我が名はグラリモンド、アインズの片腕にして吸血鬼の神である (幽玄の鬼)
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吸血鬼皇帝 覚醒編
久しぶりのログイン


 こんな主人公いいな、かっこいいなという作者の妄想を具現化したキャラです。
 アインズ様やペロロンチーノ様と非常に仲が良かったという設定です。

 こんなシャルティアは嫌だという方はブラウザバックをお勧めします。
 そして全面改稿しました



 男は迷っていた。ログインするかしないかを。

 

 高齢に加え不治の病を患ってもう10年以上経つ。

 企業の役員だったので経済的には余裕があったがそれでも精神的余裕はほとんどなかった。貧困層を搾取し少数の富裕層を擁護する今の社会の在り方が何となく肌に合わないのだ。しかも、いくらアーコロジー内とはいえども年々環境が悪くなり、重役の横暴が近頃は鼻に付く。いってしまえば男は自分の人生に社会にある種の諦観を抱いていたのだ。

 

 だから男は入院生活で生まれた時間の余裕を活かし、大昔の伝承や民謡調べに精を出していた。

 

 そして男は自由に生きる誇り高き、吸血鬼に憧れを抱く様になりユグドラシルに、アインズ・ウール・ゴウンに出会った。

 

 吸血鬼(ヴァンパイア)になれると聞いてユグドラシルで早速、吸血鬼(ヴァンパイア)キャラを作ったはいいがPKに幾度となく遭遇し途方に暮れていたところ、たっち・みーやモモンガ、最初の9人に出会い、有り余る金で課金をしまくり、今のキャラを作った。

 そして気付いたころには〈皇帝〉と呼ばれるようになっていた。毎日が楽しかったのだ。男の今までの灰色の昏い人生にユグドラシルは、アインズ・ウール・ゴウンは鮮やかな色を与えたのだ。

 

 

 ギルマスであるモモンガを見習い吸血鬼(ヴァンパイア)ロールの吸血鬼(ヴァンパイア)最強キャラ、グラリモンド・リオンクール・グルリスト〈皇帝〉として、年甲斐もなくリアルの事など忘れ思いきりはしゃぎ回ったり、同じ年寄りである死獣天朱雀と共に若者を見守ったり、そしてみんなでどんちゃん騒ぎをしたり。

 

 男にとってユグドラシルはリアル以上の現実、自分の最も居場所なのだ。

 

 だからこそサービス最終日である今日、ログインするべきか、それともしないべきなのか真剣に悩んでいた。一時はインできないほど病状が酷かったが、医師らによる懸命な治療でニューロン・ナノ・インターフェイスを並列作動できる状態まで回復した。

 だが、今は何とかインできる状態だ。いつ死ぬか分からないと余命宣告もされている。

 

 そんな自分がアインズ・ウール・ゴウンの最後に立ち会っていいのだろうか、栄えあるギルドの最後に自分見たいな死にぞこないは相応しくないと思っている。

 

 しかし、不意に今朝のメールが脳裏をよぎる。[闘病生活頑張ってください]というモモンガから送られてきた。

 次々とメンバーが去っていく中モモンガは一人でギルドを維持すべく奔走しているらしい。仲間との思い出を穢すまいと、家族の居ない鈴木悟が家族ともいえるナザリックをたった一人で維持する一人ぼっちの姿が容易に想像できる。

 

 

 男は思い出した。モモンガがどれだけ寂しがり屋さんなのか、一人がとてつもなく辛いこと、そして自分が何者なのかを改めて。だから、

 

「我はグラリモンド・リオンクール・グルリスト。吸血鬼(ヴァンパイア)の皇帝にして神である」

 いつものグラリモンドとしての口調で男は呟いた。今日一日、グラリモンドとして生きようと覚悟を決める為に。

 

 こうして男は、万感の思いを胸に、ユグドラシルにログインした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モモンガは満足していた。仲間と共に築き上げてきた物に命が宿り、これ程素晴らしいのかと感動に打ち震えていた。だが同時に一つだけ不安なことがあった。

 

 それは―、

 (グラリモンドさん生きてるのかな?結局インできなかったみたいだし、もしかしたら…)モモンガとグラリモンドはリアルでも付き合いがある。

 だからグラリモンドの様態がすぐれないことも余命宣告されていることも知っていた。

 だからこそ昨日はメールを送った。彼も自分と同じくここを居場所にしていることを知っていたから、どうか無事で余命を全うしてほしいと願いを込めて。

 

 そんな中、モモンガの不死の祝福が突然大きく反応した。強大な力を持つアンデッドを捉え、モモンガとしての本能が警告する。

 

 それは若干一名を除く、闘技場に集う階層守護者達も同じだった。

 全員が命の危険を感じ一斉を見上げた。そしてモモンガは唖然とした。

 

 

 そこには、10の目と山羊の角を生やした、燕尾服に身を包む、二対の翼で空を飛ぶ怪物がいた。非常に大きく筋肉が発達しており、破けそうになっていた。

 そして手足の爪は異様に長く、鋼鉄を切り裂けそうな程、鋭かった。

 怪物は口から長い舌をぶら下げ、大量の涎を垂れ流しながら匂いを嗅いでいる。豚と犬の中間のような激しい呼吸音が闘技場に響く。

 しかし、モモンガ以外、邪でありながら何処か神々しくもある強大なオーラに当てられ動けないのだ。

 階層守護者は察した。この化け物がどういった存在なのかを。自分達が神と崇める〈至高の41人〉その人である事を守護者達は理解した。

 

 

 そしてそれはモモンガも同じだった。いやそれ以外の衝撃かも知れない。

 生きていた事、久しぶりに会う事が出来、内心小躍りしそうな程舞い上がっていた。

 しかしモモンガは守護者達の手前、それを押し留める。真の姿で現れるとは予想外だったが。

 

 

「グラリモンドさ、カイザーグラリモンド・グルリストですよね?」

 

 グラリモンドがそう呼べと言っていた呼び名にモモンガは慌てて言い直す。彼が略称を許したプレイヤーは数えるほどしかいない。グラリモンドはキャラ名に誇りと並はずれた拘りを持っているからだ。そして、皇帝(カイザー)という通り名にも。

 

 しかし何やら様子がおかしい。10の瞳に理知的な光を見出せないからだ。

(まさか、あの種族の影響か?)

