恋をした少年のShiny Days (甘党ゴンザレス)
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Day1 出会い

こんにちは甘党ゴンザレスです!

今回初めて投稿した処女作なので駄文になっているかと思いますが、ゆるーく見てもらえるとありがたいです。笑

これからどんな物語が始まるのか、あまり期待せず楽しく見ていただければ幸いです!

それでは本編どうぞ!!


――――――――――――

 

俺の名前は沖田祐一

 

突然なんだが、隣で1人騒いでいる幼馴染であり親友の相田怜がいた。

 

怜「祐一聞いてくれよ!俺らがこれから通う大学にAqoursの高海千歌ちゃん、桜内梨子ちゃん、 渡辺曜ちゃんがいるんだってよ!めっちゃテンション上がるわ!!!」

 

祐一「へぇぇ、アクアか!ところでアクアってなに、新しい飲料水?」

 

俺がそう答えたら、怜が不機嫌な顔をしてこちらを見てきた。

 

怜「いやっ、お前さ!俺らが部活やってた時も散々言ってたろ!」

 

祐一「そういやそんな事も言ってた気が…でもわかんないや笑」

 

怜「いや、話聞いとけや!ぶっ飛ばすぞ!!」

 

祐一「いや、そこまで怒る!?」

 

俺らがくだらないやりとりをしていると、前から来た3人組女の子の1人とぶつかってしまいその女の子が転んでしまった。

 

??「いったーい!?」

 

??「千歌ちゃんだいじょぶ?」

 

??「怪我してない?」

 

俺らもすぐに近づき頭を下げ謝罪した。

 

祐一「すみません!自分が不注意だったばかりに…。」

 

怜「だいじょぶですか!?俺らのせいで申し訳ありま………えっ?」

 

謝罪をしていた怜がいきなり驚いて言葉に詰まった。俺はその意味がわからず言葉を詰まらせた怜に対して言った

 

祐一「お前さ、悪いのは俺らなんだから最後まで謝れよ!すみません、友人が失礼しました。」

 

祐一が謝っていると、転んでいた女の子が、

??「だいじょうぶですよ!私も前見てなかったですし」

と謝罪してきた。

 

祐一(俺らが悪いのに申し訳ないな…。よく見たらこの子めっちゃ可愛し、見たところスーツだから俺らと同じ大学生なのかなぁ?)

と祐一が思っていると怜が

怜「あの、もしかしてAqoursの高海千歌さんですか?」

と転んだ女の子にたずねた。

 

千歌「はい、そうですけど…私達のこと知ってるんですか?」

 

怜「もちろんです!大大大っファンですよ!!!」

と怜は目を輝かせながら千歌に伝えた。

 

千歌「わぁ、すっごいうれしいよ〜!ありがとう!!」

 

怜「そちらのお二人は桜内梨子さんと渡辺曜さんですよね?」

 

梨子「はっ、はい!桜内梨子です。よろしくお願いします!」

 

曜「そうであります!よーろしくー!!!」

と女の子達は自己紹介をしてくれた。

 

怜「すいません、自己紹介が遅れました。自分は相田怜って言います!横にいるこいつは俺の幼馴染の沖田祐一って言います!」

 

祐一「あっ、どうも沖田祐一と言います。先程は本当に申し訳ないです。」

と改めて謝罪した。

 

千歌「大丈夫です!そんな気にしないでください!」

 

祐一「そう言ってもらえるとありがたいです。スーツってことは入学式ですか?」

 

曜「そうだよ!私たちこれから大学の入学式なんだ!どんな人たちがいるのか楽しみ〜♪」

 

祐一「なら自分らと同じ大学ですかね!実はさっき怜から皆さんの話を聞いてたんですよ。まさかこんな形で会うなんて思ってなかったですけど…。」

 

梨子「そうだったんですね!何かの縁かもしれませんし、よかったら一緒に行きませんか?千歌ちゃんも曜ちゃんもいいかな?」

 

千歌、曜「「もちろん!」」

 

千歌「友達は多いほうがいいもんね!」

 

曜「そうそう、私もそう思う!」

 

怜「ホントですか!?是非一緒に行きましょう。祐一もいいだろ?」

 

祐一「ああ、俺もいいぞ。新しい場所だし不安も多いからね。」

そう伝え、一緒に大学に向かうことにした。

 

怜が桜内さんと渡辺さんと歩き出した後を俺と高海さんがついていく。怜は2人と楽しく談笑しながら歩いている中、俺も高海さんと話をしていた。

 

祐一「ホントにさっきはすみません。どこも怪我ありませんでした?」

 

千歌「大丈夫だよ、ホントに気にしないでよ!それに私たち同じ歳なんだから敬語は無しだよ!」

高海さんが頬を膨らませながら言ってきた。

 

祐一「わかった!じゃ、改めてよろしく!高海さん。」

千歌「うん!よろしく沖田くん!」

高海さんのくったくのない笑顔に俺の心臓の鼓動は早くなった気がした。

 

祐一「そういえば、俺Aqoursについてよく知らないんだよね。高海さん達のことももっと良く知りたいから教えてほしいな。」

 

千歌「もちろん!」

 

千歌「私達は9人組のグループで活動してたんだ!私たちは学校の廃校を救いたくて活動してきたんだよ。たくさんPR動画も作ったし地元とか学校の良いところをみんなに知って欲しくて頑張ってきたんだけど、結局廃校になっちゃったんだよね…。ラブライブって言うスクールアイドルをやってる人がみんな憧れる大会の決勝にも出場が決まってたんだけど、廃校が決まってからは私たち自身練習に身が入らなくって…。こんな気持ちでラブライブに出ていいのかなってみんなも思ってたんだ。」

高海さんの表情は優れない。しかし、

 

千歌「でも、この気持ちを確かな決心に変えてくれたのが学校のみんななんだ!学校は無くなっちゃうかもしれないけど、学校の名前を残してほしい輝いてほしいって…」

そう言った高海さんの表情は晴れやかで、優しい顔だった。

 

千歌「そのおかげで私たちの決心は固まってラブライブで優勝することができたんだ。こんな私だけど学校のみんな、家族、たくさんの人に支えられた。ホントに感謝しても感謝しきれない!私の我儘に付き合ってくれたAqoursのみんな。こんな素敵な出会いが出来た事がキセキで私の宝物…。」

思い出を振り返るように高海さんは言葉を紡ぎ出してくれた。俺は彼女の話を聞き自然と涙が零れた。

 

千歌「こんな感じ…かな、どうしたの!?」

俺が涙を流していることに驚いた高海さんは心配した顔をしながら訪ねてきた。

 

祐一「えっ、あっ、ごめん。俺感動しちゃって…。高海さん達がどんな思いで頑張ってきたか、学校が大好きで学校のみんなが大好きでたくさんの人達が支えてくれていた事、たくさん話してくれて高海さんについて良く知れた。俺、ホントに今高海さん達と出会えてよかったと思ったしそれと同時に尊敬したよ。こんな素敵な経験をした人と出会えた、それこそ高海さん達の言葉を借りるとキセキだね!」

俺は今思ったことを素直に彼女に伝えた。

 

千歌「沖田くん…。」

高海さんは嬉しそうに笑い、少し頬を赤く染めていた。

 

千歌「ありがとう!そう言ってもらえると嬉しいなぁ。今度は沖田くんのこと教えてよ!」

 

祐一「もちろん!高海さんも高校時代のことを話してくれたし、俺も高校時代のこと話そうかな?。」

 

千歌「うん、聞かせてよ!」

 

祐一「それじゃ、話そうかな。高海さんほどうまく伝わらないかも知れないけど、その時はごめんね。」

 

千歌「そんなこと気にしないよ!」

と優しい眼差しを向けてくれた。

祐一(ホントに素直で優しい子だな…)

と俺は改めて高海さんがたくさんの人に支えられ、慕われる理由に気がついた。

 

祐一「では、改めて。俺の名前は沖田祐一です。高校は今桜内さんと渡辺さんと話している相田怜と同じで、野球部に入ってたんだ!俺らは小学校から幼馴染でバッテリーを組んでてよく『沖相コンビ』なんて呼ばれて一部では有名だったんだ。」

 

千歌「へぇぇ、野球やってたんだ!私も、よくお父さんと高校野球見てたから結構好きなんだよね!」

 

祐一「おっ、そうなんだ。じゃ、ちょうど高校野球の話になるから興味は持ってもらえると思うよ!」

俺は高海さんが野球に興味があるようで安心した。高海さんの素敵な話の後にはちょっと話しづらいけどね。

 

祐一「それでは、続きを。俺らが通ってた高校は強豪校でそれこそ甲子園にも行けるほどだったんだ。その中で俺と怜はレギュラーになれて俺はピッチャー、怜はキャッチャーとして毎回試合に出てたんだよ。そこに至るまでに俺たちは努力は惜しまなかった。朝練も誰よりも早く来て、夜は誰よりも遅くまで練習してた。文字どうり野球漬けの毎日だったよ。その努力が実を結んでレギュラーになって俺もチームのエースになれたんだ。」

 

千歌「すごいね!やっぱりそこまでできたのは野球が好きって言う気持ちが強かったからだね!」

と高海さんが言ってくれた。しかし

祐一「でもね。俺、3年生の最後の大会中に肩を壊しちゃったんだ…。」

 

千歌「えっ…。」

高海さんの表情が曇る。

 

祐一「俺は体がそんなに大きくないけど150キロ以上のストレートを投げられたんだ。多分その反動に肩が耐えられなかったんだと思う…。医者にも、まだ投げ続けるんだったら日常生活で右腕を使うことができなくなるかも知れないって言われて俺怖くなったんだ…。でも、俺は諦めきれなかった。これまでの努力もあるけど、何より野球が好きだから諦めたくなかった!今まで支えてくれた両親、何より3年間苦楽を共にした仲間達との最後の大会。今やらなかったから絶対後悔する!って思ったんだよ。だから俺は最後まで投げ続けた。結果的には俺が決勝で相手チームにサヨナラホームランをくらって負けちゃって…。その時が一番泣いたかな?けどみんな俺に向かって『ありがとう!』とか『今までよく頑張ったな!』って言ってきたんだよ。俺はチームのために何もできなかった、でも最後に怜から『お前がいたからここまで来れた、ありがとう』って言われた時ホントに嬉しくて、最後まで続けてよかったって心の底から思えたし、俺もチームの為に何か出来たんだって思えて後悔なく終われたんだ…。」

 

俺は話し終えていろんな思い出が蘇ってきた。苦しい時があって、仲間と支え合い今の自分がある。少なくとも俺はそう思っているのでホントに感謝しかない。幸い肩も今では痛くは無いがこれ以上やったら本当に使い物にならなくなるので俺の野球人生は高校で終わった。その事に俺は全く後悔していない。だって最高の仲間達に出会い大切な思い出が出来たのだから…。

 

祐一「だから、俺は後悔もしてないしやり残したこともない!最高の3年間だったよ!」

と俺はニッと高海さんに笑いかけ伝えた。

 

高海さんはとても優しい表情で俺に伝えてくれた。

千歌「そうだったんだね、今まで本当におつかれさま。私も沖田くんの事ホントに尊敬しちゃったよ。多分私じゃ途中でくじけちゃったかも知れない…。でも、でも沖田くんはやり遂げた!それって本当にすごい事だし、誰にでも出来る事じゃないと思うの。だからこそ素敵な思い出だし、最高の仲間と巡り会えたんだよ。それに、きっと沖田くんの人柄にもみんな惹かれたからだと思うよ?」

 

高海さんの言葉が俺の胸に響き渡った。こんなにも響いたのは生まれて初めてかも知れない。

祐一「ありがとう。すっごい嬉しいよ」

 

この時俺は初めて自分の気持ちに気がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はこのオレンジ髪の魅力的な女性に恋してしまったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

千歌「あっ、大学みえてきたよ!楽しみだなぁ!」

高海さんが無邪気な笑顔で俺に向かって手を伸ばしてきた。

 

祐一「っ!」

 

俺は驚きながらも彼女の手を取る。高海さんの手の感触、温もりが伝わり心から安心するような感覚がした。

 

高海さんには俺のことをもっと知ってもらいたいし、俺も彼女のことをもっと知りたい。

 

ゆっくりでいい。ここから始めよう俺らの大学生活を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございます!!

処女作ということで至らない点が多々あると思います。
感想やご指摘お願い致します(>_<)。思ったこと、こうなって欲しいと思ったことも送っていただければ大切な言葉として受け止め、反映していきたいと思います!!

投稿も不定期になると思いますが、なるべく早くあげられたらと思います!!


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Day2 進展

どうも甘党ゴンザレスです!
私事ではありますが、5thライブのライブビューイングが当たり現地ではありませんがとても嬉しいです!

前置きはさておき

今回も楽しく、まったりと読んでもらえたら幸いです!

それでは本編どうぞ!!


今俺たちは入学式に参加している。もちろん高海さん、桜内さん、渡辺さんも一緒だ。

ここは大学が保有する施設で主に入学式などの催しに使われ、まさに今俺たちの入学式で使われている。まさに今の俺たちがそうだ。

 

ただ今大学の理事長先生が新入生に向けて演説をしてくれている。

 

その中で高海さんがはしゃいでいた。

 

千歌「わぁ〜、さすが大学おっきいね!」

 

曜「そうだね!さすが東京だよ!」

 

梨子「コラっ!今理事長が喋ってるでしょ!話を聞きなさい!」

このやり取りを見ていると子供を叱っている母親のように見えた。

 

怜「なんか、桜内さん母さんみたいだな!」

と俺に怜が伝えてくると、怜の後ろで桜内さんが怖い笑顔でこちらを見ている。

俺はその笑顔に、顔面蒼白になり冷や汗をかいた。母さんという面で見れば間違いなく桜内さんは100点だ。

 

異論はない!

 

面倒見はいいし大人びていて優しい、そして間違いもしっかり指摘できる。まさしく母親といっても過言ではない。だが、それをそのまま言葉にしたらどうなるかわからない。(俺らが)

 

そう感じた俺はそれは言ったらヤバイと思い、

 

祐一「いやっ!で、でも桜内さんすごい美人だしどっちかっていうと姉さんみたいだと俺は思うし…。ほ、ほら、あれだよ。桜内さんが姉さんだったら、俺みんなに自慢しちゃうなぁ!!桜内さんが幼馴染でも嬉しいな、きっと世の中の男子から妬まれるんだろうなぁ〜。あはははっ…」

と俺は何を言ってるのか全然わからなかったが全力で桜内さんを褒めちぎった。はず…自信は無いが。

 

怜「お、お前いきなりどうした!?なんか顔色悪いぞ、しかもそんなに汗もかいて体調でも悪くなったか?。」

 

祐一「い、いや。なんでも無い…ぜ?」

俺はそう答えつつ恐る恐る桜内さんの様子を見るため彼女の方を向いた。

 

梨子「っ///」

桜内さんは赤面していた。どうやら俺の言葉が効いたみたいだ。よかった〜…。

 

 

でも、さっき言った言葉は嘘じゃないからね!ホントだよ!

 

俺はホッと胸を撫で下ろした。

 

梨子「沖田くん、すごい嬉しいんだけど、その、恥ずかしいから…///もうやめてね?」

そう言った桜内さんの頬はまだ赤い。

 

祐一「わかったよ。でも嘘じゃないからね!」

俺がそう伝えると、桜内さんの隣に座っている高海さんが俺にむくれた表情をしているのが見えた。

 

祐一「どうしたの高海さん?」

 

千歌「別に!なんでもないよーだ!」

と高海さんは少々ご機嫌ナナメに俺に言ってきた。

 

祐一「??」

俺は?マークを浮かべることしかできなかったが、渡辺さんはその意味に気付いたらしく高海さんに小声で話しかけていた。

渡辺さんが高海さんに伝え終わると、高海さんが顔を真っ赤にしながら何か顔の前でブンブンと手を振っていたのが見えた。

 

祐一「高海さん顔赤いけど大丈夫?もしかして気分でも悪くなった?」

 

千歌「だ、だいじょぶ、だいじょぶ!気にしないで!」

 

と何か焦っているような風に言われたので気にはなったが、本人が大丈夫と言っているしあまりしつこくすると相手に迷惑だろうと思い俺は

祐一「そっか、でもホントに気分悪くなったら言ってね?」

と伝えた。

 

千歌「うん、ありがと///」

俺は高海さんに笑いかけ前を向いた。

 

その後式は滞りなく続き終了した。

 

――――――――――――――――――――

 

式が終わり俺と怜は帰宅するだけだった。ちょうどお昼過ぎということもあり昼ご飯を一緒に食べないかと高海さん達からお誘いがあったので2つ返事で了承した。

 

某イタリアンレストラン、サイ○リアに入り今メニューを眺めている。

 

そこで渡辺さんがみんなに

曜「そういえば私たちまだ連絡先交換してないし、連絡先交換しようよ!」

と言ってきた。

 

怜「もちろん、いいよ!Aqoursの連絡先知れるなんて夢みたいだ。」

と怜は感激していた。

 

曜「沖田くんもいい?」

 

祐一「もちろんだよ。俺もこれからの長い大学生活、たくさん友達作りたいからね!」

俺ももちろん賛成だ。友達は多いに越したことはない。

 

曜「よーし!決まりね!みんなスマホ出して。」

渡辺さんの合図でみんなスマホを取り出し緑色の連絡アプリのフルフル機能を使い連絡先を交換した。

 

怜「これが憧れのAqoursの連絡先…。うぉぉぉぉおおお感激だ!!!」

怜は叫んでいた。よほど嬉しかったんだろう、だがお店の中ということもあるので怜の声に反応して振り向く人たちがいた。

 

祐一「バカ!嬉しいのは分かるけど落ち着け。皆さんお騒がせしてすみませんでした。」

と俺は立ち上がり謝罪した。周りの人も笑いながら大丈夫だよ、と言ってくれて俺はひと安心した。

 

怜「祐一、すまん…。興奮しすぎた。」

 

祐一「いや、俺はいいけど周りも考えろよ?」

 

怜「ああ…。高海さん、桜内さん、渡辺さんも申し訳ない。みっともないところを見せちゃって」

 

千歌「だいじょぶ、気にしないで!私も結構やっちゃうから…」

 

曜「あはは、相田くん面白いね!」

 

梨子「うふふ、ホントにファンなんだね。でも、あんまり騒いじゃダメよ?」

と三者三様の反応をしてくれた。

 

怜「面目無い、これからは気をつけます…」

怜も反省をしているのでもういいだろう。

 

祐一「じゃあ、みんな注文するメニュー決めよっか!」

 

全員「はーい!」

 

俺たちはそれぞれ注文をして料理が届いた。

俺たちは食事をしながら色々喋っていると怜が疑問に思っていることを口にした。

 

怜「そういえば、Aqoursの曲の歌詞って誰が考えてたの?気になってたんだよね。聞いててすごい心地いいし歌詞から想いが伝わってくるっていうか、うまく言えないんだけど…」

と怜が聞いた。

 

俺はAqoursの曲を聞いたことがないのでよくわからないが、今日高海さん達との出会いでAqoursに興味を持って聴いてみたいと思っている。

 

この疑問に高海さんが答えた。

 

千歌「作詞は私が一応してて、作曲は梨子ちゃんがやってくれてたんだ!でも私たちが作った歌でそう思ってくれてたなんてなんか照れるけど、嬉しいなぁ…」

高海さんの言葉を聞き、俺は既存の曲を歌うのではなく自分たちで1から創り上げる事を知り、驚くと同時に感心した。

 

怜「へぇ、高海さんが作詞で、桜内さんが作曲か。Aqoursの曲を作ってた人たちが目の前にいるなんて…。すげぇな!」

 

梨子「でも、千歌ちゃん全然歌詞書いてくれないから私作曲するの凄い困ったんだよ。」

と桜内さんがからかうように言った。

 

千歌「うわぁ、それ言わないでよぉ…!」

 

曜「あはは、確かに千歌ちゃんいつも梨子ちゃんに催促されてたもんね!」

渡辺さんからの追撃に高海さんは撃沈。

 

千歌「もう!曜ちゃんまで…。うぅ…。」

高海さんはその場に伏せてしまった。

 

怜「はは!でも高海さんの考えた歌詞すごいよ!なんていうか力をもらえるっていうのかな?なんか元気も貰えるし、勇気をいつも貰ってたのを覚えてるよ!」

 

怜「特に『Water Blue New World 』はホントに感動したよ!あの歌に何回も勇気をもらったし、全力で野球に打ち込めた。辛いことがあってもあの曲を聴くと不思議と頑張れたんだ…。」

怜の言葉に伏せていた高海さんが顔を上げた。

 

千歌「ありがとう。私たちの想いが届いて嬉しい!」

と笑顔で答えた。

 

怜「ところで、話変わるけどみんな授業なに履修するか決めた?」

怜の言葉でみんなハッとなった。

 

怜以外「……決めてない」

口を揃えて怜以外のみんなが答えた。

 

怜「ならせっかくだし、みんなで同じの取ろうよ!そうすれば何かあった時も対処できるし安心だろ?」

と怜が提案した。

 

千歌「それいい!!」

 

曜「うん!私もそうしたいな!」

 

梨子「私もそれでいいかな?みんなで授業取れば安心だしわからないことも聞けるからね!」

 

祐一「俺も賛成!」

 

怜「よし!じゃあ授業決めちゃおうか!」

 

こうして俺たちは履修する授業を決めるため俺たちはまた話し合いを始めた。そして授業決めが終わる頃には空が赤みを帯びてきて綺麗な夕焼け空が広がっていた。

 

梨子「ふぅー、だいたい決まったしそろそろ帰りましょうか。」

 

祐一「そうだね、あんまり遅くなるわけにもいかないし。ところでみんな一人暮らし?」

 

千歌「うん!実家が静岡だから流石に通うのは厳しいからね。」

 

曜「私たちみんな同じアパートなんだよ!」

 

梨子「そうなの!だから3人一緒にいつも登校できるし、帰ったりもできるのよ。それにこの近くだしすぐ帰れるよ!」

その言葉を聞き俺は安心した。今が夕方の5時過ぎだからこれから帰宅する人たちで多くなってくる。高海さん達は贔屓目が無くてもかわいい。それ故ナンパなどに会う確率もかなり高いと思うので心配だった。しかし聞くところによると一人暮らしのアパートは近くこの場所から徒歩5分くらいのところらしい。

 

 

祐一「そっか、それなら安心だね!俺らもこの近くだからなんかあったら連絡してよ!」

俺自身何かあっても心配なので、俺らを頼りにしてほしいと彼女たちに伝えた。

 

怜「そうそう!俺ら腕力とかだけは自信あるから頼りにしてよ!」

 

千歌「ありがと!頼りにしてるね!」

 

曜「頼りになるボディーガードがいてよかったよ!ありがとう!」

 

梨子「ほんとにそうだね。頼りにしてるよ!」

 

そんなやりとりをしながら俺たちは会計を済まし、店を出た。

 

祐一「今日はありがとね!高海さんたちに出会えてよかったよ。これからもよろしくね!」

 

怜「ホント、ホント!マジでよかったよ!これから長い付き合いになると思うし改めてよろしく!」

店の外で俺らは高海さんたちに感謝の言葉を伝え、改めてよろしくと伝えた。

 

千歌「こっちこそ、今日はありがと!私たちも沖田くんたちと出会えてよかったよ!」

 

曜「そうそう、千歌ちゃんと沖田くんがぶつからなかったらもしかしたら私たち出会わなかったのかもしれないからね!」

 

梨子「そうね。今日の出会いに感謝しなきゃね!」

高海さんたちにもそう言ってもらえて嬉しかった。そして高海さんがある提案をしてきた。

 

千歌「そうだ!もっと仲良くなるためにこれから名前呼びしようよ!」

と高海さんは言ってきた。

 

梨子「そうね、私もいいと思う!」

 

曜「ヨーソロー!私も賛成!」

俺らは彼女たちのフレンドリーさに少々驚いたが、彼女たちがいいのなら俺らは是非もない。

 

祐一「高海さんたちがいいなら俺らも賛成だよ!なっ、怜?」

 

怜「ああ!願っても無いことだぜ!」

と俺らも賛同した。

 

千歌「じゃあ、改めてよろしく!祐一くん、怜くん!」

俺は自分の名前を呼ばれた時、頬が熱くなるのを感じた。恋をした人に名前を呼ばれるのがこんなにも心地がいいのかと心の中で思いながら、俺も彼女たちの名前を呼んだ。

 

祐一「こちらこそよろしく!千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃん!」

この名前呼びでさらに距離が縮んだ気がした。これからも彼女たちと楽しい大学生活を送りたい。そう思う気持ちが強くなるのを感じた。

 

 

そして俺たちは別れを告げそれぞれの帰路につくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!

不定期投稿で申し訳ありませんm(_ _)m

これからも不定期になると思いますが、読んでいただけたら幸いです!

これからもよろしくお願いします!!



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Day3 祐一Aqoursを知る


どうも、甘党ゴンザレスです!
なるはやで書けたので投稿できました!それにしてもライブ楽しみです!

駄文だとは思いますが、まったり楽しく読んでいただけますように。

それでは本編どうぞ!!


千歌ちゃん達と別れ俺達は今一人暮らしの自宅に着き、俺は晩御飯を作っている。隣には怜が住んでいてこれから一緒に晩御飯にする予定だ。今日のメニューはチャーハンと野菜炒め。初日なので無難な料理をチョイスした。

 

俺がちょうど料理が終わりテーブルに料理を並べていると怜が入ってきた。

 

怜「おっ、ジャストタイミングじゃん!」

 

祐一「まったくだわ、人がせっかく料理作ってやってるのに手伝いにも来ないなんてお前ホントいい性格してるよな。」

 

怜「まあまあ、洗い物とかはやってやるから!」

 

祐一「当たり前だわ!ついでにデザートでも買って来いや!」

 

怜「いやいや、デザートはじゃんけんな!」

 

祐一「まぁ、デザートはじゃんけんで勘弁してやるよ。でも洗い物は頼むわ!めんどくせぇ」

 

怜「おけまる。任せとけ!」

怜は了承して椅子に腰かけ俺を待っている。

 

怜「まっ、なにわともあれ今日はおつかれ。」

 

祐一「ああ、おつかれさん。じゃ食うか!」

 

俺も席に着き両手を合わせる。

 

祐一、怜「「いただきます!」」

 

俺らはチャーハンと野菜炒めを頬張りながら今日あったことを話していた。そこで俺は怜にAqoursをどこで知ったのか聞いた。

 

祐一「そういえばお前ってどこでAqoursの事知ったの?」

 

怜「ああ、それな。まあ、たまたまなんだけど静岡の花火大会に親戚みんなで行ったんだけどそこで初めてAqoursを見たんだ。確か高2の夏くらいかな?ちょうど部活が休みだった時に見に行ってスゲー感動したんだよな。そこからファンになった。」

と怜は答えた。

 

祐一「なるほどな。確かに夏過ぎたあたりからだもんな!怜が俺にAqoursのこと話すようになったのも。」

 

怜「なんだ。覚えてるじゃん。」

 

祐一「いや、今になってそんな感じだったなって思っただけよ。」

俺の言葉に少々不満があるような顔をする怜であった。

 

食事も終わり、怜が洗い物を済ませゆっくりしていると怜が俺の前にスマホを投げてきた。

そこには有名な動画サイトが開かれ、なにやらライブのようなものが映っていた。

 

祐一「これなんだよ?」

 

怜「千歌ちゃん達がラブライブの決勝で披露した歌だよ。曲名は『Water Blue New World』俺がAqoursの曲で一番好きな曲だ。」

 

祐一「サイ◯でお前が言ってたやつか。」

 

怜「ああ。見てみろよ。」

 

俺は怜のスマホでライブを見ることにしたが、心配することがあった。

正直な話俺はライブなどに行ったことがないのでよくわからない。アイドルも怜は好きだが俺はそうでもない。もしかしたら興味を失ってしまうかもしれない。俺はそれが怖かった。せっかく千歌ちゃん達と仲良くなれたのに千歌ちゃん達がやってきたことを否定するような感情が生まれてしまうかもしれない。

 

怖い…

 

その感情が俺を支配する。

 

だがここで動画を見なくては湧くはずだった感情も湧かないと思い動画を見ることを決意した。

 

動画を観初めて最初に思ったことは人の多さだ。光る棒がものすごい数あるのが見て取れる。それだけ人気なんだと感じた。

 

そしてAqoursの歌が始まった。静かな立ち上がりだが確かな力強さと決意のようなものを感じた。画面が切り替わるとそこには今日出会った彼女達が映っていた。思わず俺は見惚れてしまう。そして歌を聴いていてサビに入る直前のフレーズに俺は共感するものを感じた。『最高のときめきを胸に焼き付けたいから。』

このフレーズに俺は自分の高校生活を重ねた。本当にその通りだ。彼女達の想いが伝わった時サビに突入した。動画の中の彼女達は眩しいぐらいにに輝いていて俺は夢中で動画を見て呟いた。

祐一「すげぇ…キラキラしてる。これが千歌ちゃん達が見つけた輝き…」

この呟きの後のことは正直覚えていない。それほどまでに彼女達に魅せられ夢中になっていたのだから。

 

動画を観終わり、怜にスマホを返した。

 

怜「どうだった?」

 

俺はありのままの感想を怜に伝えた。

 

祐一「正直驚いた。ここまで引き込まれるとは思わなかったし、俺自身アイドルとかはよくわからない。だけどこれだけは言える、俺もAqoursの輝きに魅せられてファンになった。怜の言葉を借りると心地が良くて、元気をもらえる…。ホントにそんな感じがして歌を聴いてて心が暖かくなるような気がしたんだ。」

俺の感想に怜も共感していた。

 

怜「そうだよな…。ホントにその通りだ。辛い時、悲しい時、嬉しい時、楽しい時Aqoursの歌を聴くと心が満たされるんだよ。だから俺はAqoursのことを好きになった。祐一もそうだろ?」

 

祐一「ああ…。そうだな!俺もすっかり千歌ちゃん達に魅了されちまった。」

俺も怜の意見に納得した。

 

怜「ところで、お前推しは誰なんだ?」

と怜が聞いてきた。

 

祐一「推しってなんだよ?」

俺は何のことか分からず怜に聞いた。怜はすぐに俺の疑問に答えた。

 

怜「推しっていうのはな。そのグループの中で特に力を入れて応援したい人のことで、◯◯推しみたいな感じで表現するんだよ!ちなみに俺は梨子ちゃん推しだ!!」

なるほどと俺は納得した。

 

祐一「うーん、誰だろうな?」

俺はとぼけているが、とっくに答えは出でいる。

 

 

千歌ちゃんだ。

 

 

今日出会ったからという理由だけではない。実際に話したり、人となりを知り安直だが俺は彼女に恋をした。さっきのライブを観ていても俺は千歌ちゃんばかり目で追っていた。梨子ちゃんや曜ちゃん、他の女の子も魅力的だがやはり俺は千歌ちゃんだった。千歌ちゃんの人格、ステージの上での魅力。こんなに人を惹きつける人に俺は出会ったことがない。それ故俺は彼女のことが好きになったんだろう。

 

怜「まぁ、まだAqoursについてわかんないことも多いだろうからな。これから見つけていけばいいと思うぞ!」

 

祐一「そうだな!なぁ、もっとAqoursのライブ見てみたいから見せてくれよ!」

俺ももっとAqoursについて知りたくなったので怜に伝えた。

 

怜「おう、もちろんだ!よーーし、今日はオールで見るぞ!覚悟はいいか。」

 

祐一「もちろん!望むところだぜ!」

 

こうして俺達の第1回オールAqoursライブ大会が開催された。俺らは完全にデザートを買いに行くのを忘れ夢中でライブを観ていた。翌日寝不足で終始目が霞んでいたのは言うまでもない…

 

――――――――――――

 

翌日

 

祐一「やべー、すげーよAqours!!もう完全にAqoursのトリコリコだ!」

俺達は結局オールでAqoursのライブを見ていた。そこで俺はAZALEAのユニット曲であるトリコリコPLEASEのトリコリコという言葉を乱用するようになっていた。

 

怜「なぁ!すげーだろ!やっぱりAqoursは最高だぜ!」

俺らはオールをしていて完全にハイテンションになっていた。俺らは熱く抱擁をかましている。今の気持ちを表現するにはこれしかない!そんな想いで抱擁をかましていると俺は時計が目に入った。

 

祐一「あれ、怜授業って何時からだっけ?」

 

怜「確か9時開始だったと思うぜ。なんで?」

 

祐一「いや、あの時計壊れてないよな…?」

 

怜「えっ?」

俺は時計を指差した。怜も気づいたようだ。そう授業開始は9時、そして今の時間は8時50分。

 

かなりやばい…。

 

怜「マジか!やべーよ。授業初日から遅刻とかありえんぞ!」

と焦りを見せる。

 

祐一「大丈夫だ、落ち着け。走ればまだ間に合う!!」

俺は冷静になり学校への道を考え、予想通りなら走れば3分で大学に着く。

 

怜「よし!じゃ、行くか!」

 

祐一「おう!元野球部ナメんな!!!」

俺らが家を出たのは53分、つまり・・・間に合う!!!!

 

祐一、怜「「うおぉぉぉぉおおおお!!!!」」

俺らは全力で駆け出した。

 

3分後

 

祐一「ふぅぅ、何とか間に合った…」

 

怜「危なかったぜ。危うく遅刻するところだった…」

俺らは満身創痍だった。そんな俺たちの元に彼女達はやってきた。

 

千歌「おっはよ〜!祐一くん、怜くん!」

 

曜「おはヨーソロー!!」

 

梨子「おはよう!どうしたの、そんなに息切らして?」

千歌ちゃん達があいさつをしてきたので、俺らも息を整えながら挨拶を返した。

 

怜「おはよう!梨子ちゃん、千歌ちゃん、曜ちゃん!」

 

祐一「おはよう!実は昨日の夜、夜通しAqoursのライブ映像見てたらこんな時間に…。あはは…」

 

曜「そうだったんだ、嬉しいな!どうだった?」

 

祐一「もう、すっかりAqoursのファンだよ!衣装も可愛いしみんなすごい魅力的だった!衣装は曜ちゃんが作ってたんだっけ?怜から聞いたんだけど凄いよ!今までAqoursのこと知らなかった自分を殴りたくなったね。特に千歌ちゃん達が歌ってた『Marine Border Parasol』を聴いた時、千歌ちゃん達との出会いに感謝したよ。名前とか最初の始まりは夏っぽい感じがしてノリノリな曲なのかな?って思ってたら、実は切ない曲だったことに気づいてそのギャップに心掴まれたよ!2番のサビの『いまの僕らでよかった他の選択肢だったらここで一緒に笑いあえなかったかも』で本当にその通りだと思ったよ。俺らに素敵な出会いをありがとう。」

俺は素直な感想を伝えた。

 

千歌「祐一くん…。ありがと、私も嬉しい//」

 

曜「いや〜、照れるでありますな///」

 

梨子「もう褒めすぎよ//でもありがと!」

みんな顔を赤くしている。俺も自分がどれだけ恥ずかしい事を言ったのか理解して顔が熱くなる。

 

祐一「っ//さあ、授業も始まるしそろそろ教室入ろっか!」

恥ずかしさを紛らわすため俺がみんなにそう伝えた。

 

全員「「「「うん!(おう!)」」」」

 

教室に入るとたくさんの生徒が席についている。大学の授業を受けるのは初めてなのでみんな驚いている。

 

梨子「たくさんいるわね、一緒に座れなさそう…どうしましょ?」

 

怜「おっ、あそこ1つ席空いてる!2人席なら空いてるから俺が1人席座るからみんな2人席行きなよ!」

と怜が言った。

 

千歌「えぇ〜、でも悪いよ。」

 

怜「いいの!気にしないで。さぁ行った行った。」

怜が俺らを促した。2人席では梨子ちゃん、曜ちゃんペア。俺、千歌ちゃんペアに別れた。

 

祐一「千歌ちゃん、ホントに俺とで良かったの?」

 

千歌「うん!実は祐一くんにお願いしたいことがあったから、祐一くんの隣が良かったんだ//」

と俺に言ってきた。

 

祐一「俺にお願い??俺ができる範囲だったらきくよ?」

俺も千歌ちゃんのお願いなら出来るだけ聞いてあげたい。

 

千歌「あのね…」

千歌ちゃんが言った言葉に俺は耳を疑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「あのね…。付き合って欲しいの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・はい?

 

 

俺は全ての機能が停止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!!

お気に入りしていただいた、イマジン様、緋炉様、クールサード様、
秋水線降細様、DAIKIN様、ユーた様、ムギワラ様ありがとうございます!

感想なども引き続き募集しておりますのでよろしくお願いします!


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Day4 誤解


どうも甘党ゴンザレスです!


今回もなるべく早く投稿することができました!

気軽に読んでもらえたら嬉しいです!

では、本編どうぞ!!


俺は今千歌ちゃんの言葉に頭の思考が完全に停止していた。放心状態の中教授が入って来たので、一旦この話を保留することにした。

 

祐一「と、とりあえずこの話は全部の授業終わってからにしようか!」

 

千歌「うん!じゃあ今日の授業全部終わったらカフェでも入って話そ!もちろん2人でだよ?」

千歌ちゃんは笑顔で俺にそう告げた。

 

祐一「わかったよ!」

と軽く返事をした。

 

やっぱり千歌ちゃんかわいいなぁと思いながら、教授が来たので授業に集中しようと思い筆記用具とノートを出した。

 

しかしさっき千歌ちゃんに言われた言葉を俺はふと思い出しとんでもないことに気がついた。

 

あれ?俺今何気に千歌ちゃんと2人きりでカフェ行く話になってない?ヤバイヤバイめっちゃ緊張してきた!

 

俺は心の中でかなり動揺してた。心なしか顔も火照っている気がする。

 

この時間の授業は緊張からか、全く内容が頭に入ってこない。それどころか昨日のオールのせいで意識が朦朧とする。

 

 

 

そして俺は意識を手放した…。

 

―――――――――――――――

 

(…くん…きて!)

 

ん?なんだろう?どこからか声が聞こえる。すごい心地がいいなぁ。俺はこの声の人を知っている。そう、それは…。

 

千歌「祐一くん、起きて!!」

千歌ちゃんの声で俺は覚醒した。

 

祐一「ああ、千歌ちゃんおはよう。」

俺は開口一番そう伝えた。

 

千歌「おはよう!・・・じゃなくて!もう授業終わったよ!」

と千歌ちゃんは頬を膨らませながら俺に言ってきた。

 

祐一「ごめん、ごめん。昨日の影響で眠くなっちゃってさ。そう言えばどんな授業内容だった?」

 

千歌「今日はガイダンスみたいな感じでこれからの授業内容の説明だったからまだ授業はやってないよ!来週から授業に入るみたい!」

と千歌ちゃんから聞き俺は安心した。

 

授業も終わり、みんな合流して次の教室に移動した。この後の授業も1限の授業と同じでガイダンスで終わった。

 

そして全ての授業が終了し、千歌ちゃんの『付き合って欲しい』の真相を聞くために俺と千歌ちゃんはカフェへと向かった。

 

カフェに着き俺らはそれぞれ飲み物を注文し、受け取った後席に着いた。千歌ちゃんと2人きりになって緊張しているせいか手汗がすごい。だが、緊張しているだけではここにきた意味がないので俺から千歌ちゃんに聞いた。

 

祐一「そう言えば今朝の『付き合って欲しい』ってどういう意味?」

 

千歌「実はね。再来週曜ちゃんの誕生日でプレゼントあげたいなって思ってるんだけど、今週の土曜日にプレゼント選びに行こうと思ってるんだよ。だからその買い物に付き合って欲しいなって…。ダメ…かな?」

と千歌ちゃんは言いながら潤んだ瞳で俺を見てきた。

 

祐一「そ、そういうことね!アハハ…。俺でよければ全然いいよ!」

俺はそう答えた。

 

千歌「わーい!ありがと、祐一くん!」

千歌ちゃんは嬉しそうに喜んでいて、俺も実際千歌ちゃんが喜んでくれて嬉しかった。

 

 

 

だが、それと同時に俺は落ち込んだ。

 

 

 

今朝千歌ちゃんに『付き合って欲しい』と言われた俺は少なからず期待感を覚えていた。実際そんなことはないだろうと思っていても、改めて自分が求めていた答えと違うと落ち込みもする。お互いまだ知らないこともたくさんあるし出会ってからの日も浅すぎる。そんなことを心の中で思っていると、俺は顔に出ていたのだろうか?千歌ちゃんが申し訳なさそうに俺に伝えてきた。

 

千歌「祐一くん、やっぱり・・・私とじゃ、いや…だった?」

千歌ちゃんが悲しそうに俺に向けて伝えてきた。

 

祐一「嫌じゃないよ!!どっ、どうして?」

俺は千歌ちゃんの言葉に強く否定をして、なぜそう思ったのか問いかけた。

 

千歌「最初は一緒に行ってくれるって言われて嬉しかったの。でも、そう言ってくれた後にね。祐一くん落ち込んでるようにみえたの…。だから私なんかと行くよりも梨子ちゃんとか曜ちゃんみたいな、かわいい子と行きたかったのかなって思っちゃって…。私なんかかわいくないし、梨子ちゃんみたいに美人でもない、曜ちゃんみたいにみんなから好かれる人気者でもない。だから私、迷惑…なのかなって…。」

そう言った千歌ちゃんは今にも涙が零れ落ちそうなほど瞳に涙を溜めていた。

 

そして一筋の涙が彼女の瞳から零れ落ちた。

 

千歌「ご、ごめんね!いきなりこんなこと言って。土曜日も私1人で行くからだいじょぶ!さっきの事は忘れて!アハハ…。」

千歌ちゃんは涙を手で拭いながら俺に伝えてきた。

 

 

俺はその言葉を聞いて驚くと共に自分の事を死ぬほど恨んだ。

こんなに自分自身を恨んだ事はない。

 

俺の雰囲気から彼女は自分に問題があると思って俺の為に言いたくもない事を言った。俺が自分勝手に落ち込んでいたというのに…。

 

俺の身勝手が彼女を傷つけた。

 

俺は自分が許せない。

 

千歌ちゃんは今も無理に笑っている。俺はそれがたまらなく辛い。俺が全て悪いのになんで千歌ちゃんが傷つかなきゃいけないんだ。

 

祐一「そんなことない!!」

 

千歌「えっ…?」

千歌ちゃんは驚いてキョトンとしているが構わず続けた。

 

祐一「迷惑なんかじゃない!!俺だって千歌ちゃんに買い物に誘われた時すっごい嬉しかった。最近出会ったばかりで付き合いは浅いけど、千歌ちゃんと一緒にいると楽しいんだ…。でも俺の態度のせいで千歌ちゃんを傷つけた。ホントに・・・ごめん…。」

俺は、千歌ちゃんに謝りながら想いをぶつけた。

 

祐一「それに千歌ちゃんはかわいいよ!!確かに梨子ちゃんも曜ちゃんも魅力的だよ。でもね、千歌ちゃんもすごい魅力があるんだよ?俺はその魅力に気づくことができた。だからこそもっと仲良くなりたいし、もっと遊びにも行きたい、千歌ちゃんのことをもっと知りたいそう思えたんだ…。俺にそう思わせてくれたのは他でもない、千歌ちゃんなんだよ?俺なんかが言っていいのかわからないけど千歌ちゃんには千歌ちゃんだけ魅力がある、2人とは違った千歌ちゃんだけの魅力。だから私なんかって言わないで…。」

俺は夢中になって千歌ちゃんに俺の想いを伝えていた。

 

千歌「…ホント?」

千歌ちゃんは不安そうに俺に言ってきた。

 

祐一「もちろん!全部ホントのことだよ。」

 

祐一「だから俺から改めてお願いするよ、千歌ちゃん。曜ちゃんのプレゼント選び俺も手伝っていいですか?」

俺は千歌ちゃんの目を真っ直ぐに見ながら、笑顔でそう言った。

 

千歌「ありがとう。こちらこそよろしく!」

千歌ちゃんは涙を浮かべながらも、笑顔で俺に伝えてくれた。

 

やっぱり千歌ちゃんは笑顔も魅力的だ。千歌ちゃんの笑顔を見て俺は胸の鼓動が早くなるのを感じた。

 

ほら、君の魅力がまた1つ増えた。

 

些細なことで、誰にでも出来ることかもしれない。でも俺は千歌ちゃんの笑顔だからこそ魅力的にみえる。

 

だからこそ彼女に恋をしたのだろう…。

 

俺はこの気持ちを胸にしまい込み、土曜日の予定を決める為千歌ちゃんに言った。

 

祐一「よし!じゃあ、土曜日の予定決めようか!」

 

千歌「うん!!」

 

こうして俺たちは土曜日の予定を決めることにした。

 

予定をある程度決めた時に千歌ちゃんが俺に尋ねてきた。

 

千歌「祐一くん。さっき言ってた、私が・・その・・かわいいってホント?///」

と千歌ちゃんが頬を赤く染めながら俺に尋ねてきた。

 

俺は一瞬戸惑った。さっきはかなり興奮していたせいか、すごいことを口にしていた気がする…。だが、本心なので俺は問題なく答えた。

 

祐一「もちろん!かわいいよ!」

俺はストレートに言った。

 

千歌「っ///」

千歌ちゃんは‘‘ぼっ’’と効果音が聞こえそうなほど、顔を赤く染め上げた。

 

千歌「そ、そうなんだ。あ、ありがと…///」

照れ隠しのつもりか、体をクネらせながら俺に伝えてきた。その仕草もたまらなく愛おしい。

 

そんなやりとりや楽しく談笑していると、俺はふと時計を確認する。もう午後の6時過ぎだ。俺らがカフェに入ったのが3時位だから約3時間いたわけだ。長居したわけだが、あまり遅くなると千歌ちゃんが心配なのでこの辺でお開きにしようと思い俺は千歌ちゃんに伝えた。

 

祐一「大体予定は立ったからそろそろ帰ろっか!」

 

千歌「うん、そうだね!えっ、もうこんな時間なんだ…。」

と千歌ちゃんが時計を確認してそう言った。

 

祐一「どうしたの、千歌ちゃん?」

俺は千歌ちゃんがなにやら時計を見ながらそう言っていたので尋ねた。

 

千歌「ううん、なんでも無いよ!……ょ。」

千歌ちゃんが最後のほうに何やら頬を赤くしながら小声で呟いているが、先程からカフェが混んできたこともあり呟きは聞こえなかった。

 

祐一「??そっか、ならいいんだけど。」

俺は何も聞こえなかったので何も言わずに千歌ちゃんと一緒にカフェを出た。

 

外に出ると辺りが少し暗くなっていたので、俺は千歌ちゃんをアパートの近くまで送ることにした。

 

帰り道で俺たちは今日のことを振り返っていた。

 

千歌「今日はホントにありがとね。私のお願い聞いてもらった上に家の近くまで送ってもらっちゃってごめんね…。」

 

祐一「いいの、いいの!気にしないで!!」

千歌ちゃんは謝ってきたけど俺は全く気にしていない。途中で色々あったけど千歌ちゃんとは距離が縮まった気がする。

 

俺としては今日の2人での時間はとても貴重な時間だった。改めて千歌ちゃんの魅力にも気づくことができたし、何より高海千歌という女の子について知れた。千歌ちゃんはどうやら自分に自信を持てていないらしい。私は普通だ、どうせ自分なんかみたいな感じで自分を卑下することが多い。だから俺は千歌ちゃんは千歌ちゃんにしかない魅力があるよっていうのを知って欲しくなり熱弁を垂れた。俺としては少々恥ずかしかったが、結果的に俺の想いが伝わった為俺は満足だ。

 

そうこうしているうちにアパートの近くまで来ていた。

 

千歌「もうすぐだから、ここで大丈夫だよ!今日はありがとね!祐一くんとたくさん話せて楽しかったよ!今週の土曜日、楽しみにしてるね!」

 

祐一「そっか!じゃここで。俺も今日は楽しかったよ。ありがとう!俺も楽しみにしてるよ!曜ちゃんを驚かせてあげようね!」

俺もそう伝え別れることにした。

 

祐一「じゃ、また明日学校で!バイバイ!」

 

千歌「うん!!バイバーイ!」

千歌ちゃんは大きく手を振ってくれた。俺ももちろん振り返す。

 

そして俺は帰り道今晩のメニューを考えながら帰路につく。どうせ帰ったら怜が腹を空かせて待っているのだろう。

 

今日は気分がいい。今晩は肉でも買ってあいつと一緒に食べるか。

 

 

 

 

そう思いスーパーに歩を進めながら俺は家に帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございます!

感想などありましたらよろしくお願いします!

自分なりに思考錯誤しているのですが、やはり物語を考えるのは大変ですね。
うまくかけているかすごい不安ですが、暖かく見守っていただければ幸いです。


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Day5 お出かけ前の…


どうも甘党ゴンザレスです!

前回の投稿から日にちが空いてしまいましたが、1週間以内に投稿はできたので良かったです。

今回もまったり読んでいただけたら嬉しいです!!

それでは、本編どうぞ!!!


俺は帰宅した後、怜と飯を食い横になっている。怜も今俺の部屋にいる。今日は焼肉パーティーをしていたので2人ともご機嫌だ。

 

しばらくして怜は眠くなったらしく早々に俺の家から出て行き、自宅へ帰っていった。かくいう俺も眠くなってきたので洗い物を済まそうと重い腰を上げ洗い物をする。

 

祐一「♪♪♪」

洗い物をしながら、俺は鼻歌を口ずさんでいた。俺のお気に入りは『Marine Border Parasol

』だ。千歌ちゃんが歌っているからっていうのもあるが、シンプルに歌詞が好きだ。

 

俺は鼻歌を口ずさみながら、軽快に洗い物を進めていった。洗い物、洗濯を終わらせ今日の出来事を改めて振り返りながら入浴を済ませた。

 

明日も大学があるので早めに寝ることにする。

 

翌日の大学は千歌ちゃんとの買い物をモチベーションにして乗り越えた。我ながら現金なやつである。このモチベーションが続き今週の大学は難なく乗り越えられた。

 

そして明日は千歌ちゃんと買い物、俺は入念に準備を済ませ目覚ましをセットし眠りについた。

 

―――――――――――――――

 

ピピピッ、ピピピッ、ピピ、カチッ。

 

ガバッ!!

 

俺は音速で起床して朝食を食べ、支度を進めた。はじめに風呂に入り、入念に体を洗う。千歌ちゃんとのお出かけなので俺は気合を入れて準備をしていた。

 

俺は服のセンスに自信がないので意外とオシャレである怜に頼み前日にコーディネートしてもらっていた。怜に選んでもらった服に身を包み俺はおかしなところがないか鏡で確認しつつ、歯を磨いていた。

 

歯を磨き終わり、イスに腰かけながらテレビをつけた。時刻は午前7時30分、千歌ちゃんとの待ち合わせは午前11時。後3時間半も時間がある。

 

祐一「やべ、早く準備し過ぎた。」

俺はまだ髪をセットしていないが、時間を確認してそう呟いた。

 

よほど楽しみにしていたせいか、少し早めに準備していたつもりだったのだが、かなり早く準備が終わってしまった。

 

それにしても早すぎる。

 

祐一「時間もあるし、Aqoursの動画でも見てよっかな?」

俺はスマホを取り出し、動画サイトで検索をはじめた。

 

 

 

動画を視聴しはじめてかなり時間が経ったので確認してみると、時計の針は午前10時を指していた。

 

祐一「ぼちぼち、髪をセットして行きますか。」

俺は洗面所へ行きワックスをつけて髪をセットしている。

 

祐一「こんな感じかな!」

鏡で自分の髪型を確認した。

 

我ながら上出来だ。これなら大丈夫であろう。

 

戸締りを確認して、俺は靴を履き自宅から出て行った。

 

待ち合わせ場所までは徒歩で10分。現在の時刻は10時10分。

 

俺は野球をやっていた頃の名残りか、早めの行動を心がけている。高校1年生の頃は、先輩達よりも1時間以上早く行かなければならなかったので苦労した。今回はその状況と異なるが、女性を待たせるわけにはいかない。時間はとても大切な物だと俺は知っている。俺は自分のせいで相手の貴重な時間を奪ってしまうことが本当に嫌いだ。

 

なので早めの行動を心がけている。

 

そんなわけで待ち合わせ場所に到着した。

 

俺は腕時計で時間を確認すると、現在10時20分であった。

 

少し早い気もするが、俺は待つことには慣れている。野球をやっていた頃も1時間以上待っていたわけなので、40分くらいなら朝飯前だ。ましてや今回の待ち合わせ相手が千歌ちゃんだ。遅れるわけにはいかないし、何より彼女は可愛いので俺を待っている間にナンパされる可能性だって十分考えられる。そういうことも考え、俺は今回早めの行動を意識した。

結果的に何もないに越した事はないが、万が一の可能性もあるので俺はとても不安だった。

 

 

 

俺が千歌ちゃんを待っていると、男が全力で俺の目の前を通り過ぎた。

 

その男が走り去った後、1人の女性が叫びながら男を追いかけて行った。

 

女性「ひったくりですわ〜!!」

 

俺はその言葉を聞いた瞬間駆け出した。

 

俺は無意識に体が動いていて、全力でひったくり犯を追いかけた。幸い走り込みを高校の頃から欠かさずやっていたので足には自信があった。俺はまず女性を追い抜き、ひったくり犯へ迫る。あと一歩のところまで迫り、俺は手を伸ばし男の服へ手をかけた。

 

その瞬間、男は俺の方へ振り返り殴りかかってきた。

 

俺はその攻撃に反応できず、頬をおもいっきり殴られた。かなりの衝撃で殴られたのでかなりのダメージを受けたが、俺は男の服を離さなかった。そして俺は男を押し倒し、動かないように男の上に乗り上げた。

 

祐一「観念しろ!」

俺は男が奪ったであろう女性物のバッグを取り返し、警察へ連絡をした。

 

しばらくして、警察が来てひったくり犯を引き渡した。そこで俺は、事情聴取の為警察の方に状況を説明した。

 

事情聴取が終わり、ひったくりにあった女性にお礼を言われた。

 

女性「助けていただき本当にありがとうございました。このバッグの中には大切なものが入っていたので助かりましたわ。」

女性は深く頭を下げ俺に伝えてきた。

 

祐一「いえ、とんでもないです!どうか頭を上げてください。体が反射的に動いたので捕まえられるか不安でしたが、無事捕まえられて良かったです。」

 

女性「それでも、バッグを取り戻していただいたのは事実ですわ。ですからお礼をさせていただけませんか?」

と女性はお礼をしたいらしく、俺に伝えてきた。

 

祐一「お礼なんてとんでもない。当然のことをしたまでです!それにこの後友人と出かける用事がありますので申し訳ないのですが、お気持ちだけで結構です。」

俺はそう伝えた。

 

女性「そうですか…。では日を改めてお礼をさせていただけますか?どうしてもお礼をしないとわたくしの気がおさまりませんので。」

どうやら女性はどうしてもお礼をしたいらしい。

 

祐一(ずいぶんと義理堅い人だなぁ…。それにすごい美人だし。それに・・・誰かに似ている気がするなぁ。)と俺は心の中で疑問に思ったが、女性がどうしてもと言ってきたので俺は連絡先を教えることにした。

 

 

祐一「わかりました。今日は難しいので、後日でもよろしいですか?それでもよろしければこれが自分の連絡先になります。」

 

女性「わかりました。後日で結構ですので、連絡させていただきます。失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいですか?」

 

祐一「自分は沖田祐一と言います。」

俺は自己紹介を済ませ、時計を確認すると時刻は11時を過ぎていた。

 

女性「沖田さんですね。わかりました。では改めて連絡を…」

女性が言いきる前に俺は声をあげた。

 

祐一「ヤバ、11時過ぎてる…。すいません、自分急ぐのでこれで失礼します!」

俺は女性に頭を下げ、全速力で駆け出した。

 

女性「あっ…。」

女性は全力で駆けていく青年を見送ることしかできなかった。

 

―――――――――――――――

 

俺はヒリヒリと痛む左頬を片手で押さえながら今走っている。

 

現在の時刻は11時30分前。

 

事情聴取にかなり時間を取られ、この時間になってしまった。

 

俺が待ち合わせ場所に着く頃には11時40分頃になっていて、千歌ちゃんをかなり待たせてしまっていた。

 

俺は周囲を確認するが、千歌ちゃんの姿はない。

 

祐一「ハァハァ…。そうだよな、これだけ待たせちゃったら流石にいないよなぁ…。」

俺は目に見えるように落ち込んでいた。

 

そうすると誰かが俺の右肩を叩いた。

 

俺は振り返ると誰かの指が俺の右頬をつついた。

 

千歌「ふふ、ひっかかったね♪」

千歌ちゃんはまるでイタズラする子供のような無邪気な笑顔で俺に言ってきた。

 

祐一「ち、千歌ちゃん!?」

俺は千歌ちゃんがいてくれたことに驚いたが素直に嬉しかった。しかしそれと同時に申し訳ない気持ちが俺を支配した。

 

祐一「ごめんね…。待ち合わせ遅れちゃって。」

俺は千歌ちゃんに謝罪した。

 

千歌「大丈夫だよ!!気にしないで!」

千歌ちゃんは俺にそう言ってくれて、少しホッとした。そして千歌ちゃんは俺の左頬が赤くなっていることに気づき質問してきた。

千歌「祐一くんその左頬どうしたの?なんか赤いよ??」

 

祐一「そ、それは・・・寝坊しちゃって慌てて走ってたら電柱と友達になっちゃって…。」

俺は実際に起こったことは話さずに、慌てて咄嗟に嘘をついてしまった。すごい罪悪感を感じた。

 

千歌「えっ、大丈夫?痛かったでしょ。私冷たいもの持ってるから冷やそ!」

千歌ちゃんの言葉にさらに罪悪感が増した。

 

祐一「ありがと。でも大したことないし大丈夫だよ!」

 

千歌「ダメだよ!今は大丈夫でも後から腫れちゃうかもしれないから。」

 

祐一「わかった。ありがと、千歌ちゃん。」

俺は千歌ちゃんの対応に甘えることにした。

 

千歌「それにしても、本当に大丈夫?」

千歌ちゃんの心配そうな顔に俺は耐えられず、本当のことを打ち明けた。

 

祐一「ごめん…千歌ちゃん。さっきの電柱のこと実は嘘なんだ…。」

 

千歌「えっ??じゃあ、どうしてなの?」

 

祐一「実は…」

俺は先程あったことを千歌ちゃんに説明した。

 

千歌「そんなことがあったんだ…。でも、なんで本当のこと言ってくれなかったの?」

千歌ちゃんは心配そうにしていたが、それと同時に悲しそうな表情もしていた。

 

祐一「ごめんね…。変な嘘ついちゃって。千歌ちゃんに変な心配かけたくなくて…。」

 

千歌「そうだったんだね…。私のためにありがと。でもね、今度からは本当のこと言ってね?祐一くんに、もしもの事があったらって考えちゃうと私…。」

千歌ちゃんは消え入りそうな声で俺に伝えてきた。

 

祐一「うん。今回は本当にごめんね。これからは絶対に嘘はつかない!」

俺は千歌ちゃんにそう伝えた。俺自身、彼女の悲しそうな顔を見たくなかった。

 

千歌「ありがと。人助けもいいことだけど、無茶はしないでね。私ホントに心配だから…。」

そう言った千歌ちゃんの表情は、まるで子供を心配するような母親の表情だった。

 

俺は千歌ちゃんに言われたことを肝に命じた。

 

千歌「ごめんね…。暗い雰囲気にしちゃって。折角のお出かけだから、これから楽しもうね!!それに曜ちゃんのプレゼント選びも、頑張ろうね!」

千歌ちゃんはさっきの表情とは打って変わって明るく、満面の笑みで俺に言ってきた。

 

祐一「うん、そうだね!!俺も心配かけた分、プレゼント選びも今日の買い物も楽しくできる様に頑張るよ!」

 

千歌「ふふっ♪期待してるね!」

千歌ちゃんは笑顔で俺にそう伝え、俺も千歌ちゃんの期待に添えるよう笑いかけた。

 

 

 

 

 

 

そして俺たちは目的地に向かうため駅へと歩き出した。

 

 





ご愛読ありがとうございました!

また更新が遅くなるかもしれませんが、待っていただけるとありがたいですm(_ _)m


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Day6 プレゼント選びとバッティングセンター


どうも甘党ゴンザレスです!!

最近忙しく、執筆する時間がとれず投稿遅れてしまいました。

不定期とはいえ、4日に1話は投稿できるように頑張ります!
今回も駄文ではありますが、まったり読んでいただけたら嬉しいです!

それでは本編どうぞ!!


俺たちは今目的地へ向かうため電車に揺られている。電車の中は週末の影響からか混み合っていた。なんとか千歌ちゃんと離れずに乗ることができたが、電車内はかなり窮屈だ。

 

千歌「流石に週末だから、電車の中も混んでるね。私初めて満員電車乗ったよ。けっこう大変だね…。」

千歌ちゃんが苦笑いを浮かべている。

 

祐一「大丈夫?確かに初めてだったら辛いからね。辛かったら俺に寄りかかっていいからね?」

 

千歌「ホント?じゃあ、甘えちゃおっかな♪」

千歌ちゃんはそう言いながら俺に体を預けてきた。

 

千歌ちゃんのやわらかい感触とふわっと柑橘系の匂いがした。そして千歌ちゃんは俺に寄りかかりながら、俺を見上げ笑っている。

 

かわいい…。

 

俺は幸せな時間を体感していた。

 

しばらくして、俺たちは目的地の最寄駅に到着した。

 

千歌「わぁ!すごいいっぱい人がいるね!」

千歌ちゃんが驚いていた

 

祐一「確かに多いな…。」

 

千歌「ねぇ、祐一くん。」

千歌ちゃんがモジモジしながら俺の方を見ている。

 

祐一「どうしたの、千歌ちゃん?もしかして気分でも悪くなった?」

俺が千歌ちゃんを心配していると、千歌ちゃんが言ってきた。

 

千歌「いや、そうじゃないんだけど。あのね。こんなに人がいるとはぐれちゃいそうだし、だから…その…手、繋いでもいい…かな?」

と千歌ちゃんは上目遣いで俺に言ってきた。

 

祐一「えっ!?」

まさか千歌ちゃんからそんなことを言ってくるとは思ってもいなかったので、俺は驚きを隠せずどもってしまった。

 

千歌「いや…かな?」

千歌ちゃんが悲しそうに顔を伏せてしまった。

 

祐一「そ、そんなわけないよ!!ちょっと驚いちゃったけど、俺でよければ!はいっ!」

俺は慌てながらも自分の左手を千歌ちゃんに差し出す。

 

千歌「よかった…。」

千歌ちゃんは頬を赤く染めながら小さく呟いた。

 

祐一「何がよかったの??」

 

千歌「ふぇ!もしかして、聞こえてた?///」

 

俺にはしっかりと聞こえていた。しかし何故千歌ちゃんがそう呟いたのかはわからない。

 

祐一「うん、聞こえたけどなんか顔も赤いからどうしたのかなって思って…。」

俺は素直に千歌ちゃんに伝えた。

 

千歌「わ、私そんなに顔赤い?///」

 

祐一「うん、やっぱり体調悪くなっちゃった?」

俺は千歌ちゃんに近づき、自分の手を千歌ちゃんのおでこに触れ熱がないか確認した。

 

千歌「っ///」

千歌ちゃんはさらに顔を赤く染め、触れているおでこが熱くなる気がした。

 

祐一「やっぱり、ちょっと熱いなぁ…。本当に大丈夫?無理はしないでね。」

 

千歌「う、うん。大丈夫だよ、ありがと!そ、それと…その…そろそろおでこから手、離しても大丈夫だよ?ちょっと、は、恥ずかしい…かな///」

と千歌ちゃんに言われ、俺は自分が何をやっていたのか気づき恥ずかしさが込み上げてきた。

 

祐一「うわっ、ご、ごめん///」

 

千歌「ううん。ちょっと恥ずかしかったけど///心配しててくれてたんだよね?ありがとう!」

そう言ってきた千歌ちゃんの笑顔はとても魅力的だった。

 

千歌「じ、じゃあ!気を取り直して行こっか!」

千歌ちゃんは俺の手を引いて歩き始めた。

 

俺は千歌ちゃんの手の温もりを感じ、ドキドキしながら彼女の隣に並び目的地に向かって歩いた。

 

――――――――――――――

 

俺たちは目的地のショッピングモールに着き、昼食を取ろうとしている。

 

祐一「とりあえず、お昼でも食べよっか!千歌ちゃんなにか食べたいものある?」

 

千歌「うーんとね。ハンバーグ!!」

祐一「オッケー!じゃあ、あそこでいいかな?」

俺は近くのハンバーグ屋を指差す。

 

千歌「うん!!」

俺たちはハンバーグ屋に入り、料理を注文して話しながら待っている。

 

千歌「それにしても、曜ちゃんのプレゼントどうしよ?」

 

祐一「うーん、女の子にプレゼントあげたこと無いからよくわからないけど。大学生になったことだし無難かもしれないけどアクセサリーとかどうかな?」

 

千歌「アクセサリーか…。確かに曜ちゃんオシャレだからそういうのいいかも!!でも私が選んでも曜ちゃんが気に入ってくれるかわからないし…。」

千歌ちゃんはテーブルに突っ伏しながらそう答える。

 

祐一「そんなことないよ。千歌ちゃんが一生懸命選ぶんなんだよ?絶対曜ちゃんも喜んでくれるし、気に入ってくれるよ!それに一番大切なことはモノじゃなくてその人の気持ちだよ。」

 

祐一「千歌ちゃんだって曜ちゃんとか梨子ちゃん、Aqoursのメンバーからプレゼントされたモノだったら何でも嬉しいでしょ?」

俺は千歌ちゃんにそう伝えた。

 

千歌「うん!私のためにくれたことが嬉しいもん!!」

 

祐一「ね?そう思うでしょ?だから曜ちゃんもそう思ってくれるだろうし、小さい頃から一緒に過ごしてるんだったら尚更、モノじゃなくて気持ちが1番嬉しいと思うよ?」

 

千歌「そうだよね!よし、じゃあ早く食べてプレゼント選びに行こう!」

 

祐一「うん!俺も今日はとことん付き合うよ!」

 

俺たちは従業員さんが運んできてくれた料理を食べ、会計を済ませ店を出た。

 

 

俺たちはショッピングモールに入り、色々物色している。色々見ている中で千歌ちゃん的には、やはりアクセサリーをプレゼントすることに決めたらしい。

 

そして今俺たちはアクセサリーショップの前まで来ている。

 

それぞれ、別れて探していると俺は1つのアクセサリーに目が止まった。

 

俺が見つけたのは綺麗なオレンジトパーズのネックレスだ。俺は千歌ちゃんの方をチラッと見て彼女がこのネックレスを付けている姿を想像していた。

 

俺がネックレスを見ながら千歌ちゃんの姿を想像していると店員さんがやってきて声をかけてきた。

 

店員「もしかして、あちらの彼女さんへのプレゼントですか?」

店員さんは俺に笑顔で言ってきた。

 

祐一「い、いえ。あの子は友人です。今は自分たちの共通の友人のプレゼントを見にきていたので、決してそういうわけでは…。」

俺は咄嗟に誤魔化したが、店員さんにはバレてしまった。

 

店員「本当ですか?私にはこのネックレスを付けた彼女さんを想像しているように見えましたよ?」

この人、人の心よめるの?と俺は思っていると

店員「はい。職業柄お客様のことをよく見るようになったので。」

 

祐一「何で俺の考えてたことわかるんですか!俺、何も言ってないんですけど…。」

マジでこの人は人の心をよめるらしい。

 

店員「というわけですので、よろしければお取り置きしておきましょうか?きっと彼女さんに似合いますよ!」

 

祐一「だから、彼女じゃないです…。お願いします…。」

俺は否定しながらも取り置きをお願いした。今日の遅刻のお詫びというわけでは無いが、正直この店員さんの言った通り千歌ちゃんに似合うと思う。

 

店員「かしこまりました!お取り置きしておきますね!いつ頃来店されますか?」

 

祐一「まだ、このショッピングモールにいると思うので2、3時間したらまた来ます!」

 

店員「かしこまりました!お待ちしております。」

店員さんは流石の営業スマイルで俺に言ってきた。

 

店員さんに頼み俺は千歌ちゃんの方へ向かった。

 

祐一「どう、千歌ちゃん?良さそうなのあった?」

 

千歌「あっ!祐一くん、ちょうどよかった。これなんてどうかな?」

と千歌ちゃんは俺に言ってきて、ネックレスを指差した。

 

千歌ちゃんが指差したのは、マリンブルーの綺麗なネックレスだった。

 

祐一「綺麗だな。曜ちゃんのイメージにもぴったりだし俺はいいと思うよ!」

 

千歌「だよね!これにしようかな?」

 

祐一「そうだね!千歌ちゃんが選んだんだから、きっと曜ちゃんも喜ぶよ!」

俺も千歌ちゃんが選んだものに異論はない。むしろ俺が選ぶと千歌ちゃんが選んだものにならないので、俺は彼女の意見を尊重する。

 

千歌「じゃあ、これにしよっかな!買ってくるからちょっと待っててね!」

 

祐一「わかった!店の外で待ってるね。」

俺はそう伝え店を出た。

 

しばらくして、千歌ちゃんが店から出てきた。千歌ちゃんも満足そうにしているのでよかった。

 

祐一「曜ちゃんのプレゼントも買えたし、ひとまず今日の目的は達成だね!」

 

千歌「うん、ありがと!そう言えば祐一くんまだ時間は大丈夫?」

 

祐一「うん。今日はバイトもないし、全然大丈夫だよ!」

 

千歌「そっか!じゃあ、よかったら晩ご飯も一緒に食べない?」

千歌ちゃんからのお誘い、俺が断るわけがない。

 

祐一「もちろん!」

今日は晩ご飯前の解散だったので俺としては嬉しい。

 

千歌「そう言えばこのショッピングモール、バッティングセンターがあるんだよ!そこ行ってみない?」

 

祐一「俺は全然いいよ!」

 

千歌「やった!!私バッティングセンター行ったこと無かったから行ってみたかったんだよね。」

千歌ちゃんは無邪気にはしゃいでいる。

 

祐一「よし、じゃあ行こっか!」

俺たちはバッティングセンターに向かって手を繋ぎながら歩き出した。

 

 

―――――――――――――

 

俺たちはバッティングセンターに到着した。

 

千歌「そう言えば私初めてだけど何キロでやればいいのかな?」

 

祐一「90キロくらいがいいと思うよ!最初は俺がやってみるから、早く感じたらもう少し遅いのでやってみればいいよ!」

俺はそう言い、バッターボックスに入りお金を入れた。

 

90キロなら空振りすることは無いので俺は楽に構え、ボールが来るのを待っている。数秒してマシンからボールが発射されてきたので、俺はそのボールを打ち返す。

 

カキーン

 

いい感じのあたりだ。

 

俺はその後もいい打球を打ち続け、マシンが止まった。

 

祐一「ふぅ。こんな感じかな?どうだった、もうちょい遅いのにする?」

 

千歌「ううん!大丈夫そう!それにしても祐一くんすごいね!」

俺は千歌ちゃんに褒められ素直に照れた。

 

祐一「ありがと///次は、千歌ちゃんの番だよ!怪我しないようにね?」

 

千歌「うん!楽しみ〜!」

千歌ちゃんは俺と交換してバッターボックスに立ってお金を入れた。

 

千歌「よーし!祐一くんみたいな打球打つぞ〜!」

千歌ちゃんが意気込んでいる。

 

しかし、千歌ちゃんはあたりはするが、ボテボテが多い。そこで俺はアドバイスを送った。

 

祐一「千歌ちゃん、もうちょい腰落として構えてみな?それで、気持ちボールの下にバットがあたるように振ってみて!」

 

千歌「うん、わかった!よーし!」

マシンから発射されたボールを俺のアドバイス通り、腰を落としてボールの下にバットをあてるようにスイングすると、

 

キーン

 

千歌ちゃんの打った打球が先ほどの打球とは違い、ライナーで飛んで行った。

 

千歌「やったー!!祐一くん見てた!?いい打球打てたよ!」

千歌ちゃんはホントに嬉しそうに喜んでいた。

 

祐一「すごいよ、千歌ちゃん!」

 

千歌「祐一くんのアドバイスのおかげだね!」

 

祐一「ははは、それだったら嬉しいな!」

俺もアドバイスをして千歌ちゃんが打てて楽しそうにしているので嬉しかった。

 

その後も千歌ちゃんは、何球かに一球はいいあたりをするようになった。

 

千歌「はぁー、楽しかった!」

千歌ちゃんは満足そうにしている

 

祐一「楽しかったならよかったよ!」

 

千歌「あっ、ごめんね…。私ばっかり。」

 

祐一「いいの、いいの!気にしないで。」

俺は千歌ちゃんといれるだけで楽しい。千歌ちゃんが満足してくれたのなら、俺も満足だ。そんなことを思っていると千歌ちゃんが俺に言ってきた。

 

千歌「ねぇ、祐一くん。私祐一くんが本気でやってるところ見てみたいなぁ!ダメかな…。」

千歌ちゃんがそう言ってきたので俺は、

祐一「いいよ!何キロでやってほしい?」

と千歌ちゃんに言った。

 

千歌「うーん、このバッティングセンター何キロまであるの?」

 

祐一「確か、150キロかな?」

 

千歌「じゃあ、150キロ!!」

千歌ちゃんはニコニコしながら言ってきた。

 

祐一「わかった!じゃあ、しっかりみててね!」

俺は150キロのマシンのバッターボックスに入りお金を入れる。

 

俺は集中していた。

 

久しぶりに本気でバットを振る。それよりも、千歌ちゃんが観ているのでカッコ悪いところは見せられない。そしてマシンが動き出しボールが飛んできた。

 

 

ドン!

