優しく殺してやると言ってくれた貴女が好き (荒屋)
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おまけのおまけのおまけ


駄文です。

FGOの二次小説は一度書いてみたいなぁと思ったので書きました。勢いで書きました、なので完結するかわかりません。


2015年、カルデアは人類史の崩壊を観測、それと同時にカルデア基地内での事故が起こった。カルデアのマスターはその事故により凍結状態、カルデアの職員も多くの人が重症、または死亡した。そんな絶望の状態の中、ある少年が立ち上がった。

 

藤丸立香、人類史最後のマスターである。

 

彼は特にマスターとしての素質は無く、ただの一般人であった、つまりはただの数合わせ、おまけのおまけであった。しかし彼は幸運にもカルデア内の事故から生き延び、特異点の一つを修正したのだ。そんな彼とは裏腹に、もう一人、カルデア内での事故で生き延びた者がいた。

 

立香とは違い、数合わせでは無く、ただの魔力提供の為だけにこのカルデアに所属した一般人。

 

おまけのおまけのおまけ、と言えば良いだろうか。

 

そんな彼の名は、

 

 

ーーーーー

 

 

「……はぁ」

 

いつもの様にカルデア内の廊下を歩きながら、人に聞こえない様にため息を吐く、もう癖になってしまったかもしれない。

 

そう思いながら向かっているのはカルデアの食堂、最近になってやっと修復が終わり、カルデア職員達の憩いの場になっている。

 

しかしそんな場所だが、俺にとっては嫌でしか無かった。

 

 

ーーーーー

 

 

周りが楽しく会話をしている中、俺は一人で食事をとっていた。何故一人で食べるのか?。それは元々人と話すのが苦手であったから、そして何より…。

 

「おい、なんであんな奴が飯を食べてるんだ」

 

「あんな奴に食わせる程余裕なんて無いのにな」

 

このように周りから嫌われているからだ、流石にもう慣れてしまったが。

 

何故嫌われているか?

 

答えは何もしていないから、だそうだ。

 

元々俺は一般人、マスターの素質なんて無く、ましてや藤丸立香の様にレイシフト適性が無い、あったのは魔力だけ。しかもそんな魔力を使う技量も無い。

 

つまりはただの魔力提供の為だけに呼ばれたおまけのおまけのおまけだ。自分で言っていてなんだが、悲しい。

 

そんな俺をカルデアの職員は俺の事を"役立たず"と、思っているらしい。まぁ良くある理不尽な話だ、一般ピープルの俺が世界なんて救えるはずが無い。

 

こんな時によく何もせずにいられるよな。

 

後ろからそんな言葉が聞こえてくる。俺はしたくても出来ないんだ、そう反論したかったがどうせ更に、カルデア職員の信用を失うだけだと思い、口には出さなかった。まぁ、信用なんて無いようなものだが。

 

昼飯を食べ終え、自分の部屋に戻る。自分の部屋では本を読むか、寝るか、魔力を提供するかだ。提供する魔力など雀の涙くらいらしく、別に提供しなくてもいいらしいが、念のため、らしい。

 

部屋に入ると、すぐにベッドに倒れ込む。

 

起きて、飯を食べ、本を読むか、寝るか。

 

それが俺の日常だった。

 

 

ーーーーー

 

 

俺が本を読んでいると、ドアをノックする音が。そして若い声で「入っていいかな?」と聞こえてくる、藤丸立香だ。

 

「どうぞ」

 

と言うとドアが開く。入ってきたのはやはり藤丸立香だった、一体俺に何の用だろうか。

 

「久しぶり」立香が口を開く。

 

「…あぁ、久しぶり。大変だっただろう」俺はどうしても立香と話すのは苦手だ。

 

「うん、でも僕がやらなくちゃいけない」

 

それは俺を馬鹿にしてるのか?と言いたかったがやめた、多分立香の事だから悪気は無いんだろう、藤丸立香はそう言う人だ。

 

「あまり思い詰めすぎるなよ?相談相手ならいくらでも居るんだから」

 

「うん、そうだね。ありがとう、これからは君に相談させてもらうよ」

 

「あぁ、同い年だしな、何かと思う事も同じだと思うし」

 

「そうだね、いやぁ、同い年の人がいて良かったよ」

 

ははは、と立香は笑った。

 

「…で?俺に何か用なのか?」

 

「いや、大したことは無いんだけど…、君は周りから悪く言われているらしいし、大丈夫かなぁって」

 

善意の塊、そう思った。まさに主人公、って感じだ。こりゃ周りからも気に入られる訳だ。

 

「俺の事は大丈夫だ、別に立香が心配する事では無い」

 

「そう…かな…?」

 

「そうだ。第一、立香の相談相手なのにそいつの事を心配しちゃあ、意味無いだろう」

 

「確かにそうか…うん。君が大丈夫ならいいんだ」

 

そう言って立香は立ち上がる。どうやら俺の心配をしに来ただけらしい、心配性なこって。

 

「もうレイシフトするのか?」

 

「いや、今日は今後の為にサーヴァント召喚をしよう、ってなってね…あ、君も来る?」

 

「じゃあ見学させて貰おうかな」

 

立香がサーヴァントを召喚する所は何回か見ているが、その召喚が個人的にに好きなのだ、なんかワクワクするだろ?俺が召喚する訳じゃ無いけど。

 

というわけで立香と一緒にサーヴァントを召喚する場所まで向かった、その向かっている途中に彼のサーヴァント達と立香が交流していた、なんか見ていて和む。

 

べ……別に羨ましくなんか無いんだぜ?

