賢者の孫Bが現れた! (何処でも行方不明)
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Prolog ただフレアボムりたいだけだった。と供述しており……

全身に広がる力を指先に集中させる。

イメージするのは燃える炎。

ただ、イメージするだけでは足りない。

想像力不足とかじゃないが、シンドいものがある。

だから声に出す。

 

「火!」

 

すると火球が人差し指の先に現れた。

ようやくここまでこれた……

次のワードは……試しに……

 

「火!火!」

 

中指、薬指にも同様の現象が起こった。

これなら……

 

「火!火!」

 

よし!予想通りに親指、小指にも火球ができた!

威力はまだまだだけど……これで……

 

フィンガーフレアボムズが撃てる!

 

「斉射!」

 

五本の指から発射された火球は威力こそ片手で出す時より劣るが数が多い。片手の8割前後が5個。つまり単純計算で火力4倍!

やっとここまでたどり着けた……

 

と、少し自己紹介でもしよう。

僕の名前は〘黒木 飛遊馬〙

いわゆる神様転生者だ。

死因は……テロに巻き込まれて死亡。厳密には爆発して崩壊した建物の下敷きになって圧死かな。多分。

神様と遭遇したんだけどさ……

人型とか期待してたんだけど、光みたいなのに遭遇した。

ちなみに、転生特典とかは選べなかった。

一番くじみたいなのひかされたよ。

3回引けるみたいで

 

1回目

〘魔法の才能(チート級)〙

ものすごくありきたりな特典だ。

まあ、わかりやすくていいのかな?

2回目

〘モーグリ(13-2仕様)〙

13-2モグなら投げてもいいし、武器に変えたりできるやつじゃなかったか?

とりあえず最後のは……

〘モーグリ(12仕様)〙

またお前かァァァ!!

なに?転生特典はペット率高いの!?

見た目両方とも普通のモーグリと違う部分あるんだけど……12の方に関しては頭のポンポンしかモーグリ要素ないんじゃなかった?

しかも、その時に神様は小声で「E賞2つか」

とか言ってたんだけど!?

 

とにかく、そんな特典を得た僕は才能だけあっても仕方ないので色々と魔法の特訓みたいなのをしている。

ちなみにモーグリは……

 

「ヒューマ!お腹すいたクポ!」

 

「( ˘ω˘ ) スヤァ…」

 

普通にペットみたいな感じで共同生活してます。

 

「なら、さっさと武器になってよ。今日はまだ狩りに行ってないんだし」

 

「備蓄はまだまだあるクポ」

 

「食べる予定の分は先に確保しておくの。その方が安心して食べられる」

 

「冷凍肉は飽きたクポ!」

 

「ライツは文句が多いな……ヴェルフは文句とか言わないけど?」

 

「ヴェルフはいつも寝てるだけクポ!」

 

「いいから狩りに行くよ」

 

ライツ……13-2の方のモーグリを連れてこの場をあとにする。ちなみにヴェルフは12の方。

ライツは原作通り?の性格なんだけど、ヴェルフの方はどのモーグリかわからない。いつも僕の服についてるフードの中で寝てる。

それはさておき。

狩りに出ることにした。

5歳ほどからこの世界にいた。それ以前の記憶は全く覚えていない。

今はおそらく8歳ほど。

鳥や猪を狩り、野草や川の水などで日々を食いつないでいる。

けれど、その日。

転生してから初めて人間と出会った。

 

「………」

 

「君は……誰?」

 

それは僕と同い年ぐらいの黒髪の少年だった。

 

※※※

 

「君は……誰?」

 

俺の目の前には真っ赤な瞳と薄紅色の髪を持つ同い年ぐらいの男の子がいた。

そいつの服装はあちこちが擦り切れたフード付きのハーフマントとマントと同じようにボロボロになっている上下とも黒色の服だ。フードの中にはネズミのような生物が入っている。手には赤色がメインになっているメカメカしい剣が握られている。

 

「……僕はヒューマ。とりあえず、ここの森にうまれてからずっと暮らしいている。君は?」

 

「俺はシン。シン=ウォルフォード。俺もこの森に住んでるんだ。君、親は?」

 

「いないよ。家族なら……ライツとヴェルフだけだね」

 

「ライツ?ヴェルフ?」

 

そういうとソイツはフードの中にいるネズミを指さした。

 

「こっちがヴェルフで……」

 

その瞬間、ソイツがもっていた剣からポンッ!という音と共にピンク色の煙が発生した。

煙が晴れるとそこには白い何かがいた。

……たしかファイナルファンタジーのモーグリだったっけ?

まさかゲーム世界の生物を見ることになるなんて……

 

「それでライツ」

 

「クポ!」

 

「うお!喋った!」

 

「ヴェルフも喋るよ……いつも寝てるけど」

 

「_(ˇωˇ」∠)_ スヤァ…」

 

「……寝息が聞こえたな」

 

「それじゃ僕はこれで。縁があったらまた会うと思うし」

 

そう言ってヒューマは再び武器に戻ったライツを持って来た道を一瞬で戻って行った。

……足速すぎないですか?

 

俺は帰ったあとにヒューマの事をじいちゃんに話した。

 

「ヒューマ……そんな子が……」

 

「ずっとこの森で暮らしている感じだった。じいちゃん何か知らない?」

 

「わしは……何も知らん。ただ、ふと魔物を感知してもすぐに消え去ることが多々あった。若しかすると……」

 

「ヒューマが倒した可能性があるってこと?」

 

「もしそうだとすれば……すぐに保護した方がいいかも知れん」

 

※※※

 

「……どちら様で?」

 

朝、いつものように狩りに行こうとしたら昨日会ったシンと白髪のお爺さんと遭遇した。

 

「わしはマーリン=ウォルフォード。君が昨日シンに会ったヒューマくんじゃな」

 

「そうですが……」

 

「一度、わしに君の魔法を見せてくれんか?」

 

「……それぐらいでしたら。今から狩りにいくので軽く……一から五、炎」

 

僕は手を構え早口にそういう。ライツとヴェルフ以外に魔法を見られるのは初めてだから若干の緊張を感じる。

気にしてないけど。

僕が炎と唱えると一気に魔法陣が5つ展開。そうして生まれた火球は圧縮され指先に小さな火の玉として現れる。

 

「これは……」

 

「マジか……俺よりすごい……」

 

「対象索敵、斉射」

 

魔力を無駄にすることはないので索敵魔法のようなものを用いて五体の鹿をロックオン。いい感じに火あぶりにするために火球を発射した。

キィィィンという風を切る音と着弾する音が響いた。

 

「ざっとこんなものです。じゃあ、焼き加減を見に行きますのでしばしお待ちを」

 

足先から風の魔法を炸裂させ一気に加速する。

この速度ならすぐに元に戻れる。

ロックオンしたのは鹿の群れだし。

 

※※※

 

「……じいちゃん、あいつすごいな」

 

「………」

 

「じいちゃん?」

 

その日、俺の家族にヒューマが加わることになった。



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1.これが余のメラだ、とも言っており……

チート✖️チート=どうしてこうなった?

って感じになりました。頭を空にして読んでください。


僕がマーリンさんの養子に入ってから数年後。

僕とシンは15歳になった。厳密に言うとシンは明日で15だけど。

今日は卒業試験という名目で荒野に来ている。

なんでも魔法をどれくらい扱えるようになったか見てみるとのこと。

僕とシンはお互いしか同年代の人間を知らない。

そのため、同年代がどのくらい魔法を使えるかはわからない。

シンの魔法も僕の魔法も、マーリンさん……おじいちゃんとおばあちゃんの言葉を聞く限りは同年代とはかけ離れたほど魔法に通じてるとのこと。

…まあ、さすがに同い年の時のおじいちゃんよりすごいなんてことはないだろう。

多分……

 

「では、ヒューマから見せてくれんか?」

 

「うん」

 

「ヒューマ、やったるクポ!」

 

「_( _ ´⚰︎` )_スヤァ」

 

ライツとヴェルフの応援を受けながら魔法を起動させる。

僕は無詠唱で魔法を使えない。マルチタスクを行う癖があり、色んなことを常に同時に処理してしまうので変な魔法が起動しないようにイメージだけで起動させないようにしている。その代わり、放つのはイメージがしやすい一単語だけ。それだけで充分だけど。

 

「一から七、火炎、八、九、爆発、十、補助」

 

前世であったドラクエで言うと右手の指全部と左指二本はメラゾーマ、左中指と左薬指はイオナズン、残った左小指で他の魔法の効力の補助を行っている。近いものでいうとATLASゲーのコンセントレイトかな?

僕がフィンガーフレアボムズを撃つために上手くなった魔法のマルチタスク。ちなみに直視すると目が焼けるかもしれないので僕のメガネはおばあちゃんにいってもらって閃光遮断の効果を付与された魔道具になっている。度は入ってない。

 

「擬似太陽……作成完了」

 

その全てをひとつに束ね、小さな太陽を作成する。

太陽は表面が燃え続ける星。核をイオ系で形成し、その周りを炎で覆い似たような状況を再現し、その力を補助魔法で制御する。メドローアみたいな感じかな。

ちなみにこれをしたいがためにフィンガーフレアボムズを極めちゃったりした。イオ系で核を作ったのは爆裂させるため。

今思えば、メドローアは熱の無で敵を消滅させる呪文だから違うか。

 

「なにか恐ろしい単語聞こえたんじゃが」

 

「驚くのは早いぞ、じいちゃん」

 

「発射」

 

二人の声を背に擬似太陽を発射する。ひとつひとつ声に出すのは順序つけないと色々とやばいからだ。

 

「擬似太陽爆裂まで10秒。一から六、氷雪、七から十、鉄化。斉射」

 

6個のマヒャドで作成した氷の壁にアストロンを施す感じ。絶対防御……まあ、イメージは魔法限定の無効化なんだけどね。それを便宜上【鉄化】って言ってるだけ。

鉄の要塞が出来上がった頃に擬似太陽が爆裂した。

ゴォォォォォォォ

という音が辺りに響く。空が飲み込まれ、鉄の要塞に爆裂している擬似太陽が接する。

鉄の要塞は擬似太陽を触れた面だけ無効化し続ける。

そして、擬似太陽が消え失せた。

鉄の要塞のおかげで周りの被害はほとんどなし。

今思えば一番似てるのは似ているのはFateの【破壊神の手翳(パーシュパタ)】な気がしてきた。

バタフライエフェクト?そんなことは頭悪いから考えられないかな。

 

「僕の方はこんな感じ。どうかな、おじいちゃん」

 

「………」

 

「おじいちゃん?おーい?」

 

おじいちゃんが黙りこくっているので目の前で手を振ってみる。……ああ、これはやりすぎた。そんなパターンだ。

僕の魔法の大多数は便利なものと僕が使いたい魔法だ。

そのため、中二的なロマン満載な技が多い。フィンガーフレアボムズとかさっきの擬似太陽のやつとかね。

結果的にロマンを再現するためにカスみたいな威力になるか馬鹿でかい威力になるの二極化している。

はっきり言ってしまうと、擬似太陽爆裂は威力だけでいうとこのすばの【エクスプロージョン】を軽く超えてしまう。そして、鉄の要塞のやつ。あれも広域を絶対魔法防御の壁で覆ってしまう。遠距離戦の常套手段の魔法を完全に防いでしまうのを作れるとなると戦略兵器もいいところ。この世界の魔法がこんなのばっかりだといいけど、そんなわけはない。そんな世界だとおじいちゃんは固まらないと思う。

 

「ヒューマ、じいちゃんどう?」

 

「フリーズしてる。どうする?」

 

おじいちゃんはその後、2分後ぐらいに目を覚ましました。

 

※※※

 

「じゃあ俺の番だな」

 

