異世界に来た少女は盾の勇者と共に成り上がる (銅英雄)
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プロローグ

新作書くのって楽しいよね!

『盾の勇者の成り上がり』の二次創作です。


目の前が真っ暗になった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……じゃないよ!ここどこ!?私これからウィンドウショッピングでもしようと思ったのにとんだ仕打ちだよ!

 

私こと野崎詩織(のざきしおり)は突如目の前が真っ暗になるという手持ちポケモンが全滅したみたいな状態に陥ったのである。

 

『野崎詩織ですね?』

 

今度は女性の声が聞こえた。すると私の前に現れたので……。

 

「あの、どちら様でしょうか……?」

 

『私は神です。女神です』

 

この女神と名乗った女性は水色の長髪を靡かせ、そう言った。何故だろう。なんとなくだけど、駄女神に見えてきた。うちの姉と良い勝負をしそうな……。

 

『誰が駄女神ですか!?』

 

うわっ、怒った。っていうか何故私の考えていたことがわかったの?

 

『神ですから』

 

さいですか……。

 

「ところでこの状況は一体……」

 

『そうでしたね。野崎詩織、貴女には異世界に行ってもらいます』

 

はい……?

 

「な、何故私が……?」

 

『知りません』

 

しりませんじゃねーよ!やっぱり駄女神じゃないか!

 

『だから駄女神ではありません!私はこの空間に呼ばれた者に特典を与えて異世界に飛ばすためにいるのです。貴女を呼んだのは別の神です。ちなみに貴女に拒否権はありませんよ』

 

へぇ~。神って他にもいるんだぁ……。まぁそのあたりのことを聞いてもはぐらかされそうなので諦めた。それにここから逃げられそうにないし……。

 

「特典持って異世界ってことはその世界を素晴らしくして祝福をもたらせばいいんですか?」

 

『……何故そんなに具体的なのかは知りませんが、貴女が思っている所ではありませんよ』

 

えっ、違うの?

 

『似て非なる……といったところでしょう。他に聞きたいことはありませんか?』

 

聞きたいこと……。あるにはあるんだけど、望んだ答えが帰ってくるとは限らないし止めとこう。

 

『ありませんね?では特典を3つまで与えます』

 

「特典ってなんでもいいんですか?」

 

『貴女のスペックにもよりますね。元の身体能力が高ければ、異世界で無双するためのスキルを与える……ということも可能です』

 

私の身体能力か……。運動神経には自信がある。学力はそんなにないけど、頭の回転は姉や妹にも負けてない。ならば異世界でチートできるくらいのものは期待できるのかな?

 

よし……!

 

「決めました」

 

『どんな特典をお求めでしょうか?』

 

「『ワールドトリガー』に出てくるトリガーをください」

 

『ふむ、『ワールドトリガー』ですか。では攻撃手用、狙撃手用に……銃手用と射手はどちらかしかとれませんがどうしますか?』

 

まぁそれはそうだよね。私は射手の方が好きだ。那須さん格好いいし。というわけで……。

 

「射手用でお願いします」

 

『わかりました。防御用やサポート用のトリガーは一括りににして合計4つのトリガーと特別に貴女だけのオリジナルのブラックトリガーを追加しておきます』

 

マジで!?あざまーす!

 

『あと2つはどうしますか?』

 

「次はサイドエフェクトをください。嘘を見抜くやつを」

 

『はい、貴女にそのサイドエフェクトを与えました。最後の1つは……』

 

「3つ目はこれから行く世界の言語の読み書きができるようにしたいです。もしかしたら異世界といっても行くことになるのが1つとは限りませんから……」

 

これを期に異世界を転々とするのもよさそうだ。維織(いおり)姉さんも好き勝手やってるし、野崎のことは姉さん共々由良里(ゆらり)に任せよう。

 

『……成程、わかりました。では全ての特典を与え終えたら貴女を異世界へと飛ばします』

 

私は特典をもらい、異世界へと行くことになった。

 

未だに異世界に行くことに納得してないけど、私の好きな漫画の技を使えるならその力を存分に使っていこう。




プロローグおしまい。次回から原作突入かな?とりあえず最後に設定をば。

プロフィール

野崎詩織

容姿や性格

緑色の髪をアップサイドにしている。

身長 165cm体重 43㎏

冷静だが内面はとても動揺しやすい。

学力は低いが、頭の回転はかなり速い。

運動神経はかなりのもの。

姉と妹がいる。




大学生だが自由な日が殆んどなく、NOZAKIグローバルシステムというITの大企業の次期社長と言われて(姉である維織に押し付けられて)さらに自由がなくなる。久々の休日にショッピングに行こうと思った矢先に今回の出来事に巻き込まれる。


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勇者との出会い。えっ?勇者って4人もいるの?

※この作品は主に漫画を基準に書いております。


野崎詩織です。今私はメルロマルクという町で一休みしています。とりあえず此処に来るまでの出来事を振り返ることにした。

 

 

~回想~

 

女神から特典をもらった後、チュートリアルとしてこの真っ暗な空間にてトリガーを全て試運転した。

 

その中で1番しっくりくるのが射手トリガーだったので、バイパーをメインとした射手トリガーを中心に近距離戦闘のスコーピオン、遠距離戦闘のライトニングを最初に使いこなせるように頑張ったのだが……。

 

(まさか1ヶ月もかかるなんて……)

 

いや、本来ならこれでも早い方なんだろうと嘆くのはやめにした。

 

チュートリアルが終わると女神が私を異世界へと飛ばしたんだけど……。

 

(ここは何処!?行けども行けども道ばっかり!町の1つも見えないとかどういうこと!?)

 

あの女神が私を飛ばした場所はRPGの荒野でしかもモンスターがうじゃうじゃいるのだ。とは言ってもオレンジ色の風船みたいな奴が殆んどなんどけど……。

 

そしてこの風船擬きが◯ラクエで言うところのスライム的な雑魚だと思ったらかなり凶暴なのだ。喰われると感じた私は一心不乱にスコーピオンで風船擬きを刻みまくった。

 

辺りには刻んだ風船の残骸が大量に散らばっている。

 

(もしかしたらこれが売れるかもしれないから全部拾っておこう)

 

こうして私は風船擬きを中心に様々なモンスターをスコーピオンとアステロイドで倒しまくった。

 

 

~そして~

 

(おっ、やっと町が見えた。しかもかなり大きい……)

 

なんにせよ一休みしたいし、入ろっと。

 

 

 

~現在~

 

っと、こんな感じかな?

 

「おい、王様が四聖勇者を召喚するらしいぞ!」

 

「マジかよ!これでこの国も波から救われるぜ!」

 

なんかすごい会話だな……。勇者召喚?しかも四聖ってことは4人いるのみたい。なら……!

 

「あの、すいません」

 

私はパッと見戦士っぽいおっさんに声をかけた。

 

「ん?どうした姉ちゃん」

 

「私冒険者で、その勇者の旅に同行したいんですけど……」

 

「ああ、それなら俺に着いてきな。王様には俺から言っておこう」

 

「ありがとうございます」

 

この人いい人だな。見た目おっさんじゃなくて同年代なら惚れてたかもしれない。

 

 

~そして~

 

王様の話によると勇者は剣、槍、弓、盾の4人のようだ。私は4人の自己紹介に耳を向ける。

 

剣の勇者の天木錬(あまきれん)は16歳の高校生。なんか声を聞くとキリト君っぽい。ゲーマーなのかな?

 

弓の勇者川澄樹(かわすみいつき)は17歳の高校生。優男というかなんか頼りない気がする。

 

槍の勇者北村元康(きたむらもとやす)は私と同い年の大学生。なんかチャラい。生理的に無理。

 

そして盾の勇者岩谷尚文(いわたになおふみ)は20歳の大学生。盾がメインとするとタンク役になって他の仲間が敵を倒すといった感じかな?

 

話によるとこの4人の中から1人の勇者と冒険に出るみたい。4人の雰囲気を見るに私が一緒に行きたいと思う勇者は……。

 

(やっぱり盾の勇者かな……。それにしてもさっきの人を含めて盾の勇者に余り良い印象を持ってないみたいだ。初対面の筈なのに……)

 

「さあ、共に行く勇者を選べ!!」

 

(私達が選ぶんだ……。まぁそれはそれで都合がいいかな)

 

じゃあ岩谷君の所へレッツゴー!

 

 

~そして~

 

岩谷君の所へ来たのはなんと私だけだった。えっ?どういうことなの?




ところで神様転生のタグをつけたら転生のタグもつけた方がよろしいのん?


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パーティー結成(仮)。伝説の盾は呪われている?

アンケの結果が既に出ててびっくりしました。あとワールドトリガーのタグを追加しました。詩織はトリガーを中心に戦うので……。


岩谷君の所にいるのは私1人だけだった。

 

……いや、2人だけとか私達に死ねと申すか!?辺りもなんか盾の勇者はちょっと嫌だとかなんとか言ってるし。

 

「言いたいことがあるなら言えよ!!」

 

この現状に我慢ならないのか岩谷君が抗議し始めた。

 

「……だってさ、負け組の職業だろ?盾って」

 

「負け……組?」

 

「俺のやってたゲームがそうだったんだけど、防御力が高くて使い物になるのは最初の内だけで、高レベル者が全然いなくてジョブそのものが廃止寸前だ」

 

「……そもそも盾は防具であって武器じゃないしな」

 

「そうそう、勇者向きじゃないよなぁ?」

 

「そうなんですよ!僕がやってたゲームもそんな感じで……」

 

「あっ、やっぱり!?」

 

ふんふん、どうやら盾はゲームでは負け組の職業のようだ。彼等がどんなゲームをやってたか知らないけど、タンクの役目って結構大事だと思うんだよね。

 

それに……。

 

「なあ、君も尚文の所よりも俺の所へ来ない?」

 

おっと、なんか北村君がこっちに話しかけてきた。

 

「盾なんて負け組職業なんかよりも俺の槍で君を守ってあげるよ!」

 

(うわっ、チャラっ!)

 

やっぱ生理的に無理。

 

「……私は岩谷君と戦うことにするよ」

 

「えっ?なんで……」

 

「それに私は盾の勇者が負け組とは思わない」

 

「えっ……」

 

「確かに盾という職業は君達の言う通り負け組の職業なのかもしれない。私もタンク役はそこまで良いものとは思わないしね」

 

まぁ大事な役目だけど、敵に狙われ安いし……。

 

「ならなんで……?」

 

「それは普通の職業だったらの話。岩谷君の場合は『盾の勇者』としてこの地に呼ばれた。普通の盾では出来ない何かがあるんじゃないかと私は思うな」

 

私が言い終わると岩谷君は嬉しそうな表情を、北村君は悔しそうに、天木君と川澄君は呆気にとられたような顔をしていた。私そんなに変なこと言ったかな?

 

 

~そして~

 

とりあえず場が落ち着いたので、私は岩谷君に自己紹介するべく話しかけようとすると向こうから声をかけてきた。

 

「さっきはありがとう」

 

「気にしなくていいよ。私は思ったことをそのまま言っただけだしね」

 

「それでも……」

 

「そういえば自己紹介しなきゃね。私は野崎詩織だよ。よろしくね」

 

私が名乗ると岩谷君達勇者が驚いたような表情をしていた。はて、私普通に自己紹介しただけなんだけど……。

 

「な、名前的に君も日本人なのか!?」

 

(あっ、そうか。私異世界に飛ばされたんだった。もう2ヶ月弱もいて、すっかりここの住人になってるつもりだったからそのことをすっかり忘れてたよ……)

 

「そ、そうだね。そういう岩谷君達も……」

 

それからも岩谷君達勇者と話し込んだ。そして私と岩谷君達がそれぞれ違う日本から来たことがわかった。道理で日本どころか世界的にも有名な『野崎』の名字に誰も驚かないわけだ……。

 

 

 

~そして~

 

私と岩谷君のパーティーにマインとかいう女の人が加わり、3人で冒険に出ることになった。

 

「銀貨800枚か……」

 

「それが多いのか少ないのかわからないけど、他の勇者達より多くもらえたしいいんじゃないかな」

 

「そうですね。それだけあれば良い装備が買えますよ!」

 

「そうなのか?……よし、それじゃあこの金でスタートダッシュに差をつけてやるぜ!」

 

そう意気込んで武器屋に入った岩谷君に続いて私とマインさんも入っていった。

 

「いらっしゃい!お客さん、ウチは初めてかい」

 

(天木君は声だけでキリト君っぽいなとは思ったけど、この人は声どころか体格も顔付きもエギルさんだよ……)

 

ちなみにこの人はエルハルトさんというらしい。

 

「何をお探しで?」

 

「えっと、まずは武器を!」

 

「あいよ!得意な武器がないならまずは剣だな。素材によって値は様々だが、性能はお墨付きだぜ」

 

ほほう、確かに良い物ばかりだね……。

 

「アンちゃん、予算は?」

 

「えっと……」

 

「武器ばかりにお金をかける訳にもいかないし、大体銀貨250~300枚までの武器でいいんじゃない?」

 

「そうですね。他にも揃えないといけませんし……」

 

「……だな」

 

「よし、それだとこれだな」

 

エルハルトさんが出したのは◯ラクエで例えるなら銅の剣クラスの剣だった。

 

「おお、これで戦うのか……」

 

剣を持って感動している岩谷君に悲劇が起こった。

 

 

バチッ!!

