ゲイムなギョウ界で、課金ライダー始めました (スカーレット@エボルト憑依中)
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〘1〙よく分からないままだけど、課金ライダー始めました

「……」

 

突然だが、俺は転生した……らしい。

だが今起こった事をありのまま説明するぜ。

転生した俺の目の前に現れたのは

 

「ーーーーーーーーー!!!!!!」

 

意味の分からん化け物と。

 

「ちょっと、早く逃げなさい!!」

 

なんかよく分からんピッチピチスーツ着た痴女の剣持ったお姉さん。

ここまではもう考えないようにする。

というか田中○恵さんじゃねこの声?

 

「……」

 

だが、今一番俺が頭を悩ませている事。

 

「…なんで諭吉さん…?」

 

何故かネオディケイドライバーを腰に巻いていた俺がライドブッカーを開くと、中に大量の諭吉さんが待っていた事だ。

 

 

 

 

 

さて、事の流れを思い返そう。

 

俺は自室で届いたネオディケイドライバーをはしゃぎながらも腰に巻くと電撃が走り気付けばこんな所へ。

 

そして腰に巻いていたネオディケイドライバーは何故か本物っぽい質感へ。

 

そして付けていない筈のライドブッカーが装備、訳の分からん化け物に襲われ逃げながら一か八かとライドブッカーを開くと中には大量の諭吉さん。

 

呆然としているとやってきた痴女の姉さん。

 

そして今に至る。

 

 

うん、分からん。

 

 

どうしてこうなった。

 

というかこれ夢なんじゃないか。

 

 

「もういいやカメンライド諭吉さんで…」

 

ライドブッカーから諭吉さんを手に取ると、レバーを引いたネオディケイドライバーに差し込む。

するとネオディケイドライバーから光が溢れ、カードが射出される。

 

「は?」

 

声よりも先に腕が動き、カードを手に取る。

 

そのカードは正真正銘のライダーカード。

絵柄はみんな大好き世界の破壊者。

 

「…ディケイド…の、カード…?」

 

何が何だか分からないが、これはもうやれという事だろう。

 

右手に持ち、前に掲げる。

 

「変身!」

 

カードを差し込み、レバーを閉じる。

 

『KAMENRIDE DECADE!』

 

19個の同じ形のシルエットが現れては俺へと重なり、ネオディケイドライバーから射出されたカード型の物が俺の顔に刺さる。

 

すると灰色だった俺の身体がマゼンタと白、黒で構成された物へと変化する。

 

「…おお、マジか…」

 

手を握っては開き、腕をグルグルと回したりする。

 

「…えぇ…」

 

声がした先を見ると痴女姉さんがドン引きしてた。

何故。

 

「…とまぁ、仕方ないか…行くぞ!」

 

 

 

 

 

「……という夢を見たんだ。」

 

いやあ、奇妙な夢を見た。

 

「へー、起きて早々君って変な事言うんだねー。」

 

そう言ってくる美少女。

まあそうなるわな。

 

「ははは、見ず知らずの男を膝枕して撫でる君も中々変だぞ。」

 

「「ははははは。」」

 

「……で、君誰なん?」

 

思わずエセ関西弁になってしまう。

いやほんとに誰なの。

 

「ん?もーやだなー、さっき君が倒したモンスターの近くにいたでしょ?」

 

「は?」

 

「ほら、ピンク色のなんか仮面ドライバーみたいなのになって戦ってた近くに美人なお姉さんいたじゃん?

あのお姉さんが私だよ。

いやー君ってば倒した途端に倒れるんだもん、びっくりしたよー。」

 

ごめん、話についていけない。

夢じゃない?ああこれ現実逃避だったわごめん。

こんなロリな見た目した女の子があの痴女姉さん?

ははは、これまたご冗談を。

 

とりあえず色々突っ込みたいけどこれだけ言わせて。

 

 

「ピンクじゃない、マゼンタだ!!!」

 




井上さんのネオディケイドライバーについての発言でパッと思い付いたネタです。
一日一回のガチャシステムで変身できるライダーが決められるディケイドなのかどうか疑わしいレベルの課金ライダー。


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〘2〙プラネテューヌの女神(ネプテューヌ)

「ねぷっ!?ご、ごめんね、そんなに重要な事だった?」

 

思わずビクッとして撫でるのを止める美少女痴女姉さん。

ああ心地よかったのに。

 

「いや、俺こそいきなり大声出してすまん。

あれにピンクは禁句だから、マゼンタって言ってくれると嬉しい。

…っと、それよりも…倒れたって言ってたけど、ずっと見ててくれたのか?」

 

というよりなんで初対面の男に膝枕+撫でるなんて事できるのかが一番気になる。

 

「あ、そだよー。

女神として、人を放ってはおけないからねー。

やだ、私かっこいい!」

 

「は?女神?」

 

「あれ、その様子だと知らない感じー?

そんじゃ教えてあげよう!

私はここゲイムギョウ界の四つの国の1つ、プラネテューヌの守護女神ことネプテューヌ!

ネプテューヌでもネプ子でも好きに呼んでね!」

 

 

まさか。

そんな事がありえるはずが無い。

だって、君は───

 

 

 

「……そういうお年頃なんだな、うん。

大丈夫、誰もが通る道だからさ。」

 

「あー!絶対信じてないでしょ!

しかもその顔!私を厨二病と思ってる顔だよ!!

本当なんだからね!?」

 

「はいはい、厨二乙厨二乙。」

 

「むきー!!

そういう君はさっきのなんなのさ!

あのピンクは何!?誰!?」

 

「テメェまたピンクって言いやがったな!!

分かったよ何でも説明してやるよ!

俺の名前は門雅司!読みは かどみやつかさ だ!

歳は17でさっきのは仮面ライダーディケイド!

なんで変身できたのかは俺にも分からん!

交際経験無し!東京に住む高校生だよ!!

あと童貞!!

これでいいかよ初対面の男を膝枕して撫でる勘違いさせる系ロリ!」

 

「はぁ!?誰が勘違いさせる系ロリだってぇ!?

仮面ライダーってなんですかディケイドってなんですかー!

君の言ってる事の方がよっぽど厨二っぽいよ!

何!?バニッシュメントでディスなワールドでも展開しちゃう痛い系の人なの!?

その上聞いてもない交際経験をその勘違いさせる系ロリに暴露してどうするのさ!

露骨な彼女いませんよアピールはいらないよ!

