遊戯王ARC-V Rーe:birth (深海の破壊大帝)
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序章 異物の動かす振り子

初投稿です。


 一人の少年が母親と一緒に窓越しに行われる戦いを見ている

 桜が舞う小川の上に架かる橋の上、鋼鉄で出来た赤と青の鎧武者

 そしてその主人である白い制服を着た大柄な少年

 少年は自らの腹心を呼ぶために二体の鋼鉄の武者に指示を出す

 

「俺は超重武者ワカONIとソード999をリリースし、超重武者ビックベン―Kをアドバンス召喚!!」

 

ビックベン―K「ウオオオォォォ!!」

       DEF3500

 

 現れたのは先ほどいた二体よりも巨大で白と橙を基調としたカラーリングの鋼鉄の武者

 

「さぁ、遊矢!!

 この男、権現坂の一撃を受けて見よ!!

 ビックベン―Kで遊矢にダイレクトアタック!!」

 

 鋼鉄武者、ビックベン―Kは主の命を聞き届け

 背中のバーニヤを吹かしながら薙刀を振るい突撃するが

 

「リバースカード、超カバーカーニバル発動!!」

 

 突如響く第三者の声、ビックベン―Kの前に現れるのは

 

EM(エンタメイト)ディスカバー・ヒッポ「カバー!」

            DEF800

 

 この場に似つかわしくないシルクハットをかぶったピンク色のカバと

 

カバートークン(橙)「カーバ」

        DEF0

カバートークン(黄)「カバ」

        DEF0

カバートークン(青)「カァバァ」

        DEF0

カバートークン(緑)「カバアァァ!!」

        DEF0

 

 サンバ衣装を纏った4匹の色とりどりのカバたち

 カバたちは主を守るためにビックベン―Kの注意をそらす為に激しく踊る

 

「くっ!それを伏せていたか・・・

 相変わらず抜け目のない、だったら緑色のカバートークンを攻撃だ!!」

 

ビックベン―K「ハァァァ!!フンッ!!」

 

カバートークン(緑)「カバアアババァァァ!!」

 

 ビックベン―Kが薙刀を振り下ろすと緑のカバートークンは絶叫を上げて消滅した

 

「あったり前だろ、権現坂?伏せカードがブラフだけなんてそうそうないって

 さぁ、次の手はどうする?」

 

 飄々とした態度で橋の先にある門の上に月をバックに立つ少年

 昇と同じ白い学生服をマントのように羽織りうっすら笑う、緑と赤の混じった髪をもつその少年

 榊 遊矢は対峙する親友、権現坂 昇に挑発するように急かす

 

「俺はこれでターンエンド、さぁどこからでもかかってこい!!」

 

 飄々とする遊矢と熱く拳を握る権現坂

 そんな2人を観戦している少年は母親とその隣にいる中年代の男

 彼らが居る決闘(デュエル)塾、遊勝塾の臨時塾長、柊修三に質問する

 

「ねぇ?なんで、モンスターじゃなくてトークンを攻撃したの?

 それに相手のお兄ちゃんのモンスター守備表示みたいだけど、召喚したモンスターは攻撃表示かセットしかできないんじゃないの?

 そもそも、守備表示なのになんで攻撃しているの?」

 

「ははっ、質問攻めだな。

 じゃあ1つずつ答えていくぞ~

 超重武者ビックベン―Kは召喚時に守備表示になる効果を持っていて、さらに守備表示のまま攻撃できるんだ。

 おまけに守備表示のまま攻撃するとき守備力を攻撃力として計算してバトル出来るんだ」

 

「えぇ!?それって実質攻撃力3500のモンスターってこと!?」

 

「その通りだ!

 それに表示形式そのものは守備表示だから、ミラーフォースみたいな、攻撃表示に効果を及ぼすカードにも強いんだ!

 

 それと遊矢の使った超カバーカーニバルなんだが、デッキ、墓地、手札からEMディスカバー・ヒッポを特殊召喚し、さらにカバートークンを自分フィールドに可能な限り特殊召喚出来るカードなんだ。

 さらに相手はこのターン、カバートークン以外攻撃対象にできなくなっている。

 

 まぁ、代わりにカバートークンが存在する限り、遊矢はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚出来なくなっているがな。

 さぁ、ここから遊矢がどう返すか・・・見ものだな。」

 

「俺のターン、ドロー

 さぁ、このターンで幕引きと行こうか!

 俺はマジックカード、ミニマム・ガッツを発動

 俺のモンスターを1体、ディスカバー・ヒッポをリリースして、ビックベン―Kの攻撃力を0にする」

 

ディスカバー・ヒッポ「ヒポッ!」

 

 ディスカバー・ヒッポは主人の勝利の為に爆走し、自分の体の3倍はあろうかと言うビックベン―Kに突撃する、残った仲間が勝利を掴むと信じて

 そして、ディスカバー・ヒッポの決死の特攻を受けたビックベン―Kは自身の動力部に違和感は感じたが平然とした様子だった

 

ビックベン―K ATK1000→0

 

「何と無駄なことを・・・ビックベン―Kは守備表示、攻撃力を下げたところで無意味だ!」

 

 決死の特攻で散った仲間の献身を無駄にするようなまねをする遊矢に権現坂は憤る

 だが、月の光を背に腕を組む遊矢は不敵に笑っていた

 

「それはどうかな?

 リバースカードオープン!トラップカード、反転世界(リバーサル・ワールド)!」

 

「何!?それは最初のターンから伏せられていたカード!!」

 

「言っただろ?伏せカードがブラフなんてそうないってさ

 このカードの効果でフィールド上の効果モンスターの攻守は逆になる!」

 

 ビックベン―Kが感じていた違和感は遊矢のその言葉を受け、動力部の暴走と言う事態となって発現する

 自身の体に膨大なパワーが宿るのを感じるが、その有り余るエネルギーはビックベン―Kの堅牢なボディを内側から破壊していく

 

ビックベン―K DEF3500→0

        ATK0→3500

 

「なっ!?ビックベン―Kの守備力が0に」

 

「これでフィナーレだ!

 行け、カバートークン!ビックベン―Kに攻撃だ!」

 

 カバートークン達は遊矢の命令を受け、暴走するビックベン―Kに向かっていく

 ビックベン―Kは迎撃しようとするが制御の利かない体では見かけによらない軽やかさで舞うように動く、カバートークン達を捉えることは出来なかった

 

「カバートークンの攻撃力は0、攻守0同士ならば戦闘ダメージはないぞ、遊矢!!」

 

「いや、そうでもないんだな~これが」

 

 憤る権現坂に対して飄々と答える遊矢は自身の足元に伏せられているカード

 アクションカードに手を掛ける

 

「よし、アクションマジック、エクストリーム・ソード

 フィールドのモンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップ!」

 

「なんだと!?」

 

 ビックベン―Kの攻撃をかわし続けていたカバートークン達の内の一体が背後に回り込み、いつの間にか持っていたナイフをビックベン―Kの中心、動力部に突き刺す

 

ビックベン―K「グオッ!!」

 

「くっ!だがビックベン―Kは守備表示、ダメージはな」

 

「ミニマム・ガッツのもう1つの効果

 効果対象モンスターが戦闘で破壊され相手の墓地に送られた時

 そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える」

 

「なっ!?」

 LP1000

 

「ジャストキル達成だ。」

 

――パチンッ!

 

 そう言って遊矢が指を鳴らすと、カバートークン達は遊矢の下に下がり

 暴走状態に追い打ちを掛けられたビックベン―Kは爆散し、権現坂を吹き飛ばす

 

「うおおぉぉぉ!!」

 LP1000→0

 

 体を打ちつけて転がる権現坂、そのライフポイントが0になると、月夜の橋舞台は光と共に崩れていき、無機質なドーム状の空間にかわる

 

「おいおい、大丈夫か、権現坂?」

 

 手を伸ばす遊矢だがそれに権現坂は待ったをかける

 

「勝者の情けなどいらぬ。これも俺が未熟だっただけのこと、心配は無用だ」

 

 何とでもないとばかりに起き上がる権現坂、それに苦笑いする遊矢

 これがこの塾の何時もの光景である

 そのいつもの光景を見ていた少年、山城タツヤは興奮した様子で修三と自分の母親に言う

 

「すごい!!あんなに強力なモンスターをトークンで倒すだなんて!!」

 

「あらあら、この子ったら

 ふふ、息子もこの調子ですし、塾長さんよろしくお願いできますかしら?」

 

「はい、任せてください!

 我らが遊勝塾の熱血指導で立派なデュエリストにしてあげますともハッハッハッ!!」

 

 目標が出来たことで瞳を輝かせる少年タツヤと

 息子の未来が広がったことに喜ぶ母と新たな生徒を迎えることが出来たことに笑う修三

 喜びがあふれるその空間、それを横流しで見つめる視線の先

 榊遊矢の胸中は焦りに近いものが渦巻いていた

 

『山城タツヤの塾見学、つまり第1話冒頭か・・・

 はぁ~あの様子だとだいぶ展開が変わりそうだけど、どうなることやら』

 

 内心でため息を吐く遊矢、いや榊遊矢になってしまった者

 そう、これは紡がれた物語に入り込んでしまった異物の物語

 そして、その異物によって運命を変えられた者たちが紡ぐ物語

 止まってしまった振子が再び動き出す物語、その物語の序章なのである




思えば、これが最初の中断デュエルだった


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謎の決闘者 狂った道化師

たぶん遊戯王世界はカード1枚を買うにしても莫大なお金がいる。


――質量を持ったソリッドビジョンの実現により生まれたアクションデュエル――

――モンスター、そしてデュエリストが一体となったこのデュエルは人々を熱狂の渦に巻き込んだ――

 

「巻き込まないでほしかったんだけどな・・・」

 

「ん?どうしたの遊矢?」

 

「いや、なんでもないよ、柚子。」

 

 目の前のピンク髪の少女、『柊柚子』が俺に話しかける

 いかん、独り言が口から洩れたようだ

 

 俺がこの世界に来てから記憶で言えば10年と言ったところだろうか

 これが本編と同じ世界観なら世界が再構築されたのも10年ほど前なのだろうか?

 

 『遊戯王ARC―V』遊戯王テレビアニメシリーズ第5作目にして

 新たな召喚法『ペンデュラム召喚』が登場し、主人公 榊遊矢はその召喚法を使い、別次元からの侵略者と戦いながら

 父 榊遊勝から受け継いだ『エンタメデュエル』で人々に笑顔を与えながら成長していく

 大まかな流れで言ったらこんな所である。

 だが、問題は主人公 榊遊矢の正体――

 

「ちょっと遊矢!?」

 

「ん?な、何だよ、柚子?」

 

「本当に大丈夫?妙に考え込んじゃって」

 

「い、いや、今日来てくれたあの子、入塾したんだろ?

 修三さんと俺だけで講師の人数足りるのかな~って思ってさ」

 

「ん~そうね。

 たしかに2クラスに分けて講義するのも・・・これ以上は厳しいわね。

 講師のバイト募集の張り紙でも出そうかしら?となると出せるバイト代は・・・

 いや、でも講師を増やしたって場所が・・・」

 

 どうやら柚子を思考の海に沈めることに成功したようだ

 これなら10分は戻ってこないだろう

 

 俺の10年より前の記憶

 それはこの世界と似たような世界がアニメとして放送されていた世界である

 この世界の様にデュエルが様々な物の中心となっている世界ではなく、

 ただの普通のカードゲームとして存在する世界、OCG次元とでも呼ぼうか

 俺はその世界で生きる、ただの遊戯王好きの男だった

 

 今や覚えているのはそれだけ、死んだ記憶もなければ、時空の狭間に落ちたわけではない

 いや、記憶がないだけかもしれないが・・・

 とにかく気づくとこの世界に居て『榊遊矢』となっていた。

 物語の主人公である『榊遊矢』に、つまり

 

「おーい!遊矢!!お客さんだぞ」

 

 厄介事が舞いこんで来るわけだ

 大声でこの休憩室に入ってきた、この遊勝塾の塾長代理『柊修三』

 そして、その後ろから入ってきた黄色と黒の縞模様のスーツを着た揉み上げとサングラスが特徴的な男

 

「やぁやぁ、キミが榊遊矢君ですか~お会いできて光栄です。

 あ、申し遅れました。

 ワタクシ、アクションデュエルの現役チャンピオン

 ストロング石島のマネージャー兼プロモーターをしております

 ニコ・スマイリーと申します。」

 

 胸に両手をクロスさせた独特のお辞儀をする胡散臭そうな風貌の男『ニコ・スマイリー』

 やっぱり来たか・・・

 

 原作との相違点として俺以外に上げられるのはまず、遊勝塾の経営が傾いていないことだ

 もちろん、最初は広告塔兼塾長である『榊遊勝』が失踪し閑古鳥が鳴いていたのだが

 元々若干コアなOCGプレイヤーだった俺が臨時講師として教え出してから、生徒の人数が回復というか、若干オーバー気味になってしまったのだ。

 卑怯者の息子のレッテルはどうしたんだ?

 まぁ、エクストラデッキを使う召喚法を教えている塾がまだ少ないのもあるだろうが。

 

「LDSのイメージキャラクターを務めるストロング石島の、そのファン感謝デーにぜひ遊矢君をお招きしたいのです。」

 

「俺が、ストロング石島と?」

 

「そう!戦えるのです。

 3年前の戦いを貴方に継いで欲しいのです!」

 

 独特の口調と仕草でそれとなくこちらを呷ってくるニコ・スマイリー

 チャンピオンのプロデューサーの名は伊達じゃないな

 煽っているが嫌味さは感じない

 

『ストロング石島』現役アクションデュエルチャンピオンにして

 レオ・デュエルスクール、通称LDSのイメージキャラクター

 3本の角のようなヘヤースタイルと肩パットを装着したマッチョな大男

 世紀末な風貌だが性格は誠実で堂々としている

 使用デッキは『バーバリアン』となかなかコアな人

 

 3年前、原作通り、彼との王座決定戦で当時チャンピオンだった榊遊勝が失踪したことにより

 ――チャンピオンに『なってしまった』男

 

「ほれ、この通り、準備は万端整っております。」

 

 そういい

 ニコ・スマイリーの懐から出されるファン感謝デーのポスターの端っこに、ご丁寧に顔写真付きで『≪スペシャルマッチ≫ 伝説再び―榊遊勝の息子 榊遊矢君がチャンピオンに挑戦!!』と書かれている。

 

 逃げ道を潰してきているな、こいつ

 まだ一般未公開だろうが、デュエリストとしてなら受けない訳がない

 受けるの了承したら大々的に配布するつもりなんだろう

 

「どうするの、遊矢?」

 

 不安そうにこちらを見つめてくる柚子

 俺は少し考えようとしたら、突如として勢いよく扉が開いた

 

「ならん!!遊矢を倒すのはこの俺!権現坂昇だ!!」

 

「あ~ら、まだ帰って無かったのか、権現坂」

 

「3年前のことを持ち出したあげく、遊矢を当て馬にし見世物にしようなどと卑劣な考え

 この男、権現坂が許さん!!」

 

 勢いよく登場した権現坂、鼻息荒く興奮している様は暴れ牛か暴走機関車の様だ

 

「お~っと、これは権現坂道場の跡取り、権現坂昇君ではありませんか。

 さすが遊矢君、御顔が広いようで・・・」

 

 権現坂の事を知っているということは、俺のことはいくらかリサーチ済みか

 さすがレオ・コーポレーション

 

「たしかに、現役チャンピオンであるストロング石島と、ジュニアユースクラスである遊矢君では実力に差があることではありましょう。

 ですが、ワタクシは観客をあっ!と言わせるような、実にいいデュエルが出来ると確信しているのであります。」

 

 確信ねぇ・・・と言うことはあれの事も知っていそうだな、このニコちゃん。

 

「まぁまぁ、落ち着けって権現坂

 ニコちゃんもこう言ってくれていることだしさ

 それに俺が『当て馬』ぐらいにしかならないと思ってんの?」

 

「うっ、それは・・・」

 

「それに受けるか受けないかは遊矢君の気持ち次第、どうしますか遊矢君?」

 

 俺の言葉で少しは頭が冷えた様子の権現坂と呷り全開のニコ・スマイリー

 そして心配そうに見つめてくる柊親子

 まぁ、受ける気ではあるが・・・

 

「で、報酬は?」

 

「はい、もちろんご用意させていただいております。

 ご承諾くださいましたら、お礼としてレオ・コーポレーション社製の最新式リアルソリッドビジョンシステムをお納めさせていただきます。」

 

「「MA☆JI☆SU☆KA☆!!」」

 

 目に星入れて興奮する柊親子

 まぁ、型落ちの奴を修理して使っているんだから仕方がない

 この前は柚子が操作パネルぶっ叩いて壊したから、修理するのに苦労したし・・・

 渡りに船とはこのことだな

 

「わかった、了承しよう。

 ついでにうちの型落ち品を買い取ってくれると助かるんだが?」

 

「おぉ~なかなかに商売上手ですね、遊矢君

 わかりました、手配しましょう。」

 

 即決し握手を求めてくるニコちゃん

 まぁ、『いくらで』とは言ってないし強制もしていないから当たり前か

 数万にもなれば十分だろう

 商談成立の合図としてこちらも握手に応じる

 

「ところで別に勝ちそうになったら、わざと負けろとは言わないよね、ニコちゃん?」

 

「えぇ、もちろんでございます。

 チャンピオンはそういうのはお嫌いですからね、狂った道化師(マッド・ピエロ)殿」


――ワアアアアァァァァァァァァァ!!

 沸き立つ観衆、跳び立つバルーン、踊るチアガール、応援のためのフラッグや幟まで出ている

 会場である舞網スタジアムは超満員、そしてこれから行われるのは

 

「いよいよ、本日のメインイベントのお時間がやってまいりました。

 チャンピオンのストロング石島に挑戦いたしますのは~

 あの伝説のデュエルスター榊遊勝の一人息子、榊遊矢君であります!」

 

 ニコ・スマイリーの司会で今か今かとボルテージを上げる観衆

 人々が望むのはチャンピオンの新たな栄光の1ページか、卑怯者の息子の粛清か

 

「このスペシャルマッチはアクションデュエルの公式ルールに則って行われます。

 フィールド魔法 辺境の牙王城を発動!」

 

 ニコ・スマイリーの手にカードが現れ光が漏れる

 無機質で殺風景だったスタジアムに一瞬にして、鬱蒼とした森とそれに囲まれた岩の城が出現した

 

「見てください、この本物と見まごうばかりのリアルな質感!

 これがLDSの誇るソリッドビジョンシステムです!!」

 

―コツッ!

 歓声や司会、BGMが鳴り響く中でも存在感のある足音

 発生元は森の中に立つ城の天辺

 そこには3本の角のような紫色の髪をし目に赤いペイントをした、蛮族の王と呼ぶにふさわしい大男が立っていた

 

「おぉっと!!あの城の上に現れたのはー!!

 この3年間、アクションデュエルの頂点に君臨し続ける

 最!強!王者!!ストロング!石島だ!!」

 

「ウオオオォォォぉォォ!!」

 

―ウオオォォォォォ!!

 ニコの紹介と共に力強い雄叫びを上げるチャンピオン ストロング石島

 観客たちもそれに合わせて歓喜の雄叫びを吠える

 が、そんな中でなかなか乗り切られていない集団もいた

 

「す、すごい盛り上がりね、お父さん・・・」

 

「そ、そうだな、柚子・・・」

 

「うむ、さすがは現役チャンピオンと言ったところだな。」

 

 柊親子は石島ファンのノリに気押され、権現坂はいつもの調子である

 

「で、遊矢の調子はどうなんだ?」

 

「それがね

 ちょっと準備してくるって、すぐに控室出ていっちゃったから、よく分からないの」

 

「準備とはなんだ?」

 

「さぁ~?私に聞かれても分からないわよ」

 

「さぁ!その最強王者に挑むのは若きチャレンジャー!榊!遊矢ー!!」

 

「おっ!やっと遊矢の登場か・・・って、あれ?」

 

 対戦者が昇ってくるはずの階段、修三がそこに目を向けたが誰の影もなかった

 

「ゆ、遊矢君!どうぞ!!」

 

 ニコが名前を高らかに宣言するが遊矢の姿はどこにも見当たらない

 会場の誰もが3年前と同じか、逃げたのか、やっぱり親子そろって卑怯者だと罵りはじめ

 それが柚子の癇に障り、罵る者に何処からか出したハリセンで殴りかかろうとするが

 

『おいおい、カメラさ~ん、何処写してんの~?』

 

「「「遊矢!?」」」

 

 突如として会場のスピーカーから発せられる少年の声

 

『卑怯者だとか何だとか勝手に言っちゃってくれてさ~

 あの親父と俺とは何にも関係ないよ。』

 

「この声は・・・まさか!?」

 

 スピーカーから流れる声に城の天守で堂々と仁王立ちしていた石島に動揺が走る

 

『お~い、まだ見つけらんないの?

 こっちだってば!こっち』

 

 会場に備え付けられたカメラが声の主の姿を捉えようとあちこち映し出す

 観客たちも何処だ何処だと、会場を見渡し始める

 

「さっさと出て来い!榊遊勝の息子!!チャンピオンに対する礼儀も知らんのか!!」

 

 動揺を隠そうと石島は怒りの声を上げて、何処ともしれない声の主にぶつける。

 

『おや、チャンピオンもお分かりでない?仕方がないなぁ~』

 

 その返答があった後、石島は背後に異様な気を感じその場から飛びのく

 そこに居たのは口が三日月の様に裂けた白い仮面を付けた黒いピエロ

 

「貴方の後ろだよ」

 

「やっぱり、てめぇか!!狂った道化師(マッド・ピエロ)!!」

 

 怒りが混じる声で黒いピエロの名を叫ぶ石島

 その名を聞いた観客たちにも動揺が走る

 

狂った道化師(マッド・ピエロ)だって!?」

 

「あの、大会荒らしの・・・」

 

「なんであいつが居るんだ?」

 

「ななな、なんとー!

 あれは7年物の間、各地の大会に出没し、無敗を誇る謎のデュエリスト!!

 狂った道化師(マッド・ピエロ)だー!!」

 

「おや、俺ってば有名人?チャンピオンに名前を憶えてもらっているなんて光栄だなぁ~」

 

 茶化すようなセリフを吐く、狂った道化師(マッドピエロ)に石島は怒りを表す

 

「て、てぇめぇ!忘れたとは言わせんぞ!5年前の屈辱を!!」

 

「5年前?あぁ、あの大会に居た大男さんか・・・

 トラップモンスターで羽目殺しにしたんだったかな?

 いやぁ~立派になったねぇ~」

 

「そうだ!息子を引っ張り出せば榊遊勝が出てくると思ったが、まさかお前が出てくるとはな!!

 ディスクを構えろピエロ野郎!!あのときの借りを利子をつけて返してやるぜ!!」

 

「おやおや、もしかしてニコちゃんってば、チャンピオンにも伝えてないのかな?

 人が悪いねぇ~」

 

「なに?」

 

 ディスクを起動させ臨戦態勢に入る石島だが狂った道化師(マッド・ピエロ)の言葉でニコをにらむ。

 

「あ、いや、その」

 

「まっ、いっか!では盛大にネタばらしと行きますかね!!」

 

 狂った道化師の黒い衣装と白い仮面が取り払われ

 白を基調とした舞網中学の制服を着崩した赤と緑の髪を持つ少年が姿を現す

 

「どうも~狂った道化師(マッド・ピエロ)こと、榊 遊矢

 チャンピオンの招待にはせ参じました。」

 

 仰々しく見事な礼をする遊矢

 突如明かされた長年謎に包まれてきた大会荒らしの正体に石島も観客も

 そして、柚子たちも動揺を隠せない

 

「お前が・・・榊遊勝の倅?

 あの、狂った道化師(マッド・ピエロ)がこんなガキだと・・・

 だったら、俺はこんな子供に負けたのか・・・?」

 

 動揺を隠しきれない石島、これでは前に進まないなと思い喝を入れる

 

「子供だからって馬鹿にしないでくれるかな?

 デュエルの世界で年齢なんて大した差にならないはずだよ

 どんな相手でも最後は勝ったか負けたかでしょ?」

 

「くははははは!!そうだな!だったら、今度は勝たしてもらう!

 5年前の俺と同じだと思うと痛い目を見るぞ!!」

 

「そうそう、ノリが悪いと倒し甲斐がないからね、っと!」

 

「おぉっと!いきなり意外な展開になりましたがとにかく役者はそろいました。

 さぁ、双方手札を5枚ご用意を!

 戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が地をけり宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!

 見よ、これぞデュエルの最強進化系!アクションー!!」

 

 2人がデュエルディスクを展開したのを見計らい

 ニコがオーバーなアクションで開始の宣言をする

 世界を巻き込む、始まりの戦いの合図を

 

 

 

「もう、まったく遊矢ったら・・・そんなに前からそんなことをしていたのね。」

 

「うむ、俺も初耳だったぞ。」

 

「いや~俺も知らなかったんだよ~

 遊矢がそんなことをしているなんてさ

 それに情け容赦無用で大会を荒らしまくるって噂の賞金稼ぎ、狂った道化師(マッドピエロ)なんてさ」

 

 正体をばらした後、柚子と権現坂は修三に詰め寄っていた

 もっとも修三が答えることが出来たのはそんな、当たり障りのない事だったが

 そして渦中の人である遊矢もニコがオーバーアクションで司会をしている中

 別のことを考えていた

 

(このデュエルがペンデュラム召喚が初めて世に出るデュエル・・・

 つまりペンデュラムさえしなければ、ややこしい事態を加速させずに済む。)

 

「それにこんな大事なデュエルなのに・・・

 大事なカードをデッキに入れ忘れるなんて、

 枚数制限でエラーが出たらみんなに笑われちゃうわ。」

 

「ん?それはどういう事だ、柚子?」

 

「それがね。」

 

(そして、今回用意したデッキはペンデュラムモンスターになりそうなカードを)

 

「星読みの魔術師と時読みの魔術師を」

 

(抜いてきた!!)

 

「入れ忘れていたから、戻しておいたわ」

 

 舞台の流れは1人の意志程度じゃ変えられない

 それを知らない役者は高らかに開演の幕を上げる

 

「「『決闘(デュエル)』!!」」

 




いつの間にかチャンピオンに因縁を作ってしまった俺
ただの小遣い稼ぎの活動だったのに、なぜこうなった?
げっ!?何で抜いたはずのこいつらが!?
まぁ、来てしまったものは仕方がない
さぁ!ショータイムだ!
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『開演告げる鐘 ペンデュラム召喚』 


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開演告げる鐘 ペンデュラム召喚

本作のアクションデュエルのルール
・基本マスタールール3と同じ
・アクションマジックは共通効果として
(1) このカードが手札にあるとき相手ターン中でも発動できる。
(2) アクションカードは手札に1枚しか加えられない。
・アクショントラップは共通効果として
(1) このカードが手札にあるとき発動しなければならない。
(2) アクションカードは手札に1枚しか加えられない。
上記の効果を持っています。
・アクションカードの位置は基本ランダムでスポーンします。(オリジナル)
・フィールド魔法ゾーンはアクションフィールドが置かれている状態の為、互いに使用不可。



「「『決闘(デュエル)』!!」」

 

「先攻後攻はチャレンジャー、お前が決めな。」

 

「では、遠慮なく先攻で行かせてもらおう、っか!!」

 

 開始と共に遊矢は走り出す

 石島の背後にあったアクションカードを回収し、すぐさま備え付けられていた加工用のロープで逃走する

 

「くっ!?てぇめぇ!逃げる気か!!」

 

「そんな狭いところで戦ってられないだけさ

 俺は速攻魔法、手札断殺を発動

 互いのプレイヤーは手札を2枚選んで捨て、その後2枚ドローする。」

 

「おおっと、遊矢君

 ここでお得意のアクションカードを奪取してからの手札交換だ!

 先攻のドローできないデメリットもこれで帳消しだ!」

 

「さらに俺は、EM(エンタメイト)セカンドンキーを召喚」

 

セカンドンキー「ブルルッ!」

       ATK1000

 

 滑車で移動する遊矢の下に並走するように現れる、ハットと蝶ネクタイを付けた茶色いロバ

 遊矢はそれを確認するとロープを飛び下りてセカンドンキーの背中へ着地する

 

EM(エンタメイト)セカンドンキーの効果発動

 このモンスターが召喚、特殊召喚に成功した時、デッキからセカンドンキー以外のEM(エンタメイト)モンスターを墓地に送ることが出来る。

 俺はデッキからEM(エンタメイト)ジンライノを墓地へ送り、カードを1枚伏せ、ターンエンド

 さぁ!チャンピオン様のお手並み拝見と行きましょうか!!」

 

「ほざけ!すぐにとっ捕まえてやる!!

 俺のターン、ドロー!

 俺は魔法カード、蛮族の狂宴LV(レベル)5を発動!

 墓地か手札からレベル5の戦士族モンスターを効果を無効にして2体まで特殊召喚する。

 来い、バーバリアン1号!2号!」

 

 バーバリアン1号 DEF1800

 バーバリアン2号 DEF1500

 

 現れる赤と緑の鬼の様なモンスター

 足場がない場所に出現したため飛ぶすべのない彼らは、重力に従い落下するが彼らに恐怖はない

 彼らは自身の主が王を呼ぶための贄として呼ばれたのだから

 主の勝利を信じてこの身を投げだす

 

「このターン、こいつらは攻撃できねぇが、俺はこいつらをリリースしてアドバンス召喚」

 

 2人の蛮族の魂が光となり森に降り注ぐと、

 バキバキと気を下り砕く音と地響きを立てながら巨大な影が歩いてくる

 

「密林の奥地から、巨木をなぎ倒し現れるがいい。

 未開の王国に君臨する蛮族の王!バーバリアン・キング!!」

 

バーバリアン・キング「ウガアァァァ!!」

          ATK3000

 

 巨大な鉄製の棍棒を振るい鎧を身に纏った巨大な鬼、

 バーバリアン・キングの登場に観客が沸き立つ

 

「でたー!!いきなりチャンピオン石島のエースモンスターの登場だ!!」

 

―うおおおぉぉぉぉ!!

 

「親父には逃げられたが、お前は逃がさねぇ!

 さらに自分フィールド上に攻撃力2000以上のモンスターが居ることにより、

 手札のオーバーレイ・ブースターを守備表示で特殊召喚」

 

オーバーレイ・ブースター「ハッ!」

            DEF0

 

「さらにバーバリアン・キングの効果発動

 1ターンに1度、自身以外の自分フィールド上の戦士族モンスターを任意の数、リリースすることによりバーバリアン・キングの攻撃回数をリリースしたモンスター分増やす。

 俺はオーバーレイ・ブースターをリリース、そしてバトルだ!

 行け、バーバリアン・キング!セカンドンキーに攻撃!!」

 

バーバリアン・キング「ウオオォォォ!!」

 

 近未来的な鎧を身に纏った赤い戦士が現れるが、すぐに蛮族の王の糧となり消える

 そして主の命に応え蛮族の王が小さなロバをその棍棒で叩き潰そうとするが

 

「だから逃げているつもりはないって

 トラップ発動、キャトルミューティレーション

 自分フィールド上に存在する獣族モンスター1体を手札に戻し、同レベルの獣族モンスターを手札から特殊召喚する。

 来い、EM(エンタメイト)ロングフォーン・ブル!」

 

ロングフォーン・ブル「ブモッ!!」

          DEF1200

 

 セカンドンキーを下り、

 手札へと戻した遊矢は代わりに角が電話の様になっている2本足の青い水牛を呼び出し、

 その水牛ロングフォーン・ブルは迫る棍棒を華麗な技で捌いた

 

「ロングフォーン・ブルの特殊召喚成功により、

 デッキからEM(エンタメイト)モンスター、ヘルプリンセスを手札に加える。」

 

「ちっ!だったらその仔牛に攻撃だ!やれ、バーバリアン・キング!!」

 

「そうはいかない。

 墓地のジンライノの効果発動

 自分フィールド上のEM(エンタメイト)カードが戦闘および効果で破壊される場合、代わりにこのカードを除外できる。」

 

ロングフォーン・ブル「モオオオォォ!!」

 

 再び振り落される蛮族の棍棒

 だが小さな水牛は仲間からもらった雷の力で筋肉を隆起させ棍棒を弾き飛ばす

 

「くっ!?だがバーバリアン・キングはこのターン、もう1度攻撃できる」

 

 たたらを踏み、倒れそうになるバーバリアン・キングだが踏みとどまり、その勢いのまま棍棒をロングフォーン・ブルに振り下ろす

 雷の力も消えたロングフォーン・ブルは2度目の攻撃には耐えきれず破壊された

 

ロングフォーン・ブル「ブモオオォォォ!」

 

「決まった!攻撃力3000のバーバリアン・キングがロングフォーン・ブルを粉砕!!

 ですが守備表示だったため、遊矢君へのダメージはゼロ!!この窮地を脱しましたー!!」

 

―すっげー!さすが狂った道化師(マッドピエロ)

―あのチャンピオンの攻撃を防ぎやがったぜ?

―俺だったら何もできずワンキルだよ

 

 始まる前は侮蔑し罵っていた観客たちも、2人の攻防にいつしか見入っていた

 そのことを遊矢を良く知る者たちはうれしく思うと同時に遊矢の知らない一面に驚かされる

 

「流石だな遊矢!

 それでこそ、この男、権現坂が倒すべき相手!」

 

「すっごい、トラップ1枚で凌いじゃった。」

 

「あぁ、それに攻撃を防いだだけじゃなくて手札補充まで・・・」

 

 困惑でどよめいていた会場が驚きと戦いの熱で静まり返るが

 負け越している男は驚く暇もなかった。

 

「くっ、仕留められなかったか!俺はカードを1枚伏せターンエンド。」

 

「俺のターン、ドロー

 さぁ~て、前座はこれくらいにして役者を揃えてショーの本番と行きますか。

 俺はEM(エンタメイト)フレンドンキーを召喚、

 さらにEM(エンタメイト)モンスターの召喚に成功したことにより、手札のEM(エンタメイト)ヘルプリンセスを特殊召喚、

 さらにさらにフレンドンキーの効果で墓地のレベル4以下のEM(エンタメイト)モンスター、ロングフォーン・ブルを特殊召喚」

 

 森の奥から登場する灰色のロバに乗った青い水牛と紫の服の少女、

 紫の少女ヘルプリンセスはロングフォーン・ブルの角にある電話でどこかに話し中の様だ

 

フレンドンキー「フンッ!」

       ATK1600

 

ヘルプリンセス「ハァ~イ♡」

       DEF1200

 

ロングフォーン・ブル「ブモ」

          DEF1200

 

「ロングフォーン・ブルの効果でデッキから2枚目のフレンドンキーを加え

 さらにもう一つ、速攻魔法、超カバーカーニバルを発動し

 デッキからEM(エンタメイト)ディスカバー・ヒッポを特殊召喚!」

 

 同じように現れる灰色のロバ、

 その背にはピンク色のカバが乗っておりヘルプリンセスたちの居るあたりに着くと

 ピンクのカバ、ディスカバー・ヒッポは雑に落され

 2体目のフレンドンキーは遊矢の下へ走っていった

 

ディスカバー・ヒッポ「ヒポッ!?」

          DEF800

 

「おおっと!これはすごい!!遊矢君、一気に4体ものモンスターを召喚だ!!」

 

「ふん、だが雑魚どもをいくら呼んだところで俺のバーバリアン・キングには勝てん!」

 

「おやおや、LDSのイメージキャラクターとは思えない発言だ。

 問題!俺のモンスターのレベルは幾つと幾つ?」

 

「レベル?・・・まさか!?」

 

「来ますよ~これは!!」

 

「ふっ、俺はレベル3のディスカバー・ヒッポとフレンドンキーの2体とレベル4のロングフォーン・ブルとヘルプリンセスの2体でオーバーレイ!」

 

 4体のモンスターはそれぞれ光の球となり、

 地面に空いた宇宙空間のような穴の中に2つずつ吸い込まれていく

 

「2体のモンスターずつでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れろ、虚空の海を泳ぎし海竜、虚空海竜リヴァイエール!

 魔の世界の指揮者、交響魔人マエストローク!」

 

 現れるのは、宙を泳ぐライトグリーンの体色の海竜と小さな魔人の指揮者

 

リヴァイエール「グオオォォォ!!」

       ATK1800 ORU2

 

マエストローク「ふん!」

       ATK1800 ORU2

 

「エクシーズ召喚だと!?」

 

「なんとー!遊矢君が繰り出したのはエクシーズモンスターだ!

 それも2体、連続召喚ー!!LDSでも出来る人間は少ない高等技術を易々やってのけたー!!」

 

(これで高等技術ねぇ?)

「俺はリヴァイエールの効果発動

 オーバーレイユニットを1つ使い、除外されているレベル4以下のモンスターを特殊召喚する、俺はジンライノを特殊召喚」

 

 リヴァイエールが自身の周りを回っていた光を飲み込むと、時空の穴を開きその中から雷太鼓を背負った犀、EM(エンタメイト)ジンライノを連れて戻ってくる

 

リヴァイエール ORU2→1

 

ジンライノ「フゥー!!」

     DEF1800

 

「さらにマエストロークの効果発動、

 オーバーレイユニットを1つ使って相手の表側攻撃表示モンスターを裏側守備表示にする。」

 

マエストローク「はっ!」

       ORU2→1

 

 マエストロークの指揮棒に光が灯ると、マエストロークはそれを振るい軽快な音楽と共に音符がバーバリアン・キングを取り囲み、魔法陣を描き出す

 魔法陣に捕らわれた蛮族の王はカードに封じ込められてしまう

 

「なんだと!?」

 

「バーバリアン・キングの守備力は1100ポイントしかない。

 バトル、行け!マエストローク、セットモンスターに攻撃!」

 

 マエストロークは指揮棒をレイピアの様に構え突撃する

 カードから解き放たれるバーバリアン・キングだが防御姿勢が取れずにいた

 

「おぉっと!!このままではチャンピオン!

 エースを撃破された上にダイレクトアタックを受けてしまうぞ!」

 

「ちっ!?くそっ!!」

 

 石島は何かないかと自分の周囲を探す

 

(くそっ!あの野郎、最初のターンでこの辺のアクションカードを取って行きやがったな!!)

「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 目当てのものが見つからない石島は一か八か牙城の天守から飛び降りる

 そしてマエストロークの剣がバーバリアン・キングの無防備な首を刈り取ろうとする、だが

 

「へぇ~さすがチャンピオン、存外しぶとい」

 

 マエストロークの剣はバーバリアン・キングがとっさに動かした棍棒によって受け止められていた

 そして、その後ろには石島が飛び降りた先にあった塔の上から、回収したアクションカードを発動させ、着地した姿があった

 

「へへ、俺はアクションマジック、奇跡を発動させてもらったぜ!

 これでバーバリアン・キングの戦闘破壊を無効にし、タメージを半減する。

 もっともバーバリアン・キングは守備表示だがな!」

 

「だったら、間髪入れずにリヴァイエールで攻撃だ!」

 

バーバリアン・キング「グワアアアァァァ!!」――バンッ!!

 

 無慈悲に放たれる風のブレスにより、

 2度目の奇跡が起こる暇もなく王者の象徴である蛮族の王は砕け散ってしまった

 

「バーバリアン・キング!!」

 

「俺はこれでターンエンドだ。」

 

「お、俺のターン・・・」

(くっ!震えている!この俺が!?次のカードがドローできねぇ

 何故だ、このデュエルは榊遊勝の倅を使って本人を引っ張り出し、あの日の屈辱を晴らし、この俺が名実ともに最強のチャンピオンだと証明するためのものだったはずなのに・・・

 あのガキが狂った道化師(マッドピエロ)で、なんで俺が追いつめられてんだ。

 セットカードを使えば、あいつのモンスターを減らすことは出来るが、次のターン防ぎ切れる気がしねぇ・・・)

 

 石島の心はバーバリアン・キングが倒されたことにより折れかけていた。

 遊矢の奇天烈な戦法に5年前の狂った道化師(マッドピエロ)から受けたトラウマともいえるものが重なってしまい、勝利へのヴィジョンが見えなくなってしまった。

 

「やっと、チャンピオンを動かしたと思ったら、速攻で戦意喪失?がっかりだねぇ~」

 

「なんだと!!」

 

 リヴァイエールの背に乗った遊矢は地で蹲る石島を見下す

 

「手札もある、ライフもある、負けが確定したわけじゃない。

 それなのに未来を恐れてドローが出来なくなるなんて、チャンピオンどころかデュエリスト失格だねぇ~

 やっぱり、ただのチンピラにチャンピオンは荷が重かったのかな?」

 

「・・・・・・」

 

 石島は遊矢の煽りを受けても何も返せない、

 大敗の記憶は錘となって彼に圧し掛かっていた

 

――ガンバレー!!チャンピオンー!!

 

「!?」

 

 彼の耳に届く少年の声

 

――そうだ、負けるなー!ストロング石島―!!

――立ってー!チャンピオンー!!

――イーシジマ!!イーシジマ!!イーシジマ!!イーシジマ!!イーシジマ!!

 

 それを旗に次々に上がる石島への声援

 

「おっと!会場の皆さんからチャンピオンへの盛大な石島コール!!

 そうだ、立ってくれストロング石島!デュエルはまだ終わっちゃいないぞ!!」

 

「やれやれ、これじゃ俺、完全に悪役だな。

 まぁ、仕方がないか。

 さぁ、どうするチャンピオン?

 観客の皆さんの声援に応えて『俺』と戦うか、過去に蹲ってうちの『親父みたい』に応えないか?」

 

――!!

 

「このままじゃ、貴方は『卑怯者』以下の負け犬だ」

 

 石島の中で何かがこみ上げて来る、それは罵倒による怒りではなく

 

――ウゥ・・・ウオオオオオォォォォォォォォォォォ!!

 会場を揺らすかのような雄叫び

 石島は叫ぶ、過去を振り払うために、過去(榊遊勝)など忘れて目の前の(榊遊矢)と戦うために

 自身の中に芽生えた闘争心を叫び出す

 

「ドロオオォォッォ!!」

 

 力強い石島のドロー、そして石島は走り出す。勝利へのピースを揃えるために

 

「リヴァイエール!」

 

 その行動を見て遊矢もリヴァイエールで駆ける、次の石島の行動が予測できた為に

 

「嘗めるなよ!小僧!!俺は勝負の前に逃げ出すような卑怯モンじゃねぇ!!

 スタンバイフェイズに俺も使わせてもらうぜ!

 速攻魔法、手札断殺をな!!

 互いのプレイヤーは手札を2枚選んで捨て、デッキから2枚ドローする!オラアァ!!」

 

(やっぱりか、っと)

 

「これは!両名とも同時にアクションカードをゲット!!

 そして、そのまま手札断殺の効果で捨てドローした!!」

 

「さらにメインフェイズ1開始時に魔法カード、強欲で金満な壺を発動!

 エクストラデッキから裏側表示のカードを3枚または6枚、裏側表示で除外することで3枚につき1枚ドローする。

 ただし、このカードの発動後、このターンの終了時まで俺はカード効果でドローできねぇ。

 俺は6枚除外し2枚ドロー!!」

 

 主人の復活に応え、彼と共に戦うカードたちの全てが彼の勝利のために力を貸す

 

「さらに俺は魔法カード、増援発動

 デッキからレベル4以下の戦士族モンスター、切れぎみ隊長を手札に加え召喚」

 

 背に矢を受け満身創痍ながらも、鋭い眼光を携えた壮年の戦士が現れ遊矢を睨む

 

 切れぎみ隊長 ATK400

 

「切れぎみ隊長の効果、このモンスターが召喚された時、

 墓地のレベル4以下のモンスターを1体、効果を無効にして守備表示で特殊召喚出来る。

 俺はマグネッツ1号を特殊召喚」

 

マグネッツ1号「ふん」

       DEF500

 

 隊長の隣に立ち並ぶ青い躰に緑の槍を携えた戦士

 その力は貧弱だが彼は新たな仲間を呼ぶため自らのマグネットパワーを使う

 

「魔法カード、ダウン・ビート!

 マグネッツ1号をリリースし、デッキからマグネッツ1号と同じ種族属性を持ち、レベルが1つ低いモンスターを1体特殊召喚

 俺はヒーロー・キッズを特殊召喚し、さらにヒーロー・キッズが特殊召喚されたことにより、自身の効果でデッキからヒーロー・キッズを2体特殊召喚だ!」

 

 マグネットパワーが宇宙服のようなスーツを身に纏ったヒーローの卵たちを呼び寄せる

 

 ヒーロー・キッズ DEF600

 ヒーロー・キッズ DEF600

 ヒーロー・キッズ DEF600

 

「まだだ!魔法カード、死者蘇生!

 蘇れ、蛮族の王!バーバリアン・キング!!」

 

バーバリアン・キング「グオオオオォォォォォォ!!」

          ATK3000

 

 大地を割り、雄叫びを吠える蛮族の王

 王者のエースの復活に会場の人々も雄叫びを上げ復活を祝う

 

「戻ってきたー!!

 我らがチャンピオン石島のエース、バーバリアン・キング!!

 王者、ストロング石島!此処に完全復活だー!!」

 

――うおおおぉぉぉぉぉぉ!!

 

「いくぞ!

 俺はバーバリアン・キングの効果を発動し、キング以外のモンスターすべてをリリース

 バトルだ!バーバリアン・キングで虚空海竜リヴァイエールに攻撃!

 これで終わりだ!狂った道化師(マッドピエロ)!いや、榊遊矢ー!!」

 

 仲間の意志を背負い蛮族の王は動き出す、主人の勝利の為に

 

(これがショーならチャンピオンの大逆転でカーテンコールだけど)

「生憎とヒーローショーは終わりだよ!ここからは俺の大脱出ショーだ!」

 

「ほざけ!戦士族モンスター、バーバリアン・キングを対象に永続トラップ、バーバリアン・レイジ発動!

 対象モンスターの攻撃力は1000ポイント上がり、対象モンスターが戦闘で破壊したモンスターは墓地に送らず手札に戻る。」

 

バーバリアン・キング ATK3000→4000

 

「攻撃力4000の5回連続攻撃!榊遊矢ー大ピンチー!!

 2体のエクシーズモンスターを攻撃されれば敗北してしまうぞー!!」

 

「そうはならないんだな~これが・・・すまないな、リヴァイエール・・・

 俺は墓地のEM(エンタメイト)ユニの効果発動、

 このカードとユニ以外のEM(エンタメイト)、ヘルプリンセスを除外してこのターンの戦闘ダメージを1度だけ0にする。」

 

 巨大な棍棒がリヴァイエールに叩きつけられようとするが、遊矢は仲間に詫びを入れて飛び降りる。

 リヴァイエールは最後の務めと自ら棍棒に向かって突進し、遊矢はリヴァイエールが自身の楯になるのを見届ける

 

 すると、森の中から蔦を使って1本角が生えたポニーテールの少女

 EM(エンタメイト)ユニがターザンジャンプで現れ、落下する遊矢をキャッチし、EM(エンタメイト)ユニは遊矢を抱えたままヘルプリンセスが用意していたトランポリンの上に落下

 衝撃を消すと見事に着地し、2人は仕事を終えると遊矢に向かってウインクをして退場した

 

「だったら、今度は交響魔人マエストロークを攻撃」

 

「マエストロークはオーバーレイユニットを身代りに魔人エクシーズモンスターを破壊から守る効果があるけど・・・今回は使わない!

 代わりに手札のEM(エンタメイト)バリアバルーンバクの効果発動

 自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、このカードを墓地に送り互いの戦闘ダメージを0にする。」

 

 バーバリアン・キングの棍棒がマエストロークへ振り落とされ、その衝撃が遊矢を襲うとするが

 遊矢の掲げたカードから、紫色の獏の姿をした風船が現れ、巨大に膨らみながら衝撃を受け切り、紙ふぶきを撒き散らしながら軽い音を立て破裂した

 

「まだ、バーバリアン・キングの攻撃は3回残ってるぜ!EM(エンタメイト)ジンライノに攻撃!」

 

 紙ふぶきを鬱陶しそうにしながら棍棒を振り払い、ジンライノを遊矢に向かって弾き飛ばす

 ジンライノは途中でカードに変化し遊矢の手に戻ってきた

 

「これでお前を守るモンスターはいねぇ!

 終わりだ、バーバリアン・キングでダイレクトアタック!!」

 

「いや、いるさ!

 墓地のバリアバルーンバクの第2の効果発動、相手のダイレクトアタック宣言時

 1ターンに1度だけ手札のEM(エンタメイト)モンスターを捨てて守備表示で特殊召喚出来る。

 戻ってこい!EM(エンタメイト)バリアバルーンバク!」

 

 バリアバルーンバク DEF2000

 

「だったらそいつに攻撃だ!」

 

 再び現れる紫の風船、バーバリアン・キングが棍棒で叩き割ろうとするが

 突如、雷を纏った犀、ジンライノが現れ棍棒を弾き飛ばす

 

「バリアバルーンバクのコストで捨てたジンライノの効果で戦闘破壊を無効に

 戦闘破壊されなきゃ、バーバリアン・レイジのバウンス効果も発揮しない。

 さぁ、どうする?」

 

(くッ!?奴の手札にはまだ、EM(エンタメイト)モンスターが残っている。

 バーバリアン・レイジの効果でバリアバルーンバクの効果を戻してしまうと効果をまた使われる、だが・・・)

「俺は攻撃するぜ!バーバリアン・キングでバリアバルーンバクに攻撃!!」

 

 バーバリアン・キングがバリアバルーンバクを叩きつけると

 バリアバルーンバクは萎みながら遊矢の手札に戻って行く

 

「あの手この手で防ぎやがって、さすが卑怯モンの息子ってとこかぁ?

 カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

「褒め言葉として受け取っておくよ、俺のターン、ドロー」

(さすがチャンピオン、楽しませてくれるな・・・やっぱりデュエルはこうでなくちゃ

 それにしても、ヒーロー・キッズにオーバーレイ・ブースター、それに切れぎみ隊長か・・・)

 

 遊矢は原作との差異を考えていた

 前の2枚はいい

 主役格が使っていたカードとはいえ、物語の根幹に関わるような三幻神やナンバーズの様なカードではないのだ

 この世界に有っても不思議じゃない・・・問題は最後の1枚

 

(たしかあのカードは第10期のカードだったはず・・・

 まぁ、漫画版やこの時点では登場していないカードを使っている俺が言えた話じゃないけど

 おっと、また考え込むところだった・・・

 さて、地味にさっき逃げ回った時にアクションカードを入手したけど、手札が微妙だな・・・)

「俺は、2体目のフレンドンキーを召喚して効果でロングフォーン・ブルを特殊召喚。」

 

 本日2回目の登場の目つきの悪いロバと3回目の水牛

 ロングフォーン・ブルは少し疲れ気味だがまだやる気は十分である

 

 フレンドンキー ATK1600

 ロングフォーン・ブル DEF1200

 

「ロングフォーン・ブルの効果でユニを手札に加える」

(あのセットカードは、チャンピオンのこれまでの使用カードからして高確率でバーバリアン・ハウリング

 

 戦士族モンスターが戦闘、または効果の対象になった時、相手モンスター1体をバウンスしてその元々の攻撃力分のダメージを与えるカード。

 

 チャンピオンの手札は現在0、攻撃のチャンスだけど、ハウリングと合わせて考えると迂闊に手出しは出来ないか・・・

 まぁ、まずは手札交換と行くか。)

「魔法カード、手札抹殺を発動

 互いのプレイヤーは手札を全て墓地に送り捨てた枚数分ドローする。

 俺はアクションカードも含めた5枚のカードを捨てる。」

 

「まだドロー系カードを仕込んでやがったか・・・

 アクションカードを手に入れておくんだったぜ。」

 

「それはお気の毒に、俺は5枚のカードをドローぉ!?」

 

 飄々と皮肉る遊矢だが、ドローしたカードを見て素っ頓狂な声を上げる

 なぜならそこに含まれていたのは、このデュエル開始前に楽屋でデッキから外したカードだったからだ

 それも『彼』にとって見慣れた物であり、遊矢としては初めて見る

 下半分が魔法カードの様に緑色となったモノへと変化していた

 

(星読みと時読み!?

 どうしてここに!?自力で投入を!?ってネタに走っている場合じゃない!!

 おまけにオッ素まで、オッPに変わってるー!?他のカードは!?)

 

 遊矢は慌ててディスクを確認する

 そこには丁度、分りやすい差異が判るカードが存在していたからだ

 遊矢はそのカード、ロングフォーン・ブルのテキストを確認するが、そこにはそれまで使っていたものにはなかった『ペンデュラムモンスター以外の』という制約が1文追加されていた

 

(マジかよ・・・)

 

 突如始まった遊矢の不審な動きに、他の観客は今までのデュエルからまた何か始める気かと期待していたが、彼を良く知る者たちからは遊矢が焦っていることは丸わかりだった

 

「遊矢のやつ・・・・何をしているのだ?」

 

「なんか、トラブったのかなぁ?もぉのすごく手札が悪くなったとか?」

 

「いや、修三殿、その考えの線は薄いだろう。

 遊矢のデッキはどんな手札が来ても、なんだかんだ動けるように調整されているはずだ。」

 

「う~ん、なんだかD―パットのルール確認画面を開いてるみたいね?」

 

「ホントだ、でも遊矢ってルールにだいぶ詳しい筈だぞ?俺よりは・・・」

 

「いや、お父さん、それ、塾の講師としてシャレになってないわよ・・・」

 

 元凶がコントをしている中、遊矢はどうにかいくつかの確認事項を終えていた

 

(よし!ルールについては何か、項目追加されていたし

 後はあいつに丸投げすれば、メガネマフラーがどうにかしてくれるはず・・・)

 

「どうした、榊遊矢?

 ルールの穴を突くようなプレーを散々しておいて、今更確認など・・・

 俺をおちょくっているのか!」

 

(さすがに不審に思われたか・・・それぽいことで誤魔化そう。)

「いや、ショーの前の点検は大事なもんでしょ?」

 

「ショーだと?」

 

「そう、俺が貴方を倒す。世紀の大スペクタクルショーさ!

 まずは下準備、魔法カード、ミニマムガッツ発動!

 自分フィールド上のモンスター1体をリリースし、相手の表側表示モンスターの攻撃力を0にする。

 俺は、ロングフォーン・ブルをリリースし、バーバリアン・キングの攻撃力を0にする。」

 

ロングフォーン・ブル「ブモオオオォォォ!!」

 

「ハっ!バーバリアン・キングをどうかしてくるってのは分ってんだよ!

 トラップ発動、バーバリアン・ハウリング!

 戦士族モンスターが攻撃、効果の対象となった時、相手モンスター1体を手札に戻し、その元々の攻撃力分のダメージを与える!

 フレンドンキーには消えてもらうぜ!」

 

バーバリアン・キング「グオオオオオォォォォォォォォォ!!」

          ATK4000→0

 

 ロングフォーン・ブルが全力でバーバリアン・キングの脛に体当たりを慣行する

 バーバリアン・キングの鎧をも破壊しバーバリアン・キングはその痛みで蹲るが、第2陣とばかりに突撃姿勢を取っていたフレンドンキーに向かって、怒りの叫びを上げフレンドンキーはその声量に吹き飛ばされてしまう

 その衝撃は遊矢にまで脅かそうとするが、青い雨合羽が遊矢を守り代わりに吹き飛ばされていた

 

EM(エンタメイト)レインゴートの効果

 俺に効果ダメージを与える効果を持つカードが発動した時、手札のこのカードを墓地に送ることでそのカードで発生するダメージを0にする」

 

「ちっ!これも防ぎやがったか・・・

 だが、これでお前のモンスターは全部消えた!

 バーバリアン・キングの攻撃力は0になっちまったが、そのカードの効果はエンドフェイズまでだ!

 役者がいなけりゃ、ショーなんて出来ないだろ!!」

 

「あれ~俺はさっき下準備って言っただけどな~?

 残念、ショーの本番は此処からなんだよね!」

 

「なんだと?」

 

「さぁ、ショータイムだ!

 俺はスケール8の時読みの魔術師とスケール1の星読みの魔術師をペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

「なっ!?モンスターを直接魔法・罠ゾーンに置くだと!!」

 

 蒼天の空に伸びる2本の光の柱、

 その中に白き星を司る魔術師と黒き時を司る魔術師が浮かんでいく

 蒼天の空にいつしか巨大な魔法陣と振子の様な物が現れ、2人の魔術師の間を静かに大きく揺れ動く

 

「な、何が起きている・・・!?」

 

「魔法・罠ゾーンの左右両端に設置されている

 ペンデュラムゾーンにペンデュラムモンスターを設置することで、1ターンに1度、その設置されたペンデュラムモンスターに書かれたペンデュラムスケールの間のレベルのモンスターを手札またはエクストラデッキの表側表示のペンデュラムモンスターから可能な限り特殊召喚出来る。

 つまりこれで俺は手札の2から7のモンスターを可能な限り特殊召喚可能となった!」

 

「な、なんだ!その召喚法は・・・?」

 

 融合、シンクロ、エクシーズ、近年台頭してきたこれらの召喚法とは全く異なる特殊な召喚法―

 ――それは邪悪なる龍によってもたらされた異界への扉

 

「揺れろペンデュラム、開演の鐘となれ!

 告げよ!新たなる歴史の1ページを!!『ペンデュラム召喚』!!」

 

 天空から流星のように光が降ってくる

 その光の中に居るのは機械的な鋼殻を持つ赤い地を駆けるドラゴン

 

「現れろ!2色の眼を持つ、新たなる竜!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!!」

 

オッドアイズP「ギュオオオオォォォォォォ!!」

       ATK2500

 

「へっ!同時召喚ったって、1体だけかよ!!」

 

「あぁ、1体で十分だからな。

 もう貴方のフィールドに伏せカードはなく、手札もなく、墓地で効果が発生するカードもない!

 オッドアイズの爆進はもう止められない!!

 バトルだ!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでバーバリアン・キングに攻撃!!」

 

 オッドアイズは駆ける、勝利へのロードを、だがそれを相手が黙っているはずもなく

 

「いや!まだ、この俺が居るぜ!!アクションカード!はつ」

 

「おっと、説明してなかったな!

 ペンデュラムモンスターはペンデュラムゾーンで発動している時、魔法カードとして扱われ、

 さらにペンデュラムゾーンでセットされている時にのみ効果を発揮するペンデュラム効果を持つ!

 星読みの魔術師は自分のペンデュラムモンスターの戦闘時、相手はダメージステップ終了時まで魔法カードを時読みの魔術師はトラップカードをそれぞれ、発動できなくなる効果を持つ。」

 

「なんだと!?」

 

「言っただろ、止められないって!!くらえ!螺旋のストライクバースト!!」

 

 オッドアイズの赤黒い螺旋を描く熱線が蛮族の王の鎧を溶かしつくし、その身を消し飛ばしていく

 

「さらにオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの効果

 このモンスターのモンスター同士での戦闘で発生する相手へのダメージは倍になる。

 さらにミニマム・ガッツの効果により、戦闘破壊されたバーバリアン・キングの元々の攻撃力分のダメージを与える。」

 

「合計ダメージ、8000だと!?」

 

「新たなる時代の幕開けにふさわしく、派手に散りな!!リアクション・フォース!!」

 

 赤黒い螺旋は蛮族の王の力を巻き込みそれを増幅

 肥大化したエネルギーは石島を盛大に吹き飛ばした

 

「ぐわああああああぁぁぁぁぁぁ!!」

LP4000→0

 

――静寂

 

 その決着がついたとき会場を包み込んだのは歓声でもなんでもなく静寂であった。

 

 ありえないものを見たからだ チャンピオンが年端も付かない少年に負けたからだ――

 

 初めて見るモノを見たからだ 新たな召喚法が世に知れ渡った瞬間に立ち会ったからだ――

 

 熱い戦いに心が躍ったからだ 誰もがまだこの戦いの終わりを告げたくなかったからだ――

 

「―――けっちゃーく!!」

 

 誰もが「ハッ」っとしたその一言で現実に引き戻された

 

「互いに先を譲らない激戦!

 チャンピオンを打倒し、新たなる召喚法と時代に幕を告げたのは

 狂った道化師(マッドピエロ)こと榊―!!遊矢―!!」

 

 ニコが告げたその名、ありえないものを見せてくれた、心躍る戦いを見せてくれた、

 デュエルに新しい風を吹き込んでくれた少年に群衆がもたらしたのは

 

――ワアアアアァァァァァァ!!

 

 盛大な喝采であった

 




やっちまった・・・
大観衆の前でペンデュラム召喚をしてしまった俺はその場を何とかごまかした
だが、これで厄介ごとの種は向こうからやってくることは明確
だったら、先手を打たせてもらう!
次回、遊戯王ARC-V Rーe:birth
『舞台裏で動く者たち』


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舞台裏で動く者たち

関係者以外誰も擁護しない榊遊勝と
無名の中学生に負けたのに熱狂的なファンがいるストロング石島
どこで差がついたのでしょうか?


「やっちまった・・・」

 

 舞網第二中学校の昼休みの屋上

 榊遊矢はストロング石島とのデュエルの後のことを思い返していた


「チャンピオン・・・」

 

 光あふれるスタジアムから暗い通路に入って行こうとするストロング石島に俺は呼びかける

 

「よせ!勝ったお前から言われるとむずがゆくて仕方ねぇ。で、なんだよ?」

 

 ストロング石島、彼には一つ言っておかなければならないことがある

 本編では2話以降の彼の姿は欠片もなく、

 マネージャーであるはずのニコ・スマイリーは遊矢のデュエルをプロデュースしていた

 彼について語ったのは権現坂の兄弟子ぐらいではないだろうか?

 まぁ、つまり彼は落ちぶれたのだろう

 

「じゃあ、石島さん・・・貴方にはこれだけは言っておこうと思いまして、

 すいませんでした、ごめんなさい。」

 

 そう謝罪しなければならない

 たとえあの頭のネジの吹き飛んでしまった

 覇王竜のたくらみの1つでしかなかったとしても、榊遊勝は俺の父親なのだから

 

「なぜ、謝る・・・」

 

「俺の父親がしでかしたこと、

 そして、貴方の知らないペンデュラム召喚を使って勝ってしまったこと・・・」

 

 この世界のデュエリストレベルは低い

 ここまでデュエルモンスターズが普及している世界でありながら

 ルールすらまともに分っていないものも多いくらいだ

 まぁ、いわゆる コナミ語が難解な物もある為、俺も完璧に把握してはいないのだが、

 調整中のカードとかもあるし

 

 おまけにOCGと違い

 エクストラデッキを使用した召喚法はここ2年くらいにこの世界に普及し始めたばかりである

 つまり、カードプールそのものは9期まであるのだが、

 大半のプレイヤーは3・4期の融合なしというプレイスタイルである、だいたいが力技だ

 

「お前が勝った、それはどうしようもない事実だ。

 それを謝るなら相手にとっての侮辱に当たるぞ?」

 

「誰も知らない、出来たばかりのルールで勝つなんてフェアじゃないと思っただけです。」

 

「はっ、デュエル中はふざけたような態度を取っているくせに意外と真面目だな・・・

 道化師を名乗っていることだけはある。

 それと、お前の親父の事だが・・・」

 

 榊遊勝の事、これはやっぱり歯切れが悪い

 それはそうだろう

 一般的には逃げた榊遊勝の方が卑怯者として非難されているが、

 裏では彼に対するアタリの方が当時は強かった

 『空席に座ったお飾り』『賊』『賄賂疑惑』等々挙げればきりがない

 

 だがこの3年間、チャンピオンの座を守り通してきたのだ

 それもカードパワーとしては低い方の≪バーバリアン≫デッキで、純粋にすごいと思う

 彼の見た目や言動に反して誠実な性格やファンとの交流も積極的に行っているのも大きいだろう

 このスペシャルマッチの前にも抽選で当たったファンとの交流デュエルをしていたし

 

「あれは・・・この3年間、俺を縛り付けていた鎖だった!

 お前との5年前のデュエルも確かに気がかりだったが、

 純粋に俺が弱かっただけだ、悔いはねぇ。」

 

 気にはしていたのか

 苦紋様の土像とカース・オブ・スタチュー、サイバー・シャドー・ガードナー、宮廷のしきたり

 それと攻撃強要カードで羽目殺ししたせいか、

 トラップコンボに対してトラウマがある様な印象をライブラリで受けたけど

 

「だが、榊遊勝と・・・

 あの世紀のデュエルスターと戦わずして、チャンピオンなんて名乗っていられなかった!

 空席に座っているだけという気持ちにさせられて!

 居心地が悪いってありゃしなかった!!」

 

 あぁ、やっぱり、彼の中でも『榊遊勝』と言う存在はスターなのか・・・

 卑怯モンとさんざん言っていたが、あれは憧れの裏返しの様な物か

 当の本人は『エラーカードを使ってデュエルを強制終了させる』

 という手段をとる、割と本当に卑怯者なのだが・・・

 

 あの日、榊遊勝は突然姿を消した

 漫画版の様に世界を巻き込んだ一大イリュージョンをしたわけじゃないだろう

 この世界消えてないし

 

 原作通りなら

 空間転移装置を勝手に使用して、目的地とは別の次元に行き、

 のうのうと暮らした後、本来の目的地にたどり着くも足を悪くして

 イケメン女子を松葉杖にしていることだろう

 

 列挙しているだけでどれだけ考えなしなんだ・・・

 せめて石島さんとデュエルしてから行ってくれ

 

「貴方は榊遊勝に勝っていますよ。」

 

「何?」

 

「だって、貴方は声援に応えて立ち上がったじゃないですか。」

 

「!!」

 

「榊遊勝は自分のファンの期待を裏切りました。

 それはスターとして、いや、エンターティナーとして失格です。

 そして、挑まれた決闘(デュエル)を放棄した。

 チャンピオンとしてデュエリストとして最低な行いをしたんです。

 

 だけど、貴方は声援に応えて立ち上がり、デュエリストとして俺と戦った。

 榊遊勝よりも貴方がチャンピオンとしてふさわしい姿を見せたんです。

 父さんが今どこで何をしているかなんて、分かりませんが

 相応しくない奴が座っている椅子なんて、蹴り倒してやった方がいいと俺は思いますよ。」

 

 石島さんは何だかぽかんとした顔をしている

 さっきまでの焦燥が嘘のようだ、いいことだが何か変なこと言ったか?

 

「お前・・・実の父親に対して随分、辛辣だな。」

 

 あぁ、そのことか

 

「当たり前じゃないですか、あの人がいなくなってから随分苦労したんですよ?

 学校じゃ、卑怯者の息子として虐められるし。

 自分で塾作ったくせに看板が居なくなったから潰れかけるし。

 講師として残っている人はルール把握してないし。

 

 まぁ、虐めてきた奴にはきっちり仕返ししたし、

 塾の方は俺が臨時講師することでなんとかなっていますがね。」

 

「ははっ、お前らしいちゃ、お前らしいな

 と言うかその残っている講師は講師として大丈夫なのか?」

 

「駄目ですね」

 

――ハッ!クッシュン!!

 

 どこかでくしゃみが聞こえたような気がしたが、

 どうにか石島さんは軽口が出せる程度には持ち直したようだから気にしないことにしよう

 

「話がそれましたが、

 貴方はいない人をいつまでも追いかけるよりも、超えるようにするべきだと思いますよ?」

 

「ガキが良く言うぜ。

 でも、俺はお前に負けたんだ、これまでの様にはいかなくなるだろうな・・・」

 

 やっぱり自分の境遇が判っているな

 この街の住人は負けた者に対してはかなり辛辣だ、弱者にとことん冷たい

 おまけに派手な戦法を見せないとヤジが飛んで来るレベルなので、

 俺に負けたことでかなり今後苦労を掛けてしまうだろう

 予防策は張っておいたが、なにより・・・

 

「俺の悪名は割と知られているし、常勝無敗の人間なんてこの世に誰もいませんよ

 それに必死で応援してくれるファンを持つ貴方なら大丈夫。」

 

「!?」

 

「だいたい、デュエルは本来『勝っても負けても楽しいもの』でしょ?

 今日のスペシャルマッチ、お客さんは楽しんでくれたみたいだしよかったじゃないですか。

 貴方はどう思いますか、ストロング石島?」

 

 プロにとってデュエルはショーだ

 一番優先させることは観客を楽しませる事

 仕組まれた八百長でもストーリーがあれば観客は楽しんでくれるだろう

 

 だが、本気と本気のぶつかり合いの方が演者としては楽しい

 今回は、かつての王者の子供が今の王者に挑む前振りがあり、

 実は子供が王者に土をつけていたと分り、結果としてリベンジマッチになり、

 その中で逆転劇や新要素の発表が成された

 良くできたショーになったと思うよ、これは役者を集めたニコ・スマイリーの一人勝ちだな

 

「あぁ、そうだな・・・俺も楽しかった。」

 

 そう言い、石島さんは拳を付き出してくるので、俺もそれに応え、彼の拳に自分の拳を合わせる

 

「次は負けん」

 

「次も負けませんよ」

 

「ハハッ!このヤロウ

 だが、あの最後のペンデュラム召喚だったっけか?

 あれ、お前の想定外だったんじゃないか?」

 

 やっぱりばれていたか、試合中にルール確認画面開いていたら当然か。

 

「えぇ、そうですよ。

 本来あの3枚はデッキに入れていませんでした。

 どうも少し目を離した隙に混ぜられてしまったようで。」

 

「気をつけろよ・・・

 珍しいカードを狙ってくる奴は山ほどいるんだ。

 にしても、突然入れられたカードの割によくも・・・

 まぁ、アンだけ言えたもんだなぁ?ピエロ野郎」

 

 そう、あのデュエルが終了した時 

 ややこしい事態を避けるためLDSに全て擦り付けようと

 新型デュエルをお披露目する海馬社長のごとく演説しこの退場口に逃げ込んだ

 大半の人間がデュエリストであるためか、あの海馬節が受けてまた客が湧いていた

 

「新しい召喚法なんて、マスコミの恰好の的だ。

 それを初めて使った人間として、1週間は付きまとわれるだろうな。」

 

「マジですか・・・では、とっとと退場することにしますか。

 では、チャンピオン

 ニコちゃんに報酬の件、しっかりしといてと伝えておいてくださいね、では!!」

 

「はっ、調子の良い奴だな、まったく・・・」


 石島さんに言われた通り、会場出たらマスコミがごった返していたから

 デュエリストの謎の身体能力を駆使して、

 ビルから飛び降りたり壁を登ったりなんかして振り切った

 何も知らずに出て行ったら捕まっていたから、やっぱり見かけによらずいい人だな

 

「さて、放課後はどのルートで帰るか・・・」

 

「お~い!榊遊矢ー!!」

 

 Dパットでマスコミが張っていなさそうなルートを調べていると、

 屋上の扉が開かれ馬鹿っぽい声が木霊する

 

「おっ!いたなぁ~

 この俺様に探させるなんて、どういう了見だぁ?榊遊矢~」

 

「別に?お前をわざわざ、探すつもりもないからな、沢渡」

 

 沢渡シンゴ、基本茶髪に特徴的な金髪の前髪が特徴の男

 結構、2枚目な顔をしているのに残念な言動が台無しにしている

 馬鹿で高飛車だが誰でも分け隔てなく接するため

 よくヨイショしてくる取り巻き三人や、

 学校で疎まれている不良っぽいのとデータ好き、不幸体質の3人を子分にしている

 

 デュエルをするたび、対策を打ってくるという

 デュエリストとしては珍しいタイプで、俺も参考にしているくらいだ

 なので、頭の出来は悪くはない・・・筈

 

「おい、お前失礼なこと考えてなかったか?」

 

 なぜ、ばれたし

 

「あっー!やっぱり考えていやがったな!!」

 

「お前どんな勘をしているんだよ・・・で、何の用だ?」

 

「ふぅんなもん、わかんだろ?

 ストロング石島とのデュエルで使った・・・え・・えと・・・ぺ・・・ぺん?」

 

「ペンデュラムカードの事か?」

 

「そう!それ!ペンデュラム!!そいつを俺によこしな!」

 

「ふぅ~ん、ほらよ。」

 

「うおっ!あっぶねぇな!?」

 

 こいつカード手裏剣(コンクリートに刺さる)を取りやがった

 

「って、何だ、このカード?

 モンスターカードなのに下半分が魔法カードみたいに青いぞ?

 それにテキスト欄が2つ付いてる?こんなの見たことがない・・・」

 

「その2枚がペンデュラム召喚に必要なペンデュラムモンスター、

 星読みの魔術師と時読みの魔術師だ。

 というか、知らずに欲しがったのか?

 お前だってスペシャルマッチ見てただろう?

 会場に来てなくてもテレビで生中継されてただろし。」

 

「うぅ~五月蠅いな!追試で見れなかったんだよぅ!!」

 

 あ、やっぱり馬鹿だ。

 

「って、こんなレアカード簡単に渡しちっまって良いのかよ?

 って言うかここに描かれているモンスター見覚え有るんだが、こんなんだったか?」

 

「あー、何か唐突に書き換わった。」

 

「はっ?ニュースにはLDSがスペシャルマッチ用に用意したカードとか言ってたぞ?

 どういうことだよ?」

 

「そんなの俺が教えてもらいたいね。

 家にあったカードも何枚かペンデュラムカードになっていたし、

 他にもペンデュラムカードに関するテキストが追加されているカードもあった

 おまけにルールブック見たら

 いつの間にかペンデュラム召喚に関する記述が追加されていたし、意味が分かんねぇよ。」

 

「マジかよ!・・・・本当だ!!なになに・・・・」

 

 沢渡は自分のDパットを取り出して、ルールブックを熟読し始める

 相変わらず、いちいちリアクションが大げさだ

 

「へぇ~こうやるのか

 っていうか、お前の話を信じるとペンデュラムカードはお前しか持っていないってことか?」

 

「そうかもな

 EM(エンタメイト)や他の魔術師もなっていたから一概に言えないけど。」

 

「それって、ずるじゃねぇか!!」

 

「そぉ~なんだよぉ~

 でさ、そいつらをお前に預けるからさ

 LDSにペンデュラムモンスターの開発をたのんでくれないか?」

 

「はぁ?なんでそんなこと

 お前が独占してぇりゃ、使いたい放題じゃねぇか?」

 

「お前だって、ズルって言ったじゃん

 それにペンデュラム召喚があったところで、必ず勝つわけじゃないし。

 それに遅かれ早かれ、LDSはペンデュラムモンスターを自力で開発するだろうしな。

 それに・・・」

 

「それに?」

 

「デュエルはフェアじゃなけりゃ、俺が楽しめないだろ?」

 

 俺のその言葉を聞いて、沢渡はぽかんとしている・・・なんだよ。

 

「お前って、やっぱり戦闘狂だな・・・」

 

「やっぱりて、なんだよ!?やっぱりって!」

 

「あっ!戦闘狂で思い出した!!

 お前、大会荒らしの賞金稼ぎ狂った道化師(マッドピエロ)だったらしいな!

 なんで黙っていたんだよ!!」

 

 やっぱりお前も聞いてくるか、柚子たちに散々質問攻めされたっつうのに・・・

 

「言う必要がなかったからな。

 まぁ、始めたきっかけはただの小遣い稼ぎさ。」

 

 そう、俺がこの世界での初めてぶち当たった壁は、カード物価の高さだ

 パックで当てる分には何の問題もないのだが

 シングル買いだと、どうしても10万単位で金が吹っ飛ぶのだ

 

 素性を隠した理由は始めた当時の年齢が低すぎたことと、

 榊遊勝の息子であるということを隠す為である、下らないことで悪目立ちしたくないし

 

「ここ三年は、生活費や塾の運営費にも充てているがな。」

 

 さすがに7年も続けていると、金があぶれてくるので

 余った金は潰れかけた遊勝塾の経営費や塾からの支給金と言うことで、間接的に家に入れている

 原作通りになるか判らないが、あの親父がいつ戻って来るかわからない以上、

 チャンピオン時代に稼いだ金と母さんの内職費だけで生活を続けていくのは厳しいのだ

 

「そ、そうか・・そうだったな・・・すまん。」

 

「いいんだよ、謝るなんてらしくない。」

 

「っと、話が変わるがなんでこのカードを俺に預けるんだよ?

 悪用されるとか考えなかったのかぁ?

 こんな激レアカード売っぱらっちまうかもしれないぜ~?」

 

 ひらひらカードで呷ってくる沢渡、確かにこいつならそういうことしそうだが・・・

 

「そいつら2枚だけなら、デッキに投入したところで大して役に立たないし、

 お前がそのカードを売ったとしてもLDSが血眼になって探し出すだろうさ。

 第一、俺がお前に『預けた』だけのカードを売ったら

 最終的に被害を被るのはお前だけさ、何の問題もない。」

 

「うっ!?それもそうか・・・

 はぁ~それならLDSから褒章貰った方がましだな、わかったよ。

 この俺様、沢渡シンゴが届けてやるよ!大船に乗ったつもりでいな!!はっはっはっ!!」

 

 うっ、とか褒章とか言わなきゃいいのに

 まぁ、カードだし乗っているのが泥船でも流れて勝手に岸につくだろう

 

――キーン、コーン、カーン、コーン

 

「やべ!もう予鈴じゃないか!?早く戻ろうぜ。」

 

「あぁ、あ~それとこいつは前金だ。」

 

 ランニングスタイルで走り出そうとする沢渡に、

 どうせ来るだろうと思って用意していた紙袋を渡す

 この世界に売っているとは思わなかったが・・・まぁ、甘党のこいつには丁度いい

 

「こ、これは・・・

 あのパティスリー・ターミナルで即売り切れの幻のプリン!トリシューラじゃないか!!」

 

 沢渡の目がこれでもかというばかりに輝いている、やっぱりツボだったか

 

「ちゃんと渡したと確認できれば

 マドルチェシャトーの『ティーチャーグラスフレ・メェプルと共に』も買ってきてやるよ。」

 

「マジか!!ヤッフッー!!

 この俺様に任せておきな!その代り約束忘れんなよー!!」

 

「はいはい、まったく調子の良いやつ・・・」


 レオ・コーポレーションの地下に造られた観測室

 そこでは先日観測された強力な召喚反応について、寝る間も惜しんで調べられていた

 さらに、遊矢がペンデュラムカードは

 LDSがデモ用として用意したものと発言してしまったため、相談所への問い合わせが殺到

 

 さらに世界中で所持していた一部のカードが

 ペンデュラムカードやペンデュラムに関する効果に書き換わる事案が発生

 結局答えられる場所もここしかないため、勤めの職員たちは表への対応にも追われていた

 

「社長、やはり、全サーバーデータのルールブックが改変されています。

 さらにEM(エンタメイト)や魔術師モンスターがペンデュラムモンスターに何枚か書き換わる他

 ペンデュラムと名のつくカードなどにペンデュラム召喚やペンデュラムカード、

 ペンデュラムスケール、ペンデュラムゾーンに関する効果が出現したとの報告も」

 

 サングラスに黒スーツの大男が

 室内でも何故かたなびいている長いマフラーを巻いた細身の青年に話しかける

 青年は赤いフレームのメガネに液晶の光を移しながら、分っていたという風に応える

 その表情は口元を組んだ手で隠している為、うかがい知ることは出来ない

 

「やはりか・・・」

 

「はい、こんなことは初めてです。

 ディスクの個別用のものまでも・・・履歴すら残っていません

 それに所持していたカードがいきなり書き換わるなど、まるで・・・」

 

 LDSが管理するデュエルモンスターズの管理サーバー

 それは蟻の子1匹通さないとばかりの

 厳重な警備と何重もの鋼鉄の隔壁に隔てられ、

 数秒おきに書き換わる何十桁のパスワードと強力なファイアーウォールに守られたものであり、

 社長である青年すら立ち入ることが困難な代物である

 

 そんな管理サーバーに見られた異常

 多数の承認許可が必要なルールブックと登録されたカードデータ-の改変

 さらにデュエルディスクに登録されている個別のサーバーまでも改変を受けて、

 何千枚ものある世界中のカードが書き換わる

 それは、まるで初めからそうであったかのように世界そのものが上書きされたかのようだ

 

「どういたしましょうか?」

 

「改変についてはそのままでいい

 それよりも、今は一刻も早くペンデュラムカードの開発に専念しろ。

 書き換わったカードについては、実験用のカードが流出してしまったとでもしておけ」

 

「はっ!

 ですが、実働データが少なすぎます

 開発にはかなりの時間を要するかと・・・

 問い合わせのあったカードを一時回収するにしても、回収しきるだけで一週間はかかるかと」

 

「・・・・・・」

 

 男の言葉を聞いて青年は無言で返す

 その威圧は屈強な大男も内心震え上がるほど恐ろしいものだったが、

 突如管制室に響き渡った能天気な声がそれをぶち壊す

 

「おーい!社長ー!!」

 

「沢渡か・・・」

 

「そう!レアなカードに愛されたグレートな俺様、沢渡シンゴの登場だ。」

 

 青年の威圧などなんのその

 自分のペースを崩さない沢渡にその場にいた全員はある意味尊敬の念を抱く

 

「なんのようだ。」

 

「そら、社長に届けモンだ、ちゃんと渡したぜ?」

 

 沢渡の投げたカードを何の苦も無く後ろ手で受け取った青年は、一瞬目を見開く

 受け取ったカードは今回のことの発端である2枚のカード

 『星読みの魔術師』と『時読みの魔術師』のカードだったからだ

 

「どうしてこれを?」

 

「渡した奴曰く、ソイツをしばらく預けておくからペンデュラムカードを制作しろだとさ。

 あぁ、できたら真っ先にこの俺様に使わせろよ?

 この天~才デュエリストたる俺様にかかれば、どんなカードでも使いこなしてやるからよ!」

 

「ふふ・・・」

 

 沢渡が未だ自分のことをアピールし続けるが、

 彼は自身の手に握られた2枚のカードに視線を落とし薄く笑うばかりで聞いちゃいない

 

「やはり・・・榊遊矢・・・彼とは一度会ってみる必要があるようだな。」

 

 そういい、彼『赤馬 零児』はメガネの位置を直し

 その奥の鋭い眼光をこの場に居ない道化師の少年へと向けるのであった

 




どこの世界でもマスコミてぇのはしつこいねぇ
スクープのために俺に血眼、ところが捕まらないんだなぁ~これが
なに、ちびっこたちがペンデュラム召喚が見たいって?
やれやれ、生徒たちにリクエストされたんじゃ、答えないわけにはいかないな
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『遊矢先生のパーフェクトペンデュラム教室』で、また会おうぜ


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遊矢先生のパーフェクトペンデュラム教室

多くの閲覧とお気に入り登録、感想、誤字報告ありがとうございます
これからも気ままにやっていきますので、お付き合いくださいませ

ペンデュラム説明回です
自分で書いていて思ったけどなんてややこしいんだ・・・
ペンデュラムがゲシュタルト崩壊しそう


「ふぅ~何とか撒いたな。」

 

 どんな世界でもマスコミっていうのはしつこいね

 学校終わりに校門、裏門どちらにも大勢ひしめき合っていたし

 学校を取り囲むようにすべての道に待ち伏せしてたから、

 木や屋根を乗り継いで帰るハメになった

 

 それでも追ってくるから、

 車やらモノレールやらの上を伝い、ここ遊勝塾の屋上にたどり着いた

 さて、とっとと講義の準備しなくちゃな

 

「これが1週間か・・・気が滅入りそうだ。」

 

「はぁ~ただいまぁ~」

 

 講師用の休憩室に疲れた顔の柚子が入ってきた

 かなり遠回りのルートでたどり着いた俺より遅いとなると

 どうやら、マスコミたちに質問攻めにされたようだな

 

「お~お帰り、柚子。」

 

「お帰りじゃないわよ!自分だけさっさと帰っちゃってさ!」

 

「あんまり、ぷりぷりするなよ~可愛い顔が台無しだぞ?」

 

「もう!お世辞なんて言ったって、騙されないからね!!

