ポケットモンスター 夢追う者と去る者2 (Blueクラーケン)
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俺達ポケモンは自由を得ているのか?

俺の名前はマサラタウンのサトシ。こいつは相棒のピカチュウ。ポケモンマスターを目指して旅を続けていた…はずだった。

 

「彼奴の名を口にするな!」

ピカチュウはニャースに向け、怒った口調で言ってしまう。

 

「そこまで怒る事はニャイだろ。ただミャーはジャリボーイのことが気にな「彼奴と俺は違う道を歩いた。そしてもう交わることもない」。」

 

ニャースは困惑しながら話を穏便にしようと努力したが、ピカチュウが言葉を遮った。

 

「おみゃーらに一体何が?」

ニャースが疑問を持つのは当然だろう。

ピカチュウとサトシは最高の相棒にしか見えてなかったからだ。

 

 

・・

・・・

・・・・

 

ピカチュウが飲んでるグラスの氷が割れ、それを合図に語り始める・

「きっかけは小さな出来事だったんだ」

 

~七年前~

「ここがカロス地方かあ。まだ見たことがないポケモンがいっぱいいるんだろうなあピカチュウ!」

 

あの頃の俺はただ、トレーナーでありモンスターボールに入ることを嫌っていた為、残りものとして存在していた。そしてオーキドのクソジジイに捕獲されたことを呪っていた。そんな毎日を脱してくれた恩があってこそ、今まで俺は共に旅を続けることができてたんだ。

 

 

だが

 

「俺はゲッコウガになる!」

カロス地方の言い伝えであった『キズナ現象』。最初はただの嫉妬だったのかもしれない、それは発動条件であるトレーナーとポケモンの信頼関係やポケモン自身の潜在能力などが相まって稀に発動するものだと聞く。

 

確かにあの忍者の強さは戦慄を覚えるが、俺にも資格があるはずだ。ライチュウに進化できるから潜在能力もバッチリだ!

 

しかし現実は非常だった。そんな奇跡は訪れなかったのだ。

 

その時俺の心に、違和感を植え付けてしまった。

だからこそ一度、俺は彼奴の元から離れて心配するかどうか試したんだ。

 

「俺と彼奴の関係は友達止まりだったのか」

 

離れて三日が経っても俺を探しにも来てくれなかった。可笑しいと思って、彼奴が泊まっているホテルを覗きに行ったんだ。

 

「・・・・」

 

俺の目に映った光景は、無邪気にポケモンバトルを楽しんでいた青年はどこにもいなかった。

そこにいたのは…ただの人間の雄と雌が交尾している姿だった。

 

「俺とピカチュウは友達だ!!」

 

そうか。俺と彼奴は友達であっても家族には成れなかったんだな。

 

…俺の歩んできた物は所詮、人間に懐くペット位の存在だったんだな。

 

~現在~

 

「そして、今に至る」

ピカチュウは信じていた者に裏切られて、今の地位を確立した。

 

「そうだったニャー。ジャリボーイの奴が非情な奴だったニャンて」

昔話を聞いている過程で酔いが覚めたらしい。

今は日本酒をベースにした蜂蜜のホットカクテルを堪能している。

 

「だからこそ野良ポケモンを集めて島を買い取った。ポケモンの為の理想郷を俺は手にすると決めたからだ」

その言葉と決意が伝わってきた。

 

「おみゃーが政治界で革命的な法案である、人権を元に政策したポケモン憲法。

『ポケモンが人と対等になり、真の自由を得るための憲法』の演説は今でも覚えるニャスよ」

 

世界各国有数の大統領の前にして淡々と話し、ニャースもその隣で翻訳するのはさすがに骨を折った。

今ではピカチュウに特例扱いされ、言語を翻訳する首飾り(ニャース監修)を身に着けた。その後、環境問題などを着手するに至る

 

「人間は自分が思っている以上に、自然に対して関心が少ないんだ。科学が進歩しすぎて己の身を破滅する時にやっと気付くんだ。『自分達がいかに愚かだった』ってことが」

ピカチュウはそういいながら悲しい目をしていた。自分がこれまでどれほど無知だったことに

 

「にゃー確かに、ニャースも人間の言語を覚えていくにつれて、違和感を覚えていたことがあったニャス」

そういってビニール袋から、ポケモン御用達のフードをテーブルを置いた。

 

「これが一般のポケモン達が一生食事をするたった一つの食べ物ニャー。人は色んな食べ物があるにょに、ポケモン達にはない。それ一つしか食べられないかの様な風習になってしまったニャス」

ピカチュウとニャースなどの一部のポケモンは、シチューなどの人間の食べ物を食したことがある。だからこそ一般のフードより上手い、特製フードを食べたもの達は理解できるであろう。

 

人とポケモンが食べている食べ物の上手さの格差を…

 

「人間全てが悪い人だけでないことはわかっている。だから旅をしていた頃、世話になった人に援助を行ったりもしているさ」

 

ピカチュウは「全ての人間に絶望したわけじゃない」と言った。

ニャースもbarのマスターも安心した。

 

まあ

 

「ソーーナンッス」

奴だけどね。

 

「!…なんでソーナンスがバーテンダーやっているんだ。しかも妙に様になっているのが腹立つ!」

ピカチュウは驚きつつもニャースに尋ねる。

 

「それはニャー簡単ニャー。ソーナンスは色んな会社を買収して、その手で不死鳥の様に甦させる、大型合併会社の社長だからニャー。今では神の経営者、別名『会社の再建者』として名を馳せているニャー」

 

マジか!と驚いているピカチュウに対して更に

 

「みゃーらには言ってなかったが、実はムサシ達とコンビ組んでいる時の作戦とか立案は、ぜーんぶソーナンスの指示だったニャース」

 

ピカチュウが手に持っていたグラスが離れ、地面にキッスする形で割れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




私自身、ブラック以降のポケモン作品には手を付けて無い為主にアドバンスやダイヤモンドパールシリーズをプレイした時を「今にしてみれば」という感じに疑問だったものを自分なりに解釈をしていきながら書き上げてみようと思います。


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悪の組織も時代の流れには逆らえない

ピカチュウの口からサトシとの決別の話を口にした後、ニャースの口からロケット団の内部事情について語りだす。


ロケット団の意外な事情を聞いて、思わずグラスがピカチュウの手から離れてしまった。

 

「ロケットコンツェルンCEOが倒産したって聞いたが、本当なのか?」

ピカチュウはここぞに言わんばかりに、自分を捕獲しようとしていた組織に在籍していたニャースに聞いてみた。

 

「それがニャー。実はというとうち等の組織ってカントー地方まあ、今では田舎だけどそこに拠点を置いていたんにょ」

確かにピカチュウの記憶でも、カントー地方が最初の出会いだったなと思い出す。

 

「実際。おみゃーらが別の地方に向かうのも、ニャース達が請け負っていたんだにゃ。 その度にサカキ様の命令で、ロケット団の支部を作りつつ追ってたんにゃ」

「今だからこんなこと言えるニャス」と、ピカチュウに迷惑をかけたニャスと一言詫びをいれた

 

「最初の頃は何とも無かったけれど、うちらの他にも悪の組織が有りすぎたり、時代が進むにつれて新しい地方に人が集まり続けたその結果。経営難に陥る前に見切りをつけたニャス」

サカキ様は先を見通す事が出来たから、こその神業ニャース

 

実際、部下達の退職金や次の転職先も提供したそうだ。

 

「サカキ、本当に悪の組織のボスかよ」

 

ピカチュウは頷きながらも、昨日のニュースを思い出していた。

(マグマ団とアクア団が経営赤字で、書類送検の末に捕まったのはそういうことか)

 

「今はNという青年が裏の世界のカリスマとして君臨していると聞いているニャス。まあ、うちらにゃもう関係のない話にゃけど」

 

ニャースはマンハッタンを口にしながら「今ではその男に惚れた若者が彼の元に集い、成長し続けている組織ニャス。時代は変わったニャスネ~」

 

「ああそうだ。サカキは結局どうなったんだ?」

ピカチュウはそれとなくロケット団のボスの現状を、聞き出そうとした。

影から自分を狙われたら面倒だからね

 

「うにゃー、ちょっと待っててくれニャス」

ゴソゴソとニャースが懐からスマートフォンを取り出し

 

「ホレ、今はこうなっているニャス」

「どれどれ」

其処にいたのは若かれしサカキが椅子に座り、その膝にペルシアが心地良さそうに寝ている写真だった。

 

「ニャース。これは違くないか?」

ニャースは慌てて「ま、間違ってしまったニャス。」

とスワイプして「こ、これニョス」舌を噛みながら見せてくれた。

 

「…は?」

 

其処には前の写真と構図は変わってなかったが、椅子にはニャースとペルシアが仲良さそうに頬をすりながら、多分息子とじゃれあっていた。

 

そして

 

その椅子の後ろに家政婦の格好をしている…サカキの姿があった。

 

「この間に何があったー!!」

動揺を隠せなかった。あまり対峙したことはなかったが、少なくてももっと威厳はあったはずなのに

 

「何でこいつ(サカキ)いい笑顔して、写真に写っていんだよ」

その写真のサカキは、満面の笑みを浮かべていた

 

「サカキは今じゃあ、ニャーの専属家政婦として大活躍中だニャー」

 

「ソーナンス」

ソーナンスも事情も知っていたらしく、どうやら仕事を紹介したらしい。

 

「いやニャー、悪のボスで独身だから、掃除のテクニックがあって本当に助かったニャス」

ニャース曰く「洗剤といえどメーカーによって多種多様、色んな物を使わず掃除を語るなど言語道断!」

「毎日同じ所を吐き掃除を無駄と申す者は、今すぐ1から出直せ。もしくは俺直々に指導してやる」

 

「…悪の親玉も大変やね」「ソ~~ナンス」

ピカチュウの精一杯のセリフだった

 




サカキさんは実際、(この世界線では)家事などに興味を持っていて解散した後に学び今の職業家政婦にたどり着いた。

正直なんでこんな設定になったかとと言われても俺も知らん


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人生の二文字は男女がお互いに支えあい始めて人になると私は考える

サトシとの決別の話、ロケット団のボス・サカキが家政婦にジョブチェンジ。
ピカチュウとニャース、次はどちらからとんでもない話になるのか・・・・

そしてあの少年は・・・・


「…悪の親玉も大変やね」

ピカチュウの精一杯の言葉だった

 

「サカキも『これは私の第二の天職だ!!』と毎日、生き生きしながら励んでいるニャス」

もしかしたらだけど、最初はノリノリで悪の親玉をしていたのかもしれない。

けど、次第に彼は疲れ始めていたのかも知れないなと悟るピカチュウ

 

「そう言えば、ジャリボーイ2号やカスミはどうしているニャスか?」

どうやら始まりの地。カントー地方の仲間が今どうしているのか聞きたかったニャスとニャースが言う

 

「タケシは、今ではポケモンの栄養管理人としてほぼ毎日講演会を実施。予約しても三年は待たなくちゃいけない」

一緒に旅を共にしてくれたのは、俺の一生の自慢であり誇りだ。

 

追記しておくと、タケシは孤児の子供達を育てる施設「All people are equal」を設立。更にはタケシプロデュースのポケモンシチューなど、ポケモン専用の食品を開発に着手。その功績は世界に認められ、ノーベル平和賞を最年少で取得する快挙を起こした。

 

「タケシは元々、俺達の栄養バランスを個々で見てくれた優しい人間だった。

あの男が賞を受け取って当然だ」「ソーナンス」

そんなタケシに、三人は敬意を込めて乾杯した。

 

「でも、彼は美人に見境なしに口説いてしまう欠点があるニャア。そこさえなければ完璧ニャニョに」

ピカチュウも苦笑しながら「確かにな」と呟く

 

でも

 

「でも、三年前にタケシ結婚しているんだよ」

「ニャニャニ!」「ソーナンス?」

 

「あ、相手は誰ニャス?めっちゃ美人なお姉さんニャスか?」

ニャースは驚きつつ、肝心の奥さんの容姿について気になっていた。

 

「いやあ、お世辞にも美人というわけではない。しかも年齢もさほど変わらないって言っていたよ。」

タケシは大の美人なお姉さんが大好きで、よくハルカやマサト、グレッグに止められていたっけ

 

「マジかニャス」

 

「ああ、俺も式に呼ばれて初めて見たよ。タケシを知っている仲間内からしたら不思議で仕方がなかった」

「ソーンナンス」

ソーナンスもお茶を飲みつつ、話を聞いてくれる

 

「だけど、彼奴が披露宴での話で理解したし、感動したよ」

 

「どんな事を話していたニャス?」

 

「ああ、それはな」

 

~三年前~

 

「え~この度、自分の結婚式に来ていただき感無量であります!」

周りにはカスミやシゲル、オーキドのクソジジイ。 ハルカなど、かつて交流のあった仲間たちが来てくれてた。

 

ただ一人マサラ人を除いて

 

「自分と旅を共にしたことのある仲間なら、「タケシが美人のお姉さんと結婚していないだとお」と驚いている人もいるかもしれません。確かに妻は世間一般からすれば美人というわけではございません。でも僕にとって誰よりも大切な人なんです。」

あのタケシが、ここまで大人になるとは思いも知らなかったよ。

 

「…一度だけ親父に自分の事について、相談したことがありました。」

 

「どうして自分に彼女がいないのだろうと。今にしてみれば美人に口説きすぎたのが原因だと、自覚し反省しています」

会場がシーンと静寂に包まれる。

 

「ですが、親父は母さんに指を指して「タケシ母さんは美人か?」って自分に問うんですよ。

自分は正直に「いや」と答えました。」

ゲンコツを食らってしまうと思ったと、タケシは思い返していた

 

「でも親父は、ただ「そうか」と納得していたんです。打たれる覚悟までしていたので、ちょっと不思議でした。でも親父は自分の両肩を両手でつかんでこう言ってきたのです」

 

「タケシ、世の中は美人じゃないとだめだというわけじゃねえ。結局は己自身が決めるんだ、周りは関係ない。

重要なのは容姿じゃない「『俺は、この人と共に歩んでいきたいと思う人と出会うかどうかだ』と」

その話を聞いている内に、すすりなくカスミや仲間が出始めた

 

「自分は『なんて偉大な父なのだろう』と尊敬しました。その言葉を胸に刻み、今隣にいる世界で一番大切な女性と結婚式を挙げることができました。これも旅をしていたからこそ得られた教訓です。最後に会場に来てくれた皆さま」

 

最後にタケシはマイクを強く握って

 

「皆、大好きだ」

座っていた皆が立ち上がり、男数人でタケシを胴上げする者や盛大に拍手する者。泣きじゃくんでいる者もいた。

この日は快晴で間違いなく世界の中心はここなのだろうと、錯覚してしまうほどの出来事だった

 

 

~回想終了~

 

「まさかジャリボーイ2号が、大人に成長したニャスねえ。なんか涙が出てきたニャス」

「ソ、ソーナンス」

ソーナンスとニャースは聞いている内に涙が出てしまっていた。ピカチュウも思い出し泣きをして、涙を拭いている。

 

「タケシが嘆いていたんだけど。奥さんがポケモンドクターとしてポケモンの命を救う仕事柄、中々夫婦二人のプライベートの時間が作れないってさ」

仕事の合間を縫って、タケシが奥さんに愛情弁当を病院に持ってきた事があってさ。その時は流石の奥さんも顔真っ赤になったって。けど嬉しかったんだろうな、思わず勤務先でタケシを抱きしめたらしい。

 

その後、仕事仲間からからかわれたらしいけどな。

 

「夫婦円満はいい事だ。いい仕事をするには、人生共に歩んでいけるパートナーが必要だと俺は思う」

ピカチュウも酔ってきたのか、顔がほんのり赤くなっているのが分かった。

 

「カスミもあの頃よりスタイル抜群になって、まさかシゲルと付き合っていたなんて思いもしなかったけどな」

短髪だった髪型が長髪になって(大人になったなあ)としみじみ思った

 

「人間はいつの間にか、ニャーたちが思っている以上に代わっていくニャス。いつでも子供扱いじゃないってことニャー」

どこか悲しい口調のニャース。ピカチュウも理解できていた、誰だって同じ姿であるわけではない

でもだからこそ人生は面白いともいえるがね

 

「そろそろ夜が明けるな」

もう朝日が昇る時間になってしまった

 

「そうニャスねえ」

ニャースはもっとピカチュウともっと話がしたい、けど楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった

 

「そうニャス!」

そういってソーナンスに酒を注文する

 

なぜ耳打ちしているんだと思ったが、すぐに品が来た為ニャースが何を注文したのかが直ぐに分かった

 

「…テキーラサンライズか」

 

「ソ~~ナンス」

朝日が昇るという意味を持つ酒だ

 

「これ飲んでまた次会える日まで、お互いに頑張るニャス」

ニャースなりの今日の締めだろう。ピカチュウもその気遣いに感謝をしつつ

 

「「乾杯」」「ソオオオオナンス」

 

次は旅の仲間たちと一緒に飲みたいと思う、ピカチュウたちであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~同時刻 マサラタウンにて~

 

「うそだあああああ」

そこにはポケモンマスターを目指していた青年が、更地になった自分の家があった場所で落胆していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こちらの世界線のタケシの兄弟は血のつながったものとします。(小説版の設定が重すぎるんじゃあ)

実はこの結婚式にはムサシとコジロウもいたのですが、贈る言葉が見つ駆らなかったのと変装をしてきていたため誰も気づく人はいませんでした。
ただジャリボーイ2号に誰よりも盛大な拍手をしたのはこの二人でした。

一方ニャースは翻訳本の取材で色んな地方を渡り歩いていたため知らなかったということになっております。


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正しい道があるとしたら、誰が教えてくれるんだい?

ピカチュウとニャース、ソーナンスで乾杯していた頃。
マサラ人は不幸の渦中にいるのであった


俺はマサラタウン出身のサトシ、相棒のピカチュウ。

ちょっと喧嘩していなくなっていたけど、直ぐに見つけて仲直りしたぜ

 

今はアローラ地方でZワザを覚えてるために、奮闘中…

 

 

 

「うそだあぁぁぁぁ」

そこにはポケモンマスターを目指していた青年が更地になった自分の家があった場所で落胆していた。

 

 

~サトシ編 「人間地獄」~

 

~時は少し前に遡る~

 

 

今俺は一度実家に行って、英気を養うため帰ってきたのだが

 

「カントー地方もすっかり寂れちゃったなぁ」

今問題となっている古い地方の若者離れが増加の一手となっている。

カントー地方は一番最初に訪れる地方であったがため、他の地方よりも廃れている

 

「交通の便も自転車で成り立っていたなんて今の若いトレーナからしたらドン引きされること間違いなしだ」

そういいながら、マサラタウンに向かうため森を進む

 

「至る所にアリアドスの巣があるじゃないか、だから過疎化していくんだよ」

ぺっぺと顔に引っ付く蜘蛛の糸を吐き捨てながら目的地であるマサラタウンにたどり着いた

 

「うわぁ。もうほとんどの家が売却の看板になっているんやが」

週刊雑誌「君このタウンに住みたいと思う?」の雑誌に「ヤダ・ムリ・キチク」の三冠を獲得したマサラタウンだ

高度成長を見せるニビシティなんて今では土地の販売価格がかつての150倍になる異例づくしで、カントー地方の唯一の観光地なんて言われている

 

「ハナダシティは別の意味での有名になってしまったし」

ミラクルサイクルという名のぼったくり自転車。価格は100万円もしたため買うことはなかったのだが

詐欺容疑の疑いで経営者が逮捕。そしてその自転車屋も廃業となった。

 

 

「だからこそ、詐欺シ(師)ティなんて言われる始末。」

その恩恵?とゴールデンボールブリッジも金玉橋の呼び名が主流になってしまい風評被害の都市として観光客が来る皮肉な都市になった

 

オーキド博士も「最近は日当たりでお茶を飲みつつもりのヨウカンを食べるのが何より幸せじゃあ」と、

ポケモン博士から隠居爺さんになっちゃったらなあ

 

「先にオーキド博士の処に行ってお年玉貰いに行こうかな、もうそろそろ寿命も尽きるだろうし遺産も

俺の元にくるだろ多分」

血のつながらない孫みたいなものだ、血の通ったものこそ家族なんて幻想は現実という名のゴミ箱にすてな

 

「オーキド博士、こんにちは。今日も日陰で光合成してますか?」

合鍵で侵入…もといお邪魔してみると家の中は埃でいっぱいだ

 

「遂に家政婦呼ぶ金も無くなってしまったか、畜生…新しい地方の遠征代(お小遣い)もらう計画がパーじゃないか」

こうなればガサ入れ兼質屋に売るものでも見ておくか

 

財布(名称オーキド博士)が不在の中、サトシとピカチュうは博士の研究データや目ぼしい物をバックに入れて

(まあ、これでお年玉分くらいにはなるだろ)と満面の笑みを浮かべたサトシ

 

「あれ、仏壇か?」

サトシがまだガサ入れをしていなかった襖の部屋に入るとそこには誰かの仏壇があった。

 

「オーキドの爺さん、奥さんがいたのか?」

もう何十年の付き合いになるが、そんな話は聞いたことがなかった。

もしかしたらその奥さんの生命保険の金が俺の仕送りに流れていると流石に気が引けた

 

「…線香をあげるか」

微かに残った良心に従い、リンを鳴らすため遺影が見える位置に移動すると

 

「…なんでオーキド博士の遺影なんだ?」

そこにあったのは奥さんのものでもなくオーキド博士の遺影だった。やっぱりあの人は独身貴族だった。安心したぜ

 

・・・・/

 

「!?」

 

(今玄関の方から音がした)

まさかとは思うがこんな辺境の町にコソ泥が来たのだろう。なんということだ、ここに残ったオーキドの遺産を取る気だな。恥を知れ

 

「これは俺の物だ!! 誰にも渡さん!!」

コソ泥は悪人のすることだ。俺がやっているのはただの無償の商品回収だ。無論利益は全て俺に行くに決まっているだろ。死んでしまったオーキドには悪いが金というものは生きている者にこそふさわしいものだ(力説)

 

「ピカチュう、もし泥棒だったら加減はいらん。遠慮なく10万ボルトを浴びせろ」

相棒のピカチュウはそれに頷く

 

「…しかし、たった三日間の間に浮かぶようになるなんてなぁ」

ポケモンは日々進化するから多分俺のピカチュウもその類だろうと考える

 

「それより玄関にいる人は誰なんだろう?」

こちらから覗き込んだ感じ若くはない50代当たりか、これなら制圧は問題ないなと安心する。

 

「おーいそこにいるのはもしかして

         サトシという青年かぁかぁー」

玄関先から俺の名を呼ぶ…どうやらコソ泥ではなさそうだ。安心安心。

 

玄関にたどり着き、開けると

「はい、サトシは僕ですけど…お坊さんでしたか」

この世界でシオンタウンが唯一、ポケモンを供養する為の町としている。

 

逆に人間を供養する町であるフジタウンがある。

このお坊さんはそこのご住職なのだが若かれし頃にオーキド博士に出会い度々、この町に来てはオーキドの墓にお参りしに来てくれていた

 

「オーキドさんが孫の様に思っている少年がいたのを聞いてな。是非一度会って話がしたかったんじゃ」

 

「…オーキド博士が」

ここ最近は連絡していなくて俺の中では人の形をしたATMなんて思っててごめんよ

 

「幸いと言っていいかは分からぬが、オーキドさんの墓はこの町を一望できる崖に作った。先ずはそこに案内しよう」

 

一望出来るからといって崖に墓を建てるなんて、ファンキーじいちゃんだったのか。

 

…いや一度こんなことを言ってたな

「人生楽しく生きるコツはな。

人生という名の道をノーブレーキで進むことでじゃ。

生死を行ったり来たりするスリルを味わうことができて最高じゃ」と

 

今思うと、ファンキーじいちゃんでした。

               オーキド博士は!

そんな事を思い出しながら崖に着いた

 

「ここがオーキド博士の墓…か」

一年ほど前に老衰により息を引き取ったとのこと

最後は色んな地方のポケモンに看取られながらお亡くなりになったそうだ

 

でも

 

 

「それ、俺が送ったポケモン達じゃねぇかよぉ」

オーキド博士が生涯捕まえたポケモンはヒトカゲ、ゼニガメ、フシキダネだけだった。

ピカチュウは若かれし頃にサバイバルをしていた経験での自然を用いた罠によって捕獲したとのこと

 

「俺がポケモンマスターになるまでは元気でいるって約束したのによぉ」

オーキド博士の墓で涙ぐみながら合掌をする。

 

「サトシさんや、天国でオーキドさんはアンタを見守っているよきっと。」

お坊さんはサトシを励ます。出会って間もないのに優しく励まそうとしてくれる。

 

「また今度、違うポケモンをつれてくるよ。」

涙を袖で粗っぽく拭きながら、サトシはオーキド博士の墓を後に自宅に向かった

 

お坊さんは途中で帰路で別れた。最後にオーキド博士の遺書と思わしき物を貰い、お坊さんからは「…お経をかける」と言い、簡易的だったがお経を読んでくれた。多分お坊さんなりの「旅の無事を祈る」的なやつなのだろう。

 

さて

 

帰るか

 

 

~現在に至る~

 

「俺が送ったポケモン達もすべて、跡形も無くっている。…何コレもう十数年間の旅にして前途多難すぎね?」

 

「…まさか!」

オーキドの遺書を見てみると

「拝啓 サドルへ

元気にポケモンバトルしていますか。これを見ているということはワシはもうこの世から去っている事でしょう。」

どうならオーキド博士は自分の死期が近いという事を知っててこれを書いていたのだろう。

 

しかしボケが進行しすぎて、俺の名前が自転車部品に改名しているんだが、この際気にしないでおこう。

 

「サドルがポケモンマスターに成る日を待ち遠しく思っていましたが、身体が言うことを聞いてはくれませんでした。こんなじいちゃんを許してくれ」

 

もう会うことも叶わぬ者からの謝罪。

「俺の方こそ、あんまり帰って来れなくてごめんよ。」

 

もっと早く帰ってきていれば…なんて事を考えていても時は戻らない。

 

「家族がいなかったワシにとって、サドルは孫の様な存在でした。ありがとう…そしてさようなら。」

 

「……/」

不幸中の幸いと言うのであろうか、ここが辺境の町な為サトシの鳴き声は誰が止めること無くただ泣き続けた

 

 

 

遺書がくしゃくしゃになってしまう時にやっと涙が止まり、冷静になった

 

「…あれ?別の紙が??」

どうやら手紙は一つだけでは無かったらしい

 

「これ、母さんの字だ!」

間違いない!これに真相があるはず。と思い読んでみると

 

「拝啓 サトシへ

母さんはもう疲れました。毎日何十体のポケモンの世話、しかも年々その数も増えてくるのに嫌気が差しました。

これからは一人の女として生きていくため、サトシのポケモンをオークションにかけ、次いでに家も解体しました。」

 

「は?」

何言っているか分からなかった。

 

「さようならサトシ。お元気で」

 

「かあさぁぁぁぁぁん」

サトシはまたも涙を流した。

 

 




フジシティというのは、シオンタウンのポケモンタワーにいる老人の名前からとりました。
因みにこの物語は今の所、サトシだけが地獄に行きます。

あとは悪の親玉たちでの飲み会などをできたら作る予定です


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ポケモンだって元は自然の生き物

「かあさぁぁぁん」

サトシはまた涙を流した

 

母失踪、オーキド博士他界。家と預けたポケモンはオークションへ

この前代未聞の事態にサトシはどうする?

