(旧版) 【急募】TSっ娘の俺が、自分に擬態し続けなければいけないんだが…俺はもうダメかもしれない。 (白あんがァァア"↑ すきなの…)
しおりを挟む

ぶっちゃけ、未来での出来事。
第1話 『白っぽい髪の女の子ってクッソカッわいーッ! わかるマーン!!! それはそれとしてコレが新年号最初のssってマ?』


令和初日に作者の気まぐれで投下されたToLOVEるssッ…!
TSボスのジョジョssの方はどうすんだお前!?とか言われても知らなインザミラー!

誰が見るのか…そんなの知るか! 私は好きなモンを好きに書くんだジョルノ・ジョバーナ君♪

あと、あらすじに神様とかなんちゃらかんちゃらその他諸々ss良好どーこーが書かれているけど別に転生か神様転生かなんて今回は別に深く考えてないのでタグは転生のままでイクぞコラァァァァアッ!!!


………。


(なんか色々と)
無駄ァ!


第1話 『トランス☆セクシャル略してTS』

 

「でさ〜! そのアルバイトの店員さんが〜」

「えー!? ホントぉ? ウソでしょー!?」

「今日帰りにカラオケに寄っていかないー? クーポンが明日までで…」

 

教室内で響くクラスメイト達の楽しそうな話し声…その中にひとつだけ落ち込んだ雰囲気を持つ男子生徒がいた。

 

「はァ……」

 

「ん? どうしたんだよ武藤?」

 

オレの名前は結城リト。今、オレは教室で友人二人と休憩時間を過ごしていたんだが…

 

「結城ぃ……僕はもうダメかもしれない……」

 

 

「ハァ? ダメかもって……どうしたんだよ一体?」

 

「あ、えと……それは………

 

 

ーー夜になると大変な事になるんだよ……」

 

いつもは普通に新作のゲームとか、ジャンプの話をしてたら入ってくるのに、今日は珍しくため息ばかりついている友人の武藤(むとう) (つぐみ)。 そのため息の理由(ワケ)を聞いてみたんだが…夜になると大変? どういうことだ?

 

夜……、夜なぁ……?

もしかして近所に歌の練習をしている人がいるとか?

 

 

「夜になるとって……もしかして 騒音とかか?」

 

首を振る武藤。 どうやら違うらしい。

他には…… ごみ収集車が夜来るとかか?

 

「ごみ収集車が夜に来る……とか?」

 

「ごみ収集車って…違うよ。 それに、ごみ収集車が夜に来るって騒音に入らないか?」

 

あ、たしかに。 言われてみればそうだよなぁ。……じゃあ一体、夜になると起こる大変な事って?

 

「おい、リト! 夜になると起こる大変な事っていえば……そんなの決まってるだろ!」

「え、猿山は分かるのか?」

「あったり前よ! 夜になると起こる大変なことなんてひとつしかないぜ!」

 

めっちゃ自信満々だな。これなら期待できるかもしれない。

 

 

「武藤……それはズバリ!

 

下半身だろ!?」

 

オイ!? …思い切り叫びそうになりながら猿山を見る。

「決まったな……」みたいなドヤ顔してる。 いや、下ネタかよ!?

いや、でもこれなら…!

 

「違うぞ?」

違った。

 

「じゃあなんなんだよ? その夜になったらって?」

 

猿山が少しむすっとしながら武藤に聞く。

正直、もう思いつかないので答えが欲しい。

 

 

 

ーーあ、いやひとつだけあったな。

 

 

「……まー、ハッキリとは言えないんだけどさ……」

 

オレが今まで味わってきた非日常。 その始まり…原点。

 

 

宇宙人とかーー

「 見たいアニメが多過ぎて……つらいんだわ!」

 

 

………

 

えー……アニメかよ。

 

 

 

"キーンコーンカーンコーン"

 

 

…………

 

 

「それじゃ武藤、また明日な!」

「ムトー またねー!」

「ムトーさん それでは」

「おう。 じゃあなー 」

 

 

武藤と途中で別れ、ララ達と一緒に帰り道を進む中で、ふと…ある事を思い出した。

 

( あれ? そういや…… )

 

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

オレ、あいつから今までアニメ見たなんて聞いたことないしなぁ…?

あ、でもマジカルキョーコは見てたんだっけ? と思い出す。

 

 

「どうしたんですか? リトさん」

 

首をかしげながら考えるオレを心配ーーというより、疑問に思ったのか一緒に帰っていたモモが、どうしたのかと尋ねてきた。

 

「ンー…それがさ、実は今日の昼休みに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

じゃあなー。 と、()()()()()と一緒に帰っていく友人と途中の道で別れながら家に戻った。

 

「はぁー……危なかったぁ… 」

 

さっきのはかなり危なかったなぁと、冷や汗をかきながら肩に掛けていた鞄を部屋に置きに行く。

 

「…というか、咄嗟に考えたとはいえ、アニメはないよなぁ」

 

別にアニメを嫌悪しているわけではない。()()()()ではアニメを結構見てた方だし。

 

「ただなァ…」

 

僕、()()()じゃ一度しかアニメ見てないんだよね…。

なんか()()()()っていうか…()()アニメと比べてしまうというか……。

 

ボロ出したかな…? いやいや気づいてないだろ。多分。

 

と、ちょっとだけ不安になったので「大丈夫だろ…、大丈夫だよな?」と、自分に言い聞かせながら着替えてからベッドに横になって考える。

 

()()()()()()()()()()()()…」

 

()()()()()瞬間を待ちながら「あ、でも朝になったら一応シャワーを浴びるか…」とか「夕飯何にしようか?」とか冷蔵庫の中身を思い出す。 久しぶりにフレンチトースト食べたいな。

いや、でも晩御飯にフレンチトーストってどうなんだろ…?

 

朝ごはんで作ればいいか。

 

腕を枕にしながら、そんな事を考えていると…ビクンと、()()()()()()

 

 

 

 

 

「はっ…はっ…はっ……くっ……」

 

相変わらず()()()()

 

 

息が僅かに乱れ、荒くなる。

 

本能的に感じる、()()()()()()()恐怖。

 

手はいつのまにか、シーツを握っていた。

 

震える、震える、ふるえる。ふるえるーー

 

 

 

ーー身体が()()()()()

 

 

……………

 

………

 

 

「はぁー…はぁー… ックソ」

 

相変わらず女みたいな… 否、女の子特有の()()()()()()()()()()()、 舌打ちしたくなる気持ちを押さえる。

 

「はぁー……」

 

はき出すため息さえ…澄んだ、所謂(いわゆる)()()()()()()()

 

 

ーー…クソ。

 

 

( あぁ、どうして()()()()()んだろう…。 )

 

ーー何度か繰り返した思考を、疑問を再び浮かび上がらせる。

……この現象が起こり始めたのはいつだったか。

 

視界の端に映る、日本人とは思えないような…()()()()()()()流れる、とても手触りのいい…サラサラとした()()()()を細い……それこそ()()()()()()指でソレをつまみながら漠然と考えてみる。

 

 

………………

 

…………。

 

 

……っ!

 

 

「うぅ…どうして……」

 

 

 

「 …どうして()が …っ!

 

 

ーー()()()にならなくちゃいけないんだよ……っ」

 

 

鼻の奥をスピスピ鳴らしながら現実を嘆く俺。

 

 

 

 

 

ーーーあぁ……TSっ娘の俺が、自分に擬態し続けなければいけないんだが…俺はもうダメかもしれない。




つぐみくんちゃんはメンタルよわよわになると前世の一人称に戻ります。 (いぢめたいの…

…そういや、なんかちょい前に似たような小説投稿してたような気がしなくもないけど気のせいだったわうん。 これは気のせいだ!イイネ?

あ、もしこんなss読んでくれるモノ好きさんがどっかに生えてたら感想と評価くださいァァァアァァァアーーッ!!!


白っぽい女の子好きマァァァアんッ!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

日常終了。それ即ちチュートリアル。
第2話 このまま無難なTSモノを書こうかと迷った結果だよこのヤロウ! このっこのっ! 黒タイツを履いた足って良いよねッ! アズレンのエイジャックス改みたいなの好きなやつ手を挙げろォォォッッッ!!!


はい、遅れました!(素直


作者は毎回勢いのみで小説を書き始めるのでスッカスカの中身を埋める為に色々と仕舞ってた資料を引っ張りだしてきたりしてました。



私の貴重なGWを潰したんだぜ? 感想よこせよオメーら(過激派作者


とにかく設定考えるの疲れたんや… だれか褒めてクレメンス。


ま、いいや(ギャーバァンッ!) 頭空っぽにして書いていくスタイルで今回も投稿していくから付いてこれるヤツだけ付いてきやがれぇェェェェぇ"ァァァア!!!

あと、前回の投稿で来た感想で一番嬉しかったヤツを紹介していくぜ! 乳酸菌足りてるか!?

PN.蕎麦さんからのお便り
「(脳内意訳):白っぽい女の子大好き♡ オメーみてーな小説を待ってたんだよ!(迫真)」

…………。

おまえ…っ! う"お"ぉ"お"ぉ"お"ぉ"!!!

なんて嬉しい事を言ってくれやがる!!!この小説を……続けるしかね"ぇ"じゃあねーかッ!!!

あと、評価つけてくれたニキの
ののののの さん、foy さん、ゲッソー1012さん、ぼるてるさん
その他諸々のお気に入り登録してった奴ら……謝謝茄子!

え?謝謝茄子を知らない!? エモーイ! 無知シチュが許されるのはおねショタの醍醐味だよねー!!! キャハハハ!


???「ありがと茄子!謝謝茄子!」


………。


閉 話 休 題


完全な余談ですが…ToLOVEるダークネスの最新読切!私も読んできました! ダリフラ…正直嫌いではないんですが、やはりToLOVEるのファンなので「早く戻ってきて欲しいなぁ」とかよだれ垂らして全裸待機してた作者……まさか、あの子がメイン回になるとは…! 完全に予想外でした! このリハク(ry



今回の読切で登場してた「新井 紗弥香」ちゃんですが…長年ちょくちょく登場していたものの、「揉まれ子」とかいう結構アレなあだ名つけられてた可愛そうなキャラなんですけど…実は名前自体は無印でさりげなく登場していたの…皆さん知ってました?

さっき、ニュースサイト見てたら今回登場してた「新井 紗弥香」ちゃんについて書かれてる記事を見つけて…
んで、「ヘェ〜…ほーん。」とか呟きながら流し読みしていると、


"無印『To LOVEる』では結局、名前も明かされず名脇役のまま終了しました。"


って書いてあったんですよねー。

でも、作者は「あれ? この子…たしか無印の時点で名前出てた筈だよね?」と読み直してみると…ありましたよ! やっぱり!(ドヤ顔)

ま、たしかに "分かりづらい" から仕方ないかもしれませんが。

でもまぁ、ToLOVEるのファンである私は当然わかってたワケですよ!ふふ!
と う ぜ ん ですよね? ToLOVEる の フ ァ ン な ら !(イキりまくる作者(調子に乗りまくるバカ))

ふゥ…は、ハハ…はははははァッーー♂




ちなみに友人がジャンプ持って来てくれるまで今回の読切に気づかなかった作者がいたそうですよ?いったい誰のコトでしょうねェ…


あ、あとBLACK CATタグ追加しときますねっ!


黒タイツを履いてる足裏のテカり具合がなんとも言えないエロスを感じさせるのわかる? 汗が若干肌に浮いてきてるとさらに(ry


第2話 『小さな同居人』

 

"ピピピピ……"

 

"ピピピピ……"

 

"ピピピピ……"

 

「………」

 

"ピピp"

 

『…起きたまえ、ツグミ。もう朝食の準備は済ませてある』

「……"レギオン"…まだ眠いんだけど……」

 

『これ以上眠ると遅刻するぞ?』

「まだ…時間ある……だろ……」

 

『あぁ、そうだな。 時間はあるな。

ーーシャワーを浴びる時間を入れなければな』

「ぐぅ…!………やっぱり一日くらい浴びなくても…

 

『はぁ……』

 

"シャッ!"

 

「ぅ…………まぶし………」

 

『どうだ? 日の光を浴びて多少は目が覚めたろう?』

「…………少し眠たい気もするけどな」

 

まだ重い瞼をしばしばと開閉。 苦労して視界のピントが合ったのでカーテンを開けた……頬にぷにぷにの "肉球" を押し付けてくる存在に対して 鶫は目を向ける。

 

"なんで僕がシャワーを浴びてないのがわかったんだろうか"

 

とか

 

"僕の部屋のドア、一応カギを閉めてたのに… どうやって入ったんだろう"

 

とか

 

"レギオンさん、ここ3週間程家に帰ってきてなかった気がするんですが… 気のせいでせうか?"

 

とか

 

"そもそもおまえ、動物だよね? なんでフツーに喋ってんの?"

 

とか……色々と思うところはあるが、「まぁレギオンだし。 いつもの事か」とぷかぷかと浮かんできた疑問をそのまま流すことにした。

 

 

 

たぶん聴いてみても、いつもみたいに「大人には色々あるんだよ」って言われて誤魔化されるだろうし。

 

 

 

『それは仕方ないさ。しかし、食事を()れば完全に目も覚める。…下に降りよう、ツグミ。』

「わかった……」

 

 

「あ、そうだ」

 

『…? どうした、ツグミ』

 

 

ツグミは目の前の"白ネコ"に…… "家族" と言葉をかわす。

 

 

 

「おはよう。ーーレギオン』

 

「ーーーー。 ……あぁ。 おはよう、ツグミ。』

 

 

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 

先日、リトと学校で昼食を食べながら無駄に口を滑らせかけていた鶫は、目の前の存在が用意した朝食を口に運んでいた。

 

 

『そういえばツグミ。 私は朝食が終わったら "外" に出かけなければならないからその間、家を頼んだ』

 

「また? レギオン、昨日帰ってきたばかりなんでしょ?」

 

「………。 すまないツグミ」

 

何故か申し訳なさそうに眉を下げる白ネコに、ツグミはまた苦笑する。

「別に怒ってるわけじゃないよ、レギオン。

ただ、最近は外出することが多かったから少し心配しただけ」

 

『……そうか。 なら、来月からは外出を控える事にするよ』

 

「来月ってことは今月はずっと?」

 

『そうだな…明日から来月の16日までは家には戻れないと思う』

 

「ふーん……」

 

『土産もちゃんと買ってくるから楽しみにしてろよ? なんてったって今回の依頼で向かうのはロジャーナにある……あ"』

 

「ロジャーナ? もしかして外国に行くの?」

 

『い"っいや、違う違う! ロジャーなグッズ!

