 

「俺の成績にあわせてさ、あんたが余計な範囲まで教えたからだよ。

 

―――だけど、俺はE組(このくみ)出る気無いよ。前のクラス戻るより暗殺の方が全然楽しいし。ねぇ?葵」

 

げ。俺の方に振ってきやがった。学年4位の後に出すとか恥ずかしすぎるだろうが....!

 

「...まあ一応俺も50位以内には入っていますが。勿論E組を抜ける気はありません」

 

カルマの答案用紙の横に自分の答案を置く。こうして見比べるとやはり苦手教科での差がすごいな....

 

 

 

 

 

藤原葵。合計点数422点、186人中39位。

 

50位以内には入れたが、なかなかパッとしない順位に納まってしまった。

そのことに少し悲しんでいると、カルマが続けて先生に声をかける。

 

「...で、どーすんのそっちは?全員50位以内に入んなかったって言い訳つけてここから尻尾巻いて逃げちゃうの?」

 

殺せんせーが一瞬身動ぎする。

 

「それって結局さぁ...殺されんのが怖いだけなんじゃないの?」

 

あ、イラついてる。殺せんせーの額に青筋――――血管なのかコレ?―――が浮かび上がる...よし、俺も参加するか。ニヤニヤと自分ができる限り一番憎たらしい笑みを浮かべながら語りかける。

 

「そっか~。先生怖かったんだ、俺達に殺されちゃうのが。もしかして先生いつもドヤ顔でイキっておきながら実はビビリだったの?ごめんね~気づいてあげられなくて。怖いから逃げたいって正直に言ってくれればわかったんだけどな~」

 

ああ面白い。先生の顔がどんどん真赤にそまっていってるのをみてケタケタわらっていると何人かに引かれた気がする。解せぬ。

 

「.......にゅやーーーーッ!!!逃げるわけありません!!期末テストであいつらに倍返しでリベンジです!!」

 

チョロい....

 

 

 

 

テストの成績で言えば今回E組は惨敗したと言っていいだろう。

 

だが、それでも俺らはこのE組であることに心の中で胸を張った――――――

 

 

 

 

 




藤原葵

英語:68
国語:80
数学:98
理科:94
社会:82

総合:422,E組2位

赤羽業

英語:98
国語:98
数学:100
理科:99
社会:99

総合:494,E組1位


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第7話 旅行の時間

今更感がありますが基本的にこのSSの読者は既に暗殺教室の原作orアニメを見ていると判断し、登場人物やシステムの説明を細かくはしておりません。ご了承ください。


一学期の中間テストから数日。俺達は京都への修学旅行を前に心を躍らせていた。

 

「葵君!もう班決まった?」

 

脳内で小躍りしていると渚が話しかけてくる。

 

「んにゃ?まだ決まってないけど...」

 

「じゃあ一緒の班なろうよ」

 

ああ、と了承の意を示すと渚は笑顔になってもともと組んでたであろう面子へと歩いて行く。班員は....ふむ。渚にカルマ、杉野、神崎、それに茅野と奥田か。

 

潮田渚。

カルマと仲が良く、よく茅野と話しているのを見かける臆病な青髪。カルマと映画の話をしていたら目を輝かせて入ってきたから多分映画好き。あとよく厄介事に巻き込まれるから多分小説や漫画でいう主人公タイプ。

 

杉野友人。

渚と仲が良い野球好き黒髪。神崎が好きらしい(カルマ談)。

 

神崎有希子。

クラスのマドンナらしい黒髪女子。ふつくしい...!でもなんか闇深そう。

 

茅野カエデ。

渚と仲の良い緑髪女子。甘いものが好きで、偶に通学路途中のケーキ屋でバッタリ会う。プリンが好きらしい。

 

奥田愛美。

茅野と仲が良い黒髪おさげメガネ女子。理科が得意で、偶にカルマと怪しいことをしている。

 

班員を確認すると、俺も席から立ち上がり、渚達へと近付く。

 