 

フィィィィィィッシュ!!

「…なんだ。子供の靴かよ」

これでもう何回目だよったく。7足も子供の靴が掛かるとかこの湖なんかあっただろ

 

「つり上げたコイキングは三匹。一匹はピカチュうが生で召し上がられた」

「ピ、ピカ、ウメチュう」

両手で押さえながら、食べる光景は野生の本能が従った結果なのか。

 

「…これからピカチュうパイセンって呼ぼ」

 

とりま、残りの二匹はモンスターボールにでもいれとくか。何かの役には立つだろうよ。

 

そうこうしながら焚き火用の枝を探し、いつの間にか空は暗くなってしまった。

 

「今日は野宿…か。」

多分世界初だろう。更地になった自分の家にテントを張る人なんて

 

「タケシに簡単な料理でも教えて貰うべきだった」

かつての旅の仲間を思い出しながら焚き火を見つめる

 

「……静かだ」

ここ最近はビルが建ち並んでいる所や毎日温暖なリゾート地で旅をしていた為、こんなにも周りに電気もなく辺り一面木々で覆われているのがこんなにも静かなんて思っても見なかった

 

だが一つ良いことが有るとするなら

 

「星が綺麗だ。流れ星もこんなに明るく見えるなんて」

都会より空気が汚れていない田舎町にしかない物を、

今日サトシは発見した。

 

~翌日~

 

「さぁーて、出発だぁ!」「ピカチュう」

元気よくサトシとピカチュうは声を上げた。

 

「先ずは、ニビシティに行ってタケシに相談してみるか!」

こう言うときこその仲間に頼るのが最短の道だと信じるサトシ

 

ニビシティに向けて歩き出す。

 

「おーい、新聞をくれー。」

都市部ではあまり見ない光景だが、技術が発展しても電波が届かない所が在る。そんな区域には鳥ポケモン達に新聞を配り、情勢を得ることになっている

 

もちろん、金がなければ貰えないが

 

『ピカチュう。10万ボルト』

 俺は質素な生活を送らなければ行けない、多少の犠牲は問題じゃあない。 

 

念のため、ユンゲラーの催眠術で記憶を消しておくか。

 

 

「…えーと何々、「頑固な汚れもお掃除テクニックで簡単除去出来ます。

   貴方も是非、サカキのお掃除講座へ」かあ」

 

なんか見たことある顔なんだけどなぁ、と広告を見つめるがうまく思い出せない。

 

(ま、いっか!)

 

「それより、今夜のニャースの部屋は『身代わりぬいぐるみ生産工場社長と対談』これは気になる」

ニャースが持つ冠番組の一つ。視聴率も高くポケモン視点でもアドバイスやその姿としゃべり方が老若男女に受けている

 

「更に『今年はレッドの称号はグリーンという青年が手にする』かあ」

俺も今年はレッドの称号がほしい、綺麗な女性にチヤホヤされたい

 

「最終的には対戦前に闇討ちすれば…ワンチャンあるな」

 

純水な心を持っていた少年は何処にもいない。

この男は自分主義になってしまっていた。

 

そうこうしながら新聞を見ながら歩いていると

 

「昔の面影すら亡くなってしまったか」

ニビシティに着いた

 

「今ではカントー地方を代表する街だもんなぁ」

娯楽施設や大型ショッピングセンター、最新の医療施設などなど土地の拡大もしないといけない始末

 

「ジムも最後のバッジにまでランクアップしちゃてさぁもう」

噂ではカントー地方のポケリーグがここに移動する計画も進行中だとか

 

 

「…タケシ。元気にしてるかな」

会うのは実に10年ぶりになることから、いざ会うとなると照れ臭さがある。

 

「やっぱり連絡しとくべきだったか」

急な出来事が連続しすぎて、相手に配慮することを忘れてしまっていた

 

「…ま、友情はいつ何時崩れるものではない。」

俺とタケシの絆は最強なんだ!

ポジティブシンキングに物事を考えよう。

 

そう考えると、陽気な気持ちになることができた。

「んっんー。晴れ晴れしい気分だ!」

 

天気も快晴。いい天気だ

「…にしても、ズボンの袖。茶色だったっけ?」

 

ニビシティに着く

 

「あ、あのタケシに会えませんか?自分マサラタウンのサトシっていう者です」

ジム入って真っ先に受付係がいるのはここだけだろう。

 

「少々お待ちください。…タケシ様は現在仕事中になります。

     夕方には戻ってきますので、またいらしてください」

受付係のお姉さんが可愛くて告白しようと思ったが、やめておこう

 

「あ、じゃあ。また今度きます」

ユンゲラーがいたら彼女にしてあげたのに、母め恨むぞ。

 

ニビジムを出たのはいいものの

 

「時間潰しに何しようかな」

しかし、無駄金はできない。オーキドの遺産と仕送り代は母さんが持っていやがる。

時間はかかっても奪い返してやる。

 

しかし今優先すべきことは

「ピカチュう。腹減ってないか?」

ピカチュうは首を縦に振る。何故だろう奇妙な首の振り方だなあ。

 

「よし、旨い所探しに行こうぜ!」

周りが俺たちを注目している。田舎者が珍しいのだろう。

男女問わず日焼け傘なんか差して、変なの?今の流行かな?

 

「まあ、よそはよそ、俺は俺。気にしないでいこうなピカチュう」

こうして飯屋を探しに出かけたのだが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…来い!!フォーカァード!!」

俺はカジノで一発当てる破目になってしまった。

 




レッドの称号は各地方のポケモンリーグの優勝者達が争う、その年の最強のトレーナーに授ける称号。トレーナーなら一度は夢見る憧れでもある。レッドというのは第一回の時に圧倒的な強さで勝ち抜いた少年の名。


ジムバッジのランクが上がるのは稀なことで、最後のジムバッジ担当にまでなるのは異例です。

…え、ポケモンがポケモンを食べないって?甘ったれるな!生きるってことはそう優しいことじゃないんだよ。


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カジノで一発逆転?・・・・無理に決まってんだろ!!

オーズ面白いよね。


ポケットモンスター。前回までの三つの出来事は

1つ:オーキド博士、没

2つ:母親に預けたポケモンが、滅

そして3っつ:次回の俺は丸裸、寒

 

 

カジノ…それはお金持ちや一発逆転を試みる奴らの魔の巣窟。他人の不幸で稼ぎ、負けた者は何もかも失う。

 

人々のうしないつつある競争心が集まる場所の一つがカジノだ

 

~時は飯屋を探す所まで遡る~

 

「この糞野郎。さっさと出てけ!」

 

…やあ、皆さんこんにちわ。サトシです。今は地面と顔がキッスしている所です。ファーストキスは年下の女の子、セカンドキスは地面…土と共に箔が付くね。

 

なんでこうなっているかって?答えは簡単さ。

 

「人生で一度、食い逃げってやってみたくね!?」

それも高級店の料理をたらふく食べた後に、窓ガラスを破壊する。くぅーかっこいい。

 

計画は完の璧。俺を止める事は店主にしかできない(`・ω・´)

 

…で結果が今の状況よ。(´・ω・`)

 

どうやら身なりから怪しまれたらしい。

 

「くそ、どうすればいいんだ!!」

ん?ピカチュうパイセンが俺の袖引っ張っている。何処に連れて行こうと言うのだい?

 

「こ、ここは!」

カジノエスポワール、お客様に夢を与えます。

 

「ここで一発当てろってことかパイセン!」

流石はパイセン!そこに痺れるアイアンテール

 

「では、行くぞ」

善は急げ、レッツゴー。

 

~カジノエスポワール:スロットエリア~

 

「先ずは、コツコツやりますか」

幸いスロットならコガネゲームコーナーでやったことがあるから楽勝だ。

 

「俺の技術に見惚れろ」

財布の中から、貨幣会議最高議長諭吉様を取り出す

 

「さらば!ゆきちぃぃぃ」

なあに、三十分後には50諭吉になっててチューチュートレインしてるさ

 

っとその前に

「ピカチュうパイセン。裕福そうな奴がいたらメモして、いざとなったら必要だから」

ピカチュうパイセンは俺の傍から離れ、裕福そうな人に憑いてった。

 

理由は簡単。他人に不幸を与え、俺が勝者へと咲く為だ。…残念だけどこれが現実なのよね

 

「…くそお。当たらぬなあ。このフラダリ一生のふっかくぅ」

妙に頭皮が赤い人に憑いてったなぁ

 

「さて、俺も始めるとしますか!」

 

……30分後

 

「や、やったぞぉぉぉ!?」

所持金が総額2.5諭吉から10.5諭吉にランクアップした。

 

「…ポケモンマスターよりカジノマスターになろうかな」

 

サトシどんどんとダメ人間に変化する切っ掛けなのであった。

 

「次のカードに行ってみるか」

エリア事に区域がありスロット→パチンコ→カードなどの順に初心者から上級者へと変化していく。

掛け金上がるが当たったときの高揚感もハンパない

 

~カードエリア~

ここではトランプを使い、稼ぐ為のエリアであり。ディーラーが直接相手をしてくれたりする。もしくはお客様をまとめて数人で賭けをすることがざらだ。

 

「パチンコよりはカードの方が分かりやすい。」

その代わりあっという間に搾り取られる為、最初から飛ばすのは得策ではない。

ディーラーの動きをよく観察し、グル等に気をつけていかなくては鴨にされてしまうからだ。

 

「先ずはCランクで稼ぐ」

S→A→B→Cのランク付けにより賭けることが出来る金額に天井をつけ、所持金が同じグループに分けて遊べる。

 

Cはディーラーが進行役でのお客さん同士でやる。

バカラ

Bはディーラーが進行役でお客さん複数でやる。

ブラックジャック

 

AはBと同じ形式でやる。ポーカー

 

Sはディーラーとの直接対決でのスーパーファンタン

 

俺はCから順々にAまで上り詰めて人生の勝ち組になってやる。

 

~三時間後~

「う、嘘だろ」

所持金が10.5 諭吉が254諭吉にまで増えてしまった。

 

「い、いやったー。此れだけなら暫くは働かなくてもすむ。」

バイトしながらポケリーグ出場とかカッコ悪いし、により

『働いたら敗けでござる』

これに尽きる

 

「お客様、オーナーが貴方に大変興味をお持ちになられたので、お一つ。勝負しては頂けないでしょうか?」

へ?オーナーが俺(神)に挑みたいと…いいでしょう!

コテンパンにして、権利をもぎ取ってやる。

 

俺は是非とも「やりましょう」と答えた。

「ありがとうございます。勝負するものはお客様が決めて貰い、決定したら早速始めましょう」

 

ほう。此方に有利な物でもよいと、ますます運がやって来ましたな。

 

「…あ、じゃあ。ポーカーで、形式はお互いに山札をシャッフルする。無論オーナーが先でその後に俺っていうことでいいですか?」

 

一見俺に有利なゲームを選ばして、ただ勝負をしてはダメだ。シャッフルの段階でオーナーまたは他の従業員がシャッフルしたら俺は直ぐに負けてしまう。

 

「勿論宜しいですよ。場数を踏んでいる我々との勝負、冷静に判断している点大変素晴らしいです。オーナーが来るまで少々お待ちください」

 

「ふぅ、後は運と技術で勝つしかないな」

ポーカーは相手との駆け引きがとても重要な物となっている。表情や手癖、山札と墓地のカードをおおよそ検討したりして、強力な役を作る確率を上げる。

 

「おまたせしました。オーナーが来ますので先ずは挨拶をどうぞ!」

そいえば、オーナーってどんな人だろう?

 

「それではオーナー。ソーナンスさんよろしくお願いいたします。」

へ?

 

「ソーナンス!!」

表情わかんねぇぇよぉぉ!

 

こうして俺の所持金はゼロへと至った。

 

 




カジノを書き上げたものの、私にはマルドゥックスクランブルみたいには書けなかったよ。


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ねえ、坊や。親友って言うのはね、見えない鎖なの。見えないからこそ、いつの間にか切れてしまうものなのよ。

サトシです…ニビシティのジムでタケシを会いに行ったら、まさかの仕事中でした。

サトシです…飯屋に行ったら追い出されてしまいました、ただ食い逃げをしようとしていたのに。

サトシです…カジノで一発逆転しようとしたら、オーナーのソーナンスに一発で持ってかれました。

サトシです…今こうしている間にも、警察に尋問されています。世間の目も寒いです。

 

サトシです…本編スタートです。

 

「とりあえず、服はこれでも着てさっさと家に帰りなさい」

あの家はもう解体されているんですけど。その旨を伝えると

 

「よ、よし。俺のお古で悪いけど服をあげよう、もうカジノなんて行くなよ」

警官のおっちゃんいい人だったな。

最後なんて俺のことを思ったのか泣いていたし

 

「まさかソーナンスがRSFを一発目から出してくる何て」

あれはもう、お手上げだわ。

幸いにも手持ちのポケモンまで取られる事にならなくてよかった

せめてもの慈悲だったのか、コイキング二匹とピカチュうだけは残った。

 

「もう、タケシに会うどころか飯食う事とも出来ねえよ」

調子に乗りすぎた結果で、このまま路頭に迷って死んでしまうのかさえ思った

 

「せめて、金さえ…あ…れば」

目の前に裕福そうな青年がいた

 

「よーし、今日もオークションで強いポケモンを買ってポケモンバトルに勝つぞぉ」

…見るに堪えないな。お金でポケモンを買うなんて、ポケモンをなんだと思ったやがる。

これは少し修正してやらねばいけないなぁ

 

「人生の先輩が教えてあげなくちゃね 」

満面の笑みを浮かべながら青年に近づいた。

 

~路地裏~

「よ~。兄ちゃんいっぱい金持ってんじゃねえか。まだ通帳にもあるんだろ恥ずかしがらず俺に投資しろよ。」

ま、投資した所で利回りなんて言葉は俺の辞書にはないが

教育も大変だ。愛の拳で顔を「アチャー」って感じまで変形させなくちゃ思いが伝わらないのだから

 

「ヒィッ!何でタネマシンガンが弾かれるんだよぉ」

まるで俺を化け物と見ているようだ。これはいけない、道徳というものがなっちゃいない。たかがタネマシンガン、あんなもの蚊に刺された程度の痛みだぞ?

 

だが

 

「ハァーイ。質問していいのは俺だけです。悪口なんて酷い言葉を使う人には、教育を始めたいと思います」

これも正しい心にするためだ。多少、心を魔王にしてもやってやる!

 

さて最初の授業は

 

「ピンポンパンポーン。ポケモントレードの時間です。貴方の全ポケモンと俺のコイキング二匹との等価交換です。泣いて喜びなさいな」

質のいい講義は高い教育費が付きもの、ハッハ。喜びで泣いている、最高の快感だ!

 

 

「コイキング二匹と僕のポケモンが同じなわけないだろう!」

…等価交換、将来このコイキングが赤いギャラドスになる可能性が…ないけど。

物の価値なんて誰が決めたんだ!今大事なのは現実と向き合う勇気だ!

 

「ここでの価値を決めるのは俺だ。黙らないと口縫い付けるぞ!」

まったく、これだからゆとり教育世代は。ああ言えば、こう言うだから。

 

「…あんた本当に人間かよ。」

失礼な

 

「人間はね。皮を剥がせばただの悪魔なんだ。お前は俺の事人間じゃないっていうけどさ、自分が『人間』と決めつける定義なんて曖昧なものさ」

他人との付き合いで、個性を殺されて常識という曖昧な皮を被された商品が『人間』だ

 

「さ、授業も終了の時刻になりました。」

出来の悪い生徒だけど、先生は忘れないよ。

 

「でも念のため。中毒性あるけど一度打たれたら止められない注射を打っておくか。」

ほい、ぷちゅっとな!

 

「…オ、オクレ、ニィィチャャァァン!!」

うんうん!効果テキメン。ちょっと体が華奢になる欠点もあるけど気にしない。気にしない。

 

「若者を正しく導く、大人になると大変だよね。」

 

これにて御免!!

 

「マッチョ、マッチョ、マーチョー。私の体はマーチョーだーぜー」

後ろから奇妙な歌が聞こえるが、俺にはもう関係の無いことだった。

 

さあーてタケシに会うまでにあとちょっとしかないから急いですべき事を成すか

 

~ニビジム前~

 

「遂に10年ぶりの再会か」

服を買い直し、体も服も綺麗にしたから大丈夫だと思うけど…

 

「…サトシか?」

この声、懐かしくもつい最近聞いたような安心感。間違いない

 

「タケシ!久しぶりだなあ」

なんだか照れくさい、何年も会ってないとなんかこう込み上げる感情が

 

「今は何の仕事してるんだ?ジムリーダー?」

最初は気さくにお互いの事を話した

 

「ああ、俺は今、孤児の子供達を育てる施設の運営して主に栄養管理人として講演会を実施しているよ」

流石だ。俺達の中でも将来性がピカイチだから当然と言っては当然だな

 

「すげえぜ。タケシ、俺なんてまだポケモンマスターにはなれていないのに」

随分と差がついてしまったな。笑われてしまう。

ああ。昔と変わらないこの感じ、これのために俺は

 

・・・だが思い描いていた再会が崩れてしまった

 

「…お前、まだポケモンマスターになる夢を追いかけているのか!?」

 

え?予想にもしていなかった。親友から夢の否定されるなんて、間違いだと思いたかった、自分の聞き間違いだと信じたかった。

 

「何言ってんだよタケシ。ポケモンマスターになるのが俺の夢なのに、冗談でも言っていいことがあるぞ」

夢なら覚めてほしい。そう思いながら会話を進めると

 

「いやマジだ。」

…どうやら現実の世界だそうだ。

 

「タケシ、お前は俺に夢を諦めろと?」

それしか見てなかった俺に?他の夢を追うなんて考えたくもなかったのに

 

「もうお互い大人だ。家庭を持ち、子供を見守る。

そういう年に俺達はなっちまったんだよ。いい加減現実を見ろ」

 

正論なのかもしれない。お互いに30歳になっている。ポケモンマスターなんて夢のまた夢.

理想に生きる事よりも現実を見ている方が正しい。

 

だが

 

「それは俺が誇りたかった道じゃない!!」

子供の頃からの夢を否定するというのは今までの自分を否定することに繋がる。それは嫌だ。

 

「サトシっ。夢を追うな!!仕事なら俺が紹介してやるから。今からでも遅くない。」

 

『ポケモンマスターなんて夢、捨てちまえ!!』

 

ああ、そうか。お前は今の俺に死ねと、そう言っているんだな。

 

「…もう、いい。タケシ。お前は俺の友ではもう亡いんだな」

サトシはタケシに背を向け、別れを言う。

 

「サトシ。お前は今のままでいいのか。それがお前の幸せだと言うのかよ!!」

そうだ。後悔なぞあるかよ。自分の選んだ道なんだ、例えお前との縁が切れようが

 

『構わない。例え独りになっても俺は辿りついて見せる』

 

さようなら

 

「サトシー!!」

 

快晴だったはずの天気は豪雨に代わり、俺はその中でアテもなくニビシティから出るのであった。

 

「…オカシイナ。寂しくないのに涙が」

 

眩しかった昔を思い返しながら、サトシは森の中に消えていった。

 

~同時刻:ニビシティ~

 

「…もう、タケシさん。雨だっていうのに突っ立ているなんて風邪引くよ」

俺の奥さんが心配してくれる。

 

「すまない」

家に戻り、タオルで体を拭う

 

「顔色悪いけど大丈夫?昔の仲間に会いに行くなんて嬉しそうにしていたのに」

俺も最初はサトシに会える事が嬉しかった。今では仕事付き合いが主だったから、昔話できて仕事の愚痴も言えるそんなことを期待していたはずなのに

 

「俺達は変わってしまったんだな」

奥さんが「?」って顔をしているが、俺は俺が選んだ道で手に入れた幸せを、奥さんを抱きしめた

 

「ちょっ!いきなりどうしたの?」

何も答えない。不甲斐無い夫で済まないが今はそっと抱きしめさせてくれ

 

 

(しかし、サトシの奴本当に・・・だと思っているのか?)

 

これが俺とサトシとの決別になってしまった。

 

 




今回は光と闇を交互に強くしすぎたと思っていますが。私は反省など一切しない。

この後、オクレ兄ちゃんを打たれた青年はフィットネスジムに通い詰めることになる。
しかし薬の副作用によりいつまでたってもキャシャリンになってしまう。
スゴイネ、人体!

因みにこの後の展開は現時点では真っ白になってしまっているので誰か知恵をくれ!

前回でも登場したソーナンスは伝説のディーラーとして君臨しています。だってあの表情なんだもん、勝てるわけねぇべや!


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過去の過ちと怨念と洞窟と

『ポケモンマスターなんて夢、捨てちまえ!!』

 

親友だったタケシに言われたサトシ。森の中に消え、どこに向かう?

 

~名前のない森~

 

「・・・・」

何も考えられなかった。ついさっきまで懐かしい友に会える喜びに打ち震えていたのに

 

「どうしてこうなっちまったんだよ」

お互いに譲れない主張。どちらも正しく、どちらも間違っている。

正解なんて言葉があるけど、無数に答えがあるのにあたかも「それが一番」なんて誰が決めるんだろう。

 

「だからこそ、俺達は食い違って絶交してしまった。」

もう会うこともないだろう。それがお互いの為だ。

 

けれど

 

「…チクショウ。」

行き場のない拳を木に叩き付けて、膝が地面につく。

 

 

「くうっ くっくっ ううっ うっうっ」

泣き崩れてしまった。

先ほどから降り続く雨が体温を奪う。

 

「#`{+>!>{{P<{`」

ピカチュうパイ先の声が聞き取れない。泣いているからか、歪んで見えてしまう。

 

「すまない、ちょっと一人にしてくれ」

ピカチュうパイ先にそう言い、離れてくれた。

 

「ありがとう」

そう感謝をした後、俺は一人誰に気にすることなく泣いた。

 

~一時間後~

 

「もう、大丈夫。帰っておいでピカチュう」

存分に掃き出した、もう泣かない。

 

「ピ、ピーカァーチューぅ」

ん?俺を呼んでいるのか!?

 

「何かを発見したのか?」

急いで体を起こし、ピカチュうの声が聞こえる方に向かった

 

~名無しの洞窟~

 

「ハァ、ハァ。ピカチュうどうしたんだ?」

ピカチュうが誰かと一緒にいる人か?

 

「ピーカァー!」

ピカチュうはまるで俺をここに誘い出すことが『目的』だったのか。

俺の肩に乗って眠る体制に入っている。

 

「よう。少年待ってたよ」

その場にいたのは作業服を着た男性だった。

 

だが

 

「あの~。自分と会ったことでもありますか?」

俺は少なくとも仲間との旅の途中色々な人に会ったことあるけど、この人に会った覚えはなかった。

 

「いや、初対面さ。ただ君の様な少年と会った事があるだけさ。」

?訳が分からないことを言う人だなあと感じたが、悪い人には思えない。

 

「お、すまない。申し遅れた。僕の名前はパイル。ちょっとした作業員さ」

君は?と聞けれ「マサラタウンのサトシです」っと返した。

ま、礼儀だからねしょうがない。

 

「それで、俺に何の用があるんです?」

ここで俺を待っていたと言っていた、つまり俺に頼み事があるに繋がる。

 

「話が早くて助かるよ。率直に述べるとね、この洞窟に入って何があったか確かめて欲しいんだ!」

…そんな事の為に待っているなんて、どういうことなんだ。

 

「貴方が直接確かめた方がいいのでは?」

誰だって、俺の立場になればそう返すだろう。わざわざ他人に任せるなんて何か裏があると思ってしまう。

 

「それがね。僕では拒否られてしまうんだ。だから君にしか頼めないんだ」

本当に何を伝えたいのかが理解できない、奥に何が在るのか知っている風な口だが

赤の他人に任せても確かめて欲しい物が何なのか。

 

「何故俺なんです?」

何も考えず。行ってきてもいい。

だが俺じゃないといけない理由がどうしても知りたかった。

 

「君で無ければいけないんだ。最初に来た少年と同じ夢を持つ君がね」

誰の事を言っているかは解らない、でも不思議と『行きたい』と思えた。

 

だから口にしてしまったんだ

 

「分かりました。俺が行きましょう」

後悔もある、見ず知らずの男性に頼まれてすぐ引き受ける自分に。

でも

中にお宝があれば最高だ。とポジティブに切り替えれば、気が楽になる。

 

「ありがとう。言ってくれると思っていたよ。」

感謝を述べられたが、不安感が拭えない。

 

「行く前に、この洞窟について何か知っていますか?」

鎌をかけてみた、俺も流石にお人好しではないからな

 

「…そうだね。頼んだのは僕だ、君には話さなければいけないね」

昔話に付き合ってもらうね!と告げた後ゆっくりと口を開き、話をしてくれた。

 

「ここはね、カントー地方がポケモンの聖地としていた頃に見つけた洞窟だったんだ。」

カントーがポケモンの聖地なんて言われたのは100年以上前だ。どうやって調べたんだ?この男?

