あたまポッピンシャッフル! (妖魔夜行@)
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あたまポッピンシャッフル!

たえちゃん推しの人に謝罪を。申し訳ナイス!


┏━━━━━┓

これが日常

┗━━━━━┛

 

 幼なじみ、それは美少女。

 

 幼馴染み、それは天使。

 

 幼馴染、それは攻略ルート。

 

 つまりおさななじみとは美少女天使で攻略するものだということが分かる。

 

「という訳だから沙綾、結婚しない?」

 

「どういう訳か知らないけどとりあえず帰ってくれないかな?」

 

「俺と沙綾の愛の巣に?」

 

「キミだけの家にだよ。もっかい言うよ?仕事の邪魔だから帰ってくれない?」

 

 焼きたてのパンをそれぞれの定位置へ置きながら、少年には目もくれず淡々と話す沙綾。

 

「孵ってくれない……?それはつまり沙綾が俺を産んでくれるの?」

 

「待って、なんで帰る帰らないの話から私がキミを産むことになってるの」

 

「やさしく……してね…?」

 

「死ね」

 

 もじもじと体をくねらせながら話す少年にゴミを見るような冷たい視線を向けて再びパンを並べる作業に戻る。

 焼きたての芳ばしい香りに誘われ、少年がパンに手を伸ばそうとすると沙綾が持っていたトングで少年の頬を思い切り引っぱたいた。

 

「顔!?え、顔!?そこは普通手とか指とかじゃないの!?」

 

「うるさいよ。というかパンに唾が飛ぶから叫ばないで。むしろ喋らないで、もう息しないで」

 

「いや流石の俺でも息しないのは」

 

「しないで」

 

「いや、だから」

 

「するな」

 

「はい」

 

 可愛らしい女子高生のどこからこんなドスの効いた声が出せるのだろうか。ヤクザ顔負けの怖さだった。

 あまりの怖さに少年は体が震え、顔を蕩けさせた。

 

「おい沙綾、あんまり怖い声を出すなよ。感じちゃうだろ」

 

「もう死んでよ…」

 

 疲れたように声を振り絞る沙綾の横で少年が笑う。「HAHAHA!」と無駄にネイティブな発音が余計癇に障る。

 

「ところで沙綾、もう朝飯食べた?」

 

「まだだよ。仕込みを終わらせてから食べようかなって」

 

「そっか。じゃあ俺もご相伴に預かろうかな」

 

「またなの?」

 

「迷惑か?」

 

「正直、弟達に悪影響与えるから一緒にいさせたくないんだけど」

 

「おいおい、俺が純くん達になにかしたことあったか?」

 

「あるよ、むしろない事がないよ」

 

 沙綾は覚えている。この少年が保育園に上がったばかりの弟に向かって「お兄ちゃんはお姉ちゃんのお婿さん」と吹き込んでいたのを。それからしばらく弟達が彼のことを「おむこさん」と呼び、誤解をとくのに時間がかかった。あと少年はもちろん殴った。顔面をグーで、何度も。何度も。

 

「まあまあ幼馴染なんだしさ、いいじゃんこれくらい。俊くんたちも懐いてくれてるしさ」

 

「そこが不思議でならないんだよね。なーんであの子達がキミに懐いているのか」

 

「それはほら……俺から溢れ出る沙綾の旦那様オーラに惹かれたんじゃないの?ほら未来のお義兄ちゃんとしてさ」

 

「もう一回言っとくけど私はキミと結婚する気ないからね」

 

「なん…だと…!?」

 

「どうしてそんなに驚けるのかな……だいたいまだ付き合ってもいないのに結婚とか…段階を踏んでよ段階を」

 

 少年の相手をしたせいでいつもより倍の時間がかかってしまい、いつもより百倍以上疲れてしまった沙綾。自然とため息が出て涙が零れてしまう。だって女の子だもん。

 

「沙綾の涙!ぺろぺろしなきゃ!!」

 

 隣で彼女の目じりに浮かぶ涙を必死に舐めとろうしている変態に肘打ちを決め込んでから沙綾は自宅へ戻る。

 

「こ、これが、愛のムチ……ごばぁッ」

 

「はぁ〜……」

 

 一体自分の幼馴染はいつからこんな変態になってしまったんだろう。

 深いため息をついてリビングへ向かった。

 

 これが日常である。

 

 

あたまポッピンシャッフル!

