やはり俺が部隊を率いるのは間違っている。 (コノハアサシン)
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第一話

ハーメルン初投稿です。
よろしくおねがいします。


〜ボーダー本部付近警戒区域〜

 

4月の夕方

 

・・・・・

 

「次来るよ〜誤差2.01、バムスター3体だね、じゃあ八幡マンティスで一掃よろしく〜」

 

「なんで、技の指定までしてくるんだよ…白沢、生き残りの始末頼んだぞ」

 

「了解です」と白沢の返事が来るのと同時にバムスターの前まで走る。

狙いを3体の頭に向けて

 

無言の一閃

 

3体のバムスターに切れ込みが入る。

2体は倒れるが1体は生き残ってしまった。

 

「ちっ、1体残ったか」

 

が、直後に比企谷の背後から飛んできた弾丸がバムスターの顔に直撃する

 

「お疲れ様〜今日はこれで終了だよ〜、引き継ぎは風間隊によろしく」

 

御深の通信によると、比企谷隊の防衛任務はさっきので終わったようなので、白沢のいる所まで戻り声をかける。

 

「白沢、お疲れさん、さっきの射撃よかったと思うぞ」

 

「ありがとうございます!」

 

喜びながら白沢は俺に近づいてくる。

 

・・・・。

 

近い!あと近い!そんなキラキラした目で見ないでぇ。浄化されちゃうから。マジで。

 

そんな事を内心思いながら2人で風間隊の所まで行き、引き継ぎを行う。

 

「比企谷、学校はどうだ?」

 

「快適な単独生活を送ってますよ」

 

「お前が1人を望んでいるならそれでいいが、」

 

この時、風間さんはほんの少しだけ笑ったような顔をしていた……。

 

「数学はどうなんだ?」

 

ギクゥ‼︎

 

「えっ、えぇ、まぁ、ぼちぼちですよ」

 

「八幡さん、この前、「よしっ赤点回避だ」って言ってましたもんね」

 

白沢ぁぁ余計な事を〜

 

「ほう、最初は点数が1桁だった時があるほど酷かったからな、努力は認めてやる。が、赤点を取った時は覚悟しておくことだな」

 

風間さんが、ニヤリと笑う。

怖い、あと怖い、ほんと怖い

 

「ていうか、比企谷さん、前に練習相手になるって言ってたのにいつになったら模擬戦やるんですか?」

 

菊地原がため息を吐くように言ってきた。

 

「あぁ、そういえばそんな事言ってたな、悪かったよ菊地原」

 

「ほんとですよ、どうせ暇な日ぐらいあるでしょ?近いうちに相手してくださいね」

 

「おい、菊地原またそんな言い方を…、すみません比企谷さん」

 

「いや、今回は俺が悪いからな、歌川も気にすんな」

 

ーーーーーーーーーー

 

風間隊への引き継ぎも終わったので、本部に戻り、報告書を作成するために作戦室へ向かう

 

「うーす」

 

「八幡、奈利ちゃんおかえり〜」

 

比企谷隊はメンバー3人

 

比企谷 八幡(隊長・AT・高校2年生)

白沢 奈利(しらさわ なり)(SN・高校1年生)

御深 玲香(おみ れいか)(OP・高校2年生)

 

一応A級部隊だ。

 

「んじゃ、報告書書くか」

 

「「おー」」

 

報告書の提出は隊長がするものだが、作成には隊員全員で取りかかるのが比企谷隊の基本だ。

 

書き上げた報告書を提出して作戦室に戻ると2人は学校の課題をしていた。

 

「作文か、同じ学年の御深はともかく、白沢もあったのか」

 

「はい、内容は「高校生活に向けて」です」

 

「私たちも去年、同じ課題があったんだけど八幡は入院してたからなかったんだよ〜」

 

「あー、もう、あれから1年も経つのか」

 

「あの時はボーダー内も大騒ぎだったね〜」

 

「私、登校前に八幡さんが犬を庇って車に轢かれたって聞いたので授業が全然頭に入らなかったんですよ」

 

高校の入学式の日にはすでに中学校では授業が始まっていたらしい

 

「八幡さんもここで作文を書きませんか?」

 

「そうだな、俺も書くことにするよ」

 

「八幡は書ける事少なそうだね」

 

「そうだな、学校内ではボッチだし、ボーダーの活動が思い出としてはほとんどだからな、いっそのことリア充への批判でも書くか」

 

「やめときなよ〜、お説教のすえに更生を目的としてボランティア部的な所に入れられるかもよ〜」

 

「なんでそんなに具体的なんだよ……具体的過ぎて怖ぇよ」

 

超能力者なの?

 

「私が言いたいのは正直に書いた方がいいって事だよ〜」

 

「八幡さん、頑張りましょう!」

 

はぁ、

 

「とりあえず、真面目に書くか」

 

「「お〜」」

 

 

 

 

ーー結局、全員が作文を書き終えた頃には夜10時になりかけていた。

 

「八幡、夜も遅いから送ってほしいな〜」

 

「はぁ、御深の場合どうせ断ってもゴネるからな、さっさと支度してくれ。白沢も送っていこうか?」

 

「是非!お願いします!」

 

ーーーーーーーーーー

 

3人で夜道をしばらく歩き、1番近くにいる白沢を先に送り、御深の家へ向かう。

 

「ありがとう〜八幡、おかげで無事に家に着いたよ〜」

 

「近界民がくる以外はそんな物騒な帰り道じゃねぇだろ」

 

「まぁまぁ、細かい事は気にせずお礼はとりあえず受け取っといてよ〜」

 

「了承しかねるが、家に着いたんだし、俺はもう帰るぞ」

 

「は〜い、八幡、気をつけて帰るんだよ〜」

 

「了解、了解」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

正直に言うと自分は学校内の友達が少ない。

おそらく、俺以外のほとんどの人間が沢山の友達と青春を謳歌しているだろう。

だが、おそらくそれは当然のことなんだろう。

俺が早々と下校し、仕事に行ったり、病院に通っている間に彼らは自分の地位を確立するためにいろんな生徒とコミュニケーションを取ったり、顔色を伺ったりする事で、自分を嫌々偽ってきたのだ。

・・・・・・・自分を偽ることで彼らが友達を作っているのならば何も言うことはない。

彼らと俺が交わることはこれからも無くて、俺は今いる数少ない友達と高校生活をこれからも送っていくのだろう。

 

 

ーーーーなぁ、比企谷、私が授業で出した課題はなんだったかな?

 

 

 

結局、お説教コースだった。




4/1修正
八幡の持病要素を無かったことにしました。


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設定

設定です。よろしくおねがいします。


設定

 

比企谷 八幡

第一次近界民侵攻で両親を失い、忍田さんと出会いボーダーに保護される。そして自立する力と妹を守る力をつけるためにボーダー隊員となる。隊を組みたいと思うことがなかった為、しばらくB級単独のままだったが古くからの知り合いである御深に頼まれて隊を組むことになる。

風間と影浦の戦闘スタイルを見習っている。

 

 

パラメーター

 

トリオン 7

攻撃 9

防御・援護 7

機動 8

技術 7

射程 2

指揮 6

特殊戦術 7

 

トータル 53

 

メイントリガー

・スコーピオン

・FREE TRIGGER

・シールド

・FREE TRIGGER

 

サブトリガー

・スコーピオン

・カメレオン

・シールド

・FREE TRIGGER(バッグワーム多め)

 

サイドエフェクト 死角消去

 

任意で視界内の遮蔽物を見透かすことや死角にあるものが見えるようになる。

 

白沢 奈利 (しろさわ なり)

人に話しかけるのが苦手でB級に昇格してからも隊に誘う事も誘われる事もなかった為、一人で黙々と訓練をしていたところを八幡と御深にスカウトされる。会話が苦手だったのに今では上司や他の隊員と普通コミュニケーションが取れるようになった八幡を尊敬している。

 

パラメーター

 

トリオン 6

攻撃 7

防御・援護 7

機動 4

技術 9

射程 6

指揮 4

特殊戦術 4

 

トータル 47

 

メイントリガー

・ライトニング

・イーグレット

・シールド

・FREE TRIGGER

 

サブトリガー

・バッグワーム

・FREE TRIGGER

・シールド

・鉛玉(レッドバレット)

 

御深 玲香 (おみ れいか)

八幡と同じく第一次近界民侵攻で両親を失い、忍田さんと出会いボーダーに保護される。保護されてばかりの頃は家族を失った為精神状態が悪かったが、八幡の捻デレなサポートで立ち直る。比企谷隊の中で一番のコミュニケーション能力を持っていて、八幡と白沢はとても頼りにしている。

 

パラメーター

 

トリオン 3

機器操作 7

情報分析 9

並列処理 6

戦術 7

指揮 7

 

トータル 39(トリオン量は計算に含めず)

 

 

 

比企谷隊 A級11位(二宮隊、影浦隊のB級降格後9位)

 

メンバー

 

AT・比企谷 八幡[隊長] 高校2年生

SN・白沢 奈利(しろさわ なり) 高校1年生

OP・御深 玲香(おみ れいか) 高校2年生

 

