ダンジョンで神様狩ってはダメですか? (乾パン)
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トオル・サガミ

 

年齢: 25ほど

 

身長: 180程度

 

見た目: 黒髪の多少整ってるくらいの普通。

 

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何かよくわからない理由で殺された青年。

転生後は神魔と何かの(いろいろある)混血。神魔としての特性として神の神性(神威等)を受け付けず、相手の力を封印、もしくは奪う(DMCで言う倒した敵を魔具にしたりとかのあれ)ことができる。

最初の頃はゆっくりと(でも基本から考えれば早い)LVを上げ、アイズとであった頃にLV6になる。

リヴェリアと共にアイズの面倒を見ていたが、どちらかと言うと放任主義と言うべきか、復讐心等は本人でしか乗り越えられないという考えがあったためよくリヴェリアと喧嘩をしていた。

アイズについては見守る姿勢を取っており、怒るべき時、ほめるべき時等は考えて行っている。

実はLV7になった原因であるオッタルとの件、またウラノス達と多少つながりもあって実質と遠出と言う名の追放と言う名の調査と言う名の旅に出る。

幼馴染のスイカとは前世からの関係で、死んだ日に告白して玉砕する予定だった。

 

性格としては少し天然なとこがあり、どうにかなるさその場の精神。

明確な考え等はあるが人に押し付けるものではないと思っている。本人としての難点は神魔の血か殺害等にそこまで嫌悪感がなくなっていること。

神に対しても畏怖、尊敬等の感情は一切感じず、ロキに関しても気に入っているというだけで結構雑に扱っている。ただし一応特別扱いはしている。

また初めて、もしくは久しぶりの場所だと高確率で迷子になる。初ダンジョン時迷子になって18階層まで向かっていた。(おかしいと気づき、現場待機で迎えを待っていた。

大概の事はそつなくこなす事が出来、実は料理学校に進もうかと考えてただけに料理は上手。とある理由から空手等を独学でマスターしていた(後記

神の特典と言う力に対しては、力を得ただけである。その為地下の悪魔召喚機(ある種ブラッディパレス)を使い死に物狂いで使い方を覚え、自身だけの戦闘スタイルを考えている(ただし大概は分けて使っている。

今の所一番の絶望的闘いは召喚機でダンテとバージルのタッグが出た時。

 

 

本来なら幼馴染の少年の卒業式朝の突然死により医者を目指し、難病を治療する薬品やナノマシンを制作するという運命を持っていた

 

 

 

 

 

 

【能力?】

 

ダンテ、バージル、ネロの力?

 

Vの能力(ただし多少条件が多くめんどくさいことになっている)

 

状態で言うとスーパーダンテ、スーパーネロ状態

 

魔具など道具を作る事

 

【装備】

 

魔剣ダンテ

閻魔刀

Vの杖

レッドクイーン

バルログ

キャバリエーレ

キングケルベロス

 

【射撃】

ブルーローズ

エボニー&アイボリー

 

【スタイル】

 

トリックスター

ソードマスター

ガンスリンガー

ロイヤルガード

クイックシルバー

ドッペルゲンガー

ダークスレイヤー

 

 

 

 

 

スイカ・ゲーイロス

 

年齢: 25ほど

 

身長: 168cm

 

設定

 

トオルとは前世からの幼馴染。家は目の前、学校同じの同じクラスなどなど腐れ縁?

前世でもそうだったが狼人の絶世の美女であり、その魅了はトオル曰く「フレイヤとぼちぼちじゃね?」と言われまともに外を出歩けない。

前世でも伊達メガネつけていたがモテ、よく問題を起こす相手がいたためトオルが強くなっていた。現在は仮面をつけたりなどしている(ネタに走ることがある

性格は天然であり、ノリもいい。ただしかなり率直にモノ言うことがあり、子供っぽい所がある。

なぜか転生し、一緒にいるなどなぞが多い女性。

 

 

 

本来幼馴染は男であり、存在しない女性。色々と謎が多くトオルを転生させた神とも面識あり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もし何か気付く人いるかもだけど気にしない


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プロローグと言う名の13年ほど前

いきなりだが、俺 トオル・サガミは転生者だ。

見た目普通、特に特出した才能があるわけでもない前世。 うん、泣けるぐらい普通だったと思う。

じゃあ転生理由は事故かと言われると……

 

 

駄神になんか気に入られて心臓麻痺で殺された。 本当なんてことだ……死んだ日?は高校の卒業式で幼馴染の告白して砕ける予定だったのに!!(振られる前提

しかもちょっと失敗したから転生しろ? え? 能力やる? いやいや、まずはなんで殺さなあかんのかそこの説明を……

と言いあっていると落とし穴で転生することになった。 

ただ落ちてる時に……

 

「がんばるんだよ~ 後悪魔は泣かないわけじゃないよ~」

 

と意味不明な言葉を伝えられ…… 俺はその意味を転生後、5歳の時に知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、自宅でリベリオンと閻魔刀に体……と言うより心臓?を貫かれることによって。

 

あっ能力ってDMCなのね。

 

 

___________________________________________________

 

転生した時の俺は両親がいなかった。 いや、いたのだがある魔物達から住んでる村を守るため行方不明らしい。

当時俺はまだ転生前の記憶はなく、たまたま自宅の屋敷に地下があることに気が付き探索をしていた。

そこは広大な闘技場ともいえる空間があり、二つの像が剣と刀を構えていた。

 

