翼を広げた黒い鷹 (フォード2)
しおりを挟む

第1話 ティターンズ

1人目のインタビューです。第1話から第4話まで続きます。


 ティターンズ元隊員の私はインタビューを受けることになった。ティターンズとはどのような組織であったか聞きたいらしい。私はインタビュアーに栄光と挫折の日々を語る。

 

 インタビュアーは私がティターンズに入隊した理由を最初に聞いてきた。なぜティターンズのような組織に入ったのですかと素っ気なく聞いてくる。

 

「私は北米大陸出身のアースノイドです。私の実家はトウモロコシ、小麦、大豆を育てる大規模な農家でした。しかし、私の故郷はコロニーの落下によってめちゃくちゃになりました」

 

 

「事件が起こったのは0083年でしたね。当時、連邦政府はコロニー輸送中の事故と発表していました。真実を知ったのはティターンズに入隊してからですね」

 

「ご存知だと思いますが、これはジオン残党の『テラーズフリート』が北米の穀倉地帯に打撃を与えるために仕組んだ作戦でした。地球の食料生産を支える北米が壊滅的な被害を被った事で、地球は宇宙の農業コロニーに食料生産を頼る事態になったのです」

 

「事件を受けて、地球連邦軍にはジオン残党狩りを目的とするティターンズが結成されました。結成当初は地球圏の平和を守るために誇りを持って入隊する人物が多かったのです。私もその1人でした。初期のティターンズは規律ある素晴らしい軍隊でしたよ」

 

 

 もう1つ、アースノイドならでは理由を説明します。インタビュアーさんはコロニー出身のスペースノイドでしたね。

 

「私を含む地球出身者はコロニーが落ちてくる恐怖を知っています。コロニー落としは『空が落ちてくる』というトラウマをアースノイドに与えました。私はあのような恐怖は二度と味わいたくないと感じましたね。だからこそ、私はティターンズに入隊するために必死に努力しました」

 

「私は、生まれも育ちも地球でした。私がティターンズに入隊した理由は、ジオンへの復讐とコロニー落としのような悲劇を防ぐためです。私は地球圏に平和をもたらしたいというまっすぐな志を持っていましたが、その志はバスクオム大佐によって踏みにじられましたね」

 

 

 インタビュアーはグリプス戦役後に隊員がたどった人生を知りたいようだ。私は一般的に言われていることを交えながら語り始める。

 

「グリプス戦役後、ティターンズに所属していた隊員は様々な末路を辿ることになりました。その中でも地球連邦軍に復帰できた私は幸運でした」

 

「テレビや新聞で報道されていた通り、軍法会議や軍事裁判で極刑や懲役刑の判決が下った隊員も大勢います。ネオジオンやジオン残党といったかっての敵に加わったり、火星にいるジオン勢力に合流した奴もいるらしいですね」

 

「大多数のティターンズ隊員は連邦軍から退役しましたが、戦うことしかできない人、戦いを好む人は民間軍事会社に就職したようです。おそらくはティターンズ出身者の腕を買っているのでしょう」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 ネオジオン戦争

 インタビュアーはグリプス戦役後に私がたどった人生を知りたいと聞いてきた。さらに私が現在勤めている職業についても当たり障りなければ教えてほしいと言う。

 

「私は幸運にも連邦軍に復帰できました。でも、ティターンズ出身者というだけで、宇宙出身のスペースノイドからは嫌われましたよ。特につらいのはエゥーゴに所属していたパイロットと顔を合わす事です。彼らから見れば私は仲間をあやめた敵ですからね」

 

「結局、私は1年後に連邦軍を退職してジャンク屋に就職しました。今は民間に払い下げされたハイザックに乗っています。ハイザックは機動力が良く、操縦しやすいモビルスーツですよ」

 

 インタビュアーがもっと詳しく話してほしいと要求してきた。私はグリプス戦役後の混乱した時代を振り返った。

 

「エゥーゴとティターンズの最終決戦で漁夫の利を得たのはアクシズでした。戦力を温存していたアクシズは各コロニーを短期間で制圧、地球に侵攻を開始しています」

 

「しかし、連邦軍にアクシズに対抗できる力は残されていませんでした。頼りになるのはエゥーゴとカラバだけでしたね。連邦軍でも、グリプス戦役で優秀なパイロットが大勢戦死したことにより、パイロットの育成と確保が課題になりましたよ」

 

 私は第1次ネオジオン戦争で経験した事を語ることにした。連邦軍がネオジオンの地球降下作戦を防げず、連邦政府本部と議会の占領を許した経緯を話そう。

 

「ネオジオンの地球侵攻を防げなかった理由は戦力が疲弊していたからです。私もネオジオンと戦いましたが、機体は旧式のジム2でした。我ながら、あのような混乱した状況でよく戦えたなと思います」

 

「0088年、私は地球のアフリカに配属されていました。印象に残った出来事はネオジオンの地球侵攻ですね。特にネオジオンの部隊がハイザックとマラサイを使っていた事に衝撃を受けました。ネオジオンはティターンズ残党も取り込んでいたのです」

 

「彼らは戦争犯罪人として処罰されることを恐れていたと思います。軍法裁判では極刑判決が下ることもありましたから。かっての敵と共闘して戦うことになった彼らの心境が気になりますね。内心では見下していたと思いますよ」

 

 戦争中にはダブリンへのコロニー落としがあった。インタビュアーはこの件についてもコメントを求めてきた。

 

「この事件こそ、連邦政府の無為無策ぶりを象徴する出来事ですよ。エゥーゴの〈アーガマ〉とカラバが住民の避難を支援していましたが、当の連邦政府は何もしなかったのです」

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 ティターンズの暗黒面

 インタビュアーが、30バンチ事件を知っていますかと質問してきた。組織が実行した忌々しい事件を聞いてくる事は想定済みだったが、話したくない事件だと私は思う。

 