そりゃ私も女神だし交際経験もアレの体験も未だに無いけどさ!!」

 

「……」

 

「…ちょ、ちょっと、急に黙んないでよ…」

 

「…いや、なんというか…すまん…ついカッときて……いくら相手が相手とはいえデリカシーのデの字もなかったから…」

 

「…あ…い、いいよ…私も言い過ぎたし…」

 

「「……」」

 

気まずい。

なんだこれ。

初対面だよね?合ってる?

まさか実は昔に会ってたとかじゃないよな?

なんで初対面でこんな話して互いに顔赤くしてんだ。

 

「…ま、まあそれは置いといて…日本って何?どこかの異次元?」

 

ナイスネプ子。

正直このまま気まずいのが続いてたら俺はネプ子を誰にでもこんな対応する勘違いさせる系女かビ○チかと思ってたぞ。

 

「…あー…その辺はなんというか、色々あってな…意味不明な話だが良いか?」

 

「大丈夫大丈夫、私も結構意味不明な経験色々してたからー。」

 

「へぇ……じゃあ、まずは…」

 

 

 

「…って感じで…」

 

「へぇー、君も結構大変なんだねー…そのベルトに電撃が走ったところとかお金入れてカードが出てきた辺りは全く意味分からなかったけど…」

 

「そこはもう俺が1番言いたい。」

 

何故電撃走ったし。

 

「それよりも司は今住むところないんだよね?

なんか転生したみたいだし。」

 

「…そうなるな、この諭吉さんも使えるかわからんし…」

 

ライドブッカーから諭吉さんを一枚取り出す。

あの効果音鳴るのがなんか腹立つ。

 

「じゃあ私が住んでるプラネタワーに住めばいいじゃん、管理してる人には私から説明しておくからさ。」

 

「…お前…神か…?」

 

「だから女神だってば!!」

 

 

 

 

「ほら、これがプラネタワーだよ、おっきいでしょ?」

 

「……」

 

「あれ、どしたの?」

 

でけぇ。

タワーって言うくらいだからそこそこデカいんだろうなと思ってたけどここまでとは…

あれなんだろう足が震えてきた。

 

「ちょ、大丈夫!?

生まれたての子鹿状態になってる人初めて見てるよ今!?」

 

「大丈夫大丈夫、なんかレベルが違うだけだから。」

 

あっ気分悪くなってきた。

吐きそう。

 

「ここ入れるの特定のレベルじゃないと無理とかじゃないからね!?

あぁっ、足が残像残し始めた!」

 

「なんですかまったく、騒がしいですね…あれ、そちらの方は?」

 

「あ、いーすん。

それが色々あってさー、暫くこの人をここに住まわせてあげてくれないかな?」

 

「はい?」

 

「…ん…?…ネプ子、誰と話してるんだ…?」

 

幻聴にしか聞こえないんだが、疲れてるのかな。

今日はもう暖かくして寝よう、起きたら悲しくも辛い現実が待っている筈だ。

あっでもやっぱり覚めたくないなどうしよう。

 

「あれ、見えない?もうちょい上。」

 

「ん?」

 

少し上を見ると目に焼き付けられるのは宙に浮いた本とそれに座っている少し人間サイズより小さめの女の子、そして……

 

「…白…!」

 

スカートの隙間から見えるサンクチュアリだった。

 

「…っっ…!!」

 

ドゴッと聞こえる鈍い音。

地にひれ伏す俺。

やはり正直に言うのはよくない。

本で殴られました。

 

「ねぷぅっ!?ちょっといーすん!たしかに今のは十中八九司が悪いけど角はダメだよ角は!!」

 

「うるさいです!

初対面の人に向かってこの方は…!!」

 

「待って!本当に待って!この小説終わっちゃうから!!

ラッキースケベはお約束だから許してあげて!」

 

 

あ、意識薄れてきた。

さようならディケイドライフ。

意味不明なこの世界。

あ、最後に言っておこう。

 

 

あの素晴らしいロリパンツに祝福を!

 

 

 

 

 

「…はぁ…それで、討伐依頼が出ていたかなり危険なモンスターを謎の力で倒したこの方…門雅さんをここに住ませたいと。」

 

白目を剥いてダウンしている司をソファーで寝かせ数分後、ネプテューヌからの説明が終わる。

 

「まぁ、うん、そういう事なんだけど…」

 

「駄目です。」

 

ネプテューヌがいーすんと呼ぶ少女はキッパリと切り捨てる。

確かに普通はこの反応をする筈。

 

「えー!?なんで!?」

 

「どう考えても怪しいですし、ネプテューヌさんはこういう面倒事を拾いすぎです。

というかなんですかベルトを付けたら電撃が走るって。」

 

「うん、そこは本人が一番聞きたいと思うけど。

ほら、何かあったら責任取るから!お願い!」

 

「…やけに門雅さんの肩を持っていますね…何かそこまでの理由が?」

 

「ん?…うーん、なんというか…同じ感じのシンパシーを感じるというか、なんというか…まさか、私もついに主人公からヒロイン入りかな、なーんて!きゃー!」

 

体をくねくねと動かすネプテューヌ。

そんな姿を見ていーすんと呼ばれる少女は溜息を吐く。

 

「…はぁ…分かりました、暫くの間はここで住ませて良いです。

ですが、しっかりと面倒を見てくださいね?」

 

「ほんと!?やったー!」

 

知らない内にペットのような扱いを受けていた司であった。

 

 

 

 

 

「…ん…?何処だここ…?」

 

目が覚めると、俺は真っ白な空間の中に立っていた。

まさか本当に本の角で死んだとかじゃないよな…?

天国か何か?

 

そうこう考えていると、俺の目の前に一つの箱が落ちてくる。

 

「…えぇ…?」

 

ソードベントを初めて見た時の城戸真司みたいな反応しちゃったよ今。

怖ない?

 

「……開けてみるか。てかデカいなこの箱。」

 

その場に座り、箱を触る。

そしてテープを剥がし、箱を開けると中から光が溢れ出した。

 

「うぉっ!?」

 

驚いた勢いで床に頭をぶつけてしまう。痛い。

頭をさすりつつ目を開けると、周りには大量のカードが浮かんでいた。

一つ一つよく見ると、全てが別々のライダーカードなのが分かる。

 

「…ビルドとかオーズのフォームライド多いな…あ、ジオウのもちゃんとある。」

 

なんかもう見てて管理できるか不安なレベルなんだがこれ。

まさかこれまたカメンライド諭吉さんしないと使えないとかじゃないよな?

 

「…でもまあ、こんなに色々あったらワクワクしてくるな。」

 

OPとかで大量の変身アイテムが浮かんでるシーンとかあったらテンション上がる……上がらない?