 

沙綾「あたまポッピンシャッフルはまだ続くよ。いやさっさと終わって欲しいんだけどね」

 

変態「俺と沙綾の物語もまだまだ続くぜ!」

 

沙綾「消えろ蛆虫

 

変身「んギもちいい!!!」

 

あたまポッピンシャッフル!

 

 

┏━━━━━━━━┓

ヤンデレズ 前編

┗━━━━━━━━┛

 

 

「ふんふんふーん」

 

 やたら上機嫌で商店街を練り歩くのは言わずも知れた少年。商店街の人達は彼の奇行に慣れているのか見向きもしない。

 ちなみに少年の服装はゆったりとした白のブラウスに優しい色合いをした黄色のロングスカートだ。

 

 もう一度言おう。少年の服装はゆったりとした白のブラウスに優しい色合いをした黄色のロングスカートだ。

 

 ブラウスに、ロングスカート、だ。

 

 そう、この男。いやこの変態は幼馴染である沙綾の私服を借り、もとい盗み、自分で着て商店街を練り歩いているのだ。最早変態を通り越してただの危ない人である。というか誰か止めろよ。これ奇行じゃなくて最早事故だろ。見向きもしないじゃなくておぞましくて視界に入れたくないだけだろ。目を逸らすな商店街の住民達よ。

 

「沙綾の服を俺が着る……これもう実質合体じゃね?おせっせしてると同レベルじゃね?」

 

 ゴミカス野郎はとち狂った発言をしながら商店街を堂々と歩く。時刻は11時ということもあり人は多いのだが花咲川の恥部(コイツ)の周りはモーゼの十戒のような空間が出来ている。誰もこの変態に近寄りたくないからである。

 

「それにしてもこれからどうしようかな。circle行って沙綾にこの姿を見せてもいいんだけどあそこ変態がいるしなぁ。それに万年発情ガチレズサイコパスもいるし行きたくねぇな。いやでも香澄ちゃんとりみりんに会えるなら行ってもいいかもしれない……。よし善は急げだ!決めたらすぐ行くぞ!」

 

「どこ行くの?」

 

「circle行ってポピパとRoseliaのみんなにこの姿見せた後に羽沢珈琲店行って持参した牛乳を飲んで『やっぱり沙綾の乳から絞ったミルクは格別だな!』って大声で叫んだら小学校寄って帰る」

 

「最初に話したのから色々追加されてるじゃん!?」

 

「あれ沙綾?なんでここにいるの?circle行ったんじゃなかったの?」

 

「八百屋のおじさんからキミが私の服着て商店街を練り歩いているって連絡もらったからすっ飛んできたの。何してんの?いつ私の服とったの?早く言わないと爪剥ぐよ?」

 

「沙綾の家で洗濯してる時に借りました。使ったら洗って返そうと思ったんだよ、許して」

 

「何に使う気だったの!?まさかと思うけど下着までとったりしてないよね!?」

 

「それは安心してくれ、水着しかとってない」

 

「何一つ安心できる要素がないんだけど。私に君の生死に関わるレベルの力が出せたらな……」

 

「卵子は出せるのにな」

 

「ぶっ殺す」

 

「違うこれ乱神モードだった」

 

 山吹沙綾の真骨頂、その④とか言ってる間に少年の顔面に拳が突き刺さっていく。能面のような無表情で馬乗りになりながらひたすら拳を振るうその姿は修羅を連想させた。

 彼女が振るう拳に慈悲はない。あるのは殺意のみ。

 

 そろそろ少年の顔が原型を留めなくなってきた頃、沙綾に声がかけられた。

 

「何してるんだ沙綾?」

 

「くたばれくたばれくたばれくたばれ……あっ、有咲。今この世の汚点に制裁を与えていたところ」

 

 そう言いながら沙綾は馬乗りをやめて立ち上がる。彼は轢かれたカエルより酷い顔になっていた。

 

コヒュー……コヒュー……」

 

