(白)ウォズのヒーローアカデミア (ハッタリピエロ)
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プロローグ

「もし君がこれを使えたら……私も認めよう」

 

白ウォズは自らが作り出したジオウトリニティライドウォッチをソウゴに渡した。

 

そして……

 

『三つの力!仮面ライダージオウ!ト!リ!ニ!ティ!』

 

ジオウトリニティはアナザーブレイドを倒して世界を破滅から救ってみせた。

 

だが白ウォズはオーマの日が"オーマジオウは君臨せずゲイツリバイブが救世主にならない"という全く新たな未来となったことで彼の存在は消えようとしていた。

 

夕暮れの空に輝くレグルスを見上げる白ウォズの元に黒ウォズのが訪れると彼に問う。何故消えるとわかっていながら力を貸したのかと。

 

「私は、仲間を作れなかった。今の君のように」

 

「私に仲間が……?」

 

そう言われれば黒ウォズが仮面ライダーの力を手にしたのもは白黒の区別のおかげ、元々は名前を呼んでくれたソウゴたち仲間のおかげだったのだ。

 

「気に入ったよ、あの魔王。彼なら面白い未来を創れそうだ。大事にするんだね。」

 

白ウォズの姿がぼやけだすと

 

「時間が来たようだ……君たちの未来が闇に包まれないことを祈る」

 

そして白ウォズはこの世界から存在が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは……どこだ……?

 

意識が覚醒した私は目を開ける。

 

そこは小さな部屋の中だった。

 

とその時とんでもない量の情報が頭の中を駆け巡る。

 

うっ……!

 

そうか……ここは……異世界というやつか。

 

私はあの時確かに存在が消えた。だが魂は完全に消滅せずに異世界へと転移したというわけか……

 

そして今の私の名前は緑谷出久(・・・・)というらしくどうやらこの世界での特異能力である"個性"とやらがない"無個性"らしい。

 

この世界での職業の一つであるヒーローを目指していたが無個性ゆえに諦めたと……やれやれ世界は平等じゃないというのは本当だな。

 

さてと目覚めしまったのはいいんだが今は夜だ。

 

明日に行動を開始するとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を見た。それは僕の運命と言えた日の夢だ。

 

「お母……さん……!こんな……最高の……ヒーローに……僕も……なれるかな……!?」

 

するとお母さんは抱きついてきて

 

「ごめんね……出久……ごめんね……!」

 

ああ……まただ……なんでだろうなあ……なんで無個性なんかに生まれちゃったんだろうなあ……あの時は少しだけお母さんを恨んでしまった。僕の目指していた夢が一瞬で砕け散り、友達も離れていってしまった。

 

ああ……早く終わらないかなあ……と思っていたら

 

「やあ少年」

 

「誰?」

 

振り向くとそこには僕と同じ容姿をしているが僕とは思えない存在がいた。

 

「ああ!今の私は君と同じだったんだ!ややこしいから本来の姿に戻ったほうがいいか」

 

もう一人の僕は指を鳴らすと姿が変わって白系統のベレー帽と芸術家風のコートの大人に変わった。

 

「き!君は誰なんだ!僕の夢に何の用だ!敵か!」

 

「そう警戒しなくてもいいだろう。なら君に私のことを全て話そう」

 

その人は話してくれた。

 

かつては異世界の未来人で未来を変えるために色々なことをしたなど。

 

そして何の因果か知らないが僕に憑依転生したことなど。

 

驚くことばかりで頭が追いつかない。

 

「そうだったのか……じゃあ僕の意識は戻らないのか!?」

 

「落ち着きたまえ。さっき試したが……お互いの意識は切り替えが可能のようだ」

 

その結果に僕は安堵する。

 

「それで……これから貴方はどうするつもりなんですか?」

 

「うん?まあ特にすることもないから……しばらくはこの中で大人しくしてるつもりさ」

 

そうか……

 

「まあたまには君が話し相手になってくれないか?」

 

「え……!?僕なんかでいいなら……いいですよ」

 

僕の話し相手になんかなってくれた人はいなかった。それに僕は嬉しかったのかもしれない。

 

「しかし……君はヒーローになりたかったんじゃないのか?それを諦めていいのか?私がかつて認めた男はこんな私を説得するのを諦めようとしなかったぞ」

 

「無理ですよ……僕は……無個性ですから……」

 

「確かに君は無個性かもしれない。それに私たちのように力もない。だが君の本心はまだ夢を諦めたくないようだぞ?」

 

「え……?」

 

「君の記憶を調べてみたが君は今でもヒーローの観察を続けているんだろう?諦めた人間は何もしないさ。人間は諦めていないからこそなんらかの行動をするものなのだよ」

 

「…………!!!」

 

「どうだ?それでも君は夢を諦めるのか?」

 

「僕は…………諦めたくない!どんなに無謀なことでも足掻いてみせます!」

 

「そうこなくては!ならば私も手伝おうじゃないか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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復活!未来の創造主!

キカイの設定は独自のものとさせていただきます。


ウォズが僕に憑依してから一年。

 

「えーおまえらも三年ということで!!本格的に将来を考えていく時期だ!今から進路希望のプリント配るが皆!!!大体ヒーロー科志望だよね!!!」

 

先生の言葉に反応するようにほとんどの生徒達が個性を使用する。公衆の場でやったらマズイことってわかってんのかな?

 

「うんうん。皆良い個性だ!でも校内での個性使用は厳禁な!」

 

先生も先生であんまり注意しないし……

 

「せんせぇー!皆とか一緒くたにすんなよ!俺はこんな没個性どもと仲良く底辺なんかいかねえよ」

 

「そりゃねーだろ!勝己!」

 

「モブがモブらしくうっせー!」

 

かっちゃんは相変わらず皆を見下している。

 

「あー……そういや爆豪は雄英志望だな」

 

「国立の!今年偏差値79だぞ!」

 

「倍率も毎度やばーんだろ!」

 

「そのザワザワがモブたる所以だ!模試じゃA判定!俺はウチ唯一の雄英圏内!あのオールマイトをも超えて俺はトップヒーローと成り!!必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!!!」

 

かっちゃんは相変わらずみみっちいなあ……

 

「あ、そういえば緑谷も雄英志望だったよな」

 

先生の発言はプライバシーもへったくれもない。

 

「はああ!?緑谷あ!?無理っしょ!!」

 

「勉強出来るだけじゃヒーロー科は入れねーんだぞ!」

 

皆も皆で僕をバカにしてくるし……ウォズも言ってたけど愚者の言葉は雑音と同じだと言ってたし、ここは適当に流しておくか。

 

「こりゃデク!」

 

かっちゃんが僕の机を爆破したせいで盛大に転んでしまった。正直に言えば避けられたがそれもそれで後々面倒くさそうなのであえて避けなかった。

 

「没個性どころか!無個性のてめえがあ〜!何で俺と同じ土俵に立てるんだ!!?」

 

かっちゃんの言葉はほとんど耳に入ってこなかった。前までの僕なら尻込んでいただろうが今となってはただの嫌味にしか聞こえない。

 

「で?だから?」

 

「ああ?」

 

あーあ言っちゃったな〜……まあいっか。

 

「だから僕が受けちゃマズイの?雄英」

 

「っ〜!ダメに決まってるだろうが!なんで無個性のてめえなんかが!」

 

「ダメかどうかは雄英の人たちが決めるんだろ?なんで君が決めるんだよ。何様のつもりなのかな?」

 

「っ〜〜!!!!!」

 

かっちゃんは今にも爆発しそうだが全然怖くなかった。

 

この一年ウォズと鍛えた甲斐あって僕も大分強くなっているつもりだ。

 

勿論個性持ちのほうが有用性などを考えると僕は今一歩遅れるだろう。だがだからといってかっちゃんに僕の人生を決められたくなんかない

 

第一、増強系個性じゃなくたってヒーローで活躍してる人はいるんだ。

 

個性が全てだと決めつけるのは愚かなことだ。とまあこれもウォズの受け売りなんだけどさ……

 

とまあかっちゃんが爆発しそうだったのを先生が止めてその場はなんを乗り切った。

 

んで帰ろうとした時

 

「こりゃ待てデク。話は終わってねーぞ」

 

んで僕のノートを爆破しようとしたので爆破される前にスッと取り返すと

 

「クソイラつくなぁ……!テメェ……!」

 

「かっちゃんこそ人のものを勝手にとっちゃダメだって当たり前のことも知らないの?挙げ句の果てに爆破しようとするなんて……いい加減にしてよ」

 

そのまま帰ると後ろからかっちゃんがなにやら怒鳴り散らしていたが知らない。

 

帰った後お母さんにおつかいを頼まれちゃったので商店街に向かっているとなにやら騒がしかった。

 

『おそらく敵だろう。ヒーローに任せて私たちは手早く買い物を済ませよう』

 

ウォズがそう言ってくるので僕はそうすることにした。確かにウォズの言う通りヒーローでもない僕が関わったって邪魔になるだけだ。ヒーローに任せるのが一番だ。

 

と思って買い物を済ませて帰り道を歩いているとまだ騒ぎが収まってなかった。

 

おかしい……ヒーローは来ている。それなのに誰も……動いてないんだ……!?

 

ふと耳を傾けると

 

「私二車線以上ないと無理〜!」

 

「爆炎系は我の苦手とするところ……今回は譲ってやろう!」

 

「ベタベタで掴めねえ!誰か他の有利な個性のヤツが来るまで我慢してもらうしかねえ!」

 

どうやら誰かが敵の個性に取りつかれてヒーローは身動きがとれないみたいだ。

 

なにやってんだよ!ヒーローはこんなものなのか!?

 

『全くだ……あの男なら無謀とわかっていても立ち向かっただろうに……』

 

もっと近づいて捕まっている人質を見ると僕の体は動きだそうとしていたが

 

『ウォズ!?』

 

体がなにやら動かなかった。おそらくウォズが干渉してきているのだろう。

 

『なにするんだよ!早く助けないとかっちゃんが!』

 

『落ち着きたまえ。君がいってどうにかなるものなのか?』

 

『それは……!』

 

『ヒーローもヒーローだが鍛えたからといってなんの力もない君がいっては犬死だぞ』

 

『ましてやあの男は君を虐め……暴力まで振るってた奴だ。そんな奴を君が自分を犠牲にしてまで助ける必要があるのか?』

 

ウォズの言葉になにも言い返せなかった。確かにそうだけど……!

 

『……それでも僕は……!助けたい!』

 

『そうか……だけどなにも考えないまま行っては本当に犬死だ。なにか……』

 

とその時世界の時間が止まった。

 

・・・・

 

やれやれ……君を見てるとあの男を思い出すよ。

 

最後まで諦めようとしないアイツを……

 

だけどこのままいってもやられるだけだ……どうしたら……

 

とその時タイムジャッカーが時間を止めたのか知らないが世界の時間が止まった。

 

『これは……!?』

 

とその時銀色のオーロラ、門矢士らが使っていたディメンジョンオーラが現れると

 

「やあ白ウォズ。久しぶりかな」

 

「海東大樹!?」

 

目の前にかつて協力したあの男がいた。

 

「やあ僕がこの世界に来たのは……時間がないかな。さっさと済ませよう」

 

そう言って彼が手渡してきたのは

 

「ビヨンドライバー!?」

 

かつて私が使っていたベルトだった。

 

「なんでまた……」

 

「黒ウォズが役目を終えたから彼に返しておいてとさ」

 

「なぜ私がこの世界にいるとわかった……」

 

「時間の歪みを調べれば簡単さ。じゃね」

 

それだけ言って奴は消えてしまう。

 

しかし……ものすごい数のミライドウォッチだな。ギンガミライドウォッチ……?なんだこのウオッチは

 

まあそんなことはどうでもいい。せっかく話し相手になってくれた出久を助けるためにこの力を使ってみせよう。

 

そして世界の時が動き出すと出久は走り出した。

 

「バカやろー!止まれー!」

 

「デク……!?」

 

そしてヘドロの敵は爆破しようとしたが

 

『出久、交代だ』

 

『ちょっ!ウォズ!?』

 

出久から精神の主導権をちょっと強引に奪った私は爆破を軽々と避ける。

 

「ふぅ……久しぶりだな。この感覚は……」

 

ヘドロ敵は避けた私を睨めつけてくるが

 

「さあ皆の衆!祝うがいい!未来の創造主の再誕を!」

 

<ビヨンドライバー!>

 

ビヨンドライバーを腰に装着させると

 

<ウォズ!>

 

<アクション!>

 

ミライドウォッチをベルトにセットしてハンドルを前に倒す

 

「変身」

 

<投影!フューチャータイム。スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!>

 

「なっ、なんだよそれは!」

 

「我が名は仮面ライダーウォズ……未来の創造主である!」

 

<ジカンデスピア!>

 

ウォズはジカンデスピアを取り出して一気に接近したヘドロ敵を斬るが

 

「ほぅ……」

 

「流動体なんだから斬れるわけねーだろ!」

 

ヘドロ敵が爆破しようとしてくるが後ろに跳んで避けて、

 

「ならコイツだ」

 

<シノビ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム!誰じゃ!俺じゃ!忍者!フューチャーリング!シノビ!シノビ!>

 

フューチャーリングシノビに変身するとヘドロ敵の視界から一瞬にして消える。

 

「なっ!?ヤツはどこに行った!?」

 

「後ろだよ」

 

とヘドロ敵が振り向く前に死角に逃げる。

 

「こっちだ」

 

「またまた後ろ」

 

「今度は横だ」

 

ウォズはなんどもヘドロ敵の死角に素早く移動して翻弄する。

 

そして

 

「クソッ!なっ!?」

 

ヘドロ敵の体勢が崩れたのを見逃さずに一瞬で爆豪の腕を握って引っ張るとヘドロ敵から爆豪は解放された。

 

そして爆豪はウォズを睨めつけながらその場から立ち去る。

 

「クソッ!!!やってくれたなテメェ!今度はテメェに取り付いてやる!」

 

「それはお断りだ。次はコイツだ」

 

<キカイ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム!デカイ!ハカイ!ゴウカイ!フューチャーリング!キカイ!キカイ!>

 

「また姿が変わった!?」

 

フューチャーリングキカイに変身し氷を腕部から放出させるとヘドロ敵は凍りついた。

 

そして

 

<フィニッシュタイム!>

 

ジカンデスピアをスワイプしてエネルギーを溜める。

 

そしてヘドロ敵をジカンデスピアで突くとヘドロ敵は粉々に砕け散った。

 

ヘドロ敵は死んじゃいないだろう。氷が解ければ再生出来るはずだ。

 

私は変身を解除すると

 

「おらてめえ!デク!どういうわけか言いやがれ!」

 

あの爆発ヘッド君が私に、正確には出久くんに突っかかってきた。

 

ヒーローたちも

 

「君!危ないじゃないか!」

 

「そうだ!ヒーローに任せればいいんだよ!」

 

ヒーローたちの言葉に私は怒るより呆れた。

 

こんなのが出久の目指していたヒーローなのか?いや違う。コイツらは偽者だ。常盤ソウゴたちに比べれば塵も同然だ。

 

私は爆豪が首根っこを掴んでいる手を無理矢理離させると

 

「ヒーローに任せればいい?どの口が言う!さっきまで傍観していた奴らが!」

 

「そっ……それは有効な個性が居なかったから……」

 

「そんなことでヒーローは動かなくなるのか?もし万が一人質になにかあればどうするつもりなんだ!?」

 

「あ!?俺は助けなんて求めてねえよ!一人でもやれたんだ!デクごときが突っかかってくんじゃ」

 

「君は黙ってろ」

 

私は少々殺気を出すと爆豪は怯んでしまった。

 

「そんなんでヒーローを名乗る!?笑わせるな!ヒーローが人を見捨ててどうする!この緑谷出久こそが真のヒーローだ!」

 

言いたいことだけ言うと私はその場から立ち去った。

 

・・・・

 

ウォズが僕の体を使って戦った時は驚いた。

 

これが異世界のヒーローの力なのだと僕は目を奪われた。

 

カッコよかった。ただ純粋なヒーローの目をしていたウォズが。

 

そして僕の行動が皆に責められた時にもウォズは庇ってくれた。

 

そして僕をヒーローだと認めてくれた時は嬉しかった。自分で自分を褒めた変な奴に見られるかもしれない。でも僕はそれでもよかった。

 

かっちゃんには明日からなにかされるだろう。でも僕は負けない。

 

そして家まで帰ろうとしていたら

 

「ちょっと待ってくれ!少年!」

 

後ろを振り返ると

 

「おおおオールマイト!!!?」

 

『随分嬉しそうだな。出久よ』

 

あっ、当ったり前じゃないか!僕が最も憧れたヒーロー……!

 

「ななな何の用ですか!!?まさか捕まえにきたんじゃ……!!?」

 

「NO!NO!そうゆうんじゃないんだよ!少年……君に提案をしにきたんだ」

 

「て、提案……!?」

 

「私の個性を……!受け継いでみないか!?」

 

個性を……受け継ぐ……!?

 

「私の個性は!聖火の如く……受け継がれてきたんだ!名付けて!ワンフォーオール!」

 

ワンフォーオール……!

 

「君なら私の個性を受け継ぎ!ヒーローになれる!私の個性を受け継いでくれないか!」

 

これ以上ない嬉しい言葉だ……だけど……!

 

「どうして……無個性の……しかもあの場でヒーローの制止も聞かず……戦った僕に……!?」

 

「おや?君は無個性なのか?さっきのは?」

 

どうやらウォズのことを知らないようだ。まあそりゃそっか。

 

『ここからは私に任せたまえ。出久』

 

うん!わかった!

 

「やあやあ初めましてだな。オールマイト」

 

「君は……!?さっきの子と雰囲気が違う……!君は何者なんだ?」

 

「そうだなあ……二つの人格があると言った方がいいか」

 

そうしてオールマイトに私たちの関係を話すと

 

「異世界のヒーロー……俄かには信じられないが君が二重人格でもう一人が個性的な力を持ってるということは辻褄が合う……」

 

「んまあ信じてもらえるとは思ってないさ。まあ状況を把握してもらえただけでもありがたい」

 

そしてウォズから意識の主導権が戻る。

 

「それで……なぜ僕に……?」

 

「トップヒーローは学生時から多くの逸話を残している……彼らの多くがこう語る!考えてたより先に体が動いていたと!君も!そうだったんだろ!君はヒーローになれる」

 

僕は嬉しくて嬉しくて……ただ泣きじゃくった。

 

言い忘れてたけどこれは僕が……ウォズと共に最高最善のヒーローになるまでの物語だ。

 

 

 

 

 




オールマイトとのくだりが少々雑になってしまいました……すみません……


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祝え!幾人の思いと力受け継ぎ!正しき未来を照らす我らが希望!真のヒーローの誕生である!

僕はオールマイトに指定された海浜公園に来ていたがオールマイトらしき人がいなかった。

 

あれ?オールマイトも遅刻かな?と思っていたら

 

「緑谷少年!」

 

と声がしたのでそっちの方へ行ってみると骸骨みたいな人しかいなかった。

 

「あれ?オールマイトは?」

 

『ふむ……』

 

僕がキョロキョロしていると

 

「ゴホッ……私はここさ!」

 

と目の前の骸骨がいきなりオールマイトになった。

 

「おおおオールマイト!!?」

 

『…………』

 

「どどど、どうゆうことですか!?」

 

「そうだね……これから言うことも他言無用で頼むぜ」

 

オールマイトは話してくれた

 

かつて敵を捕らえるために深手を負ってしまいヒーロー活動時間が大幅に減ってしまったこと。

 

元々この町に来てたのは後継を探すためであったことなど。僕の頭は驚きの嵐だ。

 

「そうだったのか……」

 

「まあ幸いにも君という後継者が見つかったんだ!だからそう落ち込むことはないさ!」

 

「さて!ワンフォーオールを継承するのには生半可な体では継承不可能だが……君は継承するのに充分な身体をしている!さあ受け取ってくれ!」

 

オールマイトにそう言われドキドキが止まらない僕。オールマイトは髪の毛をプチっと抜く。

 

一体どんな方法で……

 

「食え」

 

『『は?』』

 

ウォズと声が被ってしまった。

 

「別にDNAを取り込めるならなんでもいいんだけどさ!」

 

「思ってたのと違いすぎる……」

 

『なるほど……確かに生物学的には間違ってはいないな……』

 

こうしてワンフォーオールを受け継いだ僕は一旦家に帰った。

 

個性のことは誰にも話しちゃいけなかったがオールマイトとの特訓はお母さんには話すことにした。

 

個性も発現したと話すとお母さんは泣きじゃくって心から喜んでくれた。

 

そして次の日から特訓が開始された。

 

オールマイトがいたがトゥルーフォームの状態だった。

 

「緑谷少年!今回君をここに呼んだのはただ特訓をしてもらいたいわけじゃないんだ!」

 

「へ?どうゆうことですか……?」

 

「見てみたまえ!ここら一帯は潮の流れでゴミが漂着するのをいいことに不法投棄が後を絶たない!そこで!君にやってもらいたいのはここら一帯の水平線を蘇らせることだ!それが!君のヒーローへの第一歩だ!」

 

「確かにそうですね。このゴミは見逃せない」

 

「そう言ってもらえると嬉しいぜ!最近の若いのは派手さばかり求めちゃいるが本来ヒーローとは奉仕活動!地味だと言われようがそこはブレちゃあいかんのさ!」

 

『ふむ……この男は昨日の奴らと違うな……流石不動のNo. 1ヒーローといわれたところか』

 

ウォズがオールマイトを観察するように評価する。

 

「やってくれるか!」

 

「はい!」

 

こうして僕はオールマイトの言われた通りにゴミを運ぼうとワンフォーオールを発動しようとした。がいきなり全力はゴミを吹き飛ばしかねないので10%ぐらいで発動しようとした時

 

「オールマイト、これってコツとかってありますか?」

 

さあ……No. 1ヒーローはどういう感覚なんだ!?

 

「それは……感覚だ!」

 

へ?

 

「イメージだよ。イメージ!そうだな……例えば電子レンジの卵が爆発しないイメージ……」

 

へ?

 

『は?』

 

「わからないか?」

 

「はい……」

 

『成る程……この男は天才すぎてコーチには全く向かないタイプか……』

 

そうだね……ウォズ……どうしよう、なんかいいアドバイスってない?

 

『そうだな……常に発動しておいて用途において出力を切り替えるってのはどうだ?』

 

それだ!

 

僕はウォズに言われた通りに個性を発動させると

 

確かに力を感じた。これをやりすぎないような感覚で……慎重に……そして走ってみると

 

「うおおおおおっ!!!」

 

ものすごい速さで走れた。走った余波で軽いゴミがちょっと飛んでいった。

 

「ははは!!まさかここまでとは……!緑谷少年!」

 

「これって……何%ぐらいなんですか?」

 

「そうだな……20%ぐらいといったところか……まさかここまでとは!正直驚いたよ!」

 

これで20%か……あまり力は出し過ぎない方がいいな。

 

「さてとウォズくん……だったけ?君も手伝っちゃあダメだぜ!あくまで緑谷少年のトレーニングだからな!」

 

『勿論さ。私は心の中でのんびりと過ごすさ』

 

皆も僕のために色々としてくれてるんだ。さあ頑張るぞ!

 

・・・・

 

???side

 

私は拳藤一佳!今年雄英受験する植蘭中学の三年生!千葉から下宿先にいいマンションを見に来たのと折角だから雄英高校も覗こうかなあって東京まで来ました!

 

と海浜を歩いていると私と同じぐらいの男の子がタイヤを運んでいる。

 

彼には見覚えがあった。

 

緑谷出久。ヘドロ敵に捕らわれた人質を助けて倒したところをテレビで放送された少年だ。

 

一部のヒーローからは個性無断使用だとか言われているが私はそんなことは思わない。なにもせずに見ていただけのヒーローよりもよっぽどヒーローに思えた。しかし自分のことを真のヒーローだと言った時には凄いやつだなあとも思った。

 

それにしてもこんなところでなにしてるんだろ?

 

私は気になって近くまで走った。

 

・・・・

 

ゴミ掃除を開始してから一週間が経ってようやく半分といったところだ。

 

やっとここまで来たと一息ついていると

 

「おーい!なにやってんのー!」

 

振り向くとそこにはオレンジ髪をサイドテールにまとめた女の子がいた。

 

女子と話したことなんかほとんどない僕は緊張してしまいうまく言葉が見つからない。

 

そうだ!ウォズに代わってもらおう!

 

・・・・

 

ウォズside

 

やれやれ……出久よ。女子経験が少ないからといってまだ喋ってもない女から逃げるなどと男のすることではないぞ?

 

『だ、だって……うまく言葉が見つからないんだもん……』

 

ふぅ……とりあえず自分の思ったことを誠心誠意伝えてみろ。それでなんとかなる。

 

『えっ!?ほんと!?』

 

ただし注意すべきなのは相手が気にしてることを言わないことだな。例えば体重とか髪型とか会話の中で聞き取れた相手の嫌いなものとか。

 

『そっ、そうか……うん!やってみるよ!』

 

全く……出久は引っ込み思案で困るな……万が一のために一応見てやるか。

 

と心の内から覗いてみると

 

「それじゃあ一週間もまえからここを掃除してるの!?」

 

「うん。特訓……でもあるけどこのゴミを放っておくのは……と思ってさ」

 

滑り出しは順調だな……

 

「へぇ〜、偉いなあ。なんかこう……上手くいえないけど……出久って本当のヒーローみたいな感じがするな……」

 

ほぅ……悪い印象は持たれてないか……

 

「しかし出久の個性ってすごいな〜!変身ってまさにヒーローじゃん。私の個性なんか手を大きくするだけだもん……」

 

この少女は自分の個性にあまり自信を持てていないようだな……出久よここは下手なことを言うんじゃないぞ

 

「すごいな〜!拳藤さんの個性って……!色々な応用が利くじゃん!」

 

あのバカ!

 

「え〜……?出久に言われてもなんか嫌味にしか聞こえないな〜」

 

おや?あまり悪く思われていないようだぞ?

 

「全然凄いって!無個性だった僕なんかより!」

 

あ〜あ……出久よ。オールマイトに繋がりそうな情報はあまり流すべきではないぞ?

 

『え!?そうだった!?ごめん!』

 

「え?無個性……!?あの変身は個性じゃないの?」

 

『ウォズ……僕たちのこと話してもいいよね?』

 

まあしょうがないか。話しても支障はあるまい。

 

それから彼女、拳藤一佳に私たちのことを話した。

 

「へぇ〜……!出久の中に二つの人格が……!」

 

「そう。変身はもう一人の個性で僕の個性は最近発現したんだ」

 

「そっか〜……なんか出久が羨ましいな。心の底から話せる相手がいてさ」

 

ほぅ……彼女は人気がある故にあまり人と深く関わっていないとみるな……

 

「なら僕と友達になろうよ!」

 

は!?出久よ……そうきたか……

 

「え?」

 

「僕も……無個性だったから……話せる相手がウォズだけだったんだ……だからさ!僕と友達になってよ!」

 

「うん!私でよければ!」

 

そして出久は拳藤一佳と友達になって連絡先を交換しあった。

 

「じゃあ雄英で待ってるから!」

 

「うん!私絶対合格するから!」

 

こうして少年少女たちは誓いをたてた。再会の時は近い。

 

 

 

 

 

 



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祝え!古豪との実戦訓練!

拳藤さんと出会ってから一週間が経った。

 

そして僕は

 

「ぜえええええい!!」

 

「これは……予想以上に……オーマイ!グッネス!」

 

最後のゴミをトラックに積み込むと腰を下ろした。

 

「やるじゃないか!まさか二週間で終わらせるとは……!君ってやつは……!」

 

「ありがとうございます……なんか気持ちいいなあ……」

 

息が荒くなってしまっているが綺麗な水平線をみると少し安らぐ感じがする。

 

とその時

 

「ほぅ、コイツがお前の後継者か!いい面構えしてやがる」

 

「この人は誰ですか?オールマイト。あっ!しまった!」

 

『出久よ。その心配はなさそうだ。どうやら彼もオールマイトの秘密を知っている人物らしい』

 

「え!?そうなんですか!?」

 

「はっはっは!お前のもう一つの人格だったっけ?いい目をしてやがる!」

 

「その通りだ。緑谷少年にウォズくん。この人は私の高校時代の先生で未だ現役のヒーローグラントリノだ」

 

「オールマイトの先生……!」

 

『ふむ……どうやら嘘ではなさそうだな』

 

「といっても碌に活動していないからな!免許とったのもコイツ鍛えるためだけだし」

 

「成る程……だからネットなどでも出てこないわけだ……」

 

「さてと!小僧よ。お前はワンフォーオールをどこまで扱える?」

 

そう言われて許容範囲の25%で走ると

 

「ほうほうほう!二週間でここまでとは!コイツぁ先が楽しみだ!」

 

喜んでるとウォズから

 

『出久よ。オールマイトがなにやら知らないが震えているぞ』

 

え!?

 

よく見るとオールマイトがなにかを思い出したように震えていた。

 

なになに!?なにがあるっての!?

 

「さてと!小僧!今度は実戦形式だ。俺と勝負しろ」

 

「え!?グラントリノさんとですか!?」

 

「そうだ。ワンフォーオールを扱えるのはわかった。今度はお前の戦闘技術を見る」

 

「成る程……わかりました!」

 

僕がグラントリノから距離をとって構えると

 

「準備はいいな?」

 

「はい!」

 

「んじゃまあ……」

 

とグラントリノさんが一瞬で視界から消えた。

 

っ!上か!

 

僕が上を見上げるとグラントリノが個性で空中を蹴っていた。

 

速い!

 

その突撃に対して右腕のカウンターを仕掛けるが寸前で避けられてしまい後ろに回り込まれた。

 

そのまま背中に一撃を喰らってよろめいたがなんとか耐えた。

 

そしてグラントリノは空中を蹴り続けて僕を撹乱する。

 

なら!

 

僕はワンフォーオールを全身に張り巡らせて出力をギリギリまで引き上げる。

 

ウォズのアドバイスのもと編み出されたコイツの名はフルカウル!

 

グラントリノの動きをみて動くタイミングを見極める

 

そして仕掛けてきた時を狙いアッパーで対抗するが

 

「分析と予測か。だが……」

 

グラントリノは足を上に向けて下に移動してそのまま地面を蹴って僕のモロにパンチを叩き込んだ。

 

「グホッ……」

 

「固いな……そして意識がチグハグだ。だからこうなる」

 

そして僕は押さえつけられてしまった

 

負けか……

 

「うん!戦闘経験が少ない割には中々じゃないか!オールマイトのように実戦訓練でゲロ吐かせずに済むかもな」

 

そうか……だからあんなに震えていたのか……

 

「さてと……お前の実力もわかったがもう一つ確かめたいことがある……ウォズだったか?」

 

『なんだろう?』

 

「俺と戦ってくれないか?お前の実力が知りたい」

 

『ほぅ……そうきたか。出久よ。変わってくれないか?』

 

うん!わかった!

 

そして僕たちの意識が入れ替わった。

 

 

 

 



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祝え!創造主と古豪の戦い!そして新たな友との出会い!

私たちの意識が切り替わり私は身体の感覚を確かめた。

 

「やあ、グラントリノ。私をお呼びかな?」

 

「ほぅ……確かにさっきまでの小僧とは違うわけか……面白え」

 

そして私はビヨンドライバーを取り出すと

 

<ウォズ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!>

 

私が変身するとグラントリノは

 

「それがお前の力か……異世界のヒーローとやらの実力を見せてもらおうか!」

 

<ジカンデスピア!カマシスギ!>

 

私はジカンデスピアを取り出すとグラントリノは足から空気を噴射して突っ込んできた。

 

私はジカンデスピアを振るうもグラントリノは上に飛んで逃げた。

 

そして私の周りを飛び回り私を翻弄する。

 

そして私の隙を見つけては攻撃を仕掛けてくる。

 

一発一発は重くはないが数で攻めるタイプは厄介だ。

 

「どうした!?こんなものか!?」

 

なら!

 

<シノビ!>

 

<アクション>

 

<投影!フューチャータイム。誰じゃ!俺じゃ!忍者!フューチャーリング!シノビ!シノビ!>

 

「ほぅ……」

 

そしてグラントリノの動きを見切って最小限の動きで避け続けると

 

「あの動きを見切れるのか!?」

 

「こりゃあ……!カッコだけじゃないな!」

 

グラントリノが再び突っ込んでくるが私は影に潜ると

 

「なっ!?」

 

そしてグラントリノの影から現れて背後を取るとジカンデスピアを下から振り上げた

 

「ぐわっ!ほぅ……やるじゃねえか!」

 

ジカンデスピアを手に構えると私はグラントリノに一気に接近したが

 

(速い!だがまだまだ対応圏内!)

 

グラントリノは先ほどよりも強い噴射を足から出して横に逃げると再び噴射で私に接近したが私はそれをジカンデスピアで受け止めてそのままグラントリノに突きを放った。

 

グラントリノは吹っ飛ばされるも体勢を立て直して一旦距離をとる。

 

私も油断せずに相手の出方を伺う。

 

そしてグラントリノが動く前に私は距離を詰めると

 

<フィニッシュ!忍法!>

 

アッパーを下から振り上げてグラントリノを上空へあげると私も飛んでかかと落としを喰らわせるとグラントリノは砂浜に叩きつけられた。

 

「はぁ……まいったまいった!降参だ!」

 

グラントリノが降参宣言をすると私は変身を解除した。

 

「まさか……グラントリノに勝つとは……!ウォズくんよ!君は一体……!?」

 

「俊典……コイツが異世界のヒーローってのは本当だと思うぜ。出久も悪くはねえがウォズはそれを超える戦闘技術を持っている……並のヒーロー以上だ」

 

ふぅ……かなり強かったな。これでご老人とは信じられん。

 

『さてと出久よ。変わるぞ?』

 

『うん!』

 

そして私たちの意識は再び入れ替わった。

 

・・・・

 

僕に意識が戻るとグラントリノは今日の特訓はここまでと切り上げてくれた。

 

帰り道を歩いているとモニターにオールマイトが写っていたのを見ると

 

「「オールマイトだあぁ!」」

 

つい叫んじゃった。あれ?

 

隣からも大声が聞こえてきた。僕と隣の人はお互いに顔を見合わせた。その人は制服をきてるから同級生だとは思うが中学生には見えないぐらいのガタイで角刈りの身長が190cmはあろうかと思う人だ。

 

とその人がズンズンと近づいてきた。ちょっ!?

 

「こんちはっす!君もヒーロー好きっすか!」

 

「あ、うん!オールマイトは僕の憧れなんだ!」

 

こうして意気投合した僕と夜嵐くんはヒーローについて長々と話しあってるうちにとても仲良くなった。

 

「へ〜じゃあ夜嵐くんも雄英受験するんだ!」

 

「そうっす!俺もオールマイトのようなヒーローを目指しているんだ!」

 

「しかし君があの緑谷出久くんとは……!感激っす!」

 

「え!?僕なんかした!?」

 

「テレビでやってたじゃないすか!あの時にヒーローに言った言葉がカッコよかったっす!」

 

ああ、あれか……あまり褒められたことをしたつもりはないんだけどな……

 

「今じゃウォズのファンまでできてるんっすよ!」

 

マジで!?ていうかなんでウォズを知ってる……あ、そうか。名乗ってたな。

 

そのあともお互いのことを話してるうちにウォズのことも話すと

 

「そうなんだ!出久の中には二つの人格が……!」

 

「うん。変わってみようか?」

 

そしてウォズへと意識を切り替えると

 

「やあ夜嵐くん。出久がお世話になったね」

 

「おおおお!!!確かに雰囲気が違うっす!」

 

ウォズと夜嵐くんの会話を聞いていると

 

「じゃああの変身はアンタの個性っすか!?」

 

「そうだね。あれは仮面ライダーウォズ。未来の創造主さ」

 

「仮面ライダーウォズ……」

 

「しかし……君は好ましい性格のようだが一つだけ嫌悪しているものがありそうだ。そんな目をしている」

 

「!!!……なんでもないっす」

 

あれ……ウォズの言った通りなのかな?

 

「まあ深くは突っ込まないさ。人にとって受け入れられないものはあるからね。だけどそれもヒーローを目指すなら時と場合を考えるべきだと思うよ」

 

「……そうっすか。それよりあの時飛び出したのはスゴイっす!」

 

と夜嵐くんが話題を切り替えるように元気になった。どうやら相当根強いものだと思う……

 

「うん。確かにあの時飛びましたがそれは出久が決めたことだ。私ではない」

 

そして遅くなったので帰ろうとした時に

 

「出久!俺絶対雄英受かるっすよ!約束っす!」

 

「うん!僕もだよ!」

 

こうして少年はまた誓いを立てた。

 

 

 



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祝え!新たなる竜王の誕生!

あれから一ヶ月夜嵐くんや拳藤さんから時折連絡が入ってきた。なんだか嬉しいなあ。無個性だった自分と関わってくれる人が出来たんだから。

 

二人とも雄英合格のために個性を伸ばしたり勉強に励んでいるようだ。

 

僕も負けてられないな!この一ヶ月鍛えた甲斐あってフルカウルの出力は30%まであげることができた。

 

あとウォズと試したがビヨンドライバーは僕でも使えることがわかったが戦い方が難しかった。

 

とまあ僕の周りでも色んなことがあった。

 

で今の僕はというと

 

「うわあああああ……すごい……!」

 

「美味しそうな料理っすね!」

 

「二人ともちょっと静かに……」

 

高級ホテルのバイキングに来ていた。

 

話を遡ること五時間前

 

僕が部屋でトレーニングをしていると

 

『出久よ。そろそろ準備だ』

 

『え?なんの?』

 

『ああ、君にはまだ話してなかったね。鞄の中を見たまえ』

 

ウォズに言われたとおりに鞄の中を見てみると

 

「これって……!高級ホテルのバイキング!?」

 

『そうだ。トレーニングもいいがたまには休まないと身体はもたないぞ』

 

「えええ!?でもこれってどうやって!?まさか……」

 

『人聞きの悪いこと言おうとしないでくれたまえ。ちゃんと正規のルートで買ったものさ』

 

「どどどどうやって!?」

 

明らかに僕の小遣いじゃ手が出ない代物だ。

 

『これさ。スマホを見てみたまえ』

 

スマホのあるアプリを開くと

 

「な!?3000000000!?」

 

僕の通帳の額が明らかにおかしかった。

 

「ウォズ!!本当に一体何やったの!?」

 

「株だよ。ちょうどいい代物が見つかってね。ぼろ儲けさ」

 

まさかこんなことになってるとは……ていうかいつのまに!?

 

『君が寝ている間にちょっと身体を拝借させてもらってね。その時さ』

 

どうりで最近疲れがあんまりとれないわけだ。

 

『出久にはたまにはこういうとこにも行った方がいいぞ。トップヒーローとはこういう場所での体験もあるからな』

 

そりゃそうだけどさ……ん?三名様?

 

『ああ!夜嵐くんと拳藤くんも誘っているのだよ。二人とも行きたいってさ』

 

えええええ!?

 

『嫌ではないだろ?友との時間を過ごしてきたまえ』

 

なんか色んな意味で疲れそう……

 

というわけで今現在ホテルにいるのだが

 

明らかに周りの視線が痛い……子供だけだもん……ていうかウォズ母さんを連れて行くって考えはなかったのかよ!

 

そしてウェイターの人がこっちに来ると

 

「緑谷出久様御一行ですね。お待ちしておりました」

 

ガチガチに緊張した状態でチケットを渡す。

 

「ご確認しました。どうぞこちらへ」

 

案内された席に座ると

 

「なあなあ緑谷!俺こんなとこに来たことないけど本当にいいのか!?」

 

「……ウォズに聞いてよ」

 

「私も……出久に送られてきたお金でドレス買ったけど……正直場違いの感じがすごい……」

 

「そっ!そんなことないよ!拳藤さんは綺麗でとっても似合ってるよ!」

 

「き……綺麗……」

 

あれ?拳藤さんの顔が赤いけど熱でもあるのか?

 

となんやかんやになってる時に心の中でウォズは

 

『やれやれ出久よ……君は鈍すぎるぞ』

 

ウォズは拳藤の気持ちにちゃんと気づいていたのだ。

 

で心の中から覗いてみると

 

『しかし……私があの時暴れたせいか周りの出久たちへの視線は結構キツイな……まあ適当に流すべきだな』

 

ウォズは周りの視線が決して優しいものではないと睨んでいた。

 

そして大分落ち着いてきたので出久たちはバイキングを楽しんでいると

 

「ねえ……?あの子でしょ?個性無断使用したのって……」

 

「全く……犯罪者がよくこの場にいれるものだ」

 

「庶民がこの場にいることすらおこがましいというのに……」

 

どうやら周りの者たちはウォズの前の行動が気に入らないやつらのようだ。それに周りのほとんどの者が人を見下すようなやつらだった。

 

『やれやれ……と言いたいところだが私たちの行動も決して褒められたものではなかったからな……出久よ、ここは耐えろよ』

 

う、うん……

 

と目の前で転びそうになった銀髪の女の子がいたので手を貸そうとすると

 

「才子!犯罪者の助けなんか借りるんじゃありません!」

 

と母親らしき人がそう言った時

 

僕が差し出した手を彼女は拒んだ。

 

「…………」

 

そしてそのままその場を立ち去った。

 

『出久よ。気にするな』

 

『う、うん……』

 

と席に戻ってきてみると

 

「なあなあ〜!そんな奴らと一緒にいるより俺たちのとこへ来いよ〜!」

 

「そうだぜ〜可愛がってやるからよ〜」

 

拳藤さんが変な男たちに捕まっていた。

 

夜嵐くんも注意しているが全く聞こうとしない。

 

『出久よ……すまなかった。まさかこんなことになるとは……君たちに楽しんでもらうはずが……こんな最悪の思い出になるとは……」

 

ウォズのせいじゃないよ

 

そしてその手が拳藤さんに伸びようとした時

 

僕の身体は動いていた。

 

『やめろ……出久』

 

『だってこのままじゃ!』

 

『よく耐えたな……出久よ。後は私に任せろ』

 

そしてウォズに意識が切り替わった。

 

「やあやあやあ!◯◯◯カンパニーに◇◇◇コーポレーションの御曹司たち!…………その汚れた手を引っこめろ」

 

「なんだと!この一庶民が!」

 

「君たちごときがその子に触れるなどとはおこがましいものだね」

 

「この野郎……!!!」

 

「さてと。君たちのやってたことは見過ごせないのだが今ここで手を引けば勘弁してやってもいいのだがね」

 

「なに言ってやがる!俺たちはただ彼女を誘おうとしただけだ!」

 

「そうかな?君がやっていることは強要だ。許されることではないぞ?」

 

「言いがかりもいい加減にしろ!俺たちはただ彼女を誘おうとしただけだ!」

 

「強要ではないのか?なら私は放っておくとしよう。すまなかったね」

 

「え!?」

 

『ちょっ!?ウォズ!なに考えるの!?』

 

「そうか!わかったか!この一市民が!」

 

「俺たちに庶民が意見するなどおこがましいものだ!」

 

「さあ!俺たちを不快にさせて罰として来い!」

 

「さっさと来やがれ!」

 

ウォズ!?本当になにやってるの!?このままじゃ拳藤さんが……!

 

と彼らが先ほどのように手を引っ張ろうとした時に

 

「はっはっはっは!!!!」

 

ウォズが急に笑い出した。

 

「いや〜!これで強要ではないというのだから頭がおかしいよ」

 

「「なんだと!!」」

 

「ねえ。そうですよね?皆さん?」

 

とウォズがスマホを胸元のポケットから取り出して画面を見せると

 

「実はこれね。ライブ中だったのだよ」

 

「「はー!!!?」」

 

「いや〜!実に滑稽だったよ。それで皆さん?彼らと私の言い分どっちが正しいでしょうか?」

 

ウォズがコメントの画面にすると

 

『最っ低!』

 

『クズだな』

 

『酷い……』

 

と彼らに対しての批判が書かれていた。

 

「これで君たちの信頼はガタ落ち……会社の株価も下がるだろうねえ?」

 

「きっ……貴様……!」

 

「だっ、騙したな!」

 

「騙してなどないさ?私は君たちと話し合いをして私は負けた。だけど君たちの行動は他のものから見れば私の方が正しいと主張してくれただけだよ?」

 

全く……ヒヤヒヤさせてくれるよ……

 

拳藤さんも同じ気持ちだったらしい。

 

「さてと!これ以上続けるならさらに評判が落ちるだろうねえ?」

 

「ぐっ……クソ!覚えていろ!」

 

「このクソどもが!」

 

助かった……

 

「ふぅ……すまないね拳藤くん。彼らを追い払うために一時君に恐怖を与えてしまって……」

 

「本当だよ。まあ助かったからいいけどさ」

 

「それはよかった「ウォズ!」ん?」

 

「ありがとう!」

 

「さてと出久よ。変わるぞ」

 

そしてウォズから意識が切り替わる。

 

そして僕たちは再びバイキングを楽しんでいると

 

『ウゥー!!!』

 

なにやらサイレンの音がホテル中に鳴り響いた。

 

ウェイターの一人が会場に飛び込むと

 

「火事だ!皆逃げろ!」

 

辺りは一瞬で騒がしくなった。

 

僕たちははぐれないように一部に固まると

 

「どうする?」

 

「私たちも逃げたほうがいいけど……」

 

「逃げ遅れた人がいないか心配っす!」

 

「そうだね……よし!逃げ遅れた人がいないか探そう!」

 

あまりにも無茶とも言えるがしょうがない。

 

最悪夜嵐くんの個性で屋上から逃げられるしね。

 

とりあえず皆の避難誘導をしてると

 

「誰かー!!」

 

声がしてきた部屋に向かって強引に中に入ると

 

中は一面火の海で天井が崩れていた。

 

「助けて……!」

 

よく見るとあの銀髪の女の子だった。

 

ここでは夜嵐くんの個性は相性最悪だ。拳藤さんの個性も有効とはいえない。僕の個性でも……

 

『仕方ない。ここは私に任せたまえ』

 

うん!わかった!

 

<龍騎!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。激闘!本能!サバイバル!フューチャーリング龍騎!龍騎!>

 

「我が名は仮面ライダーウォズフューチャーリング龍騎」

 

そういうのはいいから早く!

 

「やれやれ……」

 

ウォズは右手を出すとその手に炎が吸収されていく。

 

「なっ……」

 

そして動けない女の子を背中に乗せると

 

「なぜ……助けてくれたのですか……私は……貴方を……」

 

「だからって助けなくていい理由にはならないだろ?それに君は……本当はあんなことやりたくなかったんだろ?」

 

「それは……でも……いいえ、なんでもない。ありがとう」

 

女の子を担いで逃げようとすると

 

「全く……犠牲者ゼロになったんじゃ俺様もやってる意味ねえってんだよ!」

 

後ろから敵と思われし男が天井から落ちてきた。

 

「夜嵐くん……この子を頼む……」

 

「わかったっす!」

 

「さて君の相手は私がしよう」

 

「はーっははっはっは!お前仮面ライダーってんだろ!ちょうどいい!おめえを倒して箔をつけさせてもらうぜ!」

 

と男の姿がどんどん変わっていく。

 

それはまさに竜……いやサラマンダーのようだ。

 

「きゃーきゃっきゃっきゃ!おめえも焼き尽くしてやる!」

 

「それはどうかな?」

 

サラマンダー敵が炎を吐いたがウォズは慌てずに右手を振ると

 

竜の唸り声がどこからか聞こえてきた。

 

そして炎の前に突然現れたソイツは

 

「ドラグレッダー!」

 

再び唸り声をあげた竜を見た敵は

 

「な……なんだよ……なんなんだよソイツ!」

 

ドラグレッダーが敵に突進すると敵は壁まで吹き飛ばされた。

 

ウォズがビヨンドライバーのハンドルを後ろにして再び前に倒すと

 

<ビヨンドザタイム!>

 

足にエネルギーを溜めてドラグレッダーは唸り声をあげる。

 

そして敵に向かって飛びかかるとドラグレッダーは炎を吐いてウォズのキックの威力をあげる。

 

そして敵は外まで吹き飛んだ。

 

その後女の子を外まで運ぶと

 

「才子!」

 

さっきのお母様が迎えにきた。

 

そして

 

「すみませんでした!貴方のことをなにも知らず……なのに娘を助けていただいて……」

 

「いいですよ。そんなに気にしなくて。謝ってもらったし……」

 

「緑谷さん。先ほどのことさ私も謝らなければなりません。すみません……」

 

「いや、いいですよ」

 

と外で話し合っていると

 

「じゃあ僕たちはそろそろ行きます」

 

「まっ、待ってください!」

 

「緑谷さん……いえ出久さんは雄英を目指してらっしゃるのですよね?」

 

「はい。そうです」

 

「母さま……私も雄英を目指してよろしいですか?」

 

「貴方が決めたのならなにも言わないわ」

 

「出久さん!雄英で会いましょう!」

 

「うん!」

 

こうして(白)ウォズと出久はホテル火災事件を解決したのだった。

 

「と、この本にはこう書いてある。次は……おっともうそろそろ時間だ。また今度な」

 

そう言って彼は黒い本を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 




印照さんの年齢は出久たちと同じにしてあります。


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祝え!我が夢への雄英入試!

今回はウォズの戦闘描写はありません。


あの事件から月日はあっという間に過ぎ去って雄英入試本番。

 

僕が緊張していると

 

「おらデク!」

 

「かっちゃん……」

 

「俺の前に立つな殺すぞ」

 

「…………」

 

かっちゃんはそのまま中に入っていく。

 

「おーっす!出久!」

 

「出久さん!久しぶりですね!」

 

振り向くとそこには拳藤さんと印照さんがこっちに来ていた。

 

この場に夜嵐くんはいないが彼は推薦なので別の日に既に受けたそうだった。ちなみに合格したらしい

 

「うん!久しぶりだね。今日はお互い頑張ろうね!」

 

「う、うん……頑張ろうね……」

 

「え、ええ……そうですね……」

 

顔を赤くして俯いていた。

 

二人とも耳まで赤いし……熱でもあるのかな?

 

そして顔を上げるとお互いが睨み合っていた。

 

あれえ……?なんか競い合うことでもあるのかなぁ……?

 

と僕がそう思っていたら二人が腕を絡ませてきた。

 

拳藤さんが右、印照さんが左を固めて試験会場へ向かう。

 

至る所から視線を感じたのであとでウォズから聞いてみたんだけどどうやら多数の男に睨まれていたらしい。ライバル意識ってやつかな?

 

・・・・

 

やれやれ……出久は鈍いにも程があるぞ。しかし爆発ヘッド君は相変わらずだなあ……

 

拳藤くんも印照くんも君に惹かれているのに……しかも二人ともお互いが同じ相手を好きだってことをわかってるみたいだな。二人とも美少女だから周りからも注目されるのも当然だろう。そんな二人と一緒に、しかも腕まで満面の笑みで絡ませている君が睨まれないはずがないだろう……

 

さてこんなことを話してる場合ではない。気を引き締めろよ出久

 

・・・・

 

試験会場に入って拳藤さんたちと一旦別れて筆記試験に挑む。

 

自己採点だったので合格ラインは超えていた。

 

次は実技だ。

 

拳藤さんたちと合流すると説明会場へ向かう。

 

かっちゃんは……いた。

 

「今日は俺のライブにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!!」

 

プレゼントマイクが絶叫するが誰も反応しない。

 

「コイツはシヴィー!!!受験生のリスナー!実技試験の内容をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?」

 

めげずに絶叫するプレゼントマイク。だがまたしても誰も反応しない。

 

説明によればのいくつかのルールがあるらしい。

 

・受験生は10分間演習場で仮装敵を倒してポイントで競い合うらしい。

 

・持ち込みはOK

 

・アンチヒーローな行為はご法度

 

とまあざっくりするとこんなところか。

 

僕たちは別々の会場なので一旦別れることとなった。

 

そしてバスで試験会場まで行き位置に着くと

 

『ハイスタート』

 

合図が聞こえたので走っちゃった。

 

あれ?マズイかな!?フライングになってない!?

 

『どうしたあ!実践にカウントがあると思ってんのかあ!一人飛び出たぞ!ソイツに続けえ!試験はもう始まってるぞ!』

 

よかったあ〜てっきり失格になるかと……

 

さあウォズに頼ってばかりじゃいられない。頑張るぞ!

 

・・・・

 

その頃別の試験会場では

 

「ふっ!」

 

印照才子は鞭を振るって仮装敵を行動不能にしていた。

 

そして遠くの仮装敵を"個性(・・)"で確認すると一瞬でその場に移動して(・・・・・・・・・・・)再び鞭を振るう。

 

横薙ぎの攻撃は仮装敵の脚を壊して再起不能にした。

 

(出久さん……負けませんわよ!)

 

思い人への想いが彼女を突き動かしていた。

 

・・・・

 

大分壊したかな?

 

と周りを見るとおおかた仮装敵は撃退していた。

 

出久は指を弾いた衝撃波か壊した仮装敵を投げつけて力を温存していた。

 

とその時轟音が鳴り響いて0敵が現れた。

 

その圧倒的脅威に皆逃げ出していた。

 

(あれは倒しても無駄だな。力を温存しておくか……でも待てよ?もし逃げ遅れた人がいるなら!)

 

出久は逃げ遅れた人がいないかと思いあえて0敵に近づいた。と視線の先に灰色の髪の女の子が倒れていた。

 

すぐ後ろには0敵が、逃げないと潰されてしまう。

 

それに気づいた僕はワンフォーオールを最大限まで発動させて走った。

 

そしてロボット脚をひょいひょいと登って関節部分を30%SMASHで潰していく。

そして胸部までよじ登ると頭の上までジャンプして前回りに回転してかかと落としを喰らわせるとロボットの頭がひしゃげて潰れた。

 

そして女の子の元まで行くと

 

「大丈夫?」

 

「え、うん。ありがとう……」

 

女の子の脚を見ると怪我してるみたいだ。

 

そう思った僕はその子の足と首に手を回して抱っこ(お姫様抱っこです)すると

 

「ひゃあっ!?」

 

「あ……ごめん下ろそっか?」

 

「いや、いいよ……」

 

なんか心なしか顔が赤いような……まあリカバリーガールに見てもらえればいっか。

 

そして帰ろうとした時

 

「まっ、待って!」

 

「あっ、君はさっきの……」

 

「うん。ありがとう助けてくれて」

 

「別にいいよ」

 

「緑谷出久くん……だよね?」

 

「え?知ってるの?」

 

「うん!あ、自己紹介がまだだったね。私は柳レイ子」

 

「改めまして緑谷出久です」

 

そして柳さんと話してるうちに僕とウォズのことも話した。

 

でそのまま歩いていると雄英の門前で待っていた二人に柳さんについて問い詰められた。

 

がその時柳さんにも二人について聞かれた。

 

僕が説明すると三人ともすごく睨んでいたけど……なんかあったのか?

 

んで一週間後雄英から合格通知がきて僕は合格した。

 

電話で聞くと拳藤さん、印照さんに柳さんも合格したようだ。

 

余談だが合格通知の時にオールマイトが雄英に勤めると聞いた時はめちゃくちゃ驚いた。

 

 

 

 




印照さんの個性が強化されて最早別物となっています。しかしちゃんとIQの個性を強化したものですので安心してください。


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祝え!我が雄英生活!

オールマイトside

 

「実技総合結果出ました」

 

会議室にいる教師陣がモニターに注目する。

 

「救助ポイント0で2位とはな!」

 

「後半他が鈍っていく中で敵を迎撃し続けた。タフネスの賜物だ」

 

「そして一位の緑谷出久。彼は確かヘドロ事件の……」

 

「あのヒーローへの説教はかっこよかったな!言うだけあって救助ポイントもダントツの一位だ!それに0敵も倒しちまったしな!」

 

「確かにスゴイ……それは認めましょう。しかしコイツの個性って変身じゃなかったのか?それに戦闘に慣れすぎている……中学生とは思えない……」

 

「相澤くんの言う通りだ。彼については僕が知っている限りオールマイト先生の弟子ということぐらいかな」

 

『!!?』

 

「こっ、校長先生!それは言わない約束では!?」

 

「そうだけどね……彼目立ちすぎて秘密にできないんだよ。それに君は彼についてなにか知ってそうだし……よければ教えてくれないかな?」

 

私はワンフォーオールは話さずに自分の知っている限りのことを皆に伝えると

 

「二つの人格……!?」

 

「じゃあ変身はもう片方の……?」

 

「それに異世界のヒーローだって……?」

 

「少なくとも本人達はそう言っております」

 

「成る程……わかった。オールマイトくんありがとう。それで実は調べたところによると二位の爆豪くんは一位の緑谷くんと仲が悪かったみたいなんだ。爆豪くんが虐めていてね……同じクラスにするのはどうかと……」

 

「ならば緑谷はブラドのクラスにするのはどうですか?」

 

『異議なし』

 

こうして本来の運命とは違う形で出久は入学することになった。

 

 

「出久!ティッシュ持った!?」

 

「うん」

 

「ハンカチは!?」

 

「持ってるよ」

 

『全く……君の母さんは落ち着きがないな……』

 

そう言わないでよウォズ、喜んでくれてるんだからさ

 

「出久!」

 

「なに?」

 

「超カッコいいよ」

 

「…………!行ってきます!」

 

そして玄関から出ると

 

『ふっ……いいものだな。家族とは』

 

『ウォズにはいないの?』

 

『いたさ。でも君たちのような家族ではなかった。人との関わりや関係性というのは単純な話ではないのだよ』

 

『あっ……ごめんね』

 

『いいさ。なにかスッキリしたから』

 

そして電車に乗って駅から降りて雄英に着くと

 

「おおっ!緑谷じゃねえか!おはよう!」

 

「出久おはよう!」

 

「出久さんおはようございます!」

 

「出久……おはよう……」

 

「夜嵐くん拳藤さん印照さん柳さんおはよう!」

 

そしてクラスを確認すると

 

「僕は……B組だ!」

 

「私もB組だ」

 

「私もですわね」

 

「……私も」

 

「俺は……A組か……」

 

「あれ?夜嵐くん大丈夫?なんか怖い顔してるけど……」

 

「んん?ああいやなんでもないさ!ごめんな!」

 

『…………』

 

「まあお昼は一緒に食べる?」

 

「ああ!そうしようぜ!」

 

「じゃあ教室に行きましょうか」

 

「そうだね」

 

教室へ向かう途中にウォズが

 

『出久』

 

『なに?』

 

『夜嵐くんのあの目……以前とは違うなにかを嫌悪していた目だ。おそらくA組の誰かとなにかあったのだろう。直感だが入試の時に夜嵐くんと同じだったもう一人の推薦入学者が怪しいとみていい』

 

「そっか……ウォズってすごいね』

 

『なんでだ?』

 

『なんか一つのことからいろんなことを予測できるんだもん』

 

『それを言うなら君だってすごいじゃないか。あれだけの分析をしてのけるんだ。充分にすごい思うよ』

 

『ありがとう』

 

途中で夜嵐くんと別れて僕たちはB組に向かった。

 

教室に入ると何人かが来ていたようだ。

 

そしてなにやら注目されている。

 

でも前みたいな嫌な視線というより興味本位のものに近かったので不快感はしなかった。

 

席に座っていると緑色のモヒカンで口が恐竜のような人が僕の前に来た。

 

「アンタが緑谷出久か?」

 

「え?うんそうだけど……」

 

なにやら睨まれてるような気がする。なになに?僕何かやった?(ウォズがやりました)

 

「そっか!俺鎌切尖!俺お前の大ファンなんだ!」

 

ファン!?えっ、えー!!?そういえば夜嵐くんも言ってたような……

 

「あの時のヒーローへの説教!そして敵を圧倒する強さ!俺は惹かれたんだ!お前のヒーローとしての姿に!」

 

「え、いやそんなことないよ。僕がやったのは違法行為だし……」

 

「なにを言うんだ!あれが間違ってるのなら今のヒーローの方が間違ってるさ!」

 

鎌切くんのテンションに押されっぱなしの僕。

 

とそこへ

 

「おーっす!俺たちも混ぜてもらっていいか?」

 

何人かがやってくると

 

「俺円場!よろしくな緑谷!」

 

「俺は回原だ。三年間よろしくな」

 

「角取ポニーでーす!よろしくねー!緑谷くん!」

 

「あ、うん!よろしくね!皆!」

 

こうして先生が来るまで話し合うことになった。

 

「しっかし驚いたぜ〜まさかあの0敵をお前が倒していたとはな」

 

「俺たちなんか逃げるで精一杯だったってのに……」

 

「まあ僕も柳さん助けるためだけに動いただけだしね」

 

と柳さんの方を見るとなにやら顔が赤くなっていた。あれ?

 

「緑谷……あの子お前とどういう関係なんだ?」

 

「え?さっき言ったとおりだけど……」

 

僕の言葉に円場くんたちは

 

「緑谷……おまえそれ本気で言ってんのか?」

 

「え?」

 

今度は回原くんが聞いてくる。

 

「ダメだこりゃ……」

 

「え?なになに?なに言ってるの?」

 

円場くんたちは呆れた表情になっている。

 

「緑谷さんがあのウォズなのですヨネー!?」

 

悪い空気をぶった切るように角取さんが発言した。

 

「え?まあ鎌切くんにも言ったけどそうだよ」

 

「緑谷くん!ユーの活躍はアメリカまで響き渡ってますヨー!私もアナタの大ファンでーす!」

 

と満面の笑顔の角取さんの発言の時になにやら三つの悪寒を感じた。

 

振り向くと柳さんに拳藤さん、印照さんが角取さんと僕を睨めつけていた。

 

怖かったので前に戻ると円場くんたちも僕を睨んでいた。

 

なになに!?本当になにがあったっていうの!?

