仮面ライダージオウは救世主、または魔王である (我が魔王)
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第?話「オーマの日 20XX」

 今回、続きでなくてゴメンなさい。
 どうしても、クライマックスシーンを書きたくて仕方なくなってしまったので。


 その光景は、正に地獄であった。

 天の神より放たれた裁きの焔が大地を焼き、もはや生物が住める環境ではなくなってしまった地球。

 そして、その裁きを逃れてしぶとくも生き残った人類に対して、天の神は殲滅の為に十二の使者を送り込んだ。

 

「お前達が、どれほど足掻こうが無駄だ」

『『『サバイブ!!』』』

 

それは、不死鳥を従えた金色の騎士。

 

「俺は、人間共を滅ぼす!」

『complete!』

 

それは、ギリシャ数字のΩを模した頭部の漆黒の騎士。

 

「私のバラに彩りを加えましょう。貴方の、屈辱の涙で」

『change beetle!!』

 

それは、コーカサスオオカブトを模した金色の装甲の騎士。

 

「喰われなきゃ、分からんらしいな」

『ガオウ・フォーム!!』

 

 それは、鰐を模したアーマーを装着して暴食の騎士。

 

「倒す。貴様をこの手で」

『さぁ~、行きますよ。へ~んし~ん』

 

 それは、三メートルを超す体躯にバフォメットのような頭部の騎士。

 

「命乞いだけはするな。時間の無駄だ」

『サメ!クジラ!オオカミウオ!』

 

 それは、頭部が鮫に胸部が鯨に脚部が狼魚の意匠がある騎士。

 

「お楽しみは、これからだ!」

『チェンジ!ナウ』

 

 それは、黒い冠を被った金色の魔法使いのような騎士。

 

「さあ、戦いを始めよう」

『ゴールデン・アームズ!黄金の果実!!』

 

 それは、禁断の果実を模した鎧を纏った騎士。

 

「これからは、ゴルドドライブと呼べ!!」

 

 それは、電脳の神に成り果てた偽りの騎士。

 

「生者は必要ない!全て、ゴーストになってしまえ!!」

『カイガン!ダークライダー!闇の力、悪い奴ら!!』

 

 それは、一度死んで甦った騎士。

 

「遊びは終わりだ。Ciao!」

『ブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!レボリューション!!』

 

 それは、星々を喰らい糧とする騎士。

 

「全ての者は、滅びゆく。それが、唯一の絶対の法」

『ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー!ギンガ!!』

 

 それは、星を包む天の名を冠する騎士。

 

 

 余りにも強大な力の前に、人は愚か、人に味方した神すらその使徒には及ばず、敗北を喫することとなってしまった。

 しかし、パンドラの箱の如く、絶望の中に希望は僅かに残されていた。

 人類の生存圏たる四国を蹂躙せんと進む使徒を阻む為、十一人の少女が立ち塞がる。

 少女等は、力を多く失った地の神々が最後の力で人類に託した、天の神に抵抗する力を継承した勇者と、神の言葉を伝える力を得た巫女であった。

 だが、神から授かった力を持ってしても、神そのものとの戦いには力不足であった。

 それでも、少女達は諦める事なく抗い続け、その想いに応えたのか、とある少年が持っていた力と共鳴したのだった。

 その力とは、武神の力。とある世界では、仮面ライダーと呼ばれる英雄(ヒーロー)の力。

 

「ここからは、私達の舞台だ!」

『ソイヤ!オレンジアームズ!花道・オン・ステージ!!』

 

「皆の未来を繋ぐ。その為に、命、燃やすよ!」

『カイガン!オレ!レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ!ゴースト!!』

 

「全て、塵殺するわ。ミッション、開始!」

『レベルアップ!ババンバン!バンババン!バンバンシューティング!』

 

「お仕事の時間といきますよ!」

『カッターウィング!キャタピラレッグ!ショベルアーム!ドリルアーム!クレーンアーム!ブレストキャノン!』

 

「タマの見る占いは、よく当たるんだ」

『サバイブ!』

 

「「さあ、お前達の罪を数えろ!」」

『サイクロン!ジョーカー!』

 

「行くよ、レイキバット」

『行こうか!華麗に、激しく!!』

 

「…今の私は、負ける気がしない!」

『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!!』

 

 そして、勇者や巫女たる少女を支えた少年の傍らには二人の少女の姿が常に在った。

二人の少女は、謳い告げる。

 

「「祝え!」」

 

それはまるで、人々の希望という祝福(呪い)を背負った少女達の心の要となる運命を受け入れた、少年の出陣を祝うように、憐れむかのように。

 

「「彼の者こそ、時を超えて過去と未來を知ろしめす時の王」」

 

「変身」

『ライダータイム!カメーンライダージオウ!!』

 

少年が前に出ると頭を垂れて、傅く少女達。

 

「「その名も、仮面ライダージオウ!」」

 

 大仰に手を翳して、遍く森羅万象にその存在を刻み込むが如く声を響き渡らせる。

 

「「即ち、仮面ライダージオウは魔王「救世主」である!!」」

 

 肝心な部分のみ、主張が食い違った二人の少女。

 

「魔王ですよ、中二仮面さん!」

『ゲイツ!』

 

「救世主に決まってるわ、腹黒巫女!」

『ウォズ!』

 

「「はっ?キレそう。へぶぅ!!」」

 

 一拍置いて、少年の後ろで各々のベルトにウォッチを装填しながら、互いの頬を打ち抜く見事なクロスカウンターが決まった。

 

「やっぱ、こうなったか。遊んでないで、行くぞ」

『ジオウトリニティ!』

 

 呆れた様子の少年が新たなウォッチを装填すると、喧嘩していた二人に光が降り注いで頭部だけを残して腕時計のような姿に変わると、少年の両肩にそれぞれ合体した。

 

「俺達なら、行ける気がする!!」

 

 後の世において「オーマの日」と呼ばれる、滅びを目前とした人類の運命を画した審判の日。今まさにその戦端が、開かれようとしていた。

 鍵を握るのは、戦国乱世を駆け抜けた武神達を統べた王たる武神ジオウの力を受け継いだ少年。

 では皆々様。これから、その歴史を紐解いて往きましょう。




 ジオウもとうとう最終フォームが出ましたね。
 遺影ときて、仏壇か。30作記念は、墓標にでもなるのかね。
 アナザーゴルフは、絶対許さねぇ!