「大丈夫か、それ?」

 

「死んでないから大丈夫だよ。本音は死んで欲しいけどね」

 

 やれやれとため息をついて今しがた現れた少女に向き直る。少女の名は市ヶ谷有咲、沙綾が所属しているバンドのキーボードを担当していたりする。

 そこそこの面倒くさがり屋で、人見知りでもあるのだが、その体型やツインテールという女の子らしい容姿に反して男勝りな口調と毒舌の持ち主だ。 

 

「そりゃ残念だ。死んだらアタシのものにしようと思ったのに」

 

「物好きだよねぇ有咲は。こんな変態が好きだなんてさ」

 

「まあアタシはコイツに救われてからメロメロだからな。こいつの為ならなんでも出来るし何でもしてあげれる。金が欲しけりゃアタシが働いて集めるし恋人が欲しけりゃアタシがなってやる。職に就きたきゃアタシが探してやるし子供が欲しけりゃアタシが産んでやる。セックスがしたのなら喜んで身体を差し出すし、気に入らない奴がいるなら直ぐにそいつを殺しに行く。但しその対価としてコイツの人生を貰う。だって当たり前だよな?アタシの全部を、人生をあげるんだ。ならアタシもコイツの人生を貰わなきゃ割に合わない。アタシは何でもしてあげる代わりに、コイツは全てをアタシに寄越して、アタシが何でもあげる代わりに、コイツはアタシを愛してくれればいい。ああでも子供は欲しいなぁ、名前はどうする?お前とアタシの名前から1文字ずつとってつけるか?それとも今流行りのキラキラネームに挑戦してみるか?いやでもそんなのでアタシ達の子供の人生を台無しにしたら大変だな。うん普通の名前にしよう、立派な意味も込めなくていいしすくすくと優しい子に育ってくれればいいもんな。うんそうだそれがいい。あは、あはは、あははははっ」

 

 目の光を消して延々と愛の言葉を吐き続ける有咲。仕舞いには幸せな結婚生活を妄想しているのか嬉しそうに笑っている。但しハイライトが消え、狂気に満ちた笑顔だったが。

 沙綾は相変わらずだなぁと苦笑する。苦笑いで済ませる辺り普段有咲がどれくらいの頻度でヤンヤンしているのか見て取れる。

 

「はいはい惚気話はそこまでだよ有咲、戻ってきて」

 

 惚気話ってレベルじゃねぇぞ!フリーダムかお前。未だ笑い続けている有咲は我に返ると沙綾に謝罪した。

 

「うふ、うふふふ……あっ、わりぃ沙綾。何の話だったっけ?」

 

「あー……迎えに来てくれたんでしょ?すぐ戻ろうか」

 

「うーん?そうだったっけ…?」

 

「多分そうだったんじゃないかな」

 

「沙綾が言うんならそうなのかもな。じゃあ戻る、前によいしょっと」

 

 何とか誤魔化せ、誤魔化、ごまかしたのかこれ?

 有咲は地面に倒れている少年をお姫様抱っこで持ち上げた。何をするのか疑問に思った沙綾が有咲に問いかける。

 

「どうするの?それ」

 

「道の真ん中で放っとくのも迷惑だろ。家の蔵に寝かしとく」

 

「ふーん。本音は?」

 

「蔵の奥に縄と手錠で縛って監禁しようと思う」

 

「はいダウト。よってコレは没収しまーす」

 

「あ、おい!そんなぁー……」

 

 沙綾から少年を取り上げられ心の底から残念がるような悲しい声を出す有咲。

 

「全く……こんな変態のどこがいいんだか。有咲、男を見る目がないよ?よりによってコレに恋するなんてさ。コレの幼なじみやってきた間柄から言わせてもらうけどやめた方がいいよ。絶対後悔するからさ。それに変に頼り甲斐があったり優しかったりするところがあるからさ、有咲が依存しちゃうよ。こんなダメ男の典型例みたいな奴に恋したら有咲の人生が台無しになっちゃうし、そんなの私は見たくないから。これは幼なじみとして私が一生面倒みなきゃいけない存在だと思うんだよねー。いやぁ嫌だけどね?心底嫌だけどね?でも幼なじみだからしょうがないなー。幼なじみじゃなければしないんだけどなー」