 

 

ーーーーー

 

 

そんなこんなで到着、立香は既に準備に入っており、今俺はそれを眺めている。

 

「よし、藤丸君、準備はできたかい?」

 

通信機器越しに声が聞こえてくる、確かこの声は、ロマ二って言う医者だったっけか?彼もまたカルデア内の事故から生き延びた職員らしい。

 

「はい、準備できました。それではいきます」

 

お、始まったか。

 

「ーーーー」

 

立香が意味のわからない呪文の様な事を話し始めた、俺にはイマイチ良く分からない。

 

瞬間、立香の目の前が光り出し、魔方陣が展開されていく。これを見るのが好きなんだ、なんだか神秘的で心が落ち着く。

 

「…!?何だこの反応は!?今までに無い反応だぞ!?どのクラスでも無い…!藤丸君、気をつけて!」ロマ二が突如、焦った声を上げる。

 

…え?なんか不味い状況なの?立香は戸惑ってるし。失敗したのか?もしかしてなんかヤバイ魔物でも出てくるとか……。そ、そんな事無いよね?ね?

 

そう俺も焦っている間に光りは消え、立っていたのは。

 

「……ふん。復讐者、ゴルゴーンだ。うまく使うがいい、私も貴様をうまく使う」

 

仮面をした超スタイルのいい女の人が出てきた。しかも尻尾生えてるし、色々とデカイし。うん、素晴らしい。

 

「復讐者…かなり希なクラスだ、今まで召喚の事例は無い。…まぁ、失敗しなくて良かったよ」ロマ二は安堵したのかふぅ、と息をついた。

 

「うん。そうだね、とりあえず、ゴルゴーンって言うんだね?僕は藤丸立香、君のマスターだよ。よろしく」

 

立香が手を出しているがゴルゴーン?は一向に手を出さない、そればかりか、周りをキョロキョロ見渡している。そして。

 

「……貴様では無い…」

 

「え?」

 

「貴様は私のマスターでは無い」

 

と言ってまたキョロキョロと見渡している、まるで品定めをしているみたいに。え?どういう事?立香じゃなかったら一体誰が?

 

「…ん。貴様が私のマスターか」

 

と言いながら俺の方向に指を指している。俺の後ろには誰も居ない筈だが?

 

「貴様だ、その間抜けな顔をした貴様だ」

 

「……………………へ?」

 

「えええええええええええええええええ!??」

 

俺を含めた全員が叫んだ、多分カルデア中に聞こえたんじゃないだろうか。

 

 





あらすじ詐欺になりそう。

FGOの中ではゴルゴーンさんが一番好きです。


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経緯

久しぶりなのでクオリティは落ちてます。まぁ、無いようなものですが。なんだか箇条書きみたいになってしまったので、それが嫌な人は読まない事をお勧めします。


 

俺はいつも人よりも劣っていた。成績は常に平均よりも下、運動能力も良いとは言えないし、何か才能がある訳でもない(まぁ、才能を見つけられてないだけかもしれないが)。

凡人よりも少し下。つまりは落ちこぼれって言うやつだった。

まぁ、そんな奴と友達になろうとする奴なんていないからか高校の時は友達は居なかった。いや、一人居たが喧嘩して縁を切ったんだったか、どうでもいいが。

つまり何が言いたいのかと言うと、ロクな人生を送ってないって事だ。

 

 

ーーーー

 

 

俺がカルデアに行く事になったのは高校2年の時、いつものように一人で家に帰っていると車道に一際目立つ高級車が走っていた、俺は呑気に眺めていた、正直のところどうでも良かった。その高級車が自分の家に止まらなければ。

家が目の前に見えた時、親が高級車から出てきた黒いスーツの男と話していた、新手の宗教勧誘だろうかと思っていたが親が俺の顔を見ると、「貴方が家の子で良かった」と泣きながら言っていた。そんな事は今まで言われた事が無かったので親と同時に嬉しくなったが、そんな気持ちは後ろを見て直ぐに失せた。

俺が見たのは黒スーツの男が父に何か渡していたところだった。俺は悟った。あぁ、あれは金だ、しかもかなりの大金。親は、いや、コイツらは俺を売ったのだ。

親だった何かは俺に「気をつけてね」だの「何かあったら誰かに相談するんだぞ」なんて言われた。

コイツらは何を言っているんだ?俺を売ったくせに、俺に何もしなかったくせに。あぁ、あぁ、もう、何でもいいか。

俺は黒スーツの男に言われるままに車に乗った、一体何をされるんだろうか、身体の一部でも売られるんだろうか。ふと、後ろを振り返る、しかしもう既にアイツらの姿は無かった。

 

 

ーーーー

 

 

車に乗せられた後は何故か記憶が無い。目が覚めた時には既に研究所っぽい所に着いていた、そこの職員っぽい人曰く、ここはカルデアと言う所らしい、人理がなんとか訳の分からない事を言っていたが頭が弱い俺は理解出来なかった。職員っぽい人から説明を受けた後、「早速仕事だよ」と言われ腕やら足やらに変な機械をつけられ「そのままジッとしといてね」と言われたので動かないままでいると機械の音と共に体から何かが抜かれる感覚がした。正直気味が悪かった。体から何かが抜かれること10分、やっと腕や足から機械が離れた。職員の人にあれは何かと尋ねると。

 

「ん?あぁ、君はまだ聞かされてなかったのか。あれは君の中にある魔力を取り出してもらったんだ、つまり君は魔力提供の為に来てもらったのさ」

 

職員の人は「その内慣れてくるよ、君みたいな子は結構来てもらってるしね」と言いながら部屋から出ていった。こうして俺のカルデア内での生活が始まった。

 

カルデア内での生活はかなり良いものだった。暇な時は本を読めるし、飯の時間になるとカルデアの職員達と楽しく会話を弾ませた。元々人見知りな所がある俺でも気軽に話しかけられた。とても楽しい時間だった、もしかしたら自分はこのまま人らしい生活を送れるのではないかと思った。今までの孤独感に駆られる生活が嘘のようだった。

しかし、人生というものはそう簡単に変わらないもので。

 