「これって……痛っ!!??」

 

知ってる。いや、知らないはず? こんなの知ってるはずがない。でも見たことがある。

突如怒涛のように再生される映像に苦しんでいると、二つの像は崩れ、そしてその二つの武器が俺の心臓を貫いていた。

そこで俺は前世の記憶を取り戻し、同時にこの状況やばくね? とリベリオンと閻魔刀を必死に引っこ抜く。

それは幼馴染とよくやってたDMCシリーズ。そのメインとなる曰く付き武器だからだ。

「人と魔を融合する」「人と魔を分かつ」の同時使用ってなんだよ!? と思い必死に抜いてると違和感に気が付く。

それは腕だった。微かに光を灯す異形の腕に見覚えがある。

 

 

「《あれ?これってネロの魔人化じゃね?》」

 

 

エコーのかかった声と意志に反応するように幻影のように透き通った翼腕のような物が……

あっこれあの神様色々とぶっこんだな。

 

 

 

 

 

 

 

なお、ダンテとバージルの魔人化もできたのでテンション上がりすぎて倒れたのはご愛敬だよね?

 

 

____________________________________________________

 

 

テンション高めに12歳になった頃、俺はオラリオの前にいる。

時間が飛び過ぎてる? いやいや、修行風景とか見てもつまらんでしょ?

せいぜい言うとしたら、闘技場はその名の通り闘技場でした。悪魔が出てくるんですよ。

それらと戦いながら武器の使い方、デビルトリガーの使い方とか学びながら……

俺は自分の……自分の一族の歴史とかを調べた。 まぁ情報は結構少なかったけど、ヒューマンではないようだ。

 

何をトチ狂ったか神威とかを一切封じず、裏技のような方法で現界した神がいたらしい。

この神、相当狂ってたみたいで悪魔を作り出し、ほか種族を攻めだした。その時代の冒険者、英雄達はもちろんこれに対抗。

神もまた使える限界の神威などを使ってたらしいが……これに狂った神は神威などの影響を受けず、進化する対神性兵器を作り出した。

それは神の力を受け付けず、1体に関わらず甚大な被害を与えた。

しかしそこで問題が起こる。その対神性兵器が反旗を翻したのだ。そしてその狂った神は封印された…………………

 

 

 

 

はい、スパーダと魔帝ムンドゥスですねありがとうございます。

取りあえずそのスパーダの立ち位置の人物……【神魔】と【ヒューマン】の混血らしい。

と言っても本来薄れてしまってるはずの神魔の血……うんリベリオンと閻魔刀が原因だな。

 

あとこちらでの幼馴染が何と前世での幼馴染だった。

まぁ曰くちゃんと全うして転生らしい。 ……怖くて聞けない。 結婚したの? って聞けません!! と言うか髪色種族とか違うけど相変わらずの美少女である……

 

そんな俺がなぜオラリオにいるかって?

 

……脅されたんだよ……

それは一週間ほど前、夢で神に出会った。

 

 

「やぁ久しぶり」

 

「……」

 

「あれ? 返事は大事ですよ?」

 

「なにさ」

 

「オラリオに行ってください」

 

 

この神は何言ってるんだ?

 

 

「いやだよ」

 

「行ってください」

 

「いや」

 

「行ってください」

 

「却下」

 

「行かないとEDにする」

 

 

 

 

 

ED=勃〇不全

 

 

 

「どういう脅しじゃ!!??」

 

 

前世合わせてまだ未使用なのに使用不可とかいじめか!?

くそう……聞きたくねー でも聞かないと未来が終わる……

 

 

「どうするかね?」

 

「……行けばいいんだろ……」

 

「そうこなくちゃ。 後大丈夫!!君の血筋関係上、余程がない限り()()()()()()子孫のこせっから」

 

「……相手いなきゃ意味ねぇよ」

 

 

オラリオか……2年位前に二大派閥壊滅だとかあんま良い噂聞かないんだけどな……

なお、幼馴染の説得に苦労しました。俺にとって重要な事案がかかっていると何とか説得。

 

 

____________________________________________

 

派閥壊滅から二年経つもあまり治安は宜しくないようで、トオルは3度ほど襲撃を受けていた。

ギルドで対応してくれたエルフの受付嬢から注意はあったものの、ため息をつくしかない。

因みに襲われた理由だが、フードのついたマントの背に背負う大剣……リベリオンが原因だ。閻魔刀はDMC4のネロのように右腕に収納できたものの、これは仕方ない。

12歳ほどの子供がデザインは曰く付きそうでも、たいそうな剣

を持っている→こいつには釣り合わん、奪って使うなり売るなりしよう。 と言う流れだ。

 

 

「はぁ、これじゃ神探しも苦労しそうだ」

 

 

埃をはたきながらトオルは歩いているとふと一人の女性と目が合う。

 

 

「……」

 

「ん? どいしたんや、坊主?」

 

 

赤髪の美女ともいえる女性。ただし、その装甲はむなしくなるほどなかった。

しかしトオルが気にしたのはそこではなかった。ここオラリオに来て最初の出会い……

神との出会いだったから見ていた。

 

 

「えっと間違いじゃなければ神様ですよね?」

 

「そやけど…… お前なにもんや」

 

 

(あれ?なんか警戒されてね? でも初めて会うし……面白そうな神だしいいか……)