 不意に嫌な予感がモモンガの胸を過ぎる。グラリモンドの取得しているある種族の、というかこの形態の特殊技術(スキル)とフレーバーテキストを思い出したのだ。

 

 もしこの世界ではフレーバーテキストも現実化しているとしたら途轍もなく面倒なテキストそして特殊技術(スキル)を。そして吸血鬼(ヴァンパイア)最強キャラの弊害の数々。

 どうか間違えであってくれと思いながら、モモンガは再びグラリモンドに問い掛ける。

 

「カイザーグラリモンド?」

 

 普段の彼なら怒ったであろう名称で呼んだが、それに対してグラリモンドは一切返事をせずにゴスロリを着こなすパッドの吸血鬼、シャルティア・ブラッド―ホールンのみを凝視していた。血走った10の目で凝視し舌なめずりをしながら。

 

 

 モモンガは嫌な予感が的中した事を確信した。

 

「わぁがしんじゃぁああああ!血ぉをよこせぇぇえええぇええ!!!!!!!!」

 

 そう叫びながらグラリモンドはシャルティアに飛び掛かった。それは深みがありよく通る咆哮だった。理知的だったらさぞ強烈な魅了を伴うだろう、印象的な音である。

 

 モモンガはアイテムボックスを開き、グラリモンド自身に渡された、この状態を一発で押さえる小瓶を取り出し、グラリモンド目掛けて投げつけた。

 

 その瞬間グラリモンドは、10の目で小瓶を凝視し、飛び掛かると小瓶ごと呑み込んだ。小瓶から途轍もなくおいしそうな芳醇な香りが漂ってきたからだ。小瓶はグラリモンドを一瞬にして釘付けにしたのだ。

 

 グラリモンドは小瓶を噛み砕き中身を飲み干す。すると身体が黒い靄に包まれ、靄が数千羽の蝙蝠となり飛び去ると、一人の眠りにつく男性のみが取り残された。

 

 

 モモンガが投げた小瓶の中身はこの世の物とは思えないほど美しい深紅色の血液だった。




 
 キャラクター名 グラリモンド・リオンクール・グルリスト〈皇帝〉
 
      略称「カイザーグラリモンド」
 
     通り名、最強にして最凶なる吸血鬼の帝王

 感想や評価をお待ちしております♪

 では最後に皆さんも 

『アインズ・ウール・ゴウン万歳!』

『ナザリックとオーバーロードに栄光あれ!』

 またお会いできることを願って


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吸血鬼の神の目覚め

 第2話です。シャルティアがグラリモンドをお世話します。少々独自解釈が入りますがご了承ください。
 グラリモンドがロリコンであると云う訳ではありません。シャルティアが好きなだけです。


 シャルティアは歓喜に打ちひしがれていた。先程の様な力を感じさせる肉体の時に自分の血を求めてくれた事に。

 真祖(トゥルーヴァンパイア)である筈なのに絶対に勝てないと、吸血鬼(ヴァンパイア)としての格と住む次元が違うという事を本能で悟らせたあの力の事を思うと非常に興奮してくる。

 

 モモンガのあの骸骨の身体も美しいが、グラリモンドのあの凶悪な姿も今の姿もどこか神々しさを感じさせるが圧倒的魅力を放っていた。

 

 人間の姿に戻った反動で昏睡していた時は、もの凄く取り乱し憔悴しきったシャルティアであったが、モモンガの言葉に幾分か冷静さを取り戻し、同族だからという理由で目が覚めるまでの至高の御方の身の回りの御世話という大役を任された。

 グラリモンドの住居自体が吸血鬼(ヴァンパイア)しか入れない様になっているのもあるが。

 

 内心小躍りしたいほど舞い上がっていたが、シャルティアはその感情を抑え込みグラリモンドの介抱に徹る事にする。まず手始めにシャルティアはグラリモンドの燕尾服を脱がしネクタイを緩めた。

 

 すると全身くまなく鍛え上げられた筋肉質な肉体が露になる。服は着ているがシャツが引き伸ばされ体型がよく分かる。細くもきりっとした凛々しい整った顔立ちをしており、ぼさぼさである筈の髪形もどこか優雅さを感じさせる。

 寝息を立てる度に逞しい大胸筋が上下する姿を見て、シャルティアの動かない筈の心臓はときめいた。

「はぁ、はぁ。とっても逞しい肉体でありんす。ああ素敵な美貌だし、素敵でありんす。…ごくり。―はっ!?いけんせん、粗相があったらいけないのに」

 

 怪しげな廓言葉に恍惚とした表情でシャルティアは呟いた。

 いつまでも見ていると、自分を抑える事が難しくなり何か粗相を起こしてしまいそうになるのでシャルティアは部屋の周りの掃除に専念する。

 

 勿論、至高の御方であるグラリモンドの些細な変化を聞き逃すまいと、意識の半分はグラリモンドに向けていた。

 

 だからこそシャルティアはグラリモンドの呼吸が変わったことに気が付いた。寝息から意思のある力強い呼吸に変化した。そして至高の御方は右手を何ども振っているではないか。

 

 

 

 そして次の瞬間、ナザリックに衝撃が走った。ナザリックに属する全ての吸血鬼(ヴァンパイア)が一斉に跪いた。己より圧倒的強者である頂上の存在の絶大なる気配がナザリック内に充満したのだ。

 

「グラリモンド様、御身体の調子はどうでありんすか?」

 

 

 

 