そうそう! ワ○ピースのグッズを見にいくんだよ秋葉原までねっ? うん、そうなんだよなぁ…』

 

「へー、レギオンってワン○ース知ってたのか。 いつも僕がジャンプを買ってきても何も反応しないから、てっきり興味ないのかと勘違いしてた」

 

 

『いや"っ! 違うんだツグミ!? えと…そのね? …そうそう!私が買いに行くんじゃなくてさ? シャっ…、ギドラの付き添いで行くんだ!』

 

 

「ギドラさんの?」

 

ギドラさんは最近、ツグミが住む家の近くに引っ越してきた20歳くらいの男の人で、ちょっとだけ変わった格好をしてる外人さんだ。

 

そういえば… レギオンと出会った数週間ぐらい後に、行きつけの喫茶店で()()()()相席になった時にマンガの話で盛り上がったんだっけ。 初めてギドラさんと会ったのもその時だったんだよな。

 

 

「あー… 確かにギドラさんジャンプのマンガ好きだもんなー」

 

 

『じゃっじゃあ行ってくるから! いい子にしてるんだぞう!』

 

「え、レギオンもう行くの……って、行っちゃったし……」

 

"キィ…キィ…" と、玄関のドアに取り付けられた、ネコ用の扉が揺れていた。

 

「ま、いつもの事か」と気持ちを切り替えた鶫は空になった食器を台所に持っていきながら、ふと思った。

 

「そういえばレギオンがさっき言ってた"依頼"ってなんなんだろ?」

 

首を傾げる鶫だったが、わからないので「まぁいっか」とシャワーを浴びに行った。

 

 

 

 

 

 

 

鶫が登校する準備を終えて彩南高校へ向かっている一方…

鶫の家から少しばかり離れた人気のない廃墟の中へと静かに入っていく一匹の白ネコの姿があった。

 

 

 

廃墟の中はよくあるホラー映画並みに薄暗く、学校をサボっている学生さえいない。

当たり前だった。一般人がこの場所に入ってこないように、"ある男" が開発した「香料」を振りまいていたのだから…。

 

…しかし、柱から現れたのは丸いサングラスに黒いシルクハット…長く伸ばした金髪で長身の男だった。

 

 

「遅かったですネ。 レギオン… 」

 

 

話しかけてきた男の姿を確認した白ネコーーレギオンの姿が()()()

 

 

「あぁ、すまん。 ツグミと一緒に食事をしていたんだ」

 

「知っていますヨ……『コレ』で聴いてましたシ」

 

シルクハットの男は片耳に付けたイヤホンの様なものを外して目の前の存在に確認させた。

 

 

「それじゃあ… いきましょうカ」

 

薄暗い空間に現れた "二人の男" は、廃墟の奥ーー 本来なら機能を停止しているはずのエレベーターに乗り、()()()()()()()を押す。

 

 

エレベーターが二人を運んでいる中、レギオンはシルクハットの男がレギオンを攻めるようにジト目で見ているのに気づいた。

 

「レギオン…私をウソの材料に使いましたネ?」

 

「あー…、すまない。いい言い訳が思いつかなかった」

 

シルクハットの男はギドラ。 先程レギオンがツグミに言い訳をした時に口に出していた男だった。 ギドラは顔に罪悪感を浮かべているレギオンを見て、クスりと僅かに笑った。

 

 

「本当に変わりましたネ… ()()()()

 

「……やめてくれ……今の私は "レギオン" だよ」

 

 

少し嫌がるレギオンに微笑むギドラ。

 

「フフ… あなたが先程、ツグミと会話していた時に一瞬、私の名前を出そうとした "お返し" ですヨ♪」

 

 

その言葉に目を丸くして驚いたレギオンは、ギドラに「おまえも変わったなぁ…」と苦笑した。

 

 

 

ーー停まったエレベーターが開いた先には変わった乗り物があった。

大きい機体には… しかし、普段地球の一般人が見かけるような自動車や航空機のような車輪や主翼さえなかった。

 

 

二人はいつの間にか開いていた機体の搭乗口に向かい、それから数分後に機体のあった場所には何もなかった。

 

 

 

 

 

 

はじめから何も無かったかのように… 二人を乗せた「宇宙船」は消えていたのだった。




はい!というワケで、今回は鶫くんの保護者会の話でした!

ToLOVEるにパラレルのトレインが登場するなら、この人たちも居るんじゃないかなぁ… とか作者が勝手に妄想した結果、ギドラとレギオンを登場させました。

レギオンの容姿はBLACK CATに登場する「シロネコ」というキャラを採用しました。 (ToLOVEるにもさりげなく登場してましたし。

あと、ワンピースに伏せ字を使いましたけど、原作のどっかでジャンプの表紙にル○ィが載ってたような…


気のせいか。


あとは… 原作で「ジャンプ」が、ToLOVEる1巻の「トラブル1 舞い降りた少女」に登場する猿山の部屋に置かれてあるの知ってました?
住友○行とかは「住人銀行」とかに名前変えてるのに… (著作権の存在ェ…)


ちなみに今回、二人が宇宙船に乗って他の惑星で依頼をこなしている最中の事……


「そういえばギドラとレギオンって、どちらも怪獣映画に出てくる名前ですよネ…」

「言うなギドラ…」



という風に。
名前を考えた人物についての会話があったそうな…






感想と評価… お願いしますネっ!



最後に一言…


暑くなるとしょっぱいモノを口に含みたくなるよね? だから作者が美少女の汗が染みた黒タイツを求めるのは当然の帰結であり(ry


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 設定間違えたァァァアああああああああああァァァアッーーーー!!! とりまァァァアーーッ!修正してぇ"ぇ"ぇ"ーッ!洋物か確かめてやるゼーーーーーッ!!!

サブタイトル意訳:第3話 お前がヒロインになるんだよッ!【上】

さて……と。まず最初に。


褒められたから書いたよ!みんなー! 褒めて褒めて♡(おい

あ、そうそう。
今回も投下が遅れた理由……言っていいですねッ!(言い訳してやるッ!(直球))

それは私が2話を相手のゴールにシュゥゥゥーッ!! 超エキサイティン☆ して軽い興奮状態にあった時のことだった…

白あん先生「よっしゃァァァア"ァァァアーー!!!
後回しにしてた設定だいたい出来たでござりんこ!(意味不)」

脳内麻薬ドバドバ出して〜♪ ありの〜♪ままを〜♪晒していた白あんはァーッ!!!


ふと、LINEを見てToLOVEる好き同士の友人の存在を思い出した。

白あん先生「せや! せっかくやし、女装ハムマン(友人の性癖)にも見せてやろーっと。」

【設定メモをスクショして送り、電話する白あんの図】

「どーよ! どーよ! 結構いい感じに出来ただろ!?」

女装ハムマン「おー。えーやん。 ……あれ?」

「? どしたん?」

「いやさ? プロジェクト・ネメシスってあるけど…


プロジェクト・イヴより前だよ?

「マ?」

「マ。」

「…………」


………………。


ああああああああああああああああああああああああ!!!


【たった一つの命を捨てて 設定捨てて 生まれ変わった不死身の身体 設定。 鉄の悪魔 読者の期待を叩いて砕く キャシャーンがやらねば誰がやる! (♪〜♪ …シャキーン!)

デ↓… デーッ デ↑♪
デーッ デ↑♪ デ♪ デ♪ デッ ♪ デーーッ!!!♪

【略】

噂に聞こえたすごい奴ーー♪
キィーック・アタァーック 電 光 パンツ☆


しまぱん。赤スト+黒。ふりふり。リボン。かぼちゃ…
二次パンって色々あるけど最後に行き着くのはツヤツヤの黒タイツ+むっちりケツを映えさせる白レースパンティが一番すきかもしれない。わかるやつおる?


あ、今回は過去話です。それではどうぞ!


第3話 『お前がヒロインになるんだよッ!【上】』

 

お気に入りの店から出てきたのは黒髪の、目元が隠れている少年…

 

我らが主人公、武藤鶫であった。

 

(長かった… 本当に長かった…!)

 

彼が思い出すのは今までの人生の大まかな流れ(ダイジェスト)

 

コンビニでジャンプ買って帰る途中、テンプレよろしく転生トラックに轢かれて無事死亡。

 

そのまま訳もわからず赤ちゃんスタート。

 

バブバブ言いながら乳吸って寝て吸って寝てを繰り返して数年。

 

「やれやれ… 周りはみんな子供。一人だけ中身大人はツライな…」

とか転生初心者にありがちなイタイ発言をかます前世は18歳+今世は小学一年生の大人(笑) な鶫少年。

 

親が海外に出張行って暇になったので小学校終わった後は、鼻垂らした小学生男子達に混ざって外で遊ぶ鶫少年。 (完全に大人(笑)発言が頭からスッポリと抜け落ちているが気付いてない)。

 

そのまま鼻垂れ小僧供に混じって小学生ライフをエンジョイしてると見覚えのあるオレンジのツンツンヘアーを発見。

 

なんか一緒にゲームとかサッカーとかドッジボールとかしてたら「なんか引っかかるなー」とかぼけ〜と考えてたらいつの間にか小学三年生。…しかし鶫少年、違和感をそのままスルー。 こいついつになったら気付くんだよオイ。

 

…と、ここでようやく街の名前とオレンジヘアーの友人の名前の違和感に気づいた鶫少年。

 

「あ、ここToLOVEるワールドやん!」と興奮する小学三年児。

 

 

同時に、ちょっぴり自分が転生者だということを忘れかけているのにも気づいて欲しいが… 悲しいかな、前世では恋愛経験/Zeroな彼は可愛い女の子たちをどう攻略するかを考えるのに必死になっていた。

 

ついでに忘れかけている原作知識をノートに書き込み、作戦を練る日々。

 

「ハーレム王にオレもなる!」とかほざいていたら事件発生。

 

 

どこに死亡フラグを立てていたのか偶然にも宇宙人同士の交戦に巻き込まれてどっかの星にテレポート。

 

無事遭難した鶫少年は「宇宙人の知り合いなんていねーよ…」と絶望。

 

鶫少年の記憶には残ってないがこの惑星は「ミストア」。

地球から300万光年離れた場所に存在する未開の原始惑星であり、宇宙船を所有していなければ当然地球になど帰還できるはずもなく。

 

半野生児と化して、 そこら辺から見つけてきた きのみとかを食べながら無駄にしぶとく生きていた鶫少年は、なんか偶然星に立ち寄っていた美人な黒髪オネーサンに助けられて号泣。

 

 

中身は大人(笑) とか言ってたのが嘘みてーに泣きじゃくる鶫少年に黒髪オネーサンは「あらあら、まあまあ」と目をまんまるに。

 

撫でられながら、

えぐえぐと声を漏らしながら泣き止む自称大人(笑)。

 

優しく「もう大丈夫だよー。」と微笑む黒髪オネーサンにハートをどっきゅん。

 

目を♡にしながら胸に顔を埋めるマセガキに転生者なんて肩書きは必要無かった。

 

 

彼女の宇宙船に乗せてもらい無事地球に帰った少年。

別れ際に今回みたいな事に巻き込まれないようにと、ネックレスを貰う。

 

これは何?と素直に聞いてみると「避雷針みたいなもの」と返される。どうやら座標を調整して事故に巻き込まれたとしても云々カンヌンと説明されるが「なんかスゲー!」と明らかに分かっていない鶫少年。

 

 

黒髪のオネーサンと別れた後に決心する鶫少年。

 

「この世界なんかいろいろ怖いしもうハーレムとかどうでも良いからオネーサンと結婚して平和に暮らそう」と強い決意を充分に固めた後、翌日会った原作主人公のオレンジヘアーボーイに「ヒロイン全部くれてやるから火のタネ飛ばすなよ」と笑顔で念じる大人(笑) 最低である。

 

 

いつの間にか中学生になって昔見た覚えがあるような…ないようなオレンジヘアーの隣に気づいたら生えてたロリ。

 

みかんとか美味しそうな名前に「早く冬にならねーかなー。冬になったらコタツでみかん食べれるのに」と完全に原作ヒロインに興味を持っていない鶫少年。

 

ロリなんかより着物姿が似合う黒髪のオネーサンがいいわー。

とクッソ腹立つ顔でマセガキムーブをかましながら己が転生者だという事を順調に忘れていく鶫くんであった。

 

 

その後、親に「こっち(海外)来て一緒に暮らそー」とか言われて「変なことに巻き込まれなくていーじゃん!」とホイホイついて行くバカ。

 

転生者としてのテンプレなんか忘れて2年間。

 

ふとした瞬間に思い出す原作。

 

「あ、えーこと思いついた! 原作主人公助けながらヒロインのラッキースケベシーン間近で見たろ!」と思春期に入ったせいで数年前に自分が言ってた言葉も頭から抜け落ちる鶫くん。

 

日本に急行して高校生活を入学式と共にスタートしていた矢先に色々あって自宅消失。

 

ついでに原作知識を書いてたノートも消失するが、「まぁ、原作もうすぐ終わるし大丈夫やろ!」と楽観視していた鶫少年(高校2年)。

 

その後は原作最終回イベントである原作主人公のダブル告白をプールで観賞しながら「あぁ… やっと終わった…」と涙を流す鶫くん。

 

隣にいた友人の猿山からは「あぁ… リトが告白するまで長かったな…誰に言ったのかわからんけど…」と、地味に勘違いされながらも涙を流し続けていた。

 

 

翌日、新年新しいパンツを履いたような清々しいイイ気分になりながらも一日を鼻歌を歌いながら過ごす鶫くん。

 

普段は週末に行くか行かないかぐらいのお気に入りの店で外食しながらそこの店長と楽しく談笑。

 

店を出て再び青い空を見上げながら微笑む鶫くん。

 

(長かった… 本当に長かった…!)と、何気に冒頭に戻りながらも原作が終わった事実に安心する。

 

後は原作主人公である友人がヒロインと結ばれるのかを見守りながら、平和な世界を小さな同居人(白ネコ)と過ごす日々。

 

 

 

 

ーーところで画面の向こう側に居る皆さま、『ToLOVEる ダークネス』というものの存在をご存知だろうか?

 

『ToLOVEる』のスピンオフ作品と宣いながら実際には「続編」である作品。

 

週刊少年ジャンプからジャンプスクエアに移動したことをいいことに肌面積マシマシの描写が増えた「一般向けという皮を被ったエロ本である」とまで言われた伝説。

 

その伝説が降臨したのはジャンプスクエア2010年11月号。

 

 

そして、 鶫くんが死んだのは2009年12月。

 

 

 

 

 

ーーそう、鶫くんは『ダークネス』の存在を知らなかった。




感想くれたら私の変態度が増すよ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 読者のみんなに嫌われた… うるさいって言われた…。 駄目だヤバい死のう… 最後にToLOVEる全巻見直してたら元気ハツラツ! オロナミンCィィィィィィィィ!!!!!!!!!