 エゥーゴの捕虜になった後、私は30バンチ事件をアングラ本やインターネットで調べた。事件の記録映像を見た時に私はティターンズの恐ろしさを実感した。何の罪のない1500万人の住民を全滅させた事実はあまりにも重い。

 

「私がその事件を知ったのは0087年です。それまでは徹底した情報統制が敷かれていたために、私のような士官は知る由がありませんでした。報道では爆発的な伝染病が流行したと伝えられていましたね」

 

「30バンチ事件を知った時、私は衝撃を受けました。ティターンズがやっていることはジオンと同類ではないかと思いましたね。毒ガスはジオンが使った細菌兵器へとして有名ですから」

 

 インタビュアーが、ティターンズが非人道的な作戦を行なった理由を問いただしてきた。

 

「当時、30バンチでは連邦政府を支持しない集会が行われていました。本来ならば、デモ活動は催涙弾と放水車で鎮圧します。ですが、作戦を主導したバスク・オム大佐は、スペースノイドに恐怖心を与えるために毒ガスを使ったと私は考えています」

 

 インタビュアーが、ティターンズが増長した原因は何ですかと聞いてきた。私は「話すと長くなりますよ」と前置きを入れながら語る。

 

「私達には地球圏の平和を守っているという自負がありました。ジオン残党を掃討する事で争いのない平和が訪れる。私はそのように考えていました。私はティターンズの正義を信じていたのです」

 

「ティターンズは連邦軍よりも1階級上という扱いがあり、エリート意識が非常に強かった。偉そうな雰囲気や横柄な態度が目立ちましたね。私はティターンズ隊員が連邦軍の軍人を殴り付ける場面を見たことがありますよ」

 

「一年戦争やテラーズ紛争を経験した連邦軍兵士は私達の姿を見て眉をひそめていました。連邦軍のベテランから見れば私達は実戦経験が少ないヒョッコでしょうね」

 

「隊員の中にはスペースノイドを宇宙人と呼ぶ者がいましたし、ジオン残党兵に虐待を行った隊員も少なくはありませんでした。一部の隊員がスペースノイドを見下していた事は事実でしょう」

 

「いつからか、私達は地球の重力に魂を縛られた人になりました。地球を第一に考える地球至上主義に捕らわれていたのです。その考え方がティターンズが負けた理由だと思います」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 激動のグリプス戦役

 インタビュアーが、グリプス戦役時にあなたは何をしていましたかと聞いてきた。私はエゥーゴとカラバと戦った激動の日々を思い出していた。

 

「グリプス戦役以前、私は催涙弾と放水でデモ隊を鎮圧する任務に就いていました。時にはジムクウェルに乗ってジオン残党と戦う事もありました。この機体でジオン残党相手に暴れまわったものです」

 

「戦争が始まったきっかけはエゥーゴによるガンダムMk.2強奪事件でした。エゥーゴはグリプスのコロニーから新型MSを奪ったのです。この事件の後、エゥーゴとの小競り合いが増えましたね」

 

 

 インタビュアーから、シャブローに行ったことはありますかと質問があった。かって、地球連邦軍の本部があった場所は今では核爆発によって跡形がない。

 

「私はジャブローの引っ越し作業に駆り出された事があります。私見ですが、シャブローの警備が薄いことが気になりました。なにしろ、守備隊のMSが1年戦争で使われた旧式ばかりだったので目に留まったのです」

 

 

「アポロ作戦では、フォンブラウン市を制圧しました。フォンブラウンは月の中心都市で『フォンブラウン市を制する者は宇宙を制する』といわれるほど重要な場所でした。ここは人類が初めて月に降り立った場所ですね。確かアームストロング大佐だったかな」

 

 

 

「宇宙ではゼダンの門を守る任務に就いていました。1年戦争ではア・バオア・クーと呼ばれていた要塞です。アクシズが小惑星をゼダンの門にぶつけたので、ゼダンの門は崩落。この時点でティターンズに残された拠点はグリプス2のみになりました」

 

 ・あなたは最終決戦で活躍しましたか?

 

「最終決戦で、私はエゥーゴの捕虜になりました。私はバーザムに乗っていましたが、リックディアスに乗機を破壊されています。脱出ポットを作動させた所をエゥーゴに捕まってしまいました」

 

「最終決戦ではティターンズの主力艦隊がコロニーレーザーで消滅。またリーダーであるシロッコも戦死したことでティターンズは壊滅状態に陥りました。グリプス戦役の結末は皆さんが知っている通りです」

 

 

 インタビュアーから、ティターンズに言いたい事はありますかと質問があった。これが最後の質問らしい。

 

「私はグリプス戦役を生き残りました。しかし、戦後はティターンズの生き残りに対する追求は厳しかったです。特に、毒ガス作戦を実行した隊員が罪を問われたのです。30バンチ事件がそのいい例ですよ」

 

(1人目のインタビュー終わり)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 鷹は舞い降りる(2人目)

2人目のインタビューは第5話から第6話までと短めです。


私はある知人の紹介でインタビューを受けることになった。聞けば、ティターンズ元隊員に話を聞き回っているという。私は軽い気持ちでインタビューを承諾した。

 

最初に、インタビュアーはティターンズに入ったきっかけを聞いてきた。まずは1年戦争でジオンと戦ったことから話そうと思う。次にティターンズ時代に経験したことを伝えよう。

 

「自分は1年戦争で家族と友人を亡くしたスペースノイドです。家族を失った恨みをジオンにぶつけるために地球連邦軍に入隊しました。軍に入隊した時、自分はまだ20歳を越えたばかりでした」

 

「1年戦争では、ソロモンとア・バオア・クーでジオン公国相手に戦いました。自分はジムに乗っていましたが、元々は戦闘機乗りです。ルナツーに所属していた時は『セイバーフイッシュ』と『トリアーエズ』が愛機でした」

