普通に"個性"があった場合 (市松格子)
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オリジン

Q:幽霊な出久くんはどうしたの?
A:エタった

Q:この作品は完結するの?
A:エタる

Q:お前はいつもそうだ
A:はい

Q:誰もお前を愛さない
A:許して


 ―――夢を見ている。

 

 

 

 

 幼少期、何度も見た動画があった。

 それはとあるヒーローがデビューした、大災害直後の動画だ。

 

『もう大丈夫!何故って?私が来た!!』

 

 笑顔を浮かべ、10分足らずで100人を救い出した、今では『平和の象徴』と呼ばれる、最高のヒーロー。

 

「超カッコイイなあ!!僕も"個性"が出たらこんな風になりたいなあ!!」

 

 その姿に憧れ、自分だけの"個性"を待ち望んでいたが。

 幼稚園の他の子たちが"個性"を発現するなか、僕だけはそれに目覚めなかった。

 心配した母に連れられ病院に行き、僕を診てくれたお医者さんは言った。

 

「足の小指に関節が有るか無いかで"個性"の有無が分かるんだ。"個性"がない人は関節が二つある」

「それじゃあ出久は……!」

「慌てなくていいですよ奥さん。出久くんは現代の普通の子供と同じく、関節が少ない。目覚めるのが遅いだけで"個性"はあります」

「良かった……!」

 

 お医者さんの太鼓判を貰って安心した様子の母は続けて、

 

「じゃあどんな"個性"が……?」

「それは分からないなあ。大抵は両親のどちらかと同じ、あるいは複合的"個性"が発現する。失礼ですが奥さんと旦那さんの"個性"は?」

「私はものを引きつける"個性"で、旦那は火を吹きます」

「しかし今のところ出久くんにはそういう"個性"の兆候がない、と」

「ええ……私がこの子くらいの頃には、おもちゃを引き寄せたりしてましたけど、出久はそういう様子はないですし……」

 

 お医者さんは、うーん、と唸り、説明を重ねた。

 世代を経るにつれて"個性"は複雑化していること。

 お母さんとお父さんだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんの"個性"を引き継いでいることだってあること。

 あるいは。

 

「"個性"が見た目には分かりにくい場合があります」

「分かりにくい……?」

「例えば、テレパシーの"個性"を持つ子がいたとして、それが厳密には『額を合わせた相手にのみ伝えることができる』、なんて限定的な条件がついたり」

「つまり、"個性"には目覚めているけど、それを使える条件が整ってない、と……?」

「あるいは、"個性"の影響が小さすぎるなんてことだってあります。結局のところ、今後も様子を見るしかないんです」

 

 分かったのは、僕にも"個性"はちゃんと宿ってるってこと。

 お医者さんは『不甲斐ないことしか言えず申し訳ない』なんて言ってたけど。

 

「お母さん。超カッコイイヒーローに、僕もなれるかな」 

 

 僕にだって自分だけの"個性"がある。

 それが分かれば十分だった。

 

「なれるよ!!絶対なれる!!!」

 

 これが、僕はヒーローになると決意した日。

 

 

 

 

 ―――夢を見ている。

 

 

 

 

 それから、数ヶ月。

 僕の"個性"は依然不明のまま。

 幼稚園では"無個性"なんじゃないかなんてたまに馬鹿にされたりするけど、お医者さんが"個性"があるって言ってくれて、お母さんが"ヒーロー"になれるって言ってくれて。

 不安がないわけじゃないけど、決してめげずにいたある日の夜。

 

「熱っ」

「お母さん大丈夫?」

 

 お母さんと二人で朝食を食べていたときのことだった。

 お母さんはお味噌汁を一口飲んで、その熱さで舌を火傷したらしい。

 

「温めすぎちゃった。出久、大丈夫?少し冷ましてから飲んでね」

「んー?丁度いいよ?」

「え?そうかしら……私のだけ熱いってことはないし……」

「スーってしたら丁度よくなるよ」

「フー、じゃなくて?」

「うん。スーって」

 

 僕はそう言って、お母さんのお味噌汁に顔を近づけ、息を吸うような仕草をする。

 お椀をお母さんに返すと、お母さんは一口それを飲んだ。

 

「……あれ。熱くない」

「ほらね!」

「……まさか!!!」

 

 突然大声を出したお母さんは、その声にびっくりして固まった僕の腕を引っ張り、外へ連れ出した。

 行き先は、病院。

 会ったのは、あのお医者さんだ。

 

「―――間違いない。温度が下がっている」

 

 お医者さんが用意したお湯を、お味噌汁と同じようにスーってした。

 お湯から取り出した温度計を見たお医者さんは言う。

 

