合法ロリは有りですか? (銭湯妖精 島風)
しおりを挟む

はじまり

 

 

 

春の陽気漂う四月、オレこと篠ノ之 命(しののの みこと)は人生設計が頓挫してIS学園の1年1組、その教室の春の日差しが直撃する窓側の席に座って、親友の織斑 一夏(おりむら いちか)の様子を伺いつつ 目の前に座る不機嫌そうな従姉も見る

 

なんで、こうなった・・・そう、全てはISが原因だ

 

今から約6年前、世界を変える出来事 否、大事件が起こった

 

後に白騎士事件と名が付いた その事件は、日本へ3000を超える大陸間弾道弾が飛来し、その悉くを犠牲 及び 被害無しで解決した と言うものだ

 

何を隠そう、ISの開発者である篠ノ之 束(しののの たばね)はオレの従姉であり、目の前に座る篠ノ之 箒(しののの ほうき)の実姉なのだ

 

束を言葉で表すなら、天才 又は 天災だ

 

自由気ままにしたい事をしたい時にしたい様にし、熱しやすく冷めやすく、数多の開発物を世に送り出して、金銭には興味を持っていないのか無頓着、身内に甘く他人に興味が無い風を装っているが人見知り、そつなく何でも出来る完璧超人で、性格は少し子供っぽい

 

と言うのが約5年前、最後に会った彼女の情報だ

 

っと何だっけ?そうそう、オレが・・・否、オレ達がIS学園に居る理由だったか

 

オレと一夏がIS学園に居る理由、それは藍越学園の試験会場とIS学園の試験を間違えた挙句に、施設内で迷って たまたま入った部屋に有ったISをウッカリ触ってしまったらISが起動して適性有りって言われてしまったからだ

 

うん、よく分からないが、オレは男だし 一夏も男だ

 

本来なら女性のみISは起動し操縦が出来る、本来なら

 

なのにオレ達にはISへ適性があるらしい、うん分からない

 

 

産まれて15年弱、間違いなくオレは男として生きてきた、ちゃんと相棒も15年弱 存在している

 

これはもしかしなくても、束が原因なのか?

 

とか考えていると、HRの開始を告げる鐘が鳴り緑髮の何か先生には見えない童顔の女性が入ってきてHRを開始する

 

「皆さん、入学おめでとうございます。私は1年1組の副担任、山田真耶です」

 

見た目とは裏腹にキビキビとHRを進める山田先生を見つつ、未だ頭を抱えたままの一夏から、少し後ろへ目線をズラし何か見覚えのあるメカウサミミカチューシャを付けているクラスメイトを横目で見る

 

やや紫掛かったロングヘア、両サイドの揉み上げ?辺りの髪を三つ編みにしている推定身長140㎝のクラスメイト?

 

 

あーこりゃ面倒な事になりそうな予感がする

 

もしかして箒が不機嫌な理由か?いや、無いか。 箒的には一夏が自分に話し掛けて来ないからだろう、多分

 

とりあえずオレは箒の応援をしよう、鈴には悪いけど

 

 





ロリな束さんは好きですか?

私は好きです←




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

天災の名は

 

ここだけの話、オレの悪い予感は良く当たる

 

少し非科学かつ厨二風に言えば、悪意や害悪に敏感 と言ったところだろうか?

 

そして今現在、面倒事の起こる予感がヒシヒシと感じる訳で・・・

 

 

そんなオレを知ってか知らずか、クラスメイトの自己紹介が始まるが一夏はまだ頭を抱えたまま動く気配がない

 

一夏の真後ろなら背中を叩いて気を取り戻させるが残念ながらオレは窓側の席に座って居て、一夏からは距離がある 許せ一夏、直ぐにお前の番がくるが知らせてやれない

 

とりあえずオレはオレで自己紹介を考えておかないといけないので少し考え、あんまり考え過ぎても面倒くさいなと感じ可もなく不可もない感じにする事にした

 

それから数分程度で一夏の番になったが、気付いて居ないのか一夏は頭を抱えたまま動かず、山田先生が声をかけて漸く正気に戻ったのか立ち上がり深呼吸をして

 

「織斑 一夏です、よろしくお願いします」

 

と名を名乗り間が空く、やはりクラスメイトからの期待の眼差しは良く突き刺さる様だ

 

一夏は再び深呼吸をして

 

「以上です!」

 

と無駄にキメ顔をして言い切った瞬間、音も無く現れたブリュンヒルデの愛の鞭(ゲンコツ)を喰らい蹲り頭を押さえながらブリュンヒルデを見上げ

 

「え?千冬姉、なんでっっ」

 

「此処では織斑先生だ、馬鹿者」

 

振りかぶった挙動が一切見えなかったが、2撃目のゲンコツを一夏は喰らい訳が分からない といった表情をしながら自分の席に座る

 

もしや一夏、お前は千冬さんがIS学園で教員してるの知らなかったのか?それなりに有名な話だぞ?

 

と、まぁ織斑姉弟の漫才を見て安心しつつ、千冬さんの人気の高さには驚くばかりだ。生ける伝説とは言え、千冬さんが現役を引退して数年経っている訳だし

 

そんな訳で千冬さんの人気を再確認した後、自己紹介が再開され若干不機嫌な箒が最低限の自己紹介をして、オレの番になったので立ち上がり深呼吸をして

 

「えー・・・篠ノ之 命です、一夏が世界初と位置付けるならオレは2人目です。1年間よろしくお願いします」

 

さして一夏と変わらないレベルの自己紹介になってしまったのでチラッと千冬さんを見ると、お前もか 的な表情をしていたのでサッと目を逸らし座る

 

千冬さんはONとOFFで大分雰囲気が変わる、ONの時はおっかない いや本当に

 

とりあえず自己紹介は進み、メカウサミミカチューシャの娘の番になった瞬間、千冬さんは溜息をつき頭が痛そうな表情に変わったので、どうやら予感は的中した様だ

 

それを知ってか知らずかメカウサミミカチューシャの娘は元気いっぱいに

 

「ハローっ、私は天才の篠ノ之 束だよ〜。みんな、束さんを崇め給えよ〜」

 

 

その瞬間、オレ・一夏・箒の3人は束に注目し、オレは目を疑う

 

だって、最後に会った5年前と全く容姿が変わっていない・・・と言うか10年前から成長も老化もしてない様な気がする

 

あまりの衝撃的な現実に戸惑っていると束は席を離れ山田先生と千冬さんの間に立ち

 

「改めて真面目にしないと、ちーちゃん怒るからね真面目に。私は篠ノ之 束、1年1組の2人目の副担任、担当教科は整備等の技術関係」

 

制服が光になり解け、中からエプロンドレスが現れて最後に白衣を束は羽織り先ほどの天真爛漫な無邪気な笑顔から真面目な表情になり自己紹介をする

 

うん、5年で束も成長した様だ、良かった良かった

 

 





はい、登場しましたw


束さんの服装とか変えようか悩んで探した結果、イマイチしっくり来るのが無かった為、エプロンドレスのままになりましたw



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

対話

 

 

 

衝撃のHRが終わり山田先生が授業の準備をしておく様に指示をして千冬さんと共に教室を後にして、束はニッコニコしながらオレの方に寄って来て

 

「やぁやぁみーくん、ちょっといいかな?」

 

「いいけど、10分くらいしか時間無いよ?」

 

IS学園は初日から授業がある、流石に初日の1時間目から遅刻する訳にもいかないので束に言うと

 

「ん〜じゃぁ、少しだけ。久しぶりだね?みーくん、5年前は束さんとあんまり身長も変わらなかったのに見違える程 大きくなったね」

 

「まぁね、これでも男子だから成長期さまさまって奴かな?束は5年前と全く変化してないね?変わったのはウサミミぐらい?」

 

5年前と全く変わっていない無邪気な笑顔を浮かべて言う束に そう言うと束は嬉しそうにする

 

見た目、良くて中学生にしか見えないが成人しているんだよなぁ・・・確か千冬さんと同じ歳だった筈

 

「んふふ、ところで みーくん?5年前に私が言った事、覚えてる?」

 

椅子に座っているオレに束は抱き着いてきて小声でオレに尋ねてくる、少しは周りの事も気にする様になったのかもしれない

 

とか考えつつ

 

「・・・忘れられる訳がない、アレは特に」

 

約6年前、IS開発者の束の家族たる両親と箒は要人保護プログラムで生家の篠ノ之神社を離れる事になり、神主であったオジさんに変わりオレの父さんが篠ノ之神社の神主に就任した訳だ

 

そして父さんが篠ノ之神社の神主になって1年が経った頃、ふらっと束が家に来た

 

まぁ元々は自分の家な訳だし、親戚だからウチの両親も特に気にせず束を歓迎した、のだが・・・夜中に束が夜這いしてきて危うく筆降ろされそうになった、ギリギリで回避したけど

 

その時に束が言った言葉が『イトコは結婚出来るんだよ?』だった、忘れる事が出来る筈が無い出来事とセットだから覚えているに決まっている

 

「・・・イトコは結婚出来るんだよ? でしょ?」

 

オレが言うと束は嬉しそうに笑みを深めて抱きしめる力を少し強める

 

 

そういえばオレが小さい頃から、良く抱きしめられてたっけ?ただのハグ魔なだけだと思ってたけど、よくよく思い出したら千冬さんと箒とオレぐらいにしかしてなかったわ

 

つまり相当前からオレは束に目を付けられてたのか?

 

とか考えていると

 

「あの時みーくんは待ってくれって言ったよね?だから5年待ったよ」

 

「・・・成人するまでに答えるから待っててと言った筈だけど?」

 

 

少し朧気な記憶を探り束に言うとニタリと笑みを浮かべ

 

「大丈夫、ここは治外法権の地、IS学園だよ?だからここでなら結婚出来るんだよ!!」

 

渾身のドヤ顔で束は言い、オレの気が少し遠きそうになる

 

 

あー神様、オレは この超人天才兎な従姉から逃げられないのでしょうか?

 

別に嫌いでは無い、見た目は中学生ぐらいだが控え目に言って美少女だ、嬉しく無い訳がない

 

でも従姉だし、母さん曰く束はオレのオシメも変えた事あるって言ってだんだ

 

うん、正直に言って悩む所ではあると思うんだ

 

「・・・もう少し考えさせてくれない?どうせ此処からは逃げられないし」

 

オレの言葉を聞き束は抱きしめるのを止め3歩程オレから離れ

 

「うん、良いよ みーくん。逃げられないし、逃がさないから」

 

ニコッと笑み踵を返して教室を出て行き、いつの間にか教室から出ていたのか箒と一夏が束と入れ替わりで入ってくる

 

 

ひとまず三年はIS学園から逃げられない、篠ノ之神社を継ぐ予定も危うくなってきた気もするが、まぁどうにかこうにかしよう

 

 






お待たせしました


グイグイ行く束さんを書いて行きたい所存です



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

立ち上がるコロネ

 

 

束に逃がさない宣言をされた後、束と入れ替わりで戻ってきた箒の表情は妙にイキイキ?していたので、どうやら一夏は箒の機嫌を取れた様だ

 

それから1時間目の授業が始まり、入試を受けていれば分かって当たり前の基礎の基礎の内容を授業でする

 

ただでさえ倍率が数百倍のIS学園の入試を合格した生徒である彼女達には復習とさえ言える内容だろう

 

少なくとも必読の参考書を一通り予習していたら分かる内容なのだが、一夏は見るからに慌てふためき頻りにキョロキョロしている

 

それに気づいた山田先生が一夏に尋ねると、一夏は参考書を誤って捨てたと自白し、千冬さんにゲンコツを食らって1週間で内容を把握する様に指令を受け、反論したが圧倒力で一夏は千冬さんに屈服させられていた

 

まぁ一夏が千冬さんに頭が上がらないのは、オレが知る限りいつも通りだから気にしない事にする

 

それから山田先生はドジっ娘属性らしく、何回か何も無い所で転けそうになっていた

 

その後、無事1時間目が終わったので

 

「箒、一夏とちゃんと話せたみたいだね。それと久しぶり」

 

箒の背中を軽くタップし話し掛けると、振り返って

 

「あぁ命、そういえば お前も居たな。うむ、お前とも6年ぶりになるのか。久しぶりだな」

 

相変わらず硬い雰囲気を纏い、硬いものいいをする

 

とりあえず姉の束と違い、随分とスタイルの良い美少女に成長している、昔は束みたいなロリィな体型だったのに・・・いや、当たり前か第2次成長期前だし

 

そんな訳で久しぶりに従姉との会話を堪能しつつチラッと一夏を見ると金髪碧眼で左耳に青のイヤリングをしたクラスメイトが一夏と会話していた

 

表情は柔らかいので、少なくとも女尊男卑派では無い様だ

 

微妙に距離があるし、周りに迷惑にならない程度の声で話している様で何を話してるかまでは分からなかったが、まぁ一夏なら大丈夫だろう。多分

 

それから2時間目を無事に潜り抜け、3時間目が始まる

 

1、2時間目とは違い千冬さんが担当する様でテキストを開き直ぐに閉じて

 

「いかん、クラス代表を決めるのを忘れていた。さっさと決めるとしよう、自薦他薦は問わんぞ」

 

そう言い教室を一瞥する千冬さん

 

これは嫌な予感がするな、と考えていたら

 

「はい、織斑君がいいと思います」

 

「なら私は篠ノ之君を推薦します」

 

様子を伺うまでもなくオレと一夏は他薦されてしまった、クラス代表なんて経験値稼ぎをするのにもってこいの筈なんだけど、それを譲るとか彼女達は整備課志望なのだろうか?

 

「他にいないか?居ないなら織斑、篠ノ之のどちらかがクラス代表になるが」

 

あまり表情を変えず言う千冬さんだが、少し呆れている様子が見える

 

 

教師も大変だなぁとか考えていたら急に机に拳を叩きつけた音がして

 

「納得が行きませんわ、その様な選出は認められません!!」

 

先程 一夏と談笑していた時と雰囲気が違う金髪碧眼のクラスメイトが立ち上がって声を荒げ言う

 

「ただでさえ望まぬ場所に居るというのに、これ以上 彼等に負担を背負わせるのは反対します。彼等を推薦した方も彼等の事を考えてから推薦して下さい、決して珍しいからなどと巫山戯た理由で彼を推薦は許される事では有りませんわ。ですので織斑先生、お二人の代わり私がクラス代表を致します。いかがでしょうか?」

 

最初こそ般若の様なオーラを纏い一夏やオレを推薦した娘をにらむように見ていたが時間が経過して頭が冷えたのか終盤は頭が冷えたのかオーラは霧散して落ち着いた口調になっていた

 

「・・・そうだな、それも良いが。他薦された以上は責任があるだろう、投票にした所で結果は見えているし1週間後に試合をして、その結果で推し量るとしよう。構わないな?」

 

「わかりましたわ」

 

彼女は千冬さんに頭を下げ着席する

 

気付いたら試合する事になってるし、これは束のチカラを借りるしか無いな、うん

 






お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

夕暮れ

 

 

3時間目以降は特に問題も起こらず比較的平和に過ごす事が出来た

 

 

とりあえず放課後、一夏に参考書の内容を噛み砕いて説明していると いつの間にか教室に夕陽が差し込んでいる事に気付き

 

 

「今日は これぐらいにしとこうか」

 

「お〜・・・さんきゅーなミコト」

 

オレの言葉に一夏は伸びをして、お礼を言ってくる

 

「構わんよ、親友の頼みだしな」

 

オレは適当な返答をしながら自分の鞄を持ち

 

「んじゃ、暗くなる前に帰ろう。腹減った」

 

「そうだな、でも その前に寮の鍵を貰いに行かないとな」

 

そういえば、昨日電話で そんな事を言われたっけ

 

確か、最初は寮の部屋の都合がつくまで自宅通学の予定だったが、安全対策で無理矢理 一時的に部屋の都合をつけたから初日から寮生活になります、とか何とか

 

で、鍵を放課後に取りに来てくれ、と言われた訳だ

 

「そういえば そうだった、勉強会の前に取りに行けば良かったわ」

 

「確かにな」

 

そんな感じで馬鹿話をしながら職員室へ行き山田先生から寮の部屋の鍵を貰い、オレと一夏の鍵を見比べ少し違和感を感じる

 

鍵には部屋番号の書かれたドッグタグサイズのキーホンダーが付いているのだが、色が違う

 

オレの勝手なイメージだが、こうゆうのは色を統一するものじゃ無いのか?

 

まぁ1番の理由は

 

「・・・なんでウサギ型なんだろう?」

 

「何でだろうな?」

 

一夏のキーホルダーは茶色に黒字、オレのキーホルダーは白色に黒字な訳だ

 

これは誰かの陰謀としか考えられないな、うん

 

それから寮に辿り着き廊下を進んでいると一夏が急に立ち止まったので

 

「どうした?」

 

「え?いや、部屋此処だろ?」

 

オレの言葉に一夏は少し戸惑いながら言い首を傾げたので

 

「・・・別々の部屋みたいだな、無理矢理って言ってたもんな」

 

オレが そう言うと一夏は少し困った表情になったので

 

「一時的って話だから近い内に同室になるって、とりあえず1人部屋の可能性は限りなくゼロだから入室の時は注意して入れよ?」

 

そう言い励まして一夏と別れてオレは廊下を進む

 

 

進んでいると廊下と扉の雰囲気が変わったので、どうやら教師陣の部屋も併設されている様だ

 

「って、まさか・・・」

 

ウサギに書かれた番号の部屋に辿り着き嫌な予感を抱えながら鍵をさして解錠して中に入る

 

なんとも高級感のある部屋でパッと見た感じ間取りは2LDKの様だ

 

ひとまずリビングに明かりが点いているので廊下を進み、リビングの扉を開ける

 

「やぁやぁ待っていたよ、みーくん!! 実質同棲の始まりだね、このまま結婚しようよ!」

 

部屋着は気安さ優先なのかワンピースを着ている束に迎え入れられ、熱烈歓迎をされた

 

「やっぱり束か、まぁ束なら気を使う必要も無いし良いか」

 

とりあえず色々とスルーする事にして

 

「とはいえ、ルームシェアするにあたってルールを決めなきゃね?」

 

束が決めたルールを守るかは分からないし、ルールを守っても抜け穴を突いてくる可能性もあるが、ルールは必要だろうと思う

 

あとはルールを決めて、束に相談しようと思っていた事を相談する事にしよう

 

 

 





お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む



 

 

ひとまずテンションが高すぎる束を落ち着かせて割り振られた部屋に入ると必要最低限の物しか持ってきていなかったとはいえ既に荷解きが終わっていてダンボールが畳まれて部屋の隅に立て掛けられていた

 

 

恐らくは束が片付けてくれたのだろう、と感謝しつつクローゼットを開き中を確認する

 

「・・・なんで実家と同じ並びなんだ?束って実は凄い奴なのか?」

 

いや、まぁ世界的に見たら充分に凄い人間ではあるんだろうが、イトコだからかイマイチ凄い人間か分からない

 

とか考えつつ制服から部屋着に着替えリビングに戻り

 

「束、相談があるんだけど」

 

「何かな?結婚してくれるのかな?」

 

オレの言葉に束は見るからに元気になって再びテンションが高くなったので

 

「それは保留、相談っていうのは・・・」

 

「あぁ、模擬戦の事?うん、大丈夫 みーくん専用の束さんの愛情たっぷりの専用機を作ってあるから☆」

 

オレの言葉をぶった斬り、相談の内容を言われ尚且つ専用機が用意されている事を告げられて少し混乱するが、束なら仕方ないと考える事にして

 

「あ、ありがとう?あれ?作ってあるって、たった数ヶ月で完成させたって事?」

 

「うん! 愛する みーくんの為だからね、束さん頑張ったよ」

 

オレの疑問に答えニッコニコした後、こちらをジッと見てきたので束の頭を撫でると束は満足そうに目を細める

 

よし、合ってたぞ。この辺り束は5年前と変わってない様だ良かった良かった

 

「模擬戦まで実質6日、大丈夫 束さんの作ったISは みーくんに合わせて作ったから凄く馴染む筈だよ?あ、ちなみに片手間で いっくんの専用機も作ったから安心してね?」

 

なんか今、凄く一夏の扱いが雑だった気がしたけと気のせい?

 

まぁいいか、変に制約がある国から専用機を貰うより束から貰う方が安心出来るだろうし

 

そんな訳で束から軽くオレの専用機の説明と、ルームシェアをするにあたってのルールを決める

 

ルールについては、此処が学園である以上は節度を守って行動すると言う意味を込めて、当たり前だが夜這いの禁止を取り決めた

 

ついでに千冬さんが怖いってのもあるし

 

そんなこんなでルールを取り決めた訳だが、予想に反して束が殆ど異を唱え無かったのを疑問に思い質問する

 

「素直に受け入れたけど、なんで?」

 

「ん?まぁ5年前と違って私も成長したし、此処なら合意さえ有れば今すぐにでも結婚出来るしね?焦る必要も無いかな?って」

 

普段の子供っぽいというか、無邪気というか、そんな雰囲気の束だが、結構しっかりと考えている様だ

 

「それじゃ、明日の放課後から2時間くらい慣らしをするからね?」

 

「ありがとう束」

 

相変わらず手際が良い束にお礼を言い、あとで一夏に明日の放課後は勉強会に参加出来ないと伝えないといけないと考える

 

なんか忙しい1週間になりそうだな

 

 





お待たせしました


もっと可愛い束さんが書きたいです

ちなみに、2話あたりで一夏を一夏ちゃんにして書きなおそうかと考えていたのは秘密←



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

クラス代表決定戦 いち

 

 

 

 

IS学園に入学して1週間、オレは何のトラブルも無く束から貰った専用機 羽黒の慣熟訓練をする事が出来た、オレは

 

 

そんなオレとは逆に様々なトラブルが有ったのが一夏だ

 

初日、寮の廊下で別れた後、一応ノックしてから部屋に入ったらしいが相部屋の相手である箒は入浴中だったらしくノックに気付かなかったらしい、で恐る恐る中に入り室内を確認していると浴室から出てきた箒と遭遇して一悶着有った様だ

 

2日目の昼休みに一夏が噂を聞きつけた先輩にナンパされ、箒が持ち前の気迫で先輩を威圧して追い払ったり、一夏のコーチをかって出たは良いが一夏の劣化ぶりに怒って筋トレさせたり、と一夏は色々と大変だった

 

あと姉妹で説明の上手、下手の差が凄い

 

束は教師をしていて慣れている様で分かりやすかったが、箒は感覚派なのか基本が擬音での説明だったので全く分からなかった

 

イトコのオレでもサッパリ分からないのだから一夏が分かる訳も無く、また箒は怒っていた

 

そんな訳でクラス代表決定戦当日がやって来た

 

それぞれにピットで待機する様に、と指示が有ったのでオレもピットで羽黒の最終チェックを束にして貰っている

 

餅は餅屋に って奴だ、うん

 

「ISスーツって、なんでこんなに着づらいの?束」

 

「それは効率良くISに搭乗者の動きが伝わる様にピッチピチになってるんだ、まぁ束さんなら代案を用意出来るけどISスーツの方が安価で用意出来るし、拳銃弾なら防げるからね」

 

手を止める事なくオレの質問に答えてくれる束、流石は生みの親と言った所だろうか

 

「よしチェック終わり、みーくん」

 

「ありがとう束」

 

束にお礼を言いタラップを押して羽黒の前に設置しタラップを使って羽黒に乗り込む

 

開いていた装甲が順番に閉まって行き一瞬視界が暗くなるが直ぐに明るくなってピットの風景が見える

 

「主機出力問題なし、副機出力安定、問題なし・・・ウィングスラスター、問題なしっと」

 

軽く動かして問題がないか確認して一旦待機状態にする

 

「さてと、あとは待つだけか」

 

最初はオルコットと一夏の試合な為、オレはしばらく待たないと行けない

 

まぁそのおかげで束に最終チェックして貰えたから良しとしよう、それに少しでもオルコットの手の内が分かれば儲けものだ

 

とか考えつつ、束がオレを凝視しているのに気付いたので頭を撫でると嬉しそうに目を細める

 

おかしいな、束は歳上の筈なんだけどなぁ

 

と思いつつモニターに流れる試合の映像に目を向ける

 

やはり素人の一夏に経験者であるオルコットの相手は荷が思い様でだいぶ苦戦している様だ

 

そもそも機体相性も悪い様だし、大丈夫だ一夏 あとで骨は拾ってやるからな

 

 

 





お待たせしました



もっともっと可愛い束さんが書きたいです!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 ぷろふ 一部ネタバレ?あり





 

 

 

名前*篠ノ之 命(しののの みこと)

 

CV*島﨑信長

 

年齢*15歳

 

性別*男

 

身長*172

 

容姿*青み掛かった髪の金に近い茶色の瞳をしている、やや女顔であり少し細工をすれば女装が似合う

 

イメージはデートアライブの五河士道みたいな感じ

 

備考*

 

本作の主人公、非転生者

 

要人保護プログラムにより空席になった篠ノ之神社 神主に父親が就任した関係で箒と入れ替わりで一夏達の住む街に引っ越してきた

 

また束&箒とはイトコであり、割と遠慮せずに話す

 

ミコトは千冬には敬語で話すが、束にはイトコ故にタメ口&呼び捨てである

 

一夏と千冬とは引っ越す前から面識があり、一夏とは親友同士

 

束に気に入られており求婚されていて、今は保留して貰っている

 

悪い予感が当たるという特技を持っている

 

 

 

 

名前*篠ノ之 束(しののの たばね)

 

CV*田村 ゆかり

 

年齢*24歳

 

性別*女

 

身長*140㎝

 

容姿*原作の姿をロリにしたイメージ

 

備考*

 

本作のヒロイン、成人しているが中学生ぐらいに見える合法ロリ

 

 

性格は原作より大分まともで、IS学園の整備科の教師をしている

 

また主人公のミコトのお嫁さんになる為に日々精進し、彼にアタックを続けている完璧超人

 

 

名前*セシリア・オルコット

 

CV*ゆかな

 

年齢*15歳

 

性別*女

 

身長*156

 

容姿*原作と同様

 

備考*

 

本作の常識人枠、転生者 又は 憑依者

 

外見がセシリアなだけで中身は別人なので、誰おま状態

 

産まれた家が貴族で有る為、ノブレスオブリージュ、富める者は貧しき者に施しを を座右の銘にしている

 

原作とは違い両親は健在で尚且つオシドリ夫婦で歳の離れた妹が1人居るが、妹の名前はリリウム

 

実は特典でフレキシブルが使える

 

転生者なので飯マズスキルは消失しているが、料理が上手い訳では無く、そこそこの料理は作れる

 

ただしお菓子作りは上手で、実家では たまに妹のリリウムにクッキーやカップケーキなどを作ってあげている

 

自他認めるシスコン

 

常識人枠なので寮に天蓋付きのベッドは持ち込まないし、部屋の大半を私物で占有何かしない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機体名*羽黒

 

世代*第3.5世代型

 

待機形態*シルバーブレスレット

 

外見*境界線上のホライゾンに出てくる猛鷲、カラーは白地に赤のライン

 

武装*

 

◯87式荷電粒子機関銃 シラツユ

 

P90の様な形状をしたビームマシンガン、威力より連射性と取り回しのし易さ、集弾率に重点を置かれた銃でエネルギーパック方式

 

またグレネードを発射出来る様になっているので銃口が2つある

 

◯88式対物狙撃銃 シグレ

 

自動廃夾式の対物狙撃銃、銃身が長く銃自体も重く反動も強く取り回しが悪いが命中精度と威力には折り紙付き

 

 

◯超振動刀 ムラサメ

 

取り回しがしやすい様に小太刀サイズの刀

 

 

 

単一仕様*

 

猛鷲戯画(もうじゅうぎが)

 

空間に満ちている粒子を用いる事が出来る

 

羽ばたく事で空間を撃ち衝撃波を用いた攻撃が出来たり、空間に潜り次元の裏側へ行く事が出来る

 

備考*

 

 

篠ノ之 束が主人公 ミコトの為に開発し完成させた、彼女の愛情がいっぱい込められた最高のIS

 

フルスキンであり、武装自体は少ないがアンロックさえしてあれば手に持つ型の他の武器も運用可能

 

また武装が少ない理由は加速及び超高機動特化型仕様な為である

 

原作の紅椿よりも ずっと速い

 

その分、扱いが難しいがミコトは才能が有ったようで乗りこなしてはいる

 

名前の由来は蒼き鋼のアルペジオに出てくる妙高型重巡洋艦四番艦のハグロ

 

 

 

 

 

機体名*ブルーティアーズ

 

世代*第3世代型試作機

 

