ゼレフに出会いを (心か)
しおりを挟む

1話

始めて小説と言っていいのか分からないですけど書きました
温かい目でよろしくお願いします笑


此処は、冒険者が夢を持ち冒険する街オラリオそこに前の世界では、黒魔道士と呼ばれ恐れられた1人の青年がいた

「本当に生きているなんてね..メイビスには、かなわないな」

そうこの青年は、死んだのだ

いや死んだはずだった

前の世界での戦争で彼は、メイビスと共にアンクセラムの呪いにより死んだはずだった。

 

「あぁゼレフ貴方は、本当に優しくて、可哀想で、そして愛おしい人。貴方が本当の意味で幸せな人生を送って欲しかった」

そう思いながらメイビスとゼレフは、死んでいくはずだったのだが二人が死ぬ直前にメイビスにより奇跡の魔法が起きたのだ。

そうそれは、愛の魔法 人間誰しもが持っている奇跡の魔法

その魔法が起きた直後不死の呪いにかけられたゼレフの身に奇跡が起こった。

「ここは、一体...それに僕は、死んだ筈じゃ」

ゼレフは、今周りが真っ白な空間とも呼べる場所に立っていた。

「気がついたのですね!ゼレフ!」

「この声は..まさか!?」

そう言い振り向こうとした直後ゼレフは、後ろから来た衝撃で体制を崩したのである。

「また会えましたね!ゼレフ!」

「あぁとても嬉しいよメイビス」

そう言うと片方は、満面の笑みで片方は、少し涙を浮かべながら笑っていた。

だがまだこの場所がなんなのかがよく分かっていないゼレフは、目の前でニコニコしているメイビスに一体何がどうなっているかを聞いた。

「メイビス一体ここは、何処なんだい?」

「此処は、私が作り出した魔法によって生まれた場所みたいなの」

「その魔法って一体ッ」

そうゼレフが言いかけた直後ゼレフの体が光始めたのだ

「もう時間なのですね...寂しいですが仕方がありませんね」

「メイビス一体何の魔法を使ったんだい?」

「ウフフ、秘密です。でもこれから貴方がいく場所で少しでも幸せな生活になる事祈っています。今度は、貴方が私を起こしてくださいね」

そう言うと少し照れているような寂しそうな表情でメイビスは、ゼレフに告げたのだ

「これからって一体何のこ」

そう言葉を言いかけたゼレフは、そのまま光になって消えたのだ

「ゼレフ、私は、貴方のことをここで待っていますね...さて!そうなると長い間暇ですね〜何をしましょうか!」

そう言いながら少し寂しそうな彼女は、暇を持て余し始めたのだ

 

そして今に至る

「それにこの感覚...アンクセラムの呪いも解けている。まさに魔法だ」

そう笑みを少し浮かべながら述べた青年いやゼレフは、街を歩き始めた

少しの間街を探索してゼレフは、大体この街、オラリオの情報を掴んでいた

曰くこの街には、神が降りて来ておりファミリアと言う形で日々ダンジョンに行き生計を立てている者がおり、特にその中でも強大なファミリアなのがロキという神のロキファミリアとフレイヤという神のフレイヤファミリアというらしい。

「神か...まだそんなに見たことがないから見てみたいな。それにダンジョンも、気になる」

そう言いながらダンジョンに向かおうとゼレフは、歩きはじめた。

だが少しダンジョンに行くには、問題があった。そうダンジョンは、ファミリアに属していないと行けないのだ。ゼレフは、入ろうと思えば魔法を使って入る事は、可能なのだがそんな下らない理由で魔法を使おうとは、しなかった。

「しかし困ったな」

そう言いながらギルドからでていると一人の女性に目が止まった。

「この魔力の質...ディマリアに似ている。そうかアレが神か」

そう思いながら少し眺めているとその視線に気づいたのがその神がこちらを向くと一瞬驚いた様な顔してこちらに向かってきた。

「なんや?自分うちのことばっか見てそんなに魅力的かいなこれだから男は、困るで」

「何を言ってるんだこのバカは、全く。すまない内の神が失礼をした」

お酒に酔っているのか笑いながら言ってくる神とそれに注意をしながら謝ってくる綺麗な女性がいた。

「いや僕の方こそすまない。此処が初めてきた所だから少し気分が舞い上がってしまっててね」

そう言いながらゼレフも謝罪をした。

「なら良かったほら行くぞロキ」

そうエルフの女性いやオラリオ最高峰の魔導師リヴェリアは、ロキ言ったのだが

「なぁ自分此処が初めてって言うてたな〜。てことは、何か目的があってきたっちゅう事やろ?なぁどうや内のファミリアに入らへんか?多分悪い話やないと思うで」

肝心のロキは、知ってか知らずかオラリオどころか世界の最強の魔導師を勧誘していた。

ロキに勧誘されているゼレフは、悩んでいた。ダンジョンに入るには、ファミリアに入る事が不可欠だし第一にお金がない。どうしようか悩んでいると

「話だけでも内のとこで聞かへん?」

と言われ話だけならと情報収集も込みでロキについていった。

しばらく歩いているとロキファミリアのホーム、通称『黄昏の館』に着いた

そのままロキ達に付いて中に入って行くとそれなりに強い者達が見えたそして言われるがままに部屋に入ると護衛の為なのかそのままリヴェリアも中に入り話が始まった。

「どうや?内のファミリアは、凄いやろ。」

「あぁ、なんだか懐かしい気分だ」

そうゼレフは、少し笑みを浮かべて言った

「懐かしい?ということは、昔どっかのファミリアに属しとったんか?」

「いいや、ファミリアどころか此処で神を見るのも初めてだ」

「?そうかじゃあまずお互い自己紹介からやな。ウチが此処の主神ロキや、で後ろに立ってるのがロキファミリアのママ事リヴェリアや」

誰がママだ、とツッコミをリヴェリアが言いながら自己紹介が始まった

「僕は、ゼレフ・ドラグニルよろしく頼むよ」

「ゼレフかよろしくな、で本題に入るでどうやウチのとこに入らへんか?」

そうロキが改めて問いかける

「まだ少しこの街を見てみたいんだ決めるのは、その後でもいいかい?」

ゼレフ自身まだこの街に来たばかりで情報は、知っていても実際には、見ていないものが多い。それみてから決めるのは、遅くないとゼレフは、思っていた。

「全然かまへんよ。後、ゼレフお前此処に来たばかりって事は、お金とかないやろ?体験って事で飯とか食べていき」

そうロキが言うと

「じゃあお言葉に甘えさせて貰うよ。ありがとうロキ」

ゼレフもロキに対して悪いイメージも持っていなかったし第一に嘘をついている様にも見えなかったのでそのままロキに頼った。

「じゃあ暫くしたら飯やから少ししたら帰ってきい」

「わかったよ、じゃあまた後で」

そうするとゼレフは、少しの間外を見に出かけた

部屋には、ロキとリヴェリアのみ、すると

「で私を残したという事は、何かあるのか?ロキ」

「多分ファミリアにとってもリヴェリアにとってもオモロイ事になるであのゼレフって子」

意味ありげな事を言うとロキは、部屋から出ていった。

 