 それで、どういう事なのよ?」

 

「どういう事って?」

 

「惚けないでよ!あのペンデュラム召喚の事よ!!

 星読みと時読みって、あんな特殊なカードじゃなかったでしょ!?

 学校じゃ、皆に邪魔されて聞けなかったけど!きっちり説明してもらいますからね!!」

 

 すごい剣幕だ

 というか権現坂から聞いたけど、

 あの2枚、勝手に入れたの柚子だから、半分以上柚子のせいなんだよなぁ

 

「それが俺にもさっぱりさ。

 突然、カードが書き換わったとしか言えないね。」

 

「はぁ?カードが書き換わるなんて、そんなこと起きるわけないでしょ?」

 

「実際に起きたんだから仕方ないだろ?

 それに変化が起きたのは2枚だけじゃなく、

 デッキの中の他のカードや家に置いてあったカードにもだ。

 

 ペンデュラムモンスターになっていたり、

 ペンデュラムモンスターに関する効果が追加されていたりしてた。

 まぁ、そのあたりの謎は沢渡伝いにレオ・コーポレーションに丸投げしたから、

 そのうち判るでしょ。」

 

「えぇ~沢渡にぃ~・・・」

 

 沢渡の名前が出たことで柚子の表情が、怒りの表情から怪訝なものに変化する

 沢渡の普段の言動から当然ともいえるが、

 柚子からしてみたら沢渡に頼んだことそのものが気に入らないのだろう

 

 俺はすでに、このスタンダード次元で出会えるキャラとは赤馬親子を除き、接触している

 不測の事態や、敵に回られるのを回避するためだ

 

 よって、沢渡とも中学の初めで出会って柚子も沢渡と何回かデュエルしている

 馬鹿だが頭が回る沢渡と

 感情によって実力がぶれる柚子との対戦結果は柚子が負け越しているので面白くないのだろう

 まぁ、融合なしの『幻奏』と『帝』ではしかたがないことだけど

 

「高級デザートで、釣ったから大丈夫。

 問題の星読みと時読みも預けて来た、この騒ぎもすぐに収まるさ。」

 

「ペンデュラムの事もあるけど、遊矢?

 貴方が大会荒らししていたのが、余計に拍車かけていると私は思うけどぉ?」

 

「さぁ~て、今日の講義内容の確認と行こうかな!」

 

「あっ!こら、そらすな!!」

 

「はぁ~どうしたもんかなぁ~?

 って、遊矢、来ていたのか!?」

 

 話をそらすのに失敗したので

 柚子にまた言及されそうになったが、丁度いいタイミングで修三さんが入ってくる

 なにやら、考え込んでるがどうしたのだろうか?

 

「やぁ、修三さん。

 ため息なんかしてどうしたんです?」

 

「いやな?塾の前を張っているマスコミも問題なんだが、

 塾生たちがペンデュラム召喚に興味津々でさ

 AクラスもBクラスも見せてくれって言ってきているんだ

 で、どうしたもんかと思ってな~?」

 

 原作と違って遊勝塾にはそれなりの塾生が居る

 A、Bの2クラスで30人ずつ、というか遊勝塾の敷地的にこれで定員ギリギリだ

 ちなみに俺が上中級者用のAクラス、修三さんは初心者用のBクラスを担当している

 

 しかし、まいったな

 デュエルするにしても狭い屋上や

 塾生が観戦室に入りきらない地下では納得しないだろうし

 外でやる手もあるがマスコミが邪魔だ

 

 いや、マスコミは記事が書ければそれでいいのだから

 塾生たちと共に見せてやればこの騒動は早く収束するか?

 

「うん、修三さん

 今日は2クラスとも野外講習ってことで、外でペンデュラム召喚の実演をしましょう。」

 

「いいのか!遊矢!?」

 

「えぇ、記者達は記事を書ければ去っていくだろうし

 1度記事になった出来事を遅れて書くようなのもいないと思うから、

 ここで情報全出ししてしまいましょう

 あぁ、相手は柚子、よろしくな。」

 

「えぇ!?私?」

 

「なんだよ、仮にもエンタメデュエリスト目指してるんだろ?

 記者が居るくらいでビビるなよ~

 じゃあ、俺はAクラスにこの事を伝えてきましょうかねぇ。」

 

「あっ!ちょっと!!遊矢!?

 もう、勝手なんだから・・・」

 

 休憩室から逃走した俺はAクラスの教室の前に来ている

 外から聞こえてくる塾生たちの話題はペンデュラムのことで持ち切りの様だ

 

「よぉ~す!みんな元気かー!!」

 

「あっ!遊矢お兄ちゃんキター!!」

 

「遊矢兄ちゃん、昨日のしびれるぅ~召喚法!いったい、なに?なに?」

 

 俺が教室に入るなり駆け寄ってきた2名のちびっこ、鮎川 アユと原田 フトシ

 原作にも登場した遊勝塾の生徒だ

 ただ俺の影響か、この2人はこのクラスの中でも指折りのデュエリストになっている

 

 フトシのデッキは原作では『らくがきじゅう』という未OCGの恐竜族っぽいデッキであったが

 この世界の彼のデッキはまさかの『壊獣』である

 相手フィールドも巻き込んだ超大型モンスターを使ったパワーデュエルを得意としている

 

 アユのデッキは原作どうりの『アクアアクトレス』だが

 アクアリウムカードを揃えることに拘っていた原作と違い

 徹底したアドバンテージ稼ぎデッキになっている

 最近『バージェストマ』を投入したらしく、さらに拍車がかかっている

 彼女にそこまでさせるのは俺の影響か柚子のせいか

 

「そんなに迫らなくてもすぐに教えてやるよ

 みんな、すまないが今日の講義は予定を変更して、野外講習することになった!

 場所は河川敷

 俺と柚子がデュエルしてペンデュラム召喚もしっかり見せてやるから、筆記具忘れるなよ!」

 

―ホント!やったー!!

―チャンピオンと遊矢センセーのデュエル凄かったもんねー

―ペンデュラム召喚、楽しみだなー

 

 うちの塾生は小学生中心だ

 中学生の俺が教えているというのもあるが

 LDSの住み分けと言う面と修三さんの教えられるキャパシティのため

 これくらいの年齢層となっている

 

 LDS以外でエクストラデッキを使った召喚の仕方を教えているのが少ないのと

 気軽さもあって、アユ曰く小学生の間で結構人気らしい

 ちなみにエンタメデュエルを教えるというフレーズは事実上、停止状態だ

 修三さんは渋っていたが、プロ用の魅せデュエルは小学生にはキツイのだ

 

 っと、考えごとしながら見渡していたら

 準備をしている塾生たちの中に見慣れない青い髪の子を発見する

 

「ん?君が、今日から入った子かい?」

 

「は、はい!僕、山城タツヤっていいます。

 よろしくお願いします!」

 

「はは、元気がいいな。

 それにセンセーなんて言われているけど、そんな大したもんじゃないから緊張することはないよ

 みんなも、仲良くしてやってくれよー!」

 

――はーい!!

 

「うん、いい返事だ。

 タツヤもこれからよろしくな!」

 

「はい!よろしくお願いします!!」

 

 俺が声をかけたことで、話すきっかけが出来たのか他の子がタツヤに声をかけている

 原作では年齢の割に知識が豊富な子だったが、

 引っ込み思案な感じだったから友達が少なかったのか?

 さっきも目上と話しているから緊張しているというより、

 話慣れてないからと言う感じだったし、でもこの調子だと問題ないだろう

 

 そういえば彼のデッキは未OCGの『エンタマシーン』と言うデッキだったが

 この世界ではどうなんだろうか?


 案の定、俺が外に出ると記者が詰め寄ってきたが

 「そんなに聞きたいなら今から実演するからよく見ておけ!!」

 と一蹴したら大人しくなったので、生徒たちと共に引き連れて移動する

 

 河川敷に到着してしばらくしてから、柚子がこっちに走ってくる

 どうやら記者たちに質問されるのが嫌で、

 デッキ調整か何かやって時間を潰していたら遅れてしまったと言ったところか

 

「おっ!お待たせー!!」

 

「遅いぞ、柚子!何やってたんだ!」

 

「うん、ごめん、お父さん。

 デッキ調整してたら遅れちゃって・・・」

 

「おいおい、しっかりしてくれよ、柚子・・・

 でもまぁ、これ以上生徒たちを待たせるのもなんだから、早く準備をしろ。」

 

「うん。」

 

 柚子は上がっていた息を整え、Dパットをデュエルディスクに変形させる

 柚子のデュエルの腕はかなり差が激しい

 気が滅入っているとかなり弱くなるが、今回は大丈夫そうだ

 今回はペンデュラム召喚の実演試合と言う感じだが、

 相手がそれなりに強くなければ生徒たちにその優位性を伝えにくい

 

「待たせたわね、遊矢!」

 

「ふぅん、気合は十分のようだな!開始の宣言をしろ!柊ィー!!」

 

「デュエル開始ィー!!って、何やらすんだ!!」

 

 なんで、別次元のネタ判るの?まぁいいか

 

「「決闘(デュエル)」」

 

「先攻は、私からよ!

 私は速攻魔法、手札断札を発動

 互いのプレイヤーは手札を2枚捨て、2枚ドローする。」

 

 俺も2枚捨てて2枚ドローする

 俺は手札交換でアドバンテージだが、柚子は手札が減ってディスアドだ

 

 と、思っていたら突如小型のUFOが俺たちの間に墜落

 中から2頭身くらいのいかにもな宇宙人が出て来た

 

「墓地に送られたイーバの効果発動よ。

 このカード以外の自分フィールド上か墓地の天使族、光属性モンスターを2体まで除外し、

 除外した枚数につき一種類、

 デッキからイーバ以外のレベル2以下の天使族、光属性 モンスターを手札に加えるわ

 私は墓地の幻奏の音女エレジーを除外して

 デッキからレベル2の幻奏の音女スコアを手札に加える。」

 

 宇宙人イーバは大勢に注目されているの気づくと、柚子にカードを投げ渡し逃げ去って行った

 

「さらに手札のヘカテリスの効果で

 このカードを捨てて、

 デッキから永続魔法、神の居城 ヴァルハラを手札に加えそのまま発動。」

 

 河川敷に速攻で建てられる神の居城、柚子の常套句だ

 塾生たちは見慣れてものだが、記者たちはなにやら驚いている

 いや、永続魔法が発動しただけだろ

 

「ヴァルハラの効果発動

 自分フィールド上にモンスターが居ない時、

 手札から天使族モンスターを1体、特殊召喚出来るわ。

 来て、幻奏の音女アリア!」

 

アリア「はっ!」

   ATK1600

 

 神の居城に現れるオレンジを基調とした衣装を身に纏った

 音符のような羽根を持つ天使、透き通るような声だ

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンドよ。」

 

「俺のターン、ドロー!

 いいのか柚子、通常召喚しなくて?」

 

 まぁ、残っている手札1枚は手札誘発のモンスターだが

 

「ふふふ、動揺させようたって無駄よ!

 リバースカードオープン!

 永続トラップ、スピリット・バリア

 そして、奇跡の降臨!

 奇跡の降臨の効果で除外されている天使族モンスターを1体、特殊召喚!

 現れなさい!幻奏の音女エレジー!」

 

エレジー「ふっ」

    ATC2000

 

 アリアに続き現れる紫の衣装に身を包んだエレジー、その声は美しいがどこか物悲しい

 

「うおぉぉ!出た!

 柚子姉ぇちゃんの鉄壁コンボ!」

 

「特殊召喚されたアリアが居る限り、

 幻奏モンスターは効果の対象にならず、戦闘で破壊されない。

 そして、エレジーが居る限り特殊召喚された幻奏モンスターは効果では破壊されない。

 柚子お姉ちゃんのモンスターは2体とも特殊召喚されたモンスターだから効果範囲内。」

 

「そうそう

 さらに手札のスコアは幻奏モンスターが戦闘を行うダメージ計算時、

 手札から墓地に送って相手モンスターの攻撃力、守備力を0にする。」

 

「なるほど!

 それにスピリット・バリアは自分のモンスターが居る限り、

 自分への戦闘ダメージを0にするカード・・・攻撃するだけ無駄ってことか。」

 

「うおぉ!!すごいぞ、柚子!!熱血だー!!」

 

 フトシとアユがタツヤ交えて解説している

 確かに厄介なコンボだが、早々に手の内を明かしたのは解説の為か?

 いや、あの感じはコンボが決まって調子乗っているな・・・

 攻撃もしていないしスコアを持っているのだから

 スピリット・バリアまで晒すこと無かっただろうに・・・

 

「柚子、調子に乗り過ぎ。

 そんなんじゃ、生徒たちに馬鹿にされるぞ?」

 

「ふふん、だったらこの布陣、崩してみなさいよ!」

 

「じゃあ、遠慮なく行かせてもらおうかな。

 さぁ、みんな、お待ちかね。

 遊矢お兄さんのペンデュラム解説の時間だ。

 まずは手札のペンデュラムモンスター、

 EM(エンタメイト)トランプ・ガールと曲芸の魔術師をペンデュラムゾーンにセット。」

 

 神の居城に光の柱が2本出現し

 その中に3等身のピエロ衣装を纏った少女と極彩色のピエロ衣装を纏った魔術師が現れる

 

「ペンデュラム召喚をするためには

 まず、魔法・罠ゾーンの第1スロットと第5スロットに

 ペンデュラムモンスターを表側表示でセットする必要があるんだ

 ペンデュラムモンスターをセットした時点で、そのスロットはペンデュラムゾーンに変化する。

 さらにこの時、セットしているペンデュラムモンスターは魔法カード扱いとなる。

 

 まぁ、フィールドに残り続けるから永続魔法やフィールド魔法みたいな感じだ

 あぁ、だからって普通の魔法カードみたいに

 ペンデュラムモンスターを魔法・罠ゾーンで伏せることは出来ないぞ。

 

 あと、これはカード発動扱いになるから、

 魔力カウンターみたいな、魔法カードを発動することに反応するカードは反応するぞ」

 

「や、ややこしいカードだな・・・」

 

 修三さんが頭から湯気立ててる

 いや、小学生の塾生たちより先に貴方がまいってどうする

 

「さて、俺はEM(エンタメイト)フレンドンキーを召喚し、

 効果で墓地のレベル4以下のEM(エンタメイト)、セカンドンキーを特殊召喚。」

 

フレンドンキー「ブルルッ!」

       ATK1600

 

セカンドンキー「ブヒィー!」

       DEF2000

 

 おなじみ、灰と茶色のロバコンビ

 そしてセカンドンキーの背中には体がギターの形をした亀が背負われている

 

「セカンドンキーの効果発動

 召喚、特殊召喚時、デッキからEM(エンタメイト)モンスターを墓地に送る。

 だが、俺のペンデュラムゾーンにカードが2枚存在することにより、

 墓地に送らず手札に加えることが出来る。

 よって、俺はデッキからEM(エンタメイト)ギタートルを手札に加える。」

 

 セカンドンキーの墓地肥やし効果、普通に便利だが限定条件でサーチに変わる

 ペンデュラムがこの世界に誕生する前は、この限定条件は

 『自分フィールド上に魔法が2枚自分フィールド上に表側表示で存在する場合』だった

 

 他のカードも似たようなもんだ

 フィールド魔法と永続魔法でも行けていたので

 汎用性が薄れたことで実質的に弱体化したと言ってもいい

 おのれぇ、覇王龍!

 

「さらに魔法カード、ペンデュラム・アライズを発動。

 自分フィールド上のモンスター1体を墓地に送って発動

 デッキからコストにしたモンスターと同じレベルの

 ペンデュラムモンスターを1体、デッキから特殊召喚する

 俺はレベル4のセカンドンキーを墓地に送り、

 同じくレベル4のEM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャンを特殊召喚。」

 

ペンデュラム・マジシャン「はっ!」

            DEF800

 

 ハットをかぶった赤い衣装のイケメンマジシャン

 手に持つ装飾の付いた振子も相まって催眠術師の様だ、効果は催眠とは関係ないが

 ちなみにペンデュラム・アライズもペンデュラムが登場する前は

 『墓地に送ったモンスターと同名以外の同レベルのモンスターをデッキから特殊召喚する』

 という割とヤバい効果のカードだった

 

 OCGなら制限か禁止級だな

 図書館デッキでサモプリから図書館して、エクゾディアかき集めたりしてたのに・・・

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果発動、

 このカードが特殊召喚に成功した場合、

 1ターンに1度だけ、自分フィールド上のカードを2枚まで対象にして破壊し、

 破壊した数だけペンデュラム・マジシャン以外のEM(エンタメイト)モンスターを手札に加える。

 ただし同名カードは1枚まで。

 俺はペンデュラム・マジシャン自身とペンデュラムゾーンのトランプ・ガールを破壊」

 

 ペンデュラム・マジシャンが振子を揺らす

 すると何処からともなく

 ペンデュラム・マジシャンの持つものと同じデザインの巨大な振子が現れ

 ペンデュラム・マジシャンとトランプ・ガールを破壊して消えて行った

 マ、マハードォー!

 

「俺はデッキからEM(エンタメイト)リザードローとユーゴーレムを手札に加える。

 そして、ここで曲芸の魔術師の効果が発動する。

 

 ペンデュラムモンスターがペンデュラムゾーンにある場合、

 魔法カードとして扱うということは当然、

 モンスター効果とは別に魔法カードとしての効果、ペンデュラム効果を持つ

 曲芸の魔術師のペンデュラム効果は自分フィールド上のモンスターが効果で破壊された時、

 ペンデュラムゾーンのこのカードを特殊召喚出来る、という効果だ

 来い、曲芸の魔術師!」

 

曲芸の魔術師「はっ!」

      DEF2300

 

 光の柱から解き放たれる道化師

 いろいろ動いているせいか、柚子がちょっと引き気味だがまだこれで終わりじゃない

 おっと、言い忘れていた

 

「ペンデュラムモンスターがフィールドで墓地に送られる場合は、

 墓地じゃなくてエクストラデッキに表側表示で加わるんだ

 よって、フィールドのモンスターを墓地に送るのが

 コストのカードのコストとしては使えないぞ。」

 

「えっ!?じゃあ、どうやって呼び戻すの?」

 

 タツヤがもっともな質問をしてくる

 まぁ、さすがに特殊すぎる動きだからな

 

「なぁに、いずれわかるさ、いずれな。

 ペンデュラムゾーンのカードはフィールド魔法みたいに自力で張替は出来ないが

 ゾーンが空いてるなら話は別だ。

 俺はEM(エンタメイト)ギタートルとリザードローを

 ペンデュラムゾーンにセッティング。」

 

 再び現れる光の柱

 その中にはギターのような躰を持つ亀とカードの襟を持つ紳士服を着たトカゲ

 

「ギタートルのペンデュラム効果

 このカードが発動している状態で

 もう片方のペンデュラムゾーンにEM(エンタメイト)カードが発動した場合

 デッキから1枚ドローする。

 

 さらにリザードローのペンデュラム効果、

 もう片方のペンデュラムゾーンにリザードロー以外のEM(エンタメイト)カードが存在する場合、

 このカードを破壊しさらに1枚ドローする

 そして空いたペンデュラムゾーンにEM(エンタメイト)ユーゴーレムをセッティング!」

 

 ギタートルの腹の弦が引き鳴らされると、リザードローは退場し

 代わりにUの字を上下にくっ付けたかのような、

 灰色の煉瓦で出来たゴーレムがせり上がってくる

 

「さぁ!役者はそろったことだし、ここでお待ちかね。

 ペンデュラム召喚の時間だ。

 

 ペンデュラム召喚は

 手札とエクストラデッキの表側表示で加わってるペンデュラムモンスターの内

 ペンデュラムゾーンにセットされているペンデュラムスケールの間の数値のモンスターを

 1ターンに1度、可能な限り特殊召喚する召喚法だ。」

 

「遊矢お兄ちゃん、ペンデュラムスケールって何?」

 

「ペンデュラムモンスターのペンデュラム効果欄の両端に書かれている数字のことさ。」

 

 アユが質問してきたので

 これから呼び出すモンスターのうち1体であるペンデュラムモンスターを塾生たちに見せる

 こう、分らないことを質問してくれるのはありがたいね

 

「セットされているペンデュラムスケールは1と6

 よって呼び出せるモンスターは2から5だ。」

 

「2から5?それって!?」

 

 どうやら柚子は察したみたいだな

 コツコツやっていた仕込の意味を!

 OCGでは出来なくなったこの動き、久しぶりに暴れようじゃないか!

 

「さぁ、クライマックスだ!ペンデュラム召喚!!

 手札からレベル3、EM(エンタメイト)エクストラ・シューター

 そして、エクストラデッキからレベル3、EM(エンタメイト)リザードロー

 レベル2、EM(エンタメイト)トランプ・ガール。」

 

 天から落ちてきた光の中から現れる、パチンコを持った少年、トカゲの紳士、道化師の少女

 

 エクストラ・シューター DEF1100

 リザードロー      DEF600

 トランプ・ガール    DEF200

 

――すげぇ!

――あっと、言う間に5体並んだ!

――今って2ターン目だよね?

 

「クライマックスって・・・

 フレンドンキー以外、守備表示じゃない。

 それでどうやって私の布陣を崩すのかしら?」

 

 攻撃が意味のないコンボを構築しておいて良く言うよ・・・

 まぁ、折角構築した布陣なんだから、それはそのままにしておいてあげよう

 

「俺はエクストラ・シューターの効果発動。

 1ターンに1度、エクストラデッキのモンスターを除外し、

 自分または相手フィールドのペンデュラムゾーンのカード1枚を破壊し

 相手プレイヤーに300ポイントのダメージを与える。

 俺はエクストラデッキのペンデュラム・マジシャンを除外して

 ギタートルを破壊し柚子に300ポイントのダメージだ。」

 

 ギタートルが水色の光の球となり、柚子に向かって射出される。

 

「きゃ!でも、こんなんじゃ、まだ!」

 LP4000→3700

 

「そう、まだ終わらない!

 俺はレベル3のエクストラ・シューターとリザードローでオーバーレイ

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 来い、虚空海竜リヴァイエール!」

 

リヴァイール「ギャアアアァァァァ!!」

      ATK1800 ORU2

 

 黒い渦から出て来た薄緑色の宙を舞う海竜

 リヴァイエールはオーバーレイユニットを食らい異次元へ行ってしまった仲間を呼び出す

 

「リヴァイエールの効果発動

 1ターンに1度、オーバーレイユニットを使い除外されている

 レベル4以下のモンスターを1体特殊召喚する。

 戻ってこい、EM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャン!」

 

 リヴァイエール ORU2→1

 

ペンデュラム・マジシャン「ふん」

            DEF800

 

「まだ、出てくるの!?」

 

「ペンデュラム召喚自体はモンスターを並べるだけの召喚法にすぎない

 だから、そこからどうやって勝利に繋げるかはデュエリストしだい・・・

 

 オーバーレイユニットとして取り除かれた、ペンデュラムモンスター

 EM(エンタメイト)リザードローはフィールドで墓地に送られたわけではないので

 エクストラデッキに加えず、そのまま墓地に送る

 さらに俺は空いたペンデュラムゾーンに

 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンをセッティング。」

 

 このデュエルで何本立っただろうか、光の柱の中に浮かび上がる2色の眼を持つ赤い竜

 

「また!?でも、ペンデュラム召喚って1ターンに1度のはずじゃ・・・」

 

「おいおい、今まで何を見て来たんだ?

 ペンデュラム効果を使うために決まっているでしょうが。

 オッドアイズのペンデュラム効果はエンドフェイズにこのカードを破壊して、

 デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスターを手札に加えるって効果だ。」

 

「そう、それだったら・・・

 私をこのターンで倒すことを諦めたってことね!」

 

「何を勘違いしているんだ・・・もう、柚子に次のターンは回ってこないぜ!

 勝ちを確信しても次のターンへの布石は損なってはならない。

 デュエリストとして当然のことだ!

 

 俺はEM(エンタメイト)トランプ・ガールの効果発動

 1ターンに1度、俺のメインフェイズに融合モンスターカードによって決められた、

 このカードを含む融合素材を墓地に送り、融合召喚を行う!」

 

『融合!!』

 

「俺はEM(エンタメイト)モンスター、トランプ・ガールと

 レベル5以上の闇属性モンスター、曲芸の魔術師を融合。

 狂乱の嵐をまき散らせ!融合召喚!EM(エンタメイト)ガトリングール!!」

 

ガトリングール「ハハhハハハhHHHHッ!!」

       ATK2900

 

 狂った笑い声を上げながら登場した黒スーツを着た屍鬼(グール)

 デフォルメされてはいるが

 手に持つ物騒なガトリングガンと凶悪な表情が可愛らしさを消している

 

「俺のフィールドにモンスターが融合召喚されたことにより

 ユーゴーレムのペンデュラム効果発動!

 自分の墓地かエクストラデッキの表側表示のペンデュラムモンスターの中から

 EM(エンタメイト)、オッドアイズ、魔術師モンスターの内、1体を手札に加える

 俺は墓地からリザードローを手札に加える。

 

 さらにガトリングールが融合召喚されたことにより効果発動、

 フィールド上のカード1枚につき200ポイントのダメージを与える。」

 

「なっ!?」

 

「俺のフィールドはモンスターが4体とペンデュラムカードが2枚、

 柚子のフィールドはモンスター2体と魔法、罠ゾーンに3枚の合計11枚

 よってダメージは2200!」

 

 ガトリングールが弾倉に弾がセットされたことを確認すると、それを柚子に向かって乱射する。

 

「きゃああぁぁぁぁぁ!!」

 LP3700→1500

 

「ガトリングールはペンデュラムモンスターを融合素材にした場合

 さらに相手モンスター1体を破壊しその攻撃力分のダメージを与える効果を持っているが

 アリアとエレジーの効果で残念ながら使えない。」

 

「ひゃ~普通だったら、これでゲームエンドだよ。」

 

「くっうぅ・・・それは残念だったわね。

 私のライフはまだ1500ポイントも残っているわ・・・」

 

「心配しなくても削り切ってやるよ!

 俺は速攻魔法、ユニゾン・チューンを発動

 互いの墓地の中からチューナーモンスターを1体除外し、

 俺のフィールド上のモンスター1体をこのターン、

 その除外したチューナーのレベルと同じにしてチューナーモンスターとして扱う。」

 

「チューナー!?そんなの一体何時・・・って、あっ!?」

 

「柚子お姉ちゃんが発動させた

 手札断札の時に、セカンドンキーと一緒に墓地に送ってたんだ・・・」

 

「そういうこと

 俺は墓地の貴竜の魔術師を除外して、レベルは同じなので変わらないが

 フレンドンキーをチューナーモンスターとしてこのターン扱う。」

 

「チューナーってことは・・・」

 

――シンクロ!!

 

「俺はレベル4のEM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャンに

 チューナーとなったEM(エンタメイト)フレンドンキーをチューニング。」

 

 フレンドンキーが3つの光の輪となって、ペンデュラム・マジシャンはその輪をくぐる

 彼の体が星となって並ぶと眩き光の中から閉幕を告げる漆黒の爆撃機が出撃する

 

「シンクロ召喚!現れろ、ダーク・ダイブ・ボンバー!!」

 

 ダーク・ダイブ・ボンバー ATK2600

 

 OCGでも猛威を振るった末に禁止行になってエラッタされて戻ってきた暗黒爆撃機

 エラッタされても止めくらいにはなる

 

「ダーク・ダイブ・ボンバーの効果発動

 1ターンに1度、自分フィールド上のモンスターをリリースして、

 そのモンスターのレベル×200ポイントのダメージを与える。

 俺はレベル8のガトリングールをリリース!」

 

 ダーク・ダイブ・ボンバーは

 ガトリンググールのガトリングに、まだ弾が残っていることを確認すると

 それを奪い爆弾を取り付ける

 ガトリングールはガトリングガンを涙目で取り戻そうとするが、

 無慈悲にもそれは柚子に向かって放り投げられるって、爆撃するんじゃないのかよ!?

 

 

「えっ!?ちょっと、まっ!!」

 

 ガトリングールはガトリングを何とかして取り戻そうとそれを追いかけ、柚子に飛びつく

 爆弾付ガトリングと涙目の屍鬼(グール)が迫り、混乱する柚子だが

 

――チュッドオオォォォォォン!!

 

 LP1500→0

 

 爆弾は柚子とガトリングールを巻き込み大爆発した


「あはははっ!すごい!すごい!」

 

 笑い声が響く

 その発生源はまだ、あどけなさが抜けきらない中性的な容姿をした水色の髪の少年

 何かの見世物を見たように、実に愉快そうに手に持つチョコレートを齧りながら

 対岸を見つめている

 

「うぅ・・・負けた・・・・1ターンキルぅ・・・・」

 

「ゆ、柚子姉ぇちゃんは頑張ったよ、うん・・・」

 

「そ、そうだよ。

 ただ、相手が悪かったっていうか・・・

 あっ、そうだほら!このハネワタっていうカードなら柚子お姉ちゃんにぴったりかも!」

 

「す、すごいです!流れるようなワンターンキルでした!!」

 

「ははっ、みんなもコンボが決まったからって調子に乗って、

 使う必要のない伏せカード公開しちゃだめだぞ?」

 

「ぐはッ!」

 

「ゆ、柚子ー!!

 おい、遊矢!!柚子にトドメ刺さないでやってくれよー!!」

 

 負けたショックでいじける柚子、それを宥めるフトシとアユ

 1キルに興奮気味のタツヤや塾生たち、さっきのデュエルの反省点を解説する遊矢

 それを聞き、倒れた柚子を助け起こす修三

 騒がしくも楽しげな遊勝塾の面々を見て、苦虫を噛み潰すかのようにまたチョコレートを1齧り

 

「シンクロ、エクシーズ、そして融合!!

 1番大きい、LDSっていうところにしようと思ったけど、決めた!」

 

 少年はまたその顔に笑みを浮かべる

 

「榊遊矢・・・僕を楽しませてよね?」

 

――獲物を狙う猟犬の様に

 




負けたぁ・・・(泣)

信じられるか、これ、2ターン目なんだぜ?

遊矢兄ぃちゃん、やり過ぎ

柚子お姉ちゃんも、早く元気出してよ~

そ、そうだ!また遊勝塾に新しい仲間が来るんだよね?

そうだな
でも、仲間になるかどうかはまだわからないけどな?

負けたあぁぁ~!!(大泣)

あぁ!もう、柚子、五月蠅い!
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『融合使い 紫雲院素良』

みんな・・・これって、ちゃんと予告になってるのかな?


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融合使い 紫雲院素良

日刊ランキング1位習得?お気に入り件数1600越え?・・・・どういう、ことだ。
皆様の応援ありがとうございます。
これからも、完結目指して頑張っていきます。

残酷な描写タグは念のためつけておこうか・・・・


 ペンデュラムの実践講義は予想以上の結果をもたらした

 どうも、血で血を洗うスクープ合戦を制したのは、あのデュエルをひっそり生実況をしていたフリールポライターだったらしく、礼金として多額の褒賞金がこちらに支払われたのだ

 まぁ、肖像権とかでとやかく言われないための、口止め料だろう

 

 それより数日後、スペシャルマッチの出演料と言うことで、最新式リアルソリッドビジョン装置がレオ・コーポレーションから、業者付きで送られてきた

 それと同時に遊勝塾で使われていた旧式の装置も引き取ってもらうことになった

 契約通りだが、契約書に書かれている金額は、故障を繰り返している物の引き取り額とは到底思えないものだった

 どうも、あのデュエルはレオ・コーポレーションに随分な利益をもたらしたらしい

 面倒事押し付けたのに随分な対応だ

 

 色々な思惑が交差した結果得たお金だが、それを判っていないのが目の前に・・・

 

「嘘・・・あの、オンボロがこんなに・・・?」

 

 目が「$」になっている柚子だ

 

「柚子、まさかと思うけど・・・

 今、設置してくれているソリットビジョン装置が型落ちしたら、LDSに売りつけようとか思っていないよな?」

 

「そ!?そんな、わけ・・・ないじゃない?」

 

 なぜ、疑問形で返す

 

「はぁ~言っておくけど、これはスペシャルマッチが成功した報奨金込みなんだから

 実際、あんなオンボロ引き取らせたら、逆にこっちがお金払うことになると思うぞ?」

 

「うっ!わ、分ってるわよ・・・」

 

 絶対嘘だ、凄く落胆してる

 

 なぜ、中学生の俺たちがこんなことを話しているかと言うと、修三さんはこういう事にとことん向いていない性格だからだ

 金遣いが荒いというわけではないが、精査や情報収集などがずさんなため、余計な金がかかることがある

 その点、柚子は守銭奴なため安心できる

 

「と、ところで!最新式って、今までのと何が違うの?」

 

 強引に話を変えて来たな、まぁいいか

 

「う~ん、要約するとリアルソリットヴィジョンの硬度を変えられるようになったらしい

 それと五感を感じやすくなっているみたいだな。」

 

「硬度を変える?って、それって、もしかして!!」

 

「あぁ、これまで危ないから塾生たちには

 アクションフィールド内に入れてやれなかったが、これでフィールド内で直接観戦させられるようになったな。

 それにトレーニングの方も走り込みみたいなのより、1ランクアップしたものが出来るようになる。」

 

「それはいいわね!生徒たちも喜ぶわ~!」

 

 舞い上がる柚子

 だが、遊勝塾が現在、直面している問題は他にもある

 

「そういえば、講師のバイトを依頼する話はどうなったんだ?

 結構な前金が出来たんだから、1人くらい雇っても大丈夫だろ?」

 

「う~ん、どうしようかしらね~?

 お父さんの伝手を頼ってもいいけど、忙しそうな人ばっかりだし・・・

 かと言って、まったく無名の人にいきなり生徒たちを任せるわけにもいかないし・・・」

 

 修三さんの同期はかなり凄腕のプロデュエリストぞろいだ

 修三さん自身、かなりの腕前なのだが『戦士ビート』なので戦い方がかなり泥臭い

 そのくせ、榊遊勝の弟子としてショープロを目指していたのであんまり売れなかった

 

「そうだな。

 いきなり、やってくれって言っても無理な話だし

 ある程度の腕がないと、講師としては成り立たないしな。」

 

 机上理論ならインフェルニティエンタープライズニルループとか考えれるのだ

 だが、そんなのは少し行き過ぎた奴らの領域であり、小学生にそれをいきなり理解させようとするのは無茶だ

 難解なカード効果やルールを教えるには

 ある程度、実戦経験のあるデュエリストじゃないと無理だろう

 

「はぁ~どこかに、丁度いい人はいないかしらねぇ~

 強くて、頭良くて、優しくて、低賃金でも講師やってくれる人~」

 

「おいおい、それはいくらなんでも無茶言いすぎだろ・・・」

 

――コンコンッ!

 

 ん、ノック?修三さんなら、そのまま入って来るだろうし業者の人か?

 

「柚子お姉ちゃんー」

 

「あれぇ~休みなのに、遊矢兄ぃちゃんまでいるぜ?」

 

「こんにちは、柚子さん、遊矢先生」

 

 フトシ、アユ、タツヤのちびっこトリオじゃないか

 今日は休講しているのにどうしたんだ?

 

「ん?お前達、今日は休講日なのにどうしたんだ?」

 

「最新式のソリットビジョン装置がどういうものかと気になりまして・・・」

 

「そうそう。

 で、見学ついでに試させてもらえないかな?って」

 

 なるほど、子供は好奇心旺盛だね~わしにも覚えがある

 っと、フトシの奴、一心不乱に鼻を動かしているがどうしたんだ?

 

「この匂いは・・・あっ!マドルチェ・シャットーの紙袋だ!!」

 

 こいつ、ロゴが死角になってるはずなのに紙袋がどこのものか当てやがった!?

 缶詰で包装紙も取ってないのに・・・

 

 沢渡への報酬ついでに買った柊親子への差し入れだったが・・・

 修三さんは食べられそうにないな、これは

 

「ばれたんだったら仕方ないな

 柚子、またダイエットに悩まなくって済みそうだな?」

 

「ふ、太ってないわよ!?」

 

 いや、前にトリシューラ・プリン買ってきた時

 6個入りセット独り占めしてたから、絶対太っているだろう

 「高人気」「高カロリー」「高価格」の3拍子の名は伊達じゃない

 いや、そもそも俺のせいか

 沢渡用と一緒にちょくちょく差し入れしているし

 

「じゃあ、俺!プチシスタルトもーらい!」

 

「私はピョコレート貰うね?」

 

「ぼ、僕はバトラスクを戴きます。」

 

「あぁもう!こうなったら私も食べるわよー!マジョレーヌは貰ったわ!!」

 

「じゃあ、僕はそのミルフィール貰ちゃおうかな。」

 

 思い思いのお菓子を取って行くちびっこと柚子の後に続く、聞き慣れない少年の声

 柚子の後ろから、ニュっと手が伸びてきて予告されたお菓子が消え去った

 

「うん、これ美味しぃ~!!」

 

 すかさず口に放り込まれたお菓子

 当の下手人は暢気に感想を言っている、こいつは・・・

 

「はっ!はっ!柚子、ここに今って、いたぁー!!」

 

 息を切らせた修三さんが入って来るなり少年を指差す

 どうやら勝手に入ってきたようだ

 

「お、お父さん落ち着いて!ほら、深呼吸、深呼吸」

 

「はぁ~ふゅ~はぁ~ふゅ~」

 

「修三さんはしばらく喋れれそうにないな・・・で、君は?」

 

「僕?僕はね、紫雲院 素良!」

 

 元気よく名前を答える少年、紫雲院素良

 水色の髪を一括りにまとめ、翡翠色の瞳をした幼さの残る少年だ

 そして彼こそが、遊戯王ARC―Vにおける最も警戒しなければならない重要人物

 

「榊遊矢って、君のことだよね!河川敷のデュエル見てたよ!

 すごかったな~すっかり僕、君のファンになちゃった!」

 

「俺のファン?」

 

「そ!だからねぇ~僕、この塾に入りたいんだけど~

 いいかな?いいよね、はい決定!」

 

 猫なで声で可愛らしくも強引にことを進めようとする素良

 だが、それに対して柚子は黙っているわけもなく

 

「ちょっと!?

 勝手に決めないでよね、うちは今」

 

「柚子。」

 

「何よ、遊矢?」

 

「話だけでも聞いてやろうじゃないか

 決めるのはそれからだ。」

 

「わ、分ったわよ・・・」

 

 柚子はしぶしぶと言った感じに引き下がる

 塾を管理している身としては不法侵入をするような問題児は勘弁願いたいんだろう

 俺としても危険物をそばに置くような真似はしたくないのだが、逆に勝手に動かれる方が面倒と言うのがあるのだ

 

「さて、まずは住所と通ってる学校の名前を答えてもらおうか?」

 

 普通なら無難な質問

 この世界ではよく分らないが、こいつの事情を知っている身としては直球の質問をしてみる

 さぁ、どう答える?

 

「学校?僕はもう卒業しているよ?住所は・・・今は無し!」

 

「えぇー!!それってどういうこと!?

 あっ!?まさか・・・もしかして、成人されている方ですか?」

 

 素良の答えに対して、勘違いを発動させる柚子

 いや、どんだけ若作りだよ

 

「違う違う、僕は13歳だよ

 学校は・・・そう、飛び級ってやつ

 で、今はデュエリストとして腕を磨くために武者修行中ってとこかな?」

 

 地味に判明する素良の年齢、まぁジュニアユースに登録されていたし当然か

 俺の1つ下って言っても、見た目年齢はそれ以下に見える

 栄養失調じゃないのか?

 

「へぇ~でも、うちは小学生向けの決闘(デュエル)塾だ

 武者修行中の寄り道なら物足りないんじゃないのか?

 強くなりたいんだったら梁山泊塾や権現坂道場、それこそLDSの方を進めるよ。」

 

「えぇ~あそこも行ってみたけど、全然面白くなさそうなんだもん。

 僕はね、強い人が好きなんだ。

 そして、榊遊矢、君は此処の人たちの中でも指折りだ。

 だから、僕はここに来たんだ。」

 

 本心・・・なんだろうな、この反応は

 

「へぇ~掻い摘んで言うと、お前は俺と決闘したいからここに来たってことだな?」

 

「そうだよ!僕は君と戦いたいんだ!」

 

「ふ~ん・・・おい柚子

 さっき言っていた都合のいい講師の件、どうにかなりそうだな。」

 

「えっ!?ちょっとまさか・・・」

 

「あぁ、素良も別に俺と戦えれば塾生と言う形にならなくてもいいだろ?」

 

「へっ?それは別にかまわないけど・・・」

 

「じゃあ、ひとまず、お前の希望は叶えられるな。

 今度は俺たちからお前への希望だ。

 お前、講師をやってくれないか?」

 

「ちょっと遊矢!?」

 

「さすがの俺もそれは簡単に容認できんぞ!?」

 

 柊親子が異議を唱えてくる、まぁ、当然だが

 

「3食おやつ付き、寝床も用意する。

 代わりに遊勝塾で塾生たちに対して講義をしてもらう、どうだ?」

 

「僕は別にかまわないよ、ただし」

 

「俺と決闘させろってか?いいぞ

 どちらにしろ、人となりとデュエルの腕を確かめる必要があるからな。」

 

 柊親子の抗議をそっちのけで、話がとんとん拍子に進んでいく

 リアルソリッドビジョンの試運転もできるから一石で四鳥くらいになるな

 

「すいませーん。

 装置の取り付け終わったんでサインもらえますか?」

 

 丁度良く取り付け作業が終わったらしい

 さあ、行こうか

 

「あぁーもう!!遊矢ー!!」

 

「遊矢先生と武者修行中のデュエリストとのデュエル!」

 

「なんだか、しびれるぅ~デュエルの予感!」

 

「なんだか、得した気分だよね~」

 

 しっれと退出した遊矢と素良、そしてそれを追いかける柚子と続くタツヤ、フトシ、アユ

 修三だけが置いてけぼりを食らった

 

「お、おい!?俺を置いて行かないでくれよ~!!」

 

「あの、サイン・・・」

 

「あ、はい・・・」


「勝負はアクションデュエル、子供たちもいるから硬度は最弱で」

 

「別にいいよ、そんなこと僕は気にしないし」

 

 地下のデュエル場

 改装は済んだみたいだが見た目はいつもと変わらない

 いい仕事をしてくれる、さすがレオ・コーポレーションの業者だ

 

「もう、なんでこんなことに・・・・」

 

『あ~俺もよく分らんが・・・仕方ないから始めるぞ

 ところで、アクションフィールドは・・・これでいいのか?』

 

 アナウンスで修三さんがアクションフィールドのことで聞いてくる

 特に指定はしてなかったはずだが

 

「うん、それでお願い!

 僕の力を試すんだから、アクションフィールドくらい僕が選んでもいいよね?」

 

 こいつの仕業か、まぁ別に問題はない

 どうせ、あのフィールドだろうし

 

「いいよ

 その代り、お前の全力を見せてもらうか。」

 

『よし、じゃあ始めるぞ!

 アクションフィールド、スウィーツ・アイランド発動!』

 

 無機質なドーム状の空間が、光と共に一変する

 ケーキの山、マカロンの石畳、チョコの噴水、ジュースの滝・・・見ているだけで胸焼けしそうだ

 

「うはっ~想像以上だよ!僕の好きなお菓子がいっぱい!」

 

「お菓子がいっぱい!」

 

「美味しそ~!!」

 

「僕は、ちょっと・・・」

 

 ちびっこはタツヤだけが難色か

 取っていたお菓子もラスクだったし、甘すぎるモノは苦手なのか?

 

「俺はあまり長居したくないな・・・とっとと始めよう。」

 

「あは!じゃあ、よろしくお願いね?」

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

「先攻は俺みたいだな

 俺はEM(エンタメイト)ギタートルとリザードローをペンデュラムゾーンにセッティング。」

 

 お菓子の国に光の柱が出来る

 その中に居るのはギターのような躰を持つ亀と紳士風のトカゲ

 おなじみのドロー加速要因だ

 

「ギタートルのペンデュラム効果

 1ターンに1度、このカードがセットされている状態で、もう片方のペンデュラムゾーンにEMが発動されたことにより1ドロー

 さらにリザードローの効果、もう片方にEM(エンタメイト)カードがあることにより、このカードを破壊して、さらにドロー

 そして、空いたペンデュラムゾーンにEM(エンタメイト)オッドアイズ・ライトフェニックスをセッティング。」

 

 リザードローが居なくなった後の光の柱に入れ替わりで現れるのは、炎の様な羽根を持つ赤い鳥

 そして、2本の柱の間に現れる巨大な振子

 ファンサービスだ、最初から飛ばしていくぞ

 

「これで、ペンデュラムスケールは3と6

 揺れよペンデュラム、異界への道を指し示せ!ペンデュラム召喚!

 レベル4、EM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャン!」

 

ペンデュラム・マジシャン「ふん」

            DEF800

 

「おぉ~これがペンデュラム召喚!近くで見ると迫力あるな~」

 

 観光地の見世物みたいな感想だな

 まぁ、最初のターンだし・・・うまく行くかわからないけど、これ伏せるか

 

「特殊召喚成功によりペンデュラム・マジシャンの効果発動

 自分フィールドのカードを2枚まで破壊し、破壊した枚数に付き1種類デッキからEM(エンタメイト)モンスターを手札に加える。

 俺はペンデュラム・マジシャンとライト・フェニックスを破壊して、デッキから、リザードローとレインゴートを手札に加える。

 カードを2枚伏せて、ターンエンドだ。」

 

「えっ?モンスターいなくなっちゃったけど、良いの?」

 

「さぁ~どうだろうな?」

 

 素良が召喚しなくていいのかと聞いてくるが

 あからさまに罠を貼ったのだから答えるわけがない

 まぁ、ちびっこたちと柚子も困惑しているけど

 

「ねぇ、ねぇ、柚子姉ぇちゃん?

 なんで、遊矢兄ぃちゃんモンスター召喚しなかったの?」

 

「そ、そんなこと私が判るわけないでしょ・・・」

 

 いや、そこはちょっとは考えてくれ、デュエリストなんだから・・・

 

「もしかして、僕を嘗めてる?

 そんなあからさまな罠なんて、かる~く乗り越えちゃうんだから!

 僕のターン、ドロー

 僕は永続魔法、トイポットを発動。」

 

 素良の隣に現れる巨大なガチャガチャ

 装飾の目のような部分や長い舌を模したレールなど、蛙の様な見た目だ

 

「トイポットはね

 1ターンに1度、手札を捨ててデッキからカードを1枚ドローできるんだ。

 そして、それをお互いに確認して確認したカードがファーニマルモンスターなら、手札からモンスターを1体、特殊召喚出来るんだ

 違った場合は墓地にポイ、でもまだ効果は使わないよ

 

 まずは手札から魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動

 手札から1枚、モンスターカードをポイして、デッキからレベル1モンスターを特殊召喚」

 

 ワン・フォー・ワン、あのデッキなら相性がいいカードだな

 アニメでも漫画でも使って無かったが・・・ストロング石島の使用していたカードと言い、俺の影響か?

 だけど、素直には通さない

 

「じゃあ、俺はワン・フォー・ワンにチェーンして、手札のモンスターカード、増殖するGの効果発動」

 

「は?」

 

「「きゃあああぁぁぁぁぁ!!」」

 

「「うげ~・・・」」

 

 俺の背後にあるグミで出来たピラミットの隙間に無数に顔をのぞかせる黒い影

 柚子とアユは絶叫し、タツヤとフトシも嫌な顔してる

 というか、素良も素で驚いてるみたいだな

 

「このカードの効果は1ターンに1度、相手のターンでも発動できる

 このカードを手札から墓地に送って発動、このターン相手がモンスターを特殊召喚するたびに俺はカードを1枚ドローする。」

 

「ドロー加速カード!?

 うぅ・・・仕方ない、ワン・フォー・ワンの効果でデッキからレベル1のファーニマル・マウスを特殊召喚」

 

ファーニマル・マウス「ちっ!」

          ATK100

 

 素良の前に現れるドーナッツを持った羽の生えたハムスター

 可愛らしいが、女子組はGの方が気になるようで黄色くない悲鳴を上げている

 

「増殖するGの効果で1ドロー」

 

 背後のグミのピラミッドからデッキの上に目に留まらない速度で飛びかかってくる黒い影

 そして、勝手にドローされて俺の手元に飛んでくる

 さすがカイバーマン以上の攻撃力を持つG・・・ただものじゃない

 

「な、なんでそんなカード入れてるのよー!!」

 

「えぇ~便利だろ、これ。」

 

「た、確かに便利だけど・・・その・・・うっ・・・」

 

 柚子が便利だといいつつ、怯えている

 まぁ、そりゃそうか・・・OCGではおなじみのこのカードであるが、ソリッドビジョンがあるこのカードは誰も使いたがらないカードだ

 

「う~ん、ドローさせるのは怖いけど・・・

 このターンで決着を着けちゃえば問題ないね!

 僕はファーニマル・マウスの効果発動

 このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、自分のメインフェイズにデッキからファーニマル・マウスを2体まで特殊召喚出来る

 来い、2体のファーニマル・マウス!」

 

ファーニマル・マウス「ちっ」

          ATK100

 

ファーニマル・マウス「ちゅー」

          ATK100

 

「モンスターが特殊召喚されたので1ドロー」

 

「この効果を使ったターン、僕はエクストラデッキからデストーイモンスターしか特殊召喚出来ない。」

 

「デストーイ?」

 

 タツヤが疑問を口にする

 まぁ、「ファーニマル」じゃなくて、いきなり違うテーマの名前を口にされれば当然か

 あのデッキは3種類で1セットだが、このスタンダード次元ではそれを知っている人間は俺を除いていないだろう

 

「さらに墓地のエッジインプ・シザーの効果

 手札を1枚、デッキトップに戻すことでこのカードを守備表示で特殊召喚

 来い、エッジインプ・シザー!」

 

エッジインプ・シザー「ゲヘッ!ゲへへへへー!」

          DEF800

 

 現れたのは、複数の鋏が密集したような姿をした悪魔

 持ち手の部分が暗くなっており、その中かららんらんと光る赤い目が覗く

 

「特殊召喚により1ドロー」

 

「まだだよ、さらにトイポットの効果発動

 手札を1枚捨てて1ドロー

 さっき手札から戻したから、もう分ってるよね

 引いたカードはファーニマル・オウル

 そして、このカードを特殊召喚する。」

 

ファーニマル・オウル「ポー!」

          ATK1000

 

「増殖するGの効果でドロー」

 

「ファーニマル・オウルの効果発動

 このカードが手札から召喚、特殊召喚された時、デッキから融合を1枚手札に加える」

 

「「「「融合!?」」」」

 

 おいおい、そんなに驚くことかって、LDSでもないのに融合を使えるのは珍しいか

 

「だったら、その効果にチェーンして速攻魔法、超カバーカーニバル発動だ。

 デッキ、手札、墓地からEMディスカバー・ヒッポを1体特殊召喚して、さらに自分フィールド上にカバートークンを可能な限り、特殊召喚出来る」

 

ディスカバー・ヒッポ「カバー!」

          DEF800

 

カバートークン(橙)「カーバ」

        DEF0

カバートークン(黄)「カバ」

        DEF0

カバートークン(青)「カァバァ」

        DEF0

カバートークン(緑)「カバァ~ン」

        DEF0

 

「へぇ~壁モンスター立てるカード伏せてたんだ

 でも、無駄だよ!このカードでみんな壊してあげる!!」

 

 現れた五色のカバを見て嘲笑する素良

 融合のカードを見せつけて、口角を吊り上げる

 

「僕は魔法カード、融合を発動!

 フィールドのエッジインプ・シザーとファーニマル」

 

「おっと、そうはいかないな。

 融合の発動にチェーンしてトラップカード、スウィッチ・ヒーローを発動

 お互いのフィールドのモンスター数が同じ場合、そのコントロールを全て入れ替える。」

 

「なっ!?」

 

 五色のカバたちはジャンプすると素良のモンスターを回し蹴りで俺のフィールドに蹴り飛ばす

 そして、そのまま素良を挑発するように腰振りダンスを開始する

 

「ウザッ!」

 

「さすがヒッポ達、いい仕事してくれる

 それで、お前のデッキにヒッポ達を融合素材にできるモンスターはいるのかな~?」

 

「・・・・・・」

 

「いないのなら、融合はフィールドが埋まってるから不発になり、墓地に送られる。」

 

 空しく消えていく融合のソリッドビジョンを呆然と見つめる素良

 俺はその辺に落ちていた、チョコレートを齧りながら挑発する

 う~ん、それっぽい味がするけど美味しくないな、ただ甘いだけだ

 

「どうした、まだ何かするのか?」

 

「・・・・・・ターン、エンドだ。」

 

 素良のエンド宣言と共にチョコを食べ終えた俺の前にアクションカードが出現する

 なるほど、このフィールドではお菓子を食べるとアクションカードが出現する仕組みか

 さっき大量にGが走り回っていたし、美味しくもないから食べる気がしないけど

 

「俺のターン、ドロー

 俺はペンデュラムゾーンに2体目のリザードローをセット

 ギタートルの効果でドローして、さらにリザードローの効果で破壊して1ドロー

 さらにファーニマル・マウス2体をリリースして

 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンをアドバンス召喚」

 

オッドアイズP「ギャアオオオォォォォォ!!」

       ATK2500

 

 現れる、2色の眼に未発達の翼のような突起を持つ赤い竜

 かなり意地悪なコンボだが・・・さぁ、どう抜けてくるかな?

 あぁ~そういえばこれ試験だから、ちょっとは動けるように手助けしてやるか

 

「俺はカードを2枚伏せ、魔法カード、手札抹殺を発動

 互いのプレイヤーは手札を全て捨て、捨てた枚数分だけドローする

 俺の手札はアクションカード含めて4枚だから、捨てて4枚ドローだ。」

 

 しばらく呆然としていた素良だったが

 突然、その辺に落ちていた飴玉を引っ掴み、それを口の中に放り込むと勢いよく噛み砕く

 

―ガリッ!

 

「ちっ!あんまり僕を嘗めるなよ、遊矢!

 僕もアクションカードを含めた3枚のカードを捨てて、3枚ドローだ!」

 

 面白くないものを見たような、鋭い目で遊矢を睨み

 出現したアクションカードを引っ掴んで、そのまま手札と共に墓地に叩きつける素良

 もはや、最初のような可愛らしさはない

 そこに居るのは、ただ獲物を狙う1匹の凶暴な獣だ

 

「僕は今、墓地に送ったエッジインプ・チェーンの効果発動

 このカードが手札、フィールドから墓地に送られた場合、1ターンに1度、デッキからデストーイカードを1枚手札に加える。

 僕はデッキからデストーイ・サンクチュアリを手札に加える。」

 

(デストーイ・サンクチュアリ・・・となると素良のやろうとしてくることは・・・

やっぱり、そう簡単にコンボは決まらないか。)

「俺はスケール1のEM(エンタメイト)ユーゴーレムをペンデュラムゾーンにセティングして

 手札から2枚目のペンデュラム・マジシャンをペンデュラム召喚だ。」

 

ペンデュラム・マジシャン「ふん」

            DEF800

 

 光と共に遊矢のフィールドに現れる、振子の魔術師

 それと同時に出現した巨大な振子がファーニマル・マウスとギタートルを砕く

 

「ペンデュラム・マジシャンが特殊召喚されたことにより効果発動

 ギタートルとファーニマル・マウスを破壊してデッキからEM(エンタメイト)マンモスプラッシュとカレイドスコーピオンを手札へ

 さらにカードを1枚伏せて、ファーニマル・オウルを守備表示にしてターンエンドだ。」

 

「うわぁ~遊矢兄ぃちゃん、意地悪だな~」

 

「そうだね。

 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンはモンスターと戦闘を行う場合、相手に与える戦闘ダメージを倍にするから

 モンスターゾーンを開けるためにディスカバー・ヒッポで唯一攻撃表示のオッドアイズに攻撃したら

 3400ものダメージを受けることになる。」

 

「あのファーニマルって、モンスター達も融合素材を揃えるためにいっぱい出てくるみたいだけど

 レベルが全体的に低そうだからリリースしてモンスターゾーンを開けるっていうのも難しそうだよね。」

 

「そうね。

 あのままじゃあの子、まともに動けないわ。」

 

「解説、ごくろうさん

 さて、どうする素良?

 安心しろよ、カバートークンが居る限り呼び出した俺はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚出来ないからさ。」

 

「ちっ!!どこまで嘗めてるんだよ!ドロー!!」

 

「別に嘗めてないさ

 俺はお前の本気を見たいだけ・・・うん、やっぱり美味くないな。」

 

 ロールケーキ1本丸ごと、齧りながら言う遊矢

 だが、その態度が素良の癪に障り、激情に駆られて動き出す

 

「そう、だったらお望み通り見せてやるよ!僕の本気を!!

 墓地のファーニマル・ウィングの効果発動

 1ターンに1度、自分フィールド上にトイポットが存在する場合

 墓地のこのカードとウィング以外のファーニマルモンスター、ファーニマル・マウスを除外して発動する。

 デッキから1枚ドロー、さらにトイポットを追加で破壊し、もう1枚ドローだ!」

 

 手の付いた極彩色の羽根の様なモンスターがトイポットを解体し、素良に3枚ものカードを持ってくる

 

「そして、トイポットが墓地に送られたことにより効果発動

 デッキからエッジインプ・シザーかファーニマルモンスターを手札に加える。

 僕はファーニマル・ベアを手札へ

 さらに永続魔法、デストーイ・サンクチュアリを発動!」

 

 飴をまたもや齧り喰らった素良がカードを発動させると、お菓子だらけの世界の中に夜が訪れる

 そしてその夜を照らし出す多数のライト、それを発しているのはおもちゃ箱の中身をぶちまけた様な騒がしくも散らかった建物、教会と言うよりも城の様だ

 

「このカードは手札を1枚捨てエクストラデッキからデストーイモンスターを2体、墓地に送って発動できる。

 僕は今、手に入れたアクションカードを捨てて、エクストラデッキのデストーイ・チェーン・シープとシザー・ウルフを墓地に送る。

 これで僕のフィールドに存在する融合モンスターはデストーイモンスターとして扱うようになった。」

 

「肝心の融合モンスターが居ないみたいだけど、どうするんだ?」

 

「焦るなよ。

 さらに僕は魔法カード、融合識別(フュージョン・タグ)を発動

 自分フィールド上のモンスター1体を対象とし、エクストラデッキの融合モンスターを相手に見せる。

 このターン、対象モンスターを融合素材とする場合、その見せたモンスターと同名カードとして融合素材にできる。

 僕はディスカバー・ヒッポを対象にデストーイ・シザー・ベアを見せる。」

 

 ディスカバー・ヒッポの首にタグ付きの首輪が巻かれる

 そのタグには腹から鋏が飛び出したクマのぬいぐるみが描かれていた

 

ディスカバー・ヒッポ「ヒポッ!?」

 

「これでディスカバー・ヒッポはシザー・ベアとして融合素材にできるようになった。

 後悔するなよ・・・僕はさらに魔法カード、魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)を発動!

 自分フィールド上、墓地からデストーイ融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを除外し融合召喚を行う!

 僕は墓地のデストーイ・チェーン・シープとシザー・ウルフ

 そして、シザー・ベアとして扱うディスカバー・ヒッポを融合!」

 

 墓地から這い出た、鋏や針が突き刺さったボロボロのオオカミのぬいぐるみと、鎖で吊り下げられた羊のぬいぐるみが、ディスカバー・ヒッポを混沌とした渦の中に引きずり込む

 

ディスカバー・ヒッポ「ヒィ!?ヒポオオオォォォォォ!!」

 

「悪魔宿りし非情の玩具よ、哀れな捕らわれし獣を飲み込み、刃向う愚民を根こそぎ滅ぼせ!融合召喚!!」

 

――ズドドオオオォォォォォン!!

 

 混沌の渦から巨大な何かが落ちてくる

 熊のぬいぐるみのような中心の後ろから2本の首が生えたような異様な姿

 見る者に驚愕をもって笑顔を与える玩具は、歪に交じり合い、破壊を持って恐怖を与える兵器となって降臨する

 

「現れ出でよ!全ての玩具の結合魔獣!デストーイ・マッド・キマイラ!!」

 

マッド・キマイラ ATK3000

――きゃはははははhhhhh

――うははhっははははhh

――ひゃひゃひゃやhhyhy

 

「でか!?」

 

「なに・・・あれ・・・」

 

「なんか怖い・・・」

 

「遊矢・・・」

 

「マッド・キマイラの攻撃力は、元々の持ち主が相手となる、自分フィールドのモンスターの数×300アップする。

 このカバどもは、元々は遊矢のだからマッド・キマイラの攻撃力は1200アップ!」

 

 マッド・キマイラ ATK3000→4200

 

「僕を馬鹿にしてくれた遊矢にはキツイお仕置きをしたい所だけど、まずは僕のモンスターを返して貰うよ。

 マッド・キマイラでエッジインプ・シザーに攻撃!

 何を伏せてるか知らないけど、マッド・キマイラが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法、トラップ、モンスターの効果を発動できないよ!」

 

 マッド・キマイラの正面の熊の口から砲弾が発射されエッジインプ・シザーを吹き飛ばす

 

「マッド・キマイラが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、そのモンスターの攻撃力を半分にして自分フィールドに特殊召喚できるけど

 モンスターゾーンが全て埋まっちゃってるから、発動できない。」

 

「うちのカバートークン達は本当にいい仕事するなぁ」

 

「ウザいだけだよ。

 手札のファーニマル・ベアの効果発動

 1ターンに1度、このカードを手札から捨ててデッキからトイポットをセットする。

 僕はこれでターンエンドだ!」

 

「いいね、化けの皮が剥がれて来たじゃないか。

 俺のターン、ドロー

 さて、十分に活躍してくれたカバートークン達もそろそろ、退場の時間だ。

 俺はファーニマル・オウルをリリースしてEMカレイドスコーピオンをアドバンス召喚」

 

カレイドスコーピオン「クルル」

          ATK100

 

 傷つける鋏は仲間を守る盾に、毒持つ針は役者を照らし出すスポットライトに変わった蠍が登場し

 その尻尾のスポットライトでオッドアイズとカバートークン達を照らす

 

「なに、これ?」

 

「役者は退場も派手にってな。

 カレイドスコーピオンの効果

 1ターンに1度、自分フィールド上の表側表示モンスターを対象として発動

 そのモンスターはこのターン、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスターすべてに1回ずつ攻撃できる。

バトル!オッドアイズでカバートークン4体に攻撃」

 

 オッドアイズは気遣うかのように弱めのブレスをカバートークン達の足元に向けて撃ち

 カバートークン達はその足元で爆発した爆風に乗り退場していった

 

「カバートークン達が居なくなったことにより、マッド・キマイラの攻撃力は元に戻る。」

 

 マッド・キマイラ ATK4200→3000

 

「でも、そのモンスターじゃ

 マッド・キマイラには勝てないよ!はぐっ!残念だったね。」

 

 無駄な足掻きだと、馬鹿にしたように素良はスナック菓子を貪り食い、アクションカードを手にする

 だがそんなことは遊矢は百も承知だ

 

「だけど、これで俺はエクストラデッキのモンスターを使えるようになった

 俺はスケール4のEMマンモスプラッシュをペンデュラムゾーンにセッティング」

 

 闇夜に浮かび上がる光の柱、灰色の土人形の隣に上ってくるのは紫色の毛皮を持つ太古の獣

 

「これでスケールは4と1、手札からレベル2のEMトランプ・ガールをペンデュラム召喚だ。」

 

トランプ・ガール「ははっ」

        DEF200

 

「そのモンスターは!?」

 

「河川敷のデュエルを見てたってなら、分かるだろう?

 お前が融合で勝負してくるなら、俺も同じ土俵で戦ってやるよ

 トランプ・ガールの効果発動

 1ターンに1度、自分メインフェイズに融合モンスターカードによって決められた

 このカードを含む融合素材モンスターを自分フィールドから墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 俺はEM(エンタメイト)モンスター、トランプ・ガールとオッドアイズモンスター、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを融合

 現れろ、EM(エンタメイト)オッドアイズ・メタル・クロウ」

 

 道化師の少女と二色の眼の竜が混じり、新たなモンスターが産声を上げる

 その姿は重厚な鎧を身に纏い、鋭い鋼の鉤爪を持つ人狼

 

メタル・クロウ「グオオオォォォォォォン!!」

       ATK3000

 

「攻撃力3000・・・」

 

「そうだ。

 そしてこいつは、自身の攻撃宣言時に自分フィールド上の全てのモンスターの攻撃力を300ポイントアップさせる効果を持つ、次のターンでその不細工な玩具も終わりだ。

 おっと、俺が融合召喚したことでユーゴーレムの融合モンスターのペンデュラム効果が発動する。

 墓地またはエクストラデッキの表側表示のEM(エンタメイト)ペンデュラムモンスターの中から1枚を選び手札に戻す

 俺はギタートルを戻し、ターンエンドだ」

 

「僕のターン、ドロー

 次のターンだって?そんなの渡すわけないじゃん

 墓地のエッジインプ・シザーの効果で手札を1枚デッキトップに戻し、このカードを特殊召喚」

 

エッジインプ・シザー DEF800

 

「トイポットをリバースして効果発動

 デッキトップのカードはもちろん、ファーニマルモンスターだ。

 来い、ファーニマル・ドッグ!」

 

ファーニマル・ドッグ「わん!」

          ATK1700

 

 天使の羽根が生えた子犬のぬいぐるみといった装いのモンスターが現れるが、それは無情の悪魔を呼ぶための供物でしかない

 

「ファーニマル・ドッグの効果

 1ターンに1度、手札からこのカードが召喚、特殊召喚された時

 デッキからエッジインプ・シザーまたはファーニマル・ドッグ以外のファーニマルモンスターを手札に加える。

 僕が手札に加えるのは、ファーニマル・ペンギン」

 

「どれだけ、手札を増やす気だよ」

 

「こんなのほんの序の口さ。

 墓地の2枚目のファーニマル・ウィングの効果を使い

 ファーニマル・マウスとこのカードを除外し、さらにトイポットを墓地に送ることで合計2枚ドロー」

 

(本当はエッジインプ・シザーを手札に加えて、シザー・ウルフでボコボコにしてやりたいけど、あのワンコロが邪魔だな)

 

「さらにトイポットの効果でファーニマル・ベアを手札に加える。

 そして、永続魔法、デストーイ・ファクトリーを発動

 このカードは自分の墓地の融合またはフュージョンと名の付く魔法カードを1枚除外し、1ターンに1度、デストーイ融合モンスターを特殊召喚する。

 僕はフィールドのエッジインプ・シザー、ファーニマル・ドッグと手札のファーニマル・ペンギン、キャットを融合」

 

 デストーイ・サンチュクアリの扉が開かれ、デェフォルメされたペンギンと猫が鋏の悪魔と共にベルトコンベアで謎の機械に放り込まれる

 

「悪魔の爪よ!餓えた牙よ!冷たき心よ!忍び寄る足よ!

 今、一つとなりて新たな力と姿を見せよ!

 融合召喚!現れ出ちゃえ!すべてを引き裂く密林の魔獣!デストーイ・シザー・タイガー!」

 

 機械が停止し、仕上がったのは継ぎはぎだらけの虎のぬいぐるみ

 だがその腕は鋏が突き刺さって体に繋がっており、腹からも巨大な鋏が生え、口の部分からは謎の紅い目が光を放っている

 それはデストーイ・サンクチュアリの中から這い出し、狂った産声を上げる

 

シザー・タイガー「うはははははっははhhh」

     ATK1900

 

「シザー・タイガーは自分フィールドのデストーイモンスターの攻撃力を

 自分フィールドのファーニマルとデストーイモンスターの数×300ポイントアップさせる。」

 

 シザー・タイガー ATK1900→2500

 マッド・キマイラ ATK3000→3600

 

「それだけじゃない

 このカードの融合召喚に成功した時、融合素材モンスターの数まで、フィールド上のカードを選択して破壊する

 やっちゃえ、シザー・タイガー!その犬っころとセットカード3枚を破壊だ!」

 

「やらせない。

 トラップ発動、ブレイクスルー・スキル

 相手フィールド上のモンスター1体の効果をターン終了まで無効化する」

 

 シザー・タイガーの腹の鋏が伸び、メタル・クロウと遊矢のセットカードを挟み込もうとするが、メタル・クロウは強固な手甲を装備した腕を振り上げ、その鋏をたたき折る

 

「ちっ!やっぱり防ぐか・・・」

 

「シザー・タイガーの効果が消失したことにより、デストーイモンスターの攻撃力も元に戻る。」

 

 シザー・タイガー ATK2500→1900

 マッド・キマイラ ATK3600→3000

 

「融合素材として墓地に送られたファーニマル・キャットの効果により、墓地の融合を手札に

 さらにファーニマル・ペンギンの効果

 デストーイの融合素材としてこのカードが墓地に送られた場合、デッキから2枚ドローして、その後1枚を捨てる。」

 

「融合を手札に加えたか」

 

「そうだよ!しっかり見せてあげるよ、僕の本気を!

 融合発動、手札のファーニマルモンスター、ファーニマル・オクトとエッジインプモンスター、エッジインプ・DTモドキを融合!

 悪魔の使者よ!偽る者よ!今、神秘の渦で一つとなりて新たな力と姿を見せよ!

 融合召喚!現れ出ちゃえ!自由を奪い闇に引き込む海の悪魔!

 デストーイ・ハーケン・クラーケン!」

 

 混沌の渦の向こうから浮上する紫の烏賊の姿の悪魔

 その触碗の先は鋭い鎌となっていて哀れな獲物を待ちわびている

 

ハーケン・クラーケン「ゲへへへッ!」

          ATK2200

 

「ハーケン・クラーケンの効果発動

 このターン、ハーケン・クラーケンのダイレクトアタックを封じる代わりに、相手モンスター1体を墓地に送る。

 消えちゃってよ、オッドアイズ・メタル・クロウ」

 

――ザシュ!

メタル・クロウ「ギャオオオォォン!!」

 

「「「「うっ!?」」」」

 

 ハーケン・クラーケンの鎌がメタル・クロウを惨殺する

 見ていた柚子たちはその凄惨な光景を見て、顔を青ざめさせる

 

「はははっ!これで遊矢、君のモンスターは雑魚と壁モンスターだけだ。

 そして、ハーケン・クラーケンは2回攻撃が出来る。

 終わりだよ!バトル、デストーイ」

 

「バトルフェイズ開始時にトラップ発動!死魂融合(ネクロ・フュージョン)

 

「何!!死魂融合(ネクロ・フュージョン)!?」

 

「墓地の融合素材モンスターを裏側表示で除外することで、融合召喚を行う」

 

「墓地のモンスターで、相手ターンに融合するだって!?」

 

「俺は墓地のEM(エンタメイト)モンスター、レインゴートとレベル5以上の闇属性モンスター、曲芸の魔術師を裏側で除外して融合

 さぁ!存分に暴れな!EM(エンタメイト)ガトリングール!」

 

ガトリングール「ハハhハハハhHHHHッ!!」

       ATK2900

 

 玩具の姿をした刃物を持つ悪魔たちの前に現れる、機関砲を持った屍鬼

 早く撃ちたくてうずうずしているが、まだその時ではない

 

「うげぇ~!!でたー!?」

 

 柚子もなにか言っているが、今は気にしている時ではない

 

「ガトリングールの効果発動

 それにチェーンしてユーゴーレムのペンデュラム効果を、さらにチェーンして、マンモスプラッシュのペンデュラム効果を発動する。

 チェーンの逆処理によりマンモスプラッシュの効果

 融合モンスターが自分フィールド上に特殊召喚された時

 エクストラデッキの表側表示のオッドアイズペンデュラムモンスターを特殊召喚する。

 来い、EM(エンタメイト)オッドアイズ・ライトフェニックス」

 

ライトフェニックス「クエェー!!」

         DEF1000

 

「ユーゴーレムの効果でエクストラデッキのトランプ・ガールを手札に加え

 最後にガトリングールの効果、フィールド上のカード1枚に付き、相手に200ポイントのダメージを与える。

 フィールドのカードは全部で12枚、よってダメージは2400ポイントだ。」

 

 待ってましたとばかりに火を噴くガトリングールの機関砲

 素良はそれを受けて大きく吹き飛ばされ転がる

 

「うわああぁぁぁ!!くっ・・・うぅ・・・やって・・・くれるね。」

 

「まだ終わらないぞ。

 ガトリングールはペンデュラムモンスターを融合素材にして召喚された時

 相手モンスターを1体破壊し、その攻撃力分のダメージを与える。

 俺はデストーイ・マッド・キマイラを破壊する。」

 

「やった、遊矢先生の逆転勝ちだ!」

 

「そうは・・・いかないんだよ!

 アクションマジック、ミラー・バリア!

 このカードの効果で、マッド・キマイラはこのターン、効果じゃ破壊されない!」

 

 ガトリングールの銃弾がさらにマッド・キマイラをハチの巣に変えようとするが

 歪んだ鏡のようなものが、マッド・キマイラを覆い銃弾を防いでいた

 そして、ガトリングールの銃弾はついに弾切れを起こした

 

「ちっ!これを防いでくるのか・・・」

 

「はははっ!残念だったね。

 そいつがそのうち現れるだろうと思ってとっておいたのさ。

 最後の反撃も無駄に終わったね。」

 

「くっ!?」

 

「まぁ、中々楽しめたよ。

 この僕に本気を出させたこと、褒めてあげる。

 これで終わりさ!行け!ハーケン・クラーケン!カレイドスコーピオンを切り刻めー!!」

 

 カレイドスコーピオンに迫る無数の鎌、遊矢はそれを呆然とそれを見つめるだけ

 

「・・・・・・・・・・・な~ん、ちゃって!!」

 

 という事はなかった

 

「相手モンスターの攻撃宣言時に、トラップ発動!立ちはだかる強敵!!」

 

「何!?」

 

「さらにチェーンしてオッドアイズ・ライトフェニックスの効果発動

 自身をリリースし、自分フィールド上のEM(エンタメイト)モンスターの攻撃力を1000ポイントアップさせる。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ガトリングールの攻撃力を1000ポイントアップ!」

 

 ライトフェニックスは自身を炎へと姿を変え、ガトリングールの弾の尽きた機関砲に宿る

 シリンダーは高速で回転し、火花を散らし、炎を噴き上げる

 活気が戻った相棒にガトリングールも嬉しげだ

 

「さらに立ちはだかる強敵の効果で、お前は俺の選択したモンスター、もちろんガトリングールと戦ってもらうぞ

 お前の攻撃表示モンスター全てでな!!」

 

「なんだって!?」

(僕のライフは1600、ハーケン・クラーケンを破壊されたら・・・)

 

 あまり知られてない事だったが、スタンディングデュエルでも長考時間は3分と決められている

 だが、アクションデュエルではとっさの判断力が求められるため、30秒と短く設定されている

 そして、バトルのステップ時は攻撃が着弾するまでと言う、ごく短い間である

 

 素良は急いで自分の足元のラムネ菓子を大量に口に押し込み、アクションカードを出現させ発動させる

 

「アクションマジック!回避ぃー!!モンスターの戦闘を無効にするー!!」

 

 ガトリングールは早速試し打ちだとばかりに、鎌の迫るカレイドスコーピオンの前に躍り出て

 ハーケン・クラーケンの鎌を撃ち落とす

 

「おおぉー!よく躱したな

 だが次はそう上手くいくかな?

 忘れてないよな?その烏賊モドキは2回攻撃が出来るってことを!」

 

 邪魔をされたハーケン・クラーケンは無謀にも怒りで我を忘れて、勝てないはずのガトリングールに立ち向かっていく

 

「くっ!?」

 

 素良は急いで、近くにあったジュースの滝に飛び込む

 だがジュースは炭酸が混じっていたのか、彼の鼻や目を刺激する

 それでも一定の量を飲み込んだことでアクションカードが彼の下に出現した

 

「がはっ!!うっ、アクションマジック、奇跡!!

 戦闘ダメージを半減させ、その戦闘によって自分のモンスターは破壊されない!!うわっ!?」

 LP1600→750

 

 涙目でジュースまみれになりながら、アクションカードを発動させた素良の奮闘によって

 身の程を知らない海の悪魔は、その触手を炎の弾丸に焼かれるだけに留まるが

 悪魔の召喚者である素良に流れ弾が何発か降り注ぐ

 だが、不死鳥の力が宿った機関砲の弾は尽きることがない

 

「ま、まて!シザー・タイガー!!」

 

 仲間の仇だとばかりに密林の襲撃者は、敵に立ち向かっていく

 だが、それは愚行以外の何物でもない

 

――きゃああぁぁぁぁぁぁ!!

――助けてくれえぇぇー!!

――よくも俺の友達をおおぉぉぉぉ!!

 

 素良は急いで近くにあったチョコの噴水に頭を突っ込む

 だが、そのチョコレートは熱を持っており、体感度が最小に放っているとはいえ

 いきなり、口の中に入れた素良は咽て吐きそうになるのを抑えて飲み込む

 

「がはっ!?・・・ごふっ!・・はぁはぁ・・・アクション・・・・マジッ・・ク・・・

 回・・避・・・シザー・・・・タイガーの・・・攻撃を・・・無効にする・・・」

 

 弾の尽きることのない相棒に上機嫌のガトリングールは、狙いもそこそこに乱れ打ちする

 その何発かは、シザー・タイガーの足元に着弾し、シザー・タイガーは転んだことによって火だるまになるのは避けられる

 

――お父さぁぁぁん!お母さぁぁぁん!!

――この子だけは!この子だけは!どうか、命だけは!!

――お前だけは!お前だけでもおおぉぉぉぉぉ!!

 

 

――勝てない相手に無謀にも立ち向かうモンスター

――そして、その後ろで逃げ惑う自分

 

 それは素良の脳裏にあるものを連想させる

 

「はぁはぁ・・・・ア・・・クション・・カード・・・・」

 

 もつれた足が絡まり、その場に倒れ込む

 もう掴むことのない希望に縋るが、目の前の破壊の狂気に魅入られた悪魔は待ってはくれない

 そして、歪な悪魔の玩具が砲塔を、それに向けたことが合図となる

 

「時間だ。」

 

――ドルルルルウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

 無数の炎の弾丸が玩具の悪魔に風穴を開けて行く

 ガラクタとなったそれが崩れ落ちる寸前に見た素良の光景は

 破壊と勝利に酔う、悪魔の姿――その様は

 

――ハハハハハhhhッハハハハハッはハアッ派はhhッはアァァァ!!

 

 自分に重なって見えた

 LP750→0

 

 炎に焼かれたお菓子の国が光となって消えていく

 デュエルは終わったが修三も柚子たちも、目の前で繰り広げられた壮絶な光景に声が出せない

 素良は未だ床にうつ伏せになったまま動かない

 

(アクションマジック、キャンディ・シャワー

 相手のモンスターを守備表示にするカード

 最後に取られてたら、まだ分からなかったな。)

 

 自分の手札に最後に余ったアクションカードを見て、そんなことを考える遊矢

 そして、その歩をゆっくり素良に向って進める

 

「俺の勝ちだな、素良・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「試験の結果だが・・・・まず、お前は性格に難ありと判断した。

 弱いものを甚振ろうとするような、ゲスい考えが見え隠れしている。」

 

「・・・・・・・・」

 

「普段のアレは、キャラづくりか何か?それとも二重人格?まぁ、どっちでもいいか。」

 

「・・・・・・・・」

 

「だが、最後まで諦めないで足掻いたことは、デュエリストとして及第点だ。」

 

「・・・・・・!!」

 

「性格の方も・・・まぁ、普段、あれだけ隠せてるんだから問題ないだろう

 実力の方は申し分なし。」

 

「えっ?ちょっと、遊矢、それって・・・・」

 

 柚子が遊矢の言葉で我に返り、声をかける

 その質問の答えは、遊矢が素良に手を差し伸べたことで返される

 

「これからよろしく頼むよ、同僚。」

 

 遊矢が素良に掛けた言葉、その言葉に素良が返した返事は

 

―ドスッ!!

 

「ぐおぉ!?」

 

―無言の腹パンだった

 

「何上から目線で言ってくれてんだよ!このド外道!悪魔ー!鬼ー!!」

 

 立ち上がった素良はよほど頭に来たのか、普段の冷静さもなく子供らしく感情を露わにする

 

「ごほっ!ごほっ!何するんだよ!このチビ助が!!」

 

「ちびって言う方が、チビなんだよ!

 いいか!次は絶対!僕が勝つんだからな!!でかい態度、取ってるんじゃないぞ!!

 同僚ってなら、僕と遊矢は対等だろ?」

 

「はんっ!チビのくせにでかい口を叩くなよ!

 同僚でも先輩と後輩の関係だ!それに次も勝つのはこの俺だ!!」

 

「僕だ!!」

 

「俺だ!!」

 

「僕だ!!」

 

「俺だ!!」

 

「僕ー!!」

 

 突如始まる子供の喧嘩に柚子は呆れてものも言えない

 タツヤ達は2人の剣幕に声をかけられずにいた

 

「はぁ~これから、我が遊勝塾はいったいどうなってしまうんだ・・・」

 

 蚊帳の外の修三だけがモニターに映る2人の喧嘩する姿に、これからの不安を感じていた

 




不死鳥!機関砲!
これがフェニックスガトリングコンボだ
フハハハハッ!!(想定していたものではない)

何がフハハハハッ!だよ!この悪魔!鬼畜!ゲスー!!

ゲスはお前には言われたくないよ

ふんっ!ところで僕が住む所ってどこ?

えっ?俺の家

はっ!?

次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『嘘つきたちの夜』


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嘘つきたちの夜

書いている途中でいいサブタイトルが思いついたので変更しました

遊矢と素良の後日談と名前しか出なかった遊勝の出る過去編です。
書くにあたって、遊勝のデュエルを見返してみましたが
あれって、ユーリが言っていたようにだんだん腹立ってきそうなんですよね


 デュエルアカデミア

 「遊戯王デュエルモンスターズGX」に登場するデュエリスト養成校である

 世界各地に姉妹校があるが物語の舞台になる本校は、絶海の火山島に建っており、いわくつきの場所が多々あるという場所だ

 「遊戯王ARC―V」でも4つの次元世界の1つ、融合次元に存在するがそこはGXとは違い、生徒に洗脳教育を施しアカデミアに絶対の忠誠を誓わせ、少年兵に仕立て、各次元へ侵攻している侵略者の本拠地

 

 そして、俺の隣を歩いてる、この紫雲院 素良はそのデュエルアカデミアの兵士

 

 素良とデュエルし、家へ持ち帰る粗方の資料をまとめた俺は素良を連れて家へ向かっていた

 

「ねぇ、遊矢?僕の泊まる場所を用意するって言っていたけど、それってどこなの?