 

と悪い空気が再び漂う中で教室のドアが開いた。

 

「諸君!席に着いてくれるか!」

 

見てみるとプロヒーローのブラドキングだった。

 

言われると皆すぐに席に着いた。正直助かった〜

 

「えー俺がおまえたちの担任になるブラドキングだ。少し長いから気軽にブラドと呼んでくれたまえ」

 

でその後入学式にガイダンスを受けて初日は終了した。

 

そういえば夜嵐くんたちA組はいなかったな?なんでだろ?

 

そして帰ろうとした時

 

「おーい!緑谷!」

 

「円場くん!回原くん!」

 

二人がやってくると

 

「駅まで一緒に行こうぜ」

 

「うん!いいよ!」

 

とその時

 

「おーい!緑谷!」

 

「夜嵐くん!」

 

夜嵐くんがやってきた。

 

「緑谷、誰なんだ?」

 

「あ、紹介するね。友達でA組の夜嵐くん」

 

「こんちはっす!自分は夜嵐イナサっす!よろしくお願いしまっす!」

 

「お、おう…よろしくな」

 

「ああ…」

 

二人とも夜嵐くんの熱さに少々ついていけないらしい。

 

まあ僕も最初は驚いたけどな。

 

3人で一緒に帰っていると

 

「じゃあA組は個性把握テストをやってたの?」

 

「そうっす!担任の相澤先生が合理性とかなんだとか……」

 

「そうだったのか。大変だったな」

 

「いえ!全然っす!むしろ燃えるっす!」

 

「そ、そうか……」

 

やっぱり夜嵐くんの前になると少々引き気味になってしまうな。

 

と門前まで来ると

 

「あ!出久!」

 

「出久さん!」

 

「出久……一緒に帰ろ?」

 

拳藤さんたちがいた。

 

「あれ?先に帰ったんじゃなかったの?」

 

「え?まあうん……そうなんだけどさ……」

 

「どうしたの?顔が赤いよ?」

 

「いえ……なんでもありせんわ」

 

「なんで待ってたの?」

 

「出久と……一緒に帰りたかったから……」

 

僕と?なんでだろ?まあ嬉しいけどさ

 

と視線を感じたので後ろをみると

 

「……リア充め」

 

「……爆発しろ」

 

「流石緑谷!頑張れよ!」

 

なにを頑張るのかな?それより円場くんたちが怖い

 

とそこへ

 

「緑谷くーん!一緒に帰りまショー!!」

 

角取さんがやってきて僕の手を握ると

 

「!!?」

 

後ろからさっきよりも鋭い視線を感じたので振り返ると拳藤さんたちが笑っていたがその目に光を感じなかった。

 

怖い!

 

円場くんたちに話しかけようとするも

 

「……み、緑谷。俺たち先に帰ってるわ」

 

「あ、ああ……」

 

「そ、そうっすね!」

 

夜嵐くんまでなにを感じたのかわからないがスタコラサッサとその場からいなくなったしまった。

 

この後拳藤さんたちを元に戻すのに苦労した。

 

翌日は午前は普通の授業で午後からA組と同じ個性把握テストらしい。

 

昼ごはんを食べようと拳藤さんに印照さんと柳さんに円場くんと回原くんの六人で食堂に行くと大分混んでいたので待っていると

 

「あ、B組の……」

 

「ウォズじゃん」

 

「女に囲まれてやがる……!」

 

「うるせえ峰田」

 

様々な僕に対する声が聞こえてきたが

 

「ようデク」

 

「かっちゃん……」

 

「女侍らせて随分いい気になってんじゃねえのか?クソデクが」

 

かっちゃんの言葉に僕の後ろにいる三人の機嫌が悪くなる。ごめんね。

 

『気にするな。出久よ。無視するべきだ』

 

ウォズにもそう言われたので無視すると

 

「無視してんじゃねえぞ!」

 

と掴みかかろうとしたかっちゃんの手を逆に掴んで捻る。

 

「っ!てめえ!」

 

とかっちゃんは強引に手の拘束を解いた。

 

「やめなよかっちゃん。皆に迷惑だよ」

 

「んだと……!クソデクが……!!!」

 

本当どうしてこう突っかかってくるのかな?

 

とその時

 

「やめないか!爆豪くん!」

 

「そうだぜ!爆豪!」

 

と赤い髪の人と眼鏡の人がかっちゃんを捕まえる

 

「すまなかった。僕のクラスメイトが迷惑をかけた」

 

「いやいいよ。ごめんねこっちこそ」

 

そしてかっちゃんがその場から居なくなると

 

「ちょっと……出久、誰あの感じ悪いの?」

 

「凶暴な方でしたわね……」

 

「酷かった……」

 

「なんだぁ?アイツ」

 

「怖かったな」

 

「僕の幼馴染の爆豪くん。昔っからああなんだ」

 

僕はかっちゃんのことを話すと

 

「しっかし酷いな。無個性だからってバカにするなんて」

 

「人を見下す最低な方ですわね」

 

「出久を馬鹿にするのは許せない」

 

「ていうか見た目通りのやつだな」

 

「苦労してたんだな……おまえ」

 

「まあ僕は気にしてないよ。それよりなににする?」

 

ご飯を食べ終わった後更衣室に行き着替えていると

 

「おう!緑谷だっけ?俺は鉄哲徹鐡ってんだ!よろしくな!」

 

「黒色支配だ……」

 

「麟飛龍だ。おまえ体つきすげえな」

とまあ交流を深めていると

 

「あれあれぇ!?君ってあの緑谷出久くんだっけ!?」

 

金髪少年の態度に周りの者たちは白い目で彼を見るが

 

「そうだよよろしくね」

 

緑谷の反応に驚いたのか金髪の少年は

 

「…………物間寧人だ。よろしく」

 

先ほどまでの乱れっぷりが嘘のように消えた。

 

「君があのウォズなんだって?なんであんなことをしたんだ?」

 

と極普通の対応をしてきてくれた。

 

その後皆にあの時のことを話すと

 

「幼馴染を助ける為に体を張るなんて……漢だぜ!」

 

「しっかし円場たちの話を聞くとなんなんだソイツは?助けてもらったってのにそんな態度をとるなんて……」

 

「ホントゴキャゴキャってぐらい酷いね!」

 

「ごめん吹出。よくわからん」

 

んでグラウンドに集合すると

 

「緑谷、まずこれを投げてみてくれ」

 

ブラド先生がボールを渡してくれた。

 

「個性を使っても構わん。全力でやってくれ」

 

「わかりました」

 

僕は円の中に入ると

 

(ワンフォーオール……フルカウル……30%!)

 

そして思いっきり投げた。

 

「…………記録2000m」

 

「すげえ!」

 

「2000オーバーってマジかよ!」

 

「これからやってもらうのは個性アリの記録を作ることで明確なイメージを皆に持ってもらうことだ。わかったな」

 

ブラド先生の言葉に皆頷く。

 

ここはウォズの力も借りるか

 

『ウォズ、ビヨンドライバー使ってもいい?』

 

『好きにしたまえ。私のでもあって君のでもあるのだからな』

 

と許可をもらうと

 

「先生。僕の個性で変身してもよろしいですか?」

 

「構わん。全力でやってくれ」

 

「はい」

 

<ビヨンドライバー!>

 

「あれは!」

 

<ウォズ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!>

 

「変身した!」

 

「あれがウォズ……!」

 

「すげえ!生で見るのは初めてだ!」

 

50m走

 

ここはこれだ!

 

<シノビ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。誰じゃ!俺じゃ!忍者!フューチャーリングシノビ!シノビ!>

 

「よーい……ドン!」

 

一気に駆け抜けると

 

「……0.8秒」

 

『はあああああーーー!!?』

 

「速すぎだろ!?」

 

「あれで走ってるのか!?」

 

ちなみに拳藤さんが7.1秒。柳さんは個性で自らを浮かして4秒。

 

で印照さんはというと

 

「よーい……ドン!」

 

スタートの合図が聞こえると印照さんの姿が一瞬で消えてゴールテープがその後に切られた。

 

「0.7秒……」

 

「おいおいおい!今度はいきなり消えたぞ!?」

 

「なんの個性なんだ!?」

 

僕も気になる。印照さんの個性はIQだったはずだ。

 

「印照さん、君の個性って?」

 

「はい出久さん!実は私あれから個性を伸ばしまして……個性がパワーアップしたのです!」

 

『印照才子!"個性"!超能力(エスパー)!IQという個性により頭脳明晰な脳が覚醒したものだ!人は脳が覚醒すると超能力を使えるようになるという説があるぞ!サイコキネシスに透視!瞬間移動にテレパシーなんかも使える!とーんでもねぇー!」

 

「マジかよ!本物の超能力しゃじゃん!」

 

「すげえー!」

 

握力

 

バキッ!

 

「先生すみません、壊れちゃいました……」

 

「……わかった。記録は∞ということにしておこう」

 

「流石未来の創造主だな」

 

なにそのあだ名!?あっ……ウォズが言ってたっけ

 

立ち幅跳び

 

ここはコイツだ!

 

<ゴースト!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。開眼!レッツゴー!?覚悟!?フューチャーリングゴースト!ゴースト!>

 

「姿が変わった!」

 

「お化けみたいだな」

 

「私と同じ……!」

 

柳の反応を見た何人かの男達は出久にキツイ視線を浴びせたが全く効いていない。

 

ゴーストの能力浮遊で記録∞

 

反復横跳び

 

次は……

 

<カブト!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。音速!高速!最速!フューチャーリングカブト!カブト!>

 

「今度は虫か?」

 

クロックアップで記録408回

 

長座体前屈

 

ここは普通にやって65㎝

 

上体起こし

 

ここも普通にやって108回

 

だけど僕を押さえていた鉄哲くんが吹き飛びそうだったが

 

ボール投げも終わって最後の持久走

 

<龍騎!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。激闘!本能!サバイバル!フューチャーリング龍騎!龍騎!>

 

ドラグレッダーを呼び出してその上に僕が乗ったのを見て皆も乗ろうとしてたが上空に飛んで逃げた。

 

そして終わると

 

「緑谷〜あれはずりいょ」

 

「反則っしょ」

 

「あはは……」

 

そういえば物間くんが色んなとこに声かけてたけどなんだったのかな?

 

結果として僕が1位拳藤さんが12位で柳さんが6位、印照さんは9位だった。

 

そして終わって着替えて教室で皆で話していると

 

「すごかったな!緑谷!」

 

「あれ見ると自信無くすぜ」

 

「緑谷。おまえって個性が二つあるのか?」

 

骨抜くん、鋭いな……

 

「おーい!出久!」

 

「今終わりましたの」

 

「人との交流……素晴らしいですね」

 

「ん……」

 

そこに女子達も混ざると

 

「じゃあ緑谷には二つの人格があるのか!?」

 

「そうだよ。もう一人の僕のことをウォズって呼んでるんだ」

 

「へ〜呼んでみてくれねえか?」

 

「いいよ」

 

『ウォズ、お願い』

 

『いいとも。久しぶりに他人と話したいしね』

 

そして僕たちの意識が切り替わると

 

「初めましてかな?緑谷出久のもう一つの人格だ。ウォズと呼んでくれたまえ」

 

「うおおおおっ!本当だ!目付きとかも違え!」

 

「なんかこっちはクールな感じだね!」

 

「なんか出久は可愛いって感じだけどウォズはカッコいいな!」

 

鉄哲くんに吹出くん、取陰さんが盛り上がる。

 

「ウォズって昔っから緑谷と一緒なのか?」

 

「そうだね。一年ぐらいまえから一緒かな」

 

そしてウォズの過去を話すと

 

「異世界のヒーロー!?」

 

「なんか話が壮大すぎるような……」

 

「実感が湧かないなあ……」

 

骨抜くんと泡瀬くんに凡戸くんたちは信じられないらしい。

 

とここで印照さんが

 

「しかし出久さんは嘘をついていませんわよ?」

 

「え!?マジで!」

 

「ウソだろ!?」

 

「本当に異世界の人間だったのか!?」

 

ふむ……ここは見せた方がいいか

 

私は手を差し出すと

 

「皆私の手の上に手を置いてくれたまえ」

 

そして皆言われたとおりにしてくれたので力を発動する。

 

そして私たちの精神世界に連れ込む。

 

「うわっ!」

 

「ここは……!?」

 

「あっ、緑谷が二人いる!」

 

「右が出久だよな……?じゃあ横にいるのが……!」

 

そして私は元の姿に戻る

 

「やあこの姿で会うのは初めましてかな?諸君」

 

「変わった!」

 

「あの人が……!」

 

「すげえ!」

 

鉄哲くんに回原くん鎌切くんたちは私を見て驚く

 

そして私の記憶を見せると

 

「なんか〜……すげえな」

 

「壮大デシタネー!」

 

麟くんに角取くんたちも満足してくれたみたいだ。

 

「しかしじゃあ出久はウォズのおかげで夢を諦めなくて済んだのか?」

 

骨抜くんがそう言うと出久は

 

「……うん。ウォズのおかげで……僕はもう一度前を向いて歩くことができたんだ」

 

「なにを言う。私はキッカケを与えただけさ。それを決めたのは出久だよ」

 

「ううん……ウォズがキッカケをくれたから僕は救われたんだ。ありがとう」

 

「やれやれ……そういうことにしておくか」

 

「素晴らしい友情ですね……」

 

「漢だぜ!」

 

「ん…………」

 

そして元の世界に戻った。

 

これからも色々なことがあるだろう。でも君たちとなら出久は前を向いて進めそうだ。

 

 

 

 

 

 

 



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祝え!出久の委員長就任と我の弁当!

個性把握テストの翌日。僕たちは教室で

 

「えー急にではあるがこれから学級委員長を決めてもらう!」

 

教室の空気が一気に盛り上がり

 

「俺やりてえ!」

 

「闇を引っ張るのは我……」

 

「私が皆を導いてあげましょう……」

 

「静粛に!他を牽引する重大な役目だぞ!簡単に決められるわけがなかろう!」

 

ブラド先生の言葉に皆静まってしまった。

 

「じゃあ誰にする?」

 

「物間はねえな」

 

「おいおい!?なんでかなあ!」

 

物間くんは相変わらずだなあ……悪い人じゃないんだけど……

 

「緑谷はどうだ?」

 

骨抜くんの発言で

 

え?僕!?

 

「確かにいいかもな!」

 

「実力があれば問題ない」

 

鎌切くん……君ってバトルジャンキーなのか?

 

「いいんじゃない!」

 

「私も賛成です!」

 

「私も……」

 

「俺もだな」

 

「悪くねえかもな」

 

「ワタシもいいと思いマース!」

 

回原くんたちも言ってくるし……僕ってリーダーに向いてる?

 

『なにを今更……君の行動が周りの者たちに影響を与えているんだぞ?まあ私も色々とやったが……』

 

そうだけど……でもトップヒーローになるなら乗り換えなくちゃならないことなのかもな……!

 

「わかりました!立候補します!」

 

「うむ!皆からも信頼もあるし……いいだろう。緑谷!委員長として皆の期待に応えれるように頑張れよ!」

 

「はい!」

 

そして周りの拍手を受けて僕は座る。

 

「さて次は副委員長だが……」

 

とその時

 

「私がやります!」

 

「ワタシですわ!」

 

「私がやる……」

 

と拳藤さんに印照さん、柳さんの3人が立候補した。

 

しかし皆すごいやる気だな……まあヒーローとして人を導く立場ってのは憧れるのかな?

 

と出久がこう思ってるのに対してウォズは

 

『出久は相変わらず鈍いな……妙なとこは鋭いのに……皆君と一緒にやりたいというのがわからないのか?』

 

それにこれに気づいているのはウォズだけではなかった。

 

クラスの大半の男子陣が緑谷を恨めしそうに見つめていた。

 

ブラドも3人の気持ちには態度で気づくと

 

(青春だなあ……頑張れよ!緑谷!)

 

と心の中で応援していた

 

そしてじゃんけんの結果、副委員長は印照に決まった。

 

「よろしくお願いしますわ!出久さん!」

 

「よろしくね。印照さん」

 

「あ、あの……私のことは名前で呼んでいただけますか……?」

 

「え?才子さん?」

 

「っ!ハイ!!!」

 

ここまできたら才子が緑谷を好きだというのが鈍感でもわかるのに緑谷は一向に気づかなかった。

 

そして出久に名前で呼んでもらえた才子に二人は羨ましがっていた。

 

さて午後からはヒーロー基礎学だ。

 

午前の授業も終わって食堂に行こうとしたら

 

『出久よ。鞄の中を見たまえ』

 

『え?鞄?』

 

気になったので覗いてみると

 

『うおっ!なにこれ!?』

 

『私が作った弁当さ。皆の分も用意してある』

 

『なんで皆の分も……?』

 

『話を聞いてみると皆弁当ではないから無駄にならないと思ってね。こう見えて私は料理が得意なんだぞ?』

 

『そうなの!?』

 

とそこに取陰さんが来て

 

「おっ!緑谷!なになに!?すごい大きい弁当じゃん!それに美味しそう……!私も食べていい?」

 

「え?ウォズ……?」

 

『構わんよ。皆で食べるために作ってきたからね』

 

「いいよ」

 

「ありがとう!」

 

「お?なになに?美味そうだなー!俺も食っていいか!」

 

「俺も俺も!」

 

「ワタシもいいですかー!?」

 

「ワタシもいいかな?」

 

「私もいいですか?」

 

「いい……?」

 

「俺もいっか!?」

 

でその結果、鉄哲くん、円場くん、骨抜くん、鎌切くん、物間くんに取陰さんに拳藤さん、才子さんと柳さん、角取さんに小大さんに小森さんと一緒に弁当を食うことなった。

 

なんでウォズこんなに用意してたのかな?まさか皆が弁当を持ってこないということをこっそりと心の中で聞いてたのか?恐るべしウォズ……

 

「じゃあ」

 

『いただきます!』

 

皆の分を小皿に分けて食うと

 

「うめえ!こりゃうめえな!」

 

「このおにぎりの梅干しもちょうどいいぐらいに酸っぱい!」

 

「キノコのパスタも最高!緑谷くん!どこでこのキノコ売ってたの!?」

 

小森さんが近寄ってくる。ちょっ!近い近い!

 

「い、いやこれウォズが作ったから……僕知らないんだ」

 

「ウォズが!?」

 

「これ全部!?」

 

「すげえ!」

 

「ちょっと聞いてみたいんだけどいいか?」

 

「う、うん」

 

僕とウォズの精神を切り替えると

 

「やあ呼んだかな?」

 

「あっ、ウォズくん!このマッシュルームはどこで買ったの?」

 

「雄英の近くの商店街の八百屋さ。あそこは私の行きつけなんだよ」

 

「そうなんだ!ありがとう!ウォズくんもキノコ好き!?」

 

「ああ、私は味噌汁にはシメジを入れる派でね。」

 

「そっか!私と一緒だね!私も好き!個性がキノコ関連だから!」

 

「ウォズ!ウォズ!この卵焼きはなにを入れてるんだ!?」

 

「回原くん。この卵焼きにはね、だしの素とマヨネーズを入れてあるんだよ。お好みでネギも入れて構わないよ」

 

「ありがとな!今度母さんにお願いしてみるよ!」

 

「ウォズくん!ウォズくん!」

 

「…………なんだい?物間くん」

 

「僕の時は随分と辛辣だねえ!何かしたかなあ!!?」

 

「君はまず態度を改めた方がいいぞ。出久でもなければ白い目で見られるぞ」

 

ウォズの言葉に周りの皆は頷く。僕にもわかるよ……

 

「まあそれでなんだい?」

 

「この鴨のコンフィの作り方を教えてくれないか?」

 

「ふむ。これはだな」

 

と皆で話しながら弁当を食って

 

『ご馳走さまでした!』

 

「ふ〜美味かったな!」

 

「ん……!」

 

「デリシャスでしたね!」

 

「ああ、最高だったな!」

 

『ウォズありがとね』

 

『構わんさ。私も皆は嫌いではないからね』

 

「しっかしすごいな〜!ウォズって料理得意だったんだ」

 

「ああ驚いたよ」

 

「物間には出来ないかもな」

 

「いちいち僕を引き合いに出さないでくれるかな!」

 

「しかし明日も食いたいな〜……」

 

チラッと僕を正確にはウォズを見る。

 

『出久よ。材料費を払ってくれるなら私は構わんぞ?』

 

『いいの?』

 

『私としてとも暇つぶしになるしね。君の体を借りなければならないが……』

 

『いいよ、わかった』

 

「ウォズは材料費さえ払ってくれればいいってさ」

 

「いいのか?」

 

「やったぜ!」

 

「じゃあ頼むね!」

 

皆が盛り上がるのを見ているとウォズが

 

『出久よ。水を差すようで悪いがもうすぐ昼休みが終わるぞ?』

 

「は!しまった!」

 

こうして僕たちは大急ぎする羽目となった。

 

 

 

 

 



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祝え!エスパーガールの初戦闘!

「ワーターシーがー普通にドアからやってきた!」

 

『オールマイトだあああ!!!』

 

オールマイトの登場にB組の面々は盛り上がる。

 

「シルバーエイジのコスチュームだよ……!感激だ……!」

 

「出久お前よく知ってるな」

 

骨抜くんが若干引き気味で見てくるが僕はこの興奮を抑えられない。

 

「格好から入るのも大切だぜ!少年少女たちよ!自覚するのだ!今日から君らは…………ヒーローなんだと!」

 

皆の要望したコスチュームが現れてテンションが上がる。

 

「さあ!始めようぜ有精卵ども!」

 

皆着替えてグラウンドβに集まる。

 

僕のコスチュームは要望とは違った形になったけどまあ構わない。

 

皆のコスチュームはそれぞれ独自性が出ていてとてもカッコよかった。

 

拳藤さんのはチャイナ風のコスチュームで柳さんのコスチュームは召霊術師のようなコスチュームだった。

 

そして才子さんは

 

「出久さん!」

 

「才子さん……!?」

 

才子さんのコスチュームはスペースヒーローのようなパッツパツの青いスーツだった。

 

正直直視できない。円場くんたちも顔を赤くしている。

 

「ど……どうですか……?わ、私のコスチュームは……」

 

とその時ウォズが

 

『出久よ。ここは下手なことを言うと女性陣を敵に回すぞ』

 

ええええ!!?なんで!?

 

よくわからないがウォズが言うのだから間違いない。

 

よし!

 

「う、うん……僕も好きだし(スペースヒーローが)…とっても似合ってると思うよ(スペースヒーローに)…」

 

いいかな?

 

才子さんは喜んでいた。

 

よかった!失敗じゃなかった!

 

どうだい!?ウォズ!

 

『やってしまったな』

 

え!?

 

と女性陣の方をみると才子さん以外ちょっと冷たい目で僕を見ている。

 

男性陣からも白い目で見られてるし……

 

ええええ!!?なんで!?

 

『誤解されるような言い方をするからだ。君がそういう趣味だと勘違いされているぞ』

 

違ーう!!!!僕はそんな趣味じゃない!

 

この後誤解を解くのに大分苦労した。

 

となんやかんやあった中で骨抜くんが発言した。

 

「先生、ここは市街地演習場ですがまた屋外戦をやるのですか?」

 

「いや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!」

 

オールマイトの言葉に皆はなぜと首を傾けていた。

 

「敵退治は主に屋外で見られるが統計的にみると敵出現率は屋内のほうが遥かに多いんだ。監禁、拉致、裏商売、真に賢しい敵は屋内に潜むんだ」

 

オールマイトの言葉にああ成る程と皆は頷いた。

 

「これからは敵組とヒーロー組に分かれて二対二の戦闘訓練を行ってもらう」

 

「基礎もなしでですか?」

 

今度は庄田くんが質問する

 

「その基礎を知るための実戦さ!ただ!今度のはぶっ飛ばせばOKなロボットじゃないぞ!」

 

確かにそうだ。対ロボと対人じゃまるで違う。対人相手だと戦略性などが求められらる上に手加減も必要だ。

 

「先生、このクラス21人なのですがどうしますか?」

 

取陰さんが聞くと

 

「確かにそうだね!なら入試一位の緑谷少年には一人で戦ってもらおうか!」

 

そして皆の訓練が始まった。

 

初めの組み合わせは才子さんと小大さん対柳さんと円場くんだった。

 

才子さんたちがヒーローチームで柳さんたちが敵チームだ。

 

皆の活躍をノートに記しておこう!

 

・・・・

 

才子side

 

さて……私の相手は柳さんに円場さんでしたわね。私の記憶が正しければ柳さんは私のサイコキネシスと同系統の個性で円場さんは空気凝固。

 

おそらくあっちは円場さんで防御を固めて柳さんで攻めてくるはずですわ。

 

「小大さん。あなたの個性は確かサイズでしたわね?」

 

「ん……」

 

この方感情があまり表に出ない方ですね……まあコミュニケーションの分には問題ないのですけど……

 

そういえば出久さんが小大さんの個性はすごいと仰ってましたわね……私の個性なら出久さんのあの作戦が使えるはずですわ!

 

『演習試験!スタート!』

 

オールマイト先生の合図を受けて私たちは建物へ入っていく。

 

私は透視で核の位置を把握する。ふむ……やはり二人とも核のすぐそばにいますわね……私の個性を警戒しているのでしょう。

 

私は小大さんの手を握って一瞬でテレポートで核のある部屋まで移動する。

 

「やっぱりすぐ来たか!」

 

「負けない……」

 

「行きますわよ!小大さん!」

 

「ん……!」

 

柳さんがポルターガイストで部屋中のものを操ってこちらに投げてくる。

 

私はそれらをサイコキネシスで跳ね返そうとするもポルターガイストにかかっているものは操れないみたいだ。

 

私はテレポートで向かってくる物体を避けて円場さんの後ろに転移する。

そして鞭を振るうが円場さんは目の前に見えない壁を出して鞭を防いだ。

 

私は一旦距離をとって小大さんの元へ向かった。

 

やはりあの作戦しかない……!

 

小大さんは向かってくる物体をポケットの中から取り出した物を大きくして防ぐが限界が近い。

 

私はテレポートで柳さんの上に転移して鞭を振るおうとしたが柳さんの個性で動けなくなった。そしてそのまま投げつけられる時に

 

「今ですわ!」

 

「解除!」

 

そして解除された物に絡まった柳さんは

 

『柳少女!確保!』

 

「え……?これは……!」

 

そう私は柳さんの上を取った時にこっそりと小大さんの個性で小さくした確保テープを落としたのだ。

 

それに柳さんが当たる直前で個性を解除して柳さんを確保したわけだ。

 

「おいマジか!!?」

 

あとは円場さんだけだ。

 

円場さんは私が鞭を振るうと見て空気凝固で前を固めるも鞭が当たる直前でテレポートして壁を張らせる前に倒した。

 

『円場少年確保!ヒーローチームWIN!』

 

やりましわよ!出久さん!

 

「小大さんありがとうございました」

 

「ん……あなたのおかげ……私の個性を上手く使ってくれたから……」

 

「いえ、この作戦は出久さんのものですのよ?」

 

「緑谷の……!?」

 

「ええ、出久さん言ってましたわよ。小大さんの個性は色々と有用性があって凄いって」

 

「…………」

 

「彼クラスメイトの個性全部ノートにまとめてありますのよ?とっても凄いんです。それに個性で全て決めるのは愚かなことだとか、個性を上手く使えるかで決まるのだと言ってましたわよ。あなたの個性は充分に凄いですわよ?」

 

「…………」

 

その頃出久は

 

「才子さん、あの作戦を使ったんだ!」

 

「あの作戦って?」

 

「うん、このノートにね」

 

とノートを見た皆は

 

「すげえ……!」

 

「事細かく乗ってあるぞ!」

 

「俺の個性も……!」

 

鉄哲くんに鎌切くん、麟くんが声をあげる。

 

「緑谷さあ、お前すげえな。ここまで詳しく、作戦まで書いてあるノートを見るのは初めてだ」

 

「俺たち全員の個性の応用方法やコスチュームまで……!」

 

「なんか驚きを通り越すな……」

 

回原くんに泡瀬くん、骨抜くんもも僕のノートを見て驚く。

 

「いやあそんなことないよ。僕無個性だったからどう戦えばいいのかそれで……」

 

「その努力が報われたのですね……!素晴らしいことです……!」

 

「うんうん」

 

塩崎さんに取陰さんが感動している。とそこに

 

「あっ!帰ってきたぞ!」

 

才子さんたちが帰ってきた。

 

と小大さんがこっちに来る。

 

あれ?

 

と僕の手を握ると

 

「…………ありがとう」

 

「え?」

 

「緑谷……ううん、出久のおかげで私にも自信がもてた……」

 

あっ、僕の作戦だって知ったんだ。まあ誰かのやくにたてたなら嬉しいか。

 

あれ?なんか凄い視線を感じるな?気のせいか?(気のせいではありません。一部の男子陣に拳藤たちが睨んでいました)

 

ウォズも心の中で呆れていた。

 

そして皆の訓練が終わっていよいよ僕の番だ。

 

「緑谷少年の相手は〜!骨抜アーンド鎌切チーム!」

 

さあ頑張るか!

 

 

 

 



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祝え!開眼戦士の戦い!

僕の相手は骨抜くんに鎌切くんのチームだ。

 

先ほどの訓練を見たが骨抜くんの個性は直接戦闘向けではないが拘束に長けていて応用が効く凄いものだ。事実泡瀬くんを地面に拘束していたし。

 

鎌切くんの個性は骨抜くんとは違い直接戦闘向けの個性だ。塩崎さんの物量を誇るツルを捌けるのは鎌切くんの実力と言わざるを得ない。

 

さて……どう行くか……ウォズはどう思う?

 

『私がアドバイスしてもいいのだが君のためにならないだろう?』

 

やっぱりそうだね。自分でなんとかするか。

 

・・・・

 

骨抜side

 

さて……相手はあの緑谷だ。一瞬の油断もできねえが先に拘束しちまえばこっちに分がある。

 

俺の個性で拘束して鎌切の個性で仕留める。大雑把だがこれでいいだろう。

 

鎌切のやつには天井で待機してもらうことにした。

 

さてと……行きますか!鎌切のやつが俺の個性に巻き込まれないように天井に刃を差し込みながら移動していると

 

『いた!緑谷だ!』

 

俺は向かいの角から来る気配を感じて個性を発動させる。

 

緑谷は俺の個性に呑み込まれて地面に沈んでいく。

 

よし!このまま埋める!

 

と思っていたら

 

<ゴースト!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。開眼!レッツゴー!?覚悟!?フューチャーリングゴースト!ゴースト!>

 

沈む緑谷の姿が変わった。

 

変わったとしても沈めてしまえば問題ない!緑谷の下半身が地面に沈んだのを見た鎌切は突っ込んでいった。

 

俺も鎌切の攻撃が当たると思った時に鎌切はなんと緑谷の体をすり抜けて地面に落ちた。そしてすり抜けた緑谷は地面から脱出した。

 

「おいおいおい……なんだよそれ」

 

「悪いね、こう来ることは予測していたんだ。このゴーストには霊体化という能力があってね。一定時間幽霊のように物をすり抜けたり浮遊できるんだ」

 

「ははっ……マジで幽霊じゃん……」

 

なんだそれ?俺の拘束をもろともしないとは流石だな……攻撃も当たらない上に拘束まで意味がないとか……

 

一方モニタールームでは

 

「マジか緑谷!あの拘束から脱出したぞ!」

 

「しかも鎌切の攻撃をすり抜けた!」

 

「骨抜の言う通り本当に幽霊だな」

 

「しかも攻撃が当たらないとかチートじゃん」

 

「まさにゴーストデスネー!」

 

と盛り上がっていた。

 

一方骨抜は

 

あれじゃあ何度やっても拘束は意味がないなあ……

 

鎌切の攻撃も通らない。多分だが実体化してる部分を狙って攻撃を当てるしか勝つ手段がねえ。でもその隙をアイツが見せるか……

 

だってこのまま霊体化して核を触れば勝ちじゃん?まあ念のために保険(・・)はかけておいたが……

 

…………マジでどうしよ?

 

・・・・

 

骨抜くんの拘束はなんとか脱した。

 

さてとこのまま核を回収してもいいがそうさせてくれるか……

 

霊体化の連続は数秒が限界だ。

 

どこがわからない核に辿り着くには至難の技だ。

 

ならここで二人を拘束する!

 

お互い様子を伺っていると鎌切くんが

 

「もう我慢できねぇ!行くゼェ!緑谷!」

 

と天井に刺してある刃を引っ込めて僕に接近してきた。

 

速い!でも!

 

鎌切くんが繰り出した刃を僕はジカンデスピアで斬り落とすと

 

「なっ!?俺の刃が!」

 

そして近づいてきた鎌切くんに僕は霊体化で加速してジカンデスピアを振るうが鎌切くんは空中で体を捻って避けた。

 

そして再び向かってきた鎌切くんの攻撃を霊体化で避けて振り向きざまにジカンデスピアを横薙ぎ払うと鎌切くんは吹っ飛んだ。

 

「鎌切!くっ!」

 

骨抜くんは地面を柔らかくさせるも僕は浮遊で空に逃げた。

 

と鎌切くんと骨抜くんが"ストーン"と落ちるようにその場から消えた。

 

成る程、僕を拘束するためでなく逃げるための手か。すごく柔軟な対応だね。

 

僕も霊体化で下に降りるも既にその場に二人はいなかった。

 

逃げられたか……

 

その後も核を探すが見つからず

 

『敵チーム!WIN!』

 

負けてしまったかーでもまあいい経験になったな

 

モニタールームでは

 

「すげえ!緑谷に勝った!」

 

「骨抜の柔軟な対応のおかげだな」

 

「ただ戦うというわけではなく時に逃げることも視野に入れていたのは素晴らしいですわね」

 

と僕もモニタールームに戻ると

 

「今回のMVPは骨抜少年だ!何故だかわかる人!」

 

「はい」

 

才子さんが発言した。

 

「骨抜さんはまず出久さんを拘束するという対応もそうですが作戦が失敗したからといって慌てず無駄に戦わないという判断ができ、鎌切さんも連れ出せたことか素晴らしいですね」

 

「う、うむ!その通りだよ印照少女!正解だよ!」

 

オールマイト……思ってたより言われたのかな……あれ?

 

「そういえば骨抜くん、核はどこに隠したの?」

 

「うん?ああ、俺の個性で地面の中に埋めていた。お前の俺を倒すという選択は正しかったと思うよ」

 

「そっか〜凄いなー」

 

「言っておくけど今回の作戦お前のノートを参考にしたものだからな?お前のおかげで勝てたといっても過言ではないんだぞ?」

 

「それでも色々な判断力が凄いと思うんだよ」

 

「そう言われると嬉しいな」

 

モニタールームにいい空気か流れる。とその時

 

「あの……俺のこと忘れてない?」

 

あっ……ごめん鎌切くん……

 

こうして僕たちの訓練は終了した。

 

・・・・

 

とある繁華街にあるバー

 

「見たか?これ、教師だってさ。どうなると思う?平和の象徴が……敵に殺されたら」

 

カウンターに座る男は手に持っている物のボタンを押すと

 

<……オーズ……>

 

禍々しい音声が鳴り響く。

 

悪意は既に……動き出している。

 

 

 



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祝え!無重力少女との出会い!

「教師オールマイトについてお聞かせください!」

 

「え……まだまだ新米教師って感じです」

 

僕の答えを聞き終わるとスタコラサッサとその場から離れていった。

 

「しかしスゴイ数ですわね」

 

「ああ、オールマイト本人から聞きたいって感じだな」

 

「マスコミは苦手……」

 

皆あの数にはたじろぐらしい。ウォズ?

 

『私の勘違いならいいが……先ほど鋭い濁った視線を感じた。気をつけろ』

 

『え……あ、うんわかった』

 

ウォズの言葉になにやら嫌な予感を感じて僕たちは校舎に向かう。

 

・・・・

 

「授業はここまで……」

 

セメントス先生の授業が終わって昼休みとなった。

 

食堂で皆を待っていると

 

『おや?あの子どうしたんだろう……?』

 

ウォズがなにかを見つけたみたいなので見てみると茶髪の女の子が食券売り場の前で立ち尽くしていた。

 

気になったので近づくと

 

「買わないの?」

 

「ひゃあっ!!?ああ、いやお腹すいてないから!」

 

と慌ててそう言うも

 

クゥ〜……

 

茶髪の女の子は顔を赤くして手で押さえる。

 

「もしかして……お金無くしたとか?」

 

「……う、うん……」

 

「じゃあ一緒に食べない?」

 

「ええっ!!?いいの!?」

 

「うん。皆で食べれるように量ならいっぱいあるから」

 

こうしたその女の子と一緒に待っていたら才子さんたちになにやら睨まれたが事情を説明すると収まった。

 

「そういや名前聞いてなかったね。僕はB組の緑谷出久」

 

「私A組の麗日お茶子!よろしくね!」

 

そのあと皆の紹介も終わって

 

『いただきます!』

 

ウォズによると今日の弁当は中華弁当だそうだ。

 

チャーハンのおにぎりに春巻きに七夕索餅に唐揚げなど。

 

「今日も美味いな!ウォズの弁当!」

 

「このしめじと玉子の炒め物も美味しい!」

 

「栄養のバランスも取れてるな」

 

「ん…………美味しい……」

 

と皆が味わって食べてる中麗日さんは

 

「美味い美味い!これも!」

 

とガッツいて食っていた。まあ量ならあるんだけどさ

 

そして皆が食い終わると

 

「今日もありがとなウォズ」

 

「本当に美味しいな」

 

ウォズも嬉しそうだ

 

「いやぁ〜ありがとうね!緑谷くん!まともに食ったの三日ぶりだからさ!」

 

と笑顔の麗日さんの発言に皆絶句した。

 

三日ぶりって……

 

事情を聞くと家があまり裕福ではないらしくヒーローになるのもお金を稼ぐためだそうだ。

 

「いやなんかごめんね……皆が立派な理由なのに私だけ……」

 

『…………』

 

「麗日さん……」

 

『出久よ、ここは私に代わってくれないか?』

 

『え?いいけど……』

 

そしとウォズと意識を切り替えると

 

「やあ麗日くん」

 

「誰!?緑谷くんじゃない!?」

 

「あ〜……説明してなかったな。そういや」

 

で僕たちのことを話すと

 

「へ〜!そうなんだ!緑谷くんの中に2つの人格が……!」

 

「そう、私のことはウォズと呼んでくれたまえ」

 

「わかった!」

 

「それでさっきの話だが……」

 

「うん……やっぱり不純だよね……」

 

「確かに不純かもしれない」

 

『ウォズ!?』

 

ちょっ!?ウォズ!?地雷踏んじゃダメでしょ!

 

「でも人を助けたいという気持ちがあれば理由なんて関係ないと私は思うよ」

 

「え…………?」

 

「君がどうゆう理由であれ人を助けるために行動すればそれはもう立派なヒーロー活動さ」

 

「いいの……ウチが……!?」

 

「ああ!ヒーローが人を助けるのに理由なんか要らないように人を助けたいと思う気持ちに理由なんか関係ないのさ!」

 

「そっか…………ありがとう!ウチ自信持てた!」

 

『全くウォズは……ちょっとひやっとさせてくれるよ……』

 

『そう言うな、私としても彼女を陥れるつもりはないさ』

 

「そうだ、麗日くん。今日私と買い物に行かないか?」

 

「どゆこと?」

 

「安くていい店かあるんだ。君を連れて行ってあげようと思ってね」

 

「いいの!?」

 

「ああ、いいさ」

 

「じゃあお言葉に甘えて!」

 

場の雰囲気がよくなってくる時に

 

ウゥー!!!

 

サイレンが突然鳴り響き食堂はパニックとなった。

 

「なんだなんだあ!?」

 

「落ち着いて!まず状況を把握するのが先だ!」

 

「ってもよ!どうやって!?」

 

「窓を見て!」

 

取陰さんに言われて見てみるとマスコミが雄英バリアーを破って校舎内に侵入していた。

 

「なんだマスコミか……」

 

「ってもよ!この騒ぎはどうするんだ!?」

 

鉄哲くんの言う通りマスコミだとはいえこれほどの騒ぎを止めるのは難しい。

 

とそこに

 

「麗日くん!僕を浮かせてくれないか!」

 

A組の眼鏡の人がきて非常口まで辿り着いて注目を集めて事態は収束した。

 

だけとこのマスコミ騒動が新たな事件の引き金になるとはこの時まだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 



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語れ!ライダーについて!そして……敵襲来

仮面ライダーの名シーンは長いのでところどころぼかしてあります。すみません……


「今日は俺とイレイザー、オールマイトにもう一人で見ることとなった」

 

ブラド先生の言葉に僕はウォズに言われたことを思い出す。

 

『ウォズ……』

 

『ああ、あのマスコミ騒動に教師陣はなにかしらの悪意を感じたというわけだ。いやな予感がする……』

 

オールマイトだけでなくA組の相澤先生まで来てくれるということは何かに警戒してると見ていい。

 

夜嵐くんから聞いた話だとA組の相澤先生はイレイザーヘッドというヒーローらしい。聞いたことはある。確か見たものの個性を消す個性。

 

僕とウォズはなにかの予感を感じながらもバスに乗った。

 

バスの中は高校生らしく盛り上がっていた。

 

と骨抜くんが

 

「なあ緑谷、出久の方の個性ってオールマイトに似てなくね?」

 

「い、いやそんなことないよ、オールマイトの方がスゴイじゃん」

 

「まあ確かにな。オールマイトは桁違いだ」

 

回原くんのおかげでその場はなんとか誤魔化せた。

 

危なかった〜……

 

『鋭いな……骨抜くん』

 

ウォズの言う通りだ。骨抜くんは思考が柔軟な上に鋭い。

 

「でもさ!出久の個性もウォズの個性もヒーロー向きじゃん!変身に増強型ってさ、やることも多くて派手だしな!」

 

円場くんが話題を切り替えてくれた。

 

正直助かった。

 

「でも円場くんの個性も救助とか色々なことに応用効きそうだよ」

 

「お前に言われるとな〜嫌味に思えないんだよな〜!まあお前はそういうやつだもんな」

 

「でもさ?俺らの個性って緑谷を除くと派手な個性ってあんまりなくね?」

 

「まあ確かにな」

 

と別の話題で盛り上がっている中で物間くんが

 

「ところでウォズくん、そっちでのヒーロー……仮面ライダーってのはどんなやつらなんだ?」

 

物間くんの発言で

 

「確かに気になるな」

 

「ウォズの他にも仮面ライダーっているのか!?」

 

「なんのためにヒーローになったんだろう?」

 

「どれぐらい強いんだ!?」

 

泡瀬くんに鉄哲くん、庄田くんに鎌切くんが聞いてくる。

 

『ウォズ話してくれる?』

 

『いいとも。語るのは好きだからね』

 

そして僕とウォズの意識を切り替えると

 

「やあ呼んだかな?」

 

「おう!ウォズ!」

 

「それで彼らはなんのために戦っているのでしょうか?」

 

拳藤さんと塩崎さんが聞いてくる。

 

「それじゃあ映像で見せた方が早いか」

 

「映像?」

 

ウォズが指を鳴らすと僕たちの意識が精神世界に入り込んだ。

 

「うぉっ!?またここか!」

 

そしたウォズが再び指を鳴らすと

 

「あ!なんか出てきた!」

 

すると闇の中から20人もの戦士といえる人たちが現れた。

 

「おおおおお!!!すげえカッコいい!」

 

「カブト虫のようなやつもいるな!」

 

「あれ?ウォズがいないぞ?」

 

「そうさ、私はこの中のライダーではない」

 

「どうゆうことですか?」

 

才子さんが聞くと

 

「ライダーにも歴史があってね、平成の時代から20人もの仮面ライダーによって物語は生まれたんだ。私はその物語の脇役のようなものさ」

 

「ウォズが脇役!?」

 

「マジで!?」

 

「へぇ〜……君がね……」

 

物間くんはウォズを見定めるように見る。

 

「それで物語の始まりとなったのがクウガ。彼の名は五代雄介。彼は本当はヒーローになりたくなかったんだ」

 

「どうゆうことだ?」

 

僕も気になる。ヒーローになりたくなくてヒーローになった人などいるのか……

 

「彼は誰も傷つけたくないという心優しい青年でね。それがたとえ人々を襲う怪人グロンギでさえも、だからヒーローになって誰も傷つけたく、暴力をふるいたくなかったんだ」

 

「そうだったのか……」

 

「でも彼はある人の死をきっかけに戦う覚悟を決めたんだ」

 

ウォズが指を鳴らすと燃え盛る協会の中二人の男と一体のグロンギがいた。

 

『こんな奴らのために!これ以上誰かの涙は見たくない!皆に笑顔でいて欲しいんです!だから見ててください!俺の!変身!』

 

そして腰に手を当てるとアークルが現れ、グロンギを殴った右手から左手、そして全身へと姿が変わって彼はクウガになった。

 

「おおおおお!!!変身したあ!」

 

「しかし……なんて熱い人なんだ!」

 

「鉄哲じゃなくても同意しちまうな」

 

皆のテンションが上がる中でウォズは

 

「そしてクウガには究極の闇といわれる最終フォームがあるんだ」

 

「究極の闇……」

 

あ、黒色くんが反応した。

 

「なんだそれ?どんな姿なんだ?」

 

円場くんが聞くと

 

「究極の闇、アルティメットフォームは本来見境なしに暴れるという暴走フォームなんだ。だがグロンギのボス、ン・ダグバ・ゼバが復活して人々を遊びで殺し始めたんだ」

 

遊びで人々を殺すン・ダグバ・ゼバに皆恐怖した。

 

「雄介も最初は制御できなかったんだ。だがン・ダグバ・ゼバに殺された人への悲しみが戦う理由を思い出させたんだ。そしてアルティメットフォームを完全に制御したんだ」

 

そして雪原でアルティメットフォームとン・ダグバ・ゼバが戦っている様子を見ていると

 

「泣いてる……」

 

クウガの目から涙が溢れていた。

 

それとは対照的にン・ダグバ・ゼバは笑っていた。

 

「彼は……本当は戦いたくないのだろうね……」

 

「ううううううっ!!!!」

 

鉄哲くんが号泣している。でもこの人は本当にヒーローだと僕も思う。

 

『人の運命がおまえの手の中にあるなら……俺が、俺が奪い返す!』

 

津上翔一がアギトへと変身すると

 

「おおおおお!カッケェェ!」

 

『津上……俺は、アギトであることに飲まれてしまった人間だ。だがそれはアギトのせいではない。俺という人間が弱かったからだ。俺は自分の弱さと戦う。お前も負けるな』

 

「なんかこう……個性に呑まれたらダメだって思えるね」

 

「そうだね。いくら力があろうが心を失ったら人間じゃないもん」

 

そうだね。確かに……

 

『やっぱり……ミラーワールドなんか閉じたい……戦いを止めたいって……きっと……すげえ……辛い思いしたり……させたり……するだろうけど……それでも……止めたい……それは……正しいとかじゃなくて……ライダーの……一人として……叶えたい願いだ……』

 

『ああ!だったら生きてその願いを叶えろよ!死んだら……終わりだぞ……!』

 

『蓮……おまえは……なるべく生きろ……』

 

『おまえこそ生きろよ!』

 

真司が生き絶えると

 

「うおおおおおお!!!」

 

「あの真司と蓮がこうなるなんて……!」

 

「ホントグチャグチャってぐらいの感動だね!」

 

「なんかわかんねえけど……わかる……!」

 

鉄哲くんに麟くん、吹出くんに鎌切くんが泣いている。とそこでウォズが

 

「次の仮面ライダーはファイズだ」

 

「どんなライダーなのですか?」

 

「ファイズの世界ではオルフェノクという死んだ人間が怪人になることがあったんだ」

 

「死んだ人間が……」

 

「オルフェノクになった者は人間を遥かに超える力を身につけた。しかし大半の者はその力に呑みこまれていき、人々を襲っていたんだ。だけどある一人のオルフェノクはファイズのベルトで人々からオルフェノクを守っていたんだ。彼の名は乾巧、人とオルフェノクは共存できると信じていた者さ」

 

「オルフェノクの中にも人の心を持つ者がいたってことか?」

 

「そうだね。オルフェノクだからと迫害する者もいたが彼は最後まで人間としての心を捨てなかったのさ」

 

「確かにそうだね……オルフェノクだからといって迫害していたはずがない……」

 

物間くんがようやく口を開いた。

 

「だが彼にもオルフェノクと闘うことに迷いがあった時があるのさ。しかし彼は」

 

『俺はもう迷わない……迷ってるうちに……人が死ぬなら……闘うことが罪なら……俺が背負ってやる!』

 

「カッコイイ〜!」

 

「まさにヒーローデスネー!」

 

『怖いさ……だから一生懸命に生きてるんだよ!人間を守るために!』

 

「命を懸けて闘うとは……俺もコイツみたいなヒーローになりたいな」

 

鎌切くんが感心していた。

 

その後も仮面ライダーについて色々とウォズは語った。

 

『止めるさ、何度でも……この左翔太郎が……街にいる限り……例えお前らが強大な悪でも風都を泣かせる奴は許さねえ。身体一つになっても食らいついて倒す……その心そのものが仮面ライダーなんだ!財団X加頭順!さあ!おまえの罪を数えろ!』

 

「なにかのために戦うのがヒーローというものなのか……!」

 

『アンク……お前が……本当にやりたいことなんだよな……行くよ、変身!』

 

「二人が信頼し合っているのがわかるぜ……!」

 

『俺がお前の最後の希望になってやる!』

 

「俺たちも誰かの希望になれたらいいな……」

 

『未来に希望があれば……人は笑顔になれる……!僕はそう信じている……!』

 

「グッとくるな……!」

 

「以上かな?」

 

そして精神世界から戻ると盛大な拍手がおこった。

 

「いや〜いい話だっだぜ!」

 

「ウォズもヒーローだったんだよな!?」

 

その言葉にウォズは

 

「……ん?ああまあそうだね……」

 

おそらく過去にやってしまったことを悔やんでいるのだろう……

 

でもこればっかりは僕にはどうもできない……

 

「お前たち、そろそろ着くぞ」

 

ブラド先生の言葉で僕たちは席に戻った。

 

そして着いた施設は遊園地のような場所だった。

 

そこにいたのは

 

「あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も……USJ(ウソの災害や事故ルーム)!」

 

『USJだった!』

 

スペースヒーロー13号。彼は主に災害救助などで活躍するヒーローだ。

 

と相澤先生が13号に向かって

 

「おい……オールマイトはどうした」

 

「あ、先輩それが制限ギリギリまで活動しちゃって……今仮眠室で休んでいます」

 

「不合理の極みだな、オイ」

 

オールマイト……またギリギリまで活動しちゃったのかな?

 

「えーと始める前にお小言を一つ…二つ…三つ……」

 

(増えてる……)

 

「僕の個性はブラックホール。なんでも吸い込んでチリにしてしまいます。しかしこれは容易に人を殺せる力です。皆さんの中にもそういった個性の子がいるでしょう。超人社会は個性を厳しく取り締まって成り立っているように見えますが一歩間違えれば容易に人を殺せることを忘れないでください」

 

確かに……

 

「ブラド先生の体力テストで自分自身の可能性を知り、オールマイト先生の戦闘訓練で相手に個性を向ける危うさを知ったでしょう。ですがここでは心機一転!人命のために個性を使用するやり方を教えましょう!皆さんの個性は人を助けるためだと心得て帰ってくださいな!」

 

13号先生が話を締めくくると拍手がおこった。

 

『ふむ……なかなかいい先生じゃないか』

 

まあぼくもそう思うよ。

 

「そんじゃあまずは……」

 

広場からなにかの気配を感じ取った僕はビヨンドライバーをセットした。

 

「一かたまりになって動くな!13号!生徒を守れ!」

 

相澤先生の一喝で生徒は広場を注目する。

 

「おいおい……あれってまさか……」

 

「そのまさかだよ!骨抜くん!」

 

「動くな!あれは……敵だ!」

 

相澤先生の一言で皆の顔に恐怖が浮かぶ。

 

「13号にブラドキング……それにイレイザーヘッドですか……先日いただいた教師側のカリキュラムにはオールマイトがいらっしゃる筈ですが……」

 

「やはり先日のマスコミ騒動は貴様らの仕業か!」

 

ブラド先生の言うとおりだ。あれはコイツらが情報を仕入れるために仕組んだ作戦だ。

 

「どこにいるんだよ……オールマイト……こんなに大衆引き連れてきたのにさ……子供を殺せば来るのかな……?」

 

奇しくも人を救うための時間に現れた敵。プロがなにと戦っているのか……それは……とてつもない悪意。



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戦え!敵連合との激戦!

「はああああぁ!!?ヴィランン!!?」

 

「ヒーローの学校にのりこんでくるか!?」

 

円場くんと回原くんが驚いて声をあげる。

 

だが才子さんが

 

「落ち着いてください!先生!侵入者用センサーは!?」

 

「勿論ありますが……」

 

反応しないところを見るとおそらくジャックされているのだろう。

 

「現れたのはこの施設全体だけか……それとも学校全域か……どちらにせよカリキュラムが割れているのは間違いないね」

 

「そうだね、庄田くん。少数の生徒が入り込む時間帯への奇襲、これはなにかしらの目的があって用意周到に画策してされた襲撃だね」

 

「落ち着きすぎだろ!お前ら!」

 

泡瀬くんがそう言ってくるが実際余裕はない。

 

僕たちの力が通じるかどうか……

 

「13号!避難開始!学校に連絡をして救援を!」

 

「わかりました!先輩!」

 

「待てイレイザー、俺も行く」

 

「ブラド……おまえは……」

 

「分かっている。だがここは生徒のそばにいるよりおまえと一緒に時間稼ぎをしたほうが得策だ」

 

「しかし……はぁ、分かった」

 

「相澤先生……貴方の戦闘スタイルは……」

 

「心配するな、ヒーローは一芸だけじゃない」

 

「それに俺もついている。緑谷おまえが心配するな」

 

「……はい」

 

そして相澤先生とブラド先生は敵の中に突っ込んでいく。

 

「情報じゃ13号とオールマイトだけじゃなかった!?誰アイツら!」

 

「知らねえ!だがこの数に突っ込んでくるとは大マヌケ!」

 

敵が個性で先生たちを狙い撃とうとするも弾丸は発射されずブラド先生に拘束された。

 

「バカヤロウ!アイツは見ただけで個性消すっつうイレイザーヘッドだ!」

 

敵の中の一人に相澤先生を知っているやつが言うと

 

「消すぅ〜!?へっへっへ、俺みてえな異形型のも消してくれるのか!?」

 

「いやムリだ」

 

異形型敵が殴りかかってくるが相澤先生は攻撃を躱して顔面に殴りかかり異形型敵を吹っ飛ばすと捕縛布で絡めとりもう一人の敵のもとへ異形型敵を落とした。

 

そしてブラド先生も相澤先生が個性を消した相手を血で拘束した。

 

「肉弾戦も強く……その上ゴーグルで目線を隠されたら……誰を消しているのかわからない……嫌だなプロヒーロー……有象無象じゃ歯が立たない」

 

すごい……!相澤先生もブラド先生も!

 

僕たちが避難を開始していると

 

「させませんよ」

 

黒い霧のような敵のが目の前に突然現れた。

 

それに対して僕は

 

<ウォズ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!>

 

咄嗟に変身していた。

 

「初めまして……我々は敵連合。本日ヒーローの総括、雄英高校に入らせていただいたのは……平和の象徴、オールマイトに息絶えて頂きたいと思いまして」

 

はあ……!?オールマイトを……!?

 

「オールマイトがここにいらっしゃる筈ですが……まあそれは関係ない……私の役目はこれ」

 

敵が動く前に13号先生が個性でモヤを吸い込み始めた。とその時

 

マズい!

 

僕は咄嗟に13号先生を突き飛ばしていた。

 

「緑谷ぁ!?」

 

「ほぅ……今のに気づきましたか……流石は要注意対象……」

 

「すみません!助かりました!緑谷くん!」

 

「ど、どうゆうことだ?」

 

「鉄哲さん、あのまま13号先生がモヤを吸い続けていたらおそらくチリにされていたでしょう」

 

「なんでだ?」

 

「敵は13号先生の後ろにワープゲートを設置していたんだ。もしあのまま個性を発動していたら13号先生は自分の個性でチリになっていたろうな」

 

「そうだったのか!」

 

「敵連合……だったっけ、なかなか侮れないな」

 

「貴方は邪魔な存在……ここで潰しましょう!」

 

と霧の中から脳みそがむき出しになっている怪人が現れた。

 

「うわっ……!なにあれ……!」

 

「気持ちワルゥ……」

 

取陰さんに小森さんが嫌そうな声を出した。

 

しかし……なんだコイツは?

 

「ミドルレンジですが……貴方を潰すのは簡単でしょう!」

 

まとまな意識があるように見えない。本当にコイツは……人間なのか?

 

「やりなさい脳無」

 

霧の敵が命令した脳無は僕に襲いかかってきたがジカンデスピアで受け止めると

 

「なっ!?」

 

霧の敵が驚いて声をあげる。

 

そして脳無を蹴り飛ばしたが脳無は立ち上がった。

 

「ふぅ……驚愕しましたが問題ないようですね……この脳無には超再生はつけられませんでしたが超回復がありますのでそう簡単には倒せませんよ?」

 

超回復だって……面倒な個性だな……

 

脳無が再び接近してくるが僕は

 

<シノビ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。誰じゃ!俺じゃ!忍者!フューチャーリングシノビ!シノビ!>

 

フューチャーリングシノビに変身すると脳無の攻撃が当たる直前でしゃがんで股下を通り抜けて脳無の後ろに回った。

 

脳無は辺りを伺っているうちに

 

<フィニッシュタイム!>

 

ジカンデスピアをスワイプして

 

<忍法時間縛りの術!>

 

ジカンデスピアを下から振り上げて空中で脳無の時間を縛る。

 

「脳無!?」

 

そして

 

<ビヨンドザタイム!>

 

脳無をエネルギーのキューブに閉じ込めて時間を遅くした結果、膨大なエネルギーが蓄積されて大爆発が起こり脳無は機能停止した。

 

「なっ!?脳無が!?」

 

そして敵の見えている(・・・・・)部分をジカンデスピアで一直線に突くと

 

「ぐわっ!」

 

霧の敵は山岳エリアまで吹き飛んだ。

 

「よくやりました!緑谷くん!」

 

とその時

 

「グワアァァア!!」

 

「イレイザー!」

 

もう一体の脳無が相澤先生の腕を折っている姿が見えた。

 

僕は広場まで一気に跳躍すると脳無を蹴り飛ばした。

 

その様子を気に入らなかったのか手だらけ敵は

 

「おい……なぜ脳無がガキに蹴り飛ばされる?ていうか黒霧はどうした?」

 

「ああ、アイツなら倒されて今13号先生が応援を呼びに行っている」

 

その様子を聞いた相澤先生とブラド先生は安堵し、手だらけ敵は

 

「はっ、はああああぁ!!?」

 

手だらけ敵は奇声をあげると

 

「あーあ……流石に何十人ものプロには敵わないな……ゲームオーバーか……今回はゲームオーバーだ」

 

ゲームオーバー……?今回の襲撃もゲームみたいに考えていたのか!?

 

怒りで拳を握りしめる。

 

「チートにはチートをぶつけないとなあ……やれ脳無」

 

もう一体の脳無が僕に突撃してくる。さっきのやつより速い!

 

避けようとするも僕はその一撃に吹き飛ばされた。

 

「緑谷あぁ!!!」

 

ブラド先生が声をあげる。

 

「おいおい……うそだろ……!」

 

「緑谷が……」

 

「出久さん……!」

 

「出久……!」

 

「大丈夫だよね……?」

 

皆の顔に不安がよぎる。

 

とその時

 

「もう大丈夫だ。皆……私が……来た……!」

 

USJのドアを蹴り飛ばして来たその人物に皆は希望を見出した。

 

オールマイト……!

 

 

 

 

 



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祝え!銀河の守護者!そして……

「もう大丈夫!私が来た!!」

 

『オールマイトおぉ!』

 

皆が一斉に叫んだ。

 

「あー……コンティニューだ……!」

 

そしてオールマイトは僕たちのもとに一瞬で移動すると相澤先生を抱えて安否を確認した。

 

「相澤くん……」

 

そして脳無に対峙すると

 

「Carolina smash!」

 

脳無にとてつもない一撃を放つが効いていなかった。

 

どうゆうことだ?

 

「効かないのはショック吸収だからだよ。ああ!あとコイツには超再生もある!脳無はお前の100%にも耐えられるような改造された超高性能サンドバッグ人間さ」

 

改造人間……やっぱりか……でも本当にそんなのがあるのか?