おじいちゃんはとりあえずシンも見てから決めると言った。……多分、シンもやりすぎるんだろうな。

 

「ヒューマがアレをしてたから……俺はこうしようかな?」

 

シンは片手をかかげ十八番の青い炎を何個も作成した。

そして、それを片手に集中させる。

バチッと音が炸裂した。

熱を持ちすぎてプラズマ化してるよ……

炎が雷みたいになってる……

それが無造作に放たれる。

放たれたあとは筒状に地面がえぐれていた。

溶けたんだろうね。多分。

僕のが全体攻撃ならシンのは単体攻撃。

まあ、両方とも馬鹿な威力だと思いますです。はい。

おじいちゃんは……案の定フリーズしてます。

ちなみにシンの方が実用性は高い。

破壊力なら僕の方が高いけどね。それに、二人ともそれぞれから教えもらえばその呪文を覚えてしまえる。

実際、僕は難易度が高いらしい索敵魔法は本能的に我流で使ってたし……

まあ、この話はこれくらい。

おじいちゃんの気付をしないと……

 

※※※

 

あのあと、無事におじいちゃんから合格を貰った。

一日が経ち、15歳になった僕達はこの世界では成人となる。

そのため、自立することになる。生まれてから僕はこの森から出たことないけど……ジーク兄やクリス姉の言う通りならハンターとかすればとりあえず食いつなぐことはできそう。それか、お金がかからないから魔法学校や騎士学校に通うのも手。

まあ、そういうのは考えるのはあとにして今はシンの誕生パーティの準備。

おじいちゃん、おばあちゃんたちとせかせかと準備をしている。ちなみに、主役のシンはミッシェル先生との訓練中。僕は準備があるので訓練は先に始めて先に終わらせてもらった。

 

「ヒューマや」

 

「どうしたのおばあちゃん?」

 

「シンにはパーティの席で聞くつもりだけど……ヒューマは成人したらどうするつもりだい?」

 

成人したら……ね。

なにをしたいっていうのは漠然としかない。さっきも考えてたけど……

 

「おじいちゃんから常識を教えてもらってないし……」

 

「……いまなんて?」

 

「おじいちゃんから常識を教えてもらってない」

 

「あのボケジジイ……」

 

「あはは……僕らが気にしなかったのが問題だと思うけど……僕は常識をディスおじさんたちから聞いたぶんしかわかってないからね……」

 

だからかぎりある情報からしか推測できないんだよね……シンは全くその辺知らないと思うし……

 

「とりあえず、魔物ハンターかなにかで食いつなぐつもりではあるよ?」

 

「昔の暮らしに逆戻り……大丈夫かい?」

 

「うん、昔と違って大物も狩れるようになってるし……数年間続けたら一軒家くらい買えるようになると思うよ。家がない間は前みたい野生児に戻るけど……ライツとヴェルフがいるし寂しくはないし。慣れっこだからね」

 

「この子はまあ、立派に育って……」

 

そんな話をしてるとクリス姉が首を突っ込んできた。

 

「行く宛がないなら各種学校に通うのはどうだ?」

 

「それも考えたんだけど……魔法はおじいちゃんから。体術と剣術はミッシェル先生から教わってるから教わることないと思うんだ」

 

「さすがに知らないようだな。学校を卒業すると卒業時の成績によっては衛士などになれるぞ」

 

「あ……そういえばそうか……ありがとうクリス姉」

 

「それならぜひ騎士養成士官学校の入試を受けたらどうだ?」

 

「いや、ヒューマには高等魔法学院に入ってもらう。ヒューマは魔法の方が剣より好きだよな?」

 

「うん、まあ……」

 

「なら高等魔法学院に入れ。お前が知らない魔法と触れられるかもしれないぞ」

 

そこにジーク兄も入ってくる。……クリス姉とジーク兄は犬猿の仲というやつなのにどうしてか二人とも何故か同じところにいることが多い気がする。

きらいきらいもスキのうちってやつなのかな?

 

「確か、両学校とも授業料とかないんだっけ?」

 

「ああ、そうだ。平民も貴族も平等に通えるための処置だな」

 

「なら学校に行くのもいいかも……でも騎士学校は……僕は狩人の自覚はあるけど騎士かと言われると……うーん……」

 

「ほら、3人とも。話ごとはいいが後にしな。そろそろ準備を再開しないと間に合わないよ」

 

「わかったよ、おばあちゃん。ジーク兄、クリス姉あとで詳しく聞かせてね」

 

※※※

 

おばあちゃんと少し将来設計についての話をした数十分後。

僕らは昨日、擬似太陽とプラズマを炸裂させた荒野に来ていた。

僕からの事前情報により常識を全く知らない僕とシンに対しおばあちゃんやディスおじさん、トムおじさんやクリス姉とジーク兄により僕達二人の魔法が見たいとのことで、そのお披露目だ。

おじいちゃんですらフリーズしてたから結果は目に見えてるけど……

あと、荒野への移動はシンが開発した【ゲート】っていう魔法を使っている。空間と空間をつなぐ門を作りそれをくぐることで移動する魔法。どこでもドアの魔法版みたいな感じかな。ドラクエのルーラと同じで行ったことのある場所にしか開通してないけど。

 

「ヒューマ、久々に思いっきりやらないか?」

 

「うーん……じゃあ、そうしようか。一から十、閃光」

 

シンの提案に乗っかった僕は両手に10個の光の玉を作成した。一つ一つがギガデイン級。それをひとつにまとめ、片手に。

それでビームを放つ。

圧縮された光の粒子で対象を飲み込む感じ。近しいのでいうとドラゴンボールの【かめはめ波】やリリなのの【ディバインバスター】みたいな感じかな。

それを僕が得意とする遠隔起動させた魔法反射障壁……つまりはマホカンタで軌道を空に移す。空にいくつもの遠隔起動を起こし今1度僕に向かわせる。

そのビームをシンが割り込み魔力障壁にアストロンを施した対魔法特化障壁で霧散させた。

おばあちゃんたちからの要望は僕たちが使えるすべての魔法をみたいとの事なので、これから先も僕とシンによる魔法合戦は続いた。ライツを武器にし魔法を纏わしFFの魔法剣のようなことをしたり、ひとつの魔法を放ち、反射と加速を繰り返し音速を有に超えた魔法を放ったり色々した。

極めつけは僕とシンの合わせ技。

僕が擬似太陽を作成し、その衝撃をシンが光を含めすべて収束。ひとつの恒星のエネルギーがそのまますべて破壊に費やされた感じ。空に向かって放ったけど、この星の衛星とかに当たってないことを祈る。

 

なお、この魔法合戦でおじいちゃんはおばあちゃんに締め上げられて、ディスおじさんたちの感想は一概に「非道い」だった。唯一普通にしてたのは昨日体験したおじいちゃんといつも一緒にいるライツとヴェルフだけだったりする。

 

「そんなに驚くことなのか?」

 

「……昨日おじいちゃんが固まった時点で想定しときなよ」

 

「ライツたちに取っては見慣れた光景クポ!」

 

「スヤァ('、3_ヽ)_」



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2.二度とあの人を師匠と呼べない。など意味不明な……

サブタイのネタがつきかける……

あ、原作すこし改変するかもです。


王都に来ました。

 

ディスおじさんのススメで僕たちは王都にある高等魔法学校の入試を受けることに。それのためにおじいちゃんとおばあちゃんが昔貰った王都の屋敷に引っ越すことになった。

今は屋敷に住み込みで働く守衛さんや使用人さん、コックさんたちの紹介を経て王都をシンと散策している。

王都を散策している理由は入試までの勉強を午前に当てはめていたんだけど、僕がそもそも勉強が得意でシンも別に苦手ではないのですでに受験勉強が終わってしまっている。午後をどうにか潰すために見て回ってる感じ。

ジーク兄が言ってた魔道具屋に行ったけど、高いし効果弱いからすぐに出て、おじいちゃんから貰ったお小遣いで露店で売られていた料理を食べながら歩いている。

ちなみにライツとヴェルフも付いてきてる。

ヴェルフは相変わらずフードの中でグースカ寝てる。

ライツは周りをフヨフヨ浮きながら辺りを見回しているが……周りの人たちがライツを二度見してるからやめて貰いたい。

 

「にしてもさっきの魔道具屋高かったな」

 

「おばあちゃんに頼んだ方が安くつくよ、絶対。それに僕たちで付与した方がいい性能になるかもね」

 

「だなー」

 

そんなことを言いながら裏路地に入っていく。

表通りのお店はあらかた見て回ったから、次は裏路地ってだけ。

シンは次はどんな店を冷かそうか考えていて、ライツは見るもの全てが新しいから未だにキョロキョロしてる。ヴェルフは寝てる。

それで聞こえるのはさしてうるさくもない喧騒の声。

聞こえる単語でいうと

 

「離しなさい!」

 

やら

 

「黙って従え」

 

などの拉致や誘拐を彷彿とさせるものが多い。

できる限りなら見過ごしたい。テロで死んだからその手の類のものは軽いトラウマになってるし、それに既に手遅れかもしれないが出来うる限り目立ちたくない。

ただねぇ……転生前は一般人な僕には正義の味方や偽善者ほどの正義感はないけど、解決できそうなものなら解決したいんだよね。

言ってることが矛盾してるけど、理由は寝覚めが悪くなりそうだから。

それに……

 

「すみません、そこの人お困りですか?」

 

「クポクポ!」

 

「ฅ(˘ω˘ )ฅスヤァ」

 

僕が何もしなくても、僕の周りにいる1人と2匹が勝手に巻き込んでくるから選択肢はもとよりない。

 

「超お困りです!」

 

ふと見てみると二人の少女がなんか筋肉質な男達に絡まれていた。先程のセリフから想定するにやっぱり拉致とか誘拐の方に向かってる。

 

「なんだお前ら!正義の味方気取りか!」

 

「いや、通りすがりの一般人ですが?というか、あなたがた何様ですか?」

 

「俺たちは魔物を狩ってコイツラを守ってる!その対価をいただくだけだ!」

 

あー……魔物ハンターね。

でも、なんか……猪の魔物にすら太刀打ちできるんだろうか、この人達。全体的に見て弱いと感じる。

 

「じゃあ、僕からすると同業者ってところかな?」

 

「あー……そうなるんじゃね?でも、ヒューマほど強そうに見えないな、アイツら」

 

「それもそうだね。狩るのは鹿の魔物で手一杯かな?」

 

「舐めてんじゃねーぞ、クソガキども!」

 

「んー?」

 

ここまで煽ってやっと1人が行動に移してくれた。

 

「じゃあ、正当防衛の始まりだ」

 

パッと近づく。僕の筋肉はクリス姉曰く柔軟性に優れた理想的な筋肉らしい。一番体つきが近い例を上げると野生の狼だとか。まあ、仕方ないといえば仕方ないのかな?

細やかな動きならシンより僕の方が上手い。まあ、単純な筋力勝負はこの間負けたけど。

 

「はっ!あっちからきやがった!」

 

なんて言う男Aの腕をつかみ合気道のようにコテの原理を利用し回転させる。

 

「そぉい!」

 

ずべし!という音が整備された地面から聞こえた。

これでまずは一人かな。それにしても弱い。

残った男達が腰に付いてる剣を抜こうとするが……

 

「おい!剣がねえぞ!」

 

「なにしやがった!」

 

「あー多分……」

 

僕は思い当たる節があったので後ろを振り返ってみる。すると……

 

「とんだ安物クポ!」

 

3本ほどの剣を持っているライツが目に入った。

 

「ライツ、手癖悪いよ」

 

「返しやがれ!」

 

「おっと、悪いけどそれは無理だな」

 

ライツに突撃しようとした男Bをシンが足祓いでコケさせる。

そして、鳩尾に一発。うん、ノビたね。

あと一人かな。あっという間に数の有利を崩されて焦ってる。

うん……面倒だし……

 

「よいさー」

 

軽い掛け声と共に男Aを男Cに投げつける。

 

「あっぶねェ!」

 

「シン、さっさと終わらせちゃって」

 

「はいはい」

 

投げられた男Aに気を取られた男Cをシンが手刀で黙らせた。これで一丁上がり。

にしても弱すぎる。ほんとに魔物ハンターで生計立ててるのかな?