「出久くんの"個性"は『熱』に関するものでしょう。ご両親の"個性"から推測するに、『熱を引き寄せる』と考えられます」

「よかった……!出久にもちゃんと"個性"が……!」

「"引き寄せた"熱はどうなったのか分かりませんが、恐らくは出久くんが吸収しているか、出久くんの周囲に集まっていると考えるのが妥当でしょう。いい"個性"だと思います」

 

 僕の"個性"は『吸熱』。

 お医者さんはそう判断した。

 見た目が地味だから僕はちょっとしょんぼりしたけど、お母さんはすごく嬉しそうにしていた。

 

「出久、すごい"個性"だよ!」

「そうかなあ……」

「そうとも、出久くん。この"個性"を鍛えれば、立派なヒーローになれる。火事のときに火の熱を引き寄せれば消火できるからね。将来は火災に特化したヒーローだな!」

「そっか……そうなんだ……!」

 

 これが、僕がなりたいヒーロー像を定めた日。

 

 

 

 

 ―――夢を見ている。

 

 

 

 

 "個性"が発現して、数年。

 

「お母さん見て、見て!!」

 

 僕はお母さんを呼び、駆け寄った。

 その右手にはライター。

 

「こら、出久!勝手に危ないもの持ち出して……!」

「う、ごめんなさい。……でも、これ見て欲しいんだ!」

 

 右手を伸ばしてライターを点火し、文字通り息を吸うように"個性"を使う。

 火は揺らぎながら、徐々に口に近づき、そして吸い込まれるようにに消えた。

 

「……!?ちょっと出久、熱くないの!?大丈夫!?」

「平気だよ!すごいでしょ!」

「ええ、すごいわ!」

 

 目指している、火災に特化した"ヒーロー"。

 今はライター程度の小さな火でも、将来は大きな炎だって吸い込んでみせる。

 そう豪語した。

 

「でも危ないことしたからお説教です」

「そんなあ……」

 

 もちろん怒られた。

 が、"個性"の特訓はやめなかった。

 ライターは僕じゃ手の届かない高いところに仕舞われてしまったが、熱いものは火だけじゃない。

 

「出久!!!お風呂に"個性"使ったわね!!!冷たいんだけど!!!」

「つい……」

「明日から私が先に入るわ……出久は後」

「はい……」

 

 お風呂で特訓。

 

「出久!!!部屋で"個性"使ったわね!!!寒いんだけど!!!」

「つい……」

「節電って言ってクーラー点けなかったのは私だけど、ここまで冷やすことはないでしょ!!!室温10度下回ってるわよ!!!」

「精進します……」

「程度の問題じゃないわよ!!!」

 

 夏のリビングで特訓。

 

「出久!!!ストーブに"個性"使ってるでしょ!!!」

「つい……」

「部屋が全然温まらないと思ったら!!!」

「でも僕の周りは温かいよ?」

「あら本当。……出久の周りに熱が寄ってるからでしょ!!!私は寒いの!!!」

「ひえっ……」

 

 冬のストーブで特訓。

 

「ひどいよかっちゃん……!泣いてるだろ……!?」

「なんだデク、"没個性"のくせにヒーロー気取りか」

「これ以上は、僕が許さないぞ!!」

「んなセリフはよお、もっと良い"個性"になってから言いな!!」

 

 公園で、幼馴染たちを相手に立ち向かう。

 

「この前も邪魔しやがってよお……俺の"個性"をちょっと耐えれるからって、調子乗ってんじゃねえか?」

「関係ない!!泣いてる子がいる!!泣かせてるやつがいる!!それだけだ!!」

「……やっぱ調子乗ってるわお前っ!」

 

 BOM!!!!と爆発する手にびびりながら、後ろで座り込んだ誰かを庇う。

 

 これが、僕がなりたいヒーローを目指す日々。 

 

 

 

 ―――夢を見ている。

 

 

 

 

 『最高のヒーローになる』。

 それは決して『架空(ゆめ)』ではなく、『現実』に繋がっている。

 

 

 

 

 ―――夢を見ている。

 

 

 

 

「×××××!!!」

 

 

 

 ―――誰かの叫び声が聞こえる。

 

 

 

 

「×××××!!×××××!!」

 

 

 

 ―――誰かの悲鳴が聞こえる。

 

 

 

「×××××!!×××××、―――!!!―――坊主!!!!」

「……っ!!!!」

 

 意識が覚醒する。

 知らない声に揺り起こされた。

 真っ先に感じたのは、ベッドが固い。まるで床で寝ていたような。

 いや、ベッドではなく、これはまさしく床なのだ。

 

「坊主!!!しっかりしろ!!!返事できるか!!!」

 

 知らない声はなおも僕を揺する。

 うつ伏せだった体を腕で持ち上げようとすると、横から腕が伸びてきて僕の体を支えた。

 