 

 

「うわっ!」

 

「な、なんだ!?」

 

私以外の3人は一体何事だと驚いていたが、私は寧ろ納得していた。とはいえ確証がないので、岩谷君に訪ねてみる。

 

「もしかしてその盾の影響で他の武器を装備することが出来ないんじゃないかな?」

 

「なっ、嘘だろ!?」

 

岩谷君が嘆くとアイコンに伝説の盾以外の武器を装備することが出来ないと表示されていた。しかも盾の方は外れないし……。まるで呪われた武器みたいだね。

 

(でも岩谷君が装備している盾は他の3人の勇者よりも特別に感じる。盾がどう成長していくのかは岩谷君次第ってことかな?)

 

「困りましたね……」

 

「とりあえず防具を買った方がいいんじゃない?」

 

この後岩谷君は鎖帷子を買って装備した。

 

「次はえっと、野崎さんの……」

 

「詩織でいいよ。名字で呼ばれるの余り好きじゃないし」

 

だって元の世界ではあの姉や妹のオマケみたいに扱われたしさ。

 

「じゃあ俺のことも尚文でいいぞ。詩織」

 

「うん、ありがとう尚文」

 

「それで詩織の装備なんだけど……」

 

「う~ん……。私はいいや。残ったお金は貯蓄しておこうよ。これからのためにさ」

 

「でもそのスーツっぽい格好じゃ……」

 

なお私の外見はスーツを着た状態である。二宮隊のトリガーだね。

 

「多分私も尚文と同じだと思うしね」

 

「じゃあ詩織も勇者なのか……?」

 

「似て非なるって感じかな」

 

(神様によってこの世界に来たし、方法は違えど私も勇者並の働きを期待されてるかもしれないね)

 

私が尚文と話しているとマインさんが防具を持って此方に来た。

 

「勇者様、私これが欲しいんですけど……」

 

「それじゃあ……」

 

ん?マインさんは自分のお金がある筈なのになんで尚文に買わそうとするの?まぁゲームでは仲間の武器とかも勇者が買うはずだから尚文も特に問題はなかっただろうし。

 

でも私にはそれが違和感バリバリに感じたのだ。

 

「待った、これ以上の出費はやめておこう。そろそろ外でモンスターと戦いに行こうよ」

 

「あっ、ああ……」

 

ふぅ……。なんとか出費を抑えた。そう思ってマインさんの方を見ると微かに顔を歪ませていた。

 

……これは警戒が必要かな?




アンケートはフィーロが擬人化したあたりの話までのところまでやっとります。


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マインの裏切り。それでも俺はやってない!そして野崎詩織は……?

この小説に度々出ている詩織の姉と妹はある作品に存在しますのでパロキャラです。詳しいことは後書きにて。


……で、今私達は前に私が数日間迷いまくった荒野にいるわけだが。そして突然現れたのは私が幾度も幾度も刻んだ憎き風船擬きだった。

 

「いました勇者様、オレンジバルーンです!」

 

「オレンジバルーン?」

 

ほう、私が刻みまくったあの風船擬きはオレンジバルーンというのか。

 

「安心してください。とても弱い魔物です」

 

「そうなのか?」

 

「うん、私も戦ったことがあるからね。でもそのモンスターはかなり血気盛んだよ」

 

「へ……?」

 

私がそう言うとオレンジバルーンは尚文の頭を齧った。しかも沢山の仲間を連れてきた。

 

「尚文!?大丈夫!?」

 

「あ、ああ……。なんとか」

 

「良かった……」

 

この風船擬きは私のことも喰おうとしてたからね。大切な仲間をこんなところで失いたくない。

 

オレンジバルーンの群れはマインさんが殲滅させてくれた。私?私は見ていたよ。尚文だけなら私も応戦したけど、マインさんはどこか信用できないからね。

 

「まさかこんなに1度に襲いかかってくるなんて……。よっぽど舐められてたんでしょうか?」

 

「ハハ……」

 

「怪我してない?」

 

「ああ、不思議と痛くはないな」

 

「本当ですか?頭も直に齧られてましたけど……」

 

「大丈夫だ」

 

もしかしたらこれは盾の勇者としてのスキルなのかもしれないね。流石世界を救う存在といった感じ……。

 

「って尚文、まだ腕にまとわりついてるよ」

 

「……本当だ。痛みを全く感じなかったから全然気付かなかった」

 

「折角だし、最後の一匹は尚文が倒してみたら?」

 

「そうだな。防御力が高いことはわかったし、今度は俺の攻撃力を試してやる……!」

 

そう言って尚文がオレンジバルーンを殴るも、簡単に弾かれてしまった。

 

「こ、この風船ごときがーっ!」ドゴッ

 

またも弾かれる。

 

(いくらなんでも弱すぎる。こりゃ私が前衛に出た方がいいのかな……?)

 

何度も何度も殴り、漸くオレンジバルーンを倒した。そして尚文に経験値が入る。

 

「やっ、やった!経験値が入った!」

 

「頑張りましたね!勇者様!!」

 

うん、尚文は頑張った。頑張ったんだけど……。

 

「烏が鳴いてるね。とりあえず戻ろうよ」

 

「……そうだな」

 

私達は尚文が泊まっているところへと戻った。そういえば私の部屋はどうしようかな……。

 

 

~そして~

 

戻った私達は反省会も兼ねて食事をしている。

 

「今日私達がいるところの先には森があって、そこを抜けると村もあります」

 

「そこの村には何があるの?」

 

「小さな村ですのでこれといったものはありませんが、その先には初心者冒険者向けのダンジョンがあります」

 

「えっと……。つまり?」

 

「私達のレベルを上げるにはもってこいってことだよねマインさん?」

 

「はい!」

 

「それはいいな!」

 

「今の私達ならきっと楽勝です!」ニコッ

 

「そうだな。なあ詩織!」

 

「……うん、そうだね」

 

「?……どうしたんだ詩織?」

 

「なんでもないよ」

 

やっぱりマインさんは信用できないね。近い内に私達を切り捨てそうな……。あの作られた笑顔からそんな感じがした。

 

「一先ず今日はお疲れですよね?勇者様達、ワインは如何ですか?」

 

「あっ、ワインはいいや」

 

「私も遠慮しておくよ」

 

「そうですか……」

 

というか私としては1秒でも速くマインさんから離れたいという気持ちが強かった。

 

「あの……。マイン!本当にありがとう……。全然戦えない盾の勇者なのに、着いてきてくれて。詩織も俺を庇ってくれてありがとう」

 

「私は気にしてないし、持ちつ持たれつでやっていこうよ。何れ尚文の防御力に助けられる日が来るかもしれないしね」

 

「そ、そうかな……?」

 

「ふふ、本当にいい方ですね。盾の勇者は……」

 

……また作り笑い。私はマインさんとはやっていけない気がするよ。

 

「明日もよろしくな。詩織、マイン!」

 

「はい!」

 

「うん、こちらこそよろしくね。尚文」

 

 

 

~そして~

 

私は今尚文のいる部屋の前にいる。さあ、女は度胸だぜ!とノックをした。

 

「……詩織か。どうしたんだ?こんな夜中に」

 

「一狩り行こうぜ!」

 

そう私は尚文を誘った。

 

 

 

 

 

 

~尚文side~

 

「一狩り行こうぜ!」

 

「はぁ?」

 

「私達だけで秘密の特訓をしようってことだよ尚文」

 

夜も更けてきているのに詩織は何を言ってるんだ。

 

「もう夜も遅いのになんで……」

 

「私達、特に尚文のスタートはマイナスなんだ。だから誰もが寝静まっているこの時間にモンスターを倒しまくろうってわけさ」

 

詩織の言い分はわかる。俺の攻撃力は皆無といってもいいからな。俺なりの戦い方を見つけたいところだけど……。

 

「……いや、やっぱり止めておくよ。また明日3人で頑張ろうぜ!」

 

「……そっか。なら私1人で行ってくるよ。おやすみ」

 

「ああ、おやすみ」

 

そう言って詩織は出ていった。

 

この時俺は詩織の提案を呑まなかったことを酷く後悔することになる。

 

 

 

 

 

 

~尚文sideout~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アステロイド!」ボボボッ

 

「キューッ!」

 

ふぅ……。辺りも大分明るくなったし、そろそろ戻ろうかな。

 

トリオン体だと寝なくても大丈夫だからこうやって1日中戦いに費やせるのは良いことだね。スコーピオンと射手トリガーも大分使いこなせるようになったし、次はカメレオンやバッグワームの補助トリガーや弧月とかも慣らしていきたいね。

 

部屋に戻ると尚文が騎士に連れていかれていた。それを見た私は嫌な予感がして、こっそりと跡をつけた。

 

 

~そして~

 

「俺はやってない!」

 

「嘘吐け!じゃあなんでマインはこんなに泣いてるんだよ!」

 

何?尚文は冤罪を着せられてるの?そう思いながら私はマインさんの方を見てみるとアカンベーをしていた。尚文にしか見えないところでやったつもりなんだろうけど、私はそれをバッチリと見ていた。さらに周りの連中は尚文が強姦した犯人だと言い張っており、尚文は完全にアウェー状態だった。

 

……なんでコイツらは尚文の言い分を聞く耳持たないの?なんでマインさん……いや、マインが嘘を吐いてるとは思わないの?なんで北村君も天木君も川澄君も勇者仲間の尚文を信じないの?

 

そう思った私は皆の所へ歩きだした。そして……。

 

「おはよう、尚文」

 

「詩……織……?」

 

尚文に挨拶をした。

 

「尚文も私と一狩り付き合ってくれたら私の戦いっぷりを見せられたのにねぇ」

 

「……ああ、すまん。俺も詩織に着いていかなかったことをかなり後悔してる。誰も俺の話を聞いてくれないし、俺の金と鎖帷子も元康にぶん取られるし……」

 

尚文の目は初めて会った時とは違って酷く荒んでいた。そして事情を聞いた。

 

「そっか……。それは辛かったね。私は何があっても尚文を見捨てないよ」

 

「詩織、ありがとう……!」ポロポロ

 

私は胸を貸して尚文はそこに顔を埋めて泣いていた。

 

「何故盾を庇う!?そいつは我が娘を強姦した犯罪者だぞ!」

 

「そうだそうだ!」

 

国王と北村君を始めとする私と尚文以外の全員が私達を避難する。

 

……そっか。そういうことか。だったら私がやることは1つだね。

 

「……スコーピオン」

 

 

ザシュッ!!

 

 

「が、あああああっ!」

 

「マイン!?」

 

私は諸悪の根源であるマインの腹部をスコーピオンで切り裂いた。

 

「何をするんだ詩織ちゃん!」

 

「安心しなよ。急所は外してるから。……尤も尚文が受けた痛みはこんなもんじゃないよ」

 

「何を訳のわからないことを……!」

 

「それで?王様は強姦未遂の盾の勇者と実の娘を傷付けた冒険者に対する罰はどうするつもり?」

 

「くっ……!本来ならばこのようなことをする輩など即刻追い出すつもりだが、貴様等は波に対抗する手段として必要だから罪はない」

 

「懸命な判断だね。……私は罪人上等だよ。でも必ず尚文の無実を暴いてみせる……!行こう尚文」スタスタ

 

「……ああ」スタスタ

 

「あっ、そうそう王様」

 

「なんだ……?」

 

こんな所にいられるかと一目散に去ろうとして言い忘れたことがあったので、王様……もとい屑の耳元で呟く

 

「何れアンタの寝首を掻かせてもらうから」ボソッ

 

「なっ!」

 

「今度こそじゃあね。次に会うのは波とやらの時だね」スタスタ

 

こうして尚文は強姦の濡れ衣を着せられ、私は王様の娘であるマインに致命傷の傷を負わせたことによって国中から疎まれる存在に成り下がってしまった。

 

 

~そして~

 

「なぁ、詩織はなんで俺を信じてくれたんだ?国中誰も信じてくれなかったのに……」

 

「私はね、嘘を見抜く力を持ってるんだ」

 

「嘘を……?」

 

「そう、だから尚文が嘘を吐いてないってすぐにわかったよ。……あの女が尚文を貶めるために嘘を吐いてることもね」

 

あの女次会った時には殺してやろうかな……?いや、そんなことをしても意味ないか。

 

「さて、これからどうしたものかね?出来ることなら人員補充をしたいとこなんだけど……」

 

「……今の俺達じゃあ誰も仲間になってくれないだろうな」

 

そうなんだよね。さてどうしたものか……。

 




無茶苦茶強引に話を進めてしまった……。

※詩織の姉の野崎維織と詩織の腹違いの妹の川田由良里。当作品ではそういう設定になっておりますが、彼女達はパロキャラ。

よってアンケートの結果でパロキャラを出すことになったら彼女達が登場して本格的に本編に関わります。そうなると詩織がどうなっていくか、そして当作品の展開に大きく影響します。また和解がかなり早くなります。

パロキャラを出さない結果になったら彼女達は名前のみの登場。基本漫画通りの展開で進んでいき、詩織の正体は謎に包まれるルートになります。


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他の勇者達に負けないためにも修行!修行!!修行!!!伝説の盾はどんどん強くなる?

