赤木通夜 健と鷲尾の記憶 (三流FLASH職人)
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健。張るべきもの

「わいが止めてくるっ!」

 そう言って襖を乱暴に閉め、部屋を後にする。

そうや、なんも死ぬことは無い、いくら難病のアルツハイマーに犯されたとはいえ

あの赤木しげるがそう簡単に死んでいいわけあらへん!

 

 そこまで思って、改めてこの世の理不尽に対する怒りが込み上げてくる。

あの赤木はんがアルツハイマー・・・つまり、ボケるっちゅうんかい!?

 ありえへん、あの方は天才や。わいら凡人には想像もつかん洞察力、想像力、先を見据える力。

わいらみたいなアウトローの光であり、憧れでもあるんや、そんな方が痴呆になるやなんてっ!

 

 今日の葬式、わいは一番先にここに来た。おしょうから事情を聞かされてずっと、赤木を止める

方法を考えてきた。だが、その答えが見つからへん、未だに。

 自分の学の無さに腹が立つ、所詮中卒のわいに気の利いた理屈なんざ出てこん、わいの人生にあるのは

博打、麻雀だけや、これでどうやって赤木はんを説得せぇっちゅうねん!

 ほんでも一番最初に席を立った。別に理由はあらへん、ただ他の連中に先を越されるのは嫌やった。

もしまごついて他の誰かに赤木はんを説得されるのは、説得に失敗するより嫌やったから。

 

 あかん、もう離れに到着(つ)いてもた。せやのにまだ何を言うか、どうやって止めるかが決まらん。

せやけどもう後戻りはできん、来た以上はいくしかないんや。意を決して扉に手をかけ、開く。

 

 そこは、こざっぱりした部屋。中央にテーブルがあり、その際の椅子に座っている、あの赤木しげるが。

その輝きは変わらない。代打ちのカリスマ、異才の博徒、その全身から発するオーラは東西戦から

9年たった今も微塵も変わらず、身の周りを纏う。

 

(赤木はん・・変わらんな。ホンマにこの人がボケるんかい)

とても信じられへんかった。この人が今から死ぬことも、病気で寝たきりになることも。

 

「ククク・・・」

不意に笑いだす赤木。健はそれを見ていぶかしがるが、構わず続ける赤木。

「やっぱりお前が一番手かい、だと思ったがな。」

そう言って上機嫌にグラスを傾ける。そして盆に乗った別のグラスを取ると、テーブルに置く。

「まぁ座れや、一杯飲ろうぜ、なぁ。」

そう言って笑顔で健に促す。

 

 健は無言でイスに座る。赤木はグラスに氷を入れ、ウィスキーを注ぐ。

トクトクトク・・・という酒の音が部屋に響く。

 

「卑怯やで、赤木はん!」

不意にそう口を開く健。その言葉に赤木は、ああん?という顔で健を見る。

「赤木はんのやろうとしとることは逃げや!らしゅうないやないか、そんなん!」

健はまくしたてる。赤木に叩きつける言葉、今日ずっと考えてきて全くでなかった言葉が

赤木と対面した途端に溢れ出る。そうや、わいは博徒や、だったら博徒として赤木に言う。

 

「聞いとるで、赤木はんの数々の武勇伝、大金はもちろん、腕や血ィまで賭けた大勝負!

わいらにとって夢物語のような、生きるか死ぬかの大勝負!そんなんを勝ち抜いてきたんやろ!」

 

 赤木は健に正対し、彼の訴えを聞く。彼の言葉に無視できない熱を感じたから。

「まさか赤木はん、そんな勝負に負けとったら、負け分を反故にするような真似はぜんやろ!」

「ああ、まぁな。」

そう短く答える赤木。博打の出た目だけは何人たりとも否定しない、そして勝てば得、負ければ失う

その不文律も。

 