 

しかも個性複数持ち……関係性のある個性でもないのに二つもあるなんて……

 

脳無がオールマイトに拳を振るうがオールマイトは体を反らして拳を避けるとその腕を掴んで脳無を背負い投げた。

 

脳無は地面に倒れるも立ち上がってオールマイトに向かっていった。

 

僕はその様子を遠くから見ていたが凄まじいとしか言えなかった。

 

お互いのパンチで起こる衝撃波が伝わってきて、それは大地を揺らしていた。

 

そしてオールマイトのパンチと脳無のパンチがぶつかると

 

「ショック吸収ってさっき言ったじゃん」

 

「そうだな!無効ではなく吸収ならば!限度があるんじゃないか!私の100%対策ならば!更に上からねじ伏せよう!敵よ!こんな言葉を知ってるか!plus ultraあ!」

 

そして脳無は吹き飛ばされて手だらけ敵のもとに転がった。

 

「あーあ……やられちゃった」

 

可笑しい……アイツの性格からして落ち着けない状況なのになぜこうも冷静なんだ?

 

「もう切り札はない!大人しく投降したまえ!」

 

「それはどうかなぁ?オールマイト」

 

そした敵がポケットから出したものを見たウォズは

 

『アナザーライドウォッチ!?』

 

え?まさかあれって……

 

<……オーズ……>

 

不気味な音声が響くと敵は脳無にそれを入れる。

 

すると脳無の体の周りに黒いものが纏わりつき脳無は怪物となった。

 

「な!?なんだそれは!?」

 

「驚いたよなあ?オールマイト、リセットされたんだからなあ!ああ、この状態でも個性は使えるぞ?」

 

そして脳無いや、アナザーオーズはオールマイトに一気に接近するとその爪を振るいオールマイトを斬ると鮮血が溢れた。

 

『オールマイトおぉ!!!』

 

皆の悲鳴がUSJに響きアナザーオーズはオールマイトをアッパーで吹き飛ばした。

 

そしてオールマイトは痩せ細ったガリガリの状態に成りかけていた。

 

「オールマイト……?」

 

「大丈夫なのか……!?」

 

マズい!皆に秘密が……!

 

『出久交代だ』

 

『ウォズ!?』

 

『私ならあれを倒せる。代わってくれ』

 

『………わかった!』

 

そして僕たちの意識が切り替わる。

 

・・・・

 

物間side

 

僕たちは絶望していた。

 

初めはオールマイトが勝ったと誰も疑わなかった。

 

だが主犯格の敵が不気味な時計みたいなものを脳無とやらに入れるとソイツは怪物になった。雰囲気だけでもヤバいとわかってしまった。頰に冷や汗が流れて震えが止まらない。

 

そしてオールマイトの姿がガリガリのような状態になりかけていたのを見ると皆言葉を失った。

 

あれがオールマイトなのかと……それを見た緑谷くんはマズいみたいな顔をしていた。

 

もしかして知っていたのか?あとで聞いてみる必要がありそうだ……

 

だがそんなことは一瞬で頭の隅に追いやられて恐怖だけが場を支配した。

 

だけどおそらくだが入れ替わったウォズはオールマイトを守るように前に立った。

 

「ああ?ガキがなんのつもりだ!オールマイトは戦闘不能だ!お前らも死ぬんだよ!」

 

僕たちは否定できなかった。あのオールマイトをも倒す存在に僕たちが勝てるはずがないからだ……なのに……彼を見ていると何故かあるはずのない安心感が出てくる。

 

「さて……使ったことのない力だが……もう一人の私よ……この力、皆を守るために使わせてもらうぞ……!」

 

そしてウォズはいつもとは違うウオッチを出すと

 

<ギンガ!>

 

<アクション!>

 

<投影!ファイナリータイム>

 

<ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー!ウォズ!ギンガファイナリー!ファイナリー!>

 

そして変身したウォズからはまさに宇宙の力を感じた。

 

「祝え!時を読み解き宇宙を統べる最強の守護者!その名は仮面ライダーウォズギンガファイナリーである!」

 

「何が守護者だ!やれ!」

 

と怪物の攻撃がウォズに当たると砂煙が巻き起こった

 

と倒したはずの霧の敵が戻ってきていた。

 

「死柄木弔……」

 

「あ?なんだよ黒霧、今頃戻ってきやがって」

 

「申し訳ありません……」

 

「まあいいさ、それよりアイツは死んだだろ?」

 

「避けようともしなかったですからね。確実に死んでいるでしょう」

 

だが砂煙が晴れると

 

「なっ!!?」

 

僕たちも驚きを隠せなかった。

 

あの怪物の攻撃をウォズは片手で受け止めていたからだ。

 

「はあっ!」

 

直後ウォズが放ったパンチは怪物を吹き飛ばした。

 

「なあっ!?なんだと!脳無の攻撃が効いてないだと!」

 

そのあとも脳無とやらはウォズに何度もパンチのラッシュを放つがウォズは片手で受け止め続けた。それは攻撃が無効化されているように見えた。

 

主犯格の敵にはさっきまでの冷静さが見られなかった。

 

「ダメージがない……?」

 

「そうさ!このウォズギンガファイナリーにはあらゆる物理攻撃が通用しない!君たちではこの私には勝てない!」

 

「はっ?なんだよそれ……!このチートが…………!」

 

「そして更に……」

 

<ワクセイ!>

 

<アクション!>

 

<投影!ファイナリータイム>

 

<水金地火木土天海!宇宙にゃこんなにあるんかーい!ワクワク!ワクセイ!ギーンガ!ワクセイ!>

 

正直やかましい音声が鳴り終わると彼の姿は変わらなかった。

 

だがなにかあると思った。

 

そして怪物が再び襲いかかるが

 

彼の周りを星のようなものが飛び回って怪物に当たると爆発した。

 

そしてその星々は怪物に雨のように降り注がれ爆発の嵐を起こした。

 

「それそろフィニッシュだ」

 

<ファイナリービヨンドザタイム!>

 

<水金地火木土天海!エクスプロージョン!>

 

空中に数多の星々が光り輝くと

 

「綺麗……」

 

「なんと美しいのでしょうか……!」

 

「ああ!凄え!」

 

「やっちまえー!ウォズ!」

 

そしてそれらが怪物に降り注ぐと先ほどまでとは比べ物にならない爆発が怪物を襲った。

 

そして怪物の体から先ほどの時計のようなものが出てきてそれは壊れた。

 

「死柄木弔!脳無が完全に機能停止しました!」

 

「何故だ……何故こうなる!作戦は完璧だった!なのに……なのに何故!」

 

「ここは引きますよ!」

 

と霧の敵がワープゲートで逃げようとするが

 

「させないさ」

 

ウォズが起こした重力場のようなものに捕らわれ地面に縫い付けられた。

 

「くそっ!くそっ!ここで終わるはずがないんだ!クソがああ!」

 

「いや終わり「終わりではないよ」誰だ!?」

 

直後何者かにウォズは吹き飛ばされるがすぐに立ち上がるとソイツを見た。

 

そして先ほどよりも凄まじいプレッシャーが僕たちを襲った。

 

あれは…………魔王なのか…………!!!?

 

悪夢はまだ続いている…………

 

 

 

 

 

 

 



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終局と真実。そして……

オールマイトside

 

あの声……!あのプレッシャー……!よもや生きていたとは……!オールフォーワン!

 

ウォズくんを吹き飛ばしたオールフォーワンは重力から解放された死柄木たちに近づくと

 

「大丈夫だよ弔、僕がいる」

 

「先生……」

 

とその時いくつもの星がオールフォーワンに襲いかかった。

 

「ぬうっ……!」

 

オールフォーワンはバリアのようなもので衝撃を和らげたのか無事だったがその顔には余裕が見られない。

 

「やれやれ……君は何者なんだ?なぜあのウオッチを持っている?」

 

「ほぅ……君はあのデバイスについてなにか知ってそうだね……君も連れて行くとしよう……」

 

させん!私は力を振り絞って立とうとするも立ち上がれない。

 

ぐっ……!

 

ウォズくんの操作した星は再びオールフォーワンに襲いかかるが

 

オールフォーワンは信じられない速さで躱してウォズくんに殴りかかるがウォズくんは片手でそれを受け止めた。

 

「ほぅ…………」

 

そしてオールフォーワンを殴って吹き飛ばすと重力場を作り出してオールフォーワンを拘束した。

 

「先生!」

 

「大丈夫だよ、弔。しかし……君はすごいな……ハハッ……魔王と呼ばれても不思議ではない」

 

「抜かせ、私はもう道を踏み外すつもりはない」

 

「過去にはあったということか?ますます興味深い……」

 

「もう終わりだ。このまま拘束する」

 

「それはどうかな……このまま捕まるぐらいなら……君の仲間を道連れにしよう!」

 

「なんだと!?」

 

「はあっ!」

 

そしてオールフォーワンが起こした嵐は施設全体を囲むほどのものだった。

 

これは……ぐっ!

 

とその時ウォズくんがなにやら穴を作り出すと

 

「皆!その穴に飛び込め!外に脱出できる!」

 

「わかった!皆逃げるんだ!」

 

骨抜少年の合図で飛び込む生徒たち

 

「私たちも!」

 

ウォズくんがもう一つの穴を出すと私たちもそれに飛び込んだ。

 

そして穴の中から抜けるとそこはUSJの外だった。

 

「そ、外だ!」

 

誰かの叫びで皆は歓声をあげる。

 

・・・・

 

あの後USJに教師陣が乗り込んだが既に主犯格の敵はいなかった。

 

そして今僕とウォズは校長室に呼び出されている。

 

「やあ来てくれたね!緑谷くん!いや?出久くんとウォズくんだったかな!私が校長なのさ!」

 

ネズミの校長先生が元気そうに叫んだ。

 

この人が校長先生……実際に会うのは初めてかな。

 

「それでなんの御用でしょうか?」

 

「単刀直入に言おう。君は……いやウォズくんはあのウオッチについて知ってるんだよね?」

 

『ウォズ変わってくれる?』

 

『…………いいとも』

 

そして再び僕たちの意識が切り替わる。

 

「呼んだかな?」

 

「ああ!それであのウオッチなんだけど……」

 

「あれはアナザーライダー。歴史を改変しようとするタイムジャッカーが作り出した偽の仮面ライダーさ」

 

「ちょっと待ってくれないか?仮面ライダーって一体……」

 

「私が元々異世界の存在だということは知ってるね?」

 

「ああ、そう聞いているよ」

 

そしてウォズは先生たちにも語った。

 

仮面ライダーとは正義のために戦うヒーローであること。だが未来の魔王オーマジオウの歴史を変えるために新たな王を擁立しようとしたタイムジャッカーによって仮面ライダーの歴史が狂わされたことなど。

 

アナザーライダーは人々を襲う存在でもあることなど。

 

「とまあこんなとこかな?」

 

「充分だよ、ありがとう。それでアナザーライダーってのは倒せるのかい?」

 

「普通では無理だな。アナザーライダーを倒すには同じライダーの力か同じライドウォッチかミライドウォッチの力が必要だ」

 

「そうか…………そんなのが敵側に入ってしまっているなんて……」

 

「ところで校長よ。なぜ私たちをこの場に呼んだ?」

 

「…………どうゆうことだい?」

 

「このことを話すなら教師陣かいる会議室でもよかった筈だ。だがそれをしなかったということは知られちゃマズいことでもあるんじゃないか?まさか貴方もオールマイトの秘密を知っているんじゃないのか?」

 

『ちょっ!?ウォズ!?』

 

『おそらく……いや100%校長はオールマイトの個性を知っている』

 

『だけど……!』

 

「君はなかなか鋭いね……そうさ僕もオールマイトの個性のことを知っている。緑谷くんが個性を受け継いだこともね」

 

「だがそれだけではないのだろ?」

 

「はぁ……わかった。今回話すべきなのは最後に現れた敵のことさ」

 

「アイツか……」

 

「奴の名はオールフォーワン。奴の個性は人の個性を奪い己のものとし、また他人に分け与えることができる個性なのさ」

 

「なんだと……!?」

 

そんな個性を持った敵がいるなんて……!

 

「奴は超常黎明期の時から存在した奴でね。個性による変化に対応しきれなかった時代にいち早くまとめあげて悪の頂点に君臨したんだ」

 

「それは……私たちにその敵を伝えるためだけではないのだろう?」

 

「そうだね。彼の個性は人々に個性を与えることもできたんだ。奴は与えることで人々を信頼……あるいは屈服させていったんだ。ただ…与えられた人の中にはその負荷に耐えられずに物言わぬ人形のようになってしまう者も多かったそうだ。脳無みたいにね」

 

まさか……あの脳無もその被害者……!?

 

「一方与えられたことで個性が変質して混ざり合うというケースもあったそうだ。オールマイトによると彼には無個性の弟がいたらしい。そんな彼にオールフォーワンは"力をストックするという"個性を与えた」

 

「まさか……!」

 

「うん……無個性だと思われていた彼にもあったらしいんだ。他者に個性を与えるだけという……意味のない個性が!'与える"個性と"力をストックする"個性が混ざり合った!これがワンフォーオールのオリジンらしいのさ」

 

「だがなぜ奴は生きているんだ?そうか……成長を止める個性……」

 

「その通りなのさ……奴はオールマイトが倒したはずだが敵連合のブレーンとして生き延びているらしいのさ……」

 

「そうか……点が線になった……それで?私にお願いとは?」

 

「いや……このことはオールマイトが君にどうしても伝えてたくてと」

 

「そうなんだ……私が言えることはただ一つ……ワンフォーオールはオールフォーワンを倒すために生まれた個性!君はいつか……奴と……巨悪と対峙しなければならないかも……しれん」

 

『出久よ君の答えを聞かせてやれ』

 

そして僕とウォズの意識が切り替わると

 

「オールマイトの願い……僕が出来る限り答えます!貴方とウォズがいれば……なんでも出来る気がします!」

 

「そうか……ありがとう」

 

こうして僕たちは校長室を後にして教室に戻ると

 

皆が僕を見ると何かを言いたそうにしていた。

 

そして円場くんがこっちに来ると

 

「な……なあ緑谷……」

 

「なに?」

 

「お前の個性って……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オールマイト(・・・・・・)から貰ったのか?」



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祝え!我らが熱き友情!

お気に入りが300超えてました!

ありがとうございます!


「な、なんで皆が……!あっ!」

 

「やっぱりそうなのか…………」

 

皆の目が確信を得たかなように僕を見る。

 

と僕が言葉を探していると骨抜くんが

 

「実はな、お前と校長の話こっそり聞いちゃったんだ」

 

「え?」

 

ー数分前

 

「緑谷がオールマイトの秘密を知っている!?」

 

「どうゆうことだ、物間」

 

円場と麟が物間に尋ねる。

 

「あくまで推測でしかないけどね。あのオールマイトの痩せ細った姿を見ただろう?」

 

「ああ今でも信じられないけどな」

 

「びっくりしたよね!?」

 

黒色と吹出も声を合わせる。

 

「そうさ。普通は驚くか言葉が出ないかが普通の反応だ。でも緑谷くんがオールマイトの姿を見ても驚かなかった。いや、なにかマズい秘密がバレたかのような顔をしていたんだ」

 

「確かに……俺たちを見ていたマズいような顔をしていたな……」

 

「でもそれだけで決めつけるのはないんじゃないかな?」

 

骨抜が賛同するが庄田は反論する。

 

「それだけではないさ。骨抜くん言ってたよね?緑谷くんの個性はオールマイトに似てるって」

 

「ああ」

 

「緑谷くんは無個性だったはずだ。それが急に発現するするのはありえないことではないが都合が良すぎないか?しかも時期はオールマイトが雄英、つまりこの町に来た時だ」

 

「結局なにが言いたいんだ?物間」

 

「もしも……もしもだよ?オールマイトの弱体化が緑谷くんに個性を与えたことだとしたら?合わないか?」

 

『!!!』

 

「た、確かに……」

 

「でもよ!でもよ!個性を与えるなんてそんなことできんのか!?」

 

泡瀬は納得したような顔をして、鉄哲は最もなことを口にする。

 

確かに個性は一人一つ、よくて関連性のあるものが複数だ。

 

個性を与える個性があるという話は聞いたことがない。

 

「なら聞いてみたらいいんじゃないかな?」

 

「取陰!?どうゆうことだ!?」

 

「さっき緑谷とオールマイトが校長室に入っていくとこを偶然見ちゃってね。なんかな〜って思ってたら物間の話が本当なら成る程と思ったのさ」

 

「それは本当か!?」

 

「それでどうやって聞くんだ?」

 

「私の個性でなんとかしてみるよ」

 

「頼む」

 

そして取陰切奈の個性で耳だけを校長室のドアの前まで持っていき目を通風口の隙間から覗かせる。

 

そして聞こえてきた内容を皆に伝えると

 

「マジかよ…………」

 

「そ、それは本当なんだな!」

 

「………間違いないね。緑谷の個性はオールマイトから貰ったものだよ」

 

「嘘だろ……でも納得したな」

 

「ああ、無個性だった緑谷が個性を発現した理由が……そしてあの敵が複数の個性を使えていた理由とその敵を倒すための個性がオールマイトが持っていたのとか……」

 

「それで……どうする?」

 

「なにがだよ」

 

「このこと……緑谷に言う?」

 

「言うに決まってんだろ!」

 

鉄哲が叫ぶ

 

「でも……」

 

「アイツがなにであろうと俺たちにとって大切な仲間だろ!?」

 

『!!!』

 

鉄哲の言葉に皆は

「そうだな!アイツがなんであろうと俺たちの大事な仲間だな!」

 

「アイツには助けられっぱなしだしな」

 

「拳藤たちはどうなんだ?」

 

「私は…………うん!出久がなにであろうと大事な仲間だ!」

 

「そうですわね。むしろ流石わたしの出久さんですわね♪」

 

才子の言葉に拳藤と柳、それに小大がピクッと反応した。

 

「うん!そだね」

 

「例え彼が何者であろうとも私は平等に接します……」

 

「うんうん」

 

「私たちはベストフレンドデスネー!」

 

こうして出久に対する方針は決まったのだった。

 

「マジで…………」

 

「出久、だからといって俺たちはこのことを他の誰かに言おうとは思ってない。でもお前のことが知りたかったんだ。お前に助けられて力の差を感じたからな。ごめんな。勝手に聞いちゃって」

 

と皆が頭を下げてくる

 

「ホントだよ……でも皆、秘密にしてくれるんだよね?」

 

『勿論』

 

「じゃあ……今日の夜多古場海浜公園に来てくれない?」

 

「わかった」

 

そして海浜公園に皆が来てくれると

 

「出久……その人が……」

 

「うん……オールマイト…」

 

「聞いたよ。私の秘密を知ったんだってね。それでなにが望みかな?」

 

「…………俺たちはなんで緑谷にその個性を渡したか……それが知りたいです」

 

「そうか……これから言うことも秘密にしてくれるかな?」

 

皆が頷くとオールマイトはシャツをあげるとそこにあった痛々しい手術痕に皆息を呑んだ。

 

「オールマイト先生……それは……!?」

 

「皆も知ってのとおりあの時現れた敵オールフォーワンとの戦いで傷を負ってしまってね。私のヒーロー活動限界は一時間ちょっとなのさ」

 

「そんな…………」

 

「このことは世間に公表していない。公表しないでくれと私が頼んだ。人々を笑顔で救い出す"平和の象徴"は決して悪に屈してはいけないんだ」

 

オールマイトの言葉に皆が真剣な目で聞いていた。

 

「そして後継を探していた時に緑谷少年と出会ったんだ。彼は無個性でありながらも己の身を省みず爆豪少年を救おうとした。力のない彼にこそこの力を渡すべきだと私は思ったんだよ……」

 

「そうだったのか……」

 

「まあ確かに、緑谷はすげえよ。無個性でありながらも夢を諦めずに躊躇なくあの爆豪を助けにいったもんな」

 

「まあ納得した。緑谷!」

 

「なに?」

 

「お前が例えオールマイトに力をもらってようがNo. 1ヒーローの座は渡さねーぞ!」

 

「おう!俺もだ!」

 

「出久!だから気にしないで!」

 

「皆…………!ありがとう!!!」

 

こうして僕とウォズ、オールマイトの秘密は皆のものとなった。

 

 



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祝え!我らが雄英体育祭!

B組には爆豪がいないので心操の宣戦布告はなく穏やかに終わったので省略させていただきました。


体育祭当日会場は観客やプロヒーローでいっぱいとなった。ルールによるとコスチュームは使用不可らしい。

 

控え室では皆が緊張をほぐすためなのか話し合っていた。

 

「コスチューム着たかったなー」

 

「公平を期すため着用不可なんだとよ」

 

「ウォズのビヨンドライバーはコスチュームにならないのか?」

 

「あ、うん。実質僕たちしか使えないから個性になるんだと」

 

「羨ましいなー。実質二つの個性じゃん」

 

「まあコイツだと嫉妬とかおきないんだけどさ」

 

「緑谷!言った筈だぜ!おまえがなんであろうが優勝は渡さねえ!」

 

「鉄哲くん…………勿論僕も渡す気はないよ!」

 

「熱いなー、おまえら」

 

「でもやる気があるのはいいことじゃありませんか」

 

「しかしスゴイ歓声デスネー!!」

 

「私が目立つ時……」

 

「ん…………!!!」

 

「この二週間緑谷に鍛えてもらったしね」

 

「皆頑張ろうよ!」

 

「出久さん。私も負けませんわよ?」

 

「勿論受けて立つよ!」

 

と意気揚々と盛り上がっていたら控え室のドアが開いて

 

「あれ?おまえ……A組の……」

 

「轟だっけ?何の用だ?」

 

A組の推薦入学者轟くんが入ってきた。多分この人が……

 

と僕に近づいてくると

 

「なに?」

 

「客観的に見ても……おまえと俺は同レベルだと思う」

 

「え?」

 

「おまえオールマイトに目かけられてるよな」

 

その言葉に皆が少し反応した。もしかして知っているのか!?いや違うな……

 

「別にそこ詮索するつもりはねえが……おまえには勝つぞ」

 

いきなりの宣戦布告。なら僕に答えられるのは

 

「…………僕も負ける気はないよ」

 

「……ああ」

 

それだけ言って轟くんは出て行った。

 

「なんだあ?アイツ」

 

「なんかギラギラしていたよね!」

 

「まあ気にしなくていいんじゃない?」

 

「そうだな」

 

「そろそろ時間だ。行くよ……皆」

 

僕が声をかけると皆頷いた。

 

 

 

 

 

「雄英体育祭!一年に一度のヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る大バトル!どーせてめーらアレだろ!コイツらだろ!敵の襲撃を受けたにも拘らず鋼の精神で乗り越えた一年ヒーロー科B組だろおおおぉ!!!」

 

プレゼントマイクの絶叫で会場は大盛り上がりになるが、

 

「乗り越えったって……俺たち緑谷に頼りっぱなしだったからな〜」

 

「ぶっちゃけこの歓声も緑谷1人のものじゃん?」

 

鱗と鎌切が愚痴る。

 

「まあこの体育祭で頑張ればいいよ!」

 

「ま!確かにそうだな!」

 

全クラスの入場が終わると

 

「選手宣誓!」

 

ミッドナイト先生が壇上に登場する。

 

とその時会場の男性陣から黄色い声援があがる。

 

そしてA組から

 

「ミッドナイト先生……なんちゅう格好だ!」

 

「18禁なのに高校にいてもいいのか」

 

「いい!!!」

 

と親指を立てた峰田くんだっけ?にB組の女性陣が白い目を向ける。

 

「静かになさい!選手代表!一年!緑谷出久!」

 

「はい!」

 

僕は壇上に上がると

 

「宣誓!僕はこの体育祭で一位を取るつもりです!」

 

『ちょっ!?緑谷』

 

B組の面々からツッコミまれると同時に

 

「調子乗んなー!」

 

と他クラスからブーイングがあがるが

 

「なら優勝取る気でかかってこい!勿論僕たちもだまっちゃいないがな!!!」

 

僕の叫びに他クラスは

 

「おおお!!上等だ!!!」

 

「負けねーからな!」

 

「緑谷……!!漢じゃねえか!!」

 

「流石だな」

 

「ヒャッヒャッヒャッ!!!俺が倒してやるぜ!緑谷あ!」

 

「クソデクが…………!!!」

 

「緑谷くん……!」

 

「出久ー!!私も負けないからなー!!」

 

と皆のやる気が出てくれたところで

 

「さあ!皆の熱が冷めないうちに早速やるわよ!最初の競技はこれよ!」

 

「障害物競走!コースを守れば何をしたって構わないわ!さあ!位置につきまくりなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 



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競え!波乱の障害物競走!

『3!2!1!スタート!』

 

スタートの合図とともに僕たちの足が凍りつく。

 

轟くんか!

 

『A組轟の氷結で緑谷たちの足が凍りついたー!早くも終わってしまうのかー!?』

 

轟くんの氷結でほとんどの選手が凍りつくが僕は

 

<龍騎!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。激闘!本能!サバイバル!フューチャーリング龍騎!龍騎!>

 

フューチャーリング龍騎に変身するとドラグレッダーを呼び出すと

 

『ええええええ!!!?ドラゴォン!!?ブラド!おまえのクラスのやつどうなってるんだ!?』

 

『アイツのやることにいちいち驚くな。疲れるだけだ』

 

そしてドラグレッダーが炎を放出すると周りの氷が溶け出した。

 

「うおおおおっ!!!熱っ!!!でも助かった!!」

 

『B組緑谷あ!自分だけでなく他の選手も助ける羽目になってしまったがこれは計算のうちか!?』

 

『非合理的だが……ヒーローとしての大事な部分を奴は持っているようだな』

 

そしてドラグレッダーに乗って選手たちの頭上を飛んでいく緑谷。

 

そして一気に轟の後ろまで躍り出る。だが

 

「行かせねえぞ!緑谷あ!」

 

「俺たちも忘れんな!」

 

「緑谷くーん!!!ワタシも負けませんよー!!」

 

鱗、回原、角取が自身の個性で空を飛んでいる。

 

『うおおおお!!!B組の面々が龍に乗る緑谷を追いかけているぞ!』

 

鱗はこの二週間の特訓でウロコを体だけでなく伸ばして生やせるようにし、腕を翼に、腕から伸ばしたウロコを羽がわりにして飛行手段を見につけた。

 

回原も特訓で回転の速度を遥かにあげて足を上に伸ばしてプロペラがわりにして体を回すことで推進力にして空を飛んでいるのだ。

 

角取は自分の角にサーフボードの体勢で乗り空中を移動している。

 

だが地上でも

 

『B組庄田速い速い!だけど足から爆発が起こったような衝撃が出ているぞ!』

 

庄田は自身の個性"ツインインパクト"の個性で地面を蹴る際に個性を自分の足に発動してその反動を推進力にして加速しているのだ。

 

『B組鎌切!轟が凍らせた地面を自身の個性でスケートのように滑っているぞお!!!楽しそーう!!!』

 

鎌切は足から刃を生やしてスケートのように滑っている。

 

と各々が奮闘する中でソイツは現れた。

 

『さあさあさあ!コイツらを突破してみな!』

 

そこにいたのは入試の際の1〜3pt仮装敵に10はいるだろう0pt敵だった。

 

と轟が一体の0敵を凍らせると

 

何人かがその下を潜り抜けようとするが

 

「やめとけ、不安定な時に凍らしたから倒れるぞ」

 

轟の言葉通り0敵が崩れそうになるが

 

「ドラグレッダー!」

 

緑谷のドラグレッダーが残骸を尻尾で吹き飛ばした。

 

「おおおお!!!助かった!ありがとう!」

 

『B組緑谷あ!またしても他選手を助けたぞ!コイツは聖人君子かあ!!?』

 

「アイツ…………』

 

とその時

 

「緑谷あ!!!先に失礼するぜええええ!!」

 

「夜嵐くん!?」

 

「はははははは!!!先に失礼するよ!!緑谷くん!!」

 

「物間くん!?」

 

『A組夜嵐B組物間!!緑谷の横を通り抜けたああ!!!』

 

そう、物間は人の良さそうな夜嵐の個性をコピーしていたのだ。

 

と緑谷と轟に夜嵐、物間のトップ4が争う中で

 

「緑谷のやつには負けられねえ!」

 

骨抜が地面を最大限まで柔らかくして多数の0敵を一気に地中に沈めた。

 

「はあっ!」

 

拳藤は拳を大きくして回ることで遠心力をつけてロボットにぶつかっていき次々と撃破した。

 

柳と才子もサイコキネシスとポルターガイストで敵同士をぶつけあわせた。

 

こうして第一関門を突破しようとする中で

 

「クソデクううぅ!!!」

 

「かっちゃん!!?」

 

爆豪が鬼の形相で緑谷に迫ってきた。

 

とドラグレッダーが炎を吐くが爆豪は爆破で避けた。

 

「クソデクが俺の前を行くんじゃねえええ!!」

 

と緑谷まであと少しというところでドラグレッダーが上空へ昇ると爆豪の股間にドラグレッダーの体が直撃した。

 

「あっ…………!!!」

 

「あっ、ごめん…………」

 

そしてそのままドラグレッダーの尻尾に叩き落とされた。

 

「ごめんね……かっちゃん」

 

「あはははははは!!!なんだいあの無様な姿は!!」

 

「爆豪!ドーンマーイだ!」

 

会場からも爆笑が沸き起こる。

 

そして第二関門の"ザフォール"に着いた四人

 

「おっと……ここで時間切れか」

 

物間のコピーの時間が切れそうだった。そして

 

「物間くん!?」

 

「悪いね!緑谷くん!ちょっと便乗させてもらうよ!」

 

『物間ああああ!!!緑谷のドラグレッダーに乗りこんだあ!!』

 

轟はロープを凍らせて足場を作って夜嵐はそのまま飛んでいく。

 

と後ろから

 

「「「緑谷(くん)あ!!!」」」

 

回原に鱗、角取さんに柳が空を飛んできた。

 

とザ・フォールの前にいた印照が

 

「ふっ!」

 

テレポートを使い一瞬で第二関門を突破した。

 

「印照い!!!一瞬で第二関門をクリアああ!!これはすげえ!!」

 

と第三関門は

 

『最後の関門は一面地雷原!!怒りのアフガンだああ!!』

 

だが空を飛ぶやつらには関係ない……と思われた時

 

バシュン!!!

 

突如ミサイルが飛んできた。

 

『そう簡単には進ませないぜえ!!最終関門には追尾するミサイルが待ち構えている!これを突破できるかああ!!?』

 

緑谷が地面に降りると

 

<カブト!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。音速!高速!最速!フューチャーリングカブト!カブト!>

 

「クロックアップ!」

 

そして緑谷がゴール前に着いた時に地雷が一気に爆発した。

 

『こりゃあどうなってるんだあ!!緑谷が急に消えたかと思ったらいきなり地雷が爆発したぞ!』

 

『おそらく目にも見えないスピードで高速移動したのだろう』

 

と緑谷がゴールを潜ろうとした時

 

パッ!

 

印照才子が目の前に現れて先にゴールを潜り、影から現れた黒色が次にゴールを潜った。

 

『これはどうゆうことだあ!!!印照が一位抜け!そしてこれはマジでわからない!黒色が緑谷の影からあらわれて二位抜けだああ!』

 

『成る程……アイツはずっと緑谷の影に潜んでいたんだな』

 

ブラドキングの解説を受けると会場は大盛り上がりになった。

 

そして三位で緑谷がゴールした。

 

「黒色くん……」

 

「クックックッ……緑谷、おまえに憑いていて正解だったぜ!」

 

そしてその後の結果は

 

一位印照才子

二位黒色支配

三位緑谷出久

四位夜嵐イナサ

五位轟焦凍

六位物間寧人

七位柳レイ子

八位鱗飛竜

九位回原旋

十位角取ポニー

以下省略

 

・・・・

予選通過は上位42名らしい。

 

まあこの後のレクリエーションで見せ場があるみたいだ。

 

そしてこの後の競技は騎馬戦らしい。

 

さて…………次こそは一位だ!

 

 

 

 

 

 



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競え!激闘の騎馬戦!

第二種目の騎馬戦のルールは

 

・2〜4人からなるチームを作る。

 

・障害物競走の順位によってポイントがあり騎手は騎馬を含めた者たちの合計のポイントを首に巻く。

 

・騎馬を崩されてもまたはハチマキを失っても失格にはならない。

 

・制限時間は15分

 

・悪質な崩し目的でなければなにをしても構わない

 

「とまあこんなとこよ!ポイントは下の者から5ポイントずつ上がっていくわよ!だけど一位の印照さんには1000万よ!」

 

と皆の視線が才子さんに向けられる。

 

「上位の者ほど狙われる下克上のサバイバルよ!ああ、あと才子さんのテレポートはこの騎馬戦では禁止とします!」

 

そうか……まあテレポートは強すぎるからね

 

『ふむ……上へ行く者への受難か……よく出来ているではないか……』

 

さて……誰と組むべきか……

 

騎馬戦のチーム作りの時間となって、

 

僕は才子さんのとこへ行くと向こうも気づいたのかこちらを向くと

 

「「才子さん/出久さん!僕と/私と組んでください!」」

 

あれ?

 

「ひょっとして才子さんも……?」

 

「ええ、出久さんとなら一位抜けできると信じていますから♪」

 

笑顔で正直に言われて思わず顔が赤くなる。

 

そういや最近才子さんの顔を直視できない。その笑顔を見るたびに心臓がバクバクして心があったまる。ウォズ、僕病気なのかな?

 

『…………自分でなんとかしたまえ』

 

ちょっ!完全無視!?酷くない!?

 

とこの時なぜか視線を感じたのは気のせいだったのか?

 

そして騎馬戦のチーム作りの時間が終わると

 

『12組の騎馬がフィールドに揃ったああ!!さあさあ行くぜ!残虐バトルロワイヤル!!』

 

『3』

 

「狙いは」

 

爆豪チーム 爆豪、夜嵐、黒色、柳

 

「一つ」

 

轟チーム 轟、八百万、上鳴、飯田

 

「才子さん」

 

「はい!」

 

「麗日さん」

 

「うん!」

 

「常闇くん」

 

「ふっ……」

 

「行くよ!」

 

「「「はい!/おう!/うん!」」

 

『START!』

 

と開始のゴングと同時に11組の騎馬が僕に襲いかかってきた。

 

「実質1000万の争奪戦だ!悪く思うなよ!緑谷!!」

 

鉄哲くんの騎馬が襲いかかってくる。

 

「追われし者のサダメ……選択しろ!緑谷!」

 

「もちろん逃げのくっ!」

 

逃げようとすると骨抜くんの個性が僕らを拘束したが

 

「30%……TITAN SMASH!」

 

ワンフォーオールを発動して柔らかくなった地面に殴りつけると地面はグチャッと吹き飛んで、僕らは拘束から解放された。

 

「ちぃっ!!流石緑谷!!」

 

「逃げるよ!麗日さん!」

 

「うん!」

 

逃げる際に麗日さんの個性で僕らを無重力状態にして才子さんのサイコキネシスで空中に逃げた。

 

「耳郎ちゃん!」

 

「わかってる!」

 

A組の人のプラグみたいなものが僕たちを襲うが

 

「常闇ぃ……!」

 

常闇くんの個性、ダークシャドウがプラグを弾いた。

 

と地面着地しようとした時に下に丸いものがあったのを見て僕は

 

「40%……MAGNUM SMASH!!」

 

強化された指を弾いて丸いものを吹き飛ばした。

 

あれはA組の峰田くんのモギモギだ。

 

と横からなにかが飛んできたので咄嗟に避けた。

 

それはA組の蛙吹さんの舌だった。

 

「強いわね……B組……!」

 

そして後ろに距離を取っていると

 

突如暴風が吹き荒れて、ハチマキが飛ばされそうになった。

 

「これは…………夜嵐くん!」

 

と暴風が吹き終わると同時に

 

「調子に乗ってんじゃねえぞ!デクぅ!!」

 

「かっちゃん!?」

 

かっちゃんが僕たちに特攻を仕掛けてきたが常闇くんのダークシャドウに弾かれた。

 

『っておいおいおい!!!あれってアリなのかよ!?』

 

『テクニカルなのでOK!地面に足ついてたらアウトだったけど!』

 

かっちゃんを退けると

 

「そろそろ取るぞ……1000万……」

 

轟くんと正面で対峙していた。

 

一方爆豪は

 

「ああ!君って確かヘドロ事件の被害者だよねえ!?聞かせてくれないか!敵に襲われる奴の気持ちを!でもさあ……緑谷くんの方が凄いよねえ!?君が敵わなかった敵を倒したんだからさあ!」

 

「ふっざけんじゃねえぞ!!!この俺がデクより下だと!!?」

 

物間の術中だった。

 

「随分と買われたな……緑谷」

 

「その話は後で!来るよ!」

 

「無差別放電!130万V!」

 

「常闇くん!」

 

「ダークシャドウ!」

 

放電が当たる前にダークシャドウで放電を防いだ。

 

と轟くんは八百万さんが作った棒を伝せた氷で他を拘束した。

 

「来ます!」

 

「牽制する!」

 

ダークシャドウが攻撃を仕掛けるが八百万が創造した盾に防がれた。

 

「くっ……!常闇くん……攻撃力低下……向こうには知られてないよね?」

 

「ああ……誰にも話したことはない」

 

「なら大丈夫だ……絶対に逃げ切る!」

 

『大丈夫か……?』

 

『なに?ウォズ』

 

『A組の飯田くんは……おそらくなにか隠しているぞ』

 

『え!?なんでわかるの』

 

『直感だが……あれは余裕のある者のする顔だ。彼はまだなにか……切り札を隠しているぞ』

 

『ウォズ……うん!わかった!』

 

そして5分が過ぎ去るが轟はまだハチマキを奪えていなかった。

 

「緑谷あ……!!」

 

『轟くん……?』

 

『…………』

 

轟くんの顔はなにかを憎んでいるように見えた。なんだろう…なぜか酷く悲しく見える……

 

「皆……この後俺は使えなくなる……取れよ!轟くん!レシプロ……バースト!」

 

来た!速い!だが!

 

「GIGANT SMASH!」

 

地面に放った衝撃波で轟チームは近寄れなかった。

 

「轟くん!大丈夫か!?」

 

「くっ……ああ……!」

 

「危なかった……ウォズありがとう!」

 

『気にするな、今は集中しろ』

 

と次かっちゃんのチームが目の前に現れた。

 

「デクぅ…………!!!」

 

「かっちゃん……」

 

「爆豪……おまえの私情は知らねえが今は協力しろ」

 

「ちっ!わーったよ」

 

黒色くんがこちらを見てニヤリと笑う

 

「緑谷あ……!おまえのハチマキ頂くぜ!」

 

来る!?

 

と騎馬の黒色くんが地面にある自分の影に手を入れた。

 

は!?どうゆうことだ!?

 

『出久!ハチマキを!』

 

え!?

 

と僕の影から黒色くんの腕が伸びて僕のハチマキを奪って自身の元へ戻っていった。

 

『おおおおおおおお!!!爆豪チーム黒色!!!緑谷からハチマキを奪い取ったああ!!!ここで解説!黒色支配!個性!影支配(アルターシャドウ)!黒に溶け込む個性だったが個性伸ばしにより自身の影を伸ばして遠距離攻撃ができるようになったぞ!また影を実体化することもできるらしい!他にも強化されているらしい!とーんでもねぇ!」

 

黒色くん……!凄いや!

 

「緑谷!奪い返すぞ!」

 

「うん!」

 

僕たちが迫ろうとするも夜嵐くんの風で思うようにいかなかったが

 

「50%……SMASH!」

 

僕のパンチで夜嵐くんの風を吹き飛ばすと

 

「今だよ!」

 

「はい!」

 

才子さんサイコキネシスでハチマキを奪うと

 

『終了〜!!!』

 

騎馬戦が終了した。

 

「やった!緑谷くん!私たち勝ったよ!」

 

「ふっ……」

 

「やりましわね!出久さん!」

 

こうして僕たちは第二種目をも突破した。

 

 

 

 

 



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祝え!我らのハーレムのチアリーダー!

『さあさあさあ!!結果を見てみようぜ!一位!緑谷チーム!二位!爆豪チーム!三位!鉄哲っておい!心操チーム!?いつのまに逆転してたんだよ!?おい!四位!轟チーム!以上四チームが最終種目へ……進出だああーーー!!!!一時間ほど休憩を挟んだら午後の部だぜ!』

 

鉄哲くん……!?一体なにが……!心操くんか……気をつけないと…

 

鉄哲くんのところへ行くが

 

「なにが起きたんだ……?いつの間にか0ポイントになって終わったぞ……?」

 

とても話しかけられる状況じゃなかったので帰ろうとしたら

 

「おう緑谷!」

 

鉄哲くんたちが僕に気づいて

 

「俺たちはなんかわかんねえまま負けちまったけど……おめえは俺たちの分まで頑張ってくれ!!!」

 

そのエールを受けた僕は

 

「うん!」

 

親指をグッとして返す。

 

そして昼飯を食いに食堂に向かおうとしたら

 

「…………緑谷」

 

「…………なに?」

 

轟くんに呼び出されて人通りの少ない通路まで来ると

 

「話って……なに?」

 

轟くんは僕をギロっと睨む。

 

これは……かっちゃんとはまた違う……冷たい威圧感。

 

それに……なにか悲しそう。

 

「気圧された。左は使わねえって決めたのによ。なあおまえ……オールマイトの隠し子かなんかか?」

 

「…………な、なんでそう思うの?」

 

「……ただの直感だが……おまえにオールマイトと同様のなにかを感じた。俺の親父はエンデヴァー、知ってるだろ?おまえがNo. 1ヒーローのなにかなら……尚更勝たなきゃならねえ……」

 

それから轟くんは語った。

 

エンデヴァーはオールマイトを超えられないことから人道的ではない強行に移ったこと。

 

「個性婚で生まれた俺は……いわばアイツが成り上がるための道具に過ぎねえってことだ……!うっとおしい!そんなクズの道具には成り下がらねえ!記憶の中の母はいつも泣いていた……おまえの左が憎いと……!母は俺に煮え湯を浴びせた。」

 

その言葉を聞いて僕はゾッとする。考えただけでも恐ろしい。

 

「俺がおまえに突っかかんのは見返すためだ。クソ親父の個性なんかなくたって……使わずに一番になることで……ヤツを完全否定する……!」

 

「邪魔して悪かったな。俺は右だけで上に行く。ただそれだけだ」

 

君に対して僕が言えることなんて……

 

『…………』

 

そしてそのまま轟くんは立ち去っていった。

 

そして食堂に向かう途中で僕はウォズに相談した。

 

『ウォズ……僕は轟くんにどうすればいいかな?』

 

『どうするもなにも……今彼は倒すべきライバルだ。勝つだけに集中すればいいのさ。それともなにか?君は彼に何かしたいのか?』

 

『僕は……なんか……放って置かなくて……』

 

『ふぅ……君は相変わらずのお人好しだな。といっても彼に左を使わせたいのか?それとも父と仲直りでもさせたいのか?』

 

『そんなんじゃなくて……なんかこう……』

 

『まあいいさ。君のやりたいようにやればいい』

 

『ウォズ……うん!』

 

そして食堂に行こうとしたら

 

「ああ!いたいた!緑谷!」

 

「うん?」

 

向こうからA組の上鳴くんに峰田くんがやってくると,

 

「ああ、ちょっとおまえに伝言があってさ」

 

「なに?」

 

「チアリーダーの話……聞いてるか?」

 

「へっ?」

 

「やっぱそうかー!実はな、午後の部からは女子たちはチアリーダーの格好をして応援するんだとよ」

 

「ええ!?なにそれ!?知らなかったんだけど……」

 

「おまえはB組の委員長だからな、伝えておこうと思ってさ。相澤先生からの言伝だからな!女子に伝えておいてくれよ!ああ、あと俺たちが言ったって女子に言うなよ!」

 

「う、うん!わかった!」

 

一方女子たちは

 

「チアリーダー?」

 

「ええ……上鳴さんと峰田さんたちがそうやると……」

 

八百万は全く疑ってないのだが拳藤たちは

 

「なんかさあ……それって怪しくない?」

 

「ええ?」

 

「あの相澤先生がそんなことやるとは思えないし、仮にやるとしても相澤先生なら直接伝えるはずだもん」

 

「た、確かに……」

 

「あの二人だもんなあ〜?」

 

「どうする?」

 

と二人を疑い始めた矢先に

 

「おーい!」

 

「「「「「出久さん(緑谷くん)!!」」」」」

 

緑谷は峰田たちから聞いた内容を伝えると

 

「ホント……?」

 

「相澤先生の言伝だって」

 

「ん……?」

 

「出久……ウソついてない?」

 

「ええ!?ウソ!?」

 

とここで才子が

 

「いえ……出久さんは私たちを騙す気などないらしいですわ」

 

「そうですの?」

 

「皆なんの話をしてるの?」

 

「そうだね。ごめんね出久!疑って」

 

「え?ううん……いいよ」

 

こうして峰田たちの策略によって女子たちはチアの格好となり

 

午後の部が始まると

 

『ああ……?なんだありゃあ?』

 

『どーしたんだ!?ヒーロー科女子!!』

 

ヒーロー科の女子たちがチアリーダーの格好となっていると

 

「出久……どうゆうこと?」

 

緑谷を睨む女子陣。だが

 

「皆さん……真の敵はあの方らしいですわ」

 

「……才子、どゆこと?」

 

そしと緑谷と峰田たちのやり取りをテレパシーで読み取り伝えると

 

「へぇ〜……そうなんだ」

 

「ええ……出久さんはまんまと騙されたらしいですの……」

 

「そっか……」

 

「ん…………!!」

 

「峰田くんたち……」

 

と女子陣が峰田たちを睨んだ時に上鳴と峰田は女子陣の前にアポートされた。

 

「は?」

 

「え?」

 

そして睨む女子陣を前にして二人の恐怖は最高潮になった。

 

この後なにが起こったのかは皆様の想像に任せます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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救え!洗脳少年の心!

上鳴くんに峰田くん……自業自得だけどあれは流石に同情するよな……

 

ていうか僕も僕だよ!思いっきり騙されちゃうんだもん!ウォズ知ってたでしょ!

 

『………………』

 

あっ!口笛吹いた!とぼけ方が古い!

 

まっ、まあそれは置いておくとしてトーナメントの組み合わせを決めようとなった時にA組の尾白くんが辞退すると言い出した。

 

「なんで!?せっかくプロに見てもらえる場なのに!」

 

「終盤ギリギリまで記憶がなかった……多分アイツの個性で……」

 

と尾白くんの視線の先にはあの心操くんがいた。

 

やっぱり彼にはなにかあるのか……注意しないとな

 

そのあと庄田くんも棄権すると言い出してミッドナイトがそれを認めて鉄哲くんと塩崎さんが繰り上がりで復活して組み合わせが決まった。

 

一回戦 緑谷対心操

 

二回戦 青山対轟

 

三回戦 塩崎対上鳴

 

四回戦 黒色対常闇

 

五回戦 夜嵐対麗日

 

六回戦 八百万対柳

 

七回戦 飯田対鉄哲

 

八回戦 爆豪対印照

 

となった。

 

轟くん……随分早くになったな……

 

その時

 

「アンタだよな?緑谷出久って」

 

後ろから心操くんが声をかけてきたが

 

「答えるな!緑谷くん!」

 

庄田くんが止めた。

 

答えるな?どうゆうことだ?

 

そしてレクリエーションも終わって僕は庄田くんから聞いた話で心操くんに挑む。

 

そして……

 

『第一回戦!大胆不敵な宣戦布告は伊達じゃない!このトーナメントでも魅せてくれるのか!?ヒーロー科!緑谷出久!バーサス!ごめん!まだ目立つ活躍なし!普通科!心操人使!』

 

プレゼントマイクの実況に観客は盛り上がる。

 

『ルールは簡単!相手を場外に落とすか行動不能にするか「まいった」と言わせれば勝ちだ!』

 

と僕が構えると心操くんは

 

「まいったか……わかるかい緑谷出久。これは心の強さを問われる戦い……強くなりたいと思うなら……なりふり構ってちゃダメなんだ。あのデブはそれをふいにしたんだ。チャンスをドブに捨てるなんてバカだと思わないか?」

 

その言葉にプツンときた僕は

 

「なんてこと言うんだ!!!」

 

あの忠告を無視してしまった。

 

そして僕の意識が遠のいていった。

 

・・・・

 

「俺の……勝ちだ」

 

観客やクラスメイトは目を見開いた。

 

動こうとした緑谷が急に停止した。

 

そして目の焦点が合っていない。

 

『緑谷完全停止ーー!!全然目立ってなかったけど彼ひょっとしてヤバいやつなのか!?』

 

『だからあの入試は合理的じゃないってんだ』

 

プレゼントマイクの叫びに相澤はため息を吐くように語る。

 

「おまえは……いいよな。恵まれてて。振り向いてそのまま場外まで歩いていけ」

 

そして緑谷が場外に向かってゆっくりと歩いていく。

 

それにクラスメイトや麗日は

 

「緑谷くん……なんで?」

 

「出久!どうしちゃったの!?」

 

オールマイトは

 

「あの個性は……!」

 

心操の個性は洗脳。

 

問いかけに答えた相手を意のままに操れる。

 

そして緑谷が場外まであと一歩という時に

 

「こんな個性でも夢見ちゃうんだよな。さあ負けてくれ」

 

とその時

 

「それはどうかな?」

 

観客もそうだが心操はそれ以上に驚いた。自分の支配下においた緑谷が喋ったのだから。

 

そして緑谷は歩くのをやめて振り向くと

 

「やあやあ!はじめましてかな?心操くん」

 

「なんでだ!?身体の自由は効かないはずだ!なにをしたんだ!」

 

「初めまして!ヒーローの諸君!私は緑谷出久のもう一つの人格、ウォズさ!確かに緑谷出久(・・・・)は洗脳にかかった。だがこのウォズは洗脳されてないのさ!」

 

『これは驚きだああああ!!!緑谷出久には二つの人格があった!ちなみに変身はもう片方の個性で二人はそれを使い回すことが出来るらしいぞ!』

 

プレゼントマイクの実況に会場のボルテージは最高潮になった。

 

 

・・・・

 

危なかった!ウォズのおかげで助かった!

 

しかし未だに意識はウォズのままだ。

 

『出久、ここは私に任せてくれないか?』

 

『え?いいけど……』

 

「では始めようか」

 

<クイズ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。ファッション!パッション!クエッション!フューチャーリングクイズ!クイズ!>

 

ウォズが見たこともないフューチャーリングになると

 

「問題!君はヒーローになれない!⭕️か❌か?」

 

ちょっ!明らかに心操くんにとってキツイ質問だよね!?

 

ヒーローたちも

 

「そんなん決まってんよな?」

 

「ああ一つしか答えはねえだろ」

 

「はは……おまえも俺のことバカにしてんのか……わかってるよ…答えは……⭕️だ」

 

「答えは……❌だ」

 

「なっ!?」

 

そして心操くんに落雷が落ちる。

 

『心操くん戦闘不能!緑谷くん二回戦進出!』

 

「なっ……なんでだ!⭕️じゃないのか!?」

 

「君は自分の個性に自信がないようだが君の個性はとてつもないよ。たった一言で場の状況を逆転させたり敵に対して有効だからね。聞きたまえ!皆の言葉を」

 

「この個性……対敵に対してかなり有効だぜ。欲しいな」

 

「雄英もバカだよなー!あれが普通科なんだから」

 

「心操!おまえすごかったぞー!」

 

「皆……」

 

「それに個性が戦闘向きでないなら地力を鍛えればいいだけのことさ。個性で全てを決めつけるのは愚の骨頂だと思うよ」

 

「本当に……俺はヒーローになれるのか!?」

 

「ああ!勿論それは君次第だが……」

 

「なってやる……俺はヒーローになってやるぞ!」

 

「そうか」

 

ウォズ……

 

「なあウォズ」

 

「なんだい?」

 

「ありがとな」

 

「礼には及ばないさ」

 

こうして心操くんは夢に向かって再び走り出そうとした。

 

 

 



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祝え!我らがライバルたちの戦い!そして出久の気持ち

『一瞬!!!あえてもう一度言おう!一瞬!!!一瞬で勝負が決まったぁーー!!!』

 

青山くんが開始早々にレーザーを放ったが轟くんはレーザーを飲み込むほどの大氷壁を出して青山くんを拘束した。

 

『青山くん戦闘不能!轟くん二回戦進出!』

 

「メ、メルシィ……」

 

「悪かった……少しイラついてた」

 

轟くんが自身の炎で氷を溶かしていく姿がなんだか辛そうに見えた……なんとかしなきゃ……

 

そして次の塩崎さん対上鳴くんの戦いは

 

『今度も瞬殺!あえてもう一度言おう!瞬殺!』

 

上鳴くんの放電を塩崎さんがツルの盾でガードして動けなくなったところを拘束した。

 

「ああ……与えられたチャンス……無駄にせずに済みました……」

 

塩崎さんがなにやら祈りを捧げていた。

 

流石塩崎さん……拘束系はやっぱり強いよな……

 

そして

 

『一回戦第4試合!障害物競走でも騎馬戦でも大活躍!黒色支配!バーサス!攻防一体のダークシャドウを身に宿す常闇踏陰!」

 

「黒色支配……貴様の活躍は見させてもらったぞ……」

 

「俺とお前は……宿命の存在……」

 

なにやら厨二的なことを舞台で語り合っていたが

「レディーーー!!!スタート!」

 

「ダークシャドウ!」

 

「アイヨ!」

 

常闇くんのダークシャドウが黒色くんに向かっていくが、

 

黒絨毯(ブラックカーペット)…………」

 

黒色くんが呟くとその足元から影が舞台全体に広がった。

 

そしも黒色くんはその中に溶け込んで姿を消した。

 

「なっ!?」

 

「フミカゲ!どこに行ったんだ!?」

 

常闇くんとダークシャドウがいくら探すも舞台上に黒色くんはいない

 

と思ったその時、常闇くんの影から

 

「なっ!?」

 

「フミカゲ!」

 

黒色くんが現れて常闇くんの腰を固めて

 

「そりゃあ!」

 

「ぐはっ!!!」

 

ジャーマンスープレックスを決めた。

 

そして受けた常闇くんは

 

「常闇くん戦闘不能!黒色くん二回戦進出!」

 

『厨二対決を制したのは黒色おおーー!!!見事な一撃だったぞ!』

 

黒色くん……すごいや!

 

そして夜嵐くん対麗日さんは

 

夜嵐くんが上空からの暴風で麗日さんを吹き飛ばしあっけなく決着がついた。

 

八百万さん対レイ子ちゃんは

 

「なっ!?くっ!?動かない!?」

 

「はあっ!」

 

八百万さんの動きをポルターガイストで封じて飛び蹴りを放って場外まで吹っ飛ばしたレイ子ちゃんの勝利。

 

この二週間クラスの皆にはオールマイトと特訓を重ねて柳さんにはポルターガイストで動きを止めてからの攻めを教えた。

 

ああ、レイ子ちゃんたちに名前で呼んで欲しいって言われたんだ。だからこうして名前で呼んでるわけ。誰に話をしてるかって?

 

そして飯田くん対鉄哲くんの試合は

 

「レジプロ……バースト!」

 

飯田くんはいきなりレジプロバーストで鉄哲くんに飛び蹴りを放つ。

 

鉄哲くんは硬化する間も無く咄嗟に腕をクロスさせてガードしたが押されていく。

 

そしてあと一撃で場外までという時に

 

「うおおおおおおおっ!!!」

 

鉄哲くんが振り抜いた飯田くんの足を受け止めてそのまま背負い投げた。

 

「飯田くん場外!鉄哲くん!二回戦進出!」

 

最後の最後でど根性を見せた鉄哲くんが二回戦への切符を勝ち取った。

 

そして次は……かっちゃんと才子さんの試合だ……

 

正直あのかっちゃんが加減を考えるとは思えない。でもこれは皆真剣にやっているんだ。かっちゃんじゃなくても手加減なんて考えないはずだ。

 

そんな僕に出来ることは……

 

「才子さん!!!頑張れ!!!」

 

舞台上にいる才子さんに声をかけると

 

ウィンクして返してくれた。そして僕の胸の鼓動が波打つように早くなる。

 

なんだ……?この気持ちは……今から才子さんがかっちゃんとの試合で傷つくのが……酷く悲しい……いやいやいや!信じるんだ!才子さんを!

 

出久がそう思ってる間に他の皆は

 

回原くん(なに見せつけてくれたんだよおおおお!!!チクショウ!!!)

 

円場くん(緑谷のやつ!印照のことが好きなのか!?)

 

上鳴(緑谷ああああ!!!ふざけやがってええええええ!!!!)

 

峰田(神聖な体育祭を舐めとんのかああああ!!ゴラア!!!)

 

とA組B組問わず嫉妬や羨望や興味津々といった視線が出久と才子に向けられた。

 

とその時かっちゃんが

 

「てめえ……デクとつるんでた女だな……気に食わねえ……!てめえをぶっ殺す!」

 

「あいにくと……勝つのは私ですわ!」

 

「それでは第8試合!始め!」

 

ミッドナイト先生の合図で試合の火蓋が切って落とされる。

 

それと同時に才子さんはかっちゃん目掛けて突っ込んでいった。

 

それに対してかっちゃんは思いっきり爆破した。

 

「きゃっ……!」

 

その行動に観客席からは

 

「おい……」

 

「うわっ!女の子相手にマジか……」

 

とかっちゃんに対する声が聞こえてきた。

 

そしてかっちゃんの爆破で辺りが煙で覆われて舞台がほぼ見えなくなった。

 

そして僅かに見えるかっちゃんの後ろに才子さんがテレポートで転移して回し蹴りを放とうとしたが

 

バァン!!!

 

「ひゃっ!」

 

かっちゃんは凄まじい反射神経で攻撃しようとした才子さんを爆破で吹き飛ばした。

 

かっちゃん……!!!いけないいけない!!今は試合なんだ!かっちゃんは本気で勝とうとしてるだけなんだ!そう思ってるのに……なぜかかっちゃんに怒りが湧く……

 

そして何度も迫る才子さんをかっちゃんは爆破で迎撃していると

 

「おい!女の子いたぶったんじゃねーぞ!」

 

「そうだそうだ!」

 

遂にかっちゃんへの批判の声があがってきた。

 

しかし

 

『おい!遊んでるって言ったの何年目だ!?シラフで言ってんのなら見る意味ねえから帰れ!ここまで勝ち上がってきた相手を警戒しているから油断も手加減も出来ねえんだろうが!』

 

相澤先生の言葉は正しい……だから!

 

「負けるな!頑張れ!」

 

(出久さん……!)

 

そして上空に溜めていたそれを解き放つ。

 

「はあっ!!!」

 

サイコキネシスで上空に浮かせていた瓦礫をかっちゃんに向けて放った。

 

だが……かっちゃんはそれらを全て爆破で吹き飛ばした。

 

かっちゃんは自分が勝ったと疑わなかった。しかし

 

「はあっ!!!」

 

かっちゃんが最大火力で爆破を放った隙を突いて真後ろに転移した才子さんは回し蹴りを放つとかっちゃんは吹っ飛ばされた。

 

そしてそのまま連続で鋭い突きを放っていく才子さんに押されるかっちゃん。

 

(勝てる!)

 

しかし才子さんの動きが急に止まった。

 

おそらく……体力の限界だろう……

 

才子さんの超能力には体力を用いる。おそらく限界をとっくに超えていたのだろう……

 

「印照さん戦闘不能!爆豪くん二回戦進出!」

 

才子さん……

 

僕が控え室に行くと才子さんは

 

「申し訳ありません……負けてしまいました……」

 

なんか浮かない顔をしている。

 

「出久さんのことを馬鹿にしている……爆豪さんをこらしめるつもりでしたのに……無様ですわね……」

 

才子さん…………

 

僕は咄嗟に

 

「ふぇ?」

 

才子さんを抱きしめていた。

 

「ふえええええぇ!!?出久さん!?」

 

「いつまでも落ち込まないでよ……才子さんには笑って欲しいんだ……僕のために頑張ってくれたのは嬉しいからさ……」

 

「出久さん…………!!!」

 

そして才子さんは泣いた。ただひたすらに泣いていた。

 

きっと悔しかったのだろう……今の僕に出来ることは……ただこうして抱きしめて……才子さんの全てを受け止めるだけ……でもなんだか僕の心まで暖たたまりそうだ……ああ……そうか……僕は……

 

「もういい?」

 

「ええ……もう落ち着きましたわ」

 

「…………そっか」

 

そして僕は控え室から出て行く。次の試合があるからだ。

 

『ウォズ』

 

『ようやく自分の気持ちに気付いたか』

 

『わかってたの?』

 

『君の様子や態度を見てたら誰でもわかるさ。まあ君を好きなのは印照くんだけじゃないが』

 

『ええええ!!?どうゆうこと!?』

 

『そのままの意味さ。君を好きなのは彼女だけじゃないのさ』

 

『ええええ!!?僕はどうしたら……』

 

『まああの法律が制定されたら問題はないと思うがね?』

 

『僕が……?全く……ウォズって……』

 

『気にするな。同じぐらいの愛を受け止めるならば何人いようが構わないのさ』

 

『うん?ちょっと待って?僕を好きなのは才子さんだけじゃない?ってことは!』

 

『今気づくか?そうだ彼女も君のことが好きなのさ。相思相愛ってやつだよ』

 

『そっか……よかった……』

 

とウォズと話していると

 

「おおいたいた」

 

「エンデヴァー……」

 

目の前にフレイムヒーロー、エンデヴァーが現れた。

 

「君の活躍見させてもらったよ。所々に使い分ける力。そして……オールマイトに匹敵するパワー……」

 

この人には僕たちの秘密がバレてはいけない……

 

「ウチの焦凍には……オールマイトを超える義務がある……くれぐれも……みっともない試合はしないでくれたまえ」

 

この人は……!轟くんを自分の子として見ていない!