 

 

ボールは俺の前をあっという間に通り過ぎた。最初は目を慣らすためわざと見送った。すると後ろから、千歌ちゃんの声がした。

 

千歌「うわ〜、全然見えない…。」

 

祐一「確かに速いからね。でも、俺のことしっかりみててね。」

俺はそう伝え正面を向く。

 

次のボールが飛んできた。

 

ガキーン ドゴッ

 

俺の打ったボールはホームランと書かれている看板に一直線に突き刺さった。

 

千歌「うわ〜、すご〜い!」

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

千歌ちゃんも、周りの人たちも今打った俺のホームランを見て騒いでいる。

 

祐一「…。」

しかし、俺にその声は届いていない。俺はバッターボックスに立ち集中していると周りの音が聞こえなくなる。

 

その後も俺はいい打球を打ち続け、最後の一球はホームランで締めくくった。

 

祐一「ふぅ。」

俺はバットを返して、後ろを振り返る。すると、何故だかカメラを構えている女性が多く俺は唖然としていた。

 

祐一「えっ?どういう状況?」

俺はバッターボックスから出ると、女性たちに囲まれた。女性たちからは黄色い歓声。俺のことを知っていた人もいて握手して欲しいと言われたり、一緒に写真を撮って欲しいと言われた俺はその勢いに気圧されながらもなんとか愛想笑いを作り出し失礼のないように対応した。

 

10分ほど時間が経っただろうか。やっと女性たちから解放され、俺は1人安堵する。それにしても随分と長い時間拘束されていた気がする。だが、俺のことを知っていて応援していてくれた人がいることを知り素直に嬉しかった。

 

 

 

そして俺は千歌ちゃんのところへ向かった。

 

祐一「ごめんね、千歌ちゃん。待たせちゃって。」

俺が千歌ちゃんに一言謝ると、

千歌「…ふん!女の子に囲まれてて嬉しそうだったね!!」

千歌ちゃんは何やら頬を膨らましながら、そう言ってきた。

 

祐一「えっ?そんなことないよ!」

 

千歌「そんなことあるもん!!だって、チカといるときはあんなに笑わなかったもん!!」

千歌ちゃんは興奮気味に俺に大声で言ってきた。

 

祐一「それは、俺のこと知ってて応援してくれてたことが嬉しかったから笑ってただけで別に他意は無いよ!それに、俺は千歌ちゃんといると楽しいよ!!」

俺も本音をぶつける。

 

千歌「そんなことない、絶対ないもん!!…祐一くんの、バカ…!!」

千歌ちゃんは俺の言葉に聞く耳を持たず、俺にむかってそう言い放ち走り出してしまった。

 

祐一「千歌ちゃん!!」

俺は叫ぶが、彼女の耳には届かなかった。

俺はしばらく状況がわからず放心状態でその場に立ち尽くしてしまうが、なんだか嫌な予感がした。

 

とにかく千歌ちゃんを追いかけなくては。

 

俺は考えるのをやめ、体を動かす。

 

 

なにより俺が動かした本当の理由は、

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌ちゃんが走り去る瞬間に見せた、涙であった。

 

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!

次回は千歌ちゃんの視点で書いてみたいと思います!

多分物語はあまり進まないと思います、ご了承くださいm(_ _)m


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Day7 千歌の想い


どうも、甘党ゴンザレスです!!

今回は千歌ちゃん視点で書いてみました!

やっぱり、人の感情って表現するの難しいですね…。

では、気を取り直してどうぞ!!



Side 千歌

 

今私は祐一くんに『バカ』と言ってバッティングセンターから出てきてしまって、夢中で走っていた。

 

結構走ったところで私は疲れてしまい、足を止めて壁に寄りかかる。

 

なんで私はあんなことを言ったの?

 

どうして、私は今泣いているの?

 

 

私は祐一くんとの出会いやこれまでのことを振り返るように思い出す。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

私と君は入学式の日に偶然出会って仲良くなった。私は入学式に向かう途中君と思い出の話をしていた。私が自分のことを喋ると君は涙を流して、こんな私を『尊敬する』と言ってくれたよね?

 

 

 

私は本当に嬉しかった…。

 

 

 

今まで浦の星のみんなに言われたり、家族に言われることはよくあった。『尊敬する』や『感動した』みたいなことはたくさん言われてきて慣れていたつもりだった。もちろん嬉しかった、私たちがやってきたことが認められて『私たちの輝き』が見つけられて…。

 

でも…。君に言われた時だけは違った。確かに嬉しかったんだけど、私の中で何かが弾けた。ネットでの評価はよく目にしていた。だけど、面と向かって言われたのは、浦の星のみんな、家族を除けば君が初めてだったんだ。

 

私が話した思い出に対して君は素直に自分の気持ちを言ってくれたよね。それが私は嬉しくて胸が暖かくなった。

 

私も君のことを知りたくなって、君のことを聞いた。

 

君も、快く話してくれると言ってくれて私の心も踊っていた。

 

君は野球をやっていて、強豪校のエースだったらしい。でも、最後の大会途中、肩を壊し始めていたらしくこのまま投げ続ければ日常生活を送ることが厳しくなるほどだったと話してくれた。私は君の話に絶句して、涙を流さないように聞いているのが必死だった…。

でも、君は『野球が好きだから』、『両親、仲間の為』諦めきれなかったと言ったのだ。自分の肩がどうなろうとも。結果的には肩は壊れることなく終われたって言ってたけど、そこまで自分を貫いて頑張ってきたことを聞いた時私も君の事を1人の人として尊敬した。君は悔いの無い笑顔で私に言ってきたので、その笑顔を見たとき正直見惚れてしまった。

 

 

もっと君のことを知りたい…。

 

 

私はその時に異性としての感情が少し芽生えたのかもしれない。

 

 

 

入学式が始まった時、私と曜ちゃんがはしゃいでて梨子ちゃんに怒られた時。その後に君が梨子ちゃんのことをすごい褒めた時、正直私は梨子ちゃんにすごい嫉妬をした。私が嫉妬している事に気付いた曜ちゃんが耳打ちで「祐一くんに千歌ちゃんも褒められたかったの?」と言われた時は、流石に驚き、曜ちゃんには敵わないと思った。

 

 

 

最初の授業の時も、Aqoursのライブを観て感動したって言ってくれた時、嬉しくて胸が暖かくなったな…。その時に、私は更に君のことを知りたいと思い授業が始まる前に付き合って欲しいと伝えた。私自身、あの時は焦った。流石に君も動揺していて一旦話を保留する事になった。そこで私はあくまで冷静を装い、放課後にカフェで2人で話すことにした。君は了承してくれたけど、私は断られるんじゃないかと思い気が気じゃなかった。でも君はちゃんと来てくれた。やっぱり、優しい…。

放課後、カフェで私は君に曜ちゃんの誕生日プレゼント選び手伝って欲しいとデートに誘った。そうすると君は快く引き受けてくれた。私はすごい嬉しかった。でも、その後の君の落ち込んでいる表情が私はどうしても忘れられなかった。だから、私は君に思い切って聞いてみた。私が思っていることを君に伝えている時に私は涙が勝手に流れていた。

 

私じゃなくて、梨子ちゃんや曜ちゃんの方がいいんじゃないか?

 

私じゃ、迷惑じゃないのか?

 

私の中で負の感情が溢れ出してきて、私は怖くて怖くて仕方がなかった。

 

でも、君は私が思っている事とは全く違うことを言ってくれたよね。

 

 

『迷惑なんかじゃない』

 

 

私はこの言葉を聞いてどれほど安心したことか…。私は君の迷惑なんかじゃなかった。それどころか君は、私といると『楽しい』や私を『かわいい』、『千歌ちゃんだけの魅力がある』と言ってくれたのだ。こんなに私のことを見てくれている君には本当に驚かされた。

それと同時に、こんなに私を見てくれている君に私は。

 

 

 

 

恋をしてしまった…。

 

 

それ以来君を意識するようになって、いつの間にか目で追うようになってしまった。その事を梨子ちゃんや曜ちゃんに相談すると2人は応援すると言ってくれた。今日のデートの服装も髪型も2人に相談して決めた。少しでも私のことを女性として意識してもらうために…。

だから私は今日のデートにかなり気合を入れていた。普段は遅刻しがちな待ち合わせも早めに着くように向かっていた。でも、君は待ち合わせ時間になっても来なかった。最初は寝坊でもしたのかな?とも思って待っていたけど、30分も来ないと流石に不安にもなる。

 

やっぱり私とじゃ嫌だったのかな…。

 

もしかして事故に巻き込まれたのかな…。

 

私の中で色々な不安な気持ちが溢れていると君はやってきた。君は私に気づいていないから、私は君の後ろに回りイタズラを仕掛けた。その時の君が驚いた表情をしていたのを覚えている。すごい可愛くて、愛おしかった…。

 

この時に私の中の気持ちは確信へ変わった。

 

私はこの人の彼女になりたい…。

 

1番近くで君を見ていたい…。

 

1番近くで私を見て欲しい…。

 

そう私は思った。

 

自分の気持ちに気づきデートに集中しようと思うと、私は君の頬が赤くなってる事に気がついた。私が聞くと君は最初に嘘をついたよね?でもすぐに真実を話してくれた。真実を聞いた時は本当に心配したしけど、嘘をつかれた時悲しかったんだよ?でも君が無事でよかったと心の底から思えた。君にもしものことがあったら私は自分が何をするかわからない。それ程までに私は君に惹かれているのだろう。

 

だからこそ今日のデートで私は、君にアピールをしたかった。プレゼント選びもスムーズに進み早めに終えることができた。だから、君ともっと仲良くなるために君が好きな野球について知りたくてバッティングセンターに行きたいと言った。私もバッティングセンターに行ったことがなかったから行ってみたいと思っていたのでちょうどよかった。実際にやるのも楽しかったし、君をみているのも楽しかったし、何よりカッコよかった。君の初めて見る真剣な表情に私は釘付けだった。だけど、それは私だけじゃなかった…。

周りにいた女の子たちも君のバッティングを見て集まってきた。君が出てくると女の子たちは君を囲んでしまった。そこで、君は優しいから女の子たちに優しく笑顔で対応していた。それを見た私はすごい嫉妬してしまって、胸が張り裂けそうだった。自分でもめんどくさい女だと思う…。

 

それで私は自分の身勝手な嫉妬で君に八つ当たりをしてしまった。冷静に考えれば君は当然のことをしていたのだ。何も間違ってはいない。でも、私は君が他の女の子に取られてしまうんじゃないかと思ってすごい不安だった。だから、君に八つ当たりをしてしまった。こんなめんどくさい女だと分かれば君は私の事を嫌いになるかもしれない。私は嫌われるのが怖くなってあの場から逃げてしまった。君には本当に申し訳ない事をしてしまった。もしかしたらもう顔も見てもらえないかもしれない。

 

本当に後悔しかない…。

 

さっきまでは楽しいデートのはずだった…。

 

それが私のせいで、最悪な日になってしまった。

 

私は最低だ…。

 

ただ、君にもっと私を見て欲しかった、知って欲しかった、笑って欲しかった。

 

これは、私のわがままが招いた結果。自分の欲に負けた醜い私に神様が罰を与えたんだ。

 

出来る事ならやり直したい…。今日をやり直して君とのデートをもっと楽しみたい。笑い合う時間をもっと作りたい。

 

君の…。

 

最高に輝いてる笑顔を見たい。

 

でもそれはただの私のエゴだよね…。だって、時は戻せないんだから。

 

私がとった行動は変わらない。

 

私がやったことは消えない。

 

君はいつも、私や曜ちゃんや梨子ちゃんに優しかったよね。その優しさが私には暖かかった。君といると、不思議と心が暖かくなる。その暖かさがとても心地いい。

 

君の声が好き。

 

君の優しいところが好き。

 

君の一生懸命なところが好き。

 

君の子供っぽくみえる表情が好き。

 

君の真剣な表情が好き。

 

君の笑顔が大好き…。

 

出来るのなら顔を合わせて謝りたい。これからも大学で楽しい生活を送りたいし、今度は恋人として君とデートしたい。

 

でも、もうそれは叶わないかもしれない夢。

 

私は自分で夢を壊したんだ…。本当に、何やってるんだろう…わたし。

 

もう今までように話しかけてくれなくなっちゃうのかな…?

 

以前のように君は私に対して笑いかけてくれないのかな…?

 

私のこと嫌いになっちゃうのかな…?

 

もう顔を見て喋る事も出来なくなっちゃうのかな…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やだ・・・やだよ…。

 

私はとめどなく涙が溢れ出す。

 

今までのことを振り返ると私は涙が止まらない。いや、止まらないんじゃなくて止められない。君のことを考えると胸が張り裂けそうになる。

 

きっと君はもう来ないよね?

私は心の中でそう思いながら、今も止まらない涙を拭う。

 

顔を伏せて、床にしゃがみこんでいると私の耳に私のことを呼ぶ声が聞こえた。

 

 

 

私は驚いた。私のことを呼ぶ声、この人の声を知っている。間違えるはずがない。

 

それは、私が1番聞きたかった愛しい声。

 

なんで…? どうして…?

 

心の中でそう呟きながら、

 

私は、私を呼ぶ声のする方を振り向いた。

 

 

Side out 千歌

 

 

――――――――――――――――――――

Side 祐一

 

俺は千歌ちゃんを追いかけていたのだが、見失ってしまった。

 

祐一「千歌ちゃんにもしものことがあれば俺は…。」

 

俺は通り過ぎる人に千歌ちゃんを見なかったか聞いた。すると、1組の親子が千歌ちゃんらしき人を見かけたと言っていたので見かけた場所を教えてもらい、お礼を言ってその場所へと走り出した。

 

しばらくして、親子に聞いた場所に到着し辺りを見渡した。

 

すると、そこには俺がよく知るオレンジ色の髪をした女の子が床にしゃがみこんでいた。

 

俺は彼女を見つけた瞬間、体の力が抜けた。

 

あぁ、無事でよかった…。

 

俺は彼女に呼びかけた。

 

祐一「千歌ちゃん!!」

俺の声に気づき千歌ちゃんは振り向く。

 

 

 

 

振り向いた彼女の瞳からは涙が溢れでていた事に気づくのにそんなに時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!!

途中から、わけわからなくなってしまってうまくかけているかわかりません(>_<)

次回からまた主人公視点で書いていきたいと思います。

次回も更新がいつになるかわかりませんが、暇つぶし程度に待っていただけると嬉しいです!


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Day8 祐一の気持ち


どうも甘党ゴンザレスです!!

なんとか4日以内に投稿できました!不定期投稿ではありますが、4日以内で投稿できるように頑張りたいと思います!

話は変わりますが、Aqoursの5thライブが近づいて来ましたね!現地参加の方は精一杯楽しんでください。

僕はライブビューイングで全力で楽しみます!

それでは本編どうぞ!!


千歌ちゃんが瞳から涙を零している。

 

また、俺はやってしまった…。あれほど彼女の涙は見たくないと思っていたのに。それなのに俺は彼女を泣かせてしまった。

 

最低だ…。

 

俺には、彼女が泣いている理由がわからない。でもこれだけはわかる。

 

 

 

俺が泣かせたんだ。

 

 

 

俺が彼女を傷つける何かをしたんだ。俺は彼女に謝りたい。こんな形で彼女との関係が壊れるなんて嫌だ。

 

俺が声をかけて、近寄ろうとした時。

 

千歌「…んで」

 

祐一「えっ?」

 

千歌「なんで、きたの!」

千歌ちゃんは俺に大きな声で言ってきた。

 

祐一「俺、千歌ちゃんが心配で…。それに俺がなんかしちゃったから出て行っちゃったんだよね?だから、改めて謝りたくて。」

 

千歌「なんで、なんでなの…。私自分勝手に飛び出してきたのに…。それなのに祐一くんはなんで私なんかの為に来てくれるの?」

千歌ちゃんは泣きながら俺に言ってくる。

 

祐一「えっ?どういうこと?」

俺がそう問いかけると、千歌ちゃんは涙を流しながら言ってくれた。

 

千歌「わ、わたし…ね。さっき…ゆう…いちくんが、おんなのこ…たち…にかこ…まれてる…とき。なんで、わ…たしをみてくれないの。っておもっ…ちゃって。嫉妬…しちゃったんだよ。」

 

祐一「っ!?うん。」

俺は千歌ちゃんの言葉に驚く。でも、千歌ちゃんが必死に俺に伝えようとしてくれているので最後まで俺は聞く為に耳を澄ました。

 

千歌「やな…女だよね…。自分勝手な事で、祐一くんに八つ当たりして…。祐一くんは優しいから、女の子たちに優しく接してたのもわかってたのに…。でも、わたし…我慢でき…なかった…。」

千歌ちゃんの瞳からさらに涙が溢れてくる。

 

千歌「だからあの場所から…逃げ…出しちゃって。わた…しは、祐一くんの…優しさに…あま…えてた。だからこんな…ことした、わたし…の…事なんて…き…きら…きらいに…なっちゃう…。嫌われちゃう…って思っちゃって。わた…わたし…怖くて。」

 

千歌「嫌われたくない…。嫌わないで…。やだ…やだよ…。わ、わたしの…せいで。わたっし…のせいで…。うっ…うぅ。」

そこまで言って千歌ちゃんはもう言葉が出てこなかった。

 

でも、理由はわかった。

 

やっぱり俺が原因だ。

 

俺が彼女を不安にさせていたんだ…。

 

 

だから、俺はまず千歌ちゃんを落ち着かせる為手を握った。

 

千歌ちゃんの手は震えていて冷たかった。今日感じた暖かさはない。俺はこんなにこの子を不安な気持ちにさせてしまったのかと思いひどく落ち込んだ。

 

でも、千歌ちゃんの素直な気持ちを聞けて俺は嬉しかった。

 

だから、俺は千歌ちゃんの目を見て言う。

 

祐一「千歌ちゃん。大丈夫だよ?俺は怒ってもいないし、ましてや千歌ちゃんを嫌うなんてありえない。」

俺は自分の想いを彼女に悟すように伝える。

 

千歌「ホント…に?わたし…のこと…きらいじゃ…ない?」

 

祐一「本当だよ。嫌いになんかならないよ。それに、俺に問題があったんだ。今日は千歌ちゃんとのお出かけだったのに自分の事にばっかり気がいっちゃってたし。むしろ、俺の方が千歌ちゃんに嫌われるんじゃないかって思ってたよ。」

 

千歌「グスッ…。そんな…こと…ないもん。」

 

祐一「ハハッ、ありがとう…。そう言ってもらえると嬉しいよ。ほら、涙拭くからこっち向いて?」

俺はハンカチを取り出し彼女の涙を拭き取る。

 

祐一「こんなに、目も腫らしちゃって…。ごめんね…。」

 

祐一「俺がもっと気を使えればこんなことにはならなかった…。千歌ちゃんは何も悪くないよ。悪いのは全部俺だ。だから、もう自分を責めないで…。」

 

千歌「でも…。でも…。」

千歌ちゃんはまた涙を流してしまった。手もまだ震えている。

 

だから俺は千歌ちゃんの手を握る力を少し強くした。

 

祐一「今回はお互いに悪いところもあったかもしれないけど、千歌ちゃんは何にも悪いことしてないんだよ?俺が千歌ちゃんを不安な気持ちにさせちゃったんだから。本当にごめんね。」

 

祐一「それに、俺は千歌ちゃんがそんなに俺のこと想っててくれてたって知れて嬉しかった。」

 

千歌「ホント…のことだもん…。今日だって楽しかったし…。」

 

 

祐一「そっか。ありがとう。だからこそ俺は千歌ちゃんにもっと楽しんでもらいたいし、何より笑ってて欲しい。千歌ちゃんの笑顔を見ると俺も嬉しくなるし、なんだか元気を貰えるんだよね。だから、泣いてる顔じゃなくて笑った顔を見せてよ?」

俺はガラにもないクサイセリフを言ってしまったが、後悔はない。俺は千歌ちゃんには笑顔が似合っていることを知っている。だから泣いている顔じゃなくて、笑っている顔を見たい。

 

 

俺は千歌ちゃんの笑顔が好きだ。

 

 

この気持ちに嘘偽りはない。

 

千歌「祐一くんは…今日千歌といて楽しかった?」

 

祐一「もちろん!俺は千歌ちゃんと一緒ならどこにいても楽しいよ!それにもっと千歌ちゃんとお出かけしたいと思ったし、改めて千歌ちゃんといると楽しいなって思えた。ありがとう、千歌ちゃん。」

俺はそう言い、千歌ちゃんに優しく笑いかけた。

千歌「うっ…うわぁぁぁぁぁん!」

千歌ちゃんは泣きながら俺に抱きついてきた。

 

祐一「おっと。」

 

千歌「ごめ…ごめんね〜〜〜〜〜!ヒック…千歌の…千歌のせいなのに。うっ……ううっ…。」

千歌ちゃんは俺に抱きつきながら謝っている。

 

俺はそんな彼女を優しく抱きしめる。

 

祐一「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ…。千歌ちゃん。」

俺は赤ん坊をあやすように千歌ちゃんの頭を撫でる。

 

 

 

しばらくこの時間が続き、ようやく千歌ちゃんは泣き止んでくれた。

 

千歌「ご、ごめんね…。恥ずかしいところを見せちゃって。」

 

祐一「全然だいじょうぶだよ?それに千歌ちゃんが無事で本当に良かったよ!」

 

千歌「あ、ありがとう///」

 

祐一「さあ、ちょっと遅くなっちゃたけどご飯食べに行こうか!俺安心したらお腹減ってきちゃったよ!」

俺は安心したせいか、だいぶ空腹だ。

 

千歌「うん!千歌もお腹減っちゃった!」

と千歌ちゃんは俺に笑いかけてきた。

 

やっぱり千歌ちゃんは笑顔が似合う。

そう俺は1人思いながら、2人で手を繋ぎながら晩御飯を食べに向かった。

 

千歌ちゃんの手には暖かい温もりが戻っていた。

 

―――――――――――――――――

 

晩御飯を食べ終わり、俺たちは満足していた。

 

祐一「はぁー、美味しかった!」

 

千歌「そうだね!また来ようね!」

 

祐一「うん!」

 

千歌「そろそろ、いい時間だし帰ろっか。」

千歌ちゃんの言葉に、俺は時計を確認した。時刻は20時過ぎ。確かにそろそろいい時間だ。

 

祐一「そうだね!あっ、俺ちょっとだけ寄りたいところあるからここで待っててもらってもいい?」

 

千歌「そうなの?わたしも行くよ?」

 

祐一「いや、ホントにちょっとしたことだから大丈夫だよ!そんなに時間もかからないし。」

 

千歌「そっか…。わかった!待ってるね!」

 

祐一「うん!早く帰ってくるからね!」

 

千歌「行ってらっしゃい!」

俺は走って目的の場所まで向かった。

 

 

 

 

俺はアクセサリーショップの前で足を止める。

 

祐一「よかった…。まだ空いてる。」

俺はアクセサリーショップに入り、先程取り置きしてもらったネックレスを探し店員さんに声をかける。

 

祐一「すみません!」

 

店員「はい!あっ、先程の…。少々お待ちくださいね。すぐにお持ちします!」

店員さんも俺のことを覚えていてくれて、すぐに俺の欲しいネックレスを持ってきてくれた。

 

店員「こちらで、お間違いございませんか?」

 

祐一「はい!それでお願いします!いくらですか?」

 

店員「はい、こちら一点で5000円でございます。」

 

祐一「えっ?」

俺は驚いた。なぜかというと、俺が先程見たときは8000円と値札に書いてあったからだ。

 

祐一「あれ、そんなに安かったですか?」

 

店員「いえいえ、少しサービスさせていただきました!お客様は見たところ大学生だと思いましたので、ささやかですが私からの応援の気持ちでございます。」

と店員さんは笑顔で言ってくれた。

 

祐一「そんな…。悪いですよ。」

 

店員「いえいえ、お客様あっての商売ですので。それに、これは私個人の気持ちですのでどうか受け取ってください。」

 

祐一「そ、そうですか?ではお言葉に甘えさせていただきます!ありがとうございます!」

俺は店員さんにお礼を言って会計を済ませた。

 

そして店から出る直前に、

店員「ありがとうございました!今度は本当の恋人としてのご来店を心よりお待ちしております!」

店員さんは笑顔でそんなことを言ってきた。

 

俺は驚くが、

祐一「はい!絶対また来ますね!本当にありがとうございました!」

改めてお礼を伝え店を出て千歌ちゃんの元へ向かった。

 

 

 

祐一「ハァハァ、おまたせ千歌ちゃん!」

 

千歌「あっ、祐一くん!おかえり〜!もう用事は大丈夫?」

 

祐一「うん、だいじょうぶだよ!」

 

千歌「じゃあ、帰ろっか!」

千歌ちゃんはそう言い帰ろうと歩を進めたが、俺はそれを呼び止めた。

 

祐一「待って、千歌ちゃん!」

俺の言葉に千歌ちゃんは振り返りキョトンとしている。

 

千歌「どうしたの??」

 

祐一「実はね、千歌ちゃんに渡したいものがあるんだ!はい、これ。」

俺は手に持っていた袋を千歌ちゃんに手渡す。

 

千歌「私に渡したいもの?」

 

千歌「開けてみてもいい?」

 

祐一「どうぞ!」

 

千歌ちゃんが袋を開けると、そこには俺が選んだオレンジトパーズのネックレスが入っていた。

 

千歌「わぁ!綺麗なネックレス!私にくれるの?」

 

祐一「もちろん!さっきアクセサリーショップに行った時、俺も曜ちゃんに似合いそうなの探してたんだけど偶然それを見つけてね。千歌ちゃんに似合うだろうなって思って取り置きしておいてもらったんだ。」

 

千歌「私のために…。ありがとう。早速つけてもいい?」

 

祐一「もちろん、よかったら俺がつけるよ!」

 

千歌「ホント!?じゃあお願いしようかな///」

 

祐一「じゃ、後ろ向いてもらえる?」

千歌ちゃんは後ろを向き、俺はネックレスをつけてあげた。そして千歌ちゃんが振り返ると千歌ちゃんにやはり似合っていた。

 

千歌「どう…かな///」

 

祐一「うん!よく似合ってるよ!千歌ちゃんにピッタリ!」

 

千歌「あっ、ありがとう///すっごい嬉しい!」

千歌ちゃんは今日1番の笑顔で言ってきた。

 

祐一「っ///」

 

 

ダメだ…かわいすぎ…///

 

 

 

俺は心臓の鼓動が早くなるのを感じた。

 

祐一「そ、それじゃ、帰ろっか!」

俺は高鳴る心臓をなんとか抑え千歌ちゃんに言った。

 

千歌「うん!今日は本当にありがとね、楽しかった!」

 

祐一「俺もだよ、今日は楽しかった!ありがとう、千歌ちゃん!」

俺は笑顔でそう伝えた。

 

 

 

その後俺たちは仲良く、手を繋ぎながら帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!

今後も4日以内に投稿できるように頑張りたいと思います!

次回もまったり、暇つぶし程度にお待ちください!


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Day9 ゴールデンウィーク(1)


どうも甘党ゴンザレスです!

5thライブの前に後1話投稿できればと思います!

それでは本編どうぞ!!


あのお出かけから時間が経ち、翌週に曜ちゃんの誕生日パーティーを俺たち5人で開催して、曜ちゃんを大号泣させて大成功に終わった。そして今週の授業を終えたらゴールデンウィークに突入する。そんな中俺たちがいつものように授業を受け終えた時に千歌ちゃんが俺たちに言ってきた。

 

千歌「そう言えば、祐一くんと怜くんはゴールデンウィークどうするの?」

 

怜「俺たちは特に予定は無いな。なっ、祐一。」

 

祐一「そうだな、実家にも最終日に帰るだけだから特に予定は無いな。」

 

曜「えぇ〜、折角のゴールデンウィークなんだからどっか行こーよ!」

曜ちゃんの言うことは間違いない。

 

祐一「そうだよね…。どっか行きたいとは思うんだけど…。どこ行こうかな?ってね。」

 

梨子「じゃあ、私たち静岡の実家に帰省するし一緒に行く?」

 

祐一・怜「「えっ??」」

 

千歌「それいい!一緒に行こうよ!」

 

祐一「でも、折角の帰省なのに俺たちが行っちゃったら邪魔じゃないの?」

 

曜「そんなことないよ!2人がいてくれると楽しいし、邪魔なんかじゃないよ!」

 

怜「そう言ってもらえると俺らも嬉しいんだけど…。祐一、どうする?」

 

祐一「うーん、そうだなぁ…。」

俺はどうするか考えていると、千歌ちゃんが俺に向かって、

千歌「ダメ…かな?」

潤んだ瞳でそう言ってきた。それどころか梨子ちゃんと曜ちゃんも同じように潤んだ瞳で俺たちをみている。

 

祐一「えっ、ええっと…。じゃ、じゃあ折角だし行こうかな?なっ、怜?」

 

怜「おっ、おう。そうだな。折角だし…。」

 

祐一・怜((あんな目されたら断れねーよ…。))

 

俺たちは千歌ちゃんたちにやられ、千歌ちゃんたちの実家への帰省に参加することが決まった。

 

千歌「わーい!!楽しみになってきた!」

 

梨子「ふふっ。私も楽しみになってきた♪」

 

曜「よーし!2人に内浦の魅力いっぱい伝えるよ!ヨーソロー!」

まぁ、みんな嬉しそうにしてるし迷惑ではなさそうなのでよかった。

 

祐一「そう言えば、いつから帰るの?」

 

梨子「一応、今週の授業が終わった後の電車で帰ろうと思ってるよ!」

 

祐一「わかった!それまでに俺たちも用意を済ませておくよ。」

 

怜「ん?」

怜が疑問に思ったことを口にする。

 

怜「そう言えば、俺たちホテルとかなんも予約取ってないけどどうすればいいの?」

 

祐一「あっ、確かに…。流石に今からじゃもう予約も取れないしな…。」

 

千歌「それならうちに来なよ!うち旅館だし使わない部屋もあるから泊まれると思うよ!今、お母さんに聞いてみるよ!」

と千歌ちゃんはスマホを取り出し聞いてくれている。

 

祐一「ありがとう!ごめんね、俺らのせいで手間かけちゃって…。」

 

千歌「いいの、いいの!気にしないで!あっ、お母さん。あのね……。」

 

千歌ちゃんが確認を取ってくれてるときに、俺たちは梨子ちゃんと曜ちゃんと話していた。

 

曜「そう言えば2人は静岡来たことあるの?」

 

怜「いや、部活の遠征では行ったことはあるんだけど、旅行とかでは行ったことないなぁ。」

 

祐一「そうだね、俺も怜と同じかな?」

 

曜「じゃあ、私たちが静岡の魅力いーっぱい教えてあげるね!」

曜ちゃんはニヒッと無邪気に笑いながら言ってきた。

 

怜「おっ、よろしくお願いします!船長!」

怜はビシッと敬礼をする。

曜「もっちろん!任せるであります!」

曜ちゃんも敬礼で返す。

 

梨子「ふふっ、曜ちゃんはよっぽど楽しみなんだね♪」

 

曜「うん♪やっぱり、大勢の方が楽しいからね!」

 

祐一「そう言ってもらえると俺たちも嬉しいよ!ありがとね、曜ちゃん、梨子ちゃん!」

俺は2人に笑いかけた。

 

すると何やら2人は顔を赤くしてヒソヒソ話し始めた。

 

梨子「千歌ちゃんは、あの笑った顔に堕とされたんだね…///」

曜「ヨ、ヨーソロー…///」

梨子ちゃんと曜ちゃんが俺の方を見て何か呟いていた。もちろん、俺には聞こえていない。

 

あれ?

もしかして、俺悪口言われてる?

 

俺はそう思ってしまい、落ち込んでいると。

 

千歌「おまたせ!うちに泊まっていいって、2人とも!」

千歌ちゃんがこの空気を打開してくれた。

 

怜「ありがとう、千歌ちゃん!」

 

祐一「ありがとう、お世話になるね!」

 

千歌「じゃあ、週末になったらみんなで内浦に帰ろー!」

 

全員「「「「「おー!!!」」」」」

 

こうして俺たちは千歌ちゃんたちの実家へに帰省についていくことになり週末までに準備を進めるのであった。

 

――――――――――――――

 

週末を迎え俺たちは東京駅から内浦へ向かうために電車に乗り込んだ。

 

怜「いやー。楽しみだな!内浦ってどんなとこなんだろうな?」

 

祐一「そうだな。俺も楽しみだよ!」

 

梨子「ふふっ♪私も高校の時引っ越した時は不安だったけど、住んでみるとすごい良いところだよ!なんて言うか、みんな暖かくて過ごしやすい環境なんだ…。」

どこか梨子ちゃんが懐かしい表情をしていた。

 

曜「そうそう!食べ物も美味しいし、何より海が綺麗なんだ!」

 

祐一「ヘぇ〜、ますます楽しみになってきたよ!」

俺がそう言うと俺は右肩に少し重みを感じた。

 

梨子「あらっ、千歌ちゃんたら♪」

 

千歌「すぅ…すぅ。」

重みの正体は千歌ちゃんだった。一定のリズムで寝息を立てていて気持ちよさそうに眠っている。その寝顔はかすかに笑っている気がした。

 

曜「千歌ちゃんね、祐一くんと怜くんと一緒に行けるのすごい楽しみにしてたんだよ!帰ったらどこ連れて行こうかなとか考えててすごい楽しそうだった。あんなに楽しそうな千歌ちゃん久しぶりに見たよ!」

 

怜「そうだったんだ!なんだか照れるなぁ///」

 

祐一「そうだな///」

 

曜「ほんとだよ!私も楽しみだもん♪」

 

梨子「そうよ!私だって楽しみだったんだから///」

とみんな楽しみにしていてくれてたみたいで嬉しい。それからなんだか梨子ちゃんが顔を赤くしながら怜の方を見ている。

 

おっ、もしかしてこれは!!

 

俺は梨子ちゃんの耳元でヒソヒソ呟いた。

 

祐一「もしかして、梨子ちゃん怜のこと…。」

 

梨子「っ///」

 

梨子「な、何言ってるの!祐一くん///!」

 

祐一「やっぱりね♪大丈夫、応援するよ?あいつの好きなものとか色々教えるから!」

俺は梨子ちゃんにからかうように伝えた。

 

梨子「…お願いします…///」

 

梨子「私も祐一くんに協力するね♪千歌ちゃんのこともっと教えてあげる!」

 

祐一「えっ///」

 

祐一「な、なんのことかな…。アハハ///」

 

梨子「祐一くんもわかりやすいのよ。それに私をからかった罰よ♪」

梨子ちゃんは悪戯っぽく俺に笑いかける。

 

祐一「はぁ…。俺ってそんなわかりやすいかな…?」

 

梨子「クスッ、わかりやすいわよ♪気づかないのは千歌ちゃんくらいよ?」

 

 

 

今度は梨子ちゃんにからかわれる俺であった。

 

 

――――――――――――――

 

そうこうしているうちに千歌ちゃんの実家の最寄駅についた。

 

祐一「千歌ちゃん、着いたよ!」

かれこれ2時間近く寝ていた千歌ちゃんの肩を叩き起こした。

 

千歌「ふぇ?」

千歌ちゃんはヨダレを垂らしながら起きた。

 

祐一「おはよう!それにヨダレ出てるよ。」

俺はハンカチを取り出し千歌ちゃんのヨダレを拭いた。

 

千歌「わぁ!ご、ごめんね///」

千歌ちゃんは飛び起きて俺に謝ってきた。

 

祐一「大丈夫だよ?さっ、降りよっか!」

俺たちは電車から降りて、改札から出る。

 

するとそこには1台の車が止まっていた。

 

??「おーい、ちかー!」

 

千歌「あっ、美渡ねぇ!!」

千歌ちゃんが勢いよく走って行った。どうやら千歌ちゃんのお姉さんらしい。見た目は千歌ちゃんをさらに活発にしたような見た目で、やはり千歌ちゃんと似ている気がする。

 

美渡「おっ、君たちが千歌が言ってた友達だな!私は高海美渡、千歌の姉だ。よろしく!」

 

怜「はじめまして!自分は相田怜と言いますよろしくお願いします!」

 

祐一「はじめまして!自分は沖田祐一と言います。この度は本当にありがとうございます!」

 

美渡「あぁ、よろしく!君が怜くんで、ふーん君が祐一くんか♪」

 

祐一「あの?俺に何か付いてますか?」

 

美渡「いやいや、千歌からいつも話聞いてるからさ!ちょっと気になってね。イケメンだし誠実そうじゃん!千歌、お前嫁に貰ってもらえよ♪」

そう言った美渡さんの言葉で俺は一気に顔が赤くなった。

 

千歌「み、美渡ねぇなに言ってんの!///祐一くんを困らせないで!」

 

美渡「それはさておき、じゃあ行くか!最初は曜ちゃん送るよ!みんな車に乗りな!」

 

千歌以外「「「「おねがいしまーす!」」」」

 

千歌「もう!!私の話きいてよー!!」

千歌ちゃんの叫びがこだました。

 

 

そして、曜ちゃんを送り届け千歌ちゃんの家に着いた。梨子ちゃんの家はなんと千歌ちゃんの家の隣でまさにご近所さんだった。千歌ちゃんの家の前で梨子ちゃんと別れを告げ俺たちは千歌ちゃんの家の玄関を開けた。

 

千歌「ただいま〜!!」

 

祐一・怜「「お、お邪魔します」」

千歌ちゃんは元気よく入っていくが、俺と怜は緊張しながら千歌ちゃんの後に続いて入り挨拶をする。

 

??「あら、おかえりなさい!千歌ちゃん。それにお友達もよくお越しくださいました!」

綺麗な女性が俺たちを迎え入れてくれた。

 

俺は綺麗な人だなと思い千歌ちゃんのお母さんかな?と思ったが、千歌ちゃんがいった言葉でそれは間違いだと知った。

 

千歌「ただいま!志満ねぇ!」

 

怜「えっ!千歌ちゃんのお姉さん!?」

やはり怜も驚いている。

千歌「そうだよ!1番上でとっても優しい志満お姉ちゃん!」

 

志満「あらあら、嬉しいこと言ってくれるわね♪」

 

驚いたのは事実だが、まずは自己紹介をする。

 

祐一「はじめまして、自分は沖田祐一と申します。今日からお世話になります!よろしくお願いします!」

 

怜「自分は相田怜と言います。よろしくお願いします!」

 

志満「ご丁寧にありがとうございます。私は千歌の姉で高海志満と言います。こちらこそよろしくお願いします♪」

 

志満「怜くんに。君が祐一くんね♪千歌ちゃんからよく話は聞いてるわ♪すごいイケメンさんね♪」

 

祐一「い、いや…。自分なんて…///」

こんな綺麗で美人な人に言われると流石に照れる。

すると千歌ちゃんから視線を感じた。

祐一「??どうしたの、千歌ちゃん?」

 

千歌「なんでもない!」

千歌ちゃんはプイッとそっぽを向いてしまった。

 

志満「あらあら♪さぁお腹空いてるでしょ?今日は父さんが腕によりをかけてご飯作ってるからいっぱい食べてね!」

 

祐一・怜「「はい!ありがとうございます!」」

俺たちは上がり食事をいただいた。

 

――――――――――――――

 

食事はどれもとても美味しかった。お世辞抜きでまた食べたい。これがまた食べられると思うと嬉しくてたまらない。

 

そして俺は今食事を済ませお手洗いに向かっている。すると1人の男性が俺の方に歩いてきた。

 

??「君が祐一くんかい?」

 

祐一「はい!そうですが、あなたは?」

 

??「申し遅れた。俺は千歌の父親で高海優吾と言う。よろしく。」

 

祐一「あっ、千歌さんのお父さんでしたか!自分は沖田祐一と申します。こちらこそよろしくお願いします!先程は美味しい食事をありがとうございました!とても美味しかったです!」

俺は千歌ちゃんのお父さんに改めて挨拶をした。

 

優吾「あぁよろしく。そう言ってもらえると俺も嬉しいよ。ところで祐一くんこの後は時間あるかい?」

 

祐一「はい、大丈夫ですが?」

 

優吾「そうか、では少し休んだらでいいから俺の部屋に来てくれるかい?2人で話したいことがあるんだ。」

 

祐一「わ、わかりました。お部屋はどこにありますか?」

 

優吾「あぁ、この先の角を曲がった突き当たりにあるからそこに来てくれ。」

 

祐一「わかりました。では、後ほど伺わせていただきます。」

 

優吾「ああ、ありがとう。待ってるよ。」

そう告げた千歌ちゃんのお父さんの優吾さんは厨房へと帰っていった。

 

 

緊張したせいかふぅとため息をついた。

 

そこで我に帰り俺はふと思い返す。

 

あれ?

 

 

俺なんか今の状況まずくね?

 

 

そう思った俺はゆっくり休むことができなかった…。

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!!

ゴールデンウィーク編スタートです!

いきなりの千歌パパからの申し出、祐一はどうなるのでしょうか?

次回祐一、死す。
とはなりませんが、まったりお待ちください!


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Day10 ゴールデンウィーク(2)


どうも甘党ゴンザレスです!!

Aqoursのライブ前に上げれず申し訳ありませんm(_ _)m

Aqours感動をありがとう。これからもずっと応援します!!


それでは、本編どうぞ!!


俺は今千歌ちゃんのお父さんの部屋へ向かっている。額から汗がにじみ出て、手汗をかいていることから自分自身緊張していることがわかる。俺の心臓は部屋に近づくにつれて鼓動を早めていく。一歩一歩の足取りがだんだん重くなってきた。

 

そして千歌ちゃんのお父さんの部屋の前に着き、俺は大きく深呼吸をしてからドアをノックした。

 

コンコン

 

祐一「沖田です。入ってもよろしいですか?」

 

優吾「どうぞ。」

中から優吾さんの声が聞こえたので、俺はドアを開けた。

 

祐一「失礼します。」

 

優吾「よく来てくれたね。疲れているところを申し訳ない。さぁ、こっちに来てくつろいでくれ。」

 

祐一「はい。では、失礼します。」

俺は優吾さんの近くに腰を下ろした。

 

そして俺は話の内容を知るために口を開ける。

 

祐一「それで自分に話と言うのは何ですか?」

 

優吾「あぁ、そのことなんだがなぁ…。」

 

ゴクリ

 

俺は息を呑み優吾さんから言われる言葉を待った。

 

優吾「君と千歌はどういう関係なんだい?恋人かい?」

 

 

 

・・・へ?

 

 

 

祐一「へっ??」

俺は優吾さんから言われた言葉に素っ頓狂な声が出てしまった。

 

優吾「いやー、いつも妻から聞いていてね。千歌が君の話を嬉しそうにしているっていうからどんな子なのか気になってね?もし彼氏だったら、一度腹を割って話そうと思ったんだけど、もしかして違うのかい?」

そう言いながら優吾さんは煙草に火をつけた。

 

祐一「は、はい。千歌さんとはとても仲良くさせていただいていますが、決してお父さんが疑うような関係ではありませんので安心してください。」

 

優吾「なんだ、違うのか…。俺はてっきりそうだと思っていたんだが勘違いか。でも、千歌が男を連れてくるなんて初めてだから、きっと君たちの事を気に入ってるんだろう。あんなに嬉しそうにしている千歌を見たのは久しぶりだよ…。俺の前ではあんな笑顔はここ数年見せてくれていなからね…。」

優吾さんはどこか悲しそうな表情をしている。

 

祐一「えっ、そうなんですか?」

 

優吾「ああ、そうなんだよ…。言い訳になってしまうが、俺はこの旅館を経営して厨房に入っている事が多いから自然と千歌と顔を合わせる機会が少なくてね。高校の時スクールアイドルをやるってことも妻から聞いたからね。でも、あの子が自分から何かをやりたいって言い出すことが無かったから俺としては嬉しかったんだ。」

 

優吾「でも、あの子が苦しんでいる時俺は父親として何かをやってあげられることができなかった…。子供が苦しんでいるのにも気づけずに全部友達や妻、美渡、志満に任せっきりになっていた。俺は自分の娘のことを何も知らない…。俺は本当にあの子の父親として胸を張れるのか、あの子は本当にこんなダメな親父の子供で幸せだったのかすごい不安なんだ…。本当に父親として情けない…。」

 

祐一「…。」

俺は優吾さんの話をしっかり聞いてた。

 

父親としての責任、自分の娘なのに苦しんでいる姿を気づけなかった自分の不甲斐なさ、いろんな感情が混ざり合い不安となって優吾さんは苦しんでいた。

 

だが、

 

祐一「お父さん、自分はお父さんはしっかり千歌さんの父親として胸を張るべきだと思います。」

 

優吾「えっ?」

 

祐一「自分が言うのはお門違いだとは思いますが、千歌さんは本当に素直で魅力的な女性です。嬉しい時は笑い、悲しい時には泣ける。すごい感情表現が豊かでそんな風に感情を素直に表せられるのは間違いなく育った環境の良さです。千歌さんは言っていました。ラブライブに優勝できたのはたくさんの人に支えられたからと、その中にはお父さんも絶対入っていると思います。それに千歌さんの事を知らないならこれから知ればいいんです!お父さんはすごい素敵な人です。こんなにも千歌さんの事を大切に思って、愛しているんですから…。」

 

祐一「千歌さんだってきっとお父さんのことが大好きだと思います。恥ずかしくて口に出しては言えないかも知れませんが、感謝していると思います。それに、お父さん、お母さん、志満さん、美渡さんが千歌さんにいっぱい愛情を注いだからこそ今の千歌さんがあるんだと思うんです。あんなに素晴らしい娘さん育てたんです。だからもっと胸を張ってください!」

俺は優吾さんに向かって自分の気持ちを伝えた。

 

優吾「そうか…。俺は千歌の父親として胸を張っていいのか…。」

 

祐一「はい、もちろんです!」

 

優吾「ありがとう…。何故かわからないけど君に言われると不思議と信じられる。」

 

祐一「あっ、す、すいません…。若造が上から物申してしまって…。」

 

優吾「いや、いいんだ。むしろ感謝している。」

 

祐一「い、いえ、そんな…。」

 

優吾「でも、千歌が君のことを気に入った理由がわかったよ。」

 

祐一「えっ?」

 

優吾「いや、なんでもない。気にしないでくれ。」

 

優吾「最後に確認していいかい?」

 

祐一「はい?なんでしょうか?」

 

優吾「祐一くん、千歌のことは好きかい?」

 

祐一「はい!もちろんです。」

 

優吾「そうか。それは友人としてかい?それとも1人の女性としてかい?」

 

祐一「っ!」

 

俺は何故か即答できなかった。俺は千歌ちゃんを1人の女性として好きだ。だけど優吾さんの真剣な眼差しに圧倒され即答する余裕がなかった。

 

俺はこの人に恐怖してしまった。

 

しかし、この人はもし俺と千歌ちゃんが恋人になれた時、将来的に結婚することができるのなら乗り超えなければならない人だ。

 

正直、今の俺ではこの人を超えられない…。俺はこの人のように強くない。今は自分の弱さを認めよう。

 

だけど、いつかはこの人に認められるようになりたい。

 

この人のように自分の弱さを認め、真っ直ぐに、

 

 

 

祐一「じ、自分は…。」

 

 

 

誰かを愛せるように…。

 

 

 

 

 

 

 

祐一「1人の女性として千歌さんが好きです!」

俺は慎吾さんから視線を外すことなく言い切った。

 

優吾「…君の気持ち、確かに聞いた…。今は君の言葉を信じよう。これからも娘のことをよろしくお願いします。」

優吾さんは深々と俺に向かって頭を下げた。

 

祐一「こちらこそ、もしもの時が来ましたら、改めて自分の決意を証明しに来ます。」

 

優吾「ああ、今度うちに来るようなことがあれば千歌の恋人として俺の前に来てくれ。俺も君を気に入った。だから、俺の期待を裏切らないでくれよ?」

 

祐一「は、はい!」

 

優吾「いい返事だ!今日はいきなり呼び出してすまないね。祐一くんの気持ちも聞けたし、俺は満足だ。明日も千歌たちと出かけるんだろ?部屋に戻ってゆっくりやすみなさい。」

 

祐一「いえ、とんでもありません。自分もお話しできて光栄でした。ありがとうございます!では、失礼します。」

俺は頭を下げ、部屋から出ようとした。

優吾「そうだ、祐一くん」

 

祐一「はい、なんでしょうか?」

 

優吾「俺からのアドバイスだ。千歌は笑顔を絶やさない人が好きだぞ!」

 

祐一「はい!わかりました、ありがとうございます!」

そう聞いた俺は優吾さんに今できる最高の笑顔で答えた。

 

優吾「うん!いい笑顔だ。じゃあ、おやすみ。」

 

祐一「はい、おやすみなさい!失礼します。」

 

優吾さんに挨拶を済ませ俺は、部屋に戻った。部屋に帰ると怜がいろいろ聞いてきてうるさかったが俺は適当にあしらって眠りにつくことにした。明日は千歌ちゃんたちにいろいろ案内してもらう予定だ。

折角案内して貰うのに寝不足だったら申し訳ない。なので俺は早く寝るため部屋の明かりを消し、怜に『寝ろ』と伝えて眠りについた。

 

――――――――――――――――――

 

翌朝俺たちは千歌ちゃん達と伊豆・三津シーパラダイスへ向かっていた。

 

地元の人はここを『みとしー』と呼ぶらしい。

 

みとしーに入ってすぐにマスコットキャラクターのうちっちーが出迎えてくれた。

 

曜「うちっちー!会いたかったよ〜!!」

曜ちゃんがうちっちーに抱きついた。

 

梨子「曜ちゃんは本当にうちっちーが好きね♪」

 

曜「うん!だって、可愛いんだもん♪」

 

祐一「ホントだね!めちゃめちゃかわいい!俺も抱きつこ〜」

俺も抱きついた。

 

祐一「うわー、ふかふかだ〜。」

俺はだらしない顔でうちっちーに抱きついている。

 

千歌「いいなぁ…。うちっちー…。」

千歌ちゃんは小声で呟いていた。

 

怜「千歌ちゃんは、祐一に抱きついてもらいたいのかな?」

怜はニヤニヤしながら千歌ちゃんに言った。

 

千歌「ち、違うもん///」」

 

千歌「ち、千歌は、別に…。」

 

怜「いいじゃん、いいじゃん!俺は応援してるよ!」

 

千歌「もお〜、怜くんのイジワル。」

 

怜「ごめんごめん。悪ふざけはこれくらいにして、行こうか?おい、祐一、曜ちゃん、行くぞ〜。」

 

曜「ヨ〜ソロ〜」

 

祐一「俺はうちっちーと一緒に暮らすんだ。」

完全に俺達はうちっちーに夢中になっていた。

 

怜「おい、早くしないと置いて行くぞ。それに、祐一。千歌ちゃんが拗ねちゃうぞ!」

 

千歌「ちょ、何言ってんの、怜くん!///」

 

祐一「わかったよ…。じゃあね、うちっちー…。」

 

曜「バイバイ、うちっちー♪」

 

俺と曜ちゃんはうちっちーに別れを告げ、みとしーに入っていった。

 

 

みとしーの中はすごい綺麗で驚いた。特にクラゲ万華鏡はすごかった。本当の万華鏡のように色を変えていくクラゲ達を見て俺はただ唯見惚れてしまった。その他にもイルカショーを見て俺たちは終始はしゃいでいて、俺と怜はイルカを見る機会があまり無かったので本当に楽しくて夢中で見ていて本当に楽しむことができた。

 

他にも美味しいお店や遊ぶ施設色んなところを案内してもらって、楽しい思い出が出来た。地元の人たちも暖かくて俺たちはとても内浦を気に入った。

 

そして、最後に千歌ちゃん達がどうしても行きたいところがあると言ってきたので俺たちはついていくことにした。

 

場所は、

 

浦の星女学院

 

俺たちは今バスに揺られ浦の星女学院へ向かっている。そしてバスを降り坂道を登っていると1つの学校が見えてきた。

俺たちはゆっくりと校門の前にいき、立ち止まる。

 

祐一「ここが、浦の星女学院…。」

 

千歌「そう、ここが私たちが救いたかった浦の星女学院…。」

千歌ちゃんは悲しそうに呟く。

 

千歌「ここにはね、いろんな思い出が詰まってるの…。」

 

梨子「そうね…。」

 

曜「本当にいろんな思い出をこの学校から貰ったよ…。」

 

千歌「ここでスクールアイドルを始めて、みんなと出会ってたくさんのことがあった。楽しいことも、辛いことも。全部この学校が教えてくれた…。でも…わたしは…この学校を…救えなかった…。」

千歌ちゃんの瞳から一粒の涙が溢れる。

 

曜「千歌ちゃん…。」

 

梨子「千歌ちゃんのせいじゃないよ…。」

曜ちゃんと梨子ちゃんは千歌ちゃんを優しく抱きしめる。

 

祐一「でも、この学校の名前はラブライブに残したんだよね?」

 

梨子「うん…。でも結局学校の廃校は阻止出来なかった…。」

 

祐一「それでも俺はAqoursを尊敬する。それにみんながやってきたことは絶対無駄にならないと思う!この学校だって、きっとAqoursのみんな、学校のみんなに感謝してるよ。必死に守ろうとしてくれてありがとうって。だから、もっと胸を張って欲しい。」

 

怜「祐一の言う通りだよ。俺はこの学校のことをよく知らないけど、みんなからこの学校が大好きだったって気持ちは痛いほど伝わってくる。ここで、俺が大好きなAqoursが生まれたんだ。俺も感謝の気持ちでいっぱいだよ。」

 

祐一「俺だって感謝の気持ちでいっぱいだよ。だってこんなにみんな素敵な人で、みんなが学校のことを大好きなんだ。それだけで俺にはこの学校がどれだけ魅力があったのかわかる。そんな学校で千歌ちゃんたちは過ごせたんだよ。だからこの学校で過ごした日々、思い出を胸に刻んで過ごしていれば、自分たちの中ではいつまでも大切なものとして残り続けると思う。」

 

祐一「そして、これからは笑ってこの学校の思い出を語ろうよ。そうすればきっとこの学校も嬉しいと思うし、魅力も伝わると思う。もう廃校は決まっちゃってるかも知れないけど、千歌ちゃんたちが笑って学校のことを話すことをこの学校も望んでると思うよ?」

俺と怜はそれぞれが思っていることを3人に伝えた。

 

梨子「そう…だよね。私たちが笑ってなきゃ学校も悲しいもんね。」

 

曜「私も、浦の星女学院で本当によかったって心の底から思ってる。」

 

梨子「だから、これからはここに来ても悲しい顔をするんじゃなくて…。」

 

曜「笑顔でこの学校の思い出を話そう!」

2人はどうやら元気になったようだ。

 

千歌「うん…。私もこの学校が大好き!だからもう泣かない!私も笑ってこの学校の思い出をみんなに伝えるんだ!」

千歌ちゃんも曇った表情から清々しい表情になった。

 

祐一「そうだよ!千歌ちゃん、この学校の思い出は千歌ちゃんたちだけのもの…。その思い出を話せるのは他でもない、千歌ちゃんたちなんだ!だから、浦の星女学院の為にも千歌ちゃんたちが楽しかった日々を教えてあげようよ!」

 

千歌「うん!祐一くん、怜くん。」

 

千歌・梨子・曜「「「ありがとう!」」」

 

 

3人は眩しすぎるくらいの笑顔で俺たちに言ってきた。

 

 

怜「いいえ、俺たちは本当のことを言ったまでだよ。」

 

祐一「そうだよ。俺たちもこの学校が好きになった。こっちこそありがとう。」

 

千歌ちゃんたちは改めて浦の星女学院の思い出を語ってくれた。学校での日々を語ってくれてた彼女たちの表情はとても晴れやかで、本当に楽しそうだった。そんな彼女たちの話を聞き俺たちも改めて浦の星女学院で過ごした千歌ちゃんたちがどれだけ素敵な日々を送ってきたのか、理解することができた。

 

そして学校の前で、話し込んでいるとあたりは日が落ちてきていてすっかり暗くなってきた。

 

祐一「さて、そろそろ暗くなってきたし帰ろうか!」

 

千歌「そうだね!ねぇ今日はうちでお泊まり会しない?明日には東京に帰るから。」

 

曜「賛成でありま〜す!!」

 

梨子「うん、私も賛成♪」

3人は乗り気だった。

 

祐一「俺たちもいいよ!なっ、怜!」

 

怜「もちろん、断る理由がないぜ!」

 

千歌「よーし、決まりね!そうと決まればうちに向かって…。」

 

曜「全速前進!!」

 

 

全員「「「「「ヨーソロー!!」」」」」

 

 

俺たちはバス停まで走っていった。

 

 

 

 

そして、夜はみんなでひとしきり話をして寝ることにした。

 

 

 

明日は内浦から東京へと帰る。

 

俺は内浦での思い出を決して忘れないだろう。

 

こんなにも楽しく、暖かい思い出をくれた内浦。

 

帰るのは少し寂しいがまたみんなと来ればいい。

 

 

 

そう心の中で思い、俺は冷めやらぬ興奮の中眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!

次回も4日以内には投稿できるように頑張りますのでよろしくお願いします!



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Day11 ゴールデンウィーク前半終了!


どうも甘党ゴンザレスです!!

私ごとではありますが、7月の頭に試験がありますのでこれから投稿するのが難しくなります。
更新頻度が落ちてしまいますが、試験が終わりましたら投稿を今まで通りのペースでやっていきたいと思います。

前置きが長くなり、申し訳ありませんm(_ _)m

それでは本編どうぞ!!


俺は翌日朝の6時に目が覚めた。

 

まだみんな寝ている。

 

俺は布団をたたみ部屋を出て1人で海へと向かった。

 

砂浜に腰掛け海を眺めていると昨日の千歌ちゃんたちとの会話が蘇ってくる。千歌ちゃんたちが大好きな景色、こんなに素敵な場所を俺は他に知らない。

 

本当に今回千歌ちゃんたちに誘ってもらえて感謝の気持ちでいっぱいだ。最初は帰省の邪魔になるんじゃないかと不安な気持ちだったけど、来てよかった。

 

俺が海を眺めていると誰かが俺の目を手で覆ってきた。

 

??「だ〜れだ♪」

 

俺は一発でわかった。だが、あえて答えずにとぼけてみる。

 

祐一「えー、わからないな。誰だろう?」

 

??「もぉ〜!なんで、わからないの!!」

どうやら、声の主は少しご機嫌斜めになってしまっているようだ。悪ふざけもここまでにして俺は1人の女の子の名前を呼ぶ。

 

祐一「嘘だよ。千歌ちゃん。ちゃんとわかってるよ!」

 

千歌「もう!わかってるなら答えてよ!」

千歌ちゃんは手を離して俺の目の前で頬を膨らませて怒っている。

 

俺が間違えるはずがない。

 

自分でも不思議なんだけど、ここに来れば千歌ちゃんが来てくれる気がした。

 

そうしたら本当に来てくれた。

 

千歌「そう言えば、祐一くんはなんでここにいたの?」

 

祐一「なんか、ここに来れば千歌ちゃんが来てくれるんじゃないかなって思ってたんだ。だからかな?それに海を見て色々思い出してたんだよ。」

 

千歌「そ、そうなんだ!千歌も祐一くんがいるんじゃないかと思って来たんだ…///」

そう千歌ちゃんは照れくさそうに言いながら俺の横に腰掛けた。

 

祐一「そうだったんだ…。なんか嬉しいな///」

俺も照れ笑いで千歌ちゃんに微笑みかける。

 

千歌「っ///ずるいよ…///」

千歌ちゃんが小声で呟いているが、俺にはしっかりと聞こえた。

 

祐一「何がずるいの?」

 

千歌「ふぇっ!き、聞こえてた?///」

 

祐一「うん、なんか千歌ちゃん顔赤いよ?」

 

千歌「な、なんでもないよ///気にしないで!」

 

祐一「そう?ならいいんだけど…。」

 

千歌「そうだ!祐一くん、内浦は楽しんでもらえたかな?」

千歌ちゃんが俺に聞いてきた。

 

祐一「もちろん!すごい楽しかった!地元の人もみんな暖かいし、みとしーもテンションあがっちゃったよ。ご飯も美味しいし来てよかった!」

 

祐一「それに一番の思い出は浦の星女学院を見れて、千歌ちゃんたちがたくさんの思い出をあの学校から貰ったことを知れて嬉しかったことかな…」

 

祐一「だから…ありがとう。千歌ちゃん。俺をこんなに素敵な場所に連れてきてくれて…。」

俺は心から感謝の気持ちを千歌ちゃんに伝えた。

 

千歌「そう言ってもらえると嬉しいな…///私もすごい楽しかったよ///」

千歌ちゃんの笑顔は朝日に照らされてとても綺麗でいつも以上に見惚れてしまった。俺の心臓の鼓動も早くなる。

 

千歌「ちょ、ちょっと寒くなってきたね。」

千歌ちゃんが寒そうに腕を擦っているのに気づき、俺は立ち上がり後ろから俺が着ていたパーカーを千歌ちゃんの肩からかけてあげた。

 

千歌「あっ、ありがとう///あったかい…。」

 

祐一「まだ、寒いからね。風邪ひかないように気をつけてね。」

 

千歌「うん。それに祐一くんの匂いがして安心する…///」

 

祐一「えっ、もしかして臭かった?」

 

千歌「ううん、そうじゃないの。千歌ね、祐一くんの匂い好きなの///とっても優しい匂いで、祐一くんに包まれてるみたいで安心するんだよ。」

そう言った千歌ちゃんの頬はわずかに赤く染まっていた。

 

祐一「ハハッ、そ、そうなんだ///」

 

祐一「さ、さぁそろそろみんなも起きてくるだろうし戻ろうか?」

 

千歌「うん、帰ろっか♪」

千歌ちゃんは俺の手を握ってきた。

 

祐一「ち、千歌ちゃん!?」

 

千歌「この方があったかいから。ダメ…かな?」

千歌ちゃんは上目遣いで俺の顔を覗き込んできた。

 

ダメだ…。

 

この目には勝てる気がしない…。

 

祐一「そんなことないよ。じゃ、行こっか!」

 

俺は千歌ちゃんの手はしっかりと握りしめ、旅館へと歩いて行った。

 

旅館に帰ると偶然志満さんと出くわし、からかわれる俺と千歌ちゃんであった。

 

――――――――――――――――

 

 

その後は朝食をとり、俺と怜は千歌ちゃんの家の旅館の手伝いをした。千歌ちゃんの家族の人たちは大丈夫と言ってくれたのだが、俺たちの気がおさまらない。だから俺たちは力仕事、お客さんの接客などを手伝い、少しでも役に立てるように動いた。午後1時過ぎまで手伝いをしたら、もうお客さんもあまりいないしゆっくり休みなさいと千歌ちゃんのお母さんに言われたので休むことにした。

 

それにしても千歌ちゃんのお母さんは本当に大人なのだろうか…。失礼かも知れないがとても千歌ちゃん、志満さん、美渡さんのお母さんとは思えないほど俺たちの目には幼く見えた。

 

まぁ俺たちが気にしてもしょうがないので俺たちは帰りの準備を始めた。

 

怜「やべっ、ちょっと便所行ってくるわ!」

 

祐一「あいよ。ごゆっくり〜。」

 

そそくさと怜が部屋から出て行った。

 

俺は荷物を一通りまとめ終えたので着替えを始めることにした。

 

祐一「さて、着替えるか。」

俺はシャツを脱いだ。

 

するとドアが開き誰かが入ってきた。

 

祐一「あらっ、便所早かったな。」

俺は上半身裸のまま振り返り、ドアを開けた人物の方を向くとそこに怜は立っていなかった。

 

そのかわりに、

 

 

 

千歌ちゃんが立っていた。

 

 

 

祐一「あれ?千歌ちゃんどうしたの?」

俺はドアを開けて放心状態の千歌ちゃんに向かってそう言った。

 

千歌「あっ///ご、ごめんね着替え中に///」

何やら千歌ちゃんの顔が赤い。

 

祐一「全然大丈夫だよ!それよりどうしたの?」

俺は千歌ちゃんに近づき尋ねる。

 

千歌「あ、あのね///帰る前に沼津の方に行こうと思うんだけどどうかなって///」

千歌ちゃんは後ずさりながら答える。

 

祐一「ああ、そういうことね!俺たちも行ってみたいし、行こっか!」

 

千歌「じゃ、じゃあ着替え終わったら千歌の部屋来てね///それじゃ///」

千歌ちゃんは勢いよく走り去ってしまった。

 

祐一「う、うん、わかっ…。」

俺が言い切る前に千歌ちゃんは行ってしまった。

 

祐一「なんで、あんなに急いでたんだろ?」

 

俺はドアを閉めて改めて着替えを始めた。

 

―――――――――――――――

 

Side 千歌

 

私は今自分の部屋に向かって走っている。

 

千歌「祐一くんの裸見ちゃった///」

 

私がノックするの忘れたのが悪いんだけど…。それにしてもなんであんなに堂々と話せるの!!

 

私はすごい恥ずかしかったのに!!

 

でも…

 

祐一くんの体すごい筋肉質で綺麗だったなぁ…。

 

思わず見惚れちゃったよ…。

 

祐一くんを男の子として意識するようになってから私はいつもドキドキしてる。

 

今だってそうだ。

 

私ってこんなに女の子だったんだ…。

 

今日の朝だって海に行ってみたら祐一くんがいて私は驚いたけど、ちょっとイタズラしちゃおって思って目を塞いだ。

 

そしたら祐一くんもイタズラを仕返してきたけど、ちゃんと私ってわかってくれてた。

 

その後に私は祐一くんになんで海を見にきたのか聞いた時すごい驚いた。

 

祐一くんが海を見にきた理由が、

 

 

『私が来ると思ったから』

 

 

 

あの時は私も祐一くんに会える気がして海に行ったけどまさか本当にいるとは思わなかった。それに祐一くんも同じこと思ってたなんて…。それを知った時一気に顔が熱くなって赤くなっちゃったけど、それと同時に胸が暖かくなったんだ…。

 

なんだか、心が通じ合ってるみたい…。

 

私も同じこと思ってたと伝えたら祐一くんは照れたように笑ってた。

 

あの笑顔に私は心臓をキュッと掴まれた。

 

祐一くんの笑顔

 

あれは反則だよ…。

 

あんな笑顔向けられたら誰だってドキドキしちゃうよ。

 

特に子供っぽく笑う時が私は一番好き…。

 

あんなに楽しそうに笑ってると私も楽しくなってきて自然と笑顔になれる。

 

でも、それは私だけに向けられる笑顔じゃない。梨子ちゃんや曜ちゃん。他の女の子にも向けられている。私のことなんてあんまり見てくれないんじゃないかな…って思っちゃう。

 

だけど、

 

私はもうそんなことで悩んだりしない!

 

私は祐一くんのことを他の女の子たちより知っている。

 

祐一くんが好き

 

この気持ちも誰にも負ける気はない。

 

いつか、絶対この気持ちを伝えてみせる!

 

だけど、まだ私は自信がない。

 

 

だから…

 

 

だから私が自信を持てるまで

 

 

もう少し君の優しさに甘えてもいいよね?

 

Side out 千歌

―――――――――――――――――

Side 祐一

 

 

俺と怜は着替えを終えて千歌ちゃんの部屋へ向かっている。

 

怜「それにしても楽しかったな!」

 

祐一「ああ、飯もうまかったし、みとしーもテンション上がったわ!」

 

怜「あのイルカショーはマジでよかったわ。また来てーな!」

 

祐一「そうだな!俺はまたうちっちーに会いたい…。」

 

怜「お前も妙なもん好きになるよな…。俺には全然わからんわ。」

 

祐一「てめー、もういっぺん言ってみろ。海の底に沈めてやる。」

 

怜「何度でも言ってやる!この変質者!!」

 

祐一「言いやがったな!このハゲ!!」

 

怜「ちょ、おま、それ言わない約束だろ!気にしてんだよこっちは!!」

 

怜「もう、許さね〜。覚悟しやがれ!!」

俺たちのアホらしい喧嘩が始まった。

 

ちょうどそのタイミングで千歌ちゃんたちも支度が終わり部屋から出てきた。

 

千歌「どうしたの、2人とも?」

 

祐一「ああ、千歌ちゃん。もう支度はいいの?」

 

千歌「うん、私たちは大丈夫だけど…。」

 

祐一「おっけー、今からこのクソ野郎を海の藻屑に変えてくるから…。ちょっと待ってて。」

 

怜「なんだと、この野郎!逆に俺がお前を海の底に沈めてやるよ。」

俺と怜はお互い睨み合いながらそう言った。

 

曜「あはは、本当に2人は仲良いね!」

 

祐一・怜「「仲良くない!!」」

 

曜「いや、しっかりハモってるじゃん…。」

 

怜「よーし、祐一表でろ。決着つけてやる!」

 

祐一「望むところだ。覚悟しやがれ!」

俺らは意気込んで外に出ようとするが、1人の女性がそれを許さなかった。

 

梨子「2人とも…。」

 

俺たちは背中にヤバイ気配を感じた。振り返ってみるとそこには梨子ちゃんが笑顔で立っていた。

 

 

 

祐一・怜「「ガクガク、ブルブル」」

 

 

 

梨子「いいかげんに、し・な・さい♪」

 

祐一・怜「「は、はい。お母さん…。」」

 

梨子「何ですって♪」

 

祐一・怜「「す、すみませんでした!!梨子さん!」」

俺たちは全力で土下座をかました。

 

祐一・怜((怖すぎるだろ!!))

 

千歌「あはは…。まぁまぁ梨子ちゃんそのくらいにして、2人も反省してるし。ね?」

 

梨子「…。千歌ちゃんがそう言うなら…。」

 

千歌ちゃん…。

 

君は天使ですか?

 

怜「千歌ちゃん、君は天使ですか?」

怜は千歌ちゃんを崇拝していた。

 

バカ!今そんなこと言ったら…

 

梨子「そう、怜くんはまだ反省が足りないのね♪」

 

あーあ、やったよ。こいつ…。

 

怜「いや、これは違うんだ。梨子ちゃん…。お、落ち着いて。」

 

梨子「私は落ち着いてるわよ♪」

 

怜「は、反省してるよ!その証拠に、ホラ。祐一!ははは、俺たち大親友♪」

そう言いながら怜は俺の肩に手を回してきて仲良しアピールを始めた。

 

俺も身の危険を感じて怜に合わせた。

 

祐一「ハハハ、ソウダヨナ。オレラハダイシンユウ」

 

怜「何でお前カタコトなの!?」

 

梨子「そうなの♪反省してないのね♪じゃあ、ちょっとあっちで話しましょうか♪」

梨子ちゃんは怜のことを掴み引っ張って行った。あの巨体を引っ張って行くなんて…。

梨子ちゃん、すごすぎるぜ…。

 

怜「え、ちょ、ま。祐一、千歌ちゃん、曜ちゃん助けて〜!!!!!」

 

祐一「…。」

俺は静かに合掌。

 

千歌・曜「「アハハ…。」」

2人は苦笑いで怜を見ている。

 

怜「てめー、祐一!後で覚えてやがれ!!!!!」

そのまま、怜は梨子ちゃんに引きずって行かれた。

 

俺たちが怜を見送った数分後、怜の叫びがこだまするのをただ聞いていた。

 

 

 

 

しばらくして、怜はひどく怯えた表情で、梨子ちゃんはスッキリした笑顔で帰ってきた。

 

梨子「さっ、行きましょうか♪」

 

千歌「うん!そうだね、行こっか!」

 

曜「あはは…。」

曜ちゃんだけ苦笑いをしてた。

 

祐一「お前何されたんだ?」

 

怜「いや、それがな…。」

 

祐一「…!?」

俺は怖すぎて、体が震えた。

 

祐一「まぁ、今度飯でも奢るよ…。」

俺は怜の肩をポンと叩いた。

 

怜「ああ、頼むわ…。」

 

梨子「2人とも、何話してるのかな♪」

 

祐一・怜「「いや、なんでもないよ。なんでも。」」

 

梨子「そう。なら行きましょうか!」

 

俺たちは帰るため高海家の人たちに挨拶をしに向かった。

 

 

 

祐一「すみませーん」

 

志満「あら、祐一くん、怜くんもう帰るの?」

 

怜「はい、これから沼津の方へ行ってから帰ろうと思います!」

 

志満「そうなの。またいらっしゃいね♪」

 

祐一「はい!また来ます。ありがとうございました!」

俺と怜は挨拶を済ませた。残念ながら美渡さんとお母さんはいなかったのでまたの機会に挨拶することにした。

 

祐一「あっ、みんなちょっと先行ってて!」

 

千歌「どうかしたの?」

 

祐一「まあ、ちょっとね。」

 

曜「わかったよ!外で待ってるね!」

 

俺は急ぎ足で厨房へ向かった。

 

祐一「優吾さん!」

 

優吾「ん?ああ、祐一くんか。もう帰るのかい?」

 

祐一「はい、お世話になりました!」

 

優吾「そうか、また来てくれよ。今度は千歌の彼氏として…な。」

優吾さんは僅かに笑いながら言ってきた。

 

祐一「が、頑張ります///」

 

優吾「それから、くれぐれも千歌たちのことをよろしく頼む。」

 

祐一「はい!任せてください!」

 

優吾「では、またね。」

 

祐一「はい、ありがとうございました!失礼します!」

 

俺は優吾さんにお礼を伝え厨房を後にした。

 

 

 

そこからみんなと合流して沼津へと向かった。

 

そこで、それぞれショッピングなどを楽しみ東京へと帰った。

 

 

 

非常に思い出に残るゴールデンウィークの前半であった。まだゴールデンウィークは残っているのでこの後も楽しみたい。

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございました。

前書きでも話した通り、投稿が遅れてしまいますが、絶対完結させますので
どうか気長に、温かい目で見守ってくれると嬉しいです。

次回からゴールデンウィークの後半に入りたいと思います!

よろしくお願いしますm(_ _)m


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Day12 ゴールデンウィーク中盤


どうも甘党ゴンザレスです!!