「そうや、負ければ失う。金を賭ければ金を、腕を張ったら腕を、それがルールやないか!」

赤木はその言葉に薄く笑い、そして返す。

「当たり前じゃねぇか。」

その言葉に、健は言質を取ったと言わんばかりに立ち上がり、まくしたてる。

「せやったら赤木はんは死んだらあかんやろ!あんたはまだ生きるべきなんや!!」

そして健は辿り着く。自分なりの赤木を引き留める理論、言葉に。

 

「あんたは、アルツハイマーに負けたんやからっ!」

 

 その言葉に目を丸くする赤木。

「アルツハイマーに負けた以上、その負けを受け入れるべきや!ボケて自分がわからんようになっても

それがアルツハイマーに負けた者の負債や!そうやないかっ!それを自殺して逃げようなんて

雀卓をひっくり返すようなもんやないか、赤木はんらしくないわ、そんなんっ!」

 

「ククク・・・はっはっはっ、はははははは・・・」

途端に大笑いする赤木。健は立ち上がったまま、笑う赤木に驚く。

「な、何が可笑しいんや!わいは真剣に言っとるんやで!」

「ああ、すまんすまん。いや、お前らしい言い草だと思ってな。」

そして赤木は視線を落とし、手の中のグラスを転がしながら続ける。

 

「間違っちゃいねぇよ、その考え方は。」

その言葉に健は口元を綻ばせる、よし、いけるで!

「だがな、それはアルツハイマーに『意志』があればの話だ。」

 

「俺をボケさせて、アルツハイマーは喜ぶのか、得をするのか?それなら生きてもいいがな。

でもそうじゃねぇ、俺を蝕んで、俺は死ねば、アルツハイマー君も火葬されて死ぬだけだろ。

そんな意思も持たない微生物に勝ったも負けたもねぇよ。」

 苦悶の表情をする健。わかっとる、わいの理屈は所詮、博打の理屈でしかない、それを闘病に

当てはめるなんて幼稚な考えでしかない。

 

「でもまぁ、悪くない理屈だ、上出来だよ。」

「せやったら・・・」

「だがな、やっぱり俺は死ぬよ。それが俺の生き様だからな。」

その言葉に固まる健。やっぱり俺の言葉は届かないのか、俺ごときの説得では・・・

 

「なぁ健、俺の理屈も聴いてくれよ。お前ならきっとわかるはずだ。何しろお前は、

俺が出会った誰よりも・・・」

一度言葉を区切り、顔を上げて健をまっすぐ見据えて、こう続ける。

 

「俺に、似てるからだ。」

 

 健はその言葉に一瞬立ち尽くす。しかしすぐに嫌悪の表情を浮かべ、立ち上がって返す。

「ベンチャラはやめてくれまへんか!、わいごときのどこが赤木はんに似とるんや!」

怒気をはらんだ声で赤木に叩きつける健。

「赤木はんは天才や、そうやないか!わいでは逆立ちしたってあんたの足元にも及ばんわ、

才能が違いすぎるやろ!才能がっ!!」

 

 赤木はその言葉を聞き、フーッと息を吐き出して返す。

「才能?どうでもいいだろ、そんなもん。」

「え・・・」

「なぁ健よ、覚えてるか?あの東西戦の初戦・・・あの時だよ。お前が俺と同類だと思ったのは。」

「東西戦の・・・初戦?」

健は記憶を邂逅する。東西戦のしょっぱな、健は敗れた。左手の傷跡だけを残して。

 

 彼は東西戦の初戦、西の大将、原田にイカサマを仕掛けた。小牌のルールの不備を突いた奇策、

あがってみれば明らかにイカサマと分かるミエミエの悪手だが、それを証明する手立てもまた

皆無かと思われた。

 

「あのイカサマを見て思わず唸ったよ、こんなところに俺以上のバカがいる、ってな。」

「・・・その結果がコレですわ。」

 健は手の甲の傷跡を見せる、原田はあの状況を打開するために、健が左手に牌を握り込んでいることを察し

短刀でその左手を刺し貫き、健のイカサマを白昼に晒した。そして健は初戦で敗退することになる。

いくら度胸があっても失敗すれば何も残らないのが博打なのだ。

「それに比べて赤木さんは、あの騒動を利用してトリプル役満を上がった、格が違いますやろ・・・」

その結果の差、それが才能の、天運の差。赤木と健の、決して埋まらない差。

 