御深と忍田本部長の説得により結成された部隊。

スコーピオンの変形を巧みに使い誘導してスナイパーで決めるか、スナイパーのレッドバレットや射撃による足止めで隙を作りスコーピオンで決めるのどちらかが基本的な戦略。

人数が少ないため標準装備のレーダーを全員で活用し、常に味方隊員の位置を把握。作戦、判断などは余裕がある時は八幡が行うが戦闘中は御深、白沢も提案することが多い。

戦闘員が二人しかいない為、情報分析や的確な判断を素早くオペレーターが行えるので連携能力はボーダー内でもトップクラスの部隊。



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第二話

新生活で投稿が不安定になりそうなので、出せるものは今のうちに出しときます。


 

 

「なぁ、比企谷。私が授業で出した課題はなんだったかな?」

 

「……はあ、『高校生活を振り返って』というテーマの作文でしたが」

 

「そうだな、それでなぜ高校生活を振り返ったらこんな作文が出来上がるんだ?」

 

国語教師の平塚先生は溜息を吐きながら呆れたように言ってくる。

 

俺は女の大人と話すのは未だに苦手だが、ボーダーで男の大人達とコミュニケーションをよく取るので男性なら問題ない。

 

平塚先生は女性だ、容姿も綺麗な女性なのだが、話し方と姿勢に何故か男らしさがある。

 

故に、普段よりは普通に受け答えができるのではないだろうか。

 

「真面目に聞け」

 

「はぁ」

 

「君の目はあれだな、腐った魚の目のようだな」

 

目が腐っているとは言わずに、腐った魚の目と言うのか、さすがは国語教師。

表現の仕方が珍しい。

今度、自分でも言ってみようかなぁ。

 

「そんなにDHA豊富そうに見えますか。賢そうっすね」

 

「で、話は戻るがこの作文は何だ?一応言い訳くらいは聞いてやる」

 

ダメだ、いけると思ったけど、美人に睨まれるのは耐えられんわ

 

「い、言い訳をする気はありませんよ、た、ただ、書き直せと言われるとキツイです。しょ、正直に書いたのでそれを書き直すには嘘をつくしかありませんしぃ」

 

噛みまくりだった。やっぱり大人の女性は苦手だなぁ。

 

「だが、この作文には友達が少しいると書いてあるぞ」

 

「ええ、数人ほどなら学校にも友達がいますからね」

 

学校外ならもっといるが…。

 

「いーや、嘘だ、何度か休み時間にお前を見かけたが、お前が誰かといた時はなかったからなぁ、つまりお前はボッチだ!」

 

平塚先生は指をさしながらキメ顔で言ってきた。

 

「いや、ほんとですって友達いますからね、想像上じゃないですよ」

 

一応に言ってみるが、無駄だった。

俺の話を聞いてない

 

「まぁ、安心しろ、私にはお前のコミュ症と孤独体質の両方をなおすアテがあるからな!ついてきたまえ」

 

説明も前フリもない急な行動に俺が止まっていると、

 

「おい、早くしろ」

 

睨みつけられたのでとりあえず後を追った。

 

・・・・

 

よくわからないまま平塚先生についていくと空き教室の前についた。

 

教室の片付けだと、俺一人だと時間かかってボーダーに着くのが遅くなるし、応援呼ぶしかないかなぁ。と思っていると先生はからりと戸を開けた。

 

予想とは違い、教室内は椅子と机が積み上げられていて、いたって普通の空き教室だった。一人の少女がそこにいる以外は。

 

少女は斜陽の中で本を読んでいた。

御深とも白沢とも違う種類だが強いて言うなら那須のような容姿端麗な女性だった。

 

「平塚先生。入るときにはノックを、とお願いしていたはずですが」

 

「ノックをしても君は返事をした試しがないじゃないか」

 

「返事をする間も無く、先生が入ってくるんですよ」

 

「それで、そのぬぼーっとした人は?」

 

冷たい目で見られる

 

なんで、関わりを持ったこともない人をそんな目で見るんですかねぇ。

 

「彼は比企谷。入部希望者だ」

 

え、なんて??

 

「えっ?何でですか?聞いてないですよ」

 

「君には部活動に入ってもらう。異論反論抗議質問口答えは認めない、理由はそうだなぁ、作文を書き直す代わりのペナルティだ」

 

即席で、理由付けやがったな。

 

「というわけで見ればわかると思うが彼はなかなか曲がった思考を持っている。そのせいで孤独な憐れむべき奴だ。」

「人との付き合い方をもう少し学ばせてやれば多少はまともになるだろう。彼の捻くれた孤独体質の更生が私の依頼だ」

 

「少々、身の危険を感じる人物ですが、先生の依頼ならば無碍にもできませんし……。承りました」

 

「そうか、では後は頼んだぞ雪ノ下」

 

と言って先生が部屋からいなくなる。

 

勝手に話を進められたが俺にはボーダーっていう仕事があるしな、さっさと断りに行こう。

 

と思ってたら足音が止まった。

不思議だったので、サイドエフェクトを使うと先生が教室の壁の前に立っていた。

しかも、なんかニヤニヤしてるし。

 

……先生、「何してるんだよ。」

やば、声に出しちまった。

 

「訳の分からない事言ってないで座ったら?」

 

「あぁ、悪い、そうさせてもらう」

 

職員室に呼び出されてから立ちっぱなしだったからなぁ。疲れた。

 

「んで、訳のわからないままここに連れてこられたんだが、ここは何部何だ?」

 

「そうね、ではとりあえずゲームをしましょう」

 

「ゲーム?」

 

「そう、ここは何部か当てるゲームよ」

 

平塚先生は生活指導の先生でもあり、その先生が「依頼」という言葉を使っていた。

 

生活指導の下部組織のような働きをする部活動?なんだそれ?生徒会は部活動ではないし、生徒会ではできないような事でもするのか?メンバーが1人の部活動なんて公認の部活でもなさそうだ。

 

……まさか学校の暗部?

 

だめだ、わからねぇ。

 

「降参だ、それなりに考えたが分からん」

 

「因みに何部を思いついたのかしら?」

 

「最終的には学校の暗部」

 

「ふっ、そんなものある訳ないわ」

 

だから言わなかったんだよ。

 

「比企谷くん。女子と話したのは何年ぶり?」

 

「え、昨日仕事仲間の女子と話してばかりだが?」

即答した

いや、なんで驚いた顔してんだよ。

 

「その子たちは実在するのかしら?」

 

「は?当たり前だろ、疑ってんのならここに呼ぶか?」

 

「いいえ、けっこうよ。反応から見ても嘘には見えなかったし、私との会話もスムーズだったものね、信じるわ」

 

思ったより話が通じてよかった。

これで信じてもらえなかったらどうしようかと思ったよ。

 

「そりゃ、どうも」

 

先生は未だに壁の前で立っている。表情がニヤニヤからイライラに変わってきているような気が…。

 

「話を戻すわ、答えは奉仕部よ。一応は歓迎するわ」

 

「あぁ、すまないが、さっきも言った通り俺は仕事があるんだ、だから入部はできない」

 

「仕事?」

 

「あぁ、第一次近界民侵攻で両親を失ってな、妹の為にも働かなくちゃならねぇんだ」

 

「そう、なの、ごめんなさい、あまり言いやすい事ではなかったわよね」

 

「いや、別に気にしねーよ」

 

それよりずっと立ってる平塚先生がすごく気になるんだが…。

 

そろそろ下校時刻だし、先生に入部断って帰るか。

 

俺は扉を開けて先生に声をかける。

 

「先生、俺には仕事があるので入部は不可能です。どうしても、ペナルティが必要なら別のでお願いします。あと、長い間待っているくらいなら言いたい事は先に言ってくださいよ」

 

「お前、気づいてたのか…」

と、驚いた顔で言ってきた。

 

「まぁ、はい」

「下校時刻が近いのと、職場でやりたいことがあるので失礼します」

 

先生が驚いて固まっているうちに早々とボーダー本部に向かうことにする。

 

・・・・

 

ボーダー本部に向かっている最中に警戒区域に入っていく風貌からして明らかなチンピラとそれに連れられる黄緑色のジャージを着た小柄な女性がいた。

 

基本、俺はそういうのを見ても警察に声をかけてやるぐらいしかしないが、警戒区域に入るなら話は別だ。

俺はボーダー隊員として声をかけなければいけない。

 

「おい、ボーダー隊い________

 

ゥウーーーーー

サイレンが鳴る

 

[ゲート発生、ゲート発生、座標誘導6.99]

[近隣の皆様はご注意ください]

 

「近界民だぁーー!!」

 

チンピラの誰かが叫んだ

 

チンピラ達と女性にバムスター1体が、向かっていく。

 

今日はイレギュラーが多いな……。

 

俺は生身でバムスターに向かいながら制服のポケットからトリガーを手に持つ。

 

「トリガー起動……」

 