暫くするとゼレフは、ファミリアに戻って来たのだが

「おい!なんでお前みたいな見たこともない雑魚がこのファミリアにいるんだ?」

そうゼレフに突っかかる者がいた そうベートである

「すまない、気に障ったのなら謝るよ、それに出て行って欲しいなら出て行くよ」

そのゼレフの態度に更に気に障ったのかベートが更に何かを言おうとすると、ベートの頭に衝撃が走った

「アホ!これからファミリアに入るかもしれない子供に何を言うとんじゃ」

とベートの頭を叩きながらロキが現れた。

「ごめんなゼレフ。これでもアイツ本当は、いい奴やねん。本当にごめんな」

「いや気にしてないよ、ロキ。僕も彼がいい奴って事は、なんとなく分かるよ」

そうゼレフが言うと満足したのかニコニコしながらファミリアのみんなに言った

「みんな!これからみんなの家族になる子、ゼレフ・ドラグニルや!仲良くしたってな!」

さらっと勝手にゼレフがロキファミリアに入る事になっている事に苦笑いしつつゼレフも挨拶をした。

「よし!じゃあ今夜は、ベートの奢りでミアのとこで歓迎会や!」

団員の騒ぎ声でベートの嘆きは、かき消された

そして豊穣の女主人でロキファミリアのゼレフの歓迎会が始まった

ゼレフが食事をしていると背丈の小さい子供の様なでも確かな覇気を纏った者が挨拶に来た

「やあ、僕は、ロキファミリア団長のフィン・ディムナだ。よろしく、ゼレフ」

「あぁこちらこそよろしく、フィン。しかし此処は、本当に面白くて楽しい場所だね」

「僕もいつもそう感じているよ」

そうしてゼレフとフィンが飲みながら会話をしているとロキが一人の少女を連れて来た。

「どうや?ゼレフ気に入ったか?」

そうロキが問いかけると

「とても気に入ったよ」

ゼレフは、そう笑って答えた

「そうか〜じゃあもう入るか?」

「そうだね。ダンジョンも気になるしそれに此処以上の物は、そうそう無いと思うしね」

本当は、まだ他を見てからでも良かったのだがゼレフ自身此処を気に入っていた。

「じゃあ入団も決まった事やしアイズたんも挨拶し、きっとアイズの為にもなると思うで」

そうロキが促すと

「よろしくお願いします」

「こちらこそよろしく」

とゼレフとアイズは、軽い挨拶を済ませた

そして時間が経ちファミリアにみな戻るとロキがゼレフに【神の恩恵】を刻むためゼレフに横になってもらっていた

「それじゃあいくで」

「あぁ」

そして無事【神の恩恵】が刻まれた

「よっしゃ完了や!どれどれ〜とゼレフのステイタスは〜...?!」

ロキがゼレフのステイタスに驚いている中ゼレフは、へぇ〜この魔法は、面白いな

まるでアイリーンのエンチャント魔法の様だがこれは、本人次第で伸ばすことが出来るとは、外すのも少し苦労しそうだと感心していた。

そして驚いているロキがようやく口を開いた

「ん〜まぁ最初は、こんなもんやな。じゃあ今夜は、もう休み!」

とゼレフを半ば強引に部屋から出した

そして少しすると先程の部屋にフィン、リヴェリア、そして同じレベル6に達したものガレスが入ってきた。

「でどうしたんだい?急に呼び出して」

とフィンが聞くとロキは、少し焦っている様なこの状況を楽しんでいる様な様子で伝えた

「これは、ほんまに凄いで特ににリヴェリア、これは、ビックリするで!」

と焦らしながら会話を続けた

「これは、本来は、言うべきや無いただ今回は、理由が理由やフィン達には、特別に教えたる。恐らくこれが他の神に知れたらきっとゼレフは、神のオモチャにされてまう。それだけは、避けたい。だから言う、何かあった時は、ゼレフを支えてあげてくれ!」

そうしてゼレフのステイタスをフィン達に見せた その内容が

 

ゼレフ・ドラグニル

 

冒険者 Lv.1

 

力 l 0

 

耐久 l 0

 

器用 l 0

 

俊敏 l 0

 

魔力 l 0

 

<<スキル>>

 

【黒魔道士ゼレフ】

 

・魔道書を作れる

・魔道書の悪魔を作れる

・覚えられない魔法は、無い

またこれらは、一切【神の恩恵】とは、関係がない

 

「なんだ...これは、ステイタスは、まだいいだがこのスキルこれは、一体..」

とフィンとガレスが驚いていると更に驚いている者がいた

そうリヴェリアである

「なんだこのスキルは、こんな事があり得るのか?!」

そう珍しく取り乱しているリヴェリアがロキに尋ねると

「あぁウチも最初に見たときは、驚いたわ。ホンマにそれにアイツこの紙を渡したら普通に読みおったわ。しかもこのスキルに驚く事なくな。ほんまに下界は、面白いで。ただこのスキルは、ホンマに危険やみんな頼むで」

そう念を押してフィン達に頼んだ

「だがそうなるとゼレフにも事情を聞かないといけないな」

「確かに私も個人的に聞きたいことが山ほどある」

とフィンとリヴェリアが続けて言うとロキは、

「それについては、また明日聞こうと思っとる。みんなも疲れたやろうからもう休み!」

そういうとリヴェリアを残してフィン達は、部屋をでていった。

「で、なんやリヴェリア?」

とロキが聞くと

「いや今日の酒の件忘れた訳ではあるまい?」

とロキを説教するリヴェリアの声とロキの懺悔の声がその日ファミリア中に響き渡った

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話

優しい目でお願いします笑


ゼレフのスキルにフィン達が驚いた次の日のまだ日が出てもいないの頃

「こんな時間から特訓だなんて凄いね」

ゼレフは、このファミリアにおいての期待の星アイズに話しかけていた。

「あなたこそ、こんなに朝早くから何をしてるの?」

「僕かい?僕は、ただここの空気や生き物が少し気になってね。ただ物音がしたからここに来てみれば君がいたから話しかけてみたんだ」

「そう...」

軽く返事をした後アイズは、そのまま鍛錬を再開した。暫く訓練を続けていたアイズなのだが

「ずっとそこにいるの?」

先程の会話からずっとゼレフは、アイズの訓練の風景を眺めていたのであった

「いや、良い腕をしているな、と思ってね。失礼した」

そう言ってゼレフは、その場を去っていった

「不思議な人...」

そう思いながらアイズは、また訓練を再開した

 

朝食の時間になり団員達やゼレフは、食堂に集まっていた

ゼレフが食事をしていると

フィンがゼレフと同じ机の席着いた

「おはよう、ゼレフ。昨晩は、よく眠れたかい?」

「うん。よく眠れたよ」

フィンとゼレフが朝の軽い挨拶をしていると

「ねえねえ、貴方ってフィンとどうゆう関係なの?なんか仲良くしてるけど」

と何故か少し怒気の混じった声で話しかけてくる女性がいた

「いや、ゼレフと会ったのは、昨晩だよ。ティオネ」

少し困り気味のゼレフを気にかけてフィンが答えた

「もう団長に近づく人に片っ端から威嚇していくんだから〜」

ティオネと呼ばれた女性に話し掛けるティオネにそっくりな女性がいた

「ごめんね!私は、ティオナ。さっき話しかけて来た子が姉のティオネ。よろしくね」

ティオナがゼレフに謝罪を兼ねて挨拶をしていた

「昨日紹介があったと思うけど僕は、ゼレフ。よろしくね、でも大丈夫?フィンが今とても大変そうに見えるけど」

フィンは、今朝っぱらからティオネに猛アプローチをくらっていた

「アハハ〜、ちょっと助けに行ってくるね!」

そう言いながらティオナは、ティオネの方に向かっていった

 

朝食を終えゼレフが何をしようか考えているとリヴェリアがアイズを連れて話しかけて来た

「ゼレフ、よければ一緒にダンジョンに行かないか?」

それは、ダンジョンに行かないか、という誘いだった。リヴェリアには、考えがありゼレフに始めてのダンジョンを安全に経験してもらうのと無理を続けてダンジョンに入り浸っているアイズの息抜きを兼ねてだった。