「健よ、お前がイカサマを仕掛けたのは、『あの』原田なんだぜ。西日本最大の暴力団の組長の。

まだ若造のお前が、真っ向からあの原田に泥を塗りにかかったんだよ、狂気の沙汰だ。」

 一度言葉を切り、ニヤリと笑って続ける赤木。

「よく生きてたよ。一歩間違えたら次の日にゃ山ん中か海の底だぜ。お前あの時、そこまで考えてたか?」

「え・・・いえ」

 正論である。もし原田があそこで負けを認めていれば、本人はもちろん原田に気に入られたい

部下たちも黙っていないだろう。原田の面目を守るために懲役に行く者など腐るほどいる。

 ましてやあの代打ち再編成、東西戦を提示したのも原田なのだ。それをあんな見え見えのイカサマで

潰したとなれば、健の生きていける可能性は限りなくゼロに近いはずだ。ヤクザは自分の面子を潰す者に

何より憎悪する存在だから。

 

「お前あの時、人生で一番『生きてた』だろ。」

 その赤木の一言に全身がざわつく。そう、あの時わいは人生で一番の充実感を感じていた。

相対するは当代最高の代打ち、巨大組織の組長、原田克実。間違いなくわいの人生で最高の瞬間。

せやけどそれをまさか、離れた卓で打っていた赤木に見抜かれとったとは。

 

「だから似てるんだよ、俺と。」

 

 赤木は笑って邂逅する。もうほとんど昔のことは覚えていないが、それでもいくつか、

自分が命知らずになった時の、あの充実感はよく覚えている。自分の『生』を感じられるあの瞬間。

「なぁ健、最高だよな、ああいう時は。」

赤木を見据え、こくりと頷く健。

「だからよ・・・もう俺には来ないんだよ、あの瞬間が。だったら生きててもしょうがねぇだろ。」

あ・・・という顔で赤木を見る健。

 

「このまま何もかも分からないようになって、食事や下の世話まで他人任せになって、そんな生き方が

俺やお前に似合う生き方だと思うか?」

 お前はどうなんだ、と暗に問う赤木。自分のそんな未来を想像してぞっとする健。

ああ、そうか。この人は怖いんや。生き甲斐を見つけられない『余生』が。

 

 

 部屋から出て、星を見上げて健は思う。ああ、生きてほしいっていうのは、わいのワガママでしか

なかったんやな。

 赤木はんは最後まで生きたかった。それは存命という意味ではなく、『生きる充実』を感じられる

時間を欲していたんや。

 

 だったらこの通夜は、わいとの時間は、赤木さんに『生』を感じさせる時間になっただろうか。

健は赤木に、別れ際に言われた言葉を思い出す。

 

-お前は大丈夫だ、しっかり生きて、しっかり死ねるさ-

 

その後の赤木の笑顔が、その次の言葉を想像させる。

 

-見せてもらうぜ、お前の生き様、お前の『張り』をー



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鷲尾、友情ロクデナシ

「そんな・・・他人行儀なこと言えるかっ!」

 

 健が帰ってきてから、仲間に大見得を切って部屋から出、廊下を離れに向かって歩く。

そうだ、大事なのは俺の意思だ、俺が赤木に死んでほしくない、だから止める、それだけだ。

 一緒に卓も囲んだ、東西戦の前にはハワイにも行った。ゴルフは笑えるほど下手糞だったな・・・

歳も近いんだアカギとは。そう、単なる知り合いじゃない、友じゃないか、俺とアカギは。

 それが死ぬなんて言ってるのを黙って見送れるかよ!それこそぶん殴って止めさせるものなら

そうするさ。

 

 離れの扉を開けて入る。いた、赤木しげる。アウトローに生きてきた俺にとって数少ない

友人と言える存在。

 その腕には、例のマーシトロンとかいう自殺装置のチューブが伸びている。ああ、引きちぎって

やりてぇやこんなもん!