 

 

 

 グラリモンドは夢を見ていた。

 最初はモモンガとペロロンチーノ、そしてグラリモンドの3人でふざけまくった日常が内容だったが、急に場面は変わり真っ暗闇になった。

 

 何も見えない。ひどい咽の渇きと満たされるとは到底思えない飢えに苦しんでいた。霞む視界でグラリモンドはシャルティアを、自身が吸血するに足る強者が漂わせる芳醇な香りに意識全体が支配され―そしてモモンガに出会った。

 

 モモンガがそしてシャルティアが自分に呼び掛ける。

 

 

 そしてグラリモンドは一気に覚醒した。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()が自分の今の状態が異常であると訴えてくる。

 まず非常に柔らかい高級寝台で寝ているらしい。途轍もなく柔らかくそれでいて温もりのある至高の逸品であると言えよう。だがグラリモンドの記憶が正ければインはしたがまだ動いていない筈、ここが病院であるという可能性も無くはないが、ベッドの感触からしてまずないだろう。

 

 次におかしいのは感覚だ。全てがリアルすぎる。肌にまとわりつくような空気の感覚、この寝台の素晴らしい寝心地、内臓がしっかりと詰まっているような何とも言えない感触、ここがユグドラシルである事は間違いない筈だが感覚シュミレーションのクオリティが高すぎる。()()()()()()()()()。それに目を開けていないのに女性が、しかも吸血鬼(ヴァンパイア)が近くにいる事が勘とかそういうあやふやな物ではなくはっきりと分かる。

 

 そして何より極めつけは―、(に、匂いがある?)

 

 そう匂いがあるのだ。もしかしたら自分は寝ぼけていただけで実は病院というオチかも知れない。グラリモンドはそう思いながら目を開けた。しかし、目に飛び込んできたのはグラリモンドとして見慣れた光景だった。

 

 青く輝くシャンデリアやたくさんの絵画が飾られた壁、広大な大理石の床に真紅の絨毯が敷かれた、たかが王族の部屋何ぞ吹けば飛ぶような豪勢な造り皇帝が住むにふさわしい最高貴賓室だった。

 紛う事無きユグドラシル、グラリモンドの住む吸血鬼の間(ヴァンピル・フォンスウィッセン)が一角皇帝の寝室である。病院の寝室という線は消えた。

 

 そしてリアルでも電脳世界で無い事が判明した。匂いや感覚など理論上は現実と同等かそれ以上の精度で再現できるのだが、複合企業の統治による社会の秩序を守る為の電脳法で大幅に規制されている。複合企業の根底を覆しうるので、それはもう厳重に監査されている。

 匂いがあり尚且つ、ゲーム内と同じ光景が広がっているという事はすなわちここがグラリモンドが住んでいた現実とは違う、最悪ここが異世界であるという事だろう。

 

 現に今、グラリモンドはコンソールを出そうと奮起するが一切出ない。現実ではないがユグドラシルでもない。

 と、グラリモンドが思考を纏めていると、シャルティアが恐る恐るグラリモンドンに声をかけた。

 

「グラリモンド様、御身体の調子はどうでありんすか?」

 

 陶器のように白い肌と、幼い容姿に全く不釣りあいな大きな胸が特徴の美少女である。ところがどっこい大きな胸はパッドでペロロンチーノと共に考えた二人の考えた最強キャラクターなのだ。

 第1、第2、第3階層守護者である彼女が第9階層の一角にあるグラリモンドの自室居るという事は、やっぱりここが異世界だという事だ。

 

 シャルティアが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから確実だ。不覚にもグラリモンドはシャルティアの憂いに満ちた表情を見てどきりとしてしまったのは秘密だ。

 

 やけに頭の回転がはやい、今日は妙に頭が冴えているなと思いつつ、グラリモンドはシャルティアに口を開いた。どうしても譲れない拘りがるのだ。それは―、

 

「余を如何と心得る真祖(トゥルーヴァンパイア)のシャルティアよ。余は世に犇めく吸血鬼の皇帝にして神なるぞ。グルリストというこの名も〈皇帝〉という称号も欠かすでない。だがシャルティアよ、此度の働き大義である。故に貴様に限り不問としよう」 

 

 

 柔らかく深みのある威厳に満ちた言霊が紡がれる。

 もともと役員であったからだろうか思ったより支配者としての言葉が出てほっとした。

 それに自分好みの子だ。格好も付けたい。常日頃の皇帝ロールが功をなしたのだ。

 

 シャルティアはグラリモンドの言葉に頬を染めつつ、答えた。グラリモンドの覇気を身に纏い堂々とした態度に胸を撃ち抜かれたのだ。

 

「も、勿体なきお言葉、嬉しく思いんす。グラリモンド様」

 

 グラリモンドは上半身を起こしキングサイズの枕に身を預けながら、シャルティアかわいいと密かに思っていたがそれは秘密だ。




グラリモンド・リオンクール・グルリスト〈皇帝〉のステータス紹介

「最強にして最恐なる吸血鬼の皇帝」

役職:至高の41人
   ナザリック地下大墳墓特別相談役
   夜の茶会(ナハト・ティザラモニティ) 亭主

住居:ナザリック地下大墳墓
   第9層吸血鬼の間(ヴァンピル・フォンスウィッセン) 皇帝の寝室
 
属性(アライメント):大罪級[-700]〈傲慢〉※レイススキルによる上限突破(課金ではない)

種族レベル
真なる吸血鬼の真祖(エルダー・トゥルーヴァンパイア)1位(ファースト)〈皇帝(カイザー)〉:15lv
古の吸血鬼の真祖(エンシェント・トゥルーヴァンパイア)公爵(プリスタ)-:15lv
新たなる吸血鬼の神祖(ニューバース・オールドヴァンパイアデウス):5lv