換装してそのままバムスターに向かい、ジャンプしてスコーピオン2本を弱点の目に突き刺して倒す。

 

他に敵がいないか周りを見てから本部と通信をする。

 

「こちら比企谷。本部に向かう途中、警戒区域に無断で入る住民を発見したため、注意に向かおうとしたところ、近界民が出現したため撃破しました」

 

「了解、今、防衛任務についている隊がそっちに向かっているから詳細の報告を頼む。比企谷よく戦ってくれた」

 

 

少し待っていると荒船隊がやってきた。

 

「比企谷、悪りぃ遅れた」

 

「いや、気にしないでください荒船さん、目の前に現れた近界民を撃破するのはボーダー隊員として当然ですし。それより、この人達の保護を頼んでもいいですか」

 

「あぁ、確か無断で警戒区域に侵入したらしいな」

 

「はい、近界民を見たのはいいとして、トリガーを見られた可能性もあるので、機密保持のために記憶の処理が必要だと思います」

 

そうすれば、この女性の事も覚えていない可能性が高い。

 

「あと、この女性は無理やり連れられていたので、記憶を処理するのはアレなんで本部に俺が交渉する予定です」

 

逆にこの女性はこういう輩を覚えておかないとまた絡まれるかもしれないしな。

 

「わかった、このチンピラっぽいのは俺たちが保護(連行)しよう」

「女性はお前が本部まで連れてけ」

 

「わかりました、連れて行きます」

 

女性に話しかけたところ、嫌がられたらどうしようかと心配したけど、普通についてきてくれた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

忍田本部長に相談したところ、絶対にトリガーの話を口外しない事を条件に記憶の処理はされない事が決まった。

 

あと、この人は女性ではなく男性だと判明した。

 

しかも俺と同級生で同じ学校で同じクラスでさらに去年も同じクラスだったらしい。

 

この戸塚 彩加という美少年を知らなかった事をキッカケに俺の学校生活をボーダーの人達にさらに心配される事となった。




物凄くどうでもいい情報ですが、私は俺ガイルのキャラでは八幡の他に雪乃や葉山が好きです。


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第三話

投稿速度がカタツムリの移動速度にも劣るレベルで申し訳ありません。


ボーダーに向かうまでの途中に色々あったが、今日ここにきた本来の目的は菊地原と約束していた模擬戦だ。

 

「悪りぃ、少し遅れたな」

 

「比企谷さん、遅いですよ」

 

ブースを少し見渡して、菊地原に声をかけると菊地原はこちらを向いて文句を言ってきた。

 

「そこは『僕も今来たとこです。』だろ」

 

「目だけじゃなく、頭まで腐ったんですか?」

 

会話に付き合ってくれているところから見れば、言葉はキツくても菊地原はそこまで怒っていない事がわかる。その事を知っているのは菊地原との交流が深い人間だけだろうが……。

 

「冗談だよ、とりあえずブース行こうぜ」

 

ーーーーーーーーーー

 

俺と菊地原の勝負は10本勝負で始まった。

 

現在7:2で俺が勝っている

 

A級である上にアタッカーが1人しかいないのが比企谷隊だ。だから1対1の戦いでそう簡単に負けるわけにはいかない。

 

今回の戦いでは、菊地原にサイドエフェクトで有利を取られないためにメイントリガーにメテオラを入れてある事が勝因になっている。メテオラを入れる事で間合いを稼いだり、足場を崩したり、目くらましをして俺の死角消去で姿を捉えて攻撃する事でトドメを刺している。

 

10本目は住宅の塀と塀の間の道で菊地原と遭遇した。

 

「最後ぐらいは取らせてもらいますよ」

 

「取らせねぇよっ」

 

俺は話しながらスコーピオンを投げつけるが、防がれてしまったのでその投げたスコーピオンをオフにして再生成し、両手に構えて斬りかかる。

 

「っ……」

 

「反応、遅いんじゃねぇか?」

 

投剣で少し反応の遅れた菊地原の左腕を落とす事に成功したが、民家に隠れられてしまったので、それ以上の追撃はできなかった。

 

……さて、何処に行ったものか。

 

索敵のためにサイドエフェクトを使い塀を見透かすが菊地原の姿が見当たらない。

 

カメレオンか?それとも遠くに身を隠したか……。

 

とりあえず菊地原の逃げた民家に入ってみようとすると、後ろから鋭い殺気を感じた。

 

これはマズイッ。

 

慌てて後ろを振り返ると菊地原が既にスコーピオンを振りかぶっていた。

 

「反応、遅れましたね」

 

「やってくれるな」

 

右側に躱そうとしたが、躱しきれず左腕を切られてしまう。

 

「よっと…」

 

すぐさまメテオラを地面に打ち込み砂煙を巻き上げて菊地原の視界を奪って間合いを稼ぎ、サイドエフェクトで砂煙を覗くが、菊地原は既にいなかった。

 

と言うことは……後ろか。

 

「……。」

 

「……。」

 

振り向きながらマンティスで横向きに剣を振ると、案の定後ろから来ていた菊地原の胴体を真っ二つにしてベイルアウトさせた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

模擬戦を終えた俺たちは現在ブース近くの自販機で会話している。菊地原にはマッカンを奢ってやった。菊地原はマッカンを渡そうとしても断らない数少ないボーダー隊員なので、二人で会話するときはよく買ってやっている。

 

「今日は調子良かったんですね」

 

「お前は調子が悪かったのか?」

 

「調子が良ければ4本は取れましたね」

 

「大きく出るな、まぁ、そう言うことにしといてやる」

 

菊地原の戦闘に関しては特に口に出すことはない。そもそも、コイツが一番活躍するのはチーム戦だし、A級レベルの腕もあるしアドバイスなんかは風間さんにしてもらえるだろう。

 

俺も風間さんにアドバイス貰えないかなぁ。

 

「菊地原、と比企谷か、昨日言ってた模擬戦をやっていたのか」

 

「「風間さん」」

 

ハモった…。

 

「菊地原、比企谷はどうだった」

 

「まあまあでしたね、トリガー編成も風間隊と似たようなものだし」

 

「勝ったの俺だろ」

 

「次は勝てますよ」

 

さっき4本しか取れないって言ってたよな?

 

「そうか、それは心強いな。比企谷、悪いがこれからもコイツの相手をしてやってくれ」

 

「まぁ、はい、俺の練習にもなるんで」

 

「ふっ、これがボーダー内で有名な捻デレか」

 

「何処から聞いたんですかその単語……。」

 

恐らく、うちの隊員から女性ボーダー隊員に広まっているのだろうけど、まさか風間さんからもその単語を聞くとは……。

 

「風間隊でそろそろミーティングをするからな、俺たちはそろそろ行かせてもらう」

 

「わかりました…風間さん、機会があればまた剣の指導してくださいよ」

 

「あぁ、今度な」

 

「今日、模擬戦以外ボーダーに用事も無いのに来てくれたことは既に知ってるので…。感謝はしてます」

 

「そうか、じゃあな」

 

まさか菊地原からそんな言葉が出ると思わなかったので、まともな返答ができなかった。

あと、なんで知ってんだよ。

 

ともかく、やはり無口な後輩から感謝されるのは悪くない。

 

 

ーーーーーーーーー

 

次の日、普通に学校に登校したら、朝っぱらから平塚先生に声をかけられた。

また部活の(強制)勧誘だろうか。

 

と思っていたら、なんか校長室まで連れてかれた。何?何何?俺、なんか悪いことした?校長先生はもちろん、教頭や生徒指導、担任までいるんだけど……。

 

「君が比企谷 八幡くんだね?」

 

「は、はい、そうでしゅ」

 

入ったこともないし、入りたくもない部屋で普通の学生なら話すこともないであろう人との会話で動揺が抑えきれるわけがない。

今すぐにトリガーを使って逃げ出したい気分だ。

 

「ウチの生徒を助けてくれてありがとう」

 

「へ?あ、はい」

 

何で怒られるのかを心配していたら、校長先生からは感謝の言葉を贈られた。

 

「昨日、戸塚君をネイバーから守ってくれただろう?ボーダーから、ウチの生徒が不良の学生に警戒区域に連れていかれていたから、注意を呼びかけるように言われてね。」

 

「その話を詳しく聞いたところで、君の名前が出てきた訳だよ。本当にありがとう」

 

「い、いえ、ボーダー隊員として当然の事をしただけなので、、」

 

最近、警戒区域ギリギリの所にもゲートが発生している事から、ボーダーは事態を重くみて学校側にも連絡したようだ。

 

校長に続いて、教頭先生が口を開いた。

 

「私たちは君の行った事を生徒たちに伝えるために、比企谷くんの事を表彰しようと思っているのだが、どうだろう?」

 

「いえ、それは辞退します」

 

「理由を聞いてもいいかな?」

 

喋る機会がなくなりそうなのを察したのか次は生徒指導の先生が聞いてきた。

 

「校内であまり目立ちたくないんです」

 

「今まで通り、静かな学校生活を送りたいという訳だな?」

 

「はい」

 