 

 早口で彼の悪口を言って有咲を正しい道へ戻そうとしている沙綾。しかし後半はどこか棒読みっぽくなっていた。

 沙綾の話を聞いた有咲は少し呆然としたあと口を開いた。

 

「そんな辛いならアタシにくれてもいいんだぞ?アタシは大歓迎だしな」

 

「いやいや、そんな迷惑かけれないって」

 

「アタシにとっては迷惑どころか夢が叶うから寧ろウェルカムなんだけどな。それに言ったろ?アタシはこいつだから恋をしたんだ。こいつの為なら全部捨てられるし何でもする。あと……幼なじみはめちゃくちゃ羨ましいポジションなんだぞ」

 

 ジト目を沙綾に向ける有咲。沙綾は「うっ…」と声を漏らすと小さくゴメンと謝った。

 

「まあアタシは受け入れてるけど沙綾は受け入れられないんだもんな。小さい頃のお前らは知らないけどなんかあったんだろ?」

 

「まあ……ね?」

 

 あれは……そう、忘れもしない小学二年生の頃の話だ。

 

「回想なんか入らせねーよ」

 

「あ、起きたの?」

 

「なんか恥ずかしい話をされそうな感じがしたんで。てかなにこの状況!沙綾が俺をお姫様抱っこしてる!じゃあ今度は俺が駅弁抱っこしてあげるから待ってぐべぇ!?」

 

 変態がふざけたことを抜かした辺りで沙綾はそれを落とした。そして踏んずけた。

 

「やっぱり沙綾ってSだよねでででであああ!!!背骨がぁ!!背骨からビスケットを砕いたような音が聞こえるぅぅぅ!!」

 

「どーしてキミは息を吐くように下ネタを言ってくるのかなぁああ?」

 

「ごめ、ごめ、ゴメス山吹。あああ!!!かりんとうを潰すような音が聞こえたあ!!?」

 

 はたしてどんな音なのか。どちらかと言ったら生卵を踏み潰す音の方が似ていたと思う。『ぐちょり』だとか『にちゃり』だとか。いやまて、一体何を踏みつけた。

 変態は地面をのたうち回っていると淀んだ黒い瞳と目が合った。

 

「んん?ひぃっ!?」

 

お  は  よ  う♡」

 

「ぎゃああああ!!!!??ヤンデレ盆栽女ぁああ!!!」

 

「酷いなぁ。アタシには有咲っていう名前があるんだけど?」

 

「だれがお前みたいな変態の名前を呼ぶか」

 

「おまいう」

 

 今世紀最大級のおまいうであった。沙綾の口から息をするように自然と出たおまいうに一同驚愕。いや変態(おまえ)は驚くなよ。

 

「うう…沙綾もおまいうを言える歳にったのか……これで子供も産めるね」

 

「そうだね(適当)じゃあ君も埋めなくちゃね」

 

「早すぎる埋葬!?」

 

「じゃあアタシは墓荒らしか死者蘇生をするか」

 

「おいバカやめろ」

 

「あ!いたいた!おーいさーや!有咲ー!!」

 

 3人が話をしていると沙綾と有咲を呼ぶ可愛らしい声が聞こえた。声のする方に顔を向ければ猫耳を模した様な独特な髪型の少女が手を振りながらこちらへ向かって走ってきた。

 

「おっ、香澄」

 

「もぉー!遅いよ二人とも!」

 

「ゴメンね香澄。ちょっとこの変態の相手をしてたら遅れちゃって」

 

「香澄ちゃんこんにちは。今日も可愛いね」

 

「あっ!おはよう!」

 

 挨拶が噛み合わない。変態と香澄(おまえら)はどっちの時間帯にいるんだ。

 

「沙綾とヤンデレ盆栽―ゲフンゲフン。ヤンデレ盆栽女(有咲)を拘束しちゃってゴメンね香澄ちゃん」

 

「わわ!別に謝らなくてもいいよ!」

 

「そう?香澄ちゃんは優しいね。ところでりみりんとクソレズ―ゲフンゲフン。クソレズ花園はどこにいるの?」

 

