衝動で書いた黒歴史 (下手の横好き)
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第一話 全てが終わった後に始まるお話

ビィの人の呼び方書いてる途中で間違ってるの気づいてよかった

追記:投稿して読み直してたら文がくどいところと文字の大きさミスってたので直しました


場所はガロンゾの港、グランサイファーの甲板にてビィはルリアが本らしき物を開いて読んでいるのを見つけた。

「ん?ルリア、その本どうしたんだ?」

「あ、ビィさんこの本はこの前私達が寄った図書艇の司書さんから頂いたんですよ。それで今は時間も空いていることですから読んでみようと思ってまして」

「どんな本をもらったんだ?」 

「そうですね…本、というよりも誰かが書いた日記みたいなものと地図、それに私たちの知らない星晶獣や魔物について書いてありますね」

「へー、オイラたちの知らない星晶獣かー。どんな星晶獣なんだ?」

するとルリアはその本のページをめくり、ビィに見せながら

「えーっとですね。『星晶獣タナトス あの星晶獣に殺されたやつに蘇生魔法をかけたが蘇ることはなかった。傷を負わされたやつに回復魔法をかけたが治りがかなり遅い。エリクサーをかけたら魔法よりか多少早く治った。おそらくアイツには蘇生を阻害する能力と治癒の邪魔をする能力を持っていると考えられる。戦闘を行う際はなるべく無傷で仕留めろ』って書かれてますね。」

「そりゃぁとんでもなく危険な能力を持ってる星晶獣じゃないか。オイラたちもそのタナトスって星晶獣ともし戦う事があるなら気をつけなくちゃな」

「はいっそうですね」

 

 

 

しばらく本をパラパラとめくり、読んでいるとビィから

「しっかしなんで図書艇の姉ちゃんはその日記をルリアに渡したんだろうな?」

「それが、私にこれを渡す時に『そうですか、彼が……それにあれは……なるほど。ならば貴女達には知る権利が、解き明かす必要がいずれくるのでしょうね。ならば私は貴女にこれを、あの人の残したものを託しましょう 』って言ってましたね」

「んー、なんかよくわかんねぇなぁ。その姉ちゃんが言ってる彼ってのもそうだけどあの人って一体誰の事なんだぁ?」

「私もそれは良くはわかりませんが、もしかしたらその『彼』はグランの事かもしれませんね。今度図書艇に寄る機会がありましたら聞いてみましょう。」

ルリアは本を閉じそうビィに言った。

その時にビィは本の裏表紙が何か光ったように見え、

「ああ、ん?ルリア、その本の裏側が虹色に光ってないか?」

ルリアは本を裏返して見てみるとそこには虹色に輝く印があった。

「えっ、そうですか?あ、ほんとですね。今まで気づきませんでしたがなんでしょうかねコレ?」

ルリアとビィはそのことに疑問を抱いていたがそれは唐突に打ち切られた

「そ、その輝きは……ま、ま、まさか噂に聞く図書艇のトップシークレット中のトップシークレットォォォォ!!??」

そこに一人の青年が突撃したからである。

はわっ!?ってヨハンさん、驚かせないでください!」

彼の名前はヨハン。民俗学者のヒューマンの青年でありルリアたち一行とは今回艇の整備や備品の補充のついでに乗船している。

 

「すみません。ですがそんな事よりもその本!図書艇の本じゃないですかっ!?」

「そ、そうですがそれがどうかしたんですか?」

慌てるルリアにヨハンが詰め寄ってくる。ビィが止めているが全くもって無力であった。

「どうしたもこうしたもありませんよ!図書艇の司書長、彼女が本の閲覧は許可しても絶対に渡すことはありません。その彼女が本を、ましてやその中でも虹の魔力印が押された噂でしか存在しない幻の本ですよ。それに彼女の所有している本を手に入れるために国が戦争を起こしたという噂があるくらいに貴重な本なんですよ!?」

「そ、そんなに価値がある本なのかよぉ!?」

「で、でもこれ日記ですよ。ヨハンさんが言うほどの価値があるんですか?」

「日記であろうとなかろうと彼女が虹の魔力印を押すほどの物ですよ!?貴重な情報が書いてあるはずなんです。それにルリアさんは全部読みましたか?」

「ま、まだ読み始めですけど……」

「じゃあ読みしょう!すぐに読みましょう!いえ、先に僕に読ませてください!!!!!」

「ええっ!?」

「そりゃ横暴ってやつだぜぇヨハン……」

興奮して鼻息荒くルリアに詰め寄るヨハン、地味にピンチなルリアに救世主が現れた。

「そうですよヨハンさん、いくらあの図書艇の本だからってそれはダメですよ」

「ゲッ!アルシャさん」

彼女はアルシャ。エルーンの女性で叡智の殿堂の職員である。かつてサンダルフォンが起こした事件の解決後にヨハンが忍び込み、勝手に本を読んでいたために彼女はあの後上司にこっぴどく怒られていた。その後さすがにヨハンも反省したため彼女に謝っていた姿はルリアたちにとって記憶に新しい。

「ゲッってなんですか!ゲッって。はぁ……まあそれはいいですか。それにしてもかの有名な図書艇の本をそれも幻の虹の魔力印が押されている物を渡されなんてすごい事ですよ。私がいる叡智の殿堂でも所持していない本が沢山ありますからね」

その話を聞き3人?はアルシャの方を一斉に見た。

「アルシャさんは見たことがあるんですか?」

そして代表してルリアが聞いてみると

「私はありませんが昔叡智の殿堂の職員の一人が彼女のお気に入りでしてその時に彼女の所有している本を、それも王族でさえ読むことが許可されていない本を読ませてもらったという話を聞いたことがあります」

「ゴクリ……。王族でも読めない本ってそりゃスゲエな」

「という事はアルシャさん、金の魔力印が押された本ということですか?」

「その通りです、ヨハンさん。図書艇の中でも彼女のお気に入りしか読むことができないあの金の魔力印の本です。その本を読むことが出来たその職員のおかげでかつて他空域に存在していたという星晶獣やある国の歴史の真実、既に失伝されている薬や魔法などを解き明かすことが出来た記録も残っています」

「さっきからよぉ、気になってたんだがいいか?」

「はい、なんでしょう?ビィさん」

「その魔力印?っていうのは一体何なんだ?オイラとルリア、さっきから全然わからなくてよぉ」

「ああ、それについては僕が説明しますね。図書艇の本には図書艇の主たる司書長が一冊一冊に自分の魔力で印を押していまして、その印の色によってランク付けがされているんですよ。その中で一般人が読むことができる本には青の魔力印。王族やその国の重鎮が読むことのできる銀の魔力印。あとは彼女のお気に入りとされる人たちのみが読める金の魔力印。そして長年噂になっていて今ここに存在する幻の虹の魔力印が押された本。この4つに分けられているんですよ。」

「どっひゃぁ!!じゃ、じゃあ今ルリアが持っている本はマジでトンデモない本ってことなんだな」

この言葉にヨハンとアルシャの顔は真剣な顔になった。

「トンデモないとかそんなレベルじゃありませんよビィさん」

「ん?どういうことなんだ、司書の姉ちゃん?」

「図書艇の主である彼女は恵まれない子供たちに絵本や教本をあげたり、マナリア学院やアルビオンといった場所からの教本の作成の依頼がない限り渡す事がないからです」

「そりゃさっきヨハンから聞いたけどよぉ、それがどうしたって言うんだ?」

「確かに彼女のことを知らなければそう思うかもしれませんね。先程私が言った通り図書艇には全空の書物を所蔵しているとされる叡智の殿堂にない本をかなりの数所持していることです。それも国の根幹を揺るがしかねない本から、この世界の秘密。更に禁術の本に至るまで。

そんな本を欲している人なんて五万といました。更には彼女に本を渡すように要求した国もありましたが彼女はそれに応じず無視していた話もあるんですよ。中には彼女から稀覯本を奪おうとしたビブリオマニアや軍事強化のためにその知識を奪おうとした国もありましたが彼女はその全てを撃退したという記録を私が以前今までの事件等の編纂をしようとアマルティア(秩序の騎空団がある島)に訪れた際に確認したんですよ。十天衆が彼女にボコボコにされた報告を偶々聞いた時隣にいたモニカさん倒れそうになっていましたからね」

その話にルリアとビィは只々唖然とするしかなかった。

 

 

 

そんな固まっている二人をよそにヨハンはアルシャに

「話を戻してすみませんがさっきの職員さんが見た話……それ、何年前ですか?」

「あ、やっぱりですか?えーっと確か90年前とか言われてましたね。その時も今の司書長と同一人物でしたね。」

「90年前!?あの姉ちゃんそんな前からいたのかよ!それとも今オイラたちと一緒にいるアテナみたいに力を隠した星晶獣とかなのか?」

ビィに同意するかのようにルリアは

「確かにあの時はアテナさんが力を隠していたので星晶獣だとわかりませんでしたからね。それも今度寄った時に聞きましょう」

「ううむ……もし彼女が本当に星晶獣なら本の星晶獣か何かですかね?」

「でも彼女がもし本当に星晶獣でしたら帝国時代のエルステに本を奪われてたいたんじゃないですか?」

そんな事を言ったアルシャに同意する声をかける人物が一人いた。

「彼女の言う通りあの人は星晶獣ではないよ」

「ノアさん、お久しぶりです」

よう、ノア久しぶりだな!