平塚先生…分かってたなら何でよく分からん部活に入れようとしたんですか……。

 

「では、比企谷くんの気持ちも汲み取って、この件はここでのお礼で終わりにしよう、あと君にはこの件で恩ができた、何かあったら言ってくれ」

 

「はい、ご配慮、感謝します」

 

校長先生が話を締めて、この件は内密に済ませることができた。

 

この学校の先生が物分かりが良くて助かった。俺なんかが表彰なんてされれば悪目立ちするだけだからな。

 

 




投稿、頑張ります。


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第四話

次いつ出せるか分からないので、出せるウチに出します。


朝から忙しかったが、今は体育の時間だ。

月が替わると体育の種目も変わる。

今月からはテニスかサッカーの選択だったが、信頼関係のないチームプレイは苦手なのでテニスを選択した。

俺はここで、調子が良くない事とクラスメイトに迷惑をかけたくないというダブル文句で、先生の印象を下げずに一人プレイ(壁打ち)を始めることに成功した。

 

完璧すぎる……。

 

打球を追ってただ正確に打ち返すだけのまるで作業のような時間が続く。

こんなもの弾丸トリガーを捌くトレーニングと比べれば造作もない。

 

周囲が派手な打ち合いで騒ぎ始めたので、雑音を気にしないためにテニスボールを少々、大きなアステロイドだと思い込むようにして、より深い領域まで集中して作業を行う。

 

「危ないっ!」

 

「っっ!」

 

俺に掛けたのであろう呼び声に合わせて、反射的にサイドエフェクトを使用すると、アステロイドが顔に向かってきていた。

 

問題ないな。

 

俺はすぐさま振り向き、スコーピオンを構え直しアステロイドを叩き斬る。するとアステロイドは来たところを辿るように真っ直ぐに帰っていった。

ん?跳ね返った?

 

ここで俺は気づいた…今握っているのはスコーピオンではなくテニスラケットで、アステロイドを切ったのではなく、テニスボールを打ち返していたことに。そして、何気に握り直しているから、包丁握り(いわゆるイースタングリップ)になっていてラケットのフレームでフルショットをしていたことに。

 

「っべー、えっと…えーヒキタニくん?マジでベーわ」

 

誰だよヒキタニくん。

 

「あ、ありがとう」

 

「うす」

 

ベーとか言ってるよく分からん奴とテニスをしていた、葉山が苦笑いしながら手を振ってきたので軽く会釈して壁に向き直って、何事もなかったかのように作業を再開した。

……そりゃ、苦笑いになるだろう。クラスにいる全く知らん奴が突然流れ玉を物凄い勢いで返してきたら。

 

ーーーーーーーーーー

 

昼休み、いつもの場所で昼飯を食べていたら、昨日ネイバーから助けて知り合った戸塚がテニスの練習をしていた。と言うよりはいつも昼飯にテニスの練習をしていたのが戸塚だったと言う方が正確だろう。

 

「あ、比企谷君」

 

「おう、戸塚」

 

「いつも、ここでご飯食べてるの比企谷君だったんだね」

 

「あぁ、そっちもいつも練習してたのは戸塚だったんだな」

 

「うん、お昼も使わせてくださいってずっとお願いしてたら最近OK出たんだ」

 

「そうだったのか、凄いな」

 

「ううん、好きでやってることだし。あ、そういえば比企谷君、テニス上手いよね」

 

「そーなん?」

 

「うん、フォームがとっても綺麗なんだよ」

 

「そうなのか、自分ではフォームは分からないからな」

 

「戸部君の飛ばした球を切ってたのも凄かったね、流石ボーダー隊員、カッコよかったよ」

 

「やっぱり、見てたんだな、あまり目立ちたくないんだけどな、咄嗟だとやっぱり素が出ちまうな」

 

俺たちはテニスの話や生身でのトレーニングの話などで盛り上がっていると、悩んだ顔をしながら戸塚が話題を変えてきた。

 

「それでさ、ちょっと相談なんだけど……」

 

「相談ね、取り敢えずなんだ?」

 

内容を聞くと、戸塚はテニス部を盛り上げたいらしい。そのためにまずは自分が強くなろう、という事で練習をしているらしい。

戸塚のテニスへの思いや、部員たちへの思いもよく伝わってきた。

 

「昼の練習、俺も手伝えないか?」

 

「えっ、いいの?」

 

「あぁ、俺も昔、大変だった時に手を貸してくれた人たちがいたんだ、だから戸塚の強い思いに協力したい」

 

「ありがとう!すぐに先生に相談してくるね」

 

満面の笑みで戸塚はこの場を去っていった。

守りたい、あの笑顔。

 

ーーーーーーーーーー

 

放課後、俺は戸塚と連絡を取り合うために、戸塚の連絡先を手に入れた。

 

御深、白沢、忍田さん、俺にも学校で友達ができたよ。

 

というわけで、らしくもなくウキウキランラン気分で学校を出ようとして、下駄箱を開けると何故かクッキーが入っていた。

 

間違えて入れた心配ができたので、サイドエフェクトを使用してみた。下駄箱に何か入れる人って隠れて受け取ってもらえたか見てる事が多いと思うんだよなぁ。やった事ないから知らんけど。

ビンゴだ、ピンクっぽい髪の女の子が後ろの壁から顔を出していた。がっかりしている様子がない事から多分俺宛だな。

 

所々焦げた部分もあるが形はそれなりになっている。おそらく失敗したクッキーは取り除いて上手くいったものだけを詰めたんだろう、ザ・手作りって感じだ。

 

ボーダー隊員である以上、感謝されたり、物を貰ったりすることもあるが、そういうことは何度あっても嬉しいものだ。

 

そこにいるのが分かっているのだから、礼を言いたいが、身を隠しているという事は、あちら側にも事情なり、気持ちなり色々あるのだろう。ここで声をかけるのは野暮だろう。

 

俺は、黙ってクッキーをカバンにしまってボーダー本部に向かった。

 

ーーーーーーーーーー

 

俺は今、作戦室のトレーニングルームでサイドエフェクトの訓練をしている。市街地の狭い範囲にトリオン反応をランダムな位置に10体設置するように設定して、スタートした瞬間、レーダーを使わずに即座に敵の位置を把握、討伐する。隊を組んでばかりの頃は2・3分かかっていたが、今では1分ほどで全ての反応を消せるようになった。

今回は、運良くマンティスの射程内に3体いたり、民家ごとターゲットを切断したりする事で時間を短縮することができ、結果53秒だった。

 

12回目のトレーニングを始めようとすると、御深か白沢が来たのか、作戦室から通信が入った。

 

「八幡さん、大変です!」

 

「なんだ白沢か、どうした?」

 

「鳩原さんが隊務規定違反でクビに……」

 

「……待ってろ、会議室行ってくる」

 

速攻で作戦室を出て会議室に行くと、上層部と風間隊、二宮隊、東さん、レイジさんがいた。比企谷なら大丈夫だろう、と謎の信頼のお陰で話を聞くことができた。

どうやら、鳩原さんは民間人にトリガーを横流しして、そのまま近界に密航したようだ。本部は模倣犯を出さない為に事実を隠蔽し、隊務規定違反でクビという扱いにするらしい。

 

作戦室への帰り道、足取りは凄く重かった、

俺には同じスナイパーで付き合いの長かった白沢に事実を伝える事は出来ないだろう。人の事を言えたものじゃないが、コイツはまだ高校一年になってばかりの少女だ。事実があまりに悲しすぎる。正直、俺だって受け止めきれない。

そう考えながら俺は作戦室に戻ると、白沢と一緒に御深も中にいた。

「白沢…と御深も来ていたのか」

 

「奈利ちゃんに話を聞いてね……」

 

「白沢、御深……今はまだ、鳩原さんは隊務規定違反としかお前たちには伝えられない……すまない」

 

「「じゃあ、八幡(さん)は……」」

 

「あぁ、真実を知っている。馬鹿みたいな話だが、俺にはお前たちに事実を伝える度胸がないんだ……、情けない隊長ですまない」

 

俺が深く頭を下げると白沢が口を開いた。

 

「もう大丈夫ですよ……八幡さんの思い、伝わりました。私たちの事考えてくれたんですね」

 

「えっ?」

 

「八幡って分かりやすいよね、表情とか言葉一つ一つに辛い、悲しいって感情が凄く漏れてるんだよ」

 

「いつか、私たちに話しても大丈夫だと思えるようになったら話してくださいね」

 

「お前ら、それでいいのか、最悪俺に失望してこの部隊から出ていかれるかと思ったのに……」

 

「「(いや)いいえ、むしろ大切に思われてるなぁって」」

 

顔が熱い。なんだか凄く恥ずかしい。

 

「私、決めました。もっと腕を上げて、いつか鳩原さんに出会ったら参ったって言わせてみせます」

 

「あぁ、お前ならできると思うぞ」

 

参ったよ、まだ幼い少女だと思っていたウチの隊員は俺なんかよりも全然強かった。




おかしな所があったら是非教えてください


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第五話

書いては消してを繰り返したら時間がとても掛かってしまいました。
待っている人がいるかは分からないですけど、いたらお待たせしました。


 