トオルはフードを取り、再度神と目を合わせる。神は何やら驚いたような表情をしているものの無視し、

 

 

「神様、よければ貴女のファミリア(家族)に入れてくれませんか?」

 

 

 

 

こうしてトオルは主神となる神、ロキと出会う。そしてロキを、ファミリアを、オラリオを、原作をかき乱す物語が始まった。

 

 

 




次回13年後ほどの原作くらい


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ロキファミリア遠征中。俺戦闘中。

ト「もろもろの理由により13年経ちました。
おまけに前半全く出てこないし、後半も悲しくなるほど少ししか登場しない主人公?トオルです」

とある事情(ネタ)から修正


地下迷宮(ダンジョン)50階層。

その野営地で彼等、ロキ・ファミリアはこれからの予定の再確認をしていた。

 

 

「それじゃあ、今後の話をしよう」

 

「今回の遠征の目的は”未到達階層の開拓”をすること。

けど今回はその前に【ディアンケヒト・ファミリア】のクエスト、「カドモスの泉水」をこなさなければならない」

 

 

小人族(パルゥム)の青年……いやもうアラフォーなので男性のロキ・ファミリア団長のフィン・ディムナは火を囲うように集まる団員達を目線で確認し、話を続けた。

 

 

「必要な泉水の採取の量を考えるとパーティ2組の少数精鋭で2カ所の泉へ向かう」

 

「はーい! 私が行く!」

 

「少数精鋭よ。私達第一級冒険者が行かないでどうするのよ、バカティオナ…」

 

 

ぶんぶんと手を振り自己主張するアマゾネスの少女、ティオナ・ヒリュテにその姉であるティオネ・ヒリュテは呆れたように突っ込みを入れる。 なおこの姉妹は双子なのでそっくりなのだが、髪以外に決定的な違いの胸部装甲一つは今は割愛しよう。

 

 

「じゃあ、ティオネも一緒ね! アイズもね! あとレフィーヤも!」

 

「うん」

 

 

ティオナはそんな姉を聞き流しながら隣に座る少女、アイズ・ヴァレンシュタインとエルフの少女レフィーヤ・ウィリディスに声をかけ、アイズもそれに返事をした。

 

 

「えっ私ですか!?」

 

「…そうだな。レフィーヤはいずれ私の後釜になるんだ。経験を積んでこい」

 

 

驚くレフィーヤにエルフの王族であるハイエルフ、リヴェリア・リヨス・アールヴは少し考え、答える。 その打ち合わせの状況は食後もあり、見ようによっては和気藹々としていた。

 

 

 

 

 

 

おうおう、相変わらずスパルタだね~王女は

 

 

そこにファミリア団員の声が響く。皆がそちらを見ると火にかけた鍋の支えに止まる鳥……いや、鳥なのか? その体は大きく顔も異質だった。

その鳥は疲れたのかふぅと息をつき、

 

 

「いやいやまさか遠征中とはな驚いたぜ? おかげでここまで……

とば!?

 

 

いきなりぺらぺらと喋り出した鳥に蹴りが放たれ、鳥はそれを驚きながらも回避した。

その蹴りを放った人物はすぐさま立て直した銀髪を持つ狼人(ウェアウルフ)ベート・ローガだった。

ベートは舌打ちすると再度狙いをつけ蹴りを放つ。よく見ると一部を除いて武器を取り始めていた。

鳥はひらりひらりと蹴りを避けながら、

 

 

「おいおい、そこで見てるお嬢ちゃん!! いい加減助けてくんねぇ!? じゃねぇと()()消えんぞ!? そこ三人も!!」

 

 

フィンは苦笑浮かべながら手を上げ、武器を持ち始めた団員たちを止め、

 

 

「ストップだ、ベート」

 

「なんだよ」

 

「そのモンスターは問題ない。と言うより味方だよ」

 

「は?」

 

 

ベートが蹴るのを止めた事により鳥は空に制止すると、そこにアイズが近付いて行く。

 

 

「あ、アイズさんあぶな……」

 

「……グリフォン、手紙」

 

 

アイズは鳥、グリフォンに手を差し出し手紙を催促した。

グリフォンはため息をつき、手紙を取り出しながら愚痴った。

 

 

「お嬢ちゃん、催促より先に言うことねぇか? 俺さっきまで殺されかけたんだぜ?」

 

「……グリフォンなら死なない」

 

「それおかしいからな!? 俺だって死んじゃうからな!?

はぁ、本当にその性格誰に似たのやらね」

 

 

そう言ってグリフォンは4つの封を渡し、姿が崩れ始める。

 

 

「じゃぁ、俺は用事終わったし帰るわ。体調崩すなよ? あいつも悲しむからな」

 

 

グリフォンは完全に崩れ、魔石が現れる。しかし魔石もまた砕け散った。

アイズは手紙を確認すると自分の分は懐に、残りはフィン、リヴェリア。そしてもう一人、ドワーフのガレス・ランドロック達に渡した。

 

 

「ありがとう、アイズ」

 

「ふむ、アイツも相変わらずマメだな」

 

「ん? リヴェリア。昔送らなかった時、お前さん催促してなかったか?」

 

フィンはサラッと内容を読むと手紙をしまい、リヴェリアはガレスの突っ込みを珍しく頬を染め聞き流す。

アイズはアイズで早く確認したいのかソワソワしていた。それを見てティオナはよくアイズが一人で手紙を読んでいることがあり、その内容等は一切教えてもらえなかったことを思い出す。