……いや、こう考えるのはよそう。僕達は規格外やら人外といわれる部類だ。無意識の内に僕たちを選定基準にしたらエライ目にあう。

特におばあちゃんから大目玉を食らうことは間違いない。

うん。

 

「と、君たち大丈夫?」

 

「え、あ!大丈夫です!」

 

ちょっと大きいつり目の茶髪セミロングの子がそう答えた。美形に入るぐらい整った顔をしている。

王都の女性のレベルが高いのかな?

まあ、それはさておき、

 

「君も大丈夫?」

 

「私も大丈夫です……」

 

「……!」

 

おお、青い髪……まあ、桜髪の僕が言えたことじゃないけど特徴的な髪だ。この子もかなり顔が整っている。

うん、レベルが高い。

 

「あ、あの……どうかしましたか?」

 

「え?ああ!イヤ、何でもないよ」

 

シンが何故かフリーズしてた。うーん……見蕩れていたのかな?最悪の場合一目惚れという可能性が普通にある。だってね、今まで交流があった女性がおばあちゃんとクリス姉だけだもん。

一目惚れを起こす少女漫画のキャラでもそんな感じの家庭環境なかったかな。異性に対して家族しか接してなかったから、町中で出会った異性に一目惚れってやつ。

まさか、ないでしょう。

 

「とりあえず、ここを離れようか。ライツ、その剣は返しといて」

 

「売れば金になるクポ!」

 

「いや、それ窃盗だからね?」

 

※※※

 

女の子たちからするとどうやら恐怖体験だったようでその場の流れということもあり、一旦気持ちを落ち着けさせるために僕達は近くのカフェに来ていた。

しかし、この世界。

道路の舗装にアスファルトが使われていたり金属製のクリップがあったり妙に現代日本っぽいところがある。

今僕が来てるのもパーカーのような服だし……シンはカジュアルスーツだっけか?そんな感じの服を着てる。

 

「さっきは危ないところを助けてくれてありがとうございます」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「いやいや、そんなに強い相手じゃなかったし……」

 

「感謝は素直に受け取っとくものじゃないかな?」

 

「そうか……じゃあ、どういたしまして?」

 

そう言うと茶髪の子が悔しそうに呟いた。

 

「魔法さえ使えればあんな奴ら……!」

 

いや、物騒だねこの子。

 

「マリア、町中では攻撃魔法を使っちゃダメなんだよ?」

 

「わかってるわよ……だからこそ腹が立つのよ!」

 

茶髪の子はマリアっと。

 

「あ、自己紹介してなかったわね。私はマリア、それでこっちがシシリー」

 

「あ、シシリーです……」

 

「じゃあ、僕達も。僕はヒューマ。こっちの白いのはライツでフードの中にいるのがヴェルフ」

 

「それで俺がシン。ところでマリアは魔法を使うみたいだけど、高等魔法学院の生徒なのか?」

 

「いや、まだ違うわ」

 

「まだ……ということは来月の入試を受けるんだね」

 

「そうよ」

 

「へー…マリアも入試受けるんだ」

 

「シシリーと一緒にね。というか()?」

 

「俺とヒューマも受けるんだ」

 

シンがそう言うと二人はポカンとした。

 

「え、うそ。あれだけ体術ができて魔法使い?」

 

「てっきり騎士養成学校の生徒さんかと……」

 

「あはは、まあ、そう思うよね。だけど魔法の方が得意なんだ。来月の入試で合格したら晴れて同級生だ。宜しくね、マリア、シシリー」

 

僕はそう言いながら右手を二人に向けた。

 

「そうね。言っとくけど私、首席目指してるから」

 

「おお、それは心強い。なら何かあったらマリアを頼ろうかな?」

 

マリアと握手を交わし次はシシリーの方を向く。

ちなみに握手の文化があるかどうか緊張したのは内緒だ。

しかし、一向に手を掴んでくれない。

なんで?

 

「まあ、俺はボチボチやるよ」

 

「何よ、張り合いがいがないわね」

 

シンとマリアの握手が終わってもシシリーは握手してくれない。うーん、なにかトラウマスイッチ押したのかな?

 

「シシリー?どうしたの?」

 

「え?あ、ごめんなさい」

 

シシリーはマリアの指摘でようやく目線を向けてくれた。何見てたんだろ。少なくとも僕じゃなさそうだ。

 

「二人とも、よろしくお願いします!」

 

一通り握手を終え席につく。

 

「そういえばヒューマとシンはどこの中等学院?同い年にしては見たことないわね」

 

「僕らはつい最近王都に来たんだ。見慣れなくて当たり前だよ」

 

「なるほど……あ、そういえば賢者様と導師様が王都にお戻りになったらしいわよ!」

 

「みたいだね。是非とも一度お目通り叶いたいものだね」

 

「機会ならあるかも知れないわよ!なんでもお二人のお孫さん2名が高等魔法学院を受けるそうなの!その方たちと友達になれば……」

 

ちょっと、なんでそこまで情報洩れてるの?ディスおじさんが洩らしたとは考えにくい……じゃあ、誰がやったんだろ。

 

「ああ、どんなお方なのかしら?マーリン様のように勇猛果敢で魔法に優れているのかしら?それとも、メリダ様のように苛烈に、そして美しく戦うのかしら?」

 

おじいちゃんとおばあちゃんやっぱり人気あるな。伝説の英雄……現代日本でいうと桃太郎がめちゃくちゃ人気あるみたいなものなのかな?……想像出来ないけど。

それにしてもだいぶ落ち着いたみたい。さっきとは違いマリアはものすごく荒ぶってる気がするよ。

 

「そうだね。合格したら魔法のコツとか聞いてみようかな?それじゃあ僕らはこの辺で」

 

伝票を持ってシンと共に立ち去ろうとする。

 

「ちょっと!私たちの分は払うわよ!」

 

「少しぐらい格好つけさせてよ。じゃあ、また学院で」

 

「じゃあな!おい、ライツ行くぞ」

 

※※※

 

ヒューマたちが立ち去ったあと。マリアとシシリーは二人が行った方向を見ながらこんな会話していた。

 

「なんかかっこいいヤツらだったわね」

 

「うん……」

 

「もしかしたら、あの二人が賢者様と導師様のお孫さんだったりして!」

 

「うん……」

 

「……あのさ、シシリー聞いてる?」

 

「うん……」

 

「ねぇ、チュウしていい?」

 

「うん……」

 

「……あの二人、私が囲んじゃおうかな?」

「う……え!?ダメだよ!」

 

狼狽えるシシリーをクックックッと笑いながらマリアは見つめる。

 

「大丈夫、大丈夫。そんな帝国貴族みたいなことしないわよ。それにしても、二人のどちらかに惚れちゃったの?」

 

「ううん……違うと思う」

 

「どうだか」

 

「でも、少し格好いいなって思うよ」

 

「へぇ……あのシシリーが……まあ、私もそう思ったんだけどね。ちなみにシシリーはどっち派?」

 

「え?……えと……シンくん……かな?」

 

「私はヒューマかな。なんかねー……あの理知的な感じすごく好みだわー」



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3.戦うのが好きなんじゃない、勝つのが好きなんだ。と容疑を否認し……

朝に投稿したことでお気に入り数が一気に……
朝投稿の味に中毒になってしまうかもです。


『それでは続きまして、新入生代表挨拶です。今年度入学試験首席合格者、ヒューマ=ボーウェン君』

 

「はい!」

 

さて、どうしこうなったか。

なぜベストを尽くしてしまったのか。

 

※※※

 

高等魔法学院の入試の日が来た。

特に緊張はしてる。

なんどやっともこればかりは慣れない。一世一代の大勝負みたいなものだ。ついネガティブに失敗したらどうしようと考えてしまう。

 

「ヒューマ、試験会場どこかわかるか?」

 

「今案内板見てるから少し待ちなって」

 

僕はシンと共に試験会場がある高等魔法学院に来ていた。全学年で300人のこの学校は日本の高校と同じく三年制だった。

まー、とりあえず早く入試に望む教室に行かないと……

ちなみに僕は生前の高校入試は試験開始三分前に駆け込むというやらかしをしてしまったので今回は早めに教室入りしておきたい。

 

「おい貴様、そこをどけ」

 

「そういえばさ、僕ら受験番号は並んでるのに別教室なんだね」

 

「みたいだな。……っと、俺は……二階の教室か」

 

「この無礼者どもが!」

 

うーん、うるさい。つい条件反射でシンが相手の手をひねりあげてるよ。

まあ、周りの人の迷惑だし仕方ないか。

インガオホーってやつだね。

 

「ぐあっ!貴様ぁ!何をするっ!離せ!」

 

「あー、うるさい。周りの人の迷惑だし、いきなり人の肩を掴んできて『何をする』はないんじゃない?」

 

「貴様!俺はカート=フォン=リッツバーグだぞ!」

 

なんで勝手になるのか、シンがめんどくさそうな顔してる。仕方ないか……ちょっと口答えするかな。

 

「あ、そう。君の名前は聞いてないんだけど?カーツバーグくん?」

 

「カート=フォン=リッツバーグだ!貴様、バカにしてるのか!」

 

「うん」

 

「うがァァァ!俺に逆らって只で済むと思ってるのか!」

 

「思ってるさ。貴族がココで権力を振りかざすのは国家反逆罪に問われる事もあるんだよね?もしそうなら君は愚かな反逆者ってところだ」

 

「ふん!たかが教師にこの俺が裁けるか!」

 

「裁けると思うんだけどなぁ」

 

僕がやれやれという感じで肩をすくめるとカートくんはますます激情する。

 

「貴様、無礼討ちに……」

 

「そこまでだ」

 

そこに1人の少年が乱入してきた。いや、まあ、僕らも少年なんだけど、僕は精神年齢そろそろ四十に差し掛かるからね。

 

「高等魔法学院において権力を振りかざし、他の魔法使いを害することは相手方の言う通り王家の定めた法であったはずだ」

 

「う、そ……それは」

 

鶴の一声。貴族より上だからさしづめ王族の人かな?