「え?今なんて」

 

「どうしたの香澄ちゃん?俺はりみりんとクソレズサイコパス兎女(花園)はどこにいるのって聞いたんだけど?」

 

「うーん聞き間違いかな?2人ならcircleで待ってるよ。行き違いになったら困るから」

 

 聞き間違いではないが香澄は純粋だから仕方ない。そこが可愛いから仕方ない。古事記にもそう書いてあるから仕方ない。

 というかお前誰だ。変態じゃなくて爽やかな少年になってしまってるじゃないか。そのせいで、ほら見てみろ。

 

「…………」

 

「…………」

 

 沙綾は白い目で、有咲は淀んだ瞳で少年を見つめていた。

 

 

 というか早く沙綾の服を脱げ。

 

 

あたまポッピンシャッフル!

 

変態「沙綾の服っていい匂いするよね。mgmgしたい」

 

有咲「アタシの服なら遠慮なくmgmgしていいぞ♡」

 

少年「抜かせ変態」

 

作者「おまいう」

 

あたまポッピンシャッフル!

 

 

 

 

 

 

 

 

【あたまポッピンシャッフル!】は、ご覧のスポンサーの提供で、お送りしました。

※(スポンサーはこころが綺麗で年齢が10歳以下の人にしか見えません)



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まさか続くとは思ってなかったBy沙綾

すまない…沙綾の誕生日なのにこんな小説を投稿してしまいすまない……By作者


┏━━━━━━━━━━━━━┓

┣ㅤ天真爛漫こころきらきらㅤ┫

┗━━━━━━━━━━━━━┛

 

ㅤ少年は走る――恐怖から逃れるために。

 

ㅤ少年は駆ける――歪んだこころを避けるために。

 

ㅤ少年はこける――不幸にも黒服のお付人に追突されてしまったために。

 

ㅤ少年は涙を流す――関節技をキメられたために。

 

ㅤ次に少年は!『いつまで描写してんだてめぇ!!』と!言う!!!

 

「いつまで描写してんだてめぇ!!……ハッ!?」

 

「急にどうしたの?電波でも拾ったのかしら?」

 

「いや何か急に言った方がいいかなって思って……というかお前に電波とか言われたくないわ!いい加減離しやがれ!」

 

「いーーやーー!!やぁーメー――デー僕ら分かってよ!」

 

「人に関節技キメながらゴーストルール*1歌ってるんじゃあないっ!!!あガガガガ!!」

 

ㅤコブラツイストをかけられながら悠長に喋っている少年も中々だと思うが、そもそも何故女子高生がコブラツイストのかけかたを知っているのだろうか?その疑問は置いておこう。知りたい場合はアイデアロールをどうぞ、成功で1d30、失敗で100d1のSAN値喪失です。

 

ㅤ少女の名は弦巻こころ。端的に言えば超金持ちでバンドのボーカルをしている美少女だ。

ㅤ何故そんな美少女にコブラツイストをかけられているのに変態が喜んでいないかと言うと、少年はこころが苦手なのだ。

ㅤ少年が好きな女の子と言うと、推しが弱いか、一生懸命努力しているか、美少女かの3つに分かれる。

 

ㅤこころはこのうちの美少女に当てはまるのだ。勿論努力していると思うが、努力している姿を少年は見たことがないのでカウントされない。推しが弱いかと言われると鼻で笑えるレベルだ。

 

「いぃいいやぁああー!?今『メキョッ』って言ったァー!『メキョッ』ってなんだよ!?日常生活では聞かない擬音だよ!!?」

 

「あら、そうかしら?私は今聞いたけど?」

 

ㅤこてんと首を傾げながら答えるこころ。その仕草だけ見ればとても可愛らしいのだが、如何せん関節技をキメている最中である。対人術で感情を取りに行くのは止めようね!(戒め)

 

「いいからっ!HA☆NA☆SE!」

 

I☆YA☆YO!」

 

「何が目的だ!いえ!」

 

「私の夫になって頂戴!」

 

「え、嫌です」

 

