考案中作品置き場  (砂岩改(やや復活))
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アズールレーン Battle ship Combat


 基本的にはエースコンバット7のストーリーのオマージュ。
セイレーン大戦後の世界。アズールレーンとレッドアクシズの本格的な戦争を描く。
トリガー役はアーク・ロイヤル ミハイ役は三笠


 2000年。突如、謎の海洋勢力「セイレーン」の出現による災禍から19年後の2019年。ついにセイレーンの驚異から解放された世界には緊張が続いていた。

 

セイレーンに対抗する為に四大国家を中心にして結成された人類連合。《アズールレーン》とアズールレーンから脱退した鉄血によって結成されたもうひとつの軍事連合《レッドアクシズ》は、厄災からの復興基盤となる世界発電施設における利権問題で緊張状態にあった。

 

 アズールレーンによる開発利権独占に反発したレッドアクシズは疑似セイレーンによるテロと世界発電施設《ラー》の占拠、並びに宣戦布告を行い両陣営は「第三次大戦」(灯台戦争)へと突入する。

 

 無数の同盟国を持つアズールレーンに対しレッドアクシズは疑似セイレーンで応戦、アズールレーンは大西洋からその勢力圏を駆逐されようとしていた。

 

「まもなく被害のあった自由アイリス教国です」

 

「しかしなにも勧告もなしに攻撃するか?流石のレッドアクシズとて心得ているだろう?」

 

「それを確かめるためにも我々が赴いているのですよ。アーク」

 

 数時間前に謎の攻撃を受け、通信が途絶した同盟国自由アイリス教国に出撃したのはロイヤル主力艦隊。

 空母《アーク・ロイヤル》軽巡《ベルファスト》軽巡《エディンバラ》駆逐《ジャベリン改》戦艦《フッド》そして旗艦、戦艦《クイーン・エリザベス》 有事を備えた高火力艦隊が編成されていた。

 

「しかし殿下まで出ることは。状況は分かりません、最悪の事態だってあり得るのに」

 

「だからこそよ!この私でしか判断できないことがあるかも知らないでしょ!」

 

「アーク・ロイヤル様は心配性なんですね」

 

「いえ、彼女は単に殿下たち(幼女)に怪我をしてほしくないだけですよ」

 

 エディンバラの言葉にベルファストがすぐに訂正する。

 

「でもアークの考えは私も同じよ。選抜したとはいえ急造艦隊にはかわりがない。本当ならもう少し手勢が欲しかったわね」

 

 アークの考えに同意を示したのはフッド。状況偵察なら6艦で十分だが殿下がいるなら話は別だ。彼女の手勢としてもう少し欲しかったと言うのも頷ける。

 

「本格的な戦闘は当然、控えるわ。何度も言ってる通り、高度に政治的な内容が絡んできても良いように私がいるのだからな。それにリュリューシュも肝を冷やしておった」

 

「……」

 

 リュリューシュ。自由アイリス教国の枢幾卿でありロイヤルに亡命している人物である。彼女はロイヤル内でも自由に身動きできる存在ではない。

 ロイヤルにとって自由アイリス教国は鉄血を主力とするレッドアクシズに対する最後の壁。彼女にもしものことがあればロイヤル本土が焼かれる可能性があるからだ。

 

「せめてサン・ルイとの通信が可能ならば…」

 

 彼女は信心深く、武人気質の信頼できる人物だ。前線指揮艦としてアイリスに駐屯しているはずだが。

 

「やはり駄目です、繋がりません」

 

「と言うことは通信施設を集中的に狙われたわけだな。出番だぞ、ソードフィッシュたちよ!」

 

 偵察として発艦させるためにアーク・ロイヤルは銃を構えて射出する。これで少しでも状況が分かれば良いのだが。

 

ーーーー

 

「お前たちの努力は感動的だったぞ――だが、相手を間違えたらそれまでだな。サン・ルイ」

 

「くっ…ジャン・バール!」

 

 自由アイリスの保有するドック、工廠、軍事施設の全てを灰塵にされ艤装失ったサン・ルイは手持ちの槍だけで防衛戦をしていたが完全武装の敵に対しては無力であった。

 

「ロイヤルに引きこもるリュリューシュにも見せてやりたいぐらいだ」

 

「人の世の理に背いた罪人がよくも…」

 

「信仰も信念も、口先だけでは所詮ただの妄想に過ぎない」

 

 信仰心だけでは国は護れないと鼻で笑うジャン・バール。だがそれ以上にサン・ルイには納得のいかないことがあった。

 

「なぜ…セイレーンがここに…」

 

 アイリスの軍事施設をピンポイントで爆撃したのは鉄血の航空機ではない。あの漆黒の航空機を忘れるわけがない。あれはセイレーンが使っていた航空機だ。

 

「いつまでも我々がお前たちと同じ土俵に立っていると思うなよ

 

「……」

 

「ジャン・バールさん!」

 

「なに!?」

 

 ル・マルスの言葉と同時にその場から待避するジャン・バール。間違いなく彼女を狙った爆撃。咄嗟に上をみるとソードフィッシュたちが遥か上空に滞空していた。

 

「ちっ…時間を掛けすぎたか…」

 

「無事か!」

 

「アーク・ロイヤルか…」

 

「そうだ、どうするヴィシア…我々ロイヤル主力艦隊と正面からやりあうか?」

 

 銃に対艦弾を装填したライフルを構えるアークに続いてジャベリンたちも駆けつける。

 

「これ以上の勝手はジャベリンが許しません!」

 

「随分と好き勝ってやってくれたな。流石の私も腹に据えかねる」

 

「ちっ…クイーンまで居るとは。どうやらハッタリではなさそうね」

 