うるさいって言われたのでキチるの自重します。

今回は予想以上に長くなりました。
【上下】だけにして終わらせるつもりだったんですけどね?
書いてたら長くなるのよ、やっぱり。(文章量も執筆時間も)。

あと、評価付けてくれたニキ達… 、お気に入り登録ニキ… 感想くれたニキ… お前らぁ… ほんッッッッとありがとなっ!(励みになってます)


今回はダークネス2巻に登場したトリオ視点のみです(誰得だよこれ…)

それではどうぞ。


第4話 『お前がヒロインになるんだよ!!!【中】』

 

 

鶫が居るToLOVEるワールドとよく似た世界…

 

俗に言う「並行世界(パラレルワールド)」に存在する一つの惑星。

 

第6次銀河大戦中に「終わった」その星の街並みは、かつての繁栄していた時代からは考えられないような無残な姿を見せていた。

 

本来なら動物どころか、草木一本すら根絶した星を訪れる者などいない。

 

 

しかし、廃墟や瓦礫以外に "生物"がいた。

 

それは「三人の宇宙人」。帽子をかぶった男と全身をサイボーグ化した男、そして目に大きな隈を作っている男の計、三人だ。

 

『ねぇ、リーダー。本当に "兵器" なんてあるんですかねー?』

 

「さぁな… だが、あの酒場の主人から買った情報を信じるなら、この星の何処かに "あの組織" が残した予備施設があるらしい。」

 

「真偽は自分達の目で確かめないとわからない… か。」

 

「ま、仮にだ。 研究施設にその兵器ってヤツが無くったって、施設の機械パーツを持ち帰れば、情報料と燃料費の元を取れるくらいの資金は得られる筈だ。」

 

『というか、リーダー…

ボク達、いつになったら "殺し屋クロ" に復讐出来るんだろうね…』

 

「私も前回の奇襲で愛剣を折ってしまったからな…」

 

『えーと…確か、"カタナ" って言うタイプの剣だっけ?』

 

「あぁ。昔、とある星に宇宙船を不時着させた武器商人が、その星に住んでいた "サムライ" という、特殊な戦闘民族に助けられた際に兄弟の証として受け取り、宇宙に広めた武器らしい。

 

…私もいつかはその星を見つけて、本物の "カタナ" を持ってみたいものだ。」

 

「ほー、詳しいな。…そういやァ、ラドールは元々 "サムライ" に憧れて暗殺者になったんだっけか?」

 

「そうだが…。 よく覚えていたな、バルロック」

 

「ふふん! オレ様は昔から記憶力が良いからな!

…あ、やば。クソババアの事も思い出してきた…」

 

昔のトラウマか何かを思い出してしまったのか、独り言を呟きだしたバルロックと呼ばれた帽子を被っている宇宙人。

 

暗殺者だと言うラドール。そして全身サイボーグのエデルは適当に話しながら研究施設の探索を進めていた。

 

 

『…ねぇ、ラドール。 リーダーがまたぶつぶつ言いだしたんだけど…』

 

「エデル、そっとしておいてやりなさい。 …バルロックも色々と苦労してきたんだ…」

 

『ふーん。まぁ、何でもいいけど。

…それより、研究施設ってあれじゃない?』

 

「……んお? 研究施設? 本当じゃねーか! でかしたなエデル!

さっそく入ってみようぜ!」

 

先程まで自分の世界にトリップしていたバルロックだが、エデルの言葉に反応して現実世界に戻ってきたようだ。

 

はしゃぐバルロックにしっかりした性格のラドールが、リーダーに釘を刺す。

「はしゃぎ過ぎだバルロック。 …しかし、可笑しいな。

何の理由が在るのかは知らないが、"あの" クロがこんなに分かりやすく残されている "あの組織" の研究施設を見逃すか…?

 

何か、引っかかるような…」

 

 

三人は仲がいいが、もともとは共通の目的を持って集まったトリオだ。その目的は、"殺し屋クロ" への復讐。

 

これまでも三人はクロに、作戦を練っては挑んできた。

 

しかし、相手は伝説の殺し屋だ。 三人が何度挑もうと、クロは涼しい顔をして三人を撃退する。

 

…まぁ、基本的に狙った獲物は徹底的に消す主義の殺し屋クロを相手にして、消される前に何度も逃亡しているこの三人も… 悪運が強いというかなんというか…。

 

 

そんな三人は当然、復讐対象のクロを倒す為の準備を何度もしてきた。

 

その過程で情報屋に幾度も「クロの弱点はないのか?」と聞いてきたが…収穫はゼロ。

 

 

しかし三人は、クロについて何度も情報収集をしているうちに、気になる情報を得ていた。

 

 

【かつて…第6次銀河大戦末期頃に、クロを飼っていた人物が創った組織が存在していた。

 

その組織の飼い主は、何か明確な "目的" を持っており、

その "目的"を果たす為に宇宙有数の頭脳を持つ科学者を集めていた。

 

…組織の名前もその "目的" に関連したものだったそうだ。

 

しかし、組織の飼い主が死んでからは資金提供をしていた武器商人が実質的なオーナーとなって、組織の研究成果を使い、ビジネスを展開しようとしていたが、デビルークが宇宙統一した後、崩壊した。

 

そしてその組織を崩壊させた者こそが殺し屋クロ。

 

その後も殺し屋クロは自分に因縁のある組織の、"負の遺産" を見つけては消している。】

 

 

 

この情報から分かるように、クロがこんな風に堂々と「見つけて下さい」と言わんばかりに存在している組織の研究施設を見逃すとは思えない。

 

…ただ単純に知らないだけ? いや、クロの情報収集力は、依頼の達成率が裏付けている。 クロの耳に入らない筈が無いのだ。

 

しかし、この情報は他の情報屋は知らなかったし、銀河ネットワークにも書かれていなかった。

 

 

 

 

……そんな情報を知っているあの酒場の主人は何なのだろうか。

 

 

「ラドール、そんな事、何でもいいじゃあねぇか! その兵器ってヤツを探して、あのクロを倒す作戦練ろうぜ!」

 

声をかけてきたバルロックに、ラドールは顔を上げる。

考え込んでいたラドールを待てなかったのかエデルはさっさと研究施設に入っていた。

 

 

 

「……考えていても何も起こらない、か。」

 

 

 

 

研究施設の中は誰も居なかったが、施設を動かす為のエネルギーは充分に残っていたのか、通路の光源を灯すことは出来た為、地下の施設にも関わらず快適に探索をする事が出来た。

 

そして三人は瓦礫や開かない扉を持参した武器で破壊しながら、隅々まで研究施設を探索していった。

 

『ねぇ、リーダー。 本当に兵器なんてあるのー?』

 

「確かに… なんかもう既に、無駄骨感を感じてるんだが…」

 

「いや待て待て待て!? まだこの部屋を見て無いだろーが!?」

 

『じゃあ、此処に何も無かったら直ぐに帰るよ? お腹空いてきたし』

 

「とりあえず入ってみよう。…バルロック、頼めるか?」

 

 

「ん、あぁ。 …よっと」

 

最後に残った部屋… 研究施設の中央部に位置する場所の扉に、バルロックが大剣の先を向ける。 バロックがまるで銃を構えるかのように己の武器を構え、そしてトリガーを押す。

 

すると、大剣の切っ先が銃弾のように発射され、扉を勢いよく破壊した。 大剣の切っ先は、大剣と金属で出来たロープで繋がっており、バルロックが大剣を操作すると、勢いよく大剣に戻っていった。

 

 

「この部屋は…」

 

『うわ! 何これ… 気持ちワルー…』

 

「…どうやら "当たり" のようだな」

 

三人が入っていった部屋には怪物のような生き物が入った培養シリンダーが大量に置かれており、その奥には巨大な操作パネルが見える。

 

 

『コレって生きてるのかな…?』

 

「いや… 死んでいるな。 身体だけ何故かそのまま残されている…」

 

『…? ねぇ、ラドール。 これ… 見た目がほとんど変わってるけどイロ・ガーマの幼体じゃない? ホラ、ここに名前が書かれてあるし…』

 

「! 本当だな…。 恐らくこの怪物達は、"実験体" だ。

 

…しかし何故、ここまで原型が崩れているんだ…?」

 

 

 

「オイ、ラドール…

 

奥によォ… ()()が居るみたいだぜ。」

 

 

 

バルロックの言葉に、二人は奥… 操作パネルの方に目を向ける。

近づいて見てみると…。

 

「多分、コレが "兵器" ってヤツだな。」

 

『…!』

 

そこにあったのは何か、巨大な台のような物の上に置かれた卵型の培養シリンダーと…

 

液体に満たされた、その培養シリンダーの中に入っている白い何かの… 繭のような、いや、花の "(つぼみ)" のような… 奇妙な物体だった。

 

 

「これは…!?

()()()()()…ッ

 

なるほど…、"生体兵器"か!!!」

 

 

ラドールは培養シリンダーに入っている物体に…否、()()()について思考を巡らせる。

 

これは恐らく、生体兵器… 生体兵器(バイオウェポン)

 

しかし… ただの生体兵器を作るならここまで大掛かりな実験をせずとも、既存の生命体にサイボーグ改造なり、兵器との適合手術なりすればいい話だ。

 

このサイズの生体兵器一体の為に、こんな施設を作ったのか?

こんな生体兵器一体の為だけに… 宇宙有数の頭脳を持つ科学者達が?

 

「………。」

 

 

 

 

()()()()()()()()

 

 

「えーと、コレを開けるにはどーすればいいんだァ?」

『ねー、リーダー。 ここに赤いボタンがあるよー!』

 

「え、お前それ押しちゃダメなヤツじゃーー」

 

"ポチっ"

 

【これより現在、凍結されている"T2"の解凍を開始。 解凍後に、事前に設定された転送先に対象を転送します】

 

………。

 

 

『あ、押しちゃった☆』

「…………イヤ、押すなよォォォォォ!?」

 

「…えー。どーすんだよコレ」

 

ボタンが押された結果鳴り響くアナウンスと、慌てる三人。

 

「とりあえず、転送を止めるしかねーだろーがよォォー!?」

 

 

【 …解凍完了。 転送先に対象を転送します。

 

 

ーー エラー。エラー。

転送先に次元転送装置が存在しておりません。

 

このままでは転送先に対象を転送出来ない可能性があります。

 

 

転送を続行する場合、この場に居る研究員はパネルで操作してください。】

 

目的であった兵器が、何処かわからぬ場所に転送されると聞いて慌てて操作を取り消そうとする三人。

 

エデルを押し退けて、パネルに触れていたバルロックの手が、

「決定」のボタンに触れてーー

 

 

 

 

「転送を続行します

 

 

ーー転送、完了致しました」

 

 

 

ーー運命の歯車が動き出した。





今回登場した色々について。

バルロック: ToLOVEるダークネス第20話と第22にて登場した、メアに恨みを持つトリオの一人。 明確に名前を名乗っている訳ではないが、「オレ様のバルロック海賊団」と発言しているので名前はバルロックと判断した。

※なお、この世界線での彼らはメアではなくクロに復讐対象が変化してしまったが為にこの世界線のコーヒーの味がアレな女店主にコキ使われたりしていた。

ちなみにラドールとエデルとはクロに何度も挑むうちに同じ目的を持つ者として仲良くなった。

恐らく元ネタはBLACK CATに登場する掃除屋ガロムとラクドールのコンビから。(見た目はガロムに似ているし、もしかしたら名前は二人を混ぜたのかも?)

ラドール: バルロックと同じくメアの前に現れたトリオの一人。
※見た目はラクドールに似ているのでこちらもコンビ繋がりで、恐らくラクドールが元ネタ。名前は明言されていないが、白あんの頭が混乱するので名前を少し変えた。

見た目はサムライのような格好をしており、手にはカタナを改造したような武器を持っている。こちらの世界ではバルロックと同様にクロに復讐対象を変えた為、多少精神面が成長している。

エデル: こちらはホ○イト・アルバムみたいな全身サイボーグ野郎。
 そのせいでイマイチ顔つきがわからんが、キャラデザがBLACK CATに登場する「猿のエーテル」になんとなく似ているので多分元ネタはそれじゃろ。

※名前はラドールと同じ様に、元ネタのキャラと区別する為に少しだけ変更したのじゃ。

…二人と同様にクロを復讐対象としている為に精神面で成長している。


クソババア: バルロックが殺し屋クロに海賊団を宇宙船ごと破壊された後に近くの惑星で見つけた店の女店主。 コーヒーの味がアレだが男っぽい性格をしていて根は優しい人物。 バルロックを住み込みでコキ使っていた。 この出来事が原因でバルロックの精神面が成長し、後にコンビを組むラドールとエデルにも良い影響が出始める。 なおプロット上にこれと言った出番は無い模様。


ちなみに店名は「ケット・シー」。


ある組織に資金提供していた武器商人: BLACK CATに登場した矢吹神お気に入りキャラの一人であるアイツ。 (まぁ、BLACK CAT関連のキャラ達が出てくる展開で、しかも生物兵器をビジネスに利用しようとするって笑

明らかにコイツか… もしくはBLACK CATのゲーム版に登場した人買いバロネット辺りがしそうだけど、(いや、バロネットとかマイナー過ぎてわからんじゃろ) 矢吹神と長谷見さんだし、ファンサービスとか言って闇の武器商人の方を登場させてそうだよネ!

※…なお、並行世界のバルロック達が居る世界ではツグミの世界とは「流れ」が違うので既に死亡している。


酒場の主人: 三人が最近よく利用していた情報屋。
 他の情報屋が知らないような情報を何故か三人に教えていた。 あと妙に殺し屋クロ関連や "組織" に詳しかったりする。 (うさんくせぇ)

ツグミ達の世界では「流れ」が違うので、死亡しているか… もしくは病院で寝たきりになってたりする…のかもしれない。

ちなみに変装が得意だそうで、情報屋として働いていた時代には「グリン」と名乗っていたそうだ。(一体何オリーなんだ…)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 一応挿絵を描いて来たけど…… う" わぁ"ぁぁぁあ"!!! ヘタクソ過ぎだろ…… いや、まぁ……白あんは絵師さんでも何でもないから仕方ないんですけどね…

ふと評価バー見たら、ビターチョコレートバーがパインアイスキャンデーに変わってた件について。

いや本当にみんなありがとう…っ! 大好きだぜオメーら!!!

