デート・ア・ライブ 穢れた黄金 (クアエ)
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始まりの日

デアラのアニメ見てたら書きたくなったので書きました。久々だから色々酷いかも…


雨が深々と降る街並み。そこで俺は一人、改造したスーパー傘君をさしながら一人寂しく下校していた。

 

いつも俺の実験台になってくれる友人は、なにやら妹の大好物を作るために買い物に行くといい、そそくさと帰ってしまった。

 

「あのシスコンめ」

 

俺はそう愚痴をこぼしながら歩いていると、いつのまにか、家の近くの神社まで来ていた。小さい頃いつもお参りをしていた神社の目の前に立ち、いつもと違い一人なためか、変な懐かしさを覚える。

 

「懐かしいなぁ…いつも通ってる筈だけど、一人で通るのは久々だなぁ、よく親父とお袋と一緒に、お参りしたっけな」

 

俺はそう言いながら、久々にお参りしようと思い、境内へと足を進める。すると、先程まで人っ子一人いなかった筈の境内には、一人、左手にパペットを持ち、緑のウサミミのついた服装をした、可愛らしい少女が立っていた。

 

少女は、どうやらこちらに気づいてはいないらしく、雨の降る中、元気に走り回っていた。

 

「ちょっと君」

 

俺はその服装では流石に風邪をひくと思い、楽しそうに遊ぶ邪魔をしてしまうのを心で謝罪しながら、そう声を掛ける。

 

「…え?…」

 

少女はそう呟くと、こちらの方へと首を向ける。どうやら、やっと俺の存在に気がついたらしい。

 

「そんな格好で遊んでいたら風邪を引くぞ」

 

俺は少女にそういい、俺の素晴らしき発明品であるスーパー傘君を渡そうと思い、少女へと近づく。しかし

 

「………痛く…しないで……ください」

 

少女はか細く、恐怖の感情を孕んだ声でそういいながら、まるで自分を守るように頭に手を置き、俺から離れる。どうやら訳ありらしい。

 

俺はそんな少女を見て、取り敢えずなんとかこちらが安全であることを証明しなければと、普段はくだらない発明にしか使わない頭脳をフル回転させる。

 

「大丈夫、痛くしないよ、俺は君にこれを渡そうと思ってるだけだから」

 

俺は出来るだけ優しい声色でそう言いながら、その場で屈み、目線を少女と同じ高さにして傘を見せる。

 

「それ…を?」

 

俺が危害を加えるわけでは無いと察してくれたのか、少女はそう言いながらゆっくりとこちらに近づいてくる。

 

「そう。こんな雨だし、元気に遊ぶのはいいけど、そんな格好だと風邪を引いちゃうだろ?だから、これを使ってくれれば、ある程度は濡れる心配もないし、風邪を引く確率も下がる」

 

「でも……それ…なら、お兄さん…は?…」

 

「うん?俺は大丈夫だ、あと少しで家に着くし、家でシャワーを浴びて暖かくすれば風邪を引く確率は限りなくゼロだ。だから君は遠慮せず、この傘を使ってくれ」

 

きっと彼女は心優しいのだろう。俺の身を案じるように見つめながら、ゆっくりと俺の手から傘を受け取る。

 

「あっ…ありがとう…ございます…大切…にします」

 

俺の手から傘を受け取ると、少女は自身の服のうさ耳が地面についてしまうのではないかというほど、深々と頭を下げてそう小さく呟く。

 

「うん、そうしてくれるとこちらも助かる。それじゃあ、俺はこのまま走って帰るから、君もあまり遅くならないようにね」

 

俺は少女の頭を優しく撫でながらそう言い、立ち上がる。

 

「それじゃ!帰ったら風邪ひかないように体を暖めるんだよ〜!」

 

俺は少女にそう叫びながら、雨の降る歩道を、猛ダッシュで走り抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イヤ〜、あの人いい人だったね!四糸乃」

 

士が走りって行ってから少し達、静かな神社の境内にて、少女のパペットから元気な声が鳴り響いていた。

 

「うん」

 

少女は、自身の左手についたパペットに向かって、静かに頷く。

 

「あんなに優しいなんて、きっと彼モテるよ〜!次会った時にお礼しなきゃね!」

 

「うん…その時はよしのんも」

 

少女とパペットがそんな会話をしていると、少女の体がうっすらと透け始めていた。

 