 

「自分はグリプス戦役の時にティターンズに入隊しています。でも、ティターンズ隊員の大半が地球出身者だったので、自分は肩身が狭い思いをしまいました」

 

「ティターンズ時代、私は地球ではアッシマー、宇宙ではギャプランに乗ってました。自分はGに耐えられる耐G特性に優れた体質だったので、可変機ばかりに乗ってましたよ。空を飛ぶ時は自由を満喫できましたね」

 

インタビュアーに、シャア・アズナブルによる演説を聞きましたかと聞かれた。当時はクワトロ・バジーナ大尉と名乗っていた人物、かっては赤い彗星と呼ばれた1年戦争のエースパイロットだ。

 

私はダカールで演説が行われた日を思い出していた。あの演説がきっかけでティターンズのイメージが悪くなり、人々の心が離れていったと私は思っている。

 

「演説は聞きましたよ。エゥーゴの軍人による演説が生中継されていました。でも、我々はダカールに侵入したエゥーゴにスクランブル発進をかけたので、演説は途中までしか聞いていません」

 

「そうそう、ダカール守備隊時代の同僚に印象に残った中尉がいました。味方のハイザックに突進したり、Zガンダムをかばってバイアランに撃たれたパイロットがいました。始末書物の行動ですよ」

 

「同僚の名はアジス中尉、彼はまじめで穏やかなアッシマーのパイロットでした。彼は撃墜された僚機が住宅街に墜落しないように支えていましたね。僚機のマイクは無事に脱出したようですが」

 

「彼はジャミトフの思想や言葉を受け売りしていました。彼は『正しく全てを統括していける軍が必要』と言っていましたが、人の意見に流されやすい性格でしょうね」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 アッシマーとギャプラン

私はかってティターンズの隊員だった。私はインタビュ アーから次々と質問を受けている。

 

・アッシマーはどのような機体でしたか?

 

「アッシマーは地球の大気圏を自由に飛び回れるモビルアーマです。この機体は人型のモビルスーツから円盤型のモビルアーマに1秒で変形する事ができました。MA形態のアッシマーは民間人にUFOと見間違えられたかもしれませんね」

 

「さらに、アッシマーは空力特性に優れていました。さらに、熱核ジェットエンジンは燃費が良く、長距離を飛行できました。車で例えると旧世紀のハイブリッドカーみたいな感じです」

 

「アッシマーは特に機動力に優れていました。楽に高度まで上昇できたのです。元戦闘機乗りとしてはこれほど良い機体はなかったです。機動力を生かした一撃離脱戦法でカラバを苦しめました」

 

「アッシマーは連邦軍ではハンバーガーと呼ばれていました。空飛ぶ円盤ではなく、空飛ぶハンバーガーですよ。なぜですかって、アッシマーの形と色が似てますし、連邦軍では戦闘の間に食べるポピュラーな軽食を連想させるからです」

 

 

・アッシマーに不満な点はありますか?

 

「武装が貧弱な事です。ビームライフルが1丁のみで、格闘戦に必要なビームサーベルがないのが不満でした。必要な時には、マラサイのビームサーベルやティターンズ汎用ライフルを追加装備することもありましたね」

 

 

・クリプス戦役の頃はどこにいましたか?

 

「先程も言いましたが、私はダカール守備隊に所属していました。ダカール基地にはハイザック、マラサイ、アッシマーが配備されており、アッシマーは領空侵犯機に対するスクランブル発進を行っていました」

 

「宇宙に転属になってからはギャプランが愛機になりました。ギャプランもアッシマーと同じく可変機で、モビルスーツとモビルアーマという2種類の形態を持つスペシャルな機体でしたね」

 

「ギャプランは、もともと強化人間向けに開発された機体でした。加速時に発生する強力なGは普通のパイロットは耐えられないため、身体能力を強化した人間向けの機体になりましたね。私はリミッターを掛けたギャプランに乗っていましたよ」

 

「宇宙ではティターンズの本拠地だったゼダンの門とクリプス2でエゥーゴと戦いましたね。ゼダンの門はア・バオ・クーとジオンが呼んでいた宇宙要塞です」

 

「最終決戦ではブースターを装着したギャプランで戦いを挑みました。リックディアスと激闘を繰りひろげましたが、コロニーレーザーで母艦が消滅。私はエゥーゴの宇宙戦艦『アーガマ』が発した投降勧告を受け入れました」

 

 

(2人目のインタビュー終わり)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 デラーズ紛争 (3人目)

3人目のインタビューです。第7話から第9話まで続きます。


オレはデラーズ紛争でジオン残党と戦った経歴を持つ地球連邦軍のパイロットだ。今日、オレは人生で初めてインタビューを受けることになった。

 

インタビュアーが、あなたにとってデラーズ紛争は何だったのかと聞いている。オレは結論から言うことにした。

 

「デラーズ紛争は、ジオン残党どもがコンペイ島で核を使い、地球の北アメリカにコロニーを落とした事件だった。オレはジム改に乗ってジオンと戦ったんだ。この事件がティターンズ結成のきっかけになった事は有名だ」

 

「デラーズ紛争は無様な戦争だった。オレ達はデラーズに一杯食わされたんだ。まさか、奪われたコロニーの目標が地球だとは思わなかった。連邦のお偉いさん達は、ジャブローに落下すると予測していたらしいが、実際は北アメリカだったな」

 

「コロニーが月軌道に乗った時点で、フォンブラウン市に落下すると連邦軍の誰もが考えていた。オレ達は奴らに意表を突かれたんだ。奴らを目の前にして艦隊はデラーズの追撃ができなくなったのさ」

 

・デラーズフリートを追撃できなくなった理由は?