待機形態*イヤーカフス

 

外見*原作とあまり変わらないが、ビットの角度が真っ直ぐになっている

 

武装*

 

○アルナイル

 

取り回しに難の有るレーザースナイパーライフルのスターライトmk IIIをベースに機体コンセプトの高機動中距離戦闘に沿った取り回しが楽になる仕様に改良したレーザーライフルで、インターセプターを銃剣として装着している

 

 

○アークツルス

 

正式名称はブルーティアーズだが、機体名と被る為セシリアが勝手に呼称を変更したBT兵器

 

レーザービットを4機とミサイルビットが2機 装備されている

 

 

ミサイルは複数の弾頭を選択出来る様になっている

 

○インターセプター

 

近接戦用のショートブレード、アルナイルに銃剣として装着されている。着脱は比較的簡単な様になっている

 

銃剣として1本と予備にバススロットに4本格納されている

 

レーザービットは配置を少し変更してあり、アンロックユニットに対して垂直になっていて、そのまま撃つことが出来るようになっている

 

○シェルツェン

 

レーザービットを格納?しているアンロックユニットを改造し強度を上げた上で物理シールドを装備したモノ

 

シールドの名前がシェルツェン、由来はマブラヴのアレ

 

アンロックユニットを覆う様にそれなりの大きく、ビットの先端が少し見えるぐらい

 

 

任意でパージと再装着が可能で、予備でバススロットに4枚、2組格納されている

 

単一仕様*未発現

 

備考*

 

転生者のセシリアが持ち前の前世知識やら色々と使い交渉し、ビットを使用した高機動中距離戦闘をコンセプトにした機体でデータ取りを優先する為にレーザー兵器が中心になっているが、ちゃんと戦える様になっている

 

そもそもフレキシブルを使用出来る前提で原作は機体を開発してる様な気がするが、本作のセシリアはフレキシブルが使えるから問題ない、多分

 

 

シェルツェン分の重量が増えた為、その分は推力強化されている

 

 






繋ぎですが、ご覧いただけると幸いです


ブルーティアーズを追加しました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

クラス代表決定戦 に

 

 

試合時間、約40分 一夏が善戦したと言うよりはオルコットが慎重に確実に対処をした為に長引いた、と言う印象だ

 

手を抜いている様子は無かったが、終始表情を崩さなかったし余裕だったのだろう

 

なんと言うか佇まいが綺麗だった

 

それはそれとして・・・

 

「シールドの扱いも、火器の扱いも上手かったな・・・これが代表候補生の実力」

 

当たり前の結果だ、一夏(シロウト)オルコット(ケイケンシャ)に勝てる訳が無い

 

余程 オルコットが慢心していて尚且つ、一夏がフィクションの主人公の様な奇跡的な能力を持っていたら話は別だが

 

素人が経験者、しかも数多くいる代表候補生候補から選ばれた者に勝てるのは万に1つ、億に1つの可能性しかないだろうから

 

まぁ他に可能性があるなら

 

「常識的では無い能力を使えるISを使うこと、かな?」

 

とはいえ、この手が使えるのも初見ぐらいだろうし、やはり実力の差は埋めきれないだろう

 

 

「さ、みーくん 時間だよ?勝てたら私の初めてあげるから、頑張ってね!」

 

「・・・少しは自重しようよ束、それも保留だから」

 

羽黒を身に纏い、羽黒は足の形が独特な為 膝を折って膝をカタパルトに接続する

 

「篠ノ之 命、羽黒 出撃()る」

 

身体を前に倒し、ウィングスラスターの出力を上げるとカタパルトで加速されアリーナに吐き出される

 

 

軽く速度を調整しながらウィングスラスターを広げて少し羽ばたく

 

 

こうしないと出撃時に畳まれた状態のウィングスラスターが開かないから仕方ない

 

アリーナな外壁に沿って一周して指定された停止位置に移動して空中で待機する

 

空中の理由は単に羽黒の足が地面に立つ形をしていないからだ

 

完全に空中専用の形をしている

 

 

数分経たずにオルコットが出てきて俺の正面に静止する

 

「お待たせしましたわ」

 

「そんなに待ってないから大丈夫だ」

 

オルコットに返事をして主兵装のシラツユを展開して右手に握る

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

オルコットは微笑み、自身の得物を展開して構えると試合開始のブザーが鳴り響く

 

「では私とブルーティアーズの奏でる輪舞曲に暫しお付き合い下さいませ」

 

「悪いが、オレが舞えるのは神楽舞だけだ」

 

ウィングスラスターを羽ばたかせ急加速してオルコットからの初撃を回避して彼女より高い位置を取り、シラツユの引き金を引きオルコットを撃つがブルーティアーズに備え付けられているシールドで防がれてしまう

 

「なるほど、貴方は中距離戦闘が出来るのですね」

 

そう言ってオルコットは隙あらば容赦無く撃ってくる、本当に容赦無いが、なんか違和感を感じる

 

見透かされている と言うか、試されている?

 

 

そうゆう、なんとも生きた心地のしない感覚だ

 

 





お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

クラス代表決定戦 さん

 

 

試合が開始されて20分が経過し、言い知れない感覚を味あわせ続けられて身体より先に精神的に疲労し始めている

 

未だ決定打を与える事も構わず、ジリジリと追い詰められてきている

 

 

流石は代表候補生、素人が思い付く様な行動なんて予測済みと言わんばかりに余裕の表情を崩さずにいる

 

「く・・・やっぱり強いな」

 

シラツユの銃口をオルコットに向けながら呟くと、オルコットはニコリと笑み

 

「お褒めにあずかり光栄です、これでも努力は人一倍してきたつもりですわ」

 

優雅さを損なう事なく自身に満ち溢れた表情、まさに努力に裏打ちされている証拠だ

 

確かにオルコットはISを扱う才能があったのだろう、だが才能は磨かねば腐れる

 

才能があるからこそ慢心せずに努力を重ね技を研鑽し続けるからこその強さ

 

最強のIS搭乗者(ブリュンヒルデ)の背中を間近で見てきたからこそ知っている強さの本質

 

「あぁ本当に強いなオルコット、今のオレでは到底届きはしない程に・・・でも、だからこそ、負けるのは必然だとしても全力を尽くさずに負けるのは・・・面白くない」

 

シラツユを格納し、ムラサメを一対展開し握る

 

やはり此方の方がしっくりくるし、安心する

 

オルコットはオレの言葉に少し目を丸くした後、可笑しそうに目を細め

 

「ならば私も全力で対するのが礼儀、この先は手を緩めませんわ」

 

オルコットは そう言い自身の得物に銃剣を装着してオレに銃口を向ける

 

「篠ノ之 命、推して参る」

 

「セシリア・オルコット、参ります」

 

ウィングスラスターの出力を最大にして接近し、オルコットの放つレーザーを右のムラサメで切り裂き、間合いに入った瞬間 左のムラサメで攻撃を仕掛ける

 

だが動きを読まれていたらしく、シールドで防がれてしまった

 

直ぐにウィングスラスターの出力を落とし身体を捻ってオルコットから距離を取ると、スレスレで銃剣がオレの目前で通り過ぎて行ったので再びウィングスラスターの出力を上げてオルコットから距離を取り左のムラサメを格納し、シラツユを展開してオルコットへトリガーを引くが、ヒラリヒラリと躱されてしまう

 

オレが思い付く限りの攻撃をし続けてもオルコットには届いていない、流石に折れそうだ

 

まぁそもそもオレがオルコットに勝つ必要は無い訳だが・・・最後まで諦めずに戦うのが専用機を用意してくれた束への礼儀だろう

 

それに、オルコットの余裕の表情だって崩さないと面白くないしな

 

となると、奇策を使うしかない訳だが束に使用は控える様に言われてるんだよな、失敗したら即死もあり得るらしいから

 

でも、リスクに見合う奇策だ

 

 






お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

クラス代表決定戦 よん

 

 

腹を括り束へ秘匿通信を繋ぐ

 

「束、アレを使いたいから使用制限を解除してくれ」

 

あくまでも競技の範囲内でアレは使う必要は無いので束によって羽黒の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)は使用制限をされている

 

羽黒のアビリティの名は猛鷲戯画(もうじゅうぎが)というのだが、その能力はISが飛翔する時にスラスターやバーニアから出す光子又は粒子を支配し様々な事が出来る、と言う能力だ

 

オレがスラスターを全開にして飛び回っていたのは猛獣戯画を使う為の下準備だったのだが、オルコットに接近して隙を突いて羽撃いて衝撃波を食らわしてもオルコットは大して表情を崩さないだろう

 

なら、それより凄い事をするしかない

 

オレは未だISのエネルギー源を知らないが、スラスターから出てくる光子は謎現象を起こしてくれる

 

「ダメだよ、みーくん。帰って来れない可能性も有るんだよ?」

 

オレの言葉に束は反対する、当たり前だ 危険だから束は使用制限を付けた訳だから

 

「オレは束と羽黒を信じてる、それに・・・あの澄ました顔に一発かましてやらないと、な」

 

そうさ、これはオレのワガママだ

 

理由なんてオレがオルコットに負けるのが悔しいだけだ

 

経験者と素人の実力の差とか

 

オルコットが国家代表候補生だから強いとか御託なんて並べた所で、負けたら悔しいと思う

 

だから盛大に一発かましてやりたい、それだけだ

 

そうさ、オレはバカだ

 

「はぁ、もう みーくんの馬鹿。でも・・・そんな君だから私は好きになったのだろうね?いってらっしゃい命、深くて浅く速き世界へ」

 

どうやら思考全て読まれたらしく束は溜息を吐き、使用制限を解除してくれた

 

「ありがとう束、行こう羽黒」

 

オレの言葉に羽黒は応える様に2対4枚のウィングスラスターがカシャリと音を立てて分裂しより翼に近い形へ可変し、足も装甲が分裂しスライドして可変する

 

「あら?ファーストシフトですか?いや・・・違いますわね」

 

変貌した羽黒を見たオルコットが初めて僅かに眉を寄せ、楽しそうに笑む

 

それを見て直ぐにスラスターの出力を最大にして移動する、次の瞬間オレが先程居た場所をレーザーが通り過ぎて行く

 

そして加速を続けシラツユでグレネードを撃ち煙幕を焚き、次元の裏側へ潜航する

 

これこそ猛獣戯画の能力、次元潜航

 

まぁデメリットが大きいから多用したらダメなんだけどな、うん

 

ミスったら元の次元に浮上出来ないし、何より浮上しないと攻撃が出来ない

 

だからこその奇策と奇襲、そして一撃離脱戦をしなければならない

 

あとあまり長時間の潜航が出来ないのも問題だったりする

 

 






お待たせしました


羽黒の元ネタの登場キャラクターは水上艦なのに潜航する奴等なので、やってみましたw



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

クラス代表決定戦 ご

 

 

さて次元潜航しながらオルコットへ どう仕掛けるかを考える

 

潜航中はアチラからオレが見えないのと同様にコチラもアチラが見えない

 

今度 束に潜望鏡を作って貰おう

 

とりあえず目眩しに放ったスモークもじきに晴れてオレが居ない事にオルコットは気付くだろうが、オレが潜航している事は分からない筈だ

 

まずは光学迷彩を疑うと思うが、オルコットは油断出来ない奴だから慎重に行動しなければならない

 

かと言ってのんびりもしていられない、潜航には制限時間があるし何より試合時間も限りがある

 

次元潜航する魚雷が有れば優位に戦えるが、そんなもの存在しない

 

なら懐に入って近接戦に持ち込むしか無い

 

そう考えて、左にムラサメを持ちウィングスラスターの出力を最大にして加速し浮上してオルコットをムラサメで斬る

 

間違い無く斬った筈だったが流石と言うべきかオルコットに僅かなダメージを与えるに留まった

 

オルコットはオレが浮上しムラサメが自身に当たると理解した瞬間に飛び退きダメージを最低限にし、ほぼゼロ距離で信管が抜かれたミサイルをオレの腹に叩き込み隙を作りエゲツない集中砲火を浴びせてくれた

 

無理な潜航とウィングスラスターの使い過ぎに加えて集中砲火で羽黒は戦える状態で無くなってしまい、オレは地面に墜落して若干地面に埋まりながら思う、格好付けた割にはカッコ悪い終わり方したな、と

 

 

「最後の一太刀、アレは中々に良かったです。ですがイギリスでも同様の能力開発がされていますから、可能性としては予想していましたわ」

 

「そうか、それは参ったな」

 

どうやら、こんなリスクしかない様な事を考える奴がいるらしい

 

 

そこまで考えると、試合終了のブザーが鳴り響きオルコットの勝利が告げられる

 

「あら、私の勝ちでしたね。ありがとうございました篠ノ之さん、また今度 お相手をお願いさかます」

 

オルコットは そう言うて返事も聞かずに優雅な振る舞いでピットへ帰って行く

 

オレは羽黒を解除して地面を歩いて自分のピットへ帰る

 

これが今のオレの実力、最大限出来る事をしてやれる事を思いつくだけやった結果

 

「・・・遠いな、果てしなく遠い」

 

やられっぱなしも面白くない、せめて在学中にオルコットに一泡吹かせてやりたい

 

「よし、とりあえずの目標は出来たし頑張るか」

 

どうせ向こう3年は此のIS学園に通うのだから、3年間は努力してみよう

 

あと後で束に謝らないといけない、啖呵切った割にはパッとしない負け方したし、羽黒にも大分無理をさせてしまったし

 

 

あぁ・・・普段はニッコニコして笑顔を絶やさない束は怒ると物凄く怖い、それはもうトラウマ級だ

 

 






お待たせしました

すみません、ぐだりました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦いの後

 

 

色々と反省しながらピットへ戻ると束が試合へ出た時のまま待っていた

 

「・・・ただいま束、ごめん勝てなかった」

 

「おかえり みーくん、構わないよ君が私の元に帰って来てくれただけで充分」

 

気不味くて目を逸らしながら言うオレに束はニコリと笑みを浮かべ言い

 

「羽黒もお疲れ様、もっと次元潜航の安全性を上げて負担を減らしてみせるから」

 

オレの左腕に巻かれたシルバーブレスレット(待機状態の羽黒)を撫でて言う

 

「ん〜しっかし困ったなぁ、まだ いっくんとの試合が残ってるんだけど、羽黒の消耗率を見る限り応急処置だけで試合が出来るとは言えないなぁ」

 

自分の顎に手を当て困った様な表情をして束は言う

 

「仮に試合が出来る程度にするのに、どのぐらいの時間が必要?」

 

「そうだねぇ・・・猛鷲戯画を使用不可、最大出力が出せないのを前提にして、反応速度80%出力68%ぐらいのスペックを下限にした場合 最低4時間かな?」

 

オレの質問に肩をすくめて束は答える

 

アリーナの使用時間は限られている、つまり4時間も待てないし4時間も待っていたら夜になってしまう

 

「オレの不戦敗か、まぁ一夏とは今度試合をする事にするよ」

 

そう認識した瞬間、ズシッと身体が重くなる感覚に襲われオレは椅子に座る

 

別に霊に取り憑かれたとかではなく単に気が抜けて疲労感が一気に来ただけの事だ

 

「お疲れ様 みーくん、羽黒はメンテがてら改修しておくよ。君は止めても猛鷲戯画を使って次元潜航をするんだろうからね?あと ちーちゃんには束さんから試合続行不可能って伝えておくから、少し休んだら部屋に帰ってね?」

 

椅子に座るオレの頭を撫でて束はクスッと笑い手際よく羽黒をオレから外してピットを出ていく

 

ほんと、人は見た目によらない、これが年上の余裕って奴なのだろうか?

 

「・・・まさに束の掌の上って奴か」

 

何もかもを見透かされている気がするし、疑問もあるにはある

 

 

それから暫く休んで更衣室へ行き制服に着替える、流石にISスーツのままで学園内を歩き回る訳には行かない

 

本当なら更衣室のシャワーで汗を流してしまいたい所だが、此処は実質女子校なのでラキスケな事故が起こる可能性もあるので部屋まで我慢する事にした

 

「・・・思ったより陽が傾いてるな」

 

少し長く休みすぎた様で帰路を夕陽が照らしていた

 

茜色の帰路を歩みつつ考える、試合の結果で言えば2戦2勝のオルコットがクラス代表に就任するだろう、そもそも自薦してたからヤル気も充分だろう

 

でも横槍が入ってオレか一夏がクラス代表に選ばれる可能性も無くもない

 

頼むからオルコットが就任してくれ

 

 






束さん成分少ないな、もっともっと束さん増やしたいです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

たゆたゆ


セシリア視点




 

 

 

 

クラス代表決定戦の後、私はささっと制服へ着替えて寮へ帰り部屋着に着替えてから寮の大浴場へ向かう

 

そして汗を流してから髪が湯に入らない様に纏めてから浸かり、色々と思い返す

 

私の名前はセシリア・オルコット、イギリスの代表候補生だ

 

まぁ正しくはセシリア・オルコットに生まれ変わってしまった元日本人でいわゆる転生者と言う奴

 

そんな訳で私は、この世界の事を大まかに知っている、このライトノベル インフィニット・ストラトスの事を

 

あくまでも大まかな理由は、私の様な存在と原作には居なかった私の可愛い妹、そして篠ノ之 命(かれ)の存在だ

 

 

約1週間前、彼に会うまでは色々と警戒をしたが取り越し苦労だったので良かった

 

さて、今日の試合で2人と戦った感想は、2人共 素人とは思えない動きだった事

 

確かにISには補助機能が備わってはいるが、あくまで補助で有って動かすのは搭乗者なので有る程度のイメージが出来なければ碌に動かせないのだが彼等は戦ってみせた

 

だから彼等には才能があるのだろう、それは間違いない

 

先ず織斑 一夏だが、原作とは違い白式はファーストシフト済みだった

 

 

恐らく何故かIS学園にいる篠ノ之 束の仕業だろう、少し感謝しておこう

 

とはいえ原作同様、彼の得物は日本刀(雪片弐型)だけ、隠している様子も無く余裕を持って相対する事が出来た

 

一撃必殺の零落白夜を警戒はしていたが、原作より冷静なのか中々使って来なかった

 

篠ノ之 束の入れ知恵かとも考えたが、むしろ篠ノ之 命の方の入れ知恵の可能性が高いだろう

 

 

終始優勢で織斑 一夏との試合を終え直ぐに補給を行って2試合目へ出る

 

そう、篠ノ之 命との試合だ

 

初見の感想は異形、そして何か予想外の事をするだろう と感じた

 

 

彼の纏うISは私も生前に見たことがある、名前は猛鷲(エル・アゾゥル)と言い航空武神と呼ばれる兵器だった

 

故に、原作『境界線上のホライゾン』で猛鷲が披露した技は彼も出来ると考え、対策を講じる算段をしていた

 

そして彼は自身が持ち得る全てを出し切って戦ってくれたので、久しぶりに熱くなってしまって大人気なくブルーティアーズの火器で集中砲火を浴びせてしまったのは反省点だ

 

総評としては楽しい試合だったし、彼等は磨けば強くなるのは間違いない

 

でも、この先は死に直結しかねない困難が待ち受けている、約2週間後のクラス代表戦・・・ん?

 

いや、クラス代表戦に関してなら問題は無い、私がクラス代表を彼等に譲るつもりがないから

 

篠ノ之 束が味方と仮定すれば、ゴーレムIの乱入もしない可能性も高くなる

 

ともあれ そろそろ良い時間になった、部屋に戻って可愛い妹へ電話をしよう

 

私は湯船から出て頭に巻いていたタオルで身体を拭いて脱衣所に入りバスタオルで身体を拭き、ささっと服を着て部屋に戻る

 

そして髪を乾かしてから妹へ電話をする、これが私の日課であり癒しだ

 

あぁ、神様ありがとうございます。今日もリリウム(いもうと)は可愛いです、天使です

 

 

 





お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

転校生は?

 

 

クラス代表決定戦から早くも1週間が経った今日この頃、窓辺に差す陽気と戦う

 

めっちゃポカポカして眠くなるんだ、これが

 

そう寝たら千冬さんの愛の鞭(げんこつ)が降ってくるから絶対に寝れない

 

とりあえずクラス代表はオルコットになったが、オレと一夏は別枠で試合に出る事になった

 

うん、なんで?って思ったさ。理由を千冬さんに聞いたらオレ達のISの機動データが少しでも欲しいんだとか何とか

 

アレ?クラス代表決定戦する意味有ったのか?って考えたが、まぁ羽黒で飛んでいるのは楽しいから良いか、と考え直した

 

そんな訳でオルコットは持ち前のカリスマでクラスの中心に君臨?した

 

まぁ立ち振る舞いも綺麗で人柄も良いからなんだろうけど

 

 

ナンヤカンヤとHRが終わり陽気に負けない為に上着を脱いで椅子に掛ける、大丈夫だちゃんとワイシャツ着てるから

 

そして再び椅子に座ろうとした瞬間

 

「一夏、いるんでしょ?出て来なさい」

 

教室の黒板側の入り口が開き聞き慣れた声と見慣れた小柄なツインテールで八重歯がチャームポイントの美少女が登場した

 

そういえば登校した時にクラスメイトがなんか話してたな、2組に転入生が入ったとか何とか

 

あんまり興味無かったし眠かったから聞き流してた

 

と、いうかアイツ オレはスルーするのか現金なやつだ

 

呼び出された一夏は嬉しそうに鈴の元に行き談笑を始める

 

 

「・・・なんだ奴は、馴れ馴れしく一夏と話おって・・・」

 

 

目の前のイトコが人を殺せそうなほど鈴を睨み呟いたので椅子に座り箒の肩を叩き此方を向かせ

 

「アイツは凰 鈴音(ふぁん りんいん)、愛称は鈴で お前と入れ替わりで転入してきたんだ。オレが知ってる理由は、オレの遊び友達の1人だったからだ、ちなみに鈴は一夏が好きだぞ?」

 

グデェ〜っと机に突っ伏しながら一夏と鈴のやり取りを見つつ箒に言うと、金魚みたいに口をパクパクさせているので

 

「前から言おうと思ってたけど、一夏に告れば?箒 ド直球でさ」

 

そう言った瞬間、箒の拳が降ってきて頭を激痛が襲う

 

「余計なお世話だ馬鹿者・・・そ、それにだな、女からと言うのは少々はしたなくないか?」

 

と言ってラスト侍が乙女になったのを激痛に耐えながら見て

 

「そうか?他の誰かに取られるよりマシじゃない?」

 

鈴には悪いけどオレは箒を応援する事にしている、だってイトコだし一夏を想っている期間も箒の方が長い

 

だからオレは箒に発破を掛ける

 

「実質女子校のIS学園に一夏だぞ?アイツはモテるからな、手遅れにならん内に・・・いや、同室の内に気持ちを伝えとけよ。多分そろそろ部屋の都合がつく頃だろうし?」

 

オレの言葉に箒は真面目な表情になり頷き

 

「・・・そうだな、ありがとう命」

 

「かまわんよ」

 

さて、オレは箒の告白が成功するのを祈るとしましょうかね

 

 





お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

放課後

 

 

 

一夏と鈴は長話をして千冬さんにゲンコツを貰っていたが他に特に問題も起こらずに昼休みになった

 

なんか面倒事が起こる予感がしたので一夏の誘いを断り束が持たせてくれた弁当を持って屋上のテラスへ行き弁当に舌鼓を打つ

 

「・・・また腕を上げたな、束」

 

サンドウィッチを食べつつ呟く

 

一夏も料理が上手いが、束も料理が上手い

 

これでは完全に胃袋を掴まれてしまっているな、うん

 

「・・・オレは・・・どうしたら良いのだろう?」

 

人を好きになる、と言う恋愛感情が良く分からない

 

もちろん否定するつもりはない、この世界には間違いなく存在するからだ

 

そしてオレは束に結婚を迫られているのを保留にして貰っている状態なのだからちゃんと考えるのが束への誠意だろう

 

夜這事件から5年が経っていて、束を5年待たせていると言う事になる

 

だからたまに考えている訳だが答えは出ない

 

別にオレは束が嫌いなわけじゃない、むしろ好きだ。でもその好きはlikeなのかLoveなのか判断がつかない

 

ちょうど良く日陰になっている場所に上着を脱いで畳んで枕にして青空を見上げ考える

 

これは誰かに相談してはいけない、そうオレは思う

 

「・・・たまには悩む事も必要だな、うん」

 

食後で眠くなってしまったので予鈴で起きれるだろうと思い目を閉じる

 

 

結果から言えば寝過ごして授業に遅刻して千冬さんにゲンコツを頂戴し頭がグワングワンする

 

そんなこんなで放課後まで問題無く過ごし携帯のメッセージを見て

 

「一夏、束が第4アリーナに来いってさ」

 

「おー分かった、セシリア相手お願いしといてアレだけどスマン」

 

一夏に用件を伝えると一夏はオルコットに謝る

 

「いえいえ、お気になさらずに」

 

ニコリとオルコットは笑み そう言い

 

「では、御機嫌よう」

 

優雅に立ち去っていく

 

うん、これが貴族の振る舞いか

 

そんな事を考えつつ一夏と箒と共に第4アリーナへ向かうと入り口に束が仁王立ちして待っていた

 

うん、全く迫力がないし、なんか可愛い

 

「待ってたよ、さぁこっちだよ」

 

束は無駄に白衣をたなびかせて格好付けて歩み始め、オレ達は慣れているので特にリアクションをせずについて行く

 

暫く歩きアリーナに併設されている整備室に到着して

 

「まずは みーくん、羽黒の修理と改修が終わったよ。改善箇所や変更点はコレに纏めてあるから」

 

そう言い台に置いてあったファイルをオレに手渡して来たので受け取り中身を確認する

 

大まかに言えば猛鷲戯画の出力調整と次元潜航対策に伴う装甲の変更、副機関搭載などなどだった

 

重量増加に関して羽黒の推力なら無視できる範囲内だから良しとして、追加武装は扱いが難しそうだ

 

潜水艦の知識を仕入れないとダメかもしれない

 

 





お待たせしました

羽黒は次元潜航をする前提の改修が施されました、まる



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

放課後 続

 

 

潜水艦の知識は後で仕入れる事にして、まずは羽黒の具合を確かめるのが先だろう

 

と、ファイルから顔を上げると先程までライトがついていなかったガントリーにライトがついていて、羽黒の横に紅のISが鎮座していた

 

 

「束、そのISは?」

 

恐る恐る束に尋ねると

 

「この子は紅椿、箒ちゃんの専用機だよ?まぁ搭載予定の新型装甲が完成してないから未完成だけどね」

 

そう言いテヘペロする束、うん可愛い

 

それはそれとして、今つけられる装甲は仮止め状態なんだろう、多分

 

「一応、試合のレギュレーションもあるからね、調整も大変なんだよね。さて みーくん は いっくんと軽く模擬戦しておいで?箒ちゃんには紅椿のレクチャーするね?」

 

そんな訳でISスーツに着替えて羽黒を纏いアリーナを飛翔する

 

「やっぱり空はいいな」

 

そんな事を考えつつ羽黒の具合を確かめ一夏の前に停止し

 

「お待たせ」

 

「大丈夫だ、あの時は不戦勝だったけど今回は俺の手で勝ってみせる」

 

そう言い一夏は雪片を構える

 

「軽く、軽くだからな?」

 

ムラサメを左右の手に展開して構え、一夏と模擬戦を開始する

 

 

軽く、と言ったのにもかかわらず一夏は割と本気で打ち込んで来たので回避に専念して隙を突いて思いっきり肘を脳天に叩き込んでやり、痛みに苦しむ一夏に

 

「軽くだって言ってんだろ馬鹿、治してもらったばっかで また修理に出せってのか?」

 

と言うと一夏は反省した様子を見せたので許す事にした

 

その後は、ある程度加減をして打ち合い羽黒の具合を確かたりし時間になったので解散して、俺は束に新武装の分からない所を聞きに行ってから束と共に夕食を食べて束は雑務が有ると食堂で別れ部屋へ帰る途中で鈴と箒が部屋の前で言い争っているのを目撃し、逃げたい衝動に駆られたが、鈴の後ろを通らないと部屋に行けない

 

通れば間違いなく箒に見つかり、争いに巻き込まれるのは目に見えている

 

あぁ仕方ない、箒に加勢しよう。悪いな鈴 恨めよ

 

俺は腹をくくり、争いに飛び込む

 

「おい鈴、何でお前がそこに居るんだよ。その部屋は一夏と箒の部屋じゃなかったか?」

 

「うるさいわね、部外者は黙ってて・・・って命じゃない、アンタも この子を説得するのを手伝いなさい」

 

