とある特殊小隊の日常前線(デイリーフロントライン)(旧) (ノア(マウントベアーの熊の方))
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第1章(A.D.2059~)
第1話(改訂版)


第1話です。
2059年ですので、ドールズフロントライン本編ストーリーの時代ではありません。
あらかじめご了承ください。

では、ごゆっくり、見ていってください。


A.D.2059 1月23日

 

今日は、グリフィンの特殊小隊、『シグマフォース』結成から1周年まであと2日だ。

俺―――叢雲 仁(ムラクモ ジン)が隊長の任についてもうすぐ1年が経とうとしている。

そこで、俺は現時点のみんなの内容や活動を少しまとめることにした。

 

まず最初に、俺たちシグマフォースは今や誰もが知る有名小隊―――

 

になっている訳ではなく、任務は危険だが知名度はごく僅かに限られている。

まあそれも仕方がない理由がある。

 

俺たちシグマフォースは緊急即応小隊などと呼ばれる、緊急時の即応小隊などではなく、凶悪なテロリストや強いE.L.I.Dが現れた時のみ行動する小隊となっている。

それ故に存在を公にはされておらず、そこそこ地位のある緊急即応小隊の隊長か指揮官、もしくはそれよりも上の人しか知られておらず、一般には噂程度にしか今のところは広まっていない。

なんでも、内容を詳しく知られて対策を取られないようにするのが目的らしい。

ちなみに、宿舎はグリフィン本部にあるが、他の部隊と少し離れた区画にある。

これがまあ便利なんだか面倒なんだかわからない場所にあるのだ。

 

こうした部隊の都合上、特殊小隊や緊急即応小隊ではない他の人形小隊、傭兵小隊などには"サボり小隊"と思われてしまっている。

これが地味に辛い。

まあ情報工作が上手くいってるということになるのだが。

 

と、まあ小隊の説明はこの辺にして、チームメイトの紹介を―――

 

「ジンさん、何してるの?楽しいこと?」

 

…書こうとしていたら、メンバーの1人であるM500に話しかけられた。

部隊長執務室に入る時はノックしろって言っているはずなのだが。

 

「ほら、あと2日で1周年だろ?だから今の現状を書き記しとこうかなって」

 

「なるほどー!じゃあ私の事もしっかりと書いておいてね!」

 

「はいはい、わかったよ」

 

彼女はM500と言って、メインアームとしてモスバーグM500ショットガンを使う頼れる前衛である。

金髪に狐のような耳がトレードマークとなっている子だ。

あと前衛は俺とVz.61 スコーピオン、後衛にM14とゲパードM1、そしてC96の3人、そして遊撃としてHK416がチームとして一緒に活動している。

ちなみに、全員のユニフォームは黒いフライトスーツで、出撃の時はその上に防弾チョッキを着込む。

そして、M500を初めとして、俺たちシグマフォースに所属する人形たちは、特殊な訓練を受けており、烙印システムで連結された武装以外も簡単に扱うことができ、C96なんかはメインとして5.56mmのアサルトライフルを主に使っている。

しかし、やはり根本的には戦術人形なので、人間の指揮官がいないと充分に実力を発揮できないため、人間である俺が現場指揮官兼隊長を務めているという訳だ。

もちろん俺達の上にも指揮官はいるのだが、戦場で即座に反応を取れるように、そして指揮を取れるように、ということらしい。

 

「ふう…ここまででとりあえずいいか」

 

そう言いながらさっきまで書いていたノートとペンを机の中になおし、明日の予定を確認する。

明日は訓練もなく、非番となっていた。

 

「俺達が出ることがないのはいい事だけど…暇だなぁ」

 

そう呟きながらイスを回して遊んでいると、唐突にサイレンが鳴り響いた。

 

緊急即応小隊の出撃アラートだ。

普通ならこのサイレンで緊急即応小隊は飛び出し、任務にあたる…のだが、俺達には関係がないので基本聞き流している。

 

とりあえず部隊長としての執務も終わったので、執務室―――と言うよりは待機室を壁で区切っただけの部屋だが―――から出て、小隊の待機室へと向かう。

そこにはさっき勝手に部屋に入ってきてちょっかいをかけてきたM500を始め、小隊メンバー全員が揃っていた。

近づいていくと、みんなが俺に気づいたようでこちらに向かって手を振ってきた。

 

「ジンさんお疲れ様!待ってたよ!」

 

そうM14に言われ、待たれる理由があっただろうかと思考をめぐらせる。

しかし、何も思い出せなかった。

 

「…なんかあったっけ?」

 

「ううん、特に何も無いけど、一緒にいてくれるだけで楽しいから!」

 

何だこの子、いい子か?

あ、いい子か。

 

「何もすることないならさジンさん、あたしと訓練しない?」

 

そうスコーピオンが誘ってくるので、いいよとだけ言って、みんなで射撃場へ向かうことになった。

ゲパードはやはりめんどくさかったらしく、なかなか行こうとしなかったが、とりあえず何もしなくていいからとおんぶして連れて行くことにした。

 

そのあと射撃場に着いてから、みんなの基本武装を使って射撃訓練を行い、お互いに射撃フォームを見あって、アドバイスをすることになった。

 

「うーん、アサルトライフルは当てやすいけどハンドガンはとっさに当てづらいかもなぁ…どう思う?ジンさん」

 

そうスコーピオンに言われ、俺もマトの前に立ち、数発撃ち込んでみることにした。

 

「うーん、確かにARからとっさに持ち替えて急所を狙う…とかになったら当てづらいな」

 

「だよねぇ…ハンドガンだから弾数がある訳じゃないし、連射するのもねぇ…」

 

「だよなぁ…よし、適当に暇な時調べとくよ」

 

「わかった、お願いするよ」

 

そんな会話を交わし、それから小一時間ほど射撃訓練を続けた後、みんなで食堂に向かう。

そこで一緒にご飯を食べた後、お風呂のために別れてそのまま一日を終えた。

 

―――次の日、朝起きて身だしなみを軽く整える。

今日は非番なので、みんなで街に出かけることになったのだ。

本当は明日が1周年なので、明日休みになってくれていた方がいいのだが、こればかりは上層部が決めることなので仕方ない。

 

とりあえずはショッピングモールへ向かい、自由行動にして各自買いたいものを買うことにする予定だ。

 

みんなで車に乗り込み、基地の近くにある商業街、そこにある大きなショッピングモールへと車を停めた。

 

ショッピングモールにつき、再集合時間を決めてから、自由に行動を開始した。

俺は適当に今までの頑張ってきたみんなのために何かお揃いのアクセサリーでもと思い、色々と見てみると、ロケットペンダントが売っている店を見つけた。

レーザー刻印もして貰えるらしいので、部隊章を表に刻印してもらい、人数分をみんなの集合写真入りで購入した。

もちろん明日になるまでみんなには内緒にするつもりだ。

 

その後は特に買うものもなかったので集合時間までゲームセンターに行き、時間を潰すことにした。

その後、宿舎に戻ってからは昨日とほぼ同じ暇な日々で、なにか特別変わったことはなく、もはや日常になりつつある、平和な日を過ごした。

 




いかがでしたでしょうか?
未熟ですので、アドバイスや良かったところなどをコメント頂ければ幸いです。

以下キャラ設定となります。

名前:叢雲 仁
性別:男
年齢:19
性格:優しい
一人称:俺
設定:グリフィンの特殊小隊のうちの一つ、『シグマフォース』所属。
シグマフォースの隊長。
とある理由により、テロリストに対しては人格が変わったかのように冷酷になる。
照準を覗かなくても5m程度なら10発中7発くらいなら的確に狙った場所へと当てることができる。
本作の主人公。

「シグマフォース、出撃するぞ!」


名前:M14
性別:女
年齢:不明
性格:ムードメーカー
一人称:私/自分の名前
設定:シグマフォース所属の狙撃兵。
烙印システムで連結したM14を使うが、状況に応じてAR(M4SOPMOD block2、416、SCAR-Lのどれか)を使う。
勝つことと勝利の言葉が好き。

「『勝利』っていい響きですよね♪次の出撃でも勝利しましょう!」

名前:416
性別:女
年齢:不明
性格:優しく冷酷
一人称:私
設定:シグマフォース所属、AR兵。
武装は烙印システムでの416とH&K USPを使う。
基本的に優しいが、殺しについては冷酷である。
M16シリーズ(M4やらAR-15)に対して敵対意識がある。
ツンデレ。
本家よりはヤンデレではなく優しめ。

「私は完璧よ、でも、みんなと居たらさらに完璧になれるわ」

名前:M500
性別:女
年齢:不明
性格:ムードメーカー
一人称:私
設定:シグマフォース所属、突撃兵。
武装は烙印システムでのM500を使うが、状況に応じてAR(M4SOPMOD block2、416、SCAR-Lのどれか)を使う。
騙されやすく、よくからかわれている。
面白いことが好き。
耳がケモ耳なので耳がよく、敵の位置を把握するのが得意。

「何かおもしろいことがあるの?私も混ぜて!」

名前:ゲパードM1
性別:女
年齢:不明
性格:めんどくさがり屋
一人称:ワタシ
設定:シグマフォース所属、狙撃兵。
武装は烙印システムでのゲパードM1。
たまにゲパードGM6Lynxを使う。
状況に応じてAR(M4SOPMOD block2、416、SCAR-Lのどれか)を使う。
めんどくさいことが嫌いで、寝ることが好き。
チームの癒し枠。

「みんなを失望させないように、がんばりまーす、足を引っ張らないようにはするから、ね?」

名前:スコーピオン
性別:女
年齢:不明
性格:負けず嫌い
一人称:あたし
設定:シグマフォース所属、支援兵
武装は烙印システムでのスコーピオンを2丁。
状況に応じてミニミ軽機関銃、HK416C。
仲間にすら負けたくないほどの負けず嫌いであり、練習を欠かさない。
2丁のスコーピオンを持たせれば的確に相手を撃ち抜き、弾幕を貼ることが出来る。(なお弾数)

「訓練は大事!だって強くなくちゃみんなに負けちゃうし、守ることも出来ないからね!」

名前:C96
性別:女
年齢:不明
性格:頑張り屋
一人称:わたし
設定:シグマフォース所属、支援兵。
武装は烙印システムでのC96。
状況に応じてミニミ軽機関銃やHK416C。
おしゃれが好きだが服を大事にしすぎる癖がある。
暑がりで、いつも着ている上着をすぐ脱ぎたがるため、痴女疑惑がある。
なおその下は何も着ていない状態である。
同じ言葉を連続で言う癖もある。(キタキタキタ(ry!など)
チームの癒し枠その2。

「やったやった!やりましたね!」

2019/12/18 追記:少しキャラ設定を変更しました。


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第2話(改訂版)

第2話となります。
改訂版は現段階ではここまでとなりますが、第3話から話はそのまま続いておりますので、どうぞ最新話までよければご覧下さい。

それで今回も、ごゆっくりと見ていってください。


次の日、いつもの様に一日の予定を確認してから、みんなで基礎訓練に向かおうとした時だった。

突如前回とは違った音程の、例えるなら空襲警報のようなサイレンが鳴り、部屋についているパトランプが赤く回り始めた。

久々の俺たちの出撃の合図だ。

服装は前回も言ったように、いつもみんな同じ黒いフライトスーツをユニフォームとして着ているので、すぐに自分の装備置き場へと向かい、防弾チョッキなどの装備を着込む。

そして俺は愛銃のうちの一つであるH&K社製の銃、『HK416』を装備し、ヘリポートへと走って向かった。

 

ヘリポートには、既に1機のステルス型ブラックホーク、通称ステルスホークが既にエンジンを回して待機していた。

このヘリはシグマフォース所属の機体で、胴体にシグマフォースのエンブレムが刻印され、塗装は全体的につや消しされた黒っぽいステルス塗料で塗られており、エンジン音も通常とは違い、あまり聞こえないようになっている。

そして一応、墜落事故に定評のある某会社のヘリではないから安心できる…はずだ。

救援に行ったりしてELIDの群れの中に落ちることなんてないだろう。

 

回っているメインローターに当たらないように、ダウンウォッシュの中、屈みながら急いで乗り込み、ドアを閉める。

するとすぐに離陸を開始して、目標の場所へと飛行を開始した。

機内では作戦目標がみんなの持つ端末へと通達され、チーム全体で確認をする。

 

今回の目標は先日出撃した緊急即応小隊が交戦したテロリストが一時撤退した後に再集結、前回よりも懲りずに大規模にテロを起こすために建物を占拠したらしく、それの殲滅が任務となっていた。

任務の確認が終わり、あとは任務に対する現在情報の補足を各自していくだけとなった。

 

「以上、指揮官からの情報によると任務内容はこれだけだが、なにか質問は?」

 

そう言うと、C96がなんとも言えない微妙な顔を浮かべながら、

 

「…この任務の後、休みだったりします?…しませんよねぇ?」

 

と言ってきた。

 

「しませんね、諦めろC96」

 

「ですよねぇ…せっかくの記念日なのに…」

 

「まあその分俺たちじゃないとできないような任務…なんじゃないか?」

 

そんな会話をしていると、いつの間にか周辺区域まで着いたとパイロットに言われ、立てこもっている建物を目視で確認する。

どうやら、廃墟になっていたビルに立てこもっているようだ。

とりあえず、地上や屋上に誰もいないことを確認してから、屋上へとラぺリング降下をして降り立つ。

降り立ってから屋上から内部へと続くドアまで向かい、身体を隠しつつドアノブに手をかけてみると、鍵が壊れていたのか、そのまま回すことができた。

そしてそのまま、ゆっくりと開けてクリアリングしつつ中へと入っていく。

そして角をクリアリングしつつ前衛と後衛に分かれ、さらに侵攻して行くと、やがてターゲットであるテロリストの声が聞こえ始めた。

ハンドサインでC96にスモークを投げ込んでもらい、スモークの炸裂と共に突撃して行く。

 

「GOGOGO!」

 

そう叫びながら、最前衛をM500に任せて、散弾の餌食にならなかったヤツらを的確に撃ち抜いていき、それでも取り逃した敵をスコーピオンが蜂の巣にして、暴れ回っている俺達のカバーをM14、ゲパード、C96、416がして行く。

ものの数秒で敵が殲滅され、ほかの部屋にも敵がいない事を確認しつつ後衛のメンバーで階段を見張っておいてもらう。

部屋にいないこと確認し、前衛をまた前に下の階へと侵攻していく。

 

ゆっくりと下へと降りると、敵が待ち構えていたので、曲がり角へと退避し、手榴弾のピンを抜いて投げ込む。

それを回避するために射撃が一時停止された所を、416の銃に取り付けられたグレネードランチャーを待避される前に撃ち込み、敵を吹き飛ばす。

そして爆風によって倒れている敵を、的確に後衛のメンバーが狙撃して敵の数を減らし、前衛の突撃を支援、相手が戸惑っている間に前衛が突撃、敵の数を減らしていく。

 

やがて、この階も制圧が完了し、階の間取りが上の階と同じだったので、手早く全ての部屋を確認し、下の階へと降りる。

それを繰り返していると、やがて1階へと着いた。

どうやら1階はすぐに出る気がなかったのか出入口に家具などでバリケードが貼られており、それを慌ててどかそうとしているテロリストたちがいた。

とりあえずひとつに固まっていたので、手榴弾を2つ投げて一掃する。

これで全部のようだが、気を抜かずに周囲を散開して索敵、誰もいないことを確認して任務を終えた。




いかがでしたでしょうか?
今回は元は1話にまとめられていたのを読みづらいと判断して2話分に増やしたので、文字数は少なかったと思います。
基本2000文字超えるように書かせて頂いてますので、今回は短くてもお許しください。


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第3話

第3話となります。
今回もごゆっくりと暖かい目で見てやってください。


任務も終わり、俺達は任務を終えてヘリにピックアップしてもらい、基地へと帰投していた。

いつも通り、こちらの損害はゼロだったが、今までしてきた任務の方が気分的に大変だったので、任務完了も正直あまり喜べないでいた。

 

「はぁ…別に俺達が出るような任務じゃなかったと思うんだけどなぁ…」

 

そう言って頬杖を着いて窓から外を眺めていると、

 

「まあまあジンさん、勝利には変わりないですよ!」

 

とM14が満面の笑みで言ってきた。

相変わらず、勝つことは好きなようで、先程からテンションが高いのだ。

 

「まあそうだけどさ…ま、肩慣らしに良かったと思っとくか…」

 

そう言うと、それを聞いたスコーピオンが、

 

「そーだねー、じゃあジンさん、帰ったら一緒に訓練しない?」

 

と、いい相手を見つけたと言わんばかりに、訓練に誘ってきた。

 

「スコーピオン、たまには休めよ…特に手応えのない任務の後でもな」

 

「えー?だって今回あまりあたし活躍できてないもん、仲間にだって、あたし勝ちたいからさー…」

 

「わかったよ、付き合うから早めに今日は休めよ?」

 

「はーい」

 

そんな会話をしつつ、基地が見えてきたので降りる準備をしながらそのまま雑談を続け、基地に着陸した瞬間にドアを開けて降り立つ。

特に理由はないが、瞬発力を鍛えるつもりで毎回やっている、簡単に言えばクセにドア開けはなってしまっている。

 

基地に降り立ち、自分たちの待機室へと戻って荷物を置いていると、部屋のドアが開いて1人の職員が入ってきた。

 

「ノックくらいしてくださいよ全く…どうしました?」

 

「すいません!指揮本部より連絡があって参りました!」

 

「本部から?」

 

「はい、『大規模なテロリストの動きを確認、直ちに出撃してこれを殲滅せよ』との事です!」

 

ほう、動きを確認という事は既にテロリスト達は出撃してて…

つまるところ今から行くと十中八九テロが始まって…

 

「…それ帰投中にメッセージで送れよあのクソ指揮官!帰投せずに再出撃するっての!…みんな行くぞ!」

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

そう言って、急いで箱に入った弾薬やスピードローダーを取り、脱ぎかけていた防弾チョッキなどの装備を再度着込み、急いでヘリポートへと向かう。

そこには、一度エンジンを止めてまた回し始めたのであろうヘリの姿があった。

 

エンジンが一定の回転数に上がるまでヘリの中で待機しつつ、マガジンに弾を込め直して待つ。

そのしばらく後にヘリが浮き上がり、やっと目標の場所へと飛行を開始した。

 

しばらく飛行を続けていると、目標の上空へと到達した。

地表を見ると、テロリストの姿しかなく、市民と思われる人々は全て息絶えていた。

それを見て、俺は腸が煮えくり返るような怒りの感情が湧き出てきていた。

 

「…ぶっ殺す」

 

そう言いながら、ドアを開き、機体へと装備されているドアガン―――GAU-19 12.7mmガトリング砲をテロリスト達へと向けて撃ち放ち始めた。

 

弾が切れるまで動いているテロリスト共に12.7mmの鉛玉を撃ち込むと、テロリスト達は見るも無残な肉塊へと成り果てていた。

 

「はぁ…はぁ…よし、残党狩りだ」

 

そう言い、肉塊だらけとなった中央広場へとヘリボーンして散策を始める。

しかし、街にはもう死体しかなく、少し外れの方まで探索範囲を広げて捜索していると、主犯格と思わしき複数の男達がテクニカルに乗って逃げようとしているところだった。

 

M14に運転手の狙撃、ゲパードに車体への狙撃を任せ、俺とM500、スコーピオンで急いで距離を詰めていく。

そしてそのリーダーと思われる男を見つけ、足を撃ち抜き、動きを止めた。

そして、その他の連中を射殺していき、リーダー格の男へと近づいていくと、その手の甲には、どこかで見た、ローブを纏った死神の刺繍があった。

 

「…あの刺繍は」

 

それを見た瞬間、一つの忌々しい思い出がフラッシュバックされる。

そう、あの日の―――両親がテロリストに目の前で殺されたあの日の事を。

そのテロリストの手の甲にも、同じ刺繍があったのだ。

 

「…ジンさん?どうしたの?早く捕らえようよ!」

 

そうM500が言ってきて、慌てて我に戻る。

 

「ああ…下手な真似はするな、お前の身柄を拘束する」

 

そう言って、その男へと銃を向けつつ、近づいていく。

 

「へっ、お前らに捕まるくらいなら、ここで死んでやるさ」

 

そう言って、男は懐から拳銃を取り出し、自分の頭へと、躊躇い無く銃弾を放った。

 

「クソっ、コイツに本拠地の話を聞き出せれば…」

 

「ジンさん、死んだものは仕方ないよ、生存者が居ないか探しに行こう?」

 

そうスコーピオンに言われ、渋々その場を離れ、生存者を探す。

幸いにも、数名隠れていた生き残りがいたので、被害者救援要請を出して、保護される生き残りの人々を見送ってから、俺達も帰投し始めた。

 

帰投中、やはりあの刺繍の男を前にして固まった事がみんな気になったらしく、その事を聞かれ、過去に、恐らく、アイツの仲間であろうヤツに両親が殺された事を教える。

 

「…そうですか、すみません、嫌な思い出を掘り起こさせちゃって」

 

そう、重くなった空気の中、416が謝罪してきた。

 

「いいんだよ416、そのうち言わないと行けなかったんだからな」

 

「でも、チーム結成当時よりジンさんが丸くなってくれてて…ワタシは嬉しいな」

 

そう、微笑みながらゲパードが言ってくる。

 

「確かに、あの頃と比べたら別人みたいですよね!」

 

「C96まで…そうか?そんなに変わったか?」

 

「うんうん、変わりましたよ!」

 

「だねー、あたし達とチーム結成した時はもうただ殺すための機械みたいだったもん」

 

「あの時は確かに、みんなそう思うよね…」

 

そう言って過去に浸っている中、M14がM500に対して、

 

「あ、M500、ハチいるよ」

 

と、誰でもわかるような悪い顔をしながら、M500に嘘をついていた。

 

「ええ!?うそうそ、取ってよM14!」

 

「あははっ、嘘だって」

 

そう言って、M14とM500のおかげで重い空気が明るく変わり、いい雰囲気になっていた。

 

「その辺にしておけよ、そろそろ基地だ」

 

そう言って、降りる準備をして降り立ったので、基地へと降り立つ。

降り立ったタイミングで、猛々しく、緊急即応小隊の出撃サイレンが鳴った。

すると、隣に止まっていたヘリが急いでエンジンをかけてプロペラを回し始め、その数分後に緊急即応小隊のメンバーが走ってヘリへと乗り込んで行った。

 

「今日は忙しいねぇ」

 

そう言ってみんなと一緒に部屋へと戻り、今度こそ休憩を始めた。

作戦報告書を軽く書いて待機室へと戻り、銃の整備を始める。

その後も整備やら次の出撃のための準備やらしていると、気がつけば夕方となっていた。

食堂にでも行こうと思い、椅子から立ち上がる。

その後はみんなで食堂へ向かい、つかの間の平和を味わっていた。




どうでしたでしょうか?
評価、コメントを頂けると幸いです。
次も早めに出しますので、それまでお待ちください。


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第4話

4話です。
ゆっくり見ていってください。


次の日、俺は部隊統括指揮官―――まあ簡単に言うと指揮官なのだが―――に呼ばれ、指揮室へと来ていた。

統括指揮官は30代くらいの比較的若い黒人のジョン・ベイクールという男性で、欲に言うゴリマッチョである。

部屋にノックをして入ると、そこには今から朝食を取ろうとしている、指揮官の姿があった。

 

「来いって言ってすぐに来れるとは、流石やな叢雲くん」

 

そうコーヒーを啜りながら、毛のない頭を撫でつつそう指揮官が言ってくる。

 

「いや、する事ないですし…」

 

「そうか…銃の手入れはしたんか?」

 

「しました」

 

「装備の点検は?」

 

「終わってます」

 

「みんなでヤったりは?」

 

「やってません…っておいコラ、なにやらそうとしてるんですか」

 

「なにって…ナニやけど?」

 

それを聞き、大きなため息をついてしまう。

本当に、何を言っているんだこの人は。

 

「いや…流石に家族みたいな関係にはなってきてますけど、あくまでもまだ部下と上司ですよ?そんな関係になれる訳が…」

 

「そうかなぁ?割と恋仲になりたがってる子がいると思うんだが」

 

「……で、要件はなんですか?」

 

「自分、今ちょっとそれは嬉しいかもとか思ったやろ?」

 

「………思ってません」

 

「ホンマかぁ?…まあええ、伝えたいことがあって今日は呼んだんや」

 

「伝えたいこと?」

 

そう言うと、突然、アホ面からうってかわって、真面目な顔をして、こちらを見てきた。

唐突に雰囲気が変わり、その雰囲気に気圧されそうになるが、そのまま返事を待つことにした。

 

「ああ、昨日の緊急即応小隊からの報告でな、本来のテロリスト集団の規模ではできないような規模のテロを行っていた…との事らしい。詳しい理由はわからなかったらしいけどな」

 

その事を聞き、1つの可能性を思い出す。

もしかしたら、ヤツらが…両親を目の前で殺してきた、アイツらの仲間が関わっているのではないか…と。

 

「…なんか思い当たる節があるって顔やな」

 

「はい、もしかしたら…ヤツらが関わっているのではないか、と」

 

「…そのヤツらとやらの特徴はなんかあるか?」

 

「身体のどこかにローブを纏った死神の刺繍をしているのが特徴かと、俺達の前回の出撃時にもその仲間が指揮を執っていたようです」

 

「わかった、ローブを纏った死神の刺繍やな、調べとこう、要件はそれだけや、戻ってええで」

 

「わかりました」

 

そう言われ、部屋から出ると、M500が出待ちをしていたのか、後ろから飛びついてきた。

 

「ジンさんお疲れ様!なんだったの?」

 

「あー、テロリストの活動がなんかヤバくなってきてるから警戒しろ…って感じ?」

 

「なるほどね…頑張っていかなきゃだね!」

 

「だな、さて、宿舎まで戻るぞ」

 

「はーい!あ、そうだ!おんぶしてよ!」

 

「はいはい…」

 

そう言い、仕方なくM500をおんぶして宿舎へと戻り、またいつも通り暇な待機時間が始まった。

 

数時間くらい経った時、コーヒーでも飲もうかと準備していると、唐突に俺達の出撃サイレンが鳴り、急いで準備してヘリへと向かう。

 

ヘリに乗り、現場へ向かっていると、今回のテロリスト集団も規模が大きくなっている可能性があるとの通信が遅れて入ってきた。

 

現場に着くと、そこには60人ほどのテロリストが一心不乱に銃を撃ち、市民を虐殺している姿が見えた。

上空を旋回しつつ、まずは敵を減らすためにドアガンで射撃を開始する。

しかし、やはり敵が多く、一向に安全になるほどの人数に減る気配がなかった。

 

「こんにゃろ、いくら撃ってもキリがねぇ!しかも今までのヤツらなら撃たれるだけだったのに遮蔽物にしっかりと隠れやがる!」

 

「こっちでもドアガン撃ってますけどダメです!…今まで通り完璧にやれてるはずなのにッ!」

 

「416、とりあえずヘリボーンできる場所を確保することを優先して攻撃してくれ!M14とゲパードはヘリから降りずにドアガンで降りた時に支援してくれ、それまで他は準備して待機!」

 

「「「了解!」」」

 

その後もドアガンを撃ち、なんとか敵の数が減ったスキにヘリから急いでラペリング降下で降りる。

建物の合間をクリアリングしつつテロリストを見つけ次第殺し、ヘリのドアガンからの上空援護を受けつつテロリスト共の指揮官を探す。

 

数分ほど経った時、ドアガンを撃っているM14から無線が入った。

 

『ジンさん、テロリスト共がテクニカルに乗って逃走を開始!荷台の銃座に例の死神の刺繍の男がいるよ!』

 

「了解、ドアガンで足止め頼む!」

 

『了解!できるだけ頑張るね!』

 

その後、急いでテクニカルが撤退していっている方向へと向かうが、もう遠くまで離れてしまっていた。

あとはヘリに頼るしかないと思っていると、M14から

 

『ジンさんごめんなさい、遮蔽物が多くて逃げられちゃった!』

 

と無線が入った。

そのあとの詳細報告によると、ドアガンによる射撃を他のテクニカルによって邪魔された挙句、上空からの視界が悪いところにそのまま逃げられてしまったらしい。

 

「了解、M14は悪くないよ、よくやってくれた」

 

そう無線越しにフォローしながら、俺たちは周囲の索敵を続けていた。

 

『うん…でもこれじゃ戦術的敗北だよね…くーやーしーいー!』

 

「あはは…とりあえずM14とゲパードはそのまま上空からの索敵をしててくれ、次の出撃で勝ってやろうぜ」

 

『はーい』

 

そう無線を終え、今度は生存者の保護をしつつ街を索敵して、後処理を担当する部隊が到着したのを確認してから帰投し始めた。

 

「うーん、運動したあとはやっぱり暑い…服脱いじゃおうかなぁ…」

 

そう言い、フライトスーツの前を大きく開けながら、C96は暑そうにパタパタと仰ぎ始めた。

 

「C96、帰ったらシャワー浴びていいから今脱ぐのはやめてくれ」

 

「はーい…」

 

「ワタシは疲れた…帰って寝たい…」

 

「ゲパードはドアガン撃ってただけでしょ!私たちは走ってテクニカル追いかけようとしてたんだからね!」

 

「あたしとC96なんてミニミ持って走ってたんだよー?持って走る銃じゃないって」

 

「あはは…分隊支援火器は重たいよな、いつもありがとう」

 

「…うーん、そう言われると悪い気はしないよねー」

 

そう言い、スコーピオンは照れくさそうに頭をかいていた。

 

「2人とも知ってる…?ワタシの銃、ゲパードM1は200発装填状態のミニミより重いんだよ…?」

 

「…最新型のGM6 Lynxで11.5kgだっけか、M2なら10kgでその状態のミニミと同じなんだけどな」

 

「ええ…ってことはあたしのスコーピオン2つにミニミでもゲパードの銃には及ばないってこと…?」

 

「そういう事になるな」

 

「ゲパード、力なさそうなのに凄いなぁ…」

 

「力なさそうは余計…ワタシだってしっかり訓練してるから」

 

そんな会話をしていると、唐突に機体を激しい衝撃が遅い、目の前で操縦していたパイロットの2人が、血飛沫を上げて息絶え、機体の制御が一気に失われた。

 

「うっそだろおい!」

 

そう反射的に叫び、俺は急いでコクピットへと向かい、操縦桿を引く。

しかし、機体は急降下を続け、フロントガラスから地面が見え―――

 

―――そのまま、俺たちは地面へと叩きつけられた。

 




やはりヘリがCAPC○M製だったメンバー。
はたしてシグマフォースのメンバーの運命はいかに!?

言ってみたかっただけです。w


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第5話

5話です、ごゆっくり見ていってください。
セリフが多くなって辛い今日この頃…_:( _ ́ω`):_


「うーん?」

 

気がつくと、俺はどこかもわからない森の中で倒れていた。

近くにヘリの残骸があるので、墜落した時に投げ出されてしまったのだろう。

とりあえずほかのメンバーの無事を確認するために痛む身体にムチを打ち、瓦礫の方へと歩き始めた。

 

「誰か、誰かいないかー?」

 

そう言いながら瓦礫をどかしたりしつつ探していると、近くの草むらや瓦礫の中からほかのメンバーがでてきた。

 

「ジンさん大丈夫?」

 

そうM500に言われ、改めて自分の身体を見回してみる。

幸いにも切り傷がある程度で、大した怪我はなかった。

 

「ああ、M500は大丈夫か?」

 

「うん、切り傷程度だよ」

 

「うう…服がボロボロ…帰ったら新しくしなきゃ…でも布が勿体ないなぁ…」

 

そうC96は言いながら、自分の身体の外傷状況を確認していた。

 

「帰ったら新品の服買ってやるから、な?生きてただけマシだって」

 

「はーい…絶対ですよ?」

 

そう言いつつ、全員の無事を確認していると、M14だけいないことに気づいた。

 

「M14はどこだ?まさか瓦礫の下敷きに?」

 

「ここでーす、ここー…」

 

そう声の聞こえた方向を向いてみると、瓦礫に右足が挟まれて動けなくなっているM14の姿があった。

急いで瓦礫をどかし、引っ張り出してやるが、どうやら右足の骨が折れてしまっているようで、立てなくなっていた。

 

「いたた…すみません、ジンさん…もし何かあった時は置いていってくださいね」

 

「誰がそんなことするかよ、みんなで帰るぞ」

 

そう言いながら、M14を近くの木に身体を持たれさせてやる。

 

「…パイロットは…攻撃の段階で即死か…でも死体は持って帰れないし…仕方ない、位置情報だけ記録しておこうか、416、頼めるかい?」

 

「了解です、えーと私のGPSは確かここに…あったあった」

 

そう言い、416がみんなに支給されているGPS搭載地図で地点を記録する。

記録してもらっている間に、俺もその地図を取り出して近くに通信設備のある所がないかを探していた。

すると、ここから3日か4日歩けば着きそうな所に一般PMCの基地があるのを見つけた。

そして、ヘリにもしもの時のための1週間分の全員分の非常食があることを思い出し、自分たちの銃を拾い、今必要のないものを捨ててその分非常食と自衛用の最低限の銃弾を持ち、その基地へと歩くことにした。

その様子を見たM14が、

 

「やっぱり…私荷物になっちゃいますから、ここに置いていってください」

 

と、申し訳なさそうに言ってきた。

 

「いや、連れていくよ、一応足に添え木しておくからな」

 

「はい、わかりました、すみません…」

 

「いいんだよ、添え木もした、応急手当もできるだけした…バックパックを前に背負って…よし、おんぶするからな」

 

「恥ずかしいですけど…わかりました」

 

そう言い、しゃがんだ俺の背中にM14が乗ってくる。

M14分の荷物と銃があるので、とてつもなく重たいが仕方ないだろう。

…そして地味に背中に柔らかい2つの感触があるが気にしないでおこう。

こうして、M14に道案内を任せ、俺達は長距離移動を始めることとなった。

 

2059年 1月30日

 

あの墜落から4日経った。

特に襲撃なんてことも幸運にも無く、もう少しで例の基地の近くという所まで来ることができたが、予定より1日多くかかってしまった。

まあ仕方ないだろう。

理由?聞かないでくれ、決して装備やらなんやらが重たくて体力が持たなかったとかそういうのじゃないんだ、うん。

 

台形のシェルターのような形をした基地へ着き、ドアを開けて中へと入る。

しかし、そこに人の姿はなく、薄暗い暗闇だけが広がっていた。

とりあえず近くにあったコンソールをいじり電気をつけてみると、何事もなく電気が着いたので、無線機を探して本部へと通信する。

すると指揮官と無線が繋がった。

 

「こちらシグマフォース、通信遅れました」

 

『なんや、生きとったんかワレェ!ヘリの墜落ポイント行ってもパイロットの遺体だけで誰もおらんって聞いたから心配しとったんやぞ!』

 

「…待ってたら来たのかぁ…」

 

『そりゃそうやろ、反応消えたら墜落したと判断して救援に行くわ』

 

確かに、それもそうだ。

何故そのことにもっと早く気づかなかったのだろう。

 

「…でも生体反応ありますよね?」

 

『あっ…ホンマやんけ』

 

…お互いに見落としがあったようだ。

まあそれほどお互いにテンパっていたのだろう。

 

「とりあえずこちらはM14が墜落で足を骨折しました、救援ヘリを頼みます」

 

『了解、それと今調べたが、その場所は最近そこを基地にしてたPMCが倒産したことで空き家になってたみたいや』

 

「そういうのは早いんですね…」

 

『まあな、そこの屋上にヘリポートがあるはずや、そこにヘリ飛ばすから待っとき』

 

「了解」

 

そう言い、無線を切って屋上へと向かい始める。

屋上のフロアへ着くと、みんなして椅子へ座り、休憩し始めた。

 

「疲れたな…」

 

「すみませんジンさん、私が骨折なんてしたばっかりに…」

 

「いいんだよ、帰ったら修復行ってきな」

 

「はい、わかりました」

 

「ワタシもうダメ…疲れて死にそう…」

 

「わたしももうムリムリムリ…疲れたよ…」

 

「でもいい訓練にはなったんじゃないかなー?長距離行軍なんてすることないしさー」

 

「スコーピオンは真面目だよね…私ももう無理だよ…」

 

「…私はそうでも無いけれど」

 

「416、足ガックガクしてるぞ」

 

「うっ…言わないでください」

 

そんな会話をしつつ、建物の中でヘリを待っていると、どこからともなく"ガン"という鈍い物音が聞こえてきた。

 

「…老朽化でもしてるのか?そうには見えんが」

 

「さあ?幽霊ってのもあるかもねー」

 

「ひっ、ゆ、幽霊…?」

 

「落ち着けM500、全部が悪い霊だけじゃないさ」

 

「幽霊自体が怖いんだってばぁ!」

 

そう怖がるM500に対し、面白がるかのように、スコーピオンがいじりはじめる。

 

「ほら、M500、肩に手が……」

 

「ひいっ!?」

 

「あははっ、嘘だよ嘘!」

 

「もう…驚かさないでよスコーピオン…」

 

そんな会話をしていると、遠くの方からヘリの音が聞こえてきた。

 

「…そろそろ出るか、音は小さいがもう近くだろう」

 

「ステルスホークならそうかもねー、音小さいし」

 

「でもパイロット誰なんだろ?前任の2人は死んじゃったし…」

 

そんな会話をしつつ、M14をまた背負ってヘリポートのある屋上の外へと出る。

するとちょうど着陸するために高度を下げてきているところだった。

着陸を終えてエンジンが止まり、コクピットから2人の人物が降りてきて、二人揃ってヘルメットを外し、敬礼をしてきた。

 

「あたいは自律人形のイチです!よろしくお願いします!」

 

「そしてボクは自律人形のニコです、よろしくお願いしますね」

 

そう、黒いショートカットをした目の色以外瓜二つの女の子2人は挨拶をしてきた。

 

「よろしく、俺は隊長の叢雲 仁だ、気軽にジンとでも呼んでくれ…こいつに乗ってきたってことは君たちが次の専属パイロットかい?」

 

「はい!ベイクール指揮官に任命されました!」

 

そう赤い目をしたイチという名の女の子が伝えてくる。

そして、

 

「『この方が宿舎もひとつで済んで、なおかつ何かがあった時に対処できる』との事です」

 

と青い目をしたニコという名の女の子が伝えてきた。

 

「了解、ところで君たちの名付け親は誰なんだい?名前の由来がものすごくわかりやすいんだけど…」

 

「ベイクール指揮官です!」

 

「あー…それでか…あの人コードネームみたいな名前しかつけないからなぁ…」

 

「そうなの?ボクはこの名前意外と気に入ってるんだけど」

 

「あー、それならいいんだ、イチは大丈夫か?」

 

「うん!『お』をつけたら歴史上の人物みたいだしね!」

 

「そうか、なら良かった」

 

「気遣いありがとね、お兄ちゃん!」

 

「…ん?」

 

なんか今とんでもない言葉が聞こえた気がして、思わず固まってしまう。

 

「兄さん、どうしたんだい?」

 

「…誰にそそのかされた?」

 

「そそのかされてはないけど…ベイクール指揮官がそう呼んでやれって」

 

そう言われ、思わず思考がフリーズする。

 

「あぁんのバカ指揮官が…」

 

新しく作られた子達になにを教えこんでいるんだ、そう思ってしまう。

まあもしかすると既に家族のいない俺に対する配慮のようなものなのかもしれないのだが。

 

「はぁ…まあいい、帰りの操縦よろしくな」

 

「「了解しました!」」

 

そう2人は息を揃えて言うと、コクピットまで走って行き、エンジンを回す準備を始めた。

メインローターが回る前にヘリへと乗り込み、みんなが乗り込み終わったところでローターが回り始め、程なくして機体が浮き、基地へと進路を取った。




妹が欲しい人生だった一人っ子です。
だからか自分が書くのに妹属性の着いたキャラが多くなってる気がしてます…w


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第6話

6話です、ごゆっくり見ていってください。
書きだめがなくなりそうで辛いです…

※微エロを含みます、苦手な方は最初の方はスルーしてください。


あの後、無事に基地へと到着し、M14を修復ポッドまで送ってから、各自休息に入った。

その日の夜には4日ぶりのお風呂にも入れたし、なによりしっかりとした食べ物が食べれたのが嬉しい。

もうMREなんて懲り懲りだ。

 

そして今日、昨日までずっと遭難していたということで、指揮官のはからいで全員休みとなった。

M14は昨日の夜から修復で、修復が終わる予定が今日の午後となっている。

ちなみに訓練好きの流石のスコーピオンもしっかりと休息をとるほど疲れているようだ。

いやまあそれも仕方ないだろう。

 

にしても…

 

「ジンさん、そこぉ…もっと激しくぅ!」

 

「こ、こうか?」

 

「そこぉ!気持ちいいっ!」

 

この状況はなんなんだろう。

 

あ、ちなみに誤解されないように言うと…

 

「M500、言い方もう少し何とかならんのか、じゃないとマッサージチェアに逆戻りにするぞ!」

 

「だってぇ、気持ちいいからぁ!んっ!」

 

マッサージをしてるだけである。

 

「外に聞こえてたら勘違いされるだろぉ!」

 

「はーい…」

 

そう言い、M500は倉庫から引っ張り出してきたマッサージチェアへと戻った。

 

「あ"あ"あ"〜、癒されるぅぅぅぅ…」

 

「オッサンかなにかか…まったく、だから昨日風呂の前にしっかりとクールダウンさせとけって…」

 

「忘れてたんだから仕方ないでしょ!」

 

そんな会話をしていると、部屋のドアが開く音がしたのでドアの方向を見てみる。

するとそこには、昨日から仲間になったイチとニコの姿があった。

 

「みなさーん、アイス買ってきましたんで一緒に食べましょ!」

 

そうイチが言いながら、手に持ったビニール袋を見せてくる。

 

「いいね、1つ貰おうか」

 

そう言い、袋の中から適当にひとつ選び、開けて食べ始める。

他のみんなもそれに続き、一人1つづつアイスを取り、食べ始めた。

 

「…あれ、ねぇニコ、1つ余ったんだけど」

 

「M14さんが今修復中だからね、終わった時のために冷凍庫に入れておこうか」

 

そんな会話を聞きつつ、アイスを食べ終わりのんびりしていると、放送で俺に司令室へと来るようにと放送がかかった。

何かと思い向かってみると、昨日俺達が救助される時に無線を使った基地をグリフィンが買収し、シグマフォースの基地とするという事を伝えられた。

待機室へと戻り、その事をみんなに伝えると、スコーピオンから1つの疑問が出てきた。

 

「ねぇジンさん、別にその基地に行くことはいいんだけど、展開の速さとかってどうなるの?」

 

「ああ…確かに、見てみるか」

 

そう言い、プロジェクターを使ってスクリーンに地図を映し、全体的な位置を見てみる。

 

「『S04地区』…か、中心地区のS05地区からは少しズレてるか」

 

そう言って周辺地域情報を頭にできるだけ叩き込んでいると、

 

「S05地区は既に別のチームがいますからね、それででしょう」

 

と416が教えてくれた。

なるほど別チームが既に駐屯していたのか。

それならそれでも中心に近い04地区というのも納得だ。

にしても…

 

「なんかこの基地崩壊液の汚染地区近くない?」

 

そうM500が地図を指さしながら言ってくる。

いや本当に近い。

100km圏内に崩壊液の汚染地区がある。

一応早期警戒ラインはあるようだが、これでは強いE.L.I.D.が基地に来ても仕方がない。

 

「だな、まあ俺達ならなんとかなるって判断だろう、それか場所的に安かったか」

 

「まあどっちにしてもたまに下級ELIDが来たら実戦訓練できていいかもねー、でも上級は相手したくないかなぁ…」

 

「諦めろ、下級が来るなら上級も来るさ」

 

「だよねぇ…12.7mm以上の大火力もっと配備してもらわなきゃ…」

 

「だなぁ…上級になると7.62とか5.56だと無理があるしな」

 

そんな会話をしつつ、地図を見終わり、またダラダラとし始める。

そんなことをしていると、気がつけばお昼になっていたので、みんなで食堂へ食べに行くことにした。

 

食堂に着き、たまには違うものをと思うが、結局いつもと変わらぬ同じものを食べて待機室へと戻る。

そのままの調子だと落ち着かないので、結局射撃場へと行き、自分たちの好きな銃で好きなように撃つことにした。

まあ戦術人形のみんなは自分と烙印システムで連結されている銃、すなわち自分の銃を撃っていたが。

しかし、パイロットの自立人形であるはずのイチとニコの射撃の腕が良かったのには少し驚いた。

理由を聞いてみると、

 

「あたい達も戦術人形と同じコアを装備してるから!」

 

との事だった。

実は自衛用にヘリにUMP40を2丁搭載しているらしい。

なんでも、搭載できるように少し改造を加えているそうだ。

つまり、いざと言う時はヘリから降りて戦力として数えることもできなくはないということになる。

まあ、そんなことが無いことを願うばかりだが。

そんなことを考えつつ、愛銃のひとつのM4 SOPMOD block 2をワンマガジン分撃ったり、ゲパードからゲパード GM6 Lynxを借りて撃ったりしていると、M14の修復終了時間までもうすぐという所まで来ていたので、射撃を中断してみんなで迎えに行くことにした。

修復ポッドのある部屋の前で待機していると、中からM14が出てきた。

 

「迎えに来てもらっちゃってすいません、ジンさん、それにみんなも」

 

「いいんだよ、んじゃ、部屋に戻って晩飯まで待機するか!」

 

そう言っていると、C96が、

 

「いいですね!じゃあジンさんの奢りで!」

 

と言ってきた。

 

「…いやなんで?」

 

「そりゃあ…生還してきたお祝いとM14の復帰祝い?あと新しい服お願いしますよ、今はスペアで何とかなってますけど」

 

「復帰祝いって言われても私そこまで離脱してた訳じゃ…」

 

「はぁ…まぁいいか、そのかわり安いのだからな、あと服は心配するな、既に注文してあるさ」

 

「さっすがジンさん!」

 

その後、そのまま適当に安めの所に食べに行き、久々のベッドでの睡眠を楽しんだ。




久々?の日常メインです。
よければ評価、コメントをして頂くと作者が喜びます。
では次話をごゆっくりお待ちください。


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第7話

非ログインユーザーさんもコメントできるように設定し忘れてしまっていたノアです…(´・ω・`)

とまあ気を取り直して(謎)、第7話となります!
ごゆっくり見ていってください!


