yesロリータ!Noタッチ!! (ばななあたま)
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幼女とともにプロローグ!!
僕はロリコンではない!!
やあみんな。初めまして、僕の名前は
スペックは身長176㎝体重68㎏、誕生日は11月7日の18歳。そして、僕は自分でいうのもあれだがかなりのハイスペックだ。
全国模試では毎回毎回全教科全国1位を貫き、体力測定でも僕についてこられるものは僕の周りにはただの一人たりともいやしない。陸上部の人よりも速く長く走り、野球部の人よりも高く遠くにボールを投げる。加えて、ルックスもいい方だ。何せ、俳優業へとスカウトを受けたことだってあるくらいだからね。まあ、僕にはやらねばならぬことがあるのでその時は丁重にお断りさせていただいたけどね。
ん?そんだけハイスペックだとやっかみもひどいんじゃないかって?ははは、まあその通りだね。少し前までは一昔前でいうところの「おう南、後で校舎裏来いや」みたいなことはいっぱいあったよ。僕の居る高校にはそう言ったいわゆる不良と呼ばれるような人も少なからずいたからね。
でも何の問題もなかったよ。僕はスポーツだけじゃなく様々な武術を会得しているからね。空手柔道剣道などといった有名どころから、学校では習いもしないボクシングや合気道、さらには俗にいうCQCやシステマに至るまで。まあ、君たちが思いつくようなものはたいてい身に着けていると思っていいよ。
とはいえ、暴力で敵わないからもう手出しするのはやめにしようとなれば話は簡単だったんだけどね。世の中そう単純じゃないというか、思ったより暇人が多いというか。
今度は机や私物への落書きに窃盗、無視に陰口。さらにはロッカーのごみ箱化など。よくもまあそんなこと思いつくもんだと感心したくなるような搦手を駆使してあの手この手で僕への嫌がらせは一向にやめる気配を見せやしない。え?先生はどうしたって?そりゃあもう無視さ無視。目の前でそれらをやられようとも止めようともしないさ。まあそれはましな方さ。前の担任なんて一緒になってやってたからね。それを見たときには思わず飲んでたお茶を吹き出しちゃったよ。
とまあ、そのハイスペックさに反してバラ色とは程遠い青春を送っている僕ではあるけど彼らには悪いが僕は全く持って不幸なんて感じていない。なぜならその程度のことは僕が今の僕になる前から日常茶飯事で今となっては朝の挨拶みたいなものだし、それにはっきり言って彼らのことなど眼中にない。僕には僕でやらなければならない、いや僕が何を優先してでも成し遂げたい使命があるからね。それに比べたら塵芥みたいな連中になど構ってる暇は無いのさ。
とまあ、僕のことはある程度分かってくれたと思う。それじゃあ、最後に僕がこの世で最も愛する者について語るとしよう。
僕が最も愛する
そう、あのロリだ!最近では将棋をしたりバスケをしたり、ウサギを頭にのっけてコーヒーを入れたりしているあのロリだ!純真無垢な精神性と天使のような笑顔。触れれば折れてしまいそうな華奢な体を持ち、この世の万物の頂点に君臨するあのロリだ!
そう、僕南春樹は世間一般でいうところのロリコンであることを自他ともに認めよう。
おっと、これだけ言うと僕のことを性犯罪者であるかのように思っているだろう。できればそれは遠慮してもらいたいね。幼女からならまだしも、君たちのようなむさくるしい男どもや(僕から見た)熟女にそんな視線を向けられてもちっとも興奮しないからね。
それに僕は決して犯罪者などではない。僕の座右の銘は
だからね。
幼女とは、愛するもの。あらゆる危機からこの身を挺してでも守り抜き、愛でて慈しみ育むもの。僕らのような穢れた存在が触れることすらおこがましい、まさしく天上人の如き存在なのだから。
ゆえに、傷つけることなど言語道断!そのような存在はただの変態であり、僕のような変態『紳士』ではない。
そして、先にも述べた僕の使命とはそのような幼気な幼女たちを守り抜くこと。僕のすべてはそのためにある。なぜなら、そのために血を吐く思いでこのスペックとなったのだから。
だからーーー
「大、丈夫?」
今のこの状況に、一ミリたりとも後悔の感情など残っちゃいない。
「うわあああああああああああああん!!!」
僕のすぐそばで一人の幼女が泣き声を上げている。見た限り大きなけがはないようだし、それだけ大声で泣くことができるのならば大丈夫だろう。
体は僕の言うことを聞こうとしないので視線だけ向けると、一台の車が猛スピードで走り去っていくところだった。
(ひき逃げ、か……)
つい先ほどまで、僕はいつも通りこっそり幼女を見守る日常を送っていた。今日もまた、いつも通り幼女たちは無事に登校できるはずだった。
だが、そこに突如として非日常が現れた。
(あいつ、前を見ていない!!)
いわゆるながら運転というもので、片手にハンドルを握り片手にスマホをもち、その視線は完全に目の前の横断歩道を渡っている一人の幼女へは向いていない。
(!!)