2015年のある日、カルデアは崩壊した。

何があったのか俺が分かるはずも無く、ただひたすらに逃げていた、死にたくないの一心だった。カルデア内で聞こえる人の叫び声、助けを求める声、崩れた壁の下敷きになっている何か。まさにそこは地獄だった。しかしその中に一人の少年がいた、そいつは藤丸立香と言うマスター候補の人物としてカルデアに来たらしい、俺にはそう凄そうな人物には見えないけど。そんな立香はこんな状況の中逃げようともせず、救助に当たっていた。なんて勇気のある奴だと思った、いや、こういう奴の事は命知らずって言うんだっけか。

馬鹿な奴だ、愚かな奴だ、優しい奴だ、まるでこの世界の主人公みたいな奴だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じゃあ俺は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで俺の意識は無くなった。多分壁か何かの下敷きになったのだろう。

 

 

ーーーー

 

 

俺が目を覚ました頃には既にカルデア内の崩壊は止まっていた、まだ辺りはボロボロだが、職員が壁の修復作業などを行なっている。そして藤丸立香はなんと一つの特異点を修復したと言うのだ。俺は心底信じられなかったが、職員の話を聞く限り本当のようだ。

自分が目覚めたその日から自分に対する職員の態度が一変した、あんなに優しく話しかけてくれた男性職員も他の職員も皆んな俺のことを「役立たず」と罵り始めた。

裏切られた。今まで信用していた職員からの罵倒、軽蔑、酷い時には殴られたりもした。

確かこの気持ちは前にもあった、それは親が俺を売った時と同じ気持ちだった。

 

俺は再び元の人生に戻ってしまった。何もかもがどうでも良くなった。

 

 

ーーーー

 

 

そうして過ごしていて、今に至るという訳だ。

しかし、信じられなかった。まさか自分なんかにサーヴァントと契約するなんて思ってもいなかった。…あ、でも俺、契約の仕方なんて知らんぞ?どうしようか。

 

「き、君は何を言っているんだ!?彼が君のマスターだって!?あり得ない!だって彼にはマスターとしての適性が…」

 

「黙れ」

 

瞬間、辺りに緊張が走る。ロマ二もそんな空気を感じたのか、口を開けない。いや、開ける事が出来ないのだろう。まさに蛇に睨まれた蛙の様だった。勿論俺も怖くて動けない、漏らしそう。

 

そんな静寂を破ったのは立香だった。

 

「じゃ、じゃあ何で俺の召喚で呼んだ君が彼のサーヴァントなの?普通の場合だと召喚した者が呼び出したサーヴァントはその召喚した人がマスターになるはずなのに…」

 

そう、おかしいのはそこなのだ。この召喚の儀式を行っていたのは立香だ、俺は何もしちゃいない、ただ傍観していただけだ。なのに、立香が召喚したサーヴァントである彼女は召喚した立香では無く、俺がマスターだと言うのだ。

 

「さぁな、ただの事故か、それまたコイツの魔力が召喚途中に混ざったのか、私にも分からん」

 

そう言いながら俺に向かって指をさす。

 

…え?なんか誤解されそうな事言わなかったかこの人。俺の魔力が混ざった?いやいや、そんな事してないし、そう考えた事も無かったから、俺は悪くな…

 

「…君は後でカルデア職員会議に出席するように」

 

今まで口を開けなかったロマ二が口を開ける。

 

(;´д`)ソ、ソンナー

 

俺が落ち込んでいると、大きな影が一つ、俺が見上げるとゴルゴーンだった。

 

「改めてだが、貴様が私のマスターか」

 

ゴルゴーンが俺を見下ろし、問いかけてくる。しかし、そんな事より…

 

デカくない…?

 

そう、何がとは言わないが、デカいのだ。うーむ、素晴らしい。いやしかしこれでは目のやり場に困りますな。素晴らしい。

 

……いかんいかん。目の前にある2つの大きなお山に気を取られてしまう、女性はみんな、男の目線には鋭いと聞くからな、バレたらただでは済まなさそうだ。いや、確証は無いんだけどね?

 

「…おい、返事くらいしたらどうだ?」

 

「アッハイヨロシク」

 

緊張しすぎてカタコトでしか喋れなかった、死にたい。ゴルゴーンは不機嫌そうな顔をしている、更に死にたい。いや、仕方ないんだ、俺は女性と会話することが無かったからな。うん悲しい。

 

「じゃあ君がゴルゴーンを案内してくれ」ロマ二は納得のいかない様だったが渋々、俺に彼女を案内してくれと言って来た。ていうかロマ二とこんなに話すのは初めてじゃないかな?

 

「じゃあこっちだ」早速ゴルゴーンを案内する事にした。案内する間、まだ彼女は不機嫌そうな顔をしていた。やっぱりさっきガン見しちゃったからかなぁ。初日からサーヴァントに嫌われるとか最低だな俺。

 

さて、これからどうしますか。

 



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職員会議

久しぶりでございます。色々あったりして投稿が遅れましたすみません。時間が空いたので更にクオリティが下がっています。いつも同じですね。


 

憂鬱だ…。何で俺がカルデアの職員会議に出なきゃいけないんだ、絶対レフ側の奴だと疑われてるよクソが。

 

「……」

 

しかも、俺が召喚した?ゴルゴーンも連れてこいとの事だ。ゴルゴーンは人と関わるのが嫌なのか召喚した後は一言も話してない。てか本当に喋らない、話しかけようとすると凄い嫌な顔される。表示も眉一つ動かない、不動である。

 

職員会議が行われる部屋に入る前に立ち止まる、落ち着け大丈夫だ。きっと何とかなる、自分が敵じゃないと言うだけだ。

 

決心して部屋に入る、既に職員達が集まっていたようで俺を見るや否や嫌悪が感じ取れる表情、俺の陰口であろうヒソヒソと職員達が聞こえてきた。まぁ、これも慣れたものだが。

 

そして二つ空いてある椅子に腰を掛ける。あと一人まだ来ていないが、きっとロマンだろう。彼は何時も遅れてくるからなぁ。何してんだか。

 

しばらくするとロマンが部屋に入ってきた、始まりますよ地獄の職員会議が。ちなみにゴルゴーンは俺の後ろにいる、そんでジッと俺を見つめている、めっちゃ視線を感じる。怖い。