しかし、悲報もあります… 実はちょっとした理由で、この作品の最終話が投稿し終わった1ヶ月後くらいに非公開にする事に決めました。


……エタる事はまず無いから安心してくれ!(死亡フラグ)


あと、白あんが金欠気味になってきたので、バイトしてきます。

下手したら投稿が1カ月とか開く事もあるだろうけど、ちゃんと最終話まで投稿する予定なので安心して待っていてください。


あ、今回、挿絵描いてきましたが…… 白あんは絵師さんでもなんでもないので途轍もなく絵がへたっぴです。


「オメーが頑張って描いた絵だ!! ちゃんと見てやるよォ!!!」

という、心がとてつもなく広い方のみご覧になってください。


それでは、どうぞ。


第5話『お前がヒロインになるんだよ!!!【下】』

 

その日、武藤 鶫はなんて事のない至って普通の一日… 日常を過ごしていた。

 

登校してから授業をそれなりにこなし、昼休みになれば友人の猿山やリトと談笑しながら購買で買ったパンを食べたり、下校する時に偶然会った後輩とジャンプ談義に花を咲かせ、彩南商店街を適当に見て回りながら色々な店の新商品をなんとなく見てみたりもした。

 

 

ああ。なんて普通。当たり前の日常。

 

原作(宇宙人関連)の脅威は過ぎ去ったのだ。 その事実に安堵しながら公園で小学生らしき子供達がボールで遊んでいる風景を見ていた。

 

途中、コンビニで購入したサイダーを袋から引き抜き、口に運んで傾ける。

 

しゅわしゅわと喉を潤して感じる爽快感。

キャップを締めて、ペットボトルをコンビニの袋に戻す。

 

顔を空に上げればひたすらに青だけが見えた。

 

自宅の方向に足を向けながら時折、小鳥が空を楽しそうに飛んでいる姿を見かけた。

 

 

「平和だなぁ…」

 

当たり前の日常を実感し、口にまで出す鶫。

 

平和だ。確かに、平和だ。

 

この光景をもし他人が体験したとして、「平和とは何か?」と聞かれれば誰もが「今この時である」と自信を持って断言できるくらいには穏やかな光景だった。

 

 

しかし… 同時にツグミは気付くべきだったのだ。

 

 

己が… 原作主人公の友人枠に収まっている意味に。

 

この世界が何故、現実世界で「ToLOVEる(とらぶる)」と呼ばれているかを。

 

そして何より、危機を感じなければいけなかったのは…

 

 

「あれ… ネックレスが…?」

 

 首に掛けていた "ネックレス" ーー 幼少期に恩人であり、想い人である女性から貰った宝物が、いつものような晴れた空色ではなく()()()()()()()()()()()()ーー!

 

 何故光っているのだろう? と思いながらも自宅のドアの近くに足を踏み出しーー 否、武藤鶫は足を踏み入れてしまった

 

 

 "カチっ"

 

 

 そしてそのとき、何かが(はま)る音が聞こえたような、そんな気がしたーーー

 

 

 

 (あれ、ーー?)

 

 

 

 ーー瞬間、感じるのは衝撃。

 

 

 (目の前が真っ白、ーー?)

 

 突然、朦朧(もうろう)としてきた意識に戸惑いながらも状況を確かめる。

 

 

 (今、何かが倒れた音がしたな)

 

 

 

 "じゃり"

 

 そこで何故か… 頰が地面に(さわ)る感触を感じてーー

 

 

 

 (あ……)

 

 

 "ばたん" と音を立てて倒れたのは、(おのれ)なのだと(ようや)く気がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "ゴポリ"

 

 

 水のようなものに包まれながら、透明な壁の向こうを眺めている。

 

 

 (…………)

 

 外は暗く、白衣を着た人達が時折通るのが見えた。

 

 

 

 暫く、そうやって眺めていると、この透明な壁の向こうに金色が入っているのに気がついた。

 

 人だ。 きれいな…… 柔らかく、金色に輝くような髪を持つ女性。

 

 

 "()()()()"

 

 

 消えてしまった。

 

 

 "無くなっちゃった"

 

 

 

 

 

 どこにいったの……?

 

 

 

 …会いたい

 

 

 

 あいたいよ……

 

 

 

 

 

 

 "■■■(おかあさん)"

 

 

 

 

 

 

 

 

 "チチ……チチチ………"

 

 窓から漏れる朝日で目が覚めた。

 

 

 外から聞こえる鳥のさえずりを聞きながら、昨日の出来事を思い出す。

 

 頬に感じたのは、ベッドの柔らかさだった。

 

 

()…… そっか。

なんとか、鍵を開けて…… 家に入れたんだっけ………。

 

 

"そういえば、今… 何時なのかな"

 

 

 自分の部屋には壁時計などを置いていないので、ベッドに入る前に置いてあったハズの携帯を求めて手を伸ばして……

 

 

 視界の外から白い、絹のような糸が()()()()()絡まりながら伸びていくのが見えた。

 

 

(…………?)

 

"この糸はなんだろう?"

 

小さく、綺麗な指でソレをつまみながら、思考を停止させた。

 

 

"……!?!?"

 

身体を勢いよく起こしながら、自分の身体が変になっていないか確認する。

 

小さくなった……まるで、女子中学生のような、綺麗な手と白い髪。

 

 

「……………なに、これ」

 

 ソレを己の手では無い己の手ですっと持ち、まじまじと見る。

 

「……うーむ?」

 

 一先ず「髪」と評してみたが、そう見えただけかもしれない。

 

 触り心地は極めて良好なその「糸」を手から離す。

 

 さて、次は手だ……と、思考が次の観察対象にズレる前に重力に基づいて己の目の前に垂れているのに自然と気付く。

 

「…んー?」

 

 地面に落ちていかない「糸」を持ち上げる。離す。

 

「ふむ」

 

 また、持ち上げる。……離す。

 

「ほうほう」

 

 持ち上げて……引っ張る。

「あいた!?」

 

 突如反逆罪を冒す頭部の神経に少々憤慨しながら、「糸」をやたら小さな親指と人差し指とで挟んでみる。

 

「きさま、僕の髪か」

 

 試しに少し撫でる。……ん。柔らかいし、触り心地いいな。これ。

 

「いやじゃなくて」

 

 どうやら自分の髪らしいソレを離し、腕を組んで考える。

 

 

「なに、ドッキリか何かですか?」

 

 辺りの音が気にならなくなるくらい考えてから一言。

 

 …いや、ないか。今日学校だし。朝っぱらから仕込みなんてやるような知り合いなんていないし。

 

「…さむ」

 

 肌寒かったのでベッドから滑り落ちてた布団をのそのそと取り、包まる。みのむしが一匹完成し、枕の上でちょい眠くなりながらこの奇妙な現象について天才的頭脳で考えてみる。

 

「いやわからんし」

 

 2秒で敗北。

 ヒントくれヒント。ミッケとかにもちゃんとヒント書かれてるだろ……書かれてなかったっけ?

 

 

「んー」

 

 書かれる、というワードにひとつ。心当たりがあったので、布団でぬくぬくしながら考える。

 

 …そういえば、昔こんな事をノートに書いてあったのを思い出した。

 

 『他の惑星から来た宇宙人から、宇宙の病気を移されたのかもしれない』

 

ツグミは以前、宇宙人との争いに巻き込まれた事がトラウマのようになっており、宇宙人が地球に来た時にどんな被害を受けるのかを、まだ原作知識を覚えていた頃にノートに書いていた事がある。

 

その中に「宇宙人から病気を移される可能性がある」と書き込んでいたはずだ。

 

 …まぁ、若いながらに根拠がない妄想だと思わなくはない。

 だって原作で地球人が宇宙人の病気を移されてた話なんて無かった気がするし。

 

 でも、逆に言えば地球人は病気を移されない、なんて話もしてなかった訳だ。

 

 …うーむ、どっちだろ?

 今度御門先生に聞いてみるか。

 

 

 「あ」

 

 いや、御門先生に聞けばいいじゃん。

 

 降って湧いたベストアンサーに突き動かされ、名残惜しくも布団をどかす。

 

己が知る中で唯一、宇宙人関連の病気を治せるであろうあの先生の下へ行くためにも、とりあえず服を着替えようとした。

 

 そこで思わず、動きを止めてしまった。

 

"あれ? ()って、こんなに肩が出るような服、着てたっけ?"

 

服に手を掛けようとしていたツグミは、自分が来ている服の異常に気がついた。 肩の部分に違和感を感じる…… ()()()()()()() ()のだ。

 

 たらー、と汗をひとつ流したところで服を確認してみる。

 

 …見れば彩南高校の服装ではない。

 昨日はそのまま寝てしまいましたから着替えてない筈なんですせうが。

 

「真っ白けっけ…」

 

 材質は…皮?エナメル質? それともプラスチックだろうか。

 よくわからん生地で出来ている布は、肌触りとかフィット感とか、着心地はやたら良かった。

 

…しかも、よく考えてみればさっきから頭の後ろがいつもより気持ち、重く感じるし…。

 それに、動くと背中に大量の糸のようなものが触るのを感じる。

 

 

"…………"

 

 分からない。

 果たして今、自分がどんな姿なのか。

 

「すぅー…はぁー。…すぅー」

 

ゆっくりと息を吐き、恐怖から"トクトク"と、早くなっていた鼓動を落ち着かせる。

 

 "何か……自分の姿を確認できるもの……"

 

 

それでも、完全には冷静ではないのだろう。

 

 携帯を使えば確認出来そうなものを、気がつけば自室を出て下の階にあるいつもの洗面台へと向かっていた。

 

 …道中に気づいたことだが、いつもより若干目線が低い。

 

 明らかな異常に恐怖を感じながら、洗面台にたどり着いた。

 

 目を鏡に向けて、己の姿を確認した。

 

………。

 

「……!?」

 

 白く…絹のような美しい髪。

 晴れた後の空のように、(あお)く澄んだきれいな瞳。そして同じような色合いの、果実の髪飾り。

 

 そして、髪と同じように… 胸の上の部分に金色の手裏剣のような装飾が付いている全体的に白い、若干コスプレめいた服。

 

 髪型はツインテールになっているが、()()()()()()()()()……って。

 

 

「女の子になってるーーーーっ!?」

 

 

 自分の声帯が()()()()()()(かな)でた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 序盤もジョバンニ。しかし白あんはYAT安心!全開!努力、根性… 全力投球を披露させていただきますぞコラァァァア"ああああああぁぁぁァァァアァァァア"!!!

評価してくれたみんな! ありがとナッ!


今回の話は「ToLOVEるダークネス」でモモがナナを「一緒に彩南高校に入学しないか?」と誘って、校長に入学出来るかどうか聞きに行った日なので、原作でいうところの、
第0話「Prologue 〜プロジェクト始動〜」に当たります。

(正確に言えば原作で0話は「(恐らく)日曜日」であるのに対して、この世界では多分バタフライエフェクトかなんかで金曜日になっております)。

それでは、どうぞ。


第6話『-ダークネス編、開幕-』

 

「えーと…… ナニコレ?

 

 驚き過ぎて固まっていた()は、とりあえず、鏡に映るナニカを理解する事から始めた。

 

 

 

 今、洗面台の鏡に映っているのは前の人生より、ちょっとだけ美形になった自分が立っているいるハズだ(イケメソとか女子から褒められた事はねぇけど)。

 

 しかし、実際に目の前の鏡に映っているのは全身真っ白な漂白少女だ。

 

 

(………)

 

 

 

「……ん? つまり、どういうことだ?」

 

 

 鏡の前に立っているのは

 そして鏡に映っているのは女の子

 

……ふむ。なるほど、なる程…

 

 

僕が女の子になっている、ね…

 

 

(んー、僕が女の子なワケないしなァ…

…でも実際に、鏡に映っちゃってるワケだから……)

 

 

" ! "

 

ーーそうか…! わかったぞ! これはーー

 

 

 

 そして、この現象を完全に理解し始めた僕のメンタルは。

 

 

「夢だな!」

 

 

 

 真っ先に理解する事を放棄した後、布団に戻る事にした。

 

 

 

(あら? あれは…、リトさん?

急いでるみたいだけど、どうしたんでしょう?)

 

桃色の髪。黒い、小悪魔を思わせる尻尾を持つ少女、モモ・ベリア・デビルークは "私立彩南高校" から帰宅する途中にオレンジ色のツンツン頭の少年、結城リトを見つけた。

 

「リトさん」

 

「あれ、モモ?」

 

赤になった信号機が少年を引き止めてくれているのを確認してから、声をかける。

 

「リトさん、そんなに急いで… どうしたんですか?」

 

「ん…、あぁ。 今日さ、武藤が学校に来てなくてさ」

 

「武藤…さんが、ですか?」

 

 その名前には聞き覚えがあった。武藤ツグミ… 猿山ケンイチと同じく、リトさんと仲の良い男子学生の名前だ。

 以前、プールなどで見かけた時には… 確か、目元が黒髪で隠れた至って普通の少年の様だったはず。

 

 

「なんで武藤が来てないか、骨皮先生に聞いてみたんだけど…」

 

「どうだったんですか?」

 

「いや、連絡もないらしくて… "もしかしたら風邪を引いているのかもしれない" なんて言われちゃったからさ。…ちょっとお見舞いに行ってやろうかなァって」

 

「……なるほど」

 

少女は少し考える。 普段なら別に引き止めるどころか、見送ればいいのだが… "今日" は別だ。

 

 

「そういえば、モモは何で彩南高校の方から来たんだ?」

 

「あ、えぇ…っと、…ちょっとした用事がありまして、それを済ませて来たところです。 ……そんな事よりリトさん!!」

 

 双子の姉妹と彩南高校に行って来た事をそれとなく誤魔化しながら、少女は少年に顔を "ずいっ!" っと近づける。

 

「へ? な、何だ?」

 

 突然近付いた少女の整った顔に少しドキドキした様子の彼を愛らしく思いながら話し始める。

 

「リトさん、もし武藤さんが本当に風邪なのでしたら…

一度電話をされた方がよろしいのではないでしょうか?」

 

 …というのは建前だった。武藤という少年には少し悪いが、これも 「計画を始めるため」。

 

 今日だけは何としてでも… リトさんに出来るだけ、家に居てもらわなければならない。

 

 

 …それが、自分なりの決意だった。

 

 

「あ、たしかに。

…言われてみればそうだよな…、ありがとうなモモ。

焦ってたみたいで助かったよ」

 

 少し、罪悪感を感じながらも…みんなで幸せになる為の一歩に必要な事だと自分に言い聞かせ、リトさんが武藤さんに電話を掛けるのを見届ける。

 

「もしもし、武藤?」

 

『ッ〜〜〜!』

 

「え……。 ど、どうしたんだ!?」

 

『だ、大丈夫。 少し足をぶつけただけだから…』

 

「そ、そうか…? なら良いんだけど…」

 

『うん…。

 あ、そういえば何で電話してきたの?』

 

「えーと、武藤、身体大丈夫なのか? 今日学校休んでたけど」

 

『学校…? でもこれは夢だしな…… あれ? そういえばさっき…… なんか "痛かった" ような……

 

!?!?

え、ぇ……?

 

まさ、か… これ、現実(リアル)……?

 

……うぇぇ!?

ど、どゆことなんでせうか!?!?』

 

「お、おい武藤…? やっぱり、骨皮先生が言ってたのみたいに風邪なのか?

声もなんか、別人みたいで変だし……」

 

 

『か、ぜ?

 

…ハッ!

そ、ソウナンダヨナー!? 僕は風邪引いてるダケナンダヨ!

何も問題なっしんぐ!!