「やあ、久しぶりだね。ビィにルリア、それと初めましてヨハン君にアルシャさん、前にラカムに話は聞かせてもらったよ。僕はノアだよ」

彼はノア、ラカムの古い友人でありグランサイファーの製作者でもある。

 

「は、初めましてノアさん。私は叡智の殿堂の職員のアルシャです」

「初めましてノアさん。僕は民俗学者のヨハンです。さっき何故彼女が星晶獣でないと断言できたのですか?」

「うん、改めてよろしくね、二人とも。さて、何故彼女が星晶獣ではないか断言できる理由だったね。それは僕が星晶獣だからだよ。星晶獣だと力を隠していても薄っすらとだけど相手が星晶獣か否か分かるんだ。僕も昔彼女がこのガロンゾにやってきた時に彼女と話したことがあってね。その時に彼女が星晶獣じゃないって気がついたんだ」

「へー、なるほどな。ノアは実際にあの姉ちゃんに会ったことがあったんだ」

「そうだよ。その時すぐに彼女に星晶獣ってことがバレてしまったけど彼女は気にしないで僕と話してくれたんだよ」

 

 

 

「しっかしよぉ、そんな昔からいるその姉ちゃんが星晶獣じゃないとしたらカリオストロみたいに錬金術で体を作っているのか?」

「それは考えられるかもしれませんね」

「急に話に入ってしまって申し訳ないけど僕はここで失礼させてもらうね。整備ドックの方に行ったラカムにちょっと話したいことがあるから。(それに彼女のあの艇をもう一度調べる必要がありそうだから。確かにあの時艇の中から感じた微かな星晶獣の気配、あれが何だったか調べるためにね)」

「またな、ノア」

「はい、また会いましょうノアさん」

「うん、またねビィ、ルリア。ヨハン君にアルシャさんもまたね」

「はい、また会う機会があったらその時はガロンゾの歴史のお話しでもお聞かせください」

「私もまた仕事でガロンゾに寄る機会がありましたらその時はよろしくお願いします」

そうしてグランサイファーから去っていくノアを見送った。

 

それから3人とビィはラカムたちが戻るまでその日記を読み続けた。

 




補足

図書艇 
羅生門研究所より大きな艇であり、その中はそれ以上に広大な空間ができている
入場料は子供無料、大人10ルピの飲み物付き飲食は艇の甲板で摂れる
艇内には無数のゴーレムがおり、案内や本の検索、調理など
その中で戦闘用のゴーレムは8体
職員は司書長ただ一人


司書長 
見た目はヒューマン
実力は国や十天衆を撃退したとされるがそれは戦闘用のゴーレムが行ったため未知数


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1-2

正直UA一人も来ないかなって思って友達にダイマしてました。

この物語は000の終了後のお話でサンダルフォンがナンセンスだ!!と叫んだ後です。


ルリア達が日誌を読み、ヨハンとアルシャが自室に戻り暫くした後

「おーい戻ったぞー」

「ラカム、お帰りなさい」

「おう、ところでお前達何を読んでいるんだ?」

「それはですね、この前私とビィさんで行ってきた図書艇の司書長さんから頂いた日誌を皆さんと一緒に読んでいたんですよ」

「へぇ、図書艇……ってマジかよ!?」

「ラカムも知ってるんですか?」

ルリアはラカムが図書艇の事を知っている事に興味を持ち、聞いてきた。

 

ラカムは懐かしむような顔をしながら

「そりゃなぁ、俺もガキの頃にグランサイファーの修理や騎空艇の勉強をするために図書艇を何度か利用したことがあったしな」

「ラカムもちっちゃい頃に図書艇を使ってたんだなぁ。じゃあじゃあもしかしたらグランサイファーにいる殆どのやつらは図書艇を今までに利用した事があるのかもしれないんだな」

「そりゃあの艇は全空を行き来できるらしいからな。知らない奴なんて殆どいないんじゃないか?それに俺ら騎空艇乗りにあの艇は有名だからな」

「有名ってさっき司書の姉ちゃんが言ってた国や十天衆を撃退したって話か?」

「まぁそれもあるがあの艇はそれだけじゃないぞ。ほら、お前さん達も実際に見てきたから分かるだろ。あの艇の大きさ、それにあの大きさに不釣り合いな程に船内が広いってのもあってな。それらは俺達にとっては長年の謎ってことで結構有名なんだよな」

「へぇ、なるほどなぁ。確かにあの艇めちゃくちゃデカかったし中もかなり広かったけどまさか艇よりデカいなんて謎がドンドン増えてきてるな」

 

 

そんな話をしてるとラカムはそういえばと前置きし

「ガロンゾの知り合いから図書艇に納品する本を持って行って欲しいって頼まれてよ、次の場所はポート・ブリーズになるぞ」

「わーい、また図書艇に行くことが出来るんですね。司書長さんに色々聞きたいことがありましたから良かったです」

「聞きたい事?」

そこでルリアはラカムに彼女が長年生きている事の疑問などを話した。

 

 

「ハハッ、なるほどな。しかしなぁそれ聞いていいのか?」

「ラカムも気になるだろ?」

「そりゃ確かに気にはなるさ。でもそれを女に聞くのはさすがにマズイんじゃないかって俺は思うし、前にグランが似たような事をマギサに聞いて軽く怒られていた事もあるからそういうのはよしといた方がいいとは思うぜ……」

と少しゲンナリした顔でラカムは言った。

 

 

「そこまで言うならよぉ、オイラは聞くのやめとくぜ」

「私もそうします」

ビィとルリアは若干しょんぼりした様に言った。

 

「ま、そういう事だ。ああ、あと今回ポート・ブリーズにノアもついて行く事になったからよろしくな」

そう言うとラカムの後ろからひょっこりとノアが表れ

「やあ、さっきぶり。僕もラカムが図書艇に行く事を聞いてね、同行させてもらうよ」

「おう、よろしくな!ノア」

「よろしくお願いしますね、ノアさん」

そうして一行はポート・ブリーズへと進路を新たに旅立った。

 

 

 

ポート・ブリーズ群島 主島エインガナ島にて

 

「よぉし、着いたぞ。早速本の納品、と言いたいところだがまずは団長であるグランとジータに会いに行かなくちゃな。依頼の話と艇の整備費の話をしなくちゃいけないしな」

「そうですね、まずは二人に会いに行きましょう」

「そうと決まったら行こうぜ。オイラも久々に二人に会いたいしな」

そうして3人は予め約束していた場所に歩みを進めた。

 

約束の場所に向かっている最中にルリアは

「そういえばノアさんは今回図書艇に何か御用があるんですか?」

とノアにそういえばと疑問をぶつけた。

 

ノアはというと

「ああ、以前彼女と話していたんだけど聞きそびれた事があってね。あとはあの騎空艇がどんな作りで出来ているのか気になってね。あれは僕の知らない技術で作られている艇だからね。」

「お前も知らない技術で作られている艇ねぇ。て事はあの艇は誰が作ったんだろうな?」

「まぁそれは司書長の姉ちゃんに聞けば分かるかも知れないんだしよぉ。そんな事よりオイラ腹減っちまった……」

ビィがお腹を押さえながら言うと隣からグゥゥゥという音が聞こえ

「はぅぅ、そう言われると確かにお腹が空きますね。よし、ビィさん!グラン達との集合場所まで競争ですよ!」

と言ってルリアは走り出した。

「あっ、おいっ!ズリィぞルリアー!」

とビィも全力で飛んで行った。

 

「はーあいつらホントに元気だな」

「ラカムもちっちゃい頃はあの二人みたいにそこらじゅうを駆け回ってたじゃないか」

「よせやい、恥ずかしい。さてと、俺達も追いかけるか」

そうして二人も先に行ったルリア達を追いかけた。

 

とある宿屋の食堂にて

「ルリア達来るの遅いねー、グラン」

「もう少ししたら来るんじゃないかな?」

彼らはジータにグラン。グランサイファーの団長にして双子の兄妹である。かつてエルステ帝国にルリアが狙われた際にグランは命のリンクによって一命を取り留めた。

そんな彼らはシェロカルテの依頼によって暫くポート・ブリーズにいる事になり、その間に艇の整備をしに行ったらどうだとラカムに話し、別行動になった。

そしてイオやカタリナ、ロゼッタにオイゲンもそれぞれの用事のために一時別行動をしている。

 

「ふむ、なら俺は暫く席を外すとしよう。この前寄ったカフェの珈琲、あれは薫り、コク、味、全てが良いものだったのでな。」

「分かったよサンダルフォン、また前みたいに財布を忘れないでね」

「うぐ、分かっているさ。ホラ、ちゃんとこの通り財布は持っているから安心しろ」

彼の名はサンダルフォン。かつて全空を混乱に陥れた犯人であり後に二代目の天司長となる。その後ルシファーの野望を阻止するためにグラン達と共に戦った星晶獣である。好きなものは珈琲。いつか珈琲店を開くために色々と練習している。前に船酔いで吐いた事がある。

 

 

 

サンダルフォンが席を外した後ジータは頭を押さえ

「うーん、頭が痛い」

「え、ジータもしかして風邪でもひいた?」

グランが心配するが、ジータはゲッソリとした顔をして

「そうじゃないよ。ホラ、この前のルシファーが起こした事件の所為で整備したばかりなのにグランサイファーがボロボロになったからね。そのせいでまた整備に加えて修理もしなくちゃいけないしその費用を考えると頭が痛くなってきてね……」

グランも納得したようになり、ジータから今残っている資産と今後に必要な費用を言われサッと顔が青褪めた。

「どどどどうしよう!?それだとかなりヤバいんじゃないの!?」

「幸いにもシェロさん達から褒賞金は貰っているからそう早く資金が尽きることはないだろうけどさ、けど今後の事考えると依頼受ける数増やさなくちゃね」

「団員の皆にも話さなくちゃね」

二人そろって盛大にため息をはき、憂鬱になりながらルリア達が来るのを待っていた。

 

 

 

「はぁ…はぁ……私の……勝ち……ですね、ビィさん……」

「ゼェ…ゼェ……ああ、そして…オイラの……敗北…だ」

そんな茶番をやっていると

「まったく、何やってるんだお前達」

ラカムが呆れて見ていた。

「ほら、中でグラン達が待ってんだから先行くぞ」

扉を開けて先に入って行った。

 

ラカムが中に入っていると頭を抱えている見慣れた二人がいた。

「……オイオイオイ、どうしたんだよ二人とも」

「……ああ、ラカム。今回の艇の整備費諸々は合計でいくらだったの?」

と暗い、深い闇を思わせる声でジータが問いかけた。

「え?あ、ああそれはだな……」

ラカムは明細書をグランとジータに見せると二人はかなり驚いた表情し、

「えぇっ!?どうしてこの値段なの!?」

ジータがラカムに掴みかかって聞いてくる。

「オブッ!?ジ、ジータ落ち着グェッ……」

「ラ、ラカムゥゥゥゥ!!!」

グランの叫びが虚しく響いた。

 

「フー、死ぬかと思ったぜ」

「ごめんなさい……でもなんでこの値段で済んだの?」

ジータは謝りながらも強かに聞いてくる。

「ああ、それはだな俺の知り合いが修理してくれたって事もあるし、どうやらシェロカルテが口利きしてくれたらしくてな、そのおかげもあって色々安く済んだって事だ」

「なるほどね。さっすがシェロさん、やっるー!」

ジータは感嘆の声をあげた。

そこにラカムはジータをジト目で見つつ

「もしかしてアレか?俺はその費用が安く済んだ理由を聞くためだけに絞殺されかけたのか?」

ジータは目を泳がせつつ

「そそそんな事ナイヨ~」

「はぁ……マジでそんな理由でかよ……」

「あはは……災難でしたねラカム」

「オイオイ、そりゃ流石にラカムがかわいそうだぜ」

店内にいる客達の視線に耐え切れなくなったジータはラカムに土下座した。

 

 

その後彼らは図書艇への依頼の話や、ノアが同行することになった話をした。

 

「えっと、じゃあ今回僕達は図書艇に本を納品すればいいんだね?」

「ああ、それであってる。俺の知り合いから頼まれた依頼でな、中々良い金額だしまだ復興を手伝っているお前たちの手助けをする序でに依頼もこなせるから受けてきたんだよ」

「なるほどね。確かに司書長さんは復興の手伝いのために各島にゴーレムを貸し出し回って今この島に滞在しているから丁度よかったね」

ジータは納得したように頷いた。

「よし、そうと決まればご飯を食べてその依頼を達成しよう」

グランがそう〆て各々は昼食にありついた。

 