 

 そんな気持ちを押し殺し、アカギの前のイスに座る。なんでぇ、いたって元気じゃねぇか。

顔色もいいし、そもそも重病患者はウイスキーなんか飲まねぇよ、まったく。

死ぬなんてなんの冗談だってんだ!

 と、そこまで考えて、話の切り出し方を見つけた。死ぬ、ねぇ・・・

 

「よぉ、元気そうじゃねぇか、安心したぜ。また会えて何よりだ。」

「・・・なんだそりゃ、えらく他人行儀じゃねぇか、鷲尾。」

笑ってグラスの氷を転がすアカギにフォローする。

 

「いやな、俺たちの歳じゃ『しばらくアイツ見ねぇなぁ』なんて言ってたら、実はもう

墓の中でした、なんてよくあるじゃねぇか。」

一瞬、あ?という顔をしてから笑顔になるアカギ。

「ハッハッハッ、確かにそうだ。」

 

「だからよ、あの新聞記事見たときゃ背筋が凍ったよ。まさかもうお前に会えないんじゃないか

って思ってよ。だから生きていてくれてよかったよ。」

 アカギはグラスに口を付け、ちびりと呑ってから続ける。

「ああ、すまなかったな、心配させちまって。」

「いいってことよ。」

 

「なぁアカギ・・・北海道に来ねぇか?」

ん?という顔で鷲尾を見るアカギ。

「覚えてるか?前に俺と金光でハワイに行ったじゃねぇか、お前子供みたいに楽しんでただろ・・・」

「ハワイ・・・」

「ああ、あんときは楽しかったじゃねぇか。ゴルフして、ナンパした女にゃ金だけふんだくられて

逃げられて、3人で大笑いして。」

鷲尾の話に無言で耳を傾けるアカギ。

 

「やっぱ新鮮な経験って大事だぜ、心が躍るっていうかさ。その点北海道はいいぜ!

雄大で、食いもんは美味くって、酒もいけるぜ。ハワイに負けないくらい楽しいぜ、きっと。」

その言葉に、グラスをテーブルに置いて鷲尾に向き直る。

 

「そうだな・・・まだ俺の知らない経験をする、っていうのはいいかもしれねぇ。」

「おお!そうだろそうだろ、だったらなぁ、こんなつまんねぇモン、とっとと外して・・・」

そこまで言いつつ、アカギの手に付けられたマーシトロンの管に手を伸ばす鷲尾。

 だが、その手をアカギの右手がつかみ、制する。

 

「お。おい・・・」

「すまねぇな、やっぱり北海道には行けねぇのよ・・・」

「どうしてっ!」

語気を強める鷲尾を穏やかな目で見返して、こう返すアカギ。

「行ってもな、もう・・・楽しめねぇんだよ。」

 

「あと1日か2日、遅くても数日で、俺はもう終わっちまうんだ、それだけは間違いない。」

「お、おいおい・・・まだこんなにピンピンしてるじゃねぇか!」

「フフ・・・なぁ鷲尾、お前いま、俺とハワイに行ったって言ったよな。」

「あ、ああ・・・」

「俺はもう、それすら覚えちゃいねぇのさ。」

 

 絶望する、涙が出てくる。アカギの言葉に嘘の色が見えないだけに。

アカギが病気で、刻一刻と大きく失われつつあるのが鷲尾には今、良く分かる。

 

 友達だから。自分に置き換えて、赤木の気持ちが良く分かるから。

 