 爆煙に紛れて姿を消すジャン・バール。すると周囲から感じていた気配も消える。

 

「ふぅ…」

 

「良くやったアーク・ロイヤル。流石は栄えあるロイヤルネイビーのくうぼだ!」

 

「ありがとうございます。ところで陛下、お疲れでしょう。どうかお帰りは私に抱っこを…ぎゃあ!?」

 

「不敬ですよアーク」

 

「こう言うところさえなければ良いんですが…」

 

 どこかしらから出してきたハリセンでアークに一撃を与えるベルファストとエディンバラ。本当に彼女は性癖さえでなければ立派な人物なのだが。

 

「イエスロリータ。ノータッチ!」

 

「タッチしようとしたのは誰ですか?」

 

「私です」

 

「よろしい」

 

 襟首捕まれ連行されるアークをサン・ルイは困った様子で見送る。

 

「無事なのはお前だけか?」

 

「はい、軍事施設をピンポイントで爆撃せれてしまい。我々は反撃する間もなく艤装を失い戦わざる得ませんでした」

 

 自由アイリス教国にはもう防衛戦力が皆無と言っても良いような状態だ。向こうが体勢を整えたらこの土地は陥落する。

 

「出来うる限りの民の救出を、我々ロイヤルはその全てを受け入れる!」

 

 クイーンの言葉にその場にいた者たち全てが動き出す。

 

「殿下…」

 

「おぉ、ベルファスト。どうだった?」

 

「駄目でした…」

 

「そうか…」

 

 アイリスにはロイヤル艦隊の駐屯基地も存在していた。だがそこは集中的に破壊されており生存は絶望的だった。アークはレナウンの亡骸を抱えながらやって来る。

 

「宣戦布告もなしにこれほどの攻撃。陛下、向こうは本気ですよ、国際的信用すら吐き捨てたやり方です。立ち塞がるもの全てを粉砕すると」

 

 この攻撃は奴等の宣戦布告なのだ。逆らえば容赦しないという警告を含めた。

 

ーーーー

 

 ハワイの真珠湾。そこには大破着底したアリゾナやオクラホマの姿が無惨に遺されていた。

 

「おのれレッドアクシズ!」

 

 救援に来ていたエンタープライスは怒りに震える。真珠湾は既に使い物にならない程の損害を受け艦たちを救出する施設を重点的に潰されていた。

 

 僅かながら息が出来る者たちを運び出すことすら出来ずに修理もできない。そんな状態にエンタープライスは怒号を挙げるのだった。

 

 

 

 



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荒野のコトブキ飛行隊 じゃじゃ馬の手綱引き

レオナがヒロイン。一心不乱のレオナどうやって隊長になったのか?を掘り下げながらやる。彼女の初恋は《隼》乗りだった。
 ただレオナがデレるところを見たいだけ


 リノウチ大空襲。数ある空戦の中でも一際、有名な出来事。かつての大都市《リノウチ》に空族の連合軍が宣戦布告。一攫千金を狙った大博打に対してリノウチも自警団を含め、多くの用心棒などを雇って迎え撃った大空戦。

 参加機は未確認であるが敵味方合わせて500機近くが参加したという。

 

 この戦いの生き残りは後に多くのエースパイロットとして名を馳せたという。

 

 この戦いに当時、駆け出しだった一年目のレオナも参戦していた。

 

「よし、これで3機!」

 

 自身の育った孤児院を維持するために用心棒稼業を始めた彼女は比較的に名の知れた組織に入りその腕前を振るっていた。たった一年という経歴を思わせない才能と肝の太さであっという間に昇格した。

 

「くそっ!あの小娘、なんて動きしてやがる!」

 

「ついていけねぇ!」

 

 組んでいた随伴機を引き離し一人で暴れまくる彼女に仲間も辟易としていた。

 

「あんなん一人で飛ばしてやれ!」

 

「そうだな、こっちが落ちちまう!」

 

 随伴機が居なくなろうとも彼女は止まらない。赤い零戦五二型に乗り込んだ彼女を止めるものはいない。

 

「5!」

 

 リノウチの空で大暴れしていたレオナの後ろに迫る影。容赦なく彼女を狙ってきたのは緑色の隼の1型/丙。だが調子に乗った彼女は止められない。一気に加速して上昇すると引き離す。

 

(隼ごときで零戦に勝てるか!)

 

「くそっ!やるしかねぁ!」

 

 すぐさま後ろを取った彼女は隼を狙うがチョロチョロと動き回られ当たらない。レオナの僚機も攻撃に参加するが当たらずに翻弄されている。

 

「くそっ!」

 

 3対1にも関わらずに勝てる道筋が見つからない。すると味方の一機が後ろに着かれてしまう。レオナと僚機で隼とヘッドオンになるが射線が追われている味方と重なって撃てない。

 

「何してる!早く撃て!」

 

「くっ…撃てない」

 

「くそが!」

 

 何も出来ずにすれ違うと盾になっていた零戦が落とされる。相手の技量に素直に驚かされる。これは駄目な奴だ。

 

「ちょこまかと!」

 

「雑魚は引っ込んでろ…」

 

 すぐに僚機も落とされついにレオナ一人となる。この状態でも状況はかなり不利だというのに一対一なんて冗談じゃない。障害物の多い都市部に入り相手を撒こうとする。

 

「良いパイロットだな…だが……」

 

 逃げる零戦を見ていた隼のパイロットは覆われた顔にわずかな笑みを浮かべると一気に動き出す。残念ながら複雑な地形と視界の悪い市街地の空戦では隼に分がある。

 

「貰ったぞ!」

 

 性能の差で引き離して後ろに着ける。

 

「どうかな?」

 

「なに!?」

 