 

「それでね、ここ等一体リゾート地にする計画が成されたんだ。

その頃はまだポケモン憲法なんてなかったからねえ。当時の地方長が工事を進めたんだ。」

ポケモン自治法、人間と同じ権利を主張したため可決された憲法。

 

「自然破壊、環境汚染なんて考えず、森林を伐採を続けてこの洞窟が発見されたんだ。」

今では自然を強調しようとする運動や情報開示で色んな人が意見をいったりする事が出来様になった世の中。

現代で行ったら、デモが起きるだろう。

 

「最初はどうするか検討中だったが、どこからか噂が広まり誇張された。その結果この洞窟には財宝が眠っているなんて事になってしまったんだ」

「出来すぎた話だろ?」と笑っているが、本題が見えてこない。

何故財宝が隠されているなんて噂が流れていたのに、今は訪れる人も見かけないんだ。

 

「噂を聞きつけ探検家や人生に一発当てる人がぞろぞろこの中に入っていったんだ。」

当然だな。挑戦したくなる気持ちは分かる。

 

「…しかしここから奇妙な事が起き始めたんだ」

多数の行方不明者。精神疾患者、落石による重症。口も聞けない者が多かったが生還者が口々にこういった

 

「あれは、どういう意味なんだ!」

死ぬ間際も遺言として残す人がいるとの事。

 

「その噂に封をしたかった地方長はここ一帯を禁止区域にして誰も寄り付かなくなった。」

そして人々からこの場所は忘れられ、中身が何なのか知る由もなくなってしまった。

 

「つまり、俺に洞窟の中に何があるのか確認して欲しいと?」

要約するとそんな感じだろう

 

「そうさ。報酬も弾むからさ!」

前金として30諭吉とランプを貰った。

 

「了解しました。サトシ行って参ります」

け、けっして、報酬に目がくらんだとかじゃないから。

必死に自分の心に弁明をしながら洞窟に入っていく

 

「行ってらっしゃぁぁぁい」

すごく元気のいい送り方だな

ま、気にせず行きましょうか

 

「蛇が出るか、邪が出るか」

貰ったランプを取り出して洞窟の奥へと進む

 

~ニビシティ:ニビ科学博物館~

 

「あの~すみません。調べてたい事があるのですが?」

お客さんが店員である私に助けを求めている

 

「はい。何をお探しでしょうか」

この仕事に就いてから、よく対応している。

 

「実は、とある事故を探しているのですが」

…確かにここはカントー地方の古い文献が揃っている。

よく興味を持った人が此処に来ることは別に珍しいことじゃない。

 

「どのようなものでしたか?」

ロケット団がやってきた悪行の数々か、シオンタウンでの奇妙な事例か。

今では色んな地方があるがカントーが一番の歴史を持っている。

それ故に事故・事件が多種多様に起きてきた。

 

「…100年以上前に起きた。とある洞窟の工事中での崩落事故についてです。」

 




正直な所、この物語はどこへ進んでいくんだろうと作者である私にも解りません。
けれど最後はもうだいたい決まっているので、其処に辿りつける様に頑張っていきたいと思います。

今回の話は前後編でございます。あまりギャグは入れるところが少ないで注意。
ホラーと本作の主人公であるサトシの●●を入れていますので、よろしくお願いいたします。


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古代の文字と誘うものと隠蔽したもの

「一直線な道が続いているだけだ」

3時間は経過したと思う。最初は陽気に進んでいたが一向に前に行っている気配が感じられない

 

「一体何があるんだ?」

財宝があるのではないかという期待、いつ崩落するかわからない恐怖が入り混じる。

 

「しっかし、腹が減ったな。少し休憩しよう」

幸いにも奥に行けば行くほど広くなっているので寝そべったりもできる。

出来れば早めに終わらせたいんだが。

 

「ほれ、ピカチュうパイ先。ニビシティ名物、イシツブテ饅頭でございます。ご賞味を」

ポケモンでも食べられる、土産品の一つ。

他にもイワークコロネだったり、ウソッキーキャンディーなど人気商品となっている。

 

「ピ、ピカ、ピー」

食べ易い様に小さくされているからと言っても、一口で平らげてしまうなんて流石っす。

 

「俺も弁当食くお」

俺は上カルビを贅沢に六枚、白米が肉で覆われている。

成金野郎御用達『肉汁野郎Kチーム』税込み3・5諭吉。

お求めはSCP-080-1298-1603までおかけになってください。

 

~サトシ 食事中~

 

「ふう、食った食った」

満腹だ、これで英気は養われた。探索開始と行こうか。

 

またしばらく歩きだしていると

 

「アンノーン」

古代の文字が体になっているポケモンが俺の前に現れた。

 

「ここに遺跡があるということなのか?」

休憩する前には気づかなかった。アンノーンを見たから?

 

「…ついて来いって言っているのか?」

アンノーンが先頭に「俺に付いてこい」と言わんばかりに案内?してくれている

 

「どうせ、行くしかないな」

付いていかないと、たどり着けないそんな感じがする。

アンノーンの案内に従い、奥へと進んでいく

 

~ニビシティ:科学博物館~

 

「あの事故について、記録しているものが保管されているっと聞いて来たのですが?」

今では誰も覚えている者さえいない、それを興味本位で調べようとする人なんかいるとは

 

「…ありますが、その前にちょっとお待ちに」

そう言うと店員は店の奥に行き、奥から手招きしてくれている

こっちに来なさい、ということなのだろう。とりあえず向かおう。

 

「いいですか。貴女がただ興味本位で調べるのには別にいいのですが、記者さんでしたらこの事について記事にはしないでください。」

どうしてですか?問いた。

 

「…ここでだけの話。貴女の様にこの事故を調べに来る人が極稀に来るんですよ。

職業は聞かなかったんですけど、たぶん記者ですね。」

何故?聞いてもないのに記者と判ったのですかと聞いた。

 

「それがですね。この仕事柄記憶力が高くないといけないんですよ、

                  お客様のお顔もしっかりと覚えるのですが…」

確かに私もついつい、ただすれ違った人に「すいません失礼します」と言ってしまうことがあるそれと同じことだろう。

 

「調べに来た記者さん全員、翌日殺されているんですよ」

!?そんな馬鹿なことがあるのか。何故記者だけ狙われるの?

 

「どうして、そんな事が分かるのですか?」

「…全員私がご案内した人達だったんですよ」

悲しそうに小声で呟いて、少し申し訳ない気持ちになってしまった。

 

「でも、なんで!」

「これを…貴女も見たかったのでしょう。」

そこにあったのは、私が見たかった事故の新聞だった。

 

「…別名黄泉の洞窟。死者重軽傷者合わせて10人の崩落事故!」

日付も間違いない、あの事故だ。これ、これが見たかったのよ。

真実を知ってしまうと、恐怖もあるが興奮してしまう。

 

しかし、店員がもう一つ新聞を私に見せてくれた。

 

「これは?」

「見てみるといい」

(まだ詳細に見てないのに)ぶつぶつと文句を言いながら、寄越された新聞も見てみる。

先程の記事と同じ特集だ

 

しかし、変だ

 

「し、死者重軽傷者が100人以上!?なのに地方長が工事を継続。更に工事中の作業員も洞窟内で行方不明者続出。」

どうして?最初に見せてもらった方が10人って書いていたのにこっちでは100人以上!?・・・もう何が何やら

 

「実は最初に見せた物は全国に流通していたもので、先程の公開されていない物になります」

もしかしたら、政府が揉み消した?いやいや、そんな訳がないと考えていたら

 

「一般に公開した方が隠蔽処理されたものなんですよ」

店員は重苦しく口を開き、事の詳細を話し始める。

 

「この事故は、二つが重なり多数の命が亡くなってしまった。自然と人が起こした事故だったのです。」

私は息を飲んだ

 

「初期の頃は小規模な崩落事故も頻繁にあったのですが、作業員達は軽傷で済んでたので気にせず作業を続行していたそうです。」

まあ。洞窟を工事して更地に変え、その土地をリゾート地にする計画でしたから。

もし計画が頓挫したら大変ですからねぇ、と店員が言う。

 

「ただ、行方不明者が出始めてからおかしな事が起き始めたのです」

突然有毒ガスが噴き出したり、大規模な崩落により作業員が閉じ込められ窒息死してしまうことが続出してそうだ

 

「それでも政府は『途中で計画を終わらすことが出来るはずがない!!』と焦り始め。何を血迷ったのか工事を急がせたのです」

政治家は何時まで建っても市民の事なんて考えない、口だけだ。結局は自分の保身を一番に考える。

 

「まだ、ポケモンと人が分かり合えず争っていた時代。人は一丸となって抵抗した。人間は共通の敵がなければ自分以外を一番に考えることは一生来ないと思いますよ」

この地球が誕生して、人間とポケモンが共存なんて出来なかったらしい。

そもそもポケモンを・・・・と唱える人が現代にもいるくらいだ。

 

話が脱線してしまったねと店員が言い。咳払いして本題に戻る。

「事故が起きてからというもの、気味が悪いと工事会社から断ることが多くなり結局は計画は頓挫」

その時に発行されたものが最初に見せてくれた人新聞の方だとか

 

「でもね、実際には工事は密かに続行されていたんだ」

え?でもどうやって?

 

「ここからは推測でしかないんだけどね、多分囚人を使っていたんだと思うんだ」

!? 衝撃だった、政府が非人道的なことをしているなんて

 

「で、でも。囚人を使うなんてことは出来ないはずでは?」

囚人にだって人権は制限されてはいるが、無いわけじゃない。でも囚人を使ってたとするならどうやって?

 

「それができる方法はあるんだ。囚人を死刑囚にしたて人権を剥奪させる、そうして上で奴隷の様に使わせる」

「しかし、そんな事したらメディアが黙ってませんよ!」

こんな事件メディアの良い餌よ。

 

「…ふう。貴女はメディアが私達(市民)にいつも真実を教えていると思っているのか?」

私はそれが報道の義務でしょ!と反論した。

 

「よく間違った解釈をする人が多いんですよ。『報道の自由』って言うのはね。」

例えば。とある芸能人が薬物で逮捕される事件ととある政治家の息子が女子高生を誘拐して集団リンチした事件があるとする。と店員さんは例え話をし始めた。

しかし、例えだとしても具体的すぎませんか!?

 

「ここで質問だ。メディアはどちらのことを詳細に報道すると思う?」

わ、私は誘拐事件の方を選んだ。何故かと聞かれたら、人命に関わっているそれが政治家の息子でもそれ相応の覚悟をしてもらわないと割に合わないと考えたからだ。

 

「貴女は良い人だね。本当のならそっちが正解なんだけど、実際には芸能人の方をメディアは連日報道するんだ」

「何で?普通おかしいじゃない!?そっちは自業自得なのよ!」

 

「お気を悪くしまった事は謝罪します。しかし正解はこっちなんですよ」

どうして!とちょっとムカつくてしまった。正しい情報を流すのが本質じゃないの?

 

「確かに、本来扱うべき報道は貴女が選んだ方なのです。

 しかし権力というのは私達が考えているより恐ろしいものなのです」

政治家というのは手回しに裏で操作して、メディアの上層部と裏と裏取引していることが多い

その為、犯人である息子を少年法を適用。実名報道も無しに刑罰にさせてしまったんだ。

 

「そんな、馬鹿な話があってたまりますか!」

胸糞な話を聞いて私は店員さんに酷い言葉をかけてしまった。

だけど、彼は(そうだよね。)と安心した顔で話を続けた。

 

「いや、実際にあった話なんだよ。被害者である女子高校生の無念は汚い大人達の下らない。

自身の保身の為だけに揉み消されたんだ」

店員さんが泣いている。…彼はそんな世界で何も出来ない自分を責めているんだと感じた。

 

「因みに少年達はその後、改心はしたのですか?」

自分が行った過ちを苦しむ人になっていれば、まだ被害者やその遺族も無念が少し、ほんの少しだけだが無くなるだろうと思う。

 

「・・・」

深刻な顔をして、彼は保管庫に行きここ最近の新聞を私に見せてくれた。

 

「…その集団の一人が殺人未遂で逮捕されたんですよ。最近にね!!」

さっきまで冷静に話していた人とは思えないくらい、怒りの籠った声だった。

新聞の内容には実名はあったが、あたかもこの男性が昔に女子高生を集団リンチしたメンバーの一人とは書いてすらなかった。

 

「何が、更生の余地ありだ。ふっざけるな!! 人の命を何だと思ったやがる」

幸いにもこの部屋は防音仕様なので、外の人には聞こえない。だからこそ彼は私の前でどれほど世の中が汚いということを教えてくれたのだろう。

 

重苦しい空気が私達を包んだ

 

だが、しばらくして彼が冷静に戻り

 

「すみません。先程から話が脱線していますね、申し訳ございません」

いえいえ、とんでもない。私こそ生き方を改めなくっちゃと考えさせられました。

 

「先ほど話した通り。この黄泉の洞窟でもメディアが隠蔽して囚人を使った。

そこまでは政府にとっては良かれと思った作戦だったのでしょうが、しかし事故は止まなかったのです」

最終的には政府が計画を頓挫して、今では誰も近寄らない場所となった。

 

「…これがこの事故・事件の真相です」

私は最初は好奇心に駆られて、調べに来た。でも話をしている内に、本当にすべき事がハッキリと分かった。

 

「今日は本当にありがとうございました」 

「本日はご来店いただきありがとうございます。又、来てくださいね」

私は彼に礼をして、家に帰って直ぐに勉強をしようと早足に向かった。

 

 

 

「ふう」

俺は彼女に見せた新聞や資料を片付ける。

 

「あの、お客さん。帰る時しっかりとした目標ができたみたいだ」

嬉しかった。いい人で、あの娘の様な人が沢山いてくれたのなら娘も天国でちょっとは安心してくれるだろう。

 

その手のには彼女には見せていなかった当時の写真が二つあった。

「なあ、純子。」

一つは私と妻、娘の家族写真。

もう一つは・・・・

 

 

~名無しの洞窟⇒黄泉の洞窟~

 

「何だよ、これは!」

俺、サトシの前に現れたアンノーンに案内されたとこには、古代文字がびっしりと書かれていた石板があった。

 

 




前後編と言ったな、あれは嘘だ。

ごめんなさい、崖から突き落とさないで!

あ~あっぶね。何とかやめてくれたのね、ありがとう。

それともう一つ謝らなければいけない。今回の話、ポケモン要素が少なくなってしまったことをなぁ。   てへ 

ん!?
やめてまた崖から突き落とさないで、アーーーーー。

You Death



























僕はあの事件のことを忘れません。
いつか純子さんの魂に安らぎが訪れますように


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古代の意思とナイトメア

「何なんだよこれは!」

俺の前に現れたのは巨大な石板だった

 

「・・・・・・・・」

ふむ。何が書いてあるか俺には分からなかった。学者ではなかったからな。

 

「しかしこの石板、運び出したら何億するだろ?ピッケル持ってくるべきだったぜ」

あるのは逃走用謙脅し道具のC-3爆弾ぐらいだ。

解体し金塊と称して売り込めば、巨万の富が手には入るだろう。

 

でもそれより先に

 

「起きてください!ピカチュうパイ先!!」

ん~?起きない。興味ないのかな?

寝顔は可愛いのだけど、ここ最近は良く寝てる。

疲れているのか?

 

そうこうしていると

 

『「アンノーン」』

アンノーン達がこちらを見ている

…どうやらここはアンノーンの住み処では無いかと悟った。

ただ何かを伝えたくて、ここへ連れてきたそんな感じがある。

 

「でも、肝心の文字が詠めないんじゃ意味がない」

学者のトレーナーと会った時に教えてもらえばよかったー。そんな後悔をしながら頼まれていたこと思い出した。

 

「あ!パイルさんに洞窟の中を報告する約束しているんだった!」

でも「この洞窟の中に古代文字が記された石板があった」と言っても信じてもらえるだろうか。

もしくは何もなかったと報告するのもアリかもね。

 

「うん!そうしよう。」

言い訳は帰りにでも考えて今は他に何かをないか辺りを探索をするの後先決だ。

 

「でも、辺りにはなーんもないでち」

まるで石板を建てる為だけに造られた空間?なのかな

憶測を立てていると

 

「…誰だ」

 

「!!」

 

俺の前方から声が聞こえた。

え、誰かいる!幽霊?

…替えのパンツ有ったかな?………あ、ふんどしあったわしかも赤の。

 

「……ふんどし真拳、覚えておけばこんなことには」

自分の不甲斐なさを呪う。

ヤバイよぉ。段々とこっちに近づいてきてる何とかしないと。

 

取り敢えず、濡れたおパンツを赤ふんどしに替え。

気持ちリフレッシュ!

 

「ピーカァー」

「パイ先!?」

ピカチュうがいきなり寝覚め、臨戦態勢に入っている。

(よし、行けパイ先。俺は取り敢えず、応援してる!)

上手く声が出てこない、へ、へへ。膝が武者震いしてる。

 

暗闇の靄を纏いその姿を現した。

「何故?お前がここにいる!立ち去れ」

 

「ダ、ダークライ。何でいるんだ?」

ダークライはシンオウ地方のポケモンだ。準伝説クラスが他の地方に現れた事例なんて聞いたことがない。

 

「貴様に答える義理はない。」

ここで石板を守護する役目を持っている?

情報が全然ないから予想しか立てられねぇ。

 

「な、何なんだよここは!訳が分からないまま、おめおめと帰ってたまるか!」

理由も分からず去れ、なんて納得できるか。

俺はダークライに向かってそう叫んだ。すると

 

「…いいだろう。この場所に何なのか、それくらいは話そう」

流石に無知な相手を直ぐに追い返したりしてこない、ダークライなりの筋なのかな。

でも君。映画では僕たちの味方?だったよね。

 

「この場所はお前達人間と我々の争いを終わらせる為に作られた憲章。最も、人間でこれを知っているの御三家、位だがな」

何を言っているか分からない。御三家なんの事だ?

 

「アンノ―ン」

アンノーン達はダークライに近づき、対話?をしている。

 

「…ふん。彼奴の仕業か、しかし、読めもしない人間を導くとは無意味だと思うがな」

ダークライはアンノーンの言葉を理解している?

ニャースでさえ解らないのに、何で!?

 

アンノーンとの対話が終わった時、ダークライはこちらに体を向けた。

 

「さてと、人間。此処から退場してもらおう」

!?チョイチョイ!ダークホールをこっちに向けないで。

この時私は自分がいかに無力だと痛感した。

 

だけど!!

 

「ピカチュう、エレキボール!」

どうにか逃げようと、ピカチュうパイ先に命令を出した。

が、しかし相殺には至らずダークホールを食らってしまう俺。

 

「うげっ」

威力は落ちてはいるが、体から脱力感と眠気が襲う

 

「くそ。ね、眠くなって… 」

意識が遠くなっていく、あのボールの特性なのか?

俺は意識が途切れる中、ダークライがピカチュうにもかって何か言っている…

 

「お前は…になって、この男…とはな」

「ピ…う。……ウ」

「…ほう、そう…ことか。…好きに…いい。だが…の…きお…は…て……ぞ」

 

(一体何を話してzzz)

そこで俺の意識は途切れてしまった。

 

~AM:2:00 黄泉の洞窟前~

 

「すまないね。君にはこの世界の真実を見せたかったけど、今はまだ無理みたいだ」

僕=パイルは寝ている少年を見ながら一人、謝罪しながら話を続ける。

 

「ダークライが君に攻撃した事は僕にとっても予想外だった。ごめんよ」

返事は…寝ている為、寝言しか返ってこない。当たり前だ。

 

「君が起きたら中の記憶は消えている、すまないが僕にはどうしようもなかったんだ」

サトシの頭上に浮かびながら、消えかける身体に不満を呟く。

 

「…ほんと。お偉いさん達の身勝手で僕はこの洞窟で死んでしまった。本来なら天国とかいう場所に行くはずだったのに、使命を受けたら幽霊としてこの世に留めれた」

けれど、悪い気分ではなかった。

 

「でも、もう消えなくちゃいけない。使命は果たされた。死んでいるけどやっぱり未練を感じるよ」

霊として各地の地方を見てみたり、家族・友達がどうしているのか?

色んな物を見届けた。もう十分だ、大分待たせてしまったけど仲間たちの所に戻らなきゃ。

 

「じゃあね」

そして、人知れず消え行く魂が一つ旅立ってしまった。

だがその男性に恐怖はなく、満足げに飛んで逝いった。

 

~AM:7:00 黄泉の洞窟跡地前~

 

「……はっ!(゜ロ゜)」

俺は洞窟の前にいた。寝ぼけた頭を覚醒させる。必死に眠ってしまう前、何があったかを思い出す。

 

けれど

 

「………何も思い出せない」

パイルさんに洞窟探索を頼まれ…そこから…何だっけ?

 

「え、俺何を視たんだ。これじゃあ、パイルさんにどう報告すればいいんだよ!」

パニックになった思考を冷静にして、辺りを見回してみる。

すると、自分が入っていった洞窟を見つけた。

 

【入口が崩落して誰も入れなくなった洞窟を】

 

「ふ、封鎖されてる。何時だよ。何時!」

入り口は崩れていた、行っている最中に崩落したのか?いやいや、それなら俺はどうやって帰ってきたんだって話。

出口が他にあってそこから脱出したのならここの近くに出るのはおかしい。

 

恐怖に駆られながら、ちらっと横に苔の生えた墓と枯れた花があった。

 

「うぇ!汚い、掃除してないなこの墓。おっ?花束があるけど枯れている。けど…ん?新聞の切れ端だ」

あまり見たくはなかったが、此処を記載されているかもしれない。そんな考えの元、見てみると

 

「えーと何々。1896年7月中頃、政府の計画で洞窟を工事。崩落事故で死者多数」

それにはこの洞窟での死者が名簿が載ってあった。

 

その中にはパイルさんの名前も記載されていた

 

「うぁぁぁぁ!」

切れ端を手から離し、尻餅をついてしまう。

 

ガクガク震えた身体で俺は気づいてしまった。

 

「え?100年以上は前の事故なら、今朝会ったあの人は…」

幽霊という非科学現実的なものは信じていなかった、俺の体から冷や汗が出始めた。

 

「ハァハァ。もうやだ、こんな所から早く離れなくちゃ」

もし、他に幽霊でもいたらきっと失神して何されるか分からない。逃げなきゃ!

走ろうとした時何か、俺の足に引っかかった。

 

「あー痛って。何なんだよもう!?」

俺は早く、ここから出なきゃいけないのに。

文句を言いながら、何にぶつかったのか見た。

 

「なんだ、ただの小石かよびっくりさせやがって。」

小石をひょいっと、適当な所に投げた。

すると、投げた方向に木になっている空洞の中に何かある。

 

「あれ、なんだろう?」

何だか、見に行かなくちゃいけないと感じた俺はその木に向かった。

 

「サトシへ

本当なら会って謝罪をしなくちゃいけないはずだけど。もう、この世にいる時間も少なくなってしまって文字も書けなくなってしまった。ただ一言ごめんよ。それと図々しいかもしれないけど、君は忘れないでいて欲しい。

最後に君の夢に幸があらんことを。       パイルへ」

 

「まったく。あの人は勝手な人だね」

 

とりあえず

 

「花買ってきますね。綺麗な花を」

少ししか会わなかったけど、幽霊なのかもしれない。

それでもサトシはニビシティに戻り、買ってきた花束を遺言通り墓に供えた。

ピカピカに磨かれた墓の前に

 

 

 

 




本当ならアンノーン文字を使う予定でしたが、なぜか文字起こしができなくなってしまってできなくなりました。

次回からカスミさんから母親の行方を聞き出すことから始まる予定ですのでよろしくお願いいたします。


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眩い希望と真黒な絶望

「ほら、サトシ。シゲルとの赤ちゃん、触ってみる?」

幼馴染である。カスミは俺にお腹の中にいる赤ちゃんを触らせようとする。

 

(俺にそんな眩い希望を見せつけないでくれーーー)

俺の心は砂漠の様に、枯れてしまった。

 

~一か月前 PM:5:00 ~

 

「…また出たんですって」

「本当?これで何件目よ」

夕方の町中、ご近所付き合いのあるお母さん達はヒソヒソ話をしていた。

 

「この前だって繁華街で行方不明になった奥さん。結婚して2年目になる直前だったそうよ」

「その前も確か。受験控えたお隣さんの娘さんなのよ。もうホントどうなっちゃったのかしらこの町」

どうやらこの町では、ここ最近女性の行方不明が多いそうだ。

 

「私なんて、最近は解決するまで子供を外に遊びには行かせないわ」

「学校側も集団下校を実施してり、防犯ブザーの購入も急増。

  独身の女性教師さんは怖くて夜も寝付けないって生徒に愚痴言っていたそうよ」

その為、この町から夜逃げするように別の地方に引っ越しする人も続出している。

 

「私も夫と相談して、今引っ越しの準備を終えて一段落しているところよ」

「羨ましいわ。私なんて家のローンがあって引っ越したくても出来ないのよ」

皆、早くこの暗い空気が渦巻く町から抜け出したい。

今朝お隣の夫婦も別れの挨拶をしてくれた。

 

「あ、もうこんな時間帰らなくちゃ。日が暮れる前に家族と外食する約束してたのぉ」

「なら、早く行ってあげなさい。…また元気で話できる町に戻ったら、偶には遊びに来てね」

「分かっているわよ。それじゃあね。バイバイ」

 

さっきまで話していた奥さんの姿が遠くに見える頃に一人で愚痴った。

多分もう会うことはないでしょう

 

貴方も今朝の夫婦と同じ顔をしていたの。

 

「やっと、この地獄から抜け出せるって顔を」

 

その夜、買い物に行ってくるといったR氏さんが行方不明になったと役所から放送があった。

これでもう7人目。

この町に一体何が起こっているの?

 

~AM:11:00 ハナダシティ入口~

 

「はぁ~。もう今日はここで一泊しよう。流石に野宿が続くと体が回復するどころか悪化するよ絶対」

俺=サトシは洞窟での出来事から直ぐこっちに向かった。もう土の上で寝るのは懲り懲りよ~と言わんばかり体の節々が悲鳴を上げていた。

 

「ピカチュうパイ先も偶にはベットで寝たいよな。ついでに体も綺麗に洗おうな」

お互い洞窟を探索したため、服が汚れている。

 

「しっかしこの町。こんなに寂れてたかなぁ?」

この前雑誌では有名なオカルトスポットとなり、その筋の人達が住んでいると掲載されてたんだけど。

 

「まあ新しい家々が空き家になってる? でも変だな」

中が綺麗に無い物もあれば、急だったのか家具が散乱しているが住んでいる様子がない。

 

「…ふむ。空き家に一泊すれば宿代が浮くな!」

なんてこった、きっと天からの恵みだ。そうと決まれば防犯装置を解除しなければ。

 

「っとその前に、カスミの家に寄っていくか」

母さんがどこにいるか確かめなきゃいけないし、何か情報を持っている可能性もある。

 

「それとキャンプ用の品も買い止めしとくか」

大分消耗しすぎて、ランプの燃料も交換しなければいけなくなってしまった。

 

「よっし。それじゃあ、先に町に繰り出すとするか」

念の為、小型のカメラを庭下に置いておこう。

 

そうして、町の中心街へ向かった。

 

~AM:12:30 ハナダシティ 中心街 繁華街~

 

「う~む。何だか顔色悪い人が多いなあ。皆下痢でもしてるのか?」

必要品を買いに来たのだが、通りすがった人も店員も暗い顔をしていた。

 

「しかも、警察も巡回している。何か事件でも起こってるのかな」

強いて思い浮かべるのは、俺の不法侵入だが。あれは無罪放免のサトシ裁判で判定されたから違うな。

 

「あ、あれ。サトシじゃない?」

誰だろう?俺のファンかな。でも聞いた事ある声だな。

そんな考えをしながら、振り返ってみると。

 

「カ、スミ?…カスミじゃないか!ひっさしぶりだなあ、元気にしてたか」

「サトシこそって何かあったの?服汚れているじゃない!」

これは…その。洞窟に探索したのであって、記憶がないけど。

 

「いやーはは。ここへ来る途中で色々あってね。それよりこの町の人暗い顔してるけど、どうしたの?」

ここへ来てから気になっていたことを口にした。すると、さっきまで元気の良かったカスミが急に暗い顔して

 

「うん。ちょっとね」

???

