機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ~戦乙女と血と海と~ (Seacool)
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#1 プロローグ

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「なんのなのですあなたは? 果たすべき大儀もなく、なぜ!?」

ジュリエッタは叫ぶ。今自分に向かってきている鉄の悪魔に対し。

鉄の悪魔はバックパックのテイルブレードをジュリエッタに射出してきた。

ジュリエッタはそれをかわし、左手にもつ大型シールドに内蔵されている機関砲を放つ。

鉄の悪魔はそれをよけようともせず被弾する。

だがとまらずにつきすすんでくる。

それに対し、ジュリエッタは冷静に反応し、近づいてきた<鉄の悪魔>に右手に持つ大型ブレードで胸を切り裂いた。

悪魔の胸部が剥がれ落ち、そして中にいる、鉄の悪魔のパイロットを見た。

「もう、意識が」

そして、鉄の悪魔は、自分の機体<レギンレイズ・ジュリア>に倒れこんできた。

ジュリエッタはそれを回避せず受け止めた。

「…」

ジュリエッタは何も言えなかった。

「人間」を超えた力を持つ彼は、戦うことで初めて「人間」として生きれる存在だと理解したからだ。

だが今は、その気持ちを押し殺し、目の前にいる、鉄の悪魔にトドメを。

そう思いながらジュリエッタは鉄の悪魔の首を狙いその首を貫こうとしたときだった。

「!?」

自分が乗っているモビルスーツ、レギンレイズ・ジュリアのセンサーが反応を示した。

一瞬敵かと思った、だがモビルスーツの動力炉である<エイハブ・リアクター>が発するエイハブウェーブの反応ではなかった。

それに敵は目の前にいる鉄の悪魔だけだった。

援軍もいるわけがなく。

「何の反応ですか!?」

味方の部隊に通信すると

「わかりません!ただ何かの反応が近づいているのは間違ありません!」

「本当ですかそれは!?」

謎の反応に対し驚きを隠せない。なぜなら<レギンレイズ・ジュリア>が示す反応は

敵が接近していることを示すものだったのだから。

「各機警戒態勢!」

ジュリエッタは各機に何が来てもいいように命令した。

 

辺りを見渡す。視界は良好だった。何が来ても見落とすということはないだろう。

だが何も来ない。

「なぜだ?何も来ないぞ。」

しかし敵の接近を示す反応は消えない。そのとき部下の一人が、

「隊長! あ、あれを!」

「?」

部隊のグレイズ・シルトの一機が指を指す方向を見たとき、それはきた。

「!?」

それは霧だった。それも巨大な、まるで地球で空高く発生する積乱雲にも見える。

だがここは地球ではない。火星だ。海がないため、雨が降らない。また周りの気温が急激に下がったというわけでもない。第一、後者では明け方などに起きる、今は昼頃

発生条件がそろっていない。

そのことをその場にいたジュリエッタが知っているかはわからないが、明らかに異常だった。

そしてもうその霧は自分たちのすぐそばまで近づいていた。

「各機その場を動くな!何がくるかわからないぞ!」

ジュリエッタは各機に呼びかけた。この異常事態に無闇に動くのは危険だからである。

霧が自分たちを覆いだした。何も見えない。さっきまで快晴だったのが、うそのようだった。

霧はすべてを覆っていた。ジュリエッタたちと先ほどトドメを刺そうとした<鉄の悪魔>すらも。

数十分後、霧がなくなりだした。

完全に霧がなくなったのを確認し、自分たちの周囲の状況を確認した。

特に問題はなかった。

「ふう…」

ジュリエッタは一安心した。通信を聞く限り部下たちも同じような状態だった。

だが、

「!?」

彼女は前を見た。そこにはあるべきものが居なくなっていた。

「奴は、バルバトスはどこに!?」

辺りを見回す。どこにもいない。さっきまで自分の機体で支えていた鉄の悪魔 ガンダムバルバトスがいなくなっていた。

まるで、さっきの霧が消したが如く。

「…一体何だったんだあの霧は」

 

 

その後、鉄華団基地周辺をくまなく捜索するが、発見できなかったという。

このことをギャラルホルンは隠蔽しジュリエッタが悪魔を討伐し見事勝利したことにした。

一方ジュリエッタは不満そうな顔で空を見ていた。

「どこへ行ってしまったんだ 奴は」

そんなことを考えていると、出撃のアラームが鳴った。

彼女は考え事をやめ、自分のモビルスーツがある格納庫へ走っていった。

 

 

 

 

 

鉄の悪魔 ガンダムバルバトスとそのパイロット、三日月・オーガスたちは、

この世界から消え去った。そして、

 

 

 

 

 

別の世界の戦いに参戦する。

 

 

「行くぞ バルバトス!」

 

 




いかがだったでしょうか。
初めて書いてみたのですが。
これからこんな感じで書いていくので、次回も見てくれると幸いです。


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#2 流れ着いた悪魔

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???サイド

「…」

彼女は無言で砂浜を歩いていた。いつも持っている傘を日傘替わりにしながら

その容姿は端麗であり膝まである長い焦げ茶色の髪を桜の装飾がついた髪飾りでポニーテールにまとめ、瞳も茶色である。それもよどみがあるものではなく透き通った瞳である。

着ている服は、紅白のセーラー服であるが、首元にあるのはスカーフではなく金の注連縄状のものをつけている。

その姿は、長い髪をもった文字通りの大和撫子である。

だが、そんな彼女はただの人間ではない。 かつて戦争で活躍した艦船の魂を持つ存在

艦娘という存在である。

彼女の名は大和、太平洋戦争で大日本帝国海軍によって建造された超弩級戦艦大和型一番艦大和の艦娘である。

彼女が今歩いているのもただの砂浜ではない。艦娘たちが駐留する軍事拠点<鎮守府>

その近くにある海岸だが、綺麗な白い砂浜の中には、いろいろな漂流物が流れている。

その中には、海藻や朽ちた木材ではない物も多く混ざっている。

「…またか…はあぁ…」

大和が見ているのは、黒い煙突のようなもの。いや、煙突だった。それは<艦娘>たちが戦闘を行うときに装備する<艤装>と呼ばれるもの。<艤装>には様々な武装が装備されており、主砲・副砲・対空機銃など様々なものがあり、艦娘一人一人で武装が大きく変わることがある。

大和の場合は、艦娘がもつ<艤装>のなかでも最大級の主砲<45口径46cm三連装砲>をもち、また旗艦能力も有しているため鎮守府に配備されると即刻、艦隊に配備、旗艦となることが多い。

この大和もその例にもれず、この鎮守府に配備されたときにはすでに艦隊に配備され、1年後には旗艦を任され、多大な戦果を挙げている。

「どこかで大きな戦闘でもあったのかな?」

彼女は艤装の煙突をみて言った。彼女が配備されている鎮守府は海流の関係で破損した<艤装>が流れてくることがたまにある。

「…」

大和は破損具合からいって大破は免れていないだろうと推測する。

最悪撃沈、轟沈もあり得るほどである。

だが大和にはこの艤装の持ち主が生きていることを確かめる術は

 

ない。

「…じゃあね」

そして彼女は煙突に別れをいってまた歩き出した。

そして、その先で見たものは、、、

 

「!?」

それはあった。

それは一目でわかるほど大きかった。艦娘の何倍もありそうだった。

「…」

大和は恐る恐る近づいた。遠目からみるだけでも分かることがあった。

「なにこれ…」

なんとすべてが金属で出来ていた。しかもそれは人型だった。

「どういうこと…」

大和は困惑していた。艦娘が存在する今の時代の技術力でも作れないだろう物がその砂浜に転がっていたのだから。大きく、体のすべてが金属でできており、しかも人の形をしているものなど聞いたことがないからである。

「…」

大和はさらに近づく。

「!」

近づいていくと、鉄でできたなにかのとなりに川の字で人が転がっていた。

なぜか人も鉄でできたなにかもうつ伏せで左手を上にあげ人差し指を出していたが

そんなことは気にせず大和はうつ伏せで寝転がっている人のもとへ駆けて行った。

見たところ少年だった。

大和は呼吸を確認した。息はあった。だが

「衰弱してる。急いで鎮守府に連れて行かなきゃ」

そういうと大和は少年を担ぎ足早で駆けて行った。

途中で大和は鉄で出来た何かのほうを見た。

なんとなく、この鉄で出来た何かはきっとこの少年と関係していると思った。

「大丈夫です。この人は私が責任もって治します」

そう言うと大和は再度鎮守府の方へと駆けて行った。

 

 

これが、ガンダムバルバトスのパイロット 三日月・オーガスと

艦隊旗艦の大和の出会いで会った。

 




いかがだったでしょうか
次回も見てくれると幸いです


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#3 状況確認と自己紹介

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三日月サイド

 

「…ふぁ~」

ベッドの上で少年らしい見た目の男があくびをしながら目覚めた。

「…」

男は寝ぼけまなこで瞬きをした。

それは海岸に流れ着いていた所を大和に助けられた少年 三日月・オーガス だった。

(俺、どうなったんだっけ…)

彼はまだ朦朧とする意識の中、自分に何が起こったのか思い出していった。

(確か…空から、あれが降ってきたんだっけ)

そう、大気圏外からのダインスレイヴの攻撃を受け、彼とバルバトス、最後まで共に戦った仲間の明弘とグシオンは大ダメージを受けた。だがそれでも彼らは攻撃をやめなかった。

(最後にバルバトスのリミッターを解除して、ギャラルホルンを相手して、それで、それで…思い出せない…)

少年は思い出せなかった。それもそのはずで、彼はもうリミッターを解除した時には既に意識はなく、廃人寸前だったのだから。

(うう、体が、重い)

少年は体に力を入れ起きようとするが体が重く感じ動かない。

(でも、痛くない)

ダインスレイヴの攻撃を受け、あまりの衝撃でコックピットにまで破片が飛び体中に突き刺さったというのにそれがまるでなかった。それどころか

(傷が、ない?)

どんなに的確に治療しても傷跡ぐらいあるはず、なのに傷跡すらない。

だが、少年はもっと別のことに意識を向けた。

(ここ、どこ)

自分が今どこにいるのかわからなかった。彼の眼に映るのは清潔そうな白い天井とやたらと古そうな電球の光だけだった。

 

(うん、体が動かせるようになってきた)

少しすると彼の体が言うことを聞き始めた。

そして体に力を入れ今度こそ起き上がった。しかし、そこで彼はあることに気づいた。

「え?」

彼は右腕を見た。かつての戦いで動かせなくなった右腕をだ。

「動く…」

そう言うと右腕を左手でさすったり、肘を動かし、手を開いたり閉じたりした。特におかしい所はなかった。

「なんでいきなり…うん?」

彼は自分の右目に手をかざす。

「見えてる…」

右腕同様右目もかつての戦いで見えなくなっていた。その目が今はくっきり見えていた。

「…もしかして…」

三日月は布団をめくり、右足を見る。そして右足を動かそうとした。

「あっ、動く」

右足は自分の愛機である ガンダムバルバトス のリミッターを解除した結果、動かせなくなっていた。

その右足が動かせるようになっている。

「…」

何事にもあまり動じない三日月でも流石に驚いていた。散々動かせなかった体が動くようになってのだから当然と言えば当然だったが。

「…」

三日月は自分の体に起きたことも気になったが、もう一つ気にかかることを思い出し、意識をそちらに向けた。

「ここ、どこだ?」

そう言うと周囲を見回す。そこはどうやら病室のようだった。

(あ、)

窓が開いていた。そこから聞こえてきたのは

(風の音?…この匂い…海?)