「大丈夫か!?生きてるか!?」

「……おじさん、誰?」

「そんなこと言ってる場合か!?」

 

 その腕を辿ると、慌てた様子の知らないおじさんが一人。

 状況が理解できない。

 ここはどこだ。

 

「意識をしっかり持つんだ!すぐにヒーローが来る!」

「ヒーロー……」

 

 そうだ、僕は緑谷出久。ヒーローが好きで……。

 そう、今日は小学校のクラスメイト数人で、親には内緒で遠出したんだ。

 家からバスで行けるショッピングモールで、最近人気のヒーローのショーがあるって知って、かっちゃんとか、かっちゃんの友達と一緒に。

 もうすぐ始まるってところで館内放送が流れて……。

 

『緊急警報!緊急警報です!!モール内にて火災が発生!!お客様は警備員の指示に従い避難を―――』

 

 放送は途中までしか聞こえなかった。

 視界が一瞬で白く染まり、遅れて大きな音が聞こえた。

 それが爆発だと理解したときには、すでに意識は落ちていこうとしていた。

 

「そうだ、みんなは!?」

「落ち着け坊主、お友達はみんなここにいる。怪我はしちゃいるが、意識はある」

 

 おじさんが後ろを示す。

 そこにはかっちゃんを含め、今日一緒に出かけたみんながいた。

 大きな怪我はないようだが、かっちゃんは渋い顔をして大人しくしている。

 他の子は泣き叫んだり、元気なく座り込んでいたり、さまざまだった。

 その他にも、ショーの会場で見かけた顔が多く並んでいる。

 血で染まった肩を押える男性。

 壊れたスマホをタップし続けている女性。

 倒れた母にしがみつく子供。

 

「避難経路は爆発で崩れているか、火が強すぎるかでどこも通れそうにない。俺たちは逃げ遅れたんだ」

「そんな……!ひ、ヒーローは!?今日のショーの……!」

「いるにはいる……が、見ないほうがいい。爆発の近くにいたみたいで、酷い怪我だ。動けそうにない」

 

 ちらりと、ヒーロースーツを着た男性らしき体が見えた。

 誰かの上着が掛けられていてよくは見えなかったが、スーツがボロボロで、露出した手などが火傷で赤くなっているのが分かった。

 

「ここにいるのは怪我で動けないやつか、意識を失ってるやつばかりだ。大人しく救助を待つしかできない」

 

 僕に状況を説明してくれているおじさんも、どうやら脚に怪我を負ったらしく、ちぎった服の切れ布を巻いていた。

 

「今のところここまで火は回ってきてないが……耐えるしかないな。テレパシー系の"個性"の人間がいれば、救助を呼んでもらったんだが……火に強い"個性"でもいいんだが、この大火事じゃ無理だな」

「火に強い"個性"……」

 

 おじさんのその言葉にはっとする。

 『夢』を思い出す。

 『架空(ゆめ)』を思い出す。

 

「僕……行きます」

「なに?」

「僕の"個性"なら、熱くても……」

「馬鹿言うな坊主!火に強くても無理だって言うのはな、火事ってのは熱だけじゃない、煙を吸うのだって不味いからだ!」

 

 煙を吸わずに。息を吸い込むことをトリガーに"個性"を発動させている僕には、難関だ。

 

「そもそも子供を一人で行かせられるか!大人しく救助を待つぞ」

「でも、それじゃ誰も助からないかもしれない」

「それはそうだが……!」

 

 ここに僕らがいることを知っているのは僕らだけかもしれない。

 他の場所にも僕らと同じように救助を待っている人がいるかもしれない。

 何より。

 

「僕より小さな子が、泣いている……!」

 

 ここで動けないなら、『ヒーロー』になどなれるものか。

 息を吸い込むのがトリガー?

 ならばそのイメージを捨てろ。

 息を吸わずに、"熱"だけを吸い込むのだ。

 辺りを包む火を全て自分の体に。

 その熱を奪え。

 その光を奪え。

 その力を奪え。

 

「ぼ、坊主……?」

 

 "熱"は全て繋がっている。

 火で、空気で、物体で。

 全て寄せ集めろ。

 僕はここにいる。

 僕を焼いてみろ!

 僕を灼いてみろ!

 捩じ伏せて、組み伏せて、叩き伏せてやる!