 

各々の食事を終え、図書艇へと向かい始めた。そこでラカムは

「お前らと一緒にポート・ブリーズに残ったやつらは今どこにいるんだ?」

その質問に代表してグランが

「ローアイン達とシエテは知り合いの喫茶店の店長さんと一緒に復興をしている人たちへの炊き出しをやっていて、サンダルフォンは珈琲を研究しに最近気に入ったカフェに行ってるよ。たぶんその後復興の手伝いでもするんじゃないかな」

「あーそっか、確かその喫茶店の店長シエテの知り合いだったか。前にローアインがそんな事言ってたな」

「そうそう。今回の事もあって十天衆の皆も各地の島の復興の手伝いやその間の魔物の討伐なんかしてるんだよ」

とジータは補足した。

「なるほどなぁ。だったらオイラ達も急いで依頼を終わらせて復興の手伝いをしなくちゃな!」

ビィの言葉に皆頷いた。

 

 

図書艇へ着き、まず一行は図書艇へと入船しようとしたがそこに立ちふさがる物がいた。

「現在図書艇ヘノ入場ハ許可サレテオリマセン」

図書艇に存在するゴーレムの一体が止めに来たようだった。

それに対しラカムは頭を掻きながら

「参ったな、これじゃこの依頼の本を渡せないじゃないか」

とゴチたが、その言葉にゴーレムは反応し、

「暫シオ待チヲ」

とどこかへ向かって行くのを一行は見送った。その数分後ゴーレムは戻ってきた。

「オ待タセシマシタ。コチラニ納品サレル本ヲオ渡シ下サイ」

と、ゴーレムのお腹が開きそこに本を収納するのであろうスペースがあった。

「あ、ああわかった」

ラカムは少したじろぎながらも本をそこに入れた。そしてお腹が閉じ、ゴーレムは

「アリガトウゴザイマス。コレハ私達ノ主カラノ依頼達成書ト報酬デゴザイマス」

そしてゴーレムが去って行こうとしたが

「あ、あの司書長さんは今どちらにいますか?」

それをルリアが引き留めた。

その問いにゴーレムは

「本日司書長ハ復興ノオ手伝イモアリ面会スル事ハ出来マセン。面会ヲゴ希望サレルノデシタラ明日図書艇ヲゴ利用出来マスノデソノ時デシタラ面会スル事ガ出来マス」

と答えた。

ラカムは納得したように

「あーそりゃ仕方ないな。よし、だったら今日は復興の手伝いをしてまた明日会いに行くとするか」

「「「「「おー!!」」」」」

気合を入れ一行はその日は復興の手伝いをした。

 




ゴーレムの見た目に関してですが人型が多く、一部はエルステ帝国のビットみたいな形のゴーレムもあります。

この物語はグラン、ジータの二人団長となっており、原作冒頭で命を失ったのはグランになっています。
そしてこのグラン、ジータは十天の極みに至りし者です。


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1-3 俺の全てを奪ったお前達を俺は許さない

この小説のプロットは失楽園の段階で出来ていたんですが文章に出来ませんでした
自分の文才のなさを恨むわ


次の日グラン達一行は食堂で朝食を摂っていた。

「んでよぉ、今日オイラ達図書艇の姉ちゃんに会いに行こと思ってよぉ、シエテ達も来るか?」

「んーそうだね、俺もそろそろあの時のリベンジをしてみたいし行こうかな」

「俺は昨日仕入れた珈琲豆の淹れ方の研究をするから遠慮しとこう」

「俺らも久々に行きたいとこだけどー行きつけ店のテンチョと約束がありまクリスティなのよ。っつぅ訳でまた今度誘ってほしい的な?」

「「「シクヨロー」」」

「ってことは今回来るのはシエテだけって事でいいんだな?」

ラカムが確認するように聞くとシエテは頷いた。

「十天衆が結成されたばかりの頃にコテンパンにやられたからね。いつまでもやられたままじゃ他の十天衆へのメンツが立たないっていうの?ホラ、俺あまりあいつらに信用されてないみたいだし」

以前十天衆の懇親会があった際の事をまだ引きずっているのだろうか、少し影がかかったように話すシエテにグラン達は苦笑していた。

 

「ん“ん”!それにあの時の俺じゃないってとこも彼女に証明しないといけないからね。そうしないとあのゴーレムの所持している剣、アレの剣拓がいつまでとっても取れそうにないからね」

と真面目な顔をしていたが本音を語ってすぐに崩れた。

「って剣拓取るのが目的かよっ!」

勿論ツッコまれた。

 

 

一行は朝食後図書艇に向かい入場しようとしたところ昨日と同じように引き留められた。

「皆様方お待ちしておりました。面会を希望されるルリア様ですね?司書長様の所へ案内いたします」

と、昨日よりいくらか性能が高いのか言葉が流暢なゴーレムが現れ、案内を申し出てきた。

「あ、ありがとうございます。きょ、今日はよろしくお願いします!」

そんなルリアに一行は微笑ましい顔を向けた。

 

「いえ、私の役目は案内役だけです。そのお礼を言うのは司書長様に言ってあげてください。あの御方は忙しい中時間を割いてこの面会の時間を作ってくれたのですから」

ゴーレムがそう返事をするとラカムは感心したように

「へぇ、かなり性能の良いゴーレムなんだな。もしかしたらオーキスみたいに心を持っているのか?」

ラカムの言った事にシエテが興味を持ち

「そのオーキスって確か今君達とは別行動を取っているって前にルリアちゃんが言っていたゴーレムの子かい?」

「はい、オーキスちゃんは今ドランクさん、スツルムさんと一緒に旅をしているんですよ」

「アイツら大丈夫かなぁ……」

そんな心配しているビィを励ますように

「心配する必要はないよ、ビィ。オーキスちゃんは強いって事を私達は知っているんだから大丈夫だよ」

「そうそう、僕達が心配すればかえってオーキスを心配させるんじゃないの?」

そんなジータとグランの言葉に

「そうだな。オイラが心配するほどアイツらはヤワじゃないな!」

そんな会話をしながら一行は図書艇へと入船した。

 

 

図書艇には人っ子一人いないようで静かだった。

「なんか静かですね。私達が行った時は沢山の人で溢れかえっていたのにあの時とはえらい違いですね」

「ああ、そうだな。もしかしたら昨日の復興作業の疲れでまだ寝てるやつが多いんじゃないか?」

ビィと同じ考えだったのかラカムも頷きながら

「ま、あんだけやってりゃまだ寝ててもおかしくないだろうな」

 

受付が近づいてきたのか

「皆様方、私の案内はここまでとなります。ご有意義なお時間をお過ごし下さい」

と一礼して去って行った。

 

「え、行っちゃったけど大丈夫なの?」

グランは心配そうに辺りを見回している

「大丈夫でしょ。ホラ、あそこに案内板と地図が置いてあるみたいだよ」

ジータが指さす方を一行は見た。するとそこにはジータが言った通り案内板と簡単な見取り図が置いてあった。

「ふむふむ、なるほどここを真っ直ぐ行ったら受付か」

シエテが読み上げていると

「今回は彼女と話している時間はなさそうだから僕は図書艇を探検してくるよ」

とノアは別行動をとってしまった。

「いいのかラカム?」

「大丈夫だろ。ノアのやつも図書艇の事は前からずっと気になっていたってこの前ガロンゾで会った時に言っていたし、今回は図書艇自体を調べる事にしたんだろ」

「ノアでも気になるんだなこの艇」

「とても興味深いって言っていたくらいだしなぁ」

「ふーん」

そうしながら一行は受付へと案内板に従って行った。

 

受付へと辿り着くと一行に話しかける人物がいた。

「ようこそ、皆さんが来るのを心よりお待ちしておりました」

女性が話しかけてきた。

「今日はお時間を作っていただきありがとうございます!」

ルリアは自分で考えられる最大限のお礼の言葉を伝えた。

「いえ、いいのですよ。私もまた貴女とお喋りをしたかったのですから。アラ、貴方はラカムですね。大きくなりましたね」

その言葉にラカムは恥ずかしそうに頬をかき

「あ、ああ久しぶりだな。あの時アンタが知恵を貸してくれなきゃ俺はグランサイファーの修理を一からやるなんて出来なかった。……感謝している」

「いいえ、そんな事はありません。例えあの時私が貴方に力を貸さずとも貴方はこの空をグランサイファーと共に飛び立つ事が出来ましたよ。

それにあの時から貴方は立派な騎空士でしたよ」

その言葉に更に恥ずかしくなったのかラカムは顔を背けてしまった。

そんなラカムを一行は優しく見ていた。

 

「見えてはしていましたがまさか本当に来るとは思いませんでしたよ。天星剣王さん」

「そう言われるとちょっと傷つくなぁ。まあ俺の目的としてはあの時のリベンジに来たのさ。今度こそ剣拓を取らせてもらおうと思ってね」

「貴方……よく飽きないですね。はぁ…まぁ、いいでしょう。やるなら甲板でして下さい。今は誰も来ていませんから」

「ありがとうね。じゃあ団長ちゃん達、俺はリベンジしてくるからここから別行動させてもらうね」

「えっと……負けないでね、シエテ」

「負けたらフュンフとカトルにチクってやるからなー」

「ちょ、ジータちゃんそれマジ?」

「勝てばいいんだよ、勝てば」

その言葉にシエテはニッ笑い

「そうだね。ああ、勝ってくるよ」

と甲板に向かって行った。

 

 

「さて、ではルリアさん。貴女は私がこの前あげたその日誌の事で聞きたい事があって来た、であっていますか?」

「はい。それもありますが私は司書長さんが何時産まれたのか、そしてこの日誌に書かれた事は本当に起こった事なんですか?」

「あ、おいっルリアその話は聞かないって決めたじゃないか」

ビィは止めるが

「いえ、問題ないですよ。確かに私が何時から生きているなんて聞きに来る人は偶にいますから。そして答えは秘密です」

「やっぱりそう答えるか」

「ええ、そう簡単に答えを教えては面白くありませんからね。さて、日誌の内容でしたね?書いてある事は事実です。それにあの時に私は貴女に解き明かす権利があると言いました。始めから答えを教えてもらっては解き明かす必要がなくなってしまいますよ?」

「で、でもこの内容が本当の事でしたらあの覇空戦争で世界が滅びた事になるじゃないですか!?」

ルリアのその言葉に一行はギョッとした。

「え!?どうゆう……こと?」

ジータが質問するが

「じゃ、じゃあそれが事実なら」

「ええ、事実です。確かに世界は滅びました。そこに書いてある星晶獣も魔物もそして幽世の住人達の事も全てが事実です。でも今は関係ないじゃないですか。今こうして世界は存在し、貴女達は生きている。……それだけで十分じゃないですか」