これから試験が終わるまでは不定期投稿になります。申し訳ありませんm(_ _)m

それでは本編どうぞ!!


ゴールデンウィークの前半が終了してしまった。

 

思い返せばこのゴールデンウィークの前半はほとんど千歌ちゃんと過ごした。

 

最初は千歌ちゃんたちの帰省についていきすごい楽しかった。

 

その後は千歌ちゃんたちと静岡から帰ってきた翌日にみんなで遊んだ。カラオケに行ったりショッピングをして楽しい1日を過ごした。

 

次の日は疲れすぎて夜まで寝ていた。その日は何もせず終わり1日を無駄にしてしまった。

 

そして今俺は暇すぎてゴロゴロしている。

 

祐一「暇だぁ…。」

 

なんだかんだ今回のゴールデンウィークは10日間あるので正直なんでもできる。それに今は5日目でやっと折り返し地点だ。実家に帰るのもいいが、どうせなら怜と一緒に帰りたいから今帰るわけには行かない。

 

となると本当にやることがない。

 

そう思っていると、俺のスマホがメールを受信した。

 

祐一「ん?なんだ?」

俺はスマホを取りメールを確認する。

 

祐一「誰だこれ?」

 

メールの差出人はアドレスしか書いておらず、誰なのかわからない。だが俺の知人かもしれないので俺はメールを開けて読み始めた。

 

内容を読み進めていくと差出人がわかった。

 

差出人はあの時ひったくりにあった女性だ。

 

内容としては、あの時のお礼がしたいから、暇な日を教えて欲しいとのことだった。

 

祐一「なるほど、どうせ暇だし。今日とか暇なのでどうでしょうか?っと、送信。」

俺が返信してから数分後、返事が帰ってきた。

 

『でしたら、今日の午後6時頃〇〇駅に来ていただいてもよろしいでしょうか?お食事をご馳走させていただきたく思います。』

 

そこまでしてもらわなくても…。と思いながらも断るのは申し訳ないので、俺は了解しましたと返信した。

 

今は午後の3時、準備するには早いが早めに準備する分のはいいだろう。

 

俺はシャワーを浴び準備を進めた。

 

 

 

支度が終わったのは午後4時過ぎ、また早く準備しすぎた…。

 

祐一「まだ2時間くらい時間があるからAqoursのライブ映像を見るか。」

 

俺はスマホの画面を横にして動画を視聴してる。

 

最近ではAqoursの動画を観過ぎてだんだん観るものが無くなってきた。

 

でも、何度見てもいいよね!

 

Aqoursのメンバーはみんな可愛いし、楽しそうに歌って、踊ってるから観ていて飽きない。そんなメンバーの3人と出会えて俺は本当に幸せものだ。

 

そう考えると、高校の時から知っておけばよかったと思い、激しく後悔している。

 

色々考えながら観ていると午後の5時を過ぎていた。

 

本当にAqoursの動画を観ていると時間が経つのがあっという間だ。

 

祐一「さて、そろそろ行くか!お礼とは言え女性より遅く行くのは男として恥ずかしいからな!」

 

俺は戸締りを確認して、靴を履き家を出た。

 

 

 

集合場所には30分前に着き俺は女性を待っている。

 

なのだが、

 

俺は女性の名前を知らない。あの時は急いでいたので名前を聞かずに立ち去ってしまった。

 

それに、顔もよく覚えていない…。すごい美人ていうのは覚えてるんだけどなぁ…。

 

そんなことを考えていると、

 

??「あの、沖田さんでよろしいでしょうか?」

 

祐一「あっ、はいそうですが?」

 

??「よかったですわ。改めてお会いできて光栄です。」

女性は丁寧にお辞儀をしてきた。

 

祐一「あっ、どうも。あの時は急いでいたものでお名前もお聞きせず立ち去ってしまい申し訳ありませんでした。」

俺は改めてあの時の女性だと気がつき挨拶を交わした。

 

それにしてもどこかで観たことがあるような気がする?

 

??「いえ、とんでもありません。改めて自己紹介させていただきます。わたくしは黒澤ダイヤと申します。重ね重ねあの時はありがとうございました。」

 

祐一「いえいえ、自分も改めて、沖田祐一ともう…しま…すう!!!」

 

ダイヤ「どうかされましたか?」

 

祐一「あ、あの、すみませんが、もう一度名前をお聞きしてもよろしいですか?」

俺はもう一度女性に聞き返した。

 

ま、まさかね?

 

ダイヤ「ああ、わたくしの名前は珍しいですものね。改めまして黒澤ダイヤと申しますわ。」

 

あれ、俺の耳壊れた?

 

今『黒澤ダイヤ』って聞こえたんだけど?

 

ダイヤ「あの、沖田さんどうかされましたか?」

 

祐一「はっ!い、いえすみません…。なんでも無いです。」

 

祐一「あの、つかぬ事を伺いますが。」

 

ダイヤ「はい、なんでしょうか?」

 

祐一「高校の時歌って、踊ってたりしました?」

 

ダイヤ「はい、やっておりましたが?」

 

祐一「9人グループで学校の廃校を救うために静岡県でスクールアイドルやってました?」

 

ダイヤ「あら?もしかして、わたくしのことご存知なんですか?」

 

祐一「や、やっぱり…。Aqoursの黒澤ダイヤさんですよね…。」

 

ダイヤ「ふふっ♪そんなに恐る恐る確認しなくても大丈夫ですよ。」

黒澤さんは優しく俺に微笑みかけてくれた。

 

どうやら俺の耳は壊れていなかったようだ。

 

ダイヤ「沖田さんは面白い方ですね♪」

黒澤さんは俺を見て笑っている。

 

ダイヤ「それにしても随分わたくしのことに詳しいですが、どうしてですか?」

 

祐一「あ、それは友人がAqoursのファンで聞いてたのと、千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃんに聞きました!」

 

ダイヤ「まぁ、千歌さんたちとお友達なんですか。そうでしたら納得ですわ。」

 

ダイヤ「では、行きましょうか。」

 

祐一「は、はい!よろしくお願いします!」

 

ダイヤ「ふふ♪そんなに固くならないでください。今日はわたくしがお礼をするのですから。」

 

祐一「わかりました!」

俺は精一杯の笑顔で答えた。

 

ダイヤ「///」

何やら黒澤さんの顔が赤い。だがそれにふれずに俺は黒澤さんの後をついて行った。

 

――――――――――――――

 

 

しばらくして、黒澤さんにすごいオシャレなお店を紹介された。ここで食事をするらしい。席に案内されメニューを見ていて俺は店内の雰囲気について黒澤さんに言った。

 

祐一「なんだか、すごい雰囲気が良くて良いお店ですね!」

 

ダイヤ「ええ、ここは友人と会うときなどに利用していますわ。」

 

祐一「そんな、お店教えていただきありがとうございます!黒澤さん!」

 

ダイヤ「いえいえ、とんでもありませんわ。」

 

黒澤ダイヤさん、本当に礼儀正しい人で美人だ。動画でしかよく見たことなかったから正直よく分からなかったけど今日会って改めて思った。

 

ダイヤ「さぁ、好きなもの頼んで下さい!今日はわたくしがご馳走するので遠慮しないで下さいね。」

 

祐一「ありがとうございます!」

 

俺たちは料理を注文してから会話を始めた。

 

祐一「そういえば、黒澤さんはここら辺の大学なんですか?」

 

ダイヤ「大学はこの近くですわ。それにわたくしのことは下の名前で呼んでいただいてよろしいですよ?」

 

祐一「そ、そんな。恐れ多い…。でも大学が近いなら今後もいろいろ相談乗っていただきたいです。」

 

ダイヤ「ふふ、わたくしでよろしければいつでも乗りますわ♪」

 

ダイヤ「それにしても、わたくしのことを名前で呼んでいただけませんの…?」

黒澤さんは瞳をウルウルさせながら俺を見てきた。

 

祐一「い、いや…。そういうわけじゃ…。」

 

ダイヤ「…。」

 

祐一「わ、わかりました!…スゥー…。ダイヤさん。」

 

ダイヤ「はい、よろしい♪」

 

なんかダイヤさんにしてやられた気がする…。

 

祐一「それなら、自分のことも名前で呼んでください!」

 

ダイヤ「わかりましたわ。祐一さん!」

ダイヤさんは笑顔で俺の名前を呼んできた。

 

くそぉ…。この人には勝てん…。

 

そんなこんなで、ダイヤさんとの食事は滞りなく続いた。食事をしながら千歌ちゃんたちとの出会い、つい先日の内浦観光について話していた。

 

祐一「そう言えば、ダイヤさん。」

 

ダイヤ「なんですか?」

 

祐一「ダイヤさんは彼氏っていますか?」

 

ダイヤ「なっ///」

 

祐一「ダイヤさんすごい美人だからいるのかな?って思って。」

 

ダイヤ「い、いませんわ!」

 

祐一「あ、そうなんですか…。失礼なことを聞いて申し訳ないです。ちょっとアドバイスを貰いたかったので…。」

 

ダイヤ「アドバイス?」

 

祐一「じ、実は自分。す、好きな人が…///」

 

ダイヤ「ああ、そういうことですか。」

 

ダイヤ「先ほどの話を聞く限りでは祐一さんの好きな人は千歌さんですか?」

 

祐一「え、いや、あの、その///」

 

祐一「は、はい…///」

 

ダイヤ「ふふ、やはりそうだったんですね♪」

 

ダイヤ「祐一さんの話を聞いてたらわかりますわ。千歌さんの話になると優しい顔になるんですから…。すぐに気がつきましたわ♪」

 

祐一「自分ってそんなにわかりやすいですか?」

 

ダイヤ「そうですわね。少なくともあまり面識がないわたくしでも気づくくらいですかね?」

 

祐一「はぁ…。なんか単純みたいで嫌だな…。」

 

ダイヤ「そんなことはありませんわ。それが祐一さんの魅力でもあります。」

 

祐一「そんなことは…。」

 

ダイヤ「いいえ、その素直な性格こそが人を惹きつけるんです。それは祐一さんの1番の魅力だとわたくしは思いますよ。」

ダイヤさんは優しく微笑みながら俺に向かってそう言ってくれた。確かに俺はいろんな人から同じようなことを言われている気がする。そう思うとなんだか恥ずかしくなる。

 

祐一「ダイヤさん…。」

 

ダイヤ「正直、千歌さんが羨ましいですわ…。」

とダイヤさんは小声で呟くが聞こえなかった。

 

祐一「ん、何か言いました?」

 

ダイヤ「いえ、なんでもありませんわ。」

 

ダイヤ「さぁ、そろそろいいお時間ですし、お暇しましょうか!」

 

ダイヤさんにそう言われ俺は時間を確認する。

 

時刻は午後9時前、確かにいい時間だ。

 

祐一「そうですね!ごちそうさまでした!」

 

ダイヤ「いえいえ、こちらこそ本当にありがとうございました。」

 

俺は改めてお礼を言ってた。そして遅い時間になってしまったのでダイヤさんを家の近くまで送るために一緒に帰ることにした。ダイヤさんの住んでいるところはここからあまり遠く無いらしいが、何かあっては心配なので送らせてほしいと頼み承諾を得た。

 

話しながら歩いていると、ダイヤさんの家の近くまで来ていたらしく。

 

ダイヤ「ここで大丈夫ですよ。もうすぐですから。」

 

祐一「あ、わかりました。改めて今日はありがとうございました!楽しかったです!」

 

ダイヤ「ふふ、わたくしも楽しかったですわ!」

 

祐一「じゃあ、自分はこれで失礼します!」

俺はダイヤさんに挨拶をして帰ろうとした。

 

ダイヤ「あっ、祐一さんちょっとお待ちいただけますか?」

ダイヤさんからそう言われたので俺は立ち止まりダイヤさんの方を振り返った。

 

ダイヤ「せっかくですから、メールでは面倒なので連絡先の交換を致しませんか?」

 

祐一「そういうことでしたら是非!」

 

俺たちはスマホを取り出しフリフリしてお互いの連絡先を交換した。

 

祐一「これでオッケーですね!また連絡しますね!」

 

ダイヤ「はい!是非お願いしますわ。」

 

今度こそダイヤさんに別れを告げ俺は帰路に着いた。

 

祐一「それにしても、まさかあの時の人がダイヤさんだったとはね。世の中狭いな…。」

 

そんなことを呟きながら家に向かって歩き出した。本当にダイヤさんとの時間は有意義なものになった。流石先輩だと思うほどだった。ダイヤさんからはもっと学ばせてもらうことが多そうだ。これからも仲良くさせてもらってダイヤさんからいろいろ吸収していきたい。

 

そう考えてる時俺のスマホが鳴った。

 

祐一「ん、ダイヤさんかな?」

俺は立ち止まりスマホを開く。するとダイヤさんでは無かった。

 

 

 

差出人は

 

 

 

千歌ちゃんであった。

 

祐一「千歌ちゃん?なんだろ?」

内容を確認するためトークを開いた。

 

そこに書いてあったのは

 

『明日は予定何かある?何もなかったら遊園地のチケットもらったから2人で行かない?』

 

まさかのデート?の誘いだった。

 

祐一「マジか。千歌ちゃんとデート///」

優吾さんと話して以来、千歌ちゃんといるといつもドキドキしてしまう。もちろん、以前からドキドキしてはいたけど、さらに胸の鼓動が強くなっているのを感じる。

 

もちろん俺の答えは決まっている。

 

『もちろん!俺で良ければ一緒に行こうか!』

 

そう返信したらすぐに返事が返ってきた。

 

『やったー!じゃ、明日駅に朝9時に集合で!明日楽しみにしてるね!』

 

『了解!俺も楽しみにしてるよ!』

 

俺もすぐに返信をしてスマホをポケットにしまった。

 

明日は千歌ちゃんに会える。

 

俺はその場でガッツポーズをして喜びを表現していた。しばらくして興奮冷めやらぬ中我に帰り、家に向かって歩き出した。

 

 

 

その時の俺は心なしか足取りが軽く、鼻歌を口ずさみながら帰路に着いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!!

まさかのダイヤさんの登場です!Aqours全員出せればとは思いますが、メインは変わらず千歌ちゃんです!


重ね重ね申しますが、不定期投稿になりますのでご理解何卒お願いしますm(_ _)m


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Day13 デート?


どうも甘党ゴンザレスです!!

今試験勉強の息抜きに執筆しています。
だいぶ駄文になっているかもしれませんが、お許しくださいm(_ _)m


それでは本編どうぞ!!!


Side 千歌

 

千歌「どうしよ、祐一くんのことデートに誘っちゃった///」

 

お父さんから遊園地のチケットが送られてきて嬉しかったんだけど、2枚しかなくて私困っちゃったよ…。

 

でも、1人しか誘えないと分かると不思議と祐一くんの顔が浮かんだ。曜ちゃんとか梨子ちゃんを誘えばよかったのかもしれないけど私は祐一くんを選んだ。

 

それほど私の中で日に日に祐一くんの存在が大きくなっているのが分かる。

 

明日のデート楽しみだなぁ…。

 

千歌「明日何着て行こうかな?どうせなら髪型も変えてみよ!」

 

髪型もいつもとは違うのにして驚かせちゃお♪

 

それで少しでも祐一くんが千歌のことを意識してくれたら嬉しいなぁ。

 

そう思いながら私は着ていく服を選んで眠ることにした。

 

―――――――――――――――

 

翌日朝の6時にスマホのアラームで起きた私は準備を進めた。

 

まずはご飯を食べて、歯を磨いてシャワーを浴びた。

 

私は髪型を入念にチェックしていつもは三つ編みにしている髪をほどきストレートに伸ばした状態にした。

 

千歌「今日だけは、祐一くんのための千歌になってもいいよね…。」

 

私は今までずっと三つ編みをしていた。もちろん寝るときとかライブの時には髪を下ろす事もあったけど、私が自分の意志で髪を下ろすことはあまり無い。三つ編みってなんか子どもっぽく見えちゃう印象があるし、曜ちゃんが東京に来る前に選んでくれた大人の女性っぽい服装に合わないからね。

 

それに、祐一くんがプレゼントしてくれたネックレスが似合う女の子になりたいし、普段とは違う千歌を見てもらいたい。

 

千歌「こんな感じかな?」

 

いつもとは違う感じでちょっと大人っぽい気がする。お化粧もちゃんとしないとね。

 

千歌「普段あまり口紅はしないんだけど今日は特別…。」

 

淡いピンク色の口紅を塗りしっかり馴染むように何度も唇を確認しながら塗った。

 

これでよし!

 

あとは、着替えて行くだけ。

 

今は朝の8時、まだ時間には余裕がある。

 

私は今日着ていく服に身を包み、身なりを確認する。

 

千歌「よし、準備完了!」

 

祐一くんにもらったネックレスをつけてソファーに座っているが、どうも落ち着かない。

 

千歌「祐一くん褒めてくれるかなぁ…。」

 

そう、私は祐一くんの好みを知らない。それゆえ内心とても不安だ。

 

もし彼の好みじゃ無かったら、そう考えてしまう。

 

千歌「ハァ…。こんなに悩むんなら素直に聞けばよかったなぁ…。」

 

そうこう葛藤していると時刻は8時半を指していたので家から出ることにした。今日のデートはすごい楽しみだけど、それと同時に不安に感じる。

 

だけど

 

 

パンッ!

 

 

私は気合いを入れる為自分の頬を思いっきり叩いた。

 

千歌「いったーい!!」

自分でやったとはいえかなり痛かった。

 

でも、十分に気合いは入った。

 

千歌「よし!行ってきまーす!!」

 

私は誰もいない部屋に向かって大きな声で叫んだ。

 

――――――――――――――――

Side 祐一

 

俺は今千歌ちゃんを待ち合わせ場所で待っている。

 

祐一「ふぁー、全然寝られなかった…。」

 

昨日はテンションが上がりすぎてなかなか寝付けなくて朝を迎えてしまった俺。

 

千歌ちゃんとのデート。

 

俺はそれだけで心が躍る。

 

祐一「早く千歌ちゃんに会いたいなぁ…。」

 

そんな呟きをしていると、

 

千歌「私がなんだって?」

 

祐一「ち、千歌ちゃん!?」

 

なんと千歌ちゃんはすでに俺の目の前に来ていた。

 

千歌「おはよう、祐一くん!」

 

祐一「お、おはよう。」

 

焦りながらも何とか挨拶を返すが、千歌ちゃんの姿を見て俺は言葉を失った。

 

普段の可愛い姿とは違い、今日はとても

 

 

綺麗だった。

 

 

なんていうか、すごい大人びていた。

 

周りの人なんか目に入らないほど綺麗な千歌ちゃんに俺は見惚れていると千歌ちゃんは口を開いた。

 

千歌「どうしたの、祐一くん?もしかして、今日の千歌変だった…。」

千歌ちゃんは目を伏せて落ち込んでしまった。

 

祐一「そ、そんなことないよ!!」

 

千歌「ほ、ほんと?」

 

千歌「どう…かな///?」

千歌ちゃんはもじもじしながら俺に聞いてきた。

 

祐一「す、すごい。似合ってるよ。き、綺麗です///」

俺は顔を真っ赤に染めながら答えた。

 

だって綺麗すぎるよ。

 

千歌「ホント?嬉しいな///」

千歌ちゃんが照れながら笑いかけてくる。

 

反則だ…。

 

この子はどれだけ俺をドキドキさせれば気がすむんだ…。

 

祐一「ごちそうさまです…。」

 

千歌「ふぇ?どうしたの、私何かあげたっけ?」

 

祐一「いや、なんでもない。こっちの話だよ。」

 

千歌「祐一くんも、カッコいいよ///」

 

祐一「ありがとう、嬉しいよ///」

 

千歌「それじゃ、行こっか!」

 

祐一「そうだね、行こっか!」

 

俺たちは遊園地へ向かうため駅の中へ歩き出した。

 

 

 

電車に40分ほど揺られ俺たちは遊園地についた。俺たちが今回きたのは某ネズミの国だ。

 

祐一「それにしても、ここにくるのも久しぶりだな。」

 

千歌「そうなんだ、誰と来たの?」

 

祐一「最後に来たのは友達とかな?」

 

千歌「その、友達って女の子?」

 

祐一「確かそうだね。卒業記念に一緒に行かないかって言われてだったかな?」

 

千歌「ふ〜ん、そうなんだ。そっか、そっか。」

なんだか千歌ちゃんの様子が変だ。

 

祐一「ち、千歌ちゃん?どうしました?」

 

千歌「別に…。なんでもないもん!!」

千歌ちゃんはスタスタと先へ行ってしまった。

 

祐一「待ってよ、千歌ちゃーん!」

俺はなんだか不機嫌になっている千歌ちゃんの後を追いかけた。

 

 

 

俺たちは受付でチケットを交換して入場口へ向かう。

 

スタッフ「こちらが本日のチケットとパンフレットになります。」

 

祐一・千歌「「ありがとうございます!」」

 

スタッフ「それではHave a nice day いってらっしゃーい♪」

 

その掛け声と共に俺たちはパークの中へ入った。

 

祐一「流石に混んでるね…。」

 

千歌「うわ〜、見て祐一くん!!ミ◯キーがいるよ!かわいい♪」

千歌ちゃんはミッ◯ーに向かって走っていった。

 

祐一「千歌ちゃん、急に走ると危ないよ!」

そう言いながらも俺も千歌ちゃんを走って追いかけた。

 

千歌「祐一くん、写真撮ってもらおうよ!」

 

祐一「そうだね!せっかくだし、あっ、すいません写真撮っていただいてもよろしいですか?」

俺は通りかかった人に写真を撮ってもらうことにした。

 

男性「ハイ、チーズ。」

 

祐一「ありがとうございました!」

 

男性「いえいえ、これで大丈夫ですか?」

 

祐一「はい、大丈夫です!」

 

男性「じゃあ僕はこれで。お互い楽しみましょうね!」

 

祐一「はい!楽しみましょう!」

やはり遊園地に来る人はみんな穏やかだ。

 

祐一「千歌ちゃん、撮れたよ!」

 

千歌「ありがと〜、後で送ってね♪」

 

祐一「うん、わかったよ!じゃ、行こっか!じゃーね◯ッキー。」

 

千歌「バイバーイ!」

俺たちは別れを告げてその場を離れていった。

 

 

場所を移動して千歌ちゃんは乗りたいアトラクションを見つけたようだ。

 

千歌「祐一くん、アレ乗ろ、アレ!!」

千歌ちゃんが指差したのはジェットコースター。

 

やはり来たか…。

 

祐一「う、うん。いいよ!行こうか…。」

 

千歌「祐一くん、どうしたの?」

 

祐一「いや、なんでもないよ!じゃあ、並びに行こうか?」

 

千歌「うん!!」

千歌ちゃんは笑顔で頷いて並びに行き、俺は足取り重く千歌ちゃんの後についていった。

 

何を隠そう俺は絶叫系がかなり苦手だ。

 

小さい時に怜に連れられて行って死ぬほど怖くて乗り終わった後ギャンギャン泣いた。あれ以来絶叫系はトラウマになり今日までは一度も乗っていない。正直今も怖すぎて逃げ出したい。その証拠に俺の足は僅かだが震えている。

 

全くもって情けない…。

 

大学生にもなってジェットコースターが怖いなんて…。

 

だんだんと列が進み俺たちの順番が近づくにつれて俺の震えも大きくなっていく。

 

それに気がついた千歌ちゃんが俺に言ってきた。

 

千歌「もしかして、祐一くんこういうの苦手…だった?」

 

祐一「い、いや、そんなことないよ!アハハ…。」

俺は今上手く笑えているだろうか。自分でもわからない。

 

千歌「ごめんね…。千歌のせいで…。」

 

祐一「そ、そんなことないよ!確かにちょっと苦手だけど、それは昔の話。今はもしかしたら楽しいかもしれないし。ね!」

 

千歌「でも、本当にダメだったら言ってね?千歌は祐一くんと楽しみたいんだから…。」

 

祐一「ありがとうね。千歌ちゃん!でも無理はしてないから大丈夫だよ。」

 

千歌「それならいいんだけど…。」

 

そうこう話しているうちに俺たちの順番になった。俺たちは乗り物に乗り込み安全バーをしっかりと下ろす。

 

祐一「ふー…。」

 

千歌「祐一くん、だいじょうぶ?」

 

祐一「う、うん。ちょっと緊張するけど大丈夫だよ。」

何とか千歌ちゃんに答える。

 

スタッフ「それでは、いってらっしゃーい!」

スタッフさんの合図で乗り物が動き出す。

 

祐一「うぉ!結構早いな…。」

 

俺の顔がひきつる。

 

千歌「…。」

 

その時に俺の右手に温かい感触を感じた。

 

祐一「ち、千歌ちゃん!?」

 

千歌「こうすれば、少しは怖くない…でしょ?」

 

俺は不思議とその言葉を聞いて恐怖心が消えた。さっきまであんなに有った恐怖心が嘘のようだ。情けない話だが、千歌ちゃんに手を握られるとなんだか安心する。

 

祐一「うん、ありがとう千歌ちゃん。千歌ちゃんの手あったかくて安心する…。」

 

千歌「千歌も祐一くんと手を繋いでると安心するよ♪」

 

そんなやりとりの中俺たちの乗っている乗り物は加速していき気がつけばあっという間に終わっていた。俺はなんとか乗り越えることができたが、恥ずかしい姿を千歌ちゃんに見せてしまった気がする。

 

祐一「ふぅ、なんとか乗り越えられた…。でもすごい楽しかったね!!」

 

千歌「うん…。千歌も楽しかったよ!でも、祐一くんに無理させちゃったよね…。ごめんね…。」

千歌ちゃんが申し訳なさそうに謝ってきた。

 

祐一「そんな、気にしないでよ!!それに千歌ちゃんがアトラクションに乗ってる時に手を握ってくれてすごい安心したんだ…。そのおかげですごい楽しかった!千歌ちゃんがいてくれたからジェットコースター乗れたし、克服できた気がするんだ!だからそんなこと言わないでよ。むしろ俺は感謝してるよ。ありがとね、千歌ちゃん…。」

そう言いながら俺は無意識に千歌ちゃんの頭を撫でていた。

 

千歌「そ、そっか///そういってもらえると嬉しいな///」

俺も嬉しいが、なんだか千歌ちゃんの顔が段々と赤く染まっている気がする。

 

なんでだろうか?

 

俺は心の中で思っていると、今自分がしている行為について冷静に分析した。

 

乗り物怖い→千歌ちゃんに手を握ってもらい俺安心する→楽しく乗り物を乗れた→千歌ちゃん責任を感じて謝罪→俺『そんなことないよ』むしろ感謝→千歌ちゃんの頭を撫でる。

 

ん?

 

頭を撫でる?

 

アレ?俺もしかして…ヤらかした?

 

祐一「うわーーー!!ご、ごめん千歌ちゃん!」

俺は慌てて千歌ちゃんの頭から手を離す。

 

千歌「あっ…。」

千歌ちゃんはなんだか寂しそうな顔をしている、

 

祐一「ご、ごめんね…。嫌だったよね…。」

 

千歌「そんなこと…ないよ///もっとして欲しいな、なんて…///」

 

祐一「えっ?」

 

千歌「えっ、あっ///いや、その、あの、ち、違うの!///気持ちよかったから///その、ね?///」

 

もっと撫でたい…。

 

ただひたすらそう思ってしまった。

 

祐一「…。」

 

千歌「さ、さぁ次行こうよ!!///」

千歌ちゃんは俺の手を取り引っ張っていった。

 

だが、

 

千歌「あれ?」

 

祐一「どうしたの、千歌ちゃん?」

 

千歌「あの子、迷子かな?」

千歌ちゃんが指差した先にはまだ幼い女の子が1人でいた。

 

祐一「そうだね…。親とはぐれちゃったのかな?」

 

千歌「千歌、ちょっと行ってくる!!」

 

祐一「俺もいくよ!もし親とはぐれちゃったんだったら2人で探した方が早く見つかると思うし!」

 

千歌「うん!ありがとう、祐一くん!」

 

 

俺たちはそう言って女の子の元へと向かった。

 





ご愛読ありがとうございました!!

噂によると某ネズミの国でデートをするカップルは別れると言う都市伝説があるらしいですが、そんなの関係ありません!!

今後も何卒よろしくお願いしますm(_ _)m


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Day14 魔法にかけられて


どうも甘党ゴンザレスです!!

先日から色々忙しくてバタバタしておりましたが、執筆なんとか終わりました!

まったりと読んで頂ければ嬉しいです!

それでは本編どうぞ!!




俺たちは今女の子の目の前に来て話を聞いている。

 

千歌「どうしたの?パパとママは?」

 

女の子「うっ…うわーん!!」

女の子は泣き出してしまった。

 

千歌「あっ、泣かないで!お姉ちゃんたち怖い人じゃないよ?」

 

千歌「ど、どうしよう…。」

千歌ちゃんが困り果てているので俺は助けに入った。

 

俺は女の子の目線までしゃがみこんで話しかける。

 

祐一「こんにちは、お兄ちゃんたちは怖い人じゃないよ。ほら。アメあげるね。」

俺の言葉に女の子は泣き止み、アメを手に取った。

 

祐一「よーし、いい子だね!お兄ちゃんの名前はゆういち、このお姉ちゃんはちかって言うんだ。君のお名前は?」

 

女の子「グス…ひな。」

 

祐一「そっか!ひなちゃんって言うんだね。ひなちゃんは今日パパとママと来たのかな?」

 

ひな「うん、きょうはパパとママといっしょにきたの!」

 

ひな「でも、パパとママいなくなっちゃった…。」

再びひなちゃんが泣き出しそうになるけど俺はひなちゃんの頭を撫でる。

 

祐一「そっか、でも正直に言えてひなちゃんはエライね!じゃあ、お兄ちゃんたちと一緒にパパとママを見つけようか!」

俺はひなちゃんの頭を撫でながら笑顔で言った。

 

ひな「パパとママにあえるかな?」

 

祐一「絶対会えるよ!お兄ちゃんとお姉ちゃんに任せて!」

 

ひな「うん!ありがとう、ゆういちおにいちゃん、ちかおねえちゃん!」

ひなちゃんの顔はさっきと違い笑顔が溢れていた。

 

千歌「よろしくね、ひなちゃん!」

 

ひな「うん!」

 

祐一「よーし!じゃあひなちゃん行こうか!千歌ちゃん俺と反対の手握ってもらってもいい?」

 

千歌「うん、わかった!」

 

祐一「じゃあパパとママを探しにレッツゴー!!」

 

全員「「「オー!!」」」

 

 

歩きながら俺たちはひなちゃんから両親の特徴を聞いている。

 

祐一「ひなちゃんのパパとママはどんな人?」

 

ひな「パパはね、すごいおおきくてカッコいいの!ママはすごいびじんなの!」

 

祐一「そうなんだ!ひなちゃんはパパとママが大好きなんだね!」

 

ひな「うん!だ〜いすき!!」

 

グゥ〜

 

そんなやりとりをしているとひなちゃんのお腹が鳴った。

 

ひな「おなかすいちゃった…。」

 

祐一「そうだね、お兄ちゃんたちもお腹空いちゃったから何か食べようか!ひなちゃんは何食べたい?」

 

ひな「アレがいい!」

ひなちゃんが指差した先にあったのはチュロスだった。

 

祐一「わかった!じゃあ、ちょっと買ってくるから千歌ちゃんその間ひなちゃんのことよろしくね!」

 

千歌「うん!任せて!」

 

俺はチュロスを買っているところに歩き出した。

 

―――――――――――――――

Side 千歌

 

千歌「じゃあ、あそこで待ってようか!ひなちゃん。」

 

ひな「うん!」

 

私たちは隅っこへより祐一くんを待つ。

 

ひな「ねぇねぇ、ちかおねえちゃん。」

 

千歌「ん、何かな?」

 

ひな「ちかおねえちゃんとゆういちおにいちゃんはふうふなの?」

 

千歌「へ///」

突然のひなちゃんからの言葉に私は動揺してしまった。

 

千歌「ち、違うよ!///なんでかな?」

 

ひな「うーんとね。ゆういちおにいちゃんがパパに似てるの!ちかおねえちゃんもママとおなじくらいびじんだから!そうおもったの!」

 

千歌「そっか…。ゆういちお兄ちゃんとはねお友達なんだ!」

 

ひな「おともだち?」

 

千歌「そうだよ。でもね、千歌お姉ちゃんは祐一お兄ちゃんのこと大好きなんだ…。ひなちゃんも祐一お兄ちゃんのこと好きかな?」

 

ひな「うん!だいすき!!すっごいやさしいもん!」

 

千歌「ふふ、そうだよね、優しいよね♪」

 

そんな話をしてると祐一くんが帰ってきた。

 

祐一「おまたせー!あれ、2人とも仲良く慣れたみたいだね!」

 

千歌「うん、いい子に待ってたよね!ひなちゃん!!」

 

ひな「うん!」

 

祐一「おっ、エライね、ひなちゃん!いい子に待ってたひなちゃんにはご褒美あげちゃおっかな?」

 

ひな「え!なになに!」

ひなちゃんは目をキラキラさせながら祐一くんを見てる。

 

祐一「それはね、じゃーん!」

祐一くんが出したのはミッ◯ーのぬいぐるみだった。

 

ひな「わー!!ミ◯キーさんだ!!」

ひなちゃんは大喜びでぬいぐるみを抱きしめた。

 

ひな「ゆういちおにいちゃんありがとう!!」

ひなちゃんは最高の笑顔でお礼を言っていた。

 

祐一「はい、どういたしまして!ちゃんとお礼が言えてひなちゃんはエライね!」

 

千歌「よかったね、ひなちゃん!」

 

ひな「うん!うれしい!」

 

 

私たちがチュロスを食べながら話していると、前から慌てて走ってくる夫婦がいた。

 

男性「ひな!!」

 

女性「ひなちゃん!!」

 

ひな「あっ!!パパ、ママ!!」

ひなちゃんはご両親と思われる人たちの元へ走っていった。

 

ママ「よかった…。無事で…ごめんね。」

 

パパ「本当によかった…。」

 

ひな「あのね、ゆういちおにいちゃんとちかおねえちゃんがいっしょにパパとママをさがしてくれたの!」

ひなちゃんが私たちに手を振ってくれている。

 

もちろん、私たちは振り返す。

 

パパ「君たちがひなのことを…。本当になんとお礼を言っていいやら…。」

 

ママ「本当にありがとうございました…。」

ご両親は深々と私たちに頭を下げてきた。

 

祐一「いえいえ、お気になさらず!僕たちもご両親が見つかってホッとしています。それにひなちゃんとてもいい子で一緒にいてとても楽しかったです!ね、千歌ちゃん!」

 

千歌「もちろん!ひなちゃん今度はパパとママの手を離しちゃダメだよ?」

 

ひな「うん!わかった!」

 

祐一「よーし!本当にひなちゃんはいい子だね!」

ひなちゃんの頭を撫でながら祐一くんが言った。

ママ「重ね重ねありがとうございました。それにしてもお二人のデートのお邪魔をしてしまってごめんなさいね…。」

 

祐一「い、いえ、デートってわけじゃ…///」

 

ひな「あっ!ゆういちおにいちゃん赤くなってる!」

 

祐一「ひ、ひなちゃん!?そ、そんなことないよ?」

 

ひな「ママ、ゆういちおにいちゃんとちかおねえちゃんはふうふじゃないんだって!」

 

祐一「・・・えっ?」

 

千歌「ひ、ひなちゃん!?///」

 

ママ「あらあら♪ひなちゃんお姉ちゃんたちを困らせちゃいけないよ?」

お母さんは何かに気づいたみたいに私の顔を見ながら笑っている。

 

ひな「ひな、おねえちゃんたちこまらせたの?」

ひなちゃんは首を傾げている。

 

私は内心ドキッとしてしまった。

 

本当に心臓に悪い…。

 

祐一「そんなことないよ、ひなちゃん。お兄ちゃんたちがパパたちみたいに見えたのかな?」

 

ひな「そうなの!ゆういちおにいちゃんはすっごいやさしくてパパみたいだった!ちかおねえちゃんはママみたいにびじんでやさしいの!」

 

祐一「そっか、そっか!ありがとうね。お兄ちゃんたちも嬉しいよ!でもね…。」

なにやら祐一くんはひなちゃんにだけ聞こえるように耳打ちしている

 

気になる…。

 

ひな「そうなんだ!そうなったらひなもうれしい!!」

 

祐一「ひなちゃんもお兄ちゃんたちのこと応援しててね!」

 

ひな「うん!ひなおうえんする!!」

 

なんだろ、応援するって?

 

パパ「今ちょっと聞こえてしまったが、祐一くんと言ったかい?僕らも応援してるよ!」

 

祐一「あ、ありがとうございます!///」

 

ママ「ふふっ、それではあまりお邪魔しても行けませんしそろそろお暇しましょうか?」

 

パパ「ああ、そうだな。二人とも本当にありがとう!」

 

祐一「いえいえ、こちらこそ楽しかったです!ひなちゃんもバイバイ!」

 

ひな「うん!ゆういちおにいちゃん、ちかおねえちゃんありがと〜!」

 

千歌「またね、ひなちゃん!」

私たちはお互いに頭を下げて別れることにした。

 

ひなちゃんはしっかりとパパとママの手を握って去っていく。それを私たちは見えなくなるまで見送った。

 

千歌「そう言えば祐一くん。」

 

祐一「なに?千歌ちゃん。」

 

千歌「さっき、ひなちゃんになんて言ったの?千歌全然聞こえなかったんだけど!」

私は祐一くんの方を向いてちょっと強めに聞いた。

 

祐一「い、いや大したことじゃないよ!それじゃ、俺たちも行こっか?」

 

祐一くんになんだかはぐらかされて納得できないけど、祐一くんも頑固だから教えてくれそうにない。

 

千歌「むぅ〜。わかったよ…。」

 

そして私たちも再びデートを楽しむことにした。

 

Side out 千歌

 

―――――――――――――――――――

Side 祐一

 

 

ひなちゃんと別れてから、数時間が過ぎて今俺たちは晩御飯を食べている。あの後はアトラクションに乗ったり、写真を撮ったりとても楽しく過ごした。

 

祐一「それにしても今日は楽しかったよ!誘ってくれてありがとうね、千歌ちゃん!」

 

千歌「ううん、千歌の方こそ付き合ってくれてありがとう!すごい楽しかった!」

 

現在の時刻は午後7時30分、ここでは花火が8時30分から打ち上がるから俺は千歌ちゃんと一緒に見てから帰りたい。

 

祐一「せっかくだし、花火見てから帰らない?」

 

千歌「うん、花火みたい!すごい楽しみ!」

 

どうやら千歌ちゃんも花火を見ることに賛成らしい。

 

祐一「じゃあ、花火が始まる前にお土産見に行こうか!」

 

千歌「そうだね!あのさ、祐一くんお願いがあるんだけど…いいかな?」

 

祐一「お願い?俺ができる範囲だったら喜んで!」

 

千歌「ほ、ほんと?あのね、よかったらお揃いのストラップが欲しいな…なんて///」

 

祐一「へ?俺は全然いいよ?」

 

千歌「ホント!!やったー、ありがとう!!」

千歌ちゃんは笑顔で俺に言ってきた。

 

祐一「やっぱり千歌ちゃんの笑った顔ってかわいいよな…。」

 

千歌「ふぇ!?///」

 

祐一「どうしたの、千歌ちゃん?顔赤いけど大丈夫?」

 

千歌「祐一くん、今なんて言った?///」

 

祐一「えっ…。いや、千歌ちゃんの笑った顔がかわ…いい。」

 

あれ?

 

俺は今、体の穴という穴から汗が噴き出していた。

 

もしかして…。

 

祐一「あれ、もしかして、俺、口に出てた?」

 

千歌「///」

千歌ちゃんは無言で顔を赤く染めながらコクコク首を縦に振っている。

 

・・・

 

や、やらかしたーーーーーー!!!!!

 

本当に思ってたことだけどまさか声に出てたなんて!最悪だ…。

 

絶対千歌ちゃんに引かれたわ…。

 

俺の人生終了。

 

優吾さんごめんなさい…。約束果たせないかもしれません…。

 

そう思った瞬間、俺は無言で滝のような涙を流した。

 

千歌「ど、どうしたの祐一くん!?」

 

祐一「もう、おしまいだぁ…。千歌ちゃんに嫌われるー…。」

俺の目は完全に死んだ。

 

千歌「そんなことないよ!?///むしろ、嬉しいっていうかなんというか…///」

 

祐一「えっ?も、もう一回言ってもらってもいい?」

 

千歌「もう!!なんでもないよ!バカ…///」

 

千歌「ほら、お土産屋さん行こ!」

千歌ちゃんは椅子から立ちあがり先に歩き始めてしまった。

 

祐一「え、あ、千歌ちゃん待ってよ!」

俺は千歌ちゃんの後を慌ててついて行った。

 

どうやら嫌ではなかったらしいので、俺はホッとした。

 

 

お土産屋に着いて俺たちは色々物色している。その中でも特に千歌ちゃんのお気に召したものはペアストラップだった。

 

千歌「これ、かわいいなぁ…。」

 

祐一「千歌ちゃんはこれがいいの?」

 

千歌「う、うん///なんかデザインも可愛いし、二人のストラップを合わせた時に一つになるっていうのが素敵だなって思ったんだけど…。祐一くんはどう思う?」

 

祐一「俺は千歌ちゃんと一緒ならなんでも嬉しいよ!」

 

千歌「そ、そっか///じゃあこれがいいなぁ。なんだか恋人みたいだね///」

千歌ちゃんのある言葉に俺は反応してしまいドキドキしてしまった。

 

 

 

『恋人』

 

 

 

確かによく見ると、このストラップはカップルがよく手にとっているように見える。もしかしたらカップルが記念に購入することが多いのかもしれない。

 

今は恋人じゃないけどいつか本当になれたらいいな…。

 

祐一「そうだね。じゃあそれ、買いに行こうか?」

俺は高鳴る鼓動を抑えて会計へ向かった。

 

祐一「よし、お土産も買えたしもうすぐ花火の時間だから観に行こっか!」

 

千歌「うん!」

 

俺たちは花火が見えそうなところまで移動して花火の開始を待っている。

 

そしてカウントダウンが始まった。

 

5・4・3・2・1

 

ヒュ〜〜、ドンッ!

 

一斉に花火があがり始め、月だけが輝いている空にたくさんの花火が打ち上がり空を彩って魅せた。

 

祐一「おおー!」

 

千歌「わぁ、綺麗だね!」

 

千歌「本当に、綺麗…。」

 

俺たちは花火に魅了されていた。

 

祐一「そうだね、千歌ちゃ…ん。」

俺は千歌ちゃんの方を振り向いた瞬間、時が止まった。

 

千歌ちゃんは花火に夢中で俺が見ていることに気づいていないが、俺は花火よりも、花火を見ている千歌ちゃんの姿に見惚れてしまった。

 

花火が霞んで見えるほど千歌ちゃんは綺麗だった。

 

綻んだ表情だけどどこか儚げで、俺の心臓をキュッと掴んでくる。

 

本当に、君はどれだけ俺をトリコにすれば気がすむんだい?

 

まるで夢でも見てるのではないかと錯覚するくらい、今俺の見ている世界は色鮮やかだった。

 

千歌「あっ、ごめんね祐一くん!どうしたの?」

千歌ちゃんはようやく俺に気づいたけど俺は言葉を返せない。

 

千歌「あれ?祐一くーん。おーい!」

千歌ちゃんの呼びかけでようやく現実に引き戻され俺は反応した。

 

祐一「あっ、ごめんね、なんでもないよ!」

 

千歌「そっか、でも本当に綺麗だね!」

 

祐一「そうだね…。」

 

 

 

どうやら俺は高海千歌という一人の女の子に魔法をかけられたみたいだ。

 

 

 

ゆういち「千歌ちゃんの方がずっと綺麗だよ…。」

 

 

俺の小さな呟きは千歌ちゃんの耳には届かず、今も空に打ち上がっている花火の音にかき消されていった。

 

 

 

 

花火も終わり、俺はどこか寂しそうな表情をしている千歌ちゃんと一緒に帰路につき、千歌ちゃんを家まで送り届けた。

 

千歌ちゃんと別れた後、心做しか俺も寂しくなったのは内緒の話だ…。





ご愛読ありがとうございました!!

とりあえずここまででゴールデンウィーク編は終わらせたいと思いますm(_ _)m

次からはまた日常で書きたいと思います!

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいですm(_ _)m


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Day15 お酒はほどほどに…


どうも甘党ゴンザレスです!!

不定期更新申し訳ございませんm(_ _)m

もう少しの間、期間が空いてしまうかもしれませんがお待ちいただけると嬉しいです!


それでは本編どうぞ!!


ゴールデンウィークも終盤に突入した。

 

俺と怜は明後日帰省をするため準備を進めている。今回は短い帰省なのですぐに準備は終わり、俺たちは昼ごはんを食べに外出することに決めた。

 

祐一「昼飯作るのめんどいから外で食わね?」

 

怜「そうだな、行くか!」

 

俺たちは早々に身支度を整え部屋から出た。

 

祐一「なに食う?」

 

怜「アレでよくね?」

 

祐一「あー、アレな。おけー。」

 

俺たちが指すあれとはカツ丼だ。幼馴染で親友が故にアレやソレで通じ合ってしまう。

 

俺たちはカツ丼屋に入って昼ごはんを済ませ、買い物をしてから家に帰った。時刻は午後の6時過ぎ。昼ごはんは午後の3時頃に食べたのでまだお腹は空いていない。怜もお腹は空いていないらしく自分の部屋に戻り寝ることにしたらしい。

 

祐一「俺も少し休むか。」

 

部屋に入りリビングの椅子に腰掛け、テレビをつけて見ている。お笑い番組にチャンネルを回し見ていると、疲れているせいかうつらうつらしていた。

 

そして俺は意識を手放した。

 

祐一「う…ん。ふわ〜。結構寝たかな?」

目を覚ました俺は時計を確認した。

 

時刻は午後8時。

祐一「そろそろ、飯食うか。」

そう思い俺はキッチンに移動しようとした時俺のスマホに着信が入った。

 

祐一「誰だろ?ん、曜ちゃん?」

確認すると曜ちゃんからだった。

 

祐一「なんだろ?もしもし、曜ちゃんどうしたの?」

 

曜『もしもし!祐一くん!よかった出てくれて…。』

 

祐一「どうしたの?何かあった?」

 

曜『実はちょっと色々あって来てほしいんだよ…。今から場所送るから来てもらえるかな?』

 

祐一「あ、うん。大丈夫だよ?」

 

曜『ありがとう!よかった…。じゃあ場所送るからなるべく早く来てね!』

 

祐一「はいよー!」

電話が切れてからすぐ曜ちゃんから住所が送られてきた。確認するとうちの近くの居酒屋だった。

 

祐一「なんで曜ちゃん居酒屋なんかにいるんだろ?」

俺は疑問に思ったが、急いで用意して居酒屋に向かった。

 

 

 

俺が居酒屋の前に着くとそこには曜ちゃんが立っていた。

 

曜「あっ!祐一くん!」

曜ちゃんが俺に向かって手を振ってきた。

 

祐一「ふぅ、曜ちゃん久しぶり!それにしても居酒屋でなにしてんの?」

 

曜「久しぶり!じ、実は…。」

曜ちゃんが今の状況を説明してくれた。

 

どうやらサークルの新入生歓迎会に呼ばれたらしく千歌ちゃんと梨子ちゃんも一緒にいるらしい。そこで千歌ちゃんと梨子ちゃんはジュースと間違えてお酒を飲んでしまったようでかなり酔っ払っているらしい。一人は連れて帰れるけど二人は厳しいようなので手伝って欲しいとのことで俺を呼んだみたいだ。

 

祐一「なるほど、そういうことね…。無理やり飲まされたわけじゃないんだよね?」

 

曜「うん!無理やり飲まされたわけじゃないんだけど二人ともどんどん飲んじゃって。私止められなかった…。ごめんね…。私の不注意で迷惑かけちゃって…。」

曜ちゃんは自分に負い目を感じているようで俯いてしまった。

 

祐一「大丈夫だよ、もしもの時のために俺と怜がいるんだからどんどん頼ってよ!でも今回みたいなことはあんまりやっちゃダメだよ?曜ちゃんも嫌な気持ちになっちゃうし、俺も怜も心配になっちゃうからね。でも俺のことを頼ってくれたのはすごい嬉しいよ。」

俺は優しく曜ちゃんの頭を撫で、これからは気をつけるようにと伝えた。

 

曜「あっ、ありがと///これからも迷惑かけちゃうかもしれないけど…よろしくね!!」

曜ちゃんは笑顔で俺にそう言ってきた。そこで曜ちゃんの頬が少し赤くなっていることに気づいた。

 

祐一「あれ、曜ちゃんもお酒飲んだの?顔少し赤いよ?」

 

曜「あっ///私は大丈夫だから千歌ちゃんのことをお願いしていい?」

 

祐一「そう?じゃあ、梨子ちゃんのことは任せるね!」

そう言って俺たちは店に入った。

 

曜ちゃんに席へ案内されて俺は驚きを隠せなかった。

 

 

千歌ちゃんと梨子ちゃんがとんでもないことになっていた。

 

 

千歌・梨子「「ふにゃ〜♪」」

 

女性の先輩たちに可愛がられている千歌ちゃんたちを見て俺は不覚にも可愛いと思い、本来の目的を忘れそうになった。

 

男性「おっ、渡辺さん。彼がさっき言ってた子かい?」

 

曜「はい、私たちの友達です!」

 

祐一「あっ、自分は沖田祐一と申します。今年この大学に入りました!突然きて申し訳ないです。」

 

男性「そっか、君が沖田くんか…。いや、全然だいじょうぶだけどすまんな。こちらが迷惑かけてしまって。俺は2年の沢田忍だ。一応このサークルの代表をしている。よろしく!気軽に忍と呼んでほしいな。」

自己紹介をしてくれた沢田さんはとても高身長でかなりのイケメンだ。

 

祐一「こちらこそよろしくお願いします!忍さん!自分のことも祐一と呼んでください!ところでこのサークルはなんのサークルですか?」

 

忍「この前できたばっかなんだけど軟式の野球サークルとして活動しているよ!よかったら祐一くんも入らないかい?まだ人数ギリギリで試合もロクにできていないんだけどね…。」

 

祐一「野球のサークル…。少し考えさせてください。あともう一人友人で入りたいというやつがいると思うんですけど、そいつと相談してからでもいいですか?」

 

忍「ああ、勿論だ!入りたくなったらいつでも言ってくれ。大歓迎だよ!」

 

祐一「ありがとうございます!近いうちにまた伺いますね!」

 

忍「おう!待ってるよ!」

忍さんと会話していると何やら背中に柔らかい感触がした。

 

祐一「おっと、なんだ?」

俺は確認をするため振り返ろうとするがしっかりと抱きつかれているせいか、後ろを振り向けないでいた。

 

忍「ハハハっ!」

忍さんが笑っている。

 

祐一「忍さん、何笑ってるんですか?」

 

忍「いや、なんでもないよ。見てて微笑ましいね。」

 

祐一「どういうことです?」

俺が忍さんに質問していると俺の背中に抱きついている人の声が聞こえた。

 

「えへへ、ゆーいひくーん♪」

 

俺は声を聞いてようやく理解して振り返った。

 

祐一「ち、千歌ちゃん!?」

 

千歌「そーれすよ♪」

顔を真っ赤にしながらニコニコしている千歌ちゃんの姿を捉えた。

 

千歌「おいしー、ジュースあるからゆーいひくんものもーよ♪なんらかね、ポカポカしてたのひーよ♪」

 

祐一「千歌ちゃん、それはジュースじゃなくてお酒だからもう飲んじゃダメだよ?」

 

千歌「おしゃけ?」

キョトンとした表情をする千歌ちゃん。

 

結構酔ってるなぁ…。

 

祐一「忍さん、千歌ちゃん結構酔っ払っちゃってるみたいなので送っていきますね!」

 

忍「ああ、重ね重ね申し訳ないね…。ここの代金は俺たちが払うから大丈夫だよ!」

 

祐一「こちらこそすみません。ありがとうございます。ほら、千歌ちゃん帰るよ!」

 

千歌「やら!!まだおはなしするの!たのひいんだもん!!」

 

祐一「楽しいのはわかるけど、今日はもう終わり。千歌ちゃん今普通に立てないでしょ?」

 

千歌「しょんなことないもん!!ほら!」

千歌ちゃんは俺から離れ大丈夫アピールをするが、全く大丈夫ではない。ふらっふらっして倒れそうだ。

 

俺はそれを抱きかかえた。

 

祐一「ほらね、ダメでしょ?だから今日は終わりね。大学に行っても会えるから今は帰ろう、ね?」

 

千歌「やら、やら、やら!!!」

酒を飲んだ千歌ちゃんは手強いな…。

 

祐一「はぁ…。」

俺はため息をついた。

 

曜「ごめんね、祐一くん千歌ちゃんかなり酔ってるみたい…。」

 

祐一「そうだね…。どうしようかな?それに梨子ちゃんは大丈夫?」

 

曜「うん…。梨子ちゃんはなんとかなりそう!」

曜ちゃんは梨子ちゃんに視線を向ける。俺も梨子ちゃんはの方を見ると、しっかり座れている。見る限りでは大丈夫であろうと思い視線を曜ちゃんに戻した。

 

俺が曜ちゃんと話していると、

 

千歌「むぅ〜、ゆーいひくん、よーちゃんとイチャイチャしてる!!」

 

祐一「何言ってんの千歌ちゃん。曜ちゃんは千歌ちゃんの事心配してるんだよ?」

 

千歌「よーちゃんばっかずりゅい!」

そう言った千歌ちゃんは俺に向かって抱きついてきた。

 

祐一「あぶねっ…。もう、いい加減にしないと俺も怒るよ!」

 

千歌「だって、ずりゅいもん…。」

俺には千歌ちゃんの言葉の意味がわからなかったが、一人の女性が俺たちの元へ来た。

 

女性「千歌ちゃん、気持ちもわかるけど今日は終わりにしましょうか?」

 

千歌「ゆめしゃん…。」

 

ゆめ「ごめんなさいね、沖田くん。千歌ちゃんがこうなっちゃったのは私たちに責任があるの、だからあまり怒らないであげて…。」

 

祐一「あ、いえ、俺は別に…。そんなに怒っていませんし…。」

 

ゆめ「改めて自己紹介させてもらうわね。私は神田ゆめ一応このサークルでみんなと野球してます。」

 

祐一「ご丁寧にどうも。自分は沖田祐一です。よろしくお願いします!」

 

ゆめ「ふふ、本当に誠実そうな人ね♪」

 

祐一「どういうことですか?」

 

ゆめ「千歌ちゃんがね、すごい君のことを話してくれたの。君の話をする千歌ちゃん本当に楽しそうだったのよ。それで私たちも舞い上がっちゃって…。」

 

祐一「千歌ちゃんが…。」

俺は千歌ちゃんに視線を向ける。

 

俺の視線に気づいたのか、千歌ちゃんは俺にニコニコ笑いかけてきた。

 

俺も笑顔で返し、再び神田さんに視線を戻す。

 

ゆめ「だから、あまり責めないであげて…。それから、本当にごめんなさい…。」

神田さんは頭を下げて俺に謝罪してきた。

 

祐一「頭をあげて下さい!自分が責任持って送るので気にしないでください!」

 

ゆめ「ありがとう…。千歌ちゃんのことお願いね。」

 

祐一「任せてください!」

 

ゆめ「千歌ちゃん、沖田くんが送ってくれるから帰りましょうか?」

 

千歌「はい…。」

 

ゆめ「うん♪千歌ちゃんはいい子ね♪」

神田さんは千歌ちゃんの頭を撫でながらそう言った。

 

千歌「えへへ♪ゆめしゃん、らぁいすき♪」

千歌ちゃんも神田さんにすごい懐いていた。

 

祐一「じゃあ、自分は千歌ちゃん送っていきますね。」

 

ゆめ「うん、お願いね!」

 

忍「俺からも頼むよ!」

 

祐一「わかりました!曜ちゃんたちももう帰る?」

 

曜「私たちはもう少ししたら帰るよ!梨子ちゃんもだんだん酔いが冷めてきたし大丈夫だと思う!」

 

祐一「そっか!じゃあ、梨子ちゃんのことお願いね!」

 

曜「りょうかいであります!」

曜ちゃんが敬礼をしてきたので俺も敬礼をし返す。

 

忍「みんな仲いいんだね!」

 

祐一「そうですね。大学に入ってからですけど大切な友達です…。」

 

祐一「では、本当に失礼しますね!あとまた後日伺いますね!」

 

忍「ああ、またね。連絡先教えるから暇な時声かけてよ!」

 

祐一「わかりました!」

俺は忍さんと連絡先を交換して、店を出ることにした。

 

千歌「ゆめしゃん、またいきましょー♪」

 

ゆめ「また行こうね、千歌ちゃん♪」

 

祐一「では失礼します。」

俺たちは最後に挨拶を交わして店を出た。

 

 

 

千歌「ゆういひくん、ありがと♪」

 

祐一「いいえ。それよりも家まで結構あるけど大丈夫?」

 

千歌「ちょっと休みたいなぁ…。ゆーいひくんのおうち行きたーい!!」

 

祐一「俺の家?別に大丈夫だよ?」

 

千歌「ほんと!!やったー!!ゆーいひくんらぁいすき♪」

と千歌ちゃんは言いながら俺に抱きついてきた。

 

待って。

 

今大好きって千歌ちゃん言った?

 

待て待て俺、今千歌ちゃんは酔っている。きっと友達としてだ。

 

うん。そうに違いない!

 

俺は自分にそう言い聞かせた。

 

祐一「千歌ちゃん、男の人に簡単に大好きって言っちゃいけないよ?」

 

千歌「むぅ〜、ゆーいひくんにしか言わないもん!!」

 

祐一「えっ///」

 

ヤバイ…

 

早く家に連れてかないと俺の理性が…。

 

祐一「と、とりあえず、一旦俺の家で休憩してから家に送るからね///わかった?」

 

千歌「は〜い♪」

 

千歌「それじゃ、ゆーいひくんのおうちにレッツゴー♪」

 

祐一「はいはい、しっかりつかまってね?」

 

千歌「うん♪」

 

 

俺は理性を保ちつつ、酔っ払っている千歌ちゃんを抱きかかえ家に向かって歩き出した。気のせいか、まだ涼しいはずの夜風は不思議と暑く感じた。

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!!

先日調子に乗ってお酒を飲み過ぎてしまったので思いつきました笑
お酒に酔った千歌ちゃんは絶対可愛いと思います笑

これからは程々にお酒を嗜みたいと思います。



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Day16 危機

どうも甘党ゴンザレスです!!

投稿が遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m

もう少しの間なかなか出せませんが、ご理解よろしくお願いします。

それでは本編どうぞ!!



酔っ払っている千歌ちゃんをなんとか俺の家まで連れてきた。

 

俺は部屋の鍵を開けて千歌ちゃんを玄関に座らせる。

 

祐一「千歌ちゃん靴脱げる?」

 

千歌「ぬーがーせーて!」

 

祐一「はいはい…」

俺は千歌ちゃんの靴を脱がせるため足を触る。

 

千歌「ゆーいひくん、くしゅぐったいよ♪」

 

祐一「ごめんね、ちょっと我慢してね?」

俺は邪なる気持ちを押し殺し千歌ちゃんの靴を脱がせた。

 

祐一「はい、脱げたよ。」

 

千歌「ありがと♪」

まだ千歌ちゃんの酔いは覚めておらず顔が僅かに赤く、ニコニコしている。

 

まさか、こんな形で千歌ちゃんを家に呼ぶことになるなんてな…。どうせならちゃんとした状態で家に来て欲しかった。

 

俺がそんなことを考えていると、千歌ちゃんが

 

千歌「ごめんね、やっぱ迷惑らったよね?」

 

祐一「そんなことないよ。気にしないで!」

 

祐一「それより、お水持ってくるね?」

 

俺は、キッチンに水を取りに行き千歌ちゃんに渡した。

 

千歌「うん、ありがと…。」

 

千歌ちゃんは水を飲み干し、少し落ち着いたようだった。

 

千歌「少し落ち着いたよ。本当にごめんね…。」

 

祐一「大丈夫だよ!それにしてもなんで千歌ちゃんたちは軟式野球サークルの飲み会なんて行ってたの?別に特別興味があったわけじゃないでしょ?」

 

千歌「実はね、ちょっと前に野球サークルがあることを知って私ももっとゆーいちくんたちが好きな野球について知りたくなったから行ってみたの…。曜ちゃんの誕生日プレゼントを買いに行った時のバッティングセンターでバッティングしてるゆーいちくんすごい楽しそうだった。だから私、またゆーいちくんに野球をしてもらいたいなって思って…。私ゆーいちくんが楽しそうにしてる姿が好きなんだよ…。」

 

千歌「でも、余計なことしちゃったよね…。迷惑もかけて…。」

そう言った千歌ちゃんは悲しそうな表情をしていた。

 

祐一「千歌ちゃん…。」

 

千歌ちゃんは俺のために野球サークルに行ったのか…。

 

正直な話まだ俺には未練がある。大好きな野球がそう簡単に諦められるはずがない。できるなら軟式でも草野球でも俺はやりたい、千歌ちゃんはこんな俺にチャンスを与えてくれたのだ。感謝こそすれど、迷惑に感じるわけがない。

 

祐一「千歌ちゃん…。ありがとう。」

俺は気がつけば千歌ちゃんのことを抱きしめていた。

 

祐一「迷惑なんかじゃないよ。その気持ちだけで俺はすごい嬉しいよ。千歌ちゃんが俺のことを想ってくれたこと、本当に嬉しい…。だからさ、そんな顔しないで?」

 

千歌「ゆーいちくん…。本当にゆーいちくんてあったかいね…。」

千歌ちゃんも俺のことを抱きしめ返してくれた。

 

祐一「ありがと。とりあえず上がってよ!あんまりおもてなしはできないけどね。」

そう言った俺は千歌ちゃんから離れようとする。

 

だが、

 

千歌「やだ…。まだぎゅってしてて…。」

 

祐一「っ///」

 

この時の千歌ちゃんは酒を飲んでいるせいか妙に色っぽく艶めかしかった。それだけでも理性を保つのがやっとだったのに、涙目の上目遣いときた。

 

もう、無理だよ…。

 

俺の理性は無残にも崩れ落ちそうになる。

 

祐一「千歌ちゃん、もう俺…。」

千歌ちゃんに触れようとした瞬間、優吾さんに言われた言葉を思い出した。

 

優吾『俺の期待を裏切らないでくれよ。』

 

そうだ、俺は優吾さんと約束した。

 

期待を裏切りたくない。俺はちゃんと自分の気持ちを千歌ちゃんに伝えたい。

 

俺はなんとか理性を保ち千歌ちゃんを抱きしめた。

 

千歌「やっぱり、ゆーいちくんは安心するなぁ…。」

 

祐一「はは、ありがとう。さぁそろそろいいかな?」

俺は千歌ちゃんの顔を覗き込むと、

 

千歌「すぅ…すぅ。」

千歌ちゃんは眠ってしまっていた。

 

祐一「ありゃ、寝ちゃったか。とりあえず自分の家で寝たほうがいいし送っていくか。」

俺は千歌ちゃんが起きないように俺の背中に乗せて千歌ちゃんを持ち上げる。

 

祐一「よいしょっと!」

 

千歌ちゃんを乗せて立ち上がり家から出た。

 

 

 

 

しばらくして俺が千歌ちゃんを背負って歩いていると曜ちゃんと梨子ちゃんに会った。

 

曜「あっ!祐一くん、千歌ちゃんは…あら寝ちゃったの?」

 

祐一「おっ、曜ちゃん!そうそう千歌ちゃん寝ちゃったからさ。」

 

祐一「梨子ちゃんも大丈夫?」

 

梨子「うん、迷惑かけちゃってごめんなさい…。私お酒飲んだことなかったから、まさかあんなになるなんて思わなかった///」

 

祐一「ははは、まぁしょうがないよ!でも今度からは気をつけて、俺も怜も心配になっちゃうからね?」

 

梨子「はい、気をつけます…。」

そんなやりとりをしていると

 

千歌「う…ん、あれ?ここどこ?私さっきまでお店で美味しいジュース飲んで…」

千歌ちゃんが目を覚ました。

 

曜「千歌ちゃん、さっきまでお酒飲んでてすごい酔っ払ってたんだよ。」

 

千歌「えっ?あの美味しいジュースお酒だったの!?」

 

千歌「それに、なんで祐一くんにおんぶされてるの?」

 

祐一「曜ちゃんが俺に連絡してきたから俺が千歌ちゃんを家まで送ることにしたんだよ。さっきまで俺の家にいたのも覚えてない?千歌ちゃんが来たいって言ったからいったんだけど。」

 

千歌「えっ///」

千歌ちゃんは顔を赤くしながら驚いていた。

 

曜「千歌ちゃんだいたーん♪」

 

千歌「よ、よーちゃん!///」

 

梨子「あら、千歌ちゃん羨ましい♪」

 

千歌「もぅー、梨子ちゃんまで!///」

 

祐一「??」

みんな何言ってるんだろ?俺の家来るのが羨ましいってどういうこと?

 

千歌「ゆ、祐一くんもう大丈夫だから降ろしていいよ!お、重いでしょ…?」

 

祐一「本当に大丈夫?全然重くないよ!むしろ軽いくらいだよ。」

 

千歌「千歌、変なことしてなかった?」

 

俺は先ほどまでのことを思い出す。

 

祐一「///」

 

祐一「な、なにも…なかったよ?」

 

梨子「なんだか、祐一くん顔赤くない?」

 

曜「おーっと、これは何かありそうでありますな♪」

 

千歌「えっ///なにか私しちゃった?///」

 

祐一「だ、だいじょぶだよ!気にしないで。」

 

祐一「それより、遅くなっちゃったし帰ろうか。もう遅い時間だし俺が送るよ!」

 

千歌・梨子・曜「「「おねがいします!」」」

 

俺はみんなを送るため歩き始めると、時間も遅いせいか人通りが少ない。

 

そのせいか静寂が俺たちのことを包む。

 

梨子「なんだか静かね…。」

 

曜「まぁ、もう遅いしみんな寝てるんだよ。」

 

祐一「確かにね…。もう日付も変わってるし、それにこの辺治安もそんなに良くないからね。」

 

千歌「そうなの!?」

 

祐一「そうだよ、だから気をつけてね。三人とも可愛いんだから心配だよ…。俺と怜も喧嘩が強いわけじゃないから助けられるかわからないし、なにより三人に辛い思いをさせたくないからね。」

俺はみんなのことを心配に思いため息をこぼす。

 

すると三人からは意外な言葉が帰ってきた。

 

曜「大丈夫だよ!私たちは二人を信じてる!いつも助けてもらってるし!」

 

梨子「そうね、私もすごく信頼してるわ♪」

 

千歌「私だって信じてる!それに私たちだって二人が傷つくのは悲しいよ…。だから頼りないかもしれないけど私たちのことも頼ってね?」

 

三人からの言葉に俺たちへの信頼の厚さを改めて実感した。

 

祐一「ありがとう、そう言ってもらえるとうれしいな…///」

 

正直俺たちの大学で千歌ちゃんたちは大人気だ。Aqoursのことを知ってて近づこうとする奴も少なからずいる。そんな奴らが近づかないようにするために俺と怜はボディーガードをしている。そうしていることから、彼女たちは俺たちに信頼を寄せてくれているのだろう。それは本当に嬉しいことだ。

 

そんなことを考えていると、

 

 

 

 

 

 

??「あれ、高海じゃん。それに桜内と渡辺もいんじゃん。」

 

俺たちは声のした方を振り向くと柄の悪い三人組が立っていた。

 

祐一「なんだよ、何かようか?」

 

??「あれあれ?誰かと思えばいつも高海たちといるタラシくんの沖田くんじゃんw」

 

祐一「武田…康二」

 

武田「なんだ、相田はいねーのか?これからお前ら四人でヤるのかwいいなー俺らも混ぜてくれよww」

 

武田たちが現れたことで千歌ちゃんたちは震えている。

 

こいつらは俺たちと同じ学年でいわゆるDQNと呼ばれている奴らでかなり千歌ちゃんたちにちょっかいをかけてくる。噂によると犯罪まがいのこともしているようだ。

 

祐一「なにいってんだ、悪いが急いでるから失礼させてもらう。」

 

武田「まぁ、そう急ぐんじゃねーよ。お前ら、あいつらが逃げないようにしとけ!」

 

男二人「「おう!」」

 

男たちが俺たちが逃げないように道を塞いだ。

 

武田「前々からお前らのことは気に食わなかったんだよ。だが今日はお前一人だからな。三人いりゃお前のことをぶっ殺せる!」

 

武田の発言に千歌ちゃんたちは恐怖を感じていた。

 

祐一「大丈夫、心配しないで…。俺がみんなを守るから。」

 

祐一「気に食わないのはおれだろ?彼女たちは関係ないから解放しろよ。」

 

武田「そんなことするわけないだろwwお前をぶっ殺した後そいつらで楽しむんだよww」

 

武田は笑いながらそう答えた。

 

祐一「この…外道が…。」

 

俺はキレそうになるのをなんとか抑えて千歌ちゃんたちに小声で言った。

 

祐一「俺が武田を引きつけるからそのうちに居酒屋まで逃げるんだ。そこで忍さんたちに事情を説明して今日は誰かの家に泊めてもらって。ごめんね…。」

 

千歌「だ、ダメだよ!そんなこと…できない…。」

 

梨子「そうよ!そんなことできるわけない!」

 

祐一「これしかないんだ!!」

 

突然の大声に三人は肩を震わせた。

 

祐一「俺は大丈夫だから…。曜ちゃん二人を頼めるかい?」

 

曜「…。わかった…。」

 

千歌「曜ちゃん!?なに言ってんの!!」

 

千歌ちゃんが珍しく声を荒げた。

 

祐一「いいんだ、千歌ちゃん。曜ちゃんごめんね、辛い役押し付けちゃって…。」

俺は曜ちゃんに謝った。

 

曜「だいじょうぶだよ…。でも絶対無事でいてね?」

 

祐一「ああ。」

 

武田「さっきから何ごちゃごちゃしてやがんだ、本当にぶっ殺すぞ!!」

 

痺れを切らした武田が俺たちに向かって叫んできた。

 

祐一「やれるもんならやってみろよ。」

俺は武田を挑発して俺に注意を向けた。

 

武田「なめやがって!!ぜってー、ぶっ殺す!!お前らこいつ抑えつけろ。」

武田たちが近づいてきたので俺は大声で叫ぶ。

 

祐一「今だ!!逃げろ!!」

俺の声で三人が全力で駆け出した。それに驚いた武田たちは怯んでいるが、すぐに激昂して俺に掴みかかってきた。

 

武田「テメー!!ふざけやがって!」

武田は千歌ちゃんたちに目もくれず俺の胸ぐらを掴み顔を殴ってきた。

 

祐一「ぐっ…。」

俺は唇が切れて血が流れる。

 

千歌「ゆ、祐一くん!!」

それに気づいた千歌ちゃんが戻ってこようとする。

 

祐一「くるな!!!!いけーー!!!!」

俺は大声で千歌ちゃんのことを諌めた。

 

武田「ハハハ!!女に心配されてやがんの、ダッセーーww」

 

祐一「お前の拳なんて全然痛くねーよ。蚊が止まったのかと思ったぜ。」

 

武田「て、てめーーー!!!!!」

武田は更に怒りくるい俺に何度も殴りかかる。

 

 

 

 

 

それを見ていた千歌ちゃんが俺の方に走ってこようとするが、曜ちゃんに腕を掴まれた。

 

千歌「離して!!曜ちゃん!!」

 

曜「千歌ちゃん!!今は忍さんたちのところに急ご!私たちが行っても祐一くんに迷惑がかかる!!」

 

千歌「でも!!」

 

パチン

 

千歌「っ…。」

なんと、曜ちゃんが千歌ちゃんの頬を叩いた。

 

曜「目、覚めた?」

 

千歌「な、なんで…。っ!!」

曜ちゃんの目には涙が浮かんでいた。

 

曜「祐一くんは今私たちを逃がすために時間を稼いでくれてるんだよ!!!私たちがその時間を無駄にしてどうすんの!!!今、私たちができるのは早く助けを呼んで戻ってくることだよ!!!」

曜ちゃんは涙を流しながら千歌ちゃんに訴える。

 

千歌「ご、ごめん…。」

 

曜「わかったなら、早く行くよ!!」

曜ちゃんは涙を拭い走り出す。

 

千歌「うん!」

 

千歌「祐一くん待ってて…。すぐ戻ってくるから。」

 

千歌ちゃんたちは走って行った。

 

 

 

 

その光景を見ていた俺は安心した。

 

武田「何笑ってやがんだ!!」

 

祐一「別に…。」

 

武田「このヤローー!!!バカにしやがって!」

武田は俺から離れポケットからナイフを取り出した。

 

男A「武田、それはまずいって!」

 

男B「そうだ!やめとけ!!」

武田の取り巻きは武田の行動に驚き止めようとする。

 

武田「うるせー!!お前らも殺されてーか!!」

 

しかし武田は止まらなかった。

 

男A「もう、付き合い切れねー!」

取り巻きはそう言って逃げ出した。

 

祐一「お前のお仲間さん逃げちまったぞ?」

 

武田「う、うるせーーーーー!!!!!!!」

 

そう叫びながら武田は俺の腹に向かってナイフを突き刺してきた。

 

祐一「ぐっ、ああああああっ!!!」

 

武田「ハハハ!ざまぁみろ!」

 

腹を刺されてかなり痛いが、俺を嘲笑っている武田の腕をしっかり掴んだ。

 

祐一「ハァハァ…つか…まえた。」

腹から血が滴っているがそんなのは関係ない。

 

こいつは三人を怖がらせた。その罪は重い。

 

武田「なっ、離しやがれ!!」

 

祐一「はな…すかよ。くらいやがれぇぇぇぇぇ!!」

 

俺は渾身の力で武田の顔面を殴りつけた。

 

武田「ぐわーーーーー!!!」

叫び声と共に武田は吹っ飛びそのまま気絶した。

 

祐一「ハァ…ハァ…何とかなった…か。」

安心感から俺はその場に崩れ落ちる。

 

祐一「ちょっと…頑張り…すぎた…かな?」

 

俺は刺されたお腹のあたりを見る。

 

祐一「ハハハ…ヤベーな。俺、死ぬのかな?」

俺はあまりの血の量に少し驚くがすぐにどうでも良くなる。

 

祐一「千歌ちゃんたちが…無事なら…いいか。」

そう呟いた時誰かの声が聞こえた。

 

千歌「祐一くん!!」

 

祐一「ちか…ちゃん?」

俺は声のする方を見る。しかしもう目が霞んでよく見えない。

 

千歌「忍さんたち呼んできた…よ…。」

千歌ちゃんは俺の姿を見てどう思っているのだろうか。次の言葉が出てきていなかった。

 

千歌「ゆういち…くん…血が…。」

 

祐一「ハハ…ごめん…やられちゃっ…た…。」

 

千歌「謝らないで!!今救急車呼ぶから!曜ちゃん救急車呼んで!祐一くんが…祐一くんが!!」

 

曜「千歌ちゃん?っっ!!祐一くん、待っててすぐ呼ぶから!」

どうやら救急車を呼んでくれるらしい。

 

祐一「あり…がと…。めい…わく…かけて…ごめん…ね…。」

 

本格的に意識が朦朧としてきた…

 

千歌「迷惑なわけないじゃん!!祐一くん死んじゃやだよ!!!」

 

俺の手に暖かい何かが落ちるのを感じた。

 

祐一「ちか…ちゃん…なか…ないで…。」

 

千歌「そんなの…ムリ…だよ!!」

 

祐一「おれは…ちか…ちゃん…の…笑った…顔…が…大好き…だ…か…ら。」

 

千歌「祐一…くん?祐一くん!!祐一くん!!!!!!」

 

 

 

意識を手放した俺には、虚しくもこだまする千歌ちゃんの悲痛な叫びは届かなかった…。

 




ご愛読ありがとうございました!!