 

 

「フィン~その手紙って誰からなの? よくアイズが読んでるの見るけど……アイズ教えてくれないし~」

 

「うん? そう言えばティオナ達は会った事がなかったかな……」

 

「仕方ないだろう。 時折帰ってくるとは言え、7年近く経つからな」

 

「そうか……確か前帰ってきたのは2年位前だったかのう」

 

「……私もあってないけどロキが1年前に来てたって言ってた」

 

 

ガレスの言葉にアイズが訂正を入れながら、首脳陣達は思い出すように含み笑いをする。 よく見ると団員の中にも知っている者がいるようでその一人、ラウルに関しては身震いをしていた。

 

 

「……言うなら用事でオラリオ外に出てる団員が居てね。あのモンスターも彼の連れさ」

 

「でもあのモンスター、消えてしまったんですけど……」

 

「問題ない。一種の魔法みたいなものでな。今頃奴のとこに帰ってることだろう」

 

「まぁ気になるだろうけど大丈夫だよ。手紙によると近々帰ってくるらしいからね。その時紹介するよ」

 

「!!」

 

 

フィンの帰って来ると言う発言にアイズは反応しフィンを見る。

フィンは微笑んで頷き、アイズは恥ずかしさからか目を逸らした。

ティオナ、ティオネは面白そうに、レフィーヤは驚きの表情で、ベートは舌打ちをし詰まらなさそうにアイズを見ている。

 

 

「さて話は程々に作戦の打ち合わせを続けようか」

 

 

____________________________________________

 

 

少し前、ある崩壊した町で一組の男女とモンスター……いや悪魔達が争っていた。

特にその中心にいる悪魔は飛びぬけた力を誇り、その村に来ていた冒険者達を壊滅させたほどらしい。

だがその悪魔は今一人の男に押されていた。

悪魔より繰り出される剣は大地を削り、相応の岩程度なら簡単に砕いて行く。しかしそれを男、()()()は剣を振り弾いて行く。

それだけではない。最後にはトオルは剣についたグリップを捻ると駆動音が響き、振るわれた剣は悪魔【キャバリエーレアンジェロ】の剣だけでなくその巨体を弾き飛ばした。

 

 

何故だ、貴様は我らと同族のはず。なぜ奴らに加担する!!

 

 

キャバリエーレアンジェロの言葉にトオルは頭をかき、剣【レッドクイーン】を肩に担ぐ。

 

 

「そんなこと言われても俺、ヒューマンとか混じってるしな」

 

……そういう事か。裏切り者の子孫か!!

 

「まぁ確かに裏切り者か」

 

 

再度切りかかってきたキャバリエーレアンジェロの剣を鍔迫り合いをしているトオルを後ろから虫のような悪魔【エンプーサ】が切りかかる。

 

 

「させない」

 

 

それを他の悪魔を相手していた白銀髪の狼人(ウェアウルフ)の女性が割り込み、その足に纏った【ベオウルフ】による回し蹴りで粉砕した。

 

 

「わりい、助かった」

 

「うん……じゃあ他を片付けるわ」

 

 

狼人としての特性か、まるで白銀の矢のごとく周りで蠢いていた悪魔達に突撃し光を纏った拳と具脚により蹴散らしていく。

トオルもさすがに決めないと力を籠め、内なるトリガーを引いた。

トオルの魔力が極限まで高まり、解放される。それと合わせるようにトオルの姿が変化し、青いオーラに包まれキャバリエーレアンジェロにアッパーを叩き込んだ。

その拳は剣を砕き、体を浮かせる。そしてそれを追うように青い翼の鈎爪を用いて接近し、蹴りと殴りの連打を叩き込む。

 

 

これで……終わりだ!!

 

 

最後に溜めるようにした蹴りを叩き込み、それに追撃するかのように青い拳が叩き込まれた。その拳は胴体を貫き、膝をつくキャバリエーレアンジェロの体は崩壊し始めた。

魔人化を解いたトオルがそれに右手を翳すと淡い光がともり始める。

 

 

なるほど力を奪うか? ……それも勝者の特権か。 せいぜい振り回されぬようにな

 

 

それだけを残し崩壊したキャバリエーレアンジェロは次の瞬間雷を纏うバイクキャバリエーレに姿を変えた。

トオルは迷うことなくキャバリエーレに跨ると後方からジェットのように火を噴出し、悪魔の群れに突撃した。

時には先端についた4つの鉾で、時には後部を振り上げ刃のようなタイヤで。次々と悪魔を薙ぎ払い、トオルはキャバリエーレごと跳躍する。

 

 

「ははは!! 次はこれだ!!」

 

 

トオルの意志に反応するようにキャバリエーレは前部と後部に分離し、トオルはそれを振り回す。刃のようなタイヤは丸鋸の如く悪魔を削り取る。時として前部で悪魔を押さえつけ、それを軸に後部のブースターをふかし回転して薙ぎ払いとしていく内に悪魔を殲滅し終わった。

 

 

「ふうこれで終わりだな。スイカ!! 怪我はないか?」

 

「特にはないわ」

 

 

狼人……トオルの幼馴染であるスイカは仮面を取り素顔を見せる。トオル自身見慣れているはずの顔だが、それでも見惚れるほどの美貌。正直言えば美男美女の多い神

からも嫉妬されるほどである。

 