どうやら事情を知っているようだが、そんな顔するほどやばいことが起きているのか。

 

「…私の家、ここ曲がって直ぐだから。そこで…ね」

「わ、わかった」

この街中で、話すと不味い事でもあるのだろう。けれどこの不安感を解消するためにカスミの家に共に向かう。

 

~PM:12:40 カスミの家~

 

「ただいま~」

「お、おじゃまします」

「そんなに畏まらないでもいいのに~」って言ってくれたけど、女子の家に上がるのはぎこちなくなってしまう。

 

「昼食まだでしょ。今アンタの分も作ってあげるから、適当に座ってて」

「では、お言葉に甘えて」

リビングのソファーに座り、目の前のテーブルにあった新聞を読んで暇つぶしでもするか。

俺は読んで分かった、この町で起こっている事が。

 

「現在。女性の行方不明者が多数、犯人は分かっておらず。付近の住民は例え昼間でも、お子さんの傍から離れず防犯道具を必ず持ち歩きを推奨します。なお、未だ単独犯なのか集団での犯行かもわかっておりませんので戸締りをしっかりして過ごしてください」

 

「おい、何なんだよこれ!」

俺は思わずカスミに叫んでしまった。

 

「あ。それはね…食べてからにしよう、食べにくくなってしまうから」

「…ああ」

タケシと決別する時の沈黙した、空気が張り詰めたそんな感じが俺らを包み込んだ。

 

~男女食事中~PM:13:00~

 

「…で、この町で何が起こっているんだ?」

新聞では深い所まで記載されてるわけでもない。こういう時は住民に聞くのが一番だ。

すると、カスミは震えたような口調で話し始めた。

 

「じ、実はね。ここ最近、女性ばかりが行方不明になる事件が起きているのは知ったよね」

新聞に載っていた、あれか。俺は首を縦に振り、カスミが続ける。

 

「あれね。メディアでは行方不明事件として取り扱っているのだけど、実際は違うの。

この事件は誘拐事件だと町の人達が噂しているのよ」

確証した証拠があるわけではないが、噂が広まって今では信じ込まれたらしい。

 

「空き家が沢山有ったのも、それが原因か」

今日の宿泊するマイホームを思い出しながら、カスミに返事を求める。

 

「そう、来る前に見たのね。そうよ、噂が広まって皆この町から逃げたくなってしまった。

最初は抵抗していた人もいたけど、今はもう止める人はおろか誰もが早く出て行きたいのよ」

カスミの家はこの町のジムリーダーである為と、家のローンが原因で引っ越しに目途が立っていないとのこと。

 

「本当なら。30年も過ごした故郷を離れたくない、でも赤ちゃんのことを考えると」

カスミは自身のお腹を触って、ちょっと明るくなった。

 

!!アカチャン?

 

「ちょっと待て、そのお腹の子誰との子だい?」

最初会ったとき、いや~デブになりましたな~って思っていたけど妊娠してたのか。

俺はびっくりしながら、問いただす。

 

「あ、知らなかったの?シゲルとの子よ 」

う、嘘だろ。何で俺以外の同級生が子持ちが多くなっているんだよ。

ちょっと心がへし折れそうになったが、何とか持ちこたえた。

 

「へ、ふぇー。シゲルの奴、お前と付き合ってたのか。

     只でさえ出番少なかったからって、おっせせしているとは」

会ったらとりあえず「リア充死すべし、慈悲はない」と言いつつぶん殴ろ。

 

「まだ、新婚旅行はまだだけど。赤ちゃんが生まれたら、行こうと思っているの!」

ま、眩しい。最近俺の身に起きた事が暗すぎて、直視できねえよ。

 

でも先ずは

「おめでとうカスミ。本当ならお祝い品を用意すれば良かったけど、ごめん」

ドタバタして、連絡していなかった。痛恨のミスだ。

 

「仕方ないよ、サトシだって夢に向かって一生懸命やっていたんでしょ」

…今持ちこたえた心が『ペキッ』と音が鳴るのが理解できた。

 

「ま、まあ。まだポケモンマスターになっていないけげ、今度こそなってやるぜ」

知られたくない、母が俺の預けていたポケモン達がオークションで売却されていたなんて。

 

「あ、そうだ。いい機会だから、サトシもお腹の赤ちゃん擦ってみる?」

それは俺にとっては現実を見なければいけないなる為、死刑宣告みたいなものだ。

しかし、幼馴染の提案を断る訳にもいけ無い。しょうがなく俺はカスミの傍に寄り、お腹の中にいるであろう赤ちゃんに気を使いながら摩った。

 

「ふふ。変な気分、サトシにお腹を摩ってもらえる日が来るとは思ってなかったですもん」

ああ、俺も気分が変だ。…おや、心から失踪届が出てる。・・・・・・え?

 

もう十分だな。これ以上は俺が俺じゃなくなると思い摩るのをやめ、話題を変えました。

「俺の母さんの居場所知らないかい?」

本来の目的を達成するため、何か知っているのか聞き出す。

 

「あ~。それなら、シゲルが知っているわよ。一度来たらしくって、その時は私は買い物に行っててよくは知らないけど」

おっしゃ、やっぱり手掛かりがあった。そしてシゲルが今何処にいているのか続けて聞く。

 

「シゲルは、今シオンタウンに行ってる。亡くなってしまったコラッタの墓参り何ですって」

そう言えば、昔に会った時もシオンタウンだった時があったな。コラッタの墓があったのか。

 

「取り敢えず、明日にでも向かってみるよ」

礼を言い、夜遅くなってしまった為マイホームに戻ろうと玄関に向かう。

 

「繁華街のホテルなら警察もいるから安全だよ。飲食店もあそこなら遅くまでやっているわ」

カスミは俺を見送る直前に、この町の比較的安全な場所を教えてもらった。

…でも俺は、空き家に一泊するからなあ。

 

「ありがとう。そこで宿とって、さっさと寝るよ」

嘘をつきながら、ドアを開けて一言述べた

 

「飯、美味しかった。タケシより旨くなってんじゃん」

「当然よ!これでも主婦ですもの、夫に美味しいご飯ふるまう為努力したんもん」

別れが惜しくなるが俺は

 

「また、来るよ」

「ええ、次は連絡して頂戴。腕によりをかけて料理を作るわ」

 

本当に敵わないなぁ、カスミには。俺は微笑みながら扉を閉め、宿泊地へ向かう。

 

~PM:7:00~空き家(サトシハウス)

 

ガチャン

 

「待たせたな!」

ドアを開ける事なんて朝飯前よ。

 

「やっぱり我が家(勝手に)は気兼ねないていいから最高だぜ!」

でも、やっぱり寂しい感じはあった。

けど気分が落ち込んでても、仕方がないよね。

 

「ではでは、早速。キッチンの所に行ってみましょう。突撃空き巣の冷蔵庫の中」

何故か妙にテンションが高まり、興奮していた。

 

「やったぞ!冷蔵庫の中に食べ物がある。持ち運べなかった食べ物を俺が食べる、なんてエコロジーなんだ」

賞味期限もまだまだ先、大丈夫三日位切れてても食べきるそれがグルメ家。

ピカチュうもこれにはニッコリ。

 

「よし、ランプの光が漏れないようにカーテンをしっかりして鍵も閉めないと」

防犯対策はしっかりしないとね。田舎で暮らしている人も用心はした方が身のためだよ。

 

「ふぃ~。久しぶりのお湯、全身で堪能堪能」

服は今、洗濯し終えて乾燥中。なので俺の格好は、この家にあったのを適当に見繕ったものになった。

 

「パイ先も体を綺麗になって、よかったね」

真っ黄色に汚れ一つもない姿に、思わず抱き枕に良さそう。

 

「よーし、今日はパーッと豪勢にしようぜ!」

お金が少なくなる原因が自分にあることを自覚しない愚かな。

 

「ビールも冷えてるし、ポケモンフードもある。良きかな良きかな」

気分は金曜日に定時で飲みに行けるサラリーマンだぜ。

 

「プハァーうめぇ。五臓六腑に染み渡るぜ」

チンした。生パスタやピザ、残っていたのを余す事無く好きな分だけ食べた。

 

~青年飲食中~

 

~PM:11:00~

 

「満腹、余はもう満腹じゃ」

「ピカ、ゲッピ」

今すんげぇ、聞いてはいけない発音が…忘れよう。

 

「布団で寝るなんて何年ぶりだ?」

ここ数年は野宿かハンモック悪かねぇがやっぱりベット一番。マサラ人がいうだから間違いなし!

 

「電気は流石に通ってないから、テレビは映んないか」

娯楽がないというのは、寝るまでの時間潰しが出来ないなんて

 

「仕方ない、通信量がやばいけどスマホゲーで潰すしかねぇか」

光を調節して、明るさを弱く設定した。

 

「夜中にゲームをすると目が悪くなるとか言うけど、ホントなのか?」

一般的にはダメと聞くけど実際にどうなるかわからねぇな。

 

「・・・・ぉぃ」

!?外に誰かいる!

 

カーテンを少しだけ開けてそこから外の景色を見てみる

 

「なんだ?男性二人が何かを運んでる」

暗い為、よく見えないけど。重たそうな荷物?を何処かへ運ぼうとしているのは分かった。

 

「気になる。仕方ない、道具を出すか」

サトシの7つ道具其の2 魔改造式無音ドローンを展開した。

 

「これで近くまで行けば、音が拾える」

移動音が無いとはいえ、見つかったらどうなるか解らない。だから声が聞こえるギリギリの距離にドローンを配備した。

 

「一体何をしているんだ?」

恐怖心もあったが好奇心が勝り、危険を冒してしまった。

 

今思えば、あの時警察に連絡しておけば良かったと後悔している。

 

そうしておけば、次の犠牲者は出なかったのに・・・ 

 

 

 

 




本当は短編で今回の話を終わらせ様と作成していたら、また話が長くなってしまいました。

そしてシオンタウンに向かうサトシ。そこにいるシゲル。

ハナダシティで起こる誘拐事件はいつ終息するのか

次回もよろピコ


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母の居場所とライバルと老人と

俺の名はマサラ人のサトシ、ポケモントレーナーだ。
ハナダシティで怪しい二人の様子を伺っていたら…
いつの間にか睡魔に襲われていた!

サトシが母の居場所を聞いていると判れば、母さんが又引っ越しかもしれない。事は慎重に行動をしなければ。

幾つになっても少年の心、真実はいつも…1つなのか?


「一体何をしているんだ?」

俺は興味本意から魔改造無音ドローンを展開して、見つからないようにギリギリの距離に配置した。

「これで音声を拾えるか?」

「……き…も…だ…こ…っす…ね」

「くそ、ダメだ。聞き取りずらい。…仕方ないクリアに聴こえる範囲にまで、接近するしかないか。」

こういう場合に備えて、メンテナンスをちゃんとするんだったと後悔した。

「サトシホッパーでも作るか今度。」

憧れてたんだよねぇー。打ち上げて500m 上空から10km 四方を偵察出来るメカ。うーむダブルタイフーン。

そんな独り言を呟きつつも、ドローンから送られる音声が段々とクリアになってきた。

「ああ…あの方も…喜び…ろう。…警察も…だなぁ、まさか…の所に人…を…してるなんてな」

クリアになっても、ノイズはやっぱりあるな。

しかし、なんと言うか。秘密の仕事をしているみたいで、ちょっと興奮する。そんなことを思いつつも、俺は途切れ途切れの音声から、二人組の男だと予想した。

「でも、夜中に何をしてるんだろ?今って誘拐事件で夜に出歩く人は少ないって聞いたが…」

もしかしたら、犯人なのではないか?と思ったが確証もない。

「寝る時間だし、これ以上の深追いは止めよ」

間違っていたら面倒な事になる、それは勘弁願いたい…さっさと寝よう。俺は眠気に負けたが、ドローンの電源をいれっぱなしにしていた。

そして送られてきた音声は

「あ、…兄貴…日もどうします?」

「…そうだな、…えず…強…からするか。」

「つまり…の倉庫で…?」

二人組は常習犯?なのか、手慣れた手付きで倉庫に何かを運んでいった。

 

翌日

~AM:8:00~

 

「ふぁ~、おはよ俺。」

ベッドで寝たから寝起きは最高。でも昨日は一体何だったんだ?…ま、それより朝食でも作るか。

「あ!それより先に起きしに行かなければ」

俺はピカチュうを起こしに隣の夫婦が使ってた部屋へ向かった。

「おーい、パイ先も起きて下さい。朝です!」

「ピーカァー、チュー」

ダメだ。羽毛布団の心地よさにやられている。

つか何故、俺よりも良いベッドを使ってるんすかねぇ。

文句も言いつつ、寝ているピカチュうの頭を撫でる。

「いっけね!朝飯の用意しなきゃ!」

早めに出発する為、レンジでチンするタイプの食品を用意。そしてピカチュうパイ先の電気で温める。電気代が高くて悩んでいる、そこの奥さん。必見ですよ!

「え~先ずは、レンジのコンセントを持ちます。その後に、ご家庭で飼っているピカチュウにお願いして10万ボルトを手に持っているコンセント目掛けて撃ち込んで貰ってください。すると…

「…天国でオーキド博士が天使達とリンボーダンスしてる」

天国へのカウントダウンが速くなります。

えっ(*´・д・)!もっと安全な方法で節約したいって?

「そう。それこそがマグマなんです!」

この方法の利点は、電気マッサージを同時進行で行えるという素晴らしい特典が付きます。

(*´・д・)!要らないって?……うるせぇ!ゴローニャぶつけんぞ。

「これを後、3回繰り返してやっと朝食が食べれます」

そして、何と言うことをしでかしたのでしょう。膨大な電気を喰らったマサラ人の身体はヴィランのエレクトロに生まれ変わってしまったのです(時間制限付き)。

「これで蜘蛛男に、俺の存在を認めさせてやる!」

何て言ってみることも可能になります。

さあ、皆さんもやってみてね!

 

~青年食事中~

 

~AM:8:30~

「よし、行きますか!」

証拠が残らぬ様に掃除をしておき、ドローンやカメラも回収。後はシオンタウンにいるシゲルに、母さんの居場所を聞きに向かわなければ。

「それにしても、登校中の学生諸君は親から送り迎えか」

犯行が続いて入る為仕方がないが、子供達が暗い顔をしているのは頂けないね。

「早く解決することを祈ることしか出来ないな」

アーメンと十字を切り、俺はハナダシティを後にした。

 

~AM:9:30~シオンタウン

 

「ウヒャー。何か寒気が」

この町から出ているオーラと言いましょうか。ホラ、心霊番組でよくあるでしょう?

「あ~この場所は危険ですね~」的なアレ。そうアレなんですよ。そんな雰囲気が漂っているんすよ。

「…幽霊に格闘技って効いたっけ?」

やばい思考回路がショートしている。10万ボルトが効きすぎてしまった、今度から5万ボルトに調整やな。

「こういう時は、幽霊探知機でお化けを探知するか」

縁日で、おっちゃんが「この探知機すごいっよぉぉぉ、流石はアクロマの兄さん!」って言ってたな。

今思うとあのオヤジ、薬でも吸っているのか?その後に、アイアンテールを喉元に突き刺せて、ありがたく貰った。

去り際に「お前、ホントに人間か?」と言われたけど、人を化け物みたいに言いやがったから、10万ボルトを喰らわせてやったよ。酔いが覚めて一石二鳥だろう?

「さぁ~て、スッチオン!!」

わ~お。危険のマークに一直線。しかもレーダー判定では、四方八方囲まれていますやん俺。

人生終了のお知らせのテロップが、多分頭上辺りにあると思うが、無視しよう。

「この探知機は安物。…清めの塩をばら撒くか」

変な奴から貰ったから、きっと故障してたんだ。そうに違いない。

しかし、俺にはこの清めの塩がある。これで安全が確保されたも当然。

ふ、勝ったな!

バックから清めの塩を取り出す。

「…真っ黒になっとるがな」

さよなら俺の人生。

しょうもない1人コントをしていると

「その、間抜け顔。サトシか?」

誰だ!鏡よ鏡、世界で一番カッコイイのはオーレ?って聞いたら、鏡に顔が映らなくなった。サトシ様に気易く言葉をかけるのは

「なんだ、シゲルか」

「なんだとは何だよ!カスミから連絡あったぞ、俺に用があったんだろ」

なるほどカスミの奴、気を利かせやがって。後でこの真っ黒な塩を送ってやる。

「んで、用って何なんだよ」

相変わらず俺に対しては口調がキツいね。慣れたけどね。

「あ、ああ。実はな」

カクカクシカジカウマウマ。

母が失踪して、手持ちのポケモンが全て売られた事を伝えた。

「はあ、サトシ哀れよなあ」

うっせ。

「それよりカスミから聞いたぞ、お前が母さんと話してたって本当か?」

出来ることなら、聞いた後直ぐに向かわなければ。

「ああ、会ったよ。3ヶ月前くらいに、引っ越するからその挨拶で来たとか」

つまり3ヶ月前はまでは、家とポケモン達は無事だったというわけか。

「それで、引っ越し先は聞いたか?」

俺にとってシゲルの存在価値である、母の居場所を教えてもらえば後は用無し。

「ああ。それなら、クチバシティに移住するって言ってたな」

ホゥ(゚Å゚)それはそれは貴重な情報ありがとう。

「クチバシティか。取り敢えず向かってみるか」

そして、オーキドの遺産は俺が貰う!

気味の悪い顔で笑っていたからか、シゲルが1歩身を引いてしまった。

「おーい!そこの君達、ちょっと来て手伝ってはくれないかい?」

ポケモンタワーから俺達を呼ぶ誰かがいる? ご高齢?

「シゲル、お前の知り合いか?」

「いや。此処には1年に1度しか来ないから、知り合いなんていないぞ」

俺の知り合いでも、シゲルの知り合いでもない。あの老人は誰?

 

「でも、お年寄りの頼みを断る事は出来ないな」「善人ですね!」

ま、頼み事があって呼んだのなら、団子で手を打ってやるよ。

「どうしたんじゃ?ちょっと手伝って欲しいんじゃが」

「今行きまーす」

シゲルが「仕方がない、行こうぜ」と俺の肩を叩く。

ちっ!仕方がない乗り掛かった船だ。

俺達は老人のいる、ポケモンタワーに向かうのであった。

 

~AM:10:00~

 

一方

 

~%$|$:$>~|~

「N様。ご報告が」

この組織を率いてから大分大きくなった。

少年の様な顔立ちをした青年は、ただ玉座に座り部下の話を聞く。

「先日、我々が探し求めていた。古代に在ったとされる憲章の入り口を発見しました」

「ふーんそれで」 

Nはそんなことが聞きたいのではない、中身が聞きたかった。

「そ、それが。入り口が崩落してまして、入り口を空けるのに時間が要しまして」

はぁー、ボクは溜め息を吐いた。報告するなら空けてからすれば良いのに。

組織が拡大したから、幹部に昇進したい奴が増えてきた。ただ、その器に相応しい者がいないのが問題だ。

「もう、いいよ下がって。報告は空けてからに「で、ですが!」」

引き下がれるか、と言わんばかりに強気に出てくる。

面倒だ。

「もう一度、言わなきゃいけない?下がれと言ったら下がれよ」 「…は、はい」

疲れるな。組織は便利だが、いちいち部下の報告に耳を傾けなきゃいけない。人の心なんて分かりたくもないのな。 

「さて、そろそろ次の一手でも打つか」 

手元にミュウとミュウツーの資料を見ながら、Nは出掛けて行くのだった。




nextマサラ人ずヒント
「フジ老人」
早く完結させなきゃってやっているんだが、一向に進まない。
ダメ人間ですね。

tobeecontinue

次回を待つのだBayBay!


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懺悔

俺の名はサトシ、今はシオンタウンで会う予定をしてたシゲルと、そこで出会った老人の頼みで、ポケモンタワーの掃除をしている。…かったりぃーな。

 

~PM:12:30~

「いゃぁー、助かった。有り難うのぉ、若いの」

「高齢者を助けるのは、当然の事ですよ。…えーと、失礼。名前はお聞きしておりませんでしたね」

シゲルも俺も、出会って間もない老人の手伝いをしていた。けども名前を教えてもらっては…なかったわ。

「忘れとった!いや、すまんすまん。ワシの名はフジ、此処等ではフジ老人と慕われておる。宜しくじゃ!」

元気なじいさんだなぁと思いつつ

「俺の名はサトシ。マサラタウンから来ました。」

「自分もマサラタウン出身のシゲルと申します。」

俺達も名乗った。

「すまんな。今ではポケモンの墓地と言われておるこの場所は、人手がまーたく足りないのじゃ」

あ~なるほど。確かにお盆とかには墓参りでくる事はあるって聞くけど住みたいとは思わないってインタビューっで答えていた人がいたな。

「ですが、住民の人達も手伝っていませんが?」

掃除をしている時に俺も気づいていたが、フジ老人以外、ポケモンタワーに入る人は見なかったな。

「それはじゃな。ここに墓が大量にあるせいかのぉ、ゴーストが大量に徘徊しておってな、ワシ以外は怖がって地近づかないのじゃ」

そっかぁ、だから清めの塩が真っ黒になってたんだな。…?肩が重い?気のせいか??

自分の体に異変が起きていたが、それよりフジさんが何故、1人でも掃除をしていたのか?

「フジさん、どうして1人でも掃除するんですか?その年齢ではきついでしょう?」

俺の目から見ても、フジさんは80歳ってところかな。身体に堪えるよな。

さっきまで元気だったじいさんの口から、静かに俺たちに話した。

「ワシは元々他方の人じゃった。じゃが若い時に過ちを犯してしまってのぉ。今こうして掃除しているのは、せめてもの償いなんじゃ」

…過去に何をしてしまったのかは解らない。

けれど、表情で伝わってくる。己がしでかした事の重大さを。

続いてシゲルが、思い詰めた様顔をしながら話す。

「…自分もあります。ライバルに負けたくなくって、必死にポケモンバトルを繰り返していたんです。でも焦りが出始めて、ある時相棒だったラッタの治療をしないまま、バトルに出してしまったんです。」

連続での戦闘はポケモンにとって、ストレスしかない。

ポケモンセンターで治療を受けていれば別だが、傷ついた身体で戦闘を続けさせる。それが元になって死亡する例は初心者トレーナーによくあることだと、女医さんが言っていた。

「それが原因で、俺はラッタを死なせてしまった。最初は気にしない様に、またポケモンバトルに熱中して、忘れようとしたんだ。けど、出来なかった。頭からラッタの顔が離れないんだ!」

俺もじいさんも、シゲルの話を静かに聞く、

「『どうしたら、罪は消える?』だから1年に1度、ラッタの墓に謝ってるんだ。あの時、俺がちゃんとお前の事を見てさいいれば…お前を死しなすこともなかったのに」

シゲルが懺悔をした。今まで必死に、誰にも悟られるようにしていたのだろう。

…お前って奴は、天国にいるラッタに伝わってるよきっと。

「お前さんは立派じゃ。近頃のトレーナーはその事を忘れとる、ポケモンバトルで一番大事なのは『勝つ』ことじゃぁない。傍にいるポケモン達を勝つこと以上に『大切』にしてやることじゃ。勝っても負けても笑い合えることが出来る信頼関係、その者達こそ真のポケモントレーナーじゃないかのぉ」

じいさんはシゲルにそう言い聞かせた。

「…フジさん、ありがとうございます。少し気分が落ち着きました」

じいさんの話を聞いて、いつものシゲルに戻りつつあった。

 

その時、向こう側から俺の事を呼ぶ声が

「ん?そこにいるのはジャリボーイじゃないかにゃー」

「え、ニャース?何でここに?」

元ロケット団の一員であった、ニャースがポケモンタワーに来ているのにはびっくり。

 

けど

 

「ニャース、そちらの女性はどなた?」

ムサシ以外でニャースと一緒にいる女性(おばはん)はどちら様?

 

 

~PM:1:00~

『この方はニャー、霊能者リカコさんにゃ。今日はリカコさんにお願いして、亡くなったポケモンを下界にこさせるニャス。そしたら、りかこさんの体に憑依してもらって、ニャーが通訳して遺族にお伝えする仕事をしていたニャス。」

今丁度終えて、飯でもどうかって話していたニャス』

なるほどね。心に傷を負った遺族を経ち直す事もできるし、遣り甲斐のあるいい仕事ですな。

俺は感心していると、じいさんがニャース達に頼み事を述べる。

「ど、どうか。この悩める少年を救ってはくれませぬか!」

「ちょ、いきなりにゃんなんにゃ!」

じいさんは、シゲルの悩みを何とかしたいと思っての行動なのだろう。

俺はただ聞いているだけだったが。

「…フジさん」

「しかしニャーはともかく、リカコさんがやってくれるかはわからないニャス。」

確かについさっきまで、仕事をしていたからお疲れだろう。

昼食も食べてないって言っていたし、仕事依頼でもないから断る可能性の方が十分にある。

「そ、そこをなんとか、お願いします。」

頭を地面につけて、いわゆる土下座をしている。

ニャースも無下に出来ず、リカコさんにやってくれるかと聞いている。

「フジさん、ありがとうございます。自分なんかの為に土下座までしてもらって」

「なぁーに、気にすることはない。老人のお節介じゃよ」

それにしても俺、ひょっとして今回影薄い?

そんな考えをしながら、待っているとニャースが俺達を呼んでいる。

「おーい!OKをもらったニャスが、先ずは昼食を食べてからって事で、開始するのは一時間後になったニャス」

あ、ありがたい。じいさんの誠意が伝わった。

 

 

儀式は1時間後か、その前に俺達も飯食いにいくか!

取り敢えず、此処等で評判の高い、ゴースト肉まんとホッポの焼き鳥を購入。うむ、外は紫芋に包まれていて、中はアンコがぎっしりで美味。ホッポの焼き鳥は想像しないで食べると旨いけど、気分的にはちょっと。

じいさんは好物である、ホッポの天丼を美味しそうに食べている。

シゲルさんは、コイキングの刺身定食を頼んだが、店員のミスでケムッソの天ぷらうどんになってしまった。…新手のテロかな?

 

「ふふふ。見てくれよ、ケムッソを口の中に入れた瞬間、ブチュって音がするんだよ。でも、味は美味しいんだ。ははは」 

うわぁ。歯の間にケムッソの目?らしき食べかすがあるんだか。

 

数分後

「うひゃー。やはり小生の物が一番美味しそうでござる」

「いや、俺達はとっくに食べ終わっているんだが」

め、目がイカれてやがる。空の皿しかないのに…何が見えているんだ、今のシゲルには

「お、おい!それヤバイから違うのを頼もうぜ」

これ以上食べたら、シゲルの脳に異常がきたしそうな感じがして経たない。

「No!Don't touch my ケムッソ!これは誰にも渡さないでござる。…さては拙者のケムッソを奪いつもりでござるな!それなら殺す気でかかってこいでござる!」

ファイティングポーズを構えながら、丼を守っている。

「ワシ、あれがメニューとして存在しておるのが、不思議で仕方ないんじゃが」

「奇遇ですね。俺もッス」

シゲルの苦悶した顔を見ながら、これを作ろうとした経緯が知りたくなった一行だった。

 

~PM:2:00~

 

「改めまして、リカコと申します。では今回のご依頼内容の確認をします」

見た目からみて、60歳くらいかな。そんな感想を頭の隅で考えながら、依頼内容を伝える為、シゲル本人がリカコさんに話した。

 

「…了解しました。この件を引き受けて正解でした」

「…どういうことですか?」

確か、今回はボランティアという形で無料にしてくれた、普通ならあり得ないことだから何か理由があるのか?