彼はもっとわけがわからなくなった。今まで火星で戦っていたのに、いきなり地球にいるなんて。

そう思っていた時、

ガチャ

(?)

ドアが開いてそこから人が出てきた。

 

大和サイド

「あっ! 起きましたか」

大和は先ほど砂浜で寝転がっていた少年をつれ、軍医にみてもらった。

症状は酷いが点滴をして目覚めたら栄養をとって2、3日すれば全快するといっていた。

だが、少年の回復速度はすさまじかったようだ。点滴をして3時間ほどで目覚めていた。

「どうですか?気分は」

「ん、うん大丈夫」

「そうですか、よかったです」

大和が問い、少年 三日月・オーガス に答えた。

「あんたは?」

「申し遅れました、第26南洋方面鎮守府所属艦隊旗艦、大和です」

「そう、変わった名前だね」

と三日月は言い

「そうですか? <艦娘>ではこんな感じの名前多いですよ」

と大和は答えた

「<艦娘>? なにそれ?」

「えっ 知らないんですかあなた?」

「うん 知らない」

と三日月は言った。そして

「ここ、どこ」

「ここですか? ここは鎮守府です」

「どこそれ?」

三日月は頭にはてなマークを出すように顔をかしげた

「鎮守府も知らないんですか」

「うん」

「はあー…」

大和は大きくため息ついた。

この人<艦娘>どころか<鎮守府>もしらないなんて…

「ねぇ…えっと、大和」

大和が少し頭を抱えていると少年が話しかけてきた。

「なんですか?」

「バルバトスは?」

「ば バルバトス?」

「そう 俺のモビルスーツ」

「も、モビルスーツ? 何ですかそれ?」

今度は大和が顔をかしげた。そして思い出す

「あっ、もしかしてあの鉄の人型のことですか」

「鉄の人型…それ2本の角があって目が二つあった?」

「はい、ありましたよ」

とつげた。それをきいて三日月は

「そうか、よかった」

どこか安堵した顔になった。そのときだった。

ぎゅるるるるるるるる

三日月のお腹が大きな音を立てた。

「あっ」

三日月はそういえばという顔をした。そして大和は

「お腹減りましたか?」

と聞き、三日月は

「うん、すごい腹減った」

「わかりました。じゃあ私料理作ってきますね。その間に軍医さんに体をみてもらってください。私呼んでおきますから。」

「わかった」

そういうと大和は部屋から出て行こうした時、

「あっ、それと」

大和はドアの前で立ち止まり、三日月の方を向いた。

「まだ名前を聞いていませんだしたね」

三日月もそれを聞き、まだ言ってないことを思い出した。

「三日月・オーガス 三日月って呼ばれてるよ」

三日月はあまり自分から言わない名を大和に言った。

「三日月…いい名ですね。じゃあ三日月さんここで待っててください。すぐに料理持ってきますんで」

そう言うと大和はドアを開け、外へ出て行った。

「…」

三日月は体をベットから上げ、ベットから足を下ろし座った。

「…俺は、どうすればいいんだろ…なあ、オルガ」

三日月は開いている窓から青く澄み切った海を眺めながら、ここにいない者を名を言った。

 

そんな中、海底から<艦娘>程の大きさの何かがやってきていた。

そう <艦娘>が長年戦っている敵<深海棲艦>が…

 




いかがだったでしょうか。
次回も見てくれると幸いです。


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#4 大和の料理と阿頼耶識

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三日月サイド

大和が料理を作りに行くと言ってからしばらくすると白衣を着た女性が部屋に入ってきた。

三日月は、さっき大和が言っていた医者だと思った。

「こんにちは、3時間で起きるなんてあなたすごい生命力ね」

白衣の女性は茶色の髪の毛を肩あたりまで伸ばしており、見た目もかなりの美人だった。

「あんたは?」

「ああ 私は山本 ここで軍医をしてる。人にも艦娘に対してもね」

そう言いながら山本は三日月に近づき、そばにおいてある椅子に座る。

「まず君の体の状態だが、さっき検査した時は特に異常はなかった。でも医者として気になるとこるが一つ」

と三日月を興味深そうに見る。三日月はその視線に今まであまり感じたことのない気持ち悪さを感じた。

「ああ、すまない。仕事柄、そういうことが気になるたちでね」

「そ、そう」

「まあ、まずは検査をしよう」

そういうと山本は三日月を心音検査や肺の音、痛い所はないかを検査した。

軍医なだけあり、的確に検査していった。

「で? 気になることって何?」

三日月が聞いた。

「ん? ああ まあいろいろ気になるだけど一番聞きたいことは」

そう言うと山本は三日月に背中を自分の方に向かせた。

「この飛び出たものは何だい?見たところ金属のようだが」

「これ? 阿頼耶識システムのプラグ」

「阿頼耶識システム? なんだいそれは」

「え?」

三日月は山本の方に振り向いた。何でだと思った。医者なら阿頼耶識システムぐらい知識にあるはず。しかも最初に地球に行ったとき、自分たちがいた格納庫に魚を持ってきてくれた人がいたが、その人でも阿頼耶識システムのプラグを見て気持ち悪そうな目で見ていたのを憶えている。

「阿頼耶識システム、知らないの?」

「うん、知らない」

ここまできて三日月の頭はさらに混乱しだした。

(なんで阿頼耶識システムを知らないんだ?地球にいたときでも名前ぐらいは知られてたはず、なのに)

三日月は大和との会話を思い出した。

(大和も、モビルスーツを知らないって言ってた。 ここ本当にどこなんだ?)

開いた窓から波の音が聞こえ、海の匂いもする。そうするとここは地球のはず

だが、山本は三日月の阿頼耶識システムという単語に疑問符を出し続けている。そこで彼は

「ねえ」

「ん?何だい?」

「今から俺が言うものの中に知ってる物があったらいって」

そして三日月は、モビルスーツ、ギャラルホルン、エイハブ・リアクター、スペース・コロニー、クリュセ、そして鉄華団

自分が知っている単語を一つずつ山本に言っていった。

どれかひとつは知っているだろうと三日月は思ったが、

「いやすまない、どれも聞いたことがない。」

「…」

(俺よりいろんなこと知ってそうなのになんで知らないんだ)

三日月が不思議そうな顔しているのを見て山本は、

「じゃあこちらからも質問してもいいかな」

自分の方も質問することにした。

「じゃあまずh」

そのとき閉めていたドアが開いた

 

大和サイド

「三日月さん 食事持ってきました」

そう言いながら二つの棚に料理を入れたワゴンテーブルを押しながらやってきた。

「あ 山本先生 どうですか?三日月さんの容体は」

大和は山本と三日月のそばまで来て山本に聞いた。それに対して

「ああ 問題ないよ。それにしても」

山本は大和が押してきたワゴンテーブルを見た

ワゴンテーブルにはオムライスにフライドポテト、コンソメスープ他様々な料理が乗っていた。

「かなりの量だね」

「は、はい…」

山本に指摘された大和は、申し訳なさそうな顔をして、返事した。

彼女が持ってきた料理は一つ一つが非常に大きく、スープ類はどんぶりサイズの器に入っていた。

それを聞いていた三日月は、

「作りすぎてなにか悪いの?」

と聞き、山本が返事をする

「ああ、大和が作る料理はすごいおいしい、だが毎回すごい量なんだ。」

「す すいません…」

大和は頭を下げながら謝った。だが三日月は

「いいよ、謝らなくて。今すごく腹減ってるし」

「す すいません」

「だから謝らなくていいから」

と再度誤った大和に三日月は言った

「は はい」

「じゃあ」

三日月は大和が持ってきた料理を食べ始めた。その食欲と食べる速度はすさまじく

空腹だというのが見てわかるほどだった。それを見ていた山本と大和は

「す、すごい食欲ですね」

「あ、ああ」

呆然と料理を平らげていく三日月を見ていた。20分経った頃にはもう全部食べ終わっていた。

「ふう すごくうまかった」

と、三日月は満足した顔になっていた。

「そうですか。よかったです」

作った大和も嬉しそうだった。そして山本はそれを見て

「さすが <大和ホテル>の名は伊達ではないな」

「そ、それは言わないでください」

大和は困りながら言った。それを聞いた三日月は

「ヤマトホテル?」

と不思議そうに言った。それに対して山本は

「ああ、大和の飯うまかっただろ」

「うん、すごいうまかった」

「そう、まるで高級ホテルの飯みたいなうまさ だから<大和ホテル>さ」

「山本先生、そ、そういうことは」

大和は恥ずかしそうにして言った。

「しょうがないだろ~ このあだ名をつけたのはうちの提督なんだから」

「そ、そうですけど」

「提督?なにそれ」

その発言に山本と大和は少々驚いた。

「きみ、提督を、いや提督という言葉を知らないのかい?」

「うん、知らない」

「えっ!?」

大和は三日月を見ながら言った。

山本は驚きながらも質問をする。

「さっきの質問の続きをしてもいいかな」

「うんいいよ」

「あの、どういうことですか」

大和は二人を見ていった。

「ああ 実はな…」

山本は大和に対し、先ほど三日月から聞いたことを話した。

「そんなの、私聞いたことありませんよ?」

「ああ、私もない」

といい 今度は三日月が

「俺も 艦娘とか鎮守府とか聞いたことない」

と言った。

「…」

「…」

大和と山本は黙ってしまった。ここまで我々の常識をしらないなんて、

だがそれは三日月も一緒だった。そして山本は一つの結論をだした

それは馬鹿らしいとも言えるものだが、それが一番つじつまが合う。

その結論を三日月に言った。

「君は…別の世界からやって来たのかもしれない」

「は?」

三日月は首を傾げた。

「馬鹿らしいとは私も思う だがこれが一番つじつまが合うんだ」

ここまでお互いの常識が噛み合わないのは、山本自身初めてだった。以前、ストレスが原因で妄想の世界のことを話す患者を見たことがあるが、彼にはそんな兆候は見当たらないというだけでなく、話したことに矛盾が存在していない。ということもその考えに至った理由の一つだった。

「…」

三日月は黙ってしまった。その顔は平然としていたが心の中では困惑しているものだった。

「ま、まあ今いい、今は先に三日月君の傷を癒すことにしよう」

というと、三日月は、

「うん、わかった」

とあまり心配してなさそうだった。それを聞いた山本は、

「君 受け入れ早すぎない?」

と少し困惑気味だった。

「そうかな?」

と三日月は言った。

「「は、はぁ」」

山本と大和は同時にため息をついた。そして三日月は

「ねえ そっちの話も教えてよ」

と二人に言った

「ああ、そうだったね。君は私の質問に答えよう」

そして、山本は艦娘、艤装、鎮守府、提督、について聞かれそれに答えていった。

そして最後に三日月は、

「それで、あんたらは何と戦ってるの?」

と聞かれ、

「ああ それは」

その先を言おうとした瞬間、突然部屋に警報がなった。

「!?」

「きたか…」

「ええ…」

「来たって何が?」

と三日月が聞くと 大和は

「我々が戦っている敵 <深海棲艦>です」

「大和」

「はい!、行ってきます」

といい病室を出て行った。

三日月は山本に

「大和も戦うの?」

と聞き 山本は

「ああ、彼女はここの鎮守府の艦隊の旗艦だからね」

「…」

三日月はそれを聞いてだまった。そして少しすると、

「わかった、俺も出るよ」

「へ?」

それを言うと三日月はベットから降り、部屋から出て行ってしまった。

その途中、大和とまた会う。

「大和」

「はい?」

いつの間にか隣にいた三日月に驚きながらも答えた。

「バルバトスってどこ?」

「え、ああ、えーと、鎮守府の正門を出て右に200メートルほどの砂浜にあります。正門は外に出ればわかります…って何する気ですか?」

「何って、俺も出撃するだけだよ」

「!?」

その発言に大和は驚くしかできなかった。

 