「そうだね、僕もダンジョンについては、気になってたんだ。一緒に行くよ」

そう言ってゼレフ達は、ダンジョンに向かって行った

ダンジョンに入って暫くするとゼレフ達の前にゴブリン達が現れた

「やれるか?ゼレフ」

そうリヴェリアが問いかける

「ああ、問題ないよ」

とゼレフが答えながらゴブリンに向かって行く

「ゼレフって武器持ってるの?」

とリヴェリアにアイズが問いかけると、リヴェリアは、忘れてたと答えるような顔をしていた

「おいっ、ゼレフ武器は、ちゃんと」とリヴェリアが言いかけた直後

ゼレフが手を向けた瞬間にゴブリン達は、魔石を残して姿を消した

アイズとリヴェリアは、何が起きたかが理解出来なかった

するとゼレフは、

「すまない僕には、武器は必要ないんだ。それにしてもこの魔石は、興味深いな」

そうゼレフ言っているとリヴェリアが先程の現象に問いかけた

「今のは、魔法か?(いやでもあり得るのか、演唱も無しにあんな馬鹿げた魔法が、いやでも確かに魔力を感じたのだが)」

そう考察を続けているリヴェリアにゼレフは、答えた

「うん。あれは、間違いなく魔法だよ」

ゼレフは、当たり前のように答えた

「ゼレフ先程の魔法についてもっとくわ「ゼレフ私と戦って」おいアイズ!」

ゼレフ達の付き合いで来ていたアイズの戦闘の欲求が先程の光景により再熱し始めた

「お願い、ゼレフ」

ともう一度ゼレフにお願いした

ゼレフは、少し考える様なそぶりを見せると

「いいよ、アイズ。ただもう少しダンジョンを見てもいいかい?それにリヴェリアも何か聞きたい様子だし」

「うん。全然構わない」

とアイズは、少し満足気に答えた

するとリヴェリアは、ようやく私の番だという風に話し出した

「もう一度聞くが先程の魔法は、一体なんの魔法だ?あとアイズ後で少し説教だ」

「ゔっ」

「僕が今使ったのは、黒魔法つまり外法の物だ、君の様な気高い人が知る必要はないよ」

「黒魔法?そんな物が実在するなんて」

ニワカには、信じられない、それがリヴェリアの正直な気持ちであった。だが昨日のスキルを見る限りこの現象は、あり得ない話ではないという事は、リヴェリア自身もわかっていた。

「それじゃあ行こうか」

そうゼレフが言い歩き始めたのでリヴェリア達も遅れながら歩き始めた

1週間分くらいの食費を稼ぐとダンジョンの体験とアイズの戦闘もあるため、すぐにダンジョンを出ていった

「しかしこんなに早くでても良いのか?」

とリヴェリアがゼレフに問いかけると

「ああ、大体ダンジョンの事も知れたしね、それに食費も稼げた。十分だよ」

そう言いながら歩いていると、アイズが何かに反応した

「ジャガ丸くんだ、リヴェリア、食べていい?」

「今日ぐらいは、許してやろう。ただあんまり食べすぎるなよ」

そう念を押す

「うん」

そうしてジャガ丸くんを10個買ってきたアイズであった

ため息を吐いて歩いているリヴェリアと満足げな顔をしながらジャガ丸くんを食べているアイズに

「少し用を思い出したんだ。時間が少しかかると思うから先に帰ってても構わないよ」

そうゼレフが言うと

「了解した。先にファミリアで待っているぞ」

「うん、じゃあホームの広場で待ってる」

二人とも了解したようでゼレフは、リヴェリア達と別れた

「さて、僕をずっと見てる神の所にでも挨拶をしに行こうかな」

そう言うとバベルの塔と呼ばれる建物に歩みを進めた

 

「あら、気づかれた?」

そう笑みを浮かべながら街を見下ろしている神、フレイヤは、ある一人の青年を見ていた。その青年の魂は、例えるなら黒、深淵の様な暗闇、ただその色は、何故か闇を感じさせない、むしろ暖かさを感じるくらいだ。その青年を見ていると目があった気がした、ただその青年との距離は、常人の目には、見える筈もないにいるのにも関わらずだ。フレイヤは、その青年がこちらに来る事を確信したのか椅子からおり、一人の男に話しかけた。

「オッタル、いるかしら」

オッタル、今フレイヤが読んだ名は、オラリオにおいて最強と呼ばれる男の名だ

「はい、フレイヤ様」

すると、何処にいたのか、オッタルが現れた

「ここに黒髪のローブをまとった子が来ると思うから案内してもらえるかしら」

「承知いたしました」

そう言ってオッタルが部屋から出ようとした直後

「その必要は、ないよ」

その声が聞こえた瞬間その黒い魂を持った青年ゼレフが部屋に立っていたのだ

「ウフフ、貴方とてもいいわ、とても、どう?私のファミリアに入らない?」

と魅了を掛けつつゼレフを誘惑しているフレイヤと

「フレイヤ様、私の後ろに」

とフレイヤを守るようにオッタルは、剣に手を掛けつつ前に立った

「僕は、もうファミリアに入っているんだ、それにこのファミリアを変えるつもりもない。なに、僕は、ここに戦争を仕掛けに来たわけじゃない。僕をずっと見ているから気になっただけなんだ。だから剣を引いてくれないかい?」

とゼレフは、正直告げた。

「オッタル、あの子は、嘘をついていないわ。剣を引いてあげて。ただ惜しいわ、とても。ただ貴方知ってる?別のファミリアとの間でこうゆう事しては、いけないってこと」

すると、ゼレフは、忘れてたと言わんばかりの顔をしていた

「ウフフ、いいわ。今回は、無しにしてあげる。ただ最後に質問をしてもよろしいかしら」

「ああ、構わないよ」

「貴方を射止めたファミリアの名前を聞いてもよろしいかしら」

「君もよく知っている、ロキファミリアだよ」

そう答えると少し悔しそうな顔をしながら

「そう、ありがとうね」

そう言うと相変わらず魅了を掛けつつゼレフに笑いかけた

「じゃあ、僕は出て行くよ。すまない、急に来てしまって。じゃあまた今度ね」

そう言うとゼレフは、フレイヤの部屋から姿を消した

 

フレイヤの件を終えゼレフは、ロキファミリアに帰ってきていた。するとリヴェリアが

「ゼレフ、今アイズが広場で待っているぞ」

と先程のアイズとの約束の件を伝えに来た

「うん。今から向かうよ」

そう言いながらゼレフは、広場に歩いて行った。するとそれについて行く者達がいた。監督役としてリヴェリアとフィンそしてロキが広場に向かっていた。

「すまない、遅れた」

ゼレフがアイズに謝罪を述べるとすぐに

「いい、大丈夫。それより戦おう」

そう言うとアイズは、剣を構えた

「そうだね、じゃあ戦おうか」

そう言うとアイズとは、対照的にゼレフは、構えもせずに立っているだけだった

舐められている、そう思いレベル差を考慮してるとはいえレベル3程度のものなら対応しきれない程のスピードでゼレフに向かったのだが

レベル1であるゼレフは、簡単に避けたのだ

「ねえねえ団長、ゼレフって元々どこかに属してたんですか?」

とどこから現れたのかティオネがフィンに質問をしていた。

「いや、ゼレフは、正真正銘レベル1だよ」

「ええ!?じゃあゼレフって一体...」

この会話をしている間も戦闘が続いていた。

「どうして?なんで当たらない」

そこには、ゼレフ攻撃するも、全てかわされているアイズの姿があった

「どうしてって、本気を出してないからじゃないかい?」

と避けながらゼレフが言うと

「いいの?全力でやって怪我しちゃうよ」

そうゼレフの心配をするアイズの言葉にゼレフは

「大丈夫。本気できても構わないよ」

そうゼレフが言うと、アイズは、一度距離をとり決心がついたのか魔法を唱えた

「テンペスト...」

そう言うとアイズの周りに嵐のような風が舞い上がった

「なるほど、エンチャント魔法か、君は、面白い魔法を使うね」

そうゼレフが言った直後、まさに神速の如くアイズがゼレフに接近したがアイズは、確かに見たのだ。ゼレフが笑みを浮かべているのを。

その直後ゼレフの周りに魔法陣が現れた。そして、近づくもの全てを切り裂くアイズのエンチャントした体に手を向けた直後アイズのテンペストが解けたのだ。

「なっ?!」

アイズが驚いた直後アイズの剣を奪いアイズの首元にそれを突き出した

「勝負ありかな」

そう言いながら広場から戻って行くゼレフをアイズを含めロキ達は、眺めることしかできなかったのだ。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話