 僕、君に付いてこいとしか言われてないんだけど?」

 

「ん?あ~俺の家だ。」

 

「はぁ?」

 

「家には今、母さんと俺、それから犬や猫しかいないからな

 部屋が余りまくっているんだよ。」

 

「へぇ~っていうか、僕が泊まるってお母さんには説明したの?」

 

「一発でOKだとさ。

 心配しなくても結構広い家だし、家事とか手伝えとも言わないから、ゆっくりしてくれ。」

 

「そうさせてもらうよ・・・・・嫌なもの思い出しちゃったし・・・・・・」

 

「ん、なんか言ったか?」

 

「なんでもない。

 そういえば、遊矢のお父さんって」

 

「あっ、ここが俺の家だ。」

 

 2階建の一軒家、広いが素良が何か動いた時にはすぐに気付けるだろう

 この世界の素良が本当にアカデミアの尖兵なのか、漫画版の様な望みの未来のために戦っている使者なのかは不明だ

 ただ、デュエルの際に見せた最後の表情、あれは何か嫌な物を思い出してしまった表情だ

 いや、嫌な物を自覚したと言った方が正しいか・・・とにかく、こいつには性格とは別の秘密がありそうだ

 

「ただいま、母さん。」

 

「お~お帰り、遊矢、その子が話の子かい?」

 

 切れ長の目をしたオレンジ交じりの金髪の女性『榊 洋子』

 昔は伝説と呼ばれたスケバンデュエリストだったらしいが、その時に榊遊勝と出会い、結婚したらしい

 ぶっちゃけ、見た目だけなら俺の記憶があるときから、ほとんど変わっていない

 一体何歳なんだと聞きたいが、怖いので聞いてない

 

「あぁ、旅のデュエリスト、紫雲院 素良っていうんだ

 うちの塾の子達に、いろいろ教えてもらおうと思ってスカウトしたんだ。」

 

「よ、よろしく・・・」

 

「へぇ~どんなゴツイのが来るのかって思ってたけど、可愛い子じゃないかい。

 よろしくな、素良君

 自分の家だと思って、ゆっくりして良いからね。」

 

「は、はい、ありがとうございます・・・」

 

 うん?ぶりっこするかと思ったけど、なんか、たじたじだな

 

「さぁー!腹減ったろ?

 ご飯出来ているから、手を洗ったらテーブルにきな。」

 

 そう言い残し、母さんはキッチンに向かう

 まぁ、この後もいろいろ仕事が残ってるし、早く食べるか

 

「ん?どうしたんだ、素良?上がらないのか?」

 

「あっ、いや、ほら僕ってずっと旅してたからさ、こういうの久しぶりで・・・」

 

「ふ~ん、お前も随分可愛いとこあるじゃん。」

 

「失礼だな、僕は何時だって可愛いよ!」

 

「自分で言うか、普通・・・」

 

 あっ!そういえば、素良って・・・


「うん、洋子さん、これ美味しいよ!」

 

「あ・・・うん・・それはよかった、御代わりもして良いからね。」

 

「うん、ありがとう!」

 

 うわ~塩じゃけにチョコソース、みそ汁に練乳、煮物に蜂蜜、ご飯にカスタード・・・

 昼のスウィーツ・パラダイスといい、見てるこっちが胸焼けしてくるな

 いつの間にか、素良の調子戻ってるし、さっきまでのは糖分不足か?

 

「お前、よくそんな食べ方できるな?」

 

「ええ~良いじゃん、別に」

 

「まぁ、いいけどさ・・・・病気になるぞ?」

 

「僕は、これの方が美味しいからいいの!

 あっ、さっきは聞きそびれたけどさ

 遊矢のお父さんの榊遊勝って、どんな人?」

 

 父さん?なんでこいつが・・・って、まぁ、塾の名前になってるしな

 

「父さんはね、素敵な人だったよ。

 いっつも、デュエルで人を笑顔にすることばかり考えていた。

 そして、あたし達もそんな榊遊勝の姿を見るのが大好きだった。」

 

「デュエルで、笑顔に?

 そういえば、あの塾のポスターの所にエンタメデュエルって書かれてたけど、あれってなんなの?」

 

 あ~休憩室に張っている古いポスターか

 今の遊勝塾は生徒が溢れかけなんで、宣伝用のポスター廊下ぐらいにしか張ってないんだよな

 モンスターが書かれているだけの地味な奴だけど

 あの古いポスター結構でかいから、それで興味持ったか

 

「あ~言ってしまえば、ショープロ用の魅せデュエルだな。」

 

「魅せデュエル?」

 

「勝ち負けよりも、お客を湧かせるような派手な演出やプレイングをするやり方だ。

 物語になぞらえてプレイしたり、効果的な使い方よりもソリッドビジョンの動きに重点置いたりしてな。」

 

「へぇ~でも、それってデュエルしている方は本気じゃないってこと?」

 

「そうだな、大抵ショープロの人はもっと実力が高い人が多いな。

 好きでやってる人もいるし、普通にやったらランキングに載れないから、仕方なしにやってる人もいるけど。」

 

「でも、榊遊勝は違った。

 華麗なプレイングと巧みな話術、そしてモンスターと共にフィールド内を駆け巡る躍動感

 まさに、アクションデュエルの革命児だったのよ!それでね」

 

 あ~また始まったよ、母さんの惚気話

 確かに榊遊勝がアクションデュエルの革命児だったのは間違いじゃない

 だけど、俺は別にあの人を尊敬しているわけじゃない

 いや、怒りすら感じているのだ


 あの3年前の王座防衛戦の前夜の事だ

 

「こんな所に居たんだね、父さん。」

 

 思いつめた顔で土手に座り込む壮年の男性

 赤い奇術師風の衣装に身に纏った俺の父さん『榊 遊勝』だ

 

「遊矢か、どうしてここに?」

 

「探し物は得意だからね。」

 

 そう言い胸のペンダント、羽根の様な装飾の付いたクリスタルで出来た振子を見せつける

 

「父さんこそ、どうしたのさ?

 夜中にこんなところで座り込んで、明日は大事な試合なんでしょ?」

 

「あっ・・あぁ・・・・そうだな。」

 

 歯切れが悪い答え、聞かなくてもわかる、いや、俺は知っている

 赤馬零児に赤馬零王の事を聞いたんだろう

 『赤馬 零王』レオ・コーポレーションの元社長にして、融合次元のデュエルアカデミアの支配者、プロフェッサーだ

 このスタンダード次元にリアルソリットビジョンを作り出した大天才であり、父さんの親友

 

「どうしたのさ、思いつめた顔をして、明日の試合の事?」

 

「い、いや、実はだな、遊矢

 お父さんの親友が何か事件に巻き込まれたみたいなんだ。」

 

 巻き込まれたんじゃなくて、巻き起こしている方だと思うけど

 

「えっ!?大変じゃん!」

 

「あぁ、大変みたいなんだ。

 お父さんも彼の力になりたいんだが、そうするとしばらく戻れなくなってしまうかもしれなくてね。」

 

「えぇ~いやだよ、俺、父さんと離ればなれになるの

 事件って言うなら、警察に任せておこうよ~」

 

 赤馬零王によるアカデミアの乗っ取りと次元侵略

 それは父さんが一人向かったところで止められるものじゃない

 それどころか、貴方が動いた結果、そのしわ寄せは他の人たちに降りかかるだろう

 

「それに父さんはチャンピオンなんだよ?

 どこかに行ちゃったら、ファンの人たちが悲しんじゃうよ。」

 

 常にデュエルで笑顔をと言っているこの人なら、ファンの人のことを持ち出せば心が動くはずだ

 

「そ、そう・・・だな・・・・」

 

「そうだよ。

 ほら、明日は試合なんだから早く寝てよ。

 チャンピオンが寝不足で実力が出せませんでしたなんて、恥ずかしいだろ?」

 

「あぁ、分った。

 遊矢、先に戻ってなさい。

 父さんはもう少しここに居るよ。」

 

「うん、じゃあ、お休み、父さん。」

 

「あぁ、お休み、遊矢・・・」

 

 これが俺が父さんを見た最後の記憶

 

 翌日の朝、俺の部屋の机の上に手紙が置いてあった

 

「 遊矢へ

 

 最初に謝っておこう、昨日の話は嘘なんだ、すまない

 本当は父さんの親友が大きな事件を起こそうとしているみたいなんだ

 でも、もしかしたら、父さんと話せば押し留まってくれるかもしれない

 彼が事件を起こせば、多くの人が悲しむことになるだろう

 

 だから、私は行くことにした

 もしかしたら、もう2度と会えないかもしれないが、私は必ずお前たちの下に帰ってくる

 それまで母さんをお前が守ってくれ、頼んだぞ、遊矢

 

                                    父さんより 」

 

―ドンッ!

 

 俺は手紙を読み終え、拳を壁に叩きつける

 赤馬零王は貴方が何か言ったところで止まるような相手じゃない

 相手は失ったものを取り戻すためには何でもやる狂人なんだぞ

 いくら親友が、いや、赤馬零王にとっては貴方すらも、ただの張りぼてにしか見えてないかもしれないのに

 

――うぐ・・・・ぐす・・・・・

 

 怒りを抑えた俺は一階に降りた、すると泣き声が聞こえてくる

 誰かなど考える間でもないだろう

 

「・・・ゆう・・・・・や・・・・・・」

 

 母さんだ

 いつもの気丈な表情はどこへやら、子供の様に泣きじゃくっている

 その手元には手紙が握りしめられていた、内容は俺のと似た様な物だろう

 

「お・・・父さん・・・が・・・うぐ・・・・」

 

「うん、俺にもあったよ、父さんからの手紙が・・・・」

 

「どうして・・・あの人は・・・・うわ・・・ん・・・」

 

 泣きながら俺を抱きしめる母さん、安心させるため俺も抱きしめ返そうとするが・・・

 

 一瞬それを躊躇する

 

 俺にその資格はあるのか?

 愛するものが離れてしまった悲しみで泣いている、この人を

 本当の息子ではないこの俺が・・・

 その悲しみを受け止めることが出来る・・・いや、していいのか?でも

 

「うわああぁぁぁぁぁぁん!」

 

 あぁ、父さん、貴方は「デュエルで笑顔を」なんて言う資格はないよ

 貴方のエンタメデュエルを見るのを待っている、多くのファンの人も

 今日この日、貴方と戦うことを待ち望んだ王者への挑戦者であるストロング石島も

 そして、なにより・・・

 

「うわ・・・ぐっ・・・・わああぁぁ・・・」

 

 貴方を最も愛してくれる人を悲しませるなんて・・・

 

「・・・泣かないでよ、母さん。」

 

「うぐ・・・・」

 

 俺は母さんの肩に手を置き、互いの顔が見えるようにする

 

「父さんが言ってたじゃないか、泣きたいときは笑えって・・・

 母さんがそんなに泣いていると、俺まで泣きたくなっちゃうよ。」

 

「・・・・・・・」

 

「それに手紙に書いてあったんだ、必ず戻るって

 だからさ、父さんがいつ戻ってきてもいいように笑顔でいよう?」

 

「うぐ・・・そうだね・・・・息子に諭されるなんて、あたしもヤキが回ったね・・・」

 

 涙をぬぐって笑顔を作る母さん、悲しみを押し殺した悲しい笑顔だ

 

「うん、その方が母さんらしいよ・・・」

 

 俺は湧き上がる感情を押し殺して笑顔を作る

 その感情は悲しみじゃない、怒りだ

 

 あの晩、父さんを無理にでも止めておけば・・・

 俺に、自分の秘密を話す勇気があったら・・・

 

 母さんにこんな笑顔をさせないで済んだのに・・・

 

 起こるかもしれない未来、それを知っていてどうなるっていうんだ!

 結局何も変えられないじゃないか!!

 

 自分への怒りが俺の中を駆け巡る

 もしかしたら、その怒りがいつしか世界を焼き尽くしてしまうかもしれないけど

 

「さぁ!朝ごはん作るわよー!

 お父さんが食べられないのを悔しがるくらい豪華なの作っちゃうからねー!!」

 

 俺は母さんを悲しませないために、良い息子を演じるために、今は笑顔でいよう

 

「ねぇ~?なんで、僕が遊矢の部屋になんか、行かなきゃなんないの?

 僕は早く休みたいんだけど~」

 

「講義に必要な資料を渡すだけさ。

 明日、いきなり渡されるよりましだろ?」

 

 僕の前を歩く男、榊 遊矢

 アカデミアの生徒でもないのに融合召喚を使いこなして、本気の僕を倒した

 このスタンダード次元では考えられないくらい、異常な強さを持ったデュエリスト

 そして・・・僕の本性を知って受け入れてくれた、変な奴

 

「ほら、入りな。」

 

「うん、うわぁ・・・」

 

 所狭しと並んだファイルの並んだ本棚

 パソコンやプリンターやコピー機なんかが並んでいる机

 デッキレシピやコンボパターンの書かれたメモ

 学生の部屋っていうより、教師や研究者の部屋みたいだ

 

「すぐにまとめるから、座って待っててくれ。」

 

 そういういと、遊矢はパソコンを起動させ何かを打ち込んでいく

 手持無沙汰になった僕はふと、さっき洋子さんに言われたことを思い出す

 

――自分の家だと思って、ゆっくりして良いからね

 

――きゃああぁぁぁぁぁぁ!!

――お父さぁぁぁん!お母さぁぁぁん!!

――この子だけは!この子だけは!どうか、命だけは!!

 

 それと同時に頭の中に響く、悲鳴

 

――これからよろしく頼むよ、同僚

 

――助けてくれえぇぇー!!

――よくも俺の友達をおおぉぉぉぉ!!

――お前だけは!お前だけでもおおぉぉぉぉぉ!!

 

 遊矢に昼間言われたことも思い出すけど、それが頭の中に響いた恨み言にかき消される

 僕はそれを飲み込むために、飴玉を口に入れる

 

 今日まで、その悲鳴が心地の良いものだった、壊すのが面白かった

 

 でも、今は、それがとても不快で頭から離れない

 黙っていると、その不快な悲鳴が響いてくるので遊矢に話しかける

 

「ねぇ?洋子さんは、あぁ言ってたけどさ

 遊矢はお父さんのこと、どう思ってるの?」

 

 遊矢はこちらを向かず、パソコンに打ち込み続ける

 気にはなった、遊矢は「魅せデュエル」というものに大して興味はない

 それは遊矢のデッキを見れば明らかだ

 なのにどうして、お父さんの開いた遊勝塾で講師をしているのか

 それにあの塾で、エンタメデュエルを教えていたのは過去の話になっているのも

 

「恨んでるよ。」

 

 帰ってきた答えは一言だった

 

「勝手にどっか行って、いろんな人に迷惑かけて、母さんを悲しませて・・・

 あの人は一晩でいろんな人の笑顔を奪って行ったんだ。

 だから俺は、あの人を許せない。」

 

 淡々とした声、感情を押し殺している感じだ

 

「でも、まぁ、潮時だったのかもしれないな。」

 

「えっ?」

 

「実は父さんのデュエル、飽きられてきてたんだ。

 父さんのデッキってさ、手品をモチーフにしているんだけど

 長く愛用しすぎて、種が割れちゃってさ。

 それに、デュエルで笑顔をっていつも言ってたけど、対戦相手はそうじゃなかった。」

 

「えっ?どういうこと?」

 

「素良、お前の好きな物や人が見世物のダシに使われたら、どう思う?」

 

 遊矢の質問、そんなの答えは決まってるじゃないか

 

「ムカつくよ。」

 

 神聖な融合召喚やアカデミアが見世物になるなんて、僕には耐えられない

 なぶり殺しにしたくなる

 

「そうだよな・・・父さんのデュエルはまさにそんな感じだった。

 相手の行動の全ては自分のショーの一部や一幕にすぎない、って感じで

 だから、対戦相手やそのファンからは受けが元々よくなかったんだ。

 父さんの本心は別にして、相手も最初の数ターンは驚かさせられていたけど、だんだん腹立ってくるみたいでさ。

 まぁ、ショープロが本気でぶつかり合おうとする相手にいつもの調子でやったら、そうなるよな。」

 

 遊矢と真逆だ、遊矢のデュエルは本気で相手を叩き潰そうとしてくる気概を感じられた

 なのに僕は・・・

 

「別に父さんは本気を出さなかった訳じゃないんだ

 ショー風になるのも、父さんの言い回しや相手を自分のペースに乗せていただけで

 ただ、対戦相手やそのファンはふざけていると思った人も多かった、それだけさ。」

 

「・・・・・・」

 

「そして、王座防衛戦で失踪したことで父さんの株は大暴落

 アクションデュエルのパイオニアとして伝説にはなったけど、同時に卑怯者の代名詞になった

 っと、ほら、これが資料だ。」

 

 渡される紙の束、結構いろいろ書いてるな

 でも分からない、デュエルって・・・・

 

「ねぇ、遊矢?」

 

「ん、なんだ?」

 

「デュエルってさ、勝つのが楽しいんじゃないの?」

 

「それは『勝って、楽しかった』っていうんだ。

 それだけで満足しているんじゃ・・・デュエルの楽しさの半分くらいしか、解かっていないな」

 

 

――翌朝

 

 「デュエルの楽しさ」そのもう半分ってなんだろう?そんなことを考えながら眠った次の日

 

「おぉ~素良君、おはよう!」

 

「おはようございま~す。」

 

 あくびをかみ殺し挨拶をする、あれ?洋子さんが先に食卓に座っている?

 

「おぉ~素良、起きたか。」

 

 エプロン姿の遊矢がキッチンから顔を覗かす、何してんの?

 

「素良君、今日はねぇ~遊矢が朝ごはん作ってくれたのよ。」

 

「えっ?」

 

 テーブルに並んだ朝食、トマトソースのかかったオムレツに付け合せ

 何かが練り込まれたパン、コーンがいっぱい入ったスープ、これを遊矢が?

 

「じゃ、じゃあ、頂くね。」

 

 僕はとりあえずパンに、はちみつをかけようとしたが遊矢に止められる

 

「まった、一回それ、何もつけずに食べてくれないか?」

 

 また説教か、でも作ってくれたお礼代わりにパンを少しかじってみる

 

―甘い

 

「えっ?なにこれ!?」

 

 もう一齧りする、やっぱり甘い、菓子パンってわけじゃないのに

 それに砂糖やチョコレートみたいな甘さじゃないし。何か独特のにおいがする

 

「お~口に合ったみたいだな。

 それは玉ねぎ練り込んで作った、オニオンブレッドだ。」

 

「玉ねぎ!?玉ねぎってこんなに甘いの!?」

 

「まぁ、物は試し、全部1回そのままで食べてくれないか?」

 

 いわれるままにトマトソースのかかったオムレツを食べてみる

 さっきと違った爽やかな甘さが伝わってくる

 スープも飲んでみると一緒に口に入った粒コーンを噛んだら、優しい甘さが飛び出す

 

「うまくいったか

 オムレツにはフルーツトマトのソースを、そのスープに入っているコーンも糖度の高い品種だ。

 ポタージュにしようと思ったけど、朝からは重いからコンソメスープにした。」

 

「おぉ~本当においしいねぇ~

 でもさ、遊矢?何で全部、甘めの味付けなんだい?」

 

「なに、昨日の素良を見て、甘味以外あまり感じてないんじゃないかなって思ってさ。」

 

「!?」

 

 確かにそうだ、僕はアカデミアの訓練の中ではクッさい、レーションしか支給されなかった

 唯一違ったのは、嗜好品として支給される飴玉ぐらいだ

 だから、僕はいつしか甘いもの以外、美味しいと感じなくなっていた

 

「えっ!?そうなのかい・・・」

 

 洋子さんは心配そうな目で見てくる

 なんで、昨日会って、突然転がり込んできた居候なのに、なんでそんな目が出来るの?

 

「まぁ、何があったとは言わないけどさ

 食べるっていうのは人を良くすることって良く言うじゃん?

 出来るだけお前がうまいと思うものを作ってやるよ

 お前のこと知り合いに話したら、専用メニューいっぱい考えてくれるってよ。」

 

「えぇ~遊矢、ミッチーと昨日、話したのかい?ずっるーい!!」

 

「母さん、そうやってがっつくから、未知夫が苦手意識持つんだよ・・・」

 

 やっぱり僕は君のことがわからないよ、遊矢

 でも、僕はこの騒がしい食事の時間が、今が楽しいと思った、それだけは確かだ

 




さぁー!次はカードに愛されたグレェーィトな俺!沢渡シンゴの活躍だ
なに、LDSの人間が襲われている?犯人はエクシーズ使い?
そんなの俺が軽くひねってやるよ!
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『暗躍する反逆』
って、お前は・・・榊遊矢!?


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暗躍する反逆

グレート沢渡さんVS不審者その1

 突然なのですが、今後の展開について皆様にご協力をお願いしたいことがあります。
 それは、かなり先の話なのですが赤馬零児の弟、零羅の使う「CC」デッキについてです。

 未OCGカードなので効果もアニメ的な効果(モンスター化する魔法カード等)が多いため、類似カードをモデルにOCG仕様に仕立て直したんですがメインモンスターである「CC 隻眼のパスト・アイ」を持ってくる手段が少ないことと、EXデッキの枚数制限的にコンセプトが生かし切れないので、効果を少し盛ったり、各召喚法の属性対応モンスターを1つにまとめ
 また、それに伴って名前を少し変えた物を仮で作りました。

 オリカ状態になるので、盛った効果を削除するか、統合したカードを元に戻すかについてアンケートを実施させてもらいますので、ご協力お願いします。

 結果次第ではOCG仕様にした効果以外はすべて削除、統合したカードも元に戻して書かせていただきますのでお願いします。
 活動報告にメインに入る「CC」関係カード、「ペルソナ」カード、EXデッキに入るカードの3つに分けて制作したカードを置いておきますので、投票してくださる際は読んでから投票してくれると嬉しいです。

 アンケートに完全にアニメカードを希望する欄を設けました
 また、ご意見によってはアンケートの最終結果でも効果をアニメ寄りにすることがありますが、代わりに初期の「RR」のような感じで「CC」としてはかなり動きづらくなるので、ご容赦ください


 倉庫街の屋根の上、黒い影が手元を見ている

 そこにあるのは羽根を模したLDSのバッチ

 忌々しい物を潰すかのごとく、力強く握りしめる

 

 影がふっと目を上げると、ゴーグル越しの目が驚愕で大きく開く、その目線の先には

 

「なぜ、ここに・・・」

 

 紫がかった赤髪を二房に結い上げた、舞網第二中学の制服を身に纏った少女『柊 柚子』が居た


 舞網市内にある倉庫街、今は特に使われていない倉庫の中で、楽しげな声が聞こえていた

 

「いやぁ~やっぱり沢渡さん強すぎっすよ!」

 

「うん、あの男子たち瞬殺だった、ありがとう、沢渡さん」

 

「いいってことよー!!

 このてぇんさいデュエリストにしてカードに愛されまくった男!

 沢渡シンゴに喧嘩を売った罰を与えただけさ~!」

 

「ていうか

 また、ねねちゃん、ガラの悪いのにからまれたの?」

 

「でも、あいつらも馬鹿な奴らだよな~

 ねねちゃんも、めっちゃ強いのに」

 

「そうそう、次期LDS融合コースのトップデュエリストだもんな~」

 

「僕のデータによると

 今日、光焔さんに絡んできた奴らは、隣町の不良デュエリストグループだそうですよ」

 

「げっ!結構ヤバい連中じゃん・・・」

 

 寂れた倉庫の一角でソファーやダーツの的が設置されている場所

 そこに7人の少年少女がお菓子やジュースを飲みながらしゃべっていた

 

(やれやれ、榊遊矢の奴に押し付けられたときはどうなるかと思ったが、結構有能なやつらじゃねぇか)

 

「心配するなよ!

 その時は俺たちでぶっ潰せばいいのさ!

 あいつら結構強かったから、俺も楽しめそうだ・・・」

 

 黒門 暗次、シンクロコースの次期筆頭になるであろう男

 榊遊矢と同じ性質なのか、強い奴と戦えるからと、危険な笑みを浮かべていやがる

 

「うん、その時は私もできるだけ、頑張ってみる」

 

 光焔 ねね、融合召喚の使い手

 普段はおどおどしているくせに実は強い

 昔はとっとと負けたいとか思っていたらしいが、今はあいつの影響か、若干好戦的だ

 

「僕のデータによると、勝率は90%を超えていますね。」

 

 帝野 皇一郎、エクシーズを織り交ぜた高度なプレイングセンスを誇る奴

 こいつの情報収集力は大いに役に立つ

 

「マジかよ!」

 

「強過ぎっしょー!」

 

「さすが、沢渡さん!」

 

 柿本、代伴、山部、俺の昔からの子分

 俺をいつも褒め称える可愛い奴らだ

 

「沢渡ー!居るー?」

 

 ん、この声は・・・

 

「あっ、やっぱりいた!」

 

 柊柚子、一体この俺様に何の用だ?

 

「あっ!柚子さん」

 

「ねねちゃんもいたのね、暗次君や皇一郎君も」

 

「おう」

 

「ご無沙汰しております。」

 

 さっきからわかる通り、この新入り三人は元遊勝塾の塾生だ

 中学に上がる際、LDSに移籍したが、榊遊矢に俺しかLDSに知り合いがいないからと、面倒を押し付けられた

 だが、今となっては、なかなか良い取引になったと思う

 

「で、この俺様に何の用だぁ?柊柚子ぅ」

 

「もちろん、今日こそあんたをボコボコに叩きのめしてやるのよ!」

 

「はぁ?つまりデッキ調整に付きあえってことか?

 やめとけ、やめとけ、お前程度がこの俺に勝てるわけないじゃん」

 

「むぅ、あんた!デュエリストだったら挑まれたらちゃんと応じなさいよ!!

 あんたぐらいに勝たなきゃ、遊矢をぎゃふんって、言わせられないじゃないの!!」

 

「あいつ、また、なんかやったのか・・・」

 

「遊矢せんせー、何やったんだろう?」

 

「ふむ、柊さんのデッキと榊先生の性格から推測すると・・・バーンでの1ターンキルあたりかと」

 

「あぁ~やりそうだな~遊矢センセ・・・」

 

「っていうか、それなら沢渡さん」

 

「ただの八つ当たりの的ってこと?」

 

「とんだ、とばっちりだな・・・・」

 

 察しが付いた、沢渡の取り巻き達の同情の視線にいたたまれなくなった柚子は、沢渡をどうにか勝負に引っ張り出そうと急かす

 

「あうぅ・・・そ、そんなこと無いわよ!

 あっ!分った!私に負けるのが怖いのね!この百流デュエリスト!!」

 

「はぁ~それなら俺に負け越している、お前は何流なんだよ・・・

 だが、そこまで言われちゃ、黙っていられないな!

 いいぜ、腹ごなしに付きあってやるよ!」

 

『待て!!』

 

 誰だ!?折角こっちがノって来たのに邪魔しやがって!

 目を入口の方に向けると、そこに居たのは夕日の光で浮かび上がった黒い影

 そいつはゆっくりと、柊柚子の隣に歩み寄る

 

「下がっていろ」

 

「はぁ?何、あなた!?」

 

 柊柚子に面識はなさそうだ、一体誰なんだこいつは?

 黒と濃い青の髪をぼさぼさに伸ばして、顔はゴーグルと防塵マスクで隠していてわからねぇ

 夏も近いのに、紅いストールを巻いて、体をすっぽり覆うマントを着ていやがる

 ・・・どう見ても不審者だ

 

「あっ!?沢渡さん!こいつ、最近噂になっているLDS狩りですよ!」

 

 帝野がこの不審者の正体に当たりを付ける、LDS狩り?

 

「制服組がもう何人も被害を受けているらしいです!

 情報によると強力なエクシーズモンスターを使って来るとか!」

 

「LDS狩りのエクシーズ使い?この人が・・・

 でも、これは私のデュエルよ!いきなり割り込んで!邪魔しないで!!」

 

 すごい剣幕だな

 まぁ、俺とデュエルしに来たのに邪魔されちゃ仕方ないか

 だが、やっこさんは柊柚子の話を聞いていないようで、ゆっくりと手で制する

 

「もう・・・キミを傷つけたくない」

 

「えっ?」

 

 プリンセスを助けに来たナイト気取りか!

 そいつに絡まれたのは、俺だっつうの!

 

「はっ!LDS狩りだが何だか知らないが・・・

 制服組を何人も屠っているなら、柊柚子より楽しめそうだ。

 この俺が軽くひねって!社長の前に突出してやるよ!!」


『『決闘(デュエル)!!』』

 

 あぁー!もう!いったい何なのよ、この人は!?

 LDS狩りだか何だか知らないけど、私のデュエルの邪魔をして!

 私のこと知っているような口ぶりだけど

 私はこんな人知らないし、変なこと言っているし、わけわかんない!

 

「先攻は俺の様だな・・・俺は手札5枚、全てのカードを伏せる!」

 

「えっ!?」

 

「はぁ!?おいおい、突然しゃしゃり出て来た割には、それだけかい?」

 

 何この人、沢渡の言う様に5枚全部伏せるなんて・・・

 

「沢渡さん、ハーピィの羽根帚っすよ!」

 

「ノン、ノン、そんなカードじゃ面白くないだろぉ?

 俺が見せてやるよ、持ってるやつのデュエルをな!

 魔法カード、汎神の帝王を発動

 手札の帝王と名の付く、魔法かトラップを墓地に送ることで、デッキから2枚ドローする。

 俺は始源の帝王を墓地に送って、2枚ドロー

 

 さらに墓地の汎神の帝王を除外して効果発動

 デッキから帝王と名の付く魔法、トラップカードを3枚見せ、相手はその中から1枚選ぶ。

 そのカード1枚を自分の手札に加え、残りはデッキに戻す。

 俺が選ぶのは、帝王の深怨3枚だ。」

 

「ちょっと!それって選択になってないじゃない!」

 

「いいんだよ、そういう効果だからな。

 さあ、どれを選ぶ?」

 

「・・・右のカードだ。」

 

「オゥーケィ!そして、すかさず発動、帝王の深怨

 1ターンに1度、手札の守備力が1000で攻撃力が2800か2400のモンスターを相手に見せ、デッキから帝王の深怨以外の帝王マジック、トラップカードを手札に加える。

 俺は手札の冥帝エレボスを見せて、デッキから帝王の溶撃を手札に加える。

 

 さらに魔法カード発動、ワン・フォー・ワン

 手札のモンスターを1枚捨て、デッキ、手札からレベル1モンスターを特殊召喚する。

 俺は冥帝エレボスを捨て、デッキから天帝従騎イデアを特殊召喚」

 

イデア「はっ!」

   DEF1000

 

「さらにイデアの効果発動

 こいつが召喚、特殊召喚された場合、デッキからイデア以外の攻撃力800で守備力が1000のモンスターを守備表示で1体、特殊召喚する。

 来い、冥帝従騎エイドス!」

 

エイドス「ふん!」

    DEF1000

 

 沢渡に傅く、白銀と漆黒の鎧を身に纏った騎士たち

 さっき見せたエレボスを捨てたってことは、壁ってわけじゃなさそうね

 

「エイドスが召喚、特殊召喚されたターン、俺は通常召喚とは別にアドバンス召喚を1回行えるようになった。

 

 まだまだいくぜ!永続魔法、帝王の開岩

 こいつは1ターンに1度、俺が表側表示でモンスターのアドバンス召喚に成功した時、デッキからそのモンスターとカード名が異なる、守備力が1000で攻撃力が2800か2400のモンスターを1体、デッキから手札に加えることが出来る。

 ただしこのカードの発動中、俺はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚出来ない。

 

 まぁ、俺のエクストラデッキにカードは端から1枚もないがな!

 そして、俺はイデアをリリースして、邪帝ガイウスをアドバンス召喚!」

 

ガイウス「ウオオォォォ!!」

    ATK2400

 

「邪帝ガイウスの効果発動

 アドバンス召喚に成功した時、フィールド上のカード1枚を対象として発動し、そのカードを除外する。イービル・ホール!」

 

ガイウス「ハアァ!」

 

 邪悪な瘴気を身に纏う皇帝が、それを球体の様にして飛ばすと伏せられていたカードの1枚を消し飛ばす

 除外されたのは『幻影死槍(ファントム・デススピア)』?聞いたことないカードね

 

「この効果で除外されたカードが闇属性モンスターの場合、相手ライフに1000ポイントのダメージを与える効果があるが・・・永続魔法みたいだな、ただのブラフか?

 だが、これで終わりじゃねぇ

 墓地に送られたイデアの効果発動

 除外されている帝王マジックかトラップを1枚、手札に戻すことが出来る。

 俺は汎神の帝王を手札に戻し、さらに永続魔法、帝王の開岩の効果によってデッキから氷帝メビウスを手札に加えるぜ。」

 

「流石、沢渡さん爆アドっすねー!」

 

「おっと、これだけで終わらないぜ。

 魔法カード、帝王の凍気を発動

 自分フィールド上に攻撃力2400で守備力1000のモンスターが存在する場合、フィールドにセットされたカード1枚を対象にして発動し、それを破壊する。

 さらに墓地からこのカードと別の帝王魔法、トラップカードを除外することで、さらにセットされたカードを破壊できる。

 俺はお前の右端のセットカードを破壊し、追加で帝王の深怨と共に除外し、真ん中のカードを破壊だ!」

 

 ガイウスの瘴気が選択された2枚のカードに纏わりつくと、それは凍りつき砕け散った

 

「あははは!なす術なしか?

 でも、これで残りの2枚も破壊してやるぜ!

 俺は冥帝従騎エイドスをリリースして、氷帝メビウスをアドバンス召喚!」

 

メビウス「ハッ!」

    ATK2400

 

 漆黒の騎士が消えて、代わりに出てくる青い鎧を身に纏った氷の皇帝

 進撃に邪魔な伏せカードを破壊するために、その手に吹雪を纏わせるって、えっ!?

 

「メビウスの効果

 このカードがアドバンス召喚に成功した時、フィールド上のマジック、トラップカードを2枚まで選択し、破壊できる!フリーズ・バースト!」

 

 伏せカードに襲い掛かる猛吹雪、やっぱり!!

 ただのスタンディングデュエルなのに!?アクションデュエルじゃないのに!?

 

「どうして風を感じるの・・・?」

 

「俺はトラップカード、幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダーク・ガントレットを発動

 その効果で俺のデッキから、ファントムと名の付くマジック、トラップカードを1枚墓地に送る。

 俺が墓地に送るのは幻影騎士団(ファントム・ナイツ)トゥーム・シールド!」

 

「やっと、効果を使って来たか・・・だが、無意味な効果だったようだな?

 俺の2体の帝のダイレクトアタックでお前は終わりさ。」

 

 沢渡の言う通り、これで伏せカードは全滅、この人を守るカードは

 

「いや、終わりじゃない、俺たちは!

 こんなところで終わるわけにはいかない!!

 破壊され墓地に送られたトラップカード、やぶ蛇の効果発動!!」

 

「な、何!?破壊されたことで発動するトラップだとぉ!?」

 

「このカードが相手のカードでフィールドを離れ、墓地へ送られた場合または除外された場合発動できる。

 俺のデッキ、エクストラデッキからモンスターを1体を特殊召喚する!

 来い!幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダスティローブ!!」

 

 ダスティローブ DEF1000

 

 現れたのは魔術師風のボロボロで薄汚れたローブ

 中には顔の様な物がある青白い炎が燃えていて、幽霊みたいね

 

「ちっ!やっぱり、破壊しすぎたのが仇になったか・・

 だが、そんな雑魚で防ぎ切れると思うなよー!バトルだ!

 邪帝ガイウスでダスティローブを攻撃だ!」

 

 闇を凝縮したエネルギー弾が、煤けた外套を消し飛ばす

 

「せっかく呼んだのに呆気なかったな?

 そら!氷帝メビウスでダイレクトアタックだ!」

 

「これで相手は2400のダメージです。」

 

「LDS狩りも案外、大したことないな。」

 

「「「強すぎっすよ!沢渡さーん!!」」」

 

 メビウスはさっきとは比べほどにもならないくらい、冷たい気を溜めこんでいる

 寒い・・・やっぱり、このデュエル変よ!?

 

「俺は墓地よりトラップカード、幻影騎士団(ファントム・ナイツ)シャドー・ベイルとダーク・ガントレットの効果発動!」

 

「また、墓地から発動するトラップだとー!?」

 

「シャドー・ベイルは相手のダイレクトアタック宣言時、通常モンスターとして守備表示で特殊召喚出来る。

 ダーク・ガントレットも俺のフィールドに何もカードがない場合、相手のダイレクトアタック宣言時、効果モンスターとして守備表示で特殊召喚出来る。」

 

 シャドー・ベイル   DEF300

 ダーク・ガントレッド DEF600

 

「この効果で特殊召喚されたダーク・ガントレットの守備力は俺の墓地のファントムと名の付くマジック、トラップ1枚に付き300上昇する。

 俺の墓地のファントムカードは2枚、よってダーク・ガントレットの守備力は600アップ。」

 

 ダーク・ガントレット DEF600→1200

 

 現れたのは漆黒の馬に跨った亡霊の騎士と堅牢そうな手甲を装備した上半身だけの鎧

 さっきから、この人のカード不気味な物ばかりね・・・

 

「この効果で特殊召喚されたこいつらは、フィールドを離れた場合除外される。」

 

「ちっ!だが、その程度の守備力でメビウスの攻撃は止められないぜ!

 氷帝メビウスでダーク・ガントレットに攻撃だ!」

 

「墓地の2枚目の幻影死槍(ファントム・デススピア)の効果発動

 自分フィールド上の闇属性モンスターが戦闘または効果で破壊される場合、このカードを墓地から除外することで、破壊を免れる。」

 

 ボロボロの槍が突然飛んできて、メビウスの攻撃を邪魔する

 なんだかこの人の戦い方・・・ちょっと遊矢に似ている?

 

「ちっ!エクシーズ召喚の為の素材をフィールドに残しちまったか

 俺はカードを1枚伏せ、ターンを」

 

「ちょ、ちょっとまって!沢渡!このデュエルすぐにやめなさい!!」

 

「はぁ?突然何言っているんだよ、柊柚子?」

 

「そうっすよ、柊先輩」

 

「デュエリストとして、理由もなく途中でやめちゃダメって、遊矢せんせーも言ってました。」

 

「そ、そうだけど!このデュエルは普通じゃないわ!

 アクションフィールドでもないのに、こんなにはっきり風や衝撃を感じるなんて!!

 その人のデュエルディスク、見たことない形しているし・・・

 きっと、違法改造されたとかで、衝撃体感装置がおかしくなっているのよ!」

 

 遊矢に聞いたことがある

 地下デュエルって言って、衝撃体感装置に細工をしたり、増幅装置を使ったりして、命の危険がある危険な違法デュエルがあるって

 この人が地下デュエルのデュエリストだったら、沢渡は・・・

 

「はっ!だからなんだって言うんだぁ?

 折角、面白くなってきた所なんじゃねぇか!

 邪魔すんじゃねぇ!ターンエンドだ!」

 

 あぁ、もう!あの馬鹿!!

 

「俺のターン、ドロー

 なかなかに歯ごたえがあるようだ、だったら俺のデッキの真価を見せてやる。

 俺はレベル4のシャドー・ベイルとダーク・ガントレットでオーバーレイネットワークを構築!」

 

「来るか!」

 

 2体のモンスターが紫の光となって、混沌の渦の中に落ちる

 そしてその渦の中から、暗雲が湧き出て、雷が木霊する

 

「漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う、反逆の牙!」

 

 暗雲の中に蠢く影、それは理不尽を破壊し穿つ漆黒の反逆者

 

「今、降臨せよ!エクシーズ召喚!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!!」

 

ダーク・リべリオン「ギャアアアァァァァァァァァ!!」

         ATK2500 ORU2

 

 暗雲を振り払い翼を広げる竜

 何このモンスター・・・聞いたことがないわ!?

 

「お、おい、帝野!?

 なんだよ、あのモンスター、見たことも聞いたことねぇぞ!?」

 

「・・・分かりません。

 幻影騎士団(ファントム・ナイツ)なんてカードも、あのモンスターも、僕ですら聞いたことがありません。」

 

「そんな、帝野君も知らないなんて!?」

 

「仰々しく登場した割には、攻撃力2500か

 帝たちの攻撃力は2400、100ぽっちのダメージなんて蚊に刺されたようなもんだ。

 それとも、ただのこけおどしかぁ?」

 

「エクシーズモンスターの真の力は、己の魂たるオーバーレイユニットを使って、相手を滅することにある。」

 

「ふっ、生憎とエクシーズの講義は、さんざん聞いているから結構だ!」

 

「ならば、たっぷり味わうがいい

 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果発動!

 オーバーレイユニットを2つ使い、相手の表側表示モンスター1体の攻撃力を半減させ、その数値分、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの攻撃力をアップさせる。」

 

 ダーク・リベリオン ORU2→0

 

「おっと!効果は使わせないぜ。

 永続トラップ、帝王の溶撃を発動!

 俺のエクストラデッキにカードが存在せず、自分フィールド上にアドバンス召喚したモンスターが居る場合にこのカードを発動できる。

 このカードがマジック、トラップゾーンに存在する限り、アドバンス召喚されたモンスター以外のフィールドの表側表示モンスターの効果は無効化される。

 これでその黒蜥蜴の魂とやらは、無駄になったってわけだ。」

 

「いや、無駄になどさせない!

 墓地のトラップカード、幻影騎士団(ファントム・ナイツ)トゥーム・シールドの効果発動」

 

 光を取り込んだダーク・リベリオンにマグマが襲い掛かるけど、それを鎖の付いた鋼の盾が防いだ

 また、墓地で効果が発動するトラップ!?

 

「自分のターンに墓地のこのカードを除外することで、相手フィールドの表側表示のトラップカードの効果をこのターンの終了時まで無効にする。

 これで帝王の溶撃の効果は無効になり、ダーク・リべリオンの効果は有効だ!

 喰らえ、トリーズン・ディスチャージ!」

 

 ダーク・リべリオンの翼が展開し、メビウスに向かって雷が放たられる

 

メビウス「ウオオォォォ!?オオォォォ・・・」

    ATK2400→1200

 

ダーク・リベリオン ATK2500→3700

 

「ちぃい!?」

 

「バトルだ!ダーク・リベリオンで氷帝メビウスに攻撃!

 いけ!その牙で氷河を砕け!反逆のライトニング・ディスオペイ!」

 

 漆黒の竜が紫電を纏って飛翔する

 その雷は咢の鋭い牙に集約し、弱ったメビウスを容易く貫き、沢渡はその衝撃で大きく吹き飛ばされる

 

「うわああぁぁぁぁ!!」

 LP4000→1500

 

「「「「「「沢渡さーん!!」」」」」」

 

「沢渡!!」

 

「俺は墓地の幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダスティロープの効果を発動

 このカードを除外し、デッキからダスティロープ以外の幻影騎士団(ファントム・ナイツ)カード1枚を手札に加える。

 俺は幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダーク・ガントレットを手札に加え、カードを1枚伏せ、ターンを終了する。」

 

 あぁ、やっぱり!こうなるんだったら、力ずくでも止めとくんだったわ!

 

「へ・・へへへ・・ははは・・・」

 

 えっ?沢渡の奴笑っている?どうして、こんな危険なデュエルしているのに!?

 

「強いじゃないか・・・お前ぇ!

 流石、制服組を何人も倒していることだけはある・・・

 でも甘ちゃんだなぁ~あいつだったら平然と、1キル狙いしてくるんだよ!ドロー!」

 

 沢渡・・・確かにやりそうだけど・・・

 

「俺は墓地の冥帝従騎エイドスの効果を発動

 1ターンに1度、このカードを除外しエイドス以外の攻撃力800で、守備力1000のモンスターを1体、墓地から守備表示で特殊召喚する。

 戻ってこい!天帝従騎イデア!」

 

イデア「はっ!」

   DEF1000

 

「魔法カード、汎神の帝王発動、手札の帝王の開岩を捨て2枚ドロー

 さらに汎神の帝王を墓地から除外して、効果発動

 俺が選ぶのは帝王の深怨2枚と帝王の烈旋だ、さぁ、選びな!」

 

「俺は帝王の烈旋を選ぶ。」

 

「デッキ圧縮を嫌ったかぁ~?

 でもなぁ、そのドラゴンを消し去るにはこいつで十分だ。

 帝王の烈旋発動、このターン、アドバンス召喚の為のリリースを1度だけ、相手モンスター1体を使うことが出来る!」

 

「何!?」

 

「俺はお前のフィールドのダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンと俺のフィールドのイデアをリリースして、アドバンス召喚!

 来い!天帝アイテール!!」

 

 アイテール ATC2800

 

 寂れた倉庫が荘厳な皇室に変化する

 沢渡の後ろに巨大な玉座が置かれ、それに座るのは白銀の女帝

 他の帝たちなんて目じゃないぐらい大きい

 

「このカードがアドバンス召喚に成功した場合、デッキから帝王魔法・トラップを2種類墓地に送ることで、デッキから攻撃力2400以上で守備力1000のモンスターを1体、特殊召喚する。

 俺はデッキから真源の帝王と進撃の帝王を墓地に送って特殊召喚

 さぁ、出番だ!光帝クライス!」

 

 天帝に呼び出された光の帝

 彼は天帝に呼び出されたことを大仰な仕草で感謝する

 

クライス「ふんっ!」

    ATK2400

 

「クライスは召喚、特殊召喚された時、フィールド上のカードを2枚まで選択し破壊できるが・・・

 俺の永続トラップ、帝王の溶撃の効果で特殊召喚されたクライスの効果は無効だ

 だが、本来なら召喚、特殊召喚したターン攻撃できない効果も無効になってるぜ

 

 そして、アドバンス召喚に成功したことにより、帝王の開岩の効果発動

 デッキから、魔帝アングマールを手札に加え、墓地に送られたイデアの効果で除外されている汎神の帝王を手札に戻す。

 

 さらに墓地の真源の帝王の効果発動

 こいつは帝王マジック、トラップを1枚除外して通常モンスターとして守備表示で特殊召喚できるぜ

 俺は帝王の烈旋を除外して、真源の帝王を特殊召喚」

 

 真源の帝王 DEF2400

 

「さらに魔法カード、カード・アドバンスを発動

 俺は自分のデッキの上から5枚までを確認し好きな順番でデッキの上に戻す。

 だが俺の目的はこれだけじゃねぇ

 帝王の溶撃の効果で、イデアの効果が無効になっちまっているからエイドスを呼びだせなかったが、これでアドバンス召喚権を得た

 俺は真源の帝王をリリースして、魔帝アングマールをアドバンス召喚だ!」

 

アングマール「ハァハハハハ!」

      ATK2400

 

 アイテールの陰の中から、悪魔の皇帝が現れる

 ボロボロ赤いマントを翻し、沢渡に自らの魔力を分け与える

 

「アングマールの効果発動

 アドバンス召喚に成功した場合、墓地の魔法カード1枚を除外し、デッキから除外したカードと同名カードを1枚手札に加える。

 俺は墓地の永続魔法、進撃の帝王を除外し、同名カードを手札に加え、発動!

 これで俺のアドバンス召喚されたモンスターは効果の対象にもならず、破壊もされねぇ」

 

 これなら、あのドラゴンが効果をまた使えるようになっても、防ぐことが出来る!

 

「駄目押しだ!

 フィールド魔法、真帝王領域を発動

 俺のエクストラデッキにカードが存在せず、俺のフィールドにのみアドバンス召喚されたモンスターが居るとき、お前はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚出来ない。」

 

「なんだと!?」

 

 特殊召喚されたモンスターの効果の無効化、エクストラデッキからのモンスターの特殊召喚の封印、さらに自分のモンスターへの耐性付与

 沢渡、あんた、遊矢に負けず劣らずやり過ぎよ!?

 

「ははっ!やっと、その澄ました態度を崩せたぜ!」

 

「くっ!?トラップ発動、幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダーク・ガントレット!

 デッキから幻影騎士団(ファントム・ナイツ)トゥームシールドを墓地へ送る。」

 

「壁モンスターを増やすつもりかぁ~?

 さぁ、バトルだ!いけ、アングマール!」

 

アングマール「ハッ!」

 

「くっ!墓地の幻影騎士団シャドー・ベイルとダーク・ガントレット2枚の効果発動

 ダイレクトアタックを受けたとき、こいつらはモンスターとして立ち上がる!」

 

 シャドー・ベイル   DEF300

 ダーク・ガントレッド DEF600

 ダーク・ガントレッド DEF600

 

「そうだな、そうするしかないよなぁ!

 だが、ダーク・ガントレットの効果は帝王の溶撃の効果で無効だ。

 まぁ、有っても役には立たないがな!

 アングマールとガイウスでダーク・ガントレット2体を、クライスでシャドー・ベイルを攻撃だ!」

 

 光の皇帝と闇の皇帝たちの攻撃によって、彼を守る亡霊の騎士と闇の手甲は消滅した

 そして、まだ天の皇帝の攻撃が残っている

 

「手品のタネも品切れのようだな!

 アイテールでダイレクトアタックだ!行けー!」

 

 アイテールの翳した錫杖から閃光は放たれ、彼の目の前で爆発し吹き飛ばす

 ちょっと!大丈夫なの!?

 

「ぐわああぁぁぁぁぁぁ!」

 LP4000→1200

 

 吹き飛んだ拍子に彼の顔を隠していたマスクとゴーグルが飛ばされる

 一体どんな顔をって、えっ!?

 

「えっ・・・どういうこと?」

 

「せんせー?」

 

 私たちの下にさらされた彼の顔は、一瞬、見間違えるほどに遊矢に似ていた

 でも、遊矢ならこんなデュエルは絶対しないし、なにより・・・

 

「お、お前は榊遊矢!?って、違うか・・・随分と似ているな、身内か?」

 

「遊矢?誰だそいつは・・・俺はユートだ。」

 

 『ユート』それが彼の名前・・・でも、どうしてこんなことを?

 

「へぇ~ユートねぇ~名前まで似てるじゃねぇか

 他人の空似にしちゃぁ出来過ぎだぜ。

 じゃあ、自己紹介ついでに教えてくれないか?

 お前、なんでLDSを狙っているんだよ?」

 

「・・・・・・」

 

「だんまりか・・・でも、お前、何かに追い詰められているな?」

 

「!?」

 

「何故わかったって顔しているな

 お前にそっくりな奴に言われたんだよ、デュエルには人となりが出るってな。」

 

 そうね、確かに彼のプレイスタイルは非常に余裕がない

 いつ負けてもおかしくはない、ギリギリのプレイングばっかりだったわ

 

「それになにより、お前はデュエルを楽しんでいない。」

 

「楽しむ・・・」

 

「そうさ、お前はこの俺とデュエルして面白くはないのかぁ?

 このカードに愛された天才デュエリスト、沢渡シンゴと戦えてさぁ?」

 

「・・・・・・」

 

 そう、彼のデュエルは全然楽しそうじゃない

 遊矢なら、どんな逆境に立たされても楽しそうにデュエルをするのに、彼は・・・

 

「お前は燃えないのか?強敵との戦いを!

 お前は面白くないのか?相手の繰り出すプレイングが!

 お前はわくわくしないのか?逆境を変えるかもしれない、次のターンのドローが!」

 

「俺は・・・」

 

「お前が何を背負っているかは俺は知らねぇし、関係ねぇ!

 だがな、そんな全然面白くなさそうな顔でデュエルされても、俺が面白くねぇんだよ!」

 

 沢渡の何時もの自分本位の持論

 でも、遊矢も言っていたわ、デュエルは自分が面白いからやるんだって

 

「だったら、お前に聞く、これに身に覚えがあるか?」

 

「あれって?」

 

「LDSのバッチ?」

 

 ユートの手に握られていたのはLDSの入塾記念で送られるバッチ

 でも、どうしてそんなものを?

 

「お前達とアカデミアの関係はなんだ?」

 

 アカデミア?

 

「そ、それはLDSに入学した時にもらえるバッチです。

 LDSの生徒ならだれでも持っていますよ?」

 

「そうだぜ、アカデミアとか聞いたことないし、なぁ?」

 

「はい、僕のデータにもアカデミアなんてグループ聞いたことがありません。」

 

 沢渡の代わりにねねちゃん、暗次君、皇一郎君が答える

 私だって聞いたことがないわ

 

「そうか・・・」

 

「で、そのアカデミアがお前に何したんだよ?」

 

「俺の仲間がアカデミアに攫われた

 俺はそれを追っている、それだけだ。」

 

 悲しそうに言うユート、だからあんなに余裕がなかったのね

 でも、それとLDSに何の関係が?

 

「へぇ~じゃなにか、今、俺とデュエルしている理由も仲間の為っていう事か?」

 

「そうだ、奪われた仲間は必ず取り戻す!

 そのために俺は『此処』に来た!」

 

 声を荒げるユート、よっぽどさらわれた人は大事な人だったのね

 

「はっ!バカバカしい

 つまり俺も、制服組の奴らも、お前の勘違いで襲われたってことか?」

 

「そ、それは・・・すまなかった。」

 

「謝るくらいなら、襲撃なんかするなつぅの!

 で、どうするんだ?デュエルはこのまま続けるのか?」

 

「・・・・・・」

 

「墓地の攻撃を防ぐカードは使い果たした

 手札も1枚、でも、次のターン逆転できるカードじゃなさそうだなぁ?

 ってことは、賭けるのは次のドローだけだ。

 絶体絶命の崖っぷち、でも、お前はこの状況が楽しくはないのか?

 次のドローからできる勝利への道筋を思い浮かべてよ

 わくわくはしねぇのかって言ってるんだよ。」

 

 沢渡・・・遊矢みたいなこと言っているわね

 ユートの方を見ると・・・

 

 さっきまでの険しい表情を解いて、笑みを浮かべていた

 

「ふっ、そうだな・・・

 俺もお前に勝ちたくなった!

 だが、俺のディスクはリアルダメージが発生するようになっている、後悔するなよ!」

 

「崖っぷちの奴が何言ってやがる、勝つのは俺だ!」

 

「いや俺だ、ドロー!

 よし、俺は手札を1枚伏せ、魔法カード、命削りの宝札を発動!

 このターンの特殊召喚を封じる代わりに、デッキから手札が3枚になるようにドローしエンドフェイズに全ての手札を墓地に送る。

 俺の手札は0だから、3枚ドロー!」

 

「へぇ?ドローカードを引き当てたか」

 

「あぁ、どうやら俺のデッキも、まだ諦めたくはないらしい

 さらにセットしていた魔法カード、闇の誘惑を発動

 デッキから2枚ドローし、その後、手札の闇属性モンスター1体を除外する。

 除外しない場合は手札を全て捨てる。

 俺はデッキから2枚ドローし、サイレントブーツを除外する。

 俺はカードを4枚全て伏せて、ターンエンドだ。」

 

「またガン伏せ!?」

 

「おいおい、負けたくないっていう割にモンスターを引き当てられなかったのかよ

 お前、持ってないねぇ~」

 

「ふっ、それはどうだろうな。」

 

「何を伏せようがこの俺様には通用しねぇぜ!

 俺のターン、ドローだ!

 俺は墓地の冥帝エレボスの効果を発動する。

 手札の帝王マジック、トラップを墓地に送ることで、墓地の攻撃力2400以上で守備力1000のモンスターを手札に戻す。

 俺は汎神の帝王を捨てて、氷帝メビウスを手札に戻す。」

 

「流石っす、沢渡さん!」

 

「これで、あの人のカードを一掃できますね。」

 

 そうね、前のターンに手札に戻った光帝クライスと氷帝メビウスで伏せカードはすべて破壊できるわ

 

「だが、簡単に通すわけがないだろう?

 永続トラップ、王宮の鉄壁

 互いのプレイヤーはカードを除外することが出来なくなる。」

 

「なっ!?墓地効果多い癖にそんなカードを!?」

 

 でも、シャドー・ベイルはこれで無限に復活できるようになったわ

 肝心のシャドー・ベイルが居ないけど・・・

 

「だったら、こうだ!

 相手フィールド上にマジック、トラップカードが2枚以上あるとき、手札の氷帝家臣エッシャーは手札から特殊召喚出来る。」

 

 エッシャー DEF1000

 

 氷の様な鎧に身を包んだ僧侶の様なモンスターが現れる、その身を主と皇帝へ捧げるために

 

「そして、エッシャーをリリースして、氷帝メビウスをアドバンス召喚!」

 

メビウス「フンッ!」

    ATK2400

 

「まずは、その邪魔なカードを破壊してやるぜ!

 王宮の鉄壁とセットカードを破壊だ!」

 

「させない!トラップカード、スキル・プリズナー!

 選択したカードを対象としたモンスター効果を無効にする!俺は王宮の鉄壁を選択!

 これはお前のモンスターを対象にした効果ではない

 よって、進撃の帝王の効果では防げないぞ!」

 

 王宮の鉄壁の前に現れたバリアが、メビウスの吹雪を弾き返した!

 

「ちぃ!帝王の開岩の効果で炎帝テスタロスを手札に加える。

 だが、相変わらずモンスターはいないようだな!バトルだ!

 いけ!魔帝アングマールでダイレクトアタックだ!」

 

 これが通れば、沢渡の勝ち

 

「いや、魂は永遠に不滅だ!

 トラップ発動、エクシーズ・リボーン!

 墓地のエクシーズモンスターを復活させ、このカードをオーバーレイユニットとする。

 蘇れ、我が魂の竜!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!」

 

ダーク・リベリオン「ギャオオオォォォォォン!!」

         DEF2000 ORU1

 

「だが、俺のモンスター4体の攻撃には耐えられねぇだろ!

 アングマール!ダーク・リベリオンを攻撃だー!」

 

 アングマールが魔法で作り出した剣がダーク・リベリオンを一閃の下で切り裂き、破壊した

 これでユートのモンスターは0、セットカードも1枚だけ、もう

 

「魂で強くなるエクシーズモンスターも、その魂が使えなけりゃ、壁くらいにしかならないな!」

 

「いや、俺たちの魂はまだ繋がっている・・・

 何時だって、何処でだって・・・例え・・・

 

 世界を越えてでも!!

 

 トラップ発動!エクシーズ熱戦!!」

 

「何!?」

 

「エクシーズモンスターが戦闘で破壊された時、自分のライフを1000払い発動する。

 互いのプレイヤーは破壊されたエクシーズモンスターのランク以下のモンスターを1体エクストラデッキから見せる。

 そして、攻撃力の低いモンスターを見せたプレイヤーは、相手が見せたモンスターの攻撃力と、自分が見せたモンスターの攻撃力の差分のダメージを受ける。」

 LP1200→200

 

「なーにー!?俺のエクストラデッキにカードはねぇ!?」

 

「だったら、俺が見せたモンスターの攻撃力分のダメージを受けてもらおう!

 俺が選択するのは、ランク3幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ブレイクソード!攻撃力2000だ!!」

 

 ユートの頭上にボロボロにひび割れた剣が現れ、沢渡に向かって飛んでいく

 

「俺の・・・勝ちだ!」

 

 その剣は沢渡の目の前に着弾し、沢渡を強く吹き飛ばす

 

「ぐわあああぁぁぁぁぁ!!」

 LP1500→0

 

「「「「「「沢渡さーん!!」」」」」」

 

 ねねちゃんたちが吹き飛ばされた沢渡を助け起こそうと走っていく

 ユートはすまなそうに顔を伏せ、この場から立ち去ろうとするけど、ちょっと待って!?

 

「待ちなさい!

 あなた、私のこと知ってるみたいな感じだったけど、私はあなたを知らないわ!どういう事なの!?」

 

 ユートはこっちを振り向いて、しゃべろうとするけど

 

「君は――」

 

 桜色の光が私の目の前に溢れて、晴れたときには――

 

「えっ!?」

 

――彼はどこかに消えていた・・・


「お~い!柚子ー!!」

 

 修三さんから柚子がどこかに向かったと聞いた俺は、沢渡の父親が管理している倉庫に向かっていた

 あそこは今は物置ぐらいにしか使われていないので、沢渡一味のアジト的なものになっている

 柚子の奴は修三さんの話だと悪い顔していたらしいので、大方デッキ調整がうまく行ったので沢渡をボコりに行ったんだろう

 まぁ、逆にやられてメソメソして帰ってくるのが最近のパターンだけど

 

 ペンデュラム誕生後に柚子が沢渡の所に行く、形が違うし、時期も違うような気がするけど・・・

 柚子が茄子と会合している可能性が高い

 

――ドオオォォォォォン!!

 

 噂をすれば何とやら、沢渡たちがいつもいる倉庫の方で爆発音が聞こえる

 

「柚子ー!!沢渡ー!!大丈夫かー!!」

 

「えっ!?あっ!遊矢!?」

 

 この反応・・・やっぱり、茄子いや、ユートと会ったんだな・・・

 

「沢渡さーん!」

 

「しっかりしてください!」

 

「あぁ・・うぅ・・・痛いから・・揺らさないで・・・お願い・・・」

 

 沢渡の取り巻き達が、怪我している沢渡をブンブン振っている

 いや、ダメだろ、あれ

 

「柚子、何があった?

 沢渡のやつ、怪我しているみたいだし、さっきの爆発音も・・・」

 

「私も何が何だか・・・」

 

 柚子のブレスレットの事、俺とユートの事、それに伴うアカデミアの侵略行為とズァークのこと、頭が痛くなる問題の数々に俺は未来に不安を覚えた

 

「見える・・・見えるわ・・・・」

 

 暗い一室の中、魔法陣の上に安置された水晶玉の上で振子が揺れている

 

「あのお方の未来が、また揺れ動いた。」

 

 意志を持つかのように輝きが変わり続ける水晶をフードを被った小柄な少女が見詰めている

 

「世界・・・王・・・・竜・・・・反逆者・・侵略者・・・・・旅人・・・」

 

 少女の目には何が写っているのか、うわ言のように様々な単語を呟いてゆく

 

「確かめねばならないわ!」

 

 少女が突如決意したように立ち上がる、その目は狂信の色が浮かんでいた

 

「待っててね、わたしのマジェスティ・・・」

 




いい・・・デュエル・・だったろ・・・ガクッ

「「「「「「沢渡さーん!!」」」」」」(泣)

いや、気絶しただけだから、早く病院に連れて行こうぜ?

っていうか、最後のあれいったい誰なのよ!?

あ~なんというか、俺専属の占い師・・・かな?
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『小さな預言者 方中ミエル』

だから、ミエルって誰なのよ!?



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小さな預言者 方中ミエル

先行登場、暴走占い少女、これは占術姫デッキなのか・・・?

えっ、クイズ野郎?

『街角、デュエルクイズー』という番組で、たまたま遊矢が街を歩いていたら回答者に選ばれて、デュエルに関する問題だったので『九庵堂 栄太』より先に全問答えてしまったため、彼の逆恨みでデュエルすることになり

「さっきから何をしているんだい?
 クイズ・フロンティアにクイズ以外のアクションカードなんてないんだよ?
 なのに、君はそのクイズを間違え続けて1ターンでもうライフ300ポイント!
 なにをしたって、僕が勝者になる以外の正解なんてないんだよ!」

「勝手に絡んできて何言ってるんだよ・・・
 カードを1枚伏せて、魔法カード、大逆転クイズ発動」

「だ!?大逆転クイズ!?」

「このカードは自分フィールド上のカードと手札のすべてのカードをすべて墓地に送り発動する。
 デッキトップのカードを確認し、それがマジックかトラップかモンスターかを当てる。
 正解すれば、俺とおまえのライフを入れ替える。」

「ははっ!バカだねェ!
 今まで1問も正解できていない君が、そんなのに正解できるわけないじゃないか!
 僕が勝つ。これ正解。君が逆転する。それ不正解。
 結果なんて変わらないんだよ!」

「そんなにクイズが好きなんだったら、ここで俺も1問、お前にクイズを出してやるよ。」

「はぁ~?君がこの僕にクイズ~?
 いいよ、どんな問題もこたえてやろうじゃないか」

「じゃあ問題だ、俺のデッキに魔法以外のカードは入っている。○か、×か?」

「えっ!?」

「答えは×だ。
 よって、大逆転クイズの答えは魔法カード
 俺が正解したことにより、俺とおまえのライフは入れ替わる。」

「えええぇぇぇぇ!?」

「そしてフィールドから墓地に送られた黒いペンダントの効果で、お前のライフに500ポイントのダメージだ。」

「そ!そんなクイズがあるか!!」

「いや、これ、デュエルでしょ」

明晰塾の全員『『『『これは、ひどい・・・』』』』


 ユートがこのスタンダード次元に来た

 それはつまり、この世界がアニメ版のARC―Vストーリーに沿っていることを意味する

 ただのこの次元に居るデュエリストである可能性もあったが柚子から聞いた

 

≪もう・・・キミを傷つけたくない≫

 

≪俺の仲間がアカデミアに攫われた

 俺はそれを追っている、それだけだ。≫

 

 と、これらの言葉から、エクシーズ次元がアカデミアに襲撃され、瑠璃が連れ去らわれたことは確実だ

 同時に、素良もアカデミアの一員で確定だろう

 素良の精神の不安定具合から、専門家でないので確証はないが戦争中毒症に近い感じがした

 警戒レベルを上げる必要があるな、何時あの量産型機械犬軍団が押しかけてくるかわからないし・・・

 

「どうした、遊矢も柚子も元気がないじゃないか?」

 

「いや、俺の方は今日、素良に何を作ってやるか考えていただけさ」

 

「わ、私も何でもないわよ・・・」

 

 嘘が下手だな柚子は、そんな反応だと権現坂が余計に心配するじゃないか

 まぁ、俺は柚子が何を悩んでいるかはだいたい察しが付く

 

「柚子・・・沢渡が怪我したこと、まだ気にしているのか?」

 

「えっ!そ、そんなこと無いわよ!

 なんで、私があんな人の話を聞かない馬鹿の心配なんてしなくちゃなんないのよ!?」

 

「うん?遊矢、沢渡の奴が怪我をしたというのは聞いたが、それが柚子とどう繋がるのだ?」

 

「あぁ、沢渡が怪我した時、柚子はそばにいたみたいでさ

 どこかの違法改造されたディスクでデュエルを挑んでくる奴と沢渡がデュエルして、自分はそれを止められなかったって悔いているのさ」

 

「なるほど・・・すまない。

 柚子、ぶしつけな質問だったようだな・・・

 この男、権現坂、心の底から反省し、謝罪する。」

 

「や、やめてよ、権現坂!

 本当にそんなのじゃないわよ!」

 

 原作では遊矢とユートを見間違えて、それをずっと気にしていたみたいだけど

 ユートが名乗っていることにより、それはなくなった

 代わりに、親しくなった沢渡が怪我をしたことを気にしている

 

 あの沢渡の事だ、怪我が治ったらあっけらかんと戻って来るだろう

 ただそれまで柚子のメンタルは落ち込んだままか、はぁ~

 

「なぁ、柚子?デュエルを続行したのは沢渡なんだろ?

 それに怪我だって、大きい怪我で打撲程度で済んだんだから、そんなに気にするなよ」

 

「う、うん、そうね・・・」

 

 駄目だこりゃ、これは何か大きな刺激を与えてやらないとって、うん?

 俺たちの目の前に黒いフードを被った小柄な人影が立っている、その手にはリンゴ型の水晶、あれは・・・

 

「ご無沙汰しておりますわ、わたしのマジェスティ」

 

 フードの人物は俺に綺麗なお辞儀をする

 ただ、いきなりの陛下(マジェスティ)呼びに権現坂も柚子も面を喰らっている

 

「ゆ、遊矢?この御仁はいったい何者なのだ?」

 

「それにマジェスティって、いったい・・・」

 

「あら、貴方達はマジェスティと一緒に居るのに、このお方を取り巻く運命が見えていないようね。

 だったら、よく聞きなさい!

 このお方は数多の人々の運命を変え、世界を滅ぼすほどの覇者にも、数多の人々を導く賢者にもなられる御方よ!」

 

 いや、こんな街中でそんなこと大声で言わないでほしいのだけど

 

「そして、わたしはこのお方の混沌とした運命を読み解き、正しき運命に導くべく、天が遣わした預言者!方中ミエルよ!!」

 

 フードを取り露わとなる強いウェーブをかけたオレンジ色の髪をリボンでまとめた少女『方中 ミエル』

 原作では榊遊矢をダーリンと言いながら猛アタックをかけるストーカー癖と妄想癖がある少女だったがなぜこうなった・・・


 ミエルとの出会いは3年前、俺の父さん、榊遊勝が失踪した直後のことだ

 手紙の内容から赤馬零王がらみの事だろうとは思うのだけども、ただの失踪かもしれないということで警察に連絡した

 次元を超えているのなら見つかることはないだろうが、そこから繋がるストーリーがアニメ通りと言う可能性も不明だった

 

 そこで、手さぐりになるよりはましだろうということでミエルが通っている『海野占い塾』で占ってもらうことにした

 

 結果と言えば散々な物だった

 

 カード占いでは何故か、シャッフル中にすべてのカードが突然の強風で飛ばされ

 ホロスコープでは星座板が大回転を起こし

 水晶占いでは、ことごとくその水晶球が割れるというポルターガイスト並みの怪現象が発生した

 

「すいません、海野塾長

 壊れてしまった道具は弁償させてもらいます。」

 

「いえ、これも私どもが未熟だっただけの事、どうか御気になさらず」

 

 口元をベールで覆い隠している典型的な占い師の格好をした美女、海野塾長

 気にするなとは言ってくれたが、遊矢の未来を見ようとした彼女の水晶球がひとりでに割れたのを完全に忘れていた俺が悪いのだ

 

「それにしても、貴方の様な幼子が私どもを頼ってくるというのも珍しい話ですが、貴方を取り巻く運命はあまりにも混沌としておりますね・・・

 私でさえ、それしか貴方の行く末は分りません。」

 

「いや、まだ先はよく分らないと分っただけでも十分です。」

 

「それは・・・あぁ、でも、あの子なら・・・」

 

「あの子?」

 

「はい、最近入って来たばかりの子ですが、運命を見透す良き目を持った占い師としての才覚溢れる子なのですよ。」

 

「海野先生?」

 

 声のした方を振り向くと、同年代にしても小柄な方であろう少女、方中ミエルが立っていた

 

「ちょっどよかった、実はあなたに頼みたいことが、あっ!?」

 

「待て!!危ない!?」

 

 ミエルは突然、腰のポシェットからリンゴ型の水晶を取り出して俺を見始めた

 原作では何か見えていたミエルだったけど、この世界の、ましてや幼いミエルがそうなるとは限らない

 他の塾の人たちの様に、あの水晶が割れたら、素手のミエルは大怪我必至だろう

 俺と海野塾長は急いで止めようとしたのだが

 

「見える・・・・・見えるわ・・・・・」

 

 水晶は砕けることはなく淡く発光しているかのように輝き、彼女はうわ言のように呟き出す

 

「混沌の中で揺れる振子・・・・揺れ動くたびに数多の人々もその運命を変えていく・・・」

 

 絶対小学生のつぶやく言葉じゃねぇ!!

 

「き、君、何を言って・・・」

 

「まさか・・・見通せたというのですか!?この少年の未来を・・・」

 

「そして、今!!」

 

「おうっ!?」

 

 ミエルは突然、顔を上げ頬を上気させて、大声を上げて俺を見つめてくる

 

「ミエルの運命も揺れ動いたわ!

 今日は運命の輪を動かす人に会えると占いに出ていたけど・・・そう、貴方の事だったのね・・・

 誰も垣間見ることのできなかった貴方の未来を、ミエルだけが見ることができた・・・

 そうよ!これは!天から、あなたを正しき方向へと導けとのお告げなのよ!!」

 

 少し早い中2病どころじゃない!?破滅の光に取りつかれたレベルだー!!

 

「きっと、ミエルはこの使命を果たすために生まれて来たのねー!

 一生ついていくわー!マイ、マジェスティー!!」


 その後、抱きついてきたミエルを他の占い塾の人と共に引きはがすこと1時間、その日はそのまま帰ったが

 次の日から、ミエルは俺が一人の時にたびたび出没し、どこかへ行こうとか、どこかへ行けとか、いろいろ言ってくるようになった

 

 半信半疑だったけど、海に向かえば釣りの人と会合し、山に向かえば忍者兄弟と会うことが出来た

 いまいち、所在がつかめないメンツと会えたのは助かった

 中学に上がってきてからは、その回数は減っていたのだが・・・

 

「今日は、貴方様の運命に揺れが生じたので、ご報告に」

 

 やっぱりか・・・原因は十中八九、柚子がユートと会ったことだろう

 実はと言うとペンデュラム召喚についても、ほのめかすことを言われていたので警戒していたのに、結局やってしまった

 だから、ミエルの言葉はかなりの信憑性を持ち、今後の指針を決めるきっかけになる

 

「希望を失った国から来る反逆者、歪んだ絆の街の旅人、太陽なき場所からの侵略者に、お気を付けください。」

 

 やっぱりか・・・かなり脚色されているが、エクシーズ、シンクロ、融合のそれぞれの次元の事だろう

 

「ちょ、ちょっとあなた!いきなり現れて、何変なこと言ってるのよ!?」

 

 まぁ、事情を知らない人間からすれば、ミエルはかなり変な人だ

 いや、俺から見ても変な奴だ

 普段は俺が一人になった時に現れるミエルが、柚子たちと一緒の時に現れたのは何か訳があるのだろうか?

 

「あぁ~あなたね・・・ミエルのマジェスティに不幸を告げる花は・・・」

 

「えっ?」

 

「ふぅ~ん・・・あなた、ミエルとデュエルしましょ?」

 

「えぇ!?突然何を・・・」

 

「貴方が運命に抗う力を持っているか、ミエルがデュエルで見定めてあげるわ。

 これもマジェスティの臣下たるものの努めよ。」

 

「もぉー!わけわかんない!良いわよ!やってやろうじゃない!!」

 

 澄ました言い方が気に入らなかったのか、柚子はムキになって挑戦を受ける

 おいおい、沢渡とデュエルできなくて消化不良だったんだろうけど、年下にあたるなよ

 でも、まぁ、暗くなっているよりはましか・・・

 ただ、こんな街中でミエルにデュエルさせるわけにはいかない、迷惑になるからな


「遊矢、俺は何がなんだかよく分らんのだが・・・」

 

「まぁ、それは俺も良くは分っていないんだけどさ

 ミエルのデュエルは一見の価値ありだと思うぞ、権現坂」

 

 かなり開けた場所に移動した俺たちは、遠巻きに柚子たちのデュエルを観戦することにする

 まぁ、少し離れたところで、あのモンスターの大きさからして逃れることは出来ないのだけど

 

『『決闘(デュエル)!!』』

 

「まずは小手試しとして、先攻後攻はコイン占いで決めましょう。

 表はドラゴン、裏には悪魔、どちらかあなたが当てたら先攻後攻を選ばせてあげる。」

 

「良いわよ、私は悪魔を選ぶわ。」

 

「悪魔ね・・・それじゃ」

 

 ミエルはコインを跳ね上げ、手の甲に落す

 隠していた手がどけられると、そこにはドラゴンの絵柄が表を向いていた

 

「ドラゴンよ。

 残念ながら、貴女には先を見通す力はないようね。」

 

「なによ・・・2分の1を外しただけじゃない・・・」

 

「先攻はミエルが頂くわ。

 ミエルはモンスターを伏せ、カードを1枚セットしてターンを終了するわ。」

 

「えっ?伏せただけ・・・」

 

「そうよ。

 このモンスターが開くとき、貴方は運命の選択を迫られることになるわ。」

 

「さっきから、運命運命って、何を言ってるのよ!」

 

「ふふふ、さっきのコインで貴女は悪魔を選んだ。

 それは不安や心配、今の自分を変えたいといった気持ちの現れよ。」

 

「・・・・・・私は魔法カード、幻奏の第1楽章を発動

 自分フィールド上にモンスターが居ない時、手札、デッキからレベル4以下の幻奏モンスターを特殊召喚出来るわ

 でも、このターン、私は幻奏モンスター以外を特殊召喚出来なくなる

 デッキから、幻奏の音女アリアを特殊召喚」

 

アリア「はっ!」

  ATK1600

 

「あら、だんまり?図星だったって所かしら?」

 

「五月蠅いわよ!少し黙ってなさいよ!!」

 

「ふふふ、怒らない怒らない、そんなんじゃ運命の女神は微笑んでくれないわ。」

 

 う~ん、これはもうミエルのペースに乗せられてしまったな、凡ミスしないといいけど

 

「ぬぅ!私はさらに速攻魔法、光神化を発動

 手札から天使族モンスターを攻撃力を半分にして特殊召喚するわ

 現れなさい!幻奏の音姫プロディシー・モーツァルト!」

 

モーツァルト「フフフ、ハッ!」

      ATK2600→1300

 

 華やかな赤いドレスを身に纏った青い肌の女性

 その背の羽根や白目がなく複眼のようにも見える青い眼を見ると、まるで蝶の様だ

 にしても、攻撃表示か・・・

 

「プロディシー・モーツァルトの効果発動

 このターン光属性モンスター以外を特殊召喚出来なくなる代わりに、1ターンに1度、手札の光属性、天使族モンスターを1体特殊召喚するわ。

 来なさい、幻奏の音女エレジー!」

 

エレジー「ふふっ」

    ATK2000

 

「エレジーがフィールド上に居ることで、私の特殊召喚された天使族モンスターの攻撃力は300ポイントアップ!」

 

 モーツァルト ATK1300→1600

 エレジー   ATK2000→2300

 アリア    ATK1600→1900

 

 柚子の定番の相互効果による破壊不能戦術

 光神化のデメリットである、エンドフェイズに破壊されてしまう効果もエレジーの効果で無効化した

 攻撃力もライフ4000なら伏せモンスターありでも丁度なくなる数値だけど・・・

 

「おぉ!この攻撃が通れば、アリアとエレジーのダイレクトアタックで勝負が決まる!」

 

「さぁ~て、そう簡単に行くかねぇ~?」

 

「バトルよ!プロディシー・モーツァルトでセットモンスターに攻撃

 グレイスフル・ウェーブ!」

 

 プロディシー・モーツァルトの振るう指揮棒に合わせて音符が躍り、ミエルの伏せモンスターが露わになる

 それは大きなコインを抱えた土の精霊の少女

 少女はプロディシー・モーツァルトの操る音符によって破壊されるが、その場には大きなコインが残されていた

 

 コインノーマ DEF1400

 

「ふふ、ここでリバースした占術姫コインノーマの効果が発動するわ。」

 

「リバース効果モンスター!?」

 

「このカードがリバースした場合、手札、デッキからレベル3以上のリバースモンスター1体を裏側守備表示で特殊召喚出来る。

 ミエルが伏せるのはこれよ、守備力3000の禁忌の壺」

 

「何ですって!?そんなモンスターをそんなに簡単に!?」

 

「それだけじゃないわ。

 このカードは4つの禁忌の力が宿っているの

 1つは、私はデッキから2枚ドローする効果

 1つは、フィールドのマジック、トラップカードを全て手札に戻す効果

 1つは、相手フィールドのモンスターを全て破壊する効果

 1つは、相手の手札を確認し、その中からカードを1枚選びデッキに戻す効果

 このカードが表になった時、ミエルはこの4つの効果の中から1つを発動できるわ。」

 

「なっ!?どれも禁止カードと同じ効果じゃない!!」

 

「ふふ、でも安心しなさい。

 コインノーマの効果を使用したこのターン、私は占術姫モンスターの効果しか使えないわ。

 さぁ!運命の選択よ!強大な壁に立ち向かい、勇気を示すか!

 怖気付きつつも思案し、智を示すか!あなたは、どちらなのかしら?」

 

「そんなの決まっているわ。

 エレジーでセットモンスターに攻撃よ!」

 

 禁忌の壺 DEF3000

 

 エレジーの攻撃に反応して現れる悪魔や鬼のレリーフが掘られた不気味な壺

 それはエレジーの声による衝撃波を受けて柚子の方へそれを跳ね飛ばす

 

「んっ、なによ、このくらい・・・」

 LP4000→3300

 

「おめでとう、見事に勇気を示したわね、褒めてあげるわ。」

 

「貴女に褒められても嬉しくないわ

 私はカードを1枚伏せて、ターンエンドよ。」

 

 やれやれ、怖い怖い

 さすが占い師、うまく柚子の行動を誘導している

 

「なぁ、権現坂?お前はあの2人のデュエルスタイルどう思う?」

 

「う、うむ・・・柚子はアリアとエレジーの効果で幻奏モンスターに戦闘と効果に対する耐性を与え、リバースカードを伏せた

 攻撃後の返しとしては、中々にいい手じゃないか?

 ミエルと言う少女の方はまだわからんが、守備力3000のモンスターを呼び寄せた

 2人とも形は違うが、防御がうまいと思うが・・・」

 

「まぁ、そうだな

 でもな、ミエルのあのデッキだけど・・・ものすごく攻撃的なんだぜ?」

 

「なに?どういう事だ?」

 

「まぁ、見ていればわかるさ。」

 

「ミエルのターンよ、ドロー

 手札からこのモンスターを召喚するわ

 現れなさい、マンジュ・ゴッド」

 

マンジュ・ゴッド「ウオオオォォォォ!」

        ATK1400

 

 現れたのは泥のような緑色の躰に無数の腕を生やしたモンスター

 ゴットの名を冠している光属性の天使族のモンスターだが、どう見ても沼地の魔神王と同系統の存在の様な気がする

 

「このカードが召喚、反転召喚に成功したとき、デッキから儀式モンスターか儀式魔法1枚を手札に加えることが出来るわ。

 ミエルはマンジュ・ゴッドの効果で儀式魔法、聖占術の儀式を手札へ」

 

「儀式!?」

 

「さらに手札の魔神儀(デビリチャル)―キャンドールの効果発動

 1ターンに1度、手札の儀式魔法を相手に見せることで、手札のこのカードとデッキの魔神儀(デビリチャル)モンスター1体を特殊召喚するわ。

 さっき手札に加えた聖占術の儀式をあなたに見せて、手札からキャンドールをデッキから魔神儀(デビリチャル)―タリスマンドラを特殊召喚」

 

キャンドール「キャハハハハ」

        DEF0

 

タリスマンドラ「キャアアアアァァァァァ!!」

       DEF0

 

 轟々と燃える炎を灯す蝋燭のモンスター、だが元気な炎と違い下の蝋燭は今にでも死にそうな顔をしている

 ミエルの出した、もう一体は五月蠅く悲鳴を上げる首飾りを付けた植物の根っこの様なモンスター

 ただ、あまりの首飾りの五月蠅さに根っこは顔の横を抑えている、耳があるのか?

 

「デッキからタリスマンドラが特殊召喚されたことにより、デッキから儀式モンスター、聖占術姫タロットレイを手札に加えるわ。」

 

「儀式魔法と儀式モンスターがそろった!?」

 

「ふふ、そうよ。

 ミエルは手札から儀式魔法、聖占術の儀式を発動

 この効果でフィールドのレベル4の魔神儀(デビリチャル)―キャンドールとレベル6のタリスマンドラをリリース

 これでリリースしたモンスターのレベルが9以上になったわ。

 これにより、レベル9の聖占術姫タロットレイの儀式召喚を執り行うことが可能となる。」

 

 2人の間に現れる魔法陣の描かれた祭壇

 そこには9つの水晶が生えており、中心には棺の様な物が安置されている

 キャンドールとタリスマンドラはその身を炎へと変え、それは9つの火の玉となって水晶の間に灯っていく

 

「全てを見通す太古の巫女よ

 古の秘術によりて、今、蘇れ!儀式召喚!」

 

 魔法陣はミエルの言葉を受けて、一気に燃え上がり

 その中から金色の装飾がされた紫のドレスを纏う、巨大な占い師の様なモンスターが姿を現す

 

「レベル9、聖占術姫タロットレイ!」

 

タロットレイ「レイ・・・」

      ATK2700

 

「攻撃力2700・・・」

 

「タロットレイの真価は攻撃力ではないわ。

 タロットレイの効果発動

 1ターンに1度、フィールド上のセットモンスターを表側守備表示にするか、表側表示モンスターを裏側守備表示にするわ。

 ミエルは禁忌の壺を裏側守備表示に変更」

 

 タロットレイの両脇に浮かぶ人形のようなものが、禁忌の壺をカードに押し込め、そのままそのカードを伏せなおす

 

「えっ!?それじゃ・・・」

 

「そうよ、禁忌の壺を反転召喚

 その効果でフィールドの全てのマジック、トラップカードを手札に戻すわ。」

 

 禁忌の壺 ATK2000

 

 再び現れた禁忌の壺の中から、猛烈な突風が巻き起こり、2人の伏せカードを吹き飛ばす

 

「あっ!?」

 

「ふふふ、その反応だと、ダメージを軽減させるカードかしら?