 

「…あれ、俺何すればいいんだ…?」

 

ライダーカード浮いてるのはいいけど何すればいいのほんと。

何?精神と時の部屋とかだったりするのここ?

 

「…暇だな…」

 

そう言いつつも適当なライダーカードを手に取る。

ディケイドのカメンライド。

 

「…ディケイドに縁があんのかね…嬉しいっちゃ嬉しいけど。」

 

今年で18と言えども、やはり子供の頃から好きなヒーローに縁があるというのは嬉しい。

破壊者オンザロードは御免だが。

 

「…そうか、平成ライダーもジオウで終わりなんだな…」

 

平成ライダー20人目というキリがいいところで終わるなとか思っていると、手に持ったカードが光を放つ。

 

「何の光!?」

 

眩しくて目を腕で覆うと、意識が遠のいていく。

また何処かに移動するのだろうか。

変な時間だったなぁ…

 

 

 

「…ん…」

 

目を開けると、知らない天井。

何処だここ。

 

「あ、起きた。

大丈夫?白目剥いてたけど…」

 

顔を覗きこんでくる美少女。

近い。

 

「…ネプ子…って待て、白目剥いてたのか俺?」

 

「うん、それはもうぐりんって感じで。

まるで目を繋げてる部分が────」

 

「嫌だ怖い!聞きたくない!

そういう生々しい表現やめて!!」

 

なんか体の部分が痛く感じてくるからやめてほしい。

マジで。

 

「あははっ、ごめんごめん。

あ、そうそう。ここで住めるようになったよ!」

 

「そマ?」

 

「マ。…あ、でも…」

 

「ん?」

 

祝砲でも上げようかなと思っていたのに止められた。

さあなんだ、働けとか言われない限りは……

 

「クエストとかでちゃんと働いたりしないとすぐ追い出すってさ。

ちなみにもうクエスト受けてあるよ、はいこれ内容。」

 

「は?」

 

「大丈夫大丈夫、スライヌ100匹討伐なんてすぐ終わるから。

あ、でもこの出現注意のモンスターには気を付けてね?結構強いから。

んじゃ、いってらっしゃーい!

私はゲームして待ってるねー!」

 

「は?」

 

外に放り出され、プラネタワーの出入口に立ち尽くす。

雲一つない青空、鳥の鳴く声が聞こえる。

傍から見れば俺は確実に不審者だろう。

でも……でもさ。

 

「……起きて早々働けは酷ない?」




何故か気付けば結構評価貰っててビックリ。
二番煎じ的な何かだから特に何も無いだろうなと思っていたのに…。

高評価ありがとうございます、とても嬉しいです…。

……(…これ連載になるやつや…サブタイトルの法則性考えな…)


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〘3〙創造への変身(カメンライド)

「…はぁ…」

 

無駄に広いこの国、プラネテューヌを歩き回る。

地図も何も無いのに放り出された結果迷子になったのだ。

 

気が付けば火の中水の中草の中森の中。

何故か土の中や雲の中も通っていた。

何があったら火の中と雲の中に入るのか自分でも不思議である。

クエストへの道はなかなか なかなか なかなか なかなか 大変だけど必ずGETだぜ、ポケ〇ン。

 

とかなんとか考えると妙に広い草原に出たでござる。

何処ここ。

 

「…おっ?なんか水色のスライムっぽいものが見えるぞ?」

 

アレか?アレがこの世界のスライムくんか?

 

イヌっていうのが結構気になるけど見た目はあんまり───

 

「ぬら?」

 

ごめんめちゃくちゃ変わってるわ。

てか可愛いなオイ。

完璧なフォルムだぁ…(恍惚)

 

「…かわええ…こっちおいで、ほら、おいで。」

 

手をパンパンと叩くと、俺からして右の方向にある草むらの方からガサガサと音が聞こえた。

 

「あん?」

 

自分でもガラが悪いと思う程の低音を出して右を向くと、草むらから大量のスライヌが飛び出してくる。

 

 

やせいの スライヌが とびだしてきた!

司は どうする?

 

たたかう

アイテム

へんしん

▼にげる

 

 

「アカン」

 

にげる一択しかない。

あの数は無理。

 

「ぬら!」「ぬらー!」「ぬらら!」「ぬーらー!!」

 

「無理無理無理!!やめろ来んな!いやぁぁぁ!!誰か助けてくれぇぇぇぇぇ!!!」

 

いくらディケイドでも初期装備じゃ無理!

もしかしたら勝てるかもしれんが今の俺にそんな気力は無い!!

 

暫く走り回っていると、草むらの中からまたガサガサと音が鳴る。

もうこれでスライヌだったらファイナルアタックライドのオンパレードしてやると考えながら草むらに向けて突っ込むが、出てきたのは女の子だった。

 

「っ、大丈夫で──きゃぁっ!?」

 

女の子と見事にぶつかってしまい、二人揃って草むらへと転がってしまう。

それが良かったのか悪かったのか、スライヌは俺を見失ったらしく追いかけるのを止めた。

 

「…いってぇ…」

 

「あいたたた…その、大丈夫です……か…」

 

女の子の声が聞こえるが、何故かどもったような声になっている。

 

「ああ、いきなりすみません…大丈夫で…ん?」

 

目を開けると、異常に暗い。

それになんか柔らかい感触がする。

……よく見るとピンクと白の縞模様が見えるんですが、これはまさか。

 

「…これ、ToLOVEったわ…」

 

これ確実にパンツですわ。

本当にありがとうございました。

二重の意味で。

 

「…き、きゃぁぁぁぁっ!!」

 

女の子の叫び声と共に腹に衝撃が走る。

恐らく蹴られたのだろう。

何故か異常な程飛んでるのは俺が軽いのか女の子の力が強いのか。

多分後者。

 

「すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」

 

勢いで草むらの中から草原へと飛んでいく。

これはアカン、アカンで駆動。

ふと下を見ると大量のスライヌが俺に視線を合わせていた。

オイオイオイ、死んだわ俺。

 

だがここで死ぬ訳にはいかない。

俺は華麗な身のこなしで受け身を取り着地……とはいかないが、膝等を擦りむくも無事着地した。

 

そのまま懐から取り出したネオディケイドライバーを腰に当て、出現したライドブッカーからカードを取り出す。

ネオディケイドライバーのレバーを片手で引き、右手に持ったカードを前に掲げる。

 

「っ、変身!」

 

カードの裏表を逆転させ、ネオディケイドライバーに挿入しレバーを両手で押し込む。

 

『KAMENRIDE DECADE!』

 

19のシルエットが出現し、俺に重なる事で灰色のアーマーへと変化する。

ネオディケイドライバーから飛び出した七つのカード型の物が顔へと刺さり、アーマーとスーツをマゼンタへと変色させる。

 

「…はぁ…気が滅入るが、やるしかないか。」

 

ライドブッカーをソードモードへと変形させ、刃の側面を手で撫でつつ、前へと歩き出す。

100体は軽く越える量のスライヌが俺に向けて突進。

冷静にカードを一枚取り出し、ネオディケイドライバーに挿入してからレバーを閉じる。

 

『ATTACKRIDE SLASH!』

 

ソードモードのライドブッカーを振ると刀身が分身し、突進してくる複数のスライヌを同時に切り付ける。

 

「ハァァッ!」

 

「ぬらーっ!」「ぬらっ!」「ぬらー…」

 

四、五体のスライヌが一気にクリスタルとなって消滅する。

また一振り、更に一振りとしていく内に次々に大量のスライヌを蹴散らしていく。

 

「おっ…?いけるぞ、これ!」

 

ネプ子の言ってた事は本当だったんだ!