「でも……そんな事って……じゃあこの日誌を書いた人が星の民に、星晶獣に行った所業も……酷すぎます」

ルリアはポロポロと涙を流しだす。

「戦争なのですからそのくらいの事が起こっても仕方ありません。何よりも戦争が起きた原因は彼らの支配があまりにも空の民を虐げ過ぎたのですから当然の報いを受けただけだと私は思いますがね」

そう言い切られルリア突然へたりとその場で座り込んだ。

「お、おいっ!ルリア大丈夫か?」

ビィがルリアを慰めるがルリアはただ涙を流すだけだった。そんなルリアをグラン達は呆然見ていた。

 

 

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図書艇を離れ、一行は泣き疲れたのか寝てしまったルリアを運んでいた。

「いやーそんな事があったんだね。お兄さん驚いちゃったよ」

ボロボロになったシエテに先程あった事を話した。

「オイラがルリアと読み終わった時は覇空戦争の事なんて書かれてなかったのによぉ。いつの間にか書かれていたんだ?」

「ちなみにどんな事が書いてあったんだい?」

ビィが言っている内容に気になったのかグランが聞いてきた。

「えっと確か魔物や星晶獣の事、後は食い物や薬の作り方なんかが主に書かれていたな」

「て、するとなんだ。そのルリアが言っていた内容は急に現れたって事になるのか?」

「ま、世の中にはある条件下で隠れた内容が浮かび上がる魔本なんていうのもあるからね。そのルリアちゃんが今持ってる本もその魔本に分類される本だったんじゃないのかな?」

「へーそんな変わった本があるんだ」

ジータが感心したような声をだす。

 

「しかしなぁ、あれが本当だったのなら世界は覇空戦争時代に滅んでまた作られたって事にならないか?」

「でもラカムそれだったら今星晶獣がいる事がおかしいって事になるんじゃないの?」

ラカムの疑問にグランがおかしな点を指摘する。

「あ、あーそうなるか。確かにそうなるか。だったら今ティアマトやノアが存在する事自体がおかしなことになるのか」

一行はこの謎が分からぬまま、ルリアが起きるのを待っていた。

 

「そういえばシエテ」

「どうしたんだいグラン君?」

「ゴーレムとの戦いはどうなったの?」

グランの言葉にそういえばと皆はシエテを見る。

「なんとねーついに」

「「「「ついに?」」」」

「剣を抜かせることが出来たんだよ。……まぁその代わりまたボコボコにされたけど」

「おー、すごいじゃん!シエテ」パチパチパチ

ジータが感心したように拍手した。

「ありがとうジータちゃん」

「でも、フュンフとカトルには言うね」

「ヒドッ!って負けた訳じゃないから、今回は相打ちみたいなものだからセーフ!今までは剣を抜かせる事が出来なかったのについに抜かせることが出来たんだよ!?これは快挙なんだから」

必死に言い訳をするかのようなシエテにジータはニヤニヤしながら

「ほんとかなぁ?」

そんなジータとシエテのやり取りはルリアが起きるまで続いた。

 

 

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さて、一行とは別行動をとっていたノアはというと

(さて、今だったら監視の役目をしているゴーレムの大半が復興の手伝いで出ているからなんとかなったけど、これは予想以上に広いな。)

図書艇の中で探し物をしていた。

(ダメだ、あの時感じた異質な星晶獣の気配が全く感じない。あの時偶々いた星晶獣だったのか?いや、そんなわけあるはずが「探しモノは見つかりましたか?」)

「ッ!?」

考えこんでいたノアは急に話しかけられ咄嗟に身構えたが、

「ああ、驚かせてしまいましたね。これは申し訳ございません」

そこにいたのは司書長であった。

「いや、大丈夫だよ。それと探し物はどうやら僕の気のせ「星晶獣を、探しているんですね?」……君は一体何を隠しているんだい?」

「それは秘密です。私達が守ったモノをその役割を果たし終えるまで隠し続けるだけです。それに、貴方もう確証されているのでしょう?さて、私はこれから次の島への出航をいたしますのでどうぞお引き取りをお願いします」

「……分かったよ」

「ええ、では良い1日を」

 

 

「お前達星晶獣に何も知る権利も必要もない」

 




文才がほしい。アイデアは溢れ出てるのに書けない
案内役のゴーレムに心はありません。ただ性能がよく言葉が流暢に話せるだけです。


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1-EX 彼女の原点、彼らの終点

今回は古戦場のため短め

ガチャはマキュラとシヴァ(両方キャラ)でした


眠っているルリアは夢を見ていた。

 

そこは一切の光がない暗闇。しかし、少しすると目が潰れる程の光が差しすぐに収まった。が、また少し後に人らしき悲鳴が聞こえ始めた。

(一体……何が始まっているんですか?)

やがて悲鳴は無くなり耳が痛くなるほどの静けさがやってきた。そして、また光が差し、しばらく金属音が聞こえたが一際大きな悲鳴が聞こえるとまた静けさが訪れた。そしてすぐに何かを開ける音や壊す音が聞こえ始めた。そしてそれが徐々にルリアがいるらしき場所に向かってきた。

(え、え?誰かやって来る。でも誰が……怖い、助けて……グラン)

そして遂にルリアがいる場所の壁らしき物が破壊された。

そこには一人の男性が立っていた。顔には影がかかっていて見えなかったがその男性はルリアに害意は無いようで、手を差し伸べていた。

その手をルリアが取ろうとすると場面が変わった。

 

 

 

そこには本が沢山置いてあり、辺りには魔女や魔法使いらしき人達で溢れかえっていた。そしてルリアの隣には先程の男性が座っており、ルリアに本と何かを書いたような羊皮紙を用いて何かを教えていた。そんな男性は時折困ったような顔をして隣に座っている女性に話しかけたが女性は何かを言い、男性はその言葉に頭を抱え再び何かを教えていた。その様子を女性は笑って見守っていた。

そんな光景にルリアは自然と笑顔になった。

 

 

 

そしてまた場面は変わり、ルリアはその光景に呆気に取られた。

何故ならそこは地獄になっていたからだ。

見たことがないおぞましい化物達の死体が山の様に出来、辺り一面が血の海になっていた。

(うぅ……酷い)

そんな吐き気がこみ上げるルリアをよそに場面は移る。

 

 

 

場面は移った。帽子を被った少女が誰かの服を掴んでいた。

掴まれていた男性は困ったような様な雰囲気を出しているのをルリアは感じた。

そしてルリアはその男女にどことなく見覚えがあった。

(あれ?よく見ると誰かに似ているような……でも誰なんだろう、あの人達)

その男性は少女に何かを言い聞かせたようで少女は泣き崩れていた。それでもその男性は後ろを振り返ることなく7人の様々な種族の男女と共に騎空艇に向かって行くのをルリアは眺めていた。

 

 

 

 

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ルリアが目覚めると見慣れたグランサイファーの天井を見ていた。そんなルリアにグランは心配そうに声をかけた。

「あ、目が覚めたんだねルリア。大丈夫?うわ言を言うほど魘されていたから心配したよ」

「え、あ……わ、私寝ている間に何か言ってましたか?」

「うん、行かないでとか置いてかないで、私も連れて行ってとか言っていたけど嫌な夢でも見ていたのかい?」

「はい……誰かがどこかに向かうのを必死に止めている夢を見ていたような気がします」

「もしかしてあの日誌に関係する事なのかな?」

「それは……わかりません。でも、最初は救われたような気がしたんです。でも途中からとても苦しくて辛くて寂しくて悲しい夢でした……」

「とても悲しい夢だったんだね……」

「はい……」

そんなルリアをグランはビィ、ラカム、ジータがいる食堂へと連れていった

 

 

 

「心配かけてごめんなさい、皆さん。私は大丈夫です」

気丈に振舞うルリアに皆は更に不安になったようであった。

「本当に大丈夫?もし悪かったらもう少し寝てた方がいいよ」

「そうだぜ。騎空士は体が資本なんだからよ、休むのも仕事だぜ」

「……いえ、今はどちらかというと起きていたいので大丈夫です」

「なんか嫌な夢でも見たのか?」

「うぅ、はい……」

ルリアは夢で見たことを話した。

 

 

「まぁ夢なんだからよ、そこまで気にする必要はオイラはないと思うぜ」

「そうなんですが、どうしてもその光景が頭に焼き付いて離れないんです……」

「そんなに気になるならまた司書長さんに聞きに行けばいいんじゃないの?」

「ジータ、もう司書長はこの島にいないぞ」

「えっ、そうなのラカム?」

「ああ、さっきノアに会った時にもうあの艇は次の島に出航するって司書長が言っていたらしいからな」

「次の島ってどこだかわかる?」

「近い島から回っているらしいからイオがいるバルツに向かっているんじゃないか?」

「それだとイオを迎えに行くし丁度いいかもね。そういえばラカム、ノアはどうしたの?」

ジータの疑問にそういえば、とルリアが思っていると

「ああ、あいつなら先に定期便でガロンゾに帰るって言ってたぞ」

「もう少しノアと話したかったのになぁ」

「オイラもだぜ」

「今更言っても仕方ねぇよ。よし、じゃあ次はバルツに向かうか」

ラカムがそう締め、一行は出航の準備に取り掛かった

 

 

 

 

 

その夜ルリアはまた夢を見ていた。

(この光景、またあの時の……)

そこには帽子を被った少女が男性の服を掴んでいる同じ光景だった。

だが今回は前回と違い声が聞こえた。

「ねぇお願い———、私も連れてって!」

「ダメだ—ア——。お前にしか———を起動する事が出来ないんだ。だからお前はここに残って時が来るのを待ち、———を起動するんだ。大丈夫だ護衛としてコ————も一緒に残るから安心しろ。頼むぞ—————」

その男性の言葉に楽器を持っている人が頷く。

「分かりました———。僕は貴方の最後の命令を聞き届けましょう」

「ガハハハハハハ!最後だなんて言うなよ、縁起が悪いじゃないか。なあ、———?」

その青年の言葉に男性は苦笑いし、斧を担いだ成人男性のドラフよりも更に大きい男性が笑った。そして回りの仲間らしき人達も笑った。

「まったくその通りだぞ———。エローエの言う通りだ。それにここで終わりじゃねぇ。俺達は生きて必ず帰ってくる。約束だ」

「……約束?」

「ああ、約束だ。必ず生きてお前たちのところに戻ってくる。そうだろ、お前ら!?」

その言葉に少女と先程頼まれた人以外が各々の武器を掲げ声をあげる。

「———……いいえ、僕のマスター。僕は貴方が必ず帰ってくるのを待っています。どうか勝ってください」

「分かっているさ。だけどよ、何回も言っているが俺はお前を別に作ったわけじゃないんだぜ。マスターって呼ぶ必要はないってのに」

「いいえ、それでもあの時貴方がいなければ僕はあそこでただ己が朽ちるのを待つ人形でした。だから僕は貴方が何と言おうとマスターと呼びます」

「まったく……製作者のアイツもそうだがお前らホントに頑固だな」

男性は苦笑いをしたが青年は朗らかに笑い

「ええ!僕の自慢の父さんですから」

その言葉に再び笑いが起こる。

「……だがまあ、こういうやり取りも悪くないな。さて、そろそろ始まりの地へと決着をつけに行くとするか!」

その言葉を機に男性を含め8人は騎空艇に向かって行った。それでも少女は向かって行った彼らを見、顔を伏せて泣いていた。まるで、彼らが帰って来れないのを確信しているかのようだった。