最近暑くなってきて熱中症などあるかと思いますが、皆さま水分補給をこまめにとって安全にお過ごしください。

それではまた次回!!


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Day 17 想いの丈


どうも甘党ゴンザレスです!!

こんな駄作ではありますが、待っててくださった皆さま投稿が遅れて申し訳ありませんm(_ _)m

これからはまた早く出せるように頑張るので暇つぶし程度に読んでいただければ嬉しいです!

それでは本編どうぞ!!


俺は今フワフワした空間を漂っている。

 

祐一「あれ、俺は確か武田に刺されて気絶したはず……てことはここはあの世か?」

 

祐一「にしては、何もないな…。」

 

俺は千歌ちゃんたちを守れた。それだけで十分…。

 

薄れゆく意識の中、とうとう迎えがきたのかと思い覚悟を決める。

 

すると走馬灯のようなものが蘇ってくる。

 

怜『祐一!!』

 

梨子『祐一くん!!』

 

曜『祐一くん!!』

 

なんだかみんなの声が聞こえる気がする。

 

でも一人だけ聞こえない声がある。

 

俺の想い人。

 

祐一「また、会いたいな…。」

 

でも、それは叶わない夢。俺の人生はここで終わりなのか…。

せめて、俺の想いを彼女に伝えたかった。

 

俺が始めて恋をして、本気で好きになった女の子。

 

 

――――――――――――――――――――

Side千歌

 

私は今目の前でどんどん呼吸が浅くなっている祐一くんに声をかけることしかできなかった。

 

千歌「祐一くん!!起きてよ、変な冗談はやめて!!」

私の呼びかけに彼が反応するわけがない。

 

曜「千歌ちゃん!救急の人が来たから、早く祐一くんを!!」

 

千歌「う、うん…。」

 

救急「あとは、我々にお任せください!」

 

曜「よろしくお願いします!!祐一くんを助けてください!!」

 

救急「必ず救ってみせます!」

 

救急隊の人が安全かつ迅速に祐一くんの応急処置を済ませ救急車に乗せる。

 

千歌「あの、私も同伴させてください!」

 

救急「…。わかりました。では乗ってください。」

 

千歌「ありがとうございます!」

 

私が救急車に乗り込もうとすると、曜ちゃんたちも一緒に来た。

 

曜「私たちもお願いします!」

 

梨子「ええ、祐一くんは私たちを守ってくれたんですもの!もしかしたら何かの助けになれるかもしれない!」

 

千歌「曜ちゃん…梨子ちゃん…。」

私は涙を流しそうになるのをぐっと堪えて救急車に乗った。

 

すると、助けに来てくれた忍さんたちから言われた。

 

忍「こっちのことは任せてくれ!俺たちがなんとかする!」

 

曜「すみません…。ありがとうございます。」

 

忍「俺たちにも責任はある…。祐一くんを頼んだよ!!」

 

千歌・梨子・曜「「「はい!!」」」

 

救急「では、急ぎましょう!かなり危険な状態です…。」

 

千歌「わかりました。お願いします!」

 

私たちを乗せた救急車はサイレンを鳴らしながら病院へと向かった。

 

 

 

 

病院に到着してから、すぐに祐一くんは手術室に運ばれた。

 

私たちは救急車の中で怜くんに連絡を取り状況を伝えた。

 

怜くんは『すぐ行く』と言って早々に通話を切り、20分後に病院に到着した。

 

怜「みんな、祐一は!?」

汗をかき、息を切らしながらやってきた怜くんが私たちに聞いてきた。

 

私たちは赤いランプが光る部屋を無言で見つめた。

 

怜「クソっ!!!俺もいればこんなことにはならなかったのに…。」

 

千歌「ごめ…ん…ね…。」

 

怜「千歌ちゃん!?」

 

私は涙が溢れ出して止まらなかった。

 

いや、

 

止められなかった。

 

千歌「私が…私が…。迷惑…かけなければ…。」

 

怜「千歌ちゃん…。」

 

千歌「私はとんでもない迷惑をかけた!!!私が…私が…全部悪いの!!!」

 

梨子「そんなことない!!私にだって責任がある!千歌ちゃんが悪いわけじゃない!!」

 

曜「そうだよ!!!一番の責任は私にある…。私がちゃんとしてれば…。」

 

みんな涙を流している。

 

すると、怜くんが私たちを抱きしめてくれた。

 

怜「ごめんね…。」

 

怜「俺がみんなを不安にさせちゃったよね…。大丈夫みんな悪くない…。だから祐一を信じて今は待ってよう?あいつは簡単に死にはしない。あいつは何回だって這い上がってきたんだ。信じよう。」

 

私たちは怜くんの言葉に冷静さと取り戻す。

 

梨子「そう…だよね。」

 

曜「私たちが祐一くんを信じないと!」

 

怜「そうだよ!その意気だ!千歌ちゃんも。ね。」

 

千歌「うん…うん!そうだよね!私たちが信じないと!!」

 

祐一くん、私信じてるよ…

 

 

二時間後

 

 

赤いランプがようやく消灯して先生が手術室から出てきた。

 

怜「先生!!祐一の容体は?」

 

医者「一命は取り留めました。」

 

千歌「よかった…。」

私は安心からその場にヘタリ込む。

 

医者「ですが…。出血量が酷く危険な状態ではあります。二、三日、目を覚まさなければ…。」

 

怜「そ、そんな…。」

怜くんの顔が絶望に染まる。

 

私も、

 

いや、

 

みんなそうだ。

 

医者「あくまで可能性です。一応ご家族にもお伝えください。」

 

怜「わかり…ました…。」

 

祐一くんが病室に運ばれ静かに眠っている。

 

千歌「祐一くん…。」

私は彼の名前を呼びながら静かに涙を流す。

 

怜「俺、祐一の両親に連絡してくるから祐一のこと見ておいてね?」

 

梨子「わかった、任せて…。」

梨子ちゃんが力無く返事する。

 

怜くんが病室から出て行き再び病室に静寂が訪れる。

 

私は祐一くんの手を握りながら今までの日々を思い出す。

 

『千歌ちゃん!!』

 

『ありがとう、千歌ちゃん!』

 

祐一くんの優しい声が蘇る。

 

もうあなたの優しい声は聞けないの?

 

もうあなたの笑った顔を見れないの?

 

 

私の

 

 

好きって気持ちも伝えられないの?

 

 

そんなの嫌だよ…

 

 

私は祐一くんの手を握りながらただ回復祈ることしかできなかった。

 

――――――――――――――

Side 祐一

 

いつまで経っても迎えがこない…

 

そんなことを考えながら俺はただただ空間を漂っていた。

 

すると俺の目の前が光り始めて誰かが現れた。

 

祐一「とうとう、来たか…。」

 

俺は身構えて待っていると現れたのは意外な人だった。

 

??「よう、祐一久しぶりだな…。ずいぶん大きくなって…。」

 

俺は現れた人物に驚きを隠せなかった。

 

祐一「じ、じいちゃん!!」

 

現れたのは俺が大好きだったじいちゃんだった。

 

じい「そう言えば、おめぇはまだ死んじゃいないぞ?」

 

祐一「へっ??どういうこと?」

 

じい「ここは死ぬ一歩手前の世界。言わば三途の川を渡る前ってことだな。」

 

祐一「なるほど…。じゃあまだ俺は完全に死んでないってこと?」

 

じい「そういことだ。それにお前には聞こえんのか?あの声が。」

 

祐一「えっ??」

 

俺は耳を澄ませると微かだが声が聞こえる。

 

『…いちくん。祐一くん!!』

 

俺はその声に驚いた。

 

その声は俺が1番聞きたかった声。

 

俺の大好きな女の子の声

 

祐一「聞こえる…。じいちゃん、聞こえるよ。」

 

じい「あの子は、祐一の彼女か?」

 

祐一「いや、違うけど…。俺が1番大好きな女の子だよ。」

 

じい「そうか…。お前の目を見ればよくわかる。よほどあの子のことが好きなんだな。」

 

祐一「うん…。俺が1番大切に想っている女の子。」

 

じい「なら、早く戻ってやりなさい。惚れた女を泣かせる男は最低だぞ!それにワシも時間が来たみたいだ。」

 

祐一「じいちゃん、体が…。」

 

じいちゃんの体は半分以上消えかかっていた。

 

じい「ワシはもう死んどる。それに何はともあれおめぇにまた会えた。ワシはそれだけで満足だ。これからもおめぇのことを見てるから絶対あの子を幸せにするんだぞ。じいちゃんとの約束だ。」

 

祐一「ああ、わかったよ!これからもずっと俺のこと見守っててじいちゃん!」

 

俺とじいちゃんと拳を合わせ男同士の約束を交わした。

 

俺は絶対に守り通す。

 

じい「じゃあな、祐一。元気でな。」

 

祐一「じゃあね。じいちゃん。」

 

じいちゃんが俺の前から消えた。

 

じいちゃんが消えてからすぐ俺の体も光り始めた。

 

祐一「俺もそろそろ行かないと…。じいちゃん、これからの俺を見ててくれよ。」

 

 

 

待っててね、千歌ちゃん…

 

 

 

俺は静かに目を閉じた。

 

―――――――――――――――

Side 千歌

 

祐一くんの手術から三日たったけどまだ目を覚まさない。

 

千歌「祐一くんお願い…。目を覚まして…?」

 

目を覚まさない祐一くんの手を軽く握り、呟く私。

 

私はこの三日間ほとんど眠れなかった。面会時間の始まりから終わりまでずっと病室にいる。家に帰って寝ようとするとあの日のことを思い出して眠れなくなる。ご飯も喉を通らないし、今私はすごいひどい顔をしてると思う。

 

祐一くんがいないだけで心にポッカリと穴が開いたような感覚になる。

 

くるしい…

 

改めて祐一くんの存在が私の中でどれだけ大きい存在だったのか感じた。

 

祐一くんを失うかもしれない、そう考えただけで私は辛くなる。

 

それに私の見えてる世界は色を失っていて、モノクロの世界のようだ。

 

『恐怖』

 

その感情が私を支配する。

 

お医者さんからも伝えられていたタイムリミットも今日まで…。

 

今日、目を覚まさなかったら祐一くんは…。

 

今、祐一くんのご両親と怜くんが先生と話している。私も今回のことをお父さんたちに伝えたら『すぐに向かう』と言って、志満ねぇ達に旅館を任せて来てくれた。

 

今も病室の外で待っている。

 

曜ちゃんと梨子ちゃんも私に気を利かせて、外で待ってくれている。

 

千歌「祐一くん…チカ迷惑かけてばっかりだね…。」

 

私は今も眠り続ける彼に向かって話しかける。

 

千歌「いつも祐一くんの優しさに甘えて困らせちゃったよね…。それでも祐一くんは嫌な顔しないでいつも笑ってチカに優しくしてくれた…。それが…嬉しかった…。それに祐一くんがよく見せてくれる笑顔にいつも見惚れちゃうんだ…。だからさ…またチカが…大好きな…笑顔…見せて…。お願いだよ…祐一くん……。」

 

私は自分の胸に秘めている想いを伝える。

 

千歌「祐一くんがいなくなるなんて考えたくない…。チカは…もっと祐一くんとの思い出を作りたい…。笑ったり…泣いたり…色々なことを祐一くんと一緒にしたい…。」

 

気がつけば私は大粒の涙を流しながら祐一くんの手を握りしめていた。

 

千歌「だから……だから……。」

 

私は祐一くんを失うかもしれない恐怖と絶望で心が砕け散りそうだった。

 

 

 

 

千歌「チカを…一人にしないで……?」

 

 

 

 

そう言った瞬間祐一くんの手が微かに動くのを感じた。

 

千歌「っっ!!」

 

私は微かな動きを感じ取り必死に呼びかけた。

 

千歌「祐一くん!!祐一くん!!」

 

祐一「う…んぁ…。ちか…ちゃん?」

 

祐一くんの声を聞いた瞬間私は安心感からか涙が止まらなかった。

 

Side out 千歌

――――――――――――――――――

Side 祐一

 

俺は目を覚ますとベットの上に横になっていた。

 

左手に暖かい感触を感じ確認するため、霞む目を右手で擦り視界を晴らした。

 

祐一「ちか…ちゃん?」

 

千歌「うん…。うん、そうだよ…チカだよ?よかった…。ホント…よかった…。」

 

祐一「ここ…は?」

 

千歌「ここは病院だよ。あの後救急車で運ばれたの…。」

 

祐一「そっか…心配…かけちゃったね…。」

 

祐一「でも、千歌ちゃんの声が聞こえたんだ…。だから俺は戻ってこれた。ありがとう…。千歌ちゃん。」

 

なんとか上体を起こし、俺は千歌ちゃんに伝えた。

 

千歌「無理しないで祐一くん。傷が深くてまだ治ってないんだから…。」

 

俺は刺された部分を確認すると生々しい傷が見えた。

 

千歌「ごめんね…。チカのせいで…こんな…。」

 

千歌ちゃんは涙を零しながら謝ってくる。

 

祐一「気にしないで…って言っても無理だよね…。」

そう言うと千歌ちゃんは俯いてしまう。

 

祐一「でもね。俺は嬉しいんだ…。」

 

千歌「えっ…?」

 

祐一「結果的には怪我して心配かけちゃったけど…千歌ちゃんたちを守ることができた。だからこの傷は千歌ちゃんたちを守れた証。」

 

祐一「俺にとっては嬉しい傷だよ…。」

俺は千歌ちゃんに笑いかける。

 

千歌「うっ…うわぁぁぁぁぁ!!!」

千歌ちゃんは大声で泣きだして俺に抱きついてきた。

 

祐一「い、痛いよー、千歌ちゃん。」

 

千歌「あり…がとー!!祐一くん…。生きててくれて…ありがとー!!」

 

俺を抱きしめながら千歌ちゃんは涙を流す。

 

その声が聞こえたのか、梨子ちゃんと曜ちゃんが入ってきた。

 

梨子「千歌ちゃんどうしたの!?」

 

曜「まさか祐一くんに何かあっ…た…。」

 

ドアが開き二人と目が合う俺

 

祐一「お、おはよう…。」

 

俺を見て固まっている二人

 

次の瞬間、二人は目に涙を浮かべ俺に抱きついてきた。

 

曜「よかった…よかった…よかったよー…。」

 

梨子「本当に、心配したんだから…。」

 

祐一「ごめんね、心配かけて…。」

 

俺がみんなに謝っていると怜と俺の両親と千歌ちゃんの両親が入ってきた。

 

怜「よかった…心配させやがって…。でも信じてたぜ。」

 

祐一「あぁ、すまんな…。」

 

怜も薄っすらと涙を浮かべている。

 

そのほかにも千歌ちゃんのご両親、俺の母さんの沖田佳子、父さんの沖田正義がいた。

 

祐一「母さんも父さんも心配かけてごめん…。」

 

正義「いや、気にするな。お前はよくやった。俺たちの自慢の息子だ。本当に無事でよかった…。」

 

佳子「そうよ。母さんも心配したけど生きててくれて嬉しい…。」

母さんも涙を流しながら俺の無事を喜んでいた。

 

祐一「優吾さんたちもご心配をおかけして申し訳ありません…。」

 

俺は頭を下げ謝罪する。

 

優吾「祐一くん頭をあげてくれ。俺たちはむしろ感謝しているんだ。みんなの御両親を代表してお礼を言わせて欲しい。娘たちを助けてくれてありがとう。」

 

祐一「いえ、俺はただ…。」

 

美夏「いいえ、祐一くん。私たちは本当に感謝しているの…。祐一くんがいなかったら私たちは娘を失っていたかもしれない…。」

 

祐一「美夏さん…。」

千歌ちゃんの母親である高海美夏さんがそう言ってくる。

 

美夏「本当にありがとう…。みんなを…千歌を…守ってくれて…。」

美夏さんは涙ながらに感謝の言葉を俺に伝えてくれ、深々と頭を下げた。

 

祐一「頭をあげてください!?俺の方こそ守れて嬉しいです。」

 

もちろん俺も本心でそう思っている。これで千歌ちゃんたちにもしものことがあったら俺は自分自身を許せない。だけど、俺はみんなを守ることができた。

 

 

今はそれだけで満足だ…。

 

 

医者「お目覚めになってよかったです。」

先生がやってきて声をかけてきた。

 

祐一「色々ご迷惑おかけしました。助けていただきありがとうございます。」

俺は先生に頭を下げ、感謝を伝える。

 

医者「いえ、皆さんの迅速な対応のお陰です。早速で申し訳ないのですが、改めて検査をしたいと思うのですが、よろしいですか?」

 

祐一「はい、よろしくお願いします。」

 

医者「では、これから検査を始めますのでご準備をお願いします。」

 

祐一「わかりました。じゃあ、みんな行ってくるからそろそろ離してもらえるかな?」

俺は三人に呼びかける。

 

曜「あっ…ごめんね。痛かったよね?」

 

梨子「そ、そうね!いつまでもごめんなさい。」

そう言って二人はすぐに離れてくれた。

 

祐一「ハハハ、大丈夫だよ?」

 

千歌「……。」

 

祐一「千歌ちゃん?」

千歌ちゃんだけはすぐには離れてくれなかった。

 

医者「ふふ、では私は準備を進めていますので、整いましたらお呼びください。」

 

祐一「わかりました。」

先生は病室から出て行くと他のみんなもなぜか病室を出て行った。

 

祐一「千歌ちゃん、どうしたの?」

 

千歌「チカね…本当に後悔したの…チカのせいで祐一くんが傷ついた…。祐一くんに迷惑ばっかりかけて…それが今回の事件になった。だから…だから…もう、チカとは一緒にいない方がいいのかなって…思っちゃって…。」

 

千歌ちゃんの瞳から涙が零れ落ちる。

 

千歌「チカと会わなきゃ…祐一くんはこんな怪我をしなかった。こんなことになるなら…チカたち…出会わなければ……。」

 

祐一「それは違う!!」

 

俺は千歌ちゃんが言い終える前に言葉を遮った。

 

千歌「っ!!」

 

祐一「それは違うよ千歌ちゃん…。」

 

千歌「違わない…。違わないよ!!何が違うって言うの!!チカが…チカが…迷惑かけたから…全部チカが悪いの!!」

 

千歌ちゃんは自分自身を責める。

 

祐一「俺は千歌ちゃんたちと出会えて本当に良かったと思ってる!それを否定しないでよ…。俺は大学生活に少なからず不安を持ってた…。友達はできるのか、授業についていけるのか。そんなことを入学前は考えてた。だけどね、千歌ちゃん達と出会ってすぐにその不安は消えたんだよ。」

 

祐一「千歌ちゃんと出会ってから俺の毎日は輝き出したんだ。」

 

千歌「チカはそんなこと言ってもらえる価値なんてない!!チカは…。」

 

言い切る前に、俺は自分を責める千歌ちゃんを無意識で抱き寄せていた。

 

千歌「離してよ!!」

 

腕の中で泣きながら暴れる千歌ちゃんに構わず俺は千歌ちゃんを抱きしめた。

 

 

 

 

その時俺は決意をした。

 

 

 

 

祐一「千歌ちゃん…落ち着いて?」

俺は千歌ちゃんの頭を撫で落ち着かせる。心做しか千歌ちゃんのことを抱きしめる力が強くなった気がする。そのせいか、千歌ちゃんも落ち着きを取り戻していた。

 

千歌「ごめんね…。ちょっと落ち着いた。痛かったよね?」

 

祐一「ううん。大丈夫だよ。それから千歌ちゃんに聞いて欲しいことがあるんだ?」

 

祐一「聞いてくれるかな?」

 

千歌「チカに…?」

 

千歌ちゃんは俺の真剣な雰囲気を感じ取ったのか、緊張感が伝わったみたいで真剣な表情になった。

 

その表情を見て俺の決意は確固たるものに変わった。

 

祐一「そうだよ。千歌ちゃんに聞いて欲しいこと。」

 

俺は千歌ちゃんを真っ直ぐ見つめた。

 

祐一「本当はもっと、ちゃんと言いたかったんだけど…。」

 

張り詰めた空気の中で俺は深呼吸をしてゆっくり言葉を紡ぎ出す。

 

 

祐一「さっきも言ったけど俺は大学生活が始まって、千歌ちゃんと出会って本当に毎日が光り輝き出した。」

 

祐一「毎日が楽しくてしょうがなかった。」

 

祐一「みんなは俺の大学生活に鮮やかな色をつけてくれた。そんなみんなと過ごす何気ない日々が俺は大好きになった。その日々を彩ってくれた、怜、梨子ちゃん、曜ちゃん。」

 

祐一「そして、俺の中で1番大きな存在で影響を与えてくれたのが…。」

 

 

 

祐一「千歌ちゃん。君なんだ…。」

 

 

 

千歌「えっ…。」

 

 

 

祐一「千歌ちゃんが隣に居てくれるだけで俺は嬉しかった。千歌ちゃんの声を聞くだけで元気になれた。千歌ちゃんが笑顔で笑いかけてくれる、それだけで俺も笑顔になれた。千歌ちゃんを見ているとドキドキして気がつけば目で追ってた。俺にとって大切な存在…。」

 

 

そこまで言い終えて俺は再度深呼吸をして想いの丈をぶつけた。

 

 

祐一「俺は、高海千歌さんが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐一「好きです。」

 





ご愛読ありがとうございました!!

長くなってしまって申し訳ないですm(_ _)m

ついにここまで来ました!!

次回もお楽しみに!!


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Day18 勇気を胸に


どうも甘党ゴンザレスです!!

そろそろ高校野球の季節ですね!

今年も夏が楽しみな今日この頃。

それでは本編どうぞ!!


『俺は高海千歌さんが好きです。』

 

私はその言葉を聞いた時、頭の中が真っ白になった。

 

祐一くんがチカのことを好きと言ってくれた。

 

夢を見てるみたい。

 

千歌「えっ///あの…その…///」

 

私は突然のことにあたふたしてしまい返事を返せずにいた。

 

本当ならすぐにでも答えたい。

 

でも、

 

すぐに言葉が出てこない。

 

そんな私を見たからか、祐一くんを私の唇にそっと人差し指を当て口を開いた。

 

祐一「すぐに答えなくていいよ。突然でびっくりしちゃったよね?時間をかけていい。ゆっくりでいいから自分の中で答えを出して俺に聞かせて欲しいな…。」

そう言って祐一くんはおちゃめに微笑んでくれた。

 

千歌「は、はい…///」

 

私はそれしか言えなかった。

 

祐一くんの初めて見る表情。

 

とても愛おしかった。

 

祐一「ごめんね…。俺告白するの初めてだったから///ムードも何も関係なくやっちゃって…。」

 

千歌「そ、そんなことないよ!!…すごい…嬉しかった…です///」

 

今、私どんな顔してるんだろう?

 

すごいニヤニヤしてそうで不安だ。

 

祐一「そ、そっか///嬉しいな…///」

 

千歌「///」

 

祐一くんの照れ笑い、反則だよ///

 

可愛すぎるよ。

 

こんな私を祐一くんは好きと言ってくれたのだ。今更ながらその事実に体温が上昇していくのを感じる。

 

祐一「じゃ、じゃあ俺、検査行ってくるね?」

 

千歌「そ、そうだよね!ごめんね、立てる?」

 

祐一「大丈夫だよ!」

そう言うと祐一くんはすぐに立ち上がり病室から出て行こうとする。

 

祐一「じゃあ、行ってくるよ!」

 

千歌「うん!行ってらっしゃい!」

 

祐一「あっ、千歌ちゃん!」

 

千歌「なに?」

 

祐一「俺が意識失ってから、あんまり寝てないでしょ?今日は帰ってゆっくり休んでね…。千歌ちゃんが体壊しちゃったら俺…悲しいからさ…。」

 

千歌「っ!ありがと…。心配してくれて…。」

 

祐一「じゃあ、気をつけて帰ってね!」

 

千歌「うん!ありがと!」

私は祐一くんを手を振って見送り病室に一人になった。

 

千歌「やっぱり、祐一くんにはバレてたか…。」

 

みんなにわからないようにお化粧して隠してるつもりだったけど、祐一くんには分かっちゃうんだね。

 

でも、なんだか嬉しい…。

 

それだけ、私のことを見てくれている証拠だよね…。

 

私がそんなことを考えているとお父さんとお母さんが入ってきた。

 

美夏「千歌?祐一くんも検査に行ったんだし帰りましょうか?」

 

優吾「母さんの言う通りだ。家まで送るよ。」

 

千歌「ありがとう。みんなは?」

 

美夏「曜ちゃんと梨子ちゃんは送っていくわ。怜くんと祐一くんのご両親は検査が終わるまで残るみたい。」

 

千歌「わかった、じゃあお願い。」

 

私たちは祐一くんのご両親と怜くんに挨拶をして先に帰ることにした。

 

 

お父さんたちに送ってもらって家の前で降ろしてもらう。

 

梨子・曜「「ありがとうございました!!」」

 

千歌「送ってくれてありがとう。」

 

美夏「気にしないで?それにしても祐一くんが無事で本当に良かったわね。」

 

千歌「うん…。本当に…良かった。」

 

美夏「また、何かあったら呼びなさい?いつでも来るからね?私たちは家族なんだから。」

 

千歌「うん。ありがとう。お父さんもありがとう。」

 

優吾「気にするな。娘を心配するのは父親として当然だ。それに、今まで何もしてあげられなかったからな…。」

 

千歌「お父さん…。」

 

優吾「それから、千歌。」

 

千歌「なに?」

 

優吾「祐一くんのこと大切にしろよ。」

 

千歌「ふぇあ!!///」

 

お父さんからの突然の言葉に私は変な声が出てしまった。

 

千歌「な、何言って…///」

 

優吾「祐一くんは素晴らしい男だ。あんなに誠実で立派な男はなかなかいないぞ?」

 

美夏「ふふ、そうね♪祐一くんなら私も安心して千歌のことを任せられるわ♪」

 

千歌「も、もう///お母さんまで…。」

 

優吾「そんなわけで俺たちは祐一くんなら安心して千歌を任せられる。後はお前の気持ち次第だ。彼はいい男だ。早くしないと他の子に取られてしまうかもしれないぞ?いい男の周りには自然と人が集まるそれだけは忘れるなよ?」

 

いつになく真剣な表情のお父さんの言葉に私は言葉を失ってしまった。

 

美夏「ちょっと、あなた!そんな言い方はないでしょ?」

 

千歌「ううん、いいの、お母さん。私お父さんの言葉に勇気を貰えた。」

 

美夏「千歌…。」

 

千歌「私は臆病になってた。祐一くんは優しいから、きっと他の女の子も祐一くんのことを好きになっちゃうと思う。だから、私はここから一歩踏み出す!今までの私とはもう、さよなら…。」

 

千歌「ありがとう…お父さん。お父さんが私のお父さんで本当に良かった…。」

 

優吾「…。」

 

お父さんはそっぽを向いてしまう。

 

美夏「やだ、あなたったら♪」

 

千歌「どうしたの、お母さん?」

 

美夏「この人ったらね…。」

 

優吾「も、もういくぞ!!」

 

美夏「はいはい、わかりました♪」

 

千歌「??」

 

美夏「じゃあね、千歌。体に気をつけて頑張るのよ?いつでも帰ってきなさい。」

 

千歌「うん、ありがと。お母さんもお父さんも体には気をつけてね。」

 

美夏「うん。曜ちゃんと梨子ちゃんも体に気をつけてね?それから千歌のことをよろしくね。」

 

曜「ありがとうございます!お任せくださいであります!」

 

梨子「はい!ありがとうございました。」

 

美夏「じゃあね、みんな。」

 

お母さんたちはそう言って車を発進させた。

 

千歌「ふあぁ、安心したら眠くなってきちゃった…。」

 

梨子「私もよ…。」

 

曜「私もであります…。」

 

どうやら私だけじゃなくてみんなも眠れなかったみたいだ。

 

私たちはそれぞれ部屋に入り眠ることにした。

 

私は部屋に入りソファーに腰掛ける。

 

千歌「本当に、祐一くんが無事でよかった…。」

 

千歌「それに…。」

 

私は祐一くんに言われた告白を思い出す。

 

千歌「カッコよかったな…///」

 

いつになく真剣な表情の祐一くん、その表情に私は見惚れてしまった。

 

祐一くんは贔屓目に見なくてもかなりイケメンだと思う。本人は自覚してないけど大学内ではかなり人気で、密かに狙っている人だっている。それに、祐一くんは誰にだって優しい。そこが魅力でもあるし、人気たる所以だと思う。

 

でも、そんな祐一くんが勇気を出して告白してくれた。

 

それが本当に嬉しかった。

 

千歌「私も一歩を踏み出さないと。」

 

私は沢山の人から勇気をもらった。

 

曜ちゃん、梨子ちゃん、怜くん、お母さん、お父さん。

 

そして

 

祐一くん。

 

祐一くんからは色々なものをもらった。

 

祐一くんの言葉は不思議と私に勇気をくれる。だからこそ、今度は私が祐一くんの勇気に応える番。

 

今度は私も勇気を出して祐一くんに自分の想いを伝える。

 

 

 

 

千歌「私は…祐一くんの彼女になりたい。」

 

 

 

 

私の中で決心がついた。

 

千歌「そうと決まれば、まずは私が体調を戻さないと!!」

 

そう決心した私は勢いよく立ち上がった。

 

そして、軽くシャワーを浴びて眠りについた。

 

――――――――――――――――――――――

Side 祐一

 

何だかんだ検査をしたら特に異常はなく翌日は退院できることになった。

 

異常が無いとわかり一安心する母さんと父さん。

 

俺は病室に戻り、少ししたら父さんと母さんは帰っていった。

 

佳子「じゃあ、怜くん後はお願いね。」

 

怜「はい!任せてください!!」

 

佳子「祐一、くれぐれも無理はしないように!」

 

祐一「わ、わかってるよ。」

 

祐一「気をつけて帰ってよ。」

 

佳子「ええ、わかってるわ。退院したら連絡しなさいよ。」

 

祐一「わかった。」

 

その会話を最後に母さんたちは病室から出ていった。

 

 

怜「それにしても無事でよかったぜ。」

 

祐一「ほんとだよな。よく生きてたわ。」

 

怜「そう言えば、武田は今回のことが大学に報告されて退学処分になったみたいだ。それに殺人未遂で刑務所に入った。全部、沢田さんたちがやってくれたみたいだぞ。今度お礼言いに行かなきゃな。」

 

祐一「忍さんが…。そうだな。本当に助かったよ。」

 

祐一「それからさ、話変わるんだけど。」

 

怜「なんだ?」

 

祐一「忍さんの軟式野球サークル一緒に入らないか?」

 

怜「お前、いいのか?」

 

祐一「ああ、全力でボールを投げなかったら大丈夫だよ!」

 

怜「それなら、俺は喜んで。また、お前と野球ができるならな!」

 

祐一「サンキュー、俺もお前と野球がやりたいんだ。今度お礼言いに行く時に入部することを伝えに行こう。」

 

俺と怜は拳を合わせて笑いあった。

 

本当にこいつの存在は俺にとってデカイ。なんでも気兼ねなく話せる。

 

 

最高の親友だ。

 

 

祐一「あと、お前にもう一つ言いたいことがある。」

 

怜「なんだよ?」

 

祐一「俺、千歌ちゃんに告白したんだ。」

 

怜「ふーん…。で?」

あまりの塩対応に俺は少し拍子抜けした。

 

祐一「いや…。で?ってお前さぁ…。俺、結構勇気出したんだぞ?」

 

怜「嘘だよ。それで、どうだったんだ?」

 

祐一「いやぁ…。まだ返事もらってないんだよね…。」

 

怜「ハァ?」

 

祐一「千歌ちゃんが困惑してたから、ゆっくりでいいから返事を聞かせて?っていう方向にした。」

 

怜「なるほど、そういうことか。」

 

怜「それなら、気長に待つしか無いな!」

 

楽観的な怜の発言を聞いて俺は正直安心した。

 

怜「じゃあ、俺もそろそろ行くな?明日迎えに来るから。」

 

祐一「おうよ!ありがとな。気をつけて帰れよ!」

 

怜は病室から出ていった。

 

俺も寝るとしよう。なんだか疲れているみたいだ。

 

俺はそのまま目を閉じて眠りについた。

 

 

 

――――――――――――――――

 

翌日何事もなく俺は退院できたので母さんたちに連絡を入れた。

 

そしてその日にみんなが退院祝いということでパーティーを開いてくれた。

 

そこには忍さんたちの姿もあり、お礼を言うと忍さんは俺のことを抱きしめて俺の無事を喜んでくれた。

 

そこで俺と怜は軟式野球サークルに入部することを伝えると大騒ぎになってしまった。

 

先輩方はすごい喜んでくれてたから俺たちも嬉しかった。

 

そしてなんと、千歌ちゃんたちもマネージャーとして入部することにしたらしい。

 

これまた大騒ぎ。

 

千歌ちゃんたちが入るとわかって神田さんは大喜びで三人をハグしていた。

 

そんなこんなでパーティーは大盛り上がり。もう誰のためのパーティーかもわからなくなってきた。でも、この先輩たちとなら楽しい野球ができそうで俺はワクワクしていた。

 

そんな興奮冷めやらぬ中、俺の洋服の袖をチョンチョンする人物がいた。

 

祐一「うん?」

 

振り返るとそこには千歌ちゃんがいた。

 

祐一「どうしたの、千歌ちゃん?まさか、またお酒飲んじゃったの?」

 

千歌「ち、違うよ!!もう!!」

 

頬を膨らませて怒っているように見せている千歌ちゃん。

 

可愛すぎる///

 

祐一「ごめん、ごめん。で、どうしたの?」

 

千歌「ちょっと話があるの?いいかな?///」

 

祐一「う、うん、いいよ?」

千歌ちゃんの表情から俺は察した。

 

昨日の告白の返事をくれるのだろう。

 

俺たちはパーティーを抜け出して外へ出た。

 

 

※※※※

 

 

外に出ると綺麗な満月が俺たちを迎えてくれた。

 

千歌「わぁ、月が綺麗だね♪」

 

祐一「っ///」

俺は一気に心臓の鼓動が早くなるのを感じた。

 

千歌ちゃん今の発言は心臓に悪いよ…///

 

千歌ちゃんはどうやら意味を知らないようで無邪気にはしゃいでいる。

 

祐一「そ、そうだね…。アハハ…。」

 

緊張して損した気分だ。

 

千歌「ごめんね、急に呼び出しちゃって…。」

 

祐一「全然大丈夫だよ?それで話って?」

 

俺は千歌ちゃんに聞く。

 

千歌「うん///昨日の返事をしようと思って。」

 

祐一「う、うん…。」

 

とうとう返事をもらう時。

 

俺はどんな結果になろうとも受け入れる。

 

祐一「じゃあ、返事聞かせてもらえますか?」

 

千歌「うん…。」

 

静寂が俺たちのいる空間を支配する。

 

俺は千歌ちゃんから紡ぎ出される言葉を待つ。

 

千歌「私なりに色々考えてみたの…。それで思ったの…。私は祐一くんの隣を歩く資格があるのか…。」

 

祐一「うん…。」

 

千歌「私は祐一くんに迷惑ばっかりかけてる…。それに私は祐一くんが思ってるほどいい女の子じゃ無い…。私なんかよりいい女の子はこの世界に沢山いる…。祐一くんは優しいからきっと私なんか霞むくらい、可愛くて優しい女の子たちが絶対に祐一くんのことを放っておかないと思う。だから私とはお付き合いするべきじゃないって思っちゃったの…。」

 

祐一「うん…。」

 

この時俺は心の中で思った。

 

俺は今からこの子に

 

 

 

 

 

 

フラれる。

 

 

 

 

 

 

でも、不思議と悲しい気持ちはない。俺は自分の気持ちを全てぶつけた。

 

後悔はない。

 

 

はずだった。

 

 

千歌「でもね……。ゆ、祐一くん!?」

 

千歌ちゃんは何か言いかけていたが突然俺の名前を呼んだ。

 

祐一「どうしたの?」

 

俺は千歌ちゃんが何に驚いているのかわからない。

 

千歌「祐一くん、涙…。」

 

祐一「えっ?」

 

俺は慌てて目を擦る。そうすると確かな涙の跡が俺のパーカーについていた。

 

祐一「あれ、あれ、お、おかしいな…。ご、ごめんね。すぐ…止めるから。」

 

俺は必死に目を擦る、だけど涙は次々に溢れてくる。

 

祐一「くそ!!なんで、止まんねーんだよ!!」

 

俺は拭っても溢れ出てくる涙に怒りを隠せなかった。

 

すると、胸のあたりから暖かい何かを感じた。

 

千歌「祐一くん、大丈夫…。大丈夫だよ…?」

 

祐一「ちか…ちゃん?」

 

胸の暖かさの正体は俺に抱きついてきた千歌ちゃんだった。

 

千歌「ごめんね…。不安にさせちゃったよね…。」

 

千歌「続き、聞いてくれるかな…?」

 

俺は静かに頷く。

 

千歌「でもね…チカは気づいたの…。チカの中で祐一くんの存在の大きさに…。祐一くんが想ってる以上にチカも祐一くんのことを想ってること…。」

 

千歌「チカは祐一くんのことが大好きです。」

 

千歌「チカは迷惑もかけるし…可愛くもない…。でも祐一くんを想う気持ちは誰にも負けない!!これからチカは祐一くんの隣を胸張って歩ける女性になってみせる!!」

 

千歌「だから…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「チカを…祐一くんの彼女にしてください…。」

 

 

 

 

 

 

 

俺は自分の耳を疑った。

 

祐一「ほ、ほんと?」

 

千歌「うん!」

千歌ちゃんは瞳に涙を浮かべながらも笑顔で俺に伝えてくれた。

 

祐一「ほんとに、ほんと?」

 

千歌「ほんとに、本当だよ?信じてくれないの?」

 

俺はその言葉を聞いて緊張の糸がほどけ、一気に涙が溢れ出した。

 

祐一「よかった…。よかったよー!!」

 

千歌「わぁ!!ゆ、祐一くん!?///」

 

俺は夢中で千歌ちゃんを抱きしめた。

 

祐一「ありがとう…。ありがとう…千歌ちゃん。」

 

千歌「チカの方こそ…選んでくれてありがとう…。祐一くん。」

 

千歌「不束者ですが、末永くお願いします。」

 

祐一「こちらこそ、よろしくお願いします。」

 

こうして俺たちは恋人になった。

 

千歌「ね、ねぇ、祐一くん///早速で悪いんだけどお願いがあるんだけどいいかな?///」

 

祐一「俺にできることならなんでもいいよ?」

 

千歌「あの…その……すしたい…。」

 

祐一「えっ?」

 

俺は千歌ちゃんの言葉を聞き逃してしまった。

 

千歌「キス…したいな…///」

 

祐一「えっ///わ、わかったよ…///その…俺もしたかった…///」

 

千歌「じゃ…じゃあ…///」

 

千歌ちゃんは静かに目を閉じて俺の正面を見る。

 

俺もぎこちなくだが、ゆっくりと千歌ちゃんの顔に近づける。近づくにつれて香る千歌ちゃんの匂いに鼻腔をくすぐられる。

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

俺と千歌ちゃんの唇が重なった。

 

ほんの一瞬の出来事。でも俺の中では鮮明な記憶として残った。

 

俺の初キスは優しくて甘酸っぱい蜜柑の味がした。

 

千歌「えへへ///嬉しい♪」

 

祐一「うん、俺も嬉しいよ!これからもよろしくね。千歌ちゃん。」

 

千歌「こちらこそ、よろしくね。祐一くん。」

 

そう言った千歌ちゃんは夜空に輝く月を見上げた。

 

月明かりに照らされたその表情はとても美しく、そして儚げであった。

 

俺はそんな千歌ちゃんに更に見惚れてしまった。

 

これから俺たちは一緒に笑ったり、泣いたり、喧嘩したり、多くのことを経験するだろう。そして互いを傷つけてしまうことがあるかもしれない。でも、もし、そんな時が来ても俺は千歌ちゃんとならどんなことでも乗り越えられると信じてる。

 

だから、俺はただいちずに千歌ちゃんを大切にしよう…。

 

 

俺は輝く月の元にそう胸に誓った。

 





ご愛読ありがとうございました!!

ついに、二人は結びつきました!!

これからのどうなっていくのか!作者にもわからない…

では、また次回!!


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Day19 お家デート??


どうも甘党ゴンザレスです!!

本編更新遅れて申し訳ありませんm(_ _)m

それでは本編どうぞ!!


俺は今千歌ちゃんの家へ向かっている。

 

もうすぐ、テストがあるので千歌ちゃんの家で二人で勉強をする事になった。

 

このテストを終えれば夏休み!!

 

単位をちゃんと取るために勉強会をしたいと千歌ちゃんが言ってきたので、もちろん俺は二つ返事で了承した。

 

何だかんだ、千歌ちゃんとはデートに行けずにいたから俺としては嬉しい。勉強するためではあるもののお家デートというやつだ。退院はしたものの一週間に2回ほど通院していたのでなかなか時間が取れなかった。折角、彼女になってくれたのに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 

でも千歌ちゃんは『自分の体を大切にして欲しい』と言ってくれて不満を溢さず、俺の回復を願ってくれていた。

 

本当に俺は優しい彼女ができたよ…。

 

ここ最近の俺は千歌ちゃんのことで頭がいっぱいだ。恋人になってから本当に千歌ちゃんの魅力は全開でとどまることを知らない。なんだか全てが愛おしくて仕方ない。

 

自分が思ってる以上に俺は千歌ちゃんにベタ惚れなのかもしれない…。

 

でも、しょうがないよね?

 

そんなことを考えていると千歌ちゃんの家の周辺まで来ていた。

 

この道を右に曲がれば千歌ちゃんの家まですぐだ。

 

俺は道を曲がり、すぐに気がついた。

 

 

千歌ちゃんが立っている。

 

 

俺の姿が見えたのか、千歌ちゃんはニコニコ笑いながら俺の方に走ってきて抱きついてきた。

 

千歌「祐一くーん!!」

 

俺は抱きついてくる千歌ちゃんをしっかりと受け止めて笑いかける。

 

祐一「千歌ちゃん、外で待っててくれたの?」

 

千歌「うん!!早く祐一くんに会いたかったから!!」

 

千歌ちゃんはニパァと笑いながら再び俺の胸に顔を埋めてきた。

 

はぁぁ///

 

なにこの可愛い生き物は?

 

わざわざ、俺が来るのを待っててくれたうえに、こんなに嬉しいことを言ってくれるなんて…

 

惚れてまうやろーーー!!!

 

口には出さないが心の中で叫ぶ。

 

梅雨も早めに開けて夏がやってきて暑いはずなのに、千歌ちゃんの温もりは心地いい。ずっと抱きしめていたいくらいだ。

 

祐一「ありがとう!!俺も嬉しいよ。じゃあ、行こっか?」

 

千歌「うん!!」

 

千歌ちゃんは元気よく返事をしてくれて、俺を家の中へと案内してくれた。

 

――――――――――――――――――

 

祐一「お、お邪魔しまーす…。」

 

俺は一言挨拶をしてから家にあがる。

 

千歌「はい、いらっしゃい♪」

 

初めて入る女の子の家に俺は緊張を隠せない。

 

千歌「どうしたの?」

 

祐一「あっ、いや、なんでもない…よ?」

 

祐一「よ、よーし!じゃあ、勉強始めようか?」

 

千歌「そうだね!!がんばろー!!」

 

千歌ちゃんは拳を高らかに上げてやる気を見せた。

 

 

 

勉強を始めたはいいものの、俺はほとんどテストの範囲を覚えている。

 

自慢になってしまうけど俺は成績は上の方だ。高校時代も野球の練習もかなりしていたけど勉強の方も疎かにせずしっかりとやっていた為、野球バカではない。…はず。

 

なので復習を兼ねて俺は自分でテスト範囲をまとめたノートを見返している。

 

すると千歌ちゃんが俺に聞いてきた。

 

千歌「祐一くん、ここがわからないんだけど教えてもらえる?」

 

祐一「うん、いいよ!どこかな?」

 

千歌「ここなんだけど。」

 

千歌ちゃんが俺の隣に来てわからないところを見せてくる。

 

フワッと香る千歌ちゃんの匂いに俺の鼻腔はくすぐられる。

 

祐一「あぁ、ここはね…。」

 

俺は千歌ちゃんに説明を始める。千歌ちゃんは真剣に俺の説明を聞いてくれていて、その表情に見惚れながらもしっかりと説明をした。

 

祐一「…こんな感じかな。どう、わかった?」

 

千歌「うん!!凄いわかりやすかった!!ありがとう!」

 

祐一「なら、よかったよ。また、わからないところがあったら聞いてね?」

 

千歌「うん!!」

 

そうして、俺たちは再び勉強を始めた。

 

※※※※

 

しばらくの間、勉強をして時計を確認するとちょうど時計の針は正午を指していた。

 

祐一「もう、昼か…。千歌ちゃん一旦休憩しようか?」

 

千歌「そうだね!お腹減っちゃったよ…。」

 

俺も朝から何も食べていないのでだいぶお腹が空いてる。

 

祐一「じゃあ、何が食べたい?買ってくるよ。」

 

そう言って俺は立ち上がろうとするが、

 

千歌「ま、待って!!」

 

千歌ちゃんはそれを止めた。

 

祐一「ん??どうしたの?」

 

千歌「お昼は、チカが作ってもいいかな?///」

 

千歌ちゃんはモジモジしながら俺に言ってきた。

 

祐一「いいの?でも、悪いし何か買ってくるよ。」

 

俺がそう言った瞬間、

 

千歌「そう…だよね…。チカの作るのなんて…食べたくないよね…。」

 

千歌ちゃんの表情がみるみる曇ってきて悲しそうにそして弱々しい声色で俺に言ってきた。

 

アレ?

 

気を利かせたつもりが、千歌ちゃんの表情が…。

 

千歌「ごめんね…。変なこと言っちゃって…。」

 

ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ

 

俺の本能が『食べたい』と言えと訴えてきている。

 

祐一「あっ、あれれーー、なんだか、千歌ちゃんの作った料理が無性に食べたくなってきたなー!!!」

 

千歌「ホント!?」

 

目をキラキラさせながら千歌ちゃんは俺に聞いてきた。

 

祐一「もちろん!千歌ちゃんの料理食べたいなー。」

 

千歌「まかせて!!腕によりをかけて作るから!!」

 

千歌ちゃんは立ち上がり大きく胸を張った。

 

俺は下から見上げる形になっているので千歌ちゃんの豊かに育った双丘のものが俺の目のやり場を奪う。

 

祐一「じゃ、じゃあ、お願いしようかな?///」

 

俺は苦笑いを浮かべながらお願いした。

 

千歌「じゃあ、ゆっくりしててね?すぐ準備するから!!」

 

そう言って千歌ちゃんはキッチンへと向かった。

 

 

 

千歌ちゃんが昼食の準備を始めて、30分くらい経っただろうか。俺は勉強をしながら待っていると、

 

千歌「おまたせ!!ごめんね、待たせちゃって。」

 

千歌ちゃんが料理を運んで来てくれた。

 

祐一「全然大丈夫だよ?ありがとう!!」

 

千歌ちゃんが作ってくれたのは玉子焼きと野菜炒め、そして肉じゃがだ。

 

祐一「わぁ!美味しそう!!」

 

どれも美味しそうで目移りしてしまう。

 

千歌「美味しくなかったらごめんね?」

 

千歌ちゃんは自信なさげに言ってきたが、そんなことは関係ない。千歌ちゃんが作ってくれたんだ、それだけで俺は嬉しい。

 

祐一「美味しいに決まってるから大丈夫だよ!」

 

俺の言葉に千歌ちゃんの顔が赤く染まる。

 

祐一「それじゃ、いただこうかな?いただきます!」

 

千歌「はい、召し上がれ♪」

 

まずは肉じゃがから…。

 

モグモグ

 

祐一「っ!!」

 

千歌「ど、どうかな?」

 

千歌ちゃんは心配そうに俺を見つめている。

 

祐一「おいしい…。おいしいよ、千歌ちゃん!!」

 

千歌「ホント!?やった…。」

 

千歌ちゃんは小さくガッツポーズを決めた。

 

俺は野菜炒めや玉子焼きにも手を伸ばし食べる。どちらも、本当に美味しかった。

 

特に玉子焼きが美味しかった。

 

俺は甘い玉子焼きよりもしょっぱい玉子焼きの方が好きなので夢中で食べた。

 

千歌「祐一くんは玉子焼きが好きなの??」

 

祐一「うん、この玉子焼き俺好みのしょっぱさで本当に美味しいよ!!」

 

俺は満面の笑みで言ったのだが、この時俺が言った言葉で千歌ちゃんの時が止まった。

 

千歌「えっ…。」

 

祐一「えっ…どうかした?」

 

俺が尋ねると千歌ちゃんは驚いた表情をしている。

 

さっきまでの雰囲気とは違い、二人の間に沈黙が訪れる。

 

先に沈黙を破ったのは千歌ちゃんだった。

 

千歌「ご、ごめんね…。本当は甘い玉子焼きを作ろうと思ってたんだけど…。砂糖と塩を間違えちゃったみたい。」

 

千歌ちゃんは苦笑いを浮かべながらも、どこか失敗した自分を責めているような表情をしていた。

 

祐一「そ、そんな、謝らないでよ!今回は失敗しちゃったのかもしれないけど、この玉子焼きすごい美味しいし、今度は甘い玉子焼きも食べてみたいなぁ?」

 

祐一「千歌ちゃんの作ってくれた料理どれも美味しいから、また…作ってくれるかな///」

 

千歌「っ…。」

 

俺がそう伝えると、千歌ちゃんは無言で立ち上がり俺の方に来て俺の隣に座った。

 

祐一「千歌ちゃん??」

 

そして俺の隣に座った千歌ちゃんは無言で俺のことを抱きしめてきた。

 

祐一「ええっと…///千歌ちゃん??」

 

千歌「ありがと…。」

と小さく千歌ちゃんが呟いた。

 

すぐに俺から離れ、千歌ちゃんは俺の手を握ってきた。

 

俺はそこで初めて気がついた。

 

千歌ちゃんの指には何枚も絆創膏が貼ってあることに。

 

祐一「千歌ちゃん…その絆創膏…。」

 

千歌「あっ…アハハ。祐一くんにチカが作った手料理食べて欲しかったから…。それにチカは料理が苦手だから梨子ちゃんと曜ちゃんに教えてもらってたんだ!!そしたら…ねっ。えへへ…。」

 

千歌「今日は折角食べてもらえたのに失敗しちゃって…。」

 

千歌「ごめんね…。」

 

千歌ちゃんの表情がだんだん暗くなり始めていく。

 

祐一「…。」

 

千歌ちゃんは俺の為に練習して作ってくれたのか…。

 

俺は千歌ちゃんが作ってくれた料理を見る。料理が苦手だなんて信じられないくらい美味しくて、素直にまた食べたいと思える程だった。

 

やっぱりこの子は本当に優しい子だな…。

 

俺は本当に周りの友人に恵まれてるよ。俺を育ててくれた両親、なんでも気兼ねなく話せる親友の怜、責任感が強くてしっかり者の曜ちゃん、母親のように優しく時には厳しい梨子ちゃん、お姉さんのような存在のダイヤさん。他にも数え切れないほど俺はたくさんの人に恵まれてる。

 

そして、一番の宝物は誰よりも優しくて愛おしい、誰よりも俺の為に涙を流してくれる、最愛の人。

 

 

千歌ちゃん…。

 

 

こんな素敵な人たちに俺は出会えた。

 

俺は落ち込んでいる千歌ちゃんを静かに抱き寄せた。

 

千歌「ゆ、祐一くん!?///」

 

祐一「ありがとう…千歌ちゃん。」

 

祐一「千歌ちゃんが俺の為にこんなに頑張って作ってくれて俺、本当に嬉しい!千歌ちゃんの気持ちすごい伝わった。こんなに優しくて一生懸命で可愛い彼女を持てて…。」

 

 

祐一「俺は…幸せ者だよ…。」

 

 

俺は千歌ちゃんを抱きしめながら伝えた。

 

千歌「祐一くん…嬉しい///」

 

千歌「祐一くんの為なら不思議と頑張れるの…。直ぐに諦めちゃうチカだけど…祐一くんがいるからチカは頑張れる。こんなにもチカのことを大切にしてくれて優しくしてくれる祐一くんのことがチカは大好きっ///」

 

千歌「だから…。」

 

 

 

 

千歌「いつまでも、大好きな祐一くんでいてね?///」

 

 

 

 

千歌ちゃんの言葉に俺の抱きしめる力がさらに強くなった。

 

千歌「わっ///どうしたの??」

 

祐一「絶対、絶対後悔させない!!俺を選んでくれた、千歌ちゃんを必ず幸せにしてみせるよ!!」

 

 

俺は強く千歌ちゃんに宣言した。

 

千歌「私も祐一くんに愛想尽かされないように頑張るね!」

 

祐一「俺が愛想を尽かすなんて有り得ないよ。むしろ俺が愛想尽かされちゃうよ…。ハハ。」

 

千歌「むぅ!」

 

祐一「ん、どうしたの、千歌ちゃん??」

 

俺がそう伝えると千歌ちゃんは頬をむくれさせていた。

 

千歌「チカの気持ちを甘くみないでよね!!」

 

祐一「えっ…?」

 

千歌「祐一くんはチカがどれだけ祐一くんのことが好きなのか全然知らないの!!」

 

祐一「いや、好きでいてくれてることは知ってる…はず…。」

 

千歌「ちっがーーうっ!!」

 

千歌ちゃんは俺に向かって大きく叫んだ。

 

祐一「おわっと…。びっくりした…。」

 

千歌「チカは祐一くんがだーーーいっ好きなの!!!」

 

千歌ちゃんからのいきなりの告白に驚く。

 

祐一「は、はい///」

 

千歌「祐一くんは優しいし、かっこいいし、頼りになって、頭が良くて、一緒にいると楽しくて、それから…。」

 

祐一「も、もういいよ!わかった、わかったから///」

 

千歌「よくない!!チカはまだ祐一くんの魅力を一割も伝えきれてないのに!」

 

祐一「十分、十分伝わったから…!?」

 

祐一「ねっ…??」

 

千歌「むぅ…わかったよ。」

 

千歌ちゃんはなんとか引き下がってくれた。

 

千歌「祐一くんちょっとあぐらかいてもらってもいい?」

 

祐一「別にいいけど、なんで??」

 

千歌「いいから!!」

 

俺は千歌ちゃんに言われるがままあぐらをかいた。

 

すると千歌ちゃんは俺の膝の上に収まってきた。

 

千歌「えへへ♪」

 

膝の上で俺の方を見上げてニコニコ笑いかけてきた。

 

祐一「可愛すぎかよ…///」

 

たまらず俺は千歌ちゃんを抱きしめた。

 

千歌「あっ…。えへへ///祐一くん…あったかーい♪」

 

千歌「祐一くんにギュッてしてもらうと幸せ〜♪」

 

千歌「ねぇ、もっとギュッてして??」

 

千歌ちゃんは頬を赤く染めて俺に言ってきた。

 

本当にこの子は…。

 

祐一「いくらでも…。」

 

俺は千歌ちゃんをこれでもかと抱きしめた。

 

千歌「祐一くん。」

 

 

千歌「だーい好き♪」

 

 

祐一「俺もだよ。大好き。」

 

俺は千歌ちゃんの頭を撫でながら言った。

 

千歌「ふみゅう〜♪」

 

千歌ちゃんは気持ちよさそうに目を細めている。

 

千歌「祐一くん…。」

 

祐一「なに…千歌ちゃ…!?」

 

千歌ちゃんがいきなり俺にキスをしてきた。

 

千歌「んっ…。えへへ♪したくなっちゃった///」

 

千歌ちゃんはお茶目に舌を出してウインクしていた。

 

祐一「もう…不意打ちはやめてくれ…///」

 

千歌「嫌…だった?」

 

千歌ちゃんはウルウルと瞳を濡らしながら俺に尋ねてくる。

 

祐一「いや、そうじゃなくて…。その…嬉しい…です…///」

 

千歌「はぁぁぁ!!かわいいよ〜、祐一く〜ん!!!」

 

祐一「なんか男として複雑だな…。」

 

千歌「大丈夫だよ!!チカはどんな祐一くんでも大好きだよ??」

 

祐一「それはありがたいけど…。」

 

祐一「もっと男らしくなんないとな!!」

 

俺はこの時心に誓った。

 

千歌「じゃあ、チカはもっと女の子らしく、魅力的にならないとね!!」

 

千歌「もっと祐一くんにチカのこと好きになってもらいたいもん!!」

 

魅力的に…。

 

俺の視線は千歌ちゃんの色んな部分を見て、頭の中でたくさんの妄想が駆け巡っていた。

 

ヤバイ…

 

鼻血出そう…。

 

千歌「アレ?祐一くん、鼻血出てるよ!?」

 

祐一「えっ??」

 

俺は慌てて服で鼻を擦る。

 

祐一「やべっ、本当に出てた…。」

 

俺の服が赤く染まる。

 

千歌「もう、服が汚れちゃうよ?ティッシュ持ってくるから待ってて?」

 

祐一「ごめん、ありがと。」

 

千歌ちゃんがティッシュを持ってきてくれた。

 

千歌「もう、なんでいきなり出ちゃったの?」

 

千歌ちゃんがティッシュで俺の鼻血を拭いてくれながら言ってきた。

 

祐一「いや、べ、別に、なんでもないよ!?本当だよ!?」

 

千歌「えぇ…。体調悪くなったのかと思って心配しちゃったよ…。」

 

千歌「もう…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「もしかしてチカで変なこと考えてたの?♪」

 

 

 

 

千歌ちゃんは悪戯っぽく笑みを浮かべる。

 

その表情に俺の体温は上昇するのを感じた。

 

祐一「そ、そんなことは…///」

 

そして内心ドキドキしている俺の耳元で千歌ちゃんは囁いてきた。

 

千歌「チカでどんなこと想像してたのかな??」

 

祐一「っ///」

 

俺はその囁きで一気に心臓の鼓動が激しくなった。

 

千歌ちゃんが妖艶な表情をしている。こんな表情を見たことがない。

 

このまましてやられるのはなんだか嫌だ。

 

俺も少し意地悪してやる。

 

祐一「どんなことだと思う?」

 

俺は千歌ちゃんの顎をクイッとあげて、俺の方を向かせる。俗に言う壁クイというヤツだ。

 

千歌「えっ?///ちょ、ちょっと、祐一くん?///」

 

俺と千歌ちゃんの顔が近くなる。

 

祐一「千歌ちゃんが可愛すぎてさ、色んなこと考えちゃったよ。俺も男だよ?こんなにも魅力的な女の子が目の前にいるんだ。何考えてるのかわかるでしょ?」

 

千歌「えっと///それってつまり///」

 

ゴニョゴニョと何かを呟きながら千歌ちゃんの顔がみるみる赤く染まっていく。

 

そして俺は千歌ちゃんの耳元で囁く。

 

祐一「ふふっ、どうしたの?何想像しちゃったのかな?♪」

 

俺の囁きで千歌ちゃんは顔を手で覆ってしまった。

 

やりすぎたかな??

 

祐一「千歌ちゃん、ごめんね。少し意地悪しすぎたよ。」

 

千歌「ふぇ??」

 

覆ってた手を外し、千歌ちゃんは素っ頓狂な声をあげた。

 

祐一「確かに、ちょっと変な気持ちになっちゃったのは確かだけど///俺は千歌ちゃんを大事にしたい…。だから、本当にお互いの気持ちが繋がったら考えようね?俺たちは、俺たちのペースでお互いを理解して、これからも一緒に過ごそう?そしたら自ずと俺たちの絆も深まっていくと思うから!」

 

千歌「祐一くん///」

 

祐一「だから、これからもよろしくね?」

 

俺は千歌ちゃんに優しく微笑みながら伝えた。

 

千歌「うん///チカも祐一くんが大切だから…もっと祐一くんのこと好きになる!」

 

千歌「だから、こちらこそよろしくね!」

 

千歌ちゃんも満面の笑みで答えてくれた。

 

そして、俺たちはまた軽くキスを交わした。そして手を握る。

 

千歌「えへへ♪祐一くんのキスは優しくてチカのこと大切にしてくれてるって気持ちがすっごい伝わってくる♪」

 

祐一「そ、そうかな…///千歌ちゃんだってそうだよ?」

 

千歌「ふふっ、チカの祐一くんへの気持ちは相当なものだよ♪」

 

千歌「これからも、覚悟しておいてよね♪」

 

そう言った千歌ちゃんの表情はとても魅力的で今までで一番輝いていた。

 

祐一「お手柔らかにね♪」

 

俺は繋いだこの手を絶対に離さない。俺たちのこれからは今この瞬間から始まった気がする。

 

大切な人を幸せにするために…。

 

俺は今後も努力していこう。

 

そして俺たちは仲良く勉強を再開するのであった。

 

 





ご愛読ありがとうございました!!

今後とも早く更新できるように頑張っていきたいと思うので気長にお待ちくださいm(_ _)m

まったりとお待ちいただけるとありがたいです(T-T)

それではまた次回!!


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Day20 俺にとっての陽だまり


どうも甘党ゴンザレスです!!

更新が遅くなっていまい申し訳ありませんm(_ _)m

前置きは短く!!

本編どうぞ!!


夏休み前のテストも問題なく終わり、誰も補習等はなく夏休みに突入した。

 

怜「終わったー!!やっと夏休みだ!!」

 

梨子「そうね!みんな問題なく終われてよかったわ!」

 

曜「夏休み楽しみでありますなぁ!」

 

千歌「今年の夏休みはみんなで色んなことしようね!!」

 

祐一「そうだね!!俺、また内浦行きたいよ!!また、うちっちーに会いたいなぁ…。」

 

俺の発言に曜ちゃんが反応してきた。

 

曜「おっ、祐一くんもとうとううちっちーの魅力に気づいたんだね!!」

 

祐一「うん!もう、可愛いのなんの…。俺絶対うちっちーに会いに行くんだ!!」

 

曜「それなら今回はちょっと長めに時間取らないとね♪」

 

俺と曜ちゃんがうちっちーの話に花を咲かせていると、梨子ちゃんが何か思い出したように言ってきた。

 

梨子「そう言えば…。今年もみんな内浦に帰ってくるらしいわよ。」

 

千歌「ホント!!じゃあ、果南ちゃんたちにも会えるんだ!!やった〜!!」

 

千歌ちゃんはジャンプしながら喜びを表現している。

 

怜「果南さんて、あの果南さん!?」

 

千歌「そうだよ!!松浦果南ちゃん!私と曜ちゃんの幼馴染で、優しいお姉ちゃんみたいなんだよ!!」

 

怜「マジか!!果南さんと言えば、あのグラマラスなボディーの持ち主で俺も最初本当に恋しそうになっ……イテテテテテテテッ!!!!」

 

怜が言い終える前に悶え始めた。

 

俺はなんで悶え始めたのか気づいた。理由は簡単、梨子ちゃんが怜のことをつねっているからだ。

 

怜「イタイよ、梨子ちゃん…。なんで!?」

 

梨子「別に…。なんでもありません。」

 

梨子ちゃんはプイッとそっぽを向いてしまった。

 

怜「なんでよ…。祐一も果南さんは魅力的に見えるだろ??」

 

怜が俺に話を振ってきた。

 

祐一「なんで、俺に振るんだよ…。」

 

怜「男はお前しかいねーだろ!!」

 

俺は半ば呆れながら答えた。

 

祐一「確かに、果南さんはすごい美人だし魅力的だと思うぜ。多分誰が見てもだと思うけど。」

 

怜「だろ!!だろっ!!」

 

祐一「俺も会ってみたいけど、どっちかというと俺はダイヤさんにまた会いたいなぁ。」

 

俺の言葉にみんなの時間が止まった。

 

最初に口を開いたのは怜だった。

 

怜「ハァ!?またって…。テメーあのダイヤさんに会ったことがあんのか!!あの容姿端麗、才色兼備な黒澤ダイヤさんに!!」

 

祐一「ダイヤさんて本当に美人だよなぁ…。なんて言うのかな…目を奪われるよな。一目見て言葉を失ったよ。ライブ映像でもわかるけどダイヤさんがいるとより一層ステージが華やかになる気がするんだよな。まさに、豪華絢爛だよ。あの人見たときは…もうね。」

 

怜「クソォ!!羨ましすぎる!!なんでお前だけっ…。」

 

怜が俺を見て血涙しそうな勢いで涙を流して俺を睨みつける。

 

そして曜ちゃんが俺に聞いてきた。

 

曜「えっと、祐一くんてダイヤちゃんに会ったことあるの?」

 

曜ちゃんが俺に尋ねてくる。

 

祐一「あれ?言ってなかったっけ??」

 

曜「全然知らなかったよ…。なんで…って!?ち、千歌ちゃん??」

 

曜ちゃんの顔がなんだかみるみる青ざめていく。

 

祐一「どうしたの?曜ちゃん?」

 

曜「ゆ、祐一くん。う、後ろ…。」

 

俺の後ろを指差す曜ちゃん。

 

祐一「後ろ?後ろには確か千歌ちゃんが…。っ!?」

 

俺は後ろを見た瞬間マジで心臓が止まりそうになった。

 

そこには、いつもとは違う笑顔を浮かべた千歌ちゃんが立っていた。

 

千歌「祐一くん、どういうことかな?♪」

 

祐一「い、いや、これには海よりも深〜いわけがあって…。」

 

背筋の凍るような感覚、これほどまでに俺は恐れたことは無いだろう。

 

千歌「ヘェ〜、でもね。そんなことはどうでもいいの??」

 

祐一「は、はい…。」

 

千歌「どうして、チカに黙ってたのかな??」

 

未だに笑顔を崩さない千歌ちゃんに聞かれ、俺は答える。

 

祐一「心配させるかもって思って言わなかったけど。実は曜ちゃんの誕生日プレゼント買いに行ったとき遅れて、ひったくり犯を捕まえたって行ったでしょ?」

 

千歌「うん。」

 

祐一「その時にひったくりに会ったのがダイヤさんなんだよ。それで知り合ったんだ。」

 

千歌「えっ…。そう…だったんだ…。」

 

祐一「そうそう。だから、俺は変な意味で知り合ったわけじゃ無いから安心して。」

 

俺は千歌ちゃんの頭を撫でながらそう伝える。

 

千歌「ごめんね…。知らなかったよ…。チカ変な誤解して祐一くんが取られちゃうって思っちゃって…。」

 

祐一「大丈夫。俺が好きになったのは千歌ちゃんだけだから。」

 

千歌「うん///」

 

千歌ちゃんにいつもの笑顔が戻って一安心。

 

 

怜「待って。俺ら今何見せられてるの?」

 

梨子「感動的なシーン??」

 

曜「健気でありますなぁ♪」

 

俺の後ろからそんなやりとりが聞こえてきた。

 

祐一「おい、怜。テメーぶっ飛ばすぞ??」

 

怜「あぁん??上等だコラッ!!」

 

祐一「よーし!!後でぶちのめしてやる!!」

 

怜「かかってきやがれ!!」

 

俺らがそんなやりとりをしていると千歌ちゃんが俺の手を握ってきた。

 

祐一「千歌ちゃん??」

 

千歌「仲良くしなきゃ、メッ!!だよ??」

 

祐一「グハッ!!」

 

それはダメだよ千歌ちゃん…。

 

俺は千歌ちゃんからクリティカルヒットをくらった。

 

しかしそれは俺だけではなかった。

 

怜「ゆ、祐一…。俺ら大親友だよな…。」

 

怜は鼻を押さえながら俺に言ってきた。押さえられた鼻から鼻血らしきものが出ていることに気づくのにそれほど時間はかからなかった。

 

祐一「もちろん…。俺らは仲良し…。」

 

かく言う俺も鼻血を必死に止めている。

 

梨子「本当になんなの…。」

 

曜「アハハ…。」

 

梨子ちゃんと曜ちゃんの呆れた態度を尻目に俺たちは千歌ちゃんの可愛さにボコボコにやられてしまうのであった。

 

※※※※

 

梨子ちゃんが連絡を取ってくれていると、八月の中旬にAqoursの皆さんが帰ってくるらしい。それに合わせて俺と怜もお邪魔することになった。

 

祐一「そう言えば、本当に俺たちも行ってもいいの?折角の大事な仲間との再会なのに…。」

 

梨子「ええ!みんなに話したら是非会ってみたいって!」

 

なんと。それは嬉しい限りだ。

 

怜「でも、俺たちみたいなのがAqoursの皆さんに会えるなんて恐縮だな。」

 

祐一「本当だよな…。」

 

曜「大丈夫だよ!みんな優しい子ばっかりだから!!それにみんなすっごい可愛いんだよ!!」

 

梨子「そうね!!でも…みんな可愛いからちょっと心配…。」

 

千歌「そうだよね…。」

 

なんだか千歌ちゃんと梨子ちゃんがため息をついている。

 

祐一「二人ともどうしたの?」

 

怜「なんだか落ち込んでない?」

 

俺たちが尋ねると力無く反応してきた。

 

千歌・梨子「「なんでもないよ…。」」

 

祐一・怜「「??」」

 

なんだかわからないがそう言われたので聞くことをやめた。

 

するとその空気を見兼ねた曜ちゃんが

 

曜「そう言えば夏だしプールでも行かない??」

 

怜「プールか〜。」

 

祐一「いいね!最近めっちゃ暑いし!!」

 

俺たちは大賛成だ。

 

祐一「でもいいの??」

 

曜「なんで??」

 

怜「だって、いくら仲良くったって俺たちは男子と女子。まぁ祐一と千歌ちゃんは2人で行くのは全然大丈夫だと思うけど。梨子ちゃんと千歌ちゃんと曜ちゃんに了承をもらわないと、俺たちとしては行きにくいというか、なんというか…。」

 

俺が言いたいことを怜が言ってくれた。

 

曜「なんだ、そんなことか!!」

 

祐一「えっ??」

 

梨子「2人がいなかったら何かあった時、誰が私たちのことを守ってくれるの?」

 

千歌「そうだよ?2人がどれだけ優しくて、私たちのことを大切にしてくれてるかわかるもん!」

 

曜「千歌ちゃんと梨子ちゃんの言う通り!!祐一くんと怜くんは私たちの大切な友達だよ!みんなで一緒にいたいって思うのは当然のことだよ??」

 

祐一「曜ちゃん、梨子ちゃん、千歌ちゃん…。」

 

俺は今猛烈に感動している。

 

俺たちをそんなに信頼してくれているなんて素直に嬉しい。

 

梨子「寧ろ私たちはいて欲しいの?」

 

千歌「ダメ…かな?」

 

そんなこと言われたら期待に応えたくなっちゃうよな。

 

怜「そんな嬉しいこと言われちゃーな。」

 

祐一「応えないわけには…いかないよな??」

 

俺と怜が顔を合わせニヤリと笑う。

 

千歌「それじゃあ!!」

 

祐一「うん!俺たちでよろしければ!!」

 

怜「喜んでこれからもお付き合いさせていただきますよ!」

 

俺たちの言葉に3人も顔を見合わせ笑い合う。

 

曜「じゃあ、いつにしようか?」

 

祐一「明日ってわけには行かないから…。明後日とかどうかな?」

 

色々準備もあるだろうから俺はそう提案した。

 

千歌「そうだね!私も新しい水着欲しいから丁度良かったよ!」

 

梨子「そうね!私も新しくしたかったの!」

 

曜「じゃあ、私も新しくしよっと!!」

 

3人はどうやら新調するらしいが、俺たちは。

 

怜「買いに行くのメンドイから去年使った奴でいいよな?」

 

祐一「そうだな。確か去年買ったから全然大丈夫だろ!」

 

新調せずに行くことにした。

 

怜「じゃあ、明後日の午前10時に駅に集合にしようか?」

 

祐一・千歌・梨子・曜「「「「はーい!!」」」」

 

怜「それじゃ、解散!!」

 

怜の一言で解散する流れになった。

 

俺も帰ろうとするが、千歌ちゃんがそれを許さなかった。

 

千歌「祐一くん…帰っちゃうの…?」

 

なんだか寂しそうな表情で言ってきた。

 

そんな顔されたらな…。

 

祐一「どっかのカフェでお茶でもしてから帰ろっか?」

 

千歌「うん!!えへへ♪」

 

千歌ちゃんが俺の手を握ってきたので俺も握り返す。

 

祐一「じゃあ、行こっか!!」

 

俺たちはカフェに向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

怜「あいつら見てると無性にブラックコーヒー飲みたくなるんだよね…。」

 

梨子「奇遇ね…私も…。」

 

曜「アハハ…。じゃあ、私ちょっと用事があるから先に帰るね!!梨子ちゃんまた明日、怜くんはまた明後日ね!!ヨーソロー!」

 

曜ちゃんは元気よく敬礼してきた。

 

梨子「また明日ね、曜ちゃん!」

 

怜「あいよー、ヨーソロー!!」

 

俺たちは挨拶を交わし別れた。

 

怜「じゃあ、俺たちもどっかでお茶してから帰ろっか?」

 

梨子「ええ、そうね♪」

 

―――――――――――――――――

 

俺と千歌ちゃんは近くのカフェまで来ていた。

 

祐一「ここでいいかな?」

 

千歌「うん!!このお店好きなんだ!」

 

祐一「ヘェ〜、どうして??」

 

 

千歌「んっとね。祐一くんと初めて2人で来たお店だから///」

 

祐一「確かにそう言えばそうだね!あの時は俺が勘違いして千歌ちゃんのこと泣かせちゃったよね…。」

 

店に入りドリンクを注文して受け取り、席につき再び話し始める。

 

千歌「あ〜…。あの時はごめんね…。でも、あの時どんな勘違いしてたの?」

 

祐一「いやいや、謝らないで!俺がいけないんだから。実は今だから言えるけど…。あの時千歌ちゃん付き合ってって言ったじゃん?」

 

千歌「あれ、そうだったっけ?」

 

頭にハテナマークを浮かべている千歌ちゃん。

 

完全に忘れてるな…。

 

祐一「まぁ、そう言われたわけなんだけど。俺はその時に付き合って欲しいが恋人の意味としての付き合ってくださいだと思っちゃって…。ちょっと期待してたんだけど…違うってわかった時にすごい落ち込んじゃったってわけなんだよ。」

 

千歌「そ、そうだったんだ///」

 

千歌ちゃんは顔を赤くしながら言ってきた。

 

千歌「その時からチカのこと好きだったの?///」

 

千歌ちゃんが尋ねてくる。

 

祐一「そうだね。その時には好きって感情があったね。」

 

千歌「そうなんだ、嬉しい…///」

 

照れてる千歌ちゃん。

 

可愛すぎ。

 

本当にこの子は俺をどれだけ虜にすれば気がすむんだよ。千歌ちゃんが俺の目の前からいなくなったら、俺生きていける気がしない…。

 

そこで、俺はふと千歌ちゃんに聞いてみたいことが出来た。

 

祐一「ねぇ、千歌ちゃん聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

千歌「なに?」

 

祐一「もしね。もしもだよ。俺が千歌ちゃんの前からいなくなっちゃったらどう思う?」

 

我ながら意地悪な質問だと思うけど、でも正直気になる。

 

俺は生唾を飲み込み千歌ちゃんからの答えを待つ。

 

千歌「えっ…祐一くん。チカのこと…嫌いになっちゃったの?」

 

祐一「へっ?」

 

どうしてそうなった?