「おぉ、どうやら時間みたいだね〜、次はよしのんもいっぱい話せるのいいなぁ〜、あっ!でも名前聞きそびれちゃった〜」

 

消え始めている中、二人に怯えというものはない。

 

「次…会った時に…名前、聞けばいいよ」

 

「それもそうだねー!」

 

まるで母親から迎えに来てもらった子供のように、慌てず、最後まで普段通りのテンションで会話を繰り広げ、そして、神社の境内から、少女の姿は消えていた。

 

 

 

 




なんか四糸乃とよしのんが違う気がする…


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二度目の邂逅

小説を書くってすごく大変


あの緑の少女に傘を渡してから、数日の月日が経った。

あの後、結局家には傘がアレしかなかったことに気がつき、その後、カッパを着ながらビニール傘を買う羽目になったが、まぁ、あの少女の為だと思えばいいかと、納得していた。

 

「それにしても、まさか学校で空間震が起こるとはなぁ…」

 

俺はそう言いながら、半壊している校舎を眺める。

あの日、あの少女と別れてから数日後、学校を中心とした空間震が発生し、俺たちの学び舎は半壊状態となってしまった。

その影響により、俺たちの学校は数日間休校となり、今こうして俺は、暇を持て余し、来る必要のない学校へと足を運んでいた。

 

「それにしても、空間震って一体なんなんだろう…確か最初に確認されたのが30年前、ユーラシア大空災だったな…」

 

俺はそう呟きながら、半壊した校舎の瓦礫に触れる。

これだけの破壊を振りまく災害、地震や台風と違い、人智を超えた災害、こんなものが、唐突におきるはずがない。

 

「何か原因がある筈なんだけど…うーん…さっぱりわからん!きっとどこからともなくやってきた宇宙人の仕業とかそんなもんだろ!」

 

俺はいくら考えても原因が思いつかず、思考回路を停止して、荒唐無稽な結論を叫ぶ。

 

「さて、そろそろ夕飯の買い物でもしますかねー」

 

俺は今までの小難しい謎を頭の中から投げ捨て、今日の夕飯のメニューを考えながら、半壊した学校を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校から少し歩くと、何やら賑やかな音が聞こえてきた。

 

「あれ?この季節お祭りやってたっけ?」

 

商店街らしきものの賑やかさを見ながら、俺はそんなことを考える。しかし、明らかにおかしい。これでもかなりの年月この街で暮らしているが、こんなお祭り見たことがないし、そもそもラタトスクなんて商店街聞いたことがない

 

「まぁ、こういう祭りの時は結構安売りとかしてくれるからこちらとしては助かるのだが」

 

見た感じ普通の商店街だし、夕飯の買い物くらいはできるだろう。俺はそんな安直な考えで、明らかにおかしい商店街へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

ラタトスクという名の商店街に足を踏み入れてから少し経ち、あらかた買い物を終わらせ、出店の売り物を買い食いしていた。異様に商店街の人たちのテンションが高かったが、実害があるわけではないし、まぁいいやと納得する。

 

「このたこ焼き…美味いな」

 

俺がたこ焼きの旨さに驚いていると、前方に見覚えのある青髪が目に入った。

 

「うん?あれ士道じゃん。おーい!!士道!!!」

 

俺は前方に見えるのが、俺の友人兼実験台1号の五河士道と分かり、それなりに大きな声で士道の名を叫ぶ。

 

「げぇ!!士」

 

「げぇ、とは酷いな」

 

友人の酷い反応に文句をつけながら近づくと、士道の隣には、綺麗な夜色の髪をした少女が立っていた。

 

「えーと、士さん。俺と十香は別にそういう関係という訳では…」

 

俺が夜色の髪の少女、十香と呼ばれ少女に目を向けると、今までにないほどの慌てようで言い訳をしてきた。

 

「お前さん、こんなところ(ホテル)で突っ立ってて何も無いと?」

 

俺は、自分の隣にあるホテル。所謂、ラブなホテルに目を向けながらそういう。

 

「士道?こやつは士道の知り合いか?」

 

俺が士道で遊んでいると、十香と呼ばれた少女が士道にそう問いかけた。

 

「あぁ悪いな十香、こいつは俺の友達の新道士、それで士、この子は名前は十香で、今俺たちは」

 

「デェトをしている!!!」

 

十香さんは大きな声でそう言いながら俺の目の前に立つ。

 

「なるほど、改めて俺の名は新道士、よろしくね、十香さん」

 