「おっすカルマ。ご一緒させていただきますぜ」

 

「おー葵じゃん。了解ー。てか倉橋さんと一緒の班じゃなくてよかったんだ~?」

 

こいつ...ニヤニヤしながら言ってきてうぜぇ。

溜息を吐きながら答える。

 

「あのなカルマ。俺は陽菜乃と班が同じになってよい結果になった例がないんだよ...」

「へぇ、そりゃまた何で?」

 

「あいつと同じ班だと何故か俺が毎回班長格になるんだが...俺は時間の管理が苦手なんだよ!小学校最後の移動教室なんか遅刻するわ班員が物を落とすわそれはもう大変で大変で...」

 

あの時は辛かったなぁ...と感慨にふけているとカルマと渚が引き攣った笑みでこちらを見てくる。

 

「それは...ご愁傷様」

 

渚の励ましが浸みる.....

 

 

――――――――――

 

 

一先ず全員の班が決まり、皆で回る場所を決めていく。机をあわせてそれぞれが京都の観光誌やマップを広げる。なんか凄腕スナイパーが来て暗殺をするらしいからなるべく暗殺しやすい場所にしてとの事だが...

 

「まあ京都といったら神社だよねー。八坂神社とか?」

「伏見稲荷も有名だけどどっちも回るには距離が遠すぎるよね...」

「伏見稲荷は少し宿舎から遠いし歩き回らなきゃいけないんで八坂神社にしませんか...?」

「私もあまり歩きたくないなー。藤原君はどう思う?」

「zzz....ん?俺か?俺はこのパフェが食いたいな。特選都路里パフェ。前読んだ小説で紹介されててめっちゃ美味しそうなんだよね」

(寝てた...)

(しかも全然関係ないもの推してる...)

「...だよね!やっぱ甘いもの食べたいよね!よしそこ行こう!決まり!決定!」

「茅野!?...じゃあとりあえずこの甘味処は決定でいい?」

「俺は賛成。神崎さんも甘いもの食べたいよね」

「うん...私も賛成かな」

「じゃあ決定だねー。それじゃあ神社は甘味処から近い八坂神社にしようか」

 

 

 

 

とまあ暗殺のことなんて全く考えていない。そりゃそうだろう、なんたって最後の泊まり行事。楽しまない方が損であるだろう。え?寝てただろ?そんなはず....ナイナイ。

 

そんなこんなで盛り上がっていたところに、殺せんせーが大量の分厚い...なんだあれ、辞書か?をもって教室に入ってきた。

 

「一人一冊です」

 

そういって手渡されるが....おっも!六法全書かな?

 

「殺せんせーコレ何?めっちゃ重いんだけど!」

 

「修学旅行のしおりです。昨日徹夜で作りました」

 

頑張ってんなオイ!てかコレ持ってくのかよ...面倒くさ。

 

「――――殺せんせーなら京都まで1分で行けるっしょ?」

 

と、誰かが口にした。確かに殺せんせーの速さなら京都に行くなど朝飯前だろうに。

 

「もちろんです。ですが!移動と旅行は違います。皆で楽しみ、皆でハプニングに遭う。―――先生はね、君達と一緒に(・・・・・・)旅できるのが嬉しいのです」

 

...そう語る殺せんせーは心底嬉しそうで、それを聞く皆もどこかわくわくした面持ちだ。3-E、暗殺教室。きっと普通よりももっと盛り沢山で楽しい修学旅行になるだろう、と。

そう、感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 



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第8話 移動の時間

修学旅行初日。新幹線に乗るためにE組一同は東京駅に来ているのだが――――

 

「うわ...A組からD組まではグリーン車だぜ...」

「E組だけ普通車。いつもの感じね...」

 

どうやらここでもE組差別があるらしく、他クラスがグリーン車に乗り込んで行く中E組だけが普通車へと乗り込んで行く。いや差別しょっぼ。どうせ差別するなら他クラスだけ行き先海外にするなりやりよういくらでもあるだろうに....なんでそこに焦点をあてたんだ...