職業レベル
ヴァンパイアプリンス     :15lv
ナイトメアロード       :15lv
ヴァンパイアナイト      :15lv
ヴァンパイアモンク      :10lv
ダークネスプリースト     :5lv
カーディナルノクターンルーラー:5lv

[種族レベル] + [職業レベル]:計100lv
取得総計35lv 取得総計65lv


能力値(最大値を100とした場合の割合)
HP(ヒットポイント):97.5  
MPマジックポイント):92
物理攻撃:94
物理防御:92
魔法攻撃:93
魔法防御:99
総合耐性:100
特殊  :149(課金)

補足

 吸血鬼(ヴァンパイア)ロールを極めたある種のガチビルド(?)。ありあまる時間を活かして高難易度の種族クエストや種族イベントをクリアし通常では取得できない種族とクラスで構成されており平均値102というギルドでもぶっちぎりのキャラクターとなった。その性能はロールというおふざけにも拘らず凄まじいもので下手すれば、たっち・みーに匹敵するとも云われている。
 但しその徹底したロールの弊害は絶大な物で、日光を3分浴びると即死したり昼間だと5割しか力が発揮されない、血を2時間おきに呑まないと様々なデパフにかかるなどがありかなり癖の強いキャラとなったが本人は満足しているらしい。
 モモンガがアインズ・ウール・ゴウンの死の魔王ならばグラリモンドは吸血鬼(ヴァンパイア)の皇帝にして神と云える。ロリコン疑惑もあるが本人は必死に否定している。NPC達同様モモンガを過大評価している節がるが、本人自体は役員であったので賢い。



 いつか特殊技術(スキル)について解説しますね。また何故、皇帝やグルリストに拘るのかその理由もその内に。

 アインズ・ウール・ゴウン万歳!ナザリックとオーバーロードに栄光あれ!


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モモンガとの再会

 ついにモモンガ様とグラリモンドが御対面します。今後のモモンガ様の口調が決まります。
※微妙にお色気シーンがりますので御注意を!


 グラリモンドはシャルティアをずっと眺めていたいという衝動に駆られそうになったが、それを強靭な理性で抑え込んだ。

 心なしか情欲にまみれた表情のシャルティアを尻目に、グラリモンドは自身の状態について確認し始めた。

 まずコンソールとステータス類、GMコール等の類は一切使用できなかった。薄暗い部屋なのにも拘らずよく物が見えたり、やたらと五感が鋭くなったのはこのグラリモンドになったからだと思われる。

 重篤患者のように青白くそれでいて太い指に、長い爪。恐らくシャルティアが気を聞かせてベストの類を脱がしたのであろう。シャツ越しにも分かる見事な大胸筋、リアルの自分が持ちえなかった見事な肉体である。

 

「シャルティアよ、手鏡は持ち得ておらぬか?余の顔を見たいが故」

 

「こちらでありんす」

 シャルティアは自身の腕を暗闇に入れると見事な装飾の施された手鏡を取り出した。グラリモンドはそれを注意深く観察していた。

(どう考えてもアイテムボックスだよな…。やはりユグドラシルではないか)

 グラリモンドは手鏡を受け取ると自分の顔を眺めた。

 そこには左右で瞳の色が違うオッドアイの美丈夫が映っていた。鋭い犬歯が二つ飛び出ているがその点を除けばかなりのいい男である。

 確かに自身が30代だった頃の顔に設定してあるグラリモンドになったようだ。そして見よう見まねでグラリモンドはアイテムボックスを使用しようと試みた。取り出したい物を思い浮かべながら手を差し出すと暗闇に呑み込まれた。実験は成功だ。

 グラリモンドがモモンガに預けていないアイテムが全てはそこに入っていた。見た感じではあるがアイテムの紛失は無い様に思える。グラリモンドはそこから皇帝神の絹高帽(カイザー・シルクハット)を取り出すと近くに置いた。もちろん神話級(ゴッズ)の装備である。

 

 相変わらずシャルティアは恍惚とした表情でグラリモンドを見つめ熱っぽい視線を送っていた。だがグラリモンドはそれを気にも留めず、否、緩んだ頬を引き締めつつ声を掛けた。

 

「誰が余をここまで運んだ?誰の指示じゃ?余に何があったのだ?順を追って話すが良い」

 

 第1、第2、第3階層守護者であるシャルティアが第9階層まで降りてきてグラリモンドの介抱をしているのだ。相当地位の高い人物なのだろう。アルベドかデミウルゴスだろうとグラリモンドは考えていた。

 しかし、シャルティアは正直言ってグラリモンドが失念していた、予想外の答えを返答した。

 

「モモンガ様がお倒れになったグラリモンド様を、御自身の寝室までお運びし御世話するよう妾に言いなんした」

 

 その言葉にグラリモンドはもの凄く興奮した。が直ぐに興奮状態が抑制される。なるほどこれがアンデッドの特殊技術(スキル)の一つか。グラリモンドは新たに知り得た事をまた一つ心の中のノートに書き込んだ。

 しかし、それよりも問い質さねばならないことがある。確かに普通に考えればあり得る話なのだが念には念を入れて聞いておいても損はない。

「…今、余の聞き間違えでなければ…モモンガと言わなかったか?シャルティアよ、答えろ」

 

「も、モモンガ様がグラリモンド様をここに御運びするようにいいなんした。今は玉座の間に、―!?そうだ、グラリモンド様!これを早く飲んでほしいでありんす」

 返答している最中にシャルティアは慌てて最上位神血秘薬(グレーテスト・デヴァインブラッド)を取り出すとグラリモンドに身を乗り出して差し出した。話している最中に思い出したのだ。

 最初訝しげな表情をしたがグラリモンドであったが直ぐに自身のステータスを思い出しそれを飲み干した。ちょうど、咽も乾いていたが一発で咽の渇きが吹き飛び、この世の物とは思えない美味がグラリモンドの舌を襲った。

 今までたくさんのスープや飲み物を飲んできたが、霞んで消えてしまいそうな程の衝撃である。

 