次の日になり、荷物を持って数機のヘリで新しい基地へと引越しを行うことになった。

俺達の乗るステルスホークを先頭に、3機のブラックホークが機体から物資をぶら下げ、数名の部隊支援スタッフを乗せて編隊を組んで飛行していた。

特に何も無いとは知っているが、訓練も兼ねてゴム弾を装填して基地へと降り立ち、クリアリングしつつ基地の重要箇所を回っていく。

やがて1階の出入口に到着し、そのまま何事も無かったかのようにヘリポートへと戻り物資をおろし始めることにした。

誰も見ていないからいいがかなりシュールだろう。

 

しばらくして荷物をおろし、各物資も物資置き場へと置き終わり、部隊支援スタッフも帰還したので、後は自室ではない空いている個室を見てみるだけとなった。

 

ドアを開けてみると、そこには1つのベッド、そして―――

 

「んん…」

 

1人の眠っている銀髪のツインテールの少女がいた。

 

「…誰?」

 

「さぁ…」

 

「とりあえず起こして話を聞いてみましょう」

 

そういい、416が気持ちよさそうに寝ている少女の肩を無慈悲にも叩いてその少女を起こす。

 

「んんっ…?」

 

そう言い、少女は目を開けて起き上がり、こちらを見つめてきた。

目を擦り、大きなあくびをしてから驚いたような顔をして、

 

「ええっ!?この前の侵入者たち!?帰ったんじゃないの!?」

 

「こ、この前の…?」

 

そう聞き返すと、少女は頷き、

 

「そうよ、ヘリで帰って行ったでしょ?」

 

「…何故それを?」

 

「だってあたしいたもん、その時からここに」

 

そう言われ、今度はこっちがびっくりしてしまう。

あの時も一応しっかりとクリアリングして入って行ったはずだったのだ。

 

「…君は一体何者なんだ?自分たちで言うことでもないが俺達のクリアリングはしっかりとしてたはずだ」

 

「あたし?あたしはデストロイヤー、鉄血のハイエンドモデル人形よ、覚えときなさいよね!」

 

「…鉄血のハイエンドモデル…だって?」

 

確かに、あの軍事向け戦術人形を作っている鉄血のハイエンドモデルならば、俺達のクリアリングをかいくぐるスペックがあるのかもしれない。

そう思っていると、

 

「うん…あたしも鉄血のハイエンドモデル…のはずなんだけどなぁ…」

 

そういい、デストロイヤーと名乗った少女は悲しそうな表情をし始めた。

 

「…どうしたんだ?」

 

「味方に騙されて1度死にかけてるの、あたし、そこからハイエンドモデルの回線どころか鉄血の回線からも切断されちゃってて」

 

「え?死にかけた程度なら回線も切られないんじゃないのか?」

 

「あー…正確には1度死んでたまたま再起動した…って感じだから…」

 

「再起動…!?そんな事あるのか…?」

 

「本当にたまたまだと思うけど、実際にあたしが経験したからね、あると思うんだ」

 

確かに、実際に経験した人がいるならばそれは事実なのだろう。

もしくは、誰かに再起動システムでも導入されていた可能性だってないことは無いかもしれない。

まあどちらにしろ…

 

「仲間に騙されたってどういうこと…?」

 

と、みんな思っているであろうことを、ポツリとスコーピオンが呟く。

 

「いっつもあたしを騙してくるドリーマーってヤツがいるのよ!毎回毎回騙して来るんだから!」

 

そう言って来たと思うと、今度はM500が歩み寄り、

 

「うんうん、辛いよねそれ…私もよく騙されるからよくわかるよ…」

 

と言って肩を叩いていた。

 

「M500の場合は騙されやすすぎるんだよ…ちょっとした冗談ですら真に受けるだろお前…」

 

「仕方ないじゃん!本当かと思っちゃうんだから!」

 

「そんなんで変なやつに騙されたらどうする…」

 

そんな会話をしつつ、とりあえず指揮官にどうすればいいかメールを飛ばす。

するとものの数秒で返信が帰ってきた。

 

「よし、えーと、デストロイヤーだっけか、家はどこかわかるか?」

 

「なんで?一応わかるけど…」

 

「メールで指示を仰いだら送り返せるなら送り返してやれと言われたんだ、案内頼めるか?」

 

そう言うと、デストロイヤーは俯き、「帰りたくない」と言ってきた。

 

「なんでだ?仲間もいるんだろう?」

 

「そうだけど…もう既に新しく本体は作られてるはずだから、あたしが帰っても解体されるのがオチよ…」

 

そう言い、一気に暗い表情になる。

流石になんとか生き返って帰って解体は可哀想なので、何とかならないかメールを再度飛ばして聞いてみる。

すると、『仲間にしてやるのはどうだ?』と短く返信が帰ってきた。

 

「あー…デストロイヤー、なら俺らの仲間なる気はあるか?」

 

「え?どういうこと?」

 

「俺らの指揮官が仲間なりたそうならしてやれってさ」

 

そう少し事実を付け加え、デストロイヤーに提案してみる。

流石にそれも嫌がるだろうと思っていると、

 

「なっていいなら…なってあげてもいいけど?」

 

と、髪をクルクル指でいじりながら言い返してきた。

 

「正直に言わないと仲間にしないぞ?嫌なら嫌とハッキリ言わないと」

 

「うっ…なら、仲間にしてちょうだい?」

 

「人に物を頼む時は?」

 

そう、少し意地悪してやりたくなり、わざとそう聞き返してみる。

すると、

 

「ああもう、わかったわよ!仲間にしてください!…これでいいでしょ!」

 

と顔を赤くしながら言ってきた。

素直にするのが苦手なのだろう。

 

「わかった、これからよろしくな、デストロイヤー…ところで君の武装は?あるんだろう?」

 

そう言うと、デストロイヤーはベッドから降り、そのすぐ横に置いてあった黒いグレネードランチャーのようなものが2つ付いたものを腰の辺りに装着し、こちらに見せてきた。

 

「これよ、『試製50mmグレネードランチャー』って言うらしいわ」

 

「試製?って事は試作品って事か?」

 

「ええ、まだあたし、デストロイヤーの戦術人形はまだ試作段階だから、武装もどの口径がいいのか試行錯誤してるみたい」

 

「へぇ…にしても50mmってデカ過ぎないか?俺の知ってる口径は40mmまでだぞ」

 

「それはその…技術員が『おっきいことはいい事だ』って、それならその…胸も大きくして欲しかったなとは思うけれど」

 

そういい、デストロイヤーは自分の胸を見つめ始めた。

男の俺がどうコメントすればいいんだ。

とりあえず話を切り替えるために話題を探していると、1つ疑問を思いついた。

 

「なあデストロイヤー、さっき『デストロイヤーの戦術人形はまだ試作段階』って言ってたよな?」

 

「うん、そうよ、私も型番でいうと『Destroyer Prototype Mk.Ⅱ』が正式名称だからね」

 

「おお…なんとも言えないカッコ良さが…」

 

「そうなの?あたしは機械っぽすぎて嫌だけどなぁ…」

 

「…そうか、なんか悪いな…男は大体Prototypeとかそういう単語に弱いんだ」

 

「別にいいわよ、気にしてないし…で、なにかしようとしてたんじゃないの?」

 

そう言われ、部屋の確認に来たことを思い出した。

とりあえずほかの部屋も見に行くことにして、一旦部屋から出て、ほかの部屋も見ていく。

すると基本1人部屋だが、チームの人数分以上あり、個室が埋まるどころか空き部屋まで数部屋あることがわかった。

わかったところで他の場所も見に行くことにし、まだ沢山荷物の置かれた広い部屋に行くことにした。

着くと、そこは休憩所と言うよりちょっとした食堂のようだった。

今度食堂配備の人を頼んでもいいかも知れない、そう思ってしまうが、流石にひとつの部隊に割く人員もいないだろうと思い、諦めることにした。

 

「さて、この後どうしようか」

 

そう言いつつ椅子へと腰掛けると、デストロイヤーが、

 

「温泉にでも入ったら?」

 

と提案してきた。

 

「温泉?そんなものあるのか?」

 

「うん、この建物の地下にね」

 

そう言われ、特にすることも無いのでデストロイヤーに案内してもらい、地下へと向かって行くことにした。

すると、地下射撃場の隣に、さらに地下へと入っていく階段があり、そこを下って行くと、そこには1枚の扉があり、それを開けると脱衣場があった。

見た感じ、どうやら混浴らしい。

この部隊には男が俺しかいないので時間を分けるのではなく、みんなが入り終わったあとに入りに行くのがベストだろう、そう考え、1度俺は退散するために階段を登ろうとした、その時だった。

ガシッと何者かに腕を掴まれ、後ろを振り向く。

するとニッコリといい笑顔をしたM500が俺の腕を掴んでこちらを見ていた。

 

「…M500?離してくれ、俺は後で入るから、デストロイヤーと親睦を深めて来てくれ」

 

「…昔、いつかみんなで一緒のお風呂に入りましょうって私言いましたよね?」

 

そう言われ、急いで記憶を遡っていくと、確かに温泉が多い所での任務の時にそう言われたことを思い出す。

 

「あ、ああ、でもあの時は混浴でも水着着用がマナーだったし」

 

「大丈夫ですって、私はもう覚悟出来てますから」

 

「いや何が大丈夫なんですかねそれ、それに新入りが3人もいるわけで」

 

そう言って必死に逃げようとするが、ニコとイチが、

 

「いや、『叢雲も年頃の男なんだからそういう時は協力してやれ』って言われてるし…」

 

と追い討ち?をかけてきた。

 

「協力しなくていいから、1人で大丈夫だから」

 

そうこのままだと一緒に入れられると焦りつつ、必死に腕を解こうとするが、やはりそこは戦術人形なのか力が強く、解ける気配が一向に見えてこない。

それどころか、俺が押さえつけられている間に風呂に入る準備が着々と進み、俺の着替えまで用意されていた。

こうなったら、諦めつつ力を抜いてM500の方へと進みつつ力が少し緩んだタイミングで…

 

「一気に振りほどく!」

 

「ジンさん、諦めたんじゃ!?」

 

「残念だったなぁ、トリックだよ!」

 

そう言いながら全速力で狭い階段を地下射撃場まで駆け登り、出ようとすると、そこには…

 

「…C96、先に風呂に行ったかと思ったよ」

 

「まさか、待ってたんですよ!」

 

そう言い、その華奢な身体には合わない力で動きを止められてしまった。

 

「離してくれC96、俺はまだ死にたくない!まだ俺はまだ俺の夢のために金を稼ぎたいんだ!」

 

「大丈夫ですって、みんなこの時を待ってたんですから!」

 

「俺が大丈夫じゃねぇよ!それに今日知り合ったばかりのデストロイヤーと入る訳には行かねぇだろ!」

 

そう言いながら、必死に暴れていると、M500が後ろから追いついてきたらしく、C96と一緒に俺を拘束し始めた。

 

「はーなーせー!流石に今日知り合ったばかりの女の子と入るのはマズいって!」

 

そう言うと、2人して上を向いて考え始めた。

しばらくしてから、

 

「…それもそうですね」

 

と言ってやっと拘束を解いてくれた。

助かった。いや、本当に。

 

「だろ?…ってか何度も言ってたんだが」

 

「じゃあまた今度、みんな親しくなったら入りましょ!」

 

「…C96、俺に拒否権は?」

 

「うーん…ないと思いますよ?」

 

「そっかー…ないかー…」

 

そうショックを受けていると、下からM500とC96を呼ぶ声が聞こえてきたので、また後でと言って2人は階段を下って行った。

 

「どこまで俺に心を許してくれてるんだ、全く…」

 

そう言い、心を許してくれてることに嬉しさを感じつつ、射撃場の椅子に座ってみんなを待ち始めた。




叢雲(の貞操が)ピンチ!
そんな約束してる叢雲が悪いから俺しーらね(作者←)
とまあ今回はどうでしたでしょうか?
よければ評価、コメントよろしくお願いします。

あぁ^~投稿始める前に貯めてた書きだめがなくなるんじゃ^~


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第8話

お待たせしました、第8話となります。
今回もゆっくり、見ていってください。


2059/2/2

次の日になり、新しくなった基地の自室で目が覚める。

あの後は特にこれと言って何も起きず、ただ休暇を満喫しただけだった。

強いて言うならば浴場が大きかったことに驚いた程度か。

 

そんなことを考えながら、布団にそのまま入りたがっている体にムチを打ち、布団から出る。

そして部屋から出て洗面所へと向かい、顔を洗って休憩室へと向かい、パンを取ってそれをオーブンで人数分焼いていると、他のみんなも起きてきたので、それぞれが自分用のパンを取って椅子に座り、いただきますと言って食べ始める。

その後は今日の予定を打ち合わせして、一旦解散、10分後に訓練のため再集合という事にした。

 

10分後、俺はこの前に作った1周年記念のロケットペンダントを持ち、一足先に集合場所へと着いていた。

みんなが揃い、結成当時からいるメンバーを呼び集め、一人づつロケットを渡していく。

みんなそれぞれの反応だったが、喜んでくれていたようで何よりだった。

何よりだったのだが…

 

「お兄ちゃん!あたい達にはないの?」

 

そうイチが言い、イチとニコが物欲しそうな顔でこっちを見てきていたのだ。

 

「まさか人員が増えるとは思ってなくてな…すまない、また作りに行って渡すからそれで勘弁してくれ」

 

「仕方ないなぁ、じゃあそれで許したげる!」

 

「姉さん、一応ボクたちは部下になるんだからそんな上からの言い方は…まあボクも欲しいけど…」

 

「いや、言葉は気にしなくていいよ、そうだなぁ…今度一緒にみんなで写真でも撮ろうか、んでそれをロケットにでも入れよう」

 

「了解!待ってるからね!」

 

そう言い、ひとまず落ち着いたところで、今日の訓練内容の打ち合わせに入る。

内容はいつも通りランニングに各自の烙印システムでの銃火器による射撃、そしてその他の火器での射撃だ。

 

「…渡した紙に記載した以上の内容を今日の訓練メニューとする、何か質問はあるか?」

 

「はい!…あたし、拳銃使えないんだけど…」

 

「…マジか、悪い、鉄血のハイエンドモデルだから使えると勝手に思い込んでいた、そうだな…元からデストロイヤーは射撃の時は別メニューに元からする予定だったが俺が拳銃の使い方を教えてやろう」

 

「え?なんで元から別メニューの予定だったの?」

 

「…デストロイヤー、君の装備の弾薬が今グリフィンに予備がない、だから今研究員が必死にコピーして作ってくれてるんだ」

 

そう、今こちらにいるデストロイヤーの装備が使用している弾薬の予備どころか使用弾薬すらろくにない状態なのだ。

もしものためのマインドマップや予備ボディの製作は鉄血から渋々技術提供を受けれることになったらしく、そこは大丈夫だったのだが、試作兵装なので正式弾薬も作れていない状態だったらしい。

一応50mmグレネードの設計図は残ってたそうなので、それを使用して今グリフィンで製作しているそうだ。

 

「そう…それなら仕方ないわね」

 

「ああ、悪いな…よしみんな、基地の外周を今日は短めに30周!」

 

そう言うと、新入りの3人は嫌そうな顔をしていたが、そもそもそこまで基地が広い訳でもないので30周だと本当に短いと思うので、ただ単に走るのが嫌なのだろう。

まあ俺も嫌だしそれは仕方ないか。

……走る前に30周は長いって愚痴言われた。

感覚麻痺ってたかぁ…

 

結局、最初から30周はキツイだろうと思い、結局15周にして、地下射撃場へと行き、各自で射撃訓練を開始した。

 

「さーて、デストロイヤー、念の為訪ねるが拳銃での発砲経験は?」

 

「えーと…数回だけ…かな、その後は基本あたしのグレネードランチャーだったし」

 

「数回でもあるなら良かった、なら撃ち方くらいはわかるって感じだな?」

 

「うん、なかなか当てれなかったけど…」

 

グレネードランチャーは当てれて拳銃は当てれないということを聞き、軽く普通逆じゃね?と困惑してしまう。

もしかしたら通常の実弾火器自体Prototypeなのもあってしっかりとプログラミングされていないのかもしれない、そう思考を切り替えるが、流石にあの鉄血の事だからそれは無いだろうと結局思考を戻される。

もしかしたらこのデストロイヤーだけの固有体質かなにかなのかもしれない。

 

「まあしっかりと教えてもらうかプログラミングされるかしないと初心者なら当てれないさ…」

 

そう言いつつ、手招きしてデストロイヤーに着いてこさせつつ、とある部屋まで移動する。

そのとある部屋というのが…

 

「わぁ…銃がいっぱい…」

 

「凄いだろう?俺の愛銃達だ」

 

俺の愛銃コレクションを置いている部屋である。

ちょうどこの基地に来た時に銃火器置き場があったので、そこを俺持ちとしてこうして置かせてもらっているのだ。

…と言っても、壁一面という訳ではなく、十数丁の銃が壁やボックスケースに入っているだけなのだが。

それでもいっぱいと驚いてくれただけでもよしとしよう。

 

その中でも、拳銃を入れているボックスケースを引っ張り出し、デストロイヤーの前に置く。

理由はもちろん…

 

「ほら、好きな銃を1つ選べ、M1911にUSP、Five-seveNにベレッタ90-Two、その他少数だけどな」

 

「え?いいの?大事な銃なんじゃ…」

 

「そりゃあ大事だが銃なんて消耗品だ、使ってやらないと可哀想だろう?それに…」

 

「それに?」

 

「それに、デストロイヤーはもう俺達の大事な仲間だしな、守ってやるのは当たり前として、何かいい事でもしてらやないと俺が落ち着かない」

 

これは俺の本心だ。

出会って数日どころか1日経ったところだが、その気持ちに嘘偽りはない。

 

「もう、恥ずかしいじゃない、そんな面と向かって"大事な仲間"だなんて…でも、ありがと」

 

「どういたしまして、さて、どれにする?」

 

そう言うと、デストロイヤーは一つづつ銃を手に取り、まじまじと見始めた。

時々構えてみたりして、傍から見るとおもちゃを選ぶ子供のようだ。

…本人に言うと怒られるだろうけど。

 

そんなことを考えながら選び終わるのを待っていると、選び終わったらしく、ひとつの銃を持ってこちらを見つめてきた。

 

「それにするのか?」

 

「うん、カッコイイし!」

 

そう言い、デストロイヤーはその拳銃―――ベレッタ90-Twoを構えてみせてきた。

 

「了解、ちょっと待ってろ」

 

そう言ってから、同じ部屋に置いてあるアクセサリや何やらを置いてあるところから、90-Twoを入れることの出来るレッグホルスターを選び、デストロイヤーへと渡した。

 

その後、9mm弾を数マガジン分持ち、射撃場へと戻る。

そして利き目の確認方法や構え方、その他もろもろを教えて、マガジンに弾を込めて撃つことにした。

 

「どこに当ててもいいから、とりあえずマトに当てることを目指そうか」

 

「わかった!」

 

そう言ってから、銃を構え、10m先の人の方をしたマトへと射撃を開始した。

やはり50mmグレネードランチャーなんてものを使っているからか、弾道予測やリコイル制御が上手く、数発撃つとマトに的確に当て始めていた。

ひとつ言うとするならば、頭を狙おうと必死になって弾を外してしまっているところだろう。

 

「デストロイヤー、俺が手本を見せてやる、よく見とけ」

 

そう言い、自分のレッグホルスターからデストロイヤーのと同じ種類のベレッタ90-Twoを抜き、コッキングしてからマトの前に立った。

そこから基本となる立ち方をして、あえて"マトの胴体部分"へと数発射撃した。

 

「ちょっと、全部身体じゃん、それならしっかりと狙えれば当たるって」

 

「ああ、それが大事なんだ、大体みんなはゲームなどでもダメージの多い頭や動けないように足などを撃つことが多い。でも頭や足はどうだ?身体より小さいだろう?」

 

「そうね、でもダメージが大きいわよ?」

 

「ああ、確かにどんな時でも百発百中ならそこを狙えばいい、でも実際はどうだ?もしデストロイヤーが敵に襲われそうになっていて、敵が全力疾走でこちらへと向かってきているとしよう、足や頭に絶対に当てる自信はあるか?」

 

そう言うと、しばらく考えた後に、

 

「今はないけれど、それこそ練習すればいいんじゃないの?」

 

「ああ、まあ確かにそうなんだが…相手にも体格差があるだろう?もし相手が子供くらいの身長だったらどうだ?いつもの訓練時の高さより下になる、本当に上手いやつならそれでも難なく当てるだろうが俺達にはそれは無理だ、なら1番当たって急所となる場所があるのはどこになる?」

 

そう言うと、またしばらく考えた後に、

 

「…身体?」

 

と答えてきた。

 

「ああ、そうだ、俺たち人間や、君たち自律人形にもそこを破壊されれば死ぬ場所…つまり心臓がある、そこに当たらなくても内臓があるだろう?内臓にダメージが入って動いていれる自信があるか?」

 

そう言うと、痛みを想像してしまったのかデストロイヤーは少し顔を青ざめて首を横に振った。

 

「だろう?…まあ確かに相手が防弾チョッキなどの防弾装備をしている時は1発じゃ相手は止まらないだろう、だが弾は防げても衝撃は防げない、衝撃だけでも充分テロリストとかの一般的な敵なら足止めに充分だ、なら止まっているうちに逃げるか落ち着いて足などを撃てばいい、だろ?」

 

「確かにそうね、まずは当てることを頑張るわ」

 

「ああ、多分デストロイヤーならすぐに動いてる目標に的確に当てれるようになるよ、じゃ、続きしようか」

 

そう言い、マガジンを外してスライドを動かして弾を出してから、銃をレッグホルスターへと戻し、デストロイヤーの訓練を再開した。




いかがでしたでしょうか?
出てきた銃はもう作者の好みですw
ちなみにデストロイヤーの訓練内容はハンドガンドリルの本を参考に書かせていただきました。

評価、コメントを頂ければ幸いです。


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第9話

今日はいつもと別の時間に出してみました。
今回もごゆっくり見ていってください。


あの日から2日後、いつも通り朝のブリーフィングをしていると、司令部から暗号化回線を通じてメールが入った。

メールによると、明日、大規模なテロが起こると事前に察知できたらしい。

 

2箇所で起こるとされているらしく、そのうちの一つは別の特殊部隊が任務にあたるそうだ。

…そのもうひとつの部隊隊長、今病んでた気がするのだが、大丈夫なのだろうか。

 

そんなことを考えながら、前日ということで訓練内容を少し変え、ブリーチング訓練やルームクリアニング、狙撃班との連携の訓練をする事にし、そのために近くのグリフィンが所有している訓練区域まで、イチとニコに頼んでヘリで移動した。

8人にまで増えたので多少キツかったが、あと1人くらいならば乗ることができるだろう。

…少し大きめのヘリにしてもらった方がいいかもしれない。

今度指揮官に提案してみよう。

ちなみに訓練区域の予約は指揮官がしっかりと押さえてくれていた。

たまにやらかすが割と頼れる人である。

 

訓練区域まで到着し、デストロイヤーを機内に残してそのままヘリボーン訓練から始め、そのままセーフティゾーンまで徒歩で移動、残りの3人と合流して実射訓練を開始した。

 

まずはM500にブリーチング弾を装填してもらい、ドアブリーチング訓練、そのまま突入してルームクリアニング訓練、これを数回繰り返し、次は市街地を模したエリアで狙撃班との共闘訓練、そして今度はドアブリーチング訓練を俺もM26 MASSにブリーチング弾を装填して、ドアブリーチングをして突入、ルームクリアニングと2パターンを2セット繰り返し、昼休憩とした。

 

「よし、みんな休憩してるとこ悪いが、今度は敵装甲車両が現れた時の訓練をする、ヘリのスペースの都合上AT4を実弾3発分しか持ってこれてないから後方支援班のゲパード、C96、M14に各1発づつやってもらうから、そのあとは空撃ちで訓練をする、ここまでで質問は?」

 

そう言うと、みんなは昼ごはんを食べつつ首を横に振った。

こう考えると訓練にも支障が出てきているので、早急にヘリを大きくしてもらう必要があるだろう。

 

そのあとは俺も昼ごはんを食べ、少し休憩してから対装甲車両訓練に入った。

その訓練が終わり、今度は午前にやった訓練を通しで2セット、そのあとはヘリも使って殲滅訓練を2セット行い、今日の訓練を終えた。

 

帰ってからはそのまま先に風呂に入ってもらい、俺は明日に備えて別の準備をしていた。

もしかしたら、ヤツらの仲間―――俺の両親を殺したヤツらの仲間が現れると願って。

 

次の日―――2/5になり、俺だけでもといつもとは違って日が昇る前に目を覚ます。

理由は特になく、なんか眠りにつけなかったのだ。

…いや、一応すぐにテロに対応できるようにとでも理由を付け加えておこう。

入念に銃の手入れをし、あとは出撃命令が出るまで待機となった。

待機していると、指揮官から『いつでもすぐに出撃命令が降りた時に伝えれるように俺も待機している、まあ気楽に待ってろ』とメールが届いた。

指揮官も既に起きているようだ。

しばらくした後、みんなも起きてきたので、みんなと一緒にご飯を食べる。

何気ない時間だが、いつもにも増して緊張感が張り詰めていた。

 

―――そして、その時は来た。

基地内にサイレンが轟き、備え付けられたパトランプが光り始めた。

…出撃だ。

イチとニコは既にいつでも行けるようにと機上で待機してくれていたので、あとは俺達が乗り込むだけだ。

 

「よし、シグマフォース、出撃!」

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

そうみんなの返事を聞いた後に、機体へと走ろうとすると、待機組として待っていてもらう予定のデストロイヤーに呼び止められた。

 

「…あたしは、基地でみんなの帰りを待ってるから、だから…みんな、無事に帰ってきてね」

 

「ああ、みんなで帰ってくるさ」

 

そう言い、デストロイヤーの頭を撫でてやって、機体へと乗り込んだ。

 

 

現場へと着くと、やはり少し遅かったらしく、既にテロリストによる殺戮が始まっていた。

 

「ドアガンスタンバイ!降下地点の安全を整える!」

 

「イエッサー!」

 

そうわざと軍隊らしく416が返事し、備え付けられたドアガンを構えた。

 

「用意…射撃開始!」

 

そう言った瞬間、テクニカルに乗ったテロリストや、歩いて銃を乱射しているテロリストどもをミンチにするため、射撃が開始された。

しばらく撃ち続け、降下地点の安全性を確認できてから、ヘリボーンして近くの遮蔽物へと退避、ヘリに離脱してもらう。

 

ヘリが離脱したのを見たからか、テロリストがまた束になって迫ってくるのを確認したので、遮蔽物を使いつつスコーピオンとC96に軽機関銃による制圧射撃をしてもらう。

その隙に416によるグレネード射撃を加え、制圧を確認してから突撃を開始した。

 

しばらく進軍した後、C96、M14、ゲパードに狙撃位置についてもらい、索敵しつつ敵を狙撃して進路を確保してもらう。

そしてしばらくした後、乗ってきたのであろうテクニカルへと敗走し始めるテロリストの姿が目立つようになってきた。

 

追いかけていくと、その中に例の死神の刺繍を頬にした男を発見した。

間違いない。

ヤツらの仲間だ。

 

「M14、ゲパード、あの男の向かう先のテクニカルを潰せ、416、スコーピオン、M500はあの男以外を殺れ、俺はヤツを捕らえる、C96はスナイパー組の護衛を継続せよ」

 

そう無線で伝え、みんなから了解と短く返ってくるのを確認し、出せるだけの速度で男へと近づく。

やはりこちらに気づいたらしい男が、自らの頭を拳銃で撃ち抜こうと銃を抜こうとしたその時、XREPをあらかじめ装填していたM26 MASSのトリガーを引き、男へと撃ち込み、動きを止めた。

その隙に手錠を後ろ手にしてかけ、捕縛が完了した。

 

「ターゲットの捕縛を完了、各自状況は?」

 

『こちら416、スコーピオン、M500と共に敵の殲滅完了』

 

『こちらM14、スコープ越しに見える敵はなし、やった、完全勝利だぁ!』

 

『こちらゲパード…M14と同じくワタシもスコープ越しに敵影見ず、任務しゅーりょー』

 

「了解、狙撃班は俺と合流、この男の捕縛をしててくれ、416とスコーピオンは念の為索敵、M500は狙撃班がこっちに着き次第俺と索敵だ」

 

そう伝えると、みんなやっと終わった、という感じで多少リラックスした風に了解と返ってきた。

一応気は緩めていないと信じ、司令部へと捕縛したことを伝え、ヘリを送って貰うことにした。

そのあとは索敵して敵がもういないことを確認し、司令部からのヘリへと男を乗せ、俺達もイチとニコの操縦するヘリへと乗り、基地へと帰還した。

 

基地へと着くと、デストロイヤーがヘリポートで出迎えてくれたので、みんな無事だと伝える。

やはり喜んでくれたのでよかった。

そのあとは無線で男の搬送が終了し、尋問を始めると指揮官から休暇と共に伝えられた。

これで、ヤツらの名前や計画も少しは知れるだろう。

そう少し安堵しながら、みんなの待つ休憩室へと向かった。




いかがでしたでしょうか?
今回は地の文が多めになっていますが、これからもこういう書き方の方がいいのかな…と思っております。

よろしければコメント、評価の程をよろしくお願いします。


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第10話

第10話となります。
今回は休暇の話となってまーす
では、ごゆっくり見ていってください。


次の日、休暇となったので、前に言ったように写真を撮ってそれを入れるロケットを買いに行くことになった。

 

「ここにセットして…と、撮るぞー」

 

「はーい、ジンさん早く!」

 

そう急かされるまま、みんなのところへ行き、タイマーをセットしておいたカメラに向かってポーズをとる。

しばらくして、カシャと言う音と共にシャッターが切られた。

撮られた写真を確認し、しっかりと撮れている事をみんなで確認してから、ヘリに乗ってグリフィン本部へと飛び、その近くのショッピングモールの中にある、前に買ったアクセサリショップでまた同じようなのを注文し、完成したのを受け取った。

帰ってから写真と共に渡すことにして、そのあとは外食をしてからグリフィン本部の自分達の待機場所へと戻ることにした。

 

ついでに指揮官の所へと顔を出し、ヘリをもう少し大きめにしてもらうことになり、指揮官の懐の大きさを実感する。

なんでも、別の特殊部隊に所属している元鉄血の人形がとある大型ヘリを改造してステルスにしたものをコピーして作る許可をその人形に取りに行き、既に許可を貰っているそうだ。

既存のものを改造する感じらしいので、1週間ほどでイチとニコに習熟訓練させることも可能だそうだ。

改造期間が短すぎてもはや効率よくステルス改造ってレベルじゃねぇぞと思ってしまう。

ちなみに本家の方の改造期間は数日だったそうだ。

…バケモノかよ。

そんな事を思いながら待機場所へと戻ると、

 

「どうしたのジンさん?何か考え事?」

 

とM500に心配されてしまった。

そんなに険しい顔にでもなっていたのだろうか。

 

「いや、なんでもないよ、少し驚愕してただけだ」

 

「きょ、驚愕…?なんで?」

 

「いや、もう少し大きいヘリが支給されることになったんだけどな?ステルス改造するのに1週間程度らしいんだ」

 

「…それは驚愕するよね」

 

「…だろ?」

 

そんな会話をしていると、ヘリパイロットの人形の血が騒いだのか、イチとニコが目をキラキラさせながら視線で「もっと詳しく」と言ってきた…ような気がした。

 

「…イチ、ニコ、もっと詳しく聞きたいって?」

 

「うん!支給されるってことはあたい達が操縦する事になるからね!」

 

「兄さん、指揮官はもっと機体の事言ってたりしなかったかい?」

 

「そうだなぁ…なんか驚かせたいみたいで言いたそうにはしてたけど詳しくは教えてくれなかったな、でも少なくとも大型機だそうだ」

 

「今のステルスホークで中型?になるから…気を引き締めて習熟訓練しなきゃね、ニコ」

 

「そうだね、姉さん」

 

「…そう言えばなんだが、2人は操縦プログラムをインストールするだけでいいんじゃないのか?」

 

そう意気込んでる2人にそう尋ねてみると、2人して目を合わせてから、

 

「あたい達のAIはそういうインストールして学習できないタイプで、自分たちで学習しないといけないんだ」

 

「つまり、昔からの学習型AIって事だよ、信頼性としてはこっちの方が高いからね…その分、手間がかかるんだけど」

 

と教えてくれた。

 

「へぇ…自律人形にも色々あるんだなぁ」

 

と感心していると、

 

「ジンさーん暑いから服脱いでいいー?」

 

とC96が声をかけてきた。

 

「ダメ。」

 

「ええー?そんなぁ…」

 

「お兄ちゃん、別にいいんじゃないの?パイロットスーツ脱ぐだけでしょ?下に多少着てるんじゃ…」

 

「いや…まあそうなんだけどさ?C96のパイロットスーツの下は…」

 

「いいよね!脱いじゃえ!」

 

説明しようとすると、C96はそのまま上着を脱ぎ、その下…

隠す気が全くない、生まれたままの姿へと変わった。

 

「…完成に裸なんだよ、C96のパイロットスーツの下は」

 

「止めた理由がよくわかったよ…うん、ニコ、C96さんが脱ごうとした時は…」

 

「そうだね、止めようか…」

 

「3人とも酷いです!ただ暑がりなだけですー!」

 

「でもシャツくらいは着とけよ!知らない人が来たらどうするんだ!」

 

「ヤダヤダヤダ!暑いじゃないですか!みんなだって下は下着のはずです!」

 

そう言い、みんなの同意を求めようと、他のみんなにも話を振るが、

 

「いや…私はちゃんと上はシャツ着てるかな、暑くて脱ぎたい時普通に下着見られちゃうし」

 

「あたしもそうかなー、確かに、暑いけど見られるのは恥ずかしいからねー」

 

そうM500とスコーピオンが言い、むしろその2人の方に票が集まるという結果になり、C96が駄々をこね始めた。

そんな雰囲気の中、突然ドアがノックされ、指揮官が入ってきた。

 

「…すまん、お取り込み中か」

 

「違います、C96の露出発作です」

 

「なんやその男からしたら最高な発作は」

 

「…俺は最高とか思ってないですからね?」

 

「ウッソだろお前」

 

「残念ながら嘘ではないです」

 

「あっ…ふーん…なるほど…」

 

「おい、何を察したクソ指揮官」

 

「え?乱交してるんやろ?」

 

「んなわけあるかドアホォ!…で、要件は?」

 

そうマシンガンのような会話から、無理矢理に話題を変えると、指揮官ははっと思い出したような表情をしてから、

 

「お前らの新しいヘリの種類言ってなかったから言いに来た」

 

と言ってきた。

隠すんじゃなかったのか。

…あ、もしかして名前忘れてて言えなかったとかそういうのとかか。

 

「新しいヘリの種類教えてくれるの!?」

 

「姉さん、食いつきすぎ」

 

そうヘリパイロットの2人もニコは特に興奮してないように見えるが、目を輝かせて機種名称を待っていた。

 

「ヘリ…ってゆーてもヘリでええんかあやふやなとこあるけどもやな…機種はオスプレイ、それをステルスにしたステルスオスプレイや」

 

オスプレイ…ということはティルトローター機、すなわち固定翼機とヘリのいいとこを取った垂直離着陸機という事だ。

ヘリと扱いが変わるはずなので訓練も時間がかかるだろう。

なんて思ってたら、

 

「なーんだ、オスプレイかぁ、それなら操縦できるよね?ニコ?」

 

「って言っても基礎しか学んでないから飛ばすことしか無理だと思うよ、姉さん」

 

…まさかの飛ばしたことがあるらしい。

なんて優秀なんだうちの子は。

 

「あと銃架には少し手を加えてGAU-16かM2を積めるようにしておく、火力制圧面はあまり変わらないとおもうから心配すんなや」

 

火力が充分なのはいいのだが、どこにどう改造してつける気なのだろう。

あ、気にしたら負けか。

そんな事を考えていると、「ほなまた」と言って指揮官は司令室へと戻って行った。

 

その後はもう今の渡せるうちに渡しておこうとロケットペンダントを3人にわたし、それに入れる写真をみんなに配った。

 

しばらくしてから、荷物を持ってヘリで帰ろうとした時だった。

急に部屋の扉がノックされ、扉が開くと1人の少女が入ってきたのだ。

 

「あのー、ここって『第25速射小隊』の待機室であってる?」

 

「いや、ここはシグマフォースの待機室だ、にしても聞いたことない小隊だが新設かい?」

 

「うん、昨日できたばかりの小隊なんだ、面制圧をメインとした後方支援小隊なんだけど…ところでシグマフォースって聞いたことないんだけど…」

 

それもそうか、そう思いつつ、何か言い訳でもないかと考える。

すると416が、

 

「『第62特殊小隊』、なら聞いたことあるかしら?」

 

と言ってくれた。

シグマフォースと言いまくっていてよく忘れるが、『第62特殊小隊』というのは、シグマフォースの正式名称であり、公にならないように隠す秘匿名称でもあるのだ。

…まあ名前に特殊小隊とついてる時点で秘匿できてるのかはわからないが。

それに最近出撃機会も前より増えたのでシグマフォースの方が伝わるようにもなってきている。

大丈夫かこれ、隠せてるのか。

 

「ああ、それなら聞いた事あるよ!最近大活躍だって!」

 

「ほう、どんな感じで噂が流れてるんだ?」

 

「"敵の主犯格の男を無傷で捕らえた腕利き集団"だってみんな言ってるよ、それまで何も音沙汰なかったのになって」

 

なんとなく言われて照れてしまうが、最後の言葉だけ余計だと思ってしまう。

まあこの子が言ってる訳では無いとだけはわかるのだが。

 

「へぇ…ところで君は誰なんだい?」

 

「あっ、自己紹介遅れたね、あたしはコルトSAA(シングル・アクション・アーミー)!よろしくね!」

 

そう少女は自己紹介してきた。

コルトSAA…というとジョージ・パットン将軍が第二次大戦で私物として特注品をホルスターに持っていたと有名な西部開拓時代によく使われたリボルバーだ。

早撃ちによく使われたりもする…らしい。

 

「よろしく、俺は叢雲 仁だ、一応隊長をやってる…ところで早撃ちは得意かい?」

 

「得意だよ!見せたげようか?」

 

「そうだな…見せて欲しいが、みんなの元に行かなくていいのかい?」

 

「あっ!本当だ!場所教えて貰えたりしないかな…?」

 

そうSAAはおねだりするように両手を顔の前で合わせてこちらを見てきた。

少し帰るのが遅くなるがまあいいだろうと思い、端末で基地内の場所を検索してから、道を教えながら連れていくことにした。

 

「いいよ、一緒に行こうか」

 

そう言い、端末を片手に部屋を出て、SAAの所属するらしい『第25速射小隊』の待機室まで向かう。

そのついでにヘリポートへの道も教え、部屋に着くと仲間であるらしいM1919と名乗った少女に心配されていた。

そのままM1919にSAAを預け、また会おうと言って俺達のヘリポートへと向かい、俺もヘリに乗り、基地へと戻った。




いかがでしたでしょうか?
今回のを書くために調べるまでSAAがビリー・ザ・キッドの銃だと勘違いしていたノアです。
コルトSAAじゃなくてコルト・ライトニングなんですね…
ダブルアクションであの連射してたってやっぱり妖怪かなにかなのでは…?
まあ実際のところは確かわからないんですけどね(うろ覚え)

そして書きだめも既に尽きてますので、次話から投稿頻度が下がりそうです…
頑張って早めに仕上げますのでごゆっくりお待ちください。

2019/12/18 追記:パイロットスーツの下って普通は多分下着ですよね…そう考えると当たり前のこと書いてたんでC96のパイロットスーツの下は着てない事にしました…


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第11話

改訂版を出してからナンバリングし直してて前書きにも話数を入れてることが多くて修正点が増えて辛いノアです。
今回もごゆっくり見ていってください。


あれから1週間経ったが、あれから特に出撃もなく、俺たちは普通に訓練を続けていた。

デストロイヤーも飲み込みが早く、拳銃による射撃も様になってきたので、次からはデストロイヤーのグレネードランチャーの弾薬も完成したと報告が入っているのを思い出し、規模が小さければ出撃に連れて行っても良さそうだと思い始めた。

…まあその前にグレネードランチャーでの射撃訓練も見なければ行けないのだが。

まあ恐らくそこはハイエンドモデルという事でグレネードランチャーでの射撃は上手いと信じよう。

そんな事を考えながら俺達はいつも通り訓練を終え、イチとニコの操縦するヘリに揺られ、夕日を見ながら訓練区域から基地へと帰投していた。

 

基地へと帰り、それぞれが風呂場で汗を流したり、リラックスしている中、俺だけビデオチャットで指揮官と話をしていた。

内容はもちろん、捕縛した男がやっと喋った、次のテロ内容についてだ。

喋らせた方法は聞かない方が身のためかもしれないと思いつつ、内容を聞いていると、近々俺達の地区のとある街でテロを起こす予定らしい。

男が帰還した後に担当する事になっていた、確定事項で起こすテロだそうだ。

指揮官不在でもするとは大した根性だ。

 

期日は明後日、その街の近くの廃れたゴーストタウンから出撃して行うそうだ。

今は指揮官が出撃許可を貰いに行ってくれている所らしい。

俺達の上層部は起きてからで良いと思っているようだが、なんとかして起きる前に出撃許可を貰ってくれると自信満々に言っていたので、何か策があるのだろう。

まあ俺たちにできることと言えば敵の殲滅くらいなので、部隊運用のことは指揮官に任せ、通信を終った。

 

「さて…汗でも流してくるか」

 

そう呟き、座っていた椅子から立ち上がって地下にある温泉へと行く。

そして誰の服も脱衣場にないことを確認して、俺も服を脱いでから浴室へと向かった。

浴室へ入ると、そこには洞窟をそのまま使った無骨な大きい浴室と―――

 

必死に手で前を隠している涙目の知らない黒のロングヘアの女の子の姿があった。

 

「すみません!すぐ出ます!」

 

そう言い、慌てて浴室から飛び出て、扉を閉める。

そして、あるひとつのことを思い出した。

…基地の出入口の鍵は閉まっているのである。

つまり、誰も基地に入ることが本来ならできないのだ。

それに、俺達が気付かぬうちに入られていることはまあないだろう。

 

とりあえず、何者か確認する事だけでもしないと、そう思い、罪悪感たっぷりにもう一度浴室の扉を開き、もう一度見てみると、そこには先程の女の子の姿がなく、いつも通り、無人の浴室がそこにはあった。

疲れて幻覚でも見たのかもしれないと自分に言い聞かせ、かかり湯をして湯船に浸かり、身体を洗ってから浴室を後にした。

 

風呂から上がり、夕食を作るために休憩室へ向かい、キッチンスペースで夕飯を作る。

しばらくすると別々に行動していた皆が集まってきたので、みんなで食べ始めることにした。

食べ終わってから少し休憩していると、指揮官から『明日出撃可能になった、座標を送信するから明日出撃して欲しい』と、メールが届いていたので、風呂に入る前にみんなにそれを伝え、今日は早めに寝る事にした。

 

2日後、いつもより重たい身体に鞭を打ち、朝食を作る。

出撃まではまだ1時間以上あるので、朝食をみんなで食べてからゆっくりと銃の手入れをすることにし、万全の準備を整える。

 

銃の手入れを終え、みんながいつものユニフォームに着替えて銃のチェックをしてるのを見つつ、ヘリの手入れをしているイチとニコの所へ向かい、ヘリに搭載されているドアガンの手入れをする。

手入れと装填を終え、休憩室へと向かい出撃時間までゆっくりすることにしていると、整備を終えたみんなが集まってきた。

ついでだし早めにブリーフィングもしておこうとプロジェクターを使いブリーフィングを始める。

ちなみに今回は規模もそこそこなのでデストロイヤーには留守番してもらう事にした。

 

ブリーフィングを終え、最後にコーヒーでも飲もうとコーヒーを入れていると、C96が近寄ってきた。

 

「C96、どうした?」

 

「いや、なんか体調悪そうだなーって、昨日よく眠れました?」

 

「ああ、一応よく眠れてるはずだ…でも確かに身体はだるいかな」

 

「無理しないでくださいね、わたし達の代わりはあってもジンさんの代わりはないんですから」

 

「ああ、心得とくさ、C96もコーヒー飲むか?」

 

「あ、貰います!」

 

「了解」

 

そう言い、C96用のコーヒーも用意し、一緒に飲んでいると、もう少しで出撃時間という所まで来ていた。

銃と防弾チョッキ、その他の装備を整え、ヘリに乗り込み、目的の場所へと向かうと、所々に歩いているテロリストらしき人間が歩いているのに気づく。

ゴーストタウンの近くにヘリボーンし、こっそりと距離を縮めて行く。

しばらく進んでいくと、銃を持って警備をしている男のいる廃ビルを見つけた。

 

「えーと…テロリストの特徴は…と」

 

そう呟き、端末をいじって送られてきた特徴と男を見比べる。

そしてそれと同じ特徴があることを確認してから、ハンドサインを使いさらに距離をつめ、M14に狙撃してもらう事にした。

流石にこの距離で相手1人だけに対物ライフルは勿体ないと思ったのだ。

ちなみに今回はゲパードに『ゲパードGM6 Lynx』を装備してきてもらっている。

理由は普段の任務と違って射撃位置につけないと思ったからだ。

Lynxは立ったまま射撃も可能な対物ライフルで、5~10+1発装填することができ、2秒で6連射できるスグレモノだ。

 

近くの草むらまで距離を詰めて各自自分の持つ銃にサイレンサーをつけ、M14が"いつでも撃てるよ"とウインクで送ってくれたのを確認し、こちらも"狙撃開始"とサムズアップして合図を送る。

するとM14は軽く頷き返し、スコープを覗いた。

そして―――

 

「おやすみなさい」

 

そうM14が小さな声で呟き、警備の男の頭を綺麗にに撃ち抜き、男は物言わぬ骸となった。

それを確認してから廃ビルへと極力音を立てないように進んで、入口の両サイドに別れ、中を確認する。

誰もいないことを確認して静かに突入、クリアリングをしつつ部屋を進んで行った。

 

すると徐々に敵の姿が増え始めたので、視界を遮るようにスモークグレネードを投げ込み、それと共に突撃、敵の殲滅を開始した。

最上階まで殲滅しつつ上り、例の死神の刺繍の入った仲間がいないか探したが、仲間らしき人間の姿がなく、最後の部屋をクリアリングしてもいないことを確認した。

おそらく、元からこの場所にはいなかったのだろう。

 

そう考えながら、屋上への階段を登り、屋上へと出たが、やはりそこには誰もいなかった。

更なる捕縛はできなかったか、そう思い、一瞬気を緩めた時だった。

M500が何か音がしたと言い、隣のビルを見た。

俺もそれに続き見てみると、今まさにこちらを狙撃しようと銃口をこちらに向ける、スナイパーの姿があった。

 

しまった、そう言うよりも先に、その引き金が引かれ―――

 

―――瞬間、俺の体を衝撃が走った。




はたして、叢雲の運命はいかに!
と言ったところで今回は終わりです!
もう少しで1000観覧行きそうで歓喜してます…

よろしければ感想、評価をお願いします!