 

『出久よ。ここは私に代わってくれないか?』

 

『え?わかった』

 

そしてウォズと変わると

 

「やあやあエンデヴァー」

 

「貴様は……そうかもう一つの人格の……」

 

「アナタはオールマイトをも超えるといってたけどそれ以前に二流のヒーロー以下だ」

 

「なんだと…………!!」

 

ちょっ!?ウォズ!?

 

「自身が越えられないから自分の子に託すという建前のもと人としてしてはいけない領域に入ったキサマは……ヒーローではない。ただのエゴイストだ」

 

「黙れ!!!キサマにナニがわかる!!!」

 

「じゃあ君の欲望のためだけに育てられた轟くんの気持ちが君にはわかるのか?」

 

「っ!!!」

 

「まあ安心したまえ。アイツがNo. 1になることはない。No. 1になるのは……出久だ」

 

ウォズ……

 

そして僕たちは舞台上に立っていた。

 

『さあさあ行くぜ!大本命とも言える対決!』

 

「緑谷……お前に勝つ!」

 

「僕も……負ける気はないよ」

 

『レディィィィィィースタート!』

 

 

 

 

 

 



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祝え!轟少年の覚醒!

ウォズside

 

『レディィィィィィースタート!!!』

 

プレゼントマイクの合図が聞こえると同時に轟くんはいきなり氷結を放ってきたが

 

「TITAN SMASH!」

 

ワンフォーオール40%で氷結を相殺すると

 

「はあっ!MAGNUM SMASH!」

 

出久は指を弾いて先ほどの吹き飛ばされた氷の破片をピンショットで弾きそれを轟くんは間一髪で避けるが

 

「cyclone smash!」

 

出久はその場で片足で回り始めて付けた勢いをもう片方の脚に集中させて衝撃波を放つ。

 

それを轟くんはまともに受けるが後ろに氷結を何度も発動させて場外負けを防ぐ。

 

「ぐっ!」

 

轟くんは再び氷結を放ってくるが

 

「 SMASH!」

 

出久のパンチで氷は全て砕け散った。

 

そして出久は

 

「震えてるよ……轟くん」

 

「ウルセェ!!」

 

轟くんは近距離で氷結を放とうと接近してくるが凍り始めた体では満足に動けなかった。

 

そのため

 

「MAGNUM SMASH!」

 

出久のデコピンに頭を撃たれてその場に崩れ落ちた。

 

「はあっ……はあっ……」

 

「皆全力でやってるんだ……君だけ半分の力で勝とうなんて甘いんじゃないのか!?よく見ろ!僕はまだ!君に傷一つつけられてないぞ!全力でかかってこい!!」

 

「なんのつもりだ……クソ親父に金でも握らされたか……イラつくな……!!!」

 

「轟くん……」

 

ふむ……ここは……

 

『出久よ。ここは私に任せてくれないか?』

 

『え?いいよ』

 

そして私たちの意識が入れ替わると

 

「やあやあやあ!!!轟くん!」

 

「そうか……お前が……!」

 

その目……今の君は父親そっくりだな。目の前のものが見えていない。

 

<ビヨンドライバー!>

 

<タイヨウ!>

 

<投影!ファイナリータイム。灼熱バーニング!激闘ファイティング!ヘイヨー!タイヨウ!ギンガタイヨウ!>

 

『緑谷ああああ!!!ここでウォズにチェンジ!資料によるとあれはウォズギンガタイヨウフォーム!宇宙のタイヨウの力が込められたフォームだそうだ!』

 

「変わったところで関係ねえ!!」

 

轟くんが氷結を放ってくるが

 

「ふんっ!」

 

ファイナリープロミネンスによる超火炎で氷を残らずに溶かす。

 

「なっ!?なっ……なっ……!!くっ!」

 

轟くんが氷結を再び放つが

 

「……ワンパターンだな」

 

今度は熱線を放って氷を蒸発させた。

 

「クソッ!クソクソクソクソ!!!クソがああああ!!!」

 

轟くんは青山戦で見せた最大氷壁を放ってきて私は飲み込まれるも

 

「はあっ!」

 

氷の中で私は太陽の擬似型惑星"エナジープラネットソーラータイプ"て氷を消滅させた。

 

そして轟くんの場に重力場を発生させるとまともに動けるはずもない轟くんはその場に崩れ落ちた。

 

「クソクソクソ!!!こんなとこで終わるわけにはいかないんだ!!!」

 

「いいや?君たちのつまらない野望もここで終わりさ」

 

『ウォズ!?』

 

「つまらないだと……!!!」

 

『ウォズ……』

 

「出久よ。コイツを踏み台にして私たちは一番になろう」

 

「踏み台だと……!!!巫山戯るな!俺は踏み台なんかじゃない!」

 

「何を言うのかな?君だって今まで倒してきた相手のことを見ていたか?自分の野望のためだけに他者を蹴落としてその人物のことに礼儀も払わない君にそんなことが言えるのか?」

 

「うるさい!!!!」

 

「はぁ……全く君はエンデヴァーに似てるよ。その遥か先を憎む目は一緒だな」

 

「ふざけるなああああああああ!!!!」

 

「エンデヴァーもそうだが君の野望もつまらないよ。君はそんなんでヒーローになろうとしてるのか?………………巫山戯るなよ」

 

「っ!!!」

 

「君は!ヒーローをなんだと思ってるんだ!他者を蹴落とすための手段なのか!!?親を見返すためだけのものなのか!!?巫山戯るなよ!!!ヒーローとは人を!救うための!ものだろうが!!!」

 

・・・・

 

轟side

 

俺が地面に這いつくばっているとアイツは……

 

「ヒーローとは!人を!救うための!ものだろうが!!!」

 

俺はその言葉に自分の情け無さを感じた。

 

確かにアイツの言う通り俺のやろうとしていることはヒーローとして失格だ。

 

アイツの心からの叫びが俺に突き刺さる。

 

でも!アイツを見返さないと!俺は!

 

「君は本当にヒーローになりたいのか?親に強制されたからなのか?違うだろ?本当の君の気持ちはなんなんだ?」

 

俺は…………

 

『いいのよ……血に囚われることなんかない……なりたい自分に……なっていいんだよ……』

 

お母さん…………そうか…………俺は…………

 

とその時俺の左が燃えていた。

 

・・・・

 

『おおっとおおおおお!!!!轟!!左を燃やして立ち上がったああああ!!!』

 

ウォズ……!!!

 

「バカにしてやがる…………勝ちたいくせに…………!!そうだ!!俺だって…………ヒーローに…………!!!」

 

轟くん…………!!!

 

そして辺りの空気が冷やされていく。

 

これは……!

 

<ファイナリービヨンドザタイム!>

 

そして

 

「緑谷……ウォズ……ありがとな」

 

ウォズと轟くんが一気に炎を放出すると大爆発が起こった。

 

そして勝ったのは……

 

「轟くん場外!緑谷くん三回戦進出!」

 

『激闘を制したのは緑谷だああああ!!!轟も最後は見事だったぞおおおお!!!』

 

・・・・

 

観客席で戦いを見ていたエンデヴァーは

 

「………………」

 

終始無言の状態だった。

 

(俺は……)

 

そして轟が暗い廊下を歩いていると

 

「親父……何の用だ」

 

「…………ようやく子供染みた駄々を捨てたか……」

 

「捨てられるわけねえだろ。ただ……あの時だけは……自分が……本当になりたかった……ヒーローというものを見つめ直すことが出来た……」

 

その言葉に対してエンデヴァーは

 

(俺が……本当になりたかったものとは…………)

 

「焦凍……」

 

「まだなにかあるのか……」

 

「俺がお前たちにしたことは消せないが……俺は……お前が誇りに思えるヒーローになるつもりだ。これからの俺を……見ていてくれ」

 

「なんだよ……それ」

 

そして二人は別々の方へと歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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祝え!影の支配者との戦い

『さあさあさあ!!緑谷と轟の激戦で未だ熱が冷めないだろうが第2試合にいこうと思うぜええええ!!!二回戦第2試合!黒色支配バーサス!塩崎茨!』

 

「黒色さん。例え級友だろうと手加減するつもりはありません」

 

「それは同感だ。俺とおまえは戦う宿命(サダメ)……」

 

『レディィィィィィースタート!!!』

 

試合開始と同時に塩崎さんのツルが黒色くんを拘束しようと動き出すが

 

黒絨毯(ブラックカーペット)……」

 

再び黒色くんの足元から影が広がると黒色くんは足を半分ほど影の中に入れると向かってくるツルをスイスイと動いて逃げる。

 

『塩崎のツルで決まるかと思われたが黒色が避けまくっている!しかしスゴイスピードだな!』

 

確かに……準備や条件が必要とはいえ飯田くんのスピードより上だ……

 

しかし塩崎さんも逃げ道を塞ぐようにツルを操作して黒色くんを追い詰める。

 

そしてとうとう舞台の角まで追いやられてしまった。

 

『塩崎ィィィィィ!!!とうとう黒色を追い詰めたか!?』

 

「勝たせてもらいます!」

 

塩崎さんのツルが黒色くんに伸びた時それはおこった。

 

ツルが黒色くんを拘束しようと黒色くんに触れた時に黒色くんの姿が霧を払ったかのように霧散したからだ。

 

え!?どうゆうことだ!?

 

と塩崎さんの影から黒い触手が伸びて塩崎さんの腕を拘束すると

 

「なっ!?」

 

そしてその下から黒色くんが現れて塩崎さんの足を足で固めて上に持ち上げた。

 

『黒色おおおおおお!!塩崎の影から現れてロメロスペシャルを決めたぞおおおお!!!』

 

「なっ……どうゆうことですか!?確かに捉えたはず……」

 

成る程……そうゆうことか……

 

あの黒色くんは影で作った虚像の幻だ。いつ入れ替わったかと聞かれれば足を影に入れた時にすでに影に潜んでいたんだ。

 

「ギ…ギブアップです……」

 

『塩崎さん降参!黒色くん三回戦進出!』

 

『またも魅せてくれたぜ黒色おおおおおお!!!影を使ったトリッキーな攻撃だったぜ!』

 

そして次の柳さん対夜嵐くんの試合は

 

「なっ……!?ぐっ……!動かないっす!!」

 

「くっ……!!近づけない!!」

 

柳さんはポルターガイストで夜嵐くんの動きを止めるも

 

夜嵐くんは暴風を起こして柳さんの接近を許さない。

 

だがここで均衡が破られる。

 

柳さんが暴風で削られた舞台の破片を夜嵐くんの目に当てると

 

「ぐわっ!!!」

 

「今!!」

 

柳さんは一気に接近して飛び蹴りを放つが

 

「ぐっ……!!うおおおおおおっ!!!」

 

ガタイのいい夜嵐くんを吹き飛ばせず体勢を崩された柳さんは逆に暴風で吹き飛ばされた。

 

『柳さん場外!夜嵐くん三回戦進出!!』

 

そして次のかっちゃん対鉄哲くんの試合は

 

「ちぃっ!ちょこまか避けてんじゃねぇ!」

 

「知るか!勝てばいいんだよ!」

 

かっちゃんの右の大振りからの爆破を鉄哲くんは後ろに一歩引いて避ける。その直後に一気にダッシュしてかっちゃんの懐に入ると

 

「おりゃあ!」

 

「ごふっ!」

 

(緑谷から教えてもらったことが活きているぜ!)

 

特訓の際に緑谷は

 

「鉄哲くん。君のスティールはとても強力な個性だけど限界がある。鉄分を使用するから出来る限りは攻撃を避けたほうがいいと思うんだよ」

 

鉄哲のスティールは鋼化するために鉄分を使用する。故に出来る限り鋼化をしないように攻撃を避ける特訓をしていたのだ。

 

(よし!このまま押し切る!)

 

鉄哲がかっちゃんの両腕を掴んで後ろに倒れて爆豪を蹴る。いわゆる巴投げだ。

 

かっちゃんは場外負けになりそうだったが爆破で踏み止まった。しかし鉄哲はそれを見越していたのか鋼化したパンチをかっちゃんのモロに叩き込んだが、

 

「ぐうううっ……!」

 

「なっ!?」

 

かっちゃんは鉄哲のパンチを受けても尚耐えて鉄哲の腕を掴むと

 

「死ねぇ!!!」

 

そのまま片腕で鉄哲の腕を掴んで持ち上げてもう片方の腕で爆破し続け勢いをつけて鉄哲を場外に叩き出した。

 

「鉄哲くん場外!爆豪くん三回戦進出!」

 

『爆豪おおおおおお!!!最後の最後で逆転だああああっ!!鉄哲もあと一歩だったぞ!!』

 

プレゼントマイク先生の叫びで会場に盛大な拍手が巻き起こった。

 

勝ったのにかっちゃんは……どこか満足してなさそうだった。

 

次の相手は黒色くんか……どういこうか……?

 

黒色くん対策を考えているうちに僕は舞台上に立っていた。

 

「準決勝第一試合!二つの人格と個性で戦うぞ!!緑谷出久!バーサス!変幻自在な攻撃は伊達じゃない!黒色支配!!』

 

「クックックッ……緑谷あ……おまえを倒させてもらうぜ……」

 

「悪いけどお断りだね!」

 

『レディィィィィィースタート!!!』

 

「SMASH!」

 

黒絨毯(ブラックカーペット)……」

 

僕が拳を振るうタイミングで黒色くんの足元から影が広がっていく。

 

衝撃波が黒色くんに迫るが

 

「ふっ……」

 

黒色くんは影に身を潜めて攻撃を躱した。

 

ぐっ……!!どこから来るかわからない!

 

とその時僕の足元から黒色くんが現れるのを見た僕は

 

「SMASH!」

 

現れた黒色くんに殴りかかるが衝撃波を受けた黒色くん霧が払われるように霧散した。

 

くっ!偽者か!

 

すると僕周りから黒色くんが何人も現れた。

 

これは!?

 

「クックックッ……これが俺の分身影兵隊(ドッペルソルジャー)……!」

 

『黒色おおおお!!ここで何人もの分身を作り出したああああ!!!緑谷はこれにどう立ち向かうのかああああ!!』

 

 

黒色くん……!勝負はここからだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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祝え!我らハーレムの密会!

黒色くんが何人もの分身を作り出すとそれらが一斉に向かってきた。

 

「くっ!SMASH!!!」

 

僕は拳を振るうが黒色くんの分身は衝撃波が当たると同時に霧散し、再び形を成した。

 

「クックックッ……そんなんじゃ俺の兵隊はやられないぜ……!」

 

黒色くんの声がどこからか響く

 

そして黒色くんの分身たちが再び迫ってくるが

 

「はあああああっ!!!SMA!」

 

僕がスマッシュを放とうとすると

 

「ふっ……黒大蛇(ブラックスネーク)

 

僕の足元から黒い蛇が現れて僕を拘束する。

 

僕は両足と左腕を拘束され、右腕も拘束されそうになるが、

 

「ぐっ!SMASH!」

 

地面にSMASHを打ち強引に蛇ごと拘束を外した。

 

このままじゃマズイ!そう思った僕は

 

<ビヨンドライバー!>

 

「クックックッ……やっと来るか!」

 

<ゴースト!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。開眼!レッツゴー!覚悟!?フューチャーリングゴースト!ゴースト!>

 

僕はフューチャーリングゴーストに変身すると

 

『緑谷ああ!!ここでウォズに変身!!!見たこともないフォームだがどんな力があるのだろうかああ!!』

 

観客席では

 

「あれは厄介だな」

 

「すり抜けるもんな」

 

「黒色は実体化する隙を突くしかねえな」

 

骨抜、鎌切、回原の順に話していると

 

「でも黒色の数も厄介だよお?」

 

「いやらしいしね」

 

「いざとなったら影に逃げ込めるもんね」

 

吹出、取陰、庄田がそれに反論する。

 

観客席でそんな話し合いをしている中で僕は

 

「緑谷あ……!行くぜぇ!」

 

黒色くんの分身たちは下半身を影に潜ませてスイスイと向かってくるのに対して僕は指を立ててポーズをとると

 

「なんだぁ?」

 

黒色は警戒して観客席にいたB組も首を傾げるが次の瞬間、ドライバーからパーカーを羽織ったゴーストが何体も現れると

 

『おいおい!!なんだありゃあ!緑谷からパーカーが飛んできたぞ!』

 

『資料によると……あれはパーカーゴースト。偉人の力が込められた幽霊らしい』

 

『マジかよ!そりゃあすげえ!』

 

ブラド先生の解説に実況のプレゼントマイクが騒ぐと観客も盛り上がる。

 

そして僕はパーカーゴーストたちに指示を出して黒色くんの分身たちを襲わせる。

 

ムサシゴーストは二つの刀で分身たちを次々と切り裂きロビンフッドゴーストは弓で分身を狙撃する。

 

「くっ!やるなぁ……!緑谷ぁ!そうこなくては面白くない!」

 

といってもこのままじゃ膠着状態が続くだけだ。どうしたら……そうだ!

 

僕は拳を構えると

 

「SMASH!」

 

地面にSMASHを叩き込むと舞台が割れてその破片から隠れられなくなった黒色くんが現れた。

 

「なっ!?しまった!」

 

<ビヨンドザタイム!>

 

僕は出した大目玉を黒色くんに蹴り飛ばすと大目玉は爆発した。そして煙が晴れると

 

「黒色くん場外!緑谷くん決勝戦進出!」

 

『激闘を制したのは緑谷だああああ!!!黒色もあと一歩だったぞおお!!!』

 

プレゼントマイクの絶叫で会場のボルテージも上がる。

 

「黒色くんすごかったよ」

 

「クックックッ……まさか舞台を破壊して隠れ蓑を潰すとは……緑谷ぁ……やっぱりおまえはすごいぜ……」

 

そして僕は立ち上がった黒色くんと手を握り合って健闘を称えた。

 

・・・・

 

才子side

 

突然だが私は出久さんが好きだ。

 

あの事件で助けられて以来、私の心の中で彼というものが太陽のように思えてきた。

 

まるで誰かの希望になり心を照らす太陽のような……

 

そしてこの体育祭でも彼は光り輝いている。

 

私は彼の隣に立つ月になりたい……そう思ったのだが彼を好きなのは私だけではないみたいだ。

 

でも彼女たちも私にとっては大切な仲間。争いたくはない。それに……彼を支えるのには私一人じゃ足りないから……愛という光を分け与えてくれるのなら私は構わない。

 

そう思って私は今、一佳さん、唯さん、レイ子さん、お茶子さんを誰もいなさそうな廊下に呼んでいる。

 

「話って何?才子」

 

一佳さんが聞いてきたので私は

 

「単刀直入に聞きます。皆さん……出久さんが好きですよね?」

 

私の言葉に皆さんは顔が赤くなり

 

「えええええええ!!?好きって!べ、別に私は……!」

 

「ん…………!!!」

 

「す、好きって……!」

 

「わ、私が緑谷くんを!!!」

 

皆さん認めようとしないのですね……それなら……

 

「あらあ?なら私が出久さんをいただいちゃいましょうかね?」

 

私がそう言うと

 

「「「「それはダメ!!!」」」」

 

とすぐさま言ってきた。

 

「やはり好きなんでしょう?」

 

「「「「あぅー……!」」」」

 

皆さん先ほどよりも顔を赤くして俯いている。

 

「私は出久さんの恋人になりたいです。その心に間違いはありません。ですので私は皆さんの正直な気持ちが聞きたいのです」

 

「わ、私は……好き!私も出久が好き!」

 

「ん……!私も……」

 

「私も……好き」

 

「わ、私もや!」

 

「そうですか!やはり皆さん出久さんが好きなのですね!私も出久さんと結ばれたいです。しかし出久さんの性格上、皆さんから頼まれると選べないでしょう。ですのでこうしませんか?」

 

『というと?』

 

「皆さんで出久さんのお嫁さんになりませんか?」

 

私の提案に皆さんは

 

「お、お嫁さんって結婚するって……!嬉しいけど……!嬉しいけど……!」

 

「ん……!!!」

 

「わわわ私が出久の……!」

 

「緑谷くんと私が……!」

 

皆さん戸惑ってらっしゃりますね……

 

「それで皆さんどうですか?私としては皆さんと一緒に出久さんのお嫁さんになりたいのですが……」

 

「わ、私は……いい!皆で出久のお嫁さんになりたい!」

 

「ん……!!!いい!」

 

「わ、私も……!」

 

「うん!私もいい!」

 

「そうですか……!あの法律もできるみたいですし、これでオッケーですね!」

 

こうして出久を巡る恋の行方は皆の密会によって決まった。

 

 

 

 



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夜嵐の本音

印照たちが秘密の密会をしている中で爆豪対夜嵐の戦いは膠着状態が続いていた。

 

夜嵐は開始早々に上空へ飛び空中から爆豪を風で吹き飛ばそうとするも爆豪は爆破の逆噴射で場外負けを防いでいた。だが見るからに爆豪が不利だった。なぜなら夜嵐の攻撃は爆豪に少なからず体力消費の効果があるにも関わらず爆豪は未だに決定打を生み出せていないからだ。爆豪は爆破で夜嵐の元まで辿り着けるかもしれないと思われるが爆豪はわかっていた。下手に飛び出せば風の影響をモロに受けて場外へ飛ばされるからだ。

 

だがこのままではジリ貧だ。そう思った爆豪は

 

「スタングレネード!」

 

爆破による閃光で夜嵐の目くらましをはかる。夜嵐が爆豪の姿を見失った隙をついて爆豪は上空まで一気に飛ぶと回り始めて勢いをつけ始めた。

 

こうなると風の影響を受けにくくなったため五分五分となった。

 

「ハウザー……インパクト!」

 

「スピニングトルネード!」

 

人間爆弾と超回転の竜巻で二人は吹き飛ばされた。

 

そして勝ったのは……

 

『夜嵐くんが先に場外!爆豪くん!決勝戦進出!」

 

『最後の最後で爆豪が大逆転ー!!!夜嵐も見事だったぞー!!!』

 

勝利した爆豪にも健闘を称えた夜嵐にも惜しみない拍手がおくられた。

 

勝った爆豪だったがどこか浮かない顔をしていた。

 

『ってことでー!!!決勝戦は緑谷と爆豪の一騎打ちだああああ!!!』

 

・・・・

 

夜嵐くん負けちゃったか……かっちゃんも凄かったな……

 

そう思いながら僕が控え室に向かっていると途中で

 

「あっ……夜嵐くん、惜しかったね!」

 

「っす!ありがとうっす……!でも…悔しかったっす……」

 

まあ悔しいのはわかる。僕がここに来るまでに負けた人だって悔しかった人はいるだろう。

 

その人たちの思いも背負って僕は挑まねばなるまい

 

「じゃあ僕はもう行くね」

 

「あっ緑谷!」

 

「なに……?」

 

「俺……前の質問のこと答えてなかったっすよね……」

 

「前の質問……?」

 

「俺……ずっと嫌いだったものがあったっす……」

 

ああ!ウォズが言っていたあの質問か!

 

「俺……入試の時に轟にあって、アイツとダチになれると思ってたんだ……でもアイツの目はエンデヴァーと同じ遥か先を憎むような目で俺を見てなかった。それで俺アイツのこと嫌いになっちまったんだけどさ。アイツの身の上話をこっそり聞いちまって……アイツも誰かに救いを求めてたんだなあって、アイツのことをなんか放って置けなくなって……でもお前がアイツを救ってくれて……アイツが変わって……それでさっき話したんだ。そしてアイツは「すまねぇ……」って言ってくれたっす……だから俺、アイツともう一度友達になれると思うっす……だからこう……上手く言えないけど……お前に感謝してるんだ!緑谷!お前のおかげで俺もアイツももう一度前を向いていける!ありがとな!決勝戦頑張れよ!」

 

夜嵐くん……!

 

「うん!」

 

そして僕は決勝戦の舞台に立つ。

 

『さあああああ!!!いよいよ決勝戦だ!二つの力を使いこなす二人で一人のヒーロー!緑谷出久!バーサス!中学の時から話題!なんと緑谷とは幼馴染!爆豪勝己!』

 

「クソデク……例え個性を持っていようと……テメェは俺より下だぁ!!!」

 

「僕は負けない!ここまで来るために戦った皆の思いも背負って!」

 

『それでは決勝戦!レディィィィィィースタート!!!』

 

そして今決勝戦の火蓋が切られる。

 

 

 

 

 

 

 

 



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祝え!宿命の対決!そして……

『レディィィィィィースタート!!!』

 

「死ねぇ!」

 

かっちゃんが爆破で一気に距離を詰めて突っ込み右手の大振りを繰り出そうとしたので右手が振り上がった瞬間に僕は一気に接近すると

 

「なっ!?」

 

「はあっ!」

 

そして右フックを繰り出してかっちゃんを吹き飛ばすと大振りは空振りした。

 

かっちゃんは吹き飛ばされるもすぐに立ち上がった。

 

「クソデクゥ……!」

 

「かっちゃん……」

 

そしてかっちゃんが両手を突きたのを見て僕は咄嗟に腕で目を隠す。

 

「スタングレネード!」

 

予想通りかっちゃんの両手から光が放たれて彼の周りは見えなくなったが僕は予測していたおかげで視界を奪われることはなかった。

 

そして腕を払った時にはかっちゃんは僕の目の前にいなかった。

 

っ!上か!

 

僕が上を見上げるとかっちゃんが踵落としの体勢でいたので僕は後ろに一歩引くとかっちゃんの蹴りが空振り地面に激突した。

 

 

がその足を使って僕まで距離を詰めてきてもう片方の足で僕を蹴ろうとした。

 

「死ねぇ!」

 

僕は左腕でかっちゃんの蹴りを受け止めて掴み、もう片方の足も掴むとワンフォーオールを発動させて回り始めて発生した遠心力でかっちゃんを投げ飛ばした。いわゆるジャイアントスイングってやつだ。

 

観客やほとんどのプロヒーローはこれで決まるかと思ったがかっちゃんは最大火力の爆破を放つと勢いは減速して踏みとどまった。

 

「どうしたぁ……!さっさと変身しろや!」

 

かっちゃん……!?

 

「テメェの中に二つの人格があるのはわかってんだよ!クソデクじゃなくてソイツを出せ!んでとっとと変身しろ!」

 

『……出久私に代わってくれないだろうか?』

 

『うん……わかった』

 

そして僕たちの意識が入れ替わる。

 

「やあやあ!お呼びかな!?爆豪くん」

 

「テメェが……!さっさと変身しろや!」

 

「よく言えるね……?君がクソデクと言っていた出久にヤラレっぱなしだったのに……」

 

「あははははは!!!ウォズの言う通りだよ!!!変身していない出久にヤラレっぱなしだった君が言えることかい!!?」

 

観客席では物間くんがかっちゃんを煽っていた。皆呆れるもどこか納得してしまうのかかっちゃんの今までの言動から誰も止めようとはしなかった。

 

「ウルセェ!!!今の俺がテメェより弱えのも分かってるんだよ!だけどよ……舐めプで勝たれても嬉しくないんだよ!」

 

かっちゃん……

 

「いいだろう。ならば……」

 

<ワクセイ!>

 

<アクション!>

 

<投影!ファイナリータイム。水金地火木土天海!宇宙にゃこんなにあるんかーい!ワクワク!ワクセイ!ギーンガ!ワクセイ!ワクセイ!>

 

「やっと変身しやがったか!」

 

そう吠えてかっちゃんが爆破で距離を詰めて殴ってくるがウォズが片手で受け止めてそのまま殴り返す。

 

ウォズのパンチを受けて場外負けになりそうだったかっちゃんだったが再び最大火力の爆破で踏みとどまった。

 

そしてかっちゃんは爆破を使わずに走って距離を詰めようとした。

 

それを見たウォズはマントから星を呼び出してかっちゃんに向かって飛ばした。

 

かっちゃんはそれを爆破で右へ左へ避けるが物量差に押され始めた。

 

そしてウォズの作り出した重力場に捕らわれてしまった。

 

「ぐっ……!ぐぅうううううう……!」

 

それをかっちゃんは無理矢理立ち上がろうとするがウォズの操作した星の攻撃を受けて満身創痍の状態だった。

 

「はあっ……はあっ……」

 

「そろそろ終わりにしよう」

 

<ファイナリービヨンドザタイム!>

 

<水金地火木土天海!エクスプロージョン!>

 

空中に数多の星が光り輝くと

 

「綺麗……」

 

観客に誰かが呟いたその言葉は皆が思っていたことだろう。

 

実況のプレゼントマイクは

 

『何という美しさだああああああああ!!!これはまるで幻想的なプラネタリウムのようだああああああ!!!』

 

そしてその星たちがかっちゃん目掛けて落ちていった。

 

それをかっちゃんは爆破し続けて迎撃するも……

 

『爆豪くん戦闘不能!緑谷くんの勝利!』

 

『体育祭を制したのは緑谷だああああああああ!!!なんという激闘!!!両者最後まで見事だったぞおおおおお!!!』

 

やった……?僕たちが……?No. 1だああああああ!!!

 

僕は心の中で未だにその感動を抑えきれないでいた。

 

それを見ていたウォズは

 

『嬉しそうだな、出久よ』

 

こうして僕たちは体育祭で頂点の座を掴んだ。

 

・・・・

 

ウォズに精神の主導権を返してもらった僕は今暗い廊下にいた。

 

少し前ー

 

「出久さん、ちょっとよろしいですか?」

 

「才子さん……?」

 

僕が控え室で待っていると才子さんが来た。

 

才子さんを見ていると胸の鼓動が早くなる。

 

ウォズに言われてから才子さんを直視できない。

 

「話があります。少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」

 

「う、うん……」

 

話ってなんだろう……呼び出された所へ向かうと一佳さんにレイ子さん、唯さんに麗日さんがいた。

 

そして皆顔が赤い。それにチラチラ僕を見ていた。まさか……だったら……!

 

なにか言いたそうにしている中で才子さんが

 

「い、出久さん……わ、私たちは……あ、貴方のことが……す、好き「僕は皆が好きです」え……!?」

 

「最初はなんの気持ちかわかりませんでした……でも才子さんたちの笑顔や全てが愛おしいと思っていますー今更かもしれませんが言わせてください……僕は才子さんたちがー皆が好きです」

 

僕が自分の心の中をさらけ出すと才子さんは

 

「出久さん……!ハイ!私たちも出久さんが好きです!」

 

「私も!」

 

「ん……!!」

 

「わ、私も……」

 

「私も!」

 

「僕でよければ……どうか付き合ってくれませんか!」

 

「「「「「勿論!!!」」」」

 

こうして僕は皆に心の中をさらけ出して付き合うこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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見定める者

今回は短いです。

すみません……


「それではこれより!表彰式に移りたいと思います!」

 

ミッドナイトの宣言とともに下から表彰台が上がってくる。

 

僕はその上で堂々と立つように心掛けていた。

 

ウォズ曰く

 

『勝者がビビってどうする。優勝者は威風堂々としていなければならないのだ』と

 

ならば僕はトップヒーローらしく堂々とした態度で臨まなければならないのだ。

 

だけど周りを見てみるとやはりドキドキする。

 

そしてかっちゃんの方を見ると、やっぱりというか暗い感じで俯いている。

 

『まあ、あれだけ啖呵をきって負けたんだ。しばらくはソッとしていた方がいいぞ。出久』

 

ウォズの言う通りかもしれない。確かに……そうだ。かっちゃんだって自分のプライドをかけて負けたんだ。勝った僕が慰めても……

 

そう思って再び前を向いた。

 

「メダル授与よ!今年メダルを贈呈するのは勿論この人!」

 

そして見慣れたシルエットとともに上から降りてくるのは

 

「私がメダルをもってき『我らがヒーロー!オールマイト!』た……」

 

かぶった。思いっきりかぶってしまった。

 

だがすぐに持ち直したのは流石はトップヒーローというとこか。

 

「黒色少年!3位おめでとう!強いな!君は!」

 

メダルを受け取ると

 

「いえ……俺はまだまだです……現に緑谷にしてやられました……」

 

「謙遜するな!確かに負けを認めるのは大事なことだが、これからを考えることも重要だぞ!」

 

そしてオールマイトからのハグを受ける。

 

「御意……」

 

「夜嵐少年!3位おめでとう!」

 

「勿体ないお言葉っす!」

 

「最後の最後まで戦い抜いたその気持ち!忘れちゃいかんよ!」

 

夜嵐もオールマイトからのハグを受ける。

 

「爆豪少年!2位おめでとう!さあメダルを「要らねえ」え?」

 

「優勝以外意味はねえ。そんなのなんの価値もねえ、だから要らねえ」

 

「爆豪少年……!その絶対評価というのは自身のプライドと高く評価されるよ!ただな!受け止めることも大事なんだ!傷としてこのメダルを受け取ってくれ!」

 

「要らねえっつってんだろうが!」

 

「まあまあ」

 

そしてオールマイトによって無理矢理メダルを授与されるかっちゃん。ハハハ……

 

「さて!緑谷少年!それとウォズくん!優勝おめでとう!素晴らしい活躍だったぞ!さあ!メダルを受け取ってくれ!」

 

「ハイ!」

 

こうして僕は一位のメダルを受け取る。

 

「さて!皆さん!今日ここに立ったのは彼らだった!しかし、皆さんこの場にいる誰もがここに立つ可能性はあった!ご覧いただいたとおりだ!競い!高め合い!さらにその先へと登っていくその姿!次代のヒーローは確実に芽を伸ばしている!」

 

その言葉に鉄哲たちは次こそはと意気込む。

 

「てな感じで最後に一言!皆さんご唱和ください!せーの!」

 

「プルス」

 

「プルスウルト」

 

お疲れ様でしたあ!!!

 

「プルスウルト……え?」

 

「プルスウルトラ!は……?」

 

『そこはプルスウルトラでしょ!?オールマイト!!』

 

ブーイングが起こった。ハハハ……オールマイト……

 

『締まらないなあ……No. 1ヒーローさんは……』

 

ウォズも心の中で呆れていた。

 

・・・・

 

ピッ

 

サラリーマン風のヒーロー、サー・ナイトアイがテレビの電源を消した。かつてオールマイトの相棒として働いた男は雄英体育祭のテレビを見ていた。

 

話は少し前に遡る。

 

「無個性の少年だって!?」

 

「誰かのために役立ちたいそうなんだ」

 

かつての相棒オールマイトからの電話を聞いて驚愕した。オールマイトの個性をただの無個性の少年に渡すと言いだしたからだ。

 

「気持ちだけで務まるもんじゃない!平和の象徴は!」

 

「ならば……雄英体育祭で……彼の活躍を見ててくれ……」

 

それだけ言うとオールマイトは電話を切った。

 

(オールマイト……貴方がそこまで言うとは……)

 

そしてテレビで雄英体育祭を見てみると見事な力を見せつけて優勝した。

 

そしてオールマイトの判断が正しいかもしれないと思い始めた。

 

(緑谷出久…ならば…私が自ら見定めよう…平和の象徴に相応しいか……)

 

出久の知らない場所でそれぞれの思惑が動いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 



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祝え!体育祭の我が勇姿!

久しぶりですが短めです……すみません!


緑谷たちが体育祭で激戦を広げている時

 

「おまえらは気づきもしない、偽善と虚栄で覆われた…ハァ…歪な社会、ヒーローと呼ばれる者ども…俺が…気づかせてやる」

 

ビルの上から街を見下ろすソイツはヒーロー殺し。

 

かつてはヒーローを目指していたがヒーロー観の根本的腐敗に失望し、自身の主張の元に17人のヒーローを殺害し、23人のヒーローを再起不能にしてきた敵

 

氏の主張『英雄回帰』

 

"ヒーローは見返りを求めてはならない。自己犠牲の果てに得うる称号であると"

 

偽者のヒーローを殺すことで自身の主張を世間に広げるという思想を持っている。

 

そんな彼の元に

 

「探しましたよ。ヒーロー殺しステイン」

 

不意に後ろからかけられた声の主に刃を向けるが声の主は臆することなく

 

「落ち着いてください……我々は同類。悪名高い貴方に……是非とも会いたかった……お時間少々よろしいでしょうか」

 

そう言って黒い霧はステインを呑み込む

 

・・・・

 

ピピピと鳴る電子音が僕の耳を突き抜けて頭まで響いて目を覚まさせた。

 

「う…ん……」

 

そしてリビングに行き新聞を手に取ると

 

『期待の新人ルーキー!緑谷出久!雄英体育祭優勝!』

 

とデカデカと張り出されたタイトルに僕は

 

(夢じゃないんだ……僕は……優勝したんだ!)

 

昨日見たものが現実だと確信した僕は再びあの時の喜びが全身を駆け巡る。

 

この様子を見ていたウォズは

 

『出久は母と似て落ち着きがないな……まあ嬉しいならいいかな』

 

と心の底で出久の優勝を祝福していた。

 

それを隠して出久と精神の主導権をチェンジして今日もウォズは弁当を作る。

 

・・・・

 

ウォズが作ってくれた朝ごはんを食べた僕は家を出ると待っていたのは

 

「あ、アイツ緑谷じゃん!」「え!?マジマジ!?」「うわぁ……本物だぁ……!」

 

老若男女問わずその視線が僕に向けられる。想像はしていたが正直ここまでのものになるとは思わなかった。

 

そして予想してなかったことが起きる

 

「ねぇねぇ!緑谷さん!緑谷さんってもう一つの人格があるんですよね!?」

 

「えええ、うん、そうだけど」

 

黒髪で4本腕の女子高生の一人が腕をブンブンさせながら

 

「変わってくれませんか!?」

 

と言ってきた。

 

『ウォズいい?』

 

『私は構わないよ』

 

「私を呼んだか?」

 

精神をチェンジすると

 

「キャアアアアアアッ!!!出久くんもいいけどウォズ様は素敵!」

 

「うんうん!!!目つきとかクールだし!」

 

「出久くんは可愛いって感じだけどウォズ様はクールさが堪んない!頼れるヒーローって感じ!」

 

と女性陣のウォズに対する視線が半端なかった。

 

『……ウォズよかったね』

 

『からかうのはよしてくれ出久よ。まあ皆からの好意は悪い気がしないな……かつての私にはなかったものだ……』

 

ウォズ……

 

こうしたものもありながら僕は電車に流れた一つのニュースに気をとられる。

 

『この間議論され続けたされた重婚制度ですが昨日制定されました。つづいてのニュースです。依然捕まっていないヒーロー殺しステイン……彼はインゲニウムを再起不能にした後も犯行を続けております……』

 

飯田くん……大丈夫かな……

 

そして電車を降りて雄英に向かっている途中

 

『…………』

 

『ウォズ?』

 

『ヒーロー殺しか……かつての私を見ているようだ……』

 

『そんなことないよ!ウォズは』

 

『ありがとう、出久。だがやっていたことは違うとはいえ彼とかつての私は一緒だ。自分の価値観を押し付け他人のことを考えていなかった。彼にはなにか……近いものを感じてしまうのさ』

 

『ウォズ……』

 

『それよりも飯田くんの性格上……彼は復讐に走りそうだ』

 

『え!?飯田くんはそんなこと』

 

『真面目で正しい判断ができる人間ほどいざという時の感情に呑まれやすいのさ。飯田くんには……気をつけた方がいいぞ』

 

『う、うん……』

 

ウォズの言葉に嫌な予感を感じながらも僕は教室へ向かった。

 

 

 

 

 



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祝え!我らがヒーロー名!

またまた短めです……今度は区切りをよくするために……


ウォズと話しているうちに教室に着いてしまい中に入ると皆がこっちを見て

 

「おお!緑谷!おまえ大変だっただろ!」

 

「優勝したもんなー」

 

「声かけられただろ!絶対!」

 

回原くんに円場くんに鉄哲くんが来て僕は手荒い歓迎を受ける。

 

「ハハハ……まあね」

 

「出久さんも大変でした?」

 

「うん。才子さんも?」

 

「ええ……ですがヒーローになるにはこれは乗り越えなければならない試練ですわ」

 

「試練って大袈裟だな。才子は」

 

「一佳ちゃん!おはよう!」

 

「おはよう!出久」

 

「おはよう……」

 

「ん……」

 

「唯ちゃんにレイ子ちゃんもおはよう!」

 

僕の周りに皆が来て話そうとした時

 

「諸君!席についてくれるか!」

 

タイミング悪くブラド先生が入ってきた。

 

「諸君!おはよう!昨日一昨日で休めたのなら幸いだ!だがこれからは諸君らは世間からの注目の対象となるだろう!というのも踏まえて体育祭での活躍を見たプロのドラフト指名は諸君らのハードルとなるだろう!そしてその結果だが……」

 

緑谷5089

 

黒色3526

 

柳560

 

鉄哲369

 

塩崎345

 

印照156

 

拳藤65

 

物間27

 

「例年はもっとバラけるんだが……今回は緑谷と黒色、二人に注目が偏った」

 

(僕に……こんなに!)

 

(クックック……やったぜ!)

 

(よかったですわ!)

 

(よっしゃー!あったー!)

 

(僕にも……ねぇ……)

 

「だー!白黒ついたー!」

 

「まああの試合を見てたら納得できるんだけどな……」

 

「それでも悔しいよね!」

 

「うむ!その気持ちがあれば充分だ!これからあがっていけばいい!とまあこの指名のもと……諸君らには職場体験に行ってもらう。指名が無かったものも安心しろ!指名がなかった者にはこちらであらかじめオファーしたヒーロー事務所に行ってもらうことになる」

 

「それでだ……今日のヒーロー基礎学だが……」

 

ブラド先生の間に皆、ドキドキすると

 

「"コードネーム"を決めてもらう!!!」

 

『胸膨らむやつ来たあああああ!!!』

 

ヒーロー名か……昔よく考えたな……オールマイトJr.とか……

 

でも……今の僕の名は……

 

僕がボードに名前を書くと

 

『出久……』

 

『うん!やっぱりこれしかないよ!』

 

「書けました!」

 

「早いな緑谷!まあいい、それでは発表してもらおう!」

 

『発表!?』

 

「当然だ!諸君らは社会に出て活動するのだぞ!それはすなわち皆に認知されるということだ!」

 

「まあ確かにな」

 

ブラド先生の言葉に骨抜くんが納得する。

 

「僕のコードネームは……」

 

「緑谷、それって……」

 

「うん。今まで僕は色んな名前を考えてきましたけど今はこの名前でもう一人の僕と共に最高のヒーローになろうと思っています。これが僕ヒーロー名……"フューチャーヒーローウォズ"です」

 

『出久……』

 

「確かそれは緑谷のもう一つの人格だったな?」

 

「はい」

 

「うん、いいじゃないか!じゃあ皆も書けたら前で発表だ!」

 

その後も色々なヒーロー名が発表されて最後に才子さんの番となった。

 

「はい!出来ましたわ!」

 

「うむ!それでは発表してくれるか!」

 

そして前に出てボードを出す。

 

「私のヒーロー名は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




活動報告を載せておきますので印照さんのヒーロー名を募集しております。


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祝え!我らが指名選択!

ところどころ原作とは変えています。


ヒーローネームを発表し終わった後にブラド先生から指名された事務所の用紙を渡された。

 

正直いって辞書並みに分厚い。

 

この中から決めるのか……

 

とりあえずパラパラっとめくってみると有名どころから全く知らない事務所までページはヒーロー事務所で埋め尽くされていた。

 

そしてふと一つの事務所名に目が止まった。

 

「サー・ナイトアイ……」

 

かつてオールマイトのサイドキックだった男からも指名が来ていたのだ。

 

もしかして彼もグラントリノと同じく……

 

『ウォズ、どう思う?』

 

『君のことを知っている可能性は高い。雄英体育祭での活躍を見て指名してきたのだろう。だが…オールマイトはサー・ナイトアイのことを何も言ってこなかった…おそらくだが…オールマイトとサーの関係は私たちにもわからないぐらいこじれているかもしれない……』

 

『たしかにそうだね……オールマイトに聞いてみる?』

 

『それは君に任せるよ。それよりもサー・ナイトアイの事務所にするのか?』

 

ウォズに言われて再び意識を指名された事務所の用紙に向ける。

 

「おーい!出久決まった?」

 

「一佳ちゃんは決まったの?」

 

「私はウワバミのところ!指名来てた!」

 

「私もですわ」

 

「ウワバミって確か索敵能力に優れてるヒーローだよね。それでもってテレビ出演などでもよく見るヒーローで市民からの人気も高く知名度があるヒーローでブツブツ……

 

『出久よ出久』

 

ハッ!しまった〜……久しぶりに考え込んでしまった……ウォズに言われてから人前では控えるようにしてたのに……

 

一佳ちゃんたちもちょっと引いてる。ウゥ……

 

「おーい!出久!決まったかー?」

 

「鉄哲くんはもう決めたの?」

 

「おう!俺はクラストさんから指名来てた」

 

「クラスト!それってNo.6の!?すごいなあ……」

 

「お前はまだ決めてないのかよ?」

 

「うん……情けないけどね」

 

「ちょっと見せてくれよ!」

 

「いいよ」

 

ペラペラと鉄哲くんがページをめくっていくと

 

「おい!お前ホークスから指名が来てるぞ!?」

 

「え……?」

 

「いやそれだけじゃない!ベストジーニストにエッジショット、ミルコにギャングオルカにリューキュウまで!すごいじゃねえか緑谷!」

 

「えええええええ!!!?」

 

「なんだ見てなかったのかよ……」

 

鉄哲くんが呆れた顔になっている

 

「うん。これにするか迷ってたから……」

 

「どれどれ……サー・ナイトアイ!?」

 

『!!?』

 

「サー・ナイトアイってお前!オールマイトの元相棒じゃねえか!すごいな!これにするのか!?」

 

「いやそれは……」

 

「なんでだ?充分すごいと思うが」

 

「黒色くん!」

 

黒色くんが横から突っ込んできた。

 

「黒色くんも決めたの?」

 

「ああ、俺はこれな」

 

黒色くんの用紙を見せてもらうと

 

「え、エンデヴァー!?」

 

「黒色おまえ!?エンデヴァーから指名が来てたのか!?」

 

「すげえじゃねえか!」

 

「でもなんで緑谷には指名が来なかったんだ?」

 

おそらくウォズが言ったことが原因だろう……

 

「それで話を戻すがなんでサー・ナイトアイにしないんだ?」

 

「それはね」

 

皆にもウォズの予想を話すと

 

「そうか……」

 

「オールマイトの秘密を知ってる故の仲の拗れか……」

 

「確かに行きにくいわな」

 

「でもここでなら学べることもありそうだけど……どうしよっかな……」

 

とその時

 

「緑谷くんって君だよね?」

 

突如壁から声がしたので見てみると

 

「うわっ!?」

 

「顔っ!?」

 

壁に顔だけがあった。

 

そしてそのまま顔が引っ込み三分後

 

「やあやあ!さっきは済まない!」

 

「貴方は……」

 

「俺は三年の通形ミリオさ!緑谷くんに話があってきたんだ!」

 

「なにですか?」

 

「サー・ナイトアイから指名が来てるよね!それでサーから俺に話があったんだけど緑谷くん!放課後空いてるかな?」

 

「ええ……」

 

「よかった!それじゃあTDLに来てくれないか!?」

 

「わかりました」

 

そして放課後皆も来てくれた。

 

「遅くなって申し訳ありません」

 

「いいよ!俺も今来たところだからね!」

 

「ねえねえ!君が通形の言ってた緑谷くん!?」

 

「波動さん……いきなりすぎるのはよくない……」

 

「はいそうですけど……」

 

「あの人たち誰なんだ?」

 

鉄哲くんが僕も気になってたことを言うと

 

「その子たちはビッグ3。雄英で最も強い三年生さ!」

 

後ろから校長先生の声が聞こえてきた。

 

「この人たちが!?」

 

「ビッグ3……」

 

「さてさて緑谷くん!話ってのはね。サー・ナイトアイが指名したが君の実力を知りたいんだそうだ。それで俺と勝負してくれないか!?」

 

「通形先輩と!?」

 

「勿論許可はとってあるのさ!緑谷くん、遠慮することはないさ!」

 

雄英の最強の人と戦えるなんて……それにサーナイト・アイのことは後でオールマイトから聞きたいし……よし!

 

「お願いします!」

 

「ありがとう緑谷くん!それじゃあ先輩張り切っちゃうぞ!ああ、そうだ。この戦いではウォズくんの個性は使わないでくれるかな?」

 

「え、はいわかりました」

 

なんでだろ?

 

「こうして緑谷出久と通形ミリオの戦いが始まるのだった。おっとここから先は未来の話でしたね。それではそれでは」

 

そう言って彼は黒いノートを閉じる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




印照さんのヒーロー名ですが活動報告のコメントにアンケートの方が良いとのことがあったのでアンケートをとることにしました。勿論活動報告に書いてもらっても全然オッケーです!


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挑め!最強への覇道!

僕が作戦を立て終わって準備が済むと通形先輩は既にコスチュームに着替えていた。

 

「ねえねえねえ!どっちが勝つと思う?」

 

「俺はミリオが加減を間違えないかが心配だ……」

 

「先輩!緑谷だってタダじゃやられませんよ!」

 

「そうだぜ!アイツはやる時はやるってやつですよ!」

 

僕は気を引き締めて目の前の先輩を見る。

 

『強い……』

 

『……ウォズ?』

 

『強い……彼は強いぞ。出久。持てる全てを出し切るんだ。でないと勝てない』

 

『ウォズ……うん!わかった!』

 

「ウォズ……だっけ!?仲間との作戦会議は終わったかい?」

 

「……っハイ!よろしくお願いします!」

 

「それじゃあ始めるのさ!緑谷出久バーサス!通形ミリオの模擬戦!スタート!」

 

先手必勝!

 

僕がフルカウル35パーセントで地面を蹴って一気に距離を詰めた。

 

そして右腕を振りかざして通形先輩に右ストレートを打ち込もうとしたが僕の右手は通形先輩に当たらずにそのまま空振りし、通形先輩とはぶつからずにすり抜けた。

 

なっ!?

 

そして振り向きざまに気配を感じたので咄嗟に後ろに跳んで両腕をクロスさせて通形先輩のパンチをガードする。

 

ぐうっ……!なんて重い一撃なんだ!

 

少し吹っ飛ばされたがよろめいた隙を先輩は逃さずに今度は左足を振り抜いてきたので僕は咄嗟にしゃがんで前に転がって距離をとった。

 

そして振り向くと通形先輩の姿が消えた。

 

『出久後ろだ!』

 

えっ!?

 

ウォズの言葉に咄嗟に反応して後ろに右ストレートを放つと通形先輩は予想してなかったのか今度はすり抜けなかったが僕も顔に重い一撃を喰らってしまった。

 

そしてお互いに衝撃を減らすために同時に後ろに跳んだ。

 

「なんだ!?いきなりワープしたぞ!?」

 

「すり抜けるだけじゃねえのか!?」

 

「どういう個性なんだろう……?」

 

回原に麟、吹出が疑問を浮かべる。

 

ウォズ……なんで後ろから来るってわかったの?

 

『簡単な話さ。通形ミリオは一瞬で地面に沈んだんだ』

 

ってことは……!先輩の個性は……

 

「……透過」

 

「正解!よくわかったね!そう!俺の個性は透過!俺はあらゆる物をすり抜けることができる!」

 

「んじゃああれはワープじゃなくて地面に沈んだのか……?」

 

「でもなんで緑谷くんの後ろにいきなり現れたんだ?」

 

骨抜が推察するが庄田が理由を考える。

 

「俺の個性は物体と重なっている時に透過を解除すると弾かれるのさ!いわば応用さ!」

 

「ゲームのバグみたいなもの?」

 

「そうさ!しかしよく見切ったね!」

 

「いえ……先輩、正直今のを見切ったのも攻撃を当てられたのもウォズのおかげです……僕一人では先輩に勝つのは難しいかもしれません……」

 

「それじゃあ諦めるのか!?」

 

「いえ……なら二人で勝つ!」

 

「そうこなくては!じゃあ再開と行くか!」

 

通形先輩がニヤリと笑う。

 

ウォズ!力を貸してくれないか!僕は……一人で勝てなくても……二人で勝ちたい!

 

『出久……いいだろう!攻撃のタイミングや出現地点の予測は私がやろう!君は通形ミリオが反応できないほどのスピードで攻撃しろ!君は一度見切れたんだ!できないわけがない!』

 

ウォズ……ありがとう!

 

・・・・

 

「こうして出久はウォズとの二人で通形ミリオに挑むのだった。おっとここから先は次の話でしたね。それではまた」

 

 



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越えろ!精神のその先へ!

僕とウォズは通形先輩の動きを探る。

 

通形先輩の攻撃は一撃一撃が重い。そして僕のスピードに反応するほどの個性の反応速度を見せている。

 

ならば僕の作戦は

 

「カウンター狙いか!悪くないね!」

 

そして再び地面に沈む通形先輩。

 

気配を察知させるように神経を研ぎ澄ませる。

 

『右七十度!』

 

ウォズに言われた方向にカウンターを放つがパンチは通形先輩をすり抜けて油断した僕は腹に蹴りを喰らって空中に飛ばされてしまった。

 

ごはっ……!

 

『緑谷あ!』

 

なんとか空中で体勢を立て直して着地するがかなりのダメージを喰らってしまった。

 

『出久よ!彼は……通形ミリオはこの戦いの中で個性の反応速度と反射神経を確実にあげていっているぞ!』

 

僕のカウンターに追いつけるほどの個性の反応速度ってことか!

 

次もカウンターを狙うがギリギリですり抜けて通形先輩が蹴りを放ってくるが今度は予測できたのでガードできた。

 

そのあとも打開策は浮かばずカウンターを狙うがすり抜けられ更にカウンターの攻撃が来るがガードしていく。

 

しかし向こうにダメージはないが僕の腕には確実に負荷が蓄積していっている。

 

このままじゃジリ貧だ……どうする?

 

『出久よ!やはり私が君に指示して攻撃に移すには一瞬の間が必要なようだ!それでは彼にすり抜けるチャンスを与えてしまう!だが私では……君ほどの反応速度は出せない!』

 

やはりこのままじゃ……待てよ……ウォズ……僕たちは互いに意識の切り替えができるんだよね?だったら……

 

『そうか!その方法があったか!この土壇場で思いつくとは流石出久だ!やれるかどうかはわからないが……やってみよう!』

 

そして通形先輩が地面に潜った時にそれに切り替えると

 

見えた!

 

そして通形先輩が地面から出たその刹那にパンチを放つと通形先輩は吹っ飛んでいった。

 

「ぐはっ……!」

 

「ミリオ!?」

 

通形先輩はなんとか踏みとどまった。

 

「ははっ……反応速度が段違いにあがったけど……なにをしたんだい?」

 

『僕は今……出久でもありウォズでもある!』

 

『!?』

 

『僕たちは互いの精神を半々に共有して……同調させたんだ!通形先輩……アナタを越えるために!』

 

僕たちの言葉に皆は目を見開く。

 

『予測と分析は私が』

 

『超反応は僕が』

 

『『超協力プレイで!アナタに勝つ!』』

 

「まさかそんなことが……!」

 

B組のクラスメイトは

 

「すげえ……!」

 

「まさに今……出久さんとウォズさんは……一つになっています!」

 

「これなら勝てる!」

 

「なんかよくわかんねえけど……すげえ!」

 

そして通形先輩に向かっていき右上段の蹴りを放つがすり抜けられそのまま振り抜いた僕は後ろから左ストレートを放たれるが……

 

見える!僕はウォズの予測したタイミングに合わせてパンチを受け止め

 

「なっ!?」

 

そして腕を一瞬で掴んでそのまま背負い投げた。

 

「ぐはっ!」

 

だが通形先輩はすぐに地面に潜り一瞬で後ろからのパンチを放ってくるがウォズの予測通りにパンチしてきた腕に上から肘打ちを落として攻撃を晒すと同時にダメージを与えた。

 

「ぐっ……!」

 

そしてその一瞬の隙に通形先輩を蹴り飛ばした。

 

「ミリオが押されている……?」

 

「すごいすごいすごい!ねえねえ!緑谷くんとウォズって仲がいいんだね!」

 

「そうですよ!」

 

「最強のコンビだぜ!」

 

「あの二人なら……勝てる!」

 

そして通形先輩の一瞬の隙を同調させてあげた反応速度で見切り攻撃を続ける。

 

「はあっ……はあっ……強いね!緑谷くんにウォズくん!」

 

『そう言ってもらえると嬉しいです……!ですが……勝ちは譲りません!』

 

「それは俺もだよ!」

 

そして決着をつけるべく回転して勢いをつけたかかと落としをフィールドにおとすと瓦礫の山が浮かばせてその瓦礫を足場にして飛び回る。

 

グラントリノを見て思いついた戦法だ。

 

それを見ていた者たちは

 

「すげえ……」

 

「全然見えねえ……」

 

「アイツらまた強くなってないか?」

 

何度目かわからない驚きに包まれていた。

 

ミリオも

 

(ダメだ……!どこから来るかわからないぐらい速い……!)

 

そしてミリオも神経を研ぎ澄ませる。

 

(気配を……感じ取るんだ……!)

 

そして出久が瓦礫を蹴ってミリオに近づいたその一瞬、僅か一瞬で出久の気配を感じ取ったミリオ。

 

そしてそのまま透過も発動させずにいや、発動させる暇もなく一瞬でカウンターを仕掛けたミリオ。

 

二人の一撃が当たりお互いに吹き飛ばされた。

 

だか最後に踏みとどまったのは……

 

・・・・

 

「試合終了!緑谷出久くんの勝ちなのさ!」

 

校長先生が終了の合図を出して模擬戦は終了となったその時

 

「勝っ……たのか……?」

 

「緑谷が……勝った!勝ったんだ!」

 

「やっぱすげえよ!お前!」

 

精神同調、スピリットドライブを解除させると皆が一斉に僕の元にきた。

 

そして僕を担ぎ上げて胴上げされる。

 

ちょっ……ちょっと疲れてるから勘弁してもらいたいんだけど……でも嬉しい……

 

「すごかったよ!緑谷くん!」

 

「ミリオを倒すとは……驚きだ……」

 

そして立ち上がった通形先輩が来ると

 

「ははっ!すごかったよ緑谷くん!流石オールマイトの個性を受け継いだだけのことはあるよ!」

 

えっ、えええええええ!!?

 

「知ってるんですか!?あっ!マズイ!」

 

「緑谷くん心配はいらないのさ!彼らはオールマイトの秘密を知ってる者なのさ!」

 

「えっ!そうなんですか!?」

 

「そうだよ〜!君がワンフォーオールを継いだこともね〜!」

 

「ミリオが継ぐのが一番だと思っていたが……君でもいいのかもしれない……」

 

「さて緑谷くん!サー・ナイトアイの指名の件だがこれ程の実力があれば問題はないだろう!どうだい?俺のインターン先で職場体験をしてみないか!?」

 

「お、お願いします……」

 

そう言って僕は意識を失った。ヤバっ……限界かも……

 

後で聞いた話だが才子さんたちがつきっきりで看病してくれたみたいだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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祝え!我らが職場体験!