 

「それとも、先程の発言は王家に対する叛意なのか?」

 

「ま、まさか!そんなことは!」

 

「ならばこれ以上騒ぐな。ここは入学試験会場だ。皆の心を乱すようなことをするな」

 

「……はっ、かしこまりました」

 

そしてカートくんは去っていった。去り際に僕のことを睨んでいった。うん、仕方ないね。

 

「大変だったな。大丈夫……そうだな」

 

「まあ、口は達者なつもりだからね」

 

「貴族に対して恐れも知らず煽るとは……ふっくっく、たしかに聞いた通りの世間知らずのようだ」

 

「聞いた通り?」

 

「誰から聞いたんだ?」

 

「ん?ああ、自己紹介が遅れたな。私の名はアウグスト。アウグスト=フォン=アールスハイドだ。近しいものはオーグと呼ぶ。シン、ヒューマ、君たちのことは父上から色々と聞いてるよ」

 

「え!?ということはディスおじさんの息子!?」

 

「えと、つまりは王子様?」

 

「ふむ、そうなるな。二人とも気にしてないようだな。私が王子と知ると途端にへりくだってくる奴ばかりなのだがな」

 

「ディスおじさんの息子なら俺たちにとっては従兄弟みたいなものだしな……」

 

「まあ、たしかに。雲の上の人って感じは全くしないね」

 

「くっくっく、あはははは!」

 

いきなり爆笑しだしたよ、この人。

 

「そうかそうか従兄弟か。父上から君たちの事を色々と聞いた時に不思議な感じなったのを覚えている。従兄弟……確かにそう言われても違和感がない。いや、むしろ的確に言い表してると言えるな」

 

「なにか喜んでもらえたようで何よりだよ」

 

「もう少し話したいところだが、そろそろ会場に行かないと不味いな」

 

「そろそろそんな時間か。じゃあ、また後で。今度、うちに遊びに来なよ」

 

「もうすぐ立太子の儀を控えてる王子としては、そう軽々しく出歩けないんでね」

 

「そっか……残念。ディスおじさんはちょくちょく遊びに来てるのに」

 

「いや、しょっちゅう来てるだろあの人は」

 

「父上……」

 

すこしぐったりとしたオーグと別れ僕たちは試験会場にそれぞれ向かっていった。

 

※※※

 

筆記試験を終えた。

手応えありまくり。むしろ簡単。早く解きすぎて見直しても充分すぎるほど時間が余っていた。

うーん、余念を入れてやりすぎた。これなら満点も有効射程に入るかな。

次は実技試験。

内容は至って簡単。

設置された的を破壊する。

破壊できなくても魔法の練度を見るんだとか。

受験番号順に5人ずつ室内練習場入り試験を行う。

ちなみに僕は五人グループの一番はじめになった。

身分証明証となる市民証と受験票を試験官の先生に渡す。

ちなみに、隣の練習場ではシンが試験を受けている。

まあ、順番的にシンは最後だろう。

 

「それでは、自分の一番得意な魔法を力いっぱい……と言いたいところですが、君は威力を抑えなさい。あの的を破壊する程度でいい。くれぐれもこの練習場を破壊するような魔法は使わないように」

 

うーん、この言い方だとディスおじさんが学院側に警告したみたいだ。正直なところ助かった。シンは良識はあるが遠慮を知らない。変に強大な魔法を撃たれたら最悪生き埋めになるところだ。

 

「わかりました」

 

さて、試験開始。

相手は両手両足のないマネキンのようなもの。

恐らくは耐久力もそこそこあるのだろう。

ま、壊す前提の試験みたいだから粉微塵にしても問題ないだろう。

 

「一から六、反魔、七から十、暴嵐」

 

マホカンタで立方体を形成しその中に4つのバギクロス……ではなくバギムーチョを封入する。

さて、少しばかり博識な僕の解説タイムだ。

風化

という現象は知っているだろうか?

岩石が長い期間、風に晒され土などになる現象のこと。主に空気の作用で行われる……たしか。生物的要因とかあっても風化って行ったりするけど、それはさておき。

今回重要なのは空気の要因。バギムーチョをマホカンタで形成した立方体の中に閉じ込めることで対象を風化させるのが目的。

これならピンポイントで的を破壊できる。

ちなみに、風化するのを助長するために遠隔起動で熱を加える魔法を使っている。まあ、熱を急激に変えてるだけだけどね。

ポイッと魔力の立方体を的に向け飛ばす。

視認してる範囲なら立方体のサイズを変えて適応できる。今回は的を全て包み込んだ。

 

「起動」

 

僕がそう言うと立方体の中にある的が瞬間的に塵になった。ちなみに普通にマホカンタを解除すると灼熱の風の暴風が野に放たれ大惨事になるので解除する前に遠隔起動のアストロンで魔法を強制的に無力化してから魔法を解除する。

 

「………」

 

ちなみに周りは無言……

ああ、またやってしまった。かなり暇な時に出来てしまった【塵遁】風の魔法ですらダメか……

まあ、やってることは物体の消滅と何ら変わりないし……

ちなみに、その数秒後。

練習場内を揺らすドガァァァン!という音により僕の魔法によるショックから立ち直った試験官により試験は滞りなく終わりました。

……今回ばかりは助けられたよ。シンの非常識に。

 

※※※

 

オーグが家に来た。ディスおじさんと一緒に。

目的は入試の結果が張り出されるのでそれを僕たち二人とオーグの3人で見に行くため。

街を歩きたいというオーグの要望があったので街を歩いて行く事にした。まあ、歩いて15分の距離だからね。

王子様ということで護衛を連れずに街を歩くのははじめてなオーグにつられついつい僕達二人もフラフラと街を散策しながら魔法学院に向かった。その結果、着くのに倍近い時間を有したし、僕達三人の手には焼き鳥の串が握られている。

うーん、学校に買い食いしながら来た王子1名と英雄の孫2名。保護者に見られたら間違いなく怒られるね。

食べ終わった串を便利魔法の異空間収納に放り込む。やっぱりこの魔法はかなり便利だ。なにせ、ものを持ち歩かなくてすむからね。

3人で合格番号が貼り出せれている看板に目を通す。

すると……

 

「ん、合格」

 

「お、あった」

 

「私もあったぞ」

 

無事に3人全員合格。軽くハイタッチをする。

そして、3人で合格者の列に並ぶ。

制服と教科書を受け取るためだ。ちなみにクラスもここで発表される。

列はスムーズに進み、すぐに僕の番になる。

隣の列にはシン、僕の後にはオーグが並んでいる。

 

「次の方どうぞ」

 

受付のお姉さんに受験票と市民証を渡す。

 

「はい、確認しました……ヒューマ=ボーウェン君ね」

 

「はい」

 

「はい、これが教科書です。これがリストなので抜けがあったらすぐに言ってください。それと、これが制服です。市民証に記録されているデータを参照したのでピッタリのはずです。もし一部でもサイズが合わなければ必ず言ってください。この制服には防御魔法が付与されてます。自分で直そうとか思わないでください」

 

「おばあちゃんでもダメですか?」

 

「お婆様……メリダ様ですか。メリダ様なら問題ないですね」

 

「わかりました」

 

「クラスはSクラスです。こちらが入学式の書類です」

 

「ありがとうございます」

 

「それと、ボーウェン君は入試首席ですので、入学式で新入生代表として挨拶をして頂きます。ですので、考えておいてください」

 

……面倒だな。出来ることなら誰かに投げたい。

後ろにいるオーグとかに。

でも、高等魔法学院の校風は簡単に言うと【平等】

仕方ない、頑張るしかないか……

 

※※※

 

「どうして最善を尽くしてしまったのか」

 

「新入生代表、すごいじゃないか」

 

「できることならオーグに変わってほしい」

 

「いやいや、学院始まっての伝統を私のわがままで代表挨拶を奪ったとなると、王家の恥になる」

 

「完全実力主義が少し恨めしいよ……」

 

僕達3人は学校のテラスで一息入れていた。

少し、人だかりが多いから喧騒が落ち着くまで避難してる。

 

「それにしても新入生代表挨拶……どうしようか。元から文があるなら暗記ぐらいすぐに出来るんだけど……一から考えるのめどい」

 

「ヒューマがそんな言葉使うなんて久々だな」

 

「そーでもないと思うけど?」

 

そんな会話をぐだぐだとしてると二人の少女が僕たちに近寄ってきた。

 

「あ、いたいた!おーい!」

 

マリアとシシリーだ。二人とも合格したのか顔は明るい。

 

「マリアにシシリー。どうしたの?」

 

「少し合格の喜びを共感しようと思ってね。殿下、ご無沙汰しております」

 

「ご無沙汰しております」

 

「メッシーナ伯爵家とクロード子爵家の令嬢か。二人とも、この二人には権威とか世間体の常識は通用しないから、気軽に接していいぞ」

 

「先んじてありがとう。二人とも貴族だったんだ」

 

「シシリーはともかくマリアまで……」

 

「ちょっと!酷くない!」

 

「フッフフフ」

 

「じゃあ、本名がわかった事だし詳しい自己紹介でも……僕はヒューマ=ボーウェン」

 

「俺はシン=ウォルフォード」

 

「ちょっと待って。ボーウェンとウォルフォード?もしかしてあんたたちが……」

 

「そう、この間マリアが言ってた英雄の孫だよ」

 

「えええええ!?!?」




すみません、今回は内容薄いです(あとがきでやることではない)


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4.俺のだけが光らなかった。という証言から……

遅れた理由……サブタイです。いや、マジで。
あと今回はかなり駄文です。


「なんで、あの時に言わなかったのよ!」

 

「だって聞かれてないし」

 

「そんなこと聞くと思う!?」

 

「普通は聞かないね。ただ『英雄の孫が誰だかわかる?』とか聞いたら答えるつもりだったよ。隣のシンを指さしてね」

 

「そんなことだろうと思ったよ……で、そん時は多分「僕の知り合いで1名ぐらいいるよ。ほら、そこに」とか言うんだろ?」

 

「よくわかったね」

 

そんなふうにあっけらかんという僕に対しため息をつくシン。そんな僕らを見ている3人の反応は

オーグ:爽快なまでに笑ってる

シシリー:苦笑。疑問符がつきそうな笑い。

マリア:何故か拗ねてる。僕が誤魔化したからかな?

とまあ三者三葉。シシリーが世間一般的な反応その1でマリアは世間一般的な反応その2(おばあちゃんかおじいちゃんのファンの人達は多分コッチ)かな。

それでオーグは今を楽しんでる人だろう。愉快なことがあったら迷わず笑う。そんな感じかな。

 

「そう言えばみんなクラスは?シンは聞くまでもないけど」

 

「おい」

 

「私はSクラスだ」

 

「私達も……」

 

「Sクラスよ入試首席さん?」

 

「へぇ……確か、Sクラスは10人なんだっけ?」

 

「ということは知らないクラスメイトは5人か」

 

「世間ってやっぱり狭いね。僕らの友好関係はつい最近広がったばかりでまだまだ狭いのにその全員がクラスメイトだなんて」

 

「だな。ある意味運命的だな」

 

ぐだぐだと終わりのない話を始めかける。

そんな時、マリアがこう言った。

 

「そうだ!入試の順位を発表しない?」

 

「別にいいけど…僕はなぜか知られてるし」

 

「なら決まりね。殿下もそれでよろしいですか?」

 

「ふむ、いいだろう。ちなみに私は3位だ」

 

「お、俺の方が上か」

 

「……ちょっと待ってシンが2位……つまりこの場にいるのって……」

 

「入試順位トップ5の集団になるね……」

 

「その言い方だとマリアとシシリーは4位か5位?」

 

「私が4位でシシリーが5位よ」

 

いや、ほんとに世間って狭いですね。

上京して知り合った人間が3人が全員東大生な感じ?ごめん、意味わからないや。うまく例えられなかった。

 

「そうだ。このあとオーグは僕たちの家に来るんだけど、マリア達も来る?」

 

「え!いいの!?」

 

「いいんじゃない?僕は代表挨拶考えないとだけど。ついでに一緒に考えてくれると助かるよ」

 

「それぐらいでメリダさまとマーリンさまに会えるなら……でも……」

 

「あー……家庭の都合とかあるなら別に断ってくれても構わないよ。クラスメイトならどこかのタイミングでまた誘うことが出来るだろうし」

 

本当に残念そうにしている。こうして見るとおじいちゃんたちの人気がよくわかる。

 

「じゃあ、その言葉を信じて今日のところはお断りしておくわ」

 

「じゃあ、そろそろ時間だし、私たち帰るね」

 

「うん、また学校で」

 

二人と別れを告げ、二人の姿が見えなくなった頃に僕が立ち上がった。

 

「じゃあ僕らも帰ろうか」

 

※※※

 

「「ただいまー」」

 

「ただいま戻りました」

 

「おお、おかえり。結果はどうじゃった?」

 

