東方幻奏夜 (月夜野 奏音)
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第一話 奏音、幻想入り
もし私が幻想入りしたら…とふと思ったので
今回初めて小説を書いてみました。
もこけね好きはそれなりに楽しめるかも。
オリジナル設定、語彙力皆無でもいいよと言う方は
是非読んでいって下さい〜(*^ω^*)
「行って来ま〜す!」
私の名前は月夜野奏音。極々普通の中学生。
出席はしてるけど教室には行っていない。コミュ障故に他人と話すのが苦手なのだ。
どっちかというと陰気な方である。あ、もしかしたら厨二病かもしれない。
絵とピアノ、そして何より東方Project が大好きである。
特に東方永夜抄の妹紅と慧音は曲も最高だし、めちゃくちゃよく描く。
中学校も幻想郷の寺子屋だと思って行けば、積極的に行けるかな…とか思ったり。
ああ、幻想郷に行きたいなぁ。これほぼ毎日思ってる。
教育義務とか法律とかに縛られずに自由に生きれるって最高じゃん?
そして今日も、憂鬱な気持ちで就寝。明日も明後日も学校。溜め息しか出ない。
せめて宇佐見菫子みたいに、夢の中だけでも幻想郷に行けたらいいのに。
ーーーーーーーーーーーー
深夜。草木も眠る丑三つ時。ふと目が覚めてしまった。
リビングでホットミルクでも作って来るか。
トン、トン、トン…寝ている家族を起こさない様に静かに階段を降りて行った。
一階の廊下に足がつく、その刹那。
なんか外から妖しい光が。なんだアレは、百鬼夜行か?いやまさかね。
でも私は、引き寄せられる様に外に出てしまった。
あれ?門の前にBb…紫さんが居る。幻覚?ここリアル世界だよね?
いつの間にか家の周りは幻想的な光に包まれていた。
「ごめんなさいね、こんな時間に起こしちゃって。」
まぁ、丑三つ時は嫌いじゃないからいいんだけど。
「貴女、相当な幻想を抱いている様ね。」
まぁ、妄想は自由だからね。
「いいわ、こちらの世界にいらっしゃい。」
え?こちらってまさか…
-幻想郷は全てを受け入れるのよ-
あれ?どこ?ここ。見慣れないものが目に入る。
「あら、やっと目が覚めたのね。おはよ、少女さん。」
まだ意識が朦朧とする中、紅白の巫女さんが話しかけてきた。
「は、博麗霊夢!?」
「え!?何であんた私の名前知ってるのよ!?」
「だって、何度も見た事あるよ。博麗神社の巫女さんでしょ?
妖怪退治が仕事で、身長がやや高め、そんでもって幻想郷の英雄《ヒーロー》でしょ?」
「凄いわねあんた…自己紹介せずに済んじゃったわ。」
は!!コミュ障の私が普通に話している!?幻想郷半端ねえ…
「あんた、行くあてはあるの?」
「ない。」
「う〜ん…なら一番安全な人間の里をお勧めするわ。」
「ににに人間の里!?」
「え、何?何かトラウマでもあるの?」
「慧音に、慧音に会えるのですか!?会ってもいいのですか!?」
「あらあんた慧音が好きなの?そうね、挨拶ぐらいはね。」
「…そういえばあんたの名前、聞いてなかったわね。」
「月夜野奏音。14歳!」
「!?…そう…まあ気をつけて行ってらっしゃい。(年下だったあ…!)」
えホントに私幻想入りしちゃったん!?
パンッ!…痛い。夢じゃなかったやった!
「…どう?幻想郷は。いい所でしょう?」
「あっ、八雲紫お姉さん。」
「うふふ、そんな褒めても何も出ないわよ?
あ、でも貴女に授けたいものならあるわ。ちょっと目を瞑っててくれる?」
ん?何だろう。ワクワク。
「奏音さんだったかしら?貴女このままだと『能力無しの普通の人間』として
ここで生きていく事になるわ。だから貴女に似合う能力と種族を授けてあげるわね。」
おお!そんなのもう完璧な幻想郷の住人じゃんか!