「遂に完成したか……」

 

「ここまで来るのに長い道のりでしたね」

 

「個性を消す薬……これさえあれば……俺たちヤクザが再び裏社会の頂点に立てる……だが……」

 

「オールフォーワン……ですね」

 

「アイツになぜか嗅ぎつけられたからな……大方販売のルートから調べられたんだろう……」

 

「だがオールフォーワンからの資金援助で予想より早く完成ができやしたよ?」

 

「確かにそうだがアイツは俺たちを自らの軍門の下に下らせるはずだ……一瞬も油断できねえ……」

 

「そうですね……いつ見限りやすか?」

 

「近々話があるからな……そこでアイツが仕掛けてくるならそれまでだ」

 

「わかりやした。ところでこれを市場に回しやすか?」

 

「いや、まだ未完成のものでいい。噂は流れ始めたばかりだからな」

 

「了解」

 

・・・・

 

「コスチューム持ったな?本来なら公共の場では着用不可の身だ。落とさないように」

 

ブラド先生が駅まで見送りに来てくれている。

 

「鉄哲くんは大阪?遠いね」

 

「まあな!でも連絡はするからな!」

 

「うん!」

 

「出久も頑張ってね!」

 

「応援してますわ」

 

「ファイト……」

 

「ん……」

 

「うん!一佳ちゃん!才子さん!レイ子ちゃん!唯ちゃん!頑張ってきます!そっちも頑張ってね!」

 

僕がサムズアップで返すと

 

『うん!』

 

才子さんたちもそれに返してくれた。

 

「相変わらずモテモテで羨ましいな」

 

「まあコイツには嫉妬とか起きないんだけどな」

 

「さて!ではお前たち…行ってこい!」

 

『ハイ!』

 

そして電車に乗ること30分

 

サー・ナイトアイ事務所に到着した。

 

「あっ!緑谷くん!来てくれたんだね!」

 

「はい。一週間よろしくお願いします」

 

「よろしく!では早速中に入ってもらうよ!サーには俺から話を通してあるから君のことを認めてくれているはずさ!」

 

そして中に入って扉を開けると目に飛び込んできたのは

 

「アヒャヒャ!許してください!」

 

「全く……いい声でるじゃないか……」

 

女の人がなにやらコントに出るような機械に拘束されて笑わされている様子だった

 

「一体何が……」

 

『なんだこれは……』

 

ウォズも心の中から呆然とした声を漏らす。

 

「君が……緑谷出久くんか……私がサー・ナイトアイだ。一週間よろしく頼むよ」

 

「っ!ハイ!」

 

「それはそうと……奥で話を」

 

「?」

 

なんだろう?と思いながら僕はミリオ先輩とサー・ナイトアイの3人で奥の部屋に移動した。

 

「まず……君がワンフォーオールを受け継いだんだな」

 

「……はい」

 

「私も最初はオールマイトの正気を疑ったよ。ただの少年にオールマイトの力を渡そうというのだから」

 

「……」

 

「だが君の雄英体育祭での活躍と……ミリオとの戦いを見て……私はオールマイトの見る目が正しいと思わされた」

 

「………」

 

「私は後継者にミリオを育ててオールマイトより上になったつもりだと勝手に思ってたが、彼もまた……後継者たる人物を育てていたんだと。君がミリオとは違うなにかを持っていると……私は思った。もし君が平和の象徴となる気あるなら……私もサポートすることにしよう」

 

「……っ!はい!よろしくお願いします!」

 

「いい笑顔だ。その笑顔はいつか人を救うことになるだろう。大切にしろ」

 

「はい!」

 

「そしてもう一つ。君には二つの人格があるんだったな?すまないが変わってくれないだろうか。彼と話したいことがある」

 

「わかりました」

 

『ウォズ頼むよ』

 

『なにか嫌な予感がするな……』

 

そう言ってウォズと変わると

 

「私を呼んだということは……アナザーライドウォッチの話か?」

 

「察しがいいな。その通りだ。実はウチで調べている団体があってな。死穢八斎會という指定敵団体を知っているか?」

 

「確か出久から聞いた話だとヤクザものだとか……今は大人しいとの話があったはずだが……」

 

「だが違法薬物のルートを探ると証拠こそ見つからないが八斎會があった。そこで調べてみたんだが……先日雄英を襲撃した敵連合との接触があった」

 

『なんだって!?』

 

「奴らも独自のルートで接触を計ったのだろう……それでその時死柄木弔が君が校長に話したくれたアナザーライドウォッチを持っていたのを目撃した」

 

「なんだと……!?」

 

やはり敵連合にアナザーライドウォッチが行き渡っている?

 

誰の手によるものか知らないが……

 

「それて敵連合や八斎會を追い詰めるためにも……君たちに力を貸して欲しいんだ」

 

「私は構わない」

 

『僕も!』

 

「わかった……ならば君にこれを渡そう」

 

『これは……?』

 

「これは一時の仮免のようなものだ。無論責任は私が持つことになっている。アナザーライドウォッチを根絶するために私が雄英や警察と話し合って特別に発行させてもらった。勿論個性の使用やライドウォッチの使用も許可されている」

 

「っ!」

 

そんなものを……これが……サー・ナイトアイの僕への信頼……!

 

「やってくれるな?」

 

『ハイ!』

 

「よし、だが本来の目的も忘れてもらっちゃ困る。時間が空いた時はパトロールやヒーローについての説明だ。ミリオに教えてもらうといい」

 

「わかりました!さあ行こう!緑谷くん!」

 

「ハイ!」

 

そしてコスチュームに着替え、事務所を出て三分もすると

 

「ひったくりだー!」

 

「ヤヒャヒャ!この疾風の俺様に追いつけるものなど「smash!」グホベッ!?」

 

おばあちゃんから鞄をひったくっていた敵を気絶させると

 

「もう大丈夫!僕が来た!」

 

「あ、アイツウォズじゃん!」

 

「ウソッ!?体育祭優勝の!?」

 

そしてひったくりから取り返した鞄をおばあちゃんに渡すと

 

「はい。大丈夫でしたか?」

 

「ありがとね。若いのに礼儀正しいんだねぇ。応援しとるよ」

 

「っ!ハイ!」

 

この時近くにいた女子校生たちは

 

「うわっ!笑顔が超凛々しい……!」

 

「可愛いのにカッコいいなんて……マジで好きになっちゃいそう……」

 

「あっ!でもでも!緑谷くんって彼女が何人もいるらしいよ!?」

 

「ウソッ!?マジで!?」

 

「羨ましい……」

 

この間のデートを見られたのかな……変装したのに……

 

「こちらウォズ。ひったくり犯を捕まえました。これより警察に引き渡します」

 

「うむ。ご苦労だった。ではヴィランの名前や顔写真を送ってくれ」

 

「はい」

 

そして通形先輩に敵を警察に引き渡すのを任せると

 

「ねえねえ!写真一緒に撮ってくれませんか!?」

 

「え!?ええええ……!」

 

「ウォズくん!ファンの要望に答えるのもヒーローの務めさ!こっちは俺に任せてくれ!」

 

通形先輩が見事な笑顔で返してくれた。

 

そっ、それなら……

 

そして女子校生たちに囲まれて笑顔で写真に写る。

 

才子さんたちという彼女がいるのに落ち着かない!

 

クスクスと笑う声が横からしてくる。

 

それ以降その日は特に何もなく写真撮影やサインを求められて終わった。

 

初めてのヒーロー活動だけど……嬉しいィィィィィ!!

 

そんな出久を心の中から見るウォズは

 

『出久に……今、この事を伝えるべきなのか……どうしよう……』

 

ウォズが見る先には大量のメール着信がありその着信先は出久の彼女たちからであり文面は……ご想像にお任せします……

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クラストもファットガムと同じく大阪の事務所にしてあります。

あと個性は原作と違うのになるかもしれませんがすみません……

あとデート回はそのうち書きますので今はご勘弁を……


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祝え!我らが職場体験!2

「成る程……お前らが……雄英襲撃犯…その一団に俺も加われと」

 

「ああ、頼むよ。悪党の大先輩」

 

「……目的はなんだ」

 

「その答えはちょっと待ってくれないか。まだ同盟相手が来ていない」

 

「いいだろう……」

 

そしてその場に彼をここへ連れてきた黒い霧が再び現れると

 

「ここが……お前らのアジトか……」

 

「コイツが……成る程、敵連合はヤクザの大物までとコンタクトをとっていたと……」

 

「おいおい……なんでこんなところにヒーロー殺しがいるんだ?お前が連れてきたのか?死柄木弔」

 

「ああ、そうだよ。次の計画を達成させるためにも先生が必要だとか」

 

「先生だと……?誰だソイツは」

 

『僕だよ』

 

「っ!?」

 

『モニター越しで済まないね、ヒーロー殺し。僕の名はオールフォーワン。こんな体である以上自由に動けなくてね……無礼を許してほしい」

 

「なるほど……オールフォーワンか。とんでもないやつがバックにいたもんだ。無礼はいいが俺はコイツの答えをまだ聞けていない。お前らの目的はなんだ」

 

「前までなら……なにもかもぶっ壊したい……って思ってたが……今は違う。ヒーローが祭り上げられてる……個性によって全てが決まる……こんなクソみたいな社会をぶっ壊したいと思ってるよ」

 

「成る程……俺はこの社会を正したい……お前は全てを無に帰したいと……目的は違うようだがこの世界を変えたいという思いは同じようだな……お前がこの世界にどう出るのか……興味が湧いた。いいだろう。敵連合に入ってやる」

 

「感謝するぜ先輩」

 

「おいおい、俺を抜きに進めるな。まあそのヒーロー殺しが入ってくるのには文句はねえが……それで俺をここに呼んだ理由はなんだ?」

 

「……近々、ヒーローたちがお前のことを調べているそうだ」

 

「なに……?」

 

「それでお前の目的を成すためにも……先生はお前に協力したいそうだ」

 

「なるほど……わかった。協力には感謝する」

 

「ヒーロー殺し。アンタにも協力してもらう。別にアンタの邪魔をしようってわけじゃない。ただ」

 

「ただ?」

 

「協力して一緒に動いてもらいたいんだ。そうすることでお互いの目的を達成させるというわけだ」

 

「成る程……ヒーローの力を分断させるわけか……」

 

「そういうことだ。協力してくれるか?」

 

「……いいだろう」

 

「じゃた暫くは暴れないでくれ。それだけは約束してもらいたい」

 

「わかった……」

 

「じゃあ黒霧、計画の説明を頼む」

 

「わかりました」

 

・・・・

 

「よろしくお願いしまーす!」

 

「うむ!よく来てくれた!私がクラストだ!君のヒーローネームは?」

 

「はい!リアルスティールです!」

 

「本物の鉄……熱いじゃあないか!良いヒーローネームだな!」

 

「そう言ってもらえると嬉しいっす……!」

 

「うおおおおおっ!やはり君は熱い男だった!指名を入れて正解だったよ……!」

 

「クラストさん……!」

 

その場で熱く燃え上がるクラストたちを見たサイドキックたちは

 

(いつもより燃えてるなー……)

 

(いつまで続くんだろう……)

 

と近寄れずに外野から見守っていた。

 

・・・・

 

「轟……よろしく……」

 

「ああ、よろしく」

 

特に会話もないままその場を歩いていく轟と黒色。

 

 

「なあ……」

 

「なんだ?」

 

「緑谷たちって……どんな奴らなんだ?」

 

「…それはどういう意味だ?」

 

「思ったんだ。体育祭で緑谷たちと戦って、アイツらに助けられて……オールマイトに気にかけられるのも……わかる気がして……でもそれ以上に何か……アイツらにはあるんじゃないかって……なあ、教えてくれないか?アイツらと俺の違うところってのは」

 

「そうだな……俺はお前の境遇なんて知らないし、お前がどんな気持ちで育ってきてお前がそうなったかもわからない。だから本来他人がどうこう言うなんてもんじゃないが……アイツらは……それでも放っておけない奴らなんだ。そして俺に言えるのは、あの時のお前は……憎しみに囚われていて……目の前にあるものが見えないような顔をしていた。それだけはわかった。そして緑谷たちが気にかけて……お前をヒーローに戻した。だからお前と緑谷の違うところってのはヒーローがなんなんかを理解していた時期の違いなんじゃないか?」

 

「……」

 

「今のお前はあの時のお前じゃない。なにか吹っ切れたんだろ?ならお前と緑谷は全然違わない。お前もヒーローになれるさ」

 

「そうか……ありがとう」

 

「気にするな……俺も……緑谷のおかげで変われた仲間だからさ」

 

そしてエンデヴァー事務所に到着すると会話を辞めて中に入っていった。

 

「……よく来たな焦凍、それに黒色くん。君たちの活躍は体育祭を見てたよ。見事なものだった」

 

「……よろしく」

 

「……よろしくお願いします」

 

「……焦凍よ」

 

「……なんだ」

 

「ここはNo.2の事務所だ。お前にとって学べることもあるだろう…ここでの俺を……見ていてくれ」

 

「……わかった」

 

「…ああ、職場体験中は名前ではなくヒーローネームで呼ぶことになっている。君たちのヒーローネームは?」

 

「俺はショートだ」

 

「……ベンタブラックです」

 

「成る程……わかった。よし!俺がヒーローについてを教えてやる!まずはパトロールだ!ついてこい!二人とも!」

 

そう言って外へ出ていくエンデヴァーな目はあの時とは違うと思い始めた轟であった。

 

 




次回あたりでアンケートを終了させて印照さんのヒーローネームを発表させていただきます。


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閑話 祝え!ドキドキ初デート!

ちょっと休憩してデート回です。

時期は職場体験前です。

あとお気に入りが600超えてました!自分で言うのもなんですが……面白いですかね?


体育祭も終わって雄英は短い休日に入る。

 

旅行に行く者、ネットを漁る者、家族とゲームをしまくる者、それぞれが思い思いの時間を過ごすことだろう。

 

皆がなにをしているのかと思う中、交差点でサングラスをかけた僕は皆を待っていると

 

「おーい!」

 

「あっ、来た!」

 

才子さん、一佳ちゃん、唯ちゃん、レイ子ちゃん、麗日さんが僕の方へ来た。

 

「ど、どうかな……似合ってる……?」

 

一佳ちゃんの言葉に僕は皆をマジマジと見る。

 

才子さんは白のワンピースに一佳ちゃんは赤のフレアレースに白のスカート、唯ちゃんは白のシャツに青のショートパンツ、レイ子ちゃんは灰色のワンピース、麗日さんは緑のシャツに白のショートパンツだった。

 

「い、出久……?」

 

「はっ!ご、ごめん……皆がすごい可愛かったから……」

 

と何故だか謝ってしまった。が皆の顔がどんどん赤くなっていた。

 

そんな皆が可愛いくて伝染するように僕の顔も赤くなっていた。

 

ちなみに皆の心の中は

 

才子(い、出久さんが可愛いって……!!!!)

 

一佳(う、嬉しいけど……!こんなところで……!そんな大胆な……!)

 

唯(ん……!!!!!)

 

レイ子(カワイイカワイイカワイイカワイイ……!!!!)

 

お茶子(い、出久くん!そ、そんな直球に……!)

 

とそれぞれ違うが出久に対する想いは一緒だった。

 

「だ、大丈夫?」

 

「っ!はい……!だ、大丈夫ですわ」

 

「そ、そだね」

 

「ん……!」

 

「し、心配してくれてあ、ありがとう……」

 

「気にしんとって!」

 

そしてホッとしたのも束の間、皆がいきなりじゃんけんしだした。

 

僕はその様子に首を傾げていたがすぐにその答えがわかった。

 

じゃんけんに勝った才子さんと唯ちゃんが僕の両腕を絡めてきたからだ。

 

それに胸も押し付けている!うっ、嬉しいけどさ!は、恥ずかしィィィィィ!

 

他の3人が怪訝そうな目で見てくる。

 

「安心してください。時間が経ったら交代しますわ」

 

「ん……」

 

そんな言葉とは裏腹に才子さんは僕の右腕を胸の谷間に挟ませる。

 

ウワアアアア……!う、ウォズ!変わってくれ!僕には堪えられない!

 

『…………断る……そんなことをしたら私は彼女らに殺されてしまう』

 

は、薄情者!

 

顔が赤くなってアワアワしている僕とは反対に才子さんはニヤニヤした目で見てきて、唯ちゃんは無垢な目で見てくる。

 

ああああああ……!可愛いなあ!もう!

 

こうして僕のデートは始まった。

 

まずプラネタリウムに着くとここで隣が一佳ちゃんとレイ子ちゃんに変わる。

 

ここのプラネタリウムでは最近若者のデートスポットとして人気の場所なのだ。

 

そしてプラネタリウムが始まった。

 

今回のプラネタリウムは夏の星座だ。

 

七夕の織姫であること座のベガ、ひこ星であるわし座のアルタイルにはくちょう座のデネブは天の川をまたぐ夏の大三角として知られている。まあこの辺は有名だよね。

 

それじゃあここからは僕が星座の神話について話そうかな。ほとんどウォズから教えてもらったのだけれど……ウォズってこういう星の話に詳しいんだよね……

 

まず射手座、射手座はクロノス神の血を引く、半人半馬のケンタウロス族の賢者ケイロンによる神話だ。ケイロンは不死身の肉体と卓越した頭脳、優れた知識を持ち、弓の扱いも慣れているという人物だった。そしてギリシアの英雄たちにその知識を授けたというのでも有名だった。

 

そんなケイロンもヘルクレス族とケンタウルス族のいさかいに巻き込まれて毒の矢を受け、苦しみの中で不死の力をプロメテウスに渡して死んだのを大伸ゼウスによって空の射手座になったそうだった。

 

次は琴座だけれどもこれはちょっと悲しい神話なんだ。

 

琴座は琴の名手オルフェウスの持っていた琴だとされているんだ。

 

オルフェウスには美しいニンフの妻、エウリディケがいたのだがある日毒蛇に噛まれて死んでしまったんだ。

 

オルフェウスは諦めきれずに黄泉の国に行き、"妻を帰したまえ"と琴を奏でると冥土の神プルートンも心を動かされて、妻を帰すようにしたのだったが一つだけ条件があった。

 

"地上に出るまで決して振り返ってはならぬ"

 

と言われたが地上の光を見たオルフェウスは振り向いてしまい再び妻と別れてしまうのであった……

 

と長くなりそうなのでここまでにしようかな。

 

と話していたら皆泣いていた。

 

まあオルフェウスは自らの失敗のせいで妻と生きられなくなったんもね……

 

そしてプラネタリウムも終わると今度は麗日さんと唯ちゃんが腕を絡ませてきた。

 

次に来たのは遊園地だ。

 

まずジェットコースターに乗ろうとした時またもやじゃんけんが始まった。勝ったのは

 

「勝ちましたわ!」

 

「勝利……」

 

才子さんと唯ちゃんだ。

 

このジェットコースターは3列なので僕が真ん中に行き、レイ子ちゃんと才子さんは両隣に行く。

 

「出久さん、私こういうの初めてですので……いざという時は……お願いしますわよ?」

 

「ん……出久、私も……」

 

この様子を見た周りの男たちは

 

((((爆発しろ!))))

 

そしてジェットコースターが動き出して徐々に上っていく。

 

そして先頭が頂点に達すると

 

「うわあああああああ!!」

 

僕自身もジェットコースターは言うほど得意じゃない、が二人がいるのに変な格好は見せられない!

 

叫ぶが怖いという表情は見せずにまた折角なので正面にくる衝撃を僕は楽しんだ。

 

そしてジェットコースターが終わると

 

「はあっ……はあっ……中々にスリルがあるものでしたわね……」

 

「ん……!怖かった……」

 

そんな二人を心配しようとした時

 

「次は私……」

 

「才子大丈夫?でも交代ね」

 

レイ子ちゃんが右腕を一佳ちゃんが左腕を絡ませてきた。

 

そして向かった先は

 

「お化け屋敷……」

 

「うん!私一度彼氏と行ってみたかったんだ……!」

 

レイ子ちゃんが目を輝かせている。反対に一佳ちゃんはちょっと怖がっている。

 

正直僕も苦手だがレイ子ちゃんの期待に満ちた目を裏切れる筈もなく僕たちはお化け屋敷の中に入っていった。

 

ギイッとした音を鳴り、ビクッとしながらドアを開けて中に入る。

 

廃病院といった感じの内装で暗い廊下を歩いていると、霊安室と書かれた部屋からドンっと音がした。

 

そして中を覗いてみてると

 

「うおおおおおおっ!!!」

 

「うわあああああ!!!」

 

ガラス越しにグチャグチャ爛れた死体が動いてガラスに張り付いていた。

 

咄嗟に二人を守るように前に出ようとした時、一佳ちゃんが

 

「ダメ!離れないで!」

 

「ちょ!?来ないって!」

 

「ふふふ……楽しい……!」

 

こんな状況だからかレイ子ちゃんは笑っていて、そんな様子を見た死体の幽霊はポカーンとしていた。

 

そしてでてくると

 

「……大丈夫?」

 

「怖かった!?」

 

「……外まで叫び声が聞こえてましたわよ」

 

唯ちゃんと麗日さんは心配そうに見てくれた。才子さんは少々呆れた表情だったが……まあ絶叫していたからな……

 

そして昼ごはんの時間になったので

 

『私たちのお弁当……ちょっとずつ食ってくれない?』

 

皆がそれぞれの弁当を取り出してこちらを見つめてきた。

 

それを僕には断ることなんかできるわけがない。

 

皆の弁当をそれぞれ食った。

 

うん、美味い。

 

それぞれの弁当で一番美味しいものを挙げるなら

 

才子さんの弁当はナポリタン、一佳ちゃんの弁当は回鍋肉、唯ちゃんの弁当は唐揚げ、レイ子ちゃんの弁当はきんぴらの炒め物、麗日さんのは筑前煮だった。

 

そしてその後も遊園地を楽しんで夕方になると僕たちは観覧車に乗った。

 

「今日は楽しかったですね」

 

「そうだね」

 

「ん……!」

 

「ドキドキした……」

 

「そうやね!」

 

「出久さんはどうでしたか?」

 

そんなん決まってる。

 

「楽しかった。皆の普段見られないような姿も見れて……普段とは違う良さを体感できたから……だからね、僕、雄英に入ってよかった」

 

『うん?』

 

「だって……皆と出会えたから……かけがえのない皆と……」

 

「出久さん……!」

 

「もう……」

 

「ん……!」

 

「出久……」

 

「出久くん……」

 

そしてこの後それぞれとキスをして最高の日は終わった。




これにてアンケートを終了させていただきます!

ありがとうございました!

印照さんのヒーローネームはIQヒーローグレートジーニアスです!

他に投票してくれた方々には申し訳ないですが……まあ一番多いということで!


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祝え!我らが職場体験!3

「そういやさ!お互いのヒーローネーム聞いてなかったよね!」

 

通形先輩がふとそんなことを言ってきた。確かに……気になるな、先輩のヒーローネーム

 

「ウォズです」

 

「ウォズ!?それってもう一人の緑谷くんの?いいじゃないか!」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「俺はルミリオン!"全て(オール)"とまではいかないが"百万(ミリオン)"を救う人間になれるよう命名した!カッコいいだろ!コスチュームを着て外に出れば俺たちは"ヒーロー"だ!油断するなよ!ウォズくん!」

 

「ハイ!」

 

そして通形先輩、いやルミリオンの後についていこうとした時

 

ドンっ

 

あれ?

 

横を見ると6歳くらいの女の子が僕とぶつかったせいか倒れていた。

 

そしておびただしい量の包帯をその子は巻いていたのが目についた。

 

「ごめんね。痛かったよね」

 

「……あ」

 

「大丈夫?」

 

とその時

 

「ダメじゃないか。ヒーローに迷惑をかけちゃあ」

 

声の方を見てみるとそこには

 

「ウチの子が迷惑をかけてすみません……」

 

ウソだろ……

 

死穢八斎會よ若頭治崎がいた。

 

「遊び盛りでケガが多いんですよ。困ったものです」

 

『出久!顔に出すな!』

 

『はっ!?うん!』

 

ウォズの忠告で咄嗟に表情を作り変えた僕はそのまま相手の出方を見る。

 

そうか。お互いに何も知らない状況なんだ……上手く……やり過ごさないと……!

 

ルミリオンも気づいたのかこちらにやってきて

 

「こっちこそすみません!そのマスクは八斎會の方ですね!」

 

と通形でルミリオンと治崎が話しているのが終わろうとして僕はその場から離れようとした時

 

「いかな……いで……」

 

さっきの女の子が僕の裾を掴んできた。その目は僕に救けを求めているように見えた。

 

「あの……娘さん。怯えてますけど」

 

「叱りつけた後なので」

 

とルミリオンが

 

「行こう」

 

と言ってきたが僕の耳には入って来ずに僕が言葉を発そうとした時

 

『出久ダメだ!』

 

『ちょっ!ウォズ!?』

 

精神の主導権を強引に奪われた僕はそのまま意識の奥に沈んでいった。

 

・・・・

 

はっ!?

 

「意識が戻ったか」

 

「ナイトアイ……」

 

「ウォズから大体の事情は聞いている。貴様が余計な詮索をしようとしたこともな」

 

「でも……僕は……」

 

「傲慢な考えをするんじゃない」

 

「……そんな…」

 

「貴様のその気持ちはヒーローとしては大事だ。だがそれをできるかどうかはその者の力次第だ。志だけで救けられる程貴様は特別じゃない」

 

「……はい…」

 

こうした僕の初日の職場体験は終了した。

 

・・・・

 

一方その頃大阪

 

「リアルスティールよ!今日は貴様にパトロールでヒーローとしての基本活動を体験してもらうぞ!」

 

「うっす!」

 

鉄哲はクラストの元で午前は体術などの戦闘訓練をして夕方から頻繁になる犯罪の取り締まるためのパトロールをしていたのだった。

 

とその時

 

「おおっ!クラストやないか!」

 

「ファットガムよ!久しぶりだな!それに天喰くんじゃないか!」

 

ファットガムとインターン先の天喰環とたまたま遭遇したクラストと鉄哲たわいもない話をしていた時

 

「ケンカだあ!!誰かア!!」

 

「噂をすれば!!」

 

前からヤクザ達が走ってきてバラけようとした時にファットガムによってヤクザを数人体に沈ませて捕まえる。

 

とファットガムが捕まえ損なったヤクザを天喰がタコに変化させた腕で捕まえてアサリに変化させたもう片方の腕を頭に打ち付け気絶させる。

 

天喰の個性は『再現』食ったものの特徴を再現できる。

 

と一瞬でヤクザ達を捕まえたのを見ていた鉄哲は

 

「すげえ……!」

 

野次馬の中に異様な雰囲気の男がいて鉄砲を構えているのを見たファットガムは

 

「あかん!伏せ」

 

とその時天喰が撃たれた。

 

「天喰先輩!」

 

鉄哲が叫ぶと同時に

 

「兄貴逃げろぉ!」

 

再び発砲するが

 

ガキィン!

 

「ぐっ……!」

 

「リアルスティール!よくやった!」

 

鉄哲の鋼化した身体に弾かれ、

 

「リアルスティールよ!ついてこい!奴を捕らえるぞ!」

 

「はい!」

 

そしてクラストとともに男を追う鉄哲。

 

「来んなあ!追わんといてや!」

 

「そっちが逃げんな!せめてなぁ!!仲間助ける姿勢貫けよ!」

 

「どこにキレとんねん!」

 

「リアルスティールの言う通りだ!貴様!それでも漢かあ!」

 

なぜか同調するクラスト。

 

そして行き止まりに差し掛かったところで男は腕から刃を出して斬りかかろうとするが

 

「むぅん!」

 

不可視の壁に阻まれて刃が折れる

 

「なっ!?」

 

「オラァ!」

 

そして鉄哲に殴られて倒れる男。

 

「加減はした!大人しく捕まれや!テッポー野郎」

 

「ううううう……!誰が捕まるかあ!!」

 

「なにっ!?」

 

そして男の体からさっきまでとは比べものにならないほどの刃が飛び出る。

 

個性をブーストさせる薬。それを男は打ったのだ。

 

刃に対してクラストは何重もの壁を張ったが決め手がない。

 

全員が逃げ終わったのを見た鉄哲は

 

「クラストさん!ここは自分に任せてください!」

 

「なっ!?……わかった!ただし無茶はするな!」

 

「はい!」

 

そして壁を解除すると刃が鉄哲に向かってきたが体に当たった瞬間、刃は折れた。

 

「イテェェェ!!!」

 

(緑谷との特訓で伸ばした……現時点での俺の最高硬度!)

 

そして鉄哲はいつもよりもガチガチに刺々しくなっており体のラインはギザギザになっている。

 

「リアルスティール!アイアンメタリカ!」

 

そして男に向かって走る鉄哲。

 

「俺を見ろぉ!!」

 

「押し潰したるわあ!」

 

男も刃を一極集中させるも刃は鉄哲の身体を傷つけることなく折れていく。

 

そして

 

「必殺!アイアンナックル!」

 

鉄哲の一撃で男は倒れた。

 

「すげえ……!」

 

いつの間にか戻ってきた野次馬たちがそんな声を漏らす。

 

「リアルスティールよ!よくやった!俺だけでは倒せなかった!ありがとう!」

 

「いえいえそんな……」

 

鉄哲は謙遜するもどこか嬉しそうだった

 




本作でのクラストの個性

"結晶化"

自分自身や触れたものを高純度な結晶に変える。例えそれが空気だろうと!ただし空気を結晶に変える時個性の有効範囲は自分から5m内


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祝え!我らが職場体験!4

「職場体験もあと4日か……」

 

僕は携帯を見ながらそう呟く。確かに職場体験は4日だが僕にはアナザーライダー対策として職場体験後も出動要請がかけられることとなっている。

 

ふとあの子のことを思い出してしまう。あの時救けを求めていたあの子のことを……

 

そして携帯をしまうと筋トレを始める。

 

筋トレでは正しいフォームを理解することが重要なのだ。

 

鏡で自分の姿勢を見ながらダンベルを持った手を動かして三十分ぐらい経つと

 

「電話……」

 

机に置いていた携帯が鳴った。

 

僕はダンベルを置いて携帯をのボタンをタップすると

 

「はい緑谷です」

 

「サーだ。これから緊急会議を開く。すぐ集まってくれ」

 

「っ!はい!」

 

そして指定された会場に行くとそこにはリューキュウやクラスト、ファットガムやロックロックなどの面子も集まっていたが、見知った顔を見て

 

「鉄哲くん!?」

 

「おう!緑谷じゃねえか!」

 

「なんでここに……」

 

「それがよ。クラストさんについてこいって言われてさ。重要案件なんだと」

 

と鉄哲くんと話していると

 

「出久さん」

 

「あっ!?才子さん!それに一佳ちゃんに麗日さんも!?それに……グラントリノに相澤先生まで!?」

 

とよく見てみると才子さんの体験先のウワバミさんと波動先輩の紹介でリューキュウの元に職場体験に行った麗日さんにグラントリノ、相澤先生、雄英のビッグ3も揃っていた。

 

「こんなに大勢…すごいぞ……!一体何を…」

 

『恐らく八斎會のことだと思うが……』

 

『そうか!それぞれに協力要請を……!』

 

ナイトアイはそれぞれに情報を提供してもらっていたようで情報の共有ととも協議を行うようだった。

 

そこから話された内容はナイトアイ事務所が死穢八斎會を調べていたことから始まり、クラストたちが手に入れた個性を壊すクスリ。鉄哲が弾いたおかげで手に入った中身の入った一発の弾丸。その中身から出てきた人の血や細胞。八斎會が違法薬物の中間売買組織との繋がり。若頭治崎の破壊と修復を可能にする個性"オーバーホール"に、決定的ともいえるおびただしい包帯を巻いた少女。

 

そこから繋がった真相はー

 

「まさか……そんなおぞましいこと……」

 

「超人社会だ。やろうと思えば誰でもできちまう」

 

「な、なんの話をしてるんすか……?」

 

鉄哲がわかってないのを見たロックロックが

 

「やっぱガキ要らねーんじゃねえのか?わかれよな。つまり娘の身体を銃弾にきて捌いてんじゃね?って事だ」

 

そしてヒーローたちが話をしている中出久とウォズは

 

『何が……最高のヒーローだ……!』

 

『出久よ、自分を責めるな!あの場で先のことを考えて止めた私の責任だ!私は理論的なことだけを考えて……あの少女を見捨てた!罪があるのは私の方だ!』

 

『ウォズ……でも……!!』

 

『今、悔やんでも仕方ない!私たちがやるべきことは……彼女を……アイツから救けることだ!』

 

『ウォズ……うん!』

 

そして会議が終わると鉄哲くんたちとあの時のことを話すと

 

「悔しいな……!」

 

「出久さん……」

 

「出久……」

 

「出久くん……」

 

とその時相澤先生が来て

 

「先生……」

 

「あ、学外ではイレイザーヘッドで通せ。イヤァしかし……今日は君たちの職場体験変更を提言する予定だったんがなあ……」

 

「え!?なんでですか!?」

 

「連合に繋がるかもしれない。それにな。これを職場体験でやるには早すぎる。だがアナザーライダーに繋がるかもしれない。緑谷はともかく鉄哲、印照、拳藤、麗日、お前らを危険に合わせるわけにはいかないんだよ……」

 

「…………」

 

「ただな……あんなことを聞いたからには君たちの性格上、飛び出してしまうかもしれない、と思った。だから一応聞いておく。お前らは自分の意思でここにいるわけじゃない。どうする?」

 

「先っ……イレイザーヘッド!あんなこと聞いて……無視できません!」

 

「イレイザーヘッドが止めないなら……私たちもお供させてもらえないでしょうか」

 

「私も!小さな子を傷つけるなんて許せない!」

 

「おうよ!イレイザー先生!俺も放っておけないぜ!俺たちの力がその子を救けるためになるなら……協力させてくれ!」

 

「……わかった。だが無茶はせずヒーローの指示に従え。これは正真正銘の命がけの任務だ。本来ならお前たちが出ていいステージじゃないんだ」

 

『ハイ!』

 

そして次の日ナイトアイが八斎會の組員を予知した結果、少女を拉致監禁している事実を突き止めて明日決行することになった。

 

一方その頃

 

「これを……」

 

「これは……」

 

黒霧がポケットから取り出したものを机に置く。

 

「先生からの差し入れだ。存分に使え」

 

「……わかった」

 

机に置かれた黒い時計のようなものを手に取る治崎。

 

そしてボタンを押す

 

<……ディケイド……>

 

 

 

 

 



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救え!我らが救出作戦!

ナイトアイたちが八斎會に乗り込もうと画策する頃

 

「んじゃあヒーロー殺し……アンタは保須で暴れてくれ。勿論邪魔されないように脳無を投入しとくからよ」

 

「……わかった。感謝する」

 

「んじゃあ行くぜ……」

 

<……ビルド……>

 

<……エグゼイド……>

 

<……ドライブ……>

 

そして一方保須に出張していたエンデヴァーたち。

 

「いいか!焦凍!パトロールで重要なのは」

 

ドガァン!

 

「む!?行くぞ!焦凍!」

 

エンデヴァーたちが向かった先には

 

「天哉くーん!」

 

「焦凍……?」

 

そこにいたのは飯田を呼ぶプロヒーローのマニュアル。

 

「焦凍!どこに行く!焦凍ぉ!」

 

「友達が……ピンチかもしれねえ!そっちは任せた!」

 

「ベンタブラックまで!どこに行った!?」

 

エンデヴァーたちは保須で暴れた脳無たちを撃退しようとしてる中、

 

「令状読み上げたらダーって行くんで!よろしくお願いします」

 

そしてチャイムを鳴らす警官。だが

 

「なんなんですかあ」

 

扉を壊して突然現れた大男が拳を振るい何人かが吹き飛ばされる。

 

それをイレイザーヘッドと出久が救ける。

 

「離れて!」

 

再び拳を振るおうとした敵の拳をリューキュウが龍になって受け止めた。

 

「彼はリューキュウ事務所で対応します。皆は引き続き仕事を」

 

そして才子や拳藤、麗日、波動たちはその場のサポートに回ってウワバミは探索のために屋敷に向かって行った。

 

「なんかもうわからん!行って行って!」

 

ファットガムの合図で突っ込む捜査員や警官、プロヒーローたち。

 

中に入るが組員たちが総出で妨害してきた。

 

が怯むことなく突っ走っていく出久たち。

 

屋敷に入るとナイトアイが隠し扉を開けると同時にそこから飛び出してくる組員。それをセンチピーダーとバブルガールが捕まえて地下に降りて、ナイトアイの誘導通りに走っていくが

 

「行き止まりじゃねえか!」

 

「どういうことだ!?ナイトアイ!」

 

「俺見てきます!」

 

ルミリオンが壁をすり抜けて中を見ると

 

「壁で塞いであるだけです!」

 

「治崎の『分解』して『治す』ならこういう事も可能か」

 

「小細工をー……」

 

「来られたら困るって言ってるようなもんだ!」

 

「そだな!」

 

「妨害できるつもりならめでてーな!」

 

(ワンフォーオール……フルカウル……!)

 

「TITAN SMASH!」

 

「アイアンナックル!」

 

出久と鉄哲の一撃で壁は砕け散ったが

 

「待て!これは!?」

 

天井や床、通路そのものが動き出した

 

「治崎じゃねえ!逸脱している!考えられるとしたら……本部長入中!」

 

入中は薬で個性をブーストさせて地下のコンクリそのものを操っていたのだ。

 

「モノに入り自由自在に操れる"個性"……『擬態』!」

 

「何に化けとるか注意したったが……まさかの『地下』……!イレイザー消されへんか!?」

 

「本体が見えないとどうにもー……」

 

周りが困惑する中で出久とルミリオンは

 

<ゴースト!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。開眼!レッツゴー!覚悟!?フューチャーリングゴースト!ゴースト!>

 

「先に向かってます!」

 

「僕も!」

 

そしてそのままその場から消えるルミリオンたち

 

・・・・

 

僕たちが先に行ってから二分。

 

「すいませんね……やっぱ少し話聞かせてもらっていいですか?」

 

「あの時の……事情がわかったらヒーロー面か。学生さんよ。この子にとってお前らはヒーローじゃない」

 

「……だから来た」

 

とその時ルミリオンの足がおぼつくと

 

『出久上だ!』

 

<ジカンデスピア!>

 

僕は咄嗟にウォズの言う通り上にいた八斎會の組員を叩き落とした。

 

「なにっ!?」

 

一方先輩の方ももう一人を倒すと地面に潜ってワープして蹴りが少女に当たるかもと思われたが少女に当たる寸前ですり抜けて若頭補佐に当たる直前で解除させ蹴り飛ばすとエリちゃんが空中に飛ばされて

 

「治崎!」

 

治崎を殴り飛ばしてエリちゃんを保護した。

 

「ダメだよ……なんで来たの……!あの人に殺されちゃう!」

 

「大丈夫!俺が君のヒーローになる!」

 

そして治崎が少女、エリちゃんを精神的に追い詰めるような言動をいうと同時に地面を分解させ突起状の塊にしてエリちゃんもろとも先輩を貫こうとした。

 

「今の修復で逃げ道は塞いだ。後は……」

 

え!?あれって……

 

『やっぱり持っていたか!』

 

<……ディケイド……>

 

更にルミリオンの攻撃を受けたはずの若頭補佐も

 

<……リュウガ……>

 

そしてアナザーライドウォッチを入れると

 

「「うああああ……!!」」

 

<……ディケイド……!>

 

<……リュウガ……!>

 

アナザーディケイドとアナザーリュウガが現れた。

 

「先輩!ここはエリちゃんの保護が最優先!逃げますよ!」

 

「わかった!」

 

僕の力ならコンクリを破壊できる!そう思った時

 

「させると思ってんのか?」

 

とその時ルミリオンたちめがけてアナザーリュウガの炎弾が放たれたので咄嗟に前に出て塞いだが

 

「今でやす」

 

「なっ!?しまった!」

 

ディメンジョンオーラに巻き込まれて僕は別の場所に転移させられた。

 

目を開けるとそこは

 

「脳無!?ここは……!?」

 

『考えるのは後だ!まずはあれを片付けるぞ!』

 

『う、うん……』

 

<ワクセイ!>

 

<アクション!>

 

<投影!ファイナリータイム。水金地火木土天海!宇宙にゃこんなにあるんかーい!ワクワク!ワクセイ!ギーンガ!ワクセイ!>

 

そして操作したエナジープラネットをぶつけると脳無たちは動かなくなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思われたが

 

<……ビルド……!>

 

<……エグゼイド……!>

 

<……ドライブ……!>

 

「なんだって!?アナザーライダー!?」

 

「む!?君は……ウォズか!?どうしてここに!?」

 

「説明は後です!アイツを片付けないと!」

 

「わかった!核灼熱拳!ジェットバーン!」

 

エンデヴァーがとてつない熱量を込めた一撃をアナザービルドに放つが

 

「うああああ……」

 

「効いてないだと!?」

 

そしてアナザードライブが重加速を発動させ、周りにいたヒーローたちの動きを遅くし、吹き飛ばしていくが

 

『出久よ!解除しろ!』

 

『う、うん!』

 

ウォズに言われた通りにやると重加速は解除された。

 

『一気に決めるぞ!出久!』

 

『わかった!』

 

<ファイナリービヨンドザタイム!>

 

<水金地火木土天海!エクスプロージョン!>

 

そして上空から星の雨を降り注がせてアナザーライダーたちを撃破した。

 

「俺たちが苦戦した相手を……!」

 

「なんてやつだ……!」

 

ヒーローたちがざわめく中でエンデヴァーは

 

「よくやってくれたな……ウォズよ。さて…君はなぜここにいるのか」

 

「そうだ!早く戻らないと!」

 

「緑谷!」

 

「わ!?」

 

黒色くんが建物の影の中から急に現れた。

 

「ベンタブラック!今までどこに行っていたんだ!」

 

「お説教なら後にしてください!轟が……ヒーロー殺しと戦闘中です!」

 

「なんだと!?それは本当か!」

 

「はい!緑谷も来てくれ!このままだと飯田と轟が危ねえ!」

 

「でも……!」

 

『出久よ……』

 

・・・・

 

「この本には……この時、出久に最大の選択肢が迫られていたと書いてある。次は……おっと。ここから先は未来の話でしたね。それではそれでは」

 

 

 

 



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選べ!運命の選択!

出久が保須に飛ばされる数分前

 

飯田はヒーロー殺しと相対していた。

 

「おまえも……おまえの兄も弱い。偽物だからだ」

 

「黙れ……!兄は……もうヒーロー活動は敵わないそうだ……!兄さんは……多くの人を導いてきた……立派なヒーローなんだ!おまえが潰していいわけがないんだ!殺してやる!」

 

「アイツをまず救けろよ」

 

ヒーロー殺しの言葉にハッとなる飯田。今の彼は誰の目にもヒーローには見えなかった。

 

「自らを顧みず他を救いだせ。私欲に捉われるなど……ヒーローから最も離れた行為だ……だから……死ぬんだ」

 

そしてヒーロー殺しの個性で動けなくなった飯田に刃が降ろされようとした時

 

「むっ!?」

 

「飯田……救けにきたぞ」

 

(こいつ……!雄英体育祭のー!)

 

「轟くん……!なんでだ……君には関係ないだろ!」

 

「関係あるさ。ヒーローが人を救けるのに理由なんて要らねえ。それより動けるか?」

 

「身体が……動かない……!恐らくヒーロー殺しの個性……!」

 

(ちいっ!二人を抱えて逃げるには無理そうだな……)

 

ヒーロー殺しは轟の方をジッと見ると

 

「仲間が……救けに来た。良いセリフじゃないか。だが俺にはコイツらを殺す義務がある。ぶつかりあえば当然、弱い方が淘汰されるわけだが……さあどうする」

 

轟はそのチンピラとは格が違う殺人者の視線にゾッとしたが怯まずに体勢を整えて一瞬で氷壁をネイティブと飯田の後ろに出すと炎のパンチをヒーロー殺しに当てようとした。しかしヒーロー殺しも信じられない素早さで避けるが轟の狙いはそこではなかった。

 

溶けた氷壁の水に流されてネイティブと飯田は轟の後ろに移動させられた。

 

「はぁ……大雑把だが……良い!」

 

とヒーロー殺しは空中でナイフを投げるが轟は氷壁を作り出してナイフを防ぐが氷壁にナイフが当たると氷壁は崩れた。

 

「ちっ!?どんな威力したんだ!?」

 

が驚いたその一瞬で轟に近づいたヒーロー殺しがナイフを振るい轟は咄嗟に後ろに跳ぶが掠ってしまい、そのナイフを舐めると

 

(うぐっ……!掠っただけで……まさか血……!?)

 

「良い動きだ……それに、人命を優先する姿勢……判断力……口先だけの人間はいくらでもいるが……おまえは生かす価値がある……コイツらとは違う……」

 

「……っ!勝手に決めんな!ソイツは俺たちの仲間だ!いつも皆のことを思って……導いてくれるやつなんだ!」

 

「轟くん……!」

 

「はぁ……時間稼ぎ……良い……!だがそれならコイツはヒーローになるべきじゃなかったな」

 

(ちくしょう……!俺は……友達の一人も守れねえのか!)

 

「間に合えええ!!」

 

「なにっ!?」

 

とその時、ヒーロー(仮面ライダー)が現れた。

 

・・・・

 

数分前、

 

「緑谷!早く来てくれ!」

 

「……なにかの任務中なのか?」

 

「はい……僕たちが救けないといけない子がいるんだ……僕は……どうすれば!」

 

「緑谷……」

 

「なら俺が力を貸そうか?」

 

「なっ!?貴方は……!」

 

『門矢士!?』

 

その場に突然現れたオーロラから現れたその人に警戒するヒーローたち。

 

「貴様は何者だ……?」

 

「そんなこと言ってる場合か?おまえはどうしたい?」

 

「それは……?」

 

「友達をとるか。少女をとるか。どっちを選ぶ?」

 

「なんで知ってるんですか!?」

 

「いいから答えろ。どっちをとる?」

 

「僕は……救けたい!両方!救けたい!」

 

「……そうか。ならこうしよう」

 

そう言うと士さんがポケットから取り出したものは

 

『ぷ、プリン!?』

 

ふざけているのかと思った時

 

『テテテテテテーン!』

 

と突如電車が空から現れて

 

「おっ!俺のプリンじゃねえか!おまえ勝手に!」

 

「さあ乗れ」

 

夢とも思えるような状況にポカーンとしていると

 

『そうか……そういうことか!』

 

『え!?ウォズどういうこと!?』

 

『このデンライナーは時空を超える列車……つまりこれで過去に行き、緑谷出久を二人に増やすというわけか!』

 

『え!?そんなこと出来るの!?』

 

『時間を超えれば可能だ……これなら両方を救けられるぞ!』

 

「さあ早く乗れ。置いて行っちまうぞ」

 

「はい!」

 

そして僕がデンライナーに乗り込むと

 

「ウォズくん……」

 

「エンデヴァー……」

 

「こんなこと言えた義理じゃないが……頼んだぞ」

 

「っ!はい!」

 

・・・・

 

「こうして緑谷出久はデンライナーで過去に行き、別の時間軸から来たことにより緑谷出久が二人存在するという事実を作り過去の緑谷出久を説得してそれぞれが対応するのであった。おっと、ここから先は未来の話でしたね。それではそれでは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヒーロー大戦で海東がデンライナーを呼ぶ時にとった方法で士もモモタロスたちを呼びました。


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戦え!二人の出久!

「間に合えええ!」

 

(コイツ……!そうか!コイツがウォズか!)

 

「緑谷……!」

 

と僕が飛び込んだ時、影に潜んでいた黒色くんが飯田くんと轟くん、ネイティブさんの裾を引っ張ってその場から立ち去った。

 

「なっ!?待て!ソイツら「行かせないぞ!ヒーロー殺し!」ぬうっ!」

 

僕は咄嗟にヒーロー殺しの前に出た。ちなみに僕は未来の方の出久だ。

 

「次から次へと……今日は邪魔が入る……!」

 

「ヒーロー殺し!僕が相手だ!」

 

<シノビ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム。誰じゃ!?俺じゃ!?忍者!フューチャーリングシノビ!シノビ!>

 

「ウォズか……貴様はこっちを選択したか……まああれは確かに意地の悪い選択肢だが……」

 

ヒーロー殺しがこちらを見てくる。

 

「貴様とは一度話をしたかった。テレビで言ったあの言葉……俺には理解できた。貴様もわかってるはずだ。この世界には偽物のヒーローがいると。誰かが正さなければならないんだ」

 

その言葉にウォズは

 

『…………出久よ、変わってくれないだろうか』

 

『……わかった』

 

「君はかつての私を見ているようだ……他人のことを考えずに自分の理想や価値観を押し付け……その人物の気持ちを蔑ろにする……」

 

「ふむ……確かにそうかもしれないな。だが間違った世の中を正すには犠牲が必要だ。それはおまえにもわかるはずだ」

 

「価値観や考えで誰かを傷つけていいわけがない!君はヒーローを目指したんじゃないのか!?君はヒーローとは最もかけ離れた行為をしてるにならないんだぞ!?」

 

「確かに……だが俺は自らの理想のためにヒーローを捨てた。そしておまえは……良い!おまえこそが真のヒーローだ!」

 

「何を言ってもダメか……」

 

一方その頃死穢八斎會では

 

ブゥン……!

 

「ウォズ!なんでここに!?」

 

「話は後です!今は!」

 

「ここは俺に任せろ」

 

<カメンライド、ゴースト!>

 

<レッツゴー!覚悟!ゴ、ゴ、ゴ、ゴースト!>

 

一方過去の方の僕は士さんのディメンジョンオーラでナイトアイの元まで来て、

 

「あそこか……」

 

そして士さんは霊体化で壁をすり抜けると

 

「なっ!?ぐほわっ!」

 

本部長入中を倒すとコンクリの道を壊していき、

 

「先輩!」

 

「ミリオ!」

 

「ウォズくん……!サー……!」

 

ボロボロになりながらもエリちゃんを守っていたルミリオンとアナザーディケイド、アナザーリュウガがいた。

 

と相澤先生が治崎を見たがそんなこと御構い無しとばかりに地形変化をしてきた。

 

「個性を消せない!?」

 

「イレイザーヘッドでも!?」

 

『出久よ!アナザーライダーになった者に……直接的な個性は意味がないようだ!』

 

『成る程……ダメージがなかったのはそういうことか!』

 

とアナザーリュウガが来たが

 

「コイツは俺に任せろ」

 

「わかりました!」

 

そしてアナザーリュウガと相対したディケイドは

 

「龍には龍だ」

 

<カメンライド、龍騎!>

 

龍騎に変身するとアナザーリュウガに向かって斬りかかっていった。

 

そして僕は

 

<ギンガ!>

 

<アクション!>

 

<投影!ファイナリータイム。ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー!ウォズ!ギンガファイナリー!ファイナリー!>

 

飛んでくる突起状の地面をエナジープラネットの力で無効化させ、アナザーディケイドにエナジープラネットを破壊光線として叩きつけると

 

「ぐほわっ……!グゥゥゥ……!」

 

「僕がコイツの相手をしてるうちに!ナイトアイとイレイザーヘッドはエリちゃんを!」

 

「させるか!」

 

なっ!?

 

とディメンジョンオーラに警戒して後ろに跳んだらそこからライダーたちが現れた。

 

『アナザーディケイドはダークライダーを呼び出す力があるんだ!気をつけろ!』

 

ウォズによると……仮面ライダーレイに仮面ライダーダークキバ!

 

レイの冷気によって出口が氷に閉ざされてしまい

 

「グワアァァア!!」

 

「ロックロック!」

 

ダークキバの結界にロックロックが捕らわれてしまった。

 

『ウォズ!あれやるよ!』

 

『わかった!』

 

((精神同調……スピリットドライブ!))

 

ウォズと精神を同調させると

 

一気に接近してレイを左ストレートで殴り飛ばしてその勢いのまま右足でダークキバを蹴り飛ばした。

 

がその時

 

「全て無駄だ!」

 

『避けろ!』

 

ウォズと同調していたおかげで突起が来るのを予測していた場所に対して反応することができた。

 

「こんな奴らに俺の計画を……台無しにされてたまるか!」

 

そしてレイとダークキバに治崎が触れると

 

なっ……!自分とライダーたちを破壊して……融合させた……!!!

 

「さあ……壊理を返してもらおうか」

 

 

 

 



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硬く!もっと硬く!漢気を!

短めです。


出久が八斎會に戻ってくる数分前。

 

サンイーターが窃野たちを相手にしていた頃、ナイトアイたちは地下道を進んでいたが

 

「ぐっ!」

 

突如壁が手の形に変化してイレイザーヘッドを隣の部屋に突き落とそうとしたが

 

「イレイザー!」

 

「ファット……!」

 

ファットガムがイレイザーヘッドを突き飛ばして代わりに部屋に突き落とされる。

 

そして移動させられた暗い部屋でファットガムが立ち上がろうとした時

 

「雛か!何しとん!」

 

鉄哲はファットと同時に飛び出してファットに沈んでしまっていたのだった。

 

そして暗闇から男の姿が見えると

 

(拳!砕けても知らねえぞ!)

 

鉄哲はアイアンメタリカになって構えるが男はとてつもない連打を放ってきて、鉄哲の身体はヒビ割れて吹き飛ばされた。

 

そしてファットガムが右ストレートを放とうとするが突如現れた壁に阻まれて攻撃が通らなかった。

 

「我々は矛と盾、対してあっちは盾と盾。もっとも……そっちの少年は……盾と呼ぶにも半端なようだが……」

 

そして攻撃を受けた鉄哲には激痛が走り

 

(痛え……!受けきれなかった……!もう一回連打来たら……受けられねえ……!強くなれた気でいた……!俺はー……!)

 

「アイアンメタリカ解くなや!心まで折れたら!ホンマの負けや!」

 

ファットガムの叫びによってアイアンメタリカの状態でいつづける鉄哲。

 

しかし痛みと恐怖のせいでその場から動けない鉄哲を置いて乱波はファットガムに連打を浴びせる。

 

だがファットガムは乱波の衝撃を蓄積していって放とうとするが攻撃のタメが作れなかった。そして乱波の連打がファットガムに襲いかかろうとした時、

 

「何!?」

 

鉄哲がファットガムの前で立ち塞がり連打を受け止める。

 

(耐えた!?さっきは軽く吹っ飛んだはず)

 

乱波はどこか嬉しそうな表情で連打を続ける。

 

(割れたそばから固めてけ!)

 

鉄哲はヒビ割れた身体の部分を硬化していき、攻撃に耐え続ける。

 

「お前!いいな!」

 

「ああああああああああ!!!!」

 

そして鉄哲の拳が乱波に当たる寸前で天蓋がバリアを発動させた。

 

「我が防壁の前に成すすべなく……倒れるだけだ」

 

天蓋がそう言い放つが

 

「無意味やないで。おおきに!ええ矛になったわ!」

 

そしてとてつもないエネルギーがファットガムの右腕にチャージされていき

 

「天蓋バリア解けえ!」

 

「無意味どころか……!このための特攻だったのか!」

 

(違えよ……俺はただ怖かったんだ……死ぬことも……敵も……でもそれ以上に誰かが死んで後悔する方が怖かった!失うことが怖かった!だから俺は悔いなく生きると決めたんだ!仮面ライダーみたいに……!)

 

「敗因一つや!甘く見とった!俺も!お前らも!」

 

「最大最硬防!」

 

「無駄だ……割られる」

 

「リアルスティールっちゅうヒーローの!漢気を!」

 

そして矛盾対決は鉄哲たちが制した。

 

 

 

 



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超えろ!精神の極致!

時は戻りー

 

「さあ……壊理を返してもらおうか」

 

そして六本腕になった治崎は自身の手で地面に触れて、レイの腕で氷塊を作り、触れると分解させてトゲに形を変えて僕に襲わせたがー

 

「なにっ!?」

 

僕は前方からの攻撃を右、左へと躱し続けて下から来た攻撃に対して僕はジャンプして

 

「smash!」

 

そして下からの攻撃をsmashで吹き飛ばすと破片となりボロボロになったが空中に飛んだ僕を格好の標的と思ったのか治崎はさらに下の地面からトゲを出してきたが

 

「Pegasus smash!」

 

さらに前回りに回って右足でトゲを破壊した。

 

出久の抵抗に対して治崎は

 

(コイツ強いー……だが!)

 

再び氷塊を作ると分解させ、トゲにして囲むように壊理を守っていた警官たちを襲わせた。

 

なっ!?しまった!

 

咄嗟にクラストさんが結晶で盾を作るがもう片方は防げずに警官とナイトアイが巻き込まれた。

 

「ぐはっ……!」

 

「ナイトアイ!」

 

「他を気にしてる場合か?」

 

『出久前だ!』

 

ウォズが反応するも虚しく動揺したことで同調が途切れてしまいダークキバの結界をまともに喰らってしまった。

 

「グワアァァア……!!!」

 

「ウォズくん!」

 

エナジープラネットの力で強引に脱出したが疲労が溜まっていた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「ああ……そうやってルミリオンにも粘られた。諦めきれない人間の力は底がしれない。お前のせいでまた死ぬぞ!!これが望みなのか!!?壊理!!」

 

コイツなにをー!

 

「望んでない……!」

 

「エリちゃん!?来ちゃダメだ!!」

 

「戻る……その代わり……皆を……元通りにして!」

 

「ああ、そうだよな。他人が傷付くより……自分が傷ついた方が楽だもんな。わかるか?お前は……求められてない」

 

っ!それでもー

 

「余計なお世話だとしてもー!君は泣いてるじゃないか!君を救ける!誰も死なせない!」

 

サー・ナイトアイは

 

(緑谷……!)

 

とその時

 

「ドンピシャ!」

 

天井か崩れてリューキュウたちが落ちてきた。

 

少し前ー

 

「よしっ!少し出遅れたけど私たちも行くよ!」

 

リューキュウたちによって拘束された活瓶力也

 

だったが……ブースト薬によって触れることで力を吸い取る個性を呼吸するだけで吸い取る個性にパワーアップして、リューキュウや警官たちの活力を吸い取った。

 

そして今ー

 

リューキュウによって警官たちが守られて波動ねじれが応戦していた。

 

と意識が朦朧とする中でグレートジーニアスが

 

「出久さん……!リューキュウ!出久さんがあちらの十字路の真下で応戦中!応援が必要な状況です!」

 

「っ……!ウラビティ!」

 

「浮かす!」

 

ウラビティが活瓶力也とリューキュウにかかっている重力をゼロにして

 

「グレートジーニアス!移動を!手伝って!」

 

「っハイ!」

 

そしてグレートジーニアスがサイコキネシスでリューキュウたちを空中に浮かせて

 

「ネジレ!あれったけを!私ごと!」

 

ネジレちゃんの波動で勢いをつけると

 

リューキュウもろとも地面を突き抜けて下に落ちていった。

 

「リューキュウ!三人とも!っ!ナイトアイたちの保護頼む!」

 

そしてエリちゃんと治崎の下から地面が上に出ようとしていたがルミリオンのマントをエリちゃんが掴んでいたのを見て僕は

 

「もう……離さないよ」

 

そしてマントと一緒にエリちゃんを抱くと

 

「っ!返せ!」

 

治崎が地面を操ってトゲを出してきたが

 

「っ!」

 

咄嗟に僕は蹴り返そうとしたがー

 

「なっ!?」

 

空中を……飛んでいる?

 

どういうことだ……!?

 

オールマイトのNew Hampshire smashみたいに……風圧で空中を高速移動したのか……?

 

出力を間違えたのか!?

 

じゃあつまり……足が!!

 

咄嗟に足を見てみたが折れていなかった。

 

そして治崎の方は

 

「オヤジの宿願を果たすために……お前がいるんだ壊理」

 

ポケットからアナザーライドウォッチを取り出すと

 

<……クウガ……>

 

活瓶力也にアナザーライドウォッチを入れてアナザーライダーにすると触れて自分に取り込んだ。

 

(身体が……熱い……!いや冷たい。100%を出していた……なのに!骨折していない!それどころか……ダメージも……無くなっている……)

 

「君の……力なの……?」

 

うぐっ……!今度は……!

 

『出久!この感覚は……!』

 

「力を制御できていないんだ。止め方が分からないんだろ!壊理!」

 

そしてアナザークウガも取り込んだ治崎はより歪な姿となっていた。

 

「人間を巻き戻す……それが壊理だ。触れる者全てが『無』へと巻き出される。呪われているんだよそいつの"個性"は。俺に渡せ!分解するしか止める術はない!」

 

「絶対……やだ。そっか……痛みよりも早く……折れる前に……足を"戻して"くれたんだね。とっても優しい"個性"じゃないか……なら!戻るより早く怪我をし続けたら!」

 

『ウォズ!あれ……やるよ!』

 

『まさか!いやそれは……!危険すぎる!だが……』

 

『アイツの反応速度を超えるためだ……!僕は……救けたい!』

 

『出久……やろう!』

 

それに同調して精神を融合し続けたら!

 

『『ワンフォーオールフルカウル……100%……精神同化……スピリットフュージョン……!』』

 

「壊理ちゃん……力を貸してくれるかい……」

 

 



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終われ!悪夢の一日!

スピリットフュージョンとフルカウルを発動させて治崎を睨む出久とウォズ。

 

「お前も壊理も……力の価値をわかっていない……"個性"は 伸ばすことで飛躍する。俺は研究を重ね"到達点"まで壊理の力を引き出すことに成功した」

 

そして治崎も家屋に無数の手を触れて分解させると

 

「結果……単に肉体を巻き戻すだけに留まらず……種としての流れ……変異が起きる前の『形』へと巻き戻す。壊理にはそんな力が備わっている。個性で成り立つこの世界を!理を壊すのが壊理だ!!!価値も分からんガキに利用できる代物じゃない!」

 

そして出久を襲うトゲの塊。たが出久はそれを精神同化で底上げした反応速度で避けて治崎に一撃を喰らわした。

 

(エリちゃんの力が強まっている……!)

