コードギアス 疾速のラペーニャ (水戸 遥)
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プロローグ

「父上僭越ながら申し上げます」

ゲームであればボス戦が行われるであろう形をした場所で1人の少女が目前の椅子に座っている男に言葉を放つ。

その少女の名はラペーニャ・ロ・ブリタニア。第10皇女だ。

「申してみよ」

そう返した男はシャルル・ジ・ブリタニア。第98代皇帝である。

その男が彼女を見る姿はどこか心配している親の様な顔をしていた。

実際親なのだが。

「私をアッシュフォード学園に編入させて頂けませんか?」

そう皇帝に問う少女はどこか緊張の面持ちである。

「え?!」

素っ頓狂な声をあげてしまうのは仕方ないものだと思う。だが、その様子を見て少女は笑いを堪えているようだった。

何せアッシュフォード学園はエリア11にある学園で、もちろん皇族が通うような学園では無い。

「ゴホン。何故そのようなことを聞いたのだ。というか笑うでない」

仕切り直しと、咳払いをして、問い返すが、終わりに告げた言葉はどこか気恥しそうな口調だった。

「うふふふ、すみません。ここでは威厳のある雰囲気を出されてる父上が珍しく普段の様子を見せたので。ちなみに答えを返すと私は普通の学園生活が送ってみたいのです。ダメでしょうか?」

「ふむ。週一回の報告と、生徒会へ入るのなら許可をだそう」

「ありがとうございます。父上!」

 

──────────

 

「と、言うわけで、今日からこの学園に通う事になったラペーニャと申します。皇族ではありますが、皆さんと仲良くなりたいので、気軽に声を掛けて下さいね?」

私の自己紹介も終わり、授業を早速受けて、お昼の時間となった。

今日は顔合わせを兼ねてお昼は生徒会室で食べることになってるからクラブハウスに行かないと……

 

───────────

 

生徒会室に着いたね。私は軽く扉をノックする。

「はぁーい」

中から元気な声が聞こえてくる。この声は、確かミレイ・アッシュフォード。この学園の理事長の孫娘だ。

ガチャッと音がして、扉が開かれた。

「「?!!」」

扉の先にいたのはルルーシュ・ランペルージもといルルーシュ・ヴィ・ブリタニア第11皇子だ。

私はてっきりミレイ会長が出てくると思ってたよ……

「二人ともそんなとこで立ってないで、中に入ってきなさい」

「分かりました」「失礼します」

それぞれ別の返答を返す。

中にいたのはミレイ会長とルルーシュの2人のみだった。

私は勧められるまま席に座り挨拶を済ませる。そして……

「久しぶりね。ルルーシュ」

「え…そうか。会長はお知りでしたね。お久しぶりです。ラペーニャ姉上」

「むー、昔みたいにラペって呼べばいいのに…。どうせ会長以外は知らないんでしょ?あと敬語禁止!」

「は…ふっ。わかったよ、ラペ」

「はぁいはい。とりあえずそこまで!もうそろそろ他の生徒会メンバーが来るから、話は放課後でも出来るでしよ?」

「は?会長それはどう言う……」

「ラペーニャさんも、このクラブハウスに入居するのよ。皇帝陛下が直々に仰せられたしね。」

「わざわざ父上の言葉を聞き入れてくれてありがとうございます」

「あの父上が…まぁラペならそうなるか」

とそこへ足音が聞こえてきて、

「ちわース」「「「お疲れ様です」」」

多者多様の挨拶をしながら入ってきた人達が。

「紹介するわね、この青髪がリヴァル」

「初めまして皇女殿下。よろしくお願いします」

「よろしく。気軽にラペって呼んでね?」

「こっちがシャーリー」

「よろしくね。ラペ」

「ええ。よろしく」

「そしてルルーシュの友人のスザク」

「皇女殿下。僭越ながらよろしくお願いします」

「敬礼は要らないわ」

「失礼しました」

「ふふっ。そしてこっちのちょっと怯えてるような子がニーナよ。他にカレンって子がいるんだけど……」

「会長。カレンは体調不良で早退だそうです」

「ニ、ニーナです。よ、よろしくお願いします……」

「よろしく、ニーナ。別に皇女だからって威張ったりはしないし、ここでは対等にね?」

「は、はい……」

「ニーナはちょっと人見知りなのよね。まぁ、以上でラペと生徒会メンバーの顔合わせは終わります!今日は仕事ないからそれぞれ授業終わったら部活なり帰るなりしていいわよ」