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プロローグ「逢魔降臨 2015」

 ネタバレとか、独自設定、キャラ崩壊など、いいよ!という心の広い方々向けです。

 それでは、どうぞ!


 今、思い返せばあの日、後に7・30惨劇と名付けられた、惨劇の予兆は朝から起きていた。 

 人間が神の怒りに触れて、天におわす神々が人間という種の絶滅を決定した運命の日。

 その時、まだ小学生だった私達は修学旅行で島根を訪れていた。

 神々による粛清が始まった時、無力に打ちひしがれる自分に天ではなく、地におわす神が私に”声”を聴く力を与えてくれた。

 私はその力を使い、大切な幼馴染の窮地を救い、残された人々の希望の灯たる「巫女」となる運命が決まった夜。

 そこで私は、もう一つ、いや、先ほどの決断を上回る運命に出逢ったのです。

 

 

「若葉ちゃん!!こっちです!皆さんと逃げますよ!!」

 

 後にバーテックスと呼ばれる白いオタマジャクシのような口のみが存在する怪物を、人に味方した神より賜った日本刀、生大刀で切り捨てていた少女こと、乃木若葉は、自分にこの日本刀の存在を教えてくれた自分とは違うが同じタイミングで特殊な力に目覚めた幼馴染の少女、上里ひなたの言葉に振り返る。

 一体であれば問題なかったバーテックスが合体し、進化したことで今の自分では太刀打ちできないと判断した若葉は、ひなたの元へ撤退しようとする。

 だが、人を滅ぼす命を受けた怪物は、その一瞬の逡巡した隙を逃さなかった。

 

「後ろです、若葉ちゃん!!」

「なッ!?」

 

 気が付いたひなたが警告するが、時すでに遅しでバーテックスは若葉を葬らんと巨体を叩きつける。

 二人が永遠の別れを想像した時だった。

 

『フィニッシュタイム!タイムブレーク!!』

 

 どこからか電子音が鳴り響くと、バーテックスの周りに現れたある物が若葉を守った。

 

「なに、あれ?」

「カタカナの、キック?」

 

 それは、マゼンタ色をした等身大ほどの大きさの「キック」という文字だった。

 バーテックスを囲むように現れた文字は、やがて一つとなって上空へ浮かび上がる。

 釣られて視線を向けた二人には、右足を突き出して跳び蹴りの姿勢で降下する人影が映った。

 

「ハアアアァァァァァァッ!!」

 

 その人影の右足に文字は収束し、勢いのままバーテックスに蹴りを叩きこんで貫いた。

 

「…すごい」

「ひなた、今のうちに。ひなた?」

 

 窮地を脱した若葉は、今度こそ撤退しようとひなたに声を掛けるが、肝心のひなたは突然現れた人影に目が釘付けになっていた。

 そうこうしていると、再び進化前だがバーテックスが集まってきたことに若葉は気付いた。

 

「ひなた、どうした!?早く逃げるぞ!」

 

『フォーゼ!』

 

 キックで進化体のバーテックスを爆破した人物は、今度は腕のホルダーから時計のようなデバイスを取り出して起動し、いつの間にか持っていた銃のような機械に装填した。

 

『フィニッシュタイム‼️フォーゼ!スレスレシューティング!!』

 

 腕を掲げてトリガーを引くと、数多の小型ミサイルが銃口から発射されて次々とバーテックスに命中して掃討していく。

 

「やらねばッ!」

「ひ、ひなたぁあ!?」

 

 若葉が圧倒的な光景に呆けているのと対照的に、ひなたは駆けだすと謎の人物の傍らへ行き若葉や生き残った人々へと視線を向けた。

 

「祝え!!」

 

 そして、不思議と誰もが頭に直接響くような錯覚を覚えるほど澄み渡った声で祝言を述べるのだった。

 

「時空を超え、過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も武神ジオウ改め、仮面ライダージオウ。まさに再誕の瞬間である!!」

 

 絶え間なく起こる爆炎によって照らされ、ひなたとジオウはまるで絶望の中の救世主のようでいて、破滅をもたらす魔王のようにも映し出された。

 少なくとも、若葉やこの場にいた人々の眼にはそう焼き付ていた。

 

 ここまでお付き合いいただき、皆々様には平らに感謝を。

 今お話し致しましたあの瞬間こそが、私が彼の王を知ろしめす「預言者」となる運命を選んだ夜でありました。

 彼の王は、救世主なのか魔王なのか。これこそ、正しく神のみぞ知る、ということです。




 続きは、近い内に出せたらいいなぁ


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第一話「ADVENT ビギニング・2015」

 RIDER TIME龍騎、最高だった。
 是非とも、円盤が出たら買いたいですね。
 そんなわけではないですけど、たまたま映画で島根辺りは武神龍騎の領地だったので、龍騎メイン回になります。

 あと、オリジナル設定も出てきます。


 2015年7月30日の夜のことは、今でも鮮明に覚えている。

 何しろ、余りにも色々なことが起きすぎた日だったからな。

 武神との邂逅までは、ひなたから聞いたのか?

 そうか。普段は自慢の幼馴染なのだが、あの日以降はひなた曰く王様の話となると人が変わるからな。

 だがまあ、逃げてきたぼは良くなかったかもしれないな。

 ん?何がだって?