 

これが三日月のこの世界での初出撃となった。

これが長い戦いになるとも知らず…

 




いかがだったでしょうか。
次回も見てくれると幸いです。


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#5 悪魔の目覚め

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大和サイド

「えっと、どういうことですか!?」

大和は自分の艤装がある格納庫に走っている途中、追いついてきた三日月から言われた一言に驚いた。

「だからバルバトスを動かすんだよ」

「いや、そんな体で大丈夫なんですか」

大和が心配していたのはバルバトスの方ではなく三日月の体の方だ。

なにせ3時間前まで日が照り付ける砂浜で倒れていたのだ。今はなんともなさそうだが、

さっき目覚め、大和が作った大量の料理を食べたばかりだ。

そんな状態で戦えば、胃の中のものすべて吐き出すか、最悪の場合命に係わる。

「大丈夫」

と三日月は言う。この人の「大丈夫」は言われると、納得するだけの「何か」を感じるが

やはり心配なものは心配だ。

「じゃあ行ってくる」

「ああ、ちょっと三日月さん!」

大和が言い終わる前にはもう三日月は正門に向かって走っていった。

(3時間前まで意識がなかったのに 今はもう走れるぐらいに回復しているなんて…すごい生命力…)

と考えていると、後ろから声をかけられる。

「大和!いそげよ」

「大和さん、急ぎましょう!」

声をかけられた方を見るとふたりの少女が立っていた。

一人は黒に緑がかかった髪の毛をうなじが少し隠れるくらいにまで伸ばし、右目に眼帯をかけている

もう一人はダークブラウンの髪の毛をポニーテールに纏め、頭にペンネントを巻いていた。

「木曾さん!、秋月さん!」

と二人の少女の名を言った。彼女たち二人も大和と同じ艦娘だ。

木曾は球磨型軽重洋艦5番艦で、最近まで軽巡洋艦だったがこの前改装し改二になったため、めでたく重雷装巡洋艦になった。

秋月は秋月型防空駆逐艦1番艦であり、その名の通り防空、つまり対空能力が非常に高く、

艦隊防空に特化しており、戦場では艦隊の空を守っている。

「おう!急ごうぜ!」

「ええ、秋月さん状況を」

「はい」

三人は格納庫まで走りながら状況を把握していた。

秋月によれば敵、深海棲艦がこの鎮守府付近の海域に配置してある、ソノブイに反応があったらしい。規模は中規模だがそのなかに、

「戦艦レ級ですか」

「はい、確かです」

戦艦レ級…鬼・姫級を除けば深海棲艦なかでもトップクラスの戦闘力の深海棲艦

戦艦に種別されているが、空母並みの艦載機運用能力を持ち、戦艦でありながら制空権争いにまで首を突っ込んでくるというとてつもない艦である。

艦隊の中に一隻いるだけでも、その危険性を跳ね上げる恐ろしい敵である。しかし

「まあ、戦艦レ級とは言え注意して戦えばどうにかなるからいいけどな」

木曾が余裕そうに言った。

「油断だけはしないでくださいね」

それに対し、大和は釘を刺す。

彼女たちはまるで「いつも通り」という感じで話していた。

その理由は彼女らは何回かレ級と遭遇しており、しかも初遭遇以外はすべて撃沈させるというとんでもない戦果を挙げているからだ。

そのためか戦力的に不足が全くないため、この鎮守府には新しい艦娘が配属される可能性が低いという結果を招いているが…

「でもこんな近くにでるなんて…」

「確かにな…今まで遭遇したのだって敵の支配地域か、占拠してる基地周辺ぐらいだったはずだぜ」

秋月と木曾は今の状況に疑問を抱いた。

戦艦レ級は強力な反面、敵にとっても切り札的存在のようで、重要な海域か基地の防衛艦隊にいることが多い。

その戦艦レ級を前線に、しかも一鎮守府を襲いに来るということは実戦経験豊富な彼女たちでも経験がなかった。

「気になるところですが、今は考えるよりも先に敵を倒すことに集中しましょう」

大和は二人に声をかけ、意識を考えることよりも目の前の問題に向かせた。

そしてもう目の前に格納庫が見えてきた。

「さあ二人とも、出撃ですよ!」

「「了解!!」」

三人は格納庫の中に走っていった。

 

三日月サイド

「たしか200mって言ってたっけ?でも」

「メートルってなんだ?」

と言いながら三日月は大和に言われた通り正門を出て右に曲がり砂浜に出た。

砂浜を歩きながら三日月は別の世界 彼がもといた世界のことを考え始めた。

彼の故郷の火星はストリートチルドレンが多く、かつての三日月もそのなかに含まれていた。だが

(オルガがいたから俺は生きていけた)

オルガ オルガ・イツカ そう三日月にとって命の恩人であり精神面の心の支えでもあった存在

三日月にとっては兄弟以上の関係だった。だが

(…オルガはもう、いない)

そう、オルガは鉄華団の仲間を地球に逃がすため クーデリアが働いてるアドモス商会に行き、地球にいる蒔苗のおじさんに頼み 地球に行く手立てもたってこれからというときに殺されたらしい。ライドが撃たれそうになって自ら盾になったという。

(…)

いろいろなことがあった 地球への旅 テイワズの後ろ盾ができたり 

エドモントンでは紫色のグレイズとの戦闘したり あの鳥みたいなのも倒した

周りはいろいろ変わった 変わらずにはいられなかった。でも、

(オルガは変わらなかった)

そう 鉄華団は大きく変わった。けど、オルガはいつものオルガだった

仲間に道をつくりそして導いた。そして仲間のためなら命を張る覚悟がある

そしてここまで考えて三日月は、

(俺は…オルガみたいになりたっかったのかな…)

その考えが浮かび上がったとき、それはあった。

それは三日月と、鉄華団とともに戦い、傷ついても直してきた相棒

彼の愛機、ガンダムバルバトスだった。だが

「あれ、この姿」

三日月は疑問におもった。

「最初、俺が見た姿、いや、テイワズに直してもらった時の?」

そう考えるのはしょうがなかった。そこにあったのはあのモビルアーマーを倒して得たパーツで修理したガンダムバルバトスルプスレクスではなく 第4形態 地球への旅をしていた時の姿だった

(なんでだ?)

と思ったが三日月は考えるのをやめ、バルバトスに近づきコックピットに入ろうとするが

「あ」

バルバトスは今、うつ伏せだった。そしてコックピットのハッチは胸部。つまり

「…掘るか」

そう言いながら、近くに掘れるものがないか探し、ちょうど砂浜に漂流していたスコップを見つけた。それを使い三日月はうつ伏せのバルバトスのコックピットの周りを掘り始めた。

そしてコックピット辺りの砂が無くなったらスコップを砂浜に刺し、コックピットハッチを開けた。

そして乗り込もうとしたとき、

「三日月君!」

後ろから自分の名前を呼ばれ、振り返ると、

「はぁ…はぁ…」

さっき自分を治療してくれた山本が立っていた。ずいぶん息を荒げている。

どうやら全力で走ってきたらしい。

「どうしたの?山本?」

「三日月君、君一体何する気だい」

「敵がくるんでしょ、だったら俺も行くよ」

三日月はコックピットの中を見ながら言った。見知ったいつもコックピットだ。

計器類やレバー そして、阿頼耶識システムの接続機器に破損はなかった。

「いやだからな、君h」

「大和も出るんでしょ」

「あ、ああ…ってそうじゃなくてだなー」

「大和には助けてもらったし めちゃくちゃうまい飯も食べさせてくれたし、その恩返し」

と三日月は言いながらコックピットに入り座席に座った。そして服を脱ぎ上半身裸になると阿頼耶識のフラグを機体側の接続機器に接続する。

「う、」

一瞬ショックがくるが特に問題もなかった。三日月はバルバトスを起動させようとしたとき、山本がコックピットを覗いてきた。

「そうつなぐのか 阿頼耶識とやらは」

気味悪そうに三日月の阿頼耶識を見る

「うん、入れるとき一瞬ショックがあるけどね」

「見ためは痛そうなだが、そういうものなのか…」

そして三日月はバルバトスを起動させた。その瞬間、悪魔の心臓となる二つのエイハブ・リアクターが唸りをあげ始めた。

「!?」

山本はその音に驚いていた。山本が知る動力炉でこんな音を出すものはなかったからだ。

「三日月君 本当に行くのかい」

「うん」

「…悪いことは言わない 行くのはやめた方がいい」

「なんで?」

三日月は山本の方を向くとその顔にはくやしさと怒りが混じったものだった

「奴ら 深海棲艦は艦娘しか対抗できないんだ」

「? どうして?」

「奴らは海上を高速で動く癖に火力は軍艦レベルの化け物なんだ。船の艦隊がまったく意味をなさずにやられていったんだ。」

「…」

三日月は黙って聞いていた

「だから艦娘が生まれた。深海棲艦並みの速度で動け、深海棲艦を倒せるだけの火力を持った。でもそれを見た海軍の船乗りたちはみんな泣いていたよ。自分たちの力のなさにな」

山本の顔は悲壮感ただようものだった。

「だから三日月にもその気持ちを味わってほしくないんだ。わかるかい」

「…なんとなくだけど、わかるよ」

三日月にもなんとなくだがわかった。

「ならすぐコックピットからでt」

「でも、力がないからってあきらめる気にはなれないよ」

「!…」

と三日月は答えた。それを聞いた山本は顔を下に垂らす。

「山本」

三日月は無言のままの山本の名を呼ぶ。

「大丈夫」

三日月はそう言うとコックピットハッチを閉めた そしてバルバトスを立たせた。

山本も顔を上げ、18mはあるその巨体の頭を見た。

「あ、そういえば」

武器がなかった。辺りを見渡すが武器になりそうなものは…

「うん?いいのあるじゃん」

というと三日月はバルバトスを歩かせた。その大きさながらもスムーズな動きに

唖然するしかない山本を横目にして。

それは大きな柱だった。恐らく建物の支柱か何かだったものだ

それにはコンクリートなどがこびりついて、持ち手のように鉄骨が露出していた。それをバルバトスは軽々と持ち上げた。かつて持っていた武装 メイス のように。

「三日月君、本当に行くんだね!」

山本の声をバルバトスの外部マイクが拾う。

「うん」

「はあー…わかった…じゃあ、一つ」

「なに」

「助けてくれた大和の為にもちゃんと生きて戻ってこい」

「!!…わかった」

戻る場所 オルガは俺たちに戻る場所はないって言ってたけど、ここの人たちは俺に戻る場所をくれるのか?