 

…あは、あはははは………』

 

「え、えーと…… 問題あるみたいだから、やっぱりお見舞いに行ってもいいか?」

 

『だ ぁ" め!!!』

「ぅおっ!?」

 

『リトは心配しなくていいから!! 大丈夫だから! 五体満足だから! もーまんたい ってヤツだから!』

 

 目の前で直接離していれば "ずい" っと顔を近づけて来そうなほど必死な声に少し驚く。

 

「そ、そう… なのか?」

『そうだよ!』

 

「…わかった。 でも、なんかあったら連絡しろよな?」

 

 本人が来なくていい…というより来て欲しくなさそうなので連絡だけ寄越すように伝える。

 

『ぇ…えと………、うん。

 

…心配してくれて、ありがと』

 

「…じゃ、風邪早く治して来いよ。

猿山もそれなりに心配してたし」

 

『猿山が? ……うん。

 リト、猿山に「大丈夫だ」って言っておいて』

 

「ん、わかった。……じゃあ切るぞ?」

 

 

 

 

 

 

 自分以外、誰も居ない家で白い少女は呆然とした様子で立ち尽くしていた。

 

 

「つまり…僕は女の子だった…?」

 

 有り得ない現象は、しかし()()()()

 この世界なら、ToLOVEるワールドなら。

 …事実、(おぼろ)げながらも、所々が作りかけのパズルのようになっている原作知識によると… 我が友人、結城リトはヒロインの発明品によって女体化(TS)していた。実際、自分の目で見た事もある。

 

 他にもレンはメモルゼ星人の「女と男に体と人格が切り替わる」という特徴を持っていた筈だ。

 

「い、いやいやいや! それこそ有り得ないだろ!?」

 

 結城リトはヒロインの発明品が原因だった。

 レンはメモルゼ星人の体質が原因だった。

 

 

 しかしーー 自分にはそんな、女体化(TS)の原因になるような事なんてーーー

 

 

『あれ… ネックレスが…?』

 

 

 

「あ。」

 

 

 

 思い出したのは、昨日の出来事。

 かつて助けてもらった女性から貰ったソレが、赤く光り…

 

 …そして女体化(TS)していた。

 

「………」

 

 

 

「まさか…… そんな……?」

 

 

 ネックレスを渡した人物。女体化の犯人。

 ツグミの脳裏をよぎったのは恩人の笑顔ーー

 

 

 

 

「ーーあのお姉さんが……?」

 




感想と評価よろしくナっ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 ヒャッハああゝァァァアァァァア!!!!!! はぁ…はぁ… 敗北者……?(1話のアンケート) 読者「のるなペドフェリア戻れ!」

ヒャッハああゝァァァアァァァア!!!!!!
新鮮なToLOVEるssを届けに来てやったゼぇ"ぇぇぇぇぇぇ"↑


………(賢者タイム)


えー、またもや投稿ペースが乱れた理由ですが… まぁ、設定の訂正箇所が見つかったので資料を確認しながら修正してました。
(プロットの見直し。面倒くさかった…)



【閉話休題】


前回、感想くださったヤツら、ありがとナッ!
感想返ししてない事もあるけど、毎回貰ったコメントは全部読んでるから、安心して薄い本を朗読しておいてくれ。


第7話 『アホがかかる病気、そして違和感』

 

 誰が自分を女体化させたのか?

 その原因… 心当たりがあったのか、僅かに動揺しながら鶫はその "心当たり" を呟いた。

 

「ーーあのお姉さんが……?」

 

 

アゴに小さな手を置き、目をつむる。

そして、暫しの塾考。

 

結論が出たのか、カッと目を開く。

 

「やっぱり……」

 

 開眼。さて、鶫の結論は?

 

 

「………あり得ないよなァ〜」

 

「僕を助けてくれた、優しいお姉さんがそんな事するワケないしー?

第一、多分これ。宇宙人に移された病気だろうしー?

 その方が納得出来るよねー!?」

 

 

 

 結論。

 武藤ツグミは愚か者だった。

 

 

 

「さて、と。ーー御門(ミカド)先生のトコに行くかな」

 

 

 

 

 ここは『POLNREFF(ポルナレフ) BISTRO(ビストロ)』。

 彩南商店街の一角にある小レストランだ。

その店内で、今日の仕事を終えたアルバイトの少女が、店長の眼鏡をかけた男性に話していた。

 

「店長、今日は他の人入って無いんで、2階の空き部屋使わせてもらっていいですかー?」

 

「ん? 別に良いけど、泊まりかい?」

 

「あー、それも何ですけど、友達と菓子(カシ)パしたいんですよ」

 

「菓子パ… あぁ、お菓子パーティーね。

そういう事ならいいよ、使ってもらっても。」

 

「ありがとうございます! あ、店長も参加しますか?」

 

「たはは… パーティーに呼ぶお友達って、それ、たぶん女の子でしょ? …確かに楽しそうだけど、僕は遠慮させてもらうよ。」

 

「そうですかー…」

 

少し残念そうにしている少女に店長は口を開く。

 

 

「…その代わりに何か差し入れを買ってきてあげるよ。

 希望はある?」

 

「え、マジっすか! やった! 店長太っ腹!」

 

「ははは… それで?」

 

「あー、んじゃあ、ジュースと… 何か和菓子を所望します!」

 

 元気のいい少女に微笑み、ポケットに手を入れる。

 

「うん、わかったよ。それじゃ僕は大黒堂に行ってくるから」

 

 がま口の中身をぱち、ぱちと確認してエコバックを持つ。

 

 少し眼鏡を定位置に直してから、裏口のドアノブに手を置いた。

 

「…じゃ。行ってくるね」

 

 

「はーい。行ってらっしゃーい!」

 

 

 

 

 洋風の屋敷… とでもいうような外観の建物。

 その門前に貼られた紙を見ながら立ち尽くす白い少女。

 

「休み…」

 

ドクターミカドこと、宇宙の病気を診察出来る御門涼子は、他の 惑星(ほし)でしか手に入らない薬の材料を調達しに行っていたのだ。

 

 

仕方ない、と足を帰路に向ける。

 

「明日にするか…」

 

 

今は金曜日の午後。明日は土曜日。

学校までの猶予(ゆうよ)は幸い、まだあった。

 

 

 

鶫が(しばら)く歩いていると、公園の横を通りかける。

 

「ときめき公園」と目を疑うようなネーミングセンス。

それを「まァ、漫画の世界だし」と、特に深く考えず気にしないようにしながら、公園内に設置された木製のベンチを見つける。

 

(そういえば、少し…疲れたな)

 

鶫はあまり意識はしていないが、トラウマを刺激されるような突発的な出来事や、急激な身体の変化… そして唯一、この状況を解決出来るであろう御門涼子の不在を知った事による精神的なストレスが鶫の身体をベンチに座らせていた。

 

「どーなるんだろ、僕…」

 

友人…結城リトを主軸とした物語は無事完結し、後は何事も無く平和に暮らす。 漫画では見られないヒロイン達と主人公のその後のストーリーを、一番近くの特等席で観ながら余生を楽しく過ごす…そのハズだった。

 

(…………)

 

なんとなく顔を上に向けると、清々しいほどに青一色。

内心で雲一つ有れば気を紛らわせたのに… と、無駄な悪態をつきながら、ベンチから立ち上がろうとして自分の袖を小さな手が持ち続けている事に気がついた。

 

「………」

 

自分の袖を持っていたのは小さな… 丁度、自身の友人である結城リトの妹ぐらいの、赤毛の少女が無表情で鶫の顔を見ていた。

 

「あー… 座るのか?」

 

「…ちがう」

 

ふるふると横に首を振る少女。

 

「………」

 

じー、と顔を近づけながら鶫の眼を見つめている。

 

 

「な、なんだよ」

 

 よく見るとこの少女の顔立ちは幼いながらも、自らの友人を囲っているヒロイン達と同じくらいに整っており、普段見慣れてるせいで珍しさは感じないが、この世界の日本でもあまり馴染みのないような色鮮やかな(みどり)の瞳で自分を見つめていた。

 

 

「………」

 

 袖を持った手が動く。 くいくい、と引っ張られる腕。

 …どうやら鶫に付いてきて欲しいらしい。

 

 このままでは目の前の少女が動きそうにないので、困惑しながら付いていく。 そして立ち止まったのはすぐ近くにあった木の下。

 

「あのこ…」

 

 少女が指を木の枝に向ける。

 

「あの子って… 猫の事か」

 

「ねこ?」

 

 そこにいたのは仔猫だった。登ったはいいが降りられなくなったらしく、木の上でうずくまっていた。

 

「ネコはあの動物の事だよ。 なんだ、知らないのか?」

 

「はじめてみた」

 

 ネコを初めて見たらしい。 日本でネコを見かけない事など殆ど無いというのに… もしやこの子、箱入り娘というヤツか?

 

 鶫が少女の育った環境を少し考えていると、また袖をくいくい、と引っ張られる。

 

「あのこ、おりられないみたい。たすけてほしい」

 

「はぁ? なんで僕がそんな事をしなきゃならないんだよ?」

 

「あたしじゃとどかなかったから。

 おねえちゃんならとどきそうだから」

 

「(お姉ちゃん…? あ、僕のことか)」

 

 お姉ちゃん、という言葉に対して一瞬思考が妨害されたが、確かに少女の身長ではジャンプをしても届きそうにないし、登ろうにもこのくらいの少女がこの木を登って、更に仔猫を持ちながら降りてこられるとは思えない。

 

「だからって、何で僕が…」

 

「…だめ?」

 

 尚も離れそうにない少女。 この袖を掴んでいる力はそう強くはないし、簡単に払う事が出来る。 しかしーー。

 

「あー、もー! わかったよ!

 助けりゃいいんだろ、助けりゃ!」

 

 こんな瞳で見てくる少女を、掴んだ手を、払う事は出来なかった。

 

 

 木に手を置く。鏡で見た自分は女子中学生ぐらいだった。

 正直、今の自分がこの木を登れる力を持っているとは思えない。

 

 

  …だが、まぁ… 木登りの経験が無い訳では、無い。むしろ得意だ。

 

 経験があるなら登れることも、無い訳では無い、はず。

 ……多分。

 

 

(あれ?)

 

 力を入れて木を登ってみると、意外と簡単だった。

 むしろ、前よりも早く登れた気が…しなくもない。

 

 

(…………)

 

 仔猫を持ちながら、そのまま、するすると降りる。

 身体が軽い…? いや、気づいてなかっただけで、身体的なスペックがかなり延びている、のか?

 

「おねえちゃん」

 

「…ん、なんだ?」

 

 鶫が考え込んでいると、また袖をくいくい、と引っ張られる。

 

 

 

「ーーあのね、ありがとう」

 

 

「ーーーー」

 

 柔らかく、花が咲いたように、嬉しそうに笑う少女。

 それはどこか、昔見たような… かけがえないものでーー。

 

 

「ーーはっ!」

 

「 どうしたの…?」

 

 

「ち、…いや、ちがっ! ………なんでもないっ!」

 

「………?」

 

 

 

 

 ー公園で、鶫と少女が会話をしている同時刻。彩南町のはるか上空にて…

 

 真っ暗な宇宙船内。顔を人工的な光で照らしながら、その者は画面越しに「依頼主」から送られてきた資料を、表示されたホログラムで確認する。

 

「なるほど、この惑星(ほし)に奴が隠れ住んでいるのか…」

 

 

 ーー何者かの口元が、獰猛(どうもう)に口元を歪ませた……。




久しぶり過ぎて小説の書き方忘れた(笑)

…いや、やっぱいけないね。長期間投稿しないのは。
もうちょい投稿ペース上げられるように頑張らねーとなァ…


さて。

以下は解説コーナーです。
興味ない方はメスイキ催眠音声でも聞いてきてね☆(おい

・ときめき公園: ToLOVEる13巻「トラブル107 チクタク チクタク 恋の音♡」にて登場した公園。 ふざけた名前の割には普通の遊具があるようだ。

・POLNREFF BISTRO: ToLOVEる9巻「トラブル73 不機嫌?ご機嫌?」にてちょっとだけ登場した小レストラン。
 近くに彩南商店街が存在する描写があったので彩南商店街内の一角にあると判断した。

・店長: POLNREFF BISTROの店長。
 趣味は囲碁を打つことで、店の奥のスペースに作った囲碁専用のテーブルで御近所のご老人方とよく碁を打っている。

・ターニャ: 茶髪に青目の女の子。現在は彩南高校1年生。
店長を親戚の叔父さん的な目で見ているアルバイト店員。

 ちなみにターニャちゃんはBLACK CATのアニオリキャラだったりする。

・少女: 赤毛の少女。お父さんとはぐれたみたい。
 瞳は外国でも珍しい翠の瞳。無表情がデフォルト。

武藤ツグミ: TSしちゃう系オリ主。無駄に身体がハイスペックになっている事に気付きかけたり、しなかったり。

若干アホの子臭い。
ついでにチョロイン臭が(少しだけ)しなくもない。
以前、惑星ミストアに飛ばされた時に木登りが上手になった。
上手にならないと死ぬ。食肉植物っぽい植物が居たりするので。

※おまけにちょい解説。
 第4話で、バルロック達が予備研究施設の探索中に見つけた「イロガーマ」ですが。

 イロガーマって珍獣らしいんですよね。
 無印の頃にナナがラコスポに対して「珍しいのを飼っている」と言わせるほどですから。

 その幼体をエデル達が即座に識別出来たのは、無印の8巻&18巻で登場した、ルンがよく利用する銀河通販(裏ルート)の商品の一つ

「着衣消滅ガス弾」

(8巻でルンが説明しているとおり、珍獣イロガーマの都合よく服だけ溶かす油から作られたガスを使っている)

と「イロガーマの粘液(恐らく市販)」

 (こっちはダークネス16巻)などのアイテムを課金してクロに復讐しようとしていた事があったからですね(そんな物を持ち出して何するつもりだったんでしょうか)。

 まぁ、結局資金があまり無かった時代の話なんで彼らは自力でイロガーマの生息する惑星に行って、バルロックは服を溶かされてしまう訳ですが(誰得?)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 ミカン!ミカン!ミカン!ミカンんんぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ミカンミカンんんんぅううぁ(ry

 待 た せ た な !