 

「俺が崩すのはこの"世界"その構造そのものだ!感情論だけの……ヒーロー気取りが!俺の邪魔をするな!」

 

そしてアナザークウガの口から火炎弾が吐き出されるが

 

出久はその中に突っ込むと風圧を起こして吹き飛ばす。

 

「目の前の……小さな女の子一人救えないで……皆を救けられるヒーローになれるかよ!」

 

そして出久はパンチのラッシュを叩き込む。

 

そしてアナザーリュウガとディケイドの戦いは

 

「はぁ……はぁ……」

 

「ダメ押しだ」

 

<フォームライド、ジオウII!>

 

<仮面ライダーライダー!ジオウジオウジオウII!>

 

アナザーリュウガはドラグセイバーを振るってくるがサイキョーギレードで受け止めてそのまま押し返して裏蹴りでアナザーリュウガを吹き飛ばすとバリオンプレセデンスを回転させて

 

「……見えた」

 

アナザーリュウガの動きをわかっているように躱してドラグクローでの炎をギレードで斬り裂くとアナザーリュウガに突き刺し

 

<ファイナルアタックライド、ジ、ジ、ジ、ジオウ!>

 

そのままエネルギーをアナザーリュウガに流し込んで破壊した。

 

「グワアァァア……!!」

 

そしてアナザーリュウガは玄野に戻ってアナザーライドウォッチは破壊された。

 

そしてー……

 

「これでフィニッシュだ!」

 

<ファイナリービヨンドザタイム!>

 

<超銀河エクスプロージョン!>

 

アナザーディケイドを異空間に引っ張り込んでそのまま

 

「ぜあああああああああっ!!!!」

 

「なっ!?グワアァァア……!!!」

 

ライダーキックを叩き込むとアナザーディケイドは治崎に戻ったのを見て僕は意識を失った。

 

一方その頃、保須市ではー

 

「はあっ!」

 

「むぅん!」

 

フューチャーリングシノビに変身した出久とステインが激戦を繰り広げていた。

 

ステインは素の速さや反応速度だけでいえば通形ミリオよりも上だった。

 

しかし徐々に追い詰められていくステイン。

 

「でやっ!」

 

「ぬわっ!」

 

そしてジカンデスピアの突きを喰らって吹っ飛ぶステイン。

 

「はぁ……偽物の力など借りたくなかったのだがな……」

 

『アナザーライドウォッチ!ステインも……!』

 

<……シノビ……>

 

そしてウォッチを自らの体に入れるステイン。

 

「ああああああ……!」

 

<……シノビ……!>

 

「さあ……第2ラウンドと行こうか……」

 

そして刀を手に持って突進してくるステインに出久も接近する。

 

ステインは刀を一気に振るうが出久はしゃがんで避けると足を払ってステインのバランスを崩し、ステインは倒れそうになるも左手で地面から跳びアクロバティックな動きで体勢を立て直す。

 

そしてナイフを投げてきたのをジカンデスピアで弾き落としたらステインは一気に跳躍してきて上から刀を振り下ろすが

 

「なにっ!?」

 

影に潜って後ろに周り、横薙ぎに払ったジカンデスピアの攻撃を喰らうステイン。再び影に潜って今度は横に周る出久そしてジカンデスピアを振るって怯ませると

 

<カマシスギ!>

 

ジカンデスピアをカマモードに変形させて倒れたステインを無理やり立たせると下から振り上げてその勢いのまま今度は横に振るった。そしてステインが倒れこむと

 

「これで終わりだ!」

 

<ビヨンドザタイム!>

 

<忍法!時間縛りの術!>

 

ステインを鎌で上に持ち上げて流れている時間を遅くさせると

 

<カマシスギ!フィニッシュタイム!>

 

三人に分身して

 

<一撃カマーン!>

 

分身した二人の出久が左右から鎌を振るった直後に本体の出久が下から振り上げた斬撃を喰らってステインは表通りまで吹き飛ばされた。

 

「ぐはっ……!グゥゥゥ……!」

 

そしてステインの身体からアナザーライドウォッチが出てそれは壊れた。

 

倒れたステインをロープで縛り武器類を押収していたら

 

「あ!いた!」

 

「大丈夫だったかい!」

 

ヒーロー達が駆けつけてきた。

 

「おお!よくやった!ソイツがヒーロー殺しか」

 

エンデヴァーも来た。

 

とそこに

 

「済まない!」

 

「え?」

 

飯田くんたちが戻ってきて

 

「僕のせいで……皆に迷惑をかけた……」

 

「ううん……僕も気づいてあげられなくてごめん」

 

「しっかりしてくれよ。委員長だろ」

 

「……ああ!」

 

「偽物……!」

 

なっ!?

 

「正さねば……!誰かが……血に染まらなねば……!ヒーローを……!取り戻さなくては……!来い……!来てみろ偽物ども……!俺を殺していいのは……オールマイトだけだあ!」

 

叫ぶステイン。だが

 

「巫山戯るな!」

 

『!?』

 

それに敏感に反応したのは出久、いや……ウォズだった。

 

「君の価値観でヒーローというものを決めて……誰かを傷つけて言い訳がない…!殺していいのはオールマイトだけだと!?巫山戯るなよ!彼がそんなことするはずがないだろ!?ヒーローというのは!人々の希望になるような存在だろ!希望になるどころか恐怖を与えていた君がヒーローを語るなど……巫山戯るなあ!!!」

 

『!!!』

 

今度はウォズの圧にその場にいた誰もが、中にいた出久ですらも圧倒された。

 

こうして保須市での騒乱と八斎會での戦いの一日は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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祝え!救いのアナザーライドウォッチ!

二人の出久が行った先を変えました。


う……ん……?ここは……

 

「目が覚めたか緑谷」

 

「相澤先生!」

 

「ここは……?」

 

「都内の病院だ。意識を失ったお前を連れてきた」

 

そっか……スピリットフュージョンの疲労が溜まって……

 

「出久さん!」

 

「出久大丈夫!?」

 

「出久くん……!」

 

「才子さん、一佳ちゃん、麗日さん……」

 

部屋に彼女らが入ってくるとなぜか安心感が出てきた。

 

「そうだ!未来の僕は!?」

 

「安心しろ。未来のお前はステインを倒して帰っていったぞ。飯田たちも無事だ」

 

「そっか……よかった……」

 

寝て疲労感が無くなったはずなのに安心からきたせいかベッドに倒れる僕。

 

「そうた!ナイトアイたちは!?エリちゃんは!?」

 

「落ち着け。順を追って話す」

 

過去の出久が目覚める数十分前ー

 

ブゥン……!

 

「お前は……!?」

 

「軽い説明だけでお願いできませんか!?」

 

その後一通りの事情を話すと

 

「成る程…大体わかった。だから過去のお前はこっちに来れたと」

 

「はい……僕は両方救けるために未来から来ました」

 

「それでヒーロー殺しは捕まえたのか?」

 

「はい……アナザーライドウォッチも持ってましたがなんとか……」

 

「ヒーロー殺しは……敵連合と繋がっていたのか……それに同時に起こすことによってヒーローたちの力を分断させたと……ここまでの作戦を立てていたとは……」

 

「それでエリちゃんは?」

 

「熱も引いて……眠ったまま隔離されているらしい。要するに……彼女の個性には頼れないということだ」

 

「どういう……意味ですか」

 

「受け入れるしかない」

 

とそこにはオールマイトにバブルガール、センチピーダーにリカバリーガールがいた。

 

「なんでここに……」

 

「私が呼んだの。だって……サー……いつもオールマイトのこと……」

 

「泡田……」

 

「正直……手の施しようがなく……生きているのが奇跡なぐらい……」

 

「こうなってしまっては治癒ではどうにもならないな……」

 

(そんな……)

 

「残念ながら……明日を迎えるのは叶わないでしょう……」

 

そして……

 

「ダメだ!生きてください!死ぬなんてダメだ!」

 

「ミリオ…辛い目に遭わせて…ばかり…私が…もっとしっかりしていれば…」

 

「アナタがいたから俺は強くなれたんだよ!俺にもっと教えてくれよ!死んじゃダメだって!」

 

ミリオの頰に触れるナイトアイ

 

「………………大丈夫。お前は…誰より立派なヒーローになってる…この未来だけは…変えてはいけないな…だから…笑っていろ」

 

「うううううぅぅ……!ああああああああ……!」

 

そう言って……ナイトアイは死んだ。

 

「そんな……僕は変えられなかったのか!?なんで……!なんで……!」

 

「……緑谷」

 

ブゥン……!

 

「やあやあやあ!」

 

その場に明らかに場違いな声が響いた。

 

『海東大樹……何の用だ』

 

「いやあ!面白ことになってるじゃないか!白ウォズ!」

 

『面白いだと……!!巫山戯るな!!今そんなこと言えるのか!?君は!』

 

「おい……!」

 

『イレイザーヘッド……』

 

「用がないなら帰れ……!」

 

「いやあ、用ならとっとと済ませるよ」

 

『な!?それは!?』

 

「アナザーライドウォッチだと!?」

 

「不味い!」

 

<……ジオウII……>

 

海東大樹がアナザーライドウォッチを起動させると

 

「う…ん…」

 

「ナイトアイ!?」

 

「バカな……どういうことだ……確かに息を引き取ったはずでは……!」

 

「このアナザーライドウォッチには歴史を書き換える力があってね。サー・ナイトアイの死んだという歴史を書き換えたのさ」

 

『そんなことが……!?』

 

「さて、用も済んだので僕は帰るとしよう」

 

「待て……」

 

「うん?」

 

「感謝はするが何故助けた……」

 

「ただの気まぐれだよ。じゃね」

 

「君!ありがとう!」

 

「…………」

 

「私は……生きれたのか……ハハッ……そうか……」

 

こうしてナイトアイは息を吹き返して

 

僕は事後処理に奮闘した。

 

ヒーローや警官たちに僕が二人いたことを閉口するように告げた。歴史に改変があるのは本来許されないことだからね。

 

僕が二人いたことで時間軸に影響があるに思えたが士さんが修正してくれるそうだ。

 

ネットではステインを賞賛する声もあったが最後に未来から来たウォズの言葉が反響して、ピタリと止んだ。

 

僕は仮免があったので問題はなかったが飯田くんと轟くんはヒーロー殺しと戦ったことからエンデヴァーとマニュアルには処分が下されるそうだ。

 

こうして八斎會での戦いは犠牲を出すことなく、保須での戦いも様々な余波を残しながら終わった。

 

「そうか……終わったんだ……」

 

「ああ、お前のおかげだ。教師として……プロとして……救けられっぱなしで言うことじゃないが……ありがとう」

 

「相澤先生……はい!」

 

「出久さん、お疲れさまですわ」

 

「お疲れさん!」

 

「お疲れ出久くん」

 

こうして僕らの職場体験は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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職場体験後の影

ものすっごく遅くなって申し訳ない!構想を練るのに手間取ってしまい……


職場体験の最終日、泊まっていたホテルにマスコミが押し寄せていたた。

 

八斎戒での一件は箝口令をだしていたため、緑谷出久が二人あることに気づかれなかったが保須で、ウォズの叫びとともにステインを捕らえたことが全国に知れ渡り、マスコミがステインを捕らえたヒーローウォズへのインタビューをと我先にとホテルを突き止め押し寄せた。

 

そのため裏口からこっそりと入り、荷物を回収してサー・ナイトアイの事務所に戻った。

 

サー・ナイトアイは海東大樹の手によって一命を取り止めたがやはりダメージはあるらしくしばらくは活動を休止するようだ。

 

僕はサーに呼び出されて、部屋に入る。

 

「……失礼します」

 

「……よく来たな。まずは礼を言おう。君、いや……君たちのおかげで彼女を保護することができた。我々だけでは不可能だった。君たちが命がけで戦ってくれたからだ。ありがとう」

 

「でも……皆が助けてくれたから……誰も失わずに済んだ……」

 

「だか君がいなければ全てを失うところだった。誇ればいい。オールマイトになろうとするにはまだ早すぎるのだからな」

 

「はい……ありがとうございます」

 

そして僕は礼をして部屋から出た。

 

その様子を見ていたナイトアイは

 

(オールマイト……貴方も未来を託せるヒーローを見つけたんですね……ならせめて見ててくださいよ。未来を捻じ曲げてでも……彼らの成長を……)

 

そして緑谷出久の職場体験は幕を閉じた。

 

・・・・

 

一方その頃

 

「死柄木弔今回はどうでしたか?」

 

「ああ……最高だったよ」

 

グラスを磨きながら死柄木に話す黒霧

 

「ふふふ……彼らはいい実験台になったようだね……」

 

「ああ、先生。先生の言った通りあの時計は回収しておいたぜ」

 

「それは結構。データさえあればブランクからまた作り直せるからね」

 

そしてモニター越しに死柄木を見るオールフォーワンは

 

(それにしても……異世界のヒーローか……ふふふ……時間や世界すらも超えられるその力……欲しいなあ……いずれ手に入れるがね……)

 

まるでオモチャを手に入れた子供のように笑っていた。

 

・・・・

 

ウォズside

 

出久は家に帰ると母さんからすごい心配を受けていた。

 

まあ殺人鬼と相見えたのだから無理はないか……まあその情報を全国に広めてしまったのは私なんだがな……このままだと出久のお母さんは心臓が持たないんじゃないかな……

 

『なるべく心配をかけないようにしないとな。出久よ』

 

『うん……そうだね』

 

そして部屋に戻り吸い込まれるように眠りについた。

 

ー翌朝

 

私は早めに起きて弁当の準備に取り掛かろうとする前にテレビのニュースをつけると

 

『オールマイト以降の単独による史上最多の殺人を行ったヒーロー殺し。雄英高校ヒーロー科のウォズによって完膚無きまでに論破されたその詳しい犯行動機などについて警察は調べようとしています』

 

これで終わるとは思えないがな……オールフォーワンは敵連合を拡大させるためにステインの主張を広めたのなら……

 

いずれにせよ注意が必要だな。

 

そして弁当を作り終わった私は出久と意識を切り替える。

 

・・・・

 

出久side

 

「あ!緑谷じゃん!」

 

「え!どこどこ!」

 

「ヒーロー殺しと戦ったんだろ!?」

 

「うっそ!?あんな小さな子が!?」

 

通学途中の電車内は僕がいたことで……体育祭の時よりも騒がしくなってしまった……

 

そのうちサインとかもねだられたので急いでいたせいかオールマイトとかよりは下手くそなサインになってしまった。

 

それでも喜んでくれたのを見ると僕も嬉しさを隠せない。

 

そんなこんなもあったが無事時間内に教室に入ることができた。

 

「あ!緑谷!おはよう!」

 

「鉄哲くんおはよう!」

 

教室にはすでに皆が来ていた。

 

「出久さんおはようございます」

 

「出久おはよう!」

 

「ん……おはよう……」

 

「おはよ」

 

「皆おはよう!」

 

と僕の周りに皆が集まって話をしていると

 

「緑谷くん!君ヒーロー殺しにあったんだってね!君の周りにはトラブルが付きまとっているのは何故なんだい!?」

 

物間くん……相変わらずだなあ……それでもかっちゃんに対する態度よりは随分ましなんだけど……

 

「黙れ」

 

「グホッ……」

 

「出久ごめんな」

 

「いや……慣れたよ」

 

皆も僕に対して苦労人の目を向けてくる。

 

「しっかし緑谷、実際ヒーロー殺しと相対してよく無事だったな」

 

「ああ。俺も話を聞いたときはヒヤヒヤしたぜ」

 

「円場くん、回原くん、心配してくれてありがとう。でも僕だけじゃないよ。ウォズも居てくれたから……僕はヒーローを助けることができた。それに士さんや海東さんも助けてくれたから……傲慢かもしれないけど……皆を助けることができたんだ」

 

「流石だな」

 

「ああ」

 

骨抜くんと鎌切くんがそう言っていたが僕だけの力じゃ皆を救うことなんてできなかったんだ……やっぱりナイトアイの言う通りかもしれないね

 

「出久」

 

「なに?レイ子ちゃん」

 

「出久が話していたエリちゃんって子……大丈夫なの?」

 

「うん。熱も引いてきて個性の角も縮んでいるそうだよ。後は外の世界との触れ合いかな」

 

「それはよかったですね」

 

とその時ブラド先生が入ってきたので皆席に着く(物間くんは一佳ちゃんが運んであげました)

 

「諸君!職場体験は皆、無事に終われて嬉しく思う!だがこれからはまた学校生活が始まる!気を抜かないでほしい!あと緑谷に拳藤、印照に鉄哲」

 

「なにですか……?」

 

「俺たち教師からすれば……本来守るべき存在の生徒に戦わせるのははっきりいって反対だったんだ……」

 

「…………」

 

「だが!おまえたちが命を賭して戦ってくれたから!守るべきものも救えた!だから今からの言葉は教師ではなく一人のヒーローとしてお前たちに送りたい!『ありがとう』」

 

「先生……!!!」

 

ブラド先生らしいや……でも……なら僕も……その言葉に応えないとね

 

「はい!!!」

 

だが僕たちは……まだ気づいていなかった……

 

 

この事件は……後に起こる……あの事件の序章に過ぎなかったことに……

 



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祝え!期末テストの魔法使い!

「えー……もうすぐ夏休みだが……お前たちが他と同じく1か月休める道理はないと思ってくれ」

 

ブラド先生の言葉に皆に緊張が走る

 

「夏休み!林間合宿やるぞ!」

 

『うおおおおおっ!』

 

次の言葉で教室にいた皆、特に男子陣が騒ぎ始めた。

 

勿論僕も内心では楽しみだ。

 

皆との初めての共同生活……わくわくするなあ……!

 

「静かに!浮かれるのはいいがその前に期末試験が待っている!そのことを忘れないでくれたまえ!特に中間とは違い演習試験もある!今日からのヒーロー基礎学で万全の体制にしれくれたまえ!」

 

そうか……中間と違って演習もあるんだったな……頑張るぞ!

 

午前の授業が終わり、皆で弁当を食べていたら

 

「演習試験なんなんだろうね?」

 

「確かに気になるが……俺は筆記が心配だぜ……」

 

吹出くんが?マークを浮かべて演習試験に気にしていたが、鉄哲くんは筆記に不安を持っているようだった。

 

「確かにここんとこ体育祭や職場体験やらで忙しかったからなー」

 

「中間と違って範囲広いしな」

 

泡瀬くんと麟くんも愚痴をこぼす。

 

「じゃあさ!皆で勉強会しない!?」

 

「えっ!いいのか!?」

 

円場くんが食いついたように目を見開く

 

「うん!僕も関数ちょっとわからないとこあるし……」

 

「俺も古文が苦手だからな。緑谷頼むよ」

 

骨抜くんも手伝ってくれるようだ。正直僕一人で皆の勉強を教えるのは骨が折れるから中間テスト2位の骨抜くんが手伝ってくれるのは助かった。ちなみに1位は才子さんで、僕は4位だ。

 

「出久さん。私も手伝いますわ」

 

「あ!じゃあ私も!」

 

「ん……私もいい?」

 

「いっそのことクラス皆でやろ?」

 

一佳ちゃんたち女性陣も参加するようだった。

 

「そうだね!皆で勉強してA組の鼻をあかしてやろうよ!」

 

「黙れ」

 

「ぐふっ……」

 

この光景も見慣れてきたなあ……でも物間くんも手伝ってくれたら正直筆記試験は安心して挑める。だって彼中間3位だもん。言動さえよければA組の皆とも仲良くできるのになあ……

 

そして筆記試験も終わって演習試験当日、演習試験会場に皆がコスチュームを着て集合していた。

 

試験内容は一佳ちゃんが先輩からロボットとの演習試験って聞いてたらしいけど……

 

『おそらく違うだろう……教師の数を踏まえると……』

 

うん……たぶんそうだと思う……

 

「おはよう!これから演習試験を始めようと思う!その前に……君たちのことだ。試験前に情報を仕入れたと思うのだが……」

 

皆の視線がブラド先生に集まる

 

「残念!諸事情あって試験内容を変更しちゃうのさ!」

 

校長先生が相沢先生の後ろから現れてサプライズ発言をする。

 

「校長先生!?」

 

「変更って……」

 

「これからは仮免取得なども含めて対ヴィランのための……より実戦に近い教えをすることになったのさ!というわけで!君たちには二人一組となってここにいる教師陣と戦ってもらうのさ!」

 

「え!?先生たちとですか!?」

 

「おいおい……」

 

「プロヒーローと……!」

 

やる気を出す者……驚きを隠せない者と様々だったが

 

「尚組み合わせと対戦相手の教師はこちらが成績、相性、体育祭や職場体験での動きから独断で決めさせてもらった」

 

そして次々と組み合わせが発表されていく。

 

「そういえば……先生!緑谷が余りますが……どうするんですか?」

 

「緑谷は……成績の高さと強さから一人で戦ってもらう」

 

「流石だな」

 

鎌切くんが褒めてくれるが僕は一人か……いやウォズもいるんだ!一人じゃない!

 

「でも相手は誰なんだろ?」

 

「ここにいる全員は呼ばれたよね?」

 

「ま、まさかな……」

 

骨抜くんが一つの予想をして青ざめたが……たぶんそうだと思う……

 

「相手は……」

 

「ハーッハッハッハ!相手は……私が、する」

 

「お、オールマイトお!?」

 

『やはりか……』

 

僕の相手はオールマイト……いや!ここで怖気づいて逃げるものか!オールマイトが相手でも僕は勝ってみせる!

 

「それと緑谷、今回はギンガファイナリーの使用は禁止だ」

 

ギンガファイナリーがなしか……となるとどうしよう……

 

そして試験が始まった。試験の勝利条件はゲートまで逃げるか、先生にカフスをかけるか、というものだった。

 

皆次々と合格していき、いよいよ僕の番となった。

 

ちなみにモニタールームではクラスメイトだけでなく戦いを終えた教師陣も集まっていた。

 

「緑谷はオールマイト相手にどう戦うのかな?」

 

「ギンガが禁止って言われるとな……」

 

「骨抜。おまえだったらどう戦う?」

 

「俺が緑谷だったら……」

 

そうこう話しているうちに試験が始まった。

 

・・・・

 

『ウォズ、オールマイトはどう来ると思う?』

 

『今回オールマイトはヴィランという設定だからね……おそらく……っ!避けろっ!』

 

ウォズの叫びで僕は横へ跳ぶと先ほどいたところに衝撃波が走った。

 

「街への被害などクソくらえだ……私はヴィランだ。ヒーローよ。真心こめてかかってこい」

 

『やはり……全力ブッパか……』

 

モニタールームのクラスメイトは

 

「オールマイトおお!?いきなり全力すぎるだろ!?」

 

「鉄哲さん。今回オールマイト先生はヴィランという設定ですわよ」

 

「そうだぞ。本物のヴィランはこれぐらいのことも平然とする。それに立ち向かうのがヒーローだ」

 

ブラド先生の言葉で生徒たちはこれから始まる激戦に注目する

 

場面は戻り

 

っ!いきなりか!

 

<キカイ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム!デカイ!ハカイ!ゴウカイ!フューチャーリングキカイ!>

 

そしてオールマイト向かって勢いよく飛び込む。オールマイトも飛び出してお互いにパンチをぶつけるとお互いに後ろに飛ぶが

 

「ぬうっ!やるね!」

 

だがオールマイトは踏みとどまってすぐに飛び出すと左ストレートを放ってきたのに対して胸の固い部分で受け止めて左腕を上に弾くと

 

「はああああああっ!」

 

連続でオールマイトの胸にパンチを放つが

 

「ヌゥン!」

 

クロスした両腕を広げただけで僕は吹き飛ばされ体勢を立て直すと

 

<ジカンデスピア!>

 

んで

 

<ビヨンドザタイム!フルメタルブレーク!>

 

そして両肩から鎖を放出させてオールマイトを拘束して引っ張り

 

<ヤリスギ!フィニッシュタイム!爆裂DEランス!>

 

オールマイト目掛けて鋭い突きを放とうとしたが

 

「ぬぅぅぅぅ……!!!ぜやあっ!」

 

オールマイトは無理矢理拘束を解いて僕の突きに対して

 

「Detroitsma…ぐはっ!」

 

衝撃波で僕を吹き飛ばした。だが僕の放った突きもオールマイトに僅かながらのダメージを与えた。

 

僕は吹っ飛ばされながらも受け身で着地して立ち上がった。

 

『ウォズ……あれやるよ!』

 

『ああ……!』

 

「精神同調!スピリットドライブ!」

 

「通形少年の時に見せたやつか!」

 

僕が突っ込むのを見たオールマイトは

 

「Texassmash!」

 

右正拳突きを放ってきたが上がった反応速度で右足を軸にして回って躱すとそのまま左足を降り抜く。

 

「どわっ!」

 

「はあっ!」

 

そのまま右ストレートを放って吹き飛ばそうとしたが

 

「ぜやあっ!」

 

「うわあっ!」

 

オールマイトは崩れた体勢からもアッパーを放って僕をビルまで叩きつけた。

 

「出久さん……!」

 

「だ、大丈夫……だよね?」

 

「ん……!」

 

「出久……!」

 

才子たちは頭には不安がよぎり教師陣も

 

「や、ヤバイゾ。オ、オールマイト……」

 

「この試験……ここまで厳しくしてイイノカ?」

 

僕は痛む身体を起こして立ち上がらせた。

 

「ハッハッハッハ!緑谷少年!もう諦めるのかい!?」

 

「そんなわけ……ないじゃないですか……僕は……皆を救えるヒーローに……!」

 

「そういうと思ったぜ!」

 

とその時ウォズが

 

『出久よ!やはりオールマイト相手には肉弾戦は痛手のようだ!あのウォッチの力を……!』

 

『そうだね!』

 

「む、それは?」

 

「あのウォッチは見たことねえな」

 

「どんなやつなんだろ?」

 

<ウィザード!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム!Magictime!showtime!Please!フューチャーリングウィザード!ウィザード!>

 

「さあ……ショータイムだ!」

 

 

 



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決着!試験合格!?

「あのフォームは見たことねえな」

 

「ウィザードっつうことは魔法使いか!?」

 

「出久どうやって勝つつもりなんだろ……」

 

と出久の新フォームに興味津々だった。

 

・・・・

 

「行きますよ!オールマイト!」

 

<ジカンデスピア!ツエスギ!>

 

そして僕はオールマイトが突っ込むと同時に飛び出して拳をぶつけるが

 

「どうした!さっきより弱いぞ!」

 

パワーではキカイより低いウィザードでは吹き飛ばされてしまった。オールマイトが二撃目を放ってくるがジカンデスピアで受け止めると拳を逸らして胸に突きを放つ。

 

だがオールマイトには先程までのダメージは与えられずにすぐに反撃を許してしまった。

 

回し蹴りに吹き飛ばされた出久であったが踏みとどまり左手をオールマイトに向けるとその手から炎が噴き出した。

 

これにはオールマイトも想定外だったのか一瞬反応が遅れたがすぐに拳圧で炎を吹き飛ばした。

 

だが

 

「なにっ!?」

 

僕がジカンデスピアを上に翳すと地面の魔法陣から鎖が飛び出てオールマイトを拘束した。

 

それを見た僕はすぐさま逃げ出した。ゲートに向かって。

 

だがオールマイトは鎖をすぐに引きちぎると

 

「New Hampshire……smash!」

 

拳圧で加速して僕に追いつこうとしたところで地面に罠を仕掛ける。

 

そして僕が後ろに飛び退いてオールマイトが上を通過すると地面が爆発した。

 

「なにっ!?」

 

そして僕がオールマイトの方を振り向きジカンデスピアを下に向けて無数の罠を配置すると

 

「罠を仕掛けていたとは……いやはや、してやられたよ。逃走とみせかけて迎撃するつもりだったとは……だが!」

 

オールマイトが右腕を振りかぶって地面にぶつけると地面と共に罠が全て消しとんだ。

 

だが僕はこれを待っていた!

 

瓦礫が辺りに散らばったのを見た僕は風を巻き起こしワンフォーオールを発動させて瓦礫を足場にして竜巻の中をジグザグに飛び回った。

 

「な、なにっ!?」

 

”うおおおおっ!緑谷すげええっ!” ”凄いですわ!”

 

「通形少年の時に見せた戦法か!悪くないな!私でなければなあ!」

 

オールマイトがアッパーを起こそうとしているのを見たがそれより先に準備を整られたので

 

<ツエスギ!フィニッシュタイム!>

 

すると僕が飛び回った瓦礫に魔法陣が浮かび上がると10倍ほど大きくなった

 

「なっ!?」

 

<マジックスペシャル!>

 

そしてオールマイトに向かって飛ばしたが

 

「ぬおおおおおおっ!」

 

オールマイトはアッパーを中断して向かってくる大岩を迎撃した。

 

だがこれで隙ができた!

 

<ビヨンドザタイム!>

 

<チョーイイネキックストライク!>

 

僕は空中に飛び上がってそのままライダーキックをオールマイトに向けて放った。

 

オールマイトは迎撃しようとしたがここらが引き時だと悟るとともに迎撃しても続行不可能だということがわかると

 

(緑谷少年……君を信じてよかった……これなら……私が居なくなっても……)

 

そして僕の蹴りはオールマイトに命中してオールマイトは倒れた。

 

・・・・

 

「や、やりやがった……」

 

「あ、ああ……!!」

 

「緑谷が!オールマイトを倒したぞ!」

 

モニタールームは生徒の歓声に包まれて教師陣もオールマイトが無茶をしないかと肝を冷やしていたが試験結果を見て安堵した。

 

しかし教師陣も緑谷に対して

 

「まさか……ハンデアリとはいえ、オールマイトを倒すとは……」

 

「いやはや……やりますねえ……」

 

「緑谷ああ!最高だぜぇぇぇ!」

 

「やっぱり私の好みの子だわ!」

 

ミッドナイトが叫ぶが4つの悪寒を感じたのか委縮してしまった。

 

「流石だな……!緑谷ああ!俺はモーレツに感動しているぞおお!!」

 

ブラド先生は涙を流していた。

 

モニターに倒れながらも映っていた緑谷も嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

 

モニタールームにワンヤワンヤと騒がしかったが

 

「喜ぶ気持ちはわからくもないが……あいつ合格条件満たしたか?」

 

”あっ……”

 

相澤の一言で完全に静まり返るとともに

 

『終ーー了ーー!』

 

緑谷出久はオールマイトに勝ったものの勝利条件を達成できず不合格となってしまった。

 

 

 

 

 



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閑話 祝え!才子と物間の期末試験

最初は書く気は全くなかったのですがやっぱり書きたくなって……!


雄英高校期末の演習試験。チームの組み合わせが発表されていく中で

 

「物間と……印照がチームで……俺とだ」

 

相澤が捕縛布に手にかけてニヤリと笑うと自らが対戦する相手を宣言した。

 

それに対して才子と物間は

 

「これは……相性最悪ですわね……」

 

「ははは……」

 

才子はすぐに相性の悪さを呟き物間も乾いた笑いを浮かべた。

 

だがすぐに

 

(ですが……出久さんが言ってたように……ヒーローが最初から諦めて逃げるわけにはいきません!例え勝てずともこの試験……絶対にクリアしてみせます!)

 

と意気込んでいた。

 

「あ、あと物間もそうだが今回の試験テレポートは禁止とさせてもらうからな」

 

・・・・

 

次々とクラスメイトが合格していく中、物間と才子は作戦を練っていた

 

「テレポートが禁止となると……サイコキネシスで空中を飛んでいくのは?」

 

「それは悪手ですわ。相澤先生の的になって落ちかねません」

 

「だよねえ……透視で相澤先生の動向を探って二方向に分かれるのは?」

 

「確かによさそうですが……相澤先生のことです。個性に関しては対策を練っていると思いますわ。もしくはゲート前に待機しているか……」

 

そしていよいよ才子たちの番となって演習場に向かう。

 

演習場は地下で遮蔽物が柱だけのシンプルな場所だった。

 

「これはこれは……」

 

「おそらく私たちの作戦を見通してのことでしょうね」

 

これでは二方向にわかれようにもすぐに見つかってしまう。

 

それに天井までの距離が短いので低空飛行しかできない。

 

「これじゃあサイコキネシスで物を飛ばすって案も無理そうだねえ……」

 

「ですわね……ですが全く勝ち筋がない試験なんて聞いたことがありません……なにか……あるのでしょうか……?」

 

『物間、印照チーム演習試験スタート』

 

考えようとしたのも一瞬試験の合図で目の前の試験に集中する。

 

「……どうする?」

 

「まずは……」

 

透視で相澤の位置を視認する印照

 

「これは……罠も仕掛けてありますわ。流石相澤先生、抜け目がありませんわ」

 

才子が視認した罠とは相澤が使う捕縛布が死角になりやすい位置などに張り巡らされていて、通れるルートが限られているのだ。布には鈴までついているので通ったらすぐに気づかれるうえに、サイコキネシスで利用しようにも攻撃がバレてしまう。

 

「さて……相澤先生の個性がスカでないことを祈るか」

 

物間の個性は蓄積する個性や一部の個性に対しては意味がないこともある。イレイザーヘッドの個性に対して、物間が優位を取れる条件は出久曰く、個性のコピーそのものを無効化するのかそれともコピーした個性の使用を制限するのかで変わってくる。

 

そして開始と同時に物間が飛び出した。正面から、才子が左に回って飛び出した。

 

物間は才とテレパシーである程度の距離の把握をするとともに個性の解除のタイミングを見切っていたのがだが

 

『ねえねえ?緑谷くんとはどうだい?』

 

『べ!別に!?なにもありませんわよ!それに貴方には関係ないでしょ!』

 

『クラスメイトの恋路を邪魔するつもりはないさ!ただ応援したいだけだよ!』

 

『よ、余計なお世話ですわ!応援される必要もありません!』

 

『今、認めたね?』

 

『あっ……も、物間さんのバカあ!』

 

テレパシー故にモニタールームの出久たちに話は聞こえないが才子たちの様子を見ていた出久たちは

 

『物間くん……才子さんに何を言っているんだろ……』

 

『あの様子だと恋バナじゃないの~?ねえ一佳~?』

 

取陰切奈がふざけたようにからかったがそれと同時に一佳たち出久LOVERたちがボンっ!と顔を赤くした。

 

『あれ……皆知っているようだけど……もしかして……』

 

『皆さんで出久さんに告白したのですかー!?』

 

ポニーの言葉にアワアワとなる一佳たちを見たクラスメイトは

 

『え……?マジで?』

 

『祝福のあらんことを……』

 

『すごいノコ!』

 

と女性陣が盛り上がるのに対して男子陣が

 

『緑谷あ~?どういうことか説明しろい!』

 

皆、一佳たちが緑谷へ恋心を抱いていたのは知っていたが正式に付き合っているとは知らなかったのだ。

 

『緑谷テメエ!リアルハーレム築きやがってえ!』

 

『俺たちだって羨ましいんじゃあ!』

 

『わ!?ちょおっ!?皆落ち着いて!説明するからさ!』

 

モニタールームがこんなことになっているとは知らず物間たちは演習試験の真っ最中。最もそんなことにしたのは物間のせいなのだが……

 

・・・・

 

物間が才子をおちょくってから数分後、物間はこのままゲートまで行けると踏んでいたのだがそれは甘かった。

 

突如念動力が弱くなって地面に向かって落ちそうだったのだが咄嗟に微弱の念動力を地面に放つと落ちる速度が下がり受け身を取って着地する物間だったが

 

「上か!」

 

「それぐらい予想しろ」

 

柱と柱の間に張られた捕縛布から飛び降りたイレイザーヘッドが捕縛布を物間に向けて放とうとするが物間は前回り前転で回避して振り向きざまに取り出したスーパーボールを投げる。

 

このスーパーボールは炸裂すると中身が破裂して粘着性のスライムが相手を拘束するというものだった。

 

物間は個性の性質上、変に奇をてらったコスチュームが必要ないとされていたのだったが出久に

 

『物間くんは確かに個性が強力だけど相手によって戦略や作戦を変えないといけない。だけどひとつだけどんな個性でも通用する戦法がある』

 

それが投擲だった。

 

どんな個性をコピーしても対応できるように投擲の術を出久から習っていたのだった。

 

相澤は予想外だったのか一瞬反応が遅れたが捕縛布で弾き飛ばしたが中からスライムが飛び出て捕縛布にくっついてしまった。

 

相澤はすぐさま捕縛布を捨てて物間に肉弾戦で挑もうとした。

 

(全く……主役のような君から僕が勝ち方を教えてもらうなんてね……でも君なら嫌にならないよ……不思議なことにね)

 

相澤が右手を突き出してきたが物間は体を捻って避けるとそのまま相澤の右手を掴んで背中を左手で押さえつけ、地面に叩きつけた。

 

(せめてこの試験だけは……僕は脇役ではなく主役になれたかな……出久くん?)

 

それは試験が始める少し前

 

「物間さんが相沢先生の相手をするのですか!?無茶です!相澤先生との肉弾戦では……」

 

「印照くんの言いたいこともわかる……でもここは……僕を信じてくれないかな……」

 

「物間さん……わかりましたわ!」

 

こうして現在に至るー

 

物間は欲を言えばカフスもかけたかったのだが少しでも拘束を緩めれば相澤先生の脱出を許してしまうのがわかっていたためこのまま押さえつけることにしたのだ

 

物間に押さえつけられたイレイザーヘッドは

 

「物間……おまえその格闘術どこで習った?」

 

「……緑谷くんですよ……彼は不思議ですね。こんな僕にも主役になれるなんて言うんですから」

 

「……おまえがコンプレックスを持っているのがわからないわけではなかったが……克服したんだな」

 

「ええ……嫌というほどさせられましたよ」

 

思い出されるのは出久とウォズによる地獄の特訓

 

「確かにすごいな……だが甘い!」

 

「なっ!?」

 

突然相澤の裾から捕縛布が飛び出すと同時に物間も下がったが相澤が脱出するには充分だった。

 

「やれやれ……なぜ最初から使わなかったんですか?」

 

「酷なことを言うようだったがおまえには使う必要がないと思っていたし、手の内を晒すリスクを考えてのことだが……どうやら俺はお前を甘く見すぎていたようだったな」

 

イレイザーヘッドの目つきがさっきとは変わる。

 

そして裾に隠していた捕縛布を首に巻いて戦闘態勢に入る。

 

(やれやれ……せっかく主役になれたと思ったのにな……さっきの一瞬で透視して見てみたが……ふっ……やっぱり僕は脇役だね。でも……)

 

と相澤が捕縛布を出すと同時に物間が横に避けたが地面に踏み込んで物間に迫る相澤だったが

 

「っ!」

 

突然横から飛んできた鞭によって行く手を阻まれたイレイザーヘッド。

 

「印照くん……なぜ戻ってきたんだい……君が行けば条件を達成できたのに……」

 

「確かに……あのまま行けばゴールはできたかもしれません……ですが!助ける力もあるのに行かないなんてヒーローではありません!ですが物間さん。さっきのはお見事でした」

 

「ハハハハハ!全く……君といい緑谷くんといい!なんてヒーロー精神なんだ!まるで主役じゃないか!」

 

「話している暇なんてないぞ!」

 

イレイザーヘッドが才子に向かって捕縛布を伸ばしたが鞭で弾いた。しかしその隙にイレイザーヘッドは接近したが前に物間が躍り出るとジャブの体勢に入って相澤に向かって鋭い突きを放つと

 

「ほぉ……やるな」

 

相澤は衝撃と同時に下がったおかげでダメージは少なかったが現在の物間の戦闘能力の高さに内心では驚いていた。そしてある人物が脳裏に浮かんだ。

 

(緑谷出久にウォズか……あいつらがB組全体の意識の向上になっている……)

 

と目の前に切り替えると相澤は捕縛布を再び出したが物間は右に避けると同時に捕縛布を掴んで引っ張った。体勢を崩された相澤は咄嗟に捕縛布を掴んで踏みとどまるが視界には既に物間はいなかった。と視界に映った横から飛んでくる物体に相澤は目を丸くした。

 

それは天井を支える柱の一つだった。物間が先程才子とテレパシーの中で立てた作戦だった。物間が時間を稼いでいる隙に才子のサイコキネシスでボルトのネジを緩めて天井が落ちない程度の数の柱をぶつけようとする作戦だった。

 

これにはさすがの相澤も後ろに退いたがそれと同時に視界に映った才子を無力化した。

 

だが……

 

ガチャン!

 

「これは……」

 

『印照、物間ペア条件達成』

 

相澤はすぐに気づいた。あの時なぜ印照がわざわざ視界に映る位置を飛んでいたか。それは……

 

「物間への注意を逸らして隙を作るためか……はぁ~……やられたよ」

 

勝利した才子は

 

「やりましたわ!出久さん!」

 

物間も

 

(ま、主役を支える脇役にはなれたかな)

 

と今度ばかりは満更でもない心からの笑みを浮かべていた。

 

・・・・

 

モニタールームでは

 

「やったね!才子!」

 

「ん……よくやった……」

 

「すごい……」

 

一方男子陣は

 

「物間すげえ!」

 

「漢だったぜ!」

 

「あいつがあんな協力プレーができるとはな……」

 

出久も

 

(物間くん……よかったね!)

 

ウォズは

 

(ふ……彼も少しはマシな面になったな)

 

こうして印照才子と物間寧人の演習試験は終わった。



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祝え!運命の期末結果!

尺の都合を考えて大分短めです……申し訳ない……


期末試験の翌日、雄英高校1年B組の教室からはドキドキという擬音が聞こえそうなぐらい張り詰めた空気であった。

 

だがそんな空気の中で一人、ドヨーンとした空気を纏う者が一人。

 

「い、出久さん……そう落ち込むことはありませんよ……」

 

「そ、そうだよ。あの場面では仕方なかったんだしさ」

 

「たとえこれで落ちても出久が気にすることはない」

 

「ん……」

 

緑谷出久はこれほどまでないぐらい落ち込んでいた。理由は言わずもがな、期末の演習試験に合格できなかったからである。

 

確かに一人で挑んだのもあるし、オールマイトの本気と相まみえたから仕方ないといえば仕方ないのかもしれないのだがそれでも合格できなかった悔しさは計り知れない。

 

とその時

 

「おはよう諸君!席についてくれるか!」

 

ブラド先生が入ってきたので急いで席に戻る才子たち。

 

「諸君!期末試験の結果だが筆記はゼロだ!そして気になっているであろう実技だが……」

 

出久だけではなくクラスメイトの大半がごくりと唾を飲む。

 

なんやかんやあっても皆心配してくれていたのだ。

 

「問題ナシ!実技の方もゼロだ!」

 

『うおおおおおっ!?』

 

出久は嬉しさなのか驚愕なのかわからなかったがとにかく叫んだ。

 

「あ、あのブラド先生!ぼ、僕落ちちゃったんですよ?なのに……」

 

「まあ、そう反応するのが普通だな……実はあの後……」

 

試験直後の緑谷出久の赤点判断は難航を極めていた。

 

普通に合格できなかったから赤点にするにはあまりにも環境がハードすぎた。一人で本気のオールマイトと相まみえた挙句、オールマイトを戦闘不能にまで追い込んだのは見事としか言えない。オールマイト級のヴィランでも捕まえられるとの証明にもなったからだ。しかしそれで体力を使い切り肝心の合格条件に達してないのが教師陣の悩むところだったのだ。

 

勿論オールマイトは本気を出したのが原因で校長から3時間のお説教コースを食らうこととなった。

 

そして出した結論は本気のオールマイトを押えれる実力があり、尚且つオールマイトが本気を出しすぎたせいで合格条件を達成するどころではなかったとのことから赤点を帳消しにするほどのプラスポイントがつけられた。

 

「というわけだ。おまえはむしろ上位での合格となった。まったくあの人も手加減が効かないんだから……」

 

そう言ったブラド先生の顔は苦労人の顔だった。

 

アハハ……

 

そしてHRが終わると

 

「緑谷よかったなあ!」

 

「これで皆、安心して林間合宿に行けるぜ!」

 

「回原くん、鉄哲くん……うん!ありがとう!」

 

こうして僕たちB組は目の前の難関を乗り切ったのだった。だがこの後更なる事件が待っているとも知らずに……

 

 

 

 



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GO!Iアイランド!

期末試験で赤点を回避したおかげで一安心できた僕。

 

今は昼休みで皆で弁当を食べている。今日の弁当は、筑前煮にほうれん草の胡麻和えにブリの照り焼き、きのこご飯などの和食弁当だった。

 

「林間合宿何するんだろうねえ?」

 

吹出くんが僕も思っていたことを呟く。

 

最初は半分ぐらいだったが今じゃB組の皆で弁当を食べることがほとんどだ。

 

「雄英のことだからplus ultraって無茶ぶりするんじゃねえの?」

 

円場くんがそう言うと皆も苦笑いを浮かべた。

 

「なんかシンドそうだなあ……」

 

「アハハハハ……」

 

「どんな特訓だろうと受けてやるぜ!」

 

凡戸くんに角取さんのテンションが下がる中、逆に鉄哲くんのテンションは上がっていた。

 

でも僕も心の中では合宿は楽しみだ……!

 

「しっかしウォズの弁当は今日も上手いな~!」

 

「うんうん!ウォズ君ってホントにキノコ料理が得意だね!あっ!勿論他の料理も上手いけど!」

 

取陰さんに小森さんもご飯を食べながら笑顔を浮かべている。

 

『いいものだ……私は皆のこういう笑顔がみたかったんだ……』

 

ウォズ……だったらここは僕が……

 

「ねえねえ。ウォズも嬉しいってさ。心の中で黄昏ているよ」

 

『ちょ!?出久!?』

 

「へ~そうなんだ~」

 

取陰さんがニヤニヤとした笑みを浮かべる。皆、ウォズの性格を知っている。クールで感情をあまりださないことも。だからそんな彼の意外な一面を見た取陰さんにとっては格好のからかい対象だったのだろう。

 

『ハハハハハ!!』

 

教室中に笑いが零れた。

 

「取陰~!いいじゃないか!その調子でもっとウォズを弄んで「黙れ!」ぐふっ……」

 

物間くん……いくらあの訓練でウォズに恨みを持っているからって……一佳ちゃんがすぐに黙らせたけど……

 

「相変わらずだな~物間」

 

「でもみんなスマイルで楽しいデス!」

 

回原くんに角取さんもわらっている。楽しいなあ……

 

とその時

 

「緑谷少年緑谷少年……」

 

「お、オールマイト?」

 

僕の言葉に教室の皆が入口に注目する

 

「はい。私が来ました」

 

「普通だな」

 

「普通だね」

 

「もっとなかったのですか……?」

 

皆からの評価はいまいちだ。ハハハ……

 

「ちょっと緑谷少年借りていいかな?」

 

「え?ああ緑谷がいいなら……」

 

「僕はいいけど……何の用ですか?オールマイト」

 

「実はね。この度私はIアイランドのIエキスポに招待されたのだが……招待状には一名の同伴者が許可されるのだ。そこで」

 

「まさか……」

 

骨抜くんがなにかを察したように呟く

 

「そう!君を私の同伴者として招待しようというわけさ!」

 

『ええーっ!!?』

 

「ぼぼぼ僕が!?オールマイトと一緒に!?」

 

「すげえじゃねえか緑谷!」

 

「ああ!正直羨ましいぜ!」

 

皆が僕に詰め寄ってきた。

 

正直僕自身もあのIアイランドに行けるとは思ってなかった。

 

「あとこれは皆にも関係するのだが……」

 

「なんですか?」

 

庄田くんがオールマイトに聞く。

 

「体育祭の優勝者、すなわち緑谷少年にもすでに招待状が届いていたのだ」

 

「マジかよ!?」

 

「あれ?でも……」

 

「そうだ。私の同伴者として行くとなると余ってしまうのでな。緑谷少年がよければだが……あと二人Iエキスポに行くことができる」

 

「僕はいいですよ。オールマイトの同伴者として行けるなんて光栄です!」

 

「じゃあこの一枚は余ることになる。となれば……」

 

「俺たちに……譲ってくれるんですか!?」

 

円場くんが机から乗り出して食いついてきた。

 

「そういうことになるね!皆で話し合って決めてもらうか、緑谷少年に決めてもらうかはそちらに任せることにするよ!」

 

そう言ってオールマイトはスタコラサッサと出ていく。

 

この後あーだこーだと話し合った結果じゃんけんで決めることになった。

 

その結果

 

「やった!俺たちだ!」

 

「よっしゃあ!……」

 

鉄哲くんと回原くんになった。

 

でも……

 

「あーあ……出久さんと一緒に行くチャンスが……」

 

「ま……仕方ないか……」

 

「それでも悔しい……」

 

「ん……」

 

僕の彼女たちはどうやら諦めきれないようだった。

 

そして放課後才子さんたちを門前で待っていると

 

「Iエキスポか……」

 

楽しみだな~

 

「やあ緑谷君!」

 

「うわっ!?通形先輩!?」

 

背後からいきなり声をかけられて思わず腕を伸ばした状態になってしまった。

 

「ハハハ!ごめんごめん。でも君にプレゼントがあるんだ!」

 

そう言って差し出した二枚の紙は

 

「これは……Iエキスポの招待状!?」

 

「そう!サーも体調を考慮して断ったし、俺もインターンで忙しいからね!君にと思って」

 

そうか。一つはサー・ナイトアイのもう一つは体育祭で優勝した通形先輩のものか。

 

「でも僕は……」

 

「ミリオ……もっと詳しく言わないといけない……」

 

「よ・う・は!緑谷君の彼女たちを連れていけ!って感じだよね!」

 

さらに後ろから現れた天喰先輩と波動先輩。

 

「波動先輩!?いやっそれは……!」

 

「ねえねえ~彼女たちとは上手くやれてる~?」

 

波動先輩が興味津々な目をして聞いてきた。

 

「え、ええまあ……」

 

「こまったときはお姉さんに頼ってね!応援しちゃうぞ!」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

こうしてビッグ3と別れた後才子さんたちに渡すと

 

「行きますわ!」

 

「行かせて!」

 

「行く……」

 

「ん……!」

 

「よかった……麗日さんは八百万さんからもらった招待状で行くみたいだし……これで皆で行けるね!」

 

こうして僕たちはIアイランドまでに準備を整えることにした。

 

そして終業式が過ぎて当日、飛行機内では

 

「うわあああ……!」

 

「すげえ!すげえな!」

 

「二人ともはじゃぎすぎです」

 

「まあでもこのスケールはな……」

 

「すごい大きい」

 

「ん……」

 

「オールマイト、起きてください」

 

「おおっ!?寝てしまっていたか。向こうに着いたら大変だ。なぜなら……マッスルフォームでいつづけないといけないからね!」

 

こうして僕たちの長い一日が……始まったのだった。

 

 

 



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閑話 祝え!(白)ウォズの恋路!?

最初は恋バナにする気はまったくなかったんですよ!日常話にするつもりがいつのまにか……


金曜日の放課後、それはほとんどの学生が二日ある休日をいかに有意義に過ごすかと考える時でもある。だが雄英は土曜日もあるためそれはないものだとも思われたが幸いなことに明日は休校だった。

 

HRが終わると教室内が騒がしくなる。

 

「いやー、今日も疲れたな」

 

「救助訓練大変だったな」

 

「実技も大変だがヒーロー法学が難しかったぜ……」

 

円場、回原、鉄哲が溜息とともに愚痴をもらす。

 

「でもここまで持ったのもウォズの弁当のおかげだな!」

 

「そうですね……あれがなによりの至福です……」

 

ウォズのご飯が美味しいとB組全体に知られてからはそのほとんどがウォズの弁当の世話になっている。中でも

 

「ねえねえウォズ君!しめじと卵の炒め物、とーっても美味しかったよ!」

 

キノコ大好き小森季乃子はウォズの作るキノコ料理の大ファンになってしまったのである。

 

そして出久に、正確にはウォズに抱きついている季乃子だったが後ろからの視線に気づいてすぐに引いた。

 

ウォズも心の中では満更でもない笑みを浮かべていた。

 

『出久よ。明日の予定はなかったな?』

 

『え?うん……』

 

『なら明日は……少し私の我儘に付き合ってくれないか?』

 

『いいけど……何するの?』

 

『そのまえに変わってくれないか?』

 

『いいよ』

 

そして出久とウォズが精神を入れ替えると

 

「やあ!小森くん!それはよかったよ」

 

「あっ!ウォズだ!」

 

皆、ウォズと出久の違いがわかっていたのですぐに気づいた。

 

「小森くんよ。君がよければだが……明日付き合ってくれないか?」

 

皆が『え!?』の声を漏らす。

 

ちなみに皆の心の中は

 

(あのウォズがデート(?)に誘った!?)

 

(いやいやマジで!?)

 

(ていうか季乃子も満更でもない笑みを浮かべているし……これはもしかして……!)

 

「なになに!?どこかいくの!?」

 

「それは明日のお楽しみさ。それでどうする?行くかい?」

 

「ん~……わかった!行くよ!」

 

「それはよかった!私も楽しみにしてるよ!」

 

こうしてデート(?)に誘われた季乃子

 

そして土曜日

 

「待ち合わせの場所はここらへんなんだけどな~……ここって?」

 

そこはある資産家が所有するといわれている山だった。

 

「でも来るように言われたのははここだし……地図が間違ってるのかな?」

 

不安になる季乃子だったが

 

「やあ小森くん!」

 

「ウォズ!」

 

季乃子がウォズの姿を見て安心したように飛びつく。

 

「なんか不安そうな表情だったけど……なにかあったのかい?」

 

「あのね。待ち合わせの場所ってここだよね?」

 

「そうだよ」

 

「でもここって……」

 

「ああ資産家の山っていう話か?それなら問題ない」

 

「……どういうこと?」

 

「なぜならその資産家とはこの私だからだ!」

 

『ええーっ!?』

 

とその時

 

「ん?気のせいか?今、鉄哲君たちの声が聞こえたような気がしたが……」

 

「う、ウォズ君の所有している山……?」

 

「ああ、そうか。君には言ってなかったが私は株をやっていた時があってね。その資産で買ったのだよ」

 

「…………」

 

「……?おーい小森君?」

 

「……はっ!だ、大丈夫!」

 

ウォズが季乃子の目の前に手を振っていたら我に返った彼女は赤面した。

 

「とりあえずそういうわけだからここに君が入ってもなんも問題ないよ」

 

「そうだったの……わかった!じゃあ行こう!」

 

こうして山に入っていく季乃子とウォズ、

 

一方

 

「バカ!鉄哲!尾行すんのにおっきい声出しちゃダメだろ!」

 

「す、すまねえ……」

 

「でも意外だったな。鉄哲の性格上、こういうのは嫌がるかと思ってたのにさ」

 

「俺だってあまりこういうのはやりたくねえ。かといってあいつらの邪魔はしたくねえからな!」

 

どうやら鉄哲は二人の恋路に興味を持っているが邪魔はしたくないようだった。

 

「でもウォズの山に勝手に入っていいのかな?……」

 

「それなら大丈夫。昨日出久の方に『遊びに行っていい?』って、確認とってOKとれたから!」

 

「っていうか一佳たちは知ってたの?物間も……」

 

「はい。出久さんと出会えたのもウォズさんのおかげですから♪」

 

「僕は出久くんとウォズくんの地獄の特訓に付き合わされて、その修行場所でこの山を知ったのさ……」

 

光がなくなった物間の目を見て苦笑いしか出せないB組一同

 

ちなみにここにいるメンバーは出久LOVERに鉄哲、回原、円場、物間、泡瀬、鎌切、吹出、骨抜、取陰、角取だった。

 

なんでこうなったかというと取陰や回原たちが興味を持ったのが最初だった。そして一佳たちもウォズと同じ体の出久の安否を心配して『行こう!』となった結果収集がつけられなくなったのだ。

 

肝心のデート(?)場所の把握だったが取陰の個性が万能すぎて問題なかった。

 

こうしてウォズ、季乃子追跡メンバーが結成されたのだった。

 

そしてその対象者であるウォズたちは

 

「ねーねー?なんでこの山を買ったの?」

 

「出久のトレーニングにいいと思ってね。最近はきてなかったが」

 

「それで?ここでなにするの?」

 

「もうすこしついてくればわかるさ」

 

そして階段を登り切って見えた光景は

 

「あれって……!松茸!?」

 

目の前に広がっているのはアカマツの林にその根元にちょこっと生えている松茸だった

 

「すごい!松茸がこんなにいっぱい!」

 

季乃子は目の前の光景に興奮を隠せなかった。

 

「どうだい?今日はキノコ狩りに来てもらったんだよ」

 

「ありがとうウォズ君!最高のサプライズだよ!」

 

季乃子はそのまま駆け出して松茸を近くで眺めていた

 

それを通目で見ていたウォズは

 

(よかった……連れてきて……あんなに楽しそうな小森くんを見ていると……なんだかこっちも……あれ?なぜ私は小森くんが喜んでいるのをみてこんなにも嬉しいんだろうか?前から小森くんが喜んでいるのに好感は持っていたが、なぜか最近は……)

 

一方の季乃子も

 

(楽しいな~。あれ?でもなんで私、こんな簡単にウォズ君のお誘いに乗ったんだろ?そりゃあウォズ君は優しいし、料理も上手だし、私が食い気味に迫ってきても嫌がることなく答えてくれるし……でも……このドキドキは一体……)

 

そしてその後、松茸を採集したウォズたちはその場で焼いて食べることにした。

 

それを見ていた鉄哲たちは

 

「上手そ……」

 

「ああ~!食いてえ……」

 

「でも邪魔するわけにもいかないし……」

 

と目の前で松茸を食べている光景と松茸の香りで食欲がそそられていたのだった。

 

一方ウォズたちは

 

「美味しい!」

 

「それはよかった」

 

そして鉄哲たちが羨ましそうに見ている中で食い終わった。

 

その後、二人は森の中を散歩することにした。

 

「美味しかった……」

 

「ふふ……随分食べていたね……」

 

「うう~!言わないでよ~!」

 

「ハハハ、すまない」

 

(楽しいな……こんな平和な時がずっと続けばいいのに……)

 

(ウォズくん……楽しそう……でもなんか嬉しい……)

 

そして二人で歩いていたら

 

「あっ!ウサギだ!」

 

季乃子がウサギの後をつけると言い出したのでウォズも了承した。

 

ついていった巣穴にいたのは二匹の夫婦ウサギがたわむれているところだった。

 

「うわあああ……夫婦だ……」

 

「美しいね……生命の愛情というものは」

 

夫のウサギのほうはオッドアイの目をしていた。

 

そして刺激しないためにも立ち去ったウォズたち

 

とここで

 

(さっきのウサギさん……いいなあ……私もあんなふうに……)

 

と思った先でウォズを見ると

 

「うぉ、ウォズ君……」

 

「ん?」

 

「……手……繋いでもらってもいい?」

 

赤面しながら手を差し出した季乃子を見たウォズは

 

(ふっ……そういうことか……私は彼女が……)

 

そして差し出された手を握ったウォズ

 

それを見ていた一佳たちは

 

「季乃子……」

 

「おおお……」

 

「もしかしてもしかして……!」

 

とニヤニヤした完全に野次馬根性の目で見ていたが

 

「あ~!かったりぃ!」

 

『!!?』

 

その場にいた誰の声でもないものが響き渡った。

 

ウォズたちが振り向いた先には頭が狼の男と眼鏡をかけた優男風な男がいた。

 

「こんなとこにオッドアイのウサギなんているのかよ!」

 

「富豪アルノスの命令です。仕方ありませんよ」

 

「にしてもこの山、資産家のものだったっけ?随分なもんだなあ!」

 

そしてウォズたちは確信した。あいつらはハンターでウサギを捕まえに来たのだと

 

「どこだどこだ……おっ!巣穴ミッケ!ホントにいやがったぜ!」

 

「それでは捕まえましょう。これで我々は」

 

「億万長者だ!」

 

とその時

 

「ここから先へはいかせないよ」

 

「なんだあ!てめえら!ここは立ち入り禁止だぞ!どっかいけやあ!」

 

「それはこっちがいいたいね。勝手に私の山で乱獲するなど……許しがたいものだ」

 

「あ!?て、テメエはウォズ!ていうかさっきの会話も……」

 

「聞かれていた……でしょうね。では死んでもらいましょう」

 

「ヴィラン……あの子たちの生活を奪わせはしないノコ!」

 

『出久よ。ここは私たちに任せてくれないか』

 

『うん……わかった!』

 

<ギンガ!>

 

<アクション!>

 

<投影ファイナリータイム。ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー!ウォズ!ギンガファイナリー!ファイナリー!>

 

「さあ……行くぞ!」

 

ウォズがエナジープラネットをぶつけようとしたら

 

「ハッ!甘え!」

 

ヴィランが指を鳴らすとウォズと季乃子の動きがゆっくりになった。

 

「私の個性は範囲内の対象物の動きを遅くします。いくらアナタが強くてもこれじゃ無理でしょう」

 

「そして俺のウルフのパワーででいままでどんな任務もこなしてきた。ここで終わりだ!」

 

そして襲われるウォズだったがパチッと指を鳴らすとゆっくりだった動きが元に戻った。

 

「「なっ!?」」

 

「はあっ!」

 

そしてウルフのヴィランを拳で吹き飛ばした。

 

だがゆっくりとだが立ち上がって睨んでいた。

 

「重加速程度なら私の力で破れる」

 

「なるほど……一筋縄ではいかないようですね……ならば!」

 

優男のヴィランが再び指をならすとウルフのヴィランの動きが更に早くなった。

 

これにはウォズも吹き飛ばされてしまった。

 

「私の個性が一つだけだとは言ってませんよ?」

 

「そうだ!だからこそ俺たちは最高のコンビだ!まずは……てめえからだ!」

 

そして季乃子に向かっていくウルフヴィラン

 

『危ない!』

 

『……大丈夫さ』

 

と季乃子に接近するヴィランだったが

 

「ご、ごほっ!!」

 

「?」

 

「うえっへ!ごっほごっほ!うええええっ!」

 

「おい……なにを……うえぇっ!?」

 

「君なら……大丈夫だと信じていたよ」

 

二人のヴィランがせき込んで動くところじゃなくなっている始末だった。季乃子の個性で器官にキノコを生やしたのだ。

 

そして動けなくなったヴィランにウォズがエナジープラネットをぶつけるとふたりとも気絶した。

 

「むー……少しは心配してよ」

 

「好きな人を心配するのは当然だが信じないのとはまた別だろ?」

 

「もう……ええっ!?」

 

好きと直球に言われて今まで以上に赤くなる季乃子

 

そして季乃子も

 

(ああ……そうか、そうだったの……私は……)

 

「ウォズ君/小森君……私は……アナタ/キミが好きです」

 

そして一瞬の沈黙のあと二人は

 

「嬉しいっ!」

 

「私もだよ……」

 

お互いを抱きしめあった。

 

ちなみに心の中の出久は

 

『えええええええ!!?うぉうぉ、ウォズが小森さんを好き!?いや……僕が言えないか……』

 

鉄哲たちも

 

(うおおおおおぉぉ!やったなウォズ!)