 

「ヘポン艦隊が推進材を使い果たして動けなくなったからだ。オレ達はコンペイトウから月までデラーズを追いかけていたからな。補給を終えるまでテロリストどもの追撃を断念する破目になった」

 

「地球連邦軍は3年ぶりの観艦式をコンペイトウでやっていたな。コンペイトウはジオンがソロモンと呼んていた宇宙要塞だ。ジオンが放った核バズーカで艦隊の3分の2が動けなくなったんだ。だが、オレの艦は幸運にも生き残っていた。オレは神を信じたくなったよ」

 

「デラーズフリートはザク2とリックドムを使っていたな。どちらも旧式のモビルスーツで、マシンガンやバズーカを装備していた。観艦式が始まるまでに37機以上が撃墜されたらしいな。散発的な攻撃で我々の気をそらす事が狙いだったらしいが」

 

・観艦式についての詳しい話を聞かしてください

 

「観艦式はグリーン・ワイアット大将による演説から始まった。ワイアット大将は白色の〈バーミンガム〉に乗っていたな。核兵器が爆発した時、コンペイトウ周辺は白い光に包まれた。光か収まった時には戦艦の残骸が辺り一面に散らばっていたよ」

 

・ジオン残党がガンダムを奪ったという噂がありますね

 

「連邦軍がガンダムを開発していたのは事実だ。オレはデラーズの演説で見たことがある。悪人顔のガンダムだった。デラーズは核兵器を使えるとも言っていたな。ジオンにガンダムを奪われるとは連邦軍も情けない」

 

・テラーズフリートの最後について知っている事を教えて下さい?

 

「デラーズフリートは、地球艦隊とヘポン艦隊で挟み撃ちにした。やつらは降伏勧告を無視したからな。大型モビルアーマが艦隊めがけて突っ込んできたが、最後は戦艦のブリッジに突撃して果てたよ。残存部隊のザク2とリックドムは必死に脱出を図っていたな」

 

「やつらは生き延びるために必死に戦っていたな。オレはザクがヒートホークでジム改に斬りかかる瞬間を見た。やつらは、ぼろぼろの機体で連邦軍に立ち向かっていったよ。デラーズ紛争で敵を5機撃墜してエースパイロットになった人もいる。オレか、オレはザク2機撃墜したな」

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 ティターンズの象徴

オレはデラーズ紛争でジオン残党と戦った経歴を持つ男だ。オレはクリプス戦役が始まる前にティターンズから左遷されたパイロットだ。ある事件に関わってな。

 

・なぜ、あなたはティターンズに入ったのですか?

 

「オレはデラーズ紛争を経験した事がきっかけで入隊を希望したんだ。ジオンを激しく憎んでいた事が理由だな。やつらは地球にコロニーを2回も落としたんだぞ」

 

「軍隊は階級がすべてだ。オレは1階級上の扱いを受けるエリートに憧れていたんだ。連邦軍にいた頃はコロニーの移送とデブリ掃除ばっかりやらされていてな。ティターンズに入ってからはジオン残党との実戦で腕を伸ばせた」

 

・あなたがこれまでに乗ったモビルスーツは?

 

「デラーズ紛争の時はジム改が愛機だった。ティターンズ時代はジムクゥエルからハイザックに乗り換えている。連邦軍に戻ってからは青いハイザックに乗っていたな」

 

・ジムカスタムとジムクゥエルの違いは何ですか?

 

「ジムカスタムはエースパイロット向けに開発されたモビルスーツだ。開発は地球のオーガスタ研究所で行われたようだ。オレがデラーズ紛争で乗っていたジム改よりも、推力があって機動力に優れていたな」

 

「ジムクゥエルはティターンズ結成時に主力だった機体だ。ジムクゥエルは頭と胸と足首にセンサーを設置して、通信機能を強化した機体になる。ジムクゥエルはビームライフルが使えるモビルスーツだったな」

 

「メカニックが言っていたが、ジムクゥエルの腕はフレームに装甲を装着していたらしい。要するに、腕はフレームと装甲が独立した構造になっている。整備の時は装甲だけを外せばいいのでメンテナンスがしやすいらしいな」

 

 

・ジムクゥエルを操縦した感想を聞きたいです

 

「ジムクゥエルは、ジオン残党の旧式相手には楽勝だった。残党のモビルスーツはビームライフルが使えない機体ばかりでな。オレの実感だと、90mmマシンガンはザクとリック・ドムのチタン装甲を簡単に貫いたよ。シールドも120mmのザクマシンガンを防げる防御力があったな」

 

オレは連邦軍に出戻りになってもハイザックに乗っていた。クリプス戦役末期には機体をティターンズに接収され、旧式のジム2に乗っていた事が懐かしく感じる。ハイザックについても語ろうか。

 

「ハイザックは操縦しやすく、機動力に優れた機体だった。隊員からはザクもどきと呼ばれていたが、ジムクゥエルよりも性能が良かったのは確かだ。メカニックもメンテナンスがしやすく、整備性が良いとほめていたな」

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 30バンチ

オレはバスク・オム大佐が指揮する部隊にいた。オレはサイド1にある30バンチである作戦を実行した。

 

・30バンチについて話せることを教えてくれませんか?