随分と元気な子だなぁと思いながら、俺は親愛の証に手を出す。

 

「うむ!よろしく頼むぞ!士!!!」

 

十香さんは俺の手を掴み、思い切りブンブンと手を振る。

やべぇ、手が千切れる。

 

「まぁ、お二人さんが楽しそうなのはなによりだけど、このドリームパークはやめておけよ、まぁお前らが良いというならそこまで否定はせんが、流石に学生の身でこういうところは良く無いからな」

 

俺はなんとか十香さんに手を離してもらい、友人へと忠告をする。流石に学生服でラブホテルに入って、誰かに見られたらやばいからな…というかそもそも入れないだろうけど

 

「ということで、あとは幸せそうなお二人さんで楽しんできなさい」

 

俺はそう言い、士道の肩を叩く。

 

「あぁ、ありがとうな、士」

 

「いいっていいって、それじゃ、またな」

 

俺はそう二人に良い、家への帰路へとついた。

 

 

 

 

 

 

 

士道達と別れ、ゆっくりと家に帰る道を歩いていると、頭上から数滴の雫が頭の上に落ちてきた。

その雫の数はどんどん増えていき、終いには大雨と呼ばれるまでになっていた。

 

「たっく…ここ最近雨多いなぁ、雨が多いのは百歩譲って許すけど、天気予報が外れるのは許せねぇ」

 

俺は傘を持っていなかった為、慌てて走り、雨宿りのできそうな、公園の遊具の中へと避難していた。

 

「はぁ…いい歳こいてこんな遊具の中に入ることになるとは…」

 

俺は遊具の中でしゃがみながら、ため息を混ぜてそう呟く。すると、遊具の入り口から、緑色のうさ耳が、チラリと視界に入る。

 

「あれって…」

 

俺はまさかと思い、遊具の中から顔を出す。すると、目の前には数日前に傘をあげた、左手にパペットを持った少女が立っていた。

 

「おぉ!こんなところで会えるなんて運がいい!!!、ねっ四糸乃」

 

俺が遊具から顔を出すと、先日はあまり喋らなかった少女が、パペット越しではあるものの、元気に自身に話しかけていた。

恐らく、子供特有の遊び。自分だけの友達とかそういう感じだろう。

というか腹話術上手いな…

 

「うん、よかった…会えて」

 

どうやら、少女の方もこちらに会えて嬉しいらしい。パペットの言動から分かっていたものの、やはり本人から直接言われた方が色々と安心できる。

 

「いや〜、先日ぶりだね、あのあと風邪とか引かなかった?」

 

俺は、少女に不信感を抱かれてないことに安心しながら、あの日の後、どうであったのかを問いかける。

 

「大丈夫だったよ!!!よしのんも四糸乃も風邪なんて引かなかったよ」

 

俺の問いかけに、ウサギのパペットが答える。どうやら、このパペットの名前はよしのんで、少女の名前は四糸乃というらしい。

 

「それなら良かったよ、いやさ、傘を貸したはいいけど、あの時点で結構濡れていたし、あまり意味なかったんじゃ無いかって心配していたんだ」

 

そう、あの日俺はこの子に傘貸したのだが、よくよく考えたら、あの時点でだいぶ雨に打たれて濡れていたし、俺が傘を貸したのはあまり意味がなく、風邪を引いてしまっていないか心配していたのだ。

 

「あっ、これ…ありがとう…ございました」

 

俺が安心して一息ついていると、四糸乃は手に持った傘を俺に渡してきた。

 

「あぁ、そいつね、いいよいいよ。どうせ今日もこの雨だし、ここで俺がこれを受け取って、君が風邪をひいてしまったら大変だからね」

 

俺は四糸乃から渡された傘を彼女の手の中に戻す。

 

「うーん…それじゃあ、よしのんたちがお兄さんをお家まで送るよ!そうすれば、よしのん達も濡れなくて、お兄さんも濡れないでしょ!」

 

俺が傘を離すと、左手のパペット、よしのんが俺の顔の目の前まで出てきて、そう提案する。

まぁ、確かにその方法なら俺も彼女達も濡れることはないが、

 

「俺警察に捕まったりしないから」

 

「?…何か言った?お兄さん」

 

「いや、なんでもないよ。そうだね、そうしてもらおうかな」

 

まぁ、親戚ですとか言い訳すればいいか

 

「それじゃあ、身長差があるし、俺が傘を持つね」

 