俺の話を聞いていないのか、鈴は華麗にスルーして俺を自分の味方だと思っている口振りで言ってくる

 

「はぁ、鈴?お前、ルームメイトの変更申請出したのか?確か寮則に書いてあったよな?もししてなくて騒いでるなら俺は知らないぞ?寮長は・・・千冬さんだ」

 

とりあえず鈴に箒が飛びかかりそうな雰囲気だったので軽量な鈴を引きずって距離を取らせて耳打ちして脅すと、見るからに鈴は怯え

 

「き、今日の所はこれぐらいにしてあげるわ!」

 

何か安っぽい悪役なセリフを吐いて走り去ったのを確認し

 

「箒、次 鈴が来ても手は貸さないからな?次までに決着をつけとけ」

 

 

「う、うむ。ありがとう命、分かっている」

 

一夏に聞こえない程度の声量で言い俺は部屋へ帰る

 

 

さてさて箒の恋が成就する様に祈ろう

 

悪いな鈴、恨めよ

 

 

 

 






お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決戦


箒 視点


 

 

 

朝、命の助言で私に残された優勢のタイムリミットが間近に迫っている事を認識し、勇気を出す決意を漸く出来た矢先、凰の襲撃を受けてしまった

 

やはりコヤツも一夏に惚れているのだと昼間の様子から予想はしていたが此処まで露骨に行動に出すとは、侮れない

 

そんなこんな問答をしていたら命が場を正し凰を退かせてくれたのだが、念押しで言われてしまった

 

次が無い、明朝に再度 訪れるかもしれない凰との衝突、その可能性を考えれば日和らずに結構する他にない

 

私は扉を閉め、一夏へ振り返って深呼吸する

 

「大丈夫か?箒」

 

先程の私と凰のやり取りを心配そうに伺っていた一夏が私に尋ねて来た

 

「あぁ大丈夫だ一夏、それより話がある。座れ」

 

「お、おぉ」

 

元々表情が固いのは自覚しているし、緊張して更に表情が固いのも予想が出来るが、私の気迫に押されて恐る恐る椅子に座る一夏を見ると少し複雑な気持ちになる、が此処は勢いで行くのみ

 

 

私は、もう一度深呼吸して 正座をして一夏を見据え

 

「一夏、私は不器用で口下手で想いを伝えるのが下手だ、鈍感で朴念仁の お前に気持ちを伝える方法なんて簡潔に言うぐらいしか出来ない、だから言う!! お前が好きだ一夏、結婚を前提に付き合って欲しい」

 

言えた、言えたぞ私、ありがとう命

 

顔が真っ赤になっているであろう私の言葉に一夏は瞬きを数回繰り返し、一夏も顔を赤くしワタワタとした後に深呼吸をし

 

「ほ、箒 ありがとう。今すぐ結婚とか先の事は考えられない、でも俺も・・・うん、俺も箒が好きだ。だから俺と付き合って下さい」

 

一夏は そう言い私の前に正座して頭を下げてくる、その様子に嬉しくて涙が出て来てしまった

 

「何を言っているんだ一夏、告白したのは私だぞ?なんで お前が告白して来ているんだ」

 

嬉し泣きしながら笑うと、一夏は顔を上げて『それもそうだな』と言って笑う

 

しばらくして涙も落ち着いたので

 

「一夏、私は不器用で口下手でお前に、きっと迷惑を沢山かけてしまう。それでもいいか?」

 

少し目を伏せて言うと

 

「お前が不器用で口下手なのは知ってるし慣れてる、それに好きな女にかけられる迷惑は男は背負ってなんぼって柳司(りゅうじ)さんが言ってたぜ?」

 

ニッと笑み一夏は力強く言う

 

「柳司おじさんが、そうか。ならば これからよろしく頼む一夏」

 

「おう、よろしくな箒」

 

父さん、母さん、私は今 幸せです

 

貴方達と離れ離れになって寂しかった事も多かったですが、私は今 彼へ想いを伝える事が出来ました

 

手紙を記し、姉さんに頼んで届けて貰います。報告を楽しみにしていて下さい

 

 





お待たせいたしました

鈴が不遇ですが、お許しを


柳司は命の親父で、篠ノ之 父の実弟 という設定



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゆううつ

 

 

箒と鈴の問答を解散させた後、オレは部屋に戻りネットを使って色々な情報を集めて目を通す が

 

「やっぱり本格的な戦術を書いてる物は少ないな」

 

羽黒の次元潜航のヒントになるかと思って潜水艦について色々と調べているが、あまり成果は出ていない

 

そもそも羽黒は高機動戦闘型で、次元潜航はオマケと考えた方が良いのだろう

 

束のおかげで大分、次元潜航のリスクは軽減しているし戦術に組み込まない手は無いけども

 

そんなこんな調べた記事を見ながら羽黒での戦い方を模索する

 

 

そんな感じで翌朝を迎え、若干眠さを感じながら食堂に向かうと まだ眠そうな一夏と、珍しく朝から機嫌の良い箒と遭遇し

 

「む、おはよう命。そのありがとう」

 

と、いつになく素直な箒が言ってきた

 

「なんのこっちゃ、オレは何もしてない。お前が頑張った結果だろ・・・おーい、一夏しっかりしろ。オレも眠い」

 

とりあえず一夏の背中を軽く叩き挨拶をしてバイキングの列に加わる

 

箒に またコイツは みたいな目で見られたが気にしない

 

そんな訳で朝から魚を食べる元気が無かったので適当に食べやすい奴を選んで3人固まって食べる、が 当然の様に2人は並び、オレは2人の正面に座る

 

「なるほど、箒の ありがとう はソレか。まぁどちらにしろ頑張ったのは箒だけどな」

 

生卵を白米の上に割り入れTKGを作成して一口食べてから言う

 

 

うん、良かった良かった

 

いやぁ一夏も箒の事、好きだと思ってたんだ。発破掛けて良かった

 

 

一夏の鈍感と朴念仁は無意識に箒が好きだったから、とかだったら良いのに

 

 

さて、残る問題は鈴か

 

アイツ少し病みが入ってるからなぁツンが強いし、一夏と箒が付き合い始めたのを知ったら絶対に荒れるだろうし、オレが絶対に責められる

 

少し憂鬱になりながら朝食を食べ登校し午前の授業を受け昼休みになり、今日も束の弁当を持って教室を出るとソコソコ大きい弁当袋を持った鈴と遭遇した

 

「よぉ鈴、弁当一緒に食おうぜ?話したい事がある」

 

「・・・なによ、こうゆう時のアンタは悪い話をする時じゃ無いの、聞きたくない」

 

やっぱ一夏がセカンド幼馴染と呼称するだけある、オレの性格を鈴は理解している

 

「聞かなくても事実は変わらないぞ?それ、一夏に酢豚でも作って来たんだろ?悪い事は言わないから辞めとけ」

 

そう言うと鈴はオレをギッと睨み

 

「アタシはアンタの そうゆう 人を見透かした様な事を言う所は嫌い」

 

「知ってる」

 

と鈴に言われたが、過去に何度も言われた事なので特に捻りを入れずに返すと鈴はため息を吐き

 

「まぁ良いわ、限られた昼休みを無駄には出来ないし、今日はついていくわよ」

 

「それはどーも」

 

とりあえず誘導は成功した、後は2人に被害が及ばない様に説得するだけだ

 

最悪、羽黒で逃げれば大丈夫だろ、多分

 






お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

げきりん

 

 

そんな訳で鈴を屋上に誘導する事に成功した、幸い屋上には人影が無い

 

とりあえず東屋みたいなスペースに向き合って食事を始める

 

 

今日は稲荷と手で摘めるオカズの組み合わせな弁当の蓋を開くと

 

 

「それ、アンタが作ったの?」

 

「これ?束が作ってくれたけど」

 

珍しいのか鈴に聞かれたので答えると、へー と言い鈴は酢豚を食べる

 

 

半分程弁当を食べた所で

 

「そろそろ話をするか、鈴 落ち着いて聞いてくれ。一夏と箒が付き合い始めた」

 

オレの言葉に見るからに動揺して鈴は割り箸を落とし

 

「な、何を言ってるのよ命、いくら何でも冗談じゃ済まないわよ?」

 

鈴は落とした割り箸を拾いながら言うが

 

「鈴、嘘じゃない。昨晩から一夏は箒と付き合い始めたんだ、だから一夏の事は諦めろ、としか言えない」

 

「アタシは、アンタは!! 一夏に告白したのよ?! 返事を聞いてない、まだ分からないわ!!」

 

感情的になるな、と言う方が無理な話な為 鈴はだいぶ声が大きくなりつつある、これは予想済み

 

寧ろ直情型の鈴が大人しく受け入れる訳が無いと思っていた

 

「・・・一夏に伝わっていなかったら意味が無いんだ鈴、お前はチャンスを逃したんだ」

 

最後の稲荷を食べて、オレの言葉を聞き俯き両手を握り締めている鈴を見る

 

「・・・して、どうしてよ命! アンタが邪魔をしなければ・・・」

 

割り箸を握力で折り鈴はオレを睨む

 

「オレが邪魔をしなかったら一夏は お前と付き合ってたか? 確かに可能性は有ったかもな? あとな、箒から告白した前提で話を進めてるけど、一夏から告白した可能性も有るんだぞ? 」

 

 

そう言うと鈴は折れた割り箸をテーブルに置き、一夏用に作ったで有ろう酢豚が入ったタッパーに触れ

 

「アタシは、アタシは一夏が好き。だから嫌なの・・・」

 

鈴は俯き普段の鈴から考えられ無いぐらい弱々しい声で言う

 

「・・・嫌でも現実は変わらない、この事でオレが お前に手を貸す事は絶対にないし、気持ちの整理もお前が自分でつけるしかない」

 

「アンタの そう言う所が嫌い」

 

「知ってる」

 

オレの容赦の無い言葉に鈴が言い、オレはいつもの様に答える

 

あとは鈴が自暴自棄起こして一夏を殺して自分も死ぬ、みたいな事をしない事を祈るしかない

 

あーなんでオレは頼まれてないのに こんな働いてるんだろう、しかも勝手にしてる事だから一夏にも言えないしなぁ

 

3分ほど俯いていた鈴が顔を上げ

 

「・・・大丈夫よ、失恋したぐらいで死んだりしないわ」

 

「・・・そうか?わかった」

 

若干、目のハイライトが消えてる気がしたが昼休みが終わるまでは鈴を見守る事にしよう

 

 

人生って何が起こるか分からないモノだ、だから出来るだけ最善を選んで生きて行きたい

 

 





お待たせしました





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

激突 いち

 

 

箒と一夏が交際を始めて約1週間、比較的平穏な1週間だった

 

授業で一夏が急降下と完全停止をやらされて地面に大穴を開けたが、まぁ怪我人も出てないので些細な事にしよう

 

ちなみにオレはギリギリ及第点でオルコットは完璧だった

 

「・・・神の試練って奴か」

 

今日はクラス対抗戦の日で、当日までトーナメントと対戦相手が分からないのだが、俺は掲示板に映るトーナメントを見て呟く

 

織斑 一夏 VS 凰 鈴音、この1週間、鈴に避けられて困惑している一夏と、何かに取り憑かれた様に鍛錬する鈴の対決

 

これで鈴が吹っ切れたり気持ちに整理が出来れば良いけど

 

 

「・・・考えても仕方ないか」

 

俺の試合は一夏達のすぐ後、あまり ゆっくりもしていられない

 

 

鈴の実力は未知数だし、一夏も何か覚えた様だし、試合が数分で終わる可能性だってある

 

更衣室に行き着替えてピットに行き羽黒の最終チェックをする

 

 

こうゆうのは念には念を入れて損は無いので一通り目を通し待機状態にして一夏達の試合を見守る

 

試合開始のブザーが鳴り、近接型の2人は切り結ぶ

 

鈴の扱う青龍刀は重量で潰し切るタイプ、一夏の雪片は日本刀が原型なので速さ出来るタイプだ

 

普通に打ち合ったなら先に耐久度の関係で雪片が先に折れてしまうのだろうし、一夏は雪片しか武装がないので二刀流の鈴は少し有利かも知れない

 

それにオルコットに聞いた話だが、鈴は中国国家代表候補らしいから素人に毛が生えた程度の一夏を手数で翻弄している

 

カタログスペック上では白式は甲龍に勝っている、だが鈴との実力差、経験の差で一夏は苦戦している状態だ

 

というか鈴の猛攻が凄い、完全に鈴のペースに一夏は載せられている

 

 

「・・・でも一夏には文字通り一撃必殺が有る」

 

そう一撃、たったの一撃で優劣がひっくり返る必殺技、零落白夜

 

強力故にデメリットが有り使い所が難しいし、当たらないと意味が無い

 

必中の間合いに入り闘うしか無い、のだが一夏に見えない何かが直撃して一夏が地面に墜落する

 

「なんだ今のは・・・」

 

サインフレームを増やして甲龍の武装を調べる

 

「えーっと・・・あ、これだな 衝撃砲?」

 

衝撃砲、空間に圧力をかけて砲身を形成して衝撃を砲弾として撃ち出す第3世代型武装、特徴は砲身 及び 砲弾が空気故に不可視であること、か

 

「空間に圧力をかける、か」

 

空間に圧力をかけて砲身と砲弾を用意する、つまり大気を圧縮しているのなら、そこに解決策があるかも知れないが、少し嫌な予感もする

 

そう、空間に圧力をかける 事だ

 

近接戦仕様でパワータイプの甲龍の攻撃は当たると痛い、一瞬隙が出来たら 間違いなく痛い一撃を食らう事になるだろう

 

そう、空間に圧力をかけて対戦相手を一瞬 拘束出来る可能性も有る

 

 

ますます一夏に不利だな、と考えつつ。鈴と当たった時のイメトレをしておく

 

 

 

 





お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

激突 に

 

 

試合が始まって約20分、一夏は動き回って衝撃砲を避けている

 

 

暴論だが、いくら不可視でも砲弾である以上、直線にしか動かないって事になり動き回る事で狙いをつけ辛くなる訳だ

 

そして一夏が覚悟を決めた表情をして鈴へ加速して突撃をしようとして何かに気付き、加速して鈴へタックルする様に抱き飛ぶ

 

次の瞬間、アリーナの防護シールドを突き破り何かがアリーナの中央へ墜ち土煙が上がって緊急アラートが鳴り響き

 

「試合中止、生徒は至急避難せよ。繰り返す試合中止、避難せよ」

 

千冬さんの声が放送で聞こえ、何故だが隔壁が閉まり、出口はロックされピットに閉じ込められしまった

 

羽黒なら出口も隔壁も壊して出られない事も無いが、緊急事態とはいえ施設を破壊するのは少し気が引ける

 

何かのエラーだろうから、その内出られるだろうと前向きに考えて一夏達の様子が気になって試合中継へ目を戻すと、ISなのか?と思うほど異形のISと2人は戦っていた

 

「は? なんで・・・そうか、ピットの隔壁が此処以外のも閉まってるのか。 鈴も一夏も試合で消耗している筈・・・よし」

 

オレは管制室へ通信を開き

 

「千冬さん、2人を助けに行くので隔壁を上げて下さい」

 

「命? そうしてやりたいが、外部からのハッキングで操作を受け入れん、束を始めとした精鋭でシステムを奪い返している所だが、まだかかりそうだ。本当なら行くな、と言いたいが そうも言ってられん お前と羽黒なら中に入れる、行け」

 

様々な指示や情報が飛び交うのが見え、千冬さんは言う

 

いつもなら、織斑先生だ とか訂正させるのだろうが、許してくれた様だ

 

「問題なく、あのアンノウンは?」

 

羽黒を纏い、千冬さんに尋ねる

 

「撃破が望ましいが、最優先は2人の命だ」

 

「了解」

 

返事をしてスラスターに火を入れてウィングスラスターを温める、PICで停止しつつ徐々に出力を上げ、猛鷲戯画を発動するとスラスターがスライドしてより翼に近い形になる

 

「・・・よし、いける」

 

PICを解除し壁に激突する直前で次元潜航をしすり抜けてアリーナに侵入し浮上して状況を確認する

 

「一夏、鈴、無事だな?」

 

衝撃砲でアンノウンを牽制してタゲを取っている鈴と、隙を伺いながら旋回している一夏に尋ねる

 

「な、なんでアンタも来てるのよ命!」

 

「命 気をつけろ、コイツ・・・なんか変だ」

 

あー2人してアンノウンを倒す気が有るらしいが、命を大事に と千冬さんに言われているので

 

「お前らの救出だよ、逃げるぞ? 」

 

と言うと

 

「まだダメだ、俺達で引きつけなきゃ無差別に人を襲う可能が有る」

 

 

一夏は真面目な表情で言う、確かに否定は出来ないし逃げるにしても隔壁が開かない と言う問題も有る

 

試してみたい事も有るが、失敗したら即死だからぶっつけ本番で試す訳にも行かない

 

「なら、倒すしかないか」

 

パーティ的にはバランスは悪くないだろうし、アンノウンには俺も違和感を感じる

 

 





お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

激突 さん

 

アリーナに突入して約10分が経ち緩急をつけながらアンノウンの周りを旋回しながら2人に秘匿通信を繋いで

 

「アイツ、全く顔を動かさないな。何処見てんだ?」

 

と観察していて思った事を口にする

 

「何処かしらね? ISはハイパーセンサーで視野が格段に広くなって本来人間では見えない視野も見える様になるけれど・・・」

 

そう鈴はオレの疑念に答える

 

見える範囲が広くなったとは言え、人間は無意識に慣れた行動をする物だ、つまり本来見える視野で見ようとするので顔を少しは動かす

 

 

だがアンノウンは不自然な程、顔を動かさない

 

「鈴、衝撃砲を撃つの止めて合流、一夏も」

 

「何か思いついたのね、分かったわ」

 

「分かった」

 

 

アンノウンを見据えているオレの左右に鈴と一夏が立つ

 

「やっぱりアイツ、変じゃないか?」

 

「だよな、3人並んで止まってるのに撃って来ない。まるで」

 

「まるで、アタシ達の会話と出方を観察する様に」

 

なんだかんだでオレ達3人は付き合いが長い、こうゆう時の息は自然と合ってしまう

 

オレは鈴の言葉に頷くと

 

「なぁ、あのISは人間が乗ってると思うか?」

 

一夏は真剣な表情で言う

 

確かに挙動に人間味が無さすぎる、仮にアンノウンが無人機だった場合、ややこしい問題が起きる 間違い無く

 

「何言ってるのよ、ISは人間が乗ってないと動かないのよ? 」

 

と鈴は信じたくない表情で言う

 

「人が乗っているにしては機械的過ぎないか?」

 

オレの言葉に鈴は変な表情をして諦めた表情になり

 

「はいはい、分かったわよ。ならアレを無人機と仮定して戦いましょ? で?どうするのよ」

 

鈴の言葉に頷き、オレと一夏は顔を見合わせて頷く

 

「一夏の零落白夜なら一撃で倒せる」

 

「だな、加減すれば3回は使える。でも3回分を1回に全部使用して一撃で倒す・・・鈴、合図したら全力の衝撃砲を撃ってくれ」

 

一夏が鈴に説明してる間に次元潜航してアンノウンの背後に回り込みムラサメを展開しタイミングを見計らって飛び出しアンノウンの脚を斬りつけ注意を引き、衝撃砲のエネルギーを利用したイグニッション・ブーストで急加速した一夏がアンノウンを袈裟斬りにする

 

崩れ落ちる様にアンノウンが倒れ

 

「やっぱり無人機だな、血が出てない」

 

何はともあれ終わったか・・・と気を抜いた瞬間、アンノウンの肩が光りビームを慌てて躱して

 

「この野郎、お前で試してやる」

 

ついカッとなって猛鷲戯画を使用してアンノウンにタックルする様に次元潜航してアンノウンを離し置き去りにして浮上する

 

「お、いけるっぽいな」

 

いい事が分かったと、思いつつ2人を見るとポカンとしていた

 

「ん? どうした?」

 

「どうした、じゃないわよ! アンタ、それを最初から使いなさいよ」

 

と鈴はオレに怒ってきたので

 

「成功するか分からなかったんだよ、その・・・すまん」

 

おかしいな、目の前の鈴は小柄な美少女の筈なんだけど背後に龍が見える

 

なので、ひとまず謝っておいた

 

 

だって鈴 怖いし

 

 





お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

黒幕


束さん視点


 

 

5月、桜の花が散って久しく青葉が茂っている

 

クラス対抗戦当日、私の親友の弟であり可愛い妹の想い人・・・いや、つい最近付き合い始めたから彼氏か、彼氏の いっくん と2組の代表が第1試合を行なっている

 

今日は頼んでもいないのに、各IS業界の要人が見学に来ているらしい、実は私も所謂VIP席に招待されていたのだけど面倒だから断った

 

 

だから愛しの みーくん の所へ行くつもりだったのだけど、ちーちゃん に止められて泣く泣く ちーちゃんと一緒に管制室で試合を見る事になった

 

試合が佳境に差し掛かった時、アリーナの障壁を破りナニカが地面に落ち土煙があがり警報が鳴り響く

 

「緊急事態発生、アンノウンが侵入・・・システムにハッキングを受けています!」

 

同じ1年1組の副担任をしている山田ちゃんが状況を告げる

 

「ちーちゃん」

 

「分かっている、試合中止だ」

 

名を呼ぶと、私の伝えたい事を理解したのか ちーちゃんは頷き自分の成すべき事をする

 

私は端末の前に座り、私専用の作業特化IS我輩は猫である(なまえは まだない)を展開し、私自身の腕2本プラス8本の腕につき1枚の空間投影したキーボードを使い私にしか出来ない事をする

 

「絶対に逃がしたりしない、絶対に」

 

私は10の作業を同時に開始し、ハッキングにカウンターをする

 

この私を怒らせたのだ、相応の罰を与えなければ腹の虫が治まらない、そう私は自分ならば直ぐに状況を解決出来ると考えていた

 

しかし、すぐに自惚れだと自覚する

 

なかなかシステムを取り返せなかったのだ、10分も有れば余裕だと思っていた、その筈だった

 

「・・・なるほど、なるほどね。クーちゃん、お願いできるかな?」

 

「はい、束様」

 

私の助手をして貰っているクーちゃんに電脳ダイブして貰い、一気に決着を図る

 

電子戦に限ればクーちゃんは私を超える逸材だ、まぁ彼女に与えたISの特性と彼女の才能が合わさった結果なのだけど

 

どうにかシステムの主導権を取り返しシステム復旧をした時、突然試合中継を映していた画面が変わり

 

「御機嫌ようIS学園の諸君、私はファントムタスク総帥 ファイと言う者だ。本日諸君らに宣戦を布告させて貰う、我々はISを根絶し世界の歪みを正す。これは聖戦であり、我々は手段を選ばない」

 

黒い仮面に黒い軍服に黒マント、如何にもな出で立ちのファイと名乗る男・・・いや、声も加工されている可能性もあるから女の可能性もある

 

それに映像に映っているのが本人では無い可能性も否定出来ない

 

「今回の襲撃は単なるテストだ、時期が来れば再び我々は現れる、さらばだ諸君」

 

無駄に芝居かかった仕草とセリフを言い映像は消え元の中継カメラの映像が流れる

 

 

私は画面を睨みつけながら、奴は絶対に許さないと心に決める

 

見つけ出して罰を与えてやる、絶対に

 

 





お待たせしました

ありきたりな展開ですが、黒幕の登場でした

束さんは、激おこ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

僅かばかりの休息

 

 

アンノウンを次元の底に置き去りにした後、首謀者の有り難い御高説を聞きながした後、直接交戦したオレ達は事情聴取をされ、オレはアンノウンを次元の底からサルベージさせられた

 

束が羽黒を次元潜航する前提の改修をしてくれたおかげで容易に作業が終わって良かった、束に御礼をしなければ

 

それからアンノウンを解析班に渡してオレの仕事は終わる、この先は解析班とか大人の仕事だ

 

首謀者の言葉が本当か嘘かは分からないが、対策をしなければならないのは間違いない

 

IS学園がなくなる事は無いだろうけど

 

そんなこんなで、鈴が一夏へ告白して玉砕した事以外は特に何も起こらずに約1週間が過ぎ、ゴールデンウィークが到来し何故かIS学園は連休になった

 

IS学園は日本にあるが、多国籍な為 基本的に治外法権の地の筈なのだが、祝日は日本のが採用されている様だ

 

まぁ連休は嬉しいから良しとしよう

 

そんな訳で

 

「束、今日暇?」

 

朝食を学食で食べた後、部屋へ戻ると珍しく束がリビングでテレビを見ていたので尋ねる

 

「ん? うん、私は副担任だし雑務関係は基本的に回って来ないからね、今日明日は完全にオフだよ? 」

 

相変わらず成人に見えない束は素直に答えてくれた

 

「なら、急だけど一緒に出かけない? 羽黒の改修とか、色々の御礼もしたいし」

 

オレが そう言った瞬間、テレビの電源が切れ束は瞬間移動してオレに抱き付いていた

 

「行く、行くよ みーくん! 」

 

年齢不相応な笑みを浮かべて束は言う、うん 可愛い

 

 

それから外出届とか外泊届とか諸々を書いたり提出したり準備をして準備をして、学園を後にする

 

連休とあってオレ達以外にも外出する生徒の群れに紛れてモノレールに揺られ目的地へ到着する

 

「この駅か、なるほど。急だったし、何か必要な物があるの? 」

 

 

駅を出て駅名を見た束が呟く、やはり分かるらしい

 

「まぁ、竹刀とか色々とね? 」

 

やはり竹刀とか手に馴染んだ自分用の方が良い、道着も防具も そうだ

 

 

ニッコニコしている束に答え歩き出す

 

目的地、束の生家であり今はオレの父親が神主をしている篠ノ之神社へ

 

そういえば、一夏も家を見に行くって学食で会った時に言っていたっけ

 

箒も一緒なら実家に顔だしてるかも知れない

 

とか考えていると、商店街に差し掛かり店の前で体操をしていた気さくな肉屋のオッさんが声をかけてくる

 

「お、命じゃねーか、最近見ないから心配したぞ? ん? まさか彼女か? 」

 

「全寮制の学校に入ったからっすよ、あと彼女じゃなくて・・・よく見て下さいよ、束です」

 

肉屋のオッさんに答えると、オッさんはマジマジと束を見る

 

対して束は普段はアレだが元々は人見知りをする為、オレの後ろに隠れる、うん 可愛い

 

 





お待たせしました


可愛い束さんは、好きですか?