 

「遅れてすまない。さて、今日みんなに集まっていてもらったのは他でも無い、彼とそのサーヴァントについてだ」

 

やっぱりか、さて何て言ってくるか。

 

「単刀直入に言う、君は何者だ?」

 

何者って言われてもねぇ、

 

「俺はただの魔力提供の為だけに呼ばれた少し魔力の多い一般人ですよ」

 

「嘘つけ!本当はレフと同じ敵なんだろ!」

 

「そうだそうだ!こんな奴早く捕まえましょう!」

 

本当の事言っただけで彼方此方から誹謗中傷の声が。まぁ、分かってたけど。ほんとひでぇ奴らだ。

 

「みんな落ち着いて。彼の処罰は彼が本当に敵だったときだけだ。

…話を戻すよ、じゃあ君に質問だ。君はどうやって召喚に成功したんだい?」

 

いや、知らんがな。全くもってただの偶然。はたまた何かの間違いなのか。一般人の俺が知るはずもない。

 

「分かりませんよそんなこと。俺はただ立香のことを召喚の儀式を眺めてただけです」

 

俺がそう口を開く度に職員達が誹謗中傷の声を浴びせてくるが、本当のことなので無視することにした。

 

「ふむ、そうか。召喚の時に魔力を流したりは?」

 

「何にもしてないですね」

 

そう答えると、ロマンはうーんと唸りながら首を傾げた。

 

「因みにサーヴァントについて何か知っているかな?」

 

「使い魔みたいなものぐらいしか知らないですね」

 

「サーヴァントとマスターの関係性については?」

 

「全く知らないです」

 

だって自分には縁の無い話だったしなぁ。いきなりマスターになるとは思って無かったし。

 

しばらくの間似たような質問ばかりだったが省かせてもらう。何故かって?全ての質問に対する俺の答えが「知らない」だからだ。まぁ、一般人だしねしょうがないね。

 

全ての質問が終えた後、ロマンが口を開いた。

 

「僕は彼がレフの仲間じゃ無いと思う」

 

まじでかやったぜ誤解が解けた。っていうか当たり前だろ、さっきまでレフ教授の名前すら知らなかったし。

 

「彼は魔術の世界の事を知らなさすぎる、って言っても彼は元々一般人だったから仕方ないとは思うけどね」

 

「こいつがもし嘘を言って俺たちを騙していたとしたら?」

 

一人の職員が反論してくる。

 

「何も彼を完全に信用しろとは言わない、今回の出来事は余りにもイレギュラーでタイミングが良すぎたからね。だからこれからは僕とダヴィンチで彼を監視する事にする、それでいいかな?」

 

「アッハイどうぞお構いなく」

 

そして俺を監視するという形で職員会議は終わりを迎えた。一部の職員は納得いかない様子だったが。

 

 

ーーーー

 

 

いつものように賑やかな食堂。朝飯を食べていなかったのを思い出し、食べに来たのだ。しかも今日の献立は栄養満点のカレー、厨房にいた猫っぽい人の特製らしい。美味そう。

 

「さてと席は空いてるかな……お、空いてる空いてる」

 

食堂の端に空いた席を見つけた、そこに向かう途中はやっぱり職員達の陰口が聞こえるがいつものように無視する。

 

「よいしょっと、さーて頂きま…」

 

席に座り、早速食べようとすると目の前の席に誰かが座ってきた。一体どこのどいつだと思い見上げると俺が召喚した?ゴルゴーンだった。

 

「……」

 

彼女は喋らない、あった時と同じ仏頂面だ。俺は出来るだけ見ないようにカレーに食いつく、うんめっちゃ美味いわこのカレー。何杯でも食える気がする。

 

俺がカレーに食いついていると、いきなりゴルゴーンが俺に話しかけてきた。

 

「貴様はいつもあのような感じなのか?」

 

「あのような…?」

 

いきなり話してきた為驚いたがきっとカルデア職員の俺に対する誹謗中傷の事だろう。

 

「…あー、そうだけど?」

 

「……そうか」

 

そう言ってゴルゴーンも手元にあるカレーを食べ始めた。

 

え?それだけ?一体なんだったのだろうか?

 

 

ーーーー

 

 

朝飯を食べ終わった後、自分の部屋でダヴィンチに渡された「マスターマニュアル 誰でも分かる入門編」を読んでいた(なんでこんな物があるのかは不明)。へー、「令呪」ってやつは自分のサーヴァントに対して絶対的に命令出来るのか。俺にも付いてるんだろうか……ってあったわ、でもなんか写真と違って薄いな俺の。大丈夫だろうか。後でダヴィンチにでも聞きに行くか。そう思いマニュアルを閉じる、そしてそのままベッドに倒れ込む。

 

「俺がマスターか……」

 

改めて考えると何で一般人である俺がマスターになったんだろう…これが神様の思し召しってやつだろうか。

 

「………マスターねぇ……」

 

マスター、カルデアのマスター。カルデアの……。

 

あれ?

 

「これって俺も特異点に行かなきゃダメなんじゃね?」

 

そう考えた瞬間ドアが開く音が。

 

「ちょっとだけいいかな…?」

 

入ってきたのはカルデアのマスターの立香だった。うーんなんだか嫌な予感がするぞ。

 




進んだと思ったら全く進んで無いですね。亀更新で亀展開ですがこれからも書いていきますよろしく。


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仲間とカップラーメン

お久しぶりです。今回もあんまり進みません、長くなりそうな予感。



 

「少し…いいかな?」

 

入ってきたのは立香だった。う〜ん?なんだか嫌な予感がするのは気のせいかな?まさか「一緒に特異点を修復しに行こう!」何て言われた日には……

 

「一緒に特異点を修復しに行かないか?」

 

はーーい。知ってましたよそんな感じの事言われる事なんてよクソが。確かにさ?俺にもサーヴァントは来てくれたよ?なんかの手違いでだけど(ここ重要)。でもさ?よくよく考えてみ?昨日今日で召喚したサーヴァントと一緒に協力して特異点とか言う魔界を修復しろって言うんだぜ?