「残念ながら……」

 

おじいちゃんの質問に対し、僕は見るからにガッカリする。そしてその後は……

 

「全員合格だったよ」

 

「なんじゃ、合格か!ひやひやさせんでくれ!」

 

「ちなみにヒューマは首席合格で新入生代表挨拶を任せれたんだよ。じいちゃん」

 

「それは鼻が高いのう!」

 

「正直なところ的確に手を抜いてシンに任せれば良かったと思ってるよ。その方が面白そうだし」

 

「その点については私も同意だな。ヒューマはなまじ常識を知ってるからある程度の予想がつくがシンは常識なんて知らないから予想打にできないからな。面白くはなるだろう」

 

「二人とも俺のことなんだと思ってるの!?」

 

「「常識知らずの遠慮知らず」」

 

なんてやり取りをしている中、僕の心中は

 

(代表挨拶ってどういう風に書けばいいんだろ……)

 

というものが大半を占めていた。

 

※※※

 

翌日

 

「上手く書けないな……」

 

文を頭の中で想像するも挨拶を形成できずに霧散する。

それを繰り返している。

 

「ライツ、ヴェルフ、少し外に行ってくる」

 

「クポー」

 

僕のベッドにゴロゴロ転がる2匹のモーグリにそういい僕は気分転換に外に出ることにした。

転生前ではアミューズメント施設などでしか見たことない中世のような街並み。排気ガス臭くない空気を嗅ぎながら一旦、思考をリセットする。

できることなら誰かにこの世界での《挨拶の言葉》というものを教えてもらいたい。

前の世界ではそもそもそんなものを任せられたことは無い。あるというなら学校とかでの自己紹介の掴みの挨拶ぐらいだ。

アレなら冗談を交えることができるから文字数稼ぎもしやすい。

だけど、新入生代表挨拶か……

全く考えつかないね。

シン以外の知り合いにでも教えてもらおうかな……

クリス姉とかジーク兄ならそういうことも知ってるだろうし。

 

「あら、ヒューマじゃない。シンと一緒じゃないの?」

 

そんなことを考えながらフラフラとしているとマリアと遭遇した。

 

「やあマリア。そっちもシシリーと一緒じゃないんだ」

 

「そうね……そう言えば私たち、2回とも相方がいる時にしか会ってなかったわね」

 

「それもそうか……たしかに、僕は王都が来てからシンの見張りも兼ねて一緒にいたな……」

 

「それで、なんでこんなところに?」

 

「あー……入試首席だから新入生代表挨拶任されたんだけど、なかなか思い付かないから気晴らしに散歩」

 

「へぇ……以外ね。こういうのはパッと済ませそうな感じなのに」

 

「思いついていればすぐに終わる。思いつくまでが時間がかかるし、それに僕はこういうことの経験がない。それに……」

 

「それに?」

 

「僕はまだ常識をよく理解してないんだ……」

 

「常識を理解してない……?どういうこと?」

 

やっぱりそうなるよね……こういう時は……ある程度ボカして……

 

「今までおばあちゃん、おじいちゃんと一緒に森の奥にある家に住んでいたんだ。それでまともな街に来たのはつい最近なんだ。……おじいちゃんに色々と教えてもらってたんだけど……おじいちゃんが常識を教え忘れていてね。いやー、参ったよ。ハハハ」

 

「笑い事なの、それ?」

 

「笑うしかないんだよ……おかげでものすごく苦労してるし……」

 

「あんたもあんたで苦労してるのね……」

 

「あ、そうだ」

 

せっかくだからマリアに頼んでみるかな。知り合いに今日中に会えるなんて可能性は多分低いし。

 

「マリアはこのあと暇?」

 

「え?なに?ナンパ?」

 

「うーん……家に誘おうとしてるのを考えたら結果的にナンパになるのかな?」

 

「え……マジ?」

 

「下心はないよ。ただ、代表挨拶を一緒に考えてもらいたいんだ。シンは僕より常識については酷いし、おじいちゃんとおばあちゃんの手を借りるのはなんか恥ずかしい。だからといってオーグに頼んだら面倒なことになりそう。頼めない?」

 

「えーと……」

 

※※※

 

「ただいまー」

 

「おう、おかえり……あれ?マリア?」

 

「お、お邪魔しマース……」

 

マリアは少し悩んだあと引き受けてくれた。これで、赤っ恥をかくことはないだろう。多分。

 

「ちょっと代表挨拶を一緒に考えてもらおうと思ってね」

 

「へー……あ、我が家にようこそ」

 

「あ、うん」

 

「そう言えばシンは何してたの?」

 

「制服に魔法を付与し直してた」

 

「あー……おばあちゃんに怒られるようなことしてない?大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫。ヒューマの分もしておいたぞ」

 

「……何しちゃってくれてんの?」

 

「付与したのは【物理衝撃完全吸収】【魔法絶対無効】【防汚】【自動治癒】」

 

「もはやそれって兵器の類だよね?ほんとになにしてんの?」

 

「……ヒューマ、ほんとに大変なのね」

 

いい笑顔でサムズアップするシンと頭を抱える僕を見てマリアがそう言った。

 

「はぁ……早速考えてもらうことにするよ。客間で待ってて、僕の部屋から筆記用具とか取ってくるから。シン、案内任せていい?」

 

「いいよ。マリア、こっち」

 

「そう言えばマーリン様とメリダ様は?」

 

「会いたい?」

 

「できることなら!」

 

「なら、その後にしようか」

 

※※※

 

そんなこんなで数日があっという間に過ぎた。

マリアには何日か協力して貰って代表挨拶の完成にこじつけた。

まさか、この世界では冗談を交えることが一般的にされてるなんて……そんなこともあるんだ。

前世の日本とは色々と違うんだ。まあ、僕が知らないだけでそういうものだったかもしれないけど。

 

今日は入学式。

おじいちゃんとおばあちゃんと一緒に学園に来たけど、やっぱりおじいちゃんたちの人気がすごい。

やばい。

えぐい。

マジ卍。

そういえば、なんで卍なんだろ?たしか、卍って寺院の地図記号じゃなかったっけ?

まあ、どうでもいいけどさ。

代表挨拶のことは意図的に忘れることにしたよ。

なぜなら……

 

「マリア……騙したね?」

 

「あ、バレた?」

 

「ハッハッ!あのような場で唆されたとはいえ冗談を交えた挨拶をするとは!やってくれるな!」

 

「え?ああいうのが普通じゃないの?」

 

「シンくん、ヒューマくん以外の挨拶をされた方は冗談とか交えてませんでしたよ?」

 

「父上は早速取り入れていたがな。いやー、傑作だ」

 

「そこ、うるさいぞ。静かにしておけ」

 

「「「「「はーい」」」」」

 

とりあえず、入学式が終わり教室に向かっている。

どうやらSクラスが特進クラスみたいなもので一番施設が整っているみたい。教室も前世の学校のようなものじゃなくて上等な執務室みたいなものになってる。

うーん、うまく例えられない。

前の桃太郎とかすこしマシなの思いつかないと。

 

「僕の席は……うげ、教卓の真ん前……」

 

「俺はその隣っと……良かったなヒューマ、特等席だぞ」

 

「いやだなぁ……窓側の席にして欲しかった」

 

そういいながら席につく。もしかして僕がメガネかけてるから席が前になったのかな……

別に目は悪くないんだけどなぁ……

 

「さて、入学おめでとう。私は……」

 

こうして僕の2度目の学生生活が始まった。




あとがきいつも何書いてたっけ……と思って見返したらまさかの何も書いてなかったみたいなものだったとは……
そんな感じにお送りします。
前話のアンケート、案の定の結果だったのでアンケートします。


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5.俺を呼ぶなら大魔道士と呼んでくれ。と公言しており……

駄文です。駄文です。
マジで駄文です。
オリ主はこんなやつだっけ?


「それでは入試順位順に自己紹介をしてくれ」

 

担任の先生……アルフレッド=マーカス先生に言われ僕が席を立ち口を開いた。

 

「わかりました。はじめまして、ヒューマ=ボーウェンです。新入生代表挨拶でも触れましたがつい最近までそこにいるシンと同じく森で暮らしていたので世間知らずです。色々と教えてもらえればありがたいです。得意なのは……魔法全般。ここには僕が知らない魔法を知るために来ました。よろしくお願いします」

 

「メリダ様のお孫さん……」

 

「あ、それとひとつ。できれば対等に接してほしいです。僕から教えられることがあれば教え合っていきたいのでそこのところもよろしくお願いします」

 

そういい席に座る。

次に立つのは順位2位のシン。

 

「あー……初めまして、シン=ウォルフォードです。さっき紹介したヒューマに言いたいことは色々と取られましたが……じいちゃんから魔法をばあちゃんから魔道具作りを教わっています。よろしくお願いします」

 

「ということはヒューマくんも……」

 

「なんと羨ましい……」

 

嫉妬と羨望が混じった視線が僕ら二人をおそう!

ぼっち共は精神ダメージを受けた!

いや、そんなことは無いけどさ。

それにしてもおじいちゃんとおばあちゃんの人気がすごい。

これ考えるの何回目だろ……

 

「次は私だな。シンやヒューマのような世間知らずがいるかもしれないからな。アウグスト=フォン=アールスハイド。知っての通りこの国の第一王子だ。この学院は王族ですら身分の貴賎を問わない。だからこいつらのように遠慮なく接してほしい。以上だ」

 

シンと変わるようにたったオーグは僕ら二人を指しながらそういった。

うーん、見せしめにされた気分。

 

「初めまして、マリア=フォン=メッシーナです。メッシーナ伯爵家の二女で女学院は性にあわないし、魔法が得意なのでこの学校に来ました。必ずヒューマに追いついてみせるようにがんばります。よろしくお願いします」

 

たしかにマリアは貴族のルールとか嫌ってそうではある。勝手なイメージだけど。

 

「皆さんはじめまして。シシリー=フォン=クロードです。クロード子爵家の三女でマリアの誘いでこの学校に来ました。治癒魔法が得意で、攻撃魔法はちょっと苦手です。よろしくお願いします」

 

つまり、シシリーは魔法使いよりか僧侶寄りと。まあ、多分攻撃魔法もある程度使えるんだろうけど。

そして、やっとまったく知らない人たちの自己紹介だ。

 

「アリス=コーナーです。前の人たちとは違って普通の家出身です。父さんはハーグ商会で経理してるんですけど、私は計算苦手なんでその道は諦めました!英雄の孫のヒューマくんシンくんと同じクラスになれて超ラッキー!よろしくお願いします!」

 

金髪碧眼の女の子それがアリス。細くて全体的にちっこいから年相応に見えない。ハーグ商会はたしかトムおじさんが経営する商会だったはず。

 

「自分はトール=フォン=フレーゲル。フレーゲル男爵家の嫡男です。殿下の護衛も兼ねて幼少より一緒に過ごして来ました。もうひとり殿下の護衛がこの学校にいますがAクラスなので後ほど会うでしょう。殿下共々よろしくお願いします」

 

トールは若干背が小さいメガネをかけた男の子……や、15で成人なこの世界だと男の子ではなく青年かな?

ちなみに銀髪。

 

「リン=ヒューズです。父は宮廷魔法士。母は専業主婦。魔法が好きなのでここに来ました。あとでヒューマくんの魔法を見てみたいです。よろしくお願いします」

 

わ、なんか興味持たれた。リンは黒髪ショートボブのメガネの子。

 

「みんなはじめましてぇ、ユーリ=カールトンです。私の家はホテルを経営してるの。だからみんな、お泊りしたい時はいつでも言ってねぇ。サービスしますぅ。後、私は付与魔法が得意です。皆さんよろしくね」

 

橙色の髪の毛のスタイルがいい人。それがユーリ。付与魔法が得意らしいからおばあちゃんを紹介しようかな?