私は好きです



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

篠ノ之神社

 

 

そんな束を見てオッさんは、思い出した様で

 

「あぁ、篠ノ之の束ちゃんか。いやぁ年だな」

 

はっはっは、と笑うオッさんに軽く返事をしてから商店街を進むと、あちらこちらから声を掛けられる

 

やっぱり後を継ぎたいって考えて手伝いをしてた結果だろう

 

まぁそんなこんな商店街を抜け少し歩くと目的地の実家である篠ノ之神社へ到着する

 

鳥居を見上げて

 

「・・・1ヶ月ぐらいしか離れてないけど、懐かしく感じる」

 

そう、IS学園に入学して まだ1ヶ月ぐらいしか経っていない、たった1ヶ月でこうなのだ、束や箒は更に思う所が有るかも知れない

 

「みーくん、行こう?」

 

束に手を引かれ鳥居を潜って境内に入る、連休とあって参拝客がチラホラ見えるが、いつもの事なので放置して本殿を迂回して居住区へ通じる門を通り中に入る

 

実は神社の裏側にも通路が有るが、商店街からは境内を通った方が近いので俺はあまり使っていなかったりする

 

そんな訳で玄関を開け適当に ただいま と言い中に入り廊下を進み剣道場へ入り、更衣室に入り自分のロッカーを開けて一式を出して更衣室から出る

 

そして丁寧に下に置き、正座して防具と竹刀をチェックする

 

「・・・よかった、カビてないし虫食いもない、ささくれもない」

 

「良かったね、みーくん」

 

オレの隣に並んで正座した束が笑み言う

 

「うん、さて後は道着とかか」

 

とりあえず竹刀袋と防具袋はロッカーに入ってたので、それを持って来て収納して、居間へ行く

 

「おかえりなさい命、あら? 束ちゃんも一緒なの? 」

 

「ただいま母さん、オレの道着って部屋に置きっぱなし? 」

 

「おばさん、ただいまー」

 

実は寝る前に母さんには連絡して有ったのでオレについては驚かなかったが束には驚いた様子だったが、オレの質問に頷いたのでオレは自室へ行き道着を3セットと手拭い数枚を適当なカバンに詰め込み居間に戻ると、母さんと束が談笑していた

 

実は2人は、かなり仲が良い

 

親子と言われても違和感が無いレベルで仲が良い

 

だから母さんは、束がオレの嫁にくる事を推奨しているところがある、息子からすると少し複雑な気持ちになるが、仲が悪いより良いか

 

「じゃぁ束、オレは荷物を宅配便に出してくるから。母さん、束の事よろしく」

 

防具袋と竹刀袋を背負い、カバンを手に持って2人に言い家を出る

 

 

正直、家に束を残して出掛けるのは少し不安だが仕方ない

 

母さんが束に変なことを吹き込まない様に祈るしかない、神様お願いしますマジで

 

神社の息子が神に祈るとか、シャレにもならない冗談だけど祈る他ない

 

そうだ、帰りに弾の顔を見てこよう

 

 






お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

五反田食堂

 

 

剣道の道具一式って奴は、ソコソコ重いのでさっさと運んで宅配便の受付を手早く済ませて弾の家である五反田食堂へ向かう

 

とはいえ、商店街から離れた場所にある訳ではないので直ぐに到着し中を覗くと、昼時に差し掛かっていたので既に客で賑わっていたので玄関の方へ回る事にした

 

 

「だーん、居るのは分かってるぞー。出てこーい」

 

インターフォンを押し言うと、直ぐに扉が開き

 

「おー、命か。なんだよ、来るなら連絡ぐらいしろよ。今一夏と その彼女も来てるぜ?」

 

「やっぱり一夏と箒、居んのか」

 

と身にもならない話をしつつ中に入れてもらい、弾の部屋へ行くと一夏と箒が格ゲーで対戦していた

 

一夏は普通に胡座でラフな体勢なのに対し箒は正座で物凄く姿勢が良い

 

「箒も連れて来てたんだな一夏、あとでウチにも来いよ。母さんが喜ぶ」

 

「ん? そうだな、そうするか箒」

 

「む、なぜ会話しながらコンボ出せるのだ お前は」

 

弾と共に適当に空いてるスペースに座り言うと、一夏は慣れているので普通に返してきて、箒はクレームを言う

 

 

箒が格ゲー・・・と言うか、ゲームしてる姿を見てを見るのは何か斬新だな、うん

 

「なんだよ、命は知ってんのか? 何か仲良さげだし」

 

対戦待ちの手持ち無沙汰の弾が俺を見て言う

 

「そりゃ俺は箒とイトコだしな、言ってなかったか?」

 

「その娘が一夏曰くファースト幼馴染って娘か、そういや言ってた気はする」

 

首を傾げて尋ねた俺の言葉に弾は納得した様子で言う

 

 

そうか、箒が自己紹介した所で箒が俺とイトコなのを説明してなかったら分からないのか

 

初対面で、私は命とイトコだ。なんて自己紹介はしないよな普通

 

「つか弾、俺は一夏と同じ学校で同じクラスなんだぞ?2人が付き合ってるの知らない訳が無いだろ」

 

まぁ俺が焚きつけて箒に発破かけたんだけどね、うん

 

 

「そういやラインに、そんな事書いてたな。忘れてたわ」

 

と弾は頭をかきながら笑う

 

そんな弾に手招きし耳元で小声で

 

「この事、蘭は知ってんのか?」

 

俺が尋ねると弾は小さく首を横に振る

 

「鈴はショックでバーサーカーみたいになってたぞ? お前、お兄ちゃんだろ? 頑張れよ?」

 

「マジかよ、勘弁してくれ・・・」

 

俺の言葉に弾は肩をガックシ落とし軽く頭を抱える

 

うん、弾は悪くないんだ、弾は

 

一夏が、お人好しのイケメンなのが悪いんだ

 

一体何人が一夏に惚れているやら、計り知れないし過激派がいたら面倒な事態になりかねない、が 俺のあずかり知らぬ事だから見なかった事にしよう

 

 

まずは、間違いなく目の前で起こる悲劇を治める事を考えよう、弾がさすがに可哀想だからな

 

 





お待たさました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修羅場

 

 

出来るだけ弾、蘭共にダメージが少なくなる方法を考えていると部屋の扉がバンと音と共に開き、ラフな格好の蘭が蹴ったままの片足を上げた体勢で現れ

 

「お兄、お爺ちゃんが呼んでる」

 

と言いガッツリ目が合い、自分の兄以外に俺、一夏、箒がいる事に気付き素早く壁へ身を隠し顔だけ出して弾を睨む

 

「おい蘭、扉を壊したら怒られるの俺なんだぞ? あと睨むな、俺は悪くない」

 

まぁ確かに、蘭の格好に関しては弾は悪くない。蘭が悪い訳でも無いが

 

「お兄、ちょっと・・・話が」

 

「あぁ、爺ちゃんが呼んでるんだっけ? 蘭、ちょっと待ってろよ。爺ちゃんに用件聞いてくるから」

 

と弾は立ち上がって蘭の頭をポンポンと撫でてから下へ降りて行く

 

そして、再び此方を向いて一夏と箒を凝視する

 

あーこりゃ完全に後手に回ったな

 

「あー・・・蘭、流石にラフ過ぎると思うから、着替えてきたらどうだ?弾も丁度良い時間で戻ってくると思うし」

 

「・・・そうですね、分かりました」

 

スゥーと消える様に自室へ戻っていく蘭を見つつ、次の手を考える

 

 

なんで俺は頼まれていない事で悩んでいるんだろう、疲れるわ

 

そんな感じで頭を悩ませていると弾が戻ってきて

 

「爺ちゃんが飯食ってけだってよ、全員集合」

 

部屋の前に立って弾が言う

 

慣れているので一夏と俺は立ち上がるが、箒は遠慮気味に俺達を見る

 

 

「篠ノ之さん、ウチの爺ちゃんは頑固だから遠慮したって食わせるまで離さないと思うから遠慮しなくていいぜ?」

 

「そうだぞ箒、それに厳さんのメシは美味い」

 

弾の言葉に便乗して俺が言うとシブシブ箒は立ち上がり一夏と共に下へ降りて行く

 

「・・・お兄、ちょっとこっち」

 

先程よりマシな部屋着に着替えた蘭が自室の扉を開けて、此方を睨みながら弾を呼ぶ

 

「なんだよ、一夏の事か? 」

 

弾は覚悟を決めた様子で蘭に近付き尋ねる

 

「・・・あの人、誰?」

 

蘭は頷き弾へ尋ねる、うん俺ってば空気

 

「篠ノ之 箒さん、一夏の幼馴染で命のイトコ、だ」

 

弾は答えるが、勇気が足りないのか一夏の彼女と言い出せない様で俺に助けを求める目を向けて来たので、一度深呼吸して

 

 

「・・・蘭、よく聞いてくれ、一夏に彼女が出来た。相手は箒だ」

 

意を決して真っ直ぐ蘭を見て告げると、見るからに動揺して口をパクパクさせる

 

「ショックだと思う、お前と同じ表情をした奴をつい最近見たから分かる、キツイ言い方かも知れないが、これが現実だ」

 

許せ弾、俺にはこれ以上のやり方なんて思いつかなかった

 

と、弾に心の中で謝罪していると、蘭は「そう、ですか」と呟いて部屋の扉を閉めてしまった

 

 

 

 





お待たせしました


蘭と弾にとって、修羅場


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修羅場?

 

蘭が自室に籠城してしまったので、今は そっとしておく事にして下へ降りると厳さんの声が聞こえる

 

相変わらず如何にも頑固親父な良い声してる、と思いつつ店側に出て

 

 

「厳さん、お邪魔してます」

 

「おう、久しぶりだな命。一夏に先越されたな」

 

そう言い厳さんはガハハと笑う、蘭の失恋についてはノータッチの様なので、合わせる事にしよう

 

と心に決めた瞬間

 

「・・・して命、そろそろ告白への答えは出たのか?」

 

行儀良く野菜炒め定食を食べていた箒が睨むような鋭い目付きで俺を見て尋ねてくる

 

「おま、箒・・・なぜ、このタイミングで・・・」

 

厳さんは、コイツも隅におけねーな みたいな表情をして、弾は この裏切り者みたいな表情をしている

 

「タイミングも何も、いずれ聞こうと考えていた事だ。お前は人の事ばかり世話して自分を疎かにしているではないか」

 

なんとも真っ当な理由な気がする、束って箒を猫可愛がりするから箒の態度は素っ気ないんだけど箒は箒で束の事を案じている様だ

 

「そうだぞ命、束さん待たせ過ぎじゃないか?」

 

「一夏、お前もか・・・」

 

とうとう一夏までも味方ではなくなり弾の視線が背中に突き刺さるのを感じて、どうするか考えいると

 

「命、お前、裏切り者かー」

 

「うるせー、俺だって色々あんだよ」

 

色々と限界を迎えた弾が掴みかかってきたので軽く応戦していると、店の入り口が開く

 

弾は摑みかかるのをやめ

 

「すみません、今準備中なんですよ」

 

と、入ってきた人物に言う、やっぱ慣れてるな弾 とか感心しつつ入って来た人物を見てタイミングが良過ぎる気がしてならない

 

「え、あの・・・」

 

はい、人見知り発動してる可愛い、こうして見ると やっぱりギリ中学生ぐらいにしか見えないな と考えつつ人見知り発動して可愛い生き物になった束に

 

「なんで此処に?」

 

「帰りが遅いから、迎えに」

 

俺の質問に にぱー と笑み束は答える

 

「なんだ命の知り合いか、ん〜顔立ちが似てるけど篠ノ之さんの妹?」

 

「姉だ」

 

とりあえず束の頭を撫でつつ2人のやり取りを見ていると、弾は予想外の答えに え? みたいな表情をする

 

まぁ弾、気持ちは分かる

 

「あー・・・弾、コイツは束 ちょっと人見知りをする質でな、許してやってくれ」

 

「お、おう分かった・・・ってお前が告白を保留してる娘って その娘かよ! こんな美少女からの告白を保留にするとか お前は何様だ!」

 

と弾は理不尽にキレて再び掴みかかってきた

 

「うるせー、俺だって色々考えるんだよ! 」

 

再び応戦して弾を抑える、伊達に実家で剣術習ってないので力負けはしない、まぁ身長は弾に負けてるけど

 





お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修羅場??

 

そんな感じで弾と争っていると

 

「うるせぇぞ!」

 

厳さんの厳つい声と同時に中華で使う鉄製のオタマ?が飛んで来て弾に直撃する

 

うわっスゲー痛い奴だ

 

「ほれ、弾メシだぞ。3人分あるから、その嬢ちゃんにも出してやれ」

 

「わ、分かったぜ爺ちゃん」

 

ヨロヨロと立ち上がり返事をする弾を横目に

 

「ならば、姉さんは此処に座ればいい」

 

「ありがとう箒ちゃん」

 

箒は自分の隣を指定し束を呼び、束はお礼を言って座る

 

「束さん、どうぞ。爺ちゃん自慢の業火野菜炒めっす」

 

「厳さんの野菜炒めは絶品なんだ、俺が保証する」

 

束は、小さく ありがとう と言い手を合わせて一口食べ目を輝かせる

 

 

うん、気に入って貰えて良かった

 

と思いつつ俺と弾はカウンターに座りキチンと手を合わせてから食べる

 

背後では行儀よく箒と束が食事を進めている、割と自由奔放な束は意外と食事のマナーに厳しい

 

2人の父であり、俺の伯父である篠ノ之 柳韻は厳格な人なので自ずと身についた、といえる

 

伯父さん、無口で表情筋がニート気味だけど家族想いの優しい不器用な人なんだよな

 

そんなこんなで食べ終え食後のお茶を飲んでいると

 

 

「命、いい加減ハッキリしたらどうだ?」

 

ギロッと俺を睨む様に見て箒は言い、一夏は箒に同調して頷いて、弾は血涙を流しそうな程の気迫で俺をガン見し、束はwktkして期待に満ちた目で俺を見てくる

 

「・・・ごめん束、まだ答えが出てないんだ。もう少し待ってくれない?」

 

「ん〜いいよ? まだまだ約束の期日まで有るしね? 」

 

束は そう言い優しい笑みを浮かべる、対して一夏、箒、弾はマジかお前といった表情で俺を見てきて

 

「悩んでるなら本気って事だろ、命 言わなくてもいいと思うが、本気で悩んで、悩んで結果を出せ。悩むだけの価値があるだろうよ」

 

と仕込みをしていた厳さんが言う

 

「ありがとうございます厳さん、束もありがとう」

 

「構わねーよ、恋の悩みは若者の特権だからな」

 

「ううん、気にしないで?私は待ってるから」

 

2人に俺を言うと、2人共笑って そう言う

 

そして一夏、箒、弾を見て

 

「・・・なぁ、一夏? 家はもう見てきたのか?」

 

「おう、換気して軽く掃除して来たけど?」

 

俺の質問に首を傾げて一夏は答える

 

「この後の予定は?」

 

「特には、人が多くなる前に学園に戻るつもりだったけど」

 

と一夏は答えたので

 

「・・・悪い、1時間ぐらい束も連れて散歩してきてくれるか?弾に相談が」

 

と言うと束と箒は何かを察した表情になり、弾は少し嫌そうな表情を、一夏はよく分かってない表情をする

 

「いっ君、私も箒ちゃんも久しぶりに戻ってきたから、この街も色々と変わったよね? この付近を案内してよ」

 

にぱーと笑み束は一夏に言い

 

「それは良い考えだ、頼めるか?一夏」

 

箒も束に同調して一夏に言う

 

 

この姉妹、察し良すぎるのでは?

 

 





お待たせしました


そろそろ決着をつけようかな?とw


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

五反田相談室

 

 

察しが良すぎる篠ノ之姉妹に一夏は連れて行かれ俺と弾は弾の部屋に行き向き合って座る

 

「・・・なぁ命、俺は彼女いた事ないんだが? 」

 

「知ってるが、一夏じゃ役に立たないし箒は束の有利になる様な事しか言わないだろうし、お前以外に居ないんだ」

 

なんとも嫌そうな表情で言う弾に、相談相手に選んだ理由を言うと

 

「あ〜しゃーねーな、今回だけだかんな? 絶対ほかに適任者がいると思うんだけどな」

 

弾は自分の頭をガシガシかいてから真面目な表情になり言う

 

「すまん、で相談内容は・・・」

 

「束さんのことだろ? あんな美少女に告白されてなんで保留にしたんだ? 」

 

弾は正に相談しようとしていた内容を口にし、保留したのが不思議な様で首を傾げている

 

やはり弾も勘違いしている様子なので

 

「順番に説明するか・・・えーっと、まず束と俺はイトコ 次に束はIS学園で整備科の教員をしているんだ。確か今年24・・・いや25か千冬さんと同じ歳で親友なんだよ」

 

俺の説明に え? という表情をし

 

「嘘だろ? どう見たって未成年っつか中学生ぐらいにしか見えなかったぞ? 」

 

と混乱した様子で言ってくる

 

「嘘偽りなく事実だ、こんな時に嘘をつくほど腐ってない。曲がりなりにも神社の息子だしな。本題の部分になるんだが、イトコだけあって束との距離感が大分近くてさ、俺が抱いている感情が家族愛なのか恋愛なのかが分かんなくて」

 

「なるほどな・・・あ〜」

 

弾は頷き携帯を操作し始め

 

「・・・これっぽいな、えーっと・・・恋愛感情と友情を見極める方法・・・命、今から質問するから自分なりに考えくれ」

 

「分かった」

 

携帯を見ながら弾は見つけた情報を口にする

 

「まず相手といる時、どんな気持ちになる?」

 

「どんな気持ち、か」

 

弾の質問に目を閉じて集中し考える

 

普段は年齢不相応な無邪気な笑顔を見せるが、授業や ふとした瞬間に見せる年齢相応の表情を見るとドキッとする

 

授業中や学園では見せないが元来の人見知りをしているのを見ると可愛いと感じ守りたいと思う

 

「次、連絡が取れなかったら どう思う?」

 

弾はタイミングを見て次の質問を告げる

 

連絡が取れなかったら、それは心配になる当たり前だ

 

束は強い、千冬さんと同等に強い

 

でも束は人間だ、怪我をすれば血を流す。流し過ぎれば死ぬ

 

風邪だってひくし、無理をすれば倒れる

 

だから連絡が取れなくなれば心配する、当たり前だ

 

「最後に・・・束さんが誰か別の男、そうだな一夏を除外した男と楽しそうに話していたら、どう感じる?」

 

「は?そんなの・・・」

 

弾は最後の質問を、ややうんざりした様な表情で言い、それに対し俺は どうも感じない と答えようとして自分自身に違和感を感じる

 

どうも感じない と口にしようとする度に胸に突き刺さる様な痛みを感じ、質問の光景を思い浮かべると胸がムカムカとして何かイラっとする

 

「はぁ、それが答えだ命。お前が何考えたか知らねーけど表情見れば何となく予想出来る、お前 束さんと居る男にイラついたろ? それが嫉妬って奴だ」

 

と弾は面倒くさそうに言い携帯を充電機に刺す

 

「・・・そうか、これはそうなんだな」

 

弾の言葉に心の中の何かがストンと落ちてカッチリハマり頭の中がスッキリする

 

「ありがとう弾、このお礼はいつか精神的に」

 

「おー、末永く爆発しやがれ」

 

俺がお礼を言うと、弾はニッと笑い俺を指差す

 

言葉はアレだが、祝ってくれるらしい

 

 

気持ちの整理は出来た、束を大分待たせてしまったが もう迷わないし逃げない

 

思いに、想いに答え、応える

 

 

きっとそれが束への誠意だろうから

 

 





お待たせしました


隣の部屋で妹が失恋して泣いてるのに自分の部屋で親友の恋愛相談を受ける弾の精神疲労、やばいw



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

想いの果て

 

 

弾への相談が済んて程なくして束達は戻ってきて五反田家を後にし、実家へと移動した

 

母さんは一夏と箒の来訪に喜び、張り切って夕飯を製作し父さんも交えて宴会状態になり、外泊届を出していない一夏と箒は門限もあるため、夕飯を食べて少ししてIS学園へ戻ると言うので俺と束は鳥居まで2人と一緒に歩き

 

「あ、箒、今日 防具一式IS学園に送ったから届いたら俺も剣道再開するつもりだ、試合しよう」

 

「・・・それは楽しみだ」

 

俺の言葉に剣士として反応し微笑み言う

 

それから軽く言葉を交わし、2人はIS学園へ戻ってゆく鳥居には俺と束だけになった

 

「・・・束、話があるんだ」

 

「なにかな?」

 

三日月が浮かぶ夜空を見上げながら束に言うと、束も月を見上げ答える

 

「漸く、自分の気持ちを理解したんだ。束、俺は束が好きだ・・・待たせてごめん」

 

三日月から束へ目を移すと、束はニコリと笑みを浮かべ俺を見ていて

 

 

「うぅん、待った甲斐があったよ。私も みーくん が大好き、もう離さないから覚悟しておいてね?」

 

と、束は見た目不相応な大人な笑みを浮かべ言う

 

「そう、だな。覚悟しておくよ束」

 

きっと束は有言実行するだろう、それを悪くないと思っている自分がいる

 

これが惚れた弱味というか、惚れさせられた弱味というヤツなんだろう

 

「・・・差し当たっての目標は、IS学園を無事に卒業する事・・・かな?」

 

よく分からんファイって奴が宣戦布告してきた件もあるし、必要最低限の自衛は出来る様にならないといけない、欲を言えば束を守れる男にならねば

 

とはいえ束は見た目によらず喧嘩も強い、千冬さんとタメを張れるぐらいだからな

 

「みーくん なら卒業出来るよ、なかなかに君は優秀だからね」

 

俺の言葉に束はサムズアップしてドヤ顔で言う

 

「いやぁ〜束と比べたら月とスッポン程の差があるから何か複雑な気持ちになるんだけど?」

 

と肩をすくめて言うと

 

「あはは、なにそれ」

 

と束は笑う、うん やっぱり可愛い

 

 

束に優秀と言われたし、期待を裏切らない様に努力しないとな、具体的には明後日から

 

明日は元々の予定通り、束へのお礼を兼ねて遠出するつもりだ

 

「初夏とは言え、夜風は浴びすぎると身体に悪いから、そろそろ戻ろう」

 

「うん」

 

俺の言葉に束は頷き、踵を返して歩みだす

 

IS学園を卒業した時、許されるなら元々の目標へ向けて大学へ進学しよう

 

そして、束と この篠ノ之神社を継ぎたい、そう神様に祈る

 

 

自宅に戻り両親と雑談をしていたら束が速攻で俺と交際を始めた事を暴露し、俺は散々両親にいじられたのは言うまでもない

 

 

 






お待たせしました


シャルロット&ラウラの出番は、もう少し先になります

もう暫くお待ち下さい



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

朝の

 

 

箒と束の父親であり兄の柳韻より砕けた性格をした俺の父親 柳司に散々いじられ、両親共に諸手を挙げて束との交際を喜んでくれた

 

まぁ母さんは兎も角、父さんは何か言うかと思ったが杞憂だった様だ

 

 

そんな訳で俺は自室、束は元々有る自分の部屋で寝る事にして布団に入った訳だが、違和感を感じ目を開けると束が俺の左腕を枕にして寝ていた、時計を見れば丑三つ時を指していて左腕の感覚が無い事に気づく

 

どうやら長時間左腕は枕にされていた様だ

 

左腕を動かして束を起こすのも忍びないので左腕は諦める事にし、再び目を閉じる

 

束が添い寝だけで夜這いを仕掛けて貞操を奪いに来なかっただけ成長したって事だろう、多分

 

いや、待てよ?5年前の事件は 既成事実を作って逃がさない為の行動だったのかも知れない

 

それなら添い寝の理由も説明がつく、よし そうゆう事にしとこう

 

そんな余計な事を考えている内に再び俺は眠りに落ちた

 

二度寝をしてから数時間が経った頃、予めセットしていた目覚まし時計が鳴り響き目を覚まし右手を伸ばし目覚ましのアラームを止め、左腕を見ると束の枕にされたままで束は見た目相応で年齢不相応な寝顔をしていた

 

「・・・何気に束の寝顔を見るのは初めてかも知れない」

 

そう思い返せばIS学園に入ってからは部屋は別々で俺より早く起き、俺より遅く寝ていた

 

それより前、俺達が小さかった頃に束は既に昼寝など必要では無い年齢だった訳だし、俺達が物心付いた頃なんて束は中学生ぐらいだったし

 

というか、コイツいつ寝てんだ?って感じだったしな

 

束の天使の様な寝顔を堪能していると、二度寝防止の目覚まし時計のアラームが鳴り始め、それを止める

 

少し惜しいが束を起こす事にして一旦目覚まし時計に向けていた目線を束に向けると、ガッツリ目が開いていて目が合う

 

「お、おはよう束」

 

「うん、おはよう みーくん」

 

俺の挨拶に対して挨拶を返してくるが、束は俺をガン見して動くそぶりがない

 

まるで何かを待っている様に、動かない

 

「ほら、束・・・起きたなら準備しないと、電車が混み出す」

 

「ぶー、みーくん は分かってないなぁ。もう」

 

俺の言葉に束は文句を言い俺の頬に両手を添えて顔を近づけて来て俺の唇を奪っていく

 

突然の事に固まっていると束が

 

「せっかく交際を始めた訳だし、私はずっと待ってたから これぐらいは許されるよね?」

 

と言い、見た目不相応な大人な笑みを浮かべる

 

神様、改めて束を幸せにする事を誓います、マジで

 

「・・・多分、な」

 

あと束に言わせて欲しい事がある、俺は彼女いない歴=年齢だったんだ。束が望む事が分かる訳ないじゃないか

 

あの事件は未遂だったから俺はDTなんです、はい

 

さて家を出るまでに左腕が復活する事を信じよう

 

 





お待たせしました


おかしい、朝の話を少し書いて出掛けてる筈が、まだ布団の上にいるw




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

遠出

 

 

 

 

あれから暫くして左腕の感覚は戻ったが痺れた時の独特の痛みは耐え難かった

 

そんなこんなで準備して束と共に実家を後にして駅へ向かう、早めの時間とあって予想通り人は少なく電車に乗る事ができ、目的地へ電車は順調に走り何事もなく目的地へとたどり着いた

 

約1時間の道のりを経て、大型ショッピングモール レゾナンスへやってきた、ここなら束へのお礼を遂行可能だ

 

ちなみに資金の心配は皆無だ、俺と一夏はISへの搭乗データ提供の見返りとして決して安く無い額を貰っている、ついでに言えば俺達はIS学園に学費を払ってない、なんか学費無料なんだってよ

 

そんな訳で束や千冬さんには負けるが、それなりの資金があるので此処は束にプレゼントの1つでも贈る事にしよう

 

「初めて来たけど、デッケーな」

 

「そうだね〜」

 

俺の腕を取り腕を組んでいる束がレゾナンスを見上げ俺に同調する

 

家を出てから、ずっとだけど束は暑くないのだろうか?

 

まぁ束がいいならいい

 

「よし、行くか」

 

「うん」

 

レゾナンスの中へ入り急ぐ訳でも無いのでゆっくりと束に合わせて歩く

 

途中、アクセサリーショップを見つけたので中に入り適当に眺める

 

 

ファッションリング、ネックレス、ペンダント、ヘアピンなど、様々な物が売っていて値段もピンキリで学生向けも有れば大人向けのもある様だ

 

暫く眺めていると束が指輪のコーナーで動かなくなったので、いずれはと考えていた事なので腹を決め

 

「・・・束、好きなデザインを選んでいいよ。元々は束にお礼を兼ねてた訳だし、指輪ぐらいなら大丈夫だから」

 

と俺が言うと束の表情が、見るからに嬉しそうな表情になり真剣に選び始める、うん可愛い

 

少しすると束が指を指して

 

「みーくん、これがいい。これなら みーくん とペアで着けても目立たないから」

 

にぱー と笑み言う、あれおかしいな目の前に天使がいる

 

「束が、そう望むなら問題ない」

 

と何とか意識を保ちいい店員を呼んで話をする

 

どうやらショーケースに入っているのは見本らしく完成まで1〜2週間ほど掛かると言われたので、さっさと必要な書類を記入して全額支払い、郵送して貰う手筈にした

 

アクセサリーショップを後にしニッコニコした束に癒されつつ歩いていたが、人で混み合い始めたので少し早めの昼食を食べようと思い立ち

 

「束、少し早いけど昼を食べないか?」

 

「そうだね、待ち時間が長くなるとデートの時間が減っちゃうもんね」

 

束は笑み了承する

 

とりあえず携帯を開き、オススメを検索しながら束って好き嫌いあったかな? とか考える

 

 





お待たせしました



バトルとかより、可愛い束さんをいっぱい書きたい

多分、書けない(白目)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

美少女は狙われる

 

 

そんなこんなでオススメ数が多くレビューの内容も信用出来そうなバイキングを見つけ束と共に向かう

 

「束、少し待ちが有る様だけどいいか?」

 

店に辿り着くと順番待ちが何組かいる様で椅子に何人かが座っていたので尋ねると

 

「そんなに待たなそうだから構わないよ」

 

ニコっと笑み束が答えたので順番待ちの用紙?に名前を書き込み、束と並んでベンチに座り

 

「昼食べた後は、どうする? 」

 

 

目の前にレゾナンスのパンフレットが有ったので取って開いて束に尋ねる

 

「そうだなぁ・・・ん〜」

 

俺の質問に束は腕組みして考え始めたのでパンフレットを眺めていると尿意をもようしたので

 

「束、少しトイレ行ってくる」

 

「うん、わかった。気をつけて」

 

束にパンフレットを渡してベンチから立ち上がりトイレへ向かいつつ考える

 

束は美少女だ、いや実年齢は成人してるから少女じゃないけど、見た目は美少女だ。だからナンパされたり誘拐されないか心配だ

 

それに束は元来人見知りする質だからナンパなんてされたら固まって何も出来ないかも知れないし、キャパ超えたら実力行使に訴えてしまう可能も有る

 

さっさと用を足してキチンと手を洗ってから束の元へ戻ると中学〜高校生ぐらいの男2人が束をナンパしていた

 

いや、親切心の可能性も否定は出来ないかも知れないが、明らかに髪を染めていてガッツリ ピアスが空いてるのが見えるから疑いたくもなる

 

とりあえず深呼吸して集中し気配と足音を消して歩み寄ると、やはり束をナンパしていたので、気配を消すのを止めて

 

「お待たせ束、この2人は知り合い? 」

 

2人の脇を通り束の頭を撫でながら束に尋ねると首を横に振る

 

 

「悪いけど、アンタ等を知らんらしいから、さっさと去ってくれるか? 」

 

と2人を見て言うと見るからにイラついた表情になり

 

「あぁ? なんだテメェ、部外者は黙ってろや」

 

「テメェこそ痛い目に合う前に消えな」

 

なんとも見た目通りと言うか、なんと言うか・・・テンプレな回答をしてくれる

 

正直、一夏関連で荒事は慣れているし、篠ノ之一族は戦闘民族の子孫らしいから、それなりに喧嘩は強いので この2人組に負ける事は無いと思うが、流石に場所が場所なので暴れるのは気が引ける

 

しかし早めに片付けないと束が2人組を亡き者にしてしまう可能性もある

 

「部外者じゃないから、そもそも束は俺のツレだしな? それとも・・・アンタ等が痛い目にあってみるか? 」

 

2人組に殺気を叩きつけ威圧し言うと片割れは顔を青くする、どうやら野生の本能が強い様だ

 

 

とりあえず脅したし、これで引かなかったら拘束して警備員に突き出してやろう

 

 





お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

美少女は狙われた




束さん視点


 

 

 

 

私が9つも歳下の彼に恋をし想いを募らせ続けてこれまで生きて念願の交際に至った

 

これでも科学者の端くれなので神様をあてにはしていなかったが、今は神様に感謝しかしていない

 

そんな念願成就した翌朝の事、みーくん と電車に乗って片道1時間ほど掛けてレゾナンスへやってきた

 

家から ずっと彼の腕を取って腕組んで歩いているが みーくんは嫌な表情をしないので、大丈夫の様で頬が緩んでしまう

 

私は今、幸せを噛み締めている

 

彼の言葉は相槌を打ちながらレゾナンスの中を見ながら進む、みーくん は私が人見知りをする質なので人混みが得意では無い事を知っているから比較的人が少ない時間帯を選んでくれたし、出来るだけ人が少ない道を選び平均よりかなり小さい私に合わせてゆっくり歩いてくれる

 

 

普段は少し口が悪くて無愛想な雰囲気の彼だが、根は優しいお人好しなのだ、そんな彼が私は愛おしく大好きだ

 

さて彼は知らないのかも知れないけど、私の人見知りは五年前に比べてマシになっている。そうじゃなかったら教師なんて出来ていないし?