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第12話

最近よく行ってた場所が心霊スポットだったと知って、
「あの嫌な気配はそういう…」ってなったノアです。
いやぁ、思ってたよりやべー場所でした。

そんなこんなで、今回もごゆっくり見ていってください。


その場に倒れ込み、被害確認をしようと身体を見てみると、俺の身体はスナイパーに撃たれた方向ではなく、全くの違う方向のに倒れ、俺の身体にはキズ1つないことに気づいた。

その事を確認している間にゲパードの手によって撃ってきたスナイパーは排除され、俺の方へと駆け寄って絶句しているのを認知してから、俺は自分のしでかしてしまったことを思い知ることとなった。

 

「ああ…俺はなんてことを…!」

 

そう俺の口から言葉と涙が零れ、その視線の先には―――

 

―――たくさんの血を流し倒れ込む、C96の姿がそこにはあった。

 

「よかっ…た、ジンさんが無事で…」

 

そうC96が呟き、涙で潤んだ目でこちらを見てくる。

この血の量では、早く止めないとたとえ自立人形でも死んでしまうだろう。

 

「もういい、喋るな、今すぐ止血してやるからな…!」

 

そう言い、急いで止血キットを取り出し、急いで傷口へと当て、止血しようと試みる。

しかし、いくら止めようと試みても、止まる気配がなかった。

 

「ちくしょう…!止まってくれよ…!」

 

「ジン…さん、もういいよ…わたし達には代わりがいるから…ね?」

 

「でも…!でも……!」

 

「大丈夫…だから…わたしのメモリーは生きてるから、それから引き継げば記憶は大丈夫…だから、泣かないで…」

 

そう言いながら、C96は泣きじゃくる俺の顔を撫でるように腕を持ち上げてきた。

 

「ごめんよ…本当に…ごめんよ…」

 

「大丈夫ですよ…じゃあ…また…後で…」

 

そう言い、C96は瞼を閉じると、持ち上げていた腕から力が抜け、そのままC96は息絶えてしまった。

 

「ちくしょう…俺が油断しなければ…こんな事には…!」

 

そう言いながら、俺は思いっきり地面を殴り、後悔し続けていると、後ろからM500が、

 

「ジンさんだけのせいじゃないよ…すぐに気づけなかった私たちにも罪はあるよ…」

 

と、フォローしてきてくれた。

 

「いや…俺のせいだ…俺がもう少し反応が早ければ…」

 

「大丈夫ですよ、ジンさん、私たち戦術人形は生き返れますし、なにより元からいつかはこうなるって、覚悟してますから」

 

そう、M14が慰めるように言ってきてくれた。

そしてその言葉にに続いて、

 

「さ、早く帰って新しいボディを用意してあげましょ、大丈夫ですよ、メモリーはC96の言う通り、この位置なら無傷ですから、記憶はそのまま引き継がれますよ」

 

と言ってくれた。

 

「そうだな…早く帰って、新しいボディを用意してやらないとな…」

 

そう言い、俺は血がつくのも顧みず、C96の亡骸を抱き抱え、そのまま降下してきたヘリへと乗り込んだ。

 

―――

――

 

 

「ふう!やっぱり新しいボディはいいですねぇ!」

 

数日後、C96は新しいボディへと記憶を移し変え、体を伸ばしながらそう元気に言った。

 

「…やっぱり、そういうもんなのか?」

 

「そういうもんですよ!やっぱり日頃からメンテナンスがあるとはいえ新品に比べたら違いますからね!」

 

「へぇ…そういうもんなのか」

 

そう言いながら、俺はコーヒーを飲みつつ、C96が戻ってきてくれたことを喜んでいた。

 

「そう言えばジンさん、最近眠れてます?体調悪そうですけど」

 

「…そうか?そうでもないと思うが」

 

「じゃあ気の所為って事にしておきましょう!」

 

「ああ、そうしてくれ」

 

そんな会話をしていると、唐突に出撃サイレンが鳴り、2人して頷きあってから急いで準備し、デストロイヤーに留守番を頼んでからヘリへと乗り込む。

そして、いつものように現場につき、何事もなくヘリボーンすることができた。

 

その後も、特に苦労することなく狙撃班と殲滅班に別れて殲滅することができる―――はずだったのだが…

 

「ストップ、安全確認だ」

 

「またぁ?ジンさん、もうこれで20回目だよ?」

 

「…安全に越したことはない」

 

そう言い、なんとかM500を納得させる。

 

「はーい…後ろ、左右クリア」

 

『こちらM14、周囲に敵影なしだよ』

 

『こちらゲパード…同じく敵影なし』

 

「了解」

 

そう短く返し、再度進撃を再開する。

そして、しばらく進むとテクニカルに乗って逃げようとする、たくさんのテロリストたちの姿があった。

 

「ジンさん!早く追いかけよう!」

 

「いや、待て、こういう時こそ警戒をしっかりとな」

 

そう慎重に射程圏内へと近づこうとしていると、射程圏内に入る前にテロリスト達は離脱していってしまった。

 

「…ジンさん、どうしたの?今日の任務の時のジンさん、何かおかしいよ?」

 

「そんなことは無いさ…ただ偶然が重なっただけだ」

 

「そう…かなぁ…」

 

そう納得のいってないM500や他のみんなを尻目に、俺は帰投のために降下してきたヘリへと乗り込み、そのまま後を追って乗り込んできた皆と共に、帰路に着いた。




投稿してみたら思ったより文字数が少なくてびっくりしてます。
次も早めに書き上げようと思いますのでユルシテ…ユルシテ…

書き直しを上げてたらいつもメモに書いてるナンバリングをそのままにしていたことに気づいた今日この頃(10/17)


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第13話

ノアです。
最近体調が悪くてなかなか書けてませんでした。
投稿遅れてすみません。

では今回もごゆっくり見ていってください。


C96が復活した任務から数日間、絶え間なく任務が発生し、俺達は出撃を繰り返していた。

しかし、毎回攻めそびれ、テロリスト共の逃走を許してしまっていた。

 

そんなある日、今回も逃走を許してしまった任務の後、休憩室で反省会をしていた時だった。

 

「…ジンさん、最近の行動、あれはどういう事なのか説明してもらえますか?」

 

と416に言われ、一瞬答えに詰まってしまう。

その後にも、

 

「今回も今まで通りなら殲滅が簡単にできました、なのに今回も逃走を許してしまってます」

 

と、言ってきた。

 

「それは…」

 

「それはなんですか?逃走を許してしまっているんです、このままだとテロリスト共がまた再軍備してそれ以上の戦力になりかねません」

 

そう言われ、返す言葉が見つからず、黙り込んでしまっていた。

 

「416、言い過ぎだよ…ジンさんにも何か考えがあるんだよ!きっと!ね?ジンさん?」

 

「あるならそう内容を伝えて欲しいものね、今のままじゃただの負け犬部隊よ」

 

「…すまない」

 

「謝るってことは考えすらないという事でいいかしら?ならなんのために戦っているのかしら?」

 

「それは…」

 

そう言い淀んでいると、ついに、

 

「それは何よ!もう私は今みたいなジンさんのままじゃ嫌なのよ!言いたいことがあるならしっかりと言いなさいよ!」

 

と怒られてしまった。

 

「…怖いんだ」

 

「…何がよ」

 

「仲間を、失うことが…怖いんだよ…もう、俺は家族を失いたくないんだよ…!」

 

そう明かした時、視界が歪み、目から大粒の涙が溢れてきているのが、嫌な程にわかった。

…やっぱり、俺は負け犬なのかもしれない。

 

「…なんだ、そんな事だったの」

 

「…そんな事ってなんだよ、416、俺はもう嫌なんだよ、もう二度と、家族を失いたくないんだよ!」

 

「…私たちは、そう簡単に死なないわよ、もしかして、そんな信頼もなかったのかしら?」

 

「そうだよジンさん!私たちは死なないよ!ジンさんが死ぬまで、ずーっと一緒!」

 

「そうですよ!M14も416やM500と同じです!そう簡単には死んであげませんよ!」

 

「うん…ワタシも、ダラダラできる日が来るまで、死ぬ気は無いよ」

 

「だねー、あたしも、訓練しなくて済む世界になるまで、死ぬ気はないかなぁ…まだまだスコーピオンを撃ってあたしの使ってるスコーピオンの良さも知らしめたいしね」

 

「わたしも、1回は死んじゃいましたけど…もう死んであげる気はありませんからね!」

 

「あたしも、まだ実戦経験はないけれど、戦場に出るからには皆の役に立って、死ぬ時はみんなと平和な世界で死にたいから!」

 

「あたいもそう簡単に撃墜される気はないよ、ね?ニコ?」

 

「そうだね、姉さん、いつか平和な空を皆で飛べるその日まで…ボクも死ぬ気はないよ」

 

「みんな…信じていいのか?本当に、俺の前からいなくなったりしないか…?」

 

「「「「「「「「「もちろん!」」」」」」」」」

 

そう言われ、さらに涙腺が崩壊していまう。

…本当に、いい仲間―――家族を持ったものだ。

 

「ありがとう、みんな、ありがとう……!」

 

「いいのいいの!さ、死なないためにも訓練しよっか!」

 

「そうね、そうしましょう…それとジンさん、さっきはジンさんの気持ちもわからずに責めてしまってごめんなさい…」

 

「いいんだよ、おかげで目が覚めた」

 

そう言いながら、416の頭をつい撫でてしまう。

しかし、その時ばかりはいつもは嫌がっていた416も、大人しく撫でられていた。

本人なりに、罪悪感を感じているのだろう。

 

「さて、頑張るぞぉ!えい、えい、おー!」

 

「「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」」

 

そう皆で団結し、再度進んでいこうとしていると、M500だけ顔を青ざめていた。

 

「…どうした?M500」

 

「ひ、1人…い、今の掛け声多くなかった…?」

 

「…えっ」

 

そう絶句していると、こちらを見ていたデストロイヤーの顔が青ざめ始める。

何事かと首をかしげていると、こちらに指をさして、

 

「じ、ジンさん…後ろ…」

 

と言ってきた。

 

「…後ろ?」

 

なんのことやらと思いつつ、後ろを振り向いてみると、そこには―――

 

「こ、こんにちは…」

 

どこか見覚えのある、黒いロングヘアの少女が、空中に浮いていた。

 

「こ、こんにちは…?君は一体…?」

 

「えーと…その…ごめんなさい!」

 

そう少女は謝罪したかと思うと、さっきまで浮遊していた場所から瞬きの一瞬で跡形もなく消えていた。

 

「…消えたね」

 

俺がそう言うと、

 

「ま、まさか幽霊…?」

 

と416が1人であわあわとしていた。

ははーん、クールだけどこういうの苦手系か。

 

「って事は、前にここに初めて来た時の物音って…?」

 

そうM500が青ざめたかと思うと、今度は、

 

「そ、それはデストロイヤーだよ…ね?ね?」

 

と、スコーピオンまで青ざめてきていた。

 

「あ、あたしは前の時物音は立ててないわよ!ずっとこっそりとしてたもん!」

 

そうデストロイヤーが言うと、他のみんなも顔を青くして震えていた。

ははーん、みんな苦手か。

そんなことを考えていると、M500に

 

「さ、さっきからジンさん普通にしてるけど平気…なの?」

 

と言われた。

 

「俺?俺かぁ…ホラーなのは勘弁な」

 

「幽霊って基本ホラーなんじゃ…」

 

「…確かになぁ」

 

そう言われ、俺も少し怖くなってくる。

この時点で少しという事は俺は幽霊は大丈夫なのだろうか。

…いや、ホラー無理だし無理かもしれない。

そもそも俺は…

 

「幽霊って銃弾効かないよなぁ…なら無理かも…」

 

そう呟くと、近くにいた416に、

 

「…ジンさんって、殺せないものは怖いみたいな考えあるんですか?」

 

と言われた。

 

「かもねぇ」

 

「じゃあさー、ジンさん、ゾンビとかはどうなの?」

 

「ゾンビかぁ…大群で来られたら怖いかなぁ、1対1で武器があるならまだいける」

 

「じゃあE.L.I.D.はどうなんですか?」

 

「大型で弾はじくようなのはビビるけどへーき」

 

「見た目ゾンビなのに…?」

 

「うん」

 

そう言うと、みんなに"何が違うの…?"という顔でこっちを見られた。

いつの間にか幽霊の話じゃなくて俺の話になってる気がするが気にしないでおこう。

掘り返したらまためんどくさくなる。

 

「さ、そんなことより訓練しようぜ、いつ出撃になるかわからねぇしさ」

 

「そうだねー、ジンさんも復活した事だし、今回は本格的に行ってみない?」

 

「いいぞ、復活と言われても体のだるさは抜けないけどな…」

 

そう言いながら肩や首を回していると、416に、

 

「あら、そんなので私たちを守れるのかしら?」

 

と微笑みながら言われた。

 

「やる時はやるさ、体のだるさなんて言い訳にもならないからな」

 

「そう来なくっちゃ!さ、訓練いこ、ジンさん!」

 

「ああ!」

 

そう言い、俺達は各自準備を始め、訓練区域へと向かった。




終わるのが久々に書いたからか下手なのがさらに下手に…(´・ω・`)
次回もごゆっくり待っていてください。

あ、そうだ、待っている間にでも現在2話まで投稿してある『猫な彼女と傭兵と』もよろしくお願いします。
こっちが一段落着いたら"ねこかの"も更新したいとおもってます。


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第14話

どうも、ノアです。
ミリタリーケイデンスいいですよねミリタリーケイデンス。

では今回もごゆっくり、見ていってください。


訓練が終わり、俺たちは運動後のクールダウンをするためにミリタリーケイデンスを各自適当なリズムに合わせて走ることになった。

 

「じゃあ最初私から行きますよー!」

 

そうM14がいい、俺達はランニングを開始した。

 

「I do not need other girls anymore!(訳:ほかの女の子はもういらない!」

 

 

そう某映画でも使われた海兵隊のケイデンスのリズムに合わせ、そうM14が歌い、それに続きみんなで歌う。

歌詞がおかしいのはツッこんでは行けないだろう、うん。

 

「I just want my M14!(訳:俺の彼女はM14!」

 

「I just want m…ちょっと待てぇ!」

 

「えー?なんですか?」

 

「…それの訳言ってみ?」

 

「"俺の彼女はM14!"ですね、それがどうかしました?」

 

「…その前の歌詞と合わさりお前のことにしか聞こえないんだけど」

 

「くそう、バレちゃいましたか!」

 

「バレるわアホゥ!」

 

そんな会話を歩きながらしていると、今度はスコーピオンがやると言い始めた。

まあスコーピオンなら大丈夫だろうと思い、再度リズムを取りながら走り、スコーピオンが歌うタイミングになった。

 

「I do not need ordinary SMG anymore!(訳:もう普通のSMGはいらない!」

 

そうスコーピオンが歌い、嫌な予感をしつつも続いて歌う。

そして次の言葉を待っていると、

 

「My girlfriend is a scorpion!(訳:私の彼女はスコーピオン!」

 

と歌った。

 

「ちょっと待とうか、スコーピオン」

 

「えー?どうしたのジンさん?」

 

「君の名は?」

 

「スコーピオンだよー?」

 

「言い方変えただけで自分の事言わすように歌ってないか?」

 

「ちぇー…バレたかー…」

 

「バレるわい、それぞれに固有名あるならまだしもさぁ…」

 

そう言うと、スコーピオンはにししと笑いながら、

 

「なら、あたし達に名前つけてくれてもいいんだよー?」

 

と言ってきた。

 

「…まだ早いよ、もう少し待ってくれ」

 

「ちぇー…けちー」

 

そうスコーピオンは頬を膨らまし、ふてくされていた。

なんか悪い気分になるがそもそも歌詞が歌詞なのだから仕方ないと自分に言い聞かす。

そんなことを考えながら歩いていると、今度はM500が歌うらしいので、もう諦めてそのまま歌ってもらうことにした。

また歌うまでのリズムを取りながら走り、M500が歌う番になった。

 

「Shotgun shotgun shotgun ♪(訳:ショットガン、ショットガン、ショットガン♪」

 

お、今度は大丈夫そうだと思いながらそれに続いて歌い、次の歌詞を待つ。

すると、

 

「Everybody loves shotgun ♪(訳:みんなも大好きショットガン♪」

 

と歌ったので一安心しつつ、またそれに続いて歌い、さらに歌詞を待つと、次は、

 

「Gin's girlfriend M500(訳:ジンさんの彼女、M500」

 

と、個人を指名した隠す気すらない歌詞が出てきて、思わず吹き出してしまう。

 

「ちょっと待て、3つ目でならそういうことを言っていいって訳じゃない」

 

「えー?そんなぁ…じゃあジンさんは私とそういう関係は嫌なんですか?」

 

「いや、そういう事じゃ…」

 

「じゃあいいですよね!ね!」

 

そうキラキラした目で見られ、思わず固まってしまう。

これは…アレか、告白ってやつになるのか?

そう考えてしまい、テンパっていると、416が見てられないといった風の態度をとりながら、

 

「こらM500、ジンさん困ってるでしょ」

 

と、助け舟を出してくれた。

 

「ぶー…じゃあ416はジンさんが今誰好きか気にならないの?」

 

「うっ…それは…気になるけど…」

 

…あっ、これは逃げ道ないやつだ、そう本能で悟り、半ば諦めの境地に達していると、唐突にサイレンが鳴り響き、それを追うようにヘリのローターが回る音がかき消す。

いつもならタイミングが悪いと思う出撃のサイレンだが、今回ばかりは助かった、そう思いながら、みんなと顔を見合わせて頷きあい、急いで訓練区域に設けられた準備スペースへと走り、5.56mm弾や12ゲージショットシェル、グレネードなどを棚から取り、雑に仮のケースへと突っ込む。

そしてヘリへと走り、乗り込んでからマガジンや銃へと装填する。

デストロイヤーにはドアガンナーを頼むことになった。

 

…あの時から初めての実戦だ。

緊張していないと言えば嘘になる。

だが、今度こそは守ると決めたのだ。

 

「…むしろ、守られてたのは俺の方なのかもしれないな」

 

そうポツリと呟き、ヘリの中で急いで準備をする、みんなの姿を見る。

 

「ん?ジンさん、何か言った?」

 

「なんでもないよ、さ、そろそろ降下地点だ、張り切っていくぞ!」

 

「「「「「「「了解!」」」」」」」

 

そうみんなから返事が帰ってきたのを確認し、デストロイヤーに指示してドアガンをぶっぱなしてもらう。

デストロイヤーにとって初めての実戦だが、落ち着いて撃てているようで何よりだ。

 

「デストロイヤー、大丈夫そうか?」

 

「うん、大丈夫!なかなか当たらないけれど…」

 

「大丈夫だ、当てれなくても追い払ってくれたらいいさ」

 

「わかった!」

 

そう言葉を聞いてから、俺たちも降下準備を始める。

しばらくして、ドアガンを1ベルト分撃ち切ったところで、空いているところに降下を始めた。

 

降りてすぐにクリアリングをして遮蔽物へ張り付き、こっちに突撃してきているテロリストに向かってグレネードやライフルグレネードを使い、迎撃する。

その撃ち漏らしを少ない弾数で仕留め、早くも撤退を開始しているテロリストへと進撃を開始した。

 

途中で狙撃班と別れ、背を向けて逃げるテロリストを的確に潰していく。

前までの俺なら、ここで攻めあぐねて逃げ切られそうに既になっていただろう。

だが、今は違う。

みんなで、お互いを支え合いながら、この危険な戦場を戦い抜いているのだ。

前までとは違う、さらなる絆で。

 

「よし、このまま攻めきるぞ!」

 

そう無線で伝え、みんなの了解という言葉が帰って来てから、俺たちは最後の仕上げに取り掛かった。

 

しばらくすると、ヘリにいるデストロイヤーから無線で、

 

『もう1ベルト使い切っちゃった!どうやって装填するの!?』

 

と、聞いてきた。

 

「もう後は上空から偵察してくれるだけでいいよ、射撃お疲れ様」

 

『わかった!気をつけてね!』

 

「了解」

 

そうやり取りを終えると、気を取り直して逃げようとするテロリスト達へと射撃を再開した。

しばらく射撃していると、ゲパードの撃った徹甲弾が火種となったのか、はたまた切れたコードからの火花が火種となったのか、テロリストが沢山乗っていたテクニカルが大爆発を起こした。

その近くにあったテクニカルも燃料タンクに穴が空いていたのか、連鎖的に爆発を起こし、それに弾薬も誘爆し、爆発で敵を殲滅し終わるという結果になった。

 

「爆発したのはいいけど…腕とか散らばるの何とかなんねぇかなぁ」

 

そう爆発した近くへと行き、全員の死亡を確認する。

その後に本部へと連絡し、いつも通り後始末を頼み、俺たちはヘリへと乗り込んで帰投して行った。




英語は翻訳アプリ使いました。
英語苦手なんです…(´・ω・`)

…あとフルメタル・ジャケットも見たいですけど見たことないです()
ではまた次回、お会いしましょう。
評価、コメントの方、よろしければお願いします。


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第15話

ノアです。
2019/8/24に改訂版を出して前書き編集も必要でつらい今日この頃です。
ではごゆっくり、見ていってください。


あの任務の後、俺たちはヘリに揺られながら、特に何事もなく帰り、その日は寝るまで自由に過ごすことにした。

そこまではいいのだが、みんなラフな格好になったので、視線をどこに置けばいいのかわからなくなっていた。

どうしようかと悩んでいると、静かな空間がいやだったのか、C96がある疑問を出してきた。

 

「そういえば、なんであの時ジンさん判断が遅くなっちゃってたんですか?」

 

「…なんでだろうな」

 

そう言い、あの日のことを思い出す。

しかし、特にこれと言って理由は思いつかなかった。

 

「あ!そういえばあの日、ジンさん体調悪そうでしたよね?ね?」

 

「あー、たしかになんか言ってたっけな、確かに体はだるかったが…今もだるいけど」

 

そう言って2人で会話していると、他のみんなもその事が気になったのか、他のところに座ってゆっくりしていたみんなも集まってきて、みんなでその話をすることになった。

 

「ジンさん、あの日の前とかなんか変わったことなかったですか?」

 

そうM14に聞かれ、あの日の周辺に起きた事を思い出す。

 

「…あのこの前の謎の女の子に風呂場で会ったな」

 

そう言うと、みんなして顔を青ざめさせ、怯えるように震え始めた。

 

「ま、まさか…取り憑かれたんじゃ…」

 

「…悪霊とかならともかく、悪い霊じゃなかったら体調に変化ないんじゃないのか?…知らんけど」

 

「でもそれ以外に理由が思いつかないんですけど…」

 

そう言われ、確かにそうかもしれないと思ってしまう。

…ま、まさかそんな事ないよね?

そんな事を思っていると、M500が心配そうにこちらを見て、

 

「ジンさんどうしたんですか?顔青ざめさせて…体調でも悪いんですか?」

 

と言ってきた。

 

「だ、大丈夫だ、問題ない」

 

「本当ですか?無理そうなら言ってくださいね」

 

そう言われ、自分も怖いだろうに他人の気遣いができるとは、本当にうちの隊員は優しい子だらけだなぁと改めて思った。

その話の後は適当にみんなで色々な事―――例えば、今度の休暇の話などを話し、晩御飯を食べて風呂に入ることになった。

 

「えぇー?今日もジンさん一緒に入ってくれないんですか?」

 

そう1人でみんなの後に入ろうとしていると、M500がそう言ってきた。

 

「まだ覚悟ができてないんだよ…」

 

そう言うと、M500は頬を膨らませながら、

 

「別に覚悟なんて後でもいいじゃないですか!」

 

と言ってきた。

 

「男には男の理由があるんだよ!察してくれ!」

 

 

「…ふーん…しっかり私たちの事を女の子として見てくれてるんですね」

 

「…何がだよ」

 

そう不機嫌気味に言い返すと、今度はニヤニヤとした表情を浮かべ、

 

「一緒に入ると下半身が…ですよね?ジンさーん?」

 

と言ってきた。

 

「うるせぇ!俺先に入るからな!」

 

「ふふっ、ごゆっくり〜」

 

若干顔が熱くなっているのを感じつつ、俺は1人で風呂場へと向かった。

脱衣場のカゴに換えの服を置き、着ていた服を脱いで浴室へと向かう。

ドアを開けて入ろうとすると、前回と同じように、黒いロングヘアの女の子が、前回と同じように必死に両手で前を隠していた。

 

「すいません!すぐ出ま……ってちょっと待って?」

 

そう言い、タオルを手に持ち、大事なとこを隠しつつ、もう片手でその場にいることだけが確認できるように足だけ見えるようにしつつ目を覆う。

 

「これでよし…と、質問いいかな?」

 

「…やっぱり、見えるんですね、わたしの事…」

 

「…へ?」

 

その言葉を聞いた途端、一瞬背筋がゾワッとするのを感じ、まさかと思いつつ、次の言葉を待った。

 

「…わたし、幽霊みたいなんです」

 

そういう言葉を聞いた途端、一瞬で意識が飛び、俺は床へと倒れ込んでいた。

 

「ち、ち、ちょっと!?大丈夫ですか!?」

 

そう言いながら女の子が走ってくるのを感じながら、辛うじて強打しなかった頭を抑えつつ、起き上がろうとする。

そしてその前には…

 

「よかった…無事みたいですね」

 

そう言い、完全に色々と見えてしまっている安心しきっている女の子の姿が、そこにはあった。

現実に起きていることがわからず、そのまま固まってしまっていると、

 

「…何見てるんですか!」

 

と言って女の子がビンタを食らわしてきた。

 

「いってぇ!?…ごめん!フリーズしてた!」

 

「わざとじゃないんですか!わざとですよね!?」

 

「わざとじゃないって!現実に追いつけないんだって!」

 

「…じゃあその下半身のモノはなんなんですか」

 

そう女の子が顔を赤くしつつ目を覆ってチラチラ見てきてるのを見て、その言葉の意味に嫌という程気づいてしまう。

 

「こ、これは生理現象と言うやつで…」

 

「うう…早く隠してください…」

 

「…はい」

 

そう言いながら、持っていたタオルを腰に巻き、改めてその女の子の姿を見ようと顔を上げると、

 

「何見てるんですかぁ!」

 

と、またビンタをされた。

 

「理不尽!?」

 

「…もう、今回はわたしも心を決めてあなたと話をしようと思ってたのに…あんまりです」

 

「じゃあタオルで前隠すとかさ…」

 

「持ってるわけないじゃないですか!…もう、脱衣場で待ってますからね」

 

そう女の子は言い、ドアを文字通りすり抜けて、脱衣場へと向かった。

 

そのまま現状把握もままならないまま混乱しつつ風呂に入り、念の為前を隠しながら脱衣場へと向かった。

脱衣場へと入ると、白いワンピースをその身にまとった、女の子の姿があった。

 

「…長かったですね、ナニしてたんですか?」

 

「何もしてないよ…後ろ向いてて」

 

「変なことしたら呪いますからね」

 

「しないって…」

 

そう言い、体を拭いて服を着る。

着替え終わってから、「こっち向いていいよ」と言い、改めて女の子の姿を見る。

改めて見ると、日本人のように見えていたが、眼も濃い茶色で、顔の彫りも若干だが日本人より深く、少しハーフのような見た目をしていた。

 

「…じゃあ、名前から教えて貰ってもいいかな?」

 

「うん、わたしはエルンスト・コック、18歳です」

 

「えっ、18?」

 

そう言い、改めて女の子の姿をまじまじと見てみる。

しかし、どう見ても13やその辺の女の子にしか見えない身長と幼い顔つきだった。

 

「もう、やっぱり18に見られないかぁ…」

 

そう言い、コックと名乗った女の子は不貞腐れるかのように頬をふくらました。

 

「ごめんよ、でも可愛いから大丈夫だって」

 

「かわっ!?…もう、なんてこと言うのよ…ありがとうございます」

 

思っていたことをそのまま伝えると、コックは顔を赤く染め、目線を逸らした。

 

「さて、俺も自己紹介しようか、俺は叢雲 仁、歳は19だ、よろしく」

 

そう言って、そのまま握手しようと手を出す。

すると、

 

「幽霊相手に握手しようだなんて…変にお人好しなのかもしれないですね、よろしくお願いします、ジンさん」

 

と言って、コックからも握手をしてくれた。

…今思ったがなんでこの子は質量があるのだろう。

幽霊って質量のある存在だったのだろうか。

 

「さて、お互いに友達になれたことだし、みんなの所に行かないか?どうせなら紹介したいし」

 

「そ、それはダメです!」

 

そうコックは言うと、顔を赤くしつつ両手を前に出して拒絶してきた。

 

「…どうしたんだ?」

 

「わたし、恥ずかしがりで…さすがにほかの皆さんに会うのは恥ずかしいっていうか…」

 

「なら無理にとは言わないよ、また今度でいいさ」

 

「はい…よかった…ジンさんがわたしの思ってたように優しい人で…」

 

「へ?俺のこと知ってたの?」

 

そう聞くと、コックは弾けるような笑顔で、

 

「はい!"取り憑いて"ましたから!だからこの人になら姿見せてもいいな、って思って出てきましたし…」

 

と言ってきた。

 

…えっ、今この子取り憑いてたって言った?

そう思い、そのままフリーズしてしまう。

 

「…?どうしました?」

 

「え、いや、コック、君さ、俺に取り憑いてたって言った?」

 

「はい、言いましたよ?」

 

「…まさかとは思うけどあの時判断が遅れたのって」

 

「はい…わたしのせい、だと思います…ごめんなさい……」

 

そう言い、コックはさっきの笑顔とは打って変わって、泣きそうな顔になってしまった。

 

「泣かないでくれよ、俺はもう大丈夫だからさ、C96もきっと許してくれるって」

 

「でも、わたしのせいで大切なお仲間さんが…」

 

「俺に取り憑いてたなら知ってると思うけど、しっかりと元に戻って生き返ってくれてる、心配しなくていいさ」

 

「でも、でもジンさんやC96さんを苦しませてしまったのは変わりようのない事実で…わたし、それが申し訳なくて…!」

 

そう言って、コックは泣き出してしまった。

 

「大丈夫だよ、むしろコックのおかげで大切なものに気づけたから」

 

そう言い、コックを抱きしめてやる。

抱きしめて初めて、体温の感じないコックはやはりこの世の人ではない…そう感じた。

 

「ごめんなさい…本当に、ごめんなさい…」

 

「大丈夫、ほら、泣いてたら可愛い顔が台無しだよ」

 

そう言い、涙を拭いてやる。

やはり幽霊なのは変わりないが、その涙だけは本物のようだった。

生前から、心優しい少女だったのだろう。

 

「ありがとうございます…でも、このまま取り憑いてたらもしかしたらまた、同じことが…」

 

「…宝石とかの類を依り代に、って、できないかな?」

 

「…へ?」

 

「ほら、物理的に触れれるほど霊的に力が強いならさ、それくらいできるかなって」

 

そう、1つの仮説を提案してみる。

特にコックの口からはまだ言ってきてはいないが、恐らくまだこの世に残っていたいのだろう、そう思ったからである。

 

「…わかりました、やってみます」

 

「わかった、じゃあ今晩、俺が自室にいるときにでも出てきてよ、天然石のネックレスが確かあったはずだから探しとくからさ」

 

「わかりました、では今晩、またお邪魔しますね」

 

そう言うと、コックの姿はは煙のようになり、その場からいなくなった。

 

「さて、みんなの所に戻るか、遅くなっちまった」

 

そう言い、みんなの待つ休憩室へと向かい、風呂から上がったことを伝える。

するとM500が、

 

「遅かったですね、もしかして…ナニしてました?」

 

「しーてーまーせーんー!」

 

「いいんですよ?私たちは"家族"なんですから、ねぇジンさん?」

 

「今朝つい言っちまった『家族』ってワード覚えないでくれよ!恥ずかしいじゃねぇか!」

 

そうみんなでわーわーとはしゃいでいると、唐突にM500が大人しくなり、

 

「でもねジンさん、みんな、ジンさんに家族って思われてて、嬉しかったんだよ」

 

「…そう…なのか?」

 

そう聞くと、みんな揃って「うん!」と返事をしてくれた。

嬉しさのあまり涙が出そうになるが今はぐっと堪え、短く「ありがとう」と呟く。

その後はみんな揃って風呂に入りに行き、休憩室には俺が残るだけとなった。

 

暇になったので現在の貯金残高を見たり、欲しいものの値段を見たりしていると、指揮官から一通のメールが届いた。

 

「なになに…?『近々3名増員予定、準備頼むわ、詳細はまた送る』…はぁ、今送ってくれてもいいんだけどな」

 

そう1人でぶつぶつ言いながら返信をし、ひとまず空き部屋の準備をする事にした。

準備をしているとみんなが上がってきたので、軽くまた雑談をしてから、自室へと戻って行った。




いやぁ、最近ネタが思いつかなくてですね…
更新遅くなりがちですみません。
あと、15話(現16話)を投稿したら『猫な彼女と傭兵と』を1話書こうと思ってますので、更新が遅れると思います。
あらかじめご了承ください。


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第16話

どうも、ノアです。
16話目となりました…
早いものですね…

では今回もごゆっくり、見ていってください。


その日の夜、俺はみんなが自分の部屋に戻って行ったのを確認してから、俺は1人、自室の机に着いた引き出しからネックレスを探していた。

 

「おお、あったあった、ヘマタイトのネックレス…懐かしいな」

 

そう言いながら机の引き出しからネックレスを取り出し、コックが現れるのを待つ。

しばらくすると、瞬きの一瞬で目の前に見覚えのある黒髪に白いワンピースの少女の姿が現れた。

 

「…どうも、言われた通り来てみました」

 

「…って言っても俺の体から出ただけだったり?」

 

「えへへ…その通りです」

 

そんなやり取りを交わし、ヘマタイトのネックレスを部屋の机へと置き、それを囲むように2人で座った。

 

「ヘマタイトのネックレス…ですか」

 

「うん、部隊設立当初にさ、とある人から貰ったんだ、『勝負のお守りにもなるしジンの意志を強くする!ジンが本来のキミに戻れますように』って言ってな」

 

「『キミが本来のジンに戻れますように』…ってどういう意味ですか?」

 

そう言われ、当時の自分を思い浮かべる。

 

「あの時はなぁ…簡単に言うと、『ココロが壊れてた』んだろうなぁ…人を殺そうが何をしようが、何も思わないし感じなかった、ただ自律人形よりも昔のただ単調な動きだけをする機械みたいに活動してたしね」

 

「どうして…そんな事に?だって今のジンさんは優しい、いい人じゃないですか」

 

「テロリストに目の前で親を殺されたんだよ、見せしめのようにね、そこからヤツらに復讐するためかな…グリフィンに入ってただひたすらにテロリストを殺してた、そして気づいたらみんなと出会ってた、そこからかな、変われたのは」

 

「すみません…辛い過去を…」

 

そう言って、コックは申し訳なさそうに俯いた。

 

「いいんだよ、むしろあのことがなければ俺は今ここでみんなとわいわいしてないさ、それに…夢もできた」

 

「夢…?」

 

「うん、夢。叶うその時がきたら、コックにも教えてあげるよ、もう少しなんだ、叶うまで」

 

「わかりました、じゃあ、その時まで楽しみに待ってますね!」

 

「そうしてくれ」

 

そう言い、軽く笑い合ってから、脱線していた本来の目的へと話を戻した。

 

「さて…大丈夫そうかな?」

 

「…やってみます」

 

コックはそう言うと、短く深呼吸し、石の上に手をかざした。

その瞬間、軽くコックの身体が光ったかと思うと、その姿が跡形もなく消え、そこには俺とネックレスだけが残った。

ネックレスについたヘマタイトを見てみると、微かに色が変わっている…ように見えた。

 

「これはできた…のかな?」

 

そう呟くと、また瞬きの一瞬でコックの姿が先程と同じ場所に現れ、満面の笑みをこちらに向けてきた。

 

「大丈夫そうか?」

 

「はい!おかげさまでまだこの世にいれそうです!」

 

「そうか、よかった…なあコック、嫌なら答えなくてもいいんだけどさ、なんでそんなにこの世に残りたいんだ?…いや、別に嫌って訳じゃないんだけどさ、気になって」

 

「そう…ですね、どちらかと言うとこの世に未練はありません、でも、友達をまだこの世に残してて」

 

「…友達?」

 

そう聞くと、どこか嬉しそうに、

 

「はい、わたしの住んでた街の外れに1人住んでる女の子なんですけど、どこか放っておけなくて…つい」

 

「そうか…コックがもう死んじまってるのはその子は知ってるのか?」

 

「いえ、知らないと思います、いきなり襲撃されて死んじゃいましたし、なにより今もたまに顔見せに言ってますし」

 

「襲撃されて…?E.L.I.Dか?」

 

「いえ、テロリストです。この建物の近くの小さな街に住んでたんですけど…その時に襲撃に会っちゃって」

 

そう辛いであろう過去を無理して少し明るく言ってくれて、少し申し訳なくなる。

そして、その外れに住んでた女の子は外れに住んでいるということで難を逃れたのだろう。

なんにせよ、悲しい話なのには変わりない。

 

「そうか、すまない、辛い過去を…」

 

「ううん、いいんです、これが運命だって割り切れてますから」

 

「そうか…そういえばなんだが、その子は今、何をしてるんだ?」

 

「そうですね…私がその子を知った時からずっと、誰かを待ってる感じでした」

 

「誰かを待ってる…ずっと1人で?」

 

そう言うと、コックは軽く頷いてから、

 

「わたしがたまたま家を見つけただけで、周りの人通りはなさそうでしたし」

 

「そうか…年齢はいくつくらいなんだ?」

 

「わからないですけど…多分わたしと同じくらい…ですかね」

 

「18くらいの女の子が…1人で誰かを待ってる…か」

 

そう呟いた時、あるひとつの提案が浮かんだ。

 

「なぁ、1度俺もその子の家に行ってもいいか?」

 

「へ?なんでですか?」

 

「その待ち人の情報だけでも知って、少しでも協力できたらな…と思ってな」

 

「でも、ジンさんは仕事で忙しいんじゃ…」

 

「俺はグリフィン所属の傭兵だ、人探しをしてる部署があるって聞いたことあるし、そこに掛け合ってみるよ」

 

「でも、民間軍事会社がわざわざ個人を捜索してくれますかね?」

 

「知ってるか?この辺はコーラップス…崩壊液の汚染区域に近いんだぜ?そんな地域なら流石に動いてくれるさ」

 

「そう…ですかね?」

 

「根拠はない!…だが、賭けてみる価値はある」

 

「…わかりました、じゃあ今度のジンさんの休みの時に行きましょうか」

 

「じゃあ明日だな、じゃあ今日はもう寝ようか」

 

「ええ!?いきなり過ぎますよぉ!」

 

「善は急げって言うだろ?それに本当に明日は休みだしな」

 

「はぁ…わかりました、では明日案内しますね、でも皆さんにはなんて言うんですか?」

 

「近くの街に買い物行ってくる…とか?」

 

「はぁ…それで皆さん納得してくれますかね?」

 

「多分?それにみんな休暇は家でゆっくりするしな、買い物くらいなら着いてこないだろう、じゃ、おやすみ」

 

「わかりました、おやすみなさい」

 

そうやり取りを交わし、ヘマタイトのネックレスを首にかけてから、俺は布団に潜り、眠りについた。

 

 

次の日、なんとかみんなを上手く誤魔化して、車を出して走らせていると、いつの間にか助手席にコックが座っていた。

そのまま道案内を任せ、5分足らずで人知れず建つ、小さな一軒家へと着く事が出来た。

 

「…ここか?」

 

「うん、ここです、わたしが先に行ってきますね」

 

そうコックは言うと、家の方まで走り出し、インターホンを鳴らして、家の主が出てくるのを待ち始めた。

しばらくすると、ガチャとドアの開く音と共に、1人の黒い髪をポニーテールにした、ホットパンツに白いTシャツを来た女の子が出てきた。

 

「あっ、コックじゃん!元気だった?」

 

「うん!ソラも元気だった?」

 

そう元気に2人は挨拶を交わし、年頃の女の子のようにそのまま会話を続けた。

 

…あれ?忘れられてる?