 レオナが背中を取った瞬間。太陽を背にしたストールターンであっという間に後ろに回られると攻撃を加えられ被弾する。まさかの零戦の十八番でやられ少し煙を吹く。

 

「ぐっ!そんな、隼に!?」

 

 性能で言えば零戦の方がやや有利のはずだ。それなにのこの一方的なやられ方。そんなことがあり得ないと彼女は思うが現にやられているのは自分だ。

 

「やられる…」

 

 死を覚悟したその時、二人の間に割り込む一機の戦闘機。流星は隼に牽制を仕掛けると一気に隼との巴戦に入る。

 

「すごい…」

 

 流星も人間とは思えぬ機動を見せているがレオナが目を奪われたのは先程まで襲ってきた隼の方だった。翼を縦にしてビルの隙間に入り込むと流星の背後に回り込む。

 

 流星も後ろからの攻撃をバレルロールでかわすとそのまま隼に追い抜かさせる。そのバレルロール状態中に機銃の短連射、隼も高速でバレルロール回避を行うと上昇。

 お互いに建物の間でバレルロールを行うという鬼機動を見せると今度は背の低い住宅街に流れていく。

 

「やるな…」

 

 そのまま隼と流星は互いにもつれ合いながら姿を消していく。レオナはその様子をただ唖然と見つめることしかできなかった。

 

「あんなのがいるのか…」

 

 そらには化け物がいるただその事実だけがレオナの中に残ったのだった。

 

「うわっ!」

 

 すると一発もらったエンジンが火を吹き始め機体が落ちていく。街のど真ん中に落ちた後もただ唖然とするだけだった。

 

 

 



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僕のヒーローアカデミア×アズールレーン


個性 鉄血艦隊司令官 をもつ少年の話。
チート気味





 個性と呼ばれる超能力が常識と化してしまったこのご時世。多種多様の個性が存在し中には何かしらに特化した個性を発動させる人間も発生した。

 そんな希少性を持つ個性を持った人間はそれを活用し学校に《ヒーロー》と呼ばれる職業に憧れを抱いて進んでいくものだ。

 

 特異な個性が多く存在するこの世界でもさらに特異な個性を持つ人物が存在する。

 特にこの話の主人公である(ふね) 鉄血(てっけつ)は類似した個性が見つからないほど特殊な個性であった。

 

 

 鉄血の個性は《鉄血艦隊司令官》。これは自分自身が勝手に決めた個性名であり"彼女たち"の言葉を聞いて決めた名前でもある。

 

 両親ともバリバリのエリートだった鉄血は両親との記憶はあまり持っていない。その代わりに5人の姉たちに育てられた。厳密には俺は一人っ子だったが少なくともご飯って5人の姉らしき人物たちが俺を育ててくれた。

 

「ふふふ…さすがは我が選んだもの……いい飲みっぷりだ。たくさん飲んで理想の指揮官になるがいい」

 

 赤子の頃の大半…と言うより九割ぐらいは長い銀髪を持った女性の膝の上に乗せられていた。ミルクも子守唄も散歩も彼女に引っ付いて過ごしていたらしい。

 その彼女の名前はグラーフ・ツェッペリン。これが一人目の姉であった。そのせいで最初に発した言葉は

 

「にくむ…」

 

 であったのはかなりの黒歴史である。

 

 そして次に抱いていてくれたのは金髪の女性。グラーフに負けず劣らずの包容力(物理)を持ちときたま俺を強奪して外に言っていたのはローン。

 

「ふふふっ…私の私のかわいい指揮官♪」

 

 散歩以外、基本的に家から出ようとしないグラーフの代わりに動いていたのが彼女であった。彼女はこう見えてファッションヤンデレである。

 

 赤子の頃、特にスキンシップが激しかったのはこの二人であった。

 

「ふぅん…えらいえらい」

 

「えらいぞ、よくやったな」

 

 幼稚園や小学校ごろに上がって様々な世話をしてくれたのはこの二人。プリンツ・オイゲンとティルピッツであった。

 ティルピッツはその見た目を利用して授業参観などの行事に参加。プリンツはその高いコミュニケーション能力で様々な人たちとのネットワークを築いていた。

 

「…………」

 

 そして忘れてはいけない。我が家の実質的な家長《ビスマルク》彼女は基本的に黙して語らず。俺を厳しくしつけてくれた父親のような存在であった。

 

 そんな彼女たちを現実世界に呼び出して使役する力。まさに《鉄血艦隊司令官》の個性こそが俺の能力であった。

 

 戦艦たちの魂の投影がこの個性ならばこの個性は時間制限がない個性と言うことになる。生まれてから今日まで彼女たちが消えることはなくむしろ増加の一途を辿っている。 

 

「はぁ…」

 

「どうしたの…指揮官?」

 

「いや、少し昔の事を思い出しただけだよ」

 

「そう…」

 

 魅惑的に絡んでくるプリンツを無視しながらも目の前に繰り広げられている光景を静かに見つめる。

 

「機械が相手だと楽でいいね」

 

「本当に大したことないわねぇ…説明で構えてた私が馬鹿みたいだわ!」

 

 緑色のボディーに数字が書かれたロボットたちの残骸が山のように積み重なり山になる。その上でふんぞり返っていたドイチュランドは高らかに笑う。

 その山の麓にアドミラル・グラーフ・シュペーは巨大な手で新たなロボットを握りつぶす。

 

「でもさぁ、俺が立ってるだけって言うのはどうかな?」

 

「指揮官は見ているだけでも良い。姉さんは文句を言わずに送り出してくれた…つまり、そう言うことだ。ここで手を出す必要はない」

 

「そうか…」

 