 

千歌「ヤダ、ヤダ!!嫌いになっちゃヤダッ!祐一くんがいなきゃチカ…寂しいよ…。」

 

千歌「チカ何か悪いことしちゃったかな…?やっぱりこんなめんどくさいのは嫌い…だったかな?」

 

千歌ちゃんは薄っすらと涙を浮かべている。

 

祐一「ちょっ、お、落ち着いてよ…!?そんなことないから。」

 

俺はそっと千歌ちゃんの頭を撫でた。

 

 

千歌「ふぇ?」

 

祐一「俺が千歌ちゃんを嫌うなんてありえない。ちょっと意地悪な質問だったね。特に深い意味はないんだけど。千歌ちゃんにとって俺はどんな存在なのかなって思って聞いてみたかったんだよね。不安にさせちゃったね。ごめん。」

俺は苦笑いを浮かべた。

 

千歌「もう!!ひどいよ!!」

 

千歌ちゃんがポカポカと叩いてくる。

 

祐一「ごめん、ごめん。」

 

すると千歌ちゃんが真剣な表情で伝えてきた。

 

千歌「祐一くんはチカにとって太陽みたいな存在で何よりも大切なの!!祐一くんが隣にいて笑ってくれてることがチカにとって一番幸せなこと…。だから、チカは祐一くんの隣を歩きたい。祐一くんの笑った顔が見たい!祐一くんの笑顔が大好きだから…。」

 

祐一「千歌ちゃん…。」

 

千歌「だから…。チカは祐一くんをどんな時でも支えられる存在でありたい…。」

 

千歌ちゃんは俺をみつめる。

 

その瞳はとても真っ直ぐで、それ故に千歌ちゃんの想いの強さがヒシヒシと伝わってきた。あまりの迫力に俺は正直、圧倒されてしまい言葉を失った。

 

千歌「祐一くんは優しいからこんなチカでも好きだって言ってくれる…。でも、チカはいつまでもその優しさに甘えてるチカでいたくない!祐一くんが辛い時、悲しい時、どんな時にだって支えられて、笑顔にしてあげられる。」

 

千歌「そんな存在になりたい…。」

 

千歌ちゃんの言葉に俺は目頭が熱くなるのを感じた。

 

こんなにも一途に俺のことを想ってくれて、心を満たしてくれている。そんな彼女のことを俺は何もわかっていなかった。

 

きっと俺も千歌ちゃんの優しさに甘えていたのだろう。

 

千歌ちゃんは本当に優しい。だけど、優しすぎるが故に自分を責めてしまうことが多々ある。誰よりも責任感が強くて一人で全部責任を背負ってしまう。だから、俺は千歌ちゃんにそんな想いはさせたくない。俺だって千歌ちゃんが辛い時、悲しい時、どんな時にだって支えられる、笑顔にできるそんな存在でありたい。幸せを分かち合いたい。

 

祐一「ありがとう…。千歌ちゃん。」

 

祐一「俺は本当に幸せ者だ。」

 

俺は自然と幸せという言葉を口にしていた。

 

祐一「俺は千歌ちゃんと一緒にいるだけで幸せな気持ちでいれる。俺にとって千歌ちゃんはかけがえのない陽だまりなんだ。優しく俺を照らしてくれて包んでくれる。そんな存在だから俺は安心出来る。だからこそ失うのが怖いんだ…。」

 

祐一「だから、これからもこんな情けない俺だけど支えて欲しい。」

 

祐一「千歌ちゃんが隣にいてくれることが何よりも俺の力になるから。」

 

千歌「うん…。うん!!」

 

千歌ちゃんは俺を見つめながら優しく微笑んでくれた。

 

この時、俺の目に映った笑顔はまさに俺にとっての陽だまりそのものだった。

 

その笑顔が俺のことを優しく包んでくれて、心を満たしてくれている。

 

千歌「これからも祐一くんがチカの一番だからね?♪」

 

祐一「ありがとう!これからも俺の成長を一番近くで見ててね!」

 

千歌「もちろん。いつまでも…。チカを祐一くんの隣にいさせてね?」

 

祐一「寧ろこっちからお願いするよ!」

 

俺は笑顔で千歌ちゃんに伝えた。

 

そして俺たちは二人笑い合い、今この時間を楽しんだ。

 

しばらくして俺たちはカフェを出て帰路につくことにした。

 

明後日の話に花を咲かせて千歌ちゃんの家の近くまで来た時、

 

祐一「明後日、楽しみだね!」

 

千歌「うん!楽しみ!!」

 

千歌「祐一くんにチカの水着姿見せるのちょっと恥ずかしいけど///」

 

千歌「チカのこともっと見て欲しいから頑張るね///」

 

千歌ちゃんはほんのりと顔を赤く染めながら言ってきた。

 

祐一「千歌ちゃんの水着姿は俺だけのもの…。」

 

千歌「えっ///」

 

祐一「誰にも見せたくないなぁ…。」

 

千歌「でも、そうしたらプール行けないよ?///」

 

祐一「それはイヤだ!!!千歌ちゃんの水着姿見たい!!!」

 

千歌「そ、そんなに?///」

 

祐一「そんなに!!!」

 

千歌「じゃあ、楽しみにしててね?♪」

 

千歌ちゃんは悪戯っぽく笑いながら俺に言ってきた。

 

祐一「う、うん///」

 

正直な話、誰にも千歌ちゃんの水着姿は見せたくないけどこればっかりはしょうがない…。自分に言い聞かせながら俺は返事を返す。

 

千歌「じゃあ、また明後日ね!!」

 

祐一「うん、またね!!」

 

俺たちは別れ、帰路に着く。

 

家に向かっている間、俺が千歌ちゃんの水着姿を妄想していた事は言うまでもない。

 





ご愛読ありがとうございました!!

夏という事もあって次回はプール回にしたいと思います。

みんなの水着姿を想像するとなんだかムフフな感じになりますね笑

それではまた次回で!!


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Day21 ナンパには注意を


どうも甘党ゴンザレスです!!

投稿遅れてしまい申し訳ありませんm(_ _)m

相変わらずの駄文ですが、読んで頂ければ嬉しいです!

それでは、本編どうぞ!!


俺と怜は今絶賛、真夏の太陽の元千歌ちゃんたちが着替えているのを待っている。

 

怜「それにしても晴れてよかったな。」

 

祐一「そうだな。これで心置き無く楽しめるってもんだ。」

 

海パン姿で俺たちは話していると怜が俺に言ってきた。

 

怜「お前、流石の体つきだな。」

 

怜がマジマジと俺を見ているんで少し皮肉交じりに答えた。

 

祐一「当たり前だろ?これでも強豪校の元エースだぜ?」

 

怜「それもそうか…。」

 

怜はニヤリと笑った。

 

俺から言わせれば怜の方が身長も高くて、俺より何倍も体つきはいいと思う。俺もこの身長にしてはいい体つきをしていると思うが、怜には敵わない。

 

祐一「まぁ、それはお互い様だろ?相棒?」

 

怜「そうだな。相棒。」

 

俺たちは顔を合わせて笑い合う。

 

俺たちは体つきがいいからか、通りすがる女性たちが俺たちの方をチラチラと見ている。

 

祐一「なんだか、見られてるみたいだけど…。俺たちってそんなに見るほどの価値あるか?」

 

怜「まぁ、俺たちで言う美人な人がいたら見ちゃうみたいな感じだろ?」

 

祐一「なるほど…。ならしゃーないか?」

 

俺は納得して千歌ちゃんたちが更衣室から出てくるのを待った。

 

そして、数分後千歌ちゃんたちが更衣室から出てきた。

 

曜「あれ?祐一くんと怜くん、どこだろう?」

 

祐一「おーい!曜ちゃん、こっちだよー!!」

 

俺の声に曜ちゃんが気づきこっちに向かって走ってくる。

 

曜「おまたせー!時間かかっちゃってごめんね?」

 

怜「気にしないで!曜ちゃんとっても水着似合ってるよ!」

 

祐一「うん、すごいかわいいね!!」

 

曜「えへへ、照れるでありますな///」

 

曜ちゃんの水着は水色のビキニでイメージにとてもマッチしていてよく似合っていた。

 

だが、

 

祐一「あれ?千歌ちゃんと梨子ちゃんはパーカー着てるけどどうしたの?」

 

俺は曜ちゃんの後ろに隠れている二人に尋ねた。

 

梨子「ひ、日焼けが心配でね…!?ねっ!千歌ちゃん。」

 

千歌「そ、そうなんだよ!!今日は暑いからね!!」

 

俺は食い気味に言ってくる二人に若干気圧された。

 

祐一「そ、そっか…。」

 

曜「えー、さっきと言ってることが違うじゃん!」

と曜ちゃんが二人を見ながら悪い笑みを浮かべていた。

 

怜「どゆこと??」

 

曜「千歌ちゃんと梨子ちゃんはね、二人に水着を見られるのが恥ずかしいんだって!」

 

千歌「わっ///曜ちゃん言わない約束じゃん!?///」

 

梨子「そ、そうよ///」

 

みるみる千歌ちゃんと梨子ちゃんの顔が赤く染まっていく。

 

曜「だって、二人とも可愛いんだもん♪」

 

怜「曜ちゃん…なかなかエスっけあるんだね…。」

 

祐一「あ…あはは…。」

 

俺たちはただ苦笑いすることしかできない。

 

曜「じゃあ、泳ぎに行こうか?」

 

千歌「そうだね!せっかく来たんだし楽しまなきゃ!」

 

梨子「そうね!今日は楽しみましょ!!」

 

二人もどうやら吹っ切れたようでパーカーを脱いで水着姿を見せてくれた。

 

怜「おおー!!可愛いね、二人とも!!」

 

祐一「ああ、よく似合ってるよ!!」

 

梨子「そ、そうかな///」

 

千歌「ありがと、嬉しい///」

 

梨子ちゃんは淡い桜色のパレオでスタイルのいい梨子ちゃんにとても良く似合っていた。

 

千歌ちゃんはオレンジ、もといみかん色のフレアビキニで可愛いのなんの。彼氏としての贔屓目なくしてもその可愛さは滲み出ている。

 

怜「さてみんな準備ができたところで…。泳ぐぞ!!」

 

祐一・千歌・梨子・曜「「「「おー!!!!」」」」

 

怜の掛け声と共に俺たちは流れるプールに入った。

 

祐一「はぁー、気持ちいいっ!!」

 

千歌「えいっ!!」

 

祐一「わっ!?」

 

千歌ちゃんから水をかけられて驚き声が出てしまった。

 

祐一「お返しだよ!!」

 

千歌「きゃっ!えへへ♪えいっ!」

 

千歌ちゃんは俺が水をかけると抱きついてきた。

 

千歌「えへへ♪これでもう水かけられないでしょ♪」

 

祐一「もう、甘えん坊だなぁ。千歌ちゃんは!」

 

いつもは衣服越しで抱きついてきているけど、今回は水着ということで肌が直接触れ合う。千歌ちゃんの柔らかくてスベスベの肌が触れて内心俺はドキドキが止まらないが、あくまで平常心を保ち千歌ちゃんとじゃれ合う。

 

千歌「祐一くんは泳ぐの得意なの?」

 

祐一「そうだね…。一応、人並み以上には泳げるかな?」

 

千歌「そうなんだ!!やっぱり祐一くんは凄いね!!カッコいい♪」

 

祐一「ありがと!」

 

俺たちは流れるプールに身を任せていると、

千歌「あっ!祐一くんアレ一緒にやらない?」

 

千歌ちゃんが指差した先にはなかなか大きいウォータースライダーが見えた。

 

祐一「おっ、おぉ…。アレか〜…。結構大っきいね。」

 

千歌「ダメ…かな?」

 

千歌ちゃんは上目遣いで俺を見上げてくる。

 

そんな目をされちゃ男として断れないよな。

 

祐一「いや、千歌ちゃんが一緒にいてくれるから大丈夫だよ!一緒じゃなかったらちょっとキツイけど…。」

 

俺は苦笑いを浮かべるが、千歌ちゃんの提案を了承した。

 

千歌「うん、任せて!!チカがちゃんと祐一くんが怖くないように側にいるからね♪」

 

千歌ちゃんが笑いかけてくれて胸がキュンとした。今もしかしたら俺はマヌケな顔をしてるかもしれない。

 

千歌「どうしたの?」

 

祐一「なんでもないよ。」

 

祐一「そうだね。いてもらわないと困っちゃうよ。これからも…ね?」

 

千歌「えっ///」

 

祐一「れいー、ちょっとアレ行ってくるわー!!」

 

怜「あいよー!!俺らこの周辺で遊んでるわー!!」

 

俺は怜に伝えてウォータースライダーへ向かうことにした。

 

祐一「さぁ、千歌ちゃん行こっか?」

 

俺は千歌ちゃんに手を差し伸べる。

 

千歌「う、うん///」

 

千歌ちゃんが俺の手を握る。

 

千歌「祐一くん…。今言ってくれたことって…///」

 

祐一「よーし!!レッツゴー!!」

 

千歌「わぁ!!も、もおー!!」

 

俺は先程の事を聞いてくる千歌ちゃんの手を引きウォータースライダーへ向かった。

 

―――――――――――――――――――

 

ウォータースライダーの順番待ちをしていよいよ俺たちの順番になった。

 

従業員「それでは次の方どうぞ!!」

 

祐一・千歌「「はーい!!」」

 

従業員「それでは説明をさせていただきますね。このウォータースライダーは二人一緒に滑る形になります!ですので、彼女さんが先に座ってもらって彼氏さんには彼女さんを抱きしめる形で座っていただきます!」

 

祐一「なるほどな…。」

 

従業員「ではまず彼女さんからこちらにお願いします!」

 

元気な声で従業員さんが促してくる。

 

千歌「はーい!」

 

従業員「それでは次に彼氏さんが彼女さんをしっかり抱きしめる感じで座ってください!結構速くなるのでしっかりと抱きしめてあげてくださいね!!」

 

祐一「わかりました!じゃあ千歌ちゃん行くよ?」

 

千歌「うん///」

 

俺は優しく千歌ちゃんのお腹辺りに触れて抱きしめる形で座る。

 

すると、

 

千歌「あっん///」

 

千歌ちゃんから艶めかしい声が発せられた。

 

祐一「ち、千歌ちゃん変な声出さないでよ!///」

 

千歌「だ、だって…///」

 

従業員「はい!準備はよろしいですね?それではいってらっしゃーい!!」

 

従業員さんが俺の背中を押す。

 

祐一・千歌「「うわーーー!!!!」」

 

滑り始めてからすぐにスピードにのり始めてグングン速くなっていく。

 

千歌「あはは、たのしいね!!♪」

 

祐一「そうだね!!これなら楽しくて全然怖くない!!」

 

俺たちは終始笑顔のまま水の中へダイブした。

 

千歌「ぷはぁ!」

 

千歌「楽しかったね!祐一く…ん、アレ??」

 

千歌「祐一くんどこ??ひゃっ!?」

 

祐一「ぷっはぁ!!あぶね。」

 

千歌「よかった、何してたの??」

 

祐一「あっ、いや、なんでもないよ!」

 

何故俺がすぐに浮上してこなかったのかというと、実は滑っている時に少しずつ俺の海パンがズレてきて水に突っ込んだ瞬間勢いで脱げてしまったのだ。つまり産まれたままの姿だったので海パンを水中で履いていたから今の状況になったわけだ。すまない。汚いものをお見せした…。

 

千歌「そっか!それならよかったよ!溺れちゃったかと思って心配したよ。」

 

祐一「ごめん、ごめん。心配しないで!ピンピンしてるから!」

 

祐一「そろそろお昼時だし、みんなのところ戻ろっか?」

 

千歌「うん!ご飯食べてこの後もいっぱい遊ぼうね!!」

 

千歌ちゃんはニコニコして俺に言ってくる。

 

祐一「…。もちろん!」

 

やっぱりこの太陽のように輝いてて俺を優しく包み込んでくれる、この笑顔が俺は好きだ。

 

俺たちは手を繋ぎみんながいる流れるプールへ歩いて行った。

 

※※※※

 

怜たちと合流して俺たちは昼食を取ることにした。

 

祐一「じゃあ、俺たち何か買ってくるけど何がいい??」

 

曜「あっ!それなんだけどさ。」

 

梨子「実は、お弁当作ってきたの!」

 

怜「えっ、マジで!?」

 

なんと、お弁当を作ってきてくれるとはありがたい。

 

千歌「今日の朝三人で作ってきたんだ!!だからみんなで食べよ!!」

 

祐一「ありがとう!じゃあ、お言葉に甘えていただこうぜ!」

 

怜「そうだな!楽しみだなぁ!」

 

梨子ちゃんがカバンからお弁当を取り出して広げると、そこには彩り鮮やかで美味しそうな料理が入っていた。

 

祐一・怜「「おおっ!!うまそー!!!!」」

 

曜「二人のために一生懸命作ったであります!!」

 

梨子「口に合うかわからないけど…。」

 

千歌「たくさん食べてね?♪」

 

俺たちのために頑張ってくれたなんて…。

 

祐一「ありがとう。いただき…。」

 

怜「うめーよ!!!」

 

祐一「いや、お前さ先にいただきますぐらい言えや!」

 

涙を流しながらお弁当を食っている怜に俺は注意した。

 

怜「だってよ〜…。俺たちのために作ってくれたんだぜ?嬉しいじゃん!?」

 

祐一「いや、確かに嬉しいけどさ…。」

 

怜「取り敢えずお前も食ってみろって。」

 

怜は俺に玉子焼きを食べさせてきた。

 

前に千歌ちゃんが作ってくれた玉子焼きによく似ている。

 

祐一「うまいな…。」

 

怜「だろ!?」

 

俺たちの反応に三人は嬉しそうにしていた。

 

曜「ふふっ、よかったよ♪」

 

梨子「その玉子焼きはね、千歌ちゃんが一生懸命作ったんだよ?」

 

祐一「やっぱり、そうだったんだね…。」

 

俺は千歌ちゃんの方を見ると千歌ちゃんは顔を赤く染め上げていた。

 

千歌「この前は砂糖と塩を間違えちゃったから今度は両方作ってみたんだけど。どう…かな?」

 

俺はもう一つの玉子焼きに手を伸ばし口に運ぶ。

 

祐一「うん、凄い美味しいよ!!しょっぱい玉子焼きも好きだけど、甘い玉子焼きも優しい味がして俺は好きだな。」

 

千歌「ホント!?よかった!」

 

俺に笑いかけてくる千歌ちゃんはまるで天使のようだった。

 

梨子「それじゃ、私たちもいただきましょうか?」

 

曜「そうだね!私もうお腹ペコペコだよ!」

 

千歌「うん!いただきまーす!!」

 

楽しい昼食の時間が始まった。

 

―――――――――――――――――――――

 

みんなで昼食をとって、お腹も満たされたので俺はお手洗いに、怜は飲み物を買いに売店へと向かった。

 

お手洗いを済ませ俺が戻ろうとすると千歌ちゃんたちが男の人に言い寄られているのが目に入った。

 

祐一「なんだ?」

 

俺はすぐさま千歌ちゃんたちの元へ走って行き声をかけた。

 

祐一「おまたせ!!どうしたの??」

 

曜「あっ!!祐一くんお帰り!!」

 

梨子「それじゃあ、友達帰ってきたのでこれで失礼しますね。」

 

男A「え〜、いいじゃん!一緒に遊ぼうよ〜!」

 

男はナンパをしに来たのだろうか、しつこく声をかけてくる。

 

男B「そうだよ!こんな男といるより俺たちといる方が絶対楽しいからさ!」

 

男の連れも便乗してナンパしてきた。

 

祐一「…。」

嫌がっている三人の反応を見て俺はだんだんと腹が立ってきて男たちに何か言ってやろうとした時、

 

 

 

 

 

千歌「そんなことありません!!」

 

 

 

 

千歌ちゃんが男たちに向かって反論した。

 

男A「はぁ??」

 

男Aは反論した千歌ちゃんを睨みつける。

 

千歌「私たちは彼と遊びに来たんです!彼と遊んでて楽しいので間に合っています。」

 

千歌ちゃんはハッキリとナンパを拒絶して突き放すが、それが仇となり男たちの怒りを買ってしまった。

 

男A「こっちが下手に出てりゃいい気になりやがって!!おい、予定変更だ。この女だけでも連れて行くぞ!」

 

男B「そうだな、悪く思わないでくれよ?君は俺たちの怒りを買ったんだ、それなりには楽しませてもらうぜ?」

 

男たちは怒りを露わにしながらも何処かにやけた顔をして話していた。

 

男A「オラッ!こっち来やがれ!」

 

千歌ちゃんの腕を強引に掴む男。

 

千歌「いやっ、離して!」

 

祐一「おい、やめ…。」

俺が男にやめるように注意しようとした時、

 

男A「このアマ!!」

 

ドゴッ!!

 

千歌「うぅっ…。イタッ…。」

男が千歌ちゃんの頬を殴った。たまらず千歌ちゃんはその場に座り込んだ。

 

男A「俺に逆らうとこうなるからな!わかったか!!」

 

男は高笑いをあげながら座り込んでいる千歌ちゃんを見下していた。

 

ブチッ

 

この光景を見た時、俺の中で何かが切れる音がした。

 

俺は無言で男に近づき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぶん殴った。

 

 

男A「グハッ…!」

 

男A「テメー、なにしや……ゲホッ…!」

 

俺は無心で男を殴りつける。

 

祐一「お前、今自分が何したかわかってるのか。」

 

その時の俺の声は酷く冷たく感情がこもっていなかった。

 

祐一「さっきのは、()を怖がらせた分、次のは()()を怖がらせた分。」

 

俺は尚も男の腹に馬乗りになって殴りつける。

 

祐一「これは…()()を怖がらせた分だ。」

 

男A「グホッ…。す、すまなかった…。わっ、悪かったから、もう、やめっ…。」

 

許しをこう男だが、俺の理性は吹っ飛んでいる。いつの間にかみんなを呼び捨てで呼んでいた。

 

祐一「やめる?俺の中にそんな選択肢はない。お前に残された選択肢は、このまま俺に殴られ続けるだけなんだよ。」

 

祐一「お前は俺の大切な人たちに怖い思いをさせた。これには俺の落ち度もあるが、何よりお前は俺の大切な人を殴り…傷つけた。」

 

祐一「その報いは受けてもらう。」

 

この時、俺の顔からは怒り、憎しみ、全ての負の感情も消え去っていた。

 

男A「ひぃっ!やっ、やめてくれっ…。」

 

男は涙を零しながら言ってきたが、もうそんなことは関係ない。

 

そして最期の一撃を喰らわせようとした時、俺の腕をすごい力で押さえつける存在に気がついた。

 

怜「ふぅ、何とか間に合ったか…。おい、あんたらもうここから離れな。忠告しとくけどこうなったコイツは中々止まんないぞ?これ以上痛い目にあいたくなかったら早く消えな?」

 

怜の忠告に男たちは黙って頷いてこの場から去って行った。

 

祐一「おい、何で止めやがった。」

 

俺は威圧的な声色で怜に言い放った。

 

怜「何でって、周りを見てみろ。」

 

俺は周囲を確認すると通りすがる人たち全員がこちらを見ていた。

 

そして俺は怜が押さえてる腕を振りほどき怜に向かって言った。

 

祐一「うるせぇ。だから、どうした。」

 

怜「いい加減頭を冷やせ!!」

 

怜が俺のことを思いっきり殴ってきた。

 

祐一「ぐっ…。いってーな!!」

 

俺も思いっきり怜のことを殴りつける。

 

怜「うぅっ…。そうだ。全部俺に吐き出せ!」

 

そこから俺たちの殴り合いが始まった。

 

梨子「やめて、二人とも!」

 

曜「そうだよ、そんな二人の姿なんて見たくない…。」

 

怜「ごめんね、みんな、こうしないと祐一は止まらないんだ。祐一は大切な人やモノを傷つけられたらこうやってやんない…とっ!!」

 

祐一「余所見してんじゃねーぞ、怜!!」

 

怜「どんどん来いよ?動けなくなるまで付き合ってやるよ!」

 

祐一「上等だ!!」

 

俺たちは数十分間殴り合いを続けた。

 

祐一「ハァハァ…。」

 

怜「ハァハァ…。もう…終わりか…?」

 

祐一「まっ…まだまだぁ!!」

 

俺が怜に殴りかかろうとすると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「もう…やめて…。」

 

千歌ちゃんが俺の前に立ち塞がった。

 

祐一「千歌ちゃん…どいてよ。」

 

千歌「やだ…どかない!!」

 

祐一「なんで…なんでだよ!!」

 

俺は遣る瀬無い怒りをどこにぶつけていいのかも分からず千歌ちゃんに全てをぶちまけた。

 

祐一「俺は何もできなかったんだ…!!怖がっている千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃんを守ってあげられなかった。あれだけ俺らが守るって言ったのに何にも守れなかった!!俺は力の無い自分が憎くて憎くて仕方ない…!!俺は弱い人間なんだ!!」

 

祐一「だから、俺は…。」

 

俺はその場に力無く膝をつく。

 

祐一「そんな自分を許せない…。」

 

そして静かに涙を流した。

 

怜「祐一、お前はそんなに自分のことを責めるな。今回は俺にだって非はある。俺があの時残っていれば…。こんなことにはならなかった…。」

 

祐一「いや、そんなことはないよ。俺が直ぐに助けに入ればよかったんだ。それに殴って悪かった…。サンキューな。」

 

怜「気にすんな、ダチだろ。相棒?」

 

怜に謝り、頭に上った血が一気に冷めてきた。

 

祐一「みんなも怖い思いをさせてごめんね…。」

 

俺は立ち上がり頭を下げてみんなに謝罪した。

 

曜「頭あげてよ!!祐一くんが来てくれなかったらもっと最悪な事になってたかもしれないんだよ…。怖かったけど祐一くんがちゃんと助けてくれた!ありがとう。」

 

梨子「そうよ…。私たちをちゃんと助けてくれた。だからもう自分を責めないで?いつもの優しい祐一くんに戻って。」

 

二人はそう言ってくれた。

 

祐一「曜ちゃん…梨子ちゃん…。」

 

二人の言葉で少し胸が軽くなった気がする。

 

怜「ほら、祐一。一番お前に感謝を言いたい子がいるみたいだぞ?」

 

怜はニヤニヤしながらこっちを見てきた。

 

俺が怜の見ている方を見ると千歌ちゃんが涙を溜めて立っていた。

 

そして俺に抱きついてきた。

 

千歌「ごめんね…。」

 

祐一「なんで千歌ちゃんが謝るんだよ。悪いのは俺なんだから。怖いところ見せちゃってごめんね。それに殴られて痛かったでしょ、大丈夫?」

 

俺は千歌ちゃんの頭を優しく撫でながら痛いところはないか聞く。

 

千歌「うん、チカは大丈夫。心配してくれてありがとう。」

 

祐一「当たり前じゃん。千歌ちゃんに大事がなくて安心したよ。」

 

千歌「でも…祐一くんがあんなに怒ってるところ初めて見たからちょっと怖かった…。」

 

祐一「やっぱ、そうだよね…。」

 

俺はこの時深く反省すると共に激しく後悔した。大切な人にあんな醜い姿を見られたのだ、愛想を尽かされてもしょうがない。

 

千歌「でもね!」

 

祐一「千歌ちゃん?」

 

千歌「祐一くんがチカたちの事を助けてくれた事が嬉しかったの…。なによりチカたちの為に怒ってくれて事が一番嬉しかった…。だから、自分の事を責めて傷つけないで?祐一くんがいてくれたからチカたちは無事だったんだよ。だから…ありがとう…。」

 

千歌「でも、もうあんな祐一くんは見たくない。チカのせいでこんな事になっちゃったけど、やっぱり祐一くんには笑ってチカの隣にいて欲しい…。怖い顔じゃなくて…チカが大好きな優しい笑顔で!」

 

千歌ちゃんは優しく微笑みながら俺に伝えてきた。

 

祐一「千歌ちゃん…。」

 

俺はたまらず千歌ちゃんを抱き締めて

 

祐一「ありがとう…。大好き…。」

 

耳元でそう囁いた。

 

千歌「ひゃっ!!///」

 

千歌ちゃんはビックリして変な声をあげた。

 

祐一「ふふっ♪みんな、本当にごめんね。今日の夜ご飯は俺が奢るから焼肉でも行こっか?」

 

怜「おっ、マジか!お前の財布すっからかんにしてやるぜ!」

 

曜「やったー!!祐一くん太っ腹!!」

 

梨子「じゃあ、ご馳走になろうかな♪」

 

俺は照れ隠しの為こんな事を言ってしまったが、少しだけ後悔した。

 

祐一「ハハッ…。千歌ちゃんも一緒に行こうね!」

 

俺は笑顔で千歌ちゃんに言った。

 

千歌「あっ、う、うん///」

 

祐一「それじゃあ、焼肉の前に思う存分遊ぼうか!!」

 

怜・曜・梨子「「「おーーー!!!」」」

 

俺の掛け声でみんなまたプールへと向かった。

 

そしてその場に足を止めている千歌ちゃんは呟いた。

 

千歌「チカも大好きっ…///」

 

俺にその呟きは届かなかったが、その後すぐに千歌ちゃんが合流してきて俺たちは目一杯遊んだ。

 

この後、約束通り焼肉へ行った俺たちだが、俺の財布に風穴が開いたことは言うまでもない…。

 





ご愛読ありがとうございました!!

最近マジで暑くて大変ですが、皆さんも十分にお気をつけ下さい!

それではまた次回!!


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Day22 特別な日


どうも甘党ゴンザレスです!!

お待たせいたしました。投稿が遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m

4thシングルの未体験HORIZONのPVが解禁されましたね!発売が楽しみです!
個人的には大好きな曲でした。

それでは本編どうぞ!!



俺は今非常に悩んでいる。

 

明日は恋人である千歌ちゃんの誕生日。既に食事の予約はしているが、それまでの間どこに行くか、考えていたがまだ決まっていない。

 

祐一「さて…どうしたもんかね?」

 

長時間悩み考え込んでいると、

 

祐一「あっ!」

 

俺は閃いた。

 

祐一「あそこならいいかもな。」

 

俺は一人納得して明日の準備を整えて眠りについた。

 

―――――――――――――――――

 

翌朝

 

俺は駅で千歌ちゃんを待っている。

 

すると千歌ちゃんが手を振りながら走ってきた。

 

千歌「祐一くーん!!」

 

祐一「おはよう、千歌ちゃん!いきなりだけど誕生日おめでとう!」

 

千歌「ありがとう!!」

 

ニコニコ嬉しそうに笑う千歌ちゃん。

 

可愛いよね?

 

祐一「さぁ、行こうか!」

 

千歌「うん!今日はどこに連れて行ってくれるの?」

 

祐一「それは、着いてからのお楽しみだよ!」

 

千歌「え〜、教えてよ!」

 

祐一「まだ、だーめ。」

 

俺は疑問を持つ千歌ちゃんの手を引き駅の中へ歩いて行った。

 

電車に揺られ数駅来たところで俺たちは下車した。

 

千歌「ここって…。」

 

祐一「そうだよ。」

 

俺がデート場所に選んだのは千歌ちゃんたちAqoursがラブライブ本戦で優勝を果たした地。

 

秋葉原だ。

 

祐一「本当はもっとお洒落なところもいっぱい考えてたんだけど、やっぱり千歌ちゃんと来るならここかなって思ったんだけど。どう…かな。」

 

俯いてしまう千歌ちゃん。

 

ヤバイ、まずかったか?

 

すると、

 

千歌「うん…うん!!私もアキバに来たかった!」

 

満面の笑みで千歌ちゃんは頷いてくれた。

 

祐一「たくさん考えてようやく出した答えだったけど喜んでくれてよかった…。」

俺はホッと胸を撫で下ろした。

 

千歌「チカのこと想ってたくさん考えてくれたんだ…。ありがとっ…嬉しいっ…。」

 

千歌ちゃんは俺の手をしっかり握ってお礼を言ってきた。でも、その時に見た千歌ちゃんの表情は何処か淋しげで思い出を振り返り懐かしむ。そんな表情を一瞬していた気がする。

 

千歌「それじゃ、行こっか!」

 

祐一「うん。今日は千歌ちゃんの行きたいところ全部行こうね!」

 

すぐさま素の表情に戻った千歌ちゃんは俺の手を引きアキバの街へと歩を進めた。

 

 

 

 

まず俺たちが向かった先はUDX高校がある大きなモニターがある場所。

 

千歌「懐かしいなぁ…。ここで、私はラブライブに…μ’sに出会ったの…。」

 

祐一「ミュ、ミューズ??石鹸??」

 

千歌「あっ…祐一くんそう言えばスクールアイドルはAqoursしか知らないんだっけ?」

 

祐一「め、面目無い…。」

 

スクールアイドルに関しては無知過ぎる俺は立つ瀬が無かった。

 

千歌「気にしないで!!μ’sはね、チカがスクールアイドルを始めるキッカケをくれたスクールアイドルグループなんだよ!ここでμ’sのライブを観てチカもキラキラしたい、普通な自分から変わりたいって思えたんだ…。」

 

千歌ちゃんの言葉に想いの強さを感じた。

 

祐一「そうだったんだね…。俺も今度観てみようかな…?」

 

千歌「じゃあ、今度チカの家で観ようね♪」

 

俺たちは今度ミューズのライブ映像を観ることが決定した。

 

千歌「そう言えば祐一くんはどういう女の子が好きなの?」

 

祐一「随分、唐突だね?」

 

千歌「いやー…。ちょっと気になってね。」

 

まぁ隠す必要は無いし、俺は正直に答えた。

 

祐一「そうだなぁ…。強いて言うならやっぱり一緒にいて楽しい人が良いかな?まぁ普通だね。」

 

千歌「なるほど…。他には?」

 

他かぁ…。

 

祐一「うーん…。俺を好きになってくれる人…かな?」

 

千歌「ええっと?どういうこと…?」

 

祐一「なんて言うのかなぁ…。やっぱり俺なんかに興味を持ってくれることが嬉しくてさ…///好き好きオーラを出してくれる人はやっぱりそれだけ俺の事を好きでいてくれてるのかなって思うし、俺もその子のことが気になるようになっては来るからね。もしかしたらスキンシップを取ってくれる人が好きなのかもしれない///」

 

何だか答えていて恥ずかしくなってきた。

 

千歌「……。」

 

祐一「千歌ちゃん?どうしたの?」

 

 

ギュッ

 

 

千歌ちゃんが無言で抱きついてきた。

 

祐一「千歌ちゃん??」

俺の胸に顔をスリスリしてくる千歌ちゃんに疑問が湧いたが、直ぐに理解した。

 

祐一「もしかして、今言ったこと気にしてる?」

 

俺が聞くと千歌ちゃんは俺の胸に顔を埋めながら頷いた。

 

それを知って俺は愛おしさが爆発しかけた。俺が言ったこととはいえそれを行動に移してくれるなんて、やっぱり嬉しいし大切にしたいと思う。

 

祐一「ありがとっ。でも、俺はありのままの千歌ちゃんの事が大好きだからね!」

 

こんなにも健気で可愛い彼女は他にはいないよ。

 

千歌「でも、チカって上手くスキンシップ取れてるかな…?ちょっと…不安で…。」

 

祐一「大丈夫だよ。千歌ちゃんが俺のこと想ってくれてる気持ちはちゃんと伝わってるからね?」

 

寧ろわかりやすいほどに千歌ちゃんはスキンシップを取ってくる。流石の俺でもそれには気づいている。

 

千歌「そっか…。チカは祐一くんが好みな女の子になれてるのかな?」

 

祐一「当たり前じゃん。」

 

俺は即答する。

自慢するわけじゃないけど、俺には勿体無いくらいの彼女だと思う。しっかりした所もあれば、天然な所もある。家庭的で料理の腕も申し分ない。そして何よりも笑顔が魅力的で、沈んだ気持ちの時でも不思議と元気が出てくる。

 

そこに俺は惹かれていったのかもしれない。

 

千歌ちゃんの周りには不思議と人が集まってくる。それはもしかしたら彼女が持つカリスマ性なのかもしれない。

 

千歌「そっか…。えへへ///」

 

そう、

 

こんな風に照れた笑いも可愛くて俺の心臓をキュッと掴む。

 

 

 

それと同時にやはり不安にもなる。

 

こんなにも魅力的な女の子がモテないはずがない。世の中には男なんてごまんといる。俺なんていつ捨てられても不思議じゃない…。いつ、俺に愛想を尽かすかわからない…。

 

俺はそれが怖くて怖くて堪らない。

 

すると千歌ちゃんが心配した表情で尋ねてきた。

 

千歌「祐一くん大丈夫?何だか顔色悪いよ…。」

 

祐一「えっ、あぁ、大丈夫だよ…。」

 

言葉ではそう言ってるけど内心落ち込んでいる。これが俺の悪い所でもある。一度ネガティブになってしまうとなかなかポジティブになれない。

 

千歌「でも、いつもの笑顔と違う。何か心配事?」

 

一緒にいる事が多くなったからか千歌ちゃんには分かってしまった。

 

祐一「まぁ、そんな感じかな…。ちょっと不安になっちゃってね…。」

 

千歌「不安??」

 

祐一「千歌ちゃんは可愛くて誰からでも好かれる。その中には少なからず俺よりもいい男が絶対にいると思う…。だから、いつか俺じゃなくて他の人を好きになって俺は捨てられるんじゃないかって…。」

 

俺は不安な気持ちを吐き出した。我ながら最低な事を言ったと思ってる。彼女の目の前でなんて事を言ってるんだ…。

 

情けない…。

 

千歌「バカ…。」

 

祐一「えっ…。」

千歌ちゃんは俺から離れて真剣な目で見つめてきた。

 

千歌「私は簡単に好きな人が変わったりしないよ。私が好きなのは祐一くんだけ。他の誰でもない。」

 

祐一「千歌ちゃん…。」

俺はその言葉に少し胸が熱くなった。

 

千歌「祐一くんは分かってないかもしれないけど、不安な気持ちはチカも同じだよ?知ってる?祐一くん、大学の女の子たちに凄い人気なんだよ。みんな祐一くんの話をする時嬉しそうに話してる。私も話してて祐一くんのいい所が聞けて嬉しいけど…。嫉妬しちゃうな…。」

 

千歌「チカの知らない祐一くん…。色んな祐一くんを知れるのは嬉しい…。でもやっぱり祐一くんの事はちゃんとチカの目で見て知りたい。」

 

俺は本当に馬鹿だな。

自分の事ばかりで千歌ちゃんの気持ちを考えてなかった。

 

祐一「ごめんね…。俺…自分の事ばっかで、千歌ちゃんの事全然考えてなかった…。」

 

千歌「ううん…。そんな事ないよ…。祐一くんがチカを大切にしてくれてる事はちゃんと伝わってるから。ねっ?」

 

祐一「うん…。ありがとう。」

これからはもっとしっかりしないとな…。

 

千歌「じゃあ、気を取り直して次行こっか!」

 

祐一「そうだね。ごめんね…悪い雰囲気にしちゃって…。」

 

千歌「いいの!!気にしないで!」

千歌ちゃんは俺に笑いかけてきた。

 

やっぱり千歌ちゃんの笑顔は元気が出る。この笑顔の為なら俺は自分の全てを賭けられる。

 

祐一「ありがとう。今日は絶対に思い出に残るような日にしようね!」

 

千歌「うん!もちろん、二人で♪」

 

俺たちは固く手を繋ぎ歩き出した。

 

 

それからは色々な場所をまわった。アキバドーム、スクールアイドルショップ、そして最後に音ノ木坂学院を見にきた。千歌ちゃんから聞いたが音ノ木坂学院はμ’sの母校らしい。とても綺麗な学校で部活動に励む学生の姿はとても印象的だった。この学校が廃校の危機に瀕していたなんて信じがたい。それ程までに活気がある学校だった。

 

そんな音ノ木坂学院を見る千歌ちゃんの目はどこか寂しそうだった。

 

きっと浦の星と重なって見えたのだろう。

 

だから俺はそんな千歌ちゃんの肩を抱き引き寄せた。少しでも気持ちを共有出来るように…。

 

‘‘ありがとう’’

 

千歌ちゃんから言葉にしなくても伝わってくる。

 

俺に体を預けてくれている。それが俺は嬉しかった。

 

そして俺たちは音ノ木坂学院に別れを告げた。

 

―――――――――――――――――――――――

 

時刻は夕方の6時過ぎ。

 

祐一「さぁて、そろそろお腹空かない?」

 

千歌「うん!チカもうお腹ペコペコだよ…。」

 

どうやら俺の予想があたったみたいだ。この時間くらいに予約しておいてよかった。

 

祐一「よかった。丁度お店の予約した時間7時なんだよ!」

 

千歌「それ、もしチカがまだお腹空いてないって言ったらダメじゃない…。」

千歌ちゃんがジト目で見てくる。

 

祐一「アハハ…。その時は、その時…だよ。」

俺は遠くを見つめて黄昏た。

 

千歌「ふふっ♪でも、ありがとっ!♪」

 

祐一「じゃあ、行こっか!」

 

俺たちはお店に向かって歩き出した。

 

お店に着いて、店員さんに予約の事を伝え俺たちは個室に通してもらった。

 

千歌「わぁ!オシャレなお店だね!!」

 

祐一「俺も何回か来たけどいい所だよね!」

 

散歩をしていてたまたま見つけたお店なんだけど、気に入ってもらえてよかった。事前に怜と来て雰囲気を確認したけど、とてもいいお店で料理も美味しくて文句の付け所がない。

 

俺たちが話していると予約していた料理が出てきてた。

 

千歌「わぁ、すごい!美味しそう♪」

 

祐一「それじゃあ…。」

 

祐一・千歌「「いただきまーす!!」」

 

俺たちは料理を食べながら今日を振り返り話していると千歌ちゃんが聞いてきた。

 

千歌「祐一くんはAqoursの中で一番会ってみたいのって誰?あっ、勿論今まで会ったチカたちとダイヤちゃんは無しね!」

 

また難しい質問だな…。

 

祐一「そうだな…。みんなに会ってみたいけど…強いて言うなら国木田花丸ちゃんかな?」

 

千歌「へぇ〜。意外だね。チカはてっきり善子ちゃんだと思ってたよ!」

 

祐一「そうかな?普通に国木田さん可愛いし、歌も上手いからね!それにあの方言が可愛いのなんの!!」

 

千歌「へっ、ヘェ〜…。そうなんだね…。」

 

おっと、千歌ちゃんが少し引いてる気がする。熱くなり過ぎた。

 

祐一「ごめん、ごめん。興奮し過ぎた。」

 

千歌「でも、花丸ちゃん可愛いもんね…。胸もあるし…。」

千歌ちゃんはそう言いながら落ち込んだ表情をしている。

 

千歌「自信無くなっちゃうよ…。」

 

祐一「そんな事ないと思うけどなぁ…。」

俺がそう言うと千歌ちゃんは食い気味に言ってきた。

 

千歌「だって花丸ちゃんだよ!?あんなに可愛くて、胸が大きい子がチカと同じな訳ないよ!!」

 

祐一「おっ、おおっ…。」

 

千歌「チカが男の子だったら絶対放っておかないね!」

千歌ちゃんが胸を張り自信満々にしている。

 

千歌ちゃん…。君にも立派なモノがあるのを忘れないでくれ…。

 

目のやり場に困る…///

 

祐一「まっ、まぁそれは一旦置いて…。改めて千歌ちゃん!!誕生日おめでとう!はい、受け取ってください!」

 

俺は千歌ちゃんに包装されたプレゼントを渡した。

 

千歌「わぁ!!嬉しい、ありがとう♪開けてみてもいいかな?」

 

祐一「どうぞ。」

 

千歌「あっ、これ、チカが欲しいって言ってた腕時計…。覚えててくれたんだ…///」

 

祐一「まぁ…ねっ。彼女が欲しいものは覚えてるよ///」

 

以前から千歌ちゃんが話していた事を覚えていた俺は、その腕時計をプレゼントした。値段も手頃で俺としてもいいチョイスができたと思う。

 

祐一「実はもう一つ用意したんだ!」

 

俺は少し小さめの花束を千歌ちゃんに手渡した。

 

千歌「わぁ!!綺麗な花…。このお花はなんて言うの?」

 

祐一「ガーベラって言う花だよ。俺もあんまり詳しくは知らないんだけど、花言葉は『希望』、『常に前進』。まさに千歌ちゃんにピッタリだと思う。」

 

千歌「そう…かなぁ…。」

 

祐一「少なくとも俺はそう思ってるよ。常に前向きで明るい、そして俺の陽だまりでみんなにとって希望の様な存在…。」

 

千歌「祐一くん…。ありがとう。チカが祐一くんの希望になれてたら嬉しいな…。」

 

祐一「もう、千歌ちゃんは俺にとって何よりも大切な存在なんだ…。だから俺と出会って、俺を選んでくれて…ありがとう。」

 

俺は千歌ちゃんに出会えて心の底から感謝してる。千歌ちゃんと出会わなかったらつまらない大学生活を送ってたかもしれない。

 

千歌「こちら…こそ…。チカを…、チカを…選んでくれて…ありがとう…。」

 

涙ながらに千歌ちゃんは感謝を伝えてくれる。その姿を見て俺も目頭が熱くなった。

 

千歌「祐一くん…これからも…こんなチカだけど…よろしくね…。」

 

祐一「勿論だよ。俺の方こそよろしくね、千歌ちゃん!」

 

俺たちは二人っきりの個室で静かにキスを交わした。

 

今日は俺にとっても、千歌ちゃんにとっても忘れられない特別な日になった。

 





ご愛読ありがとうございました!!

遅くなりましたが、千歌ちゃん誕生日おめでとう!!

最近は台風など色々ありますが、皆さん体調などにはお気をつけください!

それではまた次回!!




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Day23 Aqoursメンバー


どうも、甘党ゴンザレスです!!

久しぶりの投稿になりすいませんm(_ _)m

楽しんで読んでいただければ嬉しいです!

それでは本編どうぞ!!


千歌ちゃんの誕生日から少し時間が経ち、俺たちは電車に揺られ内浦に今辿り着いた。今日はAqoursの皆さんと会える日。

 

 

 

なのですが…。

 

 

 

怜「うぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

祐一「うるせぇんだよ!!静かにしやがれ。」

 

舞い上がってるコイツ本当にうるさい…。確かにテンションは上がるけどはしゃぎ過ぎだ。

 

千歌「もうみんな来てるって!!」

 

祐一「わかった。ちょっとコイツ締め上げてから行くよ。こんな奴合わせたら危ないからね。」

 

このバカを今から絞め落とす。

 

梨子「まぁまぁ落ち着いて祐一くん。」

 

祐一「り、梨子ちゃん…。」

俺は梨子ちゃんに止められ一旦考えることをやめた。

 

だって…

 

梨子ちゃん凄い顔してるもん…。

 

梨子「怜くん、うるさいわよ♪」

 

怜「ひぃぃぃ!!」

 

梨子ちゃん怖いよ…。アイツ絶対終わったわ…ご愁傷様。

 

祐一「どうか安らかに…。」

 

俺はその場で手を合わせ合掌した。

 

曜「アハハ…。まぁまぁ落ち着いて梨子ちゃん。行こ?」

 

曜ちゃんが怜に救いの手を差し伸べてなんとか事なきを得た。

 

千歌「じゃあ、うちまで行こっか!!」

 

祐一「そうだね、今回はバスで行くんだよね?」

 

千歌「そうそう!うちの目の前にバス停があるからそこまでね!」

 

祐一「了解!!」

 

そして俺たちはバスに乗り込み十千万に向かった。

 

※※※※

 

十千万のバス停の前までもうすぐのところまで来ていたのだが、俺は長旅の疲れで千歌ちゃんに少し寄りかかって眠ってしまっていた。

 

祐一「zzz…。」

 

千歌「ふふっ、祐一くんの寝顔って可愛いね♪いつまでも見てられる♪」

 

怜「もうベタ惚れだね、千歌ちゃん…。でも、こういう時はイタズラしたくなるんだよな。」

 

千歌「ダメ!!かわいそうだよ!」

 

曜「でも、怜くんの気持ちもわかるよ!!こんなに気持ち良さそうに寝てると…ね?♪」

 

怜「さっすが曜ちゃん!!わかってるぅぅ!!」

二人はハイタッチをして共感してる。

 

祐一「うぅん…。アレ…俺寝てた…。」

 

曜「あぁ…。起きちゃった…。」

 

怜「クソッ!!起きんなよ!!」

 

祐一「へっ、俺もしかして二度と目覚めなければよかった?」

 

怜「そうだな。」

怜が淡白に答えてきた。

 

祐一「よし、お前が二度と目覚めないようにしてやる。」

 

祐一・怜「「ぐぬぬ」」

俺たちは互いの額を合わせ睨み合う。

 

梨子「はいはい、その辺で終わり。もう着くわよ。」

 

梨子ちゃんに言われた通りバスはすぐに停車した。

 

祐一「命拾いしたな。このハゲ野郎。」

 

怜「こっちの台詞だ。チビ野郎。」

俺たちは暴言を吐きながらバスを降りた。

 

 

そしてバスを降りた俺たちを迎えたのは千歌ちゃんのお母さんである美夏さんだ。

 

美夏「いらっしゃい!長旅ご苦労様。ゆっくりしていってね♪」

 

祐一・怜「「お世話になります!!」」

俺たちは先ほどまで言い争いをしていたのが嘘のように笑顔を作った。

 

美夏「祐一くん怪我の具合はどう?」

 

祐一「傷は治らないですけどなんとも無いので大丈夫です!ご心配かけてすいません。」

 

美夏「そうなの。よかったわ!未来の千歌の旦那さんに何かあったら心配だもの♪」

美夏さんは爆弾発言をかました。

 

千歌「お母さん!!///何いってるの!?///」

 

祐一「///」

俺は言葉が何も出てこなかった。

 

美夏「まぁ、それは置いといて…。さぁ、あがって!荷物置いたら出かけるんでしょ?」

 

千歌「もう///なんなの…。」

 

美夏さんに弄ばれた俺たちはうなだれながらも部屋に荷物を置き出かける準備を進めた。

 

怜「さてと…。準備はできたわけだけどどこに向かうんだ?」

 

千歌「沼津駅だよ!!そこにみんな来てるから!」

 

怜「オッケー!じゃあ、行こうか!」

 

俺たちは再びバスに乗り沼津駅へと向かった。

 

揺られること数十分、沼津駅に到着した。

 

千歌「あっ!!みんなー!!久しぶりー!!」

千歌ちゃんたちがバスから降りて駆け出した。

 

千歌ちゃんたちがワイワイしているのを少し離れて見守る俺たち。

 

怜「いやー、青春ですな…♪」

 

祐一「そうだな…♪」

俺たちはほのぼのしてそれを見つめていた。

 

??「あっ、あの二人が千歌の言ってた男の子たち?」

 

千歌「そうだよ!果南ちゃん!おーい、二人ともみんなに紹介するから来てー!!」

千歌ちゃんに手招きをされて俺たちはAqoursの皆さんと対面した。

 

千歌「みんなに紹介するね!沖田祐一くんと相田怜くんです!」

 

祐一「沖田祐一です!今回はせっかくのお休みなのにお邪魔してすみません。よろしくお願いします!気軽に祐一って呼んでください!」

 

怜「自分は相田怜です!実はAqoursの大ファンで梨子ちゃん推しです!!よろしくお願いします!!俺も怜って呼んでください!」

 

梨子「ちょっ…怜くん!?///何言ってんの!?///」

 

怜「いや、本当の事言っただけだけど?」

 

曜「まぁまぁ…。こっちも自己紹介しちゃお!!」

曜ちゃんの計らいでAqoursメンバーの自己紹介が始まった。

 

果南「じゃあ私から。私は松浦果南!!今は大学二年生で千歌と曜の幼馴染だよ。実家がダイビングショップやってるからよかったら潜りに来てね!よろしく、祐一、怜!!」

 

最初に挨拶してくれたのは松浦果南さん。凄い大人びていて頼れるお姉さんみたいな印象を感じた。夏という事もあり薄着をしているので、そのグラマラスなボディが盛大にあらわになっている。

 

祐一「よろしくお願いします!!ダイビング…いいですね!!今度やってみたいです!!」

 

怜「よろしくです、果南さん!!」

 

果南「うん、よろしく!!早速だけど…。ハグぅ〜♪」

 

なんと果南さんはいきなり俺たちにハグしてきた。

 

祐一「わぁ!?///」怜「うぉっ!?///」

 

果南「二人とも筋肉質だから安心するなぁ♪うん!!いい抱き心地!!」

 

俺たちとしてはとても嬉しい///てか、めっちゃいい匂いする///

 

少しして果南さんは離れてくれたが、それと同時に背中に悪寒がしたのは多分気のせいだろう…。いや、気のせいだと思いたい…。

 

鞠莉「じゃあ、次はマリーね♪シャイニー!♪小原鞠莉よ、マリーって呼んでね♪祐一♡怜♡」

 

この人が小原鞠莉さん。凄い綺麗な金髪で素直に見惚れてしまう。それに果南さんに引けを取らないプロポーション///目のやり場に困る。でも、すごいフレンドリーな人っぽいのですぐに打ち解けられそうだ。

 

祐一「よろしくです、マリーさん!!」

 

怜「よろしくです!マリーさん凄い美人さんですね!!」

 

鞠莉「あらぁ。怜は嬉しい事言ってくれるわね♪マリー堕ちちゃいそう♪」

 

マリーさんに言われて満更でも無い怜だったが、

梨子「ちょっ、鞠莉ちゃん!!怜くんを困らせないで!?」

すぐに梨子ちゃんが割って入った。

 

鞠莉「oh、梨子は嫉妬ファイヤーしてるのかしら♪」

 

梨子「なっ///ち、違うもん!!///」

 

何やら始まってしまったが…。自己紹介を続ける。

 

ダイヤ「次は私ですわね。祐一さんはお久しぶりですね。怜さんは初めまして。私は黒澤ダイヤと申します。よろしくお願いしますわ。」

 

やっぱりダイヤさんは綺麗だなぁ。立ち居振る舞いが美しい。これは誰にも言えないが、俺はダイヤさんの口元のホクロがマジで最高だと思ってる。やっぱり美人は見てて心が洗われるわぁ…。

 

祐一「ダイヤさんお久しぶりです!やっぱりダイヤさんは今日も美人さんですね!!見惚れちゃいます!」

 

怜「初めまして!!自分もそう思います!」

 

ダイヤ「ふふっ♪ありがとうございます。とても光栄ですわ♪」

この上品に笑う感じも大和撫子のようだ。

 

千歌「祐一くん♪後でお・は・な・し。しようね♪」

 

あっ

 

死んだわ。

 

それでも自己紹介は続いて行く。

 

花丸「オラは国木田花丸です。あっ…またオラって言っちゃったズラ…。あっ!今度はズラって…。」

 

怜「よろしくね、花丸ちゃん!!」

 

この子が国木田花丸ちゃんか。思ったよりも背が小さいんだなぁ。それに方言なのかな?俺的にはその方言も可愛いと思うし別に変でもないと思う。むしろ素晴らしい。なんだか小動物を見てるみたいで癒されますなぁ。

 

祐一「こんにちは、国木田さん。それは方言かな?無理に直す必要は無いと思うよ!話しやすいように話してね!」

俺は国木田さんの頭を撫でながらそう伝えた。

 

花丸「はっ、はいズラっ///」

 

すると怜が俺に向かって

 

怜「お前…その癖直せよ…。」

と呆れた表情で言ってきた。

 

祐一「えっ…。あっ!?ご、ごめんね///嫌だったよね?」

俺は自分の言動を振り返りめっちゃ慌てた。

 

花丸「い、嫌じゃないズラ!!マル、ちょっと驚いただけズラ///でも、気持ちいいから…もうちょっとだけ…///」

 

祐一「そ、そっか…よかった…。」

俺はホッと胸を撫で下ろして続けようとした。

 

しかし、

 

千歌「はい、ストーップ!ゆ・う・い・ちくん♪」

千歌ちゃんに止められてその続きは行われなかった。

 

千歌ちゃんの恐ろしいまでの清々しい笑顔に俺は恐怖して国木田さんの頭から手を降ろした。

 

祐一「オッケー…。自分の過ちは理解した…。辞めるから許して下さい…。」

 

俺は千歌ちゃんに誠心誠意謝った。すると千歌ちゃんは小声で

 

千歌「千歌も頭撫でて欲しいもん…///」

そう呟いた。

 

しっかりと聞こえた俺は千歌ちゃんの耳元で呟いた。

 

祐一「みんながいないところでね///」

俺の囁きで千歌ちゃんはゆでだこの様に顔を真っ赤に染め上げた。

 

祐一「という事で改めてよろしくね、国木田さん!」

俺は恥ずかしい気持ちを抑えつつ改めて国木田さんに挨拶した。

 

花丸「よろしくズラ!沖田さん!あの…よかったらマルのこと…マルって呼んで欲しいズラ///」

 

祐一「いいの?」

 

花丸「ズラ!!」

 

祐一「わかったよ。よろしくね、マルちゃん!俺のことも好きな呼び方でいいからね?」

 

花丸「わかったズラ!!ゆう兄ちゃん♪」

 

千歌・怜「「ぶっっ!!」」

 

おふぅぅ…。お兄ちゃんと来たかぁ…。ヤバイ、なんだか犯罪の匂いがプンプンする。

 

祐一「ええっと…。マルちゃん?お兄ちゃんはちょっと…。」

流石に不味いと思った俺は呼び方を変えてもらおうとするが、

 

花丸「ダメ…ズラ…?」

 

あっ、これ断れないやつだ。

 

祐一「そーんなことないよ!!お兄さん超嬉しい!!」

 

花丸「よかったズラ!!ゆう兄ちゃん、怜さん、改めてよろしくズラ!!」

 

満点笑顔のマルちゃんはとても可愛かったです…はい。

 

怜「いや、俺普通に名前じゃん!!!なんで!?」

 

怜の無慈悲な叫びがこだまするが、次の自己紹介が始まった。

 

善子「クックック…。次はこの堕天使ヨハネね!!」

 

怜「あっ、善い子のよっちゃんだ。」

 

善子「よっちゃん、言うな!!私はヨ・ハ・ネ!!!」

 

怜「祐一、この子は津島善子ちゃん。見ての通り厨二病だ。ただの神話オタクかもと思うかもしれないけど堕天使への愛はとても深い。様々な知識をつけてるから非常に頭もいい。動画配信もやってるし幅広く活躍してる。その点美人で、人前では礼儀正しい。だから一部のファンの中では善い子のよっちゃんと呼ばれてる。以上。」

 

祐一「いや…なんでお前が紹介してるんだよ…。」

 

善子「そうよ!!てか、どんだけ詳しいのよ!!」

 

怜「当たり前だろ?俺よっちゃんのファンでもあるもん。」

 

いや、そんな当然の様に首を傾げられても…。

 

善子「ふ、ファンだからって///」

善子ちゃんはそっぽを向いてしまった。

 

花丸「デレたズラ♪」

マルちゃん曰くこれはデレているらしい。

 

善子「デレてない!!///」

 

怜「まぁ、それは置いといて…。」

 

善子「置いとかないでよ!!」

 

なに、このコント…。

 

怜「改めてよろしく!ヨハネ様♪」

 

善子「だから、善子!!ってアレ?あってる…。」

 

怜「ハハハッ!!よっちゃんは面白いなぁ。」

 

善子「もうなんでもいいわ…。まぁ、怜も祐一もよろしく。」

 

祐一「こちらこそよろしく!!ヨハネちゃん!!」

 

善子「だから、善子!!!」

 

祐一「えっ!?嘘でしょ!?」

 

そんなやりとりをして、あと自己紹介は一人となった。

 

祐一「後は…。」

 

ダイヤ「私の妹のルビィだけですわね。」

 

怜「ええっと…。そのルビィちゃんは…。」

 

祐一「どこだ??」

 

俺たちはキョロキョロ辺りを見回す。

 

すると木の陰にツインテールが見えた。

 

祐一「あっ、あそこかな?」

 

ルビィ「うゆぅ…。」

 

ダイヤ「その様ですわね。ルビィは少々人見知りなところがありまして…。申し訳ありません。」

 

怜「そう言うことだったんですね。それなら無理に行かない方がいいのか…?」

 

祐一「そうだな…。怖い思いさせるわけにもいかないしな。」

 

するとマルちゃんがルビィちゃんの元へ近づいた。

 

花丸「ルビィちゃん、ゆう兄ちゃんと怜さんは怖くないしとっても優しいよ?きっとルビィちゃんも大好きになるズラ!」

 

マルちゃん…。俺たちのことを気にして…。何て良い子なんだ!!

 

ルビィ「違うの、花丸ちゃん。ルビィ、恥ずかしくて…///」

 

花丸「じゃあ、マルと一緒に行くズラ!!」

 

ルビィ「うゆっ!!」

 

花丸ちゃんの声かけのお陰でルビィちゃんは木の陰から出てきてくれた。

 

ルビィ「はっ、初めまして!黒澤ルビィでしゅ!よろ、よろしくお願いしましゅ!」

一生懸命自己紹介してくれたルビィちゃん。なんだか我が子を見守る様な暖かい目で見守っていた気がする。少し噛んでしまったのも微笑ましく思える。

 

怜「うん!よろしくね、ルビィちゃん!」

 

ルビィ「はい!怜しゃん!!」

 

あっ、また噛んだ。

 

怜「くっ…。可愛すぎる…。」

なんだか怜が胸を押さえて苦しんでいる。男としてその気持ちは非常によく分かる。

 

祐一「よろしくね、ルビィちゃん!」

俺はルビィちゃんが緊張しない様に普通に接した。

 

ルビィ「よろしくお願いします!!祐一さんの事はお姉ちゃんから聞いてたのでよく知ってます!」

 

祐一「えっ、ダイヤさんから?」

俺はダイヤさんの方を向く。

 

ダイヤ「る、ルビィ!?その様な事は言わなくてもいいんです!!///」

 

鞠莉「あら〜♪ダイヤ、顔が真っ赤よ〜♪もしかして、祐一の事気になってたりしてるんじゃないの?♪」

 

祐一「はい?///」

 

ダイヤさんが俺のことを…?

 

ないない。それはあり得ないわ、俺なんかじゃダイヤさんの様な美人さんには釣り合わないよ。

 

ルビィ「いつも祐一さんの話をしてるお姉ちゃんすごい楽しそうなんですよ♪」

 

ダイヤ「べっ、別にそんな事ありませんわ///」

ダイヤさんは口元のホクロを掻きながら言ってくる。

 

果南「ヘェ〜、ダイヤは祐一の事がお気に入りなんだ〜♪」

 

鞠莉「素直じゃないね〜、ダイヤは♪」

 

祐一「えっと、どういうことですか?」

俺は二人が何故そう言えるのか疑問に思い聞いてみた。

 

果南「ダイヤはね、ごまかす時ホクロのところを触るんだよ!」

 

祐一「それって…つまり…。」

 

鞠莉「そうデース!だ・か・ら♪ダイヤは祐一の事すごい気に入ってるわよ♪」

マリーさんはそう言って俺にウインクをしてきた。

 

ダイヤ「鞠莉さん、果南さん余計な事は言わないで下さい!!」

ダイヤさんは少し頬を赤く染めながらマリーさんに怒っている。

 

祐一「でも、ダイヤさんにそう思ってもらえて俺嬉しいです!ありがとうございます!!」

俺は満面の笑みでダイヤさんに言った。

 

ダイヤ「っ///」

果南「祐一って笑ったらさ♪」

鞠莉「ベリーキューート!!」

 

祐一「わっ!?///」

 

そう言ってマリーさんと果南さんが抱きついてきた。

 

何でこの人たちはこんなにハグしてくるんだ!抵抗ってモノは無いのか…。

 

ヤバイ、めっちゃいい匂い。それに二人ともナイスボディーだから腕に柔らかいモノが…///

 

千歌「もお〜!!!鞠莉ちゃんも果南ちゃんも離れて!!!!」

 

鞠莉「千歌っち、こんなに可愛いのに離れるなんてあり得ないわ!!」

 

果南「そうだよ、千歌!!それに抱き心地も最高だし♪」

 

嬉しいけど、恥ずかしい…///

 

千歌「そう言う問題じゃないの!!!」

 

千歌「祐一くんは千歌の彼氏なんだから!!!」

 

まりかな「「えっ…。」」

 

この時、一瞬時が止まった気がする。

 

鞠・かな・ルビ・花・善「「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇーーーー!!!!」」」」」

 

祐一「あ、アハハ…。」

俺は頭を掻きながらただ笑うことしかできない。

 

ダイヤ「だから…余計な事は言わなくていいと言いましたのに…。」

 

果南「ほ、ほんとなの、千歌?」

 

千歌「ホントだよ!!」

 

鞠莉「ワーオ!!♪」

 

ルビィ「ハワワ///」

 

善子「まっ、まぁ、ヨハネはそうだろうと思ってたけどね…。リア充爆発しろ。」

 

花丸「ホントズラ!?千歌ちゃん、ゆう兄ちゃん!!」

 

それぞれ色々な反応をしてるけど、善子ちゃん…何か恨みでもあるのか?

 

祐一「えっと…。まぁ…そういうことです///」

 

千歌「だ・か・らみんな祐一くんには手を出さないでね!」

 

いや、そんな言い方しなくても俺に興味なんて持たないでしょ。

 

花丸「ゆう兄ちゃんは千歌ちゃんの彼氏さんだったズラか…。」

 

祐一「あれ?マルちゃん、どうしたの?」

 

花丸「なんでも無いズラ…。でも、それならゆう兄ちゃんて呼ばない方がいいズラ…?」

なんとも悲しそうな表情をするマルちゃん。

 

祐一「大丈夫だよ。好きに呼んでいいよって言ったのは俺なんだからね。」

俺はマルちゃんの頭を撫でながら、俺は伝えた。

 

花丸「ズラ〜♪」

気持ち良さそうにしてるマルちゃん。

 

すると、千歌ちゃんがみんなを集めてヒソヒソ話してる。

 

千歌「ああやって色んな女の子を落としてるんだよ…。」

 

祐一「待って。その言い方すごい語弊があるんだけど…。」

 

善子「千歌も大変ね。あんなタラシが彼氏で。」

 

祐一「善子ちゃん、さっきから辛辣過ぎない?」

 

俺、涙が出ちゃう。

 

千歌「でも、もう慣れたけど…。やっぱり心配だよね…。」

 

ダイヤ「それは大丈夫だと思いますよ。」

 

千歌「どういうこと?」

 

ダイヤ「祐一さんはよく私に相談してくるんですけど、千歌さんのことを大切にしていることがとても伝わってきますわ。」

 

祐一「ちょっ///ダイヤさん、恥ずかしいからやめてくださいよ///」

 

ダイヤ「ふふっ、いいじゃありませんか♪とても誇らしいことだと思いますよ?」

ダイヤさんにそう言ってもらえると嬉しいんだけど、やっぱり少し恥ずかしい気もする。

 

果南「よかったじゃん、千歌♪祐一は千歌のこと大切に思ってるってよ♪」

 

千歌「///」

 

鞠莉「千歌っち、かわいい♪」

 

祐一「そりゃあ、千歌ちゃんは可愛いですよ!!!」

 

千歌「ちょっ///祐一くんやめてよ…///」

 

恥じらう千歌ちゃん、やっぱり可愛い!!

 

怜「アイツ本当に千歌ちゃん大好きだよね…。」

 

梨子「まぁ、今に始まったことじゃからね…。」

 

曜「お互いに…。ねっ。」

 

後ろで何やら俺のことを言っているようだけど、別に気にならなかった。

 

花丸「千歌ちゃんとゆう兄ちゃん…未来ズラー!!」

 

善子「どういうことよ…。」

 

ルビィ「うゆっ!!」

 

善子「アンタもよっ!!」

 

初めて会ったAqoursのメンバー。みんな本当に賑やかで面白い人たちばかりだ。これから過ごす数日間はとても充実して、忘れることができない日々になるだろう。楽しみでしょうがない。この滞在期間の中でAqoursについてもっと知れたら嬉しいし、もっと知りたいと思う。

 

 

 

これが俺とAqoursメンバーの初めての対面となった。

 

 

 





ご愛読ありがとうございます!!

甲子園も終わり、徐々に八月も終わりに近づいてきていますが、熱中症、脱水症状などにはお気をつけください。

それではまた次回!!


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Day24 海で遊ぼう!


どうも甘党ゴンザレスです!!

期間が空いてしまいましたが、よろしければご覧ください!!

それでは本編どうぞ!!


あの後自己紹介を終えた俺たちは大人数でその場に留まるのは迷惑をかけると思い一旦みんなで喫茶店へと移動した。

 

祐一「それで…これからどこ行きますか?」

 

鞠莉「祐一はどこか行きたい場所は無いの??」

 

祐一「そうですね…。折角海沿いに来たからこっちにいる間に一回は海で泳ぎたいですね!」

 

そう、なんと言っても関東の海と比べて駿河湾は非常に綺麗だ。関東にも綺麗なところはあるけどやはり俺はこの風景が好きだ。空気は澄んでいるし、街の人も温かい。それも含めて俺はこの場所が好きだ。

 

怜「俺は街を見てみたいな!この前来た時は急ぎ足だったからゆっくり見れなかったし。」

 

果南「それなら二手になろうよ。海に行きたい人と街に行きたい人。それで祐一と怜に案内すればいいんじゃないかな?」

 

確かにな。わざわざ大人数で行動しなくてもその方が回りやすいしいいかもしれない。

 

祐一「そうですね!お願いできますか?」

 

果南「オッケー!反対の人はいる?」

 

全員「「「「「「「「「「異議なーし!!!」」」」」」」」」」

 

満場一致で決まったわけで早速行こう。

 

――――――――――――――――――

 

祐一「うぉぉぉぉ!!!やっぱり海が綺麗だーーーー!!!」

 

果南「もう、祐一ははしゃぎ過ぎだよ♪まぁその気持ちもわかるけどね♪」

 

鞠莉「レッツ、エンジョーイ!!!」

 

ダイヤ「あまり羽目を外し過ぎないようにしてください。」

 

曜「海だー!!ヨーソロー!!!」

 

千歌「よーし!!泳ぐぞー!!」

 

海に来たメンバーは、俺、千歌ちゃん、曜ちゃん、果南さん、マリーさん、ダイヤさんの五人。つまりは年長者組プラスようちかだ。

 

他のメンバーは怜と一緒に街の方へ向かった。

 

俺たちはそれぞれ水着に着替えて浜辺で騒いでいる。もちろん俺たち以外の人たちもいるわけで、俺たちは注目を浴びた。

 

祐一「やべっ。騒ぎ過ぎた。」

 

果南「しょうがないよ!今日はいい天気だし、それよりも祐一泳ごうよ♪」

 

祐一「そうですね!泳ぎましょう!」

俺は果南さんたちと海に入りに行く。

 

祐一「きっもちいいぃぃぃぃ!!!」

 

真夏の太陽が照りつける中海に入るのは最高だった。

 

 

すると、

 

 

鞠莉「ゆ・う・い・ち♪」

祐一「わわっ///マリーさん??///」

 

マリーさんが後ろから抱きついてきた。

 

水着ということもあり肌が直接…///やめて〜!!!