そう思っていると、コックが思い出したかのようにこちらを向いて、俺の事を手招きで呼んだので、俺も近くへと行く。

 

「この人誰?コックの彼氏さん?」

 

そう女の子はこちらを見るなり言ってきたので、俺はいきなりの事に吹いてしまう。

コックは顔を真っ赤にして両手を使って否定していた。

 

「ち、違うよ!ちょっとした知り合いの先輩でね、たまたま話してたらソラの待ち人探しを手伝ってくれるって言うから連れてきたんだ」

 

「ああ…あのコックが信頼してるってことは言っても大丈夫…かなぁ…」

 

そう女の子は1人でボソッと言うと、こちらを向いて明るい笑顔をしながら、

 

「初めまして、私はソラって言います、よろしくお願いするね」

 

と、自己紹介してきた。

 

「初めまして、俺は叢雲 仁だ、好きに呼んでくれ…いきなり来てすまないね」

 

「ううん、全くって言っていいほど人来ないから別に気にしてないよ、そのお客さんがコックの彼氏さんなら尚更ね」

 

そうソラはいたずらっぽい笑みを浮かべ、俺の隣にいたコックへと視線を向けた。

 

「だーかーらー!ジンさんはわたしの彼氏じゃなーい!」

 

「顔真っ赤だから信ぴょう性ないよーだ!ささ、立ち話もなんだし、二人とも上がってよ!」

 

そう言われ、お邪魔しますといい、ソラの家へと上がる。

中は一人暮らしとは思えないほど整っていて、どこかしら何かの準備をしているようにも思えた。

 

「さて…と、コック、私の待ち人の話を2人だけでしたいからここで待っててね、えーと、ジンさん…だっけ?こっち来て」

 

そう手招きされるまま、地下へと繋がった暗い階段を降りて行く。

降り切った先に、1つの無機質な鉄のドアが現れ、その中へとソラは入っていった。

 

後を追うように中へと入り、暗闇からいきなり電気がつき、辺りが見回せるようになるとそこには―――

 

巨大なポッドや様々な機材が置かれていた。




どうでしたでしょうか?
良ければ感想などよろしくお願いします。

あ、あとしばらくもうひとつ投稿してる方を1話書く予定なので、こちらの次回は少し遅くなりそうです。
ご了承ください。


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第17話

すみません、投稿遅れてました。
同じ日に『猫な彼女と傭兵と』も更新しましたので、よろしければそっちの方も見て評価、コメント頂ければ作者が歓喜のあまりバジリスクタイムします。

では今回もごゆっくり、見ていってください。


「何だこの部屋は…?」

 

そう部屋を入る前の家とこの場所の変わりように驚き、思わずそういう声が漏れてしまう。

すると、ソラが苦笑いしなから、

 

「まあ…普通そういう反応になるよね」

 

と言って、近くにあった無地の白いベッドに腰掛け、隣に座るように催促してきた。

促されるまま、俺も隣に腰掛けると、なにか緊張しているかのようにソラは深呼吸し、意を決したようにこちらを向いてきた。

 

「あのね、ジンさん、コックには言わないで欲しいんだけど、私の待ち人…その人は私のお父さんなんだけど、多分…ううん、きっともう死んでるんだ」

 

「死んでる…?一体どうして?」

 

そう聞くと、コンクリート固めの白い天井を仰ぎみて、

 

「私のお父さん…私を"作ってくれた"人は、IOPの技術者だったんだ、でも…その技術力の高さから周りに恐れられていたの、でも、もう5年前から帰ってこないんだ、多分、IOPに向かった日にあった事故に巻き込まれたんだと思う」

 

そうソラが言ったことに対して、ひとつのことが引っかかった。

 

「そうか…ってん?ソラを…作った?」

 

「そ、このこともコックには秘密にして欲しいんだけど、私人間じゃなくって、一般的に言う自律人形なんだ」

 

「そうなのか…当たり前のように人間だと思ってたよ」

 

「ありがとう、お父さんもそれを聞くときっと喜ぶよ…でね、ここからが本題」

 

そう言い、ソラは真剣な表情を浮かべた。

それに応えるように、俺も真剣に聞こうと、ソラへと目線を合わせる。

 

「私ね、そろそろ壊れちゃうの、理由は…人間でいう寿命…かな」

 

と、少し悲しそうにしながらも、少しはにかみながら、そう言ってきた。

 

「…何とかならないのか?自律人形ならバックアップを取って新しいボディに切り替えることだって―――」

 

そこまで言って、俺はひとつのことに気づいた。

 

「……そうか、個人のハンドメイドだから換えのボディがないのか」

 

「うん、そうなんだ、本来なら他の自律人形のみんなと同じく、ボディもアップグレードされたりして、換えのボディをお父さんが作ってくれるはずだったの」

 

「でも、死んじまった…か」

 

「…うん、そういうこと」

 

そう言い、ソラは俯き、自分の手を見つめ始めた。

 

「そろそろ、私は壊れちゃう、でも、コックは人間でしょ?…私がいなくなっちゃってから、大丈夫かなって、ずっと思っててさ、誰か頼める人が現れるのを、ずっと待ってたんだ」

 

「…そうか」

 

「あのね、ジンさん、私がいなくなってから…あの子のことを頼めるかな?」

 

そう言われ、すぐに"わかった"と返事できなくなってしまう。

だって、もう、コックは―――

 

「これは、私の最期のお願いだから…もう、ジンさんにしか頼めないの」

 

「………わかった、何とかするよ、でも、俺からもひとつ、お願いがある」

 

「わかった、私にできることなら、なんでもするよ」

 

そうソラが返してくれたので、コックの事を隠し続けなければいけないと思うと、心が痛んでしまう。

でも、これだけは伝えておきたいことが、俺にはあった。

 

「…生きることを、諦めないでくれ、なんとか俺もソラがこの世にい続ける方法を探すからさ」

 

「…わかった、私が壊れるその日まで、私は生きることを諦めないよ」

 

「…ああ、そうしてくれれば、コックも喜ぶよ」

 

「そうだね、私はもう壊れるのを待つだけだけど…この世に残って、コックを見届けれるなら、それは願ったり叶ったりかな…さ、そろそろ戻ろうか、コックが待ってる」

 

「…ああ、戻ろうか」

 

そう交わし、俺達は元いた部屋まで戻ることにした。

 

「コック、お待たせ」

 

そう言いながら、コックの近くへと向かう。

すると、コックは頬をふくらませながら、

 

「もー!2人とも遅いよ!待ちくたびれちゃった!」

 

と言ってきた。

 

「ごめんごめん、ジンさんと雑談が盛り上がっちゃってさ、お茶でいいかな?」

 

そうソラが言い、冷蔵庫からお茶の入ったポットを出して、コップにお茶を注いで出てきた。

 

「ありがと、ソラ!わたし喉乾いてたんだぁ」

 

そう言い、コックはコップに注がれたお茶を飲み干していた。

…幽霊なんだよな?なんで飲めるの?

でも、これなら…

 

「そうだ、ソラ、コック、2人とも俺らの基地で暮らさないか?その方が2人一緒に入れると思うんだが」

 

そう言いながら、元から一緒に暮らしているも同然なコックの方を向いてみる。

コックは嬉しそうだったが、どこか悲しそうな顔をしていた。

…やはり、自分が幽霊なのが気になってるのだろう。

そう思っていると、コックは暗い顔をやめ、

 

「あたしはいいよ!ジンさん優しいし!」

 

と言ってきた。

問題はソラの方だが、果たしてどうだろうと思い、今度はソラの方向を向いてみる。

すると、

 

「コックがいいなら、私も行こうかな」

 

と、承諾してくれた。

そして、なにか思うことがあったのか、なにか疑問があるといった顔をしていた。

 

「ねえねえ、ところでジンさん、基地…ってどういうこと?」

 

そうソラに聞かれ、咄嗟に言葉が出なくなっていた。

しかし、言ってしまったなら仕方ないと思い、隠さずに言うことにした。

 

「…隠す程でもないから言うが、俺はグリフィン所属の部隊、その隊長をしてるんだ、で、この近くに俺らの基地がある」

 

「へぇ…相手は誰なの?」

 

「テロリストだな、誰かの大切な人を奪うヤツらなんだ、徹底的に叩きのめしてやらんと」

 

「そっか…やっぱりいつの時代も、人間は争うんだね」

 

そうソラは言い、悲しそうな顔を浮かべた。

 

「…そうだな、こんな時代なんだ、普通は助け合って生きていこうとするはずなんだけどな…やっぱり人間は愚かだよ」

 

「ふふっ…ジンさんも、お父さんと同じこと言うんだね」

 

そう言い、ソラは懐かしそうな表情を浮かべ、どこか遠いところを見つめ始めた。

 

「…そうなのか?」

 

そう尋ねてみると、

 

「うん、お父さんもよく『なぜこんな時代なのに人々は助け合わずに争いを繰り広げるんだろう』って言ってたからね」

 

「そうか…」

 

そう言ってから、ある1つのことに気づく。

…そう言えばコックの姿をみんなは1度、見ているのだ。

慌てるのは目に見えているだろう。

とはいえ、今から"やっぱりナシで"などと言える訳もない。

かくなる上は、みんなを信じてそのことを言わないことを願うのみだ。

まあ連絡はひとつ入れるが。

 

「さて、ちょっと基地のメンバーに電話してくるよ、いきなり行ったらみんなびっくりするしな」

 

そう言い、俺はソラの家から出て車に戻り、端末から部隊のグループのビデオ通話を起動した。

 

「もしもし、聞こえるか?」

 

そう言うと、画面にM500の姿が映し出された。

 

『もっしもーし!どうしたのジンさん?』

 

「ちょっとしたことがあってな、民間人を2人連れて帰ることになった…で、その話をだな」

 

『…もしかして、誘拐?』

 

「いや違うから、同意の元だから…ってそうじゃない、そのうちの一人はこの前の幽霊なんだ」

 

『えええええ!?大丈夫なのそれ!?』

 

「ああ、大丈夫どころかいい子だよ、そしてお願いがある、その子…コックって言うんだが、その子のことは知らない、って感じでいてくれると助かる」

 

『わかった、みんなに伝えとくね』

 

「すまないな、頼めるか?」

 

『もっちろん!ジンさんが大丈夫って言うなら大丈夫でしょ!じゃ、みんなに伝えてくるね!また後で!』

 

そう言い、通話が切られた。

みんなの事だから大丈夫…だとは思うが、もしもの時はどうしようかと考えてしまう。

 

「…まあ、そこはみんなを信じるか」

 

そう呟き、俺はソラの家へと戻って行った。




「わかった、私にできることなら、なんでもするよ」っていうソラのセリフで「ん?今何でもするって言ったよね?」なった人は同志です。
書いてて自分でなりました。
はい、どうでもいいですね()

ではまた次回、お会いしましょう。


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第18話

遅くなりました、18話です!
今回も戦闘はありません。

では今回もごゆっくり、見ていってください。


あの日から、新たに2人仲間が加わり、基地に賑やかさが増した。

みんな仲良くやってくれているようで、今も2人はみんなと一緒に休憩室で雑談しているようだ。

その事については良かったのだが、ある1つの事が気になっていた。

それは言うまでもない、ソラのことだ。

あの日から徐々に弱ってきてしまっているようで、初めて出会った時よりも、どこか元気が無くなってきていた。

俺もなんとかできないかと指揮官に相談したりしているが、今は何もいい結果が得れていない。

とにかく、早めになんとかしてやらないと、取り返しのつかないことになることは確かだった。

 

そう考え、昼飯を食べてから俺は自室のパソコンから業務提携先でもあるIOPのサーバーへとアクセスし、事前にソラへと聞いていたソラのお父さんの所在を調べることにした。

 

「『綾壁 キュウジ』…名簿検索っと」

 

そう言いながらエンターキーを叩き、IOP全体の名簿から検索をかける。

これならば離職者なども引っかかるはずだ。

 

「名簿検索結果…該当者なし…?」

 

確かにこの名前で合っているはずだが、何度検索してもその該当者は引っかからなかった。

 

「なんでだ…?改名…なんてわざわざする訳もないしな」

 

こうなれば面倒だが過去の研究履歴からも該当する名前を探すしかない、そう思い、キーワード検索機能を使い、同じ名前で検索をかける。

これならば引っかかる…そう思っていたのだが…

 

「該当者及び該当項目なし…どういうことだ?」

 

まるで、元から存在していなかったかのごとく、どんな方法を試して見ても検索結果に出てくることは無かった。

そこで、前にソラが言っていたことが脳裏に過った。

 

「『技術力の高さから恐れられていた』…か」

 

まさか、内部者による存在抹消でも食らったのだろうか。

まさかとは思うが、その可能性もある。

そう思い、ソラの言ってた『5年前の事故』とやらを調べることにした。

ソラが知っているということは様々な通信媒体から流れてくるほど大きな事故という事だ。

何か情報くらいはあるだろう。

 

そう思い、5年前にあった大きな事故を調べていくと、確かにこの周辺であった、死者数十名のトンネル火災事故があった。

それについて詳しく調べてみるが、死者のほとんどがIOP所属ということ以外、全くと言っていいほどわからなかった。

 

「うーん…めぼしい情報はなし…か」

 

そう呟いた時、自室のドアがノックされ、416が部屋へと入ってきた。

 

「416か、どうした?」

 

「いえ、そろそろご飯なので呼びに来ました」

 

そう言われ、ふと時計を見ると、既に19時になっていた。

体感時間よりも時間が経っていたので驚いたが、それほどまでに集中していたのだろう。

 

「わかった、今日の晩飯当番誰だっけ?」

 

「M14です、カレーだそうですよ」

 

「へぇ、そりゃ楽しみだ」

 

そんな会話を交わしながら休憩室へと向かうと、既にみんなが集まり、ワイワイと談笑していた。

近くに座り、完成まで待っていると、その会話に混ざるようにC96に言われ、仕方なく参加することになった。

 

「…で、何話してたんだ?」

 

「恋バナですよ!って言ってもみんな彼氏いたことないんで妄想が主ですけど」

 

「………それ俺いる?」

 

「男性視点からの恋バナも聞きたいんですぅ!」

 

「じゃあ参加する代わりにお前しっかり下もシャツとか着ろよ?」

 

「暑いから嫌ですぅ!」

 

「じゃあ俺も嫌だ」

 

そんな会話をしていると、唐突にソラが頭を抑えて苦しみ始めた。

 

「ソラ、大丈夫か?」

 

「うん…しばらくしたら治るよ、気にしないで」

 

「そうか…?無理はするなよ」

 

「うん、ありがとう」

 

そう言うと、ソラは平気そうな笑顔を向けてきた。

しかし、その顔は少しまだ苦痛の表情を浮かべていた。

 

「晩飯は食えるか?無理そうならやめとくか少量にした方がいい」

 

「うん、大丈夫だから…心配しないで」

 

「みんなお待たせー!カレーできたよ…ってどうしたの?」

 

「M14さん、なんでもないよ、気にしないで」

 

「そうなの?ならいいけど…じゃあカレーよそうね」

 

そうM14は言い、お皿に人数分のカレーをよそい始めた。

 

「何気にM14のしっかりとした手料理は初めてかもなぁ」

 

「まあ作る機会がなかったからね、今まで食堂とかだったし、作ったとしてもジンさんだったし」

 

「簡単なものしか作れてないけどな」

 

そんな会話をしつつ、M14がよそったのをみんなで運び、"いただきます"と言って食べ始めた。

 

「M14特製カレーはどうですかぁ?」

 

「うん、美味いな、流石M14だ」

 

「やったぁ!ありがとうございます♪」

 

この会話のあとは普通に黙々と食べ終わり、何度かおかわりしたりしていた。

そのあとはみんなで―――もちろん俺は除いてだが―――風呂に入り、あとは寝るだけとなった時だった。

唐突にソラが膝から糸の切れた人形のように崩れ落ち、そのまま倒れ込んでしまったのだ。

 

「ソラ、大丈夫か!?」

 

「うん…大丈夫だから…」

 

そうソラは言い、立とうとするが、体に力が入らないのか、少し身体を持ち上げたところで再度また崩れ落ちてしまった。

 

「あれ…?おかしいな、立てないや…」

 

「ベッドまで運んでやるから無理するな、今日はもう寝よう、な?」

 

「うん…ごめんね、迷惑かけちゃって…」

 

「いいんだよ、ほら、起こすぞ」

 

そう言って、ソラの身体を起こしてやり、そのままお姫様抱っこのように持ち上げてソラが今使っている部屋へと向かい、ベッドの上にそっと置いてやった。

 

「ごめんね、ジンさん、明日には良くなるはずだから…」

 

「ああ、無理するなよ、ここに無線を置いておくから、何かあったら呼んでくれ、操作は出来そうか?」

 

「うん、手は動くから…力入れにくいけど」

 

「わかった、じゃあまた明日な」

 

「うん、おやすみ、ジンさん」

 

「ああ、おやすみ」

 

そうやり取りをし、みんなの待つ休憩室へと向かう。

みんなやはり心配だったようで、ソラの容態を聞いてきた。

それに対して、"今は大丈夫だ"と返してやると、みんなほっとした表情を見せてくれた。

 

そして明日の予定をみんなで共有し、各々自室へと戻り、俺は指揮官からのメールを確認してから、眠りについた。




いかがでしたでしょうか?
よろしければコメントや評価をお願いします。


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第19話

どうも、18話(現19話)を書いていたら物語が変に繋がってるところを見つけてそこから19話(現20話)に切り替えるために19話(現20話)に移した文と合計全部の文字数見たら9000超えてたノアです。
びっくりしました。

とまあ雑談はそこまでにして、今回もごゆっくり見ていってください。


次の日になり、俺は昨日情報共有したとある訓練をする前にみんなの分の朝食を作っておこうと、いつもより少し早めに起きた。

そして休憩室にあるキッチンで朝ごはんを作っていると、ピンクに白い水玉模様のパジャマを着た、416が起きてきた。

 

「おはよう416、いつもなら着替えてからくるのに今日はパジャマかい?」

 

「ジンさん、おはよーございます…ふわぁぁぁ…」

 

そうあくびをして目を擦りながら416は椅子へと座り、そのまままた寝始めてしまった。

 

「…寝ぼけて来たんだろうな、いつもならまだ416起きてくる時間じゃないし」

 

そう思い、コンロの火を切ってから、ぐっすりと眠る416をおんぶして、少し罪悪感を感じながらも416の部屋へと入り、ベッドに寝かせてやる。

部屋の中は普段の416からは想像もつかないほどに乙女チックで、可愛らしい小物やぬいぐるみがたくさん置かれていた。

 

「…これは起きてきてから覚えてたら恥ずかしさで発狂しそうだな」

 

そうボソッと呟き、何も見なかったことにして416をベットに寝かせてからキッチンへと戻り、また火をつけて料理を再開した。

そのしばらく後、完成した頃になると、416が今度はいつもの黒いフライトスーツの制服姿で、ベレー帽を深くかぶって顔を隠しながら起きてきた。

 

「おはよう416、よく眠れたかな?」

 

「…はい、お陰様で、それとあの…」

 

「どうした?」

 

「…今朝のこと、みんなには言わないでください、お願いしますぅ!」

 

そう416は縋るようにこちらを掴んで半分涙目でこちらを見てきた。

流石に困惑したが、いつもと違う416が見れて謎の満足感ができていた。

 

「…わかってるよ、ちなみに理由は?聞いても?」

 

「…私のクールキャラが壊れちゃうので、お願いします、本当に」

 

「わかったよ、言わないでおく」

 

そう言うと、416は満面の笑みを浮かべ、"ありがとうございます"とお礼を言ってきた。

いつもこれくらい素直ならいいのだが、彼女にもプライドのようなものがあるのだろう。

…そうだ、いいことを思いついた。

 

「ただし一つだけ条件いいかな?」

 

そうニヤニヤしつつ416の方向を向いて言うと、何を言われるのかわからないからか、少し恐怖の表情を浮かべていた。

 

「わ、私にできることなら…」

 

「なに、そんなに難しいことじゃないよ、みんなといる時は今まで通りでもいいけど、俺とだけの時は今朝みたいなありのままの416を見せてくれないか?」

 

そう言うと、416はまたベレー帽を深く被り、俯きながら消え入りそうな声で"わかりました"と言ってくれた。

その後椅子に座った416を見ると、何があったのかと思うほどに顔が赤くなっていた。

…少し意地悪だっただろうか。

 

そんなことを思いながら食器を出したりして準備していると、他のみんなも揃い始めた。

…ソラを除いて。

 

「…ソラはどうした?」

 

「さあ…M14達が通った時は静かでしたけど」

 

そうM14が言ってくれたので、もしかしたらまだ寝ているのかもしれないと思い、みんなの朝食をよそってから、様子を見に行くことにした。

皆に先に食べておいてもらい、俺はソラの部屋へと向かった。

部屋へついてノックしても返事がなかったので、申し訳ないがそのまま入ることにした。

 

「ソラ?入るぞ?」

 

そう言い、部屋へと入ると、こちらを見て微笑むソラの姿があった。

 

「どうした?…やっぱり立てないのか?」

 

「…うん、上半身なら動くんだけど」

 

「そうか…朝食持ってこようか?」

 

「うん、でも…その前に話したいかな」

 

そう言い、ソラは今までとは違って、弱ったような笑顔へと変わった顔を、こちらへと向けてきた。

 

「…わかった、どうした?」

 

「私、もうそろそろダメかもしれないの、昨日倒れた時から、目も見えにくくなってきちゃった」

 

そう言われ、咄嗟に声が出なくなってしまう。

ついに、その時が近づいてきてしまったのだ。

 

「そうか…どうしたもんか」

 

そんな会話をしていると、ポケットに入れていたケータイに電話の着信が来て、淀んだ空気を変えるかのように鳴り響いた。

 

「悪い、指揮官からだ、すぐ戻ってくる」

 

そう言い、部屋から出て、1人静かなところへと向かう。

そして未だ鳴り続けている電話を取った。

 

「もしもし?」

 

『もしもし、今日の訓練は大丈夫そうか?』

 

「ええ、まあ今のところは、それだけです?」

 

『いや、本命はこっちや、ゆーてた自律人形の子、実体のボディは無理かもしれんがもうすぐお前らに配備するARデバイスなら大丈夫かも知れん』

 

「それって…昨日メールで言ってた汎用デバイスですか?」

 

『ああ、本来なら専用のAIがおるんやけどな、そのAIと一緒にインストールすれば大丈夫かもしれんとの事だ』

 

その言葉を聞き、ソラを別の形にはなるが生かしてやれるかもしれないと嬉しくなり、いてもたってもいれなくなってきた。

今すぐに伝えてやりたい、そう逸る気持ちを抑え、現在のソラの状態を伝える。

 

『なら早く伝えたり、一刻も争うやろ』

 

「了解です、ではまた、ありがとうございました」

 

『ええんやで、助けれそうなら助けれるとこまで助けたれや』

 

「はい、では」

 

そう言い、電話を切ってすぐに走り、ソラの部屋へと向かった。

 

「おかえり、なんだったの?」

 

「訓練の事と…あともう1つ、実体としては今は無理だが、ARやVR世界ならソラを生かせれると思うって言われたんだ」

 

「確かに、それなら存在は消えないね、でもその環境で生きてたとして、他に誰かと会えるの?」

 

「ああ、近々俺らに支給されるARデバイスだからな、俺らとは会えるし、その環境にいるAIとも会話できると思う」

 

「でも、それだと私が兵器としてジンさん達をサポートしないといけないんじゃ…」

 

「確かに、俺たちに配備されるという事はそうなるかもしれない、でも、そのためにもう1人AIがいるんだ、ソラにそんなことはさせないよ」

 

そう言うと、ソラはどこか悲しそうな顔をしながら俯き、何かを考え始めた。

 

「…どうせ、最初からそれが目的だったんでしょ?」

 

そう、ソラがポツリと涙を目に溜めながら呟いた。

 

「…え?」

 

「…どうせ、ジンさんも私の事を兵器や道具としてしか見てなかったんだ」

 

「そんな事は決してない、俺は大切な仲間だと思ってるよ」

 

そう言うが、ソラの涙は止まらなかった。

 

「あなた達人間はいつだってそうだ、私たちヒトじゃないモノに汚れ仕事をさせようとする」

 

「そんな事はないさ、世の中には大切な家族として迎え入れてる人もいる、少なくとも俺はそうだ、みんな大事な家族だよ」

 

そう言うと、ソラはキッと睨むようにこちらを向き、

 

「でもジンさんは戦術人形と一緒に戦場に出て人を殺してる、それは私たちヒトじゃないモノに汚れ仕事をさせてるのと変わらない!」

 

と、大声で言ってきた。

 

「それは…」

 

その言葉に、俺は何も言い返せなくなっていた。

そして、部屋にしばしの沈黙と、泣いている声が響き始めた。

 

「もういい、部屋から出ていって、私を1人にして…」

 

「…わかった」

 

そう言われ、俺は何も言えず、言われるがまま部屋から出た。

出てすぐみんなの待つ部屋の方を見ると、コックが悲しそうな顔をして俯いていた。

 

「…聞いてたのか?」

 

「…うん」

 

「…そうか」

 

そう短いやり取りを終え、辺りを沈黙が包んだ。

 

「薄々気づいてたんだ、ソラが人間じゃないってこと」

 

「…そうなのか?」

 

「うん、そして、ソラが死のうと…ううん、死んじゃいそうなのも、気づいてた」

 

「…そうだったのか」

 

そこで、また沈黙が包む。

しかし、コックが意を決したように俯いていた顔を上げ、

 

「…わたし、ソラに本当のこと、伝えてくる」

 

と言った。

 

「…わかった、行ってこい」

 

…俺には、それを送り出す事しかできなかった。

先程まで感じていた空腹も忘れ、俺は今までしてきたことが正しかったのか、自分に問い詰めていた。

本当に、今までしてきたことは正しかったのだろうか。

…本当に、今のままでいいのだろうか。

 

そう考えながら歩いていると、気がつけば屋上のヘリポート近くの広い休憩スペースまで来ていた。

俺は、そこにあった椅子に座り、青空の下雲を眺め始めた。

 

「俺達がやってきたことは、間違ってないよな…?」

 

そうポツリと呟き、俺はため息をついていた。

すると、誰かが階段を上がってくる音が聞こえ、ふと出入口の方向へと視線を向ける。

そこにはキョトンとした顔をした、M500の姿があった。

 

「ジンさん、こんな所でどうしたの?」

 

そう言われ、俺はまた、自分にしていた同じ質問を、今度はM500へと投げかけていた。

 

「どうしたのいきなり?…でも、そうだね…間違ってはないと思うよ?だって…ほら!」

 

そう言いながら、M500はポケットから自分の端末を取り出し、軽く操作してからこちらへと見せてきた。

見てみると、そこには色々な人々からのお礼の言葉が、メールで届いていた。

 

「これって…?」

 

「ほら、私たちは見た目も性格も女の子じゃん?だから親しみやすいのか撤収作業してる時に忙しいジンさんと違って、私たちは市民の人たちからメアド交換を頼まれることがあるんだよ、その人たちからのお礼の言葉!」

 

「お礼の…言葉…」

 

そう軽く呟く。

 

「うん!だから、私たちのしてることは間違ってないよ!」

 

…でも俺のしていることは、誰かから本当に感謝されてもいいことなのだろうか。

こんなにも優しい少女たちを、俺は戦場へと連れて行っているのだ。

 

「でも…俺たち人間は君たち自律人形の意志に関係なく汚れ仕事をさせてる…それこそ、道具を使うかのごとくだ」

 

「確かに、他の人達はそうかもね、でも、ジンさんは違うじゃん!私たち自律人形は死んでも次がある、でもジンさんはそうじゃないのに私たちの事を第1に、人間として接してくれてる。その事が、私たちは本当に嬉しいし、ジンさんのために色々してあげたいってなるんだよ!それに、本当に嫌ならセーフティのギリギリまで反抗するし…確かに、好きで人を殺してるわけではないよ?でも、これは必要なこと、そう思ってる」

 

そう言われ、どこか、少しだけでも救われたような気分になった。

 

「M500…ありがとう、いっつも君には助けて貰ってばっかりだな」

 

「ううん!困った時はお互い様、でしょ?」

 

「…そうだな、ありがとう」

 

そう言うと、M500は"どういたしまして"と言って、俺の隣に座って一緒に空を眺め始めた。

 

「…なあ、もしM500の好きな人が死んで、1人だけで残されて、それを周りに打ち明けれずに何年も過ごす…ってなったら、どうする?」

 

そう、少し気になったことをM500へと尋ねてみる。

すると、M500は少し悲しそうな顔を浮かべ、

 

「…私には無理かな、そんな生活、多分後を追いかけちゃうよ」

と、言ってきた。

そこで、もう1つ追加で質問をしてみることにした。

 

「もし、自分のことを考えてくれる友達がいたとしても?」

 

「そうなったら…その友達といれるときまでいる…かなぁ、でも、後を追って死にたくはなり続けてるかも」

 

「そうか…ってことはソラも…かなぁ」

 

そう言うと、M500はキョトンとした表情で、"え?どういうこと?"と聞いてきた。

 

「…誰にも言うなよ?…ソラは実は自律人形でな、作った親がもちろん居たんだが、何年か前に死んじまったらしい…そして、ソラの生命も尽きようとしてる」

 

「それって…つまり…」

 

「ああ、愛する人に先立たれ、自分のことを考えてくれる友達がいるから今まで無理して生きてきた…んだろうなぁ」

 

「そう…なんだろうね、で、もうそろそろ後を追える…ってこと?」

 

「…なんだろうな、あの時『生きろ』だなんて酷なこと言っちまったもんだよ…」

 

そう頬杖をつきながら言うと、M500は、

 

「でも、嬉しかったんじゃないかな?」

 

と言ってきた。

 

「…そういうもんなのか?」

 

「私にはよくわからないけど…他にも優しくしてくれる人に出会えたんだもん、私なら少しは嬉しいかな」

 

「そうか…?」

 

にしても、なぜあそこまで自律人形にそういう仕事をさせることを嫌いに思っているのだろう。

確かに、そういう汚れ仕事を自律人形にはさせて、我々人類はほとんどしなくはなってきている。

…もしかしたら、過去に何かあったのだろうか。

 

「はぁ…とりあえず朝飯食ってくるか」

 

「私は訓練の準備も終わってるからしばらくここにいるね」

 

「わかった、また後でな」

 

そう言い、休憩室まで向かい再度温め直して朝食を食べ、俺は気持ちを切り替えていた。




どうでしたでしょうか?
416ってクールな完全主義者で微ヤンデレみたいな印象ありますけど、乙女で可愛いもの好きなツンデレだと思うんです。
実際大陸版でロリ化した時ににゃんこを持ってましたし。

とまあ(?)今回はここまでです、コメント、評価等をお待ちしております!


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第20話

今回は早めに書き上げれた気がするノアです。
では今回もごゆっくり見ていってください。


食べ終わり、ソラとコックは大丈夫だろうかと考えていると、訓練開始までもう少しとなっていたので、急いで準備をしてから今日の訓練の段取りを再度確認した。

 

ちなみに今回の訓練内容はリーダー不在時を想定し、俺は基地で待機して見守りつつ、こちらから訓練区域の仕掛けを動かす、といった訓練である。

つまりは大雑把な命令はあるが、あとは自分たちで何とかする、という訓練である。

何故こんな訓練をするかと言うと、もし俺が負傷などの理由で戦場に出れない場合、その間部隊全体を休ませる訳にはいかないからである。

 

時間になるまで、俺は普段の任務や訓練でも使うインカムをつけて、1人休憩室でインスタントコーヒーを飲んでいた。

1人だけでまったりとしている事に軽い罪悪感を感じながら、時々聞こえてくるマイクチェックに対して返事をしていた。

 

しばらくして、時間になった瞬間、いつもとは違うタイプのサイレンが鳴り響いた。

訓練用の緊急サイレンである。

ドタバタとした音とヘリの音が聞こえ、やがて離れていく。

そこからは端末を使ってみんなのバイタルなどをチェックしながら、設置された仕掛けや監視カメラとリンクさせて、みんなの到着前に動作チェックを行っていた。

 

「動作チェックよし、バイタル全員異常なし…と…いや、心拍数が高いな、みんな緊張してるのか?」

 

そう思い、"緊張しなくていいぞ"と一声かけてやりたくなるが、今回の訓練ではこちらから声掛けは基本禁止となっているのでぐっと堪える。

 

やがて、インカムから『降下5分前』というアナウンスが聞こえてきた。

あとはこちらから訓練用標的などを動かすだけである。

作戦範囲内のドローンを一定数選択し、降下してくるであろう地点に配備する。

その後はいくつかの建物の上にスナイパー改造されたドローンを配備し、作戦開始を待つ。

しばらくして、作戦範囲内にヘリが入ったことを確認し、"状況開始"と無線で伝える。

ここからは一切手加減抜きだ。

まずは建物の上にいるスナイパードローンがヘリを探知し、他のドローンへと情報を伝える。

やがて全てのドローンが臨戦態勢に入り、射程圏内に入った汎用装甲車ドローンや通常ドローンなどから演習用レーザー弾が撃ちあげられる。

これは当たっても問題は無いが、戦闘続行不可能と判定されるまで当たるとヘリの場合ロックオンと同じ音が鳴り、人や戦術人形の場合は腕についた判定システムユニットが死亡、重症、軽傷、健常の4段階で判定し、それに応じた強さの電気ショック―――ピリッと来る程度のものだ―――が発生する。

 

やがてヘリは回避行動を取り、ドアガンを使用してドローンが撃破されて行く。

しかし、屋上に配置したスナイパードローンからチクチクと嫌がらせのように狙撃され、そちらの対処を先にせざるを得なくなっていた。

 

「よし、屋上のドローンに気をひかれてるうちにドローン小隊CからDを広場に招集、戦列を維持、重火器ドローンAを追加配備」

 

そう口に出しながらユニットを操作し、大きな乱れもなく広場にユニットを招集していく。

やがて集まった重火器ドローンから、RPGを模した大型演習用レーザー弾が発射され始めた。

やがて、無線から悪態をつく声が聞こえ始め、しめしめと悪い笑みが浮かんできた。

 

『ああもう!M14、ここから狙撃できない!?』

 

『できるわけないじゃん!M14でも流石に無理ですぅ!』

 

『ならゲパード!ゲパードならやれない?』

 

『できるわけないよ…ワタシの仕事を増やさないで…』

 

『M500!そんなこと言ってる暇があるなら撃って!相手は人型ですらないんだから当たるでしょ!』

 

『あーもう!わかってるよ!416も撃って撃って!』

 

『わかってるわよ!』

 

うーん、大丈夫かなこの子たち。

この程度で手こずられたらもし俺に何かあった時どうすればいいのだろう。

にしても対テロリスト戦闘向けにしては確かにドローンからの弾幕が正確…

 

「…あ、ドローンの設定大規模戦闘向けにしてたわ、対テロリスト戦闘向けにしないと」

 

そう気づき、慌てて設定を変更する。

そりゃあ小規模で大規模戦闘向け相手してたらこうなるか。

つまり今までのは善戦していたほうだろう。

 

『あっ!弾がバラつき始めたよ!』

 

『なんでですかね?でも今のうちです!』

 

そう無線から聞こえてきたと思うと、一瞬にしてスナイパードローンや地上に配備していたドローンが倒されていた。

流石は何度もテロリストを相手にしているだけある。

そこで俺は少し意地悪をしようとテロリスト戦闘でもなかなか見ることの無いクレイモア地雷―――これももちろん演習用だ―――をセットするドローンを使い、曲がり角を曲がってすぐなどにセットしていく。

更には建物の中にも何機かドローンを配備して、ゲリラ戦闘を行うように設定しておいた。

あとは今回の訓練用に1両だけ配備された歩兵戦闘車ドローンをどう使うかがカギとなるだろう。

…みんなパンツァーファウストとか持って行ってるよな?

まあなければ無かったで何とかしてくれるだろう。

無茶振りすぎるって?

気にしちゃいけない。

 

そんな事を思っいながらユニットの操作をしていると、いつの間にかみんなヘリから降下し終え、索敵に入っていた。

そして建物の曲がり角を曲がろうとした時…

 

『クレイモア発見!退避ー!』

 

そう言って、全員距離を取って設置されたクレイモアに射撃し、破壊していた。

 

「クソっ、バレたか」

 

そう悪態をつき、現在ドローンが認知している位置情報だけの画面に切り替え、現在のドローンとみんなの位置情報を照らし合わせる。

流石にドローンにバレてないかもしれないと思っていたが、どうやらみんなの位置はドローンの探知範囲内だったようだ。

そして今、みんなは路地裏のように細い道にいる。

つまり…

 

『正面から敵!』

 

『後ろからも敵来たぁ!』

 

囲まれますよねって。

さてさて、この狭い路地で一体どうするのかじっくり見させてもらおう。

そう思い、この路地の近くの監視カメラへと映像を切り替える。

すると、大量のドローンに囲まれたみんなの姿が見えた。

さて、みんなはどうするのかな?

 

『あたしが何とかする!みんなしゃがんで!』

 

そうデストロイヤーの声が無線から聞こえてきたと思うと、次の瞬間、大爆発が見え、周囲にいたドローンが爆風により薙ぎ払われ、気がつけば無くなっていた包囲網をポカーンと眺めるみんなの姿だけが残った。

 

「…うっそだろ、たった2発で26ユニット全滅させやがった」

 

訓練時には演習弾やペイント弾を使っていたからわからなかったが、デストロイヤーの装備する50mmグレネードランチャーの威力は思っていたよりも高いようだ。

しかし、その分反動も強く、当てるのは至難の技のはずだが…その大きすぎるモノを使いこなすように製造されたからか、見事に敵の密集地のど真ん中に撃ち込むという離れ業をやってのけたのだ。

 

『すごいじゃんデストロイヤー!一瞬で全滅させるなんて!』

 

『えへへ…どう?これがあたしの実力よ!』

 

『装備の実力とも言うよね…』

 

『ゲパードうるさい!』

 

そう無線から、笑い声と共に会話が聞こえて来て、微笑ましい気分になる…が、今は訓練とはいえ作戦中だ。

その声に引き寄せられない訳もなく…

 

『グレネーード!』

 

その声が無線から聞こえてきたと思うと、次の瞬間爆発音が無線から聞こえてきた。

…もちろん事前に配置していたドローンからのグレネードである。

おそらくさっきの射撃で全滅したと思っていたのだろう。

全員咄嗟にかわしたが爆風を少し貰い、軽傷判定1歩手前までのダメージを負っていた。

何やってんだか。

 

「さて…そろそろ歩兵戦闘車ドローンを出撃させるか」

 

そう言い、ゲームのコントローラーの形をしたコントローラーを手に取り、VRゴーグルを装備する。

そう、歩兵戦闘車ドローンを操作するためだ。

 

「戦車じゃないけど…Panzer vor!」

 

そう言いながら、コントローラーを使用して前進を開始させる。

ちなみにこの歩兵戦闘車ドローンはM2 ブラッドレーをベースに無人化した車両である。

グリフィンがスクラップとして格安購入したのを改造したそうだ。

 

もちろん今は平等性を保つためにインカムは外し、代わりにヘッドセットをつけて索敵している。

近くにドローンを集め、さながら本当に歩兵支援をするかのように進撃する。

やがて先陣を切っていたタクティカルを模したドローンがみんなを見つけ、撃たれながらこちらへと逃げ帰ってきた。

すぐさま昼飯角度へと車体を向け、ボタン操作して照準器を覗く。するとじわじわと歩きながら射撃している、みんなの姿を見つけた。

 

「距離測定よし、掃射開始」

 

そうぽつりと呟き、俺は射撃ボタンを押し、左から薙ぎ払うように射撃する。

するとみんなが慌てて建物の影に入っていく姿が見えた。

やがて追われていたタクティカルドローンが俺の操作する歩兵戦闘車ドローンの後ろへとつき、俺を盾として進軍を開始した。

 

やがて残っていたほかの場所に配置していたドローンによる包囲網が完成し、じわじわと距離を詰め始めた。

おそらくみんなはテンパっているであろう、そう思い、少しだけ無線を聞いてみることにした。

 

『どうする!?囲まれてる上に正面には歩兵戦闘車!パンツァーファウストも合計3発しかないよ!』

 

『爆発反応装甲はなかったはずだから…1発当てればシステム上止まる…はずですけど…』

 

『流石に歩兵戦闘車にもなるとワタシの徹甲弾で抜けるかどうか…少なくとも正面は無理だと思う』

 

『あたしのグレネードでも…流石に無理よね…』

 

『こうなったら…私が囮になるから、みんなはパンツァーファウストを当てるために肉薄して!』

 

『M500、流石にアナタだけじゃ無理よ、私も行くわ』

 

『あたしもあたしも!回避には自信があるからねー』

 

『わかった、じゃあ私と416とスコーピオンが囮、デストロイヤーとC96がパンツァーファウストで攻撃、M14とゲパードは周りの敵を狙撃して』

 

『『『『『『了解!』』』』』』

 

『それじゃあ作戦開始!』

 

そう無線が聞こえたと思うと、建物の影からM500と416、スコーピオンが飛び出してきた。

聞いていたのであまり乗りたくはないが、本来なら聞いていないはずだったのであえて陽動に乗ってやることにした。

まあ偏差射撃は手加減せずに当てに行くが。

当たっても怪我はないし大丈夫だろう。

 

しばらく交戦していると、近くから爆発音が聞こえ、音の方向を見るとタクティカルドローンが大破していた。

見た限りグレネードによる誘爆のようだ。

つまり…

 

「しまった!」

 

そう言った時、俺は歩兵戦闘車ドローンの操縦権を失い、歩兵戦闘車ドローンは大破していた。

思っていたよりも早い展開だったようで、見事に背後に回り込まれてパンツァーファウストを撃ち込まれてしまったようだ。

これは悔しい。

まあしかし最終的には撃破される予定だったので、予定が早まっただけだと思い、VRゴーグルを外し、端末を現在のドローン配置地図へと戻す。

見た限り、あと数台のドローンが撃破されると作戦は終了のようだ。

最後の悪あがきとしてドローンの機動性を生かして逃げまくってやろうそうしよう。

まぁとりあえずインカムをつけ直して無線でも聞くか…そう思い、インカムをつけ直して無線を聴き始めていると、何故だかみんながドローンの追跡をやめ、何故かテンパっているようだった。

理由を知るために監視カメラ映像でみんなの向いている先を見てみると…

 

―――そこには、大量のE.L.I.D.がこちらへと向かってきていた。




いかがでしたでしょうか?
ちなみに今回出てきた架空ドローンのイメージは、
スナイパードローン:本家ゲーム、通常1-1に出てくるドローンのオレンジを青にしたイメージにロングバレルの銃を装備したモデル。
敷設ドローン:上記通常ドローンのオレンジを緑にしたモデル。
タクティカルドローン:普通の一般的なタクティカルを白とオレンジメインの塗装をし、装備機銃を自動化したモデル。
歩兵戦闘車ドローン:ブラッドレーを白とオレンジメインの塗装をしたモデル。
そして通常の本家に出てくるドローンに軽く武装を施した歩兵ドローンです。
マトになるドローンがあるならこういったドローンもあるかなーと思って書いてみましたw

それではまた、次回でお会いしましょう!
長文失礼しました!