 ティルピッツの言葉に鉄血は少し落ち着きを取り戻した。鉄血艦隊が駆逐しつつあるロボットたちは国立雄英高校、入試試験の評価機。

 一見すれば異端である人を産み出す個性。その所有者《船 鉄血》は入試実技1位を手に入れたのだった。

 

ーーーー

 

 ワンシーンチラ見せ

 

「ちっ!堂々と戦いやがれこの陰キャ野郎が!」

 

「悪いが個性全開のお前と戦う気はない。これが俺の個性なんでね…それに」

 

「よそ見の暇があるのか?」

 

「クソが!」

 

 ティルピッツの一撃をかろうじて避ける爆轟。ティルピッツの至近距離で高威力の爆発を叩き込むが彼女は何事もないようにピンピンしている。

 

「無駄だ。私には効かん…」

 

 戦艦同士の殴りあいを前提に設計された戦艦に爆発ごときでは効かない。彼とティルピッツたちは絶望的に相性が悪かった。

 

「ふっ!」

 

「くっ!」

 

 ティルピッツは持っていた旗で鋭い斬檄を繰り出すと彼を追い詰めていく。ただ坦々とマシーンのように正確無比の攻撃に爆轟は防戦一方だった。

 

(なんとか虚を突いて…)

 

「スタングレネード!」

 

 ティルピッツの攻撃と同時に放たれた眩い閃光。それによってティルピッツに少しだけ隙が出来る。それを見逃さずに彼女を突破、鉄血に肉薄する。

 

「死ねやおらぁ!」

 

「そんな…バカな……」

 

 目を見開く鉄血、それと同時に爆轟の一撃が炸裂する。巨大な爆発に巻き込まれて姿が見えなくなる二人。危機的状況からの一発逆転。観衆がざわめく中、姿を表した二人は観客の思い浮かべていた表情とは全く違った表情をしていた。

 

「てめぇ、まだ隠してたのか」

 

「とでも…言うと思ったかい?この程度は想定の範囲だよ!」

 

 二人の間に割り込んでいたのは竜のような鋼鉄のマシーン。巨大な砲を持つ竜の前に立っていたのはローン。

 

「ふふっ…若いわね。若い子は大好きよぉ」

 

「年齢なら俺と同じだけどな」

 

「それは言わない約束でしょ、指揮官!」

 

 のんびりとした口調に反してローンの手は爆轟の首と利き腕をしっかりと掴んでガッチリと拘束している。

 

「なめんな!」

 

 ゼロ距離による爆発、だがそれはローンにも通じない。その上、ローンの圧倒的馬力に対して爆轟はその手を振り払えずにいた。

 

「悪い子にはおしよきですよぉ」

 

 爆轟を高く掲げたローンはそのまま地面に彼を叩きつける。その見た目から想像できないパワーでコンクリートに叩きつけられた爆轟は苦悶の声をあげるが間髪いれずにローンの足元に爆発を叩きつける。

 

「あら」

 

 足場を崩された彼女は体勢を崩す。そんな彼女にすかさず顎にむけて蹴りを入れようとするが受け止められる。

 

「見た目より考える…危険な子ね……」

 

「がぁ!?」

 

「でも私だけ見つめられても困るわね」

 

 ローンの言葉と共にティルピッツは大きく振り上げていた拳で爆轟の意識を刈り取るのだった。

 

 

 



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ガンダムseed destiny 愛しき者たちへ



ニコルの元婚約者がdestinyの世界で復讐する話。

主人公もキラ並みにチート。ヒーローはシン。








 私こと、エリア・ノイエフォードという人物の人生は惰性で生きていた。

 

 UC0079.12月31日9時40分。ドロス級大型空母一番艦《ドロス》

 

「ドロスが沈む!」

 

「Nフィールドはもう持たないぞ!」

 

 収容されたドロスの爆発が目の前に迫っているというのに彼女は静かにその光景を見つめる。補給のための空母は誰も逃がさない死の牢獄となったのだ。

 

 

 一年戦争において彼女の激動の人生はまさに修羅場の連続であった。

 

 キシリア中将、直属のマ・クベ大佐が指揮をしていたオデッサ基地のMS守備隊員として配属された彼女は愛機のザクⅡに乗り戦闘を行いなんとかHLVにて脱出。

 

 ヅダを主力とする輸送部隊に拾われソロモンに降ろされた彼女はそのままソロモンの防衛部隊員として組み込まれた。

 

 連邦の攻撃によりソロモンから逃げ、ア・バウア・クーに辿り着いたと思えばこの始末、全く笑えない。

 

(これで死ぬのか…)

 

 自身の死が目の前に迫っているというのに全く実感が湧かない。この戦争に参加したのだって友人や両親に流されるままだった。ただ惰性に生きて、殺して、技量を磨いた。友達も同期も上司も部下も皆、死んでしまった。

 

(もし次があるなら…)

 

 明確な意思を持って生きたい。こんな死に方は嫌だ…そんな感情が彼女にとっての最初で最後の意思だった。

 

ーー

 

 C.E.70年。地球連合軍は農業用プラント《ユニウスセブン》に核ミサイルが撃ち込み、24万名以上にも及ぶ死者が出した。

 

「また…戦争が始まるか…」

 

 宇宙世紀にて戦死した筈のエリア・ノイエフォードは新たに生まれ変わった家の中で連日流れるニュースを見ていた。この空気は似ている、あの頃の交戦ムードという奴だ。

 

「エリア、どうしたの?浮かない顔をして」

 

「いえ、お母さん。自分の運命というのを呪っていただけです」

 

「まさか…行くの?」

 