 

「ベオウルフも本当になじんできたし、これのお陰でケガなくだしね」

 

「それはよかった。しかし今でも俺じゃなくても魔具は使えるってのは驚きだな」

 

トオルは頭をかきこれからを考える。思い出されるのはあるヒューマンなどに好意的な悪魔からの話だった。

 

 

「……裏で暗躍してるやつらか……しかもオラリオなんてな」

 

 

そろそろ戻るかな……足もできたし。

 

そう考えながらトオル達は避難させた村の住人達のもとへ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トオル、無免許運転はダメよ?」

 

「いや、この世界に免許制度ないからな?」

 

 

幼馴染の天然ボケのような発言にトオルは突っ込むしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




バイク、車等の運転はちゃんと免許を取ってからにしましょう。
無免許運転絶対ダメ。


修正
ギルガメス→ベオウルフ

ギルガメス降格
ベオウルフの理由は犬だから


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自称一般人の帰還

突っ込みどころ満載なのは気にしない。


トオルはキャバリエーレに乗り、オラリオに向かっていた。いや、ほぼもう到着と言うところまで来ていた。

 

 

「トオル、もう降りた方がいいんじゃ?」

 

「あぁ、後は歩こうか」

 

 

後ろに乗っていたスイカによる天国と地獄が降りたのを確認し、トオルもキャバリエーレを降りるとオラリオへと入っていく。

それは初めて来た頃とは考えられないほどにぎやかで、活気付いた光景。1年前よりもより活気づいたものだとトオルは周りを見た。

そしてあることに気が付く。周りの人……男女関係なくこちらを見て呆然としていることに。いや、隣で周りを不思議そうに見まわしているスイカに見惚れていることに。

余計な視線も感じるのを無視しトオルは黄昏の館へ。スイカも面倒になったのかフードをかぶりついていく。

 

 

「……視線が鬱陶しい。遠い?」

 

「あぁ、北の奥側だからね。通りは服飾屋多いけど見るか?」

 

「いい。落ち着いてからにする。でも楽しみかな…… トオルの主神のロキって面白い神なんでしょ?」

 

「あ~面白いと言えば面白いが…… 女神だけどセクハラおじさん?」

 

「送還させたらごめん」

 

「それは勘弁だな。ぶん殴るくらいに抑えてくれ」

 

 

二人が話していると館の門前に到着していた。そこには門番をしている冒険者がおり、2人を不審そうに見ている。

グリフォンからフィン達は遠征に行っていることを聞いていたトオルは門番に近づき、

 

 

「悪い、神ロキを呼んでくれないか? 遠出から帰ってきたんだが……これ証明」

 

 

トオルは懐からロキ・ファミリアのエンブレムの描かれた紋章を出す。

元々互いにわかる様にとロキから1年前に貰った新しい分だ。しかし……なぜか門番は不審そうにこちらを見るばかり。

 

 

「……?」

 

「見たことないな、それにそのような連絡は来ていない。それをどこで手に入れた」

 

「いや、手に入れたって俺のなんだが」

 

 

特にこの紋章はわかりやすいように裏に()()()()()()()神聖文字のトオルの名がある。

だが門番はいまいち信じていないようだ。

 

 

「たまにいるんだ。そうやって入団しようとして神ロキに会おうとするやつが」

 

「うん? ちょっと待て。入団者はまずロキか団長達に合わせるはずじゃなかったか? 若しくは後日に再度来てもらう……」

 

 

入団希望者はだれでも受け入れる……とは言わないが面談テストは必ず受ける。これはロキ・ファミリアの決まりだったはずであった。

ロキの選り好みはあったものの、フィン達としては覚悟ある者はだれでも歓迎なのだ。

 

 

「……まさかお前……フィン達に報告なしで門前払いとかしてねぇよな?」

 

「な、団長を呼び捨てなど……それに部外者の貴様に……」

 

 

 

 

 

 

「ん? 何しよるんや?」

 

 

一瞬張り詰めた空気になりかける中、まの抜けたような神、ロキの声が響く。

門番はロキに頭を下げ、

 

 

「いえ、この者が神ロキに……」

 

「えぇ、またかいな…… って毎度言っとるやろ、客室まで案内せぇって。前もママに……」

 

 

どうもこの門番前にも注意受けていたようだ。ロキは注意しながらトオルを見て硬直する。

そして……

 

 

「……えっ、もしかしてトオルか?」

 

「それ以外誰がいるんだ? 帰って来るって手紙出してただろ」

 

「トオル―!! 1年でまた大きくなったなー!!」

 

「いや、もう25だから伸びねぇよ」

 

「そうか? まぁええわ。とりあえず部屋で聞こう」

 

 

ロキはトオルに飛びつき、グルンと回転すると綺麗に肩車の格好で着地する。

スイカはロキをじっと見ており、門番は何やら蒼白とした顔でトオル達を見ていた。

 

 

「……決まりは守った方がいい。破り続ければいつ切られるかわからないもの……

怒られてるうちが華よ」

 

 

肩を降りたロキに引っ張られるトオルを追いかけるついでにスイカはポツリと門番に呟いて行った。

 

 


 

 

「ほうほう……そんなことがな…… 相変わらずトオルは運ないみたいやな!!!!」

 