 でも、これで貴女のモンスターは丸腰よ?バトル!

 禁忌の壺でプロディシー・モーツァルトに攻撃よ。」

 

 禁忌の壺の中に潜むナニカがプロディシー・モーツァルトに体当たりを仕掛ける

 壺形モンスターにいるあいつは、いったい何なんだろうな?

 

「あう・・・でも、プロディシー・モーツァルトは特殊召喚されたアリアの効果で破壊されないわ!」

 LP3300→2900

 

「だったら、タロットレイの攻撃も受けてもらおうかしら。

 タロットレイでプロディシー・モーツァルトに攻撃よ。」

 

 タロットレイのスカートから剣が飛び出してくる

 破れている様子もないし、異次元にでも繋がっているのか?

 

「きゃああぁぁぁぁ!」

 LP2900→1800

 

「バトルフェイズ終了、メインフェイズ2に移るわ

 レベル9のタロットレイを対象に速攻魔法、星遺物の胎動を発動

 タロットレイとは種族、属性の異なるレベル9モンスター2種類を1体ずつ特殊召喚するわ。

 現れなさい、機怪神(デウス)エクスクローラー、サブテラーマリス・ボルティニア」

 

 地面の中に巨大な2つの気配が現れる

 2人の間に巨大な紅い球体が地面から覗き、その周囲に無数の赤黒い触手が湧き出る

 そして、その周囲には鮫のように地面を泳ぎ回る何かが獲物を狙い徘徊していた

 

 エクスクローラー DEF3000

 ボルティニア   DEF3000

 

「また、守備力3000のモンスター!?」

 

「そんなに心配しなくても、星遺物の胎動で呼び出されたモンスターはエンドフェイズに破壊されるわ。

 ミエルはカードを1枚伏せて、エンドフェイズ、ボルティニアと機怪神(デウス)エクスクローラーは破壊されるわ。」

 

 巨大な2つの気配は、深く地面に潜り込みその気配が失せる

 だが、ただで終わるはずもない

 

機怪神(デウス)エクスクローラーの効果発動

 フィールドのこのカードが戦闘、効果で破壊された場合

 デッキからこのカードとは、元々の種族、属性が別のレベル9モンスターを1体、手札に加えるわ

 機怪神(デウス)エクスクローラーは地属性、昆虫族、よってミエルはデッキから風属性、ドラゴン族の星遺物の守護竜メロダークを手札に加えるわ

 

 さらにタロットレイの効果発動

 自分のエンドフェイズ、手札か墓地のリバースモンスターを1体裏守備表示で特殊召喚するわ

 ミエルは墓地から機怪神(デウス)エクスクローラーをセット、これでミエルのターンは終了よ。」

 

 機怪神(デウス)エクスクローラー、守備状態ならあんな感じで地面に埋まったままだが攻撃表示になるとこの一帯を覆うような巨大な体が出現する

 ただのソリッドビジョンでも巨大すぎて迷惑な存在だが、リアルソリッドビジョンで召喚されればかなりの被害が出そうな気がするが、禁止にはなっていないので、ある一定量の大きさのモンスターしかリアルソリットビジョンでは質量を完全には与えられないのかもしれない

 

「うぅ~む、儀式使いだったのか・・・

 それに、あれほど高レベルで巨大なモンスターを易々と使いこなすとは・・・侮れんな。」

 

「いや、ミエルの注目する点はそこじゃないよ、権現坂」

 

「ん、どういう事だ?」

 

「ミエルはデュエリストだけど、本業は占い師だからな。

 相手の人相、思考、心理状態を読むのがうまいんだ。

 だから、ほぼ自滅に近い形で柚子のライフはすでに半分を切っている。」

 

「なるほどな・・・強固な守りを言葉巧みに誘導することで、崩させたわけか」

 

 まぁ、1ターン目をすべて守備表示にしていれば、ダメージは少なくて済んだんだろうけど

 伏せているカードは1ターン目から伏せ続けているものだろう

 多分あのカードだろうし、アドを取るかライフを取るかぐらいしか違いはないか・・・

 

「私のターン、ドローよ。」

 

「スタンバイフェイズに永続トラップ、星遺物の傀儡を発動よ。

 このカードは自分フィールド上の裏側表示モンスター1体を表側攻撃表示または守備表示に変えるわ。

 星遺物の傀儡の効果で機怪神(デウス)エクスクローラーを表側守備表示に変更」

 

 エクスクローラー DEF3000

 

 再び現れる、巨大な紅い球体と無数の触手

 だが、さっきまでとは違いプロディシー・モーツァルトがその触手に絡め取られる

 

モーツァルト「はっ!?ううぅぅぅ・・・」

 

「えっ?何よ、これ!?」

 

「機怪神エクスクローラーがリバースした状態でモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのモンスターが発動した効果は無効化されるわ」

 

「何ですって!?」

 

「さぁ、どうするのかしら?

 迫られた選択は、速やかに答えを出さないといけないわ。 

 運命は待ってくれないもの」

 

「だったら、まずはその厄介な儀式モンスターを倒させてもらうわ!

 私はアリアとプロディシー・モーツァルトをリリースして、アテナをアドバンス召喚!」

 

アテナ「ふんっ!」

   ATK2600→2900

 

 天から舞い降りる月の光の化身たる女神

 たしかに、禁忌の壺とタロットレイを破壊できれば、有利になるかもしれないが・・・

 

「バトルよ!アテナでタロットレイにこうげ」

 

「タロットレイの効果発動よ。

 アテナを裏守備表示にするわ。」

 

「なっ!?」

 

 それは現状じゃ悪手だ

 

「ふふ、タロットレイの表示形式変更効果は相手ターンでも発動できるのよ?

 それに、対象は別にミエルのモンスターでなくてもいいの

 ちゃんと知らないモンスターの効果は確認しないとだめよ?」

 

「・・・・・・」

 

 柚子は何も言わない

 効果や墓地の確認はデュエルディスクを使えばすぐにできる

 それを怠り、熱くなりすぎてミスをするなんてと、冷静になった頭が後悔をし始めたんだろう

 

「・・・カードを2枚伏せて、エレジーを守備表示に変更・・ターン・・・エンドよ」

 

 エレジー ATK2300→DEF1200

 

「じゃあ、ミエルのターンね、ドロー」

 

「まだ、まだ終わりじゃないわ!トラップカード、戦線復帰!

 墓地からモンスターを守備表示で特殊召喚するわ!

 戻ってきて、幻奏の音女アリア!」

 

アリア「はっ!」

   DEF1200

 

 崩れた布陣をすぐに元に戻すか

 ほったらかしだった昔に比べれば、成長したな柚子

 

「ふふ、じゃあ、まずはこれで運試しと行きましょうか?

 魔法カード、貪欲で無欲な壺を発動

 メインフェイズの初めにこのカードは発動できる。

 墓地の種族の異なるモンスター3体をデッキに戻してシャッフルし、2枚ドローするわ

 ミエルの墓地の雷族のサブテラーマリス・ボルティニア、炎族の魔神儀(デビリチャル)―キャンドール、植物族の魔神儀(デビリチャル)―タリスマンドラをデッキに加えてシャッフルし2枚ドローよ。

 そして、このターン、ミエルはバトルフェイズが行えないわ。

 まぁ、出来たとしても意味がないわね。」

 

「そう、じゃあ!私をこのターン、倒すのは無理ってことね!」

 

「あら、別にそんなことは言ってないわ。

 それに、あなたはあなた自身の力で終わりを迎えることになりそうよ・・・

 墓地の聖占術の儀式を除外して効果発動

 デッキから、占術姫モンスター、2枚目のタロットレイを手札に加え

 

 さらに儀式の下準備を発動

 デッキから、儀式魔法とそこに記載された儀式モンスターを手札に加えるわ

 手札に加えるのはもちろん、聖占術の儀式とタロットレイよ。

 

 さらにタロットレイの効果で禁忌の壺を裏守備にして、再び反転召喚

 リバース効果で2枚ドローするわ」

 

 ここでミエルは手札を一気に回復してきたか

 柚子の残りの伏せカードは3ターン目のことを考えると、スピリット・バリアあたりか

 だが、バトルフェイズが出来なくなっているミエルの前じゃ無意味なカードになってしまっているな

 

「さぁ、ここが運命の分かれ道よ

 魔法カード、一撃必殺!居合ドローを発動よ。」

 

「い、一撃必殺!?」

 

「そう、このカードは手札を1枚捨て、相手のフィールド上のカードの枚数だけ、ミエルはデッキの上から墓地へ送り、1枚ドローするの

 そして、ミエルが居合ドローを引いたら、それを墓地に送ってフィールドのカードを全て破壊

 その後、この効果で破壊され墓地に送られたカードの数×2000ポイントのダメージを与えるわ。」

 

「なんと!?まさに当たれば一撃必殺の効果!!」

 

「でもまぁ、専用構築でもないと当てるのは難しいよな~」

 

「だが、柚子のライフはすでに1800

 柚子のフィールドのアリアとエレジーは効果で破壊されないとはいえ、それ以外にも7枚ものカードがあるのだぞ!?

 悠長には構えてられん。」

 

「カウンターの手段でも持ってないと、どう構えていても仕方ないだろ?

 今は相手のターンだし、柚子の手札は0、墓地で効果が使えるカードもないんだから」

 

 それに、きっとミエルの狙いは手札のカードを墓地に送ることだろうしな・・・

 

「ふん!そんなギャンブルカード、簡単にあてられるわけないじゃない!」

 

「そうね、でもこのカードで運命に幕を下ろした方が幸せかもよ?ドロー

 引いたカードは魔神儀(デビリチャル)の創造主―クリオルター、居合ドローではないわ」

 

「それは残念だったわね!」

 

「そう・・・とても残念だわ・・・

 でも、ミエルはマジェスティの臣下として、未来を見通す者として、これからあなたに残酷な運命の結末を突き付けなくてはならないわ・・・」

 

「何を言っているの!?

 貴方はバトルフェイズを行えず、アリアとエレジーは戦闘でも効果でも破壊されず、効果の対象にもならないのよ!」

 

「・・・・・・居合ドローを引けなかったことにより、デッキから墓地に送った枚数と同じ枚数のカードを、墓地からデッキに戻す

 墓地に送られたのは9枚、よって墓地から9枚のカードを選びデッキに戻すわ」

 

 ミエルは何も答えない

 占い師としての矜持か、その手に揃ったカードをじっと見つめ、そこに示された意味を読み解き、淡々と動き出す

 

「禁忌の壺と機怪神(デウス)エクスクローラーをリリースして、モンスターを裏守備表示でアドバンス召喚

 そして、墓地のトラップカード、黒猫の睨みの効果を発動よ

 このカードを除外して、フィールドの占術姫モンスターを含む、表側表示モンスター2体を裏側守備表示にするわ

 聖占術姫タロットレイとマンジュ・ゴッドを裏側守備表示に・・・」

 

「な、何をして・・・」

 

 まったく意味が分からないと言った様子の柚子

 リバース効果モンスター2体をリリースしてまで呼び出して、アドバンス召喚されたモンスターも裏守備で

 さらに、裏守備にする意味がないタロットレイまでセット状態にしたんだ

 あらゆるカード効果を熟知している奴じゃないと、この行動の意味は分からないだろう

 

「私のフィールドの表側表示モンスターが、裏側守備表示になった時

 自分フィールド上に表側表示モンスターが存在しない場合、手札のサブテラーマリス・ボルティニアは特殊召喚出来るわ」

 

 ボルティニア DEF3000

 

「また、守備力3000のモンスター!?」

 

 再び現れた地面を突き進む、未だにその姿を見せないモンスター

 だが、その突き進んだ先からはバチバチと何かがはじけ飛ぶような音が聞こえている

 

「ボルティニアは自らの効果で裏側守備表示になれるわ」

 

 謎のモンスターはさっきまでよりも深く地面の中に潜り込む

 

「そして、星遺物の傀儡の効果で表側守備表示にリバース・・・」

 

――ゴゴゴッ!

 

「な、何!?」

 

――ドオオォォォォン!!

 

 柚子の目の前の地面が爆ぜる

 その中から現れたのは青白い巨大な体を持ったモンスター

 そのモンスター、サブテラーマリス・ボルティニアは宙返りをしてミエルのフィールドに舞い降りる

 電気を纏い、浮遊をする姿はまるで龍の様だ

 

ボルティニア「シャアアアァァァァァァ!!」

      DEF3000

 

「なんて大きさ・・・って、あっ!?私のアテナが!?」

 

「ボルティニアのリバース効果よ。

 相手フィールドの裏側守備表示モンスター1体のコントロールを次の私のエンドフェイズまで得る。」

 

「なんと・・・アドバンスセットはモンスターゾーンを開け、この効果を使う事への布石であったか!?」

 

「アテナを反転召喚」

 

アテナ「ふんっ!」

   ATK2600

 

「自分のモンスターの効果ぐらいわかっているでしょ?

 そして、私のタロットレイは天使族モンスター、この意味わかるわよね?」

 

「そ、そんな、まさか・・・」

 

「儀式魔法、聖占術の儀式を2枚発動、セットされた星遺物の守護竜メロダークとフィールドのサブテラーマリス・ボルティニア、この2体をそれぞれの儀式の供物と捧げ、儀式召喚!

 現れよ!聖占術姫タロットレイ!!」

 

 タロットレイ ATK2700

 タロットレイ ATK2700

 

 漆黒の守護竜と雷を纏う地龍が炎で焼かれ、その中から姿を現す、人の運命を見通す太古の巫女

 そして、月の女神は本来の主に向かって天の使いが舞降りたと、その手に持つ槍から祝砲を放つ

 

「きゃ!?あううぅ・・・」

 LP1800→1200→600

 

「天使族モンスターが召喚、反転召喚、特殊召喚された時、相手ライフに600ポイントのダメージを与える効果

 さぁ、これでお終いよ、自らのモンスターの力で幕を引きなさい

 セットされている聖占術姫タロットレイを反転召喚、アテナの効果で600ポイントのダメージを与えるわ」

 

「きゃあああぁぁぁぁ!!」

 LP600→0


 講義が終わった後の遊勝塾の屋上

 生徒たちが元気良く帰っていく声を耳にしながら、私は夜空を仰いだ

 ここはビル街から少し離れているからか、今日は星が良く見えるわ

 

≪貴方の運命の先に待つのは、貴方が原因で誰かを傷つけてしまう未来≫

 

 誰か・・・私が原因で、また誰かが傷つくというの?

 

≪運命は変えることは出来ない、けど、選ぶことは出来る。

 でも、運命を選び取るには強い意志と力が必要よ。

 あなたが、誰も傷つけたくないというなら、強くなりなさい。≫

 

 『強さ』あのミエルって子の言っていた言葉が頭の中を反芻する

 たしかに、私は遊矢みたいな異常なデュエルタクティクスはないし、沢渡みたいに何百回と負けてもそれを糧にできるほど心が強いわけでもない

 それでも、自分でもまあまあ強い方だって思ってた

 

 でも、遊矢に聞いたらあの子はデュエル塾じゃなくて占い塾に通っているらしい

 プロデュエリストを目指している私が本業が占い師の子に負けた

 それも、終始翻弄されっぱなしのぼろ負け・・・

 

「はぁ~・・・」

 

「おー柚子!ここに居たのか」

 

「遊矢・・・」

 

 屋上の扉を開けて入ってくるその人、榊遊矢

 この塾を開いた伝説のエンタメデュエリスト、榊遊勝の一人息子で私の幼馴染

 もう長く一緒に居るのに、何時まで経ってもよく分らない不思議な人

 

 融合、シンクロ、エクシーズの各召喚法を十全に使いこなして

 新たな召喚法、ペンデュラム召喚もすぐにマスターしたデュエルの天才

 

 デュエルスタイルは遊勝おじさんのように、エンターティンメントを意識したものではなく、苛烈で容赦がない

 でも、全力でデュエルする姿は相手すら引き込んで熱狂させる、私の憧れ

 

「どうした?こんな所で膝を抱えて、随分としおらしいじゃないか」

 

「う、うん・・・」

 

「・・・ミエルに言われたこと気にしているのか?」

 

「少し・・・私が弱いとみんなを傷つけることになちゃうのかなって・・・」

 

 そう、沢渡の時も私が無理やりにでも止めていれば、怪我をしなかった

 もし、あの子の言うようにこの先誰かを傷つけるのなら、私は如何したらいいの?

 

「なぁ、柚子・・・お前は強くなったらどうしたい?」

 

「えっ?」

 

 いきなり何を言うの、遊矢は

 私は自分が弱いから悩んでいて・・・

 

「強くなるっていうのは、同時に敵を作るってことだ。

 現に俺なんて、何人居るかかわからないくらい居るだろ?」

 

 それは、大会荒らしなんてしてたからじゃ・・・

 

「俺の父さんなんて見てみろよ

 強かったけど、敵を作り過ぎて、今じゃこの街の負の象徴みたいになってるんだぜ?

 で、柚子のしたい事にはそんな数の敵は必要なのか?」

 

「じゃあ、遊矢はどうなの・・・?」

 

「俺?もちろん必要だよ。

 負けて悔しい、俺を絶対倒してやる、俺の方が強いんだと証明してやる、そんな気持ちで組まれたデッキはまさしくその人の最高で本気のデッキだ。

 俺はそんな奴と全力でデュエルがしたい、だからデュエリストやってるんだからな。」

 

 うわぁ~・・・なんてバトルジャンキーな答えなの

 

「柚子が目指しているのはエンタメデュエリストだろ?

 ただショーとしてお客さんを楽しませたいなら、そんなに強くある必要はないじゃないか

 相手の人と合わせて、華やかな場を作っていればいいんだからさ」

 

「そ、それは・・・」

 

 そうかもしれないけど、デュエリストとしてそれでいいの!?

 

「あ~でも、相手と合わせるっていうのも結構技量と知識はいるから、うん、強いに越したことはないか・・・

 でも、いくら強くなったからって、ショーデュエルのノリでガチ勝負を望んでいる人と対戦しちゃだめだぞ?

 快く思ってくれない人もいるからな。」

 

「遊矢、それって・・・」

 

 遊勝おじさんの事じゃ・・・

 

「そう、俺の父さんの事だ。

 2、3ターンで決着ついたらいいんだけど長勝負になるほど、相手からの印象は自分は父さんのショーのダシに使われているんじゃないかって思われて

 その人のファンの人たちも自分の好きな人が猿回しの猿みたいに扱われてると思っていたらしいからな。」

 

 3年前、私とお父さんが見に行った、ストロング石島との王座防衛戦の観客たちのおじさんへの批難はそれは酷いものだった

 飛び交う罵詈雑言におじさんを擁護してる人は誰も現れず

 観客たちの怒りに、お父さんも私も震えて何も言えなかった

 いつもデュエルで笑顔にって言ってくれていたおじさんは、密かに人々からの怒りを買っていた

 

「強くなるには、強い人なりのマナーや態度がある。

 じゃないと、相手が気持ちよくプレイできないからな。

 それがプロっていうものだ。」

 

「う、うん・・・そうね、でも、それ私にできるかしら?」

 

「う~ん、別に強くなる必要がないんだったらいいんじゃね?

 ショーデュエルなら相手の人もお前に合わせてくれるだろうし・・・」

 

「でも、あの子の占いじゃ!」

 

「占いは所詮占いさ、当たるも八卦当たらぬも八卦ってね。」

 

「でも、もしかしたら遊矢も、私の所為で傷ついちゃうかもしれないのよ!!」

 

 そんなの絶対イヤ!私の目の前で塾の子達や権現坂、お父さんも、遊矢も・・・

 誰かが傷つくのなんて見たくない!!

 

「だったら、俺が蹴散らしてやるよ。」

 

「えっ・・・」

 

「柚子の目の前で誰かを傷つける奴も、柚子を傷つける奴も、みんな俺が倒してやる

 あー俺のことは心配するな、柚子の運命に巻き込まれて傷つくほど、やわじゃないからな。」

 

「遊矢ー!何してんのー!そろそろ、帰ろうよー!」

 

 素良が遊矢を呼びに来た、結構、時間経ちゃったみたいね

 

「お~う!じゃあな、柚子!明日また学校で」

 

「うん、おやすみ、遊矢・・・」

 

「あぁ、おやすみ、柚子」

 

 別れを告げて駆けだす彼、素良もそれを追うとするけど、私は素良を呼び止めた

 

「ねぇ!素良!!」

 

「ん?なにさ、柚子?」

 

 未来だとか運命だとか分らない

 でも、あんなことを言われたら、守ってもらうだけじゃ悔しいから

 

「私に融合を教えて!!」

 

 強くなろう

 強くなって、お客さんも、相手も、そして自分も

 心の底から笑い合えるような、そんなデュエリストになろう




ぐすっ!よかったぞー!柚子ー!!熱血だー!!
でも、俺も、もう少し頼ってくれないかな・・・
えっー!!LDSの理事長がくんの!?しかも、交流戦の申し出!?
ちょっと、遊矢ー!勝手に話を進めないでくれよー!!
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『強襲 LDS』
って、一戦目から遊矢!?少しは手加減してくれよ・・・


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襲来LDS

前から行っているアンケートなのですが、調整したままでもかまないという人も多いのですが、やっぱりアニメカードほぼそのまま使用しようと思ってます。
ただ、完全にテキスト不明なカード(地属性CCC)はセリフから引用するのでご了承ください。

あと、どういう裁定になるかわからないカード(パスト系速攻魔法)はカウンターをされた場合や特殊召喚数のカウントは発生するのかなど、テキストからは読み取れないので手順的にも台詞的にも全く同じになるようにOCG的なものに変更したものを使用しようかなと思っています

活動報告の「アンケートの途中経過」に使用しようと思っている2枚のカードの効果を載せているのでご意見やもっといい言い回しがあったらそっちにお願いします


 高速道路を1台の白いリムジンが走っている

 その車内ではサングラスをかけた大男とワインレッドカラーのスーツを着こなし、紫色の髪を独特のカールをさせた女性が向かい合っていた

 

「交渉のご成功

 おめでとうございます、理事長」

 

「ありがとう、中島

 これでまた一つ、計画が前に進んだわ。」

 

 女性『赤馬 日美香』はほくそ笑む、だが中島と呼ばれた大男はサングラス越しだが、若干表情を険しくさせていた

 

「今回の買収の成功は、社長も大変喜んでおられます・・・ですが」

 

「ですが・・・何だというのですか?」

 

「はい、実は交渉の妨げになってはと思い、連絡を控えていたのですが

 いくつか気になる事件が起こっておりまして・・・」

 

「事件?」

 

「はい、まずはここ最近、LDSの教員を主に狙った襲撃事件です。

 犯人は目撃者の証言によるとエクシーズ使いらしく、またその使用カードも見たことがないものであったと

 デュエルディスクは違法改造されたものが使われているらしく、アクションフィールドでもないのにリアルなダメージが感じられたとの話です。

 また、行方不明者も何人か出ている為、現在警察と協力して調査中です。」

 

「なんですって!?

 まさか、敵からの、あの人からの攻撃がもう始まったというのですか!?」

 

「いえ、社長は違うとおっしゃっておりました。

 敵からの攻撃にしては規模が小さすぎると

 ただ、来訪者である可能性は極めて高いともおっしゃっておりました。」

 

「そうですか・・・わかりました。

 迅速に事態の収拾を図りなさい!」

 

「はっ!

 それともう1つ、2週間ほど前に新たな召喚法が発見されました。」

 

「新たな召喚法?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「零児さん・・・新しい召喚法とは、私達が知っている、融合、シンクロ、エクシーズとは別の

 まったく新しい召喚法が現れたということですか?」

 

 レオ・コーポレーションの一室

 社長室であるそこで社長である赤馬零児と、LDSの理事長であり零児の母親の日美香が対談していた

 

「その通りです、母様

 それは2週間前、突然出現しました。」

 

 部屋が暗くなり、スクリーンが下りてくると、そこにはストロング石島と榊遊矢のスペシャルマッチの映像が映し出される

 

≪揺れろペンデュラム、開演の鐘となれ!告げよ!新たなる歴史の1ページを!!『ペンデュラム召喚』!!≫

 

「ペンデュラム召喚?」

 

「ペンデュラムカードと言う

 特殊なモンスターカード2枚を使って、上級モンスターもリリースなしで同時に何体も召喚できるという今までになかったものです。

 また、この召喚の際、膨大な召喚エネルギーも検知されています。」

 

「まさか、それもあの人が?」

 

「いえ、それはないでしょう

 ペンデュラム召喚を最初に使ったデュエリストは間接的にではありますが、我々とコンタクトを取ってきました。

 それも、オリジナルカードを貸し出すという行為までとって、量産せよとの要求を」

 

「それは・・・それでそのペンデュラム召喚を使ったデュエリストと言うのは、いったい誰なのです?」

 

 映像は切り替わり、舞網第二中学の制服を着崩した少年、榊遊矢の画像とデータが表示される

 

「市内にある遊勝塾と言う、デュエル塾に所属する14歳の男子、榊遊矢です。

 今年度の公式な対外試合の成績は、ほぼ全勝・・・

 少なくある敗績も変わったデッキを使ったために起きた手札事故ぐらいです。」

 

「なんと・・・これほどのデュエリストが、我がLDSの外に居るなんて・・・」

 

「それだけではありません

 彼はLDSの所属が一切ないにもかかわらず、融合、シンクロ、エクシーズも自在に使いこなしています。」

 

「何ですって!?」

 

「また、先ほど公式の記録の成績を言いましたが、彼の非公式な記録も存在しています。」

 

「非公式?どいうことですか?」

 

「彼の裏の顔は『狂った道化師(マッドピエロ)』と言う、7年前から各地の大会に出没し優勝を果たして賞金を手に入れて行くという、いわゆる大会荒らしです。」

 

 またスクリーンの映像が切り替わり、そこに表示されたのは白塗りの仮面に黒い道化師服を着た人物の写真

 デュエルした時のものしかないためか、その姿は炎などに照らされて不気味に映り込んでいた

 

「大会荒らし・・・それを7年前から現14歳の少年がやっていたというのですか?」

 

「事実です。

 そして、彼は、あの榊遊勝の息子です。」

 

 冷静にデータを見ていた日美香の目が見開かれる

 

「榊遊勝!?

 まさか、彼が敵と手を組み息子を!?」

 

「いえ、それならば我々にペンデュラムカードの量産をさせるのはおかしい。

 榊遊矢の行動原理にはいささか不明な点がいくつかありますが、彼と友好を築くのは大きくプラスに働くことでしょう。」

 

「わかりました。

 大会荒らしをしているということは、多額の褒賞をちらつかせれば動くことでしょう。

 ついでに彼の所属するデュエル塾ごと、我々の傘下に・・・」

 

 今後の計画を立てほくそ笑む日美香だったが、零児がそれに待ったをかける

 

「いえ、ことはそう、うまく進みそうにはありません」

 

「それは、そういう事です?」

 

「彼の個人資産は7年もの間に出た大会の優勝数からすると、膨大な物であり、また彼自身も誰かの下に付きそうにない破天荒な性格をしています。

 また、彼の所属する遊勝塾はジュニアクラス向けのものであり、彼はそこの講師と言う形で在籍しているようです。」

 

「講師?中学生の彼がですか?」

 

「あり得ない話に聞こえるでしょうが、本当です。

 さらには、ジュニアユースに上がった生徒は、それぞれのデュエルスタイルに合った他のデュエル塾に輩出しており、我がLDSにも何人か在籍しています。

 そして、遊勝塾から移籍した生徒のデータがこちらです。」

 

 表示されるLDSに在籍する3人のデータのほか、様々な塾に在籍する生徒のデータが表示され、それを見た日美香は我が目を疑う

 

「なっ!?全員、勝率8割強ですって!?」

 

「はい、そのため彼の塾は他のデュエル塾から優秀な人材を輩出すると一目置かれており、またLDSとは教育方針の違いなどもあり、買収するのは難しいかと」

 

「・・・では、どうしろと?」

 

「まずは、彼に良き印象を持ってもらう事から始めましょう

 そこで母様には、これを彼に返すついでにやっていただきたいことが・・・」

 

 日美香に差し出されたのは、物語の始まりとなったきっかけであるカード

 『時読みの魔術師』と『星読みの魔術師』

 時間と空間を司る魔術師たちが主の下に帰る時が来た

 混沌を極める世界は、暗雲の中をひたすら突き進む

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 学校を終えた俺たちは今日の授業のプログラムを確認する

 素良には融合召喚を戦術にしている子達を別クラスとして編成し、それを任せるようにした

 融合召喚はエクストラデッキを使う召喚法の中では1番初めに広がったので、この世界での使用率は割と高めだ

 俺の持ちクラスの半分ほどが素良の方へ移ったので、Bクラスの生徒の何人かを昇級させれば入塾希望者の受け入れも可能になるだろう

 

 そういえば、柚子が塾生に交じって素良の講義を聞いているようだけど、まだ「目がくすんでいるわ」とか言われていないのに柚子は素良から融合召喚を習い出したらしい、ミエルに負けたからか?

 

「ところで、権現坂?

 デュエルはまた生徒たちが来てからでいいんだよな?」

 

「うむ、新たな修行の成果、存分に見せてやろうぞ!」

 

「へぇ~権ちゃんも、遊矢に負けて悔しい組?」

 

「ご、権ちゃん・・・まぁいい、当たり前だろう

 男として、勝負ごとに負けたままと言うのは示しがつかん」

 

 権現坂はたまに俺とここでデュエルをして、生徒たちに他流試合と言う名の見学をしてもらっている

 権現坂のデッキはフルモンスターデッキなので、かなりピーキーで戦術幅も限られてくるが今回はどんな手を編み出したのだか

 俺が、ふと窓の外に目を向けると、そこには白塗りの長いリムジンが止まっており、出て来たかなり派手な髪形の女性が塾の中に入っていくのが見えた

 これはまさか・・・

 

「ゆ!遊矢ー!LDSの理事長がお前に会いに来たぞー!?」

 

 やっぱりか・・・沢渡は原作の様に騒いでないというのになぜあの人が来るんだ・・・

 

「失礼しますわ。」

 

 ドアを乱暴に開けて飛び込んできた修三さんの後ろから、赤や赤紫色が特徴的な女性が入ってくる

 赤馬 零児の母親、赤馬 日美香だ

 LDSの理事長にして、夫が失踪したためか、原作ではかなりのヒステッリクな性格と強引さを持ち合わせていた人物だったが、この世界ではどうなのだろうか?

 

「突然の訪問、申し訳ありませんわ。」

 

「いえ、とり合えずソファにどうぞ

 俺に用があるという話でしたが、どのような内容ですか?」

 

「では失礼して、まずはこれをあなたにお返ししますわ」

 

 赤馬日美香が差しだしてきたのは、アタッシュケースの中に丁寧に収められた2枚のカード

 星読みの魔術師と時読みの魔術師、これを返しに来たか・・・

 預けたときと同様、沢渡経由で俺に渡せばいいようなものをわざわざ、理事長が届けに来るか・・・

 

「ちょっと失礼」

 

 俺はデュエルディスクのソリットビジョンの調整モードを起動し、2枚のカードをモンスターゾーンに置く、するとちゃんと見慣れた2体の魔術師が現れた

 さらに今度はペンデュラムゾーンに2枚のカードを差すと、ちゃんとペンデュラムスケールの状態とデュエルディスクは認識した、本物で間違いないようだ

 

「確かに

 で、わざわざLDSの理事長さんが、こんなところに来た理由はただカードを返す為ではないんでしょう?」

 

「あら、随分と榊君は疑り深いのね

 まぁ、そうですわね、貴方達は入ってきなさい」

 

 空きっぱなしだった扉から出て来たのは3人

 紫色の髪を北斗七星型のヘアバンド(?)で止め上げた目付きの悪い少年

 褐色黒髪で動きやすそうな服装をした少女

 竹刀を担ぎ、いかにもな剣士やってますという雰囲気を出した少年

 

「彼らはジュニアユースクラスだけど、我がLDSの誇る融合、シンクロ、エクシーズの各コースのエース

 彼らとのデュエルをしてもらいたいのです。」

 

「ほう~つまり、他流試合の申し込みと言うわけですね。

 ですが、遊勝塾はジュニアクラス向けの塾なので、彼らには少し物足りないのでは?」

 

「いえ、対戦相手には榊君たち、ジュニアユースの子たち同士でデュエルをしてもらいたいのです。」

 

「それはそれは、確かにここにはジュニアユースクラスは、他流の権現坂を除いてちょうど3人

 でも、俺と素良は講師、柚子は事務員的な立ち位置に居ますがよろしいので?」

 

「えぇ、彼らに稽古をつけるつもりで挑んでもらって構いませんわ。」

 

 うん?嫌味のつもりで言ったはずなのに、かなり好意的な言葉が返ってきた

 かなり自を我慢しているか・・・あのメガネマフラーは何を考えているのやら

 沢渡経由で接触してみたが、怪しまれたか?

 

「では、開始は生徒たちが集まってからと言うことで、それまで隣の休憩室でおくつろぎください

 あぁ、対戦相手はどうします?

 そちらが最初に決めてもらって構いませんよ?」

 

「そうですか、ではあなた達、最初に誰が行きますか?」

 

 日美香理事長の言葉に反応し、今まで黙っていた3人の内、目付きの悪い少年が早い者勝ちだと前に出る

 

「僕が行こう。

 僕はLDS、エクシーズコース所属、志島北斗!

 対戦相手には榊遊矢、いや狂った道化師(マッドピエロ)、お前を指名する!」

 

「ほぉう、いきなり俺か?」

 

「そうだ!僕は現在40連勝中でね。

 君を栄えある41番目の獲物にしてあげるよ。」

 

「へぇ~40連勝中ね・・・わかった。

 じゃあ、柚子、来客用の休憩室に案内してくれ、お茶と菓子でも付けてな」

 

「う、うん・・・どうぞ、こちらです」

 

 赤馬日美香とLDS三人衆は部屋を出て行き、扉が完全に閉まったことを確認すると俺は肩の力を抜く

 

「はぁ~やっぱ慣れない交渉ごとなんてするもんじゃないな・・・

 悪い権現坂、今日は相手できなさそうだ。」

 

「う、うむ、俺は構わぬが・・・」

 

「なぁ、俺って一応、塾長だよな?」

 

 あっ!しまった、修三さん、置いておきぼりだった

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『まぁ、始まってしまったものは仕方がない

 さぁ!2人共、熱血で頑張っていいデュエルを見せてくれ!

 フィールド魔法、コスモ・サンクチュアリ発動!』

 

「へぇ~僕にピッタリなフィールドを選ぶなんて、気が効くじゃないか!」

 

(修三さんの事だから、北斗って名前から連想しただけなんだろうな~)

 

『『決闘(デュエル)!!』』

 

 さぁ、始まりましたわね

 榊遊矢、零児さんはあぁ言っていたけど、私はこの目で見ないと信用ならないわ

 このデュエルで貴方が我々の敵なのかどうか、見極めさせてもらいましょう

 

「さぁ北斗、貴方の力を見せておやりなさい!」

 

「先攻は僕が頂く

 僕はセイクリッド・グレディを召喚!」

 

セイクリッド・グレディ「ハッ!」

           ATK1600

 

「セイクリッド・グレディの召喚に成功したことにより、手札のレベル4のセイクリッドモンスターを特殊召喚出来る

 来い、セイクリッド・カウスト!」

 

セイクリッド・カウスト「フン!」

           ATK1800

 

 山羊の鋳たくのある魔術師に呼び出される半人半馬の弓兵、2体の白銀の星騎士はその力を高めるため、自らに新たな星を灯す

 

「セイクリッド・カウストの効果発動

 1ターンに2度まで、セイクリッドモンスターのレベルを1つ変動させる

 僕はカウストとグレディのレベルをそれぞれ1つ上げる。」

 

 セイクリッド・カウスト LV4→5

 セイクリッド・グレディ LV4→5

 

「僕はレベル5となったセイクリッド・カウストとグレディでオーバーレイ!」

 

 星騎士たちがその身に宿した新たな星と共に、また宇宙の混沌へと帰っていき

 その混沌から銀河の名を持つ新たな騎士が誕生する

 

「星々の光よ!今、大地を震わせ、降臨せよ!

 エクシーズ召喚!ランク5、セイクリッド・プレアデス!」

 

セイクリッド・プレアデス「ハハアァァァ!!」

            ATK2500 ORU2

 

「僕はこれでターンエンドだ。」

 

 素晴らしいわ、北斗!

 1ターン目からランク5の上位ランクのエクシーズモンスターを召喚するなんて

 さすが、我がLDSの誇るエクシーズコースのエースね

 

「伏せなしでエクシーズモンスター1体を出しただけか・・・このターンで終わっちゃうかもね?」

 

 えっ?

 

「そうねぇ

 手札補充もせずだったから、手札後3枚だし、防いでも次のターン持たないかもね。」

 

「うむ、それに事前にエクシーズを使うと公言してしまった以上、遊矢の奴はどんな対策をしてくるか判らんしな」

 

 何を言っているのこの子達は?

 

「ちょっと、あなた達!それはどういう事かしら?」

 

「そうだぜ

 あのセイクリッド・プレアデスは1ターンに1度、オーバーレイユニットを使ってフィールド上のカードを1枚、手札に戻す効果を持っているんだ。

 しかも、相手ターンでも使える奴をな」

 

「そうよ!

 いくら北斗がキザで小物っぽいからって、すぐに負けるとは思えないわ!」

 

 真澄と刃が北斗の擁護に入る

 そうよ、我がLDSきってのエリートがそんな簡単に敗北するなどあり得ないわ!

 

「だって、僕なんか僕のターンなのに強制攻撃で迎撃されて、ライフ4000を消し飛ばされたし」

 

「それって素良がアクションカード取って無かったら、もっとダメージ有ったわよ

 私なんてこの前、融合、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラム全部使われてのバーンでの1キルよ。」

 

「俺なんぞ、元が攻撃力0のトークンにやられたぞ・・・」

 

「な、何だそれ!?」

 

「あなたたち、普段何やっているのよ・・・・」

 

 何、その無茶苦茶な内容は!?

 一体彼はどんなデュエリストだというの!?

 

「俺のターン、ドロー

 プレアデスか、セイクリッドの常套手段だな」

 

「へぇ~僕のセイクリッドモンスターの事を知っているようだね。

 だったら、この僕に早くも怖気づいたのかい?

 噂に聞く狂った道化師(マッドピエロ)も、所詮僕の敵じゃなかったってことか、ははははっ!」

 

「いや、ただバックもないから、簡単に処理できそうだな~って思っただけだけど?」

 

「はっ?」

 

「俺は永続魔法、炎舞―天璣を発動

 こいつは1ターンに1度までしか発動できないけど、発動時にデッキからレベル4以下の獣戦士族モンスターを1体手札に加えることが出来る。

 俺が手札に加えるのはEM(エンタメイト)ヘイタイガー

 

 さらにスケール6のEM(エンタメイト)リザードローをペンデュラムスケールにセッティングして魔法カード、デュエリスト・アドベント発動

 1ターンに1度、自分または相手フィールド上のペンデュラムゾーンにカードがあるときデッキからペンデュラムマジックまたはトラップか、ペンデュラムと名の付くペンデュラムモンスターを手札に加える。

 俺はデッキから通常魔法、ペンデュラム・アライズを手札に加える。

 

 そして、EM(エンタメイト)ドクロバット・ジョーカーを召喚」

 

ドクロバット・ジョーカー「はははっ!」

            ATK1800

 

「このモンスターの召喚に成功した時、デッキからドクロバット・ジョーカー―以外のEM(エンタメイト)モンスターか、オッドアイズモンスター、魔術師ペンデュラムモンスターの内、1体を手札に加える。

 俺はEM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャンを手札に加え、ペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

 遊矢の両隣に現れる光の柱、そこに居るのは振子の魔術師と赤いトカゲの紳士

 その下には2と6に見える奇怪な模様が浮かび上がる

 

「スケールは2と6、これで俺はレベル3から5のモンスターをペンデュラム召喚できるようになった

 揺れろペンデュラム、異世界へ通ずる扉を開け!ペンデュラム召喚!

 現れろ!EM(エンタメイト)ヘイタイガー!セカンドンキー!」

 

 夜空から2つの流星のごとき光が落ちてくる

 その中から現れるのは、赤い軍服を着た虎の兵隊と茶色いロバ

 そして、振子は遊矢のモンスター達に加護を与える

 

「ペンデュラム・マジシャンのペンデュラム効果発動

 俺がペンデュラム召喚を行ったことにより、俺のフィールドのEM(エンタメイト)モンスターの攻撃力がエンドフェイズまで1000ポイントアップする。

 ついでに、獣戦士族であるヘイタイガーは炎舞―天璣の効果で攻撃力がさらに100上がる」

 

 ヘイタイガー       ATK1700→1800→2800

 ドクロバット・ジョーカー ATK1800→2800

 セカンドンキー      ATK1000→2000

 

「なっ!?攻撃力2800が2体だとー!?」

 

「それと、特殊召喚されたセカンドンキーの効果によって、デッキからEM(エンタメイト)モンスターを墓地に送る。

 だが、俺のペンデュラムゾーンにペンデュラムスケールが2枚セットされることにより、このカード、EM(エンタメイト)バリアバルーンバクを手札に加えることが出来る。

 

 さぁ、バトルだ。

 どうせ、バウンス効果を使うんだろ?

 手札に戻すなら、モンスターを戦闘破壊した時、デッキからEM(エンタメイト)モンスターを手札に加える効果を持つヘイタイガーがお勧めだぞ?」

 

「くっ!?僕はプレアデスの効果でEM(エンタメイト)ヘイタイガーを手札に戻す!」

 

セイクリッド・プレアデス「フンッ!」

            ORU2→1

 

 プレアデスの剣にオーバーレイユニットが宿り、それを振るうと無数の流星の様な光がヘイタイガーを包み、その身をカードへと戻し遊矢の手札に戻してしまった

 

「だが、まだドクロバット・ジョーカーが居る。

 ドクロバット・ジョーカーでセイクリッド・プレアデスに攻撃」

 

 ドクロバット・ジョーカーは帽子の中から導火線に火の付いた爆弾を取り出し、それをセイクリッド・プレアデスへと投げつける

 セイクリッド・プレアデスは迎撃態勢を取り、爆弾の衝撃に耐えようとするが、プレアデスに当たる前に爆弾は突然無数に分裂し、それが連鎖爆発していきプレアデスを跡形もなく消し飛ばした

 

「ぐぅ!?」

 LP4000→3700

 

「おっと、俺のモンスターはもう1体居るぞ

 セカンドンキーでダイレクトアタックだ。」

 

 セカンドンキーの猛突進が北斗を轢き飛ばす

 

「ぐわああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 LP3700→1700

 

「バトルフェイズ終了、メインフェイズ2だ

 魔法カード、ペンデュラム・アライズ発動

 自分フィールド上のモンスターを1体墓地に送り発動、デッキからそのモンスターと同レベルのペンデュラムモンスターを特殊召喚する。

 俺はセカンドンキーを墓地へ送り、2体目のペンデュラム・マジシャンを特殊召喚」

 

ペンデュラム・マジシャン「ふん」

            ATK1500

 

「ペンデュラム・マジシャンの特殊召喚により効果発動

 自分フィールド上のカードを2枚まで破壊し、デッキから破壊した数までペンデュラム・マジシャン以外の同名以外のEM(エンタメイト)モンスターを手札に加える

 俺はペンデュラムゾーンとモンスターゾーンのペンデュラム・マジシャン2枚を破壊し、デッキからEM(エンタメイト)ロングフォーンブルとホタルクスを手札に加える。」

 

 断頭台のごとく揺れる振子がペンデュラム・マジシャンを破壊する

 だが、マジシャンたちに悲壮などない、自らの命は新たな仲間の呼び水となり、その魂は消えることがないのだから

 

「スケール5のEM(エンタメイト)ホタルクスをペンデュラムスケールにセッティング

 ここでリザードローのペンデュラム効果を発動、もう片方のペンデュラムゾーンにEM(エンタメイト)カードがあるとき、このカードを破壊しデッキから1枚ドロー

 カードを1枚伏せ、ターンエンドだ。

 ターン終了と共にドクロバット・ジョーカーの攻撃力は元に戻る。」

 

 ドクロバット・ジョーカー ATK2800→1800

 

 遊矢のターンが終わり、そのタクティクスを目撃した日美香は開いた口が塞がらなかった

 

「これがペンデュラム召喚・・・」

 

 なんという・・・まるで北斗が歯が立っていないわ

 いえ、これはペンデュラム召喚が使えるからと言うよりも・・・

 

「お、おい、何なんだよあいつ

 あれだけ動いていやがるのに手札がまだ4枚もありやがる・・・」

 

「下級モンスターだけで、上位ランクのエクシーズモンスターを倒した!?

 なんて、むちゃくちゃな・・・」

 

「なんだか遊矢のモンスター、サーチ効果やドロー効果ばっかりね?」

 

「元々、遊矢はサーチカードは多用していたけど、フィールドのアドバンテージを少なくしてまでサーチしたってことは何かドローしたいカードがあって、デッキ圧縮してるってことかな?」

 

「いや、ただ、エクストラデッキにモンスターを溜めているだけではないのか?

 セイクリッド・プレアデスの手札に戻す効果は1ターンに1度だから、対処できなくなるほど大量にモンスターを呼ぶためかもしれん」

 

 真澄と刃が恐れおののく中、遊勝塾の子達は冷静に戦術分析をしている

 ありえないわ・・・

 LDSの、それもジュニアユースクラスとはいえ、エクシーズコースのトップの成績の北斗をこんなにあっさりと追い込むなんて

 こんなの業界ナンバーワンのLDSの看板に傷が付いてしまうわ

 なんとかしなさい!北斗!!

 

「馬鹿な・・・ありえない・・・この僕が・・・」

 

「おいおい、戦意喪失なんてしないでくれよ・・・子供たちも見てるんだからさ~」

 

「くっ!僕のターン、ドロー

 僕は永続魔法、セイクリッドの星痕を発動!」

 

 北斗は夜空から流星が一つ落ちてくるのを見るや否や、走り出す

 

「このカードは僕がセイクリッドモンスターをエクシーズ召喚した時、1ターンに1度ドローできるようになるカードだ!

 さらに相手フィールド上にのみモンスターが居るとき、手札のセイクリッド・シェアトは特殊召喚出来る!」

 

セイクリッド・シェアト「シェア!」

           DEF1600

 

「さらにセイクリッド・ソンブレスを通常召喚!」

 

 水瓶の様な物を持った小さな騎士と星の力を受け継いだ乙女が現れる

 それと同時に北斗は流星の落下地点であろう場所に着き、目的のものを探し出す

 

「どこだ!どこだ何処だ!?

 あの流星は確かにこの辺に落ちたはず・・・」

 

「お探し物はこれかい?」

 

 北斗の背後から声が聞こえる、誰かは見なくても判るだろう

 このフィールド内でいるのは北斗を除けばただ一人、榊遊矢だけなのだから

 遊矢は北斗の背後の神殿の屋根の上に腰掛け、アクションカードを見せつけていた

 

「ど、どうしてだ!?なぜ、お前がそんなところに居る!?」

 

 遊矢がさっきまでいた場所に目を向けると、そこにはドクロバット・ジョーカーがいそいそとトランポリンを片付けている姿があった

 それを見た、北斗は遊矢が何をしたのかを確信する

 

「まさか・・・ジャンプして、流星を空中で掴んだのか!?」

 

「そういうこと、ほら、さっさっとプレイしろよ

 時間制限で負けてしまうぞ?」

 

「クソッ!僕はセイクリッド・ソンブレスの効果発動

 墓地のセイクリッドモンスターを1体除外することで、セイクリッドモンスター1体を墓地から手札に呼び戻す!

 僕はグレディを除外してカウストを手札に戻し、さらにこの効果を使ったことにより、ソンブレスの効果でセイクリッドモンスターを召喚する

 来い、セイクリッド・ポルクス!」

 

セイクリッド・ポルクス「フンッ!」

           ATK1700

 

「さらにセイクリッド・ポルクスが召喚に成功したターン、通常召喚とは別にセイクリッドモンスターを召喚できる

 僕はセイクリッド・カウストを召喚!」

 

セイクリッド・カウスト「ハッ!」

           ATK1800

 

 星の乙女に導かれ、双子座の剣士、射手座の弓兵が次々に現れ、弓兵は自身と星の乙女に前のターン同様、新たな星を宿らせる

 

「カウストの効果で、カウストとソンブレスのレベルを1つ上げる!

 さらにシェアトは自分の墓地かフィールドのセイクリッドモンスターと同じレベルになることが出来る

 僕はシェアトをポルクスと同じレベルに変換!」

 

 セイクリッド・カウスト  LV4→5

 セイクリッド・ソンブレス LV4→5

 セイクリッド・シェアト  LV1→4

 

「レベル4とレベル5のモンスターが2体ずつ」

 

「そうだ!僕を本気にさせた事、後悔させてやるからなー!!

 僕はレベル4のポルクスとシェアト、そしてレベル5のカウストとソンブレスでオーバーレイ!

 エクシーズ召喚!現れろ!!ランク4、セイクリッド・オメガ!

 ランク5、セイクリッド・プレアデス!!

 

セイクリッド・プレアデス「フンッ!」

            ATK2500 ORU2

 

セイクリッド・オメガ「デュア!」

          ATK2400 ORU2

 

 再び降臨した星雲の名を持つ騎士とその隣に並ぶ半人半馬の守護騎士

 そして、彼らが呼び出されたことで北斗の手に1つの光が灯される

 

「セイクリッドの星痕の効果で1枚ドロー

 そして、セイクリッド・オメガの効果発動

 オーバーレイユニットを使い1ターンに1度、僕のセイクリッドモンスターはこのターンマジック、トラップの効果を受けなくなる!」

 

 セイクリッド・オメガ ORU2→1

 

「これで伏せカードがあっても問題ない!それにそのペンデュラム効果と言うのもマジックカードの効果扱いらしいな!

 これで、僕のモンスターを止められるカードはなくなった!!

 プレアデスの効果でドクロバット・ジョーカーを手札に戻す!」

 

 セイクリッド・プレアデス ORU2→1

 

「おや、いいのか?

 次のターンでまたサーチ効果が使えるぞ?」

 

「次のターンなんてない!!

 お前のフィールドはがら空きも同然!このターンでお仕舞だ!!

 バトル!セイクリット・オメガでダイレクットアタック!」

 

 星雲の半馬騎士はその手に紋章を出現させそれを遊矢に放とうとするが、光の柱に捕らわれていた電球の様な腹を持つホタルが立ちはだかる

 

 EM ホタルクス DEF1600

 

「なっ!?馬鹿な、ペンデュラムゾーンに居るモンスターは魔法カード扱いのはず!?」

 

「永続トラップ、ペンデュラム・スイッチの効果

 1ターンに1度、自分のペンデュラムゾーンのカード1枚を対象にし、それを特殊召喚する。」

 

「くううぅぅぅ!!だったら、オメガでホタルクスを破壊だ!!」

 

「手札のEM(エンタメイト)バリアバルーンバクの効果

 ダメージ計算時にこいつを手札から捨てることで、モンスター同士の戦闘ダメージを互いに0にする。」

 

「はーははははっ!!血迷ったか!!

 守備表示のモンスターでダメージが発生するわけがないじゃないか!

 ダメージはこれから発生するんだ!行け、プレアデス!!ダイレクトアタックだ!」

 

「いや、これでバリアバルーンバクの2つ目の効果が使える。

 相手のダイレクトアタック宣言時、手札のEMモンスター、ヘイタイガーを捨てて墓地のバリアバルーンバクを守備表示で特殊召喚する。」

 

 バリアバルーンバク DEF2000

 

 セイクリッド・プレアデスの剣が遊矢に迫るが、その前に現れた紫の獏の形をした風船に邪魔をされ、その切っ先は届くことは叶わなかった

 

「こ、これも防ぐのか・・・

 ならば、僕はセイクリッドエクシーズモンスター1体を素材にさらなるエクシーズ召喚を行う!

 セイクリッド・オメガを1体を素材にオーバーレイ!

 眩き光もて降り注げ!エクシーズ召喚!

 現れろ!ランク6、セイクリッド・トレミスM7(メシエセブン)!」

 

 星雲の騎士が再び混沌の渦へ戻ると、その中から夜空の翼を広げ巨大な竜の様なモンスターが降臨する

 

セイクリッド・トレミスM7(メシエセブン)「ゴオオオォォォォ!!」

           ATK2700 ORU2

 

「これでターンエンドだ!」

 

「じゃあ、俺のターンだ、ドロー

 俺はスケール3のEM(エンタメイト)シールイールをペンデュラムスケールにセッティング

 そして、ペンデュラム効果発動

 1ターンに1度、相手フィールド上の表側表示モンスター1体の効果をこのターン無効にする

 対象はもちろん、プレアデス」

 

 次に光の柱の中に浮かぶのは口に×字のシールを張り付けたオレンジ色のうなぎ

 それが、その口からバッテンシールを飛ばそうとする

 

「な、何!?」

 

「オメガを残しておけばシールイールの効果を防げたのにな

 さぁ、どうする?このタイミングならまだ効果は扱えるぞ?」

 

「うぅぅ・・・プレアデスの効果でペンデュラム・スイッチを手札に戻す・・・」

 

 セイクリッド・プレアデス ORU1→0

 

 プレアデスにシールがはりつけられる直前、オーバーレイユニットを取り込んだプレアデスはペンデュラム・スイッチのカードを遊矢の手札に戻す

 だが、それはもう最後のあがきでしかない

 

「ドクロバット・ジョーカーを召喚し効果発動

 2枚目のホタルクスを手札に加え、ペンデュラムスケールにセッティング

 これでスケールは3と5になった

 俺は手札からEM(エンタメイト)ロングフォーンブル、エクストラデッキからEM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャン2体とホタルクスをペンデュラム召喚!」

 

 黒い奇術師の隣に降り注ぐ4つの光

 角が電話になった蒼い水牛、腹が電球となったホタル、2人の振子の魔術師がそれぞれの光の中から現れる

 

 ドクロバット・ジョーカー ATK1800

 ペンデュラム・マジシャン ATK1500

 ペンデュラム・マジシャン ATK1500

 ロングフォーンブル    ATK1700

 ホタルクス        DEF1600

 

「4体同時召喚だと!?

 だがさっきと違い、攻撃力が僕のどのモンスターよりも遙かに下のモンスターばかりじゃないか!」

 

「おいおい、エクシーズ使いのくせに攻撃力でモンスターを判断するなよ。

 それに、俺がストロング石島の時に使ったモンスターを忘れているようだな?

 俺は、レベル4のホタルクスとドクロバット・ジョーカー、そしてペンデュラム・マジシャン2体でオーバーレイ!

 モンスター2体ずつでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 来い、交響魔人マエストローク!恐牙狼ダイヤウルフ!」

 

 遊矢の作り出した混沌の渦の中から現れるのは星の騎士たちと違い、統一感の無いモンスター達

 1つは小さな魔の国の指揮者、そしてもう一つは全身を金剛石の様な装甲で覆われた巨大な狼

 

マエストローク「ふんっ!」

       ATK1800 ORU2

 

ダイヤウルフ「ウオオオォォォォォォン!!」

      ATK2000 ORU2

 

「な、なにー!?」

 

「2体のエクシーズモンスターの効果発動

 オーバーレイユニットを1つ使い、マエストロークでプレアデスを裏側守備表示に変更

 そして、ダイヤウルフで俺のフィールドの獣族、鳥獣族、獣戦士族モンスターのうち1体と相手カード1枚を破壊する

 ロングフォーンブルとトレミスを破壊する。」

 

マエストローク「はっ!」

       ORU2→1

 

ダイヤウルフ「グオオオオアアアァァァァァァ!!」

      ORU2→1

 

 マエストロークが音符を操り、ダイアウルフが咆哮する

 魔力の宿った咆哮はセイクリッド・プレアデスをカードに封印し、セイクリッドトレミスM7(メシエセブン)の機能を麻痺させる

 そしてそこにロングフォーンブルはタックルを仕掛け、その身と引き換えにトミレスを瓦礫の山に変える

 

(裏守備じゃ、手札のオネストの効果も使えないじゃないか・・・)

「そ、そんな・・・エクシーズ召喚を極めて、40連勝で、1度もダメージの受けたことのない僕が・・・」

 

「40戦もしてダメージを受けてない?

 随分と格下ばっかりと戦って来たんだな

 それでいい気になっていたのか?」

 

 遊矢の高揚が冷める

 それは最後に足掻き何かやるのかと思っていたのに、北斗は頭を垂れ、ただ「あり得ない」と喚き散らすだけで、諦めてしまっているからだ

 

 だが、そんな北斗にも運だけは味方してくれたのか

 彼に向って流星が一つ降り注ぎ、それを見た彼はすぐさまそれを掴んだ

 

「はははっ!!どうやら、幸運の星はボクにめぐっているようだ!

 まだ、僕は負けていないぞー!!ははははっ!」

 

 だが、その手にした赤い流星は青い流星に打ち抜かれ、粉々になってしまった

 

「は?」

 

「アクションマジック、コスモ・アロー

 相手がドロー以外で手札にカードを加えたとき、その加えたカードを確認し、魔法カードなら破壊する

 よって、お前が手札に加えたアクションマジック、ティンクル・コメットは破壊させてもらった。」

 

「なんですとー!?」

 

「やれやれ、次はメタられても動揺しない精神を身に着けてもらってからデュエルしたいね

 バトル!マエストロークでセット状態のプレアデスに攻撃!」

 

 セイクリッド・プレアデス DEF1100

 

 カードの封印から解き放たれたプレアデスだったが、時すでに遅くその胸には深々と魔人の指揮者の剣が突き刺さり破壊された

 そして、ゆくっりと歩を進め、北斗の前に立ったダイヤウルフを彼は見上げる

 

「あ・・・あぁ・・・」

 

「はぁ~恐牙狼ダイヤウルフでダイレクトアタック」

 

 主人の飽きれ交じりの攻撃宣言に、ダイヤウルフもその牙で噛み付くことも、爪で引き裂くこともせず

 北斗を見下ろした後、邪魔な小石を払うかの如く、前足で突き飛ばした

 

「うわあああぁぁぁぁ!!」

 LP1700→0

 

「まったく、こんなんじゃ、満足できないぜ・・・」

 




せっかく、カイザーコロシアムとか入れていたのにな~

やっぱり、対策していたのか・・・

さぁ、次は私、融合コース所属の光津真澄が相手よ!

へぇ~融合か、だったら柚子、君が出たらどうだい?

えぇ!?私!?

うん、LDSの融合なんて軽くのしちゃってよ
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『幻の合奏』

いいわ、私の新しい力見せてあげる!


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幻の合奏

アニメカードを使うことになったから、デッキに合いそうなカードをと思い、とりあえず悪魔族で検索したらLV5・6の地属性と水属性の悪魔が「漆黒の魔王」と「フィッツジェラルド」しかいねぇ・・・

ジェムナイト純正VS融合幻奏(覚えたて)です

完全純正でエクシーズもなしのジェムナイトって動かすのが難しい
そして柚子のデッキにはまだ、歌姫は入っていません


 なんだというの!?

 榊遊矢はペンデュラムだけではなく、エクシーズもあれ程高度に使いこなすなんて!?

 

「まったく、なんなんだよ?40戦のノーダメって

 エクシーズコースなら帝野が居たはずだろ?あいつとはデュエルしたのか?」

 

「うっ!帝野!?」

 

「その調子じゃ避けていたみたいだな。

 格上と戦ってデッキを鍛えてこそのデュエリストだぞ

 カードに使われっぱなしじゃ、デュエリスト失格だ」

 

「うぅ・・・」

 

 榊遊矢が北斗と共に戻ってきた

 

「さっきのデュエルは何ですか!北斗!!」

 

「あ・・・理事長先生・・・」

 

「あまりにも無様な負け方、しかも相手からは説教を受ける始末

 LDSエクシーズコースの名が汚れてしまったわ!」

 

「はい・・・すいません・・・」

 

 北斗は膝を付き首を垂れる、しかし負けてしまったモノは仕方ない

 でも、次はなんとしても勝たなくてはLDSの沽券に係わるわ!

 

「次は貴方の番よ、真澄!何としても勝ちなさい!」

 

「はい、理事長先生」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 まずは一勝、とはいってもこれはただの交流試合だから、塾の存亡とかかかっていないので気楽なもんだ

 

「お疲れ様、遊矢」

 

「おつかれーでも、あんな相手じゃ物足りなかったんじゃない?」

 

「あぁ、エクシーズの使い手って聞いたからカイザーコロシアムとか入れてたんだけどな~」

 

「うわ~それってあれでしょ、互いに相手フィールド上のモンスターの数までしかモンスターを出せなくなる奴」

 

「なるほど、それでフィールドのモンスターを少なくしていたのか」

 

「引けなかったから、ゴリ押しちゃったけどな」

 

「でも、次はそうはいかないわよ!」

 

 談笑している俺たちに気の強そうな少女の声が掛けられる

 振り向くとそこには、褐色黒髪で赤い目をした少女が立っていた

 

「私は融合コース所属の光津 真澄

 さぁ、私の相手は誰がしてくれるのかしら?」

 

 デュエルディスクを構え、臨戦態勢と言った風な光津真澄

 別に俺は連戦でも構わないんだが・・・

 

「融合ねぇ~素良、同じ融合使いとしてやってみるか?」

 

「LDSの融合なんかと一緒にしないでよ

 さっきの遊矢みたいになったら可哀そうだから、ここは僕の弟子一号に任せようかなぁ~?」

 

「えぇー!私!?」

 

 弟子一号と呼んで素良が振り向いた先に居たのは予想通り柚子

 たしか原作では、メンタルボロボロの状態で戦って、柚子はぼろ負けしていたけど

 すでに融合を習っている柚子と光津真澄の初戦か、あまり結果が予想できないな

 まぁ、素良が推薦しているんだ

 メインデッキに融合モンスターを投入するとか、大ポカはしないだろう

 

「あら、あなた良い目の輝きをしているわね

 相手にとって不足はないわ」

 

「ほら、相手もノリノリだよ?」

 

「わ、わかったわよ!良いわやってやろうじゃない!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ねぇ、さっき輝きがどうのって言っていたけど、なんなの?」

 

「私のパパは宝石商なの

 私も子供の頃から、たくさんの宝石を見て来たわ

 本物の輝きを持つ、本物の宝石をね」

 

「へぇ~」

 

「だから私にはわかるの、人の持つ輝きもね。

 あなたの輝きはまだ、小さいけど、磨けばもっと輝くでしょうね」

 

「そ、そういわれると照れちゃうな~

 じゃあ、貴女から見て、遊矢はどうなの?」

 

「あら?彼女の割に彼の事が分らないの?」

 

「そんなんじゃないわよ、ただの幼馴染ってだけ

 私が一方的に憧れているけど、遊矢が何考えてるのかなんて昔から分からないわ。」

 

「そう、でも彼は私にもよく分らないわ。

 彼の輝きは虹の様に何色にも輝いているけど、まるでブラックダイヤの様に全てを飲み込むような恐ろしさがあるわ

 まるで呪いの宝石ね、あなたは危険な人が好みなのかしら?」

 

「だからそんなんじゃないって!もういいわ、始めましょ!」

 

「ふふ、照れなくてもいいじゃない」

 

『よーし!じゃあ、始めるぞー!

 アクションフィールド、オン!

 フィールド魔法、クリスタルコリドー発動!』

 

 アクションフィールドが展開され、殺風景になったデュエル場が色とりどりのクリスタルで出来た荘厳な宮殿の中と言った風に変化する

 にしても、あの2人、今日が初対面だよな?

 随分と仲良さそうだ、デュエル前なので音声が入っていなかったが何を話してたんだ?

 

『『決闘(デュエル)!!』』

 

「先攻は私ね。

 私は魔法カード、ジェムナイト・フュージョンを発動

 手札のジェムナイト・ルマリンとジェムナイトモンスター、エメラルを融合

 雷帯し秘石よ!幸運を呼ぶ緑の輝きよ!

 光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!

 現れよ!勝利の探究者、ジェムナイト・パーズ!」

 

 碧と黄色の宝石の騎士が光の中で一つとなり、琥珀の宝石の騎士が生まれ出て雷型のトンファーの様な剣を構える

 

ジェムナイト・パーズ「ハー!」

          ATK1800

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドよ」

 

 パーズを融合して伏せ1枚、おまけに素材にエメラルを切るか

 となると、手札にモンスターが他に居ない?

 ジェムナイト・フュージョンの回収効果も使っていないし、手札事故一歩手前だな

 

「素良、あの子の1ターン目どう思う?」

 

「手札事故・・・かな?」

 

 あっ、やっぱり

 

「融合使いなのに融合してハイお終いじゃ、次のターン厳しくなるだけだよ

 呼び出したモンスターも下級モンスターのラインだし、やっぱりLDSの融合は大したことないね」

 

「いや、あのジェムナイトの爆発力は凄まじいぞ

 通常モンスターを利用したギミックでソリティア出来るし

 あのパーズだって、2回攻撃と破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える効果を持ってるからな

 場合にもよるが1キルも可能だろう」

 

「へぇ~でも、それって柚子との相性悪くない?」

 

「そうだな。

 柚子のモンスターは破壊に対しての耐性が強い。

 戦闘破壊を介するあのモンスターでは、あの娘は厳しい戦いを強いられるだろう。」

 

(こいつら、真澄のデッキを即座に見ぬきやがった!?)

 

(こ、こわ~)

 

(膨大なカードの情報、一体、榊遊矢はどこでこれほどの知識を手に入れたというの!?)

 

 真澄のターンが終わって、柚子のターンだ

 ん?なんかごそごそしている所を見ると早速、アクションカードを見つけたみたいだ

 

「やったー、早速アクションカードゲット!

 さぁ、私のターンね、ドロー

 私はまず、カードを1枚セットして魔法カード、手札抹殺を発動

 互いのプレイヤーは手札を全て捨て、デッキから捨てた枚数と同じ枚数をドロー

 私の手札はアクションカード含めて5枚だから5枚捨てて5枚ドロー!」

 

「私は1枚捨てて1枚ドローよ」

(くっ!異次元からの埋葬が・・・でも、この手札なら次のターンで決められるわ)

 

「墓地に送られたイーバの効果発動

 このカード以外の墓地かフィールドの光属性、天使族モンスターを2枚まで除外して、デッキからイーバ以外の同名じゃないレベル2以下の光属性、天使族モンスターを除外した枚数分手札に加えるわ。

 私は墓地のアテナと幻奏の音女エレジーを除外して、デッキからレベル2の幻奏の音女スコアとレベル1のハネワタを手札に加える。

 

 さらに魔法カード、幻奏の第1楽章を発動

 自分のフィールド上にモンスターが居ない時、デッキ、手札からレベル4以下の幻奏モンスターを特殊召喚するわ。

 来て、幻奏の音女アリア!」

 

アリア「アー!」

   DEF1200

 

 柚子のメインモンスターの片割れ、赤い幻奏モンスターアリア

 相方のエレジーは現在除外中だが、どんなデッキにしたんだろうな?

 

「さらに速攻魔法、光神化を発動

 手札の天使族モンスターを攻撃力を半分にして特殊召喚する。

 現れて!至高の天才!幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト!」

 

モーツァルト「フフフ、ハッ!」

      DEF2000

      ATK2600→1300

 

「どうしたの?

 折角の最上級モンスターも攻撃力を半分にしては意味がないわよ!」

 

「攻撃力だけがモンスターの強さじゃないわ!

 プロディジー・モーツァルトの効果発動

 1ターンに1度、このターン私は光属性以外特殊召喚出来なくなる代わりに、手札から天使族、光属性モンスターを特殊召喚する

 出番よ!幻奏の音女タムタム!」

 

タムタム「キャハッ!タムタム」

    DEF2000

 

 赤い銅鑼とともに現れるドレスのような甲冑のような不思議な衣装を身に纏った少女、あのモンスターは

 

「タムタムの効果発動

 このモンスターが特殊召喚した時、私のフィールドに他の幻想モンスターが居る場合、デッキか墓地の融合1枚を手札に加えるわ!」

 

「融合!?貴方も融合召喚を使うの!?」

 

「最近習ったばっかりだけどね。

 私はフィールドの2体の幻奏モンスター、幻奏の音女タムタムと幻奏の音姫プロディジー・モーツァルトを融合!

 魂の響きよ、至高の天才と共にタクトの導きにより力重ねよ!融合召喚!」

 

 柚子は素良と同じように胸の前で手を合わせ握りしめるポーズをとる

 光の渦の中から現れるのはチューリップの様な花を思わせるスカートの赤と黒とオレンジで彩られたドレスを着た女性

 仮面をつけ炎のようにうねる髪をたなびかせる、その姿は舞踏会に来た貴婦人の様だ

 

「今こそ舞台へ!幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト!」」

 

シューベルト「ホホホッ!フン、ハッ!」

      ATK2400

 

「ここで、融合素材となって墓地に送られたタムタムの効果発動

 自分フィールドの幻奏モンスターの攻撃力を500下げて相手に500ポイントのダメージを与える!

 私はアリアの攻撃力を下げて、貴女に500ポイントのダメージよ!」

 

アリア「ハッ!!」

   DEF1200

   ATK1600→1100

 

 アリアが勢いよく叫ぶと、それが衝撃となって光津真澄に襲い掛かる

 

「くっううぅぅ!」

 LP4000→3500

 

「バトルよ!マイスタリン・シューベルトでジェムナイト・パーズに攻撃!

 ウェーブ・オブ・ザ・グレイト!」

 

 マイスタリン・シューベルトの持つタクトからビームが放たれる

 ジェムナイト・パーズはそれに耐えきれず爆散し、その余波が真澄に襲い掛かる

 

「きゃああぁぁ!うっ、今のはちょっと効いたわよ・・・」

 LP3500→2900

 

「よし!ターンエンドよ!」

 

「良い気になるのもいい加減にしなさい!

 私のターン、ドロー

 私はジェムナイト・アレキサンドを召喚」

 

ジェムナイト・アレキサンド「フンッ!」

             ATK1800

 

「ジェムナイト・アレキサンドの効果発動

 このカードをリリースして、デッキからジェムナイト通常モンスターを特殊召喚するわ

 私はデッキからジェムナイト・クリスタを特殊召喚」

 

 白い鎧に様々な色の宝石をあしらえた騎士がその鎧を輝かせると、白銀の鎧に水晶を付けた騎士が代わりに現れる

 

ジェムナイト・クリスタ「ハッ!」

           ATK2450

 

「これで揃ったわ

 私はリバーストラップ発動!廃石融合(ダブレット・フュージョン)

 自分の墓地のモンスターを除外して、それを素材にジェムナイト融合モンスターを融合召喚する!」

 

「墓地融合!?そうはさせないわ!

 廃石融合(ダブレット・フュージョン)にチェーンして、マイスタリン・シューベルトの効果発動

 互いの墓地からカードを3枚まで除外して、1枚に付き200ポイント、このカードの攻撃力をアップする!

 私は貴女の墓地から、ジェムナイト・パーズ、アレキサンド、エメラルを除外!

 コーラス・ブレイク!!」

 

 シューベルトのタクトの導きで真澄の墓地から3枚のカードが現れ、それはシューベルトの持つタクトで粉みじんに切り刻まれる

 

 シューベルト ATK2400→3000

 

「な、何ですって!?」

 

「これで、貴女の墓地のジェムナイトは1体、廃石融合(ダブレット・フュージョン)は不発になるわ。」

 

「くっ!」

 

 できれば、ジェムナイト・フュージョンも潰しておきたかったところだが

 まぁ、融合を妨害できたし、そこまで求める必要もないか

 

「前のターンでも使えたくせに、わざわざこのタイミングで使うのかよ!

 おい!お前らの塾の連中はこんなのばっかりなのかよ!?」

 

「否定はしない。」

 

「まぁ、最初に自分のデッキの弱点から教えて行くからねぇ~」

 

「ぼ、僕の時もそうだったのかい!?」

 

「いや、あれはそうしようとしたけど、目的のカードが引けずに力押しになっただけ」

 

 北斗が真っ白になって固まっている

 弱点を突かれたからと言い訳するつもりだったのか?

 メタられた程度で、言い訳になんて出来ないと思うけど

 

「さぁ、これで貴女の手札は後1枚、どう出てくるのかしら?」

 

「くっ!私は負けてられないのよ!

 マジックカード、馬の骨の対価!

 その効果で効果を持たないモンスターであるジェムナイト・クリスタをフィールド上から墓地に送り、デッキから2枚ドローするわ。

 よし、私は永続魔法、ブリリアント・フュージョンを発動

 デッキのモンスターを素材にジェムナイトモンスターを融合召喚するわ!」

 

「デッキ融合!?」

 

「私はデッキからジェムナイト・ラズリー2体とジェムナイト・ラピスの3体のジェムナイトを融合!

 繁栄の碧き秘石達よ!光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!

 現れろ!輝きの淑女!ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ!!」

 

 3人の少女の姿の岩の精が光り輝く金剛石に吸い込まれる

 そして、生まれたのはこれまでのジェムナイトとは違い、身軽そうな軽鎧に短い赤いマントをたなびかせた女性騎士

 本来の攻撃力はジェムナイト中最大の3500を誇るがブリリアント・フュージョンで呼び出されたために、今は攻守ともに0だ

 

ブリリアント・ダイヤ「ハアッ!」

          DEF2000→0

          ATK3500→0

 

「そして、墓地に送られた2体のジェムナイト・ラズリーの効果が発動するわ!

 私の墓地の通常モンスターを1体ずつ手札に戻す

 よって、私は墓地からジェムナイト・ルマリンとラピスを手札へ

 

 さらに墓地のジェムナイト・フュージョンの効果発動、墓地のジェムナイトを2体除外してこのカードを手札に戻すわ。

 私はラズリーを除外して、ジェムナイト・フュージョンを手札にそして発動よ!

 碧き秘石よ!雷帯し秘石よ!今光となりて現れよ!融合召喚!

 レベル5!ジェムナイトレディ・ラピスラズリ!!」

 

ラピスラズリ「ハッ!」

      DEF1000

 

 金剛の女騎士の隣に立ち並ぶ青い少女の姿をしたモンスター

 騎士の名を持っているが、その姿はどちらかというと巫女の様だ

 

「ラピスラズリの効果発動

 1ターンに1度、デッキ、エクストラデッキのジェムナイトモンスターを墓地に送ってフィールド上の特殊召喚されたモンスターの数×500ポイントのダメージを与える。

 フィールドの特殊召喚されたモンスターは4体、エクストラデッキのジェムナイト・ルビーズを墓地に送って、2000ポイントのダメージをあなたに与えるわ!」

 

「させないわ!手札のハネワタの効果発動!

 このカードを手札から捨てることで、このターンの私への効果ダメージを0にする!」

 

 青の輝石巫女が放ったエネルギーは柚子の前に現れた天使の羽の付いた毛むくじゃらのモンスターに受け止められ、柚子には届かない

 だが、真澄は分っていたという風な顔をしている、狙いは手札を減らすことか?

 

「まだよ!ブリリアント・ダイヤの効果発動

 1ターンに1度、表側表示のジェムナイトモンスターを墓地に送り、エクストラデッキから召喚条件を無視して、ジェムナイト融合モンスターを特殊召喚するわ。

 ラピスラズリを墓地に送って、出陣よ!ジェムナイトマスター・ダイヤ!!」

 

マスター・ダイヤ「オオォォォォ!ハアッ!!」

        ATK2900

 

 巫女が消えた場に現れるのは巨大で荘厳豪奢なるダイヤの騎士長

 その手に持つ7つの宝石が埋め込まれた大剣の内、赤い宝石が光を帯びる

 

「マスター・ダイヤの効果発動、墓地のレベル7以下のジェムナイト融合モンスターを除外することで、このターン、マスター・ダイヤはそのモンスターと同じ名前と効果を得る!

 私は墓地のジェムナイト・ルビーズを除外!これでマスター・ダイヤは貫通効果を得たわ!

 行け!マスター・ダイヤ!幻奏の音女アリアに攻撃よ!」

 

「・・・よし、ここは、私は手札の幻奏の音女スコアの効果発動

 幻奏モンスターがモンスターと戦うダメージ計算時、このカードを墓地に送って相手モンスターの攻守をターン終了時まで0にする!」

 

「ウオオオォォォォォ!!」

 

「アアアアァァァァ!!」

 

「ウォ!?グウゥ・・・」

 ATK2900→0

 DEF2500→0

 

 マスター・ダイヤの大剣がアリアに叩きつけられようとしていたが、アリアの声に吹っ飛ばされてしまう

 

「ぐううぅぅ・・・私はカードを1枚伏せて、墓地のジェムナイト・フュージョンの効果発動

 墓地のラズリーを除外して手札に加え、ターンを終了するわ」

 LP2900→1700

 

 見上げた特攻精神だねぇ~

 ライフを犠牲にしてまで、スコアを捨てさせたか

 顔は今も笑みを浮かべている、セットしているカードが罠だと言っているようなものだが、ブラフでも悲壮感がなければ逆転の一枚だと錯覚させることが出来るだろう

 柚子が攻撃しなかった場合、次の彼女のターンでラピスラズリの効果で彼女の勝ちになる可能性が高いだろうが

 

「いえ、貴女のターンはまだ終わらせないわ!速攻魔法発動!次元誘爆!」

 

 少し遅かったみたいだ

 

「な、次元誘爆!?」

 

「自分フィールド上の融合モンスター1体をエクストラデッキに戻して発動

 お互いにゲームから除外されているモンスターを2体まで選択し、それぞれのフィールドに特殊召喚するわ!」

 

「融合モンスターを捨てるというの!?」

 

「違うわ!一緒に戦うのよ!

 マイスタリン・シューベルトをデッキに戻して、除外されているアテナと幻奏の音女エレジーを特殊召喚するわ!」

 

アテナ「はっ!」

   ATK2600

 

エレジー「ふふ」

    DEF1200

 

「特殊召喚されたエレジーの効果で私の天使族モンスターの攻撃力が300アップ!」

 

 アテナ  ATK2600→2900

 エレジー DEF1200

      ATK2000→2300

 アリア  DEF1200

      ATK1100→1400

 

「くっ!私はラズリー2体を守備表示で特殊召喚するわ」

 

 ラズリー DEF100

 ラズリー DEF100

 

 柚子の布陣が完成した、そしてエンドフェイズなら真澄にはどうすることもできない

 

 マスター・ダイヤ ATK0→2900

          DEF0→2500

 

「私のターン、ドロー

 自分のフィールド上に幻奏モンスターが居るとき、手札の幻奏の音女カノンは特殊召喚出来るわ!」

 

カノン「フンッ!」

   DEF2000

 

「この瞬間、アテナの効果が発動!

 フィールド上に天使族モンスターが召喚、反転召喚、特殊召喚された時、相手に600ポイントのダメージを与える!」

 

 青系のショートドレスを着てメガネのようにも見える仮面を付けた女性が現れると、アテナの槍から光弾が放たれ、真澄に直撃する

 

「あうっ!?」

 LP1700→1100

 

「まだまだよ、アテナのさらなる効果発動!

 天使族モンスターのカノンを墓地に送って、墓地の天使族モンスター、幻奏の音女タムタムを特殊召喚して600ダメージよ!」

 

タムタム「キャハッ!」

    DEF2000

 

「うわっ!」

 LP1100→500

 

「そして、タムタムの効果で墓地の融合を手札に加えるわ」

 

「融合!?それじゃ!?」

 

「そう、これでフィナーレよ!

 融合発動、フィールドのタムタムと手札のアリアを融合!

 魂の響きよ、流れる旋律となりて、タクトの導きにより力重ねよ!融合召喚! 

 再演の舞台へ!幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト!!」

 

シューベルト「オーホホホ!!」

      ATK2400

 

 光り輝く宮殿でのなかで、仲間たちに祝福されながら再臨したシューベルト

 真澄はその主である柚子の目を見て、付き物が落ちたように微笑む

 

「ふふ、やっぱり、あなた良い目をしているわ・・・」

 

 シューベルトを祝うようにアテナが放った光弾が真澄を貫いた

 

 LP500→0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 そんな、ありえないわ!?あってはならないわ!!

 

 この世界の隅々にまでLDSの組織網を張り巡らせ、最高の技術、最高の力を持ったデュエリストを数多く育て上げるという私と零児さんの計画が・・・

 こんな小さな塾のデュエリストに負けるだなんて・・・

 

「真澄も負けちまったか・・・でも、良い顔してやがるぜ」

 

「えっ?」

 

 デュエル場ではなぜか、勝ったはずの柚子と言う少女が大泣きしており、それを真澄が宥めていた

 困惑した表情であったが、それはデュエルする前の刺々しい表情ではなく、年相応の少女の顔をしていた

 

「かっー!!俺も燃えて来たぜ!

 北斗の時はどうなるかと思ったが、あんなデュエルできるんなら早くやりたいぜ!

 あっ!安心しなよ理事長センセー

 俺は本当に強いからよ、必ず勝ってやるって!おーい!俺の相手はどいつだー!!」

 

 刃は榊遊矢たちの下へ竹刀を振り回しながら行ってしまった

 北斗も刃を交えて彼らと話している

 残された私は、何か空しさを感じていた

 




うわ~ん、やっと勝てたよ~(泣)

ちょっと、この子なんで泣いてるの!?

あ~勝ったの久しぶりだからな~うれしくて泣いてるんだろ

この子普段誰とデュエルしてるのよ・・・・

俺と沢渡

あっ・・・・

次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『極みの向こうへ』
じゃあ、次の相手は権ちゃん、よろしくね

うむ、任された!不動のデュエル見せてくれようぞ!!


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極みの向こうへ

平成最後の投稿、ほとんどデュエル描写だけなのになげぇ~
例のソリティアを入れたから仕方ないけど


「おーい!俺の相手はどいつだー!!」

 

 剣士然とした恰好の少年が竹刀を振り回しこちらに駆けてくる

 

「俺はLDSシンクロコースの刀堂 刃!

 さぁ!俺のデッキの錆になりたい奴はどいつだー!!」

 

 なんだか暑苦しい奴だ、こんな性格だったか?

 さて、こうなると順番的には素良の番なんだが・・・

 

「う~ん、僕は今回パス、代わりに権ちゃんやる?」

 

「ん、俺か?」

 

「おいおい、ちみっこいの、この俺にビビったのかよ?」

 

「別にそんなんじゃないよ、気乗りがしないってだけ

 権ちゃんは此処にデュエルしに今日来たんでしょ?

 相手が遊矢じゃなくてもいいよね?今日は遊矢とは出来なさそうだし」

 

「うむ、そこまで言われればしかたなし

 刃殿、この権現坂道場の跡取り、権現坂昇がお相手いたそう!」

 

「へぇ~デュエル道場の跡取りね、面白そうじゃん!

 いいデュエル見せてくれよな!」

 

「おう!権現坂道場に伝わる、不動のデュエル!とくと見せてやろうぞ!」

 

「へっ!言っておくが俺をさっきまでのお行儀のいいデュエルをすると思っていたら大間違いだぜ?

 何しろ俺は、あいつらと違って、本当に強いからな!」

 

「お行儀のいい?」

 

「な、なんだよ、なんで僕の方を見るんだよ!?」

 

 俺と素良が北斗を見る、こいつってそんなに行儀良かったか?

 デッキが素直で、テンプレだったという意味なら分かるが

 

「うぅ・・・ぐす・・・」

 

「ほら、もう!嬉しいのは分ったから、そろそろ泣き止んでよ!

 ジュニアクラスの子も見ているんだから、みっとも無いでしょ!?」

 

 おっ、柚子たちが戻って聞いたみたいだな

 あと真澄、柚子は勝ったの一カ月ぶりぐらいだから、思う存分泣かしておいてやれ

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『お~し、2人共気合は十分なようだな!