気が付いたらアンケートが消えてたけど、また戻っていた……。何を言ってるかわからないと思うが、俺にも何がなんだかわからない……。初めて使うシステムだから仕組みがわからんね。


これからどうするべきか悩んでいると……。

 

「おい、盾のアンちゃん!」

 

大きな声が響き渡った。声の持ち主はエルハルトさんだった。

 

「……アンタは武器屋の」

 

「仲間を強姦しようとしたって聞いて一発殴らせろと言いたいところだが、そこの嬢ちゃんが一緒にいるってことは噂は嘘ってことだな」

 

「話が早くて助かるよ。エルハルトさん」

 

仮に尚文が強姦したなら女である私がいるのは可笑しいもんね。

 

「……行くぞ詩織。とりあえずレベル上げがしたい」

 

「……そうだね」

 

今は自分自身もつよくならなくちゃいけないし、もしもこれから先1人も仲間が増えなければ私が尚文を支えるしかないからね。

 

「待て!アンちゃんに餞別だ。そんな格好だと舐められるぜ」

 

「服か……。タダじゃないだろ」

 

「まぁ在庫処分品だ。銅貨5枚ってところだな」

 

エルハルトさんのこの発言には少し嘘が混じっていた。

 

「……わかった。必ず返しに来る」

 

「じゃあ今度こそ行こうか」

 

「ああ……」スタスタ

 

尚文は外に向かって歩きだした。

 

「嬢ちゃん!」

 

「何かな?」

 

「……アンちゃんを頼んだぜ」

 

嘘じゃない。この人は本当に尚文を応援してるんだね。

 

「……勿論」

 

尚文は大切な仲間だから、そして友人だから……。

 

 

 

~そして~

 

私はウィンドウを見ながら尚文が戦ってるところを見ている。

 

「うおおおっ!」パァンッ

 

尚文がオレンジバルーンを倒すとウィンドウに尚文のレベル2に上がったという表示が出現する。

 

(しかしこのままだと効率が良くない。どうにかして効率を上げるには……うん?)

 

これは……。これなら!

 

「尚文、ちょっといいかな?」

 

「はぁ……はぁ……。どうした?」

 

「この同行者設定っていうのをすれば私が敵を倒した時に尚文にも経験値が入るかも」

 

「そんなのがあるのか……」

 

「やってみる価値はあるよ」

 

「わかった」

 

 

 

~そして~

 

「よし、じゃあ次は私が戦うよ」

 

「そういえば詩織が戦ってるところを見たことがないな」

 

「……あのクソ女の前で自分の実力を見せたくなかったからね」

 

「……そうか」

 

本当会って1日で尚文を切り捨てるような屑に私のバトルスタイルを見せなくてよかった。

 

「よし、トリガー起動!」ブゥン

 

ワールドトリガーの代名詞とも言える台詞によって私はスーツ姿になった。

 

「服が変わった……?それにその服は昨日の……」

 

「これが私の戦闘着ってことだよ。じゃあ早速……」

 

私はスコーピオンを構えてオレンジバルーンに攻撃した。数日前とは違いそこそこのレベルはあるため一撃で倒すことが出来た。

 

「すげぇ……。一撃かよ」

 

そして経験値が私と尚文に入る。

 

「……どうやらこの同行者設定のおかげのようだね。クソ女はこのことを教えるつもりすらなかったってことみたい」

 

「ちっ……!」ギリッ

 

「今日のところはどんどん敵を倒していこう。尚文のレベルを5くらいまでは上げておきたい」

 

「わかった」

 

それから私達はオレンジバルーンを中心にどんどん敵を倒していった。

 

 

 

~そして~

 

「よし、1度戻るよ」

 

「そうだな」

 

当初の予定通り尚文のレベルが5、私のレベルは9まで上がった。

 

「それにしても詩織は近距離だけじゃなくて中距離や遠距離からも攻撃できるんだな」

 

「うん、他の仲間の戦い方によってスタイルを変えていく感じにしてる。最悪私達2人でもいいけど、やっぱり最低でもあと2人は仲間がほしいかな」

 

「俺がもっと戦えてたら……!」

 

「尚文は私が攻撃を受けそうになったら庇ってくれるじゃん。感謝してる」

 

「……ありがとう」フイッ

 

(照れてるな……)

 

そんな話をしながら私達は町へと戻った。




次回あたりにラフタリア出したい……。


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奴隷獲得。幼女!?幼女なんで!?

段々詩織が尚文至上主義になりつつある件。信者じゃないよ?本当だよ?まぁ盾の勇者と共に成り上がるお話ですし?問題ないよね?


私達はレストランにて1番安い御飯を食べているんだけど……。

 

(味がしない。1番安い御飯だから……?)

 

だとすればとんでもない店だよ!そう思いながら尚文の方を見ると私と同じような表情をしていた。もしかして尚文も……。

 

「ねえ尚文、もしかして……」

 

「おやおや~。そこにいるのは盾の勇者様じゃないですか」

 

……なんか破落戸が2匹出たんだけど。

 

「……出直してくれない?今取り込み中なんだけど」

 

「……いや、構わない。何の用だ?」

 

「いやー、勇者様が寂しそうにしているから俺等が仲間になってあげようと思いましてね」

 

「はははっ!俺等って超優しー!」

 

コイツら……!顔面ぶん殴りたい!

 

「……まず雇用形態は完全出来高制、収入の4割は俺達がいただく。残りはおまえらの働き次第で分配だ」

 

「当たり前だけど、装備品は自腹で揃えてね」

 

尚文に付け加えて私が言うと破落戸2匹は反発しだした。

 

「馬鹿言うな!」

 

「勇者の癖にケチケチすんなよ!なんなら今前払いしてもらおうか!?」

 

ふん、これくらいで交渉決裂とは辛抱弱いね。私はスコーピオンを構えようとすると、破落戸の1匹にオレンジバルーンが噛み付いた。

 

「痛っ!?」

 

「オレンジバルーン!?なんでこんなところに!?」

 

恐らく尚文の仕業だろう。此処に来る前に寄った道具屋で店員がぼったくろうとしようとしたのに対して尚文がオレンジバルーンを使ってあの破落戸のようにしていたからね。

 

「……行くぞ詩織」スタスタ

 

「……了解」スタスタ

 

店内がオレンジバルーンの出現によってざわついてるので、その間に私達は店を出た。

 

 

~そして~

 

「それにしても尚文はオレンジバルーンに好かれてるね。今も何匹かくっついてるし」

 

「……知らない間にまとわりついてな。まぁあんなチンピラ程度ならコイツらの方が何倍もマシだな」

 

「言えてる」

 

オレンジバルーンは凶暴だし、さっきの連中が着いてくるよりは全然戦力になるだろう。

 

「詩織は今予算どれくらいだ?」

 

「私の全財産は大体銀貨1000枚くらいかな。でもこれもすぐになくなるし、これからのためにももっとお金が欲しいな」

 

「そうだな……」

 

金欠辛い。オマケに人数は私達だけ。別に尚文を見捨てたこの国がどうなろうと知ったことじゃないけど、このままだと私達が死ぬのも時間の問題だし……。

 

「お困りのご様子ですね」

 

背後から突然声が聞こえた。

 

「……誰だ?」

 

「うふふ、人手をお探しではありませんか?」

 

そう言って現れたのは全身黒い格好をした怪しいという言葉が凄く似合うお爺さんだった。

 

「……仲間の斡旋には間に合ってる。どいつも信用できないんでね」

 

……尚文はあんな目にあったから誰も信用していない。私のことですら完全に信用したとは言い難いしね。

 

「うふふふ、『仲間』等とそんな不便な代物ではありませんよ」

 

「……どういうこと?」

 

「私が提供するのは嘘を吐けず、決して主人を裏切れない人材でございます……」

 

「おまえ……」

 

成程、この人が提供しているのは……。

 

「盾の勇者様と王女を殺しかけた悪魔と呼ばれる人ですね?誰も仲間になってくれず、自分達以外は魔物しかいないと……」

 

「……へぇ」

 

「うふふ、やはり私の目に狂いはありませんでしたねぇ。貴方達は私の好きな目をしておいでだ。きっと良いお客様になられるでしょう……」

 

『奴隷』だ……。

 

……っていうか私そんな風に呼ばれてるの?

 

 

 

~そして~

 

「どうぞ此方へ」

 

案内されたのは沢山の奴隷が1つ1つの檻に閉じ込められているスペースだった。

 

「亜人種が多いですが、これはこれで便利なものです」

 

「亜人っていうのは人とは何が違うんだ?」

 

「基本的には人間とそう変わらないよ。人とは異なる部位があるってくらいだね」

 

「随分お詳しいですなぁ」

 

昔なんかの本で見たことがあるくらいだけど……。

 

「亜人種は魔物に近いと言われておりまして、特にこのメルロマルクでは生き辛いんですよ」

 

「今の私達にはおあつらえ向きだね」

 

「……だな」

 

今の私達はこの国のほぼ全員に嫌われているからね。

 

「そして当店のオススメが此方でございます」

 

奴隷商が見せたのはレベル75で如何にも戦闘向きな狼みたいな亜人だった。

 

「どうです?素晴らしいステータスでしょう?お値段は……」

 

「言わなくてもいい。俺達が買えないのをわかっていて1番高いものを見せているだろう?」

 

「はい、お得意様になって頂くには良い目を養ってもらわなくては……」

 

この奴隷商はかなり良い性格をしているね。こういった商人に向いているのもわかる。

 

「どのようなものをお望みで?」

 

「……安いのでまだ壊れていないような、家庭向きでもない男がいい」

 

今の尚文は私以外の女は完全に信用出来ない。こうして一緒にいる私にだってまだ心を開いてないのに、他の女なんて論外なんだろう。

 

「そうなりますと戦闘向きどころか愛玩用にも劣ってしまいますがよろしいので?噂ですと勇者様は……」

 

「尚文はそんなことやってない!」

 

気が付けば私は奴隷商の胸ぐらを掴んでいた。今の私はかなり切れているだろう。

 

「……よせ詩織」

 

「……ふん」パッ

 

尚文に宥められて奴隷商の胸ぐらを離す。駄目だな私……。冷静にならなくちゃ。

 

「……どうやら噂とは少し違う方のようですね」

 

「当たり前だよ。尚文がそんなことする訳ないから」

 

「ではこのあたりが勇者様達に提供できる最低ラインになります」

 

奴隷商が見せたのはどれも何かしらの問題を抱えている亜人達。

 

(心なしか奥から死臭が漂ってくる……。そういった意味でも最低ラインってことかな?)

 

そう思いながら歩いていると奥の方から咳が聞こえた。

 

「…………」スタスタ

 

尚文もそれに気付いたのか、咳が聞こえる方へと歩いていくので、私もそれに着いていく。

 

「…………」コホッ

 

咳の持ち主は顔を俯かせている。病気持ちかな?奴隷としてこんな所にいるくらいだから仕方ないのかもしれないけどね。

 

「顔を上げろ」

 

「…………」コホッ コホッ

 

(見たところ10歳前後の女の子って感じだね)

 

「おまえ、名前は?」

 

「え……?」コホッ

 

「……名前を聞いてるんだよ。それとも君には名前なんてないの?」

 

「ラ、ラフ……。ラフ……タリア」コホッ コホッ

 

名前はラフタリアというようだ。種族を見るとラクーン種と出た。

 

「……そのラクーン種はフォックス種に比べると人気もない上にパニックと病を患っておりまして、この先も長くは生きられないでしょう」

 

「……いいじゃないか。詩織はどう思う?」

 

「尚文が良いなら私は何も言わないよ」

 

尚文に賛成した私はラフタリアを改めて見てみる。

 

(ガリガリに痩せた体に酷く怯えた様子。そして亜人でもこの子は普通の人間と変わらない……。あのクソ女を奴隷にするって考えたら尚文にとってきっとプラスになるかもね)

 

「……なら決めた。この女にする」

 

「毎度ありがとうございます」

 

今の私達……特に尚文は冷酷な目をしているだろう。こうして私達は奴隷を手にいれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……だが幼女である。




ラフタリア登場回でした。


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幼女ラフタリアのチュートリアル。尚文は調合師になる?