ちょっとした疑問が出来たが、続けてリカコさんが話す

「実はですね。ニャースさんから話を聞いている時にね、シゲルさんのラッタらしき霊が遠くから私を見てきたんですよ。きっとシゲルさんの事が気になって、成仏できなかったんでしょう。だからこそ、その魂を成仏させる為、引き受けたのです」

…ラッタはシゲルを見ていたんだな。

シゲルは泣きそうな顔を食いしばいつつ、「儀式を始めましょうよ!」と早口になっていた。

「そうですね。では早速始めましょう」

シゲルとリカコさんが座布団(ニャースが用意)に座り、リカコさんが呪文?を唱え始めた。

「でも信じられんのう。死者をこの世に来させるできるとは」

「そうですね。不思議な感じがしますね」

霊とか、心霊スポットに縁が無かったからこんな体験は初めてで、緊張するよね。

「む、来ました!」

呼び出す為の呪文を唱え終わったのか、両手を擦っていた動作をやめ、リカコさんの体がガクッと疲れた様に倒れそうになった。

「ねえニャース。あれ本当に大丈夫なの?」

ニャースに問いただす。

「大丈夫ニャスよジャリボーイ。ニャアも最初は同じ気もちだったニャス、だけどあれが成功した証みたいなもんニャス」

そんなものなのか?ま、まあ。素人の視点からだからよく分かんねえや。

「む!リカコさんがしゃべりだしたぞ!」

しかし、「ラッタッタ」とラッタの言語で話している為、何言っているか分からない。

「ここからはニャースの出番ニャス」

流石は通訳のスペシャリスト。そこにシビレル、アコガレルゥ。

「えーと。シゲル僕だよ、ラッタだよ。」

「…本当にお前なのか!?」

シゲルが動揺してる、かつて謝れなかった相棒に。

「そうだよって言っても信じられないよね…そうだ!シゲルが良くカスミに手紙を送る時に書いて『わーーーやめろー』」

どうやら、本物らしい。でも気になる、リア充死すべしとか言っているけど、知り合いの恋愛事情って気になるよね。

「ほ、本当に、俺の相棒が…帰ってきた」

シゲルは涙を流した。

「でも、最初は復讐する為に地縛霊として、ここに留まっていたんだ」

…やはり、その可能性も十分にあった。自分を治療せず戦わせた結果死なせたからね。シゲルも覚悟をして儀式に挑んだのだが、苦悶した表情に変化してしまっていた。

「僕を見殺しにした君に、どんな事をしようかなってずっと考えてたんだ」

「あ、ああ。だから俺を呪い殺しても構わない!それほどの事をしてしまった」

これまで悩んでいても、答えが出なかったのだろう。死で償おうとしている。

「…いいや、命なんて取らない。この場を設けてもらった後に、僕は成仏するからね」

「え、どうして」

この機会の為だけに、待ってきたっていっているようだ。

「シゲルが亡くなった僕の為に、毎週日曜日に来ては、あの時の過ちをいつも謝ってるを見てたんだ。そしたらさ、何時しか僕の中にあった憎しみが無くなったんだ」

「ラッタ、本当にごめん。俺がちゃんと見ていれば…進化したり、彼女ができたりしたはずなのに」

ずっと前、ラッタを失った日から俺の時間は止まってしまっていた。

「確かにねそういう未来もあったかもしれないね。けど、もういいんだよ、自分を赦してやって。僕は十分罪を償ったと思っているからさ」

「でも、消えちゃうんだろ。良いのかよそれで!」

泣きながら、このまま消えてしまうラッタに文句を言う。

「うん。本当は消えてしまうのは怖いし、シゲルに会えなくなるのはもっと悲しい」

「なら、此処に残れよ!俺が毎日会いに行くから、逝かないでくれ…よ」

「…シゲル」

あんなに泣いているシゲルを見るのは初めてだ。

「嬉しいなぁ。シゲルにそう言って貰えて、僕は幸せ者だ」

「…あ…ああ…逝かないでくれ!」

リカコさんの身体から白い煙?が離れていく。きっとあれがラッタの魂なのだう。

「ありがとう、最後まで僕の事を心配してくれて。天国にいる仲間達にいい土産話がで…き……たよ」

「ラッタああああぁぁぁぁぁぁ…ぁ……あ」

「シゲル…」

泣き崩れてしまった。そっとしといてあげよう。

「儀式は終わりました。長年この職に就いていますが、あのラッタさん以上に愛されたポケモンは見たことがありません。」

リカコさんが、シゲルに取り憑かれた時に感じた事を話す。

「彼の子は私に憑依してからずっと、貴方に怨みは微塵も感じられませんでした。本当に幸せだったのでしょう。これからもその事を忘れずに有る限り、天国から見守ってくれますよ」

「そうじゃシゲンさんや、お主はまだまだ若い。人生は誰もが間違ったことをしてしまう、肝心なのは『認めること』。間違ったことをそのままにしておく者は成長しないぞ。…だからこそ今は想いっきり泣いて、立ち上がるのじゃ」

「お、おじいさん、リカコさん。ニャース。ありがとう」

皆にお礼を述べる

……ん? 俺には?

こうして、儀式は終了。シゲルは泣きじゃくったが、立ち直りを果たした。

 

~PM:3:00~

「さて、ワシ等も帰りますか」

儀式は終わったから、皆がその意見に賛同。

「じゃ、にゃーらも次の仕事があるにゃら。じゃーら、ジャリボーイ達!」

「もし、またお困りになった際は、次はちゃんと予約して下さいね」

「『しつれいします(にゃす)』」とポケモンタワーから出た後直ぐに、ニャース達は行ってしまった。

「フジさん。今日は本当にありがとうございました。貴方が申していなかったら…」

別れの最後に暗くなったらいけないと、首を振って

「重ね重ね感謝を致します。」っと礼をして、シゲルはハナダシティに帰ってた。

「今日は不謹慎じゃが、お前らさんと出会って楽しかったぞい」

笑顔で、俺にお辞儀をする。

「俺も今日はとってもいい体験を見れました。それもこれもフジさんのお陰です。じゃ、俺も次の町に向かうとするか。じゃーなシゲル、お元気でフジさん。」

俺も別れの挨拶をして次の町へ向かった。

 

~とあるニュース~

「こんにちは今日のニュースです。先程、ハナダシティに起きている行方不明者が続出する事件に新たな動きがありました。元ジムリーダーだったカスミさんが、昨日の夜から行方が解らなくなったと近隣住民から通報がありました。事件に巻き込まれたのではないか、とみられ警察は必死の大捜索に踏み切ったそうです。」




いゃー遅くなってすまぬすまぬ。新学期が始まって、ドタバタの毎日でしたので、書く時間が少なくなってしまいました。次回も投稿も早くて来週になりますので。



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運命はピエロの掌で踊っている

俺の名はシゲル。ポケモンタワーで相棒だったラッタと最後の別れを告げ、
ハナダシティに帰ってきたのだが…


~PM:6:00~ハナダシティ

「何なんだよ!これはっ!」

俺=シゲルは、ポケモンタワーの一件から帰宅してきたのだが…

「はいはい、退いてくださーい。今捜索しますので」

俺の家に警察が家宅捜索って奴か、これでは家でくつろげない。…でも何で、俺の家で。

「あ!君君。カスミさんの旦那さんだね。ちょっと事情聴衆に協力を要請します」

「ちょっ!行きなりなんなんですか?」

一人の警察官が俺方に来て、警察の簡易取調室に連行された。

「何なんですかいきなり!これからも妻に夕飯を作らなくちゃいけないですけど!!」

事情聴取なんてやっていたら、夕飯作る時間が無くなってしまう。何とかせねば。

「で、用件は何です?」

先ずは情報が欲しい。何故家がああなっていたのか。

「そうですね、順序よくお話しますと、ここ最近ハナダシティっで起こっている行方不明事件をご存じでしょうか?」

警官が言っている事件なら知っている。確か若い女性が…

「ま、まさか!?」

「ええ、お気の毒ですが、貴女の奥さんが誘拐事件に巻き込まれたと事件を捜査しています」

俺は落胆した。側を離れていなければ何事もなかったのに…

「その誘拐事件の犯人はまだつかまえられませんか!」

怒りの口調になった仕方あるまい、大事な妻とお腹の赤ちゃんもいるからな。

警官はびっくりしつつも、「他言無用ですかけど」と俺に伝えようとしてきた。

「この事件、実は誘拐事件として処理しているんですけど、実際は違うのではないかと言う意見がありまして」

「ん?どういうことですか?」

町の皆は誘拐事件で認識して、それに怯えているんだ。他に裏があるのか? 

「誘拐事件の多くは身代金を用意させるケースが普通なのですが、本件と関係性があるものと照らしても『犯人側から何も要求していないんですよ』」

「はぁ?」

そこまで、日頃事件などを見ているわけではなかったから知らなかったが、確かに犯人が被害者家族に要求されって話は聞かない。

俺の体から脂汗が出始める。もっと別の事が起きていると思い始めてしまったからだ。

「つ、つまり。この事件は」

「ただの誘拐事件ではなく、人身販売を目的とした集団が関与している可能性があります」

じゃ、じゃあ。カスミを今すぐにでも見つけないと……俺は最悪の事態を想像してしまった。何とかせねばとは言うがどうしろって言うんだ。警察が手を焼いているのに一般人の俺になにができる。

「昔にこういった事例が合ったのですが、残念ながら」

生きている可能性は薄いと言われた。

「一応、誘拐された時間帯に何処にいたのかは確認したいのですが」

「わ、分かりました」

こうして俺は警察からの事情聴取は、シオンタウンのフジさんからもありアリバイが認められ、犯人から外された。

 

・・

・・・

 

「警部、上層部からまた圧力をかけてきています」

「なぁに~、またか。ったくこっちの事を考えない頭でっかちが!」

新米警官と警部が被害者の家に捜索している。

「でも、変ですよね?この事件に関連している山に何故、圧力かけてくるのでしょうか?」

「…」 

新米が言いたいことは、俺も理解している。そして何故そうまでして、邪魔をする理由も察しは着いている。

「新入り、飯でもどうだ?」

「は、はい。頂きます!」 

家から出て、弁当とお茶を係りから受け取り、他の奴らに聞こえない所で腰を下ろした。

「ふぅー。証拠の一個もありゃしねぇ、全く嫌になるな」

不満を言いながら、幕の内弁当を食べる。

「そうですね。でも、何でこんなところで食べるんですか?」

新入りが発言した途端、警部の箸が止まった。

「新入り、今から話す事は誰にも話すなよ」

急に険しい顔で、新米に睨み付ける。

「え、急にどうしたんですか?怖いですよ」  

「いいから黙って怒られた振りをしていろ。そうじゃなきゃ、怪しまれるからな」

新米はなに言っているか解らないが、言う通りに怒られた振りを演じた。

「上層部が圧力かけてくる理由を俺は知っている」

「!?」

驚いた顔をしている。無理もねぇ。

「昔、俺もぺーぺーだった頃に大きな事件を担当してな、直ぐに方はついたんだが問題はその後だ」

割り箸が折れそうに手に力が込めている。よっぽど悔しい思いをしたのか?

「罪状は女児2人を殺害したということで、死刑になった。当時誰もが信じて疑わなかったよ、だか、それこそが間違っていたんだ」

「どう言うことですか?」

「当初犯人と扱っていた人物が、無関係…つまり無実の市民を俺達警察官は殺してしまった」

「どうして、そんなことしてしまったんですか!市民の命を守るのが警察官でしょ?」

新入りが怒り散らかしている、当然だ。

「DNA鑑定を知っているか? 」

「え?…確か血液で特定の人物を判定する奴ですか」

「大方は間違っていない、そうだ。当時それは画期的で犯人判別に持ってこいだった。…しかし穴も存在していた」

懐から、二つの物を取り出した。

新米は片方は最新のDNA鑑定で使われる測定値表だと理解できたが、もう片方の測定値表には見覚えなかった 。

「見覚ねぇ奴があんだろ、それが当時に使われていた測定値表なんだよ」

「でも、これって」

「ああ、そうだ!これは、数値も適当に出来ていたんだよ」

現在の測定値表は万が一にも、誤認逮捕が起こらぬ様、表は正確に作られている。

しかし

「これと当時の担当鑑定士のお陰で、真犯人を捕まえぞこなったんだ!」

ペキっと、とうとう警部は割り箸を折ってしまった。

「で、でも。再捜査で捕まえる事が出来る筈では?」

「だからいってんだろ?俺は理由を知っているって」

よく理解していない新米を他所に、話を続ける。

「上層部は隠蔽するために、無実の市民を死刑にして有耶無耶にしたんだよ」

「一度解決した事件は、再捜査は出来ない事を言い様に使った。死人に無口だな」

「でも、どうして?ちゃんと捜索していたら、助かった命じゃないんですか!」

「言いたいことは解る。でもな、DNA鑑定に誤りが合ったら、何百件も再捜査しなきちゃいけない嵌めになる。上層部はそれを恐れたんだ、隠蔽した事件が掘り起こされるのを」

「じゃ、じゃあ今回の事件もその類い何ですか!」

正義感の強いやつだな新入り。けどな、世の中そう簡単に行くもんじゃないんだ。

「その通りだ。隠蔽する準備の知らせみたいなもんだ、圧力をかけるって意味はな」

「抗議しましょうよ!世論を味方につけばきっと!」

「メディアが俺達の事を味方すればな」

「え?それって…」

良いも悪いも彼奴らは情報を操作出来るからな。

「何時だって、正しい人の主張には傾けないで間違っている主張を取り上げる。そうして儲かる奴がいるから嫌になるよな」

弁当を食べ終わり、警部は立ち上がった。

「だが、このままでは終わらせたくないだろ?」

「はい!勿論です」

「なら、必死に捜索しろ!そうすれば、助かる命がきっとある!もうひと踏んだりだ!」

「了解しました!」

うむ。いい返事だ

「でも、自分まだ弁当を食べてないので、急いで食います」

「…いや、食べ物はゆっくり食べとけ。俺は先に現場に戻ってる」

「ほひふ、ふいりようかあ」

「食べながら、喋るなよ」

そうして俺は仕事に戻った。

 

~PM :7:00~

「いらっしゃいませ、何時間ご利用なされますか?」

「じゃぁ、この一泊プランで」

「かしこまりました。ではごゆっくりしてください」

俺は警察が家宅捜索で、犯人に繋がる証拠がないか探すため、自宅に居ることは叶わずにいる。

そして現在、ネットカフェで夜を過ごすことになった。

「他は分かんないけど、案外部屋って狭いんだな」

テレビやパソコンは完備されているが、寝るのを考えたらやはり狭い。丸くなって寝ないといけなかった。

「それより、飯を買いに行くか」

晩御飯食べてないけど、お腹は空いているけど、食べたいとは思っていない。仕方がないから飯を食べる為に買いに行く。

暗い顔をしながら、ここ最近に来ては繁盛しているペッパーランチってステーキ屋にいってみょう。

肉を食べて、元気にならねぇと、いざってときに役に立たねぇからな。

そして俺は店に入った。

「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」

「はい、一人です」

「では、こちらの席へどうぞ」

流石は繁盛店。この時間でも親子連れや一人での利用で、席が殆ど埋まってる。

「ご注文はお決まりでしょうか?」

「あっ、ならこのワイルドステーキ400gを一つと、ビールもジョッキでお願いします。」

「はい!では、少々お待ちください」

これが夢ならどれ程嫌な悪夢なんだ。だが今はそうであってくれ、お願いだ神様。

現実が受け入れられなくなったシゲルは、ビールが届くまでの数分間。自問自答で何があってこうなってしまったかなど、自分自身を攻めていった。

「お待たせしました!ワイルドステーキになります。お熱いので、鉄板には触れない様お気をつけください」

肉汁が飛び出てきた、出来立てで美味しいだ。

「い、頂きます」

口の中に一口サイズに切った肉を放り込む。

「…変だな。味が感じない」

そんな馬鹿な事があるものかと、もう一度肉を口に放り込む。

「うん。しっかりと、味付けされてる」

どうやら勘違いだ。俺の舌が馬鹿になっていたようだ。

「いきなり過ぎるぜ、たくよぉ!」

ぶつぶつと文句と目から水が溢れ続けながら、俺は食事を終えた。

 

~PM :7:50~

「ふぅー」

帰りにコンビニで、適当なつまみとビール、それと今日の夕刊を買ってきた。

「警察から連絡は…ないか。まだ証拠とかは見つかってないということか」

でも、連絡がきていいのか?カスミと赤ちゃんが無事ならいいが、そうでなかったら…

不安が拭えない。最悪の結果が来てしまったら、俺はどうなってしまうのか。

 

その日は一睡も出来ないまま、ただただストレスが蓄積されるだけだった。

 

~翌日:AM :6:30~

「夢じゃないのかよ」

寝ていたのか、それとも起きていたのか。気が付くと朝になってしまった。

「朝飯買ってこよう」

コンビニ迄の距離が異様に長く感じたのは初めてだ、地面も歪んでいる様に見えてしまう。俺がおかしくなってしまったのか?

「いらっしゃいませぇ~」

「これとこれ、あとこれも」

サンドイッチとアイスコーヒー、朝刊等を買って俺はネカフェに戻った。

 

~AM :6:50~

「昨晩にハナダシティの元ジムリーダーのカスミさんが、誘拐されました。警察では必死の調査をしていますが、まだ手掛かりとなるものは見つかってないそうです。」

「く、くそ」

家族や友人が突然事件に巻き込まれた遺族の気持ちが、今理解したよ。

「不安なんだ。過ごしてきた日常が幻かの様に無くなってしまうなんて」

暖かい返事も、側に寄り添う事も出来なくなった。これからどうすればいいんだよ!

その時、俺の携帯が鳴った。

「もしかして!?」

急いで電話を取った。

「もしもし?」

「あ、シゲル様ですね。家宅捜索が終わりましたのと…これから来ていただけることは出来ますか?」

「分かりました。直ぐに向かいます」

夜通しで捜索をしていて、やっと終了したのか。…しかし何故直ぐに行かなければ行けないのか?

「まあ、取り敢えず行くか」

ネカフェの宿泊料金を支払い、自宅へと走り出した。

 

~AM:7:20~自宅

「すいません。何か一言お願いします!」

「奥さんが誘拐されたと聞いたのですが、心境は?」

「………」

あ~面倒だ。何故いちいちいち、構っている暇もないのにコメントしなきゃいけないんだ!

「すいません。通りますんで退けてください」

警察官が俺を誘導してくれている、有りがたい。

「ささ、こちらです」

「どうも、ありがとうございます」

警察が自宅まで誘導してくれて、カーテンの閉まったリビングで、複数人の警察官が巡回していた。

「では早速、捜索した結果を簡潔に述べます」

この言葉が俺の人生を大きく変えることになるだろう、固唾を飲み込んだ。

「実は…証拠が出てこないんです」

「・・・・はあ!」

「本当に申し訳ございません。指紋はおろか、犯行道具も見つかってないんです。相手はプロの犯行としかわかっていません」

「そ、そんな!嘘でしょ。嘘だと言ってくださいよ。つ、つまは?

        妻はどうなるんですか!お腹の中に赤ちゃんもいるんですよ!」

泣き付く様に話してくれている、警官の足にしがみ付き、告げたことが嘘だと、幻想だと思いたかった。

「本当に申し訳ございません。でも、証拠となる物さえあれば大捜索も可能になるのです。今は堪えてください」

警官一同が土下座をしたが

「『今は堪えろって』ふざけるな!『今』って事はこれから先ずっと、不安感が付きまとうのに誤って済むことじゃないだろ」

怒り散らしていたが、本当は理解していた。『連続誘拐』を果たしている事は、誰だってプロの犯行だって目に見えてる。偶々、俺の時に捕まるヘマをするとは到底考えられないことだった。

「本当に申し訳ございません、9時には撤収済ませますので、午後には住むことができます」

違う!俺はそんなことを聞く為に来たんじゃない。

けど、俺にそんな言う資格があるのか?事件が起こった時にシオンタウンにいた俺に、側にいてもやれなかった人が何を偉そうに…

俺は自己嫌悪をしていると、警察官が

「それでは、裏手に車を用意しているので、約2時間の町で気分転換してください。表にはメディアが大勢いて不味いですし、変装用の衣装も用意しておりますので」

「わ、わかりました」

俺は裏手に用意されていた衣装室に入り、変装をしてから複数の同じ型の車から一つ選び、それぞれ同時にあらゆる方向へ走り追ってから振り切った。

 

~AM:7:00~商店街

「ではここで失礼します。衣装は後日迎えをよこしますので安心してください」

商店街通り近くで、車から降りた。

「さて、どうするべきか」

証拠がなければ、警察はこれ以上動けない。どうにかして見つけ出すことは出来ないものかな?

必死に思考を巡らせて、俺はあることに気づいた。

「そうだ!事件が起きる前にサトシはこの町に来ていた、もしかしたらカスミと話している時に何かあるかもしれない」

直ぐにポケモンセンターに向かい、長距離連絡装置『ツナガル君』を起動させた。

「もしもし?サトシはそちらに来ていますか?」

「なんだよ、こちとら徹夜で歩いて着いたばっかりで、ねみーだけど」

奇跡と言い様か、丁度着いていたらしく、不満を漏らしながらも応答してくれた。

「んで、何か様?」

どうやら、事件の事は知らないようだ。

「ああ。実はな…」

俺は包み隠さず、カスミが誘拐事件に巻き込まれた事を話した。

「そんな!」

「だから、カスミに最後に会ったお前に、何か言っていたことがあったか聞きに呼んだんだ」

これで何もなければ、もうどうしようもない。

焦りと不安感だけが俺の心に、侵食してくる。

「すまないが、カスミとは他愛のない会話しかしてないんだ…すまない」

「そうか。こちらこそ済まない、急いでいる時に」

母親の居場所に向かっていたのに、足止めしてしまった。

「いや、それはいいんだが。…あ!」

サトシが何かを思い出した様な素振りを見せた。

「どうした?」

「俺、夜中倉庫に何かを運んでる2人組を見たんだ!」

「なんだって!」

まさか、こいつが役に立つ時が来るなんて!

「な、何か。何か録画とかしたものとかあるか!」

希望が見えてきた、もしかしたらカスミと赤ちゃんを救えるかもしれない。

「えっと…あった!今からドローンで撮った音声データと映像データの入ったUSBを送る 」

『ツナガル君』には、長距離通信は勿論、モンスターボールや小型な物は転送可能なのである。

「届いた!」

「早く!それを警察に届けていけ!」

「本当にありがとうな」

これが無かったら、永遠に立ち上がれない虚無感に襲われる所だった。

「感謝するんだったら、後でパーティーをおめぁらの家でしてもらうぞ。…分かったら、さっさといってこい」

「ああ」 

元ライバルに感謝をしながら、俺は急いで警察に証拠を見つけたと連絡した。その10分後、私服警官が車を寄越して、急いで支部に届けてもらった。

「こ、これで、全てが変わる。後は待つだけ」

 

やることを済ましたため、昼飯の材料を買って自宅へと帰った。これ以上は素人の俺がいても何の役に立たないからな。

 

~PM:1:00~自宅

「…寝ちゃっていたか」

裏口から入って、ベットについて即落ち。疲れていたんだな俺。

「警察からの連絡は…30分前に、きてる!」

急いで着信履歴から、リダイアルをかけた。

「もしもし?」

「すいません、この後時間が御座いますでしょうか?

犯人の居場所が判明したので、シゲルさんに奥さんがいるかどうか判別してほしいのですが?」

願っていない。俺は直ぐに承諾して、また迎えの車に乗り込んで、奥さんと赤ちゃんを救う手伝いに向かった。

 

~PM2:00~ ハナダシティ倉庫

「本当にありがとうございます。提出して頂いたデータのお陰で、犯人が使用している場所を特定が出来ました」

ほ、本当に役に立つとは!…でも、何故データを持っていたんだろう?

 

 

ま、いっか!

 

「でも、まさか。個人店の借りたいた倉庫が、監禁場所だったとは。」

「今から突入しますんで、私の後ろに着いてきてくださいね」

「わ、分かりました」

緊張する。心臓の鼓動が速くなる一方だ、もうすぐ妻と赤ちゃんを取り返せる、待っててね。

「突入、五秒前。五、四、三、二、一。突入!」

渡されたトランシーバーから、突入の合図が出され、俺は担当の人の後ろについて行きながら倉庫へと走り出した。

 

~PM 2:20~倉庫内

「警察だ!動くな!」

「ひぃ!兄貴どうしょう、どうしょうよぉ」

「ちくしょう!何で此処が分かったんだよ」

倉庫の中には、男性が6名。見張りか又は他に役割が会ったのかもしれないが…

「妻と赤ちゃんを返せ、この糞共がぁ!」

「ひぃ!怖いよぉ兄貴ぃー」

「手を挙げろ!君達は包囲されている」

倉庫内でも外も警察による包囲網が敷かれている為、逃げることは不可能だ。

「ちっ!もうだめだ。素直に捕まるしかねぇか」

6人の中でも此処を任されている『兄貴』と言われている奴に俺は近づき

「2日前に、誘拐したカスミを何処にやった!」

思いっきり殴った、自分の拳がジンジンと赤くなるが、こうでもしないと怒りが押さえきれなかったからだ。

「ねぇねぇ兄貴。こいつもしかして」

「ああ間違えねぇ。多分カスミって言うのはここ最近捕まえた女の事だろう」

見つけたぞ!遂に…

「お前らが、やったんだな。俺の妻と子供を…」

タダじゃおかねぇ。怒りに飲み込まれそうになったとき

「シゲルさん落ち着いて!暴力はいけない、それより奥さんを探しだすのが先です」

担当の警官のお陰で、冷静さを取り戻せた。

「ふーふー。…ありがとうございます。俺、見失っていました。」

最優先は妻とお腹の中の赤ちゃんだ、間違えるなよ俺。

「警部。彼方にに、生存者が発見しました」

「でかした!シゲルさん、急いで向かって下さい。身内の顔を見せると、安心しますから」

「はい!全速力で迎えに行ってきます」

やっと終わる。この悪夢から…

倉庫内では所々仕切りがあり、監禁部屋として利用していたのだろうか?この中の1部屋に生存者である妻が生き延びていたんだ、と

「この先にカスミが…待ってて」

部屋のドアノブに手をかけ、開けると

「…誰だ?君は」

「私はハナダシティハイスクールに通ってる、ベラ・ベネと申します」

…は?妻じゃない、じゃあ何処に?

「ふはははは!こりゃぁ傑作だぜ。惜しかったな、後ほんの少し早かったら奥さんとは会えたかもなぁ」

「なんだとぉ!」

また、リーダー格の野郎が俺に挑発してきた。

「お前は被害者でもあり、加害者なんだ。その言葉をしっかりと覚えておけよボケナスがぁ」

「この、糞野郎が!!」

許さねぇ、殺してやる!