 

「"Plus Ultra(更に向こうへ)"……!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 夫婦でヒーローをしているウォーターホースは、ヴィランの暴走により大火災に発展したとあるショッピングモールにて消火活動を行っていた。

 しかしその活動の結果は芳しくない。

 火の手は予想以上に強大で、広大だった。

 焼け石に水とばかりに、"個性"で出し操った水は一瞬で蒸発してしまう。

 他の水流操作の"個性"のヒーローたちも同じ様子だ。

 多くは避難が間に合ったようだが、中にはまだ取り残された人がいるだろう。

 外にいる群集からはそこかしこから叫び声が上がっている。

 その中には妻や子を呼ぶ声が聞こえた。

 

「くそ、せめて中に入れるくらいに炎が弱まれば……!」

 

 消防隊も手を拱いている。あちこちが崩れ落ちたせいで、入り口にできそうな場所が見つからないのだ。

 

「……待て。様子が変だ」

 

 誰かが言った。

 火災現場の一角。

 最上階の、端のあたり。

 館内の地図で言えば、確かイベント用の広場の近くだ。

 

「火が弱まっている……?」

 

 先ほどまで煌々と燃えていた炎が、少しずつ、小さくなっていく。

 次第にそれはその一角だけではなく、連鎖的に、炎の赤が弱まり、建物の焦げた黒が見えてくる。

 火が弱まっているのが一目でわかった。

 

「何だ、何が起きている……!」

 

 それは忘れられない光景だった。

 さっきまで誰も手をつけられない程の火の手だったはずだ。

 轟音を立て、破裂音を響かせ、赤々と燃え盛っていた炎のはずだ。

 それが、静かに、鎮火されていく。

 

「きっと誰かの"個性"だ……!あそこに人がいるんだ!!」

「……!!急げ!!梯子を回せ!!!!」

 

 消防隊がその場所へ向かう。

 地上付近は他のヒーローに任せ、ウォーターホース夫妻も消防隊に同行し救助に向かう。

 

「―――こっちだ!!!早く来てくれ!!!」

 

 声が聞こえた。

 人がいる。

 まだ生きている。

 助かる命がある。

 

「早く……!!!あの子を助けてくれ!!!」

 

 その声の主は、男性だった。

 脚を怪我して動けないようだ。

 見れば男性は一人ではない。

 倒れている女性や、怯える子供、何人もの人がいた。

 しかし彼は、彼らは、広場の中心を指し、助けてくれと叫んでいた。

 

「落ち着いて……大丈夫、皆助かります」

「俺らは後でいい!!!あの子だ、あの子を早く止めてあげてくれ!!!」

 

 あの子。

 彼らの指が示す先。

 

「な……何だあれは……?」

 

 言うなれば、熱の塊。エネルギーの停滞。

 空間を歪めているかのように見える、熱と光の揺らぎ。

 その中心に、人の形が見えた気がした。

 

「子供が、まだ小さな少年が……!"個性"で火を『集め』てる!!!」

「……!!!」

「俺が、火に強い"個性"を求めたばっかりに!!!一人で苦しんでるんだ!!!」

 

 建物が隠れるほどの炎。

 それを、その熱を、一人で請け負っている。

 それは、どれほどの苦痛なのだろうか。

 ひょっとしなくても、命が尽きかけているだろう。

 だが、まだ生きている。

 まだその"個性"で、熱を集め続けている。

 小さな"ヒーロー"が、頑張っている。

 ―――ここからは、わたし達が引き継ぐべきだ。

 

「必ず助けてみせる……!」

「任せて下さい!!」

 

 

 

 

 その後数日は、どの番組でも同じニュースが立て続けに流れ続けた。

 ショッピングモールに逃げ込んだヴィランが暴走し、施設内各所で放火したこと。

 イベント用の設備に引火し、多数の被害が出たこと。

 施設一帯を覆う大火災となったこと。

 ヒーローの"個性"を以ってしても一日はかかるであろうと思われた鎮火が、数時間で済んだこと。

 ショッピングモールはほぼ全焼したが、周囲の施設等には被害が出ていないこと。

 怪我人こそ多数いたが、死者は一人も出なかったこと。

 その立役者となった、一人の少年がいたこと。

 

 ―――少年が、数日経った今も、目覚めないこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暑っっっつい!!!!!!てか熱い!!!!!!」

 

 

 

 ―――が、その後ちゃんと目覚めたこと。

 

 

 




個性:吸熱
・周囲の熱を集めて吸収する
 ――火を吸熱すると光も一緒についてくる
・吸収せずに周りに停滞させることも可能
・吸収した熱を体内でエネルギーとして保管できる
 ――体内・体表面で発熱が可能
・吸熱量に応じて身体能力強化(チートその1)
・零度以下のものからも吸熱可能。(チートその2)
 ――理論的には絶対零度までいけるはず(試したことはない)

その他設定(未定)
・幼いころから吸熱で体温調整してたから、汗腺が未発達
・高熱に対してある程度自動で吸熱できる
 ――露骨な爆破個性対策
・拳に熱を集中!熱血パンチ!
 ――相手は火傷する
・熱を凝縮して口からビーム出せる(お父さん似?)
 ――相手は焼け死ぬ
・敵から熱を奪う
 ――相手は低体温症で死ぬ