 

「みんなはじめまして。トニー=フレイドです。家はみんな騎士の家系なんだけど、あの男女比は僕には地獄でね……魔法を頑張ってこの学院に来ました。Sクラスから落ちると騎士養成士官学院に強制連行されるので頑張るよ。みんな宜しくね」

 

茶髪で背が高い家のことで苦労してるのがトニー……これで全員か。

 

※※※

 

自己紹介が終わり、明日の予定を聞かされホームルームが終わる。帰宅したいところだけど、シン諸共マリアに呼ばれたので教室のすみにいる。

 

「それで話って?」

 

「ちょっとシシリーのことで相談があるの」

 

シンが意気揚々としだした。気配が見て変わってるんだよね……

 

「何か困り事?」

 

「そう、困り事」

 

そこでマリアとシシリーの顔を見るとほんとに困ったような顔になっている。

よっぽどの困り事なんだろうな。

 

「アンタたちと初めて会ったくらいかな……それぐらいからシシリーに言い寄る男がいてね。シシリーが何度も断ってるのに実家の権力を笠に着て脅しにまでかけてきてるの」

 

「……なんか聞き覚えあるな……どんなやつなの?」

 

「そう言えばアンタたちにもつかかっていたわね。ほら、カート=フォン=リッツバーグ」

 

「あー……あいつね。あの煽りがいがある貴族くん……はた迷惑な」

 

「ごめんね二人とも。こんな話聞かせて……」

 

「何言ってんの?むしろ知らせてくれてよかったよ!」

 

「シンはまだしも、僕は多分目の敵にされてるだろうから……まあ、どっちにしてもいつかは直面する問題だったろうからいいよ。それに、クラスメイトが困ってるのに何もしないっていうのは少し寝覚めが悪くなるからね」

 

その時、なにか聞き覚えのある声がしてきた。

 

「おい!シシリー!貴様俺の婚約者でありながら他の男と話をするとは何事だ!」

 

シシリーの顔が辛そうに歪み、マリアは露骨にイライラし始める。

 

「やあ、カーツバーグくん。一週間ほどぶりだね」

 

「貴様……」

 

前あった時に散々煽ったからかカートの顔が怒りで歪み始めた。

 

「僕らは同じクラスでね。シシリーとマリアから相談を受けているんだ。なんでも悪質な婚約者を名乗る男がシシリーを付きまとっているらしくて……そう言えば、特徴がちょうど君と一致するね?」

 

いやらしくニヤニヤしながらカートにいう。

 

「貴様……俺を愚弄するつもりか?」

 

「つもりじゃなくてしてるんだよ。下衆貴族」

 

「ちっ!シシリー!貴様、こっちに……」

 

カートがシシリーに手を伸ばすがその腕をシンが捻り上げる。うーん、デジャヴ。

 

「グアッ!離せ無礼者!」

 

「無礼なのはそっちだろ!」

 

「まあ、煽ってる僕も無礼といえば無礼かな」

 

「あ、自覚はあるんだ」

 

そういいながらシンはうるさいカートの腕を離した。

 

「そこのシシリーは俺の婚約者だ!貴様らなんぞが話をしていい相手じゃない!」

 

「こんなこと言ってるけどほんとなの?」

 

「えっと……あの……」

 

「声だけデカい男のせいで萎縮しちゃってるね。まったく、近所迷惑だよ」

 

「貴様、何度俺を愚弄すれば気が済む!」

 

「何度でも、君がその姿勢を改めるまで。ほら、シシリー、言ってあげなよ」

 

「大丈夫、何があっても俺が守ってやる」

 

「……私は……私は貴方の求婚はお断りしました!勝手に婚約者と言われることも迷惑です!」

 

よく言ったシシリー。まあ、これでカートはますます激情すると思うけどね。

 

「き、貴様!この俺に逆らうというのか!」

 

「さ、逆らいます!私は貴方の言いなりになるつもりはありません!」

 

恐いのか脚が震えている。それでも、自分の言いたいことを相手の目を見ていう強さ。なかなかできないと思うよ。

 

「き、貴様……女が俺に逆らうだと?貴様等女は男の側で愛嬌を振り撒いてればいいんだ!しかもこの俺の側に侍らせてやろうと言うのに、ふざけるな!」

 

「「フザけてんのはどっちだよ?」」

 

ごめん、久々にマジギレしそう。男尊女卑の最もたる例。王国貴族はこんなのじゃないって聞いていたのに……なにかガッカリだ。

 

「言っても無駄。しかも、オーグに一度忠告をされてるのに反省無し。面倒だな……君さ、なんならここでゴミムシみたく惹き潰してあげようか?」

 

魔力制御を用いて空気中にある魔力を震わせる。

恐らく、学舎全体が揺れているだろう。

 

「な、なにこれ……」

 

「これが……ヒューマくんの魔力……」

 

「すべて思い通りになるとか、思い上がってんじゃねーぞ?」

 

シンも怒りを抑える気がどんどん薄れている。

 

「せっかくだから君に僕の魔法の実験台になってもらおうか?」

 

沸点ギリギリ、暴発寸前。

ここ数年でまったく感じなかった不快感が僕の心の奥底から湧き上がってくる。

 

「貴様……よかろう、この俺に逆らうとどうなるか思い知らせてやる」

 

「……この状況下でよくそんなこと言えるね?」

 

「脅迫?は!返り討ちにしてやるよ!」

 

「そんな事をいっていいのか?シシリー、貴様の親父は財務局の管理官だったな?」

 

「……まさか!」

 

「そうだ。俺の父は財務局の事務官だ。俺が父に一声かければ……さて、どうなるかな?」

 

「親の権力を笠に着るゴミムシが……!!」

 

ふと見るとカートの顔には嫌らしい笑が浮かんでいる。

まるで「できるものならやってみろ」という顔だ。

……こんな腐った人間、前世も含めて始めてみたよ。

 

「そこまでにしておけ。ヒューマもリッツバーグもな」

 

「ア、アウグスト殿下……」

 

「オーグ……」

 

魔力を放つ瞬間にオーグが割って入る。

 

「……ごめん、頭にきたとはいえやりすぎた」

 

「かまわん。カート=フォン=リッツバーグ、お前は私が入学試験に言ったことを覚えていないのか?」

 

「そ、それは……」

 

その後、オーグによってカートが退散した。

立ち去る時に凄まじい怨念のこもった目で僕とシンを見ていた。……そろそろなにかしてきそうだな。

……警戒しておくに越したことはないかな。

 

「ありがとうオーグ。もう少しでキレる所だった」

 

「すみません殿下。ありがとうございます」

 

「……あのタイミングで割り込んでもらって助かったよ。あのままだと宣言通りに惹き潰してたかもしれないし……だけど、見てたんなら早く介入して欲しかったかな」

 

「え?マジ?」

 

「気づいてなかったの?オーグは結構はじめの方から見てたよね?」

 

「ああ。お前らがどうするか気になったからな。話がおかしな方向になりそうだったのと死人が出そうだったから介入させてもらった」

 

「てめぇ!俺の感謝を返しやがれ!」

 

まあ、そうもなるか。

 

「それにしても……あのカートくんがあのまま終わるとは思えない……あの去り際の視線。絶対になにかしてくるよ」

 

「私もそう思う……」

 

「やっぱりそうですか……」

 

マリアが僕の意見に同調しシシリーがしゅんとなる。

 

「言い聞かせてはみたがたしかに不安は残るな」

 

オーグもそういい全員がうーんと頭をひねる。

 

「ちょっとおもいついたんだけどさ。皆このあとウチに来れないか?」

 

「いいわよ。シシリーはどうする?」

 

「わ、私も行きます!私、両親に言っておきますので!」

 

「私も両親に言っておくわ。それじゃ少し待っててね!」

 

シシリーがシンの提案に食い気味に反応した。

まあ、マリアは既に何回か家に来てるし、おじいちゃんたちとは既に知り合いだからね。

それでも二人とも走って行ってしまったけど。

 

「フム、それでは私も行こうか。どうせ父上もいるだろうからな」

 

ディスおじさん多分いるだろうからね。間違いない。

 

「でしたら私たちも」

 

そこに二人の男性が加わる。

1人はクラスメイトのトール。あと一人は……もう1人のオーグの護衛かな?

 

「はじめまして。拙者クラウス=フォン=リッテンハイムと申す。トールと同じく幼少の頃より殿下と一緒にいたで御座る」

 

武者言葉……どこかの方言なのかな?

 

「ところで何を思いついたの?」

 

「ああ、この服の付与魔法を書き換えようと思ったんだ」

 

はい、出たよ。付与魔法の書き換え。これはおばあちゃんから言われてたからわかるけど。これも充分常識を逸脱してるからね。

その証拠にオーグたちが固まった。

 

「……書き換えるのも本来はしない事だから」

 

「そうか……難しいな」

 

「お前、常識を学びに来たんだよな?」

 

「そうだよ?」

 

「……この調子で大丈夫なのかな」




あとがきって何書けばいいやら……
あ、どうも【何処でも行方不明】です。
最近は仕事に就いたので忙しくも充実した日々を過ごしています。
程よい疲労を一日の締めの風呂で発散。かなり気持ちいいです。
そして体をあったかくして布団に入って熟睡する。
幸せですねぇ……


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6.メラメラやる気が沸いてきたぜ!と法廷で叫び……

サブタイやばし……
主に
ダイ大のセリフの後に着けてる部分が……


「いやー、はじめはマーリン様たちに会うのは緊張してたけど、慣れたらそうでもないわね」

 

入学式の後、普通に学校に居たら騒ぎになるだろうとおじいちゃんとおばあちゃんは学校の来賓室に待機してもらっている。まあ、ディスおじさんも同じ理由でそこにいるんだけどね。

僕達がその来賓室に移動してる時にマリアがこう言ったんだ。

そのセリフからシシリーとオーグの護衛の二人を合わせた3人が固まっていた。

 

「え……マリア、マーリン様とメリダ様に会ったことあるの?」

 

「あるわよ?ヒューマにたまたま街中で遭遇して代表挨拶を考えるためにおうちにお邪魔させてもらったの」

 

「合格発表の時からあんまり見なかったけど、そんなことになってたんだ……」

 

「ほとんど僕のワガママだけどね。ちなみにオーグに話したらものすごくからかわれた」

 

「それはからかいもするだろう。聞くところによるも3度しかあったことの無い女性を家に連れ込んだんだからな」

 

「その言い方は語弊があるよね?」

 

「ヒューマだってシンが同じ状況になったらからかうだろ?」

 

「うん、それは間違いないね」

 

「ちょっとぉ!?」

 

それはそれとして、来賓室に着いた途端におばあちゃんにシンが叩かれた。

 

「なにやってるんだい!こんなところで魔力を解放するなんて!」

 

「ばあちゃん……あれしたの俺じゃなくてヒューマのほう……」

 

「あはは……ちょっと久々にキレることがあってね。つい」

 

「……ほどほどにしなよ。一度だけあんたが怒った時はあわや大惨事だったんだから」

 

「ごめん、おばあちゃん」

 

おばあちゃんに頭を下げる。

 

「まあまあ、ヒューマがあれほどのことをするということはそれほどのことがあったんじゃろ」

 

「あれー……俺の時と対応が全く違う……」

 

「日頃の行いじゃないか?」

 

※※※

 

とりあえず家に移動し、おじいちゃんおばあちゃんにシシリーのことを説明した。その場にいたディスおじさんからの情報でカートくんのお父さんは部下に立場を利用して圧力をかけるような人ではないということ。それにカートくん自身もオーグやその護衛のトールやユリウス……じゃかった、クラウスからの情報で以前はあんな性格ではなかったという。