 

「こんなところでも違いがあるんだな、E組って」

 

そう呟くと、近くにいた...D組かな?の担任がドヤ顔で返す。

 

「うちの学校はそういう校則だからな。入学時に説明したろう?」

「えっ」

「えっ」

 

「...俺そんな話聞いてない...」

「...まああーちゃんは転入の上に詳しい説明聞く前にE組行きになっちゃったからしょうがないよね...」

 

なんということだ....と陽菜乃にフォローされながら嘆いていると、どうやらイリーナ先生が来たみたいで、他クラスの連中がざわついている。てかなんていうか...

 

「...服装完全に教師じゃないよね」

 

隣の陽菜乃もコクコクと頷いている。イリーナ先生は毛皮のコートに高級そうなサングラス、皮のブーツにニットキャップという服装である。オイ中学教師。

 

「ビッチ先生、なんだよそのハリウッドセレブみたいなカッコは...」

 

という木村の言葉にイリーナ先生はドヤ顔で答える。

 

木村正義

走るのが速い黒髪男。自分の名前が嫌いらしい。理由は知らん。

 

「フッフッフッフ!!女を駆使する暗殺者としては当然の心得よ。狙っている暗殺対象(ターゲット)にバカンスに誘われるって結構あるの。ダサいカッコで幻滅させたら折角のチャンスを逃しかねないじゃない?良い女は旅ファッションにこそ気を遣うのよ」

「そうなんですか...殺し屋の奥って深いですね(笑い声ドフラミンゴみたい...)」

 

はえー、そうなんだ。と適当に頷いている木村を見ていると、イリーナ先生に近付く鬼のような形相の謎の男....烏間先生じゃねぇか。多分結構キレてるよ...イリーナ先生ご愁傷様。烏間先生が話しかけてるのを尻目に陽菜乃と新幹線に乗り込む。はえー、思ったより広いんだな。

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

いくら普通車といってもさすがは椚ヶ丘といえばいいのか、その一車両E組が使うことになっていた。

勿論車両内はどんちゃん騒ぎで、俺も班員達とUNOやトランプで騒いでいる。

 

「よっしゃアガリー」

「え?マジで?カルマまーた一抜けかよ」

「カルマ君こういうのは得意だからね...」

 

現在はカルマの圧勝である。と、そろそろかな...?

 

「なあカルマ?そろそろUNOやトランプも飽きてきた頃合なんじゃないか?」

「えー?まあこんだけ圧勝してたらねぇ。皆も毎回同じような順位だし」

「だろ?それで提案なんだが... T R P G っ て 、 知 っ て る ?」

 

こんなときのためにルールブックとダイスを持ってきてるんだよォ!

 

 

 

――――

 

「あーちゃんそれ沼だから!!!」

「どしたの陽菜乃いきなり...」

「え?いやなんでも....」

 

――――

 

 

「TRPGっておもしろいね!」

「うん...でもクトゥルフはもういいかな...重いし」

「え?そうかな...面白かったよね、杉野君」

「ああ...てか神崎さんRP凄い手馴れてた気がするんだけどなn「このシノビガミってのはどういうものなんですか、藤原君」

「ああ、シノビガミ?じゃあまずはキャラ作成の説明から――――

 

...よしよし、皆良い感じにTRPGの良さを解ってきたな......

 

 

「ね、皆の飲み物買ってくるけど何飲みたい?」

「あ、私も行きます!」

「私も!」

 

「じゃあ俺かぼちゃ煮オレでお願いー」

「僕はコーラで」

「俺は麦茶かな」

「じゃあ俺プリンシェイクでお願いするわ」

 

 

....そういえばイリーナ先生はどうなったんだろうか、と思い教員の席を見てみると寝巻き姿で烏間にちょっかいをかけるイリーナ先生の姿が見えた。

ああ、大方おこ烏間先生に地味な服にされた腹いせなんだろうな...烏間先生ドンマイ。殺せんせーはなんか陽菜乃の班と黒ひげ危機一髪をして...ない。なんだアレ、殺せんせーの人形がタルの中に入れられてる。顔もなんかうざってえな...