 じゃあいくぞー!フィールド魔法、剣の墓場発動!』

 

 フィールド魔法が展開され、暗雲たちこめ、無数の剣が突き刺さった古戦場が現れる

 刃はそれを見て、獰猛な笑みを浮かべ、これから始まる戦いに胸を躍らせる

 

「へへっ!随分と粋なフィールドになったじゃねぇか!」

 

「うむ、では存分にし合おうぞ!」

 

「「『決闘』!!」」

 

「先攻は俺だ!

 俺は超重武者ダイ―8を召喚!」

 

 ダイ―8 ATK1200→DEF1800

 

 脚部のローラーで台車を引いたロボットが現れる

 その荷台の上には、腕鎧を組み合わせて作ったような巨大な機械が置いており、ダイ―8はそれを権現坂へ引き渡す

 

「ダイ―8は召喚、特殊召喚された時、守備表示となる。

 そして、俺の墓地に魔法、罠カードがないとき、ダイ―8のさらなる効果により、このモンスターを攻撃表示に変える事によりデッキから超重武者装留を手札に加える。

 俺はデッキから超重武者装留チュウサイを手札に加え、手札の超重武者装留イワトオシと共にダイ―8に装備する。」

 

 ダイ―8 DEF1800→ATK1200

 

 荷卸しされたチュウサイだったが4つある腕を動かして、ダイ―8の本体に無理やり背負われる形で装着され、さらに前方から青く巨大な梓弓が現れ、それもまたダイ―8に装着される

 2つの巨大な装備品に小柄なダイ―8の本体は埋もれてしまった

 

 

「手札から直接装備できるモンスターだと!?でもステータスが変わってねぇ?」

 

「チュウサイは相手の攻撃を装備モンスターに集中させる効果がイワトオシは貫通効果を持たせる効果があるが、俺の狙いはそれではない!

 チュウサイのもう一つの効果発動!

 このカードを装備しているモンスターをリリースすることにより、デッキより超重武者モンスター1体を特殊召喚する!

 現れよ、我が不動の象徴!超重武者ビックベン―K!!」

 

 ダイ―8が消え、代わりに現れるのは鋼の巨漢

 橙色の鎧を煌めかせて、刺又を地面に突き刺し仁王立ちする

 

ビックベン―K「べンケー!!」

       DEF3500

 

「いきなり守備力3500だと!?」

 

「ふふ、ビックベン―Kの力はそれだけではない!

 このモンスターが存在する限り、俺の超重武者は守備力を攻撃力として扱い、表側守備表示のまま攻撃できるのだ!」

 

「なっ!?ってことは実質、攻撃力3500のモンスターかよ!?」

 

「そういうことだ。

 さらにフィールドから墓地に送られたイワトオシの効果により、デッキから超重武者を手札に加える。

 俺は超重武者装留バスター・ガントレットを手札に加え、ターンエンドだ!

 さぁ、何処からでもかかって来るがいい!」

 

「てめぇら、そろいもそろって妙なカード使いやがって、俺のターンドローだ!」

 

 刃はドローしたカードを見て思わず笑みをこぼす

 そう、今の彼の手札は彼を必勝に導く、最高の手札だったからだ

 

「俺は手札からモンスターを1体捨て、マジックカード、ワン・フォー・ワンを発動

 こいつの効果でデッキからレベル1モンスターを1体特殊召喚するぜ

 来い、XX(ダブルエックス)―セイバーレイジグラ!」

 

レイジグラ「フン!」

     DEF1000

 

 赤いマントをたなびかせ、軽鎧を着た2足歩行のカメレオンが現れる

 

「レイジグラの効果発動

 こいつが召喚、特殊召喚された時、墓地のX―セイバーモンスターを手札に加えるぜ

 俺が手札に加えるのはXX(ダブルエックス)―セイバーフォルトロール!

 さらに通常召喚だ、来い、レスキューキャット!」

 

レスキューキャット「にゃ~」 

         ATK300

 

 古戦場の現れる一匹の子猫、頭には救命ヘルメットをかぶっておりその姿は非常に愛くるしくこの場に似つかわしくないものであったが、権現坂はレスキューキャットを見て苦い顔をする

 

「ぬうっ!?そのモンスターは!?」

 

「どうやらこいつの恐ろしさは知っているみたいだな、レスキューキャットの効果

 1ターンに1度、フィールドのこのカードを墓地に送ることで、デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚する

 来な!XX(ダブルエックス)―セイバーダークソウル!チューナーモンスター、X―セイバーエアベルン!」

 

 レスキューキャットは器用に前足を使って首にかかっているホイッスルを掴み、それを吹く

 その音に呼ばれて出て来たのは大鎌を持ちフードで顔を隠した獣人と鋭い鉤爪の付いた手甲をした獅子の獣人

 それぞれの武器を権現坂に構え、闘志を燃やす

 

エアベルン「ガルル・・・」

     ATK1600

 

ダークソウル「グルル・・・」

      ATK100

 

「そして、自分フィールド上にX―セイバーモンスターが2体以上いるとき、こいつは手札から特殊召喚出来る!

 来い!XX(ダブルエックス)―セイバーフォルトロール!!」

 

フォルトロール「はあぁぁぁぁ!ふん!」

       ATK2400

 

 光り輝く模様の入った鎧を身に纏う騎士が刃の戦列に加わる

 だが、それだけでは終わらない、彼の本領はこれからである

 

「行くぜ!俺はレベル1のXX―セイバーレイジグラとレベル3のダークソウルにレベル3のX―セイバーエアベルンをチューニング!」

 

 エアベルンが3つの緑色の光の輪となり、レイジグラとダークソウルはそれに飛び込む

 彼らの中に輝く光が、一つに並ぶとき、眩きと共に戦いに魅入られた狂人がその2振りの刃を振り上げる

 

「光差する刃持ち、屍の山を踏み越えろ!シンクロ召喚!!

 いでよ!レベル7、X―セイバーソウザ!」

 

ソウザ「ははははっ!!ふんっ!!」

   ATK2500

 

「おっと、まだ終りじゃねぇぜ!フォルトロールの効果発動!

 1ターンに1度、墓地からレベル4以下のX―セイバーを復活させる

 戻ってこい!X―セイバーエアベルン!」

 

エアベルン「グオオオォォォン!!」

     ATK1600

 

「チューナーを復活させたか・・・」

 

「その通りだぜ!

 俺はレベル6のフォルトロールにレベル3のエアベルンをチューニング!

 白銀の鎧、輝かせ、刃向う者の希望を砕け!シンクロ召喚!

 いでよ、レベル9!XX(ダブルエックス)―セイバーガトムズ!!」

 

 再び差す光、それを引き裂き現れるのは白銀の鎧を身に纏った重戦士

 音叉の様な大剣を軽々と振るい、赤いマントを翻す

 

ガトムズ「はああぁぁぁ!ふん!!」

    ATK3100

 

「1ターンに2度のシンクロ召喚、なかなかやるようだな。」

 

「驚きもしねぇか・・・あいつはいったいなんなんだよ?」

 

 刃は観戦室に居る遊矢の方に目を向ける

 刃の問いに権現坂は笑みを浮かべながら答える

 

「壁よ・・・遙かな頂にある大きな壁・・・

 だからこそ男として挑みたくなる!あの頂を越え高みを目指すためにな!!」

 

「へっ!だったら、それには一足先に俺が挑ませてもらうぜ、てめぇを倒してな!

 俺は2体目のフォルトロールを特殊召喚!

 そしてその効果で墓地のXX(ダブルエックス)―セイバーレイジグラを特殊召喚するぜ!」

 

フォルトロール「ふん!」

       ATK2400

 

レイジグラ「ハッ!」

     DEF1000

 

「レイジグラの効果で墓地のXX(ダブルエックス)―セイバーフォルトロールを手札に加える

 そして、XX(ダブルエックス)―セイバーガトムズの効果を発動

 自分フィールド上のXセイバーをリリースすることで、てめぇの手札を1枚ランダムに捨てさせる

 俺はフォルトロールとレイジグラをリリース!」

 

 フォルトロールとレイジグラの魂が総司令であるガトムズの剣に宿る

 ガトムズが大剣を振るうとそれは閃光となって、権現坂の4枚ある手札の内2枚を燃やす

 

「何、まさか!?手札にはフォルトロールが・・・」

 

「その通りだ!

 このコンボはてめぇの手札が尽きるまで続くのさ、何度でもな!!

 フォルトロールを特殊召喚し、その効果でレイジグラを特殊召喚しフォルトロールを手札へ

 ガトムズの効果でこいつらをリリースして、てめぇの残りの手札を捨てさせる。

 さらにフォルトロールを特殊召喚し、レイジグラを特殊召喚、フォルトロールを手札に加えるぜ」

 

 フォルトロール ATK2400

 レイジグラ   DEF1000

 

「俺の手札が・・・」

 

「まだ終わってねぇぜ!ソウザの効果でXX(ダブルエックス)―セイバーレイジグラをリリース

 これでソウザはダメージステップ開始時に戦闘するモンスターを破壊する効果を得た。」

 

 レイジグラをソウザが切り捨てる、その怨念はソウザの剣に宿りどす黒いオーラを纏わせる

 

ソウザ「ぐひひひぃ!」

 

「さぁ、その木偶の坊を叩っ切ってやるぜ!バトル!

 やっちまえ、ソウザ!ビックベン―Kに攻撃!」

 

 ソウザの狂刃がビックベン―Kに迫る

 刺又で迎え撃つビックベン―Kだったが、ソウザはいとも簡単にそれをいなし、ビックベン―Kに1撃、2撃と何度も同じところに斬りつけてゆく

 さすがのビックベン―Kの強固なボディも何度も同じところを傷つけられ限界を迎え、それをソウザは見逃さず貫いた

 

ビックベン―K「グワアアァァァ!!」バンッ!!

 

「くっ!?すまぬ、ビックベン―K」

 

「おらぁ!モンスターの心配している暇はねぇぞ!

 XX(ダブルエックス)―セイバーガトムズでダイレクトアタックだ!」

 

 ガトムズが踏み込み、駆けるのと同時に刃はその背に背負う竹刀を一閃

 その剣圧で剣の墓場に隠されていたアクションカードが宙に浮く

 

「おらぁ!アクションマジック、エクストリーム・ソード

 戦闘するモンスターの攻撃力をそのバトルのみ、1000ポイントアップ!」

 

ガトムズ「オオォォォォ!!」

    ATK3100→4100

 

「これで終わっちまいなー!!」

 

 ガトムズの大剣が権現坂に迫る、だが、権現坂は逃げはしない

 いや、その場から動きはしない、自分のデッキが勝利せよと、自分の覚悟が負けるなと叫んでいるのだから

 

「俺は墓地のクリアクリボーの効果を発動する!」

 

「何!?」

 

「相手モンスターのダイレクトアタック宣言時

 墓地のこのカードを除外し、デッキからカードを1枚ドローし、それがモンスターならば特殊召喚し攻撃対象をそのモンスターに移し替える。

 俺が引いたのは超重武者テンB―Nだ!」

 

テンB―N「ハッ!」

     DEF1800

 

「さらにテンB―Nの効果により、墓地のテンB―N以外のレベル4以下の超重武者モンスターを1体、守備表示で特殊召喚する

 蘇れ、超重武者装留イワトオシ!」

 

 イワトオシ DEF0

 

 ガトムズの前に現れる天秤を担いだ緑の鋼の武者、そしてその天秤から巨大な梓弓が現れ権現坂への行く手を阻む

 

「ちっ!だったら、ガトムズ!そいつをぶった切ってやりな!」

 

 ガトムズの剣はテンB―Nを切り裂く、だがその余波すらも権現坂には届きはしない

 

「さらにフォルトロールでイワトオシに攻撃だ」

 

フォルトロール「はあっ!」

 

 フォルトロールの剣がイワトオシを鉄くずに変える、そしてその鉄くずの中から1枚のカードが権現坂の手の下にやってくる

 

「イワトオシがフィールドから墓地に送られたことにより、デッキから俺は2枚目のテンB―Nを手札に加える。」

 

「そうはさせるか!

 メインフェイズ2でガトムズの効果発動、フォルトロールをリリースしそのカードも捨ててもらうぜ!

 カードを2枚伏せ、エンドフェイズにダークソウルの効果でデッキのX―セイバーフォルトロールを手札に加えるぜ

 ターンエンドだ」

 

「俺のターン、ドロー!!

 俺は墓地の無限起動スクレイパーの効果を発動する。」

 

「また墓地効果かよ!?」

 

「このカードを除外し俺の墓地の機械族、地属性モンスター5体をデッキに戻しシャッフル、その後2枚ドローする

 俺は墓地から超重武者テンB―N2体と超重武者装留イワトオシ、チュウサイ、バスター・ガントレットの計五枚のカードをデッキに戻し2枚ドロー!

 そして、相手フィールド上にモンスターが2体以上存在し、自分フィールド上にモンスターが居ない時、手札の超重武者テンB―Nは特殊召喚出来る。」

 

テンB―N「テンビーン!」

     DEF1800

 

「さらにテンB―Nの効果により、ダイ―8を守備表示で特殊召喚し、ダイ―8の効果でこのカードの表示形式を変更

 デッキから超重武者装留チュウサイを手札に加え、さらにこれをダイ―8に装備

 そして、チュウサイの効果によりダイ―8をリリース!

 再び現れよ!超重武者ビックベン―K!!」

 

ビックベン―K「フンッ!!」

       DEF3500

 

「また、そいつか!?」

 

「これが我が不動のデュエルよ!バトル!

 ビックベン―KでX―セイバーソウザに攻撃!!」

 

ビックベン―K「ハアアアァァァァ!!デュリアァァァ!!」

 

 ビックベン―Kの拳が大地を割り、その衝撃がソウザを襲い破壊する

 その余波も刃の下へ向かうが、彼の前には『X』の紋章の浮かび上がるバリアが張られていた

 

「そう簡単に通すかよ!速攻魔法、セイバー・リフレクト!

 自分が戦闘または効果ダメージを受けた場合、その数値分俺のライフを回復し、てめぇに回復した数値分のダメージを与える

 おらぁ!自分の攻撃を自分で受けやがれ!!」

 

「そうはいかんな!

 墓地の超重武者装留ビックバンの効果発動!」

 

「またかよ!?」

 

「自分フィールド上に守備表示の超重武者がいる時に相手がバトルフェイズ中にカード効果を発動した時、このカードを除外し、その効果を無効にし破壊する。

 さらにフィールド上の全てのモンスターを破壊し、お互いに1000のダメージを受ける。」

 

「なんだと!?」

 

 フィールドに膨大なエネルギーが蓄えられた爆弾が現れ破裂する

 その爆風は互いのフィールド上のモンスターを吹き飛ばし、刃もまた無数の剣を折砕きながら吹っ飛ばされた

 

「ぐわあああぁぁぁ!!」

 LP4000→3000→2000

 

 息も絶え絶えとなった刃は傷む体に鞭を打ち立ち上がると、そこには自分と違い一歩たりとも動いていない権現坂と

 

「・・・・・・」

 LP4000→3000

 

ビックベン―K「ベンケー・・・」

 DEF3500→2700

 

 ビックベン―Kが立っていた

 

「な、なんでだ!?どうしてそいつは破壊されていねぇんだ!?」

 

「手札の超重武者装留ファイヤー・アーマーの効果よ

 こいつを手札から捨て俺の超重武者1体の守備力を800下げることで、ターン終了まで戦闘と効果で破壊されなくした。

 俺はこれでターンエンド、ビックベン―Kの守備力は元に戻る。」

 

 ビックベン―K DEF2700→3500

 

「うぅ・・・余計なダメージ喰らっちまったぜ・・・」

 

「このデュエル、無駄に動いたほうが負けとなるのよ。」

 

「へっ!ほざけ!俺のターン、ドローだ!

 よし、俺はX―セイバーパロムロを召喚!」

 

 パロムロ ATK200

 

 刃の前に出現するオオトカゲのモンスター

 その攻撃力は200と貧弱だが、このモンスターこそが刃の逆転への布石の1枚となる

 

「トラップカード発動、ガトムズの緊急指令!

 フィールド上にX―セイバーモンスターが居るとき、墓地のXセイバーを2体まで復活させる

 戻ってこい!X―セイバーソウザ!!XX(ダブルエックス)―セイバーレイジグラ!!」

 

ソウザ「はははっ!」

   ATK2500

 

 レイジグラ DEF1000

 

「ならば、俺はガトムズの緊急指令にチェーンして手札の増殖するGを捨てその効果を発動

 このターン、相手がモンスターを特殊召喚するたびに俺は1枚ドローする

 ガトムズの緊急指令の効果により、モンスターが特殊召喚されたことで1枚ドロー!!」

 

「なにー!?」

 

 剣の墓場に無数に蠢く黒い影

 観戦席では少女たちの悲鳴が木霊し、少年の目が鋭くなるがデュエルに集中している2人には意識の外だ

 

「まさか、そのカードを使おうとする奴がいるとは思わなかったぜ・・・」

 

「俺は求道者よ

 高みへ上る為ならば、泥にまみれようが、蛇蝎のごとく嫌われようが構わん

 ただ俺は自分とデッキを信じて戦うのみだ!」

 

「はっ!だったらそのデッキごと切り裂いてやるぜ!

 特殊召喚したレイジグラの効果により、墓地のフォルトロールを手札へ

 自分フィールド上にX―セイバーが2体以上いることにより、フォルトロールを特殊召喚!」

 

フォルトロール「ふん!」

       ATK2400

 

「さらにその効果でチューナーモンスター、X―セイバーエアベルンを特殊召喚!」

 

エアベルン「ガオオオォォォン!」

     ATK1600

 

「俺はレベル6のフォルトロールにレベル3のエアベルンをチューニング!

 白銀の鎧、輝かせ、刃向う者の希望を砕け!シンクロ召喚!

 再びいでよ、レベル9!XX―セイバーガトムズ!!」

 

ガトムズ「ハッ!」

    ATK3100

 

「増殖するGの効果により合計3枚のカードをドロー!」

 

「忘れちゃいねぇよな?

 ガトムズとフォルトロール、レイジグラのコンボはてめぇの手札が尽きるまで続く

 つまり!てめぇの手札がなくなんねぇなら、デッキがなくなるまで付き合ってもらうぜ!

 ガトムズの効果でレイジグラをリリースしてめぇの手札を1枚捨てる

 そして、フォルトロールを特殊召喚し、その効果でレイジグラを復活!

 墓地のフォルトロールを手札に加えるぜ」

 

 フォルトロール ATK2400

 レイジグラ   DEF1000

 

「特殊召喚が2回行われたことにより、デッキから2枚ドロー」

 

「ガトムズ効果発動、レイジグラとフォルトロールをリリースしてカードを2捨てさせる

 フォルトロール、レイジグラ特殊召喚し墓地のフォルトロールを手札へ」

 

 フォルトロール ATK2400

 レイジグラ   DEF1000

 

「ガトムズの効果でレイジグラとフォルトロールをリリース!」

 

ガトムズ「ハアアァァァ!!」

 

 ガトムズは何度でも仲間の魂の篭った一撃を打ち続ける

 主の為、献身してくれる仲間の為に

 

「フォルトロールを特殊召喚、その効果で墓地のレイジグラを選択し」

 

「ならばその効果にチェーンし、手札のDDクロウの効果を発動

 このカードを手札から墓地へ捨て、相手の墓地のカードを1枚選択し、それを除外する

 俺はレイジグラを除外する、そして、フォルトロールの特殊召喚により1枚ドローさせてもらったぞ」

 

「な、なにー!?」

 

 気の遠くなるほど続くと思われていた剣技は突然、異次元より来襲した鴉によって止められた

 仲間を異次元へと追放され、拳を握りしめるガトムズだったが、その肩にソウザの手が置かれる

 その後ろではフォルトロールが分っていると、その身をソウザの前に晒した

 

「だったらこうだ!ソウザの効果でフォルトロールをリリース!

 ソウザに破壊効果を付けるぜ

 さらにフォルトロールを特殊召喚し、その効果でダークソウルを特殊召喚!」

 

 フォルトロール ATK2400

 ダークソウル  DEF100

 

「特殊召喚により俺はさらに2枚ドロー」

 

「だがそいつも早速墓地送りになってもらうぜ!

 ガトムズの効果発動!フォルトロール、ダークソウル、パロムロをリリース

 てめぇの手札5枚の内3枚を刈り取ってやるぜ!」

 

 ガトムズは振るう、仲間の魂の一撃を、先人が道を開くための手助けになるようにと

 そして、主人である刃も相手の出方に備え竹刀を振るいアクションカードを手にする

 

「バトルだ!

 ソウザでビックベン―Kに攻撃!!

 さらにアクションマジック、エクストリーム・ソードの効果で攻撃力を1000アップ

 破壊耐性付けてもこれで反射ダメージはねぇぜ!」

 

ソウザ「ははああぁぁ!!」

   ATK2500→3500

 

 ソウザも主人の後押しを受けて思う存分剣を振るう

 ビックベン―Kは先ほどと同じく、迎撃するがソウザの剣技に押し負け破壊される

 

「はっ!手札に防げるモンスターはいなかったみたいだな

 だったらこの一撃で終わっちまいな!ガトムズでダイレクトアタックだー!!」

 

「俺は墓地のクリアクリボーと超重武者グロウ―Vの効果を発動!」

 

「来やがったか!!」

 

「相手のダイレクトアタック宣言時、墓地のこれらのカードを除外し効果を発動する

 グロウ―Vはデッキトップが超重武者だった場合、それを手札に加え、攻撃モンスターの攻撃力を0にする

 そしてクリアクリボーはドローしたカードがモンスターだった場合

 その場で特殊召喚し、攻撃モンスターと強制戦闘させる!」

 

「んなもん、何度も当たっかよ!!やっちまえ、ガトムズ!!」

 

 ガトムズは剣を構え突き進む、主の勝利をこの剣に誓うと

 

ガトムズ「ウオオオォォォォォォォ!!」

 

「当たる?なんのことだ

 このデッキは俺の覚悟の証だ!引くカードはモンスター以外ありえん!!

 ドロオオオォォォォォォ!!」

 

 権現坂のドローによって振りかぶられた腕がガトムズの横凪に払われた大剣を捉える

 本物ならばその手は大剣によって切り裂かれてしまうだろう

 ソリットビジョンでも怪我をしかねない行為だ

 

 だが、その漢は普通じゃなかった

 

――バキイィィィン

 

 響く破砕音、その後に続く甲高い金属音

 

「俺はグロウ―Vの効果でデッキトップのカードだった超重武者カゲボウ―Cを手札に加え、ガトムズの攻撃力を0にする!」

 

 ガトムズの大剣は根元から叩き折られていた

 

 ガトムズ ATK3100→0

 

「なっ!?」

 

 驚愕で固まるガトムズと刃、そして権現坂の背後には山のような巨大な威圧を持つ鋼の巨漢がガトムズに影を落としていた

 

 ビックベン―K DEF3500

 

「動かざること山の如し、我が心揺れることなく不動なり!!」

 

 ビックベン―Kは剣のおられた重戦士にバーニアを吹かし突撃し、その白銀の鎧に鋼の拳を叩きつけ、その余波が刃の下に暴風となって襲い掛かる

 

≪俺の墓地に魔法、罠カードがないとき≫

 

≪このデッキは俺の覚悟の証だ!引くカードはモンスター以外ありえん!!≫

 

「そうか、そういうことかよ・・・」

 

 荒れ狂う衝撃が迫る中、刃は考えていた、相手がどんなイカレた奴だったかを

 

「フルモンデッキかよ、一番イカれているぜ、お前・・・」

 LP2000→0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「だー!!負けた負けたー!

 全力出して負けたのなんて久しぶりだぜ」

 

 刃は緊張の糸が切れたのか上を向いて大声を上げる

 だがその表情は、とても晴れやかな物だ

 

「うむ、俺も全力を出せた、いいデュエルであった!

 されど、互いにまだ道半ばの身、精進し、また戦い合おうではないか」

 

 権現坂はそう言い手を差し出す

 刃もそれに素直に応じ、強くに握りしめあう

 

「はっ!次はそのでかい顔を大泣きさせてやるぜ!」

 

「おぉ!ならば、俺も刃殿とのデュエルで俺も新たな不動の境地への光明が見えた

 次に会うときは刃殿が泣けるほどの強さを手にして見せようぞ!」

 

 互いに称え合い、再戦の約束をする刃と権現坂だったが、その様子を見て心をかき乱す者もいた

 

(なんてこと・・・LDSのエースが全敗・・・

 これほどのデュエリストが敵と手を組んだら、いや、敵の下にすでに居たらこの世界は・・・)

 

 赤馬日美香は考え恐怖する

 目の前にいるデュエリストたちの様な存在が敵に居たらと

 それは、自分たちでは対処できないものであることを目の前の結果が物語っている

 

(どうすればいいの?

 榊遊矢を取り込む?いや、零児さんは御せる存在でないと言っていたわ

 人質や取引をしても、反感を買うだけ・・・あぁ、一体どうすれば・・・)

 

 取り乱しそうになる日美香の肩に手が置かれる

 彼女が振り向くとそこには彼女が唯一信頼できる息子がそこに居た

 

「安心してください、母様、次は私自身が出ます。」

 

「あぁ、零児・・・さん・・・」

 

 泣き崩れそうになる日美香を抱いて、零児は遊矢を見つめる

 そして、遊矢もまた零児を見据え、2人の視線は交差した




お前、何時入ってきたの?

最初から見ていたが?

修三さーん、日美香理事長が来たとき彼居た?

いや、黒服の大男ならいたが彼はいなかったぞ

そうですか、ということは不法侵入・・・
もしもし、ポリスメン?

待て!!
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『異次元の王と虹彩の竜』

・・町の遊勝塾なんですけど

だから、待てと言っている!!


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異次元の王と虹彩の竜

 いきなり、観戦室に入ってきた銀髪に赤縁メガネの青年

 パーカーを着ていて例の針金マフラーはしていないが、日美香理事長の事を母様と呼んでいたことから、彼が『赤馬 零児』で間違いないだろう

 

「すまないが、私ともう一戦してもらえないだろうか?」

 

「いきなり入ってきて、随分な言い草だな?

 レオ・コーポレーションの若社長さん」

 

「ほう、私の事を知っているのか。」

 

「いろいろ有名だからね、あんたは

 ジュニア、ジュニアユース、ユースの3クラスの全てで優勝して、最年少でプロデュエリストになって、その年で社長までやっているんだ

 耳に入らない訳がないさ」

 

「それは光栄だと受け取っておこう、それで私の相手なのだが」

 

「は~い、僕やりた~い!」

 

 素良が元気よく挙手するが、赤馬零児は首を振って俺を目で射抜く

 

「すまないが、私は君とデュエルがしたい、榊遊矢」

 

「ほ~う、俺と?」

 

「そうだ、先ほどの君のデュエルは見させてもらった。

 君のデュエルの腕はそこらに居るプロデュエリストなど、歯牙にもかけないだろう

 君はさっきのデュエル程度では物足りないんじゃないか?」

 

 程度呼ばわりされた北斗が隅っこで白くなって体育座りを始めるが、確かにさっきのデュエルでは物足りないと思っていたところだ、ちょうどいい

 

「いいぜ、その話乗ってやろう。」

 

「感謝する。

 アクションフィールドもそちらが決めて構わない。」

 

「アクションフィールドは修三さんが勝手に決めるから、ランダムの様な物さ

 互いに全力が出し合えるような、いいデュエルにしようじゃないか」

 

「あなた、うちの零児さんがどれほど強いのか、知らないのかしら?

 全力の零児さんにかかれば、あなただって・・・」

 

「やめてください、母様、私とて彼の全力が見たいのです。

 こちらもそれに応えなければ失礼になります。」

 

「うぅ・・・わかったわ、零児さん、頑張ってね。」

 

「はい、母様」

 

 親子仲のよろしいことで、互いに父親に苦労させられているな

 まぁ、同情はするが容赦はしない

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『おぉ~本物の赤馬零児だ、初めて見た。

 さぁて、これで最後みたいだからな、2人共今日の〆に相応しいいいデュエルを見せてくれよー!

 アクションフィールドオン!フィールド魔法、アスレチック・サーカス発動!』

 

 遊矢と零児、2二の周囲に光が満ち

 空中ブランコや回し車などが設置され、無数の玉の様物が宙に浮いたサーカス小屋に変わる

 

「サーカスか・・・ここは君のホームなのではないのかい?」

 

「そうでもないさ

 このフィールドの特徴としては、低い所にはアクションカードがスポーンしにくいって所か?

 まぁ、それぐらいしか知らないよ。」

 

「ほう・・・では、始めようか」

 

「あぁ」

 

「「『決闘』」」

 

「先攻は俺の様だな、ふん、はっ!!」

 

 遊矢はいきなり宙返りをすると、自分の後ろに有るトランポリンの上に着地

 落下の衝撃と体のばねを利用し、大きくジャンプし球形状の足場の上に着地する

 

「おっ?早速アクションカードだ

 速攻魔法、手札断殺発動、互いのプレイヤーはカードを2枚捨て、2枚ドローする。

 俺はアクションカードを含めた2枚のカードを捨てて2枚ドロー」

 

「こちらも手札を2枚捨て2枚ドロー」

 

EM(エンタメイト)ドクロバット・ジョーカーを召喚」

 

ドクロバット・ジョーカー「ははっ!」

            ATK1800

 

 髑髏の描かれた帽子を被る黒いマジシャンが笑う、戦いの始まりだと

 

「召喚に成功したことにより、デッキからEM(エンタメイト)モンスター、魔術師ペンデュラムモンスター、オッドアイズモンスターの内1体を手札に加える。

 俺はオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを手札に

 

 そして魔法カード、ペンデュラム・コールを発動

 手札を1枚捨て、デッキから同名以外の魔術師ペンデュラムモンスター2体を手札に加える。

 俺はデッキから慧眼の魔術師と相克の魔術師を手札へ

 

 カードを1枚セットして、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンをペンデュラムスケールにセッティング

 そして、エンドフェイズ、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンのペンデュラム効果発動

 このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスターを手札に加える。

 俺は攻撃力100のEM(エンタメイト)オッドアイズ・ユニコーンを手札に加え、ターンエンドだ。」

 

 静かに1ターンを終えた遊矢に対し、観戦室ではその静かな始まりに不気味さを抱いていた

 

「な、なんだか僕の時とは違い、静かじゃないか?」

 

「そうね・・・」

 

「なんだか不気味だな・・・」

 

「ペンデュラム召喚も出来たのにモンスター1体に伏せ1枚」

 

「墓地に置かれたカードに何か意味があるのか?」

 

「分からないわね・・・」

 

「その程度で、私の本気を受けるつもりなのか?」

 

「あぁ、これで十分だ」

 

「ふっ、私も嘗められたものだな。

 せいぜいこのターンで潰れないことだ!私のターン、ドロー

 私はマジックカード、おろかな埋葬を発動しデッキからモンスターカードを1枚、DDリリスを墓地へ送る。

 さらに永続魔法、地獄門の契約書を発動

 このカードは自分のスタンバイフェイズ毎に1000ポイントのダメージを受ける。

 さらに1ターンに1度、デッキからDDと名の付くモンスターを手札に加えることが出来る

 私はDDナイト・ハウリングを手札に加える。」

 

「DD?聞いたことないカテゴリね?」

 

「ディファレント・ディメンション、異次元って意味だよ。」

 

「異次元・・・どういうデッキなのだ?」

 

「そして、私は手札のDDスワラル・スライムの効果により、このカードと手札のDDケルベロスで融合が可能となる。

 自在に形を変える神秘の渦よ、地獄の番犬を包み込み、今一つとなりて新たな王を生み出さん!融合召喚!!

 生誕せよ!DDD烈火王テムジン!」

 

 不気味に蠢くスライムが三つ首の番犬と交じり合い、炎の様なオーラを纏う赤い剣と盾を持つ王へと生まれ変わる

 

烈火王テムジン「フンッ!」

       ATK2000

 

「いきなり融合か・・・」

 

「これで終わりではない!

 私はレベル3のチューナーモンスター、DDナイト・ハウリングを召喚

 このカードの召喚に成功した時、墓地のDDモンスター、DDリリスを攻守0にして特殊召喚する。」

 

 零児のフィールドに牙だらけの大口が現れ、その中から花の様な印象を受ける女悪魔が這い出てくる

 

 DDナイト・ハウリング ATK300

 DDリリス       DEF2100→0

            ATK100→0

 

「私はレベル4のDDリリスにレベル3のDDナイト・ハウリングをチューニング!

 闇を切り裂く咆哮よ、疾風の速さを得て新たな王の産声となれ!シンクロ召喚!

 生誕せよ!DDD疾風王アレクサンダー!!」

 

疾風王アレクサンダー「ハッ!」

          ATK2500

 

 DDナイト・ハウリングとDDリリスの作り出した光を切り裂き、緑色のマントをたなびかせながら風纏う王が烈火の王と共に並び、王たちはさらなる王を呼び出す為に剣を掲げる

 

「烈火王テムジンの効果を発動、このカード以外のDDモンスターが特殊召喚された場合

 墓地のDDモンスターを1体特殊召喚する。

 蘇れ、DDケルベロス!」

 

DDケルベロス「グルル・・・」

       ATK1800

 

「そして、DDD疾風王アレクサンダーの効果を発動

 このカード以外のDDモンスターが召喚、特殊召喚された場合、自分の墓地のレベル4以下のDDモンスターを呼び戻す。

 戻れ、DDリリス!」

 

 DDリリス ATK2100

 

「DDリリスが特殊召喚されたことにより、その効果で墓地のDDモンスター、DDナイト・ハウリングを手札に加える。

 私はレベル4のDDリリスとDDケルベロスでオーバーレイネットワークを構築!

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!

 この世の全てを統べるため、今、世界の頂に降臨せよ!エクシーズ召喚!

 生誕せよ!ランク4、DDD怒濤王シーザー!」

 

怒濤王シーザー「ウオオオォォォォ!!」

       ATK2400

 

 大剣を空へと掲げ、青く重厚な鎧を煌めかせる王、怒濤王シーザー

 その様を見ていた観戦室の面々も驚愕する

 

「なんか・・・全然違う、もしかして本物?」

 

「遊矢以外に3つの召喚法をこれほどまでに使いこなすとは・・・」

 

「そうよ、零児さんの実力よ」

 

「これで終わりではない!

 墓地のDDネクロ・スライムの効果を発動

 墓地のこのカードと融合素材モンスターを素材を除外しDDDモンスターを融合召喚する。

 私は墓地のDDネクロ・スライムとDDゴーストを融合

 冥府に蠢く物よ、満たされぬ魂にその身を与え、真の王として生まれ変わらん!融合召喚!

 いでよ!神の威光伝えし王!DDD神託王ダルク!」

 

神託王ダルク「ハアアァァァァァ!フンッ!!」

      ATK2800

 

 大きな翼を翻し、悪魔へと堕ちた聖乙女が王となって降臨した

 零児のフィールドのモンスターの総攻撃力は9000を超え、攻撃力1800のドクロバット・ジョーカーだけではとても耐えられるものではないが、遊矢の表情は崩れることなく飄々としていた

 

「ほ~う、こんなに王様がいっぱいいると壮観だね。」

 

「そうだろう

 DDDとはすなわち、ディファレント・ディメンション・デーモン

 異次元をも征する王の力、たっぷり味わうがいい!バトル!!

 烈火王テムジンでドクロバット・ジョーカーに攻撃」

 

 烈火王テムジンの攻撃によって、ドクロバット・ジョーカーは切り裂かれ、その風圧によって球体の上に居た遊矢はその下の回し車の上に落下する

 

「いやまったく、危ないじゃないか」

 LP4000→3800

 

「そんなことを言っていられるのも今の内だ!

 行け!怒濤王シーザー!ダイレクトアタックだ!」

 

怒濤王シーザー「ウオオオォォォ!!」

 

 大剣を構え迫るシーザーだが、遊矢は回し車を器用に回し安定させながら、何の気後れもなくカードを発動させる

 

「そうはさせない

 永続トラップ、EM(エンタメイト)ピンチヘルパー

 1ターンに1度、相手のダイレクトアタックを無効にし、EM(エンタメイト)モンスターを効果を無効にし特殊召喚する。

 来い、EM(エンタメイト)マンモスプラッシュ!」

 

マンモスプラッシュ「パオオォォ!!」

         DEF2300

 

 シーザーの前に薄紫の毛長のマンモスが現れ、噴出した水で怒濤の王を返り討ちにする

 

怒濤王シーザー「グオオォォォ!?グゥ・・・」

 

(攻撃が止められたか・・・あのモンスターの効果、そして、彼の手には不明なカードが1枚・・・ここは)

「私はバトルを終了し、カードを2枚伏せターンを終了する。」

 

「おやぁ~攻撃してこないのかい?まぁ、いいか

 俺のターン、ドロー

 俺はスケール5の慧眼の魔術師とスケール3の相克の魔術師をペンデュラムスケールにセッティング!」

 

 遊矢のフィールドの両端に立ち上る光の柱

 その中にはフードを被り、その眼を仮面で覆った魔術師と不思議な装飾をされた大盾を構える魔術師が鎮座している

 

「これでレベル4のモンスターが同時召喚可能となったか・・・」

 

「おいおい、そう急かすなよ

 慧眼の魔術師のペンデュラム効果発動

 もう片方の自分のペンデュラムゾーンに魔術師またはEM(エンタメイト)カードがある場合、このカードを破壊し、デッキから慧眼の魔術師以外の魔術師ペンデュラムモンスターを置く

 俺はスケール8の時読みの魔術師をペンデュラムスケールにセッティングする。」

 

 慧眼の魔術師が消え、代わりに現れる時を見つめる黒装束の魔術師

 その下にある数字の様な紋様も5から8へ変化する

 

「これで、俺のエクストラデッキには表側表示のペンデュラムモンスターが3枚よってこのカードが発動できる。

 魔法カード、ペンデュラム・ホルト

 このカードの発動後、このターン、俺はこれ以降デッキからカードを手札に加えることが出来なくなる代わりにデッキから2枚ドローする。

 そして儀式魔法、オッドアイズ・アドベントを発動!」

 

「儀式だと!?」

 

「俺の手札、フィールドのペンデュラムモンスターを儀式モンスターのレベル以上になるようにリリースし墓地か手札からドラゴン族儀式モンスターを儀式召喚する

 俺はレベル6のEM(エンタメイト)マンモスプラッシュと手札のレベル1のEM(エンタメイト)オッドアイズ・ユニコーンを儀式の供物として捧げ、墓地に封じられた竜を呼び覚ます。

 さぁ、地の底に眠りし竜よ、その2色の眼に星をも統べる力を宿せ!!」

 

 サーカスのステージの地面が隆起し、地を割りながら黒き影がその巨体に見合わず浮かび上がってくる

 

「儀式召喚!大地の力宿る戒めの竜、オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン!!」

 

オッドアイズG「ギャオオオォォォォォォォ!!」

       ATK2800

 

 その黒い影、オッドアイズ・グラビティ・ドラゴンは周囲に一緒に浮かんだ破片を打ち払う様に咆哮する

 金、橙、黒で彩られたその竜は零児すらも威圧されるほどのプレッシャーを放つ

 

「まさか、君が儀式まで使うとは・・・」

 

「驚いてくれてなによりだよ

 さて、そっちが1ターンに3つの召喚法でモンスターを呼びだしたんなら、俺は五つの召喚法で迎え撃とうじゃないか。」

 

「五つだと・・・!?」

 

「まずは、グラビティ・ドラゴンの効果だ

 このカードの特殊召喚時、相手フィールドの全ての魔法、トラップカードを手札に戻す

 この効果の発動に対して、相手はカード効果を発動できない。」

 

「何!?」

 

「ライズ・グラビテーション!」

 

 零児のフィールドの伏せカードと契約書が反重力に晒され浮かび上がり、零児の手の元に戻ってゆく

 

「くっ!?」

 

「そして墓地の貴竜の魔術師の効果発動

 オッドアイズ・グラビティ・ドラゴンのレベルを3つ下げて、このカードを墓地から特殊召喚する

 来い、チューナーモンスター、貴竜の魔術師!」

 

貴竜の魔術師「はっ!」

      DEF1400

 

 グラビティ・ドラゴンの上に現れる白い導師服の少女、その手に持つ杖の紅い宝石がらんらんと輝く

 

「レベル4となったグラビティ・ドラゴンにレベル3の貴竜の魔術師をチューニング

 2色の眼に写る七つの星よ、流星となって降り注げ!」

 

 貴竜の魔術師の作り出した輪の中に大地の竜が飛びこみ天へと昇っていく

 眩き極光と共に転生した竜は炎を纏いて流星となりフィールドに降臨する

 

「シンクロ召喚!星紡ぐ戦の竜、オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン!」

 

オッドアイズM「ギャアアァァァァァァ!!」

       ATK2500

 

「メテオバースト・ドラゴンの効果発動

 このモンスターが特殊召喚された時、ペンデュラムゾーンのモンスター1体を特殊召喚できる。

 俺はレベル7の相克の魔術師を特殊召喚」

 

相克の魔術師「ふん!」

      ATK2500

 

「これでレベル7が2体・・・」

 

「その通り、俺はレベル7のオッドアイズ・メテオバースト・ドラゴンと相克の魔術師でオーバーレイ!

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築

 六道八獄踏み越えて、絶対なる力、2色の眼に焼き付けろ!」

 

 大地が割れ、流星の炎に焼かれたサーカス小屋が今度は強烈な冷気に包まれる

 混沌の渦から、氷の様に美しくも吹雪よりも過激な魔竜が地獄の底から姿を現した

 

「エクシーズ召喚!全てを凍てつかせる永久の竜、オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン!」

 

オッドアイズA「ガアアァァァァァ!!」

       ATK2800

 

「そして、お待ちかねのペンデュラム召喚だ

 俺は手札からスケール1の星読みの魔術師をペンデュラムゾーンにセッティング!

 これでスケールは1と8となり、レベル2から7のモンスターを同時に召喚できるようになった。」

 

 ここに再び、主のもとに始まりを告げた2人の魔術師がそろった

 魔術師たちの間で揺れる振子はその速度を速め、天空に光のアークを描き出す

 

「揺れろペンデュラム、異界へ繋がる扉を開け!ペンデュラム召喚!

 現れろ!レベル4慧眼の魔術師、EM(エンタメイト)ドクロバット・ジョーカー、レベル6EM(エンタメイト)マンモスプラッシュ、そしてレベル7、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!」

 

オッドアイズP「ギャオオオォォォン!!」

       ATK2500

 

 慧眼の魔術師       DEF1500

 ドクロバット・ジョーカー DEF100

 マンモスプラッシュ    DEF2300

 

「マンモスプラッシュの効果発動

 デュエル中に1度だけ、ドラゴン族融合モンスターを融合召喚できる。

 俺はペンデュラムモンスターであるマンモスプラッシュとオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを融合

 疾風迅雷、その2色の眼に写る歯向かう者を平伏させよ!」

 

 オッドアイズの赤い装甲が雷を帯びて緑と白を基調とした機械的な物へと変化する

 未熟な翼のような突起も4つのスタビライザーの様な物になり、凍てついた世界に紫電を迸らせる

 

「融合召喚!雷の力帯し竜、オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン!」

 

オッドアイズV「グオオォォォォ!!」

       ATK2500

 

「よもや、これほどとは・・・」

 

 驚愕に目を見開く零児、観戦室でも前代未聞の5召喚連続使用に空いた口が塞がらなくなっていた

 

「そんな・・・馬鹿な・・・」

 

「融合、エクシーズ、シンクロ、ペンデュラムに儀式まで・・・」

 

「本当に5召喚やりやがった!?」

 

「むちゃくちゃね・・・」

 

「ひ、ひぇ~」

 

「遊矢、すごい・・・」

 

「うむ、それでこそ俺が越えるべき頂に立つ男よ!」

 

「ボルテックス・ドラゴンの効果発動

 特殊召喚時、相手の攻撃表示モンスター1体を手札に戻す

 まずは厄介な、そいつには退場願おうか!」

 

 遊矢が指差した先に居るのはシーザー

 ボルテックス・ドラゴンはシーザーに向かって電気を帯びて突撃、シーザーは感電で苦しみながら消えて行った

 

怒濤王シーザー「グオォォァアァァァァ・・・・」

 

「く!?」

 

(シーザーの効果を使わなかった、直感で避けたのか?さすがだな)

「まだ終りじゃないぞ

 俺はレベル4の慧眼の魔術師とドクロバット・ジョーカーでオーバーレイ

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 来い、鳥銃士カステル!」

 

カステル「クワアアァァァ!」

    ATK2000 ORU2

 

 遊矢が召喚したのはテンガロンハットを被り、猟銃を構えた鳥人

 カステルは自身の周囲に飛ぶオーバーレイユニットを即座に2つ猟銃に装填する

 

「カステルの効果発動

 オーバーレイユニットを2つ取り除き、このカード以外のフィールドの表側表示カードを1枚選択し、そのカードを持ち主のデッキに戻す。

 神託王ダルクにも消えてもらおうか」

 

 カステル ORU2→0

 

神託王ダルク「グワアアァァァ!」

 

 カステルの放った風の弾丸が神託王ダルクを零児のデッキに吹き飛ばす

 あまりもあっさりと処理されてしまった異次元の王たち、だが零児には驚く暇すら与えられない

 

「バトル、カステルで烈火王テムジンを攻撃」

 

(攻撃が同じモンスターで攻撃、相打ち狙いか・・・いや)

 

 零児は跳ぶ、次々と異常とも思える身体能力を発揮し球形の足場を飛び跳ね、あっという間に空中ブランコの乗り台にまで辿りつくとそこに存在していたアクションカードを発動させる

 

「アクションマジック、ハイ・ダイブ!

 このターン中、私のモンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップさせる!」

 

「おっと、そんなことしなくても攻撃は中止だ。

 ついでに攻撃力アップも消すとしよう

 ボルテックス・ドラゴンとアブソリュート・ドラゴンの効果を発動

 まずはボルテックスの効果で俺のエクストラデッキの表側表示のペンデュラムモンスターを1体デッキに戻し、このカード以外のカード効果の発動を無効にし破壊する

 俺はマンモスプラッシュをデッキに戻し、ハイ・ダイブを無効にする!パラライズ・シャウト!!」

 

 ボルテックス・ドラゴンは翼を展開し電気エネルギーを増幅、光弾として撃ちだし、零児の発動させたハイ・ダイブを焼き消した

 

「何!?」

 

「さらにアブソリュートの効果でオーバーレイユニットを1つ使い、カステルの攻撃を無効にする。」

 

 オッドアイズA ORU2→1

 

 銃を構えるカステル、そしてそれを迎撃しようとする烈火王テムジン

 だがその両者の間に巨大な氷塊が出現、突如現れた氷塊にテムジンは炎を纏う剣でそれを破壊しようとするが、それ剣が当たる前に氷塊が割れ、中から2色の眼の黒竜が姿を現す

 

オッドアイズG「グルルオオオォォォォォ!!」

       ATK2800

 

「アブソリュート・ドラゴンが攻撃を止めた後、墓地か手札のオッドアイズモンスターを特殊召喚出来る

 俺はこの効果でオッドアイズ・グラビティ・ドラゴンを呼び戻した。」

 

「なんだと!?」

 

「さぁ、堪えきれるかな~?

 ボルテックス・ドラゴンで烈火王テムジンを攻撃、迅雷のボルテックス・シュート!!」

 

 先程よりも強力になった電気エネルギーはプラズマ化し、光線となって烈火王テムジンを撃ち抜く

 瞬く間に光の中に消えたテムジンは叫び声すらあげる事すら敵わず、消滅した

 

「ぐおぉぉぉ!!」

 LP4000→3500

 

 ボルテックス・ドラゴンの凄まじい一撃の余波を受けた零児は、吹き飛ばされるがその先でアクションカードを発見する

 

「アブソリュート・ドラゴンで疾風王アレクサンダーを攻撃!永結のアブソリュート・ゼロ!!」

 

 放たれようとしている絶対零度のブレス、まともに食らえばアレクサンダーは粉々にされるであろう

 

「くっ!私はアクションマジックをはつ―!?」

 

 いきなり零児の体を襲う異常、とてつもなくカードが重くなり、あわや落としそうになる。何とか踏みとどまるが、異常は全身に及び、立ってるのもやっとの状態だ

 

(なんだ!?体が異常に重い、まるでいきなり何かに押さえつけられたような・・・

 押さえつける、加圧、重力!?)

 

 聡明な零児の頭がこの異常現象の原因を突き止める

 そう、グラビティ・ドラゴンである

 

「おっと、アクションカードを使いたいんだったら使用料を払ってもらおう

 グラビティ・ドラゴンがモンスターゾーンに存在する限り、相手がカード効果を発動する為には500ポイントのコストが発生する。」

 

「な、に・・・!?くっ!

 私はライフ500を払い、アクションマジック、回避を発動

 オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴンの攻撃を無効にする!」

 LP3500→3000

 

 放たれるアブソリュート・ドラゴンの攻撃

 それを疾風王アレクサンダーは自身の剣を犠牲にして零児を守り切る

 だが、剣を失った疾風王をすでに大地の竜は捉えていた

 

「追撃だ、グラビティ・ドラゴンで疾風王アレクサンダーに攻撃!超重のグラビティ・ハリケーン!!」

 

 疾風の王は残された風の力で守ろうとするが、重力波の嵐の前では風は役に立たずひしゃげ潰され破壊された

 

「ぐうぅぅ・・・」

 LP3000→2700

 

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ。」

 

 苛烈に攻め立てた後で、静かにエンド宣言する遊矢、3体の竜を従え佇む姿に零児は悪魔の幻覚を見た

 だが、冷静さを取り戻すと疑問が湧いてきた

 なぜ、これほどの力を彼が持つのかと

 

「予想以上だ・・・君のやることなすこと、全て私の想像を超えている。

 だが、君はどこでこれほどの力を手に入れた?

 君のお父上も柊修三もエクストラを使った召喚法も儀式も使っていなかったはずだ。」

 

「独学と言っておこうか

 別に難しい話じゃないだろ?ルールブックにやり方の説明は載っているんだし

 後はカードさえあれば、誰にだってできるさ」

 

「ふっ、確かにそうだな

 折角だ、もう一つの疑問も解消しておこう

 君はお父上の事をどう思っている?」

 

「・・・何故そんなことを聞く」

 

「私は彼の事を現在のアクションデュエルの隆盛を築き上げたパイオニアとして、心から尊敬している。

 だが、君のデュエルスタイルは彼とまるで真逆、容赦の一欠けらも感じられない」

 

「へぇ~若いのに父さんの事をそこまで良く言う他人にあったのは初めてだよ。

 まぁ、たしかにアクションデュエルを流行らせたという点じゃ尊敬できるかもね。

 父親として、デュエリストとしては尊敬できないけど」

 

「!?なぜだ、彼は素晴らしいデュエリストだった!

 周りがアクションデュエルの腕を磨く中で、自分も負けじと腕を磨き続け、それが今のアクションデュエルの隆盛へと繋がった!」

 

「腕を磨くなんて、デュエリストとして当たり前の事だろ?

 それに父さんのデュエルスタイルはマジックショーじみたものだったからね。

 真剣に向き合っている相手からしたら、ショーのダシに使われたように感じて、たまったものじゃないだろうさ」

 

「だが、彼のエンターティンメント・デュエルは大勢の人々を楽しませていた!」

 

「あれは『楽しんでいる』んじゃない、『面白がっている』っていうんだ

 それにデュエリストとして、観客優先で相手を蔑ろにして、何処に尊敬できる要素があるんだ?

 父親としてもそうさ

 手紙一枚置いてハイさよなら、な~んてどうよく思えばいい?」

 

 おどけた調子で答える遊矢、だがその言葉には静かな怒りと侮蔑が零児には読み取れた

 

「それに、その点じゃ俺たちは似た者同士じゃないのか~?」

 

「なに?」

 

「数年前、大々的にニュースになっていたよな

 レオ・コーポレーション社長『赤馬 零王』謎の失踪って」

 

「っ!?黙れ!!」

 

 その名が出たとき、零児の感情が爆発した

 彼にとってその名は母を悲しませ、世界を狙う憎むべき敵の名なのだから

 

「はは、怖い怖い

 さぁ、こんな湿気た話はやめにして、デュエル再開と行こうじゃないか

 お前のターンだ、父さんの事を尊敬しているんなら、ここからどう俺を楽しませてくれるんだ?」

 

「くっ!私のターン、ドロー!

 私はライフを500払い、マジックカード、手札抹殺を発動

 互いのプレイヤーは手札を全て捨て、捨てた枚数だけデッキからカードをドローする

 私はアクションカードを含めたカード6枚を捨て6枚ドロー!」

 LP2700→2200

 

 アレクサンダーの攻撃時、密かに持っていたアクションカードを零児はここで活用する

 だがそれは遊矢も同じことで、彼は自分の足場の回し車を調整しアクションカードを手にする

 

「俺もアクションカードを含めたカード2枚を捨て、2枚ドローする。」

 

「5つの召喚法を使う君に応えて、私も新たな力を使うとしよう

 私はスケール1のDD魔導賢者ガリレイとスケール10のDD魔導賢者ケプラーで、ペンデュラムスケールをセッティング!!」

 

 零児のフィールドに現れる2本の光の柱

 その中には天体望遠鏡の様なモンスターと天球儀の様なモンスターが浮かび上がる

 

「来たか・・・

 だが、ペンデュラムカードの設置もカード効果の発動とみなされる

 よって、お前には合計1000ポイントのライフを支払ってもらおうか」

 

「ぐっ・・・」

 LP2200→1700→1200

 

「これで、後使える効果は2回だ

 効果を繋げて戦うタイプのそのデッキで、堪え切れるかな~?」

 

「ならば、その2回でグラビティ・ドラゴンを無力化すればいいだけの事!

 我が魂を揺らす大いなる力よ、この身に宿りて、闇を切り裂く新たな光となれ!」

 

 けたたましい機械音を上げながら2つの装置が潤動する

 天には無数の線が描かれ、異界への新たな門が開かれる

 

「ペンデュラム召喚!出現せよ、私のモンスター達よ!」

 

 異界の門を潜り抜けて降臨するのは2体の巨大なクリスタルで出来たペンデュラムの様なモンスターと威風堂々と赤いマントをたなびかせた偉大なる王の一人

 

「レベル7DDD制覇王カイゼル!

 地獄の重鎮たる王をも超えた2体の超越神!DDD死偉王ヘル・アーマゲドン!!」

 

 制覇王カイゼル      ATK2800

 死偉王ヘル・アーマゲドン ATK3000

 死偉王ヘル・アーマゲドン ATK3000

 

 突如として使われた遊矢だけしか使っていなかったペンデュラム召喚を零児が使用したことで、この場の全員の目が見開かれる

 だが、遊矢だけは心底嬉しそうに笑いそれを迎え撃とうとする

 

「はははっ!そうだ、そう来なくちゃな!!

 だったらそれを俺は全力で迎え撃とう!カウンタートラップはつど――」

 

――ビイイィィィィ!!

 

「なに!?」

 

「緊急停止のブザー!?」

 

 鳴り響くブザー、アクションフィールドが解除され、零児のディスクに彼の部下、中島からの通信が入る

 

「なに、マルコが?」

 

 零児は苦虫を噛み潰したような表情をし、遊矢を一瞥すると背を向け早足で歩き始める

 

「この勝負・・・預ける。」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 夜の闇に消えていくリムジンのテールライトを眺めながら、俺は遊勝塾の屋上で零児の手を考える

 

(カイゼルにはペンデュラム召喚された時、俺のフィールドの表側表示カードの効果を無力化する効果があったな

 それはボルテックス・ドラゴンの効果で止めるとして、次に死偉王2体でカリ・ユガだして、完全に無力する算段か・・・)

 

 そして、彼の墓地のカードのことも考え、俺のライフをあのまま消し飛ばすようなコンボを予測する

 

(手札抹殺でヴァイス・テュポーンが送られていたな

 となると、テュポーンの効果でエグゼクティブ・テムジンを出してネクロ・スライムの効果でダルクを再び融合

 テムジンの効果でナイト・ハウリングを呼び出して、エグゼクティブ・アレクサンダーを出せば、攻撃力6000、3500、2800のモンスターが並ぶ

 手札が1枚残っていたが、あれは予備として取っていた3体目の死偉王かな?

 スワラル・スライムの効果で特殊召喚すれば、さらに3000か)

 

 エクゼクティブ・テムジンの効果も考えれば、アクションカード対策もされた盤面だ

 よくもまぁ、ドローしたカードでひっくり返すコンボを思いついたもんだ

 できていればの話だがな

 

「今回は勝たせてもらったぜ?

 次はもっと楽しいデュエルをしようじゃないか、赤馬零児・・・」

 

 俺は最後に発動させようとした、カードを月に掲げた

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「残念だったわね、零児さん

 あと少しで、榊遊矢を倒せていたというのに・・・」

 

 レオ・コーポレーションに向かうリムジンの中、日美香は零児の盤面からこのターンで遊矢を倒せていたと残念がるが零児は違った

 

「いえ、あのデュエル、私の負けです、母様」

 

「どうして!?零児さんのモンスターの効果は・・・」

 

「カイゼルの効果を無効にされ、カリ・ユガをエクシーズ召喚出来れば、確かに私にも勝機があったでしょう

 ですが、彼が最後に発動させようとしたあのカードは・・・」

 

 消え失せるソリッドビジョンの中、彼の脳裏に焼き付いた遊矢の最後の1枚、それは

 

「神の宣告

 ライフを半分払い、マジック、トラップの発動、またはモンスターの召喚、反転召喚、特殊召喚を無効にし破壊するカード」

 

「なっ!?それでは・・・」

 

「はい、私のペンデュラム召喚は無効にされ、ボルテックス・ドラゴンの効果をすり抜け、手札に残したヘル・アーマゲドンをスワラル・スライムの効果で呼び出し攻撃しても、アブソリュート・ドラゴンの効果で攻撃を止められていたことでしょう。

 そうすれば、残りライフ200となった私が次のターン生き残れるとは思えません」

 

「そんな・・・零児さんが、負けた・・・」

 

 放心する日美香だったが、零児は自分が負けたことよりも気になっていることがあった

 

(なぜ彼は攻撃力が高い、ダルクやアレクサンダーではなくシーザーを最初に戻したのだ?

 公の場で、私がシーザーを使ったことはない

 彼がシーザーの効果を知ることはない筈なのに・・・)

 

 シーザーにはデッキから契約書を手札に加える効果が備わっている

 それを嫌ったと考えたら納得いく話ではあるが、遊矢はシーザーの効果を確認した様子がなかった

 それはつまり、初見のカードの効果を当てたということになる

 

(・・・いや、ただの偶然か・・・もしそうなら彼は)

 

 初めから自分のカードのことを知っていたことになるのだから

 ありもしない荒唐無稽な考えを捨てて、今直面している問題を零児は問う

 

「今はそれよりも、中島、マルコ襲撃事件の詳細を報告せよ。」

 

「はっ!発生しましたのは、舞網市内NLD38地区

 発生時刻は17時54分、かなり強い召喚反応を検知しました。」

 

「召喚方法は?」

 

「エクシーズです。」

 

「そうか、ならばまだ遠くには行っていないはずだ、何としても見つけ出せ!!」

 

「はっ!」

 

(そして榊遊矢、この借りはいつか必ず・・・)

 

 遊矢がそうであったように、零児もまた彼との再戦を夢想する

 

 これで序章は終わり、新たな1ページが捲られた

 その先の物語は、まだ誰にもわからない




LDS、ならば俺が相手だ!!

やめろ隼!!ここは俺たちの戦場じゃない!
彼らは俺たちの敵じゃないんだ!!

ここは俺の戦場だ!邪魔をするならユート、ここで貴様も倒す!

次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『鉄の意志と鋼の強さ』
もう俺は、だれにも傷ついてほしくないんだ!!


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鉄の意志と鋼の強さ

 お待たせしました、ついに登場、鎧の不審者、そして最長回です(ターン数が)
 お相手は出番数カットでありながら絶大なインパクトを放ったあの人です
 あと、アンケートの方は締め切らせていただきました、ご協力ありがとうございました


ブラック企業社長と悪徳取り立て屋のデュエルを見た子供たち

「すげー痺れたぜ!遊矢兄ちゃんと赤馬零児のデュエル!!」

「うん、すごかったよね~いろんな召喚法のモンスターが出てきて♪」

「よし、俺は決めた!俺は全召喚を使いこなすデュエリストになるぜ!」

「えっ!?でも、君ってガイアナイトとかダンシング・ソルジャーとかしか持ってなかったよね?
 効果なしで遊矢先生みたいにするのはきついんじゃ・・・」

「いや、俺は決めた!何せ、俺には必殺のカードがあるんだからな!!」

 これがのちに「創星王」と呼ばれるデュエリストの始まりである


「見ろよ、臆病者の子供が歩いてるぜ?」

 

「あぁ、逃げた榊遊勝の子供だ」

 

 夕日の街を一人の少年が歩いていく

 道行く人々は少年を見て覚える感情は侮蔑、嘲笑、苛立ち、嫌悪、拒絶、蔑み、軽蔑・・・

 

 様々な悪意に晒された少年の顔は逆光で見えはしない

 

 ただひたすらに前を向き、その歩を進めていく

 

「おい!!」

 

 少年の歩みが止まる、そこに居たのは年若いながら鍛え上げた肉体を持つガラの悪い少年

 

「お前、卑怯者の息子なんだってな?

 親父が逃げたんだ、代わりにお前が戦えよ?」

 

「なんだ、お前は・・・?」

 

「俺はストロング石島の代わりだ。

 なんだよ?嫌か?親父みてぇに逃げるってか?」

 

「俺とデュエルがしたいのか?」

 

「はっ!誰がおめぇなんかと、デュエルがしたいと思うんだよ

 逃げた榊遊勝の代わりに、俺がてめぇに天罰を与えてやろうとしているってだけよ!」

 

「そうか・・・だが、デュエルだというならいいだろう、相手になってやる!」

 

「ははっ!卑怯者が何ほざいていやがる!」

 

「「『決闘(デュエル)』!!」」

 

 その言葉が響いた直後、夕焼けの街は闇に包まれた

 

『『『うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』』』

 

 闇の中から悲鳴が木霊する

 数分ののち、闇は晴れ、町はまた光を取り戻す

 

「なんだ、この程度か・・・」

 

 闇が晴れても少年は変わらぬ位置で立っていた

 その前にはガラの悪い少年が恐怖でその顔を凍らせて転がっている

 

 そして、周囲にいる人々も少年へ向ける感情が変わっていた

 

 驚愕、畏怖、恐れ、困惑、衝撃・・・

 

 恐怖の感情に染められ、少年を化物のように見て怯える人々

 少年と目を合わせた者はその意識を手放し地に伏せる

 

「さぁ、次はだれが相手をしてくれるんだ?」

 

 大仰な仕草で振り向いた少年は、戦いを求めて嗤っていた

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「うぅ・・・ん・・・」

 

 目が覚めると、まだ外は暗い、まだ日は昇ってないみたい

 時計を見ると午前4時くらい、2度寝するには少し遅いわね・・・

 

「昔の・・・夢・・・」

 

 おじさんが失踪した次の日、街の人々の遊矢の見る目は悪意のみとなっていた

 ほとんどの人は直接何かを言ってくることはなく、蔑み嘲笑するだけだったけど

 権現坂の兄弟子だった人が遊矢にデュエルを挑んだ

 

「いったい何をしたのよ、遊矢・・・」

 

 デュエルが始まってすぐ、遊矢はフィールド魔法を発動したみたいだった

 それは深い闇の様な物で、どう声をかけようかと迷っていた私はその闇の外にいて、デュエルの内容を知ることは出来なかった

 ただ覚えているのは、闇に捕らわれていた人たちは皆、恐怖で固まっていたことだけ

 イライラしていたのか、あの後も悪口を言って来た人たちにデュエルを挑んでいってたっけ・・・

 

「そのおかげで、誰も遊矢に悪口言わなくなったんだけど・・・」

 

 いつもちょっとやり過ぎよね

 権現坂と一緒に止めるの大変だったんだから・・・

 

≪あれは『楽しんでいる』んじゃない、『面白がっている』っていうんだ≫

 

 遊矢の言葉が頭の中で反芻する

 言い過ぎだとも思ったけど、遊矢の言う様に心の底から楽しんでみていた人たちは少なかったのかもしれない

 あのスタジアムで、おじさんを擁護してくれる人は誰もいなかったのだから

 

「はぁ~プロって難しいな~・・・」

 

≪そうだ、奪われた仲間は必ず取り戻す!    

 そのために俺は『此処』に来た!≫

 

 そうえば、そのユートっていう遊矢に似た人、大事な人を取り戻すためにLDSを襲撃してたんだったわね

 あの夕日に照らしだされた遊矢の表情はユートに似ていた

 大事なものを守れなかった、そんな表情・・・

 

「今は、どこに居るのかしらね?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 夜の街の屋根の上

 群青のコートをたなびかせ、一棟のビルを見つめている

 その表情はマスクとゴーグルで判断しづらいが眉間にしわが寄っていることから、険しいことが分る

 

「LDS・・・」

 

「お前もこっちに来たのか、隼・・・」

 

 青いコートの青年、俺の仲間『黒崎 隼』

 彼は妹の瑠璃が攫われてから変わってしまった

 瑠璃を取り戻すためには手段を選ばず

 人をカードにすることにも戸惑いを覚えない、冷徹な性格へと

 

「ユート、何か情報は掴めたか?」

 

「いや、なにも・・・LDSの生徒はアカデミアの事は何も知らないようだ。」

 

「そうか・・・ならば、もっと上の奴、赤馬零王の息子を引きずり出すしかないな!!」

 

 獲物に狙いを定め、隼のゴーグルの奥の鷹の様な目が光る

 狂気に染まるその姿に俺は目を伏せる、これでいいのかと

 

「なぁ、隼、赤馬零王の息子を引きずり出すために、何をするつもりだ?」

 

「知れたこと、奴の部下どもをデュエルで倒し、奴らをカードにして叩きつける!!」

 

「なっ!?そんなことをすれば、俺たちはアカデミアと同じになってしまう!

 やめるんだ!隼!!」

 

「五月蠅い!!瑠璃を助け出すためには、こうするしかない!!」

 

「此処は俺たちの戦場じゃない

 あのころの様な・・・まだデュエルが楽しかった、あのころの様なデュエルが出来る場所だ!!

 俺たちの事情を持ち込むべきではないんだ!!」

 

 そうだ、この世界はまだ人々が楽しくできる世界なんだ、戦場になどさせてはならないんだ!

 

「甘いなユート、もうそんなことが言える時ではない!!

 瑠璃が連れ去らわれたその時から・・・邪魔立てするならユート!貴様と言えども倒す!!」

 

 ゴーグルとマスクを取り、血走った金色の目が俺に向けられる

 俺はもう誰も傷つけたくはない

 だが、暴走する隼を止めるには、やるしかないのか・・・

 

 一触即発の空気が漂う中

 

「おや~屋根の上で何をしているのかな?お二人さん」

 

 空気を読まないハスキーボイスが俺たちに掛けられた

 

「何者だ、貴様」

 

「それはこっちが聞きたいね、不審者さん

 僕はマルコ、LDSで講師をしている者だ

 さっきの会話、聞かせてもらったけど、君たちが最近起こっている襲撃事件の犯人ってことでいいのかな?」

 

 そう言い、フラメンコダンサーの様なフリルの付いた紫のシャツを着た長髪の男『マルコ』はどこから取り出したのか、赤いバラを俺達に向ける

 

「講師・・・ならばちょうどいい!!

 貴様!俺とデュエルをしろ!!」

 

「ふふ、すぐに逃げるかと思っていたけど、それは願ったりかなったりだ

 いいよ、ただし、僕が勝ったら君たちを拘束させてもらうよ?」

 

 ディスクを展開させるマルコと隼

 まずい、俺は屋根から飛び降り2人の間に割って入る

 

「待て、隼!!

 もう、俺の目の前で誰も傷つけさせはしない!

 デュエルをするなら俺が相手になってやる!!」

 

「君、僕がやるって言っているのに無粋なことしないでくれるかな?

 彼を下したら、君も相手をしてあげるからさ」

 

「そうだ!

 こいつを始末したら、邪魔をするお前も片付けてやる!!

 黙って、そこで見ていろ!!」

 

「くっ!」

 

 もはや止められないか!?

 

「「『決闘(デュエル)』!!」」

 

「先攻は僕からだ

 僕は竜魔導の守護者を召喚!」

 

竜魔導の守護者「はっ!」

       ATK1800

 

 マルコの隣に現れる青き竜の鎧の鎧を着た魔導士

 竜魔導の守護者は彼の勝利の鍵となるカードを呼び出すために杖を掲げる

 

「竜魔導の守護者が召喚、特殊召喚された時、手札を一枚捨てることで、デッキから融合かフュージョンと名の付く通常魔法を手札に加えられる。

 僕は融合のカードを手札に加えるよ。」

 

「融合!!」

 

「あの男、融合使いか!?」

 

 まずい、LDSの講師と言うだけでも問題なのに融合使いだなんて・・・

 今の隼は怒りに支配されている、融合使いと分ったのならカードにする以前に殺しかねない

 だが、俺にはもう止められない

 決闘は始まってしまった・・・また、俺は・・・

 

「さらに効果発動

 エクストラデッキの融合モンスター、異星の最終戦士を見せることでその融合素材モンスター、魔力吸収球体を墓地から裏側守備表示で特殊召喚するよ

 カードを2枚伏せて、ターンエンドだ

 さぁ、君のターンだよ?」

 

「ふざけた奴だ、俺のターン、ドロー」

 

「この瞬間、僕はリバースカードを使わせてもらうよ。

 永続トラップ、星遺物の傀儡

 このカードの効果は1ターンに1度、自分の裏側表示モンスターを選択し、表側攻撃表示か表側守備表示に変える

 よって、僕は魔力吸収球体を表側守備表示に変更!」

 

 魔力吸収球体 DF900

 

「俺はRR(レイド・ラプターズ)―スカル・イーグルを召喚」

 

 スカル・イーグル ATK1000

 

「さらにRR(レイド・ラプターズ)―コールを発動、自分フィールド上のRR(レイド・ラプターズ)モンスター1体と同名モンスターを手札、デッキから特殊召喚する。」

 

「おっと、待ってもらおうか

 魔力吸収球体の効果発動、相手ターン中に魔法カードが発動したとき、このカードをリリースすることで、その発動を無効にし破壊する。」

 

 RR(レイド・ラプターズ)―コールから魔力を吸い取り、浮かび上がった髑髏が肥大化する

 髑髏の幻影がカードに喰らい付き破壊すると、本体である赤黒い水晶は容量オーバーとなり砕け散る

 

「表示形式変更はこのためか・・・」

 

 なるほど、融合素材の効果を生かしたのか

 だが、隼はこの程度では止められないぞ

 

「ならば、俺は手札のRR(レイド・ラプターズ)―ペイン・レイニアスの効果発動

 自分フィールドのRR(レイド・ラプターズ)モンスターを1体選択し、その守備力か攻撃力のどちらかの低い方と同じ数値のダメージを受けることでこのカードを特殊召喚する。」

 LP4000→3500

 

 ペイン・レイニアス DEF100

 

 白と錆色の鋼鉄の鷹の様なモンスターが隼をつつくと、その手札からまるまるとした緑色の機械的な鳥が現れる

 

「この効果で特殊召喚されたペイン・レイニアスは対象モンスターと同じレベルとなる。」

 

 ペイン・レイニアス LV1→3

 

「俺はレベル3のRR(レイド・ラプターズ)―スカル・イーグルとペイン・レイニアスでオーバーレイ

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れよ!RR(レイド・ラプターズ)―デビル・イーグル!!」

 

デビル・イーグル「キュオオオォォォォォォォ!!」

        ATK1000

 

 宵の帳と共に赤と黒に彩られた悪魔の怪鳥

 隼は次のターンで一気に勝負を付けるつもりか!?

 

「スカル・イーグルを素材としてエクシーズ召喚されたモンスターは攻撃力が300ポイントアップする。

 さらにデビル・イーグルに装備魔法、ラプターズ・アルティメット・メイスを装備し、さらに1000ポイントアップさせる、バトルだ!!」

 

 デビル・イーグル ATK1000→1300→2300

 

 デビル・イーグルが光り輝く棍を掴み、高く舞い上がる

 だが、舞い上がった空には輝く月ではなく、漆黒の太陽が鎮座していた、これは!?

 

「おっと、そうはいかないよ

 速攻魔法、皆既日食の書、フィールド上の全てのモンスターには裏側守備表示になってもらおうかな。」

 

 日食の魔力がフィールドを支配し、全てのモンスターはカードに閉じ込められる

 悪魔が持ちた輝く棍も空しく転がり、砕け散った

 これで反転召喚しても攻撃力は元の1000、フィールドに残すにはこころもとの無い数値になったか

 

「くっ!俺はカードを2枚伏せ、ターンを終了する。」

 

「エンドフェイズ時、君のモンスターは表側表示になり、その枚数分、君はカードをドローする。

 表になったのはデビル・イーグル1体だから、1枚ドローしたまえ」

 

 デビル・イーグル DEF0

 

 マルコを睨みながらドローをする隼、敵から送られた塩など嘗めたくないと表情に出ている

 

「さぁ、僕のターンだ、ドロー

 僕は再び、竜魔導の守護者の効果を発動し、異星の最終戦士を見せ、墓地から融合素材の魔力吸収球体を裏側守備表示で特殊召喚

 さらに魔法カード、増援を発動し、デッキからレベル4以下の戦士族モンスター、ダーク・ヒーロー ゾンバイアを手札に加える。

 そして、魔法カード、融合を発動するよ!」

 

「来るか!?」

 

「手札のダーク・ヒーロー ゾンバイアとフィールドの魔力吸収球体を融合

 闇駆ける英雄よ、魂宿る石をその手に、輝く光の中で生まれ変われ!融合召喚!!

 カモーン!マイフェイバリットモンスター!異星の最終戦士!!」

 

 マルコのフィールドに降り立ったのは黄金の躰に最低限の鎧を付け、肥大化した右腕に鉤爪を、左肩にキャノン砲を装備した恐ろしげな戦士

 彼が降り立ったことで、発生した衝撃波で竜魔導の守護者が弾き飛ばされる、何だ!?

 

「異星の最終戦士の特殊召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のモンスターはすべて破壊される。」

 

異星の最終戦士「グオオオアアァァァァァァ!!」

       ATK2350

 

「そして、このカードがフィールド上で表側表示で存在する限り、お互いにモンスターを召喚、反転召喚、特殊召喚することは出来なくなる。」

 

「なっ!?」

 

「凄まじい効果だ・・・」

 

 自分もモンスターを出せなくなるという諸刃の剣を躊躇なく使うとは・・・

 

「僕はモンスターをセット

 そして、星遺物の傀儡の効果で表側攻撃表示に変更する

 現れよ、ライトロード・モンク エイリン!」

 

エイリン「フン!はあっ!!」

    ATK1600

 

 異星の最終戦士の隣に並ぶ、浅黒い肌の光の御使いである女性

 拳を唸らせ、仲間の線路を阻む者を見据える

 

「バトルだよ!

 エイリンで裏側守備表示のデビル・イーグルに攻撃!」

 

「させるか!トラップカード発動!RR(レイド・ラプターズ)―レディネス

 このターン、俺のRR(レイド・ラプターズ)は戦闘で破壊されない!」

 

「残念だったね!

 エイリンに攻撃された守備表示モンスターはダメージ計算前に持ち主のデッキに戻ってしまうのさ!」

 

「なんだと!?」

 

 デビル・イーグルは空へと逃げようとするがエイリンはそれを許さず、高く跳躍して先回りし、蹴り飛ばす

 落下したデビル・イーグルは光とともにカードへと戻り、隼のデッキへと戻ってしまった

 特殊召喚を封じられた隼は召喚権を使ってのセットしかできない

 これを狙ってのコンボか・・・

 

「さぁ!まずは、キツイお仕置きと行こうか!

 異星の最終戦士でダイレクトアタックだ!」

 

「墓地のRR(レイド・ラプターズ)―レディネスは自分の墓地にRR(レイド・ラプターズ)モンスターが存在する場合、このカードを除外することでこのターン、自分が受ける全てのダメージを0にする。」

 

 風の障壁が黒崎を覆い、異星の最終戦士の拳を弾き飛ばす

 その様を見たマルコは、たはは、と自嘲気味に笑う

 

「やっぱり、そう簡単に通させてはくれないか~

 エイリンの効果でエンドフェイズにデッキからカードが3枚墓地へ送られる。

 ターンエンドだよ」

 

「くっ!俺のターン、ドロー

 俺はモンスターをセットし、カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

流石の隼も、この状況では防戦一方か・・・

 

「僕のターンだね、ドロー

 僕はエイリンでセットモンスターに攻撃

 もちろん、効果でそのモンスターにはデッキに戻ってもらうよ」

 

 リバースして現れたのはペイン・レイニアス、だが前のターンのデビル・イーグルと同じように蹴り飛ばされる

 

「ちぃ!?」

 

「さぁ、これで君を守るカードはないかな?

 異星の最終戦士でダイレクトアタックするよ!」

 

 黄金の戦士の拳が隼に叩き込まれる

 隼はその衝撃で吹き飛ばされ、地面を何度も転がる

 くっ!やはりこうなってしまったか!!

 

「ぐぅ・・・はぁはぁ・・・」

 LP3500→1150

 

「大丈夫か!?隼!!」

 

「アクションフィールドでもないのに、これほどのリアルダメージが・・・

 やっぱり、報告にあったように君たちのデュエルディスクは何か細工されているようだね?

 エンドフェイズ、エイリンの効果でデッキの上からカードを3枚送って、ターンエンドだよ」

 

「くっ!俺は諦めるわけにはいかない!ドロー!!

 俺はマジックカード、強欲で貪欲な壺を発動!!

 デッキから10枚のカードを裏側表示で除外し2枚ドローする!

 

 さらにトラップカード、無限泡影を発動!

 このターン、相手フィールド上の表側表示モンスターの効果を無効にし、さらにこのカードと同じ縦列のマジック、トラップカードの効果も無効にする!

 これで異星の最終戦士と聖遺物の傀儡の効果は無効だ!

 

 さらにRR(レイド・ラプターズ)―ミミクリー・レイニアスを召喚し、こいつを対象にトラップカード、R(レイド)R(ラプターズ)R(レプリカ)を発動

 デッキからもう1体、ミミクリー・レイニアスを特殊召喚する!」

 

ミミクリー・レイニアス「クルル・・・」

           ATK1100

 

ミミクリー・レイニアス「キュオオオォォォ!」

           DEF1900

 

「さらに永続魔法、RR(レイド・ラプターズ)―ネストを発動!

 自分フィールド上にRR(レイド・ラプターズ)モンスターが2体以上いる場合、デッキからRR(レイド・ラプターズ)モンスター1体を手札に加える。

 俺はRR(レイド・ラプターズ)―ファジー・レイニアスを手札に加える。

 ファジー・レイニアスは自分フィールド上にファジー・レイニアス以外のRR(レイド・ラプターズ)が居る場合、手札から特殊召喚出来る。

 来い!RR(レイド・ラプターズ)―ファジー・レイニアス!」

 

 ファジー・レイニアス DEF1500

 

 次々に現れる鋼鉄の翼たち、ここから隼の反逆が始まる

 

「窮地に立たされて、ここで巻き返すか・・・なかなかカッコいいじゃないか!」

 

「五月蠅い!!

 俺たちはどんなに追い込まれても、そこから立ち上がり、最後には敵を圧倒し殲滅する!

 そして、奪われた仲間を・・・瑠璃を・・・必ず取り戻す!!

 俺はレベル4の鳥獣族モンスター、ミミクリー・レイニアス2体とファジー・レイニアスでオーバーレイ!!」

 

 鋼の鳥たちが混沌の中に飛び込む、その混沌の奥から聞こえてくるのは甲高い怪鳥音

 

「雌伏のハヤブサよ、逆境の中で研ぎ澄まされし爪を上げ、反逆の翼!翻せ!!」

 

 闇夜の中で鈍く光る鋼鉄の爪、隼の怒りを体現したように赤く光る目

 

「エクシーズ召喚!現れろぉぉぉ!!RR(レイド・ラプターズ)―ライズ・ファルコン!!」

 

 夜空に舞う4枚の翼を持った鋼の怪鳥、ライズ・ファルコンはマルコを威嚇するようにけたたましく鳴き声を上げる

 

ライズ・ファルコン「キュオオオオォォォォォォォォォ!!」

         ATK100 ORU3

 

「攻撃力100・・・厄介な効果を持っていそうだね。」

 

「ライズ・ファルコンの効果発動

 1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除き、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力を自らの攻撃力に加える!」

 

 オーバーレイユニットを取り込んだ、ライズ・ファルコンが全身の噴出孔から炎を掃出し身に纏う

 その様はまるで火の鳥だ

 

 ライズ・ファルコン ORU3→2

           ATK100→2450

 

「行け!ライズ・ファルコン!!

 異星の最終戦士に攻撃!ブレイブクロー・レボリューション!!」

 

「おっと、そう簡単に通さないよ!

 僕の手札がないときに相手が攻撃してきた時、デュエル中に1度だけ、墓地のタスケナイトを特殊召喚する事でバトルフェイズを強制終了させる!」

 

タスケナイト「タスケー!!」

      ATK1700

 

 異星の最終戦士にライズ・ファルコンの届く寸前、赤い重厚な鎧を着た戦士が張り手でライズ・ファルコンを弾き飛ばす

 モンスター効果を無効にしたのを利用したのか!?

 

「くっ!?俺は墓地のミミクリー・レイニアスの効果を発動

 このカードが墓地に送られたターン、このカードを除外することでデッキからRR(レイド・ラプターズ)カードを1枚手札に加える

 俺はデッキからRR(レイド・ラプターズ)―ブースター・ストリクスを手札に加え、ターンエンドだ!!」

 

「僕のターン、ドロー

 僕は墓地のトラップカード、スキル・サクセサーを除外し効果を発動

 異星の最終戦士の攻撃力をエンドフェイズまで800ポイントアップさせる。」

 

 異星の最終戦士 ATK2350→3150

 

「バトルだよ!行け、異星の最終戦士!ライズ・ファルコンに攻撃だ!」

 

「させるかー!!

 手札のRR(レイド・ラプターズ)―ブースター・ストリクスの効果発動

 相手がRR(レイド・ラプターズ)モンスターを攻撃対象にしたとき、手札のこのカードを除外することで、その攻撃モンスターを破壊する!!」

 

 異星の最終戦士がライズ・ファルコンに向かっていくが、ライズ・ファルコンはブースターを全力で噴かせ、体当たりを仕掛ける

 

異星の最終戦士「グワアアアァァァァァァァ!!」――バンッ!!

 

「ふっ、なかなかやるじゃないか・・・

 でも、君に負けられない理由が有るように、僕には生徒達を守る義務がある

 だから、君たちの様な危険なデュエルをする人間を見逃すわけにはいかない」

 

 切れ長の目が俺たちを見つめてくる

 ふざけた奴だと思っていたが、根は生徒思いのいい人物の様だ

 そんな人物を今、危険に晒しているのは心苦しいが・・・

 

「メインフェイズ2、僕はレベル4の戦士族、タスケナイトとライトロード・モンク エイリンでオーバーレイ!」

 

「「何!?」」

 

「来い!僕の新たなヒーロー!エクシーズ召喚!CH(コミックヒーロー)キング・アーサー!!」

 

キング・アーサー「うおおおぉぉぉぉ!はっ!!」

        DEF1200 ORU2

 

 大剣を地面に突き刺し、仁王立ちで立つ黄金と白の鎧で包まれた巨大で屈強な戦士

 この男、融合だけではなくエクシーズも使うのか!?