 

「当時、30バンチでは大規模な反政府運動が行われていた。オレ達は連邦政府から依頼されて運動の鎮圧に乗り出したんだ。ティターンズの独断で鎮圧したわけではないことを知ってほしい」

 

「たとえ、ガスボンベの中身が毒ガスだと知っていても軍人は命令に従うしかない。軍人は命令には逆らえないんだ。オレは住民が苦しむ姿をこの目で見た。今でも夢でうなされる。俗に言うPTSDというやつだ」

 

「オレが所属していた小隊は周辺の警戒に当たっていた。30バンチ周辺にはザクとリック・ドム、母艦のサンバジルが居やがった。ジオン残党は30バンチから脱出したシャトルを守っていたな。小隊にはシャトルの撃墜命令が下った」

 

「オレ達は命令に従って民間シャトルを撃墜しにいった。小隊のジム改がシャトルにマシンガンを撃ったんだ。だが、後方支援していたテスト・チームにシャトルを撃墜する所に見られてな。作戦は成功したが、後味が悪い結果に終わったよ」

 

「小隊にいた同僚は命令に従ってシャトルを撃ち落した。そいつは軍事法廷で2つの罪状を追及されて、極刑判決が下ったらしい。事件への関与と民間シャトルを撃墜した件を厳しく問われたようだが」

 

オレは軍事法廷で30バンチ事件の記録映像を見せられた事を思い出した。ハイザックとジムクゥエルがガスボンベを設置する瞬間が写っていたな。ティターンズの犯行を示す決定的な証拠だった。

 

「オレは優秀な法務官のおかけで懲役3年の実刑判決で済んだ。ティターンズ隊員の多くは軍事法廷で実刑判決になったらしいな。オレも軍を退役してからも軍情報部の監視がついている。今じゃ、オレ達は危険分子扱いだ」

 

・なぜ、ティターンズは毒ガスを使用したのですか?

 

「バスク大佐は人の命をなんとも思っていなかった。やつは地球至上主義に捕らわれていたからな。やつは300万人が犠牲になった事実を気にしなかった。それどころか、反連邦政府運動の広がりを警戒していたんだ」

 

・バスク・オム大佐はどんな人物でしたか?

 

「やつはティターンズの暗部を象徴する軍人だった。いつも態度がえらそうで連邦の軍人を見下していたな。オレはやつが部下を殴った瞬間を見た事がある」

 

・ティターンズ上層部に言いたい事はありますか?

 

「オレは上層部が許せないんだ。残酷な作戦を考えた上官が処罰されないのはおかしい。作戦を実行した末端の兵士が銃殺刑になっている。未来ある若者が罪を問われることがつらいな」

 

(3人目のインタビュー 終わり)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 アポロ作戦(4人目)

4人目のインタビューは第11話から第12話までです。


俺はアポロ作戦についてインタビューを受けることになった。インタビューを受ける前にインタビュアーに言いたいことがある。ティターンズの評価についてな。

 

「俺はティターンズに所属していた。ティターンズといえば悪魔のような集団に思われているが、それは違うぜ。隊員は血が通った人間だったな。ティターンズの隊員にも人の心があった事を知ってほしい」

 

・アポロ作戦についてお話を聞かしてほしいのですが?

 

「アポロ作戦にティターンズが投入した戦力は『ドゴス・ギア』と『アレキサンドリア』が1隻、サラミス改級が2隻だった。この作戦にはジオン共和国からムサイ改級3隻とハイザックも派遣されていた」

 

「俺はこの作戦に『ドゴス・ギア』の乗組員として参加したんだ。シロッコも見たことあるぜ。木星帰りの男の名は艦内でも話題になっていたぐらいだ」

 

「アポロ作戦はティターンズ艦隊による威嚇射撃から始まった。ティターンズはフォン・ブラウン市を拠点にする予定だったからな。あえて、市の周辺部にビームと長距離ミサイルを撃ち込んだのさ」

 

「シロッコはフォン・ブラウン市の制空権に入ってからようやくモビルスーツを発進させたんだ。戦力を温存した状態で降下したかったんじゃないか。まぁ、単艦で月面都市を制圧するなんて今までなかった作戦だよな」

 

「結局、漁夫の利を得たのはシロッコだったよ。シロッコは『アレキサンドリア』がエゥーゴを引き付けている間を狙って一気に降下したんだ。降下すればエゥーゴが手を出せないと知っていたからな」

 

 

・フォン・ブラウン市を占領した目的は?

 

「あの場所は『フォン・ブラウンを制するものは宇宙を制する』と言われるほどの場所だぜ。フォンブラウン市は月で最大規模の月面都市で、政治と経済の中心地だからな」

 

「フォン・ブラウン市は人類が初めて月に降り立った記念すべき場所だ。アポロ11号のアームストロング大佐は旧世紀の偉人として有名だろ。市の最上部にはアームストロング広場もあるんだぜ」

 

 

・シロッコはどのような人物でしたか?

 

「指揮能力は抜群にあるが、人情がなかったと思うな。それにしても、ドゴス・ギア級1隻でフォン・ブラウン市を制圧する作戦は見事だったよ。単艦での制圧などあまり例がないから。シロッコの優れた指揮能力ぶりをエゥーゴに見せつけた作戦だったな」

 

「さっき、俺はシロッコに人情がないと言ったな。あれはシロッコがエゥーゴに補足された部隊を援護しなかった事を言ったんだ。見兼ねたパイロットが単独で発進しても止めようもしなかった。パイロットのやりたいようにやらせる放任主義的な所もあったよ」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 隊員の懺悔

ティターンズを退役した軍人から連絡がきた。それはティターンズについてインタビューを受けないかという誘いだった。俺はすぐに承諾した。隊員の真実を伝えたかったからだ。

 

・なぜ、若者はティターンズに入りたがったのですか?

 

「ティターンズに入ると地位と名誉が手に入ったからじゃないか。ティターンズは連邦軍より1階級上の扱いを受けたし、エリートとして世間から認められた。それに、月での有給休暇が3日余分にもらえたからな」

 

「俺が隊員から聞いた話だが、実戦で腕を伸ばせるからという理由でティターンズに入った奴がいる。地球の平和と安定を守るという使命感に燃えた若者もいた。ジオンへの復讐のために入った奴もいたらしいな」

 

・ティターンズに入るために条件がありましたか?