少しずつとはいえお気に入り登録数が増えていって嬉しい限りです。


幼女……もといラフタリアを奴隷にした私達は武器屋に向かい、早速ラフタリアの装備を整えることにした。

 

「らっしゃい!……おう、盾のアンちゃんと嬢ちゃんじゃねぇか。どうした……」

 

エルハルトさんは私達と一緒にいるラフタリアを見て言葉に詰まっていた。まぁ言いたいことはわかるよ。

 

「この前の借りを返しに来た。それと……」

 

「銀貨6枚の範囲の武器もらおうかな。在庫処分の服もあったらそれもお願い」

 

「……アンちゃんはともかく嬢ちゃんは金をある程度は持ってんじゃねぇのか?」

 

「まぁ最初は武器に慣れてほしいし、安い武器で戦いの感覚を掴んでもらいたいしね」

 

「……あいよ」

 

エルハルトさんは苦い顔をしながらラフタリアの装備を用意しにいった。

 

 

~そして~

 

試着室からラフタリアが出てきた。……随分時間かかったね。

 

「遅かったな」

 

「ご、ごめんなさい……」コホッ

 

ふむ、中々似合ってるね。これでステップ1は終了。

 

「……まぁいい。ラフタリア、ナイフを抜け」

 

「えっ……?」

 

「こいつを倒してみろ」

 

ステップ2はラフタリアの戦闘力をチェック。尚文は懐からオレンジバルーンを出してラフタリアに倒してもらうように促す。

 

「ひっ!モ、モンスター!?」

 

「安心しろ。俺が抑えているからおまえは刺すだけでいい」

 

「いや……。いやぁ……」

 

ラフタリアは怯えている。はぁ……。

 

「これは命令だよ。君に拒否権はない。従わないと……」 パチンッ

 

「うっ……!」ズキンッ

 

「苦しい想いをするだけだよ」

 

私は指パッチンの要領でラフタリアの奴隷紋を起動させた。

 

「これ以上苦しい想いをしたくなけりゃさっさとしろ」

 

「は、はいっ」

 

拙くはあったけど、ラフタリアはなんとかオレンジバルーンを倒すことが出来た。

 

「俺達はおまえに魔物と戦うことを強要する!」

 

「……っ!」ジワ

 

ラフタリアは強いられている戦いに涙目になる。まぁ奴隷としてしっかり働いてもらわなきゃね。

 

「……その代わりおまえは俺が守る」

 

「えっ……?」

 

「勿論私も君を守る。そして戦い方も教えるよ」

 

「頼んだぞ詩織」

 

「任せてよ」

 

私達は武器屋を出て戦いに向かった。

 

 

~そして~

 

「やっぱり奴隷を買って正解だったな。収穫も全然違う……」

 

「それにラフタリアは素質があるからどんどん伸びるよ」

 

ラフタリアは戦いのセンスがある。これは亜人だからなのだろうか?

 

「それに尚文の盾も幾つかスキルが増えたしね」

 

「……調合や調理の技能系ばかりだがな」

 

「でも調合の方は色々使えそうだよ」

 

「そうだな。色々やってみるか」

 

「…………」コホッ コホッ

 

(そういえばラフタリアはずっと咳をしているね。風邪か何かかな?あの奴隷商はパニックと病持ちって言ってたし)

 

そう思いながら尚文の方を見ていると何かを調合したようだ。

 

「おおっ!」

 

「何か作ったの?」

 

「ああ、品質はやや良くて、軽度の風邪に効くって出てる」

 

「もしかしたら薬草よりも高く売れるかもね。これからどんどん作っていった方がいいんじゃない?」

 

「回復薬とかは必須になるから何れはもっと強力なやつを作っていきたいな。これは風邪に効く程度のものだ……」チラッ

 

薬を見た後ラフタリアの方に目をやる。

 

「ラフタリア!これを飲んでおけ」ポイッ

 

「はい……」

 

成程、ラフタリアが咳き込んでいるから効き目があるかを試すために飲ませるわけか。……あっ、吐いた。

 

 

 

~そして~

 

「効いてよかったね」

 

「……だが何本も薬が無駄になった」

 

「調合の練習にはなったからいいんじゃない?」

 

「というかそうでも思わなきゃやってられん……」

 

「尚文、火の番代わるよ」

 

尚文には少しでも休んでほしいしね。

 

「……いや、詩織が先に休んでてくれ。もう少し調合を試しておきたい」

 

「……そういうことならわかったよ」

 

トリオン体なら寝なくても問題ないけど、気持ちの問題ではあるし、少し休んでおこう。




……連日投稿は多分ここまでです。次回からちょっと間が空きます。もしかしたら明日も上げるかもですが……。


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詩織の夢の中。女神との雑談?

明日も上げるかもと言っておきながら間が空いちゃいました。まぁかもって言ってたから確定じゃないよって話ですよ。……すいませんでしたと思っちょります。


目を開けるとそこには真っ暗な空間がありました。……なんかデジャブ。

 

確か私火の番を尚文にお願いして寝ていたと思ったんだけど……。

 

『お久しぶりです。野崎詩織』

 

あっ、私をこの世界に飛ばした駄女神じゃないか!

 

『だから駄女神ではありません!』

 

……そういえば心を読めるんだっけ?なら無駄な考えは止めにしよう。話が進まん。

 

「……そういえばあなたには名前とかあるんですか?」

 

『名前……ですか。女神様と呼んでもらっても構いませんよ?ですが、親しみを込めてという意味なら私のことはスノウと呼んでください。敬語もいりません』

 

スノウ……。雪の英訳だったね。てっきりアクアとでも言うのかと思った。

 

『……そう名乗ろうとは思いましたが、貴女はパクりだと仰るでしょう?』

 

うむ、流石女神。私の思考を読むのは朝飯前ということか。だから思っていた段階で止まった訳だ。

 

「ところスノウ、で私の前に現れたというなら何か用でもあったの?」

 

『そうでした。私はある女神と敵対の関係があるのです。ですが、その女神は私が直接干渉できない世界へと行ってしまいました』

 

「ふむふむ」

 

ん……?なんか嫌な予感がするんだけど。

 

「……一応聞いておくけど、その女神は何処へ行ったのかな?かな?」

 

『詩織、貴女が今いる世界です』

 

聞きたくなかった……。そんなこと聞きたくなかったよ!

 

『しかも彼女は分身を残して身を隠しています。しかもその分身は詩織とはそう遠くない所で生きています』

 

しかも割と近くにいるっぽいし!

 

「……まさかとは思うけど、尚文達がその分身とは言わないよね?だったら私は戦うことを放棄するよ」

 

尚文とはずっと仲間としてやっていきたいしね。

 

『安心してください。彼等ではありません』

 

それを聞いて私は安心した。

 

『ですが、岩谷尚文以外の勇者が仲間にしている者の誰かという情報が入っております。……残念ながら誰かまでは現状わかりません』

 

……成程。

 

「スノウは私にどうしてほしいの?その敵対した女神とやらを私達に倒してほしいの?」

 

『……本来ならばそれは私の仕事です。詩織にはこのことを知ってほしかったから私が勝手に話しました』

 

……とはいえもしもの時はやはり私達がなんとかするべきなんだろうね。

 

「その敵対している女神の名前とかわかんないの?」

 

『名前はメディア・ピデス・マーキナーです』

 

「わかった。もしもの時は私達がそのメディアとやらを倒すよ」

 

『……余り期待してませんが、楽しみにしておきます」

 

期待してないんかーい!

 

『……暗い話話ここまでにしましょう。詩織、貴女がどういう生活を送っているかを聞いてもいいでしょうか?』

 

「えっ?何?気になるの?」

 

『詩織をこの世界に送った私としては気になりますので』

 

「……まぁ別に隠すようなことでもないからいいけど」

 

それから私の目が覚めるまでスノウとの雑談が続いた。

 

……それにしてもメディア・ピデス・マーキナーか。その女神を倒すまでこの旅は続くことだろう。




メディア・ピデス・マーキナーというキャラは盾の勇者の成り上がり(Web版)のラスボスらしいですね。言われるまで知らなかったぜ!

ちなみにアンケの結果がどうであれこのスノウと命名した女神は出すことが決定しておりますゆえたまに出てくることがあります。よってオリキャラのタグとあと原作キャラ強化のタグを追加しました。ですが全てのタグの最後にタグは保険とありますので御了承ください。



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詩織の夢の中。詩織のいた世界では……?

詩織の夢パート2?です。


スノウとの会話が終わったら目が覚めるという訳じゃなく、2人の少女が私の視界に写っていた。

 

『詩織、この本の続きを取ってきて……』

 

っていうかこれ私と維織姉さんじゃないか。

 

『自分で取ってきなよ維織姉さん』

 

『面倒臭い……』

 

『はいはい、わかりましたよ』

 

いやいや、そこは粘って自分で取ってこさせなよ私!……まぁあの面倒臭がりな姉に自分から何かをするって想像できないけどね。何時から姉さんはこんなになってしまったのか……。

 

あっ、シーンが変わるみたい。

 

『ふぃ~、漸く一息っと。NOZAKIの仕事も楽じゃないや』

 

これは私が1人でいるシーン?いや、これは確か……。

 

『お疲れのようですね。詩織様』

 

『由良里……。何時からそこにいたの?』

 

『さて、何時からでしょう』

 

『……由良里は相変わらずだね』

 

『これが私ですから』

 

そうそう、由良里との会話シーンだったね。由良里は神出鬼没で気配を感じなかったことが多々あったから、当時は彼女を忍者だと思ったっけか。

 

そう思っているとまたシーンが変わる。……私達姉妹の割には会話が少ないんだよねぇ。

 

『…………』キョロキョロ

 

『どうかされましたか?維織様』

 

そういえば由良里は私と姉さんのことを面と向かって姉とは呼ばないよね。腹違いとはいえ一応姉妹なのに……。

 

『私のことはお姉ちゃんでいい……』

 

『維織様?』

 

『由良里、冷たい……』

 

由良里の場合は冷たいというよりドライなんだよね。維織姉さんもそうだけど、この2人は無表情に等しいからね。私はある程度感情が表に出るタイプなんだけど……。

 

『何かお探しですか?』

 

『詩織が何処に行ったのか知らない……?』

 

うん……?こんなシーンあったっけ?この2人が2人っきりなこと自体そんなにないのに、私を探すシーンとかあったっけ?

 

『……そういえば見かけませんね。維織様の手足となっている詩織様が珍しいです』

 

『うん、何処にいるんだろう……』

 

いや待って?私は維織姉さんの手足じゃないよ?姉さんも『うん』じゃないよ?

 

文句垂れてると面倒臭がりな姉さんがNOZAKIの社員に何か聞きにいった。あの姉さんが自分から……。人って成長するんだねぇ。

 

『ねぇ、詩織が何処に行ったか知らない……?』

 

『詩織……?誰ですか?』

 

へっ?

 

『っ!!』

 

『……っ!』

 

『維織様と由良里様のお知り合いでしょうか?』

 

『……なんでもない』

 

維織姉さんはそう言って由良里の所に戻った。あれ?私ってそんなに影薄い?でもその割には2人の様子が可笑しかったような。

 

『……これはどういうこと?』

 

『……確証はありませんが、何者かによって詩織様の存在がなかったことになっているかと』

 

えっ、たったこれだけの情報量でそこに辿り着いたの?この妹出来る……!

 

『そう……』

 

『維織様、如何なさいますか?』

 

『今すぐ詩織の部屋を調べる。由良里は准達にも詩織のことを聞いてきて……』

 

『畏まりました』

 

……恐らくこれは私が元の世界からいなくなってしまった後の2人の会話だ。

 

元の世界では私という、『野崎詩織』という存在そのものがなかったことになっているようだ。

 

これは間違いなくスノウの仕業だと判断できる。……この2人は覚えているみたいだけど。

 

『詩織……。いったい何処へ……?』

 

姉さんがあそこまで感情を表に出してるところを見るのは初めてだな……。

 

『今の私があるのは詩織のおかげ……。なのに、詩織がいないと私は、私達は……』

 

維織姉さん……。私がいなくても維織姉さんも由良里も問題ないよ。私なんて2人のついでなんだから。

 

『そうですか……』

 

シーン変わって由良里が情報を集めている場面。

 

『まさか准様も詩織様のことを御存知ない様子とは……』

 

うそん、准さんですら私を覚えてないの?准さんには無茶苦茶お世話になったのに……。

 

こうなってくると私のことを覚えているのは維織姉さんと由良里だけなんだろうね。

 

『……詩織様、一体何処へ行かれたのですか?今のNOZAKIはかなり大変な状況にあるというのに』

 

確かに私はNOZAKIの仕事にうんざりしてこの世界に飛ばされた時は全てを姉さんと由良里に任せようと思ったけど、私だって好きで姿を眩ませた訳じゃないからね?