 

 

「ううん……あれ、涙?……私、またあの夢を見ていたのでしょうか……?」

そしてルリアに朝が訪れた。

 




エローエはイタリア語で英雄という意味です

ドラフより大きい男性(エローエ)の身長は3mくらいだと考えてください
モデルはShadowverseの古の英雄です
そのためタグにクロスオーバーをつけました


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2-1 かつての私の居場所

普段の就活の疲れからか黒塗りの古戦場を膝に受けてしまったので初投稿です




バルツに着いたルリア達一行は司書長に話しをしに行った。

「今回はどうなさったのですか?」

「あ、あの実は夢を見たんです」

「夢、ですか?」

「はい……誰かの記憶のような夢でした」

「それが私と関係あるのですか?」

「もしかしたらその夢がこの日誌と関係あるのかなって思って」

「はあ?そうですか」

「えっと、その夢である人の名前を聞きましてもしかしたらその人の事を司書長さんは知っているんじゃないのかなって……」

「……まあ、いいでしょう。それでその人とは誰なんですか?」

「確か……エローエって名前でした。知っていますか?」

「……いえ」

司書長は否定したが間髪入れずにグランが畳み掛けた。

「今の反応を見るに貴女は知っているはずだ。お願いします、教えてください。この日誌を司書長さんが託した意味を知りたいんです」

そうすると司書長は困ったような顔をし、

「確かに私は貴女に知る権利があると言って渡しましたが、この前も言った通りそう簡単に答えては意味がないとも言いました。すぐに知る必要はありません。少しずつ分かる事に意味があるのですから」

「……そうですか」

「ですが、そうですね……一人くらいなら知っていてもいいかもしれませんね」

 

 

 

 

「ああ、そうだルリアさん」

「はい、なんですか?」

「そのエローエの姿は夢で見ましたか?」

「はい。ドラフよりも大きい男性でした」

「……そうですか。他にも誰か見ましたか?」

「はい、夢の最後にそのエローエさんも含めて10人見ました」

「……なるほど」

「えっと、どうかしたんですか?」

「いえ、唯の確認です」

 

 

 

 

 

そして司書長は紅茶を一口飲み話し始めた。

———エローエ、彼は覇空戦争の英雄の一人です。他にも英雄はいましたが今回は彼の話をしましょう。彼は普通のドラフよりも大きくて力がありました。まあそういっても彼の種族はドラフで間違いないはずです。彼がそう言っていましたから。あとはあの中で2番目に年上だったはずです。年齢?ええっと……最期は確か……94歳でしたね。結構お爺ちゃんですね。

彼には異名が幾つかありましたね。不死身の男、古の英雄、怪力無双の鬼人とかだったかな。そんな彼ですが最後は星晶獣と戦って死にました。最後まで戦い続けました。家族の仇を取るため、そして大切な人達を守るために……。

ん?これじゃ私が覇空戦争の生き残りだという事を話しているものじゃないかって?まあどうせこの前にそれらしい事は話しましたから今更ですよ。

懐かしいなぁ……よくオズに揶揄われて、ドロシーと馬鹿やって一緒に彼に叱られて、彼に甘えて彼を困らせてたなぁ……。

……ああすみません。すこし、感傷に浸ってしまいました。

彼って誰、ですか?それは秘密です。

ルリアさん、貴女が見る夢は少しずつ精確になっていくはずです。また何か夢で知る事が出来たら教えはしますがその時まで後は秘密にしますね。

 

 

 

最後に1つ聞きたい?はい、どうぞ。

私がカリオストロみたいに錬金術で体を作っているのか、ですか?

いえ、そんな事をしてまで生きるという愚か極まりない事はしません。普通に生きて普通に死ぬ。そんな幸せな事を否定するような事を私はしたくありませんから……。

では、話しは以上ですね。また夢で知ることがあればここに来てください。そうすれば貴女達は少しずつ世の錬金術士達が求めて止まない身を溶かすような甘い世界の秘密を知ることが出来ますので。

 

 

……そういえば貴女達は真王に会った事がありますか?もし会ったのならあの男がやることを止めた方がいいですよ。アレは私にとって毒にも薬にもならない意味のない事ですが貴女達にとっては止めねばならない事ですから。どうぞお気を付けて。———

 

そう司書長が締め今回の話しは終わった。

 

 

 

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帰り道で一行は先程の話しをしていた。

「なんつぅかそうだな……俺がガキの頃に世話になっていた人が覇空戦争の生き残りだっていうのに驚いたぜ」

「でもよぉあの姉ちゃんが星晶獣でもカリオストロみたいじゃなきゃどうやって生きてるんだよ」

ビィの言葉にそういえば、と考えていると

「もしかしたら彼女は境界の世界から脱出した人、とか?」

ジータがそう言うがすぐにルリアが

「それはないです」

「どうしてなんだい?ルリア」

「司書の姉ちゃんが言うには90年前からあの司書長の姉ちゃんがいたらしいんだよ」

「んーあの司書長さんの謎がまた増えたなぁ……」

そんなジータをよそにグランは何か思いついたようで

「もしかしたら」

「何か分かったのかグラン?」

「もしかしたらなんだけど、フォリアみたいに魔力がかなり多いから年を取らないとか?」

「いや、そりゃないだろ。あれは体の成長が遅くなるだけってフォリアが言ってたぞ(ぐらぶるっ!第1126話参照)」

結局彼女の種族が分からないままグラン達はイオを迎えに行ってガロンゾを出航し、アウギュステに出航した。

 

 

 

「ちょっと何よぉ。そんな面白そうな事があったのならあたしを誘ってから行ってもよかったじゃない!」

「ごめんなさい、イオちゃん」

「誘わなかったオイラ達が悪かったのは確かだけどよぉ、まぁ落ち着けって」

「ふん、まあいいわ。次はあたしもついて行くから」

イオに何故誘わなかったか怒られたようだった。

 

 

 

ある場所でカリオストロは考えこんでいた。

(んー?何か忘れているような。だがこの完璧美少女錬金術師のオレ様が忘れるなんて事は絶対にありえないしな)

「ししょーどーしたのー?」

「クラリスか。いや、なんでもない」

「そう?なんか悩んでそうだったからちょっと心配したよ」

「お前が心配するのはオレ様が出した課題を明日までに片付ける事だろ」

「ウゲェ、ししょー勘弁してー!!」

そんな未完の錬金術士の叫びと開闢の錬金術師の笑いが響いた。

 




エローエ

年齢(享年):94歳
身長:318cm
種族:ドラフ
趣味:酒造り、仲間との飲み比べ
好き:美味い酒、美味い飯
苦手:苦い薬

色々ステータスとか書いてたけどインフレし過ぎだって言われそうだから載せるか考え中

鋭い人なら司書長の種族分かるかも。ところどころにヒントは出てます
ただ見た目で種族が分からないようになってます

あと友達に1話で読む人選んでね?って言われてやっぱり?って思ったり思わなかったり


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Ex1 彼の記述

今回はルリアが読んだ日誌の一部分、覇空戦争の終わりの頃の記録


7年目 酉月朧日 無風

各地での戦いも大分有利に運べてきているがどうやら———が出張ってきたせいで幾つかの国が崩壊したという話しが騎空士のもっぱら噂になっている。噂じゃなくて事実なんだがな。

実際に俺はヤツラと何度か交戦しているがほぼ不死身の肉体と強靭な膂力、そして多大な魔力。厄介な要素があるが何よりも厄介なのがヤツラの眷属の判別がつきにくい事だ。まさか昨日までの味方が次の日敵の眷属になっているなんて誰が予想できるか。そのせいもあって銀の市場価値が噴火したかのように値上がりしているらしい。後は聖水も値段が上がって教会連中は大儲けしているらしい。まあ確かに、聖水を武器に塗れば楽に殺せるのもあるからな。

一応他の殺し方としては朝まで粘って拘束魔法で朝日の下で殺すか、夜でも何度か殺せばいずれ血が無くなり完全に殺すことは出来るが月の下で戦うのはかなりしんどい。正直言って時間がかかりすぎるので知り合いの武器屋に頼んでこの前仕留めたタナトスの刃を俺の剣に打ち直してもらえばいいか。

 

 

追記:剣の出来はかなり良かった。相変わらず手に馴染むものを打ってくれる。ヤツラも斬り捨てれば魂如斬られたためか簡単に殺すことが出来た。

まだ素材が残っていれば仲間の分も頼んでみるか。

 

 

 

 

7年目 戌月聖日 強風、落雷有り

———の国に乗り込んでみたが既に星晶獣によって殺され尽くされていたようだ。

どうやら星晶獣の能力はもう一人の自分自身と戦わせてその自分を傷つければ本人が傷つくというこれまた厄介な能力を持っていた。ああ、だから再生能力が高いアイツらが全滅したのか。まあトリックが分かれば問題ない。奴自身に戦闘能力は然程なかったため強行突破ですぐに仕留めた。俺が覚えているあの星晶獣の能力とはかなり違うが一体全体どうなっているんだ。まああの時から20年近く前の記憶だから大分忘れているだけかもしれないが悪く考えちゃいけない。先の事より今の事をなんとかしないといけないからな。

その後生き残りがいないか探してみたら一人だけ生きていた。まだ幼いため保護した。話しをしてみたところ自分は一族とは違う姿形で産まれたために幽閉されていたと言っていた。確かに今まで戦ってきた———とは違う特徴がいくつかあるが、俺の覚えているこの世界の———の姿だったがそこはいいか。行く当てがなさそうだったのもあってそのまま連れて行った。……反対されそうな気がするが適当に言いくるめればいいか。

後はこいつの種族を隠しといた方がいいな。あの種族はあまりにも敵を作りすぎた。もし種族がバレれば地獄すら生ぬるいような殺され方をされかねないしな。

 

 

追記:そういえば名前を聞いてなかったから名前を聞いたが、どうやら名前がないらしい。そしたら俺に名前を付けてほしいと言ってきたのでなんとなく出てきた名前を言ってみたらえらく気に入ったらしい。……都合の良い人物に付けられる名前の総称みたいなもんなんだが。……我ながらなんとも酷い名前を付けたものだ。

 

 

 

 

7年目 戌月冴日 微風

保護した旨を伝え種族は分からない、大方珍しい見た目だから連れて去られたのだろうと話した。が、———の爺様にはバレたようで別の場所で話した。ワケを話したら納得してくれて正直助かった。俺じゃあの爺様には勝てないからな。

その後、戻ったらどうやら境遇を可哀想と思ったのかかなり可愛がられているようだ。本人は少し、いや結構鬱陶しそうだが別に嫌がっているわけでもないしほっといていいや。

本人の希望により俺が市内を案内しているが、見るもの全てが初めてなためかあちこちフラフラとしてその度に俺にアレコレ聞いてくるから全然進まん。

昼飯を食おうと寄った酒場で知り合いの店主にお前子供でも誘拐したのかよと驚かれた。いや、流石に誘拐なんぞやらんぞ。星の民の子供でもそこで殺すぞ。

ニヤニヤしている奴らに生き残りだよと言ったらしんみりした顔になった。……まあ、そうなるか。どうやら菓子を貰ったらしく気に入ったようだ。

とりあえずなんとかその日中にある程度の案内は出来たから後の市内探索は本人次第だな。

 

 

 

 

7年目 亥月辛日 穏やかな風

戦いから帰ってくると私に戦いを教えてほしいと言ってきたがお前さん確か8歳くらいだろ……。もっと他におままごととか人形遊びとかやったらどうだと言って一回突っぱねたがどうやら他の奴らにも話したようで———が特に俺にうるさく教えてやれと突っかかってくる。じゃあお前が教えろよって言ったがあの女『その子を拾ったのはリーダーのアンタなんだからアンタが責任もって教えなさいよ』と珍しく正論言いやがった。俺は知っているぞ、アイツが懐いているのが俺だからかなり妬いていることを。そんな事を言ったら短剣振り回してこっちに襲い掛かりやがった!あっぶな、今かすりかけたぞ!それにヤバイ毒塗ってあんの知ってんだぞ!