 

果南「もう、鞠莉ばっかずるい!!」

 

鞠莉「ふふん♪悔しかったら果南もすればいいじゃない?」

 

祐一「マ、マリーさん!?何言って…。」

 

果南「私もするもん!!ハグゥ♪」

 

どわぁーーー!!!果南さん当たってます、当たってますから!!!

 

背中にはマリーさん前からは果南さん。もはや四面楚歌…。助けて、千歌ちゃん、曜ちゃん…。

 

千歌「あぁぁあっ!!!二人とも何してんの!?」

 

ナイス、千歌ちゃん!ビシッと二人に言ってやってくれ!

 

千歌「祐一くんに抱きつくのは千歌の特権だよ!!」

そういうと千歌ちゃんは俺の右腕に抱きついてきた。

 

なんでーーーーーー!?俺を殺す気!?社会的に…。

 

頼れるのは曜ちゃんだけか…。大丈夫、曜ちゃんは出来る子。きっと俺の考えを読み取ってくれるはず!!

 

チラッと俺は曜ちゃんの方を見て助けを求める。

 

俺の目を見た曜ちゃんが笑顔を見せた。

 

曜ちゃん…。やっぱり、君って子は…。

 

曜「ヨーソロー!!!」

そう叫んで俺に向かって突っ込んできた。

 

祐一「どうしてだよぉぉぉ!!!!」

 

曜「助けて欲しそうな目で見てきたけどこうした方が面白そうだなぁって思って♪」

 

この子は…。

 

俺だってやられっぱなしというのは癪だ。こうなったら全員相手に立ち回ってやる。

 

深呼吸をして心を落ち着かせる。

 

 

よし!

 

 

祐一「千歌ちゃん、離れてくれないと折角の可愛い千歌ちゃんがよく見えないよ?俺は千歌ちゃんの可愛い水着姿見たいのになぁ…。」

 

千歌「ほ、ホントっ!!///」

 

祐一「ほんとだよ!!」

そして俺は千歌ちゃんの耳元で、

 

祐一「だから…。俺にもっと可愛い姿。見せてね?」

そう呟いた。

 

千歌「///」

 

 

いいぞ。次だ。

 

祐一「曜ちゃん…。俺のアイコンタクト届いてたんだよね?」

俺は曜ちゃんの顎をクイっとする。まぁ顎クイってやつだね。

 

曜「えっ///ちょっ、祐一くん?///」

曜ちゃんが慌てふためいている。その姿はとても可愛く、俺の中の変な感情が高ぶる。

 

祐一「悲しかったなぁ…。曜ちゃんなら助けてくれると思ってたのに…。」

 

曜「いや…。それは…///」

 

祐一「でも…。曜ちゃんとっても可愛いから許しちゃう…。」

俺は曜ちゃんの耳元で囁いた。

 

曜「ヨーソロー…///」

曜ちゃんは顔を真っ赤にしてその場にしゃがみ込んだ。

 

なんでヨーソロー?

 

まぁ、いっか。あと二人…。

 

祐一「果南さんって可愛いですよね。」

 

果南「か、かわ…///」

 

祐一「こんなに可愛いのに異性に簡単にハグしてたら…。」

 

俺は果南さんの顔の前に自分の顔を極限まで近づけて

祐一「惚れちゃいますよ。」

そう果南さんに呟いた。

 

果南「ハグゥ…///」

果南さんはヘナヘナと力無くその場に座り込んだ。

 

よし、あと一人…。

 

だけど、この人は強敵そうだ…。

 

鞠莉「祐一、マリーはそれくらいじゃやめないわよ〜♪」

 

祐一「そうですか…。なら!!」

俺はマリーさんの腕を掴んで自分の心臓の辺りに持っていく。

 

鞠莉「わーお!!筋肉質ね祐一の胸は♪」

 

祐一「ありがとうございます。それと、俺の心臓の鼓動わかります?」

 

鞠莉「ええ♪すごいドキドキしてるわね♪」

 

祐一「鞠莉のせいだからね?」

 

鞠莉「えっ///今呼び捨てで…///」

あえてここは呼び捨てにさせてもらいます。後で土下座でもなんでもするんで許してくださいね。

 

それに後一押しだ。

 

 

 

祐一「鞠莉…。責任…取ってよ。」

俺は自分が出せる最大限のいい声を作ってマリーさんに言った。

 

鞠莉「///どう…やって…?///」

 

祐一「もうわかってるんじゃ…ないの?」

最後に俺はマリーさんの耳元で囁いた。

 

 

鞠莉「シャ、シャイニー…///」

 

 

ラスボス撃破。

 

 

祐一「よし…!俺の勝ちだ!!」

 

ダイヤ「いや、何と勝負していたんですか…。」

ダイヤさんはため息をついていた。

 

そしてこの後、俺が倒してきた猛者たちに復讐されて辱められたのは言うまでもない。

でもその中でマリーさんだけは俺の方を見つめて顔を赤く染めていた。

 

やべぇ…。やりすぎた…。

 

―――――――――――――――――――――

 

俺は一人砂浜に座り、千歌ちゃんと曜ちゃんと果南さん、マリーさんが海で遊んでいるのを眺めている。

 

祐一「はぁ…。散々な目にあった…。」

 

俺がため息をついていると背中に冷たい感覚がした。

 

祐一「うわっと!?なんだ!?」

 

ダイヤ「ふふっ♪祐一さん、冷たい飲み物どうぞ♪」

 

そこには俺にイタズラを仕掛けて楽しんでいるダイヤさんが立っていた。

 

祐一「冷たい飲み物どうもです!」

 

ダイヤ「はい、どうぞ!お隣よろしいですか?」

 

祐一「はい!もちろんです。」

 

そしてダイヤさんは俺の隣に腰掛けてきた。肩が触れそうになり俺の心臓の鼓動が早くなる。

 

ダイヤ「どうしました?お顔が赤いですよ?まさか、熱中症ですか!?」

 

祐一「い、いえ、違いますよ!」

 

ダイヤ「無理はいけませんわ!少し横になりましょう!!でも、ここで横になると汚れてしまいますし…。そうですわ!」

 

何かを閃いたダイヤさん。すると突然ダイヤさんが俺の頭を自分の膝の上に乗せた。俗に言う膝枕だ。

 

祐一「ちょ、ダイヤさん!?///」

突然の事に驚きを隠せない俺は狼狽えた。

 

ダイヤ「申し訳ありません。砂浜の上だと汚れてしまいますので、それならせめて私の膝ならと思ったのですが…。私では嫌でしたか…?」

 

祐一「嫌じゃないですよ!!いきなりだったので少し驚いただけです!それに俺熱中症じゃないですからね!?」

 

ダイヤ「そ・れ・で・も。少し休憩した方がよろしいですよ?先程のやり取りで体力を消耗しているのですから。」

ダイヤさんに言われ俺は振り返る。

 

確かになぁ…。いきなり美少女たちに抱きつかれて仕返しをしたらやり返される。嬉しい事なんだけど正直疲れた…。

 

祐一「わかりました。じゃあ少しだけお願いします。」

 

ダイヤ「はい、ごゆっくりどうぞ♪」

 

俺はダイヤさんのご厚意に甘えて膝枕をしてもらう事にした。

 

ダイヤ「寝心地は悪くありませんか?」

 

祐一「むしろ最高ですよ…。」

 

ダイヤ「ふふっ♪それはよかったですわ♪」

 

正直言ってご褒美すぎる。ダイヤさんも水着だから肌の露出が多いため俺の頭はダイヤさんの太ももにダイレクトに当たっている。スベスベしていて高級枕なんて比にならないくらい最高だ。

 

祐一「ルビィちゃんが羨ましいなぁ…。」

 

ダイヤ「ルビィが?どうしてですか?」

 

祐一「こんなに優しくて美人なお姉さんがいるんですよ?羨ましい限りです!」

 

だって、そうだよね?男としては憧れちゃうよな。

 

ダイヤ「そ、そんな褒めても何も出ませんわよっ///祐一さんは一人っ子なのですか?」

 

祐一「そうなんですよ…。だからいつも寂しかったんです…。」

 

ダイヤ「それなら、今日は私のことを姉だと思ってください!」

 

祐一「それは恥ずかしいですよ…///」

 

ダイヤ「あら、恥ずかしがることはありませんわよ。試しに私の事をお姉ちゃん呼んでみてはいかがですか?♪」

 

なんか羞恥プレイをさせられてる気がする…。

 

祐一「じゃ、じゃあ…。ダイヤ…姉ちゃん///」

 

恥ずかしいーーーー!!///何やってんだ俺は…。

 

ダイヤ「…。」

 

ホラ…。ダイヤさんも引いてんじゃん!終わったわ…。

 

そう思った俺だったが、

 

ダイヤ「祐一さんもう一度お願いします。」

 

祐一「はい?」

 

ダイヤ「いいからお願いします!!」

何故だかダイヤさんに催促された。

 

祐一「わ、わかりました…。ダイヤ姉ちゃん…。」

 

ダイヤ「…。」

そのまま固まってしまうダイヤさん。

 

祐一「あのダイヤさん…恥ずかしいんで何か言ってくれるとありがたいんですけど…。」

 

ダイヤ「祐一さん、私の弟になってください。」

 

祐一「えっ…///」

 

鞠莉「なーにやってんの??」

 

俺らがそんなやりとりをしてるとみんな海から帰ってきて集まってきた。

 

祐一「いや、ダイヤさんが…。」

 

ダイヤ「祐一さんは渡しませんわよ!!」

 

なんかダイヤさんがいきなり俺のことを抱きしめてきた。

 

千歌「ダメ!!祐一くんはチカのだもん!!」

 

祐一「ち、千歌ちゃん!?///」

 

千歌ちゃんも俺に抱きついてきた。何この幸せな状況は。俺今日死んでも悔いないわ。

 

ダイヤ「千歌さんだからと言ってこれは譲れません!!」

 

千歌「チカだって絶対譲らないもん!!」

 

祐一「お、落ち着いて二人とも。」

 

千歌「祐一くんは黙ってて!」ダイヤ「祐一さんは黙ってて下さい!」

 

祐一「はい…。」

 

なんでや。

 

果南「なんでダイヤそんなに興奮してるの?」

 

ダイヤ「祐一さんが一人っ子と聞いて試しに私の事をお姉ちゃんと呼んでみては?と言って呼んでもらったのですけど、それがもう…。最高でしたわ!!」

 

祐一「ちょ、ダイヤさん///」

 

鞠莉「ふーん、そういう事だったんだ♪ねぇ、祐一。マリーのこともお姉ちゃんって呼んでいいのよ♪」

 

千歌「ダメだよ!!祐一くんのお姉ちゃんには私がなるんだから!!」

 

何言ってるの、千歌ちゃん?

 

果南「確かにちょっと興味あるね♪あのダイヤがこんなになってるんだから♪」

 

曜「じゃあみんなに一回ずつお姉ちゃんていうのはどうかな?」

 

敬礼しながら笑顔で言ってくる曜ちゃん。

 

祐一「ナンデソウナルノ?」

 

 

曜「だって……。面白そうじゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

祐一「このヨーソロー娘がーーーーーーー!!!!!!」

 

そんな羞恥プレイしたら俺お嫁に行けない…。

 

 

 

あっ、婿だった。

 

 

 

千歌「それならまぁ…。」

 

それならまぁって…。俺の唯一の味方が敵に回った。

 

鞠莉「じゃあ、レッツゴー!!!」

 

果南「じゃあ、私からね♪」

 

千歌「ずる〜い!そこはチカからでしょ!?」

 

祐一「えっ、やる流れになってない?」

 

チカ・カナ・マリ・ダイ・ヨウ「「「「「当然!!!!!」」」」」

 

祐一「おおぅ…。」

 

五人の圧に圧倒されてしまった。

 

拝啓 母さん、父さん。

息子は今から社会的に死んできます。今までありがとうございました。

敬具

 

果南「さぁ行こうか!!」

目をキラキラさせながら果南さんが催促してきた。

 

祐一「ハァ…。一回だけですからね!!」

 

果南「わかってるって、早く♪」

 

俺は一呼吸置いて言い放った。

 

祐一「かな姉ちゃん!」

 

静まり返る場の雰囲気、一瞬の静寂が訪れ俺は冷や汗を垂らす。

 

その静寂を打ち破ったのが果南さんだった。

 

果南「祐一…。私と暮らさない?」

 

祐一「はい?」

 

なんか色々スッ飛ばしてない?

 

千歌「今のは…。」

 

曜「ヤバイね…。」

 

鞠莉「ワーオ、ベリープリティー♪」

 

ダイヤ「やっぱり私が!!!」

 

ヤバイこれ長くなりそう。早く終わらせよう。

 

祐一「俺突っ込まないですよ!恥ずかしいんでドンドン行きますよ!!」

 

次はマリーさん。

 

祐一「まりねぇお腹減ったなぁ!」

 

鞠莉「ちょっと待ってて。今すぐ買ってくるわ。」

 

マリーさんは全力で売店の方へ走っていった。

 

次はダイヤさん。

 

祐一「ダイヤ姉ちゃんはいつも美人で綺麗だね。」

 

ダイヤ「ブハッ…!!」

 

ダイヤさんは鼻血を出して倒れた。ヤベッ、やりすぎた。

 

よし、あとは千歌ちゃんと曜ちゃん。二人まとめてやろう。

 

祐一「ちかねぇ…ようねぇがイジメてくるよー…。」

俺はそう言って千歌ちゃんに抱きついた。

 

千歌「よーちゃん!!イジメちゃダメでしょ!!」

 

曜「えぇぇぇ!!」

 

曜「なんか、私だけ扱い酷くない?」

 

祐一「まぁしょうがないよ。ようねぇ。」

 

曜「やっぱりそうだよね!!」

 

祐一「はい、しゅーりょー!!!」

 

これで終わり、そう思っていた。

 

だが、

 

果南「祐一、もう一回、もう一回だけ…。」

 

祐一「やです。」

 

曜「そうだよ!私なんてちゃんと言われてないもん!」

 

祐一「いやいや、なに言ってんの?曜ちゃんのせいでこんなことになったんだよ!?」

 

祐一「とにかくこれで終わり!!」

 

これ以上ダメージを受けたくない。精神的なダメージが大きすぎる。

 

鞠莉「祐一!!かき氷買ってきたわよ!!」

 

祐一「ホラ、マリーさんも帰ってきたことだし一旦休憩しよ!!」

 

みんな不満そうな顔をしてるけどなんとかこの場を切り抜けられることができた。その後はみんなでかき氷を食べてもう一度海で遊んだ。

 

 

 

 

 

遊び終わって帰り支度を済ませて浜辺に座って休んでいると千歌ちゃんが俺の隣に腰掛けてきた。

 

祐一「今日は本当に楽しかったよ!!」

 

千歌「ふふっ、楽しんでくれてよかった♪」

 

祐一「果南さん、マリーさん、ダイヤさんみんな優しくて会えてよかったよ!!」

 

千歌「本当だよね…。みんな可愛くて美人だからチカなんて霞んじゃう…。」

目に見えるように千歌ちゃんが落ち込んでしまった。

 

祐一「そんなことないよ。千歌ちゃんだってみんなに負けないくらい可愛いし美人だよ!」

 

千歌「ありがとっ///」

 

祐一「本当に千歌ちゃんと出会ってから楽しいことばっかだよ。もし千歌ちゃんと会ってなかったらこんな経験できなかったからね。改めてありがとう。千歌ちゃん!」

 

千歌「千歌も祐一くんと会って本当に良かった。これからも迷惑かけるかもしれないけどよろしくね?」

 

祐一「もちろんだよ!俺の方こそよろしくね!!」

 

俺たちは向かい合って笑い合う。

 

果南「千歌、祐一、そろそろ帰る…。おっと、邪魔しちゃったかなん?♪」

 

祐一「い、いえそんなことないですよ///」

 

千歌「そうだよ、果南ちゃん!///」

 

慌てて否定する俺と千歌ちゃん。

 

果南「可愛いなぁ二人とも♪」

 

千歌「もう!!からかわないで!!」

 

果南「アハハっ!さぁ、帰ろっか!」

 

千歌「むぅ!!もう果南ちゃんなんて知らない!!行こ、祐一くん!」

 

祐一「そうだね、行こっか!」

 

千歌ちゃんが走り出す。その後ろを俺と果南さんが歩いてく。

 

祐一「あはは…。元気だなぁ、千歌ちゃん。」

 

果南「きっと祐一がいるから楽しいんだよ。」

 

祐一「そう…ですかね。」

俺は自信無く呟く。

 

果南「そうに決まってるよ!あんなに楽しそうにしてるんだもん。祐一の存在が千歌の中で大きくなってるのは今日でわかったよ。」

 

祐一「そうだと、嬉しいですね。」

 

果南「千歌は抜けてるとこが多くてたくさん迷惑かけるかもしれないけど助けてあげてね?」

 

祐一「もちろんですよ!なんだか果南さんは千歌ちゃんのお姉さんみたいですね。」

 

果南「お姉さんか…。確かに小さい時から千歌と過ごしてるけど、私は千歌から教えてもらってばっかだよ…。年は私の方が上なのに情けないよね。鞠莉と仲違いしてた時もだけど、千歌には助けられてばっかだったし…。」

果南さんは笑っているが、どこか悲しげだった。

 

祐一「そんなことないですよ。」

 

果南「えっ?」

 

祐一「俺だって千歌ちゃんに教えられてばっかです。それに年なんて関係ありません!千歌ちゃんだって果南さんからたくさん教えてもらってたはずですし、助けてもらってたと思います。果南さんがいて、Aqoursのみんながいたから千歌ちゃんは成長できたと思いますよ?だからそんな悲しい顔しないでください。」

 

果南「ありがとっ。祐一は優しいね…。千歌が祐一を好きになった理由がわかるよ。」

 

祐一「あっ、上からモノ言ってすいません…。」

 

俺は頭を下げて果南さんに謝罪した。

 

果南「気にしないで!そう言ってもらえると嬉しいよ…。これからも千歌のことよろしく頼むね!」

 

祐一「はい!」

 

千歌「二人とも何してんの!!置いてくよ!!」

 

祐一「すぐ行くよ!!」

 

祐一「行きましょうか、果南さん!!」

 

果南「うん、行こっか!!」

 

俺と果南さんは走って千歌ちゃんたちの元へ向かった。

 

今日という日に俺は感謝しかない。果南さん、マリーさん、ダイヤさん。三人と一緒に話せてとても楽しかった。

 

マリーさんはとてもフランクで好感を持てた。それに乙女チックな表情をする時があって、可愛かった。それにグラマラスなボディが…。

 

ダイヤさんはやはり優しかった。膝枕をしてもらった時は幸せでした。ダイヤさんが本当に姉ちゃんだったらなぁと考えてしまう…。

 

果南さんは鞠莉さんと一緒でとてもフランクだ。最初にあってハグされた時、正直びっくりした。けど、すごいよかったです…。

 

変な感想になってしまったけど、とにかく三人とも優しくてお姉さんみたいだったよね。これからも仲良くしていきたいもんだ。

 





ご愛読ありがとうございました!!

次回もなるべく早く更新できるように頑張ります!

それではまた次回!!


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Day25 時には休息を


お久しぶりです!甘党ゴンザレスです!

更新遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m

駄文ではありますが、お楽しみいただけたら嬉しいです。

それでは本編どうぞ!!


俺たちは今海から帰っている途中、突然千歌ちゃんが俺の肩に寄りかかってきた。

 

祐一「どうしたの千歌ちゃん?疲れちゃった?」

 

千歌「う、うん…。少しね。」

 

そう言った千歌ちゃんは直ぐに離れて笑って答えた。

 

祐一「そっか。じゃあ早く帰って休もうか!」

 

千歌「そうだね…。」

 

なんだかいつもの元気が無い千歌ちゃんに不信感を抱きながらも俺たちは足早に十千万に向かった。

 

 

 

 

早めに十千万に帰った俺たちはみんなと別れ部屋に戻ることにした。

 

千歌「じゃあ、チカ自分の部屋行ってるね。」

 

祐一「あぁ、うん、わかったよ。」

 

そう言った千歌ちゃんは力無く階段を上って行く。

 

祐一「やっぱりおかしいよなぁ…。」

 

志満「あら?祐一くん早かったね?」

 

祐一「あっ、志満さん!ただ今帰りました!」

 

志満「はい、おかえりなさい♪もっと遅くなると思ってたけど、この辺何も無いから早く帰って来たのかしら?♪」

 

可愛らしくウインクをしながら意地悪な質問を俺にしてきた。

 

祐一「そんなことないですよ!ちょっと千歌ちゃんの様子が変だったんで早めに帰って来た感じですね。」

 

志満「千歌ちゃんが?」

 

祐一「そうなんですよ。なんだか体調が悪そうっていうか何というか。」

 

志満「もしかして寄りかかって来たりした?」

 

祐一「そう言えば…俺の肩に寄りかかってきましたね。」

 

志満「あぁ〜…。多分それ風邪引いてるかもしれないわね。千歌ちゃん癖で体調悪いと寄りかかってくるのよねぇ…。ちょっと様子見てきてもらってもいいかしら、祐一くん。」

 

祐一「わかりました!」

 

俺は千歌ちゃんの部屋へと向かった。

 

―――――――――――――――――――

 

千歌ちゃんの部屋の前に来た俺は一旦立ち止まり声をかける。

 

祐一「千歌ちゃん入ってもいいかな?」

 

『どうぞ…。』

 

中から返答が返ってきたので俺は襖を開けて部屋へ入った。

 

祐一「失礼するね。」

 

千歌「どうしたの、祐一くん?」

 

目をトロンとさせた千歌ちゃんがそこにはいた。

 

こりゃ、間違いなく体調悪いな。

 

祐一「ちょっとごめんね。…。やっぱり熱いなぁ…。」

 

千歌ちゃんの額に手を当て自分の額と比較してみると明らかに熱があることがわかった。

 

千歌「もしかしてバレてた?」

 

祐一「俺に寄りかかって来た時にちょっとおかしいとは思ったけど、さっき志満さんと話してそれで確信したよ。何で言ってくれなかったの?」

 

千歌「それは…。折角祐一くんたちが遊びに来てくれてるのにチカのせいで楽しくなくなっちゃうのは、やだから…。それに迷惑もかけちゃうし…。」

 

千歌ちゃんはそう言っているが俺は元気な千歌ちゃんと楽しみたい。

 

祐一「そっか…俺たちの為にありがとね。でも俺だって千歌ちゃんの様子がいつもと違うことくらいわかるよ。彼氏なんだから迷惑くらい幾らでもかけてよ…。」

 

千歌「ごめんね…。」

 

祐一「大丈夫、今はゆっくり休みな?」

 

千歌「わかったよ。ねぇ、お願い聞いてもらってもいい?」

 

祐一「千歌ちゃんのお願いなら何でも。」

 

千歌「チカが寝るまで、手を握ってて欲しいの…。」

 

甘えた声で言ってくる千歌ちゃん。

 

祐一「仰せのままに。」

 

俺はベッドで横になっている千歌ちゃんの小さい手をしっかりと握った。

 

千歌「あったかい…。祐一くんの手、あったかくて安心するなぁ…。」

 

祐一「それなら良かったよ。ほら、ゆっくり休みな。」

 

千歌「うん…。あり…がと…。スゥ…スゥ…。」

 

そしてすぐに千歌ちゃんは安定した呼吸リズムで眠りについた。

 

祐一「眠ったかな?…。ふぅ…。俺ってやっぱ頼りないのかな…。」

 

千歌ちゃんが眠ったので手をそっと離し俺はそう呟いた。すると、

 

 

「そんなことないわよ?」

 

 

俺は声のする方を振り返る。

 

祐一「志満さん?」

 

志満「しっ。千歌ちゃんが起きちゃうわよ?♪」

 

人差し指を俺の唇に当ててきた志満さんに少し胸の鼓動が速くなった。

 

志満「千歌ちゃんの様子はどう?」

 

祐一「やっぱり、無理してたみたいですね…。俺のせいですいません。」

 

志満「そんなことないわよ。祐一くん今時間ある?良かったら私と美渡と少し話さない?」

 

祐一「俺とですか?俺で良ければ全然いいですけど…。」

 

志満「よかった!ここじゃ、千歌ちゃん起きちゃうかもしれないから居間に行きましょうか?」

 

祐一「わかりました!」

 

そして俺は志満さんと居間へ向かった。

 

扉を開けて居間に入ると美渡さんが薄着で横になっていた。

 

美渡「おっ、祐一くんもうこっち来てたんだ!いらっしゃい!!」

 

横になっていた美渡さんは起き上がり俺に挨拶してくれた。相変わらず美渡さんは気さくな人だと改めて感じた。

 

志満「コラ、美渡!!祐一くんいるんだからそんな格好してないでしっかりしなさい!」

 

祐一「大丈夫ですよ、志満さん!美渡さんお久しぶりです。またお世話になりに来ました!」

 

美渡「おう!楽しんでけよ!ところで志満ねぇ、千歌は?」

 

志満「千歌ちゃんは風邪引いたみたいで部屋で寝てるわ。祐一くんが寝かしつけてくれたのよ。」

 

美渡「バカ千歌が…。迷惑かけやがって…。ごめんな、妹が迷惑かけちゃって…。」

 

祐一「いえ、とんでもありません!大切な彼女ですから…。」

 

志満「アラッ!♪」美渡「えぇっ!?」

 

この時の俺はこの後大変な目に遭うのを知る由もなかった。

 

祐一「アレ?もう皆さん知ってるものだと思ったんですけど…。違いました?」

 

志満「知らなかったわよ!なんだか私嬉しいわ♪」

 

美渡「クッソォ…。千歌に先越されたぁ…。」

 

この姉妹性格が真逆過ぎやしませんか?

 

祐一「アハハ…。」

正直苦笑いしか出てこない。

 

美渡「でもまぁ、祐一くんなら心配は無さそうだな。ハァ…アタシにもカッコいい彼氏できないかなぁ…?」

 

祐一「えっ。美渡さんって彼氏さんいないんですか?」

 

美渡「いたらこんなに落ちこまないよ…。」

 

祐一「以外です。美渡さん可愛いし美人だからてっきりいるもんだと…。」

 

美渡「かっ、かわ///」

 

美渡さんは顔を真っ赤にしながら慌てる姿はやはり千歌ちゃんを彷彿とさせてやはり姉妹だとしみじみ感じた。

 

 

やっぱり家族が多いっていいなぁ

 

 

志満「祐一くん、私は?♪」

 

祐一「えっ、志満さんも彼氏さんいないんですか?」

 

志満「そうなのよ。お義姉ちゃん悲しい…。」

 

祐一「待って下さい。なんか字が違う気がするんですけど?」

 

志満「男の子が小さい事気にしちゃダメよ?♪」

 

お茶目に笑いかけてくる志満さん。小さい事なのか?そう疑問に思う俺だった。

 

志満「それで、それで?私はどう、可愛い?綺麗?」

 

祐一「ええっと…可愛いですし、綺麗ですよ。」

 

志満「わぁ!♪嬉しい、もう祐一くんが私の彼氏になってよ♪」

 

祐一「い、いやいや何言ってるんですか!?///俺には千歌ちゃんがいますし、志満さん綺麗だから男は放っておかないですよ!!」

 

志満「もう、祐一くん嬉しい事言ってくれるわね♪千歌ちゃん羨ましいわ、こんなに優しくてカッコいい彼氏がいるんですもの♪」

 

祐一「からかわないで下さいよ///」

 

美渡「いやー、本当に羨ましいよ…。今からでも遅くない!私はどうかな!?」

 

祐一「何言ってるんですか///」

 

自暴自棄になっている美渡さん、それに面白がってからかってくる志満さん。

 

二人のイメージが崩れ落ちていく。

 

それから小一時間くらい志満さんと美渡さんと楽しく談笑をしてとても楽しかった。やっぱり美人さんと会話してると楽しくなっちゃうよね?

 

志満「随分話しちゃったわね。祐一くん悪いんだけど千歌ちゃんの様子見てきてくれる?」

 

祐一「わかりました!」

 

美渡「風邪引いてるからって変なことするんじゃないぞ?♪」

 

祐一「しませんよ!!///」

 

美渡「まぁ、祐一くんなら千歌は嬉しいんじゃない?♪」

 

ニヤニヤしながら美渡さんは俺をからかってくる。

 

祐一「からかわないで下さいよ!///じゃあ、ちょっと行ってきますね!」

 

俺は千歌ちゃんの部屋へ向かった。

 

 

祐一「千歌ちゃん入るね〜。」

 

俺は小声で許可を取りながら襖を開けた。

 

千歌ちゃんの部屋に入るとまだ千歌ちゃんは寝ていた。

 

祐一「よかった。ぐっすり寝てるな。」

 

寝ていることを確認した俺は千歌ちゃんの部屋を見渡す。あまり女の子の部屋で、ましてや彼女の部屋でやるなんて我ながら最低だとは思うが、溢れ出る好奇心には勝てなかった。

 

俺は千歌ちゃんが使ってるであろう机の前で足を止める。そこには写真が飾ってあった。

 

これはラブライブの後かな?みんな嬉しそうに笑いながら泣いてる…。きっと最高の思い出だったんだろうなぁ…。

表情から読み取れるほど彼女たちの表情は晴れやかで輝いていた。

 

他にも小さい時の千歌ちゃんと曜ちゃん、果南さんの三人で写ってる写真や千歌ちゃんがAqoursメンバーと撮ってる写真を中心に沢山の写真が飾ってあった。

 

改めて見ると千歌ちゃんがどれだけ色濃い時間を過ごしてきたかが伺える。

 

祐一「千歌ちゃん楽しそうだな…。」

 

どの写真の千歌ちゃんもとびきりの笑顔で写っていて正直Aqoursメンバーには嫉妬してしまう。俺には千歌ちゃんの笑顔を最大限引き出せているのか、不安だ。

 

 

でも

 

 

俺は千歌ちゃんの一番でいたい。これからも千歌ちゃんと楽しい思い出を作って千歌ちゃんと笑顔でいたい。その為にもっと頑張らないとな。

 

俺は心の中でそう誓った。

 

その時千歌ちゃんの声が聞こえた。

 

千歌「うぅ…ううん…。ゆう…いちくん…行っちゃ…やだよ…。」

 

千歌ちゃんの声が聞こえたので振り返る。そこには苦しそうな表情をして額に汗をかき、涙を流してうなされている千歌ちゃんの姿が俺の目に映った。

 

祐一「千歌ちゃん!?俺はどこにも行かないよ。ちゃんと此処にいる。」

 

俺は慌てて千歌ちゃんの寝ているベッドに近づき手を握りながらそう伝える。

 

千歌「やだ…やだ…。チカのこと…見捨てないで…。」

 

おい、夢の中の俺何やってんだ。

 

こんなに千歌ちゃんを苦しめやがって…。

 

俺の声が届かず、まだうなされている千歌ちゃんの手を優しく握る。

 

――――――――――――――――――――――――

Side 千歌

 

私は今何もないところに一人で佇んでいる。

 

千歌「ここはどこだろう。さっき確か祐一くんに手を握ってもらって眠ったはず…てことは夢…なのかな?」

 

周りを見渡すけど何もない。あるのは静かな空間だけ。あまりに静かすぎる空間に私は恐怖を覚えた。

 

千歌「怖いよ…祐一くん…。」

 

??「どうしたの、千歌ちゃん?」

 

私は声のする方を振り向く。そこには祐一くんが立っていた。

 

千歌「祐一くん!!」

 

私は何もないこの空間が怖かったけど、祐一くんがいる事がわかって一気に安心感が芽生えた。

 

私が祐一くんに近付こうとしたら祐一くんの隣には知らない女の子が立っていた。

 

その女の子は祐一くんと親しげに話している。楽しく話している二人の姿はまるで彼氏と彼女みたいだった。

 

 

なんで…。まさか…。

 

 

この時私の中にあってはならない不信感が芽生えてしまった。

 

何考えてるの私。そんなことあるはずがない。

 

必死に自分に言い聞かせるけど不信感はどんどん増していく。だから私の頭を過ぎる不信感を払拭するために私は質問する。

 

千歌「祐一くん…。隣の女の子は…誰かな…?」

 

 

お願い…。私の勘違いであって…。

 

 

だけど祐一くんの口から発せられた言葉は私の心を折り砕くには十分な言葉だった。

 

 

 

祐一「あぁ、そう言えば言ってなかったね。紹介するよ、俺の新しい彼女。この子と付き合う事にしたんだ。」

 

 

 

千歌「えっ…。」

 

 

なんで…。どうして…。

 

あまりのショックに私は目の前の光景から目を逸らした。

 

千歌「ははっ…。祐一くんも冗談うまいね…?チカのこと騙そうとしてるんでしょ…。」

 

祐一「何言ってるの?本当のことだよ。もう俺は千歌ちゃん…いや、高海さんを好きじゃない。むしろ嫌いだ。我ながらよくこんなにめんどくさい女と付き合ってたと思うよ。」

 

彼から返ってきた言葉はあまりに冷酷で私の心臓は抉られた。名前で呼んでくれてたのに名字で呼ばれるだけで途方もなく距離感を感じる。

 

祐一「今はこの子が好きなんだ。だから別れよう。」

 

千歌「やだ…やだよ!!悪いところ直すから…これから頑張るから…だから…捨てないで…。」

 

私は必死に懇願する。

 

けれどもそんな私の姿を一度見てから祐一くんは踵を返して歩いて行ってしまった。

 

千歌「あっ…。待って…行かないで…行っちゃ…やだ…。やだ…やだ…。チカのこと見捨てないで…。」

 

私の願いは虚しく歩き続ける祐一くんの姿を見て私は唯泣くことしかできなかった。

 

千歌「ゆう…いち…くん…。うぅっ…ヒック…うわぁぁぁんん!!」

 

私は歩き去って行く祐一くんに手を伸ばすけど彼は振り返ってくれない。背中が小さくなるに連れて私の中で絶望が広がっていく。こんな絶望を味わったことがない。

 

千歌「ゆう…いちくん…祐一くん…。」

 

私の前から完全に彼の姿が消えた。

 

もう…どうでもいいや…。

 

私の中で糸が切れたような感覚があった。

 

彼に見捨てられたら、私なんて存在する価値が無い…。私は自分が何で生きているのか疑問に持つほどどうでもよくなった。

 

もうこのまま目を覚まさなくてもいい…。こんなに辛い思いをするならいっそのこと…。

 

私は静かに目を瞑り覚めない悪夢を受け入れる事にした。

 

これから果てしない悪夢を旅して私はもう目覚めないのだろうか…。もう二度と彼と会うことができないのだろうか…。私にはわからない。

 

でも、突然私の前に一筋の光が見えた。

 

千歌「…?なんだろ、アレ…?何か光って…。」

 

そこには彼との思い出が照らし出されていた。

 

いつしかその光に私は手を伸ばして。

 

 

そして。

 

 

掴んだ。

 

 

 

すると私のことを光が包み込んだ。

 

 

暖かい…。

 

 

まるで彼に包まれているようだった。この温もりを私は知っている…。誰よりも優しくて、誰よりもカッコよくて、誰よりも愛おしい。

 

 

私の大切な人…。

 

 

その光に包み込まれてそんな感覚に身を委ねていた時声が聞こえた。

 

あぁ、私が聞きたかった声だ…。

 

私はその声を聞いて夢であろう空間の中で意識を手放した。

 

―――――――――――――――――――――――

Side 祐一

 

俺が手を握り数分の待つと千歌ちゃんが弱々しく目を開けた。

 

千歌「ゆう…いち…くん?」

 

祐一「うん、祐一だよ?」

 

俺は優しく千歌ちゃんに微笑みかける。

 

千歌「祐一くん…。祐一くーん!!」

 

祐一「おわっ!?」

 

千歌ちゃんが勢いよく抱きついてきたので驚きながらも抱きとめた。

 

千歌「よかった…。よかったよー!!」

千歌ちゃんは泣きながら俺の胸に顔を埋めてきた。

 

祐一「うなされてたけど怖い夢見ちゃった?」

 

泣きながら頷く千歌ちゃん。

 

千歌「祐一くんがいなくなっちゃう夢見たの…。それでチカ…怖くて…寂しくて…。」

 

なるほど…。確かに風邪引くと普段よりも不安になって寂しく感じるもんな。そのせいで怖い夢を見ちゃったのかもしれない。

 

だからまず落ち着かせる為にギュッと抱きしめる。

 

祐一「大丈夫…。俺はどこにも行かないよ?」

 

千歌「怖い…。怖いの…。知らない女の子とどっか遠くに行っちゃう祐一くんを見て…悲しくなって…ただ泣くことしかできなかった…。チカは…めんどくさい…から…もう…一緒にいたくないのかもって…。だから…不安で…不安で…。」

 

嗚咽混じりに千歌ちゃんが話してくれるのを俺は黙って聞いた。

 

千歌「何度も…何度も祐一くんに呼びかけたけど…チカの声は届かなかった。それが一番悲しくて…辛くて…どうしようもなかったの…。一人になって…チカ寂しくて…。祐一くんがいるのがチカにとって当たり前だったから…」

 

 

千歌「祐一くん…どこにも行かないで…。チカを…置いていかないで…。」

 

 

その言葉は恐れを抱いていてとても悲痛な叫びに聞こえた。

 

 

祐一「置いてかない…絶対に!!」

 

俺は千歌ちゃんを抱きしめる力を強くした。

 

千歌「祐一…くん…。あったかい…。あったかいよ…。この温もりはチカの大好きな祐一くんだぁ…。よかった…。祐一くんがチカを抱きしめてくれてるよぉ…。」

 

祐一「当たり前じゃん。俺は千歌ちゃんの彼氏で千歌ちゃんの事が大好きなんだから。どこにも行かないし、置いて行く気なんてサラサラないよ。」

 

千歌「でも…。」

 

まだ不安そうに目を伏せている千歌ちゃん。

 

そんな彼女を安心させる為俺は千歌ちゃんの額に軽くキスをした。

 

祐一「これでもまだ不安?」

俺は優しく千歌ちゃんに微笑みかけて諭すように伝えた。

 

千歌「嬉しい…///ねぇ、風邪治ったら今度は口にしてくれる?」

 

祐一「もちろん。なんなら今だっていいよ?」

 

千歌「ふふっ、風邪移っちゃうよ?」

 

千歌ちゃんの表情に笑顔が戻ってきた。

 

祐一「それでも構わないよ。まぁそれで俺が風邪引いたら世話ないけどね…。」

 

千歌「その時はチカが治るまでずっと…側にいるよ?」

 

祐一「是非お願いしたいね。そう言えば体調はどう?」

 

千歌「あっ、そう言えば体も怠くないし熱も下がったみたい!!」

そう言って千歌ちゃんは額を出して俺に近づけてきた。

 

俺は千歌ちゃんの額を触ると確かに熱は下がっていた。

 

祐一「確かに下がってるね。一先ず安心したよ!でもまた熱上がるかもしれないから今日はゆっくり休みな?」

 

千歌「わかった。チカはもう大丈夫だから祐一くんも今日は休みな?疲れたでしょ?」

 

祐一「そうだね…。少し疲れたかな?それじゃあ俺も部屋で休むよ。何かあったら呼んでね?すぐ行くから!」

 

千歌「ありがと。」

 

俺は立ち上がり千歌ちゃんの部屋を出ようとする。

 

すると千歌ちゃんが俺を呼び止めてきた。

 

千歌「祐一くん。」

 

祐一「何、千歌ちゃん?」

 

俺は振り返り千歌ちゃんを見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「大好き…。」

 

 

 

 

 

 

 

病み上がりのせいかまだトロンとした目で俺を見つめながらそう言ってきた。突然の事で驚きはしたがすぐ様俺も返事する。

 

祐一「俺もだよ…。大好き。」

 

そして俺は千歌ちゃんの部屋を後にした。

 

改めて千歌ちゃんにとって俺は必要な存在であることを知ることができた。こんな形だったけど千歌ちゃんの思っていることも知れたし俺にとってはとても色濃い1日になった。あとは千歌ちゃんの体調が完全に良くなるのを祈るだけ。

 

でも、今日は色々あって俺も疲れた…。少し休んで明日に備えよう…。俺も体調を崩すわけにはいかない。

 

明日また遊びに行けるように俺も体を休める事にした。こうして長いようで短い1日目は終了した。

 





ご愛読ありがとうございました!

今回はりょーすけさんからリクエスト頂いた看病イベントを執筆してみました。この度はリクエストありがとうございます!

正直自身は無いですが、楽しく読んで頂けたら嬉しく思います!リクエストなどがもしありましたら感想に書いていただければ可能な限り執筆したいと思います!これからもこの作品をよろしくお願い致します!

それではまた次回!!


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Day26 ケジメ


どうも甘党ゴンザレスです!

久しぶりの投稿なので内容分かんねーよ!!って方はまた読み直して頂けると嬉しいです!

気にしないよって言う方は駄文ではありますが、読んで頂けると嬉しいです!

それでは本編どうぞ!!


今俺と怜は沼津の喫茶店に二人でいる。

 

何故Aqoursのみんながいないのかと言うと千歌ちゃんのお父さんである高海優吾さんから改めてお礼と謝罪をしたいと言われ待っている状態だからだ。

 

祐一「お礼なんてもう言ってくれたからいいのにな…。」

 

怜「まぁ、親としてのケジメをつけたかったんだろ?お前への感謝と謝罪の気持ちがあるのは当然だし、自分の娘を文字通り命懸けで守ってくれたんだ。」

 

祐一「そうだよな…。俺もその気持ちを真剣に受け止めないとな…。」

 

怜「そう言う事だ。」

 

俺たちはそんな会話をしながら待っていると優吾さんを始めとして千歌ちゃんのお母さんである高海美夏さん、志満さんと美渡さんがやってきた。優吾さんたちの後ろにも四名いて俺は直ぐに察した。

 

梨子ちゃんと曜ちゃんのご両親だ。

 

優吾「悪いね。祐一くん、怜くん。時間を作ってもらって。」

 

祐一「い、いえとんでもありません。」

 

怜「お気になさらないでください。」

 

俺たちは立ち上がり頭を下げる。

 

優吾「頭をあげてくれ。今回は俺たちが頭を下げる立場なんだ。」

 

祐一「は、はい。」

 

俺たちは頭をあげて優吾さんたちに向き直る。そして二人の男性が俺たちに向かって自己紹介を始める。

 

海斗「君たちが祐一くんと怜くんだね。私は桜内梨子の父で桜内海斗と言います。この度は娘を助けて頂きありがとうございます。そして本当に申し訳ない。」

 

洋二「初めまして、祐一くん、怜くん。俺は渡辺曜の父で渡辺洋二と言う。今回はウチの娘を守ってくれてありがとう。親として感謝と謝罪を言わせて欲しい。ありがとう、そして本当にすまない…。」

 

梨子ちゃんのお父さんと曜ちゃんのお父さんは謝罪をして深く頭を下げてきた。

 

祐一「と、とんでもありません。どうか頭をあげて下さい!僕自身もう何ともありませんし三人を守ることが出来てよかったと思っています。」

 

海斗・洋二「「ありがとう…。」」

 

二人は頭をあげてそう言っているが、表情は優れない。

 

すると、美夏さんが口を開いた。

 

美夏「祐一くん、怜くん。今回は本当にありがとう。娘たちを守ってくれて。二人のお母さんも紹介させて貰うわね。」

 

祐一「はい、お願いします!」

 

そして二人の女性が前に出てきた。

 

葵「こんにちは祐一くん、怜くん。私は桜内梨子の母親で桜内葵と申します。この度はウチの娘を助けてくれてありがとうございます。本当になんとお礼を言っていいやら…。」

 

涙ながらに言ってくれた梨子ちゃんのお母さんである葵さん。何だかこっちまで申し訳ない気持ちになってくる。

 

祐一「い、いえ…。とんでもありません。当然の事をしたまでです!どうか頭をあげて下さい。」

 

葵「ごめんなさい…。」

 

顔を上げて謝罪の言葉を投げかけてきてくれるが、その表情から強い罪悪感を感じた。

 

弥生「初めまして祐一くん、怜くん。私は曜の母親で渡辺弥生と申します。本当にウチの娘を…三人を守ってくれてありがとう…。そしてごめんなさい…。」

 

同じく曜ちゃんのお母さんである、弥生さんも頭を深々と下げて謝罪してくれる。

 

祐一「頭をあげて下さい。その気持ちだけで僕は嬉しいです。」

 

弥生「本当にごめんなさい…。」

 

弥生さんも涙を流しながら謝罪してくれてさらに罪悪感が強くなる。

 

優吾「改めてだが…この度は三人のことを守ってくれてありがとう…。本当にありがとう…。そして二人には多大なる迷惑をかけた本当に申し訳ない」

 

優吾さんの言葉に皆さんが再び頭を下げて謝罪してくる。

 

祐一「皆さんこの度はこの様な場を設けて頂きありがとうございます。先ほども申しましたが、僕は現在何ともありませんし娘さんたちを守れたことを誇りに思っております。ですので、どうか頭をあげて下さい。」

 

俺の言葉にみなさんは頭をあげる。そこから俺は話し始めた。

 

祐一「今回のことは僕自身にも落ち度はあります。あんなに遅くに娘さんたちを帰してしまって…。娘さんたちを危険な目に合わせてしまって本当に申し訳ありませんでした。」

 

俺と怜は深々と頭を下げて謝罪した。

 

海斗「二人ともよしてくれ。君たちは娘たちを助けてくれたんだ。私たちが謝りはすれど君たちが謝る必要はない。」

 

祐一「で、ですが…。」

 

俺が言葉に詰まると。

 

弥生「そうよ二人とも。私たちは凄い感謝しているの…。だから謝らないで…?」

 

祐一「わかりました…。」

 

葵「刺されたって聞いたんだけど、怪我の方は本当に大丈夫なの?」

 

祐一「はい、もうだいぶ良くなりました。傷は残ってしまいますが、日常生活には何も支障はありません。ご心配して頂きありがとうございます。」

 

洋二「可能なら、今後何かあった場合は我々に責任を持って君たちの手助けをさせて欲しい。」

 

祐一「いえ、そんな…。」

 

美夏「ごめんね、祐一くん。これは私たち親としてのケジメなの…。お願い…。」

 

美夏さんの言葉には遣る瀬無さが宿っていて俺は断ることができなかった。

 

祐一「わかりました…。では、もしもの事があればよろしくお願いします。」

 

美夏「ありがとう…。」

 

美夏さんは涙を流しながらそう言った。

 

祐一「皆さんの気持ちは十分伝わりましたので今回のことはこの辺で終わりにしましょう。」

 

海斗「だが…。」

 

祐一「僕自身も今回のことで皆さんに多大なるご心配をおかけしました。それに僕たちは娘さんたちといると本当に楽しくて楽しくてしょうがないんです。だから守ることができて心の底から嬉しいですし、もし守れなかったらと思うと自分を殺してしまうんじゃないかって位自分を責めていたと思います。なので、今後この様な事が起きない様に僕たち自身、務めて行きますのでどうか今後も娘さんたちと仲良くさせて頂くのをお許しください。」

 

俺の言葉に怜も同調して言葉を発する。

 

怜「祐一だけのせいではありません。僕自身にも落ち度はありました。そのせいで娘さんたちを危険な目に合わせてしまいました…。本当に申し訳ありません。今後は僕もより一層注意を払います。だから…。今後も僕たちを信じて頂いて娘さんたちの側にいる事をお許しください。」

 

俺たちは深々と頭を下げる。

 

洋二「二人とも頭をあげてくれ。」

 

海斗「そうだよ。許すも何もない。」

 

祐一・怜「「えっ?」」

 

俺たちはてっきりもう一緒にいる事を許されないと思ったが、予想外だった。

 

葵「そうよ。私たちは二人のことをとっくに信頼してるの。」

 

弥生「むしろこっちからお願いするわ。」

 

俺と怜は顔を見合わせて戸惑っている。

 

優吾「そういうことだ。今後とも娘たちのことをよろしく頼む。」

 

優吾さんたちは頭を下げてきた。

 

祐一・怜「「はいっ!!ありがとうございます!!」

 

俺たちは笑顔でお礼を伝えた。

 

優吾「さぁ、この話は一旦ここで終わりだ。ここの料金は我々が持つから遠慮せず好きな物を食べてくれ。」

 

優吾さんの言葉で昼食が始まった。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

それぞれ注文を終え料理が来たところで食事が始まった。

 

俺の隣には志満さんと美渡さんが座っている。

 

美渡「祐一くん、千歌を守ってくれてありがとな。」

 

祐一「いえ、当然の事をしたまでです!」

 

志満「それでもよ…。本当にありがとう…。」

 

改めて美渡さんと志満さんにお礼を伝えられ少しだけ照れてしまった。

 

美渡「千歌は幸せものだな…。こんな優しくて頼もしい彼氏ができて。」

 

祐一「そんな事ないですよ。」

 

弥生「あらっ?祐一くんは千歌ちゃんの彼氏なの?」

 

祐一「はい。一応…そうです///」

 

弥生「そっかぁ…。曜はどうかな?」

 

祐一「曜ちゃんですか?凄い友達思いで優しくて可愛いですよ。」

 

弥生「あら、そう?ふふっ、嬉しいわ♪それなら曜にもまだ脈ありかしら♪曜のお婿さんとしてうちに来ない?」

 

祐一「ブフッ…ゲホッ…ゲホッ!?な、何言ってるんですか!?///」

 

俺は弥生さんの言葉に思わずむせてしまった。

 

美夏「ちょっと、弥生さん!ウチの未来の旦那の事口説かないで下さい!」

 

弥生「あら、美夏さん?祐一くんは千歌ちゃんと付き合ってるかもしれませんが、まだ結婚するとは限りませんよ?」

 

美夏「そんな事ないです!将来的には絶対そうなります!」

 

おいおい…何だか雲行きが怪しくなってきたぞ…。

 

祐一「二人とも落ち着いて下さい…。」

 

俺は二人を宥めようとするが止まる気配がまるで無い。

 

美夏・弥生「「祐一くん、どっちと結婚するの!!」」

 

祐一「えっええ…///」

 

俺が困惑してると二人とも自分の娘のPRを始めた。

 

弥生「曜はね、お料理とか凄い得意よ。それに家事は全部出来るしお嫁にするにはもってこいよ?それに胸も大きいし。」

 

美夏「千歌だって!ちょっと天然な所があるけど胸の張りは負けないんだからね!!」

 

美夏・弥生「「グヌヌ…。」」

 

睨み合って自分の娘の胸について張り合わないで下さいよ…。

 

洋二「コラ、弥生!みっともないぞ!」

 

優吾「美夏もいい加減にしろ!!」

 

二人のお父さんが俺に助け舟を出してくれた。ありがとうございます…。

 

美夏・弥生「「アナタは黙ってて!!!」」

 

優吾・洋二「「はっ、はい…。」」

 

二人とも奥さんに威圧されて縮こまってしまった。

 

洋二「すまない、祐一くん…。」

 

優吾「後は頑張ってくれ…。」

 

祐一「ええっ!?」

 

洋二さんはわからないけど優吾さんなら絶対止められるでしょ!?と内心思いながら俺は延々続く娘PRを聞き続けた。

 

チラッと怜の方を見ると桜内家の両親と打ち解けて楽しそうに談笑している。

 

何で俺はこうなるの…。

 

美渡「モテる男は辛いねぇ♪」

 

祐一「からかわないで下さい!?」

 

志満「私がお嫁に立候補しちゃおうかしら?♪」

 

美夏「そうだ!!志満がいたわ!!祐一くん志満はどう?おっとりしてるけど千歌よりも胸があるわよ!?」

 

祐一「はいぃ!?///」

 

弥生「クソォ…。志満ちゃんがいるの忘れてた…。で、でもそれならこっちには月ちゃんがいるわ!!あの子は曜の従姉妹だけど実質家族みたいなものだわ!?」

 

何を仰ってるんだこの人たちは…。てか月ちゃんはどなた?

 

祐一「お二人とも一旦落ち着きましょう?ねっ?」

 

俺は二人に落ち着くように伝えるが、

 

美夏「これはウチの将来に関わるの!?簡単には引き下がれないわ!!」

 

弥生「そうよ!!ウチも祐一くんにきて欲しいし、お嫁に出すにしても祐一くんなら安心してお嫁に出せる!!簡単に引き下がったりしないわ!!」

 

全然治らない…。こうなったら…。

 

俺は腹を括って二人に伝える。

 

 

祐一「美夏さん、弥生さん聞いてください。俺は今千歌ちゃんが好き…です。」

 

 

多少なりとも体温が高くなるのを感じた。

 

美夏「まぁ♪」

 

弥生「グヌヌ…。」

 

祐一「もちろん曜ちゃんも魅力的な女の子だと思います。」

 

弥生「ふふん♪」

 

美夏「グヌヌ…。」

 

二人が互いに睨み合ったりしている中俺は話を続ける。

 

祐一「でも、それでもやっぱり俺にとって一番は高海千歌ちゃんです。俺が初めて恋をして惹かれた女の子…。それは紛れも無く千歌ちゃんです。」

 

祐一「だから…まだ結婚なんて未来は想像できませんが、大切に思っていますしこれからも守って行きたいと思っています。だからまだすぐにはお返事はできませんが、優しく見守って頂けると嬉しいです。」

 

俺は真剣な面持ちで二人に伝える。すると、

 

弥生「そう…よね…ごめんなさい。熱くなり過ぎたわ。」

 

美夏「私も…。ごめんなさい、これからもよろしくね。」

 

どうやらやっと二人は理解してくれたらしい。

 

祐一「ありがとうございます!弥生さん、曜ちゃんは十分魅力的な女の子です。俺なんかよりもずっといい男に巡り会えます!だから、曜ちゃんのこと見守ってあげて下さい。」

 

弥生「ありがとう。曜の事まで心配してくれて…。君は本当に優しい子だね。」

 

祐一「曜ちゃんも大切な友人ですから、当然の事ですよ。二人とも本当に魅力的な女の子です。立派な娘さんで俺自身も教えられてばかりです。」

 

弥生「それでいてこんなに謙虚なんて…。祐一くんの魅力がわかった気がするわ…。」

 

美夏「私も改めて知ったわ…。これからも千歌のことよろしくね。」

 

弥生「曜の事もよろしくね?」

 

祐一「もちろんです!」

 

俺はニッと二人に笑いかける。

 

美夏・弥生「「はぅん///」」

 

二人は顔を赤くしてその場に俯く。

 

祐一「ど、どうしました!?お、俺何か変なことしました…?」

 

俺は少し悲しげな声で二人に問いかける。

 

美夏「そ、そうじゃないの///」

 

弥生「あ、あまりにも可愛い笑顔するからキュンとしちゃって…///」

 

祐一「へっ?」

 

俺ってそんなに子供っぽいのかな?何だか少しだけショック…。

 

美夏「お願いだから、祐一くんはそのままでいてね?」

 

弥生「そうね。祐一くんの笑顔があの子達には必要だからね?」

 

祐一「はぁ…。」

 

俺はただ声を漏らすことしか出来なかった。

 

昼食もみんな食べ終わり、俺たちはすっかりご馳走になってしまった。

 

祐一・怜「「ご馳走様でした!!」」

 

優吾「お粗末さん。お腹はいっぱいになったか?」

 

祐一「はい!もちろんです!」

 

怜「僕までご馳走になってしまってすみません。」

 

海斗「気にしないでくれ!梨子の未来の旦那さんよ。」

 

怜「ちょ、やめて下さいよ!?///」

 

怜が慌てている。お前も苦労したんだな…。俺は怜の肩を叩き

 

祐一「一緒に頑張ろうぜ…相棒。」

 

怜「そうだな…相棒。」

 

俺たちはこれからのお互いの健闘を祈りあった。

 

今回のことでしっかりと三人の親御さんに謝罪も出来たので本当に良かった。これで心置きなく残り少ない内浦での滞在を満喫できる。そして俺たちはみんなで自宅へ戻っていった。

 

 

その帰り道で俺は美夏さんと弥生さん。怜は葵さんに散々口説かれたのは言うまでも無い…。こうして俺たちは三人のご両親との絆を深め合った?のだ。

 

 





ご愛読ありがとうございました!

最近は忙しくて全然投稿できず申し訳ないですm(_ _)m

これからも何卒よろしくこの作品をよろしくお願い致します!


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Day27 幼馴染として


どうも甘党ゴンザレスです!

何とか時間を作り執筆を進めることができました!今年もそろそろ一ヶ月を切りますね。

僕はありがたい事に多忙な毎日を送っています。また更新が滞ってしまう事があるとは思いますが、お待ちいただけるといただきたいです。

それでは本編どうぞ!!


内浦滞在から数日、あれから千歌ちゃんの体調もすっかり良くなり俺と怜は先に東京に帰る事にした。その前にみんなでマリーさんの家でパーティーをすることになり俺と怜はマリーさん専属の執事さんにタキシードの着付けをしてもらっている。

 

祐一「なんか、緊張するな。」

 

怜「そりゃそうだろ。俺たちとAqoursのみんなしかいないんだ。この数日一緒にいたとは言え多少なりとも緊張はするべ。」

 

怜の言葉を聞いて納得は行く。この数日間かなり色濃い時間を過ごした。Aqoursのみんなとも仲良くなり気兼ね無く話すこともできるようになったし心の底から楽しいと思えた。

 

執事「お嬢様達のご準備も整いましたのでこちらへどうぞ。」

 

執事さんの声に俺と怜は反応し、大広間へと向かった。

 

 

大広間へ到着した俺たちはまず驚きを隠せなかった。

 

祐一「でかー!?」

 

怜「俺らの場違い感半端ないって!?」

 

俺たちの絶叫が響き渡る。それほどまでに大きい広間なので開いた口が塞がらない。

 

すると俺たちの後ろから扉が開く音が聞こえた。振り返るとそこにはよく見たことのある衣装に身を包んだAqoursのみんながいた。

 

祐一「えっ…!?その衣装って…。」

 

怜「うそ…だろ…。」

 

俺たちは思わず驚きの声を漏らす。

 

 

千歌「ふふっ♪ビックリした?」

梨子「二人は先に帰っちゃうから私たちからのサプライズ!!」

曜「今も踊れるか不安だけど!」

 

 

Aqoursのみんなは声を合わせて

 

 

Aqours「「「「「「「「「見ててください!!」」」」」」」」」

 

俺たちは目頭が熱くなった。

 

この衣装は怜が一番好きな曲で、俺が一番最初に見てAqoursの魅力を知った曲。

 

 

『Water Blue New World』

 

 

俺たちが大好きな曲だ。

 

果南「二人が大好きだって聞いたからね!」

 

ダイヤ「私たちも久し振りに集まれましたから!」

 

鞠莉「エキサイティングしちゃって♪」

 

善子「クックック、リトルデーモンたちとの!」

 

ルビィ「ライブを楽しみたい!」

 

花丸「最高の夏の思い出にするズラ!」

 

みんなの言葉に心のそこから感謝した。

 

祐一「ありがとう…。嬉しい。」

 

怜「こんなに嬉しいことはないよ…。」

千歌「喜んでくれてよかった!それじゃあ聞いてください。」

 

千歌ちゃんの声に広間の照明が消えた。そして壇上にスポットライトがあたると煌びやかに輝いているスクールアイドルAqoursが凛とした姿で立っていた。

 

俺たちはそんなAqoursに釘づけだった。

 

そこからのことは今も尚鮮明に記憶されている。Aqours優勝から二年の月日を感じさせない見事なパフォーマンスだった。みんなの表情はとても輝いていてそれでいて儚かった。夢のような時間もあっという間に終わり一夜限りのライブは幕を閉じた。

 

怜は拍手をしているが、俺はその場に立ちすくむ事しか出来なかった。

 

祐一「すげぇ…。」

 

怜「今日のことは一生忘れられないな。」

 

俺たちが話していると照明が明るくなりみんなが近づいてくる。

 

千歌「どうだった…?」

 

不安そうな表情で聞いてくる千歌ちゃん、そしてそれをさらに不安そうな顔で見つめてくる他のメンバー。俺と怜は顔を合わせ笑う。

 

怜「みんなもうちょっと近づいてくれる?」

 

頭にハテナマークを浮かべ近づいてくれた。

 

そして俺たちはみんなを抱きしめた。

 

 

 

Aqours「「「「「「「「わっ///」」」」」」」」」

 

 

 

祐一「最っ高だったよ!!」

 

怜「俺たちの為にすげぇ嬉しい!!」

 

 

祐一・怜「「ありがとう。」」

 

 

俺たちはみんなに感謝の気持ちを伝える。心の底からの感謝だ。

 

突然抱きしめて嫌なのではと思ったが、みんな笑って喜んでいた。

 

祐一「さぁ、汗かいただろうしみんな着替えて来なよ。」

 

怜「そうだな。体冷やして風邪引くといけないからな。」

 

俺たちが着替えを促しみんなは着替えに行った。

 

30分くらいしてみんなが戻ってくると綺麗なドレスを着て再登場。その姿を見て素直に見惚れてしまった。見惚れるのは当たり前か。

 

祐一「みんなよく似合ってるよ、綺麗だ。」

 

俺は思ったことを素直に口に出す。みんな顔を赤くして照れているが本当のことだ。

 

暫し話をしていると料理が運ばれて来てディナータイムへ突入した。バイキング方式で和洋中様々な料理が用意されていて目移りしてしまった。

 

怜「マリーさんすみません。気を使わせてしまったみたいで…。」

 

鞠莉「ノンノン♪気にしないで♪」

 

笑顔でそう言ってくれるマリーさんに感謝をしながらみんなでご馳走をいただいた。

 

どの料理も美味しくてほっぺたが落ちそうだった。幸せだぁ〜。

 

そんなこんなで楽しく立食パーティーをしている中俺は一人外の空気を吸うためみんなにバレないように外へ出た。外へ出るとこの夏の時期にしては涼しく心地が良い風が吹いていた。

 

祐一「ふぅ〜。」

 

俺は一息つき手に持っている飲み物を飲み干す。火照った体に冷たい飲み物が染み渡る。すると俺の背後から声が聞こえたので振り返るとそこには千歌ちゃんがいた。

 

祐一「どうしたの千歌ちゃん?」

 

千歌「祐一くんが出て行くのが見えたからちょっとね。」

 

祐一「そっか、こっちおいでよ。」

 

千歌「うん!じゃあ失礼します。」

 

俺の隣にやって来て肩に頭を乗せてくる千歌ちゃん。

 

千歌「チカたちのステージはどうだった?」

 

祐一「最高だったよ。あんなサプライズがあるなんて知らなかったし驚いた。それに改めてAqoursの魅力を知ったよ。」

 

千歌「そっか…嬉しい。」

 

千歌ちゃんは小さく微笑んでいる。

 

祐一「来てよかったよ。」

 

千歌「チカも祐一くんと怜くんが来てくれて嬉しいよ。みんなも絶対そう思ってると思うもん。でもみんな祐一くんと怜くんの事すごい気に入っちゃってるし、花丸ちゃんに至っては祐一くんの事お兄ちゃんって呼んでるし…。何だか嫉妬しちゃうよ…。ムゥ…。」

 

そう言った千歌ちゃんは少しだけ頬を膨らませて不機嫌な表情を浮かべる。

 

祐一「まぁまぁ。みんながそう思ってくれてるのは素直に嬉しい事だよ。マルちゃんにそう呼ばれてるのもきっとマルちゃんも俺を慕ってくれての事だと思うからさ。嫉妬しないでよ?それに俺にとっては千歌ちゃんが一番なんだから…ねっ?だからそんな顔しないの。」

 

俺は千歌ちゃんの両頬を抑えて額をグリグリ千歌ちゃんの額に押し付ける。

 

千歌「ムゥ…わかった…。もうちょっとだけ今のやって…?」

 

祐一「いいけど?」

 

千歌「えへへ、ありがと♪祐一くんにこうしてもらうと幸せなの〜♪」

 

千歌ちゃんの表情はいつのまにか笑顔になっていた

 

祐一「そうなの?それならいくらでも。」

 

千歌「うん!」

 

俺たちはしばらくの間お互いの体温を感じあっていた。

 

 

千歌「祐一くんありがと!祐一くん成分満タンであります!」

 

祐一「そりゃ、よかった!ほら、寒くなって来たしそろそろ中に入りな?俺はもうちょっとだけ外の空気にあたってるから。」

 

千歌「わかった!祐一くんも風邪ひかないようにね?」

 

ヒラヒラと手を振り千歌ちゃんのことを見送る。

 

 

また一人の時間がやってきて黄昏ていると今度は果南さんが来た。

 

果南「アレ?祐一どうしたの一人で?」

 

祐一「あっ、果南さん。ちょっと外の空気吸いたくて。」

 

果南「そうなんだ。私もなんだけどよかったら話付き合ってよ!」

 

どうやら果南さんも外の空気を吸いに来たらしく俺にそう提案してきた。

 

祐一「もちろん!俺でよければお付き合いしますよ?」

 

果南「ありがと。こっち来て楽しめた?」

 

祐一「はい!正直最初は緊張してましたけどみんないい人たちばっかですごい楽しかったです!」

 

果南「そっか!それならよかったよ。私も千歌から男の子連れてくるって聞いてたから緊張してたけど二人とも優しくて緊張したのは最初だけでそれ以降はすごい楽しかったよ!」

 

果南さんからのその言葉が嬉しく感じた。

 

果南「だから、祐一が千歌の彼氏だって聞いた時はすごい驚いたよ。」

 

祐一「そう…ですよね…。俺なんかじゃとても釣り合わないですよ…。」

 

果南「ごめんごめん、そう言う意味じゃなくて。祐一は男の子として十分魅力的だよ。私だって千歌が彼氏じゃなかったらもっとアプローチしてたと思うよ?」

 

祐一「えっ///」

 

果南さんの言葉にドキンと心臓が強く跳ねた。

 

果南「ふふっ♪まぁ千歌の彼氏だからね。でも私はそれが嬉しかった…。」

 

祐一「どういうことですか?」

 

俺はまだ高鳴っている心臓をどうにか抑えつつ果南さんに聞く。

 

果南「千歌って自分のこと普通だ普通だってよく言ってるでしょ?」

 

祐一「そう…ですね。結構言いますね。」

 

果南「ちょっと昔の話になるんだけどね、千歌って小さい時は私や曜についてくることが多くて妹みたいに思ってたの。それに自分から何かをやろうって子じゃなかったんだよ。そんな千歌が高校二年生の時にスクールアイドルをしたいって言った時は驚いたけどすごい嬉しかったんだ…。」

 

果南「私も一年生の時に鞠莉とダイヤとスクールアイドルをしてたんだけど鞠莉の将来のことでケンカしちゃってね、そこで私のスクールアイドルは終わったと思ったんだけど千歌が私と鞠莉をまた繋げてくれたの。本当に感謝の気持ちでいっぱいだし、あの千歌がドンドン成長して行くことが誇りに感じたんだよ。」

 

祐一「そんな事が…。」

 

果南「だから千歌が祐一の事を彼氏って言った時は驚いたけど嬉しかった。千歌の魅力をわかってくれて、大切にしてくれてる。祐一といる時の千歌を見てると私の見たことない表情をしててさ、少しだけ嫉妬しちゃうけど私自身が祐一と過ごして安心して任せられると思ったよ。」

 

果南「だから…。これからも千歌のことをよろしくお願いします。」

 

果南さんは俺に深々と頭を下げた。

 

祐一「か、果南さん顔を上げてください!?」

 

祐一「俺も果南さんたちにすごい感謝してるんです。」

 

果南「えっ?」

 

祐一「千歌ちゃんはいつも楽しそうにAqoursの事を話してくれるんですよ。特に果南さんの事は特別嬉しそうに話してくれるんです。話を聞いてると羨ましく思えるぐらい千歌ちゃんはAqoursのみんなが大好きで、話を聞いてる俺も嬉しく思っちゃう位です。だから果南さんにもAqoursのみんなにも感謝の気持ちでいっぱいですし、果南さんがいてくれたからこそ千歌ちゃんは成長できたんだと思います。だから…ありがとうございます。」

 

俺も頭を下げて果南さんに感謝の気持ちを伝える。

 

果南「そっ…かぁ。私、千歌の為に何かできたんだね…?」

 

祐一「もちろんです。俺が保証します。」

 

果南「ありがと。本当に祐一が千歌の彼氏でよかったよ。」

 

祐一「そんな事ないですよ。俺よりいい男なんてたくさんいます。」

 

果南「謙虚だね。祐一はもっと自分に自信持った方がいいよ?」

 

祐一「善処します…。果南さんも素敵な女性ですからきっといい男に出会えます。果南さんのことを理解してくれる優しい男に。」

 

果南「そうかな?私ってガサツだし私を好きになる男の子なんていないと思うけどなぁ。」

 

祐一「ふふっ♪果南さんこそ俺よりも自分のことを過小評価し過ぎですよ。果南さんは魅力的な女性ですから自信持って下さいよ。」

 

果南「そ、そうかな///なんか祐一に言われると不思議と信じられるよ。」

 

祐一「俺は本当の事しか言いませんよ?何なら果南さんの魅力を教えましょう!果南さんは…。」

 

果南「わぁぁっ!?やめて、恥ずかしいから!?///」

 

俺は果南さんの魅力について話そうとするが、果南さんは顔を真っ赤にして慌てて俺の口を塞いできた。

 

祐一「く、苦しい…。」

 

果南「ご、ごめん…!?///」

 

果南「でもこんな私だけど魅力があるって言ってくれて嬉しいよ。」

 

果南「あのさ…お願いがあるんだけどいいかな?」

 

祐一「俺に出来る事だったらいいですよ!」

 

果南「その…頭撫でて欲しいな…なんて///」

 

そう言ってきた果南さんの表情は年相応の女の子の表情だった。

 

祐一「そんなことでいいんですか?」

 

果南「うん…///」

 

祐一「わかりました。」

 

俺は優しく果南さんの頭を撫でる。

 

果南「んっ…えへへ///」

 

気持ち良さそうに満足げな表情を浮かべる果南さんを見て俺も笑みが溢れた。

 

果南「ありがと。もう大丈夫だよ!」

 

祐一「そうですか?」

 

果南「うん!祐一はやっぱり優しいね!頭撫でられるとなんか安心する…。千歌もこんな感じなんだ…///」

 

祐一「そんなことないですよ。最後の方は聞き取れなかったんですけど…何ていったんですか?」

 

果南「なっ、なんでもない!?///」

 

祐一「それならいいですけど?あっ、後この事は千歌ちゃんには内緒ですよ?」

 

俺は人差し指を自分の口に当てて果南さんに内緒にしてと合図を送る。

 

果南「わかってるよ。千歌には嫉妬されちゃうからね♪千歌の彼氏が取られた〜って言ってきそうだし♪」

 

千歌「おっしゃる通りです…。でも、誰が何と言おうと俺は千歌ちゃんが好きですから!」

 

果南「祐一も大概だね。千歌のこと好き過ぎでしょ?」

 

祐一「当たり前です!千歌ちゃんの魅力についてなら一生語れます!!」

 

果南「ハハッ、それを千歌に言ってあげたら喜ぶと思うよ?」

 

祐一「言えればいいんですけどね…。でも、やっぱ恥ずかしいです///」

 

果南「あはは、かわいいなぁ♪」

 

祐一「からかわないで下さい…。」

 

俺はムクれた表情をするが果南さんにからかわれて終わってしまったが、

 

果南「でも、そんな祐一だからこそ千歌の事を任せられる。きっとこれからも迷惑かけちゃうかもしれないけどよろしくね?」

 

果南さんは真剣な表情で見つめてきた。その表情からは俺へ対する信頼、そして妹のことを心配する姉のような雰囲気が纏われていた。

 

俺は力強く頷き決意を表明する。

 

果南「よし、任せたからね!頼りにしてるよ、男の子!!」

と言った果南さんは豪快に笑い俺もつられて笑ってしまった。

 

 

そうだ。俺のことを信頼してみんな任せてくれてるんだ。裏切るわけにはいかない。一人の人間として、男としてその信頼に答えたい。

 

 

祐一「絶対に千歌ちゃんの事を守って行きます。」

 

 

そう言って俺は先程よりも少しだけ温かく感じる風の中、果南さんに改めて宣言した。

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!

日に日に寒くなってきていますので皆さんも体にはお気をつけ下さい。作者も元気に執筆していきたいと思います。

それではまた次回!!


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Day28 最悪の賭け


どうも甘党ゴンザレスです!!

FNSのAqoursのみんな可愛かったですね笑
見ていてほっこりしました!

ということで新しく更新しましたので本編どうぞご覧ください!!


内浦への滞在から時間が経ち今俺たちは野球サークルの合宿で沖縄へとやってきていた。

 

怜「うぉぉぉおおお!!!沖縄だー!!!」

 

怜が横で叫んでいる。まぁ気持ちもわからなくない。俺もかなりテンションが上がってるのが自分でもわかる。初めての沖縄だもん、しょうがないよね?