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戦うすべ

Q:1ヶ月経ってますけど?
A:ちょっと色々あって……

Q:色々?
A:EDFとかFGOとか

Q:遊んでたんですね?
A:はい

Q:挙句書けたのがこの程度なんですか?
A:許して


 春。

 出会いの季節とか言われるけど、ただ中学校で三年生に進級しただけの僕らにとってはあまり関係がない。

 昨年度までに見た顔ぶればかりの教室で、そこに劇的な変化などなく。

 とは言っても現代はヒーロー社会。

 登校中に新たなヒーローの活躍を目にした僕はちょっとテンションが上がっていた。

 僕だけじゃなく、同じ光景を目撃したクラスメイトもそれは同じようで。

 

「えー、おまえらも三年生ということで!本格的に将来を考えていく時期だ!……ま、みんなヒーロー科志望だよね」

 

 先生の言葉に、クラスメイトたちが各々"個性"を発動する。

 顔が膨らんだり、拳から針を出したり。発動型ではない"個性"でも、牙のような歯をむき出しにしたりと、皆が皆目立っていた。

 が、一応校則では"個性"は発動禁止。当然、先生がそれを軽く咎める。

 教室が騒がしくなったその中で、一際目立つ声で叫ぶ子がいた。

 

「せんせえー、『皆』とか一緒くたにすんなよ!」

 

 僕もよく知る幼馴染、爆豪勝己、通称かっちゃん。

  

「爆豪は雄英高校志望だったな」

「国立の!?」

「倍率やべーんだろ!?」

 

 先生の言葉に教室がさらにざわついた。

 国立雄英高校。誰もが知っているトップヒーロー、オールマイトが通っていたヒーロー育成教育機関。

 その偏差値も倍率も半端ではなく、全国から多くの受験生が挑戦するが、実際にヒーロー科に通えるのは毎年50にも満たない。

 が、そんなことはこの暴君かっちゃんにはあまり関係がない。

 

「模試じゃA判定!俺は中学(ウチ)唯一の雄英圏内なんだよ!」

「あ、緑谷も雄英志望だったな」

 

 間。

 騒がしかった教室が静まり返る。

 いや先生なんでこのタイミングで言っちゃうんですかね。

 

「はああ!?緑谷ぁ!?無理っしょ!!」

「勉強できるだけじゃヒーロー科は入れねえぞー!」

 

 クラスメイトは口々に言う。

 しかしそれは中学から一緒になった人たちばかり。

 同じ小学校から進学した人はそれを否定してくれる。

 

「いやでも緑谷は結構すごいぞ」

「"個性"も強力だしな」

 

 僕の内気な性格が災いして、親しい人というのはいないが、付き合いの長い人はそれなりの数がいる。

 そういった人たちがこうしてフォローをしてくれるのは、素直に嬉しいと思った。

 

「は?緑谷が?」

「周り涼しくするだけのエアコン"個性"じゃん」

 

 エアコンて。

 まあ確かにうちの中学は空調機ないから、夏場に"個性"で教室を冷やしたりしましたけれども。

 それでもエアコンて。

 ……いやお母さんも最近は『出久の"個性"で電気代がちょっと浮くわ』とか言ってた。僕はエアコンだった……?

 

「お前らは知らないだろうけどな、小学校では緑谷は伝説なんだぞ」

「えー、緑谷があ?」

「爆豪曰く"クソナード"だろ?」

 

―――BOOOM!!!!

 

 教室に爆音が響く。

 その音源は、僕の幼馴染の右手。

 爆風は彼の机を吹き飛ばし、椅子も立ち上がった勢いで倒れる。

 グルンと体ごと首を回し、僕を睨みつける。

 そしてツカツカと歩み寄り、僕の襟元を掴んで、無理矢理立ち上がらせた。

 

「おいデクてめえ!!どういうことだ!?」

「違うんだよかっちゃん……!別に張り合おうとか、そんなんじゃなくて!!」

「そうじゃねえ!!俺は聞いてねえぞ雄英志望だってこと!!」

「あっそこなんだ」

 

 思っていたブチ切れポイントと違った。

 伝えなかったのは意図的に隠していたわけではなく、普段僕が話しかけると怒り出すので言い出す機会がなかっただけなのだ。

 

「一線級のトップヒーローは学生時から逸話を残してる。……そういう意味じゃてめえはすでにその条件を満たしてる」

 