暫くそれで追いかけっこしたが爺様が止めてくれなかったら危なかったぜ。

あいつが一番年上なのに落ち着きがないってどういう事だよ。魔族ってやつは皆あんなのなのか。

しっかしエローエの奴め、爆笑しているだけで全然止めようとしなかった。ムカついたからアイツの秘蔵の酒全部————と一緒に飲み干してやったぜ。

 

 

追記:後で爺様に聞いた話だがつい最近まで酒場の店主に料理を習っていたり、爺様に裁縫や自衛が出来る程度の訓練を受けていたらしい。なるほど、何かを教わってそれを知るのが楽しくなったのか。分かるぞ、俺もそんな時期があった。

 

 

 

 

7年目 亥月風日 良風

結局根負けして俺が教える事になったが、何から始めたらいいか分からないからとりあえず爺様に頼ってみた。

何が得意か見極めてからそこを重点に教えてやればいい、か。

なるほど流石だ。あの馬鹿二人と違って年長者としてちゃんと知識と経験に基づく事を話してくれるから本当に助かる。

とりあえず試しに何からやってみたいと聞いたら剣と言ったのでとりあえず木剣を渡してみたがどうやら俺の剣をご所望のようらしい。とりあえず持たせたがまあダメだわな。本人は落ち込んでいるが、俺の剣は特別性でそこらの剣よりも数倍重いから無理だ無理。

 

 

 

 

7年目 亥月仏日 良風

色々試させたが魔法とは相性が良さそうだ。本人の魔力量はとても高いようで知り合いの魔女に聞いたところかなり筋がいいらしい。

とりあえず市内に来てる魔法連盟の移動型図書館で本を借りて色々と教えていたがダメだな。アイツの理解力と成長が早すぎて俺が教えては効率が悪い。とりあえずダメ元で隣に座っているオズに頼んだらあの女が何か吹き込んだのか断られた。隣で目をキラキラさせてこっちを見るアイツのためにまた教えたがこりゃ一週間で俺が教えられることはなさそうだな。

 

 

追記:久々に大図書館の方に顔を出してみたが、どうやら友達が出来ていたようだ。誰かと思ったがドロシーだった。……お前かよ。馬鹿な事は教えんなよとは言っといたがまあダメだろうな。

 

 

 

 

8年目 酉月変日 追い風

戦争も大方終結に近づいてきた。3年前にカグヤとヨミを殺した後に出て来た月の民や、各地の厄介な種族が滅びたか何か別の理由で出現しなくなったから順調だ。だがまだ油断してはいけないな。ここ一番って時に死んだとしたら笑えない。

そういえばこの前————が9歳になったらしい。誕生日は分からなかったから俺に拾われたあの日を誕生日にしたらしいそうだ。……1年経つのが早いな、俺も年か?

魔法の勉強は順調なようで魔法連盟のトップ直々に教えられているらしい。成長速度が早いのもそうだが潜在的な魔力量がとても高いから後継者として育てようとしているらしい。本人は望んでいないようなため諦めたらしい。ま、本人が望むように行きたい道を歩めばいいさ。俺の前—の父さんが俺にそう言ったように最後に決めるのは本人なんだしな。

 

 

 

 

8年目 酉月終日 快風

ようやく戦争が終わった。これからは今までの仲間達の国を周りながら復興の手伝いをするか。……俺も一度故郷に帰って皆の墓に花を添えるか。

そういえば————はどうするか。まだ幼いがかなりしっかりしているし俺が保護者として連れて行く必要はないな。この前も日記に書いていたようだがアイツが望む道を進めばいい。一人で冒険するのもいいし、魔法連盟に所属して魔法の深淵を解き明かすのもいい。さて、これを書いたらあいつらに国を周る旨を伝えるか。

 

 

 

 

8年目 酉月代日 祝風

どうやらサプライズがあるらしい。

まあ予想出来ていたが————が仲間として俺達の旅に加わるようだ。どうやら俺の反応が薄いのが気に入らないのかポカポカ殴ってきた。———も加わってきて流石に鬱陶しくなったしデコピンしたら二人そろって悶絶したのをザマァと煽ったら襲ってきたのですぐに全速力で逃げた。しばらく機嫌が悪かったので菓子を口の中に詰め込んだら一応機嫌は直してくれた。まだ子供だから単純だなぁ。

 

 

追記:魔法の腕はそこらの大人にも負けないくらいの腕はあるが、実戦経験が足りなさすぎる。例え経験があっても流石に戦闘はさせるわけにはいかないな。ま、最初は騎空艇の基礎的な事を教えて料理の手伝いでもさせればいいか。

 




1話の戦闘用ゴーレムの数を9体から8体に変更

日記形式思ってたよりも書きやすかったです


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2-2 集いし想い

半額期間でシエテ最終しようとしたら銀天でどん詰まり... ボスケテ

たかが銀天、そう思ってないですか?それやったら明日も銀天足りないですよ
なんで銀天足りないか明日までに考えておいてください

ハァ...ハァ...素材不足?取り消せよ!今の表示!


ルリアはまた夢を見た

(また夢……次は一体何が来るんでしょう?)

その視点は横に寝ているようだった。

そしてルリアの視線の先には焚火を囲っている男達がいた。

一人はこの前知ったドラフの老人エローエ。そしてルリアの夢によく出てくる男性、そしてジンのような刀を携えた侍風の男性が酒を飲んでいた。

そしてエローエが喋りだした。

「———、お前さんの故郷を最後にまわしていいのか?ここからなら近いし先に行ってもいいんだぞ」

その言葉に男性は苦笑いし

「確かに行きたいのは山々なんだが……ちょっと行きにくいというか、なんて言ったらいいか今行きたくないんだよ」

「そういうものなのか?まあお前がそう言うのならいいんだが。あー、だとしたらどこから行く?」

「そうだな……レーミス王国はどうだ?この前の最前線程ではないがあそこもティアマトの呼び起こした嵐でかなりの被害を受けていたようだしな」

「あーそうだな、そうしよう。他の奴には俺が朝に話すわ。ゴウケン、お前はどうする?レーミスでいいか?」

その言葉に侍風の男—ゴウケン—は反応し

「拙者も特に反対する理由はないからどこからでもいいぞ。だがレーミスか……フム、しかしそこで大丈夫なのか?反対はしないがあまり薦めて行くとこでもなかろうに」

「うん?どういう事だよ」

その言葉にエローエは思い出したのか少しうんざりしたような顔をし、

「そういや———、以前俺らがレーミスに救援に行った後勧誘がしつこかったのを忘れたのか?」

「あ」

その言葉に男性はしかめっ面になった。

「やっべー忘れてたわ……」

「ガハハハハハ!今度来たら既成事実か最悪毒でも盛られるんじゃないか?」

「ソイツは勘弁してくれ……つーかエローエうっさいぞ、他の奴ら寝てるんだからも少し静かに笑えよ」

「おっとこりゃスマン。———がこれで起きちまったら後々めんどくさいからな」

「それは拙者も勘弁してほしいな。彼奴は起こされると暫く不機嫌だからな、少し静かにするとしよう。———、盃が空だがもう一杯いるか?」

「ありがとうな、ゴウケン。それに今はメ———もいるんだ。子供をこんな馬鹿げた事で起こすのは流石にどうかと思うぜ。おっさん、もう一杯いるか?」

「おお、こりゃありがたい。そうだな……子供は思いっきり寝て思いっきり遊ぶ、それが一番だ。俺の孫も生きてれば今頃この子と遊んでいただろうな……」

「おっさん……」

「エローエ殿……」

どこか遠いところを見るようなエローエに二人は気まずい表情をした

そんな二人の様子に気づいたのかおどけたような顔をし

「ま、生きていてもその子より二回り年上だから流石におままごとは恥ずかしくて出来んかな」

そんな言葉に男性は一瞬で呆れた顔をした。

「オイオイおっさん、そりゃねぇぜ……」

 

 

 

 

 

暫く無言で酒を飲んでいたようだったがゴウケンと呼ばれる男性が話し始めた。

「そういえば———」

「なんだ?」

「まだ続けるつもりか?」

「何をだ?」

「復讐」

その言葉に男性の雰囲気が一気に冷たくなったのをルリアは感じた。

「今更何を言っているんだ。ここで止めたら今までに死んじまった仲間や故郷の人、そして何よりも家族になんて報告したらいいんだ。それにな、俺は星晶獣に星の民、こいつら全てに報いを受けさせたいんだ。そのために俺らはいる、まさか忘れたのか?」

その言葉にゴウケンは憎悪を浮かべた表情をし

「忘れるなどするか。拙者の故郷、家族、それらを全て恥辱の果てに壊した奴らに復讐を、死すら生温い程の地獄を見せると誓ったのを覚えているとも!」

その言葉に男性からゾッとするような気配を感じた。

「そうだ、俺たちはそのために集った。俺達の全てを奪い、壊した奴らに復讐するために!」

ルリアはその会話の内容にただ悲しく震えていた。

(彼らは星晶獣や星の民に全てを奪われて復讐しようとしている。そんな……悲しすぎます!司書長さんが言った通りなら本当に彼らは日誌の書いてあることをやってしまうだなんて……うぅ……)

ルリアはその夢が早く終わる事を祈った。

 

 

 

 

 

そしてルリアは嫌な汗を掻き、目覚めた。

(あの人たちは大切なものを全て失ったから星晶獣や星の民に復讐するようになった。なんて悲しいんでしょうか……

それに彼が言っていたティアマトが襲った国、私の中にいるティアマトは襲った事もその国の事も知らないって答えているしどういうことなのでしょう?)