 意識が完全に目覚めたのは自分が10歳の頃だ。全く知らない世界、唯一の共通点と言えば自分がまたスペースノイドと言うことだ。父も母も端的に言えば良い人だ、少なくとも自身の娘を戦争に送ろうなんて奴ではなかった。

 

「私にはそれしか特技がありません」

 

 人並みに生きて人並みに過ごしてきたがやはりあの血まみれの戦場に羨望の念を抱く自分がいる。

 

「違うわ…貴方にはもっと他にも…」

 

「カリーナ、もうダメだ。エリアは決めてしまった」

 

 戦争に向かおうとする娘を止めようとする母、それを悲しそうに父は止める。

 

「あんな物を見せられてじっとしていられないのは皆、同じだろう。整備志望か?」

 

 父はマイウス・ミリタリー・インダストリー社の開発主任だ。後の《ゲイツ》を開発する精鋭企業となる父親の遺伝子を受け継いでいるのなら整備士が適任だろう。

 

「いえ、パイロット志望です」

 

「…そうか」

 

 親としてはあまり千条の最前線には立って欲しくない。だが娘の明確な意思をもった目にそれを否定することは出来なかった。

 

「わがままをお許しください…」

 

 意識が覚醒し7年間、お世話になった。そんな両親を悲しませるのは忍びないがエリアは再び、戦場に戻ることを決意する。今度はあんな最期は迎えないと言うささやかな覚悟を持って。

 

ーー

 

 その半年後。無事にアカデミーを卒業したエリアはあの写真に写る。当時の赤服組、アスランたちと供にニコルを抱き抱えて満面の笑みを浮かべるエリアの姿があった。

 

ーーーー

 

 

 ザフト軍の養成学校《アカデミースクール》エリアは最終的に赤服の座に収まったが当初のスタートは最悪の一言であった。

 

「操作系統、全然違うじゃないか…」

 

 座学も対人訓練でもある程度の優秀な成績を納めたがMS操縦に関しては彼女は最下位であった。

 問題は明らか、MSの操作系統の違いである。前世ではザクⅡを愛用しており機種変更などは行わずに戦死した。

 当然ながら世界が全く違う機体の操作系統がザクⅡと同じわけがなく。つい癖でミスを連発してしまったのだ。

 

「聞いたか、MS操縦だけ壊滅的な奴が居たらしいぞ」

 

「あぁ、でも対人訓練は教官を倒したらしいけどな」

 

「でも、そいつってパイロット志望だよな」

 

「絶望的だな…」

 

 このように入学当初から有名人となってしまったエリアは緑色の制服を着て入学式に出席するのだった。

 

「不味いな…」

 

 そんな彼女は焦燥を感じていた時。何故か真っ先に絡んできた奴がいた。銀髪の偉そうな奴《イザーク・ジュールだ》

 彼が絡んできたのは彼女の順位に問題があったからなのだがそれは当時のエリアからしてみれば知らないことだった。

 

射撃 1位

 

モビルスーツ戦 最下位

 

ナイフ戦 1位

 

情報処理 5位

 

爆薬処理 3位

 

総合成績 13位

 

ぶっちゃけMS以外なら1.2位ほどの腕前である。まぁ、実戦系の奴が軒並み一位を取られているせいで目をつけられていたと言うことだ。(実はアスランも目を着けていたりする)

 

 まぁ、彼とのファーストコンタクトが自分が襲われそうな勢いだったので咄嗟に捩じ伏せてしまい。さらに関係が悪化したのを追記しておく。

 

ーーーー

 

「くそっ!なんなんだアイツは!」

 

「いやぁ、凄かったな。イザークが一瞬で消えたもんな」

 

 捩じ伏せられたイザークは体の間接を痛めながら怒りを露にする。同室のディアッカも対人戦でそこそこの成績を残したが彼女の腕の質が違うのは理解できた。

 

「まぁ、MSは最悪なんだしパイロットにはなれないかもな」

 

「奴には強くなってもわなくてはならん!」

 

「なんで?」

 

「俺は弱い者虐めが嫌いだ!」

 

 潔いのだかなんだか…。同室のイザークにおもわず苦笑いをするディアッカ。だが彼の最後の言葉でこのイザークとは仲良くなれそうな気がしたのだった。

 

ーー

 

「これが…ふむ……」

 

 入学して一週間、エリアは解放されていたシミュレーションシステムの中で悪戦苦闘していた。体が勝手にへんな動きをしてしまう。この癖をどうにかしない限り、MSの成績が底辺なのは変わらないだろう。

 

「うーむ…」

 

 癖を癖で塗り潰すという大変な作業を行わなければならないのを考えて思わずため息が出る。

 

「随分とお悩みのようですね」

 

「君は?」

 

「申し遅れました。ニコル・アマルフィと申します。よろしくお願いしますね、エリアさん」

 

 それが彼との最初の出会いだった。

 

ーー

 

 ザフトは軍を名乗っていても従来の軍ように階級によって縛られない自由な軍隊である。それの影響かアカデミーも訓練以外の時間はかなり自由に設定されている。

 

 体を休めるのもいいし自身の研鑽に使うのもいい。親睦も深める為には必要な時間だ。パイロット志望の最大の目玉であるMS課程に必要な操縦技術も基本はマスターしているなら自由にシミュレーションを使ってもいい。

 

「ふぅ…」

 

 努力家でもあるニコルもそこに通う常連であった。シミュレーションであってもかなりの体力を使うものなので使える時間は限られているが一人だけケロッとしている人がいた。

 

「うーむ…」

 

 銀髪が美しい女性。エリア・ノイエフォード、彼女は同期の中でも一等の有名人。MS課程だけ最下位で次席のイザークと喧嘩してボコボコに返り討ちにしたという。

 知り合ったアスランも彼女をどうにかして抜こうと躍起になっている。凄く優秀な人間なのだ、MS以外は。

 