怒りに身を任せてしまった俺は、野郎に向かって走り出して、殴りかかった。

「お前らのせいで、お前らのせいでぇー」

「何だよ、そんなに奥さんが恋しかったのか?残念だったなぁ、会うことが出来なくて。気持ちよかったぜぇー、おめぇの奥さんはよぉ」

安い挑発だってのは分かる。でもよぉ

「それでも、こいつを殴らなきゃ気が進まねぇだ!」

マウントを取り、上から何発も殴った。拳から血が出てきたし、野郎の顔を変形してきて腫れていた。

だが俺は殴るのを、止められなかった。

自分ではもう止めることさえ、出来なかった。どうしようもない怒りが身体に纏わりつく。

「あは、あはははははは!!」

楽しい、人を殴るのがこんなに楽しいことだったなんて知らなかった。

奇声を発した為、係りの警官が止めに入られた。

「シゲルさん!気持ちは解りますが、気を確かに」

「嫌だ!俺は妻と子供の居場所を吐かせるまで、止めない。これはっ!正しいことなんだ、粛清なんだよ!」

1人では止められないと判断したのか、仲間を呼んで俺を野郎の元から引き離した。

「取り押さえて、先ずは容疑者達を護送車に入れとけ、遺族はこっちに任せて下さい」

担当の警官の指示により、容疑者6人は護送車に運ばれてしまった。

「離せぇ!俺は彼奴を許さない、俺の妻と子供をっ」

「ここで、あの人達を殺しても意味がないんすよ!奥さんと赤ちゃんの居場所が分からなくなってしまう、それでもいいんですか?」 

畜生…

「ごめんなさい、またも取り乱してしまって」

一気に冷静さを取り戻して、警官に謝罪した。

「いえ、此方こそ申し訳ございません。折角証拠を見つけてきてくださったのに…」

ここにいないってことはもう。

「警部。この中から販売ルートが記されたデータを発見しました」

「なに!こっちへ回せ」

まだ、希望がある。そう思っていた矢先

「…ふざけんなぁ!」

警官が吐き捨てるかの様に、送られてきたデータをタブレットを、叩き捨てかけていた。 

「い、一体。何が記されていたんですか?」

「…覚悟はありますか?」

「え?」

「見る覚悟があるのでしたら、お見せしましょう」

俺は「覚悟は出来ている」と答えて見せてもらった。

 

購入者

官房長官  国防相 地方議員 

裁判官

警察庁長官

某お菓子会社の社長

一般会社人 

ハナダシティスクール校長・教員

タマムシシティ:ゲームコーナー

(旧ロケット団のアジト)のオーナー

ヤマブキシティ:地下違法キャバクラ

元アクア団の幹部   

新生プラズマ団の研究員

 

臓器購入者

○○○ちゃん15歳女性 肝臓 心臓

→39歳男性 購入

○○○さん30歳女性  腎臓 

→24歳コレクターの男性 購入

○○○さん18歳女性  女性器 胸 

→19歳女性  購入

○○○さん20歳女性 D

→30歳男性  購入

 

 

俺は吐いてしまった。妻と子供がそんな目に遭っていたらと思うと、最悪のイメージを過ってしまったからだ。

「カスミ…」

もう会えなくなってしまうのかな。…その時は…

「もう、帰ります。」

疲れた。もう、かえって寝よう。

「おい!誰か送って差し上げなさい」

警部が部下を呼び、車を用意してくれた。ウレシイ。

「それでは、お疲れ様でした」

「この度は、お悔やみ申し上げます」

 

~PM :4:00~

「警部良かったのですか?データ一部消したでしょう、コピーしていたから良いとして」

新米が、俺に文句を言ってきた。

「うるせぇ。あれを遺族に見せてみろ、どんな行動をとるか、分かったもんじゃないからな。せめてもの慈悲だ」

消したデータのリストに追い求めていた女性の名前が記載されていた。提供ルートも…

 

臓器購入者

カスミさん 30歳 女性

提供→赤ちゃん、○○、髪、足

肝臓、心臓、指

 

購入者

→56歳男性、16歳女性、

32歳夫婦、28歳主婦

45歳障害持ちの男性

 

販売元

ペッパーランチ株式会社

 

「願うことなら、これが最後の悲劇であってくれ」

警部は祈る様に、データを眺めた。

 

~PM:6:00~シゲル夫妻宅~

「もう疲れた」

体じゃない心が擦り切ってしまった、もうどうにでもなれ。

すべてい絶望しかけた俺はリビングに寝っ転がった。

「…あのぉ。済みません、1つお話をしてもよろしいですか?」

「!?」

自分以外、いないはずのリビングに誰かいる!

急いで起きて、辺りを見渡すと

「ご、ごめんなさい。不法侵入で訴えるのだけは勘弁してください!」

「いや、その前にどなた?」

不法侵入で訴える気力も今の俺にはない、その旨も伝えた。

「はい!私はフリーで記者をしている、メイと呼んでください!!」

美しい女性が俺に何のご用件があるというんだ。

「はいはい、どうぞ好き勝手質問して下さいな。なんでもお答えしますよ」

半ばやけくそになりながら、メイさんからの質問を待った。

「あ、ありがとうございます。では早速ですね・・・」

 

この後、俺はメイさんからの提案で、この地を離れることになった。

 

 

~PM:8:00~プラズマ団改め→ハルモニアのアジト

「…聞いたかよ、あの人身販売の飲食店に警察が乗り込んだってな」

古株の団員が、僕に話しかけてきた。

「ほんとっすか!あそこって何年も販売してたのに、ヘマでも打ったんですかね?」

「さぁな。ここ最近は頻繁にやり過ぎたのが原因じゃねぇか。程々がこの業界で長く生きるコツなのによぉ」

目先に利益に取りつかれたのが、裏目に出てお縄。自業自得やな。

「でも、実際痛手ですよねぇ。儲けだけは良かったですもんね」

人を捕まえて売り捌くだけで、元手がタダで手に入るから富が手に入る。

「まあな。けど俺は嫌いだったな。…人を売るのは罪悪感が半端ないからな」

まあ確かに、人身販売だなんて頭のネジが外れた奴らにしか出来ない。だからこそ独占も可能なんだけどね。

「そんな話より、N様は何時になったら帰ってくのでしょうか?」

僕は数日前から、何かを探し出て行ったまま帰って来ない。

「それを俺に聞くなよ。俺だって内心、『このまま解散か』って思っていたからな。

それでも待つしかないけどな」

N様への忠誠心が高いねぇ。

「でも、なんで急に居なくなったんですかねえ?」

「そう言えば、幹部が口にしていたな『フジ老人が生きていた』とか

『ミュウツーが発見された』とかで、N様がその資料に目を通した時に、出て行ったてな」

ふ-ん。N様が直接行くという事は、重要な人物なんだなフジ老人って。

「ミュウツーは分かるけど、人に会う為に行くなんてな」

「ああ、その老人がミュウツーを作った張本人だからな」

「え?」

 

~同時刻~シオンタウン

「ワシを許してくれるのか?ミュウ」

ワシは過去との償いを果たす時が来たと思った。

 

 

 




今回はシゲルをメインで書き込みました。
メイちゃんは、ご都合主義設定で24歳でフリーの記者をしています。
持ち前のスタイルの良さと明るさで、記者として有名人となっています。
彼氏は…そこは追々考えよう。本来出す予定もなかったので・・・・


次回はフジ老人メインで作ります。お楽しみに

メイ(10代前半➡25歳)
髪型
ロングヘア― ➡カーキベージュロングストレート
身長
160㎝前後  ➡173㎝
バスト
Dカップ   ➡Fカップ
服装はお主らの創造に任せる。
ワシはファンションがよくわからないからのぉ。
水着は黒のビキニで、水色のラッシュパーカー着用してくれるとうれしい。
 


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若気の至りと大人になれない青年

シオンタウンに暮らしてるフジ老人。サトシ等と別れた後、自宅に戻り自らの過去を思い出す・・・・


サトシとシゲルさんと別れて、ワシは自宅に帰った。

 

「ただいま」

返事が返ってこない。当たり前だ、ワシには家族はいない。家庭を持たなかったのに後悔はない。

 

「よっこらせっと」

椅子に座り込み、冷やして置いた麦茶を飲む。

 

「久しぶりに、良い目をした少年達に出会えた」

20年も前にワシの前に現れた、あの少年の事を思い出すのぉ。

最初は、彼と間違えて呼んでしまったのじゃが、嫌な顔せず、手伝ってくれて本当に助かった。

彼等の様な心を持った者達が、世の中に沢山居てくれたらええのぉ。  

時代を作るのは何時だって若者よ。老いぼれは邪魔をしないように見守って逝くもの。

だが

「あれから、もう60年も過ぎてしまったのか…」

忘れてはいけないおもいでを思い出す。

夢を叶えるために情熱を燃やした日々、そしてワシがしてしまった、償い切れない罪を・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~60年前:グレンタウン「旧ポケモン研究所」~

 

「よーし!今日から此処が俺達の城だ!!」

「おおおっし!熱い日々が始まるぜぇぇぇ」

当時、後のグレンタウンのジムリーダーになるカツラ、そしてワシと2人で、施設を作った。

伝説のポケモンの研究や化石ポケモンの復元の研究、 まだ見ぬポケモン達の知られざる生態。

ワシ等はそれらを研究する為のラボ「ポケモン研究所」を設立した。

「でも、僕とカツラの2人で、やっていけるのかな?」

大学院を卒業して、格安で屋敷を購入したのはいいものの、見切り発車だったから不安だった。

「大丈夫だ!俺とお前がいれば、世界があっと驚く事がきっと出来る。いや、して見せる!…だろ?」

カツラは何時も明るく、僕に接してくれた。

大学院でもトップの成績だったワシらは、お互いを高めるライバルでもあり、親友だった。

「そうだよね…うん!きっと僕達なら出来る」

「おお!その意気だぜ!!」

毎日が眩しい過去の思い出。

創設時は、お互いにバイトをして金銭を稼いぎ、道具を少しずつ揃えていった。

ガテン系の仕事をこなしながらだった為、偶に体を壊して寝込んだ事が、

『夢の為』の苦労。屁でもなかった。

「おい、聞いたか?マサラタウンにいるオーキド博士が、

カントー地方のポケモンのデータを入れた図鑑を作ったってよ!」

「ほ、本当かい!流石はポケモン研究の第一人者。僕達も負けてられないね!」

「あたぼうよ!」

僕達は燃えに燃えた。そして5年の月日が立ち…

 

「おいおいおい~マジかよ。俺達の事を支援してくる企業が、とうとう現れたぞ!!」

「良かった~。資金繰りの宛てを探していた所に…で!どこの企業からだい?」

研究施設費や生活費、維持費などでバイト代ではもう苦しいとこまで来ていた。

だからこそ、あの時の知らせは天の恵みだと思っていた。

「えっとな。シルフカンパニーって…モンスターボールを製造している一大企業からじゃねえか」

「なら、投資金額も桁違いだ。これで研究に没頭できるね」

実際バイトしながらでは、時間に余裕が生まれず、中途半端に終わってしまうことがしばしばあった。

あの頃の私が熱中していたのが、ポケモンの遺伝子だった。人間にも既存の動物からも、似て非なる組織で産み出されている彼等は、何処から来たのか?

もしかしたら、DNAの中に古代から受け継がれた『何か』が有るのかもしれない。

「よし!まだまだ頑張るぞ!!」

「俺も負けてらんねぇなぁ」

カツラは、カントー地方に伝説として伝えられているポケモンの実態の調査、又は色違いポケモンと言われている『変異種』の研究が主だった。

お互いに協力し合って、研究を発表していった僕らの名は有名になった。 

 

だが、あれを発見した時から、僕らの運命は決まっていたのかも知れない。 

 

~7月5日~

 

「カツラ!来てくれ、データに載ってないポケモンがいる」

南アメリカのギアナ高地と言う土地に出向き、其処での生態を調査をするのが目的だった。

カツラに来た仕事だったのだか僕も未知の地に足を踏み入れたかったから、同行させてもらった。

そんな中で起きたことだった

「ポケモンの種類は149だけだったんじゃ」

「ってことは…新種のポケモンってことかよ!」

僕達は居ても立っても居られなくなった。調査報告は簡素に仕上げて、急いでラボに運んだ。

「なぁ、名前どうする?図鑑に載るのは確実だ。だから、良い名を考えなきゃな」

「気が早いなぁフジは、一度興味が出たらそれに夢中だよなぁ。あの後、報告書まとめるの大変だったんだぞ」

「あははは、そいつは御免よ。急いでこの子を調べたくて、つい手を抜いてしまった」

簡素に仕上げた報告書は、依頼人が「もっと正確な物が欲しい」って事で、カツラが僕の分を含めて作ってくれていた。

「まあ、俺が先に見つけていたら、同じ事をしていただろうから許してやるよ」

「ありがとう」

カツラは「良いってことよ」って、何事なかったかの様に振る舞った。…徹夜して仕上げた事を僕は知っているんだかな、本当、最高だよ。

俄然やる気を出した僕は、新種のポケモンの研究に没頭した。

 

~7月10日~

 

見つけ親である僕が名前を付けて『ミュウ』と呼ぶようにした。

「見てよ!ミュウが超能力を使って、浮かんでる」

あの頃は飛行タイプ以外で、空中に浮かぶのは存在していなかった。

「うお!すげぇ。しっかし、ミュウは何処からやって来たんだろうな?」

「確かに…他の個体も確認されてないし」

発見から、幾らか月日が建ったが、僕達の他にミュウを発見した報告はなかった。

「ひょっとしたら、伝説のカテゴリーなんじゃないか?」

「だとしたら、早く学会で発表しよう!」

僕はカツラに提案した。

研究者で有るものなら、学会で評価をされれば、不動の地位が手にはいる。

 

しかし

「駄目だ。この子はいた所に帰してやろう」

「そんな!どうしてだい?ミュウさえ入れば、僕達は裕福な生活を送れる。オーキドさんにだって負けない研究者として名が刻まれるのに」

折角、発見したんだ。逃してたまるか!

 

この日を境に僕は、次第にカツラに邪魔をされないよう1人でミュウの研究を行う事にした。

そして、大きな過ちをしてまった。

「ミュウの遺伝子構造が示す数値、一体なんだ!」

DNAというのは、どんなに姿は違っても同じ種類の生き物は、同じ構造になっている。これは全ての生物に当てはまることであって、ポケモンも例外ではない。

だが、

「ミュウの遺伝子は、全てのポケモンの遺伝子情報を持っている」

普通、ピカチュウの遺伝子から培養してもピカチュウにしか生まれない。しかし、このミュウを使えば、どんなポケモンも生成可能なのだ。

「ぼ、僕は、いや俺は。ふはははは!!」

ワシは人類が禁忌としてきた、『クローン』作りを実行しようとしていた。今思えば、悪魔に取り憑かれていたと思う。

 

俺はカツラにこの実験を悟られる様、ラボから必要な道具を秘密裏に買った孤島に移した。

「人類初のクローン技術を確立した研究者として、歴史に刻まれる」

ワシはマッド・サイエンティストとして暴走をしてしまった。

そして、暴走した欲望に拍車をかかる事件が起きた。

 

~2月6日~

 

「ミュウが子供を産んだ!」

唯一の個体であった為、少しの細胞しか取れなかった。だが、子供にもミュウと同じDNA遺伝子配列だった。

「つ、遂に長年の夢が叶う!」

子供を『ミュウツー』と名付け、遺伝子の組み換え実験を起こした。

「あらゆるポケモンを超える者を俺の手で完成する」

遺伝子の情報から、身体能力が高いまた、知能も高くするよう弄った。

「最強のポケモンの誕生だぁぁぁ」

俺はこの研究に陶酔していった。

 

~ミュウツー誕生から3ヶ月~

「今日も目覚めないか」

遺伝子操作して、肉体は作り上げたのはいいものの、一向に目覚めない。

「く、くそ。何か見落としでもあったのかよ!」

学会に生きた姿を見せれば地位は確実なのにっ。

俺は焦った。最後の最後の詰めが決まらない為、ストレスだけが蓄積する一方だった。

「ミュウは産んでから衰弱してしまったし」

今はミュウツーと同じように、培養液に浸して栄養死しないようにしている。

「それにしても、何か打開策を考えねば」

因みにミュウとミュウツーは離れた所で、培養液に浸している。

理由は単純、何らかのアクシデントで2匹とも失うリスクを少なくする為の策だった。

その事を思い出し、ふとある仮説が浮かび上がった。

「い、いやまてよ。ミュウツーはミュウから産み落とされたもの、目が覚めないのはミュウが近くにいないからか?」

ミュウも元気になる可能性も0ではない

「…試してみる価値あるな」

どの道、目覚めさせないと意味がなかった。

俺は急いで、ミュウを小型の培養液に移し、ミュウツーの隣に設置した。

「心音が高まってきてる。・・・・目覚めるぞ!」

溶液内が振動を始めて、この島全体にも及ぶ範囲にまで、大きく強い音が響いた。

「さあ、この地に降臨せよミュウツー!!」

遂に溶液が爆発を起こしたかのように壊れ、最強のポケモンが立ち上がっていた。

「き、きさ、まが、おれをつ、つくった、も、ものか?」

「そうだ。俺がお前、ミュウツーを作ったフジ博士だ」

知能を高くしてはいたが、流石にいきなり滑舌良くじゃべれはしなかった。

「ふ、ふじ、は、か、せ。お、れの、名は、みゅうつー」

「聞いただけで自分の名前を言えるようになるとは」

知識を与えれば、直ぐにでも…

不敵な笑みがこぼれながら俺は、その日から知識や技、力のコントロールを覚える事に月日をかけた。

 

~それから4ヶ月後の9月1日の朝~

「まさか、たった4ヶ月で訓練課程を終えるとは」

そろそろ、学会に資料を提出しても良い頃合いだろう。

「ふふふ。あの重鎮どもを蹴散らす時が遂に来たのだ!」

思えばあの日、カツラの仕事に付いてってミュウを見つけ出した時から、

偉大な研究が始まっていたのかもしれんな。

洗面所で顔を洗いながら考えていた。

「さて、今日は念の為に、モンズターボールで捕獲しておくか」

何時、俺の処から消えるのかを危惧して、シルフカンパニーから頂いた、マスターボールで捕獲しておこう。

決心した後突然、爆発音が研究所内に響いた

「一体、何が起こった?」

急にミュウツーが眠る部屋の方から爆発があった。

「まさか、ロケット団という奴らの仕業か!」

研究に没頭していたから、見た事はなかったが、こんな所に…

きっとミュウとミュウツーを捕まえるためにやってきたのであろう。そうはさせん

「は、早く。震源の所に向かわなければ」

急いで、ミュウツーの部屋に行き扉を開けた。

開ける直前1つの疑問が俺の頭をよぎった、『ロケット団はどうやって2匹の存在を知ったのか』

ここでの研究を知っているのは、誰もいない。…つまりこの爆発を起こした人物は

最悪の想像を振り切り、扉を開けた。

 

そこには、炎の中に異様なオーラを放つミュウツーとミュウがいた。

ミュウは研究所を破壊するミュウツーを止めようと前方にいた。

「ミュウツー、これは一体どうゆうことなんだ!」

「貴方からは知識や力のコントロールを教わった。感謝している」

「なら何故!研究所を破壊するんだ。ここはお前が産まれた場所だぞ」

感謝をしているなら育ての親である、俺に従え。強気な姿勢でミュウツーに告げた。

「だからこそだ。」

一冊の本を俺の方に置いた「生命」と書かれた題名だった。

「私は、自分がどう生まれたのかを知った。だからこそ、貴方に対して憎悪を抱いてもいる」

「き、気づいてしまったのか!」

不味い。ポケモンの技をくらって、人間が無事でいることは先ず無い。俺の身を優先的に守ろうとしようとしたが、

「お忘れではないか?私には超能力があることを、対象の考えている事を覗き込むなど、造作もないこと」

「ひぃ、許してくれぇぇえ。せめて私だけでもぉ」

自分が如何に弱い生物であること、命の前ではプライドも簡単に捨て去る事が出来ること。俺の心はへし折れていた。

たが奴は攻撃はしなかった。

「貴方は、私を使った罪悪感に一生囚われろ」

代わりに私の研究所を完膚なきまで、破壊しデータも消滅してしまった。

そして、ミュウは何か奴と話した後に消え、ミュウツーも天高く飛翔し消えていってしまった。

 

「わた、わたしの研究が…人類の可能性が…」

何年もかけて作り上げた努力が全て、水の泡となった。

私は跡地にこれまでの反省を込めた日記を、島の中心に隠した。後の世に誰かが此処へ来て、奴を止めるトレーナーが現れる事を信じて…

 

ワシは彼を造り出してしまった、罪悪感から逃れるためシオンタウンで余生を過ごしていた。研究者としての記憶を忘れたかった。だが、それは遂には叶わなかった。

 

 

今では跡地に複数の組織が有るはずの無い研究データを探しに、度々来ているそうだがな。

「もう同じ過ちは繰り返してはいかん!」

過去を思い出してしまって為、気分転換に公園へと向かった。

 

「ふふ。子供たちは元気じゃのぉ」

ベンチに座りながら、砂場で遊んでいる子供たちへと

自分がした行いがどれ程の愚業だったのか、理解するのに平穏な暮らしをしてやっと解った。

「ワシは子供達まで危険に晒そうとしていたのか」

クローンで作ったとはいえ、ミュウツーは強すぎる。プロのトレーナーでも彼に傷つける事が出来るかどうか…

そんな彼は、私は、私は。

「いいえ、貴方は素晴らしい。愚かな人間達にポケモンとは何者かということを再認識してもらわなくては」

!?いつの間にかわしの隣に、緑色の髪型の青年が座っていた。

「お主は誰じゃ?」

この町に住んでいる青年ではなかった。背筋に汗が流れる。

「それは失礼しました、僕はN。ポケモンを人間から解放を目指しているものです」

「何故そんな人が、どこにでもいる爺に何か御用ですか?」

気づかれてはいけない、ワシが彼を作った人であることを・・・

ちらっと、Nという青年の方に顔を向けると

「ニタァァ」っとこちらに向かって笑顔を向けていた。

ワシは怖くなった、人の姿をした化け物と話している感覚だった。

「用というのはですね、フジ博士」

Nはワシの過去を知っている?

「Nさん、ワシの何処が博士だというのですか?ただの老人じゃよ」

何とかして、話題を変えつつこの場から離れたかった。

「いいえ、貴方は昔に、孤島で実験をしていたはずです。そしてミュウツーを作り出した、偉業を成した人ですよ」

あの研究が偉業な物か、悪魔の研究だよあれは!

「人違いではありませんかねぇ。ワシには何の事ならさっぱり」

この場から立ち去る為、立ち上がろうとした時

「実は最近、彼が動き始めました。誰かを探している様でしたよ」

う、動き出したのか。なぜ今になって

様々な憶測があったが、決め手に欠ける。あの日から今日にかけて活動していなかった彼が何故?

青年はワシに用がなくなったのか、立ち上がり「じゃ、僕はもう帰ります」と告げる。

ただ、去っていく足を止め、くるりとこちらに顔を向け

「ああ、そうそう。貴方がした実験のデータ、完全ではないですけど、こちらで修復しましたんで」

「おい!どうゆうことじゃ!!また悲劇を繰り返す気か」

止めねば、しかしどうやって?

「貴方では無理ですよ、フジ博士。それでは」

今度こそ、Nは立ち去った。

ワシはただ、その場から膝を落として、遠くに行ってしまう青年の方へ目を向けることしか出来なかった。

 

 

~一方、主人公は~

「イイイーーーーーーハァァァーーーーーー  

    速度規制なんてクソくらえじゃあああああ」

時速150キロの風の風圧、目の前が見えねえぜ。

俺はバイクで母親のいる、クチバシティに向かうのであった。

 

 

 

 

~???~

「私は私を生んだ全てを恨む」

ミュウツーはポケモン達を従い何かしようと企てていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




何故か、話数を更新する度に平均文字数を優に更新するようになりました。
さてさて、遂にサトシへと話を戻します。あと、母親との一件が終わったら記者であるメイとフジ老人がミュウツー達を研究していた孤島で出会った青年との話になります。

男性はオリキャラですので、作者である私自身頭が痛いです。
(本来ここまで続けるとも思っていなかった為)

あと、更新遅い理由の一部にDMC4のBloody Palaceのクリアに手間取っています。
クレドの兄貴が強いんじゃあ。
まじ、ブリッツにFUCKって思っていますもの。
あ、使い手はダンテです。

次の更新もGW終わる前か直ぐに出すのか、頑張ってみますのでこうご期待!


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母と青年と息子と

やあ、俺の名はサトシ。ポケモンマスターを目指していた男の名さ、今は相棒のピカチュウと新しく手に入ったジャックド~で母親がいるクチバシティまで移動していたんだ。

しかし

 

「そこの男止まりなさーい!」

「止まってたまるか~~」

現在警察とカーチェイスを繰り広げていまっせ。

なぜこうなったかって?

 

~時はシオンタウンで別れた時間から30分後~

「あ~もう徒歩で移動すんのめんどくせぇ。こういう場面書くのがしんどいんだよ」

前にも述べていた通り、町から町への道中は草木に生い茂っている。一応道路も補強されているが、野生のポケモンが飛び出して来る。その為飛び出し事故が多発、移動するには自転車や徒歩、国が建設した物を使うことが暗黙の了解となった。しかし、別に規則などはなく、事故らなければ罪に囚われる事はないので、腕に自信がある奴は普通にバイクで移動している。

「まったく毎作、毎作草木が茂っているのに自転車で移動するのどんだけ疲れるの知らないだろう?」

ゲーム画面の向こうで、パンクを直したりチェーンが外れたり、放置されたら虫刺され半端ないし。

「てか、虫刺されが徒歩で消える仕様ってなんだよ、商業主義かってんだ」

見てくれ!君達の放置ですぐ直る数多の傷が、痣に進化したんだ。

医者も笑っていたな。

「いやぁぁ。虫刺されをここまで・・ぷぷ・・・放置して・・ぐふ・・痣になる人なんて初めて見ましたよア~ハッハ~」

「いやぁ。僕が患者の立場じゃなかったら殺っていますよ」

「あっはっは、お薬出しときますんで来週来てくださいね・・・ぷぷ」

「分かりました。来週までその命生かしておくから、その命大事にしとけよ」

「ハァーイ 」

心臓にラーテルの毛が生えているんじゃないと思える医者は、御年70歳だというのにサーフィンの世界大会出るほどだからなあ。簡単にはくたばんねぇぇだろうな。

痣の件は後日、酷くならなかったが、その代わりなのかあの医者とは飲み仲間になってしまった。

 

ちょっと昔を思い出しながら、進んでいくと・・

「ん?あそこにあるのって…もしかしてバイクか?」

銀色にペイントされて、突貫すれば人ぐらい刺せそうな槍?みたいな装飾までされている。イカスぜ!