 

そうして生徒会メンバーでの会話を楽しみ。

いつの間にか授業の時間になっていたので、それぞれクラスルームへ別れて行った。

 

───────────

 

そして午後の授業も終わり、私はルルーシュと共にクラブハウスの居室へと向かう。

「なぁラペ」

「分かってる。父上には言わないでくれって言いたいんでしょ?ナナリーのことも含めて」

「…やはりお前には叶わないな」

「たった数時間の差でも先に産まれたからね〜」

私はちょっと意地悪な顔をしながらそう言う。

「ナナリーに会うか?」

「もちろんよ。久しぶりに会えるの楽しみにしてたんだから」

「は?…あぁ、直属の諜報部隊か。父上にも獲た内容は話さないことで知られた」

「そう。あの子達が調べてくれたおかげであなた達に会えるのを知ったのよ」

「そうか。やはりお前はいつも1枚上手だな。さ、着いたぞ」

「あ、私ここの隣だよ?」

「そうなのか?そしたら出来る限り、顔を出してやってくれ。俺は最近忙しくて長く居られないんだ」

「分かった。ねぇルルーシュ?あなた…いや、やっぱりなんでもない」

「……そうか。とりあえず中入れよ」

そう言って、ルルーシュは扉を開けた。

「ただいま、ナナリー」

「お兄様おかえりなさい!」

「失礼するよ。ナナリー」

「あら?その声は……」



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ルルーシュ・ナナリーとのお話

この作品は何故か緋弾のアリア作品の2倍ほどを書いてしまう……
アリアも書かないといけないのに……



「あら?その声は……」

「久しぶりね。ナナリー」

「まさか…ラペ姉様ですか?!」

「そうよ。本当に久しぶりね……」

私はナナリーに近づき、幼い頃と同じように、頭を撫でる。

「この感触…。懐かしいです」

ふと、私はルルーシュを見る。

「ラペ……その辺までにしといてくれ」

さすがに話が進まないからだろう。私はナナリーから手を離す。

「あっ……」

少し名残惜しそうな声を出すが、表情を見るにすぐ切りかえたようだ。

「さて、色々聞きたいこともあるからな。っと、咲世子さん。お茶を用意してくれるか?」

「はい、分かりました」

いつの間にかいた、メイドのような格好をした女の人が答える。

「あぁ、ラペは知らないか。彼女は篠崎咲世子さん。アッシュフォード学園にいる俺たちの身の回りを世話してくれている…メイドだな」

「なるほどね。咲世子さんよろしくお願いします」

「えぇ、よろしくお願いします」

 