…………前々から考えてたあの呪文を完成させる必要が出てきたな。

破邪呪文マホカトールを利用した魔物浄化の魔法。

やろうと思った動機は完全に好奇心からだけど、アレを利用したら洗脳とかの状況にも対応出来るかもしれない。いわゆる精神弱体解除。悪くいえば僕が疎ましく思う精神状況の消滅。

アレならカートくんの改心にも繋がるかもしれない。

 

「ちょっと急ぎで完成させたい魔法できたから外出てくる」

 

僕はそれだけ言うと自室に戻り手早く着替えを済ませ、フードの中にヴェルフとライツを入れ、魔法浄化魔法用に作った魔道具を2セットほど異空間収納に入れる。

 

「ヒューマ、どうしたクポ?」

 

「急ぎで完成させたい魔法ができたからね。例の浄化呪文、あと一息だからやってしまおうと思って」

 

「( 。·ᵕ௰ᵕ)スヤァ」

 

とりあえず手頃な魔物を探すために以前住んでいた森にゲートを繋げ移動しよう。

 

※※※

 

その夜、シシリーの一件はなんやかんやあって上手くいったみたいだけどシンが付与魔法の書き換えとその効果の異常さを確認して、初めて反省をしていた。まあ、さすがにあの付与魔法がかけられた衣服が流通すると戦争が始まると聞いたら反省はするか。

なお、僕はと言うと…………

 

「シンが反省したと思ったら……今度はヒューマかい……」

 

僕は家の庭で正座をさせられていた。この世界に正座という概念があることに驚きつつ、そんな僕の横にはマホカトールの実験台にした元魔物の虎がいる。目は魔物の特徴である赤いモノから青白いモノに変色し、体毛は何故か純白に縞模様は黒のまま。

ホワイトタイガーみたいなものになってる。

 

「魔物を独学で無力化して配下に置くなんて……ヒューマだけはそんな無茶は自分からしないと思ってたというのに……」

 

[主人よ、何か俺は間違ったことをしたのか?]

 

おばあちゃんの小言に重なるように頭に声が響く。

原因はわかってる。僕が虎につけた魔道具のせいだ。魔物の糸や高価なものを素材にして作った首輪を元にしたソレには【人語理解】と【念話】という効果を付与している。これによってコミュニケーションが可能になった。案の定それもおばあちゃんのアタマを抱え込まさせる要因となったけど。

 

「大丈夫、間違ったのは僕の方だから」

 

とりあえずこの虎は【ミム】と呼ぶことにした。それと、ホワイトタイガー化については深く考えないことにした。魔物化した時に見た目が変わる例があるみたいだからね。

 

なお、シシリーの一件はシンの付与魔法が施された制服を身につけ、なおかつシンが送り迎えすることで解決。ついでに僕も巻き込まれました。

しかも巻き込まれた理由が。

 

「シンだけだとやりすぎると思ったから。反対したいならあの場にいなかった自分にまず反対するんだな」

 

というもの。言ったのはもちろんオーグ。

別にいいんだけどさ……いっそのことミムをカートくんに嗾けてみようかな……そしたら面倒なことしなくていいし。

 

※※※

 

「虎!虎がいる!」

 

朝、シンが連れてきたシシリーとマリアに朝の挨拶をしようとしたらマリアが僕の横に控えてるミムを見てそう言った。

 

「大丈夫、害はないから」

 

[安心しろ、人肉は好かん]

 

「喋ったァァァ!?!?」

 

「おお〜。あの魔法やっと完成したんだな」

 

「ふふ、まあね」

 

「ハワワ……」

 

驚いてる驚いてる。さすがに学校に連れて行ったりはできないけど、僕が狩りに出る時はミムについてきてもらうことにする。それ以外の時間はどうやら適度な運動や昼寝で過ごすらしい。

 

「それじゃそろそろ行こうか。ミム、何も起きないとは思うけどおじいちゃんとおばあちゃんをよろしくね」

 

[了解した。いってらっしゃい、だ]

 

「うん、いってきます」

 

僕達4人は家を出る。ちなみにシシリーとマリアの迎えはシンがゲートで行っている。シシリーの家にゲートを開け、僕らの家に二人を招く。そして僕らの家から登校。

護衛をするらしいけど……シンってシシリーに一目惚れしてるっぽいし舞い上がらないといいけど。

 

「……どんどんヒューマの方がヤバい気がしてきたわ」

 

「おお、正解。ちなみにヒューマの本気は俺の本気より凄いよ」

 

「……嘘でしょ?」

 

「こんなことで嘘つかないよ……索敵魔法もヒューマの方が範囲広いし……今後分かると思うけどヒューマの魔法は俺の魔法より器用だし自由なんだ」

 

「魔法が……器用?それに自由?どういうこと?」

 

「見たらわかるよ」

 

「2人ともうるさいよ。僕は抑えるつもりあるけど、シンは抑えるつもりないからね。隠せないものはさすがに隠そうとしないけど」

 

「……どっちもどっちだと思う」

 

「ま、それもそうか」

 

徒歩15分ほどの距離を4人で談笑しながら歩く。変に緊張するのは良くないからね。……話題の種がだいたい僕だったことは誠に遺憾だったけど。それでも変に緊張するよりはマシか……

索敵魔法も僕が常時張っているけど……カートくんの反応はない。僕の索敵魔法は害意のある対象の検知もできるけど、人の波長を探知しソレが誰か、覚えている範囲でわかる。まあ、感覚芸な部分が大半だし、理屈っぽい説明は全然できない。例えば、慣れてきたら足音で誰かわかるのと同じかな。

 

「そういえばヒューマは魔法の方が体術より得意って言ってたけど、どの魔法が一番得意なの?」

 

「どの魔法が一番得意なのか……う〜ん……何が得意なんだろ?シンはどう思う?」

 

「俺?そうだな〜疑似太陽のとかじゃないか?アレ、俺できないし」

 

「それだと得意とは言えないんじゃない?得意っていうのは練度の問題だと思うし」

 

「ちょっと待って。疑似太陽?そんな魔法あるの?」

 

「存在はしないけど魔法を何個も同時に展開して融合させたり、反応させて相乗効果を得て作るんだ。僕はいくつもの魔法を同時展開するのが少しばかり得意だからね」

 

言ってから気がつく。魔法の同時展開なんてシンですら5個ほどが限界なのに、普通の人ができるかなんてかなり怪しい。そもそも、僕とシン、おじいちゃんとおばあちゃん以外は魔法は詠唱ありで使う。多分、マリアの頭の中では何個もの呪文を同時に詠唱する僕が想像されてるんだろう。さすがにそんなこと出来ない。前の世界のどこかの民族は低い声と高い声を同時に出すとか音楽の授業で習った気がするけど、僕はそんな真似はできない。

こればかりは僕達とマリア達の魔法の使い方の違いによるものだからね。

ま、僕は完全な無詠唱でやるとあわや大惨事になりかねないので単語を発してるけど。

 

「同時に……何個も?」

 

今にもプシューと蒸気を出して倒れそうな程考えるマリア。あ、少し赤みのかかった顔かわいい。

でも、まあ、そんなに考えない方がいいよ。特に僕は転生特典で魔法の才能なんてものを持っているくらいだし。

 

「とりあえず、1番得意なのは多分光の屈折を使った追尾式のヤツだね」

 

「あぁ〜疑似太陽とのコンボで俺の収束光線並の威力で追ってくるアレか……確かに1番手馴れてるな」

 

「光の屈折?収束光線?」

 

「あまり考えない方がいいよ。マリアみたいになりたくなかったら」

 

「え……うん」

 

という感じに話のネタにされて教室に着いた。

教室を見渡すとほとんどの生徒は登校済み。確か……アリスさんだっけ?彼女だけ来てない。

 

「おはようシン、ヒューマ。入学早々女連れで登校とは……いやはや、さすがだな」

 

「おはようオーグ、そしてうるさいぞ!理由は知ってるだろ!」

 

「シン、うるさい。おはようオーグ、丁寧に僕を巻き込んでくれてどうもありがとね」

 

「はっはっ!そういうな!」

 

「ヒューマは褒めてないと思うんだけど……」

 

※※※

 

今日の授業は午前は学内見学。前の世界でクラブ活動にあたる研究会なるものの説明を受けたり各種施設の使い方の案内など。

ま、普通の学校らしかった。

 

「ねえヒューマ」

 

「うん?」

 

昼ごはんが終わり、午後の魔法実習の授業に備えて演習場にみんなで移動してる時にマリアが声をかけてきた。

 

「どこか入りたい研究会とかあった?」

 

「うーん……なかったかな」

 

「そうかそうか。うん、当たり前の帰結だ」

 

そこにオーグが突然乱入してくる。

 

「……オーグどうしたの?」

 

「ヒューマやシンが入るにはどの研究会も物足りないと思ってた。いっそのこと自分たちで研究会を立ち上げてみないか?」

 

「あ〜。確かにありかも」

 

「ちょ!」

 

シンはその会話を聞いていたようでこちらに合流してくる。

 

「ほう、ボーウェンとウォルフォードが作る研究会か、それは興味深いな」

 

「そうですね先生。二人の英雄の孫がどのような研究を作りどのような活動をするのか興味があります」

 

「確かに、興味深い」

 

うわ、先生とリンさんまで乗っかってきた。

それに伴いSクラス全員が乗っかってきた。……大事になってきたな。

 

「どんな研究会にするかは午後の授業の後にでもじっくり考えるよ」

 

「だな、その時に申請書持ってくるから、参加する奴は名乗り出ること、いいな」

 

「……それって俺も強制参加?」

 

「「当たり前だろ、今更聞くなよ。恥ずかしい」」

 

「えぇ……」

 

「なんだ、シンはどこかは入りたい研究会があるのか?」

 

「いや、ないけど……」

 

「なら決まりだね。拒否権はこの間の勝負で得た【勝った方の言うことをなんでも聞く義務】を使ってなくすから」

 

「ちょ!それって5年前のだよな!?」

 

「ふふん。ちょうど今が使い時だと思ってね」

 

「よし、決まりだな。顧問なら俺がなってやる。会員もこのクラス全員が参加するなら問題ないな」

 

「はぁ……分かりましたよ……」

 

こうしてシンを巻き込んで研究会を立ちあげることに成功した。

いやー、持つべきものは話の通じる従兄弟だね。

この後、シンにバレないようにマリア、オーグとハイタッチしたのは内緒だ。




低浮上いい加減にしろ……いや、まあ
そう思います。
どうも【何処でも行方不明】です。
とりあえずアンケートで変なこと聞きます。
ボクにネーミングセンスは無いんです……(泣)


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7.獣王会心撃より獣王痛恨撃の方が文字的に好みだった。

「風よ踊れ、風よ舞え、全てを薙ぎ払う風を起こせ……」

 

クルッと一回転し詠唱ありの魔法を放つ。

まあ、ただ単純に詠唱を真似ているのではなく、数々の工夫を組み込んではいるけど……

まず、ウィンドダンスという魔法は本来そよ風を起こす程度の魔法なのだが、始めの一節「風よ踊れ」の時点で周りの雑音が飲み込まれるほどの音を発生させる風が発生させる。正確には僕が手を叩くことで発生した僅かな風を加速させる。

そして次の「風よ舞え」という説で風が暴風となりその数を軽く数倍に増やす。これも他の空気と先に起こした風と同じ状態に同期させるだけ

そして最後の節……「全てを薙ぎ払う風を起こせ」で暴風を収束、全てを切り裂く刃が元素と元素の結合を寸断する様をイメージし

 

「ストーップ!」

 

シンに止められた。

 