(綺麗な人だなぁ…)

 

 常人なら耐えられない長時間シミュレーションでも何ともないような顔をして出てくる彼女。誰よりも努力している彼女が少しだけ哀れになって思わず声をかける。

 

「随分とお悩みのようですね」

 

「君は?」

 

「申し遅れました。ニコル・アマルフィと申します。よろしくお願いしますね、エリアさん」

 

ーー

 

 突然、話しかけてきたのは緑の髪を持った少年。人懐っこそうな笑みを浮かべながら寄ってきた彼を座らせるために隣を空ける。

 

「すいません」

 

「いや、なぜ私の名前を?」

 

「それは、貴方が有名人だからですよ」

 

「うむ…」

 

 銀髪をねじ伏せてしまった事だろうか。あれは悪いことをしたがこっちも襲われると思っただけだ。

 

「どうですか、MSの方は?」

 

「慣れないな。慣れてくれれば楽なんだが」

 

 操作系統の問題もそうだがこのシミュレーションの機体。ザフトの主力機である《ジン》の物らしいが全然だめだ。

 パワーも機動力もザクⅡと比べてまるでダメだ。まるで作業用のポッドに乗っている気分だ。

 

(やはりバッテリーではこれが限界なのか…)

 

「僕で良ければお手伝いしますが?」

 

「いいのか?」

 

 ニコルの申し出に思わず聞き返す。対戦相手がいるのはかなり助かる。シミュレーションの相手は手加減をしてくれない上にパターンがあるのでやりつらいのだ。

 

「はい、その代わりに…」

 

「ん?」

 

「いえ、ナイフとか射撃を教えてもらえると嬉しいです」

 

「もちろんだ」

 

 こうして二人の協力関係が成立。お互いに教え合うとい関係始まったのだった。

 

ーーーー

 

「いえ、このOSの場合はこうすると…」

 

 ニコルには操作系統を中心とするMS操作技術を

 

「違う、目をつぶるな。引き金を引く最後の一瞬まで相手を見つめろ」

 

「格闘戦は反射神経だけじゃない。相手の最も嫌がるやり方で立ち回るんだ」

 

 エリアはMS以外の科目を出来る限りニコルに教えた。

 

 こうしてニコルは総合順位を10位から5位まで伸ばしエリアも赤服の昇格試験を受けるまでに至った。アカデミーに入学してから3ヶ月の出来事だ。

 

「とうとう来ましたね」

 

「あぁ、少し緊張するな…」

 

「大丈夫ですよ!」

 

 子犬のようにこちらを見てくるニコルは無性に心惹かれるが感情を押し殺して頷く。

 

「本当にエリアには敵わないからな。これでMSまで抜かされたらと思うと少しな…」

 

 途中からニコルと供によく会うようになったアスランも少し緊張しているようだった。彼自身、物凄い負けず嫌いなのでどんどん上達しているエリアに対して気が気でなかった。(ちなみに現時点で射撃は同率一位である)

 

「本来なら10位のロンナックくんが相手だったらしいんですけど。申し出た生徒が居たらしくて」

 

「随分と物好きなんだな」

 

「いや、俺は予想できてしまう…かも……」

 

「そうだ、俺だぁ!」

 

 疑問符を浮かべる二人に対してアスランは嫌な表情を浮かべる。それに答えるようにシミュレーションルームに響き渡る怒声。

 

「待っていたぞ!このイザーク・ジュールがお前を叩き潰してやる!」

 

「あ、あの時の変態か」

 

「誰が変態だ!そんな目で見るな!」

 

 うん、最高にノリが良い。登場、早々に肩で息をしているイザークは一緒にいたディアッカに宥められながら息を整える。

 

「お前、俺だけじゃなくエリアにまで絡むのか?」

 

「ふん!実技が軒並み上だろうがいつか抜かしてやる!それに強くなったお前とずっと戦ってみたかったんだ」

 

「まぁ、要するにこの日を楽しみにしてたって事」

 

「変な要約をするな!」

 

 うん、ツンデレだなこいつ。凄くめんどくさそうな人種だが憎めなさそうな性格してるな。あくまでも正々堂々、正面から相手を叩きのめしたいと言うことだろう。

 

「とにかくだ!俺がお前と正々堂々戦う。俺はお前を全力で叩き潰す!」

 

「分かった…なら私はお前を完膚なきまで叩き潰す」

 

 赤服への昇格試験というだけあって観衆も大勢居る中での宣戦布告は観客を沸き立たせる。

 

「よし、なら勝負だ!」

 

 イザーク対エリアの戦い。これは後に同期生たちに語り継がれる名試合となるのだった。

 

 

 



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進撃の巨人 運命の時間

ストーリーは王女が誕生するまで

若干チートぎみ


「ウォールローゼ南区、ダウパー村出身。サシャ・ブラウスです!」

 

「サシャ・ブラウス。貴様が右手に持っているものはなんだ?」

 

「蒸かしたイモです」

 

 ウォール・ローゼ南方面駐屯の訓練兵団の施設。そこでは104期となる訓練兵たちが列を成して教官であるキースの叱咤を受けていた。

 

「貴様、盗んだのか。なぜだ、なぜ今イモを食べ出した?」

 

「冷めてしまっては元も子もないので…今、食べるべきだと判断しました」

 

「いや、分からないな。なぜ貴様はイモを食べた?」

 

 数多くいる訓練兵の中、そんな彼は立っていた。いや、正確には彼女と言うべきなのだろうか。

 アイスブルーの瞳を持ち、髪は襟まですらりと伸びた美しい銀髪、その髪はうっすらと青みが入っておりその場に似合わない人物であった。

 