 まあ、そのうち分かるから、取り敢えず続きを話そう。

 

 

 周囲のバーテックスを片付けて、見える範囲にはいなくなり一先ずの安全は確保されると、私達を助けてくれた人影は、ベルトのバックルから時計のようなデバイス、後から知ったがライドウォッチというらしい、を外すと、鎧が解除されて普通の人間の姿に変わった。

 

「我が王よ」

「うわぁ。……この子もか。ちょっとゴメンよ」

 

『サンダーホーク!痺れタカ、タカ!!』

 

「あばばばばばばばば!!」

 

 ひなたは変身を解いた少年の前に片膝をついて、まるで臣下のように頭を下げた。

 それに対して少年は、困ったのように頬をかくと腕のホルダーからタカの絵が描かれたライドウォッチを取り出して起動する。

 すると、タカの形に変形して飛ぶと、ひなたに電撃を落として気絶させた。

 身長はさほど変わらないが鍛えているのだろうか、ひなたを俵のように担ぐと若葉へ視線を向ける。

 

「すまん。君の友達か?俺が近づくとどうも、感受性が強い子は変な電波を受けちゃうみたいなんだ」

「は、はぁ…」

「まあ、俺から離れれば治ると思うよ。無理だったらナナメ45度の角度で、頭を叩いてみな」

「いや、そんな壊れたテレビではあるまいし…」

「それと、すまない」

「えっ?」

 

 不意に少年が頭を下げて、若葉は戸惑う。

 

「駆けつけるのが遅くなってしまった。そのせいで、助けられなかった人達がいる。それに、君のようなまだ若い子にその力を与えてしまった」

 

 沈痛な表情で話す少年に、若葉は自分が手にした力がもっと早く手にしていたら、あの化け物共に喰われた友人達を救えたんじゃないか、と悔いていたことに気付かれていたと感じた。

 

「いえ、あなたのせいではありません。悪いのは、あの化け物共です。何事にも報いを。私は我が家の家訓の通り、必ず報いを受けさせます!」

「それは…」

 

 若葉の言葉に、少年が何か言いかけた時だった。

 

―――――キィィィィィィン‼️キィィィィィィン‼️

 

 辺りにガラスを爪で引っ掻いたような不快な音が響き渡る。

 

「―――来ます。武神と対をなす荒神(あらがみ)が」

「荒神、だと?」

 

 唐突に目を覚まし、厳かな声音で告げるひなたに若葉は思わず聞き返す。

 

「はい。人々に平和と安寧をもたらすのが武神だとしたら、混沌と暴虐をもたらす者こそが荒神です。しかし、荒神は武神達によって封印され、その脅威は去っていた筈でした」

「やはり、ここにも封印されていたか。あの化け物の影響で、封印が解かれたんだよ。おい電波少女、降りろ」

「電波少女ではありません!上里ひなた、ひなたとお呼び下さい。我が王よ」

 

 少年がひなたを降ろしたタイミングで、先程まで若葉達がいた神社の本殿がガラスが砕けたように倒壊した。

 そして、本殿だった場所に立っていた人影に若葉は、思わず目を見張る。

 

「そんな、バカなッ!?」

「チッ。やはり、依り代に入ったか」

「王よ。ではあれは、あそこにいる彼女達は」

 

 そこにいたのは、この惨劇が起きる直前まで交流してようやく友達になれて、目の前で喰われた筈のクラスメイトだった。

 

「そう。荒神は肉体を持たないが為、現世に干渉する為の依り代を必要とする。それは、魂がない肉体が荒神という魂を入れる器には最適だ。即ち、彼女達は既に亡くなっているが為に、荒神に利用されている」

 

 少年の言葉に、ひなたと若葉は顔を背けて目の前の現実を受け入れずにいた。

 

【ぁあ。久々の現世だぁ。ようやく、ようやくまたアレを始められる】

 

 少女だった者だカードケースのような物を手にかざすと、どこからともなく腰に銀色のベルトが取り付いた。

 

【…変身】

 

 カードケースをベルトに装填すると、カニのような頭部の鎧が装着される。

 

「荒神シザース!!」

【さあ、戦いを始めよう。一度始めると、癖になって止められないんでね】

 

 シザースから放たれる殺気に、武術を習得してバーテックスを倒せる力を得たとはいえ、少女である若葉はその身は恐怖に苛まれて後退ってしまう。

 そんな少女達を庇うように少年は一歩前へ出て、再び白いライドウォッチを起動する。

 

『ジオウ!』

 

「変身!」

 

 

『ライダータイム!カメーンライダ~ジオウ!!』

 

 少年がバックルの右側のスロットにライドウォッチを装填し、そのまま回すと背後に半透明な身の丈を越えるアナログ時計が現れて、マゼンタ色のライダーの文字が飛び出して鎧を纏った少年の顔面に打ち込まれる。

 

「君はあの人達を守って!手を貸してくれ、君の力が必要なんだ」

 

 少年の言葉に若葉は顔を上げ、隣にいるひなたを、自分の後ろにいる自分が助けた人々を見ると、力強く頷いた。

 

「承知ッ!!」

 

 ひなたと共に後ろに下がると、いつの間にか集まって来ていたバーテックスを再び斬り刻む。

 

【お前、あの魔王だったのか!?だが見たところ、今代のジオウは素人同然。君に何が出来るって言うんだい?】

 

『ストライクベント!!』

 

 シザースは左腕にあるハサミ状の武器の接合部を開いてカードを装填すると、右手にカニのハサミのような武器が装着されて少年に向かって駆け出す。

 

「さて、出し惜しみは無しだ。門矢さん、絆の力をお借りします」

 

『ディ・ディ・ディ・ディケイド!』

 

【何をしようと無駄だ‼️】

「それは、どうかな?」

 

『アーマータイム!カメンライド!ワーオ‼️ディケイド!ディケイド!ディケイド~‼️』

 

 別のライドウォッチを左側のスロットに装填し、バックルを回転させると九枚のプレートがバックルから飛び出す。

 

【何ィ!?】

 

 プレートは振り下ろそうとしていたハサミを弾くと、九つの影となって少年の鎧に重なる。

 右肩にはディケイドの文字。胸から左肩にかけてはバーコードが描かれ、顔にはお面を被ったような意匠となって目の部分にもディケイドと書かれていた。

 

「祝え!!」

「またか、ひなたぁあ!!」

 