「よし、これでラストだ。球拾ったら少し休憩しよう」

 

俺たちは今、戸塚のテニスの練習を手伝っている。この前の話からまだ3日しか経っていないのにもう許可を取れたのは戸塚が信頼されている証拠だろう。

 

驚いたのはそれだけではなく、戸塚が他の人達にも助っ人に来てもらっていたことだ。

この前、入部を断った奉仕部だ。俺が断った後に新しく部員が増えたらしく、偶然か必然なのか、その生徒は俺のロッカーにクッキーを入れていった女の子だった。

面倒な事に彼女は俺に見られている事に気付いていないので、お互いに容姿はもう知っているはずなのに、俺は彼女に対して初対面のふりをしなければならなかった。

 

昼休みは長くないから、クッキーの少女改め、由比ヶ浜と俺もお互い名乗りあうだけで特に会話をする事はなかった。

 

ただ、名乗りあうまえに「あ、ヒッキー」って言ったのは聞こえてたからな由比ヶ浜。

あと、ヒキタニって言ったの忘れてないからな戸部。

 

「あー、テニスやってんじゃん」

 

と、ボールも拾い終わり、休憩に入ろうとすると超有名グループ、葉山軍団がやってきた。

 

面倒な事になりそうだ。

 

「ねぇ、戸塚、あーしも遊んでいい?」

 

「み、三浦さん、でも、僕たち遊んでるわけじゃなくて…練習を…」

 

「え?何?聞こえないんだけど?」

 

「まぁまぁ、あんまケンカ腰になんないでさ」

 

戸塚を威嚇する三浦を葉山がなだめている。やはり面倒な事になった、これでは練習時間がなくなってしまう。どうしたものか……。

 

 

…………!

 

と、ここでアホ毛センサーが反応する。

いい事を思いついた……。

 

「それじゃあ、こうしないか。俺と戸塚でダブルスを組むからお前たちも代表二人選んでくれ。ゲーム(試合)をやろう、負けたら戸塚以外は元は部外者だからな、俺たちが出ていこう」

 

「比企谷君?あなた何を言って…」

 

「経験者の参加は?」

 

「戸塚だってテニス部員だからな、もちろんありだ」

 

「分かったじゃあ、準備してくるよ」

 

そう言って、葉山は三浦の方に向かっていった。

 

「比企谷君、あなた勝手に進めたのは百歩譲るとして、勝機はあるのかしら?由比ヶ浜さん曰く、三浦さんは県選抜に選ばれたこともあるらしいわよ。それに葉山君はそれなりに運動神経も秀でているわ」

 

「三浦については予想外だったし、具体的な勝機はないが、俺も運動はそれなりに自信があるからな、負ける気は無い」

「公式にテニスコートに入る許可を得ているのは俺たち三人だからな、悪いようにはならないだろう。ただ、万が一の時もあるだろう、その時には責任を取ってあいつらに土下座して戸塚の邪魔をしないように頼むさ」

 

「八幡、頑張ろうね!」

 

「葉山君たちを応援するぐらいなら、貴方達の方がマシね」

 

「私もゆきのんと一緒に応援するよ!」

 

「「葉山君〜頑張って〜」」

 

予想通り、葉山のカリスマ力のおかげで観客が増えてきた。

 

「八幡さん、大丈夫でしょうか……」

 

「勝てるよ、八幡なら」

 

「比企谷…お前、何をやってるんだ」

 

「おぉー、テニスやってんじゃん、俺もやりてぇ!」

 

うちの隊員二人と三輪と米屋がいるのは予想外だったが。

よし、うまくいってる。

 

恐らく、あの人混みの中にテニス部員も何人かはいるだろう、これで戸塚の頑張りを彼らに観てもらえる。後は勝つだけだ。

 

「それじゃあ、始めようか。俺と優美子と戸塚はテニスのルールは知ってるが、君は?」

 

「大丈夫だ、分かっている。時間もあるわけじゃないし、試合は3ゲームマッチのアド無しでどうだ?」

 

「分かった、それでいこう」

 

「八幡、テニスのルール覚えてたんだね」

 

「まぁな」

 

戸塚の手伝いをする事が決まって数日、図書館からテニスの本を数冊借りたり、ネットで調べたり、ボーダーのツテで借りたルールブックも読んだからな‼︎

今なら地区大会レベルの試合は支障無く審判をできる自信があるレベルだ!

 

と、心の中でドヤ顔をしても仕方がないのでコートに入り集中する。

 

ーーーーーーーーーー

 

テニスというのはかなりの上級者でもない限り地味な試合になる事が多い。

 

俺は今、全てのボールを3割ぐらいの力で確実に返している。

 

どんなにゆっくりとした球でも相手のコートに入れば負ける事はない。逆にどれだけ鋭い打球でも入れなければいけない枠に入らなければ相手のポイントになる。

 

「いけるっ!」

 

「隼人それはっ!」

 

浮いた球を無茶な体勢で葉山が打った球はこちら側のラインの1メートル外へ飛んでいった。

 

初心者ほど無茶な打ち方をして失点する事がある。そしてダブルスの場合それがペアへの精神的負担になる事もある。

 

「「あー葉山君惜しい!」」

「もう一回あれば入るっしょ!」

 

観客は大きな振りや球の勢いでそういう事を言うが、あれは初心者が何度やっても入るものではない。

 

観客の意外にも1ゲーム目は葉山のミスを起点にこちらがキープした。

 

2ゲーム目は三浦がサーバーのゲームで鋭いサーブが飛んでくる。

 

「八幡!」

 

「取れる!」

 

戸塚と俺はそれをかろうじて返してラリーを繋げて失点を避ける。

焦っている三浦が強く打ち込んでくるが、こっちは男子テニス部部員とボーダー隊員、簡単には決めさせない。

 

「戸塚ぁ!」

 

「決める!」

 

俺が繋げて、戸塚決めるパターンを繰り返して得点を増やし勝利した。

 

ーーーーーーーーーー

 

「あーし、次は負けないから」

 

三浦はそう言って去っていった。

 

また来る気かよ……と思ったが、テクニックなら俺よりも彼女の方が戸塚の練習になるかもしれないし、時々なら受け入れても良いかもしれない。

 

「戸塚、試合見てたぞ、頑張ってるじゃねーか今度から俺も行くよ昼練」

 

「戸塚先輩、カッコよかったです。僕も参加していいですか」

 

「みんな……もちろんだよ!頑張ろうね!」

 

テニス部員であろう生徒達が沢山戸塚に話しかけていた。

「あら、思ったより早く解決したわね」

 

「なんか複雑だね」

 

「そうね、私たちはあまり彼の力になれなかったから」

 

「多分元々、戸塚一人でも解決出来たことなんだよ、葉山グループ襲来で人が集まったから、部員に戸塚の熱意が伝わるのがちょっと早くなっただけなんじゃねぇの?知らんけど」

 

「そうなると、葉山君は私達より役に立ったということかしら?」

 

「そりゃそうさ、自分とこの評判下がるような事しに来て、戸塚の評価をひたすら上げて帰っていったんだぞ?戸塚本人を除けば今回1番の功労者とも言える」

 

「ふふ、それもそうね今回は心の中でほんの少しだけ彼を褒めてあげることにするわ」

 

俺たちは戸塚と部員にお礼を言われてテニスコートから出ていった。




テニス(スポーツ)って字にするの難しいですね。
テニスについて面白くて分かりやすいように書きたかったのですが無理でした。
力不足です申し訳ない。


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第六話

ワートリ20巻良かったなぁ


戸塚とのテニスから数日、学校生活と防衛任務は特に異常はなかった。

それなのに、迅さんに出会った。

 

「よぉ比企谷、奇遇だなぁ元気してたか」

 

迅さんは軽く手を振ってこちらにやってくる。

 

「…用件があるのは分かりましたから、早く言ってください」

 

「流石は比企谷隊長、話が早い」

 

「俺、ラーメンが食べたいです」

 

「よーし、実力派エリートが奢ってやろう」

 

「奢り…という事は相当重要な案件ですね……。」

 

ボーダー本部で人気のない通路で支部のエリートとバッタリ。この人に限ってこの状況が偶然で起こる事はない。

サイドエフェクトで俺が一人になるタイミングを見つけて、ここに来たのだろう。

言葉にされるまでもなく「暗躍するから手伝ってくれ」という意思が俺に伝わる。

 

ーーーーーーーーーー

 

迅さんオススメのラーメン屋さんに入り、注文をしてからすぐに本題に入った。

 

「明日の夜、防衛任務についてきてほしい」

 

「迅さんだけじゃ手に負えない敵でも?」

 

正直、迅さんが手を焼く状況なんて俺が介入してもあまり力になれない気がするが……。

 

「いや、未来でボーダー隊員と一緒にいるから味方…というか隊員になるよ」

 

「今はまだ民間人なんですか?」

 

「あぁ、そいつはなんらかの理由で警戒区域に入ってくるから、保護してやってくれ」

 

「分かりました」

 

話の終わりとほぼ同時にラーメンがやってきて、そこからは軽い話をした。なんでも学校の知り合いが増えるかもしれないとか?厄介ごとが増えるとか?