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第21話

早いもので20話を超えました。
割とネタも尽きてきたのでたまに別の話でも書いてリフレッシュしようかな…と思ったりしますけど書けてないんですよねw
設定はあるので書きたさはあるのですが…

とまあ前書きはここまでして、本編をどうぞ!
今回もごゆっくり、見ていってください!


「うわぁぁ!こっち来たぁ!」

 

この訓練ももうすぐ終わりという所で、訓練場の近くの森から大量のE.L.I.D.が、フェンスを破壊してこちらへと走ってくるのを見つける。

慌てて銃を構え、E.L.I.Dの足へと足止めのために銃弾を放つ。

幸いにも低級のようで、私の放った12ゲージスラッグ弾は突き刺さり、走ってきていたE.L.I.Dは膝から崩れ落ちた。

 

「416、弾はあと何発ある!?」

 

「訓練だからいつもより少なく持ってきてて、あと30発マガジン2つ分しかないわ!」

 

「あたしは左右のスコーピオン分合わせて4マガジンかな…いずれも普通のじゃなくて拡張マガジンだから普通の装弾数よりは多いけれど」

 

「私はスラッグ弾があと8発に12ゲージが15発…かなぁ、銃の中にはあと7発スラッグ弾!」

 

「って事はあと30発…それって足りる?」

 

「うーん…無理かなぁ…とりあえず逃げるよ!」

 

そう言い、私はまだ倒れているELIDの頭に向かってもう1発撃ち、トドメを刺す。

 

「ジンさん、聞こえる!?大量のELIDが襲撃してきたんだけど!」

 

『知ってる!今援軍を申請したところだ!』

 

「わかった!それまで耐えとくね!」

 