「笑うなよ……これでも急いだんだぞ? てかどっちかと言うと打ち切ってきたってのが本音かな」

 

 

ロキの部屋にてトオルは今までのことを報告するとロキは腹を抱えて笑っていた。女神にあるまじき格好だが何時ものことだったのでトオルは軽く注意するだけで終わらせる。

 

 

「しかし裏か……前よか減ったがちょいちょいやらかす奴らもおるからな……」

 

「あぁ、おそらく悪魔だけじゃない……人も、もしくは神もかかわってくる可能性がある」

 

闇派閥(イヴィルス)か…… まぁええ、そん時はそん時や。それより……その後ろの子紹介してぇな」

 

 

何やらニタニタしながら手をワキワキさせるロキにため息をつくトオル。これさえなければ本当にいい女神なのに。

 

 

「幼馴染のスイカだ。出会い先の神に恩恵はもらっててな……確かLV5だ」

 

「はぁ!? そりゃまたすごいな…… 外にそんな強いモンスターいたんか?」

 

「悪魔狩りだ」

 

 

外のモンスター達はダンジョンのモンスターよりはるかに弱い。しかし悪魔はそれに当てはまらない。

下級悪魔ですらLV2ランクでも厳しく、上級では一級冒険者ですら追い詰める。大悪魔ランクになれば都市……いや国や大陸すら壊滅させるレベルなのだ。

 

 

「あぁ、そりゃまたすごいな……てかトオルがおかしいんか?」

 

「どういう意味だこらっ」

 

「まぁええわ。更新すんやろ?」

 

「あぁ」

 

 

トオルは近くの椅子に座るとコートを脱ぎ、上着も脱いでロキに背を見せる。スイカはただじっとトオルとロキを見ており、ロキは指先に針を刺しながら少し困ったようにトオルに声をかけた。

 

 

「トオル、うちが言うのもなんやけどえぇんか?」

 

「ステータスの事なら別にいい。スイカには教えてる」

 

「いや、そうやのうて…… 平然と見られとる件に関してやけど」

 

「……気にしないことにした。あいつ自身いまいちわかってないというか……」

 

「……もしかしてアイズたんと同じタイプ?」

 

「まぁ似てるな」

 

 

アイズとスイカ。いろんな意味で似たもの同士の天然娘だった。しいて違いと言えば、アイズは無口で無表情?であり、少し精神的に幼い。

スイカは別段無口でもなければ無表情でもなく、クールと言えば聞こえはいいが天然である。故にトオルからすれば二人とも無視できない存在ではあった。

 

 

「おし、出来たで~」

 

 

ステータスを更新し終わったロキはそれを紙に写す。

 

 

 


 

 

トオル・サガミ

 

LV.7

 

 

 

力:#jr■   

 

耐久:&e$)

 

器用:#=i7

 

敏捷:$"w/

 

魔力:%.<\

 

 

 


 

 

 

「相変わらずバグっとるな~」

 

「仕方ないかもな、俺はそういう種族だし

 

 

正直言えばステータスを刻めること自体が奇跡なのかもしれない。神魔の血は神の力を打ち消す。だが運のいいことかトオルの体を流れるそれ以外の血のお陰でこうして仮初にも恩恵を受けられているのかもしれない。

それとも神魔の血の進化が恩恵に適応しようとしているのかは誰にもわからない。

 

 

「じゃあえっとスイカたん? 改宗でえぇんか?」

 

「うん」

 

「ロキ変なことするなよ。お前に送還されたら困るんだからな」

 

 

そう言うとスイカは何のためらいもなく上を脱ぎ始めた。トオルに関しては服に手をかけた時点で察したのかロキに忠告して部屋を出て行った。

ロキは白銀の髪を除け現れた色白の背、そして腕の間から見える豊満な胸に鼻息を荒くする。しかしスイカが空いた手の指をゴキリッと鳴らした瞬間寒気に襲われ改宗を始めた。

 

 

「しかしトオルもあれやな……こんな美人の幼馴染がいるなんて。冒険中も気が気じゃなかったんやないか……?」

 

「別に。一緒に(同じテントで)寝てたけど何もなかった。水浴びとかも普通に見張りとかしてくれてたし」

 

「……もしかして枯れとんのか? それともなんかの病気じゃ……」

 

 

ロキはこんな美女と一緒にいながら行動をしなかったというトオルに別意味での心配をするのだった。

 

 

「ま、まぁええわ。これで終わり~っと。ステータスは……と……」

 

「……全部写してくれて構わない。()()()()()()

 

「……わかった……」

 

 

ロキはステータスを写すとそれをスイカに渡した。

 

 


 

 

スイカ・ゲーイロス

 

 

LV.5

 

 

 

力:A870   

 

耐久:C601

 

器用:B708

 

敏捷:S986

 

魔力:H198

 

 

拳打:C

 

耐異常:E

 

破砕:F

 

魔防:D

 

 

異常と言えば異常のステータス。悪魔と戦っていたゆえの上昇値なのかはわからないが……だがそれ以上の異常があった。

 

 

「……スイカ……これってもしかして……」

 

「……」

 

 

 

【魔法】

 

 

地を揺らすもの(フェンリル)

 

受動系魔法。契約者により発動。

全アビリティ能力に超高補正がかかり、状態異変化をすべて無効化する。

相手の耐性、耐久をすべて貫通。

__________(解読ができません)

 