スライヌは弱かったんだ!

ラピ〇タは本当にあったんだ!父さんは嘘つきじゃなかったんだ!!

 

「ハッハッハ!!スライヌの脅威もここで終わりよォォ!!」

 

と、調子に乗るといけないってじっちゃんが言ってた。

妙な揺れが起こる。

 

「ぬらっ!?」「ぬ、ぬらー!!」「ぬらー!ぬらー!!」

 

スライヌ達が俺の方向を見て一目散に逃げ出す。

何故か嫌な予感がするので、後ろを振り向く。

 

『……』

 

そこにはとてつもなくデカいロボット的な何かが佇んでいた。

 

「……やあ、初めまして。元気?」

 

現実から逃げるようにスパイディ的な軽めな挨拶を相手に向ける。

 

『ーーーーー!!!』

 

そのロボット的な何かは片手に持った巨大な斧を振り上げ、そのまま振り下ろす。

 

「おいおい嘘だろ……!!」

 

その場からジャンプして避けると、轟音が響き地面に凹みができる。

まともに食らっていたら確実にデッドエンドコースだった。

そんな光景を見た俺はある言葉が脳裏に浮かぶ。

 

«あ、でもこの出現注意のモンスターには気を付けてね?結構強いから。»

 

「…まさか、ネプ子が言ってたのって…」

 

思わずクエスト内容が書いてある書類を取り出し確認してしまう。

出没注意の欄にはデカデカと「シリウス」と記入されていて、出没した場合は逃げるが最善策と記されていた。

 

「…やべぇ。」

 

『ーーーーー!!!!』

 

目の前で機械らしい音を響かせるロボット的な何か。

既に標的として捕えられた俺には、戦闘する以外の道は残されてはいなかった。

しかし、予想外の乱入は別。

 

「やぁぁっ!!」

 

先程の女の子が現れ、手に持った剣でシリウスと戦い始めたのだ。

髪色は薄紫色、服装や見た目はどこかネプ子に似ていた。

 

「なっ!?おい危ないぞ!」

 

「あなたの方が、よっぽど危険です……!早く逃げてください!!」

 

女の子はそう言って俺に目を向けるが、明らかに押されている。

この様子だと、数分も保たないだろう。

 

「生身でそいつに応戦する方が危険だろうが!

俺が時間を稼ぐからそっちが逃げろ!」

 

「嫌です!」

 

「…あぁ、もう!馬鹿野郎が!」

 

ライドブッカーをガンモードへと変形させ、取り出したカードををネオディケイドライバーに挿入しレバーを閉じる。

 

『ATTACKRIDE BLAST!』

 

ライドブッカーのトリガーを引くと銃口が分身し、大量のエネルギー弾の掃射がシリウスに襲いかかる。

 

『ーーーー!!!!!??』

 

まともに食らったシリウスはよろめき、女の子へかける力を減少させた。

 

「まず君はこっちに来い!

どうしても逃げないなら俺も戦う、作戦会議って奴だ!」

 

「…っ、はい!」

 

女の子がその場から後ろに下がり、俺と並び立つ形になってシリウスと対峙する。

 

 

だが、どうする?

ディケイドだと一発一発の決め手があまりない。

スラッシュやブラストでじわじわと責めるくらいしか手はないだろう。

だがその手で行くと確実に女の子を囮にしてしまう事になる。

とはいえファイナルアタックライドを使った所で確実に倒せるとは言い切れない。

選択と言える選択が無かった。

 

考えろ。

今、俺が、ディケイドが使える最善の手と言えるカメンライド。

何故か今ライドブッカーにそのカードは入っていない。

じゃあ、どうしたら使える?

それは、きっと────

 

 

「───っ、一か八かだ!」

 

ライドブッカーから諭吉さんを取り出し、ネオディケイドライバーに挿入する。

ネオディケイドライバーはそれに答えるように光を放ち、カードを射出する。

反射でカードを手に取る。

 

光に満ちたカードはその光が弱まると、一人のライダーが描かれたカードへと姿を変えた。

 

「……っ、これなら!」

 

右手のカードを前に掲げ、表裏を逆転。

レバーを開いた状態でネオディケイドライバーに挿入しレバーを押し込む。

 

『KAMENRIDE BUILD!!』

 

ネオディケイドライバーから飛び出した赤と青のパイプが片方ずつアーマーを生成し、そのアーマーが俺を挟み込む。

複眼を眩く光らせ、アーマーの接続部から煙が噴射される。

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!!イェーイ!!』

 

 

「…姿が、変わった…?」

 

 

仮面ライダービルド。

2017年に活躍したラブ&ピースを掲げ様々なベストマッチを駆使し戦うライダーである。

 

ビルド(創造)という名前だけあって、機械相手には丁度いい。

これでドリルクラッシャー、もしくは別のベストマッチフォームでも使えれば最高だが…

 

「……んん?」

 

ライドブッカーを開くと、そこにはディケイド関連のカードしか入っていない。

おかしい。本来ならカメンライドするとそのライダーに関連したカードが出てくる筈だ。

 

「……まさか。」

 

頭に嫌な考えが浮かぶ。

否定するように頭を振るが、それ以外考えられないだろう。

 

ライドブッカーから諭吉さんをまた取り出し、ネオディケイドライバーに入れる。

するとまたもネオディケイドライバーは光を放ち、カードを射出する。

 

「……」

 

手に取りカードを見ずにネオディケイドライバーに挿入しレバーを閉じる。

 

『ATTACKRIDE DRILLCRUSHER!』

 

その音声が流れると同時に、左手にドリルクラッシャーが出現する。

 

 

うん、これ、あれだ。

 