 

(一佳これはいいの?)

 

(うん……出久は出久あってウォズはウォズだもん……私たちが出久を好きで独占したいからって二人の仲を引き裂くなんてできない……)

 

(そうですわね……ふたりの愛が感じられますから……)

 

と二人の桃色空間に話が盛り上がっていたが

 

「うええっ!ごほっごほっ!」

 

「こ、これって季乃子の……!」

 

才子たちも季乃子の個性の影響を受けて咳が止まらなくなってしまった。その結果

 

「みんな……?」

 

「どういうことか……説明してくれるかな……?」

 

二人の威圧を前に鉄哲たちは

 

『すみませんでした』

 

と言うしかなかった

 

二時間後

 

「やったね!季乃子!」

 

「おめでとうございます」

 

「一緒に出久たちのお嫁さんになろ?」

 

「い、いいの……?」

 

「ええ、元より私たちは出久とウォズさんを独占する気はありません。愛を分け合ってくれるのならそれでいいのです」

 

「う、嬉しいノコ……」

 

と皆でパーティーを開いていた。女性陣は季乃子の恋の門出を祝っていたが男性陣は皆松茸を食いたかったのだ。勿論二人のことを祝福してないわけじゃないが

 

「全く~ウォズまで彼女作りやがって~!」

 

「羨ましいぜ!こんちくしょう!」

 

「ははは……僕も驚いたよ……でもウォズはいつから小森さんのことが好きだったの?」

 

「小森くん……いや季乃子くんが私の料理を純粋に褒めてくれるのが嬉しかった……そこから話し合っているうちに惹かれた……というべきかな」

 

「ま、とにかくおめでと」

 

『おめでとー!!』

 

「こうしてウォズと小森季乃子はお互いの心の内をさらけだして後に才子たちと一緒に出久たちの婚約者となるのだった……おっとここからはまだ先の話ですね。それではそれでは」

 




夏にも松茸はありますよ。早松茸(さまつたけ)というらしいです。


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祝え!メリッサ・シールドとの出会い!

コスチュームに着替えた僕たちは現在入国審査を受けていた。

 

「厳重」

 

「それぐらいここにあるものたちはヴィランにとっても貴重というわけですわ」

 

「しっかしすっごいシステムだな」

 

「ん……」

 

「麗日さん、もうついているかな?」

 

とここでオールマイトが

 

「緑谷少年たちに質問だ。この人口島が作られた理由は?」

 

「確か……世界中から個性の科学者やヒーローアイテムの開発者などを一箇所に集めて……ヴィランから守るためだと聞いています」

 

「それにこの島は移動が可能で警備システムも大収容所”タルタロス”に匹敵するといわれてるんですよね?オールマイト」

 

「うむ!印照少女に緑谷少年。正解だよ!」

 

そうこうしてるうちに入国審査が終了した。

 

そして目の前に広がるのは

 

『うわあああああ……!!』

 

目の前に広がるのはWelcomeと文字が描かれた噴水や宙に浮かんでいるカプセルなどそのどれもが最先端の技術によるものだった。

 

「雄英も凄いと思ってたけど……!」

 

「これはこれは……そうだ!写真写真!」

 

回原くんが我慢できなくなったのか趣味の写真撮りを始め、才子さんたちが

 

「出久さん!一緒に写真を撮ってもらいましょう!」

 

「そ、そうだね!」

 

「ん……!」

 

「ふふ……」

 

そして色んなアングルから写真を撮ってもらっていると

 

「あれ?オールマイトは?」

 

「オールマイト先生ならあっちで足止め食らってるぜ」

 

遠目で見てみると確かにいろんな人たちから熱烈な支持を受けていた。

 

「そういうわけですので!しばらくは楽しみましょう!」

 

「そうだね……楽しもう!」

 

こうして時間のある限り写真を撮ってもらったが回原くんがフィルムが少ないと嘆いていた。

 

そしてオールマイトと合流すると

 

「あそこまで足止めされるとは……約束の時間に遅れてしまうとこだったよ」

 

「約束?ですか?」

 

「ああ、古くからの私の友人でね。色々なサポートアイテムで私を助けてくれた」

 

「まさかその人ってあの……」

 

「印照少女が予想している通りだ。その人物はデイビット・シールドさ!」

 

「デイヴィッド・シールドってあの!?」

 

「そんな人と会えるのか!?」

 

「俺たちも会っていいんですか!?」

 

「勿論だとも!ただ、緑谷少年の秘密については内緒にしてくれ」

 

「親友にも話してないんですか?」

 

「ワンフォーオールには危険がつきまとう。デイブにも簡単に話すことはできない」

 

「そうですよね……」

 

僕がオールマイトの言ったことに納得していたがウォズが

 

「だがオールマイト。それは彼の気持ちを蔑ろにしてるんじゃないのか?」

 

「なっ!?どういうことだい!?」

 

精神の主導権を強引に奪ってオールマイトにそう言った。

 

ちょぉっ!?ウォズ!?皆も驚いていた。

 

「彼だって君の仲間なんだろ?君の思いはわかる。オールフォーワンの戦いに巻き込みたくないんだろ。だがそれが君を助けたいって思う彼の気持ちを切り捨てていることではないのか?」

 

「それは……」

 

「確かに君の懸念も最もだが、仲間というのはそんなに薄っぺらいものなのか?少なくとも私が知っているヒーローは最後まで仲間を……こんな私のことすらも信じていたぞ」

 

「…………」

 

と重たい空気が流れていた時、遠くからピョーン、ピョーンと軽快な音が近づいてきた。音の方を見てみるとホッピングに乗っている金髪眼鏡の女性が向かってきていたのを見たオールマイトはすぐに悪い空気を断ち切るように笑顔を浮かべて

 

「おじさまー!」

 

「オー!メリッサ!」

 

その勢いのままオールマイトに抱きつくとオールマイトも抱きしめる。

 

「来てくださって嬉しいです!」

 

「こちらこそ招待ありがとう。しかしすっかり見違えたね。もう立派な大人の女性だ」

 

「17になりましたから。昔と違って重いでしょ?」

 

「なんのなんの!」

 

その様子を見ていた僕たちは

 

「あの人は誰だろう?」

 

「おそらくデイビットさんの娘さんだと思いますが……」

 

とメリッサさんもこちらに気づいたのかこっちに来ると

 

「ああ、緑谷少年たちよ。彼女はデイブの娘の」

 

「メリッサ・シールドです。初めまして」

 

「こちらこそよろしくお願いします。雄英高校ヒーロー科1年の緑谷出久です」

 

「初めまして、メリッサさん。同じく雄英高校ヒーロー科の印照才子ですわ」

 

「同じくヒーロー科の拳藤一佳!よろしく!」

 

「柳レイ子です……よろしくね」

 

「ん……小大唯です」

 

「俺は鉄哲徹鐵ってんだ!よろしくな!」

 

「俺は回原旋だ」

 

「雄英高校……じゃあマイトおじさまの……」

 

「ああ!自慢の教え子たちさ!」

 

「すごーい!将来有望なのね!」

 

メリッサさんが目を輝かせてこちらを見てくるが

 

「ああ!早くパパの元に案内しなくっちゃ。こっちです、マイトおじさま」

 

自立していたホッピングのボタンを押すと光と共に紐上になった。

 

その後をついていく僕たち。

 

でも僕にはウォズが言った言葉が引っかかっていた。

 

サー・ナイトアイもそうだったがオールマイトは……自分のことを……見ていないのかな……

 

もしそうならオールマイトは……ボロボロになっても……他者のためだけに……笑い続けるのかな……

 

そんなの……

 

嫌だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌だ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌だ…………

 

そんな不安を胸に抱いたまま僕の足は進んでいく。

 



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挑め!ヴィランアタック!

「すげえよな!ここが人口の島だなんてとても思えねえ!」

 

あの後、僕たちは博士を紹介してもらった後、メリッサさんの案内でIエキスポを回ることにした。

 

オールマイトは博士と積もる話があるみたいなのでそこで別れた。

 

「海外の有名なヒーローもいますわね」

 

「サイン会や催し物などあるんだって」

 

「さすが」

 

「ん……」

 

「夜には関係者を集めたパーティーも開かれるみたいなの。そこなら他国のヒーローとも会えるわ」

 

「他国のヒーローからの貴重な意見交換などもできるわけか……すごいな……っていうかウォズはこんなにすごい島があるのに驚かないの?」

 

『私はもっとでかい人口島や空飛ぶ島なども知ってるからね。こういうのは見慣れているだけさ』

 

「出久くん誰と喋っているの?」

 

わっ!しまった……メリッサさんがいる前で……でもいい機会だからウォズも知ってもらおうかな。いいよね?

 

『別に構わないさ』

 

ウォズからの了承も得たので僕はメリッサさんに自分の事情を話す。

 

「そうだったの……」

 

メリッサさんは案外普通に信じてくれた。

 

「じゃあ変わりましょうか?」

 

「ホント!?是非話してみたいわ!」

 

そして僕たちの意識を切り替えると

 

「やあ初めまして。ミスメリッサ。私がウォズさ」

 

「わあ!ホントに出久君と違う!目つきとか声とか雰囲気とか!」

 

その後も異世界の話や僕たちの出会いなどで盛り上がるメリッサさん。

 

「じゃあ出久君も無個性だったんだ……」

 

「うん……でもウォズがいてくれたから……僕は前を歩けたんだ……」

 

「いいなあ……まるでマイトおじさまと私のパパみたいに信頼しあっているのね」

 

「そうですわね……ちょっと待ってください。出久さんもとは?」

 

「あっ……うん、私も無個性なんだ」

 

『あっ……』

 

なぜか地雷を踏んだ感じがしなかったので才子さんはすぐに

 

「も、申し訳ございません……!」

 

「いいのよ、気にしてないから。でも私は最初は出久君みたいに落ち込んだ時もあったけどすぐに別の目標ができたから」

 

「別の目標……ですか?」

 

「私のパパ」

 

そう言ってメリッサさんはパビリオン内の周りにある発明品に目を向けて

 

「ここにあるほとんどが私のパパが発明した特許が元に作られてるの。例え戦えなくてもヒーローのサポートをして人々を助けている……そんなパパみたいな科学者になるのが私の夢よ♪」

 

そう誇らしげに微笑むメリッサさん

 

『いい夢だな……』

 

『そうだね……』

 

そして外にでて待ち合わせ場所の喫茶店で休んでいると

 

「出久君!」

 

「お茶子さん!」

 

お茶子さんに八百万さんと耳郎さんがこっちに来た。

 

その後お茶子さんたちにメリッサさんを紹介していると上る鳴くんと峰田くんがウエイター姿でメリッサさんをナンパしようとしたが後ろから来た飯田くんに怒られた。

 

とお茶をしていると

 

なにやら騒がしい音楽が聞こえてきたので

 

視線を向けると

 

「小森さん!?」

 

『季乃子君じゃないか!』

 

そこにはステージでウォズが教えた曲『BE THE ONE』を歌っている小森さんがいた

 

そういえば小森さんアイドルヒーローになりたいって言ってたっけ。

 

盛り上がるステージに主導権を奪ったウォズが手を振ると小森さんも手を振ってウインクしてくれた。

 

そしてライブが終わって小森さんとも合流した

 

「ウォズ君!」

 

「季乃子君!」

 

お互いに再開できるとは思っていなかったのか喜びがいつも以上だ。

 

メリッサさんに小森さんを小森さんにメリッサさんを紹介した。

 

「それで季乃子君、なぜこの島に?」

 

「それがね~ステージアイドルに募集したら受かったのノコ!休み時間にIエキスポをみて回れるし、それに……ウォズくんとも一緒にいれるし……」

 

赤くなってウォズの手を握る小森さんにウォズも優しく笑って手を握り返す。

 

「まあともかく会えて嬉しいよ」

 

「私もだよ!」

 

とその時先ほどよりも大きな音が響いた。

 

音の方を見てみると大きな氷塊がそびえたっていた。

 

見覚えがあるその氷塊は

 

「出久さん……」

 

「どうやら彼も来ているみたいだね」

 

「誰?」

 

僕たちは喫茶店を後にして個性を駆使して仮装敵を倒していく『ヴィランアタック』にやってきた。

 

そこにいたのは同じヒーロー科の轟くんだった。

 

「緑谷たちも来ていたのか」

 

「轟君も来てたの?」

 

「俺は親父の代理だ」

 

MCのお姉さんのマイク音声が響く

 

『現在1位は14秒の轟君!果たしてこれを超える者は現れるのか!次のチャレンジャーは夜嵐イナサ君です!』

 

夜嵐君も来てたの!?

 

「ハッハーァ!旋風!」

 

スタート地点から空中に一気に飛び出した夜嵐君は次々と風の弾丸で仮装敵を撃ち抜いていく

 

『これはすごい!轟君の14秒を超える12秒!またしても新記録だあ!』

 

「おっ!緑谷じゃないっスか!」

 

「夜嵐君はどうやってここに?」

 

どうやらエンデヴァーの元に2枚ほど招待状が届いてそれを夜嵐君がじゃんけんで勝ち取ったそうだった。

 

「さあ!新記録を打ち破る者は現れるのか!?』

 

「なあ、出久もやってみたら?」

 

「そうだね、ちょっとやってみよっか!」

 

一佳ちゃんの提案に僕も少し乗り気のようだ

 

『続いてのチャレンジャーは緑谷出久君!さあー!いったいどんな個性なのか!?』

 

<シノビ!>

 

<アクション!>

 

「変身!」

 

<投影フューチャータイム、誰じゃ!?俺じゃ!?忍者!?フューチャーリングシノビ!シノビ!>

 

僕が変身すると会場からどよめきが起こった。

 

「あれが……出久君たちの個性……」

 

『ヴィランアタック!レディーゴー!』

 

<ジカンデスピア!カマシスギ!>

 

そのまま正面のヴィランに一気に接近してジカンデスピアを振るって機能停止させる。

 

『ウォズ!』

 

『ああ……!』

 

『『精神同調!スピリットドライブ!』』

 

精神を同調させ、反射神経を上昇させるとすぐさま上の仮装敵に突っ込むと同時にジカンデスピアを振るってそのまま上まで飛び上がる。

 

そして仮装敵を全部停止させた。

 

『これはすごい!8秒です!まさかの一桁!一気にトップに躍り出ました!』

 

ちなみにこの様子を見ていたメリッサたちは

 

「すごい……あれが出久君たちの個性……」

 

「驚いたでしょう?彼はいずれナンバーワンヒーローになられる緑谷出久さん。ヒーロー名はフューチャーヒーローウォズです」

 

「ウォズ……」

 

メリッサは出久の背中がオールマイトと同じぐらい大きく見えた。

 

 

 

 



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Despiar

遅くなって申し訳ない!


Iアイランドの中央にそびえ立つセントラルタワー

 

そのタワーの診療室には二人の男性がいた。

 

一人は平和の象徴でありナンバーワンヒーローのオールマイト、ただし今は診察カプセルのなかで弱弱しい状態のトゥルーフォームになっているが

 

もう一人の眼鏡をかけたオールマイトと同年代の男性はオールマイトのアメリカ時代からの相棒にして世界にその名が知られている天才発明家であり天才科学者、デイヴィッド・シールド。

 

ピッピーという機械音が診療室に鳴り響きデイヴィッドはモニターの数値を見ると落胆したように頭を落とす

 

「どういうことだトシ……なぜ…これほど個性数値が下がっているん……だ……?」

 

今行っていたのは個性の力を表す検査である。オールマイトの個性数値が異常に下がっているという結果はデイヴィッドにとって受け入れがたいものだった。モニターの折れ線グラフは途中でガクンと急降下し、その数値は全盛期の1/60まで下がっていた。

 

「オールフォーワンとの戦いで内臓を摘出したからとはいえ……この数値は……」

 

デイヴィッドはオールマイトのトゥルーフォームのことやオールフォーワンとの戦いで内臓を摘出したことは知っていてもオールマイトの個性や緑谷出久に自身の個性を譲渡したという事実は知らなかった。

 

「このままでは平和の象徴が失われてしまう……君のおかげで日本のヴィラン発生率は他国より遥かに低い……君がアメリカに残ってくれたらとなんど思ったことか……」

 

デイヴィッドが俯き頭を抱える。

 

その光景を見たオールマイトは自信が秘密にしていたせいで親友を苦しめているんだということにようやく気付いた。

 

だが

 

(それでも……デイブにはメリッサもいる……戦いに巻き込むわけには……)

 

と思った矢先、ウォズに言われた言葉を思い出した。

 

『彼の気持ちを蔑ろにしてるんじゃないか?』

 

(私は……)

 

『少なくとも私が知っているヒーローは最後まで仲間を……こんな私のことすらも信じていたぞ』

 

(そうだな……私たちは仲間で親友だものな)

 

「……デイブ、真実を話そう」

 

「トシ……?」

 

「今から言うことは信じられないかもしれないが「トシの言うことだ。信じるよ」ありがとう……」

 

そして一拍置き、意を決して口を開く。

 

「もう私には”個性”がないんだ」

 

「--は……?」

 

流石のデイヴィッドも予想斜め上の言葉に絶句した

 

「ど、どういうことだ!まさかオールフォーワンやそれに関する個性に!!」

 

困惑するデイヴィッド。だがオールマイトはゆっくりと口を開く。

 

「違うんだ……私の持っていた個性はワンフォーオール、オールフォーワンと対になる聖火の如く引き継がれ……力を得てきた個性……」

 

「なっ……!?」

 

デイヴィッドは次々と飛んでくる予想外の情報に混乱していた。

 

「じゃ、じゃあ個性数値が急激に下がっていったのはー」

 

「そうだ……私の弟子であり教え子の一人……緑谷出久に私の個性を継いでもらったんだ……かくいうこの私も元々無個性だったのをお師匠に託してもらった」

 

「まさか……!?」

 

あの絶対的ヒーローのオールマイトが無個性だった事実はさらにデイヴィッドを驚愕に染めた。

 

頭を抱えて悩むデイヴィッドを心配させないまいとオールマイトは口を開く。

 

「そう絶望しないでくれデイブ。緑谷少年は……かつての私を超え始めている」

 

「……?」

 

かつてのオールマイトを誰よりも隣で見ていたデイヴィッドにとって信じられない事実だった。

 

「彼は私が敵わなかったヴィランも倒し……試験ではこの私も倒し……そしてオールフォーワンをも退けた……」

 

「な……!?」

 

全盛期でないとはいえオールマイトが倒せないようなヴィランをも倒し、オールマイトに勝ったという事実だけでなくあのオールフォーワンをも退けたというのはデイヴィッドでなくとも衝撃するだろう……

 

「だからもう少し待ってくれ……次代の平和の象徴は……確実に芽を伸ばしている……」

 

「……」

 

オールマイトは信頼した目でデイヴィッドを見るとデイヴィッドも微笑んで握手を返した

 

・・・・

 

「拘束しました。警備は予定通り5人でした」

 

Iアイランドのセキュリティを管理するタワーの最上階にあるコントロールルーム

 

そこには5人の警備員が拘束されていた。

 

「順調だな……こちらも動くぞ」

 

とその時、響く着信音

 

その中のリーダー格の男がスマホを手に取る

 

「なに?オールマイトが?わかったそれはこちらで対処する。で?なんだ。ちゃんと手伝ってくれるかって?安心しろ。約束通りアンタの計画に支障はない」

 

そして電話を切った男はニヤリと笑みを浮かべていた

 

「くっくっく……これで奴はもう戻れない……それに……あの方からもらったこれも……」

 

そしてそのボタンを押すと

 

<……キカイ……>

 

禍々しい音声が鳴り響いた

 

・・・・

 

あの後オールマイトと別れたデイヴィッドは研究室に座り込んでいた。

 

だらんと垂らした手にはスマホ

 

その着信相手は……先ほどの男だった

 

デイヴィッドは偽のヴィランを利用して永久凍結された自身の研究成果を取り戻そうとしていた。

 

サムから提案された時には戸惑ったが、今日にいたるまで完全に決められないでいた。

 

だが……

 

(オールマイト……確かに君の言う通り……次代の希望は芽を伸ばしているだろう……でも君は?君はこれからも戦い続けるのだろう?君が個性を失って戦えば、その先に待っているのは……)

 

オールマイトは弱っていたとしても戦い続けるだろう……それは長く隣にいたデイヴィッドだからこそわかっていたのだ。そしてその先に待っている未来を想像してしまうと……

 

だからといって、説得してもオールマイトは戦いを止めない。そうすれば待っているのは平和の象徴の喪失という未来だからだ。

 

ならどうすればいい?

 

その迷いがデイヴィッドに決断させる材料となってしまった。

 

(この計画が成功すれば彼はまだ戦える……!彼の意思を途切れさせずにすむ……!オールマイト……君が死ぬのだけは

 

嫌だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌だ

 

そして頭を抱え、苦い笑いを浮かべるデイヴィッド

 

もうどんな声も今の彼には届かない……

 

 

 




タイトル名は英語で『絶望』という意味です!


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結束!Iアイランドレジスタンス!

初めに言っておきます……作者の文才と知識不足ではヒロインたちのドレス姿を上手く表現できないでしょう……すみません……


あの後、上鳴くんや峰田くんなども飯田君が誘ってレセプションパーティーに参加することになった。

 

時間も大分余裕があったので僕は集合時間に間に合ったのだが……

 

「才子さんたち……まだかな?」

 

「ああ!団体行動を何だと思ってるんだ!」

 

飯田くんが憤慨していたが

 

「まあまあ飯田くんよ。女性にはいろいろと時間が必要なのだよ。多少のことには目を瞑ってあげた方が楽だぞ?」

 

ウォズが横から口を入れて飯田くんを宥めている時

 

「ごめんおくれても~たぁ」

 

「すみません……」

 

「ごめんな……」

 

女性陣がドレスを纏って登場した。華やかな衣装に、大胆な衣装や大人っぽいエレガントな衣装など様々だがどれも彼女たちの魅力を引き上げていた。

 

麗日さんに続いて才子さん一佳ちゃん、レイ子ちゃん、唯ちゃん、八百万さん、耳郎さん、小森さんが入ってきた。

 

「「うっひょぉぉぉぉぉ!!!」」

 

上鳴くんと峰田君たちは相変わらずだなあ……

 

でも耳郎さんに対して

 

「女の殺し屋みてー」

 

「馬子にも衣裳ってやつだな」

 

って言ってイヤホンジャックを食らったのだった。

 

『出久よ。女性に間違った言葉をかけるとああなるのだ。気を付けろ』

 

ハハハ……ソウダネ……

 

「い、出久さん……どうでしょうか……?私たちのは……?」

 

「な、なんか一言……ない?」

 

「感想……教えて……?」

 

「ん……!」

 

「い、出久くん……ウチも欲しいなー……」

 

僕の彼女たちが期待に満ちた視線を僕に向けてくる。

 

そうだな……

 

才子さんはピンクのシャンタンドレスに一佳ちゃんは紅色のフィット&フレアワンピースに唯ちゃんは上は白のバルーンスカートにレイ子ちゃんは青のエンパイアラインドレスに麗日さんは白とピンクの大胆なドレスだった。

 

正直皆、僕には勿体ないぐらいの美少女たちだ

 

でも皆の期待のためにも僕の本心を出さないとね

 

「みんな似合ってるよ!才子さんは大人っぽくて!一佳ちゃんは色っぽくて!唯ちゃんはキュートで!レイ子ちゃんはスマートに見えて!麗日さんは可憐さが!皆超可愛いよ!」

 

僕が少々大きな声で答えると

 

「「「「「あうー……」」」」」

 

皆、蒸気が出そうなぐらい顔が赤くなっていた。

 

峰田くんと上鳴くんが恨めしそうにこちらを見ていたが耳郎さんが片付けてくれた

 

と僕の足元に

 

「出久君!ウォズ君に聞いて!私のこれ……似合ってるかな……?」

 

白のロリータファッションの小森さんがズボンを引っ張って聞いてきた。

 

と精神を切り替えると

 

「やあ季乃子くん!とても似合ってるよ!まさに君は私の姫だ!」

 

「ひ、姫って!ウォズ君が王子様……!王子様…!王子様…!王子様…!」

 

小森さんも顔を赤くしてなにかをブツブツと呟いていた時

 

「皆!まだここにいたの!?パーティー始まってるわよ!」

 

眼鏡をはずして華やかな衣装を着たメリッサさんが来た。

 

「やべーよ峰田……俺どうにかなっちゃいそう……!」

 

「どうにでもなれ」

 

盛り上がる上鳴くんと峰田君に対して呆れた表情で呟く耳郎さん

 

とパーティー会場に向かおうとエレベーターのボタンを押そうとした時、突然ロビーのシャッターが閉まってサイレンが鳴り響いた

 

そしてIアイランド内に爆発物が仕掛けられ、厳重体勢に移行したという放送が流れてきた。

 

その情報に皆が驚いて状況を探ろうとするも携帯なども圏外の状態だった。

 

「ダメっス!エレベーターも使えねえ!」

 

夜嵐君からエレベーターのボタンを押しても作動しないことを聞いた僕たちは

 

『ウォズ……どう思う?』

 

『ただ爆発物が見つかっただけにしては警備が厳重になるのは変だ……それにどうやって警備をすり抜けて持ち込んだのかもわからないのに……ただ見つかっただけという情報……不自然な点が多すぎる……』

 

そして皆に僕とウォズが考えたことをある程度伝えると

 

「た、確かに……」

 

「でもよう!警備システムが作動したってのは事実なんだろ!なにかが起こってるってのは確かなんじゃねえか!?」

 

回原くんが納得したが鉄哲くんがすぐに最もなことを口にした。

 

警備システムが作動したのは事実。でもそれには不可解な点が多すぎる。

 

嫌な予感と共に不安が募っていく皆。

 

「……会場に行こう」

 

「どうしてっすか?」

 

「会場にはオールマイトがいるんだ」

 

「なんだ!それなら安心だな!」

 

峰田君が安堵したが僕はそう思えない……ウォズの言った通り、仮に爆発物の情報が事実だったとしても、どうやってそれらはここに運ばれたんだ?もし情報が仕組まれたものだったらそれは警備システムが乗っ取られたということだ。それに関してもどうやって警備をすり抜けて誰にも気づかれずに侵入したんだ?どちらにせよ内部の、それもかなり優秀な協力者がいないとこの状況を作りだすのは不可能だ。

 

となるとこの島にいる誰かにいつ牙を向けられてもおかしくない

 

『ウォズ……』

 

『とにかく今は会場に向かおう。そこでオールマイトから情報を掴むんだ』

 

僕たちは嫌な予感と未知の恐怖に臆されながらも非常階段を上って会場に向かう。

 

・・・・

 

その頃会場ではオールマイトたちがヴィランによって拘束されていた。

 

会場にはライフルを構えたヴィランの構成員が見張っておりとても手が出せる状況じゃない。そんな中オールマイトは上階から覗く出久と才子の二人に気づくと心の念話で才子に聞こえるようにする

 

(ヴィランがタワーを占拠中、警備システムも掌握された。人質はこの島にいる全員、危険だ。すぐにここから脱出しなさい)

 

とオールマイトの心をテレパシーで読んだ才子はすぐに

 

「大変ですわ!出久さん!」

 

その後出久と皆も才子が聞いたオールマイトからの情報と指示に戸惑っていたが飯田はすぐに

 

「俺はオールマイト先生の言う通りすぐに脱出すべきだと思う」

 

「ですが……」

 

「うん……ここの警備システムはタルタロスと同じぐらいに設定されているわ。脱出はほぼ不可能よ」

 

才子とメリッサがすぐにその案に対して否定的な意見を述べる。

 

「メリッサさん。ここのシステムはどうなっておりますの?」

 

「最上階にコントロールルームがあるわ」

 

「最上階…ですか…ダメですわ……最上階までの転移は私の体力では持ちません……それに最上階を千里眼で覗こうとしたのですがなにかに阻害されてしまいました……」

 

「おそらく転移系個性を対策してるんだとおもう。何かの装置か個性によってジャミングされているんだ」

 

「じゃあ救けが来るまで大人しく待つか?」

 

上鳴の言葉に峰田は賛同するが

 

「無理だね……脱出が無理なら侵入もほぼ不可能だ。それにここで待っていたとしても情報が遮断されているんだから外部からの救援にしてもこの島のヒーローたちにしてもこのビルの情報が伝わらない」

 

出久の言葉で皆が静まりこむが

 

「それに……僕たちはヒーローを目指している……ならここですべきことは?」

 

「まさか……待ちたまえ!」

 

「そうですわ緑谷さん!」

 

出久の言葉に察した飯田と八百万は止めようとするが

 

「……相変わらずだな緑谷」

 

「轟君……」

 

「でも……確かに俺も……ここでジッとしているだけなんてのは嫌だ」

 

轟は右手を握りしめて意を決したかのように出久を見る。

 

「俺も行く」

 

「轟君!」

 

「熱いな緑谷!俺も行かせてくれ!」

 

「夜嵐君……!」

 

「ロックだね。ウチも賛成」

 

轟に夜嵐、耳郎は出久の意見に賛成のようだ。

 

反対に上鳴と峰田はビクビクして

 

「待て待て!仮にコントロールルームについたとしてシステムの変更なんてできんのか!?」

 

「それについては心配ないわ。ヴィランがシステムを掌握しているなら認証プロテクトやパスワードは解除されてないはず。私たちにもシステムの変更はできる」

 

「システムを元に戻せば……オールマイトや人質たちは解放される。そうすれば状況は一変する!」

 

出久の言葉に嫁ーズたちは

 

「出久さんの言う通り……私もただ見てるだけというのは嫌です。私も行きます」

 

「そうだね!ここで動かなきゃヒーローじゃない!」

 

「皆を助ける」

 

「ん……!」

 

「出久君行こう!」

 

「皆……」

 

「これ以上無理だと思ったら引き返す……それが飲めるなら俺も行こう」

 

「私もいきますわ」

 

「俺も行くぜ!」

 

「ああ!ここで行かなきゃ漢じゃねえ!」

 

未だにビビっている峰田と上鳴だったが

 

『季乃子君?』

 

「私も……正直怖いノコ……でも!ビクビク怯えて後悔するよりは皆を助けたい!」

 

『季乃子君……!』

 

季乃子がグッと両手を握りしめて覚悟を決めるのを見た上鳴は

 

「しゃー…ねえ!ここで引いたらダセえからな!俺も乗ったぜ!」

 

とうとう一人になった峰田が

 

「わーったよ!!!行けばいいんだろ!行けば!」

 

泣きながら覚悟を決めると

 

「私も行くわ……最上階のシステムを変更できるのは多分私だけだと思う。足手まといにはならないから……」

 

「わかった……」

 

こうしてIアイランドレジスタンスが出来上がった

 

・・・・

 

会場のオールマイトはマッスルフォームを維持しながらも状況を打開しようとしていた時上階に映る出久に気づくと

 

(緑谷少年……行くというのか……)

 

出久の眼差しで全てを悟ったオールマイトは

 

(ふっ……君らしいじゃないか……だが必ず生きて帰ってくれ!君ならこの状況をぶち壊してくれると信じてるよ!)

 

オールマイトがニヤリと笑みを浮かべた

 

出久もサムズアップで返事を返すとそのまま皆の元へ戻った。

 

「皆……行くよ!」

 

『おう!!』

 

 

 

 

 

 




今いるメンバー

出久、回原、鉄哲、飯田、轟、夜嵐、上鳴、峰田、

才子、一佳、レイ子、唯、季乃子、お茶子、八百万、耳郎、メリッサ


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挑め!決死の救出作戦!

出久たちは非常階段を上っていた。エレベーターはシステムが奪われている以上使えないし、他の階段には監視カメラが仕掛けられているためここを上るしかなかった。

 

「これで30階」

 

「メリッサさん最上階は?」

 

飯田が階数を確認すると出久がメリッサに最上階の位置を確認する

 

「はぁ……はぁ……200階よ……」

 

「マジか……」

 

「そんなに上るのかよ……」

 

「ヴィランと出くわすよりマシですわ」

 

回原と上鳴がげっそりするが八百万が励ます。

 

すでに女性陣の皆はヒールではなく八百万の創造したシューズを履いていた。

 

「メリッサさん、ウチの個性使う?」

 

「ありがと……でもその力はいざというときのためにとっておいて」

 

お茶子がメリッサに個性を使わないかと提案したがメリッサはそれを拒否して疲れた素振りを見せないように笑みを見せた。

 

そして休むことなく階段を上っていき80階に差し掛かった時

 

「シャッターが!」

 

「っち!どうする?」

 

階段にはシャッターが下りていて防壁となり道を塞いでいた。

 

轟は舌打ちをするも辺りを見回して別ルートを探るが非常用ドアしか見つからなかった。

 

「壊すか?」

 

「ダメよ!そんなことしたらシステムに反応してヴィランに気づかれちゃう」

 

メリッサは轟の意見をすぐに否定して打開策を考えようとしていたが峰田が

 

「ならこっちから行けばいいんじゃね~の?」

 

疲れ切った声に振り向いた出久たちが見たのは峰田が非常用ドアに手を伸ばしている光景だった。

 

「っ!それは!」

 

「ダメっ!」

 

しかし呼び声も虚しく峰田はハンドルのレバーを引いてしまった。

 

ピー!という音がして非常ドアは開いたがどうみてもタワーを管理するコントロールルームまで情報が届いてしまいヴィランに気づかれてしまった。

 

「バレたな……」

 

「なにやってんだよ……」

 

「う!うるせえ!」

 

「そんなこと言ってる暇があるならここから逃げよう!非常階段じゃ逃げ場がないし、シャッターを壊せば警備マシンにヴィランと認識されてしまう!」

 

回原と鉄哲の呆れた声に反論していたが出久にバッサリと切り捨てられてしまい、すぐにフロアに逃げるように入っていった。

 

一方コントロールルームではヴィランが出久たちに気づいて会場にいたリーダーのヴィラン、ウォルフラムに連絡をすると

 

「80階の隔壁を全ておろせ。ガキどもを逃がすな」

 

「了解」

 

会場から出ていく手下のヴィランを見たオールマイトは祈った

 

(気を付けるんだ……ヴィランは狡猾だぞ……)

 

・・・・

 

一方フロア内に侵入した出久たちは

 

「他に上に行く方法は!?」

 

「反対側に同じ構造の非常階段があるわ」

 

回原の問いにメリッサが答えた時、前後のシャッターが機械音とともに下がり始めた

 

「轟君!」

 

「ああ!」

 

飯田の声に反応した轟が氷塊でシャッターが閉じるのを阻止した。

 

その中を夜嵐と飯田が突っ切って横の扉に同時に蹴りこんで扉を破壊した。

 

「この中を突っ切っていこう!」

 

扉の先は公園のような植物プラントだった。

 

色々な植物が所狭しと植えられていた。

 

「なんだここ……」

 

「すごいっすね!」

 

「植物プラントよ。『個性』の影響を受けた様々な植物を研究……」

 

「待って!」

 

耳郎が指さした先には中央のエレベーター。その表示はどんどん増えていっており誰かが上がってきていることは明白だ。

 

「ヴィランだ!もう俺たちの位置はバレてるんだし……」

 

「どうする?」

 

「ここに時間はかけられない!迎撃するしかない!僕が行く!」

 

出久が自分が殿を引き受けると提案するが

 

「お前は先に行け」

 

「轟君!?」

 

「このさきどれだけ強えやつがいるかもわからねえ。その子を守るためにもお前は先に行け」

 

「緑谷!その子は任せたぜ!その代わりここは俺たちが引き受ける!」

 

「おっと!俺も残らせてくれねえか!どっちにしろ俺の個性は戦闘にしか役に立たねえからよ!」

 

轟に回原、鉄哲が出久の提案を拒否して自分が残ると言い出した。

 

「皆……わかった!先に行ってる!」

 

こうして出久たちが轟の氷塊で上に移動したのをみた轟はエレベーターの扉が開くと同時に中に向かって氷塊を放つが

 

「やった……わけないよな……」

 

「ああ!来るぞ!」

 

その直後に氷がえぐられたように大きな穴が開き中から会場にいたチビとノッポのヴィランが現れた。

 

「ガキどもが……つけあがってんじゃねえぞ!」

 

チビのヴィランの体が膨れあがるとともに服が破れて紫色になった肌がさらけだされた。

 

そして鉄哲に拳を振り下ろすチビのヴィランだったが鉄哲は反射神経で攻撃を後ろに跳んで躱す。その隙に回原がパンチを放つが

 

「効かねえよ!」

 

チビに吹き飛ばされてしまった。

 

一方轟はノッポヴィランを相手にしていた。

 

轟が滑るように氷結で水面を凍らしながら移動してノッポの攻撃を躱して凍らせようとするがノッポが腕を振るうと氷塊がえぐられておちる。

 

果たして三人は勝つことができるのか!?

 

 

 

 



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挑め!決死の救出作戦その2!

今回は大分進みます


轟たちが二人のヴィランを相手にしている時、出久たちは植物プラントの最上階にある外部通路を壊して中に入ったが、

 

「こっちもダメか……」

 

隔壁は全て下ろされており非常階段に行くことができない。

 

「オイラたち完全に袋のネズミじゃねえか!」

 

峰田がそう叫ぶが出久はどこかに道がないかと考えていた

 

その時夜嵐が

 

「緑谷!あそこなんかないっすか!?」

 

夜嵐が叫んだ先の天井には小さなハッチがあった。

 

「日照システムのメンテナンスルーム……」

 

「あの構造なら非常用の梯子があるのでは!?」

 

下には足場がなくそのため、移動には梯子が欠かせない。

 

「でもあれじゃあ……中からしか梯子を下せないわ」

 

メリッサが残念そうに呟くと他の者も悔しがる

 

「まだ方法はありますわ」

 

外部通路にいた八百万がなにかを創造してハッチを創造して天井に投げつけるとそれは天井に張り付いて爆発した。

 

蓋の外れたハッチの中は通風口と思われしダクトだった。

 

「通風口を通って、外壁を伝って中に入れれば……」

 

「そうか!上に同じものがあれば!」

 

「皆が上れますわ!」

 

八百万の言葉に一佳に才子が希望を見出したかのように笑いあう

 

「狭い通風口を通って外壁を伝っていくには……」

 

出久がある人物に視線を向けると、皆もそれに目を向ける

 

「え?」

 

いきなり視線を向けられたなぜ注目されたのかとすぐに結論に至ると、青ざめる。

 

「お、オイラ!?」

 

「お願い峰田君!」

 

「アンタしかできないんだよ!」

 

「むむむ無理だって!」

 

峰田がたじろぐが皆からの視線を受け続けて

 

「わかったよ!行けばいいんだろ!行けば!」

 

外壁を伝ってメンテナンスルームに入った峰田が梯子を下すと

 

皆が上っていった。

 

・・・・

 

一方鉄哲とチビのヴィランの戦いは佳境を迎えていた。

 

鉄哲の動きに追いつけないヴィラン。それもそうだろう。鉄哲はフューチャーリングシノビの出久の攻撃を躱し続けて、出久との戦いで見ていたミリオの動きを模倣できるようになり、並大抵のヴィランなら攻撃が掠りもしないほどにレベルアップしたのだから

 

「このガキが……ちょこまかと……!」

 

そして右腕から振り下ろされた攻撃を横に避けて、顎にアッパーを見舞い、そのままコークスクリューブローをモロに叩きつけたが

 

「ここまでだあ!」

 

「!?」

 

ヴィランは両腕を組んで振り下ろすのを見た鉄哲は咄嗟に硬化してクロスした両腕で攻撃を防いだ。

 

「ちぃっ!?なんて頑丈な体をしてやがる!だが捕まえちまえばこっちのもんだ!このまま押しつぶしてやる!」

 

ヴィランが鉄哲を押しつぶそうと力を籠めるが鉄哲がニヤリと笑ったその時

 

「なっ!?」

 

回原が後ろから至近距離まで迫っていて地面を踏み込んだ時に、足を回転させて瞬発力を上げそのまま突っ込むと同時に身体を左に回転させ、右腕を右回りに逆回転させて突っ込む

 

「ドリルスマッシャー!」

 

逆回転により威力が増したパンチをまともにくらったチビのヴィランは皮膚が削られてその勢いのまま吹っ飛んでいった。

 

「あっ!テメェ!」

 

「余所見してんじゃねえよ」

 

一瞬の隙を見つけた轟が

 

「膨冷熱波!」

 

冷やした空気を一気に暖めて衝撃波を出してノッポの方の敵も倒された

 

「んじゃあ行くか」

 

「おう!っ!?」

 

鉄哲が轟に叫び返すと同時に作動した警備マシンに息を飲む

 

一方コントロールルームにいるヴィランは

 

「奴等タダのガキじゃありません!雄英高校ヒーロー科、ヒーロー予備軍です!」

 

眼鏡の男が出久たちのパーソナルデータを報告したがウォルフラムは驚くことなく

 

「ガキどもの目的は警備システムの復旧だ。80階の警備マシンは作動させたか?」

 

『はい』

 

「なら80階から130階までの隔壁を全てあげろ」

 

『え?』

 

「言う通りにしろ」

 

『了解』

 

冷静なウォルフラムをオールマイトは忌々し気に睨む。

 

・・・・

 

その頃出久たちは120階の通路を走っていた。

 

「なんで100階超えてからシャッターが開けっぱなしなんだろ?」

 

「ウチらのこと見失ったとか?」

 

上鳴と麗日が疑問を口にする。

 

「恐らくそれはありませんわ。きっと誘い込まれているのでしょう」

 

「だな」

 

才子と一佳がすぐさま否定して

 

「それでも行くしかない!」

 

出久が叫ぶと皆の足取りも早くなる。

 

そして130階の実験室フロアを窓から見つめる出久の視線の先には警備マシンが大量に配置されていた。

 

「やはり捕らえる方向に方針を変えたか」

 

「僕たちが雄英生であることに気づいたんだと思う。皆……離れてて、ここは僕がやる!」

 

出久が飛び出すと同時に

 

<ワクセイ!>

 

<アクション!>

 

<投影!ファイナリータイム。水金地火木土天海!宇宙にゃこんなにあるんかい!ワクワクワクセイ!ギーンガワクセイ!>

 

ギンガファイナリーに変身すると

 

<ファイナリービヨンドザタイム!水金地火木土天海!エクスプロージョン!>

 

マントから無数の星を生み出すと同時にフロアにいる全ての警備マシンに叩きつけた。

 

「すごい……」

 

「流石ですわ!」

 

「やっぱり出久はすごい!」

 

「ん……!」

 

「さすが……」

 

上からメリッサ、才子、一佳、唯、レイ子の順に出久への称賛の声が送られる。

 

そして耳郎の指示で非常階段に逃げる出久たち

 

 

 

『ボス!警備マシンのセンサーに障害が!ガキどもを見失いました!』

 

「狼狽えるな!(恐らくガキの中に……聴覚の鋭い個性持ちがいやがるな……)」

 

 

135階の踊り場で周囲の音を確認する耳郎

 

「下から多数の駆動音が」

 

「上からは?」

 

出久の問いに耳郎は

 

「ない大丈夫」

 

そう答えると出久たちは135階のサーバールームに向かう。

 

最上階に駆け上がろうとした時、奥の扉から警備マシンが先程とは比べ物にならないぐらい現れた。耳郎の個性を見据えたウォルフラムがギリギリまで起動させなかったのだ。

 

「罠か!」

 

「もう一度……「待って!ここのサーバーに被害が出たら警備システムに影響が出るかも……」…くっ!」

 

再びワクセイを落とそうとした出久だったがメリッサに止められる

 

その間にも警備マシンは上からも前からも増え続ける。

 

「どんだけいんだよぉぉお~!」

 

その数に絶望する峰田だったが

 

「はあっ!」

 

「それ……」

 

「ん……!」

 

横から一佳が手を大きくして飛び出して警備マシンを潰して、レイ子が警備マシンを操ってぶつけ合わせて唯が軽やかな動きで警備マシンに触って小さくさせる。

 

それに触発されたのか飯田もレシプロバーストで飛び出して警備マシンに蹴りこむ。八百万は大砲を作り出して、峰田もモギモギを投げつける。上鳴も放電できない状況の中で警備マシンに飛びついて纏わせた電気を浴びせる。

 

「ここは私たちに任せて出久たちは先に行って!お茶子に才子、夜嵐たちは出久たちについていって!」

 

「わかった!」

 

「了解しました!」

 

「うおおおおお!!任せれたああ!!」

 

「一佳ちゃん……うん!わかった!」

 

そして上に向かう出久たちを見送った一佳たちは目の前の状況を打破しようと緊張を高める

 

警備マシンが飛び出すが一佳が冷静に状況を分析して指示を出す。

 

「飯田!右からくるよ!レイ子!唯!お願い!」

 

「任せて……」

 

「解除……」

 

レイ子が唯が小さくした警備マシンをありったけの速度で投げつけて当たる直前で唯が解除する。それだけで警備マシンの大半が吹き飛び、そこを一佳が突っ込む。

 

「さあ!ここからは私たちのステージだ!」

 

高らかにそう言い放った一佳の表情は晴れ晴れとしていた

 

・・・・

 

あの直後、メリッサの案内で180階まで来た出久たち。前の扉を破壊して飛び込むとそこからは風が吹き込んでくる。

 

「ここは?」

 

「風力発電所よ」

 

タワーの空洞部分に作られた風力発電所だった。

 

「何でここに来たん?」

 

「ここからは上層部まで一気に繋がってるのよ……あの非常口まで行ければ……」

 

「そういうことっすか!俺に任せろぉぉお!」

 

夜嵐が風を巻き上げると同時に麗日が全員の重力をゼロにする。

 

その風の勢いのまま上に向かっていく出久たち。横から吹き荒れる風は才子のサイコキネシスで逸らす。

 

「ここは!」

 

<ファイナリービヨンドザタイム!超銀河エクスプロージョン!>

 

出久が勢いに乗ったまま扉を蹴りこんで壊すと中に入る。

 

 

追っ手から逃れたと報告を聞いたウォルフラムは僅かに顔を曇らせた

 

「ソキルたちを向かわせろ。俺が行くまで管制室は死守しろ!」

 

『ハイ!』

 

会場から出ていくウォルフラムを見ながらオールマイトはひたすらマッスルフォームの維持に耐えていた

 

(彼らならやってくれる!)

 

・・・・

 

 

「ぐはあ!」

 

中に入った出久たちに奇襲を仕掛けたソキルだったがエナジープラネットで攻撃を無効化されると同時にサイコキネシスで壁に叩きつけられた。

 

「行くよ!」

 

その後も200階に待機していたヴィランを出久たちは蹴散らしてエレベーター前の制御ルームまで向かおうとしたが

 

「誰かいますわ……」

 

才子がテレパシーで人がいるのを察知して皆が中を覗くとそこにいたのはでいデイヴィッドと助手のサムだった。

 

「パパ……?」

 

「ヴィランになにかさせられているのかな……?」

 

「なら助けないと!」

 

「出久さん……」

 

「なに……?」

 

才子はテレパシーで読み取った真実をこっそりと出久だけに伝えると

 

「そんな……」

 

『……やはりか……』

 

出久は信じたくない事実に落ち込み、ウォズは予想していた真実に納得する。

 

そして中にいたデイヴィッドが

 

「コードは解除できた」

 

中にいたサムに指示を出してブロックから何かを取り出すと

 

「やりましたね……博士」

 

「この装置だけは渡さない……渡すものか……!」

 

「計画通りヴィランたちはやってくれています」

 

喜びに浸っていた彼らだったが

 

「パパ……」

 

「メ、メリッサ……」

 

「お嬢さん……どうしてここに……?」

 

出久たちにようやく気付くと

 

「手配したって……なに……?」

 

「…………」

 

夜嵐やお茶子たちも信じられない事実に双方を見合わせていた。

 

「その装置を手に入れるために……この事件を仕組んだっていうの!?」

 

「……っ!ああ……そうだ」

 

「どうして……?」

 

「個性を増幅できる……この機械を取り戻したかったのです……」

 

そこから語られたのはデイヴィッドが研究していたデータと発明品が超常社会をも揺るがすものだと感じた政府の圧力を恐れたスポンサーによって永久凍結させられ奪われたこと。そのために偽のヴィランを立てて取り返そうとしたこと

 

「どうして!私の知ってるパパはそんなことしないわ!なんでよ!?答えて!」

 

「…………っ!すべては君のせいだ!」

 

苦い顔をしながらデイヴィッドが指さしたその先にいた人物は

 

「え……?」

 

出久だった。

 

「ど、どういうこと……!何でよパパ!なんで出久くんのせいなの!?」

 

「そうや!なんで出久君が悪いっつうねん!」

 

「ちゃんと答えてほしいっす!」

 

麗日たちが叫ぶと同時に

 

「出久くん……私はオールマイトから全ての真実を聞いたよ……君が……オールマイトの個性を受け継いだってことも……」

 

「「「え……?」」」

 

デイヴィッドから告げられた言葉に夜嵐、麗日、メリッサの視線だけでなくサムの視線すらもが出久に向けられた。

 

才子は知ってた故に驚きこそしなかったがこの状況がマズいものであると感じていた。

 

「オールマイトの個性……ワンフォーオールはオールフォーワンとの戦いでどんどん弱まっている……このままでは平和の象徴が失われてしまう!そんな時に!君に渡したせいで!オールマイトはロクに戦うことすらままならなくなってしまった!この装置があれば……!オールマイトはまだ戦える……!平和の象徴が失われずに済む……彼を死なせずに済むんだ……!」

 

そう言って装置を睨むデイヴィッド。そんな彼に叫ぼうとしたメリッサだったが

 

「ふざけ『フザケるなあ!!!』!?」

 

突如出久の精神と入れ替わったウォズが叫び阻まれた。

 

ウォズの叫びにその場にいた誰もが目を向ける

 

『オールマイトのためだと!?彼が親友が悪事に手を染めることを望んでいるとでも!?貴方は……オールマイトがそんなことをしてまで戦おうとすると思っているのか!?』

 

「き、君に何がわかる!このまま個性が失えば彼は死んでしまうんだ!平和の象徴が失われてしまうんだ!そのためなら……」

 

『確かにオールマイトは……まだ戦い続けるだろうさ!だが彼は!平和の象徴は決して悪事などで得た力など使いはしない!平和の象徴が失われるためだからだと!?彼だって人間だ!いつかは終わる時が来る!貴方はオールマイトを永遠に戦わせる気か!?フザケルな!オールマイトは!貴方のオモチャなんかじゃない!』

 

ウォズがそう言い放つとデイヴィッドはその場に崩れ去る

 

「そうよ!パパ!皆が……どれだけの危険を冒してここに来たと思ってるの!?」

 

メリッサの言葉にデイヴィッドは

 

「どういうことだ……?ヴィランは……偽者の芝居のはず……」

 

「勿論芝居をしてたぜ」

 

『!?』

 

「偽者敵という芝居をな!」

 

扉から現れたウォルフラムが床に手を触れると出久たちは金属の塊に飲まれて壁まで吹き飛ばされた。

 

「出久くん!」

 

「サム装置は?」

 

「あっ、ここに……」

 

「どういうことだ……サム……まさか最初から敵に渡すつもりで……」

 

「騙したのは……貴方ですよ……今まであなたに仕えてきたのに……栄誉……名声……すべてがなくなってしまった!貴方のせいだ!せめて……お金はもらわないと……!」

 

そう言ってウォルフラムに装置を渡すサムだったが

 

「約束の謝礼だ」

 

バン!という銃声と共にサムが撃たれる。メリッサたちも目を瞑ってしまった。

 

「約束は……」

 

「約束ぅ~!?忘れたな!」

 

再び発砲しようとするウォルフラムだったが横から飛び出したデイヴィッドに阻まれた。

 

「パパ!」

 

「博士……どうして……」

 

「逃げろ……」

 

「今更ヒーロー気取りか!?どんな理由があろうとアンタは悪事に手を染めた!ヴィランの闇に落ちていく一方さ!ハハハハハ!!」

 

そう言って博士を気絶させるウォルフラム

 

「おい連れてけ」

 

「はっ」

 

「返して……パパを返して!」

 

「そうだなあ……博士の未練は断ち切っておかないとなあ!」

 

「させっ…るかあ!」

 

「!?」

 

出久がエナジープラネットを身体に纏って拘束を無理矢理脱出してスマッシュを打ち込もうと飛び込む。

 

ウォルフラムは金属の壁を生成するもすぐに壊れた。しかし出久の攻撃はその間に避けられてしまった。

 

「ハッハッハ!ウォズ……貴様がオールマイトの個性を受け継いだと聞いた時は驚いたぞ……正直に言うと前の俺なら危なかったかもしれん……だが!今の俺にはこれがある!」

 

『アナザーライドウォッチ!?』

 

「まさか奴も……!」

 

<……キカイ……> 

 

「うおおおおおっ!!」

 

<……キカイ……!>

 

ウォルフラムがアナザーライドウォッチでアナザーキカイとなるとその身体から金属が生成されていく。

 

「あ、あれは……!?」

 

「なんっすか……!?」

 

メリッサに夜嵐たちがその異様な姿に恐怖を抱いていた。

 

「バカな……奴の個性は……」

 

サムがウォルフラムの個性が情報とは違うことに驚きを隠せないでいたが

 

「ほぅ……どうやらこのウォッチと俺の個性は適合率が高いようだな……ククク……!これほどの力を与えてくれたあの方に感謝しないとな……!」

 

ウォルフラムの個性が金属操作から金属生成に進化したことにこの場の誰もが恐怖したが

 

「ほぉ……!まだ立つか……これほど圧倒的な力を前にしても臆さないとは……」

 

「メリッサさん!皆を助けてください!」

 

「っ!うん!」

 

「させるか!」

 

すかさずウォルフラムが金属を生成してぶつけようとするが

 

「はあっ!」

 

出久たちが飛ばしたエナジープラネットによって阻まれメリッサは管制室に向かう。

 

「ほぅ……おまえとは戦いたいが今はオールマイトを殺すのが先決だ!」

 

そう言ってウォルフラムが手を上にあげると床下の金属までもが飛び上がって出久に向かう

 

「ぐっ!グわああああああっ!」

 

出久はエナジープラネットで迎撃しようとするも数が多く外まで押し出されてしまった。

 

そしてその余波で夜嵐たちも外まで落とされた

 

「うわあああああっ!」

 

「グっ……!谷風ぇ!」

 

かなり下まで落とされたが夜嵐が全力を振り絞って勢いを弱めたおかげで軽傷で済んだ。

 

一方メリッサは

 

「やったわ!」

 

Iアイランドの警備システムを戻すと会場にいたヴィランたちも蹴散らされてオールマイトも解放された。

 

「マイトおじさま!」

 

「メリッサ!」

 

「パパが……ヴィランに連れ去られて……!」

 

「私が行く!」

 

こうしてオールマイトも最上階へ向かおうとしていた。

 

 




なにか希望があれば活動報告を出しておくので遠慮なく書いてください


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打ち倒せ!アナザーキカイ!

無理矢理感が半端ないですがオールマイトが先に屋上についたことになっております。そのために前回を少し変更しております。


タワーの屋上でアナザーキカイと化したウォルフラムがヘリが来ているにも関わらず乗り込むことなくその場に立っていた。その姿はオールマイトなど恐れるに足らずといわせるものだった。

 

そして屋上に見える影が一つ

 

「パパを……返して!」

 

「ダメだ……来るな……メリッサ……」

 

システムを解除したメリッサがいち早く屋上に来てしまったのだ。

 

それを見たウォルフラムは

 

「テメェごとき雑魚に用はねえ!」

 

手を振り上げると金属の槍がメリッサに襲い掛かった。

 

その余波で吹き飛ばされるメリッサ。

 

「やめろ……やめてくれ……」

 

デイヴィッドは弱弱しい声でウォルフラムに頼み込むが

 

「死ね」

 

躊躇なく生成した金属をぶつけようとしたが

 

「Texassmash!」

 

下から飛んできた影が金属の槍を吹き飛ばした。

 

「ハーッハッハッハ!もう大丈夫!何故って!?私が来た!」

 

「マイトおじさま!」

 

「やっと来たか……」

 

「ぬっ!?それはアナザーライダー!?」

 

「ハハハハ!貴様も知っていたか!あいにく……今の俺は負ける気がしねえ!」

 

ウォルフラムが床に手を触れるとタワー中の金属が浮かび上がってオールマイトに襲い掛かった

 

「Detroitsmaぬあっ!?」

 

オールマイトは拳で迎撃しようとしたが生成され続ける金属の塊とその圧力に飲み込まれてしまい

 

「潰れろ!」

 

「ぬぅぅうううう……!うおおおおっ!」

 

拘束を力づくでこじ開けたオールマイトだったが

 

「これで終わりだ!」

 

アナザーキカイが放ったミサイルがオールマイトを吹き飛ばした

 

「Texas……sma……」

 

衝撃波がメリッサに届かないように迎撃したがそのせいで力を使い果たした結果ー

 

「が……!があああああっ……!」

 

「マイト……おじさま……」

 

「フフフ……ハッハッハッハッ!個性を渡して弱っているというのはホントだったのか!なんだその惨めな姿は!」

 

マッスルフォームを維持できなくなり、トゥルーフォームに戻ってしまい腕は細々しくなって全身が傷まみれになってその傷からは鮮血が流れていた。

 

「これじゃあ……潰し甲斐がないってもんだぜ!え!?オールマイト!」

 

「オール……マイト……」

 

デイヴィッドはウォズが言っていた言葉を思い出し、後悔していた

 

今のオールマイトをこれほど戦わせて苦しめた原因を作ったのは他でもない自分のせいだと自責の念にかられた。

 

「今のテメェを潰すだけじゃ面白くねえ……そうだな……テメェの無力さを呪って死んでもらおうか!」

 

「え……?」

 

オールマイトが弱弱しく口にした次の瞬間とてつもない質量の金属の塊がメリッサに向けられた。

 

「メリッサ逃げろおー!」

 

「ぐぅぅううう……!!」

 

逃げようとするも一度目に受けた攻撃の影響と恐怖で身体が動かなかったメリッサ

 

オールマイトは体を奮い立たせようとするも痛みが全身を駆け巡り倒れてしまった。

 

そしてメリッサが目を瞑ったその時

 

<超銀河エクスプロージョン!>

 

下から飛んできた出久が金属の塊を粉々に砕いた。

 

「もう大丈夫……何故かって……?僕たちが来た!」

 

「来たか……」

 

メリッサの目に映ったのは自分が初めて憧れたヒーローと同じ後ろ姿だった。

 

「ハッハッハッハッ……!ウォズか!ちょうどいい!オールマイトの後継の貴様を潰せば……俺に最早敵はいねえ!」

 

そしてウォルフラムが生成した金属をウォズに四方からぶつけようとしたがウォズは空中に跳ぶとそれを追うように金属も伸びるが

 

「Pegasussmash!」

 

空中で回転した勢いをそのまま金属の塊にぶつけるとその衝撃波は止むことなく伝導していきウォルフラムまで襲い掛かるが

 

「ヌゥン!」

 

ウォルフラムは衝撃が伝導する前に金属を分解して衝撃が伝わらないようにした。

 

「ハハハ……その力……全盛期のオールマイトのようじゃねえか……!ハッハッハッハッ!オールマイトを潰すより面白れぇぜ!」

 

高笑いするウォルフラムが、持っていた装置を装着した途端

 

「ぬおおおおおおおっ!!!」

 

とてつもないエネルギーがウォルフラムから放たれると同時にタワー中のありとあらゆる金属が奴に取り込まれるように合体した。

 

「さすがデイヴィッド・シールドの作品……個性が活性化していくのがわかる……!ハハハハハ!これで俺は最強になった!」

 

ただでさえ強化されていたウォルフラムの個性はデイヴィッドの装置によってもはや災害と呼べるまでにパワーアップしていた。

 

そして生成され続ける金属はタワーと融合し歪な龍の形となって出久に襲い掛かった

 

「はあっ!」

 

エナジープラネットで迎撃し続けるがいかんせん数が多い。そして床が波打つように動くのをみた出久はジャンプして金属に飛び移って一気に駆け抜け、そのままウォルフラムにエナジープラネットをぶつけようとするもウォルフラムが床にある金属をせりあがらせてそのまま金属を生成し続ると衝撃が押さえられ、衝撃が収まると先ほどとは比にはならないぐらいのスピードで金属が飛び出す。

 

「グううううう……!」

 

エナジープラネットを破壊光線として叩きつけるがそれでも尚四方から飛び出してくる金属についに飲まれてしまった。

 

「ハッハッハッハ!俺の力の前にはオールマイトの後継すらも無力だ!」

 

出久はエナジープラネットで脱出しようにも金属が生成されるスピードが尋常じゃないぐらい早く脱出できなかった。

 

『くそぉ……!』

 

『諦めるな……!』

 

「さあ!このまま潰れちまえ!『ドゥン!』ぬ!?」

 

ウォルフラムが視線を向けた先には

 

「うおおおおおおおっ!」

 

「回原くん……」

 

回原が必死に襲ってくる金属を迎撃しつづけメリッサを守っていた。

 

それだけではない

 

「はあっ!」

 

「才子さん……一佳ちゃん……レイ子ちゃん……唯ちゃん……鉄哲くん……夜嵐くん……轟くん……」

 

才子に一佳、唯、レイ子、鉄哲、夜嵐に轟、だけでなく季乃子にお茶子もいた。

 

「緑谷!俺はおまえが勝つって俺は信じてるっす!だからここは任せてほしいっす!」

 

「そうですわ!出久さん!」

 

「皆……!そうだ……こんなところで終わるわけにはいかないんだああああ!」

 

エナジープラネットを最大規模で発動させた結果一瞬だが拘束が解けた。ほんの一瞬だがウォズにとってはその一瞬だけで脱出できた。

 

「なにっ!?」

 

そして皆の元へ戻った。

 

「大丈夫?」

 

「そりゃこっちが言いたいぜ!」

 

「ところで飯田君たちは?」

 

「ああそれなら『しばらく俺はエンストで動けない……悔しいが足手纏いになりかねん!先に行ってくれ!』ってさ。八百万も創造の限界だったし。峰田と上鳴は及び腰だったし……」

 

「そうだったのか…「ご、ごほっ……!」オール……マイト……」

 

瓦礫の山からオールマイトが今にも倒れそうなのに飛び出してきた。

 

「私は……やらなければ……奴を……倒さなければ……」

 

「オール……マイト……?」

 

轟くんと夜嵐君にお茶子ちゃんが驚いた表情を隠せなかった。

 

「オールマイト!無茶です!もう活動限界が近いのに……!やめてください!」

 

「緑谷少年……それでも……限界を超えて……奴を倒さなければ……私は……平和の象徴なの「ふざけないでください!!」緑谷少年……」

 

出久の叫びが屋上に響く

 

「貴方は……死ぬまで戦うつもりですか!?そうやってボロボロになって誰かの静止も無視して……貴方は自分の命をなんだと思ってるんですか!平和の象徴だから!?ふざけるな!貴方は平和の象徴である以前に一人の人間なんだ!貴方が死んだら悲しむ人がいるんですよ!グラントリノにサー・ナイトアイ……雄英の教師陣に僕たち生徒もそうです!貴方はもう少し……自分の命を重んじてください……頼みますから……!」

 

「緑谷少年……すまなかった……私は託すだけ託しておいて君を……親友を……相棒を……信じてなかったのかもしれないな……自分一人が犠牲になればいいとばかりに……」

 

「オールマイト……」

 

「緑谷……」

 

「緑谷……」

 

「出久君……」

 

夜嵐と轟、お茶子が静かにオールマイトと出久を見ていた。

 

その直後吐血を吐いて倒れるオールマイト

 

「ハハハ……どうやら本当に限界のようだ……なら……後継者である君に……託しても……いいんだな?」

 

「…………ッハイ!!!」

 

「なら……頼むよ……次代の平和の象徴よ」

 

オールマイトが倒れるのを見届けた出久は

 

「皆……力を貸してくれないか……」

 

「何を今更……」

 

「任せとけ!」

 

「ああ……」

 

「頑張るっす!」

 

「任せて……」

 

「ん!」

 

「ウチも頑張るで!」

 

「おう!」

 

「やってやろうじゃねえか!」

 

「話はまとまったか?」

 

ウォルフラムが眼前の出久たちを睨みつけると同時に個性を発動させて金属の槍をぶつけようとしたが

 

「させねえ!」

 

轟が氷塊を出して止める

 

そして出久も

 

<タイヨウ!>

 

<アクション!>

 

<投影!ファイナリータイム!灼熱バーニング!激闘ファイティング!ヘイヨー!タイヨウ!ギーンガタイヨウ!>

 

ギンガタイヨウフォームに変身すると氷塊をぶちぬいてきた金属の塊に高熱をぶつけて溶かす

 

「なにっ!?」

 

「どんなに数が多くとも……金属は熱に弱い……」

 

そして一気に駆け抜ける出久に対して

 

「調子に乗るな!」

 

金属の雨を降らすが

 

「はあっ!」

 

エナジープラネット・ソーラータイプによる超高熱で再び溶かした。そしてそのまま飛び上がってウォルフラムの正面に行く

 

「これで終わりだ!」

 

そしてエナジープラネットをぶつけようとしたその時

 

「そりゃテメエだ!」

 

アナザーキカイの触手がウォズを拘束した。振りほどこうとするが個性で増幅されたかのような力だった

 

「まさか……!」

 

「察しがいいな!その通りだ!」

 

オールフォーワンから与えられた個性だけでなくアナザーキカイの力、それに加えてデイヴィッドの装置もプラスされているのでウォズでも振りほどくのが簡単でなかった。

 

「ぐぅぅうううう……!」

 

「このまま絞め殺してやる!」

 

「ウォズくん!」

 

季乃子が叫んだが無情にも力はどんどん強くなっていく

 

「どうしよう……」

 

「あの機械さえ壊せれば……出久さんたちは脱出できますわ……」

 

「でもどうやって壊すんだよ!」

 

回原が叫ぶ。

 

とその時季乃子が

 

「才子才子!」

 

そして心の念話で思いついた作戦を伝える

 

(それなら……!)