そう考えていると、海の方から爆発音が聞こえた。

「戦闘が始まったか」

「じゃあ行ってくる」

「ああ、わかった!」

「山本、離れて」

それを聞くと山本は離れた。そして三日月はバルバトスのスラスターを噴射しだした。

そして海の方にバルバトスの向きを変えた。そして愛機に言う。

「行くぞ、バルバトス!」

それに呼応するが如くバルバトスのツインアイが強く輝き、三日月の操縦に呼応しスラスターを噴射し、海を滑るように飛んで行った。

大和がいる戦場へ

 

 

この世界で初出撃した三日月とガンダムバルバトスはこの世界で何を見て 何を考えるのかはまだ誰もわからない…

 




いかがだったでしょうか。
次回も見てくれると幸いです。

あと、そのうち設定集みたいなのも投稿出来たらいいなと思います。


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#6 悪魔の力

この小説には駄文、誤字脱字があることがございます。
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大和サイド

「みなさん大丈夫ですか!?」

大和は自分の艦隊の艦娘に無線で問いかける。

「こちら木曾、大丈夫だぜ!」

「こちら秋月、加賀両名無事です」

「こちら響、損傷無し」

「こちら夕張、問題ありません!」

「よかった、全員無事で」

大和が艦隊の艦娘が欠けるどころか傷一つ付いていないことに安堵した。

しかしその気持ちを打ち破るかの如く、深海棲艦の砲弾が降ってきた。

「くっ…今日は、なんだか激しいですね」

「というか激しすぎます」

大和が言った一言に加賀が返事する。

大和がそういうのも仕方なかった。相手は聞いた情報通り戦艦レ級を含めた艦隊だった。また、その規模は連合艦隊分ほどだった。これだけなら彼女たちにとって、そこまでの脅威ではないのだが。

「一体深海棲艦達も何考えてんでしょうね?」

夕張が相手に砲撃しながら無線越しに言う。確かに何を考えているんだという話だ。

鎮守府を襲うにしては、敵の航空隊が少なすぎた、敵の連合艦隊には空母ヲ級がわずか2隻しかいなかった。近くに姫級の一種 飛行場姫 がいるのならばこれでも十分なのだが、そんな上位個体がこの近辺の海にいるとは思えなかった。しかも、敵の攻撃がどこか必死そうだった。いつもなら機械的に攻撃してくることが多い深海棲艦がだ。

「何か、理由でもあるんじゃねえの?」

木曾が魚雷を放ちながら言った。

「理由…ですか?」

大和が返事した。

「そっ、いつもの奴らならこんな途中の海域で見つかるリスクを背負ってまで、鎮守府に攻撃してくるか?」

「…」

それを聞いた大和は無言になった。木曾の言う通り深海棲艦が直接艦隊で鎮守府を攻撃するのは無謀だった思ったからだ。

(でもリスクを負ってまで強襲する理由になんて、この鎮守府には…もしかして?)

大和は考えながら敵に砲撃したため一体が砲弾を回避しこっちに突っ込んできた。

(しまっ!)

大和はよけきれず深海棲艦の攻撃にさらされる。その衝撃で大和はのけぞる。

この時の攻撃は6隻からの一斉砲撃だった。普通の艦娘なら大破は免れず、最悪撃沈されるが、

戦艦特有の防御力のおかげで小破程度ですんだ。

だが敵は大和がのけぞった一瞬を狙い、大和に一気に肉薄した。そして彼女に砲口を突き付ける。

大和は砲口を突き付ける深海棲艦を見た。なんとか動こうとするが砲口を体に押し付けられた。

きっと一瞬だろうと思った。肉体が砲弾によって引きちぎられるのは。戦艦の防御力もこれほどの至近距離の砲撃を耐えきるのは、難しかった。例え耐えられたとしても、他の艦の再砲撃で撃沈されると思った。

大和は目をつむる。

(ここまでのようですね…みなさん…さようなら)

大和は今まで一緒に居た艦娘や軍医の山本、提督の姿を思い浮かべた。

なぜか朝方に見つけた少年、三日月のことが最後に頭に浮かび上がった。

(三日月、さん…)

ついにその時がきたと思った。だがその未来は来なかった。

「え」

大和が目を開けるとそこには、醜くつぶれた深海棲艦の亡骸と、深海棲艦の肉片がこびりついた武器をもった白い巨人が立っていた。

「…三日月、さん?」

大和は白い巨人 ガンダムバルバトス を見て、三日月の名を言った。

 

三日月サイド

「大丈夫?、大和」

「三日月さん? 三日月さんなんですか!」

大和は三日月の名を呼んだ。その声は驚きが混じった声だった。

「うん、そうだよ」

三日月は大和の方を見て言った。正確にはガンダムバルバトスのカメラからの網膜投影システムを使ってみている。

「大和、あれが」

三日月はあれ 深海棲艦 にバルバトスの指を指す

「そうです。あれが深海棲艦、私たちの敵です」

それを聞いた三日月は、

「わかった、行ってくる」

「えっ」

「大和はみんなを後退させて」

「えっちょっと!」

大和の言葉を聞かず、三日月はガンダムバルバトスを深海棲艦のいる方に動かす。

エイハブ・リアクターの超高熱を利用し水素を使用する熱相転移スラスターを、ホバーのように使い深海棲艦に近づく、その速度は深海棲艦や艦娘と同等、もしくはそれ以上の速度だった。

三日月は手前にいた、頭部に何かの生き物のようなものを乗せている空母ヲ級を狙った。

バルバトスはヲ級に柱を縦から勢いよく振り落とした。バルバトスのエイハブ・リアクター二基のパワーによって振り落とされた柱は、空母ヲ級を一撃で葬った。その一撃を見た

艦隊の全員は

「す、すごい」

「深海棲艦が一撃で…!」

「なんて力だよあいつ!」

各々の感想を述べていた。それもそうである。艦娘たちの火力をもってしても一撃で倒せるということは珍しい。駆逐級程度ならともかく、相手は空母ヲ級 一撃で倒せるような相手ではない。そんな相手をバルバトスいや、三日月とバルバトスは一撃で轟沈して見せた。

それをみていた大和は、

「あ、悪魔…」

とつぶやいた。

三日月は大和らのことなど気にせずどんどん深海棲艦を駆逐していった。

さすがに敵も黙ってやられるわけなどなく、攻撃を仕掛ける。しかしその攻撃はむなしくも

よけられるか、跳弾するかで、明確なダメージは一切入っていなかった。ガンダムバルバトスや、彼のいた世界のモビルスーツはエイハブ・リアクターが発するエイハブウェーブに反応し硬化するナノラミネートアーマーという特殊塗料が塗装されており、これにより射撃武装が決定打になりにくくなった。このナノラミネートアーマーに対する一番効果的な攻撃は近接武装による接近戦のみである。

そんなことは知らない深海棲艦はバルバトスに攻撃するがすべての砲撃がもはや豆鉄砲と大して変わらないほどだった、近接武装など装備しているはずもなく、一方的に蹂躙されていくのみだった。殴り、蹴られ、そして手に持っている柱の攻撃に、なすすべなくやられていった。

そして 深海棲艦がレ級を含めもう2,3体ほどになったとき、

「!?」

突然バルバトスのコックピットにアラームがなる。そのアラームは

「もうガスが!?」

そう熱相転移スラスターに使われる水素がもうそこを尽き始めていたのだ。

スラスターを海上でずっと噴射し続けたのが原因だった。

「くっ!」

バルバトスの姿勢が崩れる。深海棲艦がとった行動は、逃げるのみだった

「にがすわけないだろ!」

三日月は逃げる深海棲艦に姿勢を向けなおした。そしてバルバトスは持っている柱を逆手にもち、やり投げの応用で柱を、逃げる深海棲艦の先頭にいるレ級に見事命中させた。

レ級は断末魔を上げることすらできず轟沈した。三日月は他の深海棲艦を追撃しようとするが横から攻撃をくらい残りの深海棲艦は全滅した。

「大丈夫ですか!?」

大和が大声で呼んだ。大和の方を見ると艤装の主砲から白煙が出ていた。

「すごいね、今の」

「そ、そうですか」

大和は照れ笑いをした。どうやら大和はあまり褒められたことがないようだった。

それを見ていた三日月だったが更なる問題が発生した。

「あ」

それはガス欠したアラームだった。

その瞬間スラスターから光が消えた その瞬間バルバトスは推力を失い海に落ちた。

「!?」

「三日月さん!?」

バルバトスが沈む、だが

「あっ、足ついた」

バルバトスが沈みだしたところはちょうど盛り土のように土の集積地だったようだ。

「「ふう…」

大和と三日月はホットした。

「三日月さん無事ですか」

「うん、なんとか」

「よかった~」

その返事に安堵した大和は鎮守府で待機している工作艦の明石を呼ぼうとする。

だが通信がつながらない

「あれ?」

「どうしたの」

大和が困ったような顔をして、三日月が聞いた。

「通信がつながらないです」

それを聞いた三日月は

「レーザー通信は?」

「れ、レーザー通信?」

それもないのかと三日月は思った。

「ちょっとまって」

そういうと三日月はバルバトスのエイハブ・リアクターの出力を下げた。

そうすると大和の通信が復帰した。

「あ、復帰しました、でもなんで…」

「多分エイハブウェーブのせいだよ。それで通信ができなかったんだと思うよ」

「そ、そうですか…」

大和は三日月が説明してくれたことがよくわからなかったが、とりあえず通信ができることがわかった大和は、鎮守府に連絡し明石を呼んだ。この大きさの物(バルバトス)をひきあげられるか三日月は心配した。

「大丈夫です、明石さんは力持ちですから」

「そう、ねえ大和」

「はいなんでしょう」

「腹減った」

その一言とともに腹がなった。しかも二つ

「…私もです…」

大和は照れるが三日月は

「じゃあ鎮守府にもどったら、飯作ってくれる?」

「わ、私でよければぜひ」

三日月の発言に大和は恥ずかしそうにするが嬉しそうだった。

「あと一つ言っていい?」

「はい?なんでしょう」

と大和は聞いた。

「俺も一緒に戦うよ、大和たちと一緒に」

「えっ?」

 

 

 

 

 

これが三日月とバルバトスの初出撃だった。

そして三日月は大和たちとともに深海棲艦と戦うことに決めた。

この出来事が長い戦いへ三日月とバルバトスをいざなうことになるとはまだ誰も知らない。

 




いかがだったでしょうか。
次回も見てくれると幸いです。


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#7 臨時

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「ハァ ハァ」

明石は息を荒げながら、それを運んでいた。工作艦の艦娘である明石は大和から回収の依頼を言われたため、大和の身を案じて急いだ。だが実際は別のものを運んでいた。

「明石さん、だ、大丈夫ですか。よろしければお手伝いしますが」

大和はそれを運ぶ明石に申し訳なさそうに話す。

「い、いえ大丈夫です」

明石はその申しを断った。彼女も艦娘そして工作艦である以上仕事はする。だが

「こんなものを運ぶとは思ってませんでしたよ」

明石はそれ、ガンダムバルバトス を見ながら言った。

ガンダムバルバトスはスラスターのガスが切れて、水上を滑走することができないため

工作艦の明石に鎮守府の格納庫まで運んでもらっていた。しかし本来艦娘の修理、改修などが主な任務の明石にとって、モビルスーツという艦娘とは桁違いの大きさと重量を持つものを鎮守府まで運ばせるというのはお門違いにもほどがあった。

それでも運ぶのがこの鎮守府にいる明石だった。

 

 