 

無理だよなぁ?初対面からいきなり絆深められて一緒に協力して冒険できる奴なんてコイツぐらいだろ。コミュ力化け物だし。

 

それに比べて俺は?今日なんてまともに喋って無い。絆のきの字も感じられない。まぁ、俺が話しかけないから悪いんだけどね?

そんな状態で特異点修復?無理無理無理。絶対に死ぬ、彼女の事を信用できないわけじゃ無いけどきっと上手く協力出来なくてぽっくり逝くだろう。

まぁ、コイツの事だ、そんなことなんて考えもしてないだろう。絆?自然と話してたら深まってたけど?ぐらいとしか思ってないだろうなぁ。

 

「なんでまた俺に?」

 

分かりきった質問をする。

 

「君が来てくれたら戦力も増えるし、僕としても嬉しいから…かな?」

 

「何で疑問形なんだ」

 

「それが、ダヴィンチちゃんとドクターに言われて…僕と話した方がいいって…」

 

あの2人に言われて来たのか、サーヴァントを持った以上、きっちり働いてもらいますよって事か。

 

「じゃあお前は俺が居なくても大丈夫だと…?」

 

「そ、そんな事無いよ!僕だって嬉しい」

 

えー?本当でござるかぁ?

しかしどーするかねコレ。カルデアとしては嬉しいことなんだろうが俺としてはまだ死にたくない。

 

"本当に?"

 

「……」

 

「で。どうかな…?」

 

どうって言われてもなぁ。確実に安全が保証されるのならまだしも、この旅はいつ死んでもおかしくないだろう。まぁ、俺が死んだ所でって話だがな。

 

 「難しいな、考えさせてくれ」

 

 「うん、分かった」

 

「出発はいつからだ?」

 

「明後日からだったかな…?あれ?明日だっけ?」

 

なんでそこは曖昧なんだよ更に不安になったわ。

 

 「…本当はお前はどうなんだ?」

 

「何が?」

 

「俺みたいな役立たずがお前と肩並べて一緒に特異点に行くことだよ」

 

多分戦いなんて全部お前に任せるぞ、なんて冗談も言った。しかしこいつときたらキョトンとした顔で。

 

  「いいよ?」

 

なんて言いやがる。何?お前は俺に何をして欲しいの?盾?盾にすんのか?結構酷い奴だなお前は。

 

  「ち、違うよ!僕はただ、一緒に居て欲しいだけなんだ」

 

「は?」

 

え?何ですか?告白ですか?君はホモだったのかマジかよ勘弁してくれください。

 

  「正直、僕も怖い。怖くて怖くて仕方がない」

 

あぁ、そうか。

 

  「でも僕がやらなくちゃいけないんだ。僕しか居ないんだ、そう思っていた」

 

こいつは。

 

  「でも君がマスターになった時、僕は凄く嬉しかったんだ」

 

仲間が欲しいんだ。自分と同じ環境に置かれた人が、それはあの紫髪の女の子でも、立香のサーヴァントでも、ロマンでも、ダヴィンチでも、カルデアの職員でも当てはまる事は無い、ただの一般人である俺が俺達だけが共感し合える。

 

  この旅への不安、寂しさ、孤独、恐怖が。

 

 勿論、他の奴らはそれが無いとは言わないが。他の奴らとは生きてきた環境が違う。ただただ普通に一般人としては生きていない。普通の人生では触れることは無い魔術に触れている。たったその違いだけでも一般人である俺達とでは大きな違いになる。

だからこいつは俺みたいな一般人の仲間が欲しかったんだ。

 

  「君も怖いと思うけど僕も怖い、だからこそ一緒に戦えるんだ。あぁ、僕は仲間と一緒にいる、一人じゃないって」

 

「……」

 

「…なんか我儘みたいになっちゃったね。ごめん、君を巻き込むつもりじゃないんだ。じゃあ僕はこれで」

 

 「……待て」

 

「?」

 

「俺も行く」

 

「…!ほ、本当に?」

 

そりゃお前、あんな言い方されたら誰でも行かないと駄目だろ。全く、俺はそこまでお人好しじゃねぇんだけどな。

 

 「あぁ、だからロマンとダヴィンチに言ってこい、俺はもう寝る」

 

そう言って俺はベッドの上へ寝転ぶ。

 

 「ありがとう」

 

そう言って立香は部屋から出て行った。あー言っちまったよこんちくしょう。行きたくねぇんだけどなぁ、あー行きたくねぇー。でもなぁー、…………………。

 

 「全く調子狂う、寝よ」

 

何もかも忘れてしまいたかったので眠りにつく事にした。さよなら明日か明後日の俺。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……うん。やっぱ寝れねぇよこんちくせう。食堂でなんか食うか。時計を見るともう夜の12時だ、流石に皆んな寝ただろう。

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 という事で食堂に来ました。ふふふ、夜中に皆んなの目を盗んで食うカップラーメンは最高なんだよな。

そうカップラーメンの味は何にしようか考えながらキッチンへ向かうと何やら物音が聞こえてくる。キッチンに近づくにつれてその音は大きくなっていく。え?お化けとかじゃないよな?俺はそう言うのは無理だぞ?と、ビクビクしながら近づくと何やら見覚えのある尻尾が。

 

 「何してるんだ」

 

「む、貴様か」

 

そこには俺のサーヴァントであるゴルゴーンが、そして何故か手にカップラーメンを持っている。

 

 「…腹が減った、これはどうやって食うんだ」

 

どうやら俺と同じ考えだったらしい。

 

 「そいつはお湯を注ぐんだ、貸してくれ」

 

カップラーメンを手に取り、慣れた手つきで封を開け、お湯を注いでいく。

 

 「これで3分待つんだ」

 

「美味いのか?」

 

「俺はほぼ毎日食ってたぞ」

 

そう言いながら俺の分も作っていく。因みに今日はシーフードだ、ゴルゴーンは醤油。

 

 辺りがラーメンの香りが漂い始めた、そろそろ食べ頃だろう。テーブルへ座り、カップラーメンの蓋を開けていく。シーフードの香りが一気に広がっていく、これが堪らないんだよな。

 

 「…うん。美味い」

 

「まぁまぁだな」

 

お互いにラーメンを啜っていく、勿論会話は無い。しかし、黙って食ってるのもあれなので、特異点を修復しに行く事をゴルゴーンに伝えた。

 

 「私も行かなければならないのか?」

 

「あったりまえでしょうが。お前が居ないと俺が死んじまうんだよ」

 

「別にお前が死ぬのは構わないが、私が消えるのは困るな」

 

え? 俺の心配は?