 それを見たひなたが、大袈裟な身振りでよくとおる声で叫んだ為、若葉から抗議の声が上がる。

 しかし、ひなたはそんなことはお構い無しと言わんばかりに、祝詞を止めない。

 

「全ての武神の力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来を知ろしめす時の王。その名も仮面ライダージオウ、ディケイドアーマー。武神だけでなく、並行世界の仮面ライダーの力を継承した瞬間である!!」

 

 シザースが攻撃を弾かれて後ろにたたらを踏んだ隙に、少年はバックルから刀身にヘイセイバーと刻まれた武器、ライドヘイセイバーを取り出す。

 

【カニ相手なら、これだな】

 

『ヘイ!響鬼!デュアルタイムブレーク!!』

 

 刀身が真紅の炎をまとって、少年はシザースに斬りかかる。

 

【くそっ!舐めやがって!】

 

『アドベント!!』

 

 シザースが再びカードを装填すると、今度はシザースの背後から金色のカニのようなミラーモンスターが現れた。

 

「二対一だと!卑怯なっ!」

【ヘッ!卑怯もラッキョウも好物なんでな】

 

 若葉の批判など痛くも痒くもないと言わんばかりの態度のシザース。

 

「だったら、こっちも増やすだけだ。エグゼイドさん、キレの良いやつ、頼みます!」

 

『エグゼイド!ファイナルフォームタイム!エ・エ・エ・エグゼイド!!』

 

 少年は素早く、また新たなライドウォッチを左側に挿したウォッチにさらに装填すると、右肩の文字がエグゼイド、バーコードの部分がダブルアクションXXと表示されると、体が二つに分身した。

 すると、胸の文字に右側に青緑のスーツの方にはRが、オレンジのスーツの方にはLが加わった。

 

【なっ!?卑怯だぞ!】

「「お前が言うな‼️」」

 

 Rがライドヘイセイバーを、Lがジガンギレードを構えて、駆け出して一対一となるように相手取る。

 元々がシザースと互角に渡り合えていた少年の為、戦況は膠着状態となる。

 

「不味いですね」

 

 だが、若葉に神託から分かったバーテックスの攻め混む場所を教えながら、シザースと少年の戦闘を観察していたひなたが、焦りの混じった声で呟く。

 

「何がだ?」

「荒神が我が王の予想以上の実力に苛立って攻めているんです。苛立って攻撃が単調になるのは、我が王に取っては好機。しかし、腐っても相手は神。決定打になりうる攻撃を打ち込めていません。何より、人間とは違う点が一つあります」

「もったいぶるな、ひなた。早く言え、こっちはこっちで忙しいんだ」

「体力ですよ、体力。我が王が、人間。それはどこからどうとっても、変えようのない現実です。このまま持久戦になれば、不利なのは我が王です。それに、荒神にはかつて封印した武神の力でなければ再び封印が出来ません」

「だったら、どうすれば、ッ!!」

「……荒神が封じられていたということは、何処かに封印の要がある筈。……即ち、それは我が王が継承すべき武神の力の残滓。……一体、何処に?」

 

 完全に神託を伝える事を放棄して思考の渦に陥るひなただが、若葉ちゃんなら大丈夫という信頼から来るものだとここに明記しておく。あくまで、若葉自身の希望というか願望ではあるが。

 境内を見渡して何か手掛かりがないか探すひなたは、ある一箇所にバーテックスの群れが近付いていないことに気付く。

 

「若葉ちゃん、あそこに!あの神楽殿まで私を連れて行って下さい!」

「いや、ここの人達はどうするんだ」

「仕方ないですね。じゃあ、斬撃を飛ばして道を作って下さい。後は私が行きます」

「いいや、斬撃なんて飛ばせないから」

「もう我が儘ですね、若葉ちゃんは」

「いやいやいや、何で私が悪いみたいな言い方になってるんだ?」

 

 小さな子供を諭すような声音で首をやれやれと振るひなたの態度に、流石に若葉もイラっときたのか額に青筋を浮かべる。

 

「これでも食らえ!!」

 

『ヘイ!ドライブ!デュアルタイムブレーク!!』

 

 ライドヘイセイバーから無数のタイヤが飛び出してシザースに殺到し、何個かは弾かれてしまうが弾かれたタイヤは周りにいたバーテックスを消滅させた。

 

「今の内に!!」

「ひなたー!?ああもう、イチかバチかだ」

 

 駆け出したひなたに呆れながらも、若葉は日本刀を納刀して居合の構えを取る。

 

【シャッ!気に入った。力を貸そう】

 

 誰かの声が聴こえた気がしたが、集中した若葉は気にせずに鞘から日本刀を振るう。

 

「ハァア!!」

 

 裂帛の気合と共に一文字に振るわれた日本刀は、ひなたの進む道を作るように炎の斬撃となった。

 ひなたは無事に神楽殿へと到達し、天井を見上げるとそこには一匹の真紅の龍が描かれていた。

 

「我が王よ!ブランクウォッチを!!」

「応!って、電波少女、何でそんなとこに!?」

「お気になさらず!早く!」

「しゃーない。ほらよっ!!」

 

 少年から投げ渡されたブランクウォッチを受け取ったひなたは、それは掲げる。

 

「我が国を守護せし、武神へ伏して願い申し上げます!今一度、日ノ本の民を守らんと仮面を被った我が王に力を!我が願いにお応え下さい!!」

 

 ひなたの祈りに応えるかのように、龍の絵が真紅の光を放って浮かび上がるとかつて、武神龍騎が使役していたとう無双龍ドラグレッダーの姿となるとブランクウォッチに吸い込まれていった。

 

「我が王!これをお使い下さい!!」

 

 変化したライドウォッチを、少年に向かって投げるひなた。

 

【させるか!!】

「甘いな」

 

『ヘイ!ゴースト!デュアルタイムブレーク!!』

 

 ライドヘイセイバーから無数のパーカーゴーストが現れて、シザースとボルキャンサーを妨害してライドウォッチは無事に少年の手に渡った。

 