 

「まず、前提条件として地球出身者であることが求められたな。ティターンズに入隊した軍人の中には、1年戦争を生き残ったベテランパイロット、功績をあげてスカウトされた人、志願書を書いて入隊した若者がいたよ」

 

「ティターンズはジオン公国軍の残党狩りが主な任務だった。他にも、連邦政府に対する反政府運動やデモ活動、テロや労働組合がおこした暴動を鎮圧していたな」

 

「ティターンズは地球の平和と治安を維持するために結成された。俺はティターンズの正義を信じて戦ったんだ。自分達の行動が正義だと信じて疑わなかった。地球圏に平和をもたらそうと必死に努力していたよ」

 

・ティターンズの悪行についてどう思いますか?

 

「いつから、ティターンズはジオンと同じ事をしていたのかと思うな。まるで、ジオンの再来じゃないかと感じたよ。コロニー内で毒ガスを使い、コロニー落としを月のグラナダでやったり、コロニーレーザーでコロニーを破壊したりな」

 

「ティターンズが変わったと感じたのはスペースノイドを敵視するようになってからだ。我々はエゥーゴを支持していたサイド2に集中攻撃をしていたからな。我々は18バンチをコロニーレーザーで破壊し、21バンチを毒ガスで攻撃している」

 

「あのような作戦を考えた上官は、バスク大佐とジャマイカン少佐だ。ティターンズの隊員は上からの命令で毒ガスを使ったんだ。誰が、あのような残酷な作戦を実行したいと思うんだ。内心は嫌がっていただろうよ」

 

「バスク大佐とジャマイカン少佐はグリプス戦役で戦死している。作戦の責任を取るべきやつはもうこの世にはいないんだ。今は、作戦を実行した隊員が法廷で罪を問われている。悲しいことにな」

 

(4人目のインタビューは終わり)

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 ガンダム強奪事件(5人目)

5人目のインタビューは1話のみと短いです。


私はガンダムMk.2強奪事件に遭遇し、戦いに敗れた。インタビュアーがその経験を聞きたがっているが、人に話せる内容とは思えない。

 

・強奪事件について知っていることをお願いします。

 

「私はグリプスこと、サイド7に配属されていました。グリーンノア1が勤務先です。事件はコロニー内にエゥーゴが侵入した事から始まりました。侵入した機体はたったの3機。その時はエゥーゴの新型という事しかわからず、後になってリック・ディアスという名称を知りました」

 

「リック・ディアスはバズーカ、ビームピストル、頭部のバルカン砲をうまく使い分けながら戦っていました。機体の性能もありますが、パイロットの腕前も良かった。きっと1年戦争の生き残りに違いありません」

 

「3機のリック・ディアス相手にジム2が9機も撃墜されました。それにしても、こちらの攻撃が全く当たらなかった事が不思議です。機体の動きが速すぎてロックオンできなかった。まるで赤い彗星です」

 

「私はジム2でリック・ディアスと戦いました。リック・ディアスの機動力に翻弄され、次々に味方がやられていきましたね。我々はエゥーゴを追い払えず、返り討ちにあいました」

 

「リック・ディアスに撃墜された機体が住宅地に墜落し、民間人に被害が出ました。只でさえ、我々はグリーンノア1の住民に恨まれているのです。強奪事件が我々に対する印象をさらに悪くしたのは間違いないでしょう」

 

・ガンダムMk.2を見たことがありますか?

 

「グリプス時代に何度も見ています。ブラックとダークブルーに塗装されたガンダムMk.2はかっこよかった。私はいつかガンダムMk.2に乗りたいと思っていました。私にとってガンダムは憧れのモビルスーツでした」

 

「Mk.2が2機連れ去られていました。確か、2号機と3号機だったかな。強奪事件の後にガンダムMk.2をグリプスで見ることはなかった。おそらく、エゥーゴに全機捕獲されたという事でしょう」

 

・ジム2はどのようなモビルスーツでしたか?

 

「ジム2はジムを近代化改修したモビルスーツです。ジム2の性能はジム改よりは良く、ビームライフルが使えるメリットがありましたよ」

 

・ティターンズに言いたいことがありますか?

 

「そうですね。同じ階級でもティターンズの隊員が1階級上の扱いを受けるのが気にいらなかった。ティターンズは、偉そうでごう慢な隊員が多い印象があります。特にグリプスにいた連中は嫌いでした。私はティターンズに殴られた連邦の軍人を見たことがありますからね」

 

 

(5人目のインタビュー 終わり)

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 オーガスタ研究所(6人目)

私はオーガスタ研究所の警備をしていた。私は研究所を守る任務をグリプス戦役が終わるまで続けていた。パイロットとして活躍したことはほとんどなかったが。

 

「私はオーガスタ研究所の警備をしていたパイロットです。私はティターンズに編入された時期がありました。ちょうど、オーガスタ研究所がティターンズに協力して部隊を派遣した時です」

 

「私はアクト・ザクに乗っていました。ザクでもなく、ハイザックでもない、両者とは異なるモビルスーツでした。見た目はザクでも中身は全くの別物と言えますね」

 

「アクト・ザクは1年戦争の時にジオンが開発したモビルスーツです。グリプス戦役時はコックピットを360度映像を見れるモニターに交換し、ハイザックのビームライフルを使っていました」

 

「グリプス戦役では金色のモビルスーツと白いガンダムと戦いました。私が戦った相手が『赤い彗星』ということを知ったのはもっと後のことです。シャア・アズナブルと戦ってよく生き残れたなと思いましたよ。3機の仲間がエゥーゴに撃墜されましたが、私は運が良かっただけと思います」

 

「私はロザミア隊長の指揮の元で戦いました。若い上にきれいな美人さんでしたよ。当初、ロザミア隊はブラン少佐率いる部隊に合流する予定でした。しかし、移動中にエゥーゴのガルダ級輸送機を見つけたので攻撃をかけたという流れです」

 

「ロザミア隊長はギャプランに搭乗していました。隊長は機動力を生かしてガルダ級輸送機にも一撃を食らわせています。さすがに強化人間は違うなと仲間達と感心したものです。モビルスーツ戦もガンダムを相手にしながら引けを取らなかった。むしろ圧倒していました」

 

 

・オーガスタ研究所とはどのような場所でしたか?