 感動のあまり呆然としてしまうグラリモンドであったが直ぐに気を取り直しシャルティアと向き合う。

 至近距離で目が合う二人。

 

「よ、余に対する供物、感謝しよう。ではモモンガの所に早く行こうではないか」

 

 布団から出つつグラリモンドは少々慌てながら言った。シャルティアは慌てて布団から身を引くと、壁にかけてある服を取りに行った。

 乱れたシャツのボタンを閉じ、スカーフを巻きなおすと、シャルティアは外套や燕尾服を持ってくるとうるうると潤んだ瞳で懇願するようにグラリモンドを見上げた。シャルティアのかわいさにグラリモンドは理性が大きくぐらついたが、何とか頷くことで返事をした。

 シャルティアは飛び切りの笑顔を浮かべると、

「畏まりんした、グラリモンド様!お召し物の着付け、このシャルティアにお任せください」

 と返事をし花が咲いたような、心から幸せそうな笑みを浮かべながらグラリモンドが服を着るのを手伝った。

 

 グラリモンドは若干照れくさそうにしつつ、シャルティアはほんの少しだけ発情したが恋する乙女の貌で作業をする。その二人の様子は傍から見るとただの主と従者の関係でなく、禁断の恋を実らせたカップルの様だった。

 

 漆黒の外套や至極色のベストに群青の燕尾服、細やかなアクセサリーをつけ終えると皇帝神の絹高帽(カイザー・シルクハット)を手に取った。どうやらユグドラシル時代とは異なり装備品の類はきちんと正当な手順を踏んで、身につける必要がるあるようだ。皇帝神の絹高帽(カイザー・シルクハット)に手を突っ込むとなから皇帝神の片眼鏡(カイザー・モノクル)血吸いの呪怨剣杖(ダーインスレイヴ・ステッキ)を取り出した。片や純金製の片眼鏡で、片や渋い見た目ながらも良く見ると見事な装飾が施された皇帝が持つにふさわしいアイテムである。

 皇帝神の絹高帽(カイザー・シルクハット)は課金アイテムをふんだんに使った装備品してバッグの様なものなのだ。帽子をかぶり片眼鏡(モノクル)を掛け、仕込み杖を右手に持つと、最後に勿体づけるように外套と燕尾服の襟と裾を直した。

 

 そんなグラリモンドの姿にシャルティアは顔を真っ赤に染めつつも拍手と称賛を送った。

「さすがはグラリモンド様❤、妾が支配できぬ御人。かっこいいでありんす❤」

 腰をくねらせていってるから世辞抜きに本心から言っているのだろう。グラリモンドは若干頬を緩めつつもアイテムボックスからリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを取り出すと自身の左手の人差し指にはめ込んだ。

 ナザリック内にある大抵の名前の付いた部屋なら転移できるギルメンにのみ渡されるアイテムである。本当はモモンガに治療に専念すると同時に主武装一式とこの指輪ごと返却する予定だったのだが、貴方はただ治療に専念するだけなんだから持っといてくださいと言われたので保管した居たのだ。

 

 グラリモンドはそれを万感の思いで見つめつつシャルティアにちょっとした意趣返しをした。グラリモンドの驚異的な身体能力に物を言わせあっという間にシャルティアに近づくと、

 

「ふふ、そうか?ありがとうシャルティアよ。だが貴様もかわいいぞ―」

 

 シャルティアの耳元でこう囁く。

 

「余が全てを食べてしまい程にな」

「はぁぁあん!ぐ、グラリモンド様ぁあ」

 その言葉にシャルティアは達してしまった。そして感極まってグラリモンドに抱き着いた。

 いや、絡み付いたというべきか、とにかく密着度合いが増したのだ。内心パニックになったがすぐに抑制されそのまま玉座の間に転移する事にした。

 杖を脇に挟むとシャルティアの膝に右腕を回しそのまま抱きかかえる。シャルティアは幸せメーターが吹っ切れて蕩けてしまう。

「ぐ、ぐらりもんどしゃまぁ❤」

 女の子って柔らかいななどと場違いな事を思い浮かべつつ気合を入れた。もし指輪の力を発動できず転移に失敗したらそのまま寝込んでしまう自信がグラリモンドにはあった。

 玉座の間の前ソロモンの小さな鍵(レメゲドン)の事を思い浮かべつつ指輪に集中する。グラリモンドはほくそ笑んだ。成功する確信を得たからだ。どうやって使えばいいのか直感的に理解できたのだ。

 そして特殊技術(スキル)の使い方も。皇帝の覇気や神のオーラ等の常時発動型特殊技術(パッシブスキル)を切るとグラリモンドは指輪の力を解放した。ここが異世界である可能性が高く同士討ち(フレンドリーファイヤ)が解禁されている可能性があるからだ。

 

 

 

 

 

 

 モモンガはそわそわしていた。グラリモンドの事が心配で心配で堪らないのだ。

 ただでさえ転移してきた事に驚いたのに、転移した矢先に血の飢えの発動である。何かあったらと思うと怖くてたまらない。もし起きていなかったら思うと伝言(メッセージ)も送れない。

 なし崩し的に忠誠の儀を中断したが為、再開する必要があるがモモンガの頭の中はグラリモンドの事で一杯なのだ。

 今この場にはアルべドしかいないがアルべドはどうする事も出来ずただモモンガを安心させるように傍に立つことしか出来なかった。

 大丈夫かどうか確認する為にアイテムボックスに手を伸ばしかけた瞬間、ソロモンの小さな鍵(レメゲドン)で何やらしゃべり声が聞こえてきた。

 

 幼い少女の様な声と、渋くて深みのある()()()()だ。モモンガはじっと玉座の間の扉を見つめる。

 どうか自分の聞き間違いではありませんように。そう願いながら静かかに固唾をのんで待っていた。アルべドも同様に玉座の間の扉を見つめていた。

 