凄く話を書くのって難しいですね
毎回時間が途方もなくかかります笑
毎度毎度申し訳ありませんが暖かい目でよろしくお願いします


ゼレフが広場から離れた後

「どうして、なんで..」

そう言いながらアイズは、拳から血が出る程強く握りしめ、俯いてた。そうであろう、レベル5の彼女がレベル1の彼に完敗したのだから。

「なぁ、リヴェリア、ゼレフは、一体なにをしたん?」

そうリヴェリアに聞きながら彼女の顔を見るとまるで信じられない物でも見たかの様な表情になっていた。

「アカン、リヴェリアまでや、全く、こんなの初めてやで」

そう言うとロキは、苦笑いを浮かべていた。仕方がないと思いフィンにもう一度同じ質問をしたのだが

「すまない。ロキ。僕にもあの現象が一体何なのかまでは、分からない」

そう言うと、フィンは、ばつが悪そうな顔でロキを見た

「すまないっ、少し取り乱していた」

そう言うと、落ち着いたのかリヴェリアがいつも通りの表情になり返事をした。

「じゃあ、もう一度聞くけど、ゼレフは、アイズたんに何をしたんや?見た限り魔法だとは、思うんやけど」

「ああ、アレは、確かに魔法だ。だがただの攻撃魔法や防御魔法だとかそういった単純なものではない」

「じゃあ一体何なんや?」

そうロキが聞くと、リヴェリアは、少しためて答えた

「アレは、一種の付加魔法の様なものだ、効果は、逆だがな」

「付加魔法?でもアイズたんは、何か付加されるどころか魔法が消えてしもうとったで」

そうロキが疑問を投げるとフィンがリヴェリアの代わりに答えた

「ロキ、ゼレフが使った魔法は、アイズの付加魔法を外す魔法を使ったんだよ。そうで、間違いないね?リヴェリア」

「ああ、間違いない」

「やはり...でも可能なのかい?そんな事が」

フィンがリヴェリアに新たな質問を投げかける。当たり前であろう。そんな魔法自体、聞いた事がない。

「理論上は、可能だ。ただそれを行うには、アイズの魔法の性質や魔力の流れを完璧に理解し、更にアイズの魔法以上の力で力の流れを停止させる事が必要だ。それに普通の人間ならそれを行おうと思うと精神が持たず疲労で最悪死ぬ可能性だってある」

そうリヴェリアが言うとフィンも流石に驚いたのか、それ以上の質問は、しなかった。ただ一人更に疑問を問いかける人物がいた。

「じゃあ私も質問いい?」

そう先程何処からともなく現れたティオネである

「じゃあさ、リヴェリアにも出来るって事だよね?」

そう問いかけると

「いや、私には、まだそんな芸当は、出来ない。悔しいが魔法の技術に関しては、私以上だ」

「でもそんな事ってあり得るの?ゼレフってまだレベル1だよね?それじゃあ最初から魔法が使えてたみたいじゃん」

納得出来ないのか、そうティオネが言うと

「恐らくやが、ゼレフは、最初っから魔法が使えとったと思うで。何は、ともあれ先ずは、アイズたんが先や」

そう言いながらロキは、アイズの方へ向かって行った。それについて行く様にティオネも向かって行った。

 

ゼレフは、先程のアイズとの戦闘を終えた後一人のエルフの少女に声をかけていた

「どうしたんだい?ずっとそこに隠れる様にして、僕たちの事を見てたけど」

「えっ?!えっ、と隠れて見ててすみません(いつの間に私の所に..)」

その少女とは、レフィーヤである

「いや、別に気にしてないから大丈夫だよ。それに見たところ君は、魔法の才能があるみたいだ」

「?えと、ありがとうございます。それじゃあ私は、失礼します」

そう言うと急ぐ様にレフィーヤは、ゼレフの元を去った。後にあの現象の事について聞いておけばよかったと後悔する事になるのだが。

「それにしても、見たことがない魔法を見るのは、楽しいね。明日にでもここの図書で調べてみよう」

そう言いながらゼレフは、再び歩みを再開した

 

「アイズたん、大丈夫か?もうゼレフ奴、アイズたんは、女の子やぞ」

そうロキが聞くと

「うん。もう、大丈夫..」

と誰が見ても嘘と分かる悔しい表情をしながら言葉を続けた

「最後、私の魔法が無理矢理かき消された。こんなの初めて。それに手も足も出なかった」

「やっぱりそうだったんだ」

そうロキの後、遅れてやってきたティオネが言うと

「やっぱりって?」

アイズがそう聞くと

「リヴェリアが言うにはね、アイズの魔力の流れと逆の魔力を押し当てて打ち消したんだって」

正確に言うとそこまで単純なものでは、無いのだが

「ねえ、ロキ。ゼレフって一体何者なの?」

そうロキに問いかける。そう思うのも当たり前だ。昨日、突然このファミリアに入ると紹介され、見たことも無い未知の魔法を使って自分の事をいとも簡単に打ち負かしてきたのだから。

「アイズたんには、悪いけど、ウチにもようわからんのよな〜。ただウチがゼレフを見た時、感じたんがコイツは、オモロイって事だけやったからな〜」

スキルの件とある事を除いて正直にアイズにロキは、伝えた

「もうっ、ゼレフって本当に何者なのかしら」

もう何度目になるか分からない言葉を発したティオネ

「じゃあ、みんなで聞いてみるかい?」

そうリヴェリアと共にアイズの元にきたフィンが提案してきた

「せやな、一度聞こうとは、思うとったし。いい機会や、みんなであれこれ聞きまくったろ、彼女は居るのかとか」

最後、余計な一言が聞こえた様な気がしたがロキ達は、ゼレフの元に向かった

 

今現在、ロキの部屋には、フィン、リヴェリア、ガレス、ティオネ、ティオナ、ベート、アイズがいた。

「でっなんでコイツまでいるの?」

そうティオナがベートに言う

「うるせえ!俺は、呼ばれたからここに居るんだよ!嫌ならテメェがどっかいけ!」

「何ですって?!このバカ、アホ、ハゲ」

といつも通りの喧嘩が起きていた

「そこまでだ、二人とも。全く少しは、大人しくしろ」

そう言い二人を叱るリヴェリア

「やっぱり、ここのママやで、リヴェリアは」

「誰がママだ」

といつも通りの時間を過ごして居ると、ロキの部屋の扉を開く者がいた

「すまない。遅くなった、おや?みんな集まってどうしたんだい?」

そうこの件の中心人物ゼレフである。

「いや、大丈夫、時間ぴったしやで、ゼレフ。今みんなに集まって貰ったんは、明日の遠征についてとゼレフについてや」

「僕についてかい?」

そう疑問符を浮かべるゼレフにフィンが答えた

「そう、今日使った魔法について詳しく教えて欲しいんだ。それによっては、明日の遠征の計画を少し変えないといけないかもしれないからね」

続けてリヴェリアがゼレフが質問を唱えた

「ゼレフ、君は、まだ他の魔法が使えたりするのか?」

するとゼレフは、

「僕は、一応一通りの魔法は、全て使えるよ。今さっき使った魔法だってそう。付加魔法の応用さ」

さも、当たり前の様に答えるゼレフにリヴェリアは、更に疑問を投げかけた

「全てだと?正確には、どれくらいなんだ?」

するとゼレフは、困った様に答えた

「すまない、使える魔法を数えた事がないから分からないけど、少なくとも1万以上は、あると思う」

その言葉でゼレフを除いて部屋にいる全ての人物が驚愕した。当たり前だこのオラリオにて、魔法を覚えられるのは、普通3つまでと言われている。その常識を破った九魔姫ことリヴェリアでさえ9つなのにだ。