 

「残念ながら詳細は詳しくは申し上げれません。オーガスタはニュータイプを研究する施設でした。施設には戦争で親を亡くした子供がいましたよ。行き場をなくした子供が大勢集められたと聞いています」

 

「私はオーガスタでガンダムを見たことがあります。ニュータイプ用に開発したガンダムのようですが、詳しいことは知らないです。強化人間がテスト用に使っていると上司から聞きました」

 

・強化人間について聞いてもいいですか?

 

「強化人間は戦うために作られた存在です。肉体をGに耐えられるように改造したと言われています。オーガスタ研究所ではニュータイプを人工的に作り出そうと研究が行われていました。身寄りのない子供を孤児院から引き取ったと聞いています」

 

・ニュータイプとは何ですか?

 

「一言で言うと勘の良い人です。パイロットとしても優れた能力を発揮したと言われています。シャア・アズナブルとアムロ・レイが有名ですね。ニュータイプには空間を見渡せる認識能力があり、敵の行動や位置を予測できたらしいです。軍関係者はニュータイプをエスパーと呼んでいましたね」

 

(6人目のインタビュー終わり)

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 栄光と挫折の日々(7人目)

自分はグリプス戦役を生き残ったティターンズの隊員だった。戦時中はひたすらティターンズの正義を信じて戦っていた。今日、自分は匿名での取材を条件にインタビューに応じる。

 

・ティターンズに入隊を希望した理由は?

 

「自分は、自らの意志でティターンズに入隊を希望しました。自分はティターンズの隊員が1階級上の扱いを受けることに憧れを抱いていたのです。ティターンズに入隊すれば軍人としての将来が開けると夢見ていました。入隊を認められた時は名誉と栄光を手にした気分でした」

 

「自分はティターンズの旗を信じて戦いました。自分は地球圏の平和と秩序を守ることに誇りを感じていました。ティターンズの誇りを信じていたのです。自分は間違ったことはしていないと今も自負しています」

 

 

・あなたは隊員であったことに誇りを持っていますね

 

「自分はティターンズであることに誇りと喜びを感じていました。自分達は選ばれたエリートだという自覚もありました。テスト小隊の仲間も同じ自覚を持っていると思います」

 

・ティターンズに入隊する時に条件はありましたか?

 

「アースノイドという条件がありました。ティターンズは地球生まれで地球育ち、白人であることが入隊条件でした。でも、例外はありましたよ。自分のようなスペースノイドや白人と日本人のミックスがいましたから」

 

・ティターンズでは何をしていましたか?

 

「試作モビルスーツのデータを集めていました。テストパイロットは花方の仕事だと思われていますが、時には新型モビルスーツを実戦でテストすることもありました。最新のモビルスーツにいち早く触れることができたことは良い思い出です」

 

 

・連邦軍の兵士から反感を持たれたことはありますか?

 

「ティターンズに反感を持つ連邦軍の兵士は大勢いましたよ。ティターンズはエリートという扱いを受けていましたから。エリートに対しての妬みと羨望を感じました。連邦軍よりも1階級上の扱いを受けるルールが原因だったと自分は思います」

 

・シャアのダカール演説を知っていますか?

 

「自分はダカール演説を聞いたことがあります。シャアはティターンズが邪悪な組織だと語っていましたね。自分はダカール演説をエゥーゴの情報宣伝活動と考えていました。当時の自分は何も真実を知らなかったのです」

 

「当時、ティターンズはエゥーゴを過激な行為を繰り返すテロ集団だと認識していました。自分もエゥーゴはテロ行為を繰り返す反政府運動だと思っていたぐらいです」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 栄光と挫折の日々(2)

自分はティターンズの正義を信じてコロニーレーザー戦まで戦い続けた。

 

・30バンチ事件についてご存知ですか?

 

「自分はその事件を知っています。バスク大佐の部隊が30バンチコロニーに毒ガスを使った事件ですね。反地球連邦運動の取り締まりを目的にG3ガスで住民を全滅させたという」

 

「自分は30バンチ事件の噂は聞いていました。自分は、事件の噂がジオン残党とそのシンパが流すテロリストのデマだと信じていましたし、エゥーゴはそれを利用しているだけだと思っていました」

 

「事件の真相はグリプス戦役が終わってから知りました。なぜかというと、当時は厳しい報道管制があったために事件を知ることはありませんでした。新聞やテレビといったマスコミも事件を報道する事はなかったのです」

 

「自分が事件に関与していたと知った時は罪の意識に捕らわれました。あの事件は小隊のトラウマになっています。自分達が護衛していた輸送艦の荷物が毒ガスとは思いもよりませんでした。バスク大佐が行う作戦の内容も自分達には知らされてなかったのです」

 

・あなたが遂行した作戦内容を教えて下さい?

 

「任務は輸送艦を月の周回軌道からサイド1まで無事に送り届ける事でした。小隊は、輸送艦の護衛とバスク大佐の後方支援を行いました。毒ガス作戦には直接参加していません」

 

・輸送艦の荷物については説明がなかったという事ですね?

 

「上官からも輸送艦の積み荷に関しては一切説明がありませんでした。小隊の仲間も何も知らなかったです。まさか、自分達が護衛していた輸送艦が猛毒のG-3を積んでいたなんて思いもよらなかった」

 

・グリプス戦役後にあなたは何をしていましたか?