 

初対面で急に来られると戸惑うが、少しは喋れる様になったが、彼に甘えられるなら暫くは黙っておこう

 

 

様々な お店を見ながら進むとアクセサリーショップを見つけ中へ入ると、色とりどりのアクセサリーな並んでいて見ていて飽きない

 

みーくん と店内を物色していると指輪のコーナーに差し掛かり思わず足を止めて見入ってしまう

 

私は比較的 こう言う装飾品に興味が無い、でも指輪は別

 

彼とお揃いの指輪をする事で私は彼のモノだと分かりやすい示す物になる

 

彼は私の意思をくんでくれた様でペアリングを即決で購入し必要書類をササっと書く

 

それが嬉しくて私の頬は緩みっぱなしだ

 

アクセサリーショップを出て みーくんの提案で昼食を取ることにし、彼が携帯で調べた お店へ行く事になった

 

エレベーターで下階へ行き降りて少し歩いた場所にバイキングのお店があり、少し待ち時間がある様だったが彼となら苦では無いので待つ事にし、みーくん は待ちの紙を記入してベンチに座り次の行く先を相談する為にレゾナンスのパンフレットを広げた所で彼は用を足しに行く

 

トイレは直ぐそこだし、此処は人も多くないから彼が帰ってくるまで何も起こらないと思っていたら、如何にもな餓鬼2人にナンパされた

 

 

私の幸せな時間を害する奴等をどうしてくれようか考えて無言を貫いていると、まぁよく喋る 呆れてしまうほど よく喋る

 

みーくん や ちーちゃんが嫌がるし止められているから控えているけど、目の前の餓鬼2人ぐらいなら証拠も残さず消すのは容易い、やってしまおうかと思った瞬間、みーくん が戻ってきて私に知り合いか? と質問してきたので首を横に降る

 

私を庇う様に前に立ち、餓鬼2人へ立ち向かう彼の背中は頼もしく五年前の小さかった背中が こんなにも大きくなったのかと、思う

 

私は彼に守らなければならない程 弱く無い、でも彼に守られるのは嬉しい

 

私は碌な人間では無い、人として大切な物の多くが欠けていると思っている

 

だから、最愛の人(みこと)無二の親友(ちふゆ)が居なければ私はマトモな職につけていなかっただろう

 

それこそ世界の敵、ファントムタスクとか言う奴等の仲間だったかも知れない

 

 

私が私でいられるのは彼のおかげ

 

だから私は己の全てを使い彼を愛そうと思う

 

 

 

 






お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

試合

 

 

結局ナンパ2人組を ちょっと教育してやり警備員に突き出し束とバイキングと、その後の買い物などを楽しみ名残惜しかったが時間が時間になった為、実家へ帰る事になった

 

そんなこんなで数日が経ち、俺はIS学園へ戻って来ている

 

連休は まだ残っているが、箒との約束もあるし、何より束をIS学園に置いて実家にいる訳にも行かなかったからだ

 

 

自室でしっかりと胴衣を着て、一式担いで草履を履き剣道場へ向かう

 

 

道中、クラスメイトや同級生、先輩とすれ違ったり喋り掛けられたりして軽く雑談をして剣道場へ辿り着き、中へ入る

 

中には箒を始めとした剣道部員が居て素振りをしたり試合をしていたり、上級生が下級生に指導をしていたり、雑談していたりしていたが、ほぼ全員が俺へ目を向けてきた

 

「失礼します」

 

部員に一礼した後、神棚へも一礼し

 

「箒、約束の試合をしよう」

 

「・・・待っていたぞ命」

 

ヤル気充分の箒が言い、箒は部長らしき人の所へ行き話を始める

 

 

俺は その間に試合の準備を始める、まず竹刀袋から竹刀を取り出し鍔を付け軽く振る

 

次に防具を袋から取り出し綺麗に置く

 

正座をして神棚に一礼し竹刀を持って軽く素振りをして、具合を確かめ、柔軟や準備運動をして自分の中のスイッチを入れて行き身体も温める

 

「準備はいいか?」

 

「問題ない、始めよう」

 

防具をつけた箒に答え、ささっと俺も防具を付け箒と対峙する

 

互いに真っ直ぐ対峙し構えるが、俺と箒では違う構えになっている

 

「やはり、お前は それか」

 

「悪いな、俺は コレしかやって来てないんだ」

 

一刀で正眼の構えの箒に対して俺は正二刀の構え、右手の大刀を上段に、左手の小刀を正眼に構えている

 

そう、俺は二刀流で箒と相対している

 

互いに間合いを図りながら出方を伺いつつ俺は攻め方を考える

 

箒は冷静に状況を見極めるタイプだ、後の先を得意としていて現に全国大会で優勝する実力を有している

 

 

対して俺は二刀流故に公式の学生の大会には出場出来ていないが、一般参加の試合には出場した経験がありベスト8ぐらいになれる程度の実力だ

 

まぁただでさえ二刀流は扱いが難しいが、久しぶりの箒との試合、楽しまなければ損だ

 

そんな訳で俺は攻めに転じ、兎に角矢継ぎ早に箒へ打ち込む

 

いわゆる、防御を軽視し攻撃を重視しているわけだ

 

10分ほど切り結び、綺麗にカウンターを喰らい負けてしまった。やはり全国大会優勝は伊達じゃない

 

防具を外し

 

「まだ届かなかったか、行けると思ったんだけどな」

 

「私とて鍛錬を欠かしていないからな、やすやすと負けられない」

 

箒はそう言いドヤ顔をする

 

次は勝てる様に鍛錬を再開しよう

 

 





お待たしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

何故、お前が?

 

箒と試合をした後、二刀流は珍しいので部長を始めとした何人かに試合をお願いされたので試合をして、部長に後日剣道部に入部する事を伝えて、防具置き場を確保して神棚と部員達に一礼してから剣道場を後にする

 

羽黒で空を飛ぶのも好きだが、地に足を付けて剣道で汗をかくのも悪くないな とか考えながら寮へと歩む

 

にしても部長も強かったな、箒とは違うタイプで なかなか打ち込ませてくれなかったし、楽しかった

 

そんな訳で帰路もクラスメイトや同級生、先輩とすれ違ったり軽く雑談をしつつ寮へと帰って来て扉を開くと、リビングの灯りがついていて疑問に思う

 

時刻は16:30を回ったぐらい、今朝は普通に仕事だと束は出勤していったから、いつもなら17:30頃まで帰って来ないから この時間帯はリビングの灯りは付いていない筈で、部屋を出る時に戸締りとかキチンと確認したから消し忘れも無い、筈

 

まぁ考えても仕方ないのでリビングの扉を開くと、僅かにアルコールの匂いと空腹に突き刺さる凄く良い匂いを感じる

 

目の前にはラフな格好で缶ビール片手に束と話している千冬さん、キッチンには持参のエプロンをして何か作っている一夏、うん織斑姉弟がいる、何故だ?

 

いや、別に居るのは構わなが、なんで酒盛りしてんの?

 

そんな若干戸惑っている俺に気付いた千冬さんが

 

「お帰り命、邪魔してるぞ? 」

 

「あ、はい」

 

俺の曖昧な返事を聞き千冬さんは軽く笑い

 

「剣道してきた様だな、今 一夏に色々作らせてる。今の内に汗を流してくるといい、主役が揃わんと話にならんからな」

 

千冬さんはキリッとした表情で言う、正直なんのこっちゃと思っているが、汗臭いままでは失礼だろうと考え 分かりました とだけ返事をして、さっさと汗を流した後 適当なラフな装いを選ぶ

 

ラフな理由は、千冬さんが酒を呑んでいて俺を命と呼んだからプライベートタイムなんだろう、と判断したからだ。何気に織斑姉弟とは付き合い長いしな、完全に身内だ

 

そんな訳でリビングに戻ると、先程とは違う銘柄の缶ビールを呑んでいる千冬さん と オレンジジュースを飲んでいる束、違う料理を作り始めている一夏がいた

 

「ん、来たか。よし束の隣に座れ命、ようやく主役が揃ったな。あぁ後で箒も来るからな?」

 

「は、はぁ」

 

なんかいつになく機嫌が良いな千冬さん、いつもは表情なんて殆ど変わらないのに、今は見て直ぐに上機嫌なのが分かる

 

ここまで機嫌が良い千冬さん見た事無いぞ?

 

なんか良い事でも有ったのか?

 

ん? さっき千冬さん、「ようやく主役が揃ったな」って言ってたよな? 揃ったって事は、複数人だ

 

つまり、そうゆうことか

 

そりゃ めでたい事なんだろうけど、千冬さん・・・喜び過ぎじゃないか?

 

我が身のことの様に喜んでくれるのは嬉しいけどさ?

 

 





お待たせしました


一回切ります、すみません


とりあえず予定では次は今回の続きを書いて、あと1つネタを入れてからシャルロット&ラウラの内容に入る予定です



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

誰だ、コイツに酒を呑ませたのは

 

とりあえず千冬さんの指示に逆らう必要もないので束の隣に座りローテーブルに乗っている飲み物の群れから適当にペットボトルのお茶を取り開けて飲みツマミのチーかまを齧っている千冬さんに目を向ける

 

 

「なんだ? 私が酒を呑む姿なんて今更珍しくもないだろ? 」

 

少なくとも缶ビール2本は開けている千冬さんから漂う酒気を感じつつ

 

「そうですけど、なんで此処で酒盛りしてるんです? 」

 

なんとなく察しはついているが、理由を明確にしておこうと思い尋ねる

 

「む? そんなの束と お前の婚約を祝う為に決まっているだろう? 」

 

おっとー? 交際じゃなく婚約になってるぞー? いや、実質婚約みたいなモノなんだろうけど

 

少し困惑する俺にを指差し

 

「いいか命、お前には期待しているんだ。束を幸せにしてやってくれ」

 

「言われずとも、そのつもりです・・・千冬さん、だいぶ酔ってるでしょう? 」

 

外見上では少し頬が赤くなってる程度だが、目が据わっているので そう判断して尋ねると

 

「まだまだ余裕だ、たかだか缶ビール2本とイモ焼酎を一升程度だからな」

 

「あはは、流石 ちーちゃんだね」

 

いや、明らかに飲み過ぎだと思うのだが、笑って許せる束は凄いと思う

 

まぁ千冬さんなら酩酊して変な事をしないから大丈夫だろう、多分

 

まだ言葉もしっかりしているし、泥酔しそうになったら一夏が止めるだろう

 

それから箒も合流し一夏手製の料理を食べながら雑談をしていると

 

「束が何度も言っているだろうが、此処は治外法権の地だ。両者の合意が有れば、この地限定で明日にでも結婚出来るぞ? どうだ? 」

 

「どうだ? じゃないですよ、少し飲み過ぎじゃないですか? 千冬さん」

 

千冬さんに言われずとも、いずれは結婚したいと俺は考えている、今の俺は定職についている訳では無い、バイトをしている感覚だ

 

そもそも学生な訳だが

 

「束を養えるぐらいの職についてからですよ、結婚は・・・それより千冬さんは相手を探したら どうですか? 」

 

お茶を飲み肩を竦めて言うと

 

「そうだな、目を離せない親友と世話のかかる弟が相手を見つけたしな・・・するか、見合い」

 

とシミジミしながら缶ビールを飲み千冬さんは呟く

 

「お見合いをするなら束さんに、お任せだよ! ちーちゃん の伴侶に相応しい人を見つけてみせるね! 」

 

箒と雑談していた束が急に立ち上がり、そう言う

 

おかしいな、束は酒が苦手でアルコールを飲んでいない筈なんだけど、酒気に当てられたかな?

 

まぁいいか、束がヤル気だし。祝ってもらったし、止める必要は無い

 

 

 

そう、友情って素晴らしいなぁ

 

 





お待たせしました


さて、千冬さんに相応しい人なんて見つかるんでしょうか?w



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

放課後同盟



セシリア視点



 

 

カーテンで締め切られ薄暗く円卓の置かれている、その円卓の1席に私は座っている

 

私以外にも円卓には人が座っていて、各々が真剣な表情をしている

 

さて、大型連休も終わり再び学業や仕事が再開し憂鬱になっている人は多いだろう、無論 私も その1人なので気持ちが良く分かる、そして彼女等もまた私と同じ心境だろう

 

全ての席が埋まって少し経った頃、この上座も下座もない円卓で いつも先陣を切る彼女が口をつぐんでいるので、私が口を開く

 

「・・・時間も有限ですし、今日は私から・・・で構いませんか? 」

 

いつもより険しい表情の彼女等に尋ねると静かに頷く

 

それを確認し、私は手元の携帯を操作して携帯内に保存されている画像をプロジェクターで空間投影し

 

「本日の集まりも大型連休を挟んだ関係で久しぶりになりましたね、ですが その分収穫もありました。それがこれです!」

 

そう言い彼女等の様子を見ると軽く騒めいていた

 

「この写真は、帰郷の翌日に彼女が参加したヴァイオリンの発表会の演奏後です。少し会わない間に身長も伸び、演奏も上達していました」

 

私は空間投影された写真を見上げながら説明をする

 

そこにはヴァイオリンを持った私と同じ金髪碧眼の美幼女と私、私達の両親が写っている

 

構図は左から父、リリウム(いもうと)、私、母と言う順番だ

 

原作には居なかった齢4歳の私の可愛い妹、リリウムは控え目に言って天使だと思う

 

私を慕ってくれ、シシー姉様と呼んでくれ いつも私を癒してくれる存在だ

 

妹最高!!

 

それから10分ほど連休中のリリウムとの思い出を語り、私の番を閉める

 

そして この同盟のルールで時計回りに話をする決まりなので私の左隣が口を開き、自身の弟妹の話をしてゆく

 

何人目かの話が終わった頃、今日 席に座る前から どんより とした雰囲気を纏っていた更識 楯無の番になり

 

「・・・なんの成果も得られなかった・・・むしろ悪化したわ」

 

いつもの猫のような掴み所の無い雰囲気は消え失せ、隙だらけの彼女が闇を纏っている様に見える

 

「ど、どうしたのですか? 何が起こったというのですか? 」

 

いつもなら自分以外が話をしている時は静かに聞いているのだが、あまりに目も当てられない程のオーラを纏っているので堪らず尋ねると

 

 

「・・・ちょっと、喧嘩しちゃったの。発端は専用機開発の遅延だったのだけど、手伝おうか? って尋ねたら怒らせちゃったみたいで そのまま簪ちゃんと喧嘩に・・・」

 

そう言い楯無は虚空を見上げ脱力して座る

 

やっぱりこの人は妹が絡むと途端にポンコツ化する、妹が大切過ぎて空回りして凹む、その繰り返しだ

 

姉妹仲は原作より悪くは無い筈だから、大丈夫だろう多分

 

それに頼れる盟友が2人も居る訳だし、教師としても人生の先輩としても姉の先輩としてアドバイスしてくれるだろう

 

1人は鉄面皮で不器用、1人は制御装置のネジが何本か飛んでいるけど

 

 

ちなみに開始前に空気が重かったのは、連休明けで参加者の殆どが弟妹に会えなくなったからだ

 

 

放課後に学園の一角に集まり弟妹の話をするだけの集まり、放課後弟妹同盟、我々は自身の弟妹を愛している、だから他の人にも弟妹の素晴らしさを広めよう

 

 

やはりリリウムが一番天使!

 





お待たせしました


セシリアの設定と、タグの回収をする為に、いつか書くつもりだったネタでしたw

まぁ最初はセシリアがリリウムの話をするだけのつもりでしたが、ISキャラって弟妹持ちが結構いるくね?って思ったので こうなりましたw



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

転入生

 

 

大型連休が終わって早1週間が経った今日この頃、日差しも強くなり始めている窓辺は暑さを感じる

 

まぁ夏服に衣替えしているし、IS学園は金を持ってる様で空調が適切な温度に保ってるから死ぬ程でもない

 

そんな訳で相変わらず睡魔と戦っていると始業の鐘が鳴り山田先生がニコニコして教室に入って来て、その後ろに2人見慣れない生徒がついて入ってくる

 

金髪の男子制服を着た生徒と銀髪の眼帯をした女子生徒だ

 

多分、金髪の方は男装だな、多分。趣味かトランスジェンダーとかだろう

 

銀髪の方は背が大分低い、多分 鈴より低い。その割にキリッとした表情をしているし人を寄せ付けない雰囲気を纏っている

 

 

そういえばセシリアが先週末尋ねて来て束に頼み事をしていたけど、これか? なんか転入生の事で気になる事がウンヌンカンヌン

 

そもそもなんで転入生の事を知ってたんだろう? セシリアは

 

そんな事を考えているとHRが始まり転入生が自己紹介をする様なので耳を傾ける

 

「はじめまして、フランスから来ました、ボクはシャルル・デュノアと言います。本国での用事が押してしまって入学が遅くなってしまいましたが、よろしくお願いします」

 

デュノアは そう言い微笑みお辞儀をする、顔が中性的だからなかなか様になっている

 

「・・・ラウラ・ボーデヴィッヒだ、専用機の調整が遅れてしまった為、入学が遅れてしまったが よろしく頼む」

 

そう言いボーデヴィッヒは、お辞儀をして真正面に一夏がいる事に気付き、少し驚いた表情をして すぐにキリッとした表情に戻り

 

「お前が織斑一夏か、すまないが 放課後 少し時間を貰えないか?」

 

と一夏へ言うと、一夏は戸惑いながら頷く

 

それからHRは順調に進み千冬さんが次の授業の話をして閉め

 

「篠ノ之、織斑の2人はデュノアの世話をしてやれ。では授業に遅れるないように」

 

と俺達に指示を出して教室を出て行く

 

「それじゃ行くか」

 

山田先生と千冬さんを見送った後、一夏と合流し

 

「えーっと、じゃぁデュノア。俺達について来てくれ、急がないと遅刻だ」

 

3人で教室を出て更衣室へ早歩きで移動を開始する

 

「とりあえず歩きながらになるけど自己紹介を、俺は篠ノ之 命だ」

 

「俺が織斑 一夏、よろしくな」

 

俺が自己紹介をすると、一夏もすかさずに自己紹介をする

 

「ボクはシャルル・デュノア、ボクの事はシャルルで構わないよ? 」

 

とニコっと笑むシャルル

 

ん〜やっぱコイツ女だな、中性的だけど男の娘にしては完成度が高すぎる気がする

 

「なら、俺も命でいい」

 

「俺も一夏で構わない」

 

そんなこんな親睦を深めながら更衣室へ急ぐ

 

 

まぁデュノアの性別がなんであれ、千冬さんと束がスルーしてるなら問題ないのだろう、多分

 

 





お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

授業

 

 

道中、囲まれかけたが なんとか更衣室に辿り着きISスーツへ着替える

 

 

まぁ着替えると言っても俺は制服の下に着ているから脱ぐだけだったりする訳だが、デュノアが一夏の半裸を見てアタフタしていて一夏が不思議そうな表情をして首を傾げている

 

「一夏、人の心配より自分の心配をしろ。あと5分だぞ?」

 

「そうだな、悪い」

 

そう言い一夏は着替えに専念する

 

何度も朝からISの実習の時は下にISスーツを着た方がいいと言っているのに、一夏は拘りがあるらしい

 

そんな訳でギリギリで間に合い、列に加わる

 

いつもの事だが、整備系担当の束の姿は此処にはない、束の出番は午後からになるだろう

 

「では授業を始めるぞ、本日から本格的にIS実習を始める。下らない事で怪我などして貴重な実習時間を減らさない様にしろ」

 

ジャージ姿の千冬さんがキリッとした表情で言う

 

相変わらず公私で顔つきが変わる人だ、最終的にベロベロに酔っ払って束に祝いの言葉を3桁ぐらい言ってた人と同じ人には思えない

 

「それでは、篠ノ之 命、オルコット、前に出ろ」

 

名前を呼ばれたので返事をして前に出ると

 

「お前達にはデモンストレーションで戦って貰う」

 

そう言われ、俺がセシリアを見るとセシリアも俺を見ていたので

 

「セシリアと、ですか? 」

 

「焦るな、相手はオルコットでは無い。山田先生だ・・・ん? 総員退避、山田先生が降ってくる」

 

俺の質問に答え、そう言うと千冬さんは落ちてくる山田先生を見ながら移動し始め、指示を聞いたクラスメイトも千冬さんを見習い山田先生を見ながら落下地点を予測し避難して行く

 

「スゲーグルングルン回ってるな山田先生」

 

俺は千冬さんの横に並び落下地点から退避し呟くと山田先生が無事被害を出さずに地面に落ちた

 

やっぱり山田先生はドジっ子属性持ちらしい

 

「山田先生が無事に墜落した所で模擬戦をして貰う、2人には山田先生と戦って貰う。行け」

 

千冬さんが山田先生の心配を一切していないのをスルーして羽黒を纏い飛び上がりブルーティアーズを纏ったセシリアと合流する

 

「指示は任せた、素人の俺じゃマトモな作戦思い付かないしな」

 

「任されました、では最初は様子見を。動きは私が合わせますし指示は都度伝えますわ」

 

俺の言葉に、そうセシリアが返してきたので頷き、俺達より少し上に滞空している山田先生を見据える

 

 

さっきの様子を見ている限り、勝てそうな気がするな・・・いや、アレが油断させる為の演技の可能性もあるかも知れない

 

仮にそうなら、かなり演技派だな山田先生

 

とりあえず油断せずに行こう

 





お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

天才兎出現

 

 

山田先生との模擬戦は結局、山田先生の勝利で幕を閉じた

 

なんとなくだが、セシリアが手を抜いていた様な気がするが、よくよく考えれば先生に花を持たせる為の模擬戦だった気がするので良しとしよう

 

そんな訳で授業をした訳だが、初歩の歩行を行う実習を行ったのだが、羽黒の脚部は歩行なんかする様に出来ていないので俺は全く知識もコツも知らない状態でやらされる羽目になった

 

なんとか授業が終わり昼休みに突入したので更衣室へ戻りISスーツの上から制服を着て携帯を見ると、束からメッセージが入っていたので開いてみると、箒と弁当を用意してあるからデュノアと一夏を連れて指定した屋上へ来て欲しい、と書かれていた

 

「一夏、束が箒と弁当作ったからシャルルも連れて屋上に来て欲しいってよ」

 

「束さんが? ふーん、なんだろうな? まぁ行けば分かるか、束さんの料理は美味いぞシャルル」

 

「え?う、うん」

 

俺の言葉に一夏は首を傾げつつ呟き、デュノアは一夏の言葉に戸惑うが、有無を言わさずに連れて行く事にした

 

腹が大分減っていたので、さっさと移動し屋上へ行くと外に通じる扉の前にクロエが立っていて俺達と分かると無言で扉を開き通してくれ、屋上に出ると東屋には既に箒とIS学園の制服を着て黄色いリボンを付けている束が重箱を並べていた

 

あーこれは、何かあるな と思い、一夏とアイコンタクトを取りクロエの事も束の事も触れない事にする

 

「お待たせ束、箒」

 

2人に声をかけると束は振り返っていつもの様に笑み

 

「意外と早かったね? 君がシャルル・デュノアくんかな?」

 

とデュノアへ声をかける

 

「はじめまして、シャルル・デュノアです」

 

とデュノアは紳士然と自己紹介をする

 

「私は束、よろしくね? 今日は急に誘ってゴメンね? 実は君と話をしたかったんだ、安心して? 此処にはこれ以上人は増えないから」

 

束は そう言いデュノアに席を勧める、ちなみに一夏は箒の隣に座っていて、俺は束の隣に座る

 

「そうですか、ご馳走になります」

 

一瞬、デュノアの表情が曇った様に見えたが、すぐにイケメンスマイルを浮かべて座る

 

「さ、遠慮しないで食べて? 箒ちゃんと頑張って作ったんだ〜」

 

と言う束の言葉を聞き、俺は遠慮せずに箸を取り食べ始め一夏と箒も行儀良く始め、デュノアも恐る恐るといった様子で食べ始め、あまりの美味しさに驚きの表情をする

 

「どうだシャルル、束の料理は美味いだろ? 」

 

俺がドヤ顔でデュノアに言うと

 

「なぜ お前がドヤ顔をする? それにコレは私と姉さんの合作だ・・・まぁ確かにデュノアが食べたのは姉さん作だが」

 

箒は律儀にツッコミを入れ、そう言うとデュノアが首を傾げ

 

「えーっと、篠ノ之さんと束さんは姉妹なのかな? 」

 

「あぁ、そうだ」

 

デュノアの質問に箒は頷き肯定するとデュノアは納得した様子で頷き

 

「じゃぁ、篠ノ之さんと命はなんか距離感が近い気がするのだけど・・・兄妹? 」

 

「箒と俺はイトコだよ、俺にキョウダイはいない」

 

とデュノアの質問に答えるとデュノアは再び頷く

 

とりあえず他愛無い話をしておこう、束に何か考えがあるはずだし

 

 

 

 





お待たせしました


なんか概要文と内容が乖離し始めてるので、近々編集したいと思います



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

天才兎のプレッシャーとブリュンヒルデの活躍?

 

 

他愛無い話をしながら食事を続け腹八分目ぐらいになった頃、和やかな雰囲気を纏っていた束の雰囲気がピリピリとした物へと変わり

 

「それじゃぁ、そろそろ本題へ移ろうか。君をわざわざ呼び寄せたのは・・・君がシャルルと名乗ってIS学園へ入学した件について話をしておきたかったからなんだ」

 

そう束は言い微笑むが、目が笑っていないし雰囲気は真剣そのものだ

 

 

そんな束に圧倒されてかデュノアは緊張した面持ちで身を固くしている

 

「束、そんなプレッシャーをかけたら喋れるものも喋れなくなる。それにシャルルが女なのは一目瞭然だろ? 」

 

少しだけデュノアが可哀想になったので助け船を出すと、デュノアは え?! って顔をする

 

この反応、男装趣味とかトランスジェンダーの類いじゃ無いみたいだな、なるほど束が出張った理由は その辺りか

 

「命、少し黙ってて」

 

いつもなら俺の言葉を聞き改める束が珍しく愛称ではなく名前を呼び言うので頷き傍観に徹する事にする

 

「さてシャルル・デュノア 改め シャルロット・デュノア、君がIS学園へ来た理由を教えてくれるかな? あ、別に喋らなくても良いよ? その時は・・・まぁ多少痛い思いするかも知れないけど」

 

相変わらず表情は微笑んでいるが目は笑っておらずデュノアにプレッシャーをかけ続けている

 

「・・・はぁ、まさか初日のしかも半日足らずでバレるとは思いもしなかったよ・・・ボクの本名はシャルロット、ここには父の指示で来たんだ。簡単に言うと一夏と命の情報を盗む為にね」

 

デュノアは観念した様に肩を落とし自白する、その言葉を聞いて俺は怒りより先に疑問が芽生え

 

「なんで、わざわざ男装してたんだ? まさか男子として入学した方が情報盗みやすいから、とかだったらお粗末過ぎる計画だぞ? 」

 

とデュノアに尋ねると、更に肩を落とし項垂れる。どうやら本気で男装をして男子に見えていると思っていたらしい

 

「そう、お粗末過ぎる。裏で別の計画が有るんじゃないかと疑いたくなる程に、本当に2人の情報が目当てなの? 」

 

束はデュノアを真っ直ぐに見据えて言う、確かに計画がお粗末過ぎて他の意図を疑わずにいられないが、俺にはデュノアが これ以上の秘密を抱えているとは思えなかった

 

多分、束にも分かっているのだろう

 

「・・・まさか、ボクに命じられた仕事は2人と仲良くなって隙を見て情報を盗み出す、それだけ。時間は約3年もあるからね、上手くやれば機会は有る筈だったのだけど」

 

自嘲気味にデュノアは乾いた笑いをし言う

 

やっぱりおかしい、こんな事が3年もバレずに済む訳もないのだから、そもそもバレても良い計画だった・・・否、バレる前提だった?