「………」

 

 他の女性を凌駕する高い身長からその何も映さない死んだ眼で見つめられた人物は否応なく寒気に襲われる。美しさと恐ろしさを秘めたつららのような人間であった。

 

(まさか転生するとは…)

 

 隣の人間から密かに恐れられている一方。本人は自身の立場を改めて思い出していた。

 

《貴方には使命を与える》

 

 生きる目的。それは自称神からの使命を全うすることだった、本当にくだらないが目的があるのは良いことだ。しかも具体的な。

 

(運命を全うさせるか…)

 

 彼女の使命は特定の人物の運命を全うさせること。だが期限は彼らが生涯を終えるまでではない。とある一定の運命を全うさせるまでに補助して見守る。それが使命と言う名の命令であった。

 

《どうやって期限を知るか?それなら大丈夫、嫌でも分かるようになってるから》

 

(嫌でも分かるねぇ…)

 

 この話は知っている。《進撃の巨人》と呼ばれる大人気の漫画作品だ。だが残念ながらあんまり内容は知らない。主要キャラがある程度、分かるぐらいだ。

 

(にしても早く終わらないだろうか…)

 

 

 

ーーーー

 

 104期の訓練兵。後の世でその名を馳せる人物たちが共に寝食を共にして競いあった一種の伝説の一つとされる言葉であった。

 

 その中で確かな存在感を持ちながらも決して目立たなかった人間がいた。大衆はその名を知らないが104期のメンバーたちは過去の話をする度に彼女の名前を口にする。そして口を揃えてこう言うのだ。

 

「アイツは凄い奴だった」と

 

 …彼女は美しく、優秀で、信頼を集めていた。

 

 だが彼女は決して目立たずに…そして劇的に死ねたわけではなかった。

 

 たった数年間でのわずかな時間。彼女の命の煌めきを決して彼らは忘れないだろう。

 

        そんな悲運の女兵士の物語

 

 





クラウ・ランシャール

身長 177cm

体重 63kg

出身 シガンシナ区

 基本的に無口だがお人好しでお節介。同期の間ではミカサと同じく抑止力的な存在でもある。男女ともに距離感が近く仲良くなるとよく話すようになる。
 同郷なだけあってなんだかんだエレンたちとつるんでいる。それが原因でたまにミカサに命を狙われそうになる。

 個人の戦力としてはそこそこだが状況把握能力と指揮能力が高い。密かな逸材。




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逆シャア、ユニコーン介入。プル憑依

 

 

 

 第一次ネオジオン戦争。ティターンズとエゥーゴが戦ったグリップス戦役にて疲弊した連邦軍に対してハマーン・カーン率いるネオジオン軍が宣戦を布告。

 地球連邦本部のあるダカールと各コロニーを占領され地球は再びジオンの侵攻を許してしまう。

 その後は連邦軍のガンダムチームの活躍やアクシズのグレミー・トトの反乱により戦況は混乱。ネオジオンは自壊に等しい終わりかたをしたのだった。

 

 グレミー・トトは反乱の際。ニュータイプのクローン部隊を実戦投入。ハマーン派のキャラ・スーンと交戦し全滅した。と言うのが史実に記載された歴史だ。

 

(現実は小説より奇なりってね)

 

 だがそのネオジオン戦争から助かったニュータイプのクローン部隊員。この世界ではそれが二人存在していた。一人は後にジオン残党に回収され育てられ、もう一人はその身を連邦軍に寄せていた。

 

「シエテ、なにをしてるんだ?」

 

「はい、すいませんっと」

 

 第一次ネオジオン戦争後に宇宙を漂流していた量産型キュベレイ。それを回収したのは連邦軍のカラバ派であった。カラバ派はプルを連邦軍からの悪用を阻止するためにもっとも信任の厚かったブライト・ノアに報告。その後は彼の下でデータ上は連邦軍の正規兵として扱われている。

 

 ネオジオン戦争から2年後の0091。現在でもシエテの年齢は13歳とかなり若かった。

 

「お前は本当にお着きがないな」

 

「そうですよねぇ。でも珍しいものが多くて」

 

 プル7ことシエテはアイスを舐めながら親代わりとなったブライトの後ろを追いかけていく。裾を直した連邦軍の制服に身を包みながらその無邪気そうな顔は今だに面影が残っていた。

 

「それより良いんですか?こんなコロニーでゆっくりしてて、奥さんに捨てられますよ」

 

「どこでそんな言葉を覚えたんだ?大丈夫だ、定期的に連絡は取っている」

 

 コロニー《ロンデニオン》地球連邦軍の外郭新興部隊《ロンド・ベル》の拠点となっているサイド1のコロニーだ。

 

「それなら安心しました。司令が指揮を疎かにされると我々したっぱが困りますからね」

 

「全く…本当にお前は独特だな」

 

「遺伝子が同じでも性格に差が出るのは当たり前でしょう。こうしてあなた方に拾われたのだって奇跡に等しい」

 

「そうだな。お前を人を人と見れない連中に渡すわけにはいかなかったからな」

 

「その折は本当にありがとうございます」

 

 シエテは7のスペイン語読みだ。プル7と呼ぶのはブライトなりにも抵抗があったようで彼が名付けてくれた。

 シエテは2年前、身長は150cmであったが現在は既に162cmとかなり大きくなっている。しかも現在進行形でどんどん大きくなってる。

 

(もしかしてマリーダさんより大きくなるんじゃね?)