 …いや、すみません。リアルの方で色々ゴチャゴチャしてたのもあるんですが、普通にスランプ気味で、この話書くために原作のモデルに使われた河川敷に行ってイメージ固めたりしてきました。 
(正直、めっちゃ楽しかったです。ハイ)

 ナナがトラックに轢かれそうになってた場所とか、ララが落ち込んでた場所とか、実際に見れてかなり興奮してました。
 帰ってから調べてみると、Google mapでいい感じに無印3話の最初のコマのシーンが再現できたりして楽しかったっす(小並感)


それではどうぞ。


第8話『初戦

 

空に浮かんでいるのは満月ではなく、欠けた月だった。

先程眺めていた時とは打って変わって暗く、しかしまだ何処か青が抜けきっていない。そんな夜空だった。

 

「………」

 

赤毛の女の子と別れ、帰路につく。

その些細な合間になんとなく、寄り道をしていた。

 

無意識に来ていたこの場所は、昔──前世でよく遊んでいた場所に似ていた。

 

遊ぶ、と言っても辺りには何もなく。あるとすれば僅かに背を伸ばす草たちと、川に架かる橋を支える柱が、斜面に隠れるように立っているだけ。 それでも、十分走り回れる広さは有るのだから、前世の幼き自分はそれで満足していたのだ。

 

彩南町の中にあるこの河川敷(かせんしき)は、ツグミの家からは少しばかり離れていた。それでもツグミにとって、無意識のうちに何度も来てしまう程度には思い入れのある場所だった。

 

外の空気は、…夜だからだろうか。ひんやりとしている。今、自分が身につけている白いミニドレスのようなこの服は肩や膝辺りが露出していて、寒さをいつもより感じてしまうようだ。

 

さっきまであまり意識していなかったが… ツグミはこの格好が気になり出していた。

 

視界の端に映っていた静かに流れる川に体を近づける。

 

「……これだもんなァ」

 

夜だったが、まだ完全に暗くなっていないせいか、橋の真下でなければ川はギリギリ、鏡の役割を果たしてくれていた。

 

水面に揺れているのは、ふたつ()いにした白い髪の少女。

 

白、といっても、その髪質は色素が抜け落ちたそれでは無く、あまり見慣れない髪の色であるというのに……純粋に、生まれたままの自然な髪色のように感じてしまう。 その白い絹糸は時折、夜風に吹かれることで、橋の上から漏れた、車たちを照らす人口の光を浴びて僅かに淡く、薄い金色(きんいろ)が混ざっているかのような、前世も含めてツグミが初めて見るような美しい髪色を見せていた。

 

「なんだろうな、なんかこれ…」

 

服に目を向けると───何か、引っかかるものがあった。

 

ミニドレスのようなそれは、その髪と同じくほとんど白一色で、例外としては胸の手裏剣のような型を含め、全ての金具(かなぐ)が金色をしていた。

 

 …いや、これは引っかかるというより()()()()()()()()()

 

 ツグミはこの自分の突然の認識のチグハグさに漸く気付き、困惑した。

 

 違和感。引っかかっている、という認識が有るのに引っかかっていないと訴えてくる認識。 それは全てこの衣装をあの時、鏡の向こうに映る否定すべき姿を観てからだった。 だからきっとこの認識のチグハグさの起点は、あの時鏡に映ったモノ───この「衣装」に有るはずだ。

 そこまで考え、ツグミは再度目の前に映る「衣装」に注意を集中させた。

 

───違和感はなかった。むしろ、この少女の身体の為だけに作られた、と言われたとしても何となく納得してしまう、そんな衣装だった。

 これといって他人が警戒するような危ない装飾も、痴女が着るような露出が激しい服でもなかった。故にツグミにこの衣装を()て、このように何か否定の念を抱くような点はない筈である。しかし───

 

 

「おい」

 

背後から声が刺さる。聞き慣れない声は若干平坦ながらも、あまりこの街には似つかわしくない、どこか重苦しい怒りと薄い興奮を感じた。

 

 必然的にツグミの思考は強制的に遮られ、視線は声の主が居るであろう背後の方へ向かう。

 

「───ッ」

 

 ツグミは寸のところで喉まで出掛かっていた声を留めた。

しかし、悲鳴こそ上げなかったが…同時にその存在はツグミに少なくない衝撃を(もた)らした。

 

 ツグミが振り返った場所に居たのは自分を遥かに上回る、軽く見ても2mを越えた背丈と、体表を(つつ)む機械のような独特な光沢。そして───

 

「(宇宙人……っ!?)」

 

───地球人にはとても見えない形容し(がた)い顔付き。 ()えて例を出すなら魚のような、のっぺりとした顔立ちをしたその存在は……いつの間にこの土地に着陸したのか、離れた場所に小型の宇宙船のような乗り物が置かれてあることにもツグミは気が付いた。

 

「ちょっとこの星に()んでいる原住民の方に、少しばかり聞きてえことがあるんだが───」

 

 

 

「かはッ───」

 

 

 

「───教えてもらっても……いいよなァ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 口から無理矢理追い出された空気。腹部に衝撃が走ったと自覚できたのは、先ほど立っていた場所───突然現れた、凡そ穏やかでは無い雰囲気を持つ、宇宙人と思わしき存在が立っている場所から歩幅十数歩程離れた人気の無い橋の下に飛ばされながらも、徐々に減速し、無様にも身体が降って沸いた痛みに驚きながら、その痛みをどうにかやり過ごすために(うずくま)っていた時だった。

 

「……くっ」

 

 ツグミが立とうとするが、久方(ひさかた)ぶりに味わった痛みは、随分と鈍っていた精神と身体の自由を奪う。 やっとのことで腹部を抑えながら立ち上がれたのは───目の前に、相手の(あし)が飛んできたのを確認してからだった。

 

 

「ッ!」

 

 二度目の攻撃。咄嗟に腕を交差させることが出来たのは…恐らく、奇跡に等しい。

 

 一時期、過酷な環境下で生き延びたとはいえ、対人戦は初めてであり、ましてや自分は10年近く平穏なこの街で、ぬくぬくとぬるま湯に()かってきた側の人間だ。 とてもとてもドラゴンボールのような軽快な動き方なぞ出来そうも無い。

 

そして衝撃を防ぐ為の行為も、素人がやれば殆ど意味を成さない。

身体はそのまま吹っ飛び、ツグミは受け身も取れずに草の上を転がる。

 

 

「はぁ、はっ、はっ、……くっ」

 

荒くなった息を整えようとするが、上手くできない。顔を上げれば、ヤツが見下すように……しかし、口の端に喜色を浮かべながら、(たの)しげに話し出した。

 

「───おれはよぉ〜、ある宇宙人を探してんだ」

「う、ちゅう…じん?」

 

 

 宇宙人。地球の外から来た異星人たちは他の星より文明が未発達なこの惑星(ほし)を何らかの理由で隠れ(みの)代わりに使ったり、単純にこの星を気に入って移り住んでいる奴らはかなりいるそうで、この彩南町もその例外ではなかった。こいつが探しているのはその隠れ住んでいる宇宙人のうちの1人なのだろう。まったくもってはた迷惑な話だった。

 

 

「そうだ。ソイツはよォ〜、銀髪で剣を使う、いけ好かないヒドイ奴でなァ? 銀河大戦中に一緒に居たおれの仲間達を全員切りやがった上に、おれを捕まえて銀河警察に引き渡しやがった!」

 

 

 銀髪の、剣を使う…宇宙人?

 

 ツグミは提示された情報に該当する人物を脳内で探す。

 少し考えた先に、最近は剣を抜かなくなって久しい人物を一人、思い出した。

 

 銀髪の、剣を使う…つまり剣士の宇宙人なんてキャラがやけに立っているであろうその人物は───しかし、ツグミの脳内では目の前の存在が言うような剣を持つような人物ではなく───代わりにペンを持ち、締め切り間近の原稿を、本来の自分の仕事以上に超真剣な顔で捌いていた。

 

 

 ……んん? あの、ザスティンさん? ギャップ酷すぎません?

 

 

 ザスティンさんが普段、リトの親父さんの仕事を手伝ってる時に差し入れの料理(という名目で一時期作り過ぎてたパスタ類を押し付けてました)を持って行った時に見た彼の勇姿を思い出す。

 

 ギャップもそうだけど、いつもクソダサTシャツ着ながら漫画を必死に描いてる姿からはそんなバトル漫画の主役的な姿なんて想像でき……あー、でもそういえばザスティンさんって一応、宇宙を統べるデビルーク王の娘の親衛隊隊長が本職なんだっけ…。

 

 あー…、思い出してきた。漫画でもなんか一番最初の方でそんなこと言いながらリトを追いかけてたんだっけ?

 原作開始の日とか知らないから普通に寝てたりして、何やかんやで僕がザスティンさんに初めて会ったのって、町の中でザスティンさんがララさんを探してた時だし、最近はあの、町で注目を無駄に集める鎧も着てなかったみたいだしで全然思い出せなかった。

 

 そっか、ザスティンさん…漫画家志望の人ってだけじゃなかったんだな。

 

 

 つーかそれならザスティンさんの拠点に直接行けよ… あの人今頃多分、部下と一緒に男三人で(さび)れたアパートの中でコンビニ弁当食ってると思うよ? 僕実際に見たから知ってるし。

 

 最近、「ララ様を危機から守るために活躍する親衛隊らしいことができていないんです…」とか言いながら暇そうにしてた……いや、あれは暇そうと言うより、どっちかというと見せ場が欲しいとか親衛隊長としての矜恃としてそれらしい事がしたい、みたいな感じな気がするけど。

 

 あれ、ってことはザスティンさんに押し付ければwin-winじゃね?

 僕は怪我せずに済むし、ザスティンさんはなんかプライド的なものが満たされるし、この宇宙人は溜め込んだ感情をザスティンさんにぶつけられる。 やだ、完璧。ぱーふぇくとじゃん!

 

 

 なら早速こいつにザスティンさんの住所を教えよう。

 

「なぁ、それってもし──」

 

「まったくッ! ヒドイ話だと思わねェか?」

 

 いや聞けよ。

 

 

 

 ヒドイかどうかなんて…いや、まあ、確かに仲間を斬られたってのはひどいって気もするけど、ザスティンさん、何も悪いことしてなかったらそんなことしないんじゃないかな。普段アレだけど、理不尽な理由で誰かを傷つける人じゃ…あ、ごめんザスティンさん。リトに切り掛かった前例あるから擁護できねぇわ、これ。

 

 

 などと考えている内に、目の前宇宙人が再び動き出した。

 

「お陰様で──」

 

 対人戦の素人でも理解できる殺意。

 理性的な枷は無く、獣の威圧は───だからこそ僕にでも危機が理解出来た。

 

 

「───ずっと殺しが出来なかったじゃねぇかッ!!!」

「──────ッ!!!」

 

 風が唸る。

 突風が吹き抜け、獲物の肉を削ぎ落とす為に加速する。

 破壊力を秘めたその前足は、しかし牙として迫る。

 

 片手で地面を叩くように押して、身体を勢いよく横に回し、地面に叩きつけられた(こぶし)をギリギリ回避する。そのまま立ち上がり、距離を出来るだけ取るために足を必死に動かす。

 

 十数メートル。距離を確保し、思考を再開する。

 

 

 ってそれ完全にこいつが悪い事してたパターンじゃねえか!?

 え、いや、怖っ! 今、地面が抉れてた気がするんですけど!?

 

 

 

 ちらりと後ろを見るが、相手は拳を叩きつけた状態のままだ。

 それがかえって不気味だった。 恐怖心に()られ、足をさらに速くする。

 

 既に二十メートルは離れている。しかしまだ嵐は去っていない。

 そう、嵐。単なる身体能力で相手の攻撃を避けることが出来たとして、其れを止める為の逆風───攻撃手段を持たなければ何れ自分は嵐に喰われる。

 

 

 ……………

 

 静寂な暗闇の中、風と己の荒い吐息が周りを支配している。

 この荒い呼吸の音がこの場から消え去る前に打開策を考えねばならない。 しかし、下手に逃げようにも坂に登った瞬間に追いつかれるのは目に見えている。先の攻防で確認した相手のスピードを見るに、この平場で戦うしかない。

 

 しかし、しかしだ。

 そもそも話、「戦う」という選択肢は皆等しく「牙」が有ってこそ成立するもの。

 

 今の自分には───。

 

「くそっ、こんなことなら武術の一つでも覚えておくんだった…っ!」

 

 今更何を言おうと奇跡なぞ起きやしない。

 怠慢にも「ギャグとラブコメの世界(平和な世界)」だからと言って牙を持たなかったのが間違いだ。その考えを持った時点でこの結末は既に定まっていたのかもしれない。

 

「───っ!」

 

 背後から感じた。殺気が70メートル先から動く。

 獰猛(どうもう)な肉食獣が草原を走り抜けるかのように距離を殺してくるのが理解出来る。

 

 

 

 ———何か、無いのか。頭は焦りで、それ一つに絞られてしまっていた。

 

 

 もう、なんでも良い!

 使えるもんなら何でも───!

 

 

 

 

 ──それでも。

 

 

 

 ──何も無い、と理解するのもその声を聞いた、すぐ後だった。

 

 

 遅れて()る、死神の気配。

 

 

「それにしても、きみィ……どっかで見た気がするンだよなァ〜」

 

「がッ───」

 

 今度は背後からの衝撃。(かわ)す前に、考えるワンテンポ前に視界は勢いよく変化し、頭を踏みつけられた。

 

「ぁ──ッ」

 

立とうとするが、動かせない。…やばい、痛い。

 

 己の頭を踏みつけている脚を手で掴んで退()かそうとするが、己の下手したら小学生と言われても通じそうなくらいの小さな手では、…体勢が悪いと言うのもあるが退かすことも、動かすことも出来なかった。

 

「ン〜…どこだっけなァ〜?」

 

 

 頭の上で雑音(こえ)が聞こえる。しかし理解出来ない。

 

 

───何か、無いのか。

 

 

 踏みつけられた頭に痛みが走るのを涙を浮かべながら耐える。

 

 

 

───何かない、…のか。

 

 頭は踏み(にじ)られ、踏まれていた方の髪の毛が(ほど)けるのが理解(わか)る。

 

 

 

 

 

 

…?

 

 

 

 

 

 

 

()()()…?

 

 

 

 

「───────────────がッ」

 

 

 

 脳髄が、スパークする。

 

 

 抵抗なんてする暇も無く、視界が焼失する。

 

 

「─────────────────────────────────────────────ぎッ」

 

 

 内側から燃える。何故燃えるのか、何が燃えているのかさえ判らないのに燃え尽きる。

 

 

「───────────────────────────────────────────────────────」

 

 

 声を出すことさえ許さない程の黒い炎に喉をそのまま焼かれた。

 脳が溶け、ぐずぐずの身体だったモノは地面に崩れ落ち─────

 

 

 

 

 

 『じゃあ私も■■の■■■■■なの?』

 

 『───…そうね。■■は…■■の■■■■■ね』

 

 

 

 

 

「─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────ぁ」

 

 

 

 

 瞬間、白い視界が何かを捉えた。

 身体の中に存在する何かが、己を構成する材料に手を加える。

 

 

 

再構築。

 

 

 肉体の形態が、変化した。

 

 

 

 ───バキっ。

 

 

 

「ブベッ!?!?」

 

 

 

 何かを折る音が、暗い河川敷に響く。

 

 

 

 イメージした妄想(げんそう)は、当然現実になり。

 

 

───誰が何をしたのかわからない。

 

 

 さっきまで己の頭部を踏み躙っていた宇宙人が勢いよく、形作られた白い、巨大な拳に吹き飛ばされて行く。

 

───何でそうなったのか理解出来ない。

 

 

 朦朧(もうろう)とした視界に収めながら、ゆっくりと、なんとか立ち上がる。

 

 

───なんで自分は立ってるんだろう?

 

 

 

 なんで気が付かなかったんだろう。()()()()()()()()のは、「これ」だったんだ。

 

 

───気づく? 何に?