 かっちゃんの言う『逸話』。クラスメイトの言う『伝説』。

 それは小学生の頃の、あのショッピングモールでの火災のこと。

 あの日のことはしばらくニュースで報じられ続け、僕のこともちょっと話題になった。

 ……うん、実は全然ちょっとじゃなかった。

 ニュースそのものでは僕の個人情報は明かされなかったけど、あの場には同級生もいたわけだし。人の口には戸を立てられないという言葉の通り、僕のことは学校や地域には広がってしまって。

 ちょっとした時の人みたいな扱いを受けつつ、僕は小学校を卒業するまで好奇の目に晒され続けたのだった。

 まあその過程は今は省くとして。

 

「雄英、二人で受かるぞ」

「かっちゃん……!」

 

 珍しく僕に優しい言葉をかける幼馴染にちょっと涙した。

 僕がんばるよかっちゃん。

 

「じゃあ今日から特訓だ」

「特訓」

「雄英の実技は戦闘だ。―――これから毎日模擬戦だ」

「模擬戦」

 

 だいぶ殺意高そうな目つきしていますけど、模擬戦で済むのかそれは。

 手加減など知らなさそうな幼馴染に震え上がった。

 僕こわいよかっちゃん。

 

「いやお前ら、教師の前で堂々と校則破り宣言しないでくれる?」

「すみません……」

「チッ」

「俺も期待してるから見逃すけど」

「それでいいんですか先生」

 

 一瞬助かったと思ったのにこれだよ。

 舌打ちまでされたのに許しちゃうんですか、先生めっちゃ心広い……。

 

「放課後空けとけよ、デク」

 

 完全にカツアゲの雰囲気ですよこれ。

 今日無事に家に帰れるのだろうか。

 僕の明日はどっちだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 授業中にふと思う。

 かっちゃんは相変わらず暴君ではあるが、実のところその実態は以前とだいぶ変わっている。

 小学生の頃は弱い者いじめなんかもしていたかっちゃんだが、今はそういった行為は鳴りを潜めている。

 もちろんみみっちい性格のかっちゃんだから、問題にならない程度の問題行動をしている可能性もあるわけだけど、ここ数年の周りからの評判は『すぐキレるけど悪いやつではない』とか何とか。

 そういう様子が見られるようになったのは、やはり6年前の火災の後からだったか。

 入院していた僕の病室までやってきて、開口一番に、

 

『俺はテメエに助けられたわけじゃねえぞ!』

 

 と叫んでいた。

 僕が目を白黒させている間に、かっちゃんは同伴していた彼の母親にぶん殴られてて、さらに困惑したのをよく覚えている。

 退院して学校に戻る頃にはかっちゃんはすでにイジメや恐喝をしなくなっていたと思う。

 あの事件で何やら思うところがあったのだろうとは感じ取れたが、その心境は謎のままだ。

 とはいえ、口が悪いのは変わらなかったし、気に入らないことにはよくキレていたので、この変化は表面的なものか、根本的なものか、僕には判断がつかなかった。

 ていうか僕に対しては態度全然変わらなかったし。

 すれ違うだけでよく舌打ちされたし、うっかり登校時間が被ろうものなら爆破で追い払われていた。

 僕に対してだけ殴りかかったりもしていた。

 そういう点を踏まえると、今朝のかっちゃんはかなり優しい。

 しかも放課後、僕を誘って特訓とまで言う。

 ……どうしよう、今日僕死ぬんじゃないか。暗殺とかされないよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんて心配もしていたのだが。

 特に何事もなく放課後を迎えて、かっちゃんは僕の首根っこを掴んで駆ける。何事起きてますね、すごくくるしいです。

 

「離して……」

「じゃあ自分で歩けクソが!」

「問答無用で連れ出しておいて酷くない……?」

 

 苦言を呈すが完全無視。

 いつもならここでついて行くとめっちゃ怒り出すんだけど、今日に限ってはかっちゃんについて行ってもいい日なわけだ。

 ここで踵を返して帰るとたぶんブチギレるので大人しく後ろを歩く。隣歩いたら絶対爆破されるからね!

 

「ここだ」

 

 で、かっちゃんに連れてこられたのは街外れの工場跡。

 何年か前に会社が潰れて廃墟と化した建物だが、工場だけあって造りはしっかりしているらしい。

 ところどころ屋根や壁に穴が見えるが、崩落している様子は見られないし、何より中のスペースが広い。

 稼動していたころの機械とか、どこに消えたんだろうか。

 

「んなもんとっくに売られたり盗まれたりだわ」

「やだ治安悪い……そうだよ、こういうところって不良とかの溜まり場になってそうな気が」

「追い出したわそんなん」

「やだ治安悪い……」

 

 そういう人だよね、かっちゃんは。

 それはもう容赦なく爆炎掲げて脅したんだろうな、と想像できた。

 

「ここなら遠慮なく"個性"が使える」

「可燃物とかやばそうだけど」

「全部片付けた」

 