 

そんなことを考えていると飲み物調達女子ーズが戻ってくる。よし、プリンシェイクを飲んだら改めてシノビガミをするとしますか!!

 

 

 

―――このプリンシェイクはプリンとカラメルの二層構造になっていて、振ることでプリンがクラッシュされ、カラメル部分と混ざることで飲むスイーツになるという代物だ。缶の口が広く、飲みやすくなっているのも好印象だな。味はあっさりしていてガッツリ甘いものが飲みたいときには物足りないが、簡単な糖分補給がしたい場合にはお勧めだ。なお、この飲み物は振る回数、強さによってプリンの大きさが変わるため振り過ぎは注意だ。お勧めは軽めに6~7回振ることだ。少し大きめに崩れるから結構贅沢な感覚で飲めるぞ」

「葵君!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで修学旅行一日目が過ぎて行く.....

 

 

 

 

 

 

 

 



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第9話 観光の時間

新幹線とバスを乗り継ぎ、日が暮れてきたころ。E組一同は宿舎である旅館に到着した。...酔いでグロッキーな殺せんせーを連れて。

 

 

「...一日目で既に瀕死なんだけど」

「新幹線とバスでグロッキーとは...」

 

と、旅館のソファーにグッタリと座り込む殺せんせーに思わず声を出す片岡と三村。

 

まったく殺せんせーは...と、それを尻目に自分の荷物を整理していると、なにやら困った様子の茅野と神崎の姿が目に入る。

 

尋ねるとどうやら神崎が修学旅行のしおりの内容をまとめた日程表を失くしてしまったらしい。

 

「神崎さんは真面目ですからねぇ。独自に内容をまとめていたとは感心です。...でもご安心を!先生手作りのしおりを持てば全て安心!」

 

とかなんとか殺せんせーはフォローしているが(フォローになってない)、それでも神崎の表情は浮かないままだ。

 

「確かにバッグに入れてたのに...どこかで落としちゃったのかなぁ...」

 

...まあ失くしちゃったものは仕方がないし、切り替えていこうぜ。

 

 

―――まあそんなこんなで一日目が終了した。

 

 

 

 

 

 

そして色々と大変だった二日目に入る――――

 

 

...修学旅行二日目。今日は班で自由に散策する日である....のだが.....

 

「京都に来たときくらい暗殺のこと忘れたかったよなー」

 

と愚痴を零す杉野に激しく同意する。今日、そして明日の班別行動では、それぞれの日に一度殺せんせーと観光場所を回るときがあり、そこで国が用意したスナイパーが暗殺を決行する...という計画らしい。

時間が惜しい今は修学旅行にも暗殺を組み込まなければいけないというのは解るのだが....解るのだが.....!

 

「折角の観光なんだからのんびりゆっくり回りたかったなぁ...!」

「そうだよなぁ!いい景色じゃんここらも。暗殺には縁の無い場所でさぁ」

 

と、思わず漏らした俺の呟きに同意する杉野。が、それは違うぞ杉野よ。そうでもないよ、と前を歩いていた渚が話に参加してくる。

どうやらこの先に何かがあるらしく、全員でその方へ進んでいくと、コンビニの前に何かが書かれている石碑を発見した。ってこれは...