 

(うん!)

 

(轟さん!手伝ってください!)

 

(わかった……)

 

そして作戦通りに轟が冷気をブツケル

 

「んん!?なんだそりゃあ!その程度で俺は止まらねえよ!」

 

慢心していたのかウォルフラムは冷気をまともにくらったが強引に外した

 

「はあっ!」

 

出久が超高熱を放つが

 

「冷気が効かねえなら炎ってか!無駄だ無駄だ!」

 

その間にも出久を絞める力は増していく

 

「これで終わりだ!ハハハハハ!ん?なにっ!?個性の力が……弱まっていく……!?」

 

「はあっ!」

 

「ぐっ!?」

 

個性が弱まった隙に脱出した出久が攻撃したがウォルフラムは間一髪で避ける。

 

「なぜだ!貴様ら……!なにをした!まさか氷か!?いやありえん!この装置はあの程度の冷気では機能停止しないはずだ!」

 

「フフフ……キノコまみれにしちゃいノコ!」

 

「き、キノコぉ!?まさか……!?」

 

ウォルフラムは慌てて装置を外して中を分解すると大量のキノコが回路の中に生えていた。

 

「なあっ!?」

 

そう。あの時の氷で中は多少凍ったがそれぐらいでは装置は壊れるはずはなかったのだ。

 

だが出久が氷を溶かした結果、湿度が高くなった中はキノコが生えやすい環境となり季乃子の個性『胞子』ではんだの回路を遮断するかのようにキノコを生やした結果電気が回らなくなり装置は機能停止したのだ。

 

装置が停止したので個性の筋力増強も出力が弱まったのだ。

 

「バカな……そんなバカなあああ!!!よくも!貴様らよくも!」

 

そして電磁浮遊で浮かび上がるウォルフラム

 

「地獄を見せてやる!このチャージした電気をぶつければこの島の人間全員が死ぬだろう……!さあカウントタイムだ!」

 

『ウォズ……』

 

『おそらく次が……最後のチャンスだ……』

 

『そうだね……でも……ウォズと一緒なら……怖くない!』

 

『ふっ……君ってやつは……最後まで付き合うよ』

 

『行くよ!』

 

『ああ!』

 

そして駆け出す出久。ウォルフラムもチャージが完了するまで迎撃し続けるがやはり装置を失ったせいかさっきよりかはスピードが低い。

 

「させねえ!」

 

轟が氷で金属の攻撃を妨害する。

 

「ぬおっ!」

 

ウォルフラムがミサイルを放ってくるが

 

「「はあっ!」」

 

レイ子と才子がサイコキネシスとポルターガイストでミサイルをずらす。

 

「ぐっ!なら!」

 

なら人質を狙おうとするウォルフラムだが

 

「せいやっ!」

 

「おりゃあ!」

 

「はっ!」

 

一佳、回原、鉄哲がメリッサの前に出て守る。

 

「甘い!」

 

だが壊された小さな破片が襲い掛かるも

 

「うおおおおおおっ!!!」

 

夜嵐が上空に吹き飛ばす。

 

そして炎の推進力で上空に飛び上がる出久。

 

それを見たウォルフラムは

 

「タワーごと潰れちまえ!」

 

これまでとは比べ物にならないほどの金属の塊を生み出してぶつけようとするが

 

<ファイナリービヨンドザタイム!>

 

出久は回転しながら突っ込んでいき右手にエナジープラネットを纏うと

 

「Galaxysmash!」

 

その勢いを金属にぶつけると一瞬拮抗したが

 

「出久さん!」

 

「出久!」

 

「やれー!」

 

「ん!!」

 

「やっちゃえー!」

 

「緑谷あ!」

 

「やれ!」

 

「ぶちかませー!」

 

「やっちまえー!」

 

足に纏っていたエナジープラネットの炎の出力は勢いを増してウォルフラムは徐々に押されていき

 

「これでラストだあー!」

 

「まさか……!ありえん!そんなことはありえん!全てを制する力を持つ俺が!負けるなど……!ありえるものかああ!」

 

そして金属の塊は押し返されウォルフラムは上空へ飛ばされ、チャージしていた電気は空中で放電され、その身体からアナザーライドウォッチが飛び出て壊れた。

 

その様子を近くで見ていたデイヴィッドの目には

 

(ああ……ヒーローだ……)

 

・・・・

 

 

「勝った……のか?」

 

「勝ったん……だよな!?」

 

「ああ!緑谷が!ヴィランを倒したんだ!」

 

『うおおおおおおおっ!!!』

 

夜嵐が確信を持って答えると皆が喜びに打ち震えた。

 

そしてデイヴィッドの元へ行くオールマイト

 

「メリッサから大体の事情は聞いたよ」

 

「私は……君という光が……失われるのが……怖かった……君が死ぬのが怖かったんだ……でも……その重圧が……君を苦しめていたんだと……気づかなかった……君が新たな光を見つけたというのに……私はそれをみようともせず……君に縋りついてばかりだった……あんなにも偉大な光なのに……」

 

「ああ……私の自慢の弟子だ……」

 

朝日に映る緑谷の姿はまさしく人々を照らす太陽だった

 

 

 




やっと……やっと終わった……!でも事後処理もありますので完全に終わりではありません!林間合宿もありますしね……


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祝え!明日に向かって!

ようやくっ……!ようやく終わったッ……!

やっぱり最新話は消して一つにまとめました


戦いが終わってヴィランを倒して事件解決に貢献した出久たちはIエキスポからの労いのバーベキューを楽しんでいた。しかし本来バーベキュー場にいるはずの出久はオールマイトの元にいた。

 

「オールマイト、今回の事件、なにが原因だったと思う?」

 

出久と精神権をチェンジしたウォズがオールマイトに問う。少し前までならオールマイトもその答えがわからなかっただろうが

 

「……私が……本心ではデイブを信じてなかったからかな……」

 

しかしウォズは

 

「それもあるだろうが、お互いの本心をぶつけ合えなかったからだろうな。オールマイト、確かにアンタは言いたいことをぶつけられた。だがデイヴィッド博士は君への想いを、気持ちを伝えられずに良心を押さえつけてまで強行に走った。じゃあなんで相談しなかったのか?答えは簡単だ。長年付き合っていたからこそ、言ったとしても簡単に意見や気持ちを受け入れようとは思わなかっただろうな」

 

「なっ!?いや私は」

 

「あったとは言わせないぞオールマイト。君は出久に止められるまで一人で限界を超えようとしていたらしいじゃないか。ヒーローとしては間違ってないだろう。でも身近な人間が持つ感情は嬉しさじゃない。恐怖と疑惑だ。自分に対する心配を無視して自分以外を信じない。そんな人間に信じて隣にいる人間がいるだろうか?サー・ナイトアイとのコンビ解消がそうじゃないか。君は他人に、心配する感情を押し殺して我慢させて気持ちを強制させていたんだよ。やり方は間違っていたとはいえデイヴィッド博士はそんな自己犠牲の塊の君を思っていたんだ。君がそのやり方を少しでも考えない限り君の周りには誰もいない」

 

『ウォズ言いすぎじゃ……』

 

『出久よ……心の強制はいつか信頼の破滅を招く……君もわからないわけではないはずだ』

 

『でも……!』

 

「いや……ウォズ君の言う通りだ……私は身近の優しさを切り捨てて平和を維持しようと思ってたがそれが仲間を凶行に走らせるなんて考えてもいなかった……」

 

『オールマイト……』

 

「この際だからはっきり言っておこう。オールマイト、君が出久を自分と同じようなヒーローにさせるつもりなら私は貴方にもらったこの個性を無理にでも返させて縁を切らせてもらう」

 

『ウォズ……』

 

「貴方は自分を特別視しすぎなんだよ……君は自分一人で平和の象徴になったと思っているのか?違うだろ、グラントリノやサー・ナイトアイ、デイヴィッド博士などの支える人がいたからこそだろ。出久もそうだ。はっきり言って君には及ばないかもしれない。だが仲間を信じる気持ち。互いに高めあい、支えあう心は君や私よりも上だ。だから私は心配していないんだよ……出久は辛くなったとしても頼れる仲間がいる。でも君はどうだ?身近の優しさを切り捨て続けたら、いざとなったら一人で孤独死するだけだぞ」

 

「そうかもしれないね……なんで気づかなかったんだろ……」

 

沈黙が流れる中

 

「そういうことだったのか」

 

『轟君っ!?それに夜嵐君にお茶子ちゃんも!?』

 

「私もいるわ……」

 

『メリッサさんまで!?』

 

轟に夜嵐、お茶子にメリッサが物陰から姿を現した。

 

「緑谷……盗み聞きするような真似して済まないっす……でも……あの時の博士の言葉が気になって……」

 

「俺も夜嵐たちに聞いたときは信じられなかったが今の話を聞いてみると本当のようだな」

 

「出久くん……ごめんっ!」

 

皆が出久に謝っていると

 

「……出久は気にしないって言ってるそうだ……後は……」

 

「……こうなった以上は納得のいく説明が必要だね」

 

そしてオールマイトが皆に自身の個性についてと継承の経緯を話した。知っている人間についても話した

 

「そういうことだったのか……」

 

夜嵐が納得しているが

 

「ごめんね、言えなくて……」

 

出久が申し訳なさそうに俯くが……

 

「……確かに俺たちからすれば驚きの連続だ」

 

轟が「でもな」と言葉を紡ぎ

 

「おまえが俺たちのことを思ってくれていたのはわかる。お前が俺たちを信じていないってわけじゃないのも知っている。だから俺たちを信じてこうして話してくれたのも嬉しい。ならこれからは俺たちも頼ってくれ。あと盗み聞きしたのは……すまねえ」

 

「そうっすね!緑谷、これからは俺たちも頼ってほしいっす!」

 

「うん……ウチも……出久くんを助けたいから……」

 

「皆……」

 

そしてメリッサが

 

「……マイトおじさまの個性を受け継いだって話が壮大すぎて私にはなんとも言えないわ……でも、これだけは言わせて。パパを……私を助けてくれて……ありがとう」

 

「……どういたしまして!」

 

こうして夜嵐たちも出久の秘密を知る者となった

 

・・・・

 

あの後デイヴィッドは警察に自首した。

 

罪に問われるとはいえ情状酌量の余地はあった。

 

今回の事件の発端は各国のスポンサーが研究を凍結したからである。

 

だがすこし考えれば個性活性化という研究が実現すれば弱個性のヒーローでも活躍の機会が与えられ、更なるヒーローの強化に繋がるはずだ。当然その投資をしたスポンサーも世間にアピールでき、大きな利益を生むはずだ。

 

ならなぜ国からの圧力とはいえその利益を無視したのか?それは簡単だ。一部の上位のヒーローたちが自らの地位を他のヒーローに脅かされることが気にくわなかったということから始まった。

 

普通ならこのような装置は上位のヒーローに渡されるものと思うだろう。だが考えてみてほしい。強力な個性が装置で更に制御が効かなくなるという懸念があるのにそれを持たせるだろうか?なら少ない質が高いヒーローに暴走の心配を持たせるより弱個性のヒーローに与えてバランスの取れたヒーロー軍にするだろう。

 

当然納得のいかなかったヒーローたちは自らの地位の保身のため、この装置の研究に反対した。彼らはどうやって研究を凍結させたのだろうか?

 

それは簡単だ。

 

ヒーロー協会のコネを通じて各国政府に圧力をかけたのだ。

 

脅迫材料は『研究を続けるならヒーローを止める』と

 

政府は戦力ダウンだけを恐れたわけではない。問題があるとはいえ市民からの一定の人気を得ている上位のヒーロー。そんな彼らが突然止めればどうなるだろう。

 

ヴィラン発生率は上昇し、さらに国民の不安をも招く。一番厄介なのはそういう奴らに限って国の裏の事情を知っているからだ。例えば国の特例によって世間に公表することなくヴィランを抹殺した事案や正規の会社のサポートアイテムの横流し。更にそれに通ずる犯罪の手口

 

万が一にでもヒーローでなくなった彼らがどんな形とはいえ自分たちに牙をむくのはあり得ないことではなかった。当然それでもなお政府の中には反対した者もいたがそれはごく少数。ほとんどは自らの保身しか考えておらず、言葉巧みに市民の安全のためだと囁いた。反対した者たちも市民とデイヴィッド一人、どちらかを取るかと言われれば苦渋の決断だが答えは決まっているだろう。

 

故にデイヴィッドは切り捨てられてしまったのだ。

 

やはりというか人間の本性が露わになるのは追い詰められたときであり、ほとんどが保身に走るだろう。

 

だが皮肉にもこの所業は事件後に明らかになった。

 

Iアイランドで起こった事件はネットワークを通じて世界中に広がりあらゆる国のマスコミが記事にしようと動き出した。当然政府が圧力をかけたことが明らかとなりその不審点も追求しようとした。だがヒーロー協会も自分たちの社会的地位を落としたくなかったのか一切の黙秘を貫くように政府に命じた。

 

だがそれはある一人の人物によって告発された。

 

そう、ヴィランの襲撃を乗り切って雄英体育祭で優勝し、ヒーロー殺しをも捕らえた話題

No. 1の雄英生、緑谷出久こと、ウォズの存在だった。

 

ウォズも研究凍結に不審を抱いていたおり、デイヴィッドから話を聞くと大体の想像ができた。そして各国ヒーロー協会に疑問を持った彼は各スポンサーにある交渉を持ちかけた。初めはスポンサーも政府を恐れたが装置の価値のセールスとウォズの説得によって、その装置の研究を再開し、試験対象者にウォズを選ぶことを大々的に発表した。

 

当然一部のヒーローや各国政府、ヒーロー協会も黙っていなかったが元々圧力をかけていた政府に発言権などあるはずもなく、ヒーローたちも猛抗議したがウォズの話題性ゆえに民衆からの支持が自分たちよりも高かったため、反対された

 

だが自尊心の塊のような彼らが当然それで引き下がるはずもなく今度はサムと同じように裏で手を回し、雇ったヴィランを使ってウォズを社会的に陥れようとしたがそれが失敗だった。

 

ウォズが協力を要請したサー・ナイトアイの個性によってヴィランとのやり取りが警察にリークされてそのままヒーローたちは逮捕された。

 

当然各国ヒーロー協会もそのようなヒーローを認めていたという事実から民衆からの猛抗議を受けることとなった

 

その過程でサイドキックが全てを白状してデイヴィッドは減刑が認められた。

 

こうして友を想ったが故に道を踏み外した苦い事件は幕を閉じた。

 



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祝え!我らが林・間・合・宿!

いよいよ林間合宿当日、僕たちは学校のバス停に集合していた。

 

あっちにはA組もいた。

 

「じゃあこれから林間合宿行くぞ!無論!生半可で終わるつもりはないから覚悟するように!」

 

『ハイ!』

 

ブラド先生が皆に気合を入れた後、バスに荷物を乗せていく中

 

「あれれれれ!!?A組に補修いるの!!?おっかしいよねぇ!!?散々B組のことをモブ扱いする人がいるっていうのにねぇ!!?」

 

いつの間にか物間くんがA組に近づいて散々煽っていた。

 

「アイツ……」

 

「これであいつが赤点だったら滑稽だったのにな」

 

「ああ……私では歪んだ物間さんの心を癒せないのでしょうか……」

 

「いやあれは無理だと思うよ?」

 

「も~の~ま~!?」

 

鉄哲くんが呆れ気味になっており、骨抜くんがもしもの話をしていると塩崎さんが両手を組んで天を掲げており、取陰さんがつっこみを入れた。そして一佳ちゃんが物間くんにすごい気迫で物間くんに迫っていた。正直関係ないはずの僕まで怖い……

 

「うわっ!?拳藤!?」

 

「アンタってやつは……いつもいつも……!」

 

「ヒィィィ!!さ、三十六計逃げるが勝ち!!」

 

「待てやコラァァァァ!!」

 

物間くんが顔面蒼白になって一佳ちゃんから逃げる

 

僕と才子さんがA組まで行くと

 

「本当にゴメン!」

 

「申し訳ありませんでした!」

 

A組の皆に謝罪しておく

 

皆は気にしないって言ってくれたがかっちゃんだけは物間くんを凄い形相で睨んでいた。

 

「物間怖」

 

「まあよろしくね?A組」

 

「ん」

 

あっちでは捕まった物間くんが引きずられながらバスに入れられていた

 

ハハハ……

 

「よりどりみどりかよ……!!」

 

と唯ちゃんたちに峰田くんの欲望の視線があったので

 

「レイ子ちゃん」

 

「わかった」

 

「うおっ!?グハあっ!?」

 

ポルターガイストでバスまで飛ばされた峰田くん。女子たちは不快そうな顔をしていて、A組の皆も呆れたような視線を向けていた。

 

「本当に申し訳ありません!」

 

「まあ物間の件もあるし……」

 

「どっちもどっちですから……」

 

八百万さんの謝罪を取陰さんたちは受け入れて、才子さんは物間くんのことについて頭を悩ませていた

 

「じゃあ皆バスに乗るよ」

 

「わかった」

 

「ん……」

 

「じゃあ行きましょう」

 

そしてあらかじめ決められた席に座るとバスは動き出す

 

「そういえば緑谷ってデイヴィッド博士の研究の被験者になったんだろ?」

 

「あっ!それな!ニュースで話題になってたし!」

 

「それにしてもヒーローが政府を脅迫して研究を凍結させていたのには驚いたな……」

 

「汚ぇ奴等だな!!」

 

円場くんと泡瀬くんが話題を持ち出して骨抜くんが呟いたのを聞いた鉄哲くんが思い出したのか憤慨する。

 

「デイヴィッド博士も間違っていたとはいえ可哀そうですね」

 

「そうだね。彼もある意味被害者だったのだろうね」

 

「情状酌量の余地があるのは救いだろうね」

 

塩崎さんと庄田くんも話に加わると取陰さんがそう呟いていた時

 

「ねえ緑谷くん……もしかして彼らを告発したのって君だよね?」

 

「な!?なんのことかな!?物間くん!」

 

物間くんに突然迫られて自分でもわかるぐらい挙動不審になってしまった僕

 

「だって君が被験者になるって時に彼らの罪が暴かれて更に過去の脅迫の件まで露呈した……どう考えても不自然だよねぇ?僕はこれが緑谷くんが奴らの罪を世間に告発するために仕組んだ作戦だと睨んでいるんだけど……どうかな……?」

 

す!鋭い!

 

皆の視線が僕に向いていく

 

「どうなんだ?緑谷」

 

ブラド先生も聞いてきたので、はぁ……とため息をついて皆にウォズが実行した作戦を話した。

 

「緑谷……おまえ……」

 

「マジか……」

 

皆が呆れたような表情になっている。

 

「はぁ……緑谷、その行為が間違っているとは言わんがそんな危険なことをわざわざするな」

 

「すみません……」

 

バスはしばらく暗い空気になってしまったが

 

「あー!もうやめやめ!折角だし楽しも?」

 

一佳ちゃんが場の空気を変えてくれた。

 

「一佳ちゃんありがと……」

 

「ううん!いいよ気にしないで」

 

正直助かった……

 

「でもその件についてはじっくり聞かせてね?」

 

助かってなかった!

 

よく見てみると唯ちゃんに才子さん、レイ子ちゃんも僕を睨んでるし……!

 

この後ウォズが実行した作戦についてをじっくり言わされて一人ずつ説教された

 

 

 



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挑め!迷いの森!

途中でA組のバスが見えなくなったのに皆疑問を持っていたがその答えはすぐにわかることなる。

 

「ついたぞ!全員降りてくれ!」

 

ブラド先生が降車するように促すと皆が下りていく。

 

僕たちのバスが止まった場所はパーキングエリアではなく山と森に囲まれた崖の上だった。

 

皆も不安を顔に出していた。

 

「ここでなにするんだろ?」

 

「ここで特訓とか!?」

 

「流石にそれはないっしょ」

 

吹出くんが?マークを浮かべて疑問を口に出し、鉄哲くんが叫ぶが骨抜くんが冷静にツッコむ。

 

「うむ!皆着いたな!じゃあ合宿について軽く説明するぞ!おまえらの合宿所はこの森全体だ!」

 

「マジで!?」

 

麟くんが驚きの声をあげるが皆思っていることだろう

 

「ここ公共の森じゃないんですか?」

 

庄田くんがブラド先生に質問すると

 

「うむ!ここはプロヒーローのプッシーキャッツが所有する森だ!なのでここで個性を使っても問題はない!」

 

「プッシーキャッツって……」

 

「確か四人一組のヒーローだよ。キャリアは今年で12年になる」

 

一方A組のほうのピクシーボブは

 

「うん?誰かに歳のことを言われたような気がするが……気のせいかな?」

 

と軽い殺気を放っていた。

 

「出久さん大丈夫ですか!?」

 

僕はどこからか感じた殺気に震えていた。

 

才子さんが心配してくれたので大丈夫と返しておく

 

「ではこっちに来てくれ!」

 

ブラド先生に促されて崖の手柵の方へ向かうと

 

「じゃあ最後の説明をするぞ。お前らの宿泊施設はあの山の麓な」

 

ブラド先生が指さした先は

 

「え?」

 

「あれ……?」

 

「ただの森の中とかじゃないよな……?」

 

指さした先に建物などないので不安になる僕たちだったが

 

「ブラド先生!?」

 

いつの間にかブラド先生は手柵から離れていた。

 

「おい……まさかとは思うが……」

 

「いや……そんなことはないよ……ハハハ……」

 

「では今から12時までに自分たちの足で施設まで来い!」

 

ブラド先生の言葉で文字通り僕たちは崖に突き落とされた。

 

正確にはいきなり床の地面がせりあがって僕たちを崖まで突き落とした。

 

『うわあああああああ!!?』

 

皆が慌てていたがこのままじゃマズい!

 

「レイ子ちゃんは物間くんを!才子さんは吹出くんを地面まで運んで!」

 

「ッ!わかりましたわ!」

 

「了解!」

 

僕の言葉にすぐに反応してくれたレイ子ちゃんと才子さんはサイコキネシスとポルターガイストで地面にゆっくりと下ろす

 

「え!?ええ!?」

 

「吹出さんクッションをお願いします!物間さんはコピー!」

 

「そういうことね!」

 

「わかった!ポヨンポヨン!」

 

吹出くんがクッションを作り物間くんもコピーして手伝う。

 

他の皆もそれぞれの個性を駆使して下へと降りていく

 

回原くんは超回転の遠心力で落ちる勢いを殺して、麟くんはウロコで羽を作って減速して塩崎さんが蔓で他の皆を引き寄せてクッションへと誘導する。

 

「才子さん!骨抜くんを先に運んで!そして個性を!」

 

「わかりましたわ!」

 

「りょーかい」

 

サイコキネシスで骨抜くんを先にクッションへと誘導して個性で地面を柔らかくしてもらう。

 

その後はレイ子ちゃんと才子さんが個性でクッションから弾かれた皆を怪我がないように下ろしていく。

 

「はぁ~……助かったぜ」

 

「緑谷のおかげだな」

 

皆にそんな言葉を投げかけられて正直照れくさいが……

 

「浮かれるのはまだ早いぞ!全員で12時までにつかなければお昼は抜きだ!お前らにこの『迷いの森』を突破できるか!?」

 

「迷いの森?」

 

「なんだそのゲーム染みた名前は?」

 

その不穏な名前に顔を顰める。

 

今のところ普通の森みたいだけど……

 

「ああ!ちなみに緑谷!ギンガの使用は禁止だ!」

 

なんでだろう?

 

「とりあえず進もうぜ!このままだとお昼抜きだ!」

 

鉄哲くんがそう言って我先にと進んでいく。

 

僕たちもついていき5分が経った。

 

「迷いの森って割には普通だねぇ?」

 

「確かに……」

 

「むしろ何もない分不気味ですわ」

 

凡戸くんが呟き、回原くんも頷き、才子さんが最もなことを口にする。

 

とスタート地点から200mほど進んだ時

 

「ねえ……?なんだか視界が悪くない?」

 

「気のせいじゃないデスか?」

 

「いや!気のせいなんかじゃない!これは!」

 

奥に進めば進むほどどんどん視界が悪くなっていく!

 

これって……!

 

「霧……!」

 

『ようこそー!迷いの森へ!』

 

「この声って……!」

 

「ラグドール!?」

 

『猫の手手助けやってくる!』

 

『どこからともなく……やってくる……!』

 

『『ワイルドワイルドプッシーキャッツ!!』』

 

『この状況で!?』

 

決め台詞が聞こえた方へ向けてみるとそこにはスピーカーがあった。

 

『アハハハハー!どう?迷いの森は!ここからが本番だよ!あー!迷っても心配しないで!最悪アチキの個性で助けに行くからー!じゃ!頑張ってねー!』

 

そう言って放送は終了する

 

「こういうことか……」

 

「でもどうやって霧を起こしているんだろう?」

 

円場くんが肩を下ろして骨抜くんが疑問を投げかけた

 

「恐らく近くに湖があるんだろ思う。そこで空調かなんかで空気を冷やしているんだ」

 

「なんでそれで霧ができるんだ?」

 

僕が言ったことに鉄哲くんが反応した。

 

「蒸発霧だよ」

 

『蒸発霧?』

 

「湖などの水面は常に水蒸気が絶えず蒸発してるんだ。それが冷やされると水滴になって霧が発生するんだよ」

 

「なるほど……」

 

そうか……ギンガを禁止したのはタイヨウで霧を晴らすのをストップさせたんだ……

 

「っつうてもよ!前に進めばそのうち着んじゃね?」

 

「それは……いくらなんでも簡単すぎる気がしますが……」

 

僕も才子さんと同意見だ。そんなことも気にせずに鉄哲くんは進んでいくが

 

「うおっ!?」

 

「やっぱり……」

 

目の前にあったのは大きな湖だった。

 

「これじゃあ……」

 

「なら岸沿いに進まねえか?」

 

「それだと……方向感覚が狂わされ、位置感覚が掴めません……」

 

泡瀬くんが提案するが才子さんの言う通りどこから真っすぐに進めばいいかわからなくなってしまう

 

「なら泳いでいかねえか!?」

 

『無茶言うな!!』

 

鉄哲くんの案に全員が全力で否定する

 

確かにそれは無謀すぎる

 

「俺でも全員分の足場は作れねえし……」

 

「全員ゴールだもんね」

 

取陰さんの言う通り一人でも欠けたらアウトなこの試練。勿論全員でゴールするつもりだが

 

「ポニー、上から確認してくれない?」

 

「リョーカイデス!」

 

角取さんが上に飛んで確認しようとするも

 

「ダメデース……上も霧がディープデスネ……」

 

「そうか……」

 

飛んでも霧があるって相当に深い霧だぞ……

 

「恐らく視覚以外での空間把握能力を考慮してるんだろうね」

 

そうか!確かに……!

 

「言われてみれば……」

 

「そういえばA組の耳郎や障子、宍田みたいに視覚以外での把握能力がB組にはないよね」

 

「私の千里眼もこの霧の深さでは見えませんし……」

 

そうか!僕らは空間を把握する術を失くした中でいかに早く目的地に辿り着けるかを試されているんだ!

 

「じゃあ吹出がなんか光るものを作ってそれをここに置いておいてそれを目印に位置感覚を把握すれば?」

 

「それだ!」

 

「確かに……」

 

「まあ無難な作戦だね」

 

「わかった!ピカッピカッ!」

 

こうして吹出くんが作った光源で位置感覚を把握した。

 

こうして第一関門は突破した。

 

だが次に目に見えたのは

 

「これって……」

 

突如として前に現れたのはせりあがった土の壁とあからさまに二つに枝分かれしている二つの道だった。

 

「これが第二関門か……」

 

「どっちかに行けってことだよな?」

 

「あからさますぎる……」

 

「上に上ればいいんじゃねえのか!?」

 

「……ちょっと見てみます……」

 

才子さんが千里眼を使う。

 

「ダメですわ……上には土でできた棘が並んであります……それにトラップも……」

 

「……素直に下から行けってことね」

 

「どっちに行く?」

 

「……ちょっとお待ちを……やはりでしたか……この先にも同じような分かれ道がいくつもありますわ」

 

「方向感覚を狂わせるってとこだな」

 

「どうする?」

 

黒色くんが疑問を投げかける。

 

「そうだ!」

 

<クイズ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム、ファッション!パッション!クエッション!フューチャーリングクイズ!クイズ!>

 

「ここで変身した?」

 

「なにするつもりだ?緑谷」

 

「ちょっと試したいことがあってね。じゃあ行くよ……問題!正しい道は右か!⭕️か❌か!」

 

「いきなりどうした!?」

 

「答えは……❌か!」

 

『み、緑谷ぁ!?』

 

僕が落雷に打たれたのを見て驚く皆

 

「急にどうしたんだよ!緑谷」

 

「ごめんね。でもこれで道が分かった!」

 

「は?どういうことだ?」

 

「そういうことでしたか!」

 

「どういうこと?才子」

 

「心操さんの試合でも見ましたよね?このフォームは疑似的に正解を導くことができるということを」

 

「そっか!それなら!」

 

「そうか!これなら正しければそうだし間違っていたら片方の道ってことか!」

 

「でも……」

 

「緑谷への負担がきつくないか?」

 

「そうです……私としてもそれが心配ですわ……」

 

重い空気が流れる。

 

「だったら!俺に問題を出してこい!緑谷!」

 

「鉄哲くん!?」

 

「無茶だ!なんども受け止められるものではない!」

 

「そうだよ……」

 

「それでも!仲間が身体を張ってくれているのに見ているだけなんて嫌だ!俺にも手伝わしてくれ!」

 

鉄哲くん……!

 

「鉄哲……!おまえ漢だぜ!」

 

「だったら鉄哲がダウンしたら俺たちにも問題出してこい!」

 

「皆……!」

 

『良い仲間を持ったじゃないか……』

 

「じゃあ行くよ!」

 

『おう!』

 

・・・・

 

ー14時半

 

施設の前でラグドールとプッシーキャッツのメンバーである虎、出久たちの担任のブラドキングがいた

 

「おっ!やっと来たー!」

 

ラグドールが指さす方向である森の奥からボロボロになった出久たちが現れた。鉄哲は何度も落雷を受けたせいか意識困憊に近い状態だった。

 

「まさかあんな方法で突破してくるとはねー!」

 

そう。ラグドールはサーチで出久たちの動向を見ていたのだ。勿論ブラドキングも知っている

 

「うむ……もう少し被害がでない方法を模索するべきだな」

 

「はい……」

 

「でも想像以上に早かったよー!夕暮れぐらいになるかと思ってたー!」

 

鉄哲たちが座り込むと

 

「3時間じゃないんですか……」

 

「うむ……正直それは俺たちからすればでお前たちはもっと遅くなると踏んでいたのだが……」

 

「まさかここまで早いとはねー!」

 

「中々やるではないか!」

 

出久たちは返事を返す気力ももうなかった

 

「まあとりあえずここまでボロボロのお前らを今日特訓させるわけにはいかん。軽い昼飯を作ってあるからそれを食ったら一旦部屋で休め」

 

『は、はい……』

 

ブラドが指示すると身体を起き上がらせて施設へ向かう出久たち。

 

これでも彼らの試練は始まったばかりなのだ。

 




最初にラグドールたちがいないのは才子さんにテレパシーで考えを読まれるわけにはいかないとのことです。ちなみに崖に落ちたのはピクシーボブの個性ではなくただ単純なる仕掛けです。


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祝え!どんちゃん騒ぎの合宿!

遅くなって申し訳ない!やっと満足できるものが書けたので……!


三人称side

 

荷物を男子用の大部屋に運んだ後、大半がそのまま倒れるように横になる。

 

出久も例外ではなく荷物を隅っこに置くと壁にもたれるとそのまま来る睡魔に抗うこともなく眠りにつく

 

『……久……!出久!』

 

『ハッ!……ウォズ?』

 

『もうご飯の時間だよ。そろそろ起きないと』

 

時計を見てみると針の短針は6を指していた。

 

『ああ、もうそんな時間か。ありがとね、ウォズ』

 

『気にするな。それより皆を起こさないと』

 

ウォズに言われた通り確かに皆、疲れていたせいか寝相が悪く、乱雑された部屋のように足の踏み場がない状態になっているので踏みつけないように注意して起こすべく近づく

 

「鉄哲くん、起きて……」

 

「グガー……!!」

 

呼び掛けられるも豪快な寝息で返した直後

 

ブゥン!!

 

「うわっ危なっ!」

 

大きな寝返りをうつとともに左腕が出久に当たりそうだった

 

「……鉄哲くんは後回しにしよう。おーい!物間くーん!」

 

出久は物間を起こそうと揺すったが中々起きない。そのせいで後ろの凡戸の様子に気づかなかった。

 

「うう〜ん……」

 

「起きてって!」

 

「はっ…はっ…」

 

凡戸の不穏な様子を心の中にいたウォズが察知した次の瞬間

 

『まさか…出久避けろっ!』

 

『え…?』

 

「ぶっ…ブワックション!!」

 

クシャミ……という名の瞬間接着剤の大量噴射が出久に襲いかかる

 

(せ、精神同調スピリットドライブ!)

 

なんとか強化した反射神経で凡戸のクシャミの範囲から離れることができたが……

 

「……どうしよう」

 

凡戸のクシャミが畳や一部の男子にかかってしまい凄惨な光景になってしまった。

 

円場と泡瀬は服がボンドでベチャベチャになり、黒色は服も含めてほとんどが真っ白になって、物間至ってはボンドで顔が凄いことになってる状態なのに皆気持ちよさそうに夢の中にいた。

 

とその時、

 

「ンン……パフェ食いたいよ〜!」

 

「……は!?」

 

誰かの寝言かと気にも留めなかったが一拍遅れて、声の主の正体に気づいた出久はすぐにその場から離れたのだが遅かった

 

吹出の寝言はオトマノベで具現化され、しかも寝ている状態なのかイメージがグチャグチャになった大きな白いパフェの文字が出現した。だが彼のオトマノベは言葉の性質もコピーしてしまう。結果は言うまでもないだろう……部屋や彼らは白いクリームや白いチョコでベチャベチャになってしまったのだ

 

と間の悪いタイミングで

 

「おーいお前らそろそろ……」

 

なかなか広間に来ない生徒たちを呼びにきたブラドキングがフスマを開けて中の地獄絵図を見てしまった

 

「緑谷……どうなってるんだこりゃ……」

 

「僕に聞かないでください……もうやだ……」

 

・・・・

 

「あっ、出久やっと来た…」

 

「出久さんお待ちしてまし…」

 

「やっと来てくれ…」

 

「ん……!?」

 

広間に着いた彼らを才子たちが出迎えてくれたがボンドにクリームやチョコまみれになった出久たちを見て言葉を失った

 

塩崎や角取たちも詰め寄ってくる

 

「な、なにがあったのデスかー!?」

 

「そ、そうですよ!一体…」

 

一方出久は

 

「知らない…僕は…何も知らないんだ…」

 

半分現実逃避していた出久を見て鉄哲たちは何も声をかけられなかった。

 

彼らも被害を受けた者たちで、起きて状況を把握するとともに驚愕の声を出したが、出久の苦労を知ると自分たちのことが小さく思えてしまった

 

「わ、悪かったよ!緑谷くん!」

 

「ご、ごめんね……!?」

 

この状況を作り出し、尚被害を全く受けなかった凡戸と吹出は出久を立ち直らせようとさっきから必死に出久に謝っている。

 

経緯をボンドまみれのせいで初め、女子たちからの悲鳴を受けた物間が説明すると彼女らも把握できた

 

「なにそれ…」

 

「大丈夫ノコ……?」

 

取陰に希乃子は同情の視線を向ける。男子陣はそれをありがたく頂戴する

 

「あはは…もう吹出と凡戸とは一緒に寝たくない…」

 

彼らによる被害を一番受けた物間が突き放すような言葉を口にするが誰も反論しなかった。事実彼はボンドを顔にかかるだけならいざ知らず、クリームとチョコが鼻に入り、おまけに起きた時にプリンのカラメルソースが目に入ったせいで地獄を見ることとなったからだ。

 

吹出と凡戸も反論できず出久への謝罪を続ける

 

「あー……いろいろあった中でご飯の時間だが……男子陣はまず風呂に入れ」

 

ブラド先生の言葉に反論する者はおらずそのまま風呂に直行する彼らであった

 

・・・・

 

「ふ〜……いい湯だー!」

 

「あ〜……生き返る……」

 

湯船に入る前にまずシャワーで身体をきれいさっぱり洗い流した。

 

ただのお湯のはずなのにいつもの三倍ほと気持ちいいと感じる彼らであった。

 

「ほんとにゴメンね……」

 

「うん……」

 

「もういいって!気にしてないよ!」

 

功労者である出久は皆の勧めもあって一番に湯船に浸かっており、お湯のあったかさもあってか既に立ち直っていた

 

「しっかし……!すげー濃い1日だったなー」

 

「ああ……でも明日からもっと厳しい訓練があるんだろ?」

 

「ああ……」

 

回原と鱗は頭を洗いながら愚痴り、骨抜はお湯に浸かって自身を癒している

 

そして全員が洗い終わって湯船に浸かっていると

 

「あー……!生き返る……!」

 

「初めてだよな?こうやって皆で風呂に入るの」

 

「折角だからさ!ギリギリまでなにか駄弁ろうぜ!」

 

「面白そうだなあ」

 

湯船にもたれた円場に黒色が声をかけて泡瀬が皆に自身の提案を告げると鎌切がそれに乗っかる

 

「でもこういう時ってなにを話すんだろう?」

 

庄田が疑問を口にすると

 

「こういう時は……やっぱり恋バナだよねえ?」

 

物間がいやらしそうに口にすると

 

「こん中で恋バナといえば…!」

 

鉄哲が出久を見ると皆一斉に注目すると

 

「拳藤たちとは何処まで進んだんだ!?」

 

「もう一線を超えたのか!?」

 

「この前デートしてたって本当か!?」

 

「A組の麗日とも交流があるって話は!?」

 

円場、回原、泡瀬に鱗のB組の常識四天王が次々と質問を投げかける。

 

「い、いや僕たちはまだ一線は超えてないしまだ相手の両親にも話したこともないから!」

 

「でもキスぐらいはしたんだろ!?どうなんだ!?」

 

「き、キスは……しました」

 

「う、羨ましいじゃねえか〜!この野郎〜!」

 

「いつ!?何処でだ!?」

 

「こ、この前遊園地でデートした時……観覧車の中で……///」

 

「緑谷ァァァァ!!漢だぜェェ!!」

 

「ふ〜ん?緑谷くんは随分と度胸があるんだねぇ〜」

 

「も、物間くんっ!って、もう上がるからね!」

 

「あっ待ってくれよ、緑谷ぁ!」

 

こうして出久たちの合宿はまだまだ続いていくのでした

 

 




女性陣の入浴

「あー!染みるねー!」

「ええ…一時の癒し…存分に味わいましょう…」

「これかジャパニーズ温泉というものナノデスネー!」

「うん……気持ちいいね……」

皆湯船に浸かって癒しの時を寛いでいた

「お化けとか出そう……」

「ちょっ!レイ子さん!そんな…お化けなんて…!」

「ふふっ……」

「レイ子ってこういうの好きだよね…」

取陰切奈が湯船にもたれながら才子とレイ子のやり取りをただ見ていたのだがふと面白そうなことを思いついたので

「ねぇ〜、一佳〜レイ子〜才子〜唯〜?緑谷とは何処まで進んだ〜?一線超えちゃった〜?」

ニヤニヤしながら彼氏がいる友達に問い詰めると

「ええっ!?いや……その……」

「わ、私たちはまだ…」

「私たちう、ウラメシイ関係だけど…その…」

「ん……!!」

彼女たちの初な反応を楽しんでいたが反応から一線を超えていないことを察した取陰切奈は質問を切り替えることにした

「じゃあ一佳たちから見て緑谷ってどんな人?」

「///……最高の彼氏」

「……運命の人です///」

「私のヒーロー……///」

「……私を認めてくれた人///」

迷いなく答えた彼女たちを見ると

「素晴らしき愛で結ばれているのですね……!」

「緑谷くんはまさに日本男児ってやつデスネー!」

彼女たちとクラスメイトの信頼の深さに感動していた

「そういえばさ希乃子は緑谷とは同じ身体だけどウォズとはどう?」

「ウォズくんは…ジェントルマンで…この前のデートでも私をエスコートしてくれたノコ!」

「いいな〜!私も恋してみたいな〜!」

「切奈ならいい相手が見つかるよ!」

「い〜ち〜か〜?それって皮肉なのか〜?」

「うわっ!?ちょおっ!?」

「なんなの!?この胸は!最高の彼氏もいて胸までデカいとか喧嘩売ってんのか!」

「いやっ…ちょっ…そういうわけじゃ…」

この後30分もみくちゃにされた一佳さんであった


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挑め!地獄の圧縮訓練!

「……朝か」

 

ウォズの習慣で早く起きるせいか予定起床時間よりも少し早めに起きてしまった僕

 

周りの皆は気持ちよさそうに眠っているので起こさないように布団を畳む

 

ちなみに個性関係で問題を起こした吹出くんと凡戸くんは別室で寝ている

 

こればっかりは皆被害に遭っているからか異議を唱える者はいなかった

 

二人も納得していたし

 

部屋の外の洗面所で顔を洗っていたら

 

「もう起きてるの?早いねぇ」

 

「おはようございます。マンダレイ」

 

プッシーキャッツの一人、マンダレイから声をかけられた。なにやら野菜などが入った段ボール箱を持っていた

 

「あっ、お昼前に頼むつもりだったけどちょうどいいか。ねえねえ。起床時間まであと少しぐらいあるよね?」

 

「ええと……不味かったですか?」

 

今は5時だから……1時間前か

 

「ううん!これぐらいは誤差の範囲内だからいいんだけどね。それでね。クラスメイトの弁当を作るぐらい料理美味いって話をブラドキングから聞いててさ」

 

「ええとですね。皆の弁当作ってるのはウォズなんですけど……」

 

「知ってるよ?二人の話は担任から聞いてるし。でさ。夜ご飯は昨晩言ったとおり私らが作るのは昨日だけってことになってるんだけどね?朝と昼は特訓もある以上、イレイザーが時間の都合と調理との連続作業のオーバーワークは身体を壊すからっていうから私らが引き続き作るってことにしたんだけど……正直、特訓の準備やサポートで人手が足りないことになりそうでさ。だからウォズくんに朝ご飯作るのの手伝いと昼飯の用意を頼みたいんだけど……あっ、勿論緑谷くんのスケジュールも少し余裕を持たせるようにするから」

 

「僕は構いませんが……」

 

『私も構わないよ?出久』

 

「ウォズもいいそうです」

 

「ホントに!?ありがとう!じゃあ食堂に来てくれるかな」

 

それだけ言ってマンダレイは段ボール箱を持って食堂へと向かっていく。

 

僕も顔を洗い終わって食堂に向かうと

 

「早いな、緑谷」

 

「朝からこんなことを頼んでスマンな」

 

相澤先生とブラド先生がコーヒー飲みながら資料を読んで話し合っていた。朝から眠気一つ見せずに……すごいな

 

調理場に入るとマンダレイがエプロンを着て待っていた

 

『じゃあ変わるね』

 

『任せろ。出久は少しだけ休んだらどうだ?時間が来たら起こすよ』

 

『ありがとう。じゃあお言葉に甘えて』

 

ウォズと精神権をチェンジすると僕は眠りについた

 

・・・・

 

ウォズside

 

「初めまして。出久と共にさせてもらっているウォズだ」

 

「聞いていたけど本当に別人なんだ……目つきとか声とか仕草とか」

 

「さて、朝ご飯のメニューは?」

 

「うん。朝は鰆を使った料理に野菜一品と味噌汁にヨーグルトってなってるんだけど……細かいところはまだ決まってない上に買い出し前だからさ、食材が少ないんだ……」

 

なるほど……

 

「鰆とヨーグルト以外で今ある食材は?」

 

「ほうれん草とカボチャ、後は薄揚げとネギだけど……」

 

「充分だな。ほうれん草があるなら胡麻和えにして、鰆は塩焼き、味噌汁はカボチャと薄揚げの味噌汁。この献立はどうだ?」

 

「いいわね……!」

 

「じゃあ決まりってことかな?」

 

「勿論よ!じゃあ私は味噌汁と胡麻和え作るからウォズくんは魚焼くのお願いしてもいいかな?」

 

「勿論さ。鰆はどこだい?」

 

「勝手口の隣に置いてあるから」

 

食器棚を通り過ぎると外に出る勝手口の横に大量の発泡スチロールが置いてあり、中を開けると氷で冷やされた鰆が新鮮さを表すように光っていた。ここで豆知識。鰆は寒鰆と呼ばれるものもあって旬は冬だと思われがちだが鰆は回遊魚のため地域によって旬が異なる。瀬戸内海では春から初夏にかけてとされるのでこれらは関西産だろう。関西産のをここまで新鮮さを保ちつつ運んでくるとは……そういえば今年は鰆が大漁だとかニュースで言っていたが……運賃を含めても他の魚を買うより安いのか……ま、それはともかく

 

「私が魚を捌けなかったらどうするつもりだったんだ……?」

 

……まあできるんだけどさ。それにしても

 

「中々いい鰆だな」

 

触ってみると感触も硬く、斑紋もはっきりとしていて、目も確認したがみずみずしいのでこれは当たりだと思った

 

さて。ここで鰆の塩焼きの調理方法を紹介しよう(この調理方法は料理下手な作者が家族から教えてもらったものですのでプロのようなものではありませんし、ところどころ間違っているところがあるかもしれませんがご了承くたさい)

 

三枚におろした鰆を一人分サイズに切っていく。一人当たり100gほどが目安だ

 

そして切り身を水でさっと洗って水気を拭き取る

 

その後、塩を振っていくのだがここで違いが出る。

 

これは鰆ではなく鯖に塩を振る時の例なのだが1時間前、30分前、15分前、焼く直前の4段階があり、それぞれ明確な差が存在する

 

直前に振るとふっくらするが生臭さが残り、1時間前だと生臭さはないがふっくら感がなっくなり身が締まる

 

鰆の場合、水分を抜かせて味を濃くするのに適した時間は15分ほど前になる。

 

ということで塩をまんべんなく振って15分ほど置いておく。その間にフィッシュロースターの準備をしておく

 

……15分後

 

置いておいた鰆をフィッシュロースターに入れて表面を5分ほど強火で焼いたら裏面を2分ほど焼く。

 

これで完成だ

 

鰆を皿に盛りつけていたら味噌汁のいい匂いが漂ってきたのでそっちに向かう。あ、勿論魚の匂いは消臭剤で消しておいた

 

「そっちもできたんですか」

 

「うん。そっちも美味しそうじゃん。フィッシュロースターは便利だった?手間かからないでしょ」

 

「魚を捌いといてくれたらもっと手間がかからなかったんですけどね……」

 

「あはは……ごめんね」

 

「それで?これで終わりかな?」

 

「あ、あとはお昼の分のおにぎりお願いしてもいいかな?」

 

「了解した」

 

昆布や梅干し、おかか、赤紫蘇のおにぎり……ととにかく握っていった

 

「これだけ握ればいいかな」

 

握ったおにぎりを盆に並べ、その上にラップをかけてマンダレイに指定された訓練所と森の間にあるテーブルまで持っていく

 

最後の盆をテーブルに置き終わって戻ろうとした時、

 

「あの子は……」

 

視線の先に映ったのは5歳ぐらいの少年。たしかマンダレイが自分の従甥って言ってたな。

 

気になったことを考えていたら

 

「なんだよ。さっきからジロジロと」

 

さっきの少年が前まで来ていた

 

どうやら私の視線は彼に向きっぱなしだったらしい

 

彼に向けられる自分への視線を見て疑問が確信に変わった

 

彼の目に宿っているのは……憎しみ、いや違う。嫌悪感だ

 

私、いや私たちへの嫌悪感だ。マンダレイにもその視線を向けていたことから……

 

「なあ少年。ヒーローが嫌いなのか?」

 

「……お前には関係ないだろ」

 

それだけ言うと彼は宿舎のほうへ戻っていった

 

やはりか。だが死柄木たちのような邪悪な嫌悪ではない。どちらかというとヒーローというものが、ヒーローの行動が理解できないというような侮蔑だ

 

だがそうなった理由は……

 

私が再び思考を張り巡らせていると

 

「緑谷」

 

「む?轟くんか」

 

「…その声、ウォズか」

 

「まあね。どうしてここに?」

 

「……お前らに相談したいことがあってな。マンダレイから起きていることを聞いてここに来た」

 

「相談したいこと?」

 

轟くんが口にしたのはさっきの少年の話だった

 

昨日、轟くんたちもバスから降りた後

森に落とされて自分たちの足で宿舎に行くようにされたらしく

私たちが着いた後、日が沈んだ後にやっと辿り着くことができたらしい

 

その時に

 

『あの…そっちの男の子は?』

 

『ああ、この子は私の従甥。出水洸太。洸太、挨拶しなさい』

 

轟が近づくとその少年は思いっきり拳の股間に叩きつけようとしたが

 

『なっ!?』

 

『……なにか気に触ったなら謝るが……こういうことはあまりしない方がいいぞ』

 

轟はそのパンチを左手で受け止めて、洸太の目を見る

 

轟はその目に既視感があった。

 

鏡でなんども見た自分の目

 

父を憎んで、自分との繋がりすらも嫌悪した目

 

憎しみこそ映ってないように感じたが自分を、認めていないように映ったのは確かだった

 

夕食の後、お風呂場で峰田の覗きを阻止した洸太だったが思わず女子風呂の方へ振り返ってしまい、仕切りから落ちそうになったが轟が受け止めてマンダレイの元まで連れて行った時に聞かされた

 

彼の両親はヒーローで殉職してしまったこと。それを世間は褒め称えたこと

 

それが幼い洸太にとって理解できなかったのだ。

 

「なるほど……そういうことか」

 

「ああ…あれは親父を認めなかったかつての俺だ。俺と違って誰かを憎んではないが…」

 

「…………」

 

彼はヒーロー、というより個性を使って戦うということを嫌悪しているようだな

 

……当然だろう

個性というものがなければ両親は殺されなかったのだから

 

その死をマスコミやメディアは人々を守って死んだと取り上げるのだが幼い子供にそんなことが理解できるはずもない

 

成長したとしても理解する前に嫌悪感が邪魔して認めようとしないだろう

 

そんな彼に私はどうやって向き合えばいいのだろうか?

 

……いや、そもそも他人の思いを理解しようともしなかった私が彼に向き合う資格があるのだろうか……

 

……出久なら彼にどう接するだろうか。いや個性のことで苦しんできた出久には……このことは話したくはないな

 

私は宿舎に戻った後、出久に精神権を返した

 

・・・・

 

うわぁ……すごい美味しそう……

 

少し焦げ目がついた焼き目に食欲がそそられる

 

ウォズに精神権を返してもらったら、起床時間直前だったので配膳を手伝うことにした

 

僕が皿を配膳していると

 

「出久さんおはようございます」

 

「おはよう。才子さんって朝早いんだね」

 

「ええ……朝練の習慣がついていまして……顔を洗おうと外に出たら出久さんを見つけたもので。出久さんはなにをしてらっしゃのですか?」

 

「ちょっとね。ウォズが朝食の手伝い頼まれちゃって」

 

「ふふっ、大変ですわねウォズさん。でも出久さんが朝早いのは?」

 

「ウォズがいつも弁当作ってくれるからかな?僕も習慣づいちゃってるのかも」

 

「ふふっ、私たちお揃いですわね♪」

 

そう言って微笑む才子さんからの不意打ちに僕はドキッとしてしまう

 

それを見てクスクスと笑う才子さんが愛おしくてしょうがない。

 

妖艶な笑みを浮かべる才子さんにジロジロと見られてどんどん顔に熱が籠ってしまう。

 

うぅ……遊ばれてる……

 

「さて、もうちょっと出久さん堪能したいですが、相澤先生や一佳さんたちに見つかる前にやめますか。ですが……」

 

僕が羞恥心を払いのけようとしていると

 

チュッ❤

 

「ふふっ…これは将来の予行演習です♪」

 

「な…な……!?」

 

「では出久さん、今日はお互い頑張りましょう♪」

 

そのまま部屋に戻っていく才子さん

 

ふと後ろに気配を感じたので振り向くと相澤先生がいた

 

「……今回は誰もいなかったことだし見なかったことにしてやる……が、あまり風紀を乱すなよ」

 

「は、はい……」

 

それだけ言うと相澤先生は一足先に朝食にありつく

 

・・・・

 

朝ご飯を食べ終えて宿舎前に全員が揃っている

 

「諸君、おはよう!今日から行うのはここにいる全員の個性伸ばしだ!これはヒーロー免許の簡易版、仮免取得に必要なことでもあり、これから強大になりつつある悪意に備えるためのものだ。A組はもうやっているぞ。ではついてこい」

 

ブラド先生が森の方へ進んでいくと皆もそれについていく

 

「個性伸ばし?そう言われてもパッと思い浮かばないな」

 

「大体どんなことするんだ?学校ではしないことだとは思うが……」

 

円場くんと鎌切くんが思ったことを口にするとブラド先生が答える

 

「まあ無理もない。これまで学校で伸ばしてきたのは技術面や体力であり、あとは駆け引きなどの精神面だものな」

 

『そう言えば』と気づく皆

 

「でもなんでこれまで個性を伸ばす訓練をしなかったんだろう?」

 

庄田くんがそう呟く

 

「多分……」

 

「どうした緑谷?なにかわかったのか?」

 

「……個性ってさ、色々な種類があるよね?」

 

「そりゃ当たり前だろ」

 

「そうだよね。となると異なる伸ばし方なのかと思ったんだけど……多分伸ばし方はほとんどが共通してるんだ」

 

「え?それぞれ違う個性なのにか?」

 

「発動型は許容上限に発動速度や発動範囲、個性の威力。異形型、複合型はそれぞれに合わせた部位やその能力。違う個性でも種類が同じなら伸ばす方向性はほとんど一緒なんだ」

 

「言われてみれば確かに……!」

 

骨抜きくんがハッとした表情になる

 

「それでその能力や上限を上げる方法といえば……」

 

「あ、僕わかったかも……」

 

物間くんはこれから行うことを理解してしまったのか身震いする

 

「緑谷の言う通りだ!上限を上げる方法!それすなわち……」

 

ブラド先生が森を抜けると同時に叫ぶ

 

限界突破ぁ!!!

 

森を抜けた先に広がっていた光景は……地獄絵図だった

 

発電機に繋がって許容上限を超えた電流を流される上鳴くん

 

熱湯に手を突っ込んで上空に手を向けて最大爆破を繰り返すかっちゃん

 

ドラム缶風呂に入って氷結を燃焼を繰り返して温度を調節してると思う轟くん

 

それぞれ訓練内容は違うがブラド先生の言う通り目的は共通していた

 

「なんだこの地獄絵図は……!」

 

「おいおい……」

 

麟くんや回原くんが絶句するかブラド先生が話を続ける

 

「まあ、これらは肉体の成長に合わせてやっていくんだが時間がなくてな。雄英もおまえらだけに人員を割くわけにもいかん。だから彼女らに依頼したのだ。よし!では行くぞ!」

 

『はい!』

 

僕たちのそれぞれに合わせた特訓場を土流の個性を持つピクシーボブが形成し、ラグドールがサーチで中継して、その状況に合わせてマンダレイがテレパスでアドバイスを送る

 

んで僕はというと……

 

「はっはー!行くぜ緑谷ぁ!」

 

僕がいまいるのは坂に設置されたアスレチックコースだ

 

夜嵐くんが起こした強風に飛ばされないようにコースを移動して時には遠距離攻撃を鍛えるために指での衝撃波で風を相殺する。これを繰り返すことで身体の強度を上げるらしい

 

そして時にゴムボールを坂の下に指で弾いて飛ばす。

 

数十秒ほどすると飛ばしたボールが飛んできたのでそれを躱す

 

この特訓は

 

『え?僕が下にいる才子さんに向かってボールを飛ばす?』

 

『うむ。印照はそれをサイコキネシスで止めることにより念力の強化。緑谷は遠距離攻撃の向上を目指すのだ。そしてそれを緑谷のほうへ飛ばして、それを緑谷は避けることでスピード回避能力を磨く。勿論弾はゴムボールだ』

 

『なるほど……つまり』

 

『相乗効果、というわけですね』

 

『うむ。そういうことだ』

 

こうして夜嵐くんと才子さん両方からの攻撃をウォズの力を使わずに躱しながら時には迎撃していく。正直一瞬も油断できない

 

こうして僕たちの特訓が始まったのだった



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