俺はそういうと、遊具から体を出し、四糸乃から傘を受け取る。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

「うんうん!出発進行!!!」

 

なんか、本人とパペットのテンション差が激しい子だなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、時間にして10分、俺たちは歩いた。その間にお互い改めて自己紹介をし、今までにどんなことをしていたのかだとか、この傘はどうやって使ったのかなどの質問に答えながら歩いていた。

 

「そういえば、四糸乃達はいつも二人?だけど、お友達とかご両親とかはどうしたの?この雨で傘を持ってなかったら普通迎えに来るなりすると思うんだけど」

 

俺は率直な疑問でそう問いかける。すると、四糸乃は足を止め、顔を下に向けてしまう。

 

「お父…さん……とお母さんは…いません。私達は…ずっと二人……でし…た」

 

「うんうん…でも安心してね士君!別に天涯孤独で野良犬のような生活とかはしてないからさ!!!」

 

どうやら、俺は無自覚に地雷を踏み抜いたらしい。全く、年下の子にこんな顔をさせるなんて、相変わらず俺は人の心理に疎いらしい。

 

「そっか…なら、俺と一緒だな」

 

俺がそう言うと、四糸乃は顔を上げて、俺の顔を見る。

 

「うん、俺もお父さんとお母さんがいないんだ。というか、そもそもあまり記憶がない。唯一あるとしたら、四糸乃と最初に出会った神社でお参りをした記憶くらいかな…だから、俺たちは一緒だ」

 

俺はこの最底辺の励ましとともに、左手を出す。すると、四糸乃は静かに俺の手を掴んでくれる。その姿に、少し心に来るものがあったが、俺はノーマルであると自分の心に言い聞かせる。

 

「よし!!!暗い話はこのくらいにして、楽しい話をしよう。もうすぐ家に着くから、出来るだけ沢山ね」

 

俺はそう言いながら、四糸乃の手を引き、いつもよりゆっくりと、家の帰路へとついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少しして、俺たちは家の前へと到着した。

 

「それじゃ、わざわざありがとうね、お陰で殆ど濡れることなく帰れたよ」

 

俺はそういいながら、四糸乃の前にしゃがみ、頭を撫でる。

 

「あぁ!!よしのんもよしのんも!!!」

 

俺は耳元で叫ぶパペットにも、同様に優しく撫でる。全く、何故ここまで差が激しいだ。この子、もう少しハキハキできるようになれば、将来女優としてやっていけるかもしれない。などとくだらないことを考える。

 

「さて、わざわざ送ってくれたお礼に」

 

俺はそう言いながら、買い物袋の中に手を突っ込み、2つの飴玉を乗り出す。

 

「はいこれ、お礼の証ということで」

 

「あり…がとう…ございます」

 

「ありがとー!!!」

 

俺の手渡した飴玉を受け取り、二人はお辞儀をする。

 

「さて、家に着いたから傘もあるし、荷物置いて二人を送ってくよ」

 

俺は玄関に買い物袋を置き、手にビニール傘を持ちながらそういうと、二人は首を横に降る。

 

「大……丈夫……です」

 

「僕達は二人で帰れるから、士君は早くお風呂に入りなよ!」

 

「でも…」

 

二人の提案に俺は首を振る。流石に、この年の子をこの時間に一人で帰らせるのは危険だし、なにより、俺が原因でこうなっているのだから、やはりそこはしっかりとしておくべきだ。

そう言おうとした瞬間、二人は全速力で走って行った。

 

「それじゃそういうことだから、またねー!!!!!!」

 

俺はその姿を、口を開けて眺めかことしかできなかった。

 

「足速ぇ……」

 

なるのは女優ではなく、陸上選手かもしれない。

俺はそうくだらないことを考えながら、家の中へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨空の下、一人の男が大の字で地面に寝転がっている。

 

"またこの夢か"

 

男の目から、雨粒とは違う雫が流れ、思い切り地面を叩く。

 

「クソ……クソォ…なんで…だよ」

 

悔しい、許せない、認めてなるものか、そんな感情が俺の中に流れ込んで来る。

これは一体なんなのだろう。わからない

 

それから数分が経ち、男から体力が寒さにより奪われ、いつしか動かなくなっていた。すると、頭上から眩しいほどの光が現れ、そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この夢は終わった。

 

 

 

 




ここまでの文字数書くのキツイ


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特殊災害指定生命体・精霊

遅くなってしまい申し訳ないです(´;ω;`)