「…これは。龍騎さん、熱いやつ、頼みます!!」

 

『リュウキ!!』

 

 エグゼイドウォッチを抜いて一人になった少年は、ひなたから受け取った龍騎ウォッチを装填する。

 

『ファイナルフォームタイム!リュ・リュ・リュ・リュウキ!!』

 

 右肩の文字はリュウキ、胸にはサバイブの文字へと変わりライドヘイセイバーとドラグブレードを手に持って二刀流となる。

 

「祝え!!全ての武神の力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来を知ろしめす時の王。その名も仮面ライダージオウ、ディケイドアーマー、龍騎フォーム!また一つ、新たな武神の力を継承した瞬間である!!」

「ひなた、もう何も言わんからな」

 

 ひなたの祝福にツッコミ付かれたのか、若葉は若干死んだ目をしながらバーテックスを淡々と斬り伏せていく。

 

「行ける気がする!」

 

『ヘイ!リュウキ!デュアルタイムブレーク!!』

『リュ・リュ・リュ・リュウキ!ファイナルアタックタイムブレーク!!』

 

 二刀共に真紅の炎を纏い、近付いて来たボルキャンサーのハサミを二刀をクロスして受け止め、そのままボルキャンサーの体に刃を×の形で斬り込む。

 さらに、体から火花が飛び散って動きが止まったボルキャンサーを踏み台にして少年は高く跳び上がる。

 

【チィ!!】

 

『ガードベント!!』

 

 シザースの左腕にカニの甲羅のような盾が装着される。

 

『リュ・リュ・リュ・リュウキ!ファイナルアタックタイムブレーク!!』

 

 今度は突き出した右足に真紅の炎を纏い、待ち構えるシザースに向かってキックを叩き込む。

 

【これしきの攻撃ィ!!】

「誰が、一回だけと言った!!」

 

『フィニッシュタイム!ヘイ!カメーンライダーズ!ディ・ディ・ディ・ディケイド!平成ライダーズ!アルティメットタイムブレーク!!』

 

 盾を犠牲に跳び蹴りを防いだシザースだったが、少年は盾に当たっていた右足に力を入れて今度は真上に跳ぶ。

 そして、ライドヘイセイバーにディケイドウォッチを装填し、柄にあるハmドセレクターの長針を三周させてトリガーを引いた。

 すると、シザースと少年の間にカード型のエネルギーが出現して、降下しながらすり抜けると刀身にエネルギーが充填されて、無防備となったシザースに大上段kら斬り落とした。

 

【バ、バカなぁあああああ!!】

 

 着地した少年がシザースに背を向けて、振り返らずに歩き出すと同時にシザースの体はボルキャンサーと共に砕けたガラスのように粉々となって消えた。

 

「終わった、のか?」

 

 集まっていたバーテックスがあらかた片付き、少年の元へ行こうとした若葉だったが手で静止させられる。

 

「いや、まだだ。あの荒神は、先兵に過ぎない。早くここから逃げろ」

 

 少年の言葉が言い終わらない内に、シザースが復活した辺りにまた死んだ筈に人間が立っていて皆、一様に似た形のカードケースのような物を持っていた。

 

「行け、サムライガール。道標は、その電波少女が受け取っている筈だ」

 

 少年がリュウキウォッチのボタンを押すと、ドラグレッダーが現れて少年と若葉達の間に炎の壁を作った。

 

「行け!!」

 

 シザース以外の封印されていた荒神の足止めの為、殿を努めようとする少年に若葉は少年を見捨てるようで迷ってしまう。

 

「行きましょう、若葉ちゃん」

 

 だが、そんな若葉の背を押したのはひなたであった。

 

「私達には、まだ生き残った人々を送り届ける使命があります。それに、我が王ならば心配ありません。必ず、勝ちます!」

 

 少年の勝利を信じるひなたの瞳を見て、若葉も決心する。

 

「すまない。ここは任せた!私達が、必ず送り届ける!!」

「我が王!どうかご武運を!!」

 

 二人の言葉が聞こえたのか、少年は背を向けたまま右手でサムズアップすると復活して変身した荒神達に向かって駆け出した。

 

「露払いは私がやろう。ひなた、安全なルートを教えてくれ」

「任せて下さい」

 

 少年とは玉方向へ駆け出す若葉達。

 

「皆さん、四国まで移動します!そこならば安全です!私達を信じてくれた、我が王の為にも絶対に辿り着きますよ!!」

 

 ひなたに先導され、生き残った人々は四国を目指して移動を開始したのだった。

 

 

 

 以上が、私とひなたがあいつに初めて会った時の話は終わりだ。

 それじゃあ、私は鍛錬があるからこれで。

 そうそう、あんな別れ方をしたせいか、ひなたは余計にあの王様にドハマりしてしまってな。で、さっきも言ったが人が変わるんだ。

 何が言いたいのか、って?

 つまり、中途半端で逃げ出すと王様の魅力を聞かせるまで、お前を探して語り尽くすまで解放しないぞ。

 まあ、ひなたがお前の背後にいる時点で手遅れだがな。




 平成最後に仮面ライダーブレンみたいにぎりぎり滑り込めなかったけど、令和最初の日に投稿できて良かったです。

 感想やご指摘、アドバイスがあればお待ちしています。


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第二話「失われたJ/邂逅 2018」

 いつも通りお待たせしました。
 今回、時間が前回より飛んでいます。
 ジオウもあと三か月ほどで終わりですか。長いようで、短いですね。


 その報せは、突然だった。

 

「瀬戸大橋を生き残った人達が渡っている!?」

 

 人類が絶滅の危機に陥る惨劇から三年の月日が経ち、人類の生存圏が四国一帯と、北海道、長野、沖縄の極々限られた地域に狭まっていた。

 そして、ついに長野の諏訪湖周辺の生存圏が、バーテックスの大規模侵攻を受けて陥落し、若葉達がいる四国に初めてバーテックスの侵攻を受けて撃退したのが、一週間前のことだった。