明石の気合と根性により無事、ガンダムバルバトスとパイロットの三日月・オーガスは鎮守府に到着した。大和たちは格納庫の中に入っていくと、

「すごいな、これ」

三日月はその光景に驚いた。

格納庫は巨大な工場の様になっており、海側に面している方は出撃用のカタパルトがあった。大和と明石はバルバトスから一旦離れ、そして二人は出撃したカタパルトに近づき、マンホール状の鉄板の上に立つと、天井からアームやケーブル、クレーンが下りてきた。

三日月は一瞬何事かと思うと、二人の周りにそれらが集まり二人の艤装を取り外していった。数分もすると、艤装は丁寧に取り外されていた。

「三日月さーん!」

大和はバルバトスの中にいる三日月に聞こえるぐらい大きな声で叫んだ。最もモビルスーツには外部マイクがあるため叫ばなくても聞こえるのだが、

「ん、なに?」

「そこの大きなシャッターからこっちに入ってください!」

大和が左の方に指を指しながら言う。三日月は指が指されたほうを見るとモビルスーツが簡単に入れそうなシャッターがあった。

「今頼んで開けてもらいますから少し待っててください」

大和はそういうと明石と一緒に右側にある小さな扉から奥に入っていった。

少しすると目の前にある大きなシャッターが上に開いた。三日月はバルバトスをシャッターの向こうにくぐらせた。くぐった先には、大量のクレーンやアームが天井から伸びせわしなく動いていた。

そして左右の壁に沿って艤装が何個も並んでいた。そのすべてが、モビルスーツの整備用ラックのように艤装を固定していた。

「こっちです、三日月さん」

大和の声が聞こえた。声が聞こえた方をみると、そこはなにかの集積場のようなスペースがあった。

三日月は大和の元までバルバトスを動かし、そのスペースに止めた。

「ここに止めてください」

三日月はバルバトスを両膝立ちの姿勢にした。そしてバルバトスのエイハブ・リアクターを待機状態にし、コックピットから降りた。だが

「「!?」」

大和と明石は三日月の姿を見て硬直した。なぜなら彼は上半身裸で降りてきたのだ。

男性への耐性があまりない艦娘からしたら、それはあまりにも刺激的なものだった。

「三日月さん!、そ、その、ふ、服は!?」

大和は顔を真っ赤にしながら言った

「脱いだ。バルバトス操縦するとき邪魔だからさ」

「そ、そういう問題なんですか!?と、とりあえず服着てください!」

三日月はそれもそうだと考えコックピットに一旦戻り服を着て、また降りてきた。

大和の顔はまだ赤く、明石は鼻血を出しかけていたが三日月は気にしなかった。元々異性に対してあまり配慮がない性格の影響もあった。

少し落ち着いた大和は気を取り直して三日月に話しかけた

「三日月さん、お疲れさまでした」

「そうでもないよ。それより」

三日月は早速本題を話した。

「三日月さんも一緒に戦う、でしたよね」

三日月はうなずいた。

「でもすいません。私だけの一存ではそれを許可することはできなくて」

大和はこの鎮守府の艦隊の旗艦という重要な立場でそれなりに発言権はあるのだが

さすがに普通の人間である三日月、そしてモビルスーツという未知の兵器の一種

ガンダムバルバトスをいきなり戦力として向かい入れるのは無理だった。

「というかなんで一緒に戦うって決めたんですか?」

彼女はそこに疑問を持っていた。彼は異世界の住人、こんな戦いに参戦する必要はないのだが…という考えだった。その問いに三日月は答えた

「俺、前にいたところでも戦ってたから、こういうことに慣れてるだけだよ。それに」

「それに?」

「大和は俺を助けてくれた だから俺も大和のことを助けたくなった」

三日月は大和の眼を見ながら言う。大和はそのまなざしと言葉に気恥ずかしさを感じ少し顔を赤くしながら

「い、いえ、そんなお言葉大和には、もったいないですよ」

と言った。

 

「ジーーーーーーーーー」

一方明石はそれを見ながら

(自分は空気ですか)

と思っていた。

 

三日月は大和に連れられ各鎮守府にある、執務室に移動している。そこにはこの鎮守府の

提督という人がいるという。提督とは大和曰く「この鎮守府における司令官」らしい。

三日月はオルガがやってたことをやってる人だと考えた。

そして漢字で<執務室>と書かれた扉の前にたどり着いた。(ちなみに三日月は漢字が読めないためなんと書いてあるかわからなかった)大和は扉を2回叩くと部屋の中から

「入ってきていいぞ」

聞き覚えのある声が返事した。扉を開けると、一つのベットがあった。それもただのベットではない、人二人は横になれそうなぐらい大きなベッドで、周りには様々な機械が置かれている。

点滴、心拍数や呼吸を表示するモニターなどが所狭しに置かれていた。そして、そのベッドの隣には山本の姿があった。山本は大和と三日月の組み合わせでここに来ると思わなかったらしく少し驚いていた。

「大和が来るのは予想出来たが」

三日月の方へ視線を向けた。

「まさか三日月君もくるとは」

大和は戦闘後いつも欠かさずこの執務室にきて提督に戦闘報告しているので山本は

来る頃だと思い待っていたようだ。

「ねえ、山本」

「なんだい」

「その人が提督って人なの?」

三日月は提督という存在を知らない。正規軍などにいればわかるかもしれないが

彼がいた場所は非正規軍といっても過言ではない所だった。

「ああそうだよ…ただ…」

 

「ただ?」

三日月は山本の顔を見て言った。

「提督はね、ここ半年目を覚ましてないんだ」

山本は寝ている提督の方に向いた。

「不治の病が原因でね。もう体もボロボロなんだ」

「…」

三日月は黙っていた。

「あの山本さんちょっとお話が」

その横にいた大和が山本に話しかけた。そして耳元でヒソヒソ話し始めた。

「それは本当かい?」

「はい事実です」

「うーん…」

大和の話を聞いて山本は少し考え込んだ。

「三日月君」

「なに?」

「君大和に一緒に戦いたいって言ったんだね」

それを聞いて三日月はコクンとうなずいた。

「…」

それを聞いた山本は深く頭を垂らした。そして

「…三日月君、君の願い…叶えられそうにないよ」

「なんで?」

「提督が起きていればその願いを叶えられるかもしれない。でも」

「彼は今こんな状態だ」

「…」

三日月は黙ってそれを聞いていた。

「彼があと1ヶ月こんな状態なら、鎮守府の運営が困難になりだす。今まで大和や私が手伝ってきたがそれも限界でね。そのため新しい提督がここに着任される」

「その提督が君の存在に気づいて 大本営 司令部に連絡した場合、君と君のモビルスーツを捕縛するだろうね」

「…!」

三日月は「捕縛」という言葉に反応したようだった。山本はその顔を見ながら、

「君はこの鎮守府から逃げたほうがいい。捕縛されれば何をされるか、君ぐらいの人間ならわかるだろう」

山本は椅子から立ち上がり、三日月に深く頭を下げた。

「だから、すまない。君の願いはかn」

その時、ベッドの周りにある一つの機械が発する音が一際大きくなった。

「!?、まさか!?」

山本は提督に近づいた。それも相当慌てているようだ。

「山本さん!?」

大和も驚いてベットに眠っている提督に駆け寄った。三日月もそれにつられて一緒に駆け寄った。

「て 提督!?」

大和が叫ぶ。すると、なんと寝ていた提督が起き上がったではないか

「…」

起き上がった提督は、目をぱちくりしながら辺りを見渡す。

「て、提督…?」

大和は不安そうに話しかける。それに気づき提督は大和の方を向く。

「おお…大和…」

「久しぶり…かな?」

提督は大和の名を言った。

「はい…大和です…お久しぶりです…」

大和は目に涙を浮かべながら答える。相当信頼されている人間なんだろうと、

三日月はその光景を見ていた。

「そこの君は…」

「えっと…この人はみk」

「三日月…三日月・オーガス君…だね」

「「「!?」」」

この部屋にいる提督以外の三人は驚いた。まだ三日月の名前も言っていない。

誰かが教えようにも今の今まで目覚めていなかった提督に教えるなど不可能のはずだった。

「提督…なんで三日月さんの名前を知ってるんですか?」

「俺もよくわからない…でも」

「夢で見たんだ」

「夢か」

山本は不思議そうに聞き返した。

「ああ…夢でね…」

「三日月君や君の仲間たちが戦っているのを夢で見たんだ」

「それはそれはすごい戦いだった」

「…」

さすがの三日月も呆然とするしかなかった。自分の過去を夢で見られるという現実離れした出来事が起きたことに驚いていた。それは大和も山本も同じだったが。

「ところで三日月君はなんでここに来たんだい?」

そんな三人をよそに、提督は三日月にここに来た理由を聞いた。

「俺は大和たちと一緒に戦いたいんだ」

「…」

提督は考え込み始めた。そして、考えがまとまったらしく三日月の方を見て

「いいよ」

と言った。

「て…提督いいんですか?」

大和はその答えが簡単に出てくるとは思わなかったようだ。

「その代わり」

「その代わり?」

三日月は聞き返した。

「君がここの提督になってくれ。」

「うんいいよ…って、え?」

三日月はその言葉に思わず「うん」と言ってしまった。

「ちょ!!提督!、それはさすがに」

「そうだぞ、いきなり三日月君に提督になれって」

大和と山本はその考えに待ったをかけた。

「なんだよ~俺は提督だぞ~、次の着任する奴ぐらい決めさせてくれよ~」

提督はいきなり気の抜けた声で反論した。

「もちろん俺にだって考えがあるさ」

「例えば?」

「俺が夢で見た通りの三日月君なら鎮守府を、そして君たち艦娘を守る力を持ってる」

提督はそのまま続けた。

「判断力もあり、戦場において一番前に出て味方を守ってきた。軍人にとって咄嗟の判断力というのはかなり重要になるからな」

提督はその後も三日月を提督にしようといろいろ三日月のあれやこれやを大和と山本に語った。

その語りが終わった頃合いを見て山本が、

「だからってな、三日月を提督にするにしても、大本営になんて報告するんだよ」

と聞いた。

「ああ、大丈夫だ。大本営には昔からぶっといパイプがあるんだ。俺が一声言えばどうにかなるさ」

「要は裏取引ですよねそれ」

大和は静かにツッコむ。それに対して提督は、

「しかも多大な戦果を挙げる艦隊を指揮する人間の推薦ってことにしとけばもう怖いもん無しだしな」

提督は気楽そうに話した。それを聞いた三日月は

「…いいよ、やるよ」

「ちょ三日月さん、本当にいいんですか」

「うん」

「「はぁー」」

それを聞いた大和と山本はため息をついた。

そして少し話した後三日月と大和は報告と用が終わったため、執務室を退室していった。

「よし、じゃあ俺大本営に連絡するわ」

提督は執務室にある電話の方に向かった。しかし電話の受話器を取る前に、

「おっと、そうだ、山本」

提督は山本を呼んだ。

「なんだい?」

「お前は大学病院に連絡してくれ。俺の病気ホントは手術と長期治療すればなんとかなるらしいじゃねえか」

「…知ってたのかい?」

「ああ…なんたって俺は提督だからな」

「フッ…」

それを聞いた山本は安心した顔をして、大学病院に連絡するため山本も退出していった。

執務室に一人残った提督は三日月の顔を思い出しながら、

「三日月・オーガス…か」

「ふっ、いい名前じゃねえか」

一人執務室で笑っていた。

 

 

 

 

こうして

 三日月・オーガスは正式にこの鎮守府の提督になった。

そして、それに合わせるように彼の愛機ガンダムバルバトスも新たな力を手に入れようとしていたのだった…

 