そう短くやり取りを交わし、私たちは援軍が来るまでの防衛戦を開始した。

 

~~~

 

「クソッタレ!なんでこんなことに!」

 

そう言いながら、急いで装備を整え、イチとニコに連絡して一時帰投して貰うことにした。

 

「みんなの分の弾薬も持てるだけ持って…よし!」

 

そう持っていくものを確認し、俺は屋上のヘリポートへと向かった。

すると遠方から出せるだけの速度で飛んでくる1機のヘリを見つけることが出来た。

 

『お兄ちゃん、あと2分程度でつくから準備お願いね!』

 

「了解!」

 

そう飛んでくるヘリの機長であるイチと短く交信し、俺は荷物を持ったまま待機する。

しばらくすると、屋上のヘリポートにイチとニコが操縦するヘリが降りてきた。

急いでヘリのドアを開け、荷物を放り込み、飛び込むかのように乗り込む。

乗り込んでドアを閉めた瞬間、ヘリは上昇を開始し、みんなの待つ訓練場へと全速力で飛行を開始した。

しばらくすると、前方に同じく飛行する、1機のヘリを見つけた。

まだ点のようにしか見えないが、恐らく友軍だろう。

そう思っていると、ニコがグリフィンの公共回線へと無線をつなげ、

 

「こちらシグマ01、貴機のコールサインを求む、援軍の方ですか?」

 

と、通信を取った。

すると、

 

『こちらガンナーズ01、援軍です、指揮をお願いできますか?』

 

と無線が帰ってきたので、俺もインカムを公共回線へと合わせ、

 

「こちらシグマフォース隊長、叢雲です、我々は中央広場へと機を着陸させるよていです、こちらの到着までドアガンによるELIDの掃討を頼みます」

 

『了解、シグマ01の到着までドアガンによるELID掃討を行います』

 

そう無線から聞こえ、援軍が来てくれていることに内心ホッとしつつ、俺はまだ空を飛んでいる中降下準備を始めた。

ちなみに今回はいつものHK416ではなく、その口径拡大版のHK417を装備してきている。理由は5.56mmよりも7.62mmの方がマンストッピングパワーが大きいからだ。

それに相手は人間ではなくELIDだ。

少しでも威力のある方が何かといい。

 

『上空に到達、援護射撃開始』

 

そう無線から聞こえ、俺たちも急ぐ。

とにかく今は敵の多さがわからないが、この機銃掃射で少なくなることを願うまでだ。

…それはそうとみんなからの無線がさっきから届かないが大丈夫だろうか。

どこか安全なところまで移動できてるといいのだが…

そう思っていると、唐突に無線が入り、

 

『ジンさん!とりあえず援護射撃のお陰で退避できた!どこで落ち合えばいい?』

 

と、M500から無線が入った。

そのことに胸をなでおろしながら、落ち着いて、中央広場へと集まるように指示を出した。

 

「そうだ、それはそうと、みんな無事か?」

 

『うん、弾が尽きそうだけどみんな無事!じゃあ中央広場で落ち合おうね!』

 

「わかった!無理するなよ!」

 

そうやり取りを終え、外を見てみると、訓練場の姿がくっきりと見えてきた。

 

「目標まで3分前!もう着くよ!」

 

そうイチに言われ、直ぐに降りれるようにドアを開ける。

そして先行していた友軍に先に着陸して展開するように伝え、俺はGAU-19ガトリング砲のチャージングハンドルを引き、弾を薬室へと送る。

 

「イチ、ニコ、まずは援軍の展開が終わるまで上空から援護射撃をする、頼んだぞ!」

 

「了解!あたいとニコに任せて!」

 

「うん、ボクたちに任せてよ」

 

そう2人からの返事を聞き、俺は短く"頼んだ"と返し、いつでも撃てるように臨戦態勢に入る。

やがて機体は上空へと達し、沢山のELIDが練り歩いているのが見え、中央広場に1機のブラックホークが着陸し、中から6人出てくるのが見えた。

恐らく戦術人形の部隊だろう。

俺はその展開を援護するべく、上空からELIDに向かって射撃を開始する。

その12.7mmという巨大な弾丸は面を形作るかのように大量に飛翔し、人の形をした異形のモノ―――ELIDどもへと吸い込まれ、赤い花を咲かせた。

どうやら下級しかいないようで、次々に辺りを赤く染め、そのまま倒れていく。

やがて眼下に見える援軍部隊の射撃が始まったのを見ると、射撃をやめて上空を一周して敵の陣容を把握し、中央広場へと降下を始めた。

 

「タッチダウン!」

 

そう聞こえると同時に持ってきた弾薬を持ってヘリから降りる。するとみんなが手を振りながらこちらへと駆けてきて、みんなの無事を確認することが出来た。

 

そして各々の給弾済みマガジンやスピードローダー、マガジンローダーや今持ってる空のマガジンへと入れる弾薬などをアモ缶事渡していき、急いで給弾、臨戦態勢を整える。

その間俺はニコと共に警戒をし、臨戦態勢が整ったのを確認してから上空待機組のイチとニコと反撃組の俺たちに分かれ、現在応戦してくれている援軍の援護へと向かった。

 

前線へ着くと、そこには大量のELIDの死体―――そして、重機関銃や軽機関銃、SMGを持った少女達と、見覚えのある、腰のホルスターにコルトSAAを装備した少女が、アサルトライフルを構えて弾幕を張っていた。

 

「じゃーみんな、適当に進軍開始しよっか!」

 

そうリーダー格であろう、少し暖色系の色が混ざった金髪の女の子が言うと、伏せ撃ちしていた子は立ち上がり、立って射撃していた子はそのまま進軍を開始した。

それを見て、こちらは大丈夫だろうと思い、俺達は別ルートから側面を突くように進軍し、奇襲を試みることにした。

しばらく走っていると、再度隙がない程の銃声が聞こえ始めた。

定位置について射撃を始めたのだろう。

それにしても、弾薬消費量がすごそうだ。

これ程までに無計画とも思えるほどに弾幕を張っていると、弾切れも早そうだが、その辺はどうなのだろう。

そう思いつつ1度建物の影で止まり、建物の影から敵の様子を伺いつつ、突撃の配置に着く。

そして3カウント数えてから、ELIDどもの側面目掛けて射撃を開始した。

射撃音に気づいたELIDが数体突進してくるが、落ち着いて急所へと撃ち込み、無力化していく。

たまにそれでも突進し続けてきたり、急所から外れて何事もないように攻撃しようとしてくるが、お互いにフォローし合って攻撃される前に倒し続ける。

それを何度か繰り返し、やがて辺りから、木々が風に揺らされる音だけ聞こえるようになった。

しかし、それでも警戒を続け、イチとニコに上空からの偵察もして貰いつつ、確実にELIDへと生死問わずに急所へと一撃加え、確実に射殺していく。

こうでもしないとコイツらはまた生きていたら襲ってくる時があるのだ。

それを終え、中央広場へと戻ると、そこには援軍で来てくれていた女の子たちが加熱した銃身に苦戦しつつも、座り込んで銃の手入れを行っていた。

 

「ふぅ、ELIDの掃討完了!援軍ありがとうな!」

 

そう言いながら、みんなと一緒にその子達へと近寄っていく。

すると、俺に気づいたらしい2人が立ち上がり、こちらへと駆けてきた。

 

「きゃっほージンさーん!久しぶりぃ!」

 

「お久しぶりです、前回はSAAがお世話になりました」

 

そう二者二葉の言葉をかけられ、今回来てくれた援軍の正体がはっきりとわかった。

 

「久しぶり、元気そうでなによりだ…で、そこにいるのが例の"第25速射小隊"の仲間たちかい?」

 

「うん!通称、『マシン・ガンナーズ』のみんなだよ!」

 

そう言われ、改めてマシン・ガンナーズのメンバーの銃を見てみると、SAAともう一人の子を除いて、全員が重機関銃か軽機関銃という、なんとも火力マシマシなメンバーなので、そりゃあそんな通称がつくだろうなと納得する。

しかし、見てみるに全員の銃は…

 

「アメリカ製の銃の戦術人形たち…か?」

 

「おっ、よくわかったね!もしかしてジンさんって銃マニア?」

「いや、たまたまだよ、一人二人はアメリカ製かどうかわからん、たまたまアメリカ製の知ってる銃を持ってたから適当に言っただけだ」

 

そう会話をしていると、こちらに気づいたらしい金髪の女の子がこちらへと向かってきた。

 

「こんにちは!この前はSAAを案内して頂いてありがとうございました!私、ブローニングM1918って言います!一応適当にサブリーダーやってます!」

 

「よろしく、シグマフォース隊長をやってる叢雲 仁だ、今回はありがとう、助かったよ」

 

「いえいえ、たまたま待機してたら呼ばれただけなんで、当然のことをしたまでですよ!」

 

「ありがとう、そうだ、もし良ければケリーって呼んでもいいかな?」

 

「誰が"コマンドー・ケリー"ですが誰が!私そんなに凄い人じゃないですよぉ!」

 

「じゃあ…BAR…はさすがになぁ」

 

「当たり前ですよ!私そんなに歳取ってませんから!」

 

そんな会話をしていると、周りのみんなから笑いが起き、雰囲気が戦闘の後とは思えないほどに和み始めた。

みんなで色々と話し合っていると、近くに2機、減りが編隊を組んで着陸してきた。

片方は俺達の部隊章が描かれ、もう片方は複数の弾痕と機関銃というモチーフの部隊章が描かれていた。

やがてヘリのローターが止まり、操縦席からパイロットたちが降りてくる。

そしてマシン・ガンナーズのヘリパイロットの内の小さな女の子が、イチとニコを見るなり、抱きついていた。

 

気になって近づいてみると、どうやら話の内容的に知り合いのようだった。

なら邪魔しても悪いと思い、その場を離れようとすると、もう一人のパイロットの女の子から声をかけられた。

 

「どうしました?」

 

「いえ、ご挨拶をと思いまして、あたし雨宮 ナツ(アマミヤ ナツ)って言います、一応この子達の隊長やってるっす」

 

「へぇ、隊長自らがヘリの操縦を…凄いですね」

 

「いえいえ、あたしには戦闘ができませんから、空から指揮するくらいしかできないんすよ」

 

「現場型指揮官みたいな感じですか、いいじゃないですか、その方がみんなも安心できますし」

 

「だといいんすけどね…あと敬語やめてください、あたしの方が後輩なんで」

 

「そうか?ならやめるけど…」

 

そう会話をしていると、ポーチに入れていたケータイにメールが入った。

一言"すまん"と言ってから確認してみると、指揮官からの指示書がメールに添付されていた。

中身を確認してみると、『明後日より、"第25速射小隊"を"第62特殊小隊"の隷下部隊とし、基地を統合する』との趣旨が記載されていた。

つまりマシン・ガンナーズがシグマフォースの隷下部隊になり、規模がデカくなる…ということらしい。

 

「…マジで?」

 

「叢雲先輩どうしましたー?」

 

「…いや、雨宮さんとこに連絡来てない?」

 

そう言ってみると、雨宮はフライトジャケットのポケットからケータイを取り出し、メールを確認していた。

 

「…マジっすか!?」

 

「えーと…ガンナーズの今までの指揮官って誰?」

 

「ジョン・ベイクール指揮官っす」

 

「一緒だったかぁ…」

 

なら統合されるのも無理はない…のか?

そう思うが、下手したらただ管轄が面倒になっただけなのではないだろうか。

そう思っていると、雨宮が"あっ、なるほど"などと言いながら、メールを読んでいた。

 

「…どうした?」

 

「隷下部隊になっても、あたし達の任務は変わらないらしいっす、ただ基地が一緒になる程度ですかね」

 

「まあ今の基地は俺達だけだと広すぎたからなぁ…同じ指揮官の部隊なんだから隷下部隊にして基地同じにした方が色々と便利…ってことか」

 

「みたいっすね、じゃあ…これからもよろしくお願いするっす、叢雲さん」

 

「ジンとかでいいよ、こちこそよろしく、雨宮」

 

「じゃあジンさんで!あとあたしのことは気軽にナツって呼んで欲しいっす、みんなからはなっちゃんって呼ばれてるんで」

 

そうやり取りを交わしていると、どうやらイチとニコ達の会話が終わったらしく、笑顔を見せながらもう一人の子を連れて俺の方へと歩いてきた。

 

「ど、どうした?そんなに笑顔で…」

 

「じゃー紹介します!あたいたちの妹のミイです!」

 

「詳細に言うとボクの一個下の妹、つまり三女になるんだ、たまたまさっき会ってね、久々に姉妹談義に花が咲いたよ、ほら、ミイ、挨拶して」

 

そう言われ、ニコの後ろに隠れていた黒いショートボブの少女が恐る恐る出てきた。

 

「初めまして…お姉ちゃんたちがお世話になってます、わたし、ミイって言います、よろしくお願いします…」

 

そう言ってお辞儀してきたかと思うと、また逃げるかのようにニコの後ろへと隠れてしまった。

 

「ははは、ごめんねジンさん、ミイは人見知りな上に恥ずかしがり屋で…」

 

「いやいいよ、誰だって初めて会った相手は苦手なもんさ…俺も初見の相手と話すの超頑張ってるし」

 

そんなことを言っていると、後ろからM500が、

 

「ジンさん最初すっごいコミュ症抱えてたもんねー!」

 

と言いながら飛びついてきた。

 

「…今思うと精神病んでてコミュ症って救いようがねぇな、誰だそいつ」

 

「ジンさんですよー、過去から目を背けなーい」

 

「はいはい、わかったわかった」

 

そんな会話を交わした後、俺達は基地へと帰投した。




オリジナル戦術人形を出すか…最近日本版に追加されたジャッジを他の鉄血の子達と同じくPrototypeとして出すか…割と悩んでるんですよね…
なので近々21話を投稿(まだ書けてませんが)する時辺りにでも今思いついてるキャラ3人の設定を決めて、アンケートを取りたいと思います。
その結果で実装順を決める、もしくは1人だけ実装するなどを決定しようと思います。

もしかしたら"こういうシーンを!"というシーン募集もする…かもしれません。

ではまた次回、お会いしましょう!


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第22話

夏休みになって色々したりぐーたらしすぎて遅れてしまいましたすみません…
いつもは電車での移動中とかに集中してやるんですけど電車にも乗らないので執筆が滞る滞る…(言い訳)

はい、次は早くしたいと思いますすみませんでした。

では今回もごゆっくり見て言ってください。


あの後、無事に訓練が終わり、俺達はマシン・ガンナーズを含め、全員で基地へと帰ってきていた。

なぜマシン・ガンナーズも一緒かというと、距離的にうちの基地が一番近く、なおかつこの後の午後は非番らしいので、交流や援軍のお礼も兼ねて一宿二飯をと思ったからだ。

まだお互いに昼飯も食べてなかったしね。

 

そこで俺は帰ってきてすぐにキッチンへ向かい、全員分の昼飯を作ることにした。

とりあえず作るのが簡単なキムチチャーハンでいいだろうと思い、材料を冷蔵庫から取る。

そう思って作り始めたが、人数が人数なので、かなりの量を炒める事になったので、ほかの料理にすれば良かったと思ってしまった。

最終的には一気に作らず何回かに分けて作ることにして、この問題はなんとかなった。

まあ一番の問題はそこではない。

一番の問題は美味しく食べてもらえるかどうかだ。

 

「よし、完成…と」

 

全員分盛り付けも完成し、みんなの元へ運ぼうと思ったが、そういえばソラの分はどうしようかと思い出す。

今朝あんなことがあったばかりだし俺が渡しに行くのもアレだろう。

そう思い、俺はコックを呼んで、コックに持って行ってもらうことにした。

 

その事をコックに伝えると、コックもそのままソラの部屋で食べるらしく、自分の分と2人分持って行った。

 

あとはたまたま俺の様子を見に来たM14と一緒に料理を運び、みんなで昼飯を食べることにした。

みんな黙々と食べていたが、たまに美味しいと言ってくれていたので、嬉しくなりつつ、俺もチャーハンを食べるスプーン進めていた。

 

「さて…午後からどうする?」

 

そう食べ終わり、みんなに尋ねてみる。

みんなそれぞれ考えるが、ガンナーズ組はおろかシグマ組も何も思いつかないようで、なかなか誰もこれがしたいなど思いつく人がいなかった。

 

「うーん…この基地ってすることないよなぁ…ゲームも少ないし」

 

「ゲームのハードはあるの?」

 

そうM1919が聞いてくるので、今あるゲームハードを思い出す。

 

「ん?あるにはあるが…」

 

「なら1回本部に戻ろうよ、ガンナーズの部屋にゲームたくさんあるんだー!」

 

「ほう…でも、これだけの人数が乗れるヘリって…」

 

そこまで言った時、そう言えば今イチとニコが訓練や休みの日の空き時間に練習しているステルスオスプレイの事を思い出す。

アレなら24人は乗れたはずだ。

そこで現在の習熟度をイチとニコに聞いてみると、機上整備員がやることをあとは取得できれば大丈夫ということだった。

つまり機上整備員がいれば今でも人を乗せて飛べるということだ。

しかし―――

 

「機上整備員かぁ…うちにそんな事出来るの居ないしなぁ」

 

そう言いながら、今いるメンバーを見てみる。

すると、ナツが、

 

「あたしは出来ないこともないっすけど…オスプレイには乗ったことないっす」

 

と、言ってきたので、どうしようかと考えていると、唐突にさっきから接触を避けてきていたミイが声をかけてきた。

 

「あ、あの…わたし、オスプレイの計器なら読めますし、前にお姉ちゃんたちとオスプレイで機上整備員務めて飛びました…」

 

そう言うと、イチとニコもその事を思い出したらしく、ああ、そういえば、と言った表情になっていた。

 

「なら、頼んでもいいかな?」

 

そう言うと、ミイは俯きながら、

 

「お姉ちゃんたちがいいなら…やりますけど…」

 

と、自信なさげに言った。

 

「ミイがやってくれるなら心強いよ、ボクからも頼めるかな?」

 

「そーそー、ミイがやってくれるならあたい達も心強いから!」

 

そう2人が励ますと、ミイは嬉しそうな顔を浮かべ、機上整備員をする話を受け入れてくれた。

 

「ねーねージンさん、機上整備員ってなんなの?」

 

そうM500が、机の小さいカゴに置いてあったお菓子をつまみながら、そう聞いてきた。

 

「機上整備員、略称は"Flight Engineer"を略して"FE"って言うんだけど、飛行前に点検したり、各種装置の操作とかをする人…らしいよ、航空機の計器やらなんやらを忙しい機長、副機長に代わって見たり操作する人って思っとけばいいかな?最近は計器も簡略化されたりで必要なくなってきてるらしいけどいるに越したことはないだろうね」

 

「へぇ…なんでそこまで知ってるんですか?」

 

「気分で調べたのと知り合いのせいかな、知り合いにヘリ好きがいてね」

 

「へー…いつの間にそんな人と知り合いに…」

 

「いつの間にかだな、たまたま趣味が合っただけだよ」

 

そんな会話をしつつ、食器を片付けようと立ち上がると、イチとニコが「オスプレイで行くなら準備しとくね」と言って、先にヘリポートへと向かっていってくれた。

 

ついでに新人の書類を送るといってまだ届いていないので書類指揮官から貰おう、そう思い、とりあえず指揮官にメールを飛ばしておき、軽く書類などを入れるカバンなどの荷物を持って、ヘリポートへと向かった。

 

ヘリポートへと着くと、いつもはステルスホークがとまっているメインのヘリポートに、特徴的なシルエットをした、オスプレイが思っていたよりも静かにそのローターを回していた。

その機体の右側前方の昇降口から機体へと乗り込み、操縦室を覗きに行く。

するとそこには、操縦席に座るイチとニコ、そして計器を色々とチェックしているミイの姿があった。

 

「お疲れさん、いつでも飛べそうなのか?」

 

「うん、あとはみんなを待つだけだよ」

 

そうニコが言ってくれたので、1度ヘリから降りて、みんなを呼びに行く。

その途中でたまたまソラの部屋からコックが出てきたので、コックに少し出かけてくると伝え、みんなを呼んでヘリへと乗り込んだ。

 

ヘリに揺られながら辺りを見回していると、後部ランプの部分に銃座はあるのはわかったが、搭載すると言っていたGAU-19の姿が見当たらないことに気づいた。

 

どこかに装備されているのだろうか…そう思うが、操縦中の2人に聞くのは流石に申し訳ないと思ったので、ミイに…と思ったが、こちらもFEの仕事があるので、結局着陸してから聞くことにして、俺は外を眺めたりして時間を潰していた。

そこそこの時間飛行し、本部へと着陸してから、集合時間を決めて自由時間にすることにした。

 

「さて、イチ、二コ、ちょっといいか?」

 

そう立ったまま伸びをしている、イチとニコへと話しかける。

 

「んー?どったのジンさん?」

 

「ジンさんは自由時間にどこも行かないのかい?」

 

「いや、このあと行くんだけどな?装備されてるはずのGAU-19の場所が知りたくてな」

 

「ああ、なるほど、普通はわからないよね」

 

そう言い、ニコが手招きしたのについて行き、機内のとある場所についた。

 

「ここ、開けてみてもらえるかな?」

 

そう床の一部を指さされ、言われるままにそこのフタを開ける。

すると、そこには見覚えのあるGAU-19が、機外に取り付けられていた。

 

「へぇ…こんな所に…操作はコントローラーか?」

 

「うん、1度機内に引き込んで弾薬補充もできるよ、やっぱり本当は装備するはずのミニガンより大きいから少し無理やりつけた感じになってるけどね」

 

「へぇ…後部銃座だと降下してる時に撃てないからどうかと思ったけどここなら撃ち続けれるな」

 

そう関心していると、イチに「操作してみる?」と聞かれたので、喜んでGAU-19ターレットを操作してみる。

しばらく操作して、腕時計を見てみると、20分くらいすぎていたので、慌てて指揮官室へ行き、書類を受け取り、1人時間になるまで本部の待機室へと向かい、書類を読んでいた。

 

書類を読んでいると、想像していたよりも面白いメンバーだったので、みんなにはしばらく秘密にしておこう、そう思い、書類を封筒に入れて外からは見えないようにし、集合時間も近くなったので、ヘリポートへと帰って行った。




キムチチャーハン美味しいですよねキムチチャーハン。
そろそろ前に言ってた3人を出したいと思いつつソラもなんとか助けたいと思いつつ…

さて、今回は前回言ったように、キャラ3人のうち1人、もしくは全員を順番に実装するためのアンケートを取りたいと思います。

キャラ設定は以下の通りです。

キャラクター1
名前:HK417
性別:女
年齢:不明
性格:マイペースでゆったり系の甘えたがり
一人称:私
見た目:416の服装を黒基調から紺基調へとした感じで、黒髪ロング。
ストッキングはGr G28のストッキングを少し明るめのブルー。
設定:HK417の戦術人形。
416の姉妹機で、同一タイミングで計画されたが、未だにPrototypeの域から出れていない。
妹のGr G28が先にロールアウトされたことに嬉しくも複雑な気持ちを抱いており、その事については少しネガティブになる。
416シリーズ共通の思考として、性格はそれぞれ違うが、『価値を認めてもらいたい』
、『自分は特別である』という思考を持つ。
しかし姉の416やG28よりはその事をあまり表に出さない。(出たとしても柔らかい感じになる。)
416よりは感情を表に出す。

キャラクター2
名前:M4 SOPMOD block 1
性別:女
年齢:不明
性格:小型わんこ系
一人称:私
見た目:SOPMOD 2の髪を暖色系から寒色系へと変えた感じ。
設定:M4 SOPMOD block1の戦術人形。
SOPMOD block1キットだけでは飽き足らず、様々なガンアクセサリを収集しているパーツマニア。
M4 SOPMOD 2のPrototypeのような存在だが、本人はその事を知らない。
HK416のオプションパーツの多さに憧れており、416とは仲良くしたいと思っている。


キャラクター3
名前:ジャッジ Prototype
性別:女
年齢:不明
性格:強気だが懐きやすい
一人称:あたし
設定:鉄血の戦術人形、ジャッジのPrototype。
武装は9mm SMG2丁。
射速が本家より上がっているが、リコイルがその分大きく、命中精度が落ちている。
チビ扱いされることが嫌いで、同じ小さい人を見つけるとほっとする性格。
強気な性格だが、反面可愛いものが好き。
しかしその事を秘密にしている。
ドリーマーとあまり仲が良くなく、よくドリーマーにからかわれている。
心優しい人に懐きやすく、懐いた相手には甘えるタイプ。


となります。
アンケートシステムを使うのは初めてなのでとりあえず一旦ここにもキャラ設定を書かせてもらいました…長文すみません。
リクエストボックスも活動報告に出させて頂いてますのでどしどしリクエストお願い致します!

では次回、お会いしましょう!


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第23話

いつもご視聴ありがとうございます、ノアです。
今回は気がついたらソラメインの話になってました。
そしてそろそろネタが尽きそうです…()
『こういう展開とかして欲しい』とかがあればコメントください、できるだけその展開をできるように頑張ります…
では今回もごゆっくり、見ていってください。


あの後は、特に何事もなく基地へと帰り、ガンナーズのみんなとシグマチームとガンナーズチームに別れてゲーム大会をしたりして楽しみ、気がつけば寝る時間になっていた。

ガンナーズのみんなにも温泉へと案内して入ってもらったが、ガンナーズのみんなも温泉を気に入ってくれたようで何よりだ。

俺?もちろん1人で入ったよ、まだガンナーズのみんなもすごく親しいという訳でもないし、何より俺の気持ちの準備ができない。

入浴のあとはガンナーズのみんなに自分の個室を選んでもらい、その部屋に布団を持っていき、また明日と言って、各々自分の部屋で寝ることにした。

ガンナーズのみんなは自分の個室ということでテンションが上がっていたので、なんだか微笑ましい気持ちになった。

恐らく数人一緒の部屋なのだろう。

中でもVectorという子が普段は感情を表に出さないのに出していたとあって、ガンナーズのみんなは普段と違う姿が見れて喜んでいたようだ。

 

「さて…俺も寝るか」

 

そう今日一日のことを思い出しながら、布団に入り、寝ようとした時だった。

 

「ジンさん、もう寝ました?」

 

そう唐突に声が聞こえ、慌てて飛び起きる。

声の主は、シグマフォースでもマシン・ガンナーズのみんなでもなく、今日1日ずっとソラの部屋にいた、コックだった。

 

「いや、まだ起きてる、今から寝ようとしてたけどな」

 

「そっか、ごめんね」

 

「…どうした?どこかいつもと雰囲気が違うが」

 

そうコックの方を見ながら、そう聞いてみる。

いつもとは違って、どこか口調が柔らかくなっているのだ。

 

「そう…かな?多分、ずっとソラと話してたから敬語が少し抜けちゃってるだけだと思いますけど」

 

「なるほどな、で、どうした?」

 

「ソラがね、ジンさんと話したいって」

 

そう言われ、少し戸惑ってしまう。

今朝、ソラの気持ちも考えない発言をしてしまったのに、会ってもいいのだろうか。

そう思い、今朝の罪悪感からか胸が痛くなる。

そう思っていると、コックが、

 

「ジンさん、ソラはもう今朝のこと怒ってないよ、だから、話をしに行ってあげて」

 

と言ってきた。

 

「…わかった」

 

そう返事をし、寝巻きのまま、ソラの部屋へと向かう。

もうみんなは寝ているらしく、廊下は必要最低限の明かりしかなかったので、誰にも合わないだろうとコックは幽霊らしく浮遊して俺のあとを着いてきた。

 

ソラの部屋の前につき、入りづらい気はあるが、意を決して軽くノックし、返事を待つ。

すると、「どうぞ」と、短く返事があったので、ドアを開けて部屋へと入った。

 

中へ入ると、ベットの上に座り、こちらを見ている、ソラの姿があった。

 

「こんばんは、ジンさん、そこにでも座ってよ」

 

そう言われ、言われるがままにベットの横にあった椅子へと座る。

コックは俺の後ろで出入口を塞ぐように立って俺たちの姿をどこか嬉しそうに見てきていた。

椅子に座ってから、お互いに何を喋り出すでもなく、辺りは沈黙に包まれた。

 

「…今朝は、悪かった、ソラのことも考えない発言をしてしまって」

 

そう沈黙に耐えきれず、そう開口一番に謝罪する。

すると、ソラはふふっと笑って、

 

「いいよ、私も、ジンさんは悪くないのにあんなこと言っちゃって…ごめんなさい」

 

と言ってきた。

 

「いや、ソラは悪くないよ、悪いのは俺だ」

 

「そんなことないよ、私が見てきた人達とは違って、ジンさんはいい人だって、わかったから」

 

そう言い、ソラは優しく微笑んできた。

 

「でも…ソラのことを考えずに無責任に生きろだなんて言っちまってるしさ…」

 

「ううん、その事は、嬉しかった」

 

その言葉を聞き、思っていた事と違って、少しぽかんとしてしまう。

 

「今、『ずっと無理して生きてきたんじゃないのか?』って、思ったでしょ?」

 

そう図星を突かれ、言葉が出なくなる。

それを察したのか、軽く笑われ、こちらまでふふっとつられて笑ってしまった。

 

「確かに、そうかもしれない、でもねジンさんやコックに出会えて…そして、みんなに出会えてからは、そうでもなかったんだよ」

 

そういう言葉を聞き、たとえ冗談であっても、心底ほっとした。

そうしているとソラが、

 

「コックから聞いたよ、コックがジンさんを見つけてからの日々を…それを聞いてね、ジンさんは私が他に会ったコック以外の人達とは違うんだなって思ったんだ」

 

そう言ってきたので、少し嬉しくなりながらも、ソラがあそこまで思うほどのことをしたであろう、"他の人たち"の事が気になった。

 

「…言いづらいだろうけど、その他の人たちの話を聞いてもいいか?」

 

「うん、いいよ」

 

そう言ってくれたので、内心ほっとしつつ、話を聞いた。

話によると、ソラが父親と一緒に住んでいた時に、何度も、兵器としてのヒト…すなわち、替えのきく人間兵器として、ソラの父親の自律人形の技術を使おうと、様々な人が尋ねてきたそうだ。

それから、コック以外の人を、信頼することができなくなっていたらしい。

しかし、そのコックが信頼して俺を連れてきたので、最期の賭けとして俺の事を信用してみようとしていたところ、俺からのあの提案があった、ということらしい。

 

「…そうだったのか…本当にすまなかった」

 

「ううん、いいんだよ、今日のことでしっかりとジンさんは私たち自律人形のことを道具と思ってないってわかったから」

 

「…ん?今日のこと?」

 

そう言われ、今日あったことを思い出す。

…もしかして、あの時、ソラの部屋まで聞こえるほどテンパってたのだろうか。

 

「うん、訓練中になにかあったんでしょ?凄い焦ってる声聞こえてきてたし、無線が館内放送になって基地の中で響いてたよ」

 

「…マジで?」

 

そう言い、コックにも確認を取ろうとコックの方向へと顔を向ける。

するとその事を思い出したのか、軽く笑われ、本当なのだろうと悟らざるを得なかった。

 

「マジかぁ…冷静になれてなかったか、俺」

 

「まあそこで、冷静になりすぎずにテンパっちゃうところが、ジンさんらしいんだと思いますよ」

 

そうコックに言われ、そうか?と言いつつ、色々と恥ずかしいのを隠すために頭をかく。

 

「でね、ジンさんを呼んだのはここからが本番なんだ」

 

そう言われ、すぐに真剣になり、何を言われるのかと息を呑む。

すると、ソラはふふっと笑ってから、

 

「そこまで緊張しなくていいよ、今朝言ってくれた事への返事だから」

 

と、言ってきた。

そう言われてから、今朝のことを思い出す。

返事をもらっていないことと言えば…アレしかなかった。

 

「…ジンさんは、私のことを本当に道具として使わず、1人のヒトとして接してくれる?」

 

「ああ、もちろんだ、俺はたとえ自律人形であろうと、1人の人間として接するさ」

 

「なら、よかった。私のこと、ジンさんに預けるよ、そのARデバイス?の中でみんなと生き続けたいから」

 

そう言われ、嬉しさが込み上げてくる。

嬉しさからかなんなのか、何故か涙まで出てくる始末だ。

 

「もう、なんで泣いてるのさ、そんなに私といたかったの?」

 

そう笑いながらソラに言われ、俺もつられて笑ってしまう。

コックもそれにつられて笑い、夜にもかかわらず、笑い声が部屋に響いた。

 

「そう…なのかもな、もうソラは大切な仲間だし」

 

そう言うと、ソラは少し顔を赤らめながら、そっぽを向くように窓の外を見つめ始めた。

 

「…じゃあ、今日はもう寝ようか、夜も遅いよ」

 

そうソラに言われ、時計を見てみると、思っていたよりも時間が経っていることに気づいた。

 

「そうだな、おやすみ」

 

そう言い、俺はソラの部屋を去り、眠りへと着いた。




いかがでしたでしょうか?
ソラを助けるかどうしようか割と悩んでたんですけど、結局こういう展開にしてみました。

あ、あとアンケートは8月いっぱい設置する予定です、どんどん投票してください。
キャラ設定は前回にあります。

ではまた次回、お会いしましょう!


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第24話

本当は8月の最終週に出そうと思ってたんですけどね…
見事にスランプに襲われました…ハハッ…

とまあ元から面白いかどうか不安な本作がさらにおかしくなってるかもしれない24話です。
生暖かい目で見てやってください。


2059/3/7

 

次の日になり、朝食を食べてから、俺はソラを本部でスキャンを取るためにヘリで送り届け、そのついでにガンナーズを送り届けることにした。

基地には車椅子がないので、歩けなくなってしまったソラを失礼してお姫様抱っこをしながらヘリに乗り込み、イチとニコにステルスホークを操縦してもらい、本部へと向かった。

 

そして俺達は本部に着き、ガンナーズと別れてから、車椅子にソラを座らせて司令室へと向かい、俺は指揮官を含めて、3人で話をすることになった。

 

「指揮官、念の為聞きますけど…スキャンを取る人はIOPの人ですか?」

 

「安心しい、それやと何されるかわからん、グリフィンの誇る技術者達や、1つ心配があるとすれば…」

 

そこで言い淀まれ、俺は嫌な気がしてしまい、息を飲む。

しかし、その嫌な予感は、指揮官の放った次の一言で、払拭された。

 

「…技術者のうちの一人が『成功したら焼肉をスタッフ全員に奢れ』って言ってきてるから財布が心配やな」

 

「心配返せバカ指揮官」

 

そのやり取りを見ていたソラが、先程まで見せていた不安そうな表情から、少しばかり明るい表情に変わった。

…いや、正確には不安なのには変わりないはずだ。

会ったことも無い人の元で、今日からしばらくの間お世話になるだけでも嫌だろうに、周囲の様子や人々の顔もうまく見えない、さらには信用できるのかもわからない人々と会うことになるのだ。

会うだけならまだ何とかなるだろう。

しかしソラは、会うだけではなく、自分の意識をスキャンされようとしてるのだ。

怖くない訳が無いだろう。

そんなことを考えていると、ソラに服の裾をぎゅっと掴まれた。

…やはり、怖いのだろう。

それを見た指揮官も察したらしく、「用事を思い出した」と言って、一時的に席を外して、部屋の外へと出ていった。

 

「…ソラ、大丈夫か?」

 

「…正直、怖い…かな、すごく不安だよ」

 

「…そうか」

 

そう短くやり取りを交わし、お互いに何も言えなくなり、沈黙が流れる。

…ソラの気持ちは痛いほどわかるが、俺は技術者でもなんでもない上に、仕事もあるので一緒にいてやれないのだ。

…なにかソラの孤独感や不安を取り除けるような何かがないだろうか。

 

「そうだ、確か待機室に使ってないタブレットが…」

 

「ジンさん、どうしたの?」

 

「いやなに、流石に連絡も取れないのは辛いだろうなと思ってな、ちょっと失礼」

 

そう言い、ソラの乗る車椅子を押しながら、本部にあるシグマフォースの待機室へと向かう。

…本来ならここでみんなといれればいいのだが、待機室に仮眠部屋はあっても、それまで使っていた自室は既に別の人が使っており、人数的にも無理なのだ。

戻ってきている時はみんなに仮眠部屋でぎゅうぎゅうに詰めてみんなに寝てもらい、俺は隊長執務室のソファで寝るということをしているので、流石にそれだと任務にも支障が出てC96の時の二の舞になりかねないと思ったのだ。

ちなみに、ソラにはその仮眠部屋でしばらく寝泊まりしてもらうことになる。

そんな事を考えているうちに、ホコリを被ったタブレットを見つけ、充電しつつ、使えることを確認する。

 

「…よし、ソラ、しばらくこれでも使ってくれ」

 

そう言いながら、ソラにタブレットを渡し、軽く使い方を教える。

そして仮眠部屋のベッドの上にソラを寝かせ、その隣に俺も座った。

そして仮眠部屋にある設備…まあライトや冷蔵庫などしかないのだが、その場所を手の届く距離にしてから使い方を軽く教え、軽く雑談してから、司令室へと戻る。

すると指揮官がなにか書類を作っていたので、それを待つために近くのソファに座り、邪魔にならない声の大きさで雑談を再開した。

しばらくして、書いていた書類が完成したらしく、指揮官は大きなため息をつき、全身の力を抜いてだらけていた。

 

「…何やってたんです?」

 

「叢雲、今日はこっちに泊まれ、有給めっちゃ残ってたやろ」

 

「え?いやでも今日は午後から訓練が…」

 

そう言うと、指揮官はドヤァ!といった、いつもよりムカつく顔をして、先程まで作っていた書類を見せてきた。

書類には『有給申請書』と書いており、一目で指揮官の言いたいことがわかった。

 

「でも俺達の有給って部隊全体ですよね?いきなり申請してもメンバーに伝えれてないんじゃ…」

 

そこまで言うと、唐突にスマホに電話着信が入り、失礼しますと一言いい、部屋から出て電話に出た。

 

「もしもし?」

 

『もっしもーし!M14だよ!ジンさん、今大丈夫?』

 

「ん?ああ、大丈夫だが…どうした?」

 

『いきなり指揮官から『本日の午後の訓練は中止とする』って連絡あったんだけどどうしたのかなって』

 

そう言われ、指揮官があそこまでにムカつくようなドヤ顔をキメてきた理由がわかった。

 

「ああ、指揮官が有給を使わせてきた、それでだろう」

 

『ああ…なるほど、ということは今日はジンさんはそっちですね?』

 

「…そういうことになるな」

 

『了解です、ソラちゃんと一緒にいてあげてくださいね、ではまた!』

 

そう言い、一方的に通話が切られ、俺は再度指揮官室へと入った。

すると、指揮官とソラがなにやら楽しそうに雑談していたので、少し安心しつつ、何の話をしていたのかを尋ねてみた。

 

「そりゃあ…叢雲の話やけど?」

 

そう当たり前の事のように言われたので、とりあえず無言で指揮官を一発しばく。

理由?そりゃあ俺の話なんて俺の黒歴史を言うくらいしかないだろうと思ったからだ。

俺は悪くない。

 

「いったぁ!?嘘やて嘘!スキャンの内容話すついでに叢雲の過去の話してただけや!」

 

「過去の話してる時点でギルティなんだよ!黒歴史しかねぇからやめてくださいよホント!」

 

「ちぇー…」

 

「ちぇーじゃない、子供かなにかですか」

 

そんな会話をしていると、ソラがクスクスと笑っていることに気づいた。

…まあこの雰囲気に慣れて笑えるようになってくれただけ良しとしとこうか。

そんなことを思っていると、唐突に司令室のドアがノックされ、1人の女性が入ってきた。

 

「失礼します、住吉 ミナト(すみよし みなと)です」

 

「お疲れさん、そこの子が今回お願いする子や」

 

そう指揮官が言い、ミナトと言った女性がソラの方を見る。

すると、先程までの真面目そうな雰囲気が一転し、満面の笑みを浮かべ、なにかブツブツと呟きながらソラを見始めた。

よく集中して盗み聞きしてみると、

 

「黒髪ポニーテールに活発さを感じさせるTシャツにホットパンツという服装…ポイント高いわね、しかも可愛いと来たかー、これは丁重に扱わないと私が叢雲くんに殺されるわね…いやでも親しくなってボーイッシュっ子と恋バナをしてみたみが…」

 

「…ちょっと?」

 

「いやでも簡単に言うと病人である今の状況、果たしてそんな状態で恋バナなんてしてもいいのかしら……?」

 

「おーい、聞こえてます?ってか聞いてください」

 

「いやでも今彼女は不安なはず、ならば私がその不安を取り除k

 

「聞けぇ!」

 

…はい」

 

「指揮官、なんなんですかこの人!?絶対やべー人ですよね!?」

 

そう言いながら、思いっきり指をさしながら指揮官へと迫る。

 

「ごめんなさい叢雲くん…でもね、こんな可愛い子を目にして冷静になれって言うのが無理な話で…」

 

「ん?何か言いました?」

 

そう言いながら、笑顔でミナトさんの方を向く。

すると、「ヒエッ」と言って、プルプルと震え始めてしまった。

なんでだろう殺気でも出てたのかな?

まあいいや。

っていうか……

 

「指揮官、この人本当に大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫…のはずや、多分」

 

「もう!ベイクール指揮官、しっかり断言してくださいよ!」

 

いや今までの言動的に無理があるだろ。

そう思ったがあえて言わないでおく。

言ったら負けなような気がしてきた。

 

「まあ…このオッサ…指揮官が信用してるなら大丈夫なんでしょうけど……」

 

「…今オッサンって言いかけんかったか?」

 

「気のせいです。」

 

「アッハイ」

 

そんな会話を指揮官としていると、どことなく優しい、懐かしいものを見る顔をしながら、ミナトさんがこちらを見てきていた。

……一体なんなんだこの人は。

さっきから妙に馴れ馴れしく頭を撫でてくるし、変なところばかりだ。

 

……でも、どことなく雰囲気が"あの人"に似てる…かもしれない。

それでだろう、さっきからなんだコイツとは思っても、変な安心感がある。

………そう言えば、シグマフォースに入ってからあの人に会ってない。

元気にしているのだろうか。

 

そう過去のことを思い出していると、いつの間にか話が進んでいたようで、気がついた頃にはソラとも仲良く喋っていた。

ソラはなんだかんだ言って、きっとヒトが好きなのだろう。

そんなソラがヒトを一時でも信用できなくなったきっかけとなった人物……一体何者なのだろうか。

詳しくはわからないが、ロクでもない人物なのは確かだろう。

 

そうまた自分の世界に入って考えていると、唐突にソラに呼ばれ、驚いたような返事を返してしまった。

少し笑われたが、まあ反論するだけ無駄だと悟り、ひとつ咳き込み、その場をしのいだ。

 

「…で、どうしたんだ?」

 

「いやさ、ミナトさんも昔のジンさんのこと知ってたから本人に本当かどうか聞こうと思っただけだよ…で、昔ジンさん前の私より他人を信用してすらなかったってほんと?」

 

そう言われ、内心すごく戸惑ってしまう。

指揮官とはシグマフォース成立前には会ったことはないし、ミナトさんとも会ったことがない…はずだ。

なぜシグマフォース成立前の俺を知っているのだろう。

そう思考を巡らせていると、「どうなの?」とソラが聞いてきた。

 

「…ああ、確かにシグマフォース成立前は他人はおろか自分の事すら信用してなかったな、でも何故それを?」

 

そうミナトさんの方を向きながら言うと、「いやぁ?なんででしょうね?」と言って、はぐらかされてしまった。

少なくとも昔の俺を知っている人物は少ないはずだ。

だって当時は変にエリート扱いされる戦術人形が所属する部隊に所属していたので、誰も近寄ってすら来なかったからだ。

当時はまだ傭兵戦力からの移行期間の最終段階の辺りで、傭兵と戦術人形の混合部隊の傭兵なんていい印象がなかったのだ。

特に俺の所属していた部隊は、最後の傭兵と戦術人形の混合部隊で、人間の隊員は俺しかいなかった。

 

まあ後に特殊部隊として危険なところへ向かうなら人間の司令塔となる人物が近くにいた方が良いという考えになったらしいのだが、もう少しもすれば『人間の指揮官と戦術人形の部隊』へと完全に移行するだろう。

それほどに戦術人形のスペックは上がってきているのだ。

 

まあそういうことは置いといて、だ。

俺には過去にミナトさんと会った記憶が無い。

いや、もしかしたら会ってはいるが覚えていないだけ…の可能性もある。

あの頃は他人に興味もなかったしその可能性が高いだろう。

…にしても今日はやけに昔のことを思い出す。

特にいい思い出などないはずなのに。

 

「そうだ、二人共お昼ご飯は食べた?よかったら今回担当するメンバーと一緒にお昼にしない?」

 

そう唐突に、ミナトさんが言ってきた。

言われてみればもうお昼になり、お腹も少しすいていたところだ。

 

「ソラがいいならそうしますけど…どうする?」

 

そうソラに尋ねてみると、しばらく悩み、俺の方をじっと見つめてきた。

 

「…どうした?」

 

「…何かあったら、守ってくれる?」

 

そう心配そうにソラに言われ、やはり他人と会うのは怖いのだろうと悟る。

そして俺はソラの手を握ってやり、

 

「もちろん、大事な仲間だしな」

 

と、返してやった。

するとソラは笑顔を見せてくれ、「じゃあ、そうします」と言って、その誘いを受けた。

 

そして俺達は司令室を後にし、食堂で食べるものを注文して研究室へと向かった。

そこには気前の良さそうな男性や、活発そうな女性が座って、先に食事を取り始めていた。

 

「ちょっと二人とも!待っててって言ったじゃん!」

 

「すみませんね、頭が糖質を求めてたもんで、早く食べてデザートをと思いまして」

 

「私は単にお腹がすいただけだけどね、新しい弾薬の設計図は7割ほど終わったし…で、その子が?」

 

「そ、今回の依頼人である叢雲くんとソラちゃんです!可愛かろう!」

 

そうミナトさんが食器の乗ったトレーを置きながらいい、2人からまじまじと見られ始めた。

 

「へぇ…そこの青年がシグマフォースの隊長さんか、デストロイヤーちゃんはしっかり射撃できてるかい?」

 

そう男性が言ってきて、一瞬なんのことやらと思ってしまったが、すぐにデストロイヤーの弾薬を設計してくれた人なのだろうと悟る。

 

「はい、お陰様で、威力が高くてみんなびっくりしてます」

 

「ははは、そうだろうね、旧ナチス・ドイツ軍の薄殻弾頭を真似てみて火力をさらに上げてみたんだ、不具合がなくてよかったよ」

 

「なるほど、あの火力はそういう……」

 

あの弾を真似るとか色々と大丈夫なのだろうか。

ってかそれを再現できる設備があることに驚きを隠せないのだが、まあいいだろう。

多分気にしたら負けだ。

そんな事を考えながら、俺も空いている席にトレーを置き、ソラの乗る車椅子をその横に椅子をどかして置いた。

2人していただきますと言ってから食べ始め、時々聞かれる普段のことなどを返しながら、食事を終えた。

 

「さて…ご飯も食べたし、この後2人の予定は?」

 

そうミナトさんに聞かれ、2人して顔を見合わせてから「特にない」と答える。

すると、ミナトさんが、

 

「なら私とゲーム少ししない?うちの2人はずっと研究してて相手してくれなくてさぁ」

 

「…ミナトさん、明日のためにシステムチェックするって言ってませんでした?」

 

そうメガネをかけた男性に言われ、ミナトさんはしばらくフリーズしてから、

 

「うう…ごめん、ゲームの話はなかったことで…」

 

と、残念そうに言ってきた。

 

「いや、いいですよ…頑張ってください」

 

そう言ってから、ソラと二人で研究室を後にして、俺たちは待機室で雑談を交わし、その日を終えた。




最近安くゴッドイーター3が買えたんでやってたんすよ
ミナトさんを出した後に買ったのにも関わらずミナトってカタカナで書いてたものだから、「キャラバンはどういう感じなんだろう…」ってなってしまってました(このネタがわからない方すみません)

とりあえずアンケートの方ですが、9/9まで延期して集計します。
ではまた次回、お会いしましょう!


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第25話

あ、ありのまま起こったことを話すぜ…!
私は『プロット通りに物語を進めようとしたがプロットに書かれていない内容を書いていた』……!
何を言ってるかわかんねぇと思うが(ry

はい、プロット通りに進めるはずがプロットに書かれてないこと書いてました()
では今回もごゆっくり見ていってください。


次の日になり、ソラにしばしの別れを告げ、迎えのヘリに乗って基地へと戻った。

基地へと着いてから、ソラに渡した端末にビデオ通話をかけて少しみんなと話し、いつも通り訓練場へと向かう……はずだったのだが…

 

「マジか、雨が降ってきやがった」

 

そう、雨が降ってきたのである。

昔の銃とは違い、今は薬莢というものに発射薬…つまり火薬が入っているので、確かに雨の中の射撃はできる…のだが、今日はラペリング降下などのヘリボーン訓練をメインにする予定だったので、できれば晴れの方が気分的によかったのだ。

そんな事を曇り空を見上げながら思っていると、ヘリの離陸準備をしていたイチが、天候図の映されたタブレットを手にコクピットから降りてきた。

 

「お兄ちゃんお兄ちゃん、大変だよ!このままだと嵐が来そう!」

 

「嵐か…どのくらいの時間続きそうなんだ?」

 

そうイチに尋ねてみると、今度はニコが反対側のコクピットから降りてきて、

 

「それがね…今グリフィンの予報局に聞いてみたんだけど、明日の朝まで…みたいなんだ」

 

と、言ってきた。

 

「明日の朝まで!?また長いんだな…」

 

「うん、台風みたいな感じらしいんだ…今朝急に近くで雲が発達しちゃったみたいだよ」

 

「また運の悪い…帰って来れただけマシか」

 

そんな会話を交わしていると、先程までポツポツと降っていた雨が、徐々に激しく降り始め、風まで吹いてきてしまった。

 

「2人とも悪い、荷物はそのまま明日のために置いておいて今日のヘリボーン訓練は中止にしよう」

 

「了解、計器切ってたら…うん、屋内に戻る時にびしょびしょになっちゃうかな…」

 

「待っててくれたら傘を持ってくるぞ?さすがに濡れると大変だろう」

 

「うん… そうしてもらいたいのは山々なんだけど、きっと風で折れちゃうと思うからいいよ、その代わりタオルの準備をお願いしてもいい?兄さん」

 

「わかった、濡れすぎたらそのまま軽く拭いて風呂にでも浸かってくるといい、じゃあ先にタオル準備しに戻っとくぞ」

 

「わかったよ、また後でね」

 

そう会話し、俺は先に基地へと戻り始める。

 

「じゃあニコ!計器お願いね!あたいドアの鍵閉めていくから!」

 

「わかったよ姉さん、じゃあ手分けして片付けようか」

 

そう会話する姉妹の声を後ろに聞きながら、俺は駆け足気味に屋内へと戻り、大きめのタオルを2つ準備して屋上フロアへと戻り、屋内にあるチェアへと腰掛けて2人を待った。

しばらく待つとヘリポートへと繋がるドアが開き、びしょ濡れになった2人が戻ってきた。

 

「ひゃー、濡れた濡れた!あたい久しぶりだなぁここまで雨で濡れたの…」

 

「だね、最近雨の中外にいることがなかったしね…」

 

そう言いながら、濡れた白いTシャツを絞りながら2人が俺に気づいてこちらへと向かってきた…のだが…

 

「…2人とも、透けちゃってるから隠してくれ」

 

そう視線を逸らしながら2人へと伝える。

あえて直接は言わないが、淡いピンク色の可愛らしい出っ張りが2つ、2人の胸元に透けてしまっているのだ。

 

「「あっ……」」

 

そう2人は顔を赤らめながら、片手で胸元を隠した。

それを横目に確認してから、タオルを二人の頭に被せてやった。

 

「あー…その…なんだ、男が俺しかいないとはいえ、透けた時のことを考えてしっかり付けといてくれ」

 

「うん、あたい達ブラつけてないの忘れてたよ…」

 

「…まあ、ボクは兄さんになら見られてもいいけどね?」

 

そうニコが悪戯っぽい笑みを浮かべながら、俺の顔をまじまじと見てくる。

 

「はぁ…やめてくれ、まだ色々と心の準備ができてねぇんだ」

 

「でも、早くしないとガンナーズのみんなが来ちゃうよ?予定だと今日でしょ?」

 

「ああ…それなんだが、思っていたよりも任務が入ってしばらく来れなくなったらしい…だからといって一緒に風呂に入れるって訳じゃないからな?」

 

「まあ、猶予は増えたってことだよね!みんなに教えてあげなきゃ!」

 

「やめてくれ、無理やり入れられかねん」

 

「まあいいじゃん、兄さんなら大丈夫だって」

 

そんなやり取りを交し、2人は俺の顔を見てあははっと笑いながら、体を温めに行くと言って階段を降りて風呂場へと向かった。

そんなに顔が赤くなってたりしてたのだろうか。

 

その後、俺は1人で、ガラス越しに外の様子を眺めていた。

ぼーっと外を眺めていると、ガラスにM500が写っていることに気づき、後ろを振り向く。

すると、M500は何も言わず、笑顔のまま俺の隣へと座ってきた。

 

「……『あの日』のことを思い出すな」

 

「うん……覚えてたんだね、ジンさん」

 

「……ああ」

 

そこまで言うと、またお互いに黙り込み、2人して外を眺め始める。

しばらくすると、M500が近くへと寄ってきて、俺へともたれかかってきた。

 

「…ジンさんは、ずっと私の傍から離れないでいてくれますよね?」

 

「…もちろんだ」

 

「あの人みたいに…急に私の元からいなくならないでくださいね」

 

「…やっぱり、まだ想っているのか?」

 

「忘れたことは無いよ、だって…本当に大好きだったんだもん」

 

そう言って、M500はふふっと笑い、笑顔を浮かべていた。

 

「…そうか」

 

「あー、もしかして妬いちゃいました?」

 

そう言い、笑いながら、俺の顔を覗き込むようにしてからかい気味に言ってくる。

俺はそれに対して何も言わず、M500の頭を撫でてやった。

 

「…確かに、あの人の事は忘れたことはないよ、でもね…今は私の大好きな…ジンさんがいる。だから私は大丈夫だよ」

 

「…昔から、君には助けて貰ってばかりなんだ。今度は、俺に君を助けさせてくれ」

 

「…うん、頼りにしてるからね、"叢雲くん"」

 

そう懐かしい呼び名で俺のことを呼び、M500はまた、俺に体を預けてきた。

 

「…その呼ばれ方も懐かしいな、部隊成立した後はずっとジンさん呼びだからな」

 

「あの時のジンさんは可愛かったなぁ…まさか、あの時の無愛想な子が私たちの隊長になるだなんてね」

 

「…やめてくれ、恥ずかしい」

 

そう言いながら、照れ隠しに頭をかく。

あの頃から考えると、俺はこの部隊に入ってから、大きく変わったものだ。

おそらく…いや、確実にその理由を作ってくれたのは、何物でもないM500だ。

本当に彼女には、この前の部隊の時から良くしてもらっている。

本当に、感謝してもしきれない。

 

「…さて、今日の午後のことを考えないとな、って言っても、地下射撃場でできることしか無理だけどな」

 

「だねー、さ!私も過去のことばかり思い出さずに、今を生きていかないとね!」

 

「無理はするなよ?何かあったら、どんなことでもいいから頼ってくれ」

 

「わかったよ、ジンさん」

 

そんな会話をしながら、俺たちは笑い合い、共に午後の準備へと取り掛かった。




どうでしたでしょうか?
叢雲とM500の出会いはまた後日書こうと思ってます。
M500の『想い人』とは誰なのか、どのような関係だったのかはお楽しみに…

ところで余談ですけどこういう擬人化ものの(ドルフロは正確には擬人化ではないですが)ゲームのキャラって基本ノーブラだと思うんですよ
まあたまにつけてる子はいますけどノーブラ率は高いと思うんです(ノア調べ)

さらに余談ですけどようやくうちの司令部にM500が着任してくれました……
なんで☆3なのにここまで出てくれないの…?

ではまた次回、お会いしましょう!


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第26話

キッチリ流れを決めちゃうより大まかな流れを決めて徐々にその目的に話を進めていくのが結局いいんじゃないかと最近思ったノアです。
まあやり方は人それぞれなんですけどね。

とまあそういうのは置いておいて、今回もごゆっくり見ていってください。


外から暴風雨の音がする中、俺たちはソラと通話しながら昼食を食べ、午後からどうするか話し合っていた。

筋トレだの体幹トレーニングだのの案が出てきたので、おそらく午後からは雨の日の部活にありがちな内容に射撃訓練という物騒なものがつく感じになるだろう。

…ってか戦術人形って筋トレやら体幹トレーニング意味あるのか、どういう技術なんだ。

世の中には特殊部隊向けに作られたらしいショットガンの人形の最近の悩みが体重増加だとか聞いたことあるし、半分ほど人間なんじゃないだろうか。

 

そんな事を考えていると、どうやら前々から着任が決まっていた3人もこの嵐で遅れるとメールが入った。

…え?今日か明日来る予定だったの?

先に言ってよそれ…

そう思うが、まあこの際だし、誰が来るかもう発表してもいいだろう。

 

「みんな、少しいいか?近々着任するらしいメンバーなんだがな」

 

「はぁ、そんな人がいたんですか?」

 

そうM14が聞いてくる。

 

「ああ、スナイパー2人にSMG1人だ、そのうち2人は特殊な製作工程だったらしくてな、エッチングされた銃が姉妹銃ですらないのに姉妹だそうだ」

 

そうみんなに言うと、みんなもその謎の姉妹について謎を感じたらしく、みんなして黙り、難しい顔をし始めた。

まあ仕方ない、俺もよくわからないし。

そうした中、1人だけ急にデストロイヤーが明るい顔になり、こちらを笑顔で見てきた。

 

「もしかして…あたしより入隊後ってことはあたしが先輩に!?」

 

「ああ、そういうことに一応なるな」

 

そう言いながら、先輩になれると喜んでいるデストロイヤーの頭を撫でてやる。

 

「なでなではやめて、人間の子供じゃないんだから…」

 

「自律人形だの人間だの俺には関係ないさ、撫でたいから撫でてるだけだよ」

 

そう言うと、恥ずかしそうにしつつも、気持ちよさそうに撫でられてくれたので、こちらとしては撫でた甲斐があったというものだ。

 

「そうだ、ちなみに今回の入隊者が…『Super SASS』になぜかSASSの妹らしい『79式』、あとは…『ドリーマー』だ」

 

「ええ!?ドリーマー!?嘘でしょ!?」

 

そうデストロイヤーがすごく驚きながら聞いてくる。

なにか因縁でもあったっけ…?

 

「本当らしいぞ?…ってそうか、デストロイヤーがうちに来た理由って…」

 

「…そうよ、いっつもあたしをからかってきて…でも、その分世話を焼いてくれてたなぁ…」

 

「めんどくさい姉みたいなもんか?」

 

「…まあ、そんな感じだったのかもね」

 

そうデストロイヤーは言いながら、少し懐かしそうな顔を浮かべていた。

なんだかんだ言って、仲が良かったのだろう。

…まあ、本人からすればシャレにならないイタズラもされてたようだが。

 

「さて、そろそろ訓練を始めようか、今日は早めに始めて早めに終わろう」

 

そう言うと、全員から了解と返事があり、各自で汗を拭くタオルなどを準備し始めていた。

俺もタオルと銃を用意し、みんなして基地の中でそこそこの広さのある1階の駐車場へと向かい、ランニングを始めた。

しばらく走り、少しの休憩を挟んでから筋トレを始める。

最初は自分の銃を背負ってみんなでやろうかと思っていたが、そうするとゲパードが地獄を見ると気づき、結局普通に筋トレをする事にした。

 

「はぁぁ…疲れた…ワタシもう寝たい…」

 

「ゲパード、まだ射撃訓練が残ってるぞ、GM6 Lynx使っていいから元気出せ」

 

「別にGM6が好きなわけじゃないけど…確かに一発づつ装填するより楽だからそれでいいか…」

 

そう無理にゲパードに納得してもらい、俺たちは地下の射撃場へ行こう…としていた時だった。

 

「ん?ねぇねぇジンさん、なんか声しない?」

 

そうM500に言われ、聞き耳を立ててみる。

すると、本当に微かにだが、誰か女の子の声がする…気がした。

 

「コック…ではないよな、コックなら今飲み物の補充しに休憩室に行ってくれてるし、それにコックならもっと聞える」

 

「私からしたらそこそこ聞こえるけど…確かにコックちゃんの声ではないよね」

 

そんな会話をしていると、唐突に建物のインターホンが鳴らされ、咄嗟に身構えてしまう。

 

「…出てみるぞ」

 

そう皆に一声かけ、ドアを開けてみる。

すると、そこには服がボロボロになり、雨でびしょびしょになった、1人の水色の髪をした女の子が立っていた。

 

「どうしたんだ?何があった?」

 

そう言うと、その女の子は泣きじゃくりながら、

 

「お父さんとお母さんが…怖い人たちに襲われてて…!助けてください…!」

 

「怖い人たち…それは武装してるのか?」

 

「はい…別荘にいたら急に襲ってきて…あたしだけでも逃げろって…」

 

武装してて襲ってくる…ということは、十中八九テロリストだろう。

そしてここまでボロボロというのは、この周辺の森の中を走ってきたから、という事だろうか。

 

「家はどの方向だ?落ち着いて話してくれ」

 

そう言いながらM500に目配せして周辺地図を持ってきてもらい、それを開きながら、その女の子の話を聞くことにした。

 

「この方向に数キロ…ここか、確かにポツンと一軒家がある、よく走ってきたな、辛かったろう」

 

そう言ってその女の子を撫でてやると、洪水のように泣き出してしまった。

よほど大変で辛かったのだろう。

 

「…よし、出撃の理由づけは適当に指揮官に任せよう、シグマフォース、出撃準備!」

 

そう言うと、みんな一斉に自室や用具置き場へと走り、準備を始めた。

俺は女の子の事はイチとニコに任せて、俺も準備をし、目的地の座標を今回使用するRG-31 Mk.5に乗りながら端末を使って入力し、エンジンを暖める。

いつもなら大人数で乗れる乗用車などに乗るのだが、今回はテロリストが相手ということで、こんなこともあろうかと配備されていた装輪装甲車で行くことにしたのだ。

 

「そうだデストロイヤー、今日はここに変なのが来ないかの警備をしててくれ、デストロイヤーのグレネードなら防衛目標にダメージが行くかもしれない」

 

「わかった!誰も来ないといいなぁ…」

 

「安心しろ、イチとニコもいるさ、よし、じゃあ3人とも、その子任せたぞ!」

 

そう伝え、俺はRG-31を走らせ始めた。




この暴風雨が来てるシーンをイメージしながら書いてたら外が曇りなのに雨が降ってると錯覚してました。

あ、アンケートを取った結果、417が3票、SOPMOD block 1が2票、ジャッジが2票、誰でもいい、もしくは全員参加が5票、全部で12票の投票でした、ありがとうございました。

この結果を踏まえて、後々早いうちに全員参加の路線で、票の多さ順に実装していこうと思います。
アンケートの参加ありがとうございました。


本編の内容に戻りますと、次回からやっとかなり前からネタとしてはあった話へとようやく進めることができました。
あともう1つかなり前からネタとして置いてあるのがあるので、それもしないとなぁ…と思いつつ、皆さんに楽しんでもらえてるのかなぁ…と思いつつ…少なくとも観覧して貰えてるので楽しんでもらえてると思ってモチベを上げてます、毎回ご観覧ありがとうございます!
ではまた次回、お会いしましょう!


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第27話

書きたい別の話を書いてたら遅れましたすみません()
しかも書いてて話の終わりみたいな書き方になって文字数を見てみると文字数が少ないというこの…
書きたい話が割とあったりするのでこの遅れ方はまだまだたまにすると思います…
面白く書けたかな?となるともしかしたら投稿する…かも知れません。
では今回もごゆっくり、見ていってください。


全速力でRG-31を走らせ現場に着くと、そこには10数人のテロリストが外で何かを探しているようだった。

おそらく、先程の女の子を探しているのだろう。

しかし、もう探しても無駄だ。

 

「プロテクター、射撃開始!」

 

そう運転しながら、プロテクターRWSの操作席にいる、M14へと射撃命令を伝える。

すると、短く"了解!"と返事が帰ってきてから、プロテクターによる射撃が開始された。

大雨の降る中、プロテクターに搭載されたM2重機関銃が火を噴き、テロリストどもを次々にミンチに変えていく。

そして少しの隙ができた時に、後部ドアから416、C96、M500、スコーピオンの4人が駆け下り、残党へ向かって制圧射撃を開始した。

しばらく車体を盾になるように動かしつつ、プロテクターや4人の制圧射撃を続け、最後の一人を倒してから、俺もゲパードとM14に車を任せ、俺も降りて建物の近くへと向かう。

そしてドアを開けて突入し、家の1階をクリアリングし、制圧を完了した。

 

そして、家の2階をクリアリングしながら進んでいくと、そのうちの一室で、2人の老夫婦が、背中から撃たれ、亡くなっているのを見つけた。

 

「…人質の死亡を確認、R.I.P.」

 

そうみんなにも聞こえる声で呟き、俺たちは手を合わせながら短く黙祷し、暗い雰囲気になりながら、基地へとその事を連絡した。

基地へ戻ってから本人が会いたいと言うので、再度車を走らせ、女の子を連れて再度家へと戻り、その亡くなった2人に会わせてやることになった。

女の子は老夫婦の変わり果てた姿を見て、その場で崩れ落ちて、大粒の涙を流し、泣いていた。

 

無線でまだ車でも来れる距離のグリフィンの小さな支部へと連絡し、テロリストどもの死体を回収、老夫婦の遺体もしばらくその支部の遺体安置所へと安置されることになった。

女の子はグリフィン所属ではないので、一時的に俺たちの基地の預かりとなり、女の子の心の傷を必死にみんなで埋めようと試みていた。

 

それから次の日、嵐も止み、その女の子の処遇を聞くことになった。

上層部によると、女の子は、元はSPP-1の戦術人形で、そのスキン衣装を着用した子だったらしく、コアを抜かれてあとは民間への放出を待つのみになった際、あの老夫婦に娘として迎え入れられたらしい。

ならば、主人を失ったあとはIOPに再度回収される未来が待っている、どういう事だ。

しかし、俺はそれがどうしても納得できず、なにか遺書のようなものでもないかと上に頼んで探してもらうことにした。

とりあえずは、この事実を伝えるべく、俺は女の子のいる部屋へと向かっていた。

部屋の扉をノックし、中へとはいると、やはり、まだ心の傷が癒えず、落ち込んでる女の子の姿があった。

 

「…昨日は、よく眠れたかい?」

 

「あまり、眠れませんでした…」

 

「まあ、そうだよな……」

 

「でも、ここの人達が良くしてくれて、少しは気が楽になってます」

 

そう言い、少し笑顔を見せながら、軽くガッツポーズを見せて、元気だとアピールしてくれた。

 

「そうか…よかった、それと…君の、この後の処遇なんだけどな…」

 

そう言い、先程聞いた内容を告げる。

やはりショックなのだろう、女の子はしばらく何も言えず、ただ涙を流すだけだった。

 

「お父さんとお母さんが居なくなったのに…またみんなとお別れだなんて…そんなのやだよ…私は、ただ普通に、幸せに生きたいだけなのに…」

 

そう女の子が言い、涙はさらに大粒に変わり、嗚咽へと変わった。

戦術人形だった頃から、色々とあったのだろう。

俺は気がつけば女の子を抱き寄せ、必死に慰めていた。

…俺も、家族を失った気持ちはよくわかるからだろう。

テロリストにいきなり普通に暮らしているところを襲われ、愛する人を殺される。

これほどに悲しいことは無いのだから。

 

しばらくすると、女の子の涙は少なくなり、泣き疲れたのか俺にもたれて眠っていた。

 

「…いい夢を、見れるといいな」

 

そう呟き、どうしようかと悩んでいると、ポケットに入れている端末に、メールが入った。

内容は近くのグリフィン支部の、遺書がないか探してもらっていた部署からのものだった。

内容は、『遺書は見つかり、そこには「私たちの亡き後、ユキには自由に暮らして欲しい」との記載があった』との事だった。

文中にあったユキと言うのは恐らく、この子の事だろう。

メールの最後には、IOPに掛け合って民間への放出の件はなしにして貰えないか尋ねてみるとまで書かれていた。

返答次第では、この子の民間への放出は免れ、新たに生きていけることになる。

 

…しかし、かといってどう生活していけば、この子はいいのだろう。

彼女の見た目は幼く、おそらくまだ普通の社会の生き方を知らない子だ。

知っていたとしても、この世の中、まともな職があるのだろうか。

そう思い、どうにかならないかと指揮官にメールを飛ばしてみる。

すぐにメールは帰ってきたが、やはりIOPの判断次第だそうだ。

 

「全く、世の中世知辛いなぁ…」

 

そう起こさないように呟き、布団にそのまま寝かしつけてやる。

気がつけば、辺りは暗く、夜になっていた。

晩ご飯はM14が作ってくれるとの事だったので、しばらくこのまま、安心して眠れるようにここにいてやろう。

そう思い、俺は女の子の頭を撫でてやった。




いやぁ…ほんと元から文字数少ない話なのにさらに少なくて本当に申し訳ない…
次は今回より長めを目指します…

ところでSPP-1ちゃん可愛くないですか?
特にスキン。
嫁にしたいとかじゃなく妹に欲しい系キャラですねホント。
嫁候補?
多すぎて1人に決められなくて悩んでます。

ではまた次回、お会いしましょう!


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第28話

気がつくとプロットにないことを書いてるノアです。
プロットの意味がない気がしてきました。()
やっぱりどの時代でも無関係な人に被害を受けさせるテロリストはクソ、はっきりわかんだね(ユキを撫でつつ)

では今回も、ごゆっくり見ていってください。


次の日になり、俺は朝からできるだけ女の子の心のケアをするために、訓練指揮をM500に任せ、女の子の部屋に入り浸っていた。

 

なんでもいいからと話を聞いていると、まだ戦術人形だった頃の話から、コアを抜かれて自律人形として生活していた頃の話まで、色々と聞くことができた。

やはり、女の子の名前は遺書に書いていた通りに『ユキ』という名前らしく、雪のようにふわりと包み込むような、可愛いく、優しい子になるようにと、老夫婦からつけられたらしい。

そのおかげもあってか、確かにデータベースで見たSPP-1の戦術人形の基礎人格よりも、柔らかく、可愛い子になっていると感じることができた。

 

ユキは、戦術人形として活動していた時は、烙印システムで結ばれたSPP-1水中銃の本領発揮できる水中…ではなく、陸上での戦闘に駆り出されていたそうだ。

もちろん、水中銃が他の銃と同じ舞台で同じように活躍できる訳もなく、寧ろ味方が撃ちやすいように振舞っていたのだという。

そのおかげか他の戦術人形達の戦果は著しいもので、チームのムードメーカーだったが、1人だけ戦果が乏しいのが当時の指揮官の気に障ったのか、1人だけ部隊から外され、IOPへと返却されることになったという。

そして戦術人形が戦術人形たる所以のコアを抜かれ、後は民間への放出を待つのみとなり、IOPの中をぶらついていた所を、たまたま子供が出来ないからと仕方なく自律人形を買いに来た老夫婦の目に留まり、娘として迎え入れられることになったそうだ。

老夫婦はユキの事を本当の娘のように可愛がってくれ、ユキも過去のことを忘れて生活できていたそうだ。

もちろん、自律人形であるが故の苦労はあったそうだが、それでも楽しく、平和に生活できていたのだという。

 

……しかし、そんな平和も、長くは続かなかった。

楽しかった日常が、1度ならず2度までも奪われ、さらにはその今までの老夫婦との日常が、二度と戻る可能性すらなくなってしまったのだ。

この事には、流石の俺もかける言葉が見当たらなかった。

俺も両親や友人をテロリストに奪われはしたが、それもまだ1回だけだ。

確かに、途中でC96が一時的とはいえ死ぬということがあったが、それも永遠の別れではなく、C96は戻ってきてくれている。

ユキには、そうやっていつでも自分の元に戻ってきてくれる人は、もう居ないのだ。

だからこそ、今度こそは、自由に、そして平和に生活して欲しい。

その願いが届くのかはまだわからないが、指揮官にも動いてもらい、なんとかいい方向にならないかと努力を進めている。

その事がいい方に転がるのを願うばかりだ。

 

その事を今はまだ隠しながら、ユキと話を進めていると、訓練所からみんなが帰ってきて、昼ご飯となった。

みんなで笑い合いながら食事をし、俺はみんなにユキを任せ、なんとなく空を眺めに、屋上の駐機場へと来た。

多分、悲しいのに明るく話すユキの姿を見て、嬉しいのに悲しい気持ちが募り、そういう、黄昏たい気分になったのだろう。

割と、俺はそういう所があるのかもしれない。

 

「はぁ…なんかユキの喜ぶような事ねぇかなぁ…」

 

そう呟きながら、俺は部隊の保持する、ステルスホークへと歩み寄り、機体に描かれた部隊のエンブレムへと手を伸ばす。

今まではなんとも思わなかったが、今日ばかりは、コイツにも感謝しないといけない気がして、気がつけばボソッと"いつもありがとう"と呟いていた。

言ってから徐々に恥ずかしくなり、意味もなくヘリポートへとねっ転ぶ。

そして気づけばうとうととして来て、俺は夢の世界へと意識を手放していた。

 

―――

――

 

 

「……ン!ジン!起きな!」

 

そう唐突に声が聞こえ、慌てて飛び起きる。

飛び起きるとそこは、グリフィン本部にある、昔いた自室だった。

 

「やーっと起きたんか、もう朝やで」

 

そう声が聞こえ、聞こえた方を向くと、そこには黒い髪の毛をポニーテールにし、赤ぶちメガネをかけた、白衣の女性がいた。

 

「なんだよ、今日は休暇のはずだ、寝かせろよ、"まつ姉"」

 

そう懐かしい名前を口に出し、俺はまたベッドへと寝っ転がった。

 

「まつ姉言えば見逃してくれると思ってるやろ!もう!今日は部隊で新規武装のテストやって言ってたやろ!」

 

「うるさい、俺はそれに同意したつもりは無いし、やるつもりは無い」

 

「あーもう!そんなん言うんやったら指揮官に言うて後方支援に回させるで!」

 

「…チッ、変に権力だけは持ちやがって」

 

そう言って、ベッドから降りて、壁にかけてあるハンガーからひったくるようにオリーブドラブの色の『第64技術開発部隊』のパッチが縫われた、フライトスーツを取る。

なぜ特殊部隊と言った感じの部隊でもないのにフライトスーツなのかはわからないが、これがユニフォームなのだそうだ。

 

「…着替えるから出てけ」

 

「見られて困るようなもん持ってへんやろ!気にすんな!」

 

「うるせぇ出てけ!」

 

そう言って、まつ姉を外へと追い出し、俺は着替え始めた。

しばらくして着替え終わってから部屋を出て、辺りを見回してまつ姉がいないかを探す。

するとやはり近くで待っていたので、嫌々背中を押されながら訓練所へと向かった。

 

「で?今日の実験装備は?」

 

そう不機嫌気味に聞くと、フフンとドヤ顔気味に言い、

 

「戦術人形の新型外骨格の試験や!苦節数ヶ月、いやー、仮完成まで長かった…」

 

と、しみじみとした面持ちを浮かべ、うんうんと謎の感動を噛み締めながら頷いていた。

 

「…それ俺いらないな、帰る。」

 

「ちょちょちょ!部隊統率する人間として、さ!」

 

「部隊統括やらは本統率してる指揮官に言ってくれ、俺はただ射撃目標やらを現場で指揮してるだけだ」

 

「だからこそ現場で使えるかどうかとかさぁ!ほら、終わったら欲しいもの買ってあげるから、な?」

 

「欲しいものなんざテロリストの命だけだ、だから俺は帰る」

 

そう言って踵を返して部屋へと戻ろうとすると、もう1人、俺の苦手とする、もう1人の人間…いや、戦術人形に声をかけられた。

 

「叢雲くん!早くやって今日の業務終わらそうよ!ね!」

 

そう肩を叩いて言ってきた女性…M500は、俺と同じフライトスーツを身につけて、片手に愛銃を持ちながらはにかんできた。

 

「げ、M500…めんどくさいのが増えた…」

 

「こらーっ!めんどくさい言わないで!」

 

そう言いながら、ぽかぽかと殴ってくるので、気をそらすために、

 

「あ、指揮官」

 

と、いる訳もない指揮官がいるかのように指をさしながら別の方向を向く。

すると、目を輝かせながら、指揮官を探し始めた。

本当に、騙しやすいものである。

 

「嘘だよバーカ」

 

「あぁーっ!また騙されたぁ!」

 

そんなやり取りを交わしつつ、俺は渋々、 武装テストに協力することにした。

テストと言っても、内容は簡単で、ただ脚部に装着する外骨格を装着して、ランニングや実践を想定したフィールドでの行動をデータ化するだけだ。

正直、俺が装備する訳でもないのに呼ばれる理由がわからない。

そんなことを思っていると、他のチームメイトであるM500の妹のM590、チームの癒し枠であるGr G41、いつも恋愛に憧れているM1911、いつもどこかめんどくさそうにしているARX-160がやって来て、わいわいと話をし始めた。

 

「あ!叢雲さん!頭撫でてくださーい!」

 

そうG41がこちらに気づき、嬉しそうに駆けてくる。

そんなG41を、俺は無視し、その場から逃げるかのように去っていった。

後ろからやれやれと言った視線を感じるが無視し、俺は人目につかないような休憩所へとやって来て、そこにあるベンチへと腰を下ろした。

 

「はぁ…」

 

そうため息をつくき、自販機で飲み物でも買うかと思っていると、先程までみんなと一緒にいたはずの、M500の姿がそこにあった。

 

「もう、G41ちゃん、『嫌われた』って泣いちゃってるよ、後で謝った方がいいって」

 

「…うっせぇな、アンタには関係ない」

 

「またそう言って…指揮官に言いつけるよ?」

 

そう言いながら、頬をふくらませながら腕を組み、こちらを軽く睨んでくる。

 

「…それだけは勘弁してくれ、戦場に出れなくなる」

 

「じゃあ後で謝っとこ?」

 

「…わかったよ」

 

そう言いながら、自販機でコーヒーを2人分買い、2人でベンチに座って飲み始める。

 

「…最近どうなんだ、指揮官とは」

 

「どうって言われても…近々式を挙げることになった…って事くらいかなぁ、まだ実感無いけど…」

 

「…そうか、おめっとさん」

 

「ん〜?叢雲くんが素直だなんて珍しい、何かあったの?」

 

「何もねぇよ、うっせぇな」

 

そう言いながら、俺は手に持った缶コーヒーを一気飲みする。

そして飲み干してから、大きなため息をついた。

 

「ま、話は変わるけど、部隊のみんなは叢雲くんが嫌いな訳じゃないからね?私からもしっかり叢雲くんの事は言ってあるから、そこは心配しなくていいよ」

 

「…余計なお世話だ、なんで部外者の俺にそこまでする」

 

そう言いながら、飲み終わったコーヒーの空き缶をゴミ箱へと投げ捨て、ため息をつきながら下を見る。

 

「なんでって言われても…指揮官から良くしてやってくれって言われてるし、なによりなんだか弟みたいな気がするし?」

 

「俺はお前の弟じゃないし家族でもなんでもない、そんな考えはやめてくれ」

 

「えー?部隊のみんなは家族と同じだよー?」

 

そう笑顔で言いながら、こちらの顔を覗き込むかのようにしてくる。

 

「脳内お花畑かお前は…いいか、俺には家族なんてものはもう存在しない、いるのは殺害対象かそうじゃないかだ」

 

「ふーん…じゃあなんで和泉さんは『まつ姉』って呼んでるの?」

 

「そう呼ばないとうるさいからだ、面倒なのは疲れる」

 

「じゃあ、そのうち私たち家族…部隊のみんなにも固有の名前つけて呼んで欲しいな」

 

そう言ってくるM500の顔を『何言ってるんだコイツ?』と言う感情を思いっきりだしながら睨みつける。

 

「はぁ?やだよそんなの、人形と馴れ馴れしくするつもりはない」

 

「そっかー、じゃあ自律人形もしっかりと生きてるんだってこと、知って貰わなきゃね」

 

そう言って、M500はベンチから立ち上がり、またね、と言いながら手を振り、みんなの元へと戻っていった。

 

「自律人形も生きてる…ねぇ…」

 

そう言った時、突如視界が真っ暗になり、気がつけば俺は嵐の中、戦場にいた。

突然のことにも関わらず順応していたことに今思えば不思議に感じるが、そんなことをこの時は考えていなかった。

 

「M500!M590!下がれ、俺が殺る!」

 

「叢雲くん無茶だって!まだまだいっぱいいるんだから協力しないと死んじゃうよ!」

 

「姉さんの言う通りですよ!チームワークでなんとかしましょう!」

 

「うるせぇ黙ってろ!俺はアイツらを殺さなきゃなんねぇんだ!」

 

「だからって無茶だよ!G41ちゃんもARX-160もダミーがもういないし、M1911だって大怪我してるし、撤退しなきゃ!」

 

「ならお前らだけで撤退してろ!俺は残る!」

 

そんなやり取りを交わしていると、唐突に無線から銃声が聞こえてきた。

 

『くそっ!コイツらなんでこんな所に!』

 

「指揮官!?どうしたの指揮官!?」

 

『M500か!悪い、式を挙げるのはまた後日になりそうだ!ひとまず撤退してくれ!』

 

「わかった!叢雲くん、みんな、撤退するよ!」

 

「…チッ、わかったよ」

 

そう言い、渋々司令部へと撤退する中も、無線からは銃声と悲鳴が次々に聞こえてきた。

恐らく、テロリスト共が司令部に奇襲をかけたのだろう。

早く戻らないと指揮官の命が危ない。

そう思い、俺たちは走る速度を上げ、司令部へと帰投した。

 

司令部につくと、そこにはグリフィン職員やテロリストの死体だらけになっており、至る所に血が付着していた。

司令部を探索していると、銃声が数回聞こえ、急いでその聞こえた方向へと向かう。

すると、そこには血まみれでMP5を持ち、息も絶え絶えとしながら立ってる指揮官の姿と、テロリストの死体があった。

 

「指揮官!」

 

そうM500が叫び、指揮官の所へと走り出した時、フッと指揮官の足から力が抜け、指揮官はその場で倒れてしまった。

 

「指揮官!返事してよ!ねぇ!」

 

そう涙ながらに叫ぶM500の顔を指揮官は微笑みながら見て、力なく手を持ち上げて、M500の頭を撫で―――

 

―――そして、力尽きてしまった。

 

「指揮官!ねぇ!起きてよ!起きてってばぁ!」

 

そう泣きながらM500は指揮官へと叫ぶ。

しかし、やはり指揮官からの返事はなかった。

 

「指揮官…一体どうしてこんな事に…」

 

そうM590が言い、みんなしてM500に釣られるように、涙を流す。

その一方で俺は、いつもに増して、強いテロリストどもに向かっての憎しみと殺意が渦巻き、今にも正気を失いそうだった。

 

「またかよ…またアイツらはそうやって俺から何かを奪っていくのかよ…!」

 

そう言い、俺は踵を返して、まだテロリスト共が居そうな方向へと歩みを進める。

しかし、一番悲しいであろう、M500に呼び止められてしまった。

 

「なんだよM500!アイツらが憎くないのかよ!仇を打ちたいって思わないのかよ!」

 

「思うよ!…でも…そんなことで死んじゃったら、余計に指揮官は悲しむよ……」

 

「…ッ!だからって!だからって復讐しない理由にはならないはずだ!」

 

「もう…もう私の大切な人が死ぬのは嫌なの!もしこのまま復讐しに行ったとして、私たちはバックアップから復元できたとしても叢雲くんは生き返ってくれないんだよ!?…そんなの、そんなのやだよ……!」

 

そう言われ、返せる言葉がなくなってしまう。

言われて見れば、俺は俺が死んだ後に残された人の事は、何も考えていなかった。

残される者の悲しみを一番知っているはずなのに。

今、俺にできることはなんだろう。

一生懸命考えても、何もいい手段は思いつかなかった。

…でも、一つ、なんとか思いついたことがあった。

俺はそれを実行するために、司令部にあるであろう、とある機械を使うために辺りを見回した。

 

「…あれか」

 

そう呟き、俺はその機械…作戦区域全体に届く、無線機へと歩みを進める。

 

「叢雲くん…一体何をする気なの?」

 

「うるせぇ、黙ってろ、お前ら自律人形にはできないことをやってやるだけさ」

 

そう言い、俺は現在参加している人形部隊の光点を数え、敵の予測位置と照らし合わせ、的確に指揮官が死んだことで連携が乱れていた部隊の統括、指揮をし、なんとかテロリスト共を撤退へと追い込む。

そして帰投する際のヘリの手配や何やらまでも、見よう見まねだが行い、あとはヘリを待つだけまでに状況を進めた。

 

「はぁ…おわっ…た…」

 

そこで俺は疲れからか視界が真っ暗になり、地面へと倒れ込んでしまい、そのうち意識も失っていった。

 

 

―――

――

 

「…さん!…ンさん!ジーンーさーん!」

 

そう俺を呼ぶ声が聞こえ、俺の意識は現実へと戻ってきた。

目を開けると、そこには初めて会った時と同じ、M500の戦術人形共通の服を着た、M500の姿があった。

 

「どうしたの?なんだかうなされてた気がするけど」

 

「…懐かしい夢を見てたんだ、昔の…な」

 

「ふーん、どうだった?懐かしかった?」

 

「懐かしいと言えば懐かしいかったが…もうあの頃には戻ろうとは思わないな」

 

「そうなの?」

 

「ああ、今は大切な仲間…家族もいっぱいできてるからな」

 

「ふふっ、そうだね、ジンさん」

 

その言葉を聞き、俺は嬉しくなりつつ起き上がり、M500の頭をわしゃわしゃと撫でてやる。

最初は恥ずかしそうにしていたが、やがて嬉しそうに撫でられてきた。

 

「…ところで、どうしてその服装なんだ?いつもなら黒いフライトスーツなのに」

 

「ああ、それはね、ユキちゃんと話してて、たまには自分たちの原点に戻ってみよう!って話になってね」

 

「へー、C96辺りは元とあまり変わらないんじゃないか?」

 

「まあ元から服が黒いからねぇ、服の下が下着なのは相変わらずだけど」

 

「それどころか見えやすくなってるだろ」

 

そう言って2人で笑い合いながら中へと戻り、先にM500にはみんなの元に帰ってもらった。

俺は自室へと戻り、服をしまっている箱を漁り、懐かしいオリーブドラブのフライトスーツ…今はなき『第64技術開発部隊』のユニフォームを取り出す。

…あの頃のメンバーは元気だろうか。

そう昔のことを思い出しながら、今着ているシグマフォースのユニフォームを脱ぎ、久しぶりにこのユニフォームを着込む。

そしてみんなの元へと戻り、俺は今の幸せを噛み締めていた。




いかがでしたでしょうか。
前回とはうってかわって6000文字超え。
なんだこの☆5が唐突に当たるガチャみたいな振れ幅は。()

ちなみに今月の過去のストーリー、あれ今朝書いてる時に思いつきました。
(プロットなんて)ないです。
書いてて楽しかったです。

ではまた次回、お会いしましょう!



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第29話

友人に「よくこんなに続くな」と言われた29話になる今作です。
続きはよと言われる作家に、私はなりたい。(遠い目)
まあ本業にするつもりはないんですけど、趣味としてでも有名になってみたい…そんな願望はありますねぇありますあります。

まあそんな半ば世迷いごとに近い話はともかく29話です。
今回は実験として投稿を早めにしてみました。
今回もごゆっくり見ていってください。


それぞれの懐かしい服装に身を包み、俺たちは楽しく話をしたり、ゲームをしたりして遊んでいた。

すると、唐突に俺の持っている端末に見たことも無い番号から電話がかかってきた。

みんなから距離を取るために急いで屋上へ向かい、電話に出てみると、どうやらIOPの職員らしく、ちょうどユキの対処を担当する人との事だった。

 

「…との上層部からの決定です、なにかご質問はおありですか?」

 

「いえ、特には何も、ああ、でも1つ…ユキはこの場合誰所有の自律人形となるのですか?」

 

「それはユキさんの意思次第とだけお伝えしておきます、では私はこれで」

 

そう言い、電話が切られて、あとは静かな夕焼け空だけが残った。

俺はそのまま、とある人へと電話をかけ、今回のユキの対処を伝え、こちらからの対処を話し合う。

そして全てが決まり、俺はみんなの待つ場所へと戻った。

 

「どうしたんですか、ジンさん?」

 

「…ユキの対処が決まった、ユキはこれから誰所有でもなく、本人の自由に生きていいらしい、やったなユキ!民間への放出は取り消しだ!」

 

そう言うと、みんなしてお祝いムードになり、ユキへ抱きついたりし始めた。

 

「本当に…?あたし、生きててもいいんですか…?」

 

「ああ、もちろんだ…そこでだな、1つ提案がある」

 

そう言い、少し真剣な顔をして、ユキを見つめる。

 

「提案…ですか?」

 

「ああ、このまま俺たちの部隊に残って、ここでみんなと一緒に暮らさないか?」

 

そう言うと、ユキは嬉しそうな顔を見せた後、何故か、悲しそうな表情へと変わった。

 

「どうした?」

 

「いえ…あたし、戦術人形じゃなくて、自律人形ですし…きっと、みんなのお役には立てませんから…助けて貰ってまでして無能な人形をここに置いとくだなんて…そんな…」

 

そう言い、その綺麗なオッドアイに、涙を浮かべ始めた。

 

「大丈夫だよ、できないことは、これからやっていけばいいんだよ!わたしもまだまだできないこといっぱい、いっぱいあるし!」

 

「そうそう、ワタシもできないこと、いっぱいあるから…きっと、ユキはワタシよりも色々できるよ」

 

「そーそー、戦術人形なら戦うことが仕事だけど、自律人形のユキにはそのほかの仕事もできるんだよ?頑張ればなんでもできるよ!」

 

「…まあ、私は完璧だけど、それでもできないことは少しはあるわ、ほんの少しだけだけれどね」

 

「私もまだ料理とか上手くできないし、まだ嘘に騙されたりしちゃうし…そういうとこ含めてが人間、でしょ?…まあ、私たちは戦術人形や自律人形だけど」

 

「私だって、ジンさんに料理教えて貰えるまでできなかったんだよ?今は無理なことでも、M14やみんながついてるよ!」

 

「うん、あたしだって、ジンさんに拳銃射撃を教えてもらうまで、しっかり撃てなかったもん!」

 

「あたいも最初はヘリの操縦できなかったけど、今はしっかりできるようになってるからね、やっぱり頑張り次第で変えれるよ!」

 

「うん、ボクも最初は操縦無理だったなぁ、やっぱり頑張り次第でなんでも出来ると思うよ」

 

「わたしも、なんて言ったらいいかわかんないけど…ユキちゃんなら大丈夫ですよ!」

 

そうみんなして、マシンガンのように言い、元気づけてあげているあたり、この基地にいる子達はいい子なのだと痛感させられる。

そのみんなからの言葉を聞き、ユキは嬉しそうにして、

 

「あたし…本当にここにいてもいいんですか…?」

 

と、涙なからに聞いてきた。

 

「ああ、もちろんだ」

 

そう言って、ユキの頭を撫でてやる。

そしてその後、少しばかり晩御飯を豪華にして、ユキの歓迎会を開くことにした。

そこそこの量のご飯が食卓に並び、みんなで食べた後、女子チームはみんなでお風呂へと入りに行き、そのあと女子会を開いて親睦を深めていた。

 

そして次の日の朝、俺たちは早朝から、訓練のために準備をしていた。

まだ日の出ていない頃なので、訓練に関係の無いコックやユキを起こさないように、それぞれの自室で銃のクリーニングやマガジンへの弾込め、その他装備の点検などをしてから、ほかのメンバーの部屋へと行き、準備が出来たかどうかの確認を取りに行っていた。

 

その流れで、416へ渡したいものを持って部屋へと向かい、ノックして部屋へと入った時だった。

やはり普段の416からは想像もできないほどに可愛らしい部屋に、ピンクに白い水玉模様が入ったパジャマを着た状態で、いつも被っているベレー帽も被らないほぼ寝起きの格好で自分の半身とも言える銃…HK416を手入れしている416と目が合ってしまったのだ。

 

「…416?せめて着替えていつもの服装でだな……可愛いパジャマが汚れるぞ?」

 

そう言うと、途端に沸騰した水に入れられたカニかのように顔が真っ赤に染まり、そのまま大量の汗をかいて固まってしまった。

 

「416ー?おーい?」

 

そう言って部屋に入り、目の前で手を動かしていると、唐突に目に涙を浮かべて、両手で顔を隠してしまった。

 

「どうしたどうした、別にまだ準備なんだから服装はなんでもいいんだぞ?」

 

「は、恥ずかしいんです…着崩れちゃってますし…」

 

そう言われ、改めて服装を見てみると、確かに…決して少ないとは言えない豊満な胸が、かなり露出してしまっていることに気づいた。

 

「すまない、すぐに部屋から出て忘れるようにするから」

 

そう焦りながら急いで立ち去ろうとすると、416に唐突に腕を掴まれ、逃げれなくなってしまった。

 

「…どうした?416が着崩れた状態だったのは誰にも言わないし忘れるから…」

 

「…そうじゃないです」

 

「…え?」

 

「…前に、二人きりの時はあるがままの私でいていい、って、言ってくれましたよね?」

 

「…まあ、うん」

 

そう言うと、416は俺の腕を離し、目を閉じて深呼吸して、少し置いてから、もう一度目を開け、こちらをじっと見つめてきた。

 

「…私は、完璧な戦術人形だと思ってます、それに、同時に私は特別な人形であるとも自負してます…でも、そんな私の基礎人格を否定するかのように、この…『シグマフォースにいるHK416』という個体の戦術人形は、たまにドジをするし、物忘れや、テンパって何も考えれなくなったりする、全く完璧じゃない戦術人形なんです」

 

そう告げる416は、どこか不安そうで、泣きそうになっていた。

彼女も、彼女なりの葛藤があるのだろう。

 

「…でも、それがあるからこそ、俺たちシグマフォースの416だ、違うかい?」

 

そう、思っていることを伝えてみる。

すると、

 

「そう、ですね…でも、ほかのHK416の戦術人形より劣ってるんじゃないかなって、時々不安になるんです」

 

と、震えた声で言ってきた。

 

「劣ってるだなんてとんでもない!むしろ本当に完璧な戦術人形、いや、人間なんて存在しないよ、誰にだって劣ってるところはあるし、誰にだって優れているところがあるんだ、そうだろう?」

 

「…はい」

 

「ほかの416の戦術人形達だって、同じように劣ってるところはあると思うよ、だって、君たちの持つ銃にだって、一つ一つ個性があるだろう?それと同じさ、ベースは同じでも、一人一人、一つ一つの個性があるんだ、それは俺たち人間だって同じだし、自律人形である君たちも変わらないはずさ」

 

これは、俺の本心だった。

いくら機械で作られた人間…自律人形だって、見た目は同じでも、一人一人の個性があると、実際に感じることができる。

それは会話して感じるものであったり、共闘して感じるものでもある。

それこそ、十人十色と言わざるを得ないほどに、だ。

 

「…じゃあ、こんなポンコツなところがある私でも…愛してくれますか?」

 

「もちろん、俺の大切な家族だ」

 

そう言うと、416は目に涙を浮かべながらも笑顔を見せ、俺に抱きついてきた。

 

「…416は、本当は甘えたがりなんだな」

 

「…そうでもないです、ただ…嬉しいだけです」

 

そう互いに座りながら抱きしめ合い、軽く話し、416が落ち着いてから本題に入ることになった。

 