 

 「知らん」

 

うわぁーい辛辣ぅ。

 

 こうして話しているとラーメンの容器の中はすっかり空であり、それと同時に眠たくなってきた。

 

 「そんじゃあ、明日か明後日はよろしく」

 

「慣れ慣れしくするな」

 

「おい、お前何をしている」

 

ゴルゴーンに辛辣な言葉を受けた時、聞き覚えのある声が、確か立香のサーヴァントの料理担当の人だった気がする。

 

「…………」

 

 あれ?これ俺ヤバくね?

 

 「やはりお前だったか。いつも夜な夜なこんな栄養の偏った物を食ってる奴は。お前にはどうやら少しお灸を据えなければならないらしい」

 

 「ちょ、ちょっと待てよ。だったらゴルゴーンも………ってあいついつの間にか居なくなってやがる畜生!」

 

「お前は何を言ってるんだ、ほらこっちへ来い説教だ」

 

「そんなぁ…」

 

いつかゴルゴーンに復讐してやると俺は思うのだった。

 

 

 

 

  

 




次はやっと特異点行く…かな?多分。オルレアンのストーリー忘れちゃったのでマテリアル見ながらになりそう。次回も不定期更新ですよろしくお願いします。


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オルレアン

ドーモ ミナ=サン アッシュデス。
どうにか年を越すまでに出せました。(ギリギリ
いつもの様に駄文ですがどうぞ。


 

 

 広い平原、澄み渡った綺麗な空、そして遠くの方に見える母なる海。

 

  え?ここは何処かって?

 

 「……」

 

  特異点だよ馬鹿野郎。

 

  しかも、立香達は居ないし。何なの?レイシフト中の不具合か?ふざけんなスタッフ仕事しろ、あ〜やっぱり今すぐに帰りてぇ。俺、この特異点を修復したらカルデアから出るんだ…………あ、そういえば人類史は崩壊してたんだっけか糞が。

  …いかんいかん、流れる様に暴言が出てしまう。一旦落ち着こうじゃないか。えーっと、今俺は立香達とはぐれていて、俺のサーヴァントであるゴルゴーンしか居ない。周りを見渡しても木、木、木。うん、森の中で遭難とか死亡ルートまっしぐらじゃないか。おいおい、死ぬわ俺。

まぁ、死ぬのは勘弁なので立香を探す事にする、早い内に見つけなければ魔物とかに喰われてサヨナラバイバイなんて事もあり得る。ゴルゴーンとかサーヴァント特有の魔力とか出して立香達に気づかせられないかな?

 

  「そんな事できるか」

 

  なぁんで聞こえてるんですかねぇ?

 

 

  ーーーー

 

  

  「藤丸君、初めてのレイシフトは大丈夫だったかい?」

 

  「うん、大丈夫だったよ」

  本当はちょっとだけ酔ったけど。そういえば、今回一緒にレイシフトに参加した彼の姿が見えない。

 

  「ドクター、彼は?」

 

  「うーん、それがどうやら、レイシフトに不具合起きたらしい」

  ドクターがそう告げる。レイシフトの不具合、と言っても彼の顔色は悪く無かった様だし、大した事は無かったと思う。

 

  「大丈夫、急いで彼と合流するようサポートするよ」

  そうは言ってくれるが心の中では少し心配だ。まぁ、彼には彼のサーヴァントがいるし、大丈夫だとは思うけど…。

 

  「先輩、あの人なら大丈夫ですよ」

  心配して、顔に出ていただろうか、マシュが励ましてくれた。…駄目だ、もっとマスターらしくちゃんとしないと…。

 

  「そうだね、ありがとうマシュ」

  皆んなに心配されない様笑顔でマシュに返事する。

 

  「いえ…そんな………こちらこそありがとうございます……」

  …?どうしたんだろうか、マシュの顔が赤い。風邪か何かだろうか?確かサーヴァントは風邪を引かないらしいのだが、マシュはデミサーヴァントだ、普通に風邪を引いてもおかしくない。

 

  「マシュ大丈夫?顔が赤いけど?」

 

  「い、いえ!私は大丈夫です!」

 

  「本当?無理はしないでね?」

 

  「はい…」

  まぁ、マシュが大丈夫なら良いんだけど、彼女が無理しない様、気を引き締めないと。とりあえず、今は彼と合流しなければ。

 

 

  ーーーー

 

 

  「あれ?ここら辺来たことあるんじゃ?」

 

  「これで何回目だ」

 

  「お前に着いていってんだよこっちは!」

  誰か助けて立香助けて…。森の中って真っ直ぐ歩けば出れるものじゃ無いの?