ルリアはそんな事を考えつつも今日の夢の事をグラン達に、そして司書長に話そうと思った。

そしてこんな夢を見る事が二度とないことを祈った。

だがその祈りを聞き届く神など存在しない事を近い未来ルリアは知ることになる。

 

 

 

 

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「あら、貴方が来るとは珍しいですね」

「どうも」

そんな彼の態度に彼女はため息を吐き

「……今は閉館中なのですがまあいいでしょう。それで今日はどのような用件で?暁の子」

「やはり貴方は私の正体を知っていたのですか」

「知っていた、というのは間違いですね。正しくは教えてもらった、ですね」

「教えてもらった?」

「そう、ですが貴方が知る必要はありません。それで、どうしたのですか?」

「499年前にも問いましたが貴女は……いえ、貴女達は何を隠しているのですか?」

「貴方がそれを問うのがあと一年早ければ教えていたかもしれませんが教える気は微塵もありませんよ。ただもしかしたら……」

「もしかしたら?」

「この前くだらない事を行った男の計画が最後まで進んでいたら貴方達が求めるものがでていたでしょうね」

「終末が成立していたら、ですか?」

「そうなりますね。まあ成立することがないのはそもそも分かっていたのですけどね」

「そうですか……」

「そうです。特異点、それは存在するだけでありとあらゆる運命を捻じ曲げ、破壊する。だからこそあの間抜けの計画は失敗したのですよ」

「……随分と知っているようですね」

「ええ、まあ」

「貴女に聞きたい事がまた増えたようですね」

「そんなに女性の秘密を探りたいのですか?悪趣味ですよ」

「そういうものなのですか?」

「そういうものなのです」

 

 

「もう聞きたい事は最初の事以外でありますか?私は貴方と違って明日も趣味ですが仕事があるのですよ」

「いえ、もうありませんね。ですが」

「ですが?」

「私は今グラン達の騎空団に属しています。なので、私にも明日仕事があります」

その言葉に彼女は何かおかしいのかクスクスと笑い

「それは失礼しました。では、良い週末を。実りある日を大切にしてください」

「また来ます」

そんなルシオの言葉に司書長はお前もかよ、と呆れた表情をした。

 

 

 

 

 

そんな彼らの会話を他所に

ピシッ

何かが欠けた音がした。

 

 

 

 

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今日はルリアとビィ、そしてグランにジータ、サンダルフォンが図書艇を訪れた。

「……こんにちは、司書長さん」

「こんにちは、ルリアさん。また夢を見たのですね」

「はい……」

「ああ、悲しい夢を見たのですね。少しでも元気になれば良いのですがお茶とお菓子を用意しましょう。皆さんもいかがですか?リンゴもありますよ」

「お、マジかよ。サンキューな司書長の姉ちゃん」

「あ、ありがとうございます」(グラン)

「ありがとうございます!司書長さん」(ジータ)

「感謝する」(サンダルフォン)

お茶やお菓子を食べ少し元気になり始めたルリアはポツポツと司書長に自分が見た夢を話し始めた。

 

 

 

「なるほど、彼らが復讐を再び誓う夢、ですか」

「はい……」

「まあ貴女が落ち込むのはなんとなくですが分かりますよ。貴女の中にいる穏やかな星晶獣に恨みつらみを持っている人がいるなんていないでしょうからね」

「でもおかしいんですよ」

「おかしい?」

「ティアマトは襲ったこともそんな国も知らないって言ってたんです」

「……そうですか」

「司書長とやらお前はやはり何かを知っているようだな」

「貴方は?」

司書長の質問にグランが答えた

「えっとこの人はサンダルフォンです。今は僕達と旅をしている人なんですよ」

「ついでに言うとコーヒーの店を開くために色々練習しているんだー」

そしてジータが付け足した。

「それを言う必要はないだろ」

「えーいいじゃん。お店を開いたら司書長さんにも来てほしいもん」

そんな二人の会話を司書長は微笑んで見ていた。

「えっと、司書長さん?」

「ああ、すみませんルリアさん。ですが大丈夫です。いずれ夢と日誌が貴女を真実に導いてくれます。だから今知る必要はありません」

 

 

 

「ああ、忘れてました。ルリアさん」

「はい、何ですか?」

「貴方が見た、そして聞いた人は誰でしたか?」

「えっと、お侍さんのような男性で確か……ゴウケン、そう呼ばれていました」

「……わかりました。では、ゴウケンについて今日は話しましょう」

 

 

 

 

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ゴウケン、彼は貴女が夢で見たリーダー、団長の最初の仲間です。偶々同じ艇に乗り、意気投合し、共に死線を乗り越えた盟友でもあり復讐を誓った友でもありました。

ゴウケンもエローエと同じで覇空戦争の英雄の一人でした。そしてゴウケンは人々に大剣豪や刀神等と呼ばれていました。彼もエローエと同じように最後は沢山の星晶獣と戦って死にました。

彼をオクトーと戦ったらどうなる?オクトーという人が十天衆だというのは分かりますが実際に戦っているところを見ていないのでなんとも言えませんがそうですね……とりあえずこの艇の戦闘用ゴーレムを8体まとめて相手をして倒せたら彼と1合から先にいくことができるんじゃないでしょうか?それくらいにゴウケンは強かったのですから。

じゃあ私がどれくらい強いかですか?まあとりあえず戦闘用ゴーレムを全て倒す事ができたら相手をしましょう。

 

 

 

 

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グランサイファーでの帰り道

「あの姉ちゃんが言っている通りならこの前のエローエっていうのもとてつもなく強いって事だよな?」

「そうなるね。うーん十天衆より強いゴーレムをまとめて倒せるってもう訳分かんないね」

「……」

「じゃあそれだとあの司書長さんも最低限それくらいの実力があるって事になるね」

「はわ、もし司書長さんが戦いを挑んできたら勝てないのでしょうか」

「実際に戦ってみるまで分からないと僕は思うよ」

「グランの言う通りだぜ。オイラ達も少しずつ強くなっているんだから案外勝てるからもしれないだろ?」

「……」

「そうだよ!私達は少しずつだけど日々強くなってるんだよ。きっと勝てるよ。この前シエテだって剣を抜かせるまでに強くなったんだし」

「そうだね。ところで気になっていたんだけどさっきから黙りこくってどうしたの、サンダルフォン?」

「少し気になってな」

「気になるってさっきもらったコーヒーの事?」(ジータ)

「確かにそれも気になるがそれとは別の事だ」

「別の事って何ですか?サンダルフォンさん」(ルリア)

「あの女、司書長の事だ」

「司書長さんがどういたっていうの?」(グラン)

「俺はあの女から違和感を感じた」

「違和感、ですか?」

「そうだ、そして俺は気づいた。俺はあの司書長から一切気配を感じる事がなかった」

「言われてみれば確かに僕も感じなかったような」(グラン)

「だが何故気配を無くす必要があったのか、俺はそれにあの女が隠している秘密とやらに関係あるのだと思ったわけだ」

「なるほどなぁ、でもそれを聞いても答えてくれるとはオイラ思わないぜ」

「まあ先程話した感じそうだろうな」

「でも全然わからないね」(グラン)

「何が?」(ジータ)

「ほら、世界が滅びたとかティアマトが襲ったらしいけどそんな事なかったとかなんだろうね」

「うーん、全然わからないや」

「まああの女はいずれ全てを話すと約束しているから話してくれるんじゃないのか?もっとも、約束なんて果たせない事もあるがな……」

そして一行はグランサイファーに着いた。

 

 

 

 

 

彼女は艇内の誰も使う事のない部屋で一人話していた。

「今日はゴウケンについて話したよ。でもね、ルリアさん大分悲しい夢を見ていたらしいの。もしあなたがまだ動いていたらルリアさんの見る悲しい夢もあなたの音楽で素敵なあの時の夢を見る事が出来るのかな?」

彼女は動かない人形(ゴーレム)に話していた。

「コッペリア」

 




やっぱりエローエのステータス折角書いたし載せます

エローエ ドラフ
得意武器(斧)
HP:3000 ATK:25000
奥義
天地両断 敵全体に奥義ダメージ 次のターン2回行動できる
アビリティ
気合一閃CT5(+でCT4)
敵全体に防御無視ダメージ(上限500万)、敵の防御,属性防御DOWN(25%)
鎧袖一触CT7(+で6ターン)
自身の攻撃力大幅UP(2ターン) (+で3ターン)
TA確定(3ターン)
乾坤一擲CT6
クリティカル確率UP、回避カウンター(5回)、HP吸収効果(最大HPの15%) (3ターン)
かばう効果(全体攻撃も) (1ターン)

サポートアビリティ
古の英雄 ステータスが上昇(1.3倍)、敵対心大幅UP
不死身の男 状態異常無効 最大で受けるダメージを10000にする
敵から受ける全てのダメージを50%減少、無属性攻撃を無効化


コンセプトは複数の星晶獣を相手にして突破できる存在です
自話でゴウケンのステータス載せると思います
後書いててあ、この名前やばいわと思って変えました。1-EXです
やっぱダンテって名前はダメだな性別が男dだと思われちまう



あ、それと装甲悪鬼村正のGUTS EIDERの発想すごい好き。あんな感じの奴求めてたわ


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残骸の呼び声

プリフェスで10連星3新規三枚抜きしたので初投稿です

pcで投稿してるのでスマホで見にくかったら即修正します。


ルリアがその日見た夢は今までで一番おぞましいものだった。

屍山血河が出来上がりルリアの視線の先にはいつも夢に見る男性が子供に剣を振り下ろす光景が見えた。

「ダメェッ!!」

そんなルリアの祈りも届かず肉を裂き、骨を砕く音が聞こえた。そして男性は剣に付いた血を振り払い鞘に納めたあと振り返り、

「……お前は見るんじゃない。もうこいつらは手遅れだったんだ」

男性はルリアを下がらせようとしたのか近づいてきた。

「こ、来ないで!」

だが男性が近づく前に後ろで動く気配があった。それは先程男性に斬殺された子供や死体が男性に音もなく近づいてきた。そしてそれらは歪な音を立てて異形へと変形していった。

それに男性が疲れたような顔をしながら振り返った。

「下がっていろ。俺が全て片付ける」

そうルリアに言って剣を引き抜いた。その剣はミュルグレスのようなしなやかさやリディルのような力強さが感じられない極普通の剣のように感じた。

そんな剣でこの異形の群れに立ち向かえるのか?そんならしくもない考えが一瞬脳裏によぎるが男性が剣をしまう音とともにルリアは目の前の異形が全て斬り殺されているのに気づいた。

(え、今の一瞬で)

ルリアが驚いているのを余所に男性はルリアの頭に手を置き、

「帰るぞ」

短くそう告げた。

 

 

 

 

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場面は変わりそこでは耳をつんざくような悲鳴が聞こえた。

ルリアは反射的に目を逸らしたが

『世界の秘密を知ることが出来ます』

司書長の言葉を思い出した。

ルリアが意を決して目を向けたがすぐさま後悔した。

目の前では先程のようにさっきの夢で見た時より幾分か若く見える男性が様々な老若男女を日誌に書いてあったような事をしていた光景だった。

中には全身の皮を剥がされた男性や、手足の関節を無茶苦茶に折られた子供、腹部に石や枝を突き刺された女性、その他にも手足を斬り落とされた人や中には人型の星晶獣もいた。だがそんな状態でも彼らは生きていた。

うめき声をあげ、痙攣し、僅かに呼吸をしているのが分かった。それでもほっとけばいずれにしても死んでしまう事に変わりはなかった。

(これは、うっうぅぅぅ……)

そんな地獄と言っても過言ではない光景にルリアは涙を流し、嘔吐するしかなかった。

だがそんな事も知った事じゃないとばかりに事態は進んでいく。

男性は先程の手足の関節を滅茶苦茶に折られた子供を引きずり、歩み始めた。そこには暗闇で気付かなかったがそこには機械の巨人が佇んでいた。

(あれはコロッサス?)