 

「・・・やっと見つけたぞ? なんだ身内が一堂に会しているじゃないか、丁度良いか。デュノア、お前にデュノア社 社長から言伝だ『恐らく既に女と見破られているだろう、それは計画通りの展開なので心配するな。私はお前に父親として何もしてやれなかったが、私はお前を大切な娘と思っている。お前は向こう3年、IS学園で生活をし本国へ帰国はしない様に、我々の問題にお前を巻き込みたくはないからだ』と言っていた、あとコレは先程届いた手紙だ、念の為に検閲してあるのは大目に見てくれ」

 

千冬さんが現れ、メモを読み上げデュノアに言うとデュノアは先程の何もかもを諦めた表情から驚いた表情になり そのまま涙を流し始めた

 

 

チラッと束を見ると、優しい雰囲気を纏い柔らかい笑みを浮かべていた

 

ここまで織り込み済みなのか、束?

 

 

 





お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

シャルロットの1人語り

 

 

私の名前はシャルロット、フランスの片田舎で生まれた何処にでもいる女の子だ

 

物心がついた頃から父は居らず、私は お母さんと周りの人達によって育ってきた

 

数年前に お母さんが病気で亡くなってしまうまで、私は父は亡くなっていると思っていたが、そうでは無かった様で お母さんが亡くなって少しして父の部下と名乗る男の人達が家にやって来て、父が私を引き取りたいと言っている旨を伝えてくる

 

私には身寄りは無く、片田舎での小娘が一人暮らしをするには不便で危険も有り、生活資金は乏しい。それは別に進学をせずに働けば問題は無かったが、お母さんと暮らした家を維持するのも難しい、という

現実は覆すのは難しかった

 

私は悩み、彼等は私の悩みに事務的な対応は一切せず親身になってくれ、父と通話をしてくれ、父から お母さんと暮らし思い出の詰まった家の維持をしてくれると約束を取り付ける事が出来た

 

私が望むなら成人した際に家へ戻って良いと言われ、私は少しの間だけ故郷を離れる事を決め、デュノアの姓を名乗る事を受け入れる

 

私の父は量産型ISシェア第3位のデュノア社の社長らしいが、お母さんと父が どうゆう出会いをしたら私が産まれるのか割と不思議に感じてしまうが、そんな事を考えてる場合ではない。聞く話によると父の子供は私1人だけなのだそうだ

 

それに私は愛人との子供、後継者争いの火種になるに決まっている

 

父の部下の運転する車で運ばれて着いた先は父が暮らす家で私は受け入れてもらえないと思いながら家へ入ると、本妻であろう人が立っていて、私に平手打ちを入れ 私に妾の子が と言って悲しそうな表情をして去って行った

 

それから私の少し窮屈な生活が始まって、父に言われるままIS搭乗者のテストを受け、ISの勉強をし、デュノア社でテストパイロットになり、気づけばフランス代表候補生になっていた

 

代表候補生になってからはデュノア社にいる時間が増え、デュノアの家にいる時間が減ったから少し気は楽になった

 

そんな生活があと何年も続くと思っていたのだけど、試作品のテストで帰りが遅くなった日、喉が渇いていて水を飲もうとダイニングへ行くと扉が少し開いていて、中から父と本妻の話声が聞こえ自分の部屋へ引き返そうと思ったが、どうやら私の話をしている様子だったので悪いとは思ったが息を殺し聞き耳を立てる

 

「あなた、シャルロットに仕事を任せ過ぎではありませんか? 」

 

「そうかも知れないが、少しでもISへ搭乗する時間を与えたいんだ」

 

少し怒っている声色の本妻と、落ち着いた低い声の父の返答を聞き会社の利益を考えているのだろうと感じる、でも

 

「あの子は、まだ青春を謳歌する歳ですよ? こんな仕事詰めでは可哀想です。・・・私達2人で決めた事とはいえ、この家では肩身が狭い思いをしているのですから」

 

本妻の言葉を聞き、私は衝撃を受ける

 

彼女は、まるで母親が子供を想う暖かい気持ちを感じる言葉を言っているのだから

 

私はゆっくりと自分の部屋へ行き、ベッドに横になり本妻は私の事を嫌っていないという真実を受け入れきれていなかった

 

気持ちの整理が出来ないまま、父からの指示で男のフリをしてIS学園へ入学し男性IS搭乗者達の情報を盗み出せと指示を受け、数ヶ月間訓練をしてIS学園へやって来た訳だが、正直疑念を感じていた

 

父は本当に情報が欲しいのか、と

 

本当の目的は別に有るのでは? と

 

 

その疑念は正しく、私に男のフリをさせたのも全てフェイクで全ては私を守る為だった

 

織斑先生も篠ノ之博士も父・・・お父さんの思惑を知って協力してくれたらしい

 

織斑先生から渡された手紙には、本妻 否 お義母さんの言葉も書いていた

 

貴女の母親は、この世に1人だけ。私は貴女のお母さんにはなれないし なるつもりもない、けれど私は母親として本当の子供と思っている。と

 

手紙は2人の不器用な優しさを感じ、私は泣きながら読み進めた

 

私は、独りではないのだと強く感じ、愛されていると感じた

 

 

最終的に帰ってきたルームメイトのボーデヴィッヒさんに驚かれ、抱きしめられ、なぜだかすごく落ち着いた

 

 

 





お待たせしました


色々端折ってしまって申し訳ない



デュノア社長夫妻は不器用です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

放課後の兎

 

 

涙を流して会話どころでは無くなったデュノアを、お姉ちゃんズ2人が何とかしてくれたのは助かった、俺は事情とか全く分からないし

 

そんなこんなしていたら予鈴が鳴ってしまったので椅子から立ち上がって片付けをしようとしたらクロエが現れて片付けは自分がする、と言いデュノアを除く俺達3人を屋上から追い出した

 

とりあえず戻る訳にもいかないので次の授業が有る整備室へ行き午後の授業を受ける事にする

 

その後、デュノアが授業に現れなかった事を除けば何も問題は無く午後授業の全てが終わり、部活が休みだったので気紛れに束専用の整備室へ足を運ぶと中にはプログラミングか何かの作業をしている束とクロエが居て

 

「やぁ、みーくん。君が此処へ来るなんて珍しいね? 」

 

束は作業の手を止めずに声を掛けてきた、コイツ後ろに目が付いてるのか?

 

まぁ束が規格外なのはいつもの事なのでスルーして

 

「部活が休みで何の約束もないし、真っ直ぐ寮へ帰る気分じゃなかったからな・・・それに少し気になる事も有る」

 

来客用のパイプ椅子に勝手に座り足を組んで天井を見上げ言う、どうせ束は会話しながらでも作業に支障は出さないし

 

「それはシャルロット・デュノアの話かな? それとも、ラウラ・ボーデヴィッヒの事? 」

 

束は、いつもの軽い調子で言う

 

相変わらず人の心を読んだ様な事を言ってくれるなコイツは、とか考えつつ

 

「デュノアの方・・・かな? と言うかセシリアが何で転入生がいる事を知ってたのかも気になるんだけど? 」

 

天井から束へ視線を移すと、俺の言葉に束は軽く肩をすくめ

 

「さぁね? 私には分からないけどセシリアちゃんは知っていた、そしてそのお陰である程度事はスムーズに進める事が出来た。セシリアちゃん、他人には言えない秘密が有るみたいだよ? 」

 

と、束は新しい玩具を与えられた子供の様に笑みを浮かべいる

 

セシリア、悪い・・・束って昔から この笑顔を浮かべてる時は色々やらかすんだ、マジで

 

デカイ所で言えば、ISを開発した事とか白騎士事件とかか

 

まぁいわゆる束の悪い癖って奴か?多分

 

「誰でも秘密の1つや2つは有るしいいけど、デュノアの扱いは どうなるんだ? 」

 

「どうもこうも最初から女子生徒として学園には登録されてるよ? そもそも3人目が見つかってたら部屋替えしなきゃだしね? 」

 

そう言い束はクルリと椅子を回し俺の方を向き言う

 

ちなみに、その背後で束の専用機我輩は猫で有る(名前はまだない)で作業を続けている

 

「あー・・・なるほど、一夏と箒が未だ同室なのは束が手を回し・・・いや、もしかして千冬さんも噛んでる? 」

 

俺が尋ねると束はドヤ顔でサムズアップし

 

「もちろん、2人は交際しているし箒ちゃんも今更ルームメイトが代わっても息苦しいだろうしね? 山田ちゃんも丸め込んだし、ちーちゃんは割とノリノリで了承してくれたよ? 」

 

俺が知らない所で大人達の暗躍が有ったらしい

 

まぁルールとか規律を重んじる箒と、朴念仁で鈍感だが箒を大切に想っている一夏だ、若さ故の過ちは起こさんだろう多分

 

起こしても、それは両者合意の上だろうし、俺の知った事じゃないし

 

 

とりあえずデュノアの男子生徒姿は今日だけの様だ、明日からは女子生徒だろう

 

そういえば、一夏はボーデヴィッヒに呼び出されてたな、大丈夫だろうか?

 

 

 





お待たせしました


次はラウラに呼び出された一夏の話にする予定です



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

放課後の黒兎と夏

 

 

私がラウラ・ボーデヴィッヒ(わたし)と成って、15年以上の月日が流れた

 

それは長い様で短い様な妙な感覚を覚える毎日だった、私は所謂 転生者 またな憑依者と呼ばれる類いの者

 

この世界の事を幾らか知っているから、自分がラウラであると気付いた時、自分の手で自分の未来くらい掴もうと決めた

 

と言っても、私の知るラウラの過去と違い軍属の両親と姉が1人いたが家族で出かけた先で事故に遭い両親は死に、私と姉は別々の病院へ入院し幼かった私達は別々の施設へ引き取られ、私は両親の知り合いと言う人の誘いで軍学校へ入り、事故の後遺症でほぼ見えていない左目のハンデは有ったが首席をキープし続けていた

 

そして私は試験段階のIS技術を転用したナノマシンを眼に移植する試みの被験者になり左目へナノマシンを移植してヴォーダン・オージェにする事により視力を取り戻した、副作用で瞳の色が変わってしまったが仕方ないだろう

 

移植をして数ヶ月が経った頃、第2回モンドグロッソが開催され原作の通り織斑 一夏が誘拐され、姉の織斑 千冬は現役を引退してしまう、私は自分の迂闊さを悔いる 何故なら自分が少し気を回せば誘拐を回避出来た筈だからだ

 

それから私は教官として赴任してきた織斑 千冬の指導を受け、IS搭乗者としての実力を付け、彼女が日本へ帰国する頃には代表候補生になっていて、いずれ自分はIS学園へ行くと認識した

 

それから努力を続けた訳だが、少しストイックに鍛錬したせいか身長が全く伸びなくなってしまったのは余談だ

 

さてドイツ代表候補生になり専用機、シュバルツェア・レーゲンが与えられる事になった私は色々と口を出してレーゲンを改修し真に私の専用機として完成させる訳だが、そのせいで入学が少しズレてしまったので少し反省している

 

そして織斑 一夏を呼び出した放課後になり、私と彼は人の居ない屋上にいる。まぁ正しくは箒が入り口の辺りで様子を伺っているが

 

「・・・わざわざ呼び出してすまない、織斑 一夏、私はお前に言いたい事が有ったんだ」

 

私の言葉に一夏は首を傾げ不思議そうにしているので

 

「まず数年前のモンドグロッソ時の誘拐事件、警備体制の不備は開催国ドイツの責任だ。そして私は正式には軍人では無いが軍に籍を置く者、国に代わり謝罪する。すまなかった」

 

そう言い彼に頭を下げると

 

「え? いやいやいや、なんでボーデヴィッヒが頭下げてるんだよ。気にしなくていい、終わった事だから」

 

と一夏は焦った様子で私に言い頭を上げさせる

 

「織斑教官の選手人生を終わりにしてしまった罪は重い、それに私は教官に教えをこえたからこそ今の私がいるのだから・・・織斑 一夏、私にはお前達姉弟に返しきれない借りがある、困った事が有れば頼ってくれ」

 

彼を真っ直ぐに見ていうと一夏は戸惑いながら頷く

 

さて一先ずは個人的に一夏の手伝いとかしながらドイツ国家代表へなる為に鍛錬を続けて、生き別れた姉を見つけ出そう

 

必ず見つけて、出来たら一緒に暮らせると良いな

 





お待たせしました


一夏視点で書く予定でしたが、ラウラ視点で書いてみました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一難去って、また一難

 

束と千冬さんと我がクラス長が暗躍して俺達が知らない間に片付いていたデュノアの件翌日、デュノアは男子制服から女子制服へと制服を替え再び山田先生により転入生紹介を行われ正式に1年1組の仲間になった

 

なんやかんやウチのクラスって適応能力が高い気がする

 

さて、そんなHRも終わり間際に千冬さんは軽く爆弾を投下してくれた、内容は月末にあるトーナメント戦がタッグマッチになった 事、公平を期す為に専用機持ち同士でのタッグ編成は禁止と伝えられ、教室内が騒めく

 

トーナメント戦で活躍を見せれば代表候補生候補になれる可能性やIS学園卒業後にIS関連企業への就職の足掛かりになるし、彼女持ちとはいえ学園に2人しか居ない男子とタッグを組めるのは、ある意味ステータス?になる

 

そんな騒めくクラスメイト達は全く見ずに俺は窓の外に広がる青空を見上げ、憂鬱な未来を予測し溜息をつく

 

正直、クラスメイトと必要以上に仲良く接して来ていないから自信を持って仲が良い人と言える人がいない、そもそも色々と特殊な羽黒とマトモに連携が取れる生徒なんて専用機持ちぐらいだろうが、専用機持ちと組む事は禁止されている

 

つまり、俺と一夏へ同級生が殺到する訳だ

 

あぁ面倒臭いな、ほんと

 

そんなHRを終え、様子見をしているのか同級生が打診をしてくる事なく昼休みになり、俺は嫌な予感がしたので一夏の誘いを断り束の研究室へ逃げ込むと

 

「珍しいね みーくん、君が昼休みに此処へ来るなんて・・・あぁ、トーナメント戦の件かな? 」

 

束の研究室の一角には畳を敷いて、休息区を作ってあり そこで弁当を食べていた束が、相変わらず察してくる

 

ちなみにクロエも居るが、相変わらず喋らない

 

「正解、嫌な予感がしたからな。正直、やるからには一戦でも勝ちたいって気持ちがあるから」

 

靴を脱ぎ畳に上がって卓袱台に弁当を置き、束の横に座り言うと

 

「一般生徒じゃぁ羽黒の特異性に合わせられない子が大半だろうしね〜」

 

ニコニコと、その羽黒を産み出した本人が笑いながら言う

 

「昔馴染みの鈴とか、合わせてくれるセシリアとか、勝手知ったる箒と一夏なら不安も遠慮も無いんだけどな、箒以外は専用機持ちだから無理だし、箒は一夏と組むだろうし? 」

 

と言いながら弁当の包みを開いて蓋を開ける、本当ほぼ毎日忙しいだろうに多彩なオカズを作って入れてくれる束には頭が上がらない

 

束に感謝しつつ弁当を食べて、トーナメント戦の相方を考えるが、全く思いつかない

 

ここまでピンと来ないのなら、運に任せてクジ引きで相方を決めてしまってもいいのかも知れない

 

 






お待たせしました


忙し過ぎて1ページ分 書くのに3日程掛かってしまいました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

忘れられてた紅椿

 

 

束の研究室へ戦略的撤退をした後、昼休み丸々 研究室で過ごして出来るだけ気配を消して教室へ戻ると箒が明らかに不機嫌な表情をしていたので、何も言わずに自分の席に座る

 

まぁ他人が見たら、箒の表情は いつもと変わってないと思うんだろうけど

 

一夏がなんかしたか? または目論見が外れたか?

 

アレ? そういや、研究室に紅椿が無かった様な・・・まさか

 

 

俺は箒が不機嫌な理由を察し、なおさら話しかけ無いことに決め授業の準備をする、しばらくして始業の鐘が鳴り5時間目の授業が始まり集中する

 

集中しないと千冬さんの教育的指導が待っているからだ

 

そんなこんな午後の授業を乗り切り放課後になったので部活へ行こうと席から立ち上がると

 

「みーくん 君にお願いがあるんだけど、いいかな? 」

 

珍しくHRに現れていた束が、少し真面目な表情をして尋ねてきた

 

「構わないが・・・なんだ? 」

 

チラリと岩の様に微動だにしない箒を見た後、束へ返事をする

 

「紅椿の慣らしと、新しい訓練装置のテストの お手伝いをお願いしたいんだよ。いいかな? 」

 

「了解、任せてくれ」

 

本音を言えば今の箒は怖いから相手にしたくないのだが、束の頼みを断る訳にはいかないし、断って慣らしの相手が一夏になったら熱くなって零落白夜とか使いそうだしな

 

「さ、時間は有限だよ? 行こうか箒ちゃん、みーくん」

 

束の言葉に箒は無言で立ち上がってスクールバッグを持ちスタスタ歩いて行く、その左手首には今朝には無かった組紐と鈴で出来たアクセサリーがある

 

あーやっぱり、そうだよな。うん・・・おっかねぇ

 

そんな訳で一夏に部活へ行けないと告げ束と並んで箒の後を追い束が用意したアリーナへ向かいISスーツを着て軽く準備運動をしてからアリーナに出て羽黒を纏う

 

相変わらず目まぐるしく表示されて行く情報に目を通し異常が無いのを確認する

 

と言うか、羽黒に表示されてる情報って白式とか一般的なISの倍ぐらい有ると思うんだが、どうなんだろうな?

 

まぁいいか、今は箒に集中しよう。行事前に怪我なんてしたら恥ずかしいしな と思い目の前に立つ紅椿を纏う箒を見据える

 

「2人とも準備はいいかな? それじゃ箒ちゃん 先ずは武装を展開してみようか」

 

管制室に居る束から通信が入り指示が聴こえてきたので、とりあえず箒が おっかないので少し距離を開けて、俺は いつもの様に二振りムラサメを展開し二刀の構えを取っておく

 

というか、これ序盤は俺いらないんじゃないか?

 

だって慣らしの前に武装とか基本仕様の説明が必要だから、今してるし

 

 

まぁいいか、とりあえず束には束で考えがあるんだろう、多分

 

 






お待たせしました


はい、紅椿を出すの忘れてました、すみません



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

相方の名は

 

 

 

あの後、一通りの説明を聞き終えた箒と慣らしの為に軽く模擬戦をしたのだが、なんで刀からビームが出るんだ? いや、どうやったら刀からビーム出せる様になるんだ?

 

何度か打ち合ったが、銃口おろか白式の雪片みたいな切れ込みすら無かった、どこからビームを出してたのだろう

 

 

まぁその事を気にしても仕方ないか、素人に毛が生えた程度の俺には分からない事だしな

 

あと俺もある程度 手を抜いていたけど、箒は俺と紅椿で互角に打ち合って見せた、実習で搭乗経験があるとはいえ 流石は箒といったところだろう

 

そんな訳で慣らしを終えて着替えてからアリーナを出て1人で寮へ帰る、束は まだ仕事が残っているらしく管制室から直接職員室へ行った様だ

 

夕陽により赤く染まる帰路を特に急ぐ必要は無いので、のんびりと歩いていると噴水の縁に座り何処か遠くを見つめている水色の髪の眼鏡をかけた美少女と遭遇し、何処かで見た覚えが有ったので記憶を探りつつ彼女に歩み寄る

 

直接話した事は無いが知っている、そう確か・・・

 

「・・・更識 簪、だったか? 」

 

思わず呟くと更識はビクッと身体を震わせ俺の顔を見て

 

「・・・なにか、用? 」

 

何かに疲れ果てた眼をし何もかもが億劫な雰囲気を出して更識は言う

 

「別に用はないが・・・あまりに遠くを見ていた様だったから気になってな」

 

「・・・そう」

 

俺の言葉に更識は一言だけ呟いて俺から眼を逸らし遠くを見る

 

「何か疲れてるようだけど? 」

 

「・・・疲れた、か・・・確かに疲れたな・・・追う背中が遠い」

 

そう呟き更識は遠くを見るのをやめて自分の両手へ目を移す

 

「そうか、なら一度立ち止まっても良いんじゃないか? 立ち止まって少し休んで、また進めば良い」

 

俺の知る世界最強のIS搭乗者と天才は、悩んで立ち止まっても また自分が決めた道を進んで来た事を知っている

 

「・・・立ち止まって・・・いいの?」

 

「気を張り続けるのは疲れるだろ? 立ち止まって休む事も大切だと思うぞ? 」

 

少しキョトンとした表情をして更識は呟き、俺は それに対して返答すると、更識はポロポロと涙を流し始め

 

「・・・あり・・・がとう・・・ありがとう」

 

何故だかお礼を言われ少し困惑するが、流石にこの場から逃げる訳にもいかないのでポケットからハンカチを取り出して

 

「泣きたい時は泣けばいい、そしたら笑いたい時は泣いた時分笑える筈だ」

 

とハンカチを更識に差し出して言うと、更識はハンカチを受け取り涙を拭いてクスリと笑う

 

「そのセリフは、クサいと思う」

 

先程とは打って変わり何かスッキリした様な表情で更識は そう言い

 

「でも、ありがとう。少し肩の力が抜けた」

 

「そうか? なら良かった」

 

とりあえず一件落着した様な気がするから寮へ帰ろうと一歩踏み出すと

 

「待って・・・名前、まだ名前を聞いてない」

 

更識に呼び止められ、名前を尋ねられる

 

「・・・篠ノ之 命だ、この学園には俺含め3人 篠ノ之がいるから命でいい」

 

と名を名乗ると更識は何かブツブツ呟き始めて、ちょっと怖い

 

 

とりあえず数秒ほど様子を見ていると

 

「・・・よし、命・・・トーナメント戦で私とタッグを組んで欲しい」

 

確か更識は日本代表候補生で、専用機を持ってる筈・・・いや、持ってるけど完成してなくて乗れないとかなんとか束が言ってたような?

 

うん、更識なら羽黒に合わせられるかも知れない

 

「わかった、よろしく頼む」

 

おそらく更識にも思惑なあるのだろうが、俺には俺で目標があるので更識には悪いが利用させて貰おう

 

 





お待たせしました


のほほんさん と 簪で迷った結果、簪になりました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

準備期間 1

 

 

翌朝、申請用紙に名前を記入して山田先生に提出し、俺は正式に更識とタッグを組んだ事になった

 

後は更識と情報交換して互いに どれだけ意思疎通ができるか、が問題だろう・・・と言ってもアリーナの使用申請が何回通るか分からないが

 

とか考え、束が言っていた訓練装置を利用しようと思いつく

 

何もしないよりはマシだろうしな、うん

 

そんな訳で特に連絡先を交換していなかったので休み時間に更識のいる4組へ出向き忙しそうにしている彼女へ

 

「更識、放課後に打ち合わせを兼ねて練習をしたいんだが、空いてるか?」

 

更識はキーボードを入力しながら不機嫌そうに俺を睨み

 

「・・・苗字で呼ばないで、あまり好きじゃないの。あと放課後は空いてる」

 

と言う、コイツもコイツで おかっないなぁおい

 

とりあえず放課後は空いてる らしいので

 

「なら放課後に、また来る」

 

それだけ伝えて1組の教室へ戻り一夏へ話かける

 

「なぁ一夏、お前は誰と組むつもりだ? 頼みやすい奴は軒並み専用機持ちだよな? 」

 

まぁそれを言ったら箒もだけどな、うん

 

「んー・・・そうだな、俺は近接型だから中遠距離が担当できる人が良いかもな、または盾使いとか」

 

そう言い笑う、おそらく盾使い辺りは冗談のつもりなんだろう、確かにわざわざ盾を担当してもらうより、一夏に盾を持たせた方が良いしな

 

ラファールの盾とか打鉄の盾とか、裏に取手とか付けれそうじゃん?