 

  「こっちだな」

 

  「いやそっちはさっき行っただろ!ほらお前の尻尾の跡があるだろうが!」

  ゴルゴーンが指指した先の道には何か太いものを引きずった跡が付いている。気づいて無かったのか。

 

  「……ふん。なら貴様が先導すれば良い」

  あ、拗ねた。

 

 

  ーーーー

 

 

  「やっと出れたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

  やっと出れたよこんちくしょう!一生あの森の中で彷徨い続けるのかと思った……。

 

  「疲れた、ちょっと休ませて……」

 

  「ふん、貴様にしては良くやった」

  偉そうにしやがってこの野郎…。

 

  「む。」

  ゴルゴーンが何かに気づいた様な素振りを見せる。どうした。

 

  「ふっ、貴様の匂いを嗅ぎつけたか低脳な獣達が集まってきたな」

 

  「何その戦闘が始まりそうな台詞」

  そう言うと空から何か蜥蜴頭に翼を生やした生物が飛んで来た。しかも涎を垂らして。

 

  「ドラゴンじゃねーか!」

 

  「よく見ろ、あれはワイバーンだ」

 

  「どっちでもいいわ!死にたくねぇぇーー!!助けてゴルゴーン!!」

  あばっばばばばばばばやばばい死ぬぅ!!まだ死にたくないぃ!!

 

  「貴様大人しくしてろ、周りをうろちょろするな」

 

  「そんな事言われてもよぉ!死にたくねぇから逃げるしか無いだろぉ!?ってあちちちちち!火を吐くんじゃねぇ!熱っ!」

 

  「はぁ…貴様ならまぁ放っておいても良さそうだな」

 

  「やめて助けて!!助けてください!?」

  尻が!尻が燃える!燃えてる!熱っつい!

 

  「何、心配するな。直ぐに終わる」

  するとゴルゴーンの気配が変わったかと思うとワイバーンに手を向け黒い光が放たれた。

 

  「すげぇ……」

  光が消えたかと思うと辺りは焼け野原になっていた。何だよこいつこんなに強かったのか。これからはあまり怒らせない方がいいかな、なんか負けた気がする。

 

  「ふっ、どうだ私の力は。余りの恐怖で声も出ないか」

  と、ドヤ顔でこちらへ向くゴルゴーン。

  

  「ありがとう助かったわ」

 

  「は?」

  あっ、しまった。口に出てたか、小恥ずかしいな感謝を述べるのは。

 

  「貴様、それは違うだろう」

 

  「何が」

 

  「怖くて泣きそうだーとか、僕はこんな恐ろしい怪物と一緒に居たのかーと認識するところだろう」

 

  「…?そうか?別に対して怖くは無いが」

 

  「なっ!」

  何かゴルゴーンがショックを受けた様な顔をしている。何か悪いこと言っただろうか?

 

  「……………もういい」

  そう言うとトボトボと何処かへ歩いていくゴルゴーン。

 

  「あ、おい、何処行くんだ?」

 

  「貴様となんぞ居てられるか、別のあのマスターの所に行く」

  は?

 

  「お前…結局知ってたのか……」

 

  「マスターの気配なぞ、私が分からないとでも?」

 

  (^ω^#)

 

  「お前…意地でも怖がらんからな…」

 

  「面白い…せいぜい頑張る事だな」

  そう言ってドンドン進んで行くゴルゴーン、次第に歩くスピードも上がって行く。

 

  「おい!お前!速いって!やっぱり怒ってるだろ!待て速いって!待って!」

  結局追いつくまでに倒れてゴルゴーンに運んでもらった、なんか負けた気がした。




皆さん良いお年を。カイニスちゃん出ますように。


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聖女様だとよ 1

お久しぶりです。生きてました。駄文ですが、よろしければどうぞ。


 

 「見つかりませんね、マスター」

 

 彼を探し始めてしばらく経った。しかし未だに見つかりそうに無い、皆は大丈夫だと言うが本当に何かあったんじゃないかと心配になってきた。

 

 「…!先輩、誰か来ます」

 

 途方に暮れていると丘の向こうから人影が見えた、もしかしたら彼かもしれないと期待したがどうやら違うらしい。人影は徐々に増えていき、均等に並んでる。

 

 「どうやらフランスの斥候部隊のようです、接触を試みましょうか?」

 …と、マシュが提案してくる。

 

「危なくない?」

 向こうの方は何だか緊張した様子だし。

 

「見たところ一般的な人です、違和感は感じられません。話し合えばきっと平和的に解決します」

 するとマシュは警戒した様子も見せずにフランス兵たちに近づいていく。

 

 「ヘイ、エクスキューズミー。こんにちは、私達は旅の者ですがー」

 

 「…ヒッ!てっ、敵襲!敵襲ー!」

フランス兵は顔を青くしながら叫ぶ、その叫びを聞いたフランス兵達が自分達の周りを瞬く間に囲んだ。

 

 「ヤッホー、藤丸君。彼の反応が微量だがあった…って何で武装集団に囲まれているんだい!?」

ドクターが通信越しにツッコんでいるが今はそんな事気にしている暇は無さそうだ。

 

 「…すみません、私の失敗です。挨拶はフランス語の方が良かったですね」

 

 「そっち!?」

絶対他に理由があったよね!?

 

 「こうなっては戦闘を回避するのは困難だと思います」

うん。どう見ても警戒されてるし、今にも襲ってきそうだ。

 

 「いきなり荒事か!まぁ、とりあえず落ち着こう。この世界は隔離されている状態だ、彼等と戦闘してもタイムパラドックスは発生しないから問題は無いと思うけど…」

 

 「総員、構えろ!」

フランス兵達が槍を構えてくる。

 

 「ドクター、何かアイデアを」

 

 「えぇ!?僕かい!?…仕方ない!一般人を傷つけるのはまずい、こうなったら峰打ちだ!」

 

 「盾で!?ど、どうやって…」

 

 「な、何とかします!ファイヤー!」

 

 「いや、燃やすのは論外だからね!?」

ドクターがツッコんだところで戦闘が始まった。

 

 ーーーー

 

 「…ふぅ、肉体的よりも精神的な疲労が大です」

 

 「お疲れ様、マシュ」

 

 「ありがとうございます、先輩。しかし…」

周りにフランス兵は誰一人居ない、ただ残っていたのは戦闘の跡だけだった。

 

 「殴打が少し甘かったようです。撤退されてしまいました」

 

 「どうやら砦に逃げ帰るようだ、こっそり追いかけて状況を問い詰めよう。次は刺激しないようにね?」

 