 みみっちい性格のかっちゃんだが同時に几帳面でもある。

 ちゃんとそういったものは処理したようで、この工場跡は『爆破』という派手に燃え上がりそうな"個性"でも、引火することはなさそうだ。

 というかこんな場所いつ見つけたんだろうか。小学校からずっと一緒だったけど、全然知らなかったぞ。

 

「中学入学してからだな」

「じゃあ二年もここで"個性"の特訓してたんだ」

 

 様々な"個性"が溢れつつも、原則として使用は禁じられている現代、隠れて"個性"を使う人は多い。

 それが人様のご迷惑になるとヒーローや警察のご厄介になったりするわけだが、まあどういうご時世であれ上手く隠れてみせるやつってのは多いもので。

 どうやら僕の幼馴染もそれに当て嵌まっていたらしい。

 

「そういうのはどうでもいい、それよか今お前がどのくらい"個性"で戦えるかだ」

 

 僕の"個性"は戦闘向きじゃないんですけど。

 

「―――ってのは建前だろ。お前こそゴミ溜めの浜辺で"個性"の特訓してるの、知ってんだからな」

「うぐっ」

 

 どうやら見られていたらしい。

 そう、僕は例の火災以降、目立つのを避けるために大っぴらに"個性"を使うのを避けていた。

 だからこそ人があまり寄り付かない、近所では有名なゴミ集積所と化している浜辺でこっそり"個性"を鍛えたりしていた。

 

「直接戦闘に向かない"個性"でも、鍛え方次第では武器になる。そういう分析はデクこそ得意分野だろ」

「うーん、褒めてくれるのは嬉しいんだけど、本当に『使える』選択肢はそう多くなくてね?」

 

 どうしたかっちゃん、今日はめちゃくちゃ優しいぞ。ちょっと気持ち悪いぞ。……なんて思ったけど、そういうのはぐっと飲み込んで。

 

「何から話そうかな……」

「話さんでいい。とりあえずやるぞ」

「え、何を」

「ンなもん決まってるだろ、特訓だ」

 

 そう言ってかっちゃんは僕との距離を詰め、右腕を振りかぶり、

 

―――BOOM!!!

 

「危なっ!?」

「避けんなクソが!!」

「いや避けるよ!?」

 

 不意打ちで殴りかかるとかどうかと思うんだけど!!

 

「いちいちデクの長ったらしい説明なんて聞いてられるか、こうした方が早ェ」

「肉体言語だなあ!!!」

 

 かっちゃんは再び右腕を振りかぶる。

 が、その動きは知っている。

 

「……!?」

「かっちゃんの初撃は、右手の大振り!!」

 

 かっちゃんの右腕を包むように持ち、背負い投げの要領で振り回す。

 そのまま床に叩きつけようとするが、

 

「ンなもん食らうか!!」

 

 BOM、と爆破ですり抜け、その勢いのままかっちゃんは宙に浮かぶ。

 爆破でその勢いを殺して、空中で姿勢を変えて殴りかかってくる。今度は左手だ。それも大振りではなく、鋭い一撃。

 容赦なく顔面を狙うそれを両腕でガードするが、

 

「もういっちょォ!!」

 

 追撃で右腕が伸び、僕の腕の隙間に入る。

 

「ぐっ……」

 

 ガードを崩され、露になった僕の顔面を再び左腕が狙う。

 今度は拳ではなく、手の平。

 

―――BOOOOM!!!

 

 爆音が響く。

 常人なら熱で皮膚が焼かれてしまうが、

 

「チッ、やっぱ効かねェか」

 

 僕なら耐え切れる。

 僕の"個性"は『吸熱』。その"個性"の利点として、僕の体は熱に対して高い耐久性がある。

 周りの熱を吸収し、自身のうちに溜め込むことができるからこそ、どこまでも熱に対して強い身体なのだ。

 しかし、それは熱に対してという話なので。

 

「熱はどうにでもなるけど、衝撃は殺せないんだよなあ……」

 

 ダメージ皆無とはいかない。

 火傷こそないが、僕の右頬はこの後腫れあがるに違いない。

 

「どうした、"個性"使って反撃してこいよ!!!」

「戦闘向きじゃないんだって!!」

「そりゃさっき聞いたわ!!!」

 

 かっちゃんは自身の背後に向かって左手で爆破、勢いをつけて右のストレートを放つ。

 僕はそれを左に大きく避けるが、それは悪手であった。

 通り過ぎた右手は、爆破で軌道を変える。手の甲が僕の右脇腹に刺さる。

 

「ぐえっ」

 

 隙だらけの僕の右腕が掴まれ、回るように引き寄せられた。

 このままでは地面に叩きつけられる。直感した僕は、左手をかっちゃんの頬に伸ばし"個性"を発動した。

 熱を手の平に集中させる。

 

「熱っ……チッ」

 

 一瞬であるが、怯んだ隙に掴まれた腕を振りほどく。

 また掴まれるわけにもいかないので、後ろに下がり距離を取る。

 

「『吸熱』じゃねェのかよテメエの"個性"はよォ!!」

「吸収した分は保管して、発熱で引き出せるんだよ」

「『熱操作』って申請し直しとけ!!!」

「考えとく。―――こういう技もあるんだけど、避けてね?」

「アァ!?」

 

 熱を喉の奥に集める。

 口の中を焼くような吐き気のままに、それを放つ。 

 

―――THOOOOOM!!!