 次の侵攻に備えて、勇者達の拠点である丸亀城で鍛練を行っていた時に入って来た急報に、集まっていた五人の勇者達は直ぐに救援に向かう為に準備を始めた。

 

「急いで下さい。大橋の監視していて発見した大社の職員の報告によると、生存者の後方にはバーテックスの大群らしき影も見えたそうです」

「それは不味いな。人の足より、奴らの方が早いからな」

「必ず、助けよう!」

 

 五人の勇者達は、各々の武器を取り出して勇者装束に変身し終えると丸亀城を飛び出して、民家の屋根の上を跳んで瀬戸大橋へ向かったのだった。

 そして、大橋に到着した一行が目にした物は、二台のバスとそれを牽引する空を飛んでいる見たことない二台のマシンだった。

 

「え、何あのマシン?」

「スゴイ!スゴイよ、ぐんちゃん!空飛ぶマシーンだよ!!」

「わ、分かったから、一旦落ち着きましょ、高嶋さん」

 

 困惑する者と興奮する者に分かれた勇者達だったが、おそらく生存者達が乗っているバスの後方から白い津波、バーテックスの大群が押し寄せて来ているのも目に入った。

 

「神樹様の結界まで、まだ距離はあります。あのマシンの速度から考えると、あと三十分といったところですね」

「よし、ではバスの護衛とあのバーテックスの足止めに組み分けしよう。どうだ、伊予島?」

「良いと思います。わたしとタマっち先輩はバス側、若葉さん、友奈さん、千景さんはバーテックス側をお願いします」

「分かったわ」

「よーし、タマに任せタマえ!!」

 

 クロスボウを構えた伊予島杏と、旋刃盤と呼ばれる刃のついた盾を構える土居球子の二人が、バスを牽引する謎の空飛ぶマシンに近づくと、片方のマシンの上に人影があることに気付く。

 

「あの人が、マシンを操作しているのか?」

「その可能性が高いね。もっと近付こう」

 

 二人はバスの中に生存者を確認すると、マシンを操作していると思われる人物に話を聞く為に跳躍して誰も乗っていない方のマシンの上に着地する。

 

「あの、すみません!」

 

 球子が盾を構えて杏の前に出て、警戒しながらも人影に声を掛ける。

 今まで遠目でハッキリと見えなかった、人影の全身像が分かるとその奇抜さから警戒した為であった。

 なぜなら、銀を基調とした全身を覆うスーツに、顔面にはカタカナでキカイと黄色の文字が書かれていたので、誰であろうと普通はしない格好の人物を見れば、警戒するのは当然のことである。

 

「ああ、この時代の勇者の方々ですね。私のこの姿は、仮面ライダーウォズと言います。申し訳ありませんが、今は立て込んでいるので詳しい話は、後でよろしいでしょうか?」

「構いません。私は、伊予島杏と言います。あのバスの中にいる方々は?」

「私達は、長野の諏訪より避難して来ました。本当に申し訳ありませんが、このタイムマジーンを操作するので手一杯なんです」

 

 よく見ると、ウォズの頭部からスパナやドライバーといった工具の形をしたエネルギーが放出されて、二台のタイムマジーンに注入されて動いていることが分かる。

 そして、タイムマジーンに限界が来ているのか時々姿勢がグラついたり、火花が飛び散っていて、ウォズも肩で息をして辛そうであった。

 

「だったら、護衛はタマ達に任せタマえ。瓦礫とかは、どかすからもっと速くしてもいいぞ!あ、タマは土居球子だ。よろしくな、ウォズ!!」

「安全は私達が確保します。一刻も早く辿り着きましょう」

「ご助力、感謝します」

 

 バスは速度を上げて、四国の大地へと入って行った。

 

 バーテックスの足止めに向かった、若葉、友奈、千景の三人はバーテックスの進行速度が思っていたより遅いことと、前方で二つの人影が動いてバーテックス達を消滅させているのが見えた。

 

「水都ぉお!出来るだけ、バーテックスを集めてくれ!!頼んだ!」

「しくじらないで下さい、(つかさ)さん!!」

「任せろ!門矢さん、海東さん。仲間の力、お借りします!」

 

『ディエンド!』

『フィニッシュタイム!ディケイド!アタックタイムブレーク!!』

 

 見覚えのある鎧を纏った後ろ姿と、全身が緑でスカーフの様な物がある鎧を纏った二人が、どうやらバーテックスを足止めしていたことが分かった。

 そして、見覚えのある方が銃を構えると、中央にカメンと書かれたカード状のエネルギーがバーテックス達の隙間を縫うようにあちこちに現れる。

 

『サイクロン!マキシマムドライブ!!』

 

 緑の方の人影が、腰のスロットにメモリみたいな物を装填すると、突如として突風を吹き荒れて空を飛んでいたバーテックス達は抵抗することが出来ずに風に流され一箇所に集まり出す。

 

『フィニッシュタイム!ディエンド!スレスレシューティング!!』

 

 銃口の先に何枚ものカードが渦を巻くように現れ、トリガーを弾くとそれが束になって先に出現していたカードを通り抜けながら集まっていたバーテックスを貫く。

 

「ふう。取り敢えず、一段落か。大丈夫か、水都?」

「司さんこそ。私は、まだいけるよ」

 

 嘆息する二人に若葉は、恐る恐るといった感じに声を掛ける。

 

「すまない。ちょっと、話を聞かせてもらって良いだろうか?」

「ん?ああ、何時ぞやのサムライガールか。それに、高嶋に郡までいるとは。どうやら、無事に辿り着けたみたいだな」

「司くん!?良かったぁ~。心配してたんだよ」

「わ、私は心配してなかったわよ。あの時みたいに、風来坊のように気取ってばっかりして、人様に迷惑掛けてるんだろうな、って考えてただけよ」

「何だ、郡さん達も知り合いだったのか。そういえば、あの時は名前を聞けてなかったな。私は、乃木若葉だ。それと、そちらの方は?」

「乃木か。俺は、常磐(ときわ)司。よろしく。で、こっちは」

 