「ロキ、今の言葉は」

そうフィンが問うとロキも少し笑いながら言った。

「ゼレフは、何も嘘をついてへんで」

その答えに改めて驚きながらゼレフの事を見つめた。

「質問は、終わりかい?あとすまないが明日遠征には、行けそうにないかな。少しここの歴史や魔法について調べたいんだ」

そうゼレフが皆に伝える

「遠征については、了解した。元々突然だったからな、こちらこそすまない。質問は、こちらからは、以上だ。感謝する」

そうリヴェリアが伝える

「じゃあ、僕は、これで失礼するよ」

そう言ってドアノブに手をかける寸前、アイズが言葉を発した

「どうして!そんなに強いの?」

それは、レベル差など関係なく自分を打ちのめした彼の強さに対する、嫉妬や憧れからくる疑問だった。するとゼレフは、昔の光景を懐かしむ様な表情をしながら伝えた。

「僕の強さは、正しい強さとは、言えない。それに焦らなくても君は、きっと強くなるよ。必要であればまたこうして相手をしてあげよう。ただこれだけは、忘れないで欲しい」

過去にメイビス達に教えた様に

「魔法とは、強さとは、思いの力、それは、自分の思いだけじゃない周りの思い、全てが自分を更に次へ、押し上げてくれる。それさえ忘れなければきっと君は、強くなる」

確かにゼレフは、白魔道士となった時最強の領域にいた。だがフェアーテイル、ナツ達の思いの力に敗北したのだ。だからよりこの言葉が確実なものと思える。

「思いの力...ありがとう」

ゼレフの言葉を忘れない様にアイズは、心の中で何度も復唱した

そうしてゼレフが部屋から出たあと遠征の会議が行われた。

 

会議が終わり部屋には、ロキ、フィン、リヴェリア、ガレスが残った

「しかし、1万以上とは、これは、正直驚いたわ」

話題は、やはり会議の前のゼレフの答えになる

「ああ、私もこれには、予想外だ」

「ガッハッハッ、九魔姫もかたなしじゃ」

そう豪快に笑いながらガレスが答える

「しかし、アイズとの戦闘で見せたあの動き、あれは、間違いなく強者の動きだった」

そうフィンが今日のアイズとの戦闘を思い出す。あの時、もしゼレフが敵だったらそう考えた瞬間親指が震え始めたのた。まるで自分の親指が確実にくる死に怯えているかの様に。

「ワシも見てみたかったの〜、ゼレフとアイズの戦闘を、しかしその戦いが本当となるとゼレフは、元からあの強さだったという事かの」

とガレスが言う

「ああ、そうゆう事になるね。全く驚いたよ」

フィンがガレスの問いに答える

フィンとガレスが会話をしてる中リヴェリアがロキにある質問をする

「ロキ、黒魔法について何か知っているか?」

そうリヴェリアが聞いた瞬間顔をしかめながらロキが答えた

「黒魔法?確かに知っとるがアレは、アカン。下界の子が使って良い代物やない。神ですら使わない代物や。それに使い方を誤れば使用者が死んでまう。何でそんなもんリヴェリアが知っとるんや?」

ロキの言葉に多少驚きつつリヴェリアが答えた

「今日、ゼレフが言うには、ダンジョンで黒魔法を使っていたらしい」

リヴェリアがそう言うとロキは、目を大きく見開きながら驚くのと同時にある件について納得がいっていた。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4話

前に投稿した話を読み返すと誤字、脱字が激しく震えております
拙い文では、ありますがよろしくお願いします


場面は、ゼレフとロキが初めて会う時に遡る

 

「なぁ〜リヴェリア、ホンマごめんて〜」

と言いながら酒に酔っているのかニヤニヤしているロキと

「ふざけるな、これで何回目だと思っている、少しは、反省しろ!」

何度目か分からない、ロキの説教をしているリヴェリアの姿があった。

 

「いや〜、ホンマにって、ごめんて〜」

 

そう言いながらリヴェリアに謝っていたロキの視界に、突然彼は、入ってきた。

見た目は、ごく普通の人間だ。しかし彼が身に秘めていたソレは、まるで人間のモノでは、無く、まさに神の力だった。 ただその力は、まるで闇の力、天界いた頃でも感じた事のない程どこまでも暗く、黒い。だがソレと同時に一瞬だけ、あのフレイヤでさえ見逃してしまう程一瞬だけ、彼の持つ魔力の片鱗を感じた。

そしてロキが感じたソレとは、完全に消えかかっているアンクセラムの呪いの片鱗だった。

気づくとロキは、彼、もといゼレフのもとに行っていた

 

 

「しかし、黒魔法とはな〜驚いたで」

そうロキは、フィン達がいなくなった部屋で一人愚痴る

 

そして遠征の日

 

ゼレフは、ホームの書斎にてこの世界の魔法について調べていた

 

「成る程、見ただけでその魔法が使えるようになる本か...少し興味があるな。ロキにでも聞いてみよう」

 

そう言うとゼレフは、遠征の出迎えを終えたロキの元に向かった。

 

「ロキ、少し聞きたいが事があるんだけど良いかい?」

 

「おう、良いで」

 

ゼレフは、その返事を聞きロキの部屋に入った。

 

「で、聞きたいことって何や?」

 

「魔道書ってこのホームにあるかい?もう使っている物でも構わない」

 

「あるには、あるけど、どないするつもりや?」

 

ゼレフのスキルの事を思い出しながらロキが聞くと

 

「僕のスキルについて覚えているかい?ちょっとだけ、調べてみたいんだ。それに少し魔道書には、縁があってね」

 

そう言うと少しゼレフは、笑ってみせた

 

「わかった、ええよ。そのかわりウチの質問を聞いてくれるか?」

 

「構わないよ」

 

その返事を聞くと、ロキは、いつもとは違い、真面目な表情になり言った

 

「ゼレフ、あんた、ここに来る前まで何をしとったんや?」

 

するとゼレフは、この事を聞かれるのが分かっていたのか、代わりに用意した嘘をついた

 

「僕は、元々ここの近くには、居なくてね。ある日ここ、オラリオの噂を聞いて来たんだ」

 

そうゼレフが言うと、少し表情を暗くしながらロキは、答えた。

 

「...ゼレフ、神には、嘘が分かんねん。正直に言うんや、それにウチは、あんたが何者だろうと家族だと思っとる、他のみんなも同じや。それだけは、変わらん」

 

その言葉に決心がついたのかゼレフは、真実を口にした。自分が弟を復活させようとした結果400年間アンクセラム神のアンクセラムの呪いにより苦しめられ、自分を殺すため数々の悪魔を作り出し、その結果世界すら崩壊させようとした事を。そして自分がメイビスやその弟、ナツにより救われた事を。自分が本来死んだ身であることも。

 

「まさかここまでとは、それにアンクセラム神なんて聞いた事もあらへん」

 

ロキは、ゼレフの語った言葉に驚愕したと同時に悲しみに満ち溢れていた。気がつくとロキは、ゼレフを抱き寄せていた。まるで親が子を抱き寄せるように。

 

「苦労したんやな、ゼレフ」

 

ゼレフは、驚き振りほどこうとしたがロキの無償の慈愛を感じたのか、そのまま身を任せた。

ロキは、ゼレフを抱き寄せながらアンクセラムという神を心から許さないと誓った。

そうして少しの間、時間も忘れてロキは、ゼレフを抱き寄せていた。

 

「もう大丈夫だよ、ロキ。それに少しこの呪いには、感謝しているところもあるんだ。メイビスやナツ、他のみんな、そして君達にもこうして会えたからね」

 