 

「何を驚いているんだい?

 僕はLDSの講師、専門は融合だけど、エクシーズ使いの講師とも交流があるんだよ

 僕はこれでターンエンド」

 

「ちっ!いちいち忌々しい奴だ

 俺のターン、ドロー

 俺はライズ・ファルコンの効果を発動し、キング・アーサーの攻撃力をライズ・ファルコンに加える。」

 

 ライズ・ファルコン ORU2→1

          ATK2450→4850

 

「墓地に送られたミミクリー・レイニアスを除外しデッキからRR(レイド・ラプターズ)―シンギング・レイニアスを手札に加える。

 そして、自分フィールド上にエクシーズモンスターが居ることによって、1ターンに1度だけ、こいつは特殊召喚出来る。」

 

 シンギング・レイニアス DEF100

 

「そして、フィールド上にRR(レイド・ラプターズ)が2体以上いることによって、RR(レイド・ラプターズ)―ネストの効果発動

 デッキからRR(レイド・ラプターズ)―ペイン・レイニアスを手札に加え、シンギング・レイニアスを対象にして、ぐぅ・・・特殊召喚する。」

 LP1150→1050

 

 ペイン・レイニアス DEF100

           LV1→4

 

「そして、レベル4のシンギング・レイニアスとペイン・レイニアスでオーバーレイ!

 冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実をあばき、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!

 飛来せよ!ランク4!フォース・ストリクス!!」

 

フォース・ストリクス「クルルル!」

          ATK100→600

          DEF2000→2500

 

 機械の様な梟、その攻撃力は自身の効果で増加しても低いが次々と仲間を呼び出す、隼のデッキのエンジンともいえるモンスターだ

 

「フォース・ストリクスは自分フィールド上の自身以外の鳥獣族モンスター1体に付き、攻撃力、守備力を500アップさせる。

 そして、1ターンに1度、オーバーレイユニットを使うことで、デッキから闇属性、鳥獣族、レベル4モンスターを1体手札に加える。

 俺はデッキからRR(レイド・ラプターズ)―バニシング・レイニアスを手札に加える。」

 

 フォース・ストリクス ORU2→1

 

「俺のフィールド上にエクシーズモンスターが2体以上居ることにより、マジックカード、エクシーズ・ギフトを発動

 自分フィールド上のオーバーレイユニットを2つ取り除き、デッキから2枚ドローする

 さらに墓地に送られたファジー・レイニアスの効果によってデッキからファジー・レイニアスを手札に加える。」

 

 フォース・ストリクス ORU1→0

 ライズ・ファルコン  ORU1→0

 

「俺はRR(レイド・ラプターズ)-バニシング・レイニアスを召喚

 そして、効果を発動する!

 このモンスターが召喚、特殊召喚されたターンのメインフェイズに1度だけ、手札のレベル4以下のRR(レイド・ラプターズ)モンスターを特殊召喚する

 俺はもう1体のバニシング・レイニアスを特殊召喚し、さらに自分フィールド上に他のRR(レイド・ラプターズ)が居ることによりファジー・レイニアスを自身の効果により特殊召喚」

 

 バニシング・レイニアス ATK1300

 バニシング・レイニアス DEF1600

 ファジー・レイニアス  DEF1500

 

「俺はレベル4のバニシング・レイニアスとファジー・レイニアスでオーバーレイ

 飛翔せよ!ランク4、RR(レイド・ラプターズ)―フォース・ストリクス!

 そして効果によって、デッキからRR(レイド・ラプターズ)―ナパーム・ドラゴニアスを手札に加え、バニシング・レイニアスの効果で特殊召喚!」

 

 フォース・ストリクス  ATK600→2100

             DEF2500→4000

 フォース・ストリクス  ATK100→2100

             DEF2000→4000

             ORU2→1

 ナパーム・ドラゴニアス DEF1000

 

「ナパーム・ドラゴニアスは1ターンに1度、メインフェイズに相手に600ポイントのダメージを与える!」

 

「ぐはっ!!これは・・・なかなか、キツイね・・・」

 LP4000→3400

 

 ナパーム・ドラゴニアスが発射した火球がマルコを傷つける

 見た目の割に威力は低いのか、彼の服を焼くに留まるが、それでも恐ろしいだろう

 未知の力で傷つけられるのは・・・

 

「まだだ!レベル4のバニシング・レイニアスとナパーム・ドラゴニアスをオーバーレイ

 エクシーズ召喚!飛翔せよ!ランク4、フォース・ストリクス!」

 

 フォース・ストリクス ATK100→1600

            DEF2000→3500

            ORU2

 フォース・ストリクス ATK2100→1600

            DEF4000→3500

 フォース・ストリクス ATK2100→1600

            DEF4000→3500

 

「ワオォ・・・1ターンに3体もエクシーズモンスターを出すか・・・やるね。」

 

 あの男、この状況でまだ目が死んでいない・・・楽しんでいるのか!?

 怖くはないのか!傷つくことが!?恐ろしくはないのか!痛みが!?

 

「これで終わりだ!行け!フォース・ストリクス!

 キング・アーサーに攻撃だ!!」

 

「キング・アーサーの効果発動、戦闘破壊されるとき、オーバーレイユニットを身代りにすることが出来る

 そして、この効果でオーバーレイユニットが取り除かれた時、このカードの攻撃力を500ポイントアップさせ、相手に500ポイントのダメージを与える!」

 

キング・アーサー「ウオオオォォォォ!!ティアァァァ!!」

        ORU2→1

        DEF1200

        ATK2400→2900

 

「何!?ぐはっ!!」

 LP1050→550

 

 キング・アーサーの剣が襲い掛かってきたフォース・ストリクスを弾き飛ばし、風圧が隼を傷つける

 この状況で反撃しただと!?

 

「ぐぅ・・・小癪な手を・・・だが、俺のライフはまだ残っている!

 フォース・ストリクス2体でキング・アーサーに攻撃!」

 

 キング・アーサーは2体目のフォース・ストリクスの攻撃を1体目と同じように剣で捌くが素早く回り込んだ3体目の攻撃は長剣で捌くことは出来ず、破壊される

 

キング・アーサー「ぐっ!?ぐおおぉぉぁああぁぁぁぁ!!」――バンッ!!

        ORU1→0

        DEF1200

        ATK2900→3400

 

「ぐうぅぅ・・・これでお前を守るモンスターはいない・・・

 行け!ライズ・ファルコン!!敵を引き裂け!!ブレイブクロー・レボリューション!!」

 LP550→50

 

ライズ・ファルコン「キュオオオォォォォォォォォ!!」

 

 まずい!!攻撃力4850のライズ・ファルコンの直接攻撃を受けたら彼が!?

 

「させないよ!トラップカード発動!!ピンポイント・ガード!

 相手モンスターの攻撃宣言時、自分の墓地のレベル4以下のモンスターを1体特殊召喚するよ!

 さぁ!出番だよ!ダーク・ヒーロー ゾンバイア!!」

 

ゾンバイア「はっ!!」

     DE500

 

「そんなモンスター壁程度で何が出来る!!」

 

「ピンポイント・ガードで呼び出したモンスターはこのターン、戦闘と効果で破壊されない」

 

 ゾンバイアは迫り来るライズ・ファルコンの爪を華麗に躱す

 まるで、昔見ていた特撮の一場面の様だ・・・

 

「ちっ!しぶとい奴め

 俺はフォース・ストリクスの効果でデッキからRR(レイド・ラプターズ)―ラスト・ストリクスを手札に加え、カードを1枚伏せターンエンドだ」

 

「ふふ、ピンチに駆けつけるヒーロー、どうだ、かっこいいだろ?」

 

「恰好いいだと・・・そんなふざけたことを言って、俺を馬鹿にしているのか!!」

 

「僕にとってはそんなことじゃないさ

 昔、僕はあるデュエリストにぼろ負けしていてね

 何度、挑んでも勝てなかった・・・悔しくてたまらなかった、カッコ悪くて挫けそうになった

 でも、諦めず何度も立ち上がる僕の事を皆、言ってくれたんだ『かっこいいよ』って

 だから、僕はデュエルでカッコ悪い姿なんて見せられない、見せたくないのさ

 講師になった今ならなおさらね・・・」

 

 伝わる、彼のデュエルに対する信念が・・・情熱が

 なぜ、この世界のデュエリストたちはこうも・・・

 俺たちが失ってしまったモノを・・・奪われたものを持っているのだろう・・・

 

「・・・・・・」

 

「僕のターンだ、ドロー

 僕はマジックカード、融合回収を発動

 墓地の融合素材モンスター、魔力吸収球体と融合を手札に加えるよ

 そして、融合発動、手札の魔力吸収球体とフィールドのゾンバイアを融合!

 融合召喚!再び立ち上がれ!!異星の最終戦士!!」

 

異星の最終戦士「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

       ATK2350

 

 再び現れる黄金の戦士

 異星の最終戦士でフォース・ストリクスを攻撃されれば、ライフが150しかない隼は・・・

 

「バトル!行け!異星の最終戦士でフォース・ストリクスを攻撃!!」

 

「トラップ発動、針虫の巣窟!

 自分のデッキから5枚のカードを墓地に送る。

 そして、墓地のRR(レイド・ラプターズ)―レディネスを除外することでこのターンのダメージを0にする!!」

 

 再び隼を守る風の壁、異星の最終戦士の拳は弾き飛ばされる

 

「君も人のことが言えないくらい、しぶといじゃないか

 僕はマジックカード、おろかな埋葬を発動し、デッキからシールド・ウォリアーを墓地に送ってターンエンドだ。」

 

 このターンはしのいだが、隼のデッキは後3枚

 それにさっき、墓地に送られたモンスターは・・・

 

「俺は・・・俺は・・・・負けられないんだー!!

 俺のタアアァァァァン!ドロオオォォォォ!!

 俺はマジックカード、オーバーレイ・リジェネレートを発動しこのカードをライズ・ファルコンのオーバーレイユニットにする!!」

 

「オーバーレイユニットの補充カードだって!?」

 

「ライズ・ファルコンの効果発動!

 オーバーレイユニットを1つ使い、異星の最終戦士の攻撃力をこのカードに加える!!」

 

ライズ・ファルコン「キュオオオオォォォォォォォォォ!!」

         ATK4850→7200 ORU0→1→0

 

 再び炎を纏うライズ・ファルコンその大きさは最初の比ではない

 

「ははっ、参ったね、これは」

 

「行け、ライズ・ファルコン!!

 今度こそ敵を引き裂け!ブレイブクロー・レボリューション!!」

 

「墓地のシールド・ウォリアーを除外して効果発動

 この戦闘で異星の最終戦士は破壊されないよ・・・ぐわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 LP3500→0

 

 ライズ・ファルコンの炎を纏わせた爪が異星の最終戦士を引き裂こうとしたが、黄金の戦士はその爪を受け止めた

 しかし、ライズ・ファルコンの纏っていた炎がマルコへと降り注ぎ、吹き飛ばされた

 

「大丈夫か!!?」

 

 俺は彼を助け起こす、着ていたフリル付きのシャツはボロボロで見る影もない

 隼も足を引きずるようにして近づいてくる

 まさか、カードにするつもりか!?

 

「待て、隼!!カードにするのは」

 

「何故だ・・・」

 

「えっ?」

 

「何故、負けるのが分っていながらシールド・ウォリアーの効果を発動させた・・・」

 

「ふふ、死してなお倒れなかったヒーロー・・・って・・・カッコよく・・ない・・かい・・・?」

 

「ふっ・・・どこまでも・・・ふざけた奴だ・・あ・・・・」

 

 2人はそう言葉を交わすと、気絶してしまった

 無理もない、ダメージだけでライフはギリギリまで削られていたのだから

 

「おい、隼!!しっかりしろ!隼!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「うぅ・・・あっ・・・・」

 

 差し込む日の明かりによって俺は目を覚ます

 ここはどこだ?病室か?

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 ユートが椅子に座りながら寝ている

 俺は昨日、LDSの講師だという奴と戦って・・・その後どうなった?

 

「目が覚めたようだな」

 

 突如かけられた声、振り向くとそこには銀髪に赤いメガネを掛けた俺と同い年ぐらいの男が立っていた

 

「キサマは?」

 

「赤馬 零児、レオ・コーポレーションの現社長だ。」

 

 赤馬・・・赤馬だと!?

 

「キサマが赤馬零児!!赤馬零王の息子か!?

 この時を待っていた!俺とデュエルをしろ!!」

 

「ほう、私とデュエルをして、どうするつもりなのかね?」

 

「キサマを人質にして、瑠璃を取り戻す!

 実の息子との交換なら、赤馬零王も決してノーとは言わないはずだからな!

 さぁ、来ぐうぅぅ!?」

 

 傍らに置いてあったてあったデュエルディスクに手を伸ばそうとするが、起きていたユートが突然、俺の腹に拳を叩き込んできた

 

「ユート・・・な、に・・を・・・?」

 

「落ち着け隼、彼は敵ではない・・・」

 

「ぐぅ・・・」

 

 俺の意識はまた暗転する

 ユート・・・止めるだけなら、もう少し手加減をしてくれ・・・




マルコ先生!!

やあ、真澄ちゃん 
心配してくれるのは嬉しいけど、病院で大声出しちゃだめだよ?

す、すいません・・・

まったく、真澄にも困ったものだね

だな、面会時間始まって、すぐこれだもんな~

あはは
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『ジュニアユース選手権』
彼は僕とのデュエル、楽しんでくれたかな・・・


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ジュニアユース選手権

何気に零児がユートに接触したことがない事実
デュエルなしの説明回です
にしても社長、3年も準備して現時点でメンバーゼロって、ちょっとイケてないんじゃな~い?


「へぇ~社長が直接出張ってきたのか、珍しいじゃねか」

 

「そうですね。

 あの人は僕のデータでも、人前にはほとんど出たことがない筈です。」

 

「ペンデュラムカードの試験運転だったんじゃないか?

 真っ先に自分の使っているテーマのカード作るなんて、良い御身分だよな~」

 

 平日の昼休み

 俺はいつものように屋上で柚子と権現坂と食べていたら、沢渡たちが来て一緒に食べることになった、さすがに10人もいると狭く感じるな

 

「お前が言えたことかよ・・・で、勝敗はどうなったんだよ?」

 

「それがね~なんだか向こう側で、トラブルが起きたみたいで無効試合になっちゃったの」

 

「うむ、あれは惜しかったな

 相手側も不満気であったようだし・・・」

 

「あっ!それって、あれじゃね?例のLDS狩り」

 

「おそらくそれですね、なんでも今度は講師の人が襲われたそうです」

 

「うん、融合コースのせんせーが一人、入院したってメールが来ました。」

 

 融合コースの先生・・・あのキラキラした人か

 となるとやったのはクロワッサン・・・じゃなかった黒咲か

 でも、行方不明じゃなくて入院?カードにならずにすんだのか?

 

「沢渡さんを襲ったあの、ユートって奴っすかね?」

 

「いや、あいつはぜってぇ、もうしねぇよ。」

 

 沢渡がユートを擁護している?あの倉庫でいったい何があったんだ?

 

「だったら誰がやったんだろうな・・・」

 

「レオ・コーポレーションの対抗企業じゃないか?

 なんでも、あっちこっちで買収をしているらしいし、LDS狩りの噂を手に入れた連中が模倣して事件を起こしたんじゃないか?」

 

「なるほど!さすが遊矢先生、それならつじつまが合いますね!」

 

 まぁ、十中八九ぐらいは違うとは思うが、カード化していないと言うならその可能性があるかもしれない

 

「まったく、世間騒がせな奴だぜ・・・

 そういえば、榊遊矢、お前はジュニアユース選手権、出るのかよ?」

 

「あ~そういえば、もうそんな時期だったか・・・沢渡たちはどうなんだよ?」

 

「もちろん、俺は出るぜ!

 他の奴らは出れないみたいだがな」

 

「む?黒門たちも出れないのか?

 1年生でも確か、6抜きすれば出場権の獲得が出来たはずだが?」

 

 権現坂がもっともな質問をしている

 ただのビートデッキが多いこの世界で、6抜き程度なら何とかなるだろう

 苦笑いしている黒門たちの反応からして、何か理由が有るようだが

 

「いや~俺たち、確かに6抜きはしたんすっけど・・・」

 

「ユースクラスの人でして・・・」

 

「ジュニアユース選手権の出場権が手に入らなかったんですぅ・・・」

 

 それは逆にすごいんじゃないのか?

 

「えぇ~ユースの人に6連勝したのに出場できないの?」

 

「そうなんっすよ~しかも、俺たちやり過ぎて他のジュニアユースの奴らがビビっちまって」

 

「沢渡さん以外とは2回ぐらいしかデュエルしたことがないんですよね・・・」

 

 まぁ、大会出場に数稼ぎで弱い相手と戦うわけにはいかないか・・・相手が不憫だ

 

「で、お前はどうなんだよ?榊遊矢」

 

「俺な~・・・」

 

 ぶっちゃっけ、プロとか興味がないし、プロダクション契約したら使用カードに制限掛かるだろうしな~増Gとか

 アウトローで大会荒らしをしただけでも、結構稼げてるし、個人的には出る必要ないんだよな、個人的には

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「改めて、名のろう

 私は赤馬零児、現レオ・コーポレーション社長だ。」

 

「ふん、で、ユートが言った貴様が敵ではないとはどういう事だ?」

 

 エクシーズ次元のデュエリスト『黒咲 隼』

 彼が意識を回復させた矢先に、彼の仲間が再び気絶させてしまうというアクシデントがあったが、これで何とか話を前へ進められる

 

「私は3年前、偶然融合次元へと渡り、そこで奴が各次元へと侵略行為を企てていることを知った。

 止める暇、いや、奴は私の言葉など聞きもせず、私はこのスタンダード次元へと強制的に送り返された。

 私は奴の野望を打ち砕くため、この世界を救うため、準備を整えて来た。

 つまり、我々は共通の敵と戦っているということだ。」

 

「隼、彼の言葉に嘘はない、信じてくれ・・・」

 

「ふん!あんな、馬鹿を囲っているような奴が敵だなんだと信じられるか

 赤馬零児、キサマの言葉、信じてやる。」

 

 ふむ、頑固で融通が利かないと聞いたが予想に反し、素直に聞き入れてくれたようだ

 

「で、お前は奴が次元侵略をしている理由を知っているのか?」

 

 いきなり本題か・・・すでに、大まかなことは彼の仲間が話したと思っての事だろう

 残念ながら、その質問には私は答えられないが・・・

 

「いや、それは私も分らない。

 だが、奴の使っていたパソコンのデータを修復したところ、気になる物があった。

 まずは、これを見てくれ」

 

――パチンッ!

 

 私が指を鳴らすと部屋の明かりが消され、ディスプレイが表示される

 そこに写っていたのは、昨日、遊勝塾にいた少女『柊 柚子』の写真

 

「瑠璃!?瑠璃なのか!?キサマ!!なぜ、瑠璃の写真を持ってグフゥ!?」

 

「落ち着け隼、彼女は瑠璃ではない。」

 

 また殴った・・・

 確かに興奮した彼と会話をするのは難しいとは思うが、落ち着かせるのに殴る必要はあるのか?

 また気絶されると、困るのだが

 

「ぐうぅ・・・瑠璃ではないとは、どういう事だ?」

 

「彼が言ったように、この画像の少女は君の妹『黒咲 瑠璃』ではない

 彼女は『柊 柚子』れっきとした、この世界の住人だ。」

 

「何?確かに髪色や、瞳の色が違うが・・・」

 

「あぁ、俺も驚いた。

 俺は彼女と直接会ったことがあるが、まるで生き写しの様に顔がそっくりだった。」

 

 やはりか・・・

 

「そして、これは赤馬零王のパソコンデータを復元した際に現れた『リバイバル・ゼロ』と名の打たれたファイルに入っていた2枚の画像の1枚だ。」

 

 柊柚子の隣に映し出される1枚の画像、それは青い髪を黄色いリボンで止めた幼い少女の写真

 

「何!?」

 

「また、瑠璃にそっくりだ・・・・」

 

 彼らが驚くのは無理もないだろう

 その少女は幼くはあれど、髪型や瞳の色以外では柊柚子にそっくり、いや、彼らにしてみれば黒咲瑠璃と同じ顔をしているのだから

 

「彼女は『セレナ』私が3年前、アカデミアで出会った融合次元の住人だ。」

 

「融合次元の!?」

 

「そう、彼女は赤馬零王から最も目を付けられているデュエリストだった。」

 

 思い出すのは、先陣を切らせろ、自由にしろと暴れるセレナに言い放った言葉

 

≪セレナ、君がどこへ逃げようと私は君は捜し出す。

 そして、絶対に連れ戻す、絶対にだ!!≫

 

 私に対して淡々としていたあの男が、セレナに対してだけは感情的になった

 それが何を意味するのかは分からない

 だが、セレナにそっくりだという黒咲瑠璃がカードにされずに攫われた

 彼女たちが、奴の野望の鍵となる存在であることは間違いないだろう

 そして・・・

 

「彼女の画像と共に入っていたもう1つの画像がこれだ。」

 

「なっ!?」

 

「今度は、ユートによく似ているな・・・」

 

 映し出されるのは紫の髪の少年

 髪色も髪型も目の色も眉の形も違うが、パッと見、目の前の少年ユートに似ている

 

「こいつは・・・瑠璃を攫ったアカデミアのデュエリスト!!」

 

「何!?それは本当か!!」

 

「あぁ、暗がりでフードを被っていたが間違いない、こいつだ!!」

 

 やはり、彼らに情報を渡して正解だった

 この写真の少年がアカデミアに属している情報を得られた

 

 だが、同時に新たな疑問が浮かぶ

 なぜ、ユートを連れて行かずに瑠璃だけ攫ったのかだ

 セレナにあれ程執着していたのに、ユートには執着がない

 と言うことはセレナが関わる奴の計画とは別の理由が、この少年には有る筈だ

 

「なるほど、3つの次元に同じ顔を持つ少女が居て、同じく3つの次元に同じ顔を持つ少年が居るというわけか・・・」

 

「3つ?この次元には瑠璃と同じように、ユートによく似た奴もいるのか?」

 

 私の呟きに黒咲が反応したので、画像を切り替える

 同時に彼に対する異常性も他次元の人間から見てどう映るか知りたい

 

「彼の名前は榊 遊矢

 市内の中学に通う、学生だ。

 ただ、彼は裏で大会荒らしをしており、そのすべてでほぼ優勝と言う鬼才のデュエリストでもある。」

 

「確かにユートと似ている。」

 

「大会荒らし・・・7年も前からやっているのか?」

 

 一緒に表示させた彼の出場記録に困惑するユート

 自分と同じ顔の人間が、誘拐犯や大会荒らしなどと異常な経歴を持っていたら当然か

 

「そうだ。

 そして、彼は5つの召喚法を自在に操るデュエリストでもある。」

 

「5つの召喚法?エクシーズ、シンクロ、融合の3つではないのか?」

 

「いや、隼、儀式を忘れているぞ

 だが、それでも4つだ、あと一つはなんだ?」

 

 ふむ、エクシーズ次元でも儀式召喚はあるのか・・・

 だが、この反応から推測するにペンデュラム召喚は存在しない、この世界独自のものと言う事か

 

「ペンデュラム召喚

 彼が独自に編み出し、世に知らしめた、まったく未知の召喚法だ

 彼はこの5つの召喚法と実戦的なタクティクスを持って、私すらも翻弄した。」

 

 次に表示されるのは、昨日の私とのデュエル

 管制室に問い合わせたところ、彼が5つの召喚法を使った際、まるで互いを高め合うかのように召喚エネルギーが増大し、計器が異常をきたす問題が発生したようだ

 マルコと彼がデュエルした場所から動いていなかったのにもかかわらず、発見が遅れたのもそれが原因だ

 

≪儀式召喚!大地の力宿る戒めの竜、オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン!!≫

 

≪シンクロ召喚!星紡ぐ戦の竜、オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン!≫

 

≪エクシーズ召喚!全てを凍てつかせる永久の竜、オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン!≫

 

≪揺れろペンデュラム、異界へ繋がる扉を開け!ペンデュラム召喚!

 現れろ!レベル4慧眼の魔術師、EM(エンタメイト)ドクロバット・ジョーカー、レベル6EM(エンタメイト)マンモスプラッシュ、そしてレベル7、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!≫

 

≪融合召喚!雷の力帯し竜、オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン!≫  

 

「こ、これは・・・」

 

「この次元のデュエリストは、みんなこれほどの使い手なのか?」

 

「いや、彼は特別だ

 2、3組み合わせて使う者はいるが1ターンで5つの召喚法を連続使用するものなどいない

 もっとも、ペンデュラム召喚自体も現状、彼ぐらいしか使い手がいないが・・・」

 

 私もペンデュラムカードを手に入れたが、実質の失敗に終わってしまった

 散見するEM(エンタメイト)ペンデュラムモンスターも表立って使用するものは少なく

 また、ペンデュラム召喚自体を理解できていないものもいるのがこの世界の実情だ

 

「元々、この世界には融合も、シンクロも、エクシーズもなかった」

 

「そうなのか!?」

 

「スタンダードとアカデミアの奴らはそう呼んでいたが・・・」

 

「そうだ、全ての基礎となる中心の世界

 エクシーズ、融合もあるのだからシンクロ次元もあるのだろう

 儀式やペンデュラム次元の話は聞いたことはないか?」

 

「いや」

 

「奴らは倒されるとすぐに転送されてしまうので、ちゃんと話したことなどないからな

 だが、儀式は俺たちの世界にもあったから次元が別れてはいないのではないか?」

 

「ふむ、ペンデュラムも榊遊矢が発現させた召喚法だ

 おそらく、こちらも次元は別れていないだろう、となると次元は4つに分かれていることになるが・・・」

 

「つまり、シンクロ次元にもユートや瑠璃に似た人物がいると言いたいわけだな」

 

「うむ、おそらく赤馬零王はシンクロ次元の少女も狙っているはずだ。」

 

「だが、シンクロ次元のデュエリストは、もしかしたらアカデミアと手を組んでいるかもしれないぞ。」

 

「なに!?どういうことだ?」

 

「瑠璃を攫われてすぐのことだ。

 俺の前に白いバイクに乗ったデュエリストが現れた

 奴は自分のことを融合と名乗り、シンクロ召喚を使っていたからな

 アカデミアの手先とみて間違いないだろう。」

 

 なんという事だ・・・シンクロ次元はすでに赤馬零王の手に落ちていたという事か・・・

 

「奴らがシンクロ、エクシーズに既に侵攻しているのなら、このスタンダードに来るのも時間の問題だろう

 キサマは準備をしてきたと言うが、何か策はあるのか?」

 

「あぁ、私がLDSにおいて有力なデュエリストの発掘、育成にも力を注いできたのもそのため

 我々の世界を守り、赤馬零王と戦うための槍を育て上げるため

 その最終選抜として、あるデュエル大会を開催する予定だ。」

 

「デュエル大会?」

 

「そうだ、そこの上位者を集い、遊撃部隊を結成し、赤馬零王を叩く!」

 

「上位者か・・・彼はどうするんだ?」

 

 ユートが榊遊矢を指差す

 確かに彼が戦列に加われば、戦力は増大するだろう

 だが、彼は私が御せる存在ではないし、何を考えているのかもわからない危険な存在でもある

 奴の計画の鍵の一つであろう柊柚子をこちらに引き込んでしまえば、彼も付いてくる可能性があるが・・・

 

「開催する大会は元は、プロ試験大会の一つだ

 柊柚子はプロデュエリストになるのが目標の様だから参加するとは思うが、賞金が出ず、プロには興味がないらしい彼が出場する可能性は低いだろう。

 むしろ、柊柚子の防衛にあたってくれた方が」

 

――コン、コン

 

 ん?誰だ?

 

「失礼します、赤馬社長」

 

「ティオ、急にどうした。

 ここには急用以外は立ち入らないように言っていたはずだが?」

 

「いえ、それが・・・例の榊遊矢が舞網チャンピオンシップ・ジュニアユース選手権に参加を表明したらしく、すでに大会に参加申請していた者たちが出場辞退を訴えてきてまして・・・」

 

「何!?」

 

 榊遊矢!!一体君は何を考えているのだ!?




【表明】ジュニアユース選手権に参加してみた【マジ】

1.オッドアイズ・てんこ盛り・ドラゴンさん
 
 しちゃいました

2.伝説の釣り人さん

 なんやて!?

3.完璧な調理師さん

 それは本当かい?

4.カンフー・ファイターさん

 (゚Д゚)

5.アルカナフォースEX―THE PROPHETさん

 これも運命よ

6.月の忍者さん

 意外でござる

7.伝説の釣り人さん

 せやかて自分、プロには興味ないって言ってたやんか

8.オッドアイズ・てんこ盛り・ドラゴンさん

 >6 いや、うちの事務員が参加するらしいから、壁になってやろうかなって

9.完璧な調理師さん

 うわ~

10.伝説の釣り人さん

 これは荒れるで・・・

11.カンフー・ファイターさん

 \(`д´)ゝ

12.オッドアイズ・てんこ盛り・ドラゴンさん

 >11 はいはい、ちゃんと大会で相手してやるから待ってなさいって
 次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
 『新たな不動の境地』
 山で修行してきたって言っていたけど、デュエルと関係あるのか?


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新たなる不動の境地

お久しぶりです
最近予定が立て込んでいたり、プロットで効果がミスっていたので書き直したりといろいろありましたが、出来上がりました

アニメ本編は初めての真剣勝負回ですが、ここでは真剣勝負しかしてこなかった2人のいつものデュエルをお送りします


「ターンエンドでいいのかぁ?

 だったら、ウィジャ盤の効果発動、死のメッセージ「H」が置かれる

 これで、死の宣告は完成した・・・とんだ期待外れだったなぁ」

 

「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 闇が晴れる

 中から現れたのは恐怖で固まる青年と、俺の親友

 

「もうやめるのだ!遊矢!!こんなことをして何になる!!」

 

「そうよ!もうみんな分かったから!

 もう、あなたを誰も悪く言わないから!!」

 

「何になるか・・・別にただの憂さ晴らしだ、意味なんてないよ」

 

 『意味がない』その言葉に幼い俺は激昂した

 

「な、意味もなく人を傷つけるのか!?けしからーん!!

 遊矢!!その荒ぶった心!!俺が鎮めてやる!!」

 

「ちょ、ちょっと!?権現坂、何乗せられてるのよ!?」

 

「ふふふ、相変わらず乗せやすい・・・

 弱い奴ばかり相手するのも飽き飽きしてたところだ、お前との方が俺も楽しめる!!」

 

「「『決闘』!!」」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 あの後、俺は完膚なきまでに敗れた

 未熟さゆえ、心が乱れていたのは俺の方だったのだ

 

≪そうだ、いいぞ~もっとだ!もっと全力でぶつかってこい!!限界を超えて見せろ!!≫

 

 遊矢は現状に満足しない、常に高みへ、貪欲に進化を追い求めている

 

「昇、もう修行はよいのか?」

 

「親父殿」

 

「うぬの友はまるで修羅の様よの~

 一歩間違えば、すぐに道を踏み外す危ゆい存在」

 

「遊矢は、そんな軟弱者ではない」

 

「そうじゃの、あの者は道を違えることはないじゃろう

 街の悪意を一身に受けたときも、自らの力で全て払い潰してしまったんじゃから

 その悪意が別の者に行かぬようにの」

 

 そう、あの日、遊矢が街の人々を襲撃したのは、自らの力の誇示の為

 卑怯者の仲間などと俺たちに非難が行かぬように、悪意を力で抑えつけるため

 まるで、地獄の悪鬼を踏みつける明王の様に

 

 情けなかった

 あの日、父親の失踪で傷ついた遊矢を守ろうと思った俺が、逆に守られる側の存在だったなど

 

「道を違えず、力に溺れず、研鑽を怠らず、疎まれ恐れられても動じず

 あれもまた、一つの不動のカタチ

 昇よ、おぬしはあの者の生き方にどう応えるのかの?」

 

 俺は自らのデッキを見る

 共に研鑽を積み、磨き上げた俺のデッキを

 そう、全ての答えはこの中にある!!

 

「俺は俺の道を示すのみ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 初夏の日差しが強くなってきた日曜日

 塾も休みでゆっくりしようかと思っていたら、権現坂から修行の成果を見てほしいと言われ権現坂道場へ足を伸ばした

 普段は権現坂の方が遊勝塾へ来ることの方が多いので久しぶりだ

 

「ねぇねぇ、そのジュニアユース選手権って何?」

 

 一緒に暮らしている関係上、付いてきてしまった素良が最近話題になっているジュニアユース選手権の事について聞いてくる

 興味を持たれてしまったか・・・

 

「あ~まぁ、プロ資格を得るための試験大会の一つだよ

 プロダクション側がスカウトしてプロになる場合もあるけど、一般的にはクラス選手権を勝ち抜いてプロ試験資格を得るのが多いな」

 

「ふぅ~ん、それって誰でも出られるの?」

 

「いや、年間デュエル回数50以上で勝率6割以上、または負けなし6連勝で出場可能だ

 ジュニアクラス出場資格者持ちだったという規定もあったはずだけど

 まぁ、有って無いようなものだ、そこはペーパー試験でパスしても行けるし」

 

「へぇ~でも、それって勝率維持の方がきつくない?」

 

「まぁな、あの大会、誰と戦って6連勝したとか関係ないから、たまに滅茶苦茶弱いのが出場していることがあるんだよな~

 盤外戦術でズルして出場したのとかも出ているし」

 

 何故、誰と戦ってとか、どういう内容でとか、考慮しないんだろうねぇ~

 まぁ、そういう輩は1回戦で瞬殺されるんだが・・・

 

「その選手権って、遊矢も出るの?」

 

「あぁ、俺はプロには興味ないが、柚子や権現坂、その他、知り合いが出るみたいだからな

 顔合わせ程度に出てみるよ

 素良はどうする?今から、6連戦したら出場資格貰えるかもしれないぞ?」

 

「ん~僕はいいや

 弱い人とで6連勝しても何にも楽しくないし・・・」

 

 意外だ、原作じゃ出場資格を得るのに駄々をこねて6戦して出場したのに

 こちらに来ているエクシーズ組の動きがいまいち分らないが、素良が融合次元の人間だとばれることがなくなった?

 いや、そもそも黒咲が大会に出場するかもまだ分らないけど

 

「それに遊矢も出ている大会に僕まで出場しちゃったら、柚子が可哀そうだし・・・」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「何でもない、あっ!着いたみたいだね」

 

 顔を上げてみると、目の前に現れたのは立派な道場

 う~ん、いつもながらでかいな、ここは

 

 権現坂道場は門下生は梁山泊塾には及ばないものの、それなりの人数を抱えているデュエル道場だ

 守備系で戦い方は地味だがアクションカードを使わないスタイルは、技巧と精神力を求められ、コアな人気がある

 他にも、事情で激しく体が動かせない人が入塾してきたりもするらしい

 アクションデュエルが普及してしまったことの地味な弊害の1つだな

 デュエルは世界中の誰でもが楽しめるゲームであることがペガサス会長や海馬社長の理想だったのに

 

「待ちかねたぞ、遊矢!!」

 

 門を開け中に入ると、権現坂が仁王立ちで待ち構えていた

 連絡してきてからずっとここで立っていたのか?

 

「よぉ、権現坂

 もう山から登下校する生活は終わったのか?」

 

「うむ、帰る途中で熊3匹に襲われたが、返り討ちにしてやったわ!」

 

 熊を3頭伏せてターンエンド!って、人間業じゃないな

 こいつはどこに向かっているんだ?

 滝ドローくらいなら、他にもやっている連中を見たことがあるが

 

「さぁ!早速始めようではないか、遊矢!!」

 

「あぁ、お前の新しい力、見せてもらおうか!!」

 

「おう!親父殿、頼む!!」

 

「うむ!いざ!アクションフィールドオン!!

 フィールド魔法、剣の墓場、発動!!」

 

 道場に光が満ち、暗雲立ち込める無数の剣が突き刺さった古戦場へと変わる

 このフィールドを選んだということは

 

「俺の新たな不動の境地を見出すきっかけをくれた刃殿に報いこのフィールドを選ばせてもらった!

 覚悟しろ、遊矢!!」

 

 やれやれ、俺もあの場に居たんだから、そんなことを言ったら新戦術がバレバレじゃないか

 

「そういうのは、お披露目してから言うものだぞ?

 まぁ、俺には関係ないがな」

 

「そう言ってられるのも今の内だ」

 

「「『決闘(デュエル)』!!」」

 

「先攻は俺が貰う

 俺は超重武者ダイ―8を召喚」

 

ダイ―8 ATK1200→DEF1800

 

「ダイ―8は召喚、特殊召喚に成功した時、このカードの表示形式を変更できる。

 さらに自分の墓地に魔法、トラップカードがない場合、このカードを表側守備表示から攻撃表示に変更することでデッキから超重武者装留を手札に加える。

 俺は超重武者装留チュウサイを手札に加え、ダイ―8に装備する。」

 

ダイ―8 DEF1800→ATK1200

 

「そして、チュウサイを装備しているダイ―8をリリースすることでデッキから超重武者を特殊召喚する。

 俺は超重武者ビックベン―Kを守備表示で特殊召喚」

 

ビックベン―K「フン!!」

       DEF3500

 

「さぁ、遊矢よ!全力でかかって来るがいい!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 うわ~権ちゃん、気合十分だね

 モンスター1体だけ出してターンエンドだけど、フルモンデッキなら手札誘発で迎え撃つ気満々ってことだよね

 さぁて、遊矢はどう動くかな?

 

「俺のターン、ドロー

 折角のこのフィールドだ、あの技を試してみようか、なっ!!」

 

 遊矢はいきなり、近くにあった刀を抜いて、一閃

 すると少し離れたところからアクションカードが剣圧で浮いてきた、あれって

 

「それは刃殿の!?」

 

「あぁ、なかなか便利そうだから、真似してみた

 さてと、まずはこのアクションカードを捨てて、魔法カード、スネーク・レイン発動

 デッキから爬虫類族モンスターを4体墓地に送る

 俺はデッキからイピリアとEM(エンタメイト)ウィップ・バイパー、EM(エンタメイト)パートナーガ、EM(エンタメイト)リザードローを墓地に送る。」

 

 爬虫類族のサポートカード?この前の5召喚デッキじゃない?

 いや、でもあのデッキの主力は攻撃力が3000より下だから相性的には微妙か

 となると、権ちゃんだけに対するメタ構成のデッキかな?

 

「さらに魔法カード、ヴァイパー・リボーンを発動

 墓地のモンスターが爬虫類族のみの場合、チューナー以外の爬虫類族モンスターを特殊召喚する。

 俺はイピリアを特殊召喚し効果発動

 こいつが召喚、特殊召喚、反転召喚に成功した時、1ターンに1度だけ、デッキから1枚ドローできる。」

 

 イピリア DEF500

 

 出て来たのは長い髭の様な物を生やした水色のトカゲ

 またドロー加速ギミックが多めに仕込まれたデッキ?何をドローする気なんだろう

 

「よしよし、俺はEM(エンタメイト)ドクロバット・ジョーカーを通常召喚」

 

ドクロバット・ジョーカー「ハハッ!」

            ATK1800

 

「ドクロバット・ジョーカーの召喚に成功したのでデッキからEM(エンタメイト)ギタートルを手札に加え、ペンデュラムゾーンにセッティング

 さらにEM(エンタメイト)リザードローをセットしてペンデュラム効果発動

 まずはギタートルの効果で1枚ドローして、続いてリザードローを破壊してもう1枚ドロー

 さらに俺のペンデュラムゾーンにカードが置かれてることにより、魔法カード、デュエリスト・アドベントを発動

 デッキからEM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャンを手札に加え、ペンデュラムゾーンにセッティング」

 

 古戦場に現れる2本の光の柱、これでペンデュラムスケールは2と6

 

「そう言えば、ペンデュラムを手に入れてから相手するのは初めてだったな、権現坂」

 

「そうだな。

 ならば俺もペンデュラム召喚の力、存分に見せてもらうとしよう。」

 

「オゥケーイ、存分に味わってくれ

 揺れろペンデュラム、異界へ繋がる扉を開け!ペンデュラム召喚!

 まずはエクストラデッキからレベル3、EM(エンタメイト)リザードロー、そして手札からレベル4、EM(エンタメイト)ブランコブラ、EM(エンタメイト)ウィップ・バイパー」

 

 リザードロー DEF600

 

ウィップ・バイパー「シャアアァァ!」

         ATK1700

 

ブランコブラ「シュウゥゥゥ!」

      ATK300

 

 遊矢が出したのは紳士服を着た赤いトカゲ、リザードロー

 シルクハットを被った紫のコブラ、ウィップ・ヴァイパー

 何処から釣り下がっているのか、ブランコに乗った黄色いコブラ、ブランコブラ、爬虫類族ばっかりだね

 遊矢のフィールドで唯一魔法使い族のドクロバット・ジョーカーが浮いちゃっているよ

 

「ペンデュラム・マジシャンのペンデュラム効果発動

 ペンデュラム召喚に成功した時、自分フィールド上のEMの攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイントアップさせる。」

 

 ウィップ・バイパー    ATK1700→2700

 ブランコブラ       ATK300→1300

 ドクロバッド・ジョーカー ATK1800→2800 

 リザードロー       DEF600

              ATK1200→2200

 

「ウィップ・バイパーの効果発動

 1ターンに1度、フィールド上のモンスターの攻守の数値を入れ替える。」

 

 ふ~ん、これでビックベン―Kの守備力を1000にして、ブランコブラで攻撃

 その後、ドクロバット・ジョーカーとウィップ・バイパーでダイレクトアタックで決まりか

 でも、手札誘発の多いデッキでそううまく行くかな?

 

「俺はブランコブラにこの効果を使う。」

 

 えっ!?

 

ブランコブラ「シャアアァァァァ!!」

      ATK300→1800

      DEF1800→300

 

「そして、ブランコブラはダイレクトアタックが出来る。」

 

「何!?」

 

「行け!ブランコブラで権現坂にダイレクトアタック!」

 

 乗っているブランコを器用に動かして、勢いよく飛びかかるブランコブラ

 牙の付いた大きな口で、権ちゃんの腕に噛みつく

 うわぁ、痛そ~

 

「ぐっ!?何のこれしき!!

 俺は手札の超重武者ココロガマ―Aの効果を発動する

 このカードは自分の墓地にマジック、トラップカードが存在せず、自分が戦闘ダメージを受けたとき、特殊召喚出来る。」

 LP4000→2200

 

 ココロガマ―A DEF2100

 

「さらにこの効果で特殊召喚したココロガマ―Aはこのターン、戦闘、効果では破壊されん」

 

 緑色の超重武者が現れ、武器を構える

 ダメージをトリガーにして展開してきた、権ちゃんもやるね

 

「ちょっと読み違えたかな?

 メインフェイズ2、俺はレベル4のブランコブラとウィップ・バイパーでオーバーレイ!

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚

 現れよ、キングレムリン!」

 

キングレムリン「グオオオオォォォ!!」

       ATK2300 ORU2

 

 遊矢が呼んだのはライオンの様な鬣がある人型の爬虫類族エクシーズモンスター

 王冠のようにも見える角や、胸に付けた宝玉は、その名の通り王様と言った感じだ

 

「キングレムリンの効果発動

 1ターンに1度、オーバーレイユニットを取り除いて、デッキから爬虫類族モンスターを1体手札に加える。

 俺が手札に加えるのはEM(エンタメイト)ウィップ・バイパー」

 

 キングレムリン ORU2→1

 

「カードを2枚伏せて、エンドフェイズ

 ヴァイパー・リボーンの効果で特殊召喚されたイピリアは破壊される。

 そして、自分フィールド上のモンスターが破壊されたターン、このカードを発動できる。

 速攻魔法、イリュージョン・バルーン」

 

 イピリアが爆発し煙に包まれると5つの風船が中から飛び出しくる

 デメリットを逆手にとって、カードの発動条件を満たしたんだ・・・

 

「俺はデッキから5枚のカードをめくり、その中からEM(エンタメイト)モンスターが居れば、その内1体を特殊召喚出来る。

 残りのカードはシャッフルされる、俺が引いたのはこの5枚」

 

 風船が割れ、5枚のカードが公開される

 一族の結束、EM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャン、EM(エンタメイト)パートナーガ、スネーク・レイン、毒蛇の供物

 種族サポートカードばっかり・・・ペンデュラムモンスターが墓地に行かない事を利用したデッキかな?

 

「俺はペンデュラム・マジシャンを特殊召喚して効果発動

 このカードとドクロバット・ジョーカーを破壊してデッキから、EM(エンタメイト)ブランコブラとリザードローを手札に加え、ターンエンドだ。」

 

 また、ブランコブラとウィップ・バイパーがそろった

 さっきの一族の結束があれば、攻撃力2600のダイレクトアタッカーになるのか・・・

 守備力がいくら高くても、これじゃ関係ないね

 守備表示でも攻撃可能なビックベン―Kが居るのにキングレムリンを攻撃表示で出しているし、完全に攻撃を誘っている

 狡猾な搦め手で攻める様は、まさに蛇の様だ

 

「うぬぅ~やはり一筋縄ではいかないか・・・」

 

「何度お前とデュエルしていると思っているんだ

 どうせモンスターを守るカード手札に持っているんだろ?

 見え透いた手を使ってないで、お前の修行の成果、早く見せてもらおうじゃないか」

 

「うむ、ではとくと見るがいい!ドロオオォォォォ!!」

 

 気合の篭った、権ちゃんのドローによって風がフィールドを駆け巡る

 すごっ!?でも、アクションカードも吹き飛ばしちゃったから、遊矢がちゃっかり手に入れちゃったけど

 

「素敵なプレゼント有難うよ。」

 

「ふん、礼には及ばん

 さぁ、見るがいい遊矢!これが俺が到達した新たな不動のデュエルだ!

 俺はレベル2のチューナーモンスター、超重武者ホラガ―Eを特殊召喚!!」

 

ホラガ―E「イー!!」

     DEF600

 

 権ちゃんが出したのは、超重武者にしては小柄で守備力も高くないモンスター

 でもチューナーモンスターって、まさか!?

 

「このモンスターは自分の墓地にマジック、トラップカードがない場合、手札から特殊召喚出来る。

 ただし、このターン俺は超重武者以外のモンスターの特殊召喚を行えない

 行くぞ!俺はレベル8の超重武者ビックベン―Kにレベル2機械族チューナー、超重武者ホラガ―Eをチューニング!」

 

――ボオォォォォ!!

 

 ホラガ―Eがその手に持つほら貝の様な装置を吹き鳴らすと、緑色の輪っかになってビックベン―Kを囲う

 

「荒ぶる神よ、千の刃の咆哮と共に、砂塵渦巻く戦場に現れよ!シンクロ召喚!!」

 

 ビックベン―Kが眩い光に包まれると、中から大薙刀を振るう大鬼のような機械の武者が現れ、ズシンっと胡坐をかき、座り込む

 本当にやっちゃったよ・・・

 

「いざ出陣!!レベル10!超重荒神スサノ―O!!」

 

スサノ―O「オオオオォォォォォ!!フンッ!!」

     DEF3800

 

「さらに、俺はチューナーモンスター、超重武者タマ―Cを通常召喚」

 

タマ―C「タマシー」

    ATK100

 

 現れたのは丸々とした体の小さめの超重武者

 遊矢も初見なのか、カードの効果を確認している

 

「また、チューナーか

 あ~言っておくが、ペンデュラムモンスターは墓地にはいかないから

 墓地のレベルを参照する、そいつの効果でシンクロモンスターは呼べないぞ?」

 

「むっ?そうなのか」

 

「除去ならできるが、どうする?」

 

 除去?シンクロモンスターを呼ぶ?何だか厄介な効果を持っているみたいだね

 

「いや、ここはタマ―Cの効果は使わないでおこう

 俺はレベル3の超重武者ココロガマ―Aにレベル2の超重武者タマ―Cをチューニング

 揺るがぬ心、その曇りなき刃に籠めよ!シンクロ召喚!

 出でよ!レベル5、超重剣聖ムサ―C!!」

 

ムサ―C「フンッ!!」

    DEF2300

 

 羽織の様な赤い装甲に二振りの刀を持った超重武者、ムサ―C

 気合の表れか、頭のまげの様な排気口から炎が轟々と燃えている

 

「ムサ―Cの効果発動、このモンスターがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地の機械族モンスターを1体選択し手札に戻すことが出来る。

 俺は超重武者ホラガ―Eを手札に戻し、ホラガ―E自身の効果で特殊召喚だ!」

 

ホラガ―E「イー!!」

     DEF600

 

 チューナーがまた!?

 本当に権ちゃんって、シンクロ召喚初挑戦!?

 

「俺はレベル5の機械族モンスター、超重剣聖ムサ―Cにレベル2の機械族チューナー、超重武者ホラガ―Eをチュー二ング

 速きこと風の如く!静かなること林の如し!音無く忍びとどめを刺せ!シンクロ召喚!

 出でよ、レベル7!超重忍者シノビ―A・C!!」

 

シノビ―A・C「ハッ!!」

       DEF2800

 

 今度は忍者風の色合いのロボット、足は細く、雰囲気も忍者らしいが胴体部は丸々としていてアンバランスだ

 

「ここで俺は超重荒神スサノ―Oの効果を発動

 自分の墓地にマジック、トラップカードがない場合、1ターンに1度、相手の墓地のマジック、トラップカードを自分フィールド上にセットする。」

 

 相手の墓地のカードを奪う?でも、遊矢の墓地に権ちゃんが使えそうなのって・・・あっ!!

 1ターン目のコストで捨てたアクションカードか!!

 

「俺は遊矢の墓地のアクションマジック、回避を伏せる。

 この効果で伏せられたカードはフィールドを離れた場合、除外される。

 

 続けて、シノビ―A・Cの効果を発動、このターン、このモンスターの元々の守備力を半分にすることで相手プレイヤーに直接攻撃できる権利を得る。

 そしてシノビ―A・Cも守備力を攻撃力として使い守備表示で攻撃が可能だ

 さらに、手札の超重武者装留ダブル・ホーンをシノビ―A・Cに装備しバトルだ!

 行け、シノビ―A・C!!遊矢にダイレクトアタックだ!」

 

シノビ―A・C「ハアアアァァァァ!!」

       DEF2800→1400

 

 ずんぐりむっくりの体系にさらに巨大な角飾りの様な物を付けて、もはや忍ぶ気がない機械の忍者が、見た目からは考えられないような素早さで遊矢に迫る

 

「簡単に通すわけにはいかないな

 永続トラップ発動、EM(エンタメイト)ピンチヘルパー

 相手のダイレクトアタックを1ターンに1度、無効にし、デッキからEM(エンタメイト)モンスターを効果を無効にして特殊召喚する。

 来い!EM(エンタメイト)ブランコブラ!」

 

ブランコブラ「シャアアァァ!!」

      DEF1800

 

 何処からともなく、ブランコに乗りながら現れたブランコブラがシノビ―A・Cに空中で体当たりを仕掛けバランスを崩させる

 だけど、シノビ―A・Cはすぐに態勢を整え、再度攻撃を仕掛けた、なんで!?

 

「ダブル・ホーンを装備したシノビ―A・Cは2回攻撃できる!

 今度こそ喰らえ遊矢!!シノビ―A・Cでダイレクトアタックだ!!」

 

「ぐおぉ!?ははっ、やるじゃないか、権現坂」

 LP4000→2600

 

 遊矢の持っているアクションカードは使えなかったのか、まともにダイレクトアタックを食らった

 遊矢がまともにライフを減らされたの始めてみたかも・・・

 

「まだまだ!今度はスサノ―Oの攻撃を食らうがいい!!

 スサノ―Oもまた、守備力を使い攻撃することが出来るモンスターだ

 超重荒神スサノ―Oでキングレムリンに攻撃!クサナギソード斬!!」

 

「まともに食らうか!!アクションマジック・エクストリーム・ソード!

 バトルフェイズ中のみ、対象モンスターの攻撃力を1000ポイントアップさせる。

 こいつでキングレムリンの攻撃力を1000ポイントアップさせ、さらにチェーンして永続トラップ、ダメージ=レプトルを発動!」

 

スサノ―O「フンッ!!」

 

キングレムリン「グオオオォォォォ!!」

       ATK2300→3300

 

 据わりながら巨大な薙刀を振り回すスサノ―O、それに対しキングレムリンは自身の爪で迎撃する

 いくらか衝撃は殺せたが、巨大な薙刀の一撃には耐え切れず破壊さず切り裂かれる

 だが、土煙が晴れたその場には、白いひげを蓄えた、水色のトカゲが鎮座していた

 

 イピリア DEF500

 

「ダメージ=レプトルの効果

 1ターンに1度、爬虫類族モンスターの戦闘によって自分がダメージを受けたとき、受けたダメージの数値以下の攻撃力を持つ爬虫類族モンスターを1体特殊召喚出来る。

 俺が受けたダメージは500、よって攻撃力500のイピリアを特殊召喚させてもらった。」

 LP2600→2100

 

 あのカードの為にキングレムリンを攻撃表示に・・・

 攻撃力アップ効果の多いアクションカードとの兼ね合いも計算に入れているのかな?

 

「さらに俺のフィールド上の表側表示モンスターが相手によって破壊されたことにより、リザードローの効果発動

 俺のフィールドのEM(エンタメイト)モンスターの数だけドローできる

 フィールドには2体のEM(エンタメイト)モンスター、よって2枚ドロー、さらにイピリアが特殊召喚されたことにより1枚ドロー」

 

 権ちゃんのターンなのに遊矢のフィールドと手札が増えていく、なんて理不尽

 

「攻撃するなら、リザードローにすべきだったな」

 

「何を言う、リザードローはペンデュラムモンスター、次のターンになれば同じことよ

 ならば、ダメージを与えられるときに与えておく方がお前に対してはいい」

 

「ライフなんて、1ポイントでも残っていればいいんだよ」

 

「それは言い過ぎではないのか?」

 

 僕も、そう思う

 

「俺は、これでターンエンドだ。」

 

 2人の攻撃ターンが終わってみれば、権ちゃんはモンスターのステータスが高いけど、手札は少なく

 遊矢はモンスターのステータスは低いけど、フィールドと手札がいっぱい、ホントあの2人って

 

「正反対じゃろ?」

 

 デュエルに見入っていた僕に突然話しかけて来た着物を着た小柄なおじさん

 さっき権ちゃんが親父殿って言っていた人だから、きっと権ちゃんのお父さんだよね?鼻以外全然似ていないけど

 

「確か、素良君じゃったかの?息子が世話になっておる。」

 

「い、いえ、僕は、どっちかって言うと遊矢の世話に」

 

「ははは、分っておる。

 この頃、昇は修行に明け暮れていたからの

 さて、君は武者修行中のデュエリストと聞いたが、あ奴らのデュエルを見てどう思った?」

 

「純粋にすごいと思います。

 互いに一歩も引かず、一歩間違えばすぐに負けてしまうような、ギリギリの戦いをして・・・」

 

 そう、ギリギリの戦い

 僕、いや、アカデミアのデュエル戦士にとって敗北は死にも近い

 特に最近はエクシーズの残党たちもカード化装置の付いたディスクを使用していると聞く

 もし奴らに負ければカードにされ、容赦なく破かれてしまうだろう

 

「何か迷いがある様じゃな・・・

 まぁ、若いうちは悩むことも修行のひとつよ、立ち止まるよりずっといい・・・」

 

「えっ?おじさん、不動の権現坂道場の師範なんでしょ?そんなこと言っていいの?」

 

「昔、わしは勝つために変化を追い求めることは不動の道に反すると考え、それに固執しておった

 だが、昇はデュエルは進化し続けるものだと、不動のデュエルとて1つの場所に留まっていては時代に取り残されると言いおった。

 遊矢君にも言われたよ、血の通わぬ岩ならば、時と共にもろく崩れていくと

 わしはいつの間にか、不動を言い訳にして歩みを止めていたと思い知らされた。

 あの2人のデュエルを見ればわかるじゃろ?」

 

 確かに遊矢のデッキは毎回、変なコンボが飛び出してくる

 対策やメタカードも容赦なく使ってくるから、変化のない同じデッキで勝とうと思っても難しくなるだろう

 

「デュエルとは魂の磨き合い、互いに切磋琢磨せよ!

 と、門下達に教えて来たわしが研鑽することを忘れておった、全く恥ずかしい話じゃ・・・」

 

 磨き合い、切磋琢磨・・・僕らには縁の遠い話だ

 デュエルはただの戦う手段だ、勝って、負けた奴をカードにして嗤う、それだけ・・・

 アカデミアでも負けたら死だと、痛みと苦痛を与えられながら教えられてきた

 

 そう、僕はデュエルを楽しいと思ったことは1度もないんだ、あの日までは

 

「俺のターン、ドロー

 俺はまず、エクストラデッキからEM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャン、手札からEM(エンタメイト)ブランコブラをペンデュラム召喚

 ペンデュラム・マジシャンのペンデュラム効果で俺のフィールドのEM(エンタメイト)の攻撃力が1000ポイントアップだ。」

 

 ペンデュラム・マジシャン ATK1500→2500

 ブランコブラ       ATK300→1300

 ブランコブラ       ATK300→1300

 リザードロー       DEF600

              ATK1200→2200

 

「ペンデュラム・マジシャンのモンスター効果により、ペンデュラムゾーンのペンデュラム・マジシャンとフィールドのイピリアを破壊し、デッキからEM(エンタメイト)パートナーガとウィップ・バイパーを手札に加える。

 さらに空いたペンデュラムゾーンにリザードローをセッティングして、ギタートルのペンデュラム効果で1枚ドローし、リザードローのペンデュラム効果で自身を破壊して、さらに1枚ドローだ。」

 

 これで遊矢の手札は9枚、デッキも半分以上削れた、何が出ていてもおかしくない

 

EM(エンタメイト)ウィップ・バイパーを通常召喚」

 

ウィップ・バイパー「シャアァァァ!!」

          ATK1700

 

「魔法カード、貪欲な壺を発動

 墓地からブランコブラ、ウィップ・バイパー、キングレムリン、パートナーガ、リザードローの5枚のモンスターををデッキに戻し2枚ドロー

 俺はスケール3のEM(エンタメイト)パートナーガをペンデュラムゾーンにセッティングし、ペンデュラム効果発動

 1ターンに1度、自分フィールド上のモンスターの1体の攻撃力を俺のフィールドのEM(エンタメイト)カード1枚に付き300ポイントアップさせる。

 俺のフィールドのEM(エンタメイト)カードは8枚、よって効果が無効になっていないブランコブラの攻撃力を2400アップさせる。」

 

ブランコブラ「シュルルル」

      ATK1300→3700

 

 攻撃力3700のダイレクトアタッカー!?相変わらず滅茶苦茶だ!?

 でも権ちゃんのフィールドには回避がセットされているから、ダメージはない

 さぁ、遊矢、君は次はどんな手を使うんだい?

 

「さらにウィップ・バイパーの効果発動

 シノビ―A・Cの攻守の数値を反転させる。」

 

 シノビ―A・C DEF2800→1000

       ATK1000→2800

 

「バトルだ、攻撃力が上がっているブランコブラでダイレクトアタック!」

 

「させぬ!伏せられたアクションマジック、回避を発動させ、攻撃を無効にする!」

 

 ブランコから権ちゃんに飛びかかったブランコブラだけど、スサノ―Oが薙刀を振った風圧で吹き飛ばされる

 

「さて、これで攻撃を回避するカードはなくなったかな?

 続いて2体目のブランコブラで、シノビ―A・Cに攻撃だ。」

 

 本来なら、高い守備力を持つはずのシノビ―A・C

 だけど、ウィップ・バイパーの毒を受けた影響で体がうまく動かないようで、あっと言う間にブランコブラに巻き付かれ、締め付けられ破壊される。

 でも、まだ権ちゃんのフィールドには守備力3800のスサノ―Oが鎮座しているよ、遊矢

 あのモンスターを倒さないと、権ちゃんに攻撃は届かない

 

「ウィップ・バイパーで超重荒神スサノ―Oに攻撃」

 

「むっ!その攻撃宣言時、俺はスサノ―Oの効果発動、この効果は相手ターンでも使うことが出来る。

 遊矢の墓地からエクストリーム・ソードを伏せる。」

 

 えっ?攻撃力しか上がらないエクストリーム・ソードを伏せた?

 

「ほぉう、ダメージステップに手札の速攻魔法、死角からの一撃を発動

 相手フィールド上の表側守備表示モンスターと自分フィールド上の表側攻撃表示モンスターを1体ずつ選択し、エンドフェイズまで選択した自分のモンスターの攻撃力に相手の選択されたモンスターの守備力を加算する。

 よって、ウィップ・バイパーの攻撃力は3800ポイントアップだ。」

 

ウィップ・バイパー「シャアアァァァァァ!!」

         ATK1700→5500

 

スサノ―O「グオオォォォ!?」――バンッ!!

 

 スサノ―Oの強固な外装を噛み砕き侵入し中心部を破壊し逃げ去るウィップ・バイパー

 スサノ―Oは暴走する動力炉が爆発を起こし砕け散る

 

「ぬうぅぅぅ、だが、スサノ―Oは倒させん!

 手札の超重武者装留マカルガエシの効果発動

 守備表示モンスターが戦闘によって自分の墓地に送られた時、手札からこのカードを捨てることで、そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。」

 

スサノ―O「ウオオオォォォォ!!フンッ!!」

     ATK2400

 

 権ちゃんのフィールドに数珠の様な物が現れ、それを掴んでスサノ―Oが大地を割り戻ってくる

 すごい、絶体絶命の状態からリカバリーしてきた

 伏せられているエクストリーム・ソードがあるから、攻撃力2500のペンデュラム・マジシャンじゃ破壊できない

 

「あちゃ~そうきたか・・・だったらこうだ!

 ペンデュラム・マジシャンでスサノ―Oに攻撃だ!!」

 

 えっ!?勝てないのが分っているのにどうして!?

 

「俺は伏せられたアクションマジック、エクストリーム・ソードを発動し、スサノ―Oの攻撃力をバトルフェイズ終了まで1000ポイントアップさせる!

 返り討ちにしろ、スサノ―O!!」

 

スサノ―O「フウゥゥゥン!!ハアッ!!」

     ATK2400→3400

 

ペンデュラム・マジシャン「ぐはあぁぁぁ!!」――バンッ!

 

 スサノ―Oの拳がペンデュラム・マジシャンを砕く、これで遊矢の受けるダメージは900、なんでこんなことを?

 

EM(エンタメイト)ピンチヘルパーの効果発動

 モンスター同士の戦闘によるダメージをフィールド上の表側表示のこのカードを墓地に送ることでダメージを0にする。

 これで俺はバトルフェイズを終了する。

 攻撃を行ったブランコブラはバトルフェイズ終了後、守備表示になる。」

 

 スサノ―O ATK3400→2400

 

 ブランコブラ ATK1300→DEF1800

 

 ダメージを回避したけれど、2枚のカードを失った今の行動に何の意味が・・・

 

「俺はレベル4のウィップ・バイパーと効果が無効になっている方のブランコブラの2体でオーバーレイ

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築

 エクシーズ召喚、キングレムリン!」

 

キングレムリン「グガッ!」

       DEF2000 ORU2

 

「キングレムリンの効果発動

 オーバーレイユニットを1つ使いデッキから爬虫類族モンスター、EM(エンタメイト)パートナーガを手札に加える。

 カードを2枚伏せ、これでターンエンドだ。」

 

 キングレムリン ORU2→1

 

「そのエンドフェイズ時、俺もスサノ―Oの効果でお前の墓地の死角からの一撃を伏せさせてもらおう。」

 

 あっそうか、魔法・罠ゾーンを開けるためにEM(エンタメイト)ピンチヘルパーを墓地に送ったのか

 遊矢のフィールドは守備モンスターが3体に伏せカード2枚、しかもダメージ=レプトルがあるからモンスター越しのダメージを与えたら、またモンスターが増える

 もっとも、遊矢のデッキはサーチとドローのし過ぎで、もうモンスターは残り少なさそうだけど

 

「俺のターン、ドロォォ!!

 よし、俺はスサノ―Oを守備表示に変更し、超重武者テンB―Nを召喚」

 

テンB―N「ビンッ!」

     ATK800

 

 スサノ―O ATK2400→DEF3800

 

「このモンスターが召喚、特殊召喚に成功した時、自分の墓地のテンB―N以外のレベル4以下の超重武者1体を守備表示で特殊召喚する

 戻ってこい、超重武者ダイ―8!」

 

 ダイ―8 DEF1800

 

 テンB―Nの持つ天秤棒の先の桶から光が溢れて、ダイ―8が墓地から戻ってくる

 そのダイ―8が押す荷台には最初のターンに見た茶色い武具の寄せ集めの様な物が乗せられている

 

「ダイ―8の効果発動、このカードを攻撃表示に変更し超重武者装留チュウサイを手札に加え、これをダイ―8に装備

 そして効果発動、装備モンスターをリリースしてデッキから超重武者モンスターを1体、特殊召喚する。

 現れよ、チューナーモンスター、超重武者コブ―C!」

 

コブ―C「コブシー!!」

    DEF900

 

 新しいチューナーモンスター、見た目はその名前の通り、デカい拳を持ったロボットだ

 

「いくぞ!俺はレベル4の超重武者テンB―Nにレベル2の超重武者コブ―Cをチューニング!

 雄叫び上げよ、神々しき鬼よ!見参せよ、魂ぶつけ合う戦場に!シンクロ召喚!

 いざ出陣!レベル6!超重神鬼シュテンドウ―G!!」

 

シュテンドウ―G「ウオオォォォォォ!!フンッ!」

        DEF2500

 

 巨大な金棒を振り回し、ドカリッと座り込む、鋼鉄の赤鬼

 据わったままの態勢で、シュテンドウ―Gは遠心力を加えた金棒を遊矢のフィールドに投げ飛ばす

 

「シュテンドウ―Gがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地にマジック、トラップカードがない場合、相手フィールド上のマジック、トラップカードを全て破壊する!」

 

「それは黙って見ているわけにはいかないな!

 トラップ発動、地霊術―鉄、さらにチェーンしてトラップカード、反転世界(リバーサル・ワールド)を発動

 逆処理によって、まずはフィールド上の全ての効果モンスターの攻撃力、守備力の数値が入れ替わる。」

 

 シュテンドウ―G DEF2500→500

         ATK500→2500

 スサノ―O    DEF3800→2400

         ATK2400→3800

 

 キングレムリン DEF2000→2300

         ATK2300→2000

 ブランコブラ  DEF1800→300

         ATK300→1800

 リザードロー  DEF600→1200

         ATK1200→600

 

「さらに地霊術―鉄の効果によって、地属性のブランコブラをリリースし、自分の墓地のリリースしたモンスター以外のレベル4以下の地属性モンスターを特殊召喚する。

 この効果は同名でもOKだ、よって墓地に眠るEM(エンタメイト)ブランコブラを守備表示で特殊召喚」

 

 ブランコブラ DEF1800

 

「そして俺のフィールド上の魔法、トラップカードはすべて破壊される。

 ペンデュラムモンスターのギタートルとパートナーガはエクストラデッキへ、ついでにリリースされたブランコブラもエクストラデッキの中だ。」

 

 権ちゃんが効果を使ったのに逆に遊矢のモンスターの守備力が上がって、権ちゃんのモンスターが弱体化した

 それに墓地のブランコブラがフィールドに戻ったということは次のターン、ペンデュラム召喚されれば2体のブランコブラが並ぶことになる

 何か手を打たないと、次のターンで負けちゃうよ権ちゃん

 

「ぬぅ・・・ならば俺は墓地の超重武者コブ―Cの効果発動

 1ターンに1度、自分の墓地にマジック、トラップカードがない場合、超重武者シンクロモンスターのレベルを1つ下げることで、このカードを墓地から特殊召喚する。

 この効果使用後、俺は超重武者モンスターしか特殊召喚出来ない。

 俺は超重武者モンスターとして扱う、スサノ―Oのレベルを1つ下げ超重武者コブ―Cを特殊召喚」

 

 スサノ―O LV10→9

 

 コブ―C DEF900

 

「俺はレベル6の超重神鬼シュテンドウ―Gにレベル2の超重武者コブ―Cをチューニング

 闇に潜む忍びの者よ、山に木霊する叫びと共に、魂交差する戦場に現れよ!シンクロ召喚!

 いざ出陣!レベル8、超重忍者サルト―B!!」

 

サルト―B「ハアッ!!」

     DEF2800

 

 黒の次は青、丸々としたボディをした忍び風のロボットが現れ、大量の爆弾を持ちだす

 

「バトルだ!超重忍者サルト―Bでリザードローへ

 スサノ―Oでキングレムリンにそれぞれ攻撃する、クサナギソード斬!」

 

 サルト―Bの投げた大量の爆弾の爆発に巻き込まれ、リザードローが破壊され

 スサノ―Oの一閃がキングレムリンを切り裂く

 これなら、ドローもサーチもされないね

 

「まだだ、メインフェイズ2でサルト―Bの効果発動

 1ターンに1度、俺の墓地にマジック、トラップカードがない場合、フィールド上のマジック、トラップカードを1枚破壊し、相手に500ポイントのダメージを与える!

 俺のフィールドに伏せられた死角からの一撃を破壊し遊矢、お前に500ポイントのダメージだ!」

 

「うおっ!?あぶなっ!!」

 LP2600→2100

 

 サルト―Bが伏せられたカードを手裏剣のごとく投げて、遊矢にぶつける

 遊矢はそれを腕で払って弾く、高速で迫るカード手裏剣を払い落とすなんて遊矢も大概だよね

 

「さらに俺はスサノ―Oの効果を使い、遊矢の墓地から反転世界(リバーサル・ワールド)をセット

 これでターンエンドだ!さぁ、何処からでもかかって来るがいい!!」

 

「ははっ!やるじゃないか、権現坂!俺のターン、ドロー!」

 

 笑っている・・・権ちゃんも遊矢も

 互いにいつライフがなくなってもおかしくないギリギリのデュエルをしているのに・・・2人共楽しそうだ

 なんで?負けるのが怖くないの?

 

「俺はスケール6のEM(エンタメイト)ギタートルとスケール3のEM(エンタメイト)パートナーガでペンデュラムスケールをセティング!

 揺れろペンデュラム、異界へ繋がる扉を開け!ペンデュラム召喚!!

 手札からレベル4、EM(エンタメイト)ウィップ・バイパー

 エクストラデッキからレベル4、EM(エンタメイト)ブランコブラ、EM(エンタメイト)ドクロバット・ジョーカー、レベル5、EM(エンタメイト)パートナーガ!」

 

 ウィップ・バイパー    ATK1700

 ブランコブラ       ATK300

 ドクロバット・ジョーカー ATK1800

 パードナーガ       DEF2100

 

「パートナーガの効果発動

 このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、フィールド上のモンスター1体を選択して、そのモンスターの攻撃力を自分フィールド上のEM(エンタメイト)モンスターの数×300ポイントアップさせる。

 フィールドのEM(エンタメイト)モンスターは5体、俺はブランコブラの攻撃力を1500ポイントアップさせる。」

 

ブランコブラ ATK300→1800

 

「さらに、ペンデュラムゾーンのパートナーガのペンデュラム効果も発動

 もう1体のブランコブラの攻撃力を俺のフィールドのEM(エンタメイト)カード1枚に付き300アップだ。」

 

「させるか!!チェーンしてサルト―Bの効果発動、パートナーガを破壊する。

 これでペンデュラム効果は不発となるのだろう?」

 

「うおっ!?その通り、永続魔法と同じく効果処理時にカードがなければペンデュラム効果は不発となる。」

 LP2100→1600

 

 これでウィップ・バイパーの効果を使ってブランコブラの攻撃力を上げても、反転世界(リバーサル・ワールド)の効果で入れ替わるから権ちゃんのライフは100残る

 すごい、権ちゃんも遊矢相手に一歩も引いていない

 

「やれやれ、よくもまぁやってくれる、おかげで俺のデッキのモンスターは殆ど品切れだよ。

 このままじゃジリ貧になるから・・・作戦プランBを使うとしよう

 俺はパートナーガとドクロバット・ジョーカーをリリースして、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンをアドバンス召喚!」

 

オッドアイズP「キュオオオオォォォォォォォォォ!!」

       ATK2500

 

「ふむ、パートナーガのレベル5以下のモンスターが攻撃できなくなるデメリットを無くしたか・・・

 だが、オッドアイズだけでは俺のモンスターはびくともせん!」

 

「あぁ、だから応援を呼ぶとしよう

 俺はレベル4のブランコブラ2体とウィップ・バイパーでオーバーレイ!」

 

「なっ!?」

 

 ここでエクシーズ召喚!?

 

「3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚

 現れろ、覚醒の勇士ガガギゴ!」

 

覚醒の勇士ガガギゴ「グオオォォォォ!!」

         ATK2950

 

 暗雲を切り裂き現れる黄金の鎧を纏ったトカゲの戦士、雲の合間から日が差し黄金の鎧を一層輝かせる

 

「さらに装備魔法、月鏡の盾をオッドアイズに装備させ、永続魔法、アタック・フェロモンを発動させバトルだ!

 覚醒の勇士ガガギゴで超重荒神スサノ―Oに攻撃!」

 

「なに!?」

 

 反転世界があるのにどうして!?

 

「お、俺はトラップ発動、反転世界(リバーサル・ワールド)

 このカードの効果でフィールド上の効果モンスターの攻守の数値が入れ替わる。

 これで返り討ちだ!スサノ―O!!」

 

 オッドアイズP ATK2500→2000

         DEF2000→2500

 

 スサノ―O DEF2400→3800

      ATK3800→2400

 サルト―B DEF2800→2000

      ATK2000→2800

 

 ガガギゴが殴り掛かり、スサノ―Oもまた立ち上がりガガギゴの拳に合わせ殴る

 クロスカウンターはリーチの差でスサノ―Oに軍配が上がり、ガガギゴは遊矢のフィールドにまで飛ばされる

 

「うおっ!」

 LP1600→750

 

「何を馬鹿な事を・・・」

 

「ふふふ、なぁ権現坂、気付いているか?

 追いつめられると、モンスターを守る癖があるっていう事」

 

「何?」

 

 スサノ―O DEF3800→ATK2400

 

「なっ!?スサノ―Oが攻撃表示に!?」

 

「永続魔法、アタック・フェロモンの効果

 自分フィールド上の爬虫類族モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、そのモンスターをダメージステップ終了時に表側攻撃表示に変更する。」

 

「くっ!?だが、攻撃力の下がったオッドアイズでは俺のモンスターを破壊することは出来ない!」

 

「いや、月鏡の盾を装備したモンスターは相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、装備モンスターの攻守を戦闘を行う相手モンスターの攻撃力と守備力の内、どちらか高い方の数値+100になるのさ」

 

それなら、スサノ―Oの守備力は3800だから、オッドアイズの攻撃力は3900に!?

 

「そして、オッドアイズの効果」

 

「相手モンスターと戦闘を行うとき、戦闘ダメージは倍となる!?」

 

「そういうこと!行け!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!!超重荒神スサノ―Oに攻撃!!」

 

オッドアイズP「キュオオォォォォォォォ!!」

       ATK2000→3900

 

「ストライク・ムーン・バアァァストォォォォ!!」

 

「うっ!おおぉぉぉぉああぁぁぁぁぁ!!」

 LP2200→0

 

 赤黒い破壊の本流に黄金の光が混じり、鋼の荒神を溶かしていく

 

 あぁ・・・遊矢、やっぱり君はすごいよ

 

 体が熱くなる――君に僕の全力をぶつけたいって

 

 血が滾る――君に勝ちたいって

 

 魂が震える――君と・・・もっと、わくわくする『決闘(デュエル)』がしたいって!!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「はははっ!昇、まだまだ精進が足りなかったようじゃな!!」

 

「うぅ・・・面目ない、親父殿・・・」

 

「いやいや、良い線いっていたと思うぞ?

 初めてのシンクロ召喚であそこまでできていれば上出来、上出来

 あっ!そうだ、餞別代りにこいつをお前にやるよ。」

 

「ぬっ?このカードは・・・いいのか?」

 

「あぁ、そのカードは俺の持っているデッキよりも、お前のデッキの方が活躍の機会があるだろうしな

 その方がそのカードたちも喜ぶ」

 

「かたじけない、ありがたく使わせてもらおう。」

 

「あぁ、次はジュニアユース選手権で戦おう」

 

「うむ!」

 

 2人は拳を付きあわせ、そのまま握手する

 権ちゃんは負けた悲壮感などなく、遊矢は勝って慢心することもない

 僕には、僕らには分らない世界がここにはある

 

「うむ、共に知略と死力を尽くし魂の限り戦った!真に素晴らしきデュエルじゃった!

 そして、終われば共に称え合う、これぞ『決闘者(デュエリスト)』のあるべき姿よ!!」

 

 称え合うか・・・なら僕らは何なんだろうね

 嘲り、踏み躙り、奪い、嗤う、僕らアカデミアは・・・

 

 ねぇ、遊矢、どうやったら僕は『決闘者(デュエリスト)』に成れるのかな?




そのころの柚子

「行けー!マインスタリン・シューベルトで攻撃よー!!」

「ぐわああぁぁぁ!!」

「なぁ、なんであいつは不良とデュエルしてるんだ?」

「いや~柚子姉ぇさん、また沢渡さんとデュエルしたくて近くに来てたらしいンスけど」

「ねねちゃんに前絡んできた不良がカチコミかけて来てたみたいで」

「ばったり、柊柚子と鉢合わせしたみたいで・・・」

「で、ああなったのか?全く血の気の多い奴だぜ。」

「わぁ~柚子さんすごーい」

「柊さんが融合召喚使えるようになったとは聞いてましたがここまでとは」

「はははっ!この調子でジュニアユース選手権でも勝ち抜くわよー!!
 次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
 『開幕 舞網チャンピオンシップ』
 目指せ!エンタメプロデュエリスト!おー!!」


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開催 舞網チャンピオンシップ

大会表作ったり、なぜか書いている途中で先の展開を思いついてしまったりと、デュエルしない回なのに時間がかかりましたが出来上がりました

ちなみに大会開催期間は7月後半、夏休みを想定しております。


「ついに!この日が来たー!!」

 

 朝早くの優勝塾、静かな朝をぶち壊すように大声が響き渡る

 

「今年も我が遊勝塾から、舞網チャンピオンシップの出場者が出たことを誇りに思うぞー!!」

 

 あ、暑苦しい・・・

 この一か月、平和に時は流れ、舞網チャンピオンシップの開催日となった

 集合場所を外にしなくて良かった・・・

 このくそ暑いのに修三さんの熱血激励など聞いていたら、熱中症になってしまう

 

「お父さん、テンション高すぎ・・・」

 

「この暑いのに、良くやるよねぇ~」

 

 柚子と素良も飽きれている

 フトシとアユとタツヤは苦笑いだ

 

「では、改めて説明しておくぞ

 舞網チャンピオンシップはジュニア、ジュニアユース、ユースの3つのクラスに分かれて行われる。

 タツヤ、アユ、フトシ、君たちはこの内のジュニアクラスに出場だ。」

 

「「「はい!」」」

 

「ねぇ、遊矢?大会の出場資格って、年間勝率6割以上だよね?

 うちの子達、6割行っている子ってもっといたはずだけど、なんであの3人だけなの?」

 

「あ~それはただの大会の年齢制限だ、小学5年生以上ってね。

 デュエル大会って言っても正確にはアクションデュエルの大会だから、いくらリアルソリッドビジョンの硬度が柔らかいと言っても、危ないことには変わりないし」

 

「ふぅ~ん、そういえば、5年生なのはあの3人だけだったか」

 

「そう、フトシ君とアユちゃんは遊矢が教え出したころから居る古株なのよ」

 

 まぁ、2人が入った理由も俺が関わっているんだけどね

 

「おしゃー!痺れさせてやるぜー!!」

 

 フトシは彼の両親がやっている弁当屋が俺の行きつけとなっていたのだが、フトシが待ち時間にデュエルしてと誘って来たので、相手してやったら懐かれた

 

「頑張る!」

 

 アユは写真家の彼女の父が山の中で怪我をしていたのを俺が助けたのがきっかけだ

 まさか、忍者探しの帰りにあんな形で出会うとは思わなかった・・・

 「君にしか任せられない!」なんて、言われたら引き受けるしかないじゃないか

 

「まぁ、一般的に小学4年生くらいでデュエル塾に入るからな

 タツヤみたいなのは珍しい例さ、去年は似た様なのが6人居たけど」

 

「みんな今年は中学生に上がったものね~

 暗次君、正人君、アキラ君、皇一郎君、ねねちゃん、ゾフィーちゃん

 学校でも会うけれど、それでもちょっと寂しく思っちゃうわ」

 

 あれだけ馬鹿騒ぎしていたのが居なくなったら寂しくもなるさ

 今は人数が多くて騒がしいけど

 

「なぁ遊矢、お前からも何か言ってくれよ!」

 

 修三さんいきなりすぎ、事前に考えてくれとか一言、言ってくれよ

 

「ふむ、今年のジュニアはこの3人が出場だが、もちろん会場には君たちの親だけじゃなくて、塾や学校の子達も来ることだろう

 来年はその子達も出場するかもしれないから模範になるようにマナーは守ってほしい

 だが、それ以上に俺としてはデュエルを楽しんでほしい、以上だ」

 

「はい!遊矢先生もジュニアユース選手権、頑張ってください!」

 

「あぁ、ありがとうな、タツヤ」

 

「でも、実際頑張らなくちゃいけないのは、柚子の方だよねぇ~?」

 

「うっ!?わ、分ってるわよ!

 遊矢!選手権じゃ、お互いにライバルなんだから、手加減なんていらないからね!」

 

「俺が、デュエルで手加減すると思っているのか?」

 

「う~」

 

「あはは!頑張りなよ~柚子!」

 

 柚子を茶化して無邪気そうに笑う素良

 素良に今の所、目立った動きはない

 黒崎やユートと接触した様子もないし大会にも出場しない

 このまま行けば、駄犬を含めてアカデミアが乱入してくることもない筈だ

 

 いざとなれば、あのカードを使うしかない、か・・・

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ご覧ください!

 舞網市内は、まさにデュエル一色!

 そうです、今日からいよいよ、この街最大のイベント、舞網チャンピオンシップが始まるのです!」

 

 舞網スタジアムへ続く道

 そこには大会ロゴを掲げた露天が多数立ち並び、ビルに備え付けられた大型モニターにはプロモーション映像が絶えず流れ、空には宣伝用の飛行船まで飛んでいる

 

「何と言っても、この舞網市はリアルソリッドヴィジョンシステムを開発した、デュエル業界最大手、レオ・コーポレーションの御膝元!

 この大会も世界最大級のデュエル大会として注目されており、海外からも多数のデュエリストが参加

 更には、観戦を目的とした観光客も大勢、この舞網市を訪れています」

 

 映像が切り替わり、スタジアム内の映像が映し出される

 巨大なスタジアムの観客席はすべて人で埋め尽くされており、今か今かと会場内の熱気は上がり続けている

 

「すごいです!開会式の会場となる、デュエルスタジアムも既に超満員!

 ん?おっと!これはもしかして・・・零児様!零児様です!!」

 

 キャスターの目は輝き、興奮気味でカメラに話しかける

 そして、そのキャスターに同調するように会場内から黄色い声が上がり始める

 

「今大会のメインスポンサーである、レオ・コーポレーション社長、零児様こと

 赤馬零児さんが貴賓席に姿を見せました!

 なんと生です!生零児様が見られるなんて、これはとても珍しい事です!!」

 

 貴賓席に現れた赤馬零児、会場中のカメラが彼に向けられ、右手を上げて挨拶をする

 その表情は真顔で愛想など、まったくなかったが

 

――零児!零児!零児!