 

「坂本龍馬...って、あの?」

 

奥田が驚き、カルマが説明をする。

 

「1867年、龍馬暗殺。『近江屋』の跡地ね」

 

いつの間にか開いたしおりを持って渚が得意気に話を続ける。

 

「さらに、歩いてすぐの距離に本能寺もあるよ。...当時と場所は少しズレてるけど」

 

「このわずか1kmぐらいの範囲の中でも、ものすごいビッグネームが暗殺されてる。知名度が低い暗殺も含めればまさに数知れず―――――――ずっと日本の中心だったこの街は...暗殺の聖地でもあるんだ」

 

「有名な人斬りである岡田以蔵等も、この京都の地で暗殺を行っている。つまり京都は暗殺にあふれている!すごい!」

「葵君...?」

 

あ、悪い悪い。とジト目でこちらを見てくる渚に謝っていると、杉野が納得したように声を上げる。

 

「...なるほどな~。言われてみればこりゃ立派な暗殺旅行だ」

 

...まあそれはそれとしてのんびり観光したかった...!

 

「もう諦めなよー」

 

嫌だ!

 

 

 

 

 

 

その後、渚一行は八坂神社を観光した後に甘味処に行き、パフェを食べて茅野と俺のテンションは最高潮にあった。

 

...自由観光の時間も後半を迎え、もう少しで殺せんせーがこちらの班にまわってくる刻である。

 

この後の予定としてはとりあえず暗殺場所の下見であり、そこのコースを決めた神崎に皆でついていく。どうやら祇園の奥の方へ進んでいくらしい。

 

奥へ入り、あっという間に静かになっていく街並みを見て茅野が感嘆の声を上げ、神崎に話しかける。

 

「へー。祇園って奥に入るとこんなに人気が無いんだ!」

「うん。一見さんお断りの店ばかりだから、目的も無くフラッと来る人もいないし、見通しがよい必要もない。...だから私の希望コースにしてみたの。暗殺にピッタリなんじゃないかって」

 

さすが神崎。確かにここなら人の目も少ないし、暗殺には絶好の場所だな...入り組んでいることで狙撃もしやすそうだし。本当に――――

 

 

 

「うってつけだ。なんでこんな拉致りやすい場所歩くかねぇ?」

「.....え...?」

 

背後から掛けられた声に気づき振り向くと、大柄な男が三人、こちらに近付いて来ていた。

見るからに不良っぽい服装、黒い学ランにアホそうな顔。...大方どっかの高校の修学旅行生か。

 

「...何、お兄さんら?観光が目的っぽく無いんだけど」

「オイオイオイオイオイ、どう見てもロリコンの変態野郎にしか見えないだろう?まあ見るからに仲良しこよししたいって話しかけたわけじゃあなさそうだしな...」

 

カルマが尋ねるのに重ねて煽りを挟んでいく。これで本当に仲良しこよししたいとかだったら恥ずかしいが恐らく...

 

「ッああ!?野郎に用はネェンだよ!黙って女置いてママのところに帰りやが....グハァ!?」

 

一番大きな男にカルマが蹴りを入れるのにあわせて傍にいたもう一人の不良の顎を蹴り上げる。

 

「ホラね渚君。目撃者いないとこならケンカしても問題ないっしょ」

「最悪烏間先生になんとかしてもらえばいいもんねー。国の力で」

 

「不穏だよ葵君!」

 

そのまま残る一人の鳩尾に肘鉄を食らわせてニッコリ笑って言えば、渚に怒られた。

いいじゃん別に.....ッ!?

 

「そーだねぇ!」

 

ゴッ...という音が響き、後頭部に鈍い痛みが入る。突然の衝撃で眩む視界でなんとかカルマの方を見ると、脇道から現れた高校生がカルマを後ろから殴っているのが見えた。....クソがッ!まだいたのかよ!?

 

「ホント隠れやすいなココ。おい、女攫え」

 

カルマを殴ったリーダー格の男が俺の後ろにいるであろう他の高校生に指示をする。ッ皆がヤバイ!

 

「ダアアアアッ!」

 

最後の力を振り絞り、後ろにいたやつに噛み付く。が、そいつは少し怯んだだけで、ゴミを払うように俺は吹っ飛ばされる。

 

「葵君ッ!?」

「シブテェガキだな....まあいい。早く攫え」

 

....高校生達が渚と杉野を殴り、女子を連れ去っていく。...もう意識が.....なく......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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