 涙をこぼす鷲尾に、アカギが声をかける。自虐の入った、優しい声で。

「なぁ鷲尾、泣くな。こうなったのは俺の自業自得さ。」

「違う!違うだろそれは!」

「ハワイは覚えてねぇ、だがな、こいつは覚えているのさ。」

「え!?」

言って顔を上げ、アカギの視線を追う。その先にはマーシトロンのチューブ。

それを外そうとした鷲尾の手と、その手を掴むアカギの手。

 

「俺はな、昔、血を賭けて勝負したことがあるのさ。そのときもこんな塩梅の針と管を差して

やりあったのをよく覚えてるよ。」

 ひと息ついて鷲尾の顔を見直し、続ける。

「そんな奴なのさ、俺は。ダチと旅したことなんて覚えねぇのに、そんなロクでもねぇ勝負は

キッチリ覚えてやがる、だから俺は選ぶんだよ、北海道よりこっちをな。」

 

「俺は、ロクデナシなんだよ、鷲尾。」

そう言って、すっ、と鷲尾の手を放す。あるいは今こそがマーシトロンのチューブをひったくる

最大のチャンスかもしれない。

 だが、鷲尾は、ゆっくりと手を下ろす。

俺だってロクデナシだよ、代打ちなんてやって何人も打ち負かしてきた。ヤクザに生きてきた。

そんな俺でも、死ぬ瞬間までロクデナシを貫けるだろうか、多分無理だ。最後にゃ楽に逃げるに決まってる。

 

 だから、そうしないアカギが・・・すげぇカッコよく見えるんだよ!

 

 ぼろぼろと涙をこぼす鷲尾に、アカギはテーブルのグラスを取り、差し出す。

「最後だ、一杯やろうや。」

鷲尾は顔を上げ、涙をゴシゴシと拭ってから、そのグラスを受け取る。

が、鷲尾はそのグラスをそっと机の上に置く。一瞬驚き、残念な表情をするアカギ。

 

「なぁ、アカギ・・・酒はいいよ。その代わり、握手してくれねぇか。」

そう言って右手を差し出す鷲尾。

「なんでぇ、ずいぶんガキっぽいじゃねぇか・・・」

そう言ってグラスを置くと、鷲尾に向けて右手を出す。どちらからともなく、しっかりと握手する。

それが二人の最後の邂逅。他の誰とも違う、最後の友との思い出。

 

「じゃあ、あの世でも達者でな。」

「ああ、あばよ親友!」

 

 嬉しい事を言ってくれる。こんな俺を親友と言ってくれた。だったら俺もカッコつけなきゃな。

もう見苦しく引き止めたりしねぇよ、他の誰もアカギと握手なんかして別れねぇだろう、

これは俺だけの思い出だ。

 アイツの手の感触を握りしめ、背を向けて部屋を後にする。アカギが笑顔で手を上げる、

それを見もせずに背中で感じて俺も左手を上げる。あばよ、またな。

 

戸を閉める。

駆け出す。靴下のまま、寺の奥の森に。

 

「うおおおおおお・・・っ!おあぁあぁぁ・・・」

気に手をついて、嗚咽を上げ、泣く。誰にも聞こえないように、森の奥で。

 泣いて悪いか!親友が死ぬんだ!俺はそれを止めないんだ!!だったらせめて泣かねぇと、

俺が薄情じゃねぇか!隠れて泣かねぇと、カッコ悪いじゃねぇか・・・

 

 やれやれ、歳はとりたくねぇもんだ。若いころなら一晩中だって泣けただろうに

今の俺はあっさり涙も、そして悲しみまで枯れやがったよ。

親友を失う悲しみよりも、大人としてのプライドがすぐ上回っちまう。

 まぁ、どうせ俺も遠からずそっちに行くんだ。それまで、しばしの別れか・・・

 

 晴れやかな顔で寺に戻り、廊下を皆の部屋に向かって歩く。

おっと、いかん。俺は「止めてくる!」と大見得切って部屋を出たんだった。

だったらこんな顔はいけねぇな、深刻に深刻に顔を作らないと・・・

 

-ほんっと、ロクデナシだよな、俺達-



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