ㅤ先程までのテンションは果たしてどこへ行ったのか。素に戻った少年を見て頬を膨らますこころ。可愛い。

 

「むぅー!なんでなの?私の家はお金持ちだし、欲しいものがなんでも手に入るわよ?」

 

「いやだって俺の推し沙綾だし。あと俺、沙綾の婚約者だから。日本では重婚は禁止だしな」

 

「なら私が法律を変えるわ!」

 

「戦局を変えるみたいなノリで言うことじゃないと思うんですけどそれは……」

 

ㅤちなみに現在の2人の体制は関節技をキメている体制から解放され少年がこころに馬乗りされている状態となっている。おい少年そこ変われ。

 

ㅤしかし人の印象とはとても不思議なもので―――普段頭がおかしい奴が冷静で、近くにいる人が同レベルでやばいと、普段頭がおかしい奴がまともに見えてしまう。

 

ㅤまあつまり、何が言いたいかと言うと――

 

「あ」

 

「ん?ゲッ…」

 

「あら―――おたえじゃない!」

 

ㅤ頭おかしいヤツが増える度にそれが起こってしまう。

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだね、万年発情短小包茎童貞。相変わらず頭のネジが吹っ飛んでるね」

 

「長っながしい呼び名をどうもありがとうクソレズサイコパス兎女。そちらも電波臭はお変わりないようで」

 

ㅤニコニコ、ニコニコ、2人は笑顔で話している。笑顔と言っても冷笑だが。

ㅤ見つめあった瞳の間には火花が飛び散っている。そしてその火花を使って焼き鳥を調理しようとしている美少女が1人……。

 

「……何してんだモカ。てか待って、この火花って焼き鳥作れるほどの火力あるの?」

 

「お〜?あたしに気付くとは中々やりおるね〜。あ〜むっ」

 

「あ、食うんだ」

 

ㅤモシャリと焼き鳥を喰いちぎる美少女の名前は、青葉モカ。中々凄い絵面である。

 

うげぇ…

 

「生焼けだったのか……」

 

ㅤゲロゲロと焼き鳥を吐き出す美少女の名前は、青葉モカ。かなり酷い絵面である。

 

ㅤ電信柱に手をついて吐くモカの背を少年が優しく擦る。

 

「ありがとう…」

 

「うん。まあ、どういたしまして…」

 

ㅤなんとも言えない微妙な空気が辺りに蔓延する。因みにこころとたえはと言うと向かい合って少年をこれからどうするか話し合いをしていた。

 

ㅤ『監禁して自分のモノにしたい』派のこころと『世界の害だからすぐさま殺すべきそうすべき』派のおたえで意見は拮抗していた。二人とも物騒である。

 

「だから、あんなゴミは地球にとって害にしかならないんだからさ。さっさと宇宙の最果てにでも飛ばすべきだよ」

 

「あら、それなら私が夫にもらって部屋に閉じ込めておけばすむじゃない!」

 

「ダメだよ。あのゴミは絶対逃げ出す。そうすれば最後、沙綾―ゲフンゲフン。周りの人間に被害がでちゃう」

 

「それなら大丈夫よ!私が絶対逃がさないように首輪で繋いでおくし、なんなら檻に閉じ込めておくもの!」

 

「モカ、山吹ベーカリー連れてってくれない?俺この間出禁くらっちゃってさ。1人じゃ入れないんだよね」

 

「うーむ。パンをいくつ奢ってくれる?」

 

「10」

 

「了解」

 

ㅤ白熱している2人に視線を向けることなく、少年とモカは山吹ベーカリーへと向かって行った。

 

ㅤこれはただの世間話なのだが、今回はまだ少年は1度も暴走していない。これならこの回は変態を見なくてすむ……そう思ってないですか?