「…課金しないとフォームライドとかアタックライド使えないやつだ…」

 

驚いた表情の女の子と響くシリウスの機械音、そしてドリルクラッシャーの回転音がやけに悲しく、虚しく感じた。




ラッキースケベに定評のある司パイセン。

完全課金制ネオディケイドライバー。

カメンライドするライダーはくじ引きで決めた結果ビルドになりました。
何かの運命を感じる。

あ、それともう一つ。
初期装備の諭吉さんは全員で75人に決まりました。


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〘4〙ガチャ料金への変換(クラスチェンジ)

「…あの、どうかしましたか…?」

 

ずっと停止している俺を心配したような声を出す美少女。

 

「…ああ、うん…大丈夫大丈夫…」

 

「何があったんですか!?今にも死にそうな声ですよ!?」

 

ハッハッハ、何を言うかこの美少女は。

ただ武器すらもアタックライドに含められる+アタックライドとフォームライドガチャを諭吉さん一人で一回引けるクソガチャに出会っただけじゃないか。

ハッハッハ、くたばれ。

 

「…っ、し…本当に大丈夫だから。

まず君は背後に回って隙を突いてくれ、俺は正面から対応して囮になる。」

 

「えっ、あ、はい…あの、無理はしないでくださいね…?」

 

めちゃくちゃ心配そうな声された辛い。

ごめんよ名も知らぬ美少女。

なんかもう申し訳ないから理由は教えないでおくよ。

 

「ーーーーー!!!!」

 

「っと、そんな事考えてる暇なかったな…!

喰らえデカブツ!」

 

ドリルクラッシャーの刃部分の〝ドリスパイラルブレード〟を回転させ、正面からシリウスに突っ込む。

斬るようにシリウスの手首に当てるが、硬すぎて一向に切り落とせない。

 

「巫山戯んなよ嘘だろ!?」

 

「ーーーー!!!」

 

そうこうしているとシリウスの片手のハンマーを直に当てられてしまい、軽く吹っ飛んでしまう。

 

「グ…ッ…!」

 

「っ…!ビット射出!お願い!」

 

少女が剣を向けると、複数のビットが射出されそれぞれがビームを発射していく。

次第にビームはシリウスを囲んでいくように発射され、シリウスの逃げ場は無くなった。

 

「…あれ、本気であの子一人で良かったやつじゃないか…?」

 

なんか全然見せ場がない辛い。

何なのあれ火力たっか。

 

「…クソ、俺もいい所見せてやらないとな…!」

 

ライドブッカーから諭吉さんを取り出し、ネオディケイドライバーに挿入する。

安定の如くカードが射出されると、すぐにまた挿入しレバーを押し込む。

 

『FORMRIDE BUILD Merry X'mas!』

 

「は?」

 

またネオディケイドライバーからパイプが出現し、ハーフボディが俺の身体を挟み込む。

 

『聖なる使者!メリークリスマス!イェイ!』

 

「……イェイ!じゃねぇよ馬鹿!!もう夏!!暑くなってきてるから!!季節外れも良い所だよ!!」

 

なんで寄りにもよってこれが来たのか。

 

「……もう一回…もう一回だけ……」

 

言ってる事が完全に廃課金者である。

廃課金ドライバーからカード射出、装填、レバー押し込み。

 

『ATTACKRIDE YONKOMANINPOUTOU!』

 

今度は右手に4コマ忍法刀が出現した。

どうして。

 

「…ラビタンで、良いかな…」

 

『KAMENRIDE BUILD!』

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

 

やけに変身音が虚しい。

ほぼ無駄に諭吉さん二枚消費しただけなんですがコレ。

 

「…もうなんでもいいや、うん……」

 

気分は落ち込むが、ドリルクラッシャーと4コマ忍法刀を両手に持ちシリウスへと走り出す。

 

「……リベンジだデカブツゥゥゥゥ!!!」

 

未だにビットの洗礼を喰らっていたシリウスに向かって飛び、ドリルクラッシャーと4コマ忍法刀で斬り付ける。

ビットのおかげでHPが減ったのか、今度はすんなりと片腕が斬れた。

 

「ーーー!!!」

 

宙に浮き地面へと着地していない状態の俺をシリウスは斧で攻撃してくるが、焦らずに4コマ忍法刀のトリガーを4回引く。

 

「無駄だ!」

 

『隠れ身の術!ドロン!』

 

4コマ忍法刀の刀身から濃い煙幕が噴出され、辺りを覆う。

とはいえ移動出来る訳では無いので身体をなんとか曲げ、ドリルクラッシャーを斧に当てる事で反発力で空高く飛び上がる。

 

「おお…怖……なぁ君ー!ビットでシリウスを空中に飛ばせるかー!?」

 

「えぇっ、ど、どこ!?やってみますけど!」

 

あっごめん少女も煙幕にやられてたわ。

にも関わらずビットの操作は完璧の一言に尽きて、ビットのビームがシリウスの身体を持ち上げ空中へと追いやる。

 

「すげぇな…よっし、後はこれを…!」

 

4コマ忍法刀とドリルクラッシャーのトリガーを引こうとすると、ライドブッカーからカードが二枚射出される。

 

「ちょっ、危なっ!」

 

風で飛ばされそうになるがなんとか掴み、カードを確認する。

 

カードはデカデカとビルドのライダーズクレストが描かれたものと、ファイナルフォームライドらしきものではあるが変形後の状態が写っていないカードの二枚だった。

 

「これは好都合だな…!終いだデカブツ!」

 

ドリルクラッシャーと4コマ忍法刀を手放し、一枚のカードを装填しレバーを押し込む。

 

『FINALATTACKRIDE B・B・B・BUILD!!』

 

「ウオオリャァァァァ!!」

 

突如現れたx軸にシリウスが拘束され、俺は放物線の上に乗り滑るように加速していく。

途中の点mでさらに加速していく事でエネルギーが溜まっていき、ライダーキックを叩き込む。

命中した瞬間に右足のタンクレッグのキャタピラが回転する事でシリウスの装甲が削れていき、やがて身体に大きな穴を開けクリスタルとなって消滅した。

 

「…倒し…た…?」

 

クリスタルの光を受けながら、呆然とした様に落下していく。

 

「…や…やったぁ!!」

 

喜ぶ少女の声が聞こえてくる。

彼女のビット、そしてその操縦技術が無ければ確実にやられていただろう。

彼女には頭が上がらない。

 

「…ちゃんと、お礼しないtいってぇ!!」

 

背中から地面にぶつかりました。訴訟。

 

「ああっ!!だっ、大丈夫ですか!?」

 

心配し駆け寄ってくる少女。

ありがたいけど体を揺すらないで。

 

「痛い…肺の空気が全て出る…あっ、なんか目の前が暗く…」

 

「かなり不味い!?