あの日、四糸乃とよしのんとの二度目の邂逅から、俺の日常には新たな仲間が加わった。その名も、夜刀神十香。

士道とあの日にデートをしていた美少女である。彼女が我らがクラスに加わってからは、色々な意味で刺激的な日々となった。

 

学校でトップクラスの人気を誇る鳶一折紙との士道争奪戦である。どうやら、二人とも士道に好意を抱いているようで、毎日の様になにかにつけて勝負をしている。

 

そして、その争奪戦は今も続いている。どうやら、今日の勝負は調理実習で作ったクッキーの出来で勝負するようだ。

全くあの野郎…あれだけの美少女達にクッキーを作ってもらっておきながらなんだあの困ったような顔は…

 

「羨まけしからんなぁ〜」

 

俺の言おうとしたセリフを、後ろに座っていた友人兼実験台二号、殿町宏人が代弁してくれる。

 

「全くだよ…あの野郎…次はどんな実験に協力して貰おうか…フフフフフフフ」

 

「…お前さんの実験は時々死より恐ろしいことをするから、軽めのにししてやれよ…だがまぁ、お前と違って、俺にはこの子がいるからなぁ」

 

俺が士道の顔を見ながら笑っていると、殿町は俺の肩に手を置き、スマホをこちらに見せつけながら言う。

 

「あぁハイハイ、お幸せそうで何より」

 

全く、彼女が出来ないからって、流石に二次元に行くのはダメだろ…俺は………大丈夫だよね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校が終わり放課後、俺は町外れにある眺めのいい公園へと来ていた。

 

「ほぉう…ここがこないだ空間震が起きた場所かぁ」

 

そう、あの日、俺が四糸乃とよしのんに二度目の邂逅を果たした日、突如空間震が発生したのだ。発生した時刻は、俺が二人と別れてから1時間が経過した時で、すぐに近くのシェルターに避難したのだ。

 

しかし、俺はどうにもおかしいと思っている。何故この短いスパンでここ最近、空間震が発生しているのか、原因が不明にしても、今までここまでの短期で起きたことはないことから、明らかに異常事態であることは、専門家でも無い一般学生の俺でもわかる。

その為、俺は放課後の時間を使い、こうしてここまでやってきたのである。

 

「と言っても、9割は俺の個人的興味なんだが」

 

俺はそう呟きながら、封鎖されていない抜け道を通り、現場のすぐ近くまで来た。

 

「おいおい、なんでこんなに綺麗に崖が斬れてやがるんだ?」

 

俺が現場に到着して、まず目に入ったのは、まるで巨大な鋭利な刃物で切断されたような崖であった。

 

「これが空間震?んなわけあるか…空間震でこんな風に斬れる訳がねぇ」

 

そう、ありえない。何故なら、空間震とは発生源から徐々にドーム状に広がり、周辺を飲み込むものと我々一般人の知識でそうなっている。だというのに、これではその前提が崩れる。まぁ、お上が嘘の情報を国民に報告しているのであればどうしようもないが、今までそんなことがなかった中、突如こんな…

 

「これじゃあまるで、SILVER・BREADの世界みたいじゃねぇか…いつから少年誌の世界になったんだよここは」

 

俺は、連載が停止してしまった大好きな漫画を思い浮かべながらそう呟く。

 

「それにしたって…これは…」

俺がそう言いながらまじまじと断面図を眺めていると、突然、背後から物音がした。

 

「コラァ!!!そこで何してる!!!」

 

どうやら、一般学生をまんまと現場に入れてしまった無能警備員のようだ。

 

「チッ…もう少し見てたかったが、流石に取っ捕まるのは困るな」

 

俺はそう小さく呟き、そのまま通って来た道を走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとか警備員から逃れ、なんとか俺は家へと帰ることができた。

 

「はぁ…もうこんな時間か…」

 

思いの外、あの警備員の諦めが悪く、こんな時間になってしまった。

 

「全く…空間震…一体何が原因なんだ…あぁ…気になる…とてもとても気になるなぁ」

 

俺は、余程疲れていたのか、そのままぶつぶつと考察を続けながら、深い深い眠りへと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が最大に寝落ちた次の日、俺はいつものように、学校へと向かった。

 

「全く…いつも通りの光景で俺は涙が出そうだぜ、なぁ、殿町」

 

「あぁそうだな友よ、俺も同じ気持ちだ」

 

俺と殿町はそう言いながら、弁当を咀嚼し、目の前で繰り広げられる女の戦いを眺めていた。

というか、なんで鳶一は士道が弁当箱を買った場所を知ってるんですかね?