「なんて男心踊る設計なんだ!・・・ちょっと動かしてみようかな」

バイクに跨って、取り敢えず乗ってみる。

「ヤバいこれでここ通り抜ければ最高じゃないか」

鍵もついている、エンジンをかけてみると

「お?かかった」

どうやら整備も行き届いているし、燃料もある。これはもう

「ぶっとばすぜベイベ!」

スロットルを回し、アクセルを全開にする。

「飛び出したポケモンは、俺のせいじゃない。飛び出した奴らのせいだ!」

念の為、マフラーを響かして犠牲者を減らす努力はしておこう。

 

~5分後~

「イイイーーーーーーハァァァーーーーーー  

    速度規制なんてクソくらえじゃあああああ」

時速150キロの風の風圧、目の前が見えねえぜ。

しかっし、目の前にそびえ立つ樹木はバイクに装飾された武装により、俺の後ろは自然破壊。

そして警察が俺を追いかけまわしてきた、ざけんな!俺が何をしたってたんだよ。

 

~現在~

「渋滞してるな」

陽気に、右折左折を繰り返しながらふと、思いついた。

「C4の爆発量って車何台分まで巻き込めるかな」

警察車両を振り切るのが面倒になった。

しかしどうにかして振り切らなければ母親に会う前に、刑務所で母親が会いに来てしまう、それはまずい。

「ピカチュう、後ろに10万ボルトを放てるかい?」

「ビ~ガ~チュう」

どうやらこの作戦に賛成な様だ。

「よし、ピカチュう。10万ボルト!」

ピカチュうの体から雷がパトカーに直撃させる・・・・・なんだって!

玉突き事故を起こし複数のパトカーが爆発した。

俺はその光景に目を背け、母のいるクチバシティに向かった。

 

~クチバシティ:PM:6:00~

「バイクどうしよっかなあ~。気に入ったけど、置いておかなくちゃ後々面倒なことになるしな」

処分に時間をかけたくなかった俺は、どうしようかと困っていたら、バイクから双剣へチェンジするボタンがあった。

「ましゃか!」

恐る恐るボタンを押してみると、「ポンッ」と音がなったと思ったら、バイクが双剣へと変わって転がっていた。

「コイツを!待ってたんだ!力を込めて!繰り出す!さらに・・・もっと強く!ブチ込んでやる!

最後に・・・絶頂を迎えた後の君を開放する」

手にした双剣を振り回しながら、そこら辺に転がっていた大岩を削っていく。

ハートの形にして

「リア充死すべし慈悲なし、これ世の理なり」

真ん中に切り目を入れ、真っ二つにした。

うーむ、使いやすい。手にしっくりくるとはこういうことを言うものだと体で理解できた。

「っと、こんなことしている場合じゃなかった。母さんの居場所をはっきりさせないと」

ポケモンセンターからこの町のパンフレットを貰い、ここらで母が働ける場所の目星を付ける。

「まあ、無難にショッピングセンターだろうなあ」

ここ数年、町の規模に比例して大きさが変わるがショッピングセンターなどが建設されることになった。

しかし、とある場所では、人口が少なくコイキングを主食としているところもなくはないそうだ。

「ここじゃなかったら、しらみつぶしで探すしかないか」

町の人に聞いてもいいが、名前を変えている可能性もないわけでもない。聞いて、もし本人の耳に聞いて逃げられるリスクも考慮して、慎重に探すほか方法はなかった。

「ん?あれ…母さんじゃないか?」

地図に従って、ショッピングセンターに向かうとしたその時、母さんに瓜二つの顔をした女性が自転車で家に帰ろうとしていた。

「間違いない、母さんだ!」

俺は見つからない様に、スニーキングを駆使して追いかける。

「マサラ人の脚力舐めるなよ!」

10数分後、母似の女性が自宅に着いて俺は足が痙攣しながら家を見る。

アパートだった。オーキドの遺産を使えば、1人位は養える量だったはず。

違和感を感じながら、リュックに入れていた機械を取り出した。

「これなら、外からでも中にいる人の人数を感知できる」

高濃度サーモグラフィーによる、体温探知。腕に付け3D表示でモニターから確認できる優れもの。

税込み19万8000円、開発するのに1年かかりました。

「さぁて、スイッチオン!」

3D表示で確認してみると、母親?と身長から察するに子供があの部屋にいることが分かった。

「え?」

嘘だろ、家出て行って直ぐに子供を引き取ったてことかよ。俺、息子のことをほったらかして・・・・

無性に憎くなった、自分を置いていき遺産を手にした母親のことを

「と、突撃じゃあ!」

やけくそになり、本人かも確認していない状況での訪問は正気の沙汰じゃないがこの際どうでもよかった。

「どうゆうことじゃあああ、かぁぁさぁぁぁぁん」

玄関を無理やり開け、中を覗く。

其処に居たのは間違いなく、母だった。しかし、隣に五歳くらいの男の子を抱き寄せていた。

「サ、サトシ?どうして此処がわかったの?」 

息子が来ることなんて想定もしてなかった様子、俺の情報網と運を舐めないで欲しい。

「そんなことより母さんどう言うことだよ、何で俺を置いて行ったんだよ」

苦しかったら相談してくれても良いじゃないか。泣きそうになりながら、母に文句を言う。

「だって、貴方もお父さんも家の事なんて考えない自由人ですもの、話したって結局は変わらないわ。どうせ私がポケモンの世話をするのですもの」

地方によって、生態の異なるポケモンの世話をすること事態並みの飼育員でも不可能に近い。本来なら5,6人でする作業を1人でこなすのだから。

「それは…本当にごめん。でもこの子は誰さ!もう、俺や親父の事を忘れて他の人とくっついたのかよ!!」

家を出でいく理由は理解できるが、まだ時間もたっていないのに子供を作るなんて、そんなのねぇよ。

俺は泣き崩れそうになりながらも問い詰めた。この子は誰の子だと。

「そ、それは…その…」

もじもじと都合が悪いのか母は、喋りたく無い様子。けど

「はっきりしてくれよ母さん、俺は何の為に此処へ来たのか分からなくなる」

本当は遺産を貰うのが目的たが今は後回し、此処が家と分かれば後で回収は容易だからね。

情で訴える作戦へと切り替える、そうすれば話してくれると信じた。

「じ、実はね、この子は」

どうやら、効いたようだ。俺は固唾を飲み込みながら静かに聞く

「この子は『私とオーキドさんとの子なの』」

「うぇ?」

一発で心の草原がナパームで焼け野原にされたんだが、意外な者の名前を聞き、頭が混乱してきた。

「男手が旅立って、日々ポケモンの世話をしていて、心身共に疲れ果てたいた時、オーキドさんだけは私を優しくしてくれたの。辛いときも苦しい時も側に居なかった貴方には分からないでしょうね」

ぐぬぬ。何も言い返せない、家をほったらかしにしていたのは事実だ。

俺はその場で立ち尽くした。

思考を一部放棄して、弟の方に目を向ける。

「お兄さんは誰?」

「…その子の名前は」

お兄さんか、父は違えど義理の弟か。

「カトルよ、きっと優しい子になるわ。…カトル目の前にいるお兄さんは、貴方の義理の兄のサトシよ。挨拶なさい」

母はそう言って、弟に挨拶をさせる。

「こんにちわお兄さん、僕の名前はカトルです。よろしくお願いします」

「こちらこそ。カトル君は将来何になりたいのかなあ、やっぱりポケモンマスター?」

ポケモンマスターの道に行くのなら、先輩トレーナーとして、教育してやらなくも…

「僕の夢は建築士です。母様にバリアフリーの家を設計することです!!」

(眩し過ぎて何もいえねー)

どんな教育を施せば、善人純度100%が出来上がるの?

マサラ人の血統を受け継ぐ者なら真っ先に、ポケモンマスターの道になるはず・・・血統を受け継いでないな貴様!

マサラ人の血を根絶やしにはさせぬ。

「・・・で、でもポケモンマスターの道を選んでみるものいいよ、友達も増えるし、ポケモンたちと熱い絆だって結べる。やっぱりなるべきだよ」

必死に素晴らしさを伝える。母の冷たい視線を食らうが致し方ない、これも戦法の一つよ。

しかし義弟の決意は固かった。

「友達も作りたいですが、それよりも先ず産んでくれた母様に恩返ししたいのです」

「うあぁぁぁぁん」

俺は家から飛び出した、もう耐えきれなかった。

「俺の良心が燃え尽きる」

大分前にもこんなこと後あったな、と思い出しながらも俺は目的をなくしてしまった。

親に恩返しをしたい為に夢を追う義弟、自分自身の為に夢を叶えたい兄。

どちらが立派かといえば、義弟の方だろう。

…だからこそ、俺は逃げた。現実から逃れたいからとか、今までそう言ってきただろう。

それは所詮、血の繋がらない人達から現実を突きつけられたからこそ言えたことだった。

でも今回ばかりは違う、産んでくれた母さんに本心が告げられた。

これで回りのほとんどの友人が俺を拒否したのだ、精神が持つほうがおかしい。

「皆が俺を否定するのか!」

心が腐ってきた、自分の所為を憎しみに変える。

・・・心なしかピカチュうが喜んでいる様に見える、気のせいかな。

「誰か俺を見捨てないでくれ」

愛されたかった、過去の思い出が涙で歪んでいく。

「あ」

1人俺を愛してくれる女性を思い出した。

「あ、あのひとなら…俺を救ってくれる?」

重い足取りながらも、俺は新しい目的を見出し、旅立っていくのだった。

 

~第2章:サトシ編「人間地獄編」完~

 

→次章~メイ&ウル編「美女と魔人」~




はあ~やっとサトシ編書き終えたー。ふー、なんでここまで話し広げちまったんだ俺。
第3章とか言っているけど、本来書く予定すらなかったからなあ。


NEW
ブラッティーパレス、クレド兄貴まで到達しました。案外行けるものだね、負けたけど。しかし問題は、もう一回あの階まで行けないのが問題。ブリッツ2体とかどうやって倒すんだよ、身勝手の極意を会得しろっていうのか。会得する前に俺の指が壊死するわ。

次のメイ&ウル編では過去の話から話が始まります。いくらかの事件などは現実で起こったやばい事件をこちらで編集して、見やすくできればなと書き上げています。
ここ最近起こった、交通事故とかも取り上げていきます。
俺は忘れんぞ!


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Scoop:01「出逢い」

これは過去の話。
私とウルが出逢って、世界を巻き込む『事件』が起きるまでの出来事。


これは、私が記者になって間もないことの記憶。

「はぁ?未解決事件の再取材ですか」

新人の私に、部長が企画した一面に任された。

「そうだ!今から、突如として爆発した孤島に向かってもらうぞメイ君」

「分かりました。頑張ります!」

ふんすと気合いを入れて、私は20年も前に突如として爆発した孤島へと取材しに向かった。

 

~第3章:『美女と魔獣』~

 

「此処がその現場ですか」 

辺りには何かの機材やガラスが散乱していた。

しかし、『何をしていたのか』それについてはソースが分からない。

当時のこれを追っていた先輩は、取材しにいった翌日に行方不明となってしまい、企画は頓挫されたらしい。

「部長もこんな危ない件に、私1人で行かせるなんて信じらんない~」

予算が出なかったのか、女性1人だけで本当に取材しに行かせるなんて、私が襲われてもいいってかい!

「でも、爆発があったって聞いていたけど」

噂ではロケット団やギンガ団などの、悪の組織の人がここに訪れ何かを探しているのを、度々見たと。

「でも、どうやって記事にまとめよぅ。これと言ったものがない」 

ただただ、時間が潰れる一方だ。足が疲れちゃうし、何も進展がないから精神的にも疲れが出始めちゃう。

「…女か?」

「え?」

今、後ろから声が聞こえた?

「いやいやいや、まさかね」

後ろを振り向いてみても誰もいない。疲れから来た幻聴なのかな?そう結論づけようとしていたが

「こんな所で何してんだよ」

「!?」

さっきまで見ていた所に、男性が立っていた。

「観光客ってぇ面ではねぇな」

その男性は赤いTシャツに黒のコートを羽織って私に近づいてきた。

「あのおぉ~。私、メイと申します。新米記者をしている者です」

直ぐ襲ってくる雰囲気を感じなかった。私は怪しい者ではないと伝えるため、先に名乗った。

「俺はウル。ここで番人をしている者さ」

番人?見張るべき『何か』があるの?

突然の出来事が多すぎて、頭がクラクラしてきた。

「・・・・・アンタは個々について何も知らないんだな」

「え?」

私には何の事だか分からない、けどウルは此処の何かしらの関係者であるのは明白だ。

「あ、あの。宜しければ教えてはいただけませんか?

この場所で何があったのかを…」

記者として、彼に聞き込みして知りたい。

この場所で何があったのかを。

「アンタ『それ』を知ってどうしたいわけだ?

金とかにあまり興味がないと思っていたんだがねぇ」

見破られている。確かに金とか興味がないし、ファッションにもさほど興味が…今の仕事に遣り甲斐を感じているから取材しに、来ただけなのだから。

「私は此処で起きた『真相』を知りたいんです。今はインターネットが普及して誰もが色々な情報を得られる時代になりました。だからこそ、私は真実を世に発信して良くしようと思っています」

多分あの彼に嘘は通じない、勘だけどそう感じ取れた。

だからこそ『正直』に話すのが正解だと思えた。

「辞めた方が賢明だ。記事にはとてもできるものじゃないからな」

「ど、どう言うことなんですか?」

「面倒くせぇがけど」ウルが頭をかきむしりながら文句を言っている。そこから間を置いて直ぐに

「…ちょっと、俺についてこい」

そう言われて、私はウルについていくことに

ガラスを踏み、パリパリと軋む。

「ここだ」

ウルが私に見せたかったのは、円柱型のガラスだった。

「あの!これが私に見せたい物なのですか?」

「そうだ」

でも、何でもない物が見せたかったとはどういう事なの?

私はウルの行動の意味が分からなかった。

けど、すぐにその答えも本人の口から語られた

「此処は人間の技術革新が生み出した『災厄』だ。人類が夢見た実験『クローン技術』が確立し、

『ミュウツー』が産まれ落ちた場所なんだよ」

ミュウツー、カント地方ーに生息していると言われている伝説のポケモン。

一度発見された後、詳細すら不明。ポケモンクラブでも数多くのファンを産み出したミュウツーの誕生の地がここだったなんて・・・

私は記者として、『最高のネタ』を手に入れたと舞い上がった。

「アンタが思っているほど、良いネタではない。これは革新でもあり、災厄でもあるといったろう?」

ウルは私の思考を読み取れる、超能力者なんだなと確信した。そう考えると何故か裸を見られている見たいで、無暗に考えられないじゃない。

「…俺だって好きでこの力を手に入れたわけじゃない」

「あ!何か言いましたか」

「いや独り言だ。気にするな」

「?」

ウルが小言で何か呟いていたけど、聞き取れなかった。

「ミュウツーを産むんでしまった要因『クローン技術』は、人が手を出して良い物じゃない。本来在るべき形を変える事は、いずれ破滅に導くものだから」

私は言っている意味をすぐに理解出来なかった。

『理解する』というのは簡単じゃない。それは自分が体感してやっと『理解』出来る。

だからこそ、私にはピンと来なかった。

「でも。これを世に出せば、保護団体が出来てミュウツーを保護してくれる可能性だってあるはずです。

クローン技術だって、資料を消失させれば」

少なくとも、ミュウツーの様な人工ポケモンは産まれてはこれなくなる。

安直な考え方だけど、やらないよりはマシだ。

「仮に資料は消えても技術は無くなることはない。欲する者が必ず出てくるからな。保護とは言うが、隔離した施設や檻の中で暮らすことがそのポケモンにとって幸せとは限らない」

「でも、何か記事にしないと上司に怒られちゃうんですけど…」

流石に手ぶらは不味い。

少し愚痴ってしまい、それを聞いたウルは「丁度いい。ミュウツーの事を黙ってくれるのならアンタの仕事、手伝ってやんよ」

コートの中から、ウイスキーのボトルを幾つか取り出してはそこら辺に投げた。入れ物はガラスなので割れ、この中から液体が流れ始めた。

「まさか、これって!」

「ああ、ガソリンだ。今から一体を燃やす、アンタは火を放つ前に脱出して消防隊に電話をかけていればいい」

どうやら、前から準備をしていたらしい。いい加減外にででやることを済ます為に、焼き払うとのこと。

「あ、あの!」

別れる前に私は一言

「また、会えますよね」

ウルにそう告げた。

彼は振り返らず前を向いたまま

「俺とアンタに…『縁』があれば、待たな」

そうして述べた後、走り出していってしまった。

私も言われた通りに、来た道を急いで戻り孤島から脱出した。

 

~翌日~

私はその後ミュウツーに関連した事は書き込まず、周辺に住む人達の孤島に関する噂や、昨日起こった火事の事を何処よりも早く仕上げた。

いち早く発行したこと、どの社より詳しく書き込んだ事で発行部数も上々だったそうです。

 

その甲斐があり、次の仕事を担当することが決定しました。

「これもウルのお陰様だよぉ~」

今は何処にいるのか解らないけど、また会えるといいなぁ。

 

~???シティ~

「・・・」

俺=ウルは先日起きた、事故について追っていた。




とりあえず、出逢いの話は短編に仕上げちゃいました。
ぶっちゃけた話、一話目は出会うだけですし…
二話目からは色々な事件や事故に巻き込まれたり、首を突っ込んだりしますので長くなります。
どうぞ、よろぴこ。
胸くそ悪い締め方が多くなります。ご覚悟を


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Scoop:02『護るべき命の尊厳』前編

ウルとあった数日後、私は今話題になっている事件の取材に向かうことになったのだが


「あ~今日の授業も終わったぁ!早く帰ろう」

「じゃあねモモちゃん!」

「また明日ね。ラムッチ!」

あり大抵な毎日、大人になればそんな日々が幸せな事だと振り返ってわかる学生時代。

出席するだけで取れる単位、逆にちゃんと勉強していないと取れないも講義。

バイトをしながら、給料を貯めて今まで行けなかったや地方へ出かける。

そんな日常を送っていた一人の女子大校生は、親友と校門前で別れる。

その後帰り道で切り傷だらけの死体となって発見されるとも知らずに…

 

 

~2日後~

「ここが、フォーカスシティ。ここが3日前に事件があったのね」

私=メイは今世間を騒がせている、事件を取材しにこの町に来ました。

「うわぁ。被害者のご家庭に報道陣がズラリと」

何故ここまで注目を浴びているかと言うと…つい2日前に起こった事件が異例だったからです。

 

内容をざっくりと説明するとね。

 

オケガワ・モモさんが、帰宅途中に凶暴なポケモン、ガブリアスに襲われ死亡した。ニュースでは体に無数の切り傷と腹部の刺し傷。切り傷を負わせて弱らせた後、腹部を刺したと報道された。

警察の必死の捜索によって直ぐに、爪に血が付着していた野生のガブリアスを捕獲することに成功。

DNA鑑定により、モモさんの血と断定された。

世間では、ポケモンが人を殺めた史上初の事件としてガブリアスの殺処分を求める運動が行われている。

 

私も記者として来たのはいいものの、容疑者より被害者の遺族の方にメディアが殺到するのはどうかな。

「我が子を突然亡くして、心身的にも辛い筈なのに・・・」

ここ最近、被害者の実名報道を何故するのか疑問に思っている人もいるでしょう。

あまり知られてのですが、報道は原則『実名』で放送しなければいけないのです。匿名報道をするケースも無いわけではないのですが、例が少ない。

因みに被害者の遺族に実名か匿名かを選ぶ権利はない。

同様に新聞報道も原則「実名」で載せている、事実を正確に伝える5W1Hの要素が絡むためなのだそうです。

 

「でも、今は情報化社会になっているからもっと規制も

柔軟に対応していった方がいいと思うだけどな~」

容疑者が20歳未満か心神喪患者など等は匿名にし、犯した罪を軽罰又は無罪になることもある。

「…本当に『報じるべき者』を保護して、自社の利益の為『国民の代弁者』とか語るのは詐欺だよ」

これが、未来の為になるとは少なくとも私は思えなかった。

「先ずは…現場に向かって、ひゃ!」

ここから現場迄はそこまで距離がなかったので、歩いて行こうと決めたとき、後ろから紙飛行機が私にぶつかってきた。

「もう!ちょっとビックリしちゃった」

紙飛行機を拾い、持ち主さんに返そうと思ったけど、辺りには誰もいなかった。

「あ、あれ~?もしかして幽霊とか?でも昼間に出るなんて思えないし、紙飛行機は本物だし」

よくみると、紙飛行機の翼の裏側にウルと書かれていた。

「え!うそ。ウルがこの町に来ているの!!」

一言お礼がしたかった、ウルのお陰でいい記事が書けて仕事も回して貰った。

彼から紙飛行機を飛ばしたと思ったから、何か連絡するものでもあるのかと、急いで広げてみた。すると、

「嘘を信じるな」

と書かれているだけだった。

「どう言うことなの?」

何を指していることなのかがこの時の私には分からなった。

「でも、取り敢えず現場に行きましょ」

少し疑問が出たが、メイはその足で発生場所に向かうのであった。

 

 

~記者会見(テレビ放送)~ 

 

カシャカシャと音が鳴り、カメラのフラッシュで目が痛い。

我が子がポケモンによって殺害されたのを知ったのは、事件が発覚した4時間後、お父さんと一緒にTVを見ていた事でした。

「え!そうですか。はい、わ、分かりました。」

「誰からの電話だったんだ?」

「お父さん、娘が…モモが……」

突然に娘の死を警察から伝えられ、私はその場で腰を落とし、言葉に鳴らない悲鳴をあげてしまった。

(嘘であって欲しい。娘が何をしたって言うのですか)

まだ十歳前半で命を落とした我が子。本当に娘の事を願うのであれば、今頃ひっそりと身内だけでお葬式を行っていたはずなのに…

「私○○のニュースキャスターなのですが、ちょっとお話を一言でもいいのでお願い致します」

「はぁ?」

どうやら、娘が巻き込まれた事件が特殊だったのでメディアが注目を集めていたとか。正直な所私は、断りたかった、こんなことをして娘が還ってくる訳でもないのだから。

最初は居留守を使っていたが、あの人達は『人の皮を被った蚊』だと感じた。赤の他人の死で視聴率を得られるのだから、死体からチューチュー吸いとる蚊。

家の中の食材が切れて、買い物をしなきゃいけなかった為外を見たら、大量の蚊が集まっていた。

私達がいつ願って報道してくれとも言ってないのに、当事者の気持ちも理解出来ない人達に私は心が折れ、仕方がなく会見に応じた。

 

「娘さんを亡くしてどう思いましたか?」

「と、突然の出来事で、何も考えられなくなりした。何気ない『行ってきます』がもう聞こえなくなると思うと………」

私は声を抑えながら泣いてしまった。

この会見事態の重要性があるのかと、怒鳴り付けたかったがそんな元気はなかった。

「容疑者と言われているガブリアスに一言お願いします」

「娘を奪ったあのポケモンの処分をお願いします」

私が答えられた記憶はこれくらいだった。他の事はお父さんが返してくれたしい。

ただ、一つ腑に落ちないことがあった。

 

~事件現場~

今は悲惨な事件が起こった場所として、花束が大量に置かれていた。

「血痕がコンクリートに染み込んでる」

私は手を合わせた。

「同業者の人達が貴方の事で騒いでてごめんね」

まるで見世物の様な扱い、殺されたくて殺されたわけではない。

この状況は「死体に口なし」だと私は思った。

「あ、あの!記者さんですか?」

「はい、そうですけど?どちら様ですか?」

後ろから私に声をかけたのは10代前半の女の子でした。

「わ、私。モモちゃんの友達のラム・カーバインです」

長髪でポニーテイルの彼女が頼みガあるとのこと。

「警察にも話したのですが、信じてくれなくて」

「一体何を言ったの?」

「モモちゃんはいつも自転車通学なんですけど、ニュースではその事が触れられてなくておかしいんですよ」

最初デタラメを言っていたのかも考えていたけど、嘘にしては現実味があった。

「でも、なんで変だと思ったの?」

「だってあの日。私、モモちゃんと校門まで一緒にいたんです」

「!!」

それが本当なら、今回の事件に可笑しな点が幾つも出てくる。

「でも何で、そんなことを…いや、もしかしたら」

色々思考して一つの結論に結び付いた、だが仮にそれならば今回の事件の闇が相当なものだろう。

(この子の証言じゃ足りない)

決定的な証拠を得られないと、解決に導けない。更に協力者も必要になってくる。

どうすれば……

一介の記者の権限なんて、たかが知れているし。

悩んだ挙げ句私は、先ずは証拠集めをするため、ラムちゃんと一緒に被害者であるモモさんの家に向かった。

 

~その30分後~

「警部不味いですってぇ、独断で調べちゃぁ。上から怒られますって!」

「うるせぇよ!俺はなぁ、気に入らねぇだよ!」

メイ達がいた事件現場に、二人組の警官が言い争っていた。

「何時もなら面倒さがっていたでしょう?何で今回に限ってやる気なんですか?」

どうやらこの警部は日頃、ただ仕事をするだけの人だったそうだ。

「…おめぇ、この事件変だとは思わねえのか?」 

部下に問う。

「確かに今までポケモンが起こした事件なんて取り扱った件なんてなかったですからねえ」

「そこなんだよ、問題なのわ」

警部は自身の部下の頭の悪さにちょっと苦悩しているご様子。

「史上初のポケモンが殺人をした今回、ちょっとキナ臭くてな」

「どうゆうことなんですか?」

「ガブリアスってぇポケモンはな、鳥ポケモンを丸呑みにする狩りを行うだが、切り刻むなんて習性はないんだ」

現在色んな地方に訪れることが出来たことにより、本来いなかった他地方のポケモンが外来種の様になってしまった。生態系の破壊、更にはその地域に適応する形で進化した亜種ポケモンが近年騒がれている。

ガブリアスも本来フォーカスシティには生存しておらず、どこかのバカトレーナーが持ち込みによる不法投棄が近年問題視されている。

「ならその亜種のガブリアスなんじゃないっすか?偶然かまいたちを覚えたとか?」

「いや、それなら腹部の刺し傷の意味がなくなる。ポケモンの力、まいてやドラゴンタイプに人間なんて無力に等しい」

回りくどく話したせいか、部下がイラつき始めた。

「じゃ、何なんですかこの事件!犯人がガブリアスの犯行じゃないってことですか!!」

「ああ、そうだ」

警部は静かな声で確かに答えた。

「なら今回の事件、私達警察は無罪のポケモンを逮捕したんですか!」

「…こっからは俺の予想だが・・・・」

述べられた言葉には確かな説得性があり、事実という確証も少なからずあった。

しかし、決定的な証拠がなかった。

そして

 

 

権力という力が謝った方向へと、進ませてしまった。

 

 

~桶川家付近~

「ちょっとまってて」

「了解です」

ラムちゃんがモモさんの遺族に会わせてくれるそうなのですが

「今から電話してモモちゃんのお母さんに連絡とるね!」

「じゃあ私は、準備に取り掛かりますね」

流石にこのままでは、POKEジャーナルの記者だとバレてしまったら遺族に迷惑をかけてしまう。

だからこそ道中で、必要以上の道具はロッカーに預けて服も着替えておいた。

服装は普段着に近い格好にして、伊達メガネと帽子を被る。

(お願い!バレません様に)

ちょっと不安になりつつも、ラムちゃんからOKの確認が取れたため、ラムちゃんの従姉妹として向かう。

「これ以上の発展はないかね」

「こんな美味しい事件、報道しないわけにはいかないよな」

玄関に向かう途中に、多くの報道陣が陣取っていた。

(うわぁ。住人の迷惑を考えないでよくやるわ)