 

 自分の場合はブライトいわく。他のことは違ったらしいからそれが成長に影響してるらしい。

 

「それより、早く私にジェガンをまわしてくれませんかねぇ」

 

「無茶いうな。アムロの手にだってまだジェガンは回ってないんだ。そんな贔屓は出来るわけないだろう」

 

「リック・ディジェなんていいもん使ってぇ」

 

「お前にもメタス改があるだろう」

 

 0091時点でロンド・ベルには今だにジムⅢが基本装備だった。各エースにはカラバから送られたMSがあるがジェガンの扱いやすさと拡張性の高さはシエテからも魅力的だった。

 

「あれはあれで燃えるんですが…やっぱり王道に載ってみたいと言うのが…」

 

「王道?」

 

 ここで察された通り、このプルことシエテは憑依転生者である。元はガンダム好きの男でありそんな彼が瀕死のプルに憑依したのは奇跡であった。

 

(まさかあのロンド・ベルに配属されるなんて♪)

 

(困ったものだ…)

 

 気分がウキウキなシエテを眺めながらブライトは考える。プルシリーズのデータは彼も様々な手を使かって手に入れていた。彼が最も危惧しているのは《ガンダムへの憎悪》であった。

 連邦軍の力の象徴であるガンダムへの憎悪は掘り込みによって埋め込まれているものだ。

 

(彼女の場合は判断が着きにくいところもあるしな…)

 

 プルシリーズに見られる。慕う相手を《マスター》と呼ぶ習性がシエテには見られない。量産型キュベレイの残骸を目の前にしても過剰な反応は見せずに興味深そうに眺めていた。

 

「まぁ、アムロさんは強い。正直、敵う気がしませんよ」

 

 姿を見ただけでかなりヤバイと感じさせられた時は驚いた。本能が敵わないと告げられたのは初めての感覚だった。

 

(やっぱりリアルチートだよね。あの人。おまけに容赦ないし)

 

 なんどシミュレーションでボコボコにされたか。ZZ時代に彼が居たら自分なんて生きてすらいないだろう。

 

(ZZも大概怖かったけどなぁ…)

 

 今考えれば、ジュドーもハマーンもキャラも頭おかしいほど強かった。なんで挑もうとしたのか自分でも不思議なくらいだ。

 

「どうした?」

 

「いえ、昔のことを思い出してまして…」

 

「そうか…」

 

 シエテの言葉に彼もそれ以上の詮索はやめる。彼女の過去は鬼門だ。踏み入ればどんな蛇が出てくるか分からない。

 

「ネェル・アーガマに戻るぞ、シエテ」

 

「はい!」

 

ーワンシーンー

 

 連邦軍の宇宙要塞《ルナ2》一年戦争時からある連邦軍の宇宙施設だ。連邦の重要拠点の一つであるこの要塞は奇襲を受け、施設の全てが火の海と化していた。

 

「くそっ、やっぱり罠か!」

 

 火の海と化した要塞から迎撃のジェガンたちが出撃するが明らかに戦力不足であった。

 

「くそっ、ネオジオンめ!」

 

 シャア率いるネオジオン軍の攻撃を受けて出撃した部隊も万全の準備をしていたネオジオン機に次々と撃墜される。

 

「あたしだけで掃除してやるよ!」

 

 ネオジオンのエースのレズンは目の前で墜ちていくサラミスに驚きながらも冷静に撃墜していく。

 

「なに!?」

 

 だがサラミスに気を取られた瞬間。随伴機が一瞬にして火の玉に変えられた。

 

「くそ、この機体は初めてなのに!」

 

 真っ白な機体が迫ってくる。頭部はジェガンに酷似しているがジェガンと比べて大型の機体だ。あんな物がルナ2に眠っていたとは。

 

「マシなのが出てきた!」

 

「アムロさんの言った通りか!」

 

 出会い様にビームランチャーをシールドに叩き込むとレズンのギラ・ドーガが反動で吹き飛ばされる。 

 

「くっ!」

 

 援護に来たギラ・ドーガたちをミサイルであしらうとビームライフルで牽制し肩部ビームキャノンで堕とす。

 

「なんてパイロットだ。連邦の強化人間か…それにあれはアクシズのマシーンじゃないか!」

 

 アクシズで少数量産されたドーベン・ウルフ。その改修機であるシルヴァ・バレトはシエテの力を得て一騎当千の力を発揮していた。

 

「このパイロット…強い。でも今は!」

 

 アデナウアーのクラップが心配だ。機体を反転させて一直線で向かう。

 

ーー

 

「みんな、落ちちゃぇぇ!」

 

「遅かった!」

 

「なんだ、こいつ!」

 

 シエテの存在を察知したギュネイはファンネルを展開。対してシエテもインコムを展開して応戦させる。とてもインコムとは思えない動きをさせたシエテは瞬時にヤクト・ドーガに間合いを詰める。

 

「5thルナにいた奴か!」

 

「あの時のジェガンのパイロットだな!」

 

 すぐさま、ギュネイは盾のメガ粒子砲を撃ち放つがシエテは直撃コースの一本だけビームランチャーで相殺してビームサーベルを抜き放つ。

 

「くそっ!」

 

 被弾したクェス機がいる以上、迎え打つしかないギュネイはビームサーベルを展開し鍔迫り合いを行う。

 対してシエテもブリッジを潰されたクラップの時間稼ぎをしていたのだ。クラップは反転し戦域を脱出しようとしている。最も大きな驚異はこの機体たちだ。

 

(奥の機体は被弾してるな…この感じ…まさか…)

 

「やはりクェスか!」

 

「なに!?」

 

「え?」

 

「ちぃ!」

 

  ギュネイも中々のやり手だ。ここでクラップを仕留めるのは骨が折れる。クラップが戦域から離脱したのを確かめるとギュネイを蹴り飛ばしミサイルをバラ蒔いて離脱するのだった。

 

 

 



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