いかがだったでしょうか。
次回も見てくれると幸いです。

不定期更新とはいえ、長らくお待たせして申し訳ございませんでした。


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#8 悪魔の新たな力

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提督が大本営に連絡している頃

執務室を退室した三日月と大和は、どこに行こうかと考えた時、

廊下を歩く小さな影があるのが見えた。

「大和、なにあれ」

三日月は小さな影に指を指して言った。

「ああ、あれは妖精です」

「よう…せい?」

三日月は、頭の上にハテナマークをだした。

「えっと、妖精っていうのは…」

大和は三日月に妖精のことを話した。大和が話してくれたことを要約すると

妖精とは艦娘たちが装着する艤装の操作及び艤装の整備を行う者たちで

みなそろって小さく、一見非力そうに見えるが能力は高く様々な役職をもっている

ちなみに妖精たちは深海棲艦が現れたあと艦娘が歴史の表舞台に出てきたと同時に出現した存在でどこから来たかは誰も知らない。

「ということです」

「…」

三日月は大和が教えてくれたことに感謝した。があまりの量でそのときは半分も理解していなかった。

大和はひざを折り、妖精と話しだした。三日月には小さい鳴き声の様にしか聞こえないが艦娘にはわかる。

「ついてきてほしいそうです」

妖精が大和の指を引っ張ろうとしていた。

「じゃあ妖精についてってみましょうか」

「うん」

三日月と大和の二人は、妖精の後をついて行った。

 

ついて行った先にあったのは妖精たちが主に作業する工廠だった。

ちなみに先ほどガンダムバルバトスを置いた場所は工廠ではなく整備が終わった

艤装などを出撃に備え準備する格納庫である。格納庫と工廠は繋がっており

物資や艤装の搬入のため巨大な荷台とそれを乗せるレールが敷かれている。

工廠に入ると中は、機械音があちこちから聞こえ様々な薬品や機械油の臭いが充満していた。

(…同じ匂いがするな…)

三日月が一番最初に抱いた感情はその臭いに対する感想だった。その匂いは鉄華団のモビルスーツ格納庫や機材置き場に漂っていたものに似ていた。

だがその考えはあるものを見てすぐにかき消された。

それは先ほど格納庫に駐機させたガンダムバルバトスだった。

三日月は自身の愛機であるバルバトスに駆け寄った。見たところ戦闘で機体が損傷している場所はなかった。バルバトスが無事だったため三日月は一息ついた。

「大切な機体なんですね」

大和が歩み寄りながら言った。

「こいつと一緒に色々な所行ったからな」

三日月は思い出を思い出しながら感傷に浸っていると

「おめーが、こいつのパイロットか」

どこから声がかけられた。男性のものだった。しかし声が聞こえた方には、男性はおろか人もいなかった。

辺りを探しているとバルバトスの足元から誰かが出てきた。

出てきたのは人間ではなかった。顔や持っている整備工具の大きさから妖精だというのはわかった。しかし

「なんかでかくない?」

三日月の目の前に現れた妖精は先ほど見た妖精よりも大きかった。先ほどの妖精が手のひらに乗るぐらいの大きさだったのに対し、目の前にいる妖精は車のタイヤと同じぐらいの大きさだった。しかも先ほどの妖精は艦娘にしかわからない言葉で話していたのに対し、目の前の妖精は三日月にもわかる言葉で話していた。

「なんだ、でかくちゃ悪いかよ」

目の前にいる妖精(?)は三日月の言葉に反応し言い返した。

「あっ、おやっさん」

大和が目の前にいる妖精、おやっさんに声をかけた。

「大和の嬢ちゃんか」

ゲンジは大和に気づき返事した。どうやら知っている仲のようだ。

「大和、その人誰?」

「この工廠及び格納庫の責任者の」

「ゲンジだ みんなからはおやっさんって呼ばれてる」

「…」

三日月はその姿とあだ名からある人物を思い出した。

ナディ・雪之丞・カッサパ

彼が鉄華団になる前の組織CGSからの付き合いのある人物だ。腹に腹巻をつけ両足が義足のメカニックだ。そしてみんなからおやっさんと呼ばれていた。目の前にいるゲンジのように…

「どうした坊主、豆鉄砲くらったみたいな顔して」

ゲンジは三日月がこっちを向いたまま反応がないため話しかけた。

「ん?何でもないよ」

三日月は軽く返事をした。

「?」

ゲンジは「なんだ?」と思い話を続けようとすると大和から声をかけられた。

「おやっさん、実は相談が」

「ん、なんだ」

大和はおやっさんの耳元でヒソヒソと話した。

「なに!本当か!」

「はい、本当です」

「んで今後の方針は…」

「それは…」

そして話し終わったのか大和とゲンジはこっちを向いた。

「おめえ、名前は」とゲンジ

「三日月、三日月・オーガス」

「ほう、同じ名前の艦娘にあったことがあるが、おめえさんなかなかいい面構えだな」

ゲンジは笑いながら言った。

「おめえさん、俺たちと一緒に戦いたいんだってな」

「俺とバルバトスで」

「それはわかってる。でこいつどうする」

「あんたに任せるよ。おやっさん」

三日月はそう返事した。それを聞いたゲンジはため息を一つついた。

「わかったよ。こいつを海の上で戦いやすくしてやる」

「いいんですかそんな簡単に言っちゃって」

大和は不安そうに聞いた。この工廠はあくまで艦娘の艤装の開発及び整備が主な場所で

モビルスーツという未知の兵器を整備 改良を行うのはかなり無茶なのだが。

「なに、軍艦墓場からパーツ取ってくるだけだ。そこにならこいつの追加装甲や武装ぐらいは作れる部品や艤装が山盛りあるさ」

ゲンジはガンダムバルバトスを指で指しながら言った。

「パーツ集めと改修に一週間、調整と動作確認にもう一週間ってとこだな」

ゲンジはバルバトスのおおよその回収期間を伝えた。

「よろしく頼むよ」

そういうとゲンジは手をこっちに伸ばしてきた。

「握手だ」

そう言われると三日月も手を伸ばしゲンジと握手しガンダムバルバトスをゲンジに預け

三日月と大和は工廠を出て行った。

取り残されたゲンジは

「はぁー、やっかいな仕事引き受けちまったな…しかし」

ゲンジはズボンをあげ

「引き受けた仕事はきっちりやるぜ」

そういうと工廠内にいる手の空いている妖精たちを集めるために工房内を歩き始めた。

ゲンジはもう一度ガンダムバルバトスを見た。何かすさまじい気配のようなものをバルバトスから感じた。

「ふっ、相当な奴だなお前」

そういうとゲンジは歩いていった。

 

工廠をでた三日月と大和は次どうするか考えていると大和はあることを思い出す

「そういえば三日月さんって文字が読めないんじゃ」

そこまで言った大和はハッとなり三日月に話しかけた。

「そうじゃないですか! 三日月さん文字読めないんですよね」

「いやちょっとだけわかる」

「書類一枚書けるぐらいですか?」

「…無理」

三日月がそこまで言うと、大和は少し呆れた顔になって言った。

「それじゃ提督の仕事が手につかないじゃないですか」

「う、うん」

三日月は申し訳なさそうに返事した。

「じゃあ、この二週間は勉強ですね」

「え」

「そうですよ。文字が読んだり書けなければ提督の仕事ができませんから丁度二週間は

時間が空きますし」

「…」

そこまで聞いた三日月は大和の顔に何かいや~な物を感じ、大和が向いている方向とは逆を向き、全力疾走で逃げた。

「あっ!こら、まちなさい!」

大和が後ろから追いかけてくる。三日月はCGSにいたころから自己鍛錬に時間を惜しまなかったため、かなりの速度で走れた。だが相手は艦娘 艤装がないとはいえ戦艦クラスになると基礎身体能力が上がり、女性とは考えられない速度で走れる。

結果 三日月は30分ほどは逃げれたがだんだん体力が消耗し、鎮守府内を完全に把握していないためどこに逃げればいいかわからず、最終的に大和に捕まった。

こうして三日月は二週間みっちり勉強することになった。

 

 

 

 

三日月の愛機が新たな力を手に入れようとすると同時に主人は新たな力<知識>

を得ようとしていた。そして二週間後

悪魔は新たな力を得て戻ってきた。

 




いかがだったでしょうか。
次回も見てくれると幸いです


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#9 着任

この小説には駄文、誤字脱字があることがございます。
(気分を害されるようなら無理なく、ブラウザバックを推奨します)
またオリジナル設定もそれなりにございます。
(こちらも気分が害されるようなら無理なく、ブラウザバックを推奨します)


 

ガンダムバルバトスが改修期間に入り 三日月・オーガスが猛勉強期間に入り

二週間がたった。

 

「…」

三日月はベッドから起き上がった。この二週間大和と共に猛勉強していたため疲労が顔に出ており、少しゲッソリしている。三日月は勉強部屋=執務室を見渡す。

「zzz」

自分が寝ているベッドの隣にハンモックをつるして寝ている大和の姿があった。ちなみに大和の服装はいつものセーラー服にポニーテールではなく寝間着にポニーテールをほどいたロングヘアーになっている。

「…」

三日月は眠たそうな眼で大和の顔をみていた。なんとも幸せそうな顔をして寝ていた。

見ている横で大和が寝がえりをうち、三日月に背中を向ける格好になった。

「?」

三日月はふと首に目線を向けるとそこには

「傷?」

傷があった。見たところ相当大きい傷だった。

三日月が傷をよく見ようと首に近づくと、また大和が寝がえり今度は三日月に顔を向ける態勢になった。同時に

「ん んんん?」

大和が目を覚ました。大和はうつろな目で三日月を見た。三日月も大和を見た。その距離は鼻息がかかるほどの距離だった。三日月と大和の眼が合う。

「…」

「…」

二人はしばし見つめあい、大和の顔がどんどん赤くなっていく。そして

「キャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」

「グフ!?」

大和の叫び声と共に出てきた足が三日月の腹に見事クリーンヒットした。

その叫び声は寝ている艦娘と妖精を起こすには十分すぎるものだった。

 

「…」

「…」

「まあ…そういうこともありますよね…」

恥ずかしそうにする大和と腹を痛そうにさする三日月を前にして、明石や他の艦娘が思わずため息をつく。大和の叫び声を聞き駆けつけてみたら、寝間着姿の大和と泡を吹いて倒れている男性がいるのだ。訳を聞くまで「寝室に押し入った不届き物が大和に返り討ちにされた」と思うほどの惨状だった。

そして現在は執務室を移動し山本に大和の蹴りが入った三日月の体を診察してもらい問題がないことを確認した後、

山本も含めた全員で朝食をとるため食堂に来ている。食堂は主に朝食と夕食を食べる部屋で、部屋全体が清潔に保たれており椅子とテーブルがきちんと整頓されている。またこの鎮守府は南洋方面にあるため鎮守府内の建物すべてに冷房が完備されており、食堂内を優しい冷気で満たしている。そしてもう一つこの部屋を満たしている物がある。