 

 観客には受けが良かったようだ

 

「いや~モテモテだな、あの社長」

 

「仕方ないわよ、赤馬零児は普段は滅多に人前に出ないんだから、騒ぎになるのは当然よ」

 

「まぁ選手権3クラス、ストレート優勝で、最年少でプロ資格取ったイケメン社長様じゃ、話題にならない方が可笑しいっか」

 

「いや、話題で言うなら、貴方も相当だと思うけど・・・」

 

――あれが榊遊矢?

 

――あの狂った道化師(マッドピエロ)の!?

 

――おっかねぇ~

 

――あいつが出る前にユースに上がれてよかったぜ・・・

 

――今年のジュニアユースに参加する奴らが可哀そう・・・

 

 はぁ~・・・なんで、こんな奴らが大会に出ているんだ?

 強い奴と戦えることがデュエリストの喜びじゃないのか?

 

「なんか・・・ムカつくね」

 

「落ち着け、素良

 あんなの戦ったって面白くもない奴らだ、気にするだけ無駄だ」

 

 素良の目が据わっている。柚子も何処から取り出したのかハリセンを構えて今にでも飛び出しそうだ

 何か話題を変えないと・・・

 

「お~い!!」

 

「遊矢く~ん~!!」

 

 雑踏の中、俺の名を呼びながら走ってくる2人の影

 クジラを模したキャップと釣り師服が特徴的な太めの少年『大漁旗 鉄平』とそばかす顔で赤交じりのオレンジ髪をした糸目の少年『茂古田 未知夫』

 

「お~!鉄平、未知夫、久しぶりだな~」

 

「ホントやな~」

 

「電話とかネットじゃ、ちょくちょく会ってるけどね」

 

「えっと・・・遊矢?この二人は?っていうか、未知夫って、もしかしてテレビでよく見る!?」

 

「あぁ、テレビでよく見る天才少年料理人、茂古田 未知夫、通称ミッチー、その人だよ」

 

「えぇー!?なんで、そんな有名人が!?っていうか、なんで料理人がデュエル大会に出ているの~!?」

 

「あはは、まぁプロを目指している人からしたら、僕は場違いに見えるかもしれないね」

 

「ほんまやで、自分、プロデュエリストとプロの料理人の二足の草鞋を履くつもりかいな?」

 

「それって、鉄平も同じじゃん、本業の釣りの方はどうしたんだよ?」

 

「もちろん絶好調や!今日もごっつい!真鯛を釣ったやで!」

 

「おぉ!それはいいな!釣ったのは、未知夫のお父さんの店に?」

 

「うん、パパも喜んでいたよ。

 そうだ、僕も何匹か貰ったからよかったら、今夜どうだい?」

 

「はは、じゃあ、試合前の交流会ってことで、権現坂や忍者兄弟も誘うかな

 親父さんが五月蠅そうだけど、沢渡とかもな」

 

「おいおい、ちゃんと手伝ってくれよ、遊矢君?」

 

「あぁいいぞ、柚子と素良もどうだ?」

 

「えぇ!?うん、絶対行くわ!天才料理人の料理なんて楽しみね~」

 

 ミーハーな柚子らしい反応だ、素良は困惑しているけど

 

「僕、選手じゃないけどいいの?」

 

「もちろんさ、君が遊矢君の言っていた素良君だね?

 僕の考えたレシピどうだった?」

 

「えっ?」

 

「前に知り合いの料理人にレシピ考えてもらったって言ったろ?それがこいつだ」

 

「あぁ、そういえば洋子さんがミッチーって・・・

 うん、美味しかったよ」

 

「それはよかった!

 今夜も精いっぱい、おもてなしさせてもらうから、楽しみにしててね!

 あぁ、そうなると、会場も広い場所が必要だね、霧隠塾長に相談しようかな?」

 

「ね、ねぇ!どうして、料理人なのにデュエルしているの?」

 

「ん?楽しいからだけど・・・何かおかしいかい?」

 

「い、いや・・・」

 

「まぁ~デュエルをしてなきゃ、遊矢君とも会えなかっただろうし

 彼に紹介してもらった鉄平君とも出会えてなかっただろうしね。

 感謝しているよ、僕らを繋いでくれたデュエルには」

 

「えぇ事言うな~さすがミッチーや!感動モノやで!」

 

「茶化さないでよ、鉄平君、恥ずかしいじゃないか」

 

「「「ははははっ!」」」

 

「おーい!遊矢兄ちゃーん!!柚子姉ぇちゃーん!!」

 

「もうすぐ会場入りだってー!!」

 

「僕達も行きましょー!!」

 

「あぁ!じゃあ、また今夜」

 

「うん!」

 

「ほなな~!」

 

「じゃあ、素良、観客席で修三さんと待っててくれよ?」

 

「う、うん」

 

「ほら、柚子、いつまでも呆けてないで行くぞ!」

 

「鯛ってことは、御刺身、カルパッチョ、アクアパッツァ、煮付けに塩釜焼・・・

 あ~いったい、何が出てくるのかしら~?」

 

 うわ言のように料理名をつぶやきながら、涎がたれそうになっている柚子を引きずって会場に向かう

 

「繋がりか・・・」

 

 雑踏に紛れる素良の呟きを残して

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ニヒィ!皆様、大変長らく、お待たせしました!

 年に一度のデュエリストたちの祭典、舞網チャンピオンシップの開幕です!」

 

――ワアアアアァァァァァァ!!

 

「開会式の進行は、ストロング石島が大会期間中お休みを頂いて修行をするというので暇になってしまったワタクシ、ニコ・スマイリーがあい務めさせて頂きます!」

 

 グラウンド内に妖精やドラゴンなど、様々なモンスターが飛び交い、舞網チャンピオンシップのロゴマークがホログラムで大きく映し出される

 

「それでは選手入場でございます!!」

 

 ニコ・スマイリーの掛け声に合わせ、入場口からプラカードを持った女性を先頭に少年少女たちがぞろぞろと行進を開始する

 

「今大会は開始前から波乱の予感!参加選手はユースコースが最も多く、ジュニアクラスはその約半分!

 そしてジュニアユースクラスは、なんと!大会史上初!参加人数たったの20人、それもほとんどの選手が勝率8~9割の猛者ばかりです!!」

 

――20人!?

 

――勝率8割以上とかマジかよ!?

 

 観客のざわめきをBGMにして、先頭集団が全員出切る

 

「さぁ、先頭を行くのは、LDSレオ・デュエル・スクール!

 毎年、多くのプロデュエリストを輩出している、この名門からは今年も最も多くの選手が出場しています」

 

 続き現れたのはまるで中国の拳法家の様な出で立ちの集団

 その中でも紫髪の強面の少年は、その鍛え上げられた肉体から溢れんばかりの闘気を滲ませている

 

「続いては武闘派デュエリスト達の総本山、梁山泊塾です!

 ジュニアユースコースの勝鬨 勇雄君は昨年のジュニアユース優勝者!

 今年は2連覇を狙い、燃えています!」

 

――ガチャ、ガチャ

 

 重厚な鎧の音を響かせて白いローブを着こんだ5人組が一糸乱れぬ歩調で行進する

 

「おーっと!あれは海外参加の国際チーム、ナイト・オブ・デュエルズ!

 

 さらに舞網漁業組合から参加の大漁旗 鉄平選手が続きます」

 

 鉄平は大手を振って、会場にアピールする、もはやそれは行進ではない

 

「さぁどんどん参りましょう!不動のデュエルで有名な権現坂道場

 今年はその跡取りが出場してきました、権現坂 昇君です」

 

 鉄下駄のその重さを感じさせぬ堂々とした行進をする権現坂

 会場の一角では彼の父や道場の門下生たちが静かに見守っている

 

「さぁこちらも注目の選手です。

 今や奥様方の毎日の献立の味方、霧隠料理スクールから天才少年料理人の茂古田 未知夫君が参戦です!」

 

――キャー!!ミッチー!!

 

 会場から黄色い声が所々から上がる

 それを聞いて、未知夫は手を振るとさらに黄色い声が上がった

 

「おぉ!これはレアです!山の奥にあると言われる秘境塾、風魔デュエル塾から日影、月影の兄弟デュエリストがこの舞台に現れましたー!!」

 

 噂どころか都市伝説と化している謎の塾である風魔デュエル塾から参戦者が出たことに会場がどよめく

 その2人の風貌、どこからどう見ても忍者としか思えない容姿に海外からの参加者の一部が目を輝かしていた

 

 その後もニコ・スマイリーによる各塾の紹介が続けられ、ついにラスト、遊勝塾の出番となった

 

「さぁ、いよいよ参加塾も次で最後です。

 前大会、ジュニアコースのみで出場、その出場6人が優勝争いをするという異例のダークホース!

 今年はジュニアユースからも参加者が出て、始まる前から波乱を巻き起こした遊勝塾です!!」

 

 その名をニコが口にしたとき会場に溢れたのは歓声やどよめきではなく、静寂だった

 入場口から現れる遊勝塾の5人は人数が少ないのもあって横並びで歩いていく

 それは自然体で悠然としたもので、ばつが悪そうに先頭を行かされるプラカードを持った女性を除けば、参加者たちの服装や髪色がカラフルなのも相まって後ろに爆発が起きてもおかしくない、ある意味、絵になった姿である

 

「注目のデュエリストは、今年の話題の人物、その最上位と言ってもいいデュエリスト、榊 遊矢君!!

 新たな召喚法、ペンデュラム召喚の確立者にして数多の大会で賞金稼ぎを行う大会荒らし『狂った道化師(マッドピエロ)』の参加表明に参加取り消しが続出、始める前から嵐を巻き起こしております!」

 

 事情を知らないものは戦慄し、前大会を見ていたものは阿鼻叫喚の大会模様を思い出す

 荒れ狂う豪雨と雷、この世の終わりを告げるかのように降臨する巨大な女神

 悪魔たちが嘲嗤い、天使が裁きの光が降り注ぎ、神話が紡がれる

 

 今年もまた、荒れることを会場に集まった人々は予期した

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「えぇ~ここに集まった君たちは数多のデュエリストの中から勝ち上がった精鋭たちです。

 フェアプレイ精神で全力を尽くしたデュエルを期待します」

 

 魚顔の市長のあいさつが終わり、ニコ・スマイリーにマイクが戻る

 

「では、次は選手宣誓に移ります。

 選手代表は・・・遊勝塾、榊 遊矢君!!」

 

 会場がざわつく、今大会の最大の問題児であろう少年が選手代表で宣誓を行うのだ

 

(やれやれ、こういうことは昨年のジュニアユース優勝者の勝鬨あたりにでもやらせればいいのに)

 

 ニコ・スマイリーはジェスチャーで報酬は払いますからと伝えてくる

 

(はぁ~仕方ないか・・・普通に宣誓してもいいが・・・)

 

 遊矢は設置されたマイクの前まで来るとそれをスタンドからひったくり、会場全体を見渡し

 

「諸君!俺は今日というこの日、非常に落胆している!」

 

 爆弾を落とした

 

「俺は世界中から強者がやってくるという、この大会を楽しみにしていた

 だが、蓋を開けてみればどうだ

 海外から参加してくれた者たちを除けば、見知った顔しかいない!!

 

 『決闘者(デュエリスト)』とは強者と戦えることに喜びを感じるものではなかったのか?

 己のプライドと魂を燃やし戦うのが『決闘(デュエル)』ではなかったのか!!」

 

 遊矢は憤る、誇りなき弱者に、プライドを貶す愚者に

 

「諸君!これから始まるのは『見世物(ショー)』でもなければ『祭り』でもない!

 決闘者たちによる、プライドと魂を賭けた『遊戯(ゲーム)』だ!!

 

 諸君らが目にするのは、敗者の断末魔と、勝者の栄光!

 

 選ばれし若き決闘者たちよ!

 逃げ遂せた馬の骨以下の紛い物共に、知らしめてやろうではないか!

 

 真の決闘者が歩む戦いの(ロード)を!選ばれし者の煌めきを!!」

 

 会場の誰もが息をのむ

 

 ジュニアとジュニアユースの選手たちはこれから紡がれる言葉に

 

 ユースの選手は膨れ上がる不安に耐え切れず震えて

 

 会場はこれから始まる戦いに期待を寄せて

 

「今ここに!舞網チャンピオンシップの開催を宣言する!!」

 

――ワアアアアアアァァァァァァァァァァ!!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 膨れ上がるボルテージ、大歓声に支配されたスタジアムの中で遊矢の宣誓を見守っていた俺は目を丸くしていた

 

「あははっ!なにあれ、らしくなーい!!」

 

 素良は笑う、確かにここまで派手なパフォーマンスは遊矢っぽくはない

 センパイともまた違う、だれかの真似だろうか?

 

「あ~もう、こんなの洋子さんが聞いたら・・・」

 

「あたしがなんだって?」

 

 俺がその声に驚き振り向いたら、そこには洋子さんがいた

 俺は慌てて、センパイを否定するような遊矢の宣誓の理由を取り繕おうとする

 

「うわっ!?洋子さん!!いや、今のは違くてですね」

 

「まったく、とっくに知ってるよ

 あの子が、遊矢が、榊 遊勝の事をどう思っているかなんて」

 

「えっ?」

 

「私を気遣って、良い息子でいてくれたことも

 あの日から、あの人を遊矢がどんな風に思って来たかも、みーんな知っているさ

 

 飄々として、悪ぶれているくせに根は真面目で優しい子だからね」

 

 そう言って、洋子さんはウィンクをする

 

「なーんだ、遊矢ってば、ばれちゃってたのか」

 

「なんだい、素良君には話していたのかい?妬けちゃうねぇ~

 まぁ、あたしがあの子の本音を聞くときは、あの人が帰ってきてからにしようかね・・・」

 

 やさしい嘘を吐き続けている2人

 洋子さんはこのまま待ち続けるのだろう、遊矢は・・・いつか、世界中を飛び回ってでも見つけ出しそうだなぁ~

 センパイ、帰ってきたら2人にぶん殴られてくださいよ?




少年は孤独に生きてきた
長く続く戦いの中で、己というものを封じ込めて
その瞳に映った輝きを模倣してきた彼に、絶えず輝きを変える水面の下で蠢く者たちが襲いかかる!
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth『水面に映る光』


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水面に映る瞳

おかしいな~この話こんなに長くなる予定なかったんだけど
初のアニメオリカ使用回です。(まだ、OCGになる可能性がありそうなので)
なお、使用したアニメオリカは活動報告に効果を載せておきます
あと彼女の普段使いのデッキは湿地草原を入れたビオトープデッキになっています



キャスターに成りたくて、田舎から上京してきて――

 

専門学校を卒業して無事、TV局に入社できて――

 

入社1年目で舞網チャンピオンシップのリポートなんて大役をやらせてもらうことになって――

 

ジュニアコースの実況までやらせてくれるって、舞い上がちゃって――

 

ジュニアの子ならきっと、かわいいモンスターがいっぱいなんなんだろうな~

ちょっとミスしたりとか可愛らしい事とかするんだろうな~

緊張している子とか大丈夫かな~

 

なんて思っていたら――

 

――ギャオオオオオォォォォォォォォォ!!

 

 巨大怪獣と人型の蟲みたいなのが大暴れして

 

――シャアアァァァァァァァ!!

 

 獣たちが海に潜むナニカと争って

 

――ブッピガン!!

 

 空では宇宙戦艦とロボットが戦争している

 

「あははははは・・・なんなのこれ・・・?」

 

 去年は入社したてで大会中継なんて見る暇なかったし、ジュニアコースのデュエルは毎年ダイジェストで流れるくらいだったから流してみていたけれど

 それでも、そこに写っていたのは子供らしい可愛らしさに溢れたものだった

 

 そう、決してこんな映画みたいな感じじゃなかったはずだ

 

「え、えっと・・・」

 

 あっちこっちで起こっている効果の応酬や駆け引きは、もうデュエルから離れて長い私にはリポートできるようなものではなかった

 

――トンッ

 

 誰かが私の肩に手を置いてくれた

 励ましてくれるんだ、そうだ、これでも私はアナウンサーなんだ!

 プロとして蹲っているわけにはいかない!!

 

「あ、ありがとうっ!?」

 

――カラッ、グッ!

 

 振り向いたら紫のロープを着たガイコツがサムズアップしていて、あまりの事に私の意識はそこで途切れました・・・

 

 これがあの開会式の後に行われたジュニアコース一回戦です


 さぁ、盛大に始まりました、舞網チャンピオンシップ

 2日目の今日、ここメインスタジアムではジュニアコース2回戦が行われています

 実況はこのワタクシ、本来の担当者が昨日失神してしまったので代打として参りました、ニコ・スマイリーがお届けさせていただきます

 

 現在は遊勝塾、原田フトシ君とワイト塾、瀬良あゆみちゃんの試合が行われております!

 

「痺れるぜ!俺のターン!ドロー!!」

 LP1200

 

「「フトシ!頑張れよ(って)ー!!」」

 

「あゆみー!負けるなー!!」

 

「頑張って~!!」

 

 ご家族からの盛大なエール!これは両選手には心強いでしょう!

 さて、現在のフィールドの状況は瀬良選手のモンスターが何と攻撃力15000のワイトキングが3体!

 対して、原田選手は前のターン、ダメージは防いだもののモンスターをすべて失ってしました

 

 彼の操るモンスターは相手フィールドのモンスターをリリースして相手フィールドに特殊召喚可能ですが、自らの発動させている永続トラップ、群雄割拠の効果でそれは望めません

 

「俺は手札の怪粉壊獣ガダーラを捨ててマジックカード、トレード・インを発動

 デッキから2枚ドローするぜ!」

 

 原田選手ここが大勝負です

 

「よっしゃー!俺はマジックカード、アンティ勝負を発動!

 互いのプレイヤーは手札を1枚選んで確認し、レベルの高いモンスターを選んだプレイヤーのカードは手札に戻り、レベルの低いモンスターを選択したプレイヤーはそのカードを墓地に送り、1000ポイントのダメージを受けるぜ!」

 

「わわわ!?レベル勝負ですか!?」

 

「俺は手札のレベル10、壊星壊獣ジズキエルを選ぶぜ!」

 

「うぅ~私が選ぶのはレベル1のワイトです。」

 

「じゃあ、ダメージ1000ポイント受けてもらうぜ!」

 

「きゃああぁぁぁ!!」

 LP800→0

 

 決まったー!見事、逆転のカードを引き当てた原田フトシ選手の勝利です!

 

「素晴らしいデュエルでした!お強いんですね!」

 

「おう!痺れただろ~?」

 

「はい、痺れちゃいました!また・・・デュエルしてくださいね?」

 

「あぁ、俺で良ければいつでもいいぜ!」

 

「はい、ありがとう、ございます。」

 

 うんうん、初めて会った相手とも友情をはぐくみあえる

 これぞ、大会の醍醐味ですなぁ~

 さぁ、次の対戦カードは・・・


「やったぜー!」

 

「おめでとう、3回戦進出ね!」

 

「うむ、めでたいな、だが気を抜くなよ、フトシ

 勝って兜の緒を締めよという言葉がある

 すなわち、故人曰く勝者への戒めとして・・・」

 

「権ちゃん、おっさんくさ~!」

 

「おっさん言うなー!」

 

『はははははっ!』

 

 権現坂と素良の漫才にみんな笑う

 ぶっちゃけ、俺としてはあの娘が親と一緒に居て普通に暮らしていることに涙が出そうだが

 まぁ、ダインがこの世界には居ないしな

 居るとしても、シンクロ次元だと思ったが・・・トリシューラプリンがある辺り、気にするだけ無駄か

 

「次はアユの番だったな」

 

「うん、がんばちゃうよ~えっと、相手は確か・・・」

 

「LDSの赤馬 零羅君だな」

 

「赤馬?赤馬零児の関係者か?」

 

「修三さん、他人の家庭事情を詮索するのは感心しませんよ?」

 

「あぁすまない、ちょっと気になっちゃったからさ」

 

 気になるのもわかるけどね

 赤馬零児に弟がいたなんて、情報はないだろうし

 さて、たしかあの子はかなり特異な才を持っていたはずだけど、うちの子達とデュエルしてどんな影響が出るかな?


「よいしょ、よいしょ

 むむむ・・・よし、チャージ完了!」

 

 心を込めてデッキをシャフルする

 遊矢お兄ちゃんに教えてもらった、おまじない

 今日も頑張ろうね、私のカードさん達

 

「あぁ、今日もアユは可愛いな~」

 

「もう、あなたってば!先に先生たちに挨拶が先でしょ!」

 

「アタッ!?」

 

 何やってるのよ、パパ、ママ・・・

 

「いや、お母さん、自分たちは気にしませんので・・・」

 

「そう言うわけにはいきません!

 アユをこんな大舞台に導いてくれた先生方には感謝してもしきれません。」

 

「修三さん、ここは大人として行為は受け取っておくべきですよ?」

 

「うむ!親しき仲にも礼儀ありと言うしな!」

 

「だから権ちゃん、おっさん臭いって」

 

「おっさん言うなー!!」

 

「アユ~こっち向いて、こっち」

 

 私はパパの向けるカメラに笑って手を振る

 やらないと、落ち込んじゃうから大変なんだから

 

「わぁ、かわいい~」

 

 やらなくても良かったかな・・・もう、相手の子に笑われちゃうよ

 

「さぁ、熱戦続く、ジュニアコース2回戦、次なる試合は鮎川アユ選手と赤馬零羅選手です!」

 

 赤馬?あの社長さんの家族かな~?

 私の対面に立っているのは継ぎはぎの熊のぬいぐるみを持った帽子の上にフードを被った男の子?だよね?

 なんだか、怯えているような・・・

 うん、とりあえず、挨拶は大事だよね!

 

「こんにちは!いいデュエルにしようね!」

 

 握手しようと思って手を差し出してみるけど、零羅君は瞬きもせずにそこに立っているだけ

 その大きな眼は見開かれたままで、まるでカメラのレンズみたい

 

「おや~?どうしましたかな、零羅君?緊張しておりますかな?」

 

 零羅君はピクッ!っと反応すると顔を上げて、どこかに目を向ける

 その視線の先には、あのLDSの学長さんがいて窓越しだから何んだかわからないけど・・・何か言っていた

 

――ハッ!

 

「おや?」

 

 零羅君は持っていたぬいぐるみをニコさんに渡して、初期位置についてしまった

 う~ん、変わった子だな~

 

「ふむ、では、零羅選手も準備が出来た様なのでアユ選手も準備をお願いできますかな?」

 

「あっ、は~い」

 

 私も初期位置に立って準備完了する

 よ~し、頑張るぞー!


「さぁ、まずはアクションフィールドのセレクトです!アクションフィールド、オン!!」

 

 アユと零羅の立つ場所がスタジアムの芝生から燦々と陽光が照り付ける岩場の谷へと変わる

 

「これはフィールド魔法、おひさまの谷!

 夏場でこのフィールドは少々きつそうですが、両選手には元気いっぱいにデュエルしてほしいものですね~

 では、始めましょう!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り!」

 

「宙を舞い・・・」

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ・・・」

 

「これぞ!」

 

「デュエルの最強進化系!アクショーン!!」

 

『『決闘(デュエル)』』

 

「先攻は私からだよ!

 私は、あっ!アクションカード見っけ!」

 

「おぉ!アユ選手早速アクションカードを入手、幸先がいいですね~」

 

「よ~し、魔法カード、手札抹殺発動

 互いのプレイヤーは手札を全て捨てて、デッキから捨てた枚数分ドローするよ

 私の手札は5枚だから、5枚のカードをドロー!」

 

「僕も5枚のカードを捨てて5枚のカードをドロー・・・」

 

「これは遊矢君の十八番、アクションカードを使った手札増強だー!

 アクションカードをフル活用する遊勝塾らしい戦略ですね~」

 

「よし、私は手札からアクアアクトレス・グッピーを召喚!」

 

グッピー「キュル!」

    ATK600

 

 日の照りつける谷に可愛らしくデフォルメされたピンクの熱帯魚が現れる

 

「グッピーの効果発動

 1ターンに1度、手札のアクアアクトレスモンスター1体を特殊召喚出来る

 来て、アクアアクトレス・アロワナ!」

 

アロワナ「アロー!」

    ATK2000

 

 グッピーの隣に並ぶ、巨大かつ派手な紫を基調とした熱帯魚

 水生のモンスターの割には演出の為だろうか、キセルまで持っている

 

「まだまだ行くよ~手札から魔法カード、ダウンビート発動

 このカードは1ターンに1度だけ発動出来て、自分フィールド上の表側表示モンスターを1体リリースして発動できるの

 そして、私はリリースしたモンスターと元々の種族、属性が同じで元々のレベルが1つ低いモンスターをデッキから特殊召喚するよ

 私はレベル2で水属性、水族のグッピーをリリースしてデッキからレベル1のアクアアクトレス・テトラを特殊召喚!」

 

テトラ「テートラ!」

   DEF300

 

 グッピーが退場し、続き現れるのは水色の熱帯魚、その顔は男形だからか少々凛々しい

 

「テトラの効果発動、1ターンに1度、デッキからアクアリウムカードを1枚手札に加えるよ

 私は永続魔法、水舞台(アクアリウム・ステージ)を手札に加えて発動!」

 

 水分など全くない岩谷がどこからともなく現れた大量の水に呑まれ、海底の様になってしまう

 心なしか、居心地が悪そうにしていたアクアアクトレスたちもご満悦だ

 

「このカードの効果で私の水属性モンスターは水属性モンスターとの戦闘以外では破壊されない

 さらに、アクアアクトレスモンスターは相手の効果を受けなくなるよ

 そして、アクアアクトレス・アロワナの効果発動

 デッキからアクアアクトレスモンスターのグッピーを手札に加えて、手札を1枚セット

 私はこれでターンエンドだよ。」

 

「お~迎撃準備万端のフィールド、零羅選手、これを崩せるのか!」

 

「・・・僕のターン、ドロー」

 

 ニコの煽りも空しく、零羅は機械的な動きと抑揚のない声で自分のターンを開始する

 

「僕は手札から永続魔法、ペルソナ・シャッター・レイヤー1を発動

 このカードは相手モンスター1体を選択し、そのモンスターと同じ、種族、属性、レベル、攻撃力、守備力、効果、名前を持ったモンスターとして自分のモンスターゾーンに特殊召喚する。

 僕はアクアアクトレス・アロワナを撮影・・・」

 

――カシャ!

 

 カメラ付きの仮面が現れ、小切れの良いシャッター音が鳴り響くと仮面の後ろに像が現れる

 その姿は左右が反転し仮面をつけたアクアアクトレス・アロワナそのものだった

 

 レイヤー1(アロワナ) ATK2000

 

「ただし、選択したモンスターがフィールドを離れたとき、このカードは破壊される・・・」

 

 零羅の使用した相手を完全にコピーするマジックモンスターという、珍しいカードをフトシとタツヤは考察する

 

「へぇ~どんな強いモンスターもコピーされちゃうってことか・・・結構強いかも」

 

「いや、それだけじゃないよ

 召喚権を使わずにモンスターをだしたからリリースしてアドバンス召喚にも使えるし、相手次第だけど、シンクロやエクシーズにもつなげられる。

 おまけに効果までコピーしているから、いろんなコンボが出来るだろうね。」

 

「バトル・・・レイヤー1でアクアアクトレス・テトラを攻撃・・・」

 

 コピーアロワナの吐いた水流がテトラへと向かうが、それをただで通すアユではなかった

 

「ちょっと待って!相手の攻撃宣言時にトラップ発動、邪神の大災害!

 フィールド上のマジック、トラップカードを全て破壊するよ。」

 

「えっ?」

 

 穏やかだった海中の中に突如として渦潮が発生し、コピーアロワナを飲み込んで行く

 そして、渦潮はいつの間にか大竜巻へと変化し、水そのものを奪い去って行った

 

「おぉっと!アユ選手の発動させたトラップにより、零羅君のコピーモンスターも破壊!

 アユ選手もカードを1枚失ってしまいましたが・・・おぉぅ!?」

 

 ニコはアユのフィールドを見て驚愕する、そこには

 

グッピー「ピッ!」

    ATK600

 

 ピンク色の熱帯魚と

 

 ディノミスクス ATK1200

 

 無数の青白く光る触手を生やした古代生物が鎮座していた

 

「邪神の大災害発動時に墓地のトラップカード、バージェストマ・ディノミスクスを発動したよ

 このカードはトラップカードが発動した時、その発動にチェーンして通常モンスターとして特殊召喚出来るの

 さらに破壊された水舞台(アクアリウム・ステージ)の効果で墓地の水族モンスター、アクアアクトレス・グッピーを特殊召喚したよ。」

 

「なんということだー!零羅選手の攻撃が完全に仇となってしまったー!

 手札抹殺もこの状況を作るための布石だったとはー!」

 

「・・・・・・僕はカードを3枚伏せて、永続魔法、騎士道精神発動

 自分フィールド上のモンスターは、攻撃力が同じモンスターとの戦闘では破壊されなくなる。

 これでターンエンド・・・」

 

「私のターン、ドロー

 まずはアロワナとテトラの効果発動

 デッキからテトラと水舞台装置(アクアリウム・セット)を手札に加えるよ

 そして、グッピーの効果で手札のグッピーを守備表示で特殊召喚」

 

グッピー「ピッ!」

    DEF600

 

「さらに永続魔法、水舞台装置(アクアリウム・セット)を発動

 このカードの効果で私の水属性モンスターは攻守が300ポイントアップ

 さらにアクアアクトレスモンスターは、もう300ポイントアップするよ」

 

 荒れ谷に豪華な城が現れる、まるでおとぎ話の竜宮城の様な外見だが水っ気のないこのフィールドでは古代遺跡の様だ

 

 アロワナ    ATK2000→2600

         DEF2000→2600

 グッピー    ATK600→1200

         DEF600→1200

 グッピー    DEF600→1200

         ATK600→1200

 テトラ     DEF300→900

         ATK300→900

 ディノミスクス ATK1200→1500

         DEF0→300

 

「よし、バトル!グッピー、ダイレクトアタック行ちゃってー!」

 

グッピー「ピッ!」

 

「あうっ!」

 LP4000→2800

 

 グッピーは宙を舞いながら体当たりを仕掛け、それを受けた零羅はよろめく

 一方アユは攻撃が通ったことに驚いていた

 

(なにも発動させなかった?攻撃反応型トラップじゃないのかな~?

 全部攻撃が通ったらライフが無くなっちゃうのに、う~ん・・・)

「まぁ、いいや

 バージェストマ・ディノミスクスでダイレクトアタック!」

 

「うぅ・・・」

 LP2800→1300

 

 ディノミクスの触手が鞭のように零羅に襲い掛かるが、それでも零羅は何もアクションをしない

 

(アクションカードも取りにいかない・・・なら、この攻撃で)

「アクアアクトレス・アロワナでダイレクトアタックだよ!」

 

「零羅選手、大ピーンチ!このまま終わってしまうのか!?」

 

「トラップ発動、ペルソナ・シャッター―インスタント

 ダイレクトアタックを受けたとき、このカードをその攻撃モンスターと同じモンスターとして自分フィールド上に特殊召喚する。

 ただし、バトルフェイズ終了時にこのカードは破壊される。」

 

――パシャッ!

 

 インスタント(アロワナ) ATK2600

 

 シャッター音が鳴り零羅の場にアクアアクトレス・アロワナが現れるが、その顔の半分はカメラの様な機械がはめ込まれており、異様さを醸し出していた

 

「むぅ~攻撃力まで、そのままコピーか・・・

 じゃあ、私はこれでバトルフェイズを終了するよ。」

 

「待って・・・バトルフェイズ終了時に速攻魔法、神秘の中華鍋を発動

 このカードは自分フィールド上のモンスターをリリースして、その攻撃力か守備力のどちらかの数値の分ライフを回復する

 

 さらにチェーンして、永続トラップ、フォト・フレームを発動

 このカードは相手フィールド上の表側表示のマジック、トラップカードと同じ効果になって同じ種類のカードとして扱う。

 僕は水舞台装置(アクアリウム・セット)を撮影・・・」

 

――カシャ!

 

 零羅側の岩の壁に水舞台装置の風景が写り込む、壁画の様だがその効力は如実に表れる

 

 インスタント(アロワナ) ATK2600→3200

 

「えぇー!?っていう事は!?」

 

「神秘の中華鍋の効果でリリースして攻撃力分のライフを回復する。」

 LP1300→4500

 

「何と零羅選手、アユ選手のカードを利用してライフを大幅に回復!

 アユ選手はこのターンの攻撃が全て無駄になってしまいました。」

 

「へぇ~コピーモンスター、って言うよりコピーデッキか

 1枚1枚は大したこと無いその場しのぎだけど、噛みあうと厄介だね。」

 

「そうね、水属性を全体強化する水舞台装置(アクアリウム・セット)もコピーされちゃったし、アユちゃんには厳しい戦いになるわね。」

 

「でも、可愛いから大丈夫だ!!」

 

「おじさん、五月蠅い」

 

 真面目に考察する素良と柚子に対し、アユの父がボケてくるが素良に一蹴される

 

「もう、パパってば・・・

 私はメインフェイズ2でレベル2のバージェストマ・ディノミスクスと攻撃表示のアクアアクトレス・グッピーでオーバーレイ

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚

 来て、バージェストマ・オパビニア!」

 

オパビニア「ギシャアアァァァァァ!!」

     DEF2400→2700 ORU2

     ATK0→300

 

 乾いた地層を割り砕き、百足のような長い躰を持ち漏斗のような口吻に鋭い牙が生えた不気味な古代生物が現れる

 この生物を可愛いと感じるものは流石に少ないだろう

 

「オパビニアの効果発動

 1ターンに1度、このカードがトラップカードをオーバーレイユニットにしている時、オーバーレイユニットを1つ使ってデッキからバージェストマトラップを手札に加える

 私が手札に加えるのはバージェストマ・ピカイア」

 

 オパビニア ORU2→1

 

「さらにグッピーの効果で手札のアクアアクトレス・テトラを特殊召喚」

 

テトラ「フフ」

   DEF300→900

   ATK300→900

 

「そしてこのテトラの効果でデッキから水照明(アクアリウム・ライティング)を手札に加えて発動

 これで私のアクアアクトレスモンスターはモンスターと戦闘を行うときその攻撃力を2倍にするよ

 カードを2枚伏せて、ターンエンド」

 

「僕のターン、ドロー・・・あっ・・・」

 

 零羅がドローしたカードを確認した時、その眼に光が宿った

 そして、その顔を上げて一点を見つめる

 アユもそれが気になり振り向くとそこに居たのは

 

(あっ、赤馬社長だ)

 

 赤馬零児が静かに零羅を見つめていた

 

「僕は手札よりCC隻眼のパスト・アイを召喚!」

 

 パスト・アイ ATK1400

 

 零羅が召喚したモンスターはベルトや針金で岩のような躰を無理やりつなぎ合わせた無機質な物であり、ただ一点、大きな眼だけは生物的であり、不気味さを増長させていた

 

「なんだ、あのモンスター!?」

 

「痺れるくらい不気味だぜ・・・」

 

「手札から永続魔法、写真融合(モンタージュ・フュージョン)を発動!

 このカードは1ターンに1度、融合モンスターによって決められた融合素材モンスターが自分及び相手フィールド上にそれぞれ1体以上存在するとき、自分フィールド上の融合素材モンスターを墓地に送り、融合召喚を行う!」

 

「私のフィールドのモンスターのコピーとで融合召喚するの!?」

 

「レベル6のアクアアクトレス・アロワナを撮影!

 そして、撮影したレベル6の水属性モンスターのアロワナと隻眼のパスト・アイを融合する!

 鱗煌めく大河の覇者よ!我が目に宿りて、その力を捧げよ!融合召喚!!」

 

 機械的だったさっきまでとは打って変わって感情の宿る言葉で祝詞を叫ぶ

 

「現れろ!全てを切り裂く水の剣!CCC武融化身 ウォーター・ソード!」

 

 武融化身ウォーター・ソード ATK2400→2700

 

 現れたのは水のように煌めくディスク状の機械の様なモンスター

 それには多数の数の宝玉と1本の剣がはめ込まれている

 

水舞台装置(アクアリウム・セット)の効果で攻撃力が300ポイントアップする。」

 

「でもでも、私のフィールドには水照明(アクアリウム・ライティング)があるから攻撃表示のアロワナに攻撃したら返り討ちなんだからね!」

 

「ウォーター・ソードは戦闘時、フィールド上のこのカード以外の水属性モンスターの攻撃力を全て加える!」

 

「なっ!?それじゃ!?」

 

「今フィールドに居る水属性モンスターはアユのモンスター5体!」

 

「総攻撃力は5900、アロワナに攻撃すれば水照明(アクアリウム・ライティング)の効果でアロワナの攻撃力が倍になり、もう2600ポイント加算して、最終的に11200になるな」

 

「それじゃ、アユちゃんは・・・」

 

「行って、CCC武融化身ウォーター・ソードでアクアアクトレス・アロワナに攻撃!」

 

 ディスクの宝玉が光を放ち、設置されていた剣の刀身に水が纏う

 その剣はひとりでに浮かび上がり、目標に向かって射出される、だが

 

――ドコッ!!

 

「えっ!?」

 

――ザアアアァァァァァァ!!

 

 その行く手は岩肌を粉砕し流れ込んできた大量の水によって止められた

 

「トラップカード、ポセイドン・ウェーブを発動させたよ

 このカードは相手モンスター1体の攻撃を無効にする。」

 

 ウォーター・ソードの剣を飲み込んでもその水は留まることを知らず、未だに流れ続け、人型を形成していく

 

「さらに私のフィールドの水族、魚族、海竜族のモンスター1体に付き、相手に800ポイントのダメージを与える!」

 

「なっ!?」

 

「言ったでしょ、アロワナに攻撃したら返り討ちって!

 4000ポイントのダメージ、受けてもらうよ!いけー!!」

 

 大量の水を圧縮されて形成されていた人型は崩壊し、零羅に津波となって押し寄せる

 

「ぼ、僕は墓地のトラップカード、ダメージ・ダイエットを除外して効果発動!

 このターン、僕が受ける効果ダメージは半分になる!うわああぁぁ!!」

 LP4500→2500

 

「あっ、躱されちゃった・・・」

 

「うぅ・・・バトル終了、僕は墓地のシャッフル・リボーンの効果発動

 このカードを除外し、自分フィールド上の表側表示カードを1枚デッキに戻すことでデッキから1枚ドローする。

 ウォーター・ソードをデッキに戻して1枚ドロー

 

 カードを1枚伏せて、ターンエンド

 エンドフェイズにシャッフル・リボーンの効果で手札を1枚除外しなくちゃならないけど、僕の手札は0だがら、不発・・・」

 

「何と言う攻防でしょうか!

 零羅選手の必殺の一撃に反撃したアユ選手ですが、零羅選手はこれを最小限のダメージで抑えましたー!」

 

「そう簡単に勝たしてはくれないよね

 私のターン、ドロー

 私はアロワナとテトラ2体の効果でデッキからグッピーと水舞台(アクアリウム・ステージ)水舞台装置(アクアリウム・セット)を手札へ

 さらにオパビニアの効果、オーバーレイユニットを1つ使ってデッキから、バージェストマ・ハルケギニアを手札へ」

 

 オパビニア ORU1→0

 

「よし!魔法カード、嵐を発動

 自分フィールド上のマジック、トラップカードを全て破壊して、その後、破壊したカードの数だけ相手フィールド上のマジック、トラップカードを破壊する!」

 

「っ!?トラップ発動!!和睦の使者!

 このターン、僕のモンスターは破壊されず、戦闘ダメージも0になる!」

 

「だったら、効果ダメージはどう?

 チェーンしてトラップカード、ダイアモンド・ダストを発動

 フィールドの水属性モンスターをすべて破壊して、この効果で破壊されて墓地へ送られた水属性モンスター1体に付き、500ポイントのダメージを与える!」

 

 アユのモンスターが氷像となって砕け散り零羅に向かって飛散する

 

「墓地の2枚目のダメージ・ダイエットの効果発動!

 このカードを除外してこのターン僕が受ける効果ダメージは半分になる!!うわぁ!?」

 LP2500→1250

 

「う~ん、ダメかぁ・・・嵐の効果で水舞台装置(アクアリウム・セット)水照明(アクアリウム・ライティング)、ダイアモンド・ダストの3枚を破壊

 零羅君の騎士道精神、水舞台装置(アクアリウム・ステージ)扱いのフォト・フレーム、写真融合(モンタージュ・フュージョン)を破壊するね。」

 

 互いのフィールドにカードがなくなるが、アユはこれだけでは終わらない

 無格好でも勝利を目指し、最善を尽くす、それが師の教えなのだから

 

「破壊された水舞台装置(アクアリウム・ステージ)水照明(アクアリウム・ライティング)の効果で墓地の水族モンスターを1体ずつ特殊召喚

 戻ってきて、アクアアクトレス・グッピー、バージェストマ・オパビニア!」

 

グッピー「ピィ!」

    DEF600

 

オパビニア「ギシャアアァァァ!」

     DEF2400

 

「オパビニアが居る時、手札のバージェストマトラップをそのまま発動できる

 私はバージェストマ・ピカイアを発動

 手札のバージェストマカード、バージェストマ・ハルキゲニアを捨てて2枚ドロー

 そして、チェーンして墓地のトラップ、バージェストマ・ピカイアを通常モンスター扱いで特殊召喚」

 

 ピカイア ATK1200

 

 太刀魚のように長い体をくねらせて、泥の中から古代生物がよみがえる

 

「さらに手札からトラップカード、バージェストマ・ハルキゲニアを発動

 フィールドの表側表示モンスター1体を選択して、その攻守をターン終了まで半分にするよ」

 

 グッピー DEF600→300

      ATK600→300

 

「えっ?自分のモンスターを・・・?」

 

「そして、墓地のトラップカード、バージェストマ・ハルキゲニアの効果発動

 バージェストマ・ハルキゲニアにチェーンして通常モンスター扱いで特殊召喚」

 

 ハルキゲニア ATK1200

 

 針のような脚部に背部に無数のチューブ所の管を生やした生物が水浸しで泥のようになったフィールドから這い出してくる

 

「アクアアクトレス・グッピーを手札から通常召喚」

 

 グッピー ATK600

 

「よ~し、私はレベル2のアクアアクトレス・グッピーとバージェストマ・ハルキゲニア、ピカイアの3体でオーバーレイネットワークを構築

 出てきて!太古の海に潜む最強の捕食者!バージェストマ・アノマロカリス!!」

 

アノマロカリス「シャアアアァァァァァァ!!」

       ATK2400 ORU3

 

 その体長は優に10メートルは超すであろう巨躯に濃紺の甲殻を持つ太古の食物連鎖の頂点

 その2本の爪の生えた碗が獲物を狙う

 

「さらにバージェストマ・マーレラ発動

 デッキからトラップカード、邪神の大災害を墓地に送るよ

 さらにこのカードにチェーンして、墓地からバージェストマ・オレノイデスを通常モンスター扱いで特殊召喚」

 

 赤紫の三葉虫がハルキゲニアと同じく、泥中から這い出す

 

 オレノイデス ATK1200 

 

「アノマロカリスの効果、私のマジック、トラップゾーンからトラップカードが墓地に送られた時、デッキの1番上のカードを確認してそれがトラップなら手札に加え、それ以外なら墓地に送る

 デッキの1番上は・・・やった!トラップカード、水物語(アクア・ストーリー)―ウラシマ!手札に加えるね。」

 

「レベル2のアクアアクトレス・グッピーとバージェストマ・オレノイデスでオーバーレイネットワークを構築

 エクシーズ召喚、バージェストマ・オパビニア!」

 

オパビニア「シャアァァ!」

     DEF2400 ORU2

 

「オパビニアの効果でバージェストマカードをって行きたいところだけど、オパビニアの効果は1ターンに1度しか使えないから・・・

 永続魔法、水舞台(アクアリウム・ステージ)水舞台装置(アクアリウム・セット)を発動させてカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 アノマロカリス ATK2400→2700

         DEF0→300

 オパビニア   DEF2400→2700

         ATK0→300

 オパビニア   DEF2400→2700

         ATK0→300

 

 再び海底となるフィールド、その中を悠然とアノマロカリスが泳ぎ回り、海底ではオパビニアが待ち構える

 捕食者だらけの無法の海と化した場に零羅の感じる恐怖はピークに達していた

 

(兄様にもらったカードがこの子には通用しない・・・

 兄様にもらったヒカリがこの子には届かない・・・)

 

 兄、赤馬零児からもらった力であるウォーター・ソードは激流に呑まれて阻まれた

 そして今、太古の捕食者たちは、今か今かと獲物である自分を狙っている

 

(僕じゃ勝てない・・・

 僕じゃ負ける・・・

 僕じゃ・・・死ぬ・・・)

 

 少年の過去に刻まれた記憶、死と隣り合わせの日常

 迫る敗北は死の前兆だと零羅の頭が訴えてくる

 

「あ・・・あぁ・・・」

 

 フィールドにはもはやカードは1枚もない、手札もない、墓地にあるダメージ軽減カードは使い切った

 生きるために模倣をしてきた少年はもはや模倣するだけの材料すらない状況で、迫る敗北に震えるしかなかった

 

――ガチガチガチッ!

 

 凍えるように寒い、奥歯がガタガタ鳴る、手も震えて言う事が聞かない

 その様子を見ていたニコも異常かと声をかけようとするが

 

「あきらめないで!!」

 

 アユの声が先に響いた

 

「えっ・・・?」

 

「負けるのって怖いよね?でも、私はこんな形でデュエルを終わらせたくない」

 

 対戦者、それも今から自分を食らおうとしている捕食者の主である少女からのわがまま

 

「どうして・・・?」

 

「だって、あなたとのデュエル、すっごく楽しいだもん!」

 

「楽しい・・・?」

 

 少女からの意外な言葉、死と隣り合わせの戦いが何が楽しいのだろうか?

 

「うん、あなたのカードって見たこともないのばっかりだし、戦い方もすっごくユニークだし、次は何が出るんだろうって、すっごくわくわくするの!」

 

 わくわく?何を言っているんだ、戦いにそんなものいらないじゃないか

 

「ねぇ?なんで、そんなに楽しそうなの?」

 

 零羅の中に生まれた疑問、それはアユに対する初めてのアクション

 嘲りなど感じない、彼女から伝わった来る純粋な「楽」の感情に対する疑問だ

 

「えっ?あなたはデュエルが楽しくないの?」

 

「!?」

 

 その瞬間、零羅が理解した彼女と自分の決定的なズレ

 彼女は戦いが好きなわけじゃない、彼女は殺しが好きなわけじゃない、彼女は戦争が好きなわけじゃない

 彼女は「決闘(デュエル)」という「遊戯(ゲーム)」が好きなんだと

 これは戦いではない、これは殺しではない、これは・・・戦争ではないのだから

 

「・・・・・・僕の、ターン!ドロー!」

 

 殺されることはない、死ぬことはない、殺すこともない

 それがわかった時、零羅の心は軽くなった

 死の恐怖がなくなって、零羅に中に残ったのは「負けたくない」という、子供らしい思いだった

 

「僕は魔法カード、命削りの宝札を発動

 手札が3枚になるようにドローする

 ただし、このターン特殊召喚が行えず、エンドフェイズに手札を全て墓地に送る

 

 さらに魔法カード、強欲で貪欲な壺を発動

 デッキの上から裏側表示で10枚のカードを除外して発動し、2枚のカードをドローする。

 そして、カードを4枚セット!」

 

「おっと、そうはいかないよ!

 バージェストマ・アノマロカリスのもう1つの効果

 トラップカードをオーバーレイユニットにしているとき、オーバーレイユニットを1つ使ってフィールド上のカードを1枚破壊する。

 この破壊効果は相手ターンにも発動できる

 私はオーバーレイユニットを1つ使い1番右のカードを破壊するよ!」

 

アノマロカリス「シャアアァァァァ!」

       ORU3→2

 

「させない!墓地のトラップカード、ブレイクスルー・スキルの効果発動

 このカードを除外して相手モンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする!!」

 

「あう~また、防がれちゃった・・・」

 

「僕はこれでターンエンド」

 

「よ~し、このターンで決めちゃうんだから!ドロー!」

 

「トラップ発動、バトルマニア

 このカードは相手ターンのスタンバイフェイズに発動可能

 相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターは全て攻撃表示になり、このターン表示形式は変更できず、このターン攻撃可能なモンスターは攻撃しなければならない!」

 

 オパビニア DEF2700→ATK300

 オパビニア DEF2700→ATK300

 

(攻撃強要カード、だったら残りの3枚はミラーフォースみたいなカード!?)

「私はバージェストマ・オパビニアの効果発動

 オーバーレイユニットを1つ使いデッキからバージェストマ・オレノイデスを手札に加えて発動

 フィールド上のマジック、トラップカードを1枚破壊するよ、真ん中のカードを破壊!」

 

「ダメ!トラップ発動、死魂融合(ネクロ・フュージョン)

 墓地の融合素材を裏側表示で除外して融合召喚する

 僕は墓地のCC隻眼のパスト・アイと神竜アクアバザルを融合!

 天に届きし水の柱よ、我が目に宿り、力捧げよ!融合召喚!!

 再び現れろ!全てを切り裂く水の剣!CCC武融化身 ウォーター・ソード!!」

 

 兄からもらったカードから生まれた零羅を守る盾にして剣、ウォーター・ソードが再びその姿を現した

 

 武融化身ウォーター・ソード ATK2400

 

「うっ!?そのモンスターは・・・だったら、まずはトラップカードが墓地に行ったから、アノマロカリスの効果発動、デッキトップはダイアモンド・ダスト、トラップカードだから手札に加えるよ

 さらにアノマロカリスの効果発動

 オーバーレイユニットを1つ使って、ウォーター・ソードを破壊!!」

 

「させない!速攻魔法、禁じられた聖杯を発動

 フィールド上の表側表示モンスターを1体選択し、そのモンスターの攻撃力を400アップさせて効果を無効にする。

 アノマロカリスの効果はこれで無効!」

 

アノマロカリス「ギャアアァァァ!?」

       ATK2700→3100 ORU2→1

 

 ウォーター・ソードに襲い掛かるアノマロカリスだったが、黄金の杯がぶつかりそれを妨害する

 

「まだだよ!トラップ発動、水物語(アクア・ストーリー)―ウラシマ

 私の墓地にアクアアクトレスモンスターが居る時、フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。

 そのモンスターはターン終了まで、効果を無効にして攻撃力、守備力を100にして、さらに相手のカード効果を受けられなくする!」

 

「リバースカード発動、速攻魔法、禁じられた聖槍

 このターン、フィールド上のモンスター1体の攻撃力を800ダウンさせ、このカード以外のマジック、トラップカードの効果を受けられなくする!」

 

 青紫の玉手箱の中からあふれ出た霧がウォーター・ソードに向かうが、ウォーター・ソードから聖なる力を秘めた槍が射出され、魔力の宿った霧を払う

 

 武融化身ウォーター・ソード ATK2400→1600

 

「あはは、やっぱり君すごいね!」

 

 もはやアユに打てる手立てはない、次のターンに成れば勝利は確実だがバトルマニアの効果を受けたモンスター達をどうにかする手段がないのだ

 悔しさはあったが、純粋に相手の力量が上だったのだ

 アクションカードを探すという手段もあったが、周囲にそれらしきものはない

 探しているうちにモンスター達が待ちきれずに動き出してしまうだろう

 

「うん・・・私の負けだね・・・

 バージェストマ・アノマロカリスでウォーター・ソードに攻撃!」

 

「ウォーター・ソードの効果!

 戦闘時にこのカード以外の全ての水属性モンスターの攻撃力をこのカードに加える。」

 

 武融化身ウォーター・ソード ATK1600→4900

 

――ザシュ!!

 

 水の剣が太古の海王を両断する

 そして、その余波が水圧となってアユへと襲い掛かる

 

「あうぅ・・・バージェストマ・オパビニアで攻撃!」

 LP4000→1800

 

「ウォーター・ソードの効果!」

 

 ウォーター・ソード ATK1600→2200

 

――ザシュ!!

 

 オパビニアも同様に切断された

 

「きゃああぁぁ!!うぅ・・・これで」

 LP1800→200

 

「最後・・・」

 

 ウォーター・ソード ATK1600→1900

 

――ザシュ!

 

 最後のオパビニアにウォーター・ソードが墓標の様に突き刺さり、ここの勝敗は決した

 

アユLP200→0


「ふぅ・・・」

 

 勝った・・・しかし、なんだろう、この気持ちは?

 疲れが心地よい、まだ体が熱を持っている

 

「あ~負けちゃった~」

 

 さっきまで対戦していた女の子が近づいてくる、何しに来たんだろう?

 

「はいこれ、ニコさん忙しいから渡しておいてくれって」

 

 僕のぬいぐるみ

 

「このために?」

 

「う~ん、それもあるけど、君とのデュエルすっごく面白かったから、またやりたいなって、ダメ・・・かな?」

 

 またデュエルがしたい、それが言いたくて来たんだ

 なんだろう、胸の奥がポカポカする

 またこの子とデュエルをすれば、この気持ちの名前が分るだろうか?

 

「うん・・・いいよ。」

 

「やったー!じゃあ、次は負けないからね!

 あっ!3回戦は私と同じ塾のフトシだから頑張ってね、それじゃ!」

 

 彼女はそう言って、彼女の仲間の所に帰ってゆく、負けたのに楽しそうだ

 

「零羅」

 

 僕を呼ぶ声、いつの間にか兄様がスタジアムの入り繰りまで下りてきていた

 僕はすぐさま、兄様の下に駆け寄った

 

「兄様・・・」

 

 兄様はゆっくりと手を差し出して、僕の頭を撫でてくれる

 安心する、僕のヒカリ

 

「よくやった、その調子だ。」

 

 褒められた、胸の奥が熱くなる

 そうだ、思い出した・・・この気持ちの名前は「うれしい」だ

 また兄様に褒めてもらおう、そのために勝ち進もう

 

 そして、できれば・・・あの子の言う様に楽しいデュエルをしよう

 




う~む、ユート最後の攻防、お前の戦術に似てなかったか?

あぁ、赤馬零児があの子に俺たちのデュエルを見せていたのはこのためか?

わからん、そういえば次の試合はあの遊矢とかいう奴らしいぞ

あぁ、俺と同じ顔を持つこの世界の住人か・・・
資料でしか見たことがなかったが、実際のデュエルを見られるのは楽しみだな

あぁ、次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth『因縁の歴史』
これは本当にデュエルなのか?


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因縁の歴史

歴史(約8年)

なお、作者はロボットアニメも好き


 ヤツとの出会いは自分が梁山泊塾に入塾する日

 両親と別れ、マスター梁山と共に夕焼けの河原を歩いている時だった

 

「おや、貴方はもしかしてプロデュエリストの郷田川 梁山さんではありませんか?」

 

 そいつは奇妙なヤツだった

 夕焼けに照らされた顔はニコニコと笑みを浮かべているのに、自分には恐ろしく思えた

 

「童、何の用だ?」

 

「いえいえ、有名なプロの御方に出会えたので、ご挨拶をと

 あとできれば、私とデュエルをしてほしい、な~んて」

 

 当時の自分よりも幼い外見、だがその喋り方は大人びていてアンバランスさが冗長され、仰々しくその仕草は人形の様で不気味だ

 

「キサマの様な者にかまっているほど、儂は暇ではない。」

 

「いえいえ、時間は取らせませんよ?

 何しろ、私みたいな子供など郷田川プロに掛かればすぐに負けるでしょうからねぇ~?」

 

「ふん、それならば、なおの事、時間の無駄だ。」

 

「おや?無駄になるほど、時間がかかると?」

 

 挑発的な言い回し、自分はマスター梁山の後ろに居たのでマスターの顔を見ることは出来なかったが、背中からわかるほど怒りを滲ませていた

 

「いいだろう!小僧!!加減などせんぞ!!」

 

「はははっ、そうこなくちゃ!」

 

 人好きのする笑顔が崩れ、獲物を前にした狼の様に口の裂けた笑みをしたそいつは、戦いの合図を高らかに叫び

 

『『決闘(デュエル)』』

 

「先攻は俺だ、フィールド魔法、ブラック・ガーデン!」

 

 自分たちを飲み込んだ


「はぁ、はぁ・・・・」

 

「う~ん、タイトル複数持ちのプロデュエリストでこの程度か・・・

 やっぱりアクションじゃないとダメか?」

 

 そのデュエルは一方的だった

 マスターのモンスターはすべて弱体化させられ、それと同時に薔薇の化物が湧いてくる

 そしてそれは奴の発動させた永続罠で凶暴化し不死の力を手に入れていく

 

「くっ!嘗めるなよ小僧!!

 儂は天昇星テンマに最強の盾を装備、このカードの効果でテンマの攻撃力は元々の守備力分上昇する。」

 

 テンマ ATK1050→2050

 

「バトル!天昇星テンマでローズトークンに攻撃じゃ!!」

 

テンマ「はあぁぁぁ!!」

 

 マスター梁山の攻撃、破壊はされなくてもそれを上回る力で攻撃し続ければデュエリストのライフは尽きる

 

「速攻魔法、旗鼓堂々発動

 俺の墓地の装備魔法を正しい対象となるフィールド上のモンスターに装備する

 俺はヴィシャス・クローを攻撃されているローズトークンに装備」

 

ローズトークン「ギシャアアァァァァァ!!」

       ATK1800→2100

 

 たったの50ポイント、その差が決定的な差となる

 薔薇の化物から生えた白銀の爪はマスターのモンスターを盾ごと引き裂いた

 

「なんと!?」

 

「さて、時間が押しているのなら手早く終わらせよう

 ローズトークンでダイレクトアタック!」

 

「ぐわあああぁぁぁぁ!!」

 

――ボシャン!!

 

 無数の蔦がマスター梁山に襲い掛かり、突き飛ばす

 師になるはずの人のいきなりの敗北、目の前で起きた出来事に自分は混乱した

 

「あちゃ~ただのソリットビジョンなのに派手に跳んだな・・・大丈夫だろうか・・・」

 

 師がかなわない相手。当時の自分では到底敵わないだろう……だが

 

「ん?君もデュエルがしたいのか?」

 

 自分は奴に勝ちたいと思った

 

――ガクガク

 

 体が震える、猛獣に挑むような自殺行為だ

 

「そんなに怯えるなよ・・・そんな調子だと俺も楽しめないからさ~」

 

 楽しむ?

 マスター梁山はデュエルを楽しいなどと思うなと言った

 お前の行く道はそんな甘いものではないと、ひたすら暗い闇の道を歩き続けろと

 なのにこいつは楽しむためにマスター梁山と戦い、勝利したというのか!?

 

「そうだ、君は彼のデュエル塾に通うのだろう?

 だったら、そこで1番の強さに成ったらデュエルしようじゃないか?」

 

「!?」

 

「楽しみにしておくよ。」

 

「ま、待て!!」

 

 一陣の風が過ぎ去り、奴は夕闇に解けるようにして姿を消した


「破ッ!!」

 

「ぐわああぁぁぁ!!」

 

 自分の今日の対戦相手が吹き飛ばされ転がる

 

 あれから5年、自分はこの梁山泊塾であいつが言ったように1番となった、マスター梁山とも互角以上に戦えるほどに

 全てはあの日以来、亡霊のように自分の記憶に住み続ける奴と戦うため

 あの日、怯え震えるだけだった自分と決別するため

 

「「ぐわあああぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 道場に響く悲鳴、扉を突き破り転がっていたのは梅杉と竹田

 ロクでもない小者どもだが、それなりに腕の立つこの2人がやられた

 

 自分の体が震える、直感で思ったヤツが来たのだ

 

「やれやれ、2対1でこの様か・・・肉体言語以外に取柄はないのかね、こいつらは」

 

 この震えは、あの幼い時の怯えから来るものではない

 

「やぁ少年、5年ぶりくらいかな?

 毎日頑張っているようだねぇ~あの時の約束通り、デュエルをしようじゃないか」

 

 これは歓喜だ!!

 

「そうだ待っていたぞ!!この時を!!

 キサマを下す、この一戦を5年もの間待っていたぞ!!」

 

「おうおう、気合十分だねぇ~じゃあ、早速やりますか」

 

『『決闘(デュエル)』』

 

 ヤツの使ったのは、あの時と同じブラック・ガーデンというフィールド魔法を使用したトークンデッキ

 奇怪なコンボを使用したそのデッキは混沌と言う他ならない

 

「だが、このカードでキサマの混沌を打ち砕く!

 マジックカード、融合発動、手札の地翔星ハヤテと天昇星テンマを融合!

 天翔ける星、地を飛び、今一つとなって、悠久の覇者たる星と輝け!融合召喚!

 来い!覇勝星イダテン!!」

 

覇勝星イダテン「はっ!!」

       ATK3000

 

 闇色の鎧を輝かせ、三又の矛を構えし戦神、自分が修行の末、手に入れた力だ!

 

「だが、ブラック・ガーデンの効果により、そのモンスターの攻撃力は半分になり、俺のフィールドにローズトークンが攻撃表示で特殊召喚される。

 さらに暴走闘君の効果で攻撃力が1000アップだ。」

 

 覇勝星イダテン ATK3000→1500

 ローズトークン ATK800→1800

 

「だが、イダテンが融合召喚に成功したことによりデッキからレベル5の戦士族、地翔星ハヤテを手札に加える

 さらにイダテンの効果を発動、1ターンに1度、手札を任意の数捨てることで1枚につき200ポイント攻撃力を上げる

 自分は手札を2枚捨て攻撃力を400ポイントアップさせる!」

 

 覇勝星イダテン ATK1500→1900

 

「バトル!覇勝星イダテンでローズトークンへ攻撃!

 イダテンはダメージ計算時にこのカードのレベル以下のレベルを持つモンスターの攻撃力を0にする効果を持つ、これで終わりだ!!」

 

「速攻魔法、禁じられた聖杯発動

 モンスター1体の攻撃力を400アップさせ、効果を無効にする

 俺はイダテンを選択する。」

 

 覇勝星イダテン ATK1900→2300

 

「くっ!?だが、攻撃力はこちらが上だ!」

 

「それはどうかな?トラップ発動、力の集約

 このカードはモンスター1体に装備カードを集約させる

 よって攻撃を受けているローズトークンに別のローズトークンに装備させていた下剋上の首飾りを装備!」

 

「ぐっ!?そのカードは!!」

 

「そう、装備モンスターがレベルの高いモンスターと戦闘するとき、レベルの差×500ポイントダメージ計算時のみ上昇させる

 ローズトークンのレベルは2、イダテンは10、よってローズトークンの攻撃力は4000ポイントアップだ。」

 

 星を模した飾りが薔薇の怪物に埋め込まれ、その身を巨大により禍々しくさせる

 

ローズトークン「グオオオォォォォォォォ!!」

       ATK1800→5800

 

「馬鹿な!攻撃力5800のトークンだと!?ぐわあああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 花弁の中から生えて来た鰐の様な口から花粉の粉が噴出し、それがイダテンに当たると爆発し自分はその衝撃で吹き飛ばされた

 

「ふぅ~最近、ろくでもない奴ばっかりとデュエルしてたから、これで満足したぜ」

 

 くっ!勝てなかった・・・自分じゃ駄目なのか・・・

 

「強くなったな少年、良いデュエルだったよ。

 また機会があったらやろうじゃないか」

 

 !?

 

「あ~そういえば、少年の名前を聞き忘れていたな・・・俺は榊 遊矢

 今、悪い意味で話題の榊 遊勝の息子さ」

 

 榊 遊勝?そんなもの関係ない!!

 自分が勝ちたいのはキサマだ!榊 遊矢!!

 

「自分は勝鬨・・・勝鬨 勇雄!キサマを闇に葬る者の名だ!!」


「ねぇ、遊矢?本当に大丈夫なの?」

 

 舞網チャンピオンシップ3日目、今日からジュニアユース選手権が行われる

 ちなみに、ジュニアコースは今日はインターバルでユースは2回戦前半が行われるらしい

 

「何だよ、柚子?何時になく心配性だな。」

 

「だって、あの勝鬨よ?

 いつものうちや梁山泊塾の道場の中じゃなくて、スタジアムでアクションデュエルをするのよ?

 2人共、大怪我するかも・・・」

 

「そんなことはアクションデュエルじゃ常に付きまとっていることじゃないか

 ライオンにじゃれ付かれる様なものさ、大丈夫だって」

 

「いや、全然大丈夫じゃないじゃない・・・」

 

 ジト目でこちらを見つめてくる柚子

 まぁしかたない、石やら竹槍やらイスやら使った肉体言語でアクションカードを取るのを妨害してくる奴だ

 ぶっちゃけ、奴とアクションデュエルをするとカンフー映画にしかならない

 下校時とかにも襲撃掛けてくるときもあるし

 

「だが、いきなり前優勝者である勝鬨と遊矢の対決とはな」

 

「まぁ、そこはLDSの嫌がらせでしょ

 LDSの看板に泥を塗った2人の内どちらかを早々に消しておこうなんて算段なんじゃないか?」

 

「うぅむ・・・けしからん!!男と男の戦いをそのような!!」

 

「落ち着けって権現坂

 そこは遅かれ早かれの問題なんだし、仕方ないさ」

 

「しかし・・・」

 

「しかしも、案山子もないの

 さて、そろそろ試合時間だから、行くとするか」

 

 スタジアムへの選手用通路を歩きながら、俺はあの夕焼けの河原のことを思い出す

 

(この世界の体裁なんて気にしないプロデュエリストがどのくらい強いのか調べようと思ってたら、偶然、郷田川プロが勝鬨を連れている所に出くわしたんだよなぁ

 プロとはいえ、ハイビートで妨害札もなかったから、あっさり勝っちゃったけど・・・

 まぁ、言われのない因縁を付けられる前に因縁つけたから、変に拗らせることもないだろう)

 

 原作では妬みから拗らせた上、アカデミア側の尖兵みたいな感じになったがその心配はもう不要だろう

 

「さぁ、思いっきり楽しもうか」

 

 奴と俺の因縁を


『さぁ、始まりました、舞網チャンピオンシップ3日目

 本日から行われますジュニアユース選手権、その記念すべき第一回戦、第一試合

 対戦者はまさかまさかの大物2人!

 まずはその一人目にご登場願いましょう!遊勝塾、狂った道化師(マッド・ピエロ)こと榊 遊矢選手です!!』

 

 選手入場口から大観衆の視線にも動揺せず自然体で歩く遊矢、その視線は反対側から現れるであろう存在を警戒している

 

『そして対するは昨年のジュニアユース選手権の王座に輝いた梁山泊塾、勝鬨 勇雄選手!』

 

――バシシィィィィィィン!!

 

 スタジアムの一角、そこを占拠する異様な胴着の集団

 その中でも特別大きな体を持つ男が手銅鑼を打ち鳴らし、スタジアム中に音を響き渡らせる

 そして、それを合図にして

 

「ホワタァァァ!!」

 

 遊矢に向かって飛び蹴りが炸裂した

 

「うおっ!?」

 

 遊矢はそれを躱すと、すぐさま振り向き次の一撃に備える

 

「ウリャアァァァァ!!」

 

 奇声を発しながら飛び蹴りの着地の勢いを利用し上段回し蹴りが遊矢を狙うが、遊矢はこれを勢いが完全に付く前に腕を使い押しのけ、軸足を狙う

 

「ハッ!!」

 

 だが、件の人物は軸足のバネのみで跳び、宙返りをし落下の勢いをつけ掌打を振り下ろす

 

「ハアアァァァァ!!」

 

――バシィィィィンン!!

 

 肉と肉がぶつかり合う音が響き、会場に居る何人かは目を覆うが、その掌打は遊矢の脳天を捉える前に白羽取りで受け止められていた

 

「フンッ!ハッ!!」

 

 数瞬、空中で固まっていた中国胴着を纏った紫髪の少年『勝鬨 勇雄』はバク転をしながら初期位置へと着いた

 

『は、えっ・・・?』 

 

 進行役であるニコ・スマイリーすらも呆然とする中、遊矢が口を開く

 

「いきなり、随分な真似をしてくれるじゃないか、勝鬨ぃ~」

 

「ふん、はっ!準備運動には丁度好かろう?」

 

「おぉ~怖い怖い、お前と準備運動だなんて、命がいくつあっても足りないな~」

 

「ふん、それでも自分に合わせられる、キサマに言われたくはない」

 

「岩を素手で割るお前と一緒にしないでくれるか?

 っと、ニコちゃ~ん?そろそろ、開始の宣言をしてくれるかな~?」

 

 いきなり話を振られたニコだったが、それによって自分の役目を思い出し司会を進行させる

 

『はっ・・こ、これは失礼しました。

 では、ジュニアユース選手権、一回戦、第一試合、まずはフィールド魔法の選択です!

 フィールド魔法、仙界竹林、発動!』

 

 リアルソリッドヴィジョンシステムが起動し、スタジアムが無数の岩山に囲まれ、大量の岩の足場と共に浮かぶ雲の上の竹林へと変化する

 2人は岩山の上に立ち、互いに相手を見据え、口上を述べるような雰囲気ではない

 

『あ・・・と・・た、戦いの殿堂に集いしデュエリスト達がモンスターと共に地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る

 見よ、これぞ、デュエルの最強進化系、アクショ~ン』

 

『『決闘(デュエル)!!』』

 

「さて先攻は俺からあっ!?」

 

「であああぁぁぁ!!」

 

 デュエルが始まると同時、勝鬨が早速飛びかかってきたが、遊矢は側転の要領でこれを躱し、飛びかかってきた勝鬨を足場にしその場から逃走し竹林の中へと逃げ込む

 

「まったく、いきなり危ない奴だ

 俺は手札のスケール3のEM(エンタメイト)ラ・パンダとスケール6のEM(エンタメイト)リザードローをペンデュラムゾーンにセッティングし手札からレベル4のEM(エンタメイト)セカンドンキーをペンデュラム召喚!」

 

セカンドンキー「ブヒィィィン!!」

       ATK1000

 

 遊矢の場に体にホルンのような管楽器を巻きつけたパンダとトカゲの紳士が光の柱の中に浮かび、茶色の毛を持つロバを呼び寄せる

 

「セカンドンキーの効果発動

 召喚、特殊召喚した時、デッキからEM(エンタメイト)モンスターを1体墓地に送ることが出来る

 俺はEM(エンタメイト)コンを墓地へ送る。」

 

 効果の処理を終えた遊矢はセカンンドンキーに乗り込み、逃走準備を整える

 すると予想通り、竹を手刀で切断しそれをクナイのように飛ばす勝鬨の姿が遊矢の目に映った

 

「セヤアアァァァァ!!」

 

 遊矢は勝鬨が飛ばしてきた竹クナイをセカンドンキーをロディオの様に操りながら躱し、たまにセカンドンキーが竹クナイを蹄で迎撃する

 

「まったく、じっとしている暇がないな!

 俺はさらに手札からEM(エンタメイト)フレンドンキーを通常召喚し、その効果で墓地のレベル4以下のEM(エンタメイト)モンスター、EM(エンタメイト)コンを特殊召喚だ。」

 

フレンドンキー「ブヒィン!」

       ATK1600

 

EM(エンタメイト)コン「はぁい♡」

     ATK600

 

 遊矢の場に新たに灰色の毛のロバとそれに跨った水色の髪をツインテールにした一本角が生えた少女が現れ、竹クナイの迎撃に参加する

 遊矢は竹クナイの迎撃をモンスター達に任せ、その場を離脱しデュエリストとして動き始める

 

「俺はEM(エンタメイト)コンの効果発動

 このカードと攻撃力が1000以下のEM(エンタメイト)モンスターを守備表示にすることで、デッキからオッドアイズモンスターを手札に加える

 俺はEM(エンタメイト)コンとEM(エンタメイト)セカンドンキーを守備表示にしてデッキからオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを手札に加える。」

 

 セカンドンキー ATK1000→DEF2000

 EM(エンタメイト)コン   ATK600→DEF1000

 

「そして、EM(エンタメイト)リザードローのペンデュラム効果発動

 もう片方のペンデュラムゾーンにEM(エンタメイト)リザードロー以外のEM(エンタメイト)カードがあるとき、このカードを破壊しデッキから1枚ドロー

 さらにラ・パンダのペンデュラム効果を発動しこのカードのスケールを1つ上げる」

 

 ラ・パンダ Pスケール3→4

 

「俺はカードを2枚伏せ、空いたペンデュラムゾーンにオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンをセッティングしエンドフェイズ

 オッドアイズのペンデュラム効果を発動、このカードを破壊しデッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスターを手札に加える

 俺はEM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャンを手札に加え、ターンエンドだ。」

 

『遊矢選手、ペンデュラム召喚とモンスター効果を巧みに使い、先攻1ターン目からモンスターを3体呼び寄せました

 次は、えぇ~と・・・何故か竹で攻撃している勝鬨選手のターンです・・・』

 

「む、自分のターン、ドロー!」

 

 ニコの言葉により、竹クナイの生成を止め勝鬨のターンが始まる

 

「相手フィールド上にのみモンスターが存在するとき、または自分フィールド上に光属性モンスターが存在する場合、手札から地翔星ハヤテをリリースなしで召喚出来る!

 現れよ!地翔星ハヤテ!!」

 

地翔星ハヤテ「ふん!」

      ATK2100

 

「さらに地翔星ハヤテの効果発動

 このカードが召喚、特殊召喚された時、1ターンに1度だけ手札の光属性、レベル5の戦士族モンスター1体を特殊召喚できる

 続け!天融星カイキ!!」

 

天融星カイキ「はっ!」

      ATK1000

 

 オオカミの毛皮を持った武将、地翔星ハヤテと怪物の顔を模した鎧を纏った武将、天融星カイキが並び立つ

 

『おぉ!勝鬨選手も負けじと、いきなり上級モンスターが2体並びましたー!!』

 

「いや、これだけではまだ終わらん!

 特殊召喚された天融星カイキの効果発動

 ライフを500ポイント払うことで自分の手札、フィールドのモンスターを使い戦士族融合モンスターを融合召喚する。

 自分はフィールドのレベル5以上の戦士族モンスター、地翔星ハヤテと天融星カイキを融合!」

 LP4000→3500

 

 勝鬨は演舞を踊るように構えを取り、最後に荒ぶる鷹の様なポーズをとる

 

「天に溶ける星よ、地を飛び、今一つとなって、悠久の覇者たる星と輝け!

 融合召喚!来い!覇勝星イダテン!!」

 

覇勝星イダテン「はあぁぁぁぁ!ふんっ!!」

       ATK3000

 

 光の渦の中から三又の槍を構えし覇者、覇勝星イダテンが降臨した

 

『出ましたー!勝鬨選手のエースモンスター、覇勝星イダテン!!

 戦闘時、このカードのレベル以下のモンスターの攻撃力をダメージ計算時0にするという強力な効果を持ったモンスター

 そして、遊矢選手の場には攻撃表示のEM(エンタメイト)フレンドンキー、このままでは大ダメージを受けてしまうぞ!!」

 

「覇勝星イダテンの融合召喚に成功したことによって、デッキからレベル5の戦士族、天昇星テンマを手札に加える。

 さらに自分は覇勝星イダテンの効果を発動、先ほど手に入れたアクションカード1枚を捨てイダテンの攻撃力を200アップさせる。」

 

 覇勝星イダテン ATK3000→3200

 

「バトル、行け!覇勝星イダテン!!EM(エンタメイト)フレンドンキーを攻撃だ!」

 

「残念、そう簡単にいかないだよな~これが

 トラップ発動、ドタキャン

 相手モンスターの攻撃宣言時に発動、自分フィールドのモンスターをすべて守備表示に変え、このターン戦闘及び効果で破壊されたEM(エンタメイト)モンスターは持ち主の手札に戻る。」

 

 フレンドンキー ATK1600→DEF600

 

 覇勝星イダテンの槍の一撃をフレンドンキーはひらりと躱すと、カードとなって遊矢の下に帰って行った

 

「くっ!ならば、自分はカードを1枚伏せ、ターンを終了する。」

 

「おっと、終了するのは待ってもらおうか!

 俺はEM(エンタメイト)コンを墓地に送り、速攻魔法、烏合無象を発動

 このカードは自分フィールドから元々獣族、獣戦士族、鳥獣族の表側表示モンスターを1体墓地に送り発動する

 墓地に送ったモンスターと元々の種族が同じモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する

 EM(エンタメイト)コンは獣戦士族のモンスター、よって俺はエクストラデッキから天狼王 ブルー・セイリオスを特殊召喚だ!」

 

ブルー・セイリオス「ワオオオォォォォォォン!!」

         ATK2400

 

 EM(エンタメイト)コンが手を振りながら退場し、代わりにフィールドに立つのは三つ首の青き天狼の王

 

「何!?シンクロ召喚せずにシンクロモンスターを呼びだしただと!?」

 

「ただし、この効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃宣言できず、効果も使えず、エンドフェイズに破壊される

 今はエンドフェイズ、よって、ブルー・セイリオスは破壊される。」

 

 ブルー・セイリオスの体が光り輝き、覇勝星イダテンに向かって突撃し、イダテンを巻き添えにしながらその身を焦がして行く

 

「ブルー・セイリオスがフィールドで破壊され墓地に送られた時、相手フィールド上の表側表示モンスター1体の攻撃力を2400ポイントダウンさせる

 この効果は墓地で発動する効果だから、フィールドで効果が無効になっていても関係ない」

 

覇勝星イダテン「ぐわあああぁぁぁぁ!ぐっ・・・」

       ATK3200→800

 

「くっ!よくも!!」

 

「さて、俺のターンと行こうか、ドロー

 俺はまず、EM(エンタメイト)フレンドンキーを再び召喚し、その効果でEM(エンタメイト)コンを呼び戻す

 来い、フレンドンキー、コン!」

 

フレンドンキー「ヒヒィーン!」

       ATK1600

 

EM(エンタメイト)コン「はぁ~い!」

     ATK600

 

「さらに俺はセカンドンキーを攻撃表示に変え、EM(エンタメイト)コンの効果を発動

 コンとセカンドンキーを守備表示に変えデッキからオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンを手札に加える。」

 

 セカンドンキー DEF2000→ATK1000→DEF2000

 EM(エンタメイト)コン   ATK600→DEF1000

 

「そしてスケール1のオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンをペンデュラムスケールにセッティングしラ・パンダのペンデュラム効果でスケールを4から5に上げる。」

 

 ラ・パンダ スケール4→5

 

「これで2から4のモンスターが同時召喚可能となった

 揺れろペンデュラム、異界へ繋がる扉を開け!ペンデュラム召喚!

 手札から現れろ!EM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャン、EM(エンタメイト)ロングフォーン・ブル!」

 

ペンデュラム・マジシャン「ハッ!」

            DEF800

 

ロングフォーン・ブル「ブモッ!」

          ATK1600

 

「そしてこの2体が特殊召喚したことにより効果発動

 まずは、ロングフォーン・ブルの効果でデッキからペンデュラム以外のEM(エンタメイト)モンスター、EM(エンタメイト)フレンドンキーを手札に加え

 ペンデュラム・マジシャンの効果で自身とオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンを破壊しデッキからペンデュラム・マジシャン以外のEM(エンタメイト)モンスター、EM(エンタメイト)リザードローとEM(エンタメイト)ドラミングコングを手札に加える。」

 

 ロングフォーン・ブルの頭の電話が鳴り響き、巨大な振子が持ち主と光の柱に捕らわれた赤い竜を破壊し、遊矢の新たな力となる

 

「さらに俺はリザードローをペンデュラムゾーンにセッティングしてペンデュラム効果を使い破壊して1枚ドロー」

 

「これで、レベル3とレベル4が2体ずつ・・・」

 

「その通り、俺はレベル3のコンとフレンドンキー、レベル4のロングフォーン・ブルとセカンドンキーでオーバーレイ

 2体ずつのモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚

 現れろ、鳥銃士カステル、機装天使エンジネル!」

 

カステル「クワッ!」

    ATK2000 ORU2

 

 エンジネル ATK1800 ORU2

 

 混沌の渦の中から現れのは鳥人の狙撃主と水色の機械の様な天使

 

「勝鬨分ってるよな?エクシーズモンスターにはレベルがないから、イダテンの効果で攻撃力を0にできないぞ?」

 

「そんなことは分っている!!」

 

(さて、ここでカストルの効果を使ってもいいんだが・・・どっちにしろダメージを与えられなさそうなんだよな・・・)

「さらに俺はスケール2のドラミング・コングをペンデュラムゾーンにセッティング

 ドラミング・コングはモンスター同士が戦闘するとき1ターンに1度、自分のモンスターの攻撃力を600上げるペンデュラム効果を持つ」

 

『おぉ!!勝鬨選手このままでは大ダメージを受けてしまうぞ!!』

 

「バトル、エンジネルでイダテンへ攻撃」

 

「させぬ!!自分は墓地の天融星カイキの効果発動

 相手ターンに自分フィールド上に攻撃力が変化しているレベル5以上の戦士族モンスターが居る場合、墓地から特殊召喚出来る。

 蘇れ、天融星カイキ!」

 

天融星カイキ「ふん!」

      DEF2100

 

「そして、カイキの特殊召喚により自分のライフを500払い、融合召喚を行う!

 自分は天融星カイキと覇勝星イダテンを融合!」

 LP3500→3000

 

『相手ターンに融合ですとぉー!?』

 

「天に溶けし星の呪いが、悠久の覇者を修羅の道へ導く!融合召喚!!

 来い、レベル12!!覇道星シュラ!!」

 

覇道星シュラ「ハァァァァ!フン!!」

      ATK0

 

 3つの顔に4つの腕、まさに阿修羅のごとき武将が光の渦から現れ、その身から闇をにじませる

 

「覇道星シュラの効果発動、1ターンに1度、自分または相手のバトルフェイズに相手フィールド上の表側表示モンスター全ての攻撃力を0にすることが出来る!

 星の呪いを受けるがいい!!」

 

 カステル  ATK2000→0

 エンジネル ATK1800→0

 

 覇道星シュラから漏れ出た闇がエンジネルとカステルに纏わりつき、その力を奪う

 

『うぉお!!何と凄まじい効果ー!!

 勝鬨選手、昨年よりもさらに進化を遂げてきたー!

 だが攻撃力0ではドラミング・コングのペンデュラム効果で攻撃力を上げられてしまうぞー!!』

 

「ふん、覇道星シュラはモンスター同士が戦闘するとき、ダメージ計算時のみ互いのモンスターの攻撃力をそのレベルの200倍とする。」

 

『おぉ!!ですが、エクシーズモンスターはレベルを持ちません!』

 

「そう!レベルを持たないということはレベル0ということだ!!」

 

 指で0アピールする勝鬨、だが遊矢はその勝鬨を見て、とりあえず講師もしているので言っておく

 

「いやレベル無しであって、レベル0ではないからね。」

 

「むっ!そうなのか・・・

 だが、攻撃力が上がらないことには変わりない!」

 

「あぁ、だからこれで俺のバトルフェイズは終了だ

 だが、その厄介者にはご退場願おう、カステルの効果発動

 1ターンに1度、オーバーレイユニットを2つ使い、このカード以外のフィールドの表側表示カードを1枚デッキに戻す

 俺は覇道星シュラをデッキに戻す。」

 

「ただでは通さん!トラップカード発動、一族の結集

 フィールドの表側表示モンスター1体を選択し、そのモンスターと元々の種族が同じでカード名が異なるモンスターを手札、墓地より特殊召喚する

 舞い戻れ!覇勝星イダテン!」

 

覇勝星イダテン「ふん!」

       ATK3000

 

「だが、シュラには消えてもらう!」

 

 カステル ORU2→0

 

覇道星シュラ「ぐわあああぁぁぁ!?」

 

 カステルの銃にオーバーレイユニットが2つ装填され、風の弾丸が放たれ、覇道星シュラを吹き飛ばす

 

「くっ!だが、これでお前のモンスターは攻撃力0で攻撃表示のまま」

 

「そううまく行かないんだよ

 エンジネルの効果発動、オーバーレイユニットを1つ使い、フィールドのモンスター1体を守備表示に変更する

 俺はカステルを守備表示に変更してターンエンド!」

 

 エンジネル ORU2→1

 カステル  ATK0→DEF1500

 

 ターンを終えるなり、いきなり走り出す遊矢、勝鬨は逃がさないと追う

 

「待てっ!!」

 

「待てと言われて待つ奴はいないんだよっと!!」

 

 遊矢は逃走途中にあった竹を蹴ってへし折り、上へ放り投げる

 

「ラ・パンダ!!」

 

ラ・パンダ「ラ、パッ!!」

 

――ボオオォォォン!!