 

 

それが出来るなら俺が欲しい、まぁ俺は 二刀使いだから邪魔になるのがオチか

 

それから一夏と雑談をしていると始業の鐘が鳴ったので千冬さんの出席簿が飛んでくる前に席に座り授業を受ける

 

 

なんやかんや授業を乗り越え放課後になり、再び4組へ出向き更識と合流し束の研究室へ行く

 

最近、入り浸ってる様な気がするが束が何も言わないから大丈夫だろう多分

 

とりあえず本当に入って大丈夫なの? みたいな表情をしている更識の表情は見なかった事にして中に入ると、束は畳に座りテレビを見ながら煎餅を食べていて、珍しくクロエの姿が見えなかった

 

「束、昼に頼んだ件、大丈夫? 」

 

歩み寄って束に話かけると彼女は振り向き

 

「問題ないよ、一応 クーちゃんに検査して貰ったしね」

 

と言い立ち上がり畳から降り靴を履いて煎餅片手にガントリーへ移動し

 

「IS展開してガントリーに接続して? まだ装着はしなくていいよ? 」

 

と煎餅を齧りながら指示を出す、なんか美味そうな煎餅だな、あとで分けて貰おう

 

とか下らない事を考えつつ俺は羽黒を展開しガントリーに接続するが更識は少し困った表情をしているのに気付き

 

「束、更識の専用機は未完成らしい代わりに代用機を貸してやれないか? 」

 

と言うと束はニコっと笑み

 

「紅椿も完成したし、暇つぶしに作った打鉄のマイナーアップデートした奴ならあるよ? 」

 

なんかサラッと凄い事言ってる様な気がするが束は いつもこうなので気にしない事にしよう

 

 

とりあえず更識の機体問題は解決したし、良しとしよう

 

あと俺が更識の苗字を呼んだ事で更識が俺を軽く睨んでいるが、それもスルーしておこう

 

そういや、クロエは何処行ったんだ? アイツが教室で授業がある時と寮の部屋にいる時以外で束の側を離れるのは珍しい

 

 

友達でも出来たか? そうだと良いな、一応 束曰くクロエは娘らしいから、俺にとっても娘になるんだろうしな、うん

 

 






お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

準備期間 2

 

 

束がマイナーアップデートした打鉄を更識が借り、展開してガントリーに接続する、これで下準備が終わった

 

「はいこれ、仮称 打鉄一式(へい)の仕様書だよサラちゃん」

 

「ありがとうございます、篠ノ之先生」

 

昔は人見知りして人と全く話さなかった束がニコニコして更識とやりとりをしているのを見ると、なんか束も成長したんだなぁ と嬉しいと思う反面、なんか変な心境になる

 

いや、今は考えるのは止めよう、気にする必要だって無い筈だ

 

 

更識が仕様書の読み込みを終えてからISスーツに着替えて其々のISを装着し、漸く本題へたどり着いた

 

「じゃぁ、始めるよ〜。仮想訓練装置起動」

 

ヴゥォンと音が聞こえ眼に映る風景が研究室からアリーナに変わり

 

「これは?」

 

「仮想現実の中・・・いわゆるVRって奴だ」

 

辺りを不思議そうにキョロキョロして呟く更識に答えると

 

「そう、此処は仮想現実の中、しかしこの中で経験した事は現実の経験として引き継がれるよ、まぁ流石に死んだり怪我したりはしない様に作ったから安心してね? 」

 

と束の説明する声が聞こえた

 

この仮想訓練装置は、VRを用いた実戦に限りなく近い体験が出来る訓練装置という訳だ

 

アリーナの数が限られている以上、申請を出しても多くて週2回で時間だって1時間程度使えるかどうか

 

訓練機の数も限られているのだから練習したくても中々練習出来ない現実を打開出来る可能性が有るのが仮想訓練装置だ

 

まぁそれはそれとして、目の前の事に集中する事にしよう

 

「それじゃぁVRミッション、スタート」

 

束の声と同時にピットから白騎士が出て来た、そうISの原典 白騎士が

 

 

束が心血を注ぎ全身全霊をかけて作り上げだ最高傑作 白騎士、搭乗者不明となっているが間違いなく千冬さんだろう

 

体型とか見る人が見たら分かるし、束の内面を知る人なら直ぐに察しがつく

 

まぁ何が言いたいかといえば

 

「死なないからって、最初から白騎士とか難易度高すぎるんじゃ無いか? 」

 

「・・・気持ちは分かる、でも()らなきゃ()られる。構えて命」

 

俺の弱音を聞き、更識は薙刀を構え白騎士を見据える

 

この辺りは流石は代表候補生と言った所か、と感心しながら俺もシラツユを両手に展開し構える

 

 

そして僅かな静寂の間が空き、戦いが始まる

 

白騎士の武装は試作荷電粒子砲とプラズマソードの2つ、荷電粒子砲は高火力だが単発で再装填に時間がかかる、プラズマソードは身の丈程ある大剣だが、白騎士は木の枝の様に軽々と扱うし、当たると痛い

 

 

とりあえず数的優位を保って焦らずに戦おう

 

 





お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

準備期間 3

 

 

俺は羽黒の装甲に身体の力を抜いて預けて肩で息をする、おそらく更識も同様の状態だろう

 

VRミッション1戦目の結果は、まさに惨敗だった

 

文字通り手も足も出なかった、これほどまでに実力の差が有るとは思わなかったし、競技用ISがどれほど厳重にリミッターをかけられているかがよく分かった

 

世代による性能差を差し引いた上で、このざまだしな

 

「2人共おつかれさま、私が考えうる最強のISと戦って貰ったけど、どうだった? 」

 

仮想訓練装置のシステムが停止して目の前に立つ束が訪ねてくる

 

「強すぎる、束の性格を考えれば白騎士の性能や実力は盛って無い筈だ、つまり現実で同じ結果を迎える」

 

「越えるべき壁が分かっただけで収穫が有った」

 

息も落ち着き漸く更識の方を見る余裕が出来たので彼女を見ると、更識の目はヤル気に満ちていた

 

これが一般生徒て代表候補生の差なのかもしれない

 

「ふふふ、2人共 得られたモノがあったようで良かった。次回以降は世界各地の専用機のデータをランダムで出現させる予定だよ。ただしトーナメント戦で戦う予定のISは出さないし、出たISは余程じゃない限り出さないから」

 

と束は真面目な表情で言う

 

つまり基本的に毎回初見で戦って戦闘技能を身につけろって事だろう、多分

 

この先戦う筈のISを出さないのも、慢心や油断をさせない為、と勝手に解釈し

 

「わかった、時間は有限だ。次を始めよう」

 

「私も同意見、始めてください」

 

「それじゃ、2回目頑張ってね〜」

 

束は俺達の言葉を聞きニコニコしながら仮想訓練装置を起動させる、さて蛇が出るか鬼がでるか

 

 

俺は時間の許す限り訓練を繰り返した、結果を言えば負けた。だが着実に俺と更識は連携を取れる様になってきた

 

でもまだまだだ、トーナメント戦で優勝出来るとは言えない

 

とはいえ流石に限界が来たので初日の訓練を終いにして俺は更識と別れ寮へ戻り自室の湯船につかりながら考える

 

今日分かった事は、更識の実力は相当な事、間違いなく俺の実力が足らずに更識の足を引っ張っている事、その上で更識は上手く連携を取ってくれている事だ

 

ほんと自分の弱さに嫌気がさす、どれだけ自分が自惚れていたかを自覚して憂鬱になる

 

俺は弱い、羽黒の能力を完全には扱いきれていないし、ここぞって時に攻めきれない精神的な弱さもある

 

確かに羽黒のアビリティは使い方次第で強いだろう、でも扱う俺はが未熟では話にならない

 

「・・・束に甘えてばかりだな、俺」

 

浴室の天井を見上げ呟く

 

束に相応しい男になる道のりは、まだまだまだ先がある

 

ゴールが何かは分からないが、諦めるつもりは無い

 

今日はもう寝よう、明日も訓練だ

 

俺は風呂を上がって明日に備える事にした、少なくとも一夏には勝ちたいしな






お待たせしました


簪の打鉄、設定載せた方がいいですか?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

トーナメント戦 開幕

 

 

更識を相方にして約2週間、結局アリーナを借りる事が出来たのは1度だけだったが、仮想訓練装置のおかげで連携訓練は十二分に出来たと思う

 

いや、まぁ不安がない訳では無いが

 

とりあえずデュノアやオルコットと当たらない事を願いたい、なぜなら俺の性質的に相性が悪いし、オルコットには猛鷲戯画のネタが割れてるからだ

 

 

そんな感じで考え事をしていると

 

「・・・緊張してる? 」

 

「緊張はしてないが、不安は有る」

 

更識が声を掛けてきたので素直に答える

 

「そう・・・でも私達なら大丈夫、篠ノ之先生からもお墨付きを貰った」

 

俺を安心させようとしてくれる更識に頷き

 

「だな、あとは事前情報が どの程度アテになるか、だな」

 

専用機の情報は各国の秘匿情報そのものだが、裏技を使えば意外と分かったりする

 

例えば、ISには自己修復機能が有るのだが、消費したエネルギーや弾薬などを補給する必要があり、補給の為に学園の整備士へ預ける事になるわけだ

 

そして補給後は徹底的に検査をして不具合や整備不良が無いかを確認する、その情報を盗み見たり出来る訳だ

 

あとはコアネットワークづてで閲覧したりとか、色々だ

 

とはいえ、分かるのは特性と武装ぐらいで戦術に関しては戦うまで分からない訳だが

 

そんなこんな漸く対戦カードが発表され見てみると、一夏とは反対の山で、勝ち進めば代表候補生組と当たりそうな組み合わせだった

 

「・・・初っ端から専用機持ちは心臓に悪いからな、良かった」

 

「油断大敵、慢心は足元をすくわれる」

 

この2週間で俺に慣れたのか、なんか厳しくなった更識に頷きひとまず自分達の番は大分先なので観戦する事にした、情報は大切だしな

 

 

そんな訳で観覧席へ行くと一夏と布仏のタッグが試合をしていた

 

普段は のほほん とした雰囲気と間延びしたゆったりとした喋り方と声をしている布仏だが、一夏に合わせて上手く流れを作っている

 

見かけも雰囲気も実力には関係ないって事だな、うん

 

にしても、しばらく見ない間に一夏は対物シールドなんて持ち出していて少し驚いた、形的にデュノア社製みたいだな

 

そういえばデュノアの専用機は対物シールドを手持ちしてたっけか? それの応用か、左腕のパーツ改造ぐらいなら そこまで時間はかからないだろうし

 

シールドのおかげで戦闘も安定してるし、一夏もなかなか手強くなったな

 

とりあえず一夏対策としては間合いを開けて中遠距離を意識する事にしよう

 

それに次元潜行は便利だが、多用すると更識に迷惑をかけるだろうから使い時を考えなければ

 

 






お待たせしました


白式にシールドが付与されました


原作でもシールドぐらい、付けてあげれば良いのに


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

トーナメント戦 1


打鉄一式丙の設定(仮)




機体名*仮称・打鉄一式丙

世代*2・5世代

待機形態*未定

外見*打鉄、色は濃緑

武装*

#対装甲超振動薙刀

簪のメイン武装、打鉄弐式の夢現の1世代前の物ではあるが簪は難なく使いこなしている

#対物シールド×2

打鉄に標準装備されているシールド、特に変更点は無い

#試作電磁投射砲 ツクシ

打鉄一式丙の腰部に配置された2門1対のレールガン

薙刀をメインにしている簪に配慮された物で、任意にパージも可能



単一仕様*ナシ

備考*

束さんが暇つぶしに制作した打鉄のマイナーチェンジ機

あくまで暇つぶしだったので本気で改造・改修をしていない為、性能自体は量産機をカスタムした程度に止まっている

とはいえ借用中の簪の実力は申し分無いので第3世代機と渡り合えている


また試作したレールガンの名付けも適当にテレビに またまた写っていたので決めた




 

 

 

 

一夏・布仏は圧勝とはいかないが、ある程度 余裕をもって勝利した

 

 

2人が順調に勝ち進めば、決勝で当たる事になるのだが、その前に強敵に勝たないといけない

 

アチラの山だとボーデヴィッヒとデュノア、鈴

 

此方の山だとオルコットと箒か、箒はともかくオルコットと戦いたく無いな、勝てるイメージが出来ない

 

と言っても2人に当たるまで勝ち進める保証はどこにもない、勝負に絶対は存在しないのだから

 

そんなこんな何試合か見た後、ピットに向かい準備を始める

 

「作戦は、いつもの様に最初は情報収集を優先、あとは随時指示をする」

 

更識は打鉄一式丙を纏い最終チェックしながら言う

 

「了解、信用してるからな」

 

打鉄は防御型で機動力はラファールより劣る、しかし堅牢な装甲により多少の被弾は無視できる

 

要は指揮官機に丁度良いって事だ、攻撃を必要最低限の動きで躱し防ぐ事が出来る更識にピッタリのISだ

 

それに薙刀使いの更識にマイナーチェンジでレールガンが付いているのは丁度良いだろう

 

 

俺も羽黒の最終チェックをしながら更識に言い意識を試合へ集中させる

 

更識の指示に従えば大丈夫だ、目の前の事に集中しよう。次の試合の事は勝ってから考えれば良い

 

ゆっくりと深呼吸しなから自分の中のスイッチを切り替えていく

 

しばらくすると俺達の番を告げるアナウスが聞こえ

 

「・・・行こう、まずは一勝を取りに行く」

 

「あぁ、分かってる」

 

更識が先にカタパルトに乗り言い、俺が答えると更識が先に出撃し、俺も直ぐにカタパルトに乗って出撃する

 

各部スラスターの調子を確認する為にアリーナの壁際をなぞる様に飛び更識の隣に移動して停止して対戦相手の2人を見る

 

2人共 緑色にペイントされたラファールを纏っている、汎用型のラファールは武器種も多いから戦術の幅は打鉄の比じゃない

 

まぁ使い熟せていれば、だが

 

緑色にペイントされているラファールと言う事は、学園所有の練習機と言う事になるが、それだけで未熟と判断するのは軽率だろう

 

なら作戦通り、序盤は情報収集を優先して行くとしよう

 

俺はシラツユを展開し構え、安全装置を解除し試合開始を待つながら目の前の2人を見る

 

緊張しているのか表情が硬く、身体に力が入り過ぎている様だ

 

そして試合開始のブザーが鳴り、いつもの様に更識は右斜め後ろへ移動し俺は左へ移動しながらシラツユの引き金を引き牽制を始め、とりあえず2人を分断する事に成功した

 

距離を保ちつつ視野を広く、柔軟な対応をする事を念頭において片割れを引きつける

 

まぁ無理に情報収集する必要はないし、当てられる時は当てて行こう

 

 





お待たせしました



打鉄一式丙の設定載せるの忘れてたので載せました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

トーナメント戦 2

 

 

試合が始まって約10分が経過し、何発か銃弾が掠ったが直撃は無くシールドエネルギーも余裕がある

 

と言っても俺の銃弾も対して相手に当たってない、やはり射撃は難しい

 

とか考えつつ絶え間なく動き続けて的を絞らせない様にしていると

 

 

「・・・だいたい分かった、便宜上 こちらの方にいるのをアルファ、そっちをベータと呼称する。命、合図をしたら煙幕を焚いて次元潜行、しかるのち急速浮上しアルファに奇襲、いい? 」

 

と更識の中で情報収集は終わったらしく俺に秘匿通信を繋ぎ指示を告げてくる

 

「了解、任せろ」

 

俺は更識の言葉を聞き一段階速度を上げベータへシラツユで銃弾を放ち兎に角動き回る

 

こうゆう時、全身装甲で良かったと感じる、なぜなら目線から次の攻撃を予想されないし、表情を読まれたり読唇術を使われる心配が無い

 

 

アルファとベータの位置を把握しながら飛び回りつつ合図を待っていると

 

「命、今」

 

「了解」

 

シラツユのグレネードをスモークを選択し連射して煙幕を焚いて、すぐに次元潜行する

 

そして束が羽黒に搭載してくれた3Dマップを起動して更識とアルファ&ベータの予測地点を確認し、奇襲ポイントへ移動をして潜望鏡を出してデータを更新し、次元魚雷の準備をする

 

便宜上 魚雷と言っているが、正確には魚雷では無くミサイルだ

 

まぁ羽黒を潜水艦になぞらえているわけだが

 

煙幕が晴れ、アルファとベータが戸惑って潜望鏡に気付いていない内にアルファへ次元魚雷を射出し、ワザと潜望鏡ユニットを残し迂回してベータの背後へ回ると、突然現れた次元魚雷に対応出来ずにアルファは魚雷によりシールドエネルギーを消耗し撃墜判定になって大人しくなった

 

それを更識が見逃す訳も無くベータへレールガンを放ち徐々にシールドエネルギーを削って行く

 

「このままポイントに追い込む、準備を」

 

「了解、指定ポイントを確認した」

 

やはり更識は冷静な判断が出来る様で、俺の位置を確認して指示を出してくる

 

指示を確認し、次元魚雷を再装填してベータが罠にかかるのを待ち、タイミングを合わせてベータへ次元魚雷を叩き込みシールドエネルギーを全損させわ試合終了のブザーを聞きながら浮上して、装甲に蓄積した負荷エネルギーを放出する

 

「まずは1勝」

 

「あぁ、次も勝とう」

 

更識と拳を軽く合わせてピットへ戻る

 

次元潜行は強力な能力だが羽黒は次元潜行を前提に作られていない為、あくまで耐えられる様に改修した機体だ

 

 

つまり次元潜行する度に負荷をエネルギーに変換し装甲に蓄積、許容限界が来る前に浮上し蓄積した負荷を潜行時間の倍の時間をかけて放出しないといけないのだ

 

ピットに戻っても直ぐには動けないって事になる

 

 

 





お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

トーナメント戦 3

 

 

アレから順調に勝利を掴み、とうとう当たりたくなかったオルコットとの試合がやってきた

 

「命、彼女との試合は、これまでとは全く勝手が違う。気を引き締めて」

 

「分かってる、オルコットの実力は計り知れない」

 

俺は更識の言葉に頷き答える

 

トーナメントの位置で言えば準々決勝といった所で、俺達は試合前の作戦会議をしている所だ

 

オルコットの相方の整備が少しズレ込んでいるらしい

 

「私の方で調べた情報だと、彼女は武装を使い熟せている可能性が高い。4機のレーザービットとレーザーライフルによるオールレンジ攻撃は間違いなく厄介、彼女自身 多対一 向きと言える」

 

更識の説明に頷き

 

「その上で近接戦対策も取ってある、シールドと銃剣だな。あとミサイルまで有るからな」

 

こうして改めてオルコットのIS、ブルーティアーズを見ると厄介な機体だと実感する

 

基本はレーザーライフルを用いた高機動中距離戦を主軸に組まれた機体で、レーザービットによるオールレンジ攻撃、ミサイルによる撹乱、シールドと銃剣による近接戦対策

 

それを充分に使い熟し臨機応変な戦術を組める頭脳を持つオルコット

 

 

性格も良く、気遣いもでき、頼りになる我がクラスのクラス長 セシリア・オルコット

 

唯一の欠点は少々妹を溺愛しすぎてる事ぐらいの完璧超人だ

 

正直言って勝てるイメージが全く出来ない

 

 

「更に厄介な事にオルコットは初見で次元潜行を攻略している、今日の試合で何回か使ったから対策を考えている筈だ」

 

俺がオルコットに勝てるイメージが出来ない理由の1つは次元潜行を攻略されている事がある

 

俺にとって次元潜行は切り札の1つなのだから、自信もなくなる

 

「なら開幕から攻める、仮想訓練装置で何回か成功したアレを使う」

 

更識は神妙な表情でいうので

 

「おい、アレは危険だ。成功率、3割ぐらいだったろ。失敗したら帰って来れないぞ? 俺がサルベージ出来る可能性だって高くないんだから」

 

俺が言えた事じゃないが、奇襲としては大打撃を与えられる反面、失敗したら最悪即死、良くて次元の底だ

 

それを更識にやらせる訳にはいかないので反論すると

 

「大丈夫、成功率3割なら残り7割を勇気で補うだけ」

 

あ、コイツ昨日の夜に勇者系のアニメ見やがったな と察し軽く頭が痛くなる

 

それが出来たら苦労しないんだ更識 と言いたい所だが、言っても聞かないだろう

 

「はぁ仕方ないか・・・更識、束に使用制限解除を申請してくれ。お前が束を説得しろ」

 

俺の言葉に更識はサムズアップして打鉄一式丙で通信を束へ繋ぎ説得を始める

 

頼む束、更識を止めてくれ。俺には止めれない






お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

トーナメント戦 4

 

 

「くっ・・・これほどまでに実力の差が有るのか」

 

シールドエネルギーがレッドゾーンに入った事を告げる警告音を聞きながら俺は必死にレーザーの雨の隙間を縫うように飛び回る

 

 

試合が始まり20分、更識のサポートでどうにか撃墜判定は免れているが、やることなす事全て先手を打たれてジリジリとシールドエネルギーを削られ続いている

 

最悪な事にオルコットの相方を撃墜する事すら出来ていない

 

「やっぱりアレを」

 

打鉄の特性である対物シールドを上手く使いレーザーを防ぎながら言う更識に

 

「束に使用禁止されただろ、使用制限解除しないと使えないんだよ」

 

次元潜行と浮上を繰り返しながら更識へ返答し、未だ余裕の表情をしているオルコットを睨む用に見て考える

 

 

確かにアレを使えば勝機は有る、だがオルコットはそれすら想定している可能性がある

 

オルコットは兎も角、相方の方は撃墜出来るだろうが、リスクに見合わない博打だ

 

俺が更識を背負って次元潜行し死角へ浮上、近距離から最大火力をブチ込むなんて戦法をオルコットが想定してるとは考えたくない、うん

 

 

かと言って無策にかわし続けるのも無理だ、オルコットは まだ何か隠している予感がする

 

「・・・仕方ない、戦術Bだ。Bなら使用制限に触れない」

 

「・・・了解」

 

不満そうに返信をする更識に少し頭が痛くなったが、シラツユでスモークグレネードを撃ち煙幕を焚いて次元潜行し更識の背後に浮上して

 

「オルコットは後回しにして相方を落とそう」

 

「それは同意、多少の被弾は覚悟しとく」

 

更識は前方に対物シールドを展開し俺は更識の背中へ手を添える

 

「コレがダメなら次は無いな、シールドエネルギーがレッドゾーンだ・・・行くぞ」

 

俺の言葉に頷く更識を確認し、猛鷲戯画を発動させて推力全開で更識を押し、相方の方へ加速して煙幕の中を突っ切り、相方へ更識が体当たりを敢行し俺は当たる直前で次元潜行し加速したままオルコットの方へ旋回して浮上し

 

「一矢報いてやる!」

 

ムラサメを構えて突貫すると

 

「あら、此方に来ましたか。ならば受けて立ちましょう」

 

オルコットはレーザーライフルの銃剣を使う構えを取り微笑む

 

 

剣士としての意地で絶え間なくムラサメを振り続け、オルコットは銃剣とシールドを巧みに使い刃を逸らしいなし、最終的に俺は一瞬の隙を突かれてレーザーの雨に打たれ撃墜判定を貰う結果になった

 

 

「すまん更識、届かなかった」

 

空を見上げ呟くと、試合終了のブザーが鳴り、俺達の負けを知らせる

 

 

目線を更識へ向けると、更識の顔は不満は無くやりきった表情をしていた

 

 

俺は、俺達は今出来る全てを使って戦い負けた、だから後悔はない

 

 

後で反省会だな、更識とオススメのアニメでも見ながらやろう

 

 






お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

反省会

 

 

トーナメント戦で優勝したのはオルコットのタッグだった、決勝ではボーデヴィッヒと当たり激戦を繰り広げなかなか良い試合だった

 

それから一夏に誘われて反省会に更識を連れて参加したわけだが、翌日が休みとあってか、千冬さんも普通に居た上に缶ビール飲んでいた

 

 

いいのか? 教師 と少し思ったが飲みすぎない様に見張れば大丈夫だろう、うん

 

ちなみに場所は騒いでも迷惑にならない整備室で、畳やら何やらの準備を束と箒、一夏がやってくれた

 

「みーくん お疲れ様」

 

「ありがとう束、もっと頑張らないとな」

 

隣に座る束が労ってくれたので お礼を言い少し考える

 

 

猛鷲戯画の使い方は今のままで正しいのか、と

 

何か見落としている様な気がしてならない、俺は猛鷲戯画を理解しきれていないのではないか?

 

と物思いにふける

 

「どうした? 命、珍しく俯いて」

 

ちゃぶ台を挟んで向かい側に千冬さんが缶ビール片手に座り尋ねてくる

 

「いえ少し考え事してるだけですよ千冬さん」

 

俺を苗字ではなく名前で呼んだので俺も名前で呼び理由を話す

 

「考え事? そうか漸く束との結婚式をする決意を固めたのか」

 

「ちょっ、千冬さん!?」

 

と千冬さんはとんでもない事を口走り、当たり前だが周りにも聴こえている為、すぐに囲まれる

 

 

「みとみと 結婚するの? 誰と〜? 」

 

相変わらずダルダルに余った袖の制服姿の布仏が興味深々に言い

 

「お前は姉さんを待たせ過ぎだぞ、命」

 

謎のお叱りをしてくる箒

 

「やはり2人はそうゆう関係だった、と・・・末永く爆発して」

 

 

祝ってるのか罵ってるのかよく分からない事を言う更識

 

「あらあら、とてもおめでたいですわね。僭越ながら私もお手伝いさせて下さいね?」

 

この中ではいたってまともな事を言うオルコット

 

「いや、ちょっと待てって! 束とはいずれ結婚するけど、まだ早いと思ってるんだ」

 

思わず そう言うと、全員ニヤニヤみたいな笑みを浮かべ

 

「おぉ みとみと は漢ですなぁ」

 

と布仏を始め俺をイジりだし収集が付かなくなってきたので元凶の千冬さんを見るとニヤニヤしながら缶ビールを飲み

 

「ちゃんと束を幸せにしろよ命? 」

 

と言う

 

ダメだ、この人だいぶ酒回ってる と判断し、束を見るとなんかスゲーにこにこ して嬉しそうにしていて助けを求めるのを諦める

 

 

とりあえず騒ぐガヤに適当な返答をしつつ何か忘れている様な気がし始め何かモヤモヤとする

 

学園生活には全く必要ないが割と重要な事を忘れている様な?

 

 

とりあえず目の前のガヤ達をどうにかしないと、と考えて ふとボーデヴィッヒとクロエが居ない事に気付く

 

最初辺りには居た筈なのに

 

まぁトイレかも知れないし、気にしないでおこう

 

 





お待たせしました



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

半生会

 

 

 

トーナメント戦を惜しくも準優勝と言う成績になってしまったが、全力を出した結果なので悔いは無い、むしろ好敵手が出来て嬉しいぐらいだ

 

放課後、反省会と言う名の打ち上げへ一夏から誘われて相方と共に参加する事にした

 

指定された整備室へ足を運ぶと、いつもの面々と教官、天災が既に雑談をしていて、適当に挨拶をして用意されていた飲み物を適当に紙コップへ注いで飲む

 

程なくして教官が一応の形として乾杯だけして各々が好き好きに行動を始め、視界の端に白銀を見つける

 

あまりに唐突な事に驚いて混乱している頭を必死に御し、身体は無意識に彼女の元へと向かう

 

私の生涯を賭してでも見つけると決めていた私に残された唯一の肉親、声を上げて名を呼びそうなのを堪え、逸る心を抑え、私は彼女の前に立つ

 

「・・・あぁ、やはり姉さんだ。クロエ姉さん、会いたかった」

 

「久しぶりですねラウラ、漸く再会出来ましたね」

 

泣きそうな私を姉さんは優しく抱き寄せ私の頭を撫で言う

 

「ずっと探していた、会いたかった、姉さん、ずっと会いたかった」

 

姉さんの温もりに私は我慢の限界を迎え涙が溢れ出し、涙を流しながら姉さんを抱きしめる

 

「私も会いたかったですよラウラ、私は此処にいます。何処にも行きませんよ」

 

姉さんは優しく私の頭を撫で安心させる様に言葉を紡ぐ

 

姉さんは口数は少ない無口な方だったが、別にクールな訳では無く私の様に荒事をするタイプでは無いお淑やかな子供だった

 

小さな頃は、良く姉さんに怒られていたっけ

 

しばらくして私が落ち着いたのを見計らって姉さんは私の手を引き、整備室を出て隣の部屋へ入り

 

「せっかく再会出来たので、皆さんには悪いですが今夜は私がラウラを独り占めする事にしますね?」

 

姉さんは悪戯っぽく言いニコリと笑む

 

「嗚呼、もちろん構わない。話したい話は山程あるからな」

 

私は力強く頷き、姉さんが用意したであろう椅子に座りテーブルを挟んで姉さんと対峙する

 

それから私達は、生き別れてからこれまでの話を互いにして空白を埋めてゆく

 

食い扶持を得る為に軍学校へ入学した事、ISの適正が高い事が分かり軍人では無くIS競技者になる事にした事、ドイツ代表候補生になり専用機を受領した事、国家代表になりテレビに出れば姉さんを探し出せると思っていた事、それらを全て話した

 

姉さんを探し出すと言う目的を達成してしまったが、この先も私は生きて行く、生きて行く為には手に職を持たないといけない

 

ならば、私はドイツ代表になる事にしよう

 

IS学園(ここ)には好敵手が沢山いる、彼女達と切磋琢磨する事で私は更に強くなれる

 

それに、姉さんにカッコいい姿を見せたいしな

 

 






お待たせしました


もともと入れる予定だった話を入れました

ちなみに、ラウラとクロエが双子か年子か それ以上かは決めてません←



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オーシャンズ・イレヴン 1

 

 

反省会から時は流れ7月、夏の訪れを感じさせる季節がやってきた

 

 

もう1週間程したら1度 実家に電話をしなければならないなぁとボンヤリ考えつつ臨海学校へ向かうバスに揺られながら窓の外を眺める

 

 

今年は束も箒も居るから俺の出番は少ないと思うが、神楽舞を2人がしてくれたらの話だ

 

それはそれとしてクロエとボーデヴィッヒが姉妹だったとは驚いた、確かに言われて見れば似ている気がする

 

となると、ボーデヴィッヒも養子にするとか言いそうだな束だな

 

 

まぁ異論はないから良いか

 

そんなこんな数時間バスに揺られて臨海学校の目的地へたどり着きバスを降りて軽く伸びをしていると千冬さんの集合の声が聞こえ荷物片手に列に加わる

 

「今日から3泊4日の臨海学校を始める、初日の今日は自由時間だがはしゃぎ過ぎて明日から2日間ある非限定空間による実機実習に影響を出さない様にしろ、私とて言いたくは無いが教師である以上は言わねばならない。宿に入る時に必ず従業員の方に挨拶をする様に、いいな? 」

 

相変わらず良く通る声で威厳たっぷりに言う、ほんと酒が入ってなければカッコイイお姉さんなんだけどな、残念だ

 

 

そんな訳で部屋へ荷物を置きに行く訳だが、1年全員が此処にいるのでなかなか中に入れない

 

ま、良いか。焦る必要も無いしな

 

ひとまず難しい事は明日考える事にして、まずは海を楽しむ事に決めそれなりに時間はかかったが、部屋に荷物を置き 水着に着替え必要な物を持って部屋を後にする

 

ちなみに一夏と俺は同室で、隣の部屋は千冬さんと束の部屋になっている、まぁ妥当な配置といえば妥当かも知れない

 

そんな訳で一夏と共に浜に行き

 

「まだ日が高いから、少し傾いてからにするか」

 

「そうするか、まずは箒を探さないと・・・」

 

俺の言葉に一夏は頷き、人混みを好まない箒を探す為にキョロキョロしながら移動を始める

 

とりあえず一夏の後ろを歩きながら進むと、束より少し重い体重が両肩に掛かったので

 

「鈴、お前っと本当ネコみたいだな」

 

出会った頃から身軽で体幹がヤバイ鈴が俺の上に立っているので歩いたまま見上げて苦情を言う

 

「良いじゃない減る物でもないし、いつもでしょ? 」

 

「いつもソウだから言ってんだよ」

 

1ミリも悪びれない鈴を見て溜息を吐きつつ進む、当たり前だが同級生の注目を集めていて少し居心地が悪い

 

「あ、なぁ鈴、お前折角高い位置にいるんだ、箒見えないか?」

 

「箒? 箒なら篠ノ之先生に日焼け止めを宿で塗られてたわよ? 」

 

何となく思い付きで尋ねると、鈴から予想外の答えが聞こえ

 

「一夏、宿だってよ。鈴の情報が正しければ束も一緒だろうな」

 

「だな、振り出しだな」

 

俺の言葉に頷いて笑い、きた道を戻る一夏の肩へ鈴が飛び移る、やっぱり鈴はネコなのかも知れない

 

妖怪 猫娘みたいな?