~~~

 

 

「…新しいマガジン…ですか?」

 

そう、キョトンとした顔で416が尋ねてくる。

 

「ああ、本来ならコストも高くてあまり導入されないマガジンなんだが…今回指揮官が安いところを見つけたらしくてな、ほら、俺のメインアームと416のメインアーム、両方HK416だろう?」

 

「そう…ですけど、なんで私に?ジンさんは使わないんですか?」

 

「今回入手できた数が少ないらしくてな、2人でわけるには少ないんだ」

 

「はぁ…でもなんで私なんですか?射撃を総じて見るならジンさんの方が弾があった方がいいんじゃ…戦術人形みたいに射撃精度がバツグン!って訳じゃないんですし」

 

「ははは、まあそうなんだけどな、前回のELID襲撃の時、416、弾切れが早かっただろう?」

 

そう言うと、416は恥ずかしそうな顔を浮かべ、毛先をクルクルとして誤魔化し始めた。

 

「図星、かな?」

 

「はい…あの時はちょっとテンパりすぎて撃ちすぎました…」

 

「まあELIDだから何発も撃たないと死なないから仕方ないけどな、ほら、コレだよ」

 

そう言って、ポケットに入れていた5.56×45mm弾が100発入る、surefire製のマガジンを取り出す。

 

「わぁ…太くて大きい……」

 

「そうだろう?しかもマガジンを2つ重ねたのと同じ太さだからダブルマガジンポーチに入るんだ…まあ、長いから装備の使い勝手は悪いかもしれないが」

 

「私のに入るかしら…長すぎるかも…」

 

「…それもそうか、まあ無理してマガジンポーチに入れなくても今回は一つだけ使ってみるのでもいいかもと思ってるから大丈夫さ」

 

そう言うと、何故か416ははっとした顔をうかべた後、少し赤い顔でぶっすーとした表情を浮かべ、こちらを見てきていた。

 

「…どうした?なにか気に入らないことでも?」

 

「いいえ?ただ、言い方気にならないんだなと思いまして」

 

「んん…?どういう事だ?」

 

「なんでもないです、さ、そろそろ着替えますのでまた後で会いましょう」

 

「了解、そのマガジンも忘れずにな、一応予備も持って行くが、足りないよりいいだろう?」

 

そう言いながら、俺は立ち上がり、軽く伸びをする。

 

「了解です、マガジンに装填して持っていきますね」

 

「ああ、じゃあまた後で」

 

そう言い、俺は416の部屋を後にし、自室へと戻った。




今作は記号とか少なめに書くつもりで書いてるので「///」とか書きたくても我慢してました。
いっその事「(このマガジン)おっきくて立派なのぉ……///」とか言わせた方が良かったかな(深夜テンション)
そんなあとがきを書きながら年上の友人と「416って多分むっつりスケベですよね」って会話した人間、それが私です。
きっと知らないフリして結構知ってるか知ってるフリしてかなり知らないかのどっちかだと思うんです。

でも書いてたら気づいたらM500がメインヒロインみたいになってて脳内メインヒロイン論争に終止符が打たれそうな気がしてます。
はい、あんな内容書いててメインヒロイン決まってません。(殴


とまああとがきはここまでにして、また次回、お会いしましょう!


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第30話

大変投稿遅くなりました、すみません…
ネタが無いわ今まで書いたのを手直しして再投稿したわでかなり日にちが空いてしまいました…()

では今回もごゆっくり、見ていってください。


誰もいない廃墟街の姿をした訓練所に、銃声が鳴り響く。

時折グレネードによる爆発音もそれに混じり、音だけを聞くと、大人数による戦争が繰り広げられているかのようだった。

 

「撃ち方やめ!昼休憩だ!」

 

そう叫び、一斉に警戒を解く。

すると、先程までドンパチとうるさかった訓練所が、嵐の後のように静まり返った。

ここは、いつも使っている訓練所よりも遠い位置にある、元は小さな町だった跡地を改修して、グリフィンの訓練所にした、実戦さながらの訓練ができる大規模訓練所である。

いつもの訓練所では、射撃やブリーチング、ヘリボーンなどと言った基礎のことができるのに対し、ここの訓練所では、前回のドローンなどを使った大規模訓練ができるようになっているのだ。

ちなみに、前にELIDに攻められた訓練所でもある。

 

「はぁ…朝から訓練しっぱなしで疲れました…」

 

「そう言うなM14、今日の訓練が終われば2日ほど休暇だ、頑張ろうぜ」

 

「はーい…」

 

そんなやり取りを交わしながら、俺たちはヘリに乗り、少し離れた場所にあるセーフティエリアへと向かった。

 

 

 

「にしても…本当に広いよな、ここ。沖縄の北部訓練場くらいあるんじゃないか?」

 

そう言いながら、俺はヘリに揺られ、改めてこの訓練所の地図を見ていた。

北部訓練場に行ったことがあるわけではないので、実際に体感しての感想ではないのだが、本当に同じくらいはあるのではないだろうか。

 

「ジンさーん、オキナワって、どこにあるんですか?」

 

そう言われ、思わず絶句してしまう。

…しかし、すぐに、それも仕方ないことだと思い出した。

 

「…そうか、みんなは先祖が日本人とかじゃないからな…知らないか」

 

「あ、日本にあるんですか?行ってみたいなぁ、ジンさんの本当の故郷」

 

「ああ、俺も行ってみたいよ、どんな所なんだろうな、日本って」

 

そう、俺は日本人…いや、正確には"父親の代までが"日本人と言った方が正しいか。

俺たちの家族は、2030年に起きた『北蘭島事件』のせいで、先祖代々住んでいた日本から追い出され、ここ、欧州の地にたどり着いた。

言語はなんとか翻訳機などを使うことでなんとかなったものの、程なくして第三次世界大戦が勃発、おじいちゃんたちや親戚とも会えなくなってしまった。

仲の良かったいとこ達とも会えなくなってしまっているのだが、みんな元気にしてるだろうか。

 

そんな事を考えながら窓の外を眺めていると、やがてセーフティエリアのヘリパッドに向けて機体が降下し始めた。

そして、相変わらずの腕前で、ふわりと接地し、俺たちはそのまま休憩へと入った。

セーフティエリアに着くと、ユキとコックがみんなのお弁当を持って出迎えてくれ、俺たちはピクニックのように開けたところにシートを引き、ワイワイとしながらその作ってくれたおにぎりを食べ始めた。

 

「おお、これ、ユキが作ってくれたのか?いい塩加減じゃないか」

 

「えへへ、ありがとうございます、あたしにはこれくらいしかできませんから、お役に立てて嬉しいです」

 

そうユキは笑顔で言い、俺はユキの頭をありがとうと言って撫でてやる。

最初はびっくりしていたが、徐々に慣れてきたのか、嬉しそうにしてくれた。

 

「そうだ416、マガジンの調子はどうだ?使えそうか?」

 

そうユキの作ってくれたおにぎりを頬張りながら、416に尋ねる。

すると、416は慌てて口の中に入っていたものをお茶で流し、一息ついてから、

 

「少し使いづらさは残りますけど、かなりの間マガジンチェンジしなくていいのはいいですね」

 

と、微笑みながら言ってきた。

 

「そうか、なら良かった」

 

そう微笑み返し、俺はお茶をすすりながらゆっくりする。

すると、スコーピオンが、自分の持つミニミに、C96の持つHK416に装着するSTANAGマガジンを借りて、装着しては外してを繰り返していた。

 

「…どうしたんだスコーピオン?」

 

「いやさ?もしかしてそのマガジン、ミニミにも使えるのかなーって」

 

「使えるだろうが…伏せ撃ちができなくなるぞ?」

 

「だよねー、じゃあさじゃあさジンさん、C-mag買ってよ!あれなら弾帯より楽そうだし!」

 

「えぇ?多分マガジン分の重さがあるから普通に弾帯で200発持ってる方が楽だと思うぞ?」

 

「ちぇー…まあそうだよね…」

 

そんな会話をしていると、先程まで端末をいじっていたM500が、いきなりこちらに画面を向けて、ずいっと詰め寄ってきた。

 

「なんだ何だ急に?どうしたんだ?」

 

「ほら、画面見て!」

 

そう言われ、落ち着いて画面に表示されているのを見ると、そこには、グリフィンの人形向けインターネット酒保の、ショットガン人形向け装備の項目が表示されていた。

そこには、12ゲージのスピードローダーや、後付け式のチョーク、ダックビルバイダーなどが、一般市場より安く売られていた。

 

「…これがどうしたんだ?」

 

「ほら、私のM500ってさ、スピードローダーつけれないじゃん?」

 

「ああ、そのためのアタッチメントつけてないからな…もしかして買えと?」

 

そう聞くと、M500が目を輝かせながら頷き、ものすごく期待した表情でこちらを見てきた。

 

「はぁ…その代わり、インターネットでじゃなくてちゃんと店に行って取り付けてもらうからな」

 

「やったぁ!ジンさんおっとこまえー!」

 

「うるさいな…ったく…」

 

そう言いながら、少し照れくさくなり頭をかいていると、ユキとコックを除く他のみんなも端末で何かを選び始めた。

嫌な予感がしつつも見終わるのを待っていると、

 

「ジンさん!M14はこの新しいスコープをお願いします!」

 

「あたしはねー、このチェストリグ欲しいかな、他のスコーピオンの人形からのレビュー高いんだー!」

 

「わたしはですね…このお洋服が欲しいです!可愛いんで!」

 

「私はその…新しいホロサイトを…お願いできたらな…と」

 

「あたしもC96と一緒で服が欲しい!私服ほとんどないんだぁ」

 

「ワタシも…新しいスコープが欲しいな…2km先まで狙撃してみたいから」

 

「あたいもお洋服が欲しい!この可愛いやつ!」

 

「ボクは…そうだね、このウエストポーチかな、大容量らしいんだ」

 

そうマシンガンに蜂の巣にされるがの如く矢継ぎ早にみんな口々に言われ、少し戸惑ってしまう。

しばらくフリーズしてから、確かにM500だけ買ってあげるのも不平等だなと思い出し、今度の給料日に買ってあげることになった。

どちらにせよM500の持つ銃にスピードローダーをつける改造に行くことになるので、事前に有給を今のうちに申請し、ユキとコック、そしてソラの分を何か一つ買ってあげることなり、俺の財布が悲鳴をあげることが確定した。

全体の士気が上がるのはいい事なのだが、これは今月の小遣い分は給料から余分に下ろさないと行けないかもしれない。

 

…にしても、グリフィンの戦術人形向けの酒保のようなものがあるとは驚いた。

こんな世の中、商売相手は選んでいられないということだろう。

もしくは、ただ単に俺と同じく自律人形も人間として扱うお人好しみたいな人…なのだろうか。

まあ少なくとも俺はお人好しではなくただの変わり者だろう。

流石の戦術指揮官たちも誓約というものがあっても実際の結婚と同じ扱いにしている人は少ないだろう…よくわからないが。

 

「さて、そろそろ休憩も終わりだ、午後からも張り切っていくぞ!」

 

「「「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」」」

 

そう元気な声が訓練所に響き渡り、俺たちは訓練を再開した。




ちなみに私はゲームとはいえ結婚と同義として扱ってるので嫁は1人に絞る主義です。
だから嫁が決まらないんすよね()

次もまた空いちゃうかもしれませんが「ああ、ネタがなくて難産なんだな」とでも思っててください…
別の話書いてる可能性もありますが()

ではまた次回、お会いしましょう!


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第31話

いつもご観覧ありがとうございます、ノアです。
布団から起きるのが辛い時期になりつつありますね。
気がつけば合計文字数が10万文字を超え、さらには30話を超えるという…
自分でもよく続いてるなと思いますw

では今回もごゆっくり、見ていってください。


2059/3/25

 

その日、俺は部屋に差し込んでくる、朝の太陽の光で目が覚めた。

普段は特に日の光なんて気にせず寝ているので、どこか不機嫌になりつつ2度寝…しようとしていると、枕元に置いている携帯端末に電話が入った。

こんな朝早くにかかってきた電話にさらに不機嫌になりつつ電話の主を見てみると、開始してから約20日近くになる、ソラのメンタルスキャンをしていた、住吉さんからの電話だった。

 

ソラに何かあったのかと慌てて電話へ出ると、前に会った時とは違いどこか落ち着いた喋り方の住吉さんが電話に出て、ひとまず何かあったわけではないと察し、少し安心して、そのまま会話を続けていた。

 

『ってな感じで、ひとまずスキャンとAR機器へのインストール、並びにAR機器に元から居たAIとの顔合わせが終わったんだけど…何かここまでで質問はある?』

 

「いえ、ソラに何も無くてよかったです…ありがとうございました」

 

『いえいえ、叢雲くんの頼みなら聞いてあげないと、まっちゃんに怒られちゃうからね』

 

「誰ですかまっちゃんって…」

 

『そりゃあ、昔、叢雲くんと一緒にいた…ううん、なんでもない、じゃね~♪』

 

そう言い、一方的にぶつりと電話が切られ、少し困惑しつつも、話に出てきた名前が気になっていた。

 

「…まあ、すぐに思い出せないってことは記憶にないってことか…ダメだ、頭が回りそうにない、2度寝しよ…」

 

そして布団にまた入り、俺はまた夢の世界へと旅立っていった。

 

 

 

ジリリリリ…と、何度聴いても耳障りな音で目が覚め、俺はあまり回らない頭でそれを止め、気だるい体にムチを打ちベッドから起きる。

そして部屋を出て洗面所へと行き、冷水で顔を洗って無理やりに意識をハッキリとさせる。

その後は部屋へと戻り、カレンダーで日付を確認して休暇という事を確かめてから、適当なパーカーを引っ張り出し、感覚でそれに合いそうな服を選んで部屋を出た。

 

部屋を出てから休憩室へと向かい、そこにあるキッチンで全員分の朝食を作る。

前の嵐の時から増員メンバーの来る日程がズレてかなり経つが、未だに連絡が来ず、あるのは用意してからホコリをかぶりつつある人数分の部屋のみだった。

一体来るのはいつになるのだろう…そう思いながらパンをトースターに入れて焼き、インスタントのコンソメスープやヨーグルトなどを準備してみんなが起きてくるのを待つ。

その間に、今日の大まかな日程を指揮官へとその気になれば増員メンバーの日程を聞きにカチコミするぞと言う意味を込めた文章を書き添えて送る。

 

するとものの数分で、今日基地へと帰るタイミングでそのまま連れて帰るようにと、遅れたことの謝罪とともに返信が届いた。

 

「本当に急だな…スケジュール管理ガバガバ説あるな本当に…副官とかいないのか?」

 

そうブツブツと愚痴を呟きながら、自分の夢のために貯めているお金が総額いくらかを計算しつつパンを頬張っていると、私服の416とC96が起きてきた。

 

「おはよう、2人とも、よく眠れたかい?」

 

「おはようございます、ジンさん、よく眠れました」

 

「おはようございます!よく眠れましたよー!」

 

そう言う2人に朝食を出し、俺も食べるのを再開する。

2人は揃って「いただきます」と言ってから、美味しそうに朝食を食べ始めた。

 

「2人って、何気に仲いいよな」

 

「そうですかぁ?まあ付き合いは長いよね、416」

 

「そうね…そう言われればシグマフォースの前から同じね」

 

「へー、どこにいたんだ?」

 

「普通の戦術人形の部隊です、前の指揮官が定年で退社したので部隊は解散になりましたけどね」

 

「へー…初めて知った」

 

「まあ、言ってませんでしたからね」

 

「そうそう、まあ言うほどの経歴じゃないですしね、やってたこと主に警備だし」

 

「へぇ…」

 

そう言いながらスープをすすっていると、スコーピオンとゲパードが、楽しそうに会話しながら起きてきた。

 

「おはよう、よく眠れたかい?」

 

「おはよージンさん、今日も元気100%だよー!」

 

「おはようジンさん…本当はもう少し寝てたいけど…今日はお出かけだもんね…」

 

「だな、欲しいものは決めたかい?」

 

「うん…しっかりと在庫予約もしておいた…」

 

そう言いながら、とても嬉しそうにしているゲパードを見て、なんだか微笑ましい気分になり、何をねだられるのかという恐怖を、いつの間にかその気持ちが上回っていた。

 

しばらくすると、それぞれの私服を着たM500とM14、コックにデストロイヤーが起きて来て、一緒に食事を食べ始める。

そしてみんなが食べ終わった頃に、少し顔に油汚れをつけたイチとニコが休憩室にやって来て、2人が遅めの朝食を取っていた。

 

「イチ、ニコ、何してたんだ?」

 

「ちょっとオスプレイの整備をしてたんだ!今日はオスプレイで行こうと思って」

 

「うん、だからみんなより少し早めに起きて整備してたんだ、だから少し眠いかな…」

 

「お疲れ様、2人が来てから伝えようとしてたんだが、今日増員メンバーを連れて帰るように言われたからちょうど良かったよ」

 

「そりゃあ良かった!整備したかいがあるってもんだよね、ニコ?」

 

「そうだね、姉さん…ふわぁぁ…ボクちょっとカフェイン摂取してくるよ…」

 

「ああ、それなら冷蔵庫にいいのがあるぞ、モンスターなエナジーが」

 

「じゃあそれ貰うね、ありがとうジンさん」

 

「了解、いくつか種類があるから適当に選ぶといい」

 

そう言いながら机を拭き終わり、部屋に今日の荷物を取りに向かう。

一応前日に集合時間は0930と決めていたので、あと1時間と言ったところか。

ウェストポーチに荷物を入れ終え、俺はそれを腰に巻いたまま休憩室のソファでテレビを見ていた。

すると準備が終わったのかM14が隣に座り、そのままもたれかかってきながら、一緒にテレビを見ていた。

 

「どうしたM14、いつもにも増して積極的じゃないか」

 

「いえいえ別にー?私にだって甘えたくなる時くらいはありますよー?」

 

「…まあ、そんな日もあるか」

 

そう言い、そのまま気にせずにテレビを見ることにした。

 

「…もう、ジンさんのいじわる」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「いいえ何にも?…私は、諦めませんからね」

 

「何をかわからんが…まあ、頑張れ?」

 

「はい!絶対に…気づかせてみせます!」

 

そう鼻息をたてながら両手でガッツポーズをしているM14を見て微笑ましくなりつつ、俺は時間になるまでゆっくりとしていた。




ネタがないのでいつもなら簡略化してそうな所まで書くようにしてみたらいつも通りの文字数まで到達したのでしばらくはネタが残ってそうです…良かった…
他のシリーズのネタとかは出てきたり、(なおねこかのは出てこない模様)他のシリーズの設定ネタが
出てきたりはするのにメインで書いてるのは出てこない辛さ…

書いてて1度でいいから好みの複数の異性から好意を抱かれてみたいと思いつつ、その場合片方断るのが果たして自分に出来るのだろうかと思いやっぱり好かれて付き合うのは1人くらいでいいやと思いました。
はい。(恋人いない歴=年齢の作者並感)


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第32話

ネタが出なくて絶賛書けないノアです。
ネタが…ネタが欲しい…
でも他のシリーズのネタとかが出てくるの本当に謎…()

そんなことで(?)では今回もごゆっくり、見ていってください。


キィィィィンと甲高いエンジン音を聞きながら、俺たちはヘリに揺られ、グリフィン本部へとステルスオスプレイに乗りながら向かっていた。

今基地にいるのはコックとユキだけで、理由は一般人だからというのと幽霊だからだ。

まあ欲しいものは聞いてきているのでそれを買ってあげることになっているのだが。

 

そんな中、暇を持て余していた俺は、グリフィン本部の管制塔の周波数にいつも使っている無線を合わせ、管制塔とグリフィンに所属するヘリとの交信を聞いていた。

 

『"オスカー7"より"マスタータワー"へ、離陸許可を求む』

 

『こちら"マスタータワー"、"オスカー7"の離陸を許可する、良いフライトを』

 

『了解、"オスカー7"離陸する、貴方も良い日を』

 

ここでいうコールサイン『オスカー7』はグリフィン本部に所属する偵察ヘリコプター『OH-6』のオスカー隊、その7番機ということだ。

対してコールサイン『マスタータワー』はグリフィン本部に離着陸するヘリコプター全ての管制を行っている、つまり管制塔である。

 

「ジンさーん、何聞いてるのー?」

 

そうスコーピオンに言われ、両耳に付けていたイヤホンを外し、そのままスコーピオンの耳にイヤホンを突っ込む。

今ならまだ他の機体と交信が続いているはずだ。

イヤホンを耳に突っ込んで少ししてから、スコーピオンは難しい顔をして、

 

「…これ、聞いてて楽しい?」

 

と、言ってきた。

 

「うーん…楽しいかと聞かれると…普通なんだよなぁ…BGMみたいに聞いてるし」

 

「ふーん…まああたしの訓練好きみたいなもんなのかなぁ…」

 

「どうなんだろうな?俺の場合趣味みたいなもんと言うよりやること無くてやってる感じだから違うと思うが」

 

「へー、なら違うかぁ…」

 

そんな会話をしながらスコーピオンにイヤホンを返してもらい、そのまま聞き続けていると、今度は聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

『こちら"シグマ01"、ヘリパッド25-4への着陸を申請します』

 

『こちら"マスタータワー"、ヘリパッド25-4への着陸を許可します、おかえりなさい』

 

『了解、"シグマ01"、アプローチを継続します、ただいま』

 

そう落ち着いて交信するニコの声を聞きつつ、俺は降りる準備をし始める。

しばらくすると、機体が着陸し、元より静かだったエンジン音が止まった。

 

「タッチダウン!みんなー、着いたよー!」

 

そうコクピットからイチが言い、俺は皆が降りる準備をし始めたのを見つつ、俺はコクピットへと向かった。

 

「お疲れ様、2人とも、いつも交信はニコがしているのかい?」

 

「ううん、たまにだけど姉さんもするよ、多分兄さん聞いたらびっくりすると思うよ、いつもの姉さんと違うし」

 

そうニコがヘルメットを外しながら教えてくれ、俺はその事に興味をそそられていた。

 

「もう、いつも通りのあたいと変わらないって!」

 

「そうかなぁ…?いつもの姉さんより大人びた感じだけど」

 

「むー!いいもん、今度お兄ちゃんに聞いてもらうもん!」

 

「ならまた航空無線聞いておかないとな、イチの普段の仕事を知るためにも」

 

そう言い、俺はキャビンへと戻り、みんなと共に機体から降りた。

 

~~~

~~

 

「へぇ…グリフィン本部にこんな店が…」

 

そう言いながら、俺たちはグリフィン本部のとある区画にある、『キャッツ&メインズ』という、コンビニくらいはあろう大きさの酒保にやって来ていた。

雰囲気は怪しいミリタリーショップのようで、中に入ってみると日用品から銃のパーツや銃弾まで取り揃えていた。

 

「あ!あったあったジンさん!これこれ!」

 

そうM500が俺の片腕を引っ張りながら言ってきたかと思うと、スピードローダーのパーツの入ったダンボールでできた小さな箱を渡してきた。

 

「はいはい…支払いはみんなのものと同時だからな」

 

そう言いながらその箱を受け取り、近くにあったカゴを取りながらそこに入れる。

しばらく店内をさまよっていると、銀髪を猫耳ヘアにし、白いねこのしっぽつきのパーカーを着た、青と橙のオッドアイの155cmくらいの少女に声をかけられた。

 

「こんな店に人間のお客サマとは珍しい、なんの御用かナ?」

 

そうどこか鼻にかかったような喋り方の少女は、にししと可愛らしく笑いかけながら、こちらの反応を待っていた。

 

「いや、うちの部隊員が欲しいものがあるらしいから来たんだ、特にそれ以外の理由はないよ」

 

「へぇ、人形思いな戦術指揮官もいたもんだネ、人形のために買い物に着いてくるなんてサ」

 

「あえて訂正させてもらうけど俺は戦術指揮官じゃないよ、とある部隊の隊長さ」

 

そう言うと、少女はふーんと興味無さそうに言い、そのままレジへと腰掛けた。

 

「ああ、自己紹介がまだだったネ、ボクはここの店主のフェリスさ、まあ、よろしく頼むヨ。チビって言ったら、怒るからネ!」

 

「これはどうも、俺は第62特殊小隊隊長、叢雲だ、よろしく」

 

そうあえてシグマフォースではなく秘匿名称で自己紹介し、特に害はないとアピールする。

理由?なんか敵に回すと面倒くさそうだからだ。

主にネチネチ言われそうという意味で。

 

そんなことをしていると、いつの間にかみんなが思い思いのアイテムを選び、俺の持つカゴに突っ込み始めた。

 

「…ちゃんと一人一つにしてるよな?」

 

「してますよ!わたしはこのお洋服です!」

 

「あたしはこのチェストリグだよー」

 

「私はこのスコープです!」

 

などなど、みんなそれぞれカゴに入れたものをわざわざ見せながら伝えてきた。

 

「あとは…コックに頼まれたポーチに…ユキに頼まれたリボン…ソラには…何がいいんだ…?」

 

そうブツブツ呟きながら店内を見て回るが、いい案が浮かばず、結局ソラが帰ってきた時にソラに決めてもらうことになった。

 

 

「えーと…おにーさんはグリフィン社員だから…税込…このくらいだネ」

 

そうレジで会計しながら言われて改めて総額を見てみと、そこには35万ちょいというシャレにならない金額が書かれており、一瞬意識が遠くなる。

あって良かった社員割。

 

その後は店から出て指揮官の所に顔を出したり住吉さんの所にソラの様子を見に行ったりしていた。

ソラはもう数日すればAR空間という新しい環境の体を得て活動できるようになるとのことだ。

今はインターネット環境の中でAR機器に搭載されたAIとの会話に花を咲かせているそうだ。

その後は新規メンバーとの合流のために指揮官室に俺一人で向かい、他のメンバーには先にオスプレイに戻ってもらうことになった。

 

指揮官室のドアをノックして入ると、そこには3人の新入りメンバーが、指揮官と楽しそうに話していた。

 

「おお、来たか叢雲くん、この3人が新入りや…まあまだ増えるんやけどな」

 

「ん?最後なんて言いました?」

 

「なんでもない、さ、3人とも、自己紹介を」

 

そう指揮官が言うと、3人はこちらに体を向けて敬礼してから、

 

「自律人形、SSDシリーズのG型、そのSuper SASSモデルのSuper SASSが入隊します。初めまして、これからよろしくね」

 

「同じく自律人形SSDシリーズのG型、その79式をモデルとして製造されました、79式、ただいまより貴官の指揮に入ります!なんなりとご命令を!」

 

「鉄血工造の試作型ハイエンドモデル、SPACA Dreamer Prototype、まあ簡単にドリーマーでいいわ、確かデストロイヤーもここにいるんでしょ?ふふっ、よろしくね」

 

「俺は隊長の叢雲 仁だ、みんなよろしく頼むよ」

 

そう各々自己紹介を終え、俺たちはそのままステルスオスプレイに乗って基地に帰投し始めた。

3人の荷物も一緒に運ぶことになり、行きの時よりもキャビン内がギュウギュウになっていた。

 

「そう言えば…SASSと79式はSSDシリーズの自律人形って言ってたけど…あれってどういう意味なんだ?」

 

そう2人に尋ねると、2人はふふっと笑ってから、

 

「私たちは他の戦術人形のみなさん…まあ、鉄血のお2人は例外になりますけど、他の皆さんのSST-05A型じゃなくて、私たちはオーダーメイド型になるSSDモデル、その軍用向けなんです」

 

「で、私とお姉ちゃん…Super SASSとは同じレーンで製造されたんです、そしてちょうど私が後で、お姉ちゃんが先に完成したから、姉妹ってことになってるんです」

 

「へー…自律人形にも色々あるんだなぁ」

 

そう言いながらドリーマーの方を見てみると、ドリーマーは久々のデストロイヤーとの再会が嬉しいのか、デストロイヤーをからかって遊んでいた。

 

「よかったな、デストロイヤー、同じとこの出身者に会えて」

 

「それがよりにもよってドリーマーだなんて…ゲーガーが良かったなぁ…」

 

「あらあら?そんなこと言って、本当は私と会えて嬉しいんでしょ?」

 

「うっさいバカ!…まあ、嫌ではないけど」

 

そうテンプレ通りのツンデレを発動するデストロイヤーを微笑ましく見つつ、俺達は基地へと帰投した。




早めにアンケートを取った子達を出さねばと思いつつ…
どう出そうと思いつつ…

それはそうとフェリス、なかなかに設定がよく書けたので他のミリタリものを書く時に出演するかもです。
改変すれば他のでも使えそうでしたからね…

ではまた次回、お会いしましょう!
ねこかのも書かないとな…(ボソッ


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第33話

大変長らくお待たせしましたァァァァ!(スライディング土下座)
ネタが出ない上にポケモン盾にハマってしまい…()
クリアしてからさすがに書かないとと思って絞り出しました…()

では今回もごゆっくり、見ていってください!


次の日、俺たちは基地の地下にある射撃場で、各々好きに射撃訓練を行っていた。

というのも、本来ならいつもの訓練所で訓練をする予定だったのだが、指揮官が予約を入れるのを忘れていたらしく、いつもの所が使えないのだ。

なので仕方なく射撃場に籠り、射撃訓練をすることになったのだ。

 

なったのだが…

 

「ほーらデストロイヤー?そんな撃ち方だから当たらないのよ〜?」

 

「うっさいドリーマー!ペイント弾だから当たらないだけだもん!」

 

「ペイント弾でも当てないと意味が無いわよ〜?わたしを見習いなさい?」

 

そうドリーマーがデストロイヤーをからかいつつ、本来使わないはずのグレネードランチャーでドリーマーがマトに的確に当て、それにデストロイヤーが怒る…という無限ループが続いていた。

これには俺含め416やM500、挙句の果てにはこういうのに興味無さそうなゲパードまでもが苦笑いしていた。

スコーピオンやC96はそれを見て大笑いし、それに対してデストロイヤーがさらに怒り、狙いがブレて、さらにそれをドリーマーがからかい…という悪循環にまで発展し始めたので、一旦休憩にすることになった。

 

「あのなドリーマー…少しからかい過ぎじゃないか?」

 

「そうかしら?鉄血にいた頃はこれよりすごかったと思うけど?」

 

「えぇ…」

 

そう思わず引いてしまい、鉄血工造という会社の人形はもしかしてこんなクセのある人形しかいないのかと思い始めてしまった。

もしくは、ドリーマーが特異なだけで他はもっとクールだったりするのかもしれないが。

 

「まあいいか…よし、デストロイヤー、この後は俺と訓練な、90-Two持ってこいよ」

 

「はーい!やった!これでからかわれなくて済む!」

 

そう目を輝かせてデストロイヤーは喜び、自室へと90-Twoを取りに行った。

 

「デストロイヤーったら、訓練場所は変わらないんだし変に喜んじゃって…」

 

そう言うドリーマーは、そう言いつつも、どこかしょぼーんとしていた。

 

~~~

~~

 

「よし、いい感じだな、前より上達してる」

 

「やったぁ!これもジンさんの教えがいいからだよ!」

 

「そんなことはない、デストロイヤーの頑張りだよ」

 

そう言いながらデストロイヤーの頭を撫でてやりながら周りのみんなの状況を見てみると、新入りのSASSと79式が、一糸乱れず、動きをシンクロさせながら射撃訓練を行っていた。

その事に感心しつつ今度はドリーマーの射撃訓練を見てみると、巨大なスナイパーライフルで黙々と人型のマトの急所に当たる位置を狙撃していた。

 

「ドリーマー…あんなに静かになれたっけ…?」

 

「この場の空気に慣れてないからじゃないのか…?よくわからんが」

 

そう言いながらドリーマーの近くに行き、間近で訓練を見ていると、ふぅ…と一息ついてマガジンを取り出そうとするドリーマーと目が合った。

 

「ひゃうん!?びっくりしたぁ…」

 

「わ、悪い、驚かせるつもりはなかったんだ…いい狙撃の腕だな」

 

「いえ…わたしなんかよりM14さんやゲパードさんの方が上手いわ…」

 

そうさっきのからかいっぷりからは予想もできないほどに萎れたような態度になっていた。

 

「…どうしたんだ?さっきより元気がないが」

 

「そうですかぁ?普段自室にいる時はこんな感じでいるわよ?」

 

「そ、そうか…」

 

つまるところ、ドリーマーはからかえる相手の前ではとても元気だが、そうでなかったらこういうテンションということなのだろうか。

まあ変に被害者が増えるよりはいいだろう。多分。

そうドリーマーと会話していると、

 

「まーた負けたぁ!」

 

「にししし、これでM500の奢りだからね!」

 

「そんなぁ…あぁんまりだぁぁぁ…」

 

という、M500とスコーピオンの会話が聞こえてきた。

 

「どうしたどうした?何をM500はそんなに落ち込んでるんだ?」

 

そう尋ねると、スコーピオンがまたにししっと笑い、

 

「アサルトライフルでの射撃対決してたの!負けた方が今度の休暇に肉まん奢る約束でね!」

 

「ああ…なるほど…」

 

そう言えば元からいじられ役がうちにもいたな、そう思いつつ、俺たちは訓練を終わり、ご飯を食べることになった。

 

 

「そう言えば、どうして79式は片腕だけ義手なんだ?」

 

そうご飯を食べながら、俺は気になっていたことを聞いてみることにした。

すると、79式は困ったような表情を浮かべ、頬をポリポリとかきながら、

 

「それが…私にもわからないんですよね」

 

と、言ってきた。

 

「えっ?何かがあって義手に変えた…とかじゃないのか?」

 

「はい、多分初期の頃の79式の戦術人形には何かがあってこうなったんでしょうけど、私はただ烙印システムによって定義された姿なだけなので…」

 

「ああ、なるほど…」

 

そう79式は何か申し訳なさそうに言いながら、そのまま食事を食べていた。

それを見習って俺も食事を進めていると、その話を聞いていたらしいドリーマーが急にガタッと席を立ち、79式の方にキラキラとした目を向けていた。

 

「どうしたのですか?ドリーマー…目が怖いです…」

 

「つまり、その義手に未練だの思い出などないって事ね?!」

 

「はぁ…まあそういうことには…」

 

「じゃあわたしに改造させて頂戴!きっと素晴らしい義手に改造してあげるわ!」

 

そうどストレートなお願いをするドリーマーを見て軽く吹き出してしまいつつ、俺は79式の反応を待った。

すると79式は、

 

「まあいいですけど…絶対に変にはしないでくださいよ?」

 

と、苦笑いを浮かべつつ許諾していた。

いいのかよ、と内心ツッコミを入れつつみんな食事を終えて片付け始めると、早速79式はドリーマーに連れられてどこかへと行ってしまった。

それをSASSは心配そうに見つめ、スコーピオンやM500、C96、デストロイヤーそしてイチ、コックといった元気組はゲームをし、ゲパードは早く寝るために準備を始め、M14と416、ニコは3人で楽しそうに会話をしていた。

 

「みんな自由だなぁ…」

 

まあそれがこの部隊のいい所でもあるのだが…そう思いながら、俺は1人、端末をいじっていた。




ま と ま ら ね ぇ 部 隊
でもやる時はチームワークいいっていう学校のクラス的なアレ
キミたち一応テロリスト殺してる民間とはいえ軍人みたいな人達でしょとは言ってはいけない…彼らも人間なのです…

ではまあそんな感じで(?)また次回お会いしましょう!