「それじゃあ、ラーメンご馳走さまでした」

 

「おう、んじゃ明日は頼んだぞ〜」

 

「任されました」

 

こうして、俺と迅さんの極秘会談は終わった。あとは明日、依頼を実行するだけだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

警戒区域・夜

 

パチンッ、パチンッ……。

 

「お、来たな」

 

「来ましたね」

 

「比企谷もう行っていいぞ、というか行ったほうがいい」

 

「えっ?」

 

バチバチィィ

 

『迅さん、比企谷さんゲートです。座標誘導誤差0.11お願いします』

 

「「(迅)比企谷、了解」」

 

「俺が民間人に近い方をやるんで、迅さんは逆のを頼みます」

 

「はいよっ」

 

バムスターは今にも民間人を口の中に入れようとしていたが、そのおかげで弱点の目を丸出しにしていたので一瞬で十字に切り刻んでやった。

バムスターはそのまま前のめりに倒れてくるのですぐさま俺は少年を抱えて民家の屋根の上に飛んだ。迅さんもバムスターを片付けてこちらに向かってきた。

 

「よう、無事か?メガネくん」

 

「あ、はい」

 

「じゃあ比企谷、あとよろしく」

 

「終わったら説明に来てくださいよ?」

 

「あぁ、時間になったらそっちに行く」

 

「じゃあ、えっと…」

 

「三雲修です、助けていただきありがとうございました」

 

「三雲、付いてきてくれ、ウチに用があったんだろう?」

 

「あ、はい分かりました」

 

ーーーーーーーーーー

 

「それで?何をしにきたんだ?」

 

「僕はこの前の隊員採用試験を受けたんですけど…落ちてしまって」

 

「あーテストもできたし体力試験もそれなりだったのに…ってやつか?」

 

「はい、それで試験担当の方に話を伺ったのですが…才能がないと言われて……」

 

なるほどな、トリオン量が少なかったから落とされたのか……。

 

「事情は理解した。安心しろ、さっき俺の隣にいた実力派エリートがなんとかしてくれる」

 

しばらく採用部署の隣の個室で待機していると迅さんが入ってきた。

 

「お待たせ〜、メガネくん良かったな採用になったぞ、これから君は訓練生だ」

 

「ホントですか⁉︎」

 

「じゃあ、迅さん俺はもういいですか?」

 

「あぁ、助かったよ、明日も学校だろうに悪いな」

 

「この行動がいつかの未来で俺の周囲の人をを守れるなら、俺はいつでも手を貸しますよ」

 

「安心していいぞ、比企谷。コイツは必ずお前の助けになるよ。俺のサイドエフェクトがそう言っている」

 

「そうですか…なら期待してるぞ三雲」

 

「えっ?は、はい!頑張ります!」

 

三雲は話に付いていけず、戸惑っていたが、俺は少しカッコつけて部屋を後にして家に帰った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

三雲が入隊してから数日たった。今日は夕方の防衛任務だったため、報告書を出した帰りにC級の合同訓練を覗くことにした。今は戦闘訓練が行われている。

 

三雲…三雲…お、いた。

 

時間切れ……うん、弱いな!

 

「よ、よう三雲」

 

「比企谷先輩!おつかれさまです」

 

「さっきの見てたぞ」

 

「お恥ずかしいところを……。」

 

「ま、まぁ、まだ入隊してばかりだからな?慣れてないってのもあるかもしれないし…な?」

 

「……。」

 

「……。」

 

しばらくお互い無言になってしまった。

 

「あの!」

 

「うぉっ!びっくりした」

 

「あ、すいません」

 

「お、おう、でなんだ?」

 

「僕に戦い方を教えてもらえませんか?」

 

「俺?」

 

「はい」

 

ぶっちゃけこのままの状態だと俺の助けにはならないのが確実だ。それは俺が困るし、コイツが訓練生まま時間が過ぎていくのは入隊させた俺と迅さんの責任問題になりかねん。

 

「はぁ、少しだけだからな」

 

「ありがとうございます」

 

「今日の合同訓練は?」

「さっきので終わりです」

 

「そうかじゃあついて来い」

 

俺は三雲を連れて作戦室に帰った。

 

何故わざわざ作戦室に行くかというと、作戦室のトレーニングルームなら目立つ事もないので俺が教えやすいからだ。

 

「戻ったぞ」

 

「失礼します」

 

「はーい、三雲くんだね、話は聞いてるよ〜、それにしてもまさか八幡が人を連れてくるなんてねぇ…」

 

「お帰りなさい八幡さん、いらっしゃい三雲くん。トレーニング頑張ってね」

 

「とりあえず対バムスター戦闘訓練を俺がやってみるから一回見てくれ。御深、設定頼む」

 

「は〜い、C級戦闘訓練だね」

 

俺はレイガストをセットして二人でトレーニングルームに入った。

 

「じゃあ、お前の使ってたレイガストでやってみる」

 

「お願いします」

 

『訓練、開始!』

 

俺はアナウンスと同時にレイガストを肩に掛けてバムスターに向かった。

 

まずは左から!

 

次っ右!

 

レイガストを振り下ろしてバムスターの左前足を切断した。

バランスを崩したバムスターに遅れを取るわけもなく、振り下ろした剣の勢いをそのまま利用し右前足も切り上げで切断した。

支えのなくなったバムスターの頭は地につくしかなく、弱点の目を真横に斬りつけて終了。

 

『記録、16秒』

 

「レイガストってやっぱ重いな、村上さんとかレイジさんとかこんなもんよく振り回すなぁ」

 

「す、すごい」

 

「あー、なんだ、堅実な動きだとレイガストならこんな感じになると思う。レイガスト使わないから知らんけど……。」

 

『スコーピオンでもやってみたら?』

 

「そうだな、御深頼む」

 

『訓練、開始』

 

ふんっ!

 

サイズを小さくして強度を高めて、思いっきり投げたスコーピオンがバムスターの目に突き刺さる。

 

『記録、1.9秒』

 

バムスターは動きが遅いからスコーピオンなら投剣で充分だ。

 

「と、まぁ、得意トリガーなら極めればこんな感じになる」

 

俺のレベルは極めたうちに入るのか知らんけど……。

 

「僕にもできるでしょうか」

 

「すぐには無理だな、アレは目標だ。一般人が初めて剣を触って、振り方を覚えるのにはそれなりに時間がかかる。戦う才能がなければなおさらな」

 

「……。」

 

三雲は少し辛そうな顔をしていたが、真面目に聞いていたので話を続けた。

 

「まぁでも、なんだ、努力すれば一定レベルの技術は身につけられるし、身につけられるまでは教えてやるから、な?」

 

「はい、頑張ります!」

 

三雲は立ち直り早ぇな……。

 

「よし、じゃあ次はお前の番だ。ちなみにレイガストというのは盾機能がーー。」

 

結局、今日は2時間ほどで練習を終えた。

 

「今日はありがとうございました」

 

「おう、訓練頑張れよ」

 

ちなみに一連の流れで三雲と比企谷隊は連絡先を交換した。

 

やったね!

八幡は三雲修の連絡先を手に入れた!

三雲修の連絡先が電話帳に登録されたよ!

 

「ほら、八幡、帰るよ?」

 

「おう、悪いすぐ支度する」

 

俺が変なことを考えてる間に御深と白沢は帰る準備を済ませていたらしく急かされたので慌てて荷物をまとめて隊室を出た。

 




ワートリ1巻からの話は秋ですが、春にずらそうと思います。
ご了承ください。
6/29追記
UA(ユニークアクセス)というものが10000を超えておりました。
どのぐらいの数字が凄いのかよくわかりませんが、少なくとも読んでくれたみなさんのおかげで数字が増えているんだと思います。
本当にありがとうございます。


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第七話

短い!ふざけんな作者!と言いたいのだろう言え!
ごめんなさい読者の皆様。

あと、UAってどれくらいが多いんですかね?
時間があって、仕方ないこの作者に情けをかけてやろうっと思ったそこの貴方、感想で教えてください。礼は弾みません。


 

進級してから早くも1か月経ち、五月中旬に入った頃のある日、俺は防衛任務を終え帰る道で不良に絡まれている少年を見つけた。

 

「なんすか、あんた達どいて下さいよ」

 

「そんな事言わずにさぁ、金に困ってんだって、ちょっと貸してくれよぉ、な?」

 

「ほらぁ、早く、サイフぐらい持ってんだろぉ?」

 

「俺は姉さんを探してるんだ、あんたらに付き合ってる暇はないんすよ!」

 

どうも、あの少年は姉を探している最中に絡まれたらしい、本当は警察を呼ぶだけ呼んでこの場を去りたかったが、俺は兄弟愛に弱いので助けに向かった。

 

「おい、もうそのへんにしとけよ、警察呼ぶぞ」

 

「あぁん?なんだテメェ?」

 

「今はまだ呼んでねぇから、さっさと帰ってくれ」

 

「コイツらどうする?」

 

「こういう奴は本当にサツ呼ぶからなぁ、しゃーねぇ諦めるか」

 

思いの外、今回の不良は聞き分けが良くて、簡単に去っていった。

「顔、覚えたぞ」って言われたけど。

 

……あれ…タゲ変わってない?