そうゼレフは、ロキに話した。するとロキは、少し名残惜しそうにしながらもゼレフから離れた。そして何処に隠していたのか奥から魔道書を取り出しゼレフに渡した。

 

「ゼレフのスキルを見た時からいつか言うて来ると思ってとっといたんや。受け取り〜」

 

そう言いながらまだ誰にも使っていない魔道書を渡した

 

「ありがとう、感謝するよ」

 

「いいって、いいって、その代わり時々冒険の話を聞かしてほしぃわ」

 

「分かった、いくらでも聞かせてあげるよ」

 

その言葉を聞くとゼレフは、懐かしい光景を思い出したのか少し笑みを浮かべながらロキの願いを了承した。

 

そしてフィン達が遠征から帰ってくる時まで時間は、進む

 

「意外とこれを作るのは、簡単だったな」

 

そう言いながらゼレフは、自分の作った魔道書を机に置く。外の様子が騒がしいので、そちらを見てみるとどうやら、フィン達が遠征から帰ってきたようだった。それを見るとゼレフもフィン達の元に向かった。

 

「お帰り、みんな」

 

そうゼレフがみんなに言うと誰よりも早く反応するものがいた。そうアイズである。

 

「ただいま、ゼレフ。また戦ってほしい」

 

「早速かい?」

 

流石に皆もこれには、苦笑いを浮かべていたがリヴェリアがアイズを注意し、事なきを得た。

そうして、今、ロキファミリアの面々は、豊穣の女主人にて、食事をしていた。

 

「みんな遠征ごくろうさん!今日は、いっぱい飲んで食ったれ!かんぱいや!!」

 

そうしてロキファミリアの宴が始まった

そうして皆自分達の遠征の疲れを癒すように酒を飲み、食事を堪能していた。

ゼレフも例外なく食事を楽しんでいた。そうして皆が楽しんでいると

 

「おいアイズ!あいつの話ししてくれよ!」

 

「あの話...?」

 

酒にかなり酔っているのか泥酔した様子のベートがアイズに話しかけてきた。

ゼレフもその声に耳を傾ける。

 

「帰る途中に何匹かミノタウロスを逃しろ?その時、5階層に行った最後の一匹を始末した時にいた腰を抜かしたトマト野郎だよ!」

 

「ミノタウロスって...帰る時に逃げ出して行った?」

 

「そうだよ!急に上層に登って行っていきやがって、俺たちが追いかけて行った奴!」

 

「そん時によ、いたんだよ。身の丈にもあってねぇのに、いかにも駆け出しですってガキがよ!兎みてぇに追い込まれてよ、可哀想なくらい震え上がってたんだよ!」

 

「ほんで、その冒険者どうしたん?」

そうロキが聞くと

 

「アイズが間一髪のところで、ミノタウロスを細切りにしてやったんだよ!そしたらアイツ返り血を顔面に浴びてトマトみてぇになっちまってよ!しかもそのトマト野郎叫びながらどっか行っちまったんだよ!アッハハハ!!」

 

それ釣られてか、周囲から笑い声が聞こえる。その中誰かが急ぐ様にこの店を出て行った。

笑っていないのは、アイズと今の話に不快感を募らせるリヴェリア、そしてゼレフぐらいだった。すると

 

「いい加減その口を閉じろ、ベート。私達に非があっても彼には、無い。それに酒の肴にするなんてもっての他だ」

 

しかしベートは、かなり酔っているのかリヴェリアの注意など軽く受け流しアイズに標的を変えた

 

「アイズは、どう思うよ?自分の目の前で震え上がる野郎を。あんなのが俺達と同じ冒険者なんか名乗ってるんだぜ?」

 

「...あの状況じゃ、仕方なかったと思います」

 

「なんだよ、良い子ぶっちまって。...じゃあ質問を変えるぜ?あのガキと俺ツガイにするならどっちが良い?」

 

「ベート、もしかして酔っとるん?」

 

「うるせぇ。ほら、選べよアイズ。お前はどっちの雄に尻尾を振ってどっちの雄にっ」

 

「そこまでだよ、全く。アイズが困ってる。酔いすぎだよ」

 

ゼレフがベートの言葉に間を入れてきた。

 

「あ?なんだよ?急に、大体入ったばっかのテメェにどうこう言われる筋合いはねぇんだよ!」

 

「だとしてもだよ、君のせいでせっかくの料理が不味くなってしまう。少し酔いを覚ましなよ」

 

「あっ?上等だ!テメェで覚ましてやるよ!」

 

そう言いゼレフを殴り付けた。

 

「これで、気は済んだかい?」

 

自分が殴られたのになにも反撃してこないゼレフに呆れたのか、ベートは、ふてくされた様に店を出て行った。

 

「大丈夫か?ゼレフ」

 

「大丈夫?ゼレフ」

 

そう言いゼレフの元へ、リヴェリアとアイズが向かう。ロキは、ベートを叱るため追いかけに行っていた。

 

「大丈夫だよ、ありがとう」

 

そう言いながら立ち上がる。するとゼレフは、

 

「少し用を思い出したんだ、出かけてくる」

 

そう言いながら先程急ぐ様に店を出て行った少年のもとに向かった。

 

 

ゼレフが少年を追いかけているとどうやら少年は、ダンジョンの中にいる様だった。

そして少年の元に駆けつけると、少年は、血だらけで立っているのもままならない程ボロボロだった。そうして限界だったのかゼレフが到着したと同時地にひれ伏した。

 

その少年、ベルが目を覚ますと誰かの背中の上におり、地上にいた。

 

「...え?どうして・・・ここに?」

 

「おや?目が覚めたかい?」

 

そうしてベルは、自分が誰かに負ぶされている事に気づく。

 

「す、すいません!僕体力の限界で意識が無くなっちゃってって・・・あれ?怪我が治ってる?それどころか体力も・・・えー!!」

 

「あはは、君は、面白いね。怪我は、僕が治しておいたんだ。もう少し休んでいて構わないよ。僕が君を送るよ」

 

「ありがとうございます!!でももうこれなら歩けるので大丈夫です!」

 

そう言うとゼレフから降り自分で歩こうとくるのだがそのまま前にベルは、倒れた。

いくら肉体が治っても精神がまだすり減っていたのかそのまま眠ってしまった。

 

そしてベルが目を覚ますと自分のホームにいた

 

「あれ?なんでホームに?」

 

そうベルが寝ぼけていると

 

「ベル君!!やっと起きたんだね!全く君って奴は、君が抱えられて帰って来た時は、どれだけ心配したと思ってるんだ!全く」

 

そうベルに目の下にクマを作りながら叱るヘスティアにベルは、決心した様にヘスティアに告げた

 

「神様、僕..強くなります...誰にも負けないくらい強く!」

 

「ベル君...分かったよ!応援するぜ!」

 

それを聞いたヘスティアは、慈愛に満ちた笑顔をベルに送った

 

するとベルは、何かを思い出したかの様に飛び上がった

 

「あっ!!神様!僕を抱えて来た人の事わかりますか?!」

 

「悪いけど、詳しくは、聞いてないな〜、それにベル君を僕に渡すと直ぐに何処かに行ってしまったよ」

 

それを聞くと残念そうにベルは、下を向いたが何故か彼には、また会える気がした。

 

「あっ、でも確かゼレフって名乗ってたよ」

 

「ゼレフさんか〜、何処の人なんだろう」

 

こうしてまた忙しない朝をヘスティアファミリアは、迎えた

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5話

今回は、少し長くなってしまいました。
誤字脱字、あると思いますがよろしくお願いします


怪物祭(モンスターフィリア)?」

 

「そうや、まだゼレフここに来たばっかやから見たことないやろ?やから3日後にある怪物祭に一緒に見に行かへんかと思うてな」

 

普段とは違い何処かに行くのか豪華なドレスを着飾ったロキがゼレフに聞いていた。

 