 

俺がそんな疑問を抱くと、件の鳶一はこちらを見つめてくる。その目には、まるでそこについては触れるなという力強い意思が感じられた。

 

俺たちというか、士道達がそんな茶番を繰り広げていると、教室内に、ここ最近聴き慣れすぎて、最早目覚ましアラーム同様のウザさを孕んだ音が鳴り響く。

 

「はぁ〜〜〜〜またですか」

 

これがそんな愚痴をこぼしていると、たまちゃん先生が教室に入ってくる。

 

「みなさーん!慌てないで、ゆっくりと避難してくださいね〜!おかしを守るんですよぉ〜」

 

いやいやいや、俺らよりまずアンタが落ち着け

 

「避難?」

 

そんなこんなで、俺は避難準備をしていると、士道の隣にいた十香さんが、呑気に弁当を食べながら首を傾げていた。

 

「そうだよ、この警報は空間震警報って言って、危険だから避難してください〜って言う音なんだ」

 

今時この警報を知らないなんて、どんな生活をして来たのか疑問に思うが、取り敢えず簡単に説明する。

 

「だから、俺たちは安全なシェルターに行かなきゃ行けないわけよ、取り敢えず、君は士道と一緒にいれば大丈夫」

 

俺がそう言いながら、十香さんを士道の方へと導く。すると、その肝心の士道は、新任の村雨先生と何やら会話をしている。

あの二人知り合いなのか?というかあの二人さっさと避難しねぇと

 

俺がそう思い、声をかけようとすると、士道と村雨先生は、シェルターとは真反対の方向へと走る。

 

「おい!!!士道、お前どこいくつもりだ!!!」

 

俺は、友人の突然の奇行に驚き、そう大声で叫ぶ。しかし、士道は止まることなく叫ぶ。

 

「士!!!十香のこと頼んだ!!!」

 

あの馬鹿野郎ッ…どこいくつもりだ

 

俺は士道を連れ戻そうと、追いかけようとする。しかし、俺の動きは、たまちゃん先生により阻まれてしまう。

 

「ダメですよ新道君!!!外は危ないですから、十香さんと一緒に避難してください!!!」

 

クソ…なんでこう邪魔が入るかなぁ

先生を突き飛ばす訳にはいかなく、俺はそのままなす術なく、十香さんと共に、シェルターへと避難することとなった。

 

 

 

 

 

 

 

士道は、令音共に学校を出て、フラクシナスへと向かう。

フラクシナスへと到着すると、士道の妹である琴里達が、モニターに集中していた。

 

「丁度空間震が発生したところよ」

 

士道が到着し、モニターを見ると、隣に座している琴里がそう呟く。

 

「今回は小規模ね」

 

「僥倖と言いたいところですが、ハーミットならこのくらいでしょう」

 

「ハーミット?」

 

琴里と副司令である神無月の会話を聞き、士道がそう疑問の声を上げる

 

「今回現れた精霊の名よ、比較的大人しいタイプとして認識されているわ」

 

琴里はそう士道の疑問に答え、それと同時にモニターは、ハーミットをアップで映し出す。

 

「あれ?…俺、この子知ってる」

 

「何ですって!」

 

士道の呟きに、琴里は驚きの声をあげるとともに、タブレット端末を持った副司令、神無月の方向を向く。

 

「当該時刻に霊波数値の乱れは確認できません」

 

「十香のケースと同じか」

 

琴里がそう小さく呟くと、モニター上でASTによる攻撃が開始される。

逃げ惑うハーミット、そして、それを追いかけ回すAST、その光景を見て、士道は声を荒げる。

 

「琴里!!!俺はあの子を助けたい!!!」

 

士道の心のこもった叫びに、琴里はニヤリと笑みを浮かべる。

 

「それでこそ、私のお兄ちゃんよ…総員!!!第一種攻略準備!!!」

 

笑みを浮かべながら、琴里は全クルーに向けて叫ぶ。士道はその叫びと同時に、ハーミットの元へ向かうため、艦長室から走り出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの野郎…一体どこにいやがる」

 

雨が降り、人っ子一人いない街で、新道士は、友人である五河士道を探していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作キャラを動かすのキチィ…


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