「今日もおいしそうなにおいが漂ってきますね」

加賀が鼻をひくひくしながら言った。食堂の隣には大きな厨房があり、そこから料理のいい匂いが食堂に流れ込んできているのだ。

「今日の食事担当って確か…」と大和

「木曾さんです」加賀が即答する。

「となると今日は和食ですね 楽しみです」

この鎮守府では全員の絆を深めあうため、朝食をその日当番の人が妖精たちと共に作ることになっている。

そのため、人によってメニューが変わり、和洋中のものから変わり物まで様々である。

ちなみにこの鎮守府の中で一番料理の腕がいいのは大和だったりする。

そんなことを話していると食堂の扉が開き、ゲンジ率いる妖精たちがぞろぞろと入ってきた。

妖精たちは各々好きな席に座り、朝食を待った。そしてゲンジは艦娘たちが座っているテーブルの一席に座った。ただ単純に空いている席に座ったわけではなく、工廠監督者や軍医などの重要な役職を持つものは朝食後、そのまま朝の会議を行うことが多い。その際一つのテーブル(基本的に提督が座っているテーブル)に集まるのだが、移動が面倒くさいと言って最初から提督が座っているテーブルに座り食事する者がたまにいる。

ちなみにこの鎮守府には「たまに」の人物しかいない。

ゲンジが椅子に座って少しすると

「飯出来たぜ!」

三角巾をかぶったエプロン姿の木曾がおぼんに朝食を載せやってきた。

メニューは日本の朝食(三日月が日本を知る由はないが)ものでご飯に味噌汁、き魚に卵焼きなどがテーブルに並ぶ。そして全員分の食事が並ぶと木曾が食堂の中心に立ち

「じゃあ今日も」

「いただきます!」

「「「いただきます!!」」」

と食事前の号令をした。三日月は大和の真似をし手を合わせた。

そしてこの二週間の間に覚えた箸を使い食事を始めた。昔は食べれなかった魚も食べられるようになった。ちなみに彼と大和と加賀の茶碗の米は山盛りである。

「そういえばその人誰なんですか?」

いつもクールな響が大和に聞いた。彼女たちは三日月のことあまり知らず「遭難者」だと聞いていた。今の時点で彼の素性を知るものは大和、山本、ゲンジ、明石そして提督の5人である。

「明石はなにか知らないの?」

「えっ、いや、私は…」

明石は知らないように見せるが元々嘘をつけない性格のせいで顔に出てしまっている。

実は三日月・オーガスのことは彼が提督として着任するまで秘密にすることにしていたのである。理由は三日月が提督としての仕事ができる最低限の学力を持っていなかったためと、彼がいた世界とこの世界の常識があまりにもかけ離れすぎているために誤解などを生む可能性があるためだった。

その結果三日月は外に出られず、執務室でずっと勉強していた。

「彼のことはこの後説明するよ」

山本が魚の身を箸で取りながら話した。

「彼のことはこの後の会議で報告しようと思っていてね。それまで秘密にしていたんだ」

「…」

響は誤魔化されたように感じながらも納得し卵焼きに箸を伸ばす

「あと提督はどうなの?」と夕張

「最近意識取り戻したって聞いたけど」

提督が意識を取り戻したことはその日のうちに報告してあった。

「提督は目覚めた後、調子が良い間に本地の大学病院に送ったよ」

「そ、そうですか…」

艦娘たちは残念そうな顔をした。それだけ彼女たちにとってここの提督はいい人だったのだろうと三日月は思った。大和に聞いた所、艦娘に対する提督の態度はまちまちで、そこそこ問題になっているらしく、ひどい場所だと艦娘たちを休ませず戦闘させる提督すらいる始末である。

「まあ、電報をたまに送るとは言ってたから大丈夫だよ」

山本が提督から聞いた伝言を伝えると艦娘たちも少し顔がゆるみ、安心した顔になると

またみんな食事に集中した。

そしてみんな食べ終えテーブル事に茶碗や皿をまとめ、テーブルを簡単にふき、また

座り、みな最初と同じように手をそろえ、木曾の掛け声で

「ごちそうさまでした!」

「「「ごちそうさまでした!!!」」」

言い終わると全員でまとめた皿や茶碗を厨房の洗い場に運び、テーブルを今度は念入りに拭く。

 

その後、通常なら妖精たちや会議に出なくていい艦娘たちは自分の仕事場に行くのだが

今日はあることを報告するため全員食堂にいる。

「報告ってなんですかね?」

秋月は響に話しかけた。

「さあ?でも提督に関わるって」

「まさか…新しい提督が?」

秋月は不安そうな顔をした。

「大丈夫よ、それだけのことなら大本営から連絡があるでしょ」

響が秋月を安心させる。といっても響も心の中では不安だった。

「じゃあ報告っていったい」

「その答えが今からわかるよ。ほら」

響は指を食堂にある舞台の上に立つ三人の人影を指さした。

左右に山本と大和が立ちその二人の背が見る形で真ん中に三日月が立っていた。

「あの人って」

「さっきご飯食べてた人だよね」

「誰なんだあいつ」

艦娘たちから小声がでる。山本は一回せき込む。それを聞き艦娘たちは静かになる。

「こんな食事後集まってもらってすまない。だが今日はあることを報告しなければいけなくてな」

と山本が言い、そのまま続けた。

「2週間前に提督が目を覚ました。その後本地に戻り療養に入った。今日はそのことで伝えることがある」

山本はそのまま続けた。

「わかっているだろうが、提督がここから離れるということは新しい提督がこの鎮守府に着任することになる」

それを聞いた艦娘や妖精たちが、ボソボソと小声で喋るがすぐに止んだ。

山本は手に持っていた書類を見ながら続けた。

「今回着任する新しい提督は、自分の眼で見つけたかなりのやり手だと聞いているから指揮に関しては安心してほしい、と提督が言っていた」

山本はそこまで言うと、一歩後ろに下がった。大和も一歩下がった。

三日月はどういう動きすればいいか迷ったが山本と大和が背中を押し前に押し出す。

彼が前になり、山本と大和が後ろにたつ形になった。

艦娘たちは三日月を見た。その顔をは「まさか」という顔だった。

「そして彼が、この第26南洋方面鎮守府に着任した代理提督の三日月・オーガス少将だ」

山本がそれを言うと、艦娘たちの目線が三日月に注がれる。

「さあ、三日月さん皆さんに何かなに一言お願いします」

大和が後ろから小声で、しかし三日月には聞こえる声で言った。

(なにか一言…そんなこと言ったことないんだけど…)

三日月は人生でやったことのないことをまたやろうとしていた。

しかし何を言うか考えるとなかなか思いつかない。だがあることが思いつき、それを言うことにした。

「今日からここの鎮守府の団長…じゃなくて提督になった三日月・オーガスだよ

これからよろしく」

艦娘たちは三日月を見た。彼自身ではなく彼の眼を見た。その目は青色に透き通っていた。

彼女たちの中で、直感的だが「信頼できる人間」だというのを感じ取った。

艦娘たちは自然に敬礼した。それを見た三日月はそれを真似し敬礼した。少し間違っている所はあるがだいたいはあっていた。

「ではこの後通常の会議に移る みんなは戻っていいぞ」

山本はそれを言うと号令し終了する。そして大和以外の艦娘とゲンジ以外の妖精たちは食堂から出て自分の仕事場に歩いていった。

その後三日月と大和、他含め計4名による朝の会議を終え皆自分の仕事場に歩いて行った。

ちなみに三日月は会議など参加したことがなかったため報告程度の会議を30分やっただけでくたくたになっていた。

 

 

 

こうして鎮守府の提督になった。三日月・オーガス

果たしてこの先 どうなるのか

それは誰も知らない

そして、この鎮守府を見つめる黒い影が海面に現れていた

 

 

 




前回から一ヶ月近く投稿できなくてごめんなさい
亀投稿ですが次回も見てくれると幸いです。

あと今回から三日月と相性の良さそうな艦娘と悪そうな艦娘(個人的な意見として)を一人ずつ上げていきたいと思います。
三日月と相性の良さそうな艦娘
榛名
悪そうな艦娘
金剛


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#10 悪魔 出港

#10 悪魔 出航

 

三日月が会議に撃墜されそうになっているその頃

響と加賀が通信室で仕事をしていた。ここは大本営や付近の鎮守府、艦隊との連絡に

応答する部署である。

「…暇ね」

「そうですね…」

加賀が言うと響は返事した。実は通信室はこの鎮守府において一番暇な部署だった。

確かに通信はくる。しかしそれの大半は大本営からのもので、執務室に回線をつなげ

通信が終わったら回線を切る。という簡単すぎるものだった。しかも他の鎮守府や艦隊からの連絡などもほとんどない。午前中に何も来なければその日は特に何もないのだ。

そのためこの通信室自体は午前中だけ開いており、午後は開いていない。大本営からの通信は部屋を閉める際、回線をつなげてから閉めている。一応緊急の通信が入って場合、鎮守府内にサイレンが鳴るようになっているがそれもほとんど鳴らず、月に一回点検で何回か鳴らす程度になっている。

「それにしても」

「うん?…」

今度は響が加賀に話しかける。

「今度の提督、不思議な人でしたね」と響

「ああ その話ね」

加賀は答えた。

「提督が本地の病院に行ったって聞いて 新しい提督が来るのは予想してましたが…」と加賀

「なかなか見ないタイプの提督でしたね 前の提督も相当だったけど」

響もそう返した。二人ともクールな性格であまり興味なさそうにすることが多いのだが、

今度ばかりは違うらしい。

「はたしてどこまでできる人なんでしょうね」と加賀

「さあ…でも」

「何?」

響が間を開けたため加賀は聞き返した

「あの人の眼…信頼できる人の眼でした…」

「…そうね」

加賀は澄んだ瞳をしながら答えた。そして二人は静かになり、仕事に戻っていった。

 

 

三日月は会議が終わったあと執務室に戻り、数枚の書類にサインや文章を大和に手伝ってもらいながら仕上げ、

一息ついていた。人生初の書類仕事だった。

「読み書き上手になりましたね」

大和が緑茶を注いで持ってきてくれた。最初は舌に合わなかった緑茶(というよりお茶そのもの)だったが慣れてくるとこの苦みが好きになっていた。

「大和のおかげだよ」

三日月は大和からお茶を受け取りながら言った。

「えっと、この後の予定は何だっけ?」

三日月は大和に今日の予定を聞いた。前提督の秘書艦だった大和はそのまま次の提督の三日月の秘書艦になった。

「はい、今日は軍服のサンプルが何着か持ってきてもらっているのでそれの試着したあと寸法を測って微調整を行います。完成品は1週間もあれば届きます」

大和は自分の手帳に書かれている今日一日の予定を三日月に伝えていった。

「あとは…」

「あとは?」

「三日月さんお待ちかねのあれです」

「!、じゃあ…」

「はい改修は終了したとの報告がありましたので…」

大和は三日月を見る。

「…」

口には出していないがなんともわくわくした顔になっていた。

「…先に見に行きます?」

大和は一応聞いた。それに対し三日月は

「い…いや大丈夫、やらなきゃいけないことがあるから、そっちからやろう」

三日月は見たい気持ちを抑え込み先にやるべき仕事をやることにした。

それを聞いた大和はなにか成長したものを感じた。

「提督らしい判断です。ではちゃちゃと仕事を片付けて早く見に行けるようにしましょう」

「頼むよ大和」

三日月ははっきりと返事した。

「じゃあ早速…」

大和は辞書ほどの分厚さのある本を三日月の前に置いた。

「鎮守府の施設詳細の本です。三日月さん飲み込みが速いから2時間もあれば読み終わると思いますよ」

「…」

いきなり心が折れそうになった三日月だった。

 

 