 初めて見る、声からして女性だと思われる緑の仮面ライダーについて尋ねると、緑のライダーは一歩前へ出て若葉にお辞儀をした。

 

「初めまして。この姿は、武神サイクロンですが、私は藤森水都です。若葉さんのことは、うたのん、白鳥歌野から聞いていました。お会いできて、光栄です」

 

 聞いたことない名前に千景と友奈は首をかしげるが、若葉は心当たりがあり、ポン、と手を叩く。

 

「貴女が、藤森さんですか!私も白鳥さんより、お聞きしています。ということは、まさか」

「お察しの通りです。私達は、陥落した諏訪より王様達の力を借りて避難してきました」

「そうか、良かった。助けに行けなくて、申し訳なかった!!」

「本当に、ごめんなさい。私達が、強引にでも助けに行くべきだったのに」

「いえいえ、そんな!皆さんも皆さんで、諏訪よりも多くの人達を守る使命がありました。そのお気持ちだけで、十分です」

 

頭を下げる若葉達に、水都はあたふたしながらも頭を上げるように言う。

すると、そこで若葉はあることに気付く。

 

「そういえば、白鳥さんは何処に?」

「確かに、諏訪の勇者が見えないわね。さっきのバスに同行しているのかしら?」

「…うたのんは、うたのんはいません。一緒に諏訪を脱出した後、途中で荒神との戦闘になって」

「まさか!?」

 

水都の言葉から想像できる事態に、一同は思わず息を呑んだ。

だがしかし、真の絶望はこれから訪れるのだった。

 

『マックスハザード・オン!』『覚醒!』

 

「人類殲滅計画、始動!」




現在のジオウの判明している所持ウォッチ

・ジオウライドウォッチ
・龍騎ライドウォッチ
・ディケイドライドウォッチ
・ディエンドライドウォッチ
・フォーゼライドウォッチ
・エグゼイドライドウォッチ




感想、アドバイス等お待ちしています。


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第三話「失われたJ/絶望」

遅くなってごめんなさい。
ジオウ映画、楽しみですね。


―――三日前

 

『エクストリーム!』

 

「「これが、私達の力だ!!」」

【ハハハ!いいぞ。まさか、ジオウと勇者、巫女の力が合わさるとはなぁあ!!】

 

 バーテックスの大規模侵攻を辛くも乗り切った諏訪地域だったが、その代償として最後の結界の基点であった御柱は破壊されてしまった。

 そのため、生き残った人々はジオウが使うタイムマジーンで電車を牽引して、線路伝いに四国へ向けて移動することになった。

 その途中、荒神エターナルの襲撃を受けて応戦する司と諏訪の勇者である歌野であったが、司はエターナルが自身で使うガイアメモリをバーテックスに挿すことでドーパントを生み出し、生存者の人達が乗る電車を襲い始めた為、その対処で精一杯になってしまう。

 そして、歌野もエターナルの猛攻に手も足も出せず満身創痍となって水都が思わず飛び出して歌野を庇うようにエターナルの前に立ちはだかる。

 エターナルは容赦なく攻撃を繰り出そうとして、万事休すと思われたその時、司が持っていたダブルライドウォッチが反応して、歌野と水都に武神ダブルへと変身させた。

 そして、それだけでなく強化フォームである二人の心と体が一つになった、エクストリームへと進化をしたのだった。

 

「「私達は、負けられないんだ!!」」

 

『エクストリーム!マキシマムドライブ!!』

 

「「ダブルエクストリーム!!」」

 

 緑の旋風がダブルの体を押し上げて、両足を突き出して跳び蹴りを放つ。

 エターナルはそれに焦ることなく、腰のスロットにメモリを装填して発動させる。

 

【生憎だが、メモリの数が違う!】

 

『クイーン!マキシマムドライブ!!』

 

 エターナルはバリアを発生させて、跳び蹴りを受け止めて攻撃に転じようとした時、不意に動きが止まった。

 

【何だ?今、邪魔しないでもらおうか。チッ、分かったよ】

 

 まるで、誰かと通信していたかのような行動が終わると、エターナルは一度頭を振ってダブルを見据えた。

 

【悪いな。あんたらともっと楽しみたかったが、クライアントの意向の変更でな。貴重なサンプルってことで、連れて来いだってよ】

 

『ゾーン!マキシマムドライブ!!』

 

 エターナルは手に持っていた、サバイバルナイフのような武器のスロットにメモリを装填して発動させると、ダブルの体に0や1といったアラビア数字が現れ、徐々に透け始めた。

 

「これは!?空間転移のマキシマム!!」

「不味い!みーちゃんは逃げて!」

 

 能力を解析した水都の言葉に、歌野はいち早く狙いに気付くとドライバーからエターナルメモリを引き抜いて投げ飛ばした。

 直後、ダブルの姿は黒一色の仮面ライダージョーカーへと変わって完全に転移させられた。

 

『オ・オ・オ・オーズ!!ファイナルアタックタイムブレーク!!』『ヘイ!オーズ!デュアルタイムブレーク!!』

 

「セイヤァァァアアア!!」

 

 ジオウのディケイドアーマーオーズフォームとなっていた司は、上空に跳ぶと巨大な火の鳥となってバーテックスを蹴散らして、エターナルが放ったドーパントも吹き飛ばした。

 司が急いで水都の元へ駆けつけると、エクストリームメモリから生身の姿に戻ったまま地面に蹲っていた。

 

「うたのん!うたのん!!司さん、うたのんが!!」

「落ち着け、水都!!」

 

 司が水都をエターナルから庇う為に、ライドヘイセイバーを構えるが何故か上空に視線を向けていた。

 司も釣られて視線を向けると、何もなかった空間に六角形の穴が空いて何かが落ちてきた。

 

【バカな!この私が、時間を管理すべき完璧な人工イマジンたる私がぁああ!?】

「完璧だと決め付け、成長が止まった。それが、貴方の敗因よ!」

 

『タイムマジーン!!』

 

 先に落ちてきた人影に向かって、胸元にカタカナでロボと書かれたジオウが使うタイムマジーンと同型機と思われるマシンが着陸し、中からさらに人影が飛び出した。

 