「いや、僕は大丈夫だよ。すまないね、また今度誘ってくれ」

 

ゼレフ自身モンスター同士の争いにそこまで興味が無いのかロキの誘いを断っていたのだが

 

「いや!ゼレフは、行くべきや!とりあえずウチは、今から用があるから帰ってくるまでに準備しとき!」

 

そう言いゼレフの意見などなんのその、無理矢理行くことにして去っていった。

 

そして現在ロキは、『神の宴』が開催されている会場、不思議な建造物が建つガネーシャファミリアのホームに来ていた。

 

「相変わらず、変な建物やで」

 

そう言いながら会場に入っていった。会場に着くと直ぐにこの宴の主催者、ガネーシャの演説が聞こえたが、それを聞き流しながらロキは、ある神を探していた。すると直ぐにそれは、いた。

 

「お!いたいた!おーい、ファイたーん!」

 

片手を上に上げながら、神友であるヘファイトスに寄っていくロキ

だがそれは、近くに居たある神に止められる事になる。

 

「良かった〜、ファイたんもここに来てたんやな。実はな、ファイたんに聞きたい事があってんねんけど」

 

ロキがヘファイトスに聞きたい事を聞こうとしていると

 

「ちょっと!ロキ!先にヘファイトスに用があるのは、僕なんだ!僕の用が済んでからにしてくれ!」

 

先にヘファイトスに用があり、話していたヘスティアがロキに言った。のだが

 

「なんや、ドチビもあったんかいな。でも子供一人おらん、あんたに大した用は、ないやろ!ど う せ」

 

「へっへーん、残念だけど僕にも大事な大事な子供が出来んたんだ、それに僕の要件は、君とは違って大切な事なんだ。わかったらそこら辺で無い胸でも大きくする為にミルクでも飲んでたまえ」

 

「なんやと!このドチビが!」

 

「なんだ!このまな板女!」

 

それが始まりの合図だったのか、向かい合いながら両手を掴み合い、

とても神様同士とは、思えない程、子供じみた罵詈雑言を言い合いながら喧嘩をしていた。

その喧騒により、気づいたのか困り果てているヘファイトスと喧騒をしている二人ににフレイヤが近づいて行った。

 

「相変わらず、仲良いわね」

 

「これの何処が仲良く見えるのよ...全く」

 

フレイヤの言葉にヘファイトスが余計気を重くしていると

 

「ハァハァ、まぁこんなもんで勘弁しといてやるわ」

 

「ハァハァ、僕の方こそ、この辺で勘弁しといてあげるよ」

かなり争いが激しかったのか二人とも肩で息をしながら、整えたはずの髪の毛がボサボサになっていた。

 

「貴女達、仮にも神なんだから、場をわきまえてはいかが?」

 

「僕は、悪くないんだ!全部ロキが悪い!」

 

「なんやと!このドチビ!それに人の子にまで手を出すアンタには、言われたくないわ」

 

フレイヤの言葉に新たな争いの火種を産もうとするヘスティアとそれらが言えた義理では、無いと、睨みをきかせているロキの姿があった。

 

「あら、たまには、言うじゃない」

 

おちょくっているのか、心にも思ってもいない事を言うフレイヤ、するとこのままでは拉致があかないと思ったのかヘファイトスが要件について話し出した。

 

「で、用ってなに?ロキ」

 

「僕の方が先に「後で聞いてあげるから」」

 

僕の方が先だったのに、とぐちぐち言っているヘスティアを尻目に話し出した。

 

「いい機会や、フレイヤと一応ドチビにも聞いとくわ」

 

そうロキが言うとフレイヤとヘスティアもロキの話しに集中して耳を傾けた。

 

「アンクセラムっていう、神の事知っとるか?」

 

「いや、聞いた事がないな」

 

「僕も、そんなヘンテコな名前の神、聞いた事がないよ」

 

その言葉を聞くとヘスティアとヘファイトスは、知らないのか首を横に振った。だがフレイヤだけが心当たりがあったのか記憶を辿りながら返事をした。

 

「アンクセラム...聞いた事があるわ」

 

「ホンマか?!」

 

その返事の様がいつもの様におちゃらけた態度では、無かった為以外そうな目でフレイヤは、ロキを見ながら言葉を続けた。

 

「え、ええ。ただ私が知っているのは、アンクセラム神じゃなくてその呪いの事よ」

 

「なんや...それだけかいな」

 

フレイヤの言葉に残念そうにしているロキ。するとアンクセラムの事について何も知らない二人の内の一人ヘスティアがロキ達にその呪いについて聞いた。

 

「その...アンなんたらっていう呪いは、一体何なんだい?」

 

するとロキの代わりにフレイヤが答えた

 

「私も噂程度にしか聞いた事は、無いわ。その話の中では、アンクセラムの呪いとは、矛盾の呪い。命を尊く思えば思うほど命を奪ってしまう呪いよ。しかもその体は、不老不死となりその呪いで永遠に命を奪い続ける。そうで間違い無いわね?ロキ」

 

確認するようにロキに聞く

 

「ああ、間違いないで」

 

「とても悲しい呪いね」

 

「うん、僕がもしその呪いにかかったらと思うとゾッとするよ」

 

今の呪いを聞いて思う所があったのか悲しそうな表情を浮かべるヘスティアとヘファイトス。

 

「しかし、なんでそんな事聞いたのかしら?」

 

「いや〜、ウチも偶然噂で聞いてな、気になったから聞いてん」

 

「そうだったのね」

 

ロキが代わりに用意した嘘を付く。その嘘にしっかり騙されているヘスティアとヘファイトスだがフレイヤは、思い当たる節があるのか笑みを浮かべた。

 

「そういえば、ロキ」

 

「なんや?」

 

「この前貴方の所属の子が一人でウチに乗り込んできたのよ」

 

「なんやて?!」

 

その言葉にロキも含めヘファイトスやヘスティアも驚いた。それもその筈だこのオラリオにおいて二大巨頭のファミリアである、ロキファミリアとフレイヤファミリアその二つが争うとなるとこの街もただでは、すまない。しかも単独で乗り込んだと言うのだから驚くのも当然だ。

 

「あら、何も聞いてないのね」

 

「一体誰が来たんや?」

 

全く心当たりがなく戸惑っているロキにフレイヤは、以外な人物を答える

 

「ゼレフよ。部屋から見てたら急に私の目の前に現れたんだから」

 

「アイツ、何やっとんねん」

 

そう言いながら頭を抱えているロキ。後で叱らねばと思いながら一応フレイヤに謝罪の念を送る

 

「それは、すまんかったな、フレイヤ」

 

「別に気にしてないから謝らなくても良いわよ。それに私、あの子を気に入っちゃったの。ねぇ、あの子くれないかしら?」

 

フレイヤがそう言った途端ロキの雰囲気が豹変しフレイヤを睨んだ。まるで天界で神々を殺しにかかっていっていた頃のように。

 

「それは、本気で言っとるんか?」

 

すると何処吹く風かフレイヤは、笑みを浮かべながら

 

「冗談よ、あんまり怒らないで頂戴」

 

本当は、あわよくばとは、思ったけど。その言葉は、心の内に止める。すると聞き覚えのある名前が聞こえたのかヘスティアが声を上げた。

 

「ロキ!今ゼレフって言ったかい?」

 

「確かに言うたけどなんや?」

 

ヘスティアの言葉に毒気を抜かれたのかいつもの表情に戻り答えた

 

「いやね、僕の子が少しお世話になったみたいなんだ。僕からもお礼を言っておこうと思ってね」

 

「おうおう、ウチのゼレフに感謝し。しかし、ゼレフの奴ウチの知らんとこで色々して、妬いてまうで」

 

「よし!やっと僕の番だね!じゃあヘファイトス行くよ!」

 