 

 

 

 

 

 

 

「やっほー☆沙綾ー!未来の夫が会いきたぶげらぁあ!!!」

 

「おお〜、ナイスコントロール」

 

ㅤ沙綾の黄金の右から投げられたトングは回転の勢いを緩めず変態の顔面に突き刺さった。それを見てモカはパチパチと手を叩いている。一方の沙綾の表情はと言うと、まるでゴキブリを見てしまったかのような嫌悪感を隠さず表していた。

 

「なんで来たの?出禁つったよね?」

 

「妻の職場に夫が来るのはそんなにおかしいこと―ですねゴメンなさいだからその振り上げたモーニングスターをしまってくださいオナシャス」

 

「そもそも、私は、君の、奥さんなんかじゃあああ、ないっ!!」

 

「サルゲッチュ!!?」

 

ㅤブォンブォンという音が聞こえるくらい鎖に繋がった鉄球を振り回し、少年の側頭部に叩き込んだ。

 

「はぁ…はぁ……モ〜カ〜!!なんで連れてきたの!」

 

「いや〜だってパン10個奢ってくれるって言われたからさー」

 

「全く……今度リサさんに頼んで叱ってもらわなきゃね」

 

「ええ〜」

 

ㅤ口ではそう言いつつもモカが堪えた様子はない。

 

「反省してないね。なら仕方ない、か………モカ、暫く山吹ベーカリー(うち)出禁ね」

 

「…なっ、がぁっっっ!!??」

 

ㅤ口をあんぐりと開け、目の焦点はあっていない。モカは痙攣を起こしながら膝から崩れ落ちた。

 

「ふう…………あっ、いらっしゃいませ!塩バターロール、焼きたてですよー!」

 

ㅤサラリーマン風の男性がやってきたのだが沙綾とモカ、それと変態の有様を見て全く無駄のない動きで綺麗にUターンをして出ていった。

 

ㅤそれも仕方ない。壁に頭をめり込ませている変態、白目を向きながらヨダレを垂らして倒れているモカ、返り血を浴び血が着いたモーニングスターを握りしめている沙綾。

 

「あれ?どうしたんだろ……」

 

ㅤそりゃ誰でも帰るわ。

 

 

 

あたまポッピンシャッフル!

 

こころ「あたまポッピンシャッフルはまだまだ続くわよ!それと、タイトルにあたしの名前が入ってるのになんで出番があれだけなのかしら?納得いかないわ!」

 

変態「お前みたいに頭がおかしいキャラを動かすのは大変なんだよ。言わせんな恥ずかしい」

 

有咲「お前、自分を客観的に見たことはあるか?」

 

たえ「鏡って道具知ってる?ピカピカで自分の顔が映るんだよ」

 

こころ「ブーメランも知ってるかしら?」

 

変態「よし、テメーら表出ろ」

 

あたまポッピンシャッフル!

 

┏━━━━━━━━┓

┣ㅤタイトル回収 ┫

┗━━━━━━━━┛

 

 

「よくよく考えるとポピパの良心って香澄ちゃんだと思うんだよね」

 

ㅤ唐突に少年がそんなことを言い、市ヶ谷家の蔵にいたポピパメンバー全員が少年の方へ顔向けた。約一名は彼が蔵に入ってきた時点でずっと顔を向けていたのたが。誰とは言わないが。

 

「いきなりどうしたの?」

 

「いやだってさ、(こいつ)有咲と花園は頭おかしいし沙綾は沙綾でよく暴走するじゃん?りみりんも薫君案件になると暴走するしさ……そう考えると香澄ちゃんが良心だよなーって」

 

ㅤ有咲もおたえも沙綾も変態が絡まなければ至って普通の女子高生なのだ。原因はお前だ変態。そんなことを知らない香澄は困惑しながら少年に話しかける。

 

「えっと……褒められてるの、かな?」

 

「うん褒めてるよー」

 

「やったー!えへへ…」

 

「やだ何この子可愛い」

 

ㅤ両手を上げて喜びを表現したものの、途中で恥ずかしくなったのか頬を染めながら照れくさそうに腕を下ろした。可愛い。

ㅤそれを見てムッとした有咲が彼に迫る。

 

「私の方が可愛いだろ?」

 

「ハッハッハ、抜かせ変態」

 

「キミよりは有咲の方が軽度だよ。自覚しろ変態」

 

ㅤ軽度と言うあたり、有咲も有咲で中々おかしい部類に区切っていることを沙綾は気づいていない。

 

んっ……ふぅ。おい沙綾、急に罵るなよ感じちゃうだろ」

 

「お前ホントそういう所だからな」

 