 

「あの、助けてくれてありがとうございます」

 

「ほら、この時間はあーいうのが多いからさっさと帰って方がいいんじゃねぇの」

 

「それはそうなんすけど、俺、姉を探してて」

 

「さっきので分かんなかったのか?お前がこの時間に歩いても姉を見つけるどころか持ち物が減っていくだけだろ」

 

少し強めに言ってしまい少年を驚かせてしまった。

大丈夫?泣かないよね?泣かないでね?

 

「そうっすね、この時間に一人で歩くのはもう辞めるっす」

 

「そうしとけ、一人で無理そうなら親なり先生なり、頼れる人に相談した方がいい」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

「初めまして川崎大志っす」

 

姉探しの少年と会った日から数日後の放課後、兄弟の事で困っている同級生がいる、と小町から相談を受けたのでまさかと思い話を聞きに来てみたら、案の定、見覚えのある奴だった。

 

「いや、初めてじゃない、夜に不良に絡まれてるところを見たことがある」

 

「え、じゃあ、あの時助けてくれた…」

 

「いや、声かけただけだから、助けたうちに入らんだろ、あの時は学生服じゃなかったし分からなかったのは仕方ない」

 

「およ?お兄ちゃん、大志くんと知り合いだったの?」

 

「ちょっと前に会ったんだ」

 

不良に絡まれてるところを助けたなんて言ったらこの子の格好がつかなくなるので伏せておく。

 

「相談の相談を受けてきた小町の兄、比企谷八幡だ。お姉さん、まだ見つかってないのか?」

 

「はい、家に帰ってくるのはいつも夜遅くて……」

 

この街はネイバーが現れる可能性もあるし、自分が不良に絡まれたこともあってより不安なのだろう。この前よりも切羽詰まっているように見える。

 

「帰ってくるのは何時頃なんだ?」

 

「最近は朝の5時ぐらいっす」

 

「ちょっと前のお兄ちゃんの防衛任務から帰ってくる時間と同じぐらいだね、そりゃ兄弟としては心配になるよ」

 

うっ、心が痛い。

 

「お姉さんの名前とか写真あるか?同じ高校なら分かるかもしれない」

 

幅広い交友関係を持つ俺の仲間がな!

 

「川崎沙希っす、写真はこれが分かりやすいっす」

 

「あぁ、俺とクラスおんなじだわ、そういえば前も遅刻してきたな」

 

「それとお姉ちゃん、変なバイトしてるみたいで、この前エンジェルなんとかって言うところから家に電話がかかってきたんす。エンジェルっすよ!絶対ヤバい奴じゃないっすか!」

 

大志は食い気味に言ってくる。

近い、顔が近い。

 

「確かに怪しいな」

 

スマホで調べるとこの周辺には運良くエンジェルと名のつく店は二店しかなかった。

 

「とりあえず、地図で見て近い方から行くか」

 

「了解っす」

「あいあいさー」

 

小町と大志を連れてまず最初にメイド喫茶「えんじぇるている」の前にやってきた。

 

「ちょっと入りづらいっすねぇ、なんとか覗ければ……」

 

「とっくに覗いてるよ…うーんと今はいねぇな…お、近くにシフト表があるぞ」

 

こういう時、遮蔽物を無視して見たいものを見れるサイドエフェクトは本当に便利だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「結果だけ言えばこっちは外れだ。つまり…あのホテル上層のバーで働いてるって事になる」

 

俺は少し遠くにある背の高い建物を指差して、その方向を3人で眺める。

 

「えぇ、じゃあ俺たちじゃ」

 

「あぁ、入ることすら出来ない」

 

「どうしよう」

 

万事休すかと思われたが、意外な人の手助けによって事態は好転する事になるーー。




本当、短くてすいません。
ちょっとスランプです。
この話も何回も消して書いてを繰り返してます。


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第八話

もうね、書き直しすぎて、自信をなくしてました。
この話でも誰かに気に入ってもらえたら幸いです。


 

「比企谷か?」

 

「忍田さん…林道さんに迅さんまで……。」

 

聞き覚えのある声に振り返ると忍田本部長達がいた。普段からスーツ姿の忍田本部長や林道支部長はともかく、珍しく迅さんまでスーツ姿だ。

 

「林道と迅に働きすぎだと、引っ張り出されてな。ここに飲みに行くことになったんだ。」

 

 俺と忍田さんが会話をしていると、横では迅さんが大志のことを見つめていた。

 

 何か視えたのだろうか…。

 「忍田さん、この子たち困ってるみたいだから話聞いてあげてくれない?」

 

「構わないが、私でいいのか?」

 

 「この中では一番適任だよ」

 

迅さんがどこまで視えたのか分からないが、俺たち3人は事情を説明した。

 

 「それじゃ、俺のスーツ貸すから比企谷話してきてよ。忍田さんは付いて行ってあげて」

 

「分かった、だが小町ちゃんと大志くんはどうするんだ?」

 

「ウチの支部で預かろう、もちろん大志くんの両親には連絡しておく」

 

 頼もしい大人の協力のおかげで話はどんどん進み、俺はバーに入ることに成功した。

 

 「すみません、忍田さんせっかく飲みに来たのに巻き込んでしまって……。」

 

 「比企谷、私はむしろ嬉しいんだ、こういう隊員としてでは無いところで、お前が誰かを助けようとしているのを見られてな」

 

 「……ありがとうございます、じゃあ川崎見つけたんで話しかけましょうか」

 

 川崎の近くに2人で座って、俺は話しかけた。

 

 「川崎沙希…さんで合ってるか?」

 

「…あんた見たことあるって事は…同じ高校か。そうだけど、何?」

 

 「お前の弟の大志から相談を受けてな、姉の帰りが遅すぎて心配だってな」

 

 大志という単語で一瞬目が合うが、それからは興味も無さげに川崎は話を聞いていた。

 

 「そう、あんたには迷惑かけたね、大志には私から言っとくからこれ以上私達に関わらないで」

 

 「それは無理だ、ここで俺が帰ったらまた大志に適当な事言ってココで働き続けるんだろ?」

 

 「私の事はアンタに関係ないでしょ」

 

「確かに、お前がどこで何時まで働こうが俺には関係ない。だけど大志は俺に相談してきたんだ、大志と俺は関係あるだろ?」

つい、強く言ってしまい、川崎に睨まれる。だがここで折れる訳にもいかない。

 

 「なぁ、知ってるか?大志の奴、お前の事を探して夜遅くに外を出歩いてたんだぜ?」

 

「えっ……。」

 

 「そんでもって、俺が初めて大志と会った時は不良に絡まれてたんだぞ?」

 

 「夜は外に出るなって言ったのに」

 

「夜な夜な歩いたのは大志の判断ミスだからお前のせいではないが、弟の姉を思う気持ちがあっての事だったんだよ」

 

 「……アンタが大志を助けてくれたの?」

 

「警察呼ぶぞって不良を脅しただけだ、助けた内に入らねぇよ」

 

「そう、でも弟をありがとう」

 

 川崎の表情が柔らかくなった。どうやら大志と同じで兄弟愛が強いらしい。

 

 「なぁ、川崎。シフトに融通が効いて、お金もそれなりに貰える仕事があれば、それに就くか?」

 

 「そりゃあ、大志達には結局心配されてるし、そんな仕事があるならね」

 

 「ボーダーに入ってみないか?」

 

 「え、ボーダーってあの界境防衛機関の?」

 

「そうだ、俺はそこで働いて兄妹2人で暮らしている。んで、俺の隣の人はボーダーの本部長なんだ」

 

「比企谷の言った通り、ボーダーで本部長を務めている忍田真史だ。よろしく、川崎さん」

 

 今までずっと黙って俺たちの会話を見ていた忍田さんがようやく動き始めた。

 あとは忍田さんと川崎の意思に任せよう。

 

 ・・・・

 

 「では、この書類を見本を見ながら完成させて比企谷にでも渡してくれ。」

 

「はい、じゃあこれからよろしくお願いします」

 

 川崎には、シフトの自由度と進学のサポートが充実していたところが決め手になったらしい。あとは適性がある事を祈るだけだ。

 

 

 玉狛支部に小町と大志を迎えに戻ると、もう夜中にもなるのに2人は元気よく出迎えてくれた。

 

「お兄ちゃんお帰り〜」

「お帰りなさいっす!」

 

「お、おう、ただいま?どうしたお前ら?」

 

「林道さんから聞いたよ、大志くんのお姉さんボーダーに勧誘したんだって」

 

「なんだ、もう知ってたのか」

 