一方そのころ

工廠にて

「なんで私に黙ってたのよーーーー!!!!」

「お…落ち着けよ夕張…」

夕張と工廠で作業していたゲンジが話していた。というより夕張をゲンジがなだめていた。

「なんで…なんで…あんなすごいもの組み立ててるの教えてくれなかったのよーーーー!!」

涙をにじませた眼で夕張は指をすごいもの…ガンダムバルバトスに向けている。

「はぁ…お前はこういうことになると行動力あるから困るわ本当…」

 

なぜこんなことになっているかというと、夕張がこの2週間の間にたまたま工廠を通りかかった際、妖精が見かけない部品を運んでいるのを目撃し、好奇心が働いた夕張が独自に探りを入れ調べた結果、艦娘の艤装ではなく艦船の艤装が運ばれていること、それを不審がった夕張は妖精の制止を振り切り、工廠内に侵入し、整備されている

ガンダムバルバトスを見つけてしまった結果、このふくれっ面の夕張がいる。

「しょうがねえだろ?今日まで秘密にしてたんだからよ~」

三日月同様、ガンダムバルバトスも今日まで秘匿しており、予定では今日の午後に

なったら正式配備発表とお披露目するはずだったのだが、夕張が入ってきてしまいその秘匿がばれてしまった。

「この際これのこと秘密にしてたことは許してあげる。その代わり…」

「こいつを触らしてくれって言うんだろ?」

「その通り!!」

「ダメだ」

夕張の許しと提案をゲンジははねた。

「なんでだめなのよ!」

「お前の手が入ったら<改造>じゃすまねえだろ!」

ゲンジがここまで拒否するのには理由がある。

「お前前科を忘れたとは言わせねえぞ!」

この夕張、機械が好きで、特に改造することが、自分の艤装どころか、他人の艤装にまで手を出しており

何度か艤装をダメにしてしまっている。そのため、最近まで工廠立ち入り禁止命令まででていたほどだった。

しかも命令が解除されたと同時に艤装を改造しようとしたため、まったく懲りていない。

「それにこの機体の改修はパイロットの許可がいるんだよ」

ゲンジは断るもう一つの理由を言う。それに対し夕張は

「じゃあそのパイロットの許可得ればいいんでしょ!」

と言い、工廠の出入り口に向かい走り始めた。

「そのパイロット、今執務室で仕事してると思うぞ!悪いことは言わねえあとで行きな!」

「わかったー!!」

夕張は聞いているのか聞いていないのかわからないが足を停めずに、外へ走っていった。

「ったく…あの機械バカめ…」

ゲンジはあきれながらバルバトスの方へ顔を向ける。

「お前もそう思うか…」

バルバトスは何も答えない

「まっ…聞いても無駄だったか」

ゲンジは他の仕事を思い出し、バルバトスを後にした。

 

 

その後しばらくして

 

 

執務室にて三日月は…

「…」

机に頭を突っ伏していた。

「…」

大和は机に突っ伏している三日月を机から引き起こし、額に濡らしたタオルをのせた。

「すいません…ここまで大変だとは思わなくて…」

大和が三日月に謝罪した。

施設詳細の本を読み終わり休憩しようとしたら、軍服のサンプルをあと1時間ほどで持っていきたいと配達してきた人から言われ、急いで試着室にかけ、すぐに試着し

適当な長さに測り、それを紙に書くと配達人は荷物をまとめすぐさま鎮守府を出て行った。

施設詳細を読むだけでも疲弊していた所に試着の催促が来てしまい三日月は休む暇もなく

寸法測定した結果、三日月は今の状態になってしまった。

「いや、大和が謝る必要はないよ 大和が悪い訳じゃないし」

大和はそれを聞き謝るのをやめたがそれでも申し訳なさそうにしていた。

それを見た三日月は話を変えることにした。

「大和、そういえばさ」

「はい?」

「背中の傷ってな…」

ジリリリリリリリリリリリリリリリ

けたたましい音がなる。鎮守府内の敷地すべてにあるサイレンからの音だった

「これって…」と三日月

「はい、そうです」大和はさっきまでの態度が嘘の様に変わっていた。

「じゃあ行こうか」

「はい!」

大和は自身の艤装のもとへ

三日月は今日お披露目するはずだった愛機のもとへ急いだ。

 

 

 

「おやっさん!」

「おっ!きたか!」

三日月は自身の機体を置いてある工廠へ入ると、愛機であるバルバトスが改装された姿で三日月を待っていた。

「…ずいぶん変わったな」

三日月は見知った姿から変わり果てた姿になった愛機を見上げている。

「まあな。海上戦闘を可能にするために色々手を加えたからな」

ゲンジはたばこ(人間用)に火をつけながら言った。

元々モビルスーツは宇宙空間もしく地上を主戦場にする兵器のため、水上戦闘はあまり考慮されていない。するにはそれ相応の装備を装着するしかない。

だが艦娘たちの主戦場は海 すなわち水上戦闘を必要とする。愛機であるバルバトスと共に戦うにも、またそれ相応の改装を行わなければいけない。

「まあおめえさんからしたら随分変わったとしか思えないだろうな」

今のバルバトスは全身に黒色の増加装甲をはっており、さらにバックパックがあるはずの場所には艦娘の艤装をそのまま大きくしたような艤装が搭載されていた。

しかも搭載されている砲すべてが見ただけで大口径大火力と思わせるものばかりだ。

「なーに、艤装の調整は済ませてある。戦闘は可能だ」

ゲンジは口から煙を吹きながら三日月に愛機の状態を伝えた。

「わかった。ありがとうおやっさん」

三日月はゲンジにお礼を言うとその場で半裸になるとバルバトスのコックピットに繋がる階段を上った。そしてバルバトスのコックピットを開く。すると

「ん?」

コックピット内にある座席の両サイドに見たことのない操作パネルがあった。

三日月は気になりながらもコックピットに入りバルバトスと自身とを繋ぐ物

阿頼耶識システムを接続した。接続した瞬間、脳内に機体に関する情報が流れ込んできた。

「ぐっ…!やっぱりきたか…」

三日月はやはりと思いながら機体状況を把握する。三日月にとってこの様な経験は初めてではなかった。

バルバトスに最初に搭乗した時と宇宙でテイワズと交戦した時に感じた<あれ>と似ているものを感じていた。それは機体状況が芳しくない時に現れる反応だった。

「おい!大丈夫か?」

ゲンジは三日月の声を聴いて走ってきた。

「うん…なんとか…ん?」

三日月は鼻を触ると赤い液体が付着していた。鼻血だった。それを三日月は手で拭うと

ゲンジに両サイドにあるもののことを聞く

「あー、それは艤装操作装置だ」

「なにそれ」

三日月は聞いたことのない装置の名前を聞き、頭の中に疑問を浮かべていた。

「実はな、この機体の中にある阿頼耶識システムとかいうやつと艤装の制御装置をつなげようとしたんだが、阿頼耶識システムがすげぇ高度なシステムすぎて、接続することができなかったんだよ。」

ゲンジはそのまま続けた。

「んでしょうがねえから、機体のシステムと艤装の制御装置を別系統にしたんだ。その両サイドにあるやつはその制御装置の制御盤だ」

ゲンジは操縦席の両サイドにある制御盤を指さしながらいった。

三日月はいくつかのボタンと発光しているパネル、そして複数のダイヤルが付いた制御盤を見た。

「なに、心配する必要はねえよ 制御盤全部に印を入れてあるからな」

ゲンジはコックピットを覗きながら、言った。

一方三日月からすれば十分複雑そうだった。

(そういう問題じゃないんだけどな~…)

三日月は心の中でそう思った。だが

(まあ、どうにかなるかだろ)

三日月は開いているハッチから見えるバルバトスの顔を見る

(そう思うだろ?お前も)

三日月は心の中で愛機に語り掛けた、その隣で

「実はこいつの名前も少し変えさせてもらってるぜ」

ゲンジはバルバトスの顔を見ながら言った。

「こいつの名は、ガンダムバルバトスネイビーだ。ネイビーっていうのは海軍って意味だ」

「バルバトスネイビー…」

三日月はゲンジとバルバトスネイビーを見ながらつぶやいた。

そんなことしていたら、出撃開始のアラームが格納庫と工廠内に響き渡る。

「おっと時間か、じゃあ健闘祈るぜ!」

そういうとゲンジはコックピットから離れ、バルバトスの周りにある足場をどける様に妖精たちに命令した。妖精たちは、命令されると即座に足場をどかし始めた。

同時に目の前にある格納庫と工廠をつなぐレールがある物資運搬用の巨大な門が開きだした。

三日月はコックピットの中でゲンジに言っておかなければならないことと、聞いておきたかったことの二つを頭の片隅に置くと、彼は操縦桿を握り自身の精神を集中させた。

阿頼耶識システムを介し、機体の状況を再確認した。

(関節には変な負荷はかかってない…となると、この装甲と武装が原因か)

三日月はバルバトスの全身に装着されている装甲とバックパックに搭載されている艤装を

網膜投影システムを通じて見る。明らかに機体側の調整ができていなかった。だがこれは

試運転などを行わなければわからない部分が多いためしかたがないと三日月はあきらめた。

そんなことを考えていると目の前の門が開き、巨大トロッコがバルバトスを工廠から格納庫…出撃位置まで移動させる。

中は非常灯が輝き、警報が鳴り響いていた。三日月は自分の知っている出撃方法とは違うことは知っていたが、実際に目にすると本当に違うことを実感させられる。

そんなことを考えていると、足元が動き始めた。出撃するために海上に近づきためだ。

そして三日月は周りに艦娘たちがいないことと出口に向かって白い波が立っていることに気づく

「みんな先に行ったのか」

三日月はそう判断すると、バルバトスの足元に何もないことを確認するとバルバトスを出撃位置に移動させる。艦娘たちは出撃するとき脚部に海上推進機構をつけている。この推進機構のおかげで艦娘たちは水上を自由自在に移動できる。

そしてこのバルバトスネイビーにも同じ様に海上推進機構を脚部に設置している。それも艤装側にある機関からではなく、モビルスーツの主動力炉であるエイハブ・リアクターから、

しかもそれを2基搭載したガンダム・フレームのエイハブ・リアクターからだ。

バルバトスネイビーの2基のエイハブ・リアクターの駆動音がより一層大きな音を上げだした。エイハブ・リアクターの出力を戦闘出力まで上昇させていた。同時にエイハブ・リアクターからエネルギーを供給され始めた脚部の海上推進機構が唸りを上げ水に浸っていた

脚部を海上に押し上げた。海上推進機構は問題ないようだった。

準備は整った。

三日月は深呼吸をした。そして妖精たちが天井近くから黄色の旗を挙げているのを確認した。

施設詳細の中に書いてあったことを思い出す。挙げている旗が赤の時は「待機」黄色の時は「出撃準備」

青の時は「出撃」だった。

少しすると旗を持った妖精が勢いよく旗を黄色から青へ変えた。

それを見た三日月はいつも出撃するときに言っていたセリフを発した。

「三日月・オーガス」

バルバトスが腰を下げ腰だめの姿勢になった。

「ガンダムバルバトスネイビーでるよ」

その言葉と共にバルバトスネイビーは2基のエイハブ・リアクターと海上推進機構が唸りを上げ勢いよく出撃していった。

新たな戦いを始めるために…

 

 

 

こうして出港していった悪魔 ガンダムバルバトスネイビー

この悪魔がこの世界にどのような変化を与えるかはまだ誰も知らない。



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