 

『詩織様がいないと私達はどうなるというのですか……?詩織様が、お姉ちゃんがいないこんな世界なんていっそ滅んでしまうべき……!』

 

……由良里が私のことをお姉ちゃんと呼んでくれた嬉しさよりもヤンデレになりかけている恐怖の方に持っていかれたよ。

 

確かに今のNOZAKIはかなり面倒な状況に陥っている。そんなタイミングで私が姿を眩ませた訳だから……いや、私がいないのが本来あるべき形なんだろう。

 

元々あの世界に『野崎詩織』なんていなかったのだから……!

 

 

「……織、詩織」

 

誰かが呼んでいる。この映像?ともお別れという訳か。映像がぼやけているし。

 

「詩織!」

 

目を開けると尚文が私を起こしてくれたみたいだ。

 

「おはよう尚文」

 

「おはようじゃない。こっちはラフタリアがパニックに陥って大変な状況だったってのに……」

 

そう言うけど、私だって女神に呼び出されたり、姉妹のあれこれを見せられたりで大変だったんだよ?

 

「それは悪かったね。ラフタリアは?」

 

「漸く落ち着いたところだ。全くよく寝てたな」

 

奴隷商が言ってたパニックに陥るという現象だね。私に関しては寝てたかどうかは微妙なラインだけど……。

 

「火の番代わるよ。尚文も休んでて」

 

「……ああ、そうさせてもらう」

 

尚文が休んだのを確認した私は先程の光景について色々考えていた。

 

(私という存在は向こうにとってはあってはいけないものだったんだろう……。でもなんで維織姉さんと由良里は私のことを覚えていたんだろう。もしかしてこれからの伏線とか?)

 

なんて、流石に冗談だよね?




詩織と姉妹である維織と由良里の登場はアンケの結果次第。アンケの結果と私の我が儘次第では出番あるかもしれませんが、出番がない場合は今回みたいな夢パートみたいな感じの登場しかありません……。

まぁ夢でしか出ない濃厚なアンケ結果ですが。


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動物系モンスターは食料的にも素材的にも重宝する。お子様ランチって何歳までが食べるの?

盾の勇者の成り上がりのアニメ見てて、剣の勇者こと天木錬君がマジでキリト君にしか見えない……。


翌日のお昼頃。私達はモンスターを倒してはドロップアイテムを獲得したりを繰り返して町に戻っている。

 

尚文がアイテムを売りに行って私とラフタリアで尚文を待っているという状況である。

 

「…………」ボーッ

 

ラフタリアはボーッと尚文の帰りを待っている状態。暫くすると尚文が戻ってきた。

 

「戻ったぞ」

 

「お疲れ。成果の方は?」

 

「まずまずって感じだな。ラフタリア、行くぞ」

 

尚文が声をかけたが、ラフタリアには聞こえてなかったようだ。というより何かを見ているけど……。

 

ラフタリアの視線の先にはバスケットボールみたいなデザインのボールだった。

 

「……なんだ、あのボールでも気になるのか?」

 

「えっ!?」ビクッ

 

何故そんなにビクついてるのだろうか?

 

「い、いいえ!ぜ、全然っ!欲しくないです!!」

 

(欲しいのか……)

 

(欲しいんだろうね……)

 

なんか微笑ましい。

 

「……買ってやろうか?」

 

「………っ!」ブンブンッ

 

尚文の提案にラフタリアは首を横に降る。奴隷だからといって遠慮しているのかな?……というより。

 

「尚文なら調合とかで造れるんじゃない?」

 

「調合でか?」

 

あのボールを見る感じだとオレンジバルーンの残骸とかで造れそうだけど……。

 

「……やってみるか。調合の練習にもなるしな」

 

そう言って尚文は調合でラフタリアが見ていたボールを造り始めた。その結果……。

 

「出来たぞ。こんな感じか?」

 

「うん、色が違うけど、ラフタリアが見てたボールになったね。ラフタリア、これでどう?」

 

「………っ」パァッ

 

やっぱり欲しかったんだね。嬉しそうなのが伝わってくるよ。

 

「…………」グゥゥゥ

 

今度はラフタリアからお腹が鳴った。忙しいね。

 

「……腹減ったのか?」

 

「…………っ!」ブンブンッ

 

(さっきもそうだけど、なんでそんなに頑なに否定してるんだろう……?)

 

「私もお腹空いたし、御飯にしようよ」

 

あの味がしない御飯でも食べれば空腹は免れるし、空腹だとトリオン体の私はともかく尚文達は力が出ないだろうし。

 

「そうだな、飯にするか」

 

腹が減っては戦が出来ないという言葉があるから食事はとても大事。三大欲求の1つだしね。

 

 

 

~そして~

 

店に入るなり店員は私達を見るなり嫌そうな顔を、辺りの客も私達を見るとやれ奴隷だの、やれ亜人だのひそひそ話が絶えなかった。

 

尚文が1番安いランチを3つ頼もうとするとラフタリアは前の席に座っている子供が食べているお子様ランチを見ていた。食べたいのかな?

 

(年相応といった感じだね。ラフタリアくらいの年齢だと普通なんだろうね)

 

まぁ最近の10歳がお子様ランチを食べるのかは疑問だけど……。

 

「……1番安いランチを2つとあの子供が食べているメニューを1つ」

 

尚文もそれを察したようで、ラフタリア用にお子様ランチを注文する。

 

「えっ!?」

 

「なんだ?食べなくないのか?」

 

「た、食べたくな……っ」

 

「別に食べてもいいんだよ?」

 

頑なに否定するラフタリアに私は食べてもいいと伝えた。尚文も頷いている。

 

「……なん、で?」

 

「ん?」

 

「前のご主人も、その前も、その前の前のご主人も私が喜んだり楽しそうにすると怒ったのに……!」

 

(成程ね。だから頑なに否定してたんだ)

 

奴隷であるラフタリアにとっては主人の機嫌をとるために必死だっんだろう。そう思うと反吐が出るよ全く……。

 

「いいかラフタリア。俺はおまえという戦力が欲しいんだ。刃のないナイフじゃ意味がない。しっかり食べておけ」

 

「空腹で戦えませんでしたで私達は済ませたくないからね。欲しいものや食べたいものには可能な限り応えるから戦いにおいてしっかりと働いてもらうよ」

 

「わかったなら席につけ。飯がくるぞ」

 

「どうぞ」コトッ

 

お子様ランチがくるとラフタリアはがっつくように食べ始めた。

 

(礼儀作法がなってないのは奴隷生活が長かったからなんだろうね)

 

そう思っているとラフタリアは食べる手を止めた。

 

「どうしたの?美味しくなかった?」

 

「おいしい……っ。すっごく!!」

 

「……良かったね」パクッ

 

(う~ん、あんなことがあってからか、食事が美味しいと思えなくなってきたなぁ……)

 

尚文の方を見ると溜め息を吐いていた。もしかして尚文もここの、この世界の食事に味を感じてないのだろうか。

 

 

~そして~

 

腹拵えが終わった私達は外へ出てモンスター達と戦っている。

 

「やっ!」スパッ

 

「うん、バルーン系のモンスターなら1人でも倒せるようになったね」

 

「これならもう少し奥へ行っても 良さそうだ」

 

この奥辺りだと出てくるのはウサピル等の小型の動物系モンスターだけど……。

 

「きゅーっ」バッ

 

思ったそばからウサピルが出てきたね。

 

「おっ、あれもモンスターか?」

 

「あれはウサピルだね。尚文やラフタリアにとっては初めての動物系だけど、今のラフタリアなら倒すのは難しくないよ」

 

「そうなのか?」

 

「ちょっと素早いけど、オレンジバルーンと然程変わらないかな」

 

ちなみに今私がトリオン体に加えて装備している皮のローブみたいなのはこのウサピルの皮が素材になっているらしい。銀貨4枚の安物だけどね。

 

「きゅーっ!」バッ

 

ウサピルがラフタリアに飛びかかってきたので、尚文が咄嗟にガードする。ウサピルは尚文の腕に噛み付いてる状態。

 

「今だラフタリア!刺せっ!!」

 

「い、いや……」

 

攻撃するように指示するもラフタリアはそれを拒む。

 

「どうしたんだ!?他のモンスターと同じようにやれ!」

 

「で、でも、刺したらきっと血が……。血、こわい……」

 

(確かに今まで尚文とラフタリアが相手をしていたのは無生物ばかりだった……。けどこれからは寧ろこんな敵ばかりと戦っていくことになる。だったら……!)

 

「尚文!ウサピルを此方に投げて!!」

 

「わかった!」ブンッ

 

「きゅーっ!」

 

「スコーピオン!」ザンッ

 

尚文がウサピルを投げて、それを私がスコーピオンで真っ二つに切り裂いた。すると返り血が飛んできて切り裂いた私と近くにいたラフタリアにかかった。

 

「ねぇラフタリア、今回は私がこうして倒し方の手本を見せた。でもこのまま戦えないようじゃ私達は君の面倒は見切れない」

 

「っ!」

 

ラフタリアには酷な話だろうけど、私達だってお荷物を抱えている余裕はない。だからハッキリと言わなきゃ。

 

「もうすぐ世界を脅かす波っていうのがくるらしいから、私達は少しでも強くなくちゃいけないんだよ」

 

「…………」

 

呆然としているラフタリアだけど、構わずに私は話を続ける。

 

「だけど尚文は盾の勇者で武器が持てない。なら私が戦うわけだけど1人だと限界がある……。だからラフタリアが駄目なら別の奴と一緒に戦ってもらうよ」

 

「ご、ご主人様は盾の勇者様と、一緒に厄災に戦う……の?」

 

ラフタリアの質問を私の代わりに尚文が応えた。

 

「……ああ、それが俺の役目らしい」

 

「そして私がそれを手伝うって形になるね」

 

「きゅーっ!」バッ

 

さっきのウサピルの仲間が出てきた。数は2匹か……。

 

「……わかった」

 

ラフタリアが呟いた瞬間、2匹のウサピルを切り刻んだ。

 

「……私、戦います。血はまだこわいけど、頑張ります。勇者様達の役に立ちます……。だから、だから見捨てないで……!」

 

ラフタリアは泣きながら、それでいて強い眼で私達に言った。

 

「心配しなくても役割さえこなせば手放したりしないよ。だよね尚文?」

 

「そうだな。しっかりと働けよ」

 

「は、はいっ……!」

 

人間(亜人)が戦いの世界にて最初に恐怖するであろう生き物の血をラフタリアはとりあえずだけど乗り切った。

 

ラフタリアは奴隷になる前、或いは奴隷になった後にも何かトラウマがきっとあるんだろう。けれどラフタリアならきっとそれ等を乗り越えるだろうと私は思っていた。

 

グゥゥゥ。

 

……とりあえず腹拵えだね。




そろそろ第2のアンケートを考えております。


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パーティー結成。私達はカセキホリダー?

個人的にラフタリアはロリ時代の方が好き。……作者はロリコンじゃないよ?


血に対する恐怖を乗り越えた?ラフタリアがウサピルを倒した翌日、私達はあるところに向かっている。その場所は……。

 

「炭鉱?」

 

「ああ、この近くにあって、そこで採れる鉱石を売って金を稼ぐ」

 

「成程ね。了解」

 

これで金欠問題から脱せれるかもだし、レベル上げにも丁度良さそうだという事で、いざ行こうとした時……。

 

グゥゥゥ。

 

お腹の音が聞こえた。音の主はラフタリアだった。

 

「……おまえさっき朝飯食ったばかりだろうが」

 

「ご、ごめんなさいっ……!」

 

「足りなかったのかな?行く前に何か食べさせたら?」

 

私がそう言うと尚文はラフタリアを睨んだが、頭に手を置いて……。

 

「……まぁいい。食ったら行くぞ」

 

「……はい」

 

あの2人を見てると家族みたいだね。……私も『野崎』の家柄じゃなかったら維織姉さんや由良里とこんな風に過ごせてたのかな?