 「比企谷さん!俺もボーダー隊員になることにしたんっす!」

 

大志はトリオン量の適性を示す紙を向けて言ってきた。

 

 なるほど、この為に迅さんは2人を玉狛に連れていったのか。

 

「そうか、姉さんのことしっかりサポートしてやれよ」

 

 これで川崎兄妹の問題は解決できたと言えるだろう。

 

 

 



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第九話

何書いてるのか分からなくなりつつあります。
書くの下手ですいません、いつも読んでくれてありがとうございます。


大志を家に送り届けてから、家に戻ると帰り道では全く喋らなかった小町が口を開いた。

 

 「お兄ちゃん、私もボーダーの適性検査受けてみたいんだけど、ダメかな」

 

 ここ最近、ボーダーについての会話が増えてきて、いつかはこんな日が来るかもしれないと思っていたが…ついに来たか。

 

「……。」

 

 「今日ね、大志くんと一緒に検査受けてみたいって言ったら迅さんに止められたの。お兄さんに聞いてみてって」

 

「できれば小町には俺は安全な生活をしてほしい。そのために…俺は隊員になったんだからな」

 

 風間さんにぶっ倒されては小町を思い出して立ち上がって、影浦にぶっ倒されては小町を思い出して立ち上がって、太刀川さんにぶっ倒されたら、小町を思い出しながら課題を手伝って。

 

 あの頃は必死だったなぁ。

 

 「お兄ちゃん……。」

 

「もちろん、何事も本人の意思を尊重するべきだと思っている……思ってはいるがどうしても不安なんだ」

 

 俺の不安な表情と逆に小町の顔は決意に溢れていた。

 

「うん、お兄ちゃんの気持ちは分かったよ。ありがとうね、いつも小町のために頑張ってくれて。でもね、小町は…それでも、いや…だからこそ力がほしいな。もうお兄ちゃんが私を心配しなくてもいいようになりたい」

 

 今まで妹のために行ってきた事、それを妹に感謝されて、成長した姿を見せてもらえる。こんなに幸せなことは無いだろう。

 

 「そうか…分かった。隊員になる事を認めてやるよ」

 

「ほんと?ありがとうお兄ちゃん!」

 

「実はお前は俺が検査を受けた時に同時に受けてたんだ。これがお前の検査表だ、お前は素質だけならど適性だよ」

 

 「うわぁ、本当だ。何の数値かはまだ知らないけど、適性の大志君の倍くらいあるね」

 

 「小町、隊員になるのに約束してほしい事が一つある」

 

 「なぁに?」

 

 こんな事を言って意味があるのかは分からない。そもそもこれは約束ではなく俺の願いなんだから。

 

「強くなるんだ。もし、俺よりも強い敵が現れたとしてもお前は生き残れるように……。」

 

「うん、分かった。小町一番を目指すね。それでピンチのお兄ちゃんも助けてあげる♪」

 

 あの変態ばかりのボーダートップに入ると言うとは…。あの人達を知らないとしても大きくでたな…。

 

 

 ……でも、なんかいける気がするのは身内びいきだろうか?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 川崎姉弟の入隊決定から数日、正式に仮入隊手続きが完了したと、川崎から学校の昼休みに屋上で報告された。

 

 「アンタが来てくれなかったら、こうはなってなかったと思う。だから、ありがとう」

 

「お、おう。まぁ、頑張って正隊員になれよ?」

 

 実際、今のところはボーダーからの収入はないしな。塾にいく費用は必要無くなったが給料が出るにこした事はないだろう。

 

「玉駒のみんなの実力を見たから、正隊員っていうのは努力を積み重ねないとやっていけないのは分かるから頑張るよ、大志と一緒に」

 

  姉弟仲がよろしいことで。

まっ、兄妹愛ならウチも負けてないけどな。

 

「あー、なんだ、俺も一応誘った人間だし、正隊員なるまでは協力するぞ」

 

 上手くいかなくて恨まれたくないしな。

 べ、別にアンタ達のためなんかじゃないんだからね!

 

「ありがとう、頼らせてもらうよA級隊員さん」

 

 あれ?俺、階級言ったことあったっけ?

 

 「早く強くなる為に強い人を調べて見本にしようとしてるから、当然アンタのとこの隊も知ってるよ」

 

「お、おう、ご存知頂き光栄です?」

 

 「アンタの方が立場は上なのに何言ってんの」

 

 川崎は呆れるように笑うが、川崎の覇気が強いから敬語になるのは仕方ないので俺も笑うしかない。

 

  「そういえば、大志が言ってたんだけどアンタの妹ってーーっ⁉︎」

 

川崎の声を遮るように空間が裂ける音がバチバチと鳴る。

 

「マズい…ゲートだ」

 

 遅れて学校で放送がかかる。

 

 『校内付近にゲートが発生します、生徒は直ちに避難してください。』

 

 「行ってくる。悪いが妹の話はまた今度。……トリガー起動」

「あ、うん」

 

  トリオン体に換装してすぐに屋上から飛び降りるとネイバー複数体見えてきた。

 

 「チッ、ゲート二つもあるのかよ……。」

 

 ここ最近、ちらほらとボーダー本部から遠い所にゲートが発生してはいたが、学校内に発生するってどうなってるんだ。

 

 「おぉ、比企谷が一番か!早ぇな!」

 

 「米屋!いい所に来たな、俺は校庭側のやるから、ここのは頼んだ!」

 

「了解!任せな!」

 

・・・・・・・

 

 校庭に向かう道中、ネイバーを倒しながら進んでいると、見慣れた服装と装備をした集団を見つけた。

 

 テニス部だな。

 

 「大丈夫か?助けに来たぞ」

 

「おぉ、ボーダー隊員だ、頼む、部長を助けてくれ」

 

 「っ!戸塚は今どこに!」

 

「俺たちを逃すために、ネイバーを連れて校庭の真ん中に向かって行ったんだ」

 

  テニス部員の指差す所を見るとネイバー2体に挟まれている人影が見えた。

 

 「無茶しやがって」

 

 不幸中の幸いか、足の速いモールモッドはいなかった為、救出はできそうだ。

俺は戸塚に手をかけようとしているバムスターをスコーピオンの投剣で倒して、すぐに戸塚を抱えてもう一体のバムスターから距離を取る。

 「八幡っ!」

 

「戸塚よくがんばった、後は任せてくれ」

 

 「うん、頑張って!」

 

「……おう!」

 

バムスターが一体ならばもう何も憂うことはない。戸塚を怖がらせた罰と戸塚に格好つける為に粉々にさせてもらう。

 

 「……まぁ、こんなもんか」

 

「やっぱり八幡は強いね」

 

「それなりに訓練してるからな」

 

戸塚を連れながら逃げ遅れた生徒やネイバーの生き残りの確認も終わりにかかるところで、御深から通信が入る。

 

 『八幡〜、そろそろ片付いた?避難した生徒は体育館に集まってるから、隊員もそこ集合ね』

 『はいよ、比企谷了解……。』

 

 「戸塚、生徒のみんなは体育館に避難してるらしいから向かおうか」

 

「うん、分かった」

 

 体育館出入り口で隊員達が先生達と集まっていたために、戸塚は中に入っていき俺は隊員達の方に合流する。

 

 報告によると、校舎側から8体、校庭側から4体で、計11体ネイバーが出現したようだ。

 戦績は

 俺、4体(校庭側)

 米屋、4体(校舎側)

 三輪、3体(校舎側)(避難誘導後参戦)

 

 で、シューター、ガンナーやそれ以外の戦闘員は万が一の生徒巻き込みを防ぐために避難誘導や護衛を行なっていたらしい。

 

 今回はベテラン隊員(オペレーター含む)が多く通う学校だったこともあり、ネイバーの早期殲滅、避難誘導も迅速に行われたため、生徒や先生からのボーダーのイメージダウンもないようだ。

 

 隊員の指揮を三輪隊に任せて、俺と御深で校舎の破損具合や怪我人を調べて再び隊員の集まる場に戻ると、三輪と米屋がこちらに向かってきた。

 

 「俺と米屋と比企谷の3人で今回の件の報告に向かうことになった、今日はもう学校に戻らないだろうから下校の支度を整えて、10分後にココに集合でいいか?」

 

 「了解」

「OK!」

 

 ・・・・・・・

 

「いや〜今日は戦闘もできて、学校も帰れるしラッキーだなぁ〜」

 

「まぁ、次の大規模侵攻に活かせるところはあっただろうな」

 

「多く来ようが少なかろうがネイバーは殺す。それだけだ」

 

俺と米屋は相変わらずの三輪を見て顔を合わせる。

 俺はうちの隊員と小町や身内が守れれば、後はどうでもいいし、米屋なんかは戦闘を楽しんでるだけに近いだろう。

 当然の事ながら、ボーダーの方針があったとしても、隊員をやっている理由は人それぞれだ。

 




いい作品を見ると、感動すると共に「俺にはこんな表現をするような経験がない。なんてしょうもない人間なんだ」と落ち込みます。字書きとして成長したいです。


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