「さて、ラペ。あの事件を起こしたのは誰かというのは知ってるのか?」

そう問いかけてくるルルーシュ。あの事件とはルルーシュとナナリーの生みの親であるマリアンヌ様が無くなり、ナナリーの目と足を奪った事件のことだろう。

「1つ聞くわ。ルルーシュちょっとこっちに来て」

そう私は言い放ち、席を立つ。ルルーシュも着いてきてるようだ。

私とルルーシュはナナリーと咲世子さんの聞こえない場所に来る。そして私は口を開く。

「ねぇルルーシュ。まず、黒の騎士団って知ってる?」

「あぁ、もちろん知っているさ。ブリタニア及びこのエリア11にテロを起こしている者達のことだろう?」

「ルルーシュ。あなたはその中の、いえトップに居る。ゼロという人物を知ってるかしら?」

「あぁ、聞いたことはあるな」

「ダウトよ。ルルーシュ」

「それはどういう……」

「ルルーシュあなたは私の直属部隊を知ってるでしょ?」

「なるほど、やはりお前には叶わないな」

「認めるのね。あと、これは私の推測だけど、多分父上も知っているわ」

「どういうことだ?」

「私は最初、普通の民家に住む予定だったのよ。だけど、ここクラブハウスに住むことになった。勅令ではないけどね」

「なるほど、ある意味監視役という訳か?ちょっと待て、という事は、俺とナナリーが生きてることを父上は知ってるということか?!」

「その可能性は高いわね。まぁ、暗殺とかはないと思うわ」

「なるほど、もしバレていて狙われていたとしたら、俺達がここまで生きていられるはずが無い。そういう事か」

「ええ、その通りよ」

 

「それとあなたの聞きたいことに答えるわ。私は犯人を知っている。けど、それを教えることは出来ないわ。それを知ればあなたは壊れる」

「分かった。聞かないでおこう」

「それと、私もギアスを持っているし、効かないわ」

「なっ…それは……」

「私はコードを持ってる。それプラスギアスも使えるってことね。まだ詳しくは話せないけど」

「分かった。ひとまずナナリーの所へ戻ろうか。時間が経ちすぎた」

「了解。行こうか」

 

「すまん、ナナリー。待たせてしまったな」「ごめんねナナリー」

「いえ、そんな…私は大丈夫ですよ」

「ありがとな(ね)。ナナリー」

「ねぇラペ姉様。校内ではなんとお呼びすればよろしいですか?」

「そうだね〜。ラペさん…とかでいいよ」

「分かりました。そう言えば、なぜこの学園に通おうと思ったのですか?」

「ここにルルーシュとナナリーが通ってるのを知ったからって言うのが1つと、普通の学生生活が送ってみたかったからだね。あそこはもう、お嬢様とかラペーニャ様とか言われてつまんなかったしね」

「ふふっ、ラペ姉様らしいですね」

「そう?普通だと思うけどね〜」

「ラペ。お前は昔から変わってないな。普通なら皇女らしくいるが、お前は普通の家庭生活を体験したい。だの、一般人の行くような公園に行きたいと言って、その時警備も身辺警護のみで公園内には知らせるなと言ったり、まぁ変装は完璧にしていたから問題ないようだったがな」

「だってぇ、それに変装って言うより普通の格好をして普通に自分で化粧してただけだよ?」

「それが皇女らしくないというのですよ」

「むー」

 

………………

…………

……

 

そんな話を楽しみ、ルルーシュとナナリーと別れ私は部屋に戻っていく。

 

さて、ここが今日から私の家か〜。うん。私が持ってきてない荷物…スーツケースがあるね。

私は不思議に思いそのスーツケースを開ける。中に入っていたのは拳銃と、特殊な防弾加工のされたアッシュフォード学園の制服と、一般人が着てるような服が入っていた。

送り主を見てみると、

『シャルル・ジ・ブリタニア』とある。つまりこれは父上がわざわざ送ったものだろう。

制服じゃない方は私の側近にでも聞いたのかな。

とりあえず、私は入学と贈り物の感謝を含めてこのエリア11に来て初めての連絡を入れようと携帯を手に取る。

 

『はい、こちらブリタニア宮殿、皇帝陛下執務室です』

日替わりで電話番をしている中の1人が出る。

「あ、もしもし。ラペーニャです。父上に変わっていただけますか?」

『皇女殿下。分かりました。申し訳ありませんが、少々お待ちくださいませ』

そう電話番は言いおき、保留音を鳴らす。

……

『もしもし』

低い声が聞こえてきた。父上だ。

「もしもし?ラペーニャです」

「まずはこう言わせてもらおう。転入おめでとう」




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