解除後、発動した時間に相応した期間能力にペナルティ。

 

詠唱

【食い破れ地を揺らすもの(フェンリル)

 

 


 

 

「なんやねん、この魔法」

 

「わかってる限り呪詛(カース)も打ち消せるみたい」

 

「……うん、トオルも大概やけど……うん」

 

「極め付けこれか……」

 

 


 

 

【スキル】

 

たとえ死が二人を分断しようとも

 

・「彼」が近くにいると早熟する

 

・「彼」が近くにいると全アビリティ能力に高補正

 

・「彼」が離れるとその距離だけ敏捷に超高補正

 

・「彼」の位置を感知

 

・「彼」が存在する限り成長し続ける

 

 

月下咆哮

 

 


 

 

「「……」」

 

 

沈黙がその部屋に落とされる。スイカは知っていたので目を逸らし、ロキはあまりの効果のオカシサに言葉を失っていた。

そして何とか動揺から立て直したロキは、

 

 

「なぁ、この「彼」って……トオルか?」

 

「……それ以外誰がいるの?」

 

「と言うことは……あいつと同じなんか?」

 

 

ロキはトオルが入ってある程度した時、前世などの話を軽く受けていた。スイカとしてはそこまで話しているとは思っていなかったらしく、少し驚きながらも納得していた。

 

 

「えぇ」

 

「なるほどな……そうかそうか……」

 

 

ニヤニヤするロキにスイカは服を着るとドアへと足を進めた。

 

 

「後で部屋教えるさかい、トオル探しといてな~」

 

 

ロキの言葉にスイカは何も答えず出ていく。まぁトオルを探しはするだろう。

ロキは楽しそうに椅子の上で胡坐をかきニタリと口元をゆがめた。

 

 

「本当、下界はあきへんな~トオルに近いランクの子も来たし……うん、本当に降りて来てよかったわ。

さてこれからどうなるんか楽しみやな~まぁあの子達に下手に手出すようやったら誰だろうと潰すけどな……」

 

 

ロキはこれからのことを思い浮かべ椅子から立ち上がる。

愛おしい愛おしい子供たちが描いていく眷族の物語(ファミリア・ミィス)を。

神魔の血を受け継ぐトオルの自らの考えを超えていくであろう物語を……

 

 

 

 

 

 

 

それは乱雑としたロキの部屋に張られた紙。ロキによって修正された7年ほど前の紙。

 

 

『ロキ・ファミリア【トオル・サガミ】

迷宮の孤王バロール強化種単騎討伐アイズたんに手を出したオッタルを半殺しにしたことにより LV.7に到達』

 

 

ただの偶然か運命のいたずらか。

 

超越者(オーバーロード)】と名付けられた自称一般人の物語。

 

 

 

 

 

 

 




次はキャラ紹介(手抜)かな?
スイカの口調とかは修正するかも


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レッドクイーンだけ仲間外れ? いえ現地製作です。

骨折ってきついよね?


ロキと共に部屋等の確認の後。

 

 

「で、昼からどないすんや?」

 

「う~ん、ギルド行くかな。あと武器も整備しないとだしな」

 

「うん? そういやリベリオンどうしたんや?」

 

「折れた」

 

「はぁ!!??」

 

 

ロキの記憶の限りあの剣が刃こぼれすらしていたという記憶がない。深層に行って帰ってきたのにもかかわらずだ。

それが折れたというのだから驚きだろう。

 

 

「問題はない。ちゃんと治ったというべきか……まぁ持ってはいるから」

 

「……?まぁそれならええわ。夕方までには帰っていや~予定では今日帰って来るはずやからな」

 

「了解。行くか、スイカ」

 

「わかった」

 

 

ロキやは「気をつけぇや~」と手を振り、トオルはそれに振り返らず手を振った。

 

 


 

視点トオル

 

 

 

 

スイカと俺はふらりと店を見て回りながらギルドへと向かっていた。因みにスイカは朝のこともありフードで顔を隠している。

ただそれでも視線は集まり……と言うか覚えのある鬱陶しい視線を感じ俺はバベルを見る。

 

「どうした?」

 

「うん? あぁ鬱陶しい視線を感じてな。相変わらず覗き趣味は健在のようだ」

 

 

めんどいなと考えながらスイカを引き連れギルドへと入っていった。

ギルドは賑わっており、ダンジョンの報告をするもの。魔石等を売却し、何やら話しているもの。

まぁ簡単にいうと多種多様の用事を行う者達であふれかえっていた。

俺はひとまず真っすぐと隅で片づけをしているエルフのもとに向かい、声をかけた。

 

 

「ちょっと、今大丈夫か?」

 

「はい? ちょっと待ってくださ……い……ね?」

 

 

受付嬢のエルフの女性は笑顔で振り返ると何やら驚いたように途切れ途切れの言葉で振り返り、

 

 

「……えっトオル君!? あなたいつ帰ってきたの!?」

 

 

身を乗り出し声を荒げる女性に俺はまぁまぁと落ち着かせる。

彼女はアノンと言い、俺の担当アドバイザーでもある。20程度の見た目だが2人の子持ちさんで2人目に関しては抱っこもさせてもらったことがある。

エルフとしては節度ある肌の接触に関してなら気にしてないらしく、来た当初はよく頭を撫でられることがあった。

 

 

「取りあえず帰還の報告書を出しにね。あと新しい団員の登録に」

 