一般住宅街ということもあるので、隣家の幅も狭いのが当たり前。

でも、報道陣はお構いなしに、『正しい報道』をしている。自分は「マスコミ」だと酔いしれたているのだろう。

「姉さん早く…行きましょう」 

「ええ」

玄関に着き、直ぐにモモさんのお母様が開けてくれた。

「事情は知っています、貴女を信じます」

中に入ると鍵を締め、居間の方へ案内された。

「お持ちしました。モモの母のサクラと申します」

挨拶してくれたが、私は先ずやるべきこととして

「線香を上げても宜しいでしょうか?」

と尋ねた。

サクラさんが一瞬驚いていた表情をしていたが、直ぐに

「こちらでございます」と案内してくれました。

仏間に入ると、テーブルの上にお鈴と鈴棒が置いてあった。奥には多分高校生の時の写真なんでしょうね、急な事でろくに用意することが出来なかったのでしょう。

…仏壇とは程遠い代物。

私は線香をあげ鈴棒でお鈴を叩く、チーンと悲しい音が家中で響いた。手を合わせて天国にいるモモちゃんに伝える。

(ご冥福をお祈りします)

その後居間に向かい、そこにはモモさんの父親が待機してくれていた。

しかし異様に暗いな思って、窓の方に視線を移す…

そこには新聞紙を貼って、その上でカーテンで隠していた。無論光を遮る為ではなく、外にいるマスコミに中を見られないようにするためだと理解できた。

 

「POKEジャーナルの記者をしていますメイです。

この度は、辛い時に図々しくもラムさんとお伺いしに来ました」

私が挨拶していると、サクラさんが涙を流していた。

「ど、どうしたんですか?何処か具合でも…」

心配になりましたが「大丈夫」と言われました。

「申し訳ござません。試した訳ではございませんが、貴女が『普通』の人で良かった」

「?」と疑問に思っていたけど、直ぐにダイチさんが口を開き、訳を話された。

「…この三日間。私達家族は娘を亡くして辛かったのです。本当なら静かに娘との思い出に浸りつつ、お葬式を挙げたかったのです」

父親として、すべき事は娘を天国で元気で過ごしていると願うこと。輪廻転生があるのなら又、私達の家族として帰って来て欲しいと。

「でも、私達にはそれが許されなかった。史上初の事件とかで葬式も挙げられず、マスコミが大勢待ち構えてて無闇に外にも行けない。何故被害者である私達が『晒されなければ』いけないのでしょうか?」

ダイチさんから悔しさと怒りが声を通して伝わってくる。

頬から水が溢れていく、私はいち記者としてけじめをつけるため。

「この度は、モモさんや家族の皆様の事を考えらず、こちらの身勝手で報道してしまい申し訳ございません」

土下座をした。無論、土下座をしたからといってマスコミは変わらず報道してくるでしょう。

それは私の責任でもあると言える、誰かがこの流れを止めなければ、二次被害も出てしまう。

誠意が伝わったのか、御両親達は「顔を上げてください、貴女の気持ちは十分伝わりました」と言ってくれた。

「本当は話を受けても、貴女も他のマスコミと変わらなければ、何も話すことはありませんでした。

けれと、貴女は真っ先に娘に線香を上げてくださいました。更には私達家族に深い謝罪もしてくださった」

ダイチさんは語りながらも、その頬に涙が溢れていた。

「貴女になら、どんなことでもお話ししましょう。

協力にも惜しみません。だから、どうかよろしくお願いいたします」

深々とメイに向け頭を下げる。

「微力ながら、モモちゃんの無念に全力を尽くします」

「あ、ありがとう」

そこから私は、遺族とラムさんと一緒に何故この様な事件が起きてしまったのか話し合う。

先ずはラムさんの証言が事実なのかを両親に確認して貰う。

「モモさんは毎日自転車通学だったのですか?」

「はい、大学からの通学証明書も、先月のですが…」

サクラさんが、娘の部屋から取って来て貰った。

「確かに…先月の6日に発行されていますね。でも、ニュースでは其処については言及されていませんでしたね」

「私達も警察の方々に伝えたのですが、『そんなものはなかった』の一点張りでした」

う~ん。分からない、何故警察は自転車に乗っていた事を公表しなかったのか。

悩んでいる中、ラムさんが「あ!」と何かに気づいた。

「これって変だと思いません?」

「どういうことかな?」

「だって、モモちゃんの身体…全身切り傷があったって聞いていたけど、手のひらはハンドルを握っているから傷は負わないんじゃないかって思って…」

!?

場の空気が変わる、だとしたら…

「そうか、もしかしたら」 

私は一つの仮説が出来上がる。

「切り傷から刺されたんじゃなくて、刺してから切り傷を負わせたと仮定すれば…」

ガブリアスは利用されて、犯人は別にいるという可能性にもなる。しかし

「なら、何で警察は『最初からガブリアスに断定』したのか」

う~む、一難去って又一難。

考え込んでいるとサクラさんから一つ、生前娘が困っていたことがあったと話す。

「実は、娘には一年ほど前まで付き合っていた彼氏がいたそうなのです。でも、その男性がストーカー気質気味だったから別れたと食事の時に聞かされました」

「その話なら私も相談を受けてそいて、確か元カレの名前はコマツ・カズトって人だったはず…」

「その人は今どこにいますか?」

人が起こした事件と仮定したなら、この人が重要参考人だと私は直観を感じた。

「それが…連絡先を持っていたのが娘だけで、どこに住んでいるのか見当もつきません」

真相にたどり着こうとしても、肝心の手段が私達では持ち得てなかった。

「カズトさんの個人情報、この場合名前しか分かっていませんから、住民票を入手するのが好ましいんですが…」

それができるのは警察の方々、被害者も必要に応じては必要があるものですが稀。

容疑者の場合、裏どりが必要である為必要になるから請求できます。

けれど

「民間の私達では、親族でない場合本人の承諾が無ければ手には入れません」

空気が重くなる。警察がこの事件を改変して無実なガブリアスを犯人に仕立て挙げたのなら、信用できないどうすれば…

その時、玄関から

「」

 




本当は一本にまとめたかったけど、詳しく書くと長すぎるため前後編に分けます。
後編では最初事件が始まる前、モモさん視点から始まりまる予定です。


余談なのですが、仮面ライダー正義の系譜2何時になったらでるんすかね。めっさこわかったけど、良作だったのでバンダイさんよろぴく


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Scoop:02『護るべき命の尊厳』追憶①

これは被害者の女性が死ぬ瞬間に思い出した楽しくも最悪の記憶。
違う未来を夢見たが叶うはず、その命が消えてしまった。



いつも通り帰ろうとしただけなのに…

 

母さんお父さんごめんなさい。

今度の結婚記念日に、家族旅行を贈ろうとしていたけど出来ないみたい。

身体から血が流れる、だんだんと痛み初めて来た。

 

意識が遠くなる。

 

「なんでこんなことになってしまったの」

瞼が閉じていく、もう二度と開かなくなるのが分かる。

薄れ逝く意識の中家族と友達の幸福を願いながら私は瞼を閉じた。

 

~事件が起こる一年前:一月頃

   フォーカスシティ:オオミヤセンター~

「ねえねえ!このカビゴン可愛くない!?」

「え~私はこっちのヤドンが可愛いと思うなぁ」

その日は、ラムっちと一緒にゲームセンターで遊んでいた。

「あ~もぉ、このアーム弱すぎぃー。取れない様に設定されないんじゃないの!」

「本当にねぇ、全然掴んでくれないものね」

欲しい景品を見つけてチャレンジしてみるも、店の設定なのかなかなか取れない。

「これじゃあ拉致が明かない、もういいや違うのやろ!」

私達はクレーンゲームを諦め、プリクラの方へ足を向けた。

互いに休日が重なったので、記念として撮ろうとしたのだが

「え~うっそ~!200円入れても作動しない」

「どうしょう?」

どうやら機械トラブルらしく、操作画面が固まったままだった。

困って所で私は、彼と出会ってしまった。

「大丈夫ですか?良ければ店員さん呼んできますよ。」

優しく声をかけてくれたのがコマツ・カズト(23)さんとの出会いだった。

当時カズトさんは会社の休日だったらしく、同僚達と地元のゲームセンターにつまり此処で遊びに来たとのこと。

カズトさん等のお陰で、無事故障が直って撮影が出来た。

「どうもご親切にありがとうございました、なんとお礼を言ったらいいのやら…」

「じゃぁ、近くに喫茶店があるからそこでお茶しない?」

最初はとても親切な人だと思ってた。

喫茶店でお茶した時、世間話や自分が外車のディーラーでボンボンと自慢していた。

カズトさんの友達二人も大手企業の社員で、その職業に関する裏話とかを聞けて、楽しかった。

私達も、バイトの愚痴とか好きなアニメとかお話しして、場は大いに盛り上がった。

「あ、そうだ!お近づきの証しにお二人さんにケーキを奢るよ。ここのケーキは旨いぞ~」

そう言って店員さんにオーダーをかけて、出てきたのイチゴがぎっしり入って更にイチゴソースもかかってる、イチゴずくしのケーキだった。

ラムっちには抹茶と甘栗が層になって、中にはクルミを細かく砕いた抹茶ケーキ。

どれも私達が普段食べれそうにお高い物でした。

「…本当に頂いていいんですか?」

ラムっちが目の前のケーキを見ながら、カズトさんに聞く。

「良いってこれぐらい!ささ!!冷めない内にお食べって、熱くないわコレ」

下らないシャレなのかな?しゃべって要るうちに

 

その後、LINEで友達に追加してその日は解散した。

自宅に帰ってすぐ、部屋に入って電話をかける。

次何時会えるのかを楽しみにしている私がいた。

 

二週間後

お互いに予定を合わせ、初めてのデートというものをした。

私は学費を稼ぐためにバイトをしていて、まだ免許をとるまで余裕がなかった。なので近場で遊ぼうと言ってみたら、どうやらカズトさんが送り迎えをしてくれるから自宅近くの交差点で待っててくれたらいいと提案してくれました。

(わ!何て優しい人なんだろ)

私は彼からの提案に頷き、今日家から直ぐにある交差点で待っていた。

(変じゃないかな、この格好?)

男性とお付き合いしたことがなかった私は今まで気にしてこなかった自分の私服のセンスが悪くないのかと昨日からラムっちに相談して、着る服を選んできた。

 

私が好きな猫耳(白)のニット帽

黒のマフラー

白のダウンコート

黒のパフ袖リプニット

ネイビーのワイドパンツ

 

(う~ん?こういう時よくおしゃれしていた子と仲良くしていればなぁ)

出かける直前まで、不安を覚えながら約束していた交差点へ向かった。

 

(まだかなぁ、まだかなぁ)

心臓の鼓動が早くなる、初恋っていいね!

早めに着いたため、SNSで暇をつぶしているとバイクの様な重音というのでしようか?

ここらへんでこんな音を聞くことはないでしょう。私は音がする方へ向いてみると

「よう!お待たせ!初デートだからって車選ぶのに時間かかっちまった。…もしかして待った?ごめんよ」

黒い外車を運転するカズトさんが運転をしていた。

「いえ、私もついさっき来たばかりです。それにしてもすごい車ですね!見た事がないですね?」

「あ~あこれ?メルセデスAMG・S65ロングって言って、俺の所持しているやつの中でもお気に入りなんだ」

嬉しそうにカズトさんが語ってきた、子供の様に笑った笑顔が私は好きだった。

「えっと…その、あの」

上手く声が出ない。緊張からか何から話していこうかと考えていたが(これかな?でも…へんじゃない?)

と自問自答を繰り返し、車に乗ってから10分が経とうとしていた。

甘ったるい空気が支配していた。

最初に口を切ったのはカズトさんだった。

「今日は肩慣らしに最近できたアウトレットモールがカップル向けのキャンペーンやっているそうだから、行ってみようぜ!」

「は、はいおねがいしまっしゅ」

緊張して呂律が回らず変な言葉が誕生してしまった。

「あ、大丈夫?舌噛んだ?そこ開けると傷薬とか入っているから使ってね」

「あ、ありがとうございます」

こうして私達の初デートはこうして幕を開けるのでした。

 

「わ~この服ヒカリさんがプロデュースした物が入荷しているなんて」

新店だけあって品揃えがいい。有名ブランド品や手頃なものまで一度に手に入るなんて。

だがしかし

(それでもお金が足りない)

バイトはしてはいたが、学費に充ててもいるので自分に入る分は微々たる金額でしたので・・・

「う~ん」

銀行に卸しに行けば、ギリギリではあるけど買えなくはないけど。それだと今月どうやって過ごせば

悩んでいると、カズトさんが店員さんを呼んで

「すみませ~んこれとこれ、これを頂こうかな。支払いはこれで」

そういい、財布からブラックカードを取り出し自分の服を1着。私の服を2着購入してくれた。

「え。いやいやいや、こんな高い物を無理に2着も買ってもらわなくても」

合計金額は約バイト7ヶ月分を超えるだろう。

彼氏が彼女にプレゼントする事が当然みたいな世の中である為、見栄を張るのならばやめて正直なほうが私は交換が持てる。

「ん?ああ俺からしたら小銭だし気にすんなよ。初デート記念で受け取ってくれよ」

袋を私の方に差し出し笑顔で言っているため、受け取らないのも悪い気がしたので恐る恐る受け取る

「あ、ありがとうございます、大切にしますね」

精一杯の笑顔で礼をする

「いや~、可愛い彼女の笑顔が見れたから満足満足」

腕を組みウンウンと頷いくカズトさん

その後、行く店行く店何かと理由をつけ、私にプレゼントまたは奢ってくれました。

そうこうしている内に帰る時間になってその日は終了し、次いつ会えるのかを話しつつ帰り道を楽しんだ。

 

 

・・・2ヶ月後

 

今日はカズトさんが運転してもらって話題のポケモンランドへ行くのだ(''Д'')

片道一時間半の道のり

私達は何処から回るのかとか、そんな他愛のない会話をで楽しんでいた。

 

ポケモンランドに到着すると、急ぎ足でカズトさんの手を引きいて

ボルテッカージョットコースターやハスボーのカップ

ゴースト三人衆のお化け屋敷(ジュペッタ・ミミッキュ・ゴース)

メガボーマンダVSメガリザードンのゴーカート

などなど

 

子供から大人まで楽しめるテーマパークとして連日賑わいを見せている。

パーク内のホテルは流石に半年前でも予約が取れるか怪しいとのこと…

「あ、ポッチャマだ~。一緒に取ってもらいましょうよ」

「お、おう」

ポッチャマを真ん中に左に私、右にカズトさんで従業員さんに写真を撮ってもらった。

「次どうします?」

「俺、コレ気になってたんだよねえ」

「それにしましょうよ!」

事前にフリーパスポートを購入していたので、並ぶ時間もそこまでかからず色々なアトラクションを堪能できた

「いやあ堪能しましたなぁ」

「ホクホクですぅ」

お互い歩き疲れたながら存分に楽しんだ

「まだ帰るのに時間があるから土産屋でも行くか」

「ラジャーです(''◇'')ゞ」

 

土産屋に着くと家族やラムっちへの土産を探していると、カズトさんはカーテンの奥の方に入っていった。

私は店員さんを呼んで向こう側について質問をしてみると

「あちらはVIP会員専用となっております、あそこには一般人では購入不可能な商品を仕入れております」

「へ~、ならVIP会員になる条件はどんなのですか?」

贈るものを吟味しつつ、興味があったので更に質問してみると

「えっとですね。一つだけ教えますが、他言無用でお願いしますね」

私は小さく頷き、店員さんは頷きを確認して小言で伝えてくれました。

「まず基本となるのは納金することです。年間で200万円を納付が前提となります。

そして個人情報の提示と職業を私達で調べることが条件1となっております」

私は驚愕して手に持っていた商品を落としてしまい、店員さんが拾い上げ「では、私はこれで」と告げ別のお客さんの元へ向かった。

(カズトさん、あそこで何を買うつもりなのかしら?)

お土産品を購入してしばらくして、カーテンの向こうからカズトさんがやっと帰ってきた。

「ごめんごめん。選んでいたら遅くなっちゃって」

「いえ、そんなに待ってないですし、ゆっくり見れたのでいいですよ」

よくみると、カズトさんの手には高級ブランド品でよく見る袋紙の最高クラスがあった。

「家族のも買えたんですか?」

「ああ、そっちは輸送してもらったよ」

「じゃあ、それは?」

カズトさんは「そうだな、ちょっとついてきて」

手を繋いで、カズトさんの先導でパーク内のホテルについた。

「・・・え?もう帰るんじゃないの?」

「ちょっとくらい中を拝見しようぜ!」

確かに気になっていなかったわけじゃないのだけど、

ホテルの従業員がカズトさんの顔を見て即座にルームキーが与えらる光景。

「ここって半年以上予約が埋まっているんじゃ?」

「ふっふふ、一般人と俺を比べるんじゃないよ。埋まっているのは一般用客室であったVIP会員専用は常に空きを用意できるようスケジュールが組み込まれているのさ」

自慢げに告げるが、問題はこの後の展開だ。

VIP会員専用がどれほどなものか想像できない、でも男女が一緒にホテルに入るということは…などと想像してしまうと、顔が赤面してしまう。

二人でエレベーターに乗り、6階で

「えっと、番号は・・・・ここで合ってるな」

ルームキーに書かれている部屋番を確認して、扉を開けた。

「わあ!ここでパレード見たら最高なんだろうなぁ」

私は内装よりも先にパークを一望できるテラスに出て眺めた。

「本当はイベントが多い夏や年越しに来た方が綺麗で見栄えがあるんだよ。前に見に来た時はそらあもう『人がごみのようだ』と言いつつ優雅に眺めるのは至福だった」

「いいなあ~。私も見たい」

「付き合っているんだから今年中にはその願いも叶うさ、きっと」と言い、先ほどの紙袋から何かを取り出す

「こ、これは?」

「ちょっと高かったけどな、プレゼントだ」

渡されたのはネックレスだった。ただのネックレスではなく存在感を放つダイヤモンドがあしらわれている。

「結構したって言ったけどどれくらいしたの?」

素朴な疑問が出た。その疑問にカズトさんはすぐに答える。

「手持ちの金を殆ど持っていかれたけど、まあだいたい…230万ってとこかな」

「に!にひゃくさんじゅうまん!?」

あ、危うくネックレスを手から落としそうになった。危ない危ない(;´д`)

流石にそんな高価な物を受け取れなく、カズトさんのネックレスを返す。

「さ、さすがに受け取れないよ。私には高価すぎて」

すると

「…な、何でを……ってくれないんだよ」

彼は小さな声で何かを呟いた後

「どうして俺の気持ちを受け取らないんだ!」

と怒鳴り散らしてきた。

私はビクッと体を震わせた。

初めて見た彼の怒りの形相は私に恐怖を植え付けた。

「俺はお前の為に大金を果たしただぞ」

ネックレスをぶん投げ、壁に当たり壊れてしまった。

助けを呼ぼうにも怖くて、上手く声が出せない。

仮に叫んだらどんな仕打ちをされるか分からない、

私は黙って彼が発する言葉を聞くしか選択肢はなかった。

「お前、俺と別れたいんか?」

逃げれないように、壁に追いやり奇しくも壁ドンの体制で質問された。

「いや、別れたいとかそんなんじゃないよ。ただ私ばっかり高級品をもらって悪いかなーって遠慮しちゃっただけだよ」

正直に話した。でも。彼はさっきより怒りを押さえながら

「…今週の20日俺んちに来い。来なかったら迎えに来るからな」

それで今日のデートは終わった。

長く感じもしたし短くも感じた日だった。

 

3月20日

私は彼の家があるイケクロのマンション前に立っている、本当は怖くてすっぽかしたかった。けれどそんな事がバレてしまったら私は生きて帰ってこられるのだろうか。

(神様どうか、私に勇気を…)

正直な所愛情より彼への恐怖心が私の心を包んでいた。

多分もう元の関係には戻れないだろう、このまま過ごすのなら別れようと決心していた。

 

「おい!こっちだ。早く上がってこいよ~」

(え?)

上から彼の声がしたのですが向いてみると、笑顔で私を迎えてくれている姿が見えた。

(もしかしたら、私の気の迷い立ったのかも…)

彼の表情でちょっとは安堵した。先日の件を忘れているのかもしれない、もしかしたら気にしなくなったのかもしれない。

私は暗い表情から晴れて笑顔にして、彼がいた五階までエレベーターで向かった。

 

「ささ!どうぞ上がってよ。あんま広くはねぇけど良いところなんだよぉ」

彼の自宅は最新の家電やゲーム機器、PCなども今話題のモデルを使用していた。お金に余裕がある暮らしというのは私生活にも現れて来るものなんだと感じた。

「結構広いですね。何畳位あるんですか?」

「○○○だよ本当はもっと大きい所押さえようとしたんだけど、空きが無くてさ取り敢えずここに決めたって訳。それにしてもやっぱり友達もそうだけど皆言うよなぁその質問、まっ!分からなくないけどさ!」

 

良かった何時もの彼に戻ってくれた。他愛のない会話がここまで心安らぐなんて…

ふと机に置かれていたカメラに目がいってしまった。デジカメでなくビデオカメラだった。

気に止めたのはその数でした、小型や中型、ペンなどもある。あれもカメラが内蔵している?

背中に妙な寒気が…

 

彼は私の様子を察して机に置かれていたカメラを取って話す。

「気づいちゃた?気づいちゃたよなぁ!」

最悪な事態というのはこう言う時をいうのでしょう。

あの瞳は先日とは異なって、狂気じみた笑顔を見せてきました。

「ねえ!ほんと、どうしちゃったの?変だよ」

「変?嫌だなぁ、至って普通だよ!たださぁ…俺思ったわけよ。好きな娘がさ、俺の前からいなくなるんじゃないかって?」

段々と私に近づいて来た、後退りして退いていても背中に壁が接触してしまい、もう逃げられないと悟った。

「でさ!どうしたら俺から逃げられなくなるかかんがえたんだ!」

そう言いカメラを手に取り私に映像を見せた。

映像には私の部屋とそこにくつろいでいる私自身が映っていた。

「いや~苦労したんだよねぇ。あ、勘違いしないで売ろうって訳じゃないんだ。ただね、俺の前から居なくなったらどうなるかは解っているよな?」

(狂っているとしか思えない)

「これ何時撮ったの?」

震える声で出たのはこれくらい、人は突然の出来事で思考回路がパニックを起こしてからだ。

(神様…助けて)

けれど私は気づいた、神様なんて居ないことに。

…いえ神様というものが仮に居たとしても何もしないのだろう。

 

 

その日からと言うもの彼から頻繁にラインのメッセージを

「なあ?今なに何してる」

「話そうよう」

「寂しいじゃないかよぉ、」

「無視すんじゃねぇぞ!てめぇの親をリストラさせて野郎か!?」

 

約一ヶ月後

 

5月2日

(三十分置きに送信してくる…)

私は彼から逃げられない生きる人形見たいに、主のご機嫌取りをする毎日を送る嵌めになった。

心も磨り減って、食欲も湧かない。体重も落ちて十キロは減った。

家族や友達から心配されてるけど、もし私のせいで巻き込まれたりしたらと思うと助けを呼べなかった。

(私の人生どこで間違ったんだろ)

彼から誘いや学校以外に外に出ることは無くなった。

土日は部屋の隅っこでカーテンを閉めて、ただ時が過ぎるのを待っている。

これが女子大学生が送る私生活と言うのならば、きっと天国の方が居心地が良いのでしょうね。

 

5月23日

昼頃着信が着た。

私は彼の自宅に足を運んだ、呼び出されたのだ。

もう恐怖を感じなくなってきた。いや、もうどうでも良くなってきたのかもしれない。

感情の薄くなっていく意識の中、私が出来る微かな思考しながら玄関に到着した。

「おっ!まっ!たっ!っせ!早く上がってよう」

「…はい」

まるでロボットだ。

拒否の選択肢を自ら捨て去ってしまった、哀れなご奉仕用人間ロボット。

(・・・・)

部屋を見渡してみると、カーテンで遮られ時計も見当たらない。

「今日も種付けセックスの始まり~始まり~」

今日も彼を悦ばす為にあらゆるプレイをして機嫌取りを行う。

「やっぱお前の中は気持ちえぇ、俺の形にぴったりだ。お前もそうだよなっ!」

「はいっ!とっても気持ちいいです」

ギシギシとベッドが揺れる。

避妊剤をあらかじめ飲んで、せめても孕んだりしてしまわないようにしていた。けどこれはわたしが黙ってやっている事、彼がその事に気づいてしまったら…

「ほれ!これでも飲んでまだまだヤリ続けるぞ。飽きたら野外でやるのもいいかもなぁ」

「はい…貴方様の仰せのままに…」

精力剤を飲み、嫌が負うにも体が火照ってしまう。

彼の男を象徴する歪な棒も更にデカく凶暴になり、私の中に入ってくる。

「うっ・・・あっ、さらにっ、つよく、なって」

身体が喜んでいる、気が付くと彼の大きな身体にしがみついてる。

「一緒にいこうぜ!なっ!」

「は、いはぃぃぃ。わたしもイキたいです!イカせてください」

遂には懇願し快楽に溺れてしまった。結局の所、嫌な相手だろうが男の女。

心が擦り減っていろうがいまいが女性の身体である都合上、受け入れてしまう。

「あ~あ、溢れちゃた。ま、孕もうが孕まないがこれからも楽しませてもうからな」

「わ、わかりました」

今日がこれで、これだけの為に私は呼ばれたのだ。

(体が重い。避妊剤が本当に効いているのかしら?)

お腹を擦り、彼との赤ちゃんが産まれない様に祈る。

「あっ、もうこんな時間なの」

空を見上げれば、星が輝きだしていた。

(急いで家に帰らないと…)

両親が心配している、急ぎ足で家へ帰った。

家に着くと、大学生といえど一人娘が夜遅く帰ってきて更に体重もごっそり落ちたから気が気がじゃない、

「モモちゃん。何かあったの?食欲もないようだし、顔色も悪いわ。友達と喧嘩でもしたの?」

本当ならここで全てを話したかったけど、下唇を噛み必死に訴えそうになる心を抑える。

「うんちょっとね。疲れたからもう寝るね」

逃げる様に自室へ行き、鍵をかけるて一人になる。

「・・・・はぁ」

この時間この空間は誰にも邪魔がされない、眠りにつくまでの私だけの時間。

布団の中に入り、せめて夢だけは楽しいモノを。

 

 

 

 

 

 

 

次に目覚めるまで君は自由だ。

それまでせめて祈ろう。

これは追憶、救いなどない過去の記憶。

されど識らなければ、私達が如何に幸せに過ごしているか理解できるだろう。

 




久しぶりの投稿になります。
書いていなかった時間をDMC4のブラッティパレスでやっと99階までダンテでいけるようになりました。ただ、扱えなかったネロで行ってみると2回で同じ階に行けて、3回目には100階のダンテと対決できました。まあ、ボロ糞の滅多打ちにされてしまいましたけどね。(強すぎるんじゃあ)

次の追憶②で殺害されるまでの過程が分かり、ウル達が動き始めます。
次回もよろしこ。


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