 「了解です、次こそはしっかりとフランス語で話しかけます」

 

 やっぱりそこなんだね……。

 

 「そういえばドクター、戦闘前に彼がなんとかって言ってなかった?」

 

 「ん?あぁ!そうなんだよ!さっき微量だが彼の反応が、……あれ?彼の反応が無くなってる、気のせいだったかな…?」

 

 「ドクター、しっかりして下さい」

ドクターの曖昧な言動にマシュが叱っている、ドクターも落ち込んだ様子だった。

 

 「まぁ、ともあれ今は砦に向かわなくちゃいけない、もしかしたら彼についての目撃情報もあるかもしれない」

 

 確かにそっちの方が賢明かもしれない。僕は不安になりながらも砦に向かう事にした。

 

 

 ーーーー

 

 

 「酷いですね…これは」

 砦に着いたのは良かったものの、そこは砦と言うには難しく、酷い有様だった。

 

 「どこもかしこもボロボロじゃないか…、外壁はまぁまぁ無事だけど、中がボロボロだ…とてもじゃないが砦とは呼べないぞ…」

 

 「中は負傷兵だらけだ…、確かマシュが言ったとおりだと今は百年戦争の休戦中らしいけど…」

 

 「そうですね…、戦争中では無い筈なのに、何故…?」

 

 「ヒィッ……!?ま、また来たぞ!!」

フランス兵の一人がこちらに気がついたようで、またもや警戒される。

 

 「ボンジュール、私達は旅の者です、あなた方に危害を加える者ではありません。どうか、武器を置いて下さい」

 

 「敵では…無いのか?」

マシュがフランス兵にコンタクトを取ると、フランス兵は敵では無いと認識したのか、フランス兵は警戒を解いたようだ。

 

 「簡単に信用するね。理性を取り戻したのか、ただただ戦う気力がないほど萎えきっているのか…?」

ドクターが考察をしているがマシュは話を進める。

 

 「シャルル7世は休戦条約を結ばなかったのですか?」

シャルル7世、歴史の授業で聞いたことがある。もう誰かなんてすっかり忘れてしまったが。

 

 「シャルル王?知らんのか、あんた。王なら死んだ、魔女の炎に焼かれてな」

 

 「…死んだ…?魔女の炎、ですか?」

 

 「あぁ、ジャンヌダルクだ。あの方は竜の魔女となって蘇ったんだ」

 

 「ジャンヌダルクが…魔女…?」

 

 「ジャンヌダルクって確か…」

 

 「百年戦争後期に征服されかけたフランスを救った世界的に有名な英雄です。しかしイングランド軍に捕縛され、惨い拷問と陵辱の日々の末、火刑に処されました」

 

 「…ッ!来た!また奴らが来たぞー!!」

マシュが説明している途中、フランス兵達が騒ぎ出した。砦の外を見ると冬木で見た骸骨頭の怪物が群れをなして襲ってきた。

 「注意してくれ!君たちの周囲に魔力反応!冬木で見た骸骨兵だ!それと空から大型の生態反応だ!しかも速い!」

 

 「くそっ、やっぱりだ!来たぞ、迎え撃て!」

 

 「ほら立て立て!抵抗しなきゃドラゴンに喰われちまうぞ!」

 

 「目視しました!あれは、まさかー!」

トカゲ頭に口から見える鋭い牙、そして軽く1mは越す大きな翼。

 

 「ワイバーン!?」

 

 「はい!ワイバーンと呼ばれる竜の亜種体です!間違ってもこの時代に居ていい生物ではありません!」

マシュが盾を構え、戦闘態勢になる。

 

 「来るぞ!藤丸君、マシュ!」

 

 「マスター!全力で対応を!」

マシュに魔力を送り、指揮を取る。しかし、数が多過ぎる、マシュ一人じゃ対応出来ない…なら…!

 

 「来てくれ!キャスター!」

手に刻まれた令呪を前に出し、念じる。令呪の一画が無くなったと同時に目の前に杖を持ったサーヴァントが出現する。

 

 「おっしゃ!マスター、戦闘だな!任しとけ!」

彼の名はクーフーリン、冬木で出会った時に契約をしたのだ。

 

 「マシュのサポートを任せた!」

 

 「おう!」

クーフーリンが杖を振りかざすと杖の先から炎が吹き出し、周りの敵を凄い勢いで焼き殺していく。

 

 「キャスターの火力は凄いがどんどん来るぞ!……ん?!何だ?藤丸君!一つのサーヴァント反応だ!こっちへ向かってくる!」

 

 「そんな!こんな忙しい時に!……って!あれは!?」

サーヴァントの存在はすぐに確認できた、敵を蹴散らしながらこっちに向かってくるのは………。

 

 「ちょ、お前馬鹿!速いって!攻撃しながら走るな!気持ち悪い!酔いそう!……うっぷ」

 

 「貴様こそいつまで私にしがみついているつもりだ、早く降りろ」

 

 「降りたら死ぬだろうが!しかもお前の髪みたいな蛇みたいな奴が俺を離さないんだよ!」

 

 彼と彼のサーヴァントであるゴルゴーンだった。

 

 「お!あれ立香じゃねぇか!おーい!立香ー!無事かー!ってうおっ!?」

 

 彼を乗せたゴルゴーンが僕の前に止まると勢い任せに彼を下ろした。

 

 「おい!乱暴だぞ!」

 

 「ふん、とっとと降りない貴様が悪い」

そう言ってゴルゴーンは敵の方へ向かっていった。

 

 「いやぁ待たせたな」

彼は申し訳なさそうな顔をしながら頭をかいた。

 

 「随分探したよ…」

 

 「まぁ、話は後だな。今はこいつら何とかしないとな、死にたくねぇし」

 

 「うん、そうだね」

一つの不安が消え、僕は戦闘に戻ることにした。

 

 

 

 

 




また続きは長くなりそうです。では皆さん体調にお気をつけて。


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