 

 遊矢が指示を出すと、ラ・パンダは思いっきり体に巻き付いた楽器を吹き、その衝撃で竹を吹き飛ばす

 吹き飛ばされた竹は勝鬨の目の前に柵の様に突き刺さり、一瞬だが足止めをすることに成功する

 

「こんな危険な所には居られないから逃げさせてもらうぜ」

 

――ブルウゥゥゥン

 

 遊矢はエンジネルに乗り込み、竹林から脱出する

 そして、それを追い勝鬨は跳ぶ

 

「ホワチャアアァァァァァ!!」

 

 宙に浮かぶ岩を蹴り飛ばし、遊矢の逃走を妨害しながら

 

「えぇ!?嘘だろぉ!?」

 

 遊矢はエンジネルを操り、迫り来る大岩を躱す

 勝鬨は足場を伝い、たまに岩を蹴り、遊矢を妨害しながらターンを進める

 

「自分のターン!ドロー!!

 自分はマジックカード、戦士の生還を発動し、墓地の戦士族、天融星カイキを手札に戻す

 そして、自分フィールド上に光属性モンスター、覇勝星イダテンが居ることにより手札の地翔星ハヤテをリリースなしで召喚!」

 

地翔星ハヤテ「はっ!!」

      ATK2100

 

「さらにハヤテが特殊召喚されたことにより、手札のレベル5の光属性戦士族モンスター、天融星カイキを特殊召喚」」

 

天融星カイキ「ふん!」

      ATK1000

 

「おぉ、賑やかになってきたなって、うわぁ!?」

 

「トオリャアアァァァァァ!!

 ふん、その減らず口すぐに利けないようにしてやる

 自分はカイキの効果を使い、ライフを500払い手札の天昇星テンマとターレット・ウォリアーを融合

 天に昇りし星の導きよ、戦士を覇者へと誘え!

 融合召喚、並び立て!覇勝星イダテン!」

 

覇勝星イダテン「はっ!!」

       ATK3000

 

「イダテンの効果でデッキから天昇星テンマを手札に加える

 そして、自分は速攻魔法、手札断殺を発動

 互いのプレイヤーは手札を2枚捨て、2枚ドローする

 自分は天昇星テンマとアクションカードを捨て2枚ドロー」

 

「竹林から出るときにアクションカードを拾っていたか・・・

 俺の手札は2枚だけだから2枚とも捨て、2枚ドローだ。」

 

「これで、次のターン、フレンドンキーは使えまい

 さらに自分はマジックカード、置換融合を発動

 このカードの効果により自分フィールドのモンスターを融合する

 レベル5以上の戦士族、天融星カイキと覇勝星イダテンを融合!

 天に溶けし星の呪いよ、悠久の覇者を再び修羅へと導け!融合召喚!!

 混沌を打ち払うために再び降臨せよ!覇道星シュラ!!」

 

覇道星シュラ「ハアアァァァ!!」

      ATK0

 

「さらに墓地の置換融合を除外し効果を発動

 融合モンスター、覇勝星イダテンをエクストラデッキに戻し1枚ドローする。」

 

 遊矢は勝鬨の動きに注視し、エンジネルを操りながら、岩場に落ちているアクションカードを発見し手を伸ばすが

 

「キエエェェェェェ!!」

 

 勝鬨は怪鳥音を叫びながら、岩を蹴り飛ばし、アクションカードのあった岩場へ飛ばしてきた

 

「ちっ!」

 

 遊矢はアクションカードを諦め回避すると、勝鬨が空中に飛散したアクションカードを掴み取った

 

「このアクションカードは自分が頂いた!

 イダテンの効果発動しアクションカードを捨てイダテンの攻撃力を200ポイントアップさせる。

 そしてバトル、覇勝星イダテンでエンジネルに攻撃ぃ!!」

 

「残念、エンジネルの効果は相手ターンにも使えるんだよ!

 オーバーレイユニットを1つ使い、エンジネルを守備表示に変更

 さらにこの効果を受けたエンジネルはこのターン、戦闘及び効果で破壊されない!」

 

 エンジネル ATK0→DEF1000

 

 エンジネルは自身の周りにバリアを展開し、イダテンの槍の一撃を防ぐ

 

「くっ!ならば、地翔星ハヤテでカステルを攻撃」

 

地翔星ハヤテ「はっ!!」

 

カステル「グエェェ!!」――バンッ!

 

 ハヤテの棍が突き刺さり、カステルが破壊される

 

「メインフェイズ2に入り、自分は永続魔法、暗黒の扉を発動

 このカードの効果により互いのプレイヤーはバトルフェイズに1体のモンスターしか攻撃することが出来なくなる。」

 

「ほう、地翔星ハヤテには戦士族モンスターへの攻撃を自身の攻撃力を500削ることで防ぐ効果がある

 そしてお前のモンスターは全て戦士族、厄介なコンボを・・・」

 

「奇妙なコンボばかりするキサマに言われたくない、自分はこれでターンエンド」

 

「おっと、エンドフェイズに墓地のEM(エンタメイト)ユニの効果を発動させてもらおう

 このカードと他の墓地のEM(エンタメイト)モンスター、EM(エンタメイト)ロングフォーン・ブルを除外して、このターン、俺の受ける戦闘ダメージを1度だけ0にする。」

 

『おっと?遊矢選手、バトルは終了したのに戦闘ダメージを防ぐカードの効果を発動しましたぁ?』

 

「くっ!言ったそばから・・・」

 

「ははは、さて、仕込みは上々・・・俺のターン、ドロー

 俺はラ・パンダのスケールを5から6に上昇」

 

 ラ・パンダ スケール5→6

 

「スケールはこれで2と6となった

 さぁ、来いよ、俺のモンスター達!ペンデュラム召喚!!

 エクストラデッキからレベル3、EM(エンタメイト)リザードロー2体、レベル4、EM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャン、そしてレベル5、オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン」

 

 リザードロー       DEF600

 リザードロー       DEF600

 ペンデュラム・マジシャン DEF800

 オッドアイズ・ペルソナ  DEF2400

 

 振子の導きにより光となって現れるのは2体のトカゲの紳士、振子の魔術師、赤い躰に白い装甲を纏った仮面の竜

 

「オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンとエンジネルを対象にペンデュラム・マジシャンの効果発動

 さらにそれにチェーンしオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンの効果を発動する

 この効果は相手ターンでも使えるスペルスピード2の誘発即時効果、問題なくチェーン出来る

 

 チェーン処理開始

 まずはペルソナ・ドラゴンの効果でエクストラデッキから特殊召喚された表側表示モンスター1体の効果をターン終了まで無効にする

 この効果で覇道星シュラの効果を無効にする、ペルソナ・エフェクト!」

 

 ペルソナ・ドラゴンの体の各所の宝玉が煌めき、覇道星シュラの闇を払う

 

「さらにペンデュラム・マジシャンの効果でペルソナ・ドラゴンとエンジネルを破壊しデッキからEM(エンタメイト)フレンドンキーとEM(エンタメイト)ラ・パンダを手札に加える。」

 

 巨大な振子がペルソナ・ドラゴンと遊矢が乗っているエンジネルを破壊する

 足場の無くなった遊矢は落下するが

 

「俺はレベル3のリザードロー2体でオーバーレイ!

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 来い!虚空海竜リヴァイエール!!」」

 

リヴァイエール「ギャオオオォォォ!!」

       DEF1600 ORU2

 

 遊矢が新たに呼んだ異次元を飛ぶ海竜、リヴァイエールが混沌の渦の中から現れ、遊矢をその背に乗せる

 

「リヴァイエールの効果発動

 オーバーレイユニットを1つ使い、除外されているレベル4以下のモンスターを特殊召喚する

 来い、EM(エンタメイト)ユニ!」

 

EM(エンタメイト)ユニ「はぁ~い♡」

    ATK800

 

「さらに相方も呼ぶとしよう

 EM(エンタメイト)フレンドンキーを通常召喚し墓地からEM(エンタメイト)コンを特殊召喚」

 

フレンドンキー「ヒヒィーン」

       ATK1600

 

EM(エンタメイト)コン「きゃは♡」

     ATK600

 

「コンの効果でユニと共に守備表示にしてデッキからオッドアイズ・ミラージュ・ドラゴンを手札に加える

 そして、レベル3のEM(エンタメイト)コンとEM(エンタメイト)フレンドンキーでオーバーレイ

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築

 エクシーズ召喚!管魔人メロメロメロディ!」

 

メロメロメロディ「きゃは♪ふん!」

        DEF1600 ORU2

 

 緑色の髪の魔人の少女が自分の身の丈よりも大きな管楽器に乗って現れる

 だが、これはまだ序曲に過ぎない

 

EM(エンタメイト)ユニの効果発動、このモンスターが召喚、特殊召喚されたターン、レベル3以下のEM(エンタメイト)モンスター1体を手札から攻撃表示で特殊召喚出来る。

 俺はEM(エンタメイト)ラ・パンダを攻撃表示で特殊召喚」

 

ラ・パンダ「ラ~パァ~」

     ATK800

 

「さらにレベル4のEM(エンタメイト)ユニとEM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャンでオーバーレイ

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築

 エクシーズ召喚、交響魔人マエストローク!」

 

マエストローク「ふん!」

       ATK1800 ORU2

 

 指揮者が入場し、あとは最後の演奏者が入場を待つのみ

 

「まだまだ、速攻魔法、超カバーカーニバルを発動、自分のデッキ、手札、墓地からこいつを1体特殊召喚する

 来い!EM(エンタメイト)ディスカバー・ヒッポ!」

 

ディスカバー・ヒッポ「ヒッポ!!」

          DEF800

 

「またレベル3のモンスターが・・・」

 

「これで終わりだから安心しろ、俺はレベル3のEM(エンタメイト)ラ・パンダとディスカバー・ヒッポでオーバーレイ

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!鍵魔人ハミハミハミング!」

 

ハミハミハミング「ら~ら~ら~」

        DEF1800 ORU2

 

 巨大な黄金のグランドピアノに座った薄紫色の髪をツインテールにした魔人の少女

 これで役者はそろい、終焉に向けてのコンサードが幕を開ける

 

「ハミハミハミングとメロメロメロディのモンスター効果をマエストロークを対象に発動する。」

 

 ハミハミハミング ORU2→1

 メロメロメロディ ORU2→1

 

――カッ、カッ、カッ!

 

 マエストロークが指揮丈を打ち鳴らし、リズムを取ると遊矢のモンスター達がそれに合わせ演奏をし始める

 

「な、何だ!?」

 

――♪♪♪

 

 ドラミングコングのドラムの低音、ラ・パンダとメロメロメロディによる管楽器の高音、そしてハミハミハミングの透き通ったピアノの音

 全ての音が一体となり、演奏される軽快で重厚なジャズミュージック

 

『おぉ!これはなんと、楽しげ・・・う、うん!?』

 

――ビキッ

 

「くっ!何と凄まじい衝撃だ!?」

 

――ビキビキッ

 

 それは観客には楽しげでノリの良い音楽に聞こえるかもしれないが、その音の衝撃を一身に受けている勝鬨は身を締め付けられるような、音の暴力

 そして、それは

 

――ビキビキビキッ!ドゴォ!!

 

 アクションフィールドも例外ではない

 勝鬨の岩投げにより飛散した破片に晒された他の岩場は脆くなり、次々と崩壊していく

 

「くっ!?」

 

 勝鬨は崩壊する足場から離れ、崩壊していない岩へ飛び乗るが、自分のモンスターと離れてしまい、さらにその周りの岩は崩壊し孤立してしまう

 

「メロメロメロディは魔人エクシーズモンスター1体に2回攻撃できる権利をハミハミハミングはこのターン指定した魔人エクシーズモンスターに直接攻撃する権利を与える。」

 

「何!?」

 

「暗黒の扉は1体のモンスターしか攻撃できなくするカードだが1体のモンスターが複数回攻撃することは止められない

 そして。ハヤテの効果は戦士族モンスターが攻撃対象でなければ発動できない、バトルだ!」

 

「くっ!?ならば自分は再び天融星カイキの効果を」

 

「そうはさせない!俺は手札から速攻魔法、墓穴の指名者の効果を発動

 相手墓地のモンスター1体を除外し、このターン、その除外したモンスター及び元々のカード名が同名のカードの効果を無効化する

 天融星カイキは使わせない!行け!マエストロークでダイレクトアタックだ!!」

 

「ぬぅう!!ならば相手の直接攻撃宣言時、手札の護封剣の剣士の効果を発動する

 このカードを特殊召喚し、さらに攻撃モンスターの攻撃力がこのカードの守備力より低い場合、そのモンスターを破壊する!」

 

護封剣の剣士「はっ!」

      DEF2400

 

 青い全身鎧に光の剣を背負った戦士が現れ、その背負う光の剣をマエストロークに飛ばし迎撃しようとするが

 

「無駄だ!マエストロークが表側表示である限り、魔人エクシーズモンスターが破壊される場合、オーバーレイユニットを身代りにできる!」

 

 マエストローク ORU2→1

 

――ブオオォォォン!

 

 音の衝撃が光の剣を叩き落し、マエストロークに傷をつけることは出来ず、逆に護封剣の剣士がその音の衝撃によって迎撃される

 

護封剣の剣士「うおあぁぁぁ!?」

 

「くっ、アクションカードは!?」

 

 少ない足場の中にアクションカードがないかと探す勝鬨だったが

 

「残念ながら、そこにアクションカードはない」

 

 そう、遊矢は逃げながら勝鬨をアクションカードの無い場所に誘い込んでいたのだ

 

「これでもう、邪魔者はいない、フィナーレだ!!

 マエストロークで勝鬨に2回ダイレクトアッタクだEM(エンタメ)魔人セッションオーケストラ!!」

 

――ドウゥウゥウゥゥゥゥゥゥン!!

 

「うわああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 LP3000→1200→0

 

 最大級の音の衝撃が勝鬨に襲い掛かり、ジュニアユース選手権第一試合にピリオドを打った


「負けたか・・・また・・・」

 

 3年、その間にヤツと何度デュエルをしただろうか

 マスター梁山が歩めと言われた闇の道、だがそこに自分を満たしてくれるものはなかった

 

「よう、大丈夫か、勝鬨?」

 

 そうだ、ヤツの・・・ヤツのデュエルが!闇よりも深い混沌のデュエルが自分を満たしてくれる

 

「・・・次は、負けん」

 

 そう、だからと言って自分はそれで満足はしない

 

「あぁ、何時でも相手してやるよ。」

 

 次こそ自分の力で奴の混沌を打ち砕く!




零児さん・・・アクションデュエルってこんなのだったかしら?

いや、う~ん・・・

(兄様・・・僕があんな風にできるようになったら兄様は喜んでくれるかな?)
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『友を繋ぐもの』
体・・・鍛えてみようかな・・・?

次は大丈夫なんでしょうね?中島

情報によると、権現坂道場の権現坂 昇選手はクマ三頭を素手で叩き伏せると・・・

「「えぇ・・・」」


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友を繋ぐもの

お久しぶりです。約1か月ぶりの更新・・・すいません
パソコンのある部屋にエアコンがないので暑さで死んでました

本来ならここで本格登場の暗国寺君、なぜかタックフォースにも出演
彼がこの世界でどうなったかというと



ある山奥のデュエル寺、海空寺
瞑想にふける強面で大柄な少年が一人
そしてそれに話しかける、某霊滅術師そっくりな住職

「・・・・・・」

「悪夢は晴れましたか?」

「・・・いや・・・」

「ふむ、君がここに駆け込み、3年に成るが・・・まだ晴れませんか?」

「俺のしてきたことへの天罰だと言うなら納得できる・・・俺は悪人だ。」

「そうですね
 貴方のこれまでの人生は褒められたものではありませんが・・・
 それでも、償い続けるこれからの中で、少しはいいことがあっても良いでしょう。」

「・・・なんのことだ?」

『たのもー!!』

「!?」

 少年、『暗国寺 ゲン』はその声を聞き立ち上がる、何故なら

「なんで、なんであの人がこんなところに!?」

 何故ならその声の持ち主は

「おぉー!誰もいないのかと思ったじゃねぇか!
 ここに強ぇデュエリストが居るって聞いてきたんだが、おめぇの事か?
 いっちょ俺と手合わせしてくれねぇか?」

 少年が3年前から憧れ続ける王者なのだから

「ふむ、縁が繋げるか・・・夕闇の悪魔とはどのような人物なのでしょうね?」


「おらぁ!ライザーとガイウスでダイレクトアタックだー!」

 

「うわああぁぁぁぁぁ!!」

 LP4000→1600→0

 

「さぁ、衝撃的な一回戦で始まりました舞網チャンピオンシップ、ジュニアユース選手権

 第二回戦は海外からの特別参加、ナイト・オブ・デュエルズのエース、シャルル選手対LDSの沢渡 シンゴ選手でしたが

 なんと沢渡選手が後攻1ターンキルで早々に勝利を手にしてしまいました!」

 

「あー!!くそ!!隠し玉も何もなしかよ!ちきしょー!!」

 

 悔しさをとりあえず、地面にぶつけて地団太を踏む沢渡

 これには彼の取り巻き達も苦笑いである

 

「おぉっと?沢渡選手、勝ったのになぜか悔しがっていますね?」

 

「もっと目立ちたかったー!!」


『もっと目立ちたかったー!!』

 

「相変わらず馬鹿なこと言っているな、沢渡は・・・」

 

 権現坂の控室、そこに設置されているテレビから流れる2回戦の中継

 俺だって目立ちたくて目立ったわけじゃないんだがな~

 

「もう、そんな悠長なこと言っていていいの?

 次の遊矢の相手、これで沢渡に決まったじゃない」

 

「そんなこと、相手の1ターン目でわかっていたよ、驚くようなことじゃない」

 

「う~ん、確かに伏せ1枚と下級モンスター1体だけの布陣はねぇ・・・」

 

「油断を誘うための罠、とも考えられたが・・・何もなかったな」

 

「攻撃力1200くらい越えていれば、1ターンは持ちこたえられると思っているのも、まだまだ多いからねぇ

 あのアサルトナイト・スラッシュは戦闘ダメージを0にする効果を持っているみたいだったけどさぁ」

 

「除去には無力か・・・伏せはミラーフォース、どうすることもできんな」

 

「あっ、そういえば権現坂の対戦相手の大漁旗って言う人、どういう人なの?

 釣り好きって言うのは分るけど」

 

 鉄平?あぁ、そういえば、2人は未知夫と鉄平にはこの前初めて会ったんだったな

 おおよそ、そうとしか言えないけど・・・

 

「その認識で間違いない、小悪党でもあるけど

 そういえば、あいつが自分で処理しきれないぐらい釣った魚を俺が買ったのが出会いだったな・・・」

 

「えぇ!?どういう出会い方よ!?」

 

「気晴らしに釣りでもしようかと思ったんだよ

 そしたら、あいつがどうしようか悩んでいたんだ。」

(まぁ、突然ミエルが釣りに行けって、言って来たのを真に受けたのが始まりなんだが・・・)

 

「ほう、奇妙な縁もあるものだな」

 

「まぁな、んで、釣り過ぎた魚を使ってくれないかと、未知夫経由で親父さんに頼んだのが付きあいの始まりさ

 意外と未知夫と気が合ったのもあるけどな

 さて、そろそろ試合の時間だな、頑張れよ~権現坂、あいつは曲者だぞ?」

 

「ふん、お前以上の曲者が居るものか!

 この男権現坂、必ずや勝利し、遊矢、お前と戦ってみせるぞ!!」


『さぁさぁ、とっても濃~い戦いが続いておりますジュニアユース選手権も3戦目

 対戦カードは権現坂道場、不動のデュエル継承者、権現坂 昇!』

 

―カランッ!

 

 鉄下駄を鳴らし、黒いタスキをビシッと掛けた堂々たる姿で会場入りする権現坂

 その反対側の入場口から出てくるのは、飄々とした太めの釣りスタイルの少年

 

「それに対するは舞網漁業組合から参加、大漁旗 鉄平!!」

 

「よっしゃー!気張って行くでぇー!!」

 

――ワアアアァァァァァァァ!!

 

 カンフー映画並みの激しいアクションを繰り広げる第1試合、1ターンキルを達成した第2試合

 その流れで続くこの第3試合に観客たちは期待を寄せていた

 

「ひやぁ~ほんま、ごっついなぁ~

 ワイは遊矢はんみたいなことは出来へんちゅうに・・・権現坂はんも思うやろ?」

 

「俺は俺のデュエルをするだけだ。

 観客がどうだなど、関係ない」

 

「とっつきにくいやっちゃなぁ~まぁ、えぇ」

 

『にしし、お二人とも準備はよろしいですかな?

 それではまずはフィールド魔法の選択です!』

 

 ニコ・スマイリーの宣言に合わせ2人の頭上に数十枚の光のカードが球状に回転し、その中から1枚のカードが飛び出す

 

『さぁ、今回のカードは・・・フィールド魔法、絶海の孤島、発動!!』

 

 スタジアムは光と共に美しい海に囲まれ密林と岩山を有する小島に変わる

 

「おぉ~これは絶景やなぁ!

 一度でいいからこんなところで釣りしてみたいものや、遭難はごめんやけど~

 っと、そろそろ始めまっか?」

 

 大漁旗の問いに権現坂は目を見開き、気合を込めて宣言する

 

「こちらの準備は当にできている!」

 

「おぉ怖~まぁ、お手柔らかになぁ?」

 

「いや!男と男の真剣勝負!全力で戦わずしてなる物か!!

 行くぞ!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「はぁ~とっつきにくいお人やで、ホンマ

 モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る。」

 

『見よこれぞデュエルの最強進化系ぇい!アクショーン!』

 

『『決闘(デュエル)!!』』

 

「先攻は貰うぞ、俺は超重武者グロウ―Vを召喚」

 

 グロウ―V ATK100

 

「さらに墓地にマジック、トラップカードがないことにより、手札よりチューナーモンスター、超重武者ホラガ―Eを特殊召喚!」

 

ホラガ―E「イィー!」

     DEF600

 

「俺はレベル3の超重武者

 

「おぉっと!待ってもらいまひょか!

 ワイは手札のドラゴン・アイスの効果を発動や!」

 

「何!?」

 

「相手が特殊召喚をしたとき、手札を1枚切って、こいつを手札、墓地から特殊召喚や!

 来い、ドラゴン・アイス!」

 

ドラゴン・アイス「グオオォォォォォ!!」

        DEF2200

 

 大漁旗の呼び出した氷の体を持つガーゴイルの様なモンスター、だが彼の狙いはこれで終わらない

 

「さらに水属性モンスターの効果発動コストとして墓地に送られた海皇の重装兵の効果発動や

 相手のフィールドのカードを1枚、ホラガ―Eを破壊させてもらうでぇ?」

 

「何だと!?」

 

 樹海から大きな盾を両腕に装備した魚人が走ってきて、権現坂のフィールドのホラガ―Eを連れ去り、海へと帰って行った

 

「むふふ、もう、あんさんは召喚権使ってもうたから、これでシンクロは出来んやろ?」

 

「ぬうぅぅ・・・ターンエンドだ。」


『なんと大漁旗選手、1ターン目の権現坂選手のターンでモンスターを召喚したばかりか、シンクロ召喚の妨害までこなしてしまったー!』

 

「わぁ~すごいね、あの人

 1ターン目からシンクロ召喚を妨害してきたよ。」

 

 素良が大漁旗の事を意外だったのか、ぽかんとした顔で褒めている

 本来なら、安全に展開できる先攻1ターン目で妨害してきたのだから当然か

 

「権現坂君には悪いが、これは上手いとしか言えないな・・・」

 

「そうね、本業は釣りって言っていたけど、デュエリストとしての腕も相当だわ」

 

「いやいや、まだ、1ターン目だから

 それに言っておくが、あいつ自身は趣味人だから本当の初対面でデュエルしたら、ちょっと強いファンデッキ使いって感じだぞ?」

 

「えっ?それってどういう事?」

 

「あいつは事前にデュエリストの情報を調べているのさ

 ネットだったり、噂だったりからな

 特に権現坂なんて、同じタイプのデッキを使い続けているから、簡単に割れるだろうしな。」

 

「えぇ~それって、卑怯って言うんじゃ・・・」

 

 今度は柚子が、嫌そうな顔で聞いてくるが・・・まぁ、卑怯と言えばなぁ~

 

「別に卑怯じゃないさ

 トーナメント制の大会ではしかたがないことだし、事前情報を得るのが卑怯というのなら、今こうして観戦していることも、2回戦以降戦う相手の情報収集と言えるからな。」

 

「うっ!?た、確かにそうだけど・・・」

 

「有名になるって言うのはそういう事さ

 それに、あなたに勝つためにデッキを組んできました、なんて言われたら結構嬉しいものさ

 有名料だと思って受け取っておけ、沢渡とかモロそのタイプだし」

 

「むぅ~そうね

 戦う前から知られていたから負けましたなんて、デュエリスト失格ね。」

 

 柚子は納得したみたいだな

 さてさて、こういうのが苦手な権現坂は、どうなることやら


「ワイのターン、行くでぇ~ドローや!

 ワイはマジックカード、ワン・フォー・ワンを発動や」

 

「むっ!ならば、手札の増殖するGの効果発動

 相手ターンにこのカードを手札から墓地に送ることで、相手が特殊召喚するたびに1枚ドローする。」

 

 孤島の密林の奥からざわざわとした雰囲気が伝わってくるが、以前と違いその姿は一切見せていない

 どうやら、彼らなりの気遣いらしい

 

「うげぇ~そいつを使うかぁ

 まぁ、仕方ないわ、このカードは手札のモンスターカードを1枚切って、デッキ、手札からレベル1モンスターを1体特殊召喚するんや

 ワイは手札の海皇子 ネプトアビスを捨てて、デッキから屈強の釣り師(アングラップラー)を特殊召喚や!」

 

屈強の釣り師(アングラップラー)「ハァ!!」

      ATK100

 

「増殖するGの効果で1枚ドローする。」

 

 密林の中の一団は、観客の目には分らないスピードで権現坂の下にカードを届ける

 はた目から見たら、権現坂の手元にいきなりカードが現れたかのように見えたことだろう

 

「さらに真海皇 トライドンを通常召喚や」

 

トライドン「ギャオ!」

     ATK1600

 

 大漁旗のフィールドの並ぶ、青い肌の魔人の釣り師と幼き海竜、そして氷のガーゴイル

 権現坂はその布陣を見て、何か手を打とうとするが残念ながら現状では何も打てる手がなかった

 

「くうぅぅぅ・・・」

 

「さ~てと、ドラゴン・アイスを攻撃表示に変えてバトルや!

 いてもうたれ!ドラゴン・アイスで超重武者グロウ―Vを攻撃や!!」

 

ドラゴン・アイス「ガアアァァァァァァァ!!」

        DEF2200→ATK1800

 

 氷の爪が鋼鉄の体を引き裂き、爆発を起こす

 爆風が権現坂を襲い、その体を後退させた

 

「ぐううぅぅぅぅ・・・何のこれしき!

 グロウ―Vの効果発動、自分の墓地にマジック、トラップカードがないとき、デッキの上から5枚を確認し、好きな順番でデッキの上に戻す。」

 LP4000→2300

 

(グロウ―Vの墓地効果は・・・う~ん、まぁ、どうにかなるやろ)

「さぁ、次行くでぇ!屈強の釣り師(アングラップラー)でダイレクトアタックや!」

 

「墓地のグロウ―Vの効果発動

 相手の直接攻撃宣言時このカードを除外し、デッキの1番上のカードをめくり、そのカードが超重武者ならば手札に加え、攻撃モンスターの攻撃力を0にする。

 超重武者でなかった場合は、そのカードは墓地に送られる。」

 

(使うて来たか、屈強の釣り師(アングラップラー)の効果は諦めかぁ)

 

「デッキトップはクリアクリボーよってこのカードは墓地に送られる、くっ!?」

 LP2300→2200

 

(なる~そういう事かぁ~でも後悔させたるでぇ)

屈強の釣り師(アングラップラー)がダイレクトアタックで相手にダメージを与えたから、効果を発動させてもらうでぇ!

 ワイの墓地からモンスターを1体、守備表示で特殊召喚や!来い、海皇子 ネプトアビス」

 

ネプトアビス「はっ!」

      DEF0

 

 青い鎧に三又の槍を構えた美青年が、さらに並び立つ

 心なしか、トライドンが嬉しそうにしている

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「どんどん行くでぇ!トライドンでダイレクトアタックや!」

 

「させぬ!相手の直接攻撃宣言時、墓地のクリアクリボーを除外し効果を発動する!

 俺はデッキから1枚ドローし、そのカードがモンスターならば、そのモンスターを特殊召喚し戦闘モンスターを強制戦闘をさせる。

 俺の引いたカードは・・・超重武者ビックベン―Kだ!!」

 

ビックベン―K「ベンケェー!!」

       DEF3500

 

 深き青の海竜の前に立ちあがる巨壁、白と橙の機械武者、ビックベン―Kは手に持つ刺又を振るい突風を起こしトライドンと大漁旗を吹き飛ばす

 

「うひぃ~!?めちゃ硬いのが出て来おったなぁ」

 LP4000→2100

 

『此処で来ましたー!守備表示で守備力を使い攻撃できる権現坂選手の代名詞ともいえるモンスター、ビックベン―K!!』

 

「俺はここで負けるわけにはいかん!遊矢を超えるまではな!!」

 

「はは、めっちゃ気合いはいっとんなぁ~

 でも、ワイだって、負けるつもりは毛頭ないんや、ガチで行かせてもらうで

 メイン2に入って、海皇子 ネプトアビスの効果発動や

 1ターンに1度、デッキから海皇モンスターを1体墓地に送ることで、ネプトアビス以外の海皇カード1枚をデッキから手札に加える

 ワイはこの効果で海皇の竜騎隊を墓地に送って海皇の重装兵を手札に加えるでぇ」

 

「くっ!?またそのモンスターか・・・」

 

「それだけやない、水属性モンスターの効果の発動コストとして墓地に送られた海皇の竜騎隊の効果でデッキから海皇の竜騎隊以外の海竜族モンスターを1体手札に加える

 ワイが手札に加えるのは深海のディーヴァや

 

 まだまだ行くで、ワイは真海皇 トライドンの効果発動

 トライドンと自分フィールドの海竜族モンスター、海皇子 ネプトアビスをリリースすることで手札、デッキからこいつを特殊召喚や

 来い、海皇龍 ポセイドラ!!」

 

 竜巻の様に湧き上がる水がトライドンとネプトアビスを飲み込む

 そしてそれがはじけ飛ぶと、そこに居たのは若き海の皇子でも、幼き海竜でもなく、傲慢なる海の皇

 深海のごとき深き青の鱗を煌めかせ、権現坂に向かい咆哮する

 

ポセイドラ「グルル・・・グオオオォォォォォ!!」

     ATK2800

 

『うおぉぉ!!見事なコンボでエースを呼び出し、大漁旗選手に大ダメージを与えた権坂選手ですが大漁旗も負けじと大型モンスターを召喚です!

 いやぁ~大波乱のジュニアユース選手権、まだまだ目が離せませんねぇ~』

 

「おぉ!解説の人、随分と盛り上げてくれるやないか

 でも、まだワイのターンは終わらないでぇ~

 おっと、その前にトライドンの効果の続きや、アンさんのモンスターの攻撃力を300ポイントダウンさせてもらうでぇ」

 

 ビックベン―K DEF3500

         ATK1000→700

 

「ぬぅ、増殖するGの効果で1枚ドロー

 だが、ビックベン―Kは元より守備表示、そして守備力を攻撃力として使い守備表示のまま攻撃できる

 攻撃力をいくら下げても無駄だ!」

 

「わかっとるわいそんなこと

 あ~ネプトアビスが水属性モンスターの効果発動コストとして墓地に行ったことで、効果発動や

 墓地からネプトアビス以外の海皇モンスターを特殊召喚させてもらうでぇ

 来いや、海皇の竜騎隊!」

 

海皇の竜騎隊「「「ハッー!!」」」

      ATK1800

 

 ポセイドラを護衛するように海竜の乗った半魚人の騎士たちが現れ、忠誠を示すかのように槍を掲げ声を上げた

 

「特殊召喚されたので1枚ドロー」

 

「さて、その堅そうなモンスターは退場させてもらうで

 あぁ、言い忘れとった!屈強の釣り師(アングラップラー)はチューナーモンスターなんや」

 

「チューナーだと!?それでは!?」

 

「あた~り~ワイはレベル5のドラゴン・アイスにレベル1の屈強の釣り師(アングラップラー)をチューニング

 シンクロ召喚!来るんやレベル6!獣神ヴァルカン!!

 

ヴァルカン「グオオオォォォォォン!!」

     ATK2000

 

 進化の光の中から現れるのは赤熱した大槌を振るう虎の獣人

 

「くっ!?シンクロ召喚も特殊召喚だ、1枚ドローする」

 

「ぬふふ、あがけや、あがけや

 獣神ヴァルカンの効果発動、こいつはシンクロ召喚に成功した時、自分及び相手のフィールドの表側表示カードを1枚ずつ選択して手札に戻すんや」

 

「なんだと!?」

 

「ワイのフィールドの海皇の竜騎隊とアンさんのビックベン―Kをバウンスや

 やったれ!ヴァルカン!!」

 

ヴァルカン「グオオオォォォ!!」――ガンッ!!

 

 ヴァルカンが大槌を振るうと大漁旗の背後の海のが荒れ始め、大波が発生し竜騎隊たちはその波に乗り、ビックベン―Kを攫い、海へと消えて行った

 

「なっはっはっはっ!えぇモンが釣れたわ!

 さらにワイはマジックカード、一時休戦を発動

 互いにカードを1枚ドロー、んでもって、次のターンまで互いにダメージは受けへんようになる

 これで次のターンまで、ワイは安全ちゅう訳や

 

 さらにマジックカード、サルベージを発動

 墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスターを2体、海皇の重装兵と海皇子 ネプトアビスを手札に加えてターンエンドや」

 

「くっ!俺のターン、ドロー

 俺は超重武者ジシャ―Qを召喚」

 

 ジシャ―Q ATK900

 

「ジシャ―Qが召喚したことにより効果発動

 手札からレベル4以下の超重武者を特殊召喚し、このモンスターを守備表示にする

 俺は手札からチューナーモンスター、超重武者コブ―Cを特殊召喚だ!」

 

コブ―C「コブシッ!」

    DEF900

 

 ジシャ―Q ATK900→DEF1900

 

 紺色のU字磁石を模した機械武者、ジシャ―Qの磁力に引き寄せられ、その身に合わないほどの巨大な拳を持った機械武者、コブ―Cが並び立つ

 だが、機械武者たちは今まさに海の脅威にさらされていた

 

「おっと、シンクロはさせへんでぇ~

 墓地のドラゴン・アイスの効果発動

 手札の海皇の重装兵を捨てて、こいつを特殊召喚

 さらに重装兵の効果で超重武者ジシャ―Qを破壊や!」

 

ドラゴン・アイス「グワッ!!」

        DEF2200

 

 脇に海皇の重装兵を抱えたドラゴン・アイスが現れ、ジシャ―Qに向かって見事なフォームで海皇の重装兵を投げ飛ばし破壊した

 

「なんの!俺は自分フィールド上の機械族、地属性モンスター、超重武者コブ―Cをリリースし、このモンスターを守備表示で特殊召喚する

 来い、無限起動ブルータルドーザー!」

 

――ギュルルルルルルッ!

 

 島の密林の奥からキャタピラとエンジン音を鳴り響かせ現れる巨大なブルドーザー

 その車体には赤紫色の幾何学模様が光り輝く

 

 ブルータルドーザー DEF2100

 

「ブルータルドーザーの効果発動

 このモンスターが手札からの特殊召喚に成功した場合、デッキからブルータルドーザー以外の無限起動モンスターを1体、効果を無効にし守備表示で特殊召喚出来る

 現れよ!無限起動スクレイパー!」

 

――ドルルルルルルルッ!

 

 赤い車体に水色の幾何学模様が光る削岩車、スクレイパーが地を割り現れる

 

 スクレイパー DEF500

 

「ブルータルドーザーのこの効果を使ったターン、俺は機械族、地属性モンスターしか特殊召喚出来ない

 さらに俺の墓地にマジック、トラップがないことにより手札からチューナーモンスター、超重武者ホラガ―Eを特殊召喚!」

 

ホラガ―E「イィー!」

     DEF600

 

「ちっ!2枚目かい!」

 

「俺はレベル5の機械族モンスター、無限起動スクレイパーにレベル2の機械族モンスター、超重武者ホラガ―Eをチューニング!

 速きこと風の如く!静かなること林の如し!音無く忍びとどめを刺せ!シンクロ召喚!

 出でよ、レベル7!超重忍者シノビ―A・C!!」

 

シノビ―A・C「ハッー!!」

       DEF2800

 

「さらに超重武者シンクロモンスターのレベルを1つ減らすことによって、墓地の超重武者コブ―Cを特殊召喚できる

 俺は超重武者として扱う超重忍者シノビ―A・Cのレベルを1つ減らし、舞い戻れ!チューナーモンスター、超重武者コブ―C!」

 

 コブ―C DEF900

 

「そして、機械族レベル5モンスター、無限起動ブルータルドーザーにレベル2機械族モンスター、超重武者コブ―Cをチューニング

 シンクロ召喚!並び立て!もう1体の超重忍者シノビ―A・C!」

 

シノビ―A・C「ツェアー!!」

       DEF2800

 

『決まったー!!連続シンクロ召喚ー!!

 ですが、大漁旗選手が前のターンに発動させたマジックカード、一時休戦の効果により、このターン互いにダメージは受けません』

 

「だが、モンスターは破壊できる!

 俺は手札の超重武者装留グレート・ウォールをシノビ―A・Cに装備する!」

 

 機械の忍者の下に主から緑色のおろし金の様な盾が与えられる

 

 シノビ―A・C DEF2800→4000

 

「グレート・ウォールは超重武者モンスターの守備力を1200ポイントアップさせる装備カードとなり、手札、フィールドから装備できる

 行くぞ、バトルだ!グレート・ウォールを装備したシノビ―A・Cでポセイドラを、もう一体のシノビ―A・Cでヴァルカンをそれぞれ攻撃する!」

 

シノビ―A・C「「ハアッー!!」」

 

 緑の大盾を装備したシノビ―A・Cが地面を割り衝撃波でポセイドラを吹っ飛ばし、もう一体のシノビ―A・Cはヴァルカンの鳩尾に手に持った昆をたたき込み粉砕した

 

「よし!俺はこれでターンエンドだ!」


「手札が4枚残して、守備力2800と4000のシンクロモンスターがフィールドに、さらに片方に攻撃すると守備力を0にすることで攻撃を無効にされる、か」

 

「う~ん、中々の布陣だね」

 

「おまけに2体とも元々の守備力を半減してダイレクトアタック可能なシノビ―A・C

 鉄平はこのターンでどうにかしないと負けるなぁ~」

 

「そうね、でもまだ、アクションカードが、あっ!

 そういえば何で大漁旗君もアクションカードを取りにいかないのかしら?

 ビックベン―Kの反射ダメージだって軽減できたかもしれないのに・・・」

 

「アクションカードを取らない・・・って、もしかして」

 

「あぁ、権現坂もなかなかの有名人だからな

 鉄平の奴、切り札のスサノ―Oのことを知ってるんだろうさ

 だから情報にないコンボを作られることを警戒して、自分のデッキにあるカードのみで対処している。」

 

「ぬぅ~有名人の苦悩か・・・先輩も滅茶苦茶メタられていたことがあったなぁ~」

 

「おぉし!いけー!権現坂ー!!」

 

「次のターンで決めちゃえ、権現坂ー!」

 

「頑張ってくださーい、権現坂さーん!」

 

「ねぇ?遊矢はあの2人、どっちが勝つと思う?」

 

「さぁな、勝負は時の運

 でも、負けたくないという気持ちに、デッキは応えてくれるさ」


「やれやれ、なんや、ピンチやなぁ

 でも、ここから巻き返しや!ワイのターン、ドロー!

 よっしゃ!ワイはマジックカード、強欲なウツボを発動するでぇ!

 このカードは手札の水属性モンスターを2体デッキに戻して、その後3枚ドローするんや

 ワイは手札の海皇子 ネプトアビスと海皇の竜騎隊をデッキに戻して3枚ドローや!」

 

『おぉっと!ここで大漁旗選手、手札交換カードを引き当てた!』

 

「うしし、粋なカードが来たやんか

 ワイは手札からマジックカード、大波小波を発動

 ワイのフィールドの水属性モンスターをすべて破壊し、手札から破壊した数と同じ数まで水属性モンスターを特殊召喚や

 ワイはドラゴン・アイスを破壊して、来るんや!伝説を継ぐ者!伝説のフィッシャーマン二世!!」

 

 大漁旗が背にしている海から津波が発生し、大漁旗とドラゴン・アイスを飲み込むとその中から鯱に乗り、ボウガンを構えた野性味あふれる青年が大漁旗を抱えて飛び出し、権現坂とモンスター達に対峙する。

 

フィッシャーマン二世「ハッー!!」

          ATK2200

 

「うへぇー!まさかワイまで波に呑まれるなんて思わなかったわ・・・

 っと、さらにワイは海皇の重装兵を通常召喚や」

 

海皇の重装兵 ATK0

 

「何っ!?重装兵を召喚だと!?」

 

「重装兵の強みは破壊効果だけやないんやで?

 こいつはワイのフィールドで、表側表示で存在する限り、ワイのメインフェイズに1度だけ、レベル4以下の海竜族モンスターを通常召喚できるんや

 ワイは手札からチューナーモンスター、深海のディーヴァを追加で召喚や!」

 

深海のディーヴァ「はぁ!」

        ATK200

 

「んでもって、深海のディーヴァの効果発動や

 こいつが召喚に成功した時、デッキからレベル3以下の海竜族モンスターを1体特殊召喚出来る

 来いや、海皇子 ネプトアビス!」

 

深海のディーヴァ「Ah~」

 

 人魚の歌姫の歌声に誘われて、大漁旗のフィールドに海皇の皇子が再び姿を現した

 

ネプトアビス「ティアァ!」

      DEF0

 

「ネプトアビスの効果でデッキから海皇の竜騎隊を墓地に送って2枚目の海皇の竜騎隊を手札に加えるで、さらにコストにした竜騎隊の効果で3枚目の海皇の重装兵を手札に持ってくるでぇ」

 

「くっ!?また、重装兵が手札に・・・」

 

「ワイは勝負するときはいい餌をぎょうさん用意する性質なんや

 さて、大モン釣る為の準備も整ったことだし、いちょやりまひょか!

 ワイは自分フィールドのレベル3以下の水属性モンスター、海皇子 ネプトアビス、海皇の重装兵、深海のディーヴァの3体をリリースして、こいつを墓地から吊り上げるで!

 再び君臨んや!海皇龍 ポセイドラ!!」

 

ポセイドラ「グオオオオォォォォォォォォ!!」

     ATK2800

 

 大漁旗の3体のモンスターが海へと還り、傲慢なる海の皇を再び目覚めさせた

 さらに海へと還ったものの力により、新たな海のモンスターが海皇龍に付き従う

 

「さらにネプトアビスの効果で墓地から真海皇 トライドンを特殊召喚や」

 

トライドン「グワッ!」

     ATK1600

 

「さぁて、ここからが運試し、マジックカード、貪欲な壺を発動や

 墓地のモンスター、海皇の重装兵2体、獣神ヴァルカン、深海のディーヴァ、海皇の竜騎隊の5体をデッキに戻し、シャッフル、んで、2枚ドローや

 

 うっしゃー!!来たでぇー!!

 ワイは伝説のフィッシャーマンとして扱う、伝説のフィッシャーマン二世をリリースして手札からこいつを特殊召喚や

 生まれ変われ、語り継がれし伝説と共に!伝説のフィッシャーマン三世!!」

 

 フィッシャーマン二世が光に包まれ、乗っている鯱はさらに巨大になり、その手に持つボウガンは水中銃へと変化しさらに洗練された姿へと生まれ変わった三世として、ここに参上した

 

フィッシャーマン三世「ウラアアァァァァ!!」

          DEF2000

 

「この特殊召喚が成功した時、このターンのフィッシャーマン三世の攻撃を封じる代わりに相手フィールドのモンスターをすべて除外できる!」

 

「何っ!?」

 

「2体まとめて、一網打尽や!」

 

フィッシャーマン三世「トォー!!」

 

 フィッシャーマン三世はどこからか投網を持ちだすと、シノビ―A・C達をそれに捕まえ、森の何処かへと投げ捨ててしまった

 

「くっ!?」

 

『おぉっと!!権現坂選手、強力な布陣を一気に崩され、一転してピンチー!!

 ダイレクトアタックを受けたら終わってしまうぞー!!』

 

「これで終いや!バトル!トライドンとポセイドラでダイレクトアタックや!!」

 

 トライドンとポセイドラの水流ブレスが権現坂に迫るが

 

――バッシュー!!

 

 それを遮るように現れた鋼鉄のカカシによって阻まれた

 

「なっ、なんや?」

 

「俺は手札から速攻のかかしの効果を発動させた

 このカードを手札から捨てることで相手のダイレクトアタックを無効にし、バトルフェイズを終了させる。」

 

「ちぃ!」

(まだ、防御カード持ってたんかいな

 アクションカードもあんま使いとーないし、レベル10にしないように調整せんとあかんし、ホンマ、やり難いお人やで・・・)

「ワイはメイン2でトライドンの効果を発動

 ポセイドラとこいつをリリースして、デッキから2体目のポセイドラを守備表示で特殊召喚して、ターンエンドや」

 

 ポセイドラ DEF1600

 

「俺のターン、ドローだ」

(テンB―Nか・・・だが、この手札ではホラガ―Eを破壊された後は・・・いや、まだ希望はある!)

「俺は墓地の無限起動スクレイパーの効果を発動、墓地の機械族、地属性モンスターを5体デッキに戻すことで、デッキから2枚ドローする。

 俺は墓地の超重武者ジシャ―C、速攻のかかし、無限起動ブルータルドーザー、超重武者装留グレート・ウォール、超重武者ホラガ―Eの5体をデッキに戻し2枚、ドローだ!!」

 

 権現坂のドローによって風が巻き起こり、島の木々を揺らす、そして、その手の中にあるカードたちを見て権現坂は目を見開いた

 

(こ、このカードは!?そうか、遊矢、お前が力を貸してくれるのか!)

 

 権現坂は観客席にいる遊矢を一瞥する

 尊敬と信頼を寄せる頂に居る好敵手、だが彼に挑む前に

 

「目の前の壁を乗り越えなければなるまい!!」

 

「おっと、アンさんが何かやらかす前にこいつを発動させておくで!

 手札の儚無みずきの効果発動

 こいつを墓地に送ることで、このターン中、ワイはアンさんがモンスターを特殊召喚するたびにその攻撃力分のライフを回復するんや

 ただし、ライフを回復できんかったら、ワイのライフは半分に成るけどな

 さぁ、どうするんや?」

 

「そんなことで俺は揺らがん!

 自分フィールド上にモンスターが存在せず、相手フィールドに2体以上のモンスターが居る場合、手札から超重武者テンB―Nを特殊召喚出来る!」

 

テンB―N「ビン!」

     DEF1800

 

「そのモンスターの攻撃力は800、よってワイのライフは800回復や」

 LP2100→2900

 

「さらにテンB―Nは召喚、特殊召喚された時に墓地のテンB―N以外のレベル4以下の超重武者を1体、守備表示で特殊召喚できる

 戻ってこい!チューナーモンスター、超重武者ホラガ―E!」

 

ホラガ―E「イィー!」

     DEF600

 

「儚無みずきの効果で300回復っと」

(ホラガ―Eにはアドバンス召喚の素材になった時、蘇生する効果があったなぁ)

「だったら、決まりや!

 ワイは墓地のドラゴン・アイスの効果を発動し、手札の海皇の重装兵を捨ててドラゴン・アイスを特殊召喚や

 んでもって、重装兵の効果でホラガ―Eを破壊や!」

 LP2900→3200

 

 2ターン前の再現のように現れるドラゴン・アイスと射出される海皇の重装兵

 今度はホラガ―Eを海送りにした

 

「まだだ!俺は超重武者装留ダブル・ホーンを超重武者であるテンB―Nに装備

 さらにダブル・ホーンの効果、1ターンに1度、このカードの効果でこのカードが装備されている時、装備されているこのカードを特殊召喚出来る!」

 

超重武者装留ダブル・ホーン DEF300

 

 一瞬、テンB―Nと合体する巨大な角付きの兜の様な機械は即座に分離し、テンB―Nと並ぶ

 なお、その仰々しい見た目に反し攻撃力は0である

 

「俺は超重武者テンB―Nと超重武者装留ダブル・ホーンをリリースし、アドバンス召喚!

 共に勝利を掴もうぞ!超重武者ビックベン―K!!」

 

ビックベン―K「ウオオオォォォォォ!!ベン、ケエェェェ!!」

       ATK1000→DEF3500

 

 勇ましく再び戦場に舞い戻りし機械の巨漢ビックベン―Kが雄叫びを上げる

 

「ビックベン―Kは召喚特殊召喚した時、表示形式を変更できる

 さらに超重武者装留シャイン・クローとイワトオシをビックベン―Kに装備する。」

 

 橙の機械武者に赤青銀で彩られた鋼鉄の爪と紺色の梓弓がそれぞれの腕に装備される

 

「シャイン・クローは超重武者モンスターに攻守を500アップさせる装備カードとして、イワトオシは貫通能力を与える装備カードとして手札、フィールドから装備できる!」

 

 ビックベン―K DEF3500→4000

         ATK1000→1500

 

「はっ!だけどなぁ、アンさんがめっちゃ特殊召喚してくれたおかげでワイのライフもだいぶ増えたわ、おおきにな」

 

「ならば、もう少し増やしてやろう

 俺は超重武者装留シャイン・クローの効果発動、装備を解除し特殊召喚する!」

 

 超重武者装留シャイン・クロー DEF500

 ビックベン―K   DEF4000→3500

           ATK1500→1000

 

 ビックベン―Kの腕から、ブースターを起動させ、分離するシャイン・クロー

 空を幾分か飛んだあと、ビックベン―Kの隣に並んだ

 

「な、なんやと!?どういうつもりや!?

 わざわざ、ステータスを落して分離させるなんて・・・」

 LP3200→3700

 

「いや、好敵手(とも)から譲り受けたこのカードが、俺のモンスターを繋ぐ!

 俺はスケール8のEM(エンタメイト)カード・ガードナーをペンデュラムゾーンにセッティングする!」

 

「なんやて!?」

 

『なんとー!?』

 

 権現坂のフィールドに立ち上る光の柱、その中に居るのはカードそのものをディフォルメしたかのようなモンスターが鎮座する

 その光景を見てただ2人を除き、会場の誰もがどよめいた


(あれが、遊矢があの時渡したカード・・・)

 

「ちょ、ちょっと!?なんで、権現坂がペンデュラムを、それもEMを使ってるのよー!?」

 

「俺がやったからだが?」


EM(エンタメイト)カード・ガードナーのペンデュラム効果を発動

 1ターンに1度、自分フィールド上の表側守備表示モンスターを1体選択し、そのモンスターの守備力を自分フィールドの全ての表側表示モンスターの元々の守備力の合計値にする。

 俺はシャイン・クローを選択し、ビックベン―Kの守備力をプラスする!」

 

 超重武者装留シャイン・クロー DEF500→4000

 

「んな滅茶苦茶な!?」

 

「そして、ビックベン―Kは超重武者モンスターを守備表示で守備力を使い攻撃を可能にする効果を持つ!

 バトルだー!行け!超重武者ビックベン―K!海皇龍 ポセイドラへ攻撃!!」

 

 ビックベン―Kの腕に付けられた巨大な梓弓が弦を引き発射体制へと入る

 

「いや、まだや!貫通効果を持っているのはビックベン―Kのみ!

 まだまだ終わらへんで!!」

 

「いや、終わりだ!!

 今こそ力を合わせる時!手札から超重武者オタス―Kの効果を発動

 自分の墓地にマジック、トラップカードがない場合、自分の守備表示モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時にこのカードを手札から捨て、その戦闘を行う自分のモンスターの守備力をダメージ計算時のみ、自分フィールド上の別の超重武者モンスター1体の守備力を加える。

 俺はシャイン・クローの守備力をビックベン―Kに加える!!」

 

「なっ!?それじゃ!?」

 

「ビックベン―Kの守備力は7500だー!!」

 

 ビックベン―K DEF3500→7500

 

 引き絞る弦は限界まで、その矢には仲間の力を込めて、発射されたその矢は傲慢なる海の皇を穿ち

 

「ぬわあああぁぁぁぁぁぁ!!」

 LP3700→0

 

――バッシャーン!!

 

 大漁旗は海へと落ちた

 

「いや~やっぱアンさん強いなぁ~完敗やぁ」

 

「いや、俺もギリギリだった。」

 

「ホンマかぁ?まぁええわ

 また機会があったらデュエルしようや」

 

「うむ、この男、権現坂、いつでも相手になろうぞ!」

 

 ふむ、鉄平と権現坂は割と仲良くなれそうな感じだな

 さて、ナイト・オブ・デュエルズはエースがあんな感じだから、期待薄として、未知夫と北斗か・・・

 デッキの相性的に未知夫かなぁ?

 そして、原作と同じように真澄と柚子か・・・前倒しで仲良くなってたし、記憶も霞んでないはずだから、どうなるかな?




「2回戦出場ね、一応、おめでとうと言っておくわ、刃」

「おう、ありがとよ!
 しっかし、やっぱあいつらと比べたら物足りなくなっちまうなぁ~
てか、真澄の相手って」

「そうよ、柊柚子、リベンジマッチってことになるかしらね?」

「おいおい、それってめっちゃ燃える展開じゃねぇか!
 かー!!絶対、俺も2回戦抜けて3回戦であいつと戦ってやるぜ!!」

「ふふ、マルコ先生に鍛え直してもらったこのデッキで、今度は勝ってみせるわ!
 次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
 『魂の輝き』
 っていうか、何で北斗はあんな所で白くなってるのよ?」

「あ~まぁ、仕方ねぇんじゃねぇか?
 1ターン目から出したモンスター全て破壊されちゃぁな・・・」


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魂の輝き

≪ジ・・・・・ジジ・・・・・≫

 AIが消え、遊作が姿を消した、だがそれでも世界は回り続ける

≪ジ・・・・・ジン・・・・ル・・イ・・・・・≫

「藤木君どこ行ってしまったのでしょうか?」

「さぁな、でもいつか必ず帰って来るさ」

 世界を守った者たちが舞い戻った日常、これからも続いていく変わらぬ世界

「おっしゃー!勝ったぜー!」

「あら?島君、また勝ったの?」

 それはほんの小さな違和感

≪ジンルイ・・・・シ・・・シシン・・・・≫

「ねぇ、財前さん、綺久を見なかった?」

「えっ?見ていないけど?」

「まったく、あいつが学校をサボるなんてどこに・・・」

 平和な日常が

≪ジ・・・ンル・・・イ・・・・・・・・・シン・・・カ・・・・≫

ハックされる

「なんでだ、なんであいつが!?」

「やめてお兄様!?」

「やめろ!子供たちにさわるな!!」

 変えられていく人々、肉親も友人もすべてが書き換えられていく

≪ジンルイ・・・シンカ・・・・・≫

「くっ!草薙さんまで・・・」

「もう、どうすればいいの・・・」

「諦めるな!まだ方法はあるはずだ!」

 街が、世界が、全てが敵となった世界で

「藤木君!」

 彼が帰ってくる、再び戦うために

遊戯王VRAINS『ネオハノイ』編 2019年10月より放送


しません
お久しぶりです、色々とごたごたしていましたが落ち着いたので更新です
10月からは時間が取れそうなので週1以上で更新できたらと思います
 それと終わってしまいましたねヴレインズ
全体だと盛り上がりに少し欠ける感じでしたが先のストーリーで希望がありそうで、なかなかいい終わり方だったような気がします
ちなみに上の妄想の黒幕は一期で消えたすべての元凶の残流データです
 リボルバーまで乗っ取られたり、遊作と合流した面々がAIを復活させようとしたりするストーリーが頭をよぎりましたが、とりあえず封印しておきましょう

では、ストロング柚子と記憶がくすんでいない真澄ちゃんの2戦目どうぞ


「これデ最後デス!ランプの魔精ラ・ジーンでダイレクトアタック、なのデス!」

 

「きゃああぁぁぁぁ!!」

 LP1200→0

 

『決まりましたー!!LDS留学生対決、ノルディック校のオルガ選手を制し、勝利を勝ち取ったのは・・・アナトリア校のハリル選手だー!!』

 

――ワアアアァァァァァァァァ!!

 

「オォ!ダイジョブですカ?オルガ?」

 

「ふん!勝者の情なんていらないわ!

 貴方、いいこと?この私に勝ったのだから、次も勝ち抜きなさいよね!」

 

「アハ!応援してくれるのデスね!ウレシイです!私ガンバリます」

 

「ちょ!?そんなんじゃないわよ!?」

 

『Oh~美しかな友情、言葉で伝わらなくてもデュエルで伝わるとはよく言ったものですねぇ~

 さぁ~アクション、スペクタクル、こってりマシマシでお送りしてきましたジュニアユース選手権

 海外からの特別参加チーム、ナイト・オブ・デュエルズは、まさかの全員一回戦敗退!!

 昨年度優勝者の勝鬨選手も敗れ、先の見えない展開が続いております

波乱万丈の一回戦も次で最後の試合です!』


「今日のオオトリが柚子か~お客さんは大盛り上がりだね?」

 

「言わないで!?緊張しちゃうじゃない!?」

 

 素良が試合前の柚子をからかって遊んでいる

 いや、柚子よ、エンタメデュエリスト目指しているんだから、観客が居るくらいで緊張するなって・・・

 変な処でヘタレなんだから・・・

 

「観客に見られているからって、緊張するな!

 そんなことじゃ、エンタメデュエリストなんかに成れないぞ?」

 

「うっ!?お、お父さん・・・でも・・・」

 

「でもじゃない!!人を笑顔にしたいなら、まず自分が笑顔じゃないといけないんだ!

 それに、相手はあの真澄ちゃんだろ?緊張なんてしている暇なんてないぞ?」

 

「う、うん・・・」

 

 鞭じゃ、踏ん切りがつかないか・・・しかたない

 

「柚子」

 

「遊矢?」

 

「観客が居て、緊張するなら気にするな」

 

「えっ?」

 

「代わりに、相手の顔を真っ直ぐ見るんだ

 デュエルが始まれば2人だけの世界だ、全力でぶつかり合うことだけ考えろ

 相手も全力でかかって来るんだから、全力で答えないと、エンターティナー以前にデュエリストとして失格だぞ?」

 

「そうだ、柚子!お前はお前らしくデュエルをすればいいんだ!気合を入れろー!!

 気合いだ!気合い!!気合で熱血勝負だ!!」

 

「・・・そうね、エンターティナーとしてはまだまだでも、せめてデュエリストとしては胸を張れるようにならなくちゃね!

 よーし!!気合入れていくわよー!!」

 

「そうだ、柚子!熱血だ!!」

 

『『熱血だー!!』』

 

 やれやれ、持ち直したみたいだな

 持ち直しし過ぎて、空回りしなきゃいいけど

 

「はぁ~まったく、手のかかる弟子だな~」

 

「ははは、ほんと、手間がかかるうえに親子そろって暑苦しいことで・・・」

 

 ちょっと、羨ましいかもな・・・


『今、熱き思いが、ここに集う!Let’s blast it!

 皆様!お待たせしました。

 クールタイムも済んだところで、本日最後の熱を投入しましょう!!

 只今より、遊勝塾所属、柊 柚子選手とレオ・デュエルスクール所属、光津 真澄選手の試合を開始します!!』

 

――ワアアアァァァァァァァァ!!

 

 うぅ・・・やっぱり、スタジアムはすごいわね、しかも超満員だし・・・って、ダメ、ダメ、ダメ、ダメ!!

 ますは、相手を、真澄のことをちゃんと見なきゃ!

 

「ふふ、お久しぶりね」

 

 私を見据える赤い目の少女、そのたたずまいは緊張の一欠けらも見せていない

 はぁ~やっぱり、私ってば、デュエリストとしても未熟だなぁ~

 観客がいるぐらいで、縮こまっていちゃだめだよね!

 

「ふぅ~……うん、久しぶり、初戦が貴女なんて、奇遇ね」

 

「えぇ、本当に

 でも、今日はあの時の様にはいかないわよ?

 この日の為にマルコ先生に鍛え直してもらったんだから」

 

「えぇ、私もよ

 このデュエルで、さらに進化した私を見せてあげる!」

 

「いいわ!折角の大会ですもの

 それくらいでないと歯ごたえがないでしょう、お互いにね。

 あなたの輝きが、どれほど増したか、見せてみなさい!!」

 

『おぉ、両者のボルテージも最高潮

 では、さっそく、フィールド魔法の選出です

 マシンによって、ランダムに選ばれたフィールド魔法カードは・・・』

 

 スタジアムの上空に無数の光のカードが現れ、球を成し、その中に巨大なカードが浮かび上がる

 そして、弾けるように光のカードが散らばると無数の橋が描かれた1枚のカードが表を向く

 

『アクションフィールド、オン!

 フィールド魔法、無限架橋、発動!!』

 

 柚子と真澄の居たスタジアムの地面は消失し、簡素な手すりしかない、あみだくじの様に不規則に架けられた橋が出現し、フィールドの形成と共に上昇していく

 

『さぁ、出来上がりましたのは、一歩、足を踏み外せば奈落に真っ逆さま!

 この緊張感あふれるフィールドでジュニアユースコースの2つの蕾、どちらが大輪の花を咲かせるのか注目です!』

 

 なんとなく下をのぞいて見ると、先が見えないほど暗くなって、架けられた橋も無数に続いている

 実際はスタジアムの地面があるんでしょうけど、落ちたらただで済みそうにないわね・・・

 

「あら、怖気づいたのかしら?」

 

「冗談、さぁ、早速始めましょ!

 戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に、地を蹴り、宙を舞い!」

 

「「フィールド内を駆け巡る!

 見よ!これぞ、デュエルの最強進化系!!」」

 

『アクショーン!!』

 

『『決闘(デュエル)!!』』

 

 私達は開始と共に走り出す、橋の上には・・・なさそうね

 

「先にやらせてもらうわよ!

 私は永続魔法、ブリリアント・フュージョンを発動

 このカードの発動時に、自分のデッキの融合素材モンスターを墓地に送ることで、ジェムナイト融合モンスターを融合召喚するわ」

 

 いきなり、デッキ融合!?

 

「私はジェムナイト・アイオーラ、ラズリー、ラピスの3体を融合

 神秘の力秘めし碧き石よ、愛を胸に秘めて、永遠の輝きとなれ!融合召喚!!

 現れなさい!輝きの淑女!レベル10、ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ!」

 

 3つの青の輝きを持つ騎士たちが交わり、七色の輝きと共に金剛石の力を持つ女騎士へと生まれ変わる

 

ブリリアント・ダイヤ「はっ!!」

          ATK0

 

「この効果で呼び出したモンスターは攻撃力、守備力が0となり、このカードがフィールドから離れた場合、破壊されるわ

 そして、効果で墓地に送られたジェムナイト・ラズリーの効果発動

 墓地の通常モンスター、ジェムナイト・ラピスを手札に加えるわ」

 

 実質、手札消費なしで高レベル融合モンスターの召喚・・・

 今は攻撃力0だけど、厄介な効果持ちだし、アクションカードを取られたら有って無い様なデメリットね

 

「そして、レスキューラビットを通常召喚よ」

 

レスキューラビット「きゅ?」

         ATK300

 

 真澄の頭の上に何故か現れる、ヘルメットを被った可愛らしい兎、確か効果は・・・まずいじゃない!?

 かわいいとか思っている場合じゃないわ!?

 

「レスキューラビットの効果発動

 1ターンに1度、このカードを除外して、デッキからレベル4以下の同名通常モンスターを2体特殊召喚するわ

 現れなさい、2体のジェムナイト・ラピス!」

 

ラピス「はっ!」

   DEF100

 

ラピス「ふっ!」

   DEF100

 

「そして、ブリリアント・ダイヤの効果を発動するわ

 1ターンに1度、自分フィールド上の表側表示のジェムナイトモンスターを墓地に送って、エクストラデッキのジェムナイト融合モンスターを1体、召喚条件を無視して特殊召喚するわ

 私はジェムナイト・ラピスを墓地に送って、グラインド・フュージョン!

 現れなさい!レベル9!ジェムナイトマスター・ダイヤ!!」

 

マスター・ダイヤ「ハッ!!」

        ATK2900→3200

 

 ジェムナイト・ラピスがブリリアント・ダイヤの光を受けて、マスター・ダイヤに変わる

 1ターン目から超大型の融合モンスターを2体も・・・

 それに手札はまだある

 

「マスター・ダイヤの攻撃力は私の墓地のジェムモンスター1体に付き100上がるわ。

 マシックカード、吸光融合を発動させて、デッキのジェムナイトカード、ジェムナイト・フュージョンを加え発動

 手札とフィールドのジェムナイト・ラピス2体を融合

 碧き輝きよ、今真の輝きへと還れ!融合召喚!ジェムナイトレディ・ラピスラズリ!」

 

ラピスラズリ「ふん!」

     ATK2400

 

 ラピスラズリ!まずい!一か八かアクションカードを!

 

「ラピスラズリの効果発動

 1ターンに1度、デッキ、エクストラデッキからジェムナイトモンスターを1体墓地に送って、フィールド上に存在する特殊召喚されたモンスター1体に付き500ポイントのダメージを相手に与えるわ!くらいなさい!!」

 

ラピスラズリ「はあぁぁぁ・・・たあっ!!」

 

 走って逃げる柚子を瑠璃色の光弾が追随し、その足元で爆散する

 

「きゃああぁぁぁぁぁぁ!!」

 LP4000→2500

 

 爆風で吹き飛ばされた柚子は、宙に投げ出され、その先には鉄柱が迫る

 

(!?アクションカード!!)

 

 叩きつけられそうになった鉄柱にアクションカードが張り付いているのを確認した柚子は、体を捻り、態勢を整え、鉄柱を掴む

 

「てええぇぇぇい!!」

 

 気合の声を叫び、鉄柱を軸に回転しアクションカードを手に取ると同時に勢いを殺し、仮想の足場へと着地する

 

「ととっ・・・へへ、アクションカードは先にもらったわよ!」

 

「やるわね、だったらもう一度受けなさい!

 ジェムナイトマスター・ダイヤの効果発動、墓地のレベル7以下のジェムナイト融合モンスター1体を除外してそのモンスターの効果と名前を得るわ

 私は墓地のジェムナイトレディ・ラピスラズリを除外し、さらに効果発動

 デッキのジェムナイト・ラズリーを墓地に送って、もう1500ポイントのダメージよ!」

 

マスター・ダイヤ「ハッ!!」

 

「うっ!くううぅぅぅぅぅぅ!!」

 LP2500→1000

 

 マスター・ダイヤの振った大剣によって生じた風が柚子を襲うが、手すりをがっちり掴み踏ん張り耐え抜く

 

「さらに墓地に送られたラズリーの効果発動よ!」

 

 下層に移動した柚子に続き、真澄も階段の手すりを立ち滑りし追う、その途中でアクションカードを確保して

 

「墓地で通常モンスターとして扱うデュアルモンスターであるジェムナイト・アイオーラを手札に加えるわ

 そして、アクションマジックを墓地に送って、ブリリアント・フュージョンの効果発動

 ブリリアント・ダイヤのステータスを元の数値に戻す」

 

 ブリリアント・ダイヤ ATK0→3400

            DEF0→2000

 

「さらに墓地のジェムナイト・ラズリーを除外してジェムナイト・フュージョンの効果を発動

 墓地からこのカードを手札に加えるわ

 これで私の墓地のジェムモンスターは4体、マスター・ダイヤの攻撃力は3300よ」

 

 マスター・ダイヤ ATK3300

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドよ。」

 

『なんと真澄選手、1ターン目から凄まじい攻撃

 柚子選手のライフを3000も削ってしまいましたー!柚子選手は次のターンを耐え抜けるのか?それともこのターンで逆転か?

 はたまた、このまま敗北してしまうのかー!?』

 

 うぅ・・・あっという間にライフが・・・でも手札は何とか

 

「私のターン、ドローよ

 私は手札のヘカテリスの効果発動 

 このカードを墓地に送ってデッキから永続魔法、神の居城ヴァルハラを手札に加えるわ

 そして、速攻魔法、手札断殺を発動

 互いのプレイヤーは手札を2枚捨て、その後2枚ドローする。」

 

「来たわね、手札交換カード!とうっ!!」

 

 真澄は近くのポールに捕まり滑り降り、途中にあるアクションカードを入手する

 

「あなたのカード利用させてもらうわ

 手札のアイオーラとアクションカードを捨て2枚ドローよ

 ジェムモンスターが増えたことにより、マスター・ダイヤの攻撃力がアップするわ」

 

 マスター・ダイヤ ATK3300→3400

 

 さすがにジェムナイト・フュージョンを捨ててはくれないか・・・

 

「私はイーバと幻奏の音女エレジーを捨てて2枚ドロー

 そして、墓地に送られたイーバの効果で、このカード以外の墓地、フィールドの光属性、天使族モンスターを2体まで除外して、デッキからイーバ以外のレベル2以下の光属性、天使族モンスターを手札に加えるわ

 私は墓地のヘカテリスと幻奏の音女エレジーを除外してデッキからハネワタと幻奏の音女スコアを手札に加えるわ」

 

(ハネワタ、手札に加えて来たわね

 それで次の私のターンを凌ごうって魂胆なんでしょうけど、このカードでそんな甘い考えを打ち砕いてあげるわ)

 

「さらにもう1枚手札断札を発動

 手札のスコアとアクションカードを捨てて2枚ドローよ!」

 

「あら、よっぽど手札が悪かったのかしら?

 だったら私は手札のヴォルカニック・バレットとクリスタル・ローズを捨てて2枚ドローよ」

 

 ヴォルカニック・バレット!?

 何であのカードが真澄のデッキに・・・って、一緒に落ちたクリスタル・ローズも墓地で有利に動くカードじゃない!?

 

「私は永続魔法、神の居城ヴァルハラを発動し効果発動

 私のフィールドにモンスターが存在しない時、手札の天使族モンスターを1体特殊召喚するわ

 来て、幻奏の歌姫ソプラノ!」

 

ソプラノ「AAaaaaaaaa!」

    DEF1400

 

 ドレスに鎧を付けた様な衣装を着て目元をバイザーで隠した女性のモンスターが、甲高い声を響かせながら現れる

 

「ソプラノが特殊召喚に成功した時、墓地のソプラノ以外の幻奏モンスターを手札に加えることが出来るわ

 私は手札断札の効果で墓地に送った幻奏の音女スコアを手札に」

 

(スコアを回収・・・これで攻撃に対しても迎撃するつもりね)

「ふふ、なかなかやるじゃない」

 

「ありがと、でもこれで終わりじゃないのよ!

 私は幻奏の音女アリアを通常召喚」

 

アリア「Ah~」

   ATK1600

 

「そして、幻奏の歌姫ソプラノの2つ目の効果発動

 1ターンに1度、自分のメインフェイズにこのカードを含む融合素材モンスターをフィールドから墓地に送り幻奏融合モンスターを融合召喚するわ!」

 

「融合内蔵モンスター!?」

 

「響き渡れ、天使のさえずりよ!タクトの導きにより、力重ねよ!融合召喚!

 今こそ舞台へ!幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト!」

 

マイスタリン・シューベルト「ホホホホホッ!はあっ!!」

             ATK2400

 

 炎のようにうねる髪をたなびかせて、私のフィールドに立つマイスタリン・シューベルト

 まずは、厄介なカードの対処よ!

 

「マイスタリン・シューベルトの効果発動

 このカードが表側表示である限り1度だけ、お互いの墓地のカードを3枚まで選択して除外し、このカードの攻撃力を除外した枚数×200アップさせるわ

 私が除外するのは貴方の墓地のクリスタル・ローズ、ヴォルカニック・バレット、ジェムナイト・ラズリーの3枚よ!コーラス・ブレイク!」

 

 マイスタリン・シューベルトがタクトを振り上げ、真澄の墓地のカードを3枚呼び出し、それをタクトで切り裂いた

 

 マインスタリン・シューベルト ATK2400→3000

 

「私の墓地のジェムモンスターが減ったことによりマスター・ダイヤの攻撃力が下がる。」

 

 マスター・ダイヤ LP3500→3400

 

「よし!そのままバトルよ!マイスタリン・シューベルトでジェムナイトレディ・ラピスラズリに攻撃!

 ウェーブ・オブ・ザ・グレイト!!」

 

 ラピスラズリの周りに五線譜が現れ、その周りに音符が現れる

 

ラピスラズリ「!?」

 

 捕らわれになったラピスラズリを五線譜が巻きつき拘束し、その周りに音符が張り付くと爆発を起こし、ラピスラズリを爆散させた

 

「やったー!とりあえず、1体破壊よ!」

 

 何か妨害がはいるかと思ったけど、それもなかったみたいね、ラッキー

 

「ふふふ、一見正しい事の様に見えても、それが大いなる間違いであることもあるのよ?」

 LP4000→3400

 

「えっ?」

 

「トラップ発動!ブリリアント・スパーク!

 自分フィールド上のジェムナイトモンスターが相手の攻撃または効果で破壊された場合、破壊されたそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与えるわ!」

 

「なっ!?」

 

「さぁ、ハネワタちゃんを切らないと、負けてしまうわよ?」

 

「うくっ・・・私は手札のハネワタの効果でこのカードを捨てて、このターンの効果ダメージを0にするわ」

 

 くっ!ハネワタを使わせるためのカードというわけね

 そしてマスター・ダイヤが残っているから、次のターンにはまた1500のダメージ

 

「私はカードを1枚伏せて、ターンエンドよ。」

 

「あなたのターンの終わりにブリリアント・ダイヤはブリリアント・フュージョンの効果で攻守ともに0に戻るわ」

 

 ブリリアント・ダイヤ ATK3400→0

            DEF2000→0

 

「私のターン、ドローよ

 ふふ、あなたのおかげでいい手札になったわ

 私は速攻魔法、異次元からの埋葬を発動

 除外されているジェムナイト・ラズリー、クリスタル・ローズ、ヴォルカニック・バレットを墓地に戻すわ

 戻すだからラズリーの効果が発動できないのが残念ね」

 

 そんなことできたらとんでもない手札に成るじゃない!

 

「さらに手札のサンダー・ドラゴンの効果発動よ

 自分のメインフェイズにこのカードを手札から捨てることで、デッキからサンダー・ドラゴンを2枚まで手札に加えるわ

 ヴォルカニック・バレットの効果も発動させて私のライフを500払ってデッキからヴォルカニック・バレットを手札に加えるわ」

 

「一気に手札が!?」

 

「まだまだよ、墓地のクリスタル・ローズの効果発動

 1ターンに1度、墓地の融合モンスターを除外してこのカードを特殊召喚するわ」

 

 クリスタル・ローズ DEF500

 

 フィールドに咲く、赤と白と緑の水晶で作られた薔薇

 だが美しさの裏には危ない棘が隠れている

 

「クリスタル・ローズのもう1つの効果発動

 1ターンに1度、ジェムナイトモンスターを手札、デッキから墓地に送ることでエンドフェイズまで、そのカードと同名カードとして扱うわ

 私が墓地に送るのはジェムナイト・ラズリー」

 

 クリスタル・ローズが光り輝くとジェムナイト・ラズリーの像がホログラムの様に浮かび上がる

 

「そしてラズリーが墓地に送られたことにより効果発動

 墓地のジェムナイト・ラピスを手札に加えるわ

 そして、ブリリアント・ダイヤの効果発動

 ジェムナイト・ラズリー扱いのクリスタル・ローズを墓地に送り、2体目のブリリアント・ダイヤを召喚条件を無視して特殊召喚よ!」

 

ブリリアント・ダイヤ「はっ!」

          ATK3400

 

 2体目!?手札消費なしどころか手札が増えてるし!?

 

「ジェムナイト・フュージョン発動、手札のジェムナイト・ラピスとジェムナイト・オブシディアを融合

 碧き秘石よ、鋭利なる漆黒よ、光となりて勝利を呼べ!融合召喚!

 レベル5、ジェムナイトレディ・ラピスラズリ!」

 

ラピスラズリ「ふっ!」

      ATK2400

 

「さらに手札から墓地に送られたジェムナイト・オブシディアの効果を発動

 墓地の通常モンスターを特殊召喚するわ

 戻ってきなさい、ジェムナイト・アイオーラ!」

 

 現れたのはうすい青色の鎧を身にまといの水のブーメランを持った騎士

 たしかデュアルモンスターだったわね、効果は・・・うえっ!?

 

「さて、そろそろ終わりかしら?

 ラピスラズリの効果発動、エクストラデッキからジェムナイト・ルビーズを墓地に送って特殊召喚されたモンスターの数×500ポイントのダメージを与えるわ!」

 

『おぉ!フィールドに特殊召喚されたモンスターは柚子選手のフィールドを含めて6体!!

 ライフ1000の柚子選手、絶体絶命!!このまま終わってしまうのかー!?』

 

 ラピスラズリの光弾が6つの光となって柚子に迫る

 

「いえ、終わらせないわ!

 手札のハネワタの効果発動、このターンの私への効果ダメージを0にするわ!!」

 

 がふわふわの綿のような毛を持った天使の羽の生えた生物がそれを全て受け爆発、柚子の周りに羽根と綿が霧散する

 

「さっきのターンでドローしてたのね・・・面白いじゃない!

 このくらいじゃないと張り合いがないわ!

 私はジェムナイト・アイオーラを再度召喚して、効果発動

 1ターンに1度、墓地のジェムナイトを除外して墓地のジェムナイトを手札に加える

 私はジェムナイト・ラピスを除外してジェムナイト・ラズリーを手札に戻す」

 

「うっ!?」

 

 このままじゃ後が無くなる、どこかにアクションカードは・・・

 

「ジェムナイト・フュージョン発動

 手札の雷族モンスター、サンダー・ドラゴンとフィールドのジェムナイト・アイオーラを融合

 秘めたる愛が雷鳴ごとく轟き、英知の輝きとなる、融合召喚

 現れなさい、レベル7、ジェムナイト・プリズムオーラ!」

 

プリズムオーラ「ふん!」

       ATK2450

 

 赤い目を輝かせ七色の輝きを放つ水晶の騎士、その剣には稲妻の力がバチバチと弾けている

 

『なんという事でしょうかー!?

 真澄選手のフィールドが融合モンスターで埋まったー!!

 ストロング石島を長きにわたり、プロデュースしてきた私でさえ、これほど見事に融合召喚を使いこなしたデュエリストは見たことがありません!!』

 

 流石ね真澄、塾で戦った時の何倍も強くなっている

 

「これで終わりじゃないわ

 プリズムオーラの効果発動、1ターンに1度、手札のジェムナイトカードを墓地に送ることで、フィールド上の表側表示カード1枚を選択して破壊する

 焼け落ちなさい!ジェムナイト・ラズリーを墓地に送り、マイスタリン・シューベルトを破壊するわ!」

 

プリズムオーラ「はああぁぁぁぁぁ!!デェアッ!!」

 

「させないわ!!速攻魔法、融合解除!!」

 

 プリズムオーラの剣から放たれた雷がマイスタリン・シューベルトに襲い掛かるが、光に包まれたシューベルトはアリアとソプラノに分離し、プリズムオーラの雷を躱した

 

 アリア  DEF1200

 

 ソプラノ DEF1400

 

「フィールド上の融合モンスター1体をエクストラデッキに戻して、その融合モンスターの融合召喚に使用した素材一組を自分の墓地から特殊召喚したわ

 そして、アリアが特殊召喚されたことにより、私のフィールドの幻奏モンスターは戦闘では破壊されず、効果の対象にならない」

 

「ふふ、うまくかわしたわね

 プリズムオーラの効果が使えなくなっちゃったわ

 墓地に送られたジェムナイト・ラズリーの効果で墓地のアイオーラを手札に加えるわ

 さらにジェムナイト・ラピスを除外して墓地のジェムナイト・フュージョンを手札に戻す」

 

 て、手札が減らない・・・

 

「ジェムナイトマスター・ダイヤの効果発動

 墓地のジェムナイト・ルビーズを除外して効果と名前を得るわ

 

 速攻魔法、大欲な壺を発動

 除外されている自分及び相手のモンスターの中から3体を選びデッキに戻し、持ち主のデッキに加えシャフルし、その後、私は1枚ドローするわ

 私は私のジェムナイト・ラピスラズリ2体とジェムナイト・ルビーズをデッキに戻し、1枚ドローよ」

 

 ラピスラズリがエクストラデッキに・・・

 ハネワタはもうデッキにないし、次のターン召喚されたら・・・

 

「ジェムナイト・フュージョン発動

 手札の炎族、ヴォルカニック・バレットとフィールドのジェムナイトレディ・ラピスラズリを融合

 堪えぬ炎よ、碧き幸運の下で新たな絆と縁結べ融合召喚

 レベル7、ジェムナイト・マディラ」

 

マディラ「はっ!」

    ATK2200

 

 ラピスラズリの代わりに現れたのは赤茶けた鎧に身に着け赤熱した腕と剣を持つジェムナイト

 攻撃力を下げた?いえ、中継することで次のターンのクリスタル・ローズのコストを確保するつもりね

 

「2体目のブリリアント・ダイヤの効果発動

 ジェムナイト・マディラを墓地に送り、ジェムナイト・ルビーズを召喚条件を無視して特殊召喚する。」

 

ルビーズ「ふん!」

    ATK2500

 

 あった!アクションカード!!って!?ノーアクション!?

 アクションカードを無効にするって、真澄はコストとしてしか使う気ないのに意味ないじゃない!?

 

「あら?アクションカードを手に入れたのね

 だったらルビーズの効果発動するわ

 ルビーズは1ターンに1度、ジェムモンスター1体をリリースして、このターンの終了時までこのカードの攻撃力をリリースしたモンスターの攻撃力分アップする

 私はプリズムオーラをリリースしてルビーズの攻撃力をアップ

 そしてこれで墓地のジェムモンスターは5体となり、攻撃力が再び3400へ」

 

 ルビーズ     ATK2500→4950

 

 マスター・ダイヤ ATK3300→3400

 

 攻撃力4950と3400、しかもどちらも貫通効果持ち

 アリアの守備力を2000以上、上回っている

 奇跡じゃ防げない数値に合わせていたわね・・・持ってないけど

 

「ついでにさっき手に入れたアクションカードを墓地に送って、ブリリアント・ダイヤのステータスを元の数値に戻すわ」

 

 ブリリアント・ダイヤ ATK0→3400

            DEF0→2000

 

「うっ!?容赦なしってわけ