ヒ、ヒール!ハイヒール!!」

 

ほぼ目を閉じた瞬間、淡い光が俺を包み込むのを感じた。

すると先程までの傷と苦しさが全て消え、元気そのものの状態になった。

 

「…あれ、生きてる…」

 

なんともなかったように起き上がり、手を広げたり閉じたりする。

いつの間にか変身は解除されていた。

 

「良かった、間に合った…気分は悪くないですか?」

 

「ああ、まあ…ありがとう。

…さっきの戦闘の件も、君がいなかったどうなってたか…」

 

「いえいえ、気にしないでください。

私これでも女神候補生ですし、あんな状況の人を助けるくらいは当然です。」

 

「ん?女神候補生?」

 

あれ、なんかデジャブを感じる。

紫髪のあのニート女神を思い出す。

 

「あ、はい。

私、プラネテューヌの女神候補生のネプギアって言います。

プラネテューヌの女神のお姉ちゃ…ネプテューヌの妹なんですよ。

気軽にネプギアって呼んでください。」

 

知ってた。

やっぱりそうか。

だが俺も言いたい事があるぞ。

 

「…いや、嘘でしょ。

あんなぐうたら駄女神の妹がこんなにしっかりしてる訳ないじゃん。」

 

ネプテューヌの妹がこんなにしっかりしてる訳が無い。

 

「……ここまで言われるなんてお姉ちゃん、この人に何したんだろう…

……それで、あなたは?

さっきの姿は一体…?」

 

「ああ、俺は門雅司。

さっきのはディケイドって言って……ってそうか、ビルドにカメンライドしてたから伝わりにくいか…」

 

ディケイドとビルドってどう説明すればいいのか迷ってしまう。

普通の興味のない女の子だと「えーなにそれ同じじゃない?」みたいな事言われるだろうし。

俺は言われた事ある。

 

「ディケイド……どこかで聞いた事あるようなないような…

ビルドって何ですか?マゼンタの方?それとも赤と青の?」

 

 

「…ちょっと待て?今マゼンタって…ピンクじゃないって、分かったのか…?」

 

「え?あ、はい。分かりましたけど…」

 

…なるほど。

 

「あなたこそが神だったのか…先程は大変なご無礼を。」

 

マゼンタとピンクの違いが分かる人は神。

女神。

 

「えぇっ!?なんで!?」

 

 

 

「…なるほど…お姉ちゃんも門雅さんのお知り合いの人達もマゼンタじゃなくピンクと…」

 

数十分に及び跪いていたのを無理矢理起こされて普通に喋る事を強いられました。

いや、違うな…

俺は女神様にタメ口で喋る事を、強いられているんだ!!

 

「…まあ、そういう感じで…マゼンタの方がディケイドで、赤と青がビルドって呼ぶんだ。

でもビルドの方は色が結構変わるから、ある程度の見た目で判別してくれると嬉しい。」

 

フォームライドあるし最終的にはボトル刺さるし。

 

「へぇ…それで、あの目?の部分の事なんですけど…」

 

「ああ、あれはラビットタンクフォームって言って…ビルドは有機物と無機物の組み合わせで戦うんだ。

名前の通りラビットタンクは兎と戦車の組み合わせで、組み合わせの中ではベストマッチっていう最良の組み合わせが───ってあれ、どうした?」

 

なんか顔見えないんだけど怖い。

オタク特有の好きな事を喋る時の早口言葉で引かれたか…?

様子を伺っていると両肩を捕まれ、バッと顔を上げるネプギア。

その目はキラキラと輝いていた。

 

「…その話、もっと詳しく話してもらえませんか…!」

 

「えっ、あっ…はい…」

 

この後滅茶苦茶話した。

 

どうやらプラネテューヌの女神候補生はメカフェチ属性があるようで、フルボトルやビルドドライバーの事についてはこの場に無い事を非常に残念に思われていた。

 

ネオディケイドライバーを分解されかけたのはまたのお話に。

 

 

 

そして時間は飛び、俺はギルド的な何かに移動。ネプギアは先にプラネタワーに戻った。

そして俺は受けたクエストの達成報告をしたのである。

 

「…さて、クエストの報酬はいくらかな…」

 

いくらあそこまで弱いとはいえ100匹ってくらいだからそれなりにあるのだろう。

 

「お待たせしました、本日のスライヌ100匹討伐クエストの報酬になります。」

 

受付のお姉さんは異世界にありがちな袋に入れた報酬を俺に渡す。

中身を見てみると、何枚かのお札が入っていた……のは、良いのだが。

 

「…何だこれ…」

 

中身のお札は全て俺の知っている物では無かった。

まあ当たり前なんだが。

クレジットだの何だの書いてあるしこれネオディケイドライバーに使えないのでは?

 

「…そして、こちらがシリウス討伐の追加報酬になります。

お受け取り下さいませ。」

 

受付のお姉さんが追加の袋を手渡してくる。

同じように中身を確認すると、スライヌの報酬の倍以上の量のお札が入っていた。

 

「…こんなに、良いんですか…?」

 

「良いんです。」

 

「本当に?」

 

「本当に。」

 

ニッコリと笑うお姉さんを見て俺は第二の女神を発見したと感じた。

ありがとう…ありがとう…

 

「…ありがとうございました、また来ます。」

 

「はい、お待ちしていますよ。」

 

ギルド的な所から出た俺は袋を持ちつつスキップでプラネタワーに帰るのであった。

 

 

 

「…合計で16万Creditですね、お疲れ様でした。」

 

プラネタワーに戻った後はイストワールと呼ばれるあの少女に稼いだ報酬を数えてもらった。

瓶底メガネ付けてるのは気にしないでおこう。

 

「16万…かなり稼げたな…

じゃあ、報酬の半分を生活費とかに渡して…」

 

異常なレベルじゃないかとか思うがありがたく貰っておこう。

半分は生活費とかに。

 

「いえ、必要ありませんよ。」

 

「えっ?」

 

「ですから必要ありません。

門雅さんのクエストを受ける時の名義はネプテューヌさんの物にしてあるので、自動的にネプテューヌさんの手柄になりシェアも上がる。

そして門雅さんはお金を稼げる。

win-winの関係というものです。」

 

瓶底メガネを外し微笑みかけてくるイストワールはどう見ても女神。

俺の中の女神判定がイストワールを女神と判断した。

 

「…一生尽くさせていただきます、綺麗で偉大なイストワール様。」

 