「はい、もう目を開けていいわよ。」
そ〜っと自分の体を触ってみた。
赤いリボンのカチューシャ。白銀の翼。真紅のペンダント。薄紫色のワンピース。
「髪の色は桃色よ。瞳は濃い青。どうかしら?」
「気に入った!」
「す、素直ね。それと貴女既に能力持ってたみたいだから追加という形になりましたわ。」
「あそうなの?ラッキー♫」
「能力はあえて教えないでおくわ。自分で探してみなさい。」
「はーい!行って来まーす!」
「…あの子ここに来てから物凄い明るくなったわね…。」
獣道をしばらく歩いていると小さな里が見えてきた。
あれが「人間の里」か…!
外の世界では中々見れない町並みが視界を覆う。
この翼、もしかしたら妖怪認識されちゃうかも。隠そ。
「ん?君、見ない顔だな。」
「!?」
「な、何をそんなに驚いているんだ…?」
「慧音!?慧音だよね、その口調!後ろ振り返るよ?」
「(なんだこいつは(汗))」
「良かった!魔理沙じゃなかった慧音だ!」
「こら魔理沙に失礼だろう。」
「ごめんなさい!」
「素直だな…うん、まあ素直なのはいいことだ。」
「名前は何て言うんだ?」
「月夜野奏音。貴女は上白沢慧音さんでしょ?ワーハクタクの。」
「何で知ってるんだよ怖いな(汗)」
「そりゃあ東方ファンですから。」
「どうせ自称だろ?」
「もちろん。ところで、もこたんは?今日は一緒じゃないの?」
「木炭?」
「違う!もこたん!藤原妹紅!」
「ああ妹紅は焼き鳥屋でバイトしてるぞ。」
「ホントにやってたんだw会いに行ってもいい?」
「それは構わないが奏音、家はあるのか?」
「ないです。」
「そうか…まあ無理もない。とりあえず暗くなる前には妹紅と一緒に私の家に
帰って来い。それでいいな?」
「ええ!?逆にいいんですか!?」
「ああ。夜になると妖怪が活発になるからな。
妖怪から人間を守るのが私の使命みたいなものだから。」
慧音先生かっけええ!!てか泊まらせてくれるとか優しー!!
危険だとわかっていながらも妹紅に会いたいが為に
私は迷いの竹林に足を踏み入れた。笹の音が心地よい。
ああ〜焼き鳥の良い匂いがする〜そういえば今日何も食べてない…。
「あ、いらっしゃい!何名様ですか?」
店内に入ると天使の様な笑顔で妹紅が出てきた。
「あっ、もしかして一人?ダメだよこんな危ないとこ来ちゃ。」
「すいませんした!妹紅に会いたくて来ちゃいましたあ!!」
「えっ、そんな物好きな人いるんだ…なんだか嬉しいな♫」
妹紅のほっぺたがちょっと赤くなった。可愛い。
仲良くなれそうだったので妹紅に今までの出来事を全て話した。
「そっか、幻想入りしたてなんだね。あっ、じゃあそのお祝い?と言っては
なんだけど、ウチの焼き鳥好きなだけ食べてって良いよ♫お代はいらないからさ!」
「あああありがとう〜!ああそうそう、慧音が『暗くなる前には妹紅と一緒に私の家に
帰って来い。』って言ってたよ。」
「ちょwモノマネめっちゃ似てるんだけどwwも〜、吹き出すとこだったよw」
「早く帰らないと妖怪に食われるって。」
「一応私も人間を守る身なんだけどね。さて、そろそろ帰ろうか。」
妹紅の小さな炎が夜道を照らす。
猫が引っ掻いた跡みたいな細い月が空に浮かんでいる。
幻想郷に来て初めての夜。3人は他愛ない話で盛り上がる。
今宵は永い夜になりそうだ。
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