「なんで止めるのさ」

「あのままだったら、この建物吹き飛んでいたよな!?」

「だってみんなが僕の魔法の詠唱有りバージョンやれっていうから」

「それは遠慮なく魔法をぶっ放せってことじゃないからな!」

「ち…」

「なんで舌打ちした!?」

「あはは。まあ別にいいじゃない。放つ前でも僕の実力は多分みんな分かったでしょ?」

 

僕はみんな…シンを創設者に仕立て上げた研究会『魔導探究会』に入会予定のSクラスのクラスメイトの方を向いた。

 

『『『コクコクコク』』』

 

今は全員が青ざめて首を振っている。

 

「おとなしそうな顔してやることはシンに似てえげつないんだから…やっぱり兄弟ね」

「兄弟?ボーウェンくんとウォルフォードくんが?」

「厳密に言うと僕は拾い子だけどね」

「え?そうなの?」

「血は繋がってないよ。僕は森で一人で暮らしていたところをおじいちゃんに拾われただけだからね」

「つまりその魔法の才能は遺伝ではないと」

「そうなるね」

 

ま、僕の場合は遺伝より確かでえげつない力で魔法の才能は持ってるけど、その他は僕由来の力だし。例えば飽きずに鍛練を続けたり、変な魔法を考えたり体を鍛えたりだとか。継続は力なりってね。

ちなみに今は入試の時に使った魔法をみんなに披露する時間。

なのに、シンの青い炎でやばいのは満足したのかマリアの「そういえばヒューマかシンが詠唱有りで魔法を使ったらどうなるのかしら?」という疑問の答え合せの為、僕だけ別の魔法を使う羽目になった。

 

「それにしてもすごい…やはり、私たちとあの二人だとてんで異なるな」

「魔法に必要なのは制御能力とイメージの補填、それとプロセスを組み立てそれを実行することだからね」

「プロセスの実行?」

「そのあたりは研究会の時で。驚きは多いほうがいいでしょ?」

「この時点でかなり驚いてるわよ……」

 

そこで授業が終わり、帰宅となる。

まあ、一応僕とシンはシシリーの護衛だから帰宅も一緒。

ちなみに言うと……

 

「カートくん今日は学校自体来てなかったよ」

「なら護衛の意味はないってこと?」

「だね。シンは気がついていないといいけどそこまで鈍くはないだろうし……」

「ん?でも、ヒューマ的には護衛はそんなに乗り気じゃないんじゃないの?」

「ま、護衛はね。でも、年頃の男の子としては可愛い女の子と一緒に登校できるかどうかっていうのは割と重要だからね。特に……」

「特に?」

「僕はマリアには存外好ましい部類に入る印象を抱いているからね」

「往来の間で言うことじゃないんじゃない?」

「ん〜?でもさ、一目惚れってほどじゃないけど、恋人とか夫婦とかにはマリアになってほしいなぁ〜っていう結婚願望はあるよ」

「……本当にこの場で言う台詞じゃないわよね?」

「そう?僕は好意を隠すようなことはしたくないよ。まあ、それと同じように嫌悪感も隠す気ないけどね」

 

うーん、やっぱり口説いてるように聞こえるかな?それにしてもシンもシシリーももう少し早く歩いてほしい、広域の感知魔法は意外と疲れるからさ。

僕は帰って研究したい魔法とかやりたいこと結構あるから帰ったら即座に睡眠とかイヤだよ。

まあ、マリアと一緒に居られる時間が増えるのはいいよね。

ん?

 

「どうかしたの?」

「いや、かなり遠くで魔物の気配……最近多いから気にしなくていいけど」

「それって危険なんじゃないの?」

「どうなんだろ?今までも別段異常なさそうだったから僕は気にしてないけど?」

 

ジーク兄やクリス姉もそういうこと特には入ってなかったしディスおじさんからの注意喚起とかもない。

ま、僕とシンなら対処できるだろうから伝えなかったと言われたら頷くしかないんだけどさ。

 

「もし魔物に襲われても僕とシンがいれば問題ないし、ミムも普通の魔物なら駆逐できるし。多分マリアとかシシリーとかの僕らの友人は怪我ひとつないんじゃないかな?」

「それは…安心するところなのかしら?驚くばかりでろくに反応できそうにないんだけど?さらっと魔物倒せるって言われたし…」

「え?でも、魔物ハンターを生業にしてる人もいるんだからみんなそれなりに戦えるんじゃないの?」

「そんなわけないでしょ…」

 

※※※

 

というわけで翌日。

午前の授業が終わりお昼休み。Sクラスは10人だから一かたまりで行動しやすい。

食堂のテーブルも示し合わせたように十人テーブルだしテーブルを独占してお昼をとる。

そんな時だった。

 

「そういえばヒューマの索敵魔法ってなんで移動中にも使ってるの?」

「ん?そうだね。まず、街中で僕たちのことを認知している人ってどれくらいいると思う?」

「認知?えっと……数百人?」

「それだと僕らのことを知っている人かな。この場合は『街中でヒューマ=ボーウェンだと認識して行き交う人』かな。そうなると何人ぐらいだと思う?」

「そうなると……数人ぐらいじゃないかしら?」

「それはなんでだい?」

「だってすれ違う人が誰かだなんて運よく顔が見えたりしないといちいち考えたりしないわよね?」

「そう、つまりは互いに無関心であること。で、僕が感知しているのはその人たちの波長なんだ。波長がわかればある程度その人がどんな感情を向けてるかわかるんだ」

「そうなの?」

「うん。例えば感知するまでもないけど、マリアとシン以外のみんなは今僕にドン引きしてる。あ、若干名違う人もいるけど」

 

そこでシンが呟いた。

 

「聞けば聞くほど思うけど、俺とヒューマだと索敵の方式違うよな。俺は害意か何かがわかるだけだし」

「普通それでも十分だよ。広域のをする場合、僕とシンとじゃ疲労の具合も変わってくるんだし」

「そうは言ってもなぁ……」

「害意?ってなんですか?」

 

そこで疑問に思ったのかわりと近い席に座るトールが問いかけてきた。

 

「そうだな、トール魔物狩ったことあるか?」

「あるわけないじゃないですか。少し前まで中等学院生だったんですよ?」

「俺が感知してるのは波長じゃなくて魔力。魔物の魔力って普通のと違ってなんといか禍々しいっていうのか?どこか普通じゃない感じなんだ。そういうのって人間にもあるみたいで、俺が感知するのは『悪意を持った魔力』って感じかな。魔力全般を感知できるからヒューマとは分野が違うから俺たち二人が同時に索敵すできればいいんだけど、ヒューマが一人でいいって言うから俺は使ってないだけ」

「ちょっと待ってください。つまりシンくんは魔物を……」

「うん、倒したことあるよ」

「参考までに何歳くらいの時?」

「俺は10歳かな。ちなみにヒューマは6歳で魔物狩ってたらしいよ」

「「「へ?」」」

「そういえばそうだったね」

「ちなみに俺は3mぐらいの熊が初の獲物。ヒューマは大きめの鹿」

「「「熊!?」」」

「シン、その辺りにしといたほうがいいわよ。私は慣れたけど他はそうじゃないんだから」

「そうだねぇ。僕とシンはぶっ壊れだし。それにそろそろ時間じゃないかな?」

 

僕がそういうとSクラス全員が辺りを見回す。食堂にはもうほとんど生徒がおらず、午後から予定されている研究会説明会に向かったものだと推察できる。

 

「じゃ行こうか。遅れると上級生に反感持たれるだろうし」

「そうね」

 

説明会は講堂で行われるらしく、食堂からはグラウンドを突っ切った方が早い。

だけど、今回は悪手だったかな。

 

「1〜6障壁!」

「ヒューマ?」

 

オドロオドロしい波長とともにカートくんが現れ魔法を放ってきた。

距離はあるけど僕が気がつけないなんて……

誰かの差し金?

 

「オーグ!シシリー!魔力をまとって!僕とシンで迎撃するから他の人たちは逃げて!」

「だけど!」

「正直邪魔!あの火力、ゴメンだけど僕とシンじゃないと対処できないと思う!」

 

ドォォォォッォン!と爆音を立て僕の出した障壁とカートくんの魔法がぶつかり合う。

 

「なんで!謹慎中なんだろ!」

「誰かの差し金か、なんにせよカートくんだけで行っているわけじゃなさそうだね。ま、なんにせよもう許す気はない。殺人未遂なら自己防衛してもいいよね?」

「ああ、今までは未遂だったから見逃していたが、もう到底見過ごすことはできんな」

 

そこでカートくんの波長が人間のものから外れていく。

それに加え魔力も膨張していく。

 

「あれって制御できてると思う?」

「……できてないと思う」

「……右に同じく」

「デスヨネー。ま、想定の範囲内。オーグ、みんなを頼んだよ!」

 

そう言って僕は異空間収納から6本の短剣を取り出す。

投擲してカートくんを牽制するけど……

 

「魔力の暴発で吹き飛ばす……そんな芸当ができるなんてね……!」

 

僕が目を向けりとカートくんの目は……

魔物を象徴する淀んだ赤に染まっていた。つまり

 

「魔人化……へぇ、面白くなりそうだね」

 

※※※

 

この世界において

人類史では人間の魔物化の例は過去をさかのぼっても一件しかない。

その事件が起こるまで人々は魔物化は魔力を操れない動物にのみ起こる現象だと考えていた。

だからこそ人間の魔物化……魔人化が発生した時、人々は恐怖した。

人間が魔物化の例外ではなかったことについて?違う

暴走し無限と思えるほどの魔力を持つ魔人が行う破壊活動に対して人々は恐怖した。

王国は魔人に立ち向かうため部隊を編成し討伐を行ったが被害は増える一方。

その魔人を倒したのが……

賢者マーリン=ウォルフォードと導師メリダ=ボーウェンのコンビだ。

だからこそ二人は敬われている。

 

※※※

 

「とまあ、なかなかにハードだね」

「余裕だな!?」

「被害を出さないって言うだけなら割と簡単にできるよ。さて、魔人討伐戦と行こうか!」

 

僕はそういうと魔法を受け止めるために展開した障壁を肥大化させ僕とシンそしてカートくんを他から断絶するために展開する。

ついでに周りの声もシャットダウンする。

 

「さて、シンどうしたい?彼をぶっ殺したい?それとも元に戻したい?」

「もちろん元に戻す!」

「オーライじゃあ協力してね」

 

僕は五つセットの魔道具を出す。

 

「マホカトールって言ったらわかる?」

「…………!ああ、だいたいわかった!」

「やっぱり持つべきは以心伝心が可能な兄弟だね。じゃあ作戦開始!」

 

僕らは同時に別方向に駆け出す。

 

「すべて拘束!出来うる限り手早く終わらせよう!」

「ああ!それはもちろんだ!」

 

僕が魔法を発動させると黒い魔力が鎖となって具現化しカートくんに襲いかかる。

イメージしたのは天の鎖(エルキドゥ)

自動的に相手を捕縛する魔法。僕式マホカトールは相手が動かない方がやりやすいからね。

 

「まあ、様子見で放ったんだけど……え?」

 

まさかまさか特に何もせず僕の魔法をその身に受けちゃってる。

 

「……もしかしてヌルゲー?」

「油断するなよ?」

「それはもちろん」

 

油断なく着々と準備を進める。魔道具を五芒星の頂点になるように配置する。

……拘束している間、カートくんはもちろんだけど何もしてこなかった。

ま、あの魔法には魔力を練れないようにする仕掛けがあるんだけどね。

 

「さて、じゃあ実験を始めようか。失敗して爆発しても恨まないでよ?」

「大丈夫なんだよな!?」

「理論上はね」




遅れて本当にすみません。
いわゆるスランプです。
今後はもう少し頑張ります。


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