「わかったわ。少し待ってね」

 

 

アノンさんは奥へ向かうと書類を持って戻ってきた。俺はそれに簡単にだが状況を記入。あと残りの資料を見て絶句。スイカはエンブレムを見せた後、記入していく。

 

 

「これでいい?」

 

「……うん、大丈夫よ。けどLV5なのね。講習はいらないかな?」

 

 

スイカのLVを見て他ファミリアからの改宗と分かったのだろう。しかしダンジョン初心者なので教えてもらった方がいいことは多い。

 

 

「いや、頼んでいいすか? こいつダンジョン自体は初めてなんで」

 

「わかったわ。じゃあついてきて」

 

「わかりました。トオルはどうするの?」

 

「う~ん、時間かかるだろうし武器の点検に行ってるよ」

 

「わかった、迎えに来てね。道まだ覚えてないから」

 

「はいはい」

 

 

俺はギルドから出て行こうとすると横を「エイナさん、大好きー!!」と叫んで出ていく白髪の少年がいた。

 

 

「……何というか、根性あるな」

 

 

エイナと言えば前来た時聞いたが、かなり人気がある受付らしい。おまけにこんな人の多いとこで叫ぶとは……

俺は少年に心の中で黙祷をささげ、ギルドを出た。

 

 

 

 

因みに、スイカはずっと顔をフードで隠していたのだが、講習の時に外して少し問題が発生したらしい。

うん、アノンさんでも魅了されかけたか?

 

 

 


 

そこはヘファイストス・ファミリアの工房の一つ。

灼熱のような窯を前に一人の女性がいた。周りには多種の武器が並び、そのすべてが彼女の作品だ。

 

 

「しかし1年経つというのに、相変わらずの腕で感心する」

 

 

名を椿・コルブランド。

ヘファイストス・ファミリア団長であり、今点検しているレッドクイーンの制作者でもある。

 

 

不壊属性(デュランダル)とは言え切れ味は落ちると言うのに……この程度ならすぐに研げるぞ」

 

「そうかまぁ他のメンテナンス入れたらどんくらいだ?」

 

「う~んこのイクシードが難しいからな、一週間で終わらせよう」

 

「悪いな」

 

「なに、わしもいい経験だ。まぁおそらく二度と作れんと言うのは残念じゃが」

 

 

トオルの家の地下にはリベリオン、閻魔刀……そしてエボニー&アイボリー、ブルーローズはあった。

しかしなぜだかレッドクイーンはなかった。おまけにほかの重火器もだ。

そこでトオルは考えた。そうだ、作ればいいんだと。まさにぶっ飛んだ考えである。

その過程でヘイファトス、そして椿と出会う。

最初は難色を示された。あまりにも内容がぶっ飛んでいたし、トオルは鍛冶など知らないド素人。そんな青年が持ってきた案で果たして武器が作れるのかと。

しかしいざ確認してみれば理論上可能であり、扱えるかは別として第一級武器より威力の劣るという不壊武器の常識を壊せるかもしれないものだった。

 

……だがここで問題が発生した。それはイクシード……俗にいう推進剤の問題。これがなければこの武器は成り立たない。

しかも使い捨てではコスト、おまけにほぼ1回きりの物になってしまう。

トオルは悩んだ。そして悩んだ結果、自身を転生させた神に……

 

 

「いや、君の一族魔具作れるようしてたじゃん」

 

 

と言う呆れたような啓示を頂いた。そう言えば色々と入るポーチとかあったけどあれ魔具だったのかよ!! と叫んだトオルは間違っていたのだろうか?

取りあえずそのようなご都合主義により、トオルは魔力を取り込み、一定量貯まるとエネルギーとして放出する魔具を苦悩の末制作。

その結果、不壊武器でありながら第一級武器の威力を超えるが、とてもまともには振り回すことすらできない武器が完成した。

その異常さはイクシードをチャージした状態だとあのガレスすら振り回されるというじゃじゃ馬具合。

 

 

「惜しいなぁ。ほぼ壊れない魔剣と言ってもいいのだが……このイクシードに関してはわしでは作れんし」

 

「作らねぇぞ。あまりいいものでもないし」

 

 

とてもじゃないが一般の冒険者では怪我するのは目に見えている。何より周りを巻き込む可能性も高く、この理由からトオルはコヨーテなどほかの重火器の作成をあきらめた。

と言うよりも世界の抑止力と言うべきか、デビルブレイカーなど制作がどうやってもできないものがあった。

 

 

「わかっておる……あんなじゃじゃ馬使えるのは主くらいだ。ただいいきっかけにはなると思ったんだがな……」

 

「じゃあせいぜい研究してくれ。一応長期で出ることは今のところはなさそうだからな」

 

「おう、ただしちゃんと一週間後には来るんだぞ? 期限を守れん職人とは思われたくない」

 

「わかってるよ。椿の腕は信用してるからな」

 

 

トオルはそう言うとひらひらと手を振り帰って行った。椿はそれを見送ると上着を脱ぎ、さらし姿となる。

そして台の上に置かれている槌を選び取り、

 

 

「ふむ、ならアヤツの期待を超えてみるかな」

 

 

レッドクイーンを手に取り作業を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

「ふむみんなは今日帰りか……なら飯でも作ってやるか」

 

 

トオルは遠征帰りの団員達を思い浮かべ、市場へと向かっていった。

 

 

 



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