 

忍「それじゃあ行くぞー。」

 

全員「おー!!」

 

忍さんの掛け声にサークルメンバーは声をあげついていく。

 

これから開会式をしてから試合を行う。久し振りの試合ということで胸の高鳴りを隠せないでいる俺と怜がいる。

 

興奮している俺たちに千歌ちゃんたちが話しかけてくる。

 

千歌「祐一くんと怜くん楽しそうだね♪」

 

祐一「そりゃ久し振りの試合だもん!!めっちゃテンション上がってるよ!!」

 

怜「高校以来だもんな!俺も興奮し過ぎて鼻血出そう!!」

 

梨子「そんなに!?気をつけてよ…?」

 

梨子ちゃんが心配そうに怜を見つめる。

 

怜「だいじょぶ、だいじょぶ!!」

 

普段通りおちゃらけている怜を尻目に俺は千歌ちゃん、曜ちゃんと会話する。

 

祐一「二人はスポーツ観戦とかしたことあるの?」

 

千歌「チカは無いよ?」

 

曜「私は一回だけ小さい時にお父さんに野球見に行ったことあるよ!でもあんまり覚えて無いや!」

 

祐一「おっ、そうなんだ!じゃあ実質今日が初めてみたいなもんだね!」

 

曜「うん!楽しみ♪」

 

千歌「私も、私も!!」

 

ウキウキした二人を見ていると何だか心が落ち着いてくる。

 

ゆめ「なーに、イチャイチャしてんの?♪」

 

いきなりゆめさんが千歌ちゃんと曜ちゃんの胸を鷲掴みした。

 

ようちか「「ひゃん///」」

 

ちょっとイヤらしい声が二人から漏れる。

 

祐一「わぁ!?///ゆめさん!何してるんですか!?///」

 

ゆめ「何って?スキンシップ?」

 

祐一「なんで疑問形…。じゃなくて!!その…目の毒なのでそろそろやめて頂きたいです…///」

 

俺は目をそらしつつゆめさんに伝える。

 

するとゆめさんは悪い顔をしながら更に二人の豊かなお胸を更にワシワシし始めた。

 

千歌「やっ…ゆ、ゆめさん…そんな…あんっ…だ…だめっ…///」

 

曜「んっ…///そっ…そこ…はっ…ああんっ///」

 

普段二人からは決して聞くことのないであろう声に俺は思わず耳を塞いだ。

 

ゆめ「あはは、祐一はピュアだね〜♪まぁ悪ふざけもこの辺にしとこっかな?」

 

ゆめさんは二人から離れて豪快に笑う。

 

ようちか「「ハァ…ハァ…///」」

 

胸を押さえながら息を荒げている二人に少しだけ興奮してしまった俺がいる。

 

ゆめ「さぁ、それじゃ行こっか♪」

 

歩き始めたゆめさんに向かって千歌ちゃんと曜ちゃんが大声で言った。

 

ようちか「「ゆめさんのバカー!!」」

 

ゆめさんは笑いながら手を上げヒラヒラさせながら歩いていく。その姿はとてもカッコよく男である俺も惚れ惚れするほどだった。こういうやり取りがありながらも俺たちは開会式兼試合が行われる球場へと向かった。

 

――――――――――――――――――――――

 

球場に着いてからは開会式がすぐに始まり滞り無く終了した。俺たちは一発目の試合だったのでユニフォームに着替える。

 

祐一「ユニフォーム着るのも久し振りだな!なんか高校時代を思い出すわ。」

 

怜「そうだな!スタメンだし頑張らないとな!」

 

祐一「おうよ!!」

 

俺たちが互いに闘争心を煽り合っていると千歌ちゃんたちがやってきた。

 

千歌「わぁ!二人ともよく似合ってるよ!カッコいい!!」

 

梨子「そうね!カッコいいわ!」

 

曜「まさに馬子にも衣装だね!」

 

祐一「あれ、なんか意味違くない…?俺ら普段だらし無い…?」

 

曜「ごめん、ごめん♪そのくらい似合ってるよ!って意味だから!!」

 

曜ちゃんの言葉に少しだけ安心した。どうやら普段もだらし無くは見えていないらしい。

 

忍「そろそろ準備しろよ。試合始まるから!」

 

忍さんの掛け声にみんな反応してベンチに入る。

 

千歌「球場って思ってたよりも大きいんだね!ビックリ!?」

 

初めて入るベンチに千歌ちゃんたちはキョロキョロしている。

 

祐一「そうだよね。俺も初めて入った時は驚いたけどもう慣れちゃったね。」

 

怜「そろそろ整列だから祐一行こうぜ!」

 

祐一「おう!じゃあ行ってくるね。応援よろしく!」

 

ようちかりこ「「「うん!頑張ってね!!」」」

 

俺は三人に笑顔を向けてグラウンドへ駆け出した。

 

整列をしてみるとドンドン興奮が加速していく。ジリジリと暑いグラウンド、聞こえてくるのは蝉の鳴き声と応援の声。当時の感覚が頭をよぎる。

 

 

俺はまたこの舞台に立てる。

 

 

それがたまらなく嬉しい。新しい仲間と共にこのグラウンドを駆け巡り一つの白球を全力で追いかける。この感覚を味わえるなんて夢みたいだ。

 

審判の掛け声と共に俺たちは飛び出し整列をした。忍さんが相手のチームのキャプテンと握手を交わし試合が開始された。俺たちは後攻でまずは守備位置につこうとする。すると忍さんがマウンドにみんなを集合させる。

 

忍「まずはみんなお礼を言わせて欲しい。ありがとう。試合ができるようになったのはこの素晴らしいメンバーと巡り会えたからだ。俺は本当に幸せでいっぱいだよ。今日試合ができているのはみんなのおかげだしたくさんの人が協力し合った結果できてる試合だ。だから感謝の気持ちを持って今日は全力で野球を楽しもう!!そして勝って最高の俺たちの初陣と行こうぜ!!」

 

8人「「「「「「「「おー!!!!!」」」」」」」」

 

俺は忍さんの言葉に感動して涙が出そうだった。

 

それもそうだ。野球は一人ではできない。自分のチームの仲間、相手のチーム、審判をして下さる方々、球場を運営していて貸してくれている方々、様々な人たちの元初めてできるスポーツなのだ。だから野球をできるのが当然と思ってはいけない。

 

忍「祐一、お前にはもしかしたら何回かピッチャーをしてもらうことがあるかもしれない。その時はすまないが頼む。無理だったら俺が頑張って投げ抜くから安心してくれ。」

 

祐一「わかりました!本気でずっと投げることはできないですけど、2、3回なら投げれます!忍さんも安心して投げて下さい!絶対守ります!」

 

忍「わかった!頼むぜみんな!この試合絶対勝とう!!」

 

俺たちは散り散りになって守備位置へとついた。俺は肩のことを考慮してもらいファーストを守っている。守備でなら一番思いっきり投げる事が少ないポジションなので今の俺には最適と言える。他の守備位置はピッチャー忍さん、キャッチャー怜、セカンド山田さん、サード松田さん、ショート坂本さん、レフト吉田さん、センター秋山さん、ライト鈴木さんだ。みんな本当に野球が好きで頼もしい先輩方だ。この先輩方と大好きな野球ができて俺は誇りに思う。

 

そして主審のプレイボールの合図で試合が始まった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

Side千歌

 

千歌「忍さん絶好調だね!もう二人も三振に打ち取ったよ!!」

 

私は嬉々として曜ちゃん、梨子ちゃん、ゆめさんに話しかける。

 

ゆめ「忍もかなり練習してるからね!ちょっとやそっとじゃ打てないわよ!」

 

梨子「こんなに近くで観れるなんてすごい嬉しい!興奮してきちゃった!」

 

曜「そうだね、私も!頑張れ忍さーん!!」

 

忍さんはあっという間に三者凡退で締めてベンチへ戻ってきた。

 

祐一「忍さん、ナイスピッチ!!」

 

忍「おう!お前らがバックにいるから信頼して投げれるぜ!」

 

祐一くんと忍さんがグローブでハイタッチしている姿を見て私は更に野球の魅力を感じた。

 

千歌「忍さんナイスピッチです!!」

 

忍「ありがとう!でもこれから相手のピッチャーを打ち崩さないとね?」

 

曜「そっか…守ってるだけじゃ勝てないもんね…。」

 

怜「そうそう!だから忍さんが投げやすくなるように俺たちが点を取って、忍さんに楽に投げてもらえるようにしないとね!」

 

祐一「そういうこと!俺もバッターとして忍さんを支えなくちゃね!」

 

祐一くんはバットを振って準備している。

 

千歌「祐一くんは三番だっけ?」

 

祐一「そうだよ!折角俺を信頼して上位打線に置いてくれたんだから信頼には答えなくちゃね!」

千歌「そうだね、チカいっぱい応援するね!」

 

私は笑って祐一くんに伝える。

 

忍「千歌ちゃんが応援してるんだ。祐一なら絶対点を取ってくれるよな?」

 

忍さんはニヤニヤしながら祐一くんの方を見ている。

 

祐一「ちょ、忍さん!?あんまりハードル上げないで下さいよ!?」

 

そうこうしているうちに一番の秋山さんがヒットを打って次の山田さんがバントをして得点のチャンスがきた。

 

バッターは祐一くん。

 

千歌「祐一くん頑張れー!!」

 

梨子「先制点おねがーい!!」

 

曜「ヨーソロー!!」

 

ゆめ「打ったら千歌ちゃんがご褒美くれるってよ!!!」

 

千歌「ふぇっ!?///」

 

ゆめさんがひときわ通る声で言った。直後祐一くんは腰の引けた避け方をして転びそうになっていた。

 

千歌「ちょっとゆめさん!?何言ってるんですか!?///」

 

ゆめ「いや、この方が打てると思って…?」

 

ゆめさんは小首を傾げながら私に向かって言ってくる。

 

千歌「逆効果ですよ!!ホラ!!祐一くん転びそうになってるじゃないですか!?」

 

怜「まぁまぁ、千歌ちゃん。見てなって?」

 

千歌「でも…。」

 

私が再び振り返ると祐一くんは真剣な表情で打席に立っていた。堂々と構え集中してるその姿は貫禄があって隙を全く感じなかった。

 

そして相手のピッチャーが振りかぶって投げた球を祐一くんは快音と共にレフトスタンドへと叩き込んだ。

 

ベンチからワァーっと歓声が上がる。今のホームランが凄かったのか相手のピッチャーも笑っている。

 

祐一くんはゆっくりとベースを周り最後にホームベースを踏んだ。返ってくる祐一くんの表情は爽快感に満ち溢れていて先輩方とハイタッチを交わしていく。

 

「ナイスバッティング!」

 

「どんだけ飛ばすんだよ!」

 

「流石は元甲子園球児!!」

 

祐一「たまたま甘いコースに来ただけですよ!相手のピッチャーのストレートノビがあるんで差し込まれないように行きましょう!」

 

祐一くんの情報をみんなが真剣に聞き共有してこれからの対策を練っていた。それが終わり祐一くんは私たちの元へ歩み寄ってくる。

 

梨子「祐一くんナイスバッティング!」

 

曜「すごいカッコよかったよ!!」

 

祐一「ありがとう!みんなの応援のおかげで打てたよ!」

 

祐一くんは私の方を向いて言ってきた。

 

祐一「千歌ちゃんもありがとう!」

 

祐一くんは屈託の無い笑顔で私にそう伝えてきた。その瞬間私の胸はキュッと締め付けられた。こんなにも爽やかで優しい笑顔をできるのが祐一くんの魅力。改めて実感できた。

 

だから私は今の自分に出来る一番の笑顔で祐一くんに言った。

 

千歌「やっぱり祐一くんはかっこよくてすごいね!」

 

祐一くんはハッとした表情をしていた。

 

すぐに後ろを向いてしまった祐一くんだったが怜くんが顔を覗き込み今の状態を教えてくれた。

 

怜「千歌ちゃん!祐一すごいニヤニヤしてるよ。気持ち悪いくらいね。」

 

祐一「バッ、バカッ!!言うんじゃねーよ!!」

 

怜「だってキモいもん?」

 

祐一「お前なっ!!」

 

そんな二人のやりとりを見ているとベンチにいた先輩方もからかい始めた。

 

「いいねぇ〜青春だ!」

 

「イチャイチャすんな〜!」

 

「ちょっと俺もホームラン打ってくるわ!」

 

本当に賑やかで祐一くんたちの姿を見ているとAqoursのみんなを思い出した。こうやって人の繋がりって生まれるんだなって思った。

 

やっぱり仲間っていいなぁ…。

 

私は心の底からそう思って祐一くんたちを見て笑っていた。

 

祐一「ホラ!まだ試合中ですし終わってからにしましょ!!はい、ここで終わり!!」

 

怜「そうだな、ちょうど攻撃も終わったし行きますか!」

 

そう言ってみんながグラウンドへ飛び出していく。

 

その試合は祐一くんのホームランの点数の他にも先輩方が繋いで二点を挙げて4対0で私たちのチームが勝利を収めた。

 

――――――――――――――――――――――――

Side祐一

 

 

試合が終わった後今後のスケジュールを話して私たちは宿舎へ向かった。

 

今回俺たちは二試合行って二試合とも勝つことができて見事決勝戦に進むことができた。決勝戦は明後日。明日はオフということで遊ぶ時間ができた。そして俺たちは宿舎へと今向かっている。

 

沖縄ということもあり車での移動になった為免許を持っていた俺と怜は千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃんと共に向かっている。レンタカーを3台借りていたのでそれで移動している最中だ。ちなみに運転は俺だ。

 

梨子「改めて今日の試合おめでとう!すごかったよ!楽しかったわ!!」

 

曜「うん!興奮したであります!!」

 

千歌「改めて野球が好きになったよ!!」

 

どうやらみんな楽しめていたようなのでよかった。

 

祐一「ありがとう!!俺たちも楽しかったし勝てたからいい事だらけだよ!」

 

怜「明日は試合無いからみんなでどっか行こうか?忍さんたちも明日はめっちゃ遊ぶぞーってはしゃいでたからね!」

 

千歌「そうだね!私水族館行きたい!!」

 

曜「あっ、私も行きたかったんだ!」

 

怜「じゃあ明日は水族館行こうか!」

 

梨子「えっ、でも二人も行きたいところあるんじゃ無いの?悪いわよ…。」

 

祐一「そんなことないよ?俺たちはみんなと一緒ならどこに行っても楽しいからさ!気にしないで!」

 

俺は申し訳なさそうにする梨子ちゃんにそう伝える。

 

梨子「じゃ、じゃあお言葉に甘えようかしら?私も水族館行きたかったし…///」

 

梨子ちゃんも納得してくれたようで千歌ちゃんと曜ちゃんの嬉しそうな声が後ろから聞こえた。

 

祐一「そう言えば腹減ったな〜。今日の夕飯なんだっけ?」

 

曜「確か宿舎で今回の大会に参加してるチームのみんなでバーベキューだった気がする!」

 

怜「おぉー!!いいね、メッチャ食お!」

 

祐一「そうとわかれば急いで宿舎へ向かって全速前進ヨーソロー!!」

 

俺はアクセルを踏み込もうとした時

千歌「安・全・運・転でお願いします。運転手さん?♪」

とてーも優しい声でそれでいて威圧的な声が聞こえ俺は震え上がった。

 

祐一「は…はい…。失礼いたしました…。」

 

俺は安全運転を心がけ目的地の宿舎へ向かった。

 

怜「お前、千歌ちゃんの尻に敷かれてるな?」

 

祐一「うるせ。別にいいんだよ。」

――――――――――――――――――――――――

 

部屋着に着替えた俺たちはバーベキューが行われる会場へ到着するとすでにバーベキューの準備は整っていた。

 

祐一「ありゃ、準備までしてもらって申し訳ないな。」

 

怜「まぁ運営してくれてる人たちのおかげだろ?片づけは手伝おうぜ?」

 

祐一「そうだな。」

 

今回の大会を運営してくれている人たちの簡単な説明を受けてバーベキューがスタートした。俺と怜は先輩方に先に食べて貰うために率先して焼き担当をした。

 

先輩方も変わってくれようとしたが俺たちもそこはわきまえている。俺たちはちょこちょこ食いながらできるから先輩たちが楽しんでくれたらそれで嬉しい。

 

こんな風に合宿出来るようになって先輩たちもかなり嬉しかったようでお酒の入ってるせいかひどく饒舌になっている。俺と怜もそれを見ていると本当にこのサークルに入ってよかったと心から思った。

 

俺たちが肉などを焼いていると千歌ちゃんたちがやってきてどこか他のチームの人を引き連れてやってきた。

 

千歌「祐一くん怜くん!!二人とお話ししたいって人たち連れてきたから焼き番変わるよ!」

 

祐一「あっそうなの?それでそちらの方々は?」

 

宮本「すみません。申し遅れました。私は宮本和也といいます。こっちは藍原勝也です。お見知り置きを。」

 

祐一「これはどうも。僕は沖田祐一です。こちらこそよろしくお願いします。」

 

怜「俺は相田怜です。よろしくお願いします。」

 

梨子「私たちが変わるからお話して来ていいよ!」

 

祐一「わかった。ありがとう!」

 

宮本「ここでは何ですからあちらの静かな場所へ行きませんか?」

 

祐一「わかりました。行きましょうか。」

 

 

 

俺たちは二人について行き誰もいないところまでやってきた。

 

怜「それで、話ってのは何ですか?」

 

怜が圧をかけるように二人に問いただす。

 

祐一「お前失礼だろ!すいません連れが失礼しました。」

 

宮本「気にしないで下さい。それでは率直に言わせていただきます。あなた方と一緒にいる女性4人を私たちに下さい。」

 

祐一「はぁ?」

 

何言ってるんだこの人は。

 

祐一「ちょ、ちょっと待ってください。話が見えないんですけど…。」

 

藍原「言葉通りだ。あの4人を俺たちによこせ。」

 

宮本「いえいえ、私たちはあの4人に魅了されてしまいましてね。それで我が物にしようと思っただけです。何か不思議なことはありますか?」

 

不気味な笑顔を見せる二人に俺たちは思わず。

 

祐一・怜「「狂ってる…」」

 

そう呟いてしまった。

 

藍原「何も狂ってることは言ってねーよ。俺たちはただ自分の欲を満たしたいだけだ。あの4人はべっぴんだしさぞ尽くしてくれるんだろうな!へへへ。」

 

怜「気持ち悪い野郎だ。祐一帰るぞ。」

 

怜は踵を返して戻ろうとするが、

 

宮本「では一つ賭けをしませんか?」

 

宮本が提案をしてきた。

 

怜「賭けだぁ?ふざけんな!!」

 

怜がキレるが宮本は淡々と説明を始める。

 

宮本「幸いにも我々とあなた方のチームは決勝へ進んだ。勝った方が敗者に何でも言うことを命令できる権利が与えられると言うのはどうでしょうか?」

 

怜「ふざけんな!!話にならん!!」

 

祐一「意味がわかりません!そんな賭け成立するわけがないでしょう!」

 

藍原「それはどうかな?」

 

藍原がバーベキュー場の方を指差すと木陰に隠れる仲間が千歌ちゃんたちに今にも襲いかかるのではないかと感じさせるほど興奮して佇んでいる。

 

祐一「お、お前らぁ!!」

 

俺は怒りに身を任せ殴りかかろうとするが怜に止められた。

 

怜「わかった。その賭け乗ってやる。だから今何かするのはやめろ。」

 

宮本「ふふ、わかればいいんですよ。わかれば…ねっ?」

 

祐一「お、おい何言ってんだ怜!?」

 

怜「今はみんなの安全が最優先だ。」

 

俺は怜の言葉におし黙る。

 

祐一「わかった…。」

 

怜「それでお前らの条件はなんだ?」

 

宮本「我々の条件は彼女たちをいただくことです。もちろん美味しくいただかせていただきます。」

 

そう言った宮本は舌で唇をペロリと舐める。

 

祐一「クソが…。」

 

怜「耐えろ…祐一…俺もあいつらを殺したいほど憎んでる。」

 

今もなお気持ち悪い笑みを浮かべている宮本は今度はそちらの条件は?とたずねてきた。

 

祐一「俺たちからの条件…。」

 

怜「それは今後一切彼女たちに接触するのをやめろ。そして俺たちの目の前に二度と姿を現わすな。」

 

俺たちはキッと二人を睨みつける。

 

宮本「わかりました。その条件を飲みましょう。賭けは成立です。」

 

指をパチンと宮本が鳴らすと仲間たちは木陰から姿を消していった。

 

宮本「では当日楽しみにしていますよ。ふふっ。」

 

藍原「これでアイツらは俺のもの。へへへ。」

 

そう言って宮本と藍原はバーベキュー場へ戻っていた。

 

祐一「クソッ!!アイツらふざけたことを…!!」

 

怜「一旦戻ってこの事を先輩たちに伝えよう。あと、この事は千歌ちゃんたちには秘密にしておこう。」

 

祐一「そう…だな。返って不安にさせちゃうからな。全部終わったら話して二人で怒られようぜ…相棒。」

 

怜「そうだな…絶対勝つぞ…相棒。」

 

俺たちはお互い決意を固め誓い合う。

 

絶対に守ってみせる。

 

 

こうして最低最悪な賭けが始まってしまった。

 





ご愛読ありがとうございました!!

12月に入り今年も僅かですね。今年最後の一ヶ月楽しく過ごせればと思います!

ではまた次回!!


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Day29 決戦前

 すいません、手違いで少し直しました!よろしければご覧ください!


昨日先輩たちに話した結果みんな俺たちよりも怒っていた。俺たちは事の顛末を簡潔に説明して先輩方に協力をお願いする。先輩方は快く引き受けてくれてコテンパンに叩き潰すとまで言ってくれた。

 

それと今回のことは内密にと頼み俺たちは休むことにした。

 

しかし俺と怜は眠ることはできなかった。不安と怒りが混ざり合いなんとも言えない気持ちが胸に残り、俺たちはその気持ちを払拭するために散歩へ出かけた。

 

宿舎の中を歩いて外へ向かおうとすると千歌ちゃんたちが目の前から歩いてきたので声をかける。

 

祐一「おーい千歌ちゃん。こんな時間にどうしたの?」

 

千歌「あっ祐一くん!折角沖縄来たんだし散歩でもしようかなって思って!」

 

祐一「そっか…。なら俺たちも一緒に行ってもいいかな?」

 

千歌「もちろん!二人もいいでしょ?」

 

千歌ちゃんが梨子ちゃんと曜ちゃんに聞くと二人も笑顔で頷いた。

 

そこから俺たちは一緒に宿舎を出て散歩へ向かった。

 

梨子「そう言えば二人はなんで散歩に?」

 

散歩をしていると梨子ちゃんから不意に質問され俺は一瞬戸惑った。

 

祐一「ええっと…。」

 

怜「俺たちは今日の反省と明後日の試合について話そうと思ってね!部屋でダラダラやるよりも外で歩きながらやろうとしてたんだよ!そしたら偶然3人と会ったって感じかな?」

 

怜は俺の代わりに説明してくれた。

 

祐一「そ、そうそう!」

 

俺も相槌を打ち怜の言葉に同調する。

 

梨子「そうなんだ!二人とも熱心ね!明後日も全力で応援するわ!!」

 

曜「明後日も勝って優勝しようね!まぁ二人と先輩たちがいるから私は絶対勝つと思ってるけどね!!」

 

千歌「うん!!でも無理しないで頑張ってね!」

 

 

三人は笑顔で俺たちの勝利を願っていた。それ故に俺たちの中には強い罪悪感が生まれた。勝手に決めてしまった賭け。負ければこの子達はアイツらに取られるどころか何をされるか分からない。

 

 

そんな遣る瀬無い感情が俺たちを支配する。

 

 

祐一「さぁ、もうかなり遅いしそろそろ宿舎に戻ろうか?」

 

俺はみんなにそう促す。

 

曜「そうだね。そろそろ帰ろっか!」

 

梨子「そうね。明日も早く起きなきゃいけないし。」

 

千歌「じゃ、帰ろっか!」

 

みんな納得してくれて俺たちは宿舎へ向かって歩き出した。

 

すると千歌ちゃんが俺の側へやってきて小さく呟いた。

 

千歌「祐一くん…何かあったの…?」

 

俺はその言葉にドキッとする。

 

祐一「い、いや何もないよ…。どうしてかな?」

 

俺は逆に質問を返す。質問に質問で返すのはどうかと思うが、俺の思考は完全に止まっていた。

 

千歌「なんかいつもと様子が違うし変な感じがしたんだよね?チカにも言えない事なのかな…?」

 

さらっと千歌ちゃんは言い、俺の雰囲気から察したようで俺は自分の性格を呪った。わかりやすい性格だとは言われ続けたから自覚してたつもりだったけど隠し事は本当に苦手だ。

 

祐一「そっか…。まぁ、今日は疲れちゃったしそれが原因かもしれない。何も悩んでないから大丈夫だよ?」

 

俺はなおも嘘を突き通した。心苦しいが今はそれしか俺にはできない。

 

千歌「…。そっか、それなら納得だよ!」

 

一瞬の間を開けて千歌ちゃんは笑顔で返してくれた。どうやら納得してくれたみたいだ。俺はホッと胸を撫で下ろし千歌ちゃんに伝える。

 

祐一「もし…もしだよ?俺が本当に悩んで苦しんでたら助けてね…?」

 

俺は力無く笑いながら千歌ちゃんに問う。

 

千歌「もちろん!!チカは祐一くんの味方だし、これから先も信じてるから絶対力になるからね!!」

 

千歌ちゃんは笑顔を見せて俺に力強く返事してくれた。

 

祐一「ありがとう…。頼むね。」

 

俺は千歌ちゃんの頭を優しく撫でる。気持ち良さそうに表情を綻ばせる千歌ちゃんを見て俺は心に誓った。

 

 

この笑顔は誰にも汚させない…。こんなにも純粋に好意を表してくれていて優しい笑顔は俺がきっと守ってみせる。

 

そして俺たちは千歌ちゃんたちを部屋まで送り届け、二人で外へ出て練習をして夜を明かした。

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

翌々日の朝を迎え俺と怜は早めに起きて準備を整える。

 

祐一「とうとう来たか…。」

 

俺はポツリと呟く。その呟きは怜に聞こえていて反応してきた。

 

怜「ああ…。今日は絶対に負けられねぇ…。」

 

祐一「そうだな…。今回は無茶も厭わない。例え俺の肩がぶっ壊れてもいい。それくらいの覚悟で臨むつもりだ。」

 

怜「俺もだ。死んでも勝つぞ。」

 

祐一「あぁ。当たり前だ。」

 

俺と怜は軽く拳を合わせ誓い合う。大切な人たちを守るために。

 

怜「今日はお前も投げるのか?」

 

祐一「最悪の事態が起きなければ俺はバッターに専念したいけど、いざとなったら投げる。だからもしそんなことになったら怜が点を取ってくれ。」

 

怜「任せろ。俺はお前の女房役だ。何点でも取ってやる。」

 

祐一「頼むぜ、相棒。」

 

怜「任せろ、相棒。」

 

俺たちは準備を整え部屋を後にした。

 

 

ロビーに着くとすでに忍さんや他の先輩たちが来ていた。

 

忍「おはよう。よく眠れたか?」

 

祐一「はい。コンディションはバッチリです。」

 

忍「そうか。祐一、怜。今日はきっとお前たち頼りの試合になるかもしれない。相手もかなり強いからな。特に祐一。お前にはピッチャーをやってもらう事になると思う。俺も限界まで投げ抜く。だから俺がダメになったら頼む。」

 

忍さんからそう言われ俺と怜は更に気を引き締めた。

 

怜「俺も命がけで戦います。今回は絶対に負けるわけには行かないですから。」

 

祐一「俺もです。例え体が壊れたとしても戦い抜きます。」

 

すると先輩方も俺たちに同調してくれた。

 

「俺たちも忘れるなよ!」

「俺たちも命がけで戦う!」

「お前らだけには責任を持たせない。」

「絶対勝とうぜ!」

「俺たちの可愛い後輩たちを苦しめたんだ。」

「ただじゃ済まさないぜ。」

 

こんなに頼もしい先輩たちはいない。俺と怜は心の底から先輩たちに感謝した。

 

忍「みんな…。今日は多分このサークルで一番の正念場だ。絶対に勝つぞ!!」

 

全員「「「「「「「「おぉ!!」」」」」」」」

 

俺たちは決意を固め奮闘することを誓った。

 

忍「そろそろ女性陣も来るだろうから準備進めるか。車に荷物を積み込もう。」

 

俺たちは荷物を積み込み千歌ちゃんたちを待つ。しばらくして千歌ちゃんたちが来たため俺たちは車に乗り球場へ向かった。

 

車の中で俺は集中力を高めるため静かに過ごす。怜が運転をしてくれているので俺は助手席で静かに目を瞑る。

 

すると、千歌ちゃんが口を開いた。

 

千歌「ねぇ二人とも。何だか先輩たちもなんだけど…。ピリピリしてない?」

 

俺と怜は顔を見合わせる。怜が口を開き答える。

 

怜「優勝がかかった試合だからね。しょうがないよ。」

 

祐一「そうだね。」

 

俺と怜が淡白に答える。

 

梨子「ふ、二人も何だか様子がおかしいわよ…?」

 

曜「そうだね…。なんか、怖い…。」

 

祐一「怖い…か。俺らも怖いよ…。」

 

俺は静かに呟く。静かな車内ではその呟きも聞こえたのだろう千歌ちゃんが聞いてきた。

 

千歌「どうしたの?やっぱりおかしいよ!?絶対何か隠してるでしょ!?」

 

祐一「何も無いよ。」

 

俺は静かに答える。

 

千歌「で、でも!?」

 

祐一「何も無いって言ってるんだよ!!!」

 

俺は怒鳴り声が出てしまった。それと同時に。

 

怜「やめろ!!!」

 

怜が俺に向かって一喝してきた。

 

俺は怜の怒鳴り声で頭が冷え激しく後悔した。

 

祐一「悪い…。千歌ちゃんいきなり怒鳴って…ごめん。」

 

千歌「う、ううん…。チカもごめんね…。」

 

違う。千歌ちゃんは悪くない。悪いのは全部俺だ。心に余裕がなくて八つ当たりをした。

 

 

 

馬鹿野郎。

 

 

 

自分のことしか考えられない自己中心的な野郎。我ながらこんなにも余裕が無いことに驚きを隠せない。弱い人間だ。

 

怜「三人ともごめん…。俺らも緊張してるからそっとしておいてもらってもいい?」

 

怜は俺の代わりに三人に謝罪して頼み込む。

 

梨子「こっちこそごめん…。」

 

曜「ごめんね…。」

 

より一層空気が悪くなり俺は黙り込む。それからは一言も会話が無く、車での移動時間がとても長く感じた。

 

数十分経ち俺たちは球場へ着いた。永遠に感じられた空間から脱出したにも関わらず俺の気分は一向に変わらない。

 

荷物を降ろし各自アップをしていると怜に呼び出され俺たちは木陰へやってきた。

 

 

怜は木の下に腰掛け俺は気に寄りかかる形で立つ。

 

先に俺は口を開き怜に謝罪した。

 

祐一「さっきは…悪かった。ごめん…。」

 

怜「気にすんな。でも、千歌ちゃんたちには勝った後二人で改めて謝ろうぜ。なっ?」

 

祐一「そうだな…。自分でも余裕が無くてびっくりしてるよ。」

 

怜「俺もだ…。今もアイツらのことを思い出すだけで…。」

 

怜はそう言って自分の拳を強く握る。

 

すると、

 

運命とは残酷だ。今俺たちが最も憎んでいる奴らがこっちに向かって歩み寄ってきた。

 

宮本「おやおや。誰かと思えば沖田さんと相田さんでは無いですか?ご機嫌麗しゅうございます。」

 

藍原「ヒャヒャッ。アイツらはちゃんといるんだろうな?早くよこせよ!!」

 

開口一番これとは本当にゲスだ。

 

怜「今はお前らのこと相手にしてる暇は無いんだよ…。失せろ。」

 

語気を強め二人との会話を拒む。しかし奴らは話を続ける。

 

宮本「おやおや?随分野蛮ですね。負けるのが怖いからって私たちにあたるのはやめてください。私たちはですね。昨日はあなた方のマネージャーたちをどうやって遊ぼうか考えて夜も眠れなかったんですよ。私はあの赤髪の子をどうやって可愛がってあげようか考えていましてね。ふふ…。」

 

気持ち悪い笑みを浮かべ梨子ちゃんのことを言う宮本に怜は激昂した。

 

怜「てめー!!ふざけんじゃねえ!!」

 

勢いよく立ち上がり宮本に詰め寄ろうとする怜を俺は止める。

 

祐一「よせ。アイツらの思うツボだ。」

 

怜「ぐっ…。」

 

なんとか怜は止まってくれた。

 

藍原「俺はあのオレンジ髪とグレー髪の女をグチャグチャにしてやるよ。へへ…。」

 

藍原も気持ちの悪い笑みを浮かべ俺たちを挑発してくる。

 

怜「千歌ちゃんと曜ちゃんのことまで…。マジで許せない!!このクソ野郎どもが!!」

 

怜は再び詰め寄ろうとするが、

 

 

 

 

祐一「やめろ。」

俺の言葉で体を止めた。いや止めざるを得なかった。

 

この時の俺はプールの時に千歌ちゃんを叩いた不良に向けていた冷酷な視線を持ちながらも冷静だった。

 

 

怜「ゆう…いち…?」

 

怜は震える声で尋ねてきた。言わんとしていることはわかる。だから俺はあくまで冷静に答えた。

 

祐一「安心しろ。落ち着いている。コイツらに構ってる時間は無い。さっさとアップして戻ろう。」

 

怜「そうだな。わかった。」

 

俺は目を見開いたまま瞬きをせずに立ちすくんでいる藍原の横を通り過ぎて小声で呟く。

 

 

 

祐一「覚悟しろよ。」

 

 

 

そう呟き俺はみんなの場所へ戻っていった。

 

藍原「な、なんなんだアイツは!?」

 

藍原は自分へ向けられた言葉に狼狽わめく。そして怜も歩き始め宮本と藍原に向かって伝える。

 

怜「お前らは本気で俺たちを怒らせた。覚悟しとけ。」

 

そう言った怜も俺の後を追いかけて走り去る。

 

藍原「クソ、クソッ!?」

 

宮本「落ち着いて下さい。あんなのただの強がりです。気にすることありませんよ。」

 

藍原「でもよ!?」

 

宮本「私には考えがあります。私に任せなさい。フフフッ…。」

 

不敵な笑みを浮かべる宮本に藍原までもが恐怖していた。

 

藍原「お。おう…。」

 

宮本「フフフッ…。見ていなさい。あのマネージャーたちは全部私のモ・ノ…♪」

 

藍原にも聞こえないほど小さく呟き気持ち悪すぎる表情をしていた事を俺たちは知らない。

 

 

こうして最低最悪な決戦は始まろうとしていた。

 



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Day30 勝負

お待たせいたしました!って言っても誰も待ってないっすね笑
自己満で執筆しております!長い期間開けて申し訳ないです!

もう忘れたよって方は前話をご覧ください!

それでは本編どうぞ!


俺たちはベンチへ入り準備を整える。その際も一言も言葉を発することなく空気が重苦しかった。俺自身も何一つ言葉を発する事なく準備を進めていた。

 

自分が大好きな野球が今回は賭け事として使われている。その賭けの内容が千歌ちゃんたち。腹が立たないわけがない。そんな中俺の側に千歌ちゃんが近づいてくる。

 

千歌「あ、あの…祐一…くん。」

 

祐一「どうしたの?」

 

恐る恐る俺に話しかけてきた千歌ちゃん。

 

千歌「さっきは…ごめん…ね、祐一くんたち集中してるのに邪魔しちゃって…。」

 

祐一「そんな事ないよ。俺の方こそいきなり怒鳴ってごめん…。俺たちのこと心配して言ってくれたのに…酷いことしちゃって…。」

 

俺は千歌ちゃんを抱きしめて伝える。

 

祐一「絶対…守るからね…。」

 

俺に抱きつかれた千歌ちゃんはハテナマークを浮かべているが今はそれでいい。この試合が終わって、アイツらに勝って正直に謝ろう。きっと怒られるけど千歌ちゃんたちを守れるならなんだって受け入れる。

 

祐一「じゃあ…行ってくるね。」

 

千歌「うん!頑張ってね!!」

 

俺はベンチ前に並び構える。スタメンも一昨日と変わらず。

 

一番センター秋山さん

二番セカンド山田さん

三番ファースト俺

四番ライト鈴木さん

五番サード松田さん

六番レフト吉田さん

七番ショート坂本さん

八番ピッチャー忍さん

九番キャッチャー怜

 

今回もこのオーダーで戦い抜く。

 

審判の合図で集合し俺たちは対面する。憎いほど爽やかな笑みを浮かべている宮本と藍原を俺たちは睨みつける。

 

キャプテンが握手を交わし俺たちは守備につく。今回も後攻でマウンドには忍さんが向かう。

 

祐一「忍さんまずは一人目。きっちり抑えましょう!!」

 

俺の掛け声にみんな反応して声を出す。忍さんは俺の方を向いて頷き構える。主審の合図で試合が始まった。

 

忍さんはおおきく振りかぶって第1球目、渾身のストレートをど真ん中に投げ込んだ。ドンという音と共に怜のミットに収まる。電光掲示板に球速が映し出される。

 

 

145キロ

 

 

かなり速い。今日の忍さんは調子がいい。これならそうそうは打たれないだろう。俺は忍さんに声をかけ鼓舞する。

 

この回は忍さんは三人でピシャリと締めた。

 

忍「しゃああああ!!!」

 

祐一「ナイスピッチ、忍さん!!」

 

怜「ナイスボール!!」

 

ベンチに帰り俺たちは円陣を組む。

 

忍「初回三人で締めた。先制点入れて、これ以降もしっかり抑えて絶対勝つぞ、お前ら!!」

 

全員「「「「「「「「おぉ!!!」」」」」」」」

 

円陣を終えて俺はピッチャーを見る。相手のピッチャーは藍原。キャッチャーが宮本だったので俺は嫌な予感がした。だから秋山さんと山田さんに呼びかけをした。二人とも俺の助言を聞いてくれて打席へ向かった。

 

そして俺は藍原の一球目を見てより一層気を引き締めた。忍さんよりも球速が出ていたのだ。かなり速い。

 

忍「なっ!?」

 

怜「はえーな…。」

 

祐一「あぁ…。だけど打てない球じゃない。絶対打ち崩すぞ。」

 

怜「おう。」

 

しかし秋山さんは差し込まれてファーストゴロ、続く山田さんも食らいつくが三振に終わった。

 

「祐一すまない…。ノビがあるから気をつけろ。」

 

祐一「わかりました。任せてください。」

 

俺は打席へ向かって歩きだす。打席に入ると宮本が話しかけてきた。

 

宮本「どうですか藍原の球は、速いでしょう?」

 

祐一「あぁ確かに速いな。だが、打たせてもらう。」

 

宮本「ふふっ…。それはそれは。」

 

そう言って言葉を濁す宮本を無視して集中する。藍原が振りかぶり投げ込まれた球は俺の顔面付近に投げ込まれ思わず仰け反った。

 

祐一「くっ…。」

 

宮本「おやおや。すみません、コントロールが悪いもので許して頂きたい。」

 

コイツら…わざとやりやがったな。藍原の方を向くとニヤニヤした顔をして謝る雰囲気もない。

 

俺は宮本の言葉を無視して構え直す。

 

次に変化球を投げ込まれ俺は見逃す。

 

主審「ストライク!!」

 

一息つき再び構える。今度はど真ん中にストレートを投げ込まれ見逃しストライク。

 

宮本「ほらほら追い込まれましたよ?どうするんですか?」

 

祐一「うるさい。」

 

そのあと投げ込まれた変化球に泳がされ俺はサードゴロに打ち取られこの回は終わった。

 

祐一「クソッ!!」

 

俺は空を仰ぎ大きな声を出す。ベンチに戻ろうとすると千歌ちゃんが俺のグローブを持ってきてくれた。

 

千歌「祐一くんグローブと帽子持ってきたよ!」

 

祐一「ありがとう。」

 

俺はヘルメットを脱いで千歌ちゃんから帽子とグローブを貰う。

 

千歌「ヘルメット貰うね!切り替えて頑張ろう!!」

 

祐一「ああ!!次は打つ!!」

 

俺は千歌ちゃんにヘルメット渡して守備位置につく。その回以降両チーム共投手戦になるかと思ったが6回の相手の攻撃で忍さんが捕まり始めた。失点こそしなかったもののそろそろなのかもしれない。

 

忍「すまない…。そろそろかもしれん。祐一いつでも行けるようにしておいてくれ。」

 

祐一「俺はいつでも行けます!忍さんも無理しないで下さい!」

 

忍「ああ。せめて打席では貢献しなきゃな…。」

 

そう言って忍さんは打席へ向かった。

 

その時、

 

 

 

 

 

 

悲劇は起こった。

 

 

忍「ぐっ…。」

 

忍さんの右肘にボールが当たった。忍さんはその場にうずくまり立ち上がることが出来ないでいる。

 

怜「忍さん!?」

 

ネクストサークルにいた怜が駆け寄る。怜が忍さんを抱えベンチへ戻ってくる。審判は臨時代走を認め忍さんの前のバッターである坂本さんが一塁ランナーとして出る。

 

怜は忍さんをベンチへ連れ帰ってきた時、怒りの表情でいっぱいだった。

 

祐一「忍さん大丈夫ですか!?」

 

忍「あぁ…大丈夫だ。ちょっと休めば痛みも引くはずだ。」

 

冷や汗を垂らしながら語る忍さんの肘にゆめさんが氷を入れた袋を当てる。

 

ゆめ「あとちょっとなんだから気張りなさい!!」

 

ゆめさんが激励を飛ばし忍さんを鼓舞する。

 

忍「だな。代表として情けない面はできないってもんだ。」

 

忍「祐一、本当に厳しくなったら言うから頼むぞ。」

 

忍さんは俺に強く見つめてきた。俺は無言で頷く。

 

残念ながらこの回も点を取れずに終わってしまった。三振をして帰ってきた怜はヘルメットを地面に投げつけ悔しがっていた。

 

そして迎えた七回の守り。とうとう失点を許してしまった。マウンドでうなだれる忍さんそして俯く怜を尻目に相手ベンチは盛り上がっている。

 

忍さんは顔を上げて俺の方を見つめてきた。俺はその合図を受け取り一塁審判にタイムを要求する。

 

祐一「すいませんタイムお願いします。」

 

審判「ターイム!!」

 

その瞬間内野手全員がマウンドに駆け寄る。

 

忍「すまない…。俺はここまでみたいだ。」

 

祐一「何言ってるんですか!!忍さんのピッチングがあったからここまで来たんです!そんなこと言わないで下さい!」

 

怜「そうですよ!!あのデッドボールが無ければまだまだ球は走ってたんですから!」

 

「後は任せろ。」

「お前は外野で休んでろ。」

「俺たちが点とってお前を勝利投手にしてやるよ!」

 

忍「お前ら…。わかった!後は頼む!」

 

忍さんは俺のグローブにボールを力強く押し込んでくれた。

 

祐一「任せてください!俺が全力で抑えます!!」

 

主審にポジション変更を伝え俺はマウンドで佇む。

 

この空気、グラウンドの中で一つだけ浮き上がった場所。

 

帰ってこれた…。

 

俺は息を思いっきり吸い込み正面の怜を見据える。

 

投球練習で肩の調子を測り投球練習を終える。そして怜がマウンドへ来て状況を確認する。

 

怜「今はアウト一つと一塁と二塁にランナー。少し厳しい状況だ。もう追加点は与えられない。試合が決まっちまうからな。」

 

心配そうに言ってくる怜に俺は笑いながら伝えた。

 

祐一「心配すんな!久し振りの沖相コンビだろ?条件は最悪だけどまたお前とバッテリー組めて俺は嬉しい。お前のミットめがけて全力で投げ込む。頼むぜ、相棒?」

 

怜は目を丸くした後笑みをこぼし

 

怜「そうだな…。俺たちの力見せつけてやろうぜ、相棒?」

 

怜はグローブで俺の胸を叩き戻っていった。俺は空を仰ぎ心を落ち着かせる。

 

そして、怜のミット見据えた。

 

サインはストレートをど真中。俺はニヤリと笑う。

 

祐一「うおおぉぉぉおおお!!!!」

 

振りかぶり渾身のストレートを投げ込んだ。

 

ドゴンッ!!!

 

豪快な音が球場に響き渡った。

 

ざわつく相手ベンチ、俺は振り返り電光掲示板に表示された球速を確認する。

 

 

 

155キロ

 

 

 

かなりの速さだった。球の回転もよく音が聞こえるほどだった。幸い肩の調子も悪くない、痛みも感じない。これなら最後まで投げきれる。

 

俺は次々と怜のミットに投げ込み相手バッターを打ち取っていく。そしてピンチをしのぎ俺はガッツポーズをした。

 

祐一「っし!!」

 

怜「祐一ナイスボール!!」

 

ベンチに帰りながら俺の肩を叩き怜が言ってくる。先輩たちも俺の背中をグローブで叩いて俺を激励してくれた。

 

忍「ナイスピッチ!!このピンチをしのげたのは祐一のおかげだ!ありがとう。絶対点取るからな!」

 

祐一「はい!お願いします!ここからはもう点はやりません!」

 

この回俺に打席が回ってくるため俺はグローブを置き準備する。すると千歌ちゃんが心配そうな声で尋ねてきた。

 

千歌「祐一くん肩は大丈夫…?」

 

祐一「うん!大丈夫だよ。心配しないで。」

 

俺は千歌ちゃんの頭を撫でる。微かだが俺の撫でる手は震えていた。負けるのが怖くて震えているのではない。

 

これが今の俺の限界。

 

強がって見せているが、一度は壊れている肩。俺の方は現役と比べ物にならないほど脆くなっている。故に限界も近い。

 

俺はすぐに千歌ちゃんの頭から手を離し準備を進める。すると今度は怜が俺に話しかけてきた。

 

怜「祐一打席ではバット振らなくていいからな?俺に任せろ。」

 

怜は真剣な眼差しで俺に伝えてきた。

 

祐一「わかった…。頼むぜ?」

 

怜「あぁ…。お前の表情見てたらわかるさ。肩痛いんだろ?」

 

祐一「ハハ、お前に隠し事はできないな…。立った数球しか投げてないのにもう震えてやがる。ザマァねぇよ。」

 

俺は呆れ笑いをこぼす。

 

怜「伊達にお前とバッテリー組んでねぇよ。雰囲気でわかるさ。無理はすんなよ?」

 

祐一「あぁ…点取るのはみんなに任せる。俺は粘ってフォアボール狙ってみるわ。」

 

そう言いながら俺は打席へ向かう。秋山さんが出塁してくれ、山田さんが送りバントを決めてくれたおかげでチャンス。ただ突っ立っているわけにはいかない。

 

バットを構える。

だが、肩が…重い。

 

息が詰まるくらい辛い。呼吸が荒くなりバットを構えているが、バットを振るのは難しいかもしれない。

 

俺がそんなことを思いながら打席に立っているとベンチから声が聞こえた。

 

曜「祐一くん打てー!!」

 

梨子「頑張ってー!!」

 

ゆめ「男みせろー!!」

 

千歌「楽しんでいこう!!」

 

澄み切った声が聞こえて俺は不思議と肩が少しだけ軽くなるのを感じた。

 

最後の千歌ちゃんの言葉に俺は思い出した。今日の試合、俺は絶対負けない負けられないと考えるばかりで野球を楽しむという感覚を忘れていた。

 

俺はその感覚を思い出し構えを楽な形に構える。

 

次々と投げ込まれてくる球を落ち着いて見極め際どいところだけカットしてなんとかフォアボールを選ぶことができた。

 

祐一「よし!!」

 

俺はバットをベンチの方に投げ一塁に向かって歩きだす。

 

怜「いいぞ、祐一!!」

 

怜の言葉を始めとしてベンチから俺へ向けた言葉が投げかけられる。

 

俺はそれをガッツポーズで返しランナーとして集中する。

 

祐一「鈴木さん一発お願いします!!」

 

そして四番の鈴木さんに声をかける。鈴木さんは強く頷き俺に返事してくれた。

 

その初球鈴木さんは大きなフライをライトに打った。タッチアップには十分な飛距離。セカンドランナーの秋山さんはタッチアップの用意を整え、ライトが取った瞬間セカンドベースを蹴りサードへ向かって走る。

 

秋山さんは自慢の快速を飛ばし見事サードに進塁した。俺は変わらずファーストベースにいるが、秋山さんがサードに進塁した時にはすでにセカンドベースにボールがあったため進塁することはできなかった。

 

鈴木さんのおかげでツーアウト、一塁、三塁のチャンスを迎えた。

 

今日1番のチャンスにベンチは盛り上がりを見せる。

 

忍「松田頼むぞー!!」

 

怜「一本お願いします!!」

 

ゆめ「せーの!!」

 

ゆめさんの掛け声に全員大きく息を吸い込み。

 

全員「「「「「「「「「「「ねっけーつ!!!」」」」」」」」」」」

 

「バーニング!!!!!」

 

大きい声が球場に響き渡った。松田さんは熱血漢、チャンスでは期待以上のバッティングで答える。その為俺たちはチャンスで松田さんに回ってくると必ずこの掛け声をする。

 

そして藍原が振りかぶって投げた球を松田さんはフルスイングで打ち返した。鋭い打球がレフト線へ打たれベンチが盛り上がる。

 

秋山さんは悠々と生還。俺はセカンドベースで止まり落ち着いた走塁をする。

 

祐一「松田さんナイバッチ!!」

 

松田さんは豪快に笑いながら俺にガッツポーズをしてきた。これで同点。あわよくば逆転もあり得る。

 

しかしここでピッチャー交代。ピッチャーは宮本。

 

藍原「クソがっ!!」

藍原が地面を蹴り悔しそうな表情を浮かべる。

 

そんな藍原の肩を叩き宮本がピッチャー、藍原がキャッチャーに入れ替わる。

 

ピッチャーが宮本に変わり次のバッターである吉田さんは三振に終わった。だが、この回同点にできたのは大きい。

 

残り二回この間におそらく勝負は決まる。もう一度気合を入れて俺たちは八回の守備につくのであった。

 




ご愛読ありがとうございます!!

誤字めっちゃしてるかもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです!


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Day31 決着

連続投稿です!!




Side千歌

 

みんなが守備につきにいった後、私は小さく呟く。

 

千歌「祐一くん…大丈夫かな…。」

 

曜「さっきベンチに帰ってきた時も辛そうだったもんね…。」

 

梨子「心配よね…。」

 

私たちは心配そうに祐一くんが投げている姿を見ているとゆめさんが私たちに行ってきた。

 

ゆめ「祐一も男の子よ?女は黙って男の頑張ってる姿をみて勝利を願うだけ…。それが私たちにできることよ。」

 

千歌「そう…ですね。」

 

私は何もできない自分がもどかしいけどゆめさんの言葉には納得がいった。私たちはグラウンドでプレーしてるわけじゃない。だから私たちはただ勝利を願うだけ。それ以上でもそれ以下でもない。

 

曜「みんなが最高の状態でプレーできるように私たちにできるのは応援だけ。」

 

梨子「だったら私たちがしっかり応援しないとね!」

 

ゆめ「そういうこと♪男は度胸、女は愛嬌よ!」

 

ゆめさんはウインクして私たちを見てくる。

 

千歌「今できるのは精一杯の応援。今できる最高の応援をみんなに届けよう!」

 

曜・梨子「「うん!!」」

 

私たちはさっきよりも大きい声で応援をし始めた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

Side祐一

 

さっきよりも少しだけ肩が軽くなった。さっきよりもひときわ大きい声援がベンチから聞こえる。俺はその声援を力に投げ込む。

 

一人目を抑える、だが二人目のバッターに俺はセンター前ヒットを許してしまう。

 

祐一「くそっ…。」

 

周りから大丈夫という声が聞こえる。俺はその言葉に反応して次のバッターに再び集中する。

 

俺が怜のミットに投げ込もうとした瞬間、

 

「走ったー!!」

 

ファーストを守っている鈴木さんからその言葉が発せられて俺は

 

しまった!?

 

と思ったが投球モーションに入ってしまっているので動きを止めることができない。咄嗟に俺はストライクゾーンからボール球になるように投げ込む。

 

だが、相手のバッターはそのボールを振ってきた。エンドランだ。相手バッターもかろうじて当てて前にボールを転がす。ピッチャー前に来たボールを処理してセカンドを見るが間に合わない。俺はファーストに送球してアウトを確実に取った。

 

ツーアウト、二塁。得点圏にランナーを進めてしまった。タイムをとった怜がマウンドに寄ってくる。

 

怜「すまん…。全く警戒してなかった。」

 

祐一「気にすんな。俺も全然警戒してなかったし、次のバッターを切ろう!!」

 

怜「そうだな!!バッター集中で行くぞ!」

 

俺たちは確認し合い怜が戻ってミットを構える。主審のプレイの合図に俺は怜のミットに投げ込む。しかし…。

 

カキーン

 

甘く入ったストレートを相手バッターはセンター前に弾き返した。

 

勢いよくスタートを切っていたランナーは迷わずにホームへ突っ込んでくる。

 

祐一・怜「「バックホーム!!!!」」

 

センターの秋山さんの守備速度も早かったが、それよりも相手ランナーの方が早く失点を許してしまった。

 

打ったバッターはなんとかファーストで止めることができたが、正直この失点は致命傷になるかも知れない。

 

怜はタイムを取り内野全員が集まる。

 

祐一「すいません…。俺のせいで…。」

 

俺は唇を噛み俯きながらみんなに謝罪すると、

みんなの反応は俺を咎めるものでは無かった。

 

「気にすんな!絶対点取ってやるから後一人きっちり抑えよう!」

 

祐一「坂本さん…。」

 

「そうだぞ!俺たちが体張ってどんな打球でも止めてやる!」

 

祐一「松田さん…。」

 

「だから、安心して投げろ!!」

 

祐一「山田さん…。」

 

「それに頼もしいバッターがこの後控えてるだろ?」

 

祐一「鈴木さん…。」

 

俺は視線を鈴木さんが見る方へ移す。そこには何年もバッテリーを組んでお互いのことはなんでもわかる。俺の女房役の怜が立っていた。

 

怜「祐一、まだ試合は終わってない。それに一人で野球をするな。お前の後ろにはこんな頼もしい仲間がついてるんだ、一人で頑張ろうとするな。」

 

俺は怜の言葉に外野の先輩たちを見る。

 

先輩たちは笑いながら俺に向かって、

 

忍「祐一、気にするなー!!絶対点取ってやるからなー!!」

 

「次は絶対にランナー返さないから思いっきり投げろー!!」

 

「まだ試合は終わってない!!諦めないで行くぞー!!」

 

忍さん、秋山さん、吉田さん…。

 

俺はなんで周りを見渡さなかったのだろう。こんなにも頼もしい先輩たちを知っていたはずなのに…。俺は自分の頬を両手ではたいた。

 

怜「目、覚めたか?」

 

祐一「あぁ…。ああ!!俺にはみんながいる!まだやれる!」

 

俺はみんなの顔を見渡し告げる。

 

祐一「すみません。打たれたら頼みます!!」

 

「「「「「「「任せろ!!」」」」」」」

 

最後に俺はベンチを見る。心配そうに俺を見つめている千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃん。その中でゆめさんは大きな声で俺に激励の言葉を飛ばしてきた。

 

ゆめ「祐一!!男なら投げ勝てー!!」

 

俺は静かに笑いベンチに拳を向ける。ゆめさんも笑いながら拳を俺に向かって突き出した。それを見た千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃんも同様に俺に向かって拳を突き出してきた。俺は思わず笑ってしまう。

 

怜「なっ?お前だけじゃない。みんな勝ちたいんだ。だからこの回、後一人気張って抑えるぞ!!」

 

祐一「おう!!」

 

俺の掛け声にみんな反応して守備位置へ戻っていった。

 

俺の後ろには頼もしい仲間がいる。俺は安心して怜のミットへ投げ込んだ。初球ストライク。

 

怜「ナイスボール!!球走ってるぞ!」

 

「いいぞ!!」

 

「ドンドン行ったれ!!」

 

俺はその言葉に頷きながら次の球を投げる。その球は弾き返されサード線を抜けようとしていた。

 

「うぉおおおお!!!」

 

松田さんが飛びつきキャッチしてすぐに体制を立て直してファーストに送球する。結果はアウト。俺はなんとか抑えてホッと息を吐き松田さんに向かって言葉を発する。

 

祐一「ナイスプレー!!助かりました!!」

 

「気にすんな!!」

 

松田さんは俺の背中を叩きそう返してくれた。

 

ゆめ「祐一よくやった!!ナイスピッチ!!松田もナイスプレー!!」

 

曜「祐一くんナイスピッチ!!切り替えていこ!!」

 

梨子「まだまだ試合は終わってないわ!!」

 

みんなから励まされ俺は気合を入れなおす。

 

千歌「祐一くん、はい!飲み物飲んで休んでな!」

 

千歌ちゃんから飲み物を渡してくれて俺はその飲み物を飲み干す。

 

祐一「ありがとう、千歌ちゃん!!元気でた!!」

 

千歌「うん!!最後まで頑張って!!」

 

祐一「うん、頑張る!!坂本さん、忍さん、怜!」

 

三人が俺の方を振り向く。

 

祐一「必ず点を取ってください…。一点取ってくれれば、最後全身全霊で投げて抑えます!!」

 

「任せろ!!」

 

忍「おう。楽に投げさせてやるからな。」

 

怜「女房役としてお前のために必ず点を取ってくる。」

 

俺たちは拳を合わせた。これは単なる約束に過ぎない。だが、確かな信頼がそこにはあった。

 

坂本さんは初球レフト前にヒットを放った。その時点で俺は確信した。この回必ず点は入る。次の忍さんがバントを決めてくれて得点のチャンスで怜に打席が回ってきた。

 

祐一「怜!!頼むぞ!!」

 

千歌「怜くん頑張れー!!」

 

曜「打てるよー!!」

 

梨子「お願い…。」

 

祈るような思いで俺たちは怜の打席を見つめる。ベンチからでもわかる怜の集中している姿に俺もこいつの仲間でよかったと思うほど今の怜は強打者の雰囲気を醸し出していた。

 

追い込まれるものの怜は一向に取り乱さない。そして甘めにきたインハイのボールを怜は豪快なスイングをして弾き返した。怜はその打球を見ずにバットを投げ一塁ベースへ向かって歩きはじめる。

 

レフトへの大飛球を追ってレフトはゆっくりゆっくり後ろへ下がる。下がり続けたレフトは何かにぶつかり後ろを見る。レフトがぶつかったのは壁だった。

 

 

すなわち…。

 

 

その瞬間怜は右手を高々と上げて握りこぶしを掲げる。

 

そう、怜が打った打球はレフトスタンドへと吸い込まれ場外へ消えていった。

 

その光景を目の当たりにしたベンチから大歓声が上がった。

 

怜はゆっくりとホームベースを踏みベンチへ帰ってくる際。

 

怜「わり、美味しいとこ持って行ったわ♪」

と舌を出して笑いながら帰ってきた。

 

祐一「ったく…。カッコよすぎ…。」

 

俺は怜と静かに拳を合わせた。

 

千歌「怜くんすごーい!!逆転だよ、逆転!!」

 

曜「かっこよかったであります!!」

 

梨子「怜くん…怜くん。」

 

梨子ちゃんが涙を流しながら怜のホームランを噛みしめている。

 

怜のホームランのお陰で2対3になり俺たちは逆転した。この回の攻撃は結局怜のホームランの二点のみ。だけど、逆転してくれた。それだけで十分だ。

 

何も恐れる必要はない。この回を締めて勝利を掴み取る。怜が逆転してくれたチャンス無駄にしない。

 

俺は静かにマウンドへ向かう。相変わらず肩は重く怠い。呼吸もし辛くボーッとしてきた。

 

怜「祐一最後だけど行けるか?」

 

怜は心配そうに聞いてくるが俺の答えは当然、

祐一「当たり前だろ…?お前が作ってくれたチャンス無駄にしたくない。この回で決めるぞ。」

 

俺は怜に静かに宣言した。

 

怜「わかった。これで最後だ、踏ん張れよ。」

 

俺の胸をグローブで叩き怜は戻って行く。

 

 

 

これで最後だ…もう…終わってもいい…。だから…気張れよ、俺…。

 

 

 

俺は最後の最後でゾーンに入った。打席に入ったバッターが微かだが震えている様に見えた。怜はアウトコースにスライダーを要求してきた。俺はサインに頷き怜のミット目掛け投げ込む。

 

先程とは比べ物にならないくらいキレたスライダーが怜のミットに収まる。主審のストライクの声が微かに聞こえた。でも、俺は表情を変えず怜からボールを受け取る。そのバッターを三振に抑え、次のバッターである藍原が打席に入った。

 

藍原「クソッ、クソッ!?」

 

強張った表情から焦りを感じていることがわかる。先程と同様に俺は遊び玉無しで藍原を追い込む。

 

藍原「なんで、なんでなんだ!?どうして、こんな球のキレ、ノビが上がってるんだ!?」

 

藍原はバットを地面に叩きつけている。

 

怜「アイツの思いの力がお前らよりもずっと強いってことだよ。お前らはただ自分の欲を満たすためだけにやってるかもしれないけど、アイツは大切なものを守る為に戦ってるんだ。もちろん、俺だってそうだ。お前らに負けるはずがない。」

 

藍原「クソォォォ!!」

 

俺の投げ込んだ渾身のストレートを空振り、三振を取られた藍原は大声で叫ぶ。

 

 

あと一人…。

 

 

コイツを抑えたら俺たちの勝ち。

 

 

最後のバッターは…

 

 

 

宮本

 

 

 

打席に入る宮本は凄い集中力だった。宮本にも強者が持つ独特のオーラを感じた。

 

俺の投げ込む球にも反応してくる。ボール球はしっかりと見極め、ストライクゾーンの球はアジャストしてくる。人間としては優れた人間では無いけど、野球人としてのポテンシャルは計り知れない。

 

もし…もし、コイツの人間性が少しでも良くてもっと早く出会っていればいいライバルになれたのかもしれない。

 

俺は宮本を追い込み、カウントスリーボール、ツーストライク。怜のミットはど真ん中に構えられる。サインは全力のストレート。

 

俺は振りかぶり投球モーションに入る。恐らくこれが最後の一球になるだろう。

 

 

祐一「うぉぉおおおお!!!!!!」

 

 

俺は怜のミットに全力で渾身のストレートを投げ込んだ。

 

―――――――――――――――――――――――――

Side 千歌

 

祐一くんは最後の一球を投げたと同時に雄叫びをあげていた。祐一くんには投げた瞬間わかってたのかもしれない。投げられた球は怜くんのミットに収まり主審の声が響き渡った。

 

私は電光掲示板に視線を移して球速を見て驚いた。

 

 

 

160キロ

 

 

 

 

今日の最速をマークしていて文字通り祐一くんの全身全霊渾身のストレートだったのだろう。

 

グラウンドのみんなが祐一くんのいるマウンドに駆け寄る。

 

私たちも居ても立っても居られず駆け出した。急いで駆け出した。祐一くんたちのいるマウンドへ…。

 

ゆめ「みんなよくやったー!!おめでとー!!」

 

曜「すごい、すごい!!優勝だー!!」

 

梨子「お疲れ様です!!みんなカッコ良かったです!!」

 

千歌「祐一くんおめでとう!!みんなで掴んだ優勝嬉しい!!」

 

私たちは惜しみなく優勝を喜んだ。

 

忍「祐一よくやった!!今日の勝利はお前と怜のお陰だ!!」

 

「よーし!!勝利投手を胴上げだ!!」

 

先輩たちが祐一くんを持ち上げて胴上げをしている。

 

祐一「わ、わっ!?ちょっと皆さん危ないですよ!?」

 

慌てた表情を祐一くんはしてたけど、すぐに最高の笑顔に代わっていった。その表情がたまらなく愛おしかった。

 

千歌「おめでとう…。最高にかっこよかったよ…///」

 

私の小さな呟きは胴上げの歓声にかき消され真夏の青空へ消えていった。だけど、不思議と胴上げされている祐一くんに聞こえていたのか目が合い祐一くんは照れたよう笑った。その表情を見た私も胴上げに混ざり今はただ勝利の美酒を分かち合った。

 




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Day32 恐怖を吐き出して

連投します!!




俺たちは開会式を終えて車で宿舎へ向かっている。試合が終わった後宮本たちは一度俺と怜の前に現れたが、形式上平謝りをし去って行った。きっと約束通りもう俺たちの前には現れないだろう。二人の目を見た俺たちは二人はもう変なことはしないだろうと感じ何も言わなかった。

 

あの二人は決して許され無いことをしたが、反省してくれたのならそれでいい。今後も千歌ちゃんたちに接触する事は無いだろう。そして俺たちはとうとう打ち明けようとする。

 

祐一「ち、千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃん…。話があるんだけど…。よろしいですか…?」

 

怜が運転している中俺は話を切り出す。

 

千歌「なーに?」

 

曜「どうしたの、改まって?」

 

梨子「そんなかしこまらなくてもいいのに?」

 

祐一「ちょっと大事な話があるんだ…。だから宿舎着いたら俺たちの部屋に来てもらってもいいかな?あとゆめさんも一緒に呼んでもらってもいい…?」

 

千歌・曜・梨子「「「わかった???」」」

 

千歌ちゃんたちは首を傾げ了承してくれたが、当然と言えば当然だが俺の心臓の鼓動がどんどん速くなっていくのがわかる。

 

宿舎に戻ってきた俺たちは集まってくれた千歌ちゃんたちに誠心誠意頭を下げて開口一番謝る。

 

祐一・怜「「ごめんなさい。」」

 

ゆめ「ごめん。状況が読めないんだけど…説明してくれる?」

 

俺たちは事の顛末を淡々と語った。宮本と藍原に最悪の賭けを持ちかけられた事、それを俺たちは乗っかりあの試合で千歌ちゃんたちに何も告げずに勝手に勝負していた事。全てを話した。

 

祐一「勝ったからいいものの…もし負けてれば…。本当にごめんなさい…。謝って済むものじゃ無いけど謝らせてください…。」

 

怜「祐一だけのせいじゃ無いです…。俺にも原因がある。俺があんなに売り言葉に買い言葉にならなければ…。本当にごめんなさい…。」

 

 

俺たちの謝罪を聞いて最初に口を開いたのはゆめさんだった。

 

 

ゆめ「ハァ…。もう過ぎた事は気にしてもしょうがないでしょ?でもありがとう…守ってくれて。嬉しいよ…だからそんな泣きそうな顔しないの?男の子でしょ?」

 

祐一・怜「「でも…。」」

 

俯く俺たちだったが俺たちは優しく暖かい何かに包まれた。

 

その正体はゆめさんだった。

 

ゆめ「だいじょうぶ…。大丈夫だから…ねっ?私たちのこと守ろうとしてくれた事は伝わってる…。怖かったでしょ…辛かったでしょ…。でも今度は何かあったらちゃんと話しなさい。今回は幸運にもこんな結果になったけど、今度はそうは行かないかもしれない。もっと私たちにも頼りなさい。女だからって気にしなくていい。辛かったり、怖かったりしたら私たちだって力になれる、少しでも重荷を背負う事はできる。」

 

ゆめ「だから…。」

 

 

 

ゆめ「今は不安な気持ちを吐き出していいんだよ…。」

 

 

 

その言葉に俺と怜が貯めていた不安と恐怖の感情が決壊した。

 

祐一「怖…がっだ…。千歌ちゃん…だぢが…あいづらに取られる…っで…がんがえだら…怖…がっだ…。」

 

怜「俺だぢ…のぜいで…怖い…思いざぜだぐ…ながっだ…。」

 

俺たちはボロボロに泣きながらゆめさんに抱きついて自分たちが抱えてた気持ちを吐き出す。

 

ゆめ「うん…うん…。」

 

ゆめさんはボロボロと泣く俺たちを優しく抱きしめながら少しだけ抱きしめる力を強くした。

 

俺たちはゆめさんに抱きしめられながらゆめさんの胸を借りておもいっきり泣いた。涙が枯れ果てるくらい泣いた。

 

 

しばらくして俺たちは落ち着きを取り戻してゆめさんから離れる。

 

祐一「すびません…。お見苦しい姿を見せて…。」

 

怜「落ち着きました…。ごめんなさい…。」

 

俺たちはゆめさんにそう伝えるとゆめさんは豪快に笑い俺たちの頭をクシャクシャと撫でてから言ってきた。

 

ゆめ「男の子なんだからもう気にしちゃダメだぞ?私たちを守ってくれたのは紛れも無く事実なんだから。それじゃ、私は忍たちのところ行って説教かましてくるから失礼するよ!」

 

祐一「あ、あの…俺たちが言える事じゃ無いんですけど…忍さんたちは悪く無いんです…。だから…。」

 

怜「俺たちが悪いんで…どうか…あまり怒らないで下さい…。」

 

俺たちの言葉にゆめさんは優しく微笑みながら。

 

ゆめ「二人は優しいんだね…。わかった、少し文句は言うけど大目に見てね?あと三人にはしっかり謝るんだよ?」

 

祐一・怜「「はい…。」」

 

ゆめさんは手をヒラヒラ振りながら出て行った。ゆめさんには許してもらったが、まだ三人には許してもらってない。

 

 

謝ろう。誠心誠意。

 

 

俺たちはまだ涙が溜まっている目を袖で拭い千歌ちゃんたちの方を向き土下座をする。

 

祐一「三人とも…本当にごめんなさい…。」

 

怜「本当にごめんなさい…。勝手にこんな真似して…。」

 

俺たちは額を地面に擦り付けしっかり頭を下げる。

 

三人からは何も言葉は返ってこなかった。

 

 

ダメ…か。

 

 

千歌「顔…あげて…。」

 

尚も俺たちは頭を下げ続ける。

 

千歌「顔上げて!!」

 

怒鳴り声に近い感じの声が千歌ちゃんの口から発せられ俺たちは恐る恐る顔を上げる。

 

顔を上げて俺と怜はハッとした。

 

何故かって…。

 

三人は瞳に零れんばかりの涙を溜めていたのだ。

 

千歌「なんで…言ってくれなかったの…?」

 

震える声で千歌ちゃんは問いただしてくる。俺も震える声で答えた。

 

祐一「怖い…思いさせたく無かった…から…。」

 

千歌「私たちに怖い思いさせたく無くて、自分たちは怖い思いしてたの?」

 

祐一・怜「「はい…。」」

 

梨子「ふざけないで!!!」

 

祐一・怜「「っ!?」」

 

俺と怜は突然の怒鳴り声にビクッと肩を震わせる。

 

梨子「私たちのこと甘く見ないで!!私たちがどれだけ二人のこと信じてるか知らないでしょ!!二人が私たちを大切にしてくれてるように、私たちだって二人のこと大切に思ってるの!!なのに…なんで私たちのこと信じてくれないのよ!!」

 

涙を流し肩で息をしながら梨子ちゃんが怒鳴り声で言ってくる。正直驚いた。普段は取り乱すことのない梨子ちゃんをここまでするなんで俺たちはとんでもないクソ野郎だ。

 

梨子「私たちだってやわじゃない!!二人のこと…心の底から信頼してるから耐えることだってできる!!なのに…なんで…二人がそんな辛い思い…してるのよ…!?うっうぅ…。」

 

梨子ちゃんは膝をつき泣き崩れる。千歌ちゃんと曜ちゃんが梨子ちゃんを宥めながら俺たちに語り始める。

 

曜「私たちもね…二人の背負ってるものを一緒に持ちたいの…。今回のことも正直ちょっと頭にきてる。なんで言ってくれないの?そんなに私たちって頼りない?って感じちゃう…。だからこそ梨子ちゃんが今の私たちの気持ちを代わりに言ってくれた。」

 

千歌「そうだよ…。私たちも二人のためなら自分たちが怖い思いをすることを選んでたと思う…。でもね…だからこそ今回経験してわかったの…。心配する方の気持ちが…。自分たちを犠牲にするとその分相手を不安な気持ちにさせる。これは自分も相手も悲しい気持ちになるだけ…。」

 

千歌「だから…もうこんな事はしないで…。」

 

千歌ちゃんの強い眼差しが俺たちを貫いた。怒っているのだが、どこか悲しさを帯びている目に俺たちは何も言えなかった。

 

曜ちゃんと千歌ちゃんに宥められた梨子ちゃんが顔を上げ、未だ涙流れる瞳で俺たちを真っ直ぐに見つめ

梨子「ごめんね…。いきなり怒鳴っちゃったりして…。二人の優しさに甘えてた…。本当は感謝の気持ちで一杯なの…でも二人の気持ちを考えたら自分のことが許せなくって…。ごめんね…ごめんね…。」

優しく俺と怜を抱きしめてきた。

 

同じく千歌ちゃんと曜ちゃんも俺たちを抱きしめてくれた。

 

千歌「ごめんね…二人とも…。ありがとう…。」

 

曜「ありがとう…。今度は私たちもちゃんと二人の重荷を背負うからね?だから私たちのことも信じてね…?」

 

祐一「ありがとう…。ごめん…ごめんね…。」

 

怜「梨子ちゃん…ありがとう…。俺たちのために怒ってくれて…ごめんね…。」

 

俺たちは五人で抱きしめ合いながら静かに涙を零した。

 

―――――――――――――――――――――――

 

ひとしきり泣いた後俺たちは千歌ちゃんたちに隠し事はしないと固く誓った。口に出して三人に伝えた。三人は笑って俺たちを許してくれ今回の件はこれで終わった。

 

そして部屋を出て行こうとする千歌ちゃんに俺は声をかけた。

 

祐一「千歌ちゃん後で二人で話したいんだけど…いいかな?」

 

千歌「うん?いいけど…どこで話す?」

 

祐一「じゃあ、宿舎の前の海岸でどうかな?ゆっくり話したいから準備できたら海岸に来てくれる?」

 

千歌「わかった。じゃあ少ししたら行くからちょっと待っててね?」

 

祐一「うん、わかったよ。」

 

俺たちはそう約束して別れた。

 

俺はすぐ支度を整えて海岸へ向かう。今更なんだが、試合が終わってから肩が上がらない。どうやら無理をしすぎたみたいだ。しばらくは利き手を使う事は出来ないだろう。着替えも怜に手伝ってもらいなんとか出来た。

 

そして海岸に到着して砂浜に腰掛けて呟く。

 

祐一「迷惑かけてばっかだな…。」

 

すると俺の目を誰かが覆ってきた。

 

??「だ〜れだ♪」

 

もちろんわかるよ。わからないわけがない。だが、俺はとぼけてみる。

 

祐一「誰だろ〜?わからないなー?」

 

??「もう!!なんでわからないの!!」

 

俺は微かに笑いながらこんなやりとりも前にしたな…と一人考えている。

 

祐一「嘘だよ。本当は千歌ちゃんってわかってるから。」

 

千歌「もう!!最初っから答えてよ!!」

 

俺の目から手を離し千歌ちゃんが俺の目の前で頬をムゥっと膨らましながら現れる。でも、すぐに笑顔になり俺の隣に腰掛ける。

 

千歌「それで、話って何?」

 

祐一「まずはちゃんと千歌ちゃんに謝ろうと思ってね。今回は本当にごめんなさい…。」

 

俺は千歌ちゃんに頭を下げて改めて謝罪する。

 

千歌「別にもう怒ってないから気にしないで!!」

 

祐一「そっか…。ありがと…。」

 

千歌「それだけ…?」

 

祐一「いや…こっちが本題かな?」

 

千歌ちゃんは真剣な眼差しで見つめてくる。

 

祐一「実はさ…試合終わった後からなんだけど、肩が上がらないんだ…。それに感覚もあんまり無いんだよね…。」

 

千歌「えっ…。」

 

祐一「これも神様が与えた俺への罰なのかもね…ははっ。一応明日帰ったら病院行こうと思ってるんだけど…言っておこうと思って。」

 

俺は渇いた笑みで千歌ちゃんにそう告げる。

 

千歌「もしかして…チカたちのせいで無理したから…。」

 

祐一「そんな事ないよ?これは俺が勝手にやって起こしたこと。千歌ちゃんたちが気にする事じゃない。俺は後悔してないし、誇りに思ってる。」

 

祐一「だって…。」

 

俺は千歌ちゃんの肩を左腕で抱き寄せて

祐一「大好きな人を守れたんだから。」

そう伝えた。

 

 

祐一「何も後悔は無い。それに…もう隠し事はしないって決めたからね?」

 

俺は笑いながら千歌ちゃんに言った。

 

千歌「バカ…。」

 

祐一「えっ…。」

 

千歌「バカ…バカ!?頑張り過ぎ…だよ…。もっと自分を大切にして…。約束できる…?」

 

祐一「…わかった。」

 

千歌「チカも病院着いて行くからね?」

 

祐一「お願い…しようかな。」

 

千歌「もし…普段の生活が出来なかったら私が責任持ってお世話するからね。これは決定事項だから!」

 

千歌ちゃんは俺から離れ夕日を背にそう告げる。

 

その時の表情は夕日に照らされてよく見えなかったが、きっと固い決意をしていたのだろう。

 

だから俺は

祐一「その時はお願いね。」

小さく声に出しその申し出を受けた。

 

千歌「わかればよろしい!!じゃあ戻ろうか?」

 

千歌ちゃんは俺に手を差し伸べその手を取り立ち上がった俺をグッと引き寄せる。そして

 

チュッ

 

華麗に俺の唇を奪った。

 

祐一「っ///」

 

千歌「期待しておいて♪」

 

ウインクをして俺の手を引き宿舎へ向かって走り出した。

 

その表情に悪戯心を感じた俺は心の中で本当にこの子には敵わないな…。と思い彼女と共に走り出す。

 

その時の俺は高鳴る心臓の音を抑える暇もなく、彼女に手を引かれるまま宿舎へ向かって駆け出していた。

 




ご愛読ありがとうございました!!