そう言いながらヘファイトスの腕を掴んで連れて行ったヘスティア。

そうして、用が済んだのか酒を飲みにロキは、飲食物の並ぶ方に行った。残ったフレイヤは、先程のロキの質問とゼレフが何かあるに違いないといつも通り妖美な笑みを浮かべていた。

 

そうして、現在オラリオは怪物祭を迎え、いつも以上に賑わっていた。そんなオラリオにとって一世一代の祭りの日、ゼレフは結局、ロキの誘いを断りその日もホーム書斎で魔法や歴史、文化を学んでいた。

 

「やっぱり、まだ見た事の無いものをみるとワクワクしてしまうね」

 

そう思いながら次々と本を読み漁っていると

 

「ギャアァァアア」

 

「助けて!誰かぁー!」

 

「頼む、この子だけは!」

 

普段街から聞こえる様な活気のいい声や鳥の鳴き声では、無く恐怖に怯えた悲鳴や叫び声が聞こえた。

 

「これは、一体...」

 

窓から外の景色を眺めるとゼレフの目に写ったものは、正に地獄と呼べる光景だった。子供は、泣きながら親を探し、大人は、何かに怯え、子供の事など関係も無く逃げ回る。そんな光景があった。

 

その時、ゼレフはロキ達が怪物祭に出かけた事を思い出す

 

「無事でいてくれ」

 

魔力を探りながらゼレフは、モンスターによりパニックとなった街に繰り出した。

 

怪物祭の騒動の中ロキ達も例に漏れずモンスターに襲われていた。

そして現在、ロキ達の前には植物の様なモンスター達が立ち塞がっていた。

 

「こいつ、やっぱり滅茶滅茶硬い!」

 

「本当!もう!武器をさえあればこんなヤツ」

 

モンスターに攻撃を加えながら愚痴をこぼす、ティオネとティオナ。

 

「わ、私だって!」

 

ティオネとティオナの攻防っぷりに舌を巻きながらも自分も負けて居られないと戦闘に繰り出し暗唱を唱え始めるレフィーヤ。

 

「【解き放つ一条の光、聖木の弓幹。汝、弓の名手なり】」

 

レフィーヤは、暗唱を唱えながら突然入ってきたゼレフを思いだす。

自分が隣立つ事が出来なかったアイズにいとも簡単に打ち負かして見せた。彼に対する、劣等感、嫉妬、様々な物が入り混じる。

 

「【狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢】」

 

「(もう、足手まといでいたくない!)」

 

その思いを込め魔力を集結させた直後ーーーぐるんとモンスターがこちらを向いた

 

「ーーーーぇ」

 

モンスターの以上な速度での反応に恐怖を覚えた直後自身の脇腹をモンスターの攻撃が貫いた。

 

「「レフィーヤ!?」」

 

自身の口から生暖かい血液が溢れ出す。体が自分の死を悟ったのか動こうとしない。

モンスターは、レフィーヤに次の攻撃を繰り出そうと近づいてくる。

 

「ひっ•••」

 

もう体が動かず、悲鳴を上げてしまう。レフィーヤの視界が涙からか霧がかり、絶望に浸りかけた時、レフィーヤの視界に金と銀の光が走った。

 

「「アイズ!!」」

 

アイズがレフィーヤの前にいた

 

「大丈夫か?レフィーヤ」

 

そしてアイズと同行していたロキも

 

「ロキ、下がってて」

 

「わかっとる、やったれ!アイズたん!」

 

ロキの掛け声と共にアイズは、植物のモンスターに突っ込む。

しかし状況は、そこまで良くならなかった。

 

「うそっ!?」

 

アイズの攻撃に耐えきれなかったのか、付加魔法に耐えきれなかったのか、アイズの武器であるレイピアが砕けてしまった。

その直後、モンスター達は瀕死のレフィーヤでは、無くアイズを狙った。

 

「アイズっ!こいつら魔力に!?」

 

アイズ達が激戦を繰り広げている中

 

「レフィーヤ、大丈夫か?!」

 

「大丈夫ですか?!」

 

レフィーヤは、ロキとギルド職員に助けられる形になっていた。本来自分もアイズ達と共に戦い助ける立場でならなければならないのにだ。それがレフィーヤは、許せなかった。気づくと、自分の傷の痛みなど忘れ、自分の思いを口に戦いに参戦しようとしていた。

 

「私は、私はっ!レフィーヤ・ウィリディス!ウィーシェの森のエルフ!神ロキと契りを交わした、このオラリオで最も強く、誇り高い、偉大な眷属の一員!逃げ出すわけにはいかない!」

 

その思いの力が動かない筈だったレフィーヤの体に力をくれる

 

「(私は、まだあの人達の隣には、立てない。でも、追いかける事ぐらいできる!)」

 

「【ウィーシェの名の下に誓う】!

 

【森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと来たれ】

 

【繋ぐ絆、楽宴の契り。円環を廻し舞い踊れ】

 

【至れ、妖精の輪】

 

【どうか――力を貸し与えてほしい】」

 

限界だった体を動かし、血を吐きながらも暗唱を止めず魔法の射程内にモンスターを入れる。

 

「【エルフ・リング】!!」

 

その瞬間、レフィーヤの周りに莫大な魔力が溢れ出し、足元にあった魔法円が山吹色から翡翠色に変化する。

 

戦闘をしていたアイズ達もレフィーヤの変化に気づく

 

「レフィーヤ!?」

 

「これはーー!?」

 

その魔力にアイズ達を襲っていたモンスター達は、レフィーヤの方を振り返り襲いに向かった。

しかしそれをアイズ達が許さない。

 

「行かせないっ!」

 

「行かせるか!!」

 

「大人しくしてなさい!」

 

流石、武器を持たずともレベル5の冒険者達、殴る蹴るでモンスター達の動きを抑える。

 

アイズ達の想いに応える様にレフィーヤの魔力が更に増す

 

「【終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に風うずを巻け】」

 

アイズ達どいえど少しの攻撃は、許してしまう。その攻撃によりレフィーヤの体は、どんどん傷付いていく。だが不思議と痛みは、無く幸福感と勇気だけが湧いて来た。

 

「【閉ざされる光、凍てつく大地】

 

【吹雪け、三度みたびの厳冬】

 

【我が名はアールヴ】!」

 

更に魔力が爆発する。

彼女の二つ名は、『千の妖精(サウザンド・エルフ)』だが自然と誰かが言葉を発していた。

妖精女王(ティターニア)』と。

 

「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」

 

その瞬間

ここにいる全ての者の視界が冬に覆われた。

モンスター達に動く事も許されない程の極寒が襲う。モンスター達が全て凍結され、生命の鼓動を止めた。

 

「ナイス、レフィーヤ!」

 

「散々手こずらせたわね、この糞花!」

 

とティオネの一撃により氷結したモンスターは、砕け落ちた。

 

「レフィーヤ、ありがとう。リヴェリア、みたいだったよ・・・凄かった」

 

「アイズさん・・・」

 

アイズの言葉に顔を赤くするレフィーヤ

 

「ホンマにみんなよくやったよ!」

 

皆に激励を与えるロキ

皆がこの瞬間、幸せや充実感を感じていた。

 

 

 

 

だがその束の間の幸せも終わりを迎えていた

満身創痍のレフィーヤの地面の周りが隆起し始めたのだ。

 

「嘘...」

 

「そんな...」

 

「嘘でしょ!?」

 

「冗談じゃないわよ!」

 

そうしてアイズ達を囲う様に先程の植物の様なモンスターが10体程地面から出て来た。皆の顔が絶望に変わる。

その時

 

「間に合った」

 

その声の方を見ると、いつもの様な優しい目では、無く少し怒りを露わにした表情のゼレフがいた。

 

「ゼレフ!?良かった!ここは、皆で協力して「皆は、下がっていてくれ」え?」

 

「ここは、僕一人でやる」

 

その瞬間先程のレフィーヤの比では、無いほどの魔力がオラリオ中を覆った。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。