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第34話

いつの間にかクリスマスも終わり、今年も残すとこわずかとなりましたね…
冬休みに入ると小説書かずにゲームやらなんやらやっちゃうの辛いですほんと…

とまあ、今回もごゆっくり見ていってください!


2059/4/1

 

4月。

それは出会いと別れの季節のうちの、出会いがある方の時期である。

もちろんそれはグリフィンの特殊部隊とて例外ではなく、シグマフォースにも新隊員が入ることとなった。

ほんの数日前にも増員した所だが、指揮官に何か考えがあるのか、それともただ単に4月になったから増員されたのか、理由は定かではないが、これで当直の隊員と休暇に入る隊員とで分けることができるだろう。

…まあ、俺に休みといった休みが増える訳では無いのだが。

…いや、もしかしたら増えるかもしれない。

 

今日からマシン・ガンナーズが完全に隷下部隊に入り、宿舎が統合されたので、今は2つの部隊がこの基地を使用している事になる。

今までこの基地に引っ越せていなかった理由をガンナーズの隊長であるナツに聞くと、どうやら今までの業務をこなしつつ、俺たちが休んでいる時に代わりの部隊として出れるように訓練を重ねていたらしい。

まだ課題はあるそうだが、4月ということで、序盤はシグマフォースと内容によって分担しつつ、後にどの任務でも出れるようにしていくそうだ。

 

とまあ新隊員もといマシン・ガンナーズのことはわかったのだが、本命はガンナーズのことではない。

なぜって、本当に統合されたのはそこそこ前だしね。

 

ちなみに、今回の新隊員については、俺は一切知らされていない。

それだけならまだいいが、急にヘリが飛んできたと思ったら、そのままいきなり荷物搬入が始まるというレベルにまで聞かされていないのはどうかと思うのだ。

まあ指揮官になにか考えがある…のだろう。

なければ正直困るのだが。

 

そんなことを考えながらヘリポートで新入りを待っていると、遠くから1機のブラックホークが飛んできた。

それを見て座っていた椅子を立ち、暖かくなってきた空気を大きく吸い込みながら、ヘリが降りてくるのを待っていた。

 

~~~

~~

 

「あなたが隊長ですね?M4 SOPMOD block 1、ただいま到着しました!」

 

「同じくHK417、本日付で正規入隊します、よろしくお願いしますね?」

 

「鉄血工造から来たジャッジだ、よろしく頼む」

 

そうヘリから個性たっぷりな3人が降りてきて、各々挨拶をしてきた。

聞いたことがない戦術人形な上に鉄血もいることに少し戸惑いつつも挨拶を、と思っていると、後ろの方から誰かが急に俺に向かって飛びついてきた。

 

「わぷっ!?…なんだM500か、今挨拶してるんだからもう少し待っててくれよ…」

 

「私だけじゃないですよ?みんな来てます!」

 

そう言われ、改めて後ろを見てみると、少し離れたところに横一列にうちの戦闘要員であるみんなと、イチにニコ、コックやユキまでずらっと並んでいた。

 

「全く…中で待っとけって言ったのに…」

 

そうため息つきつつも笑顔になりながら、改めて新入りの3人に向き直り、1度深呼吸をしてから、

 

「ようこそシグマフォースへ!俺は隊長の叢雲 仁だ!みんな、よろしく頼むよ!」

 

と、元気よく挨拶をした。

挨拶をすると同時に、みんなが後ろから近づいてきて、各々「よろしくね」だったり色々言いながら挨拶していた。

 

「げっ…!ドリーマー!?なんでここに!?」

 

「げっ、417がいるじゃない…」

 

そう挨拶の後すぐに新入り側とメンバー側から似たような言葉が同時に飛び、思わず苦笑いする。

やはり同じ鉄血だったり、姉妹銃なだけあって顔見知りのようだ。

 

「さて!挨拶はここらにして中に入ろう、そこそこ本部から離れてるから疲れてるだろうし、荷物の片付けもあるからね」

 

そう言いながら、ワイワイとした雰囲気の中、俺たちは基地の中へと入っていった。

 

~~~

~~

 

「417がこの部屋、SOPMOD 1がこの部屋…あとジャッジはこの部屋ね、何かあったら休憩室にいるから呼んでくれ」

 

そう言いながら各々の部屋の鍵を渡しながら一時解散し、俺は歓迎料理でもと休憩室のキッチンフロアで料理を作ることにした。

 

すると既にキッチンに、ガンナーズの隊長であるナツが、先に料理を作っていた。

 

「お疲れさん、ガンナーズのメンバーにかい?」

 

「お疲れ様っす、一応今日からシグマフォースの隷下部隊に正式になってるんで、今日はあたしが料理作ろうかなと思いまして」

 

「なるほど…無理をしない方がいい、この基地だけでナツを入れて26人だ、手分けしよう」

 

「うげ…そんなにいたっすか…いやそうか、うちだけでもあたし入れて8人っすもんね…」

 

「だろ?じゃあ2品づつ手分けして作ろうか、それなら大丈夫そうだろう?」

 

「そうっすね、そうするっす」

 

そう会話しながら、俺たちはテキパキと準備し、早々にお互い1品づつ作り終え、2品目へと突入していた。

 

「手際がいいな、普段から作ってるのか?」

 

「はい、メンバーで日替わりで作ってるっす、ヴェクターとかああ見えて料理上手いんすよ!」

 

「へぇ…うちはM14とかが上手いな、まあみんな上手いし、みんないい嫁さんになるよ」

 

そう俺が言うと、少しナツが手を止めて、

 

「お嫁さんっすか…あたしには到底無理っすね…」

 

と、半ば諦めがちに遠くを見ていた。

 

「なんでだ?料理もできるしリーダーシップもある、それに優しいし可愛いだろう?彼氏くらいすぐにナツならできるさ」

 

「そ、そうっすかね…へへっ、褒められなれてないんですっごいニヤけちゃうっす」

 

そう嬉しそうに、ニヤけている口を片手で隠し、休憩室でゲームをして盛り上がってるM500やSAAたちを見ていた。

 

「…あの子たちにも、いつかいい相手ができるといいっすね」

 

「…そうだな、まあ、きっとできるさ、アイツらも、ナツも」

 

そう言いながら、できた料理をさらに盛り付けていると、じっとこちらを見てきているSOPMOD 1に気づいた。

 

「どうした?ソップ?」

 

「た、隊長…!隊長の部屋の隣にあるあの銃だらけの部屋は一体…!」

 

そう半ば興奮気味に言ってくるSOPMOD 1に軽く困惑を覚えつつ、近くに行って軽く手招きして着いてこさせ、その部屋へと向かう。

そして未だに興奮が冷めてないSOPMOD 1を部屋に入れてやった。

 

「どうぞ、俺の銃コレクションだ、じっくり見たければ見ていいぞ」

 

「本当!?やったぁ!」

 

そう言い、SOPMOD 1は一目散に壁にかけられた銃へと駆け寄り、まじまじと眺め始めた。

 

「銃が好きなのか?」

 

「うん!私のガンアクセサリコレクションも後で見せたげる!」

 

「…ガンアクセサリコレクション?」

 

そう聞き返すと、元気よく部屋から飛び出していったと思うと、両手いっぱいにスコープやらホロサイト、フォアグリップなどを持って見せてきた。

 

「どう!?すごいでしょ!」

 

「おお…色々あるな」

 

そう言いつつ、適当に目についたホロサイトを手に取って見てみる。

目を輝かせながらニッコニコしているSOPMOD 1を見るに、恐らくこれが1番のお気に入りなのだろう。

 

「これ、お気に入りなのか?」

 

「うん!『EOT 518』っていう☆5ランクのホロサイトなんだ!コレクションとして個人で買うと高かったんだよ…」

 

そう言いながらその当時のことを思い出したのか、SOPMOD 1は大きなため息をついていた。

 

「…それはそうと、部屋の片付けは終わったのか?」

 

「あーっ!忘れてた!…って、トイレ行きたいんだった…」

 

そう言い、急にもじもじしだしたところを見ると、トイレを探していたらこの部屋に着いてそのまま興奮のあまり忘れていたのだろう。

本当に感情が大きい子だな…と思いながらトイレの場所を教えてやり、俺はまた休憩室へと戻っていった。




やっと…やっとガンナーズも合流できたし…新入り3人も追加できたし…
あとはソラを復帰させるだけやな…って(遠い目)

とまあ、今年最後の投稿にもしかしたらなるということで…
今年の6月から投稿を始めた本作ですが、たくさんの人に見ていただけてる上にお気に入りにしてくれている人も予想より多く…
本当に感謝でいっぱいです…
来年度も書き続ける予定ですので、どうか本作、『とある特殊小隊の日常物語』ともう1つ書いている『猫な彼女と傭兵と』をよろしくお願いします!
では、良いお年をお過ごしください!


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第35話

新年あけましておめでとうございます!
今年も視聴者の皆様、この作品をよろしくお願いします!

という訳で新年一発目!
どうぞごゆっくり、見ていってください!


2059/4/2

 

「以上、今日の予定はこんな感じだ、何か質問は?」

 

そう言いながら席に座ってこちらを見てきているみんなを見渡し、何も無いことを確認する。

そしてその後、訓練の時間まで解散して自由時間にし、俺はコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。

 

「たーいちょー、なーに見てるんですかー?」

 

そう後ろから唐突に声をかけられ見てみると、そこにはパッと見416と色違いの双子にしか見えない姿の417がソファにもたれかかりながら立っていた。

 

「ああ、417か、何か面白いことでもないかとテレビをな」

 

「へー、何かありました?」

 

「いんや、特には、な強いて言うならテロリストの活動が落ち着いてきてるところか」

 

そう言い、テレビに視線を向けると、417がトコトコ歩き、ちょこんとソファの隣に座ってきた。

 

「どうしたー?特に面白いテレビとかないぞー?」

 

そう言いながらチャンネルを変えていると、隣に座る417がこてんと言った感じでもたれかかり、そのまま眠ってしまった。

 

「懐かれたのか単にマイペースなのか……まあいいか…」

 

そう言いながら、コーヒーを啜っていると、後ろから叫び声が聞こえ、ドタバタと言った音と共に近づいてきた。

何かと思って振り向いてみると、そこにはリアルなゴキブリのラジコンを操作してゲラゲラ笑うドリーマーと、それに驚いて逃げ惑うジャッジの姿があった。

 

「……なんもできねぇ」

 

そうもたれかかって寝ている417とジャッジを交互に見つつため息をつき、どうしようか考えていると、ちょうど部屋に入ってきた416にもラジコンゴキブリの猛威が襲いかかり、416まで乙女な悲鳴を上げてしまっていた。

 

「うにゅ…?お姉ちゃんの声…?」

 

そう言いながら417がむくりと起き上がり、416の元へと歩いていくと、ラジコンゴキブリを見るなりスリッパを手に思いっきり豪快なスイングで叩き潰していた。

 

「はい、これで驚異はないです!」

 

そう無邪気な笑顔を見せ、そそくさとスリッパを元の位置に戻しながら、417はまた俺の肩にもたれかかって寝てしまった。

 

「ああ…わたしの最高傑作がスリッパで粉々に…!」

 

そう両手をついて落胆するドリーマーを冷たい目をしてジャッジと416が鼻で笑い、そのまま2人とも俺の隣に座ってゆっくりし始めた。

 

「…大変だったな、2人とも」

 

「ほんっ…と最悪よ、いくら完璧な私でも虫だけは論外だわ」

 

「全く…ドリーマーのやつ、あたしたちがここに来た理由を覚えているのか…?」

 

そう2人がため息をつき、やれやれとしているのを慰めつつ、少し気になったことを尋ねることにした。

 

「なあジャッジ、ここに来た理由ってなんなんだ?」

 

そう聞くと、ジャッジはやらかしたという顔を浮かべた後、頭を抑えながらため息をついて、その理由を話し始めた。

 

「あたしたち鉄血のハイエンドモデルの人形は、他のモデルよりもランクが上なんだ、それはわかっているだろう?…だからプロトタイプの域を脱していないあたしやドリーマー、デストロイヤーみたいなやつもいてな、本当はプロトタイプなんで火器管制システムやなんやらの戦闘システムは抜いて処分されるか鉄血の職員にいいように使われるか、もしくはあっち系な裏の店とかに売られるかの道しか本来ないんだ…でも、デストロイヤーがここにいるってなってここの指揮官が『引き取れるやつはうちで預かる、その方が戦闘におけるデータも取れていいはずだ』とか言って引き取られても大丈夫なやつは引き取ってもらえることになったんだ、だからあたしたちが来た理由は戦闘データの収集が表向きな仕事だ、デストロイヤーを除いてな」

 

「へぇ…それで鉄血の子達がこんなにうちに来てるのか」

 

そう納得していると、今度はさっきの落ち込みっぷりとは打って変わって何も無かったかのような態度のドリーマーが、俺の頭にわざと胸をあててきながら、

 

「まあそんな硬っ苦しいこと言ってるけど、悪くいうなら『見切りをつけて捨てられた』が正解よねぇ、だって今の世の中防衛戦闘向きの生体機器使った感情のある戦術人形なんてただのヤれる上に一応戦力に数えられるだけの可愛いお人形さんよ?」

 

と、ため息混じりに言ってきた。

 

「…まあそうなのかもしれないが、仮にも女の子がヤれるだのなんだの言ったり当ててきたりするなよ、変なのが寄ってきたらどうするんだ」

 

「えー?ジンさんはそんな目でわたしたちを見たりしないの?」

 

そうからかい気味に笑われ、少しムカッと来たが、それに対して言ったところでドリーマーの思うツボなので何も言うまいとスルーしていると、今度は何かを悟り、哀れんだようなため息をつき、

 

「みんなも大変ねぇ…」

 

と言って、部屋から出て行ってしまった。

 

「…?アレってどういう意味なんだ?」

 

「そのままの意味ですよ、ジンさん」

 

「あたしは来たてでまだよく隊長のことはわかってないが…まあ、何となく理解してしまった…大変なんだな、ここの戦術人形たちは」

 

そう416とジャッジに言われ、余計に意味がわからなくなりつつ、俺は首を傾げていた。

 

~~~

~~

 

あの後、俺たちはマシン・ガンナーズのみんなも含め全員でいつもの訓練場へとやって来て、それぞれの部隊にわかれ、訓練を行っていた。

 

『本隊から2時の方向に敵2、狙撃するわ』

 

「了解、狙撃完了まで一時停止」

 

そうドリーマーからの通信を受けて返事をし、コミカルに2発、パァンと言った銃声を聞いた後、ドリーマーからの「排除完了」と言う通信を聞いて移動を開始していた。

 

「スコーピオン、スモークグレネード待機、ドアを開けたら投げ込んでくれ」

 

「了解、まっかせてー!」

 

そう元気よく言うスコーピオンを見て軽く頷きつつ、ドアノブに手をかけ、1つ深呼吸をする。

呼吸が整ったのを確認してから、全員に目配せして、カウントダウンを開始した。

 

「3…2…1…GO!」

 

そう言い、ドアを開けてスコーピオンにグレネードを投げさせる。

炸裂したのを確認してから、全員で突撃を開始した。

 

「エリアクリア、Move!」

 

そう言いながら、俺たちは着々と部屋をクリアリング、制圧した。

その後、休憩エリアへとイチとニコの2人の操縦で向かい、休憩エリアにある自販機で缶コーヒーを買い、壁にもたれてふぅと一息つきながら、今後のシグマフォースの運用方法について考えていた。

 

「前衛が俺含め5人…後衛も5人か、あと遊撃要因が4人…多いなぁ…」

 

そうブツブツ言いながら、俺はタブレットを弄り、全員の総合的な戦闘データをまとめた書類を見ていた。

 

「人数としては分隊単位が行動しやすいんだが…ちょうど7人づつにわけられるし…今までだと狙撃手とその補助で3人…んで行動に4人…やっぱりこれが一番だよな…」

 

そう悩んでいると、俺と同じく、飲み物を片手に、隣にゲパードがやってきた。

 

「お疲れ、ゲパード、何飲んでるんだ?」

 

「これ…?炭酸水だよ、ワタシの銃の故郷、ハンガリーの名産品…飲んでみる?」

 

そう言い、既に開けてある炭酸水の缶を渡してきた。

 

「ありがとう、貰うよ」

 

そう言って受け取り、1口飲んでみると、ほんの少し酸味が効いた、心地よいシュワシュワした液体が、口の中に流れ込んできた。

 

「うん、美味しいな、ありがとう」

 

そう言って缶を返すと、ゲパードはハッとした顔をしたあと、少し顔を赤らめながら、

 

「…うん、どういたしまして」

 

と言って、缶を受け取り、なにか恥ずかしそうにしながら、そそくさと去ってしまった。

 

「…?………あっ」

 

そうゲパードが恥ずかしそうにした理由に気づき、少し申し訳なくなりつつ、俺はまた分隊編成を考え始めることにした。

 

~~~

~~

 

「みんな、忘れ物はないかー?」

 

そう夕方になりつつある日を背に、俺たちはマシン・ガンナーズのみんなと合流し、ヘリに乗り込み、帰路につこうとしていた。

すると、夕焼けを背に、1機のOH-6が飛行してきた。

 

「ん?夜間訓練の俺たちと入れ替わる部隊かな?」

 

「いや、本部からのヘリの飛行予定を見た限りもう少し後だよ、だからその部隊じゃないとおもうよ」

 

そうニコに言われ、俺は少し警戒気味に、そのヘリの動きを目で追っていた。

すると、さも当たり前かのように豪快な機動をしながら、俺たちのオスプレイとガンナーズのブラックホークの間のちょうど空いていたヘリパッドに着陸してきた。

そしてヘリのパイロット席から、ヘルメットを脱いで、1人の見覚えのあるツルッパゲが降りてきた。

 

「…次の部隊やと思ったか!?俺やで!」

 

そう自分を両手の親指で指さし、ムカつくほどのドヤ顔をしてきたのは、他でもない俺たちの指揮官の姿だった。

 

「…ああ、違うのはニコから聞きましたんで知ってます……あ、それともウケ狙いで…?」

 

「やめろ、そんな可哀想なものを見る目で俺を見るな叢雲、お前の大切な仲間を運んできたんやぞ」

 

そう大袈裟にショックを受けたようなモーションをしながら、指揮官はそう言ってヘリのキャビンを開け、中から2つのスーツケースを運んで見せてきた。

 

「ほれ、開けてみい」

 

そう言われるがままにその1つを開けてみると、そこには、13本の、透明なレンズに、フレーム部分に少し何か機械のついたような見た目のした、ゴーグルが入っていた。

 

「ジンさん、こっちも同じのが13本入ってたよ!」

 

そうM500に言われ、これは何なのかと改めて考えていると、指揮官が、

 

「とりあえずかけてみぃ、それでわかるはずや」

 

と、言ってきたので、とりあえずかけてみることにした。

かけてみると、そこにはさっきまでと変わらない風景…そして―――

 

―――にっこりと微笑み、こちらに手を振ってくる、ソラの姿があった。

 

「ソラ!久しぶりだな!」

 

「ジンさん、久しぶり、また会えたね」

 

そう言いながら、ソラは俺に歩み寄り、そのまま抱きしめてきた。

 

…が、今まで感じることのできたソラの体温や、触れた時の柔らかさは、感じることができなかった。

 

「…そうか、仮想の身体だもんな」

 

「…うん、でも気にしないで!私は気にしてないし、近々それが何とかなるのを作ってくれるって、ミナトさんが約束してくれたから」

 

そう言って笑顔を見せてくるソラを懐かしく感じながら、俺は改めてみんなの方向に振り返って、みんなの反応を見ることにした。

すると…

 

 

「…なにやってるの?ジンさん?ソラはそこにはいないよ…?」

 

「うん…もしかしてバグっちゃった?だいじょーぶ?」

 

などと、俺の頭の方の心配をしてきていた。

 

「ゴーグルつければわかるって!なんでつけてねぇんだよ!」

 

「いや、だって…ねぇ?指揮官が持ってきたんですよ?そりゃあまずは怪しみますよ…」

 

そうM14に言われ、指揮官は面白いほどにショックを受けていたが、言われてみれば怪しいよなと俺も思ってしまっていた。

 

「…いやまあそうだけど!いいからみんなつけてみろって!」

 

そう俺が言うと、みんな渋々と言った感じで、ゴーグルをかけ始めた。

すると、みんながおぉー!と言ったふうに歓声を上げ、ソラを知っている面々は、走って近づいてきた。

 

「ソラ!久しぶり!わたしだよ!コックだよ!覚えてる!?」

 

そうコックがぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねながら、ソラと手を取っていた。

 

「久しぶりね、ソラ、また会えて嬉しいわ」

 

そう416が言い、こちらもさも当たり前かのように握手し、俺の頭には疑問符が浮かんでいた。

 

「…ちょっとまって、なんでみんな触れれるの?」

 

「わたしわかんなーい、幽霊だから?」

 

「ワタシたちは…多分…電脳に電波かなにかで…だと思う」

 

そう言われ、純粋な人間である俺だけが触れられないのだと悟り、落ち込んでいると、後ろからナツに肩を叩かれ、振り向いてみると、

 

「人間はなにもジンさんだけじゃないっすよ…あたしも触れられない仲間っす…」

 

と、慰め(?)られた。

 

「…それもそうだな、ところでソラ、このゴーグルの標準装備のAIってのはどこにいるんだ?」

 

「ああ、あの二人のこと?それなら…」

 

そうソラが言いかけた時、突如として空中にコードの羅列が現れ、その中から2人の女の子が出てきた。

 

「初めまして、私は作戦支援ARシステム、スアーラに内蔵されたサポートAIのスゥです、私はシグマフォースの皆さんをサポートさせていただきます」

 

「はじめまして〜、わたしはお姉ちゃんと同じく、スアーラに搭載されたサポートAIのルゥです〜、マシン・ガンナーズの皆さんを担当させていただきます〜」

 

と、水色のパーカーで水色の髪をしたスゥと名乗る少女と、黄緑色のパーカーでパーカーと同じ色の髪をしたルゥと名乗る少女は、挨拶をしてきた。

 

「よろしく、2人とも、俺はシグマフォースの隊長の叢雲だ、で、こっちが…」

 

「マシン・ガンナーズの隊長の雨宮っす、よろしくお願いするっす!」

 

「「隊長方、よろしくお願いします!」」

 

そう挨拶した後、俺たちは指揮官と別れ、基地へと帰投していった。




この作品を書いてて、最近気づいたことがあるんですよ
コイツら特殊部隊の癖してバラクラバとか一般兵がつけてたりするゴーグルとかつけてねぇなって…
戦術人形のみんながつけずに戦闘してたから思いっきり忘れてましたよ…ははは…

まあこれをネタに書けばいいだけなんですけどね…
過去振り返る回とか書いたくせして事件も起こし忘れてましたしちょうどいいや(悪い顔)

まあという訳で(?)また次回、お会いしましょう!
書きたいの増えてきすぎてまた滞るかもしれませんが許し亭許して!


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第36話

待ってる人がいない気がしますがお待たせしました、36話です。
近々話を書き直そうか悩みつつ…書きたい話が多すぎて困りつつ…
まあとりあえず書きたいの1つづつ消化するかぁ…となりつつ…
いつの間にか36話になってビビってます()

とまあ、今回もごゆっくり、見ていってください!


2059/4/18

 

「…とまあ、近況報告は以上です、書類もここに置いときますね」

 

「おう、お疲れさん、ほなまたしばらくしたら書類とか作って報告頼むわ」

 

「はいはい…じゃあ、俺はこれで」

 

そう言い、俺は指揮官室の扉を閉め、廊下に出て、大きく伸びをした。

 

「はぁ…隊長職も楽じゃねぇな…」

 

そう愚痴を垂れながら廊下を歩いていると、廊下を慌ただしく駆けていく、文字通り全身真っ黒に身を包んだ、武装集団が横を走って行き、思わずびっくりしてしまった。

腕に部隊章がついていたので、恐らく戦術人形か人間の特殊部隊だろう。

サイレンもなかったことから、これから訓練なのだろう…そう思いながら、俺は部隊の待機室へと向かった。

 

部屋に着くと、シグマフォースのそれぞれのメンバーがリラックスした面持ちで、テレビを見たり、携帯端末をいじったり、ゲームで対戦などをしていた。

いかにも平和な、いつも通りの部隊の風景だ。

そう思いながらインスタントコーヒーを作り、椅子に座って携帯端末をいじっていると、1つのグリフィン内部の情報部署が出した記事に目が止まった。

 

「…特殊部隊員が1名休暇中に襲われ重症…原因は部隊でのバラクラバ不着用が原因か……かぁ………」

 

そこまで言った時、隣にぬっと、後ろから誰かが近寄ってきたので、何故か慌てて携帯端末の電源を落としてしまった。

 

「どうしたのジンさん?急いで電源なんて切っちゃって…あ、もしかしてエッチなの見てたんでしょ!もー、ジンさんも年頃の男の子なんだからぁ!」

 

「M500、俺は別にそんなのを見てたわけじゃない、ただのグリフィンのニュースサイトだ、ほら」

 

そう言いながら携帯端末の電源とパスコードを入れ、ずいっと押し付けるようにして画面を見せた。

するとM500はなーんだ…と少し面白くなさそうにしながら、書いてあった記事を読み始めた。

 

「ふーん…仲間を殺されたことによる恨み…かなぁ…」

 

「多分な、あと一つ気になったんだが…俺たち、バラクラバ支給されてなくないか?」

 

「あっ、本当だ…指揮官に頼んで支給してもらう?」

 

「ああ、そうする、休暇ぐらい平和に過ごしたいしな」

 

そう言いながら、俺は指揮官にその内容のメールを飛ばし、隣に座ってきたM500に目を向けた。

 

「…ん?なに?私の顔になんかついてる?」

 

「いや?たださっきまでM14と楽しそうに喋ってたのに俺のとこ来るんだなって」

 

「M14は今C96とモンポケバトルしてるし…私まだモンポケ育成終わってないんだよね」

 

そうM500は言うと、ふふふっと微笑み、俺の顔を見つめてきた。

 

「…どうした?」

 

「なーんにも?ただ好きだから見つめてるだけです」

 

「そ、そうか…インスタントだがコーヒ飲むか?」

 

「あ、貰う!砂糖とミルク多めね!」

 

「はいはい」

 

そう言いながら、インスタントコーヒーを作っていると、元気のいい声で、対戦をしていた2人の勝ち負けが分かるようなリアクションが聞こえてきた。

 

「…そんなに楽しいのか?今のシリーズ」

 

そうM500に聞きながらコーヒーを手渡すと、M500はそれを息で冷ましながら、

 

「楽しいよ!特にジム戦とかの対戦BGMがほんとテンション上がっていいんだ!」

 

と、キラキラとした目で言ってきた。

 

「へー、楽しいもの好きなお前が言うなら楽しいんだろうなぁ…今のシリーズのタイトルなんなんだ?」

 

「銃と槍だよ!過去作のモンポケが結構リストラされたんだけど…今度の有料ダウンロードコンテンツで200ほど復活するんだ!」

 

「へぇ…俺もやろうかな」

 

そう言いながら、コーヒーをすすっていると、唐突に部屋のパトランプが光り、猛々しいサイレン音が聞こえてきた。

 

「第1小隊の俺とM500、M14、スコーピオン、ゲパード、416、C96で出る、第2小隊は待機、一応いつでも出れるようにはしといてくれ、行くぞ!」

 

そう言い、俺たちは準備を整え、ヘリへと乗り込んで行った。

 

~~~

~~

 

「前方2時の方向に敵、スコーピオン、制圧射撃頼む!」

 

「ほいきたぁ!まっかせてー!」

 

そうスコーピオンは言うと、器用に弾数コントロールをしながら両手のスコーピオンを、片手づつ撃ち切りながらホルスターに納め、肩からスリングでかけているミニミを無駄のない動きで地面に置いて伏せて、弾幕射撃を開始した。

 

『こちらM14!いい感じに頭見えてるからゲパードと撃っちゃいますね!』

 

「了解、やっちまってくれ」

 

そう最近導入された、ARゴーグルを使い言うと、その瞬間、3発連続でパンパンパンと乾いた音が遠くから鳴り、目の前のバリケードにいたテロリストが3人息絶えるのが見えた。

 

「よし、移動開始」

 

そう短く言い、俺たちは徐々に進軍を開始した。

しばらく進んでいると、時々ゲリラのように襲われたが、M500のショットガンによる近距離の瞬間火力や、俺や416の射撃、スコーピオンの2丁のスコーピオンによる弾幕射撃によって、簡単に制圧することができた。

 

「よし、一旦停止、2人づつにわかれて索敵するぞ、M500は俺とこい」

 

「了解、ついて行くよ」

 

「よし、416、スコーピオン、敵を見つけたら可能な限り手短に殲滅しつつ呼んでくれ」

 

「了解しました」

 

「りょーかい!あたしたちにまっかせて!」

 

「よし、散開!」

 

そう言い、俺たちは散開し、索敵を開始した。

 

『こちら狙撃班C96、ゲパードとM14とそろそろ待機場所、移動します!』

 

「了解、見つかるなよ」

 

そう伝え、俺とM500は入念にクリアリングしながら、敵を探していた。

 

「監視カメラ、ハッキングしましょうか?」

 

そう唐突に声が聞こえ、何事かと思ってると、いつの間にか近くにスゥが実体化し、路地から思いっきり顔を出しながら、監視カメラを探していた。

 

「ちょ、敵に見つかったらどうするんだ」

 

そう少し怒り気味に言うと、スゥは首を傾げながら、

 

「私、仮想空間だけの身体なので見えませんよ?それに、私は、私たちの動けるAR機器の向いている方向か、ハッキングしたカメラの向いている方向しか視界がないですからね、さっきみたいに覗いても何も見れてません」

 

と、言ってきた。

 

「そ、そうか…ならいいんだ、ハッキング頼めるか?」

 

「了解しました、周囲の監視カメラをハッキングして偵察しますね」

 

そうスゥは言うと、身体が光り、その後無数のポリゴン片になって消えていった。

それからわずか数秒後、視界の端にスゥの写ったウィンドウが開いた。

 

『周囲の監視カメラのハッキングが完了、偵察結果を報告します。隊長方から北西に約50m先、敵が数名撤退しているのが確認できました』

 

「了解、最短ルートで案内頼めるか?」

 

『了解しました、みなさんの生体反応と地形データを元に最短ルートを計算します…計算が完了しました、ルートを表示します』

 

そうスゥが言うと、道に沿って、薄い赤色のラインが現れた。

 

「ありがとう、監視カメラでの偵察を継続してくれ」

 

『了解です、同時に敵の動きからの敵現在予測地の計算もしておきますね』

 

「頼んだ、M500、行くぞ!」

 

「わかった!」

 

そう言い、視界に表示されたラインに沿って走っていると、視界に、小さな赤い光点が表示された。

 

『敵現在予測地を表示しました、光点が大きくなるにつれて近くにいると思ってください』

 

「了解、ありがとう」

 

そうお礼を言い、光点が大きくなった距離に近づいたので足を止め、できるだけ音を立てないように進むことにした。

しばらく進むと、足音が聞こえたのでゆっくりと少しだけ顔を出し、偵察する。

すると、数名のテロリストが、銃を下ろして、走って逃げているのが見えた。

 

「生け捕るか殺るか…他のメンバーの位置状況は?」

 

そう過去稀に見る戦いの優位性に、どこか気分が高揚しつつ、俺はM500に尋ねた。

 

「さっき私の相互通信プロトコルでみんなには報告したから、みんなこっちには向かってきてるはずだよ」

 

『…あの、私に言っていただければ位置情報とマップを表示できますけど…表示しますね』

 

そうスゥが申し訳なさそうに言うと、俺たちの目の前に、緑の光点と、青い半透明の地図が表示された。

 

「…近いな、よし、俺たちで気を引いて後ろから416とスコーピオンに制圧してもらおう」

 

「了解、伝えるね」

 

そうM500が言うと、スゥが今度はもう何も言わずに、申し訳なさそうな顔を浮かべると、視界の端に作戦内容が表示された。

 

「…まあ相互通信プロトコルの方が人形にはいいかもしれないし……」

 

「…ジンさん、電波か何かでこれ表示された時スっと頭に作戦内容入ってきたよ……」

 

「………とりあえず行くぞ」

 

そう言い、俺たちは物陰から飛び出し、まだそう遠くへは行っていない、テロリストを追いかけた。

 

「ちくしょう!もう追いついてきやがった!」

 

「なんでだよ!早めに俺たちは逃げ出しただろう!?」

 

「知らねぇよ!とにかく走れ!」

 

そうテロリストたちは足を止めて少し揉めたあと、さっきまでよりも全力で逃走を始めた。

 

「逃げる気か!待ちやがれ!」

 

そう言い、走りながら、足止めと威嚇目的で射撃を開始する。

しかし、テロリストの体にカスってキズはつけるものの、1発も当たらず、そのまま曲がり角を曲がられてしまった。

 

曲がり角までつくと、角待ちされていないかをチラリと確認してから、逃げるテロリストたちを再度追いかけていった。

しばらく追いかけていると、テロリストが乗ってきたのであろう車が沢山止まった、十字路へとたどり着いた。

そのうちの1台の軽トラックにテロリストが集まり、なにやら揉め合いながら、こちらへと発砲を開始してきた。

 

「早くエンジンをかけてくれ!死ぬのはゴメンだ!」

 

「そんなこと言ってる暇があればもっと撃て!クソッタレ、なんでアイツらこんなに追いかけてくるんだよ!人の情ってもんがねぇのか!」

 

「生憎と俺には罪のない一般市民を殺すお前らにかける情は持ち合わせてなくてね、大人しく死ぬか捕まってもらおうか」

 

そう言いながら、俺は荷台でこちらを撃ってくるテロリストへ、物陰へ弾が当たらないように移動しながら発砲し、全員の合流までの時間を稼いでいた。

程なくして、俺たちから見て左側の道から416とスコーピオンが合流し、十字砲火が始まった。

 

「クソッタレ!もういい、降伏してやる!だからもう撃つな!」

 

そう言い、テロリストたちが、銃を荷台に捨て、両手を上げて降伏しだした。

しかし…

 

「悪いが降伏されたって撃つぞ、お前らには降伏時に危害を加えるなというルールはない、安心して死んでけ」

 

そう俺はいい、射撃を継続し続けた。

 

「えっ!?ジンさん!?降伏したなら捕まえようよ!弾が勿体ないよ!」

 

「こいつらを捕まえたところで有益な情報はない、なら独房が無駄に埋まるだけだ、それなら土に埋まってもらった方が場所も取らない」

 

そう言い、俺はわざと急所を外しながら射撃し続けた。

やはり最初に仲間が撃ち続けられ弾を食らったことにビビったらしく、運転手を除く全員が、伏せて荷台に隠れてしまった。

 

「お前らに殺された一般市民たちもこんな思いをして死んでいったんだ、命で償え」

 

そう言いながら、トドメを刺すためにグレネードをランチャーに装填していた。

すると、

 

「お前ら、そんなんで正義名乗ってやがんのかよ!くたばりやがれ!」

 

そう言葉が聞こえたと思うと、荷台から、2発の筒状のグレネードが投げられた。

しかし近くの狙撃班が潜む建物の屋上から、パンと2発同時に発砲音が聞こえ、そのグレネードが迎撃されると同時に―――

 

 

―――俺たちの視界が、大きな音と共に真っ白に染まった。




#基地で試験運用しろ叢雲
というタグをつけたくなるほどに基地でAR機器を使っていない叢雲です。
優位に立つとテンション上がってなにか喋っちゃうアレが発動しちゃう叢雲、痛い目を見る。
そして人形のスペックならスタングレネードくらい撃ち落としてくれるだろうと思い撃ち落としてもらいました。
結果変わってないんですけどね
そしてこれを書いてる時に思いました、スタングレネードって閉所で暗くないと意味なくないか…?と…

とまあ、そんなこんなで、また次回お会いしましょう!


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番外編 1

どうも、ノアです。
今回はこっちの方で投稿させてもらいます。
今はこの物語はリメイクされて投稿してますが、もしかしたらその事に気づかれてない方もいるかもしれないと思ったので、番外編の投稿になります。
物語の時期としては特に考えてません。()
とりあえず番外編って感じです。
ではごゆっくり、短いですが見ていってください。


休暇のある日、私たちは女子会を開き、わいわいと楽しんでいた。

本当はただ皆でわいわいする普通の会の予定だったのだが、ジンさんは書類仕事があると言い、参加してくれなかったのだ。

まあ、ジンさんがいない事で色々な話ができるので、いいと言えばいいのだが。

 

「…で、M500、ジンさんの事はどう思ってるの?」

 

「ひやいっ!?え、どどど、どうってどういう……?」

 

そう唐突にM14にその話を振られ、テンパった返しをしてしまう。

それを見たみんながニヤニヤしているが、まあ気にしたら負け…だと思う。

 

「どうって…そりゃあねえ?わかるでしょ?」

 

「うう…言わなきゃダメ?」

 

「ジンさんいないから言うなら今しかないよ、本人の目の前で言うならいいけど」

 

「うう……じゃあ先にM14から言ってよ!私にだけ言わせるのはズルいって!」

 

「まあ…それもそうかなぁ…じゃあみんなでそれぞれ打ち明けちゃおっか!」

 

「「「「え"っ」」」」

 

そう他のみんな揃って固まると、徐々にみんなの顔が赤く染ってきていた。

 

「じゃああたしからね……うん、あたしはジンさんの事好きだよ、頼りになるしね」

 

そうM14は言うと、えへへ、と照れ隠し気味に笑った。

 

「さ、次は誰が言う?あたしは言ったからね!」

 

「うーん…じゃあ次はあたしが言おうかなー、早めに終わらせた方が楽そうだし」

 

そうスコーピオンは言うと、こほん、と一息咳払うと、

 

「あたしはねー、ジンさんは好きっていうか信頼してる、が正解かなー…いざと言う時は背中も、もちろん命も預けられるし」

 

「そっかぁ…スコーピオンとジンさん、戦場でお互い信頼してるってわかる動きするもんね、クリアリングの時でもお互い任せっぱなしでしょ?」

 

「うん、そうだねー、本当はそうじゃなくて自分も確認した方がいいのはわかるんだけど、ジンさんなら大丈夫だ、って思うからね、任せっぱなしかなー」

 

そう言うと、スコーピオンは照れくさそうに笑った。

 

「じゃあ次は誰が言う?あたしとスコーピオンは終わったから次の方どうぞー」

 

「じゃあ…ワタシが行く…めんどうだから本当はしたくないけど…」

 

「OK、じゃあどうぞ!」

 

そうM14が言うと、ゲパードは本当にめんどくさそうにしながら、

 

「ワタシはどっちかって言うと…ジンさんはお兄ちゃんみたいに思ってる…優しいし…」

 

「好きか嫌いかで言うとどっち?」

 

そうM14が言うと、ゲパードはうーん…と言ってから、

 

「うん、好きだよ…でも恋愛感情ではないかな……信頼とかの方が正しいと思う」

 

と、嬉しそうに言った。

 

「そっかぁ…じゃあ416はどうなの?」

 

「えっ!?……い、言わなきゃダメかしら?」

 

「そりゃあみんなで言っていってるんだからね、1人だけ言わないのはナシだよ!もちろんM500にもC96にも言ってもらうからね!」

 

「えぇ…恥ずかしいよぉ…言いたくないなぁ…」

 

そんなことを言っていると、416は諦めがついたのか、大きなため息をついて顔を赤らめながら、

 

「私はその…ジンさんは好きよ、なんて言うかその…よくわからないけど、多分恋心だと思う」

 

そう416が言うと、M14とスコーピオンとC96が、ニヤニヤして笑っていた。

 

「な、なによ…C96はどうなのよ、言ってもないくせにニヤニヤして…」

 

「わたしですかぁ?そうですねぇ…私もスコーピオンやゲパードと一緒で、恋心というかは信頼ですかね、それこそ家族みたいな!」

 

「へー、家族…ねぇ、まあ確かにそうだよねー、あたしたちって仲間というか家族みたいな所あるよね、例えが上手く出てこないけど…うん、家族みたいってのは同感かなー」

 

「うん…ワタシもわかる…さっき言ったけど、ワタシからしたらジンさんはお兄ちゃんみたいな感じだから…余計にわかる」

 

そう、どこかくすぐったいような恥ずかしいような空気が辺りを包むと、その空気を変えたいのか、M14が、私の気持ちを聞いてきた。

 

「え、えーと…その…ね、みんなは私とジンさんが前の部隊でも同じだった、って知ってるでしょ?」

 

「うん、わたしと416みたいな感じですよね!当時から仲良かったんですっけ?」

 

「ううん、当時は私は仲良くしていってたつもりだけど、昔のジンさん、荒れてたから…つっけんどんな対応しかしてくれなかったなぁ…」

 

そう昔のことを思い出しながら話していると、早く言って欲しいのか、M14が、視線で急かしてきた…ような気がした。

 

「でもね、当時私が好きだった人…前の私たちの部隊の指揮官なんだけどね、その人がテロリストの襲撃で死んじゃった時なんかは、私のことを考えて行動してくれてね……あの時は優しかったなぁ……ああ、そうそう、その時に他の人形部隊の指揮が上手かったから今ジンさんが隊長やってる感じなんだ」

 

「へー…だから未だに人間なのに前線指揮官みたいなことしてるんだ、今なんて人形だけの部隊が主流なのにねー、知らなかったなぁ」

 

「うん、そういうこと……でね、本題に戻るとなんだけど……」

 

そう言って1つ深呼吸を挟んで間をとる。

そして1つ咳払いをしてから、

 

「私は、ジンさんの事好きだな…もちろん、前好きだった人の事を忘れたわけじゃないけど、ジンさんは大切な人を失った私に、とっても優しくしてくれたし、今も優しくしてくれてる。それが凄く嬉しいし、支えてあげたいなって思うんだ」

 

そう笑顔で言うと、他のみんなも笑顔で返してくれた。

そしてふと我に返ると、自分でもわかるほどに、顔が熱くなってきていた。

それを見たみんながとても楽しそうにニヤニヤとしながらこちらを見てくるので、ムッとして顔を背けていると、書類仕事を終えたらしいジンさんと目が合った。

 

「どうしたM500、顔が真っ赤だぞ…ってみんなどうした、ニヤニヤしてこっち見てきて……」

 

「なんでもないですよー、ねぇM500?」

 

「う、うん!そうね!」

 

「そうか?ならいいんだが…」

 

そんな会話をしながら、私たちは、お互いの絆を深め合っていた。




最後の締めをなかなか書けないこと、あると思うんです。
物語としてはもう続かなさそうだから締めたい、でも中途半端っぽくて締めれない…サンコンさんに言うとあるあるwと言われました。
やっぱり自分だけじゃないんやな…って

ではまたどこかで会いましょう!
とりあえず、リメイクした方のリンクを貼っておきますね!()

https://syosetu.org/novel/215636/


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