 

 

 手で触れて、わかった。

 この髪は二つに結ってあったが、何処にも無かったのだ。

 

 

───最初から、そんなものは…無かったじゃないか。

 

 

 

 

 

 ───根元を縛っているはずの、髪留めが。

 

 

───己を縛る(オモイデ)なんて。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話「!?!?」

 お久しぶりです。ToLOVEるの用語辞典とか、時系列表とか作ってました……まあ、この先の展開のネタバレ量産機なので公開はできませんが。

(結構前に完全版とは別に、用語辞典で、友人に見せるつもりのやつを調整してたら、気付かず数分だけ公開したことがありましたが……まあ、見れた人はラッキー程度に思っておいてください)


 あと、今回は今日中に更新することを決めていたので、短いけど投稿。
 … 家に帰ってきたら、もう少し書き足すかもしれません(サブタイはその時に追加しときます)。追記:書き出しました。



 あ、亀投稿過ぎなので実質初投稿です。


第9話

 

 

 

 「ここは…」

 「おや、お目覚めかい」

 

 窓から差し込む、眩しい朝日が目に当たり、座席に横たわっていた体を起こすと声を掛けられた。

 

 「あ……店長さん」

 

 黒髪に、赤い瞳の眼鏡をかけた男性……そこに立っていたのは、ポルナレフビストロの店長さんだった。

 

 …ということは。

 

 寝ていた場所を見渡してみると、テーブルの上に置かれた将棋のワンセットが目に入った。

 僕が寝ていたのは、ポルナレフビストロの奥にある、将棋スペースの座席だった。

 ……確かにここなら、早めにお客さんが来ても困ることはないだろう。この場所を利用するお客さんは大体お昼からしか来ないし。

 

 身体にかかっていたタオルケットがズレ落ちそうになっていることに気付き、お礼を一つ言ってから店長さんに渡す。

 

「あの、店長さん。どうして僕はここに……」

「昨日、買い物ついでにね。帰りに車を走らせていたら、河川敷に倒れていた君を見つけたんだ」

 

 僕が、河川敷に…?

 

 

 「あっ」

 

 思い出したっ!昨日、身体が女の子になってて、リトから電話があって、公園で猫を助けて、そのあと…

 …その後に河川敷で、知らない宇宙人に襲われた。

 

 「……」

 

 あいつに、頭を踏まれたのは覚えてる。そこで気絶してしまったんだろう。

 なら、僕をここまで運んでくれたのは────

 

 

「もしかして店長さんが運んでくれたんですか?」

「そんなに重くなかったからね」

 

 ああ、やっぱりか。

 

「その、ありがとうございます」

「どういたしまして」

 

 店長さんには、頭が上がらない。僕は覚えてないけど、小学生2年生の頃から来ていたらしいし、中学に進級して海外に行くまでは何度も来ている。というか日本に帰ってきて落ち着いてからはほぼ毎週、週末に通うようになっていた。

 

 まあ、そんな感じで。付き合いが長くなれば、色々とお世話になることにもなる。

 特にあの事件のあと、料理を学ぶために通っていたのもこの店だったりする。

 つまりは、ここの店長は僕の料理の師匠でもあるのだ。

 

 それにしても、あの宇宙人はあの後どうなったのだろうか。

 ……そういえば。

 

 

「暗かったのに、よく気付きましたね」

 

 何気なく、思ったことを言う。

 

「────……ああ。ひとつ前の車が止まっていなかったら、僕も気づかなかった……のかもしれないね」

 

 ……?

 

 

 店長さん?

 

 

「──そういえば鶫くん。どうしてあんなとこで寝てたんだい?」

 

「……あ。

 えと……その……」

 

「……まぁ、夜遊びも程々にね」

 

 どうこたえようか悩んでいると、あんな場所で寝てると風邪ひくよ?と柔らかく注意された。

 

「すみません。眠るつもりはなかったんですが……」

「もういいよ。それより、なんか食べてく?」

 

「…じゃあ、えびめしをください」

「えびめし一つね」

 

 テーブル席に座ってしばらく待っていると、カラメルソースのいい匂いがしてきた。

 

「はい、お待たせ」

 運ばれてきた皿に盛りつけてあったのは、エビが顔を覗かせる黒いライス。

 

「いただきます」

 

 まずは一口。スプーンで掬った黒光りの美しいライスを口元に運ぶ。

 

「…うまい」

 

 そばめしのように黒光りとした様からは想像できないあっさりとした、しかしコクのある味付け……。初見で勘違いされやすいが、味は濃くはない。

 むしろ、飴色の……オニオンの効いたあっさり目のこのライスが、ものすごく日本人の口に合うのだ。

 

「……」

 

 黙々とライスを口に運ぶ。

 『えびめし』の名の通りにライスに紛れ込む、エビピラフを思い出させる懐かしいぷりっぷりのエビが、これ以上なくこのライスとよく合う。

 

 黙々とライスを口に運び、喰らい続ける。

 

 

 えび、ライス。えび、ライス。えび、ライス……────

 

 

 

 

「────ごちそうさまでした」

 

 席を立ち、お会計を済まして店を出る。

 

「あ、鶫くん」

 

 ……前に、店長に呼び止められた。

 何ですか。と聞くと何かを手渡された。

 

「はいこれ、落とし物。大事なものなんでしょ?」

 

 ────渡されたのは、首に掛けていたはずのネックレスだった。

 

「え───?」

 

「どうしたの?」

 

「あっ……。えと、ありがとうございます…?」

 

 受け取ったネックレスを、とりあえず受け取って店を出る。そして、空色のネックレスを見つめた。

 

 

 

「そういえば……僕、元の身体に戻れてんじゃん」

 

 

 ものすごく今更な話だった。

 

 

 

 

「あ、常連さん」

 

 店を出て、なんで元の身体に戻れたのかについて考えながら適当に歩いていると、商店街の中にある服屋の前で、知り合いの中年男性を見つけた。そして僕が見つかった。というか凝視してる。めっちゃ見てる。めっちゃ来てる。あ、コケた。

 

「大丈夫ですか。思いっきりバナナ踏んで顔面ぶつけてましたけど」

「大丈夫だ鶫くん。ちょっと出血死しそうなだけだ」

「それ大丈夫じゃないですよね常連さん。鼻から赤い滝が出まくってますよ」

「大丈夫だ問題ない」

 

 ドサッ

 

 あ、倒れた。

 

 この人はポルナレフビストロの常連さんの一人だ。最近、店員さんの一人に一目ぼれしたらしく、相手の気を引くために一生懸命になっているらしい。鼻に血で染まったティッシュを詰めている姿からは想像できない真実だ。

 

 

「で、どうしたんですか常連さん」

「いや、鶫くん。ここはあの店の中じゃないんだから常連さんって呼ぶのはおかしくないかい?」

「じゃあ何て呼べばいいんですか」

「ミスター☆ティーチャー」

「だから常連さんって呼んでるんですよ、常連さん」

 

 

 このやり取り何回目ですか。とジト目を向ける。

 

 

「25回目だ。それよりも鶫くん。私のフィアンセに贈る花はどれがいいと思うかね?」

「…いや、僕、花とか詳しくないんで聞かれても困ります。あと、フィアンセはやめといたほうがいいですよ常連さん」

 

「大丈夫だ鶫くん既に引かれた後だ」

 

 

 いや、手遅れじゃないですか。

 

 

「ふむ。まあそれは置いておいて、君は花に詳しくないのか」

「まあ、詳しくはないですね」

 

 知ってるとしても一般的な花の名前だけで、僕は「誰かに何を贈ればいい」とかは知らない。植物好きなリトなら知ってるかもしれないけど。いや、一番詳しそうなのはモモ・べリア・デビルークかと一瞬思ったんだが、あっちは地球よりも宇宙植物の方が詳しそうだし。地球の植物について詳しいのはリトな気がする。

 

 

「なるほど……、なら君にこの本を進呈しよう!」

「『好きな人に贈る花言葉』……?なんですかこれ」

「タイトルの通りだ。私もこの本でフィアンセに送るべき花を学んだ。君も好きな女の子がいるのならこの本で勉強するといい!」

 

 

 受け取った本をパラパラとめくると花言葉と解説、そしてその花の写真が載っていた。なるほど、分かり易いな。確かにこれなら、ささっと読めるかもしれない。

 

 

「成程です。ところで常連さん。この本裏に図書館のバーコードがついてるんですけど」

「貸出期限は明日までだ!返却コーナーに置いておくだけでいいからな!」

「おい」

 

 "じゃあ私はフィアンセに贈る花を選びに行くからー!"と手を振りながら、僕に未返却の図書館の本を押し付けた鼻血おじさんは去っていった。

 

 

 それを受け取った本片手に見送った後、僕は土曜日早朝の、歩く人たちの靴音が少々響く青空を見上げながら一つの完璧な結論に至った。

 

 

「よし、……適当に買い食いして帰るか」

 

 

 人はそれを思考放棄と称した。

 

 

 

 

 適当な食べ物を買うために、商店街を見ながら歩いてたら自分の首にかかっている空色のネックレスに目が固定された。

 そういえば、このネックレスが赤色に光ったらあの姿になってたんだよな。

 

 

「……このネックレスに何かしたら、『変身』したり!……なーんて」

 

 

 ははは……と笑っていると、ふと気付く。

 え、めっちゃ光っとるやんけ。

 

 空色のネックレスが、ぺかーと赤く発光したら、次の瞬間には視線が低くなっていた。

 具体的には約10cmくらい。

 

「え。……ん?えーと、……うん?」

 どどどど、どういうことだってばよ。

 

 

「あっ……ヤ、ヤミ……」

 あ、リト。……ああ、どうした買い物中か。

 

 

 ……って、うん?

 

 

「ちょっと親父に頼まれた資料を買いにな…って。

 ……えっ?」

「……えっ?」

 

 ?????

 

 

「……????!!!!」

 

 

 ……!?!?!?

 




 解説:店長が鶫を見つけたと言っている道は、原作でナナがISU〇Uの転生トラックに跳ね飛ばされそうになってた場所。

 ちなみにですが矢吹先生曰く、この河川敷は岡山にある河川敷がモデルだそうですね。


 おまけ


・武藤ツグミの状態。


 身長:162cm

 血液型:A型

 特技: 料理・ゲーム

 好きなもの: お姉さん、レギオン

 苦手なもの: 甘いもの、宇宙人

 学年: 彩南高2年


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

物置き(という名の廃棄所)
お久しぶりです(+廃棄プロットについて)


 お久しぶりです。長らく失踪していたので「誰だっけコイツ」と思っている方も多いと思いますが、実はハーメルンで今まで匿名で二次小説を書いてきたのですが、正直元々読み専だったので、この小説を投稿しているアカウントはまだ小説を書き始めの頃以前に使用してきたアカウントでして、実はこの小説が匿名である理由も大部分は「読み専用アカウントで投稿してたから」なんですよね。

 で、大体2年ほど前に小説の更新が止まりやがったワケですが、実は執筆専用の新アカウントの慣らしをしていました。……これが更新が止まっていた理由の半分です。


 そしてもう一つは……まあ、読んでもらった方は薄々感じていらっしゃったかもしれませんが、この作者、昔の匿名作品は軒並み勢いだけで書いてるような作品が多かった……というか、初期の方の汚物やネタ帳、走り書きなんかをちらりと覗いてみると、まあ出るわ出るわ……なんかもう昔の骨組み出来たら精神的に力尽きて、まるで見直しできないマンだった頃の悪しき風潮そのままを掘り返しているような気分に浸ってみたりで最高でした。


 要は、「この作品、勢いと骨組みだけで殆ど投球してたから、途中から見返すたびに書き直したくなってました!」ってことです。

 あと、そういえばまだこの作品書いてるときに、丁度矢吹先生の最新作「あやかしトライアングル」が発表され、連載がスタートし始めたんですが……



     矢 吹 先 生 と ネ タ 被 っ と る や ん 。



 連載し始めて友人に指摘されて気付いたんですが、この作品なんかめっちゃあやトラと類似点が多い気がするんですよね……

 具体的に言うと

①主人公が元々は男子高校生であり、白い髪の美少女に変身(TS)して襲い掛かる敵を倒していく。
②物語開始時点より前に、昔から恋してる黒髪ヒロインという恋愛対象が居る。
③ヒト語で喋るシロネコとの出会い、そのシロネコが主人公の家に住み着いたり住み着かなかったりする。


 あとなんか色々と有った気がしなくもないですが、そこらへんはまだ出してなかったり、没にするか、それとも使うか保留か……みたいな部分が多かったので、言えませんが(おい)……え? もしかして矢吹先生こんなの読んでませんよね??(この作品、一応2019年から始まってたりするので、ありえなくはないんでしょうけど(いやねーよ)) というか、これ正直元々はダークネスが5巻ぐらい(だったと思う(うろ覚え))しか発売されてなかった頃の若き故の過ちみたいなお目汚しネタを掘り起こして再利用してただけなので、正直もし何かの間違いで読まれでもしていたら正直死んでしまうんですですが……(え、ホントにこんなモノ見られてませんよね先生??)


 ……あー、つまりですね。前書きを書くの久しぶり過ぎてかなりぐだぐだになってしまいましたが、もう半分の理由は要は、『あやとらの類似点を知ってしまったので、多分そんなことはないと思うけど、万が一何かの間違いで先生に見られててもいいように、自分が持ってる原作の資料とか全部掘り出して、一から設定の見直しをしようぜ!』……ってのを実行していたのが原因です。正直時間かけ過ぎましたごめんなさい!!