「水都、アレは荒神か武神か、どっちか分かるか?」

「先に落ちてきたのは、荒神G電王です!ですが、タイムマジーンに乗ってきた方は一体?」

 

 エターナルを見ると、彼自身も警戒していたため少なくとも荒神の仲間ではないと判断した司達だが、警戒を怠らず状況を見守っていた。

 

「これで!」

 

『ビヨンド・ザ・タイム!』『フィニッシュタイム!』

 

「終わりよ!!」

 

『タイムエクスプローション!!』『爆裂・DE・ランス!!』

 

 乱入してきた謎の仮面ライダーは、G電王に向けて槍を投げると同時に飛び蹴りを叩き込む姿勢を取った。

 

【時間を乱す、人間如きがぁぁあああ!!】

 

『パーフェクトウェポン!!』

 

 G電王はバリアを張って、光弾を撃ち出して迎撃しようとする。

 しかし、バリアに槍が突き刺さると光弾の嵐を潜り抜けたライダーは、その柄に蹴りを入れてバリアを突破すると勢いのままG電王の体を貫いた。

 そして、背後に出現した立方体の中に吸い込まれると爆発して消えたのだった。

 

【チッ。興が冷めたぜ。元々、乗り気ではなかった依頼だ。ここらが、引き際だな】

 

『ゾーン!マキシマムドライブ!!』

 

「な、待て!」

【じゃあな。せいぜい、地獄を楽しみな】

 

 G電王がやられたのを見届けたエターナルは、もう興味はないと言わんばかりにその場から転移して消えた。

 入れ替わりに、謎の仮面ライダーが司達の元に歩み寄った。

 

「お前、何者だ?」

「この時代では、お初にお目に掛かります。我が名は仮面ライダーウォズ。ウォズ、とお呼び下さい。我が救世主」

 

 膝をついて変身を解除したウォズは、所謂学ランと学帽を被り、赤いアイマスクを掛けた黒髪の少女であった。

 

「救世主、だと?」

「ええ。私は未来から来ました。この本に寄れば、この時間、この場所で諏訪の勇者の白鳥さんが拉致されることを知っていました。その為、私が介入し助けることが出来れば、協力をさせていただきやすくなる、と考えておりました」

「そんな!あなたは、うたのんがひどい目に遭うことを知っていながら、見過ごしたのですか!?」

 

 手に持っていた「逢魔降臨歴」と銘打たれた書物を広げながら語るウォズに、滅多に感情を露わにしない水都であったが、思わず掴み掛かる程にウォズを責め立てる。

 

「落ち着け、水都。ウォズ、お前は助けようとしてくれたんだろ?だけど、あの荒神が邪魔をして間に合わなかった」

「その慧眼、恐れ入ります。確かにその通りです。償いになるか分かりませんがどうか、これからの戦いに私にも助力させて下さい」

「だそうだ。そうする、水都?」

 

 ウォズから手を離した水都は一度、深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

 

「取り乱してすみません、司さん、ウォズさん。私にはまだ、諏訪の方達を四国に送り届ける使命があります。ですから、手を貸して下さい」

「ありがとうございます。それとこの本に寄れば、白鳥さんは死んだわけではありません」

「本当に未来から来たんですか?」

「ごもっともです。少々お待ちを」

 

 ウォズからもたらされた情報に、水都は信じて良いのか疑ってしまう。

 しかし、ウォズも疑われることは予想していたのか不快な様子は見せず、未来から来た証拠となる記録があるページを捲る。

 

「この本に寄れば、我が救世主。貴方がディケイドウォッチを手にしたのは、門矢士、海東大樹と共にスサノオと、ッ!!」

「それ以上は止してくれ。確かに、あの時を知っている君は未来からの訪問者だな」

「も、申し訳ありません。かくなる上は、切腹致します。どうか、介錯を!」

 

 話そうとした内容が司に取って地雷であったことに気付いたウォズは、キレイな土下座をしたと思ったら正座をして懐から短刀を取り出すと、鞘から抜いた。

 

「いやいやいや、そこまでしなくても!」

「陳謝!!」

「アハハ。まあ、四国を目指して出発しましょう。タイムマジーンが二台に増えたなら、移動も速くなりますから助かります」

 

慌てて腕を掴んで止める司だが、予想外に力が強く刃先が腹部に向けて一進一退する。

それを見る水都は、乾いた笑みを浮かべるしかなかった。

 

―――そして、現在。

 

「……とまあ、こんな感じでして、何とかここまで来ることが出来ました」

 

 水都が話を締めくくると、清聴していた若葉達三人は納得したように頷いた。

 

「そうだったのか。私はまだ白鳥さんが、生きていると信じる。だから、何か出来ることがあれば言って欲しい」

「そうだね!私達も手伝うよ!」

「皆さん、ありがとうございます」

 

 二人の言葉に、変身した姿のままだが、水都は頭を下げてお礼を言うが千景だけは険しい表情のままだった。

 

「待って、何か嫌な感じがするわ」

 

 次いで、水都の心に声ならざる声、即ち神託が降りる。

 

「神託です!荒神が、来ます!!」

 

 水都が警告すると同時に、天より雲を切り裂いて闇を発するマグマに覆われた人影が、司達の前に降り立った。

 

『オーバーフロー!Wake up CROSS-Z!Get GREAT DRAGON!ブラブラブラブラブラァ!ヤベーイ!!』

 

「こいつは、荒神ブラッド!?」

 

 不気味な電子音が収まるとマグマが晴れ、姿を現したブラッドが無言で手を翳した。

 すると、ブラッドの影が後方に伸びてその中から鋼色の体躯の怪人、ハザードスマッシュが無数に現れる。

 

【……人類殲滅計画、始動】

 

 ブラッドの号令に合わせ、スマッシュ達は大挙して司達に襲い掛かるのだった。




ちなみに、個人的に好きなライダーはディケイドです。


……ディケイドアーマーの活躍をもっと見たかった。


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