 

 

~そして~

 

炭鉱に着いた私達は何か使えそうな物がないか物色している。

 

「つるはしにロープとここの地図……。結構使えそうなのがあるね」

 

尚文の方を見てみると何かブツブツと呟いていた。

 

「エアストシールド!!」ブワッ

 

「わっ!」ビクッ

 

すると魔方陣みたいな盾が出現した。

 

「それってもしかして新しい力?」

 

「まぁそんなところだ。便利だからこれからも度々使っていくと思う」

 

私もそろそろ新しいトリガーを取得する必要があるね。今はライトニングである技の練習中だけど……。

 

「さて、目指すは採掘ポイントだな……」

 

「奥まで進んでいくってことでいいのかな?」

 

「ああ」

 

「……っ!勇者様、ご主人様、コレ……」

 

話ながら奥へ進んでいくとラフタリアが何かを見つけたようだ。

 

「これは……足跡だね。犬のモンスターのかな?」

 

「棲みついたモンスターかもしれないが、これくらいなら大した大きさじゃなさそうだ」

 

「……犬」

 

犬というところでラフタリアが怯えたような表情をしていた。もしかしたら犬のモンスターに何かトラウマがあるのかもね。

 

「ラフタリア」

 

「は、はいっ」

 

「……危なくなったら逃げる。しっかり着いてこい」

 

「はい……」

 

そのトラウマを私達でなんとか出来たらいいんだけど……。

 

 

~そして~

 

「ここでいいの?」

 

「ああ」

 

採掘ポイントに着いた私達は早速鉱石を掘る準備をする。

 

「よし、さっき解放した盾で掘っていくぞ……!」

 

尚文が解放したのは『ツルハシの盾』というらしい。その盾によって採掘ポイントを表示してくれるらしい。なんというピンポイントな……。

 

ともあれそんな便利な代物ならば採掘は尚文に、松明で尚文の辺りを照らすのをラフタリアに任せて私はモンスターが出ないか見張っている。

 

「っ!」ピクッ

 

(ラフタリア……?)

 

今ラフタリアが何かに反応した。もしかしてモンスターが此方に来ているのかな?

 

「おっ、これは高く売れそうだな」

 

足音が聞こえてきた……。ラフタリアは足を震わせている。間違いなくモンスターだろう。まだ尚文は気付いてないみたい。

 

「気を付けて尚文、モンスターが此方に来る!」

 

「なに!?」

 

「グルルルル……!」ザッ

 

出てきたのは犬のモンスターで首が2つある。

 

「……入り口の足跡よりも大きいね」

 

「だな。気を付けろラフタリア……!」

 

「……っ!」ガクガクッ

 

ラフタリアはかなり震えていた。

 

「ガアアアッ!!」

 

「いやぁぁぁぁっ!!」

 

モンスターが吠えるとラフタリアは悲鳴をあげた。だけど向こうは見逃してくれるはずもなく、ラフタリアに襲い掛かる。

 

「ラフタリアっ!」ガバッ

 

咄嗟に尚文がラフタリアを庇い、2人は水流へ落ちていった。

 

「尚文!ラフタリア!……くっ!アステロイド!!」ボボボッ

 

私はモンスターに目眩ましのアステロイドを放つ。でも相手はしつこく、何発もアステロイドを放ち漸く追い払うことに成功した。

 

(まずったなぁ、トリオンが残り少ない……。このままじゃトリオン体が解除してしまうよ。そうなってしまったら私は戦えなくなる)

 

もしそうなったら自分を囮にして2人でモンスターを倒してもらおう。そう思いながら私尚文とラフタリアのあとを追った。

 

 

~そして~

 

「……なんとか助かったな」

 

「……ごめんなさい、ごめんなさい」

 

「2人共無事!?」

 

「ああ、なんとかな」

 

よかった……。尚文達が土左衛門になるとかごめんだよ?

 

「あのモンスターは?」

 

「とりあえずは追い払ったよ」

 

けどいつ此方に来るかわからない。その時までに体勢を整え直さないと。そう思っているとラフタリアが口を開いた。

 

「……私、戦わないといけないのに、頭がまっしろになって」

 

「何があったんだ?夜泣きの原因もきっと同じだろう?」

 

「差し支えなかったら話してくれないかな?話すことで楽になるよ」

 

まぁ私はラフタリアの夜泣きをよく知らないんだけどね。

 

「…………」コクッ

 

それからラフタリアは自分がある亜人の国の出身であること、厄災で出てきたモンスターによって両親を失ったこと、それ等がトラウマになってしまったことを話してくれた。

 

「……成程、それがトラウマになっているのか」

 

「そしてあのモンスターが両親を殺した奴に見えてしまっていた……か」

 

この世界の厄災ってのはどうして起こってしまうんだろうね。ラフタリアみたいな小さな子供に……!

 

「グルルルル……!」

 

「さっきのモンスター……!もう追い付いてきたの!?」

 

しつこいなこの犬っころは!!

 

「ひっ……!」

 

「落ち着けラフタリア!あれはおまえの両親を殺した奴とは違う!!」

 

「でもっ……!」

 

「いいかラフタリア!今ここでおまえがコイツを倒すんだ」

 

「えっ……?」

 

「おまえが戦って俺達が強くなって厄災が去ればこれ以上おまえのような思いをする子を作らなくてすむ……!」

 

「ラフタリア、君の両親を助けることはもう出来ないけど、その子達を救うのはラフタリアだよ!」

 

「っ!」

 

私達の言葉が今のラフタリアに届いたなら、このモンスターも恐れることはないはず……。あとはこの犬っころを倒すだけ!練習中のトリガーだけど、ぶっつけ本番!上手くいって!!

 

「鉛弾(レッドバレット)!!」バシュッ

 

「ガアアアッ!!」

 

私が放った鉛弾は相手の動きを封じる技で本来なら銃手用のトリガーなんだけど、原作で千佳ちゃんがやっていたのを真似してみた。上手くいってよかった……。

 

「今だよ、ラフタリア!!」

 

「う、うぁぁぁぁっ!!」ザンッ

 

私が足止めしたモンスターにラフタリアが一閃。これで一安心かと思いきや……。

 

「ぐあっ……!」

 

「尚文っ!?」

 

もう1匹いたの!?攻撃しようにもさっきの鉛弾でトリオンが切れかけてる……!

 

「ラフタリアっ!!」

 

「あぁぁぁぁっ!!」

 

尚文に襲い掛かったモンスターもラフタリアが上手く倒した。

 

 

~そして~

 

「尚文!大丈夫!?」

 

「……っ!盾の加護があってもやっぱり怪我するんだな……。でもそんなに痛みはないな」

 

苦笑いしながら尚文は言うと、ラフタリアは尚文に抱き付いた。

 

「いだっ!」

 

「し、死なないで……。もう、1人にしないで……!」

 

ラフタリアの両親はモンスターからラフタリアを庇うように死んでしまった。尚文がその時の両親に重なってしまったのだろう。

 

「……俺達が死ぬのはおまえを攻め手から守り切れなかった時だけだ」

 

「その通りだよラフタリア。今回はお手柄だね」ニッコリ

 

本当にお手柄だったよ。私達だけだったら全滅してたかもしれないもん。

 

「あ、あのっ、お名前を聞いても、いいですか……?」

 

「……まだ言ってなかったっけか?」

 

「そういえばそうだったね」

 

出会って数日経つのに、私達名乗ってなかったよ……。

 

「はい……」

 

「尚文……。岩谷尚文だ」

 

「私は詩織。野崎詩織だよ」

 

「……改めてよろしくお願いします。ナオフミ様、シオリ様」

 

「……ああ」

 

「うん、よろしくね」

 

こうして私達はまた1つ強くなった。でもまだまだ課題が山積みである。鉛弾を上手く使いこなせればトリオン消費もある程度抑えられるはず。

 

スノウ曰く私のトリオン量はこの世界でレベルが上がる度に少しずつ増えるらしい。だからこの面子で波に備えつつレベルアップしていこう!

 

 

グゥゥゥ。

 

 

……腹拵えの後で。




漫画1巻のお話は今回でおしまい!次回から2巻の内容に入っていきます。


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波に向けて準備中。私達は勇者一行ならぬ盗賊一行?

ドラクエⅢをやってて盗賊ってなんか素早さ以外のステータスのバランスいいよね。なんかポケモンでいうところのデオキシスのスピードフォルムみたい。まぁ作者のステ振りのせいかもしれんけど……。


朝が来た。新しい朝が。今日も1日頑張るぞい!

 

「おはようございます、シオリ様!」

 

この声はラフタリア……。もう起きてたんだ。

 

ちなみに私達は3人で1つの部屋を取っており、私、ラフタリア、尚文という並びで就寝している。べ、別に男子がいるからってドキドキなんてしてないんだからねっ!

 

「おはようラフタ……リア?」

 

「……?シオリ様、どうかされましたか?」

 

「……誰?」

 

「ラフタリアですよっ!」

 

えっ、マジで!?亜人って突然変異するの!?

 

 

~そして~

 

ラフタリア突然変異事件?から数日が経った。

 

ラフタリアの話によると幼少期にレベルアップするとそのレベルに比例して最も効率が良くなるように肉体が成長するらしい。

 

とどのつまり今のラフタリアは年齢が10歳で、肉体は成人済みということだ。結論、亜人ってすごい。

 

「いやぁ、見違えたなぁ……。最近見てなかったが何してた?」

 

「宿の人にテーブルマナーを教わりました。ナオフミ様やシオリ様のように上品に食事がしたくて」

 

「……俺達はレベル上げをしただけだ」

 

ちなみに私達は厄災に向けてエルハルトさんの店で装備を整えている。

 

「まぁこのところ咳もないし、よく食べるしで恰幅は良くなったかもな」

 

「いや尚文、それだとラフタリアが太ったみたいになるんだけど……」

 

「そうです!私は太ってません!!」

 

まぁ肉付きは良くなったけどね。

 

「こんなに別嬪になって……!」

 

「そうか……?」

 

「なんだ、アンちゃんは朴念人だったんだなぁ……」

 

「……俺も驚いてるよ。この国がロリコンばっかりでな!」

 

確かにここ数日ラフタリアを見る連中皆ニヤついてるね。ハッキリ言ってキモい。

 

「最近特にそうだ!10歳前後の女の子がそれなりに可愛いのはわかるが、どいつもこいつもヘラヘラと……」

 

「……アンちゃん、もしかしてわかってないのか?」

 

「はぁ?」

 

ここまでの会話でわかるように尚文はラフタリアの肉体成長に気付いていない。まぁ私も最初は誰かわからなかったからね。

 

「親父さん、その話はもう……」

 

「ん?ああ……」

 

ラフタリアも尚文に気付いてもらうのを待つことにしたようだ。

 

「それで?今日は何の用だ?」

 

「今日はラフタリアにそろそろちゃんとした剣を買いに来たのと……」

 

「ナオフミ様の防具を買いに来たんです!」

 

「お、俺のもか?盾の加護があるし必要ないだろう」

 

「それは駄目。前に炭鉱で怪我したのを忘れた訳じゃないよね?ラフタリアの武器は私のお金で買うから尚文は自分の防具を買って」

 

「そうですよ。厄災の期限が近付いているのでしょう?」

 

「……そういえばそろそろだったか?」

 

確かにそろそろなんだけど、具体的に何時何処で起きるかわかるのかな?

 

そう思いながら私達は装備を整えた。尚文の装備はオーダーメイドにするらしく1日かかるそうなので、また翌日に足を運ぶことにした。

 

 

 

~そして~

 

「おっ、来たなアンちゃん!出来てるぜ!『蛮族の鎧』だ!!」

 

……で、出来たのがその『蛮族の鎧』である。なんというかこれじゃあ勇者じゃなくて盗賊だよね。

 

「ナオフミ様!すごく似合ってて格好いいです!!」

 

「おまえ、本気か……?」

 

「はい!ですよねシオリ様!?」

 

「えっ?まぁいいんじゃないかな?」

 

似合っているかは置いといて、尚文にも風格というか貫禄が出てきた気がする。

 

「……まぁ折角作ってもらったし、着ないと損か」

 

「おうよ!更に追加素材もあれば拡張オプションも可能だ!!」

 

「オプションねぇ……。高いのか?」

 

「俺達のよしみだ、安くしといてやるよ。付き合いこそは短いが、アンちゃん達がこの世界に来たばっかの頃から知ってるしな!」

 

「ありがとう、エルハルトさん」

 

「気にするな。アンちゃん達が世間様の言うほどの奴等じゃねぇってこたぁわかってるつもりだぜ?」

 

……この人は本当に親切な人だ。世間で悪評をもらっている私達にここまで親身になってくれるんだから。

 

「……頑張れよ!」

 

「……ああ」

 

「うん……」

 

エルハルトさんから激励をもらい、私達は店を出た。




4月中はこの作品を優先するかもしれません……。


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遂に来た波の戦い。空間からモンスターが出てくるってどんなメカニズム?