 

「自分は、グリプス戦役後に軍事法廷で4つの罪に問われていました。勝ち目のない裁判だと思っていましたし、自分は銃殺刑になるのだろうと考えていました」

 

「自分はコロニーレーザー戦で敵前逃亡をしています。敵前逃亡は軍では死刑に値する行為です。自分は母艦の艦長と小隊長からある任務を任せられたのです。そのためには戦線から離脱する必要がありました」

 

「しかし、自分は法務官さんと小隊の仲間に助けられました。自分は法務官さんの熱意と仲間の証言によって命を救われたのです。仲間の証言がなければこの場所には居なかったでしょう。この場を借りて法務官と小隊の仲間に感謝します」

 

「今、自分は士官学校で教官をしています。自分には軍に復帰したいという気持ちがありましたから。法務官さんには軍に復隊する時に尽力して頂きました」

 

 

(7人目のインタビューを終わります)

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 組織の裏切り者(8人目)

昔、ぼくはティターンズという組織に属していた。ぼくは組織の実態を知った後にティターンズから脱走したんだ。結果的に良かったと思っている。

 

「ぼくにはティターンズに所属していた時期がありました。それは約2年と短い期間でしたがね。ぼくはティターンズから脱走した事を後悔していません。むしろ、良かったと思います。ぼくは今も連邦軍でばりばりに働いています。ティターンズに最後までいた人とは違ってね」

 

「ぼくはティターンズを脱走した後、エゥーゴに行きました。その当時は連邦軍に戻るという選択肢は無かったのです。もう後がないので当時は生きるために必死でした。がむしゃらに訓練して生き残びれるだけの技量を身に付けましたね」

 

「グリプス戦役以前のエゥーゴは貧しい組織でした。エゥーゴには何もかも不足していたのです。宇宙戦艦、モビルスーツ、パイロットなどの戦いに必要なものが何にも揃っていなかった」

 

・エゥーゴ時代に不安だったことは?

 

「ティターンズの連中から見れば、ぼくは立派な裏切り者ですね。エゥーゴ時代も信頼できる人しか過去を明かすことはなかったです。今日のインタビューも匿名を条件としたのでここまで来ました」

 

「エゥーゴ時代は月やコロニーで知った顔に出くわさないか不安でした。外出する時も拳銃も手放すことはしなかったぐらいです。ティターンズはエゥーゴを反乱分子と見ていましたから。見つかれば射殺されると考えていました」

 

・そもそも、あなたがティターンズに入隊した理由は?

 

「そうですね。ぼくはエリートになりたかったんです。みんなから尊敬を受け、羨望の眼ざしで見られたいと思っていました。英雄やヒーローに憧れていたんです。今となっては若気の至りですね。特に深い理由はないのですよ。がっかりしないで下さいね」

 

・ティターンズと言えば何を思い浮かべますか?

 

「ティターンズと言えば、ドナ・スターが有名ですね。ええ、彼は連邦軍の幹部夫妻をテロリストから救ったパイロットです。彼は命令違反を行ってまで幹部夫妻を救ったそうですね。彼は『バイアラン』という単独で飛行できるモビルスーツに乗っていたそうです」

 

「ドキュメンタリーによると、幹部夫妻は『セイバーフィッシュ』に乗ったテロリストに護衛の『TINコッド』を撃墜され、危機的な状況に陥っていました。そこに、ドナ・スターが操縦する『バイアラン』が現れたのです。ドナ・スター少佐はあっという間にテロリストを蹴散らし、夫妻の命を救いました」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第17話 空を飛ぶ円盤

ぼくにはティターンズという部隊にいた過去がある。ティターンズを脱走する時は命懸けだった。撃墜されるかもしれないという恐怖におびえていた。

 

・あなたがエゥーゴに入った理由は?

 

「30バンチ事件を偶然にも知ったからですね。ぼくは事件を記録した映像を見てしまったのです。ぼくはティターンズという組織が嫌になりました。ティターンズの正義を信じられなくなったのです」

 

「ぼくはティターンズからハイザックに乗って脱走しました。それはもう文字通りに命がけの行動でしたね。それからは迎えに来たエゥーゴの船を目指して一直線でした。途中で追撃を受けましたが、無事に逃げきりましたよ」

 

・グリプス戦役時はどこにいましたか?

 

「ぼくは地球にいました。地球でカラバの一員になりました。ぼくの心の奥には地球を守りたいという気持ちがあったのです。ティターンズで教えられた地球至上主義に捕われていたかもしれませんね」

 

「それにしても、カラバは数多くのモビルスーツを使っていました。主力はジム2とネモですが、ジムキャノン2やハイザックもニューギニア攻略戦で使われていましたね。メカニックは整備が大変だったと思いますよ」

 

「ニューギニア基地では、ハイザックとマラサイ、アッシマーと戦いました。特にあのマタ・ビリというモビルフォートレスには手を焼きましたね。カラバは『パンケーキ』と呼んでいましたが、ぼくは空飛ぶ円盤にしか見えなかったです。最後はサンバジル級『ケラウノス』が己の身を犠牲にして倒しました」

 

 

・キリマンジャロではどうでしたか?

 

「キリマンジャロでは酷い目にあいましたよ。サイコカンダムの圧倒的な火力におじけつきました。サイコガンダムは最高にやばいガンダムでしたね。2日目は、サイコガンダムが撃破されたお陰で有利な状況へと変わりましたが」

 

「そういえば、キリマンジャロではエゥーゴからZガンダムと百式が応援に来てくれていましたね。とても心強かったです。カラバもアムロ・レイ大尉が率いる部隊が奮戦していました。さすが、ホワイトベースのエースパイロットと思いましたよ。アムロ大尉は見た目がゲルググのようなディジェに乗っていましたね」

 

 

・ティターンズに言いたいことはありますか?

 

「ティターンズは、自身の行いが正義だと信じて疑わなかった。だから平気でスペースコロニーの住民を抹殺できた。理由をつけて残虐な行為を正当化していたんたと思います」

 

(8人目はこれでおしまい)

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。