 

 僕の口から放たれた熱線はかっちゃんの右頬を掠り、奥の壁に焦げ目を作った。

 後ろを振り返りつつ、かっちゃんが言う。

 

「……何だ今の」

「ビーム」

「何がどうしたら『吸熱』がビームになるんじゃボケェ!!!」

「お父さん似かな……」

 

 お父さんの"個性"は口から火を吹けるのだ。

 火とは熱と光。

 つまり熱線になってもおかしくない。うん完璧な理論。

 

「ンなわけあるか!!!」

「ですよねー」

「今のどの辺が戦闘向きじゃねェんだ!!!」

「いやこれ直撃はやばくない?」

 

 そういう意味では『使えない』札なのだ。

 火傷で済めばいいのだが、制御間違えると消し炭にしてしまいそうだ。

 いやそんな火力出るのか試したことがないんだけど、少なくとも個人では使えないよね。進学して然るべきヒーローの管理下で鍛えたい技だ。

 

「お前自分の"個性"も制御できねェのかクソが!!」

「いやいや、『吸熱』はちゃんと使えてるよ。……でもそうだね、もうちょっと『使える』札を出すかな」

 

 内に溜め込んだエネルギーを、脚に集中させる。

 今度は熱としてではなく、純粋なエネルギーのまま。

 僕の意思に応じるように、両脚が僅かに光を帯びる。

 そして、一歩でかっちゃんとの距離を詰めた。それと同時に振り下ろすように右手で殴りかかる。

 

「……ッ!」

 

 かっちゃんは僕の拳を、反り返るように体勢を変えて回避した。

 僕はもう一歩踏み出し、今度は振り上げるような形で左手を伸ばした。狙いは脇腹。

 しかしその手はかっちゃんの右腕で振り払われ、行き場をなくした。

 

「『身体能力の強化』……ますます『吸熱』から離れてるぞ」

「めっちゃ効率悪いんだけどね」

 

 具体的には今の一瞬の脚力強化で、今朝から一日かけて集めていた分の熱量がなくなった。

 こんな消耗率じゃ常時強化なんてできないし、その強化の具合だって微々たるものだ。

 とはいえビームに比べれば十分『使える』範疇の技なので、今後鍛えて効率を上げられればもっと応用が利くだろう。

 

「だが強化したところで、格闘のフォームがなってねェ。そんなんで敵に当たるかボケ」

「かっちゃんほど殴り慣れてないから……」

「アァン!?」

「なんでもないです」

 

 凄まれて黙る。

 心に染み付いたかっちゃんへの恐怖心は簡単には拭えないのだ。

 

「チッ……戦いになるかはともかく、戦うすべがあるのは分かった。今日はこれで終わりだ」

「よかった……このままガチ殴り合いになるかと……」

「それは明日からだ」

「えっ」

「戦うのに慣れるまで戦うんだよボケ」

「えっ」

 

 僕の寿命が縮まりそうなんですがそれは。

 本格的に今年中に命日を迎えそう。

 

「死なねェように殺したるわクソが!!!」

「矛盾してますけど!?」

 

 まあ意外と面倒見のいいかっちゃんのことだから、僕がある程度形になるまで本気で殴りかかってくることはないとは思うんだけれど。

 ……ないよね?ないって願ってる。そう思っておこう、僕の心の平穏のためにも。

 その後話し合いの末、週一でバトルを繰り広げることにして、あとは各々で自主トレということになった。

 かっちゃん曰く『デクに時間割いてやるだけでも感謝しやがれ』とのことなので、素直に喜んでおこう。今日のかっちゃんマジで優しい。

 

「フン、だがこれでテメエの弱点もモロバレになったわけだ」

「やだなあ、『札』を全部見せたわけないじゃないか」

「なんだとクソが!!!さらせや!!!」

 

 嫌だよ、負けたくないもの。

 僕だって男の子なのだ。




実際のところ数日に1回、1000字くらい書いては消してを繰り返してた。
プロットとか何もないんで、思いついたままに書いています。
今回の話も最初書き始めたときと全く違う内容になったしな。


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