「ふふ、そんな事言っても何も出ませんよ。

あ、そういえば冷蔵庫にショートケーキが入っているのでよければ食べてください。」

 

そう言ってふわふわと飛んでいくイストワール。

明らかに喜んでいた。

かわいい。

 

「ああ、ありがたくいただくよ。

…これらも諭吉さんに変換とかできるといいんだが…こう、ネオディケイドライバーにまた入れたりしたら変換とか…」

 

16万ものCreditを手に持ちネオディケイドライバーの前にかざすと、何故かまた光を放ち始める。

 

「ウワァァァァァ!!!!」

 

目にダイレクトアタック。俺は死ぬ。

 

「なになにー?報酬がゆで卵一つでArmorなzoneに入っちゃったってうわぁぁぁぁ!!!眩しいいい!!!」

 

騒ぎを聞きつけて入ってきたネプ子にもダイレクトアタック。ネプ子も死ぬ。

 

 

 

「…ん…んん…」

 

しばらくすると光が収まったが、未だに目がチカチカして上手く見えない。

なんとか目を凝らすと、手元にはネオディケイドライバー。

そして片方の手には三人の諭吉さんと1万Creditだった。

 

「は?」

 

待て待て、諭吉さんどこから出てきた。

後15万Creditはどこ…?ここ…?

 

「…ううん…なんだったの…?」

 

「ごめんちょっとネプ子うるさい。」

 

「ひどぉっ!?」

 

消えた15万Credit、現れた3人の諭吉さん。

それぞれの在処はと考えると、またも嫌な予感がしてきた。

 

ライドブッカーを取り出し諭吉さんを全て回収、枚数を数える。

合計73枚。

密かに数えていたが、元がおそらく75枚。

初変身、ビルドへのカメンライド、ドリルクラッシャーと4コマ忍法刀にメリークリスマスに一枚ずつで五枚消費。

そして何故か増えている。

 

分かったぞコレ。

というかこれしか考えられないわ。

 

「…そっか…5万Creditで一人の諭吉さんに変換かぁ…ハッハッハ…」

 

ハハハ、燃費悪ぅ。

 

「……っっっ、ふざけんなぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

これはキレても仕方ない……と、信じてる。

 

「ああ…司がサイコキャラに…」

 

誰がサイコだ誰が。

確かに一人で笑って一人でキレてるからどう見ても変人だけど。

 

「…あのさ、ネプ子…」

 

「ん?どったの?」

 

とりあえず俺が今やるべき事は見つかった。

 

「…良い稼ぎ方とか、ある…?」

 

急募 楽して大量に稼げる方法。




令和になって初の小説更新ではありますが、この場で一つ謝罪をさせてください。

現在私が投稿しているライダーの連載小説を平成最後の日に全て更新しようとしていたのですが、寝過ごして投稿できずにいた上に保存せずに寝落ちして電源が落ちた事によりデータが消えて令和になって初めての日にも投稿が間に合わなかった事をここに謝罪します。
本当に申し訳ありませんでした…。



あ、この小説でライドヘイセイバーは出す予定です。
令和になりましたが近い内にヘイセイヘイセイします。


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〘5〙風都の守護者への変身(カメンライド)

あれから一日が経った。

ネプ子にいい金の稼ぎ方を教えてもらっていたのは良いのだが……

 

「待って待って死ぬ死ぬ!!」

 

「待ちなさーい!!」

 

「銃乱射しながら言うことじゃないだろうが!?」

 

少女に銃を乱射されながら追われていた。

何故こうなったかはちょうど今日の朝まで遡る。

 

 

 

「…へぇ、ここがラステイションか…」

 

ネプ子に「ああ、それならラステイションで良い感じのバイトあったからそれ行ってくればー?」と言われたのでラステイションへ移動。

ラステイションってなんぞや?と思ったが、どうやらネプ子とは違うノワールという女神が治める国らしい。

ってかここ工場みたいな建造物多いな。

排気ガス凄そう(小並感)

 

違う国なのにそんなホイホイ行けるのかと思ったが別に問題は無くサクッと到着した。

え?バイク?マシンディケイダー?

ハハッ、免許持ってないんだ☆

 

「帰ったら免許取りに行くか…ここに教習所あるか知らんが。」

 

独り言を喋りながらもラステイションを歩き回る。

ネプ子から渡された紙には

「時給10000credit!特定のモンスターを倒していくだけの簡単なお仕事!モンスターを倒した数×1000credit時給アップ!(危険手当もあるから給料ガッポガポ!)」

と書いてあった。

どう考えても胡散臭いなこれ。

 

「…っと、地図に書いてあるのだとここら辺か…」

 

辿り着いたのはあまり人気のない小屋。

なんかもう怪しさマンマンである。

 

「嫌だなぁ…実験とかされそうだ…」

 

小屋に近付くと、893らしき格好の男性がドアの前に立っていた。

 

「…すみませーん、木下ですけどぉ…まーだ時間かかりそうですかねぇ…」

 

「あ、あと三日!三日待ってください!!」

 

「チッ…」

 

話を聞くに借金取りか何かであろう。

というかヤーさん帰るの早いな。

やさしい世界。

 

とりあえずヤーさん帰ったし募集の件聞きに行くかと考え、小屋に近付く。

 

「…すみません、求人募集の紙見て来たんですけど…」

 

「えっ!?

ほ、本当ですか!?」

 

中から出てきたのは女性だった。

手を握られ少しドキッとしてしまう。

乙女かな?

 

「え、ええ…まあ…」

 

「わぁ……!ありがとうございます…!

内容の説明をするので、中へお入りください。」

 

この人涙目なんだけど大丈夫か。

ヤーさん怖かったんだろうな…

的な事を考えつつ中に入る。

あ、ちゃんと靴脱いだぞ。

 

中は意外と綺麗で、十分に暮らせる程には家具やスペースが整っていた。

机の前に置いてある座布団まで歩き、お互いに座る。

 

「…実は、私が経営していた風力発電に冠する会社があるモンスターによって倒産寸前まで追い込まれていて…今回お頼みしたいのは、そのモンスターの討伐なんです。」

 

「風力発電?エンジニアとかそういう類の?」

 

「はい。

ご存知の通り、ここはゲイムギョウ界。

各国民がゲームを楽しんでいる……のは、良いんですが…その分電気の消費が激しく、その内の一つであるリーンボックスでは一部の所に異常な程に電力を使う所があったりと……

そうして通常の発電だけでなく風力発電も利用する事になったんですが、風神の使いというモンスターに風力発電に必要な風を横取りされてしまったんです。

それで、風力発電は不要と判断され倒産寸前に…」

 

「…それは、なんともお気の毒に……よし、分かりました。俺が風神の使いってのを追っ払ってやります。」

 

ゲームの電力消費が激し過ぎるとか全国民徹夜でもしてるんじゃないかとか思うんだが。

ゲーム中毒か何か?