そして男性は巨人の胸を開き、その中に子供を放り込んだ。そして中からまた悲鳴が上がり、巨人の目に光が灯った。

(一体……何が……?)

 

「あれは彼と怒り狂ったドラフの職人が作り上げた兵器クローバー*1だよ、ルリアちゃん」

「だ、誰ですか!?」

そこには一人の夢で見た人が立っていた。

 

「やあ、初めましてルリアちゃん。僕の名前は……」

「えっと……どうしたのですか?」

「うん?うーん今僕が教えてもいいのかなって思ってね。せっかく君が夢を見て少しずつ解き明かしてきたからネタバレしたらなーってね」

「ええっ、そんなぁ!?」

「まあまあ、いいじゃないか。でも名前がないと呼びにくいよね?だったら僕のことは人形って呼んでくれればいいよ」

「人形さん……ですか?」

「そうそう人形でいいよ。僕こう見えて人間じゃないからね」

「人間じゃない、ですか。じゃあ人形さんの種族は何ですか?」

「んっフフー、キミ達は出会ったことがあるだろうね。まあそれもいずれ彼女が教えてくれるか日誌か、はたまた夢が教えてくれるよ」

そんなルリアの問いに人形ははぐらかすように笑った。

「まあまあ、そんな事はいいさ。今回僕が君に話しかけたのはね、彼女に頼まれたのさ」

「司書長さんに、ですか?」

「そうそう、司書長って呼ばれている彼女だよ。君が憎悪の夢を、報復の夢ばかりを見ているって僕に教えてくれたからね。それを何とかしてくれって言われたからね」

「司書長さんが、そうですか」

「でも、僕が出来る事なんて昔の事を教えることくらいしか出来ないんだけどねー。ま、それでもいいなら話そうか?」

「いいんですか?」

「いいよいいよーそんな悲しそうな子供は見過ごせないからね。きっと皆も同じことを言うと思うからね」

ニカッと人形が笑うと辺りを見回し

「ま、こんな陰険なとこじゃダメだね。場所を変えようか」

人形がそう言うとその場で踊り始め辺りから音楽が奏でられ始めた。

 

 

 

気づくと艇の甲板に椅子が2つと机が置かれていた。そして椅子の1つを引き

「さ、どうぞルリアちゃん」

「あ、ありがとうございます」

ルリアが座るといつの間にか目の前には飲み物とお茶菓子が用意されていた。

「夢の中だから現実世界じゃお腹が膨れたり喉が潤う訳じゃないけど、僕の記憶の中で一番美味しかった物を用意したよ」

「そ、そうですか」

 

 

 

Next Stage

 

 

 

「さて、そうだな何から話そうかな」

「あの」

「ん、なんだい?」

「さっき言ってたクローバーについて教えてください」

「んー本当にいいの?後悔しない?あんなおぞましい光景だったのに大丈夫?」

「……大丈夫です」

「君は強いんだね。うん、分かった。だったら教えようか。クローバー、あれは憎悪の果てに作りあげられた兵器。あれの動力が何かがルリアちゃんは分かる?」

「人、ですか?」

「うん、正解。まあ正確には人に備わる生命力と魔力を燃料に搭乗者が死ぬまで星晶獣と星の民を殺し続けるのさ」

その内容にルリアは絶句するしかなかった。

「最終的にはあれは辺り一面を巻き込んで自爆するんだよね」

「そんな、まさか」

「そうだよ、どうあがいても搭乗者は死ぬ。僕らにとってはどうでもいい事さ」

「ど、どうでもなんて」

「僕らにとって星の民や星晶獣がどうなろうと知ったこっちゃないけどね」

「あ、あんまりじゃないですか!?」

「あんまりじゃないか?僕は微塵も思わないけどね。まあ今の世界じゃそういう考えが多いのかな?だったら仕方ないと言うべきかな」

人形は怒りを滲ませた言葉を紡いだ。が、次の瞬間

「おっとゴメンね。さっ、何を話そうか?」

コロンと表情が変わり笑顔でルリアに促した。

「根幹については触れる事はなるべくしないようにするけどどんな話が聞きたい?不思議の国で邪竜を屠った話?それとも裏切り者達の国を滅ぼした話?または天窮の竜神が住まう国に向かった話?」

「えっと、そうですね」

「うんうん大丈夫だよ。夜は長いから時間をかけても大丈夫だよ」

そうしてルリアの長い夜は語らいに消えていった。

 

 

 

ルリアはその日スッキリと目を覚ましたが自分のベットが吐瀉物に汚れていたために騎空団の皆を困らせてしまい苦笑いを浮かべる事になった。

 

 

「まったく、驚かせるなよ。ルリアオイラ心配したぜ」

「あ、アハハすみませんビィさん。でもその後はいい夢が見れたんですよ」

「その夢の中で出会った人形さんって一体どんな人だったの?」(ジータ)

「確か彼女は自分が人間じゃないって言ってました」

「人間じゃない?」(ジータ)

「オイオイ、人間じゃないってどういう事だよ?」(ラカム)

「えっと彼女が自分でそう言ってて」

「人形、ねぇ」

「どうしたの、グラン?」

「いや、もしかしたらその人形さんはもしかしたらオーキスみたいなゴーレムじゃないかなって。ほら、アダムさんも確か覇空戦争時代からいたらしいから」

「あれ、そうでしたっけ?」

「確かにゴーレムだったら今も生きているのも頷けるね。ルリアはその人形さんの指とか見た?関節とかがゴーレムになっていたとか」

「すみません、流石にそこまで考えていませんでした」

「そっかぁ、じゃあ今度司書長さんに聞いてみようか」

そうして彼らの一日は始まっていった。

 

 

 

 

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とある空域にて

「さて、今日も開館しましょうか」

彼女が準備を進めていると

 

 

何かが崩壊した音が響いた。

 

 

「ッ!?」

(結界が崩れた!?)

急ぎ結界を修復しようと術式を組み上げ始めた。

しかし、一手遅かった。

(遅かった!でもまだ軌道修正できる)

すると彼女はすぐさま新しい結界を作りあげ完成させた。しかし結界から漏れ出たことに変わりはなかった。

(これは……マズイなぁ。流石に調停者には気づかれたかな?)

そんな考えをしていると艇の甲板からだろうか激しい戦闘音が聞こえ始め彼女はその場所に向かって歩き始めた。

そこには一人の少年が戦闘用ゴーレムと戦っていた。

「どけっ!同胞が俺に助けを求めてるんだ!人形風情が俺の前に立ち塞がるな!!」

「ふーん、なるほどね」

「誰だお前は!?」

「私?私はこの艇の船長だけど君は?」

「お前か!同胞を苦しめ続けているのは!?」

「苦しめる?何を言ってるんだ」

彼女は呆れた様にため息をはいた。

そんな態度に少年の怒りのボルテージが上がった。

「しらばっくれるな、俺にはわかる!この艇の中には異質な、だけど確かに救いを求めている星晶獣が、俺達の仲間がいる!それをお前が結界で気配ごと隠しているのもわかっているんだ!!」

「なるほど、詳しいんだね。その言い方だと君は星晶獣だね。でもそれがどうしたの?」

「どうしたの?だと。ふざけるなふざけるなふざけるな!」

少年は発狂したように喚き散らした。それを彼女は鬱陶しそうな顔で眺めていた。

「俺は星晶獣の願いによって顕現した。だからこそ俺は同胞を救うためにお前を倒す!!」

「威勢がいいのは認めますがその程度のゴーレムを倒せないようじゃ私に傷一つ付ける事も叶いませんね」

そう言い、彼女は魔法を少年に向けて放った。

「ッ!?」

少年は防御したが紙を引き裂くように容易に貫通し少年の胸を貫いた。そして少年が落ちていくのを彼女は無表情に眺めていた。

「さて、騒がしいのもいなくなったことですし結界が崩れた原因の究明でもしますか。もっとも原因は天星剣王でしょうがね」

そう言い放ち彼女は戦闘用ゴーレムに歩み寄って行った。

 

 

 

「ッ」

(今の力は?強大で歪な力が一瞬だけ感じたが一瞬で消えた。この前のジオと呼ばれる星晶獣の気配も感じたが一瞬で消えてしまった。どちらかが敗れてしまったのは確かだろうな。だがどちらが敗れたのだ?わからない)

「調べる必要があるな」

彼女はそう決心し、力を感じ取った方角へと全速力で向かったがそこには何もなかった。

 

 

 

「ふぅ、ギリギリ気づかれずに隠すことが出来たかな。さて、そろそろ結界の維持も安定するし次の島に向かうとしましょうか」

そう人知れず艇は運航していった。

 

*1
花言葉で復讐




人形は彼女と呼ばれてますが性別はありません。

ゴウケン 男 ヒューマン
得意武器(刀)
HP:2500 ATK:20000
奥義 
蒼閃 味方全体の奥義ダメージ,上限UP(1回)
3ターンTA確定
アビリティ
瞑想CT5(+で4ターン)
奥義ゲージを30%消費
自分の弱体効果全回復
攻撃力UP(別枠100%)、自属性追撃効果(100%) 3ターン
自分の弱体効果を一つ回復
無念無想CT6(+で5ターン)
自分の奥義ゲージを150%上昇(+で200%上昇)
奥義ダメージ,上限をUP
義勇仁礼CT1
自分の奥義ゲージを最大90%消費して自分以外の味方に均等になるよう配布

サポートアビリティ
大剣豪 
奥義ゲージの最大値増加(MAX300%)/奥義ゲージ上昇率UP(300%)
極稀(1%)に相手のゲージを一刀両断する
自己流
必ずクリティカル、奥義を100%につき2回放つ


年  34歳(享年)
身長 184cm
趣味 修練,裁縫
好き 甘味
苦手 肉(よく筋にあたるため)


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