 二人に見つめられる中、悪魔を象った大きな扉がゆっくりと開く。モモンガは歓迎の声をあげようと、祝福しようと口を開く。

 

「ふははは、久しぶりではないか、モモンガよ。余は今戻ったぞ!」

 

 高笑いをしながらグラリモンドは玉座の間に入った。胸を張り堂々とした、皇帝にふさわしい歩み方で真っ直ぐに脇目も振らずにモモンガに歩み寄っていく。

 ローファーの音が小気味よく鳴り響く中、

 

「何やってんだよ!エロジジイ!」

 

 と怒鳴った。仕方のない事である。アルべドでさえ口を開けずには居られない程、ショッキングな光景だったからだ。

 

 グラリモンドは右腕の上腕二頭筋にシャルティアの尻を乗せ、右手の掌でシャルティアの胸を()()()いたのだから。グラリモンド自身も心なしか頬が緩んでいるが、シャルティアは瞳を潤ませとろんとしており恍惚とした表情を浮かべており、抜群の色香を撒き散らしながらグラリモンドの首に抱き着いていた。




用語解説①

カルマ値[-700] 大罪級:大罪級というのは真なる吸血鬼の真祖(エルダー・トゥルーヴァンパイア)もしくは真なる悪魔の上位者(エルダー・ハイデビルア)真なる不死者(エルダー・ハイアンデッド)の種族を取得している場合のみ辿り着ける最上級の悪のカルマ値。全部で7種ありPC、NPC問わず9つのワールドにおいて7人のみ、獲得者を倒しても得られず取得方法は不明。グラリモンドの持つ〈傲慢〉は正・光・神聖攻撃脆弱Ⅶに対して(ネガティブ)エネルーギーの回復率3倍、物理攻撃42%増加の効果がある。

皇帝の覇気:真なる吸血鬼の真祖(エルダー・トゥルーヴァンパイア)1位(ファースト)〈皇帝(カイザー)〉のみが取得できる種族的特殊技術(スキル)の一つ。効果範囲内にいる眷属や味方の吸血鬼(ヴァンパイア)は種族問わず物理攻撃上昇Ⅴ、神聖攻撃耐性Ⅱ、全ステータス向上(57%)、吸血鬼の祝福を付与する。
 但し70レベル以下の存在は敵味方関係なく多大なダメージと弱体化を与える。またエフェクトがあり発動中は使用者が紫の瘴気を纏う。段階がありⅤの効果範囲は大体フィールド一つと等しい。
※ナザリック内に影響が出なかったのはグラリモンドの自室自体が一つのフィールド扱いだったからである。

神祖の邪眼(カスドデウス・アウゲン)新たなる吸血鬼の神祖(ニューバース・オールドヴァンパイアデウス)を最大まで極めた者のみが会得出来る吸血鬼系最上級の特殊技術(スキル)
 これには2種類の効果があり、()を開く事を条件に発動する効果は90レベル以下の即死で三日に一度しか使えなず、さらに使うと必要とする血液量が一時的にだが増加する。90レベル以上の吸血鬼(ヴァンパイア)には全9種ある加護の内1種が付与される。
 もう1種類は常時発動型特殊技術(パッシブスキル)で50レベル以下にランダムで2つ血にまつわる呪いを掛ける。異世界転移後は目を閉じれば2種類の効果が未然に防げることが判明しグラリモンドは常に右目を閉じた状態で生活す様になった。


血の飢え:真なる吸血鬼の真祖(エルダー・トゥルーヴァンパイア)以上の吸血《ヴァンパイア》が血の不足でなる状態異常の事。血の狂乱の2倍以上の悪影響がある。グラリモンドは新たなる吸血鬼の神祖(ニューバース・オールドヴァンパイアデウス)の影響でより凶悪にパワーアップされている。


アイテム紹介

最上位神血秘薬(グレーテスト・デヴァインブラッド):神の血という超レアなアイテムを大量に使用して作られる、真なる吸血鬼の真祖(エルダー・トゥルーヴァンパイア)が血の飢えを解消する為の最上級のアイテム。プレイヤーメイドのアイテムの中では一位、二位を争う難しさと希少さを誇る。



 あとがき

 次回はもうちょっと早めに上げたいと思います。あと、吸血鬼(ヴァンパイア)は肉体が生前に近い状態見た目なので、繁殖できないだけで性欲があり性行為が出来るのではと解釈させていただいたのですが、間違っているのならばご指摘のほどお願いします。

 では最後に、
 アインズ・ウール・ゴウン万歳!オーバーロードと栄えあるナザリックに栄光あれ!


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ロールプレイ兼入念な情報共有&リハーサル(?)

 皇帝ロールのグラリモンドに、アインズ様も乗っかる感じで魔王ロールがナザリックないでの素になります。まだカルネ村に訪れていないのでモモンガ呼びです。またプライベートでは砕けた感じでグラリモンドと過ごします。
 おまたせして大変申し訳ありません


 童貞であるモモンガにとってショッキングな行為を繰り広げていたグラリモンドとシャルティアは直ちに離れると、シャルティはもじもじし始め、グラリモンドは咳ばらいをする。

 

 モモンガとて病み上がりを甚振るつもりは全くなかった。しかし自分が死んでしまったのかと心配していた矢先にアレの光景だ。しかもモモンガの記憶が正しければ、グラリモンドは死獣天朱雀に並ぶギルドの年長者、つまり爺。シャルティアはどこからどう見ても幼女である。

 体型だけ見るならば成人と遜色ないが、モモンガとしては知りたくないギルメンの性癖を知ってしまった気分だ。つまり、

「グラリモンド・リオンクール・グルリスト皇帝よ、お前はロリコンだったのだな」

 

 アンデッドにも拘らず精神的に参ってしまったモモンガはそう呟くのが精一杯だったのだ。魔王口調で呟けただけまし、奇蹟と言える。

 