 

「本当ですか!?良かったぁ…これで借金に追われなくなる…」

 

とりあえず涙拭いてくれ、俺が泣かしたみたいになるだろ。

果たしてどれくらい借金作ったのか。

 

「…そういえば、倒産寸前なのに給料とか出して大丈夫ですか?

しばらく経営が安定してからじゃないと……」

 

「ああ、そこは問題ないです。

うち、意外と繁盛してるんですよ?

ですから、給料はちゃんと払います。」

 

フフンと誇らしげな表情で笑う女性。

現状は倒産寸前なんですがそれは。

 

「なるほど。…それで、その風神の使いの出現場所はどの辺ですか?

やっぱり風力発電ができる風車の近くとか?」

 

「いえ、この国ラステイションの教会の真上です。」

 

「……は?」

 

 

 

「……マジでか。」

 

そうしてラステイションの教会に来た訳だが、望遠鏡を覗き込むと確かに存在が確認出来る。

よく見つけたなあんなの。

 

「…大丈夫かこれ…この国の女神に怒られないか……?」

 

教会の真上で戦うのは明らかに被害行くだろうし最小限に、そして最短で終わらせるべきだ。

だからこそ────

 

「────諭吉さんの消費は、避けられないか。」

 

ネオディケイドライバーを腹に当て装着。

レバーを引きライドブッカーからディケイドのカメンライドカードを取り出し、前に掲げる。

 

「変身!」

 

カードの表裏を逆転させ、ネオディケイドライバーに装填してからレバーを押し込む。

 

『KAMENRIDE DECADE!』

 

19のシルエットが俺に重なり、カード型のプレートが俺の顔に刺さる。

その瞬間アーマーとスーツがマゼンタへと変色し、変身を遂げる。

 

「…で、アレどうするか…」

 

できれば龍騎が出たらドラグレッダー、オーズだとタジャドル、もしくはフォーゼのロケットステイツとかウィザードのハリケーン等で空中戦を仕掛けたい。

 

「さあ、ショータイムだ。」

 

(※廃課金タイム)

 

諭吉さん取り出してネオディケイドライバーに装填、そしてカード射出。

ここまでテンプレ。

 

「……うーん…ここで来たか…まぁ、良いか。

なんとかなるだろ。」

 

手に取ったカードを装填し、レバーを押し込む。

 

『KAMENRIDE W!』

 

ネオディケイドライバーが二つのメモリによって奏でられる音を響かせながら、緑と紫の電撃を飛ばし白黒の欠片が集まり一つの姿へと形を整える。

そしてその姿が完成すると右半分が緑、左半分が黒へと色を変え赤い複眼が眩く発光した。

 

「…なんというか、やっぱWってシンプル・イズ・ベストって感じだよな…」

 

そう、この姿は仮面ライダーWというビルドとは違うライダーの姿。

ガイアメモリという〝特定地球の記憶を内包したUSBメモリ〟を変身ベルトであるダブルドライバーを使用して変身し、風都を守る二人で一人の仮面ライダー。

 

今回の場合俺一人で成立した状態ではあるが、本来の最大限に出せる力はどのライダーも本人が一番使いこなせるだろう。

……Wの場合、片方がおじいちゃんになったりして大変な事になったりしたけど。

 

「……さて、どうするか…」

 

流石に飛べないからなぁ…マキシマムドライブでも届かない可能性も高い。

となると、トリガーで攻撃するしかないだろう。

ガチャタイムだオラァ!!

 

以下、省略。

 

「…マジか。」

 

出現したカードはWの専用バイクである〝マシンハードボイルダー〟のアタックライド。

これくらい普通に出してくんないかな……?

 

「…これ乗っていいのか?いや、まあ多分大丈夫だろうけど……一回くらいいいよね!うん!」

 

『ATTACKRIDE MASINHARDBOILDER!』

 

どこからか出現したマシンディケイダーが変化し、黒と緑で構成されたバイクへと姿を変える。

相変わらず謎原理である。

 

「……さて、これでどうしろと?」

 

何?ジャンプ台でも作ってEなTよろしくジャンプしろと?

トモダチ?ハハ、くたばれ。

 

「……はい、課金入りまーす。」

 

省略。

これワンチャン見なくても良い感じのやつ来る可能性あるよな、うん。

よっしゃ見ずにいこう。

 

カードを挿入し、レバーを押し込む。

 

『ATTACKRIDE REVOLGYARI!』

 

「は?」

 

腑抜けた声が出ると同時に、轟音を立てて巨大なマシンが走ってくる。

って待て、アレ建物踏んでない?大丈夫?駄目だよなアレ?

 

「待て待て待てェェ!!」

 

走って確認すると、全部の建物が無事だった。

何故。

 

「これがオーロラパワーか…」

 

多分違う。

 

「……で、このギャリーくんどうするか……」

 

流石にこれで突っ込む勇気もないしなぁ……

 

「……待てよ?リボルギャリーって……」

 

見上げると、リボルギャリーの後部に付いたドラム部分に赤と黄色のパーツが付いていた。

 

「…っよっし!初めてのオオアタリィ!!」

 

マシンハードボイルダーを手で押し、リボルギャリーの内部へと入れる。

すると内部のドラム部分に繋がれたマシンハードボイルダーの緑色をした〝ボイルダーユニット〟と呼ばれる部分が取り外され、赤いボイルダーユニットがくっつくようにドラム部分が回転、そしてそのまま接続する─────かと、思われたが。

 

「おい、何で止まった。」

 

何故か動かない。

ピタリとも動かないんだけどこれ。故障か何か?

 

「……おい、まさか。」

 

何を思ったか諭吉さんをまた挿入すると、マシンハードボイルダーに赤いボイルダーユニットが接続された。

 

はい、安定の完全課金制ハードボイルダーでした。

ハハハ。

 

「あ ほ く さ」

 

マシンハードボイルダーに乗り込みながらそう呟く俺は、誰から見ても滑稽な姿だと思う。




もう最終更新から11日経ってるやんけ…(震え声)
ライネス・エルメロイ・アーチゾルテに魅了をかけられ課金、見事に爆死したバカ弟子はここです。
ライネス師匠と主人公弟子の甘々小説、誰か書いてくれてもええんやで?
……あ、はい。まず私は自分の小説頑張ります。


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