フィトリアの声が丹下さんだった。正直ぴったりの配役だと思った。

では本編をどうぞ!


「……っ!」ギリッ

 

「な、ナオフミ様?どうなさったんですか?」

 

「……そっとしときなよラフタリア」

 

「シオリ様……?」

 

「今の尚文はかなり機嫌が悪いからね」

 

(まぁかくいう私も腸が煮えてるけどね……!)

 

厄災まであと十数分。この怒りは波でぶつけよう。

 

どうして私と尚文がここまで機嫌を悪くしているのか……。思い返すとまたイライラしそうだから簡単に説明すると。

 

龍刻の砂時計を見に来たのはいいけど槍の勇者である北村元康とあのクソ女が尚文に絡んできたこと、北村君がラフタリアを口説いていたこと、連中が揃いも揃って尚文を嘲り笑ったこと。

 

この3つの出来事が私達の機嫌を悪くした。まぁクソ女に対しては私がスコーピオンをチラつかせたことで押し黙ったけど、北村君はしつこくラフタリアや私を自分のところへ来させようとしたので私が強引にラフタリアを連れて尚文とこの場を去ったのである。

 

「あの、ナオフミ様にシオリ様……」

 

「どうした……?」

 

「いえ、その……」

 

「言いにくいことなの?」

 

「いえ、これから波と戦うことを思うと感慨深くなりまして……」

 

なんか死亡フラグ建て始めたんだけど……。此処でラフタリアを失うと色々キツいよ?此方としては。

 

「私はナオフミ様とシオリ様に出会えてよかったと思っています。私に生きる術を、波と戦うチャンスを与えてくださいましたから」

 

「……死なれたら困るから出来るだけのことはするが、守り切れるかわからないぞ」

 

「わかっています。……頑張ります」

 

ラフタリアは俯いたかと思えばすぐに顔を上げた。

 

「私はナオフミ様の、シオリ様の剣です。何処までも着いて行きます……!」

 

「……うん、頑張ってね」

 

「……頑張れよ」

 

「はいっ……」

 

そんな話をしていると、私達のいた場所が突然変わった。

 

「此処は……?」

 

「転送されたのか……?」

 

 

ピキッ……!ピキピキッ!

 

 

(さっきから聞こえるこの音は一体……?)

 

音の方向は上からだと思って見上げた。

 

「これは……!」

 

「空が……割れる……?」

 

割れた空から幾数のモンスターが出てきた。あれが厄災の波ってことか……。

 

「まずは此処が何処なのかを確認しよう!」

 

「ああ、そうだな」

 

場所の確認が第1だと思った私達は辺りを見渡すと横から他の勇者達が一目散に先へと進んでいった。

 

「アイツ等、一目散に駆け出しやがって……!」

 

「ナオフミ様、シオリ様、彼処に炭鉱がありました!」

 

「あれは前に行った炭鉱……。っていうことは此処はリユート村の周辺ってことだね」

 

「避難の方はどうなってる!?」

 

「……この状況からして出来てないだろうね」

 

転送されるのは勇者一行だけで騎士団にはされてない……。城からは遠くはないけど、駆け付けるまでには多少の時間はかかる。

 

「待ておまえら!先に村人の避難を!!」

 

尚文も同じ事を思ったのか他の勇者達に呼び掛けるが、狼煙を上げて騎士団に場所を教えただけだった。

 

「見てください!村は此処よりも亀裂が近いです!」

 

「あれじゃあ襲われたらひとたまりもないだろうね……」

 

「……きっとアイツ等は強そうなモンスターを倒すことだけで頭がいっぱいだろうな」

 

何それ……?ゲーム感覚で厄災に挑んでるってこと!?信じられない……。

 

「……行くぞ2人共!」

 

「はい!」

 

「そうだね。騎士団がまだ来てない今村を守れるのは私達だけだから……」

 

私達はリユート村へと向かった。

 

 

~そして~

 

「ひっ、うわぁぁぁっ!」

 

「エアストシールド!」キィンッ

 

「アステロイド!」ボボボッ

 

「はあっ!」ザンッ

 

私達は襲われそうな村人を見つけては尚文のエアストシールドによってモンスターの攻撃を防ぎ、私とラフタリアで攻撃する事を繰り返している。

 

「はぁっ……はぁっ……!」

 

「くそっ!これじゃあキリがない……」

 

「……どうにかして一網打尽にしたいけど、それにはもうちょっと敵が纏まっている必要があるかな」

 

「敵が固まってると出来そうなのか詩織?」

 

「恐らくね」

 

これだけの数の敵だから合成弾で倒す必要があるけど。

 

「……なら俺が敵を引き付けるから頼む!」

 

「ナオフミ様、私も行きます!」

 

「お願い2人共。上手いこと此方に敵を寄せて!」

 

尚文とラフタリアがモンスター達を引き付けている間に私は準備を始めた。

 

「……アステロイド+アステロイド=ギムレット」

 

私は片方ずつにアステロイドを溜め込んで、それによって出来る合成弾のギムレットを作った。

 

「準備出来たよ!2人共離れて!!」

 

私の言葉に反応した2人は離れて、2人が引き付けたモンスター達は都合良く此方に向かってきた。

 

「いけ、ギムレット!!」ボボボッ

 

私が放ったギムレットによってモンスター達に直撃して全滅した。とりあえずは上手くいって良かったよ……。

 

「あの数のモンスターが全滅……」

 

「すごい……」

 

「感心してる暇はないよ!他の所にもモンスターは沢山いるんだから急がないと!!」

 

「ああ」

 

「はい!」

 

私達は急いで他の区域に向かった。

 

 

 

~そして~

 

「此処にも沢山いますね……」

 

「そうだな……」

 

村人の避難を済ませた私達は各々でモンスターを攻撃していた。

 

「とにかく数を減らさないことには……」

 

「……!?詩織、ラフタリア!」ガバッ

 

尚文が突然私達に覆い被さったので、一体何が起こったのか見てみると無数の炎が此方に飛んできた。

 

「……今のが魔法ってやつか?」

 

「そうみたいだね。ありがとう尚文、庇ってくれて」

 

「いや、気にするな。それよりも……!」

 

「流石盾の勇者、頑丈な奴だ」

 

「騎士団……。やっとお出ましか」

 

この国の騎士団連中だ。それにしてもコイツ等……!

 

「ナオフミ様達がいると知りながら何故攻撃したのですか!?返答次第では許しませんよ!!」

 

「何故か知らんが此処にモンスターが密集していて、掃伐のチャンスだった。それだけのことだ」

 

そう、コイツ等は私達がいるにも関わらず……いや、私達がいるからモンスターが密集しているという建前を使って私達を攻撃したのだ。

 

「なに、五体満足なのだからいいじゃないか」ニヤ

 

「なんて言い種……!ナオフミ様達は味方なんですよ!?」

 

「止めろラフタリア」

 

尚文の制止によってラフタリアは不服ながらも下がる。

 

「そう大人しくしていれば我々も間違えなくて済む」

 

このように騎士団は都合の良い嘘を吐く。正直反吐が出るね。でもまぁ……。

 

「ガァァァッ!」

 

「アステロイド……!」ボボボッ

 

「うわぁっ!」

 

「ぐわっ!」

 

騎士団の背後に現れたモンスター達を私は騎士団もろともアステロイドで攻撃する。

 

「貴様!何をする!?」

 

さっきラフタリアが言い合った騎士団のトップであろう人物が私に問いかけた。

 

「何って……君達の背後にモンスターが密集していたから掃伐のチャンスだった。君達と一緒の理由だよ」ニッコリ

 

「ぐ、ぐぬぬ……!」

 

向こうの都合の良い嘘と同じ発言をぶつけたことで騎士団のトップ……もとい髭は悔しそうに下を向いた。

 

「ふっ……。いいか、コイツ等は近い奴から攻撃する!俺が攻撃を受け止めるからその隙を狙え!!」

 

「貴様っ!犯罪者の癖に我々に命令する気か!?」

 

「あのさぁ、敵はあの亀裂から湧き出るモンスターだからね?履き違えるようなら君達をモンスターとして攻撃するよ……?」ギロッ

 

「くっ……!」

 

私が睨むと髭は渋々ながらも尚文の命令を聞いてくれた。

 

「ナオフミ様、シオリ様!空が……」

 

「……元に戻っていくね」

 

とりあえずこれで今回の波は終わりなのかな……?

 

「気を抜くな。まだ溢れたモンスターはいる」

 

「そうだね。態勢を立て直そう!」

 

あとは残ったモンスター達を倒せば一段落だね。

 

 

 

~そして~

 

今回の波は終わったけど、村の損害の激しさを見るにこれからの復興は大変なものになるだろう。

 

もしもこんな波がまだまだ続くのならば、何れこの程度では済まなくなるだろう。

 

「…………」

 

「ラフタリア、どうしたの?」

 

「……私、頑張れていたでしょうか?私のような方を、少しでも減らすことが出来たでしょうか……?」

 

ラフタリアにとってはもう2度と自分のような者を出したくないという思いもあって戦っていた。ラフタリアは波によって家族を失ったから、そんな子達を守りたかったのだろう。

 

「……頑張ってたよ。お疲れ様、ラフタリア」ナデナデ

 

そう言って私はラフタリアの頭を撫でた。




戦闘描写って難しい……。


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束の間の宴。詩織が花摘みの際に出会ったのはまさかの……?

漸く作者は盾の勇者の成り上がりの13巻を買うことが出来ました……。


「勇者諸君、この度は大儀であった!前回の被害とは雲泥の差にワシも驚きを隠せん!今宵は宴だ!存分に楽しむがいい!!」

 

波の戦いが終わりメルロマルク王国では宴が開かれているが、どうにもそんな気分にはなれない。

 

「はぁ……。何が宴だ」

 

「本当だよ。前回の被害がどれくらいのものかは知らないけど、次への課題は山積みなのに浮かれてる場合じゃないってことを他の勇者達はわかっているのかな?」

 

「アイツ等にそんな事がわかるとは到底思えないな……」

 

「だね……」

 

私達は今次に起こる波の戦いに向けてウィンドウを開き、色々と調べている。

 

それで波の戦いについて何かないかと探している最中だ。おや、これは……?

 

「尚文、これを見て」

 

「何々……?砂時計による招集時、事前に準備を行えば登録した人員を同時に転送することが出来る。これって……」

 

「うん、騎士団達も一緒に連れていくことが出来るんじゃないかと思うんだけど、どう思う?」

 

「アイツ等は使わなかったな。知らなかったか、そこまで大したことではないと思っていたか……」

 

「どっちでもいいよ。……私達も次の波の時には騎士団の人達を連れていった方がいいのかな?」

 

「……あの騎士団が俺達の言うことを聞くとは思えん」

 

「だよね。はぁ……」

 

今の私達ではこのシステムを知っても無意味になる……か。

 

「……尚文、私は少し席を外すね」

 

「ああ」

 

とりあえず花摘みにでも行って気分を落ち着かせよう。

 

 

~そして~

 

はぁ……。なんか溜め息しか出ない。報酬のことさえなければこんな所なんかにいないでレベル上げに行くのにな……。

 

「失礼します。盾の勇者イワタニナオフミ殿の御付きのノザキシオリ殿でよろしいですか?」

 

なんか声をかけられた。何故私を知っているのか、警戒する必要がある。

 

「……どちら様で?」

 

「メルロマルク国女王のミレリア=Q=メルロマルクです」

 

「……この国の女王様が私に何の御用で?」

 

女王ってことはあの屑とは夫婦関係ってことだよね。勿論あのクソ女の母親でもあるわけだ……。まさかあのクソ女に攻撃したことに罰でも与える気?

 

「とりあえずは御挨拶に来ました。それと、娘マルティの愚行について貴女にも迷惑をかけたことを謝罪します」ペコッ

 

女王が頭を下げる。……どうやら嘘はついてないみたいだね。

 

「……私は別に気にしてない。それよりもその謝罪は尚文にしてほしいな」

 

尚文はあの冤罪が起きてから人間、特に女性不信になってるんだから……!

 

「……そうですね。ですが、今はそれに応じることは出来ません」

 

「どういう意味……?事と次第によっては女王様といえど只じゃ済まさないよ?」ギロッ

 

私は全世界を敵に回してもいい。その覚悟は出来ているからね。

 

「今は色々とやることがあります。全てが終わった後にイワタニ殿への謝罪や、イワタニ殿達の冷遇を改善致します」

 

「……そのやることって何?」

 

「お話しましょう」

 

私は女王に今女王がやらなければならない事を全て聞いた。嘘を言ってないし、これは尚文に土産話が出来たね。




フライングして女王様の登場でごじゃる。


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休息は唐突に終わり理不尽な決闘を申し込まれる。だがしかし……?