「―!?な、何を言う、モモンガよッ我らが纏め役!余は断じてロリコンではない。余の同族且つ余の爪先程度には強いシャルティアを気に入ってるだけで、…余は一体何を?」

 

 咄嗟に皇帝ロールで答える当たり流石はグラリモンドと言ったところだが、途中で何を言っているのか分からなくなり一旦言葉を切った。グラリモンドから見てシャルティアはかなり可愛い。

 性的嗜好がかなり似通ってるペロロンチーノが作ったNPCだけあってグラリモンドの好みにかなり近い。だから思わずいちゃいちゃしてしまったのだ、グラリモンドは悪くないったら悪くない。

 決してシャルティアを嫁にしようかななど少ししか考えていないのだ。

「グラリモンド様ぁ❤妾も、妾もグラリモンド様が大好きでありんすぅ❤」

 

 情欲に(まみ)れた姿を見て欲情などしてないったらしてない。だがグラリモンドはにやりとする。

「ほう、そうかそうか。シャルティアは余が好きか♪くふふふふふ、―ではなく骸骨ッ大事な事だからもう一度言うが、余は断じてロリコンではないぞ!」

 

 グラリモンドが何やら言っているようだがモモンガの耳に入らない。…まあ耳があるのかといわれれば断じて否だが、それはそれこれはこれである。モモンガですら皇帝称なしで呼べないのにシャルティアがごく当たり前の様に呼んでいる事実。これにモモンガは第二の衝撃を受けていた。思わず精神抑制が何度も何度も発動してしまった程だ。

 

 いち早く落ち着いたグラリモンドは、モモンガに手を差し出した。次に落ち着いたモモンガはその手を取る。

 モモンガの常時発動型特殊技術(パッシブスキル)負の接触(ネガティブ・タッチ)を切ったのか、それとも同士討ち(フレンドリーファイヤ)が禁止されているのか分からないが取敢えずダメージを負った感じはない。

「只今戻ったぞ、モモンガよ。我らが纏め役、死の魔王。余はすこぶる快調である」

 さて色々とどう事実の埋め合わせをしよう、そう考えながらグラリモンドはそう言った。

「よくぞ戻った、我らが皇帝よ。…先程は済まなかったな、色々と。だが私は嬉しいぞ」

 以外と皇帝ロールが楯についているようだなと思いながらモモンガは言った。そして伝言(メッセージ)を使う。

 

『もしもし、グラリモンドさん。聞こえますか?』

 伝言(メッセージ)がグラリモンドにしっかりと繋がったのを確認するとモモンガは声を掛けた。

 頭に糸が絡み付いたような妙な感覚に戸惑いながらも聞こえてきた声にグラリモンドは応える。

『…これは伝言(メッセージ)でいいんだよな?あと皇帝(カイザー)を忘れるなよ、骸骨。この敬称はお前達、仲間と勝ち取った俺の宝だ』

『さすがですね、カイザーグラリモンド…さん。ええ伝言(メッセージ)ですよ』

『やはり魔法と特殊技術(スキル)は思念により発動するのか』

 グラリモンドは納得する。そして、モモンガと情報のすり合わせをする事にする。ほんのちょっぴりだけ嬉しいことが聞けて思わずモモンガの頬は―骸骨であるが故存在しないが、緩んでしまう。

 

「ふん、余がロリコンではないと理解したのなら許そうぞ。して、モモンガよ。余に何があった?」

『こっちで細やかな情報のすり合わせをするぞ』

 伝言(メッセージ)と同時にグラリモンドはそう言った。モモンガは一瞬焦るがNPC達の手前、平静を装りつつ返す。

 

「あ、ああ。何階層守護者各位とアルべド、セバスを含めて情報の共有をしている最中に貴様が現れてな。血を呑ませてシャルティアに看病させた次第だ。勿論、第4、第8の守護者は除いたぞ」

『急に同時に喋らないで下さいよ。…こっちに来ているってことはインしたって事ですよね?体調の方はどうなんです?』

 

「成程、確かにあそこやアレらに何か不測の事態があれば、流石に余の手にも余るしな。階層守護者風情には敵わぬ話よ」

『リアルの事だよな?末期だぞ、末期。一応言っとくが戻る気ないからな。お前もだろうけど』

 

 グラリモンドの言葉にシャルティアとアルべドは体を震わせた。至高の御方に見捨てられるのでは、と邪推したからだ。恐る恐るアルべドが口を開いた。

 

「お、畏れ多くもカイザーグラリモンド皇帝閣下、不興を買うことを覚悟で申し上げます。もし私どもが目障りなら即座に仰ってください。速やかに自害します。ですのでどうか、どうかナザリックを去らない様にお願いいたします」

 

 そのアルべドの言葉にグラリモンドは思わず沈黙する。

『あまりそういうこと言わないでください。此奴ら忠誠心異常なまでに高いんで』

 

「…何、気にするでない。余とモモンガ、至高の41人は貴様らより圧倒的に強いだけの事よ。皇帝である余が手こずるやも知れぬのだ。貴様らに解決を求めるのが土台無理な話。この世の摂理というもの」

『そう見たいだな。シャルティアの様子からしてもしやとは思ったがな』

 

 グラリモンドは気まずい空気を払拭するために咳払いをした。

 

「ところでモモンガよ。これからナザリックについて語らいたいのだが、アルべドらがいても構わぬな?」

『モモンガは魔王ロールに不慣れと見える。ボロが出ない為にも丁度いい練習機会だと思うんだが?伝言(メッセージ)の方で今いる()()についての情報を共有しよう』

 

 グラリモンドの無茶ぶりにモモンガは内心、狼狽えたがアルべドとシャルティアがキラキラと目を輝かせている。何だか非常に断り辛い空気だ。しかもこちらの痛い所を的確に突いてくる。モモンガは仕方なく認める事にする。

 