 

 





お待たせしました


かなり間を飛ばしましたが、お許しください

今のところ、アニメ1期分で終わらせる予定です

宜しければ最後までお付き合いください



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オーシャンズ・イレヴン 2

 

 

鈴を肩に載せたままの一夏と共に宿の方へ歩いていると、丁度 束達が浜へ降りてきていた

 

「やぁやぁ みーくん、待たせたかな? 」

 

スク水を纏い髪を纏めた束がクロエが挿す日傘の下でニコニコしながら訪ねてくる

 

「少ししか待って無いし、大丈夫」

 

とりあえず、何故かモジモジとしている箒は一夏に任せて束に答えて

 

「で束、なんでスク水? この前、箒を連れて水着を買いに行ってたよな? 」

 

素直に疑問を投げかけると

 

「勿論、似合ってしまうからだよ!! 」

 

とドヤ顔をして言う

 

うん、成人女性とは到底思えないほどに似合ってるよ束、でもさ俺だって男な訳で、少し・・・ほんの少し期待していたんだ

 

 

とは言う訳にも行かず全て飲み込み

 

「そうか、なら仕方ないな。さ、時間は有限だし行こう」

 

「うん」

 

俺の言葉に束は頷き歩み始め、俺はチラッと一夏を見てみると鈴がいなくなっていた、相変わらず猫の様な奴だなぁと思いつつ束と並んで歩くと

 

「あ、篠ノ之くんだ。ビーチバレーするんだけど、やらない? 」

 

「みとみと〜やろ〜」

 

クラスメイトの普通の水着姿の谷本とピカチュウみたいな着ぐるみみたいな水着姿の布仏がビーチバレーに誘ってきたので

 

「束、どうする? 」

 

「良いんじゃない? 君は もう少しクラスメイトとコミュニケーションを取った方が良いよ? 」

 

俺の質問に、割とマジトーンで言われてしまう

 

これでもコミュニケーションは取ってるつもりではあるんだが、束に言わせれば足りないらしい

 

「やるわ、チームは? 」

 

参加する事にして尋ね、ほどほどに人数が集まったのでビーチバレーが始まる

 

最初は俺、いつの間にかいた一夏、デュノアのチームVS布仏率いるチームでビーチバレーを始め、布仏の奇跡的なスパイクが何故か観戦しながら同級生と雑談していたボーデヴィッヒの顔面にクリティカルヒットし、ボーデヴィッヒはマンガの様に吹っ飛び砂浜に沈み、側にいた同級生がラウラに駆け寄り心配する中、悪ノリしたクラスメイトが衛生兵 衛生兵と叫び始め

 

「くっ・・・今ので左目をやられてしまったらしい・・・私はここまでらしい・・・無念だ・・・あぁ・・・最期に姉さんに会いたかった・・・」

 

空気を読んだ(わるのりした)ボーデヴィッヒが負傷兵のマネをし始めて何ともカオスな空間が出来てしまった

 

と言うかノリ良いなボーデヴィッヒ、お前のイメージが崩れたわ

 

あと、お前の姉は何で微笑ましげに穏やかに笑んでるんだ?よく分からんし、束は爆笑してるし・・・カオスだ

 

因みにビーチバレーのボールはビニール製の柔らかい素材なので顔面に当たれば多少は痛いが怪我をする様な代物では無いからこその茶番なのだろうが・・・ウチのクラスメイトはノリが良すぎて、他クラスの同級生が少し困惑・・・いや若干引いていた

 

その後、ひとしきり茶番が終わり何事もなかった様にボーデヴィッヒは立ち上がってビーチバレーは再開されたのだった

 

 





お待たせしました

短くて申し訳ないです




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゲット・レディ

 

 

 

あの後、千冬さんもビーチバレーに参戦し千冬さん・束・山田先生の教師陣 VS 俺・一夏・箒の身内陣の試合になり、山田先生は持ち前のサポート力を駆使して繋ぎ、束・千冬さんの言葉すら交わさずに連携をするプレーに押されたが、俺達だって伊達に長い付き合いでは無いので善戦したが、束の見た目から想像出来ない跳躍力でエグい角度のスパイクを決められて負けてしまった

 

いつの間にか観客が増えていたのは驚いたが、まぁ楽しかったしよしとしよう

 

そんな訳で海を盛大に満喫した翌日、実機実習か始まる

 

やる事は、非限定空間に於ける機動 これは全生徒が行う実習だ

 

その他に専用機持ちの代表候補生には各国から追加パッケージが送られてきているので、それのテストをしてレポートの提出

 

整備士志望の生徒は、追加パッケージのインストールの補助と簡易メンテナンスの手伝い

 

とか色々とやる事が多い、だからこそ初日は息抜きをさせる訳だ、うん

 

 

そんな訳で国とかのしがらみが皆無な俺と一夏、箒は実習を終えた後は特にテストするパッケージも無く一夏と箒は整備課に加わってメンテの手伝いに、俺は猛鷲戯画の使用法拡大のテストをする事になった

 

そもそもの話、白式は零落白夜でバススロットに空きが無くてパッケージをインストール出来ないし

 

紅椿に至っては追加パッケージ不要で紅椿自身が武装を含めて進化して行くシームレスシフトが搭載されているから2人は追加パッケージがない

 

 

俺は猛鷲戯画を使用しても周りに被害が無い場所へ羽黒を纏い、準備をする

 

「計測機器の配置完了、異常なしっと。みーくん、こっちは大丈夫だよ」

 

とサポート役を買って出てくれた束の言葉を聞き頷く

 

 

「それじゃ実機テストを始めよう」

 

「あぁ・・・」

 

俺は羽黒を受領してから数回しか使ったことの無い対物狙撃銃シグレを展開し構えて猛鷲戯画を使用し謎粒子をシグレの銃口へ収束させる

 

 

そして30秒程経過しチャージ完了のメッセージが表示されたので引き金を引き発砲すると、弾丸に導かれ高出力ビームが沖の的を射抜き馬鹿でかい水柱を作り出し爆音が響き渡る

 

「えぇぇ・・・」

 

仮想訓練装置で検証した時より明らかに威力が高かったのでドン引きしてしまった

 

これは封印するか、チャージ時間か粒子濃度を下げなきゃならないだろう、じゃないと安心して試合で使えない

 

「あははは、凄いね みーくん」

 

めっちゃ無邪気な束の笑顔に癒されるが、なんでそんなに嬉しそうなのか疑問に感じつつ

 

「凄すぎて試合とかで使えない、改良の余地有りだな」

 

「そうだね、でもMAXが分かったんだ、ダウングレードは簡単だから任せて? 」

 

俺の言葉にニッコニコしながら言う束に頼もしさを感じ

 

「次だな」

 

シグレを格納して猛鷲戯画を使用し謎粒子を羽黒に球体状に纏う様なイメージをすると羽黒を黄緑色の膜が羽黒を包む

 

「よし、第1段階は成功っと・・・次が本場だな」

 

「みーくん、撃つよ〜」

 

俺の呟きを知ってか知らずか束は そう言い返事をする間もなく羽黒へ戦車の主砲から発射された砲弾が直撃する

 

だが、多少の衝撃は有ったもののダメージはゼロだったので成功したようだ、良かった

 

「うん、成功だね! これで例のアレの解決策が見つかったかもね? 」

 

「アレが安全に使えれば最悪の事態に対応出来るかも知れないしな」

 

 

これを足掛かりに出来れば、一夏や箒 仲間を守ることが出来るかも知れない

 

そう考えてつつ改めて猛鷲戯画の効果を思い出す

 

『粒子を用いて様々な事が出来る』

 

うん、説明文がこれだけなんだよなぁ

 

羽黒を含めISは行動する時にスラスターから光子 または 粒子を吐き出す、その謎粒子を使用出来る と言うのが猛鷲戯画の能力だ

 

羽黒が羽撃けば衝撃波を発生させられるし、次元の裏側へ潜る次元潜行をする事が出来る

 

そして俺は次元潜行と言う目に付きやすいチカラにばかり目が向き、本来の用途であるはずのモノに気づいていなかった

 

それが収束砲と粒子防壁だ

 

次元潜行よりリスクが低く制御も楽なのも売りだと思う

 

とはいえ、射撃はあまり得意ではないので無いよりはマシ程度だな、うん

 

 

あとは束が羽黒に専用の追加装備を作ってくれたらしいし、それを試すか

 

 

そーいや今日は七夕か、あとで一夏に箒へプレゼントを持って行かせよう

 

千冬さんも少しは目こぼししてくれるだろうしな

 

 

世界が平和でありますように、短冊には そう書いておこう

 

 

 

 

 





お待たせしました




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

彼等の飛翔

 

 

慌しく整備科の先生と同級生達が俺達の周りを行き来し絶え間なく作業の音と指示や質疑応答が行き交う

 

 

「・・・はぁ、ささやかな願いも叶わないとは」

 

羽黒の中で溜息を吐き愚痴る、まぁ愚痴をこぼした所で状況が好転する訳では無いが、愚痴を言いたくもなる

 

俺の羽黒を含めた、この場に有るISの全てが浜に横並びに揃い踏みし、簡易的な整備と各々のパッケージや追加武装を換装している最中だ

 

理由は至極簡単、ファントムタスクとか言う輩が此処に向かってきているからだ、とても分かりやすいだろう?

 

アリーナを襲撃した無人機を中心とした機体群が今もなお進行してきていて、限られた時間で準備し迎撃をしなければならない

 

 

「時間も無いので、これよりブルーフィングを行う。敵は無人機を中心とした群体だ、数は無人機が8と米・イスラエル共同開発の最新鋭試験機が1だ、無人機は勿論アップグレードがされている可能性が高い上に試験機は期待特性上、並みの搭乗者とISでは返り討ちになる可能性が高い、本来ならば学生たる諸君を戦場に送り出す事は大人として恥でしかないが、我々教師陣だけでは手も足りず必要な時間すら稼げない。諸君等への命令は1つ、敵を倒し必ず返って来い 以上」

 

 

目の前に表示された資料に目を通しながら千冬さんの言葉を聞き、腹をくくる

 

 

本当なら自分が行きたかっただろう、一夏や俺、箒を戦場に送り出したくはなかった筈だ

 

千冬さんの動きに打鉄とリヴァイヴが付いていけない以上は千冬さんは出撃出来ないし、千冬さんは学年主任だ 司令部から離れる訳には行かない

 

 

そんな千冬さんの心中を察していると

 

「みーくん、行かないで・・・と言っても君は行くのだろうね? 」

 

俺の正面に束は立ち、少し泣きそうな表情で言う

 

「・・・あぁ、仲間を送り出して自分は安全地帯に居るなんて俺には出来ない。勿論、死ぬつもりは無いから安心してくれ」

 

俺は軽く頷いて言うと

 

「約束だよ? 必ず、必ず帰って来て」

 

束は そう言い祈る様に言った、普段では絶対に見せない姿を見て必ず仲間達と生きて帰る事を誓う

 

「全機、回せ!! 」

 

千冬さんの号令で各々が自分のISの主機に火を入れアイドリングを始める

 

「これより迎撃作戦を始める、全機出撃! 」

 

千冬さんの号令で次々に舞い上がり隊列を組む

 

「では強奪機へは、一夏・箒・命・ラウラが向かえ。お前達のISは機体相性が比較的に良い、ラウラを小隊長に任命し以降は指揮を委譲する。頼むぞ」

 

「了解しました教官、必ず生きて帰します」

 

千冬さんの指示を聞きボーデヴィッヒの返事を聞いて更に腹をくくり

 

「三人共、俺が足になるから追加スラスターの取っ手を握ってくれ」

 

俺の役割、3人・・・特に一夏とボーデヴィッヒのを消耗させずに接敵する事、そしてある程度距離を詰めてからボーデヴィッヒと次元潜行を用いて奇襲、強奪機をAICで拘束した後 全力全開の零落白夜を強奪機に叩き込み無力化する

 

いくら速かろうと、俺と羽黒からは逃げれないと知らしめてやる

 

 





お待たせしました


早かったら後2〜3話で最終話になります

その後、エピローグを入れたり、気が向いたら番外編を入れるかも知れません



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

シン・デッドライン

 

 

衝撃で息もままならないまま仄暗い水の底へ泡の軌跡を残しながら沈んで行く

 

これが戦場、予想通りになんて動く訳がなかった

 

強奪機・・・銀の福音の搭乗者は明らかに戦場に、人を殺す事に慣れていた、そんな奴が襲撃をするにあたって事前準備を怠る筈は無く、結果 俺は海中へ叩き落とされて今にも意識が途切れそうだ

 

今、気を失えば多分死ぬかも知れない、一夏達は福音を相手にするので手一杯だから俺を回収する余裕も暇もない

 

こんな事なら全て推進力へ回さず、少しは防御にもエネルギーを回しておくべきだったと後悔しながら泡に赤色の軌跡が混ざっているのを見つける、どうやら 装甲を抜かれてしまっていた様だ。道理で水がしみると思った、このままではマズイと思い行動をしようとして目の前が真っ暗になり、気づくと 何処かの教室に立っていた

 

「は? なんだ・・・ここは」

 

見覚えの無い教室を見渡す

 

有り触れたよくある教室で、黒板の上には時計が有り、時刻は正常にしめしている

 

「チカラが欲しい? 」

 

音もなくいつのまにか 目の前に立っていた茶髪をツインテールにし、茶色いブレザーを着た どこか眠たげな少女が俺へ訪ねてくる

 

「欲しい、今 俺にはチカラが必要だ」

 

俺は迷わずに少女を見据えて言うと

 

「なぜ、チカラ望むの? 」

 

真っ直ぐに俺を見据え少女は問う、チカラを望む理由なんて決まっている

 

「仲間を守る為だ、この世界は平等なんて存在しない。話せば分かり合えるなんて綺麗事だ、毎日どこかで誰かが傷つき泣いている。そんな世界だ、だから此の手が届く範囲では そんな理不尽から仲間を、守ると決めた束を守る為に戦うチカラが欲しい」

 

俺も真っ直ぐに少女を見据えて言う、死ぬのは嫌だが怖くはない。束を守る為なら惜しくもない

 

少女は そんな思考を知ってか知らずか静かに頷き

 

「ならチカラをあげる、でも注意して? 機体装甲とかさ治せても身体は治せない、だから長時間の戦闘をした場合、命の保証は出来ない」

 

「充分だ、死ぬ前に倒してしまえばいい、簡単な話だ」

 

真面目に、説得する様に言った少女に 俺が そう言うと彼女は呆れた様な表情をし溜息を吐いて

 

「今言った所で無駄だから言わない・・・さ、束博士(おかあさん)が待ってる、さっさと倒して帰ろう」

 

少女が そう言った瞬間、目に映る景色が再び海中に戻る

 

しかし、先程とは違う。意識はハッキリしているし今なら勝てる気がする

 

俺は猛鷲戯画を発動させて次元潜行し、海中から脱出し次元潜行したまま加速を続ける

 

そして限界まで加速しきった所で浮上し福音にタックルして、そのまま再び次元潜行して福音を次元の裏側に引き摺り込み直ぐに距離を取って浮上し

 

「悪い、待たせた」

 

とりあえず何もなかった風を装って言う

 

 

やべ、左脇凄く痛い、マジで痛い

 

これは束と千冬さんに怒られるな、と思い憂鬱になった

 

 

 






お待たせしました


これぞ、殺人タックル! ←



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

星河が掛かる空

 

 

 

 

かなり憂鬱になりながら3人と共に左脇腹の激痛に耐えつつ帰還すると、IS学園から召集されたであろう後詰の打鉄とリヴァイヴが砂浜に並び、束と千冬さんが指示を出していて、それを見て気が緩んでしまったのか、急に意識が朦朧としてきて砂浜に不時着し気絶してしまった

 

 

どれぐらいの時間が経ったのか分からないが、目を開けると部屋は茜色に染まっていて、俺は布団に寝かされ左腕には点滴が刺さっていた

 

「・・・起きないと」

 

右腕を使い身体を起こそうとして左脇腹に激痛が走り身体が強張るが無理矢理身体を起こして左脇腹を見ると、明らかに怪我してます と主張する血の滲むガーゼが貼られていて間違いなく怒られる覚悟を決めて立ち上がって点滴の掛けられたポールみたいな奴を左手で持ち寝かされていた部屋を出る

 

「・・・急がないと、手遅れになるしな」

 

自覚している以上の血を流していた様で少し怠い身体に鞭打って数分歩き、臨時司令部へ行き

 

「ちふ・・・織斑先生 」

 

後処理の指示を出していた千冬さんに声をかけると、一瞬驚いた表情をした後、睨む様な目付きになり

 

「命、もう目を覚ましたのは驚いたが、何故ここへ来た? 片腹に穴空いてるのだぞ? 安静にしていろ、命令だ 」

 

この声色には、プライベートの時の優しさが含まれていて少し申し訳無くなるが引く訳にも行かないので

 

「急ぎの用件が有ったので・・・襲撃犯をサルベージしないと行けませんから」

 

まぁ別に襲撃犯が どうなろうと知らないが、コアは別だ

 

銀の福音のコアは束が造ったいわば娘の様な物だ、無人機に搭載されたレプリカコアとは違う

 

それに襲撃犯から情報を得る事も必要だろうし?

 

真っ直ぐ千冬さんの目を見て言うと

 

「はぁ・・・報告は受けている、束の予測だと最長2日らしいな? 無論生命維持を最優先し無駄を極限まで省いたら、だが・・・奴が まだ戦意が有る可能性もある、単機での出撃は許可できない、と言っても行くのだろうな、お前は」

 

千冬さんは、珍しく困った様な表情で苦笑して言い

 

「山田先生、ボーデヴィッヒと箒、織斑を召集してくれ」

 

千冬さんは山田先生に指示を出して

 

「お前がやる事は奴をサルベージする事だけだ、万が一戦闘になった場合、間違っても戦闘に参加するな、その傷は決して軽くない」

 

いつもの教師の顔から、昔から知るお姉さんの顔になり心配した様子で言われてしまう

 

正直、戦闘をするつもりはない、ないが絶対なんて無いのが この世界だ

 

「・・・善処します」

 

それだけ言い、司令部を出て砂浜に降り水平線に沈む太陽を眺める

 

 

俺の予測が正しければ、襲撃犯は行動不能状態にある筈だ

 

銀の福音は高機動型だから装甲が薄めだ、だからダメージが通りやすいし、強奪された直後なら装甲が換装されている可能性も低い

 

とはいえ予測だから、行って見なければ答えは分からない

 

しばらく海を眺めていると

 

「準備はいいか? 」

 

「あぁ、問題ない」

 

ボーデヴィッヒの言葉に答え点滴の針を抜き投げ捨て羽黒を纏うと、3人も自身の専用機を纏い

 

「それでは2回戦を始めよう」

 

ボーデヴィッヒの号令で隊列を組み襲撃犯を沈めた場所へ行く

 

 

数十分程度で現場に到着し

 

「それじゃサルベージしてくる、もしもの時は頼んだ」

 

それだけ伝え猛鷲戯画を発動させて次元潜行をし、襲撃犯を探すと直ぐに見つかり襲撃犯は死んだ様に浮かんでいたので、さっさと回収して浮上し一夏に渡すと、箒が何処からかロープを取り出してして襲撃犯を簀巻きにする

 

「あー・・・ひとまずは任務完了、か? 」

 

既に待機状態の銀の福音を回収して呟くと

 

「ご苦労様、さ早く帰っておいで? もうすぐ夕食の時間だよ? 」

 

タイミングを見計らったかの様に束から通信が入り、そう告げてくる

 

 

「了解、これより帰投する」

 

なんともパッとしない幕引きだったが、まぁ何もなくて良かった。何もないに越した事は無いしな、うん

 

再び隊列を組んで帰路を飛び、今度は普通に砂浜へ着地して羽黒を解除すると左脇腹が軽く痛む

 

本当なら安静にしていないと行けない怪我なのだから当たり前か、とか考えつつ宿に戻る

 

「改めてご苦労様、さぁさぁ夕食の時間だよ? ただし・・・命、君には話が有るから」

 

優しげな微笑みを浮かべていた束が出迎え労ってくれたが、終盤は笑んでいるのに目が笑って無い状態で、愛称では無く本名で俺を呼んだので、腹をくくる

 

そんな俺を見捨てる様に、そそくさと3人は去り

 

「ちょっと着いてきて? 」

 

有無を言わさないオーラを纏った束に言われ着いて行くと俺が寝かされていた部屋に辿り着き入室し、座る様に言われたので正座で座ると、案の定 お説教が始まった

 

全面的に俺が悪いので、ぐぅの音も出ないから黙って聞き素直に反省する

 

「怪我は仕方ない、でも もう無茶はしないで・・・ね? 命 」

 

そう言い泣きそうな表情で言った束を立ち上がって抱きしめ

 

「わかった、無茶はしない。無茶しないでも勝てる様に強くなる、せめて此の両手が届く範囲もモノは守れるくらいに」

 

「約束だよ? 」

 

俺の言葉に束は抱きしめ返してきて言う

 

 

しばらくして離れた束に待機状態の銀の福音を渡して

 

「束、少し此処で待っていてくれるか? 」

 

「ん? うん、構わないけど」

 

束に了承を貰い一度 部屋へ戻って自分の荷物から目的の物を取り出し再び束の元へ戻ると、束は部屋に備え付けられた露天風呂の有るテラスに出ていた

 

「お待たせ」

 

部屋の扉をしっかり閉めてから束へ声を掛けると

 

「みーくん、綺麗に星が見えるよ? 天の川だね」

 

そうニコニコとして束は言うので隣に立ち空を見上げると、視界いっぱいの星空が広がっていた

 

「束、俺と結婚してくれないか? 必ず、幸せにしてみせる」

 

片膝をついて指輪の入ったリングケースを束へ差し出す、ベタだがこうゆうのさベタぐらいがいい

 

「もちろん答えはYESだよ、みーくん」

 

ニコニコ笑み、左手を出して来たのでリングケースから指輪を取り出し束の薬指にはめると束は本当に嬉しそうに笑み、抱きついてきたので受け止める

 

「ありがとう、みーくん。待った甲斐があったよ」

 

「待たせてごめん、本当に結婚できるのは、まだ先だけどな」

 

束の言葉に答えると、なんか束の纏う雰囲気が変わったのを感じ

 

「束?どうかしたか? 」

 

身体を離して束を見ると、いつもの無邪気な表情ではなく約5年前の事件の時に見た表情をしていた

 

「た、束? ま、まさか? 」

 

さすがに早い気がしたので宥めようとした瞬間

 

「ふふふ、大丈夫だよ? もう何も心配はないからね、命」

 

そう見た目不相応な大人の笑みを浮かべて、俺を部屋へ引きずっていく

 

少し抵抗したり説得を試みたが、チカラでもクチでも束に勝てずに結局、抗うことが出来ず俺は卒業した。ついでに血はいっぱい出た、俺から

 

それが原因で完治までの日数が伸び、千冬さんに2人して怒られたのは言うまでもない

 

 

でもまぁ、これで言いと思う

 

最愛の人(たばね)がいて親友がいて家族と仲間がいて、バカやったりして怒られたり、喧嘩をする事もある

 

そんな有り触れた日常でいいと思う

 

せめて、この両手が届く範囲で護ろう、そう改めて誓う

 

 

俺は、俺達はきっと夢を掴めるだろう、否 掴んでみせる

 

 

俺達はチカラの限り進むのだから

 

 

 

 

 






お待たせしました


正直、微妙で申し訳ない



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エピローグ 『 限りなき空 』

 

 

初夏の風が吹く7月7日の朝、俺は毎日の仕事である雑務の1つの境内の掃除をしている

 

 

あの日から早いもので10年の月日が流れ、10年の間で様々な変化があった

 

まず俺と一夏の3年間に及ぶ記録を解析し分析した結果、ISの欠点で有った搭乗者の性別を選ぶ点が改善された事

 

それに伴い俺と一夏は将来を縛られる事も無くなり、自分で未来を掴む事が出来た、一夏は千冬さんが成せなかったモンドグロッソ二連覇に挑戦中、俺は実家を継ぐ為に下積み中だ

 

次に現実的にISが犯罪に使われなくなった・・・否、使えなくなったが正しいか

 

俺達がIS学園を卒業し進学なり就職なりをした直後ぐらいに、ISコア達は人の姿になれる様になり自分の意思を持ち自分で行動が出来る様になったわけだ

 

そしてコア達は束を母親と言い、束の夢の実現に協力している

 

その内、ISコア達も恋を知り愛を知り伴侶を得る日がくるのかも知れない

 

 

「今日も良く晴れてるな・・・暑くなりそうだ」

 

参拝客が来る前の涼しい時間帯にサッサと掃除をしながら既に元気な太陽を浴びて呟くと

 

「お父さん、行ってきます」

 

束に似た顔立ちをした娘が声をかけてきたので

 

「おう行ってらしゃい、カガミ気をつけてな? 今日も暑くなりそうだから」

 

「はい、行ってきます」

 

俺と束の子供にしては妙に落ち着いている我が子(かがみ)を見送り掃除をして朝の準備をする

 

結局、10年前のアノ日、驚きの命中精度で束は見事に身籠り10月10日後に長女(かがみ)が産まれた訳だ

 

流石に束を説得してIS学園を卒業するまでは控えたけどな、色々

 

そんなこんなで陽が高くなり参拝客がチラホラ現れ始め俺達の仕事も本格的に始動する

 

 

10年前と変わった所の1つ、篠ノ之神社の繁盛ぶりが凄いこと

 

大きな理由の1つはISの発明者である束の生家であり居城である事だ

 

つまりIS関連の聖地化している訳だな、だから参拝客は世界各地から御利益にあやかろうと参拝に訪れる

 

まぁ殆ど日本人だけど

 

と言っても地元の参拝客も居るから全員IS関連とさ言えないが、IS関連の参拝客が多いのは確かだ

 

10年で世界は変化した

 

千冬さんは束が見つけて来た人とお見合いして結婚して今は産休中だし、一夏と箒は20歳になってから結婚して今じゃ二児の母親だし、弾はIS学園の文化祭に招待した時に出会った布仏の姉とつい最近結婚したし、クロエはIS学園で整備科の教師をしていて、鈴とセシリア、ラウラは国家代表を、シャルロットは父親の後を継ぎデュノア社を建て直して今じゃシェア1位になりつつある

 

10年という月日は長くもあり短くもある不思議な時間だ

 

10年で変わる事は沢山あるが、10年経っても変わらない事もある。例えば束の見た目とか、全く変化が無いからカガミと並んでいても姉妹に見えるぐらいだ、おかしいな3児の母親なんだが

 

世界は変化し、10年前より少し、ほんの少しだけ良くなった。そう思う

 

この先も世界は変化を続けるだろう、それが良い方向なのか、悪い方向なのかは俺には分からない

 

だが、願わくば 今より優しい世界になって欲しい

 

娘達が幸せに暮らし、孫の顔を見て老いて死ぬ。そんか幸せな世界に

 

 

この初夏の澄んだ限り無い空の様な美しい世界を願っている

 

 

 

-end-

 

 

 





お待たせしました


エピローグが少し短くて申し訳ないですが、これにて本作は最終回となります

これまでお付き合い頂いた読者の皆様、ありがとうございます


次回作については、書きたいネタが多い為、一旦 自分と向き合ってみようと思います

見切り発車すると、だいたい書き捨てになってしまうので

しばらく作品投稿は無くなりますが、決意が固まり次第 蘇りますのでしばらくお待ち下さい


それでは、ありがとうごさいました



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。