遂にお気に入りの数が100を突破したぜぇぇぇ!


尚文side

 

俺達は王国にて宴とやらに参加している。全く……。報酬のことがなければ、こんな屑共の集まりなんて放っておくのに……!

 

溜め息を吐きながら前を見るとラフタリアがそわそわとしていた。

 

「……どうしたラフタリア?」

 

「あっ、ナオフミ様。シオリ様はどちらへ……?」

 

「少し席を外すって言ってた。それよりもそわそわとしてどうしたんだ?」

 

「……見たこともない料理がいっぱいで、あれもコレも気になりまして……」

 

「気になるならば食べればいいだろ」

 

「ですが余り食べ過ぎると……」

 

「おまえは充分働いただろ。詩織もお手柄だって言ってたぞ」

 

「シオリ様が……」

 

詩織の名前を出した途端にラフタリアは少し俯いた。なんだ?詩織と何かあったのか……?

 

「そこを動くな!尚文!!」

 

詩織と何があったのか聞こうとするが、元康の声によって遮られた。

 

「……何だ元康?」

 

「聞いたぞ!おまえと一緒にいるラフタリアちゃんは奴隷なんだってな!!」

 

元康の奴隷という言葉に周りの連中はざわつくが、俺からしたらそれがどうしたって話だ。

 

「……そうだ。コイツは俺達の奴隷だ。気安く触るな」

 

「貴様……!人は人を隷属させるもんじゃない!ましてや異世界人である俺達勇者にはそんな真似は許されないんだ!!」

 

コイツは何を言い出すかと思ったら……。

 

「それはおまえの理屈だろ?俺は違う」

 

そもそもラフタリアと隷属の契約をしたのは俺じゃなくて詩織だしな。

 

詩織はラフタリアを奴隷にする時俺にこれ以上1人で背負わなくてもいいと言ってラフタリアと隷属の契約をしたのだ。

 

もしも詩織がいなかったら俺は本当に誰1人信用することが出来なくなってしまっていただろう。

 

「決闘だ……!」

 

「あん……?」

 

「決闘だ!俺が勝ったらラフタリアちゃんを解放しろ!!」

 

「はぁ……?」

 

「ちょっ、ちょっと待ってください!私は……!むぐっ!」

 

「ラフタリア!!」

 

ラフタリアが止めようとするが、兵士に口を塞がれる。そしてあの屑共が俺達の前に出てきた。

 

「話は聞かせてもらった。勇者ともあろうものが奴隷を使っていようとは……。やはり盾の勇者は罪人ということか」

 

この野郎……!いきなりしゃしゃり出て来やがって!

 

「それに比べてモトヤス殿の慈悲深いことよ。この決闘、ワシが認め……」

 

「その必要はないね」

 

屑が勝手に元康との決闘を受理しようとすると、詩織が遮った。よく戻ってきたぜ……。

 

 

 

 

尚文sideout

 

 

 

 

 

ったく、嫌な予感がしたから急いで戻ってきてみるとまさか尚文があのクソ共にちょっかいをかけられるとはね……。

 

「遅かったな……」

 

「ごめんごめん。でもナイスタイミングでしょ?」

 

「……まぁな」

 

本当に間に合ってよかった。

 

「詩織ちゃん……?」

 

「……その必要がないとはどういうことだ?」

 

「失せな屑が。あんたの顔なんて見たくないし、声も聞きたくない」

 

「な、なんだと……!」

 

屑こと国王が青筋を浮かべながら震えているが、そんなのは無視して私は北村君に向き直る。

 

「北村君はラフタリアは尚文の奴隷だと思って今回の決闘を申し込んだってことでいいんだよね……?」

 

「ああ、だから俺が勝ったらラフタリアちゃんを解放させようと……」

 

「残念だったね。その必要はないよ。ラフタリアと奴隷の契約をしたのは尚文じゃなくて私なんだから……」

 

「なっ!嘘だろ!?」

 

ラフタリアが私の奴隷だと知って驚いていた。そんなに信じられないかな?

 

「本当だよ。だからその決闘は私が受けてあげる」

 

「だ、だけど……!」

 

完全に尚文と決闘して、勝ってラフタリアを解放すると自分の中で完結してたからこれは想定外だっただろうね。

 

「あれ?尚文には申し込むのに私には申し込まないんだ?ひょっとして自信ないの?私に勝てないようじゃ尚文に勝つことなんて到底無理だよ?」

 

言い淀む北村君に私は挑発する。

 

「……わかった。俺は詩織ちゃんに決闘を申し込む」

 

その挑発に乗ったかはわからないが、北村君は私に決闘を申し込んだ。

 

「俺が勝ったらラフタリアちゃんを解放して、詩織ちゃんも俺と来てもらう」

 

「なっ!おい元康……!」

 

「いいよ。その条件を飲んであげる」

 

「詩織……!」

 

「任せて」

 

今の私は絶対負けないから……!




今月投稿出来るのはあと1回かな……?多くて2回。


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アウェーの決闘!?詩織VS元康。槍の勇者は御馬鹿さん?

平成もありがとうございました。この決闘はギャグ要素が満載でごわす。注意です。名前だけですがオリキャラ出ます。


さて、私と北村君の決闘開始なんだけど……。

 

「モトヤス様ー!頑張ってー!!」

 

「頑張ってください!槍の勇者様ー!」

 

あのクソ女を中心に北村君のパーティー、そして辺りの観客が皆北村君を応援している。対する私は尚文以外は応援なし。完全にアウェーだね……。

 

「両者準備はいいですか……?」

 

「ああ、問題ないぜ!」

 

「此方も大丈夫だよ」

 

「これより北村元康と野崎詩織の決闘を始める……」

 

ちなみにこの決闘の審判は天木君と川澄君にお願いしている。理由としては万が一という認識程度だけど、不正がないようにこの無駄に正義感が強い2人に見張ってもらうためだ。

 

……まぁ例えそんな事になっても私は負けられないけどね。

 

「「始めっ!」」

 

「トリガー起動……!」ブゥン

 

始めの合図と同時に私はトリオン体になる。さて、初めての対人戦だから、トリガーを使わずに私自身の強さだけで戦ってみますかね。

 

「いくぞ詩織ちゃん、乱れ突き!」

 

北村君が槍を連続で突くように攻撃するが、私は全てそれをかわす。

 

「くっ……!これならどうだ!はぁぁぁぁっ!」

 

(これは……溜技?っていうか……)

 

「ほいっ」ドゴッ

 

「ぐわっ!」

 

無茶苦茶隙だらけだったので、腹部に一発御見舞いしてあげた。

 

「な、何をするんだ!?」

 

(えぇ……。まさか責められるとは……)

 

「だって無茶苦茶隙だらけだったからね」

 

「普通は俺が技を繰り出すのを待つ展開だろうが!!」

 

「馬鹿なの?そんな御都合な展開なんて現実にあるわけないでしょ?ゲームのやり過ぎで現実が見えてないんじゃないの?」

 

っていうか最近のゲームでもこんな展開になったら余程の馬鹿でもない限り攻撃してくるでしょ。

 

「錬!樹!」

 

北村君が納得出来ないのか審判である2人に抗議する。嘘でしょ?まさか2人も同じ馬鹿じゃないよね?

 

「元康……。流石にそれは詩織の言う通りだ」

 

「元康さん……。貴方もしかして馬鹿なんですか?」

 

あっ、よかった。流石にそんなことはなかった。

 

「そんな……」

 

なんか北村君が項垂れてるんだけど……。そんなにショックだったの?

 

「そろそろ続けていい?」

 

「ああ、中断してすまない」

 

「大丈夫ですよ。始めてください」

 

2人の声によって決闘が再開される。

 

「じゃあ今度は此方からいくよ」

 

折角だから私も溜技……って訳じゃないけど、右拳に集中力を高めておこうかな。ポケモンで言うところの気合パンチというやつだね。

 

「隙だらけだぜ詩織ちゃん!」

 

さっきとは逆の構図になったので、北村君がドヤ顔で此方に突っ込んで攻撃しようとする。

 

「喰らえ!サンダースピア!!」バチバチッ

 

「よっ……と」ガッ

 

「なっ……!」

 

私は足払いで攻撃しようとした北村君の体勢を崩した。そして……。

 

「気合パーンチ」ドゴッ

 

「がっ……!」

 

気の抜けた掛け声だけど、威力がさっきよりも数段あるパンチを喰らわせた。おっ、50メートルくらい吹っ飛んだ。

 

「…………」ピクッピクッ

 

北村君はというとヤムチャみたいなポーズになってピクピクしていた。勝負ありかな?2人が北村君の様子を見に行ったけど。

 

「……これは決まりですね」

 

「だな……」

 

うん、どうやら決まったみたい。

 

「「勝者、野崎詩織!!」」

 

私の勝利に辺りはシーンとしてた。まぁ当然かな。皆は北村君が勝つって決め付けていたみたいだし。

 

それにしても手応えがなさすぎたな……。私を舐めすぎていたのかな?

 

レベルも私より20は高いからきっとそうだと思うんだけど、折角だからリンさんに教わった暗殺術とかも使ってみたかったな。




アンケの結果的にオリキャラやパロキャラが出ることはありませんと思いますが、今後の展開的に名前だけ登場することがありますので御了承ください。

それでは令和もよろしくお願いします!


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奴隷商へと近況報告。処女奴隷は高価買取?

前回の投稿から1ヶ月も空いてしまった……。


私達は王宮をさっさと出ていき、今は奴隷商の所にいる。理由としてはラフタリアがここまで育ったという報告と新たな戦力を求めに来たのだ。

 

今のメルロマルクは一部の人達を覗いて私達を敵視してるからね。現に決闘が終わった後にあの屑とクソ女が噛み付いてクレームを言っていたのだが、天木君と川澄君によって論破されていて屑2人は押し黙った。そもそも勇者2人に審判を頼んだのはクソ女の魔法とかによる妨害を防ぐためでもあるからね。

 

……で、話を戻すとその一部であるこの場所で戦える人材を探しに来たんだけど……。

 

(相変わらず死臭が酷い……)

 

ラフタリアを買った時のように掘り出し物がないかと最低ラインのゾーンを見つつ、そう思っていると奴隷商がラフタリアを見て驚いた様子を見せていた。

 

「それにしても驚きの変化ですな。これ程までの上玉に育つとは……」

 

「普通に成長しただけだと思うんだが……?」

 

よく言うよ尚文、王宮出るまでラフタリアの肉体成長に気付かなかったのに……。

 

「いえ、もっと私共のような方かと思っていたのですが……。期待外れでしたな」

 

ラフタリアがあんたみたいな性悪に育たなくて良かったよ……。

 

「生かさず、殺さず、それでいて品質を上げるのが真の奴隷使いだと教えてやる」

 

「尚文、今の君すごく悪い顔してるよ……。でもまぁラフタリアはかなり筋が良い。奴隷商さんの言う最低ラインとは思えない程の逸材だったよ」

 

「それはそれは、ありがとうございます。それでこの奴隷の査定ですが、非処女だとして金貨7枚で如何でしょう?」

 

えっ?金貨7枚!?元は銀貨100枚にも満たない最低ラインだったのが一気に跳ね上がったね。いや、そんなことよりも……。

 

「ラフタリア、いつの間に大人の階段登ったの?やっぱり尚文とやったの?」

 

「なっ、なんてことを言うんですかシオリ様!?な、ナオフミ様と……それが出来たら……」ゴニョゴニョ

 

「……?」

 

あっ、ラフタリアのこの反応はまだ未経験ですわ。そして尚文は訝しげにラフタリアと私を見ている。朴念人め。

 

「なんと!では金貨15枚……いえ、20枚で如何でしょう!?」

 

「金貨20枚だって!?」

 

「シオリ様……?」

 

「いや、驚いただけだよ」

 

処女だと非処女の3倍近くの値段で買い取ってくれるのか……。もしも奴隷商側がラフタリアを買い取ったら亜人とはいえ女奴隷ともなると薄い本が熱くなるだろうね。いや、そんなもの読んだことないけど……。

 

「勿論ラフタリアを売る気はないよ。例え金貨100枚積まれてもね」

 

「……ラフタリアは立派な戦力だしな」

 

尚文も一瞬金貨に対して揺れ動いてはいたけど、なんだかんだラフタリアのことを仲間だと思ってるんだね。

 

私のことはともかく、ラフタリアにはこれからもちゃんと仲間として接してあげてね?




決闘終わりの王様のクレームだの、マインのいちゃもんだのは諸事情によりカットしました。申し訳ない……。

次回はフィーロが産まれるところになるかな……?


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