 ……いや、だってこれしょうがないじゃないですか?(言い訳するな) 他の二次創作なら公式で結構原作の世界観に関する設定がまとめられたオフィシャルデータブック的なものがあったりするんですが、ToLOVEるには……あるにはあるし、なんなら持っているんですが、(知りたい情報が載っている設定資料が)無いんですよ……


 シンフォギアとかジョジョだとか、なのはシリーズだとかはそこら辺の詳細はネットに潜れば調べれたりしたんで、そこまで苦労したことはなかったのですが……当時、幾ら調べてもToLOVEるには年表も作中の単語辞典も無かったんですよ……


 なので、自力で一からすべて作ってました。
 ToLOVEるの作中年表と単語辞典、その他諸々の設定資料を。自力で。


 えー、この苦行の何がきついって言うと、wikiとかpixv百科事典だとかにも載せられてない設定が調べれば調べるほど出てくるし、(当時の)手元の資料だけじゃ見つからない部分も当然あるし、欲しい部分をネットで調べても一切ヒットしないし、なんか友人に話したら「いや、これそういう漫画じゃねーから」とか言われるし……(以下聞くに堪えない話が続く……)




 ◇



 いい加減話が長くなってきましたが、そろそろ察しておられる方もおられるかもしれませんが、そうです。

 お察しの通り、この二年間で原作の設定を調べ直したおかげで、この小説の粗も大分見えてきたので、というかこのまま続けようにも昔より無駄な知識が蓄えられた分、何を書こうにも「あ、駄目だ設定が違う……」という思考が脳裏を通り過ぎていくので、正直この作品を書き始めた時に作った設定だけだと新しい部分が書けなくなっているので、設定を一から練り直した後に、1話からリメイク版(書き直)します。


 一応旧設定版も残しておきますが、いつかふとした時に消すかもしれません。(ぶっちゃけ読んでて混乱の元ですし…)

 リメイクすると言っても、正直ToLOVEるの裏側の設定に焦点を当てる自体があんまり二次創作されていない(いや、そんなことないだろ)、つまり他の原作と違って二次創作のノウハウがあんまり参考に出来ない展開があったり、この二年間で見直す部分も多くなったのでリメイクしても、『書き直し、設定変更』が何度も行われるかもしれませんが、私自身もToLOVEるの二次創作(特にダークネスの範囲)はこの作品が初めてだったので、リメイク後にそういうことが行われていても温かい目で作者を罵っておいてください。嘘です暖かい感想が欲しいです。


(感想と言う名のガソリンがあるだけで、作者という生き物は泣き喚きながら喜びますので……)








 あとおまけとしてこちら、2年前に書いたはいいが倉庫に放置されて、お馬鹿な作者にその存在を完全に忘れられていた13話……というか、裏話というか、序章の幕間みたいなものの一部です。

 10話~12話(と、書きたいところだけ書いて後はプロットだけの放置された走り書き達)も(というか繋ぎ目としての話)一応あるんですが、プロットだけ、しかも殆ど書きかけの状態で放置されているので、その殆どは作者が2年前に頭に適当に詰めていた内容を思い出さない限りは出せません、というか書けません(いやダメじゃん)

 番外編だとかも(時々ダメージ負いながら)発掘したらいくつか見つかったんですが、もう少し先に進まないと正直訳の分からん部分が幾つかあったので、同じく埃被ったままです。

(一応、そのまま出せそうなものもあるにはあるのですが、時系列が無印の最終話前後の……主人公にあんまり関係ない……原作の裏方の話だったり、無印最終話直後の話だったりするので、これらももう少し話進めてないとお出しするには正直微妙だなー……とか思ってしまうので、同じく現状は公開する予定はないと思われます。もしかしたら、リメイク版がある程度ストック溜まれば再利用するかもしれませんが……)




 以下、おまけです。
 リメイク前に……まあ、2年前の書きかけで中途半端ですが、(作者を罵りながら)雰囲気だけでも。








「いてて……オイ、エデル、ラドール!大丈夫か!?」

 

『ボクは大丈夫だよ〜』

 

 声の方を向けば、吹き飛んだ機材の上に見慣れた全身サイボーグが立っていた。

 続けるように離れた場所に居たサムライが此方に近づく。

 

「私も大丈夫だ。それより…バルロック、今の爆発は何だったんだ?」

 

 制御パネルと思わしき場所でボタンを押した瞬間、巨大な培養カプセルに収まっていた生体兵器が消えた。

 

 そしてその数十秒後、培養カプセルを載せていた「台座」が吹き飛んだ。

 

「わからねぇ。だけど、さっきまでソコにあったモンが無くなってんのと何か関係あるんじゃねぇか?」

 

 

 

 

 ☆自分たちが乗ってきた宇宙船が先程の事故の影響か、何処かへ行ってしまったことを知った彼らは、研究施設内の脱出手段を探すことにする。

 

 

 

 三人が探索を進めると、瓦礫の埃を被った白い宇宙船が見つかった。……保管されていた、というよりは『放置されていた』といった方がいいような置かれ方をしていたのが少し気にはなるが、せっかく見つけた脱出手段が使えるのかどうか確かめるため、三人はその近くで妙な保管のされ方をしていた宇宙船の外部コントローラーを見つけると、中に入っていった。

 

 

「随分と金の掛かってそうな宇宙船だな。……おっ、食料もあるな」

 

 

 中には比較的真新しい、数年単位で保存の効く宇宙携帯食料が山積みにされた箱や、同じように雑に置かれていた箱からは、オーダーメイドと思われる何着かの、白い……少女用の戦闘衣装(バトルドレス)が見つかった。

 

 

「この衣装、どっかで見たことあるような気がするんだが、どこだったか」

 

 触ってみると宇宙の中でもかなり良質な素材で出来ているのだろう、それなりの防御力はさることながら、かなり動きやすそうな戦闘用のコスチュームだった。

 

 更に船内を探ると……船主の娯楽趣味か何かだろうか? 今の宇宙ではあまり見ないタイプの、紙媒体の古い資料が机の上に置かれていた。三人が中身を見ても、どうやら見たこともない暗号で内容が隠されていたこともあって、特に興味を持たない三人は資料をそのままの状態で放置することにした。

 

 更に探索を続けて行くと、今の時代からすると少々古い情報端末が見つかった。

 しかしこれまた奇妙なことに、誰かが情報でも抜き取ろうとしたのか、旧式とはいえそれなりにセキュリティがあるはずの端末が三人に対して素直に情報を開示する。

 

 古い写真データが見つかった。……記録を見るに、十数年以上前の銀河大戦終結前に撮られたものらしい。

 その写真の中には……姉妹なのだろうか? 白い髪と、金の髪の二人の幼い少女に挟まれる形で、まるでその少女達がそのまま成長したかのような顔立ちの、緑色の目を持つ金髪の女性が微笑んでいた。

 

 

 サムライがそのうちの一人を見て、何かに気付いたかのように叫んだ。

 

「もしや……この宇宙船の持ち主は『亡霊』か!?」

 

「ボーレイ? ……ってもしかしてあの亡霊かよッ!?」

 

 

 ──亡霊。正しいコードネームは『純白の亡霊』。

 

 殺し屋を始めたばかりの頃は別の名で呼ばれていたこともあったらしいが、ある依頼を境にその出で立ちを白く染め上げ、依頼を受けるごとに最初の頃に呼ばれていたコードネームではなく、その新しい容姿に則るように自らそう名乗るようになったらしい。

 

 そして何年も依頼をこなしていく内に、以前よりも更に機械のように、対象をただただ殲滅していく死人の様な彼女に対して多くの宇宙人がそう呼ぶようになるのも時間の問題だった。

 

 

 だが、しかし──

 

 

『……ん~? でも純白の亡霊って、2年前に消えたんじゃないの~?』

 

 

 そうだった。

 宇宙にその名を轟かせた伝説の殺し屋は、2年前の暗殺の依頼を最後に姿を消していたはずだ。

 そして、多くの宇宙人が彼女の末路がどうなったのか話題にしたが、結局その詳細は判らぬまま。

 

 そもそも、彼女が最後に受けたという『依頼』自体が存在の怪しいものだったと聞く。出処の怪しい噂によれば、何かしら過去に消えた組織にまつわる何かを調べる為に、最後の依頼を受けたという話を少し聞いたが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 ─8月14日─

 

 

 金曜の夜。ツグミが気絶した後、暗い闇の中で一人の男が焦げた肉塊に近づく。

 

 

 

「なあ、おい。ありゃあ、なんだ?」

 

 その肉塊──『ツグミが気絶した直後に、ツグミでないダレカに全身を焼かれた宇宙人』は、自らをこの辺境の発展途上惑星へと誘った雇い主に問いかけた。

 

「何、とは? 何のことを言っているのかな」

 

「とぼけンじゃねえよ。…最初は、本気でただの原住民かと思った」

 

 それは、注意深く観察するまでもなく。この宇宙人が下した…あの時相対した存在への、これ以上にない妥当な評価だった。

 身体能力の高さは確かにそこらに散らばる宇宙の雑魚よりかは早いし、耐久力の面に関しては少し不可解な程に硬かった。

 

 しかし、それだけ。意志と行動が致命的にズレている。

 行動が遅い、身体と何処かで繋がっていない、行動の理念が欠けすぎている。

 

 それが、最初にこの宇宙人がツグミに下した評価だった。例えるなら…初心者がいきなり宇宙船に乗った結果、といったところか。

 

 …その、宇宙人の言葉を仮に地球の言語に正すとしたら、「三輪車にしか乗ったことがないような奴が、モンスターバイクに乗ったようなもの」だ。実際、ツグミはその優れた「身体の能力」の、ごく1割程度しか出せていなかった。

 

 

 ───そう。バイクの「バ」も知らない一般人が、モンスターバイクをいきなりアクセル全開で発進させればどうなるか。

 

 

 ツグミはそれを「無意識の領域」で回避した。その結果があの無様な戦いだった。

 

 

 それは、それ以上の出力を出してしまえば「ツグミ自身が引っ張られ過ぎて自滅する」ということを一般人でしかないツグミが無意識の領域で理解していたからだ。そして、ツグミが曲がりなりにもこのToLOVEるワールドを10数年生き延びてきたということへの証明でもあった。

 

 

 

 ───そして、それは同時に。この「ツグミの評価」の結果こそが。

 

 

 そもそも「前提条件が間違っている」、ということの証明でもあった。

 

 

 

 

 

 

 




 おまけは以上です。
 元々2年前の(旧設定かつ、ほとんど細かい部分を忘れてる)書きかけ部分をそのまま持ってきているので……まあ、うん。はい(おいこら)




 くっそ長くなりましたが、墓場からの妄言の垂れ流しは以上です。そのうち新しい設定に(一から)書き直したリメイク版を(新アカウントの方で)人知れず投げていくので、気が向いたときに……よかったら見ていってください。



 追記:リメイク版を明日の2月2日 18:00から投稿していきます。それでは。

 追記:すみません。作者のアホです。少し気になった部分を変えるだけのはずだったんですが、無事死亡しました。2月3日の06:00に浮上するので、とりあえず、あらすじの方にリメイク版のリンクはっ付けときます。それでは。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

……Next Stage:prologue

 無印162.5話+ダークネス0話の冒頭部分に当たる、つまりは無印最終回の後日談をまとめたもの……元々旧設定版用に仕上げていたものを、新しく新設定版に書き直したものです。


『Prologue~というか前日譚~』

 

 

 

 ──8月7日

 

 

 

 

「はぁ…」

 

 学校から帰って家の風呂に浸かると、ようやく1週間が終わったのだと実感が出てくる。

 …そうか、もう1週間が終わったのか。

 

「こないだのプールは散々だったぜ… 今度こそ春菜ちゃんに告白できたと思ったのに・・・」

 

 湯船に身を沈めながら、1週間前のあの日の出来事を思い出す。

 プールでの告白。自分の気持ちを整理して、ララとの日々を思い返して…中学のあの事件の後、初めて想いが決まった時のことを思い出した。

 だから、だから。ララに自分の、気持ちを伝えたんだが…

 

『西連寺には改めて告白するから! オレの気持ちバラすなよ』

『わかった! じゃあリトが告白できるように私、応援するね!』

 

 あの告白の失敗の後、「リトがみんなと結婚したらずーっとにぎやかに暮らせるね♡」などと無邪気に喜ぶララに、一度渾身の告白が失敗した事実を無理やり飲み込んで、釘を刺しておいたのだが…

 

(本気で一夫多妻OKなのか、あいつ……)

 

 はぁ、と昇る湯煙に紛れるように出たため息。

 

「これからどーなるんだろう。ホント、ララが来てから無茶苦茶なことばっかりだよなァ…」

 

 独り言のように。事実独り言を吐きながらふと気づいた。

 

(そういや、この風呂が最初だっけ)

 

 フラッシュバックするように、パラパラと思い出されるララが来てからの日常…うん。

 

「む…無茶苦茶なことありすぎ…」

 

 風呂場の扉から美柑の声が聞こえた気がするが…まったく頭に入ってこないほど、今までの日々が改めてハチャメチャだったのだと思わずにはいられなかった。

 

 

 そんなことを思い返していた翌日。

 休日ということで、家の庭の花に水をやりながら、青空の下で改めて昨日考えていたことを考える。

 

「はぁ…、オレはどうしたらいいんだろ。ララにオレの本当の気持ちを伝えられたのは良かったけど…結局春菜ちゃんへの告白は失敗するし…」

 

 そうだ。春菜ちゃんへの1週間前の告白は失敗してしまった。

 

「告白失敗するの何回目だろオレ…」

 

 …失敗した回数は中学から高1までの時点で、軽く数十回は確実に超えている。

 その悉くに惨敗し、ララの居る騒がしい日常を乗り越えて…高校生活2年目の夏。ここが決めるときだと確信して…また、失敗した。

 

「……」

 

(皆にはあの発言は「プールが好き」って意味だってムリヤリ弁解したけど… 内心どう思われている事やら……)

 

 

 ここ2週間ほど、自身の気持ちを沈ませていたのは単純に春菜ちゃんに告白できなかった……というのは確実に……大きすぎたのだが、それに加えて絶対に決まった……と思った告白の失敗の後で、連鎖的に起きた惨劇のことだった。

 

(御門先生は大丈夫だと思うけど……)

 

 古手川やナナ……そしてルンにどう思われてるのか。

 ここ最近、あれこれ予想立ててみたものの正直、判らないというのが心情だった。

 馬鹿正直に聞くわけにもいかないし、そもそもルンはアイドルの仕事であの日以降、学校には殆ど来ておらず、古手川やナナに至っては……妙に距離を取られている気がするし……

 

 ……だが、それに加えて、やはり結城リトという少年がこの2週間ひたすらに気を沈めてしまっていた理由は中学時代のあの出来事で小さく胸に灯った想い人への、文字通りの想いを、あの日のプールサイドで失敗させてしまったことなのだ。

 

 その癖、一緒に来ていた友人の片方はそれを見て「まあやっぱりそうなったか」と長年の候か何かは知らないが妙に悟っていたのがなんか腹立ったし、もう一人に至っては何故か友人の悲劇を喜んですらいやがった。

 

 そんな経緯を思い出しながら、休日の日課をこなしていたのだが、なんだかんだ言いながら基本的に昔の経験も相まって、女性に対しては誠実な行動が出来るように意識している結城リトは……しかしながら2週間も引きづっている告白の失敗の影響で、その後、家に居候している宇宙の姫君、その三女に話しかけられても、その反応はあまりよろしくないものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、どこかの暗い、宇宙の闇に紛れるようにその太った男は、自身の宇宙船の中で部下の報告を聞いていた。

 

 

 

「なに……!? 輸送していた船が墜落しただと!?」

『はい。トルネオ様。捜索なさいますか?』

「ッチぃ……! この儂を今更あの監獄から出して泳がせていたのはこのためか……!」

 

 

 遺産の一つである特殊な生体保管装置に入れられていたが故、その中身は無事だろうが……

 

 

 ……発信機は確かに取り着けさせていた。アレの居る惑星に足を運べば、自然と居場所は判るはずだ。

 

 

「あれは特別な個体だ! 単なる模造品ではないのだ……万が一にでも過去の亡霊共に渡してなるものか……!」

 

 

 ……そう、あれは特別な個体だ。自身が出資していた組織が大戦中に造った、最後の個体……!

 

 

 

「──T4……!」

 

 

 

 

 

 ──そうしてその1週間後、物語は動き始める。

 

 

 ……少しの、しかし……大きなイレギュラーを内包して。

 

 




 ……Next Stage:ToLOVE-RuTwins →https://syosetu.org/novel/279921/


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。