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Day33 満たされる気持ち

どうも!!甘党ゴンザレスです!

久しぶりの投稿ですが、読んで頂ければと思っております!

それでは本編どうぞ!


沖縄から帰宅して早数日。夏休みも残りわずかとなりまた大学が始まると考えると憂鬱になる。俺はイスに腰かけキッチンを見る。今までなら誰もいない部屋だったのだが、そこには千歌ちゃんがいた。

 

俺は沖縄から帰ってきた日に病院へすぐに千歌ちゃんと向かった。医師からはしばらくの間絶対安静の指示をされ、俺は今右腕をギプスで固定されほとんど動かせないでいる。病院から帰っている時千歌ちゃんは、

千歌「チカが毎日看病してあげるからね!」

そう言ってくれたが、やっぱり俺としては申し訳ない気持ちになる。

 

そして俺を家まで送ってくれた千歌ちゃんはそのまま俺の家に上がりご飯を作り一緒に食べ帰っていく。この毎日を過ごしていた。

 

数週間後

 

ギプスはとれて激しくは動かせないけど、日常生活を送る程度には回復した。

 

祐一「千歌ちゃんごめんね…毎日毎日疲れたでしょ?」

 

千歌「そんなことないよ?千歌は祐一くんと毎日一緒にいれて嬉しいよ!」

 

俺の言葉に振り返り笑顔で答える千歌ちゃん。その言葉に俺は嬉しさと申し訳なさを感じた。

 

祐一「あっ、そう言えば明日母さんが来るんだけどなんか千歌ちゃんと話がしたいみたいで悪いんだけど明日も来てもらっていい?」

 

千歌「祐一くんのお母さんが?大丈夫だけど…なんだろ…?」

 

祐一「俺も聞いてないからわからないんだよね?普通に話したいだけだと思う。」

 

千歌「それならいいんだけど…。」

 

暗い顔をしながら出来上がった料理を運んできてイスに座る千歌ちゃん。

 

祐一「俺も一緒に居てあげたいけど二人で話したいって母さんが言ってたからいれないんだよ。ごめんね…。」

 

千歌「ううん…。大丈夫!さぁ晩御飯食べちゃおうか!!」

 

祐一「うん。いただきます。」

 

千歌「はい!いただきます。」

 

こうして食事をして片付けをした千歌ちゃんは帰っていた。千歌ちゃんが作ってくれるご飯はどれも絶品だ。きっといいお嫁さんになる。

 

祐一「さて、俺も寝ますか。」

早めに部屋の電気を消して休む事にした。

 

 

※※※※

 

 

Side千歌

 

 

私は今日も祐一くんの家に向かってる。日課になってるから慣れてきたけど今日は祐一くんのお母さんが来るみたいで緊張してる。私と二人で話がしたい…。一体何なんだろう…。散々迷惑かけたからもしかしたら祐一くんと別れてって言われるのかな…。

 

もしそうだったら…。

 

気づけばもう祐一くんの家の前まで来てた。いつもはインターフォンをすぐに鳴らすのに私は佇んでいる。

 

すると後ろから声が聞こえた。

 

佳子「あら?千歌ちゃん?」

 

祐一くんのお母さんだ。

 

千歌「あっ、お、おはようございます。」

 

佳子「ふふ♪おはよう。そんな緊張しなくてもいいわよ?そんな取って食おうってわけじゃ無いんだから。」

 

千歌「す、すいません。少し緊張しちゃって…。」

 

佳子「大丈夫よ。じゃあ中入りましょうか?」

 

佳子さんは鍵を取り出してドアを開ける。

 

佳子「祐一!!入るわよ、アラッ?あの子にしては綺麗な部屋じゃない?」

 

祐一「母さん!!インターフォンくらい鳴らしてよ!!あれ?千歌ちゃんも一緒だったんだ。」

 

千歌「うん…お邪魔します。」

 

佳子「祐一、早速だけどどっかで暇潰しててくれない?」

 

祐一「あいあい。じゃあ喫茶店行ってるから終わった連絡ちょうだい。後、千歌ちゃんに変な事吹き込むなよ?」

 

佳子「わかってるわよ。」

 

そう言って祐一くんは喫茶店へと向かっていった。

 

佳子「さてと…。千歌ちゃんごめんね?突然呼び出しちゃって?」

 

千歌「いえ…とんでもありません!?ところで私に話というのは…?」

 

佳子「実はね…。」

 

佳子さんは椅子に座り話を始めようと私の方を向く。私も生唾を飲み込み佳子さんの目を見る。その目は鋭く私を捉えた。

 

 

次の瞬間

 

 

 

 

佳子「祐一、千歌ちゃんに失礼なことしてない!?」

 

 

千歌「へっ?」

 

思わず変な声が出てしまった。

 

佳子「ずっとそれが気がかりだったのよ!我ながら子育て間違えてきたつもりじゃ無いんだけど心配でね…。あの子から千歌ちゃんが彼女になったって聞いた日には嬉しすぎてお父さんと飲み明かしちゃったわよ!」

 

千歌「は、はぁ…。」

 

私は唖然としてその場で立ちすくむことしかできなかった。圧倒されたと言えばいいのかな?それぐらい佳子さんは食い気味で私に聞いてきた。

 

千歌「もちろん。祐一くんは本当に素敵な男性です。優しくて誰かのために一生懸命になれる。今回の怪我だって私たちのために頑張ってくれて…。私には勿体無いくらいの男性です。」

 

私も椅子に腰掛けゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

佳子「そう…。祐一は真っ直ぐに育ってくれたみたいね。誇らしいわ…。もっと祐一の事聞かせてもらってもいい?」

 

千歌「はい!!」

 

そこから私は祐一くんとの出会いから今まであったことを事細かく佳子さんに説明した。私の話を聞いている佳子さんの表情はとても優しくて、祐一くんの姿と重なって見えた。祐一くんの様な優しい表情、仕草、どれを取っても祐一くんに重なって見えて不思議と落ち着く。

 

佳子さんは祐一くんの小さい頃のアルバムをカバンから取り出して私に見せてくれた。

 

佳子「祐一はね一人っ子でしょ?」

 

千歌「はい?確かそう聞いています。」

 

佳子「私と旦那は共働きでなかなか一緒にいることが出来なかったの…。だからいつも寂しい思いをさせちゃってね。祖父がいたから祖父とよく遊んでたんだけど、ベッタリだったのよ。だから祖父が亡くなった時は人一倍泣いてたわね…。」

 

 

佳子「それでその大好きな祖父から教わったのが野球だったのよ…。」

 

千歌「そうだったんですか…。だから祐一くんは野球が大好きなんですね…。」

 

佳子「そうなの。だからあの子は祖父が亡くなった後に野球チームに入ったの。そこで怜くんと出会って今では本当の兄弟みたいに仲がいい。私も怜くんを本当の息子みたいに可愛がってるし祐一と仲良くしてくれて感謝してるのよ…。」

 

私はアルバムを見ながら佳子さんの話を聞いてると私は一枚の写真が目に入った。

 

千歌「アレ?この写真って…。」

 

佳子「あぁ…。この写真ね…。」

 

佳子さんは懐かしそうにその写真を見つめる。その写真は嬉しそうにトロフィーを抱えて仲間たちと笑いあってる祐一くんが写った写真だった。

 

佳子「これは高校二年生の時祐一たちが甲子園に出場した時の写真よ…。この頃の祐一は本当に楽しそうに野球をしてたわ。町内もお祭り騒ぎでみんな町の誇りだって言ってたわね…。」

 

佳子「だから…そのプレッシャーに押しつぶされてしまったのかもね…。甲子園での成績は決して悪いものでは無かったけど優勝は果たせなかった。祐一の失投が原因で負けちゃって。本人が一番理解してたと思うけどひどく自分を責めてたの。チームメイトは誰一人祐一の責任にしなかったけど…。」

 

佳子「でも、その優しさが祐一は辛かったんでしょう…。そこから祐一は苦しそうに野球をするようになったの…。私自身も苦しそうに大好きな野球をする姿に何度も涙を流した…。あの子が辛い思いをするならいっそ野球なんて…ってね。でも、最後の大会は前の祐一みたいに楽しそうにやってて最後までやり遂げて後悔はないって言ってたの。だからね、怪我の影響もあって大学では野球をやらないと思ってたんだけど…。」

 

佳子さんは涙を溜めながら訴える様に言葉を紡ぐ。

 

佳子「でも…。そんなあの子に素敵な出会いが訪れて、嬉しそうに毎日電話をくれる様になったの…。それが千歌ちゃんアナタ達なの…。」

 

千歌「えっ…?」

 

私は突然のことに驚きを隠せなかった。

 

佳子「あの子がまた野球をやるとは思わなかったけど、そのきっかけを作ってくれたのは千歌ちゃんなの。千歌ちゃんに背中押されてまた始めようと思うって言ってたわ。」

 

祐一くんそんな事まで覚えててくれたんだ…。唯の私のワガママなのに…。

 

佳子「それにあの子ね、千歌ちゃんと遊んだ時とか必ず私に電話してきてたの。その時のあの子の声本当に嬉しそうでね…私も嬉しかったの。あの子のあんなに楽しそうな声を聞いたのが久しぶりで千歌ちゃんには本当に感謝してる。もちろん、梨子ちゃんと曜ちゃんにもだけどね。だから…ありがとう。」

 

佳子さんが私の手を優しく包んでくれた。その瞬間私は涙が零れた。

 

千歌「私の方こそ…祐一くんに迷惑ばかりかけて…。でも祐一くんが優しいから…甘えちゃって…。今日だって…別れて欲しいって言われると思ってたから…。」

 

佳子「そんなこと言うわけないじゃない…。千歌ちゃんは私にとってもう娘みたいなもの。これからもあんなバカ息子だけどよろしくね?」

 

千歌「こちらこそ…よろしくお願いします…。」

 

佳子「千歌ちゃんは祐一の事好き?」

 

千歌「はい。大好きです///」

 

佳子「ふふ♪それなら早めの孫を見れそうね♪」

 

千歌「そ、そんな…!?///」

 

佳子さんのいきなりの発言に私は驚きを隠せなかった。

 

佳子「でも、ちゃんと二人で話し合ってから子供は作りなさいね?」

 

千歌「実は…その…まだ未経験なので…そこはなんとも…///」

 

佳子「焦らないで自分のペースで。ねっ?」

 

千歌「はい…///」

 

同性だからかもしれないけどすんなりとそんな話もできる気がする。

 

もちろん祐一くんにそう言う事は恥ずかしくて言えないけど、私だって好きな人には触って欲しい。私も彼の事を求めたい。そんな欲求はある。

 

佳子「なんなら押し倒しちゃってもいいわよ?♪」

 

千歌「そんな事恥ずかしくて出来ないですよ!?///」

 

佳子「本当に可愛いわね♪これからも祐一をよろしくね。さぁそろそろ祐一呼び戻しましょうか?あんまりお邪魔しちゃ悪いしね。」

 

千歌「いえ、そんな事は…。」

 

佳子「いいのよ。じゃあね千歌ちゃん。今度はみんなでご飯でも行きましょうね?また、祐一や怜くん、千歌ちゃん達の話聞かせてね!」

 

千歌「はい!今日はありがとうございました!!」

 

佳子「こちらこそありがとう!それじゃあね!」

 

佳子さんは祐一くんの部屋から出て行って少しして祐一くんが帰ってきた。

 

祐一「ただいま〜。母さんはもう帰ったの?」

 

千歌「うん…。帰ったよ…///」

 

祐一「アレ?千歌ちゃん顔赤いけどどうしたの?」

 

千歌「いや…その…///」

 

私はさっきの佳子さんとの会話を思い出し体が火照っていくのを感じた。

 

祐一「どれどれ。ふむふむ、ちょっと熱いかな?」

 

千歌「ふぇ!?///」

 

おでこを合わせてくる祐一くんに思わず変な声が出てしまった。

 

千歌「だ、だいじょぶ、だいじょぶ!?ちょっと驚いただけだから!チカご飯の準備しちゃうから座ってて!!」

 

祐一「あぁ、そう?じゃあお言葉に甘えて。」

 

私はキッチンへと駆け足で向かい料理を始めた。料理をしながら私は変な感情になるのを必死で抑える。

 

ダメだ、ダメだ。何考えてんのチカは…///佳子さんの言葉でさっきから変に意識しちゃって祐一くんの顔が見れない…///

 

チラッと祐一くんが座って読書をしてる姿を見る。その姿は本当に様になっていて只々カッコよかった。

 

千歌「イタッ…。」

 

完全に集中力を欠いていた私は包丁で指を切ってしまった。

 

その声に気がついた祐一くんはすぐ様読書をやめて私のところへやってきた。

 

祐一「どうしたの千歌ちゃん!?血が出てるじゃん!?ちょっと待ってて、今絆創膏持ってくるから!!」

 

千歌「うん…。ごめんね…。」

 

慌てて絆創膏を祐一くんは取りに行ってくれて消毒を済ませて絆創膏を貼った。

 

祐一「ふぅー…とりあえずこれで大丈夫かな?今日はインスタントのもので食べようか?また怪我しちゃいけないしね。」

 

千歌「ごめんね…。」

 

祐一「そんなに謝らないで!!千歌ちゃんにもしもの事があったら俺も嫌だからさ。」

 

私を心配しつつニコッと笑いかけてくれるその表情がたまらなく愛おしかった。気づけば私は祐一くんに抱きついてた。

 

祐一「おっと、どうしたの?」

 

千歌「祐一くんが優しいから甘えたくなっちゃった…。ダメ…かな?」

 

祐一「そんな事ないよ?好きなだけ甘えて。」

 

そう言ってくれて私は祐一くんの手を握った。その手は暖かくて優しかった。

 

私が近づくと祐一くんも近づいてくれてお互いのおでこが合わさった。

 

千歌「今日は祐一くんとずっと一緒に居たいな…。」

 

祐一「っ!?」

 

少し驚いておデコをピクリと震わせる。その仕草までもが愛おしい。こんな私の言葉でも祐一くんはしっかり反応を示してくれる。

 

 

祐一「もちろん。俺も千歌ちゃんと居たい。」

 

 

その言葉を聞いて私の胸が暖かくなるのを感じた。

 

 

祐一くんといるだけで私の心は満たされる。

 

 

この気持ちが幸福感である事は間違いない。

 

祐一くんだから、ありのままの自分を曝け出せる。

 

千歌「ありがとう、嬉しい///」

 

祐一「ふふっ、今日は一段と甘えん坊だね?」

 

千歌「祐一くんが暖かくて優しいから…チカも素直に愛情表現ができるの…だから///」

 

目を開きおデコを離し少しだけ距離をとって顔を見ると祐一くんの顔は真っ赤に染まっていた。

 

照れ隠しなのか、祐一くんは頭を掻きながら後ろを向いてしまう。

 

私はそんな彼の背中に抱きつき呟く。

 

 

千歌「そんな君の事が私は大好きです。」

 

祐一「俺も…///大好きです…///」

 

その後、私たちはご飯を食べる事無くじゃれあった。

 

※※※※

 

そして少しの時間が経ち私たちは冷凍食品で食事をとった。決して豪華なものじゃ無いけど祐一くんと一緒に食事するだけで私にとってはとても豪華なご馳走に感じた。

 

これも祐一くんのおかげだね?

 

この幸福感も全部君がくれた大切な宝物。

 

食事を終えて私たちはお風呂に入る。

 

もちろん別々だよ?

 

流石に今の私じゃ勇気が足りないよ。でもいつかは…。

 

祐一くんに貸してもらった洋服に着替えると私にはサイズが合ってなくて少しだけダボッとした。

 

でも祐一くんの匂いに包まれて幸せな気持ちになれる。

 

寝床に来て祐一くんは布団を出そうとしてる。

 

だけど私はその行動を遮った。

 

千歌「祐一くん、ちょっと待って?」

 

祐一「うん?どうしたの?」

 

千歌「その…一緒に寝たいな…なんて…///」

 

祐一「えっ///」

 

祐一くんの顔が赤くなっていくけど私も自分の顔が熱くなっているのを感じた。きっと私も真っ赤になってるんだろうなって思う。

 

千歌「今日は祐一くんの腕の中で眠りたい…///ギュッて抱きしめられたい…///ダメ…かな?///」

 

祐一「わかった…///一緒に寝ようか?」

 

 

少し戸惑いながらも優しくて穏やかな表情を祐一くんは浮かべた。

 

 

祐一「おいで…?」

 

 

先にベッドに入った祐一くんから差し伸べられた手を取る。

 

祐一くんのいつも寝てるベッドに体を入れる。少し密着するだけで私の心臓は強く脈打つのがわかる。緊張で体が強張っているけど祐一くんの優しい温もりが私を包んでくれた。

 

その感覚が心地良く私の緊張の糸は解けていく。

 

千歌「んっ…///好き…好き///」

 

気づけば何度もそう呟いていた。

 

 

祐一「俺も、好き…。大好きだよ…///」

 

 

大好きなあなたの腕に抱かれてる…。

静かに目を瞑り、私はその幸せを噛み締めた。

 

 

 

 

 

 




ご愛読ありがとうございました!

不定期になりますが、暇つぶし程度に思って頂ければ嬉しいです!

それでは、また次回!!


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番外編 怜×梨子
Another Day1



どうも甘党ゴンザレスです!!

怜×梨子の日々を番外編とし少しづつ投稿できたらと思います!

投稿はあくまで千歌ちゃんがメインになってしまいますが、ご了承くださいm(_ _)m

楽しく読んでいただけたら嬉しいです!!

それでは本編どうぞ!!


怜「どうも、相田怜です!沖田祐一の親友で大学一年生!」

 

梨子「怜くん誰に向かって挨拶してるの…?」

梨子ちゃんからなんだか冷たい視線を感じた。

 

怜「いや、ほら俺のこと知らない人もいるからさ、一応ね!」

 

梨子「あぁ…。そう…なの?」

 

やめて、梨子ちゃん!そんなゴミを見る目で俺を見ないで!!

 

怜「まぁ、おふざけもこれくらいにして行こうか!」

 

梨子「ええ、そうね♪」

 

梨子「今日は、曜ちゃんのプレゼントしっかり選びましょ♪」

 

怜「ああ、そうだね!曜ちゃんを驚かせよう!!」

 

そう、今日俺たちは曜ちゃんの誕生日プレゼントを探すという名のデートだ!

今時は男と女が二人っきりで出かけるのはデートだよね?そうだよね?

 

まぁ俺は勝手にそう思ってるからいいけどね!

 

―――――――――――――――

 

怜「さてと、早速ショッピングモールに来たけどどうしようか?」

 

梨子「そうね…。無難にアクセサリーとかどうかしら?」

 

怜「ナイスアイデア!!と言いたいところだけどやめておいた方がいい気がする。」

 

梨子「どうして?」

梨子ちゃんは小首を傾げる。

 

あらま、可愛らしいこと。いつまでも見て入られそうだ。

 

梨子「どうしたの怜くんボーっとして?」

 

怜「いや、なんでもないよ!なんでかって言うと、なんだか祐一と千歌ちゃんが買ってる気がするんだよね…。俺のサイドエフェクトがそう言ってる!」

 

梨子「サイド…エフェクト?何それ?」

 

怜「まぁ、簡単に言うと『カン』だね!ちなみにこれ結構当たるんだよ!」

 

梨子「そう…なんだ。じゃあ、怜くんのカンを信じて違うのにしましょう。」

 

怜「ありがとう!でも何にしようか?」

俺が考えていると梨子ちゃんが何かひらめいたようだ。

 

梨子「そう言えば、この前曜ちゃん部屋に置く時計がほしいって言ってた気が…。」

 

怜「それだ!!!」

俺は食い気味に梨子ちゃんに向かって言った。

 

梨子「ひゃっ、もう驚かせないでよ!!」

 

怜「あっ、ごめん、ごめん。」

 

それにしても時計はいい案だ。オシャレなものもいっぱいあるし、比較的値段も高くないのでありだ。それに、本人が欲しいと言っていたなら間違いない!

 

怜「そうと、決まれば時計屋に向かってレッツゴー!」

俺は梨子ちゃんの手を取り時計屋に向かって歩き出した。

 

梨子「れ、怜くん///」

 

怜「ん?どうしたの、梨子ちゃん?」

 

梨子「その…///手が…///」

梨子ちゃんは自分の手を見ながら呟いた。

 

怜「手?」

俺は何かと思い自分の手を見ると梨子ちゃんの小さくて綺麗な手をガッチリ握っていた。

 

ヤベェ…。やっちまった…。

 

怜「ご、ごめん、梨子ちゃん…。嫌だったよな、ハハハ…。」

軽率な行動を反省して梨子ちゃんに謝罪して手を離す。

 

 

だが

 

 

梨子「嫌、じゃないよ///ただちょっと驚いちゃっただけで本当に嫌なんかじゃない///」

そう言った梨子ちゃんは今度は俺の手をしっかりと握ってきた。

 

怜「っ///」

俺は梨子ちゃんの行動にドキッとした。

 

俺は気丈に振る舞っているが、実は女の子に慣れているわけではない。だから今回みたいに不意にやられることには慣れていないのだ。

 

怜「り、梨子ちゃん、無理しなくていいよ?」

 

梨子「む、無理なんてしてないもん!私がしたいからしてるの!!」

 

怜「へ?」

 

梨子「あっ///」

 

梨子ちゃんが俺と手を握りたい?

 

まさかね…。

 

俺は心の中でまさかなと思いながらも梨子ちゃんの顔を見ると、そこには顔を真っ赤にして涙目の梨子ちゃんが立っていた。

 

怜「り、梨子ちゃん?だいじょうぶ?」

 

梨子「も、もぉーーーーー!!!!///」

 

怜「えっと…。牛のマネ?」

 

梨子「そんなわけないでしょ!!恥ずかしかったんだから責任とってよね!///」

 

怜「責任?」

 

俺はこれからどうなるのだろうか?これから大学生活の4年間梨子ちゃんの奴隷として過ごすのかな…。梨子ちゃん推しの俺としては本望だが、なんだか男としての尊厳を失った気がする…。

 

もうなんでも来い!!

 

梨子「罰として今日は1日しっかり私のことをエスコートすること!!いいわね!」

 

あれ、

 

怜「そんなことでいいの?」

 

梨子「いいの!///私が決めたんだから!」

 

怜「わかったよ!」

 

俺は改めて梨子ちゃんへ手を差し出す。

 

怜「今日はしっかり俺がエスコートするから任せてよ!」

俺は梨子ちゃんに笑いかける。

 

梨子「ふふっ、じゃあお願いします♪」

梨子ちゃんは俺の手を取り今度こそ時計屋へと向かって俺たちは歩き出した。

 

時計屋に着いて見てるといいデザインの時計を見つけた。

 

怜「これなんてどうかな?」

 

梨子「可愛くて、色合いも曜ちゃんにぴったりだしいいと思うよ!」

 

怜「よし、じゃあこれにしようか!」

 

俺たちは時計を購入した。

 

梨子「これで、プレゼントの準備はいいわね♪今日はありがとう。」

 

怜「そうだね!時間もまだ余裕あるけどどうする?」

 

梨子「そうね…。せっかくだしもう少し一緒に遊ばない?」

 

怜「もちろん、喜んでお付き合いしますよ。お嬢様♪」

 

梨子「もう、からかわないでよ///」

少し頬を赤くしていた。

 

怜「じゃあ、気を取り直して行こうか?」

 

梨子「はぁ…。そうね、行きましょうか!」

 

俺たちはそんなやりとりをしながら歩き始めた。

 

 

俺と梨子ちゃんが話をしながら歩いていると、一人の女性が話しかけてきた。

 

女性「すみません。今少しお時間よろしいですか?」

 

怜「はい、何でしょうか?」

 

女性「突然申し訳ございません。私こういうものです。」

女性は名刺を俺と梨子ちゃんに丁寧に差し出してきた。

 

怜「ウエディングプランナー?」

 

女性「はい、私ウエディングプランナーをしているのですが、今回のカタログのモデルさんを探していたのですが。ピンときてしまってお声かけしたのですが…。」

 

梨子「も、モデルですか?」

 

怜「すごいよ、梨子ちゃん!やっぱり梨子ちゃん綺麗だからね!」

 

梨子「や、やめてよ怜くん…///」

 

女性「ふふふ、やはり私の目に間違いはありませんでしたね♪是非お願いしたいのですが、引き受けていただけませんか?」

 

梨子「で、でも私なんて…。」

梨子ちゃんが自信なさげに顔を伏せてしまっている。

 

梨子ちゃん…。

 

俺は自分に自信が持てず未だに返事を濁している梨子ちゃんの背中を軽く押した。

 

梨子「れ、怜くん?」

 

怜「やってみなよ、梨子ちゃん。」

 

梨子「でも…。私地味だし自信ないよ…。」

 

怜「そんなことないよ。梨子ちゃんはかわいいし現にこうやって頼まれてるんだ。もっと自分に自信を持ってよ。」

 

怜「それに俺だって梨子ちゃんのことかわいいと思ってる一人なんだから。ね?」

 

梨子「っ///わ、わかった!私やってみるよ!」

 

女性「ありがとうございます!」

 

女性「では、さっそく行きましょう。こちらにお願いします。彼氏さんもこちらにお願いします!」

 

怜「いや、俺彼氏じゃないんですけど…。」

 

ウエディングプランナーの女性につれられ俺たちは建物の中に入っていった。

 

 

 

俺は今支度をしている梨子ちゃんのことを待っている。何故だかわからないが俺も着替えをさせられ綺麗な白いタキシードに身を包んでいる。

 

怜「なんだか落ち着かないな…。それにしても似合わねえな…。」

 

男性「そんな事はございませんよ。身長も高くてスタイルもよろしいのでとてもよくお似合いです。」

俺の着付けを手伝ってくれた男性がそう言った。

 

怜「そうですか?自分的にはイメージに合わないというか、なんとういうか…。」

俺は素直に褒められて嬉しい反面、自分のイメージとはかけ離れている姿にため息を漏らした。

 

そんな中、俺と男性が会話をしていると女性が出てきて俺の前まで来た。

 

女性「お待たせいたしました。彼女さんのご準備が整いましたのでこちらにお願いします。」

 

怜「わかりました!すいません、ありがとうございました!」

 

男性「いえ、こちらこそ引き受けてくださりありがとうございます。楽しみにしてますね!」

 

俺は男性にお礼を伝え梨子ちゃんが待っている部屋へ向かった。

 

 

俺は梨子ちゃんがいる部屋の前で立ち止まり、呼吸を整えてドアをノックする。

コンコン

 

怜「梨子ちゃん入っても大丈夫?」

俺はノックをして梨子ちゃんに確認を取る。

 

梨子「れ、怜くん///ちょっと待って!!」

梨子ちゃんの声が聞こえ俺は梨子ちゃんの了承が出るまで待つことにした。

 

梨子「い、いいよ!」

 

怜「オッケー、じゃあ失礼…しま…。」

 

怜「す…。」

 

俺は目の前の光景に言葉を失った。俺の眼に映るのは花嫁さんが着る純白のウエディングドレスを身に纏った梨子ちゃんであった。ウエディングドレスを着ている梨子ちゃんは大人びていて本当に綺麗だった。

 

怜「…。」

 

梨子「怜くんどうしたの、ボーっとして?やっぱり私には似合わなかったかな…。」

梨子ちゃんは俺の反応を見て少し落ち込んだ表情を見せた。

 

怜「い、いや…。そんなわけないよ!すっごい似合ってるよ。綺麗だ…。」

俺は優しく微笑みながら梨子ちゃんに伝えた。

 

梨子「あ、ありがとう///そう言ってもらえると嬉しいな///」

梨子ちゃんは頬を赤く染めながらも今日一番の笑顔で俺に笑いかけてきた。

 

怜「っ///」

 

なんだ、この気持ちは…。

 

今、心臓がドクンって激しく脈打った。

 

それに今の梨子ちゃんを誰にも見せたくない。この姿を見たら誰もが魅了されてしまうんじゃないかと思う。将来梨子ちゃんが誰かのお嫁さんとしてどこかへ行ってしまうのかと考えると俺はたまらなく辛くなった。

 

その時、俺はやっと自分の気持ちがわかった。

 

俺は梨子ちゃんに恋をしたんだ…。

 

Aqoursの桜内梨子じゃなくて、一人の女の子として…。

 

今まで友人から恋愛相談をされてよく相談に乗っていたけど、ようやく相談する気持ちがわかった。

 

恋をするのはこんなにも心が暖かくなって、それと同時にすごい不安になる。

 

怜「俺なんかじゃ…。」

 

梨子「どうしたの、怜くん?なんか、顔色悪いよ?」

 

怜「いや、なんでもないよ?」

 

梨子「あっ、そう言えばまだ言ってなかった!」

 

怜「ん、なにを?」

 

梨子「すごいよく似合ってるよ!その…カッコいい…です///」

梨子ちゃんは頬を少し赤く染めながら俺に言ってきた。

 

怜「あっ、ほ、ほんと?ありがとう///」

 

怜「その…嬉しいな。」

俺は体が熱を帯びるのを感じた。

 

そんなやりとりをしていると先程の女性がやってきた。

 

女性「お二人とも、ご準備はよろしいですか?」

 

怜「あれ?自分も撮るんですか?」

 

怜「はい。彼女さんとツーショットの撮影をしたいと思っていますのでよろしくお願いします。」

 

怜「なるほど、わかりました!」

撮影とはいえ梨子ちゃんとツーショットを撮れるのは素直に嬉しい。それになんだか本当の結婚式のようで段々と緊張してきた。

 

梨子「…。」

どうやら梨子ちゃんも緊張しているみたいだ。顔が強張っていて僅かだが手が震えている。

 

それを見た俺は梨子ちゃんの手を優しく握った。

 

梨子「れ、怜くん…?」

 

俺の行動に驚いた梨子ちゃんだったが、

 

怜「これで少しは緊張が治るかなって。俺もついてるから。」

 

梨子「ふふ、ありがとう…。お陰で落ち着いたわ。それにすごい安心する…。」

 

どうやら俺の行動で緊張がほぐれたらしい。

 

女性「では、改めてこちらへお願いします。」

 

怜・梨子「「はい!」」

 

俺たちは撮影部屋へ向かった。

 

 

 

撮影が始まると俺は夢中で梨子ちゃんのことを見つめていた。それほどまでに彼女は綺麗で、言葉に出来ないほど魅力的に俺の目に映った。撮影監督の指示のもと梨子ちゃんはポーズを決めては監督に褒められている。

 

そして俺の出番がやってきた。

 

撮影内容としては花嫁のヴェールをあげて見つめ合う描写、指輪交換する描写の二つだ。

 

俺たちは配置についてそれを撮影を開始する。

 

先程見た時とは違い、梨子ちゃんとの距離はすごく近い。ヴェールをあげると梨子ちゃんの綺麗な顔が見えてきてドキドキが止まらない。心做しか梨子ちゃんの表情が妖艶で俺は彼女の瞳に吸い込まれそうになる。

 

すると、監督からオッケーが出たので、俺はヴェールを完全にあげて我に帰る。

 

そして指輪交換の撮影に入り、女性から指輪を受け取り再び俺たちは向き合う。

 

指輪を梨子ちゃんの指に通し撮影が終わるのを待つ。

 

はずが

 

梨子「私のこと幸せにしてね♪」

 

マジか…。

 

梨子ちゃんが一芝居打ってきた。完全に役に入ってる。

 

俺なんも聞いてねーんだけど!

 

クソ、こうなればヤケだ!俺も一芝居打ってやる。

 

怜「ああ、俺は必ず君を幸せにしてみせる。だからこれからも俺のことをずっと見ててね?」

 

俺の芝居も終わり監督からオッケーサインが出た。

 

監督「いいよ!いいよ!君たち最高!!」

 

怜「ありがとうございました!お疲れ様です!」

 

怜「あれ、梨子ちゃん?」

 

俺が梨子ちゃんの方を振り向くと放心状態の梨子ちゃんが立っていた。

 

怜「おーい!りーこちゃーん」

俺は彼女の顔の近くまで自分の顔を寄せた。

 

梨子「あっ、ご、ごめんね。なんでもないの///じゃあ、私着替えてくるから!監督さんありがとうございました。お疲れ様です!」

そう言った梨子ちゃんは急ぎ足で着替えに行ってしまった。

 

怜「どうしたんだろう?」

 

 

 

撮影も終わりそろそろお暇するため着替えを終えて、梨子ちゃんを待っていると女性が写真を持ってきてくれた。

 

女性「すみません、こちら先程撮った写真になります。よろしければ受け取ってください。彼女さんの分もこちらにございますので!」

 

怜「すみません、わざわざありがとうございます!」

 

女性「いえいえ、こちらこそお陰様で最高の仕上がりになりそうなのでありがとうございます!それにとてもいいものが見れたので私も大満足です♪」

 

怜「いいもの?」

 

女性「いえ、それは内緒です♪」

女性は笑ってごまかしていた。

 

怜「はぁ…。」

 

女性「それでは私はこれで失礼します。本日は本当にありがとうございました。彼女さんにもよろしくお伝えください。」

 

怜「こちらこそ、貴重な体験ありがとうございました!」

 

女性「それから、彼女さんに頑張ってくださいとお伝えください♪」

 

怜「わかりました…。伝えておきます。」

 

それを最後に女性はお辞儀をして帰っていった。

 

しばらくして梨子ちゃんが着替えを終えて出てきた。

 

梨子「ごめんね、おまたせ!」

 

怜「大丈夫、全然待ってないよ!」

 

怜「それから、はい。さっきの写真。」

 

梨子「わぁ!ありがとう!」

 

怜「あと、さっきの女の人が頑張ってくださいだって。」

 

梨子「えっ?///」

 

怜「どういうこと?」

 

梨子「なんでもないよ///なんでも///」

 

怜「えー、気になるなぁ…。」

 

梨子「いいの!///ほら、ちょっと遅くなっちゃったから晩ご飯食べて帰ろ!」

そう言った梨子ちゃんは俺の手を引っ張って歩き始めた。

 

怜「うわっ、ちょっと待ってよ。梨子ちゃん!」

 

 

こうしてご飯を食べて帰った俺たち。帰り道梨子ちゃんを送り届け、一人で帰っているとふと蘇る梨子ちゃんの花嫁姿。今日のことを俺は忘れないだろう。

 

怜「いつか、本当にあんなことがあればいいな。」

 

そんなことを口にしながら家に向かって歩き、家に着いて写真立てに写真を入れて部屋に置き眠る準備をした。

 

 

今日でかなり梨子ちゃんとの距離が縮まった気がする1日であった。

 

 





ご愛読ありがとうございました!!

文字数少し多くなってしまい申し訳ありませんm(_ _)m

なるべく、番外編も投稿していきたいと思うのでよろしければご覧ください!!


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Another Day2


どうも、甘党ゴンザレスです!!

番外編2話目です!

時間が空いてしまいましたが見ていただけたら嬉しいです!!

それでは番外編どうぞ!!


私は今部屋で葛藤している。

 

梨子「どうしよう…。」

 

理由は簡単。怜くんを遊びに誘いたい。

 

梨子「これが千歌ちゃんや曜ちゃんなら気軽に誘えるんだけどな…。」

 

梨子「私、どうしちゃったんだろう…。」

 

曜ちゃんの誕生日プレゼントを買いに行った日以降なんだかおかしい。怜くんのことを考えると胸がドキドキしてしょうがない。

 

梨子「はぁ…。なんて言えばいいんだろう…。」

 

私がスマホとにらめっこしていると電話がかかってきた。

 

電話をかけてきた人の名前を見て私の心臓がドクンと跳ねた。

 

梨子「え…えっ…えっっ!?」

 

電話をかけてきたのは怜くんだった。

 

私は突然のことに驚きを隠せず、スマホを落としそうになる。それを何とかキャッチして通話ボタンを押す。

 

梨子「も、もしもし…?」

 

怜『あっ、梨子ちゃんおはよー!突然で悪いんだけどさ、今日って暇かな?』

 

梨子「お、おはよう!うん、予定はないから大丈夫だけど…。どうしたの?」

 

怜『実は、水族館のチケット貰えたから一緒にどうかなって?』

 

梨子「も、もちろん行くわ!!」

 

私は大きな声で食い気味に言ってしまった。

 

怜『おっと…。ビックリした。そんなに行きたかったんだね。それなら梨子ちゃんに声をかけた甲斐があるよ!』

 

私の声に怜くんもビックリしていた。

 

梨子「ご、ごめんなさい…。ついテンションが上がっちゃって…。」

 

怜『大丈夫だよ!じゃあ、13時に駅で待ち合わせでどうかな?』

 

梨子「うん、それで大丈夫だよ!」

 

怜『了解!!じゃあ、またね!』

 

梨子「うん、また後でね!」

 

通話終了ボタンを押して私は息をつく。

 

まさか、怜くんの方からお誘いが来るなんて思ってもみなかった。

 

梨子「やった…///」

 

私は嬉しさを隠せず呟いた。

 

水族館も楽しみだけど1番嬉しいのは怜くんと一緒に出かけられること。怜くんとお出かけできる、そのことを考えるだけで胸の高鳴りを抑えきれない。

 

梨子「そうと決まれば支度しなくちゃ♪」

 

私は胸の高鳴りを抑えつつ待ち合わせに遅れないように準備を始めた。

 

―――――――――――――――――

 

Side 怜

 

待ち合わせ時間まで後20分。俺は少し早めに待ち合わせ場所に着いて自分の身なりを入念に確認する。

 

怜「変なところは…無いよな…。」

 

独り言のように小さく呟き梨子ちゃんを待つ。

 

偶然水族館のチケットをもらったわけだけど、正直困っていた。別に水族館に特別興味があるわけではないんだが、せっかくもらったんだから使わなきゃと思い誰と行くかを模索していた。

 

当初の予定では祐一と行く予定だったんだが、用事が出来たらしく行けなくなってしまった。そこから誰と行くか改めて考えた結果、俺の頭に浮かんだのが梨子ちゃんだった。思い立ったが吉日、ダメ元で早速電話をかけて俺は要件を伝えたのだが、断られたら誰かにあげようと考えていると意外にもオッケーだったのでよかった。

 

そして今に至るわけだが…

 

怜「これってデート…だよな…。」

 

この前の曜ちゃんのプレゼントを買いに言った時は冗談のつもりでデートだ!!って言ってたけど今回は少し違う気がする。

 

なんだか緊張してきた…

 

ぶっちゃけ水族館の後の予定は全然考えていない。まさかオッケーを貰えると思っていなかったので完全に準備不足だ。

 

本当だったら、俺がしっかりしなければならないところだけどダメだ。全く何も考えられない。梨子ちゃんを誘ったことで一喜一憂してしまった。

 

怜「ハァ…情けないな…。」

 

俺がため息をこぼしていると誰かに肩を叩かれた。

 

俺は後ろを振り返り確認すると、そこには誰もが目を奪われそうになるほど綺麗な梨子ちゃんが立っていた。梨子ちゃんの服装は淡い桜色のワンピースに白のカーディガン、上手く表現できないけどとても梨子ちゃんに似合っていた。

 

梨子「ごめんね、おまたせ!」

 

俺はあまりの美しさに言葉を完全に失ってしまい梨子ちゃんに返答できずにいた。

 

梨子「あ、あれ?も、もしかして私待ち合わせ時間、間違えちゃったかな…。」

 

梨子ちゃんが目に見えるように落ち込んでいるのがわかる。それに気がついた俺は我に返り慌てて梨子ちゃんに言った。

 

怜「ち、違う、違う。待ち合わせ時間あってるよ!!ごめんね…。」

 

梨子「なんで、謝るの?」

 

梨子ちゃんが不思議そうにこちらを見ている。

 

怜「いや、梨子ちゃんのこと無視しちゃったみたいだから…。」

 

梨子「なんだ、そんなことか。」

 

梨子ちゃんは俺を見て笑っている。

 

梨子「私は全然気にしてないよ?でも、無視されるのは悲しいからこれからはしないでね?」

 

おちゃめに舌を出しながら笑う梨子ちゃんに俺は見惚れてしまった。

 

怜「う、うん。気をつけるよ///」

 

俺は精一杯の笑顔で照れ隠しをして笑いかけた。

 

梨子「それじゃ、行きましょうか♪」

 

怜「そうだね。行こっか!」

 

俺たちは目的地まで行くため駅の中へ歩き始めた。

 

 

 

電車に乗り込むとかなりの混雑具合で俺と梨子ちゃんの体はピッタリと密着していた。

 

怜「ご、ごめんね。梨子ちゃん、こんなに電車が混んでるとは思わなかった…。」

 

梨子「べ、別に大丈夫よ?気にしないで!土日だからしょうがないよ!」

 

梨子ちゃんの言葉に救われた気がする。

 

目的地の最寄り駅までまだ30分以上かかる。

 

流石に人が多すぎて身動きが取れないでいる。

 

その数分後とんでもないことが起きるのを俺はまだ知らない。

 

―――――――――――――――――――

 

Side 梨子

 

電車はかなり混雑してて怜くんと体が密着する。

 

それだけで私はドキドキして落ち着かない。それに怜くんに体を預ける形で密着しているのでなんだか彼の温もりに包まれているようでとても安心する。

 

満員電車は辛いけど、こうして怜くんにくっついていられると思うとそれも悪くない。

 

そんなことを考えていると

 

 

 

体に違和感を感じた。

 

 

 

 

梨子「っ!!」

 

 

 

 

 

私はその正体にすぐに気がついた。

 

 

 

 

 

今誰かに痴漢されてる。

 

 

 

 

 

 

そう気づいた瞬間、一気に恐怖が私を支配した。

 

いやらしい手つきで私の太ももやお尻を触ってきていて

 

 

 

怖い…。

 

 

 

今ここで怜くんに助けを求めればきっと助けてくれる。

 

 

 

でも、

 

 

 

私は助けを求められなかった。

 

初めてあう痴漢に恐怖心の方が勝ってしまい、声を発することができない。

 

 

 

 

いやっ…。

 

 

 

やめて…。

 

 

今も私は太ももやお尻を触られていて気持ち悪い。

 

体も小刻みに震え始めてもう自分ではどうしようもできない。私にはただ堪えることしかできなかった。

 

 

でも、もう限界…。

 

 

私は涙を堪えながら心の中で呟く。

 

 

怜くん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たすけて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怜「大丈夫だよ。後は任せて。」

 

そう怜くんが言った瞬間男の人の叫び声が聞こえると共に、私の体をギュッと抱きよせてくれている怜くんの姿が私の目に鮮明に映った。

 

―――――――――――――――――

Side 怜

 

何だか梨子ちゃんの様子がおかしい。

 

なんだか小刻みに震えていて、何かに怖がっている気がする。満員電車の中なので寒いという選択肢はまずありえない。むしろ暑いくらいだ。

 

それ以外の選択肢で考えると。

 

 

 

『痴漢』

 

 

 

それ以外はありえない。

 

こんなにも怯え、震えている梨子ちゃんを見たことが無い。

 

それになんだか何かを必死に堪えているようにも見える。

 

そして電車が大きく揺れた瞬間、俺には見えてしまった。

 

 

 

 

誰かの手が梨子ちゃんの下半身を触っているのが…。

 

 

それに気がついた瞬間、俺の中で何かが切れた。

 

俺はすぐに行動に起こし、梨子ちゃんを抱き寄せる。

 

怜「大丈夫だよ。俺に任せて。」

 

梨子「えっ…。」

 

俺は梨子ちゃんに伝え、梨子ちゃんを触っている手を掴み、握り潰す勢いで力を込めた。

 

痴漢男「ぎゃああああああああ!!!」

 

俺の本気の力に身悶える男がいた。

 

俺は大声で叫ぶ。

 

怜「おい、何やってんだ…。この痴漢やろう!!!」

 

俺の言葉に電車内がどよめく。

 

怜「てめー、ふざけたことしやがって。次の駅で降りるぞ。いいな。」

 

痴漢男「なんだね、いきなり!私も忙しいんだ、言いがかりはやめてく…」

 

怜「なんだよ?やってないんだったら堂々と降りられるよな?」

 

俺は痴漢男が言い終える前に威圧した。

 

怜「もし、アンタじゃなかったら俺が幾らでも責任を取ってやるよ。だがな、もし、テメーだった時は覚悟しろよ…。」

 

怜「すみません。誰かこの子がこの人に痴漢されているのを見ていた方いらっしゃいますか?」

 

 

俺は梨子ちゃんを抱きしめながら、周りの人に確認を取る。

 

すると俺たちの近くにいた高校生二人組が名乗り出てくれた。

 

高校生A「あの…。僕たち見てました。」

 

高校生B「ぼ、僕も見てました!」

 

二人も証人がいた。俺は心の底から感謝した。

 

怜「ありがとう。申し訳ないんだけど、次の駅で一緒に降りてもらってもいいかな?証人になって欲しいんだ。」

 

高校生A・B「「わかりました!!」」

 

俺は二人に感謝を伝え笑いかけた。

 

怜「さて、証人はいるから、もう言い逃れできないからな?間違っても逃げようなんて思うんじゃねぇぞ?」

 

俺は再び痴漢男の方を向き強く睨みつける。

 

もうすぐ次の駅に着く。

 

駅に着き、先に高校生が降りて次に痴漢男が降りようとした。

 

 

 

その瞬間

 

 

 

男は全力で高校生を突き飛ばして逃げ出そうとした。

 

痴漢男「バカが!!逃げるに決まってるだろう!!それにこんな女、価値なんてねーよ!!」

 

俺たちの方を見ながらそう捨て台詞を吐いた男。

 

走り去ろうとする男だったが、その願いは叶わず歩いている人にぶつかり転倒する。

 

俺は男が走り出した少し後に降りた為少し出遅れたが、転倒したおかげですぐに追いついた。

 

俺はしっかりと男を捕まえて、今度は逃げないように体ごと押さえつける。

 

怜「お前、いま…なんて言った…。」

 

俺はさっきの言葉で完全にキレた。

 

怜「女の子にあんなことをしておいて価値がないだと…。ふざけんじゃねえ!!この…クソ外道が!!どれだけあの子が恐かったかわかってんのか!知らない人から体を触られる。誰にも助けを求められない。それがどれだけ恐くて、どれだけ悔しいか。お前にわかんのか!!わかるわけないよなぁ!!こんなことをして、更にあんなことまで言えるお前には一生かかってもあの子の気持ちなんて分かるわけないよなぁ!!」

 

 

俺の両手の握力が徐々に上がっていく。

 

痴漢男は大声で悶えている。

 

俺の声と男の大声に周りからの視線も集まるがそんなことはどうでもいい。

 

コイツは俺の逆鱗に触れた。

 

俺の一番大切に想ってる人に痴漢という最も最低な行為をした。あまつさえ侮辱までした。

 

殴りたくなる衝動に塗り潰されないようにしているが、

 

 

もう限界だ…。

 

 

俺は男の胸ぐらを掴み、右手をおもいっきり握りしめる。

 

握りしめた手からは血が滴り落ちてきた。

 

それほどまでに俺は怒り狂っていた。

 

男も涙ながらに助けをこうが、そんなことは関係ない。

 

俺は握りしめた拳をおもいっきり男に向かって振り…

 

 

 

下ろせなかった。

 

 

 

気がつくと俺は背中に柔らかい感触が伝わり、誰かが俺の腕を押さえている感覚がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子「もういい…。もういいよ…怜くん。」

 

 

 

 

 

 

 

梨子ちゃんの声が聞こえた。

 

怜「りこ…ちゃん…。」

 

俺は拳を下ろして彼女の名前を呼ぶ。

 

梨子「ごめんね…。私のせいでこんな思いをさせて…。でも、もういいの…私は平気…。」

 

怜「なん…で…梨子ちゃん…。コイツは…梨子ちゃんを…。」

 

梨子「確かにすごい恐かった…。でも…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子「君が助けてくれた…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子ちゃんは涙を流しながら、笑顔で俺に伝えてくれた。

 

梨子「本当に恐くて…何も言えない自分が悔しかった…。でも怜くんは助けてくれた。私はそれがすごい…嬉しかった…。」

 

梨子「だから…もう…自分を傷つけないで…。」

 

その言葉を聞いて俺は頭に上っていた血が一気に降りてきた。

 

そうか…俺は自分自身も傷つけていたのか…。

 

俺は右手を見ると血だらけで痛々しいものだった。

 

怜「ごめんね…。梨子ちゃんの言葉で落ち着いたよ…。ありがとう。」

 

梨子「私の方こそ…私のために…ありがとう…。」

 

『ありがとう』

 

この言葉を聞いた時、完全に俺は落ち着きを取り戻した。

 

落ち着きを取り戻した俺の元に駅員さんが来て、俺は事情を説明して先ほどの高校生にも証言してもらい痴漢男を駅員さんに引き渡した。高校生たちにはその場でお礼を伝えて学校へと向かっていった。

 

そのあとはすんなりとことが進み、俺たちは話し合いを進めた。

 

話によると男は欲求を満たしたいが故に今回痴漢をしたらしい。

 

俺はまたふつふつと怒りが込み上げてくるが、それを感じ取った梨子ちゃんが俺の手を優しく握ってくれた。

 

梨子ちゃんの手も震えている。

 

そうだ。ここで俺が感情的になるわけにはいかない。一番の被害者は梨子ちゃんだ。

 

俺も梨子ちゃんの手を優しく握り返す。

 

話し合いの結果今後のことはまた改めて話すことに決まり、俺たちは解放された。

 

※※※※

 

俺たちは今家に向かって歩いている。

 

今回のことで、もう水族館どころではない。あんなことがあったから人通りが少ない道を歩いている。そして心身ともに疲弊している梨子ちゃんに俺は言葉をかけられずにいた。

 

俺たちは終始無言のまま帰宅している時、おもむろに梨子ちゃんの方を見た。その時の表情に思わず声をかけた。

 

怜「梨子ちゃん…。」

 

梨子「えっ。どうかしたの、怜くん?」

 

そこには気丈に振る舞っているが、今にも涙が溢れ出しそうな梨子ちゃんの姿があった。

 

その表情を見ると胸が引き裂かれそうになる。

 

俺はたまらず梨子ちゃんを抱きしめた。

 

梨子「きゃっ!!ど、どうしたの、いきなり??」

 

怜「ごめんね…。梨子ちゃん。」

 

梨子「なんで、怜くんが謝るの?悪いのはすぐに声をかけられなかった私なんだから!」

 

笑顔でそう言ってくれる梨子ちゃん。

 

 

でも

 

 

今はその無理に笑った笑顔を見るのが辛い。

 

 

怜「梨子ちゃん、無理に笑わなくていいんだよ…。」

 

梨子「無理になんて…そんなこと。」

 

怜「いや、俺には分かる…。いつもの笑顔じゃない。無理に作った笑顔。いいんだ、梨子ちゃん。今は俺たちしかいない…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

怜「おもいっきり泣いていいんだよ…?」

 

 

 

 

 

 

 

俺の言葉についに梨子ちゃんの瞳から大粒の涙が溢れ出した。

 

梨子「うっ…うう…こわ…かった…。怖かったよーーー!!!!」

 

俺の胸で泣きだした梨子ちゃんの頭を優しく撫でた。

 

怜「うん…。うん…。」

 

梨子「本当に怖…かった…。あのまま…怜…くんが助けて…くれなかったら…わたし…わたし…。」

 

梨子「でも…怜くんが…助けてくれて…わたし…嬉しかった…。」

 

梨子「わたしのために…あんなに…してくれて…。」

 

梨子「でも…わたしのせいで…怜くんまで…傷ついて…ごめん…なさい。ごめんなさい…ごめんなさい…。」

 

この子は俺のことまで考えてくれてたのか…。

 

怜「梨子ちゃん…謝らないで…。俺は当然のことをしただけ…。俺の大切な…大切な人を傷つけられたんだ…。俺だって怒る。でも…梨子ちゃんが無事で本当に良かった…。よかったよ…。」

 

俺の目にも涙が溜まってきた。

 

怜「だから…今は梨子ちゃんの辛い気持ち…。全部俺に聞かせて…。少しでもいい。梨子ちゃんの力に…なりたいんだ…。」

 

俺の瞳から一筋の涙が零れおちる。

 

梨子「怜くん…怜くん!!!!」

 

そこから梨子ちゃんは涙が枯れ果てるくらい泣いた。俺は梨子ちゃんが少しでも不安な気持ちが和らぐように優しくそして力強く抱きしめた。

 

 

数分後には梨子ちゃんも落ち着きを取り戻し、俺から離れた。

 

梨子「ご、ごめんね。ありがとう…。泣いたらだいぶ落ち着いたよ…。」

 

怜「そっか…。よかったよ、力になれて…。」

 

梨子「怜くんがいてくれて本当に良かった。」

 

梨子「だから、改めて言わせて。」

 

怜「なにを??」

 

梨子ちゃんは大きく深呼吸して俺の目を見ながら

 

 

梨子「助けてくれて…ありがとう。」

 

 

笑顔で伝えてくれた。

 

俺はその表情に心を打たれた。

 

俺が大好きな君の笑顔。今度は本物の笑顔。

 

怜「…。どういたしまして!」

 

俺も自分にできる最高の笑顔で梨子ちゃんに答えた。

 

その後は俺たちの間に会話が生まれ、改めて水族館に行くことに決まった。

 

そして俺は心に誓った。

 

これからは何があってもこの笑顔を守ってみせる。

 

だから、

 

だから、これからもよろしくね。 梨子ちゃん。

 

 





ご愛読ありがとうございました!!

最近は体調があまり良くないので更新が遅れるかもしれませんが、申し訳ありませんm(_ _)m

本編も早く更新できるように頑張ります。


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季節番外編
Happy Halloween



お久しぶりです!

最近は忙しすぎて執筆できていませんでしたが、ちょこちょこ出せる時に更新できればと思います。

皆さんハロウィンはどの様にお過ごしですか?私はハロウィンらしい事はせずに過ごしています。今回はハロウィンということでハロウィン回を執筆してみました。

久しぶりの投稿なので大目に見てください…。笑

それではどうぞ!!


今日は年に一回のハロウィン。この国でもメジャーになり沢山のお店や場所で催しが行わる。そして今日はみんなで俺の家でハロウィンパーティーをすることになっている。俺にとって初めてのハロウィンパーティーなので少しばかり高揚感に満ちている。それもそのはず…。

 

 

何でって?

 

 

そんな野暮なこと聞くなよ。俺の目の前に魔女に仮装した千歌ちゃんがいるんだぜ?そりゃ、テンションも上がるでしょ。

 

 

千歌「トリックオアトリート!!お菓子くれないとイタズラしちゃうぞ♪」

 

祐一「こんなにかわいい魔女さんにならイタズラされてもいいかも…。」

 

俺はふざけて答えてる。

 

千歌「えぇー!!お菓子ちょうだいよー!」

 

祐一「アハハ!欲張りな魔女さんだな。じゃあ、イタズラされたくないからお菓子あげちゃう!」

 

俺は袋からマカロンの入った包みを取り出して渡した。嬉しそうにはしゃいでいる千歌ちゃんを見てほっこりとしていると。

 

千歌「祐一くんは仮装しないの?」

 

祐一「俺?俺はまだいいかな。千歌ちゃんのかわいい姿が見れればそれだけで満足です。」

 

千歌「チカの仮装似合ってる…?///」

 

祐一「とっても良く似合ってるよ。」

 

千歌「ホント!?嬉しい…///」

 

恥ずかしそうに照れている千歌ちゃんがとても愛おしく感じる今日この頃…。僕はとても幸せです。俺はソファーに腰掛けそんな事を考えた。

 

すると

 

千歌「そう言えばみんなまだ来ないんだね?まだかなぁ?」

 

千歌ちゃんは俺の膝の間にちょこんと座って俺にもたれかかってくる。

 

俺は千歌ちゃんの頭を撫でながらのんびりとした時間を楽しんでいる。頭を撫でた時に感じる千歌ちゃんの髪質、千歌ちゃんの匂いがとても心地いい。

 

千歌「そうだ!みんなが来る前に、チカは祐一くんにイタズラしちゃいます!」

 

突然千歌ちゃんは俺にイタズラ宣言をして立ち上がった。

 

祐一「随分急だね?それにイタズラするって言っちゃったらイタズラじゃなくない?」

 

チカ「はっ!?そうだ…。どうしよう…。」

 

シュンとしている千歌ちゃんも可愛い。

 

祐一「はぁ…。何だか眠くなってきたなぁ。誰もいないしイタズラされないから寝ちゃおっかな?」

 

俺は目を閉じて寝ているフリをした。

 

千歌「!!ふふふ…。こんなところに男の子が眠ってる。イタズラしちゃお♪」

 

そう言った可愛らしい魔女さんは一体何をしてくるのだろうか。内心ドキドキしている。

 

目を閉じているので感覚でしかわからないが、俺の肩に手が掛けられた。そこから少しして膝に重みを感じて乗られていることに気がつく。

 

俺は自ら視覚を奪ったので残された感覚は嗅覚、聴覚、味覚、触覚の四種類だ。

 

始めに嗅覚が千歌ちゃんから香る甘い香りに支配されて頭がクラクラしてきた。普段から慣れているはずだが、いつもとは何だか違い変に意識してしまう。

 

次に俺の聴覚が千歌ちゃんの甘噛みによって支配されることになる。そして耳を甘噛みしてきた千歌ちゃんは普段は出さない艶めかしい声で俺の耳元で囁いた。

 

千歌「これから祐一くんの事チカでいっぱいにしてあ・げ・る♪」

 

ここで俺は完全に堕ちた。

 

甘い香りで嗅覚を支配され、更には千歌ちゃんのあどけなさ残る声に完全に支配された。

 

俺は意識が朦朧とする。視覚は自分で制御している筈なのに何故か開けない。本当に俺の五感を支配されるのではと錯覚してしまうほどに俺は千歌ちゃんに取り込まれていた。

 

触覚も千歌ちゃんの手の柔らかさを感じている。指を絡ませてくる感覚に抗うことができない。

 

残る感覚は一つ味覚だ。ここだけは支配されてたまるかと強く決意を固めているが次の瞬間、俺の全ては彼女の物になった。

 

唇に柔らかい感触がした。微かに残る感覚の中から今俺の両腕は千歌ちゃんの手で握られていることに気がつく。そこから導き出される答えは一つ。

 

 

俺はキスされている。

 

 

大胆なまでに舌まで絡ませてきて俺の思考は完全に停止した。微かに蜜柑の味がしたのきっと気のせいだろう。されるがまま愛のあるキスを感じて俺の頭はフワフワしていた。

 

 

千歌「これで、貴方は千歌の物♪」

 

 

ここまで来たらされるがまま滅茶苦茶にされたい。

 

 

そう思い俺は声を発想とした時…。

 

 

 

 

怜「あっ…。わりぃお楽しみ中だった?」

 

祐一「ん?怜か?てことは曜ちゃんと梨子ちゃんも来た?」

 

曜「あ、アハハ…。ヨーソロー…。」

 

梨子「千歌ちゃん…大胆ね…。私もあれくらい…。」

 

俺は声のする方を向きゆっくりと目を開ける。

 

祐一「遅かったな。何かあったのか?」

 

怜「いや、実は結構前から居たんだよな。」

 

祐一「いつから?」

 

怜「千歌ちゃんが目を瞑った祐一の上に乗っかるあたり?」

 

祐一「ええっと、つまり最初からいたと言うわけ?」

 

首を縦に降る怜、曜ちゃん、梨子ちゃん。

 

祐一「あちゃー…。」

 

怜「お前反応薄くない?」

 

祐一「いや、だってしょうがなくない?」

 

怜「目の前の女の子に同じこと言えるか?」

 

怜の言葉で俺は視線を戻す。そこには涙目で体を震わせる魔女さんがいた。

 

祐一「ええっと…魔女さん大丈夫…ですか?」

 

俺は恐る恐る聞いてみる。

 

千歌「い…。」

 

祐一「??」

 

千歌「イヤーーーーーーー!!!!!!!!」

 

祐一「グハッ!?」

 

叫び声と共に俺の頬に思いっきりビンタが飛んできた。千歌ちゃんは曜ちゃん達の方に行ってしまう。

 

 

曜「祐一くん…。」

 

梨子「女の子泣かせるなんて最低よ…?」

 

祐一「えっ…!?」

 

思いっきりビンタされた頬を抑えていると、俺の方に怜が近づいてきて肩を組みニヤニヤ笑いながら一言。

 

怜「トリックオアトリート。」

 

祐一「はぁ!?」

 

怜「これは俺からのイタズラだ!」

 

祐一「もう、イタズラはこりごりだ…。」

 

俺はうなだれることしか出来なかった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

怜「と言うわけでちょっとした俺たちからのイタズラでした!!」

 

俺は無言で立ち上がり怜を思いっきり殴った。

 

怜「グヘッ…!?」

 

祐一「ゲスが…。」

 

怜「おいおい、そんな怒るなって!」

 

 

祐一「俺の純情を弄びやがって…!?」

 

 

何で俺がこんなに怒っているのかと言うと、実は千歌ちゃんのイタズラも怜たちのイタズラだったらしい。

 

俺にイタズラしたらもっと絆が深まると怜にそそのかされた千歌ちゃんが俺に仕掛けたらしい。どんなイタズラをするのかは千歌ちゃんに任せていたようだが、その現場をこっそりと見るというのが怜が考えたイタズラの内容だったみたいだ。

 

怜も想像より遥かに上をいくイタズラをしているのを見て出てくるタイミングを見失ったらしい。

 

怜「ごめんね、千歌ちゃん。出来心だったんだ。」

 

千歌「グスッ…ヒック…。」

 

祐一「俺の彼女泣かせやがって…。今から死神になってお前をあの世に連れてくイタズラするから待ってろ。」

 

怜「ば、バカ!?待て待て冗談だろ?」

 

祐一「俺…冗談って嫌いなんだよな。」

 

俺は怜に向かって不敵な笑みをこぼす。

 

梨子「二人とも!!千歌ちゃんが可哀想でしょ!謝りなさい!」

 

祐一・怜「「はい…ママ…。」

 

梨子「ブチ○すわよ?」

 

祐一・怜「「は、はい…!?」」

 

梨子ちゃんのあまりの怖さに体が震えだした。もしかして梨子ちゃんて死神…。

 

梨子「祐一くん?♪」

 

祐一「ひゃ、ひゃい!?」

 

梨子「今…何考えてたの?♪」

 

祐一「な、なに…も…。」

 

梨子「そう…♪それならいいわ。」

 

こ、怖い…。体の底から震えが込み上げてくる。

 

千歌「ゆう…いちくん…ごめんね…。」

 

祐一「何で…千歌ちゃんが謝るのさ!?悪いのは全部怜だよ?」

 

怜「ちょ、おま…!?」

 

梨子「…。」

 

梨子ちゃんの無言の睨みが怜を石化させたかの如く動きを止めてくれた。

 

千歌「こんな…イタズラ…仕掛けて…引いた…よ…ね…。」

 

俺は千歌ちゃんに近づき頭を撫でながら伝えた。

 

祐一「なんでだよ?そんなことで引いたりなんかしないよ?スキンシップみたいで俺は嫌じゃなかったから気にしないで!」

 

祐一「それに…俺は結構楽しかったと言うか何というか…///」

 

千歌「ふぇ…?」

 

祐一「っ///つまりは俺は千歌ちゃんが大好きだから許しちゃうってこと!!///」

 

千歌「っ///」

 

千歌ちゃんは顔を真っ赤にしている。俺も人のことは言えないと思う。

 

心做しか顔が熱い。

 

怜「お前…そんな緊縛系が…。」

 

祐一「お前…後でぶっ○す…。」

 

梨子「大丈夫…。私が後でヤるわ。」

 

怜「り、梨子ちゃん!?なんか字が違くないかな…?」

 

曜「怜くん…今回は諦めな。私も流石に庇えない…。」

 

怜「そ、そんな…。」

 

怜は後で梨子ちゃんが懲らしめてくれるみたいなのであっちは大丈夫そうだ。

 

あとは千歌ちゃんが元に戻ってくれれば。

 

祐一「俺は千歌ちゃんの彼氏だよ?だから嫌なことは嫌って言う。でも今回俺は受け入れた。だから千歌ちゃんが泣く必要は無い訳だよ。」

 

千歌「ホント…?」

 

祐一「もちろん!!ホラ!仲直り?のハグしよっか!」

 

俺は両腕を広げ千歌ちゃんを受け入れる準備を整える。

 

千歌「…グスッ…。ギュッ…。」

 

俺に抱っこされる形で抱きついてきた千歌ちゃん。強く抱きしめる。ギュッって言葉が出ちゃってるあたりがかわいい。

 

祐一「よしよし。ごめんね…。こんな目も真っ赤にしちゃって…。後で怜の事ぶっ飛ばしとくから許してあげてね。」

 

千歌「ううん…グスッ…。怜くんは悪く無いから…許してあげて…。」

 

祐一「そっか…。わかったよ。怜、千歌ちゃんに免じて許してやるけど千歌ちゃんに感謝しろよ?」

 

怜「ホントか!?千歌ちゃんありがとう!天使だ。」

 

梨子「れ・い・く・ん?♪」

 

怜「ひっ…!?」

 

祐一「そっちは頑張って許してもらえよ?」

 

千歌「…祐一くん…もう少し…だけ強くギュッ…ってして…?。」

 

祐一「仰せのままに。」

 

俺は少しだけ力を強くした。

 

曜「ふふっ♪千歌ちゃんよかったね。祐一くんがこんなに優しくて!」

 

千歌「うん…。大好き…。」

 

祐一「なんか恥ずかしいな…///」

 

曜「千歌ちゃんは祐一くんが大好きだからね♪今は甘えさせてあげて。」

 

曜ちゃんが千歌ちゃんに聞こえないように俺の耳元で囁やく。

 

祐一「わかった。」

 

曜ちゃんに言われた通り俺は千歌ちゃんを抱きしめ続けた。

 

十分くらい経っただろうか。そのくらい経ちようやく千歌ちゃんが口を開いた。

 

千歌「ありがとう…。もう、大丈夫。」

 

祐一「はいよ。また、いつでも甘えていいんだからね?」

 

千歌「うん…///その時はまたギュってしてね!///」

 

祐一「もちろん!」

 

曜「千歌ちゃんもう大丈夫?」

 

千歌「うん!ごめんね…。」

 

曜「大丈夫だよ!あっちも終わったみたいだからハロウィンパーティー始めようか!!」

 

曜ちゃんの言葉に俺たちは怜たちの方を向く。するとそこには目に生気の宿っていない怜の姿と妙にツヤツヤした梨子ちゃんがいた。どうやら怜はコッテリと絞られたらしい。

 

梨子「ふぅ…。あっ、祐一くんと千歌ちゃんも仲直りできたのね!」

 

祐一「おかげさまでね!梨子ちゃんの方も終わったみたいだね…。」

 

梨子「ええ!少しだけお灸を据えておいたわ!」

 

俺は怜に近づき話しかける。

 

祐一「よう、大丈夫か?」

 

怜「ここは…地獄か…。」

 

ダメだこりゃ。

 

曜「よーし!じゃあ改めてハロウィンパーティースタート!!」

 

四人「「「「おおーーー!!」」」」

 

怜「おっ…おぉ…。」

 

こうしてハロウィンパーティーが始まり曜ちゃんが持ってきた衣装をみんなで着たりして仮装を楽しんだ。かなり賑わって近所迷惑にならないか心配になったが、俺と怜の住んでいるアパートは学生しかいないので他の部屋でもドンチャン騒ぎになっている。

 

これもハロウィンが故なのかな?

 

だいぶ時間も経ちそろそろお開きにするため片付けを始め、部屋を綺麗にして千歌ちゃん以外のみんなが帰宅した。

 

二人っきりの空間少しだけ緊張する。

 

祐一「千歌ちゃんもそろそろ帰るでしょ?」

 

千歌「うん!課題やらないと…。」

 

祐一「そっか。じゃあ、近くまで送っていくよ!」

 

千歌「ありがとう!」

 

千歌ちゃんを送るために俺も支度を整える。外に出て感じた風は秋にしては少しだけ冷たく感じた。

 

俺と同じことを思ったのだろうか、千歌ちゃんは俺の手を握ってきたので俺も握り返す。

 

千歌「あったかい…。」

 

祐一「そうだね。今日は楽しかったね。」

 

千歌「うん!最初はちょっとチカのせいで始まるの遅れちゃったけど…。」

 

苦笑いを浮かべる千歌ちゃん。

 

祐一「そんなことないよ。また甘えたくなったらいつでも言いな?」

 

千歌「うん、ありがと!あっ、ここまででいいよ!」

 

祐一「そう?じゃあ気をつけて帰ってね!またね!」

 

千歌「うん!またね!」

 

俺は別れを告げて自宅へと歩を進めようとした。

 

 

千歌「祐一くん!!」

 

 

千歌ちゃんの声が聞こえて振り返った瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌ちゃんからキスされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は訳が分からなくてその場で放心状態。そこに千歌ちゃんがとびっきりの笑顔で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「トリックオアトリート♪バイバイ♪」

 

 

千歌ちゃんは今日一番の笑顔で手を振り走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ唇に残っている感覚を頼りに俺はポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

祐一「…イタズラも…悪くない…か…。」

 

俺は笑いながら呟き、寒空の下白い息を吐きながら自宅へと歩いた。その時だけは千歌ちゃんが側にいるみたいで不思議と寒さが少しだけ和らいだきがした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ご愛読ありがとうございました!!

話は変わってしまいますが、スクスタとうとうリリースされましたね!みんな可愛くてとても楽しくプレイしています!

虹ヵ咲も本格的に参加してきて楽しい限りです!皆さんの推しは決まりましたか?

私は上原歩夢ちゃんに決まりました!

これからの虹ヶ咲の活躍を楽しみにしてます!

それではまた次回!!


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