ㅤ沙綾は変態絡みになると口が悪くなっちゃうんだ。致し方なし。というかよく幼なじみ辞めないなと感心するまでもある。

ㅤすると、3人のやり取りをじっと見ていたおたえが口を開いた。

 

「というかさ、何でここに変態がいるの?誰か呼んだの?」

 

ㅤおたえの言葉に答えるものはいない。つまり彼は誰にも呼ばれてないのに有咲の家の蔵にやってきたのだ。

 

「私はいつでも大歓迎だけどな。むしろ私が1人の時に来てくれても構わないぞ?」

 

「沙綾ある所にこの俺あり、だよ☆沙綾がいるならたとえ火の中、水の中、草の中、森の中、沙綾のスカートの中。あと沙綾のな――んでもないです」

 

ㅤ変態が黙ったのは沙綾がドラムスティックを、おたえがピックを彼の頬に掠らせるよう投げたからだ。変態が何を言おうとしてたのかは、健全な男性読者諸君なら察してくれるはずだろう。

 

「はあ……全く、君は下ネタを言わなきゃ死んじゃう病気にでもかかってるの?」

 

「いや冷静に考えてそんな病気あるわけないでしょ大丈夫沙綾?」

 

「お前ホントぶち殺すぞ?」

 

ㅤ狂った変態に正論で返された沙綾の怒りは有頂天に達する。だがしかし、沙綾はまだ耐えれる。これ以上変態が火に油を注ぐような言動をしなければ。

 

「ああでも確かに病にはかかってるな。恋の病にね!」

 

「すぅーー、はぁーー……」

 

「すげえ……深呼吸することで何とか耐えている…」

 

「というか同人でパンじゃなくて他のもの売ってる沙綾に言われたくなぶるるぁぁああ!!?」

 

「すげえ……波紋の呼吸をすることで山吹に色の波紋疾走をしている……」

 

ㅤ沙綾の拳が変態の顔!腕!胸!腹!足!体全体に突き刺さる!

ㅤ確かに油は注いでいない、注いだのはグリセリンのようだった。そりゃ怒りも爆発するわ。

 

「……ふう。さあ皆、そろそろ休憩終わりにして練習再会しよう」

 

「ん、分かった。その前にこいつに止めさすから」

 

「ちょっと待ってろ。こいつを私の部屋に連れて行ってベットに手錠で繋いでくるから」

 

「香澄、止めて」

 

「あいあいさー!」

 

ㅤポケットからカッターを取り出したおたえと、どこから取り出したのかロープと手錠を手にしながら少年に近づこうとする有咲を止めるために香澄は2人に抱きついた。実質百合

 

「香澄どいて、そいつ殺せない」

 

「どけ香澄、そいつを私の部屋に連れてくだけだから」

 

「どっちもダメー!」

 

ㅤ女3人集まればなんとやら、3人はそれぞれの意見をぶつけあい口論している。約2名の言動は大分おかしいが。

ㅤそれを見た沙綾はフッ、と笑って呟いた。

 

「こうしてみると、確かに香澄が一番良心的で常識人だね。じゃあ、そろそろ止めに行こうか……。はいはいそこまでだよー」

 

ㅤ3人の中にもう1人が付け足され、和気あいあいとした雰囲気が生まれてくる。

 

ㅤさて、そんな4人を遠くから見守っている少女が1人いた。

 

 

うち、影薄くね?

 

 

ㅤ空気と化した牛込りみ、その人だった。

 

 

あたまポッピンシャッフル!

 

りみ「うちの出番はどこ……?ここ……?」

 

作者「正直すまんかった」

 

ゆり「うちの妹空気にするとかいい度胸してんな、ああ?」

 

作者「ヒエッ」

 

あたまポッピンシャッフル!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【あたまポッピンシャッフル!】は、ご覧のスポンサーの提供で、お送りしました。

 

※(スポンサーはこころが綺麗で年齢が10歳以下の人にしか見えません)

 

 

*1
DECO*27様が作曲した神曲。イントロからもう神。ちなみに作者はこの曲を聴きながら執筆してました。




まさか続けることになるとは思ってなかったBy作者


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