「あぁ構わないさ。アルべドにシャルティアよ、お前達が我らの話し合いの場に居る事を許可する。だがカイザーグラリモンドよ、座る椅子がないがどうするのだ?」

 

 その言葉に何やらグラリモンドは笑みを深めた。

 皇帝神の絹高帽(カイザー・シルクハット)を頭から取るとグラリモンドは右手を帽子の中に入れ、見事な装飾の施された高級な、真紅のふわふわなクッション付きの椅子を取り出すと、それに腰掛けた。

 

 右腕を肘宛てにのせ頬杖を付き、足を組みなかなか堂々とした、皇帝然とした座り方である。流石は複合企業の役員であっただけある。モモンガは思わず見とれてしまった。シャルティア何て見とれるを通り越して濡れてしまっている。そんな中、グラリモンドは口を開いた。

 

「何、余も椅子ぐらい常に持ち歩いている。余が皇帝神の絹高帽(カイザー・シルクハット)には大抵の物が揃っておるわ。…そうだシャルティアよ。何故かは知らぬが急に身体が疼いてきた。血では無い事は確かなのだが揉んではくれぬか?」

 

 そう丁度何故かは分からないが急に身体が疼いてきたのだ。決してシャルティアに揉ませるために椅子を取り出したのではない。あくまで偶々である。

 

「畏まりんした、グラリモンド様ぁ❤このシャルティアにお任せでありんす♪」

 

 シャルティアが鼻息荒く気合充分に揉んでくれる事に期待したわけではない。頬を朱色に染め上げ艶やかな声音でグラリモンドにそう囁き、シャルティアはグラリモンドグラリモンドの身体を揉み始めた。

 時々艶めかしい声を挙げながら幸せそうな顔をして揉むシャルティアに、気持ちよさそうな顔をするグラリモンド。そして何故かこちらをじっと見つめてくるアルべドをモモンガは無視した。

 

「魔法は問題なく使えるのか?カイザーグラリモンドよ確かめてくれ」

『たぶん大丈夫だと思いますけど一応試してみてください。にしてもカイザーグラリモンド…さんは本当に優秀ですよね。起きて間もないのにいろんなことを把握してるなんて』

 

「…ふむ、魔法か。ちと待っておれ。試してみよう」

『…こんなの忌まわしい社会の成果だ。お前だって俺からしたら優秀だぞ。小卒でよくここまでギルドを支えてきたもんだ。…ここって何処だ。ユグドラシルではないんだろ?』

 

 グラリモンドは使えそうな適切な魔法を探し始める。ロール重視のため習得している魔法は思いのほか少ないが、そのぶんどれもが強力で癖が強い。

 その中から試し打ちにふさわしい尚且つこのような超密集体型でも使える魔法を探すのは中々に骨が折れる。

 

『まだ分かりません。けどユグドラシルではないのは確かです』

 

 ふむ、魔王ロールというか、俺に対する遠慮が無くなるにはまだまだ時間が掛かるっぽいな、グラリモンドはそう思いつつ、試し打ちに相応しい魔法を見つけた。同時に同士討ち(フレンドリーファイヤ)が解禁されたのかも分かる優れものを。

 

 成程、どうやら魔法も特殊技術(スキル)同様自分に備わっている力であり思うように使えるらしい。コンソールを介さない分使い勝手が上がったかも知れない。いやむしろ自由度が大幅に上がったと云うべきか。

 グラリモンドは指を鳴らすと同時に魔法を使う事にする。

 

 パチンと乾いた音が響くと、同時に無詠唱化した流血の焔(ブラッドシェッド・フレイム)が発動した。

 

 蒼い瘴気を纏う脈動する焔が宙に現れた。心臓の様にそれは脈動し微かだが鼓動のような音が聞こえてくる。そしてアルべドとシャルティアの口と耳から血が流れ出てきた。

『っげ、マジかよ』

 今回グラリモンドが使った魔法は第9位階に属し、吸血鬼のみが習得できる魔法で相手に出血というバッドステータスを与える魔法なのだ。だがここまで描写がリアルになるとはさしものグラリモンドも夢にも思わなかった。その光景に当然、モモンガは切れた。

 

「何をやっているんだッ爺!」

 モモンガの怒声にグラリモンドは慌てて魔法を消すと謝罪した。今思えばギルメンの作り上げたNPC達を実験台に使うなんて信じられない暴挙だ。グラリモンドは誠心誠意、謝罪の意を言葉に込めた。

 

「大変申し訳ない。我らが子らを傷付ける真似をしてしまってな。今のは皇帝である余にとって許されぬ暴挙。深く謝罪する。シャルティアよ、済まなかった」

『…同士討ち(フレンドリーファイヤ)が解禁されているっぽいな』

 

「許すとも我が友よ。今思えば貴殿に対して魔法を使えなどと言った私の方こそ悪かった。お相子だ。なぁアルべドにシャルティアよ」

 

 その言葉にアルべドとシャルティアは何度もしきりに頷いた。何ならシャルティアの方は濡れている位である。

 その様子に若干安堵するグラリモンドであったがその後に続いた言葉に恐怖する事になる。

 

「だがなグラリモンドよ。アルべドらは我らがアインズ・ウール・ゴウンの宝なのだ。二度と不用意に傷づける事がないように是非とも気を付けてくれ。次やったら日光に晒すからな」

 

 その後も会話は続き、これからについて入念なリハーサルもついでに行った。これで恐らくボロが出る事は無いだろう。

 モモンガが満足気に頷く中、今後軽はずみにNPC達を傷付けない事をグラリモンドは固く胸に誓うのであった。

 

(シャルティアに対する謝罪、どうしようか?嫌われたらどうしようか?)




 書きたいシーンがたくさんあるけど本作品が追いつかない。はぁ

アインズ・ウール・ゴウン万歳!!!!!
ナザリックとオーバーロードに栄光あれ!!


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