その時、僕は飛び出していた。死への恐怖?そんなもの命の危機にさらされてる幼女を前に何の意味があるという。僕にとって最も恐ろしいのは目の前で幼女が傷つくこと。それだけは絶対に避けなければならない。
飛び出した僕は突っ込んでくる車を前に硬直している幼女を抱きかかえ、横断歩道から追い出していた。無論、間違っても頭を打ったりしないように注意しながらである。とっさの判断でそこまでできたのは、僕の愛のなせるわざであろう。
だが、そこまでだった。
幼女を救えたまではよかったが、残念ながら僕自身までは救えなかったようだ。ブレーキすら踏んでいない乗用車に勢いよくはねられた僕はまるでゴムボールのようにアスファルトの道路をはね、ゴロゴロと転がってあおむけになった状態で静止した。即死せず、それどころか意識すら保っていられたのはやはり幼女の無事を確認できていなかったからだろう。それをするまでは死ぬに死ねないからね。
そして、駆け寄ってきた幼女は僕の惨状を目にするとその場にへたり込み大声を上げて泣き始めた。運転手は車から降りてくることもなく再び車を走り出させてどこかへと去っていく。
しかし、そんなものなどどうでもいい。僕の胸にあるのは安心感だけだった。
(良かった、無事だったんだね……)
幼女を助けることができた。僕みたいなやつの命一つであなたが救われたのならば丸儲けという奴だ。
(ああ、終わりか……)
緊張の糸が切れたからか、急速に視界が暗くなり途轍もない睡魔に襲われる。直感的に僕は感じた、これは二度と醒めることのない永遠の眠りであると。僕の人生はここで幕引きなのだと。
ならば、最後にこう言おう。
震える手を持ち上げ弱弱しく握りこぶしを作って天へと掲げる。自分の吐いた血にむせそうになりながらも意志力のみでそれをねじ伏せ、心から一切の嘘偽りなく、どこまでも堂々と俺は告げる。
「わ、我が生涯に……一片の、悔い……なし」
言い終えると同時に、僕の意識はブラックアウトした。
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あれ?
おかしい僕は死んだはずなのに、なんというかその感じが一切しない。いや、さっきまで聞いていた泣き声がなくなっているし、体の痛みが引いている以上先ほどまでとは異なる場所なのだろうが何と言うか、妙に現実味がある。凸凹とした感触とわずかな湿り気を背中から感じてるし、涼しい風が頬を撫でる。鼻孔には新鮮な草木の臭いが入って来て、吸う息は今まで感じたこともないほど新鮮なものだった。それこそ、まるで大自然の中にいるかのような……。
「大自然!?」
「きゃあ!?」
ガバッと勢い良く体を起こすとすぐそばから幼い子供の声が聞こえる。そちらに視線を向けると、驚くべきことに獣の如き耳をはやした幼女がしりもちをついていた。
「おお!すまない、大丈夫かい?」
いけない。僕としたことが、気づかなかったとはいえ幼女を驚かせてしまったようだ。
慌てて立ち上がってその幼女に向けて手を差し出す。
「え……?」
それを受けて件のケモミミ幼女は心底驚いたように目を見開いた。まるで、今までの常識を裏切れた時にする反応にそっくりだ。
はて、幼女に紳士に接するのがそんなにおかしかっただろうか?
「どうぞ?」
いろいろ気になることはあるが、彼女を転ばせたままにはしておけない。優しい笑みを浮かべたまま、己の手を取るように促すとおずおずとではあるが彼女は僕の手を取った。
その手を強すぎず、だが決して弱すぎぬ力でゆっくりと引き上げて幼女を立たせると、彼女は小さな声で「ありがとうございます」と口にした。
くうぅ~!素晴らしい!幼女に感謝されているときこそが一番生きてると感じる。
「あの、体は大丈夫ですか?」
「へ?体?……って、うお!?」
言われて見てみれば僕の着ている服がボロボロで至る所が赤く染まっており、緑の香りにまぎれて先ほどまでは気づかなかったがそこからは血の匂いが漂ってくる。それこそまるで勢いよく車に轢かれた後のような惨状だ。
「これは、君が?」
「ごめんなさい!!」
そう聞くと、ケモミミ幼女は小さな手で頭を守るようにしながら怯えた声で勢いよく謝罪する。そのさまは明らかに異常なものであり、そこでよくよく見てみれば彼女の顔は目鼻立ちがとても整っており美少女の部類に入るがその左目には既にふさがってはいるものの縦に切り傷が走っており瞼は開かれていない。来ているものもよくよく見れば僕の身に着けているものよりもひどいボロい布切れ一枚だ。腕や足もやせ細り、まともに食べていないことが容易く見て取れた。
「ッ!!」
その有様に思わず差し出していないほうの手の握りこぶしに力が入り、噛み締めた奥歯からはギリリと歯ぎしりの音がする。この子にそんなひどいことをしたやつを今すぐに八つ裂きにしてやりたいほどの強い憎悪が心の中から噴火するマグマのごとくあふれ出る。その怒りを自分に向けるものだと勘違いしたのか、幼女は「ひうっ」と短い悲鳴を上げ、より一層ひどく体を震わせた。それを見て、未だ収まらぬ怒りを飲み込んだ。今僕がすべきことは彼女の境遇に腹を立てていることではない。
「謝らないで。これは、君が?」
膝を曲げ僕の腰ほどのその視線に自分の視線を合わせる。彼女は怯えたままではあったが、コクリと小さくうなずいた。
「そっか。ありがとう、僕を助けてくれて」
そう言って、僕は彼女の頭を優しくなでる。といっても、まだ頭を抑えたままなので厳密にはその手をなでている形になるのだが。それでも僕が怒っていないことが伝わったのだろうか。ようやくその震えが収まり、きれいなその瞳からはおびえの色が完全になくなったとは言えないが先ほどよりもずっと薄くなった。
そんな彼女の様子を確認しながら、僕は小さくつぶやいた。
「また、助けられちゃったね」
「?」
僕の独り言にかわいらしく小首を傾げる幼女を見ながら、僕は再び固く決意を固めた。
南春樹。本作の主人公。
ロリコン、以上!!
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